衆議院

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第2号 平成18年3月1日(水曜日)

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平成十八年三月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 上田  勇君

      あかま二郎君    小川 友一君

      鍵田忠兵衛君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    清水清一朗君

      園田 博之君    野田  毅君

      三原 朝彦君    小宮山泰子君

      後藤  斎君    武正 公一君

      仲野 博子君    古川 元久君

      太田 昭宏君    桝屋 敬悟君

   兼務 斉藤斗志二君 兼務 大串 博志君

   兼務 笹木 竜三君 兼務 山田 正彦君

   兼務 山井 和則君 兼務 富田 茂之君

   兼務 塩川 鉄也君 兼務 保坂 展人君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   総務副大臣        山崎  力君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通副大臣      松村 龍二君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       伊藤 國男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 影山 幹雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 春田  謙君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      仁井 正夫君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  星野 茂夫君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 吉田 義一君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        小野 邦久君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         村山 邦彦君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  園田 博之君     小川 友一君

  野田  毅君     清水清一朗君

  古川 元久君     村井 宗明君

  桝屋 敬悟君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     鍵田忠兵衛君

  清水清一朗君     あかま二郎君

  村井 宗明君     古本伸一郎君

  佐藤 茂樹君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     北村 茂男君

  鍵田忠兵衛君     亀岡 偉民君

  古本伸一郎君     仲野 博子君

  太田 昭宏君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     園田 博之君

  北村 茂男君     盛山 正仁君

  仲野 博子君     小宮山泰子君

  谷口 和史君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     野田  毅君

  小宮山泰子君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  武正 公一君     古川 元久君

同日

 第一分科員大串博志君、第四分科員塩川鉄也君、第五分科員富田茂之君、第六分科員笹木竜三君、保坂展人君、第七分科員斉藤斗志二君、山田正彦君及び山井和則君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

上田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)分科員 おはようございます。自由民主党の小川友一と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。

 一昨日、私は災害対策特別委員会の場で、今の首都直下の問題を取り上げて、何点か質問をさせていただきました。それに関連します都市計画道路の問題について、数点お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 言うまでもなく、今、首都直下の問題は国を挙げて取り組まなくてはいけない問題であるというふうに思います。一昨日の災対の場でもお話をさせていただいたのでありますが、中央防災会議の座長をしております伊藤滋先生は、明らかにピンポイントで、震源地、いわゆる破壊の開始地点が、舞浜から二キロ、海底三十から四十キロ地点が相模の断層の破壊の開始地点だということを明言しておる中で、国の防災にかかわる課題は近々の問題だというふうに理解をするところであります。

 そのような状況の中で、私の選挙区であります立川市の広域防災基地の関連の都市計画道路に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 立川の三・一・三四号線の件であります。

 昨日、同様の質問がなされていることも理解をしているところでありますけれども、その場で、いわゆる現行の整備ができたものと、中央線、青梅線の踏切の問題とあわせて、南北道路の都市計画道路の整備の要請をしていたところであります。

 この都市計画道路は、昭和五十二年に都市計画決定がされたものでありまして、もう三十年近く年月がたっておりますし、この道路は、いわゆる三多摩の重要な路線との位置づけと、広域防災基地としての役割を担うための重要な路線として位置づけられている道路であります。

 一昨日の災対のときの答弁でありますと、三・一・三四号線は、現行の新奥多摩街道まで、延長一・二キロ区間を平成十八年から十年かけて事業化をしていくというふうな御答弁をいただきました。これについて再度質問させていただきたいというふうに思いますが、これはこれから具体的にどのような方向で取り組んでいこうとしているのか、東京都と連携をとりながらこれから事業化にめどをつけていこうとしているのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

柴田(高)政府参考人 中央南北線の南北延伸部の早期整備についてのお尋ねでございますが、本路線は、御指摘のように、立川・日野地域の都市内の道路交通の円滑化と、立川広域防災基地と周辺地域を結ぶ南北方向のアクセスルートといたしまして重要な路線になってございます。

 このため、事業主体でございます東京都では、現在、多摩地域における都市計画道路の整備方針、第三次事業化計画でございますが、その案を公表いたしまして、意見募集中でございます。この中で、本路線のうち、立川広域防災基地北側の五日市街道から新五日市街道間約〇・五キロメートル及び防災基地南側の新奥多摩街道からJR青梅線の区間約一・二キロメートルを、御指摘のように、平成十八年度以降の十年間で優先的に整備すべき路線として位置づけておられます。

 さらに、本路線上には、主要な渋滞ポイントでございますJR青梅線等との踏切が存在いたしてございます。東京都の踏切対策基本方針におきまして、二〇二五年までに重点的にここも対策を実施、検討すべき踏切というぐあいに位置づけられております。このJR青梅線などとの踏切をどのように解消するかについては、道路と鉄道との立体交差方式など、技術的な課題等多くの課題を抱えてございまして、東京都におきまして、これらの課題について検討を進めまして、鉄道事業者等関係機関との調整を行っていく予定であると聞いてございます。

 国といたしましても、これらの調整を見守っていきたいというぐあいに考えておるところでございます。

小川(友)分科員 今御答弁いただいたわけでありますけれども、基本的に、立三・一・三四号線の都施行部分一・二キロに関して十八年から十年間で施行していくということでありますけれども、未着手の区間、いわゆる施行者が未定の、南に行く、中央高速道路に連結する日野の三・四・一七号線に関しては今後どのように対応していくのか、お話をいただきたいのとあわせて、いわゆる立川広域防災基地がその基地の機能を十二分にその役割を担えるような社会資本整備と道路整備を進めていかなくてはならないということは、もう言うまでもないというふうに思います。その後の十年間の中で方向性を見出していくということでありますけれども、いち早くそれにも取り組めるような方策をとれないのかどうか、お考えだけでよろしいので、お答えをいただきたい。

 あわせまして、さきの災対の場でも要望させていただきましたけれども、この地域には保留地が七十四ヘクタールあるわけでありまして、これに首都直下のバックアップの施設、いわゆる中央であります国会とか行政、金融、経済、いろいろな分野でのバックアップの施設を首都から移行しておかないと、日本経済に打撃があるということもお話をさせていただきました。そんな観点で、いわゆるこの都市計画道路、昭島に向かう都市計画道路の今後の見通し等、お考えがあればお伺いをさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

柴田(高)政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、東京都といたしましては、都市計画決定をされている道路のうち、まだ事業に未着手の部分等につきまして、どこからやっていくかということを優先的にやる部分について掲げまして、そこを早目にやっていこうということで、選択をしながらやっていかれております。

 そういう意味で、先ほど御指摘の部分につきましては十年間で急いでやっていくということになっているわけでございますが、今御指摘の部分につきまして、新奥多摩街道以南の区間につきましては、都市計画決定はされているものの、この十年間に優先的に整備すべき路線としては位置づけられていないことは事実でございます。これらにつきましても、国の方としてどうだこうだということはできないわけでございますが、新奥多摩街道以北の区間の整備を図りつつ、東京都におきまして事業化に向けた検討が今後進められていくものではないかというぐあいに考えてございます。

 この地域は防災基地もあるわけでございまして、国といたしましても、防災機能の向上、それから都市内の道路交通の円滑化等、これらあわせまして、二つの路線の重要性というものは十分わかっているわけでございます。速やかに事業が進められますよう、積極的に国といたしましても支援をしていきたいというぐあいに考えております。

小川(友)分科員 基本的に今の答弁で理解をするところでありますけれども、昨日、この地域の問題に同様の質問があったわけであります。立川の広域防災基地の備蓄倉庫から災害時に各分野に物資を運ぶにしても、この以南、いわゆる未施行の日野三・四・一七号線とあわせて整備をしながら、中央高速道路に連結していくということがいち早く求められることではないかというふうに理解をいたします。積極的な取り組みを期待し、お願いをさせていただきたいなということを要望させていただいて、この関連の質問は終わらせていただきたいというふうに思います。

 引き続き、一般国道二十号の日野バイパスの関連について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この案件については、地元の自治体の方から国交省関東地方整備局に、二月に入って要請がされているということもお伺いをさせていただいております。国道二十号のバイパスの現行の状況と、今後どのような方向性をお考えなのか、まずお聞かせをいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 国道二十号日野バイパスの現状と今後の見通しについて御質問いただきました。

 国道二十号日野バイパスは、国立市、日野市及びその周辺の交通渋滞緩和と交通安全確保等を図るとともに、八王子南バイパスと一体となって圏央道へのアクセス機能を有する四車線のバイパス事業でございます。

 このうち、国立市谷保から八王子市高倉町に至る延長約八・一キロメートル区間につきましては、鋭意事業を進めさせてきていただいておりまして、これまでに約九割に当たる約七・三キロメートルについて、四車線または暫定二車線で供用を図ってきているところでございます。

 当該区間につきましておおむね事業の見通しが立ったというような認識でございます。平成十七年度には、したがって、日野市川辺堀之内から日野市西平山に至る延伸部の延長約三・八キロメートル区間につきまして、新たに事業化をさせていただいたところでございます。

 この延伸部につきましては、現在、土地区画整理事業が進んでいるということでございまして、その事業中の豊田地区や西平山地区と一体的に整備を進めるため、公管金による用地取得に向けた調整及び調査、設計を実施させていただいているところでございます。

 なお、日野市西平山から八王子市北野町までの未事業化区間一・五キロメートルにつきましては、延伸部の進捗状況や国道十六号で接続する八王子南バイパスの進捗状況などを踏まえて、今後検討させていただきたいと考えておるところでございます。

 今後とも、地元の御理解と御協力を得ながら、一日も早い完成を目指して、事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小川(友)分科員 ただいま御答弁いただきましたとおりでありまして、国道二十号バイパスに関しては、かねてより国の御指導をいただきながら、川崎街道から日野の神明に上がる一般国道二十号バイパスは十八年度の中で供用が開始される見通しになっているということを私も聞いております。

 あわせまして、今御答弁いただいたとおり、いわゆる東八道路と通称言われている日野バイパスの延伸部分であります。いわゆるこの分岐地点から、今回ルート承認をいただきました、事業化のめどがついた道路としてお認めをいただきました三・八キロの部分でありますけれども、現行、川辺堀之内の部分に関しては、区画整理事業はまだ事業計画も事業認可もとっておりませんけれども、東豊田それから豊田、西平山の地域は、現在、市施行で区画整理事業が進んでいるところであります。

 そこで、ちょっとお伺いをさせていただきたいんですけれども、その川辺堀之内部分を、区画整理事業をこれから進めたいという地元の意向があるそうであります。三月に地元の説明会をし、年内に準備会を立ち上げて、一年後には事業認可をいただきたいというふうな方向性で、道路をそこにつくっていく計画でこれから進みたいという要望があるそうであります。

 今お話しをいただきましたけれども、公共施設管理者の負担金、いわゆる国費を公管金として入れ込んでいただいて事業を一刻も早く進めたいという地元の意向があるわけでありますけれども、その辺に関して、国としてどういうふうな指導をいただけるのか、再度お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員の方から、今、区画整理事業の進捗について詳しくお話しをいただきました。我々としては、その地域の発展のために区画整理事業の成否が大きく左右するということではないかと思っておりますので、地元の方からの要請がございましたら、土地区画整理事業が進展するよう、よく調整させていただいて、予算措置もしっかりと対応させていただきたいと思っております。

小川(友)分科員 非常に積極的な御答弁をいただけて、心強い限りでございます。

 あわせて、再度お伺いをいたします。

 日野バイパスの延伸の部分、いわゆる国道二十号バイパスから分岐三・八キロまでは事業化のめどがついた道路としてお認めをいただいたわけでありますが、先ほど局長の方からお話がありましたけれども、その延伸部分三・八キロから西、八王子南バイパスにつながる延伸部分に対しては、八王子の十六号のバイパスの進捗状況をかんがみながらこれから計画をしていくということでありますけれども、この三多摩は、おおよそ四百万を有する都市でありまして、南北の交通網が非常に未整備であります。十六号の八王子バイパスがある程度整備ができているということも理解しているところでありますけれども、これが将来的には圏央道につながる道路として位置づけをされているところであります。

 あわせまして、この延伸部分三・八キロ以西、八王子南バイパスまでの今後の計画はどのようにお持ちなのか、御答弁をいただければありがたいというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 八王子南バイパスと接続して初めて大きな効果を発揮するという認識は、私どもも十分持っております。先ほど御答弁させていただきましたが、延伸部のうちの約三・八キロメートルについては今年度事業化したばかりでございますので、重点的に、箇所を絞って、早期完成、早期に事業効果を発現するというような考え方でございますので、その先の残りの部分について、八王子南バイパスとのつなぎの部分一・五キロメートルにつきましては、もうすこし前後の進展を見て改めて判断をさせていただければということで、よろしくお願いいたしたいと思います。

小川(友)分科員 理解はするところでありますけれども、三・八キロから八王子南バイパスの一・五キロの部分でありますけれども、八王子側はおおむねもう向かいの道路ができています。そしてまた、日野側、西平山の区画整理事業も、この区域はもう事業化のスタートが切られておりますので、ことし、十八年度、一応三・八キロだけは国は認めたんだからもう少し待てということだというふうに思いますけれども、積極的に取り組んでいただければありがたいというふうに思い、要望をさせていただきたいというふうに思います。

 再度お伺いをさせていただきます。

 今、一般国道とあわせて、首都高速道路が民営化され、それぞれの道路会社が事業主体をしていると思います。一般国道は当然国の管理下に置かれるわけでありますが、いわゆる有料道路という道路会社所管の道路に関しまして、管理責任はどなたが負うんでしょうか。構造的な部分、強度的な部分をあわせてお答えをいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 これまでの道路関係四公団が昨年の十月一日から六つの民間会社、一つの独法機構に生まれ変わって、大きく民営化の方向が歩み出されたということでございます。

 それで、二月七日に国幹会議を経て、この三月末までに会社と機構の間で協定を交わすということでございますが、高速道路の公物そのものの資産は機構が保有するということでございます。機構から会社がレンタルを受けて、その収入の中から管理費を除いて機構に借金を返していく、返済していくというのが基本的な考え方でございます。したがって、日常の管理につきましては、新しく生まれ変わった民間会社が日常の管理をするというようなことでございます。

 したがって、阪神・淡路以降の教訓を生かして、それまでの、昭和五十五年以前に設計された、古い基準に基づいた、示方書に基づいた橋梁について耐震補強を進めてきているということでございまして、民営化された会社につきましては、各会社によって状況が異なるわけでございますが、首都高速につきましてはほぼ完全に耐震補強が現在済んでおるということでございます。高速道路につきましては八七%ぐらいという状況でございますが、耐震補強は、各会社によって異なりますが、各会社が実施するということでございます。

 日常の管理は民間会社がやるということでございますが、阪神・淡路のときも、当時の阪神公団について国費を投入させていただいたという実績がございますが、大規模な震災を受けた場合には、国費の投入の余地は残っておるということでございます。

小川(友)分科員 今、建物の耐震偽造の問題が国として大きな問題になっているわけでありますけれども、先ほどもお話をさせていただきましたとおり、首都直下の地震の問題は緊急かつ切迫性が迫っている案件であります。今のお話ですと、それぞれの会社にお任せをしていただいているということでありますけれども、最終的には国費を投入する部分は残しているということでありますけれども、現行、今の高速道路に対する耐震補強はどの程度の震度まで耐えられるのか、それをどこまで想定をしているのか、お答えをいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁させていただきましたが、阪神・淡路の教訓を生かしてということでございます。したがって、震度としましては、阪神・淡路の震災クラス、震度七というようなものを想定しているということでございまして、先ほどの答弁と重なりますが、五十五年以前の示方書に基づいた橋梁がかなり大きく被害を受けたということでございますので、そういった震度七を想定したような形で、そういった震度に耐えられるような耐震補強を実施させていただいてきているということでございます。

小川(友)分科員 ありがとうございました。

 そうしますと、先ほど私が一番先にお話しさせていただきましたとおり、首都直下の地震の被災があった場合、立川の防災基地には備蓄倉庫がありまして、東京都民のおおむね一カ月分のお米とか食料が備蓄されているわけでありますけれども、それを搬出するにしても、先ほど私がお話しさせていただきました日野の三・四・一七号線の道路の整備とあわせて、震度七まで耐えられる高速道路を一刻も早く連結をしなくてはいけないのではないかということが再度求められるのかなというふうに思います。そして、この道路が、被災を受けたときの重要な道路になっていくことはもう明確な問題だと思います。

 そんな意味で、昨日の質問の中にもありましたけれども、いわゆるこの道路、日野の三・四・一七号線を含めて、日野市内、中央高速というふうに連結をしていきながら、中央道を中心に東西に物資を運ぶ、西からは支援物資を運ぶ、いろいろな重要な道路に位置づけられるというふうに思います。

 そこで、きのうのお話にもありましたけれども、中央道路に結ぶには石川パーキングエリアのスマートインターの設置が早急な問題になるのではないかなというふうに思うわけであります。きのうの答弁をお伺いしていますと、基本的に、地域、地元の皆さんの方向性がしっかりと担保できれば国としてはしっかりと考えていくというふうなお話だったように受けとめます。

 私は、この経過につきましては、自治体との調整を昨年から進めてまいりました。平成十七年十一月十八日に地元の日野市の市長が八王子の市長にその説明をさせていただき、八王子の市長の方から日野市長におおむねの同意をいただきまして、平成十七年十二月六日に日野市と八王子市との事務方の打ち合わせをしたということであります。あわせまして、十二月二十七日、日野市と相武国道事務所での事務方の打ち合わせをし、平成十八年、ことしの三月三日に八王子市そして日野市、相武国道事務所、中日本高速道路(株)との事務方の打ち合わせを予定しているというふうに聞いております。これを踏まえて、当面、情報収集をしながら今後調整をし、相武国道を中心として、上位にその要請文を上げていくというふうな段取りになっているということであります。

 この辺を踏まえ、いわゆる中央道を結ぶ石川パーキングエリアのスマートインターの設置に関してどのようにこれから取り組んでいただけるのか、御説明いただければありがたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 きのうも答弁させていただきましたが、現在、これまでに全国で三十二カ所のサービスエリア、パーキングエリアにおいてスマートインターチェンジの社会実験を実施させてきていただいております。そうした社会実験の中で、利用状況、周辺地域の活性化への効果及び運用上の課題等の把握をしっかりとして、十八年度中の本格的な運用に向けていろいろ検討を進めさせていただいている、また、関係省庁、関係機関との調整を進めさせてきていただいているということでございます。

 今お尋ねの中央自動車道の石川パーキングエリアへのスマートインターチェンジにつきましては、委員の方から御紹介のありましたような調整状況というようなことでお伺いをさせていただいております。

 地元から要請がございましたら、この中央自動車道の管理は中日本会社でございますが、中日本会社の考え方もお聞きしながら、また、アクセス道路につきましては公安委員会等との調整も必要でございます。関係省庁、関係機関との調整を踏まえて、地元の期待にこたえるように鋭意検討を進めさせていただければと考えておる次第でございます。

小川(友)分科員 今、ETCも含めて非常に進んでまいりまして、国としてすばらしい方向性を出しているのかなということも実感します。

 私は、先ほど述べましたとおり、この石川のETCは、単なる利便性だけではなくて、いわゆる災害時の重要な路線としての位置づけとETCの役割を担える、そんなスマートインターとしての要望があるというふうに思います。あわせまして、この地域には、世界を代表するというよりも、日本を代表する企業がたくさんあります。日野自動車や富士電機やコニカや東芝、それがここから数分のところにあるわけでありまして、日本経済を大きく支えている経済効果も多々あるというふうに私は感じます。

 そんなことを踏まえながら、国としての役割をこれからも積極的にここに取り組んでいただければありがたいというふうに思います。

 いろいろな部分を要望し、要請をし、お願いをさせていただきましたけれども、御理解をいただくことをお願い申し上げて、私、小川友一の今回の質問とさせていただきます。

 いろいろ御尽力いただきましてありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

上田主査 これにて小川友一君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水清一朗君。

清水(清)分科員 私は、自由民主党の清水清一朗と申します。

 本日は、北側大臣に直接お伺いできる貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 早速でございますが、時間が限られておりますので、東京の渋滞問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 私自身、都下の東村山市というところに住んでおります。そして、朝六時に家を出て、この国会に来るのに大体一時間半から二時間かかる状態でございます。東京の渋滞問題、まだまだ依然として深刻な問題があると考えておるところでございます。この渋滞を解消するためには、首都圏の三環状線と、そして放射線道路、また、それにアクセスをする南北道路等の抜本的な整備が必要であると考えておるところでございます。

 つきましては、多摩の環状線の一つであります東京外郭環状線の、関越から東名までの間でございますが、着手見通しについてお伺いをしたいと存じますが、よろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 東京外郭環状道路は、委員の御指摘のように、三環状の中でも最も重要な環状道路ということでございます。交通渋滞の緩和だけでなく、東京圏全体の都市構造を改編していく、再生していくということに関して不可欠な路線と認識をさせていただいております。

 東京外郭環状道路の関越道から東名高速までの間、延長約十六キロメートルでございますが、平成十三年に、高架構造での従来の計画案を地下構造に変更する計画のたたき台を公表させていただきました。その後、PI外環沿線協議会等さまざまな場を活用して、沿線の住民の方々や関係する自治体等から幅広く意見を聞きながら、その必要性等の検討を行ってきております。

 この検討結果を踏まえまして、昨年の九月でございますが、国と東京都は、おおむねのルート、構造及びインターチェンジの設置についての考え方を取りまとめさせていただきまして、公表をさせていただきました。

 その後、現在までに、より詳細なルート、構造を示した計画概念図や建設に伴う環境への影響についての調査結果を公表させていただきました。あわせて、意見を聞く会やオープンハウス等を通じて、さらに沿線住民の方々や関係する自治体等から意見をお聞きしながら、詳細な計画の検討を進めているところでございます。

 今後とも、東京都と十分調整をしながら、都市計画変更の手続に向けて、必要な検討を進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。地元と十分調整した上で、できるだけ早く着工できるようにお願いを申し上げたいところでございます。

 次に、二、三、具体的にお伺いをさせていただきたいと存じますが、圏央道及び外環への多摩地区からの主なアクセス道路となります新青梅街道の拡幅、そして、関越道にアクセスする目白通りの延伸、いわゆる放射七号線の見通しはいかがでしょうか。

 また、さらに、関越道や中央道を南北に結ぶ主なアクセス道路となります府中所沢線の現在の状況及び今後の見通し、そしてまた、予想される国の支援の考え方をお教えいただければ幸いでございます。

柴田(高)政府参考人 圏央道、東京外環を初めといたします自動車専用道路は、既存の幹線道路網とアクセス道路を介して結ばれますことによりまして、大きな整備効果が発揮できるものでございます。

 御質問の新青梅街道線、目白通りの延伸は、多摩地域から圏央道及び東京外環への主要なアクセス道路でございます。多摩地域を東西に結ぶ重要な路線でございます。

 まず、新青梅街道線でございます。

 これにつきましては、全体延長約三十三キロメートルでございます。練馬区と西東京市の境から青梅市の日向和田地区でございます。このうち、約二十二キロメートル、これは練馬区から東大和市、それから瑞穂町から青梅市等が計画幅員で既に供用済みでございます。

 残る約十一キロメートルのうち、立川東大和線以西の約七キロメートル区間についてでございますが、平成十七年三月に、都市計画の変更、幅員十八メートルを三十メートルに拡幅が行われております。現在、案を公表し意見募集中の事業計画案、多摩地域における都市計画道路の整備方針、第三次事業計画案でございますが、におきまして、優先整備路線として、十八年度以降の十年間で優先的に整備する路線として位置づけられております。

 それから、目白通りでございます。

 これの延伸でございます。練馬区から埼玉県所沢市と東京都清瀬市の境までの間でございますが、全体延長約八・五キロメートル、東京都部分につきましては七キロメートルのうち、新東京所沢線の延長約一キロメートル、練馬区から西東京市間でございますが、事業中でございます。

 以下、二つの区間が平成十八年度から新規事業化予定と聞いてございます。一つは、放射七号線。これは延長〇・五キロメートルで、西東京市から西東京市と新座市との市境でございます。それから二つ目が、新東京所沢線でございます。延長二・二キロメートル、東京都清瀬市と埼玉県新座市との市境から東京都清瀬市と埼玉県所沢市の市境の間でございます。

 東京都の残り三キロメートルにつきましても、事業計画案におきまして優先整備路線として位置づけられているところでございます。

 埼玉県内の一・五キロメートルにつきましては、東京都の事業にあわせまして幅員等の都市計画を変更し、事業化する予定になってございます。

 次の路線、府中所沢線でございます。

 これは、関越道や中央道への多摩地域からの主要なアクセス道路でございます。多摩地域の主要な南北軸の一つでございます。全体延長は約十四キロメートル、府中市から東村山市間でございます。約六キロメートル、府中市から国分寺市、それから東村山市の間が供用中でございます。

 現在、約一キロメートル、小平市から東村山市でございますが、事業中でございます。

 残る二区間、七キロメートルが、事業計画案におきまして優先整備路線として位置づけられてございます。一つが、府中市と国分寺市の市境から青梅街道線、小平市までの間。二つ目が、新青梅街道、これは東村山市から東村山市と所沢市の市境でございます。この区間のうち、国分寺市内の延長二・五キロメートルで、現在、東京都条例に基づくアセス手続中でございまして、本年中に都市計画変更、幅員二十八メートルを幅員三十六メートルということでございますが、予定でございます。

 国といたしましても、これらの路線の重要性を認識いたしておりまして、事業中区間につきましては、国庫補助金、地方道路整備臨時交付金により支援をいたしてございます。この他の区間も含め、速やかに事業が図られますよう、引き続き積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。

 なお、街路事業による国の補助率は二分の一、地方道路整備臨時交付金による事業費に対する国費の割合は、十分の五・五となってございます。

 これら事業に対する来年度の補助額につきましては、現在、要望内容を精査いたしているところでございまして、事業の重要性に留意しつつ検討を進めてまいりたいと考えてございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。今後とも、御支援のほどをよろしくお願いしたいと思います。

 また、支援といえば、都県境をまたぐ幹線道路について、もう一件お伺いをしたいと思います。

 実は、私の地元に近い所沢市には、所沢市から長野の茅野までの、古くは所沢茅野線と言った、今現在、飯能所沢線と言っている道路があるわけでございます。そして、これは本来は、放射線状の道路として東京都心まで入る予定のものだったはずなんですが、昭和四十四年、東京都は都心部の混雑、渋滞を嫌いまして、所沢までで線をとめてしまった。それに対応する道路としては、都計道路が、東村山から都心へ向かって放射線状にあるという道路でございます。

 本当の五百メーターぐらいが実は都計道路がないという状況でございますが、仮に大震災が東京で起こったとすれば、群馬あるいは長野、埼玉方面から救援物資の届く重要な路線だと考えられるわけでございますけれども、最近、それにつきまして東京都が積極的になりつつあるというぐあいに聞いております。東京都が積極的になったというその条件のもとでではございますけれども、都内導入について、今後の見通しをお伺いいたしたいと存じます。

柴田(高)政府参考人 都市計画道路飯能所沢線でございますが、埼玉県西部の広域的な幹線道路として、所沢市内において整備が行われてございますが、御指摘のように、現在、都県境から東京都側に接続する道路は都市計画決定されてございません。

 東京都では、現在、先ほど申しました多摩地域における都市計画道路の整備方針、第三次事業計画案を公表いたしまして、意見募集中でございますが、この中で、飯能所沢線の延伸区間を初めとする都県境周辺の道路ネットワークのあり方の検討を進め、都県境を越えた道路網の拡充に努めていくというぐあいにされてございます。

 飯能所沢線が多摩地域の骨格を形成する府中所沢線まで接続されますと、都県をまたがる広域的な交通等を処理することが可能となるため、今後、東京都におきまして都市計画決定が進められ事業化されますれば、国といたしましては、事業の重要性等を踏まえ、適切な支援を行ってまいりたいというように考えております。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 実は、十年前にも、当時の建設省が、都県境を挟む幹線道路の整備について実は一千億予算をつけたことがあるんですけれども、東京都はそのときには間に合いませんでしたので、今後ぜひよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 次に、私は、都議会議員時代に、首都高速の新宿環状線から圏央道の青梅インターチェンジまで、自動車専用道路の必要性を強く訴えたことがございます。平成九年には、国土庁におきまして地方の高規格道路に位置づけられ、平成十年には、当時の建設省、第十二次道路五カ年計画にものせていただいたわけでございます。

 同時期にまた、横田基地の軍民共用化、あるいは返還された後の民間空港としての活用を提案したことがございました。当時、鈴木都知事でございましたけれども、鈴木都知事は、アメリカへ渡られまして、軍との交渉もしていただきました。当時の米国のお答えは、厚木と横田、どちらか一つ返還することは可能であるという答えであったわけでございますが、その後、世界的な軍事バランスの変化、あるいはフィリピン等の米国軍事基地の使用状況の変化等がございまして、中断されておりました。最近、石原都知事によりまして、また近い将来の民間利用が取り上げられるようになってきております。

 民間空港としての横田の活用には、国道十六号線のさらなる拡充、拡幅とともに、首都圏中枢と空港間の高速道路の必要性が火を見るよりも明らかとなってまいります。高速道路としての多摩新宿線の将来の可能性など、北側大臣に所感をお伺いしたいと存じますが、よろしくお願いします。

北側国務大臣 多摩新宿線の構想でございますが、もう言うまでもございませんけれども、平成八年に、東京都による調査が行われて、その調査結果が公表をされているところでございます。

 交通混雑が激しい多摩地区の東西方向の交通を改善する上で、一定の効果が期待できるという道路計画であると考えられますが、現在、地域高規格道路の候補路線という位置づけがなされているところでございます。

 東京都の交通問題でございますが、最優先は、やはり先ほど来話が出ております環状道路ですね。環状道路の整備をしっかりと進めていくこと、これがやはり最優先の課題というふうに認識をしております。ですから、圏央道や東京外郭環状道路等の整備の進捗をまずしっかり進めながら、それを見つつ、今おっしゃっておられます多摩新宿線の路線につきましても、都とよく協力をいたしまして、必要な検討を進めさせていただきたいと考えております。

清水(清)分科員 大変ありがたいお言葉でございます。環状線の整備の後ですね。当時は、東京都はかなり盛り上がったんですけれども、今は鎮静化しておりますので、やむを得ないと思っております。ただ、大臣が議員生活を送っておられる間に必ずこれは実現していただきたい、このようにお願いしておきたいところであります。

 次に、自動車交通以外に多摩の公共交通に目を移してみたいと思いますけれども、多摩都市モノレールがございます。多摩都市モノレールは、上北台以西につきましての延伸計画、これは東京都の財政事情によりまして停止しておりますけれども、道路特定財源の活用などを含めて、国としての支援はどのようにお考えなのか、お伺いを申し上げたいと思います。

柴田(高)政府参考人 都市モノレール、新交通システムでございますが、自動車交通を代替し、道路交通の補助的機関として道路交通の一部を分担していることなどから、国におきましては、道路特定財源によりまして、支柱だとかけたなどのインフラ部分を道路として整備する、いわゆるインフラ補助制度により補助を行っております。

 多摩都市モノレールは、自動車交通を代替することによる道路交通混雑の緩和、多摩地域南北方向の公共交通網の充実、核都市間相互の連携強化、自立性の高い地域形成を図ることを目的といたしまして、インフラ補助制度によりまして、立川北から上北台間約五・四キロメートルが平成十年の十一月に、多摩センターから立川北間約十・六キロメートルが平成十二年一月に完成いたしまして、供用いたしてございます。

 委員御指摘の上北台―箱根ケ崎間約七キロメートルにつきましては、平成十二年一月の運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年度までに整備に着手することが適当とされているところでございますが、事業主体でございます東京都におきましては、御指摘のような財政の問題、そして、多摩都市モノレール株式会社の経営環境などの厳しい状況が続いていることを踏まえるとともに、周辺の開発動向等も勘案しながら、輸送需要や会社の経営、事業の採算性などの問題を踏まえ、さまざまな角度から検討していくことが必要であるというぐあいに考えてございまして、事業の進捗はまだ図られていない状況でございます。

 多摩都市モノレールの延伸に関しましては、東京都のこのような考え方、状況、検討を見守っていくとともに、東京都におきまして事業化が図られる場合には、事業の重要性等を踏まえまして、道路特定財源を活用したインフラ補助制度により、適切な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げました横田基地の問題等もございまして、モノレールは必要になろうかと存じます。また、国の方の法律の問題でいけば、新交通システムとして、現在は道路としての位置づけでございますけれども、公共事業としての支出も可能性はあるのではないかと思っておりますので、また、先ほどの青梅街道の拡幅、これについては、地元はモノレールの導入空間を広げたというぐあいに理解しているところもございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 また、公共交通の柱としては鉄道があるわけでございます。踏切の問題も国民生活にとって大変大きな影響を及ぼす問題でございます。

 私の地元には、実はこんな危険な踏切があります。三本の鉄道の線路と五差路の交差点が一緒になっている、つまり、鉄道の踏切の中に五差路の交差点があるという踏切があるわけでございます。

 このように、今なお危険な踏切が数多く存在していると考えられますけれども、国土交通省としては踏切対策にどのように取り組むおつもりなのか、お伺いをさせていただきます。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、踏切対策というのは、国土交通省としても、重点施策の一つとして取り組ませていただいておる次第でございます。

 全国で踏切が約三万六千カ所ございますが、現在、全国の道路管理者及び鉄道事業者の協力を得て、全国のすべての踏切を対象に踏切交通実態の総点検を実施させていただいております。委員御指摘の西武新宿線の五差路の踏切につきましても、東京都が平成十六年六月に策定した踏切対策基本方針において、歩行者交通の著しい踏切ということで該当されているということをお聞きしております。

 今後は、こうした総点検を踏まえ、あかずの踏切だけでなく、自動車交通の著しい踏切、歩行者交通の著しい踏切等の緊急対策が必要な踏切箇所を抽出してまいる所存でございます。道路管理者と鉄道事業者に、地域の実情に合わせた五カ年の整備計画を策定していただき、歩道拡幅等の速効対策と連続立体交差等の抜本対策の両輪によりまして、総合的な対策を緊急的かつ重点的に推進させていただきたいと考えております。

清水(清)分科員 大変御懇切な御答弁をいただきましたが、実は、私も、その後にあかずの踏切についても質問しようと思っておったんです。

 簡単に申し上げますが、あかずの踏切対策については、連続立体交差化が有効であると思います。国土交通省としては、新たな支援を考えられていると思いますけれども、この新たな支援策も含めてどのように進めていかれるのか、お伺いをさせていただきます。

柴田(高)政府参考人 踏切対策につきましては、道路局長の方から、抜本対策と速効対策の両面でスピードアップをして努めていきますというお話がございましたが、連続立体交差事業につきましては、踏切除去によります安全確保、道路交通円滑化のみならず、市街地の分断要素を解消いたしまして市街地の活性化を図る極めて重要な事業でございまして、抜本対策の主軸として重点的に実施いたしてございます。

 連続立体交差事業は、事業主体でございます地方公共団体だけではなく、高架下受益等の受益に応じまして、鉄道事業者も事業費の一部を負担する事業でございます。今後、連続立体交差事業によりますあかずの踏切等の踏切対策をさらに推進する必要がある中、平成十八年度より、事業者の積極的な参画を得るインセンティブといたしまして、事業者の負担に対しまして長期無利子資金を貸し付ける無利子貸付制度の創設を図ることといたしてございます。

 今後とも、あかずの踏切等の解消に向けまして、これら新たな支援策を活用しつつ、連続立体交差事業を積極的に推進してまいりたいというぐあいに考えてございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 私の質問、最後になりました。もう一度大臣に御足労いただきたいと思いますけれども、都市基盤整備として道路整備を進めていく、このことにつきましては、私は、今後とも道路特定財源は重要な財源だと考えております。道路特定財源の見直しについて、北側大臣の見解と今後の御抱負、お聞かせいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

北側国務大臣 委員も御承知のとおり、昨年末に、道路特定財源の見直しに関する基本方針、これは政府・与党で取りまとめをさせていただいたところでございます。歳入歳出一体改革の議論の中で、この道路特定財源の見直しについて、本格的な議論がこれから始まってくると考えているところでございます。

 ただ、一つ申し上げたいことは、この見直し論議がどういう方向になるにせよ、これはもう東京だけではなくて、全国あちこちに道路整備のニーズというのは非常に強いものがございます。道路がつながることによって、地域経済の振興、地域の連携、また緊急輸送道路として極めて重要な道路、したがって早く整備してもらいたい、こうした御要望はもう全国のあちこちにあるわけでございます。

 私は、この道路特定財源の見直し論議は論議として、それがどういう方向になるにせよ、道路整備の必要性、重要性というのは何ら変わるものではないという認識をしております。政府・与党の取りまとめの中でも、これからも真に必要な道路は整備していくというふうにうたっているわけでございまして、仮に一般財源化というふうになったとせよ、それは一般財源で整備するだけの話でございまして、しっかりと道路整備はこれからも、コスト縮減はもちろんしっかり進める必要がありますが、道路整備はしていく必要があると考えております。

 また、今回の道路特定財源の見直し論議の中で、やはり納税者、この道路特定財源というのは自動車ユーザーの方が負担していただいている税金でございます。この納税者の方々の御理解をいただくということがやはり大前提でございまして、この理解を得られる範囲でしっかりこの論議を進めさせていただきたいというふうに考えております。

清水(清)分科員 大変ありがとうございます。大臣のお言葉の中にもありましたように、各地で本当に切実な要望がまだまだたくさん山積しております。そしてまた、お話のように、車を利用される方の納税者としての意識もございますので、ぜひこの点を整合のとれた施策ということでお願いしたいと思います。

 また私ども細かいことまで御要望させていただくことがあるかと存じますが、今後ともよろしくお願い申し上げまして、本日の私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて清水清一朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、鍵田忠兵衛君。

鍵田分科員 奈良の鍵田でございます。

 私もこうやって質問させていただくのはきょうが初めてでございますが、分科会ということでございますから、奈良県を中心とした、地元を中心とした質問を少しさせていただきたいと思います。

 まず、京奈和自動車道についてお尋ねをさせていただきたいわけであります。

 ちょうど今から二十年ほど前に、私どもの父が衆議院議員をやらせていただいていました。そのとき、私も第二秘書で東京へ出てきておったわけでありますが、そのときに、近畿の白地図を買ってこいとおやじに言われたわけであります。そして、おやじさんは何をするのかなと思ったら、京都から奈良、奈良から橿原、五條そして和歌山、和歌山から当時計画中でありました関西国際空港、そして湾岸をずっと通って大阪、そして神戸へ上がって、神戸から三田、三田から京都へと一つの円を描きました。

 おやじさん、これはどうするんですかと。近畿の自民党の議員の先生方に集まってもらって、議連をつくろう、奈良は南北に長い県であって、背骨道路がないから、やはり奈良県の国会議員だけでやいやい言っていてもなかなか無理だから、近畿の皆さんに集まってもらってやろうじゃないかと。そして、自民党の中で、関西大環状幹線道促進議員連盟というのができたわけであります。当時の会長が大阪の原田憲先生でございました。そして、私どものおやじが幹事長をやらせていただいていたわけでありますが、それがもとになって、今の京奈和自動車道ができてきたと私は認識しておるわけでございます。

 さて、その京奈和自動車道の中で、ルート区間において、大和北道路、私の地元である奈良市なんですが、このルート決定がなかなかなされませんでした。御承知のように、世界遺産に登録された平城宮跡がございました。ほかのルートは早く決定されたわけでありますが、大和北ルートが決定されなかった。その中で、先般、正式なルート決定がなされました。非常にありがたく思っております。

 このルート決定には相当時間がかかったわけでありますが、この奈良市と、奈良県の中の、大臣なんかも御存じだと思うんですが、大阪の柏原ではなしに、奈良に橿原というのがございます。橿原神宮の橿原があるんです。この間が約二十キロなんですが、ふだん、車で走ると約一時間かかります。二十キロということは、六十キロのスピードで走ると二十分で走れるんですね。どうしても奈良にとって必要な道路。その中で、大和北のルート決定がされたということを非常に今ありがたく思っておるわけでありますが、この大和北道路はこれからどのように進んでいくのか。

 聞くところによりますと、県の都市計画決定までまだ約二年かかる、それから国としても動いていくというお話でございます。何とか早く着手できるように工夫をしていただきたいと考えておるわけでございますから、これからの大和北道路の開通までの見通し等をまずお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員の方から、今、京奈和自動車道の経緯等について、大きな、近畿圏全体の環状を形成するというような、近畿圏全体の発展のために不可欠なというようなお話をいただきました。

 京奈和自動車道の一部として大和北道路というのは位置づけられているということでございます。交通渋滞の解消のみならず、県政の発展のために不可欠な路線というようなことでございますし、また、京都から奈良を経て和歌山に至るというような、大きな幹線道路でございます。

 そうしたことでございますが、検討されているルート周辺には、古い都ということでございますので、世界遺産にも登録されている平城宮跡を初め、極めて貴重な文化財が存在するということで、文化財の保全と調和のとれたルート、構造の計画策定が求められているということで、多少時間がかかってきているということではないかと思っております。

 平成十六年度より、奈良県が主体となって環境影響評価手続に着手してきておりまして、先月、環境影響評価の検討対象となる計画案を絞り込んでいただいたところでございます。

 国土交通省としましては、今年度末、三月末を目標に、環境影響評価準備書の作成に必要な資料を奈良県に送付させていただきたいと考えておりまして、現在、資料送付の準備を進めさせていただいているところでございます。

 委員御指摘のとおり、通常の道路事業の場合、特段の問題がなければ、資料送付後、二年程度で都市計画決定が行われるということでございます。

 都市計画決定は奈良県が主体ということでございますが、私ども国土交通省としましても、環境影響評価及び都市計画決定がスムーズに進むよう協力してまいりたいと考えておる次第でございます。

鍵田分科員 どうもありがとうございます。

 谷口道路局長は、近畿地建の元局長でもございましたから、奈良の道路事情ということをよく知っていただいておると思います。本当に、奈良の道というのは非常に悪い。そしてまた、高速道路というのが四十七都道府県の中で最下位の延長距離でございます。また、奈良市においては高速道路がないという、大変道の悪い奈良でございます。

 この京奈和自動車道というのが、奈良にとって、いろいろな経済の関係等々、そしてまた観光にも非常に役立つ道路になってくるわけでございますので、奈良県が都市計画決定を打った後、スムーズに工事が着工できることをよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 さて、その京奈和自動車道について、今度はそのアクセス道路について質問をさせていただきたいわけであります。

 私も、奈良の市長を経験させていただきました。その中で、各自治体の市町村長さんというのが非常に御苦労をしておられるということを私もよく存じ上げております。その中で、高規格道路等については、地元負担の財源不足が深刻な問題になってきております。奈良県の観光が大きな特色となっておる中で、多くの文化財を有しておりますが、これを生かすためにはやはり道路がどうしても必要でございます。

 奈良インターチェンジのアクセス道路に至っては、奈良市の年間予算、一般会計は約一千億でございますが、それに対して、アクセス道路分が約二百億ぐらいかかるだろうと言われております。これを奈良市単独でやれといっても、なかなかできる状況じゃないと思うんですね。

 本格的な地方分権に向けて進んでいる現在、移行期間と言えるこの時期に、将来に向けての計画を立てるとしても、各自治体は非常に困惑をしておると思います。そのあたりについて、道路局長のお考えをお聞かせいただけたらありがたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの大和北道路の整備効果を十分に発揮するためには、大和北道路のインターチェンジに接続する道路が整備されていることが必要不可欠であるかと思います。

 また、先ほど委員の御指摘ございましたように、古い都で日本で一番最初に道路ができたということでございますので、新しい世紀にふさわしいような道のつくり方、もちろん、平城宮跡との調和を図りながらという中で、県、市と十分連携をとりながら、アクセス道路につきましても十分な対応をさせていただきたいと思っておる次第でございます。

 現在の計画案では四カ所のインターチェンジが計画されているということでございまして、四つの計画道路というようなことが位置づけられているということでございます。市の単独事業では非常に厳しいというお話もいただきました。我々としましては、地元県、市から補助等の要請がございましたら、最大限支援をさせていただきたいと思っておる次第でございます。

鍵田分科員 どうもありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 今、局長もおっしゃったように、日本で一番最初に道路ができたというお話がありました。奈良の平城京には、朱雀大路という道路がございました。距離が三・七キロ、そして幅が約百メーターあった舗装道路でございます。並木もついていたわけですね。千三百年前にそういった道路が奈良にあったわけであります。その奈良県の今の道路事情が非常に悪い。ぜひ、これからも御指導をよろしくお願い申し上げます。

 さて、続きまして、連続立体交差事業、先ほども清水議員からも質問があったわけでありますが、あかずの踏切、そしてまた、この連続立体交差事業について質問をさせていただきたいと思います。

 この問題には私も市長の時代から地元で大変苦労をしておったわけでございますが、地域住民といたしましては、やはり生活道路として使い勝手のよい踏切は残してほしいという意見が圧倒的に多く、一方また、鉄道事業者は、安全性確保という面から一つでも多くの踏切を閉めたいという考えを持っておられます。奈良県の連続立体交差事業の進捗状況、まず、これについて御説明をお願いしたいと思います。

 そしてまた、もう一点質問をさせていただきますが、踏切は、結局、高架化もしくはアンダーないしは閉めるという選択肢しかないわけでございますが、国としても、鉄道事業法の改正、あわせて踏切道改良促進法の改正など、立体横断施設の整備を追加し、補助対象の拡大や連続立体交差事業に係る無利子貸付制度の創設など、非常に努力をしていただいておることもよくわかっております。

 しかし、平成十八年度の予算を見ると、踏切道対策は、事業費三千七百七億円であり、うち連続立体交差事業は事業費ベースで千七百六十七億円にしかすぎず、無利子貸付制度の創設といっても、国費二億円程度の貸付枠では、全国の踏切問題に対応しようといたしましても、なかなかおぼつかないのではないでしょうか。

 早期に踏切の渋滞緩和、これをすることによる効果は、環境問題や経済波及効果を考えるとはかり知れないメリットがあることはわかっております。ならば、国策として道路整備と同じぐらいの考え方で臨むべきだと考えておるわけであります。早期にやるべき課題ですから、早くやるためにどうするか。例えば、鉄道事業者に対して税制面でのインセンティブを与える、または地元負担を考えて、現行の補助制度の拡充などいろいろと考えられると思うのですが、その辺についてお答えをいただけたらありがたいと思うんです。

柴田(高)政府参考人 連続立体交差事業の奈良県の関係でございますが、奈良駅周辺におきますJR関西本線桜井線連続立体交差事業は、ボトルネック踏切一カ所を含みます六カ所の踏切を一挙に除去する事業でございます。都市内の交通を円滑化するとともに市街地の分断要素を解消することにより、県都奈良市の中心市街地を活性化する重要な事業であるというぐあいに考えてございます。

 当該連続立体交差事業は、平成七年度に着工準備を採択いたしております。平成九年度より事業に着手しておりまして、平城京遷都千三百年に当たります二〇一〇年の高架化完了を目途に、工事の進捗を図っているところでございます。

