衆議院

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第2号 平成16年3月2日(火曜日)

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平成十六年三月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 園田 博之君

      小泉 龍司君    中山 泰秀君

      葉梨 康弘君    蓮実  進君

      金田 誠一君    川内 博史君

      平岡 秀夫君    佐々木憲昭君

   兼務 城内  実君 兼務 萩生田光一君

   兼務 松島みどり君 兼務 石田 祝稔君

   兼務 富田 茂之君 兼務 横光 克彦君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   尾見 博武君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)  松山 隆英君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)  春田 浩司君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)  澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)  竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 矢部  哲君

   参考人

   (都市基盤整備公団理事) 田中 久幸君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     中山 泰秀君

  平岡 秀夫君     川内 博史君

  藤井 裕久君     藤田 一枝君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     葉梨 康弘君

  川内 博史君     伴野  豊君

  藤田 一枝君     金田 誠一君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任  

  葉梨 康弘君     小泉 龍司君

  金田 誠一君     藤井 裕久君

  伴野  豊君     平岡 秀夫君

  塩川 鉄也君     山口 富男君

同日

 辞任         補欠選任

  山口 富男君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  石井 郁子君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 第一分科員富田茂之君、第二分科員城内実君、第三分科員石田祝稔君、第五分科員横光克彦君、第七分科員萩生田光一君及び松島みどり君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

園田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)分科員 おはようございます。お部屋の中にいらっしゃる皆様、本当に早朝より御苦労さまでございます。

 そしてまた、石原大臣を初めとします国土交通省の皆様方に対しまして、私、昨年の十一月に初当選させていただいて以来、きょうが予算委員会の分科会初質問でございます。いささか緊張はいたしておりますけれども、私、第二次ベビーブーマー世代の代表として、また、大阪、日本の大都市を代表する都市部から選出されております自由民主党の代議士として、誇りを持った質問を、大臣、そして国土交通省の皆様方にさせていただけたらありがたい、かように考えている次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 また、私は、実は先週、ワールド・ユース・ピース・サミットといいまして、アジアを含めます世界の百九十カ国の三十五歳までの若い方々、政治的リーダー、そして宗教のリーダー、それからNGOとかNPO、そういった方々と平和という項目に関して議論をさせていただける機会を光栄にもちょうだいすることができました。国会の方にお休みのお届けをさせていただき、先週四日間、タイのバンコクの方に行ってまいりました。

 十月にナイロビで世界の百九十カ国の青年が一堂に会する会議があるんですけれども、その前提ということで、まずアジアの約四十カ国の青少年、青年団が集まって、平和に対して議論をしました。その中で、日本という国の代表として政治家は私一人でございまして、特にインドネシア、そしてタイ、インドの方々、そういった各国を代表される若い方々が非常にたくさん参加をされていらっしゃいました。私は、その方々から言われましたことは、特にODAの問題で、日本というのはODAを含め人的な協力もしくは技術的な協力というものをしてくださっている、非常にありがたいという感謝の思いを一同にいただいたわけでございます。

 と同時に、私が同時に感じましたのは、タイのバンコクで新聞を毎朝見ていましたら、今、道路公団民営化で一生懸命御尽力されていらっしゃいます石原大臣の新聞報道が、毎朝見ていたわけでございますけれども、私は、この日本の将来の社会資本を後々の育っていく子供たちの未来のためにしっかりと整備をしていくというのは当然のことだ、かように認識をしております。

 特に今、民営化民営化、規制緩和規制緩和という大きな一つのうねり、そして風の中で、私は、それはもちろん賛成をさせていただきますし、小泉総理大臣以下各閣僚が一生懸命その方向に向かってやってくださっているのはよくよく承知をしておるつもりでございますが、その中に至っても、ぜひとも、これは民営化するべきだけれども、こちらの方はあえて民営化せずにしっかりと逆に強化する部分、もしくは国がやる部分と民間がやる部分というのははっきりと分けていかなければいけない、それを勇気を持って、その大きな風の中であえて政策として提言をするというのが私は必要なことじゃないのかな、そのように思う次第でございます。

 特に今、日本の水際対策、北朝鮮の不審船が日本海を航行したり、もしくは太平洋までミサイルを撃ち込んできたり、そういった状況の中、アメリカでも九月十一日のあのテロの痛ましい事件以来、日本にもテロが起きるのではないかということが言われている中で、この港という言葉に対してのそういう日本の防衛というか、痛ましい事故が起きる前に未然に防ぐ努力というのを、どのぐらい行政もしくは大臣がリーダーシップをとられて行っていらっしゃるのかということを、私はあえてこの場でお伺いをさせていただけたらありがたい、かように思っております。

 特に、まずは港といいましても、海もあれば空もございます。空の港に関しては、私どもの大阪、伊丹空港、そして関西空港という二つの大きな空港がございますが、それプラスアルファ、これから中部国際空港初め神戸空港のお話。

 そしてまた、東京の一極集中ということ。私ども地方におります地方選出の議員は、みんな心の中に、どうも東京ばかりに偏り過ぎているんじゃないかなという思いもないわけではございません。ですけれども、そんな中で、本当の意味での日本国のランドスケープというものを考えた場合に、東京の一極集中に対して例えば名古屋と大阪という、二大都市対一つの大きな首都という形でバランスをとったり、もしくは政令指定都市をコングロマリット方式のように順番に発展をさせていくような政策というものを、例えば空の行政で、飛行場という観点から見た場合にどういうふうに行っていらっしゃるのかということ。

 それと同時に、国際競争の時代の中で、日本の空の港というものが、例えば中国の北京空港、そして上海空港、それと同時に韓国の仁川空港、そういった空港と、本当の意味で日本の空港行政、空港に対する国の考え方というものが、しっかりとした国際競争力を持てるだけのポテンシャルがインフラとして整備されているのかというところをまずお伺いさせていただけたらありがたいと思います。

石川政府参考人 日本の空港と近隣のアジアの空港のことでございますけれども、一つが、特に近隣のアジア諸国において、今先生御指摘のとおり、香港国際空港では、三千八百メートルの滑走路が二本ございます。それから、上海の浦東国際空港では、現在、滑走路、四千メートル一本でございますが、将来計画四本ある、こういう状態でございます。それから、ソウルの仁川空港につきましては、現在、三千七百五十メートルの滑走路が二本、将来計画四本と、このように、複数の四千メートル級の滑走路を持つ空港が東アジア近隣諸国で次々に整備をされている状況にございます。

 一方、我が国では、大都市圏における空港の整備というものは必ずしも順調ではございません。首都圏における国際空港で見れば、平成十四年四月に成田の暫定滑走路という整備を行いましたけれども、なお需給が逼迫をしている状態でございます。

 そういう意味で、世界でも有数の経済規模を有する我が国経済ということを考えますと、国際拠点空港の整備ということを早急に行う必要があると考えております。具体的には、成田空港の平行滑走路二千五百メートル、これの完成、それから関西国際空港及び中部国際空港の整備というふうなものを着実に進めていく必要があると考えております。

中山(泰)分科員 今、局長の方から大変わかりやすい御説明をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、今までのこの日本の旧運輸省時代からの空港行政に関して、先ほども規制緩和のことに関してもお話ししましたけれども、一つ考え方が、今民営化という形で空港行政に関してもやっていこうという中で、私はあえて、水際対策という言葉で言えば、空の世界ですから空際対策という言葉も造語でつくらせていただいて、逆に国が、運輸省が直轄でやるぐらいの気持ちでいいんじゃないのかな、国土交通省が直轄で空港をしっかりと管理、そしてまた運営するぐらいの気持ちがあってしかるべきじゃないかと。

 特に、成田空港に見られますような公団方式の運営、関西国際空港に見られますような株式会社の運営方式、そしてまた羽田空港に見られますようないわゆる運輸省の直轄、いわゆる三つのタイプの空港の管理もしくは運営のやり方があるせいで、逆に言えば、旧運輸省直轄のところはどんどん予算がついていって、ほかのところがなかなかつかないんじゃないか。もしくは、例えば今局長の御答弁の中にもありましたように、中国におきます上海の空港もしくは香港の空港、御答弁にはございませんでしたけれども、例えば北京の空港、そういったところに、冒頭申し上げました日本のODAが約七百億ぐらい、中国のその空港二つ建設するだけでも使われている。

 外国の空港をつくるのに日本のODAをどんどん持ち込んでいって、ですけれども、関空の予算をつけるのに、私ども関西出身の議員が一生懸命大臣室に列をなしてごあいさつに行き、また、財務省に行ってもなかなか予算がつけられることが余りない。つけられていますけれども、なかなかODAのようにすんなりいっていない。それどころか、中国は、逆に、その空港を香港の市場で株式会社にして、ストックマーケットで売ってしまっているというような状況もあるという中で、私は、ぜひ、外国の空港のために寄与するのも、これは外務省の範疇になるかもわかりませんけれども、それもしかりですけれども、今これだけ国内の景気が悪く、また国内の景気浮揚政策、そしてまた国際競争力というものをアジアの中でしっかりとつけていくために、もっと日本の国内の空港整備というものに力を入れていただきたい、そのように一生懸命お訴えをさせていただければありがたいと思います。

 特に、政府参考人の御意見で結構でございますので、これからの海外との競争も踏まえる中での国内の飛行場のバランス、新しく中部国際空港、そしてまた神戸空港の問題もございますが、既存の空港、そしてまた新しく建設する予定の空港の国内でのバランスというか、将来にわたっての、こういった形でやりたいんだということを国民の前にお示しいただけるような何か方針というものがございましたら、ぜひお聞かせいただければありがたいと思います。

石川政府参考人 今後の空港整備につきましてでございますけれども、現在、日本では、実は、既に供用している空港数は九十五ほどございます。全国的に見れば、ほぼ概成をしているわけでございますが、今お話しのように、国際的な拠点空港というものについては、まだこれから整備を進めていかなきゃいかぬということでございます。

 具体的には、首都圏の航空需要に対応するため、成田、羽田の整備を図る、関西の航空需要に対応した関西国際空港の整備を図る、中部圏の航空需要に対応した中部国際空港の整備を図るということで、それぞれを着実に進めていく必要があると考えております。

 今、予算のお話がございましたけれども、私どもとして、今後の空港整備は、これらの大都市圏拠点空港の整備を最優先の課題として投資の重点化を図っていくというふうに考えておりまして、平成十六年度の予算案におきましても、空港整備事業費の約七割を大都市圏の拠点空港の整備に投入しているところでございます。

中山(泰)分科員 ありがとうございます。

 特に、今、大都市から近い空港に対しての整備に力を入れてくださるということでございまして、本当に心強いお言葉をちょうだいしたと思っております。

 私ども都心に位置する者、特に大阪は今、中小企業を中心に非常に経済が悪くなっている中、本当の意味での空港のあり方、そしてまたそれを利用者の立場から考えた中での、本当の意味での競争力をどうつけていくのか。利用者の負担が余りにも大き過ぎるのも困る、飛行機を運営する会社の負担がふえ過ぎても、逆にそれがまた利用者にはね返ってくるという意味で、これからも一生懸命、国土交通省を中心として、大臣の御指導のもと、しっかりとした空港のインフラ整備というものを、外国に負けないような競争力をつけるんだという意味で、ぜひとも整備を拡充、そして、本当の意味での充実した、安心できる対策というものをやっていただきたい、かように思う次第でございます。

 次に、港と言いまして頭に浮かぶのは、空の港もございますけれども、やはり海の港というものも、私はこれまた大切な問題と考えております。特に、私どもの地元大阪、そして近隣の大阪港、神戸港という二つの港を中心にスーパー中枢港湾に指定をしていただくべく整備を進めるべきだというふうに私ども考えておりますけれども、この海の港に関する国土交通省のお考えというものをちょっとだけお聞かせいただけたらありがたいと思います。

鬼頭政府参考人 お答えをいたします。

 委員御承知のとおり、現在、アジアの域内、特に日本を含めた東アジアの域内で、港湾間の競争、大変激しさを増しておりますが、そういう中で、我が国の港湾、相対的な地位が低下をしてきております。そして、その競争力の向上を図ることが、我が国産業の競争力あるいは安定した国民生活の確保を図る上で大変重要であり、ある意味で、我が国の国力の維持、発展という意味でも極めて重要な課題であるというふうに認識をしてございます。

 そういう意味で、私ども、国際競争力を確保するという問題意識に立って、いろいろな施策を講じておりますが、今委員の方からお話のありましたようなスーパー中枢港湾プロジェクトもその一環でございます。大阪港及び神戸港の港湾管理者であります大阪市と神戸市から、平成十五年の一月に、大阪湾にあります両港を広域的に連携させるという前提のもとで、スーパー中枢港湾構想の提案をいただいてございます。

 ただいまの検討状況につきましては、その後、十五年の三月に、その時点で応募のあった八地域から五つの地域に絞り込みをさせていただきました。神戸港、大阪港一体となった、まあ阪神港と言った方がいいかもわかりませんが、これも含んでのお話でございます。

 現在は、その各候補の港湾管理者において、スーパー中枢港湾の目標を実現するためのアクションプログラムと申しますか、我々、育成プログラムと呼んでございますが、そのプログラムをそれぞれ検討していただいているところでございまして、別途設けておりますスーパー中枢港湾の選定委員会におきまして、これら育成プログラムの内容を審査していただきます。特に、指定基準に適合しているかどうかという観点が大変重要になりますが、そういう審査をしていただき、議論をしていただいた上で、その結果を踏まえて指定をしていくという段取りになるというふうに考えております。

中山(泰)分科員 ありがとうございます。

 先ほどの空の港の話とも関連するんですけれども、空の港の場合の利用料、世界主要空港の空港利用料という料金が、二〇〇三年十一月六日現在のこの利用料金の比較のグラフによりますと、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港が一番高い。その次がロンドンのヒースロー。その次が関西空港、そして成田と次いでいるわけでございますけれども、これは利用旅客一人当たりのいわゆる負担の高さを示しております。

 私は何が言いたいかといいますと、国際競争力、特に、この私どものいる北東アジア、そしてまた東南アジアも含めましての中で、本当の意味での国際競争力をつけていくという意味におきましては、利用者のコストというものも優先的に考えられるべきではないのかな。要するに、コストを低くしていく努力というのも必要なことではないのか。

 ですけれども、逆に申せば、相矛盾する考え方かもわかりませんけれども、コストを低くしたからといって、現場、実際、船が着いたり飛行機が着いたりする場所というものの性能が劣ってはいけない。非常に難しい中で予算を決め、取りまとめ、そして、本当に利用者のため、立場を考えた中での、そしてまた港湾労働者、空港も同じでございます、そういった方々、実際に現場で努力してくださっている方々のそういった御尽力も含めながら、総括的に考えて運営をしていかなければならない。そしてまた、その責任が行政にあるという中におきまして、特にこの海の港に関しましては、お隣の韓国の釜山港、そしてまた香港の港、そして台湾の高雄港、そういったところの、今、日本よりも扱い量が非常に多い、荷揚げ量が多い港とどうやって勝負をかけていくんだろうか。

 私は、たまたま、昨年三月、アメリカの国務省のインターナショナル・ビジター・プログラムという留学制度でアメリカの国務省にお招きをいただき、ニューヨーク、ワシントン、あとインディアナポリス、それとサンタフェ、ロサンゼルス、ホノルル、各都市を回り、いろいろな視察を含めました、人とのいろいろな対話、ミーティングも繰り返しさせていただきました。

 そんな中で、ロサンゼルスの港で、ポート・オブ・LAという港を視察させていただけるありがたい機会に恵まれました。このポート・オブ・LAには元日本人でアメリカに帰化をされた、今現在はポート・オブ・LAのお役人というんでしょうか、そこのオフィシャルの方がいらっしゃいまして、その方から御説明を受ける中で、アメリカのポート・オブ・LAというところにおいてはいろいろな意味で効率化というものを図って、そして利用者の立場を考えた中でのコスト設定、それと同時に、荷揚げをできる中においての港の十分な役割を果たせるだけの資本、インフラ整備、そういったものを行っているんですよという御説明を受けました。

 私ども、今スーパー中枢港湾という形で国土交通省がお進めになられています政策、大賛成でございます。その大賛成の政策の中で、やはり、今までと何が違っているのかというものが国民の目に、そしてまた利用者の目にはっきりと打ち出されない限りは、これはまた同じことをやっているんじゃないかと。どこかまた新聞とかマスコミがあおって一般の方がクエスチョンマークを心の中に抱くようなことがないような、逆に、おうそうか、そんないいことをやっているんだったらぜひおれたちも一緒になって応援しようじゃないか、そして日本のアジアにおきます国際競争力を増そうじゃないかという形での応援を日本国民全員でやれるぐらいの、スーパー中枢港湾におきます政策の実現というものをやっていただきたいと思うんですが、そのことに関して、スーパー中枢港湾の未来に関して何かビジョン、そういったものがあればお聞かせいただければありがたいと思います。

鬼頭政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げました、我が国主要港の相対的な地位の低下ということの原因の一つに、我が国の港湾のコスト、リードタイムといったサービス面での競争力のなさというものが大きな要因の一つだろうというふうに思っています。

 そのために、お話のありましたスーパー中枢港湾プロジェクトにおきましては、港湾コストの約三割の低減、あるいは現行で三日ないし四日、平均的にですが、なっておりますリードタイムの一日程度への短縮、こういったことによりまして、アジアの諸港をしのぐコスト、サービス水準を実現するということを目標に、官民一体で、ソフト、ハード両面の施策展開を図るということにしてございます。

 ただいま先生の御指摘にもございました、アメリカのロサンゼルス港でありますとか、あるいはお隣韓国の釜山港等では、大規模なターミナルを単一の民間オペレーターが効率的に運営しているという状況にございます。こういった例も参考にしながら、私ども、スーパー中枢港湾におきましては、我が国初の試みといたしまして、このような大規模なターミナル、複数のターミナルを単一のオペレーターが一元的に運営する、そういったシステムの構築を目指していきたい、かよう考えてございます。

 さらに、この一環として、平成十六年度には、先導的な試みとして、ターミナルシステムの統合、大規模化、あるいはIT化等に係る社会実験、これを行っていきたいというふうに考えてございます。

中山(泰)分科員 今港湾局長からお話をいただいたこと、そしてまた、空の港の方も含めまして、ぜひとも今おっしゃったとおりに、もしくはそれ以上に御尽力をいただき、頑張って推進をしていただきたい。そして、私たち自民党の国会議員も、しっかりとそれをフォローアップさせていただきたい、そのように考えておる次第でございます。

 そしてまた、大臣に私からのお願いがございまして、もしも、港の整備、空も海もできたときには、今、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、自民党の部会も、観光部会等々でも一生懸命、どうやって外国からのお客様、そしてそういった貨物等々の商用の荷揚げ、そういったものをふやすか。言うならば、国としてのそういった整備があって外国から来てもらいたいんだということをしっかりとアピールしていく中での、会社でいえば、企業でいえば営業、そういうものがあってしかるべきだと思います。

 特に、アメリカの大統領なんかは、中国という大きな、巨大なマーケットに行くとき、例えば車業界の一番の大ボスを連れていったり、電機業界の大ボスを連れていったり、いわゆる大統領がみずからトップセールスを中国の首脳、官、民そして政治という三位一体になって、国益というものを考えた中でのそういった営業活動をしている。これはもう大先輩の皆様方、御承知のとおりでございます。

 私は、日本という国はちょっと遠慮し過ぎなんじゃないのか。これだけアジアにもオフィシャル・ディベロプメント・エードをしていながら、そしてまた、世界に冠たる非常に優秀な技能、そして技術、そして社会資本、そういったものを持ちながら、明哲保身の哲学、自分の哲学を明らかに相手に御披瀝を申し上げて、そして自分の国の国益をしっかりと確保して、自分の身を保つという信念に基づいた形での、大臣以下、総理を初めとしますトップセールスというものをぜひとも、空港、港湾整備ができた折には行っていただきたいと思う次第でございます。

 そしてまた、時間がございませんので、最後に大臣の御所見、そして御意見をちょうだいしたいと思うんですが、今私が約三十分にわたりまして御質問をさせていただきました。本来ですと、途中、大臣にもお答えいただこうかと思いましたけれども、私はぜひ国土交通大臣に、今の会話、そしてQアンドAを聞いていただき、感じてもらいたいことが一つございました。

 何かと申しますと、私の本日行わせていただいた質問というのは、すべて国防というものを基準に、そして基本に考えておる質問でございます。空の港、海の港、けさのラジオを聞いていますと、アメリカに飛んでいく飛行機、ロンドンの空港とか七カ国ぐらいが協力して、例えばSOLAS条約のようなことを日本も今一生懸命フォローアップしていますけれども、例えば飛行機に乗られる旅客者、乗客の方々をアメリカの方がわざわざ外国の空港に行って警備をするというような新しい体制を世界の新しい国々と結ぶというようなアイデアも出ております。

 そんな中で、本当の意味での島国日本、その島国日本の国防というものをベースとした中での、国土交通大臣としての、そしてまた政治家としての御意見をちょうだいできればありがたい、そしてまた、私ども後輩にも御指導賜るお気持ちで御返答願えればありがたいと思います。

石原国務大臣 中山委員の、空の港また海の港を中心とした国際競争力を保ち、かつ利用者の利便性を向上していくという施策の着実なる実施をという意見には、私も賛成でございますし、国土交通省という役所も、委員の御主張に沿った形で現在施策を推進している。

 ただし、まず海の方の港でいいますと、規模とか、地域間のいがみ合いがあったり、委員御地元の阪神は、大阪と神戸とこれまで仲がよいとは言えないところが手を組んで、国のスーパー中枢港湾構想のクリアする、言ってみるならば基準にいち早く到達をした地域ではないかと思っております。行政の側もあるいは地元の民間の皆さん方も協力して、失ってしまった港湾拠点基地としての日本のポジションをもう一回回復していくという努力をしていく。

 そんな中で、委員が再三再四御指摘をされていたのは、水際、空際という言葉を使われておりましたけれども、ある意味ではそこは国境線であるわけでございます。委員御指摘のとおり、国防上あるいは安全保障上の観点からも、こちらの警備、警戒というものは緩めてはならないということは委員の御指摘のとおりでございますし、海上保安庁あるいは民間航空会社に対しましても、現在はフェーズでいいますとEという、一番、非常警戒態勢で空港の運営等々に当たらせて、民間航空会社も当たっているわけでございますし、海上保安庁も、港湾におきまして外国船舶の立入検査等々を実施しております。

 政府としても、国土交通省だけでこの安全保障の問題は成り立つわけではございませんので、内閣官房を中心に、各空港、港湾に空港・港湾危機管理官、保安委員会を設置するなどして、委員御指摘のこの水際対策に万全を期しているところでございます。

中山(泰)分科員 大臣を初めとします局長様、そして国土交通省の皆さん、本当にありがとうございました。ぜひとも、今おっしゃっていただいことを本当に、将来の日本を担う、国の宝である子供たちのために行っていただきたいということを最後に一言申し上げ、初質問でいささか緊張いたしております関係上、各方面の皆様方に御迷惑をおかけしましたこと、心からおわびを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

園田主査 これにて中山泰秀君の質疑は終了いたしました。

 次に、松島みどり君。

松島分科員 自民党の松島みどりでございます。幾つか質問させていただきます。

 まず最初に、私は昨年の通常国会で、下請代金支払遅延防止法、いわゆる下請いじめを禁じる法律ですが、これの改正に尽力させていただきました。その中で出てきました問題が、トラック運送業界。この法改正は、これまで大体製造業が対象でございましたこの下請いじめ防止の法律を、ソフト産業、サービス産業にも広げるというのが趣旨でございました。

 その中で、トラック運送業界から参考人のお話を伺いましたときに、こういう意見が出ました。確かに、元請、下請の関係、これの改善も必要ではあるけれども、荷主とトラック運送業界との関係、これが、荷主というのは非常に強い存在で、時には不当な値引き要求などかなりひどいものがある、これを何とかしてほしいというような御意見が出ました。

 これにつきまして、私どももその経済産業委員会の中で附帯決議をつけました。附帯決議をつけまして、トラック運送業界の特定の取引について、どういうことが問題になるのか、独占禁止法でもきちっと指定してほしいというような、そういう附帯決議を盛り込みました。

 これを受けまして、公正取引委員会が、独占禁止法の優越的地位の乱用につきまして、荷主が物品の運送または保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法というのを告示して、四月一日から施行することになったわけでございます。

 この優越的地位の乱用ということについて業界指定といいますか取引関係を指定するのは、これまでに、デパートやスーパーと納入業者の関係及び新聞社と販売店の関係、この二種類だけでございました。それだけ、三つ目に加えるということは、荷主とトラック運送会社との関係が、通常の合理的な値下げとか、そういう通常の要求の枠におさまらない、強い立場を使った、いわばいじめがしばしばある取引関係、業界だというふうに公正取引委員会が認定したことだと私は思っております。そのとおりの解釈でいいかどうかということも含めて、あとの質問と合わせてお答えいただければと思っております。

 この、せっかく出しました四月一日から守らなきゃいけない告示というのが、抽象的な部分などがあってわかりづらいことが幾つかありますので、これを明らかにしたい、確認させていただきたいと思っております。

 この中に、買いたたきを禁じる項目の中で、こういうふうに告示がされるようでございます。これは、「特定物流事業者の運送又は保管の内容と同種又は類似の内容の運送又は保管に対し通常支払われる対価に比し著しく低い代金の額を不当に定めること。」これがいけないというふうにあるんですけれども、この「著しく低い」と「不当に」というのがちょっとあいまいなものですから、伺いたいと思っております。

 「著しく低い」というのはどういうことなのか。「著しく低い」というふうにだけ定めてありますと、かえって逆に荷主の方が、これは著しくじゃないじゃないかとか、そういう言い逃れなりができてしまうのではないか。どういうことを指すのか、極力具体的に教えていただきたい。

 また、不当に定めてはいけないという、この「不当に」というのは例えばどういうことを指すのか、具体的にこれも例示をしていただきたいというふうに思う次第でございます。お願いいたします。

松山政府参考人 お答えいたします。

 最初に、運送業界と倉庫業界等につきまして、特殊指定案、現在検討させていただいているところでございますが、こちらにつきまして、今先生御指摘のような、通常の経済合理性なりそういった枠におさまらないような、非常に優越的地位の乱用が行われるいじめがしばしばある業界という形で公正取引委員会がそういう適用を考えたのかという御質問でございます。

