衆議院

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第1号 平成16年3月1日(月曜日)

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本分科会は平成十六年二月二十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小泉 龍司君    園田 博之君

      蓮実  進君    平岡 秀夫君

      藤井 裕久君    佐々木憲昭君

二月二十七日

 園田博之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十六年三月一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 園田 博之君

      小泉 龍司君    蓮実  進君

      市村浩一郎君    宇佐美 登君

      梶原 康弘君    鈴木 克昌君

      中野  譲君    平岡 秀夫君

      馬淵 澄夫君    佐々木憲昭君

   兼務 岡本 芳郎君 兼務 奥野 信亮君

   兼務 北川 知克君 兼務 早川 忠孝君

   兼務 原田 令嗣君 兼務 城井  崇君

   兼務 樽井 良和君 兼務 長安  豊君

   兼務 若泉 征三君 兼務 長沢 広明君

   兼務 古屋 範子君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 山本繁太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  平岡 秀夫君     市村浩一郎君

  藤井 裕久君     中野  譲君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     馬淵 澄夫君

  中野  譲君     梶原 康弘君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  梶原 康弘君     鈴木 克昌君

  馬淵 澄夫君     宇佐美 登君

同日

 辞任         補欠選任

  宇佐美 登君     津村 啓介君

  鈴木 克昌君     藤井 裕久君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     平岡 秀夫君

同日

 第一分科員岡本芳郎君、奥野信亮君、古屋範子君、第二分科員早川忠孝君、原田令嗣君、長安豊君、第四分科員城井崇君、若泉征三君、第六分科員長沢広明君、第七分科員北川知克君及び樽井良和君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

園田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。石原国土交通大臣。

石原国務大臣 国土交通省関係の平成十六年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成十六年度一般会計予算に計上しました国土交通省関係の予算額は、六兆七千四百三十六億円です。

 このほか、自動車損害賠償保障事業特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれの所要額を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の公庫公団等の分として四兆五千百六十一億円を予定しております。

 国土交通省におきましては、重点四分野に予算全体のおよそ七割を配分するとともに、公共投資については、整備の水準及び緊急性、経済構造改革の推進、官と民、国と地方の役割分担等の観点から、各事業の目的、成果に踏み込んできめ細かく重点化することによりまして、厳しい財政状況の中で、選択と集中によるめり張りある予算を実現いたしました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願いを申し上げるところでございます。

園田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石原国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

園田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

園田主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

園田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田令嗣君。

原田(令)分科員 おはようございます。

 自由民主党の原田令嗣です。

 予算委員会の国土交通分科会で新人議員である私にトップバッターとして質疑の機会をいただき、ありがとうございます。感謝申し上げます。

 まず、ビジット・ジャパンについて伺いたいと思います。

 小泉総理は、就任されてすぐ、海外からの旅行者の増大と、これを通じて地域の活性化を図るという方針を打ち出しました。そして、今国会の施政方針演説では、二〇一〇年に日本を訪れる外国人旅行者を倍増し、住んでよし、訪れてよしの国づくりを実現する、そのために、日本の魅力を海外に発信し、各地域が美しい自然や景観を生かした観光立国を積極的に推進すると強調しています。

 我が国を訪れる外国人旅行者の数は、海外へ出かけていく日本人の三分の一以下にとどまっており、受け入れの世界ランキングでは三十三位と低迷しています。その中で、我が国初の観光立国担当大臣に石原国土交通大臣が就任され、外国人旅行者倍増に向け、「ようこそジャパン」キャンペーンなど、さまざまな施策を強力に進めていると伺っております。先日、私は、石原大臣が、富士山をバックに、流暢な中国語で日本の魅力を訴えておられるPRビデオを拝見し、感銘を受けました。

 そこで大臣に、ビジット・ジャパンの取り組みのポイントを伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま原田委員が御指摘になりましたように、総理が、二〇一〇年に、日本においでいただいている観光客、外国の観光客の方、およそ今五百四十万人ですけれども、一千万人にしよう、こういう倍増計画をお立てになりまして、政府として、昨年の七月でございますけれども、全省庁の協力のもと、観光立国行動計画を定めまして、今委員が御指摘になりました「ようこそジャパン」キャンペーンや、一地域一観光ですか、こういう施策を進めさせていただいているところでございます。

 委員がごらんになりましたのは上海で放映したビデオだと思いますが、そのほか、私も、やはりビジット・ジャパンで重要なところは、地政学的な要件からして、アジアの方々にいかに日本に来ていただくかということで、昨年の十一月には、羽田空港と韓国の金浦空港との間の国際チャーター便の一便に乗りまして、ソウルの方に行きまして、日韓観光の夕べも開催させていただき、現地の方三百人においでいただく、御指摘いただきましたように、観光立国担当大臣として、トップセーラーのつもりで、みずからも日本のよいところを宣伝させていただいているところでございます。

 また、ちょうどきょうからなんですけれども、韓国の修学旅行の方々へのビザの免除ということもきょうからスタートさせていただくことになっておりますし、昨年には、韓国の高校生の方六十人ほど、民間の方が中心になってですけれども、お招きして、日本の高校生と、言葉の壁はあるんですけれども、ディスカッションをしていただいて、非常に有意義な時間を持つことができたと、韓国の方からも、日本の方からも御紹介をいただいたところでございます。

 また、先月の十八日には、総理主催のもとで、官邸に、観光先進国と言われる、先ほど委員の御指摘の中にインバウンドでいいますと三十三位と日本は低迷しておりますけれども、海外は多いですよね、フランスなんか有名ですけれども、パリだけで五千万人、スペインの大使もおいでになりましたけれども、スペインでも五千万人、またアメリカの大使、中国の大使、韓国の大使もおいでいただきまして、観光先進国から日本に対してのアドバイス、こんなものをちょうだいして、総理も、こういうところは内政干渉大いに結構だ、そういうような話もございまして、さまざまなアドバイスをいただいたわけでございます。

 私も、政府一体となりまして、小泉総理の掲げられた目標の実現にこれからも積極的に取り組ませていただきたいと考えております。

原田(令)分科員 外国人旅行者の増大は、今大臣がおっしゃられたように、国際相互理解だけでなく、我が国経済や地域の活性化にも貢献すると思います。ようやく明るい兆しが見えてきた日本経済の起爆剤に観光がなることを私も期待しておりますが、外国人旅行者倍増による経済波及効果はどの程度見ておられるのか、お伺いしたいと思います。

澤井政府参考人 訪日外国人旅行者倍増の経済効果ということでございます。

 一九九九年に、現在の国際観光振興機構、当時の国際観光振興会でございますが、そこにおきまして、四百四十四万人という一九九九年の訪日外国人旅行者数をベースに試算したものがございます。この試算をもとに倍増の効果をはじきますと、例えば五百二十四万人が外国からお見えになった二〇〇二年では、生産誘発効果は四兆四千億円でございますが、倍増ということで、一千万人ということで試算いたしますと、それが八・三兆円ということになります。

原田(令)分科員 昔は、外国人の日本への関心といえば、フジヤマ、ゲイシャ、何とかと言われましたけれども、現在の外国人旅行者は、日本のどこに、どのような観光地に関心を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。

澤井政府参考人 ビジット・ジャパン・キャンペーンは昨年の四月から始めておりますが、それに先立ちまして、三月に重点市場として予定しておりました五つの地域について行った市場調査がございます。これによりますと、やはり御指摘のように、国によって大分異なった傾向があると思っております。

 例えば、この重点市場、アメリカとアジアでありますが、両方に共通いたしまして、東京、大阪という大都市の人気は高いと思います。加えまして、アメリカの方について言いますと、歴史的な遺産を有する京都とかあるいは広島、長崎といったところの人気が高いように思われます。また、韓国、台湾、香港、中国からの旅行者につきましては、自然、特に雪へのあこがれというものが大変強いように見受けられまして、場所的には北海道の人気が高いと思っております。

 ただ、まだ日本には国際的に知られていない日本の観光魅力というのがたくさんあると思いますので、こうした観光地のPRを行うことで、さらに日本各地を訪れていただくようにしたい。それによって旅行者を増加させたいと考えております。

原田(令)分科員 外国人旅行者誘致のため、先進的な取り組みやそれを行っている地域を積極的にほかの地域に紹介することが、旅行者の増加を図り、そして地域の活性化を促すことにつながると思いますが、そういった例を伺いたいと思います。

澤井政府参考人 御指摘のように、各地でさまざまな取り組みが行われております。

 一例を申しますと、例えば北海道におきましては、台湾との間で割安の航空運賃の設定がされたのを契機といたしまして、北海道の観光連盟あるいは関係の航空会社が、平成九年以降、継続的に、花や雪、大自然、ヨーロッパ風のイメージといったことを北海道の魅力として台湾に売り込みました結果、台湾で北海道旅行ブームが起こりました。北海道を訪れた台湾人の旅行者は、その前の平成八年には一万人未満でありましたけれども、現在、平成十四年には十三万人というふうに急激にふえております。台湾だけでなく、北海道への外国人旅行者の総数も、平成九年の十二万人から十四年には二十八万人というふうに相当大きく伸びております。

 また、もう一つ申しますと、長崎県では、中国に近いという地の利を生かしまして、北京や上海からの修学旅行を誘致するため、中学、高校の校長先生など教育関係者の招聘というようなことも行っております。

 こうした取り組みについては、これまでもいろいろな機会を通じて紹介してまいりましたけれども、今後とも幅広くこうした情報を収集し、よりシステム的に各地域に提供していきたいと思っております。

原田(令)分科員 国際交流の促進は、日本の若者が、世界を知るだけでなく、日本を逆に知り、生まれ育ったふるさとや日本に誇りを持つことにもつながる、大変有意義なことだと思います。大臣がさっき、高校生のビザを免除するということをおっしゃっておられましたけれども、若いころ日本に来て好印象を持つということが、再度日本を訪れる契機にもつながると思います。そうした意味で、このような政策を、外国の若者たちをもっと受け入れる政策をこれからどのように進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

澤井政府参考人 海外の中高生の皆さんに修学旅行によって訪日していただくということは、彼らに将来の日本へのリピーターになってもらうということに加えまして、さらに、我が国の文化、歴史に触れ、我が国の青少年等との交流を通じまして我が国に親しみを持っていただくということが大変重要だと思います。国際的な相互理解を深める意味でも極めて大事なことだと思っております。

 実例を申しますと、例えば韓国につきましては、二〇〇〇年の二十二校、千九十人という実績がございますが、その後ふえまして、二〇〇三年には百三十校、五千人に増加しております。一方、中国について見ますと、二〇〇一年に三校、三十二名、二〇〇二年には四十四校、四百十二名と増加してきたのでありますが、昨年、二〇〇三年はSARSの影響によりほとんどこれが実施されない、これは一つ残念なことであります。

 ビジット・ジャパン・キャンペーンにおきましても、修学旅行誘致の促進を図るため、九州地域で、中国に近いという特性を生かしまして、中国の修学旅行関係者を招請する事業を昨年四回実施しております。また、愛知万博を来年に控えた中部地域におきましても、韓国の修学旅行関係者を招請する事業をこの三月に実施することにしております。

 来年度のビジット・ジャパン・キャンペーンの中では、このような取り組みを踏まえながら、修学旅行の有します将来に向けた大きな意義を考慮いたしまして、その大きな活動の柱として位置づけて取り組んでいきたいと思っております。

原田(令)分科員 地方の時代を迎え、国際交流は中央だけではなく地方が中心になってみずから積極的に取り組み、地域の活性化につなげていく時代であります。

 例えば、今建設が進められています静岡空港では、静岡県が工業出荷額が現在日本で三位、工業立地一位と経済力も高い、そして人口も多いということで、アジア地域と結ぶ国際路線の開設を積極的に推進していこうとしております。地元の人々が提唱していますように、世界の人々に日本の象徴として親しまれている富士山の名を冠したマウント・フジ・エアポートという名前をつければ、ビジット・ジャパンの一翼を担う空港として大きな役割が期待できると思います。アジアの航空会社も、成田への増便が難しい中で、高い関心を示していると聞いております。

 このように、地方空港の国際化へ向けた取り組みについて、国はどのようにお考えになっているのでしょうか、お考えをお聞かせ下さい。

石川政府参考人 地方空港の国際化の問題でございますけれども、地方と外国との交流、こういうものが年々増加する中で、双方向の国際交流の推進あるいは地域経済の活性化という観点から、地域の国際化を進めていく中で大変重要なことだと考えております。

 したがいまして、そういう中で、国際線に関する地域の取り組み、それから国際航空需要の動向、こういうものを見きわめつつ、国際定期便の開設あるいは国際チャーター便の活用、このような方法で対処していく必要があろうかと思っております。

原田(令)分科員 石川県の小松空港は、ベルギーの国際宅急便の基地を誘致し、空港の整備拡充に取り組んでいると聞いております。先ほどお話ししましたマウント・フジ・エアポートを推進しているフォーラムでは、静岡県の東海地震への先進的な対策を生かして、アジアの災害への国際緊急支援のための機関や、ボランティアが研修し、そして発信していくセンターを立ち上げる構想も提唱されています。グローバル化が進む中で、地域経済の活性化のために地方空港をこれから国はどのように活用すべきであるとお考えになっておられるでしょうか。

石川政府参考人 地方空港は、今お話がありましたように、実は、地域間交流あるいは海外との交流、こういうものがますます活発化していく中で、高速交通ネットワークの一つの基盤として意味があろうかと思っております。例えば、今先生お話ありましたような事例もございますし、九州では空港の周辺にIT関連産業が立地する。あるいは、最近の話ですと、能登空港の開港によりまして和倉温泉の宿泊客がふえている。このようないわば地域の産業、観光あるいは文化等の発展に大きく貢献していくものだろうと思っております。そういう意味で、今後とも地方空港の活用というものを通じて地域の活性化が図られていくものだと私ども期待しております。

 そういう意味で、地方空港の活用という観点あるいは充実という観点から、私ども、平成十六年度から、空港アクセス等航空サービス高度化推進事業というふうなものを創設いたしまして、地方空港へのアクセスの改善、あるいは地方空港の使い勝手のよさ、高度化、あるいは空港ターミナルのバリアフリーというふうなものの推進を図っております。さらには、従来より行っておりますけれども、地方空港の運用時間の延長というふうなこと等々を行いまして、地方空港の使い勝手のよさというものを追求してまいりたいと考えております。

原田(令)分科員 次は、海について伺いたいと思います。

 日本は四方を海に囲まれた海洋国です。日本の物流に関しては、港湾が極めて重要な役割を果たしています。しかし、近年、中国、韓国、台湾の港湾に比べて、日本の国際競争力は大幅に低下しています。日本の港の国際競争力の強化については、どのようにお考えでしょうか。

鬼頭政府参考人 我が国港湾の国際競争力についてのお尋ねでございます。

 近年、アジア地域、特に日本を含む東アジア地域におきましては、海上コンテナの取り扱いを中心とする港湾間の競争が大変激しさを増してございますが、その中で、我が国の港湾は相対的にその地位を低下させております。これは、アジア地域の急速な経済成長と、我が国製造業の海外移転の進展に伴う経済あるいは貿易構造の変化に加えまして、我が国の港湾におけるコスト、あるいはリードタイムを初めとするサービス面での競争力の低下がその原因であろうと認識をしてございます。

 このため、私ども国土交通省におきましては、中枢・中核国際港湾における国際海上コンテナターミナルの拠点的な整備、あるいは高規格幹線道路とのアクセスの向上、輸出入・港湾関連諸手続のワンストップサービス化などへの取り組みを進めているところでございます。さらに、アジアの主要港をしのぐコスト、サービス水準の実現を目標といたしまして、官民一体の取り組みによりまして、港湾コストの三割の削減、及び、先ほども申し上げましたリードタイムを一日程度へ短縮するなどを目標とするスーパー中枢港湾のプロジェクト、あるいは港湾を場に活動を展開する物流関係者間で容易に情報の交換、共有ができるようにするため、それによりまして港湾物流の効率化を実現することを目的として、港湾物流情報プラットホームの構築などを推進することとしてございます。

原田(令)分科員 地域経済の再生に港湾の果たす役割は重要であります。日本の港を利用している企業の国際競争力を支えるため、港の物流コストのさらなる削減など、国の支援が必要であると考えますが、その見解をお伺いしたいと思います。

鬼頭政府参考人 我が国企業の競争力の強化を通じた地域経済の再生についてのお尋ねでございます。

 港湾を中心とする臨海部には製造業などの基幹産業が立地をし、我が国の経済活動や国民生活を支えていることは委員御承知のとおりでございますが、近年、物流を含めた我が国における生産コストの高さなどを背景といたしまして、中国を初めとするアジア地域への生産拠点のシフトが急速に進んでおります。また、これに加えまして、大型船が入港する主要航路の埋没や既存岸壁の老朽化など、これまで、特に高度成長期に大量かつ急速に整備をされました港湾施設の機能の低下が懸念をされております。

 このため、国土交通省では、地域の産業競争力を高め、地域経済の再生を促す観点から、既存産業の集積や地域の特徴を生かした物流拠点の形成あるいは再構築を積極的に進めるため、港湾背後の立地企業の需要動向や大型船の入港等の状況を勘案しながら、多目的国際ターミナルや大水深航路の整備などを選択的かつ集中的に推進していきたいと考えておりまして、これらの取り組みを通じまして、地域と我が国の経済活動を支える企業の国際競争力を強化していきたいというふうに考えているところでございます。

原田(令)分科員 産業の国際競争力を高め、日本経済を活性化させるためには、例えばEUが海陸一貫輸送の効率的なショート・シー・シッピング政策を進めていますように、トータルなビジョン、そして総合的な取り組みが重要だと考えております。空港についても高速道路や鉄道とのリンク、港湾と道路の一体的な整備が大切な課題であります。

 こうした陸海空をつなぐネットワークの形成が、日本の元気を取り戻すため、そして百年の大計として不可欠であると考えますが、最後に、大臣の見解をお示しいただければと思います。

石原国務大臣 これまでの原田委員の御議論を聞かせていただきまして、海外旅行者の誘致ということは、入ってくる空港あるいは港が整備されていなければなりませんし、その人たちが魅力のある観光地に向かっていくには、鉄道や道路がしっかりと整備されていなければならない、そういう切り口から話が始められまして、地方空港の国際化の問題や、あるいは地方の港湾が地方経済に対する影響が大変大きい、こういう御指摘をいただき、今、EUの港と陸との一体的な整備、トータルビジョンを持って総合的にやっているというようなお話に尽きていたんだと思っております。

 私も先日、日本の、今港湾局長から御答弁させていただきましたスーパー中枢港の候補地を何カ所か見てきたんですけれども、港は着々と整備されているんですが、そこへのアクセス道路がまだまだ追いついていない、これは全国的な傾向ではないかと思います。委員の御指摘のとおり、やはり一体型でこの整備というものをやっていかないと日本経済の活性化にはなかなか役立たない、こんな印象を持たせていただいたところでございます。

 そして、委員が御指摘されておりますように、国際競争力の向上と地域の活性化というものが日本経済の活性化のためのキーワードになっている。陸海空が一体となった交通ネットワークの形成というものが重要であるという点では、まさに委員の御指摘のとおりであると思っております。

 そんな中で、各局長から答弁をさせていただきました空港、港湾、きょうは陸の話は余りなかったですけれども、その拠点間の幹線道路の整備等々を進めまして、日本経済の活性化というものに資する政策を横断的に、また総合的に展開してまいりたい、こんなことを思わせていただいたところでございます。

原田(令)分科員 先ほども申し上げましたように、これからは地方の時代であります。地域再生を戦略的に進める国づくりへの投資は、日本の将来を決めると言っても過言ではないと思います。歴史的に評価される政府の国土交通政策の推進を強力に進められることを期待しまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

園田主査 これにて原田令嗣君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村分科員 民主党の市村でございます。おはようございます。

 まちづくり交付金というものがあるというふうに、それから、これが平成十六年度、この四月からこの制度が新たに動き始めるということを聞いております。ただ、これにつきましては、予算関連法案ということで、この三月中には恐らくまた審議があるということだと思います。私は、ぜひともこういう制度を推進したい、大変趣旨としてはいいという思いでおりますが、そのことにつきまして、きょうせっかくお時間をいただいておりますので、多少議論をさせていただきたい、また、明確にしていきたいというふうに思っております。

 それで、まずこのまちづくり交付金の趣旨とか概要について、その前にちょっと、これは事前に質問通告をしていませんでしたけれども、もともとこれは、まちづくり一括補助金でしたでしょうか、というものが発展的にこのまちづくり交付金になったということも聞いておりますので、前制度と今回の制度との違いも含めて、きょう明確に言えないということであれば別にいいんですけれども、もし言えるのであれば、前制度と今回の制度がどう違っているのかということを含めてちょっとお話をいただければ幸いでございます。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、まちづくり交付金の趣旨と概要についてでございますけれども、御案内のとおり、現在、日本の都市には八割の国民の方が暮らし、また働いておられるわけです。ところが、最近、地方都市を中心にいたしまして、駅前がシャッター通りになるとか、高齢化社会を迎えて今後どういう住まい方がいいんだろうかというさまざまな不安や問題が生じております。

 そういうことで、各地で、都市を生活の場、働く場、交流の場として快適、安全で美しく、かつ活力あふれたものに再生しようという取り組みが進められておるわけでございますけれども、このような取り組みの中で、短期間に相当規模の投資が必要である、こういうようなプロジェクトにつきましては、なかなか地方だけでは推進していくことは困難だという事情があります。

 また、国としても、このような持続可能な、いわゆるサステーナブルな都市構造へつくり変えていくということは、国として取り組むべき大変重要な課題でもございますので、現在、稚内から石垣までを合い言葉に、政府として全国都市再生に取り組んでおります。そういうことで、今お話がございましたように、今回の予算案に千三百三十億というまちづくり交付金が盛り込まれているわけでございまして、趣旨とねらいというのは、まずこういう全国の都市再生を応援していこうということでございます。

 次に、概要でございますが、まず内容的に申しますと、地方の自主性、裁量性を大幅に向上させまして、都市ごとの取り組み、いわゆるオーダーメード型のまちづくりができるような、そういう自主性、裁量性を高めたようなものにしようというのが第一点でございまして、例えば、道路、公園だけではなくて、福祉、文化、商業等の幅広い施設も対象にするとか、ハードだけでなくて、まちづくりNPOなどの活動も支援できるような、そういうソフト面も充実していこうということがございます。

 また、手続的に言いましても、手続を簡素化いたしまして、地方にとって使い勝手のよい財政支援措置を目指すということでございまして、個別の施設を行うのではなくて、計画を一括採択して、予算の範囲内で交付金を交付するとか、事後評価を重視するという、いわゆるニュー・パブリック・マネジメントの手法を活用していきたい、このようなことが概要になっております。

 そこで、今までございましたまちづくり総合支援事業との違いは何かということでございます。

 まちづくり総合支援事業につきましても、実は、非常に使い勝手のよいものにしてこようという努力の中で統合補助金ということにしたわけでございましたが、やはり、そうはいいましても補助金という性格でございます。今回のまちづくり交付金は、今までのこのような補助金とは全く異なった形にしよう、単なる看板のかけかえだけではなくて、きちっと法律にも従来の補助金と違うという仕組みを盛り込んでいるというところでございます。

市村分科員 ありがとうございます。

 今お話がありましたこと、趣旨としては本当にいいと私は思っております。自主裁量、またオーダーメード型のまちづくり、福祉、文化とか、またNPOを含めたソフト面での取り組みとか、また手続の簡素化、計画を一括採択して、かつまた事後評価を入れる、この趣旨は大変いいと私は思います。

 また後ほど少し議論をしますけれども、その前にまず、このまちづくり交付金、これは三月に恐らく審議があって、制度ができた場合、ではこの交付金の実施について、また受け付けの開始の時期、手順及びその時期の見込みというのは、多分つくっていらっしゃると思うんですが、これについてはどうでしょうか。よろしくお願いします。

園田主査 質問者、発言を求めて、指名を受けてから発言してください。

市村分科員 はい。申しわけございません、委員長。大変失礼しました。

竹歳政府参考人 まちづくり交付金の実施、受け付け等の手順及びその時期のお尋ねでございます。

 このまちづくり交付金につきましては、まず市町村が都市再生整備計画をつくるということが必要でございます。その上で、国土交通大臣に提出していただいて、それを我々の方で見させていただくというような手順を踏んで進める必要がございます。時期につきましては、我々といたしましては、こういう地域の自主性に基づいた都市の再生の取り組みを応援していこうということでございますので、できる限り早くその実施を図っていきたいと考えております。

 ただ、先ほどお尋ねがございましたように、今度のまちづくり交付金は、従来の補助金とは全く異なる新たな財政支援措置でございますから、計画の作成とか実施、こういうことについて市町村に十分周知を図る必要があると考えております。実は既に、政府原案が決定されて以降、市町村からいろいろなお尋ねもございますので、地方整備局等を通じて、今御説明できる範囲で目いっぱい御説明をしているところでございます。

 今後、都市再生特別措置法の改正案が、なるべく早く成立していただきまして、施行された後、速やかに交付金に係る事務を進めることができるように取り組んでいきたいと思いますけれども、最初に申し上げましたように、手順を踏んで、計画をつくってというようなことでございますので、若干の時間は必要になるのではないかと考えております。

市村分科員 済みません。まだ初めてなものでなれておりませんで、大変失礼いたしました。

 それで、十六年度から動くという制度ですから、今のところまだ明確なことは言えない、しかも、新しい制度ですから、今各市町村との話し合いの中でいろいろな、周知徹底を多分しなくちゃならないということ、そのとおりだと思います。

 では、現状を少し聞いておりますと、実際にもうかなりいろいろな形で話が進んでおって、何か、三月に実は法律が通るのに、三月ぐらいまでには何となく出しておいてもらわなきゃいけないんじゃないかという話もなきにしもあらずなんですね。これは新しい制度で、しかも法律も通っていない状況ですし、できれば実施については、今まさにお答えいただきましたように、周知徹底を図って、せっかく趣旨としてはいい制度なんですから、これが生かされるような方向で、そして、本当に真にまちづくりに生かされるような交付金であってほしいなと願うものです。

 それで、これからが実は大切なところでございまして、実施につきましては、今おっしゃったように、できる限り、法律が通った後、四月以降、じっくりと周知徹底をしていただいて、そしてフェアにやっていただきたいというふうに思いますが、特に、私、いろいろこれまでお話を聞いていますと、採択方法につきまして非常に不明確なんです。国土交通大臣にこれを申請して御審査をいただくということらしいんですけれども、では、明確にどういうふうな手続なんですかと聞くと、確かにまだ制度が決まっていないということもありますから明確には言えないのかもしれませんけれども、どうも採択方法につきまして、まだまだ明確な点が見えてこないということなんですね。

 この種の制度につきましては、やはり計画を見て、全体を見て、交付金を出すという制度になってきますと、これまでみたいに、例えばエスカレーターをつくるよ、エレベーターをつくるよ、例えばああいう、何かいわゆる箱物につきましては、国の明確な基準があって、全国一律に、これに適合すれば国の補助が何%、何割だ、県が何割、市が何割というようなことで決まってきたんだと思いますけれども、今回はそうじゃなくて、計画全体を見る、大変これはすばらしいんです。

 ただしかし、こういうときに一番問題なのは、一体だれがこれを判断するか、そしてどういう形でこれを決定していくのかということがやはり明確でないと、後から制度ができ上がって、千三百三十億ものお金ですからいろいろなところに行くと思うんですが、結局、あそこには行ってここには行かないとか、あそこにはこれだけ行ったのにここにはこれだけ行かないとか、必ずこういう話が出てくるはずなんですね。

 そのためには、やはり採択方法としては、私は、フェアにしなくちゃいけない、明確に、いわゆる公開の場でやらなくちゃいけないという思いがあるんですが、ちょっと今私の方で先走って言ってしまっているんですが、今現在、国土交通省としてお考えになられている採択方法というのはいかなるものか、また、それについて少し教えていただければと思います。

竹歳政府参考人 まちづくり交付金の採択方法について、今国土交通省でどういうことを考えているのかというお尋ねでございます。

 先生今御指摘のように、従来の補助金はきちっとルールが決まっている、それが一方は、実は画一的だという批判の原因にもなっておりました。

 今回は、まちづくり交付金というのは、全く新しい制度、今まで我が国にモデルのない制度でございますから、我々もいろいろなことを考えながら進めているわけでございますが、このまちづくり交付金の基本的な考え方というのは、市町村がその町がどうしたらよくなるだろうかという計画をつくっていただいて、その中から必要なものを交付金として国に申請していただく。そこで、どういう場合に採択されて、どういう場合に採択されないんだろう、そういうところがはっきりしていないから地方が不安に思っておられる、まさにそういうことがあると思います。

 今私どもが言えることを申し上げたいと思いますけれども、このシステムは、今各地で準備が行われてはおりますが、例えば、ある港町ではこの交付金を使って港町を活性化していこうというんですね。指標を五つぐらい考えております。一つは、外からお客さんがたくさん来てくれる、交流人口の増加の目標、二番目が、商店街の売り上げがどれだけふえるだろうか、それから、そのプロジェクトをやることによってそこに住む人がどれだけふえるだろうか、空き店舗がどれだけ減るだろうか、それから、来訪者と居住者の満足度がどれだけ高まるだろうかというような五つぐらいの指標でこの計画づくりをしておられます。

 こういう例えば五つの目標を達成するためにこういう資金が必要だという申請が上がってくるわけでございまして、国土交通省としましては、地方整備局が具体的にはその事務を行うことになりますけれども、その五つの目標が例えばこの事業によって本当に達成できるだろうか、それから、特に今回のまちづくり交付金で今考えておりますのは、例えば、これをやることにおいては三年から五年と見える範囲で具体の成果が上がるようにしよう。長期的なプロジェクトももちろん大事でございますけれども、三年から五年でこれでどこまでいけるだろうかというようなことも見ていきたいと思っておりますので、こういうような全く新しい仕組みでございますが、そういう事前の目標、それから事業、そして三年から五年の間にこういうことを達成したいというようなことを判断していきたいというふうに思っているわけでございます。

 そういう意味で、まだ我々も、今後法案審議等を通じてさまざまなお考えを踏まえて考えていかなくてはいけないと思いますが、基本的には、この都市再生整備計画についての基本的な考え方とか、今申し上げましたような留意点等について、できるだけ客観的な形で市町村の方々にお示しして、そういう御不安がないように努めてまいりたいと考えているわけでございます。

市村分科員 今五つの指標とありましたが、それは国土交通省さんが考えているんじゃなくて、一つの申請をしようとしている地方自治体がそういう指標を持っているということですね。

竹歳政府参考人 今申し上げましたのはある一つの事例でございまして、例えばもう一つの事例を申し上げますと、このプロジェクトによって施設の利用者数がどれだけふえるか、それから地域のいろいろな資源がどれだけ発掘されて連携が進められていくか、それから地域の住民の満足度はどうかというような、各地でいろいろな工夫が行われているところでございます。

市村分科員 今おっしゃられたように、ぜひとも、いろいろな指標をつくることも、国土交通省としては、つくるというよりも、いい制度にしていくために地方の声をいろいろ聞いていただきたい、それはお願いしたいと思います。

 いよいよこれから私がきょうの一番議論したいところなんですが、ここからはぜひとも石原大臣と議論させていただきたいんです。

 と申しますのも、これまでの御説明は制度についての御説明だったんですが、私としては、先ほどから申し上げておりますように、こうした大変趣旨としてはいい制度ですけれども、採択方法いかんによっては、これがまた何らかの疑惑を招くようなことになってはならない。特に、今、公共事業等につきまして、補助金、交付金につきましては、この場合は交付金ですから違いますけれども、補助金につきましては、いろいろ、なぜこういうところにこういうものができるのか、幾らつくのか、またいつできるのかということで、種々、国民の間からはいろいろな疑問や怒りにも似た声がたくさんあるわけでございまして、せっかくいい制度がちゃんと運用されてほしい、こういう思いなんです。

 私としては、やはりこうしたものの採択に当たりましては、さっき少し言いかけたんですが、公開の場で、コンペという形で、いついつまでに募集をして、それは委員会形式がいいのか、どういう形式がいいのか、これからいろいろ議論だと思いますが、いずれにしましても、まず公開の場で、そしてきちっとみんなが見ている場で、いろいろな自治体がこれについての、こういうものでぜひともうちでやりたいというようなことを発表して、公開の場でしっかりと審査をして、そして、採択した理由、また採択されなかった理由、採択した場合でも、では全部を申請どおり採択するか、また、申請どおりとはちょっとなかなかいきませんということもあると思いますけれども、やはりちゃんときちっとした明確な理由を付して、そして決定していくということが私は必要でないかと思います。

 これはやはり政治家の判断だと思っておりまして、そういった意味では、石原大臣は今政府の立場でいらっしゃいますけれども、一政治家として、新しいこれからの国づくり、まちづくりをしていく中で、こうしたものについて、採択方法についてどういうお考えを持っているかということについて、ちょっとお話を伺いたいと思います。

石原国務大臣 これまでの市村委員と政府参考人との御議論を聞かせていただきまして感じましたことは、まちづくり交付金は応援しよう、しかし、その採択の方法について不透明な部分があったり、何でこっちが採用されて、Aが採用されて、多くの方々が、Bの方が、客観的に見ても八割ぐらいの方がこっちの方が比べてみたらいいんじゃないかというのにBの方が採択されない、そんなことがあっては制度の運用でよくない、交付の決定に当たってはできる限り客観性をどうやって担保すべきかということが御議論の中心であったのではないかと思っております。

 まだ法案を御審議いただいておりませんので、細かいところまで事務方の方から御説明できませんでしたが、基本的な考えは、高速道路の建設をめぐりましても、これまでどうしてここだけできているんだとか、こっちの方がネットワークを完成する上じゃ必要なのに何でここができていないんだ、そういう話がやはりあったことは事実だと思います。

 高速道路については、整備計画の残りの路線については、客観的な路線ごとの評価、すなわちBバイCと採算性と外部効果、ともすれば大都会に住んでいる者は採算性を重視しがちになりますけれども、地方の立場を代弁させていただくと、やはり外部効果、すなわちネットワークの完成とか、あるいは原発があるとか、拠点病院まで何分かかるとか、災害、これはちょっとした集中豪雨も含めてそういうものによって寸断されたときに代替道路があるのかといったような、こういう外部評価をしまして、その成績順にこれからは原則的につくっていこうということにいたしました。

 ですから、委員の御指摘のとおり、このまちづくり交付金についても、国の予算を執行する以上、どのような、もちろん市町村が都市再生整備計画というものをつくっていただかなければなりませんけれども、それに基づいてまちづくり交付金をどういうふうに交付すべきかという基準については、これから御審議の中でできるだけわかりやすい形で多くの国民の皆さん方にお示しできるようにさせていただきたいと考えております。

 出先は地方整備局が中心になると思いますけれども、地方整備局によって差があったりしないように心がけていきたいと思っております。

 そして、先ほど、前の質問の中でもちょっとあったんですけれども、計画作成の段階で市町村の側にまちづくりの目標や指標を定めてもらう、市町村の側が、さっき言いました、にぎわいがどのぐらい復活したかなとか、商店街の売り上げがどれだけ伸びたかなとか、簡単な数は人が何人来たかなというのが一番だれにでもわかりやすい指標だと思うんですけれども、こういうものを示していただいて、その目標どおり達成できているかできていないかを国の側で事後評価して、客観性と透明性を高めていく運用というものに心がけていかなければならないと考えております。

市村分科員 大臣、ありがとうございます。本当に前向きな、そして、これから客観性、きちっと客観的指標を持ってこうしたものを採択していくんだということを、本当にそういう方向で考えていただきたいと思います。

 それで、市町村がこれはつくってしていくわけですし、またぜひとも、繰り返しになりますけれども、採択方法につきましては、これから議論があると思いますけれども、とにかく公開の場でフェアにやっていただく。これをしていかないと、やはり、国民の、今、政治とかこうした国の、補助金とはいきませんけれども、これは交付金ですけれども、一体税金がどう使われているかというのは非常に大きな関心でありますので、これにつきましてしっかりと、税金がこう使われている、このように生かされている、こういうことが明確になるような取り組みをしていただきたいと思う次第でございます。

 あと五分しかありませんので、次にちょっとお聞きしたいことがありました。

 私、地元が伊丹空港を含んでおるんですけれども、今、巷間では、関西空港ができると、もともと、そもそも関西空港ができたら伊丹は廃止をする予定でなかったのかということがよく言われているんですが、これは事実なんでしょうか。

石川政府参考人 伊丹空港の問題につきましては、御承知のとおり、昭和四十年代、ジェット機が大変出てきたときに、大変多くの騒音訴訟あるいは調停申請というのがございました。そのときに、伊丹空港の存廃に対しまして、いろいろな立場からさまざまな議論がなされました。そういう中で、昭和五十五年六月に、公害等調整委員会から、当時の運輸省でございますが、運輸省に対して、必要な調査を行い、その結果を調停団や関係自治体に開示して、その意見を聞いた上で決定するという手続で処理すべきという旨の調停がなされまして、この調停に従いまして、所要の調査を行い、調査報告書を地元に開示して意見を伺った。

 こういう中で、調停団からは存続を容認する、あるいは関係自治体からは存続を望むというふうな旨の御意見をいただきまして、これを踏まえて平成二年に、調停団と関係自治体との間でいわゆる協定を結んで、関西国際空港開港後も伊丹空港を存続することを運輸大臣として決定したというところでございます。

市村分科員 ありがとうございます。

 それで今、実は、神戸空港が再来年に開港ということで準備をされているわけですけれども、これまた一つありまして、神戸空港ができたら一体どうなるのかということで、何か、神戸空港と伊丹、二つも要らないというような話もあって、神戸空港ができると伊丹はもういいじゃないかというふうな話もあるんです。

 私、地元で聞いていますと、確かに騒音公害もあって、その当時は私は残念ながら今のところにいませんでしたので、そのときのことは詳しくは知らないんですが、大変いろいろなことがあって、今そういう環境整備対策費も出て、空港周辺の皆さんに過度な負担がかからないような政策も講じられているということでございまして、今現在の話を聞いていますと、ぜひとも伊丹については利便性を考えて残してほしい、このままでいてほしいという声が、私聞いている限りにおいては多いように思います。

 それで、特に今の関心は、今、巷間では、関空ができたら伊丹はなくなるという話もまことしやかに言われているんですが、今はっきりと明確にお聞きしましたので、これからはそうじゃないよということは申し上げていくと同時に、今度は、神戸空港ができた場合に、では伊丹はどうなるんだ、こういうふうな話も一方ではありまして、これについては、国土交通省として、今後、特に大きく航空行政、大きな政策の中でこれをどうとらえていらっしゃるのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

石川政府参考人 伊丹空港でございますが、現在、年間の発着回数が約十万回ということでございまして、一千八百万人ほどの方が利用されております。ただ、今お話ありましたように、伊丹空港は騒音という問題がずっとあるわけでございまして、そういう騒音の抑制ということが、過去も課題であったわけでありますが、現在も課題であるわけであります。

 そういう中で、神戸空港は、できますと年間約二万回という発着回数ということになります。ただ、具体的な運航路線等々については今後の問題でございます。そういう中で、伊丹、関空、間に神戸ということについても、それぞれの基本的な役割というものに即した適切な機能分担あるいは連携ということを図っていく必要があると考えております。

石原国務大臣 この点につきましては、市村委員も兵庫選出の議員でございますので、我が党の中にも、伊丹の人は伊丹を守る、関空の近くの人は関空をもっと使いやすくしてくれ、神戸の人は神戸を頼む、ばらばらなんですね。関経連の方でも主導しまして、経済界、自治体、一緒になって、三空港のあるべき姿がもうあるわけですから、この三空港をどういうふうに、騒音の問題あるいは利用者の利便の問題、また過去の経緯、こういうものに照らして、三空港の機能、役割分担をしっかりとして整備していくということをぜひ、先ほどのまちづくり交付金じゃないんですけれども、やはり国の、海外からのお客様をどういうふうに誘致するのか、海外便だけのことを中心に考えれば関空中心にどうしてもなってしまいますので、やはり地元あっての空港でありますので、そこの点はぜひ党派を超えてこの三空港のありようについて御議論をいただいて、そういう御議論をぜひ国土交通省の方に持ってきていただきたい。そういうものを参考にさせていただいて、これからの航空行政に役立てていきたいと考えております。

市村分科員 もう時間が切れましたので、大臣、どうもありがとうございました。実は、最後にお聞きしたかったことを大臣みずからおっしゃっていただきましたので、感謝をしております。

 では、これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。

園田主査 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野譲君。

中野(譲)分科員 民主党の中野譲でございます。

 私は、国土交通委員会には属しておりませんが、きょうは分科会ということで、質問させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、そのときに、一つまずもってお話をさせていただきたいことは、私も昨年の十一月に当選をしまして、本格的に質問をさせていただく機会をいただいているのが今回の通常国会からでございます。毎日、役所の方々にこういうことを聞きたいとか、こういう資料を出してくれないかということを申し上げていても、なかなかこれは資料が出てこないということで、非常に、挫折をしつつ、憤りを感じている次第でございます。

 それで、今回のこの分科会におきましても、こういう質問をしたいんだけれどもということで資料請求をお願いしましたが、出てきた資料が、きょうの朝手元に届きましたけれども、お願いをしている資料とはほど遠い。そして、私ども別に、役人の方々の重箱の隅をつつくような形のことを質問するのではなくて、やはり、その問題が本当に一つの予算を使う上で必要かどうかということを聞きたくてそういったものを要求しているわけですけれども、なかなか出てこない中で、きょうのこの分科会の時間になってしまった。

 そして、金曜日の段階でしょうか、どういう質問をするのか、その質問を最終的にきっちりと定義づけてほしいと。そして、きょうの朝になりましたら、ファクスなんかで、では、こういった感じの質問でよろしいのでしょうかということで、国土交通の所管の方から質問をわざわざつくっていただきました。きょうの朝になりますと、この質問でよろしいでしょうか、これ以外には質問がないでしょうかということをまた電話で確認をしてくる。

 それだったら、僕がここに立つ必要ないんですよ。このまま、こういう質問をしますから、その分書面で答えてくださいということで答えていただければいいことであって、そういう行ったり来たりということでこの国がよくなるのかということをまず大きな疑問を持ちまして、きょうの質問に入らせていただきたいと思います。

 そして、きょうはお時間をいただきまして、私は、三十分ということで、常磐新線の問題と、あと八ツ場ダムの関係についてお聞きをしたかったんですが、もしかしたら常磐新線の問題だけでこの三十分を終わってしまうかもしれませんが、そのときには、八ツ場ダムの関係でお越しをいただいた省庁の方々には大変失礼を申し上げるかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。

 常磐新線についてまずお聞きをしたいんですが、この事業予算というのが三度にわたって見直しを受けている。当初予算が八千億円、そして八年度に見直しをされたときが一兆三百億円、そして十四年度の見直しで九千四百億円。十七年の秋開通の予定でございますが、その後に、十五年、十六年、まだ見直しをするかもしれないと。

 私、民間の感覚からいくと、事業予算がころころと変わる、そして毎年毎年、本予算的な事業予算が変わっていくということの意味がちょっとよくわからないんですが、その点についてまず御説明をいただきたいと思います。

丸山政府参考人 先生御指摘のように、常磐新線、今つくばエクスプレスでございますが、総事業費、たびたび、ある意味で変更されてきたわけでございます。

 当初、免許時におきましては八千億円でございました。平成八年に見直しを行いまして、そのときに一兆三百億円。平成十四年の見直しのときには九千四百億円ということで、今、この九千四百億円という数字が生きておるわけでございます。

 なぜ見直したかということでございますが、平成八年の見直しにおきましては、これは、JR、道路管理者、河川管理者との協議によりまして、施設の構造変更をせざるを得なくなった、あるいは地質条件で工事を変更しなければいけなくなったというようなことによりまして、二千三百億円増加をしたということでございます。

 平成十四年の見直しにおきましては、これは河川、道路管理者等の関係機関と協議したわけでございますが、これは、どちらかといいますと、施設の構造変更を、費用が少なくなるような形での構造変更、あるいはトンネルの施工方法の変更、そういう技術開発によりまして九百億円節減をしたということでございます。

 今現在、路盤につきましてはほぼ九九%できておりますので、今後、開業までにさらにまたこの増減があるのかどうかということにつきましては、もうほとんど工事が済んでおる状況で、今後増減というのはなかなか難しいとは思いますけれども、私どもといたしましては、さらに工夫をして、今の九千四百億円よりも結局は少ない費用で上がるようになることを期待しておるところでございます。

中野(譲)分科員 当初予算の八千億円を、まずつくる段階におきまして、大体どのくらい予算の積み上げの調査期間があったのか、あと、当初予算の当初というのは、一体何年のことでしょうか。

丸山政府参考人 つくばエクスプレスにつきましては、平成四年に免許が行われておりますので、当初というのは、平成四年の免許時でございます。そのときに、建設費八千億円ということでスタートをしたということでございます。