 当該事業の進捗により都市内の交通の円滑化と中心市街地の活性化が早期に図られますよう、国土交通省といたしましても積極的に支援してまいりたいと考えております。

 続きまして、連立交差事業についての支援の関係でございます。

 国土交通省といたしましては、踏切の解消の抜本対策の中心となります連続立体交差事業の推進を図るべく、厳しい財政状況の中でございますけれども、所要の予算の確保を図るとともに、これまでもいろいろと制度改正をやってきております。

 一つは、平成十三年度には、地方公共団体にかわりまして、鉄道事業者が事業費の一部を立てかえて工事を施行する立てかえ施行制度の創設を行っております。また、立てかえ資金や鉄道事業者の負担に対する道路開発資金による貸付制度の創設を図っております。

 二つには、平成十七年度には都道府県、政令指定都市に限定されておりました連続立体交差事業の施行者を県庁所在都市、人口二十万人以上の都市及び特別区に拡充をいたしておりまして、資金面、体制面の制度の充実も図ってまいりました。

 来年度、平成十八年度予算におきましても、御指摘ございましたが、事業者に対します無利子貸付制度の創設に加えまして、地方公共団体の体制と資金の両面を支援する立てかえ施行制度について新たに充実をすることにいたしてございます。従来、鉄道事業者に限定されておりました立てかえ施行者の対象を、特別目的会社、第三セクターなどに拡大する拡充を図ることといたしてございます。

 今後とも、御指摘の点も踏まえながら、さらに連続立体交差事業の踏切対策が促進されますよう、適切に制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

鍵田分科員 どうもありがとうございました。

 ただ、今奈良県内でも連続立体交差事業をやっている中で、観光シーズンを迎えるに当たって跨線橋を今落としておりますから、渋滞が非常に激しくなっております。まずこの連続立体交差事業が、二〇一〇年目標、これはもう当然初めからの目標でございますが、やはり一刻も早く完成するように御努力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 では、続きまして、北側大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 私も国土交通委員会の委員でございますので、以前から大臣に質問をさせていただきたいといつもかねがね思っておったわけでありますが、なかなかそのチャンスがめぐってこなかったわけであります。本日は、この予算委員会の分科会の中で大臣に初めての質問をさせていただきますので、何とぞいい答えをよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 さて、北側大臣は奈良のお隣の大阪府選出でございます。また、石田政務官はそのお隣の和歌山でございます。近畿ばかり三人おるわけでございますが、その中で、奈良のことはよく御理解をいただいていると思うわけでございますが、古都奈良から見てみると、今まさに国として進めておられますビジット・ジャパン・キャンペーン、これについて二点ほどお聞かせをいただきたいと思います。

 昨年は愛知万博等もありまして六百七十三万人という外国からの観光客が日本を訪れられました。これはまさに万博効果もあったんではないのかなという思いがするわけでありますが、次のテーマもしくは目玉商品と言えるものを、二〇一〇年までに一千万人の外国人旅行客を誘致するという、これは大変な数字だと思うんですが、その辺、今後の目標達成に向けてお取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 今政府を挙げましてビジット・ジャパン・キャンペーンに取り組んでいるところでございます。今委員がおっしゃったように、二〇一〇年に海外からの訪日の観光客を一千万人にしようということで取り組みをさせていただいております。

 昨年は六百七十三万人と過去最高の訪日外国人がいらっしゃいました。ことしは、この二〇〇六年は、目標としてはちょっと高い目標なんですが、七百五十万という目標を設定させていただいております。さまざまな取り組みをしようということで今進めているところでございますが、この六百七十三万、昨年の六百七十三万を見ましても、圧倒的にやはり近隣の諸国が多いんですね。一番が韓国、そして二番が台湾、三番がアメリカ、四番が中国でしょうか、その次は香港かな。いずれにしましても、近隣のアジアの諸国から多くの観光客が日本にいらっしゃっておられます。やはりここをもっとふやしていかないといけないと思っておるんです。

 特に中国ですね。中国は今すごい経済発展をしておりますので所得も高くなっている層がすごく多くなっております。中国という国はけたが一けた我が国と違いますので、所得の高くなった層が小さいといっても、それが何千万というふうな単位になるわけでございまして、その方々が今非常に海外旅行に行っていらっしゃいます。中国側の話によりますと、年間に三千万人も海外に行っているというんですよ、中国人。

 ところが、我が国にいらっしゃっている中国人というのは六十万ちょっとなんですね。ごくわずかしか来られていない。私は、もっと中国の方々が日本に来ていただけるようにすること、私は相互理解を進めるという意味でも非常に大事なことだと思うんです。中国の方々は日本のことを余り知りません。もっと日本のことを知っていただくためにも、中国の方々が自分の目で日本というものを見ていただくためにも、中国から多くのお客様を迎えたいというふうに考えています。

 そういう意図もございまして、昨年、中国の観光担当大臣とも何度も会談しているんですが、ことしを日中観光交流年にしようという合意をさせていただきました。今さまざま進めさせていただいておりますが、中国から多くの観光客を日本に迎え入れられるような政策を今進めようということでやっております。この日中観光交流年をぜひ成功させたい。

 特に、去年の七月から中国は、日本に来るビザが、中国全土で団体観光旅行のビザが発給されるようになったんですね。ですから、それが本格的に効果があらわれてくるのはことしだというふうに私は認識をしておりまして、しっかり取り組みをさせていただきたいというふうに考えております。

 また、今一番韓国の方が日本に来ていただいておるんですが、韓国の方々は、逆にリピーターの方が多いんですね。富士山を見るというのではなくて、本当に日本のあちこち、地域に行っていらっしゃっておられます。この韓国の方々にもさまざまな商品の提供をしていく必要があるとも思っておるところでございます。

 中国と韓国と日本と、日中韓の三国間の観光交流をさらに拡大しよう、また、それぞれの国にとって観光の拡大をしていく連携をしっかりやっていこうという趣旨もありまして、今、ことしの七月ごろに予定しているんですが、日中韓の観光大臣会合というのを年一回やろうじゃないか、年一回というか持ち回りでやろうというふうに、これも昨年来交渉してまいりまして、合意いたしました。第一回目を日本でやろうということで、日中韓の観光大臣会合をこの七月にも日本で開催させていただきます。

 そのときには、単に大臣が集まるだけではなくて、民間の観光関連にかかわる方々も日中韓三国集まっていただいて、民間の会議もそこでやる、それから、商品の相互の提供もし合うというふうなこともしていきたいと思っているんですが、ぜひこれも成功させたいというふうに思っているところでございます。

 さらに、ことし力を入れようと思っていますのは、教育交流なんです。これは日中、日韓だけに限りませんが、修学旅行等々、教育交流を、子供たちの、若い青年の人たちの交流を拡大することが、これは相互のリピーター、将来のリピーターをふやすことになるわけでございまして、また、相互の理解を進めるという観点でも非常に大事ですし、今、文部科学省、総務省なんかとも連携をとりながら、この教育旅行の拡充をしっかりやろうということで、昨年の十二月に訪日教育旅行促進全国協議会というのを関係各省と連携して政府に設置させていただきまして、教育旅行の誘致、学校交流の受け入れ促進をしっかり図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 まずは、ことしはそんなことをいろいろ考えておるわけでございますが、二〇一〇年に向けましても、しっかりとこの一千万の目標を、これは本当に、今委員のおっしゃったように、そんな簡単な目標ではございません。この目標を達成するために、工程表もしっかりつくっていこうということで、例えば、来年ですと、我々関西の地元でいいますと、関西空港が二本目の滑走路が供用開始になるわけですね、夏には。世界陸上が大阪で開催されます、というふうなイベントもございます。こういうのをうまく活用しようだとか、それから、二〇〇八年には北京オリンピックがあります。この北京オリンピックに世界から集まってこられます。中国だけ行ってもらうんじゃなくて、そのときに、ぜひ、行きか帰りに日本に寄ってもらいましょうよ、こういう戦略も考えておりまして、こういう工程表を二〇一〇年までしっかり描いて、このビジット・ジャパン・キャンペーン、二〇一〇年の一千万というのをしっかりと達成できるようにしていきたいと考えております。

鍵田分科員 大臣、どうもありがとうございます。

 先ほどお話のあったビザの問題、奈良というのは陝西省の西安市と姉妹都市を結んでおり、西安市にも私もラオポンユーが多いんですが、そんな中で、なかなかビザがおりない、ビザをもらおうと思ったら、上海や北京に出ていかなきゃいけない。だから、これは本当に大きなことだと思うんですよね。だから、それによって中国の方もまたたくさん来られるだろうし、今、ことしの日中観光交流年、そしてまた、日中韓の観光大臣会議ですか、非常にすばらしいことだと思います。

 ただ、やはりまだまだ、先ほども大臣もおっしゃいましたけれども、一千万という非常に大きな目標でございます。そんな中で、一つ提案でございますが、実は二〇一〇年というのは、奈良にとっては非常に大きな節目の年になります。奈良だけじゃございません、日本にとっても大きな節目の年になると思います。といいますのは、西暦七一〇年に藤原京から奈良の平城京に都が遷都されて千三百年目の年を迎えるわけでございます。

 この平城京遷都千三百年、この事業を、奈良県として、どうしても大きな事業にしよう、国民的な事業にしようと。私も県会議員をずっと初めやっておりましたから、そのころから奈良県が取り組んでやってまいりました。昨年、遷都千三百年の協会も立ち上がったわけであります。この協会の会長を関経連の会長が今やっていただいています。ということは、奈良県だけの事業じゃないんだ、関西を挙げてやろう。そこへ国もぜひ参加していただいて、その一千万人に届くように、この平城京遷都千三百年事業というものをとらえていただけたらどうだろう。

 特に、先ほども申し上げましたが、北側大臣も大阪、そしてまた、石田政務官も和歌山でございます。近畿圏の活性化のためにも、この千三百年というのを一つの大きな事業にとらえてやっていただければ非常にありがたいと思っております。

 平城京遷都千三百年事業とリンクさせて、ビジット・ジャパン・ラストイヤー・イン奈良というように銘打って、一大イベントとして活用していただければ非常にありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。やるからには最大限の努力と最高の結果を残していきたい。単純な発想なのでありますが、当然、波及効果は、これは先ほども申しましたけれども、近畿だけでない、全国に広がると思っております。どうぞ、北側大臣の率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 観光立国、また観光立県というのは、経済的な効果も大変大きいものがあります。私は、やはり観光というのは二十一世紀のリーディング産業にしていかなければならない、またできるというふうに考えておるんですが、また、相互交流、相互理解を進めていくことでも大変重要な意味を持っているというふうに思っているんです。

 観光を振興していくための幾つかのポイントがあるかと思うんですが、一つは情報発信ですね。我が地域は、我が県は、こういうすばらしい観光の、他地域の方々が来ていただくと本当に楽しんでいただけるこういうものがありますよという情報発信ですね、この情報発信をしっかりとうまくやっていかないといけないと思うんですね。もう一つは、地元の側の、魅力ある地域にしていこう、住んでよし、訪れてよしの本当に魅力ある地域にしていこうという努力、この取り組み、この二つが私は非常に重要だと思うんです。

 私も、奈良県はすぐ隣でございますので、特に私、堺ですから、先ほど、日本で一番古い国道というのは、実は、私の地元の堺から飛鳥まで通っている、これは竹内街道というんですが、これが日本最古の国道というふうに言われているんですが、そういうこともあって奈良のことはよく知っているんですけれども、率直に申し上げますと、奈良県は、余りにも観光の財産が多過ぎて、情報発信が本当に下手やなというのがかねてから思っているんですね。京都の方は、もう本当にうまいんですよ。海外の人も、京都と言うのに奈良と言わないんですね。知られていないんです。私から見れば、京都よりも奈良の方がよっぽどいいなと思うところがいっぱいあるわけでございますけれども、情報発信が本当に下手。

 そして、奈良の方々が、二つ目の、自分たちの地域を本当にもっといい、他地域の人が来たときに喜んでもらえるような、そういう地域にしていこうという努力も、率直に申し上げると、欠けていると思うんです。ちょっときついことを言っておりますけれども、元市長だから、あえて言わせていただいているんですが。

 例えば、奈良県は、私もびっくりしたんですけれども、旅館、ホテル、この数が全国でたしか、びりか、びりから二番目か、それぐらい数が少ないんです。あれほどの観光財産があるにもかかわらず、宿泊の施設が全国四十七都道府県の中で極めて少ない。

 だから、ぜひそういう取り組みを地元で、先ほどおっしゃった二〇一〇年平城京遷都一千三百年、大変な佳節でございまして、その佳節に合わせて、ぜひ地元としても、我々もしっかりと国としてもサポートをさせていただきたいと思いますので、魅力ある観光地づくりを進めていただきたいというふうに願っております。

鍵田分科員 もう時間が終わっておるわけでありますが、さて、大臣、本当にありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、本当に奈良というのはPRが下手です。昔から大仏商法という言葉もございます、大仏さんさえあれば人が寄ってくるんだと。奈良には、世界遺産に登録されたものが三つもございます、そしてまた、重要文化財、国宝等々が、東京、京都に次いで三番目に多い、千三百もの国宝、重要文化財が奈良にあるわけであります。それを本当に生かし切れていないんですね。

 私も奈良市長としてやりたいという思いがあったんですが、事情があって十カ月ほどで市長をやめたものですから、なかなかその辺ができなかったわけでありますが、しっかりと奈良県も取り組んでやらせていただきますが、どうぞ、先ほども申しましたけれども、ビジット・ジャパン・ラストイヤー・イン奈良というようなことも考えていただいて、千三百年事業を国家的プロジェクトにしていただいて、何とか成功して、そしてまた、一千万人の観光客誘致に御努力をいただけたらありがたいと思っております。どうぞ、これからもまた御指導をよろしくお願い申し上げます。

 これをもちまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

上田主査 これにて鍵田忠兵衛君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昭宏君。

太田(昭)分科員 公明党の太田でございます。

 昨年の三月十五日に東京足立区の竹ノ塚の踏切で大変な人身事故がございまして、約一年経過をしました。現在、緊急対策として、新たな歩道橋が間もなく完成するというところまで御尽力をいただいたわけでありますが、抜本対策である道路と鉄道の立体化について、連続立体交差事業の採択要件を拡充され、竹ノ塚駅周辺も対象となりました。

 そこで、一日も早く連続立体交差が進みますよう、東京都、足立区及び鉄道事業者への強力な支援をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

柴田(高)政府参考人 国土交通省といたしましては、あかずの踏切を初めといたしました踏切の対策を重要施策の一つといたしまして、抜本対策によります踏切除却と速効対策によります踏切交通の円滑化を車の両輪として、対策のスピードアップに努めております。

 抜本対策の主軸でございます連続立体交差事業につきましては、従来、都市内の混雑緩和の観点から、自動車交通の多い幹線道路の踏切を対象としてきたところでございますが、竹ノ塚駅周辺の踏切のように、歩行者交通の多い生活道路の踏切にも支援できますよう、来年度より新たに制度改正を図ることといたしてございます。

 東武伊勢崎線竹ノ塚駅周辺地区におきましては二カ所のあかずの踏切が存在いたしておりまして、平成十六年六月に東京都が策定いたしました踏切対策基本方針においても、鉄道立体化の検討対象区間として位置づけられておりました。

 当該地区におきます昨年三月十五日の踏切事故の発生を受けまして、まず緊急の対策といたしまして、自転車対応の斜路、エレベーターつきの歩道橋の設置、踏切の拡幅などを順次実施いたしております。来月末を目途にその整備を終えることといたしております。

 さらに、立体交差化の問題につきましても、東京都に対しまして、その検討を急ぐよう、昨年の事故後、要請をいたしておりまして、六月には、東京都、足立区、東武鉄道等に、国土交通省も参画する形で竹ノ塚駅付近道路・鉄道立体化検討会を発足させ、立体交差の形式や駅周辺のまちづくりについて検討をおこなっているところでございます。――失礼しました。申しわけございません。三月一日でございますので、今月末に緊急対策につきまして整備を終えることといたしてございます。失礼しました。

 国土交通省といたしましても、都内でも有数のあかずの踏切が存在する当該地区への対策は、緊急性が極めて高い重要なものであると認識いたしております。東京都、足立区に対しまして、引き続き、検討会の場を通じまして技術的助言をするなど、立体交差化の具体化に向けた検討が進むよう適切に支援してまいりたいと考えております。

太田(昭)分科員 日暮里・舎人新線がいよいよ十九年度開通ということなんですが、毎年のように私はお願いをしておりますが、十九年度というのは、十九年四月も十九年度、二十年三月も十九年度ということで、一カ月でも早くという地元の声があるわけですが、この進捗状況、さらに推進をしていただいて、少しでも早く開通ができるようにという御尽力をよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 日暮里・舎人線は、東京都区部の北東部の交通利便性を飛躍的に向上させる極めて重要な路線というふうに認識をしているところでございます。今精力的に事業を進めているところでございますが、東京都、また関係区では、平成十九年度の供用開始というのが目標でございます。国といたしましても、この十九年度の開業に支障がないように、また、今委員のおっしゃったように、少しでも早くなるように国としても全力で支援をさせていただきたいと考えております。

太田(昭)分科員 いよいよ、線だけでなくて周辺、また駅前広場というようなことの整備ということも急がなくてはならないわけですが、いろいろそれぞれ駅周辺について難題等がございます。そうした観点におきましても、適切な支援をよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴田(高)政府参考人 駅前の広場でございますが、公共交通機関との連携強化によります移動の円滑化の確保や市街地の活性化の核となる施設といたしまして、街路事業等によりまして重点的に支援を行ってございます。

 新交通システムの日暮里・舎人線の駅前広場といたしまして、足立区により整備されております江北駅及び見沼代親水公園駅の駅前広場は、新交通システムとバス等との結節機能の強化など、重要な役割を担う施設であるというぐあいに考えてございます。

 今後とも、新交通システムの整備に対する支援とあわせまして、両駅の駅前広場の整備が促進されますよう適切な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

太田(昭)分科員 昨年の七月二十三日に、東京で千葉県を震源とした地震がありまして、震度五強というのを、私の地元の足立区、また北区でそういう結果になったわけですが、特にエレベーターが東京ではとまるということが大変大きな問題となって、震度六強とかいうことを地震ということでは想定しながらの対応ということが全体的なんですが、都市部における地震対策というのは震度五前後であっても大変大きな問題であるということをしみじみ感じたわけです。

 そこで、そのときに私は、政府に申し入れをしたり、あるいは国土交通委員会でも質問したという記憶があるわけですが、六万四千ほど首都圏でエレベーターがとまり、そして閉じ込められた人が七十八件あったということで、そのときに、途中でとまらないで、最寄りの階といいますか、そこまでたどり着いて、そして人を出してからとまるというような、P波を感知して自動で最寄りの階に停止するという装置をやりますよということを国交省としてはたしか言ったという記憶があります。それが具体的にどういう進捗状況になっているのか、また、今後やるべきことがあったらどうなのか。従来のもの、古いもの、新しいもの、それぞれについて、私は、ここの対応というのはきちっと、こうやります、あるいはやりましたというようなメッセージをきちっともう一度発することが大事じゃないかというふうに思っておりますが、この点はどうなっているんでしょうか。

山本政府参考人 昨年七月の千葉県北西部の地震の発災に際しましては、非常に、発災直後から、大都市における震度五強、六弱といった地震に対する防災対策について的確な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 国土交通省におきましては、昨年の当初から、大臣のもとに住宅・建築物の地震防災推進会議というものを設置して、六月にこれは提言を取りまとめていただいたわけでございますけれども、その中で、地震の初期の振動を感知し最寄り階に停止させドアを開放する地震時管制運転装置の設置について、義務化も含めて必要な対策を検討すべきだと御指摘をいただいておりました。

 そういう検討をしている最中に七月の地震が発災したわけでございますが、その中で、七十八件の閉じ込めが発生しまして、そのうち七十三件が地震時管制運転装置つきのエレベーターだったということが起きてしまったわけでございます。

 このために、国土交通省は、社会資本整備審議会の建築分科会の中に建築物等事故・災害対策部会がございますけれども、そこでエレベーターの地震防災対策を御検討いただきまして、昨年の十月二十八日に対応方針案が提示されました。十二月に最終取りまとめという段取りで進めておったんですが、御存じのような耐震偽装の建築行政上の非常事態が発生しまして、まだ取りまとめができておりません。年度内にぜひ取りまとめたいと思っております。

 その中で、まず第一に、震度五弱程度までは運転継続ができるようにしたい。それで、エレベーターの耐震安全性を向上させることで、閉じ込めの根本的な低減が図れるということで、そういうことをまず一つ検討します。それから、初期微動の段階で作動して安全に最寄り階に着床、停止する、昨年御提言いただいたP波感知型の地震時管制運転装置の設置とか、それから、七月に閉じ込めが発生したのはほとんど、地震でドアがちょっと開いたためにまず緊急停止するという方が作動してしまって最寄り階まで行けなかったということがありますので、ドアが開いたかどうかを検知する安全装置をもうちょっと的確なものにするといったようなことを進めるということが指摘されていますので、これは、できるだけ急いで最終取りまとめをして前に進んでいきたいと思います。

 その中で、P波については、感知器がどのぐらい効果があるかとか検証をしながら、義務化についても方針を定めていく方向でございます。

太田(昭)分科員 年度内ということは、この三月という意味ですか。(山本政府参考人「はい、そういう意味でございます」と呼ぶ)よろしくお願いします。

 同時に、一般の人にとってはこれはかなり大事な問題なので、広報の仕方もきちっと、こういうふうになりますとか、しますということを、わかりやすくぜひとも国交省から発表していただきたい、このように思います。

 ちょっといろいろばらばらな問題をいっぱい詰め込んだ質問になって申しわけないんですが、アスベスト対策が法律ができまして進んだわけですが、エレベーターに関して言いますと、点検、修理というのが多いわけですね。そうしますと、そこのエレベーターシャフトにアスベストが多く使われていて、エレベーターの保守点検にかかわる人、作業員が大変怖いという声が寄せられるわけです。この辺は、民間の所有者が決断をしないとなかなか対応ができないというようなこともありまして、この辺の、作業員が不安を感じているということを何とか除去できるように、私は、ここはひとつ対応ということについて力を入れていただきたい、こう思いますが、この点はいかがでしょうか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたように、吹きつけアスベストがエレベーター、エレベーターは、通常屋上にあります機械室、それから、シャフトの中でも壁に吹きつけられているケースがあると聞いております。

 今国会の冒頭で改正していただきました建築基準法改正によりまして、吹きつけアスベストなどの使用禁止措置が講ぜられました。これによりまして、既存の建築物の所有者に対しまして、法令で、まず増改築時については除去とか封じ込め、あるいは囲い込みが義務づけられます。

 それから、アスベストの飛散のおそれのある場合に、特定行政庁が飛散防止措置の勧告、命令などが行えるようになります。さらに、特定の建築物について報告聴取とか立入検査とかできるようになりましたので、御指摘の趣旨に沿ってきちんとやっていきたいと思うんですが、これを前に進めるために、予算面でも、十七年度の補正予算で、まず日本政策投資銀行などで低利融資ができるという措置が講じられましたし、補助制度としては、優良建築物等整備事業の予算の範囲内で、建築主に対してアスベストの検査、除去等の費用に補助できるようになりました。

 御指摘のとおり、建築物の所有者がしっかりした認識を持っていただくことが大事ですので、講習会の開催等を通じて普及啓発を図りながら、所有者からの相談体制も整備してしっかり取り組んでまいりたいと思います。

太田(昭)分科員 丁寧な答弁、ありがとうございます。

 北側大臣が公明党政調会長の時代から都市再生ということについて力を入れて、都市再生本部というのは、かなり、我が党の推進ということもあって設置されたということを自負しているわけですが、渋谷区の周辺の再開発ということで、昨年の十一月八日に都市再生本部に整備地域指定の申し入れが行われまして、十二月二十八日に渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域として指定をされて、たしかこれで六十四番目というようなことだと思います。渋谷駅周辺の再開発もいよいよ本格化するわけでございますが、金融、税制面での特例措置、あるいはまたさまざまな、容積率など都市計画規制の緩和とか、いろいろなことで本格化するわけです。

 ぜひとも、こういうときに、上から立派なプロによる再生ということは、当然それはプロでなくちゃできませんが、地元の渋谷区あるいは住民、商店街、中には通勤というようなことで非常に多くの方がそこを使うわけですが、その辺の、渋谷区あるいは地元の商店を初めとする方々の意見、要望を反映させるということについて、ぜひとも指導を行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

北側国務大臣 今おっしゃっていただきましたように、渋谷駅周辺地域においては、昨年の十二月二十八日に都市再生緊急整備地域の指定をさせていただきました。恐らく、東京の中心部の主要ターミナルでは、多分ここが、残された非常に大きなまちづくりを進めていかないといけない地域であるというふうに認識をしております。

 この渋谷駅周辺の都市の再生のためには、一つは渋谷区、地元の方々が中心であるのはもちろんでございますが、東京都、さらにはJR東日本、そして東急等々、民間の関係者もたくさんいらっしゃいます。ぜひ、この都市再生緊急整備地域の指定をされたわけでございますので、官民が一緒になって今後の渋谷駅並びにその周辺地域のこれからのまちづくりをどうしていくのか、しっかりと検討を進めていただきたいと思っております。

 国交省といたしましても、渋谷区の地域の動向が一番大事でございますので、その動向を踏まえつつ、先般も渋谷区長からもお話をちょうだいしているところでございますが、事業化に向けて必要なアドバイス、技術的な助言はしっかりさせていただきたいというふうに思いますし、また、具体化してきましたならば、都市再生特別措置法に基づく特例措置の申請等が行われた場合には、積極的に支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。東京都ともよく連携をとっていきたいと思います。

太田(昭)分科員 ありがとうございます。

 例えば、国道二百四十六号線の整備とか、東急東横線と地下鉄の相互直通化とか、バスターミナルの地下化などの事業支援ということをお願いしているわけですが、中でも、きょうは、二百四十六号線沿いの渋谷駅南口のロータリーの地下化の整備というのをきちっとやってもらいたいという中で、歩行空間を地下に設けてもらいたいという要望が非常に強いわけですが、これについて何かお考えがあればお答えいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘もございました、また、ただいま大臣の方からも御答弁ございましたが、当地区につきましては、昨年十二月に都市再生緊急整備地域に指定をされたところでございます。

 この渋谷駅周辺地域整備事業は、現在事業中の地下鉄十三号線と東急東横線の地下相互直通運転の事業を契機として、地下歩行者空間や民間開発の集積を一体的に行うということで、総合的なまちづくりを進めていく事業であると認識をしております。

 千載一遇のチャンスではないかと我々は思っておりまして、そうした総合的なまちづくりを支援する事業として、どうした規模で、どうした位置に、国としてどう関与して、どういう費用負担でというような等々の問題も含めまして、地下歩行者空間の整備、また駐車場の整備、また地下の広場の整備等々の検討を進めさせていただいておるところでございます。事業につきましては、平成十四年度から、今言ったもろもろの検討をさせていただいておるところでございます。

 こうした千載一遇のチャンスということで、先ほど大臣の方からも答弁ございましたが、地元の渋谷区はもちろんでございますが、東京都、また鉄道事業者、また民間開発事業者等々の意見を踏まえながら、きっちりとしっかりと対応させていただきたいと考えております。

太田(昭)分科員 ありがとうございます。

 これは最後の質問ですが、荒川の河川敷というのは非常に大事なところです。私は、河川敷というのは特に大事だな、また、川というものは非常に大事だなと。河川法改正のときも、私は当時建設委員会におりまして携わりました。皆様の同僚であったと思いますけれども、京大の土木を卒業して、河川局で命をかけて亡くなった関さんという方が「大地の川」そして「天空の川」というのを書いて、私は時折読んでいるわけですが、おとついもちょっと目を通しますと、治水という、川を治めるというよりは、日本は川をなだめるという、そういうことの哲学の中でやってきたはずだということで、新しい河川法に基づいての河川のあり方そして河川敷のあり方ということについて、遺言のように書いているところがあります。

 私は、非常に大事な河川法の改正が平成九年にされまして、それから、今、河川敷の利用ということについてはいろいろな団体から要望があったりということで、きちっとした基本というものを定めておくということが大事だというふうに思うんです。それは単に河川敷を奪い合うというだけでない。また、河川というものも、防災も含めて、そして心が和んでいくということも含めて大事なことだというふうに思っているわけです。

 私はそういう観点から、荒川というのは、この東京で極めて重要な川です。河川法が改正されて九年、荒川の河川整備基本方針がまだ定まっていないが、これはどうなっているのか。その辺のことについて、随分長い間かかっているなという感じがするのと、いや、そういうものだというのかよくわかりません。しかし、きちっとしたそうした河川法に基づいてのものを早く提示するということで、国民の理解をしっかり得た川にしていくということが大事だというふうに私は思っておりますので、その辺の状況と今後の考えていることがございましたら、お願いしたいと思います。

渡辺政府参考人 太田委員の御指摘のとおり、荒川は、我が国の社会経済活動の中枢であります首都圏の中心部を流下して、下流部は海抜ゼロメーター地帯ということで、洪水はんらんがもし起きた場合には、私どもの今の試算でございますけれども、被害額が三十三兆円と非常に大きな被害が想定されるということで、この河川の改修を進めるということは大変大事な視点だというふうに考えております。そういう意味で、地域の方々の生命や財産を守るだけではなくて、我が国の社会経済活動の危機管理、そういう観点からも治水対策を適切に講ずることが極めて重要、そういうふうに認識しているところでございます。

 この荒川水系の河川整備基本方針につきましては、これは荒川の治水計画の基本となる計画でありますので、できるだけ早く策定することが必要だ、こう考えております。

 現在の作業の状況でございますけれども、現在、近年の降雨資料の整理、解析等々を含めまして、必要な調査検討を急いでいるところでございますけれども、その作業をできるだけ早く進めまして、準備が整い次第、社会資本整備審議会に諮った上で、今の予定では、遅くとも十八年度中には河川整備基本方針を策定していきたい、こう考えておりますので、またいろいろ御指導をよろしくお願いしたいと思います。

太田(昭)分科員 きょうは、ちょっといろいろな質問をさせていただきましたが、非常に前向きで丁寧な御答弁を、大臣を初めとしていただいたことに感謝申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、あかま二郎君。

あかま分科員 自由民主党のあかま二郎でございます。

 きょうは、予算委員会の第八分科会において質問をさせていただく機会をいただきまして、大変感謝申し上げます。

 まず、質問に入ります前に、神奈川県下における道路整備に対する認識と、神奈川県の北西部地域における、とりわけ相模原市という地域の道路整備の必要性についてまず説明をさせていただきたい、話をさせていただければと思います。

 御案内のとおり、神奈川県は、首都東京に隣接をし、横浜市、川崎市という二つの政令市を抱え、人口八百七十万を擁する大都市でございます。当然、そこには人、車、物が集中しており、それだけに道路整備のおくれというものが顕著で、いわゆる県内の渋滞損失時間、これは全国ワースト五位、また死傷事故率といったものについては全国ワースト一位となっている、これが現状でございます。

 もちろん、こうした状況というのは、経済的な損失、経済活動に与える影響といった部分、さらには都市環境、生活環境といった部分にも大きな影響を与えている。これが神奈川県が抱える道路整備に対する認識、また状況でございます。

 同時に、神奈川県北西部に位置する相模原市、いわゆる私の選挙区でございますけれども、この道路事情についてでございますけれども、今現在、相模原市というのは人口六十三万を抱えております。神奈川県下においては、横浜、川崎に次いで第三の都市と言われております。

 この第三の都市は、三月二十日には隣接する二つの町との合併、さらには来年にはもう一つの町、さらには今合併問題をさまざまな形で協議している中でもう一つの町との合併も恐らく順調にいくんでしょう、いわゆる四町との合併、これを控えている町。合併が完成すると人口は約七十万人、そういった大都市でございます。そういった町が首都圏近郊に誕生する。またもちろん、政令市というものも実現性が見えてくるものと理解をしております。

 ただ、残念ながら、こうした大都市でありながら、現在人口が六十万人以上の町、都市というのは全国に二十二市ございます、現在相模原市は人口六十三万人でございますけれども、全国で二十一番目のいわば大都市、二十一番目の都市は二十二番目の鹿児島よりも二万五千人多い、そんな町でございますが、人口六十万人以上を抱える都市にあって高速道路が通っていないのは実は相模原市だけなんでございます。

 そういった道路事情といったものを背景に質問をさせていただきます。

 まず、こういった神奈川県さらには神奈川県の北西部に位置する相模原市、ここにとって今急がれる喫緊の課題は、いわゆる骨格となる道路。今首都圏では、首都圏中央連絡自動車道、圏央道の整備が進められているというふうに理解をしておりますけれども、いわゆる計画の意義、またその供用開始、開通予定についてをお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方から、神奈川県の歴史また合併化する現在の状況についてお話を聞かせていただきました。新しい世紀、二十一世紀に入って五年目でございますが、合併も進んでいるということでございます。そうした都市と都市とが高規格な幹線ネットワークで連携される、そのことによって広域的な交流が円滑に行われるということではないかと思っております。そうした意味では、圏央道は、首都圏の三環状の一つを形成する一番外側の環状道路でございますが、非常に重要な路線ということでございます。

 都心から半径およそ四十から六十キロメートルの位置に計画されておりまして、横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津等の都市を連絡するとともに、東京湾アクアライン、東京外かく環状道路等と一体となって首都圏の広域的な幹線道路網を形成するということでございまして、先ほど委員の方から御指摘ございました交通渋滞の解消や交通事故の解消、また沿道環境の改善、さらには都市構造の再編成を図る重要な路線でございます。

 昭和六十年度より逐次事業化を図ってまいりまして、全体延長約三百キロございますが、これまでに約二百六十六キロメートルを事業化し、約九割近くを事業化しているということでございまして、これまでにあきる野インターチェンジ―鶴ケ島ジャンクション間など約三十二キロメートルについて供用を図ってきているところでございます。

 国土交通省としましては、これまでも早期整備に対する大きな期待にこたえるため一日も早い供用を目指し鋭意事業に取り組んできましたが、用地等の問題もございましてなかなか計画どおりいっておらないということで難しい面もあるわけでございますが、より一層の事業推進を図るため、平成十七年十一月、圏央道目標宣言プロジェクトとして区間ごとの開通目標と目標達成条件を公表させていただきました。それで、平成十七年の事業進捗目標をあわせて公表させていただいたところでございます。

 今後は、この圏央道目標宣言プロジェクトに基づきまして、毎年度の事業進捗目標とその達成度を公表させていただきまして、徹底した事業進捗管理のもと、今後約十年での完成を目指し事業推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

あかま分科員 今圏央道の必要性については、相模原市のようないわゆる都市圏ができる、そういった中で都市と都市をつなぐという意味合いが非常に大きいという意義については認識しておられるようで大変ありがたいと思います。事業化は既に九割進めておるということで、もちろん、事業化をさらに推し進める、さらには目標条件等をはっきり示しながら宣言プロジェクトという形で約十年で徹底するという話でございましたので、圏央道が首都圏域に与える影響といったもの、意義というものは大きいと思いますので、ぜひ徹底した管理のもとに進めていただければと思います。

 圏央道全体のいわゆる意義については理解をいたしました。

 さて、圏央道の一部分、神奈川県域における道路、ここはさがみ縦貫道路というふうに呼ばれているかと思いますけれども、さがみ縦貫道路の整備の現状といわゆる今後の見通しについてお聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 さがみ縦貫道は、先ほど答弁させていただきました圏央道の一部を形成するということでございますが、さがみ縦貫道路は、神奈川県内の南北方向の交通軸として都市間の連絡強化や交通混雑の緩和を目的とした茅ケ崎市西久保ジャンクションから津久井郡城山町川尻に至る延長約三十四キロメートルの道路でございます。城山町の川尻は、神奈川県、東京都県境でございます。

 本道路は、昭和六十三年度より順次事業化を図ってきておりまして、平成六年度より用地買収に着手をさせていただきまして、平成八年度より工事に着手をしてきているところでございます。

 先ほど答弁させていただきました圏央道目標宣言プロジェクトに基づきまして、東名以南の西久保ジャンクションから海老名北ジャンクション間につきましては平成二十二年度供用を図るという目標を掲げさせていただいております。また、東名以北につきましては、海老名北ジャンクションから海老名北インターチェンジ間を平成二十一年度の供用目標、海老名北インターチェンジから相模原インターチェンジ間を平成二十二年度の供用目標、相模原インターチェンジから都県境間を越えて八王子南インターチェンジ間を平成二十四年度の供用目標というような目標を掲げさせていただいておりまして、その目標に従って、用地買収及び工事を鋭意推進させていただいております。

 いずれにしても、先ほど答弁させていただきましたが、地元の方々の、特に用地買収等の協力が不可欠だと思っております。地元も早期供用、開通というようなことを熱望されておりますので、首都圏の三環状の一つを形成するということで、一日も早い供用を目指して努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

あかま分科員 今縦貫道について、整備区間ごとの目標、いわゆる目標宣言プロジェクトに記載されている年度が示されました。おおむね平成二十年代前半、二十二年度から二十四年度というふうなことが示されましたけれども、当初の予定から数年ずれ込んでいるというふうなことでございます。

 先ほど、いわゆる進捗管理に基づきながら条件設定をして、それから供用開始までの目標年次を掲げていますよというお話をいただきましたけれども、このいわゆる目標年次、二十二年、二十四年といったものについては、昨年から目標宣言という形で示した、このことの意味は大きいと思うのです。

 当然用地の問題というものはあろうかと思いますけれども、そういったことを踏まえながら、再度また二十二年以降さらにということがあり得るのか、もちろん鋭意努力するというお答えになるのであろうと思いますけれども、宣言という形で公に示した以上、やはりそれに向けて全力で取り組む必要があろうと思っておりますので、掲げた二十二年、二十四年という目標年次について、その御所見を伺えればと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 目標宣言プロジェクトというようなことを宣言させていただいたわけでございますが、先ほど委員もお話しいただきましたが、さがみ縦貫道につきましては、平成十三年八月の都市再生本部決定の都市再生プロジェクトと位置づけた際には、平成十九年度までの整備を目標とさせていただいたということでございますが、大規模物件などの用地取得の調整に時間を要している区間や、事業反対等により用地取得が難航している区間等が存在し、予定どおり事業進捗が図れなかったということでございます。

 単年度予算というようなこともございますが、こうした用地買収に、ぜひ地元の方々の御理解、また地元の市町村、県等の御協力をいただきたいというようなこと等もございまして、先ほどお話しさせていただきました目標宣言プロジェクトというような形で改めてそれぞれの区間の目標を掲げさせていただいたわけでございます。

 そうした意味で、目標宣言プロジェクトに基づきまして、開通目標を達成できるよう事業進捗管理を徹底し事業推進に取り組ませていただきたいと思っておりますので、御支援、また地元の方々の御理解、御協力をぜひいただきたいと考えておる次第でございます。

あかま分科員 今、地元の方の理解を得ながら、ぜひとも目標宣言プロジェクトに掲げられた二十二年、二十四年に何とかという話でございます。平成十九年度の供用開始ということでございましたので、それに対する期待というのは非常に大きかった。もちろん神奈川県としても、また地元としても、その支援、協力というのは惜しむつもりもございませんし、積極的にというふうに考えております。

 そうした中、当初期待が高かったのだが、十九年からずれ込んだ、それに際して、神奈川県知事から改めて国土交通大臣に、早期整備の申し入れを昨年七月に行ったというふうに理解しておりますけれども、その申し入れをどのように受けとめておられるのか、お聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の具体的な日時は記憶が定かでございませんが、先ほど御答弁させていただきましたが、地元の神奈川県また相模原市等々の沿線の方々の強い要望にこたえるため、残念ながら平成十三年のときに掲げました平成十九年度という目標は達成できておらないということでございますが、新たに目標宣言プロジェクトというようなことで宣言させていただきました。過去の反省等も踏まえながら、しっかりとした事業進捗管理をしながら地元の期待にこたえさせていただきたいということで、昨年、目標宣言プロジェクトという形でそれぞれの区間ごとの目標年次を掲げさせていただいたということでございますので、御理解をいただければと思う次第でございます。

あかま分科員 こうした地元の強い要望を受けて、改めて新たな目標宣言という形で示した、それに基づいてぜひという決意のほどを伺わせていただきましたので、前段にお話し申し上げましたとおり、神奈川県において、また神奈川県の県北さらには県西部にとって、さがみ縦貫道の必要性というのは大変大きいものがございますので、ぜひ御理解と御認識を改めてしていただきたいと思います。

 続いて、先ほど、相模原市というのは神奈川県下で三番目の都市、そして、今後合併を踏まえる中で政令指定都市というものを視野に入れていく町というお話もさせていただきましたけれども、その相模原市にとって、今お話しさせていただいたさがみ縦貫道路、これはもちろん重要な道路でございます。

 今現状、相模原市には南北を国道十六号という直轄道路が走っております。この道路がまた課題でございまして、いわゆる慢性的な渋滞。この慢性的な渋滞は、市民生活に大きな影響を与えているのでございます。

 手元の資料では、相模原市は、この国道十六号があるだけに渋滞のボトルネックとなっています、渋滞の損失は、横浜、川崎両政令市よりも高く全国平均の十六倍です、国道十六号は渋滞の常連箇所ですと。さらには、死傷事故率が相模原市における国道十六号において非常に高い。全国平均が百十九、相模原市域の十六号は二百七十一。そういったことを踏まえると、この国道十六号の慢性的な渋滞というのをぜひ解消していただきたい。

 もちろん、さがみ縦貫道路の完成がこの国道十六号の渋滞緩和の一助になるものと理解をしております。しかしながら、それだけでなく、やはり、横浜とつなぐ国道十六号の慢性的な渋滞は現状非常に大きいものがあります。その遠因とも言われているのが、国道十六号と国道二百四十六号が交差する地点、この渋滞の影響が相模原市にまで来ているというふうな理解でおります。

 この国道十六号と国道二百四十六号線が交差するのは東名入り口交差点付近ということでございますけれども、ここの渋滞の現状をどう認識していらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今、国道十六号と二百四十六号の交差部の渋滞が著しいということで御質問いただきました。

 東名入り口交差点は、幹線道路である国道十六号と国道二百四十六号が交差するとともに、東名高速道路の横浜町田インターチェンジと接続するということで、交通量が非常に多いということでございまして、国道十六号の横浜側で約八万一千台、相模原側で約六万七千台というような交通量に及んでおります。

 この交差点においては、国道十六号において慢性的な渋滞が発生しているということで、また、委員御指摘のとおり交通事故も多いということでございます。特に朝夕の渋滞が非常に厳しいということでございまして、平成十六年二月十七日のデータでございますが、夕方の時間帯で、八王子側から横浜側に向かう交通により最大二千六百七十メートルの渋滞長が発生し、通過に二十六分を必要としているということで、大きな問題という認識をさせていただいております。

 したがって、これから抜本的な対策として、立体等の事業を推進する必要があるということでございまして、さらには、先ほど御答弁させていただきました圏央道の整備、さがみ縦貫道の整備というようなことも必要不可欠ではないかと考えておる次第でございます。

あかま分科員 今、東名入り口交差点、国道十六号と国道二百四十六号が交差する地点のいわゆる渋滞の状況、数値、そのボリュームをもって御説明いただきました。横浜側、さらには八王子側、相模原側というんでしょうか、その通過交通台数、またさらには、平成十六年のデータとして、いわゆる渋滞のキロ数というんでしょうか、お示しいただきましたけれども、こういった数値というのは、国道十六号ないし直轄国道の中で、渋滞の程度とすれば、どの程度、どのレベルの渋滞レベルなのか。

 国交省として、例えば渋滞のレベルというものを一から十にしてあらわしていますよとか、AからDまでですよとか、何らかのいわゆるランク、程度というものを把握、理解しておられると思いますけれども、この箇所におけるいわゆる渋滞の程度、今資料というものが手元にないようでございましたら、いわゆる言葉というもので程度の認識をお聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 手元に詳細なデータがございませんので、感覚的な答弁になることをお許しいただきたいと思います。

 多分、最大級の渋滞箇所ではなかろうかと思っております。

 もし許していただけるならば、後日、また先生の方に担当の方からでも御説明させていただきたいと思います。

あかま分科員 今、最大級の、それに相当する渋滞のレベルだという認識を示していただきましたけれども、それだからこそ、先ほど御答弁いただいた、いわゆる立体化の必要性があるということでございます。

 ただ、この立体化の必要性が迫られているはずでございますけれども、なかなか工事の進捗が見えない部分がございます。橋脚が立ち上がっていながらも、その全容というのがなかなか見えてこない。それを目の当たりにする、いわゆる国道十六号を使用している、通過している車の方々、地元神奈川県の方々は、どうなっているのというような思いでおります。

 そういった思いに対して、この立体化の必要性を示していただきましたけれども、国道十六号と二四六、この立体化に向けた事業の進捗状況、また今後の見通しといったもの、また、それらを立体化することによって渋滞の緩和がどの程度図られるとお考えになられているのか、見通していられるのか、お聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 まず、渋滞の解消の効果ということでございますが、先ほどの交差点で、国道二百四十六号につきましては、日交通量で、渋谷側で約八万七千台、厚木側で九万五千台という交通量でございますが、この二四六につきましては、十六号の上を立体化しているということで、平成元年に四車線の立体化が完成しておるわけでございまして、現在顕著な渋滞は発生しておらないという状況でございます。

 したがって、十六号の町田立体につきましては、先ほど答弁をさせていただきましたが、東名入り口交差点、東名の横浜町田インターチェンジ入り口周辺の渋滞解消を目的として、国道二百四十六号及び東名横浜町田インターチェンジ等を立体交差する延長約二・一キロメートルの立体交差事業をさせていただいております。

 平成十三年度に都市計画決定を行い、十四年度に事業化及び用地買収に着手しまして、平成十五年度に工事に着手したところということでございまして、十七年度は、用地買収を進めるとともに、橋梁の下部工事を推進させていただいているということでございます。用地の進捗状況は四五%ということでございます。

 予算面で申し上げますと、平成十六年度の当初で三十一億五千万、平成十七年度、今年度の当初予算で四十三億五千万というような予算ということで拡充をさせていただいております。

 地元の用地買収等の御協力をいただくとともに、今後、鋭意橋梁工事を推進させていただきまして、できるだけ早い時期に完成、供用に持っていければということで、しっかりと対応させていただきたいと考えておる次第でございます。

あかま分科員 今お話もいただきました国道十六号と二四六。この二四六側の立体交差によってかなり顕著な渋滞緩和が見られた。もちろん今、町田立体の方についても、その効果というものは、渋滞緩和に十分に機能する、そして、事業化を進めている中で、昨年度よりも拡充していますよというお話をいただきました。ぜひ、より一層の取り組みというものを期待したいし、早期の完成を望むところでございます。

 相模原市というのは、先ほど縦貫道のときの話にもございましたが、ここから約五十キロ圏内なんですよ。私が車でここに来ようと思ったら、時には三時間半、夜中でしたら一時間半。それだけ朝夕の渋滞というのが、この国道十六号を中心として大変なものがございます。

 そういった意味でいえば、先ほど冒頭にもお話しさせていただきましたけれども、神奈川県における道路の必要性、さらには、相模原市という市町村合併を控えた政令指定都市を目指す町にとっての縦貫道の必要性、また、国道十六号の慢性的な渋滞に市民は大変なフラストレーションがたまっている、そういった実情をよくかんがみていただきながら、早期の供用開始、また完成を目指していただければというようなことを要望させていただきながら、私の質問を終わります。