 御案内のとおり、昨年の法改正によりまして、下請法の改正で、物流業者の関係と下請の物流業者の関係が対象になったわけでございますが、その際、先生御指摘のとおり、下請の対象にならないいわゆる荷主と物流事業者の関係につきましても、これがやはり取引の公正化が図られなければ、いわゆる川下の関係を幾ら取引を規制しようとしても、川上の段階が公正されなければ全体が公正化されないんではないかということが御審議の過程でもございまして、そういう御指摘も踏まえて附帯決議でもそういう指摘がされたわけでございます。

 それを踏まえまして、公正取引委員会原案の公表、そして二月十三日に公聴会を開催いたしまして、広く関係方面の御意見を聞いた上で特殊指定を定めたいということをしているわけでございます。

 今、そこでもう一問、「著しく低い」ということと「不当に」ということについて具体的にという先生の御質問でございますが、先生御案内のとおり、今回の特殊指定案では、「特定物流事業者の運送又は保管の内容と同種又は類似の内容の運送又は保管に対し通常支払われる対価に比し著しく低い代金の額を不当に定めること。」というのが禁止される類型として書いてあるわけでございます。

 この規定は、実は下請法の第四条第五項の規定と同様でございまして、下請法の運用に準じた考え方に基づきまして適用したいと考えております。その場合には、供給に要する費用でございますとか、あるいは実勢運賃といったようなものも勘案しつつ運用していきたいと考えております。

 著しく低いか否か、個別事案につきまして判断するわけでございますが、私どもは、下請法の中におきましては、同種または類似の役務について通常行われている取引の代金の額に比べて著しく低いかどうか、いわゆる市況と申しますか実勢運賃といったようなものをある程度勘案させていただいた上で考えていく。そういうことでございますので、例えば荷主の方が、著しく低くはないんだ、これは低いかもしらぬけれども著しくないぞというようなことを一方的に言うだけで判断するわけではなくて、私どもの方としても、やはり実勢運賃なり供給に要する費用も十分勘案した上で判断していきたいと考えております。

 それから、不当に定めるというのはどういうものかという御質問でございます。

 これは例えば、大量の発注を前提に安価な見積もりをとりまして、しかし実際は少量の発注しか行わない、あるいは長期間契約しますよということで安価な見積もりを出しておきながら、その見積もり単価を使って実は短期間の契約にしか適用しない、こういったようなものが典型的な例であると運用基準等でも書いてございます。

 例えば、荷主が予算対策、あるいは自分で決めた予算のみを基準といたしまして一方的に単価を決めて、これでやってくれ、あるいは、決算対策で一定の利益を出さなきゃならないために、とにかく一方的に代金を引き下げるというようなことがあれば、これは不当に定めるというものに該当するのではないかと考えているところでございます。

 以上でございます。

松島分科員 今、「不当に」ということについては少し具体的に伺ったかと思っております。

 確認ですけれども、例えば、こういうことはこの業界で時々あることだと伺っているんですけれども、荷主が自分のところの都合がいいようにトラックを、もちろん法律で認められる範囲で改造させる。例えば、荷台を後ろからあけるんじゃなしに横からあけるようにですとか、うちの会社の倉庫の高さに合わせて荷台をつくれとか、あるいは、洋服関係の店なんかで、ハンガーをつる棚をつくりなさいとか、そういうふうな形で設備投資を自分のところの仕様につくり上げさせておいて、そのあげくに捨ててしまうような、おたくはもう切るみたいなことも「不当に」に入るのかどうかということが一つと、前段おっしゃいました著しく低いというところで、一般的な料金と比べて、実勢運賃と比べてとか、実際にかかったコストと比べてということがございましたけれども、実勢運賃というのは常々調べていらっしゃるのか、あるいは、こういうときに調べてくださるのか、どういったものなんでしょうか。お願いします。

松山政府参考人 お答えいたします。

 まず、運送事業者のトラックの仕様につきまして、具体的に特定のものを定めて、それで、改装させるといって事実上その他の荷主とは取引ができないような状況にしておきながら、一方的に著しく低い代金での取引を求めるというようなことがありますと、これは買いたたきの定義における「不当に」の例として、もちろんケース・バイ・ケースの判断になりますのでそれは実態判断を踏まえてということになりますが、「不当に定めること。」に該当してくるケースがあり得ると思います。

 それからもう一点、通常の取引でも、対価と申しましょうか、比較になるものをどう見るのかという形。確かに、実勢運賃でございますとか、あるいは、いわゆる市況ではなかなか通常把握するのが難しいのではないかという御指摘かと思います。

 そういう面で、私ども、もちろん実態判断をした上で、ケース・バイ・ケースの判断になるわけでございますが、実際、運用基準の中におきましてもなかなかそれが判断、把握するのが困難な場合においては、通常の取引されている、例えば、もちろん同種とか類似のものを前提にいたしているわけでございますが、なかなかそれが見つかりにくい場合には、通常時の取引、それまでずっと継続的に行われていた取引なんかを勘案して判断していくということを明らかにしているところでございます。

松島分科員 わかりました。つまり、これまで、ある単位が一万円だったのが、最近きついから九千円にしてくれとか、そういう場合に、いけないということだと解釈させていただきます。

 それでいいかどうかということと、それから、代金の支払いについて、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形の交付を禁じると言っておりますけれども、これはどんな、どういう期間とかどういう手形のことなのか、教えてください。

 それと、次の質問もついでにさせていただきます。

 報復措置の禁止ということについて、告示の中に、荷主が不公正な取引をしていることを物流事業者、つまり、トラック運送会社ですとか倉庫会社が公正取引委員会に知らせたことを理由に、いじめ、取引量を減らしたり停止したり、そういう不当なことをしてはいけないということになっているんですけれども、直ちにやらなくても、後、ちょっとしばらくして、半年後にもう切ったとわからないようにやったり、いろいろなことが、まあ、なかなかみんなこの世界で、これで公正取引委員会の方の方々も大変な思いをされていると思いますけれども、弱い立場にある業界から見ると、通報なり告げ口に当たることがやりにくい。これに対してはどのように対応するか、公取として心がけていかれるかも教えていただきたいと思います。

 この三つです。よろしくお願いします。

松山政府参考人 一点目でございますが、手形の交付に関しまして、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められるものにつきましては、特殊指定の一項五号によりまして、禁止類型という形になるわけでございます。

 例えば、具体的に、では、その一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形というのはどういうものかという御質問でございますが、なかなか一律的に定義するのは難しゅうございまして、業界の商慣行でございますとか、親事業者と下請事業者の取引関係、あるいは金融情勢等々によりまして、総合的に勘案するということでございます。

 実際は、その言葉どおり割引が困難かどうかということを判断しているわけでございますが、御案内のとおり、下請法につきましては、割引困難な手形の交付の禁止の中に同様の規定がございまして、そこに置いている運用基準等々におきましては、手形期間が百二十日を超える手形が割引困難な手形であるということで、指導の対象にしております。そういう面で、特殊指定におきましても、やはり同様の考え方で対応してまいりたいと考えております。

 それから、その次の報復措置の関係でございますが、これは、もう先生御案内のとおり、この特殊指定の二項におきまして、公正取引委員会に情報提供を行った者に対して、これを理由として不利益な取り扱いをする、切るとか出荷停止をする、あるいはその取引量を減少させるというようなことがあった場合には、これは特殊指定二項に違反することになるわけであります。

 これについて、具体的に公正取引委員会はどういう措置をとっていくのかということでございますが、当然、その報復としての不利益の取り扱いをやめるように指導をしていく、あるいはそういう措置をとるということになります。

 今先生御質問のように、情報提供後しばらくして、今、半年ぐらいというお話がございましたが、一定期間経過後に報復を行うというケースもあるのではないかということでございまして、それは先生御指摘のように、そういう問題もあれば、当然対応させていただかなきゃいけないという形で、その情報提供や違反事件処理後の取引経過等も把握をいたしまして、そういう報復措置と認められるようなものに該当すれば、当然規制をしていくというふうに考えております。そういう面では、その後のフォローアップ、情報の提供後の状況についてもフォローしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、荷主のそういう違反行為につきましては、物流事業者が積極的にその情報提供を行うというのは、なかなか報復が怖いという形でやりにくい、これは、優越的地位乱用の規制類型、いろいろな類型について大体該当してくるものでございます。

 私ども、違反事件の調査を行うに当たりましては、その情報提供者の秘密は必ず厳守をするということに努めておりまして、これはもう、審査事件、独禁法事件、すべて共通してございますが、この下請法なりあるいは特殊指定の運用におきましても、その情報提供者の秘密保守というのはしっかりやるということと、積極的な情報収集に努めまして、特殊指定に違反する行為については対応してまいりたいと考えております。

松島分科員 しっかりした対応をよろしくお願いいたします。

 次は、高速道路の料金の別納割引制度について、大臣に伺いたいと思っております。

 これは、昨年、組合を使った非常に悪質な事例が明るみに出たものですから、新しく制度をつくり直すということになりました。平成十六年をめどに新しい制度を創設するということになっておりまして、そろそろそういう時期を迎えていると思っております。

 まず、現在の料金後納制度、つまり後で納める制度が維持されるのかどうか。プリペイド方式では負担が重くて、割引のメリットが失われてしまうと考えておりますので、ぜひ維持してほしいと思います。

 この点と、もう一つ、これまで高速料金の別納割引制度では、一カ月の利用額に応じて割引率が異なって、七百万円を超える部分、一番大きな割引率のところは三〇%の割引となっておりました。この割引率をどのように設定するお考えか、まず伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました料金の別納割引制度、これは、昨年、いろいろな不正が発覚いたしまして、新規の方は受け付けない、しかしながら、大口利用者、この日本の物流をつかさどる方々が正しく利用しているものについては、新制度が導入されるまで現制度を継続していく、こういう基本的なスタンスで運営をしてきたところでございます。

 これに加えまして、ETCを利用いたしまして、各種の割引、今、社会的実験も含めて行わせていただいておりまして、料金を全体で一割程度引き下げ、この別納制度を全部やめたときにさらなる引き下げを行うこととしているというのが基本的な立場でございます。

 そんな中で、別納割引制度の廃止を踏まえ、大口多頻度利用者の利便性の向上及び物流車両の高速道路利用への誘導による道路環境改善などの観点から、当然のこと、委員御指摘の不正利用の再発防止にも留意をいたしまして、今現在、新しい制度の創設に向けて検討を深めているところでございます。

 一つの例としてお話をさせていただきますと、ETCを利用して、車一台当たりの利用量に着目して、利用量や頻度に応じて割引率が累進的に増加する、これはエアライン等々が行ってユーザーの方々の大変好評を博しているマイレージ割引などは一つの選択肢ではないかと思っております。このマイレージ割引というものは、委員が御指摘の後納制度に当たるものではないのかなと。

 今後も、利用者の意向を把握しつつ、御指摘のございました後納制度の取り扱いや、割引率、これも組合全体では三割近く、最高になっているものもあるんですが、実際の組合員の方々は経費等々を引かれてそれだけの割引を受けていないというようなこともございますので、幅広い検討を今急ぎ進めていると御理解をいただきたいと思います。

松島分科員 大臣も今、その趣旨の中でまず物流コストの引き下げというようなことも言われました。

 そこで、御提案なんですけれども、トラック運送業界、実は、前段でも取り上げさせていただいたんですけれども、特に中小零細企業が多い。中小零細のトラック運送業界が、ただでさえ荷主からのいろいろな要求もあって厳しい状況で、なおかつ、この分野でも数少ない大企業と競い合っていくためには、この組合方式というもの、各社が集まることによってたくさん走ったということになって割り引くというこの組合制度の本来の趣旨に一番かなっている、必要ではないかと思う分野でございます。

 それで今後、もちろん一台一台当たりの走行距離に適用してというその発想も非常にすばらしいものではあるんですけれども、もし、組合というようなものの考え方を正しい部分で残すといたしましたならば、そのときにトラック業界というものは特別な扱いをできないだろうかということを私は考えております。

 あるいは、個々の車について目を向けますならば、いわゆる緑ナンバーと言われる営業車、それと白ナンバー、つまり自家用車、この二つの区別というのは税制などでもしばしばとられることでございますけれども、これを分けて、営業車の方をより有利にすることができないだろうかということを考える次第であります。

 それはなぜかと申しますと、先ほど申しましたように、大手と張り合っていくために、そういう小さい会社が組合をつくるということ、これはまさに必要なことでございますし、ほかの業種と違って、事業コストに占める高速料金の比重が非常に大きい。

 かつて、これは秋田県がたしか有名になったかと思いますけれども、運送会社の方たちが、高速道路をどんどんつくっても、高い料金を払ってまでとても乗ることはできない、それぐらいだったら、時間をかけても下の道を走ってコスト削減するんだということを言われていたのが記憶にございます。そういう意味で、運送会社の人たちに特にそういう配慮をすることが必要ではないか。

 もう一つの理由といたしましては、これは、環境問題から考えても、そうやって、高速料金が高ければ、トラックが下の道を走る、一般道路を通るということになりますと、環境汚染ということについても非常に問題がある。空気の汚染、騒音ということで問題があると思っております。

 もう一つ、昨年の総選挙で、ある野党が、高速道路のあり方について、高速料金をただにするというようなことを言いました。私は、これはとんでもない考えだと思っております。なぜならば、高速道路に全く乗らない都会の通勤サラリーマンなどにも税負担が重くのしかかる。とんでもない。

 ただ、その野党の言い分の中にもっともだと思うことが私は一つだけありました。それは、物流コストを引き下げることは、例えば都会の消費者物価にも影響して消費者にも役立つ、そういう発想でした。これは私は必要な観点だと思っております。

 そういう意味で、高速料金、遊びに行く人とかいろいろな人全部をただにするとか下げるとかいうことではなくて、まさにトラック運送、この組合ですとか緑ナンバーに対する配慮というのが望ましいと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 別納制度は、先生御案内のように、最初は昭和三十八年後納制度として出発して、四十一年に路線トラックなんかの割引を始め、四十四年に協同組合に対しての適用もするようになった。その後、割引の割合なんかも逐次ふやしながら現在の姿になってきている、こういう経緯を踏まえているものであります。

 先ほど来のお話で、一部の不正利用、こういう観点もとらえて、新しい制度として考える必要があるんじゃないのか、こういうことで、今いろいろな制度設計をしているところであります。

 制度設計をしながらといいますか、社会実験という形で、例えば今年度は、長距離の割引なんかもETCでやってみたりしながら、やはりできるだけお使いいただく、しかも、なおかつ料金収入もそれほど下がらないといいますか、そんなことがないかとか、いろいろな実験をしながら制度設計の方もいろいろ考えているところであります。

 したがいまして、そういうことでありますが、この制度の利用者の大多数は優良な組合や企業である、これも事実でありますし、そういう方は、当然、大口多頻度向けのサービスの対象、こういうことだと思います。

 したがいまして、運送事業者の皆様にも、実際に大口多頻度利用者であれば、引き続き、魅力的な割引制度、こういうものを用意させていただく必要はあるんだろうということでありますので、広々した検討をそうした形で今やっておる最中である、こういうことであります。

松島分科員 今、局長が言われました魅力的な制度というものについて大いに期待いたしまして、物流コスト引き下げ、いろいろな問題を考えまして、運送業者についての特別の御配慮をお願いしたいと思っております。

 時間が少なくなりましたので、最後に、大臣に一つ。

 常磐新線、いわゆるつくばエクスプレスが来年秋に開業いたします。これは、つくばをスタートしまして、茨城、千葉、そして東京の北東、足立区から、私の地元でございます荒川区南千住、そして秋葉原が終点でございます。秋葉原駅まで来るわけですけれども、これを東京駅までさらに二キロ延ばせないか、この要望でございます。

 なぜならば、秋葉原駅でJRに乗りかえるのに、道がよくわかっている人でも七、八分かかってしまいます。混雑したときとか、お年寄りとか、あるいはよくわからない人だと十分以上かかる。それですと、秋葉原まで来ないで、今までどおり、今大混雑しているのが北千住でございますが、北千住での乗りかえというのがますますふえることにはならないか、そのように考えております。

 秋葉原から東京駅までの二キロの延伸、既に運政審でも決められていることでございまして、これについて、この地域の、今まで南西部に比べて発展がおくれてきた東京の北東部のためにも何とかならないかという要望と質問でございます。大臣、いかがでございましょうか、工費と可能性。

石原国務大臣 ただいま委員御指摘のつくばエクスプレスにつきましては、地元の自治体、一都三県が中心になりまして、関係者の御協力をいただいて、来年秋の開業に向けて工事が順調に進んでいると思っております。

 また、運政審の答申を出されまして、秋葉原―東京の延伸についてでございますが、東京圏における鉄道整備計画、こんな中で、今後整備については検討すべき路線と位置づけられているということも、委員御承知のとおりだと思います。

 そこで、問題は何か。当然、その利便性の向上というものは図られると私も承知しておりますが、やはり需要が一体どれだけあるのかといったような問題、あるいは収支採算性、それと財源の確保、ここが一つ大きなボトルネックになっていると私は思っております。

 二キロのところで、委員御承知のように、東京駅の地下は今、地下の方にかなりの電車がいろいろな形で入っておりますので、ラフな計算でも、昨日のこの委員会の御審議の中でもおよそ一千億円程度かかるんじゃないかと。こういう基本的な問題をしっかりと、コスト削減がどれだけできるかというような問題も含めてですけれども、勘案いたしまして、国土交通省としては適切に対処させていただきたいと考えております。

松島分科員 私は、毎年この分科会で申し上げているんですが、都会の住民にとっては、交通の基本は道路ではなく鉄道でございます。都市再生という発想からも、ぜひこの地域について、それがなければ、どんどん宅地開発を進めているわけでございますから、人をふやして、そして、さっき申し上げましたように、北千住あたりがパンクすることがないように、さらに、つくばというのはこれまで人工的につくられた町で、私は、人工的につくられた町というのは失敗することが多いと思っている。ですから、首都機能移転の反対の理由の一つでもあるんです。

 その一つの例ですが、今まで交通の便が非常に悪かった。乗りかえが多いものですから、バスで、ここには日本の頭脳が、かなり研究者などが集まっていますけれども、単身赴任とかあるいは東京出張がしばしばあるということで、帰り、東京駅の八重洲の方から出ているバスが物すごく込んでいる。朝は、下り路線で込んでいるのはここぐらいだというぐらい込んでおります。

 そういうことを考えましても、東京駅と結ぶことは、単に東京と結んで秋葉原駅ぐらいでお茶を濁すのではなくて、どうか東京駅まで延ばしていただきますように、都市再生、大臣もぜひ今後ともお考えいただきますようによろしくお願いします。

 質問を終わります。

園田主査 これにて松島みどり君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 川内でございます。おはようございます。

 それでは、早速始めさせていただきたいというふうに思います。

 一般論としての新規空港整備についての新規事業採択の条件というものについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思いますが、五項目あるというふうに聞いております。

 事業の必要性、二、候補地の比較、三、計画の妥当性、この妥当性の中には、空港計画、アクセス条件、他計画との整合性、事業規模と四つの項目がありますし、事業の実現性という四番目の項目には、用地確保の見きわめ、環境影響の見通し、合意形成の状況というようなものもございます。そして事業の効果としては、費用対効果、空港ができた場合の成果、アウトカムというようなことが評価の基準として挙がっているようであります。

 この五つの事業を評価する項目がすべて満たされた場合に新規事業採択にかかるというふうに考えてよろしいでしょうか。

石川政府参考人 新規採択事業の条件でございますが、今先生から御紹介がありましたように、私どもの、一般空港の滑走路新設または延長に係る整備指針に基づきましてその事業採択の正否を判断するわけでございまして、その内容は、先ほど先生からお話がありましたように、事業の必要性、候補地の比較、計画の妥当性、事業の実現性及び事業の効果の五項目となっております。

川内分科員 この四番目の事業の実現性の中には、その細目として、用地確保の見きわめができることというようなことが書いてございます。用地確保の見きわめができたというふうに判断される政府としての基準というものを教えていただきたいというふうに思います。

石川政府参考人 用地確保につきましては、空港整備に必要となる用地について確保の見きわめができることということでございますが、これは、空港設置管理者による空港用地の買収同意の取りつけの状況でありますとか、同意取りつけがなされていない用地の今後の用地確保に向けた取り組み方針ということを踏まえて用地確保の見通しが立っているかどうかを判断するということでございます。

川内分科員 国土交通省が総合的に判断するということなんでしょう。

 それでは、続いて、事業の実現性の中の二つ目の項目の環境影響の見通しでありますけれども、これも一般論で結構でございますけれども、環境影響評価、環境影響の見通しというものがどのようになれば見通しが立ったというふうに判断をされるのか。

石川政府参考人 環境影響への見通しについての評価の基準ということにつきましては、空港整備、運用に伴う周辺環境への影響の概略が把握されており、重大な問題が生じないことが確認されているということでございます。

川内分科員 一般的に、大規模な開発の場合には環境影響評価というものを行うわけでありますけれども、環境影響評価における準備書の告示縦覧といったものをもって、評価基準に達している、環境影響の見通しが立ったというふうに御判断されるということではないということですね。

石川政府参考人 先ほど申し上げましたように、空港整備、運用に伴う周辺環境への影響の概略が把握されている、重大な問題が生じないことが確認されているかどうかということでございまして、環境影響評価の手続がどの程度進んだかということで判断するものではございません。

川内分科員 ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、環境影響評価の手続がどの程度進んだかということと、環境影響の見通しが立ったと国土交通省が判断することとは別物だということですか。

石川政府参考人 環境影響評価は事業主体が行うものでございまして、今申し上げましたのは、国土交通省として、この事業について概算要求をするかしないかということについての基準というふうに申し上げたいと思います。

川内分科員 素人にもわかるように御説明をいただきたいんですけれども、国土交通省が概算要求をするに当たって、環境影響の見通しが立っている、あるいは立っていない、まだ不十分であるということの判断の基準というものは、世間一般の方々にわかりやすく御説明をいただくとするならば、環境影響評価がどの程度進んでいるのかということが一つの目安になるというふうに思うところでございますけれども、そこで私はお尋ねをさせていただいたわけでございます。

 環境影響評価における準備書面の告示縦覧というものがあったとしても、それはまた、それをごらんになられた方々からさまざまな意見が提出をされたりするわけでございますから、一つの国土交通省さんの判断として、告示縦覧のあった段階ではまだ不十分であると判断されるんでしょうかということをお尋ねしているんです。

石川政府参考人 環境影響評価につきましては、さまざまな段階を経て、さまざまな方の意見がそこに反映をされていくわけでございますが、私どもとすれば、先ほど申し上げましたように、空港の整備あるいは運用に伴う周辺環境への影響の概略が把握されたかどうか、それによって重大な問題が生じないかどうかということについて確認をするということでございます。

川内分科員 国土交通省さんが独自に判断する材料というものをお持ちでないわけでございますから、事業者が行われる環境影響評価についての手続の進捗ぐあいがどこまで進んでいるのかということが一つの判断の目安になるとしか私には思えないんです。

 では、逆の聞き方をさせていただきますが、環境影響評価における準備書の告示縦覧があれば環境影響の見通しが立ったというふうに判断される場合もあるということですか。

石川政府参考人 一般的には、環境影響評価の準備書が作成され、その後、公告縦覧あるいは意見の送付等々が行われて、環境影響評価審査会というのが行われるわけでございます。そういう過程の中で中身が詰まっていくわけでございますので、そういうことも参考にしながら私どもとしては判断をしていきたいと考えております。

川内分科員 そういうことも参考にしながら判断をされるというふうに航空局長はおっしゃられましたけれども、そうすると、法で定められているさまざまな手続よりもおれの判断の方が上なんだ、おれが決めるんだというふうにしか聞こえないんですよ。

 せっかく法で定められたいろいろな手続があるわけでございますから、第三者あるいは国民の皆さん方からの批判にたえ得る行政を実行していくとすれば、今局長が、公告縦覧があったとしても、さまざまな意見が出る、まだ手続は残っていると御自分でおっしゃられました。

 私は、国民の皆さんにわかりやすく御理解をいただこうと思ってわかりやすく聞いているし、自分も理解をしたいというふうに思っているからこういう聞き方をするんですが、環境影響評価における準備書の公告縦覧をもって環境影響の見通しが立ったというふうに国土交通省が判断をするにはまだそれでは不十分ですねということを聞いているんです。もう一度、十分なのか不十分なのかということをお答えいただきたいというふうに思います。

石川政府参考人 一つが、事業の採択と環境影響評価の問題でございますけれども、一般には、先ほど申し上げましたように、空港整備についての環境の概略の把握ということはあります。

 先生お尋ねの件は新石垣空港に関することだと思いますけれども、これについては今までのいろいろな経緯があって、環境影響評価をいわば事業採択の前に進めていくというふうなことでやっているものでございまして、それに関して私が御答弁申し上げているわけでございます。

 環境影響評価をいつやるかということについて言えば、他の例で言えば、事業を採択した後、環境影響評価をするということもあるわけでございます。(発言する者あり)

園田主査 航空局長、早く答えてやって。

石川政府参考人 石垣空港の場合で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、公告縦覧の段階ではなくて、その後にさまざま意見が出るわけでございますので、そういう意見も踏まえて判断をすることになろうかと思います。

川内分科員 公告縦覧をもって判断するには十分か不十分かということをお尋ねしているんですけれども、公告縦覧という段階ではまだ不十分だということで理解してよろしいでしょうか。そうですと言ってほしいんですが。

園田主査 よろしいですね。今の質問者の意見どおりですか。

石川政府参考人 公告縦覧の段階、それ以降に意見が出てくるわけでございますので、公告縦覧の段階ではまだ判断する段階ではないと思っております。

川内分科員 ありがとうございます。

 では、ちょっと時間も押してしまいましたので、今、航空局長みずから石垣空港のこともおっしゃっていただきましたので、そしてまた、公告縦覧をもってしてもまだ事業採択の条件としては不十分であるという御認識をお示しいただきましたので、次の問題に進ませていただきたいというふうに思います。

 全然話題は飛ぶんですけれども、この間、私、国会の質疑の中で何回も申し上げてきているんですが、ISOの認証取得事業者を公共事業受注の企業の条件とするかのごとき試行工事というものが、各種レベルの入札で行われております。