中野(譲)分科員 そうしますと、今のお答えを私なりに理解しますと、平成四年に八千億円の予算でスタートをしたと。ということは、民間であれば、このくらいの事業予算でやるというときに、かなり詳細にまでその予算の積み上げの段階でまずは見ていく。その中で、事業がスタートする時点で、この額で始まる。それから、今度は八年ということで、四年ぐらいで二千三百億円、当初予算の二五%増ということで、たった四年間の間にこれだけの額がまず開きが出てくる。そして、今度は八年から十四年の六年間で約九百億円減っていくみたいな、こういうような予算づくりというのが僕はよくわからないんですが、こういうことは国土交通省においては多々あることなんでしょうか。

丸山政府参考人 多々あるかどうかはちょっとよくわからないのでございますが、つくばエクスプレスにつきましては、五十八・三キロという、つくばから秋葉原まで非常に長い路線でございます。その間に、道路を横切りますとか、利根川を初めとした長い河川を横切る、あるいはほかの鉄道事業者と接続をするというような調整事項がたくさんあるわけでございます。

 もちろん、当初からそういうことを想定しながら免許のときには工事費を算定するわけでございますが、例えば、八千億円が一兆三百億円になりました原因を一つ二つ挙げさせていただきますと、河川管理者との協議によりまして、河川の流れを妨げないようにスパンを変更してください、こういうような話があったとか、道路占用協議につきましては、東京都内に入りますと地下を走っていくわけでございますが、もっと深いところを通ってくださいとか、あるいは区画整理事業者が、そういうやり方じゃなくて、別のやり方をしてくださいと。あるいは、ほかの鉄道事業者との交差をするところで、防護工事、連絡設備をこういうふうにしてくれとか、あるいは埋設物が出てきたとか、言いわけじみて恐縮でございますが、そういういろいろなことが起こりまして、二千三百億円の工事費の増嵩になったということでございます。

 当初、このころはまだバブルが完全に終わり切っていなかったということもございまして、その点で、一般的に工事費が増嵩したという要素もございます。

中野(譲)分科員 今、言いわけめいたというような答弁もありましたけれども、今五つぐらい理由を述べておりますが、例えば、これは各省庁どこでも同じだと思いますけれども、民間が何かの申請を出す、そして何かの許認可をいただくというときに、ありとあらゆるものを詰めに詰めて、資料も、そしてそういった書類も詰めに詰めて役所に出して、それでも何年もかかってなかなかそういう認可やそういったものがおりないという状況でございますが、今お話を伺っていますと、河川の通る場所をどうしようかとか、もうちょっと深いところを通ってくれないかとか、ほかの鉄道業者とどこで交差するかというときにまたそれを調整しないといけない、こういった問題は、事業が始まる前に当然詰めておく話だと私は思います。

 埋設物があってということで、これはしようがないと思いますけれども、こういう大きな問題というのは、まず事業をつくる上でしっかりと対外的に調整をしているというのが常識ではないかと私は思いますが、その辺のところがちょっと民間とは感じが違うのかなという気もしております。

 余り詰めていっても時間がなくなりますが、この件に関しましても、当初の事業予算、そしてそれに対します実績予算で、どの予算がどのくらい膨らんでいるのかということをちょっと教えていただきたいというお願いを申し上げましたが、私の方で資料で出てきたのが、総事業予算が八千億円、一兆三百億円、そして九千四百億円。この細かな内訳というものをいただいておりません。そして、毎年の実績額として、もしもそこに細かい項目があれば、その項目ごとに、一体幾らぐらい予算が変わってきて、実績が変わってきているかということを示していただきたいとお願いもしましたけれども、これも出てきておりませんで、事業見直し理由ということで、先ほど答弁がありました、そのとおりでございます。八年見直し、関係機関との協議による構造変更等、地質条件等による工法変更等、こういった一文一文で、この予算の内訳、数字というものが全く出てきていないということをまずはぜひとも書きとめていただきたいと思います。

 それで、次に、十七年の秋にこの常磐新線が開通をするということでございますが、各駅の乗降者の予想数、これをピーク時、そしてオフピーク時でどのくらいいるのかということを教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 常磐新線ができまして、ピーク時、どのくらい各駅でおおりになるのかということ、手元に資料があるわけでございますが、正直言いまして、駅によりまして非常にばらつきがございます。総計で、乗車人員がピーク時四万九千人、おりる人が四万九千人ということでございます。一番多いところはやはり都心の方でおりて、だんだん遠いところに行けば行くほど、平均して少なくなっていくようでございますけれども、つくばはつくばで、もう一つのディスティネーションということで多いというような状況でございます。

 ちなみに、先生の御地元でございます三郷で申し上げさせていただきますと、ピーク時千六百人お乗りになるというような形になっております。終日往復、三郷中央はどのくらいお通りになるかということで見ますと、約五千七百人ぐらいということになっております。

中野(譲)分科員 私の地元ということで、もう一つ八潮という市があるんですが、八潮の場合は、ピーク時、または一日の予定乗降者数というのはどのくらいになっておりますでしょうか。

丸山政府参考人 八潮につきましては、ピーク時が乗車が二千二百三十五人、降車が五百八十六名という予測でございます。それから、断面交通量でいいますと、終日往復そこを何人お通りになるかということでございますが、八千四百六十八名乗車されて、おりる方も八千四百六十八名というような予測をしておるところでございます。

中野(譲)分科員 これは答弁は結構ですが、石原大臣に特にお聞きをいただきたいんです。

 私、この質問をするに当たりまして、各駅のピーク時、オフピーク時の乗降者数は大体どのくらいなのかと、そうじゃないと、鉄道がつくばから秋葉原まで行くときに、大体何人ぐらいの人がどういうふうにこの鉄道を利用するのかという最低限の基本的なことの絵というものが見えてこないものですから、そういう資料を出してくださいというふうにお願いをしました。

 今、たまたま八潮と三郷の件で、ピーク時、そして一日の恐らくであろう総乗降者数ですかを出していただきました。これは多分、つくばはどうだとか、聞けばみんな出てくると思いますが、私が資料請求をいたしまして返ってきた紙には、常磐新線各駅の乗降者数予測、ピーク時、オフピーク時等、これは私の質問です、各駅乗降人数は把握しておりません、ですから、私きょう、資料が出てこないので、こういう質問をこの場でしないといけないんですよ。要は、あるものを出してこないという、これが一つの一例でございますが、その点を後でぜひとも所管としてお伺いをしたいと思います。

 そうしますと、今度は運賃の決定なんですが、十七年の秋予定でございますから、もうそろそろ、どういったことで運賃を決定していかないといけないのかというところをもうちょっと具体的に今詰めているのではないかと思いますが、その決定要件について、どういうものが加味されるのかということをお聞きしたいと思います。

丸山政府参考人 運賃をどうやって決定するかということは、今の法律上は、基本的には鉄道事業者が判断をし、それを国土交通省が上限運賃、ここまではいいですという形で認可を行うということになっております。

 それで、会社がどういうことを考慮して判断するかということでございますが、まず、運賃によりまして費用を回収するというのが基本的な鉄道のパターンでございまして、これを考慮しないわけにはいかないということでございます。

 ただ、それだけで採算がとれるだけ運賃が取れるかというと、実はそういうこともございませんで、例えばバスでございますとか、常磐線との競合なども頭に入れた上で運賃水準を考えていかなければいけないということがもう一つございます。

 それから、お客様にとって、これは乗っていいなという値ごろ感のようなものがあるかどうかということも判断をしなければいけないということでございます。

 現在、そういうことで、どのくらいの運賃を設定したら乗っていただけるだろうかというようなことを会社の方で検討しておるところでございますが、おおむね、他の鉄道などの例を見ますと、平成十七年秋の開業でございますので、そのおよそ半年前には決定されるというふうに私どもは今のところ聞いておるところでございます。

中野(譲)分科員 あと、運行ダイヤについてもお聞きをしようかと思っているんですが、恐らく運行ダイヤについても今の段階では調整中だということだと思いますので、質問はきょうはいたしません。

 十七年の秋に開通をして、その後、国交省の方では秋葉原から東京までの二キロの区間、これを延伸したいということで、今どうやらそういった検討をしているようでございますが、これは、もしもこの予算が通り、秋葉原から東京まで延伸が決まるというふうなことになりましたら、大体、いつぐらいからこの事業に着工したいと思っているのか、あるいは、いつぐらいをめどに何とかこの事業を立ち上げたいと考えていらっしゃるのかについて、お聞きをしたいと思います。

丸山政府参考人 基本的には、まだ私どもとしましては、全く白紙の状態であるというふうにお考えいただければと思います。

 まず、現在建設されております路線を延長するかどうかという判断は、基本的には会社が行う。この会社は、一都三県、それから関係市町村が出資してできております第三セクターでございますので、沿線の各地方公共団体がどう考えるか、それがまず先であるというふうに私ども今思っております。

 国におきましては、その判断に基づきまして、必要がございますれば建設、整備の支援を行っていきたいというふうに考えております。

中野(譲)分科員 今検討中ということではございますが、全くの白紙だという答えでございます。

 実は、私、新人議員で、当選をしてから、いろいろな議連から、こういう議連に入りませんかということでいろいろと御案内をいただきます。その中に、この常磐新線の推進議連というんですかね、超党派のがありましたもので、私もたまたま選挙区にかかっているものですからその議連に入りましたら、この間会合がありまして、その中で、事業費が約一千億円。この一千億円の算出根拠というのはどういうふうになっておりますでしょうか。

丸山政府参考人 根拠と言われますと、先ほども、また将来変わるんじゃないかといって、非常にいいかげんな数字じゃないかと言われるので恐縮でございますけれども、地下の深いところを通ります秋葉原―東京間、約二キロございます。それで、キロ当たり三百億円を二倍いたしますと六百億円、それから、深いところに駅ができますので、東京の方でございますけれども、その駅部に四百億円、それでおおよそ一千億円という推定をしておるところでございます。

中野(譲)分科員 三百億円掛ける二で六百億円、駅で四百億円。民間だと、こういうような企画というのは、これは一五〇%通らないと思いますね。

 そして、これは必要性があるから恐らく国土交通省としても、延伸についてということで、こういったペーパーをつくってきていると思うんですが、この間いただいたペーパーの中に、なぜこれを東京まで延ばすと利便性があるかということで、例えば、守谷から新幹線のホームまで三種類ぐらい今までの乗り継ぎの仕方がある。一番かかって六十七分、次が六十四分、そして次が五十六分。守谷から東京までの延伸を含めたつくばエクスプレスが開業すると、新幹線ホームまでは五十一分と、五分短縮になりますよと。また、丸ビルまでの、丸ビルというふうに何かこれは地域を限定されているみたいですが、守谷から丸ビルまで行くとなると、最長で六十六分かかったのが四十三分で、これも時間が十五分短縮しますよと。守谷から霞ケ関まで七十一分かかったものが、最短五十二分まで時間が減っていきますよと。こういうふうに書かれているわけですが、これは、新幹線のホームとか丸ビルとか霞ケ関とか、こういうものを事例として挙げた理由というのは何でしょうか。

丸山政府参考人 現在、つくばエクスプレスの建設は、昔の鉄道公団、鉄道建設機構が建設しておるわけでございますけれども、議連を初めとしまして延伸についてどうかというような議論がいろいろございますので、機構が内部的な検討といたしまして、例えば、東京でしたら新幹線乗り継ぎとか霞ケ関とか、幾つかの場所を挙げましてシミュレーションをしておるということでございます。

中野(譲)分科員 幾つかの場所をもってシミュレーションをしているということであれば、例えば、守谷の方から新幹線ホームまで、大体どのくらいの方が一日使われるんでしょうか。守谷から丸ビルまで、大体どのくらいの方が丸ビルにお勤めでいらっしゃるんでしょうか。守谷から霞ケ関駅、大体どのくらいの方々が一日に御利用いただいているんでしょうか。

丸山政府参考人 まず、東京駅への延伸につきましては、今答申の中でどういう位置づけにあるかということをお話ししたいと思います。

 東京―守谷間につきましては、整備が適当である路線というような位置づけでございまして、したがって、まだ需要を予測した上でやるような段階ではない。仮にこうしたらというような、シミュレーションと申し上げましたが、そういう状況であるということを申し添えます。

中野(譲)分科員 残り五分ということなので、残りはぜひ石原大臣にお聞きをしたいんです。

 今ずっと話を聞いていますと、とにかくこれは、資料がまず、先ほど大臣、何かトイレに行かれていたそうで、ちょっと私の最初の質問に入る前に申し上げさせていただいたことが、こういう資料を知りたいんだ、こういう予算でこういう事業を行うというのであれば、どういった予算でどういった絵をかいた事業なのかということを私も知りたいものですから、資料を出していただきたいという話をしたときに、先ほど答弁の中でもありましたが、例えば、八潮、三郷ではこのくらいの人が乗りおりするでしょう、ただ、そういうものはありませんといって私の方に回答が来る。また、ほかのもいろいろと私、質問する前に、こういったものを聞きたいんだけれども資料をお願いしますといって、ほとんどこれは資料が出てきていないわけですよ。

 そして、今の件に関しましても、約一千億円で二キロの延伸をする、予算の積み立てもよくわからないし、だれが一体どのくらい例えば新幹線を使うのか、霞ケ関に行くのか全くわからない、その中で、とにかく延ばしてしまおうみたいな、これは何となく高速道路にも似ているのかなと私は思いますが、ニーズがある、ニーズがあると言いますけれども、もともとニーズというのが一体どこにあるかということをきっちりと官僚の方々、省庁の方々が把握をしているかというのが私はよくわからないんですね。

 この一千億円との対費用効果において、果たしてこういう事業が本当に必要かどうかということをしっかりと検討しているかということも私はよくわかりません。

 そこで、大臣にお聞きをしたいんですが、まず、この役所から資料が出てこないという体質について、どのようにこれは考えていらっしゃるのか。または、それをどういうふうに改善していただけるのか。または、こういう一つ一つの事業において、予算の積み立ての段階で、これは民間では考えられないような予算の積み立ての仕方をしているようでございますから、そういうものに関してどういうふうに考えていらっしゃるのかについて、ぜひとも御答弁をいただきたいと思います。

石原国務大臣 先ほど、委員と鉄道局長の議論を聞かせていただきまして、二十駅決まっておりまして、乗降客が当然、どれだけ、どこで、何人見通されるから線を敷こうということを、この第三セクター、首都圏新都市鉄道株式会社が事業申請をしているわけですから、この会社には少なくとも、乗降客の予定数みたいなものはあるんではないかというのが私の率直な印象でございますが、その情報を、間接情報ではございますけれども、国交省が持っているならば、速やかに委員に提出をさせていただきたいと考えております。

 ちょっと意地悪なような気がいたしました。

中野(譲)分科員 あと、公団の予算のつくり方、事業費のつくり方について、今、例えば二キロの延伸についても三百億掛ける二、大体駅で四百億ぐらいかかるから一千億、こういうものをペーパーとして、議連の方は、申しわけないんですけれども自民党の方々がほとんどでいらっしゃって、とにかく延ばすのありきみたいな、便利になればいいみたいなことを言っておりますが、これはめぐりめぐると、赤字になった場合なんかは、結局これは税金での負担になると思うんです。

 こういう予算のつくり方、まして白紙であるのであれば、予算一千億なんかつくらないで、こういう事業をやりたいということで数字を出さなきゃいいと思うんですが、こういう進め方について、大臣はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

石原国務大臣 これはあくまで、きっと腰だめの数字だと思うんですね。要するに、シールド工事というのを御存じだと思いますけれども、今、地下鉄ですと大体七メートルぐらい、高速道路ですと十三メートルのシールドの機械があるんですけれども、これを一キロやるのに大体幾らかかるという単価というものがあるんです。もしそういうものが御入用でございましたら、すぐに出させていただきたい。その数字を積み重ねて、駅舎四百というのはちょっと私もわかりませんけれども、鉄道の部分については、大体幾らかかるというのは丸い数字で持っていますので、その積み上げを申したんだと思いますので、そこの部分について、委員が御関心がある資料でございましたら提出をさせていただきたいと思います。

中野(譲)分科員 そうしましたら、そういった資料があればぜひとも、私も勉強させていただきたいと思いますので、お出しをいただきたいと思います。

 それと、先ほど石原大臣の答弁の中で、意地悪だと思いますと。ただ、これは、資料が出てこないということは……(石原国務大臣「向こうが意地悪だ」と呼ぶ)そうです。国交省の方々が意地悪だなと思いますと。

 ただ、こういう資料を出してこないということには、何か法的な根拠というものがあるんでしょうか。または、意地悪というのであれば、そういうものはどんどんどんどん与党、野党かかわらず出していく、出していった上で、これは別にいじめるわけじゃなくて、国民の税金を使うわけですから、その税金をしっかりと使うために、やはりこれは建設的な議論をする上でも出していくべきであるというふうな御答弁をいただけないか、ぜひとももう一度、最後にお答えをいただきたいと思います。

石原国務大臣 持っていて出さなきゃ意地悪で、持っているの。(中野(譲)分科員「いや、持っているから、さっき数字出たんですよ」と呼ぶ)

 会社の数字であるならば、会社に問い合わせいただければ出しますし、こういう数字は普通公になっているものでございます。

中野(譲)分科員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきますが、会社の数字ということでございますが、会社に数字を出させて、その数字に基づいて予算をつくっているわけですから、当然これは、会社のものは国交省が持っているということですから、国交省の資料として正式に、やはり私たちはきちっと、これは与党、野党かかわらず、資料を出していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 あと、ごめんなさい、八ツ場ダムの関係の方々、ちょっときょうは時間がなくなりまして、失礼を申し上げましたけれども、また機会がありましたら質問をさせていただきますので、きょうはどうもありがとうございました。

園田主査 これにて中野譲君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

    〔主査退席、蓮実主査代理着席〕

馬淵分科員 民主党の奈良一区の馬淵澄夫でございます。

 本日、この予算委員会第八分科会、国土交通省関連の御質問をさせていただくわけでありますが、本日、私自身、選挙区であります奈良、御存じのように古くから寺社仏閣あるいは文化財など、大変他の追随を許さない文化集積がございます。

 私自身、昨日も、平城宮跡の中にございます第一次大極殿正殿の立柱式というものに参加してまいりました。これは、かつての平城宮跡の中心になる当時の朝廷の重要な建物でございますが、これを復元するという工事の中で、柱を立てる儀式に参加してきたわけであります。やりかんなという古式ゆかしき道具を使ってのこうした新たな文化財の構築というもの、これも大変私ども奈良に資するものだということ、あるいは日本国民にとって重要な国のいにしえを知る大事な要素だというふうに思っておるわけでございますが、このような文化財を持つ私どもの奈良。また、春日山原生林といった豊かな自然にも恵まれております観光都市。こうした観光ということに対して、今般、政府は観光立国宣言という形での観光政策を重点的に打ち出されております。

 本日は、私は、この観光立国宣言の戦略について御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、奈良という土地柄でございますが、先ほども申し上げましたように、大変重要な文化財等々も持っております。そして、この一方で、奈良という土地、典型的な首都圏型の経済圏でもございます。経済活動の拠点は、実は、奈良に住まう方々の多くは、大阪に出ていかれます。そして県外就業率は、奈良県におきましては全国ナンバーワンといった状況であり、そのために豊かな個人の生活というものに比較しまして、大変産業が貧弱であるという問題を抱えております。

 この状況の中で、政府は観光政策、観光立国行動計画というものを打ち出され、そしてビジット・ジャパン・キャンペーンを展開するなどということが、今般の国土交通省の予算案の中にも掲げられております。

 このビジット・ジャパン・キャンペーン等々につきまして大臣にいろいろと御質問をさせていただきたいと思うわけでありますが、まず観光という分野、私自身はビジネスの現場に長く身を置いておりましたものですから、どうしてもそういう発想をするわけでありますが、観光事業というものを考えたときに、事業の構成要素というものがどこにあるかということに常に頭をめぐらせます。

 この観光という事業の構成要素、パッケージの構成要素というものを考えてみますと、大きく分けて、インフラとコンテンツの部分に分けることができると考えられます。

 インフラというのは、皆さん方が所管であります交通であり、あるいは宿泊施設といった部分、また我が国における特有の日本語という言語であったりあるいは習慣、またさらにはこの国土、島国であるとか山間が非常に多いというような地理的な広がり、いわゆるランドスケープと申しましょうか、こういったものが挙げられるかと思います。

 一方、観光事業を構成するコンテンツの部分でございますが、これに関しては、先ほど、私ども奈良にございますような史跡、景勝地等々見るべきもの、あるいはこれはその地域によって差がございますがグルメ、いわゆるおいしいものを食べるといった食の部分、またさらには大都市圏、東京などを中心としますればショッピング、また芸術、伝統文化、さらには日本人特有の奥ゆかしさによるホスピタリティー、いやしといったものもここに含まれるかもしれません。

 このうち、まずインフラについて考えますと、日本を訪れる外国人にとって高い障壁となると思われるのは、この言語や習慣でございます。こういったものは、私たちのこの国の中で変えていくことは大変難しいものです。しかし、インフラの中で可変的なもの、どんどん変えていくことができる要素、これは必然的に交通施設あるいは宿泊施設といったものになってまいります。

 もちろん、これまで交通機関あるいは宿泊施設の整備というものがさんざん行われてまいりました。例えば、交通機関についていえば、島国である我が国の場合は玄関は空港となります。この空港の整備、国際空港の整備は大変重要なものとなります。

 しかし、ただ単に、漫然と国際空港に対して多額の公共投資を行えば、それで観光事業の重要な要素である交通インフラが整うのかというと、そうではありません。

 そこで、私が先ほど来主張する、観光事業の構成要素の中での連携というものが出てまいります。すなわち、インフラというのはそれだけで独立して意味をなすもの、存在するものではない。インフラの土台の上に成り立つコンテンツとの連携を前提として、初めて意味をなすものであります。

 今般、政府の観光立国行動計画ですか、こちらを見させていただきますと、観光立国に向けた環境整備として、外国人に優しい案内標識等の整備、あるいは入国手続の円滑化、また旅行の低コスト化という観光立国向けの環境整備というものが挙げられております。なるほど、これらはすべて重要ではありますが、私から見れば、肝心の大きな視点を見失っているように思えるのであります。最も行わねばならないのは、環境整備ということ、もちろんそうでありますが、その中で質の高いルーティングということを意識した交通インフラの整備が重要なのではないかと考えるわけであります。

 言葉や習慣の壁が高い、また島国であるために、他の国を連続して訪問する、ヨーロッパのように自動車で幾つもの国を渡って旅行するというようなことが不可能である、日程等が大変組みにくい我が国にわざわざ来てくれる外国人観光客、限られた時間の中で、我が国の自然、風俗あるいは文化を十分に堪能してもらえるような工夫が必要となる。

 そのときに、例えば、私が申し上げたいのは、日本の伝統工芸等、こうしたものに関心がある場合は、どこそこの空港から入国して、そして幾つかの都市を連係して回って、そしてまた別の空港なり都市から出国するといった幾つかのモデルとなるルートを設定する、それにあわせて、点である観光地域だけでなく、点と線での観光立国に向けた交通整備というものが必要になるのではないかという点でございます。

 石原大臣に、まずこの部分で私はお尋ねをしたいんですが、今述べましたように、観光事業という大きな戦略の中で、いわゆるルーティングを意識した交通インフラの整備という点に関してどのようにお考えなのか。まずこれは大きな枠のところでございますが、まず、大臣の方からお考えを伺わせていただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま馬淵委員の観光に対する構成要件、インフラも重要だけれども、コンテンツとこれが絡み合ってこそ初めて機能していくというようなお話を聞かせていただきまして、その次に、ルーティングのお話に移られたと思っております。

 ルーティングは、外国からの旅行者、特に地域を限定して、韓国、台湾からおいでいただく方々には、入ってくる飛行場と出ていく飛行場がもう既に違う等々、そういう試みというものがなされています。

 その一方で、なされていないものも多々ある。例えば、二〇〇五年に愛知の万国博覧会が開かれるわけですけれども、あそこは中部空港から入ってくるわけですけれども、愛知の博覧会だけを見るのでは、やはり海外のお客様は、これだけ情報インフラが整備された中で、よくない。では、どういうところに行けるのかなと拾ってみますと、いろいろなものがあるんですね。伊勢神宮があり、長良川のウ飼いがあり。しかし、これがルーティングでつながっているかというと実は全然つながっていなくて、地図の上の距離あるいは地面の距離は近いけれども、時間距離でいうとかなり、回るということが不可能になっている。

 こういうことでは、本当の、博覧会には来てもらえるけれどもリピーターとして、ああ、日本はこういうものがいろいろなところにあるんだと、もちろん馬淵委員御出身の奈良とか京都とか大阪とか東京とかといった地域以外にも、いろいろなところに目をみはるようなものがあるんだということを知っていただくことができない。

 そういう意味では、空港間のルーティング、さらには観光地間のルーティングというものも十分にこれから整備を図っていく必要があると考えております。

馬淵分科員 今、大臣の方から、一部そういったことが進められてはいますが十分ではない、むしろこのルーティングという発想というのが非常に重要だという御認識があるというお考えをいただいたというふうに理解いたします。

 このルーティングという発想、日本の魅力を最大限に知ってもらうというそのインフラの部分の話ですが、この部分に関していきますと、今度は、コンテンツにも大きくかかわってまいります。

 観光立国行動計画では、「日本の魅力・地域の魅力の確立」として、「一地域一観光」というのを掲げております。この一地域一観光ということを設定した上でのルーティングというのは、これは本当に難しいものになる。つまり、全国に、一地域における一観光ということですから、それぞれの観光のリソースが点在するということ、これは事実として認めなければなりませんが、戦略というものは、やはり選択と集中である。持てる資源をいかに集中して投下するかという、私はこの一点だと思っていまして、むしろ、重点地域を定めてめり張りをつける必要があるのではないか。

 観光立国日本の戦略商品として、そのようなことを決めて前面に押し出すという戦略、これを立てることこそが実は日本の魅力というテーマの中で真に求められているのではないか。ルーティングが今十分ではない、その整備が行われていない、やはりその大きな要因としては、私は、一地域一観光といういわゆるばらまき型の観光政策に陥りはしないか。

 この点に関して、重点的な地域に対しての政策投下、政策の集約というもの、これはどのようなお考えをお持ちか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

石原国務大臣 まず御理解をいただきたいのは、この一地域一観光というのは、まさに戦略なんですね。各地域にいろいろなものがある、そういうものが競い合うことによって、より際立ったものが表に浮上してくる。そういう意味で一地域一観光。もちろん全部を回るなんというパッケージはあるわけありません。

 しかし、考えていただきたいのですけれども、例えば、イタリア旅行に初めて行く。ローマ、ベネチア、ミラノ、こんなところですね。まあナポリにも行くんですか。しかし、何度も旅行する方になれば、シチリア島に行ってみたい、コモ湖に行ってみたい、いろいろなところに行ってみたいと思う。そういう各地域がいろいろな委員御指摘のコンテンツということで競い合うことによって、リピーターがまた日本という国に海外からやってくるし、あるいは国内の旅行者、国内旅行、少ないですね、日本は。しかし、海外の方に言わせると、温泉あり、山あり、雪あり、南国あり、幾らでもすばらしい。こういうものを各地域が自慢していく。

 お国自慢というものがあっていいと思います。観光はお国自慢でいいと思います。競い合うのでいいと思います。そういう中で、消費者である旅行する側が選択をしていく。そこでその選択がなされたときに、そこの地域が委員御指摘のとおり重点的なところに必然的になっていく。国が、京都、奈良を、あるいは鎌倉を、東京を、そういう時代では私はないんだと思います。

馬淵分科員 おっしゃるように、各地域地域が観光ということに目を向けて競争するということ、これは重要であります。しかし、私が申し上げたいのは、戦略的な重点配分という部分、そこに目を向ける必要もあるのではないかということであります。

 観光という事業を考えたときに、私たちの国のまずコアコンピタンス、すなわち核となる競争力、これは何かとお考えでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

石原国務大臣 それは受け取る側によって違うと思うんですね。日本の抱える自然環境、日本のテクノロジー、あるいはアーバンエリアの魅力、そういうものを受ける側、すなわち消費者であり旅行者がどうとらえるのか、それをよりブラッシュアップして見せていくための工夫を後押しできるのであるならば後押しをしていく。

 その一つの例が観光カリスマだと思うんですね。観光カリスマ、会ってみて、この人カリスマじゃないかと思う人、いるかもしれません。しかし、その地域地域で、委員はインフラの部分で宿泊インフラの話をされましたけれども、宿泊インフラで、大変欧米の物価に比べても安いものがもうあるわけですね。そういうものを先導的にやっていく人がカリスマとして任命されていたり、あるいはその一方で、え、こんな高い値段、日本古来の古い伝統的な旅館で、かなり今の物価水準からいっても高いと思うけれども、そういうところにも大勢の方が来る、あるいは海外の旅行者も来る。そういうものを競わせる中で、磨いていく中で、私は委員の言うところの核というものがより鮮明になってくるんだと思います。

 今は押しなべて、やはりまだどこも、何というんでしょうか、よし、ここだと言われるものがなくて、さっき言いました博覧会の話じゃないですけれども、何かお祭りやってそのときだけ来てもらう、私はそういう時代じゃないんだと思います。

馬淵分科員 御指摘のとおり、本当にもう何か祭りのようなものをやって集める時代ではない、私もそのとおりだと思います。そして、実は、この核となる競争力、いろいろなものがあるとおっしゃいましたが、申し上げたように、これは核なんですね。その中心となる競争力というものを見きわめる必要がある。いろいろなものは可能性としてあるわけですが、そこに中心となるものは何なのか、これを見きわめる必要がある。

 そこで考えるべきは、ビジネスの時代、いろいろな商品をつくっていく、戦略的な商品を市場に投入していく中で、その商品の強みと弱みということを一生懸命考える、これは常でございます。日本の持つ強みは何なのか、逆に弱みは何なのかということでございますが、例えば、先ほど申し上げたように、言葉あるいは地理的な島国であるというような特性、これは外国人にとっては必ずしも訪れやすいものではない。こうした弱みを逆に強みに変えていくという発想が必要になってまいります。

 日本の今述べたこの弱み、裏を返せば独自性とも言えます。一たん入国して、そして日本に入ってしまえば、外国人観光客というものはその中で何かしらコンテンツというものに引かれているということでしか滞在するという理由がございません。ヨーロッパのように陸続きであれば、いろいろなところにまた回っていくということができるわけでありますが、その閉鎖性というものの中で、外国人を引きつけるものは何かということによく注力して観察するべきであります。

 最近では、特に東京など、ニューヨークやロンドンのように、新しいカルチャーの発信地として注目を集めてもいます。日本を訪れる外国人観光客にとっては、日本の、ほかにない独自性という部分で、やはり私は、東洋的なもの、伝統文化的な歴史遺産というもの、これをよく考えねばならないと思っております。

 この点、今回の観光立国行動、この中にジャパン・ブランドという部分、ございます。そして、ジャパン・ブランド、日本ブランドというところでは、やはり東京という部分が強く出てしまいがちであります。この「JAPAN」、「TOKYO」というブランド、もちろんそれも重要ではあるかもしれませんが、「KYOTO」、「NARA」の持つブランド力というもの、これは逆に軽視ができない。石原大臣は、石原東京都知事の手前、東京よりも奈良とはなかなか言いにくい部分、ございますでしょうが、これは私は、「NARA」というこのブランド、先ほども申し上げた、世界に向けてこの歴史遺産というものを全面的に打ち出す必要性が十分にあるのではないか、それだけの価値があるのではないかというふうに感じております。

 観光立国行動計画に、ここにもございますが、「日本ブランドの海外への発信」というところ、これを見ますと、期待して読んでみますと、中身に関しては、いわゆるトップセールス、総理大臣を初め各大臣がいわゆるトップセールスという形でアピールしていく、これがビジット・ジャパン・キャンペーンという形でまた展開するというふうになっていますが、私は、本当にそれでいいんだろうかという気がいたしております。ターゲットとなる顧客を定めて市場調査を行い、さらに商品に魅力づけを行うといったブランディング戦略、この観光立国行動計画の中では、実は私の中からは十分見えてこない。

 石原大臣、ぜひそのブランディング戦略の部分、先ほどもお話の中にもありました観光カリスマ、いろんなものがあります。しかし、ブランディング戦略の中でどのような注力をしていくのか、重点的に行っていくのかという部分について、大臣のお考えをお聞かせください。

石原国務大臣 委員御指摘のとおり、外国からの旅行客ということに焦点を絞るとどのジャパン・ブランドに地域の方々が、私の地域というのは外国の各地域の方々が、関心を持っているということは非常に重要だと思うんです。やはりこれまでは、京都、奈良あるいは大阪、東京、こういう形に集中してきた。いまだにやはり、調査してみますと、京都、奈良に行きたいという海外の方、多いです。それで東京、大阪、それで地方がこうある。

 では、そのほかにどういう関心があるのかという調査をいたしました。これは日本に一番多くおいでいただいている韓国、台湾、アメリカ、中国、香港、この五地域でやってみたんですけれども、やはりこれは関心というのは違うんですね、各地域ごとに。

 例えば韓国ですと、大都会の魅力が一番、あるいは温泉、ゴルフ。台湾ですと、和風の雰囲気、さっき言いました高級旅館等々、こういうものに大変関心がある。さらには、アメリカですと、委員御指摘の伝統芸能文化、それと現代文化の混合、また日本人のホスピタリティー。中国ですと、やはり新幹線といったような近代性の高いもの、あるいはテーマパーク。香港ですと、これまた意外なんですけれども、香港の方々も日本にショッピングに来る。あるいは、日本食、雪遊び、スキー。

 やはり各地域各地域によってその国の国民性、または何回もいらっしゃっている方によって志向が変わってくる、こういうものを十分にしっかりと認識した上で売り出すべき日本ブランドというものをしっかりとしていく、これは重要なことだと思っております。

馬淵分科員 今の大臣のお話を伺いますと、ブランディング戦略というのもいろんなニーズ、多様なニーズにこたえることだというふうにおっしゃっているように聞こえます。私は、そうではなくて、ブランディング戦略というのは、やはりそれをイメージできる重点的なもの、大きなテーマとして掲げていくべきものがどこにあるのかということを考えねばならぬのではないか、かように考えます。その部分に関してまだまだ、今のお話ですと、この観光立国計画というものが十分に練られていない、まさにこれからの段階であるというふうに考えます。

 そして、次の部分でいいますと、ブランディングは私は先ほど申し上げたように重点的な部分ということを申し上げたが、そこもまだ至っていない。そして今度は、それをどのようにプロモーションするのか、これも重要なところになってまいります。

 このプロモーションに関しては、先ほども申し上げた、ここに書いてありますね、トップセールスということで、これを強化するんだというふうにお話しですが、十分なブランディング戦略がまだ固まっていない中でトップセールスをしようがないと思うんですが、ただ単に総理が、日本はよいところだ、ぜひお越しください、このようなことを言っても、これが外国人観光客を大幅に増加させるような要因とはなりにくいと思っています。

 ビジネスの世界ではよく、シズルあるいはティーズといった効果の話がなされます。これはもうシズル効果と呼ばれるもの、よく言われますが、外食チェーンのその店の名前にもなっています。肉がジュージューと焼けるその音、この音を聞いてよだれが出るような効果、食欲をそそるような効果。あるいは、ティーズというのは、これはじらしです。わざとじらすことによって人々の購買意欲をそそるといった手法。

 このような発想というのが、実は観光のプロモーションにも重要だと考えます。いかに日本に行きたくなるかという気持ちにさせる、ジュージューという音がするような臨場感あふれるキャンペーン。また、ティーズという部分におきましては、よくうたわれます秘境であったり神秘の国、あるいは秘宝や特別公開などといったキャッチフレーズがありますように、時にはじらすといったことによって日本の魅力をより海外に知らしめることができる。

 その部分で、そういった観点から、このビジット・ジャパン・キャンペーンにおけるプロモーション戦略について、大臣、先ほど私はブランディングの部分はまだ十分納得できないんですが、では、それを受けてのプロモーションの戦略についてはどのようにお考えか。果たして本当に総理が言って、あるいはそのトップセールスという名だけで外国人観光客、いわゆる観光事業が大きく上向くとお考えなんでしょうか。その辺についてお聞かせいただけませんか。

石原国務大臣 総理大臣も私も旅行のエージェントではありません。どういうプロモーションを起こしてビジネスにつなげていくのかというのは、旅行社の方々であり輸送事業に携わる方々であります。そういう方々がよりよい環境で事業をしやすくするということをサポートしていくのが私は行政の仕事だと思っております。

 日本のブランドというのは、もうある程度私は固まっているんだと思うんですね。これはもう、テクノロジーの国、あるいは文化と伝統のある国、あるいは礼儀正しい国、こういうものが海外の方にある程度固まっている。ただ、そういう魅力を持っている、あるいはそういう魅力的な地域、あるいは魅力的な産業があるにもかかわらず、何で五百万人の方しか来ていただけないのか。もちろん、委員が御指摘されましたような地政学的な意味というものはかなり大きいと思うんですね。

 しかし、先日、イタリアのボーバ大使とお話をしておもしろかったんですけれども、昨年の秋にローマっ子ばかり日本に連れてこようよという企画をやったんだそうです、ローマの旅行代理店が。そうしましたところ、ジャンボ機二台、七百人集まったと。アリタリア航空で来るのかなと思ったら、やはり一番値段の、航空運賃の安いドイツの飛行機会社を使ってやってきた。ですから、ローマの方々が日本に行きたい潜在的ニーズはある、こんな話をされておりました。それはやはり、あとは自国のエアラインじゃなくて海外のエアラインを使ってまでプロモーションを行うことができた旅行社の踏ん切りですし、それをサポートしたイタリアの観光局の英断だと私は思います。

 こういうものをやはり官民が合わせた形で、また馬淵委員のように大変観光行政に対して造詣の深い方々がさまざまなサジェスチョンを行政の側にいただくことによりまして、新たなるブランドの発信、委員がどういうブランドを発信されるというところまでまだ議論が至っていないので私はわかりませんけれども、そういう形で、これはまさに政党も何も関係ありませんし、与党も野党も関係ありませんし、各地域にそういうものに関心を持っている政治家がいれば、そういう地域でサジェスチョンを与えていく、こういう問題ではないかと思っております。

馬淵分科員 もちろん、総理大臣やあるいは石原大臣がエージェントであるわけではございませんが、しかし、私が先ほど来申し上げたように、観光立国ということを目指すのであれば、まずこの国の強みと弱みというものをしっかりと見きわめて、そして、ブランディング化、ブランディング戦略を練り、交通もルーティングを考慮した整備を行い、そして、重点的なプロモーション戦略に落とし込んでいくという、こうしたいわゆるマーケティングプロセスというものを重視していただきたい、このようにお伝えします。

 そして、もう時間もございませんので最後になりますが、ぜひ御考慮をいただきたいなと思いますのは、私が繰り返し申し上げたように、いろいろなところのいろいろなネタを集めてきてということ、もちろん、そのことに対して見地を持つことは重要なんですが、イギリスの成功例、「クール・ブリタニカ」というプロジェクトがございます。格好いいイギリスと名づけたこのクール・ブリタニカのプロジェクトの中で、英国の持つ長所、短所というものをしっかり見きわめて、そして、最終的にはクリエーティブ産業の振興だということ、これを明確に重点的に定めて、そして、戦略的な輸出振興策等々を、ターゲットの国々も含めた、細かく細かく検討した具体的なアクションプランを出していったわけであります。今回の観光立国戦略も、このように、細かくしっかり検討した上で出していっていただきたい。

 石原大臣の先ほどのお話の中で、十分な時間がございませんのでお聞きすることはできませんでしたが、残念ながら、「いかすぜ、日本」、「クール・ジャパン」と言われるようなブランディング戦略にまで高まっていなかったということを、私、最後に御指摘を申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本芳郎君。

岡本(芳)分科員 自由民主党の岡本芳郎でございます。よろしくお願いします。

 私も、昨年十一月初当選の新人でございます。本日は、予算委員会分科会ということでございますので、日ごろ地元でいろいろ聞く話を中心に質問していきたいと思います。

 例に漏れず、私も、当選以来ずっと金帰月来で地元に帰って、小集会を開くなどしながら、地元の皆さん方のいろいろな意見を聞いておるところでございます。その中から、いろいろあるわけでございますが、まず第一点目は、市街地の空き家の老朽危険家屋対策についてお伺いしたいと思います。

 戦後、日本の地方では、どんどん人が流出いたしました。そして、流出した人たちは都会に出て、都会に生活拠点を設け、定住してしまったというのが一般的ではないかと思います。その結果、残された親は、親二人で暮らしてきておるわけでございますが、どんどん亡くなってきております。もう二十年、三十年前に亡くなったという家も随分あるわけでございます。

 その結果、どういうことになっているかと申しますと、その親御さんたちが住んでいた家、住居が放置されてしまうんです。最初数年間は、都会にいる息子さんたちが何とか管理するわけでございますが、時がたつとだんだん離れていってしまいまして、十年たちますともうほったらかしでございます。そうなった住居というのはどうなるかと申しますと、当然、腐ります、破壊されていきます。庭は草ぼうぼう、木は枝がばんばん伸びてまいります。いわゆるお化け屋敷みたいな住居になるわけでございます。

 それに対しまして、当然、そこの地域の方々は、それは非常に危ない、何とかしてくれといって、市町村長のところへ頼みに行くわけです。ところが、市町村長は、あれは個人財産だから本人に言ってくれ、こっちからも言うけれどもといって、一応は言ってくれるわけですけれども、全然反応していただけない。そうなると、市町村長も個人財産をいじるのは面倒になって、なかなか手をつけてくれない。その結果、どんどんそういう家が残っていってしまうわけでございます。

 表通りに面しておるところは、これは駐車場とかに使えますので、何となくきれいに整備はされております。しかしながら、表通りから外れた路地裏だとか、あるいは家が密集したところ、なかなか大きな車が入れないところ、ブルも入れないようなところ、こういうのは地方にはいっぱいあるわけでございますが、そういうところではどんどん、さっき申しました汚いのが残っておるのが現状でございます。

 そういうふうになりますと、今度はそこへ子供が入ったりしたら非常に危険であります。あるいは青少年の非行の拠点にもなります。あるいは、浮浪者が入ったりすると、またこれは大変危ないということになります。さらに、だれかがたばこの火でもぽっとほうり込もうものなら、草が燃えて火事が起こる。地域の保安上、防災上あるいは衛生上、非常に大きな問題なわけでございますが、こういった現状に対して、国土交通省としてどのように認識し、また対応しているのか、お伺いいたします。

松野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方都市には危険な空き家がございます。例えば、倒壊のおそれのあるような大変危険な建築物、家屋につきましては、建築基準法第九条によります違反是正命令、あるいは、同法第十条によります立入禁止、改修等の命令を、建築行政を担当する地方公共団体、これは特定行政庁と言っておりますが、これが行うことができるということになっております。実際には、命令ということになりますと、もう最後の最後の手段でございますので、むしろ、事前に指導をしたりということが実際には多いと思います。

 また、まちづくり上の課題を抱える地区につきましては、危険な建築物の除却あるいは空地整備を行う地方公共団体に対しまして、国庫補助を行う事業がございます。この事業が積極的に活用されればというふうに思っておりますが、国土交通省としては、これらの制度を活用しまして、地方都市におきます危険家屋対策について、これからも取り組んでいけるよう支援してまいりたいと考えております。

岡本(芳)分科員 徳島県が平成十年に住宅・土地統計調査というので調べたところ、大変な数字が出ておるんですね。徳島市だけでも、住宅総数九万八千二百五十戸、うち空き家が一万六千九百六十、全体の一七・二%が空き家になっております。そのうち、危険または修理不能の家、どうしようもないというもの、これが八百三十戸あるそうでございます。空き家のうちの約五%、これがそういう状態なんです。それがそのまま放置されているということでございます。

 なぜそうなるのか。先ほども申しましたとおり、建築基準法の運用が市町村長の行動に結びついていない。なぜかと申しますと、やはり、私が思うには、建築基準法の書き方が、除去することができるというような、やらなきゃやらないで済むような書き方なんですね。これでは面倒なものには取り組まない、そういう感じがしてしようがないわけでございます。

 そこで、私は農林省出身でございますので、農林関係では、農業経営基盤強化法というのがございまして、これも昨年改正したのでございますが、遊休農地があると、それを見つけた人が農業委員会に申し入れていって、使わせてくれるようにしようじゃないかと。農業委員会が市町村長にあの土地を使わせてやってくれというふうに申し入れていくと、だんだん進んでいって、農地所有者はそれを使いたい人に貸さざるを得ない、あるいは売らざるを得ないようにだんだんしむけていけるように法律改正されているわけでございます。

 市街地内のこういった住宅地、これは大変危ないし、あるいは、子供の遊び場にも使えますし、何かのときの避難地にも使えますし、そういった点から、これをそのまま放置しておくというのは非常に問題なわけでございまして、こういった建築基準法なりの改正について、その気はないのか、お伺いしたいと思います。