上田主査 これにてあかま二郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀岡偉民君。

亀岡分科員 自民党の亀岡偉民です。

 北側大臣初め副大臣、国土交通省の皆様には、まずもってお世話になっていることを御礼申し上げたいと思います。

 さて、まだ地方は、経済の活性化においては、インフラ整備事業、非常に大事な部分があります。きょうはまず、スマートインター。これは私ども一九九五年に、当初、地元の方々からどうしてもサービスエリアを何とか利用できないだろうかという依頼がございまして、当時大分働きかけをしまして、一九九七年ごろに期成同盟会をつくりまして、そしてお願い申し上げてきたところ、だんだん全国的に広まっていきまして、全国で三十二カ所スマートインターの指定をしていただいて、現在においてもまた二十八カ所で社会実験事業として行われております。

 特に、福島の松川というところは非常にアクセスが悪いところでして、そういう中でも利用価値が結構高い。もしここに、左右にまたアクセス道路もできるとかなり有効利用ができる。まさにこれは地域の経済の活性化のためには、このスマートインターが社会実験で終わらないように、地元の期待が一番高まってきておる中で、利用促進も含めて、夢が与えられるようなスマートインター実施、これは常設のきちんとした形のインターにできるように、私どもぜひお願いをしたいと思います。

 全国でそういうケースというのはたくさんあると思いますが、北側大臣には、このスマートインターの今後の常設化について、ぜひ見解をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 今お話の出ました福島松川パーキングエリアにおけるスマートインターチェンジでございますが、私も現地へ昨年行かせていただいております。スマートインターチェンジも実際に通らせていただきました。

 既存の高速道路をできるだけ有効活用いたしまして、所要時間の短縮、さらには一般道路の渋滞解消、また緊急医療だとか防災面、安全面での向上、こうした目的を図るためには、追加インターチェンジを設置するということは非常に有効でございます。

 国交省では、コスト削減が非常に可能なETC専用であるスマートインターチェンジの導入を検討しているところでございますが、今委員がおっしゃったように、平成十六年度から、この本格的な導入に向けまして、社会実験を全国で三十二カ所、今行わせていただいているところでございます。

 このうち、福島松川パーキングエリアにおきましては、平成十六年の十二月から実験を開始いたしまして、一日平均約六百台、私が行ったときもたくさん車が利用されておられました。渋滞の解消だとか時間短縮、さらには、こちらはすぐそばに福島県立の医大病院がございまして、救急搬送時間の短縮など、緊急医療面でも非常に大きな効果があるというふうに思っております。

 この社会実験の結果を踏まえまして、平成十八年度中のスマートインターチェンジの本格導入に向けまして、運営方法等について関係機関と調整を図っているところでございます。関係者間の協議が調った箇所につきましては、社会実験箇所の本格導入への移行という方向で対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 今後とも、このスマートインターチェンジを設置されるならば、これは大変その地域にとっては大きな効果がございますので、アクセス道路の整備や周辺開発につきましても、しっかりと必要な支援をしてまいりたいと考えております。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 北側大臣には、松川パーキングエリア、スマートインターを通っていただきまして、ありがとうございました。現地をよく御理解していただけているようでして、地元の住民の皆さんは、もう十数年にわたり希望を持って要望活動をしてきて、何とか社会実験事業までしていただいているということで大変喜んではいるんですが、常に、社会実験という言葉で、いつかなくなるんじゃないだろうかという不安がありますので、できましたら早急にその協議も含めてやっていただくことをぜひお願い申し上げたいと思います。

 それから、もう一つ、実は福島には国道十三号線西道路というのがございます。この西道路は市内の渋滞緩和のためにつくられた道路ですが、市内で一番混雑する舟場町という四号線の交差点があるわけですが、約一キロ以上にわたって大渋滞が続くということで、日ごろから常に問題になっておりました。それが、西道路ができましたおかげで、渋滞の緩和はかなり進んでおります。

 ただし、この西道路がある一定区間でとまっておりまして、この西道路が四号線のバイパスと並行して走って、できれば今私の申し上げた松川のパーキングエリア付近まできちんと南伸していただくと、かなり渋滞の緩和のみならず地域の周辺整備事業にも促進を与える。そこに行くまでには小田日向地区という過疎地域があるわけですが、道路一つできることによってがらっと変わるわけです。

 今でき上がっている西道路は、その側道に関しては、すべてが住宅化したり商店街ができたり、まさに思っていた以上の発展を遂げている。そういう意味では、この西道路の南伸は福島市の将来にとっては欠かせない事業の一つであるということで考えております。

 ぜひ、この沿道のニュータウン、今、医大のお話も出ましたが、松川地区にニュータウンがたくさんできております。そのニュータウンの混雑の緩和も含めて、せっかく家族がふえているというところに対して、さらにアクセスの整備が進むことによって、またまちづくりが大いに進みやすいということがございますので、西道路の南伸が現在どのようになっているか、局長にちょっとお尋ね申し上げたいと思うので、よろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 福島西道路は、福島市街地の交通円滑化や沿道環境の改善等を目的として計画された国道十三号のバイパスであります。これまでに、福島市南矢野目から国道百十五号までの間六・四キロメートルが供用されておりまして、さらに、福島市大森までの一・三キロメートルを鋭意事業展開中でございます。

 この福島西道路の整備によりまして、委員御指摘のとおり、国道四号の舟場町交差点の渋滞が半減するというような効果も出てきております。さらに、お尋ねの、今後この福島西道路を南伸するという問題でございますが、福島市内で最も渋滞している国道四号伏拝交差点の渋滞緩和にも大きく寄与すると期待されているということでございます。

 こういう認識は持っておりまして、福島西道路の南伸につきましては、平成十七年八月に、福島大学の先生を委員長とする福島西道路検討委員会というようなものが設置されておりまして、現在、ルートのあり方や課題等について検討を重ねていただいているところでございます。

 いずれにしましても、大きな効果を伴うということでございますが、厳しい予算という現実もございます。福島県なり地元の市の御意見をよくお聞きしながら、南伸がいいのか、また、そのアクセス道路となる県道、市道のあり方というようなこともございますので、福島松川パーキングエリア周辺までのアクセス強化が図れるよう努力をさせていただきたいと考えておる次第でございます。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 今、谷口局長から答弁をいただいたわけですが、実は、この西道路の南伸は、確かに予算が厳しい中でと言われますが、かなり地域整備事業、これは沿線の開発も含めて一番市内で有効活用ができるだろうと思われる地域でございます。ですから、これは市も住民と一体となって取り組んでおりますし、県にも今働きかけをしているところでございますので、ぜひ、この西道路の南伸は、福島の将来にかけて、特に四号線、十三号線の緩和ということのみならず、地域周辺整備事業の開発という意味においても早く促進したいという地元の要望がございますので、ぜひ心にとめておいていただければと思います。

 さて、もう一つなんですが、実は、これも道路で大変申しわけないんですが、今は東北自動車道と言いませんが、当時は東北自動車道福島―米沢間という道路がございまして、これはようやくおかげさまで今工事に入っていただいております。

 これは、前々から高速道路として整備をするということで、地元の住民の皆様方にいろいろと協力をいただきながら、区画整理事業の中でも特にいろいろ御配慮いただきながら、一致団結してここまでお手伝いをしてきたという経緯がございましたが、民営化に伴って新直轄ということになりました。

 実は、この新直轄については、インターチェンジをつくると言われておったわけですが、そのインターチェンジそのものが一時あやふやになりまして、せっかく周辺整備事業も含めて土地を提供する、または協力すると思っていた住民の皆さんが、かなり不安になりまして、今後どうなっていくんだろうということで、皆さん困っておられます。

 まさにこれから、民営化されたというのはわかるんですが、今までの、国がしっかりと関与していた道路公団がきちんと約束をしてきたことがほごにされないように、このインターチェンジも含めて周辺整備事業がきちんと行われることが、住民が今まで協力してきたことに対する答えだろうというふうに私は思っております。

 特に、笹谷、大笹生地区というのは、福島県の果樹地帯でございます。しかも、飯坂温泉にも近いところですし、高湯温泉にも行きやすいところである。そこに、開発インター、地域整備を伴ったインターチェンジができることによって経済効果は間違いなく上がるという思いで、住民の皆さんも本当に協力をして、今区画整理事業であいた土地がございます。

 ぜひ、この辺、これからの取り組みをしっかりと考えていただかないと、これが大きな問題になってしまいそうなものですから、ここはしっかりした形で今後の取り組みを聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 東北中央自動車道は、福島県相馬市から秋田県横手市に至る全体延長約二百六十八キロメートルという長い延長でございます。

 このうち、今お尋ねの福島ジャンクションから米沢間二十八キロメートルにつきましては、平成十五年の十二月の国幹会議を経て新直轄方式に切りかわっているということでございまして、現在、用地買収を進めるとともに、栗子トンネルにおける避難坑工事に着手するなど、鋭意事業を展開させていただいているところでございます。

 また、御指摘の大笹生インターチェンジ、仮称というぐあいにお聞きしておりますが、地方公共団体の発意で設置される地域活性化インターチェンジとして、平成十一年の十二月の第三十二回国幹審を経て整備計画に位置づけされているということでございます。その当時と今と少し状況が変わってきたということでございまして、大笹生インターチェンジ周辺の開発事業につきましては、福島市が中心となって検討を進められているということをお聞きしておりますが、平成十四年ごろに計画の見直しが行われたと聞いておる次第でございます。

 いずれにしましても、地域にとっては、高規格な道路、新直轄になりましたが、大きな地域活性化のためにはインターチェンジができるということが不可欠だというような認識を我々は持っておる次第でございます。よく地元の方と調整させていただきまして、しっかりと取り組ませていただきたいと思う次第でございます。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 まだ道路公団がしっかりとやると言ったときのお話が、どうもそこがあやふやになってしまっていることがございますので、できましたら、そういう協議にもぜひ国もしっかり関与していただいて、地元の住民の皆さんと対話と理解を少し深めていただくともっと納得しやすくなるのかなと思っておりますので、またその辺もよろしくお願いします。

 実はもう一つ、今、中央道のお話をさせていただいたんですが、中央道は、これは当然、山形から福島を通りまして相馬につながって初めて活性化道路ということで利用されていくわけですが、現在、国道百十五号線については、これは高速道路につくらないということになりましたので、直轄代行で国のやる部分と県とでいろいろ考えていただいております。

 しかし、どうしてもこれがつながらないと経済効果は上がらない。まして、自動車専用道路として利用させていただかないと、あの区間がまた同じように長時間かかったり、危険区域がたくさん出てきてしまう。まさにこれは自動車専用道路としてしっかりとつくっていただかないと地域の活性化にはなりませんし、せっかくつくった福島―米沢間を生かしていくには、これが常磐道とつながっていく百十五号自動車専用道路としての利用価値を高めていく、その道路をつくっていかないと意味がないということを考えております。

 国の方は今かなりお考えを推進していただいていると思っているんですが、県との協議も踏まえて、今現状どうなっているか、お知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この阿武隈東道路の重要性は十分認識をさせていただいております。先ほど答弁をさせていただきましたが、東北中央道の一環を形成するということでございます。重要港湾である相馬港への接続、また相双地域から高次医療施設である福島県立医大附属病院へのアクセスというような重要な路線ということでございます。

 阿武隈東道路につきましては、延長十・七キロメートルというような改築事業ということでございます。国土交通省の直轄権限代行事業として、平成十五年度までに環境影響調査を完了され、平成十六年度より事業に着手してきておるということでございます。今年度、十七年度は、路線測量、道路設計を行い、現在用地調査を進めさせていただいているところでございます。地元の方からすると、少し時間を要しているのではないかということでございますが、計画の見直し等もございまして、こういうような状況になっておるということでございます。

 十八年度は現在国会で審議を賜っておるわけでございますが、早期工事着手のための用地買収に入る準備ということで十七年度用地調査を進めさせていただいておるということでございますので、地元の方々の御理解と御協力をいただきながら事業推進を図ってまいる所存でございます。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、県の方と協議をしていただいて、地元の住民の皆さんのみならず、これがつながることによって経済効果が上がって税収も上がりますので、そういう意味では、お金がないから、予算がないからということではなくて、いい税収を生み出すための道路であるということで、関連道路問題を、整備の方をしっかりお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと話を変えまして、実は、北側大臣にも摺上ダムの完成のときには来ていただきまして、すばらしい御講演をいただいたわけですが、実は、摺上ダム周辺の工事中のときに、周辺開発事業ではありませんが、地元の皆さんの意見を聞くということで、かなりたくさん意見を聞いていただいたことがございます。私も、青年部の一員とか役員ということで、商工会のみならず、そういう形での協力をしてきたわけですが、意見は聞くんだけれどもなかなか実現はしない。まして、摺上ダムは飯坂温泉を通らないと行けないところですから、飯坂温泉を含めて、せっかくダムをつくる、そして、ダムの工事で迷惑をかける飯坂温泉に何らかのメリットをしっかりしてほしいという要望があったわけですが、なかなかそれが目に見えてこなかったという現実がございます。

 今になってようやく違う形で、まちづくり三法で何とかできないだろうかというお話になってきました。ビジット・ジャパン・キャンペーンの中でも、一千万人の観光客を日本に呼ぶ中の一つに観光資源のしっかりした整備があれば、これはかなり呼び水になる。これは飯坂の活性化にも資するし、摺上ダムが、あれだけロックフィルダムのすばらしいものをつくったわけですから、観光地として生かしていけるような連携を飯坂ととれるような一体開発、それをまちづくりとあわせて何かできるということがあったら一番いいだろうと考えておりますが、この摺上ダムとの連携というのをどう考えておられるか、説明していただければと思います。お願いします。

柴田(高)政府参考人 摺上川ダムと飯坂温泉の連携でございますが、飯坂温泉は、古くからの温泉地、名湯として非常に有名でございまして、県内外からのお客様に親しまれております。しかし、近年では、旅行に対します消費者ニーズの変化や景気低迷の影響等によりまして観光客が減少いたしておりまして、多くの旅館が廃業するなどの問題が生じております。

 このような状況のもと、温泉地としての魅力を向上し、にぎわいを再生するために、福島市、観光協会及び地元住民等が協働いたしまして、観光交流拠点や回遊空間の整備、さらにはイベントの開催、火災で全焼いたしました旅館の撤去等に取り組む予定というぐあいに伺ってございます。

 一方、隣接いたします摺上川ダムは、昨年九月に御指摘のとおり完成したところでございます。国、福島県、福島市、地元商工会等が連携して水源地域ビジョンを策定いたしまして、ダムを生かした地域の活性化に取り組んでいくことといたしており、この一環といたしまして、地元特産品の紹介、シャトルバスの運行等を飯坂温泉と連携して進めていくということも提案されております。

 これらの事業は、飯坂温泉におけるまちづくりと相乗効果をもたらすことが期待され、今後さらに連携方策の検討が進められるものと思われますが、国といたしましても、市町村の創意工夫を生かしたまちづくりを推進する観点から、まちづくり交付金の活用など、地元の要望を踏まえて対応してまいりたいというぐあいに考えております。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 ぜひその取り組みを真剣に取り組んでいただきたいと思いますし、北側大臣も摺上ダムまで行かれたと思うんですが、かなり道路も危険な道路ということで、狭い道路でして、大型バスが飯坂温泉と行ったり来たりするのも非常に難しい部分があるんです。

 実は、その道路の問題で摺上ダムがそこでストップしてしまうというのと、それから、摺上ダムが、観光ルートとして、三百九十九号線が逆に高畠まで抜けていくと、かなり、観光地として皆さん連携をしていくという意味では、高畠に行くのに一番近い道路である、ダムとダムをつなぐにも有効な道路なので、観光道路として三百九十九号は欠かせないものである。

 地元の観光協会の皆さん、そして米沢、山形の観光協会の皆さん、この三百九十九号線、冬はクローズになってしまう、またはちょっとがけ崩れがあると全く通れなくなってしまう、せっかく観光地が近いにもかかわらず、その観光地を生かしていくための道路がつながらない、整備されていないという問題が起こっておりますので、ぜひこの三九九の未整備区間の道路について整備をお願いしたいということで、現状、どうなっておるか、よろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの一般国道三百九十九号は、県が管理する道路ということでございます。

 今、摺上川ダム付近につきましては、ダム建設に合わせて、周辺の十二・一キロメートルを茂庭バイパスとして、平成十六年度までに整備がなされているということでございます。

 今お話のございました今後の観光周遊を考えて、飯坂温泉と摺上川ダム間の整備ということでございますが、延長十三・六キロメートルございますが、二・六キロメートルが未改良区間ということで、大型車がすれ違えないというような残念な状況になっているということでございます。ここの区間につきましては、福島県からは、地形的要因等により抜本的改良の検討には時間を要するというようなことをお聞きしております。

 いずれにしましても、今後の観光の動向等を把握して、現道の維持管理がいいのか、どういった交通確保がいいのかというようなことも含めて、よく調整させていただくといいますか、県から要望ありましたらしっかりと対応させていただきたいと思っております。

亀岡分科員 県にはかなり要望を地元から出しているようですが、なかなか県が動かないという現状もございます。ただし、これは、両県にまたがるという意味で、なかなか真剣にやっていただけないような環境があるようですので、そういう場合は、ぜひ国が主導権を持っていただきまして、いい活用ができる、いい利用法ができれば、これは全然またまちづくりにおいても影響が変わるわけですから、両県にまたがるところだけが未整備区間のものですから、ここはぜひ主導権を持って御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、今度は相馬港についてちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。

 これは、先ほど言った道路整備をしっかり、インフラ整備をしていくと、相馬港というのが物すごく重要な物流拠点の位置として有効な港となってくるのは間違いがありません。そして、その港湾の振興事業がしっかりとこれから進むことによって、道路整備ももっと早く進んでいくだろうと思われますので、相馬港のこれからの振興策についてちょっとお伺いできればと思いますので、よろしくお願いします。

石田大臣政務官 御質問いただきました相馬港については、昭和四十九年の重要港湾の指定以降、福島県、宮城県南部及び山形県南部等を背後圏とする物流拠点として大きな役割を担っておるところでございます。

 特に、昭和五十六年からはエネルギー基地としての港湾整備を行っておりまして、平成六年には相馬共同火力発電所の運転が開始をされまして、同時に、港湾取扱貨物量は同発電所の燃料炭を中心といたしまして平成十六年には六百万トンを超えるなど、相馬港は福島県北部地域の生活、産業を支えていると認識をいたしております。

 国土交通省では、現在、物流コストの削減や船舶の大型化等に対応するため、第三埠頭地区における多目的国際ターミナルの整備促進を図っているところでございます。同時に、その整備とともに、議員御指摘のように、利用促進を図っていくことが重要でございまして、これまで福島県や地元企業等から成る相馬港利用促進協議会におきまして、ポートセールスや相馬港を活用する荷主企業への助成金交付等の取り組みが行われてきております。

 さらに、平成十五年からは、国の港湾事務所におきまして、福島県、地元市町村、商工会議所等と連携を図りつつ、年三回程度、地域活性化のための調査勉強会を開催し、同港の利用促進策やポートセールスの取り組み方策等について検討しているところでございまして、今後とも、国として、相馬港のさらなる利用促進に向け、関係者と協力をいたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 石田政務官、相馬港の方もよろしくお願いいたします。

 それでは、がらっと変わりまして、小中学校の耐震問題について少しお願いをしたいと思います。

 小中学校の耐震化というのは、全国平均五二%と言われておりますが、福島においてはまだ四八%、ちょっと平均のより下がっております。やはり宮城沖地震も含めて、福島というのは避難地としても有効に生かされるべき土地だろうと思っております。その耐震化について、今どれぐらいの取り組みになっているのか、お聞かせをいただければと思いますので、よろしくお願いします。

山本政府参考人 耐震化の数字はおっしゃるとおりでございます。

 耐震化をきちんと進める前提として、耐震診断をきちんとやって、どういう学校が危ないのかきちんとやることが大事だと思うんですが、全国平均に比べますと、福島は、直近、大分頑張っていただいていまして、小中学校全部で二千五百棟弱あるんですが、そのうち五十六年以前が千五百棟弱でございます。十六年度末、昨年の四月の段階で一千棟弱を耐震改修していまして、あと五百残っているんです。十六年度の実績ですと百五十ぐらいやっていただいているんです。十七年度どのぐらい実績がいっているかまだ数字が手元にないんですが、例えば二百やってもらったとしてもあと三百残っています。

 私どもは、昨年の特別国会で耐震改修促進法を改正していただいて、公共団体できちんと耐震改修促進計画をつくっていただくという枠組み、ことしになってもう法律を施行して、基本方針をつくって施行しているんですが、その中で、特に公立学校についてはきちんと進めていくという意味で、耐震改修促進計画の中に、耐震診断についてはことしじゅう、一年以内にやり切るという方針で計画をつくってくださいというやりとりをしております。

 その上で、耐震改修の目標、整備プログラムをきちんとつくって取り組んでいくという姿勢で臨んでおりますので、文部科学省ともきちんと連携を図りながら進めていきたいと考えております。

亀岡分科員 ぜひ福島の小中学校も早期整備をよろしくお願いします。

 最後の問題になりますが、実は、構造計算書偽装問題において、私もプロジェクトチームに入って大分いろいろ勉強させていただいたんですが、提案をいろいろしていただいたんですが、どうしてもなかなか解体にまで進まない。特に都市再生機構の案が住民の皆さんに不信感を呼んでいるというお話を聞いたんですが、これをなるべく早期に解決をしていただいて、住民がもっともっと早く安心できるような方法論をぜひ考えていただきたいと思いますが、最後に、大臣、ちょっとお願いします。

北側国務大臣 都市再生機構は、国並びに地方公共団体からの要請に基づきまして、各マンションの再建事業計画の一次検討素案について策定をしていただきまして、一月の初めに各地方公共団体に提示をいたしました。各地方公共団体は、この結果に基づきまして、居住者との間で検討作業に入っておるというところでございます。

 これはまだ最初の段階でございまして、いずれにしましても、居住者が負担できなければ再建はできませんので、今、居住者との間で話し合いを地方公共団体が鋭意やっておりまして、その状況も踏まえまして、都市再生機構が二次検討素案を今策定しようとしているところでございます。

 この二次検討素案の中では、建築計画の見直し、発注方法の見直しによるコストの削減、また、可能であれば総合設計制度を適用して容積率を引き上げる等々の居住者負担の軽減を図るように取り組もうとしているところでございますし、また、一部のマンションにおきましては、民間のコンサルタントを派遣いたしまして、民間施行を前提とした検討も進められているところでございます。

 民間施行、都市再生機構のいずれにいたしましても、合意が形成されることが大事でございまして、合意が形成されるならば、国としては、しっかりと支援をさせていただきたい、早期の除却、建てかえに着手できるように努力をしていきたいと考えております。

亀岡分科員 どうもありがとうございました。

 都市再生機構がぜひ不信感をあおらないように、国の指導も重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 どうも丁寧な答弁ありがとうございました。

上田主査 これにて亀岡偉民君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。北村茂男君。

北村(茂)分科員 私は、自由民主党の石川県第三区選出の北村茂男でございます。

 きょうは、第八分科会での発言の機会をお与えいただきまして、心から感謝をいたしております。時間の制約がございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、北側国土交通大臣に御見解を伺いたいと思います。

 言うまでもなく、道路は、社会経済にとって欠かすことのできない最も根幹的な社会資本であることは当然でありますが、同時に、公園あるいは下水道、住宅等の施設がその機能を十分発揮するためには、基盤となる道路とのかかわり、あるいは生活全般を支える上でも必要不可欠な施設であることは言うまでもありません。また、地域の個性ある発展や国民生活の質の向上を実現するためにはさまざまな地域振興施策を推進する必要がありますが、それを支える最も根幹的な施設である高規格幹線道路から市町村道に至る道路網の整備が極めて重要なことであると思っております。

 私ども、去る二月四日、石川県は能登半島の中でもとりわけ奥能登と言われる地域で、人口大体八万九千ぐらいのエリアで、いわゆる道フォーラムというものを開催いたしました。千人規模の人たちのお集まりを予定しておったようでありますけれども、最終的には千五百人を超える人たちにお集まりいただいて、シンポジウムとディスカッションをし、そして道に対する思い入れというものを議論する場がありました。

 いずれも、その大会の雰囲気や発言者の方々の思いは、マスコミ等を通じて、都会や都市の方ではもう道はいいや、あるいは公共事業もほどほどにというような意見が我々の地域にまで伝わることがありますけれども、依然として、我々の地域にあっては道路整備、いわゆる道に対する思い入れやあるいは行政に対する需要が極めて高いということがわかりました。

 私自身も県議会に三十年近く籍を置いておりましたが、その間、地域の問題を、首長や県議会の皆さんやあるいは市町村議会の議長さん方で構成するいわゆる地域開発協議会なるものをつくって、地域の声をまとめて国に訴える、そういう組織をかねがねつくって運動してまいりましたけれども、そこへ集約される項目が圧倒的に、八割近くの項目が道路に集約されるというような実態もありました。

 二月四日の「みちフォーラム」においても、声を上げる人、意見を発表する人は、何としても道路の必要性はこれからも引き続き国に理解してほしいという意見でありました。

 ところが一方で、昨年十二月、政府・与党でまとめられました、いわゆる道路特定財源の一般財源化は避けて通れないという政府・与党の合意ができていることも十分承知をいたしております。その中で、「真に必要な道路は計画的に整備を進める。」という項目がある一方で、「一般財源化を図ることを前提とし、」「納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る。」こうなっているわけであります。

 私は、県議会時代もそんな思いを持っておりましたが、平成の大合併前、三千二百ほどの市町村があったと思います。過日、もう二千を切ったと言われておりますけれども。多分、私の想像ですけれども、三千二百のうち三千以上の市町村や県議会は一般財源化反対の意見書や決議をしてきたのではないかと思っています。そういう状況を考えると、納税者の理解を得た上で一般財源化を図ると言われているんですけれども、どんな手法で、どのようにして納税者の理解を得ようとされるのか。

 これは内閣総理大臣にお聞きした方がいいのかもしれません。しかし、お聞きする場面がありませんので、あえて、私は大臣はある程度共通の認識を持っていただいているとは思っているんですけれども、ここで改めて大臣から、いわゆる一般財源化に対する、国民の大多数の方々は慎重であってほしい、目的税として税創設のころのねらいもしっかりと生かしてほしいという納税者の気持ちにどのようにこたえるつもりなのか、この辺は政府としてどのようにお考えかということをまず聞かせていただきたいと思います。

北側国務大臣 私も、大臣に就任してもう一年半近くたつわけでございますが、全国各地回らせていただいております。そういう中で、各地域地域の知事さんや市長さん、また経済団体の皆様ともお話をする機会が多いわけでございますけれども、どこに行きましても、私国土交通大臣に対する要望の一番多いのは、もう何といっても道路でございます。

 今委員の方からおっしゃったとおりでございまして、どこに行きましても道路に対するニーズというのが極めて高い。あの道路ができれば、地域経済の発展に大きく寄与する、また地域間の連携が深まる、さらには災害時等の緊急輸送道路に必要である等々の本当に切実なお声を全国あちこちで聞かせていただいているところでございます。だから、道路整備がおおむねもう完了しているというふうな御意見があるんですが、私は、それは地方の実態を知らないといいますか、間違っていると。

 きのうきょうと分科会をやっておるんですが、この分科会では、当然地元のさまざまな課題についての御質問が多いわけでございますけれども、圧倒的に多いのは、やはり道路でございます。そういう意味で、道路に対するニーズというのは極めて強い、まだまだ道路整備は道半ばという認識を持っているところでございます。

 今委員のおっしゃったように、昨年末に政府・与党で道路特定財源の見直しにつきまして合意をいたしました。その合意の内容は先ほど委員の方からおっしゃったとおりでございますが、これから本格的な論議に入ってまいります。歳入歳出一体改革という非常に大きなテーマの重要な論点として道路特定財源の見直しについて本格的な論議が始まりますので、ぜひ、委員にも御指導賜りたいというふうに思うわけでございます。

 昨年の年末の政府・与党合意の中にも書いてありますとおり、真に必要な道路はこれからも整備をしていかねばなりません。もちろん、コスト縮減はしっかりとやっていく必要があるわけでございます。ですから、この道路特定財源の見直しの問題、これからどう論議がなされ、どういう方向性が示されるのか、これからの論議ですが、それがどうなろうとも、必要な道路はしっかり今後とも着実に整備をしていくことになるというふうに私は思っているんです。

 道路特定財源、仮にこれが一般財源化だというふうに結論づけられたとしても、その一般財源から道路整備はしっかりとやっていけばいいわけでございまして、そういう意味では、この道路特定財源の論議いかんにかかわらず、これからも着実に整備を進めていく方針には何ら変わりはないという認識でいるわけでございます。

 また、納税者の御理解を得るというのはもう絶対必要なことでございまして、そもそも、自動車ユーザーの方々からさまざまな道路特定財源を負担していただいているわけでございまして、その方々の御理解を得つつ論議を進めていくということは、これは当然の話でございまして、やはり、その理解の得られる範囲内での取りまとめをしていかねばならないというふうに考えているところでございます。

北村(茂)分科員 ありがとうございました。

 既に、特定財源の中から、本四公団の債務の返済や、あるいは電柱の地中化等に使われておる。このことが、返済が終われば余剰金となるという発想そのものが本来の目的税としていかがなものか。道路に対する需要がこれほどあるのに、そういう余剰金などという発想は、どちらかといえば間違いだという認識を私は持っているということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 時間の関係で、はしょっていきたいと思います。

 道路公団が民営化されました。それに基づいて、過日、いわゆる国幹会議も開かれて、新直轄方式を採用するなど、新たな整備手法も明示をされました。そして、路線や延長等も決定を見たわけであります。

 そこで、私どもかかわりのある幹線道路として、東海北陸自動車道が平成十九年度をもっておおむね完成すると伺っております。その東海北陸自動車道の延長線上にあるのがいわゆる能越自動車道と言われる道路でありまして、東海北陸自動車道の富山県の小矢部砺波ジャンクションを経て富山県の西部を通過し、石川県の能登に通ずる約百キロの道路を能越自動車道と言っているわけでありまして、この道路をもしも早期に整備し供用することになりますれば、いわゆる関東、関西、中京圏とのアクセスが私どもできるわけでありまして、私どもの地域にとっては長年の悲願でもあったわけであります。

 そこで、この能越自動車道の今後の整備について、かねがね私どもも関係方面に訴え続けてきたことでありますが、国幹会議でももう既にこのことについては決定済みということで、余り報道はされておりませんでしたけれども、今後の整備方針等をぜひこの際教えていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 能越自動車道は、高規格幹線道路一万四千キロメートルの計画の中に入っておりますが、一般国道の自動車専用道路として、税金で、公共事業でお仕事をするという路線でございます。全体延長は百キロございます。

 この重要性につきましては、委員もお触れになられましたが、能登半島の背骨になるのみならず、東海北陸自動車道と連結されることにより、東海都市圏、中京都市圏、名古屋港と直結されますし、北陸自動車道、中部縦貫道と連携することによりましてウイングが広がるということで、関西圏、東京圏とも広域的な交流、連携が深まる重要な路線というぐあいに認識させていただいております。

 また、当該路線と並行する国道、百六十号、二百四十九号があるわけでございますが、通行規制区間、線形不良箇所などが多く存在しているということで、安心して信頼してアクセスする、通行していただくという意味でも重要な路線ということでございます。

 これまで、五十キロメートルにつきまして既に供用をさせていただいているところでございます。

 現在、未供用区間のうち、高岡北インターチェンジ―七尾インターチェンジ及び此木インターチェンジ―能登空港インターチェンジ間の計四十六キロメートルについて、事業を推進させていただいているところでございます。

 具体的に申し上げますと、此木インターチェンジ―能登空港インターチェンジ間六・二キロメートルにつきましては、ことしの春に暫定二車線で供用する予定でございます。

 また、高岡北インターチェンジ―氷見インターチェンジ間十一・二キロメートルにつきましては、現在国会で審議中でございますが、十八年度中の全線暫定二車線供用が可能というようなことになってきましたので、鋭意工事を推進させていただきたいと考えているところでございます。

 氷見インターチェンジ―七尾インターチェンジ間二十八・一キロメートルにつきましては、早期の全線供用に向けて、現在、用地買収及び工事を推進させていただいているというところでございます。

 残りの区間につきましては、地元の方々の御意見も踏まえながら、概略ルート等の検討を進めさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

北村(茂)分科員 かねがね関係方面には何回も申し上げていることでありまして、ぜひ早期供用を目指して取り組んでいただくことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、幹線道路でのインターチェンジの設置について伺いたいと思いますが、いわゆる追加インターチェンジは、既存ストックである高速道路を有効活用するための重要な施策であることは論をまちません。

 そこで、平成十六年度から、いわゆるスマートインターチェンジの社会実験を通して、ETC専用のインターチェンジの課題を整理してきたところであります。その結果を受けての本格的な設置がされたということはまだお聞きをいたしておりませんけれども、まだまだ課題も若干あるようにも伺っております。

 私ども石川県の中でも、徳光パーキングエリアのスマートインターチェンジについては、社会実験での結果が北陸地方の沿線の中でもトップクラスの成績を残したというふうに聞いておりますし、地元の白山市を含めて、何としてもこれが実現のためにということで、今一生懸命努力をしているところでもあります。

 このスマートインターチェンジの設置については、当然民営化された会社がその設置をすることになるのかもしれませんけれども、これが具体的に設置できる具体的な整備方針等が決まっておるのであればお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 昨日の分科会から、このスマートインターチェンジの御質問が非常に多いということでございます。ETCの進化、普及によりまして、ETC専用のスマートインターチェンジが非常に御要望が強い、期待が強いということと認識させていただいております。

 現在、全国でこれまでに三十二カ所のサービスエリア、パーキングエリアにて、利用状況、周辺地域の活性化の効果、運用上の課題等の把握を行い、社会実験を行わせていただいているということでございます。

 お尋ねの徳光パーキングエリアにおきましては、平成十七年四月の社会実験開始以来、いろいろ使われておりまして、平均で約七百台の利用があるというようなことで、比較的高い利用があるというぐあいに受けとめさせていただいております。

 運営方法について、関係機関と調整を図りつつ検討を進めさせていただいているということでございます。

 また、会社になったということで、当然会社の御意向もお聞きしながらということになろうかと思いますが、十八年度中の本格導入に向けて、いろいろ検討を、関係省庁との協議を含めて進めさせていただければと思っておる次第でございます。

北村(茂)分科員 整備方針等を早期に確立していただいて、地元の要望にこたえていただきたいというふうなことをお願いしておきたいと思います。

 次に、地方の道路の整備効果等評価方法について伺いたいと思います。

 道路は、日常生活や経済社会活動を支える最も基本的な社会資本であるということは先ほど申し上げたとおりでありまして、加えて、国土保全やあるいは観光交流の促進など、道路整備が不可欠だと言われております。

 しかし、その道路整備の事業採択に当たりましては、現在の費用対効果、すなわち交通量の議論だけでは、地方の道路は切り捨てられていくという結果になっていくのではないかというふうに思えてならないのであります。

 しかし、道路というのは、今や、単に時間短縮の目的を目指すとか、あるいは人や物を運べばいいというだけではなくて、道路の果たす機能や役割というのは、非常に多面的、多機能になってきているということは当然であります。

 したがって、地方の道路を事業採択するに当たっては、いわゆる採択の評価の方法というものを、地域は地域に合った、地方は地方の特殊要因等を勘案した事業採択ということをそろそろ考えていくべきではないかということを考えているわけであります。

 これまでは、どちらかといえば、費用に対して、走行時間短縮の便益だとか、走行経費の減少便益だとか、交通事故が減るからとか、こういうような次元で言っていたかと思います。私ども地方にあっては、やはり主要観光地とのかかわりだとか、防衛施設とのかかわりだとか、利用がしやすいような道路であってほしいとか、あるいは今日、地方の医療の問題も言われているわけでありまして、さらには、他の交通手段がなくて、どちらかといえば車に頼らざるを得ない地域であったり、その地域の道路であるということを考えれば、地方の特殊要因というものも事業採択に当たって考慮してもいいのではないかと考えるのですけれども、国土交通省の見解を伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、我々も今後十分充実させていく必要があるかと思っております。きちんとした事業評価をしていくということが、不必要な道路もあるんじゃないか、無駄が多いんじゃないかという御指摘に対しても的確にこたえることにつながるんではないかと思っております。

 現在、事業採択に当たりましては、便益が費用を上回っていることを確認させていただいておりますが、そのほか、今御指摘の高次医療施設へのアクセス向上などの住民生活に及ぼす影響や、冬期交通不能区間の解消などの地域社会に及ぼす影響など、道路が持つ多様な効果について新規事業採択時評価を実施させていただいた上で、総合的に事業採択箇所を決定しておるということでございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、計測可能なというようなことは、今御指摘の三つの便益というようなことで計測がとどまっておるわけでございますが、これ以外の便益につきましても、いろいろ便益計測手法の充実に努めさせていただきまして、できるだけわかりやすく数値化させていただいて、的確に評価をさせていただくよう努めさせていただきたいと考えております。

北村(茂)分科員 ぜひ、そのような取り扱いをしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、金沢港の整備について伺いたいと思います。

 金沢港では、現在、外国定期航路としては、韓国へ週三便、日本海側では唯一北米へ月一便、国内貨物航路についても、北海道を結ぶローロー船が就航しておりまして、建設機械等取扱貨物も順調に増加いたしているところであります。また、県としても、ガントリークレーンの導入によりコンテナ貨物の荷役作業の円滑、効率化等を図るなど、地域経済を支える拠点としての役割を担うべく、港湾機能の向上に努めてきたところでもございます。

 一方、金沢港には水深マイナス十メーターの岸壁しかありませんので、需要に合った大型船舶による大量輸送ができず、地元経済界からは、大水深岸壁の建設が強く求められてきたところであります。このような状況の中で、念願であった金沢港多目的国際ターミナル整備事業の新規着手をお認めいただいたことにつきましては、県を挙げて感謝申し上げているところでありまして、この場をかりて厚く御礼を申し上げたいと思います。

 したがって、この後は、早急にその整備を進めていただいて、実は、コマツという地元にゆかりの企業もそこに新たな企業進出をして、ふるさとでありますので、そこで地元の人たちとの協調関係の中でしっかりとした企業をつくっていきたい、こういうありがたい申し出もありまして、何としても、地元としては、この大水深岸壁の早期整備、そして完成を待ち望んでいるところであります。

 現時点で、国土交通省としてどのような整備方針を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

鬼頭政府参考人 金沢港におけます今後の港湾整備の方針についてのお尋ねでございます。

 今、委員御指摘のとおり、昨年の秋に建設機械製造業の新工場の建設が決定されるなど、金沢港におきましては、今後とも、地域経済産業の拠点としての役割を果たすことが大いに期待されているところでございます。

 国際的な活動をしている製造業におきましては、大変熾烈な価格競争を強いられていることもございまして、そういった産業の国際競争力を強化するため、大型船を利用することによって輸送コストをいかに削減できるかということが大変重要な課題になっているということを私どもも認識してございます。そういった意味から、この金沢港におきまして、十八年度から、水深十三メートルの多目的国際ターミナルの整備に着手をすることにしたところでございます。

 この整備に当たりましては、今委員お話ございましたように、できるだけ早く供用をするということで、私どもも重点投資に努めてまいりたいというふうに考えてございます。具体的には、平成二十年度までに岸壁本体については整備を終えまして、水深十二メートルで暫定的に供用を開始したいというふうに考えております。その後は、使いながらつくるという段階的な整備方式をとりたいと思っておりまして、水深十三メートルまでしゅんせつを進めていくということにしたいというふうに考えております。

 私どもといたしましては、今後とも、効率的、効果的な港湾整備を通じまして、地域経済の力強い再生に寄与してまいりたいと考えているところでございます。

北村(茂)分科員 これまた地元の案件ばかりでありますけれども、ぜひ鋭意取り組んでいただくことをお願いしておきたいと思います。

 次に、海岸保全対策について一件伺っておきたいと思います。

 私ども石川県能登半島の入り口に、千里浜なぎさドライブウエー、御存じないかもしれませんが、全国で唯一砂浜をドライブできる、数キロにわたって砂浜を車でドライブできるという地域があります。砂の質もあるんでしょう、全国にここしか例がないと言われているところでもございます。夏場には、海水浴客はもちろんですけれども、その千里浜ドライブウエーを目指して、全国から多くの方々が訪れてくれる観光地でもございます。

 ところが、最近、潮の流れなのでしょうか、構造物の、どこかの影響なのでしょうか、侵食が大変激しく進んでおりまして、地元でも、重要な地域の財産であるから何としても整備を進めてほしいということは、地方の議会でもこれまでいろいろな角度からの議論がなされてきたところであります。

 しかし、これといった整備手法といいますか、効果的な整備の方向性が見出せないまま今日に至っておりまして、県としても、この整備を進めるための検討委員会等もつくって、国土交通省の専門家の方にも入っていただいたり、あるいは大学の先生等のこの道の専門家にもまたお入りいただいて鋭意取り組んでいるというところであります。

 しかし、言われて久しい割には一向に整備が進まない、あるいは整備の手法の方向もまだ定まらないという状況にあることは御案内のとおりであります。地域の財産として、先人が残してくれたこのようなすばらしい砂浜を後世に残すためにも、ぜひ、国土交通省が直接、あるいは間接であっても、整備手法等の方向を見出すために力をかしていただきたいし、それがまた、方向が決まれば、事業化に向けての力もかしていただきたい、こういう声が強いのでありますが、これに対する御見解を伺っておきたいと思います。

渡辺政府参考人 千里浜海岸の千里浜ドライブウエーにつきましては、砂浜をドライブできるということで、私どももよく伺っているところでございます。

 ただ、最近では、海岸侵食によりまして、そのドライブに支障が出ているというような話も伺っているところでございます。

 この海岸侵食につきましては、砂浜の利用の阻害だけではなくて、国土保全の問題につきましても大変大きな課題だというふうに考えているところでございます。

 この千里浜海岸につきましては、現在、海岸の管理者であります県の方で、侵食対策のあり方について、十八年度末を目途として専門家による検討を始めているというふうに伺っております。

 私ども、石川県とよく調整し、また協力しながら、その検討結果を踏まえて、今後の方向について一緒に考えていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

北村(茂)分科員 ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

上田主査 これにて北村茂男君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 こんにちは。民主党の仲野博子でございます。

 本日は、国土交通省、そして、北側国土交通大臣とはこうして初めてお目にかかれて、光栄に存ずる次第でございます。先ほど来、質疑を聞いておりまして、大変前向きな答弁をされていたということで、私の質問に対しても誠意ある答弁をいただきたい、そのように思うわけでございます。

 去る二月十七日、中央防災会議が開催をされまして、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る防災対策推進地域の指定や地震対策大綱などについて、決定、承認をされました。今、皆様方のお手元に資料を配付させていただきましたけれども、緑のところがその地域指定でございます。皆さん、見てください。ちょうど私の選挙区の釧路、根室、釧根管内、もろにこのようになっているわけでございます。

 そして、このことが地元の方で新聞報道されたときに出てくるお言葉は、近い将来大きな地震が発生したらどうしよう、この道路、この港、この河川、この建物で果たして対応できるのかどうなのか、そういう不安の声がささやかれているわけでございます。この委員会を機に、そういった不安を安心に変えていくといったことをきょうこの委員会でお答えいただければ、地元の方たちも、ああ、さすが政府だ、さすが国土交通大臣と。言うまでもありません、この中央防災会議の会長は小泉総理大臣でございます。

 そして、この経過は、釈迦に説法かもしれませんけれども、昨年、ちょうど阪神・淡路震災が十年目で、あれは去年の一月でしたか、神戸で、総理大臣も出席をされまして、世界各国から四千人の方たちが出席をされて、このことを議題に、これからの安全、安心という、災害は忘れたころにやってくると言われている中で、そういったことを踏まえての世界会議が開催された、そのように記憶しております。そういったことを機にこうして中央防災会議が開催をされて、そして、こういった防災対策推進地域に指定をされました。

 私の北海道の釧路、根室管内、現在、十三市町村ありますけれども、このすべての市町村が大きな地震とこれに伴う津波を含めた被害が強く懸念される地域だということを前提に、先ほど申し上げましたけれども、地元の住民あるいは自治体などから出されている意見や要望を中心に、何点か政府の考えをお聞きしてまいりたいと思っております。

 地震の発生から津波が到達するまである程度の時間がかかりますが、管内はちょうど積雪寒冷地域でもありまして、除雪体制のおくれが直ちに住民の避難経路の確保や消防や救急車の通行を困難にしているという状況にあります。生活道路の大半は市町村が管理をしております。近年の地方財政危機によって、除雪費用そのものの捻出も大変厳しくなっております。また、漁村部では、高台への徒歩による避難経路がそれぞれあるんですけれども、高齢化と人口減によって、町内会や自治会による日常の除雪や凍結防止の対策や管理が難しいところも多くあるというのが実態でございます。

 このような実態を政府としてどう認識されておられるのか。また、このような地域に対する防災対策の支援策、例えば交付税や補助金などの措置について、基本的なお考えをまず大臣にお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 よろしくお願いいたします。

 この冬の雪というのは、十二月から大変降り出しまして、もう既に平年の倍の雪が降っている、また、三月末までに降る雪が既に降ってしまっている、こういう状況でございます。

 私も豪雪地域に何カ所か行かせていただきました。屋根の上の除雪、また道路の除雪、本当にもう毎日毎日の御苦労でございまして、豪雪地域の皆様の御苦労を、私も実際現場を見せていただいて痛感したところでございます。

 道路はまさしくライフラインでございまして、この道路の除雪については、県、市町村の方々、また地元の方々が大変御苦労していただいておるわけでございます。交付税措置はもちろんのこと、国交省といたしましても、県に対する補助、市町村に対する補助、これまでもやってきたところでございますが、今調査をしておりまして、その調査を取りまとめ次第、必要なところについてはまたしっかりと対応をさせていただきたいと考えているところでございます。

 また、我が国はこれからますます高齢化が進んでいくわけですね。また、人口減少の中で過疎地域がふえてくるわけでございます。そういう高齢化、また過疎地域がふえる中で、ことしのようなこうした豪雪があったときに、これまでの雪害対策で十分なのかどうか、やはりそこはしっかりと検証する必要があるというふうに考えておりまして、今、高齢者対策の専門家の方々も入っていただいて、国土交通省の中で検討会をさせていただいておるところでございます。

 これからの時代、高齢社会がますます進み、過疎化が進む中で、除雪、排雪等、また屋根の雪おろし等々、そうしたことについてもっと円滑にできるようなことをやはり検討していく必要があるわけでございまして、そうしたインフラ整備も施行していく必要がある。また、ソフト面においても、助け合いをどうしていくのか、そうしたことについても今議論をさせていただいておるところでございます。取りまとめ次第、今後の施策に反映をさせていただきたいと考えております。

仲野分科員 今大臣から考え方をお聞きしたんですけれども、もう少し詳しく、例えば除雪に対する交付税措置だとか、あるいはまた、道路の管理者が、例えば、市町村道は自治体、道道は北海道、国道は国、そういった中で、やはり一体化していく必要があると思うんです。そういったことを詳しく、道路を担当の政府の方にちょっとお尋ねいたしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今大臣が総括的に御答弁されましたが、若干重なる部分があるかと思いますが、補足的に御説明、答弁させていただきたいと思います。