 もちろん、国土交通省さんは、ISOをすべての事業者に取得させようなんというつもりはないというふうにおっしゃるかもしれませんが、公共事業を受注する側の経営者の皆さんにすれば、何か、ISOを持っていないとこれからは国の仕事ができないんじゃないかというような恐怖に駆られて、一生懸命ISOを取ろうとしたりされる。そうすると、ISOというのはかなりお金がかかるらしくて、ISO倒産という言葉もあるようでございまして、ISOの認証取得というのは、中小企業の事業者にとってはとても負担になっております。

 そしてまた、一方では、ISOの専門誌などには、国土交通省の技官の方が、ISOの認証取得事業者とそうでない事業者との間に、でき上がった建築物あるいは構造物についての品質の差は見られないというようなことをおっしゃったりしているようでございます。

 今現在、国土交通省の中で、このISO問題について検討委員会を設けて検討されているということでございますけれども、ずっと検討しているという状況がここ一年続いているわけでございます。一体、議論の方向性とか、いつまでに結論を出されるつもりなのかというようなことについて、あるいは中小の事業者にどのような配慮をされるおつもりなのかということを簡潔にお願いいたします。

門松政府参考人 国際規格でありますISO9001を取得した企業は、品質を自主的に管理し、ふぐあいがあれば継続的に是正する能力を有するということになるわけでございます。

 こういったことを踏まえまして、国土交通省では、従来、国の職員が立ち会って材料試験や工事施工の状況を確認する、これを請負者の自主検査記録の確認に置きかえるというようなことで企業や発注者の負担を軽減するという観点でもって、平成十二年から試行工事を、先生御指摘のように行ってまいったところでございます。

 対象の工事でございますが、比較的規模の大きな会社が担当する工事を中心に実施してまいりました。例えば平成十四年度でございますが、一般競争入札による工事件数の約三二%、その下の規模の公募型指名競争入札による工事件数の約六%を対象に試行工事をやってまいりました。

 こういった試行工事が、平成十二年度から十四年度までの三年間でございますが、約四百件ございます。これらの試行工事につきまして、企業や発注者の品質管理の効率化に効果があったかどうかという視点で、委員会等で議論してまいりました。

 この取り扱いを決定することとなるわけでございますが、この取りまとめの際の視点でございますが、ISO9001の取得のみによって公共工事の施工能力が判断されるものではないということ、あるいは、中小業者に過度の負担を与えてはならないこと、こういった点に十分留意して、できるだけ早い時期、できたら年度内と言いたいところでございますが、来年の頭ぐらいには中間的にまとめを行ってまいりたいというふうに思っております。

川内分科員 ぜひとも、中小企業の皆さん方に過度な負担が出ないように十分な御配慮をいただきたいというふうに思いますし、いわゆる職人かたぎというか、職人の皆さんというのは、資格とかそういうものがなくても割としっかり仕事をするというのが我が国の伝統であるというふうに思いますので、何分にも、よろしくお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、続いて、建設省の告示一二〇六号というものについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 これは設計料の積算についての告示なんですけれども、建築と設備で、最近分離で設計を発注することも多いやに聞いておりますが、建築と設備で分離発注する場合、それぞれの場合において設計料を積算するというふうに理解してよろしゅうございますか。

春田政府参考人 建築と設備の分離発注時の設計料の算定方法につきましてお尋ねございましたけれども、官庁営繕におきます設計料につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、告示の一二〇六号の考え方に基づきまして算定をしておるところでございます。

 国土交通省発注の建物に関しまして、建築と設備の設計業務を分離して発注する場合、その積算方法ですが、工事金額や設計業務の内容を勘案して、建築と設備それぞれの業務において設計料を算出しているという状況でございます。

川内分科員 国土交通省の発注に係る建築物で、一括で発注するもの、あるいは分離で発注するもの、基本設計、実施設計、そして工事監理、それぞれのレベルでの件数の割合あるいは金額の割合というものをお教えいただきたいというふうに思います。

春田政府参考人 一括発注と分離発注の割合についてお尋ねがございました。

 新築など設計業務を基本設計から発注する、そういった場合におきましては、設計者が発注者の意図を十分に理解いたしまして、その要求を達成するために、建築とか構造、設備、そういった専門技術を駆使して一体的に検討しなければならない。その結果、設計ができていくということでございますので、こういった場合、つまり基本設計から発注する場合には、一括発注を原則としております。

 この場合、例えば設備に関しての検討につきましては、設計事務所の中にかなり充実した設備部門がある場合におきましては単独で受けて行う、それから、その設計事務所が、設備部門が不十分もしくはない場合は、設備を専門にする設備事務所などを協力事務所として扱う、もしくはジョイントベンチャーとして組んでいく、そういった形の種々の取り組みをしていただいているところでございます。これは基本設計から発注する場合でございまして、一括が原則。

 それから、改修工事などで実施設計から発注するというケースがございます。この場合には、建築とか設備を原則としては分離して発注するというふうに考えております。ただ、非常に委託金額が少ないものや、それから、業務の内容が、建築がウエートが非常に高い、もしくは設備がウエートが高い、そういった場合におきましては、建築または設備でそれぞれ一括して発注するというふうなやり方をしております。

 お尋ねの官庁営繕関係の発注につきまして、分離発注の件数の割合は、平成十四年度の例では、実施設計から発注する場合、約十分の一が分離をしております。

 したがいまして、残りの十分の九が一括発注でございますが、その中で、設備の設計事務所に発注する割合が約四分の一でございました。

 また、工事監理につきましては、分離発注の件数の割合が十分の一ということになってございます。

 契約額につきましては、実施設計から発注する場合、分離発注の割合が、件数ベースでは十分の一でしたが、金額ベースでは四分の一というふうになっております。つまり、規模、金額の大きいものが分離となるケースが多いということでございます。

 それから、一括発注の中での設備の発注の割合が四分の一ございました。

 工事監理につきましては、分離発注が八分の一となっております。

川内分科員 今、部長さん、実施設計の場合には分離発注が原則だというふうに冒頭おっしゃられたと思うんですけれども、しかし、件数、金額をお聞きしますと、分離発注の場合、実施設計から発注し、分離で発注する割合というのが、件数で十分の一、金額で四分の一ということで、まだまだ分離で発注できるのではないか。

 私、素人ですからそういうふうに思うんですけれども、今、特に地方は本当に厳しい経済状況でございますので、なるべくたくさんの業者さんに公共事業に携わっていただくためにも、分離で発注される件数そして金額、もっともっとふやしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思うんですけれども、その辺の意気込みを、はいと言っていただきたいんですけれども。

春田政府参考人 先ほど申しましたように原則は分離でございますが、設計の金額が非常に小さいような場合には、分離することによって非常に煩雑になるとか、そういうことが実際にはございますので、そういったあたりも含めまして、今先生のおっしゃいましたこともよく検討しながら進めていきたいというふうに思っています。

川内分科員 それでは、新築と改修の物件では設計料の積算の根拠が違うというふうに、私、聞かされているんです。新築については積算の根拠となる数式が例示を一二〇六号でされているんですけれども、改築、改修の物件についても例示をすべきだというふうに思いますけれども、その辺についてはいかがでございますか。

春田政府参考人 設計料算出の略算式の関係、お尋ねがございましたけれども、告示の一二〇六号に基づきまして、設計料の算出は、新築であろうが改修であろうが、積み上げで行うというのが原則になっております。

 ただ、新築につきましては、告示の中で、工事費から引っ張ってくるというか、工事費に対する標準的な業務人・日数というのが算定できるいわゆる略算式というのが示されておりまして、この略算式によって、私ども、数字を出してきているという実態がございます。

 今、改修工事のことを先生おっしゃいましたけれども、改修工事というのは、内容が単純なものから複雑なものまで非常に幅が広いということがございますので、工事費から直接略算式のようなもので持ってくるというのが実際には困難な状況でございますので、それはまだ用意ができていないということでございます。

川内分科員 そうすると、改築、改修については、略算式で設計料を出すのではなくて、図面の積み上げでもって設計料を算出するという理解でよろしいですね。

春田政府参考人 はい、そのとおりでございます。

川内分科員 ありがとうございました。

 最後に、石原大臣に非常に情緒的なことをお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

 公共事業に携わる皆様のお給料というか、日雇いの人夫さんたちの場合は日当ですけれども、ここ数年、物すごい落ち込み方をしているわけでありまして、今私がいろいろやりとりをさせていただいた設計料に係る部分などは基準日額という言い方で、あるいは現場に携わる皆さん方の場合には労務単価という言い方でそれぞれ積算の根拠が示されているわけでございますけれども、もう本当にひどい落ち込み方をしている。

 では、翻って、同じ税金で仕事をする公務員の皆さんの給料はどうなっているかというと、それほど下がってはいない。自分たちの給料はそのままで、実際に仕事をしていただいている現場の皆さんのお給料なり日当なりが物すごい勢いで下がるというのは、私は納得がいかないんです。

 私は公務員の給料を下げろと言っているんじゃないんですよ、私どももいろいろ絡みがありますから。公務員の給料を下げろと言っているのではなくて、現場の人たちの日当を上げなければ、あるいは設計に携わる皆さんの設計料というものを上げなければ全体的な経済の勢いというものが出てこなくなっているんではないかということを申し上げているんですけれども、御所見をいただきたいというふうに思います。

石原国務大臣 委員の御議論を聞いておりまして、側面が一つあると思うのは、公共事業を景気対策あるいは雇用対策としてどの程度使用すべきなのかという論点と、むだな公共事業はできるだけ避けて、低コストでいかによいものを供給していくのか、この二律背反するような問題をどういうふうに解明していくのかというところに、ただいまの委員の問いに対する答えがあるような気がいたします。

 一般論で恐縮なんですけれども、労務単価とか技術者単価というものは、これはもう委員御承知のことだと思いますけれども、予算決算及び会計令で、市場における賃金実態を調査して、それに見合ったものということで決まっているわけであります。

 この単価の低下というものは、このデフレ下の中で調査したものが下がっているということで、市場実勢といってしまえば市場実勢。ですから、バブル期にはこういう単価が異常に高くなって、そのときは、何でこんな高いんだ、もっと安くやれという御質問が出たんだと思っております。

川内分科員 終わります。

園田主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田分科員 公明党の富田茂之でございます。

 第八分科会で質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私の方からは、羽田の再拡張に関係して何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、実は、三月五日に発行される予定の、ちば県民だよりに大見出しでこのように書いてあります。「ほとんど千葉県上空を飛ぶ国土交通省の飛行ルート案を受け入れることはできません」こういうふうに見出しが出た下に、次のような記事が載っております。

  着陸便のほとんどが千葉県上空を通過する羽田空港再拡張後の飛行ルート案が二月九日、国土交通省から提示されました。

  県が一貫して主張してきた「騒音問題等を首都圏全体で共有し、納得のいく分担」をするものではなく、到底了承できる内容ではありません。

  また、この飛行ルート案では、浦安市上空を七百メートル程度の低空で飛行するため、浦安方面に非常に大きな騒音が新たに発生します。また、木更津市、千葉市など各地域でも、騒音被害が増大することになります。とても、国土交通省案を受け入れることはできません。

  県と飛行ルートに関係する千葉、市川、船橋、木更津、松戸、習志野、市原、流山、鎌ケ谷、君津、富津、浦安、袖ケ浦、白井の十四市は共同で、「意見書」を国土交通省に提出。新たな滑走路の位置および飛行ルートを再度提示するよう求めました。

  国土交通省が、本県の納得を得ることなく、平成十六年度に羽田空港再拡張事業の入札を強行することには反対です。

と、一面を使って大きく取り上げてあります。

 こういう県民だよりが出るようになるというのは、そもそも、東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法案、これは今後総務委員会の方で審議されるようですけれども、この法案について、千葉県や関係の、先ほど述べました県下十四市に事前の説明が十分になされなかった、これが原因ではないかなというふうに私自身は思います。

 二月二日に千葉県の堂本知事は、このようなコメントを出しております。「この法案の条文については、明日(二月三日)閣議に付議するにもかかわらず、今日まで本県に説明が何らなされていないのは遺憾である。」知事さんがわざわざこういうコメントせざるを得ないような状況があった。この点について大臣はどのようにお考えですか。

    〔主査退席、蓮実主査代理着席〕

石原国務大臣 詳細は航空局長から御答弁させていただきますが、法案につきましても、骨子を持って事前に御説明に上がらせていただいておりますし、受けている報告は、十分に報告をさせていただいていると。しかし、それをもって、受け取る側がもっとしろと言うのであるならば、それは受け取る側の感覚であるんだと私は思っております。

 詳細につきましては、経緯もございますので、航空局長の方から御答弁させていただきます。

石川政府参考人 経緯を簡単に御説明させていただきます。

 東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法でございますが、御案内のとおり、無利子貸し付けの根拠規定と関連規定を整備するものでございまして、去る二月三日に閣議決定をし、本国会に提出をさせていただいているところでございます。

 地方自治体からの無利子貸し付けの根拠法を制定する必要性、これにつきましては、昨年来、関係八都県市に折に触れて説明させていただいております。さらに、法案を提出するに際しましては、千葉県を含む関係八都県市に対して、事前に法案の要綱を説明させていただいたわけでございます。

 さらに、千葉県知事からの御指摘もございまして、閣議決定の前には、私みずからが県に赴きまして、千葉県知事及び関係十四市の首長さんに対しまして、この法案の条文の事前説明というものをさせていただいたところでございます。

富田分科員 今の局長のは、ちょっと時間的にうまく答弁しているんだけれども、この閣議決定される、まあ次官会議の日に、やっと千葉県側はこの条文の中身を知るようになったわけですよね。それまでにきちんともう少し詳しく丁寧に説明していれば、最初の行き違いは私はなかったと思うんです。その点は、やはり反省すべき点は反省して、まあ局長が行かれてきちんと説明したので中身についてはわかるようになりましたけれども、事前の説明がやはり足りない部分はあったと思うんですよね。

 局長、今言われたように、きちんと説明されて、航空局長と知事との間で、この法案の第五条一項、「国土交通大臣は、必要があると認めるときは、東京国際空港における航空機の発着回数その他の同空港の供用の条件に関し、前条第一項の規定により資金を貸し付けている地方公共団体から意見を聴かなければならない。」この規定の解釈に関して、堂本知事と局長との間で覚書が締結されましたね。

 覚書には、「国土交通省は、航空機騒音の著しい影響を受ける地方公共団体についても、無利子貸付を行っている地方公共団体と同様に、「航空機の発着回数その他の供用の条件」について、意見を聴くものとする。」と。千葉県からも、関係市からも意見を聞きますよという覚書ですけれども、その前に、「本法案の「供用の条件」には、「飛行ルート」は含まれない。」と書いてあるんですね。そうすると、飛行ルートについては、千葉県や影響を受ける団体から意見を聞かないというふうに、覚書の規定の反対解釈で考えられるんだけれども、まさかそんな解釈はされないですよね。

石川政府参考人 この東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法第五条の規定でございますが、先生お読みいただいておわかりだと思いますが、国が、無利子貸し付けを受ける地方自治体から、債権者の立場からの意見を聞くという趣旨でございまして、この規定そのものは、逆に、無利子貸し付けを行わない地方自治体からの意見を排除するというものではありません。

 しかしながら、この規定に関しまして、千葉県サイドから、無利子貸し付けを行わない地方自治体からは意見を聞かないのではないかというふうな御心配がなされたわけでございます。そういうことでございますので覚書を結ばせていただいたわけでございますが、千葉県側からの御要望に沿って覚書を結んで、供用の条件については、無利子貸し付けを行う地方公共団体と同様に、関係する地方公共団体の意見も聞くという旨確認したところでございます。

 飛行ルートが供用の条件に入っているとか入っていないとかということにつきましては、本法第五条第一項そのものの解釈として、供用の条件というのは飛行ルートは含まないということを念のために書いたものでございます。したがいまして、飛行ルートについては、私どもとしても、これまで関係自治体と相談をしてきたつもりでございますし、今後とも関係自治体の意見を聞いてまいりたいと考えております。

富田分科員 ぜひ意見を聞いていただきたいと思います。

 二月九日に、第四回の羽田空港再拡張事業に関する協議会において、国土交通省から羽田再拡張後の飛行ルート案が初めて示されました。これに対して、千葉県及び関係の十四市から意見書が提出されております。

 この意見書では、「「基本案」・「分散ケース」は、いずれも着陸便のほとんど大部分が千葉県上空を通過するものであり、「騒音問題等を首都圏全体で共有し、納得のいく分担」が著しく不十分である。また、基本的には千葉県内の個別地域においても騒音被害が増大することから、受け入れることはできない。」というふうに冒頭述べて、何点か要望がございます。「着陸ルートにおける「騒音共有」の実現」とか「浦安方面の低空騒音の抜本的な改善」、「深夜・早朝の取扱い」とか「騒音予測について」等、きちんと指摘をして意見書という形になっているんです。

 大臣も当然この意見書をお読みになっていると思うんですが、この意見書をどのように受けとめ、今後どのような対応を考えていらっしゃいますか。

石原国務大臣 騒音問題というのは、やはりどんな公共機関あるいは道路でもついて回る問題だと思うんです。特にこの羽田の問題は、新たに一本滑走路をつくることによりまして、北側からのアプローチ、これがあるわけでございまして、そこが新たに、千葉県の浦安市の上空に影響が出る。

 しかし、もちろんここで考えなければなりませんことは、環境基準というものはやはり遵守していかなければならない。そのことによって騒音が環境レベルを上回るようなことは絶対に避けなければならないということと、なぜ四本目の滑走路を海の上にわざわざつくるのか。

 これは、当委員会でも再三御議論がございますように、国際競争力の維持、国内の、首都圏の国際空港として羽田をどう活用していくのか。それにはやはり、国内線の需要等々、国際線の需要等々から、二十九万回から四十一万回弱まで飛行回数をふやすということをしない限りは、そういう国際競争力、あるいは多くの住民の皆さん方の利便性にも対応することができないという問題があるんだと思っております。平たい言葉で言いますと、国益をどういうふうに住民の皆様方と考え、シェアしていくのか、こういうことになるんだと思うんです。

 そうしますと、前回示させていただきました基本案、首都圏全体で騒音を分散すべしとする千葉県の知事の御意見も受け、江戸川の方からおりてくる案とか、幾通りもの案を検討いたしまして示し、管制技術上どのぐらい分散できるのか。堂本知事は、平行滑走路を十度振れと言っているんですけれども、これは素人が考えても、平行滑走路が十度振れているということはどこかでぶつかるということですから、その交わる点が近くなれば近くなるほど便数は減るし、危険は高まる。やはり環境問題と、もう一つ、どうしても絶対考慮しなければならないのは、空港自体の安全性の問題、こういうものも私はあるのではないかと思っております。

 それと、これは委員御存じのことだと思いますが、私もいろいろ専門家に聞いてみたんですが、横田の空域が神奈川県のかなりのところまで出てきていて、西側が使えないんですね。そうしますと、どうしても、江戸川あるいは東京都と千葉県の皆さんに騒音をシェアしていただく以外に、この四十一万回と国際競争力に勝つという命題にこたえていく方法はない。

 そうはいいましても、住民の皆様方の御理解というものは大切でございますので、意見書については今後さらに検討を深めて、委員の御指摘のとおり、航空局と地元自治体の皆さん方との会話の輪というものは多く持ってまいらせるよう指導させていただきたいと考えております。

富田分科員 今、大臣、環境基準を守るのは大事だというふうに言われましたけれども、国土交通省の飛行ルート案では、浦安市の人口密集の市街地上空で、低空で二千三百フィート、約六百九十メートルを通ってくるということで、非常に大きな騒音を新たに発生させる。また、ここには、年間二千五百万人が訪れる日本の代表的な観光拠点、東京ディズニーランドがあるわけですよね。そのディズニーランドの上空では、二千フィート、約六百メートルで通過するというふうに予定されております。これはやはり環境基準を満たさなくなる可能性がある。やはりD滑走路の位置変更が必要なんじゃないかというのが千葉県や関係の十四市の意見。

 大臣言われたように、十度ずらしたらどこかでぶつかる。ただ、これは、十度ずらしてぶつかるのはどこかというと、鎌倉上空だ。では、そこまで平行で入ってきた飛行機が、うまく着陸できなくて、鎌倉の方まで行ってぐるっと旋回してくるのかといったら、そんなことは考えられないんじゃないかと思うんですよ。やはりD滑走路の位置変更は、千葉県が言うように、何度かずらして浦安の上を通らないようにする必要があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

石川政府参考人 浦安の問題でございますけれども、再拡張後の飛行ルートを示した案の中で、御理解いただきたいのは、南風悪天時、例えば雨が降ったり雲が垂れ込んでいるような、そういう天気の場合に、着陸ルートというものが江戸川と浦安上空を通過する。したがって、その運用比率は全体の八%程度でございます。それで、先ほど申し上げましたように、航空機騒音に係る環境基準は満たしているわけでございます。

 このルートにつきましては、東京ディスニーランドあるいはディズニーリゾートというものの上空を通過するのではないかという御懸念があるわけでございますが、上空を通過するわけではございません。そういう意味で、花火の打ち上げなども特に支障は来すことではないというふうに考えております。

 D滑走路の位置につきましては、先ほど来申し上げておりますように、飛行ルート案に基づく航空機騒音が環境基準を満足することということを確認した上で、一つが航空機の安全運航の確保、それから、港湾機能への影響あるいは付近を航行する船舶との関係、それから多摩川河口部との関係、それから現在のC滑走路の制限表面との関係、さらには空港周辺の関連施設との関係等も考慮して現在の位置としたものでございまして、滑走路の位置を変更するということであれば、これらの多様な課題を克服する必要がありまして、なかなか困難な問題だと考えております。

富田分科員 なかなか困難な問題だと言われるけれども、現在のD滑走路の位置決定というのは、平成十三年の十二月にやられているわけですよね。ことしの二月九日になって初めて飛行ルートが出てくる。それだったら、もっと早い段階からきちんと飛行ルートを示して、浦安やディズニーランドに影響はないんだよというような説明がなされるべきだったと思うんだけれども、そこがまたちょっと、ぎりぎりになってやる。新聞報道では、ことしの六月に入札手続に入らないと間に合わなくなるというような報道もあるわけですよ。ぎりぎりになってやっとカードを切ってくるみたいな、そういうやり方がよくないんじゃないかなというふうに私自身は思うんですね。

 今局長が言われた、調整しなきゃならない問題ということで、航空機の安全運航の確保とか航行船舶との関係、多摩川との関係、制限表面との関係、それは、理由は提示されるのはわかるんですよ。

 ただ、これについても、千葉県や関係十四市は、一つずつ、そうじゃないんじゃないかということを、口頭でしょうけれども局長の方にも言われているみたいだし、いろいろな場面でそういう提言があると思うんですね。なかなか困難だの一言で片づけるんじゃなくて、そういう意見があるということを考えて、D滑走路の位置変更が可能なのかどうか、再度検討してもらいたいと思うんですね。

 そうじゃないと、千葉県は成田空港を抱えているわけですよ。ことしの五月二十日に、開港二十六年になります。まだ完全空港化していない。二十六年たっても完全空港化しないというのは、最初のボタンのかけ違いがあったからだというふうに言われているように、きちんとした説明、地元の納得のいく情報提供がなされなかったからこんなふうになってきたんで、そこの教訓を、ぜひ大臣、航空局長をきちんと指導していただいて、知事さんやまた関係十四市の意見、そんなこと今さら言ってもだめだよじゃなくて、何か取り入れられる部分がないのか、ぜひ聞いていただきたいなというふうに思います。

 騒音のことも今局長言われましたけれども、この騒音の測定についても、県はやはり相当不信感を持っているわけですよね。

 昨年の夏、国交省から千葉県に対して、発着回数は一・四倍にふえるけれども木更津市は環境基準を超えませんよという説明があったので、この検証のために、千葉県は木更津市の畑沢局で測定した二〇〇二年度の約三万二千機のデータを再集計した。再集計した結果で騒音値を算出したところ、中型機で〇・二から三・一デシベル、小型機で五・八から六・〇デシベルと、ほとんどの機種で設定値が実測値より低く定められている。これは千葉県の判断ですから、そうじゃないんだという御意見はあるかもしれませんけれども、国交省は、実態に即した検証を行って、予測に用いる機種別騒音値を適切に設定すべきだというふうに思うんですよ。

 また、国交省が予測した地域別の加重等価平均感覚騒音レベル、WECPNLと略称するみたいですけれども、これやWECPNLコンターが過小評価されているんじゃないか、適切に設定した機種別騒音値を用いて予測すべきだ。これをきちんとやれば住民の納得も得られるようになると思うんですが、いかがですか。

石川政府参考人 騒音の問題でございますが、先生から御発言がありましたように、県から木更津の畑沢における実測値というものの御提示をいただいたわけでございます。騒音の最も大きいジャンボ、B747、これは国の設定値と比べて実測値の方が低いけれども、それ以外の機種については実測値の方が高いというふうな御指摘がなされたわけであります。さらに、その後県が新たに提出された資料でも、平均で二・八デシベルほど高いというふうなデータも示されたところでございまして、我々としては、これについて県から十分説明を受けたいと考えておりますが、それにしても、私どもとして、今後さらにデータを収集するということで検証を深めてまいりたいと考えております。

 なお、県の実測データを踏まえましても、再拡張後において、先ほど先生の御指摘のありましたWECPNLというものの七十ということを、基準の七十を超える騒音値が居住地域に達することはないと考えておりますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、今後さらにデータを収集して検証していきたいと考えております。

富田分科員 今局長は七十に達することはないというふうに答弁されているんだけれども、実は、二月九日の協議会の後の記者会見で、どなたが言われたか知りませんけれども、新聞記事では担当者というふうになっていましたけれども、国交省の担当者が、同席した記者さんから騒音値の設定値と実測値が違うんじゃないかと尋ねられて、誤差の範囲と思っているというふうに答えた。また、堂本知事からの意見があったので、検討はするが、これ以上騒音を分散させることは難しいと発言したというふうに新聞に報道されていました。

 こういったことを協議会をやったすぐ後の記者会見で言ってしまう。いろんな意見も出ているのに、それをきちんと検討して、検証した後でこうでしたよと言うのではなくて、もう最初から、あなたたちの意見は聞かないよみたいな、こういう態度が千葉県や関係十四市に不信感を植えつけちゃったんじゃないかと思うんですが、その点、いかがですか。