松野政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法十条の法文上は、著しく保安上危険であると認める場合ということでございます。実際には、その命令を行うところまでいけることになっておりますが、現実には、例えば平成十年から十四年度までの五年間、全国で七十四件という実績でございます。これは命令制度が最後の最後の手段でございますので、実際には、その前に指導をしたりということで現場では行われていると思います。

 先生御指摘のような、命令をするというのができるという規定になっているということでございますが、これは、著しく保安上危険であると認めるというそこの判断の問題もございますし、それから、現場の裁量、つまり、最後の最後の手段として命令があるというような仕組みになっております。これを命令しなければいけないというようなことは法制上なかなか難しいところがございます。

 現在の法律の世界でも、例えば事例を見ますと、植物検疫法のように、有害動植物が検査の結果見つかったというような場合、これが広がっていくようなおそれがあるとかいうときに、その結果がわかったときには、消毒もしくは廃棄すべきことを命じなければならないという規定がございますが、こういう場合に、ほっておけば必ずどんどん広がっていくというような場合に命じなければならないという規定がございますが、一般的には、問題があると認めてそれを命令することができるという規定でございます。

 したがって、しなければいけないというような規定ぶりというのは大変難しいと思いますが、この命令の運用のあり方につきましては、今後、命令権限を実際に持っております地方公共団体と意見交換を進めながら、国土交通省としても、そのあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。

岡本(芳)分科員 前向きの発言、ありがとうございます。

 今、地元の人から聞きますと、市町村に行きますね、そうすると、裁判してくださいと言われるんですね。相手がわかっていますから、それを訴えて裁判して勝てば撤去できるから、それでいいじゃないですか、こういう言い方をされて、裁判費用も、持つのは大変ですよね。とてもじゃないけれども、実態が動かないということでございます。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 さらに、そういった表通りに面した方も、駐車場ばかりができてきて、これまた非常に景観上よくないんですね。今、景観法が出ていくようでございますが、ああいう状態も、やはりこのままでは地方がどんどん寂れていって汚い町になってしまうということをぜひ認識しておいていただきたいと思います。

 それから次に、公共事業の配分についてちょっとお伺いしたいと思います。

 最近、日本の景気、どんどん回復基調にありまして、非常に喜ばしいことではございますが、地方ではまだまだ厳しい状況が続いております。これは、だれもが認識しているところではないかと思うところでございます。特に、地方では、やはり公共事業というのが地方経済の大きな担い手であるんです。田舎へ行くと特にそうでございまして、仕事といったら、公共事業か役場か農協か、そんなところしかないんですね。そういうところで現在のように公共事業が厳しく締めつけられておると、地域にとって大変厳しいことになっております。

 ちなみに、公共事業費全体では、国土交通省さんの資料によりますと、十三年前と同じだ。そこまで落ちてしまったわけでございます。その間、景気対策等でどんどん伸びておったわけでございまして、それに伴い公共事業関係業者もどんどんふえてきた。それが十三年前まで落っこっちゃったらもう食えないんですね。どんどん倒産する、リストラを図る、そしてさらに給料まで下げてしまう、そんな状態もありますし、新しいところに勤めようにも勤め場所がない。これは大きな社会問題になっておるわけでございます。そういう点から、やはり公共事業を配分していただくときには、仕事のない地方に優先的に考えていただきたいと思うところでございます。

 これも国土交通省さんの資料でございますが、三大都市圏と地方圏でどのぐらいのシェアかというのを調べていただきました。平成六年度で、三大都市圏、これは東京、大阪等の近辺の県になるわけでございますが、十年前はシェアが三五・二%、その他の地域は六四・八。十五年度、十年後でも、三大都市圏が三五・一、その他地域六四・九。ずっとその間見てみますと六五%程度で推移している。地方圏と都市圏とのシェアが全然変わっていないんですね。

 先ほども申しましたように、非常に厳しい地方の情勢から考えて、何とかこういうのを多少でも動かしていく、これが行政の責任ではないかと思うのでございますが、御答弁いただきたいと思います。

安富政府参考人 先生御指摘のように、公共事業が、いわゆる地域の景気あるいは雇用情勢、そういうものに大きく影響する、さらには地域の景気とか雇用を下支えする重要な役割を担っているんだということは我々も十分認識しているところでございます。ただ、御指摘のように、最近、非常に厳しい財政事情で、国土交通省関係につきましても、公共事業関係費対前年マイナス三・二%という状況でございまして、三年連続マイナスという状況でございます。

 こういう中で予算編成を行っていくわけでございますが、やはり限られた予算の中でこれを有効に使うということで、事業評価等を厳格に実施しながら、選択と集中ということでめり張りをつけた予算を確保しているところでございます。この中の重要な要素としては、一つは、国際競争力の向上といったような施策もございますが、もう一つの柱としては、地域の活性化ということで我々事業を進めているところでございます。

 御指摘のような、地方の厳しい雇用あるいは景気情勢にも配慮しながら、地方経済の浮揚にも役立つような、例えば今回の予算でも講じておりますまちづくり交付金の活用による全国都市再生事業の推進といったような、地域の活性化にとって真に必要な事業についても重点的に配分して推進していきたいというふうに考えております。

岡本(芳)分科員 言葉で言えばそういうふうになっていくわけでございますが、実際の数字が上がるようにぜひお願いしたい。金額で今厳しいのはわかりますけれども、せめてシェアで厳しい中でも配慮していただく、これが筋じゃないかと思うところでございます。

 次に、同様に、そういう観点から、道路整備についてお伺いしたいわけでございます。

 徳島県の道路整備の状況というのは、最下位あるいは二番目ぐらいか、今最下位ですか、そのぐらいおくれたところでございます。

 ところが、それに対して、県は、あるいは国も一生懸命やってくれておると聞いておるわけでございますが、これも、過去十年間の道路予算、徳島県に配分していただいておる予算の全国に対するシェアを見ますと、何と、十年前が一・〇一、それからずっと一・〇二、〇・九七、〇・九八、一、一、一・〇六、一・〇八、一・〇四、〇・九七、十年間一%前後、下二けたがちょろちょろっと動くぐらいで全然変わっていないんですね。それなのに、整備水準は全国最下位クラスでずっと進んでいる。これはおかしいのじゃないかと思うんですね。

 ナショナルミニマムとよく言われております。どこもが同じように最低限のものはやはり整えていかなきゃいけない。そういうことになると、おくれているところにはやはり重点的に配分していただいてある程度水準を上げて、進んだところに少しでも追いついていくように進めていく、これは行政の責任じゃないですか。私は、こんな十年間一つも変わらないというのを聞いて驚きました。御答弁いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生最初に御指摘の、徳島県の道路整備がおくれているか進んでいるか、明確に申し上げますと、例えば一般道路の改良率なんかで申し上げれば、全国平均は五六%ぐらい、対しまして徳島県は四一%ということで、相対的に見ますとかなりおくれている、こういうふうに認識すべきだろうというふうに私も思っています。特に、都市内の渋滞とか異常気象時の通行どめ、これがかなり多い、こういうことも事実でございまして、これを何とかしていく必要がある、こういうことだと思っております。

 したがいましてということで、次に申し上げたいのは、実は平成十五年の三月に、地方整備局や四国四県、関係公団、四国地方の幹線道路協議会で四国の道づくりのあり方を示します四国21世紀の道ビジョン、こういうものを策定いたしまして、みんなで重点的な整備に取り組んでいこう、こうしたところであります。

 徳島県では、都市交通の円滑化と都市再生、それから人に優しい歩行空間の確保、それに信頼できる幹線ネットワークの確保、この三点が特に重要と位置づけて、それぞれ目標を設定して取り組むことにしております。

 全体で申し上げますと、特に、鳴門から徳島、阿南にかけて、四国の横断と申しますか、高速道路の整備がまだまだこれから、こういう状態でありますから、そこの整備を進めながら、さらに、それのフィーダーとしての阿南安芸自動車道、あるいはまた日和佐道、そして徳島環状、こういったネットワーク全体の形成を急ぐ。それに、これらのアクセス道路というのがまた重要なものになるので、そうした観点からの一体的な総合的な整備、こういうものを進めていく必要があると思っております。

 地元と力を合わせて、特に徳島の場合、山が多いということもあって、用地問題なんかもかなり厳しいところがあったと私自身は認識しております。そういう意味では、地元のいろいろな皆様とあるいは行政と力を合わせて、事業が早く進む、こういう観点も力を合わせてやりながら、そこにまた予算的な重点的な考え方も十分入れていく、これからそうした一体としての取り組みが必要だ、こういうふうに考えております。

岡本(芳)分科員 御答弁のとおりでございまして、難しいところはあるわけでございますが、何せ県の最重点政策は道路でございます。これにぜひこたえていただきたいと思うところでございます。

 中でも、一般国道百九十二号、徳島南環状道路というのがあるわけでございますが、この道路は、徳島県の西部と南部を結ぶ、そして市内を通らずに抜けられるバイパスとして非常に効果の高い道路でございます。ところが、この道路も、昭和六十一年に着工したようでございますが、十七年もかかっていまだ三三%しか進んでいない。いつ終わるかわからないぐらい遅いわけでございます。

 いろいろ文化財等もあったようでございますが、今はどんどん進めることが可能でございますので、ぜひ集中的にお願いしたいと思うところでございますが、今後の進め方についてお伺いいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘の百九十二号の徳島南環状道路、全体の計画の延長として九・五キロ、こういうことでございまして、これは徳島市全体を環状する徳島環状道路の一部、一番早く整備をすべき、こういう部分だと思いますが、そして、徳島市の中心部とその周辺の交通渋滞の解消に大きく寄与する道路、こういうことで、昭和六十一年度にそのうちの二・二キロを事業化しまして、この区間につきまして、特に西の方でございますが、観音寺から国府のインターまで二・二キロ供用したわけでございます。

 さらに、九・五キロの事業そのものは全体を進めておりまして、その後、延命まで二・六キロ、三割に当たる二・六キロが供用できた、こういうことでございます。

 ただし、残り、そういう意味ではむしろ大事な約七キロ、徳島の大野まででございますが約七キロ分、これを今、測量は全線ほぼ終わっておりまして、用地買収に着手しておりまして、大野側は約半分の用地買収が終わった。ただし、中筋から延命にかけましては用地買収がこれから、こういう状態であります。

 全体で、先ほど申し上げましたような徳島の、21世紀の道ビジョン、こうした議論をする中で、県、市、それから整備局、それぞれ力を合わせて、二十年代の前半にはこの供用を図ろう、こういうことで重点的な整備に取り組もうということで今努力しているところであります。地元の御協力をいただいて、少しでも早く供用できるように努力してまいりたいと思っております。

岡本(芳)分科員 次に、下水道でございます。

 これもひどいものでございまして、道路以上にひどい状態で、今や整備水準は、本当にこれは全国最下位になっておるようでございます。

 憲法二十五条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こう書いてあるわけでございますが、全国の整備率が六五・二%も進んでおる下水道が、徳島の場合はたった一〇・六%でございます。ほとんどできていないというのが今の現状なわけでございます。

 仕事がないのかというとそうではなくて、今、大きな流域下水道等、いろいろやっておるわけでございます。こういったものにもやはり何とか面倒を見るのがこれまた行政の仕事だと思うんですが、いかんせん、道路と同じでございまして、なかなか予算がふえない、傾斜配分がされていないというふうに認識しておりますが、そういう点はどのようにお考えでございましょうか。

竹歳政府参考人 お答え申し上げます。

 徳島県における下水道整備でございますが、下水道による都市浸水対策というのは全国十七位でございますが、汚水処理につきましては、今先生おっしゃったとおり、四十七位で一〇・六%という状況でございます。実は、和歌山県が四十六位、高知県が四十五位ということで、黒潮の太平洋岸地域が非常におくれているというような状況になっております。

 現在、徳島県下五十市町村のうち、供用を開始しているのは徳島市などわずか一市三町という状況でございます。現在、四市十六町で公共下水道等の事業を進めておるところでございますし、特に徳島市、鳴門市など二市四町を関連市町村とする旧吉野川流域下水道について、平成二十年度末の供用開始を目指して事業を推進しているところでございます。

 全国的に申しましても、実は、中小市町村、人口五万未満の市町村の整備というのが、下水道についてはナショナルミニマムとして大変重要な課題となっておりますが、徳島県におきましても、三十二市町村は人口五万人未満ということで、今後これらの中小の市町村における整備促進が課題となります。そこで、私どもといたしましては、技術的、財政的基盤の弱い過疎市町村を対象とした都道府県の代行制度でございますとか、コスト削減等々によりまして、中小市町村における普及促進を図ってまいりたいと思います。

 下水道は文化のバロメーターとも言われておりまして、徳島県における下水道整備が大変おくれているということで、私たちも重点的に御支援を申し上げたいと考えているわけでございます。

岡本(芳)分科員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 徳島は、水の都と言ってもいいぐらい、川が多くて、水のきれいなところなんです。吉野川初め非常に美しい水源、美しいところでございますが、下水のおくれは水を汚す、川を汚す、川を汚したら今度は海が汚れるということで、これは早く対処しなければ、本当に環境破壊につながっていくというふうに認識しております。どうか何とか早く下水道等の整備もお願いしたいところでございます。

 時間が参りましたが、予定にないんですけれども、大臣、一言お願いできませんか。余りにもこのおくれた地方、何とか配慮していただくような考えはございませんでしょうか。お伺いいたしたいと思います。

石原国務大臣 厳しい財政事情ではございますが、委員御指摘のとおり、国民生活に必要なインフラのナショナルミニマムというものにつきましては、できる限りの応援をさせていただきたいと局長の方からも御答弁をさせていただきましたとおり、取り組ませていただきたいと考えております。

岡本(芳)分科員 ありがとうございました。以上で終わります。

蓮実主査代理 これにて岡本芳郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、若泉征三君。

若泉分科員 福井の若泉でございます。よろしくお願いいたします。

 御質問を申し上げる前に、私は、実は、昨日、国土交通省の皆様の十数年かかって事業をやっていただきました九頭竜川鳴鹿大堰の完成記念式典がございまして、地域住民が非常に喜んでおりますので、感謝を申し上げます。

 この事業の設計の中で私が気がついたことは、生態系を非常に大切にしている、そして子々孫々までにこの事業は何であるか、何のためにやったかという資料館が設けてある。このことは、五百億近い予算を事業予算としてお使いになって完成したということに関しましては、非常にいいことでありますので、今後もこのようなことはどんどん進めていただきたい、このように思っております。

 実は、私は、町長を十六年、今立町長を務めてまいりまして、ほとんど答弁ばかりいたしておりまして、質問は苦手でございますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。

 私の公共事業に対します基本的な考え方を申し上げまして、また、私の体験を申し上げまして、まずそれを申し上げた後で、大臣にお尋ね申し上げたい、よろしくお願い申し上げます。

 実は、町長のときに、今立町の普通の町道でございますが、この町道を、二百メーターの延長で幅二メーターしかない道路を、実はその道路、いわゆる和紙の里の資料館とそして紙をすくパピルス館の間にこの二百メーターの道路がございまして、和紙の里通りというものを我々が企画、提案をいたしました。

 その提案の内容といいますのは、いわゆる人と車の交わる道が道路である、大体普通、車道がほとんどでございますが、人と車の交わる道が道路であるという認識の中で、緑、水、光、音というものを企画いたしまして、例えばどういうことかといいますと、緑をふんだんにその通りに使いまして、そして音楽の鳴るベンチを三つつくりました。クラシックの園では、座りますとクラシックの音楽が鳴ります。ポピュラーソングの音楽が中央あたりで鳴りまして、同時に噴水が上がって、夜はそれに色がついてくる。そして最後には、童謡のベンチということで日本の童歌が聞こえる、そういう音楽のベンチ。

 そして、道路は道路なんです、あくまでも道路でございますので、車道は、スピードを出さないように蛇行させまして、その横には小川のせせらぎ、幅十六メーターでございますが、川のせせらぎ、そこには魚が泳ぐ、そのような提案をいたしましたところ、当初は建設省から反対がありまして、これは道路じゃない、公園だというようなことで、当時の建設省でございますが、そういうことがございました。

 そういった中におきまして、この道路が最終的には取り上げられまして、一番最初の事業がシンボルロード、次にマイロード、そして最終的には、全国的に今よく利用されております道の駅になったもの、このように思います。

 そういう企画、立案というのは、まさに私ども町村が国に御提案を申し上げ、また国の方も、いわゆる国土交通省さんもそれに応じて、いいじゃないかと。二年間はちょっと、その議論は続きました。二年我慢しまして、二年後に、現在も国土交通省で活躍されておりますが、その専門家の方に認めていただいた、そういうことでございます。

 そして、もう一つ、私どもは、官庁速報に今立方式下水道事業というものが全国的に流れたことがございます。これも、私どもの町の方から、やはり八年間ぐらい議会と議論しまして着工いたしました。

 その内容といいますのは、連檐地域におきまして、大体流域下水道といいますのは、もともと三万人以上の人口のところで終末処理場を設ける、それには認可しようということだったんですが、実は一万五千人の人口でございます。しかも、連檐地域といいまして、家が並んでいるところ、密集しているところは、大体一千軒ぐらいの利用者なんです。それを国土交通省さんにいろいろと議論してお願いしましたところ、コンパクトなところでも終末処理場を認めようじゃないかとそれをお認めいただきましたので、三百億の当初事業が二百億で済んだ。百億助かるというのは、一万五千人の小さな町では非常に大きな成果だったんですね。

 そして、ではあとはどうしたかといいますと、御存じのように合併浄化槽をやりました。合併浄化槽といいますのは、大体車一台駐車するぐらいの面積が必要でございますが、地方へ行きますと、ほとんど自分のところに宅地とか所有地を結構ぜいたくに持っておりますので、それを十分に利用しようということで、厚生省、自治省との関係の中におきまして、合併浄化槽を全部設置することにいたしました。しかも、その合併浄化槽は、炉材がいいものと悪いものでは全然違いまして、浄化槽の炉材がいいものというのは、微生物が生息しやすくなって、BOD二ppmまでに落とせる。そういう炉材のいいメーカーだけを五社指定いたしまして、十何社来たんですが、一番炉材のいいもののメーカーを指定いたしまして、合併浄化槽を進めております。

 おかげさまで、私どもの町は、八年間、議会と議論しながら、研究、検査を重ねた結果が今立方式下水道事業ということになったということは、これはただ私どもの提案ということじゃなくて、やはり国土交通省の役所の非常に深い理解と、またそれに対する結論をいただいた、このことはありがたかったんです。これは、今進めておりますいわゆる地方分権の推進がもう私の町では進んでいた、そのようなことを申し上げてもいいんじゃないか、このように私は思っているわけであります。

 一時は本当に、国債乱発による内需拡大ということで、小渕内閣のころから非常にお金が使われたわけでございますが、今では、ケインズ理論によりまして景気浮揚対策を公共事業として使うということはもう必要ない。しかしながら、私が申し上げたいと思いますのは、やはり地域に喜ばれる、必要な、または地域の実績とニーズをよく踏まえた社会資本の整備をやるべきだ、そういう考えを私は持っております。

 国土交通省さんから、十三、十四、十五年と公共事業の補助金はどんどん減ってはきておりますが、これは方針としていいと思いますが、しかし、必要なところに必要なものを設けるという意味では、私は今後も、このような御理解ある、そしてまた、このような一つの例をつくりましたら、特例じゃなくて、日本全国の市町村に、公共事業の使い方、利用の仕方というものはお互いにやはり検査する必要がある、このように思いますので、私は感謝申し上げながら、私の基本的な考え方をここで申し上げたい。

 そして、特にもう一つ申し上げます。この和紙の里通りの管理面におきましては、和紙の里通りを愛する会という会をつくりまして、住民参加の中で管理をいたしております。すべてとは申しませんが、花壇も全部、住民が花を植えるとか、そして水が汚れればそれをきれいにするとか、傷んでいるところがあればそれをすぐに役所に連絡するとか、そういうことをやっています。こういったことが、私は、今後の公共事業の中であらゆる面で必要なんじゃないか、このように思っております。

 そういう中で、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、大臣におかれましては、構造改革という困難な事業に取り組んでこられまして、行政に多面的な、または専門的な角度でメスを入れてこられましたので、行政改革の必要性とその問題点を掌握されていると御推察いたしまして、大きく期待を持ち、今質問に立たせていただいているわけでございます。

 私は、当時の建設省の道路関係の本に十回ほど論文を出させていただきましたが、そのときに一回申し上げておりましたのは、日本の道路というのは、終戦直後、外国人より道路予定地と言われてまいりましたが、現在は立派に整備され、生活道路、産業道路として国民に利用されております。しかし、私が思っていますのは、日本を縦断している道路については、国道、高速道路と利便性を欠くことはございませんが、横断する道路が少ないのではないか、このようなことを痛切に感じております。日本海と太平洋側を横断する道路の整備が進めば、経済の活性化を初め将来の道州制をにらんだ場合、必要不可欠な事業であると認識いたしておりますので、まず大臣の御見識をお伺いしたい、このように思っています。

    〔蓮実主査代理退席、主査着席〕

石原国務大臣 私もよく誤解をされまして、全く公共事業を否定しているんじゃないか、道路もつくらないし港湾もつくらないし、今委員の御指摘の、縦貫ではなくて横断ですね、こういうものにも否定的じゃないかということをよく言われるんですけれども、私がむだな道路をつくらないということをずっと言っておりましたのは、代替道路があって、さらにもう一つ同じような機能を持つものをつくるというようなことがあるならば、そこは我慢していただいて、真に必要なものに回せ、こういう意味でお話をさせていただいていたわけです。

 ただいま委員のお話を聞かせていただきまして、日本の道路はやはり縦貫、さらに都会で見ますと放射線、こういうものを中心に整備が行われてきたと思います。私も、もうきっと舗装されていない道路を走った最後の方の世代ではないかと思うんですけれども、本当に子供のころは、道で舗装されていないところになると、夏でも冬でも窓を閉めて走った。何で舗装されていない道路があるんだろうと子供心に思ったわけですけれども、今は大体のところで舗装されていない道路はほとんどなくなってきたと思います。

 そんな中で、これから整備するものは、大都会にあっては環状道路、そして地域の横断ということを考えるならば縦の線ですか、縦貫道に対しては横の線というんですか、こういうものの整備というものは、これからも必要なものは図っていかなければならない。

 そのとき、やはり大切なのは、委員が下水道のお話でされましたように、三百億の予定価格が二百億に下がるといったような画期的なことを地域の発案によって行うのであるならば、道も同じだと思いますね。特に、高速道路なんかは今いろいろなアイデアが出てまいりまして、客観的指標をつくりましたので、費用対効果、BバイCのところを下げるには、コストを下げれば上がりますので、成績が上に上がると。成績順につくると言いましたら、地方の側から、では盛り土を平らにしちゃおうとか、いろいろなアイデアが本当に地方の首長さんからも寄せられてくるようになりました。

 よいものはしっかりと、委員の今立町でございますかで採用されたようなすばらしい案はこれからも採用して、コストはできる限り少なく、多くの方々が喜んでもらえるような公共事業にしていかなければと考えております。

若泉分科員 ありがとうございます。非常に積極的な御発言をいただきましてありがたく思っております。

 次に、国土交通省の方にお聞きいたしますが、公共事業につきまして、よく、私もどちらかといいますと陳情した方の町長でございましたが、陳情行政と言われてきましたが、事業採択というものはどのような考え方に基づいて採択されておりますか、その辺をお聞きしたいと思います。

安富政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省関係の公共事業、公共事業についてはいろいろなことを、御批判もございましたけれども、我々としては選択と集中ということを基本にやっていきたいと思っております。そういう意味で、昨年、社会資本整備重点計画というのを定めました。これは、今までの反省に立ちまして、国民の目から見て達成される成果目標を明らかにして、事業評価等を徹底しながらそういう社会資本の整備を進めていこうということでつくったわけでございます。

 そういう中で、個別の事業採択に当たりましては、地域の実情を踏まえながら、一つは、事業の効果、費用あるいは必要性等を総合的に勘案して事業箇所を決定しております。

 具体的には、先生御存じのように、各事業ごとに定められております採択基準というのがございます。この中で、事業の目的、地区あるいは規模といったことで、採択の要件に適合するかどうかをまず審査するわけですが、その後におきまして、新規事業の採択時の評価ということで、事業の必要性を確認するための事業の効果と費用を計測しまして、これをもとに費用対効果分析を行うということで、それぞれの事業について出しておるところでございます。

 その上で、さらに、定量的な費用対効果分析だけではなくて、地域の実情を勘案して、例えば地域づくりに資するかどうか、そういう定量的なところではかれない効果あるいは事業の必要性、そういうものについて、地方の意見、要望を十分勘案しながら、そういう定性的な評価も加味した上で事業箇所を決定しているというのが基本的な考え方でございます。

若泉分科員 実は、採択されるときは当然でございますが、事業そのものを積算されますときに、私はこれはお伺いしたいと思うんですが、私が町長をやっておりますときに、私も技師の免状を持っておりますので全部自分で見積もりまして、ちょっと諸経費が高過ぎるんじゃないか、そんなことも感じました。非常に建設省の仕事はもうかると。では、私の町の単独事業はもうからないのかといったら、もうかるというので、それで全部、一律一〇%の経費で積算して、私は設計書を組んだんですよね。今、現状はどうか知りませんが、それぞれ地域の実情を踏まえまして、当然、物価の問題とかいろいろとございますが、そういったことを踏まえた形の中で、やはりこれは県との調整をすれば私は十分にできると思うんですね。

 そういった積算の単価というものをお決めになっていらっしゃるかどうか。また、お決めになっていらっしゃらないんだったら、そのような方向で進めていただければ、やはり今財源が乏しいわけでございますから、少しでもむだを省く、税金のむだを省く、そういうことになると思いますので、その辺、いかがでございましょうか。

門松政府参考人 公共工事の予定価格の積算につきましてお尋ねがありました。

 公共工事を発注する際に設定いたします予定価格の積算でございますが、取引の実例価格などに基づきまして、適正な品質を確保するための必要な労務費とか資材費とか機械損料、諸経費等を工種ごとに積み上げて、工事の標準的な価格を設定しているのが実態でございます。

 積算に用います労務費とか資材費等の単価は、地域の実情を踏まえまして、施工の実態や市場取引価格を反映させるために、適切に実態調査を行って決定しております。例えば、人件費に相当します労務費でございますが、都道府県別に五十職種を対象に毎年調査を実施いたしておりますし、また、物価資料に掲載されております六万から七万の規格の建設資材につきましては、主要都市別に基本的に毎月調査を実施して決定しているところでございます。

 以上でございます。

若泉分科員 そういうお答えが返ってくると思いましたし、そういう御努力をされているということでございます。これは私は、建設業者がもうけちゃだめだ、そういう言い方ではございません。やはり、財源の乏しい中におきまして、さらにそういった点は厳しくお願いしたい、このように思っております。

 そこで、これは大臣にお伺いしても結構でございますし、国土交通省の方から御答弁でも結構でございますが、せっかく大臣がいらっしゃいますので、お答えいただければとも思います。

 公共事業における規格が、全国統一の画一的なものになっております。地域の実情、ニーズに応じた柔軟な規格構造にできるよう改めていただきたい、このように思います。

 例えば、私も道路に関しましては大変お世話になりましたので、田舎の町で四メーターか五メーターまた六メーターで、町道は四メーターになっておりますけれども、五メーターか六メーターのところでも、やはり十二メーターでないとこれは補助基準になりません。そして、二メーターの歩道をつけなきゃいかぬ。二メーターの歩道というのは、人も歩いていませんが、時たま犬や猫が歩くような、そういう歩道が果たして必要なのかどうか。

 もう一つ、積雪の多い私どもの町におきましては、二十センチほど歩道が上がるわけなんですが、上がりますと、除雪をしたときにこの歩道が、歩道の除雪というのは非常に難しいわけですね、困難なんです。子供は逆にその除雪した、歩道より車道の中を歩く形になりますので、非常に交通上危険なことがあるんですね。

 私は前に提案したことがあります。これは、当時の建設省さんに提案しました。地方の雪国とかそういう場合には二十センチ歩道を上げないで、いわゆる建設の規格としてタイルか何か、または反射板がつくようなもので中に埋め込んで線だけずっとつけたらいいんじゃないか、そのようなことを申し上げましたが、それはそのようにならなかったみたいですけれども、最近国土交通省も大分いろいろお考えになっていらっしゃることは私聞いております。

 そういうこととか、また、例えば河川についても言えることでありますけれども、河川の砂防堰堤なんかにつきましても、これぐらいの幅がないとだめなんだと。本当にないとだめなのかな。これぐらいの規格じゃないと、これだけの土地を提供してくれなきゃできないよと。それだけの土地を提供するためには大変な努力が必要なわけでございまして、住民の皆さんの協力が必要なわけでございます。

 もう一つは、尾道から今治の方に行く四国の、これは道路公団の民営化と関係してくるかもしれませんが、あそこを私は通ったことがあるんです。本当のことなんです、私の専用道路みたいな感じで、犬が歩いていました。

 だから、そういう道路というのはあるわけなんですが、それは別といたしましても、いずれにいたしましても、私が思いますのには、こういった規格というものが全部全国統一的に画一的なものじゃなくて、その地域また土地に応じた一つの設計規格に改正されますと、それは非常に税金のむだ遣いにならないんじゃないか、このように思っておりますが、その辺をお願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 最初に、道路の話題が多かったものですから、私の方から少し考え方を申し上げたいと思います。

 先生、最初の御質問の和紙の里道路ですか、ロードですか、ああいう形でやはりそれぞれの地域でいろいろな工夫をしていただきながら、本当にいいもの、やってみたら、こういうことはやってみる価値があるんじゃないかなというものについては大いにやってみるというのが一つの基本だとは思います。

 それからもう一つは、道路の場合で申し上げますと、道路構造令というのがありまして一応の考え方を決めてあります。ただし、これも、道路をつくる上でこうでなければいけないというふうに決めてある部分は、全体を十としましたら二か三ぐらいで、それぞれの工夫に応じていろいろな工夫ができる、こういうような形にはなっています。

 三番目に申し上げたいのは、そこの運用のあり方を、今度は事業の採択とかいう議論になるといろいろかたくしがちではあった。そういう規格に十分合わないものは地方の単独事業でおやりになったらとかそんなやりとりを、従来ややもすればあったかのようにも、私自身も、そういう経緯を踏まえるとそんなことかなと思っています。

 そこで、最近といいますか、特に一・五車線的道路とか、結局、本当に広げようとしたら物すごい大きな改造が必要だ、しかしながら車が部分、部分ですれ違うことができれば十分な効用を果たし得る。そういう意味では、待避所を一生懸命つくったり、あるいはまた先ほどの歩道のお話でいえば、どうしても歩道をつくらにゃいかぬ、こういうことではなくて、場合によっては、例えば通学するお子さんが非常に多ければ、しかし広げられないというようなところは、歩行者だけでも一メーター五十、二メーターの専用の道路を住宅街の後ろの方に回すとか、そういう工夫をみんなでやっていこうではないか。

 こういうことで、ローカルルールというものをできるだけ一緒に検討して、工夫しながらやっていきましょう、そういう部分につきましては私どもも、採択基準に合わないからというような画一的なものではなくて、採択基準自体も、最初に申し上げました実験的な試みも含めて大いに弾力的にやっていこう、こんなふうに方向として考えているところでございます。

若泉分科員 ありがとうございます。そのようにまたいろいろと御指導いただいたり、またそういう予算づけでお考えいただきたい、このように思っております。

 そこで、ちょっと細かいことになりますが、私、福井県でございます。福井県の丸岡バイパスの工事に着手しまして長期間を経過しておりますが、完成に向けました今後の見通しについてちょっとお聞かせいただきたい、このように思っております。

佐藤政府参考人 御指摘の丸岡バイパスは、国道八号の福井バイパス、金津町から武生に至ります全体の延長が四十二キロという大変長いバイパスでございまして、そのうちの一部、丸岡町をバイパスする部分として約三・一キロの区間でバイパスとそれから四車化をやっておるところでございます。延長三・一キロのうち、一・二キロ既に完成四車線という形で、残り一・九キロ暫定二車線のままですから、これを四車線にしようということで今努力しているところであります。

 用地買収の方が、大体九割以上完了いたしました。そこで、福井市側の〇・七キロにつきましては平成十六年度、残ります一・二キロの区間につきましても用地買収を残りの分を仕上げてうまくいけば平成十七年度の供用、こういう形で整備を進めているところであります。

若泉分科員 時間がございませんので、今私が申し上げますことに関しましては要望といたしたいと思いますが、実は、きのうずっと、三時間ほどあっち行ったりこっち行ったり、全部現地を見てまいりました。

 どうも用地の買収が進んだようですが、今おっしゃいました一・二キロが十数年かかっているんですね。恐らく地主さんとの交渉が大変だったと思いますが、やはりこれは県や市町村にもっと一生懸命協力してもらってやるべきだと私は思います。それは知らないんです、普通の住民は。何て、国土交通省はこの一・二キロを十数年もかかっているんだろうなんと思っていますから、その辺の理解は地域住民と十分に協力をしていただきたい、このように思っております。

 もう一つ、きのう見てまいりましたのでは、それを交差します交差点の道路が三カ所か四カ所あるんですが、これが全部一車線なんです。そこで非常に混雑しているんです。今も渋滞しております。

 これは県との調整が必要かと思いますが、この交差点のところの道路を五十メーターでも例えば附帯工事で国土交通省さんでおやりいただくとか、ぜひともその辺の県との協力の中で、あの三カ所か四カ所の交差点が大変な渋滞をしておりますので、この辺はひとつ御要望としてお願いしたいと思います。

 大臣にどうしてもお聞きしたいと思いましたので、もう時間がございませんので最後にさせていただきますが、都内はもちろんのこと、全国的にどこでも見られることでございますが、ガス工事、水道工事、道路補修工事、橋工事、この路上工事というのは絶えず行われているんです。なぜこれが一緒にできないんだろう、なぜこれをお互いに話し合って一回で終わるようなことに、これはいろいろなそのときの状況とかそういうものもございますので一概にこれを一緒に工事した方がいいというようなことは言いにくいわけでございますが、他省庁の施設との合築を行うことなどを含めまして、公共事業の実施に当たりましては、省庁間の連携によって事業を効率的に実施していくべきではないかと思います。

 これは、市町村に対する指導もいただきたいと思いますが、特に行政改革、構造改革をおやりになりました大臣におかれましては、同じところで掘ったり埋めたり掘ったり埋めたりというようなことがあるのは、これは私は国土交通省の責任とは言いません、しかし、やはり各省庁間の連携というものは非常に必要でございますので、このようなむだな工事がないように、ぜひとも大臣のいろいろな御指導を賜りたく、お願いしたいと思います。

 特に、閣僚の会でもそういう話が出れば、お互いの省庁が合築してむだなことがないように、むだな経費がかからないように、または住民にも迷惑かけることになりますので、その辺をぜひともよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。

石原国務大臣 若泉委員が、御自分の町長さんとしての長きにわたる御経験の中から、さまざまの公共事業のあるべき姿についての御提言をいただいたと考えております。そして、今の御提言も当たり前といえば本当に当たり前である、しかしながらなかなか解決のできない命題の、いわゆる縦割りでございますね、役所間の縦割り、あるいは事業間の協力、こういうものが十分なされていないという御指摘だと聞かせていただきました。

 もちろん、これをスムーズに一緒になってやっていくということは私も重要だと認識しておりますし、例えば、一つだけ例を出させていただきますと、先ほど委員が下水道のお話をされましたけれども、汚水処理施設で下水道と農業集落排水施設の管を一緒につなぎまして処理場を共同利用するみたいなこと、なかなか、片や農林省、片や国土省、環境省とまたがっておりますけれども、もう既にそういう例も出ております。

 さまざまな取り組みの中で、委員の御指摘のとおり、この縦割りの排除と事業間の連帯というものをより強めてまいりたいと考えております。

若泉分科員 また、今度は時間がたくさんいただけましたときに御質問いたします。本日は皆様、まことにありがとうございました。よろしくお願いいたします。

園田主査 これにて若泉征三君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

園田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。早川忠孝君。

早川分科員 自由民主党の早川忠孝でございます。

 これまで憲法調査会あるいは法務委員会で質問させていただいておりますけれども、予算委員会での質問は初めてでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 御案内のとおり、国会議員は、あくまで国民の代表者であります。一部の地域や特定の団体等の利益を追求する存在になってはならないことは、言うまでもありません。しかしながら、地域の発展や経済社会の繁栄あるいは一人一人の国民の生活の安寧なくしては、国家の存立もあり得ません。

 現在、国から地方へ、官から民へと我が国の構造改革が急ピッチで進められておりますが、私は、国と地方、また国家と国民のありようをしっかりと見きわめて、二十一世紀を迎えた我が国の国づくりを進めていかなければならないと考えております。

 国づくりの根幹は、道路交通網の整備であります。

 道路の整備は、国、都道府県、市町村がそれぞれの役割を分担して、基本的には税金の負担で進めていかざるを得ない事業でございます。道路の整備について、各地域ごとに高規格幹線道路から地方道まで、地域の特性に応じて計画的、体系的な整備が必要と考えられますが、国土交通省の取り組みについて、まずお伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、道路というのは、社会の一番骨組みといいますか土台、こういった形で、いろいろな経済活動、暮らしを支えるということが大事なことであろうかと思います。その際に、先生御指摘のとおり、高速自動車国道から地方道、市町村道に至るまで体系的に整備して、有機的なネットワークを形成する、そして、そのそれぞれの機能、役割を十分果たさせていただくということが大事なことだと思います。

 そこで、二点申し上げたいと思います。

 これまで、そうしたことを前提として、地域の道路計画のマスタープラン、こういうものをつくろうということでやってまいりました。これは広域道路整備基本計画、こうした名前のもとに、国、県、市、それも、最近よく御指摘されます、道路法上の道路と、それから大規模な農道とか林道とか、それぞれやはり別々にやっていてはおかしいではないか、こういう御指摘もありましたので、この十年ほどは全部一緒になって、計画は一元的に一緒にやろう、こういうことでやってきたところであります。

 さらに、昨年の十月に、道路事業を含む九本の事業計画の長期計画を、社会資本整備重点計画、こういうことで策定させていただいて、それぞれの事業の相互の連携、こういうものもたいへん重要視しながら社会資本整備を進める、こういうことにしたところであります。

 そこで次に、三点目、一般論だけではなくて具体的に、ではそれぞれの地域地域でどうするかということがまた大事な問題でございまして、そういう意味では、例えば関東におきましては、関東のブロックとして全体の社会資本整備重点計画を基礎にいたしまして、関東ブロックの社会資本の重点整備方針、こういうものを国、県、市それぞれが一緒になりまして策定している最中でございます。案を一月に出させていただいて、いろいろな御意見をさらに伺うということにしております。

 こういう中で、環状道路の整備であるとか、あるいは、空港、港湾とのアクセスが関東の場合にもうまくいっていないのではないか、こういう御指摘もありますので、こうした点を重点事項といたしまして、いろいろな社会資本を連携してより一層それぞれが効果を持ち得る、こういうような方向を出させていただいたところであります。

 また、国民の皆様、住民の皆様の御意見もPIといった形でいろいろいただきながら、きめ細かな道路整備あるいは社会資本整備全体の連携、こういうものを図ってまいりたいと思っております。

早川分科員 現状では、都道府県や市町村の境界をまたぎますと、それまで十メーター以上の幅員の道路が、車のすれ違いも危険な道路に一変するということも数多く見られます。都道府県や市町村の行政の枠組みを超えて、地域を一体として道路の整備を進めていかなければならないと痛感しております。

 ところで、道路行政については、いわゆる成果主義への転換がなされているというふうにお聞きしておりますけれども、その内容についてお教えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 道路行政におきましては、平成十五年度から成果主義を取り入れて、それぞれの各県とも一緒に力を合わせて、世の中に情報を徹底的に公開して、そして、その目標のいかんといった点についても御批判、御意見をいただくということにしているところであります。

 一例を申し上げますと、全国的には、例えば渋滞時間を一年間で約二・五%削減しよう、こんな目標を立てたところであります。それぞれまたこれを各県別に目標を立てていただいて、そして世の中にお示ししているところでありますが、果たしてそうなるかどうかというような点についても十分フォローしながら、改善を繰り返してまいりたいと思っているところであります。

 そういう意味では、各県と、それから共同作業といたしましては、地元の国道事務所、あるいはまた代表的な市町村にもお入りいただいて、みんなでどういう目標にするかとさんざん議論した末に、十五年度分の目標を出させていただいているところであります。

 渋滞の例を申し上げましたが、例えば路上工事の時間であるとか、あるいはまた拠点的な空港、港湾へ道路がアクセスできる割合、こういったものを、この一年あるいは五年、どのぐらいの目標でその率を上げていくか、あるいはまた道路交通状況の死傷の事故率、こうしたものをそれぞれの地域ごとにどういう目標にしていこうか、こういうことで出させていただいているところでございまして、先生御指摘のように、こうしたことによって、むだのない重点的な取り組みがさらに一層図れるように努めてまいりたいと思っております。

早川分科員 それでは、私の地元の課題について若干お伺いいたします。

 国道二百五十四号和光富士見バイパスというのがございます。交通混雑の緩和だけでなく、緊急災害時の重要な役割を果たす道路として計画されておりまして、首都圏中央連絡自動車道と東京外郭環状道路を連結する、埼玉県県内一時間道路網構想の一翼を担う幹線道路でございます。

 本バイパスの整備につきましては、昭和五十年の二月に新座市の大和田から富士見市の南畑までの四・七キロが供用開始され、昭和五十六年八月に、川越市から富士見市の南畑まで、公共事業区間とあわせ、有料道路区間も供用開始されております。しかしながら、近年の自動車交通量の急激な増加から、交通容量をはるかに超えた自動車が現道へ流れてきており、交通混雑をきわめている状況にございます。

 このような状況の中で、事業主体の埼玉県では、国道二百五十四号和光富士見バイパスを優先度の高い事業と位置づけておりまして、国道四百六十三号線から国道二百九十八号線までの延長六・九キロメートルについて、その早期完成を要望しているところでございます。

 つきましては、本事業について、国土交通省においてはどのようにお取り組みであるか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 先生御指摘の和光富士見バイパス、これは昭和五十九年度より事業に着手しているところであります。延長が、御指摘のように六・九キロ、東京の外郭環状道路、和光の北インターと、既に先生先ほど御指摘の富士見川越有料道路だと思いますが、そこと結ぶ、こういうことで、約六・九キロの計画を五十九年より事業に着手しているところでございます。

 しかしながら、大変やはり費用もかかるといいますか、大都市近郊、こういうことで用地補償費も高いということもありまして、六・九キロで、おおむねで申し上げますと一千億円ぐらいもかかろうかという大事業であります。重点的な整備を進めていこうということで、その中でも区間を重点的に区切りながらやってきている。こういうのが実態でございます。

 これまでに、東京外郭環状道路から〇・六キロ、平成四年に供用して、とりあえず外郭環状道路とのアクセシビリティーを強化したということでございますが、さらに第一期整備区間といたしまして残り二キロ、主要地方道の朝霞蕨線まで、合計で外郭環状道路から二・六キロあるわけでございますが、これの早期整備を実行しようということでございます。

 先生御指摘の成果主義の目標、こういうことで、埼玉県としてもこの事業を、業績評価で申し上げますとランク一の大変重要な事業、こういうことで位置づけてこの重点的な取り組みを図るということにしているところでございまして、この一期区間といいますか、全体で二・六キロ、これを平成十九年度までには何とか整備しようと。特に、用地買収等が、非常に市街化の進んできておるところでもあるわけでございますので、地元の皆様あるいは地元の公共団体、県と、また、東京外郭環状道路に接続する道路でもございますので、国あるいは公団も力を合わせて、みんなで十九年度の首尾よき開通目標というものを何とか達成していきたい、こういうふうに思っているところであります。

 残りの、約四キロあるわけでございますが、これにつきましても、大変な事業費がかかるところではありますが、コストの縮減等一層工夫しながら、あるいはまた地元の皆様との十分な協力関係を引き続き一層築きながら、その整備推進に力を入れてまいりたいと思っております。

早川分科員 どうもありがとうございます。

 さて、東京外郭環状道路についてでございますけれども、これは首都圏の交通円滑や環境の改善等のために必要不可欠と認識しております。現在、大泉までしか開通していないために、国道二百五十四号線との結節点である和光インターチェンジあるいは和光北インターチェンジ付近での交通渋滞が極めて著しい、そのために近隣の住民、利用者に多大の苦渋を強いているという現状がございます。

 つきましては、大泉以南への延伸について、その取り組み状況と今後の方針についてお伺いいたします。

佐藤政府参考人 東京外郭環状道路につきましては、東京の中心から大体半径十五キロぐらいを環状で結ぶ、こういうことでございまして、全体の計画延長としては約八十五キロあるわけでございます。そのうち約三十キロ、常磐道から関越道までが開通している、こういう状態で、残りの部分について早く事業の推進あるいはまた開通ということが求められているところであるわけでございます。