 除雪につきましては、国県道、国直轄につきましては当然国があれしているわけでございますが、県が管理する国道、都道府県道につきましては、当然のことながら、県が管理する、都道府県が管理するということでございまして、北海道の場合は国道は直轄ということになっているわけでございますが、市町村道につきましては当然市町村が管理をするということでございます。

 国県道の補助につきましては、雪寒法に基づきまして、通常の補助よりも高く、かさ上げというようなことで、除雪につきましては、いわゆる雪寒法で決められた道路につきましては、通常予算から、通年、補助制度が確立されております。

 市町村道につきましては、基本は普通交付税で対応するというようなことになっておるわけでございます。ただ、ことしのように、また昨年もそうでございましたが、平年を上回る著しい降雪があった場合には、特例措置として国が補助できる制度がございます。総務省が担当する交付税と私ども国交省が補助というようなことで、特別交付税と補助というようなことが一体となって市町村が管理する道路について除雪ができる支援制度はございます。

 ことしの場合につきましては、既に緊急措置として、二月の三日に、二十二道府県百九十七市町村につきまして、事業費ベースで五十五億円の予算を緊急措置させていただいたということでございます。

 今後、これで終わりということではなく、除雪は後対応ということになるわけでございますが、委員御指摘のとおり、高齢者もふえている、またライフスタイルも変化してきているということで、そこに住んでいる方々、住民の方が不安を抱かないように、もう既にしっかりと市町村が対応していただいているかと思いますが、今調査をさせていただいておりまして、その調査を踏まえまして、しっかりとした除雪の補助をさせていただこうと思っております。

 また、連携につきましては、北海道の先生の御地元の釧根地方では防災連絡協議会を開催されておるということで、除雪優先路線や雪の堆積場を相互に確認する、共有するというようなことで除雪体制強化のための取り組みが行われているというようなことで、全国でも先駆けて行われている地域ではないかと思っております。

 そういうことで、地方公共団体からの要請があれば、国において、緊急的に市町村道の除雪作業や、また除雪機械の貸与というようなことも実施をされているというぐあいにお聞きをしております。

仲野分科員 なぜこれを申し上げたかと申しますと、結局、総務省の特別交付税で除雪費用についても措置をされているという状況なんですね。こういった防災対策推進地域に指定されたということで、今後、そういった特別交付税もしかるべきことですけれども、指定地域だからこそしっかりとその取り組みを強化していただきたいということをあえて申し上げさせていただきたいと思うんです。

 それぞれの自治体は議会がもうそろそろ開会されるのでありますけれども、本当に今、新年度予算を編成するに当たっても、大変財政難で厳しい状況である中で、この除雪費用をどう捻出したらいいのかということで、大変自治体の首長さんたちは苦慮されているわけであります。

 こういったことで、大臣も、今、道路局長からお話しいただいたんですけれども、あえてこの推進地域だからこそ、ぜひ支障のないように、雪が降っても除雪費用についてはしっかりと特例を認めていただきながら、これから防災計画の中に反映をしていただくような形で、国の方としてしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、答弁をお聞きしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御懸念のことは十分我々も認識をさせていただいておるところでございます。

 ただ、雪の降り方は毎年毎年異なるということもございます。また、今回の指定を踏まえて、現行制度の中でどうした問題があるのかといったようなことも含めて、関係機関、関係省庁と十分検討させていただきたいと思っております。

仲野分科員 ここだけでやってしまうと時間が次になくなるものですから。

 ずっとこの間の大地震の発生の季節を見てみますと、北海道の私の地域は、割と一月に地震が多く発生しております。

 そういった意味で、オールシーズン、いつ来るかわからない地震、特に冬の地震、先ほど大臣からも、本当にハード、ソフト面で力を入れていきたいと言って、高齢化も進行しているという中でしっかり取り組みたいということを、あらゆるトータル的なことを踏まえて前向きにお答えいただいたので、そこを局長としてもよろしくお願いをしたいなと思っています。

 もう一つ聞きたいことは、そういった意味では主要幹線道路、国道などのかさ上げ措置が必要だと思うんです。具体的に言いますと、私の地域の国道三十八号線の音別、白糠地区などの主要幹線道路が、国道三十八号線があって、見てもらうとわかるんですけれども、右側がもう海なんです。津波が来た場合、走っている車がもしかしたらその津波に持っていかれるという、その沿岸には住宅もあるわけであります。

 そういった意味で、この対策についてどのようにお考えになっているのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。北海道局長。

吉田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘の国道三十八号線、これは、滝川市を起点としまして釧路市を終点とします北海道の道東と道央を連絡する骨格的な幹線道路であるとともに、この推進地域を横断します防災対策上でも重要な路線というふうに認識しております。

 道路には、災害のときには避難路それから緊急輸送路としての役割も期待されております。この国道三十八号線でありますとか周辺道路網の整備につきましては、今後策定されます地域全体の防災計画、あるいは沿道の土地利用でありますとか整備効果などを検討する必要があると考えております。

 国土交通省としましては、現在、この釧路管内の太平洋沿岸にあります道路情報板三十六基で津波予報の提供を三月中旬から試験的に実施したいと思っておりまして、また、この推進地域の中の緊急輸送道路の橋梁の耐震補強を平成十九年度までに完成するなど、地震や津波などに対するソフト、ハード対策を実施しまして、安全、安心な北海道の形成に向けて取り組んでいく所存でございます。

仲野分科員 北海道局長から、今、当面、今後に向けてのお話、御答弁いただきました。

 本当に、事務方で一生懸命、国民の安全、安心をどう守っていくかということで大変努力をされているということは、私は心から敬意を表させていただきたいと思います。問題はやはり、せっかくそのことを、地域の要望、自治体の要望等いただきながら、財務省に持っていくとばっさり切られてしまう、こういうようなことがあると思うんです。いや、これは国土交通省に限りません。

 そういった意味では、どこに視点を置いて住民の安全、安心を守るかということが私は一番大事なことではないのかな、そのように思っております。

 根室・釧路沖地震が最近何度か発生しているわけですけれども、そのたびに、この沿岸部の港湾が大きな被害を受けて、漁業や船舶による流通に支障を来しております。指定地域におけるいわゆる耐震バースの整備について、今後の見通しと今回の指定によって対象箇所や整備基準を変えていく考えがあるのかどうなのかを、まず政府のお考えをお聞きしたいと思います。

鬼頭政府参考人 お尋ねのございました耐震強化岸壁でございますが、大規模な地震が起こりましたときに、緊急物資あるいは避難者等の輸送機能を果たすとともに、国際あるいは国内海上輸送網としての一定の機能を確保することによりまして、被災地域の社会経済活動への影響を最小限に抑える、そういう目的のために整備を進めているものでございます。

 この中で、特に緊急物資等の輸送対応で整備をしております耐震強化岸壁でございますが、全国で今三百三十六の計画を持っております中で、整備が既に済んでおりますもの、あるいは整備中のものが百八十六ございます。整備率にいたしますと五四%ということで、まだまだ整備を進めなければいけないという状況にございます。

 特に、今委員からお話のありました、近年、大規模な地震が発生している道東地域にございますお地元の釧路港の場合でございますが、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に対する防災対策推進地域に位置しておりまして、港湾計画上も耐震強化岸壁が位置づけられておりますが、残念ながら、現在までのところ未整備でございます。

 こういったこともございますので、今、耐震バースの見直し等というお話がございましたが、まずは、今計画されている耐震バースをしっかりとつくるということが大変急がれているということで、それについて、我々、一生懸命努力をしていきたいというふうに思っております。

仲野分科員 全国に、耐震バースの整備、三百三十六の計画があって、百八十が整備中ということで、釧路はまだ未整備ということですね。ちょっと最後、何かわからなかったんですけれども、釧路港についてはいつ。これを聞きたいんです、見通し。

 言っておきますけれども、例えば根室の花咲港とか、御存じでしょう、もう地震があるたびに液状化現象でこんな段差になっちゃうんですから。私は、今、本当に皆さん方のことを思っているんですよ。というのは、今、国も財政が厳しい、その中で、やはり震度六強の地震が来たときに、余り被害を大きくしないで、少なくなるように、少なければ少ないほど、改修するにしても、それだけ予算を投資しなくて済むように、そういったことも踏まえて私は質問しているんです。ですから、釧路港について、道東については、いつ、どうなんですか、ちょっとお知らせいただければ。

鬼頭政府参考人 先ほど、耐震強化岸壁の整備率についてお話をさせていただきました。これについて、私どももできるだけ早急に整備を進めるということを考えております。そういう意味で、今、耐震強化岸壁緊急整備プログラムというのを作成したいというふうに思っています。先ほど申し上げた五四%という整備率を、五カ年の間にできれば七〇%ぐらいまで引き上げたいというふうに考えております。

 お地元の釧路港につきましては、港湾管理者である釧路市とも御相談をさせていただきまして、事業の必要性、緊急性などを見きわめながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

仲野分科員 今、適切に対応するということで、地元との相談ということもあるんでしょうけれども、何せかんせ、もう本当にこれは急いでしなきゃならないところなんですよ、これはもう指定されているわけですから。見てください、全部緑色になっているんです。わからないですよ、あした来るかもしれないんですから。そういった意味では、五〇から七〇%に上げていくということですので、何とか、本当に緊急度を、どこを手をつけていかなきゃならないのかということをしっかりと、港湾局長、きょう、私のこのことを右から聞いて左から抜かさないで、しっかりと受けとめてやっていただきたいな、そのように思っております。

 時間が余りないものですから、次の質問に移らせていただきます。

 例えば、この「地震防災対策の基本的方向」の「対策のポイント」の中にあるんですが、結局、「津波防災対策」の中に「1避難体制」ということがあるんです。それで、避難する場所となれば、当然、公立の学校や病院など、住民の避難施設であると同時に、児童だとか生徒や患者という比較的弱い立場にある方たちをそこで守るという防災の拠点でもあります。そういう意味では、特に耐震化が進められるべき公共施設であると考えます。

 また、平成十七年四月一日現在の全国の公立の小中学校の耐震化の状況を調べた資料がありますが、耐震診断の実施率が五六・三%、耐震化の実施率二四・六%という数字であります。指定地域のうち、北海道や青森、岩手などは、その全国平均さえ大きく下回っております。耐震化改修促進法を所管する大臣として、この状況をどう考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

北側国務大臣 地震があったときに、学校というのは、今委員のおっしゃっているとおり、避難所になります。また、病院というのは、これはまさしく治療の場になるわけでございまして、こうした学校や病院の耐震化を急ぐことは、もう本当に最優先の課題であると私も考えているところでございます。

 昨年、衆議院選挙の後に、特別国会で耐震改修促進法を全会一致で改正を認めていただきました。それに基づきまして、一月に国の基本方針を定めさせていただいて、年内、一年のうちに、各地方も、耐震改修に向けての促進計画を各地方公共団体にも策定をしていただきます。

 学校につきまして、学校とか病院のような多くの方々が利用される、かつ、地震のときに重要な建物については、やはり耐震化を急ぐ必要があるということで、まず、耐震診断を学校については早急にやろうと。先ほど委員がおっしゃったように、耐震診断もされていない学校があるわけでございまして、耐震診断を年内中に、これは文部科学省と、文部科学大臣と連携をとらせていただいておりますが、年内中にすべての耐震診断をともかく終えようということで合意をさせていただいております。その費用については、文科省の予算だけではなくて、国交省の方の予算も使っていただいて、学校の耐震診断をやろうと。

 そして、その上で、この一年のうちに地方が、地方公共団体が耐震改修の促進計画をつくりますので、その中で、学校や病院について、耐震化をいつまでにやるのか、そして、その整備のプログラムをどうするのか、そこのところも、各地方で策定される計画の中できちんと書き込んでいただくというふうにさせていただきたいと思います。

 また、耐震診断の結果については、これはきちんと公表するということもさせていただきたいと思っております。

仲野分科員 今、大臣から非常に前向きな御答弁をいただきました。やはり、避難施設、防災拠点であるということで、私はこれは非常に大事なことだと思っております。

 そういった中で、今、本当に地元では少子化、高齢化が進み、学校の統廃合が行われておりまして、学校がかなり空き校舎となっております。今、この廃校の転用に当たって、まちづくりの観点から、例えばまちづくり交付金等を活用し、財政支援、どの施設に転用するのか、それぞれの町で、自治体で考えることなんですけれども、例えば学校の廃校になったところを福祉の施設に使いたいといった場合には、そういったときに、まちづくり交付金を活用し、財政支援することができないのかどうなのか、これをお聞きしておきたいと思います。

柴田(高)政府参考人 まちづくりを進めるに当たりましては、公共投資の効率化、地域資源の活用等の観点から、既存のストックをできるだけ活用することが重要であるというぐあいに考えております。そのため、従来より、必要な社会資本の整備とあわせまして、既存施設の耐震化や改修などの促進を図ってきたところでございます。

 平成十六年度に創設されましたまちづくり交付金におきましても、既存ストックを生かしたまちづくりを支援いたしてございます。例えばでございますが、宮城県登米市の十文字地区におきましては、本制度を活用いたしまして、地域拠点の形成を図るため、廃校となりました小学校を地域住民やNPOなどの活動の場として再整備することに取り組んでおられます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、既存ストックを活用した個性あふれるまちづくりにつきまして、地域の要望を踏まえまして、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

仲野分科員 最後になるんですけれども、もう一度大臣に決意をお尋ねして終わりたいと思うんですが、こうして、くどいようですけれども、釧路、根室地方が防災対策推進の指定を受けたということを踏まえて、本当に決意を新たに、地震防災対策に取り組む新たな決意をお聞きして、終わりたいと思います。

北側国務大臣 国土交通大臣も中央防災会議に参加をしておりまして、この会議のときも出席させていただいているところでございます。

 今回、釧路、根室地域が防災対策推進地域に指定されたことを踏まえまして、道路、河川、港湾等々、きょうも幾つかの御質問をいただきましたが、そうした防災対策を一層推進してまいりたいと思っております。特に、津波の問題がありますので、市町村の津波ハザードマップ、これを早く作成していただく必要があるわけでございまして、その取り組みに対して技術的なアドバイスをするなど、できる限りの支援をしてまいりたいと思います。

仲野分科員 前向きな決意をお答えいただいたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田正彦君。

山田分科員 きょうは、離島の航路の問題について、少し、大臣、副大臣、いろいろお聞きしたいと思っております。

 離島の航路なんですが、実は、対馬、今島民が大変揺れております。というのは、対馬は六〇%が本土との間を航空便、船便に頼っております。ところが、今まで全日空が航路を飛ばしておったわけですけれども、今回、ボーイング、B737ですか、これをこの四月からダッシュ8というプロペラ機にかえるということになりまして、皆さん大変不安に思っております。

 その一番の不安が、このダッシュ8という機材、これが非常に事故が多い。今、伊丹と高知間で二〇〇三年から飛ばしておりますが、この二年間の間にトラブルで四十六回欠航、そして八回引き返しと、大変な事故が起こっているわけです。事故というか、トラブルが発生しているわけです。中でも、操縦室に噴煙、緊急着陸とか、全日空機、客室から煙とか、そういった事故とまでいかないにしても大変なトラブルが発生続きである。

 こういう機材が非常に皆さんが不安を持っているわけですが、これについてどのような調査をし、どのような結果なのか、簡単に答えていただきたい。だれでも結構です。

北側国務大臣 今委員の御質問は、平成十七年十月から福岡―対馬路線で運航しておりますDHC8、七十四人乗りのプロペラ機でございますが、この運航についての御質問と思います。

 これは、平成十五年から我が国に導入されておりまして、現在十八機、十九路線で運航をしているところでございます。確かに、他の機種と比較するとトラブルが少し多いというのは事実だと思いますが、重大インシデント等の重大なトラブルが発生しているものではございません。

 国交省といたしまして、同型機の運航者に対して、一斉点検、トラブルの原因究明及び再発防止策の策定を指導するとともに、整備基地に対する立入検査等も実施をしているところでございます。また、この飛行機をつくっておりますのはカナダ、製造国政府でありますカナダ航空当局に対してもトラブル通報をしておりまして、原因究明、再発防止に関して協力を要請しているところでございます。

 航空会社におきましては、点検間隔を短くするようにというふうな対策をとっておりまして、整備を的確に実施させてまいりたいと考えております。

山田分科員 立入検査をしているということですが、今、日本航空、いろいろ問題になっております。立入検査については当然よく記者会見、プレス発表等なされておりますが、私もこれを調べるまでは、全日空でこういう立入検査までするような事故というのが、事故と言えるのかどうかわかりませんが、トラブルが発生しているとは全く知らなかったんですけれども、これはなぜ記者会見しなかったんですか、全日空の事故について。局長で結構です。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、日本航空の立入検査につきましては、昨年の三月に日本航空に事業改善命令を私ども出しまして、その後提出された改善措置の実施状況を確認するために行っておりまして、その結果についても公表したところでございます。

 今御指摘のダッシュ8のトラブルについての立入検査でございますけれども、エアラインの方には、整備上の問題があってこうしたトラブルが起こったのかどうかということについて、念のため、確認のため、立入検査をしたものでございます。特に整備上の問題というよりも、先ほど大臣が答弁しましたけれども、ダッシュ8という機種の製造上、設計上の問題の方が主でございまして、この立入検査で特に問題があったわけではございませんので公表を行わなかったわけでございます。

 ただ、このダッシュ8がどういうトラブルを起こしているかということにつきましては、軽微なものを除きまして、主なトラブルについてはその都度公表させていただいておるというところでございます。

山田分科員 私が調べた限りでは、日本航空の数々あるのもやはり整備上の事故、全日空のこれだけのことも整備上のいわゆる事故。その中で、噴煙が操縦室とか客室で発生したり、油圧系統の故障とか、重大な事故につながる可能性が十分あった。それを単に整備の点検を早くしたり、それだけで済ませるとか、そういうことではないのではないか。

 殊に、私が聞いたところでは、カナダのメーカーとの間に、構造上のと言えるか言えないかわかりません、いわゆる機材の部品とかなんとか言っていましたが、そういったものについての欠陥があるからこそカナダのメーカーとの間にいろいろな交渉をやっているのではないのか。そうすれば、この機材は危ない。こういう機材をこのまま運航を続けていいのかどうか。ひとつ、大臣からでも副大臣からでも結構ですが、御答弁いただきたい。

北側国務大臣 カナダの当局との間で先ほど申し上げましたように連携をとっているわけでございますが、機材に欠陥があるというふうな報告を現時点で受けているわけではございません。ただ、実際トラブルが出ていることは確かでございますので、安全上の監視、監督はしっかりとやらせていただきたいと考えております。

山田分科員 安全上の整備その他をしっかりやらせたいということだけでは済まない。大臣、航空法の百十二条、「輸送の安全、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実がある」と。そのために立入検査なりカナダのメーカーとも交渉を続けているわけですから、だからそういった場合には、いわゆる事業計画または運航計画、そういったものの変更、例えば安全な機材を使うとかそういうことを改善命令、そういったものを出す、事業改善の命令ができるようになっておりますが、こういう事態ではないのか。

 私が全日空と、こういう機材をわざわざ今までのボーイング、B3というんですか、これにかえて飛ばすということは島民が不安に感じているし、これをやめていただきたいと相談しても、いわゆる規制緩和のもと、我々は自由なんだから何を飛ばそうと勝手だ、そこまでは言いませんが、そんな言い方なんです。そこは監督官庁として当然考えるべきだと思いますが、それについて、一言で結構です、その意図はあるのかないのか、それだけで結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 このDHCのダッシュ8といいますのは、カナダで設計、製造されたものでございます。カナダ政府で機体の耐空証明というのをとりまして、それから、もちろん我が国あるいはアメリカ、ヨーロッパでも使われておりますけれども、そうした国でも耐空証明を取得して運航をしております。幾つかの部品の故障など機材のトラブルが起こっておりますけれども、重大なトラブルが発生しているものではありませんので、それぞれの国でも、この機体の耐空証明を取り消して飛行禁止にするといった措置は講じているわけではございません。

 繰り返しになりますけれども、いいことではありませんけれども、航空機の機体は、飛行中幾つかの機械上のトラブルが起こることはしばしばあることでございます。そういうことについてしっかり分析をして、整備点検をよりきっちりするとか、部品の取りかえ期間をより早くするとか、こうした措置を講じれば安全に運航できるものだ、このように思っておるところでございます。

山田分科員 それでは、大臣、もしもこの機材で事故がわかったら、国土交通省としては責任持てますか。

北側国務大臣 先ほど来申しておりますとおり、この機材に何か根本的な欠陥があるということがわかっているわけではありません。カナダ当局とも連携をとり、また整備等に注意深くしっかりやるということを今やっているわけでございまして、今後とも安全運航に向けて監視、監督をしっかりとやらせていただきたいと考えております。

山田分科員 大臣、対馬市議会で特別委員会をつくりまして、去年の二月の八日に十人、全日空に出向いていって、全日空の稲田部長とお話ししている。実際に、そういう事情であれば、二便の就航については、二便だけは従来どおりプロペラでなくジェット機を飛ばしましょう、ボーイングを飛ばしましょう、そういう約束をされて、対馬市議会に帰り、そういう報告をしている。

 ところが、その後全日空は、予定どおりプロペラ機、ダッシュ8を飛ばす、そういう主張をしてきて、そして当の稲田部長は、私はそんなことを言っていないと言い張っている。そして、いつの間にか部長はその座をおりてしまっている。

 そういう事情があるんですが、監督官庁としてはそのことについてどう思われるか、お聞きしたい。

岩崎政府参考人 私ども、全日空が対馬の市議会の方とどういうお話をされたかというのは承知しておりませんけれども、どういう機材を使ってどういう便を飛ばすかというのは基本的にはエアラインの経営上の選択でございますので、エアラインの選択に任せたい、このように思っておるところでございます。

山田分科員 すべてエアラインの自由に任せていると。しかし、実際に公の市議会において約束をし、しかも公の機関で一社独占である。そんな中で、公共の機関である航空機について島民が六割は頼っている。それについて、全くそういう約束もほごにするような状況下において、いわゆる国土交通省、監督官庁としては全く知らない、それでよろしいのかどうか。もう一回、今度は大臣から答弁していただきたい。

北側国務大臣 今委員のおっしゃった議会と全日空との話ですか、それは私も初めて聞かせていただきました。もしそういうことであるのならば、例えば議会の方から、また県なりの方からそういう話が国交省にあってもいいと思うんですが、そういう話も聞いておりません。

 いずれにしましても、先ほど航空局長が答弁いたしましたように、民間の航空会社でございます。どういう運営をしていくかというのは、基本的にはこれは民間会社が決めることであります。ただ、そこが安全面で問題があるだとか、そういうことではあってはならないわけでございまして、そこはしっかりと監視をさせていただきたいと思っております。

山田分科員 先ほども言ったように、安全面でどうあるかというのは、それは今言ったように、私は、今までの事故、いわゆるトラブル、そういったものを見て、これは大したことない、大したことある、その判断はどうなのか非常に疑問に思うし、そこは、これからも大臣として注意深くこの問題は考えていただきたいと思います。

 次に、料金なんですが、離島航路というのは非常に料金が高い。今、片道、例えば長崎と対馬の間ですと、かなり高くて一万四千六百円でしたか。福岡と対馬の間が一万二千百五十円。私が今、長崎と東京間、スカイネットが就航いたしましたが、片道、ちょっと特割で一週間前にとりますと、一万四千円ぐらいで行ける。その値段と、対馬に長崎から行く値段と変わらない、これは。

 特に、五島もそうですが、対馬もそうですが、園田先生のいる天草もそうなんですけれども、離島航路の運賃というのはどこも非常に割高過ぎる。同じ近距離航空でいっても、福岡と伊丹、これの距離当たりの運賃にしますと三・五倍いたします。その運賃が徐々に上がってきました。例えば、長崎と対馬がかつては七千円だったんです、何年か前、二、三年前。それが倍以上になってきた。

 そうしますと、今、島もどんどんお年寄りの島になってきまして、六十五歳以上が四割以上いる。こんな中で、介護、本土にいるいろいろな人たちが介護に、ほとんど六割は航空便に頼っていますから、行くにしたって高い運賃で、大変なことに島は苦労しております。そういった意味で、離島の航空運賃というのは余りにも割高過ぎるのではないのか。

 実は、そのことで、今、島では料金の値下げの問題、これをいろいろ言われております。大臣、ひとつぜひ聞いていただきたいんですが、対馬に今、六便、ジェット便が通っています。その中で一番利用客の少ない便については特別割引をやっています。それは片道六千九百円なんですが、七八%乗るんです。ほかの便は三〇%とか四〇%とかいう状況です。そうすると、運賃においても、ただ業者に任せるというのではなく、もう少し指導監督して、ならして、そして本当に島民が公共の便として利用しやすいようにすべきではないのか。

 同じ近距離航空でも、伊丹―福岡便、いわゆる大阪―福岡便と比べて、余りにも島民の生活に対して著しく支障がある。そういった場合に、実は航空法第百五条の二、社会的、経済的事情に照らして著しく不適切である、これは不適切と言えるんじゃないのか。そしてまた、旅客または荷主が当該事業を利用することに著しい困難を来す。

 例えば、今、対馬というのはもう主たる産業はすっかりなくなったんですが、マグロを養殖して、これは飛行機で飛ばさないと鮮度が落ちる。そういうことから飛行機をほとんど利用するんですが、今までのジェット便だと、一回二十本マグロを載せることができるんです。ところが、このダッシュ8になりますと、マグロを載せられない。どうも漁連が二月の五日に島民と話した会合の記録によりますと、一便二本しか載せられない。私が全日空に確認しますと、ダッシュ8でも一便に五本載せられると言っていますが、話が食い違っている。

 私は漁連の主張が正しいだろうと思うんですが、そうすると、今まで二十本載せられたのがたった二本しか載せられない。実際、マグロそのものは、今、対馬の主たる漁業になりつつあります。実は、十六年まで年間三千本出荷したのが、十八年はその倍、六千四百三十本、十九年は一万三千四百五十本出荷する予定になっています。そうすると、この荷物において当該事業を利用することが著しく困難になってくる。

 大臣、そうなると明らかに、この運賃及び料金に対する百五条の規定、これによって運賃に改善命令もしくは機材についても改善命令、いわゆる行政として一歩そういうことを指導する責任が絶対にありだと思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。

松村副大臣 お答えいたします。

 航空運賃については、離島路線に限らず、一般的に、運航距離が短い路線ほど距離当たり運賃が相対的に高くなる傾向があることは事実でございます。これは、例えば空港におきます人件費や空港の着陸料など、運航距離に左右されないコストが存在することなどが影響していると思われます。

 御指摘の福岡―対馬線は、運航距離百九十キロ、キロ当たり普通運賃六十二円であり、先ほど御指摘がありましたように、福岡―伊丹線が運航距離五百七十八キロ、キロ当たり普通運賃が三十二円と、キロ当たり普通運賃が約二倍となっていることは事実であります。

 しかしながら、福岡―対馬線と比較的運航距離が近い伊丹―但馬線、これは百七十五キロありますが、このキロ当たり普通運賃は五十八円、福岡―鹿児島線二百七十四キロが五十七円など、離島路線以外の運航距離が短い路線についてもキロ当たり普通運賃は相対的に高くなっていることから、直ちに離島路線の運賃が全体として高いとまでは言えないものと考えております。

 また、先生から、航空法上の変更命令を発出するべきではないかという御指摘でございますが、御指摘の福岡―対馬線の運賃については、ほぼ同様の運航距離の路線の運賃額とほぼ同様の水準でありますことから、他の路線に比べて著しく高く、島民の皆さんによる利用を著しく困難にしているという状況にはないものと考えております。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、現時点では、福岡―対馬線の運賃について、航空会社に対して、航空法に基づく運賃の変更命令を行うことや特段の指導を行うことは考えておりません。

山田分科員 今、松村副大臣からの答弁がありましたが、私の質問には答えていないと思うんです。荷物の問題にしても、著しく荷物を載せるということができなくなっている、そういう事情と、社会的、経済的事情に対して著しく不公平であるということ等について、私は、単なる近隣との比較だけで、近隣とも、大阪と福岡の間でやったら私の調べでは三・五倍ですから、明らかに違うと思うんですが、私の時間がありませんので、一つ大臣に申しておきたいことがございます。

 離島振興法の十二条で、空の便について特別な配慮をしろ、そういう規定があります。これは、この前の離島振興法の改正のときに私どもが盛り込んだものですが、その中でぜひ言っておきたいのは、航空機材の補助があります。これは九割まで補助金、いわゆる国の地財措置もとっておりますから、九割までできます。ところが、全日空の対馬便にはこれが利用されておりません。それから、固定資産税の軽減、これもできるようになっております。これもやられておりません。当然、そういったものを利用すれば、航空運賃も十分安くなるはずです。機材とかあるいは固定資産税とか、そういったものを配慮すればできる。

 さらに、大臣、離島の航路は、南の方の島も北の方の島も非常に運賃が高い。航空機の燃料に課税しているのは日本とアメリカだけで、そしてアメリカは、日本の航空機燃料に対する課税の十分の一にすぎない。離島については、航空運賃については課税をゼロにするとかそういう配慮をすれば、離島の航空運賃は、本当に大臣が離島の困っている人たちのことを思うならば、半分になるはずです。単なるいわゆる全日空とか航空会社の利便のために、それは民間がやることだから我々は知らない、それだけで済まされていいものかどうか。ぜひそこは十分考えていただきたい、そう思います。

 実は、もう一つぜひ聞きたい問題があったんですが、あと三分になってしまいました。

 離島の船の方の航路の問題です。

 これは、指定区間というのをいつの間にか規制緩和して自由競争、これがなされれば本当に離島の船の便というのは大変便利になって、そしてまた運賃もどんどん下がります。一番いい例が上五島なんですが、これは指定区間があったとしても、民間の船会社が頑張りました。かつて一日に長崎、佐世保までせいぜい一便か二便しかなかったんですが、今十七便から十八便、どんどん三社が競合することになりました。そして、運賃も六千円ぐらいだったものが、今、安いところで半分近く、高速艇でも三千五百円、フェリーでは千七百円まで下がりました。

 ところが、実は大臣、その指定区間の定めがある下五島地域、上五島地域はそうなったわけですが、下五島地域においては、一カ所どうしても奈良尾という上五島に寄らなければならないという指定航路の決まりがあります。それによって、どうしても下五島は従来どおり非常に高い運賃と、まだ一社しかありません。しかも、一日に今四便か五便ぐらいしかないと思っています。四便ぐらいですか。

 今度、壱岐、対馬です。壱岐、対馬も、壱岐にとっては対馬に寄らなければならないとなっておりますから、指定区間が。しかも、大臣、一度指定区間を調べていただきたいんですが、乗客は三百人以上にならなきゃいけないとか、トラックを三十三台以上載せなきゃいけないとか、いわゆる規制緩和が全く空文に帰している。

 さっきの航空の分野では、民間がやるんだから自由だ、何でもかんでも自由だと言っていますが、船便においてはすべてががちがちに決められてしまっている。したがって、逆に自由競争が全くなされていない。その結果、非常に高い運賃と不便な中で島民はやらされています。ぜひ、この指定航路、これを改めてもらいたい。それについて、大臣の方でぜひその見解をお聞きできればと思います。

松村副大臣 先生御承知のように、平成十二年の海上運送法の改正におきましては、参入、退出及び運賃の設定等について事業者が自由な事業活動を行えるよう規制を緩和したところでございます。

 離島の住民にとりましては生活航路の維持は不可欠なものであり、市場原理のみにゆだねた場合に、利益の出そうな区間や時間帯のみに参入が集中し、結果として採算性の低い航路が切り捨てられるおそれがあるわけでございます。このため、指定した区間につきましては、運航回数、輸送能力、運航時間帯等に関し一定のサービス水準の設定、運賃の上限の認可等の措置を講じた上で参入していただくこととしたものでございます。

 先生御指摘の、例えば博多―壱岐・対馬航路につきましては、参入に当たって、採算のとりやすい博多―壱岐間の一部分のみでなく、採算のとりにくい博多―対馬間のサービスも提供させることにより離島の生活航路のサービスの維持を図ることとして、そのため参入に当たって必要な要件を課しているところでございます。

 指定区間制度は離島の生活航路のサービスの維持を目的としておりますが、基本的には需要が小さいので独占的な市場となる可能性が高い傾向があることは認識しておりますが、そのため、島民の利用する運賃については、運賃の上限について認可に係らしめ運賃の高騰を防止しております。

 また、離島の生活航路の事業者による島民のニーズを把握したサービス向上のための努力は重要であり、引き続き、事業者を含め関係者に改善に努めるよう指導していくことが必要であると考えております。

 また、御指摘の佐世保―上五島航路におきましては、平成十四年より、指定区間のサービス基準を満たした新規事業者の参入により便数の増大、六便から十便等の利便性の向上が図られております。また、博多―壱岐・対馬航路及び長崎―下五島航路におきましては、既存事業者がサービス基準を満たした上で超高速船ジェットフォイルによる高速輸送サービスを提供するなど、島民のニーズに沿ったサービスの向上の取り組みを図っているところであります。

 いずれにいたしましても、離島の航路、空路につきましては非常に重要な問題であるというふうに認識して、今後とも努力してまいりたいと思います。

山田分科員 どうも前向きの答弁ではないようですが、大臣、最後に一言だけ。

 今言ったように、空の便の航路の問題もそうですが、船の航路の問題もそうです。島民は非常に困っておりまして、一度十分に国土交通委員会でも私も質問させていただきたいと思いますが、きょうは時間がありませんのでここでとめておきますけれども、大臣、ぜひこの問題については頭に十分入れていただいて改善方を、殊に離島の市町村、合併しましたので、もう一度、指定区間の航路については合併後の市町村の意向をよく聞いて、住民の希望があればどんどん指定区間を撤廃する、そういう方向で検討いただければと思います。

 以上、終わります。

上田主査 これにて山田正彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)分科員 長丁場でございまして大臣も委員長も大変だなと思いますけれども、また、今海の方から、今度は海のない埼玉の私、民主党の小宮山泰子、質問に立たせていただきます。

 御当地ナンバー、そして河川敷の有効利用、そして首都圏の環状線について、順次質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずもって、御当地ナンバーの件ですけれども、これは昨年も大臣には質問させていただきまして、おかげさまで、今年度から全国十八カ所の御当地ナンバーがスタートするということで伺っております。また、昨年質問したときには、やはり各地域、本当に望んでおりましたので、要件が合っていればすべてそれは許可をする、認めていくということをお願いしたつもりでございます。それに関しては採用していただいたと思っておりますので、本当にありがたく思っております。

 私の地域は川越ナンバーのところになるんですが、やはり川越ナンバーにならない近隣の市町村も協力をして要望してきた経緯もございます。こうやって地域で御当地ナンバーというのを守り立てていこうという機運が今生まれていますので、本当に、こういった大きな決断をされた大臣には心から感謝を申し上げたいと思っております。ありがとうございます。

 それでは、これも質問ではございますけれども、昨年まで、この御当地ナンバー、地域のナンバーというところに関しては、ある意味、私どもにとっては夢のような話でございました。しかし、ここで現実に動き出すということになりますと、やはりさまざまな準備、そして問題等にぶつかってくるんだと思います。

 その中において、御当地ナンバー、導入目的としましてどのような効果を期待されているのか改めて伺わせていただきたいとともに、この導入後、昨年の申し込みに加えて、今年度はまた新たな申し込み等は受けないというようなことも伺っております。今後、どういったような導入後の検証をされていくのか。この制度、いろいろな可能性を秘めております。ぜひその点に関して、今後の見通しについて伺わせていただきたい。

 また、導入に際しては、やはり促進という意味においては、車の交換をするときだけではなく、途中からもナンバーが変えられるということは大変重要なことだと思うのですが、その点に関しても、大臣の今後の効果の決断というか抱負を改めて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 一番最後の御質問、ちょっと忘れないうちに先にお答えしておきますと、新車購入時だけではなくて、今お持ちの、保有しておる自動車のナンバーを、川越ナンバーなら川越ナンバーに変更できるようにしたいというふうに考えております。

 この御当地ナンバーにつきましては、昨年も委員から御質問をちょうだいいたしましたところでございますが、今おっしゃったように、十八の地域において御当地ナンバーの導入をさせていただきました。十八年度から導入するということで、今、いつから開始するかということは最終の調整をしておりますが、十八年度中には開始をさせていただきたいと考えておるところでございます。

 各自治体におきまして、御当地ナンバーの採用が決まり、じゃ、これをどう活用していくかというのは、まさしく今、各自治体で、各地域で、各市やまた商工会議所等が議論をしていただいているんだろうというふうに思っております。当然、地域振興、さらには観光振興、また地域の一体感の醸成等々、活用していこうという取り組みがなされているというふうに思っているところでございますが、これは導入後に、その辺の効果がどうなのかということをしっかりと検証させていただきたいというふうに思っております。

 また、導入したことによって各種の行政事務への悪い影響が出ていないのかどうか、そこもよく見ていく必要があるというふうに思っておりまして、そうした検証を踏まえまして、今後の御当地ナンバーの導入については検討してまいりたいと考えているところでございます。

 ですから、まずは、この十八の御当地ナンバーの実績をしっかりと検証していくというふうにさせていただきたいと思います。

小宮山(泰)分科員 ちょっと細かく聞いて申しわけないんですけれども、今お話あったとおり、恐らく個人も、私自身もそうなんですけれども、やはり川越ナンバーをつけて、御当地ナンバーをつけられる地区で幸いにも住みますので、やはり変えていきたい。当然、企業も広告等、そういう意味では地域のナンバーをつけて地域の誇りを運転という中において生かしていくんだと思います。

 この制度が始まりましたら、恐らく全国でもっともっと採用したいという方々も多く地域で出てくるんだと推測されます。そういった意味においては、毎年ではないのであれば、今後の検討のスケジュールというのはいつぐらいに決めていくのか、その点に関して、どのぐらいの期間があれば検討ができるのかというようなことは既に話されているのか、その点、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったのは、今後の課題で、まだ具体的に検討しているわけじゃございません。

 今回のこの御当地ナンバーの導入は、国土交通省だけの問題ではなくて、警察がかかわっておりまして、警察の側のシステムの変更を伴うんですね。警察の側でそのシステム変更についての予算を、これは結構な額なんですが、かけておりまして、そういう予算上の問題もございます。

 先ほど申し上げた、導入のその後の効果がどういう効果が出ているのか、そこをしっかりと検証させていただいた上で、今後の導入の有無また時期等について検討させてもらいたいと思っています。

小宮山(泰)分科員 恐らくはすべての地域が御当地ナンバーになるということはあり得ない話だとは思いますけれども、やはり、これによっての効果、そして観光立国と、今、日本は随分、多くの国土交通省の職員の人たちも「ようこそジャパン」のバッジをつけていらっしゃるということを考えれば、どういったふうに今後運営していくのかというのは、恐らく全国の人が見守っている制度だと思います。

 そして、恐らくはこの中において新しい流れというものができると思いますので、ぜひその点に関してはこれからも私は注目していきたいと思いますし、大きな決断だと思いますので、ぜひこの試みが成功するように支援をしていきたいなと思っております。

 それでは、河川敷利用について伺ってまいります。

 国土交通省の公園緑地課の資料によりますと、全国の都市公園面積の約十万六千ヘクタールのうち、一割弱の約一万ヘクタールが河川敷を活用しているというふうにあります。

 最近話題になりますけれども、二〇〇七年問題、団塊世代が地域に戻ってくる。そういった中において、戦後世代というのは、ゲートボール世代とは少々違いまして、野球やソフトボール、サッカー、テニス、いろいろなスポーツになれ親しんでいる世代でもあります。とてもアクティブな世代だと言われております。会社中心から地域に戻ってこられるという中で、さまざまな社会的な問題も抱えている。そして、今まで地域コミュニティーとつながらなかった人たちが、こういったスポーツを通じ、地域に戻り、地域に新しい生きがいを見つけていく、そういった段階に入ってくるのだと思います。

 そうした中においては、都市部、特に地方財政が厳しい中にあって市街地に新しく公園緑地というのは、望まれてはいてもなかなか新たに設置するというのは、特にスポーツをするだけの面積をとるというのは非常に難しい側面があると思います。そうやって考えたときに、この河川敷という場所は、非常に有効な、そしてある一定以上の面積がとれる、非常に資源としても頼もしいというか期待のできる場所だと思っております。

 そうした中で、この利用について今後どう考えているかということを伺っていきたいんですが、その前にまずはやはり河川でございますので、私も、九八年のとき、川越も実は激甚災害の指定を受けるほどの大洪水に、水がつくということに見舞われました。その工事の方もおかげさまで国の予算も入っていただいて、大分河川も安定はしてきたんですが、まず最初にやはり治水という問題において、この問題が解決されなければ安心して利用ができないということは明らかだと思います。

 具体的に箇所で聞いていきたいと思うんですけれども、私、川越市内の雁見橋の下流、入間川の流域でございますけれども、ここはもう既に川越市が借り受けておりまして、土砂堆積が来ておりますので、台風シーズンになると、河川敷を使ったグラウンドは水がしばしば上がるとまた石がごろごろとして、復旧作業に非常に手間がかかり、数カ月間またグラウンドが使えない。

 つまり、中高年と言っていいのでしょうか、そういう人たちが楽しみにしているスポーツが、週末ごと、仕事をしながら、リタイアをしてから、楽しんでいるグラウンドというものが使えなくなってしまう。本当に天候との闘いを繰り広げているわけであります。この不便な状況というのを解消するためにも、この流域の土砂のしゅんせつというものを県の方からも要望として出させていただいているんですが、この点について伺いたいのが一点。

 もう一つは、釘無橋から川越線の荒川橋梁の区間の堤防の補強工事におきまして、新たに河川敷の空間ができるんです。ここのところを新たな公園緑地として利用を促進できないか、できれば、少なくとも木陰のための植樹とか砂じんの防止などの環境整備を含めて有効利用が図られるような対策というのを、特段の配慮をいただけないかと思います。その点についてお聞かせいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今、小宮山委員の御地元のお話ということで承りました。

 まず一点目でございますけれども、入間川の河川敷を占用している運動公園についてでございます。雁見橋下流の地域、特に寺山堰の付近ということで承知しておりますけれども、特に河道に堆積した土砂のしゅんせつということでございます。

 ここの地区につきましては、昭和五十八年五月から川越市が野球場等の運動公園として占用いたしまして、現在、地域の皆様に大変よく使われているというふうに承知しているところでございます。

 この区間につきましては、地元から、特に寺山用水堰の上流におきまして、低水路に土砂が堆積して、特に高水敷にあるグラウンドが浸水しやすくなっているのではないか、こういう御指摘をいただいておりまして、現在、土砂堆積の状況また原因につきまして把握を行っているところでございます。

 これにつきましては、やはり治水上どういう影響を与えているか、その問題もあわせて検討する必要があると考えておりまして、土砂の堆積の状況、原因並びに治水上に与えている影響等、その辺を今検討中でございますので、その検討を踏まえまして、対策の必要性及びその内容についてこれから検討していきたい、こう考えているところでございます。

 それから、もう一点の釘無橋から下流の件でございますけれども、この区間につきましては、今お話がありましたように、平成十一年に発生した浸水被害への対応、また、現況の堤防が大変計画断面を満たしていないということから、平成十五年から重点的に改修事業を実施するいわゆる緊急対策特定区間、私ども略して緊特と呼んでおりますけれども、緊特事業といたしまして、堤防の整備、河道掘削を進めているところでございます。

 この区間の事業に当たりましては、堤防の内側になるエリアに多くの民有地があるということから、地域及び地権者の要望に配慮しながら、必要な民有地の買収を進めております。

 買収の結果、まとまった土地、ある程度土地がまとまらないと利用できないということもありますので、まとまった利用が可能となる土地につきましては、地元の市、町、川越市及び川島町が関連すると思いますけれども、このまちづくりの計画、また自然環境の再生、保全に対するニーズ等も踏まえまして、活用について検討することが必要じゃないかというふうに考えております。

 今後、用地買収の進捗状況、地元でのまちづくりの計画の検討状況等を踏まえまして、河川敷の活用が円滑に行われますように地元とよく相談していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

小宮山(泰)分科員 本当に、川越市民だけではなくて、川越の河川敷のグラウンドというのは、実は周辺のチームも来て一緒に交流試合等をして、レクリエーションの場としても、また健康増進という意味においても、非常に有効に使われております。

 しかし、それが一たび水に埋まると、本当に数カ月間、各種いろいろな大会も含めまして全部滞ってしまうという状態でもあります。もちろん、木とかを植樹もしていただけると春先などは本当に、河川敷というと、河川敷のゴルフ場へ行ったことがある方はよくわかると思うんですが、風がよく吹くんですよ。もうボールが飛んでいってしまうというほどに非常に悪条件でも、その中でも皆さん本当に楽しくプレーをされているということを考えると、そろそろ、もう十年前の台風で水がついて、しばしばつくところでもございます、ここのしゅんせつというのは特段にやはりしていただきたいという思いがございます。

 これからまた、ことしの冬は特に、暖冬と言っている割には豪雪であり、また水が当然これから多く河川を流れるのではないかということを考えると、なかなか異常気象も続いている中でありますので、ぜひこの点は前向きにお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 地域の皆様に積極的に利用していただくということも、河川管理としては非常に重要な視点だというふうに私ども考えておりますので、今のお話も考え合わせまして、地元とよく相談していきたいというふうに考えております。

小宮山(泰)分科員 ぜひ地元の要望を聞いていただきまして、治水、まず水を治めることは大切な一番の基本ではあると思いますが、その次の利用という部分、特に、諸外国へ行けば、やはりウオーターフロントというものは非常に有効に利用されていると思います。日本の国土、なかなか平地面積というのはそれから比べても少ないところでございますので、ぜひ地元の要望をしっかり聞いていただいて、大きくうなずいていただいておりますので、にっこりも笑っていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、これはもう私の父親のころからの懸案でもございますが、どれもそうなんですが、首都圏の三環状道路の整備について伺いたいと思います。

 先ほども地元の市役所の方と、助役さんとお話をしておりまして、どうなるんですかと聞かれてしまいました、圏央道の建設の進捗状況について伺いたいと思います。

 今、八王子城跡トンネルの工事が難航して、予定より四カ月もまた工事がおくれてしまっているという発表を伺わせていただきました。あきる野インターチェンジと八王子ジャンクションの区間がことしの秋にも開通して、圏央道の川越方面から中央道と連結すると、私ども地元も、そして埼玉県の中もみんな心待ちにしてはいるんですが、また四カ月おくれるのか、またかという思いもあります。

 私自身、平成七年に初めて県会議員になったときにも、この区間は平成十二年には開通すると言われておりましたので、毎年毎年のようにいろいろなハプニングが起こるというのは何となくなれさせられているような気もするんですが、現状としてこの進捗状況はどうなっているか、お聞かせください。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 圏央道の重要性につきましては委員御指摘のとおりで、我々も、これは首都圏最大のプロジェクトということで、力を入れて取り組ませていただいております。

 ただ、全体延長が三百キロメートルという、三環状の一番外側の環状道路でございますが、約九割に当たる二百六十六キロメートルを事業化させていただいておりまして、供用しておりますのは、あきる野インターから鶴ケ島ジャンクション間の延長約三十二キロメートルというような供用にとどまっているということでございます。

 委員御指摘のとおり、また、昨年の分科会でもおしかりを受けました。毎年毎年一生懸命取り組ませていただいているんだけれども、いろいろな、用地買収の件、また、先ほど御指摘いただきましたのは、トンネルの工事が予想外だった、地質条件が予想外だったというようなこともございまして、供用目標年次を変更せざるを得ないというようなのがこれまでの実態でございます。