石川政府参考人 騒音の測定というものは、一般的に、測定点が置かれた場所の状況によりまして数デシベルの騒音値のばらつきが出るということがあります。そういう意味で、騒音値にはばらつきがある、あり得るということから誤差の範囲というふうに申し上げたわけでございますが、そのことが、今先生御指摘のように、結果として千葉県が不信感を持たれたということであれば、実は本件のことに関しまして既に堂本知事と十回以上直接お目にかかっていろいろとお話をさせていただいている私としては、とても残念だと思っております。

富田分科員 せっかく局長も努力されて、また次長や課長も一生懸命県議の皆さんに説明に行ったり、全部知っていますよ。その上であえて申し上げているので。やはり、騒音被害を受けるんじゃないかと思っている側から見ると、納得できるような説明をきちんともらうことが大事だと思うんですよね。測定値についてもきちんとやっていただきたいし、D滑走路はもうこのままやるしかありませんよ、六月に入札ですよみたいな、もうどんどん進んでいっちゃうんじゃなくて、きちんと県や関係市に納得のいく説明をしてもらいたいと思います。

 今の国交省の流れというのは、費用対効果だけを考慮して、年間四十万七千回、先ほど大臣、国益と言われていましたけれども、この発着回数の確保に余りにも固執して、騒音被害を受ける住民の立場というのを、やはりちょっと考慮が足りないんじゃないかな。では、D滑走路は角度を変えられない、だったら、騒音被害をできるだけ少なくするために、上空の通過のフィートをもっと上げるとか、いろんなことが考えられると思う。先ほどまでそこにいた林幹雄国土交通副大臣が千葉日報にインタビューを受けて、そういった高さも何とかできないのかとか騒音被害をできるだけ少なくするためにいろんなことをやれるようにちゃんと指示しているというふうに、インタビューで答えているんですよね。

 ぜひこの方向で検討してもらいたいと思いますし、やはり、首都圏全体で騒音を共有するんだという最初の前提があるわけですから、大臣の方からもぜひそういった、できるだけ騒音被害を少なくする、そんなことはないんだよというのを住民が納得できるような情報提供もしてもらいたいし、飛行ルートについてももう少し柔軟に、例えば、ルートが変えられないなら、先ほど言ったように、おりてくる高さを考えるとか、東京湾で騒音を受け入れるというのが一番いいと思うんですよね。東京湾の中に騒音を閉じ込めちゃう。そういったルートを、国交省はもうプロなんですから、そこをきちんと検討していただいて、千葉県や関係十四市、納得いくように、いい形で羽田の再拡張をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

石原国務大臣 富田委員の千葉県民を代表するような熱い思いをしっかりと受けとめさせていただきまして、国土交通省として適切に対応するよう、努力をさせるよう指示を改めてさせていただきたいと思っております。

富田分科員 大臣から決意をお伺いしましたので、航空局長初めこれまで本当に御尽力されてきた方たちの努力はよくわかりますので、今後もぜひ千葉県民の納得を得られるような騒音対策というのに取り組んでもらいたいし、飛行ルートについてもぜひ柔軟に考えていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光分科員 社民党の横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。

 道路公団の民営化の法案づくりが今政府の方で鋭意進められている状況だと思いますが、本来、高速道路の予定路線、この一万一千五百二十キロ、これは国会で議決されて、その中でも整備計画区間九千三百四十二キロ、これは国幹審の議を経て、そして国において決定されたものでございます。

 つまり、こういった流れから見ましても、道路はまさに国の財産である、そういった観点から、国の責任において今後とも早急にされるべきということが中心でなければならないという思いを私は持っておるんですが、まず、このことにつきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。

石原国務大臣 ただいま横光委員御指摘の九千三百四十二キロの整備計画でございますけれども、このうち、まだ未供用なものがおよそ二千キロございます。

 この二千キロを、コストを大幅に削減する、これは合わせて六・五兆円を政府・与党として約束をさせていただいております。そして、それの費用対効果、いわゆるBバイC、採算性、さらに、それだけではない外部効果、すなわち、基幹病院への到達距離、あるいは災害時へのバックアップ道路、また原発等々の立地条件、こういうものから構成される評価基準を作成いたしまして、その必要性を厳しく客観的に評価いたしました。ですから、これから供用するべく予定されております七十路線については成績がついているわけでございます。

 その上で、必要性があり、かつ料金収入で管理費が賄える区間、すなわち、管理費も出ないものを有料にすると累積赤字がたまるわけですから、これを有料道路方式。さらに、外部効果等々で必要性はありますけれども、有料道路の場合の費用対効果、費用対便益、BバイCが一を切る、あるいは料金収入で管理費も出ない、こういうものを新直轄道路として税金でつくっていくということを決めさせていただいたところでございます。

 今後の高速道路の整備については、この評価基準に基づきまして、委員が御指摘の一一五二〇につきましてもこの評価基準に基づいて全部の道路の偏差値をつくっていく、そして透明性の高い道路促進、成績のいいものから原則的につくっていくこととさせていただきたいと考えております。

横光分科員 今そのような御説明がございまして、評価基準をもとにしてということでもございますが、高速道路というのは、ネットワークされたときに初めてその真価といいますか、それが本当の効果を発揮されるものだと思っております。もちろん、採算性というものがこれから重要視されることは、これは申すまでもございません。そのために道路公団の改革が進められていると思っているわけでございますが、しかし、では採算性のみでいいのか。もちろん、この改革の趣旨はむだなものはもうつくらないんだと、しかし、必要なものまでつくらないというわけじゃないと思うんですね。

 そういった意味から、やはりこれから本格的な高速道路の整備を待ち望んでいる地域、あるいは高速道路ができることを基本として各種の地域の振興プロジェクトを進めてきている地方もあるわけですね。そういった実態やネットワークの重要性、こういったものも無視されてはならないと思います。

 もちろんこの評価基準というのが中心になろうかと思いますが、私が今申し上げたようなことも非常に重要ないわゆる建設の判断材料になろうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、高速道路、ネットワークでございますので、そういう意味での外部効果等を十分また評価しよう、こういうことで、中村基準の中、詳細にはいろいろな指標を入れていただいている、こういうことであります。例えば、ネットワーク形成で迂回路がどれだけ短縮されるかとか、あるいはまた、そもそもネットワークがつながっている場合とつながらない場合で交通量なんかも大分変わってくる部分もございます。

 そういう意味で、評価そのものの中に、先ほど大臣から申し上げました三つの、BバイC、採算性それから外部効果という中に、ネットワーク効果として、つながった場合の効用であるとか迂回路の短縮、あるいは通行規制なんかも、実は、一本しか国道がなくてしょっちゅう通行規制している、こういうような状況にあるところも多いわけでございますので、そうした点であるとかいうことを外部効果としてできるだけ評価するという形で基準を入れていただいているところでございます。

横光分科員 この評価基準ですが、これがでは絶対評価かというと、そういうことはないんでしょうね。例えば、いろいろこの前査定されていますが、Cランクのところだからやらないということはないということをちょっとお答えいただきたいんです。

佐藤政府参考人 先ほど大臣からもお話を申し上げさせていただいたところでございますが、例えば有料道路でBバイCをはかる。この場合には、Bの方、あるいはCの方もそうですが、限られた便益であり費用である。つまり、ある程度定量的に把握可能なもの、こういうふうに限定しておりますので、例えば民心の安定効果みたいなことも含めてはかってあるかというと、これはそういう形ではない。

 ただし、有料と無料で、やはり料金の抵抗が特に地方部においては結構強いということもありまして、交通量が現実に大分違うという面があります。そうだとすると、有料か無料でBの方が大分変わってくる。Cの方も、無料であれば料金所は要らない、こういうような形もございます。

 そこで、有料と無料とそれぞれでBバイCを、限られた範囲でありますが、定量化できるものをできるだけ取り上げて今回は計測をしてみた。それでまいりますと、今既に整備計画が出ている中で七十区間、二千キロ残っておるわけでございますが、このいずれも、有料の場合にはBバイCが交通量が少し少なくて難しいという区間が何区間かございました。しかし、無料の場合にはそれぞれBバイCが一を明らかに超える。こういう形でございますので、少なくともこの二千キロ、七十区間については、必要性という面では検証がされている、こういうふうに考えています。

 ただし、BバイCが非常に、ぎりぎり一に近いとかそういう場合には、さらにCをどう小さくするか、それからBの方も、先生先ほど来のお話のいろいろな地域づくりと一緒になってB、便益をできるだけ大きくする、こういうことが必要であろうということで、全体区間、七十区間の中で五区間を抜本的な見直し区間としてさらにBバイCを大きくする、こういうようなことを抜本的な見直しの中でやっていこう、こういうことにしたわけでございます。

横光分科員 今の、Cだからといって、結局、さらにこれからもう一度、いろいろな形でその便益性、必要性というものをまた査定していただきたいということでございます。

 これからいよいよ道路公団の民営化会社が十七年からスタートをするわけでございますが、この民営化会社がどのような形で建設を進めるのか。つまり、未供用の高速道路の整備を新会社が整備を進めるに当たって、国は出資者としてどのような役割を果たしていかれるのか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、BバイCは無料であれば一を超える。そういう中で、三つの指標で計測を、評価をさせていただいて、そして、七十区間、約二千キロの中で、二十七区間、約七百キロについてはとりあえず直轄方式でやっていこう。残りはとりあえず、さらにこれからも精査しながら直轄区間になる部分も出てこようかとは思いますが、いずれにしましても、大きく分けて直轄方式と一般有料道路方式、会社による有料道路方式と、こういうことで二本立てでやっていこう、こういうことにしたわけであります。

 その場合に、一つ申し上げておくべきかと思いますが、これから建設に要する費用がもともと二千キロで二十兆円かかるだろう、こう思っておりました。これを、コストカットで十六兆円、四兆円、二割を削減する、これは昨年の十二月二十五日に出させていただいたわけであります。さらに、直轄方式でやっていこうというふうに考えられる部分という区間をおおむね三兆円ぐらい目標にしよう。そうしますと、残り十三兆円でございますが、このうち二・五兆円は、いろいろな入札制度の改革とかあるいはまた大規模な改築事業を見合わせるとかいうような形で二・五兆円削減。そうすると、公団と会社で十・五兆円でやっていこう、こういうことにしたわけであります。

 そうすると、公団の時代におおむね三兆円ぐらいは投資をすることになるだろう、そうしますと会社ではおおむね七・五兆円、端数がつくかもしれませんが、そういうような形でやっていただく。それはどういう意味かといいますと、四十五年の確実な償還が、債務の返済が高速自動車国道のネットワークとしては十分それで可能であろう、こういうふうに私どもは思っております。

 そこで、これからの手順でございますが、民営化会社が発足いたしますと、今事業中の有料道路をどこの区間は会社がそのままやるという形で引き受け得るか、これは自主的な、会社の自主性を尊重してということではありますが、トータルの、そういう意味での投資可能額という意味では、十・五兆円というのは十分可能であろうと私どもは思っていますし、そういう中で、会社と協議して、今までそのエリアを、その地域を所管している会社がそのままやってくれますか、こんなことをいろいろな条件をお互いに考えながらやりとりをする。そういう意味で、出資者としてといいますか、逆に申し上げますと、国として十分可能でしょうかねということを会社の自主性を尊重しながら打ち合わせさせていただいて、そしてやっていただければ、そのまま有料道路事業が継続する、こういう形になろうかと思います。

 その場合に、民営化会社でありますから、当初の滑り出しは、これはなかなかそうはいっても厳しいところもあるかもしれませんので、政府等で、必要があれば、必要最小限債務保証するということも必要かとも思いますし、それから株式も、政府は当然最初は一〇〇%持っているわけでございますが、保有義務みたいなこともつけさせていただいて、そして会社の信用力を高めておく、これもまた大事なことだろうと思いますので、そんなふうな設計をさせていただきたいと思っております。

横光分科員 いろいろな形で新会社がスタートするわけですが、いずれにしても、国の方も出資者として新会社と相談をしながら進めるというようなお話でもございました。

 そこで、お渡ししている資料の方をちょっと見ていただきたいんですが、この資料一なんですが、これが現在の九州全体の高速道路の整備状況なんですね。

 左サイドの、上から北九州、下の鹿児島までのいわゆる九州縦貫道、これはもうほぼすべて整備されております。一方、右側の言われております東九州自動車道、この絵でもわかりますように、ほとんど虫食い状況のような状況でもございます。

 現在、この東九州自動車道、総延長四百三十六キロあるんですね、北九州から大分、宮崎、鹿児島までを経由して。四百三十六キロのうち、まだ全体で八十一キロしか開通していません。いわゆる整備率は一九%にすぎないわけですね。こういった状況が今の九州の高速道路の東と西の大きな差でございます。

 そういった意味で、この東九州自動車道、非常におくれている。そこで、とりわけ循環型ということでいえば、九州全体が循環型になるというのがそれは一番ベストなわけですが、これまた少々時間がかかろうかと思います。

 そういった意味で、九州北部、私カラーマークで印をしておりますが、宇佐―椎田間、ここが二十八キロなんですが、大分から北九州の間で、整備計画になっていながら事業化されていないのは、この宇佐―椎田間だけなんですね。

 この宇佐―椎田間、地図を見てもおわかりのように、ここがつながれば、さまざまな分野でどれだけ大きなプラス効果があるかというのはもう皆様方一目瞭然だと思うんですね。やはり高速道路というのは、ここでとまる、ここで一回おりてくださいよ、しばらくしてまた上がらなきゃいけない、これじゃ、ほとんどそれまでの高速までも意味がなくなってくるというようなことさえあり得ますので、ここがつながったとき、例えば宇佐―椎田間、ここが事業化されれば、いわゆる北九州、福岡そして鳥栖、日田、別府、宇佐、中津、北九州、この九州北部の循環型ができ上がるわけですね。これは今地元で非常に待望されているわけでございます。

 整備計画ですから、すべての状況は実はもうここは終わっておるんですよ。あとはもう実施だけなんですが、そういった意味で、この重要性から見て、国の方のお考え、そしてまた現在の状況についてちょっとお聞かせいただければと思うんです。

佐藤政府参考人 先生御指摘の東九州道の宇佐―椎田間、ここが、現在の状況として、整備計画に入れていただいてはおりますが、まだ施行命令に向かっての調査中の区間である、こういうことではございます。

 確かに、この全体がつながりますと、既に一般有料道路として供用しています椎田道路、あるいは宇佐、宇佐別府道路とつながりまして、九州の北部の循環型が形成される、そういう意味でのネットワークとして大変重要な部分、こういうことだと思います。

 現在は、実は、宇佐―椎田の二十八キロ区間は、平成十五年の、昨年の十二月二十五日に国幹会議の議を経まして、当面は有料道路事業として継続するとされた区間であります。本格的な事業実施に向けまして、先ほど申し上げましたように、全体としてコストの縮減をどう図るか、できるだけ図っていこう、こういうことがまた一つの課題でございますので、コスト縮減の具体化等の調査を実施しているところであります。十二月二十五日に出させていただいた整備計画変更案で申し上げますと、平成十六年度以降の残事業費が二十八キロで一千五十億円、こういう形でございます。

 どれだけ工夫、努力しながら、こうした点をさらにどれだけ縮減するか。私どもとしては、全国でこうしたコスト縮減の努力というものは、既に事業中のものも、それからこうした形で調査中のものも含めて、大事な問題として一斉に今取り組んで、さらなる縮減に取り組んでいるというところでもございますので、その努力をできるだけやった上で、次なる展開をできるだけ早く考えたいというふうに思っております。

横光分科員 やはり残りの二千キロ、全国から、それはいろいろな地域が、待望論があろうかと思います。

 しかし、今私が説明いたしましたように、この地図を見てもわかるように、ここ一カ所は一回下におりなきゃならない、いわゆる高速が途切れている。ここが行きどまりですよという形になって、またさらに約二十キロ近く走ってまた上らなきゃいけない。このことによってどれだけこの地域がいろいろな面でマイナス面があるかということなんです。

 この宇佐と椎田のど真ん中が、いわゆる県境、大分県と福岡県の県境なんですね。ここに中津市という市があるんですが、この東九州、大分から北九州の間には非常に多くの、福岡県、大分県それぞれにおいても、福岡県側には日産の企業があったりしている状況、そしてまた大分の方は大きな企業がたくさんあるわけです。この宇佐―椎田間のど真ん中の中津市でも、いよいよダイハツ車体が今年度末から操業を開始するというような形で今進んでおります。また、中津港湾も重要港湾に指定されまして、中津―日田の地域高規格道路も進んでおりますし、いわゆる大分―北九州間の中間の物流拠点なんですね、この中津市が。

 そこに高速が通っていない。一回おりなきゃならない。いわゆるダイハツにしても、この高速が当然つながるであろうということを予想して企業進出してくれたという状況もあるわけでございます。そういった意味で、いろいろな地域から要望があることとは思いますが、非常に私はここは必要度が高いであろう。むだなものはつくらない、必要なものは必要、その必要なものでも私は最高位にここは入るんじゃなかろうか。

 この循環型がつながったときには、どれだけ大きなプラスがあるか。これは産業経済だけでありません。観光にしてもしかり、あるいはまた文化、農業、医療、すべての分野において、ここがつながったときに、九州北部の人たちは非常に大きなプラスになるわけですね。

 観光においても、この宇佐市から国東半島一帯を含めて世界遺産に申請しようというぐらい大きな、大事な宝のような観光地もある。中津では耶馬渓もある。そういったところがつながれば、観光にも随分プラスになる。さらには、農業においては、これまた非常に農業の食の安全というのが今心配されているときだけに、いわゆる産地直送、新鮮な野菜をできるだけ新鮮なまま消費者へという意味でもこの高速道路は欠かせない。また、文化においても、ここがつながれば、北九州、福岡あたりでの、なかなか大分県では見れないすぐれた芸能や芸術を鑑賞できる。さらには、医療、福祉の分野でも、ここの高速道路がつながることによって、本当に救急医療体制もでき上がる。すべてにおいてプラスになるわけですが、そのプラスのためのネックがこの宇佐―椎田間のまだ未整備区間なんですね。

 何とかしてここをやはり高速道路という形でつなげることによって、循環型ネットワークを構築することによって、私は、地域、そしてまた地域の経済、地域住民の便益、いろいろなもののプラスにすべきだという思いがいたしております。

 この今の東九州自動車道の実情、その中でも北部九州の宇佐―椎田間の状況、このことを、今のお話、やりとりの中で、大臣、どのようにお考えですか。ちょっと大臣のお考えと必要性というものをお話ししていただければと思うんです。

石原国務大臣 ただいま横光委員が、高速ネットワークの形成がその整備効果を確実に反映する例として、民間企業の自動車会社の誘致を例にとられてお話をされていたことは、まさにそのとおりであると思っております。

 ただ、個別路線については、成績表ももう出させていただいておりますので、客観基準に基づいて、その客観基準、先ほど道路局長が御答弁させていただきましたように、BバイCの数値を上げるには、コストを削減する。いろいろな地域から、コスト削減、こういうふうにコストを下げていくという御提案もいただいておりますので、そういうものを見ながら、ネットワークの形成をすることによりまして、高速道路の整備効果がより発揮できるように努めてまいりたいと考えております。

横光分科員 どうもありがとうございました。

 それでは、もう一つ資料をお渡ししていると思うんですが、いわゆる同じ交通体系でも、今は高速道路のことをお話ししました。今度は鉄道なんですが、これまた、西九州の方はもう整備新幹線が走ろうかという時代。ところが、東九州の方はまだまだ単線が非常に多い。とりわけ大分県と小倉の間の中で唯一単線区間があるんですね。ちょっと赤鉛筆で印をしていますが、この区間です。名前は立石と中山香あるいは杵築と日出、この二区間だけが単線なんですね。

 これは、これまでもJR九州の方にずっとお願いしていたんですが、なかなか採算性とか費用対効果の意味で難しい状況であったんですが、ここは、実は、国鉄民営化のときに、この地域の残りの単線区間の用地はすべて国鉄が買収しておるんです。つまり、その地域の人たちは、複線化にするというお願いをされて、やむやむ自分たちの祖先からの土地を提供しておるんですよ、複線化するという約束で。それが二十年、十年以上たっても全然進まない。民営化になったということもあるんですが、これも国が出資者でございますので、これはある意味では地域住民への約束事なんですね。

 このことについて、やはりJR九州にもうちょっと国の方としても働きかけをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 先生からただいま御指摘いただきましたように、立石―中山香、杵築―日出間について、地元の方の複線化してほしいという要望が非常に強いということは私どももよく存じ上げているところでございます。

 それで、それについて、私どもとして、JR九州の株主であるので働きかけをしたらどうか、こういうお話でございますが、国鉄改革はどういうものであったかということを考えますと、民営化の手法を導入して、効率的な経営を実施して鉄道の再生を図ろうではないか、こういう趣旨で行われたものでございます。したがいまして、JR各社につきましては、経営責任を明らかにする、それで自主的な運営が行われるようにということで株式会社化されたということでございます。

 ただ、その株を我々が持っているということは、一〇〇%持っているということは事実でございますが、会社というものに将来的にはなっていくということで、基本的にどこについて設備投資をするかということは会社が判断すべき事項であるというふうに考えておるところでございます。

横光分科員 確かにそうでしょう。それは、民間会社として、企業経営ということではいろいろな難しい問題があるのはわかっているんです。私が言いたいのは、その前に、では、その土地を買収した人たちはどうなるのかということですよ。約束を守ってくれない。しかも、ずっと陳情していたけれども、なかなか難しい、そういった状況が長く続いたんです。ここが複線化になれば、この地域の人たち、先ほど言った道路と違った意味でのまた大変大きな利便性あるいは経済効果、いろいろな形でプラスになるんですね。

 私がこれをなぜ今回も取り上げたかといいますと、状況がちょっと変わりつつある。やはり、約八十億ぐらいこれはかかるだろう。膨大な金ですね。だからJRでの負担だけでは到底やっていけない、なかなか進まなかった。ところが、ここに来て、今、市町村合併というのが進みつつあるんです。この区域は、いわゆる杵築、山香、日出という一市二町、それに大田村が加わって合併協議が今進められておるんです。

 そういった中で、今度は、合併すれば、いろいろな形で、今までは各単独で陳情していましたが、一体となって要請する。そして、一体となって要請するには、一体となって地元の負担も考えざるを得ない。いわゆる合併することによって特例債ということもある。これは決まったわけではありませんが、特例債を仮に利用して、そしてJRだけの負担だけでは申しわけない、だから地元も負担する。県にも何とかお願いしたい、国も何とかお願いしたい。そういった形で、国、県、そして地元、JR、この四者が一体となってこの問題に取り組めば、また私は新たな展開ができるというような気がいたしておりますので、ぜひともそういった、新しい、状況が変わったわけですので、もう一度国の方から進めていただきたいということをお願いしたい。

 それから、売っている、渡した後の土地が、管理が非常に不備なんですよ。雑草の刈りを年間二、三回はやらないかぬですけれども、なかなかやってくれない。そのために農業に非常に悪影響を与えている。与えた土地が自分たちの今度は農業とかいろいろな分野にまた害を与えるというようなこともあるということを地元から聞いておりますので、このあたりもぜひJRの方にお願いしていただきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

蓮実主査代理 これにて横光克彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、城内実君。

    〔蓮実主査代理退席、主査着席〕

城内分科員 自由民主党の城内実でございます。

 本日は、私の地元の静岡県の道路そして港湾、海岸事業、空港問題といった分野についてお伺いしたいと思います。

 本題に入る前に、実は私は、外務省に十四年間おりまして、私の地元の静岡県西部から立候補したわけでございますけれども、ほとんど外国におりまして、そしてまた東京の霞が関というところにおりますと、なかなか中山間地のいろいろな問題、あるいは郡部の人たちの生活、暮らしというのは身近に感じないんですけれども、今回、そういった形で選挙区をくまなく歩いておりますと、その地域の人たちの生の声がひしひしと伝わった、そういう意味で非常にいい経験をさせていただいたんです。

 もちろん、外務省というところは抽象的な国益を追求するところでありますが、私は、国土交通省の方々、本当に敬意を表したいと思うのは、生活している方々の身近な利益を守っておられるんだな、そういうことを非常に強く感じた次第であります。

 まず、道路問題について入りたいと思いますが、石原国土交通大臣が道路公団民営化問題で大変御苦労されているということに本当に敬意を表します。また、私ごとではございますけれども、私が無所属にもかかわらず、わざわざ応援に駆けつけていただきまして、大変感謝申し上げます。

 その際、浜松市の方に来ていただいたんですけれども、実は私の選挙区は大変広うございまして、北の遠州、北遠と称するんですけれども、そういうところをもし見ていただければ、いかに中山間地の道路事情が悪いというのを見ていただけたんじゃないかと思うのではありますが、何にしても、そこに行くまでに二時間ぐらいかかる。今、三遠南信道路、この事業が進んでおるわけでありますけれども、もし三遠南信道路ができたら、それが二時間から一時間になる、そういうことでございます。

 大臣に対して私の最初の質問は、そういった中山間地における道路整備事業の必要性について、大臣の御認識についてお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が具体的に御指摘された三遠南信道路については、長野県の方から三ケ日の方までの道路であるということを承知しておりますが、詳細については、後ほど道路局長にお聞き願いたいと思います。

 私は、委員の御指摘で、中山間地域の道路整備どうあるべしか、こういう問いにお答えをさせていただきたいと思うんですが、そういうところに行けば行くほど、自動車が移動機関として多く使われている。大体、八割、九割車に頼っているんじゃないでしょうか。そんな中で、委員御指摘のとおり、静岡県の北部の道路というものもまだまだ整備が不十分であると思っております。

 これから大切なことは、やはり道路をつくっていくときの透明性というものを高めて、どういう必要性があるからこういうものをつくるんだということを胸を張って言えることを心がけていかなければならないんじゃないかと思っております。

 もちろん、高速道路のお話の中でさせていただいておりますけれども、高速道路も採算性だけでつくる、つくらないを決めてはならないと思います。当然、大都会であれば採算性は高いですが、中山間地域を通る道路は採算性が低くなってしまう。やはり外部効果、こういうものが重要であるということはもう再三再四お話をさせてきていただいておりますし、これからも、一般道についても、客観的な評価基準に基づきまして、その必要性、優先順位を判断していく。

