衆議院

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第2号 平成19年3月1日(木曜日)

会議録本文へ
平成十九年三月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 赤松 正雄君

      上野賢一郎君    臼井日出男君

      岡部 英明君    篠田 陽介君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      太田 和美君    郡  和子君

      鈴木 克昌君    原口 一博君

      松木 謙公君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      棚橋 通雄君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     上野賢一郎君

  宮下 一郎君     篠田 陽介君

  原口 一博君     笠  浩史君

  松木 謙公君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     岡部 英明君

  篠田 陽介君     宮下 一郎君

  菊田真紀子君     鈴木 克昌君

  笠  浩史君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     臼井日出男君

  郡  和子君     原口 一博君

  鈴木 克昌君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  太田 和美君     松木 謙公君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

赤松主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野分科員 自由民主党の上野賢一郎でございます。滋賀一区の選出でございます。

 きょうは、予算委員会の分科会でこうして質問をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、せっかくでありますので、社会資本の整備につきまして、特に、私の地元滋賀県、近畿の関係につきまして、集中してお話をお伺いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、道路網の整備の関係でございますが、私の選挙区は、琵琶湖の西側、いわゆる湖西地域でございまして、大津市と高島市の二市が選挙区になります。

 そこで、その湖西地域なんですが、琵琶湖と、それから山合いが非常に狭くなっているところでありまして、幹線道路といたしましては唯一、国道百六十一号線があるというような状況であります。この百六十一号線につきましては、バイパス等の整備をこれまで鋭意進めていただいているところでありますが、なかなか全事業が完成するというのに至っておりません。特に、ここには断層帯が通っておりまして、防災面での心配あるいは救急医療の面での心配など、地元では大変な不安を抱えている、そういった状況であります。

 これにつきましては、昨年来、一部高架化の整備を促進する決定をしていただいたりして、着実に進んでいる面もございますけれども、まだ一方で手つかずの部分もございます。きょうは、その辺につきまして、じっくりとお話をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、高島市の一番北の方になります湖北工区でございます。ここは事故が多発している交差点等もございます。この湖北工区につきましての進捗状況についてはどのようになっているでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 百六十一号は、大津市、高島市を初めといたします琵琶湖の西部地域の経済活動や住民生活を支える重要な路線でございます。

 特に、高島市から大津市に至る約七十キロにつきましては、地域高規格道路であります琵琶湖西縦貫道路として位置づけております。

 そのうちの湖北バイパスについてのお尋ねでございますが、湖北バイパス十・八キロの延長でございます。十三年度までにマキノ町西浜から高島市今津町間八・三キロについては暫定二車線で供用をしてございます。

 残る高島市マキノ町海津から西浜間二・五キロにつきましては、地元住民、学識経験者等の意見を聞きながら調査設計を進めてきております。これまでの検討結果を踏まえまして、平成十八年十二月には、事故危険箇所である海津交差点から西浜交差点間一・七キロを優先的に整備することとして、平成十九年度より、来年度より具体的な構造物設計や用地測量に着手する予定でございます。

 今後、地元説明会を開催いたしまして、地元の皆様の御理解と御協力を得つつ、事業を進めてまいりたいと考えております。

上野分科員 ありがとうございます。着実な整備の進展をよろしくお願いいたします。

 それから、大津市内の方ですが、西大津バイパス、これは四車線化、長等トンネル等の工事も進んでおりますけれども、それから志賀バイパス、これは一部用地買収が済んでいない部分があるということでございますが、これらにつきましてはいつまでに事業が完了する見込みなのかにつきまして、お伺いをしたいと思います。

宮田政府参考人 西大津バイパス、志賀バイパス、二つのバイパスのお尋ねでありました。

 西大津バイパスでございますが、十一キロの延長でございます。平成八年度までに五・四キロを四車線で、五・六キロを暫定二車線で全線供用しております。現在、暫定二車線区間となっております南志賀から横木一丁目間に一日当たり三万八千台の交通量が流れております。この区間の四車線化工事を現在行っておりますが、平成二十一年度末を目標に、引き続き工事の進捗を図ってまいりたいと考えております。