 ただ、大きなプロジェクトがゆえに、行政としましても、私ども国直轄、今度会社になりましたが、会社、また都県、それと市町村というような多くの関係者が関係する、また地権者も多く存在する、大きな物件も存在するということでございますので、単年度予算という制約もあるわけでございますが、こうした期待の大きなプロジェクトだということで目標を共有する必要があるんじゃないかということで、一大決心で、昨年の十一月に圏央道目標宣言プロジェクトというようなことで宣言をさせていただきまして、区間ごとの開通目標と目標達成条件を同時に公表させていただきました。

 目標達成条件というのは、例えば用地残件について、任意取得でございますが、いついつまでに取得ができるという条件でございますが、その上で開通目標年次を設定させていただいたということでございます。

 あわせて、十七年度、今年度の事業進捗目標を公表させていただいたということでございまして、今後は、この圏央道の目標宣言プロジェクトに基づいて毎年度の事業進捗目標とその達成度を公表させていただきまして、徹底した事業進捗管理のもと、今後約十年での完成を目指して事業推進を図ってまいりたいと決意をさせていただいたところでございます。

小宮山(泰)分科員 本当に大きな決意をしていただきまして、これは、私の十年の中におきましても、本当に進むんだなという思いをさせていただける事例だと思いますが、現実として、この接続に関しての見通し、今ちょっとおくれているといいますが、どうでしょうか。もう一度御答弁いただけますか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のとおり、八王子城跡トンネルの本坑掘削が予定に比べて四カ月ほど遅延をしているという状況にあるわけでございますが、開通時期につきましては、工事遅延のもととなっている本坑掘削を完了しなければ正確に言えないということで、もう少し待っていただきたい、本坑掘削が終わった段階で見きわめたいと考えておる次第でございます。

小宮山(泰)分科員 早く工事が進む、そしてきちんと見通しが立つということを望んでおりますので、その節には速やかなる告知をしていただきたいと思います。

 この首都圏環状道路の計画ということに関して、ホームページを見ますと、一番上のところに「まちを結ぶ、ひとを結ぶ。暮らしの未来をひろげる、圏央道。」とタイトルがついております。これは早くつないでほしいな、結んでほしいなという思いがあるんですけれども、やはり今、環境の問題等、いろいろ御苦労されているのは私も聞いており、猛禽類なんかは本当にどこに出てくるかわからないというのも実際あるとは思いますけれども、これができたときのメリットとデメリットを両方聞いていきたいんですが、まず最初に、この圏央道ができたときのメリット、これはどういうふうに試算をされていたのか、この点に関してお伺いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 三環状合わせて全体の計画延長五百二十キロメートル近くございますが、供用は百二十六キロメートル、二四%というような状態にとどまっております。

 環状道路が期待される主な効果としては、三点御説明させていただきたいと思います。

 一点目は、交通渋滞による経済効果ということでございます。

 現在、首都高速の都心環状線の交通のうち約六割が通過交通となっているということでございまして、環状道路の整備によりこうした通過交通を迂回させることで、首都圏の渋滞緩和に大きく寄与すると考えておりまして、三環状道路が完成いたしますと、圏央道の内側の主要渋滞ポイントにつきましてはおおむね解消するということでございまして、走行時間の短縮等による効果だけでも年間約四兆円に上ると試算をさせていただいております。

 二つ目は、CO2の削減でございます。

 自動車の走行速度が向上すればCO2の排出が減少するということで、例えば乗用車の場合で申し上げますと、時速二十キロメートルの走行時に比べ、時速六十キロメートルの走行時にはCO2排出が約四割低減するというようなことが走行試験で確認されております。仮に現時点で三環状が完成していると試算させていただきましたが、CO2排出量が約二百五十万トン削減されるというような計算になっております。

 さらに、三つ目でございますが、首都圏近郊の業務核都市や成田空港などの拠点を結ぶことにより、拠点分散型の都市構造への再編も期待されるというようなことでございます。

 以上でございます。

小宮山(泰)分科員 経済効果、できれば四兆円という大きな、本当に国にとっても非常に有効な道路になるということであります。

 ということは、逆に、できないということであれば、これがデメリットとしても考えられるわけで、道路公団を民営化して、大臣がなってからでございますが、やはり今道路行政というものが大きな転換点に向かってきているんだと思います。やはりこれは国と民間会社との関係もあります。そうなれば、道路計画というのも大きく変わっていくと思います。

 この計画自体ができたのが昭和三十年代だと思うんですけれども、今、特に昭和三十年代の映画というものが非常に、またいろいろなイベントというんでしょうか、テーマパークとかでも注目を浴びていますけれども、やはり、日本が戦後復興の中で懸命に生きて、みんなが人として豊かな生活を夢見て、そして夢の実現のために働いて、そういう夢を描いていた時代に本当に多くの人たちがノスタルジーやあこがれを抱いているから、今そういうところが注目されているんだと思います。

 トリノ・オリンピックも終わりましたけれども、東京オリンピック、近年、首都高が整備されて、市街地が広がって、その拠点を結ぶ環状道路の計画ができる。そして、月日がたって、たった割にはいまだにこの計画が実現を見ていない。いまだ夢の途中であると言えると思います。

 時間の経過とともに公団の借金も膨れ上がって、まだ談合問題なども実際には片づいてはいないと私どもは思っておりますけれども、民営化をして、またこれから四十年かけてこの負債をきれいにしていくというようなことでありますが、大きな変化のあるこの道路行政において、この首都圏の整備計画、平成十七年度までの五カ年計画で、これからまた新しく、来年、十八年度以降でつくり直すということを伺っております。

 この大きな変化という中において、この道路行政、また、今までこうやって計画しても何十年たってもでき上がらない、選択と集中ということを今おっしゃられておりますけれども、今までなぜこれができなかったのか、そういったいろいろな反省をかんがみて、これから、新しい次なる道路行政に転換をしていかなければいけない重要な時期に今北側大臣はいらっしゃるんだと思います。

 ぜひ、その大臣の今後の道路行政に対する抱負、そして決意をお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 道路整備は、私は今後とも必要だと思っているんです。ただ、財政の制約がありますから、優先順位を明確にして、やはり重点化をして進めていく必要があると考えております。

 中でも首都圏の三環状道路は、私は極めて優先順位が高いというふうに思っております。今、道路局長が答弁しましたように、経済効果も大きい、環境への与える影響も非常にいいわけでございまして、この首都圏の三環状道路の整備につきましては、しっかりと推進をさせていただきたいと考えているところでございます。

 これまでおくれてきた原因はさまざまな理由があるわけでございますが、これまでの時間がかかった反省も踏まえまして、今は各地域地域の住民の方々とのコミュニケーションもしっかり図る等のこともしておりますし、しっかりと前に進めさせていただきたいと思っておりまして、現在、先ほど話がありましたように、三環状の整備はまだ二四%の整備率でございますが、これを平成二十年代の半ばには約八割まで上げることを目標として整備に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

 この圏央道のあきる野と八王子間、これがつながりましたら、本当に、関越、圏央道そして中央道と、全部つながるわけですよね。ここの部分がつながるだけでも極めて経済効果が高いわけでございまして、若干、ちょっとおくれておるわけではございますが、できるだけ早くつながるようにさせていただきたいと考えております。

小宮山(泰)分科員 ぜひ、今おっしゃったこと、早く実現することをお願いいたしまして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 民主党の山井和則でございます。

 三十分間、北側国土交通大臣、そして政府参考人の皆様方に御質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、第二名神を初めとする全国の高速道路に関して、国幹会議を踏まえた今後の整備についてお伺いを申し上げます。

 国幹会議を経て、各会社の整備すべき路線が指定をされました。第二名神は近畿にとって重要な路線であるのみならず、第二東名と一体となり新たな国土軸を形成する重要な道路であると考えております。そうした中、西日本、中日本株式会社が整備する路線に第二名神が指定されたことは喜ばしいことであります。亀山から大津、城陽から八幡、高槻から神戸などの整備は促進されることと期待します。

 しかしながら、私の地元であります抜本的見直し区間に関しましては、主要な周辺ネットワークの供用後の交通状況等を見て改めて事業の着工について判断されるとされました。地元、京都南部では、自治体が既に第二名神を前提とした都市計画を策定しており、関西学研都市や工業団地のさらなる発展、山砂利採取跡地の整備、中部圏と直結する幹線道路などという意味でも、全線整備を期待する声が大きいのが現状でございます。このような地元の期待、状況等をよく見つつ判断していただきたいと申し上げます。

 そこで、第二名神を初めとする高速道路の整備について、今後の手続と整備方針をお伺い申し上げます。

    〔主査退席、三原主査代理着席〕

北側国務大臣 先般の国幹会議で、新たな直轄区間も含めまして新直轄区間八百二十二キロ、これを確定いたしました。そして、高速道路株式会社が整備を行います区間一千百五十三キロ、これも確定をさせていただいたところでございます。

 これから、各会社と、それから独法の日本高速道路保有・債務返済機構との間で建設と管理に関する協定を三月末を目途に締結するというふうな段階に来ているところでございまして、その後、この四月から、その協定締結後、本格的に民営化会社として高速道路整備が始まるというふうに認識をしているところでございます。

 今後とも、新直轄方式とそれから民営化会社による高速道路整備、これを適切に組み合わせをさせていただきまして、必要な高速道路整備をしっかりと行っていきたいと思っております。

 御指摘のございました第二名神につきましては、委員も地元中の地元でございまして、大変御心配をおかけしているところでございますが、先ほどおっしゃっていただきましたように、主要な周辺ネットワーク、これは、第二名神の大津までの間と、これがもう近々、数年後にできます。それから第二京阪ですね、この二つの供用開始後の交通状況等を見て判断するということでございますが、本当に、地元の京都、大阪を初め、地元の方々の大変な熱意というのはしっかりと受けとめておりますので、ぜひこれが進捗できるように、前に進めさせていただきたい、また、委員の御協力を賜りたいと考えているところでございます。

山井分科員 ぜひとも、この地元の期待を受けとめて、早期に着工の判断がなされることを期待しております。京都南部にとりましては、地元自治体も、すべてこれを前提としたまちづくりをしているわけですから、ぜひとも、その期待を受けとめていただきたいと思っております。

 次に、谷口道路局長さんにお伺いをいたします。

 それに関連して、京都周辺の幹線道路ネットワークの整備方針についてお伺いします。

 会社と機構の新協定に向けて協議を行っていくという答弁を今いただきましたが、京都周辺においては、第二名神を初めとして、第二京阪、京奈和自動車道、阪神高速道路など、幹線道路網の整備が求められます。関西復権の起爆剤である関西学研都市の発展という意味においても、それらの幹線道路ネットワークの整備方針は非常に重要であります。今後の整備方針をお伺いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 京都は、言うまでもなく、長い期間我が国の都であったわけでございます。そうしたことで、歴史、文化にすぐれておりますし、高い集積がある地域だと思っております。特に京都の南の方につきましては、今委員の御指摘のございましたような幹線道路ネットワークの状況が著しいということでございまして、特に重要な地域だという認識を持っております。

 ただ、ネットワークとしての計画はあるわけでございますが、整備状況はまだこれからにかかっているということではないかと思っております。そうした意味で、きちっとしたネットワークを早くつなげていくということが重要かと思っておりまして、京都の周辺はもちろんでございますが、京都周辺地域と域外のネットワーク構築ということが大きな課題になっております。

 具体的に二つだけ例示を申し上げますと、一つは第二京阪道路でございます。

 京都の南から枚方まで供用できておりますが、京都という大きな都市と大阪というようなものを連携していくということが重要でございますので、これを、国直轄事業、また、西の会社の有料道路事業としての合併事業ということになるわけでございますが、枚方から門真市までの間の整備促進を図りたいと思っておる次第でございます。先ほど大臣の答弁にもございましたように、第二名神等の今後の展開にもかかわるというようなことでございます。

 また、もう一つは京都高速道路ということでございまして、京都市内と山科地域を結ぶ新十条通及び京都市内と京都南部を結ぶ油小路線や洛南道の整備を引き続き推進していく必要があるかと思っております。

 これらに加えまして、学研都市連絡道路等の整備を推進するなど、関係する幹線道路網の早期整備に向けて取り組ませていただきたいと考えておる次第でございます。

山井分科員 ぜひとも、まさにおっしゃってくださいましたように、京都は伝統の都でありまして、またその中でも京都南部、関西学研都市を初めとして、これからまさに研究あるいは産業の大きな核となっていくというふうに期待されておりますので、整備促進をお願い申し上げたいと思います。

 そして、今の答弁にも関連するんですが、三つ目の質問は城陽―八幡間についてであります。第二京阪の枚方以南、京奈和自動車道、そして京都高速の整備が進められると、それと接続している第二名神の城陽―八幡の四キロの整備が必要になります。

 資料をちょっとお配りしておりますが、このパネルのピンクの地域になります。第二京阪、京奈和、京都高速、そしてこの間の八幡―城陽、たった四キロなんですが、この区間は既に施行命令が出ており、建設決定済み未着工区間と言えると思います。ここがつながれば、京都市と関西学研都市が結ばれ、国道二十四号線の渋滞緩和にも役立ちます。地元は首を長くして着工を待っております。今後の整備方針についてお伺い申し上げます。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 第二名神高速道路、いわゆる第二名神高速道路と言った方がいいかもわかりませんが、名古屋市と神戸市を起終点とする全体延長百七十四キロメートルという高速自動車国道でございます。第二東名と一体となって、三大都市圏を相互に結び、人の交流、物流を支える大動脈ということで、新しい世紀の国土の軸となる重要な路線という認識を持っておるわけでございます。

 今御質問のございました城陽―八幡間でございますが、二つの抜本見直し区間に挟まれている区間ということになるわけでございますが、抜本見直し区間の扱いにつきましては、先ほど大臣が御答弁されたとおりでございます。

 城陽ジャンクションから八幡ジャンクション間四キロメートルということにつきましては、これも西日本会社が受け持つという区間になったわけでございますが、用地買収に向けた地元設計協議を行うための準備として、現在、測量及び土質調査を実施中ということでございます。また、八幡ジャンクション付近では、一部用地買収も行っているということを聞いております。

 当該区間につきましては、引き続き地元の御理解と御協力をいただきながら用地買収を促進し、第二京阪道路、京奈和自動車道と接続して初めて自動車専用道路ネットワークが完成する、つながるということでございますので、事業の促進を会社の方にお願いして、我々の方もできるだけサポートしていきたいと考えておる次第でございます。

山井分科員 今御答弁いただきましたように、やはり道路というのはつながるとますます波及効果、そういう効果が大きくなってまいりますので、京奈和自動車道、第二京阪、京都高速、そういうものを結ぶ上でも、この城陽―八幡の、たった四キロの区間でございます、着工を目指して、どうか早急によろしくお願い申し上げます。

 それでは次に、もっとローカルな話になって恐縮ですが、京都南部にございます国道百六十三号線と国道二十四号線の重複区間の渋滞解消のためのバイパス整備についてお伺いを申し上げます。

 ローカルな話なのでわかりにくいと思いまして、少し地図を持ってまいりましたが、これが京都から奈良に走っております国道二十四号線、そしてこれが百六十三号線であります。珍しい地域でありまして、この国道二十四号線と百六十三号線が重複しているわけなんですね。この間の渋滞が非常に激しく、一日二万台以上の車が走っております。

 つきましては、この緑の点線で示しました山城町の上狛交差点から木津町の大谷交差点までの都市計画道路、天神山線、東中央線及び木津川架橋について、一般国道百六十三号線のバイパスと位置づけて整備してほしいというのが地元からの要望でございます。

 この件について、現在の状況と今後の見通しはいかがでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 国道百六十三号と国道二十四号は、今委員御指摘のとおり、京都府山城町上狛四丁町交差点から木津町大谷交差点間約一・八キロメートルにわたりまして重複区間となっておる次第でございます。

 この重複区間は、二車線にもかかわらず、重複しているというゆえでございますが、今お話しいただきましたように、約二万二千台の交通が集中しておるということで、主要な交差点で交通渋滞が発生するなど、幹線道路としての機能が低下しているという認識を持っております。

 このため、国土交通省では、緊急的な対策として、主要交差点の改良事業などに取り組んでおりまして、具体的には右左折レーンの延伸とか、そういうようなことを主体にして交差点改良をしていこうということで、用地買収の段階が多いわけでございますが、関係機関と協議を進めさせていただいているところもございます。そういうことで、当面はこうした渋滞緩和というようなことになるわけでございます。

 一方、抜本的な対策として、今御指摘いただきましたバイパス整備でございますが、その周辺では土地区画整理事業が実施されているということでございまして、そうした土地区画整理事業内を通過する天神山線や東中央線が都市計画道路として計画決定されているということでございます。この区画整理事業につきましては、十八年度より当該道路に関する造成が開始されると聞いておりまして、今後は、区画整理事業の進捗を勘案しつつ、関係機関と調整を図りながら整備主体の検討を進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。

山井分科員 ぜひともこの百六十三号線のバイパスという位置づけで整備を急いでいただきたいというふうに思っております。

 次に、この百六十三号線の京都南部、精華町から南山城村、この部分について質問を続けさせていただきたいと思います。(地図を示す)

 この木津町より東の部分は京都府の管轄になっているわけですけれども、この赤い色が百六十三号線、そしてこの緑色が名神高速、そしてこの黄色い道路が名阪国道であります。この間に位置しておりまして、ちょうど無料の一般道路ということもありまして、非常に渋滞が激しいわけであります。

 それで、交通量の三〇%にまで広域的な都市間交通、運輸、流通の大型車がどんどん走っている。にもかかわらず、非常に道路の幅は狭くて、そしてまた、木津川に沿って蛇行しているということで非常に危険な箇所も多いわけです。朝夕は慢性的な渋滞となっておりまして、名阪国道が雪などでとまったときには大渋滞になってしまう、そういう非常にもろい道路となっております。

 そして、ここに関しては、同時にこの近所の方々にとっての生活道路でもありまして、通勤、通学の方もここを歩いているというケースがある、自転車で走ったりもしている。それで、何と二〇〇四年には年間七件もの死亡事故がこの地域だけで起こってしまっているという痛ましい状況になっております。

 このため、加茂町、和束町、笠置町、南山城村という地元自治体からも、バイパスの建設、歩道の設置、道路の拡幅などの要望が出てきているわけであります。写真は手配りをさせてもらっておりますが、どういう道路で、狭くてトラックがたくさん走っているかということもここに出ております。これを見ていただければと思いますが、朝夕渋滞をしたり、本当に大きなトラックが走って、その横を歩行者が歩いたりしているという現状があるわけであります。

 この区間は京都府の管理になっており、京都府も予算を投じて整備を急いでいるわけですが、ぜひともこういう重要な道路であり、また事故も非常に多発しているということで、国としても御支援、バックアップをお願いしたいと思います。この区間の整備状況と今後の見通しをお聞かせください。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 一般国道百六十三号は、大阪市を起点として三重県の津市に至る延長約百九キロメートルの国道であります。そのうち、京都府域を約三十キロが通過しているということでございまして、山城町から南山城村間の約二十三キロメートルについて京都府が管理をしているということでございます。

 先ほど委員の方から図面を提示していただきましたが、名神高速道路と名阪道路の中間にあるということで、津に至る産業的な役割が非常に高まってきているというような認識を持っております。交通量は一万一千から一万七千台というような利用のされ方でございますが、大型車混入率が最大で約三五%というようなことで、高いというような区間が多いということでございます。

 また、今お示しいただきましたが、この区間には、急峻な山と河川に挟まれた地域を通過している区間が多いということで、十分な道路幅員が確保されていない箇所、また線形不良箇所があり、事故につきましては、平成十一年から十六年の六年間に死亡事故が十三件発生しているというぐあいになっております。

 その対策として、加茂町井平尾から同町銭司間において平成十四年度より京都府が井平尾特改として、また延長〇・九キロメートルのバイパス整備事業というものに着手しておりまして、今年度は用地買収及び工事を行うということを聞いております。また、大型車が多いということでございますので、交通安全対策として、笠置町及び南山城村地区のそれぞれ延長一・一キロメートルというぐあいに聞いておりますが、歩道整備を推進されるというぐあいに聞いております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、京都府、非常に厳しい財政状況というぐあいに聞いておりますが、京都府からの要望を踏まえ、必要な支援を行ってまいる所存でございます。

山井分科員 京都府も非常に頑張っているわけですが、国からの支援もどうかよろしくお願いをいたします。

 それでは次に、竹歳総合政策局長さんにバリアフリーに関してお伺いを申し上げます。

 これは三年前にもこの委員会で取り上げさせてもらったことがあるんですが、私の地元に京阪八幡市駅というのがありまして、この写真にありますように、非常に階段が多くて、エスカレーターとエレベーターがないわけであります。このことと、この国会において、交通バリアフリー法とハートビル法を総合した面的な新しい法案が出ると聞いております。この京阪八幡市駅は、一日に一万人以上の方が利用されまして、交通バリアフリー法の対象の駅にもなっているわけですが、財政的な困難ということで、なかなか先には進まないわけですね。

 そんな中で、今回出てくる交通バリアフリー法とハートビル法を総合した面的なバリアフリーの整備を進める新しい法案について、今後、市町村財政が厳しい中、障害者も住みやすいまちづくりのために、このような、八幡市駅のようなバリアフリーが必要な駅の整備も含めて、計画的なバリアフリー整備に対して、この新しい法律を通じてさらなる国の支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、今国会に交通バリアフリー法とハートビル法を統合拡充した法案を昨日提出させていただきました。本法律案では、従来は駅中心のバリアフリーでしたけれども、駅以外のところでもバリアフリーを進めようというようなこと、それから、基本構想をつくるときに市民の皆様方からいろいろな御提案もいただけるような、新しい仕組みも考えているところでございます。

 今御質問のございました市町村を支援するためのいろいろな財政措置でございますが、従来からいろいろな措置がございましたが、今回の法案を提出するに際しまして、予算措置、税制、政策金融等々、手厚い措置を講じて全国のバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。

山井分科員 非常に財政が厳しい折でして、高齢社会も進んでいって、このままの駅では非常に困るという声が強いわけですけれども、なかなか遅々として進まないという現状がありますので、国からの財政支援、バックアップをどうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは次、厚生労働省青柳運営部長さんにお伺いを申し上げます。

 これは、昨年の国会でも取り上げましたが、時間の都合もありまして、四点まとめて、私の地元にあります京田辺市のウェルサンピア京都について要望を兼ねた質問をいたします。

 まず第一点、今後の売却スケジュールはどうなるでしょうか。

 次に、昨年の厚生労働委員会の質疑においても、当時の尾辻厚生労働大臣が、この売却に関しては、後は野となれ山となれとは思っていない、ぜひ今までの機能が引き継がれるような形で売却できれば一番うれしいという答弁をされています。

 このウェルサンピア京都は、同様の二百六十一施設のうち三番目の黒字を上げている優良な施設であり、関西学研都市のエリア内で、当時、京都府と京田辺市が誘致をし、道路や下水道整備も自治体が整備したわけであります。さらに、この施設は人口六万人の京田辺市で唯一の宿泊施設で、例えば、ここがなくなれば、京田辺市の新年の賀詞交歓会をする場所もなくなってしまう。ほかの民間の宿泊施設がないということであります。こういう状況にかんがみて、ぜひ現状機能の維持をお願い申し上げます。

 そして、地元自治体が取得を希望する場合には何らかの優遇をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 三つ目に、日本で三番目の黒字を上げるために、従業員の方々は多くの努力をされてきました。そして、その中で、売却に際して、できる限り従業員の方々が引き続き勤務ができるように要望申し上げます。

 最後に、民間が取得を希望される場合には、ぜひしっかりと精査をしていただきたい。どういうことかといいますと、例えば、買い取ったがうまくいかないからと、二、三年で施設を解体したり、他の用途に転用するというような企業が取得することがないように指導していただきたいと思います。

 以上、多いですが、一括して答弁をよろしくお願い申し上げます。

青柳政府参考人 ウェルサンピア京都につきましてお尋ねがございましたので、まとめてお答えをさせていただきます。

 まず、お尋ねのございましたウェルサンピア京都については、御承知のように、昨年の十月に国から独立行政法人の年金・健康保険福祉施設整理機構に現物出資をしたところでございまして、今後、平成二十二年の九月までの間に、機構が民間へ譲渡等を進めるということが決まっております。

 現在、機構におきましては、既に運営停止をしました施設等について売却を進めるということをしておりますが、運営中の施設につきましては、個々の施設の事業価値あるいは不動産価値、こういったものをきちんと調査を行っている段階でございまして、今後その結果を踏まえて、平成十八年度以降の譲渡の方針を策定する予定というふうに承知しております。このウェルサンピア京都もその中に含まれるというふうに御理解をいただきたいと存じます。

 二点目のお尋ねでございます。

 この機構におきましては、ただいま申し上げたように、二十二年の九月までの間に民間に譲渡するということになっているわけでございますが、その場合には、私ども、いわばノルマといたしまして、年金資金への損失の最小化を図るということをきつく申し渡されておるわけでございまして、その観点からは、この譲渡に当たりましては、原則一般競争入札によるということがルールになっていることは、議員も御承知のとおりでございます。

 したがいまして、お尋ねにありました、例えば地元の自治体への優先譲渡といったような形で、あらかじめ譲渡先について制限を設けるということは、残念ながらできません。しかし、地元自治体と事前によく相談をいたしまして、その結果を買い受け者に地元自治体の意向としてきちんとお伝えをするということによりまして、結果として地元の意向が反映されるようなことも期待してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 それから三つ目のお尋ねが、従業員の方の雇用の保持ということについてのお尋ねでございました。

 このウェルサンピア京都の職員の方については、運営を委託している公益法人の職員という身分でございますので、職員の雇用問題につきましては、一義的には雇い主である委託先の法人が責任を持って対処していただくものというふうに考えております。私ども、それから独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構におきましては、委託先の法人が行います再就職援助等に対しましても、国と独立行政法人で協力をいたしまして、例えば、施設購入者への雇用の依頼でありますとか、関連団体におきます求人情報の提供の依頼でありますとか、地方自治体や地域の経済団体等への再就職支援の依頼、こういったものを通知等によりまして、あるいは個々の事例が生じましたときによく関係機関で協議をするということのフレームワークをつくらせていただきましたので、これに基づきまして職員の雇用問題に十分配慮してまいりたいと考えております。

 最後に、四点目、まず継続して経営ができるようにきちんと譲渡してもらいたい、そして譲渡後の転売等についても不安があるというお尋ねであったかと承知をしております。

 現在、機構がこの譲渡を行うに当たりましては、施設を単に不動産として売却するのではなく、施設の事業価値にも着目をして売却をすることがより高い価値につながるということが期待されるような場合には、事業を廃止せずに、いわば生きたままこれを売却するということを一つの基本的な考え方としております。したがいまして、このような場合にありましては、結果として施設の事業継続は図られるという形になるわけでございます。

 そしてまた、譲渡後の施設の転売については、これは基本的には買い受け者の判断によるということによらざるを得ません。私どもの基本的な方針に基づきます整理機構の業務方法書の中では、この点について、例えば公序良俗に反するような使用等の禁止、そしてそういった使用に該当するようなものについての転売、転貸等の禁止がうたわれているわけでございますので、私どもとしては、本来の目的に沿った事業継続が可能な形で売却されることが最も施設にとっては望ましい姿ではないかと現時点では考えております。

 以上でございます。

山井分科員 これがウェルサンピア京都の写真でありますが、地域の方々や従業員の方々にとっても、非常に繁盛している、お客さんもたくさん来てくれる、利用のお客さんもよく回転している、そんな中でなぜ売却されるのかという声があるんですけれども、それは、今回売却するということはいいわけですけれども、問題は、機能が維持されるように、やはり京田辺市にとって、また学研都市にとってかけがえないまちづくりの中心なわけですから、ぜひともその機能が維持されるように御努力をいただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 これは昨年四月にも要望した件でありますが、京都南部の雇用機会増大促進地域の指定の延長についてお伺い申し上げます。

 宇治、城陽、久御山、宇治田原の四市町の地域指定はこの三月末、平成十八年三月末に終了する予定であります。現在、経済状況は全国的には好転していると言われておりますが、私の地元である京都南部の地域経済は好転しておらず、多数の求職者に対して相当程度雇用機会が不足しているという厳しい状況が続いております。

 ついては、近々京都府から申請が上がってくるかと思いますが、ぜひ四月以降の地域指定の延長に厚生労働省として同意をしていただきたい。いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お尋ねの宇治市等を含みます地域におきます雇用開発計画、地域雇用機会増大計画でございますが、御指摘のとおり、本年三月で終了するというものでございますが、京都府におきましてはこの計画を更新したい、こういう御意向であるというふうに承知をいたしております。

 今後、京都府知事から厚生労働大臣に対しまして、正式にその計画への同意を求める協議というものが出ることになろうかと思います。その場合には、厚生労働大臣の諮問機関でございます労働政策審議会での御意見も伺いながら、同意の可否を判断していくということになろうかと思います。前広にいろいろ御相談はいただいておるわけでございまして、現時点におきまして、同意につきまして特段支障となるような御事情というものはないのではないかというふうにも理解をいたしておりますが、いずれにしましても、正式な協議をいただきましたら判断をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

山井分科員 質問時間が終わりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

三原主査代理 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)分科員 民主党の後藤斎でございます。大臣、長時間大変御苦労さまでございます。

 三十分間、時間が与えられておりますので、道路並びに鉄道、さらには中小企業の建築業者のお話をさせていただきたいと思います。

 大臣御案内のとおり、東海地震がいつ来るかわからないということがよく言われています。東南海・南海、東海地震と合わせて地震三兄弟という命名も一部の学者の皆さんにあるようであります。東海地震だけが百五十年たってもまだ地震が起きていないと。通常ですと、学者の皆さんによると数百年サイクルで起こるということになっているようであります。

 大臣、昨月、二月の七日の大臣が主宰をされる国幹会議で、新直轄方式ということで中部横断道の富沢―六郷間がお認めをいただきました。なぜこの中部横断道が早期に必要かということは、まさに大臣も御案内かもしれませんが、この山梨の南側の地域は国道五十二号線しかございません。仮に、東海沖地震も含めて、寸断をされれば、まさに陸の孤島になってしまう可能性がある。御案内のとおり、山梨には飛行場もございません。

 今、防災という観点でいろいろな体育館やまた学校も含めた公共施設の耐震化というものも行われているのは存じておりますが、この中部横断道が、まだ今の時点では、供用開始がされているものは、総延長百三十六キロのうち、南アルプス―双葉間の十キロ、工事が実際行われているのが増穂―南アルプス間の六キロということで、まだまだ十二分とは言えません。大臣、防災という観点、その五十二号のバイパス整備という観点も含めて、ぜひ早期に、未着工の基本計画の長坂―八千穂間も含めてでありますが、ぜひ、一貫して早期開通をお願いしたいという県民の声にこたえていただきたいと思いますが、冒頭、大臣の御見解をお願いをしたいと思います。

北側国務大臣 中部横断自動車道につきましては、静岡県の静岡市から長野県の佐久市に至る全体延長百三十六キロの高速自動車国道でございます。静岡、山梨、長野三県を連絡するとともに、東西の、東名、中央、上信越自動車道とネットワークを形成することによりまして、沿線地域の地域経済の振興、また地域連携、さらに今委員のおっしゃった災害時対応等を考えましても極めて重要な路線であるというふうに考えております。

 先般、第二回の国幹会議を終えたわけでございますけれども、中日本高速道路株式会社が整備を行う区間とそれから新直轄方式で整備を行う区間とそれぞれ明らかにさせていただいたところでございます。

 いずれにしましても、ネットワークとしてつながらないといけないわけでございまして、早く完成ができますように地元の皆様と協力をしながら、また御理解を得ながら、有料道路方式、そして新直轄方式、この両方をうまく、適切に活用しながら事業を推進させていただきたいと考えております。

後藤(斎)分科員 ぜひ、大臣がお話しいただいたように、早期にということでお願いしたいと思います。

 あわせて、大臣が触れられましたこの新直轄方式なんですが、条件が整えばというか条件が合致すれば、通常であれば、原則国が四分の三、県、自治体が四分の一という方式になっております。財政力の弱い自治体についてはかさ上げ方式があるというお話を聞いております。これはどんな条件で、合致すればどの程度の割合までかさ上げが行われるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと手元に正確なデータを持っておらないのですが、後進地域ということで決められた率がございます。四分の三が国で、四分の一につきましては都道府県負担ということになっておるわけでございますが、地域によって異なりますが、八割、九割が国というような形になって、残り一割なり二割が都道府県というようなことが平均的なところではないかと思っております。

 また、この新直轄方式の四分の一の都道府県負担分につきましては、この新直轄方式を導入する際、重量税のやりくり、また、ガソリンの地方道路譲与税の部分の県と市町村の配分を変えることによって、地方に負担のかからない措置というようなことを総務省等との協議の中で措置をとらせていただいていることを申し添えさせていただきたいと思います。

後藤(斎)分科員 わかりました。

 ぜひ、また具体的な基準については後日教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、中部横断道並びに既に全面開通をしております中央自動車道に隣接をする、山梨のちょうど中心部に当たりますが、新山梨環状道路という道路がございます。大臣や政府参考人の方は十二分に御存じないかもしれませんが、これはまさに、中部横断道や中央自動車道に隣接をし、まさに一体的に、幹線道路として、これから進められていく地方分権、地方主権という中にあって、特色ある地域づくりに不可欠な社会基盤であるというふうに、県民総意の中でその整備が望まれております。

 既に、この新山梨環状道路につきましては、いわゆる西部区間と言われている部分が、先ほど大臣も触れていただきました中部横断自動車道に併用して、とりあえず全区間供用が開始されております。あわせて、南部区間についても一部が供用開始になっておりますが、まだまだ南部区間の一部、さらには東部区間、北部区間ということで、ぐるっと丸になっていない、これもまさに途中でとまっている道路だというふうに考えております。

 この新山梨環状道路につきましては、既に十二年前の平成六年から地域高規格道路の計画路線に指定をされているところでありますが、これについてもぜひ、一体として早期の全面供用開始ができるような措置をとっていただきたいという大きな県民の声がございます。

 この点について、現状とこれからの見通しについてお尋ねをしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 県都山梨の環状道路ということでございます。

 国道二十号、中央自動車道等々が交通結節点がゆえに町中を通過するということでございますので、この新山梨環状道路ができることによりまして、都心に用事のない交通を環状道路によって排除するというようなことであります。また、町の骨格形成にも資するというようなことでございます。委員のお話にもございましたが、平成六年十二月に地域高規格道路の計画路線、初期の段階に指定されているということでございます。

 このうち、西部区間につきまして、十キロメートルでございますが、既に中部横断自動車道、今回中日本が担当することになりましたが、高速自動車国道として完成、供用されているということでございます。残りの区間のうち北部区間につきましては、十七キロメートルのうち甲府市桜井町から甲斐市宇津谷までの延長十五キロメートルにつきましては、国土交通省が中心となって計画を進めてきておるところでございます。少し時間を要しておりまして、環境問題等の問題があったということでございますが、平成十七年の三月に環境影響評価及び都市計画の手続に着手したところでございます。

 また、山梨県が担当する南アルプス市十日市場から甲府市西下条町までの南部区間、九キロメートルございますが、今お触れいただきましたように、六キロメートルが供用しているということでございますが、残る三キロメートルの早期供用に向け鋭意工事を進めさせていただいているということでございます。

 さらに、甲府市西下条町から桜井町までの東部区間七キロメートルと北部区間の先ほどの残りの二キロ、計九キロメートルにつきましては、平成十七年五月より、地域の声を道路計画に反映させるための手法として、PI手続というようなことに着手をさせていただいているということでございます。現在、国と県が共同で概略計画の取りまとめに当たらせていただいているということでございます。

 いずれにしても、環状道路でございますので、ぐるっと閉じないと意味がないということだと思います。事業中区間につきまして、できるだけ早く完成させるということとともに、残る区間につきましても計画の取りまとめを急いでまいりたいと考えておる次第でございます。

後藤(斎)分科員 先ほども触れましたように、山梨には新幹線もなく飛行場もない、これは全国の四十七都道府県で、山梨県も含めて三県だけだそうであります。ほかの県についてはあえて申しませんが。

 もう一つの公共交通機関のかなめであります鉄道の話をさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、昭和四十八年、もう今から三十二年前であります。全国新幹線鉄道整備法の中にいわゆる中央新幹線という項目が基本計画ということで設定をされました。三十二年という期間が長いか短いかというのは人によって違うかもしれませんが、途中、リニア方式でということで、東京―大阪間をできるだけ短い時間で、短時間に通勤や通学ができるようにということで、いろいろな流れの中で、今このリニア中央新幹線というのが対応をされております。

 これがどういう位置づけかというのは、先ほども中部横断道でお話をさせていただいたように、JR東海の新幹線も含めてでありますが、いわゆる東海地震も含めて、やはり防災の観点からも、あわせて、環境に大変優しいというこのリニアの持った特殊性、まだまだ解決すべき課題はたくさんあるという話も十二分に承知をしております。

 まず、もう三十二年たった中で、まだその整備計画にもなっていない、実質的に実験線が非常に短い距離であるというのは大臣御案内のとおりであります。ぜひ、その整備計画に格上げをして対応するおつもりは、今国土交通省の中でどんな御議論になっているのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点でございますが、現在、先生御指摘の超電導リニアにつきましては技術を開発している最中でございます。その開発の状況を見ながら、今後、中央新幹線等の取り扱い等について将来議論をしていくようなことになるのではないかと思いますけれども、まずは実用化できるようなリニアを現在のところ鋭意開発を進めているというのが現状でございます。

後藤(斎)分科員 コストの問題もそうでありますし、長期耐久性の問題も含めて、今鋭意実験中だというお話は聞いておりますが、例えば、中央リニア調査ということで、中央リニア新幹線基本スキーム検討会議というものも、平成十二年ですから、今からもう六年近く前に検討会議が設置をされ、収支採算性の問題、今局長が話をされた整備方式の問題、財源の問題も含めて、できるだけ早くということでスタートをしております。

 これも六年近くたっておりますが、いまだ検討の方向性さえ出ていないというふうに認識しております。確かにコストの部分では、どこまでコストを下げればという議論はこの収支採算性の部分にも直結をすると思いますが、この中央リニア調査の件とあわせて、コスト削減の技術開発がどの程度まで進んでいるか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

梅田政府参考人 まずは中央新幹線の基本計画線でございますが、調査につきましては、毎年予算を計上して、地質等の調査を継続しているのが現状でございます。

 それから、今御指摘のリニアについての検討会議でございます。これは、御指摘のとおり、ちょっと手元に正確なデータはございませんが、当時私も担当しておりましたので、東京と大阪の間、大体五百キロでございますが、大体八兆ないし十兆円の、これは車両費込みで、経費がかかるというような中間的なまとめをしたというふうに記憶しております。

 また、技術開発の現状でございますが、御承知のとおり、平成九年四月から、山梨実験線において走行実験を行っております。この技術開発につきましては、実用技術評価委員会というのがございまして、十七年の三月に、この委員会におきまして、実用化の基盤技術は確立したという評価を受けました。さらなるコスト低減、あるいは長期耐久性の検証が必要だということで、実験を継続するようにという御指示を受けたところでございます。

 この点につきまして、例えば、高温超電導磁石につきまして、材質をニオブチタンからビスマス系にかえるとか、あるいは、これに応じた新型の地上コイルの開発に着手するとか、さらには、長期耐久性につきましては、超電導磁石の使用限界を探るための地上実験を行うとかいうようなことで技術開発を進めているところでございます。

 ちなみに、実験線におきましては、既に四十八万強の走り込みをやっているというのが現状でございまして、私どもといたしましては、この技術開発につきまして、さらに積極的に推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

後藤(斎)分科員 今のようなお話ですと、いつ、どんな形で、その計画ができるのか否かということさえわからないと思うんですね。ですから、例えば、あと二年だったら二年、五年だったら五年というふうに、明確にやはりそのスケジュールをつくっていただきたい。

 これは、ある意味では、山梨だけではなく、地域の関係の都道府県、沿線の都道府県の方もそうだと思うんですが、もうできっこないやという声も実際聞かれます。いや、そうではなくて、国家プロジェクトとしてやっていくんだという、どちらかにある時点で集約、収れんをしないと、いずれにしても、実験、実験ということだけで、ある意味では、本当にあきらめる時期があるのか、それとも、引き続ききちっとやっていくのかという意思をはっきりしていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

梅田政府参考人 まずは、私ども、技術開発を今進めている最中でございますが、先ほどの東京―大阪、五百キロの間を仮に今の新幹線方式でつくるとしたらどのくらいかかるか、これは極めてアバウトな数字でございますけれども、多分三割減ぐらい、大体六兆程度、五兆から六兆程度でできるだろうというのが、一応の私どもの腹づもりでございます。

 私どもといたしましては、仮にこのリニアの技術を実用化するにつきましては、やはりコストをできるだけ下げて、しかも、乗車人員は今の新幹線に比べますとかなり少なくなりますので、採算性もなかなか厳しいものがございます。したがいまして、そういう点で、コスト面で十分対応できるような技術開発になるのか、つまり、先ほど言いました、実用化の基盤技術は確立いたしましたけれども、実用化にたえられるようなコストまでできるのか、今その最中でございまして、その後に、今後これをどういうふうに取り扱うかというような議論が行われるものというふうに思っております。

後藤(斎)分科員 リニアについてはこの辺で終わりますが、ぜひ、国交省におかれましては、今局長が話をされたのは、収益性の問題とか財源論だというふうに思います。ですから、どこまで下げれば、実用化に向けての二段階目というか次のステップに行くのか、そうではないのかという、そこの区切りをぜひつけていただきたいということなんです。

 例えば、今のお話ですと、継続して実験をしていくと。それはゼロには決してなりませんから、今の時点からコストが何割下がれば次のステップ、ステージに行くのかとか、その辺をぜひこれから御検討なされて、先ほど触れさせていただいた基本スキーム検討会議でも、答申というか結論の中に、その判断の基準をぜひ明確にしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、もう一方の幹線であります、これは現在、実用というか、私も毎日の通勤で使っているものですが、JR中央線の話であります。

 新宿―甲府間というのは、営業キロでいえば百二十三・八キロございます。そして、いろいろな技術開発の御努力の中で、今、甲府―新宿間が、一時間二十三分まで一番早い「スーパーあずさ」では短縮をされました。ただ、これも、平均ですと八十九キロということです。確かに、山あり谷ありで、大変カーブも多くて、担当の方とお話をしたら、これ以上の時間短縮は無理だというお話も聞いておりますが、仮に、塩山地域、非常にカーブが多い地域を、例えば短絡線というふうに、専門用語で定義があるようですが、真っすぐ通すと巨額なコストが必要だというお話を承っておりますが、例えばそれはどの程度の試算になっているんでしょうか。

 あわせて、その負担というのは、実際、短絡線を開通というか実用化したいというときには、どのような負担割合で対応するんでしょうか。

 そして、その最終判断は、だれが例えば短絡線をつくるという判断をするんでしょうか。

 お答えをお願いします。

梅田政府参考人 在来線の鉄道の高速化、複線化等の利便性向上につきましては、基本的には、輸送需要の動向、それから収支採算性等を総合的に勘案した上で事業者の経営判断によって行われるものであります。したがいまして、まずは、沿線の自治体と事業者との間で十分な検討を行いまして、費用負担を含めまして、案件の成熟度を高めていただくというのが重要だと考えております。

 一般的に言いますと、案件の成熟度が高まった段階で、国といたしましても、幹線鉄道等活性化補助制度というのがございます。これは、一般的に言いますと、事業者に対して国と地方から五分の一ずつ、したがって、事業者負担は五分の三ということになりますけれども、こういう補助の制度でございますが、こういうものの活用を含めまして、必要に応じて適切な支援をすることになろうかと思います。

 御指摘のJR中央線でございますが、JR東日本によりますと、今までも施設改良あるいは新型車両の導入等に取り組んできておりまして、甲府との間で、一番早いもので一時間二十三分ということで、若干ではございますが、時間短縮も図ってきておる。ただ、御承知のように、多数の狭小のトンネル、小半径、急勾配等がございます。したがいまして、抜本的なスピードアップを目指すためには、短絡線等の巨額な設備投資が必要だというふうに考えているようでございます。

 通例、こういうようなケースにつきましては、県が中心となりまして、自治体、事業者等と相談をしながら、どういうような線形にしていこうか、あるいは、いろいろ、線を変えるとかあるいは真っすぐ短絡線を通すということになりましたら地域の中のありようも変わってまいりますから、県が中心となって、大体その事業者と相談をしながら、調査をして、具体的にどのくらいになっていくかというようなことをやっていくケースが多うございます。

 現在のところ、山梨県につきましては、そのような状況にはないと私ども認識しております。

後藤(斎)分科員 今の局長の最後お話をされた件は、いろいろな委託調査も含めて、県は県でやっているようであります。これは、先ほど局長も触れられたように、JR東さんと県ないし関係自治体と、またこの辺については、運動体をきちっとつくった中で、しかるべき時期にまたいろいろな形でお願いをしたい件だというふうに思いますので、今後とも、ぜひウオッチの方をよろしくお願いしたいと思います。

 大臣、昨年度の国土交通白書の中にも「建設産業の再生」という項がございます。特に、大臣も御案内のとおり、今、都市と地方の格差や、大企業や中小企業の格差、いろいろな格差の問題がいろいろなメディアも含めて述べられております。

 私も大変地元の部分で関心があるのは、特に建設業について、大手ゼネコンさんといわゆる中小、イコール地元、地方という部分かもしれませんが、大変格差が開いているような感じがいたします。格差というよりも、むしろ、御案内のとおり、いわゆる地方では建設産業に従事をする方が雇用という面ではたくさんいらっしゃいます。

 あわせて、この白書の中にも触れられているように、建設就業者の数は減ってはいるものの、建設業者数ということで見るとむしろ増加をしている。ですから、深刻な過剰供給構造になっているという指摘がございます。あわせて、公共事業も大変減少しているということで、受注の減少や利益率の減少で厳しい経営環境が続いているという指摘がございます。

 そして一方で、大手ゼネコン、大手建設業の方々は、大変な時期に金融機関が債権放棄をしたりということで、かなり順調に回復をしております。

 官公需法という、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律というものが昭和四十一年に制定をされ、その四条に、毎年、国は、「中小企業者の受注の機会の増大を図るための方針を作成する」という規定がございます。昨年の閣議決定をされた文書を読みますと、(十一)に「中小建設業者に対する配慮」というものがございます。

 先ほど来触れた、国が関係をするいろいろな大型プロジェクト建設も、この中小企業に対する配慮というものがないと、ますます大手と中小の方の格差が開いてしまう。この中には明確に受注機会の増大ということが触れられております。

 大臣、たくさんの御努力を今まで国交省も含めてされていることは承知をしております。ただ、今の地方中小建設業の方々の窮乏を見るにつけ、この法律、この閣議決定に従って、ぜひ従来以上のものを国の事業として、ぜひ最後にお願いをしたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 中小、中堅建設業というのは、社会資本整備の担い手でございますし、また、雇用という面で見ますと、まさしく我が国の最大の雇用の受け皿の一つでございます。また、災害時においては、復旧復興対策に、地元の方々の、中小の建設業の方々の支援なくしては復興はできません。そういう意味でも、非常に大事な役割、存在であるというふうに認識をしているところでございます。