 そのとき、中山間地で重要なファクターは、やはり外部効果、代替道路があるのか、あるいは基幹病院までどのぐらいかかるのか、そういうことも評価の重要なポイントであるということは高速道路と変わらないと思っております。

城内分科員 大臣おっしゃったように、採算性という切り口はもちろん私も否定するものではないんですけれども、やはり中山間地の過疎化防止、そして何といっても、そういうところに人がずっと長年暮らして住んでいた、道路ができないとどんどん過疎化して高齢化していく、そしてまた山村地域が荒れてしまう、こういった観点から、ぜひとも、採算性はもちろん重要ですけれども、そうでないファクターも認識していただきたいと思います。

 そして、道路局長さんからぜひ御答弁いただきたいんですけれども、三遠南信道路につきましては、青崩峠道路の早期事業化、これをまずやっていただきたいということと、佐久間道路、これは愛知県の東栄町と佐久間町を結ぶ道路でございます、そしてさらに三遠道路、これは第二東名の引佐ジャンクションができる引佐町のところと愛知県の東栄町を結ぶ道路でございますけれども、この事業の推進についてぜひとも進めていただきたいというお願いをするとともに、現状についてお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 三遠南信自動車道についてのお尋ねでございました。

 三遠南信自動車道は、飯田市から静岡県の引佐郡の三ケ日町、延長約百キロ、全体事業費では恐らく八千億円もかかろうかという大規模なプロジェクトであります。中央道、第二東名を有機的に連絡して、地域相互間の連携強化、それと、奥三河、北遠州、南信州地域の開発、発展に大きく寄与する重要な路線、こう認識しております。

 平成七年度までに、青崩峠道路、小川路峠道路、飯喬道路、三遠道路、佐久間道路、合計延長六十九キロを順次事業化してまいりまして、現在までに、小川路峠道路の一部、青崩峠道路の一部、合計七キロを既に供用しているところであります。

 一言だけ、せっかくでございますので申し上げたいんですが、この供用で、長野県の南信濃村の遠山温泉郷、施設の整備も伴いまして、観光客が開通前の五倍に伸びた、こういう効用を果たしているところであります。それから、上村や南信濃村まで飯田市の通勤通学圏域が拡大しまして、片道が二時間半だったのが一時間半になったということでバス通学が可能となった、また、飯田市の医療施設への通院も可能となった、こういうことで大変な効用もまた、先ほどの先生のお話のように、中山間地域にお住まいになる皆様の活性化、こういうことが図られているということであります。

 静岡県内では、三遠道路、佐久間道路、青崩峠道路の事業を推進しているところでありまして、このうち、三遠道路の鳳来インターから引佐ジャンクションまで、十五キロでございますが、十九年度までに供用を図るべく、今年度末にトンネル工事に着手することとしております。佐久間道路においては用地買収を推進し、青崩峠道路におきましては環境調査等を推進している最中でございます。

 何分にも、先ほど申し上げましたように、そうはいってもかなりの費用のかかる路線ということであります。三遠、佐久間、青崩峠、このそれぞれで、合計いたしますと恐らく三千億円を超えようか、こういう大事業でもございますので、コストの縮減になお一層十分努めながら整備と推進を図ってまいりたいと思っております。

城内分科員 御答弁ありがとうございます。

 そして、三遠南信道路以外にも、これは私の選挙区のことで大変恐縮なんですけれども、ずっと見てまいりますと、一般国道百五十二号線、これは水窪町、佐久間町、龍山村、天竜市を通っている道路でございますけれども、さらに一般国道三百六十二号線、これは主に細江町、三ケ日町、そして一般国道三百一号線、湖西市、三ケ日町、こういった一般国道に、まだまだ本当に狭隘で屈曲、蛇行箇所がある。これは走ってみるとわかるんですけれども、こんな国道があっていいのかな、こんな箇所があっていいのかなというところがございますので、ぜひともこの改良促進を進めていただきたい。

 この問題についての御認識についても御答弁をお願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 国道百五十二号と三百六十二号と三百一号のお話でございました。個別に申し上げますと大変な数になりますので、多少まとめて答弁をさせていただきたいと思います。

 百五十二号は、上田市と浜松市を連絡する、延長が二百五十六キロの幹線道路であります。静岡県内は八十四キロございますが、改良率がまだ八二%、先生御指摘のように、随分狭隘で屈曲した、あるいは蛇行した箇所、こうしたこともあります。それからさらに、天竜川の渡河部付近では大変な渋滞もしている、こういう状態でございますので、それぞれの解消を図るべく、逐次事業を進めておるところであります。

 それから、三百六十二号は、豊橋市と静岡市を連絡する、これも延長百五十七キロの一般国道でありますが、静岡県内は百四十五キロ、これも、まだ改良率が七二%、先生おっしゃるように、まだまだ狭隘な区間が多いということでありまして、例えば三ケ日町内で、都筑拡幅として、三百メーターでございますが、平成十六年度の供用を目標に用地買収を推進中、こうしたようなことで事業を進めさせていただいているわけであります。

 三百一号、浜松市と愛知県の豊田市を連絡する九十三キロの幹線道路でありますが、これは、静岡県内二十五キロで、改良率九六%ではあります。

 しかしながら、これもまた、湖西市から三ケ日町について、湖西市の利木拡幅、五百メーターほどでございますが、一番厳しい部分を拡幅させていただく、こういうことを事業としても進めさせていただいている、こういう状態であります。

 今後とも、厳しい予算状況のもとではございますが、事業の早期完成、要は、取りかかったらできるだけ早くに完成させていただく。それから、何度も申し上げて恐縮でございますが、工夫しながら、コストを下げながら効用をできるだけ大きくする、こんなことに努めながら、静岡県と一緒に力を尽くしてまいりたいと思っております。

城内分科員 御答弁ありがとうございました。

 次に、ダムの問題について質問させていただきたいと思います。

 私の地元静岡県西部には、佐久間ダム、秋葉ダム、船明ダムといったダムがございます。特に佐久間ダムにつきましては、これは、国が管理していない、電源開発が管理しているダムでございますけれども、国策でつくられたダムでございます。ところが、この佐久間ダムについては、堆砂の問題が非常に大きくなっております。

 そこで御質問ですけれども、ダムの建設の意義、これはもちろんプラスの面と、そういったマイナスの面では環境への影響等あると思うんですけれども、これについての御認識を問いたいと思います。

清治政府参考人 ダムについてのお話がございましたが、ダムの意義ということについては、委員も十分御承知だと思いますが、洪水を調節して下流の水害を少なくするということ。利水という面では、水が豊富な時期に、例えば雪解け水でありますとか梅雨の時期の川の流量が結構あるときに、それをためて下流に補給することによって田畑を潤すということもありますし、それから、都市の用水を供給する、こういう非常に重要な役割を持っているわけであります。

 御指摘のように、ダムの実施に当たりましては、いろいろ影響する面も多々ございますので、ダムを建設する際の環境への配慮でありますとか、その地域の整備の関係でありますとか、つくった後の、貯水池が富栄養化するような問題に対してどうするかとか、下流に対して冷水を放流し続けるというような問題に対して温度を緩和するとか。

 それから、御指摘の土砂の問題でございますが、ダムは、大体百年ぐらいの土砂は既に計画の中に織り込んでおりまして、これによってダムの機能が低下するようなことのないようにしているわけでございます。

 国土交通省の所管しているというか、関係しているダムが約四百ございますが、その中で、今、全体の貯水量に対して大体五%ぐらいの土砂が堆積しているという状況でありますが、先生のところの天竜川などは非常に土砂の流出の多い川でございますので、中流域のダムなどは満砂の状態に近いものがございます。

 佐久間ダムのお話がありましたが、佐久間ダムにつきましては大体三分の一ぐらいの土砂がたまっている状態であります。その分、下流に対して土砂がうまく供給されていかないという問題がございますので、これらについては、貯水池の土砂をどうするかということで取り組んでいるわけでありますが、ダムに入る前に貯砂ダムでためて、そこから掘って取ってしまうとか、貯水池に入ったものはしゅんせつで取るとか、施設としても、上流からのバイパスの水路をつくって洪水時には下流に土砂を一緒に流してしまうとか、それから、ダム本体にゲートをつけて土砂を排出するとかいろいろな対策を講じておりまして、これらは、下流の川とか海岸も含めて、土砂全体のバランスがうまくいくような対策を積極的に講じていかなければならないという問題認識でございます。

城内分科員 御答弁ありがとうございます。

 局長おっしゃったように、佐久間ダムにつきましては、貯水池の総容量の約三四・七%に当たる土砂が堆積している。これは東京ドームに換算しますと九十一杯分と大変な量なんですけれども、しゅんせつという方法がいいのか、あるいは、局長おっしゃったように、排砂バイパスですか、そういうバイパス工法で流すのがいいのかといったいろいろな問題があると思いますけれども、ぜひともこの問題について前向きに御検討をしていただきたい。

 そして、佐久間ダムの堆砂の問題については、平成十六年度から新たな事業、天竜川ダム再編事業ということで一億二千万円の予算をつけていただきましたことを感謝申し上げますが、引き続き、これは天竜川総合土砂管理対策として、天竜川の全体の問題としてとらえていただいて、この問題をぜひ解決していただきたいというふうに思っております。

 次に、別の質問に移りますけれども、私の選挙区、地元の地域は山間地が大変多うございまして、水窪町、佐久間町、龍山村、そして引佐町、これはかつて林業が栄えた地域でありますけれども、森林の地球温暖化防止、そしてまた森林の水源涵養機能といったものがあると思うんですね。これはどちらかというと農水省、林野庁の問題ではないかと思うんですけれども、今、大変林業が環境保護面で見直されてはいるんですけれども、産業としては衰退しつつある。外国の材木がどんどん入ってきて、内地材、すなわち国産材が逼迫している、こういう状況であって、林業に携わっている方は大変苦しいという声が聞こえております。

 そういったことから、ぜひ私としては、公共事業においてできるだけ国産材を使っていただきたい。材木を使えば環境負荷も低いということでありますし、最近では護岸工事等で積極的に使うような傾向が見られているというふうに思っておりますけれども、その取り組みの状況についてお伺いしたいというふうに思っております。

門松政府参考人 国土交通省におきましては、環境負荷低減施策を推進するために、公共事業にできるだけ木材を利用するということで取り組んでいるところでございます。

 具体的な例でございますが、河川事業におきます護岸、あるいは、公園、港湾、道路事業におきます植栽の支柱、営繕事業におきます庁舎等の内装材、これら各事業にできるだけ多くの国産材を使用するというところを推進しておるところでございます。

 間伐材につきましても、グリーン購入法において特定調達品目として位置づけられておりまして、間伐材を使用した公共事業を積極的に進めているところでございます。

 ちなみに、平成十四年度の国直轄の工事におきます間伐材の利用実績でございますが、十三年度の実績の約一・三倍の二万四千立方メートルになってございます。

 今後とも、間伐材などの木材を、利用可能な範囲で積極的に推進してまいりたいと思っております。

城内分科員 次の質問に移ります。

 次は空港の問題でございますけれども、静岡空港というのがございまして、平成十年に着手して、本体工事は今七年目に入っております。平成十五年度末では、本体工事の進捗率は六割に達しております。にもかかわらず、まだまだ県内外に不要論者がおりまして、石原大臣はよもや静岡空港の必要性については否定されていないとは思うんですけれども。

 その際、よく勘違いされる方がおるのは、静岡県には空港は要らないんじゃないかと言う方がおるんですけれども、ただ、よく考えてみると、静岡県というのは、意外とというか、かなりの実力を持っている県でありまして、製造品出荷額では、愛知、神奈川に次いで全国で第三位。これは、前年の東京、大阪を抜いて五位から三位に躍り出ているんですね。

 そしてまた企業立地の動向を見ますと、件数で平成十四年には五十三件で、これも全国で一位であります。そして平成十五年上半期でも一位と、非常に躍進している県なのであります。

 また、観光面からいっても、外国人で富士山を知らない人というのは一人もいないと思うんですけれども、富士山はあるし、伊豆半島、そして豊富な観光資源、これはもう全国で有数の観光県でもありますし、宿泊施設数四千九百五十二施設、これはホテルや旅館を入れてですけれども、全国で一位、こういう大変実力がある県である。

 そしてまた、私の地元、県西部では、スズキ自動車、ヤマハ、ヤマハ発動機、本田技研、浜松ホトニクス、こういった世界的にも有名な有力企業があって、経済人の方からも熱い期待が寄せられている空港である。

 そして、空港の経営については、これまた大変画期的なことですけれども、民活でやる。今現在は、スズキ自動車、静岡銀行、時之栖、こういった三社が中心になって、民間で運営していこう、そういう動きがございます。

 こういう空港であるという御認識を深めていただくとともに、地方空港についてこれから、私自身の考えとしては、アメリカもそうですけれども、どんどん地方空港をつくって、人と物の交流、国際化、そして地域経済の活性化推進のためにインフラ整備をしていくべきであるというふうに考えておりますけれども、御認識を大臣にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 個別空港ということではなくて地方空港全般で御答弁をさせていただきたいと思うんですが、委員御指摘のとおり、地域の産業、観光、文化等の発展に大きく貢献しているということは間違いないと思います。

 例を出しますと、九州の空港周辺にIT産業の関連施設が多く立地したとか、最近開港いたしました能登半島の能登空港でも、温泉宿の宿泊者数が倍増し、搭乗率も、冬場も九割を超えている。カニを食べに行くお客さんが大半だそうでございますが、こういうふうに観光等々にも大変役立っている。

 このため、国としては、積極的に地方空港の機能向上というものを図っていくわけでございますけれども、具体的には、空港へのアクセスの改善とかターミナルのバリアフリー、高齢者の方が御旅行しても支障のないようにしたり、あるいは運用時間を延長するなど、就航率の向上等にこれからも引き続いて取り組んでまいりたいと考えております。

城内分科員 大臣の御答弁ありがとうございました。

 次に、港湾、海岸事業の問題について質問させていただきたいと思います。

 静岡県舞阪町に浜名港という小さな港がございます。その前面に今切口というところがありまして、そこに砂が堆積する。砂が堆積して、また浅瀬が形成される、そうすると、波がぶつかって高くなる、それによって船舶の航行に支障を来している、そういう地元の漁民の方々の声がありまして、この堆砂を何とかしゅんせつしてほしい、そういうような要望が来ておりますが、この問題について、もちろん、どういうメカニズムで波が高くなっているのかというのをいろいろ解明する必要があるという点が一つ。

 もう一つは、では、砂を取れば、逆に浜名湖内の漁業にプラスの影響なのかマイナスの影響なのか。そういうアセスメントをする必要があるとは思いますけれども、いずれにしても、航行面での安全性というのを考えるとこれは非常に危険である、何とかしてくれという声が強いんですね。

 したがいまして、この問題の現状についてお聞きしたいというふうに思っております。

鬼頭政府参考人 地方港湾の浜名港今切口につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、前面海域での堆砂によりまして浅瀬が形成されまして船舶の航行に支障を来しているということについて、私どもも承知をいたしております。

 このため、静岡県におきましては、関係部局が協力をいたしまして、平成十五年度から二カ年、今年度と来年度でございますが、二カ年の予定で、海底地形の測量、それに基づく海底の砂の移動のメカニズムの解析、あるいは砂の堆積の原因の分析等々の調査をするというふうに伺っております。

 また、この問題につきまして、地元の関係者の皆様によります検討の場も近々設けられるというふうにも伺っております。

 ただ、現地で、浅瀬によりまして船舶の航行に支障を来している箇所につきましては、現時点では港湾区域の外になっておりますので、私どもの持っております港湾整備事業で対応していくためには、まず港湾区域の拡張ということで、区域の中に取り込むということが必要になってまいります。

 したがいまして、浜名港の今切口の前面海域におけるしゅんせつをやるかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、静岡県が実施をすることになります調査の結果、あるいは港湾区域の拡張の可能性、さらには地元の皆様の御要望の強さ等々を勘案いたしまして総合的に判断していきたいというふうに考えております。

城内分科員 御答弁ありがとうございます。

 次の問題として、海岸の侵食の問題があるんですけれども、今申し上げた今切口の西側に新居浜というのがあるんですが、そこも海岸が侵食している。そしてさらに、東側に中田島海岸というのがあるんですが、そこに埋め立てた不燃ごみがどんどん流出する、そういったような状況でございますけれども、この海岸の侵食防止対策についてお伺いしたいと思います。

清治政府参考人 遠州灘の海岸保全でございますが、遠州灘自体は非常に長い砂浜が続いているわけでありますけれども、その砂の、漂砂といいますか、供給もそうでありますが、こういうもののバランスが崩れますと侵食が起こるわけであります。

 特に、太平洋に面しておりますので、台風の来襲時等に被害を大きく受けてきているわけでありますが、昨年の七月に海岸法が改正されて、環境にも配慮した海岸保全を進めていくべきだというような趣旨から改正されたわけでありますが、それに基づいて、海岸管理者であります静岡県の知事、静岡県が管理しているわけでありますが、そこが遠州灘海岸保全基本計画というのをつくっております。この中でも、アカウミガメの産卵とか、先生御承知だと思いますが、非常に重要な環境の側面を持った海岸でありますので、海岸保全をしていくためには、施設をどんどんつくっていくということに傾かないようにして、沿岸の漂砂をうまくバランスをとっていくことで対応していこうという内容になってございます。

 私どもの事業としては渚の創生事業というのがございますが、これはいろいろな関係の部局と横断的に取り組もうということでありますが、そういう、砂を大事にした砂による保全、こういうことに今後も取り組んでいきたい、そういうふうに思っている海岸でございます。

城内分科員 ありがとうございます。

 時間がないので、中山間地域の観光振興、そして電線類等の地中化の問題についてはきょうは質問いたしませんが、実は、私の地元で浜名湖花博、しずおか国際園芸博覧会というのが四月八日から十月十一日までございます。これは石原国土交通大臣も承認している全国都市緑化フェアというものでございまして、さらなる御支援をお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

園田主査 これにて城内実君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

園田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。葉梨康弘君。

葉梨分科員 どうも、昨日、きょうと引き続き分科会、大変お疲れさまでございます。私からもちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、今非常に景気が、明るい兆しが見えるというようなことが世間でも言われています。ただし、非常にそこのところはまだら模様だ、これは業種によってもあるいは地域によってもということがあるだろうと思いますけれども、どちらかというと、私ども茨城県に住んでおりますけれども、東京の二十三区、特に東京の都心部のひとり勝ちではないかというような話もまた耳にいたします。例えば、マンションの着工戸数あるいは住宅あるいは人間の住みぐあいにしても、東京への回帰というようなことが言われています。

 もちろん、ただ、だからといって、都市の再生、都市の政策を手抜きをするべきだ、そんなことを言っているわけではなくて、しっかりとやはり都市政策というのは私自身も進めていかなければいけない、そういう立場におります。

 しかしながら、都市の再生あるいは都市政策といいましても、例えば欧米なんかを見てみますと、よく引かれる例ですけれども、ニューヨークのマンハッタン島には都心の三区、千代田、港それから中央ですか、それよりもはるかに多い人口が住んでいるけれどもというようなこと、それが一つの例になって、やはり都心部でもどんどん、ある程度職住近接で人を住むようにさせたらいいじゃないか、そんな議論がされるのはよく承知しております。

 しかしながら、例えばニューヨークあるいはロンドン、そういったような例を見てみますと、やはりしっかりとした郊外での生活というのも位置づけられている。すなわち、まず機能的な都市生活と並んで非常にゆとりある郊外での生活というのが相まって豊かな都市の生活になるんだというような形がある程度確立されているかのように思われます。

 もっとも我が国においても、従来の政策の展開の方向を見てみますと、しっかりとゆとりある郊外の生活をやっていこうというようなものが幾つかあったように思います。

 例えば、平成元年にできました宅鉄法、ああいったものによって、一つは交通手段の整備を片っ方でやりながら、そしてあわせて面整備を行う。非常に利便性のある交通手段を提供しながら、そしてあわせて都市を形づくるという意味でも、しっかりとした優良な都市政策をつくっていこう。

 そのため、我が茨城県においても、今現在、平成十七年の秋に開業が予定されていますつくばエクスプレスであるとか、あるいは常磐線の東京乗り入れの計画、これが運輸政策審議会なんかの答申であるとか、そういった形で、片っ方で交通手段の整備が進み、そして、さらには面整備という形で、つくば市内あるいは守谷市内、茨城県だけではなくて千葉県もかかってまいりますけれども、面整備が進んでいるというような形で理解しております。

 今後も、やはりこのようなゆとりある郊外生活、これを都市再生への一つの柱として国としても提供していくということが、私自身も必要な施策ではないかというふうに考えております。

 そこで、この点はまず大臣にお伺いしたいんですけれども、このようなゆとりある郊外の生活、これを実現するために今後とも施策を展開していただきたい。その意味で、大臣の決意といいますか、御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

石原国務大臣 私も、居住地は東京の二十三区の一番西の外れで、杉並区というところでございますので、どちらかというとまだ武蔵野の面影が残っているようなところで、都心よりも私は委員居住の茨城県とかやはり少し緑があったところの方が、いろいろな価値観がございますけれども、私は個人的には大変その方が、自然環境に接するところに住みたい、住んでいたい、こういう思いが強い方でございます。

 そんな中で、今宅鉄法のお話を委員出されましたけれども、線と面の共用した開発ということで、つくばエクスプレスを引いて、来年の秋には事業がいよいよスタートする、運転がスタートするわけですけれども、そんな中で、この郊外と都心を結び、住宅地として良好な環境のある、茨城県もそうでございますし、沿線の開発を行っていく、こういう新たな計画、法律をつくってやる、いよいよ本当に利便性が住んでいらっしゃる方にとりましても向上していくな、こんな感想を持っております。

 今後とも、やはり良好な住宅ストックと公共交通機関の連帯というものはしっかりと整備していくことが必要でありますし、やはり、冒頭お話しさせていただきましたように、自然環境に近いところに暮らすことによってゆとりのある郊外生活を実現していくということは、これからのライフスタイルの中でニーズが高まってくるのではないかと思っております。

 そんな中で、このつくばエクスプレスを初めとしたプロジェクトの推進というものを、また支援というものも役所としても進めていかなければならないと思いますし、個人としてもやはり郊外型の住宅の良好なストックを確保していく上からも、このようなものは大変大切なことであると考えております。

葉梨分科員 どうもありがとうございました。

 引き続きそのような形で、よりすばらしい都市再生、都市生活を図るために頑張っていただきたいというふうに思っております。

 今お話の出ましたつくばエクスプレス、今現在徐々に面整備も進んでおります。茨城県の筑波山、そしてそのもとに広がる関東平野、その中で非常に良質の住宅地を提供して、都市とそれから鉄道と一体で開発を行って、そして、今現在首都圏では最後の大型プロジェクトなどと言われているようですけれども、本当に今までにないような、日本でもこういうような郊外の暮らしができるんだということを日本全国にもあるいは世界にも示していきたい、そういうつもりで私どももいろいろとお手伝いをしているところでございます。

 ただ、しかしながら、やはり今秋葉原までの計画で、つくば市と秋葉原、これが平成十七年の秋に開業するということですけれども、その以降に筑波の研究学園都市と東京駅を結ぶということになりますと、今申し上げました面整備の面からも、それから今後の新幹線等への乗りかえの利便性の面からも、あるいは、先ほど申し上げましたように、今までにないようなライフスタイルを提供するんだということを外に示す、非常に象徴的な意味からも、非常に私どもは期待もしておるところでございます。

 昨年一月に、当時の葉梨信行衆議院議員がそういった計画があるよということを公にさせていただいたんですけれども、それについては非常に、私ども茨城県民としても、あるいは沿線の千葉県それから東京の北部の、東北部の住民としても非常に期待が大きい、そういったプロジェクトだと認識しておるわけですけれども、現在のつくばエクスプレスの東京駅への乗り入れの計画の進捗状況あるいは今後の事業のスキームについて、ちょっとお聞きを申し上げたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 冒頭先生からお話がございましたように、つくばエクスプレスというのは、良好な郊外生活と都心を結ぶ路線、百三十キロということでございまして、非常に速い鉄道で結びつけるという構想でございまして、秋葉原までつくばから四十五分ということで非常に速いということで、沿線住民の期待も非常に大きいということで、今、来年の秋開業に向けて工事が順調に進捗しておるところでございます。

 それから、今先生からお話がございました、秋葉原から東京への延伸をどうするかということでございます。

 冒頭先生からもお話がございましたが、平成十二年一月の東京圏における鉄道整備計画という運輸政策審議会の答申で、この秋葉原―東京間につきましては、今後整備について検討すべき路線というような位置づけがされているところでございます。仮に秋葉原から東京へ延伸されるということになりますと、利用者利便が増大するということは当然期待されるところでございます。

 ただ、まだ問題といいますか、検討しなければいけない問題が幾つか残っておるということでございます。まず、沿線の自治体あるいは鉄道事業者などの関係者間におきまして、延伸した場合に需要がどのくらいふえるんだろうかとか、あるいは、一番大きいのは収支採算性だろうと思いますが、収支採算性、それからその財源をどう確保するか、こういうような基本的な問題を今後検討していただくというような状況にあるということでございます。スキームにつきましては、この検討の過程でだんだん煮詰まっていくものだというふうに思っております。

葉梨分科員 ぜひとも、住民、切望しております、地元の負担との関係もございます、できるだけ現実的な形で、早期に実現できるように御要望申し上げたいと思います。

 それから、次に進みます。

 二点ちょっとお伺いしたいんですけれども、一点は、そのつくばエクスプレスの料金、御要望も含めてなんですが、できるだけ使いやすい料金にということを御要望申し上げ、またお答えもいただきたいと思います。

 もう一点は、旧来の常磐線についてでございます。私も、実は茨城県の取手市に住んでいまして、きょうも朝六時に起きてまいりまして、六時四十四分の電車に乗って、そして通勤してまいりました。ただ、六時四十四分は早いようですけれども、実は取手の駅に六時三十五分に着いていないと座ることができません。なぜかというと、六時三十六分に着く中距離電車が取手の駅にとまりまして、その乗客がみんな六時四十四分の始発の取手発の常磐線に流れるものですから、六時三十五分までに着かないと、早い時間なんですけれども座ることができない。事ほどさように、現在の常磐線の混雑も非常に大事な問題でございます。