 御存じのように、関越から常磐道まで供用する以前は、浦和の県庁に行くにも、例えば草加とか、ほんのわずか、十キロから十五キロぐらいしか離れていなくても一時間以上かかっていたというのが実態でございまして、埼玉県の南部、それまでは、特に東西方向、時速で申し上げますと十五キロでも走れない、こういう状態でございました。外郭環状道路ができましてから、かなりそこの部分は改善されたというふうなことでございます。なお一層、このわずか三十キロではどうしようもない、こういうこともありまして、先生御指摘のように、関越から東名、さらには湾岸道路まで、こういうことが望まれているという状況と思っております。

 そのうち、関越から東名まで、これが約十六キロございます。これは、計画の構想段階から幅広く意見を聞きながら、いただきながら計画づくりに反映するパブリックインボルブメント方式、いわゆるPI方式ということで検討を進めさせてきていただいていまして、平成十五年三月には、家屋の移転数を最小限に抑えて、速やかな整備を図るため、大深度地下、五十メーターよりも深いような縦断で、スムーズな計画、工事を図りたい、こういうことで、その方針を公表させていただいたところでございます。

 現在、沿線住民の方々と関係行政機関、それから東京都、国のメンバーから成りますPIの外環沿線協議会を開催いたしまして、外環の効果と影響につきまして議論しておりまして、これまでに現地視察等を含めまして延べ約三十五回この協議会を開いていただいている、こういうことであります。

 さらに、こうした話し合いあるいは理解し合うということと同時に、詳細な環境に関するデータが必要、こういうことも意見として受けまして、昨年七月、平成十五年の七月に環境影響評価法に基づく方法書を作成しまして、十二月の東京都知事からの意見を踏まえまして、本年一月から環境の現地調査を開始したところでございます。

 今後とも、こうした沿線自治体あるいはまた住民の皆様との意見交換等を踏まえながら、地元の意向等を把握いたしまして、早期に関越道から東名高速間の計画を取りまとめて、既に昭和四十三年でございましたか、旧法の都市計画法で四十三年か四年でございました、旧法の都市計画法で都市計画をお決めいただいているわけでございますから、いずれにしましてもこれの変更、こういうことも必要になりますので、急いで、地元の皆様とのそうした調整を踏まえて、都市計画の変更などの手続に入れるようにみんなで努力している、こういう状態でございます。

早川分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、これは平成十二年の十二月に全線開業した都営大江戸線についてお伺いいたします。

 この大江戸線につきましては、首都圏における新たな交通ネットワークの形成や交通不便地域の解消、沿線地域の活性化等に重要な役割を果たすものとして、東京都民のみならず周辺自治体の住民も大きな期待を寄せているところでございます。

 しかしながら、東京都区部西北部地域あるいは北多摩北部地域、埼玉県南西部地域の住民は、多く都心部に通勤通学をしておりますけれども、既設の鉄道路線は、いずれも依然として混雑をきわめております。また、東京都に隣接する埼玉県の新座市地域の大部分が鉄道空白地域となっておりまして、周辺の郊外部から東京都心部に向かう車両が通過することから、周辺道路が渋滞し、あるいはバス交通に支障を来す等、鉄道利用の大きな阻害要因となっております。

 そこで、都市高速鉄道十二号線、都営大江戸線の練馬区光が丘から先の大泉学園町、新座市、清瀬市を通って、所沢市のJR武蔵野線東所沢駅までの早急な整備着手が求められているところでございます。都営十二号線について、大泉学園町から、さらに人口が増加しております東所沢方面に延伸してJRとの連係を実現すべきではないかと考えますが、国土交通省のお考えをお伺いいたします。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 都営十二号線の延長につきましては、まず、光が丘から大泉学園の間につきまして、平成十二年に出されました東京圏における鉄道整備計画におきまして、二〇一五年までに整備に着手することが適当である路線というふうに位置づけをされておるところでございます。それから、その先の大泉学園から、今先生お話しになりました武蔵野線方面への延長につきましては、現段階では輸送需要が十分ではないということで、今後整備について検討すべき路線とされておるところでございます。

 先生から御指摘ございましたように、大泉学園から武蔵野線の方面へ延長されますと鉄道空白地帯の解消になるということは私どもも考えておるところでございますが、まず、建設費が今のところ見積もりますとほぼ二千億円ぐらいかかる、この建設費をどういう形で費用負担するんだろうか。あるいは、輸送需要があるんだろうかとか、あるいは収支採算性はどうなんだろうかとか、まだ事業化に向けては解決すべき基本的な課題が残っている路線だというふうに考えております。今後、埼玉県を初めとしまして関係自治体で、今私が申し上げましたような課題につきましてさらに議論を深めていただければというふうに思っておるところでございます。

早川分科員 いずれにしても、大泉学園町までについては、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線というふうに位置づけられているところでございますけれども、どうも、現在の木場にある車庫では容量がいっぱいであって、新しい車庫用地の確保が課題となっているというような話を伺っております。

 そこで、大泉学園町までの延伸と一体的に、新座市の区域に車庫用地を確保して、当面は新座市域までの延伸を行うべきではないかとも考えられます。先ほどの運輸政策審議会の答申ではそのような検討になっておりませんけれども、こういった社会的なニーズの変化に合わせて、整備の優先順位について変更すべき事情があるのではないかと考えておりますけれども、その変更の可能性等についてお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 今申し上げましたように、延伸につきましては、二段階で、目標年次までに整備するところと、それから、大泉学園から南の武蔵野線については、今後整備について検討すべき、こういうふうになっておるわけでございますが、実際の鉄道整備は、その時点で輸送需要などの動向がどうなっておるかとか、あるいは事業化に向けた検討がどのぐらい深まっているかとか、あるいは、その路線を取り巻きますいろいろな状況の変化などによりまして、答申ではそうなっておりますけれども、それと違うことになるということも十分考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたが、東京十二号線の延伸につきましては、まだ関係自治体を中心とします関係者間で基本的な問題が詰まっていないというところがございますので、そこの議論をもっと深めていただきたいなというのが私どもの考えでございます。

早川分科員 私は、東京、埼玉、千葉、神奈川、いわゆる首都圏については、一つの経済圏、生活圏として総合的、計画的に、一体的に整備される必要があると考えております。

 ところで、三大都市圏の近郊整備地帯につきましては、用途地域に係る都市計画の決定権限が知事と定められております。その結果、都県境で用途地域が不整合となっている地域が多々存在をしておりまして、都県境を挟んで、東京都側が戸建て住宅の立地、埼玉県側がマンションの立地、そういった土地利用の不均衡等を生じております。

 マンションの建設等の開発行為に伴う住民と事業者との紛争を防止するためには、指導要綱や条例等による規制、誘導では限界があるところであり、抜本的には用途地域などについて地域の実態に合ったきめ細かな指定が必要となると思います。そのためには、地域の実情を最もよく知り、住民に最も身近な行政を担当している市において、用途地域について決定することができるようにすることが必要ではないかと考えます。

 分権型社会にふさわしいまちづくりを進めるためにも、三大都市圏の近郊整備地域における用途地域の都市計画の決定権限を市に移譲することも一つの選択肢ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか、お考えをお伺いいたします。

竹歳政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど、先生、道路整備について、例えば地域を超えて一体的に整備すべきである、また、首都圏については広域的な調整を図るべきだという御指摘がございました。

 都市計画につきましても、原則は市町村決定ということでございますが、広域的な調整の問題については都道府県決定としていることは、御案内のとおりでございます。具体的には、実は地方分権推進委員会で徹底的に御議論いただいて、例えば機関委任事務を自治事務にする、また、具体的な都道府県と市町村の都市計画決定の権限配分について、一応の結論が出されているところでございます。

 そこで、今お尋ねの三大都市圏の用途地域についてでございますけれども、この分権の委員会で、都市開発区域は外すことにして市町村が決められることにいたしましたが、近郊整備地帯、既成市街地については、今までどおり、やはり広域的、一体的に計画をつくるべきだということで、都道府県決定とされているところでございます。

 以上の原則を踏まえまして、三点ございます。

 一つは、地方分権推進委員会の次の地方分権改革推進会議で、少なくとも中核市については政令市並みにみずから決定できるようにしてはどうかというような御意見もございまして、平成十一年の都市計画法を改正いたしましたが、その定着状況等も踏まえて、フォローアップをして、平成十六年度以降必要な検討をするというようなことが一つ方針として出されております。

 また、具体の運用につきましては、平成十二年に都市計画法を改正いたしまして、都道府県が決める用途地域の計画につきましても、市町村が提案をして都道府県と積極的に話ができるような制度をつくりましたし、さらに一歩進めまして、今国会に都市再生特別措置法の改正案というのを出しておりますが、そこにおきましては、市町村が事業を実施する場合に必要なときには、都道府県決定の地域、地区に関する都市計画についてさらに決定とか変更の要請ができるというような、一歩ずつ進歩させようとしているところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省としては、フォローアップということもにらみながら、県と市町村の間でございますので、ぜひスムーズに意見交換できるように、制度も大いに活用していただきたい、このように周知してまいりたいと考えております。

早川分科員 ありがとうございます。

 若干地震の関係についてお伺いしたいんですけれども、この通常国会で、地震等による被災者の生活再建支援とか、あるいは住宅再建の支援制度が大幅に拡充、整備されることになりました。

 私も、日弁連の自然災害に関する委員会の委員をしておりました関係で、阪神・淡路大震災が発生した当時、テレビ等に出てコメントをしたことがありますけれども、その当時、地震学の専門家の方から、これから十年以内に九〇%以上の確率で南関東の大震災が発生するおそれがあるということを伺ったことがあります。

 そこで、大震災の被害の拡大を最小限にするためには、被災者の避難路や、あるいは被災者の方々の救助、援助活動等に従事する方々の交通手段を確保する必要があろうと存じます。関東地方に荒川がございますので、こういった大地震の際の緊急輸送路等としてこういった河川を利用できるように整備すべきではないかと考えますけれども、国土交通省において河川の利用あるいは舟運の利用についてどのようなことを検討されているか、お伺いしたいと思います。

清治政府参考人 地震の際の河川敷あるいは水運の利用についてのお尋ねでございますが、特に都市の中での河川の空間というのは非常に多面的ないろいろな機能を持っているわけでありますが、こういう災害のときにどう活用するかということにつきましては、御指摘いただきましたようなことにつきまして、河川局としても非常に重要な課題というふうにとらえております。

 具体的に、今御指摘ありましたような緊急用河川敷道路、それから河川防災ステーション、これは避難場所でありますとかそれから復旧の拠点になるようなところでありますが、ヘリポート等にも活用できるような、そういうものとあわせて、それから、今道路との連携の話もございました。

 道路それから舟運との関係についても、この緊急用河川敷道路をうまく活用できますように、緊急用船着き場も整備を進めております。これは、計画的に進めていこうとしておりますが、荒川につきましては、平成十四年度末現在、緊急用河川敷道路七十八キロと、緊急用船着き場八カ所、整備が完了しております。

 これからも、うまく活用できるように、計画的な整備を進めてまいりたいというふうに思っております。

早川分科員 時間がなくなってしまいましたので、最後に一点お伺いさせていただきます。

 これからのまちづくりは、安全、安心、快適な環境づくりを基本としなければならないと考えております。そういう意味で、美しいまちづくりをするためには電線類の地中化が必要であると考えていますけれども、その電線地中化事業についての取り組みがいかがであるか。

 さらに、私の選挙区であります埼玉県の朝霞市、志木市、和光市、新座市というのは、東京や関東近県から多くの住民が移住をされた東京のベッドタウンとして発展してきた地域でありますけれども、昭和四十年代に移住されてきた方々も現在では七十歳、八十歳になり、いわゆる地域の高齢化が進んでおります。そういう意味で、高齢者あるいは体の不自由な方々が安心して公共交通機関を利用して移動し得るようにすることは、国において特にこれから重点的に促進すべきではないかと考えます。

 平成十二年の十一月の十五日にいわゆる交通バリアフリー法が施行されていますけれども、このバリアフリー化の現状についてもお伺いいたします。

 以上をもって、質問の最後とさせていただきます。

佐藤政府参考人 それでは、前段の方の電線類の地中化でございます。

 我が国は大変地中化がおくれておる、これは事実でございます。平成十四年度末現在で申し上げますと、市街地で電線の地中化がされているのは、幹線道路だけでもまだ七%でございます。これをあと五年間ぐらいで倍増以上にしよう、一五%ぐらいにはしたいな、こう思っておりまして、そのために、予算の確保とコストの縮減ということで、コストも、七億円程度かかるところを五億ちょっと、五億六千万、こういうような形で、二割の縮減、こうしたことも目指しながら大いに進めてまいりたいと思っております。

澤井政府参考人 バリアフリーでございますが、自宅から交通機関、さらには町中まで連続したバリアフリー環境が広く整備されることが必要だと思っています。

 昨年十月に決定されました社会資本整備重点計画の中でも、このバリアフリーの進展については、非常に重要な目標として位置づけておりまして、例えば平成十四年の末から十九年末までの五年間で、一日平均利用客数五千人以上の旅客施設、駅が代表でありますが、今バリアフリー化されているものが約四割でありますが、この五年間で七割強に持っていこうと思っています。

 一方で、異なる事業主体間の連携で連続的なバリアフリー環境を整備するということも大事でありまして、御指摘のバリアフリー法の中でも、市町村が基本構想を定める、基本構想に従いまして、いろいろな事業主体が一斉にやっていくというような取り組みも今後進めていかなければいけないと思っております。

早川分科員 終わります。

園田主査 これにて早川忠孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、宇佐美登君。

宇佐美分科員 民主党の宇佐美登でございます。

 本日は、私の選挙区でございます地元羽田空港の国際化問題などに関する質問をさせていただきたいと思います。

 さて、今国会で東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法案が提出をされているところでございます。我が党としましても、この法案については、速やかに議論が進み、そして、かつ賛成できるものと考えております。

 この中で、もう大臣そして関連の皆様には御存じのとおり、平成十四年六月の閣議決定で、この閣議決定は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二という中で、「羽田空港を再拡張し、二〇〇〇年代後半までに国際定期便の就航を図る。」ということで位置づけられているところでございます。

 そういった状況の中で、今回、約二十八万回の現在の年間の羽田空港の発着容量が四十・七万回、約一・四倍、プラス十三万回ということになるわけでございますけれども、その増加枠を利用して国際定期便を就航する予定になっているはずでございます。この羽田空港拡張後に就航する国際定期便の路線について、御答弁をいただきたいと思います。

石川政府参考人 羽田空港でございますが、先生御指摘のとおり、国内需要の増加が今既に能力いっぱいでございまして、そのために、新たに第四本目の滑走路を整備するということで、再拡張事業を早期に実施したいと考えております。

 これによりまして、年間の発着能力でございますが、現行の二十八・五万回から四十・七万回へ一・四倍に増加するということになりますけれども、この中で、基本的には、国内航空需要に対応した発着枠を確保した後に、おおむね三万回程度の発着枠ということについて国際線の枠として活用して、これによって国際定期便の受け入れということをしたいと考えております。

 首都圏におきましては、御案内のとおり、羽田空港が国内線の、成田空港が国際線のそれぞれの拠点空港というふうな考え方のもとでございますけれども、羽田国際空港の再拡張後に就航する国際定期便の路線、これにつきましては、基本的に、近距離国際路線を基本として考えている次第でございます。

宇佐美分科員 とすると、これからの路線決定プロセス、もしくは、今近距離というお答えがあったわけですけれども、どこまでを大体目安にして考えていらっしゃるのか。今後のこの就航ルート等について、現状の報告をお願いしたいと思います。

石川政府参考人 この第四滑走路、二〇〇九年に供用を開始したいということで頑張っていきたいと思っておりますが、それまでの間に時間的な余裕があります。こういうものを、間がありますので、就航路線の対象を定める基準、あるいは対象国との間での個別の航空協議というものを行い、決定をしていきたいと考えております。

 先ほど近距離国際路線と申し上げたわけでございますが、現時点では決定しているわけではございませんが、現在、羽田発着の国内線の最大距離というのが羽田と石垣間でございまして、この間千九百四十七キロでございますが、これを一つの目安として今後検討していくことになろうかと思います。

宇佐美分科員 この東京―石垣間の千九百四十七キロといいますと、例えば一般的に近距離だと思われる台湾などは入らないんですね。中国の一部が入って、あと、グアムもサイパンも入らないということでありますので、アメリカ側からすれば恐らくハワイも入れてほしいとか、ASEANの感覚からすれば、各国からの要望もあるかと思います。

 今おっしゃられたプロセスの中で、できる限り羽田から便利に海外、近距離、二千キロと言わずに、柔軟に対応をしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 続いて、この羽田空港の問題、地域では多くの皆さんが賛成をいただいているところであります。特に経済効果を期待するところも大でありますし、加えて、やはり海外に行くときに、目の前からすぐ行けるというのも、そういった利便性もあるわけですし、いろいろな企業が羽田の近くに来たいといった現象も既に起こり始めているわけでございます。

 ただ、その中で、騒音問題というのは、どの空港のときにも問題になってくると思いますけれども、そんな中で、再拡張後の飛行ルートについて既に決まっているのか。これまでどのような場で検討を行い、今後どのように行っていくつもりなのか。その点について御回答をお願いします。

石川政府参考人 飛行ルートの問題でございますが、羽田空港の再拡張事業につきましては、昨年の一月から、国土交通大臣と関係する都県市の首長をメンバーとする羽田空港再拡張事業に関する協議会というものを設置しております。

 ここで、その第二回協議会の場で、飛行ルートについて、一つが安全上問題のないルートであること、一つが離着陸それぞれ一時間当たり四十回、年間では四十・七万回、こういうものを処理可能なものであること、さらには、騒音につきましては、環境基準を満たすことは当然のことながら、東京湾をできるだけ活用して騒音を処理するなどによって陸上における影響をできるだけ小さくするというふうなものの、いわば基本的な考え方をお示ししたわけでございまして、その後、航空局等で検討を重ねまして、去る二月九日の第四回協議会の場で飛行ルートの案を提示させていただいたところでございます。

 私どもとしては、今後とも関係首長の協力を得ながら、関係市町村等の方々から御意見を出していただいて最終的に決定をしていきたいと考えております。

宇佐美分科員 東京湾のところで騒音といっても、この再拡張後の騒音問題、まだまだこれから議論がたくさん行われなければならない話なんだと思います。ぜひ、この大田区の問題も御検討いただきたいと思います。

 そんな中で、再拡張後、いわゆるハミングバードという、今、朝七時台、八時台の前半部分で、一日五便以内という条件のもと、現実的には五便、朝、羽田空港から品川の八潮の方、つまり北側に行って、そのまま左旋回をして大田区の上を通って飛んでいくという飛行ルートがあります。

 これをハミングバードと呼んでいるわけでございますけれども、朝七時台、八時台で五便なんですけれども、そういった中で、地域の皆さんからは、やはりその騒音問題について何とかしてほしいという陳情、御相談を日々いただくわけでございます。

 八時十五分からのNHKの連続テレビ小説のぎりぎり前ぐらいまでに飛び終わるようでございますけれども、日によってはその時間もあるようでございまして、特に羽田で生まれ育った皆さんからすると、二十四時間の強制退去、戦後あった中で、その騒音問題で悩む気持ちというのは本当に痛ましいものでございます。

 そんな中で、この再拡張後、ハミングバード運航について、縮小もしくは廃止というものをぜひお願いをしたいと思います。

 その点について、東京の選出であります国土交通大臣、石原大臣ならばその事情もよくわかっているかと思いますので、その点についても御答弁いただきたいと思います。

石川政府参考人 いわゆるハミングバードでございます。先生御指摘のとおり、A滑走路から北向きに離陸した後に左旋回をするルートでございまして、出発需要の特に集中する朝の時間帯に限って五便、地元の御理解と協力を得て実施しているところでございます。

 再拡張後におきましてどうかという御質問だと思いますが、朝に羽田から出発する需要というものは、現在でも極めて多く集中しているわけでございまして、その事情は再拡張後というものについても変わりがないというふうに私ども考えられます。そういう意味で、引き続きハミングバードにつきましてはこれを実施するという必要があると考えております。

石原国務大臣 騒音問題というものは、世の中が利便性を高めていく中で必ず発生する問題で、航空機に限らず、道路あるいは鉄道、さまざまな点でこの問題に地域住民の皆様が大変高い関心を持たれているということは、委員の御指摘のとおりだと思います。

 先般も、これは超党派でございますが、自民党、民主党、公明党、共産党、社民党ですか、の皆様、私のところにおいでいただきまして、同趣旨のお話をさせていただいたところでございますが、この問題は、騒音対策は、周辺対策と、もとであります発生源対策と二つあって、この発生源であります飛行機の機材というものをより騒音の低いもの、これも昭和三十年代、四十年代と違いまして、当時のB727と比べますと格段に、私も現地で音を聞いてまいりましたけれども、交差点程度の音で、室内に入りますと、テレビ等々ついておりますと著しくは気にならない程度のものではございますが、今後ともこういう発生源を、機材の変更、テクノロジーの変化によって克服することによりまして、地元の皆様方の御理解というものを引き続き得ていく努力を推進させていただきたいと考えております。

宇佐美分科員 現都知事の石原慎太郎さんは、まさに、中選挙区時代、大田区と品川区を選挙区にされていたということもあり、現大臣、御家族は大田区でお住まいですから実情もよく御存じだと思いますので、先日、超党派で大田区議会の皆さんから出された陳情書も踏まえて、ぜひこのハミングバードの騒音問題について、さらに前向きな検討をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、いわゆる神奈川口構想というものの検討についてお尋ねをしたいと思っております。

 先般、テレビの報道などで見ておりましても、千葉県の堂本知事さんや神奈川県の松沢知事さんなど、いろいろな場で協議をされているようでございますけれども、特にこの神奈川口構想、川崎の扇島のところに、直接羽田空港と橋を通して神奈川口をつくろうと言っているわけでございますけれども、この点について、現状、国土交通省はどういうような検討などをされているのか、お願いします。

石川政府参考人 神奈川口構想でございますけれども、昨年の十二月に、神奈川県、横浜市及び川崎市から御提案をいただいたものでございまして、神奈川口構想と言われているものでございますが、これにつきましては、本年の二月十二日に、国土交通大臣と神奈川県知事、横浜市長、川崎市長等を構成員とします神奈川口構想に関する協議会というものを設置したところでございます。

 神奈川口構想でございますが、先生お話しのように、神奈川県の羽田空港に隣接する地域、これを神奈川口としてとらえて、これを核とするまちづくり、あるいは空港アクセスの改善等ということでございますが、多岐にわたる事項を内容とされております。

 私どもとしては、今後、先ほどの本協議会において神奈川口構想について検討してまいりたいと考えております。

石原国務大臣 事実関係については、ただいま航空局長が答弁をさせていただいたとおりでございます。

 二月十二日の会議で、阿部市長さん、松沢知事等々ともお話をさせていただきましたが、この川崎市の島の部分、ここは大きな工場等々があったわけですけれども、そこが出ていってしまいまして大きな空き地になっていて、ぜひ、川崎市、神奈川県も応援して、ここの再開発等々を行っていきたいと。

 もう委員御承知のとおり、京浜重工業地帯のここから南の方にかけまして、かなり空洞化等々も進んでおります。そんな中で、羽田の再拡張、四本目の滑走路ができ国際化することによりまして、この地域に少しでも役立つ施策というものをどのような形で実現していくのか。そのお話の中で、アクセス道路がやはり神奈川の方からは大変乏しいということもありまして、こういう御要望が出てきているものでございますので、この協議会の場を通じまして、積極的に、前向きに検討させていただきたい、そんな話をさせていただいたところでもございます。

宇佐美分科員 二月十二日、まだ第一回目の協議会でございますから、検討されているということでございますけれども、いろいろな提案があったというふうに拝聴しているところでございますけれども、基本的にはまだ何も決まっていないという認識で、局長、よろしいですか。

石川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、神奈川口構想というものは、かなり内容が多岐にわたっております。内容によっての熟度もかなり違います。そういう中で、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては検討を進めてまいりたいと考えております。

宇佐美分科員 まだ第一回目ですから、何も決まっていないということなんだというふうなお答えだと理解をしているところでございますけれども、地元大田区からすれば、川崎に直接神奈川口ができるということは、羽田の国際化により期待をしている経済波及効果の一部が、もしくは結構な大きな部分が神奈川なりに持っていかれるということでございますから、大田区の皆さんからすれば、本当に生活に大変身近な問題でございます。

 今後も、私も、皆様の議論の状況を追い続けながら、ブレーキを踏むときには力いっぱいブレーキを踏ませていただきたいと思っておりますが、国益との関係もあるということも十分承知しているところでございますけれども、再三申し上げるように、現都知事は、地元出身ということもあって、今も大田区にお住まいですから、状況はわかっているかと思います。

 羽田空港をおりてから、その通ってくる道々の状況の中で、今、大田区の経済状態がどれほど疲弊しているのかということも、知事も御存じでしょうし、大臣もよく御存じだと思います。ぜひ、この神奈川口構想について、前向きにというよりも、慎重に、かつ、公平公正なこれからの議論を期待したいと思っております。

 さて、その神奈川口構想にも関係する議題になりますけれども、まさに羽田空港の跡地の問題があります。

 当初は非常に大きな数字を国側から示されてきました。二百ヘクタールという数字もあったわけですけれども、現状について、この羽田空港の跡地問題について、利用計画を今後どのように検討していくのか、今持っているアイデアなど含めてお答えをいただきたいと思います。

石川政府参考人 羽田の跡地問題でございますが、先生御指摘のとおり、羽田の沖合展開事業を行う際には、跡地として約二百ヘクタール、こういう話があったわけでございますが、今回、四本目の再拡張事業を行い、これを、先ほど御説明申し上げましたように一部国際線にも活用するということになりますので、したがいまして、国際線用の新しい旅客ターミナル、あるいは貨物ターミナルというものも空港内に設置をするというふうな計画でございます。

 そういうようなこともございまして、現時点では、今般の再拡張事業に伴いまして、跡地というのは約五十三ヘクタールというふうにその意味においては縮小いたしますけれども、この利用の方法については、これを今まで私どもとすれば東京都に売却する方向で調整を進めてきたわけでございますので、東京都が跡地の利用計画等の調査、検討というものを今行っているわけであります。

 私どもとしても、この調査、検討結果に基づいた東京都の考え方、それから地元自治体であります大田区の考え方、こういうものを踏まえながら跡地の処分と利用計画の検討ということを進めてまいりたいと考えております。

宇佐美分科員 この跡地の中には、現在の震災時における避難地も含まれているわけでございますし、また、この羽田空港の運営には地元大田区が多大な協力をしてきたわけでございますので、今後も、地元大田区、経済界を含めて、意向を十二分に酌み取っていただき、無理のないまちづくり、そして神奈川口に負けない地域振興が図られることを強く期待申し上げたいと思います。

 特に、雇用について、地域が今本当に、重ねて申し上げますけれども、雇用状態が非常に悪化しているわけでございます。例えば、一人工場で働いていた御主人が仕事がなくなっている。奥さんがパートに出ていく。朝御飯はコンビニでおにぎりを買って子供が学校に行き、そして、学校の給食だけが唯一のちゃんとした食事になっているというような家庭を何軒も私は存じております。

 そんな中で、この空港の再拡張、跡地の振興を含めて、ぜひ地域の、大田区の皆さんの雇用に十分に配慮をしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、この羽田と絡んでいく問題がございます。京浜急行の連続立体事業、今も鋭意進めていただいているところでございます。

 特に、都知事がその現場まで総理大臣を連れてきてくれて、早期実現と言っていただいたわけでございますけれども、本当にこの連続立体交差の事業をやらないと、環八と京浜急行の本線の交差点などというのは、どれだけの経済阻害要因になっているかというわけでございますので、現状もきゅうきゅうとしてやっていらっしゃるかと思いますけれども、さらに早期完成をお願いしたいと思います。

 また、今のJR蒲田駅、ここは東急多摩川線と池上線が乗り入れているところでございます。京浜急行の蒲田駅から空港線という電車があるんですけれども、このJR及び東急の蒲田駅と京急の蒲田駅というのは、どうでしょう、歩いて十五分ぐらいかかりますね。実際、今、連絡のバスも出ているわけでございますけれども、ここの交通アクセスをよくしないと、大田区の多摩川沿いとか世田谷の皆さんから羽田空港へのアクセスが非常に悪いんですね。

 このいわゆる蒲蒲線という、蒲田と京急蒲田、さらには大鳥居ぐらいまで今つなげようという話になっているかと思いますけれども、これが完成すると、例えば、大臣は杉並ですよね、新宿の方から、渋谷から東急線に乗っていただくと、そのまま京急の大鳥居で乗りかえていただいて羽田空港に行けるという形でございますので、非常にアクセスは便利になっていくわけですね。

 そういった状況の中で、羽田のアクセスに大変重要な意味を占めますいわゆる蒲蒲線の進捗状況について、現状を報告願いたいと思います。

丸山政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたいわゆる蒲蒲線、京浜急行電鉄の空港線と東急の多摩川線を結ぶ路線でございます。十二年一月に出ました東京圏における鉄道整備計画、いわゆる我々は十二年答申と言っておりますけれども、この中では、蒲蒲線につきましては、二〇一五年までに整備に着手することが適当である路線という位置づけになっております。

 先生御指摘のように、蒲蒲線が整備されますと、まず、環八とのごたごたを初めとしまして、蒲田地区の都市機能が大幅に向上をいたします。それから、羽田空港へのアクセスが、東急沿線の方は、これはもちろん、もう一番便利になるわけでございますけれども、営団十三号線が東急線と相直をいたしますと、さらに、東武東上線でございますとか西武池袋線方面、いわゆる埼玉方面の方も羽田空港へのアクセスが非常に便利になるというふうに私ども考えておるところでございます。

 蒲蒲線の整備につきましては、大田区の方でも事業化に向けた調査を開始されたというふうに私ども伺っておるところでございます。ただ、しかしながら、まだ関係者、鉄道事業者を初めとしまして、重要な問題が検討され尽くされていないというのが私どもの認識でございます。

 例えば、まず、費用をだれがどういうふうにして持つのか。あるいは、短い路線でございますので、収支採算がとれるんだろうか。それから、需要がどのくらいあるんだろうかというような問題が残っておると思います。したがいまして、さらなる検討が必要だというふうに思っています。

 いずれにいたしましても、私どもは、関係者間の取り組みの状況を踏まえまして、国土交通省としても適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

宇佐美分科員 この蒲蒲線は、多摩川線、昔は目蒲線と言っていた東急線が、蒲田の手前からJR蒲田の下を通って、大田区役所を通りまして、京急蒲田のところを通って、大鳥居まで京浜急行と並行して、京急は高架をされて、東急線は地下を走ることになると思います。

 いわゆる地下鉄補助事業にも当たるかと思いますけれども、これは、地域の問題はもちろん、非常に大きな国家レベルの問題だとも理解をしているところでありますので、地下鉄補助事業の予算の配分以上に、国がしっかりと予算的にも責任を持ってこの事業を進めていただけるよう期待を申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきたいと思います。

 関係の現場で働いている皆さんも、昼夜を問わず御苦労されているようでございますので、最後に、その皆さんの労働、本当に勤労に敬意を表し、また、関連の皆様方のさらなる前向きな検討を御期待申し上げます。

 どうもありがとうございました。

園田主査 これにて宇佐美登君の質疑は終了いたしました。

 次に、梶原康弘君。

梶原分科員 民主党の梶原康弘でございます。

 まず、観光立国行動計画についてお伺いしたいと思います。

 私の出身地は兵庫県の丹波篠山というところでありまして、田舎町ではありますけれども、デカンショ節であるとか、丹波のマツタケ、丹波栗、丹波黒、黒豆でありますけれども、そうした特産物に恵まれて、全国的にも名前が知られている。私も東京へ出てきて大変得をしていると思っておりますけれども、だからといって、実際、篠山に行った人というのは大変少ないのが現実であります。観光客を誘致するということが本当に難しいなというふうな思いを持っているわけであります。

 経済的な繁栄であるとか電気製品、そういった人気に比べると、日本への外国人の観光客というのが大変少ない。日本の伝統文化に対する魅力がないのかというと、決してそうではなくて、外国人に十分認知をされていないのではないか、ほかにもいろいろな原因があるとは思いますけれども。

 いずれにしても、長い歴史の中で培ってきた日本の伝統文化であるとか風俗あるいは日本の社会を知ってもらうことで日本に対する理解が深まる、こういう意味では観光事業をなおざりにできないというふうに思っておりまして、観光行政の強化をお願いしたいと思っているわけでありますが、まず、外国人旅行者、あわせて国内旅行者の動向をお尋ねしたいと思います。

澤井政府参考人 旅行者の動向でございます。

 まず、外国人旅行者の方々でありますが、年々増加の傾向にあります。平成十四年、これはワールドカップが開催されて、史上初めて五百万人を超えまして、五百二十四万人でございました。平成十五年には、前半、SARS等の影響があったにもかかわらず、後半、相当盛り返しまして、ほぼ前年並みの五百二十二万人の方が我が国を訪れています。

 国内旅行者につきましては、平成三年をピークといたしまして減少傾向にございます。平成十三年、平成十四年ともに、国民一人当たりの宿泊観光旅行回数で見ますと一・四回、国民一人当たりの宿泊回数が二・二回となっております。

 外国人旅行者につきましては、倍増を目指して、ビジット・ジャパン・キャンペーン等、さまざまな施策を展開してまいりたいと思います。

 また、国内旅行につきましても、一地域一観光ということで、相互に、地域の活性化を通じて観光振興、観光の振興を通じて地域の活性化という関係で、今後、交流の拡大を図ってまいりたいと思います。

梶原分科員 昨年七月に観光立国行動計画が閣議決定されまして、意気込みが示されておられるわけでありますけれども、もう少し具体的に、現実にどうやって進めていくのか、特に十六年度予算案の中で観光関係予算はどのように措置されているのか、簡潔で結構でありますので、御説明いただきたいと思います。

澤井政府参考人 十六年度政府予算案の中で、大変全体厳しい中でありますが、観光関係予算につきましては、対前年度比一八%増、六十億円を計上しております。

 この中で、特に訪日外国人旅行を促進するための予算に重点を置いておりまして、日本の魅力を海外に積極的にアピールするビジット・ジャパン・キャンペーンの推進を初め、一地域一観光づくり推進事業、あるいは、外国人旅行者の方が一人で歩けるように環境整備をしていくというような予算を中心といたしまして、対前年度比六八%増、三十五億円を予算案に計上しております。

 この予算をできるだけ有効に活用いたしまして誘客につなげたいと思っております。

梶原分科員 私の選挙区でありますが、やはり幾つも観光地がございまして、丹波篠山でありますとか出石、城崎、城崎というと志賀直哉の「城崎にて」で大変有名でありますし、ほかにも、カニすき、スキーを生かして観光客の誘致が進められているわけであります。いずれにしても、本当に長い年月をかけて地域が一体となって取り組んできた成果で今の地位を築いているわけでありまして、また、それがまさしく地域経済を支える、暮らしを支える、文化を築くということであります。

 観光立国にふさわしい国づくり、環境づくりを目指していただく大臣の決意をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 委員御指摘のとおり、観光というものは各地域におきまして、委員の御地元の丹波篠山でさまざまな取り組みが行われているということも承知しておりますし、国を挙げてこの施策を強力に推進していかなければならないと考えております。

 私、丹波篠山と申しますと、私の地元の宮司さんが丹波篠山出身で、毎正月に黒豆をちょうだいするんですが、今まで食べている黒豆でも、ふっくらとして実が厚くて、ああ、同じ黒豆といってもこんなに違うんだ、だから有名なんだと。これも、きょうの午前中の議論でありました、ブランド化の成功した例だと思います。

 こういう各地域の特産品を、他のものとは違うんだということで売り出していく。また、日本全体の観光に対する競争力を整えていくには、やはりそういう地域間の競争というものがどうしても必要だと思いますし、日本人の国内旅行の数が平成三年をピークにどんどん減っていって、泊まって旅行するのが一・数回になってしまっている。こんなものも上げていくためには、やはり国内の、丹波篠山市で行われているような努力というものもこれからますます重要性を高めてまいりますし、行政の側としてもできる限りの支援、そして発案を深めていきたいと思っております。

梶原分科員 大臣には、ぜひ丹波篠山、お訪ねいただきたいというふうに思います。

 続いて、社会資本整備重点計画についてお伺いをいたします。

 社会資本整備重点計画法が昨年四月に施行されましたけれども、その成果について伺いたいと思います。

 九つの事業分野別計画を統合して、「重点的、効果的かつ効率的に推進する」ということでありましたが、省庁間の事業連携であるとか民間との連携、これまで、縦割りの中でお役所が苦手としてきた分野ではないか。どのように進めていただいているのか、あるいはその成果、お聞かせいただきたいと思います。

澤井政府参考人 昨年十月に決定いたしました社会資本整備重点計画では、事業横断的な成果目標というものを決め、また、そうしたことを今後進めていく上で、いろいろな御指摘をいただいております社会資本整備につきまして、どのようにやっていくかということを幾つかの点について明記しております。その中でも、御指摘の、横断的な目標に向けて事業の連携をしていくということは大変重要なことだというふうに考えておりますし、そのような位置づけをしております。

 具体的に幾つか申しますと、下水道事業と河川事業が連携いたしまして、都市内の浸水被害対策をより効果的に推進する。あるいはバリアフリーにつきましても、道路事業、都市事業あるいは鉄道事業、こういったものが連携いたしまして、駅と駅周辺の一体的なバリアフリーの推進をしていく。また、省を超える話としては、下水道、農村集落排水、合併浄化槽、こういったものについてトータルで幾らという共通の目標を決めまして、それに向けて役割分担をしていく。特にまた、下水道と集落排水をつないで投資の効率を飛躍的に高める等の工夫もしております。

 それから、民間というお話もございましたけれども、ソフトの取り組みとハードの取り組みをうまく組み合わせることで相乗効果を高めるというようなこともこの計画の中で位置づけております。

梶原分科員 続きまして、政策評価について伺いたいと思います。

 政策評価会が設置されているということでありますが、これも、どのように進められているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

山本政府参考人 政策評価の実務を担当しておりまして一番心を悩ませておりますのが、客観性をどうやって確保するかという問題でございます。

 省庁再編を契機に、政策評価を霞が関の全省庁に導入するという際から論議されてきておると聞いておりますけれども、だれがこれを評価するか。自己評価するのか客観評価なのかという問題はずっと論議されて、論議した上で、やはり行政の実務にたけている自己評価、行政組織にやらせるのが一番いいという結論だったと聞いております。したがって、どうやって客観性を確保するか、これに留意しなさいというのが入り口からの課題でございます。

 国土交通省では、御指摘いただきましたように、政策評価会という形で、大学の先生それから民間の経営コンサルタントとか公認会計士とか、そういった専門家にお集まりいただきまして、政策評価のテーマの設定、手法それからプロセス、結果、そういったものにつきまして、節目節目に御指導いただいております。

 そういう形で客観性を確保しておりますが、実際に仕事をしてみて本当にありがたいなと思いますのは、具体の政策評価のテーマについて、評価会の先生方に各局から御説明をして聞いていただく、その過程で、政策評価に取り組む姿勢について、非常に懇切な御指導をいただいております。

 そういうような形で、自己評価ではございますけれども、できるだけ国民の皆様の視線で、わかりやすい形でこれを説明していくために大いに役立っている、ありがたいことだと思っております。

梶原分科員 続いて、個別の公共事業評価についてなんですけれども、行政評価法によると、事業費が十億以上の事業について義務づけられている。国交省からいただいた資料ですが、平成十四年度には新規事業採択時評価で八百八十七件実施とありました。先ほどもお話があったんですが、これについてだれが評価されているのか、あるいはまた、この時点で不採択というものがあったんでしょうか。

山本政府参考人 先ほどの政策評価会は国土交通省の政策全体でございますが、個別の公共事業の評価につきましては、これは公共事業の実施主体、直轄でございますと地方整備局、補助事業ですと公共団体、それから公団事業ですと各公団に事業評価監視委員会という組織を設けまして、先ほどの評価会と同じような視線でこれを監視、具体的に評価していただいております。

 ここに具体的な数字は持ってきておりませんけれども、もうこれを始めまして数年になりますので、個別の公共事業について、引き続きこれを進めるもの、それから中止するものというふうに、きちんと、予算要求それから箇所づけの段階で意思決定をして進めているという状況でございます。

梶原分科員 この時点で不採択というのは、確かに、自己評価されてそこで決めているわけですから、どうもここで評価というのが建前なのかなというような思いもあるわけです。

 また、再評価について、五年未着手、十年継続中の事業が義務づけられているということでありまして、平成十四年度では千九十四件ある、平成十五年では二千三百五十二件ということです。これも物すごい数だと思うんですが、どのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。

山本政府参考人 御説明が若干ちぐはぐで大変失礼したと思うのですが、今の十四年度の例で申し上げますと、対象数千九十四、このうち、引き続き継続していくべきだという意思決定したものが大宗でして、千五十五、この際中止すべきだというふうに判断したものが三十九というような結果になっております。

梶原分科員 今も、新規事業採択時評価ではもちろん関係の地方の各部署で評価をされているということでありますし、また再評価についても、先ほど、事業評価監視委員会が開催されて、第三者の方の意見を聞く、尊重するということであろうかと思いますが、これも、その対象となっているものが五年未着手、十年間継続中というのは、結局は、用地買収ができないとか地元の強い反対があるとか、何らかの、事業遂行が難しいような案件ではないのかなというふうに推察されます。

 今、国民の目が大変厳しくなっていようかと思います。国民の納得のいく説明ができなければ、公共事業そのものに対する批判というか不信につながるというふうに思いますので、客観性、透明性を高めていかなければいけないのじゃないかなというふうに思っているわけで、御所見をお願いしたいと思います。

山本政府参考人 御指摘のとおりだと思いますので、先ほど御説明しましたけれども、直轄それから補助、公団、各事業、各レベルにおいて、御指摘のような考え方でしっかりやっていきたいと考えております。

梶原分科員 続いて、道路の問題についてお尋ねしたいと思います。二件ございます。少し具体的にお答えいただければありがたいというふうに思います。

 いずれも地域の要望が大変強いものでありまして、まず一つは、鳥取豊岡宮津自動車道整備計画、北近畿豊岡自動車道整備計画、それぞれの進捗状況と見通し、さらに、これが道路公団の管理になるのか、あるいは国で管理をするのか、そういった議論があるように聞いておりますけれども、そのことがどうなっているのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

佐藤政府参考人 少し長くなるかもしれませんが、まとめてお答え申し上げます。

 最初に、鳥取豊岡宮津自動車道でありました。鳥取豊岡宮津自動車道は、鳥取市から京都の宮津まで、延長約百二十キロの地域高規格道路であります。

 本道路の整備につきましては、現道の事前通行規制区間及び隘路区間、線形不良区間、これらの解消に資する区間から重点的に整備を進めておりまして、現在までに、計五区間、延長二十八キロを整備区間に指定して事業を進めているところであります。

 兵庫県内では、百七十八号の東浜居組道路、余部道路及び香住道路の計三区間を指定しておりまして、現在、兵庫県において用地買収及び工事を推進中でありまして、香住道路につきましては平成十六年度に暫定二車線供用を図る予定、こういうことであります。

 全体として大変な事業費を要する事業でもありますので、コストの縮減などに努めながら、効率的な整備を図ってまいりたいと思っております。

 もう一つ、北近畿豊岡自動車道でございますが、これは、春日町の近畿自動車道の敦賀線から豊岡市に至ります、延長約七十キロの高規格幹線道路として位置づけられているものであります。

 但馬、丹波地域と京阪神都市圏との連携を強化して、地域の活性化に寄与する路線、こういうことでございますが、何分にも膨大な事業費を要する。恐らく、合計七十キロを完成するには三千億円は超えようかという大事業ではあります。

 このうち、春日町から八鹿町の延長約五十キロの中では、遠阪トンネル区間が四・七キロを二車線で供用しております。残る区間を構成する春日和田山道路と和田山八鹿道路について、用地買収と工事を推進してきたところであります。

 春日和田山道路は用地買収がおおむね完了しておりまして、春日町から氷上町間の延長約七キロ、これにつきましては平成十六年度に、残る氷上町から和田山町間の延長約二十五キロ、これにつきましては平成十八年の兵庫国体に合わせて供用するために、全区間で工事を推進している最中でございます。

 和田山八鹿道路は平成九年度に事業着手したところでありますので、平成十二年に都市計画決定を行って、全区間で用地買収を今推進しているところであります。

 そこで、最後のお尋ねの、これを道路公団で管理することになるのか、つまり有料道路、あるいは無料か、こういう御議論であります。

 これは高速自動車国道についてでございますが、今度の国会で道路公団を民営化させていただいて、そして今後の整備を、高速自動車国道の整備は直轄方式、それから、公団が民営化会社になって有料道路制度で行う、こういうふうにやっていこうということでこの通常国会にお願いを申し上げることにしておるところでございまして、現在、いろいろ法律的な面を検討させていただいているところであります。