 おっしゃったように、今大変厳しい経営環境にある中で、公共事業の工事の発注に当たりまして、中小建設業者への受注機会の確保を図っていくことは大切であると考えております。

 今委員がおっしゃっていただいた官公需法でも規定がございますし、また、分離発注とか分割発注だとかいうふうな取り組みもして、もちろん、一方でこれはコスト縮減をしないといけないんですが、受注機会の確保に努めていかねばなりません。また、ランク別発注といいまして、発注予定工事の予定価格にふさわしい企業に発注を行う、こういう発注の仕方も実施をしているところでございますし、さらには、経常JVを組んでいただいて、これを活用して上位ランク工事への参入機会を拡大する。

 こうしたさまざまな対策をとって、今後とも中小建設業者の受注機会の確保を図っていきたいと考えております。

 ただ一方で、冒頭おっしゃっていただきましたように、そもそも公共事業も、そして民間もそうなんですけれども、建設投資自体が大きく減少しております。そして、じゃこれからそれがふえてくるのかというと、それはなかなか期待できないわけでございまして、そういう中で、投資額は大きく減っているにもかかわらず、業者の方々の数だけはいまだに大変多いという中で、過剰供給構造にある。

 これはこれでやはり、このままでいいわけありませんので、経営基盤の強化について一方でしていただく必要があるわけでございます。新分野進出等の経営革新の取り組みをしっかり促進させていただきたいと思いますし、また一方で、技術と経営にすぐれた中小、中堅の建設企業が伸びることができるような環境整備をしていかないといけないというふうに考えております。

後藤(斎)分科員 ぜひ大臣の最大限のお力添えで地方の中小建設業の方が元気で頑張れるように、最後にお願いをしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三原主査代理 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、笹木竜三君。

笹木分科員 では、質問を始めさせていただきます。民主党の笹木竜三です。

 最初に、二月二十七日の夕刊からですが、北朝鮮の不審船に使用している可能性がある、その船の不正輸出をしたということで、宮城県の海運会社の社長が事情聴取を受けて、逮捕の方針ということで今報道されているわけですが、この現状についてどういうふうに把握をされているか。言ってみれば、前歴もあったんじゃないかということも報道されていますが、把握されていることについて御説明をいただきたいと思います。

石川政府参考人 御質問の件でございますけれども、この件は、実は昨年の七月六日に、宮城県の多賀城市に居住する会社役員、岸本と申しますが、この被疑者が、中古漁船の第二大和丸、これを輸出するに当たりまして、経済産業大臣の承認が必要であるにもかかわらず、門司税関田野浦出張所長に対しまして、経済産業大臣の承認を要しない百万円以下である、このように偽った輸出申告を行いまして、翌日、北九州市の関門港から韓国に向け出港させたものでございます。

 これは、経済産業大臣の承認を得ないで漁労設備を有する船舶を輸出した事件ということでございまして、私ども海上保安庁は、昨日午前に、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で本件被疑者を逮捕したところでございます。

笹木分科員 この名前、第二大和丸ですか、これが九九年に能登半島沖にあらわれた北朝鮮の不審船と同じ名前の船だというふうに今言われているわけですね。

 この同じ方が、過去似たような事例で、やはり前歴があったということも報道されています。そのことも把握されているんでしょうか。

石川政府参考人 先ほど申し上げました本件の被疑者に関しましては、過去に二件類似の事件がございます。

 一つが、平成十三年の六月でございますが、他の共犯者と共謀の上に、中古漁船をインドネシア向けの輸出に装いまして、北朝鮮に売却するために、小名浜港から不正に輸出したということの嫌疑で検挙しております。

 それからもう一つでございますが、平成十五年五月に、やはり他の共犯者と共謀の上、別の中古漁船をフィリピンに輸出するということを装いまして、実際にはロシアに売却をするということで、花咲港から不正輸出したということで、これもまた検挙してございます。

笹木分科員 例えば、日本の船、中古の船が、工作船であったり、そういうふうに使われているんじゃないかといった調査、どこまで公開できるかは別としまして、そういった調査とか把握はある程度されているんでしょうか。

石川政府参考人 たまたま今回の事件の船と能登半島沖の不審船事案の船の名前及び漁船の登録番号が同じであるということは確認してございます。ただ、別の船であるわけであります。

 それから、今の御質問のように、日本から不正輸出された漁船が北朝鮮でどのように使われているか、あるいは不審船とどういう関係にあるかということについては必ずしも明らかにすることはできませんけれども、ただ、九州南西沖事案で自沈をした北朝鮮の不審船がございますが、あの船は極めて特殊な構造をしてございまして、大変高速を出すために、船の形からして極めて特殊な構造をしてございます。そういう意味では、一般の漁船と同じような形では必ずしもないということだと思います。

笹木分科員 それで、ちょっとお伺いをしたいわけですが、海上保安庁での警備体制といいますか、どの程度の警備体制なのか。例えば、七〇年代に拉致の事件が起こっているわけですが、そのころに比べてこれだけ充実をしている、あるいは最近これだけ充実をしている、民間の方の力もかりた通報体制も含めて、そういったことをどれほどされているのかについても教えていただけますか。

石川政府参考人 海上保安庁につきましては、不審船事案があった以降、特にスピードが足りなかったというようなこともございまして、現在、高スピードの巡視船艇の整備ということを図っておりまして、特に船の配置につきましては、日本海を中心として、高速の巡視船を整備するように今努力しているところでございます。

笹木分科員 今現在、常時、全国で大体何台体制でやっておられるんでしょうか。

石川政府参考人 海上保安庁はいろいろな船がございますけれども、主に警備に従事いたします船としては、全国で、巡視船が百二十四隻、それから巡視艇という船でございますが、これが二百三十六隻、さらには、もう少し小さい業務用の船が八十八隻ほどございます。

笹木分科員 例えば、陸上自衛隊において、おととしぐらいからですか、有事ということも意識をして、移動式レーダーを持つ特別な部隊をつくった、かなりの人数で構成されたものをつくっている、そういったことがあるわけです。

 こういった海上での警備体制の充実、民間の通報体制もされていろいろやっておられるんだと思いますが、どういった意識でやっておられるか。まず、もう一度確認させていただいた上で、そういったことでかなりいろいろな議論とか不安な話も聞くわけですが、その後で、大臣に、言ってみれば、こういうのは全省庁を挙げて、横の連携もとって体制を充実していくことが必要かと思うんですが、きょう最初に挙げた事例も含めて、基本的な姿勢として御意見をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 海上保安庁は、今申し上げましたような船は以上でございますが、そのほかに、航空機、ヘリコプターも持って警備をしてございます。要員が約一万二千三百人ほどございますが、日本の沿岸の延長キロというのは約三万三千キロございまして、簡単に言えば、保安官一人当たり約三キロぐらいの沿岸を担務する、単純計算すればそういうことになります。

 ただ、基本的に、海は広いので、さまざまな形でさまざまな機関と連携しながら情報をとっていくということが大事だと思っております。そういう意味で、政府機関の間での情報の共有もございますが、民間の方々にも広く海を見ていただくということが大事だと思っております。

 そういう意味で、例えば、海守という制度がございまして、これは民間のボランティアでございますが、全国で約五万人ほどおります。こういう方々が、ふだんは町、港、島でそれぞれの生業をなさっているわけでございますが、海を見て、不審なことがあった、あるいは見なれない船が来たというふうなことがあれば、海上保安庁の専門番号であります一一八番に電話をしていただくというような形で、民間の目あるいは耳というものも活用しながら海を見ていく、それで何かあれば直ちに私どもが飛んで行くという体制で頑張っているところでございます。

北側国務大臣 海上保安庁の役割というのは大変に大きいものがあると思います。今も長官の方から答弁させていただきましたが、日本の海岸延長というのは、アメリカの海岸延長よりも長いんですね。世界でも有数の、四囲が海に囲まれた海洋国家、これが日本です。

 その日本の平時の海上の交通の安全はもちろんのこと、委員も御指摘のある領海はもちろんのこと、経済的な排他水域の中の日常的な警備活動、これも海上保安庁が担っております。さらには、海洋汚染等々の防止等にも取り組んでいる。さまざまな取り組みをこの海上保安庁がやっておりまして、これがまだ職員の数が一万二千ぐらいなんですね。余りこういうことを大きな声で言うと怒られるかもしれませんが、自衛隊とは全くけたが違う少数精鋭の職員で、平時の、日常の海上交通の安全、海上の警備を担っていただいているわけでございまして、その辺のところの役割について、私は、国民の皆様にもっと知っていただく必要があるというふうに思っております。

 また、装備の問題も、おっしゃっているとおり、実を申しますと、必ずしも十分な装備ではございません。むしろ工作船の方が装備がよかったりするようなこともかつてあったわけでございまして、そうした職務を全うできるように、やはり装備も確保しないといけませんし、また、みずからの安全も確保しないといけないわけで、そうした装備をしっかりと更新していかねばならないと考えております。

 この平成十八年度予算から、そうした装備の更新も近代化をするためにさせていただこうということで、予算計上もさせていただいておるところでございます。ぜひ、委員におかれましても御支援を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

笹木分科員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 二点目なんですが、PFIについて確認をさせていただきたいんです。

 公共がやっていたことも民間でやれることは民間にという基本的な方向は非常に大事だと思っています。自治体においては指定管理者制度というのがあるわけですが、例えば、指定管理者制度でいろいろな問題があります。

 その幾つかの問題のうちの一つが、ある自治体では、長らく県会議長をやっていた方がほぼ独占的に老人施設の運営管理を受けていた、そういったいわゆる政治的なコネによる、これは当初の目的とかなりずれてくると思うんです。あるいは、NPO法人、それまで全く活動していなかったNPO法人をにわかに立ち上げて、非常に大規模な、四十億かけてつくった施設の運営管理を任せられる、中には、刑事罰を受けた方とか破産した経験のある方、そういう方が責任者でいるようなでNPOであった、こんな事例も報道されています。

 お聞きしたいのは、では、この国レベルでのPFI、評価が大事になってくると思うんですが、内閣府に何度かやりとりして聞きました。しかし、本当に把握されているのかどうか、把握されていないのかどうかわかりませんが、なかなかちゃんとした全国の事例についての判断ですとか資料というのも出てきません。

 結局は、評価が大事だし、国のPFIについての評価がもう少ししっかりしたものになっていけば、自治体における指定管理者制度もそれをまた参考にすることもできるんじゃないかと思うわけですが、こういったPFIについての評価、これについて今どういうような取り組みをされているのか、お聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 内閣府でございますが、今、委員の御指摘の点でございます。

 確かに、PFI事業、平成十一年の法律制定以来、現在の時点におきまして、いわゆる法律に基づきます実施方針が策定されたもの、昨年末の時点でございますが二百二十五件ございまして、数がふえてきているわけでございます。確かに、委員御指摘のとおり、この実施方針が公表された後、取りやめになった事業も、これは自治体の事業でございますが、全国で九件ございます。

 今、内閣府としましては、全体に個別の事案に関与する立場ではございませんけれども、今御指摘のとおり、案件の数もふえておりますので、そこは、PFI法に基づきまして、内閣府にPFI推進委員会がございます、ここで議論をまた始めたところでございますので、今の御指摘も踏まえながら、いろいろな課題に対応し、必要があれば制度の改善を図っていきたいというふうに考えております。

笹木分科員 評価について、個々の案件だけにじゃなくてPFI方式そのものについて、先ほど指定管理者制度で言ったような問題が国についても起こる可能性はなくはないと思いますし、もう一方では、ちょっと制限というかいろいろ手かせ足かせが強過ぎて、民間にとっては魅力のないような場合もあるようですが、PFI全体についての評価を、例えば国土交通省で取り組んでいかれる、そういうおつもりはあるでしょうか。

 要は、PFI、それぞれの省が抱えているわけですが、評価のあり方についてはもっと競うべきじゃないかと思うんですが、そういう取り組みについて御説明いただけたらと思います。

竹歳政府参考人 国土交通省では、今、中央合同庁舎第七号館とか羽田空港の国際線地区の整備等十三の直轄のPFI事業をやっています。こういう事業をやりながら、今の効果の検証等についてもいろいろ勉強しているところでございます。

 既存のPFI事業の効果発現状況のフォローアップでございますとか、社会的リスクの分析とか、民間施設の併設のあり方とか、PFI事業を推進する上で重要な論点を幾つか検証していこうということでございまして、こういう調査検討の結果を踏まえて、より適切な事業をやっていきたいと思っております。

笹木分科員 三点目ですが、雪害のことについて、これも確認をさせていただきたいと思います。

 今は比較的雪が降っていないものですから、各地域においても、のど元過ぎれば熱さ忘れるで、なかなかそういう議論が逆に起こらないんですが、毎年のことを考えると、今からいろいろな見直しとか検討をしていかないと非常にまずいと思う。そのうちの一つが、やはり高速道路の渋滞とかストップ状態が非常に多いという問題です。

 私の福井県でも、北陸自動車道で、上り下り車線で延べ五十時間あるいは七十時間通行どめという状態になっています。もっと困るのは、JRもとまっている、高速道路もとまっている、そして幹線道路もとまっている、こういう三つとも重なってとまるという状態があるんですね。

 これは、単に生活している者が困るだけじゃありません。地域にとって非常に深刻なのは、そこに立地している、例えば東京とか大阪に本社がある企業の工場。これは、ラインでの生産も、あるいはできてからの流通も、分単位というか物すごい時間管理でつくって流通をしている、それで県境を越えて最終的には届けるという体制です。ですから、自然のせいだといいましても、地方に立地している企業にしてみますと、こういうことが再三あると、結局は地方における生産活動をもう少し縮小せざるを得ない。実際、去年、そういう声はかなりあったわけです。

 ぜひ、高速道であったり幹線道のこういったストップ状態、渋滞状態、例えば、去年の十二月に即してで結構です、どういう状態でどう改善されようとしているのかについてお話しいただけますか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、最近の日常生活また経済社会活動において、冬期間においても、平時と同じような交通の安全の確保というようなことが大きな課題になってきているということかと思っております。

 今御指摘の北陸自動車道につきましては、昨年の十月から中日本の高速道路株式会社が管理を担当するということになっておるわけでございますが、昨年の末は記録的な大雪ということで、通行どめの大きな原因として、ノーマルタイヤ車が登坂車線で立ち往生して車線をふさいだとか、これを先頭として渋滞が大きくなったというようなことをお聞きしております。その結果、除雪不能になったということで、回復もおくれたということで、通行どめになったということでございます。

 こうした原因を踏まえまして、中日本の会社の方では、適切な除雪体制をさらに強化するということで、さらにより適切な情報提供を目的とした雪氷対策強化本部を昨年の十二月二十八日に設置されたということでございます。

 具体的な雪氷対策としては、三点だけ申し上げますが、路面状況の情報収集強化のため雪氷巡回車の追加ということで、二パーティーだったものを三パーティーということで、一・五倍ということにさせていただいております。

 二つ目は、道路情報板に加え、インターネット及び携帯電話によるドライバーへの情報提供というようなことを充実させていただいております。

 三点目は、除雪車や牽引車のSA、PAなどへの事前配置による雪氷作業の初動体制強化等の措置を図ったということで、かなりこうした効果が上がってきておるというぐあいに聞いております。

 また、公安委員会と連携を高めながら、チェーン規制というようなものもしっかりとやっていくことが重要だということがわかっておりますので、そうした管理につきましても強化をさせていただきたいと考えております。

笹木分科員 融雪の体制についてはどうですか。要は、有料の高速道路が最初に渋滞とか最初にストップ状態というのはどう考えてもおかしいと思うんですが、そういったこと。それと、今言ったタイヤのチェック、これは警察の方になると思うわけですが、こういったことをやはりもう少し充実しないと、お金を払った道路が最初にだめになるとか。

 あわせて、例えば、情報の提供というのは、今もお話がありましたが、実際に一番深刻なのは、今どこが動いているんだ、こっちの込みぐあいと向こうの幹線道路の込みぐあいがどうか、そういう情報がより早く欲しいわけですね。携帯とかそういったもので見られれば一番いいわけですが、そういった体制も含めて非常にお粗末だと思うわけです。現状と今後、国交省はどう取り組まれようとしているのか。

 そして、最後に大臣に、この問題はどうしても雪が降っていないとまた忘れてしまって、雪が降るとまたかという話になるので、平時からぜひそういったことをしっかりと議論していただきたいと思うわけですが、御意見を最後に伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、先ほども答弁させていただきましたが、高速道路におけるきちっとした管理というようなことが民営化された会社においても重要な使命ということで、会社において十分な対応をとっていただくよう必要な措置を私どもとしてもとらせていただきたいと思っておる次第でございます。

 また、高速道路だけでなく、一般国道、福井の場合でありますと八号とか二十七号等があるわけでございますが、そういった面的な情報提供ということで、もし高速道路が、一般国道が、八号がトラブルになった場合に迂回できるようなきちっとした面的な情報というようなことを、私どもだけでなく、会社、都道府県、地方自治体、また警察の協力も得ながら的確な情報提供に努めさせていただきたいと思っておる次第でございます。

北側国務大臣 この冬の豪雪に伴って、さまざまな課題が浮き彫りになっております。今委員のおっしゃった道路の問題もそうでございます。

 ITSといいまして、高度情報技術を使いまして、車に自分が進行しようとしているところの先の道路状況について的確に入ってくるようなシステムなんかも今一生懸命開発をしておりまして、そうした道路状況等について、運転者、走行車に早く的確にそういう情報が伝達できるような技術をしっかり開発させていただきたいと思っております。

 それとともに、ことしの豪雪では、やはり大きな問題になりましたのは道路の除雪、生活道の除雪の問題。それから、屋根の雪おろし等々で多くの方々がけがをされ、お亡くなりになっているわけでございますが、大半が高齢者の方々なんですね。

 豪雪地域というのは、多くのところが過疎地域、中山間地であったりします。これから人口減少、高齢化が本格的に進む中で、これからもことしの冬のようなことは当然起こってくるわけでございまして、今委員のおっしゃったように、時期を過ぎたらすぐ忘れてしまうということがないように、今後の豪雪対策、雪害対策について雪が終わってからもしっかり検討しなきゃならない。特に、高齢者対策また過疎地対策等についてしっかり検討していきたい。

 今、国土交通省の中では専門家に入っていただいてその検討会をやっておりまして、しっかり取りまとめをしていただいて、今後の施策に反映をさせたいというふうに思っております。

笹木分科員 警察の方にも確認をしたいわけですが、車両のチェックですね、タイヤチェック、そういったことについてまだまだ不十分だろうと思うわけです。それについて、どう改善されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、先ほどのお答えの中に融雪のことが入っていないんですが、この融雪体制の充実については今どうされようとしているのか。

影山政府参考人 お答えいたします。

 確かにおっしゃいますとおり、情報収集、そしてその情報の適切な提供、さらにはチェーン規制等を行うに当たって具体的にどう実施をやっていくか、これは大変重要な問題でございます。

 私ども警察といたしましても、道路管理者とよく協議、調整をしながらしっかりやっていきたいと思っております。

谷口政府参考人 高速道路においても、また私ども国が管理する、また都道府県が管理する、市町村が管理するいずれの道路においても、しっかりとした融雪対策をとらせていただいております。特に、雪寒法で決められた一般道路につきましては、必要な対策を五カ年ごとに決めてしっかりとした対応をとらせていただいております。

 高速道路につきましても、必要なところについて、各会社において適切にとられるものと思っております。

笹木分科員 高速道路については、融雪について非常に不十分だと思っています。いろいろコストの面はあると思うんですが、研究もいろいろあると思います、新しいエネルギーによる融雪の技術ですとか、そういったものはあると思いますので、そういったことも含めて、ぜひ検討いただきたいと思います。

 それと、車両のチェックですが、これは、やはり余りとめ過ぎても困るんですが、若干遅いスピードでもいいから流れるようにしてほしいというのが、これは生活している者の一番の願いですので、そこら辺を、例えば高速道路に入ってスキー客なんかが全く平常のタイヤのままである、そういう車両についてはどうするのかとかという問題もあると思います。高速道路のパーキングの中でそういったことに対応する方法とかも含めて今後考えるべきじゃないかと思いますが、また細かい話は、このテーマについて次回にもお話しさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

三原主査代理 これにて笹木竜三君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 きょうは、予算委員会分科会、国土交通部門ということで、質疑をさせていただきます。

 きょうは、主に第三セクター鉄道に関する国の支援に関して、特に私の地元でもあります埼玉高速鉄道を中心に御質疑をさせていただきます。

 それぞれ、北側大臣、そしてまた山崎副大臣、江崎副大臣、西田政務官と御出席をいただいております。政治家との議論をということを心がけておりますので、国会質疑の活性化ということで、御出席いただきまして本当にありがとうございます。

 まず、お手元の方に、理事会のお許しを得て資料を配らせていただきました。ちょっとお目通しをいただければと思いますが、埼玉高速鉄道の概要ということで資料を出させていただいております。

 平成四年に事業免許、そして平成六年から鉄道公団工事の指示ということで、平成十三年の三月二十八日に開業いたしました。ちょうどワールドカップに、二〇〇二年に間に合うようにということで開業したところでございます。赤羽岩淵から浦和美園まで十四・六キロ。譲渡価額というのは、これは後でちょっと触れますが、いわゆる鉄建公団のP線事業と、それから第三セクター地下鉄高速線支援の事業が半分半分になっておりますのでこのような価格になっております。建設費がこの十四・七キロで約二千五百億円という、巨額の建設費のもと開業しております。

 会社概要が、以下のとおりでございまして、いわゆる地元の自治体が五〇%強という形での第三セクターでございます。

 経営状況が下に、十四、十五、十六年度というふうに出ております。輸送人員、十六年度で六万五千人ということでございますが、当初、十三年度ですか開業時、このときに六万人をもくろんで開業いたしましたが、四万七千人ということで、当初目標の輸送人員に達しなかったために、この三年間毎年七十億から九十億の当期損失を計上しておりまして、十六年度で三百三十七億円の累積損失ということでございます。

 これは、第三セクターが、全国に三十九の鉄道事業がある中で、年間の当期損失については、十五年度黒字が七社だったのが十六年度四社に減っていることなど、各地の第三セクターが大変厳しい経営を余儀なくされているのに加えまして、特にこの埼玉高速鉄道などは地下鉄事業でございますので、どうしても、先ほど言いました初期の投資、これが多額に上るということもありまして、十六年度の決算を見ますと、基礎的収支は十七億円の黒字なんですが、後ほど触れます支払い利息が三十三億円、プラス減価償却費が五十六億円、計八十九億円に上りまして、十億円の補助金を加えても六十二億円の赤字額ということが、先ほどの、累損が毎年ふえている、そういった背景になっておりますので、後ほど、この支払い利息を何とか減らせないか、こういったことを中心に質疑をさせていただきたいと思います。

 そこで、まず大臣の方にお伺いをしたいんですが、多分省庁の方からレクも受けておられると思うんです。今、この埼玉高速鉄道線が赤羽から岩淵まで延びておるんですけれども、資料で三ページをごらんいただきたいんですが、この三ページの地下鉄事業の都市高速鉄道事業スキームということで、公営地下鉄は上のような事業のスキームで、国庫補助やあるいは出資があったということですが、第三セクターにこのような公営地下鉄と同様の補助がされたのがちょうど平成六年からでしょうか。

 ということで、この平成四年に事業認可された埼玉高速鉄道については、半分このやり方を行いまして、半分は先ほど触れました鉄建公団のP線というようなやり方でやっておりますので、いわゆる国庫補助金などが投じられないというような形でございます。そのときの経緯が、なぜ全線をこの第三セクター地下鉄建設事業でできなかったのかなということが悔やまれるところというのが、地元選出の議員としてのやはり率直な感想でもございます。

 ちなみに、今、下の第三セクター地下鉄建設事業によっての補助区間に対して千百三十億円、そして、今までその前にあったP線、鉄建公団のやり方が千四百五十七億円、そのうち鉄建公団の資金が八百八十一億円ございまして、これが、後ほど触れますが、金利が二・三%近くということで、何とかこれをやはり低利に借りかえできないだろうかと。八百億円の一%といえば、年間八億円の金利減免ということにもなるわけでございます。

 まず、長々と説明をさせていただきましたが、なぜ、P線、鉄建公団の部分と第三セクター地下鉄建設事業、半分半分になってしまったのか。この経緯について、恐縮でございますが、大臣の方から御説明をいただければと思います。

北側国務大臣 必要であれば、参考人がおりますので答弁させていただきたいと思いますけれども。

 平成四年の鉄道事業免許に際しまして、埼玉高速鉄道株式会社は、全線をP線方式、今委員のおっしゃったP線方式で整備することによって収支採算性が確保できるということで申請が行われました。当時、運輸省でございますが、その内容を確認して免許を出したものでございます。

 しかしながら、整備費用が二千五百億円を超えると見込まれていたために、より効果的な支援を行うべく検討を行った結果、平成六年度予算において、地下鉄補助の適用対象を準公営事業者にも拡大するという改正を行った際に、この線の一部区間についても地下鉄補助を適用することとしたものでございます。

 なぜ一部区間に限っているのかというお尋ねでございますが、これは全国にさまざまなプロジェクトがあるわけでございまして、埼玉高速鉄道線の事業規模が大きいこと、もともと全線をP線方式で整備する計画であったこと等を勘案しまして、P線方式に加えて地下鉄補助を適用する、こういう抱き合わせの仕組みになったというふうに理解をしております。

武正分科員 今、この埼玉高速鉄道は、以前しなの鉄道の社長であった杉野さんが社長になりまして、それこそ経営改革に社長が先頭に立って取り組んでおります。その結果、十六年度、先ほど触れたように、六万五千人ということで、利用者が対前年度一一%増加ということや、あるいは運輸収入も開業後初めて五十億円の大台を突破したり、あるいは運輸外収入ということで、さまざま屋台村の新設とか自動販売機の増設など、こうした新たな分野に進出もし、一方、やはり人件費の削減ということで、これは一一・三%削減を努力されるというようなことで、その経営改善額七億一千万ということで取り組んでいるところでございますが、何せ先ほど触れましたように、三十三億円のこの利子負担と、それから、減価償却費ということで当期純損失六十二億八千万、累損が三百三十七億ということになってしまっているわけでございます。

 そこで、きょうはまず、総務省から山崎副大臣お見えでございますので、公営企業金融公庫でございますね。こちらの高い利率で借りたものの借りかえということを鋭意進めておられると思うんですね。私も、埼玉県議を五年務めておりましたので、当時、いわゆる公営企業の金利負担がやはり自治体の経営を大変圧迫している、何とかこれは借りかえできないんでしょうかということを県議会で聞いても、なかなかそれは難しいんですというようなお話がありました。それが、今、公営企業金融公庫の、やはりそれこそ高い金利での貸し付けを低利に借りかえということが進んでいるように伺っておるんですが、その中でも公営企業の地下鉄について、やはり公営企業借換債の許可額というものが年々示されておりますので、実際に、この五年間どの程度借りかえが進んでいるのか、しかも、その利率が何%以上のものを何%にしたのか、この点についてお答えをいただけますでしょうか。

山崎副大臣 ただいまの公営企業金融公庫の借りかえにつきましてですが、考え方としては、今、委員おっしゃられたように、低金利時代になったという現下の金利状況、それから公営企業の経営状況というものを見て、資本費負担等が著しく高い、資本費といいますのは減価償却費と企業債の利息というものを合わせたもので、御案内のとおりだと思いますが、そういう高い一定の公営企業において、公庫資金に係る既往債の金利負担を軽くしようということで、限定的でございますが、やはり公営企業金融公庫の経営上対応が可能な範囲という考え方で借りかえ措置を御指摘のとおりしているところでございます。

 その中で、地下鉄事業に係る公営企業の借換債につきましては、旅客運輸収入に対する資本費の割合が全国平均以上の地下鉄事業を有する企業債を対象とするということでございまして、配分については、未償還残高及び輸送サービス向上努力等を勘案して決めているところでございます。

 具体的な数字を言いますと、現行の、今払っている利率六%以上のうちから一・九五%まで下げるということをやっております。ただ、それの総額におきましては、平成十三年度から十七年度の五年間におきまして、順次申し上げれば、十三年度が百六十億、十四年度百七十五億、十五年度百五十五億、十六年度百六十五億、十七年度百四十億、こういう形で借りかえをしているところでございます。

武正分科員 金利の点について細かに述べていただけなかったんですけれども、十五年度に至っては一・四%への借りかえということを許可しているわけでございます。

 そこで、お手元の、資料の二ページ目をお開きいただきたいんですが、これが平成十七年三月末現在の状況でございます。

 借入金が一千五百五十六億六千五百万円、平均二・一%ということでございます。政策投資あるいは転貸債、市中銀行ということで、こちらは軒並み一・五六からということで平均のパーセンテージも書いてあるわけですが、やはり今、市中金利は非常に安くなっております。一・六五ということでありますが、今、金融の自由化ということもありまして、それこそ一・六五よりももっと低い利率で市中銀行から借りられるのではないかということも言われているわけでございます。一%を切る金利で借りられるということも聞いておるわけでございますので、この中では旧鉄建公団の七百五十二億円、これが例えば、先ほど触れたように、一%金利が下がれば、これで年間の支払いが七億円安くなるということになろうかということでございます。一・四%に公営企業金融公庫の借りかえが実現していることも、その一つの目安でございます。それがさらに、市中銀行であっては〇・四というような話も聞こえてくるわけでございますので、そうすれば年間十四億の金利の減免というようなことも考え得るわけでございます。

 先ほど、冒頭触れましたように、全国の第三セクターの三十九社のうち黒字はわずか四社ということで、特に地下鉄事業、都市の地下鉄事業の初期投資が大きいために、しかも、冒頭大臣が言われたように、半分がP線ということでいわゆる国庫補助は半分しか認められなかった、そんな経緯、そのときにはまだ地下鉄の第三セクターに対する補助という建設事業がなかったということもありましたが、やはり金利の減免ということができないものか、こう考えるわけでございます。

 きょうは、財務省の政務官もおみえでございます。ありがとうございます。

 この鉄建公団は、今独立行政法人に変わりました。独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構ということでございますが、こちらは、借入金等の債務の状況を見ると、平成十六年度末で八兆七千六百九十九億円の借り入れ等の債務ということでありますが、そのほとんどの額と言ってはなんですけれども、まあ勘定がそれぞれ分かれているんですが、建設勘定と、いわゆる財投からの借り入れがほとんどを占めているわけでございます。

 この機構からの利率、二・三%を、例えば一%減とかに借りかえできないものかということは、財投資金が投じられているわけですので、やはり財務省の許可がなければ当然機構もできないだろうということも考えるわけです。この点、鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの、ですから、こちらが財投から借りているお金についてのそれこそ借りかえというんですか、財投への利率の高いものを何とか低く借りかえる、これができれば、機構も鉄建公団時代に貸した利率を低利に借りかえられるのかなといったところもあるんですが、機構の財投とのお金のやりとりを低利に借りかえられるのかどうか、これがまず一点。

 それから、こうした機構が、独法でございますが、財投資金が投じられている。かといって、当然民間からの借入金や縁故債やいろいろな形でお金を融通してもらいますし、財投改革にのっとって財投機関債も発行しているわけでございます。そうした独立した行政法人として、今それぞれ、これまで貸し出した金利が高かったものを、それを受けている事業体から安く借りかえられないか、こういった要請、これについて財務省としてどのようにお考えなのか、以上二点、お伺いをできればと思います。

西田大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御質問がございました。先ほど国土交通大臣からも御説明がございましたとおり、まず、この埼玉高速鉄道につきましては、関係地方公共団体の支援また官民の沿線開発の推進、そして会社の経営合理化努力によりまして経営の安定化が図られてきているという報告を受けておりますところ、御指摘の鉄道建設・運輸施設整備支援機構と当該埼玉高速鉄道との間で債務の一部減免等の支援を必要とするということにはなっていないというお話をまず聞いております。そのことが、御質問の二点のうちのまず一点でございます。

 さらにもう一点、非常に重要な点の御指摘がございましたけれども、ただ、財投への繰り上げ償還につきましては、これはもう委員重々御承知のとおりだと存じますけれども、財政投融資改革の議論におきまして、財投の実施に当たっては、市場メカニズムというものがやはり重要であるということを踏まえ、それとの調和を一層促進することが必要とされたところでございますので、やはり繰り上げ償還あるいは補償金を徴求しないことによるところの繰り上げなどなどについては、いろいろな市場メカニズムとの調和が一層促進されることが必要である、こういうふうに考えております。

武正分科員 やはりそれぞれの公営企業あるいは第三セクター、これの経営を考えたとき、私はやはり、国の財投改革に合わせて、そうした事業者が本当に累損をふやさない形で、経営努力はそれぞれもう必死になってやっておられます、本当に頑張っておられると思います、社員の皆さん挙げて。それを、これまでの高い金利で借りていたものを何とか安く借りかえられないか、市中からもっと借りられるんですよ、こういうやはりスキームをつくっていくということが何とかできないかな、このように考えるわけです。

 この独法については、これは所管省庁が国交省ということでございます。先ほどそういった要請は受けてはいないというお話ですが、私の聞くところでは、やはり何とかこの一千五百億円の借金のうち半分で一番高い八百億の金利二・三%を何とか安く借りかえられると経営がより楽になるんだけれども、当然それが地下鉄の延伸にもつながってくるということなので、担当の国交大臣としてこういったことを、例えば財務省との調整もあろうかと思いますが、機構がそうしたことを、それこそ、もちろん第三セクター地下鉄あるいはそれぞれあると思います、経営努力がうまくいっているところとそうでないところ、ただ、やはりうまくいっているところを一つの基準に、どうしても有利子負債が経営を圧迫しているところを、何とかこの財投改革も絡めて、やはり金利の借りかえ、こういったものを認めるようなことを、財務省初め政府内でそういったスキームを考えられないか。御所見を伺います。

北側国務大臣 鉄道・運輸機構も借金があるわけでございまして、債務を償還しないといけないわけですね。借りて貸している、まさしく財投からお金を借りて融資をしているわけでございまして、鉄道・運輸機構の財務状況が悪くなるような形でのことはなかなかできないということもぜひ御理解をお願いしたいと思うわけでございます。

 それともう一点お話をさせてもらいたいのは、こういう交通インフラ整備というのはやはり中長期的な目で見ていかないといけないというふうに思うんですね。いわゆる、最初はやはり、投資をしてそれが返ってくるというのになかなか時間がかかるのはどこの交通インフラでも同様だと思うわけでございます。

 先ほど来委員がおっしゃっているとおり、埼玉高速鉄道におかれましては、非常に経営合理化努力をされているというふうに聞いておりますし、また、官民挙げて沿線開発なんかも推進をされておられまして、経営の安定化が図られつつあるというふうに聞いているところでございます。

 償却前黒字を平成十九年度には達成の見込み、さらには開業十二年目で単年度黒字、開業二十六年目で累積損失解消ということを目指していらっしゃるわけでございますが、これは他の一般の鉄道とも変わらない収支採算見込みでございまして、そういう意味では、この時点で機構への債務の一括的な繰り上げ償還等について検討するという時期でもないのではないかというふうに考えております。

武正分科員 一括とは言っておりませんので、徐々にでも結構でございます。先ほどの償却前黒字も含めて、それを達成するための利子の圧迫、この要因を何としても解消したいというところでございます。

 副大臣、政務官、本当にありがとうございました。どうぞお引き取りをいただければと思います。

 そこで、この株式会社の第二位の株主が東京メトロでございます。

 今、東京メトロさんからもやはりもっともっと経営に応援が欲しい、あるいは乗り合い運賃というのですか、接続して、電車が行き来する場合には鉄道と鉄道の間で運賃を何とかもうちょっと安くできるようにしようとか、そういったことも含めて、この第二位の株主である東京メトロさんの経営への積極的な御協力、参画というものがやはり欠かせないと思うわけでございます。

 やはり、これは筆頭株主が国でございます、国と東京都ということでの東京メトロでございますので、同じ路線で車両の融通やさまざまな形で協力をする、それが有機的に働くように、この点は国としての、大株主としてのお考えもぜひお伺いをしたいと思うのです。

 やはり、それぞれ地下鉄の経営がよくなることによって、当然それで利便性も向上しますし、先ほど触れましたように、沿線ではこの春に町開きも予定をしておりますので、そうした面では、東京メトロのより積極的な参画といったことを求めたいと思うんですが、この点は国交大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 東京メトロの南北線と接続をしておるわけでございまして、これは東京メトロと埼玉高速鉄道とが接続しているわけでございますから、埼玉高速鉄道のお客さんがふえれば、利用者がふえれば、これは東京メトロにとってもプラスに当然なるわけでございます。そういう意味もありまして、今委員もおっしゃったように、メトロの方も二七%の出資をしております。また、人材の方も相当出されているようでございまして、報告を受けておりますのは、埼玉高速鉄道の社員のうち約四割が東京メトロからの出向者、転籍者というふうに聞いておるところでございます。

 したがって、出資をしているということを考えても、このような人材を出していることを考えても、当然、東京メトロとしては、埼玉高速との連携を深く、さらにこれからもされていくんだろうと私も思っているところでございます。

 ただ、私の口から、もう民間企業でございますので、こうしろ、ああしろということは当然言えないわけでございまして、東京メトロは、今私がお話しした状況からすれば、当然しっかり連携してやっていけるだろうと思いますけれども、それはそれぞれの民間会社が判断されることというふうに思います。

    〔三原主査代理退席、主査着席〕

武正分科員 第三セクターの経営改善、これはやはり国交省がお考えになられる、政府挙げて取り組んでおられる至上命題でございます。そうした意味からも、大株主としての積極的な関与というものも必要だろうと思うわけでございます。

 県では既に、この地下鉄の延伸については、建設費の七割超をいわゆる国の補助金や自治体の出資金といった無償資金で賄う必要ありというようなことを最終提言に、運政審で認められた地下鉄の岩槻―蓮田延伸というものを何としても実現しようということで、地元自治体挙げて取り組んでおります。

 それについては、先ほど来触れたような、今の経営をより改善するための金利の減免を初めとするさまざまな諸施策を政府としてお取り組みをいただけるように、御支援をいただけるようにお願いをして質問にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串分科員 ありがとうございます。

 一月末から始まりましたこの国会でございますけれども、この予算委員会におきましては、一月の末から、小泉改革、この持つ意味が何だったのかということをずっと議論してきたわけでございます。

 今回、小泉総理はこの国会を行革国会というふうに位置づけられまして、行政改革の成果を問うと。その内容について、その意味がどういうものだったのかということをずっとこの議会の中で問うてきたわけでありますけれども、きょうも、この第八分科会におきまして、引き続き、小泉改革の持つ意味というものに関しまして、その総括の意味も含めまして、国土交通省所管の具体的な論点に触れながら、確認をさせていただければというふうに思う次第でございます。

 質問の通告の順番を、申しわけありませんけれども、ちょっと変えさせていただいて、まず新幹線の予算に関するところから議論を始めさせていただければというふうに思うのです。

 十八年度予算案につきまして、これは総理もおっしゃっていますけれども、財政再建に向けた取り組みを加速させている予算案というふうに伺っております。国債発行三十兆円、この枠を守るということを一つのメルクマールとして、財政の立て直しは喫緊の課題なんだということで取り組まれた、そういう予算案だというふうに承知しております。

 言うまでもなく、財政再建は、国民的な課題として、どのような政府であろうと懸命に取り組んでいかなければならない、そういう課題だということは明白だろうというふうに思っております。

 そのような中で組まれた十八年度の予算ですけれども、十八年度の予算の中身をつぶさに見ていきますと、いろいろな内容が見えてくるわけでございます。

 そこで、新幹線の予算につきまして、少し議論を行わせていただければというふうに思うのです。

 これは十二月二十五日の読売新聞でしたけれども、当然年末ですけれども、年末にはいろいろな予算に関する講評が出ます。その中で、整備新幹線に関しては七百六億円の国費、これを「前例踏襲型の予算」というふうに書かれているような新聞もございます。

 新幹線予算に関しまして確認してみますと、公共事業予算、これが現在、非常に厳しい精査をこの数年間受けてきているわけでございます。年間三%あるいは四%という割合で、精査の目を受けて、少なくなってきている。

 こういう中で、整備新幹線に関する予算、これに目を向けてみますと、十三年度、十四年度あたりから国費ベースで七百億円程度、この予算の額が維持されている。そして、事業費全体で見ましても、二千億円を超える額が維持された形で行われてきているという状況になってございます。

 明らかに整備新幹線予算の重点化が図られているんだろうなというふうな目で見るわけですけれども、この整備新幹線の予算に関して、どのような考え方でこれを編成されているのか、まずはこの点について御所見を伺いたいというふうに思います。

梅田政府参考人 整備新幹線につきましては、地域開発や、あるいは経済の活性化等に大きな効果をもたらすものでございます。私どもは、政府・与党の申し合わせに基づき、今まで着実に整備を推進してきておりますし、今後も推進する必要があると思っております。

 十八年度予算案の公共事業関係費につきましては、御指摘のように、投資の重点化、効率化等を図るべく、全体として四・四%の削減となっております。

 整備新幹線につきましては、平成十六年十二月の政府・与党申し合わせに基づきまして着実な整備を図るため、対前年度同額の七百六億円の公共事業関係費を計上しておりまして、事業費全体では、対前年度七十億円増の二千二百六十五億円となっております。

 厳しい財政状況の中ではございますが、今後とも、平成十六年十二月の政府・与党申し合わせに基づきまして、当然、コストの縮減等には努めてまいりますが、整備新幹線の着実な整備を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

大串分科員 今、整備新幹線に関する考え方をお伺いしましたけれども、確かに、今おっしゃいましたように、平成十六年の十二月十六日、政府・与党申し合わせ、この中で、今後の整備のあり方についての申し合わせが行われたわけでございます。

 その中で、いろいろな路線がありますけれども、九州新幹線長崎ルートというものに関して少々議論を進めさせていただければと思うんですが、九州新幹線長崎ルートにつきましては、この申し合わせの中で、「並行在来線区間の運営のあり方については、長崎県の協力を得ながら佐賀県において検討を行うこととし、速やかに結論を出すこととする。調整が整った場合には、着工する。その際、軌間可変電車方式による整備を目指す。」これは、フリーゲージトレーンということですね。そういうふうな取り決めの中で、整備への動きが出てきている、そういうことだろうというふうに認識しております。

 その中で、十七年度予算につきましては、これは事業費予算、借り入れの枠ということで事業費予算、国費予算ではなくて事業費予算、これが、十億円というものがついております。十八年度予算においても、同じように、借り入れの枠ということで十億円の予算がつけられているわけでございます。

 この件につきましては、地元の佐賀県においてもいろいろな調整が今この申し合わせに沿って行われているところでございまして、地元の中でもいろいろな意見が今出ているという、その調整作業がまさに行われているところでございます。

 これは、御案内のように、公共事業でございます。公共という言葉にあらわされるように、公共の利益に浴することができる、そういうふうな事業。ですから、筋としましては、地元の人々の幅広い支援を受けながら行われる、こういうふうになっていくのが大前提だろうというふうに思っております。

 きょうは、この地元の幅広い理解を今後得ていくために、どのような点を確認しておく必要があるのかという点について、少し御確認をさせていただければというふうに思います。

 まず、この九州新幹線長崎ルートについては、以前の国会においても議論が行われておりまして、十七年三月十日の国土交通委員会でも議論が行われている、そういう例を見つけました。

 各市町村、それから県、すなわち関係自治体の同意をどういうふうに得ていくか、そういう論点の議論があったわけでございますけれども、当時の議論を見てみますと、沿線自治体、県、それから市町村、これを含めて、どのような同意が求められて、どのようにそれを明らかにしていくのかという問いに対して、これに関しては、一つ一つの自治体、つまり、県、それから市町村、一つ一つの自治体に対して同意を得ていくんだ、同意を得ていって、その一つでも自治体の同意が得られない場合には、着工できないんだと。つまり、一つ一つの県、市町村の同意が着工の前提なんだというふうなことを、大臣、それから当時の局長も述べていらっしゃいます。

 大臣にお尋ねしたいんですけれども、この同意というものの考え方、一つ一つの県、それから市町村、この一つ一つの同意を得ていくんだという考え方にお変わりはないでしょうか。この点、確認させていただければというふうに思います。

北側国務大臣 今おっしゃった委員会での私の答弁、変わりはございません。

 その後、佐賀県におきましては、県を中心といたしまして、地元調整に大変努力をされているというふうに認識をしているところでございまして、引き続きしっかりと調整に努力されることを私どもは期待をしているところでございます。

大串分科員 おっしゃるとおり、地元での調整は、各関係者、何度も会議を持って、一生懸命、今一つ一つやっているところでございます。そういう中で、確認しておいた方がいいなというふうに思われる点を確認させていただければというふうに思って議論を行っているわけでございます。

 いま一つ、ことしの事業費の、十八年度予算に盛り込まれている十億円でございますけれども、これは十七年度予算におきましても十億円という事業費の予算、借り入れ枠ですけれども、盛り込まれていて、それが十八年度予算においても同じく十億円措置されている、そういう状況になってございます。

 これは、先ほど申しましたように、国費ではございません、借り入れの枠でございます。ですから、もし使われなければ使われない、そういう性質のものだということは十分理解した上で、さはさりながら、事業予算ということで一応予算化される、財務省との議論も含めながら行われる。事業予算という性質の中で予算に計上されるからには、やはり、財政それからいろいろな経営の厳しい折、ニーズあるいは緊要性、こういうものを厳しく精査した上で、優先度の高いもの、それから緊要度の高いものに使われるのが筋ではないかというふうに思われるわけでございます。

 私も、以前に財務省で予算を担当しておりましたけれども、予算を考える際には、緊要性あるいはニーズの高さ、こういうものはきっちり議論した上で予算化されるというのは、これは紛れもない筋だというふうに思います。

 そういう点からしますと、現在の予算措置されているものに関して執行がきちんと行われていて、今後もその執行が着々と進められるというのは、今後の予算化を行う上での一つの予算を見る際のメルクマールでございます。

 現在予算化されているものがきちんと執行できていないという状況において、先の予算を策定するというのは、議論の流れとしては、この財政の厳しい折、なかなか難しいのではないかというふうな感じを持ちながら見ているわけでございますけれども、恐らく、この十六年十二月の申し合わせは、期限をくくっているものではございません。基本的には、次の申し合わせが行われるまではこの申し合わせが生きている、そういう状況の中での予算化だったろうと思いますが、それを踏まえた上でも、ことしまだ執行されていない、十七年度において執行されていない予算に関して、十八年度予算においても同じ額が措置されている。そういうことに関して、先ほどの筋論からしてどうかなと思う点があるわけでございます。

 この点に関しまして、今大臣おっしゃいましたように、これから各自治体においていろいろな話し合いが起こって、今後議論の流れが見えてくるわけでございますけれども、今後の進み方によって、同意を得る、得られないという話の筋道が、どうなるかわかりません、進む、進まない、いろいろな状況があると思いますけれども、仮に、同意を得るのに時間がかかって、着工に手間取る、実際の予算の執行に手間取るという状況に今後もなっていった場合でも、今後も、十八年度予算において行われたように、執行されていない予算に関して再度予算においては措置するということが、十九年度以降の予算においても、野方図に、野方図にという言葉はちょっとやや強過ぎるかもしれませんけれども、あるいは無条件に行われ得るものなのか。その辺についての国土交通省の考え方をお聞かせいただければというふうに思います。