 そして、さらには、やはり先ほど申し上げました新幹線との接続の問題、そして、今現在、実は常磐線沿いの町というのが、土浦にしても取手にしても、比較的ちょっと、まだ元気がない。やはりそこのところも、先ほど申し上げました、もう一度、旧来の、つくばエクスプレスよりも先に開発された住宅地ではあるけれども、しっかりとした郊外における新郊外生活、そういったものを前面に押し出した形でまちづくりを進める。そのためにも、交通手段の利便性の確保というのは極めて大事である、まさに地域活性化の起爆剤である、そんなような認識を持っているわけです。

 この常磐線の中距離電車ですが、東京延伸についても、平成十二年の運輸政策審議会で、平成十九年でしたか、二〇一九年でしたか、ちょっとそこのところ、不正確で恐縮でございます、そこまで何とか実現できるようにというような答申がなされたというふうに聞いておりますけれども、ちょっと何か、神田のあたりで、神田の駅の周りというのはもうビルばかりなんですけれども、ちょっと高くなるので、いろいろと住民が反対をしているというような報道も聞いております。その計画の進捗状況についてお聞かせを願いたいと思います。

丸山政府参考人 まず、前段のつくばエクスプレスの運賃についてでございます。

 制度的に申し上げますと、鉄道の運賃は鉄道事業者が決める、その運賃設定の申請を受けまして、上限を国土交通省が認可するという形になっております。

 それで、どういう形で会社が運賃を設定するかということでございますが、一つは、まず費用に合った運賃をいただかないと会社として採算が合わないということで、費用に見合った運賃収入というのが一つの考慮する要素でございます。それから、先生から御指摘がございましたが、利用者にとって利用しやすい運賃であるかどうかというようなこと。それから三つ目は、つくばエクスプレスは、当然のことながら、今非常にはやっております高速バスと競合することになります。その競合する他の交通機関との比較を考えながら、この三つのことを考えながら運賃設定の検討を行うというのが通常でございます。十七年秋の開業でございますので、およそ半年前には具体的な運賃が決定されるというふうに私ども聞いております。

 私ども、認可に当たりましては、運賃設定が会社の収支採算を確保しつつも、利用者利便を最大限に発揮するようなものになるように期待をしておるところでございます。

 それから、後段の現在の常磐線の東京駅の乗り入れの件でございますが、もう先生も御承知かと思いますが、東京―上野間、山手線につきましても京浜東北線につきましても、東京でピーク時の混雑率が一番高いところでございます。現在でも二二九%という状況でございます。

 したがいまして、JR東としましても、この区間の混雑を緩和させるためには、神田のあたりを、新幹線の上にもう一段高架を建て増して、そこで宇都宮、高崎、常磐線の一部を東京駅どまりにしようという構想がございまして、その構想自体は平成十四年三月に発表をいたしたところでございます。

 現在、JR東日本は、平成二十一年度の供用開始を目標に調査設計等を進めておるところでございます。それで、その一環といたしまして、地元説明も行っているところでございます。

 ただ、先生もちょっと今御懸念を示されたとおりでございまして、地元説明につきまして、若干十分な理解が得られている状況ではないというのが実態でございます。精力的には地元説明を行っておりますけれども、どうも、さらに高くなるということで景観上いろいろ問題があるんじゃないかということで、地元の方では難色を示している。あるいは、こちら側からいいますと十分な理解が得られていないというような状況にございます。

葉梨分科員 引き続き、ぜひとも御努力をお願い申し上げたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 高速道路、それから一般国道、自動車専用道路についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 じきに閣議で道路公団の民営化というようなものが法案化されるということで伺っております。私どもも勉強させていただいております。従来の道路整備計画、今現在九千三百四十二キロというような形になっておるようですけれども、もともとの今までの進捗状況等を見てみますと、どうしてもやはり背骨の道路というのが優先されてきたのかなというような、素人考えですけれども、印象を持っております。

 ただ、これからの話になりますと、まず大都市圏の再生という意味では、首都圏の三環状を初めとした環状道路、こういったものを整備していかなければいけない。さらには、ネットワークの完成した場合における状況等をにらみながら、費用対便益、そういったものをしっかりと精査していかなきゃいけない。

 そういうことで、これは一般論としてちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、道路公団民営化後の姿として、道路整備、高速道路、一般国道、自動車専用道路整備の優先順位について、今後どのような検討が行われるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

石原国務大臣 この点につきましては、きょうも当委員会で御同僚の議員から質問がございました点でございますが、やはりむだな道路はつくらない、じゃ、むだな道路は何なのかということを、これまでは抽象的な概念でしかとらえてくることができなかった。高速道路で言わせていただきますと、九千三百四十二キロの整備区間のうち、まだ未供用のものがおよそ二千キロございます。委員の御指摘のとおり、背骨、縦の線の方が整備が進んでいる、こういうことが事実だと思います。

 そんな中で、この道路公団民営化という戦後初の有料道路事業の抜本改革の中で、建設コストを六兆五千億、有料道路事業として二十兆円かかるものを六兆五千億削減し、新直轄三兆ということで、およそ有料道路事業については半減するということを決めさせていただいたわけでございます。

 そんな中で、委員が御指摘のこの厳格な評価、この評価、道路ごとの評価でございますけれども、一にはいわゆるBバイC、費用対効果、さらに採算性、これにプラス、これからつくる道路は採算性が低いわけでございますけれども、そんな中にありましても、基幹病院への到達時間あるいは災害時の代替道路としての役割、あるいは原発等々の外部的大きな要因、こういうものを外部効果等々から構成される評価基準をつくりまして、その指標に合わせて全部の道路を必要性を厳しくかつ客観的に評価をしていくということとさせていただいたわけでございます。その意味では、委員の御質問の趣旨にのっとった形でこれからは整備をしていくということでございます。

 そして、今後の高速道路の整備ですけれども、この評価結果、これは数字ですから正直でございます。これを見ながら、原則として成績のいいものからつくっていくということで、透明性の高い高速道路建設というものを推進していくことでございます。

 しかし、地方から、ちょっと成績悪かったけれども、いろいろな努力をして成績を上に上げたい、こういう御提案もたくさん出てきております。すなわち、現在のBバイCにとらわれず、建設コストを下げるという努力によりましてこのBバイCの点数を上げていく、こういうコスト縮減のアイデアをいただくことがもう現に起こっておりますし、地方のニーズに即した構造、同じように全部つくる必要は、地域の特性等々、利用実態等々で異なるわけでございますので、そういうものも見直しを促進していきたいと考えております。

 さっき言いましたように、地方によっては、コストを下げることによって優先順位が上になるわけでございますので、そういうことをやりたいという御提案もちょうだいしております。

 いずれにいたしましても、さらなるコストの縮減と地方公共団体の皆さんの主体性を重視しながら道路整備に取り組ませていただきたい、こんなふうに考えております。

葉梨分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、コストの面だけではなくて、特に、大都市東京の後背地として、また非常に可住地面積も広いという意味で、うちの茨城県は住んでおりますけれども、そこの道路網をぜひともまた我が国のために活用していただきたいというふうに考えております。

 その茨城県の話で、二点順次お伺いしたいと思いますけれども、一つは首都圏中央連絡道でございます。

 研究学園都市筑波と、それから、単なる地元の要望ということだけではなくて、国際都市成田、これを後背地と結ぶという意味で、極めて戦略的道路ではないかというような認識をしていますけれども、その整備状況、特につくば―成田間でございますけれども、それと今後の見通し。

 さらには、実は今お話のありました九千三百四十二キロには入らない道路、一万一千五百二十キロ、その中に入る道路について、全く整備をしないということじゃなくて、やはり個々にしっかりとその必要性を見ながら、どうやっていくかということを今後考えていかなきゃいけないだろうと思います。

 その意味で、東関東道路の水戸線、いわゆる潮来から鉾田に至る区間ですけれども、それがそれに当たるだろう。これは、後でちょっと触れたいと思います百里基地と成田を結ぶ、さらには東関東のネットワークとして極めて有用性が高いんじゃないかということを考えておりますが、その整備見通しについて簡単にお伺いを申し上げたいと思います。

佐藤政府参考人 最初に、圏央道の茨城区間について申し上げます。

 延長が七十一キロであります。つくばから茨城、千葉県境で申し上げますと、延長は三十三キロ。ここで、つくばから江戸崎インターの延長二十四キロは、平成九年度から順次用地買収に入りまして、この平成十五年の三月二十九日に、常磐道の連結のつくばジャンクションからつくば牛久インターチェンジ、わずか一・五キロではありますが、この供用を図った。実は、これによりまして、市街地である牛久駅周辺から常磐道へのアクセスが十分短縮されまして、二十七分が十六分になった。こういうことで、国道六号の交通量も六%減少と、わずか一・五キロでございますが、大変な効果を発揮している、こういう状況であります。

 それから、つくばからつくばジャンクションの間、それからつくば牛久インターから江戸崎のインター、これにつきましては、この二月末現在で、面積ベースで約九〇%用地買収を完了しておりまして、現在、高架橋の工事や改良工事を促進しているところであります。

 残る江戸崎から千葉県境の延長約十キロ、これは、環境面に配慮しながら、道路設計や関係機関との協議、こうしたことを推進しているところであります。

 また、お尋ねの成田に行くには、千葉の区間、千葉県境から大栄のジャンクションまで十一キロあるわけでございますが、これにつきましては、平成四年度に事業着手して、現在、調査設計を進めながら、逐次地元の皆様と関係機関との協議、こうしたことを進めているところであります。

 何分にも、この七十一キロ、茨城県区間でも約三千億円を超えようかという大事業であります。先ほど来大臣からもお話し申し上げてありますが、コストの縮減、こうしたことを一層図りながら整備の推進に努めてまいりたいと思っております。

 それからもう一つ、東関東自動車道の水戸線の潮来と鉾田の間、ここがまだ整備計画になっていないではないか、これについてどうしているか、どう考えているか、こういうお話でありました。

 今後の高速自動車国道の整備につきましては、いわゆる先ほどの中村基準と申し上げてありますが、費用対効果、費用便益、それから採算性、それから外部効果、こうしたことを評価しながら、関連事業の進捗状況なんかも見ながら、整備に向けていろいろな調査を進めている、こういう状況であります。

 具体的に申し上げますと、鉾田―茨城の間は、地元と設計をぎゅうぎゅうやっている最中でございます、これは十七キロでございますが。それから、潮来―鉾田の間、これは二十八キロほどあるわけでございますが、これにつきましては、いろいろなルートが考えられる、こういうこともありますので、自治体の皆様や地域の住民の方々から寄せられるさまざまな意見に加えまして、高速道路が地域にもたらす効果とか、地域の課題の解決にいろいろなプロジェクトとどういうふうに絡み合って機能を発揮するか、その辺も勉強しながら、まずルートをどんなふうにしていくか、この辺の検討、さらには、できるだけのコストの縮減を図っていくにはどうするか、この辺を地元と一体となって今取り組んでいるところであります。

葉梨分科員 ぜひとも必要なものだと思いますので、早急な検討をお願いしたいと思います。また、現行の高速道路についても、スマートICなどを活用するなどして、ぜひとも現在の高速道路も活用していただきたいと思います。

 もう時間もなくなっております。最後に、一問だけ申し上げたいと思います。

 茨城県の百里基地、これが民間共用化で飛行場にするというような計画がございました。ただ、オオタカの巣が見つかって、なかなか環境アセスで手間取っている、オオタカも飛行機も一緒に飛ぶものなんですけれども。

 百里飛行場、民間との共用、自衛隊が使っているので、県の負担が、そこら辺のコストが縮減するというような意味もあろうかと思いますし、また、北関東の玄関口として位置づけられるかなというふうに思います。ですから、その有用性の認識と、また今後の見通し、環境アセスの見通しについてお伺いを申し上げたいと思います。

石川政府参考人 百里飛行場でございますけれども、これは、まず旅客の面では、茨城県地域の航空需要に対応する空港として、現在、水戸市の在住の方が、例えば羽田空港に行くには約二時間半かかるところでございますが、約三十分という身近な空港になるということで、利便性が向上するというふうに考えております。

 それから、貨物につきましても、現在の茨城県地域の航空貨物需要に加えて、路線開設による需要誘発効果が期待されるところでございます。

葉梨分科員 どうもありがとうございました。

 ぜひともその有用性の認識で、環境のアセスも非常に大切とは思います、両方をしっかり立てながら今後の整備を進めていただけたらというふうに思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

園田主査 これにて葉梨康弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、金田誠一君。

金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。

 静岡空港の問題点について質問をさせていただきたいと思います。

 石原大臣には、日ごろの御活躍、敬意を表する次第でございます。

 大臣は、静岡空港に関連をいたしましても、二〇〇一年に、静岡空港と名指しはしないものの、厳しく問題点を指摘する発言をされた、このように認識をいたしております。また、神戸空港については、法政大学の五十嵐敬喜先生との対談において、神戸空港は要らないと明確に発言をしておられるわけでございます。

 今日、デフレ不況と国の財政破綻の中で、公共事業費は総体として圧縮されざるを得ない状況となっております。こうした中で、必要な公共事業を推進するためにも、むだな公共事業は排除をされなければならない、こう考えているところでございますが、そうした観点からも大臣の姿勢は高く評価をしたい、こう思っているところでございます。

 必要な公共事業といえば、ちなみに私の地元、北海道函館では、新幹線の青函同時開業ということが地域を挙げての最大の課題となっているところでございます。これには静岡空港と違って反対の声は聞いたことがございません。ただ、財源問題がネックになっているというのが現状でございます。

 大臣御承知のとおりでございますが、ここ数カ月がまさに正念場となるわけでございまして、ぜひひとつ、大臣の特段の御尽力を賜りたいとお願いを申し上げる次第でございます。

 この新幹線に限らず、必要な公共事業はまだまだ山積をいたしております。したがって、重要なことは、むだな公共事業は極力排除をして、必要な公共事業に予算を回すことでございます。一般会計とか特別会計とか、こういう枠を超えて、あるいは省庁の壁を超えて、大局に立った考え方の転換、これが求められていると思うところであります。

 大臣の今日までの発言からすれば、むだな公共事業は排除をして、必要度の高い事業を優先するという基本的な考え方については、私の考え方と共通する、こう思っているところでございますが、大臣、御所見を賜りたいと思います。

石原国務大臣 金田委員の御指摘のとおり、公共事業、むだは限りなく縮減していく。しかし、公共事業である以上は、これは道路も同じでございますが、採算性だけでは、つくる、つくらないを決定するということの要因には私はならないと思っております。

 やはり費用対効果、いわゆるBバイCが一以上ありますものは公共事業として適格であるというのがこれまでの政府の判断でございますが、では、一に限りなく近いものはどうするのかという問題が必ず出てまいります。こんなときにはコストを縮減する、あるいは地域の社会経済への影響、外部効果というものがあると思います。この外部効果等々を勘案して事業評価を厳格に行った中で、選択と集中により、限られた予算で公共事業をこれからも実施していくということが、これは与党野党の垣根なく、多くの方々の賛同を得るのではないかと思っております。

 そして、委員御指摘の整備新幹線については、今与党のプロジェクトチームで、委員御指摘の財源問題と、やはり民間鉄道事業者が運行をするわけでございますので、需要見通し、こういうものを照らし合わせて、政府として適切に判断をしていくことだと思っております。

 また、静岡空港につきましても、事業の再評価ということを県の方で行いまして、県の方から昨年御報告をいただいております。また、県の経済界が、県に任せておいて、ぴかぴかの空港を県の側がつくろうとしているようであったけれども、そういうものを私たちは必要としていない、非常に簡素なターミナルでいいし、その地域の実情に照らした、背伸びをしていないものをつくっていきたいという御意見もちょうだいしております。

 まだ空港用地の全部の取得がなされておりませんし、関係者の間でこの話し合いが進められているということでございますので、その様子を見守らせていただきたいというのが私の考え方でございます。

金田(誠)分科員 基本的な考え方についてはほぼ共通をするな、このように受けとめさせていただいたところでございます。

 そこで、静岡空港の問題について、具体的に順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この空港が必要な公共事業かどうか、そのポイントは需要予測である、こう考えます。

 ところが、一九九五年十二月の設置許可申請ではこれが百七十八万人であったものが、その後、百二十一万人になり、さらに、二〇〇三年四月の需要検討委員会では百六万人と、二度にわたって下方修正されております。わずか七年半の間に六〇%にまで需要予測が減少するというのは、これは余りにも推計そのものがずさんではないか、まずこう考えるところでございますが、大臣、いかがでしょうか。

石川政府参考人 静岡空港の需要予測でございますが、委員御指摘のとおり、今まで幾つかの需要予測がございます。それで、最初に平成六年度の航空法に基づく設置許可申請時において、設置管理者である静岡県がなされたもの、これが百七十八万人という数字でございます。それから、最近では、平成十五年四月に取りまとめられた静岡県の静岡空港需要等検討委員会の検討を経てまとめられたものが百六万人というものでございます。

 これは、平成十三年に私ども国土交通省が空港の需要予測の精度向上ということについて留意すべき事項ということを通知したことなどを受けまして、設置許可申請時の予測に比べて、再度需要予測をしたものでございますが、主に以下のような点が変更されております。二つの点について変更されております。

 一つが経済成長率でございます。経済成長率でございますと、平成六年の事業採択時においては、経済成長率、GNPの伸び率を三から四%と予測したものでございます。これに対しまして、平成十四年の伸び率の計算、これはマイナス一・〇%から一・九%というふうに、経済の現状に合わせていわば下方修正してございます。

 もう一つが静岡空港の路線でございますが、当初、七路線というものを需要予測の対象としたものでございますが、それを四路線にしたということでございまして、最新の知見を踏まえて需要予測を実施したということだと考えております。

金田(誠)分科員 それにしても、大変な誤差でございます。わずか七年半の間に、経済成長は変わるのは当たり前でございますし、路線だって、その時々、まだ変わるわけでございますから、余りにもずさんであるというそしりは免れないと思うわけであります。こうなるのも、需要予測が実態に即していないことによる、こう私は考えます。

 仮に百六万人とした場合、どのような航空会社がどのような路線を開設する見通しなのか、お示しをいただきたいと思います。

石川政府参考人 需要予測でございますが、平成十五年四月に行った静岡県の需要予測、これは四路線、先ほど申し上げましたが、国内線では札幌、福岡、鹿児島、那覇、この四路線を想定してございまして、合計で百六万人。それから国際線は、韓国などの近距離諸国との間に三十二万人というふうな需要予測になっております。これについては、国としてもその妥当性を検討するということになるわけでございます。

 どの航空会社が入るのかという御質問でございますが、これは一般に、航空会社はそれぞれの経営戦略というのを持ってございまして、空港の供用の一年ほど前に事業計画というものを検討するということになります。したがいまして、現時点では、航空会社が航空会社の戦略として、あるいは経営として具体的な就航の判断をすることはないと聞いております。

金田(誠)分科員 札幌便にしても沖縄便にしても、具体的な航空会社の見通しが全く立っていない、いわば勝手に数字を入れただけという話でしょうか。

石川政府参考人 需要予測でございますが、これは一般的に、現在の地域間旅客流動というものをもとにして、将来の流動を経済成長率等によって予測をして、航空あるいは鉄道など、それぞれの輸送モードにいわば振り分けるという作業手順でございまして、それに加えて、現在の静岡県民の航空の利用の実態、あるいは類似路線での利用実績ということを参考にするものでございまして、需要予測というのは、いわば量としての需要予測ということでございますので、具体の会社が就航をどうするこうするということがなくても、需要予測というものそのものは可能であります。

金田(誠)分科員 まあ、架空の数字をただ書くだけであればだれでもできるわけでございますけれども、実際、千九百億という投資をして、それに見合う需要があるのかどうなのかということを責任を持って判断するという立場になれば、また全く違う形になってくるだろう、そうでなければならない、こう思うわけでございます。今局長が言われたような単なる机上の空論で予測をしていることが、百七十八万から百六万と、あっという間に四割も下がる、こういうずさんな結果を生むことになるわけでございます。

 そこで大臣に質問をしたいと思います。

 静岡県は、もともと、羽田や名古屋といった大規模空港に隣接するとともに、東海道新幹線や東名高速道路が縦貫する交通利便の地に位置するわけでございます。したがって、一般に国内線利用客の八割を占めると言われる東京や大阪と結ぶ路線は必要といたしません。

 静岡空港は、このように極めて特異な空港であることから、需要予測に当たっては慎重を期すべきと考えるわけでございます。ちなみに、航空会社の労働組合である航空連合は一定の予測をしているわけでございますけれども、これによれば、二十八万人という予測をされているとも聞いているところでございます。

 そこで、需要予測に当たっては、各航空会社ごとの就航予定便数をある程度、これはもうどんぴしゃり出せとは言わなくても、例えば札幌便であれば、JALが何便飛んで、ANAが何便飛ぶんだ、その可能性はあるのかないのかというぐらいのことはきちっと確認をした上で、札幌は何万人ですというふうに出すのが当たり前だと思うわけですが、大臣、いかがでしょう。

石原国務大臣 需要見通しについて、どうも官の側が行うのが甘目であるということは事実だと思いますね、私の率直な感想として。道路の需要見通しもかなり甘かった。ですから、今回の道路公団の民営化に当たりましては、かなり厳しい、経済状況が落ち込んで伸びないというような、かなりきつ目の需要見通しをもとに計画を立てるということを第一歩とさせていただきました。

 そして、委員御指摘の静岡空港の需要予測でございますけれども、エアラインがどことどこが就航するから何万人という形ではなくて、静岡県の県民の方あるいは近隣の県民の方がこれまでどういう人口流動をしているかということから推測をすることは可能だと思います、これは局長も答弁をさせていただいておりますが。

 委員御指摘のとおり、工事がここまで来て、再評価も行った段階で、もう完成間近な段階で、やはり、エアラインが例えばどの機材を使うかによりまして、静岡―千歳が最大路線になるわけでございますけれども、機材によりましても、何人乗れるか、それが何便飛ぶかによって、五十万人が確保できるのかということの裏づけは、やはりある段階で私は必要になってくるものと承知をしております。

金田(誠)分科員 大臣おっしゃるとおり、県民移動から推測が可能だという論理も私はあると思います。しかし、同時に、実際のエアラインが、機材繰りから、機材の購入から、さまざまな観点から、実際、ビジネスとしてどういう参入があり得るのかということとは、必ずしも一致するとは限らないということでございます。

 今やろうとしているのは、一千九百億の投資をしようとしている。その場合に、その県民移動の方から推計するというのももちろん必要で、これをやめろとは全く言うつもりはありませんけれども、それはそれで正確を期してきちっとやっていただく。同時に、そういう観点からアプローチした数字と、実際のエアラインがビジネスの上でどういう可能性があるのか、その可能性調査に御協力をいただくというぐらいのことはすり合わせて、初めて本当の数字が出てくる。これは当たり前のことでないでしょうか。一千九百万円の仕事であれば私はそこまで言いませんが、一千九百億でございますから申し上げているわけです。

 そして、とりわけ静岡の場合は、東海道新幹線の通っているど真ん中にある。こういうところに今まで空港はございませんでした。それだけに、実際のエアラインがどういう機材繰りをしてどういう運航をするのか、それはほかのところからは推計できない問題になってくるだろう。こういう観点からの指摘でございます。

 ぜひひとつ、県民移動の推計は推計としながらも、エアラインの方からも裏をとる、そういう観点からもきちっと緻密な計画をとる。これについて、ひとつ前向きな御発言をいただけませんでしょうか。

石原国務大臣 委員の御質問の根底にあります現実のエアラインの就航については、私もかねがね関心を持っているところでございまして、国際線の方につきましては、機会がございましたので、エアラインの方々にお話を聞かせていただきましたところ、韓国の航空会社が大変関心を寄せているという事実を確認いたしましたし、国際空港、韓国とこの静岡を結ぶ路線としては、かなりの乗客数が見込まれるというところまでは把握をさせていただいております。

 委員の御指摘は、最大路線であるところの新千歳―静岡間のエアラインの就航についてヒアリングをせよという御指摘であると受けさせていただいておりますので、機会を得まして、日本のエアラインにも同様な趣旨でお話を伺わせていただきたいと考えております。

金田(誠)分科員 千歳便に限らず、主要四路線ですか、これについて、ぜひそういう観点からの調査を要請しておきたいと思います。

 次に、この需要予測について、角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。

 静岡空港は、着工から十年を迎え、国交省の公共事業評価システム検討委員会の航空部会で、必要性など再評価が進められております。三月の次回の会合で、政府の新年度予算での補助金交付の可否について、部会としての考え方をまとめる方針と聞いております。

 再評価の視点は幾つかあるわけですが、事業の投資効果、費用対効果分析が大きなポイントとなり、費用対効果分析マニュアルに基づいて行われるわけでございます。算出された費用便益比、CBRが一より大きいとき、社会経済的に見て効率的な事業と評価することができるとされております。

 静岡空港では八十六万人が費用便益一の分岐点であると静岡県は試算しているようでございます。そういう前提で百六万人という需要予測が出されている。そこで、重要なポイントとなる百六万人の裏づけを先ほどから再三聞いているわけでございます。

 そこで、静岡県が行った百六万人の需要予測でございますが、次のようなからくりがございます。まず運賃、静岡空港を安く、近隣空港を高く設定している。次にアクセス、静岡空港へは近く、近隣空港へは遠いアクセスを設定している。便数、静岡空港は多く、近隣空港は少ない便数を設定して推計をしている。こう言われております。

 その結果、静岡市から札幌へ出張する県民の選択は、何と、静岡空港九八%、羽田二%となっております。これは県民感情と余りにもかけ離れていると言われておりますが、こうなる理由は、例えば「ひかり」ではなくて「こだま」を利用することとされております。「ひかり」を使うのが普通だそうです。それで羽田まで約二時間、それを「こだま」で三時間以上かかる、こんなふうに推計しているわけでございます。さらに、料金も便数も、羽田あるいは中部国際などを不利に設定しているわけでございます。