 先ほどの御質問に戻りますと、そういう形で、今度は公団が民営化の会社になっていただく、こういうことでございますから、高速自動車国道もそうでございますが、そのほか、こうした規格の高い路線について、本当に公団が、あるいは公団が振りかわった会社が有料道路として事業をやっていけるかどうかとか、あるいはそれ以前に、もともと高速自動車国道につきましても、BバイC、採算性それから外部効果、こうした三つの要因でそれぞれの高速自動車国道の区間の評価をして、そして直轄区間、それから有料道路で会社でこれから先、行っていっていただくか、こんなふうな仕分けをしながら整理をしてきているところであります。

 そういう意味では、こうした鳥取豊岡宮津にしましても北近畿豊岡にしましても、特に北近畿豊岡につきましては高規格幹線道路の一環でもございますので、そうした全体の整理をしながら、一緒にあわせて検討を進めてまいりたい、そのように思っております。

梶原分科員 最後に、地域の活性化対策と公共輸送機関の整備についてお伺いをしたいと思います。

 地方鉄道、特に三セクで運営をしている鉄道が大変厳しい。いずれも地域の足として重要な役割を担っているわけでありますが、大変経営状態が厳しいわけでありまして、その現状を、時間も迫ってきましたので、簡単にお願いしたいと思います。

丸山政府参考人 地方鉄道につきましては、沿線の人口が減少している、それから少子高齢化が進んでいます、マイカーの普及というのが主たる原因でございますが、輸送量が年々減少をしております。この十年間で約二割という減少を示しております。

 こういう中で、七割の地方鉄道の事業者が営業収支で見ましても赤字ということでございまして、コストをさらに縮減するとかというような経営努力をする必要があるというふうに認識をいたしておるところでございます。

梶原分科員 御指摘のように、大変厳しい状況にある。しかし、だからといってやめてしまうということは、もうそれこそ地域のともしびを消してしまうということにもなりかねないわけでありまして、鉄道の特性というものを考えると、これからどうやってそれを維持していくのか、国としてどういうふうに考えておられるのか、その辺、お願いします。

丸山政府参考人 鉄道の特性を見ますと、四つほどあると思います。

 一つは、大量輸送に適しているということ。二つ目は、道路に比べますと速い、速達性があるということ。三つ目は、事故でもない限り定時性が非常に確保されている。それから四つ目は、今盛んに言われておりますが、CO2の排出量が少なくて環境に優しいというような特性があろうかと思います。

 このような特性がある鉄道が、各地域におきまして、通勤通学あるいは病院に行く場合などの日常的な生活に利用されているということでございます。

 したがいまして、今後とも、鉄道が今申し上げましたような特性を発揮し得る分野におきましては、その役割や機能を果たしていくことが必要であろうというのが私どもの考え方でございます。

梶原分科員 今の地方鉄道問題も同じなんですが、鉄道の設備投資についてお尋ねしたいと思います。

 かつての国鉄の時代は、政治が介入してむちゃな路線延長がなされてきた。それが国鉄の大きな赤字の原因でもあったわけでありますから、それが今民営化されてなくなっているということは喜ばしいことであろうというふうには思います。しかし、一方で、今の鉄道に対する投資が、余りにも採算性が優先されているのではないかというふうな思いを持つものであります。

 JRが、民間会社として採算をとるために大変な努力をされているということはよく承知をしておりますし、頑張っていただかなくてはいけないというふうに思っているわけでありますが、一方で、鉄道事業がその地域に大きな影響を及ぼす。その地域のまちづくり、あるいは地域のあり方、将来までも大きく左右する大きな事業である。住民にとっては本当に大事業でありまして、そういったところに対する配慮が必要ではないか。

 私は、もちろん、かつての国鉄の時代のように、全くの過疎路線、採算を無視して新しい線路を引けと言っているわけではなくて、例えば、電化であるとか曲線改良であるとか、あるいは、単線のところを、上下行き違いのようなことができて時間の短縮を図るための部分複線化であるとか、そういったわずかな投資で利便性が高まる、高速化が図れることによって、JRにとってもプラスであろうと思いますし、地域の発展にもっと貢献するのであろうというふうに思っています。

 一つ例を挙げて申し上げたいと思うんですが、やはり兵庫県のことでまことに恐縮なんですが、平成九年に福知山線の新三田から篠山口の間で複線化が完成をされました。それによって篠山と大阪とのアクセスが格段によくなって、駅周辺の再開発が進んで都市機能が整備される、民間がどんどん投資をする、それで人口もふえております。篠山と大阪はちょうど一時間の距離でありまして、快速と普通電車が三十分に一本で結んでいる。

 ちなみに、大阪と篠山というのは直線距離で五十キロでありますけれども、それからさらに北上する十数キロから二十キロぐらいのところで氷上郡の中心部がございます。氷上郡というのは、この十一月に合併をいたしまして、人口七万四千を有する丹波市が誕生するわけでありますけれども、福知山線は篠山口から単線になりまして、当然のことながら、上下の行き交う時間待ちのために、駅で五分、七分待たないといけない。普通電車も一時間に一本で二両編成。全く利便性が悪くて、これでは通勤に使えないという状況ではないか。直線距離で十数キロですから、そこを少し複線化を延ばしてもらうことによって通勤圏となる。

 地域の事情を申し上げる時間はありませんけれども、阪神圏と直結することによって通勤なり交流を促進する、地域の活性化を図ることができるわけでありますし、数値で示すことはできないけれども、複線化によって経済的な効果が大きい。JRの売り上げがどれほど伸びるかということははっきりわかりませんけれども、その何倍もの経済効果があるんじゃないか。複線化に対する投資とそれによる地域の経済的な活性化、これが見合えばいいのではないか。

 鉄道事業というのは、確かに先行投資をしなくちゃいけないから、それを民間会社であるJRにすべて負わせるというのはとても酷なことだろうというふうに思うわけですけれども、ぜひとも国のそういった対応を御検討いただきたいというふうに思います。

 質疑の時間がなくなってしまいましたので、最後に一言、お考えをよろしくお願いします。

丸山政府参考人 先生ただいま御指摘になりましたけれども、事業の採算性だけ見て決めればいいのかというお話であろうかと思いますけれども、私ども、必ずしも事業の採算性だけで、地方鉄道を支援する場合に考えているわけではございません。特に、時間短縮効果でございますとかCO2削減効果、社会的な便益も踏まえた上で費用対効果分析できないか、それを踏まえて支援ができないかという制度を今構築しておるところであります。

 先生御指摘の福知山線の複線化につきましては、国としても、そういう視点から支援してまいったところであります。

 今後とも、地域の連携の強化でございますとか地域の活性化につながるものにつきましては、もちろん、事業者のイニシアチブでございますとか、あるいは沿線自治体の積極的な関与というのは当然でございますけれども、国としても、必要な鉄道整備につきまして支援をしてまいりたいというふうに思っております。

梶原分科員 どうもありがとうございました。

園田主査 これにて梶原康弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、北川知克君。

    〔主査退席、蓮実主査代理着席〕

北川分科員 私は、自由民主党の北川知克でございます。

 選挙区は大阪十二区になりますけれども、昨年の総選挙は近畿の比例区で当選をしてまいりました。このたびの質問に際しまして、道路行政を初めとして、国土交通行政の道路、鉄道、都市再生等々について幾つかの質問をさせていただきながら、みずからの提案もさせていただきたいと思っております。

 佐藤道路局長には、昨年の第二京阪国道の陳情でお世話になりまして、ありがとうございました。地元の近畿地方整備局の皆様方にも日ごろから大変御努力をいただきまして、近年まれに見るほど新しい道路も開通をしてきております。積極的に今関西の、近畿の道路の整備に取り組んでいただいておりますことにまずもって感謝を申し上げながら、私は大阪の選挙区でありまして、近畿、関西の再生なくして日本の再生はあり得ないという思いで選挙を戦ってまいりました。

 近年の関西地区、特に大阪を初めとして近畿の失業率も七%を超えている、経済的に大変な状況であります。これは、ここ十数年来の日本の構造の改革の中で、ある意味ではいたし方のない部分もあるかもしれませんけれども、せっかく関西新空港が完成をいたしまして、この二〇〇七年にも平行滑走路が供用される予定であります。平成に入りまして、たしか関西学術研究都市において、イオン工学センターを初めとしてさまざまな科学技術の先端を行くような施設も整備をしてまいりました。こういうそれぞれの基盤の整備をされてきているのでありますけれども、もうひとつ関西の経済効果というものが生まれてきていないのではないかという思いもいたしております。

 ことしになりまして、昨年来から小泉内閣、ビジット・ジャパンということで、世界各国から観光客を日本へ呼んでこようという動きもあります。私は、この関西新空港を生かして、こういう諸外国の観光客にぜひこの関西地区へ来ていただくことが大事ではないかなと。特に、京都、奈良という文化や歴史のある風土の地域を抱えております。文明の宝庫であると思っております。こういうものを生かすことが大事な課題ではないかなと思っております。

 そういう意味におきましても、この関西新空港と先ほど申し上げました関西学術研究都市を結ぶアクセス道路の整備が、この十年間やはりきちっとできていなかったのではないかな。一刻も早く整備をすることによって、今小泉内閣が掲げているビジット・ジャパン、そして今回は景観法等々も国会に上程をされますけれども、こういうすべての部分を生かすところにつながってくるのではないかなと思っております。

 そういう意味も含めまして、私の地元を通っております第二京阪国道についてでありますけれども、昨今の道路公団の民営化論議の中で、地元では、民営化をされれば第二京阪国道が平成十九年度の当初の供用の時期にきちっと開通をするのかどうか、こういう不安点が言われておりました。この点につきまして、今後の見通し等々を国土交通省の方にお答えを願えればと思っております。

佐藤政府参考人 第二京阪道路は、全体が二十七キロ、京阪神地域の広域幹線道路ネットワークを形成する大事な国道一号のバイパスであります。

 五十八年度に事業化しまして、昨年の三月三十日、巨椋池インターから枚方東インターまで十・五キロを部分的に供用したところでありますが、これによりまして、一号の京都市から枚方市間、これは従来九十六分ぐらいかかっていたという部分が、大体五十六分、大体四十分ぐらい短縮できた。特にこういうバイパスで大事なことは、周辺の生活道路から通過交通が排除される、こういう問題がございまして、測定によりますと大体三割ぐらいの生活道路に入り込んでいる通過交通が減少している、こういうような効果を発揮していただいているところであります。

 残ります枚方から門真、約十七キロあるわけでございますが、先生御指摘のように、十九年度の全線供用ということを目指して今整備を進めているところであります。用地買収の方も九一%まで進捗してきている、こういう状況であります。

 しかしながら、何分にも総額で残りの分だけでも三千億円を超えようか、こういう大変費用もかかる事業でございまして、今後ともコストの縮減等に大いに取り組みながら、所期の目的を達成したい、こう思っております。

 そこで、民営化との関係でございます。

 今度の国会でこの道路関係四公団の民営化の法案を提出させていただく、そして、十七年度に新しく発足していただく、こういうことになるわけでございまして、その会社がこの事業について、本当に今継続中のものについて事業が実行し得るかどうかという点については、会社の自主性、こういう問題もございますので、会社と協議しながら経過中のものは決めていく、こういうことになるわけでございます。そうした中で、基本的には、会社発足後の問題ではございますが、私どもといたしましては、こうした膨大な事業費も要する事業でもございますし、一面、生活道路からの通過交通の排除とかバイパス的な機能も大変持っている、こういうことでもございますので、できるだけ事業継続が可能なような形で今後の打ち合わせ等を、法律ができ上がってからの議論ではありますが、そんな方向を考えてまいりたいと思っております。

北川分科員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、道路計画というのは手順を踏んで行わなければならないことでありますけれども、実施につきましては、先ほど来申し上げております、日本全体の経済のかさ上げにもつながってくるような有効な道路というものにつきましては、費用対効果というものを十分検討していただきながら、思い切った投資と確実な整備をしていただければと思います。

 この第二京阪国道と連動をしてまいりますけれども、一般国道の百六十三号線、いわゆる学研都市連絡道路の件でありますけれども、この第二京阪国道と同時に、奈良とのアクセス道路になってまいります。これは、清滝トンネルが今一本供用されておりますけれども、今後の第二清滝トンネルを初めといたしまして、大阪の方は今トンネルの手前まで橋脚もできまして、実施をされてきておりますけれども、奈良県側の対応等々について、局長の見解といいますか国土交通省の見解、今後の見通し等についてお聞かせを願えればと思います。

佐藤政府参考人 学研都市連絡道路のお尋ねでございました。

 この道路自体は、全体が、関西文化学術研究都市と大阪市を連絡する延長約二十キロの地域高規格道路であります。大急ぎでやっていこうということで、四條畷から奈良県の生駒市までの延長八キロの区間につきまして、平成十年十二月に整備区間に指定しまして、百六十三号の清滝生駒道路として事業を推進しているところであります。

 これまでに用地買収及び工事を推進しまして、清滝トンネルを含めた大阪府域の延長三・六キロの区間につきましては、暫定二車線で部分供用させていただいているところでございまして、現在、この暫定二車線区間の四車線化のための工事を推進しておりまして、清滝トンネルを除く区間延長一・九キロにつきましては、十七年度に四車化として供用、引き続き清滝トンネル区間の四車線化に着手する予定であります。

 残る区間が大事だ、こういう部分ももちろんあるわけでございまして、延長四キロについて、現在、調査設計を推進しておりますが、特に交通渋滞が著しい高山大橋交差点部につきましては、平成十六年度から用地買収に着手する予定であります。

 地元の御協力をいただきながら、できるだけ早く速やかな用地買収が完了するように努めてまいりたいと思いますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。

北川分科員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、関西というか近畿における学研都市、それから関西国際空港等々を結ぶアクセス道路、この第二京阪国道は京都との幹線になりまして、大変な交通渋滞が起きておりますけれども、これを解消するためにも、一刻も早く完成をお願いしたいと思っております。

 それと、緑立つ道路という、こういう言葉の中で、環境に配慮したという、非常に地元にとっては皆さん喜ばれている道路でありますので、一刻も早い完成、そして、あと、この一六三号線と同時に、京奈和道路も関西の大きな影響を及ぼす道路になってくると思いますので、この点も踏まえまして、総合的な視野に立っての近畿圏における今後の道路整備にぜひ全力で取り組んでいただければと思います。

 続きまして、私どもの地元にございます京阪電車につきまして、昨年の八月に一名の方が亡くなられる踏切事故が起きました。新聞等々では、この夕方起きた事故によって三十万人に影響を及ぼしたと言われておりますけれども、私は、家で待つ方、その交通渋滞等々を考えたならば、五十万人以上、たくさんの方々に影響を及ぼしていく、こういうあかずの踏切、都市部における住宅密集地域のこういう踏切の解消が重要な課題であろうと思っております。

 昭和四十四年の建運協定の中で高架事業というものが飛躍的に進展をしてまいりまして、随分と踏切の解消、高架事業も進んできております。特に、石原大臣になりまして、このあかずの踏切の解消に全力を尽くしていただいておりますけれども、寝屋川と枚方の今後の高架化もしくは地下化につきまして、まだ地元から対応というものについては出てきておりませんけれども、今、漸次、踏切の交通量の調査等々は地元で行っております。

 今後、京阪電鉄なり、また、地元の寝屋川、枚方、こういう地域からまた要望が出てくるやに思っておりますけれども、今後のこういう京阪電鉄の踏切の解消を含めて、今の道路会計の見直しの中から、都市の中のこの踏切について積極的に取り組んでいただいております石原交通労働行政の中で、担当の局長で結構でございますので、お答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 寝屋川と枚方の間の連続立体交差事業の件でございますが、寝屋川の南の方はもうできております。それから枚方の北もできておりまして、その間をどうするかということで、現在、地元の公共団体におきまして、この踏切対策について検討を行っていると伺っております。

 私どもといたしましては、この区間は、あかずの踏切、ボトルネック踏切が十五カ所あるというようなことで、まだ大阪府からは具体的に要望を伺っておりませんけれども、府から要望があれば積極的に対応していきたいと考えております。

北川分科員 ありがとうございます。

 今後の課題になろうかと思いますけれども、私どもも全力でこういう点に取り組んでいきたいと思っております。

 先日、私ども自由民主党の移動政調会で大阪の方に参りまして、堺市の方にあります新日鉄堺の方へ視察をさせていただきました。この中で、鉄軌道になるかどうかもわかりませんけれども、LRT、低床軌道といいますか、この構想等々がそのときの話に出てまいりました。堺の新日鉄跡地を都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に指定をされまして、商業地域や環境保護地域、住宅地域という、今後こういう整備が行われるわけでありますけれども、これもやはり交通アクセスが重要であろうと思っております。せっかく開発をされても、交通アクセスがきちっとしていかなければ人も集まってこないわけでありまして、大阪では今まで、アジアトレードセンターや、せっかくつくっても赤字を出してしまった、こういう設備もあるわけでありますから、せっかくつくったのであれば、もう一度そこへ人が集まってくる、毎年のように、そして春夏秋冬、四季に応じて人が来れるような設備でなくてはならないと思っております。

 そういう意味におきましては、今、新日鉄堺や堺市、大阪府もこの点に力を入れようといたしておりますけれども、その中で、堺市の方から、交通アクセスの一つの方法としてLRT構想がどうかという話が出てまいりまして、私は、以前、オランダのハーグに行かせていただいたときに、あそこの鉄軌道というものが低床でありまして、それが緑の林というか、緑の木に囲まれた中に鉄道が走っておりまして、今後、環境に配慮したまちづくりや、そして世界各国から人が来て、もう一度この施設に行ってみたいなという思いになれるような新たな鉄軌道というものが私は大事ではないかなと思っております。

 もう一度私もああいう環境の中の電車に乗ってみたいなという思いをいたしておりますので、今後こういう構想が出てまいりましたならば、国としてもぜひ積極的に対応していただいて、全国に先駆けてのモデルになるようにしていただきたいと思っておりますけれども、今後のこういうLRTを整備していく段取りといいますか、今後の国土交通省の取り組みについてお聞かせを願えればと思います。

竹歳政府参考人 堺市のLRT構想でございますが、堺市の臨海部から堺市駅に向けて八・四キロという構想を地元で大変熱心に、そのLRTの周辺の開発構想も含めていろいろ研究されております。

 今後、こういうものが実現していくという過程においては、今先生おっしゃいましたように、確かにヨーロッパではこういうような、周辺が緑に囲まれていて、軌道敷も緑化されているというようなことになっておりまして、今後私ども、都市づくりに当たりまして、環境と共生した持続可能な都市づくりということが非常に重要になっております。LRTも含めまして、街路整備、さまざまな都市基盤整備を進めるに当たっては、この緑化の推進など、環境との共生も図っていきたいと考えております。

北川分科員 ありがとうございます。

 ぜひ日本の国に世界の方々が行ってみたいな、もう一度行きたいなと思うようなまちづくり、先ほど来申し上げました景観三法というものができ上がってくるわけでありますから、こういう法律に基づいて、住みよいといいますか、心の安らぐようなまちづくりというものを積極的に行っていただきたいと思っております。

 先ほど申し上げました関西新空港、世界から日本の国へ人々が来てもらいたいという中で、関西全体のこれからの経済の活性化にもつながるかもしれません。この堺の新日鉄の跡地も、良好な港といいますか、船が着く施設があるわけでありますけれども、今後のこの大阪湾、神戸港、大阪港含んでの大阪湾地域、今政府の方で検討されておられますスーパー中枢港湾政策でございますか、これについての構想、そして東京湾、さまざまな港湾があるわけでありますけれども、関西復権について、このスーパー中枢港湾というものをぜひ大阪湾地域におきましても検討していただきたいと思います。

 この点につきまして、港湾局長の方からお答えを願えればと思います。よろしくお願いいたします。

鬼頭政府参考人 スーパー中枢港湾の検討状況についてのお尋ねでございますが、大阪港の港湾管理者であります大阪市からは、昨年の一月に、神戸港と連携をしつつ、大阪湾域を一単位とした港湾行政の広域連携のもとで、アジアの主要なコンテナ港湾に打ちかてるような、そんなスーパー中枢港湾の構想の提案をいただいているところでございます。

 その後、同じ年の、平成十五年の三月に、全国から御応募のありました八つの地域のうちから、スーパー中枢港湾の指定の候補として、今申し上げました神戸・大阪港、阪神港と申し上げた方がいいかもわかりませんが、それを含む五つの地域を候補として選定させていただきました。今後、この各候補の港湾管理者から提出をされることになりますスーパー中枢港湾の目標を達成するためのアクションプログラムと申しますか、我々育成プログラムと申しておりますが、これについて、別途設けておりますスーパー中枢港湾選定委員会におきまして、スーパー中枢港湾の指定基準への適合性等々についての議論を踏まえまして、スーパー中枢港湾の指定を行うことにしたいと考えております。

 なお、平成十六年度には、スーパー中枢港湾として指定をいたします港湾におきまして、ターミナルシステムの統合、大規模化、あるいはIT化等々にかかわる社会実験等を実施する予定にしてございます。

北川分科員 ありがとうございます。今後の検討の中で、ぜひ頭の中にも大阪湾というものを置いていただければと思います。

 それでは、次に、先ほど来の都市再生整備事業の中で、私の地元であります寝屋川市における駅前再開発等々について、昨年来から整備をされております地元の方々の理解も得ながら、今年度、来年度にはもう着工されるということで、再生緊急整備地域に平成十四年に指定をされました駅前東地区につきましては順調に進んでいるということで、地元の方から、ぜひ国土交通省並びに都市基盤整備公団の皆様方に御礼を言っておいてくれということでございました。この整備事業とともに、引き続き香里園東地区市街地再開発事業というものが、組合施行の中で平成十七年度には計画決定をしてやっていこうという方向でありますけれども、今後のこの都市再開発につきましての取り組み等々、地元との連携もあると思いますけれども、局長の方からお答えを願えればと思います。

竹歳政府参考人 まず、寝屋川市の駅の東地区でございますが、先生今御指摘のとおり、都市再生緊急整備地域に指定され、これは緊急かつ重点的にやるということで取り組んでいるところでございます。地元では平成十六年度の都市計画決定に向けた調整を行っていると伺っておりますし、寝屋川市からは平成十六年度の補助の新規採択の要望も受けておりますので、適切な支援をしてまいりたいと考えております。

 また、香里園の東地区につきましては、十七年度の事業化に向けた調査、地元調整等を行っている段階と伺っておりまして、これも、地元からの御要望等があれば適切に支援をしてまいりたいと思います。

北川分科員 ありがとうございます。ぜひとも、こういう都市の再生に向けての事業につきましては積極的に取り組んでいただければと思います。

 そしてもう一点、きょうは通告をいたしておりませんけれども、都市再生の中で、守口の大日地区におきましても整備事業にのっとって行っておられます。地元の意見等々を十分お聞きいただきまして、よりよきまちづくりというものを行っていただきたいと思います。これはもう提案だけでございますので。

 それでは、続きまして、私は、二十一世紀、資源の乏しい我が国は、環境に配慮をしたまちづくりが必要であるということを強く訴えてまいりました。緑あふれる都市というもの、そういう中で、二酸化炭素の排出を削減していく上におきましても、車だけに頼るのではなく、やはりパーク・アンド・ライド方式といいますか、車と電車等々を使っていくような交通アクセスの整備、それと同時に、自転車等々を最大限に生かしたまちづくり等が行われないだろうかと。

 通勤等においても自転車等々が積極的に使われればいいのではないかという思いをいたしておりまして、地元の淀川が京都から大阪へ抜けて流れておりますけれども、この淀川の堤防、河川敷、もう河川敷も随分河川局の、淀川河川の皆さん方の御努力によって整備をされてきておりますけれども、堤防の上と河川敷がまだ一体となっていないところがありまして、ぜひ京都と大阪が自転車で自由に行き来をできるような、そしてそれこそ我々の衛星都市から大阪市内へ自転車で通勤をできるような、こういう河川敷や堤防の整備。

 アメリカのポートランドでは、サイクルロードの五キロごとにシャワー室や更衣室が設けられて、自転車をフルに生かすようなまちづくりが行われておりますけれども、こういう点につきまして、今現実に、こういうサイクルロードがどのように整備をされているのか、そして、今後の淀川におけるこういうサイクルロードの整備につきましてどのように取り組んでいっていただけるのか、この点を国土交通省の方にお答えを願えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

清治政府参考人 自転車道の話でございますが、河川の空間は縦に長いということもございますし、また、自転車等で利用しますとさわやかな川風に当たりますし、また、日ごろのリフレッシュ、それから健康づくり、今御指摘の通勤等に非常にうまく利用するといい空間になるというふうに我々も自覚しております。

 淀川につきましては、大規模自転車道というのが、これは地方自治体が河川敷を占用してつくっていくわけですけれども、これが現在二十六キロ整備されております。京都のお話もございましたが、京都府の方は京都府の方でまた木津川とか活用しているわけでありますが、残念ながら、大規模自転車道のネットワークでつながっていないという実態がございます。

 また一方、河川の堤防の上の天端、これは河川管理用通路に使っているわけでありますが、これとか、それから高水敷については、緊急用河川敷道路というのを地震等の災害のときに活用できるようにしている。これらについては、自由使用という形で休日等たくさんの方々に御利用いただいているわけであります。

 御指摘のように、ネットワークがうまく整備できて広域的に活用されることが重要かと思いますが、川が合流してくる場所でありますとか、それから、堤防の天端を活用するときには、橋のところでどういう交差をするかとか、それから、淀川も自然の状態が非常によく残っているところがありますので、アシ原の保全との関係をどうしようかとか、それから、高水敷自体が非常に狭くて川が堤防まで接近しているようなところがあります。こういうところについては、逐次調整しながら改善していくようにして、大きいネットワークをこれからも整備していきたいと思っておりまして、皆さんに親しまれるような河川づくりをこれからも心がけていきたいと思っております。

北川分科員 ありがとうございます。

 ああだこうだといってあきらめてしまってはできませんので、ぜひいい知恵を出していただきまして、そういう連携をできるようなサイクルロードの整備というものも今後行っていっていただければと思います。

 最後になりましたけれども、石原大臣には、昨年の選挙で御推薦をいただきまして、心よりお礼を申し上げながら、今後の国土交通行政等々について、皆様方が、ぜひとも国民の皆様方の信頼にこたえられますように御努力をいただきますことを心よりお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて北川知克君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野信亮君。

奥野分科員 奈良県の第三選挙区から選出されました奥野信亮でございます。

 それまで民間企業の社長をしておったものですから、仕切るのは得意なんですが、こうやって質問をするのはまずもって余りやったことないものですから、いろいろ御指導をお願いしたいと思います。

 きょうは、せっかくの機会でありますので、奈良県に非常に固有の問題を取り上げて、皆さん方に御質問をさせていただきたいと思います。

 奈良県というところは、御承知かと思いますが、財政規模でいいますと全国四十七都道府県のうちの三十六位、それから、財政力でいいますと二十八位といって、全国平均以下の大変低いレベルの府県であります。そして、産業のアウトプットも、総生産額で見ますと全国の三十五位、大阪の十分の一というような規模であります。

 その中でも、特に、面積で見ると、奈良県の面積というのは全国で四十位だそうでありますけれども、なおかつ南半分がなかなか活用できないような山間地になっておりまして、その結果として、農業の産出額に至っては全国で四十五位である、こういうような特異な県でございます。

 そしてまた、大阪のベッドタウン化しているものですから、県外の就業率というものも、百人のうち三十人が県外へ出ていくというような、そういう県外就職率の高い、全国で一番の府県でございます。

 こんなことで、大変大きないろいろな課題がございますけれども、その中で私が議員になってから感じておるのは、伝統的な地場産業の育成、活性化というのが一番大きい問題かなと思います。

 また、皆さん方御承知、あるいはきょうも奈良の一区から選出された方が御質問されていたようでありますけれども、観光事業をもっと活性化しなくちゃいけないという課題もございます。

 そういったものをひっくるめて、やはり考えなくてはいけないのが道路とか鉄道等の交通インフラ整備かな、こういうふうに感じますので、きょうはこれについて少し取り上げさせていただけたらな、こう思っております。

 私も、先ほどちょっと触れましたように、民間企業で三十八年仕事をしてきたものですから、世界じゅうくまなく駆けめぐりましたし、日本全国も四十七都道府県全部走り回りました。そういう経験から見ても、実感として、奈良県というのはインフラ整備が大変おくれている府県の一つかな、こんな感じを持っております。

 こういうことで、きょうは交通インフラの整備について御質問をさせていただきたいんですが、今少し触れましたように、奈良県というのは、世界遺産にも登録されている古都の文化財を初めとして、貴重な歴史的な資源や自然を持っております。我が国はもちろん、世界各国から観光客が訪れる有数の観光都市でありますけれども、県内の鉄道、道路等の交通インフラの整備状況が大変悪いために、観光交流の大きな妨げになっているのかな、こう感じております。

 私が感じるのは、例えばの話でありますが、修学旅行で私などは奈良へ行きました。しかし、今や、奈良県を訪れる修学旅行の学校の数も減少傾向にある。また、古くから発達した農業や地場の工業など特色ある産業も有しておりますけれども、これらの農産品や工業製品を輸送する物流面においても深刻な影響が出ている、こんなことであります。

 具体的に、鉄道については、JRやあるいは近鉄線が走っておるわけでありますけれども、それぞれの鉄道整備の経緯の違いによって、各社の駅が離れている例がたくさん見られまして、また、線路が南北と東西に交差しているにもかかわらず、乗りかえ駅とされていないところが多々ある。そういう面で、鉄道利用者が大変不便を強いられている、こういう状況でございます。

 そういった面で、利用者の利便性という点では、JRと近鉄との相互直通運転についても関心を寄せておりまして、これが実現すると、都心への通勤通学の時間短縮が図られまして、利便向上が飛躍的に向上するというふうに考えております。

 また、今後の新線建設という点では、関西文化学術研究都市の整備を円滑に進めて、都市機能の向上を図るという観点から、京阪奈新線の早期整備が望まれるところであります。

 一方、道路について見ますと、高規格幹線道路というのは、東西方向の名阪国道、これは大分前にでき上がった国道でありますけれども、それに西名阪という自動車道が供用されておりますけれども、肝心の南北道が、京奈和自動車道がいまだに計画中あるいは事業中という状態でありまして、また、地域高規格道路についても同様にほとんど整備が進んでおりませんで、奈良県の高速交通体系の整備状況は非常に低い、こう言わざるを得ないのであります。

 昨年来、道路関係四公団民営化や高速道路のつくり方の議論が続けられておりますけれども、現在の高速道路の問題点はいろいろあるやに私は感じております。後で申し上げますけれども、いろいろ問題はあろうかと思います。

 こういう中で、鉄道や道路などの交通インフラというのは、地域間の連携、交流を促進して経済を活性化するものでありまして、交通の利便性を高めるために、道路網の整備を促進し、町の拠点化を図るための駅整備や乗り継ぎ改善を行うことによって、都市構造を変革し、観光客の増加を図ることによって経済の活性化を進める、これが奈良県にとっての大きな課題だろうと思っております。

 そういう観点から、まず最初に、鉄道についてお尋ねをしたいと思っております。

 今、さっき少し触れましたが、鉄道は、JR線とか近鉄線が走っておるわけでありますが、生い立ちの違いによって各社の駅が離れているということが課題でございます。また、線路が南北、東西に交差しているにもかかわらず、乗りかえ駅、ターミナル駅となっていないということから、鉄道利用者が不便を強いられている状況は、さっき申し上げたとおりであります。

 このようなことから、利用者利便の向上を図るために、交差路線に乗りかえ駅を新設することや、駅が離れているところを総合駅に改善すること、いわゆるターミナルに改善することなど、乗り継ぎ改善を図ることが重要であると考えておりますけれども、国土交通省ではどのようにお考えか、鉄道局長の御意見を拝聴したいと思っております。

丸山政府参考人 今、先生お話がありましたように、奈良でいいますと、修学旅行を初めとする旅行者などがより多く鉄道を利用するというためには、利用者の利便がよくないことにはなかなかうまくいかないというのは、おっしゃるとおりでございます。そういうこともございまして、国土交通省といたしましても、鉄道事業者が行っておりますネットワークの充実でございますとか、駅施設改善を積極的に支援しておるところでございます。

 奈良県の鉄道について見ますと、先生おっしゃったように、路線数としては比較的充実していると言えると思います。ただ、有機的にネットワークとして結ばれているかといいますと、御指摘いただきましたように、なかなか、駅が離れているとか、くっついていても利便性が悪いということで、旅客の移動について十分な利便性が確保されている状況ではないというのが私どもの認識でございます。

 国土交通省といたしましては、とにかく、鉄道の利便性を向上させるためのネットワーク化というのが非常に重要であるというふうに思っておりますので、今ございます私どものバリアフリー補助あるいは乗り継ぎ円滑化補助などを使いまして、バリアフリー、乗り継ぎ円滑化に努めていきたいというふうに思っております。

奥野分科員 ありがとうございました。

 駅の改善も重要でありますけれども、さらに、乗りかえ抵抗がない相互直通運転についてお尋ねをしたいと思います。

 私どもの奈良県の香芝市と大和高田市を走っております近鉄南大阪線を、近鉄道明寺線を経由してJR関西線へ乗り入れることが実現しますと、都心への通勤通学の時間短縮が図られ、シームレス化による利便性向上が飛躍的に向上することになります。

 また、新幹線で開発されておりますフリーゲージトレイン、車幅というんですか、軸間距離をフレキシブルにするものですが、こういったものを都市鉄道に導入して、相互直通運転といいますか、そういうことができるようになると、大変、新線を整備することなく、既に運行されている線路を活用することによって利便性向上が図れるということになりますけれども、これらについては、国土交通省ではどうお考えでありましょうか。

丸山政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたけれども、駅施設の改善もさることながら、とにかく、相互直通いたしますと、列車間の乗りかえの手間自体が省けてしまうということで、非常に有効な施策であるというふうに思っております。

 現在建設中でございますけれども、奈良県の関係で申し上げますと、阪神西大阪線西九条駅から近鉄難波駅の延伸が完成をいたしますと、阪神本線・西大阪線、それから近鉄奈良線で相互直通運転が開始される。これはまた、京阪神間の交通の利便を一段と高めるものだというふうに思っております。

 また、京阪奈新線におきましても、近鉄が東大阪線を通じまして大阪市営地下鉄の中央線に相互直通をするということでございます。また、近鉄南大阪線のJRの乗り入れにつきましても、現在検討をされておるところでございます。

 また、フリーゲージにつきましても、私ども新幹線と在来線の乗り継ぎということで今検討を進めておるところでございますけれども、都市鉄道にとりましても、非常に重要な手段だと思っております。特に、奈良につきましては、近鉄が標準軌、JRが狭軌ということで、ゲージの差があって、そこを克服できないということも、フリーゲージができますれば相互直通ができるということで、重要な技術だというふうに思っております。

奥野分科員 ありがとうございました。

 今ちょっとお話に出ました京阪奈新線について一つお話を伺いたいと思うんです。

 奈良県内で進めております、奈良県、京都府、大阪府にまたがる関西文化学術研究都市の整備が今国家的なプロジェクトとして進んでいるわけでありますが、文化の創造と交流、新しい学術研究の推進、あるいは二十一世紀のパイロットモデル都市の建設、こういった理念でその整備が進められているわけであります。この関西文化学術研究都市の整備を円滑に進めて、都市機能の一層の向上を図るためにも、アクセスの整備について十分配慮していただくことが必要ではないかと思うわけであります。

 このアクセス手段の一つとして鉄道を導入することとされて、現在京阪奈新線の建設が行われており、地元でもその早期整備が期待されておる次第であります。

 京阪奈新線は、関西文化学術研究都市へのアクセス手段の一つとして大きな役割を果たす極めて意義の大きなプロジェクトでありますので、できるだけ速やかな整備、早期完成が私としては必要ではないかと思っておる次第であります。

 国土交通省として、この新線の整備状況並びに今後の整備の方針、御決意を承れれば大変幸いに存じます。

丸山政府参考人 ただいま御指摘の京阪奈新線につきましては、近鉄生駒駅と登美ケ丘駅八・七キロを結ぶ路線でございまして、平成十年に、国土交通省といたしましては、ニュータウン鉄道等整備事業費補助対象事業というふうなものにのせまして、平成十七年度の完成に向けて鋭意整備を行っているところでございます。

 京阪奈新線ができますと、大阪都心部と関西文化学術研究都市周辺市街地が直結されるというのが一つの大きなメリットでございますが、あわせて、近鉄奈良線の混雑緩和も図れるというふうに私ども思っております。

 このようなことから、鋭意今工事を進めておるところでございますが、現在土木工事をやっている状況でございます。トンネル部につきましてはほぼ掘削を完了いたしまして、駅及び高架橋などにつきましても鋭意工事を進めておりまして、十七年度の完成に向けて工事は順調に進捗しているというふうに考えております。

奥野分科員 大変地元での期待の新線でございますので、また国家プロジェクトを成功裏に導くための一つの大きな交通手段であります。予定どおり進められ、完成されることを期待しておきます。

 次に、道路でありますが、私も、先ほどちょっと申し上げたとおり、去年まで民間のただの人であったわけでありますが、そこで、国会の中で道路公団改革等がいろいろ議論されていた。そのときに、私も素人ながら、道路というのは国民が公平にひとしく使用するべきものであって、そして、道路というものはできたらやはり国家資産でありまして、これは国有であるべきだろう、こんなことを感じていた中で、問題が幾つかあるなという私自身の意識をまず申し上げたいと思うんです。

 その問題点というのは何だろうというふうに考えたときに、いわゆる日本における高速道路の建設というのは、財政的に実力以上のボリュームの高速道路が計画され、推進されていた、こんなふうに一つ問題意識を持っておりました。結果として借金が膨大なものになっておる。

 それから二つ目は、これは全く意味合いが違う意味で申し上げたいんですが、道路建設というのは、計画から事業化、供用化というプロセスがあると思うんですが、プランができてから供用に供するまでにえらい時間がかかる。私の聞いている範囲でいいますと、これは当たっているかどうかわかりませんが、名阪国道という奈良県にあります道路は、昔、千日でつくったというようなことを聞いたんです。これは本当かどうかわかりませんよ。ところが、それに比較して今の道路というのは、プランができてから実際に供用に供するまでに二十年ぐらいかかるような、そんな話。これはお金との関係もありますけれども、もう少しスムーズに、有権者、国民の期待にこたえられないものかな。こんな問題が二つ目でありました。

 それから、三つ目の問題点というのは、やはり必要以上のスペックの道路があちこちに存在していないか。こんな問題意識も考えておりました。

 それから四つ目が、都会で私も生活していたものですから、大変渋滞が発生して、渋滞になりますと国民の思考機能が停止するわけですから、国家としては大損失だ。何とか、そのはけ口である道路を、いわゆる縦貫道というんでしょうか、そういったものをつくっていただきながら、もっと能率よく交通がさばけるようなプランというのはないものだろうか。

 こんなようなことを感じて、最後に申し上げるならば、道路公団のファミリー企業というものの透明性がいかがなものかな、こんな問題意識を持っておりました。

 そして、この間、十二月に、道路公団改革という形でいろいろな新しいアイデアが出されて、私は大変それを評価している一人でございます。

 そんな意味から、道路について幾つかお尋ねをしたいんですが、今後の高速道路の整備については、我が国の国土や経済といった広い視点で考えて、利用度や緊急度等を客観的に分析した上で、優先順位を明確につけて進めていくべきじゃないか、なおかつ、一たん決めたらなるべくスピーディーにやれないものだろうか、こう感じるんですが、道路局長さんのお考えはいかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 答えを求めていただいてはいないですけれども、先生、五点、問題じゃないかという点を御指摘いただきました。実は、私どもも全く同じ思いでいるわけであります。そうしたことが公団改革につながっている、こういうふうに御理解いただければと思います。

 そこで、質問の方の、客観的に分析した上で、優先順位を明確につけて進める、進めるときには短い時間で重点的に、こういう御指摘でございました。

 まさしくそのとおりだと思っております。今回の道路四公団の民営化、実はこの改革の中で出させていただいた点が、まさしくその点を踏まえてということであります。

 利用度や緊急度、客観的に、こういうお話がございました。高速自動車国道で、整備計画九千三百四十二キロのうち、未供用の約二千キロ、七十区間に分けましてコストを大幅に削減する。これは、十五年度以降総額二十兆円かかるといったものを二割削減、これを、過ぐる十二月二十五日の国幹会議にお諮り申し上げさせていただいた、こういうことであります。

 コストの大幅な削減、それから客観的な評価、こういう面で申し上げますと、費用対効果、BバイCと採算性、それから、そのほかの外部効果、総合病院へのアクセスがどれだけ強化されるかといったような評価基準、これは民営化委員会の中で中村委員が御主張なさいまして、いわゆる中村基準と申し上げたりしておるわけでございますが、これをしっかりと計算させていただいて、明確にさせていただいて、そしてその必要性を厳しくかつ客観的に評価させていただいたところでございます。

 これは恐らく世界で初めてなんだろうと思います。いろいろな費用対効果、費用対便益の評価の仕方、世界でも、実務的にも学問的にもいろいろ研究を積み重ねてきております。しかしながら、組織的にこれだけのデータをきっちりとお出しさせていただきながら、一つの考え方で全体を並べて見て、そして評価させていただいた、これは恐らく世界で初めての試みと思っております。

 この評価結果に基づきまして、今後の高速道路の整備につきましては、関連事業の進捗状況も勘案しながら事業を進めることを原則とし、透明性高く、なおかつ、やるとなれば、短い期間で重点的にやっていく、集中と選択、こういうことだと思っております。

奥野分科員 今度の道路公団改革では、私の見ている限りにおいては、コスト削減というのが非常に大きなウエートを占めていると思うんです。

 特に、私も、民間にいていろいろ見ておりますと、やはりお役所の仕事といいますか、お国の仕事は、非常にコスト高になっている。それはよく目を通していただきたいんですが、もう一つ私が感じるのは、必要以上のスペックの道路を、必要なスペックのものはつくらなければいけないんですけれども、やはり部分部分では過剰品質になっていないかなという気がするんですね。

 そういう意味でできるだけ、道路にふさわしい、こことここならばこのくらいの規格でいいんじゃないか、そういう規格をフレキシブルに考えていただければな。そうするとコストはどんどん下がっていって、結果として、使っていただく方に意味のある結果が出てくるんではないかなと思っておるんです。

 そういった意味で、今度の四公団の民営化によって、利用者にどのようなメリットがもたらされるのかを簡単に教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 四公団の民営化、大事な点としていつも三つ挙げさせていただいております。

 一つは、四十兆円に上ります有利子の債務を確実に早く返済する。二つ目には、本当に必要な道路を、できるだけコスト縮減して、できるだけ少ない国民負担で必要な道路を建設する。三つ目に、利用者サービスをいろいろな形で向上させていただく。こういうことかと思っております。

 そこで、二点申し上げたいと思いますが、一つは、先ほどのオーバースペックの問題。これは、よく今の高速道路は、インターチェンジなんかをごらんいただくと、トランペットみたいにくるくる巻いております。これはどこでもかしこでもこういう必要は全くないのでありまして、これからのインターチェンジについては、ダイヤモンドのように、言ってみれば首都高速にあるようなインターチェンジ、ああした形をできるだけ使っていきたいと思っております。また、ジャンクションについても、ぐるぐる巻きのすごいジャンクションがありますが、これを美女木にありますようにごくごく軽易な形のジャンクション、状況によってそうしたことを多様化していきたいと思っております。オーバースペックは、そういう意味ではできるだけないようにしていこう。

 それからもう一つ、利用者サービスという面から申し上げますと、サービスエリアを初めとしていろいろ、今の公団のサービスの不十分さといいますか、大変御指摘いただいているところであります。これは、これから民営化した会社が、サービスエリア、パーキングエリアを運営しながら、お客様にできるだけまたたくさん来ていただく、サービスエリアの方にも、それから高速道路本体の方にも、できるだけお使いいただく、こういうような形でサービスの向上を図るとか、あるいはまた、料金につきましては、できるだけお支払いいただきやすいようないろいろな工夫を、多様で弾力的な工夫をしていこう、そういうようなことも民営化に向かって、現在やり始めているところではありますが、民営化して徹底的にそのようにやっていただくというようなことが、また利用者へのサービスの充実につながるものと期待しております。

奥野分科員 民営化をするということは、今までのマネージメントの中で、ポイントとしてはやはりお客様満足度というものが一番ポイントになると思うので、ぜひそれはお考えいただきたいなと思います。

 最後になりますけれども、今度は奈良県の話をまた最後にさせていただきたいんですが、京奈和自動車道というのがございます。これは高速道路じゃなくて国道ですね。いわゆる過去に直轄方式というものでやっていた道路だと思います。これが、今から考えますと二十年ぐらい前にプランができているんですが、いまだに供用になっている部分が奈良県の中ではほとんどない、こういうことであります。