 もう一つの志賀バイパスでございます。六・四キロの延長がございますが、これまでに、大津市北比良から荒川間三・〇キロにつきましては暫定二車線で供用してございます。残る大津市の北小松から北比良間三・四キロにつきましては、現在、用地買収及び工事を推進しているところでございます。平成二十二年度末の供用を目指して、事業を推進してまいりたいと考えております。

上野分科員 ありがとうございました。計画どおりにお願いをしたいと思います。特に大津市内、特に無料化になってから土日は非常に渋滞で、移動時間が読めないというような状況が続いておりますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 一番のネックですが、高島市と大津市の境目あたりでございます、いわゆる小松拡幅と言われている部分でございます。ここが手つかずになっておりまして、ここがこの整備の隘路になっているのではないかというふうな感じがいたします。今後、用地買収等を着実に進めていかれる方針だとは思いますが、どういった整備方針なのか、あるいは事業着手のめどはいつかにつきまして、お尋ねをしたいと思います。

宮田政府参考人 小松拡幅六・五キロでございます。既に二キロを供用しておりまして、委員御指摘のように、未整備区間が四・五キロございます。この区間は非常に線形不良、事故危険箇所を抱えております。特に、大津市の北小松地先二・四キロにつきましては、地元の設計協議、用地買収を今実施しているところでございまして、まだ、いつ具体的に工事着手というめどは立っておりませんが、引き続き、地元設計協議、用地買収を進めてまいりたいと考えております。地元の皆様の御理解と御協力を得て、事業を推進してまいりたいと考えております。

上野分科員 その点、まだめどが立っていないというところが一番の問題かと思います。いろいろと難しい状況もあろうかと思いますが、地元の熱意も大変高いわけでございますから、ぜひ国の方としても積極的な姿勢で取り組んでいただきたいと思います。要望させていただきたいと思います。

 あと一点、道路の関係でございますが、高島市内から福井県小浜市へ抜けます若狭道路、国道三〇三でございます。これは、古くは日本海の魚、サバなどを京都へ運ぶ道でありまして、三〇三、若狭街道、それからサバ街道へと続く道でございますが、これが非常に狭隘な道で、くねくね曲がっているというような状況であります。特に冬の交通、ことしは幸いと言っていいのか雪が少なかったわけでございますが、昨年などは非常に雪も多くて、通行に苦慮したというような面がございます。この点につきましてどのような整備を進めていかれるのかについて、お伺いをしたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 三百三号、滋賀県の方で事業を実施しておられますが、高島市内、三百三号は十四キロございまして、現状二車線の道路でございますが、一日当たりの交通量は七千台という状況でございます。

 しかしながら、委員御指摘のように、冬期におきまして凍結箇所それから落石危険箇所が複数存しておりますし、急カーブ、急勾配がやはり数カ所ございます。交通の隘路となっております。

 県の方では、平成十八年度から、高島市今津町杉山地先におきまして、斜面の落石対策、凍結防止施設の整備を行っておられます。平成十八年度には落石対策の一部区間、それから平成十九年度には凍結防止区間の一部区間を完成させる予定と聞いております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、滋賀県からの要望を踏まえて、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、JRのバリアフリー化につきましてお伺いをしたいと思います。

 これもまた地元の話でございますが、湖西線、これは琵琶湖の西側を走っているJRの線路でございます。その一番メーンのターミナル、安曇川駅という駅がございます。乗客数なんですが、今四千二百名程度ということで、いわゆる補助基準の五千名にわずかに届かないというような状況であります。

 しかしながら、この鉄道を使って、この周辺には市民病院あるいは市役所それから養護施設等が点在をしておりまして、住民にとってあるいは高齢者の皆さんにとっても非常に貴重な足となっているわけでございます。したがいまして、この安曇川駅など湖西線のバリアフリー化につきましても鋭意進めていくべきだと思いますけれども、その検討状況につきましてお伺いをしたいと思います。