 こうした点を正確に再評価すれば、需要予測は八十六万人を下回り、費用便益比は一を下回るとの指摘もございます。費用対効果分析マニュアルに当てはめる基礎数値を国の評価委員会で正確に把握し、費用対効果を厳密に算定すべきが当然と考えますが、いかがでしょう。

石川政府参考人 御指摘のように、静岡県が行った需要予測に対しまして、国は補助金交付の可否の決定のための検討を行っているわけでございますが、その中で、県の行った需要予測あるいは費用対効果分析というものが、国土交通省が提示した費用対効果分析マニュアル、あるいは需要予測の一層の精度向上のための地方自治体等への通知というものに沿って適切になされているかを確認することとしておるわけでございます。

金田(誠)分科員 今の答弁は、私が指摘をした運賃なりアクセスなり便数なり、こういうものについても再度洗い直すということが当然含まれていると思いますが、再度御答弁をいただきたいということが一つ。

 もう一つ、あわせて聞きます。

 大臣の御答弁では、韓国との間のヒアリングをされたというふうに伺っていますが、従来、事業の再評価において対象となるのは国内便の需要が中心である、他の海外便であるとかは既存ストックの有効活用の範囲というのが役所の見解でございました。大臣からたまたま今そういう話がございましたけれども、この旧来の役所の見解は変更ないということを、局長、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、その二点。

石川政府参考人 私どものやっております作業は、先ほど申し上げましたように、このマニュアルあるいは通知というものに沿って静岡県が行った試算が適切になされているかどうかを確認するものでございます。

 それから、済みません。ちょっと……(金田(誠)分科員「海外のことが大臣から出たんですが、あくまでも、再評価の対象は国内便の需要であるという従来の国交省の考え方はそのままでしょうねということです」と呼ぶ)これは、基本的に国内の需要をベースにするわけでございますが、ただ、地方空港は、ほかの空港もそうでございますが、国際化ということもなされているわけでございます。したがいまして、国際線というものにつきましても一つの数値というふうに認識しております。

金田(誠)分科員 それはちょっとおかしいですね。既存ストックの有効活用の範囲だというふうに従来おっしゃっている。それがここに来て変わるというのはそれはもう承服できませんね。これは、計算をし直すとどうも低い数値が出そうだということで慌てて、ルール変えるというのはよくないですよ。ぜひひとつ、これは強く指摘をしておきたいと思います。

 そして、国の行う需要予測に当たっては、運賃、アクセス、便数、これらについても、公平公正な観点からきちっと再点検をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の一点だけ。

 用地取得の問題について質問をいたします。

 空港の設置については、航空法第三十九条第一項に許可条件が定められていて、その五号には、用地が確実に取得できると認められることを要求しているわけでございます。用地取得の確実性ということでございます。

 この規定の趣旨に沿って、旧運輸省も県も、当初は、設置許可の申請には地権者の限りなく一〇〇%に近い同意が必要と言い続けてきたわけでございます。しかし、個人と共有地主約七十名が内容証明郵便をもって用地不提供の意思を通告したことにより、県が空港の設置許可を申請したときには用地取得の確実性はないことが明白になったわけでございます。

 こうした中で、旧運輸省は設置許可に慎重であったところ、知事が、私を政治的に殺す気かとまですごんだ結果、知事が確約書なるものを提出することによって辛うじて折り合いをつけたという経緯があると認識をしております。ある意味での政治決着であり、航空法の脱法行為の疑いが強いと思うわけでございます。

 この確約書には、地権者を説得し、同意を得ることによって、県の責任において全用地を取得することを確約する旨の記載がございます。この確約書に至る状況を頭に置いて読めば、当時の報道にもあるとおり、確約書には用地の強制収用は行わないという意味が含まれていることは疑いないところでございます。

 ところが、ここに至って、県は、事もあろうに強制収用を検討しているとのことであります。事実とすれば、県民に対する裏切り行為であります。また、国交省がこの収用を認めるようなことがあれば、国も明らかに県と同罪となります。そればかりか、成田空港問題円卓会議等における歴代運輸大臣の発言をほごにすることにもなるものであります。

 国交省は、航空行政をつかさどるとともに、強制収用の事業認定を所管する役所であります。石原大臣には、以上の経緯を十分に認識いただいて、強制収用は行わない、この旨をここでぜひ明言していただきたいと考えるところでございます。

石原国務大臣 ただいまの強制収用の話はちょっと初耳でございまして、私が県からお伺いをさせていただいていることは、残る未買収地の本来地権者に対して、改めて話し合いの場を設けることを提案するなど、引き続き、話し合い解決に向けて最善の努力を尽くす方針である、こういうふうに県の側から正式に伺っておりますので、この県の方針というものを見守り、この県の方針を支持させていただきたいと考えております。

金田(誠)分科員 地元では、もうその状況を超えて、強制収用がいついかなる時点で国に申請が上がるかのかということが取りざたされている現状があるわけでございます。

 ぜひひとつ、そうしたことが間違っても、万が一にも起こることのないように、大臣として、県との対応をより慎重に行っていただきたい。いつかの時点で認定の申請がなされるというようなことはあってはならないことだ、こう思うわけでございまして、大臣、再度ひとつ、その点を確認させていただきたいと思います。

石原国務大臣 先ほども御答弁をさせていただきましたように、県からは、話し合い解決に向けて万全を期す、こういう言葉をちょうだいしておりますし、収用に関して申すならば、県がそれを申請するということで、それが上がってきた段階で国がどうするかという判断を行う、こういうシステムでございますので、そういう事実がない以上は、県の方針というものを私は見守りたいと考えております。

金田(誠)分科員 しつこいようで恐縮でございますが、仮に上がってきた場合でも、今までの経過を判断すれば、あるいは需要予測などをかんがみれば、もうこれは強制収用などできる対象ではない、私はそう考えておりますが、大臣、いかがでしょう。

石原国務大臣 その話は初めてお聞きして、県の側からついせんだってもお話を伺わせていただいたときには、話し合い解決に向けて全力を尽くしていくというようなお話をいただきましたので、そういうことであるならばそれを見守っておりますと私もお話をさせていただいた経緯がございます。

 そのようなことを県の側が行うか行わないかどうかを決めるのは、あくまでも県の御判断であると思いますし、委員が御指摘されましたような確約書というものの存在も私は十分に承知をしております。

金田(誠)分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

園田主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。

 次に、萩生田光一君。

    〔主査退席、蓮見主査代理着席〕

萩生田分科員 自由民主党の萩生田光一でございます。

 二日間にわたる分科会の我が党のトリを務めさせていただくことになりました。大臣初め局長の皆さんの誠意ある御答弁をぜひお願いしたいというふうに思います。

 初めての分科会でございましたので、皆さんがどんな質疑をされるのか、テレビのモニターを通じて各分科会を拝見していたんですけれども、割と地元の要望が多くて、見ようによっては県議会のビデオを見ているような、あるいは市議会を見ているような感じもしました。そのぐらい、それぞれの先生方が地域を背負ってこの国会に来ているんだなということを感じたわけですけれども、御多分に漏れず、私も地元のことを中心にお伺いするわけですが、私は、首都東京の政治家の一人として、私の地元の要望、問題解決イコール、即、国の問題につながっていく、こんな自負と責任を持ってただしてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず初めに、羽田空港の再拡張、国際化と、環状道路整備についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 このたび、羽田空港の再拡張、国際化、すなわち第四滑走路の整備に関する予算が盛り込まれました。ややもすると、党内でも、なぜ四本目の滑走路が必要なのか、そんな議論をされるわけでございまして、そんなことよりうちの地元の空港整備の方が先じゃないか、こんな議論もたびたび耳にします。しかし、私は、この空港整備は、東京の利便性を高めるという近視眼的な性格のものではなくて、国際競争力が低下しつつある我が国の浮沈をかけた、まさに国家プロジェクトとして認識をしているところでございます。

 午前中の質疑でも、他の委員より飛行ルートや騒音の問題が指摘をされておりましたが、もちろん、丁寧に対応し、クリアしなくてはならない事柄であることは当然でありますけれども、同時に、一日たりともこの着工はおくらせてはならない緊急性の高い事業として、工法決定や環境アセスの手続を含め、事業期間の短縮にも力を入れていただきたい、こう要望するところでございます。

 本来、国の負担と責任において整備すべき空港建設に、今回は、異例ともいうべき東京都の一千億の資金協力を初め、神奈川県の関係自治体も一定の負担、負担というよりは協力と言ってくれと言われておりますけれども、協力に応じていただいているところでございます。それほど、経済を含めた危機感をそれぞれの自治体が持っていることの大きなあらわれだというふうに私は感じております。

 そこで、既に、離発着回数が飛躍的に増大することは明らかでありますが、より具体的に、この羽田空港の第四滑走路の整備事業によってどういう事業効果を生み出すことができるというふうに考えているのか、まずお尋ねしたいと思います。

石川政府参考人 羽田空港は、現在、年間二十八・五万回の航空機の離発着があるわけでございますが、現状では新たな増便が不可能というような状態でございます。したがいまして、地方からの乗り入れ要望や国際化ということを図るには困難な状況であるということで、早急にその容量を拡大することが求められているわけでございます。

 四本目の滑走路が完成いたしますと、羽田空港の発着回数は現在の一・四倍になりまして、四十・七万回ということになる予定でございまして、この増枠を使いまして、地方との航空ネットワークの充実だけではなくて、近距離の国際定期便の就航というものが可能になるわけでございます。

 そういうことで、航空ネットワークの充実あるいは都市再生、観光振興等々のさまざまな効果が期待されるわけでございまして、特にそのうちの経済効果ということで見ますと、生産額の増加が一都三県で約一兆二千億円、全国で約二兆円、雇用増は一都三県で十一万人というふうな試算をしているわけでございます。

萩生田分科員 次いで、国際空港としての機能が羽田に再整備をされれば、国際貨物便の乗り入れも可能になり、流通にも大きなうねりを期待できるんじゃないかというふうに思います。

 また、旅客機で申し上げれば、既に三十カ国以上が成田への乗り入れを希望しながらも、現在、ウエーティングの状態が続いております、その解決にも寄与できる、こう期待をしていたわけでございますけれども、今の局長の答弁ですと、近距離というようなお話がございました。

 成田空港が、二十七年の歴史を持って今日整備が進んでいるわけですけれども、今までの御苦労ですとか、あるいは千葉県民の皆さんのさまざまな取り組みを考えると、ここは将来に誤解のないように、きちんとした成田と羽田の国際化へ向けてのすみ分けというのをしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 再拡張後の羽田と成田の国際線での機能分担は具体的にどのように考えているのか、お尋ねします。

石川政府参考人 羽田と成田の機能分担でございますが、首都圏においては、成田空港が国際線の拠点空港、羽田空港が国内線の拠点空港、これは基本と考えておりまして、再拡張後もこの考え方には基本的には変わりはございません。

 ただ、羽田空港再拡張後に、先ほど申し上げましたように三万回程度の国際定期便というものの就航が可能になるわけでございますが、これにつきましては、近距離国際路線というものを基本的な考え方としております。これは、現在の羽田発着の国内線の最大距離でありますのが羽田―石垣間ということでございまして、約千九百四十七キロでございます、これが一つの目安ということになろうかと思っております。

萩生田分科員 何か急に目の前が暗くなっちゃったんですけれども、せっかく国際化をして、これだけの大プロジェクトで第四滑走路をつくるけれども、今までの歴史的な経緯を踏まえて近距離便に限るということですね。二千キロ以内というと、多分、グアムやサイパンにも行けない、こういう状況じゃないかというふうに思うんですね。

 冒頭申し上げたように、三十カ国以上の皆さんが、この国との国際的なエアラインでのおつき合いをしたいという希望があって、それを何とかのみ込んで、さらに国力を高めたいという意味で、我々は羽田空港の国際化というのは力を入れたいというふうに思っているわけでございます。

 現時点でなかなか踏み込んだ議論ができないのかもしれませんけれども、せっかくこれだけの整備をするんですから、何も石垣島にこだわることないんじゃないか。これから、成田と羽田の役割分担については引き続きぜひ検討していただきたい、このことを要望しておきたいというふうに思います。

 大臣、十数年前まで、アジアで先進国の国際会議を開くといえば、これはもう日本以外、開催する国がなかったと言っても過言じゃない状況が続いておりました。当時から、インフラの整備を含めて、日本の次に、アジアで、安全で、そして多くの先進国の皆さんが集まって国際会議の実績があったのは、せいぜいシンガポールぐらいでございまして、主要国の会議をやるといえば、これは黙っていても日本あるいは東京で開催されるという、そんな時代がしばらく続いたんです。

 昨今どんな状況にあるかといいますと、今は、お隣の韓国、ソウルですとか釜山、中国の北京や上海、香港、あるいはマレーシアのクアラルンプールですとか、最近ではインドネシアのジャカルタでもかなりハイレベルな国際会議が開催されるようになりました。

 もちろん、それぞれの国が国際会議場の整備をしてきた大きな成果の一環だというようには思うんですけれども、原因が幾つか考えられると思うんです。

 第一に、首都へのアクセスの悪さ。主要国の皆さんが、日本で会議をやるときに成田に着く、しかも、ある程度経済的に豊かな国は、チャーター便、大統領や外務大臣がそれぞれ専用飛行機でおりたいといっても、なかなか滑走路のあきがない。そういう中で、すき間すき間を埋めながら何とか日本に多くの国々の皆さんが集まってきて、ところが、例えば夕方に成田に着いた皆さんなどは、都内のホテルに入るまでに二時間以上かかることもあるというアクセスの悪さがどうも先進国の皆さんからは大きく嫌われてきたんじゃないかというふうに思うんです。

 同時に、最近の治安の悪さ。これも国際会議が減ってきた間接的な原因の一つじゃないかと思っていまして、これはまた違う部署の皆さんに頑張ってもらいたいというふうに思います。

 そして何よりも、日本が、ある意味では国際会議の開催件数が減ってきた大きな要因の一つというのは、今申し上げた東南アジアの各国が、この十数年の間に、二十四時間のハブ空港化に本当に国を挙げて努力してきた。どこの国でも、開催する会議に当たって、時間を選ばずにその国に、それぞれ時差がある国の皆さんが集まれる、こういう環境を皆さんが整えてきた。

 ところが、日本はどうかといったら、相変わらず国際便の夜間飛行については開放していない。羽田が二十四時間オープンしていますよとか関空が二十四時間オープンしていますよといいますけれども、実際には飛行機が飛ぶ姿は見たことがありませんし、あるいは、万が一関空に飛行機が飛んできても、レストランはホテルの一カ所しかあいていない。これじゃ国際都市としての競争力にはとてもおぼつかないというふうに私は考えております。

 そこで、今回、羽田空港が国際化を再び整備するに当たりまして、今、大臣のもとでビジット・ジャパン、とにかく日本への観光客をふやしていこうじゃないかという、国を挙げての努力をしているところでございますけれども、当然、越えなきゃならないハードルはあると思います。

 今は飛んでいない夜の飛行機を飛ばすということになれば、近隣の大田区や品川区の皆さんの当然騒音に対する配慮も必要になるというふうに思いますけれども、いずれにしても、東南アジアの各国を見渡しただけでも、日本はこういうおくれをとっている。国力がどんどんどんどん落ち込んでいくんじゃないかと危惧しているときに、その問題を解決してでも夜間の国際線の離発着は拡大すべきだ、私はこう思っておりまして、そのことを、成田の皆さんにお願いしようという御無理を言うつもりはありません。

 午前中の議論でもありますように、滑走路、空路一つについてもいまだにコンセンサスを得ていないわけですから、これは、私は、首都としてやはり東京がしょっていかなきゃいかぬのではないか。たとえ騒音があっても、夜間の国際化に向けては、東京が都民の皆さんを説得してでも頑張っていただけるんじゃないか、こう期待をしているところでございますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 羽田空港につきましては、実は、増大する首都圏の国際需要というものに的確に対応するために羽田空港の国際化ということにも取り組んでいるわけでございまして、平成十三年二月から、深夜、早朝の時間帯におきまして、国際旅客チャーター便あるいは国際ビジネス機の運航というものを開始しております。

 当初は、税関、入管、検疫、いわゆるCIQ、こういうものの制約から週四便でございましたけれども、その後、CIQ体制の拡充あるいは旅客ターミナルビルができてきたというふうなことがございまして大幅な便数拡大を図りまして、平成十四年四月からは、週七十便が、深夜、早朝の国際チャーター便あるいは国際ビジネス機の運航というものが可能となっております。

 昨年の十二月までに、グアム、韓国、このようなことを初めといたしまして、累計で千四百三十二便が就航したわけでございます。特に昨年末からは、月約百便というふうな便が就航しております。そういう意味で、利用者の利便性向上が図られたものだと考えております。

 ただ、深夜、早朝という観点でいいますと、まだ発着枠には余裕がございますので、さらなる就航便数の増大を期待しているところでございます。

萩生田分科員 ぜひそれは、先ほど質問の中でも述べたように、国力を高めるという意味でも、あるいは、国際会議を日本でやるということは、同時に、主催国、事務局国あるいは議長国になる可能性が出てきて、会議のイニシアチブも当然握る可能性がふえてくるわけですから、こういうさまざまな観点から、ぜひ夜間飛行の拡大については今後も努力していただきたい、このことを要望しておきたいというふうに思います。

 昨日の産経新聞の一面に、米軍の横田基地の軍民共用化に向け、早ければ一年以内に同基地から我が国の民間機を飛行させる計画をまとめ、国との連絡会を経て、今月中にもアメリカ側に提案する、こういう報道がございました。

 私の地元でございまして、騒音問題などで賛否両論、現在ではございますけれども、いずれにしても、現在の軍用機の離発着の回数が減って、その分が民間の旅客機に振りかえられるんだとすれば、これはもうジェット戦闘機の騒音を考えれば、民間旅客機の騒音というのは半分以下だと思うんです。ですから、いずれ、近隣住民や自治体の御理解も私はいただけるんじゃないかというふうに思っております。

 同時に、四千メートル級の滑走路のインフラ整備というのは極めて魅力的なところがございますし、地元の横田基地周辺の三多摩のみならず、例えば、埼玉県ですとか山梨県ですとか、あるいは長野県も含めた、こういったそれぞれの自治体からの利用も大いに期待ができて、共同利用が進めば、経済波及効果は、羽田の国際化にあわせて、さらにさらに大きく飛躍、発展をするんじゃないか、こう期待をしているところでございます。

 そこで、この羽田空港関連の問題の最後に石原大臣にお尋ねしますけれども、国交省は、連絡会での議論の報告を含めて、現状をどのように認識して、国としては、この横田基地の軍民共用化についてはどう取り組まれるのか、御所見をお示しいただきたいと思います。

石原国務大臣 これは委員御承知のことだと思いますけれども、昨年の五月の日米首脳会談におきまして、小泉総理とブッシュ大統領の間で、横田飛行場の共用化について日米共同で検討していく、こういうトップ同士の合意がなされたことに起因をしている問題でございます。

 これを受けまして、内閣官房、外務省、国土交通省、防衛庁及び防衛施設庁等の政府関係省庁と東京都との間に連絡会を設置して、現在、実務的な協議を行っているところでございます。

 国土交通省としては、民間航空機の利用可能性について、今委員の御指摘等々を踏まえまして検討いたしますとともに、今後とも、関係省庁と東京都と密に連絡をさせていただきまして検討を深めてまいりたいと考えております。

萩生田分科員 ありがとうございました。

 非常に魅力的な拠点だというふうに思いますので、ぜひ東京都と連携して、積極的に御支援をお願いしたい、こう思うところでございます。

 続きまして、環状線の整備についてお尋ねしたい。特に圏央道の整備計画についてお尋ねをしたいと思います。

 都市機能と人口が集中する首都圏において人と物の流れを円滑化することは、首都圏の再生、ひいては日本の再生に必要不可欠なことであり、そのための首都圏の道路ネットワークづくりが急務であります。特に首都圏におきましては、放射道路の整備率が九割にも達しているにもかかわらず、環状道路の整備はわずか二割と、大きく立ちおくれをしております。

 東京圏の環状道路のうち、中央環状線、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡自動車道のいわゆる首都圏三環状道路の整備効果は極めて大きい、こう認識をしているところでございますけれども、とりわけ、今議論をしました羽田空港、成田空港あるいは横田基地をつなぐ圏央道につきましては、その整備の緊急性大だというふうに認識をしております。

 つい先日、あきる野のインターチェンジ付近の代執行命令が発せられた後、義務者が自主撤去を開始して、先月の二十三日には正式に代執行が取りやめになって、翌日から、国やJHは引き渡された用地での工事を着手したというふうに聞いております。

 残るは八王子の裏高尾の地域でございまして、先日、収用委員会の審理も打ち切りになりまして、あとは粛々と手続を待つのみということになりました。

 あきる野と異なって、この裏高尾の反対運動というのは、私はまさに政争の具だというふうに思っているんですね。もともとの先祖伝来の土地を持っていた皆さんのところに、ある日突然、都市計画道路が通るといって反対する人の気持ちは私もわかります。ところが、今残って猛反対している人たちは、わずかハンカチ一枚、はがき一枚の土地の権利者でありまして、立ち木一本を自分のものだといって一生懸命主張して、収用委員会の審理にそれぞれ意見開陳をさせろといって、ある意味では時間稼ぎとも思えるような反対運動を繰り返してきた人たちであります。このことに業を煮やして収用法の改正もこぎつけることができたわけでございますから、私は、もうこれ以上時間をかける必要は全くないというふうに思います。

 そこで、本当でしたら、もう当然開通をしているはずのこの圏央道、特に東京区分、日の出インターチェンジから八王子ジャンクションについては、まさに現段階でも供用開始ができない、工事がおくれている状況にあるわけですけれども、このことによる経済損失というのは一体どのくらいあったのか。また、供用することによっての整備効果はどのくらいあるのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘の日の出インターチェンジから八王子のジャンクションまで、これは延長としては約十一キロちょっとある、こういうことであります。既に青梅のインターから日の出のインターまで八・七キロにつきましては供用をさせていただいているわけでございまして、平成十三年度でございました。

 もともと、青梅のインターから八王子のジャンクションまで二十キロありますが、これについては、当初の目標として平成十二年度に供用したい、こういうことで地元に御説明もし、努力をしてきたというところでございまして、そのうちの日の出から八王子ジャンクションまでは、先生御指摘のように、いろいろな地元との対応が時間を要して、なかなか現実には整備ができていない、こういう状態であるわけであります。

 この場合、年間の発生する損失という面で、コスト換算が可能な、時間の短縮であるとか走行経費の減少あるいは交通事故の減少、直接的な利用者の便益ということを計算させていただくと、年間約三百億円にも上っている、こういうふうに推計されているものであります。

 これが供用したらどうなるか、こういう問題で申し上げれば、年間三百億円の経済損失が解消される。ということは、単純には計算できませんが、三十年間では、言ってみれば名目値では九千億円以上、こういうことになるわけでもございます。

 それから、地域の緊急医療ネットワーク、これがまた、広域医療、こういう問題から整備が大変急がれておりますし、人や物の交流、あるいは、沿線都市の骨格を形成して、今まさに、まちづくりをしようということでお待ちいただいているエリアもあるわけでございますので、そうした面での、逆に言いますと、今生じている損失は、これから大いに効果を発揮させていただくべき、こういう問題だと思っております。

萩生田分科員 その数字を聞きますと、いたずらに、現地の状況もわからないで反対運動に加担をした政党や政治家がいるということを、本当に国民の一人として悲しく思います。今までどんなに国民の税金をむだ遣いしてきたか、このことを考えますと、この道路の緊急性というのはもう待ったなしだというふうに思いますので、ぜひ国交省としての取り組みにさらに期待をしたいというふうに思います。

 そこで、この道路が開通すると同時にアクセス道路を整備していかないとその機能が発揮できない、こう考えているところでございます。

 圏央道のアクセス道路については、東京都内六路線を位置づけをして、現在既に五路線が完了し、供用しています。

 圏央道のアクセス道路として残る一路線が、新滝山街道であります。戸吹トンネルを含む一・六キロをことしのゴールデンウイークの前に何とか開通させたい、こういう要望があるというように聞いていますけれども、現在の滝山街道は、二車線で日量一万五千三百台の交通量があり、慢性的な渋滞が続いております。

 圏央道開通後は、新滝山街道には一日約三万台以上の交通量が見込まれるという推計が出されておりますけれども、今後整備をする二・六キロ区間には大きな接続道路がなく、短期間に集中的な整備がどうしても不可欠だというふうに思います。早期に事業効果を知らしめるためには、十六年度から、四車線での地域高規格道路としての補助が必要だというふうに考えますけれども、現在の滝山街道に対する進捗状況と今後の見通しについてお尋ねします。

佐藤政府参考人 先生御指摘の新滝山街道は、あきる野インターから八王子市の梅坪町で国道の十六号に接続する、延長約七キロの道路であります。

 これまでに、あきる野インターに接続する区間〇・四キロについて平成十一年に、また、国道十六号の側の接続する区間については、一・三キロを平成十年に供用したところでございます。

 先生、先ほどのお話のゴールデンウイーク前に、こういう御議論が、あきる野インター側の戸吹町まで、あきる野市の牛沼から八王子市の戸吹町まで約一・六キロ、これにつきましては、総事業費約百八十億円で平成十年度から事業をやっておりまして、この四月末にも四車線で供用する予定、こういうふうに聞いております。

 残ります問題は、事業が未着手であるという八王子市の戸吹町から丹木町まで約二・六キロ。これにつきましては、現在、東京都において新規に事業着手をすべく準備中で、私どもも、東京都から、十六年度から地域高規格道路として事業をぜひ開始したいという要望は承っているところであります。十六年度予算の編成過程におきまして議論しながら、また、十六年度をどうするか、こういう点について、東京都ともよくよく相談しながら考えてまいりたいと思っております。

萩生田分科員 最後に大臣に決意をお伺いしたいんですが、この圏央道というのは、首都の骨格をなす大変重要な路線だというふうに思います。圏央道の東京都内区間の早期供用に向けた今後の取り組みに対する決意をお尋ねしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が御議論をいただいております圏央道というのは、首都圏三環状の一翼を担う大変重要な道路であると認識をしております。

 すなわち、東京都区部に流入する必要のない通過交通を環状道路を使ってさばいていくことによりまして地域住民の皆様方の環境の保全と利用者の利便性を高めるという大変大きな効果があるからでございます。