 これは、京奈和自動車道というのは、南北方向の核になる路線でございますので、奈良県にとっては大変大切な路線でありまして、これから順次供用に供する形になると思うんですが、今残されているのが大和北道路と、それからもう一つは大和御所道路というのが、まだ明確にいつまでにできるという言葉をいただいていない部分だろうと思います。

 特に、大和北道路については、道筋がやっと決まったか決まらないかというようなレベルですから、これはもう少し時間がかかろうかと思いますけれども、その中で、大和御所道路の御所区間、これについて、いつごろまでにはちゃんとしてやるよ、こう言っていただけると大変助かるのですが、できましたら教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 京奈和自動車道は、関西の言ってみれば大環状を形成する大事な道路であります。全延長で申し上げますとおおむね百二十キロぐらいになろうか。そうしますと、事業費的には一兆円以上はかかるんだろうというような大変なプロジェクトであります。

 大和御所道路は、そのうちの大和郡山市から五條市まで、延長二十七キロあるわけでございますが、平成四年度に事業化いたしました。

 これまでに、西名阪ジャンクションから橿原・大和高田インターチェンジ、十三・八キロについて、優先的に整備を進めてきてまいります。用地買収がこの二月一日現在で九三%まで進捗しておりまして、現在、これは平成十七年度の供用を目指して、郡山南インターから橿原北インター間七・八キロの改良、橋梁工事を全面的に展開中であります。十七年度に、郡山南から橿原北の間でございます。

 引き続き用地買収と改良、橋梁工事を推進して、橿原バイパス区間など三区間の一般部も活用して、平成十七年度には西名阪ジャンクションから橿原・大和郡山インターチェンジ、これがつながる見込みで努力しています。

 残る橿原・大和郡山インターチェンジから五條北インターチェンジ間が十三キロございます。これにつきましては、現在、用地買収を推進しているところでありまして、この二月一日現在で五五%、五割を超えた、こういう状況でございまして、できるだけ早期全線供用を目指しまして、地元の協力をいただきながら整備に努めてまいりたいと思っております。

奥野分科員 十七年度までには大半は開通させてやるぞと、この間、道路局の方にいただいているんですが、局長さんには全部と言ってもらおうかなと思ったんですが、全部とは言ってもらえなかった。ぜひ努力して、我々も協力いたしますので、早目に供用に供するようにしていただきたいと思います。

 実は、私の家から奈良市に行くまで三十五キロなんですが、今、二時間近くかかるんです。これは、道路ができれば三十分ぐらい、三十分かかるかかからないかで行けると思いますので、こういった奈良県の苦境をぜひ御理解いただいて、きょうの私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて奥野信亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木克昌君。

    〔蓮実主査代理退席、主査着席〕

鈴木(克)分科員 民主党の鈴木克昌でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ちょっと私ごとで恐縮でありますが、私は、愛知県の県議を務めた後、地元蒲郡で市長をしてまいりました。県議、市長時代を通じて常に国に対してお願いを申し上げておったのは道路の整備ということでございまして、立場を変えて、今回、こうして道路のことでお話をさせていただけるということで、大変喜んでおる次第でございます。

 まず、過日、石原大臣、委員会で国土交通行政について所信を述べられたわけでありますが、それを伺っておって、なるほど、国土交通行政というのは、環境から、安心、安全そして地域活性化、都市再生等々、非常に大きな分野を担われておる。しかも、国民と本当に生活が密着をした大変に重要な部分を担われておるということを、改めて大臣の所信を伺って感じたわけであります。

 ちょっとそのときの一部分を抽出させていただきますと、環境問題に対し、地球温暖化や大気汚染への対応、快適な生活環境の実現、自然環境の保全、再生、健全な水循環系の構築、循環型社会の形成などに取り組んでまいります。また、安心で暮らしやすい社会の実現に向け、大規模地震、津波対策、水害対策、土砂災害対策等を重点的に実施してまいります。さらに、地域活性化の促進のため、地域間交流を促進する幹線道路網等の整備を推進し、個性ある地域の発展に取り組んでまいります。全国のまちづくり支援を充実してまいります。今後も、都市再生プロジェクトを推進するとともに、豊かで快適な都市の再生に取り組んでまいります。また、地域再生の取り組みを支援してまいりますというような要旨であったというふうにも思うわけでありますが、冒頭申し上げましたように、本当に、まさにこれこそ国民生活と全く不離不即、密着をした最も重要な部分ではないのかな、このように思うわけであります。

 実は、私の選挙区は、愛知の、静岡に近い、長野にも近い東の方になるわけでありますが、山紫水明と言うと自画自賛になるかもしれませんけれども、豊かな山と川そして海に囲まれた、文字どおり風光明媚な地域だというふうに思っております。今の大臣の所信の抜粋にもありますように、環境問題、災害対策の上で、本当に重要な地域だというふうに思っておるわけです。東海地震を初め南海地震等々言われておりますし、そんな意味でも非常に重要であるというふうに思っております。

 地方の地域間交流、活性化のためにも幹線道路網の整備はぜひ急いでいただきたい、このように思うわけでありますが、大臣お見えでございますので、もし差し支えなければ、先ほど申し上げました所信について何かコメントをいただければ大変ありがたい、このように思う次第でございます。

石原国務大臣 ただいまの鈴木委員の抜粋は広域にわたっておりましたが、これまでのこの分科会の御議論でも出た話の中では、やはり、国土交通行政で環境という切り口というものはこれから重要になってくると私は思いまして、話をさせていただきました。

 それは、先ほど鉄道の整備のお話が出まして、CO2の換算レベルでいいまして、鉄道を一〇〇としますと乗用車は一千百十一倍ぐらい。すなわち、交通機関によりましても、整備するものによって環境に対する負荷というものが大きく変わってくる。

 さらに、委員の選挙区でございます静岡から愛知にかけては、ただいま鈴木委員の意見の御開陳の中にありましたように、東南海の地震等々で津波の被害も予想される。こういう中で、住民の皆さん方の安全な避難ということに対して道路網が大変大きな役割を担ってくる。また、あの地域は、かつて大きな台風も来襲したというような経験も持っている。そういうことを考えますと、社会資本の整備というものが、安心、安全という切り口からも重要になってくる。

 また、委員におかれては、地方自治に御造詣の深い観点から、国会よりもより密接に地域の住民の皆様方の要求、また問題、こういうものを熟知されておりますので、これから必要なものをどういうふうにつくっていくのかという観点で今そのような御質問をされたのではないかと聞かせていただいたところでございます。

鈴木(克)分科員 大変ありがたい御発言をいただきました。本当に十分御理解をいただいておるということで、改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、まずお礼を申し上げなきゃいけないわけでありますが、私は愛知県でございまして、来年は万博ということであります。まさに国家的プロジェクトと言っても過言ではないと思うわけでありますが、とりわけ道路網の整備につきまして、ここ数年間、集中的に整備をいただきまして、東海環状そして伊勢湾岸、第二東名と申しましょうか、時々通らせていただくと、まさにこれだけの大事業をよくここまで集中的にやっていただいたな、こんなふうに思っておるわけでありますが、さらに、万博に向けて、ぜひひとつ御支援のほどをお願い申し上げたい。

 さて、それでは質問に入らせていただくわけでありますが、道路につきましては、今も大臣からお答えをいただいて、道路の必要性、重要性、そして道路行政の大切さは今さら言うまでもないかもしれませんが、少し申し上げさせていただきますと、道路は、豊かな生活や経済社会活動を支える最も基礎的な施設であり、その整備は国民がひとしく熱望するところであると考えます。また、高齢化、少子化が進展する中、二十一世紀の社会基盤を計画的に充実させるとともに、深刻化する環境問題にも対処する。

 とりわけ私の住む東三河は、先ほどのお話のように、東海地震等に対応する緊急輸送道路、避難道路を確保して、安全で安心できる地域づくりを目指しておるところでありまして、道路整備は、まさに、より一層重要となっているところでございます。

 ついては、地域の豊かで活力ある地域づくりを創造するために、高規格幹線道路から市町村道に至る道路網の整備等を、長期的な視点に立ってより一層推進することが不可欠であると考えておるところであります。

 そこで、一つには、社会資本整備重点計画を策定し、所要の道路整備費を確保することにより、都市の再生、地方の活性化、個性あるまちづくりなどの施策を、長期的な視点に立って一層推進していただきたい。二つには、渋滞対策、交通安全対策、防災対策等、安全で快適な生活環境づくりを推進するため、道路整備を一層推進していただきたい。三つには、道路利用者の意見を反映した道路整備を推進していただきたい等、申し上げるまでもないというふうに思うわけであります。

 そこで、具体的に御質問をさせていただきたいと思いますが、まず質問の第一点は、三遠南信自動車道路でございます。

 この道路は、言うまでもなく、長野県、静岡県そして愛知県という三県をまたぐ、とりわけ日本の中央で、南北で非常に重要な道路であるというふうに理解をいたしておるわけでありますが、三河と遠州を貫く三遠トンネル、これは仮称でありますけれども、この掘削が間もなく開始をされるというふうに伺っておるわけでございます。

 政府の進める、官から民へ、中央から地方へという改革の流れの中で、国土の最も基本的な社会基盤として、高規格幹線道路、とりわけこの三遠南信自動車道について、まず、現在の進捗状況、そしてまた今後の取り組み等についてお聞かせをいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤政府参考人 先生御指摘の三遠南信自動車道は、長野県の飯田市から静岡県の引佐郡の三ケ日町に至る、延長約百キロの高規格幹線道路であります。中央道や第二東名を有機的に連絡して、奥三河、北遠州、南信州地域の秩序ある開発、発展に大きく寄与する重要な路線と認識しております。

 飯喬道路、小川路峠道路、青崩峠道路、佐久間道路、三遠道路などから成ります一般国道の自動車専用道路で、平成七年度までに合計延長六十九キロを順次事業化いたしまして、現在までに、小川路峠道路の一部、青崩峠道路の一部区間、合計で延長約七キロにつきまして供用しているところであります。

 愛知県内につきましては三遠道路と佐久間道路の事業を推進しておりまして、このうち、三遠道路の鳳来インターチェンジから引佐のジャンクションまで、全体延長が十五キロでございますが、これにつきましては平成十九年度までに供用を図ろう、こういうことで、先ほどのトンネル工事に今年度末には着手しようということにしております。また、佐久間道路につきましては、静岡県内の用地買収を推進しているところでございます。

 何分にも、全体延長百キロ、今事業化しておりますのが七十キロ弱、この中で、恐らく、全体を完成しようとすると五千億円にもなろうかという大事業であります。コストの縮減をさらに一層徹底するということと、それから、引き続き、常に費用対効果、あるいはまた効果の方もできるだけ大きな発揮ができるように、地元と協力し合いながらBバイCを高めていく、こうしたことに努めながら、一日も早く全体の推進が図ることができるように努力してまいりたいと思っております。

鈴木(克)分科員 いずれにいたしましても、私ども奥三河に住まいする方々にとって、これは高速交通社会の到来という意味で非常に期待の高い道路でありますし、ぜひひとつ、計画どおりというか、少しでも前倒しをしていただいて、大変厳しい財政事情の中でありますが、促進方をお願い申し上げたいというふうに思う次第でございます。

 それで、質問の二番目になるわけでありますが、これも私の選挙区の話で大変恐縮でありますけれども、一般国道百五十一号線の整備についてでございます。これも非常に延長の長い道路でありまして、着手以来、大変な年月がかかっておるわけであります。

 その中で、三輪バイパス、豊根拡張、新城バイパス、一宮バイパスということで、大変長いがゆえに、工区を切っていろいろと御苦労をいただいておるわけでありますが、これはむしろ、本当にこの地域の人々の生活道路ともいうところでございまして、先ほどの三遠南信もさることながら、特に山の方々にとっては、この道路がまさに命と言っても過言ではないぐらいでございます。

 部分的に、視距改良を含めて進めていただいておるところでありますけれども、まだまだ交通の難所といいますか、本当に厳しいところがありまして、私も時々参るわけでありますけれども、これは何ともならないなということでございます。ぜひひとつ、三輪バイパスから始まって、百五十一号線の整備について御所見をいただきたいというふうに思いますが、なろうことなら、逐次、三輪バイパス、豊根、そして新城バイパス、一宮バイパス等、少し詳しく御説明をいただけると大変ありがたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

佐藤政府参考人 国道百五十一号は、先生御指摘のように、大変長い幹線道路であります。長野県の飯田市と豊橋市を中心としました豊橋都市圏を連絡する百三十八キロ、愛知県内がこのうち九十二キロでございます。ただし、改良率は九九%ということになってはおりますけれども、大変幅員が狭い、昔のぎりぎり一車線ちょっとの改良というところがかなりあるということと、線形が不良であって、隘路区間の解消や、あるいはまた、これは市街地に入ると新城なんかでは渋滞が大変だ、こういうことで、安全で円滑な交通の確保が必要だということで事業を展開させていただいているところであります。

 今、北設楽郡の豊根村のまず豊根拡幅から申し上げますと、これは大体三・四キロでございますが、改良工事で平成十六年度には延長〇・二キロ供用、こういうことで、既に二キロ余り供用しておりますので、残りが約〇・九キロになります。平成十九年度にはこの三・四キロが拡幅できるようにという目標を立てて、今、改良工事を推進している最中であります。

 また、三輪バイパスは〇・六キロでございます。短いバイパスでございますが、屈曲部を何とか直そう、こういうことで、これは二十年度の完成を目途に、道路設計や用地買収を推進している最中でございます。

 それから、新城バイパスは、渋滞解消ということでかなりしっかりしたバイパスを計画させていただいているわけでありますが、これにつきましては、平成十九年度の全線の暫定供用を目途に、残ります区間、約一・九キロ残っておるわけでございますが、新城市の竹広から八束穂地区の用地買収と改良工事を進めておるわけでございます。

 愛知県内では、先ほど申し上げました、大体改良率としては終わっておるわけでございますが、屈曲したものの改良があったりしておりまして、豊根村地内、豊根村と東栄町の境、それぞれ〇・二キロと〇・六キロ、それから鳳来町地内、この三カ所で未改良区間も残っておるところでありまして、今後の事業中の区間の進捗状況を勘案しながら、関係者の理解を得つつ事業に着手してまいりたいと思っております。

 ただし、何分にも、やはりこれだけいろいろな箇所で事業をやらせていただいている、こういうことからいきますと、予算をしっかりと確保して、暫定税率もこの十五年度から延ばさせていただいたところではありますが、予算の確保、また道路関係公団の民営化等につきましても、うまくそうした点が解決といいますか改善を図らせていただく必要があるだろう。道路事業全体の御支援もまたいただきながら、こうした事業の推進に努めてまいりたいと思っております。

鈴木(克)分科員 今それぞれ御答弁をいただいたわけでありますが、後ほどまた一宮バイパスについてちょっと教えていただけるとありがたいのですが。

 今お話しのように、〇・九キロ、九百メーターの工事があと三年、それから〇・六キロ、六百メーターの工事があと四年、一・三キロは三年ということでありますが、それぞれ待ち望んでおる地域の人々にとってみると、六百メーターじゃないか、せめて一、二年の間にできないものだろうかという、正直言って、これは切実な思いがあるわけでございます。

 もちろん、予算の関係それから工事その他もあるかもしれませんけれども、ぜひ、地震は待ってくれませんし、山の生活も本当に日々刻々と疲弊化をいたしておりますので、何とかひとつその辺のところ、お願いを申し上げたいというふうに思うところであります。

 大変恐縮でありますが、難航しております一宮バイパスについて少しお教えをいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 そういう意味では、先生、地元で、先ほどの短い区間で随分時間がかかるではないかと。これにつきましても、多少の用地買収、それから工程的に非常に厳しい、地形が厳しいところでございますので、先生おわかりのように、工事の手順そのものがなかなかきついということもありまして進みが非常に悪いというようにも見えますが、精いっぱい努力しておるところであります。

 一宮バイパスにつきましては、地元とも十分、打ち合わせといいますか、お互いに理解をよくよくさせていただき合いながらということで、計画の定着、それから事業に向けての準備ということに今努めている最中でございますので、また御協力をいただきながら、しっかりと進めてまいりたいと思っております。

鈴木(克)分科員 質問の最後でございますが、名豊道路についてお話を申し上げたいと思います。

 この名豊道路は、まさに名古屋市と豊橋市を結ぶ七十三キロの地域高規格道路なわけでありますが、実は、これも大変私ごとで恐縮なんですが、私が市長をいたしておりました蒲郡バイパスというのがあるわけでありますが、この間だけが全く手つかずということでございまして、本当に市長時代も、どれだけ国の方に御陳情を申し上げたかわからないところでございます。ようやく少し進捗できたかなというふうに思うんですが、十五キロぐらいだったと思うんですが、その間のまた半分がまだ都計決定がなされていないやに理解をいたしております。

 したがって、この二十三号について、これこそ、本来なら万博が始まる前に何とか迂回路として利用をできたらと。地元には名浜というような計画もあったんですが、これは今となってはとてもできる話ではありませんので、そういう意味でも、中部新国際空港や万博会場に行く、特に愛知県から東の皆さんのアクセスとしては非常に重要な道路だというふうに私は思っておるわけでもございまして、この二十三号についてひとつ御回答いただければありがたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 国道二十三号の名豊道路のお尋ねでございます。

 名豊道路は、名古屋の都市圏と豊橋市を中心とした豊橋都市圏を連絡して、国道一号と既存の二十三号の交通混雑の緩和、安全の確保、それから、ここには名古屋、衣浦、東三河各臨海工業地帯がございますので、あるいはまた、その背後地の秩序ある開発、こうした観点から計画された、延長が約七十三キロに上ります地域高規格道路であります。

 本道路は、豊橋東バイパス、豊橋バイパス、蒲郡バイパス、岡崎バイパス、知立バイパス、この五バイパスによって構成されておりまして、現在、六十四キロ、全体の八七%につきまして事業を推進している最中、こういうことでありまして、知立バイパスの全線供用を初めといたしまして、現在、延長で約三十四キロ、五割弱を供用している最中であります。

 これからの状況、こういうことでございますが、名豊道路の事業については、具体的には、豊橋東バイパス九・二キロにつきましては、用地買収と改良それから橋梁工事などを推進している最中でございます。

 豊橋バイパスの十七・六キロにつきましては、改良と橋梁、舗装工事を推進しておりまして、野依インターから大崎インターの間三・八キロにつきましては、暫定二車線で、平成十六年、ことしの春から供用を予定しているところ、こういうことであります。

 先生、多分一番問題なのは蒲郡かと。全体十五キロという中で、既に事業を進めさせていただいています五・九キロにつきましては、蒲郡西インターから芦谷インター三・一キロの区間につきまして用地買収を推進している最中であるわけであります。

 問題は、蒲郡インターから東三河のインターの九・一キロ区間でございます。大変急峻な地形でありまして、先生の方が御存じかもしれませんが、そして、トンネルとか橋梁とかの構造物が連続する、こういうことでございますので、現在、いかにコスト縮減をしながらBバイCを大きくしてということで、唯一ここの区間が事業が具体的にはないではないか、こういう形でございますので、現在、そうした観点からの調査を鋭意進めているところでございます。

 全体として、こうしたBバイC、きっちりとした評価をしながらということでございますので、特にルーティングの問題がこの場合には大事な部分でもある、こういうことでございますので、今、その辺を鋭意進めて、できるだけコストがかからない、しかしながら工事もやりやすい、こういうようなルートを大いに検討している最中でございますので、また御協力いただきながら、急いで詰めてまいりたいと思っております。

鈴木(克)分科員 それぞれ地元の道路ということで大変恐縮でございましたけれども、本当に私の思いをお聞き届けいただけたのではないかな、このように思っておるところであります。

 冒頭大臣にもお答えをいただきましたけれども、本当に道路整備というのは、社会基盤の整備は当然でありますけれども、まさに生活そのものということでもあります。厳しい財政状況であることは十分承知をいたしておりますが、今後ともひとつ整備について格段の御尽力をいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

園田主査 これにて鈴木克昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、樽井良和君。

樽井分科員 民主党の樽井良和です。

 きょうは、初めてなんですが、なるべく斬新な次世代議員としての質問をさせていただけたらと思います。

 月例経済報告では、現在景気は着実に回復しているんだと言明されていますが、それはいわゆる企業という経済組織体だけの話でありまして、まだまだ地方であるとか個人個人、例えば、きのうタクシーに乗りますと、どういうことでこれが回復していると言っているんだというようなお怒りの声が聞こえるぐらい暗い状態であります。

 実際に、暗いときというのは、人間というのは光を見たいんです。光を見るから観光なんです。きょうは、小泉総理は施政方針演説で、観光立国を積極的に推進します、こう言明しておりますので、観光産業について質問なり提言なりさせていただけたらと思います。

 まず、データ的なものなんですが、実際問題、現在において、訪日外国人旅行者数、そして日本人の海外旅行者数、つまり日本に何人来ているのか、日本からどれだけ行っているのか、そして国際旅行における収支、これの現状のデータをお聞かせください。

澤井政府参考人 まず、旅行者数でありますが、二〇〇二年、訪日の外国人旅行者が五百二十四万人、日本から海外に旅行をされている方が千六百五十二万人であります。

 一方、二〇〇二年の国際旅行収支は、受け取りが四千四百八億円、支払いは三兆二千九百六十億円であります。差し引き約二・九兆円の赤字であります。

樽井分科員 今、お答えしていただきましたけれども、国際収支においては、日本はこの何年度ずっと三兆円前後の赤字状態、これが続いているわけであります。訪日に対して、日本から行っている割合、これが三・一五倍ぐらいあります。円周率ぐらいの倍率なんです。そして、それよりもさらに、収支において七・五倍に及んでいるということ。実際にお金がどんどんどんどんと、日本は赤字状態であるまま放置してきたわけであります。

 そんな中で、実際に観光立国を目指すというからには、そういった現状を打破するために何か取り組んでいかなければ当然改善されるわけはありませんので、実際に小泉さんが観光立国を積極的に推進すると言っている中でどのような成果を上げ、どのようなことに取り組んでいるのか、その具体的な話をお伺わせください。

澤井政府参考人 二〇一〇年までに倍増の一千万人の外国のお客様に来ていただくということを目標にいたしまして、昨年の夏に、全省庁の施策を合わせまして観光立国行動計画というものを決めました。トップセールスをする、それを含めてビジット・ジャパン・キャンペーンを強力に展開する。さらに、国内についていいますと、一地域一観光ということで、各地域のいろいろな魅力を発掘し、磨き上げる。さらに、いろいろな御指摘がありますので、外国の皆さんに、日本に来やすく、また日本に来た上であちこちを回りやすくする。

 そういった幾つかの分野の施策について、全部で二百四十の施策を一たん計上いたしまして、その中には、国土交通省と一緒にやっていただく部分もありますが、国土交通省以外の省庁が関係するものが半分、百二十ほどあります。そういう意味で、全省庁挙げてやりますし、また、公共団体あるいは民間の関係方面とも強力に連携をして進めていきたいと思っております。

樽井分科員 具体的に、例えば温泉地にこんなことをしていますとか、あるいはこういうものをアピールしているんだとか、その具体的な内容はありますか。

澤井政府参考人 まず、外国のうちで、特に日本に今たくさん来ていただける、またこれからたくさん来ていただけるだろうというところを重点五大市場ということで定めまして、特にそこに重点的なキャンペーンを張っていこう。その際に、それぞれの国によりまして、日本のどこに魅力を感じるかということについても、いろいろとありますので、その辺をきっちり見定めて発信をしていこう。例えば、きょう午前中も御議論ありましたけれども、北海道では、雪とか自然とか、そういったものが、キャンペーンを張ったおかげで特に台湾でブームになりまして、これは大分前でありますが、台湾からの誘客をした結果、相当程度の成果があるというようなこともございます。

 一方で、今既に国際的にある程度認知されている魅力以外にも、日本にはたくさんの魅力があります。それぞれの地域らしさというものがその場合非常に基本的に重要だと思いますので、地域らしさを生かして、しかも、これはその地域の方々がその気になって、いろいろな人と連携をしてその玉を磨いていくという努力が必要だと思っておりますけれども、そういったことを進めていきたい。

 そういう中で、各地で各地の魅力を高めて、集客力を高めたそういった方々について、観光カリスマという格好で顕彰をさせていただきまして、そういった方々の体験や苦労を全国各地のまた教訓にしていただくというような取り組みもしております。

樽井分科員 魅力なんですが、例えば具体的にどういった魅力なのかという、その具体的な内容であります。その辺をちょっと教えていただきたいんですが。

澤井政府参考人 今、総理あるいは石原観光担当大臣がみずから、外国に日本の魅力をアピールするプロモーションビデオもつくってやっておりますが、その中で、端的に申しますと、非常に古い伝統のあるいいものと、それから最先端のもの、それが同居し、共存しているのが日本ですということを基本的に申し上げております。

 地域によっていろいろでありますけれども、温泉ですとかスキーですとか、あるいは非常に古い歴史的なものですとか、あるいはまた大都市に代表される先端的なものですとか、地域によっていろいろあります。それをしっかり認識することが大事だと思っております。

樽井分科員 いいもの、例えばそういった中でいろいろな日本の古い文化とかおっしゃっているんですが、それは別に今までもずっとあったことであります。それがあった段階でこれだけの赤字なんですから、新しいものを当然つくっていかなければならないと思うんですが、新しいものをつくろう、そういった部分においての取り組みというのはないんですか。

澤井政府参考人 具体的な例で一つ申しますと、滋賀県の長浜。これは、古いものと新しいものが組み合わさった例だと思いますが、古い町並みがありまして、ただ、郊外の大規模店舗によってその中心市街地が非常に衰退した。そういった中で、ヨーロッパなんかの研究をしまして、ガラス工芸というものが我々にも取り組めるものだと。いわば大資本ではできない、時間をかけないとできないものと、それから自分たちの意欲でできるもの、そういうものを組み合わせてやっていこうということで、いっときほとんど人が来なかった中心商店街に、二百万人の人が来たというような例もございます。

 それからもう一つ。古いものは知られているかというと、必ずしもそうでないと思います。初めて日本に来た方のいろいろな感想文なんかを読みますと、来てみないとわからぬ国だ、来てみて本当にいい国だということがわかったというような感想が多数寄せられておりますので、そういう意味では、今あるもので人が来ないものはだめだということではなくて、よさをもっともっとPRすることも大事だと思っております。

樽井分科員 要するに、実際に海外から日本に来られてお金を落とすのが三十五億ドルであって、日本から海外に行ってお金を使うのが二百六十四億ドルである。そういった中において、例えば今言われたようなガラス工芸でありますとか、そういったことを一つずつ実現していけばこれが改善されるような、とてもそういった気がいたしません。

 実際に、小泉さん、二月二十一日のラジオ放送「小泉総理ラジオで語る」の中で、観光立国ということでおっしゃられているんですが、キャッチフレーズを「ようこそジャパン」、こうやって、住んでよし、訪れてよしの国づくりをするんだと。小泉総理もCMに出演して英語で日本の紹介をされている。石原大臣もテレビ等でCM等に出演されていると聞いております。

 私だったら、例えば韓国だったらBoAでありますとか、あるいはアメリカだったら、きょうオスカーの方で出た渡辺謙さん、こういった方の方がアピール効果があると思われるんですが。

 まあ、それはいいとしても、先ほどからもおっしゃられているように、日本の美しい自然や文化、あるいは小泉さんが、このラジオの中でおっしゃられています、おすしやてんぷらなどのおいしい食べ物を紹介して、もっと来てもらおう。実際にそのおすしやてんぷら食べに日本に来てくれ、これによって本当に観光客を倍増させていこうという、これはどうも極めて陳腐で不十分な対策であって、ちょっと虫がよすぎるんじゃないかと私なんかは思うんです。

 実際に、また小泉総理、二〇一〇年までに日本を訪れる外国人を倍増して一千万人にするんだ、こういう目標を打ち出しております。そういった中で、これはわかるんですが、今五百二十四万人で三十五億ドルなんですね。たとえこれを倍増したところで七十億ドルじゃないですか。七十億ドルで、対する外国人の方に対しては、二百六十四億ドル日本が使っているわけです。これは余りにも少なかったものが少ないぐらいに変わったという、その程度の話じゃないかと思うんです。この観光立国として、これで国を引っ張っていこうという上においては余りにも不十分な成果、そして取り組みじゃないかと私は考えるわけであります。

 実際に、この日本全土で一千万人という目標なんですが、フランスのパリでは、例えば一年で五千万人来ているわけです、海外から。パリだけで五千万人来ている。日本全土で一千万人を目指そう、それで観光立国にしよう、こういったことにおいても非常に、私の中では消極的であり、しかも、人数がふえたところであっても、これは全然お金を、まあ、私なんか大阪商人ですからもうけないといけないと思っていますから、落としてくれるものが日本になければ、余りにもちょっと不十分なんじゃないかと思うんです。

 観光産業を二十一世紀のリーディング産業にするんだ、そういったことを考えておられるわけですから、この収支を、例えば均衡に保とう、この三十五億ドルを二百六十四億ドルにしようじゃないか、こういう目標を立てるとして、立てるつもりがあるのかどうかもお聞きしたいんですが、その均衡状態に持っていくとしたら何をしますか。先ほどでは不十分だと思いますので、さらなる対策をちょっとお聞かせ願いたいんです。

澤井政府参考人 一千万人は二〇一〇年の目標であります。これは、そこが到達点ということではありませんで、その後も引き続き努力をしていく目標だと思っております。

 そういった中で、私どもの究極の目標、観光にはいろいろなねらいがございますけれども、究極は、人々が国と国を行き交うことによって国際的な相互理解が進むということが一番の目標ではないかと思っております。その中でそういう努力を継続することによって、御指摘のような国際旅行収支の改善もさらに着実に進んでいくのではないかと思っております。

 先ほど来の数字でありますが、これは一人当たりということで直しますと、日本が受け取るベースでは約八万円ぐらいです。日本が支払うベースでは二十万ぐらい、日本の方が外国に行って支払うベースでは一人当たり二十万、そういう一人当たりの支払い、受け取りの差も相当きいておると思っておりまして、この辺についてもその要因を分析して、何らかの対策が可能であればとっていかないかぬのかなということを考えております。

石原国務大臣 旅行収支を日本と海外とで均等にする必要はないと私は思うんです。やはり日本は、今貿易立国で経常黒字がこれだけたまってきていて、やはりその全体の中で考えていかなければならない問題であると。

 先日、中国の武大使が大変示唆に富むお話をしてくださったんですけれども、中国の方は、昔の日本に非常に似ているんですけれども、海外旅行に来ると、家族プラス近くに住んでいる親戚全員にお土産買うというんですね。中国大使館で調べてみたら、秋葉原で日本の電化製品を買っているそうなんですけれども、平均で十万円、大きい人で百万円買っていると。そういうものは国際旅行収支の中には入ってきていない。

 それと、日本がやはり海外でこれだけのお金を使っている一つの理由は、ショッピングのウエートがかなり多いと思います。

 これも香港の代表の方あるいは行政長官の方がこの間おいでいただいて、話をしておもしろかったんですが、香港に日本人は買い物に行ったりショッピングに行くと私も思っていたんですね。香港の方も日本にショッピングに来るというんですね。何でですかといったら、日本人は喜んで、香港の方がブランド品が安いですから若い女性なんかは行くんですよと聞きましたら、香港の規格は、欧米人の体格のサイズのものがブランド品は主流なんだそうですね。日本に来ると小さいブランド品があるというので、香港の方々は日本においでになる。

 そういうことで、この四月一日からは香港の方々の旅行のビザをなくす、あるいは、昨年の十二月からは、成田空港の入管等々で外国人の方のカウンターの方が長く待つ、平均時間で長く待つ、こういう実態があるので、これは法務省とすぐ相談しまして、外国人と書いてあるものもすぐかえて、日本人というところに外国人の方も来られるように誘導して、日本は本当に訪ねやすい国なんですよ、もろもろの施策を複合的に積み上げていって初めて具体的な数字が出てくる。

 もちろん、委員御指摘のとおり、じゃ、これまで何やっていたんだと言われてしまいますと、行政としてやはりやっていなかったんだと思うんですね。来たかったらいらっしゃい、いいところはありますよ、こういうところにやはり大きな問題があったと考えております。

樽井分科員 国際収支をそろえなくてもいいということなんですが、これは小泉さん、観光立国を目指すと言って断言していたものですから、それならば当然もうけるぐらいのエネルギーがないとだめじゃないかと私は考えて言っていたわけです。

 実際にこの収支で見ますと、やはり日本人の方がデータ的には海外で買い物する量が多くて、海外の方の方が少ないと私は思うんですね。

 例えば、温泉に来たり、あるいはすばらしい景色を見て、この景色というのは、お金を払うのかといったらただですから、きれいだねと言って帰る。これでは、例えば日本の文化の理解、それには相当程度私は貢献すると思いますが、経済効果としてはえらい少ない、ちょっとしょぼいものじゃないのかと私は思っております。

 実際に私、じゃ、新しいものをつくれ、こういうふうに提言をしたいわけですけれども、石原大臣とは本当につながりが深い東京都知事がカジノをかつて提言されておられましたが、例えば、私の地元の堺でも、カジノをつくれば雇用が六千人ふえ、さらには観光の経済効果が四百三十二億円になる、こういったことを試算しております。

 こういった都市型エンターテインメントとして、カジノであるとか、今のは日本版ラスベガスですね、あるいは今、例えば日本版のハリウッドであるとか、あるいは日本版のブロードウエーであるとか、こういった斬新なことをしないと、どんと世界から、あるいはアジアから訪れてくるというインセンティブに非常に欠けると思うんですが、そういったことに対して、新しいそういった観光資源をつくることに対して、どう思われますか。

澤井政府参考人 いろいろなことを含めてテーマパーク的な試みで成功している地域もありますが、やはり私、個人的な感じも含めて言えば、日本らしさといいますか、世界、特に欧米なんかと日本を差別化するものがあって初めて、日本人のもてなし心とかみ合わさって、誇りを持って皆さんを迎えられるようになるのではないかというようなことを個人的には考えながら、今担当局長として、一地域一観光、地域で知恵を出して、そのらしさを出してお客様を呼ぶという方向を強く進めているつもりでございます。

樽井分科員 今例に出したカジノはともかくとして、例えばハリウッドでありますとか、あるいはブロードウエーといったあんな観光モデルは、ただただ観光モデルとしてだけの機能ではありません。実際にコンテンツ産業とかそういったものを育てるに当たっても、そういったところ、例えば映画をつくるディレクターが集まるんだ、そしてスターになりたい人が集まるんだというハリウッドという場所があれば、そういったコンテンツを育てる上にもかなりの部分で大きな力を発揮するわけです。同時に、それを観光資源としてもかなりのそういった経済効果をもたらすという二重の効果があるわけです。

 ちょっとここでは、話は変わりますが、実際に日本で若者が、例えば映画をつくりたい、あるいはミュージカルをやりたい、そういったところでどこに行くんだという、日本では。例えば、さっき言ったように、アメリカだとハリウッド行ってやろうか、ブロードウエー行こうかと思うんですが、日本の場合だったら、どこか東京の大学でいいところないか、そんなレベルなんですね。

 そういったことを改善するにおいても、こういった観光事業の一環も兼ねて、そういった一つの経済セクター、ここはこういったものをつくっているんだ、こういったフィルムメーカーの土地であるんだという、しかも観光を兼ねているんだ、二十一世紀型の日本の新しい都市型エンターテインメントも、経済効果を考えれば、当然考えてもいいと思うんですね。

 石原都知事もカジノを前に推進しておりましたけれども、実際、そういった中で、もうかったお金を――私は、もう現在の経済状態の中では、要するに、増税なき財政再建とかそんなことで処理できないと思っています。それよりも、もうける、カジノなりいろいろなものをつくって、海外からお客さんにどんと来てもらってもうけるんだ、そのもうかったお金の一部を目的税化してその地域に還元する。福祉に使う、経費に使う、そういったことによって税金を安くしたり、あるいは雇用を確保したりする、そういう収入ある財政再建を目指すべきだと思っているんです。そういった収入ある財政再建を目指す上においても、この観光であるとかあるいはコンテンツ産業であるとか、分けて考えるべきではないと思っております。

 実際に、先ほどから何回もおっしゃられておりますが、日本の文化はまた文化として、来たら楽しんでいただければいいわけですけれども、このままやはり、小泉総理の観光立国を目指すという中において、この赤字を放置しておいていいのかというまずその話でありまして、先ほど石原大臣は、こういった収支は別に均衡する必要はないんだというふうにおっしゃいますが、私の考えですと、資源もなければ土地もない、どんどんどんどんと工場が海外に流出していくこの日本の現状を踏まえると、やはり観光事業としてのエンターテインメント、これにはかなりの力を持って日本はビジョンを打ち立てて開発していくべきじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その辺、いかがですか。

澤井政府参考人 観光行政を進めていく上でどの分野に特に力を入れるかというあたりは、民間の関係の方々あるいはそれぞれの地域の方々に基本的にはお考えいただくのかなということと、それから、収支の改善を最大の目的にしてこの行政を進めていって本当にいいかどうかということは、先ほど大臣も仰せでありますけれども、あると思います。

 ただ、一つだけ例を申し上げますと、日本の場合に、時代劇というのは、これは国際的にも相当評価が高いと思っておりますが、景観をよくしようということとの関連で、電線の地中化ということをこれから力を入れてやっていきたいと思っているわけですが、電線を地中化して電線が見えなくなるようにし、また舗装を全部はいで土の面の道路にして、両側が昔ながらの町並みというようなところを現出した地域があります。そういったところではまさに時代劇のロケが非常にしやすいということで、そういうことによって人が来るというような効果も出始めているというふうに聞いております。いろいろな取り組みの中には、そういうことも一つあると思っております。

樽井分科員 観光資源において、先ほども観光カリスマとか、あるいはそういった地域のことに対して言われておられましたけれども、そういった状況で例えばふえるとしたら、国内旅行のような気がするんですね。国内旅行というと、まあ、これも大事なんですが、これは一つのゼロサムゲームです。日本の国民のお金から国民のお金に渡るだけであります。ではなくて、貿易としてあるいは産業として利益を上げようと思えば、やはり海外から来ていただいて、外貨を稼ぐというような、そういった意味合いもありますけれども、海外から来ていただいた方にお金を落としてもらう。そういったことをしないと、日本の景気というものは日本全土では余り変わらないような、そういったことになりかねないんです。

 実際に、例えばフランス行ったらルイ・ヴィトンのものを買おうとか、そういったことがありますが、日本に来て、では時代劇のロケを見て、帰って、では何を買うのかという、そこで刀を買うわけじゃないんですから、実際に収益として、経済効果として高いことをやっていかなければ産業として成り立たないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。

 実際の産業として、リーディング産業として小泉さんは観光事業をやるんだ、こう言っている割には、いかにも何か陳腐で不十分な、本当に、先ほどからも言っておりますけれども、日本だから、ではてんぷらだ、あるいはすしだ、あるいはちょっと時代劇がいいんじゃないかというような、こういったことでは、どんと倍増、この程度の低い数字ですと倍増するかもしれませんが、私はまだまだ不十分だと思います。

 地元のことを言いますと、例えばこういった都市型エンターテインメントをどんとつくりますと、例えば関西国際空港の問題も解決するわけです。中国では今どんどんと海外旅行に出かけられる方の数がふえています。実際に旅行業者のデータを見ますと、日本へもどんどん出かけようとしている。こういったものの受け皿ですね。例えば、中国で裕福になった方が、では日本に一回出かけていこう、どこに行くんだと。そういった行くところ、では京都にでも行こうか、それはそれでいいんですけれども、それだけではなく、もっとメジャーな、世界的に、ぱっと見てここに行きたいんだ、光を見るような、まさに光を見る観光というイメージの日本のエリア、こういったものを開発していかなければ、それほど大きな効果は期待できないのではないかと私なんかは考えるわけです。

 そもそも、役所仕事で、失礼ですけれども、エンターテインメントであり、観光を考えるという部分において、それほどの大きな成果、これが期待できるかというと、やはり民間の企業にも思いっ切り参入していただいて変えていかなければならないと私は考えるわけですが、そういった声は民間からは実際ないんですか。

澤井政府参考人 旅行業者あるいは宿泊機関あるいは運送機関含めて、関係の民間の方々も、大変今観光ということに力を当然入れていると思っています。もとより、私どもも、民間の力なくして観光振興はできないと思っております。

 先ほど先生仰せの中で、国内旅行、ゼロサムというお話があったんですが、国内でも交流が活発になって消費がふえれば、経済は大きくなると思います。その上で、当然、外国からのお客様もふやしていく、その中で、少なくとも結果として収支は改善の方向に向かうと思っています。

 いろいろな受け皿が必要だということでありますが、世界的に著名かどうかは別として、また、外国人の方が来ているか、日本人の方だけが来ているかは別として、いろいろな地域の取り組みを見ていますと、その取り組みによって、先ほど長浜のお話をしましたけれども、いろいろなところで、十年かけて入り込み客が倍になった、三倍になった、あるいは十倍になった、いろいろなところがたくさんございます。そういうことを積み上げていけば着実に私は改善すると思いますし、一発で何百万人というのはなかなか難しいと思うんですが、全国各地でそのような取り組みを着実にやっていくということが、この場合の一番の正面から行ける取り組みではないかというふうに思っております。

樽井分科員 実際に、例えばアメリカからずっと旅行行こうかという場合に、このままの日本の雰囲気では、もう中国まで飛び越えていって、日本に立ち寄らなくなってしまうというようなイメージすら起こりかねない。それぐらいこの日本の存在感というのはだんだん少なくなってきていると私は危惧しているんですが、本当に大きな海外から日本に訪れようというインセンティブを起こすようなもの、ディズニーランドやUSJ、これはアメリカのものをぱくっただけですが、例えば日本でとんでもない、そんなエンターテインメントエリアをつくるなり、何か和製のとてつもないエリアを開発しようというときには、やはり、民間もやりますけれども、国を挙げてそういったことを進めようとする力がなければ、全然前に進まないわけです。

 実際に、これから先、コンテンツであるとか観光産業、このコンピューターがどんどん進んでいく中においては、そういったエンターテインメント業みたいなものは経済の中でも少しずつ膨れていくと思うんですね。そのどんどんと広がっていく経済、これをちゃんとした受け皿として観光事業、いこうと思えば、やはり新しい、もっと斬新なイメージを何としてもやっていただきたい、これを強くお願いしまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

園田主査 これにて樽井良和君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 民主党の城井崇でございます。

 石原大臣、そして各局長の方々、引き続きの質疑で本当にお疲れかと思いますけれども、本日の第八分科会では、私、唯一の九州地方選出の委員からの質問ということでございます。インターネットを通じて、今この瞬間も、多くの有権者、そして関係の方々が注目しているということを心にとどめていただきながら、前向きな御答弁をぜひお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、本日は、北部九州の交通政策についてお聞きしたいと思っております。

 まず、北部九州における空港整備について、石原大臣にお伺いいたします。

 現在、北部九州においては、アジアに開かれた玄関としての役割を見据える中で、将来の航空需要の増大が各所で見込まれております。その中で、もう間もなくということになります開港を目指して、新しい北九州空港の建設が進んでおります。

 増大する航空需要に対応していくために、将来のこの北九州空港にどのような役割を期待し、そしてどのような展望を持っておられるのか。私は、周辺の空港との機能分担、そして空港間連携の視点から、新北九州空港の整備そして活用は欠かすことができない非常に重要な取り組みと考えておりますが、この新北九州空港の工事の進捗状況、どのように認識していらっしゃるか、大臣の御見解をお伺いします。

石原国務大臣 詳細は局長の方から御答弁させますが、私もちょっと御縁がありまして、北九州、よく行くんですよ。新北九州空港、あの埋め立ての土を使ってつくっているのを見てまいりまして、進捗率でおよそ九割程度と伺っております。

 ただ、一点気になりますのは、せっかくあれだけすばらしいものをつくっておきながら、利用価値、あるんですね、あれは海上空港ですから。これまでの北九州空港は、ちょっと滑走路が短くておっかなかったですね。一日四便という不便なこともありまして、私も何度も利用しましたけれども、北九州の方もみんな博多に行っちゃうんですね、便利だからといって。あれだけのものをつくったなら、同じ福岡県という県の中でやはり空港をちゃんとすみ分けるということを地元の方がしっかりとやる。

 歴史的に、小倉が城下町で博多の方が商業の町で、仲が悪いという話をよく聞くんですけれども、本当に同じ福岡の中でいがみ合っていたら、新しい空港も新しい用途は開けませんし、そこは心を広く持って、委員も九州出身の議員の方として、これも党派を超えて、ぜひ、その空港のあるべき姿、地元としての考え方をお取りまとめていただいて、国土交通省の方に持ってきていただきたいと思っております。

 詳細は、局長の方から答弁させます。

石川政府参考人 北九州空港の事業の進捗率でございますけれども、現在まで、十四年度までに護岸工事それから埋立工事をほぼ完了いたしました。本年度で地盤改良工事を終了する予定でございまして、空港用地はほぼでき上がる予定ということになります。したがいまして、先ほど大臣から御答弁いただきましたけれども、事業費ベースでの進捗率は約九割ということになります。