梅田政府参考人 長崎ルートでございます。地元では、最近、西九州ルートというふうに呼んでいるようでございますが、現在も、佐賀県が、並行在来線の経営分離についての地元調整に鋭意努力していただいております。最近も、反対していた沿線一市二町のうちの一町が同意に転じるなどの動きが見られているところでございます。

 この長崎ルートにつきましては、先生御指摘のとおり、平成十六年十二月の政府・与党申し合わせにおいて、「調整が整った場合には、着工する。」というふうにされております。この申し合わせを着実に実施していくという観点からは、地元の同意が整った際には速やかに着工できるようにする必要があります。私どもとしては、事業費の措置をしておくということの必要があるというふうに考えているところでございます。

 また、十七年度、十八年度の事業費につきましては、御指摘のとおり、既設新幹線譲渡収入を前倒し活用した借り入れによるということにしておりまして、いわゆる真水というようなものではございません。仮に事業費が執行できないというときでも、国費の不用ということにはならないということでございます。

 なお、まだ十八年度予算が成立していない現時点でございますが、十九年度以降の対応については未定でございます。将来の予算要求過程の中で、適切に考えてまいりたいというふうに考えております。

大串分科員 今、一つ確認させていただければと思うんですけれども、十九年度以降の予算化については、そのときの状況を見ながら適切に考えるというふうなことでございましたけれども、それは、そのときそのときで、例えば着工が仮に行われていなかったとしても、予算化するかどうかはそのときの状況に応じて、着工されるであろうという見込みが出てきている、あるいは進展がある、そういうふうな何がしかの条件があるからこそ、執行が行われていなくても予算化をする、そういうふうな、ある一定の規律、判断の規律みたいなものを持って行われるのかどうか。それとも、そういうものは何もなくとも、とにかく予算化は着工されていなくてもできるというふうに考えるのか。

 私としては、前者であってほしいな、財政の規律という観点からすると、ある一定の進展があるかどうかという点も含めながら、適切に判断するという意味であってほしいなと考えるわけですけれども、その点はいかがでしょうか。

梅田政府参考人 御指摘の点でございますが、現在、佐賀県知事を中心にしながら、佐賀県が、十七年度は執行できませんでしたけれども、十八年度計上されております事業費につきまして、執行ができるべく鋭意努力をしていただいている最中でございます。

 私どもといたしましては、こうした佐賀県の御努力を踏まえながら検討していく問題だというふうに考えておりますので、現時点では、先ほど申しましたように、十九年度以降をどうするかという点につきましては、未定であるということでございます。

大串分科員 今おっしゃいました、地元での努力の流れを見ながら考えたいという言葉をしっかり胸に置かせていただきたいというふうに思います。

 それからあと、地元の方でいろいろ皆さんが確認したいなと思っていることの中に、現在のプランの中では、先ほど申しましたように、フリーゲージトレーンを使った計画がなされているわけでございますけれども、これが将来にはフル規格になるのかどうかという点について、見通しを持っておきたいという声がございます。フル規格になるとするとコストが上がるんではないか、あるいは、費用対効果にも影響してくるんではないかというような思いもあるようでございまして、この点につきまして、将来はフル規格ということがあり得るのかどうか、ないと言えるのかどうか、この辺についての考えをお聞かせ願えればと思います。

梅田政府参考人 整備新幹線につきましては、先ほど申しましたように、平成十六年十二月の政府・与党申し合わせで決定された内容に従って整備を進めております。フル規格かどうかの整備方式についても、その申し合わせに基づくものでございます。

 九州新幹線長崎ルートにつきましては、この平成十六年十二月の申し合わせにおいては、「軌間可変電車方式による整備を目指す。」とされております。フル規格ではなくて、フリーゲージトレーン方式による整備をするということになっております。

 将来の話でございますが、この申し合わせ以外に決定されたものはございません。私ども、佐賀県からは、フル規格化することは考えていないと聞いておるのが現状でございます。

 整備新幹線の整備につきましては、事業費の負担をするこうした沿線の県の意向を無視することはできないものでございますので、そのように考えているところでございます。

大串分科員 ありがとうございます。

 沿線自治体の意向を尊重しながら、かつ、この申し合わせというものの範囲内で考える、すなわち、将来の申し合わせの内容を見ながら、これも考えなきゃならぬということというふうに理解をさせていただきました。

 それと、あと一つ確認させていただきたいのは、長崎ルートの整備とあわせて、これをきっかけとして地域振興を図っていきたいというのが今の県の考えでございまして、長崎ルートと同時に、地域振興策として、有明海の沿岸道路、これは平成三十五年の開通予定のところを六年前倒しする、あるいは、鹿島武雄道路という準高速の道路を整備を行う、すなわち、新幹線の開業までに八キロ、三十五年度までに残りの五キロというようなプランが県の方から提出されているわけでございます。

 これに関して、この議論を行っている皆さんの中で、これもまた確認しておきたいなというふうな思いがあるのが、当然国費との関係が出てくる事業だと思われますけれども、これに関してしっかりと予算手当てがなされるんだろうか、この予算措置に関して、国の方はどのくらい約束してくれるものなのかというふうなところを思っていらっしゃる向きがございます。

 この辺につきまして、国土交通省として、どのぐらい約束できるものなのか、この辺についての考えをお聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 佐賀県西南部の道路網に関しましては、有明海沿岸道路という地域高規格道路がございます。国道の四百四十四号線ということでございます。この区間につきましては、整備区間として一部事業をしている区間と調査区間と、二つの区間にまたがっております。また、これに接続をします、鹿島から長崎県境に向けて、湾岸沿いに国道の二百七号線の整備促進も地元からの要望が大きいという認識をさせていただいております。

 また、今委員の方からお話のございました鹿島武雄道路につきましては、国道四百九十八号線ということになっているわけでございますが、佐賀県の広域道路整備基本計画において、交流促進型の路線として位置づけられているということでございます。

 今後、佐賀、長崎両県が、この新幹線を契機にして、両県が中心となって、地域整備のあり方や社会資本整備のあり方等に関して検討する予定と聞いております。道路整備のあり方についても、その成果を踏まえて検討されることになるものと考えております。

 将来的な予算措置につきましては、今事業をしておるものと、また、これから計画を定めるものとによって対応は異なるわけでございますが、いずれにしましても、こうした検討結果も踏まえて、毎年度決められるものと理解をしております。

大串分科員 ありがとうございます。

 予算措置に関しましては、県の方での検討も踏まえながら、これから毎年度考えていくんだということだと承りました。ありがとうございました。

 きょう、いろいろ確認させていただきましたことはこういうことです。すなわち、県の中でいろいろまだ疑問がございます。いろいろな市町村の中でも疑問があって、それをこうやって一つ一つ意見を聞かせていただくこと、これは議論を進めることに非常にためになることだろうなと思って、きょう議論させていただいたわけでございます。

 冒頭申し上げましたように、公共事業ですから、幅広い、公共の方々、地元の方々の支援を得ながら進められていくというのが大前提のことだろうというふうに思います。県も、そういう思いの中で、各市町村と、しっかり理解を得ていくべく、今一生懸命議論をしていっているところだということでございますので、ぜひ国におきましても、市町村と県、これがしっかり議論をし合って、お互いの理解、そして広い支持、地元の意見というものがしっかり踏まえられて進められるという公共事業の大前提をしっかりと踏まえていただきますように、この場をかりてお願いしたいというふうに思っております。

 そして、新幹線と少し離れますけれども、今申しました公共事業という観点からして、幅広い、関係する地元の方々の納得、理解、支持、これを得ていってほしい案件としまして、私の地元では城原川ダムというダムの計画がございます。流域住民の方々の議論を経て、昨年六月に、県としては、いわゆる流水型ダムというものを提案しました。これにつきまして、県の中でも、流域住民の方々にいろいろな意見がございます。賛成の方、反対の方、慎重な方、まだいろいろ議論したいという方、いろいろな方がいらっしゃる。

 これも、先ほど申しましたとおり、公共事業ですから、幅広い方々の、関係する方々の理解と支持を得て、地元の理解を踏まえた上で実行されていくのであれば、そうなるのが筋だろうというふうに思いますけれども、国土交通省に、この地元の意見を十分踏まえていくべきだという点につきまして、御所見をぜひ伺いたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 お答えをいたします。

 城原川の整備につきましては、佐賀県と協力いたしまして、学識経験者、また地元自治体の推薦委員、公募委員などから成ります城原川流域委員会というものを平成十五年につくりまして、十三回の議論を踏まえて、さまざまな御意見をお伺いしながら検討を進めてきたという状況でございます。

 また、地元の佐賀県知事におきましては、十六年の十二月に、関連する四市町村長、佐賀市長を初めとする四市町村長でございますけれども、そのメンバーを含めました城原川首長会議を組織されまして、その議論を踏まえまして、佐賀県知事からは昨年の六月に、国土交通省に対しまして、城原川ダムを含む城原川の河川整備の方向性について御提案をいただいたところでございます。

 このような経緯を踏まえまして、私ども国土交通省では、ことしの一月に、城原川の治水対策として城原川ダムを位置づけました筑後川水系河川整備計画の原案を作成、公表しております。この原案に対しまして、筑後川水系流域委員会におきまして、学識経験を有する方々の意見を伺うとともに、地元説明会、またシンポジウム、ホームページ、パンフレットなどのさまざまな手段によりまして、関係する住民の方々の御意見をお伺いしてきたところでございます。

 この城原川ダムは、城原川の治水対策として必要な施設として考えておりますけれども、その実施に当たりましては、これからも引き続き、地域の皆様の御意見を丁寧にお伺いしながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。

大串分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、流域住民の方々の意見を丁寧に吸い上げていただきまして、その中で検討を進めていっていただければというふうに思います。

 そして、ここで、小泉改革の、特に初期の一大課題でございました道路公団改革、民営化につきまして議論を行わせていただければと思います。

 道路公団改革につきましては、先般、国幹会議が行われて、整備路線が決まる、これは三月末に最終的には確定するんだと思いますけれども、決まるということがあって、これに関していろいろな報道がありました。去年の十月に民営化会社が立ち上がったわけですけれども、その民営化の果実は何だったのかというようないろいろな議論がございます。小泉改革の一つの旗頭でございました。この民営化、ぜひ、内容としても、実質も含めて、意味のあるものにしていっていただきたいというふうに思います。

 大臣にぜひ御所見をお伺いしたいんですけれども、この民営化のメリットは何だったのか。私が見るところ、民営化というものの仕組みのメリットを最大限に発揮していくには、この民営化の中で、国会答弁等でも言われていますけれども、国が保有する民営化会社の株式をぜひ上場するという考え方に沿って、上場することによって市場規律ができるだけ入っていくようにすること、それが効率化メリットを最大限に引き出していく、そこにあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣に、ぜひ民営化のメリット、そして、そのメリットをより大きく引き出していくための御所見を伺えればというふうに思います。

北側国務大臣 民営化のメリットでございますが、昨年の十月一日に民営化がスタートしました。とはいうものの、機構との協定というのはこれからでございます。そういう意味では、本格的に民営化がスタートするのは、ことしの四月から各民営化会社においてスタートしていくというふうに私は認識しているところでございます。

 そういう意味で、この民営化のメリットというのはまさしくこれから出てくるものだろうというふうに思っておりまして、むしろ、この民営化に向けてのスキームの中で、一つは、何といっても一番大事なことは、四十兆円にも上る債務を四十五年以内に債務償還していく、ここを確かにやっていただくことが一番大事なことでございます。そのために機構もあるわけでございまして、そのための協定の締結がこの三月末を目途に行われるというふうに考えております。

 それと、これまでも民営化に向けましてさまざまな取り組みをしてまいりました。本格的な民営化のメリットはこれからあらわれてくると思いますが、例えばコスト削減、これも相当なコスト削減をこれまでもしてきましたし、これからさらにやってもらう必要があるというふうに思っております。また、利用者にとってやはり魅力ある事業にしてもらわないといけないわけでございまして、一つは料金の引き下げ、これはもう既におおむね一割ぐらい引き下げがなされているところでございまして、これからもさまざまな、多様な割引制度が実現されるものだというふうに理解しておるところでございます。

 本格的な民営化はこれからでございまして、SA、PAを活用したさまざまな事業もこれからなされていくでしょうし、国といたしましては、この民営化会社のメリットが出せるようにしっかりとサポート、支援をしていきたいと考えております。

大串分科員 ありがとうございました。ぜひ、民営化の実質を国民が享受できるように、最大限取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 終わります。

上田主査 これにて大串博志君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤斗志二君。

斉藤(斗)分科員 私、きょう、貴重なお時間をいただきまして質問させていただくわけでありますが、大臣初め御答弁いただく皆さんには、大変長時間、またお疲れのところを御答弁いただいております。もうしばらくおつき合いいただきたいというふうに思うところでございます。本分科会でございますので、私の選挙区を中心に、いろいろなことをお伺いしたいなというふうに思っております。

 最初に、第二東名高速道路の件についてお尋ねしたいというふうに思います。

 かねてより、現東名の慢性的な渋滞、これは数値であらわしますと、平成十六年では約四千七百回も渋滞箇所が発生している、またそういう事象が発生している。また多発する事故、これは平成十六年度統計によりますと、通行どめだけでも四十一回も発生している。さらに、逼迫性が叫ばれている東海地震等の災害における代替路としての役割もまた、新たな第二東名として果たさなければならない。

 その中で、私も第二東名高速道路建設促進議員連盟の代表も務めさせていただいておりますし、また、沿線の市町村並びに住民の皆さんも、第二東名自動車道建設促進協議会をおつくりになったり、また第二東名自動車道等沿線地区連絡会をおつくりになったり、さまざまな立場から、一日も早くこれをつくってほしい、また完成させてほしい、こういうような要望が長い間続いてきているところでもございます。

 その中で、二月七日に国幹会議、これはかつては国幹審といったというふうに記憶しておりますけれども、昔は施行命令、今回は事業化決定という決断がなされました。国土開発幹線自動車道建設会議でございますけれども、大変な朗報だったなと私は感謝申し上げたいというふうに思っておるところでございます。

 特に、長年の懸案事項でございました静岡県の東部、秦野から御殿場ジャンクションまで三十三キロにおきまして、今まで未着手だった、なかなかできなかった、声を大きくしてもできなかった、そんな中で、今回、事業化を決定していただいたこと、大変ありがたく思っているところでございます。

 私は、自動車と道路、特に高速道路というのは、日本の経済成長また発展とともにあったというふうに考えておりまして、かつて日本の高度成長を支えたのは、太平洋ベルト地帯が主なる役割を果たした、これは国道一号であり、第一東名高速道路だったなという感がいたすわけでございます。この第二東名をおつくりいただくことによって、私は、新たな太平洋ベルト地帯、それも太平洋ハイテクベルト地帯への道を開いていってくれる、これは二十一世紀の日本の発展の重大な役割、それから希望の星になっていくという期待をしているところでもございます。

 その中で今回の国幹会議での決定があったわけでありますが、これから三月いっぱいまでに新たな協定が締結をされるという運びでございます。中日本高速道路会社と日本高速道路保有・債務返済機構との間での新協定が結ばれ、その中に具体的な話が盛り込まれていくわけでございます。車線の数、設計速度、連結位置及び連結予定施設、インターチェンジでございますね、また、工事に要する費用の概算額、またそれに伴う返済計画、さらに、サービスエリアをどこにつくっていくのか、インターチェンジの設置、このインターチェンジも、従来型なのかスマートインターなのか、地元の期待は高まるばかりでございます。

 間もなくその結論が発表されるかと思いますが、もう既に見通しもつけられておるというふうに思っておりますので、ぜひ、ただいま御質問申し上げました計画事項等々につきまして、詳細にお答えいただきたいというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員の方からかなり詳しいお話がございましたが、一部重複するかもわかりません。

 第二東名高速道路は、東京を起点とし、名古屋市に至る全体延長三百三十キロメートルの高速自動車国道でありまして、第二名神高速道路と一体となって、三大都市圏を相互に結び、人の交流、物流を支える文字どおり大動脈として期待されているところでございます。まさに、新しい時代、新しい世紀の国土の軸、今、経済社会活動のかなめというような話もちょうだいしましたが、重要な路線と認識させていただいております。

 これまでの供用延長は、伊勢湾岸道路と接続する東海インターチェンジから豊田東ジャンクションまでの三十一キロメートルにとどまっているということでございます。

 去る二月の七日に開催されました第二回国幹会議の議を受けまして、現在、これまで事業を進めてきております海老名南ジャンクション―秦野間二十一キロメートル、また、間飛んででございますが、御殿場―豊田東ジャンクション間二百一キロメートルに加えまして、これまで未施行命令区間になっておりました秦野―御殿場間三十三キロメートルにつきましても、中日本高速道路株式会社が整備を行う区間とされたところということでございます。したがって、これによりまして、中日本高速道路会社が担当する区間がすべて順調に事業が展開されるということによって、東京と名古屋が直結されるということであります。

 今後は、三月末までを目途に、独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構と中日本高速道路会社との間で高速道路の建設また管理に関する協定を締結し、それを踏まえて民営化会社としての本格的な高速道路整備が始まるということでございます。中身につきましては、委員が触れられた内容が主体になるかと思っております。

 いずれにしましても、第二東名につきましては、つながらないと大きな効果を発揮しないということではなかろうかと思っております。できるだけ早期完成の全線供用に向けて、地元の御理解と御協力をいただきながら事業を推進していただけるものと確信をしておりますし、私ども国土交通省としても、最大限の支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

斉藤(斗)分科員 もう少し御質問させていただきたいと思いますが、この東部地区におきましては、御殿場市と小山町というのが該当するんですけれども、今、御殿場市には御殿場のインターチェンジがありますが、小山町にはございません。

 そして、小山町には、実は富士スピードウェイという新しい施設が、モータースポーツの最高峰の施設が完成をいたしておりまして、この施設には、イベント、大会、そういった選手権等々がありますと、数万人以上の方々が参加する、また来られるわけでございます。

 世界最高の二百キロ、三百キロの世界の中でいつも渋滞だというのは困るわけでございまして、地元からの要請で、ぜひともこの小山町にもインターチェンジをつくっていただきたい、そういうことは道路局の方にも声が届いているというふうに思っているところでございます。ぜひとも地元の要請、また希望をかなえていただくよう、切にお願いを申し上げたいわけでございますが、この点について、かなり個別の話になりますけれども、お答えいただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のございました追加インターチェンジでございますが、この追加インターチェンジは、小山町の新しい時代、新しい世紀の地域振興、地域活性化のみならず、大きなイベントでございます富士スピードウェイへのアクセス向上というためにも重要な追加インターチェンジだという認識を持たせていただいております。地元の要望も踏まえつつ、技術的に設置可能なのか、どの程度の整備効果があるか等、検討する必要があるかと考えております。

 現在、国土交通省では、ETC専用のスマートインターチェンジの社会実験をこれまで実施させていただいております。全国で三十二だったと思いますが、実施してきております。こうした社会実験を踏まえまして、運営方法等につきまして関係機関と調整を図りつつ、十八年度中の本格導入に向けて種々検討を進めさせていただいているところでございます。

 今御質問のございました小山町の追加インターチェンジでございますが、こうした検討経緯を踏まえまして、小山町や静岡県、また中日本高速道路株式会社の自主性を尊重しながら、よく調整を図ってまいる所存でございます。

斉藤(斗)分科員 御答弁ありがとうございました。

 去る二月二十三日に東京高裁で圏央道についての判決が出されたのは、御案内のとおりでございます。一審ではこの事業については否定的な判決が出たわけでありますが、今回の東京高裁におきましては、原告側の請求を却下する、棄却して逆転判決が出されたところでございます。

 その判決理由の中で、やはり周辺地域の公共の利益が図られるということ、また、環境影響評価の手法、内容に不適切、不合理な点はない上、騒音、大気汚染は環境基準以下で、得られる利益の方が失われる利益より優越する、こういうような主な内容になっているわけでございまして、道路につきましては、得られる利益というのは本当に大きいというふうに思っております。

 公共の利益をもたらす、それから環境アセスも合理的だという判断の中でこのような逆転判決が言い渡されたわけでございますが、報道によりますと、原告側は上告の方針ということであるわけでございます。

 アメリカのインターステート、それからヨーロッパのアウトバーン、皆さん御案内のとおり、非常に便利性が高い、また連結性がいい、アクセスがいい、またスムーズな、そういうような運営の中で高速道路網というのは整備されていくわけであります。

 ともすると、日本の高速道路網というのは、何かかなりずたずたに切られていて、なかなかつながっていかない、そういううらみがあって、そこに国民の不満、住民の不満もあるわけでございます。高速道路がばらばらだったり、ずたずたになったり、またぶつ切りだということでは、本来の意味をなさないわけでございます。

 私はかつて、こういう表現をしたんです。タコのぶつ切りはうまいが高速道路のぶつ切りは食えないということを申し上げたんですけれども、ぜひともこれからも、新しい日本をつくっていく、それから、日本の産業競争力、特に流通コスト、特にこれは時間換算もかなりあるんですね、こういうことで高速道路の促進をお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 時間がないので、次に行きたいというふうに思います。

 先日、北側国土交通大臣、お忙しい中、私は公明党の大口議員ともども御一緒させていただきまして、静岡県富士市、これは私どもの選挙区で今住んでいるところでございますが、DMVの、これはデュアルモードビークルということでありますが、御要望をさせていただきました。

 公共交通機関という概念に加えまして、動く公共施設として位置づけたいという新しいアイデアの中で、地方都市の疲弊する中、新しいまちづくりにも資していきたいということの陳情をさせていただいたところでございます。

 大臣からも非常に親切な御発言をいただきまして、実際大臣もDMVに北海道でお乗りになっていらっしゃる。その経験を踏まえまして、これは使えると実感した、そういう温かいお言葉もいただいたわけでありますが、ただ、安全面とか法的な面とか、前提としての克服しなきゃならない面もあるわけでございまして、その点についてこれから御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 もう既に「要望書」につきましてはお渡ししてございますので、三点あったわけですね。「早期の実用化に向けた支援の充実」、現在どのような支援をなされてきているのか、またこれからどういうような支援を展開していただけるのか。

 二つ目が「DMVの新しい活用方策を視野に入れた技術基準等の整備」。ですから、安全基準、例えば重量基準、車両基準等々こういった基準の整備がおくれているのではないか。お聞きしますと、平成十八年度中にはやっていただけるというようなことでございますが、その詳細な、また具体的なお話を賜れればと思います。

 また、ことし静岡県富士市は市制四十周年というちょうど節目の年でございまして、このDMVをメーンイベントにしたいという市民の声がございまして、そのためのテスト走行の実施を行いたい、それについての御助力もお願いを申し上げたい、こういったことが要望にあるわけでございまして、その点、どなたでも結構ですけれども、御答弁をお願いしたいというふうに思います。

梅田政府参考人 先生御指摘のとおり、デュアルモードビークル、これは現在JR北海道が独自に開発を進めている道路と鉄道を両用できる車両でございます。地域の鉄道、バスの交通ネットワークの維持、あるいは公共交通の活性化に役に立つ非常に新しい地域の足として機能することが期待されているものでございます。

 まず一点目のことでございますが、このDMVを活用するには、まず安全でなければなりません。したがいまして、その安全の確保を十分図りつつ実用化をしていくという必要がございます。

 現在のところ、これまで財団法人鉄道総合技術研究所が実施しましたDMVの要素技術開発ということにつきまして私ども補助をしてきておりますが、今年度におきましては、幹線鉄道へのDMV活用による利便性向上に関する調査というものを実施しております。

 これは、この調査の中で、ちょっと具体的になりますが、例えば鉄道と道路が接続する部分、線路の進入部分でございますが、モードインターチェンジと呼んでいるところでございますが、ここの仕組みだとか、あるいは踏切における安全のための措置、どういう措置が要るのかとか、あるいは信号設備はどういう点で、ほかの列車との関係がございますから、対応していけばいいのかとか、あるいはホームと乗降口とのすき間が出てまいりますけれども、これをどういうふうに考えたらいいのかとか、事細かにございますけれども、こういう点につきまして技術課題がいろいろございます。JR北海道、有識者等の参画を得ながら、これを現在詰めているところでございます。

 十八年度にはJR北海道はこの開発を終えたいというふうに聞いておりますので、私どもといたしましては、この技術基準の整理を受けまして、可能な限り早く制度面、技術面の詰めを行って実際に実用化できるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから二点目の支援でございますけれども、これは具体的にどういうふうなところに適用していくかによって支援のやり方は変わってまいります。さまざまなやり方があろうかと思いますけれども、これもあわせまして検討していくことだろうというふうに考えているところでございます。

 それから、テスト走行の問題でございます。

 これは、現在JR北海道が開発しているところでございまして、実はまだ北海道自身が試験走行等を実施している程度のものでございます。富士市におきまして、今後こういう試験走行をするということになりましたら、まず、私どもも含めまして、北海道等、安全上いろいろ留意する必要があるところが幾つかございますので、十分相談をしながら進めていくことになろうかと思います。

 以上でございます。

斉藤(斗)分科員 十八年度内にということでありますけれども、富士市の方は、秋にはそういうようなことをしっかりやっていきたい、実用化テスト、それから市民の意識高揚のためにもぜひお見せをしたい、そういう気持ちが強いんですよね。

 ですから、テスト走行という枠組みの中で富士市に持っていって、そして実際見てもらって、新しいアイデア、柔軟な思想の中でのまちづくりに資する、こういうようなことに御協力いただきたいんですけれども、しゃくし定規、かたい法律論はもちろんあるにしても、特別な配慮とかそういうことをやっていただきたいと思っているんですが、そこら辺いかがですか。

梅田政府参考人 先生御指摘のとおり、現在JR北海道で試験走行をやっているわけでございます。もし、富士市で鉄道の線路を使って試験走行をしたいということになりましたら、例えば、先ほどもちょっと言いましたように、モードインターチェンジ部をつくる必要がまずございます。

 それから、それと同時に、例えば踏切における安全のためにどういう措置をとるか、あるいは、ほかの列車、車両等との安全の確保は十分なのか、あるいは、試験走行を行った際に脱線しては困りますので、脱線防止を図るにはどうしたらいいのか、軌道と車両の安全性について問題はないのか。それから、この係員につきましても、車両の運転取り扱い等、なれた人じゃないといけませんので、そういう点、さまざまに留意する点、もっと細かいところはいろいろあると思います。こういう点をJR北海道なりあるいは富士市、我々も十分相談に乗って進めていけるというふうに思います。

斉藤(斗)分科員 ぜひ相談に乗っていただきたいということと、これはJR北海道の資料でありますが、昨年末までで二千人以上の方が試乗されているんですね。都道府県の数でいいますと二十七都道府県の方々が県としても視察をし、試乗し、そしてテストに対応しているということでございますので、国民の期待は大きいと思いますね。新しいまちづくり、特に、今、中核都市また地方都市、いろいろな問題が顕在化している中で、新しい希望の星としてのこのデュアルモードビークルに寄せられるものが大きいものですから、ぜひとも国土交通省の方としても御協力のほどを切にお願い申し上げたいというふうに思います。

 そこで、もう一回、運転士さんの免許とか車両ナンバー、これは現状の法制度の中でできるんでしょうね。いかがですか。

梅田政府参考人 これからの検討の中の一つではございますけれども、今までのケースでいいますと、軌道を出まして普通の一般の道路を走る、その際の運転免許ですね。軌道を走る際には、当然、鉄道でございますから、鉄道の運転士の免許が要るわけなんですけれども、それから、道路を走る際には当然自動車の免許が要るようになります。人を乗せるということになりましたら、そういうことになります。

 どの程度の免許にしたらいいのかという問題が出てまいります。今までのケースでは、こういう両用走る場合は、鉄道の部分につきまして特別に免許につきまして特例を認めてやるというような仕組みもございますので、どういう程度の免許にするかというような議論は今後よく詰めていきたいというふうに思います。

斉藤(斗)分科員 ぜひとも、私どもの夢、また新しい日本の形成にそういうお力をいただきたいというふうに思います。

 時間の関係で、もう一点だけ質問させていただきたい。

 ビジット・ジャパンについてでございますが、大臣も、また小泉総理も、観光立国日本を目指す、ビジット・ジャパン・キャンペーンをやるんだ。そして、現在、アウトバウンドが一千六百万人余ですか、それに比べてインバウンドは六百数十万人、二〇〇三年段階では五百万人台なんですね。これを倍にしたいという一千万人目標を高く掲げていらっしゃいます。昨年はたまたま愛知万博がありましたので、その効果でかなり上乗せをされたということはございますけれども、私は、なかなかこれはハードルが高い、一千万人というのはなかなかハードルが高いんじゃないかというふうに思っております。

 そんな中で、関係者、皆さんを含めてですが、例えばビザの発給につきましても、中国に対しては全土で団体観光旅行ビザというのを発給できる体制をおつくりいただいたり、韓国、台湾については査証免除措置等も施していただいているわけでございまして、こういったことが力強い後押しになるのかなというふうに思っているわけであります。

 しかしながら、まだまだ努力が足りないし、また施策としてももっと展開しなきゃならない、私、そういう印象を持っておるわけでありますが、現在、きょうはわざわざお越しいただいたので、ゴールデンルートの充実、これをしっかりやっていくことがそのすそ野をうんと広げていくことになるのじゃないかなというふうに思っておりますし、また、対象国につきましては、今年は日中観光交流年でございますね。さらに日豪交流年でもある。そこら辺を中心にさらに上乗せしていく、そういう努力が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 このビジット・ジャパン、これは非常に、一千万人まで上げるのはなかなか大変だ。もちろん二〇一〇年までという時間的余裕はあるんですけれども、その見通しと、それからさらに日中交流年、日豪交流年、こういったものについて国土交通省は具体的にどのような対応でこれから臨んでいくのか、まずそれを御答弁いただきたいと思います。

石田大臣政務官 先生の御指摘のとおりでございまして、大変ハードルの高い問題だと思っておりますけれども、その中には幾つかの取り組むべき課題がございまして、一つは、やはり教育旅行の推進ということが、私はビジット・ジャパンの目標達成のためには必要だと考えておるところでございます。

 これは同時に、感性豊かな若い人たちが相互交流をするあるいは相互理解を深めるということは、別の意味でも非常に意味のあることでございまして、これを国土交通省としても、文部科学省でフレンドシップ・ジャパン・プランというのがございますが、それとも連携をいたしまして取り組んでいきたいと思っておるところでございます。

 具体的には、海外の教育関係者を対象としたセミナーあるいは招請事業、そういうことを行うことによって誘致を図りたいと思っておりますし、一方、受け入れといたしまして、訪日教育旅行促進全国協議会というものを昨年の十二月に設立いたしまして、これによって教育旅行の受け入れ促進を図ってまいりたいと思っておるところでございます。

 先生お地元の静岡県でも二月の六日に設立をいただきまして、各地域でこういう取り組みをしていただく中で、若い世代の交流促進を図ってまいりたいと思っております。

 また同時に、ことしは日中の観光交流年ということでございます。この問題は日中両国間の平和と発展のためにも不可欠でございまして、北側国土交通大臣と中国の国家旅游局のショウキイ局長との間で、二〇〇七年が日中国交正常化三十五年という節目でもございまして、その前年に日中観光交流年にしようということで約束されたものでございまして、具体的な取り組みは幾つかございます。

 まず第一番は、やはり大規模な交流イベントを行ってやっていきたいということで、既に去る二月一日には、昨年に続き二度目となりますけれども、中国の方々が徐福伝説に基づいて富士山への強いあこがれの気持ちを持っておられるということを踏まえまして、富士山ろくの富士急ハイランドにおきまして中華圏の観光客を対象とするイベントを実施いたしまして、二千五百人が御参加をいただいたと聞いております。また、三月の十日には、東京におきまして、日中観光交流年オープニングイベントを中国と共同開催する予定にいたしております。

 二番目といたしましては、友好都市、たくさん全国で結んでいただいておりますので、その関係の自治体の首長の皆さんにお集まりをいただいて、そして今後の交流拡大をテーマにシンポジウムを開催したり、あるいは市民レベルの交流拡大につながる事業などを行っていきたいと思っております。

 三番目といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、やはり青少年交流の拡大ということが非常に重要だと考えておるわけでございます。

 以上のような取り組みを行うと同時に、先ほど御指摘いただきましたように、訪日団体観光ビザの発給対象地域が全国に広がりましたので、その宣伝活動ということにも一段と力を注いでまいりたいと思っておる次第でございます。

 以上でございます。

斉藤(斗)分科員 もっと質問をさせていただきたいと思ったところでありますが、あっという間に時間が過ぎました。

 昔は、日光見ずして結構と言うなかれという言葉がございました。私は、富士山見ずして日本を語るなかれという、そういう、今の富士山、特にゴールデンルートの中の位置づけかなと思っておりまして、国土交通省の応援をぜひお願い申し上げたいというふうに思います。

 そこで最後に、答弁はいいですけれども、今、日本航空、JALの内紛は大変困った問題だなというふうに思っております。日本の顔ですよ。それがああいう状況では、とてもビジット・ジャパンどころではないよという感を国民は持っておりますので、ビジット・ジャパンの前にびしっとJAL、しっかりやってください。

 以上、終わります。時間が参りました。

上田主査 これにて斉藤斗志二君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田分科員 公明党の富田茂之でございます。

 お疲れだと思いますが、あと残り三名だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど来の質疑を議員会館の部屋の方でテレビで見ておりまして、地元の御要望を申し上げても国土交通省からはいい御返事がなかなかいただけないなというのを実感いたしました。

 ただ、二年前にこの委員会で実は羽田のD滑走路の問題を取り上げさせていただきまして、千葉県内に騒音が全部かぶってしまう、何とか予定滑走路を十度曲げてもらえないかという質問をさせていただきました。とてもできることはないと思っていたんですが、先ほどあちらに岩崎局長いましたけれども、今帰られてしまいましたが、岩崎さんを初め航空局の皆さんに御努力いただきまして、九・五度曲げることができました。不可能を可能にするのがこの分科会だというふうに思っておりますので、ぜひいい答弁をいただければと思います。

 昨年の十二月二日、千葉県知事、船橋市長、八千代市長の三名の連名で、東葉高速鉄道に対する国の財政支援に関する要望書が北側大臣あてに提出をされました。ちょっと御紹介をさせていただきます。

 平成八年度に開業した東葉高速鉄道は、地下鉄東西線を経由し、船橋市及び八千代市を初めとした千葉県北西部地域と都心を直接結ぶ鉄道として、現在では一日約十二万人が利用する幹線鉄道となっております。

 しかしながら、本鉄道は、建設に多くの年月を要したことや、日本鉄道建設公団、現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構ですが、これによる民鉄線建設方式、先ほど来も話題になっておりましたいわゆるP線方式を採用したことなどによりまして、現在でも約三千三百億円の長期有利子負債を抱え、その利子負担が経営を大きく圧迫しております。

 そこで、本鉄道の経営安定化を図るため、平成九年度から機構による償還猶予や自治体及び東京地下鉄株式会社による増資、国及び自治体による利子補給等の支援を実施してきたところであり、自治体としてはこれまで約二百四十億円の支出をしてまいりました。

 しかしながら、未償還元金は、開業当初よりも逆にふえている状況にあり、このままでは、いつまでも多額の支援を続けていかなければならない状況にあると言えます。

 また、つくばエクスプレス等本鉄道の後に建設された新線では、無利子貸付金や補助金の支出等により、建設に充てる無償資金の割合を高めるなど、当初から経営安定化に向けた手厚い配慮がされているのに比べ、P線方式で建設された本鉄道は、建設段階から圧倒的に不利な財務環境に置かれていると言えます。

 本鉄道は自治体が約七三%を出資する第三セクター鉄道であり、その経営に対して大きな責任を有していることは十分認識しておりますが、多額の長期負債を抱え、自立の見通しが立たない本鉄道を、自治体が中心となって支えていくことはもはや財政的に限界であるとともに、県民や市民の理解を得ることが非常に難しい状況に来ていると言えます。

 つきましては、国におかれましても、首都機能の一翼を担う本鉄道の特性を考慮されるとともに、他の新線建設の状況等も踏まえて、本鉄道の経営安定化に向け、新たな資金の投入を初めとした支援に、主体的に参画いただきますよう強く要望いたします。こういうふうに要望がなされました。

 ここにありますように、東葉高速鉄道は財務状況的にかなり厳しい状況にあります。なぜ、じゃ、こういうふうになったのかということを、千葉県を初めとする三自治体はこのように総括をされております。

 まず、今の要望書にもありましたように、P線方式による建設がやはり問題だったんだと。有償資金による建設が資金の九四%を占めている。つくばエクスプレスは、ちなみに六%だそうであります。また、用地買収のおくれによる建設費の増加がかなりなものになった。三回にわたって五年の工期延長がされて、千葉県の試算ですと、約六百六十億円ぐらいふえてしまったんじゃないか。利子の分もありますし、管理費等も上乗せになって、トータルで譲渡代金が決まったんじゃないかというふうに指摘がされております。また、輸送実績も当初予想をかなり下回って、輸送人員が予想までいっていない。こういったことが原因となって今のような財務状況になってしまったんだと。

 一日平均十二万人利用するわけですから、営業損益は約四十三億円の黒字なんですね。だけれども、三千三百十六億円の長期債務があるから、年間六十二億利息を支払わなきゃならない。結局、経常損益では二十億の赤字になってしまう。こういった状況では自治体が支援するのは難しいんだということで、今回の要望になったと思います。

 国交省としては、東葉高速鉄道の財務状況について、同じような認識でいらっしゃるのか。また、このような財務状況になった原因についても、三自治体が指摘しているのと同じような原因と考えていらっしゃるのか。まず、前提としてお聞きいたしたいと思います。

梅田政府参考人 先生御指摘の東葉高速鉄道でございますが、一日平均約十二万人の利用客がございます。年間約百四十億の収入がございます。平成十年度から営業利益を計上しておりますが、多額の支払い利息によりまして、経常損益は赤字であります。十六年度の決算におきましては、対前年度に比べまして営業損益それから当期損益は改善してはおりますけれども、依然として厳しい経営状況であるということは承知しております。

 そのため、株主である地元自治体それから関係の民鉄会社等が一体となりまして、国も協力して、さまざまな経営支援策を講じているものというふうに認識しているところでございます。

 原因についてでありますが、東葉高速鉄道は、地域の開発に必要な社会インフラとして、地域の強い要望によって建設された鉄道であります。現下の厳しい財務状況というのは、輸送実績が、沿線開発のおくれなどによりまして、この鉄道の整備を決めたときの予測を大きく下回っているというところが最大の要因であるというふうに考えております。

 また、御指摘のように、少数の地権者との用地交渉が難航いたしまして、開業がおくれました。これによりまして、借入金の利息を含めて債務がふえたというのも大きな原因であろうと考えております。

 また、鉄道の開業まで、あるいは開業後の沿線開発の進展による輸送需要を前提として、整備主体がP線方式で長期的には安定した経営ができると判断して建設したものであります。私どもといたしましては、P線方式そのものが経営悪化の一義的な要因ではないと考えております。現実に、P線方式で建設したところも十分経営が成り立っているところもございますので、この方式の前提となります輸送需要にやはり問題が大きかったのではないかというふうに考えております。

富田分科員 今、梅田局長の方は、沿線開発のおくれが主たる原因で、輸送実績が予想までいかなかったというふうに答弁をされましたけれども、この東葉高速鉄道の沿線では、県や三自治体の方では六カ所の区画整理事業をやっているというふうに認識している。国交省の方から御説明を聞きましたら、そこにもう一つプラスして今七カ所やっているんだという、完成したものを含めて、そういう数字をいただきましたけれども、この沿線開発が全部できたとしても、あとプラス三万人ぐらいしか人口はふえないんですね。三万人の方たちが全部この鉄道を利用するわけじゃありませんから、県等の試算によると、一家族三人いて、その中でこの東葉高速を利用するのは一人だろうというふうになると、一万人ふえたとしても、やはり今の営業利益を大幅に上げていくというふうにはならない。

 そういう意味では、これはもともとの、このP線方式でやった、三千三百億近くの長期債務を負担するという、そこのスキームがやはり最初からちょっと厳しかったんじゃないかな。局長は、長期間で安定した運営をしていくためにこういうふうにしたんだというふうに言われますが、やはりこのP線方式による長期債務の負担というのが、東葉高速鉄道の財政状況が悪化している一番の原因ではないかなというふうに私には思えるんですね。ここをどうにかしないと、なかなか安定的な営業ができないんじゃないか、運営ができないんじゃないか。

 もう一つは、三自治体が支援しないと資金ショートしてしまうという実情がある。ここをどうしていくんだという課題があるというふうに自治体の方は認識しているわけですが、そこは国交省としてはどういうふうに考えているんでしょうか。

梅田政府参考人 三自治体の方で、この課題といたしまして、今先生御指摘のように、多額の有利子の長期債務、支援を続けなければ資金がショートするというようなことを挙げているということでございますけれども、釈迦に説法でございますが、鉄道整備といいますのは巨額の投資が要ります。開業後も、多額の減価償却費あるいは利払い費等の資本費負担がかかります。したがいまして、経常収支が黒字化し累積損失が解消するまでには、三十年、四十年というような非常に長期間かかるのが一般的でございます。この期間内に資金がショートしないように、経営者あるいは株主が、この場合は三自治体あるいは民間の鉄道会社でございますが、必要な措置を行うということが一般的なことでございます。

 東葉高速鉄道につきましても、先ほど申しましたように、現状の利用者が整備決定時の需要予測を大きく下回っております。こういう点で、他の鉄道と比べて厳しい経営状況にはなっておりますけれども、私どもの気持ちといたしましては、東葉高速鉄道というのはこの地域の非常に大きな重要な足であるというふうに考えておりますので、関係の地方公共団体において、この鉄道の存続に係る政策の優先順位を上げていただいて、利用者増につながるような沿線開発あるいはまちづくりを進めていくということが非常に大事ではないかというふうに考えておりまして、私どもも、そういう点からできるだけの支援はしていきたいというふうに考えているところでございます。

富田分科員 そのできるだけの支援を具体的にお願いしたいんです。

 今局長が言われたのも一つの理屈としてはわかるんですけれども、三十年、五十年かかるといっても、この東葉高速鉄道に関しては、未償還の元金が開業当時よりも増加している。普通は減っていくわけですよね。減っていって経常収支も黒字になるというふうなところだと思うんですが、平成八年度末の未償還元金が二千八百四十六億四千百万円だった。これが平成十六年度末で三千二百六十二億一千六百万円になっている。こういうふうな状況を考えると、幾ら返しても追いつかないんじゃないか。沿線開発に一生懸命取り組んでも、それほど、これだけ未償還元金がふえていくという状況を覆すふうにはならないのではないかな。

 沿線の自治体であります船橋市、八千代市も、沿線開発に一生懸命取り組んでいます。特に八千代市は、大きな駅の周りに大型スーパーを呼び込んだり、今度は東京女子医大も近くにやってくるということで、集客力を上げているわけで、これが来たとしても、やはり、未償還元金がふえ続ける状況では、とても県民や市民がここに税金を投入していいよというふうな理解は得られないのではないかということから、今回の要望になったと思うんですね。

 三自治体は、平成十七年の八月一日に東葉高速鉄道のあり方検討自治体会議というのを設置しまして、半年間にわたって検討を行いました。平成十八年の二月九日、東葉高速鉄道の支援に対する自治体の考え方というのを取りまとめました。その中で、今後目指すべき方向として三点を挙げられています。

 ちょっと御紹介をさせていただきますが、第一に、経営再建を進めていくためには、建設段階でほとんど確保できなかった国の支援を改めて導入して償還元金に充て、繰り上げ償還を進めていくべきであり、自治体としてはこの手当てを国に対して強く求める。二点目として、国土交通省だけではなく、総務省等関係省庁が一体となった支援策の構築を望む。三点目として、国による新たな支援が見込めない場合は、自治体の公的資金の投入による会社の存続は困難であり、この鉄道のあり方を抜本的に見直していくことも必要と考える。こういうふうに、かなり踏み込んだ目指すべき方向というのを提示しています。

 これについては、国土交通省としてはどういうふうに受けとめていますか。

梅田政府参考人 私ども、現在のところ、今のお話でございますが、東葉高速鉄道の経営改善につきまして、関係の地方自治体が自治体会議等を設けられて主体的に検討されるということは大変望ましいことだというふうに考えておりますが、今御指摘の、国の支援を改めて元金の繰り上げ償還を進めていくというような点につきましては、一つは、一義的には、この鉄道といいますのは、この地域の人たちがこの地域の開発のために建設をしたものでございますので、地域がやはり主体となって支えていくべきものというふうに思っております。東葉高速鉄道の恩恵を受けていない多数の国民の方々の、これは税金による負担ということにはね返ってまいります。

 それからもう一つは、ほかにもいろいろな鉄道がございますけれども、その経営とかあるいは運営は、その地域その地域で今一生懸命頑張って支えていただいております。これとのバランスもございます。それから、繰り上げ償還ということになりましたら、端的に言いますと、鉄道・運輸機構の資金管理あるいは経営収支にも非常に大きな影響を与えてまいります。これは、ひいてはまた、財投等含めまして国民の負担になっていくわけでございます。

 こういうことでございますので、私どもといたしましては、収支改善には時間もかかります、また、沿線開発がおくれているという現状でございます、非常に厳しいという認識は私ども持っておりますけれども、ぜひとも地域の方々が、これは自分たちの足であるということで主体的に支える意識を持って、引き続き鉄道の運営のために検討、努力をしていただければというふうに思っておりますし、私どもも、先ほど申しましたように、現在のところ第二次の支援策でできる限りの支援はしてきておりますけれども、引き続きこういう支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

富田分科員 この三自治体の、今後目指すべき方向、先ほど紹介させていただいた最後の方向に行ってしまうと、県民、市民の理解が得られなければ、資金ショートして法的手続にまで行く可能性もあると思うんですね。そうなってはとんでもないと思いますので、具体的な何か解決策の方向づけをもう今からやっていかないといけないと思うんですよ。

 例えば、北神急行電鉄株式会社が平成十四年の四月に、鉄道施設を神戸高速鉄道株式会社に譲渡して、第二種鉄道事業者として鉄道事業を継続した。譲渡代金で鉄道・運輸機構への残存債務、当時三百五億円ぐらいあったそうですが、これを全額償還した。こういった方法をとられた。これと同じように、東葉高速鉄道にも上下分離方式を考えることができないのか。残存債務が十倍ぐらいありますから、かなり難しいとは思うんですが、こういった方向を一つの課題として検討することは不可能なんですか。そこはどうですか。

梅田政府参考人 今、北神急行線のお話が出てまいりましたので、ちょっと北神急行、どういうことだったのかというのを簡単に御説明いたします。

 P線方式と同じでございますが、北神急行という線がつくられました。この運行主体でありますこの鉄道は、一〇〇%民間の株式会社でございました。しかしながら、北神地域の宅地開発のおくれで輸送需要が低迷いたしまして、経営が極めて悪化いたしました。その運行の維持を図るということで、地元の兵庫県と神戸市、それから北神急行の親会社でございました阪急電鉄と神戸電鉄、この四社で支援策が講じられることになりました。