 翻って環状道路の整備を眺めてみますと、放射線の道はかなり日本も整備をされてきたわけでございますけれども、大変お寒い限りで、東京都で二三%。ロンドン一〇〇%。バンコクも、せんだって大きな環状道路ができて、先ほど来、国際会議の問題も委員が御指摘されておりますけれども、バンコクでおよそ八割。北京は、昨年の十一月に何かまた新しい環状道路ができて、二〇〇一年に伺ったときは五割程度だったんですけれども、それが一挙に八割まで整備が進んでいる。この外国との比較から見ましても、日本の、特に大都会の環状道路の整備というものは非常におくれていると言っても過言ではないと思っております。

 圏央道整備を都市再生プロジェクトと位置づけまして、現在、政府を挙げて重点的に取り組ませていただいているところでございます。

 今後とも、多くの沿線住民等の早期開通への期待を踏まえまして、東京都を初めとする関係府省庁等の協力を得つつ、国土交通省といたしましても、沿線市町村や地元の協力を得ながら、一日も早い供用を目指して事業の進捗に努めてまいりたいと考えております。

萩生田分科員 時間がなくなってしまいましたので、最後に、道路公団の民営化に関連して一点だけ端的にお伺いしたいと思います。

 実は、けさの我が党の部会の中でも局長といろいろな議論をしたんですけれども、首都高速道路公団は現状の路線のまま残されて、そして、今のJHが三つに分割されるということになりました。これがそのまま施行されますと、東京都内には二つの高速道路会社が存在をするという不合理が発生して、都民の皆さんの、言うならば不公平感を払拭することができないんじゃないかというふうに大変危惧をしているところでございます。

 もっとも、民間企業として再スタートをするならば、わずか三鷹から立川まで二十キロ圏内にあれだけ大規模な料金所を二つ持たなきゃならないということ自体、全く、スタートからして、私は、その意気込みに疑問を感じるわけでございます。

 この際、国の方は、何か首都高速が現状の路線のままいつまでも残りたいかのような誤解をしているようなんですけれども、私は東京の一員としてあえてこの公の場で発言しますけれども、首都高速道路公団は、出資金の回収さえできれば、別に会社がなくなっても結構だと思っています。これは私の私見ではなくて、東京都の意見だというふうに申し上げても過言ではないというふうに思います。

 ですから、もっと柔軟に都民の利便性やあるいは関東近県の利便性を考えるならば、なるべく料金所の数を減らして、一元的に行き来ができて、そして料金の負担も走行距離に合わせたような形に整理していくということが必要だと思うんです。

 局長はけさの御答弁で、場外の話をして申しわけないんですけれども、JRを引き合いに出しまして、例えば、区間が変わっても、料金はその応分で今後是正をすることができるんじゃないかのような御発言があったんですけれども、私は、これは、国鉄がJRになったときと今日を考えてもわかるように、大臣、やはりもともと私鉄とは料金設定が違うんですよ。そうすると、首都高速という会社が残っちゃう以上、東京は、二元的な料金をこうむらなきゃならない三多摩の四百万都民が発生するわけでございます。

 最終的な道路区分けの責任者は大臣でありますから、まだ時間があります、大臣は永福―高井戸間の料金改定をみずからの政治のライフワークとしてやった経験もあるわけですから、もう一度この多摩に目を配っていただいて、既存の首都高速を何とか東京都内部分までは一元的に管理ができるような方向でぜひ検討していただきたいというふうに思いますけれども、最後に御決意をお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました中央自動車道の高井戸―八王子間の料金でございますけれども、昭和五十四年に均一料金が導入されたわけでございます。均一料金区間については、料金支払いが頻繁にあって不便だとか割高感等々さまざまな声が、委員の御指摘をまたずとも寄せられているということは十分に承知をしているところでございます。

 民営化後の高速道路の料金については、基本的には新会社の自主的な判断により決定されるものであるということは言うまでもございませんが、今後の当該区間の料金設定については、実は、平成二十年度を目途として、首都高の対距離料金制への移行や、負担の公平性を踏まえて民間の経営センスに基づく弾力的な料金設定が行われ、利用者の利便性向上や納得の得られる料金制度がなされるものと、私としても期待しております。

 この点につきましては引き続き検討をさせていただきたいと考えております。

萩生田分科員 終わります。

蓮実主査代理 これにて萩生田光一君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田祝稔君。

    〔蓮実主査代理退席、主査着席〕

石田(祝)分科員 皆さん、大変御苦労さまです。私で最後になるようですから、三十分間よろしくお願いしたいと思います。

 まず私は、道路という問題につきまして、基本的なことを大臣にお伺いしたいと思います。

 私は四国の高知県の出身でございまして、大変横に長い、海岸線も約七百キロ、こういうところでございます。そういう中で、最近、東南海、南海地震、この津波の影響ということがどうなるのか、こういうことも今言われてきております。国交省の皆さん御存じのように、高知県の国道五十五号、五十六号、これはほとんどもう海岸線を走っております。ですから、時々波が道路にかかってくる、こういうところも現実にございますし、また、海岸線に一本しか道路が走っていない、こういう状況でございますから、何かがあったときに一体どうするのか、かわりの道路がないよ、これが高知県の現状でございます。また、西の方の幡多地域に参りますと、第二次医療圏、第三次医療圏も大変広い分野をカバーしなくちゃならない。

 そういう中で、地元からもよく要望が来るんですけれども、一つだけ御紹介したいと思うんですけれども、高知県の幡多地域で救急搬送時間がどのぐらいかかるか。全国平均を一とすると、四・二倍時間がかかる。これだと、助かる人も助からない、こういうことも現実に起こり得るわけであります。

 ですから、道路の問題につきましては、いろいろな議論が最近起こってきておりまして、不必要な道路をつくるなとか、それは当然のことでありまして、必要か必要でないかということがなかなか難しいわけでございます。ですから、道路にお金を使うな、むだなお金を使うなとおっしゃる方も、いざ自分の地元になってくるとこれはつくってほしい、これは私は当然のことだろうと思います。

 そういう観点から、命の道路、こういうことで私たちは今考え方を改めていかなきゃいけないんじゃないか。今までのように、経済、物流ということではなくて、そこに人が住んでいる以上は、救われる人がいる、道路を整備することによって助かる命がある、こういう観点でぜひ取り組んでいきたいと思いますけれども、まず大臣に、道路ということは一体何なのか、哲学みたいなことなんですけれども、このことをお聞きをしたいと思います。

石原国務大臣 道路、最近は、やはり阪神・淡路の大災害を契機に、住民の方々から、生活や地域の安全、安心の確保に対して要請が高まってきているんだと思います。

 ただいま委員が意見の開陳の中で御披露された、緊急事態における時間経過と死亡率の関係、多量出血の場合、三十分で死亡率が五割ですけれども、一時間たつと一〇〇%亡くなってしまう。ということは、三十分以内に病院に到達できる道路があれば助かる人も、一時間かかってしまったことによって死亡する方が出てしまうということの証左ではないかと思っております。

 そんな中で、高速道路に言及させていただきますと、この高速道路、委員御指摘のとおり、きょうの御議論を聞かせていただいても、予算委員会ではむだな道路をつくるなと言っていた方々も、自分のところの道路は必要だというような話をよく聞くわけでございます。

 一体何をもって必要とするのか、ここが非常に重要なポイントだと石田委員が御指摘されたとおりでございまして、これをやはり高速道路を有料道路と考えて採算性だけで考えますと、もうこれからは有料道路をつくらないという話になってしまいます。

 しかし、委員が御指摘されましたような、緊急事態における時間経過と死亡率の関係から見ても、基幹病院への到達距離、あるいは、委員のお地元は七百キロの海岸線、南海地震等々も予想されるような中で、阪神・淡路の教訓をどのように生かしていくのか。すなわち、避難路の確保の問題、既存国道との代替道路の関係、こういうもの、すなわち外部効果というものも、これから必要な道路をはかっていくメジャー、物差しとして必要であるのではないかと思っております。

 そこで、もう一つ重要な要素は、やはり立派なものがあるにこしたことはありませんけれども、日本全国、これだけ多くの要望があるということは、一つ一つやはり縮減できるコストは徹底的に縮減して、身の丈に合った道路というものをつくっていくということが非常に重要なのではないか。

 せんだっても御披露させていただきましたように、ある地方の首長さんの方から、こうやってコストを下げますというような御提言もちょうだいしております。コストが下がるということは、費用対効果分析を見て、分母が小さくなるわけでございますから、必然的にBバイCは高くなってくる、BバイCが高いということは必要性が増しているということで、早期に整備をする必要性が増してくるということに、数字は正直でございますので、つながる。こういう観点で、これからの道路、高速道路の建設、あるいは一般道につきましても整備をしていくということが必要だと思います。

 一言で言いますと、透明性を高めて、真に必要なものを物差しを決めて順番をつけて、順番の高いものからつくっていく、こういうことが肝要なのではないかと考えております。

石田(祝)分科員 私の地元の知事も、道路は二車線でなくて一・五車線でいいんじゃないか、ところどころ行き違いできるように工夫をして一・五車線化、こういう考え方を、多分全国でいち早く出されたんじゃないかというふうに思います。

 それで、道路の経済問題なんですけれども、田舎の方へ行って高速道路をつくって、採算がとれるわけがないんですよ。そんな、最初から採算がとれるなんて計算をしている方が大間違いで、採算なんか頭からとれないんですよ。これはとれないという前提で、ほかの要素も加味していかなきゃならない。

 例えば、私は、高知県の方、大変山林がありますけれども、山林なんか、今経済的な側面だけでやると、現在のような状況で、間伐しても木は売れない。ですから、山がほとんど手が入らない。これは経済だけではいけないわけですね。そこに、例えば環境だとか国土保全だとか水資源の涵養だとか、別の価値観を持ってこないと、これはなかなか計算が合わない。

 だから、そういうところに、やはり行政として説得をして、違う価値があるんですよと。ですから、そのあたりに、私がさっき申し上げた道路というものも、今までの物流とかということだけではなくて、人の命もやはり運んでいるんだ、こういう観点で、これはやはり役所の方も行政も説得をしてもらわなきゃならない、こういうふうに思っております。

 そういう問題で、ちょっと個々の問題に触れさせていただきたいと思いますけれども、まず、四国8の字ハイウエーで、四国横断自動車道、高知以西で、須崎までは完成いたしましたけれども、なおなお西の方の延伸ということは私どもも要望しているところでありますけれども、まず須崎―窪川町の間の早期完成、こういうことと、それ以西の早期事業化、このことについての現況とこれからの取り組みについて、お話をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 最初に、四国横断自動車道の須崎市から窪川までの現状と今後の見通しにつきまして申し上げさせていただきたいと思います。

 須崎新荘から窪川の間、二十二キロにつきまして、平成十五年十二月二十五日に行われました国幹会議で、新しく直轄方式、こういう形でやっていこうというふうに切りかえていただいた区間であります。このうち、須崎新荘から中土佐の間、七キロにつきましては、既に現在用地買収中でありまして、引き続き事業を推進してまいりたいと思っております。

 中土佐から窪川間につきましては、地元と設計協議を行っているところでありまして、早く御理解いただきながら、用地買収に取りかかるということにしたいと思っております。

 それから、その先はどうか、こういうお話でありました。窪川町以西の問題であります。窪川町以西につきましては、窪川から中村間、これが約三十八キロあります。それから、内海から津島間、これが十二キロございますが、基本計画区間であります。また、この中村から内海の間六十六キロは予定路線区間、こういう位置づけになっております。

 このうち、四国横断自動車道に並行する一般国道の自動車専用道路であります中村宿毛道路が二十一キロございますが、これは七キロが既に供用中で、残る区間約十四キロにつきまして、現在、用地買収と工事を実施している最中であります。国道の自動車専用道路として、先ほど大臣も申し上げましたが、できるだけ簡易な構造でコストのかからないような構造で、高速道路の機能を代替する、こういう形で工夫をしながらやらせていただいているところであります。

 残ります区間につきまして、その整備のあり方につきましては、地方自治体や住民の皆様から寄せられていますさまざまな意見に加えまして、高速道路が地域にもたらす効果とか、あるいはまた、いろいろな御用意をなさっていただいていますので、地域づくりと高速道路の関係、まずBを大きくし、便益を大きくするという努力をお互いさせていただきながら、コストを縮減してBバイCを大きくする、トータルで大きくする。こうしたことも現在、いろいろな取り組みを地元と一緒にやっておる最中でございまして、できるだけのそうした成案を得ながら、順次事業に向かって進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

石田(祝)分科員 続きまして、最初に申し上げましたように、高知から東ですね、国道五十五号、そして室戸岬を回りましてぐるりと徳島へ行く。これはもうほとんど、車で走って、運転席から右を見ますと海であります。ほとんど海のそばを走っている、こういう道路であります。

 それで、この高知の東部自動車道と地域高規格の阿南安芸自動車道、この中で東部自動車道の高知―芸西村間の早期完成、そして芸西村から安芸市間の事業化、また、阿南安芸自動車道路の安芸―奈半利間、北川村―東洋町間、この早期事業化、この見通しについてお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 高知東部自動車道について、まず申し上げます。

 この東部自動車道は、高知市から安芸市に至ります、延長三十六キロの高規格幹線道路でございますが、このうち、高知ジャンクションから高知空港まで延長十五キロにつきましては、高知南国道路として平成二年度に事業化させていただいておりまして、現在、高知南インターから高知東インター間延長の四・七キロにつきまして、平成二十一年度供用、こうした目標を掲げて、用地、工事を推進している最中でございます。また、高知東から高知空港インターチェンジの間延長四・一キロにつきましては、平成二十年代の前半供用、こういうことを目標に、用地、工事を、これも進めておるところであります。

 また、高知空港インターから芸西西インター、これの延長十二・五キロにつきましては、南国安芸道路として、全体事業費四百十億で平成十二年度に事業化したところでありまして、いずれにしましても、用地、工事を大いに推進する、こういうことで地元と今いろいろなことを、御協力していただきながらやっているところでございます。

 それからさらに、先生の御指摘は、芸西村から安芸までどうするか、こういう御議論でございます。

 芸西村から安芸市の間につきましては、延長が約八・五キロございますが、平成九年の二月に基本計画として決定して、十一年六月には都市計画決定がなされているところであります。

 先生御指摘のように、並行する国道の五十五号が大変、代替路がない上に、異常気象時には越波や冠水、落石、こうした通行どめが発生している、こういう状態でございますので、できるだけ具体的な設計等を、それもコスト縮減等をベースに、さらなるいろいろな検討をしながら、早期の事業化に向けて調査、経済効果等の調査、これも含めて推進している、こういう状態であります。

 それから、地域高規格道路の阿南安芸自動車道について、特に安芸市と奈半利の間、それから北川村と東洋町間、この事業化に向かってはどういうふうにしているか、こういうお尋ねでございました。

 安芸市から奈半利の間は、ここも五十五号が並行しているわけですが、大変脆弱で、平成十年の五月の集中豪雨では、連続五十七時間の通行どめ、長時間孤立、こういう安全性に関する問題が大変強い、こういうことを承知しております。したがいまして、平成十年の六月に調査区間に指定させていただきまして、現在、施工性とか経済性、ルート、構造、こうした調査を進めているところであります。

 この区間のうち、特に防災上大変だ、こういう部分について、安芸市の河野から下山間、この二キロについては、防災上大急ぎだ、こういう点もございまして、昨年の九月に、大山道路ということで整備区間に指定させていただきまして、現在、事業化に向けて地質調査、環境調査、予備設計等を実施しているところであります。

 それから、北川村から東洋町間は、延長約三十キロございます。これにつきましては、北川村―東洋町間のうちの十三キロを調査区間に指定しまして、今、ルート、構造の検討と環境影響調査等を実施しているところであります。

 いずれにしましても、地元と一緒に、とにかく安全性の確保、こういう面からも大急ぎだということでもございますので、地元公共団体と一緒になって取り組みを進めている、こういうことであります。

石田(祝)分科員 細かくお聞きをいたしましたが、最初にも申し上げて、何度も申し上げておりますけれども、昨年十二月に東南海・南海地震対策大綱、こういうのも策定をされまして、地震に強い交通ネットワーク、こういう観点からもぜひ、計画はあると思いますけれども、なるたけ早期の整備をお願いいたしたいと思います。

 それで、続いて、ちょっと質問の順番は変わりますけれども、地震、自然災害時における民間の役割、こういうことで内閣府に来ていただいていると思いますが、まず災害復旧時のいわゆる重機、大型機械と言われているものを役所が持っておるかどうか。どうでしょうか。

尾見政府参考人 災害発生時の人命救助のための重機についてのお尋ねでございますけれども、関係省庁に照会いたしましたところ、国につきましては、防衛庁、自衛隊において、施設科部隊等に重機としてブルドーザー、油圧ショベル等を装備している、それから、エンジンカッターとか油圧式ジャッキなどで構成する人命救助システムを保有している、こういうふうにお話がございました。

 また、地方公共団体におきましては、消防用の破壊工作車やクレーン車などを一部の団体で保有している、こういうふうに承知しております。

石田(祝)分科員 なぜこういうことをお聞きするかといいますと、地震も、三十年ぐらいの間に四〇%、こういう確率で南海地震も起きるのではないか、こう言われております。そういう中で、実際役所が使える重機というのはないんですよ、はっきり言って。だから、何かビルが壊れて下に人が埋まっている、これはたしか七十二時間というのが一つの目安だというふうに聞いておりますけれども、そのとき、人力では当然間に合わないわけでして、では、そういうところに重機がそれぞれ持っているかといったら、これははっきり言って持っていないんですね。今、極端に言えば、ほとんど、災害が起きたときには民間の建設会社にお願いをして出動してもらっている。ですから、これ、民間が持っていなければ大変なことになるわけなんですね。ですから、このように民間に頼らなきゃならない場合、どういう体制を民間業者に組んでもらうか、このことが災害対策で大変大事だと思うんです。

 地震が起きるのを防ぐことはできないんですよ。起きたときにどうするか、起きることを想定してどういう手を打っていけるか、これが大事な点でありますけれども、民間の業者にそういう災害救助の体制を組んでもらう、そうしたら、どのようなことを役所として、行政として考えていくか、この点についてはいかがでしょうか。

尾見政府参考人 先生御指摘のとおり、人命救助のために必要な、民間業者の方が保有している重機類を有効活用するということは、非常に大切なことだと思っております。

 現在、国は、残念ながら、道路の啓開でありますとか補修だとか、そういうことの観点からは関係業界との間で協定を結んでいるケースがございますが、人命救助というポイントは余り前面に出ていないと思います。一部の地方公共団体では人命救助ということを前面に出して、建設業関連協会と協定を結んでいるという事実がございます。

 非常に大事なことでありますが、今、民間の業界で機器を保有するという話が、いろいろ厳しい状況が出てきている。一つには、建設機材は日進月歩しておりますから、保有するよりもリースの方がいいとか、あるいは将来の仕事の展望がはっきりしないとか、できるだけ身軽になりたい、そういう要素もあるだろうと思います。

 そういうようなことで、なかなかそういうことを促進するということは難しいことがあると思いますが、少なくとも、契約を結んでいる際に、事業者の方に適切な負担を、契約者の一方の当事者の公共団体等がちゃんとかかった費用を見るという体制をとることが非常に重要なことではないかと思っております。

石田(祝)分科員 これは、現実に建設会社を経営している方なんかにお聞きしますと、もう自分のところの重機はないよと。どこへ行ったんですかと言ったら、中国へ行ったと。今、中国は大変なブームでして、某重機メーカーというんですか、利益の半分は中国で稼いでいる。ですから、中古の機械がどんどん中国へ出て行っている。ですから、今までのように、災害が起きたら民間の建設業協会に頼んで、そしてお願いをしてやってもらう、いざそういうことが起きたときに、では、重機が全然なかった、これはもうしゃれにもならない話でございます。

 それともう一つは、大変、建設業協会としては、低価格での入札だとか、いろいろな意味でもう持っておく余裕がない。これは、役所にしたら安い入札にこしたことはないと思うかもしれませんけれども、どんどん体力がそぎ落とされて、本当に災害のときには一番頼りになるそういう会社が、現実に重機をもう持てない。これは、持っていなかったら、幾らお手伝いしたいと思っても現実には手伝いにならないわけなんですね。

 ですから、そこのところまである意味でいえば目配りをしていかないと、これは別に高い入札をしろと言うわけじゃないんですよ。しかし、現実にそういう、会社で重機を持ってやっている人たちが、今もう持てないと。ですから、私の住んでいる四国の中でもほとんど、前と比べたら半分ぐらいになっているんじゃないか、こういう意見もあります。

 また、災害の二次災害にならないために、例えばリモコンで重機が動かせるとか、こういうものも現実には持っていないと、一緒になってこれは二次災害になってしまった、こういうふうなこともあり得るんですね。

 ですから、これはある意味では財政上の支援もするとか、ある程度の仕組みを考えてあげないと、会社で経費で持ちなさいよ、災害のときは出てきてよ、仕事については安い入札ですよ、これでは業者の方もとてもやっていられない、こういう気持ちになるのは私はわかるような気がするんですよ。この辺を何か仕組みとして、そういう人たちが持っていただくということに関して何か財政的な応援ができないのか、こういうことも思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾見政府参考人 先生、先ほどの、民間業者が機材を保有できなくなっている状況について財政支援ができないか、こういうお話であります。

 私どもとしては、今先生のお話にもありましたように、やはり基本的には、建設業の行政の話とか、あるいは発注の話で手当てすべき分野もあるのではないかなと思っております。したがって、私ども、道路行政とかかわりの深い問題として、せっかく国土交通委員会でありますので聞いていただいていると思いますから、国土交通省ともよく相談をさせていただきたいというのが一つ。

 もう一つは、もっと広い観点からいうと、防災にも民間の活力、民間の能力をきちっと活用していこうというのが今大きな流れになっております。今、そのための専門調査会という形で勉強をしております。先生御指摘の点について、私、貴重な問題提起をいただきましたので、一つの御意見としてそれを勉強させていただきたいと思っております。

 以上です。

石田(祝)分科員 これは、ぜひそういう仕組みをつくっていただく。ですから、民間の力をかりるのは何ら恥ずかしいことではありませんので、しかし、そのお手伝いができるような体制をつくれる体力ということも考えてあげないと、やれ、やれと言っても、これはなかなかできない、このことだけは申し上げておきたいと思います。

 それから、これまた地元の問題でありますけれども、高知県の宿毛市と大分県の佐伯、ここのフェリーがことしになりまして倒産をいたしました、破産をいたしました。それで、航路が今ございません。そして、これが従業員さんだけの問題ではなくて、物流ももちろん影響ありますけれども、物流以上に、実は土佐清水という、足摺岬、ここの観光に今大変な影響が出てきておりまして、このままいくと年間の予約の約一割ぐらいが飛んじゃうんじゃないか、こういう状況でございます。

 このことについて、国土交通省としてはどのように把握されているか、まずお聞きしたいと思います。

鷲頭政府参考人 今先生お話しにございました宿毛と佐伯を結ぶ航路につきましては、宿毛観光汽船株式会社というところが運航しておりましたが、国道が別途整備されまして、それに伴って他航路が便利になった、それとの競合といったようなことから経営が悪化いたしまして、平成十六年一月二十六日に運航を中止、裁判所に対しまして自己破産の申し立てを行って、同日、破産が決定したということでございます。

 また、同航路が運航をとりやめたということで、九州と宿毛を結ぶ航路でございましたので、いろいろな影響が確かにあるということでございまして、地元においてその航路復活を望む声があるということは私どもも承知しております。

 さらに、高知県側あるいは大分県側それぞれに、航路存続のための協議会というものが立ち上がっておりまして、何とか、だれか事業主体を探してやっていけないものかということを今検討しておられるということでございますので、国土交通省といたしましては、その結論が出て事業主体が決まった段階で、海上運送法に基づいて、事業化の指導とか、あるいは安全運航についての取り組みなどを積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)分科員 これは、いろいろ状況をお聞きしますと、いろいろな動きが出てきておりまして、明るい話もちらちらと聞こえてまいりまして、引き受けるところがひょっとしたら出てきてくれるんじゃないか、こういう状況でもございますが、再度、そういう形でやってもいいよ、こうなったときに、国土交通省としてどのような御支援がいただけるか、ひとつお願いしたいと思います。

鷲頭政府参考人 私ども、海上運送法に基づきまして許可をさせていただくわけでございますが、それに当たりまして、事業の予測、地方局におきまして全体の地域の需要なども把握しておりますので、そういうものも参考にして、いろいろな今後の事業計画に対するアドバイスとか、そういうこともできると思いますし、また安全問題につきましては、船舶検査も含めて、こういうことをやったらいいということを、計画段階でいろいろお金もかかると思いますので、アドバイスができると思います。

 ただ、いずれにいたしましても、どういう形態で、具体的にどうしたいかというところが決まりました段階で、そういうことを含めまして、積極的に対応したいと思っております。

石田(祝)分科員 積極的に対応していただけるということですので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後になります、ちょっとオーバーして申しわけありませんが、JR松山駅の高架と周辺整備事業についてお聞きしたいと思います。進捗状況について、どのようになっておりますでしょうか。

竹歳政府参考人 松山駅周辺の連続立体交差事業につきましては、平成十三年度、十四年度で調査しました。それから十五年度に環境アセスメントをしました。ということで、県の方から、十六年度の新規着工準備箇所としての要望が出てきております。私どもとしましては、今回の予算案に、全国で三つ新規準備着工箇所がございますけれども、その一つとして取り組ませていただきたいと考えております。

石田(祝)分科員 三つですかね、富山と松山だけじゃなかったでしたか。(竹歳政府参考人「北海道です」と呼ぶ)ああ、北海道もある。

 済みません、もう一つ。この松山ということではありませんけれども、駅の周辺整備事業、これが、今回、新年度の予算で、まちづくり交付金ということで、千億を超える新しい制度ができますけれども、これは駅の周辺整備にも使えるということでいいんですか。

竹歳政府参考人 全国都市再生の大きなターゲットが駅周辺など人が集まる交通結節点でございまして、今我々の予算案に盛り込ませていただいておりますまちづくり交付金も、そういう形で使われるというのが最も期待される一つの例ではないかと思っております。

石田(祝)分科員 ありがとうございました。終わります。

園田主査 これにて石田祝稔君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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