 今後は、滑走路あるいは航空保安施設などのいわゆる上物、こういう施設を整備することとしております。

 以上です。

城井分科員 大臣の御答弁、本当に意を強くいたしました。

 私も、新しい北九州空港が持っている潜在的な可能性というものは非常に強く感じております。私も、地元の皆様と相談しながらアイデアをまとめて、ぜひ提言をさせていただきたいというふうに思っております。

 続けて、先ほどの大臣のお話にもございましたけれども、この新しい北九州空港、海上空港でございます。この海上空港は、その運用に当たって本当にさまざまな懸念があると思っています。

 例えば、高潮の対策です。この空港が位置しています周防灘には、波による侵食というよりは、どちらかというと潮の高さ、潮位による被害というものが懸念をされます。

 ちょうど先日、別件で海岸の整備について少々調べておったところがあったんですが、その中でも、沿岸におきましても高潮への対策というものを主眼に海岸整備が行われているということがわかったところでございます。

 この周防灘特有の高潮への備えというものをどのように考えておられるのでしょうか。

 そしてまた、あわせてお伺いしたいんですけれども、これまでの空港整備、例えば関西国際空港においては、使い始めた後の地盤沈下、これが非常に深刻化をしております。新北九州空港においても同じような事態が懸念されるのではないか、そんなふうに考えておるわけですが、これらの対策についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石川政府参考人 最初に、高潮対策でございますけれども、この新北九州空港の護岸の天端高というものは、過去にあった最高の潮位というのが五・九二メートルでございまして、この過去最大の最高潮位の五・九二メートルを参考として、八・〇メートルという護岸の天端高にしてございます。したがいまして、高潮時においても波浪やしぶきが護岸を越えて空港島に入ってくることはほとんどないというふうに考えております。

 さらに、万が一入ってきた場合でも、護岸の背後に排水溝を設置してございまして、これに十分な容量を持たせておりますので、仮に海水が入ってきても、海水が島外に流れ出るように設計をしております。したがいまして、滑走路などの重要施設が浸水するということはないのではないかと考えております。

 さらに、地盤沈下についてでございますが、これにつきましては、長い間に生ずる沈下量というものについての大半を、いわゆる地盤改良工事というものを行ってきておりまして、これは工事中に終わらせるように今設計をしてございます。したがいまして、開港後の沈下というものはわずかではないかというふうに考えております。

城井分科員 既に御承知かと思いますが、新北九州空港の工事中にも一度護岸が壊れて、百億円の税金が使われてしまったという事実があります。例えば公共事業でよくあるんですが、小さく産んで大きく育てるといったことが起こらないように、しっかりと対策を事前にお願いしたいというふうに思います。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 新北九州空港の供用開始後の現北九州空港の跡地利用についてお伺いしたいと思います。

 新しい北九州空港の整備が進むと、その一方で新たな取り組みが必要となる部分、それが今申しました現在の北九州空港が移転した後に残される跡地の利活用の問題であります。現在、地元ではこの跡地利用の構想委員会が発足をしまして、先日第一回の議論がスタートをしたところでございます。

 国として、この跡地の利活用についてどのように考えているのか。政府としての利活用の取り組みの主体、これがどこになるのか。そして、民間への売却の可能性といったところがどうかというところも含めてお伺いしたいと思います。お願いします。

石川政府参考人 現在の北九州空港の跡地、敷地にしますと約六十ヘクタールほどございます。これにつきましては、敷地の処分につきましては、地元の自治体であります北九州市などにおいて責任を持って対処されるというふうに理解をしております。

 そういう中で、現在、北九州市などとの間で調整を進めているところでございますが、この土地の利用につきましては、北九州市などが中心となって利用構想をまとめる予定でございまして、現在作業中というふうに聞いております。

 私どもとしては、地元自治体がまとめた利用構想をもとに、跡地利用計画を決定するということになろうかと思います。

城井分科員 地元が責任を持ってという御発言がございましたけれども、今回の跡地は、新しい北九州空港に隣接する土地でもございます。それに加えまして、北部九州の将来の空港政策あるいは物流政策にも非常にかかわる問題だというふうに私、認識をしております。今後も国の積極的な助言そして支援をお願い申し上げたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 この新しい北九州空港の活用に当たりまして、最近、ポイントとなる取り組みが進んでおります。スターフライヤーという新しい航空会社が、北九州空港と羽田空港の間に参入する準備を現在進めておると聞いています。私は、この新規の航空会社であるスターフライヤーは、新しい北九州空港の活用に当たって非常にかぎを握る存在になるのではないか、可能性を大いに秘めているというふうに思っています。

 このポテンシャルを引き出す一つのきっかけとなるスターフライヤーに関して、大臣の御認識を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員がお話しになりました航空会社が、地元の経済界を中心に出資を募っているというお話は私も承っております。

 規制緩和の観点からは、多くの航空会社が同一路線に乗り入れて競争するということは大変意義深いものだと思います。ただし、気をつけなければいけないことは、先発組の地元出資の航空会社が必ずしもすべてうまくいっているというわけではありません。これは、先ほどもお話をさせていただきましたように、北九州の市民の皆様方が、自分たちの空港として、また自分たちのエアラインとしてしっかりと育てる、そういう意識を持って、便利だから博多に行っちゃうとか、そういうことのないようにしない限りは、なかなか新規の参入というものは難しいものがあると思っておりますが、基本的には賛成でございます。

城井分科員 今大臣のお話にもありましたが、確かに先発組はうまくいっておりません。スターフライヤーに限らず、新規の航空会社が航空業界に参入してくるときに、その立ち上げのときに特に多くの困難に直面をしてきました。中には、エア・ドゥのように、競争相手に助けを求めていかなければならないという状況に陥ったところもあります。

 そこで、お伺いします。

 新規の航空会社がその立ち上げのときに抱える課題、問題点というものをどのように政府としてお考えか。そして、それらを踏まえた上で、どのようにそれらの会社を支援していくのか。先ほどは、地元が育てていくというところがありました。ただ、地元からの努力にも限界がある。その中で、例えば羽田の発着枠の配分を含めた新規の航空会社への支援策というものについてお聞かせをいただきたいと思います。

石川政府参考人 新規航空会社についてでございますが、一般的に新規航空会社を立ち上げる際は、開業する前から、一つが航空機あるいは予備部品等々のいわば機材の調達、これが一つございます。それからもう一つは、所定の資格や能力を有する乗務員あるいは整備士などのいわゆる従業員を開業の前から確保し、養成をしていかなければいけないという問題がございます。それから、空港のカウンターあるいは予約センターの開設などのいわゆる営業活動、あるいは切符の販売というものについて整備をしていかなければいけないというふうな専門的かつ多岐にわたる準備というものが必要になります。

 この場合に、どうしても相当規模の開業資金というものの調達が必要となるわけでございまして、まず、そういう意味で、開業資金の確保ということが大事だろうと思います。さらには、専門的な知見やノウハウというものが必要になろうかと思います。

 こういう中で新たに航空事業を始めるということについて、今申し上げたような課題というものにつきましては、基本的に起業家の自助努力ということになるわけでございます。

 そういうことで、いろいろと努力をしていただくわけでございますが、国としては、新規航空会社の円滑な事業展開というものを少しでも容易なものにするために、事業環境の整備ということを行う必要があるというふうに考えておりまして、具体的には、今御指摘がありましたように、羽田空港の発着枠の優先配分、あるいは搭乗橋つきの空港スポットの優先配分などの措置を行ってきたところでございます。

城井分科員 今のお答えにちょっと加えてお聞きしたいんですが、今、新規の航空会社に対しての配分できる枠というのは、きょう時点で幾つございますか、羽田枠。

石川政府参考人 現時点で、新規航空会社のための枠というのは、形式的には少しありますが、実際には使われておりませんという状態でございます。

城井分科員 幾つですか、数をお願いします。

石川政府参考人 現在、新規航空会社用に用意してある枠は六枠でございますが、繰り返しになりますが、それは現在は使われておりません。

城井分科員 今、数字をいただきましたけれども、非常に限られた参入チャンスということになろうかと思います。

 しかし、その中でも、今、これまで航空を担ってきたJALグループですとかあるいはANAといったところが減収に転じていて厳しいというところも認識はしながらも、そういう寡占状態にある市場参入について、なかなか狭い入り口から頑張っていくというところにある新規の航空会社に対しては、ぜひ、せめて同じ舞台で戦える環境整備というものを一つ一つ積み重ねていただければということを要望として申し上げたいというふうに思います。

 さてここで、別の視点から、北部九州の航空政策についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 北部九州には、北九州空港のほかに、福岡空港、佐賀空港、長崎空港など多くの空港が点在をしております。これまで、どちらかといえば、空港の数こそあるものの、航空政策の戦略といったものはなかなか見えなかった。それぞれの空港の役割というものは見えず、空港間競争の結果にお任せにしてきた印象が私から見るとぬぐえません。

 これらの空港の役割と分担というものをどのように考えておられるのか、そしてまた、その役割分担を踏まえた上で、先ほど来お話を伺っております新北九州空港の利用圏あるいは後背地というものをどのあたりまでお考えか、お聞かせください。

石川政府参考人 現在工事中の新北九州空港の利用圏についてのお尋ねでございますが、基本的には現在百万を超える北九州市を中心とした圏域というものが利用圏になると思いますが、具体的には、供用後の就航する路線あるいはその便数、さらには道路等の空港アクセス、こういうものによって変わっていくものだと考えております。

城井分科員 今、便によって変化するということでしたけれども、恐らく、当初この新しい北九州空港をつくられるに当たって想定された利用圏というものは、かなり広い範囲ではなかったかというふうに承知をしております。その広い範囲の利用圏を想定する場合に、どうしても踏み込んだ取り組みが今後必要になってくるのではないかというふうに思います。それは、空港へのアクセスの充実でございます。

 きょう時点で申しますと、先ほどの新北九州空港、開港時には道路アクセスのみ、そして、車を使わない利用者の方はバスなどのピストン輸送で対応するしかアクセス方法がないというのが現状であると認識をしています。アクセス時間を短縮するなどさまざまな理由がありますけれども、鉄道アクセスの必要性というものはかなり本気で検討しなければならないと私は考えております。地元の北九州市でも、この鉄道アクセスの検討委員会をつくりまして、具体的な案も出てきているというふうに聞いています。

 そこで、お伺いします。

 この新しい北九州空港のアクセスのあり方、とりわけ鉄道アクセスの必要性についてどのようにお考えか、御見解をお聞かせください。

丸山政府参考人 ただいま御指摘いただきました新北九州空港への鉄道アクセスの問題でございますが、先生からお話ございましたように、北九州市を中心といたしまして、新北九州空港アクセス鉄道整備検討委員会において検討がされております。そこの中で、例えば事業主体をどうするかとか、ルートはどれが望ましいかとか、あるいは事業費はどのぐらいかかるんだろうかとか、あるいは輸送需要等はあるのかというような検討が行われたというふうに聞いております。

 ただ、残された問題としましては、検討いたしますと、収支採算性などの基本的な課題が多く残されておるというふうに私ども承知しておりまして、今後さらに、地方自治体などの関係事業者間において、残された問題を議論を深めていただく必要があるというふうに考えております。

城井分科員 実際に、これから採算を含めてまだまだ多くの課題はあろうかと思います。実際に取り組んでいくには、そうはいいつつも、国の協力といったものは不可欠であろうと思います。一歩、二歩踏み込んだ、前向きな取り組みというものを今後ぜひお願いしたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。

 さて、このアクセスの問題については、取り組まなければならない点、ほかにもあります。それは、空港の南部、具体的には福岡県の苅田町よりも南の地域からのアクセスの部分でございます。

 北九州市から苅田町の部分までは、新北九州空港の開港に間に合うように、例えば東九州自動車道の小倉―苅田間の整備が急ピッチで進んでいるということは承知をしております。しかし、先ほどの利用圏というところで考えたときに、恐らく含まれるであろう苅田町よりも南のエリアからのアクセスといったときに、今国土交通省から提示をされている地図上に点線は描かれていても、実際にどのような姿になるのかといった姿が見えてきていないというのが現状であると考えています。

 そこで、お伺いします。

 この苅田より南の地域からの新空港へのアクセスのあり方、どのようにお考えなんでしょうか。道路と鉄道をうまく組み合わせて対応していく必要があろうかと思います。苅田より南のエリアの高速道路の整備の進捗状況も含めて、御見解をお伺いしたいというふうに思います。お願いします。

佐藤政府参考人 アクセス全体の議論としては、この後、航空局長から申し上げさせていただこうと思うんですが、具体的に苅田から南側の高速道路の整備状況いかん、こういうお話でもありますので、道路局長の私の方から、東九州自動車道の今の整備の状況あるいは今後の見通し等につきまして、一言申し上げようと思います。

 東九州自動車道、これ全体は大変長い、全延長が四百三十五キロという、全体の事業費も一兆を越えようかという大事業であります。

 この中で、小倉と豊津の間、苅田、行橋、豊津、こうなるわけですが、と椎田南―宇佐につきましては、現在供用中の椎田道路と宇佐別府道路と一体となってネットワークを形成する、こういう性格のものでありまして、北九州から大分までを結んでいる、こういう大事な区間だと思っております。

 現在、小倉と豊津の間、これは事業中でありまして、全体の延長が二十四キロ、これで椎田道路につながるわけですけれども、二十四キロで事業費が一千六百億円。これは、特にこのうちの小倉と苅田間におきましては、北九州空港開港、どういうふうにするかという点についてはまた今いろいろ検討中とは聞いていますが、開港に間に合わせるんだ、こういう前提で事業の進捗を図っているところであります。

 さらに、椎田南と宇佐につきましては、これは今度はまだ、整備計画は出ておりますが、施行命令をこれから出そうということで調査を進めているところでありますから、コスト縮減なんかの具体化を図るべく調査を実施している、こういう状況であるということであります。この区間は、全体の延長としては二十八キロ、この前出させていただいた整備計画で申し上げますと一千億余り、こういうことでありますが、今後さらにコスト縮減等詰めながら、今後の事業の事業化を含めて大急ぎで検討している、こういう状況であるということであります。

城井分科員 先ほどの答弁の中にもあったわけですけれども、今お話の中にもありました、東九州自動車道を含めました高速道路の未供用区間の整備というものについて、私は、必要な道路は工夫を最大限に行いながら、できる限り整備を進めていく必要があろうというふうに考えています。

 それとともに、二つ大事な視点があると思っています。一つは、できる限り工費を節減していくということです。先日の毎日新聞の「道路国家」という特集記事がございました。この中でもありましたように、道路公団の例えば資材調達で、支給材制度、昔はあったけれども、族議員のプレッシャーでなくなったということをその記事でも目にしました。この支給材制度を例えば導入するだけでも、これまでに比べてかなりのコスト縮減というものは図れるなど、まだまだ改善の余地があるということが指摘をされています。

 このことは、もう一つの私が考える大事だという視点、利権打破の視点にも非常に有用だと思っています。さきに述べた、改善にブレーキを踏んでいる一部の人々がおります。道路イコール選挙の票という、旧来からの、我々の納めた税金というものを食い物にしてきた族議員の不当な介入はここでなくしていかなければなりません。なくしていくためにも、今後のこの未供用区間の整備というものに当たって、この点に目を凝らしていかなければならないと考えています。

 これらを踏まえ、東九州自動車道を含む未供用区間の整備に当たっての石原大臣の決意、改めてお伺いしたいというふうに思います。お願いします。

石原国務大臣 高速道路は、国民の経済社会生活上、大変重要なものであると認識をしております。しかし、委員の御指摘のとおり、これまでのつくり方等々には大きな問題があり、今回の道路公団民営化という、総理の言葉で言うところの戦後初の抜本改革、かなりの荒療治、こういうことによりまして、コストは、四兆円プラス二・五兆円、六兆五千億削減し、これからつくる道路については外部評価を徹底的にしている。外部評価ということは、BバイCプラス採算性プラス外からの要因、外部効果を図ってつくっていく。

 この東九州自動車道も、採算からだけで考えますと、それほど高い道路ではないと思いますが、南部地区からの新空港へのアクセス等々を考えると、こういうものがないと、先ほどの話ではありませんけれども、せっかく立派なものをつくってもだれも利用しない飛行場、九州の中には実はそんなような飛行場も、私も見に行きまして、二、三見受けられております。こういうものにならないようにしていかなければならないと思います。

 そこで、ここから先はぜひ委員にもお考えいただきたいんですが、民主党の皆さん方、自民党の皆さん方、きょうも分科会で話を聞かせていただきまして、やはり道路に対する陳情、個別路線のこういう問題、こういうものを早く整備してくれというのが一番実は多かったように感じました。

 そんな中で、皆様方は高速道路の無料化ということを御提言されておりますけれども、それによりまして、高速道路の整備のスピード、一般国道の整備のスピードは間違いなく落ちるわけですね、二兆円回すわけですから。そこを、幾らコスト削減でいっても、両立することはなかなか難しい。

 やはり、どういう形でこれからの高速道路を整備すべきかという点につきましても、委員のように意見をお持ちの皆様方の英知を結集していただいて、こういう形で、客観的な指標はもう決めたわけですから、指標の高いところからつくっていくということは決めたわけですから、そういうものをどういうふうにやっていけばいいかということを、ぜひ、国土交通委員会等々で御議論をこれからいただくようにお願いを申し上げたいと思います。

城井分科員 今大臣からお話ありました高速道路の無料化の部分、現在、私ども民主党の中でも、この前の選挙のマニフェストの中ではなかなか、その具体的な姿、暮らしがどうなっていくのかというのが見えなかったという批判は、私も選挙をくぐり抜ける中でたくさん伺いました。ですから、次の参議院選挙というところが一つのきっかけになろうかと思いますけれども、そのときには、もう一、二歩踏み込んだ具体的な姿をお見せできるように我々からも提言をしてまいりたいと思いますので、次の機会にぜひこのお話をさせてください。

 では、最後に、港湾の関係でお伺いさせていただきます。

 アジアと結ぶ拠点として非常にその重要度が高まっている北九州港そして博多港が応募をしておりますスーパー中枢港湾の指定の進捗状況について、最後にお聞かせをいただけますでしょうか。

鬼頭政府参考人 スーパー中枢港湾の検討状況についてのお尋ねをいただきました。

 今委員のお話にありましたように、北九州市及び福岡市からは、平成十五年の一月に、北九州港及び博多港のそれぞれの港において、今後増加が予想される中国等を発着地とするコンテナ貨物に対応した国際中継拠点として育成することを内容とするスーパー中枢港湾構想の提案をいただいたところでございます。

 その後、同じく平成十五年の三月には、その時点で御応募をいただいた八つの地域あるいは港のうちから、スーパー中枢港湾の候補として、今お話のありました北九州港及び博多港を含め、五つの地域あるいは港を選ばせていただいたところでございます。

 現在、各候補の港湾管理者におきまして、スーパー中枢港湾育成のためのアクションプログラム、我々は育成プログラムと呼んでおりますが、このプログラムを御検討いただいておりまして、別途設けておりますスーパー中枢港湾選定委員会におきまして、これら育成プログラムの指定基準への適合性などについて御議論をいただきまして、その結果を踏まえ、スーパー中枢港湾の指定を行うことにしたいと考えております。

城井分科員 時間が参ったようでございます。

 結びに、現場で汗をかいていらっしゃるすべての交通にかかわる皆さんの努力にこたえるように、石原大臣並びに関係各位の実のある交通政策への一層の取り組みを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

園田主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 次に、長沢広明君。

長沢分科員 公明党の長沢広明でございます。

 きょうは、大変長時間、本当に御苦労さまでございます。

 私の方からは、圏央道と上尾道路の建設につきまして、幾つか確認と、それからお願いをしたいというふうに思っております。

 初めに、圏央道でございます。

 首都圏を周回する高規格幹線道路として、首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道の建設は、首都圏の交通の混雑を緩和する、あるいは大気汚染を緩和するという意味で、さまざまな期待を集めて工事が行われておりますけれども、その進捗状況と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、蓮実主査代理着席〕

佐藤政府参考人 まず、全体的なことを申し上げたいと思います。

 圏央道は、首都圏の中心から四十キロから五十キロぐらいの距離だと思いますが、環状で、横浜、厚木、八王子、川越、筑波研究学園都市、成田、木更津、こうした中核都市を連絡している環状道路でございまして、全体をぐるっと回りまして約三百キロ、こう考えております。昭和六十年度から事業に着手いたしまして、平成十三年の八月二十八日には都市再生プロジェクトにも位置づけられたところであります。

 この三百キロのうち、既に二百六十六キロが事業化されておりまして、うち約三十キロが既に供用されている、こういう状態であります。百七十キロの区間について、用地買収と工事を進めているところであります。

 埼玉区間について、多少各論的に申し上げたいと思います。

 埼玉区間は、入間から幸手まで延長約五十九キロあるわけでございます。これに要する費用が恐らく九千億円を超えるんじゃないかなという大事業であります。

 このうち、関越道の鶴ヶ島ジャンクションから川島のインターチェンジの間、延長八キロにつきましては、平成四年度から順次用地買収に着手して、平成十六年二月の末現在、面積ベースで九九%の用地買収を完了しております。既に、高架の上下部あるいは改良工事を推進しているところであります。

 また、川島インターから埼玉、茨城県境の延長約三十一キロにつきましては、平成十二年度から順次用地買収に着手をして、この二月末現在では、面積ベースで、川島インターチェンジから東北道の間で約六〇%、東北道から埼玉、茨城県境、これは始めたばかりでございますが、約六%を完了いたしまして、平成十四年度より工事に着手している、こういう状態でございます。

 また、御存じのように、関越道から青梅方面につきましては既に供用させていただいている、こういう状況でございます。

長沢分科員 今お話しをいただきました埼玉県内の事業についてなんですけれども、川島インターチェンジから東北道の久喜白岡ジャンクションまで十九・九キロ区間について、特に桶川ジャンクションから東側の区間の圏央道の沿線で猛禽類のオオタカの生息が確認されたということで、これにつきましては、このオオタカをどう守るかということと、それから圏央道の建設ということで検討委員会が発足をいたしました。この検討委員会が発足したことで、逆に、用地買収などの一連の手続が約二年間滞っております。

 用地の買収に地権者の人はほとんど快諾をしておりまして、地権者にとっては、用地を売るということを前提に生活の設計を立てている方がたくさんいらっしゃいます。それが、検討委員会が発足したことで二年間ずっと滞ってそのまま、住民の側から見ると、自分たちの土地のことがたなざらしになっているということになっておりまして、生活設計に大幅な狂いが生じております。地域の方からも、この検討委員会、何でこんなに長くかかるんですか、進んでいるんですか、こういう声が大変強くなっております。

 現在、この検討委員会がどう進んでいるのか、進捗状況とあわせて伺いたいと思います。どうして長くなっているのか。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、埼玉の圏央道と上尾道路、この周辺でオオタカの生息が確認されまして、平成十四年の五月でございますが、専門家などから成る埼玉圏央道オオタカ等保護対策検討委員会を設立して、現在までに委員会を四回催して、保護対策等について議論してきていただいているところであります。

 このオオタカ保護対策の検討に当たりましては、生息状況をまず十分に把握するということと、計画道路による影響がいかがか、こういう問題がありまして、環境庁の保護マニュアルや埼玉県の資料などに基づきまして、詳細な調査を実施しているところであります。

 実は、この埼玉圏央道及び上尾道路沿線では、発見時期が異なりますが、七カ所の営巣地につきまして調査を行っております。マニュアルなどにおきましては、少なくとも、繁殖が成功した一シーズンを含む二営巣期の調査が必要というふうにされていることから、現在も調査や整理等を継続して実施しているところであります。そしてこの保護対策を検討する。

 問題は、実は、この七カ所の営巣地のうち五カ所の営巣地につきましては、繁殖の成功が二シーズン以上にわたって確認されておりますので、比較的、どういうふうにやっていくか、対策等の検討も、専門家の皆様ですから割とやりやすい、こういう面があろうかと思いますが、このうちの二カ所、あるいは一カ所なのかもしれませんが、一つがいなのかもしれませんが、二カ所については、繁殖の成功が、この二営巣期調査してきている段階ではまだ確認ができていない、こういうような問題もあります。こうしたところを除きまして、残りの五カ所については、保護対策案を提示しながら御議論いただいている、こういう状態であると承っております。

 委員会からの指導助言をいただきながら、早急に全体の保護対策の指針等が示していただけるように努めてまいりたいと思っております。

長沢分科員 その検討委員会が、委員の追加とかいろいろありまして、実際、会合と会合の間が非常にスパンがあいたり、なかなか進まないという状態があります。

 今、この検討委員会が、猛禽類の専門家と自然保護団体の専門家、代表、そういう方を委員にして検討を進められているというふうに聞いているんですけれども、もちろん、オオタカと道路の共生ということを目指しながら、交通安全、景観、経済性、総合的な見地から、バランスある保護対策をつくり上げることが大切であるというふうに考えております。

 そういう意味では、今後の対応として、この検討委員会だけで話が進むのではなく、例えば、もう少し地域の住民の声を聞くとか、あるいは、検討委員会に入っている専門家の方が、猛禽類、特にタカの専門家の方であったりしていまして、もう少し幅を広げて意見を伺ってはどうか。なかなか進まないということもありまして、幅を広げて意見を伺ってはどうかというふうに考えております。

 圏央道の建設を進める上で今後どのような対応を考えているか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、第一回と第二回の間で委員の追加といったようなこともあったようでございまして、多少時間を要した、こういう御議論もあるわけであります。

 これまでのところ、先ほどお話し申し上げましたように、七カ所のうちの二カ所、あるいは一つがいなのかもしれませんが、繁殖が確認されていない。残り五カ所についてはそれが確認されて、保護対策をどうするか、緑の連続性、こういうようなことも対策案としてはあるのではないかといったようなことで、具体的な議論を重ねていただいておるところであります。

 こうした議論の内容を、先生御指摘のように、地域の住民の皆様を初め広く公表する。そして、本当に、共生といいますか、大事な道路の速やかな整備ということと猛禽類との共生、あるいは自然環境全般と言ってもよろしいのかもしれませんが、そうした点から幅広く意見をいただきながら、できるだけ合意の形成を早めていく、こういうことも大事なことだというふうに思います。

 したがいまして、この検討委員会の審議状況等もできるだけ、公開といいますか、現時点ではこうであるということを公表させていただきながら地域住民の皆様からも幅広い意見もいただく、そんなことを今大いにやるべきだなと、先生の御意見を伺いながらも思っておるところでありますので、そうした点の努力をしてまいりたいと思っております。

長沢分科員 検討委員会だけでどういう検討が進んでいるのか、地域の人は大変不安に思っておりますし、そういう意味では、検討の内容、それから国土交通省の側も、このオオタカとの共生の問題についていろいろな御提案も随分されて、いろいろ苦労もされているわけですね。そういう努力をしているということをやはり地域の方にわかっていただくということも大変大事なことで、理解を広げるということも大変大事なことですので、ぜひひとつお願いしたいというふうに思います。

 地元地権者に対する情報の提供ということは十分配慮されていると思いますが、桶川ジャンクション周辺の地権者の方は、先ほど申しましたとおり、九割以上がもう協力者でございます。九割以上が協力者で、道路行政に対しては、逆に言うと理解者である、こういうふうに考慮した上で、生活再建などの関係で用地の買い取りを待っている、この待っているお困りの方については用地の買い取り対応で十分に対応を図る必要もありますし、少しでも早い用地買収を望んでいる地権者の方たちのためにも、この方たちを救済するような手だてを講じるべきであるというふうに考えております。

 いわゆる計画済みの道路を早期に建設するべきだ、こういうふうに私どもは言っていますけれども、計画済みということは、地元の地権者、地域の方々のさまざまな期待やさまざまな状況があるわけで、そういう人たちの生活がかかる部分もありますので、そういう対応をしっかりしていくことは非常に大事なことだ。少なくとも、用地買収の前段として必要な測量や調査などはできるだけ早く実施していただくことを要望したいと思いますが、この点についてお考えをお聞かせください。

佐藤政府参考人 先生の御指摘のとおりだと思います。地権者の皆様も、それぞれの生活設計をどういうふうにしていこうかと。時期を失したりしますと、いろいろ、あそこに行こうかな、ここに行こうかなといったような考えがまた振り出しに戻さざるを得ないというようなこともあるわけでございますので、そうした点の配慮も含めて、十分に地権者の皆様との会話といいますか、意思の疎通を十分図りながら、交渉、用地の買収等も進めてまいりたいと思います。

 また、それ以外に、先ほど来の、周辺の皆様あるいはまた県民、国民の皆様にも、今の状況がこうだということをできるだけおわかりいただくのは大事なことだと思いますので、そういう意味では、事業の推進と整備の推進、それから環境の共生というような面についても、これは堂々と、できるだけの情報を出させていただきながら御理解を深めていっていただく、これもまた大事なことだ。両方やってまいりたいと思っております。

長沢分科員 次に、圏央道と桶川ジャンクションで交差する上尾道路についてお聞きしたいと思います。

 一般国道十七号線、非常に慢性的に混雑をしている道路がありまして、ちょっと太くなったり細くなったり途中もしているんですが、その混雑を解消する観点からこの上尾道路の整備が進められているというふうに思いますが、この進捗状況と今後の見通しを確認させてください。

佐藤政府参考人 上尾道路は、さいたま市から鴻巣市に至ります、延長が約二十キロ、全体事業費が三千億円ぐらいはかかるかもしれない、こういう大バイパスであります。

 このうち、さいたま市の西区宮前町から桶川市の川田谷間、先ほどの桶川の圏央道とのジャンクションまで、こういうことになるわけでございますが、十一キロにつきまして、平成七年度までに順次事業化し、九年度から用地買収に着手しまして、この二月末現在、面積ベースで約四七%を取得完了ということでございます。平成十四年度より一部工事に着手しております。

 事業中区間の延長約十一キロにつきましては、圏央道の供用に合わせまして、圏央道の方も平成十九年度までということで事業を進めておるわけでございますので、圏央道の供用に合わせて供用したいということで事業の推進に努めているところでございます。

長沢分科員 今、十九年度というお話がありました。この上尾道路につきましても、地域のいわゆる混雑解消という意味で大変に期待が高まっております。

 かつて、この分科会におきまして、当時、若松謙維議員の質問に政府側からの答弁として、圏央道の東北道までの区間と上尾道路の桶川ジャンクションまでの区間について、平成十九年度末までの供用開始を目途とする、こういう旨が表明されております。

 今、なかなか進みにくい状況にあって非常に地域の方は不安に思っておりますが、国会でかつて表明されたということを重視しまして、平成十九年度末まで、この上尾道路、供用開始へ向けて頑張るということで、大変申しわけございませんが、その力強い決意を大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 詳細につきましては道路局長から御答弁をさせていただきますが、国会で約束をさせていただきましたことでございますので、平成十九年度を目指してスピードアップを努めてまいりたいと思います。

佐藤政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますが、圏央道の方も関越から東北道まで十九年度、こういうことで、その中の桶川ジャンクション周辺、これにつきましては、地元の御理解あるいはまた自然環境団体等を含めて、先ほど来のオオタカ、猛禽類と事業との共生といいますか人間との共生、これにも十分配慮しながら十九年度を目指して鋭意努力する、こういうことで頑張ってまいりたいと思っております。

長沢分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 この上尾道路につきましては、桶川ジャンクションまでは事業化されて、一部工事が開始されております。桶川ジャンクションからさらに北の事業化については、工事の進みぐあいを見ながら順次行っていくという見解がこれまでも示されております。

 ただ、十七号の通行車両は桶川ジャンクションから先のはけ口がないということで、先ほど来、十七号のいわゆる混雑緩和ということを言っておりますが、接続する県道を経由して再び市街地内の現在の道路に戻らなきゃならなくなってくる、そのことによってそこからまた新たな交通の混雑が起きてしまうということで、現在は賛成している地元の皆さんも、そういうことならむしろ反対だと言い出しかねない状況もあるということで、この箕田までの建設を急ぐべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 先生の御指摘は、上尾道路全体二十キロのうち、圏央道とのジャンクションまで十一キロについては、圏央道の関越、東北と一緒に供用するという目標で一緒になってやっているが、そこから先の九キロが見通しが立たないのではそこで詰まってしまうのではないか、こういう御指摘かと思います。

 そういう意味では、圏央道を通じて分散を図っていただくというのがとりあえずの一つの節目かなということで、何分にも膨大な事業費がかかるという点もありまして、重点的、集中的な事業の執行という観点から重点化をさせていただいているところであるわけであります。

 ただし、そこから先の未事業化区間の九キロ、これにつきましても、今いろいろな観点から検討を加えておるところでありまして、いずれにしても、早期に整備が必要であるということだと思っております。

 九キロで総事業費は一千億円を多分超えるであろう。したがいまして、またこれも、できるだけコスト縮減等を今いろいろな観点から検討しておるところでございますが、少なくとも平成十九年度までに上尾道路と圏央道の供用ができたとしたときに、そこから先の部分が、さあどうしましょうかというようなことではこれは相済まぬという問題ではあろう。もちろんそう思っておりますので、十九年度までにちゃんとした事業化が図れるというような形でやりたいということで、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

長沢分科員 大変細かい話をして申しわけございません。恐縮でございます。ひとつよろしくお願いいたします。これは埼玉県内の交通のネックとも言われているところでございまして、非常に大事に思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、首都高速道路の話題の中で、一つは、昨年末から、首都高速道路の一部区間で、夜間通行のETC利用者に割引料金を適用するというような工夫を行われております。この利用状況にどのような変化が見られたか等々、利用状況からどのような特徴が見られるか。

 個人的に、ETC利用者に割引料金適用ということで大変インパクトもありましたし、いいアイデアだったというふうに思います。もっと対象を広げるとか、あるいは路線をふやすとかいう形で推進していただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 首都高速道路の夜間割引の社会実験につきましては、夜間時間帯の料金を割り引くことで一般道路からの交通の転換をできるだけ図って、渋滞緩和あるいは沿道環境の改善、こうした点を、どのぐらいかというので効果影響を調査する、こういうことで、平成十五年の十一月二十八日から実施したところであります。当初は二月まで三カ月間、こういうふうには考えておりました。

 これまでの利用状況を申し上げますと、夜間の割引時間帯におきまして、ETCの利用交通量が一日当たり約四千九百台増加している。その増加交通量のうちの約六割が一般道路から首都高速道路への転換、こういうような結果が読み取れる状況であります。

 しかしながら、一日通してといいますか全体としては、夜間の割引をしながら私ども期待しておりますのは、できれば料金の収入の方も本当はふえれば一番よろしいんですが、そこら辺の影響ももう少し見てみないとというところがございます。

 つまり、増加交通量のうちの一部分は昼間の交通から夜間の割引時間帯へ移っている、こういう面もございます。そういう意味で、もう少し安定性を見てみようということもございまして、三月三十一日まで実験期間を延長して、引き続き実験させていただくということにしたわけでございます。

 そうした点を全体をもう少し解析したりしながら、社会実験でございますので、では、次に、これを評価して次なる方向性をどうするかということを考えてみたいと思っております。

長沢分科員 このETCに関しましては、私も利用者の一人で、首都高速を頻繁に利用いたします。ETC搭載車とそれから一般車の通行するレーンが大体共用されている料金所が多くて、一般車とETCのどちらも通れるというレーンが、全部がそうなっているというところが非常に多くなっていまして、これではETCのメリットが生かされないのではないかなという感じがいたします。

 ETCの利用を促進するという観点からは、やはり専用レーンを設けて差別化を図っていくということも必要ではないかと思いますが、そのほかにも、ETCの利用をどう促進するか、促進するためにどのような検討をしておられるか、お答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 二点についてお尋ねがありました。

 一点目、まさしくそうした御意見が大変強くあるところでございまして、専用レーンならともかく、専用と一般の混在レーンですと、逆に、ETCの車がすっと通ることによって一般車の方が、言ってみればその余得をいただいているというか、ETCの方はそれほど早くならない。一般車の方が全体としては通過時間が早くなる、余り待たずに済む。これでは、ETCを使う人のメリットじゃなくて、使わない人のメリットになっているんじゃないか、こんな御指摘もあったりするところでありまして、できるだけ専用レーン化を図るべし、これは大臣からも御指導いただいているところであります。

 そういう意味で、首都高速道路につきましては、今年度中に基本的にすべての本線料金所、これは十八カ所ございますが、来年度中には基本的にすべての料金所において、全体で百六十二カ所でございますが、専用レーンを確保するという予定で今整備を進めているところでございます。

 現状におきまして、一月で申し上げますと、本線料金所における専用の運用時間、これが平均で、一日二十四時間でございますから、一日当たり、二十四時間のうちの約二十三時間は専用レーンとしての運用をさせていただいている、こういうことでございまして、ETCの利用率が大分向上してきた、一八%、約二割になってまいりましたので、そうした運用が本線料金所では可能なようになってきたということでございまして、来年度中にはすべての料金所において専用レーンを確保してETCの利便に供したい、こう思っているところであります。

 それから、ETCの普及促進策といたしましては、既に今年度、主に有料道路の多頻度利用者を対象としまして、ETCモニター・リース等支援制度、こういうことでETCの車載器購入支援を実施させていただいて、平成十五年六月に一般車十二万台、この平成十六年二月に十五万台を実施して、予定台数を終了したところでございます。

 平成十六年度以降も、ETCを活用した多様で弾力的な料金施策を実施することによりまして、さらなる普及促進に努めてまいりたいと思っております。

長沢分科員 最後に、私ども、昨年の選挙の際に、私、比例区の北関東ブロック選出なんですが、北関東におきまして、いわゆる北関東物流特区構想というのを提案させていただきました。

 これは、圏央道だけではなくて、いわゆる北関東道の建設を促進しまして、茨城の港、それから途中、空港、百里とか、港それから空港そして北関東の物流の大動脈としての北関東道、それから圏央道、こういうのをつないで、首都、中央を通らずに物流が流れる。北関東道として大きな動脈として流れる。そのために、港と空港そして道路、これを一体に結びつけて、そしてさらに、縦に放射する高速道路もありますので、そういうインターチェンジも含めて、いわゆる物流の一つの拠点をつくっていくという構想でございます。

 特区というからには、できればそこに物流のためのさまざまな利点も生まれてほしいというふうには思っていたわけなんですが、その中で、特に道路の機能を活用した物流センターを誘致しやすくするとか、インターチェンジ周辺の土地利用については戦略的な検討をしてもいいのではないかと思っています。

 もちろん、実際には、土地を利用するということに関しましては、地元の自治体がどういうことを考えているか、物流センターをインターチェンジ周辺につくっていくというようなことをしても、それを地元自治体がどう考えるかということが非常に大事になるんですけれども、ただ単に地元に任せるのではなくて、国としても積極的にインターチェンジ周辺の土地利用について戦略的に考えていくという姿勢があってもいいのではないかというふうに思っておりますが、この点、いかがでございましょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 インターチェンジの周辺は、御指摘のとおり交通の要衝でございまして、物流関係の施設の立地に非常に有利なところでございます。今お話がございましたように、北関東自動車道につきましては、ひたちなか港の港湾の物流、港と道路、それから圏央道につきましては成田、これは航空貨物の拠点があるということで、非常に重要な拠点になると思います。

 ということで、実は、平成十一年に策定されております第五次の首都圏基本計画では、今後整備する物流拠点十カ所がこの計画に書いてございますが、何と、ほとんどすべて、この北関東自動車道と圏央道の周辺に集中しているということでございます。

 国の基本計画できちっと位置づけをしているということは、将来、地元がいろいろな具体的な実現の動きがあった場合に、交通計画の上位計画になりますし、それから、都市計画の上位計画になるということで、首都圏の基本計画できちっと位置づけているということが、この北関東自動車道、圏央道周辺の物流拠点構想の推進に大きく寄与すると思っております。

長沢分科員 ぜひ、北関東に物流の大きな動脈をつくっていくということで、空港それから港湾、道路という結びつけが非常に大事になってきますし、それは、とりもなおさず都心部の交通の流量を削減していくという意味でも大変大きな意味を持っていく計画だと思いますので、全力で今後も推進をお願いしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて長沢広明君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 昨年初当選いたし、本日、二回目の委員会質問でございます。まだまだ緊張しております。

 先日、羽田空港再拡張事業神奈川口構想について、石原大臣に申し入れに参りました。その折、大臣のお母様、私が現在住んでおります横須賀市の御出身とお伺いいたしまして、大臣は神奈川にさまざまな御縁があると推察をしております。本日、私が御要望申し上げる神奈川口構想につきましては、ぜひとも最優先で実現をしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。

 まず最初に、私ども、神奈川県の京浜臨海部、重厚長大産業を主体として、これまで日本の経済を牽引してまいりました。しかしながら、近年の産業構造の変化や土地利用の利用率の低下に伴い、活力の低下が懸念をされております。ここも、大変大きな土地を占めておりますいすゞ自動車工業が撤退を決定しております、私もしょっちゅうこの辺は車で走っておりますけれども。

 一方、この地域は首都圏という人口と巨大なマーケットのある地域を後方に抱えており、高度な技術の集積など産業資源を持っております。さらに、陸海空の広域交通の要衝の地であることなど、数々のすぐれた立地特性を兼ね備えております。

 こうした立地条件を生かして、新しい産業地域としての再生を図ることは、単にこの地域、川崎また神奈川ばかりではなく、首都圏、ひいては我が国経済の活性化に大きく寄与するものであるというふうに考えます。

 一方、国におきましても、京浜臨海部を対象に、都市再生プロジェクトとして、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備、また全国で唯一の都市再生予定地域の設定、構造改革特区の認定など、さまざまな施策により、産業の活性化と新たなまちづくりへの動きが活発化してきております。

 大臣も御存じかと思いますけれども、神奈川県は、ここから横浜、また古都鎌倉、湘南、箱根など、大変観光資源に恵まれておりまして、世界に誇れる県であると私も自負をしております。さまざまな観点で、今回の羽田空港拡張事業、地元といたしましても多大な期待を寄せているところでございます。

 まず初めに、羽田空港拡張事業の必要性について、大臣の御認識をお伺いいたします。

石原国務大臣 先日、古屋委員が役所の方においでいただきまして、今お述べになりましたような、羽田の四本目の滑走路によります再拡張と国際化によって、これまで日本の経済発展を支えてきた京浜臨海工業地帯、現在、今いすゞのお話をされましたけれども、それ以外にも、川崎から南の方に、ずっと横浜にかけましてかなり虫食い状態になってきている、そういうものの再生の起爆剤に羽田の再拡張というものをぜひ利用したいというお考えには、私も、そのときも申しましたように、大変賛成でございます。

 それでは、どんなような波及効果があるのかな。一言で言いますと、滑走路が一本ふえますので、今およそ年間二十八万回の発着から、四十一万回近くになる。そのうちの三万回部分を国際線に割り振ることができる。すなわち、国際定期便の運行が可能になってくる。これによりまして、委員が今御指摘されましたように、神奈川県というのは大きな工業地帯もありますけれども、古都鎌倉や箱根や湘南海岸といったような大変観光明媚なところでございますので、観光というふうにも外国のお客様をお連れすることができる。そういうものにお役立て願えればと考えております。

 そして、経済波及効果がどのぐらいあるのか。これは試算の上でございますけれども、調べてみましたら、生産額等々の増加で、一都三県で一兆二千億円、雇用増は一都三県で十一万人。これが全国ベースにしますと二兆円と十八万人と、さらに我が国の経済の再活性化にこの羽田空港の再拡張事業というものが資するところが明らかになったわけでございます。

 それに伴いましてと申しますか、ただ、事業規模が大変大きい事業でございますので、節約できるところは節約して、必要なものは必要、委員がこれから御質問をされます神奈川口構想というものも、神奈川県とのアクセスという上で私も大変重要だと認識しておりますので、そういう部分にしっかりと予算を回す上でも、節約できるところは節約して、民間にお願いできるところは民間にお頼みして、この再拡張事業というものを進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 大変な経済効果があるということでございますけれども、現在、私なども住んでおります首都圏におきましても、地域によりましては、成田にあります新東京国際空港に参りますには大変時間がかかる地域がございます。例えば、近隣諸国にここから旅立つ場合には、旅立って飛行機に乗っている時間よりも、逆に成田に行く方が時間がかかってしまうとか、また宿泊しなければならない。また、成田に着かれた海外からの観光客も、同様のことが言えるかと思います。

 ただいまも大臣から簡単な御説明がありましたが、このたびの羽田空港再拡張後の国際化のあり方について、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。

石川政府参考人 先ほど大臣からお話がありましたように、羽田の再拡張後の便数でございますが、現在が年間二十八・五万回から四十・七万回というふうに増強されることとなっておりまして、さらに、そのうちの三万回程度については国際定期便の受け入れということが可能だろうと思っております。

 首都圏における国際空港についてでございますが、基本的には、羽田空港が国内線、成田空港は国際線、それぞれの拠点空港であるということは変わりはないわけでございますが、羽田空港の再拡張後に就航する国際定期便の路線、こういうものにつきましては、今お話がありましたように、特に近距離国際路線ということを基本的に考えておる次第でございます。