 具体的には、先生御指摘のとおり、上下分離をいたしました。この下物といたしまして、新たに第三セクターで神戸高速鉄道という会社、これは神戸市が四割出資している会社でございます、もちろん民間の阪神、阪急等も出資している会社でございます。この会社が下物を持つということになりました。支援者でございます兵庫県、神戸市それから阪急、こういうところからこの第三セクターでございます神戸高速鉄道に融資をしました。融資をした結果、その金で北神急行電鉄、民間会社から鉄道資産を買いまして、下を保有することになったわけでございます。その代金をいただきました北神急行電鉄という株式会社は、これをもちまして借金を返済するというような仕組みにしたものでございます。

 こういう仕組みでございますが、このときに出しましたのは、兵庫県、神戸市、それから親会社でございました阪急電鉄等でございます。地元のいわば資金で借金が返せたというようなことでございます。

 こういうのを仮に東葉高速に当てはめるということになりましたら、現在の東葉高速鉄道の株主でございます関係の地方公共団体それから東京メトロが、同じように資金の出し元になるというような格好になります。御指摘のように、金額的には三千二百七億円の債務でございますので、現実性があるのかという点は極めて問題ではございますが、これは、こういうケースがあるということは確かに御指摘のとおりでございますので、方式としてはあり得るものでございます。

富田分科員 なぜ北神急行の例を出したかといいますと、局長、よく聞いていただきたいんですけれども、今の説明の中に抜けていたと思うんですが、北神急行電鉄問題検討委員会というのを関係の皆さんでつくった、この鉄道を今後どうするべきかというのを検討するのに。状況は今局長が説明してくれたような状況だった。ただ、そこで検討した結果、北神線を地域になくてはならない鉄道であると位置づけ、同線を上下分離方式によって鉄道事業として存続させるという方針が確認されて、先ほど御説明のようなスキームでやったというふうになったんだと思うんですね。

 今、千葉県の方で、国交省の方にいろいろ交渉に行ったりお願いに行って、いろいろ財務課長さん等が相手にしてくれて話し合いを進めていると聞いていますけれども、地元自治体に任せきりにしないで、北神急行のときに検討会をつくったように、国交省もやはりそこに主体的に絡んで、今後どういうふうにこの鉄道を将来持っていくんだと。今のままで、もし三自治体の方がもうお手上げですよとやった場合には清算手続に入らなきゃならなくなるわけですから、そんなことがあってはいけないということで今回の要望になっているわけで、もう少し国交省も主体的に取り組むような、そういった検討会等を考えたらどうですか。その点、どうですか。

梅田政府参考人 二次支援策、これは平成十一年三月に策定されたものでございまして、十九年度から始まります。現在は一次支援策でございますが、十八年度で終わってしまいます。十九年度から二十八年度まで二次支援策ということで、平成十一年三月に策定されております。この策定されたときに、当然でございますけれども、自治体を含めまして、私どもも一緒になってつくったものでございます。この二次支援策のスキームがこのとおり見通しどおりであれば、平成三十三年度には単年度黒字に転換するというのが現在の見通しでございます。

 そういう状況でございますが、この二十九年度以降、じゃ、どうなるんだというような議論はあろうかと思います。先生御指摘のように、現在のところ、御地元を主体にしてこの東葉高速の問題についての会議があるということは私どももよく存じ上げているところでございますし、私どもも事実上参加しながらやってきているところでございます。

 そういうことで、私どもといたしましては、ぜひこの二次支援策をまず、まだやっておりませんので、やりながら考えていく問題ではないかと思います。

富田分科員 二次支援策に三自治体がやはりもう関与し切れないというふうに考えて今回の要望になったんですよね。事実上、今もう参画してくれているというふうなお話をいただきましたので、もう少しそこを主体的に入っていただきたいと思うんです。

 今回の大臣への要望に至った経緯を県の方からいろいろ伺いました。県の方では、ニューマネー投入を含めて、国交省に、国に主体的に参画してもらいたいという理由として、三つ挙げていたんですね。東葉高速鉄道は、首都機能を担う都市交通施設だというのが一点目。二点目として、つくばエクスプレス等他の新線に比べ、建設段階から圧倒的に不利な財務環境だった。三点目として、東葉高速鉄道の建設経緯においても国に一定の責任というふうに県は言われていたんですね。国に一定の責任というのは一体これは何なんだというふうに伺いましたら、次のように説明をしてくれました。

 もともとこの東葉高速鉄道というのは、営団五号線の延伸ということで、昭和四十七年三月に都市交通審議会第十五号答申が出てきた。営団は、昭和四十九年の三月に西船橋―勝田台間の免許申請を行った。それに対して、今度運輸省の方から沿線の自治体に対して、地下鉄補助の地元負担の協議と都市計画決定手続を進めてくれという条件をつけられた。これをちゃんと県等はやっていたんだと。

 ところが、後になって今度運輸省は、西船橋から勝田台への延伸というのは営団法に定める事業区域から外れるんじゃないかという疑義がある、また、地下鉄補助の適用が難しいんだ、特に、並行して走っている京成線の経営が悪化していて、これに対して悪影響を与えてしまうんじゃないかというようなことで、運輸省としては京成電鉄による新線建設を提案してきた。それは、これまでやってきた経緯で、自治体としてはとても受け入れられない。そこで運輸省が調整案として出してきたのが、経営主体は第三セクターで、建設方式としてはP線方式なんだという、ここが国にもやはり責任があるんじゃないのかというのが三自治体の意見なんですよね。

 もともとは営団地下鉄とかいう方が本来資本金の割合でも多かった、三自治体は一番多いわけではなかった。ただ、開業が決まって、開業前資金を用意しなきゃならないとなったときに、銀行から見たら、どこがちゃんとバックアップしてくれるんだというのがはっきりしない。もっと自治体が強力に入れということで、三自治体が五〇パーの資本を持つようになった。

 その後、営業が始まった途端に運輸省の方から、平成八年の六月に開業後の状況について説明があって、このままでは九月期の償還時で資金ショートが明白だ、九月期対策及び長期的な支援策を打たなければ会社の存立が困難であるというような話があって、今局長が言われていた第一次支援策というのをつくっていった。第一次支援策をつくった以上、その後の長期の支援を考えなきゃいけないから、十九年からの第二次支援策についても三自治体は合意したというような経緯があるというふうに、県、船橋市、八千代市は主張しているわけですよね。

 こういった経過を見ると、いわゆる第三セクターがもう経営がうまくいっていないから国に助けてくれと言っているような状況ではなくて、もともとやはり国の方も、それなりに建設の経緯を考えると、事実上、梅田局長は自治体検討会議に入っているというふうに言われていますけれども、事実上じゃなくてきちんと責任を持ってこの検討会議に入っていただいて、第二次支援策、これが動くものかどうかはまだはっきりしない段階ですけれども、何らかの国による強力な支援がないとこの東葉高速鉄道は立ち行かなくなるんじゃないかと思うんですが、最後、大臣、そこはどうでしょうか。

北側国務大臣 今述べられた東葉高速鉄道の建設に至るまでの経緯については、多分鉄道局長の方はまだいろいろ異論があるんだろうと思いますが、それはそれとして、まず一義的には、これはやはり株主であるところの関係地方公共団体と、また沿線地域が主体的に支えていかなきゃいけない鉄道である、そこの認識はまず共有をしていただく必要があるのかなと。

 その上で、今のお話をずっと聞いておりまして、なかなか大変困難な状況であることは改めてよく認識をしたところでございますので、首都圏の非常に大事な鉄道でございます、国交省としても、先ほど、経営の検討委員会というのがあって、そこに事実上参画をしているという話がありましたが、その中で、国といたしましても、今後どういう支援が考えられるのか、よく地方公共団体の皆様とも協議しながら勉強をさせていただきたいというふうに思います。

富田分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

上田主査 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)分科員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、都市再生機構の方に主に聞いていきたいと思います。

 きのうの新聞に、「構造計算書五十件紛失・不明」、こういうふうにあるわけですけれども、理事長に伺いたいんです。機構では構造計算書を、まずそのリストとして、どこに何があるというリストはなかったという話を伝え聞いているんですね。したがって捜すのが大変である。それ自体非常にずさんじゃないかということと、先日の予算委員会で、高島平で水が出て、そして浸ってしまった、このことですね。その管理されている責任者、大分後から気づいたんだと思いますけれども、きっちり処分をしたり責任を問うたりすることをしているのか。この点について、大変重大だと思いますので、理事長から。

小野参考人 お答え申し上げます。

 構造計算書の紛失の問題でございますけれども、数値はもう先生御案内のとおりだと思います。現時点で調査をしておりますところで、お問い合わせがあったもの八件、紛失をしたということでございます。これは、お問い合わせをいただいて大変心配しておられる方々に対しては、大変申しわけないというふうに思っているわけでございます。

 一般的に、構造計算書の管理の状況でございますけれども、私ども、およそ千二百以上の団地の中で、いろいろな分譲住宅をつくってまいりました。それは、それぞれ各支社あるいは具体的な本部等で、ニュータウン本部とかいろいろ全国にございますので、そういうところで実際の施工監理あるいは設計等をやって、建物を供給し一般の方々に分譲する、こういうことになるわけでございますが、原則といたしまして、それぞれのものはそれぞれの部署の管理ということをやってまいりました。

 残念ながら、一部に、これは何年も前のものもございますので、お問い合わせをいただいて調べた結果、それぞれの倉庫等を職員が一つ一つ当たっていくわけでございますけれども、中には、例えば、かつてつくったものを参考に構造計算書を取り出して、いろいろ使った上で、それをそのままと言ってはあれでございますけれども、もとにきちっと戻しておくというようなことをすればよろしいんだと思うのでございますけれども、その辺が十分な管理がなかったということで、これは大変反省をいたしております。

 具体的な、じゃ、この団地についてはこのリストということを、この団地関係のものということでまとめて保管をするということを必ずしもしていないということもございまして、今日のこういう形での結果になったんだというふうに思っておりまして、今後は管理により一層きちっと対応していくようにしたいというふうに思っております。

 それから、お尋ねの高島平の倉庫の件でございますけれども、これは昨年ちょっと水につかってしまいまして、およそ二百近くのものが一番下の倉庫の中に、それが水浸しになってしまったということでございまして、これも私どもの大変管理の手落ちということになるわけでございます。

 その中で、文字が判読しづらいものとかいろいろそういうものもございまして、今、そういうもののきちっとした修復作業あるいは判読作業というようなものをやっておりまして、これは大変大きな集中豪雨、ひどい集中豪雨ということの結果でございますけれども、そういうところへ構造計算書等設計図書の一部を置いていたということは、大変、まことに申しわけないという事態になったわけでございます。

 今後は、こういう点も含めまして、十分な管理体制をとってまいりたいというふうに思っております。

保坂(展)分科員 理事長にもう一回聞きますけれども、姉歯問題以降、構造計算書を欲しいという求めがあって、これで捜していったところそういう事態がわかってきたということだと思いますけれども、二〇〇二年の段階で、この間議論している、東京郊外ニュータウンの団地の二棟の構造計算書がないということを住民から指摘を受けて、旧公団の方も認めているという経過があるんですが、その時点で気がつかなかったんですか。

小野参考人 確かに先生御指摘のとおり、都内の団地で構造計算の瑕疵問題を生じてしまったわけでございますが、これについて、構造計算書がないという事態があったわけでございます。

 全体は四十棟以上の建物でございますけれども、ただ、この場合には構造図というのがございまして、この構造図から演繹いたしまして構造計算書をつくるということはできるわけでございますから、これは十分、構造計算書が見つからなかったということについては管理組合に謝罪をした上で、文書等によってきちっと申し開きをした上で、一年ぐらいかかったと思いますけれども、構造計算書をつくって再度それをお示しした、こういう状況でございます。

保坂(展)分科員 いや、気がつかなかったんですかという答弁が全然いただけていない。先ほど、責任者、きちっと不始末を処分するんですかというのも全く答弁がないんですね。その二点、どうですか。気がつかなかったのか、それから、高島平の責任者の不始末の処分はするのか、その二点だけ。

小野参考人 都下の瑕疵団地につきまして、これは瑕疵問題が大きな議論になった時点で調査をしたわけでございますけれども、その時点で構造計算書がないということに気がついたということで、十分事前にそういう状況がわかっていたというわけではないというふうに認識いたしております。

 それから、高島平の問題でございますけれども、これは集中豪雨等によってこういう冠水の事態を迎えたわけでございますが、そういう状況になったことについて、あるいは紛失の実態、あるいは今修復しておりますので、そういうものを総合的に判断した上で、しかるべき措置をとっていきたいというふうに考えております。

保坂(展)分科員 小野理事長に引き続き。

 さきの予算委員会で、この瑕疵団地の高層棟から、五階部分から出てきたこのセメント、コンクリ片ですかね。これを見ると、コンクリートというよりは少し、一般にはコンクリートというふうに見えないような。専門家に見てもらいますと、これはシャブコンであることが一目瞭然である、人に例えると瀕死の重病人、工期に追われて大量に水を打ち込んだんだろう、あるべきはずの砂利がない、これではただのモルタルである、強度が出るはずがない、このマンションが今までもっているのが不思議なくらいだ、こういう専門家の一言もありました。

 持ち帰られて、いかがでしたか。

小野参考人 前回の予算委員会で先生から御指摘を受けまして御提示をいただいた当該破片でございますけれども、これはコンクリート破片であり、また下地処理用のモルタル片、また外壁仕上げ材という、三つの破片という形になるわけでございます。これ自身、直接施工瑕疵と、どういう原因なのかということは一概にはもちろんわからないわけでございますけれども、先生の御提示をいただいたものの御指摘の建物というものについて考えれば、私ども機構といたしまして、これまで調査を行ってきた結果、必要な補修というものを速やかに行う必要があるというふうに考えておりまして、そのために居住者の御理解を引き続き得てまいりたいというふうに認識をいたしております。

保坂(展)分科員 小野理事長、前回の答弁で、予算委員会で、これは五十六年の耐震基準に基づくSRC構造ということもございまして、大規模地震時に倒壊、崩壊に至る、そういう状況にはないと私どもは考えていますというふうに答弁されているんですね。

 ところが、阪神大震災で、じゃ、SRCの建物、この五十六年以降のものが倒壊したかどうか、そのようなことも含めてこれは答弁されていますか。

小野参考人 前回の予算委員会におきまして、私どもで実施をいたしました調査結果、これからは、鉄筋が極めて少ないとか、あるいは鉄骨のふぐあいに起因すると考えられるひび割れとか変形といったような、建物の構造安全性に直ちに影響を及ぼすようなそういうふぐあい現象は見られない、確認されなかったというふうに私どもは考えております。

 お示しの五十六年施行の新耐震設計法で設計、建設されました鉄骨鉄筋コンクリートづくり、SRCと通常言っておりますけれども、これは柱とはりの中に鉄骨部材を内蔵しているわけでございまして、これは大変大きなあれを持っておりまして、一般的に、さきの阪神・淡路大震災でも、新耐震設計法で設計、建設されたSRC構造の建築物、これにつきましては倒壊あるいは崩壊に至った事例はないというふうに認識いたしております。

保坂(展)分科員 住宅局長、いいんですか、これで。

 私、こちらに、日本建築構造技術者協会の阪神・淡路大震災のアクションプログラム、提言ですね。こちらの方にも日本建築学会の資料がございまして、SRC、八二年以後のもので、倒壊三%、大破一一%、中破四%、小破七%、こう数字が出ています。

 今、理事長はないというふうに言っているんですが、どうですか。局長に聞きます、今度は。こういう認識でいいんですか。局長、お願いします。

山本政府参考人 ちょっと私、手元にただいまの資料を持ってきておりませんので……(保坂(展)分科員「では、今渡します」と呼ぶ)確認した上で、またお話をしたいと思います。

保坂(展)分科員 局長、どうですか、今渡したので。答弁してください。

山本政府参考人 時間内に確認した上で答弁させていただきます。

保坂(展)分科員 小野理事長、こちら、タイルですね。タイルも落下しているんですね、その問題の建物から。これはたしか去年ですかね、築十五年のビルの外壁の傾斜部分からタイルが落下したということで、国交省が自治体に外壁調査を要請したりしている。これはかなり危ないです、落ちたら。落ちたことが現にあったということ。そして、落ちた部分に、これは裏側をひっくり返しますと、ちょっと出っ張った部分がございます。これは、建物が完成した当時クラックがあって、そこにモルタルを塗ったものだろうということも聞いているんです。

 こういうことがあるわけです、現に。そういうときに、直ちに行って、高いところだったら作業車でも出して、本当にこれは大丈夫なのかと。これは命にかかわりますからね、住んでいる方。下を子供が通ったらどうするのかという問題にもなりますよ。そういうことがあるのを知っていますか。

村山参考人 お答え申し上げます。

 郊外のその当該高層住宅におきましては、そのような、タイルが剥離する、あるいはふぐあい事象といったものを必要な調査を行ってきておりまして、判明したふぐあい事象につきましては、速やかに必要な補修を行う必要があると考えておりまして、居住者の方には補修方法等についても提案を行ってきているところでございます。

 しかしながら、建てかえを主張される管理組合と当機構との間の打ち合わせということでございまして、補修に対する考え方が大きく相違するという状況にございます。

保坂(展)分科員 今度は理事長、答えてください。

 三百三十三億円、これまで投入された。少な目に見ても五百億以上、これは幾らということは言えないということですが、大変な巨費が投入されているわけですね。こちらの予算審議における我々が見る資料、これを見てみますと、機構の説明によると、どうも貸借対照表のその他の流動資産、その他の流動負債のところにしか載っていなくて、損益計算書に年度ごとで記載がないというんですよ。その説明がわかりませんで、記載がないということは、では別の会計、仮会計みたいなのを持って、しかし、それは動いている額が巨額ですので、これを見ても一向に、この瑕疵住宅に投入されたお金がどこから出て、この中には国からのお金もありますから、お金に色はついていないから、血税じゃないですか。

 理事長、こういう中にしっかりとこの瑕疵住宅に対する現在の金額も提示すべきじゃないですか、本来なら。

小野参考人 今まで三百三十三億円というお金を投じて瑕疵補修等をやってまいりましたけれども、これは、ある意味では一時的な立てかえの費用、仮払いという形でございまして、私ども、最終的には、施工業者に一義的に施工不良による求償をしたいと思っておりますので、その結果がわかりました時点では当然仮払いの精算をするわけでございます、仮受金あるいは仮払金等の。

 したがいまして、その時点で損益計算書に出てくるということはあるわけでございますけれども、現時点では、過去に払い出したもの、あるいは一部求償で、一割も取っていないじゃないかという御批判もございますけれども、一部仮受けしたものも含めまして、仮払い費用として計上しているということでございます。その結果が損益計算書には出てこないということでございます。

保坂(展)分科員 ちょっとこれから大臣に伺いたいんですけれども、私の趣旨は、これだけの巨費が投じられているということについては、やはり国が出資している旧公団、機構、そして現に住民がいて、解決に向かっている方たちもいる、しかし、まだ全然その話し合いがつかなくて、まさに先ほどのこういったものですね、こういう住宅に住んで、地震が来れば非常にこれは怖いと。姉歯物件の問題もありますけれども、これだって大変不安なわけですね、住民らは。

 大臣にぜひお聞きしたいのは、この問題に対して、やはり住民本位、ここに住んでいる住民たちが安全で、しかも住民の立場に立って解決を図るべくリーダーシップを振るっていただきたい。二〇〇〇年にこの問題は浮上しています。二〇〇二年に当時の扇大臣に私は二度ほど質疑をしていますが、なかなか進捗が遅いですね。いかがでしょうか。

北側国務大臣 前も御答弁申し上げましたけれども、旧都市整備公団が分譲した建物でこうした施工ミスにより大変な御迷惑を居住者の方々に与えているというのは、これは極めて遺憾というふうに言わざるを得ないと思います。一刻も早くこの状況を解消する必要があるというふうに思います。

 現在のところ、四十六棟のうち四十一棟については協議が調って、建てかえや補修が完了したものがそのうち五棟、現在実施中のものが三十六棟と聞いております。残る五棟がまだ協議が調っていないと。できるだけ早くこの居住者の方々と協議が調うように、都市再生機構の方は誠意を持って居住者の方々と十分話し合いをしていただきたいというふうに思います。

保坂(展)分科員 前回、予算委員会で北側大臣に、ワーキングチームで旧公団、機構の方がこの案件を調査した、そのことをぜひ国会にもつまびらかにしてほしい、報告をしてほしいということで、できる限り、現在進行形ですがという答弁はいただきました、公開できるものはということで。いただいたのはこのぐらいのぺらぺらの、内容的には新しいものは何もないものが来ました。

 これは、もちろん機構の方も取り組んでいないとは私は申し上げていません。対策室をつくってやっているんですね。ただ、もう長時間かかっているんですね、時間が。ですから、これは国会にも、そして北側大臣自身がぜひ積極的にリーダーシップをとって、この問題を長引かせない、ぜひ年内にもう解決を全面的に見るぐらいの決意で臨んでいただきたいし、情報ももっときちっと出すように国交省としても求めていただきたいと思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 これはやはり旧公団が分譲した物件でございまして、通常の民間のディベロッパーがやったわけじゃないわけですね。そういう意味で、居住者の方々、買い主の方々も、やはり旧公団であるということに信をおいて買われた方もたくさんいらっしゃると思います。そういう意味で、このことについても、居住者の方々についてはもう全く落ち度がないわけですから、しっかりと機構として、現機構が誠意を持って早期解決が図れるようにしてもらいたい。きょうも理事長がおりますけれども、ぜひその旨お願いをしたいというふうに思っております。

保坂(展)分科員 大臣からも早期解決をということをいただきました。ぜひ、我々も早期解決を願っていますから、機構の方もスピードアップをしていただきたい。

 それで、技術担当の理事の方に来ていただいていますから、構造計算書をめぐっても、先ほど理事長が言われました、構造図からつくったと。これはまた、数値が違うんじゃないですかと言われ、またつくり、またそこが違う。そしてまた、今度は住民に入力データを渡す。住民が入力データを入れて比較してみると、またこれは違う。何か堂々めぐりの事態がある。これはすっきり、何がどうなっていたのかというのを早く、住民の側からは、構造計算書に対して何らかの例えば作為みたいなことがあったら大変なことですから、どうなっているのか、簡単に説明してください。

村山参考人 お答えいたします。

 住民との協議が進んでいない団地で構造計算書を紛失したことにつきましては、大変申しわけなく思っているところでございます。

 なお、その経緯につきましては、平成十四年四月に組合からの御要望を受けまして構造計算書を捜しましたところ、三棟のうち一棟につきましては確認できましたのですが、二棟については確認できなかったということで、十四年十月に確認できた一棟の構造計算書を提出するとともに、そのほか二棟につきましては、確認できないために構造計算書を再作成することをお伝えしまして、十五年三月に再作成した構造計算書を提出したところでございます。今先生がおっしゃった経過はそのようなことかと思っております。

 その後、確かに、手計算での計算のミスが発見されるというようなこととか、プログラム計算上のデータの入力の仕方ということについて一部ミスがあるというようなことがございました。ただ、入力の仕方についての技術的な考え方といったことについては、法律ないし基準の中に一定のアローアンスがございまして、その考え方の違いをめぐって意見を今違えている状況にございますが、早急にその内容について御理解をいただくように、私どもも鋭意、御協議なり御相談なり、現在断続中の協議の状況でございますが、進行の仕方も含めまして、今後、協議を誠意を持って進めてまいりたいということでございます。

保坂(展)分科員 局長、いかがですか。

山本政府参考人 大変失礼をいたしました。

 御指摘をいただきました日本建築学会の調査によりまして、新耐震基準によって建築された建築物、用途は明らかになっておりませんが、SRC構造でも倒壊の被害があったというのは事実でございます。

保坂(展)分科員 理事長、いかがですか。そういう事実はないと言うけれども、ちゃんと阪神大震災で、建築学会でもこれは話題になっているんですね。ですから、理事長の前回の答弁を見て、専門家の方から、そういう認識だったのかという驚きの声も上がったんですよ。答えてください。

小野参考人 阪神・淡路大震災で、私どもも随分いろいろ建物をつくったのでございますけれども、その中で具体的に倒壊の例はないという認識で私はおりましたものですから、そういう形で、内部で、私どもがつくりましたSRCの構造物で倒壊の例はないということを中でも議論しておりまして、そういうことを含めて、そういう趣旨でお話をしたのでございますけれども。

保坂(展)分科員 間違えたときにはやはりきちっと認めてください、理事長。これはそんなこと言っていないですよ。この議事録を見る限り、五十六年の耐震基準に基づくSRC構造ではと、別に公団がとかいうことを前置きしていないので、今のやりとりでも、ないと思いますとおっしゃったんですから、これは局長もあるという事実を認めたんですから、あるということを踏まえて対処してください。いかがですか。

小野参考人 SRCづくりの構造物につきまして、再度、日本建築学会の資料等を調査いたしました上で、私はそういう気持ちで申し上げていたんですけれども、そうじゃなくて、全体のSRCづくり、阪神・淡路におけるそれの倒壊の例があるという建築学会の御報告があるということであれば、十分それを調査いたしました上で考え方を改めていきたいというふうに思っております。

保坂(展)分科員 では、最後に大臣に伺いますけれども、旧公団、現在の機構は建築確認申請を免除されているんですね。これは当然なんですよ。要するにプロ中のプロ、この人たちに任せればもう建築確認をいろいろチェックするようなことは必要ないですと、いわば最良の技術を持って、絶対大丈夫という信頼のもとにつくられてきたはずなんですね。

 でも、今のやりとりを聞かれて、また住民の方が、仲裁などの手続がうまくいっていないというところにはちょっと不信があるわけですね。計算書がなくなってみたり、そして、出てきたものが誤ってみたり、もう一回出したものがまた違ってみたり、再々計算、再々々計算みたいなところまでいって座礁している現状。これはどのように聞かれましたか。

北側国務大臣 構造計算書の件は、しっかり保管がなされていないということは、これ自体遺憾なことであるというふうに思います。

 やはり今委員のおっしゃったように、公団というのはまさしく、我々国民から見て、建築の専門家というふうに当然見られているわけでございまして、その信頼にこたえるような対応をしっかりしていただきたいと思います。

保坂(展)分科員 時間なので終わります。

 ぜひ早期解決を、北側大臣もリーダーシップを振るってください。終わります。

上田主査 なお、保坂君に申し上げますが、委員会における物品の提示につきましては、事前に許可を得ることになっておりますので、以後はそのようにお願いいたしたいと思います。

保坂(展)分科員 以後、気をつけます。済みません。

上田主査 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也でございます。最後となりました。お世話になります。

 今国会では規制緩和問題というのが大きなテーマの一つとなっております。その関係で、冒頭、経済産業省に何点か確認をさせていただきたいと思います。

 九九年改正の電気用品安全法が、五年間の販売猶予期間を経て、ことし四月一日から適用されることになります。そのため、PSE表示のない中古電気用品が販売できなくなる、そのことが今、テレビ、マスコミなどでも紹介をされておりますように、大問題となり、廃業を決意せざるを得ない中古電気用品を扱う業者が生まれる、こういうことが今社会的に取り上げられています。

 その点で経済産業省にお聞きしますが、この電気用品安全法の施行に当たりまして、中古品の扱いについてということ、これは、だれが、いつ、どこで決めたものなのか、その点を確認したいと思います。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 電気用品安全法は、電気用品取締法の一部を改正するという形でできた法律でございますけれども、昭和三十七年に電気用品取締法を制定して以来、これらの法律における電気用品においては中古品は排除されてはおりませんで、中古品は当然入るというふうなことで理解をしておりまして、この点については改正時においても変更はございません。

塩川分科員 いや、排除されていないと言いますけれども、どこにも書いてないんですけれども。本来であれば、中古品も入るということであれば、その業者に対しての周知徹底を行わなければならないわけであります。

 そこで聞きます。警察庁の方にお尋ねしますが、五年前の法施行時に、警察庁所管の古物商など中古電気用品を扱う業者に対して周知の徹底を求める旨の経済産業省からの依頼はあったのでしょうか。

巽政府参考人 お答えいたします。

 この法律の趣旨、内容の周知徹底につきまして、施行までの間に経済産業省から働きかけがあったというふうには承知しておりません。

塩川分科員 対象であれば、当然のことながら、周知徹底を図るということが求められているんじゃないですか。

 改めて聞きますけれども、電気用品安全法の法令集あるいは電気用品取締法の法令集、この中に、中古品の扱いについて書かれている記述が一つでもありますか。

迎政府参考人 中古品が含まれるのであれば警察の方に周知を求めるべきであるというふうな御意見かと思いますけれども、結果的に、周知が完全ではないという現状にかんがみれば、もっと早くに求めるべきであったという御意見であればわかるんですけれども、逆に言えば、そういうふうな周知を求めていなかったから中古品は含まない、こういうふうなことではないというふうに思っております。

 私どもは、中古品が、電気用品取締法以来、当然これは入るという前提で行政を進めているわけでございまして、一般的な周知措置につきましては、パンフレットの配布ですとか説明会の開催とか、こういう形でずっとやってまいったわけでございます。施行を前にして、御存じなかったというふうなお声があるものですから、最近に至って警察庁に御協力をお願いした、こういうふうな経緯でございます。

塩川分科員 質問に答えてもらっていませんが、この電気用品安全法、それ以前の電気用品取締法の法令集に中古ということは書かれているんですか、書かれていないんですか。

迎政府参考人 ちょっと法令の解説なりなんなりに書いてあるか書いていないかというのは、私、ちょっときょう確認をしてまいっておりません。

塩川分科員 そのこと自身が問題じゃないですか。具体的に法令集に記載されていれば、それを例示すればいいのに、それを例示できないというところに、書いていないんですよ。そこに、そもそもこの中古用品の扱いについては、本来は対象外、適用外だったということを示しているんじゃないですか。

 ここで、例えば電気用品の取締法の中で、法令集にも、販売及び使用に関する経過措置の部分に、ここで取り上げられているのは在庫の問題なんですよ、在庫。中古品というのは入っていないんです。経過措置の対象は、在庫の問題なんですよ。つまり、製造メーカーの在庫の扱いのために経過措置、猶予期間というのを設けているというのがこの法令集の中身じゃないですか。中古なんてどこにも出てこないんですよ。

 つまり、今回の法改正に当たりましても、また取締法の法改正の議論におきましても、国会の議事録の検索にかけても、中古という言葉は一回も出てきませんよ。国会の中で一言も議論がされていないんですよ、中古品については。

 電気用品安全法の概要の制度概要についても、製品流通前の措置と製品流通後の措置と区分をして、実際にその販売の制限の内容については流通前の措置のところに入っているわけです。それは、製造メーカーが市場に出荷する前の段階で制限をするということを書いているだけであるわけです。そういう点でも、市場に出回った中古電気用品の扱いというのはこの法律の枠組みの外だ、適用の外だということを示しております。

 そういう点でも、この中古電気用品はそもそも対象ではなかったわけですから対象から外すべきだし、その上で改めて中古電気用品の扱いについてきちんとした議論を行って対応策をとるべきだ、そのことを思いますけれども、経産省、いかがでしょうか。

迎政府参考人 再々申し上げておりますように、先生の今御指摘のその資料において、流通前の規制というふうな部分と流通後の規制というふうなことに分けて書いた説明資料というのがあるわけでございますけれども、これは、中古品で、もう一度販売の段階に戻れば、これはその資料の中の流通前の措置に該当するというふうに考えられるわけでございまして、それをもって中古品は対象外と考えていたというふうなことではございません。

 私ども、旧法以来、中古品は対象であるということでずっと解釈もし、行政も進めておりますので、周知が必ずしも行き届いていないという点につきましては、残り一カ月でございますけれども、中古品を扱う方々に対して十分な周知を心がけると同時に、さらに個別にもいろいろ丁寧に御相談に応じるということで、三月三十一日には経過措置が終わるということで進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

塩川分科員 法令集にも全く書いていない。中古品は含まないとは書いていないので中古品も含むというのは、余りにも実態とかけ離れた、そもそも制度自体が中古品を前提としていない制度なのに、それを無理無理追い込んだために、結果としてこうなったんだと。そういう点でも直ちに是正を求める、このことを要求し、今、耐震偽装問題のように、規制緩和に絡んで安心、安全が損なわれるということが国民的な問題にもなっておりますので、そういう点でもふさわしい見直しが必要だと申し上げて、きょうの質問の中心であります八ツ場ダム問題に移ります。

 昨年も私は八ツ場ダム問題を取り上げましたけれども、今の利根川流域におきまして、治水上も利水上も、八ツ場ダムの必要はないんだということを申し上げてまいりました。

 その関係で、利根川流域の治水問題について、今、国土交通省におきまして、利根川水系の河川整備基本方針の策定の作業を行ってまいりました。その基本方針の中では、利根川の基本高水について、「そのピーク流量を基準地点八斗島において二万二千立米毎秒とし、このうち流域内の洪水調節施設により五千五百立米毎秒を調節して、河道への配分流量を一万六千五百立米毎秒とする。」とあります。

 ですから、いわゆる八斗島上流のダムとか遊水地などの洪水調節施設によって五千五百を調節することになったわけであります。今ある既設のダム及び建設中の八ツ場ダムによって千六百立米毎秒の洪水調節が見込まれるとのことであります。ですから、残りの三千九百の洪水調節のための施設として検討しているものが、基本方針の議論の中でも示されていますけれども、一つは烏川の河道内調節池、二つが既存洪水調節施設の再開発による機能向上、そして三つが新規の洪水調節施設の建設という三種類で残りの三千九百に対応するということだと思うんですが、その点を確認させてください。

渡辺政府参考人 本年の二月十四日に利根川の河川整備基本方針が策定をされまして、今委員の御質問のとおりに、五千五百トンを八斗島で調節いたしまして、上流で調節して、そのうち、今までの既設のダムによりまして約千六百トン、それから、これから新しく考えるものにつきまして、今おっしゃいましたように、烏川の調節池、また既設ダムの再編成、そして新規の洪水調節施設、そういうものを全体合わせましてトータルで対応していこう、こういう計画になってございます。おっしゃるとおりでございます。

塩川分科員 少し数字をお聞きしたいんですけれども、この烏川の河道内調節池、遊水地の洪水調節量は幾らぐらいを見込んでいるのかということと、この既存洪水調節施設の再開発による機能向上による洪水調節量は幾らぐらいを見込んでいるのか、お示しください。

渡辺政府参考人 今の烏川の調節池で幾らを見込んでいるか、また既存施設の再開発等で幾らを見込んでいるか、こういう話がございました。

 まず、烏川の調節池についてお話を申し上げたいと思います。

 烏川というのは、八斗島の上流側のちょうど右岸側から入ってくる支川でございます。この地域の調節池の議論でございますけれども、河川整備基本方針につきましては、長期的な河川整備の目標、また方向を定めるものでありまして、基準地点八斗島上流におきます洪水調節施設によりまして、五千五百立方メーター毎秒を調節する方針を示しているということで、河川整備基本方針では、八斗島上流におきます個別の河川ごとに幾ら洪水調節する、また個別の施設及びその諸元等を具体的に決めるものではありません。

 したがって、御質問の烏川の河道内調節池の洪水調節量を河川整備基本方針の段階で確定するというものではないということでございます。

 また、同じように、既設のダムの再編等によりましてどれだけの効果を見込んでいるかという御質問がございましたけれども、これも同様でございまして、河川整備基本方針の段階でこれを確定するものではないということでございます。

塩川分科員 基本方針の段階では数字は示さない、しかし、その次の段階の、具体化を図る河川整備計画の段階では、当然、二十年、三十年間という、そういう達成期間を設けられている河川整備計画ですから、そこには、具体的な洪水調節施設の姿、あわせてその調節量については明らかにするんでしょうか。

渡辺政府参考人 今委員のお話しになったとおりに、河川整備計画では、二十年から三十年でどういうような河川の整備をするのか、また洪水調節施設をどういうふうに整備していくのか、こういうものを決めるものでございます。ですから、その中で、取りかかるような洪水調節施設については、どの施設でどれだけの洪水調節を行うかということを明らかにするということで考えているところでございます。

塩川分科員 あと、内容のところで、既存洪水調節施設の再開発による機能向上というのはどういうものなのか教えていただきたいんですが、説明では、利水容量の治水容量への振りかえを含めたダム群の連携、再編、ダムのかさ上げとあるんですけれども、この連携、再編、ダムのかさ上げについて、もう少し御説明をいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 利根川の上流では、いろいろな支川とかいろいろな河川に現在既設のダムがございます。その既設のダムの中には、例えば、治水上有利な、洪水調節の上で有利な位置にあるダムと、それから、利水上有利な、水を利用する上で有利なダムというものがあります。

 もう少し具体的に言いますと、例えば、冬場に雪の降るところ、冬季降雪があるところにつきましては、その雪の解ける水を使うことによりまして、それをとめることによって利水上非常に有利なことになるということでございます。例えば、奥利根系にあるダムなんかは利水上有利だというふうに考えられるかと思います。

 それから、治水上有利というのはどういうことかといいますと、例えば、烏・神流川系統にあるダムなんかでありますと、八斗島の基準地点に非常に近い位置にあるということから、ダムカットした洪水調節効果が直接八斗島に効いてくる。そういうことから、位置的、地形的には治水上有利な位置にある。

 また、そういうような、現在、治水上有利な位置にあるダム、それから利水上有利な位置にあるダム、そういうものの容量をうまく組みかえることによりまして機能を最大限発揮しよう、こういうことを検討しているわけでございます。

 それからもう一点。かさ上げにつきましては、既設のダムがあるところで、昔のダムですと、必ずしも高さが、十分な高さをつくっていないケースがありまして、それを、高さをもう少し高くすれば、容量が稼げて、洪水調節上、非常に効果的な施設になるケースがある。そういうものにつきまして、ダムの高さを上げることによって容量を稼いで、洪水調節機能をアップしよう、こういうことが考えられるということでございます。

塩川分科員 烏川の河道内調節池及び今のダム群の連携、再編、ダムのかさ上げで、五千五百に足りるとお考えなのか。足りないということであれば、当然のことながら、新規の洪水調節施設の建設が必要だと思いますけれども、そういう考えでよろしいのか。お伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 河川整備基本方針におきましても、烏川の洪水調節池群による洪水調節、それから既設のダム等の効果的な利用等とあわせて新規の調節施設というような言い方をしておりまして、それら全体を合わせて五千五百トンの機能を発揮しよう、こういうことでございます。

 また、その中で、例えば、烏川の調節池につきましては、先ほどの烏川におけるダムと同じように、非常に八斗島に近い位置にあるということと、それから烏川自身が非常に川幅が広いということから、烏川の調節池というのは非常に効果があるんではないか、こういうふうに思っているところでございます。

塩川分科員 調節池、遊水地の話がありましたけれども、建設中の八ツ場ダム以外にも、新たな治水ダムの建設が必要だと見込んでおられるということですね。

渡辺政府参考人 河川整備基本方針の中では、ほかの川でも全部一緒なんですけれども、洪水調節施設ということで位置づけておりまして、ダムとか、それが遊水地であるのかとか、そういう具体的な形で書いているわけではないということで、烏川の遊水地と、それから既設ダムの再編等の再開発、それと新たな洪水調節施設、洪水調節施設の中には、ダムも考えられますし、またほかのところの遊水地等も考えられる、こういうことかと思います。

塩川分科員 ダムを含めて検討しているということですけれども、私、お聞きしたいんですが、しかしながら、今後、新設のダムを幾つもつくるということが本当に利根川の上流で可能だと本気でお考えなのか。いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 先ほど申し上げましたように、烏川の調節池というのは、地形的な位置、それから烏川の河道の形状等からいって、かなり効果があるというふうに考えております。

 それから、既設ダムの再編とか再開発につきましても、現在の既設ダムの中には、治水上大変に有利な場所にあって、必ずしも機能を発揮していないものもかなりあるかと思います。そういうものの再開発、またかさ上げ等もかなり効果があるんではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、できるだけそういうような既存の施設を最大限活用する、それとあわせて、烏川の調節池等でできるだけの調節機能を果たす、そういうことを考えているところでございます。

塩川分科員 いや、烏川の話もそうですけれども、数字だって示せないじゃないですか。数字を示せないのに、かなりの効果があると言われても、全く信用できないですよ。

 その上で、九六年以降にダム計画が続々と中止になっているわけですね。小さな容量のダムを含めれば、二〇〇四年度までに中止されたダムは、利根川水系だけでも九つに上りますし、八斗島地点上流部で中止になったダムが四基になる。二〇〇〇年度に川古ダム、平川ダム、二〇〇二年度に栗原川ダム、二〇〇三年度に戸倉ダム。

 治水のためのダムが本当に必要ならば、なぜこの四ダムも中止をしたのか。治水が必要だったら、治水に振りかえて、四ダム、中止せずに、治水目的に切りかえて建設すればよかったんじゃないですか。

渡辺政府参考人 今おっしゃったダムにつきまして、かなり利水のウエートの高いダムの話でございます。戸倉ダムにつきましても、平川ダムにつきましても、また栗原川ダムにつきましても、利水のウエートが非常に高いダムでございますので、とりあえず利水の方が、目的がかなり、水資源開発の必要性が希薄になったということで、利水目的がおりたという段階で中止をしたということでございまして、治水上の目的、位置づけが不必要になったということでは必ずしもないということでございます。

塩川分科員 いや、ですから、利水目的が中止にといっても、治水に切りかえればいいんですよ。あなた方が出している資料自身にも、振りかえダムの新設ということで、利水容量の振りかえもあるけれども、洪水調節容量の新規というので書いているじゃないですか。こういう目的のために振りかえる、このやめたダムについて検討もしていないのかということが、そもそもこの洪水調節施設の建設に緊急性がないということを、みずから立証しているようなものじゃないですか。

 こういう点でも、そもそも、カスリン台風をもとに一万七千という洪水実績流量が出されているけれども、それは、そもそも過大なんじゃないのか。こういう過大な数値に合わせて実態の伴わないダム建設ばかりが続いていくということが、今は問われているんじゃないでしょうか。

 一九四七年のカスリン台風当時に、戦時中の森林伐採によって利根川上流の山の保水力が著しく低下をしていたわけです。今は、山林が回復をしているわけですね。

 大臣にお伺いしますが、こういったように、流域の森林、山林の保水力についても、戦後直後の乱伐の状況から今山も回復しているといった、こういう流域の状態の変化を踏まえた再検証こそ今必要なんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 まず、森林の件でございますが、報告を受けておりますのは、利根川上流域の群馬県内の森林につきましては、昭和二十二年、カスリン台風が発生した戦後の時期から近年まで森林面積は四千二百平方キロメートルという程度で推移をしておりまして、大きな変化はないと聞いておるところでございます。

 また、基本高水の流量の設定でございますけれども、この洪水流量の設定に当たりましては、流域条件は昭和三十年代の流域の状況を与えているとの報告を受けておりまして、昭和二十二年当時の状況を与えているものではないというふうに聞いております。

 また、平成十年九月に洪水があったわけでございますが、近年の実績の洪水からも、基本高水のピーク流量につきましてはその妥当性を確認しているということでございます。

塩川分科員 戦後も今も山林の面積が変わらないということをおっしゃられましたけれども、このカスリン台風があった当時、例えば一九四七年九月十八日付の朝日新聞の社説では、このカスリン台風の例を挙げて、「今度の関東地方の場合にしても、近来にない降雨であつたとはいえ、それは未曾有の降雨量というほどのものではない。」と述べて、水害の根本的原因が乱伐による山林の荒廃、あわせて治水工事の不備にあることはもはや常識になっているということで、治水工事の不備と同時に山林の荒廃を挙げているわけです。

 ここでも、社説では、「農林省の推定によれば全国で百六十万町歩の山が丸はだかになつたまゝ」「昭和二十年、二十一年度の伐採面積は百七万町歩と推定されるのに対して、造林面積は四十二万町歩余りにしか達していない。」と。

 林野庁の林野面積累年統計というのがございます。それでは、昭和十八年当時の全国の山林面積が二千六百十九万町歩。ですから、朝日の社説で言っている百六十万町歩の山が丸裸になったというのは大変大きな割合になっておりますし、昭和十八年二千六百十九万が昭和二十一年に千九百九十九万にまで、六百二十万町歩も減少しているわけです。

 事務方で結構ですけれども、河川整備基本方針を策定する際に、以上のような、林野庁が出しているようなこういった山林実態の変化を踏まえた検討というのは行われているんでしょうか。

渡辺政府参考人 まず一点目に、昭和二十二年当時にどの程度だったかということですが、私どもの持っている資料によりますと、昭和二十二年当時と最近ではほとんど変わらないという資料があるということでございます。

 それから、森林の機能につきましては、これは日本学術会議というのがありまして、これが平成十三年十一月に答申を出しているところでございます。これによりますと、治水上問題となる非常に大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に対して飽和状態となり、降った雨のほとんどが河川に流出するような状況になる、そして、森林は中小洪水時には洪水緩和機能を発揮するが、大洪水時においては顕著な効果は期待できない、こういうような森林についての日本学術会議の報告もあるということでございます。

 利根川の治水計画でございますけれども、基本的には、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、昭和二十二年の森林状況とか、昭和二十二年の流域状況を前提に計画をつくっているものではなくて、二十二年の雨を昭和三十年代の流域状況に照らし合わせたときにどのぐらいの流量になるか、そういうような形の検証を行って、検討を行っているところでございます。それが、三十年代の流域状況で検証したものが、平成十年で検証したところ、特に問題がない、支障がないということで、検証できたということでございます。

 そういう意味におきまして、今回の利根川の河川整備基本方針におきまして、森林の状況等も考慮した上で私どもは河川整備基本方針の基本高水を決定している、こう考えております。

塩川分科員 一般的な保水効果の話をしているんではなくて、戦後直後の山の状況が荒れていたじゃないか、乱伐の中で丸裸になっているような状況が今は復旧しているんじゃないのかという、そういう比較をきちっと行ったのかということをお聞きしているわけです。

 例えば、私が調べただけでも、もう一つ御紹介しますが、群馬県の林業統計書の中に、山林面積と同時に森林の蓄積量というデータがあるんですよ。つまり、当然のことながら、木材を切り出す場合にその量をはからなくちゃいけないですから、立方メートルではかるわけですよね。小さい苗だったら小さいのが、どんどん太くなればその量が大きくなってくるわけです。

 そのデータでわかる範囲でも、例えば、昭和二十六年はこの森林蓄積量が群馬県の場合一千三百四十九万立米なんです、それが平成十年では七千二百六十二万立米と森林は大きく成長しているわけですね。こういった蓄積量の推移なども視野に入れた検証というのは行っていないわけですか。

渡辺政府参考人 先ほども申し上げましたように、流域の状況の変化に対応して、現在、雨から流量に換算するような関数といいますか、貯留関数法というものでやっておりますけれども、その関数が、正しいといいますか、大体現状をきちっと再現しているのかどうか、こういうことが問題になるかと思います。

 先ほど申し上げましたように、昭和三十年代の流域状況を踏まえたそういうモデルを使っておりますけれども、実際にそれを平成十年の流域状況を踏まえたときにでもその条件は適用できる、そういう格好になっておりますので、そういう形で、私どもとしては、流域の状況で、雨が降ったときにどういうふうに洪水になってくるか、それが一番大事な状況でございます。そのときに森林の状況を介在しながら雨から洪水に換算される、その換算が平成の年代においても適用が可能である、こういうような結果が出ているということでございます。

塩川分科員 私が示したデータについて検討しているというお答えがありませんでした。

 こういう基本的なデータも検討もしないでダムを推進するということは道理がない、科学的な知見を踏まえた再検証を行う、八ツ場ダムは中止すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

上田主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十八分散会


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