 さらに、その五千人という基準、これをしゃくし定規に適用するのではなくて、地域の利用実態あるいは地域の熱意、そうしたものも十分に勘案していただいて、駅のバリアフリーを支援するような仕組みをぜひつくっていただきたいと思いますけれども、この点につきましていかがでしょうか。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 JRの湖西線の安曇川駅のバリアフリー化に関してでございますが、地元の高島市が、今年度内にも、バリアフリー新法に基づきまして基本構想を作成する見通しであると聞いております。今後は、この基本構想に基づきまして、地元の自治体とJRにおいて具体的な整備内容につきまして調整を行った上で、平成二十年度以降にバリアフリー化を行う予定であると聞いております。

 私ども国土交通省といたしましては、鉄道駅のバリアフリー化につきまして、乗降客数一日平均五千人以上の駅について、平成二十二年までに原則一〇〇%というバリアフリー新法に基づく基本方針を実現するため、鉄道事業者に対しまして助成を行うなどにより取り組みを進めてきているところでございます。

 この乗降客数一日五千人以上の駅というそもそもの考え方でございますが、五千人以上の駅が、全駅、オール・ジャパンで九千四百九十六駅ございます、この二九%に当たります二千七百七十一駅である一方で、五千人以上の駅を対象といたしますことで鉄道の利用者の九五%をカバーするということもございまして、これを対象として重点的な支援を行ってきているものでございます。

 進捗状況につきましては、今年度末の見込みでは、五千人以上の駅の六三%のバリアフリー化が実現される見込みとなってございます。今後ともこの目標に向けて一層の促進を図る必要があることから、私どもといたしましても、引き続き鉄道事業者に対しまして取り組みの加速化を求めているところでございます。

 委員御指摘の一日当たりの乗降客数が五千人未満の駅についてはどうかということでございますが、これまでも、高齢者でありますとか障害者の方々の利用が非常に多い、なおかつ駅周辺のバリアフリー化と一体的に駅のバリアフリー化を進めたいなどの理由から、市町村が基本構想を作成する場合でありますとか、これと同等の取り組みを地元の地域が一体となって行う場合につきましては、限られた予算ではございますが、この中で支援を行ってきたところでございます。

 ちなみに申し上げますと、平成十七年度末現在で、五千人未満の駅六千七百二十五駅中三十二駅につきましては、今申し上げましたような状況を勘案いたしまして、支援させていただいたところでございます。

上野分科員 その五千人未満のところ、特に過疎地等で、そこの駅をどうしても利用しなきゃいけないという方が多いような場合、特に高齢者が多いような場合、そういった場合については優先的に認めていくというようなことも必要かと思います。どうぞよろしくお願いします。

 あと、バリアフリー化の関係でもう一点。

 今度は東海道線でございます。乗降客二万名近い膳所駅というターミナルがございまして、これは大津市の一つの中心でございます。しかしながら、中心の駅にもかかわらず、バリアフリー化が進んでいない状況がございます。これをぜひ改善していく必要があるわけでございますが、一方で、駅を橋上化するというような話もありまして、その点、地元との調整がなかなか難航しているというようなこともございます。

 この点につきまして、国土交通省としてどのようなお考えをお持ちなのか、またどういった支援策が考えられるのかにつきまして、お話をお伺いしたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 東海道線膳所駅につきましては、現在、JR西日本と地元の大津市との間で、自由通路の整備に合わせました駅舎の橋上化を行っていきたい、さらに、これに合わせて駅のバリアフリー化を行う方向で協議を行っているところという話を聞いてございます。

 駅でありますとか駅周辺と一体となりましたバリアフリー化につきましては、まずは地元の自治体と鉄道事業者などの関係者の間で、どのような形での施設整備を行っていったらいいのか、バリアフリー化を行っていったらいいのかということを十分協議していただくことが肝要であると考えているところでございます。御指摘の膳所駅につきましても、地元の大津市やJR西日本などの関係者の間でよく協議をしていただきたいと考えているところでございます。