 具体的にどこかということにつきましては、現時点では決定しているわけではございませんが、現在の羽田発着の国内線の最大距離は、実は羽田と石垣空港間でございまして、これが千九百四十七キロという距離にございます。これを一つの目安として、今後検討していくということになろうかと思います。

古屋(範)分科員 この羽田空港の再拡張また国際化は、首都圏、特に神奈川にどのような波及効果をもたらすとお考えでしょうか、御質問いたします。

石川政府参考人 羽田空港の再拡張事業でございますけれども、新しく滑走路の容量がふえるということで、全国的に空港のネットワーク網というものが拡充するわけでございますし、さらに、今申し上げましたように、近距離の国際線というものも実現できていくわけでございます。そういう中で、航空利用者の利便の向上ということのみならず、やはり、都市の再生あるいは観光の振興、さらには地域交流の促進というふうなさまざまな効果があろうかと思います。

 それで、先ほど大臣からもお話ございましたように、一都三県、これで考えますと、生産額増加というものは年間一・二兆円、それから、雇用増というのは年間約十一万人ということになりまして、このうち、神奈川県につきましては、生産額増加は年間約一千億円、雇用増は年間約三万人というふうな大きな経済波及効果をもたらすものと試算をしてございます。

古屋(範)分科員 神奈川県は大変観光の名所が多いわけですけれども、都心から近過ぎてなかなか宿泊客が少ないというような声もございまして、この国際化により、アジアの近隣諸国からたくさんの観光客が神奈川にいらしてくださればというふうに期待をしているわけでございます。

 次に、神奈川県等から提案されております神奈川口構想、この具体的な内容についてお尋ねをいたします。

石川政府参考人 神奈川県の方から御提案いただいています神奈川口構想でございますが、これは、神奈川県の羽田空港に隣接する地域を神奈川口ととらえまして、これを核とするまちづくりあるいは空港アクセスの改善等を内容とするものでございまして、中身といたしましては、一つは、まず、神奈川口における空港機能の分担というのがございます。神奈川口を核として、ホテル・コンベンション施設、保税上屋、ケータリング工場などの臨空産業の立地促進というものが一つ、今申し上げました神奈川口における空港機能の分担という形で提案をされております。

 さらに、神奈川方面からの空港アクセスの改善ということで、連絡道路や鉄道の整備、あるいは首都高速の湾岸線の通行料金の割引、バスアクセスの改善などというふうな空港アクセスの改善というものも御提案をされております。

 さらに、都市再生、まちづくりの支援、観光振興のための集客プロモーションの推進、さらには、港湾機能の強化等につきましても御提案を受けているところでございます。

古屋(範)分科員 現在、国そして神奈川県、横浜市、川崎市、このような四者で協議が重ねられていると聞いております。この神奈川口構想に対する現在の検討状況を御説明いただきたいと存じます。

石川政府参考人 今お話がありましたように、この二月の十二日に、国土交通大臣と神奈川県知事、横浜市長、川崎市長、これを構成員といたします神奈川口構想に関する協議会というのを二月十二日に設置したところでございまして、今後、この協議会で検討を進めていくところでございます。

古屋(範)分科員 提案のありましたそうした羽田空港から神奈川への連絡路の整備、首都高速湾岸線の通行料金割引、また観光振興等、今後の取り組みについていかがお考えでしょうか、御質問いたします。

石川政府参考人 連絡路の整備でありますとか首都高湾岸線の通行料金割引、このようないわば神奈川方面からの空港アクセスの改善ということにつきましては、実は、先ほど御説明申し上げました神奈川口構想に関する協議会のもとに、空港アクセスワーキンググループというものを設置し、検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、観光振興につきましては、やはり同じようにこの協議会のもとに設置する予定でございます空港機能・まちづくりワーキンググループというのをつくりまして、神奈川県サイドからの具体的な御提案を踏まえて、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどの集客プロモーションの推進ということについて検討をしていくこととしております。

古屋(範)分科員 神奈川といたしましても、二〇〇九年までに何としても連絡路の整備を要望しているわけでございますけれども、こうした神奈川口における空港機能の分担、また、現在この工業地帯に走っております東海道貨物支線、この貨客併用化、連絡道路の整備、首都高速の通行料金割引、バスアクセスの強化、そして、羽田から横浜に向けての水上交通の確保等の要望がございます。

 また、横浜市におきましても、拡張工事が完成する予定でございます二〇〇九年、これが開港百五十周年にちょうど当たっております。現在、文化芸術創造都市を目指しまして、仮称ナショナルアートパーク構想を温めているところでございます。まさに観光立国を目指す我が国の国際観光の拠点を目指しております。

 最後になりますけれども、以上のような県民の要望、期待を踏まえ、この神奈川口構想に関する今後の協議会の進め方につきまして、大臣の御見解を伺います。

石原国務大臣 ただいま石川局長の方から、協議会はまさに検討の緒についたばかりだという御答弁をさせていただきましたが、本当に幅広く、多岐にわたる御提案をいただいていると思うんです。

 重複して若干恐縮なんですけれども、空港機能をどういうふうに東京都と川崎市で分担していくのかといったような問題。あるいは、南部の人たち、先ほど委員も御開陳になりましたように、成田に行くのにすごい時間がかかると同じように、羽田へのアクセスもやはり利便性を高めないと、首都圏の国際空港でありますから、神奈川県民の皆さん方にも配慮した空港アクセスの改善というものをやっていかなければならないといった問題。それと、先ほど来委員の意見の御開陳の中にありますように、臨海工業地帯としてやってきた川崎から横浜にかけての、臨海部ベルト地帯の空洞化の問題に関しての都市再生とまちづくりをどうやって支援していくのか。あるいは、そこにどうやって人を、委員の御指摘ですと、いろいろな観光地があるけれども、近過ぎるということで逆に宿泊客が来ないといったような問題、こういうものに対してどういうプロモーションの強化ということができるのか。さらには、横浜も川崎も大井もすばらしい港でございます。港湾機能の強化と相まって、その産業の活性化をどうやって促進していくのか。

 今、前回の協議会の席で、ぜひワーキンググループをつくらせていただいて、事務的に詰めて、次の会に少し具体的なものを上げてもらいましょうということで、知事さん、二人の市長さんとお話がついております。まだ具体的なものは、本当に始まったばかりでございますので、きょうはまだ御披露できる段階までは来ておりませんけれども、今後は、この協議会というものも定期的に、次はゴールデンウイークの前ぐらいにはやりたいですなというような意見もいただいておりまして、私も、そうですねとそのときはお答えさせていただいておりますが、再拡張の効果を最大限発揮させるという意味からも、神奈川口構想の検討というものを積極的に進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 検討が始まったばかりということで、今後のその推進、大きく期待をしてまいりたいと思います。

 これまでさまざま御要望申し上げてまいりましたが、神奈川口構想の早期実現のためには、やはり石原国土交通大臣を先頭に、関係省庁ともに国の総力を挙げて取り組んでいただき、何としてもこの京浜臨海部の再生と我が国経済の活性化に努められますよう再度強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

蓮実主査代理 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、長安豊君。

長安分科員 民主党の長安でございます。

 今回、十一月に初当選をさせていただきまして、初めての質問となります。国土交通行政に対して質問させていただきまして知見を深めていきたいと思っておりますので、ぜひ御指導いただければと思っております。

 さて、大臣にまずお伺いしたいと思います。

 大臣は、関西国際空港は御利用されたことはございますでしょうか。

石原国務大臣 これも質問をいただいてしゃべるのは恐縮なんですが、私は関空ファンでございまして、産んだ子供は育てなきゃいけないと、この職につく前からいろいろなアドバイス等々もできる限りで行ってきておりましたし、できたころはよかったんです。国内線が頻繁に飛んでおりまして、夜に羽田を立ちまして、一時間、二時間のトランジットで東南アジアの国まで夜行便に乗って海外出張したという記憶がございます。

 しかしながら、残念ながら、先日、また同じような便で行けないかなと調べたところ、国内の便数が非常に減ってしまいまして、また、アジアへの便数、中国へは結構便数はふえているんですけれども、ほかの地域への関空からの便というものがなくなってしまいまして、残念ながら利用することができなかった、こんなことがございました。

長安分科員 私、きょう朝から地元におりまして、関空の二期工事の埋め立ての現場を見学してまいりました。それできょうのこの質問に駆けつけさせていただいたわけですけれども、関空で二期工事の見学をして、もう約八割ぐらい埋め立てが終わっている。

 そこから、今回の質問をさせていただくに当たって、急いで戻ろうということで飛行機に乗ろうとしましたら、今大臣のお話あったように、いい便がないんですね。それで、私、そこから一時間以上かけて新大阪まで電車で行きまして、新幹線で戻ってきた次第でございます。

 そもそも、関空については、二兆円以上の多額の資金が投入されて建設された。公共事業というのは、そもそも、我々国民の生活の質を向上させるために行われなければならない。しかしながら、今の関空を見てみると、大きいものはできたけれどもなかなか不便で使えない、そういう状況にあるわけです。

 ここで、関西国際空港と大阪の伊丹空港、これは大阪に二つ空港がございますけれども、現状についてどのように認識をされているか、御意見をお伺いしたいんです。

石川政府参考人 まず、関空の国際線でございますけれども、御案内のとおり、平成十三年の同時多発テロ、それから平成十五年のイラク戦争あるいはSARS、こういう影響がございまして、便数、旅客数が一たん落ち込みました。ただ、現状では、これらの影響からほぼ回復している状況でございます。

 ただ、国内線につきましては、伊丹空港の便数が増加傾向にある中で、残念ながら、関空の国内線につきましては減便傾向にあるという状態でございます。

 関空の財務でございますが、今お話がありましたように、ではございますが、海上空港として建設されたという経緯がございまして、今なお約一兆円の有利子債務があるという現状でございます。しかしながら、経常損益ベースでは赤字ではございますが、営業損益ベースでは黒字ということでありますけれども、やはり、今みたいな状況を考えながら、関空の一層の利用促進ということを考えていきたいと考えております。

    〔蓮実主査代理退席、主査着席〕

長安分科員 関西圏内には関空と伊丹という複数の空港があるわけですけれども、これは本来、相互に役割分担して、相乗効果が出る、シナジー効果が出るような体制をとるのがいいと私は思っておりますけれども、現実、今お話がございましたように、関空の現状はかなり厳しい。この原因はどうしてか。どうお考えでしょうか。

石川政府参考人 全体として関西の経済界といいますか経済力といいますか、そういうところで国内線あるいは国際線というものが若干伸び悩んでいるということはございますが、一つは、やはり伊丹との関係において、伊丹は、御案内のとおり、大阪の中心部から近い。例えば、梅田からリムジンバスで行けば約三十分、料金が六百二十円。これに比べて関空は、梅田から、やはりバスですが、バスで行きますと約六十五分、千三百円ほどかかるということで、伊丹がその限りにおいては利便性が高いということが一つあろうかと思います。

 一方で、関空は、やはり大規模な工事をやったわけでございまして、これは騒音の問題等がございまして、五キロ離した海上空港につくったわけでございます。そういう意味で多額の建設費がかかったということで、例えば着陸料でありますとか連絡橋の通行料金でありますとか、こういうものの割高感というのがあるわけでございます。

 したがいまして、やはり関空会社の自助努力というものも極めて大事だと思っておりますが、例えば国際線の着陸料の削減、軽減、あるいは新規乗り入れの着陸料の割引というふうなことを関空会社として努力をしているわけでございます。

長安分科員 関空と伊丹の今乗り入れている便数の比較はどうなりますでしょうか。

石川政府参考人 伊丹と関空の国内線の比較でよろしいかと思いますが、伊丹空港は、現時点でといいますか平成十六年の一月でいいますと、一日平均百五十六便でございます。それに比べまして関空は、国内線は四十四便ということでございます。

長安分科員 先ほど、関空の営業損益ベースでは黒字だけれども、経常ベースでは赤字になっているというお話がございました。

 ここで、関空、伊丹の業績比較をちょっとお伺いしたい、営業利益ベースでどうなっておりますでしょうか。

石川政府参考人 関空は会社でございます。伊丹は会社ではございませんので、関空会社の決算を申し上げますと、関空は、十四年度の決算で、営業損益で百七十七億円ということになってございます。

長安分科員 今、伊丹については会社じゃないので、営業損益その他の数字は把握されていないというお話がございました、これは恐らく空港整備特会を使ってやられているということで。

 ただ、これは道路公団の問題でもお話がございましたけれども、例えば各路線別の採算を見るというようなことも、企業会計ベースで換算してみて、どこの空港がどういう数字なんだというのは、当然私は把握すべきだと思っております。私は、民間企業におりましたので、民間企業であれば当然すべきことだと思っておりますけれども、この辺、いかがでしょうか。

石川政府参考人 今御指摘のように、空港整備特別会計というところで経理をしてございますので、空港別の収支というものは必ずしも個々について出していないわけでございますが、ただ、伊丹の場合は、御案内のとおり、騒音対策というものがございまして、これが、例えば平成十五年で申し上げますと、約七十二億というふうな経費がかかっております。

長安分科員 もちろん、騒音対策が七十二億かかっているというのは十分わかります。そうじゃなくて、空港としてどれだけのコストがかかって、どれだけを生み出しているのかということをつかまなければ私はいけないと思っております。今のお話ですと、単に空港整備特会でどんぶり勘定しているんだというふうにしか聞こえないんですけれども、そのようなことでは私は困ると思っております。そういった意味で、企業会計ベースで損益計算書あるいはバランスシートなりを一度作成していただいて、見せていただきたいなと思っております。

 次に、今お話にございました関西国際空港、これはもちろん海上空港で、埋め立てしてつくったわけですから、過剰の債務を背負っているわけです。関空の財務状況、今、営業損益ベースで百七十七億円というのが、平成十四年度ですか、御説明ございましたけれども、これは、関空は恐らく、経常は損益になっているということでしたけれども、かなり重い金利負担、これがきいているんだと思います。固定資産税が年間百億程度かかっているというのも私聞いておりますけれども、こういった状況で、今、関空と伊丹が競い合っているという状況だと思います。

 先ほど、便のお話がございましたけれども、約四倍弱の便が、国内線が伊丹で飛んでいる。関空は、たかが一日で四十四便しか飛んでいないという状況になっているわけです。

 こういった固定資産税が高いとか、金利が負担が重過ぎる、それゆえに、関空の会社として経営努力で何とかしてほしいと私は思っております。今、村山社長、民間から初めて就任されました。かなりの経営努力をされていると思いますけれども、それでも私はまだまだ高いと思うわけです。

 私、当選させていただいて、関空の社長とお会いして、いろいろお話ししたいと思いました。お伺いしてお話もしました。ちょくちょく足を運んでお話しさせていただこうと思いますけれども、連絡橋の往復の高速代、千七百三十円もするんですね。たかが五キロです。私ら一年生にはもうその千七百三十円が高くて、ちょっともったいないなと思ってなかなか関空に足を運べない、そういう状況なんです。

 おまけに、この橋が高い上に、上を走っています鉄道、これがよく風の影響でとまってしまう。先日ちょっと調べましたら、平成十五年の四月から平成十六年二月までで十回以上もとまってしまっている。一番最近ですと、もう先週とまりました。二月なんかは、二月十四日に二回とまっているわけですけれども、四時間以上の間、橋が通れなくなってしまっている。二月十四日はバレンタインデーですよね。地元の若者からしたら、じゃ、空港でも行ってデートしようか、そういうつもりでおったかもしれません。でも、橋とまっている、なら行かれへんな。

 これは国土交通省の方にもお話しさせていただきましたけれども、こんな信頼性のないアクセスの悪い空港でいいんですか、いえ、バスで代替運転していますと。では、海外旅行へ行かれる方、大きなスーツケース持って、途中まで電車で来られて、そこで、バスで代替していますからバスに乗ってください、そんな不便な空港ないですよね。それだったら、もう伊丹から成田でも飛んで、成田から行ってしまおうとなってしまうんですよね。

 では、何かしらの対策は打たれていないんですかということも、私、調べさせていただきました。そうしたら、いや、暴風壁をこの地点につけましたと、絵にかいて説明していただきましたけれども、暴風壁つけても先週とまっているわけですよね。もうちょっと、これだけ技術が進んで、ただ単に塀の暴風壁でとまらないのであれば、もうちょっと、先のとんがったようなもので、風を上下に分けて逃がすとかいうようなことを考えてもいいんじゃないかと私は思っております。この橋が、やはり鉄道も自動車も常に通れる、そうならなければ信頼性を私は損なうと思っております。

 おまけに、料金の問題もそうです。この千七百三十円、高いです。今は夜間と土日祝日は千五百円に値下げされているかと思います。ことしの予算では、テストケースで値段を下げたのもやってみるというお話がございました。

 大体、この関空の連絡橋で、鉄道の収入が約五十億、道路収入は約五十億、年間百億ぐらいの収入があるかと思いますけれども、私なんかは、本気で関空も発展させる、地元の大きな公共事業だったわけです。先ほど石原大臣が関空のファンだとおっしゃっていただいた。ぜひ、関空の橋を無料にできるような何かしらの制度を考えていただきたいなと思っております。

 次に、平成十七年度供用開始で、神戸空港が神戸沖にできるということを承知しておりますれども、神戸空港が開港しますと、関空、伊丹の経営にどういったインパクトを与えるとお考えでしょうか。

石川政府参考人 神戸空港は、これが完成いたしますと、年間の発着回数が約二万回程度というふうに考えております。伊丹は、御案内のとおり、現在十万回でございます。

 そういう中で、関西国際空港につきましては、国際、国内の基幹空港、伊丹は国内の基幹空港、神戸は神戸市あるいはその周辺の国内需要に対応する地方空港というふうな役割を果たしていくというふうに考えておりまして、それぞれが基本的な役割に即した機能分担、連携というものを図っていく必要があろうかと考えております。

長安分科員 関空の財務状況のお話を先ほどさせていただきましたけれども、今後三十年にわたって毎年九十億円の補給金を投入するということがございます。

 そもそも、この補給金、どのような哲学また空港戦略に基づいて関空に投入をされるというお考えなんでしょうか。

石川政府参考人 関空に対する補給金の問題でございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、現時点で約一兆円の有利子債務がございます。将来の完全民営化に向けて、やはり、経営改善につながる条件整備ということを行う必要があるわけでございます。

 そういう意味で、有利子債務の確実な償還、これを期すために、平成十五年度から補給金制度を設け、九十億でございますが、毎年度の予算の範囲において継続的に措置をしているものでございます。

長安分科員 今、完全民営化に向けて三十年間投入されるというお話ですけれども、これは本来、やはり事業費負担が大き過ぎる、私はそう思っております。

 それで、今、関空は何をしているか。借金の返済ばかりをしている、そういう状況だと私は考えておりますけれども、そもそも、この事業費を関空に、会社自体に負担させているということ自体がおかしいんじゃないでしょうか。

石川政府参考人 関空は、やはり緊急に整備をするということで、国と地方公共団体とが共同して資金を調達して、民間と三者で共同で資金を出資して、民間のノウハウも活用しながら事業をやってきたということでございます。それに加えて、先ほど申し上げましたように、環境対策等々を考えたところで、沖合五キロの海上空港というところで事業を進めてきた。そういう中で、やはりできるだけきちっとした形で有利子債務を償還するということも含めまして、補給金という形で支援をしているわけでございます。

長安分科員 それでは、九十億を三十年間投入される、まずこれの根拠をお伺いしたいのと、また、今後、例えば関空の財務状況等が変わってきた場合に、その金額を変えるのか、ずっと九十億円のままでいくのか、その辺、ちょっと御説明いただけますでしょうか。

石川政府参考人 一つが、今後の関空の需要予測というものをどう見るかということがあるわけでございます。実は、平成十四年の六月の交通政策審議会の空港整備部会というところで需要予測が示されているわけでございますが、仮に、この需要予測の伸び率が五〇%まで下振れをしたという場合においても、有利子債務を三十年間で完済するということを想定しております。さらには、会社自身の経費削減三十億ということを前提として、先ほど申し上げました毎年度九十億円の補給金が三十年間必要になるというふうに試算をしたものでございます。

 それで、さらに今御質問のように、そういう想定している状況に大きな変化がある場合にどうだということでございますけれども、なかなか予想がつきにくいことでございますが、仮にその状況に見合って大きな変化があるといった場合に、その状況の変化に見合って、その額の変化ということについては、それは検討されることになろうかと思います。

長安分科員 この補給金の投入ですけれども、この投入自体によって、関空会社の経営改善意欲というものが阻害されるんじゃないかという気が私はしております。

 これはどういうことかといいますと、つまり、民間の経営者というのは、数字が、業績がよくなってやりがいを感じる。幾らこの九十億ぐらいを突っ込んでも、延々三十年間は借金を返し続けて、なかなか業績が上がってこない、負の遺産の処理ばかりをしていかないといけないということが続くわけです。こういった状況では、本来の、本当の民間から経営者が入ってその会社を元気づけるということの趣旨が損なわれるんじゃないかと私は思っております。

 そういった意味でも、先ほど申し上げましたけれども、もともとの事業費負担が重いんです。道路公団も同じです。今の借金で首の回らない状況をどうするんだ、分離しようじゃないかという議論が今されているはずです。私は、関空についても事業費を分離してやるということを考えなければならないと思います。

 ただ、これを申し上げると、分離すると、では、どこからお金を払うんですかという議論は確かに出ると思います。それを詰めていただきたいと私は思っております。確かに、空港整備特会だけではそこまで財政能力がないのかもしれません。では、一般財源からも引っ張る、そういったことをして、何とか関空の元気をつけてやることが関西経済の元気をつけるということになるんだと私は思っております。

 先ほど、伊丹のバランスシートがない、損益計算書も計算していないというお話がございましたけれども、これは企業会計ベースで一度算出していただけますでしょうか。

石川政府参考人 空港整備特別会計、国の特別会計としてやってございますが、現在ある各空港整備特別会計で管理をしている空港というのはさまざまな空港がございまして、それぞれの空港がさまざまな経緯で現在空港管理をしているわけでございます。

 それから、歳入の方につきましても、さまざまな形の歳入、一般会計だけではなくて、着陸料だとか航行援助施設利用料だとか、さらにいろいろな雑収入等々でやってございます。なおかつ、空港の場合は、ネットワークという形で、路線でAとBの空港が結ばれている、結ばれていない等々がございますので、各空港ごとのそういう収支採算というものがどの程度意味があるのか、私どもとすれば、空港整備特別会計の健全な経理ということを中心に考えていきたいと考えております。

長安分科員 私が当選する前に、一国民としてテレビを見て、道路公団の民営化の話があったときに、路線ずつの採算を出せという話があったときと全く同じ意見なんですね。おかしいですよね。普通の家計簿と同じだと思うんです。一つの空港が幾ら収入があって、幾ら支払いしている。それを出すことがそんなに難しいことでしょうか。私は、ぜひこれはお願いしたいと思います。

 それと、話はかわりますけれども、では、逆に、航空会社が一人のお客様に対してどれだけの費用がかかっているか、これはつかんでいられますか。伊丹の場合、大体どれぐらい一人のお客様にコストがかかっている、関空の場合、どれぐらいのコストがかかっている。

石川政府参考人 今お尋ねの件は、いわゆるエアラインのコストあるいは原価計算にかかわるものだと思いますが、私どもとしては、そういう報告を受けておりません。

長安分科員 では、これは私の方でちょっと調査させていただこうと思います。

 では、話がかわります。

 私の地元では、第二阪和国道が今延伸工事をされております。来年の夏にも箱ノ浦まで延伸工事が完了するというお話をお伺いしておりますけれども、その後、淡輪まで今計画されている。これが平成十九年度ですか、予定されているかと思うんですけれども、この進捗について、また見通しについて御意見をいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 第二阪和国道の進捗状況についてのお話でありました。

 第二阪和国道は、一般国道の二十六号のバイパスとしまして、大阪府の阪南市から和歌山市まで延長二十キロの地域高規格道路であります。昭和六十三年に都市計画決定がなされています。

 このうちの阪南市から岬町まで延長九キロの区間につきまして、昭和六十三年度に事業化しまして、平成十五年、昨年の四月十九日に、阪南市自然田から箱作ランプ、四・五キロについては、暫定二車線で供用したところであります。

 現在、箱作から箱ノ浦ランプ間、一・七キロについて、この夏、平成十六年夏の暫定二車線供用を目指して工事を進めております。

 残る箱ノ浦から淡輪ランプ、二・八キロにつきましては、用地買収に着手するために準備を進めているところでありまして、平成十九年度に淡輪ランプまで供用できるように努力をしているところでございます。

長安分科員 この第二阪和国道は、我々地元民にとっては一番大きな道路で、この地区は渋滞も多くて、また、災害時に和歌山方面へ抜ける道も雨でとまってしまうことも多くございますので、ぜひ、この延伸を急いでいただきたいと私は思っておる次第でございます。

 最後になりましたけれども、きょう私お話し申し上げました伊丹の問題、もう一度私、この空港整備特会の中に踏み込んでいろいろ調査してみたいと思っております。

 ぜひ大臣、伊丹のバランスシートをつくって、各空港がどうなっているんだということを明確につかむことが、今後、関空を育てる意味で必要じゃないかと思っております。その辺、取り組みの意欲に対して、大臣の御意見を伺えたらと思います。

石原国務大臣 もう委員は御承知のことだと思いますが、空整特会ではおよそ三十ぐらいの空港を管理しているわけですけれども、ちょっと指折り数えても、民間企業ベースで経常黒字の飛行場は三つか四つじゃないでしょうか。

 そういう中で、公共事業でありますので、単なる採算性だけではなくて、外部効果というものも空港には必要でございます。各地域の利便性、それに対してどういうふうにお金を回していくのか。もちろん、経理は透明を図っていかなければなりません。

 こういうものの中でこの特会ができているということを御理解いただき、個々の問題についても、当委員会等々を通じまして、十分な解析というものを続けていくという意見には賛成でございます。

長安分科員 私、国土交通委員でございますので、空港の問題というのはライフワークとしてこれからも取り組んでまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

園田主査 これにて長安豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょう最後の質問ですので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、石原大臣に確認をしたいのですけれども、高速道路あるいは高規格道路のような大型の公共事業を進める場合に、地域住民の命と安全を守り環境保全に努める、このことは大変重要だと私は思うんですが、大臣の基本的な姿勢をまず確認しておきたいと思います。

石原国務大臣 これは国土交通委員会の所信でも述べさせていただいておりますが、今後とも、国民生活の安全性を確保する観点、そして環境問題を、生活に負が多くかからないような、負担のかからないような形で道路整備を進めていくということは重要な視点であると認識しております。

佐々木(憲)分科員 私がきょう取り上げたいのは、岐阜県岐阜市を通る高規格幹線道路、東海環状自動車道の問題でございます。

 これは配付いたしました資料を見ていただければわかると思うんですけれども、資料一、資料二がその図であります。計画では、岐阜市の御望山という里山をトンネルで抜けるという構想になっているわけでございます。

 この御望山の南側の地域に、昭和四十一年から四十六年にかけまして、第二千成団地の宅地造成が行われました。この地域は、これまでも土砂崩れなどの災害が多発をしている地域でございます。

 確認をしたいんですけれども、トンネルの計画地域が急傾斜地崩壊危険区域に指定されていると思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 先生御指摘の御望山、これは、東海環状自動車道がこの御望山の下を通る、こういうことになっておるわけでございますが、これについては、南側斜面の一部について、昭和五十二年六月二十一日に、急傾斜地崩壊危険区域に指定されているということであります。

佐々木(憲)分科員 実際にこれまでも何度も山崩れというのが起こっておりまして、古くは、配付した資料の三枚目を見ていただきたいんですが、一五八六年に発生した天正地震のときに、左上の部分の黄色いところが御望山の崩壊場所でありますけれども、団地造成後、昭和四十九年にも、大きな石が転落してきたり、豪雨で上の山林に亀裂が発生したり、あるいは次の年に山の上部に地すべりが発生する。さらに次の年、昭和五十一年になりますと、防災工事を行ったわけですが、その工事で削った斜面に新たな亀裂が三カ所発生する。その直後に、大雨による山崩れの危険のため住民が近くの中学校に避難をする、そういうことが続いております。そして、その年の九月十一日には、台風十七号の大雨による山崩れがありました。それが配付をした資料の四枚目ですけれども、この山崩れで小学生が死亡するという大変痛ましい事故が発生しているわけでございます。このときは、団地の裏山で十一カ所が崩壊をいたしました。

 そのために、次の年、昭和五十二年に、急傾斜地崩壊危険区域、それから、建築基準法の災害危険区域に指定をされたわけでございます。これは先ほど確認をいたしました。

 その後も、台風で雨が降るたびに、山の斜面に亀裂が発生したり巨大な岩石が崩落するなど、大変危険な状況にあるわけです。そのために住民が避難するというのが、本当にたびたびそういう状況があらわれているわけであります。

 資料の五を見ていただきますと、西坑口予定地付近の写真でありますけれども、砂利業者が土取りをした跡。埋め戻し命令が出たんですけれども、ところが、上からどんどんどんどん崩れてきまして復旧ができない、こういう状況になっていまして、大変もろい山だということがはっきりしているわけです。

 この御望山にトンネルを掘りまして東海環状自動車道を通す、そういう計画が出てきまして住民が大変びっくりするということでありまして、一九九四年でありますが、不安が高まったわけです。

 そこでお聞きをしたいんですけれども、平成八年、一九九六年ですが、トンネル計画の都市計画決定に当たって、県の都計審で旧建設省あてに附帯意見が出されていると思うんです。その中に、「安全性について、地域住民に十分説明すること。」と書かれていると思いますが、間違いありませんか。

佐藤政府参考人 経緯を多少申し上げさせていただきたいと思います。

 ここの部分の都市計画の手続は、平成六年の二月に着手いたしました。その後、平成六年の十月十一日から十一月二十五日にかけて地元説明会を開催いたしましたところ、地域住民の一部から、御望山をトンネルで通過することに対する安全性に不安の声が寄せられた、これが平成六年でございます。

 平成七年の三月に、岐阜市議会から、住民の不安が集中している御望山に関して、南側斜面も含めた詳細な調査を行い、その結果を公表し、地域住民に説明されたいとの意見書が提出されました。

 これらを受けまして、都市計画を決定する岐阜県は、平成七年六月に都市計画手続を中断いたしまして、斜面及びトンネルの専門家から成る御望山南斜面調査専門委員会、それと、トンネル影響評価委員会の二つの専門委員会を設けて、安全性について再確認いたしました。

 その結果、知事は、トンネルが斜面の安全性に及ぼす影響はないと判断し、また、現状斜面そのものの安全性確保については、大きな崩壊のおそれは少ないと考えているが、今後も引き続き安全性を高めるために必要な対策について万全な処置をとっていくことを表明した上で、沿線市町村からの強い要望にこたえるべく、平成八年二月に、都市計画の手続を再開した。

 こういった経緯の中で、平成八年八月二十三日に開催された岐阜県都市計画地方審議会におきまして、審議会会長から岐阜県知事あてに、先生御指摘の、「今後行われる地質調査等必要な調査結果を公表し、安全性について、地域住民に十分説明すること。」との内容が付され、原案を適当と認められた、こういう経緯でございます。

佐々木(憲)分科員 この附帯意見に基づきまして、現在、学者、住民、行政の三者によります御望山調査検討会が設置されているわけです。国土交通省も行政側としてこれに参加をしているわけですね。

 設置に当たりまして、建設省岐阜国道工事事務所と第二千成団地自治会との間で合意・確認事項というものが取り交わされております。「検討会の準備委員会に向けての第二千成団地住民との合意・確認事項」というものでありまして、私もここに持っておりますけれども、この中でこういうふうに述べているんですね。「御望山の安全性確認の調査をし、検討会において重大な結論が出された場合、ルート変更もあり得る。」こういうふうに明確に述べているわけでございます。

 こういう合意をしたことは、これは間違いありませんね。

佐藤政府参考人 そこで先ほどの経緯の続きになるわけでございますが、平成八年の十月四日に都市計画決定がされました。その後、岐阜県の都市計画地方審議会から出された「十分説明すること。」との附帯意見を踏まえまして地域住民と話し合いの場を設けてまいりましたが、調査の目的で地域住民と行政側の意見が平行線となった。

 そこで、平成十年三月には、御望山の安全性に関する検討会を設置することを地域住民に提案し、検討会の目的、構成メンバー、具体的な調査項目などの話し合いを継続してきた。

 さらに、平成十一年三月に、この調整の場として準備会を設けることを地域住民に提案し、案内を送付したところ、調査目的の表現、ルートに対する安全性などの了解が得られず、さらに話し合いを継続した結果、平成十一年十月には、準備会の設置に向けて合意、確認ができるようになった。

 このような経緯を経まして、平成十一年の十月十四日には、第二千成団地自治会長及び対策委員長と当時の建設省の岐阜国道工事事務所の事業対策官との間で「検討会の準備委員会に向けての第二千成団地住民との合意・確認事項」の文書を交わしているということであります。

 その中で、一、調査の目的について、御指摘の「検討会において重大な結論が出された場合、ルート変更もあり得る。」との内容が記述されています。また同時に、六、検討会の運営方針という中で、「検討会は専門委員と住民代表と行政代表が議論し合意を図っていく場とし、調査を進める段階で必要により専門委員のみによる専門部会、住民代表と行政代表による小部会の開催を行うものとする。」などの、進め方の取り決めもここで交わされている、こういうことであります。

佐々木(憲)分科員 今説明がありましたように、三者でつくられた調査検討会、これは大変画期的なものだと私は思うんですね。そのもとで、御望山の安全性について専門的に検討する専門委員会、今御説明あったように、それが設置されたわけであります。

 ことしの一月二十五日に調査検討会が開かれまして、この専門委員会が見解を表明しております。ここにその議事録の全文がありますけれども、これによりますと、御望山の地質は非常に悪く、ルート変更を考えるケースだというふうに述べられております。全体に不均質で、がさがさの深層風化した特異な地質構造である、それから、トンネルの坑口が特に偏圧で、断層や破砕帯があり、崩れて山ろくの団地に影響が及ぶ可能性があるというふうに述べているわけです。

 そこで、大臣にお聞きをしたいんですけれども、この検討委員会は、三月末までに三者で協議して結論を出すということになっております。検討委員会が専門的な見地から結論を出した場合、当然、国土交通省はその結論に従うというのが筋だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 先ほども申し上げましたが、大変経緯のあるやりとりを経てきた検討会であります。この検討会の準備に当たりましても、この場をどういう性格のものにするのかという点について、先ほども申し上げましたように、専門委員と住民代表と行政代表、行政代表の方は国と県と市とそれぞれが入っていろいろやってきている、こういうことであります。

 この中で、先生先ほど御指摘の部分で申し上げますと、専門委員の中にもまたいろいろ意見がある、こういうことも承っております。何分にも、都市計画を決めた段階では、そのための委員会もまた別途に開いて、何とかなるのではないか、何とかなるというか、影響はないんじゃないか、こういうような御結論も出した。その後いろいろなことを調査してきておられるんですが、そういう意味では専門家の間でもいろいろ議論のあるところである。

 そういうことで、地下水位変化とか水脈とか地質調査とかいろいろやりながら、ようやく水位の変化等に関する予測なども、昨日でございますか、出された、こういう状況だと聞いております。

 そうすると、いろいろな御意見があるので、そういう意味では、この合意の形成のあり方というものが、特に、何とか委員会として多数決で決めるとか、そういう形でもないということもありますので、この委員会、検討会の中のいろいろな議論を踏まえながら、どういう形の合意形成を図っていかれようとするのか。私どもとしては、これをしっかりと見ながら必要な対応をしてまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。

佐々木(憲)分科員 今、いろいろな意見が専門委員会の中で出ているというふうにおっしゃいました。ただ、議事録を見ますと、この専門委員会の代表が話をしているところによりますと、これは私個人の意見として報告したのではない、いわば全体の意向を踏まえて総括的に報告したんです、このように言っているわけでございます。したがいまして、いろいろな意見があって分かれているという話ではなくて、専門委員会としては、総体として、今私が紹介したような方向が報告されたということでございます。

 そこで、当然その専門委員会の意見も踏まえて、大臣、検討委員会というのが三月末までに結論を出すわけです。それに行政も参加をしているし、専門家も参加しているし、地域住民も参加して、そこで出た結論については当然これは尊重する、それに従うというのは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 道路局長から御答弁させていただいてきておりますように、検討会設置の経緯、また、検討会が専門調査会を開いて、主に地質調査を中心に安全性について検討を加えて今日に至っているということは、委員の御指摘のとおりでございます。

 そんな中で、私どもの立場は、御望山検討会がどのような結論を出すのか見守る。もちろん、見守る中で重要な要素としては安全性。地質学上、そこに坑口を開くことに危険があるというような結論になれば、その意見は十分に参考にさせていただくということは言えるんだと思います。

佐々木(憲)分科員 今は検討委員会の結論が出る前ですけれども、当然、結論が出るまでは着工しないというのは当たり前だと思うんですが、そこだけは確認しておきます。

佐藤政府参考人 そこでそういう、非常に緩やかなといいますか、行政と専門家と住民の皆様と集まって、どういうような形での合意が図り得るかといろいろおやりいただいているということは事実だと思います。

 したがいまして、そういう状況の中で、一方的にその話し合いなり検討会を打ち切って事業にかかる、工事にかかる、こういうことは考えてはおりません。

佐々木(憲)分科員 次に、自然環境の面からお聞きをしたいんですが、環境省にお聞きします。

 御望山の南側のトンネル東坑口付近に当たる於母ケ池という池がございまして、そこにヒメコウホネという大変貴重な生物が生息をしているそうであります。写真を見ていただきたいんですけれども、上の方がヒメコウホネの写真です。

 これは、国のレッドデータブック、ここに絶滅危惧種として記載されていると思いますが、いかがでしょうか。

小野寺政府参考人 御指摘のヒメコウホネは、環境省のレッドデータブックで、絶滅の危険が増大している種として、絶滅危惧2類に分類されております。

佐々木(憲)分科員 この於母ケ池のヒメコウホネは、専門家から、ヒメコウホネの中でもさらに貴重な新しい種ではないかと指摘をされております。これは、下の写真のように、少し上と違うわけですね。葉っぱが水の上に浮いているのが上の方ですが、下のは水の中に葉っぱがあるというんです。そういう点で、素人が見ても違う感じがしますけれども、これはギフヒメコウホネと呼ばれておりまして、近く学会でも発表される見通しだと言われております。

 このトンネルの建設で万が一にもこれが絶滅するというようなことになりますと大変重大なことになると思うんです。環境省としても当然強い関心を持っていると思いますが、いかがでしょう。

小野寺政府参考人 コウホネの仲間は、種の分類が必ずしもはっきり確立しておりません。今委員がおっしゃったギフヒメコウホネにつきましては、今、専門家がDNA鑑定をしておるところだというふうに聞いております。

 環境省としては、この種が、分類学上、新種であるか否かについて非常に大きな関心を持っているところであります。

佐々木(憲)分科員 そういう大変貴重な生物なわけですけれども、地元の自治体であります岐阜市では、四月から自然環境保全条例というものが施行されることになっております。希少種であることが確認された場合、自治体が条例で保護していくということが可能になっていくわけですが、環境省としてはこのことについてどのように受けとめておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

小野寺政府参考人 岐阜市が条例に基づいて希少な野生生物の保全に取り組む予定ということは、我々も承っております。ただ、ギフヒメコウホネがこの対象に入っているかどうかについては、まだ確認しておりません。

 いずれにしても、希少な野生生物保護が、国だけではなくて、条例等によって自治体も一緒になって保護していただけることは、種の保存の観点からまことに結構であるし、喜ばしいことだと思っております。

佐々木(憲)分科員 では、希少種であることが確認された場合、国としてもこれを保護するというのは当然必要なことだと思うんですけれども、環境省としてはどのような方策をとっていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

小野寺政府参考人 このギフヒメコウホネと呼ばれている植物につきまして、まず新種であることが確認されて、かつ全国的な分布の中で希少さがはっきりした場合には、はっきりする可能性がかなりあると思います、その場合には、環境省としても、種の保存の観点から、岐阜市が条例をつくって保護を進めるということもありますし、自治体その他関係者と連携しつつ、今後、保護の方策について検討してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)分科員 岐阜県の都計審の附帯意見によりますと「貴重な動・植物等の自然環境の保全に配慮すること。」と書かれておりまして、それから、先ほど御紹介した旧建設省と第二千成団地住民との合意・確認事項では「ヒメコウホネ等、地域の環境に与える影響を評価する。」と書かれております。

 国土交通省として、これらの意見や合意、これは大変大事だと思うんですが、大臣、これは遵守するというのは当然だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 事実関係だけ一言申し上げます。

 先ほどの、一月の時点でのルート変更云々という委員会の御意見、その後、その次の検討会で、委員の間から、私どもはそういう意見を持っていないというふうな御意見が出たということが一つの事実として、先ほど私が申し上げた、いろいろな意見があるというのはそういう意味であります。

 それから、ヒメコウホネの方は、昨日なものですから恐縮なんですが、二月二十九日の二十一回の委員会で於母ケ池の水位変化の予測結果などが報告されたそうでありますが、トンネル掘削によって地下水源への影響やヒメコウホネに影響はないというような報告がなされて、一部の委員からも報告内容は妥当であるとの見解が述べられた、こういうことでございまして、オンゴーイングでありますから、やっている最中でありますので、いろいろな意見があるということを、一言事実としては申し上げておきます。

佐々木(憲)分科員 いろいろな意見があるといいながら、地元の圧倒的多数の住民や専門家の意見、それがほぼ一致する方向に行っているのに、ごく少数の意見が、別な意見があるということによって何かそれをひっくり返そうとしているかのような意図が見え見えなので、そういうことでは、地元の合意形成を図っていこうというせっかくの努力に水を差すことになるので、そこは十分気をつけて発言していただきたい。

 やはり、こういう、それぞれ全く立場の違う三者が協議をしてこれから決めていこうというわけですから、しかも、専門委員会が専門的に調査をし、それに基づいて合意を図っていこうというわけでありまして、そういう点で、ヒメコウホネなどの環境に与える影響を十分考慮するというのは、私は当然のことだというふうに思うんですね。

 専門委員会の中で、於母ケ池のヒメコウホネについて、トンネル掘削で地下伏流水の水量、水質に変化が起きる可能性があり、ヒメコウホネは絶滅の危機にさらされるだろうということで、トンネル掘削の悪影響を危惧しているわけであります。

 絶滅危惧種の保護という観点からも、これは検討委員会の結論を当然尊重しなきゃいけないと思うんですけれども、この基本的な姿勢について、石原大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 今のことも含めまして、前段で、都市計画地方審議会が出した「自然環境の保全に配慮すること。」という附帯意見ですか、それと、国道事務所と自治会との間で確認されました「ヒメコウホネ等、地域の環境に与える影響を評価する。」という合意文書ですか、こういうものはしっかりと踏まえて、適切に対処しなければならないと思っております。

佐々木(憲)分科員 配付した一枚目の地図をもう一度見ていただきたいんですけれども、この図は国土交通省が出したものであります。これは間違いありませんね。

佐藤政府参考人 これはいろいろな検討をしたでしょうというふうにある先生に御指摘をいただいて、私どもは、通常、いろいろなルートを検討しながら、適切な案はどれだろう、こういうふうにやってくるものですから、では、それを、例えば考えられるものとしたらという意味でもいいからと。以前の検討というよりは、例えば今のこの都市計画の状況から、ルートから見て、考えられるルートがほかにあるとすればどんな感じですか、こう聞かれて、私どもの担当が、あり得るとすれば、幾つもあるわけですけれども、例えばこんなことだってあんなことだってあるかもしれませんという意味でお出しさせていただいたと聞いています。

佐々木(憲)分科員 ですから、この黒丸でつないであるルートというのは一つの可能性のあるルートである、いろいろな検討の過程で、一つのアイデアとしてこういうものもあったと今確認をできたわけです。

 ですから、この御望山の下をトンネルでくぐり抜けなければならない、どうしてもここしかないんだというわけではなくて、別なルートの可能性というのもある、これは、こういうふうに示されたことによっても明らかだと思うんです。この上の黒丸の点のルートであるならば、これは住民にとっても大変安全でもあり、また、絶滅危惧種の保護も可能になるわけでございます。

 大臣、最終決定はこれからですけれども、国土交通省として、住民の安全の保障それから絶滅危惧種の保護、この二つをしっかり前提にして対応していく、そういう姿勢、一番最初にも確認しましたが、もう一度、最後に再確認をさせていただきたいと思います。

石原国務大臣 前段は安全性の問題で、御望山調査検討会の検討結果を見守るというのが立場でございますが、安全性というファクターは重視していかなければならないと先ほど御答弁をさせていただきました。

 さらに、後段の、ヒメコウホネでございますか、これにつきましても、委員が御開陳されました附帯意見や合意・確認事項を踏まえて適切に対処していかなければならない問題だと考えております。

佐々木(憲)分科員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

園田主査 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日火曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十一分散会


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