上野分科員 おっしゃるとおりでございまして、地元自治体の方で十分な協議をすることがまずは必要だと思いますが、よく協議をし過ぎてなかなか進んでいないという状況ですので、国の方からもぜひアドバイスをお願いしたいと思います。

 それから次は、治水の関係です。大戸川ダムの整備につきましてお伺いをしたいと思います。

 大戸川ダムにつきましては、これまで長い経緯の中で整備を進めてこられまして、関連する道路の整備、本体工事はまだ着手をされておりませんが、しかしながら、凍結というような話もございまして、地元では大変その先行きを心配している状況であります。滋賀県知事も、ダムの建設に関しましては、当初よりもやや柔軟な姿勢に転じているかなというような気がいたします。

 この点も含めてですが、大戸川ダムの整備につきまして、その見通しいかんをお伺いしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 大戸川ダムを含めまして、淀川水系で実施しております五ダム、国土交通省と水資源機構でございますが、五ダムの今後の方針につきましては、平成十七年の七月に近畿地方整備局が、これまでの調査検討結果を踏まえて、委員も御承知だと思いますが、淀川水系五ダムについての方針を発表したところでございます。

 この方針は五ダム対応のたたき台と考えております。これら五ダムについては、現在、東京の方で、社会資本整備審議会河川分科会で審議をいただいている淀川水系の河川整備基本方針を策定した後、引き続き実施いたします河川整備計画の策定過程において、住民や学識経験者、関係自治体の意見をよく聞いた上で、その対応方針を改めて決めていくことになります。

 この河川整備計画の策定時期でございますが、できれば十九年度末までには策定したいということで努力をしているところでございます。

上野分科員 十九年度末ということでありますが、来年度、平成二十年度の予算という話もありますので、私としては、その概算要求までにある程度の方針を打ち出すべきではないかというふうに考えておりますが、これについてはいかがでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、現在、河川分科会で審議していただいています基本方針の方の策定をまず急ぐということが大事かと思うんですが、気持ちは先生と一緒でございまして、できるだけ早くつくってまいりたいというふうに思っています。

上野分科員 ありがとうございます。

 あともう一点、つけかえ道路等の周辺の道路整備が進められているわけですが、実は、これはそれぞれの事業につきまして下流の大阪府それから京都府から負担金をもらうこととなっておりますが、この負担金につきまして、平成十八年度分につきまして、これが未払いというような状況が発生しているやに伺っております。

 そうした状況もありまして、滋賀県、大津市、それから地元甲賀市で、この約一億八千万円分を、下流負担分を立てかえて補正予算を編成したというようなことでございますが、その事実関係につきましてはどうなんでしょうか。

 それから、国として、これはいわゆる直轄事業にかかわる事業でございますので、国がしっかりと調整を行うべき事柄だろうと思います。その点につきましての御見解をお伺いしたいと思います。

棚橋政府参考人 十八年度の下流負担金についてのお尋ねでございます。

 大戸川ダムにつきましては、地元が受ける影響を緩和するために、水特法の十二条に基づきまして、大阪府及び京都府が平成十三年度より毎年度毎年度協議を行いまして、下流負担を行ってきたという経緯がございます。

 水特法十二条に基づきます下流自治体の負担というのは、基本的に自治体間の合意に基づく協定によって決まるというシステムになってございまして、昨年度も、十七年度でございますが、先ほど河川局長が答弁いたしましたように、五ダムの方針が出まして、大変協議が難航いたしまして、年度末ぎりぎり、三月三十一日にようやく協定書が結ばれたという状況でございます。十八年度につきましては、現時点では関係者間の協議がついておらない状態でございまして、大戸川ダムの事業者であります近畿地方整備局も間に入りまして、両者の合意がなるべく早く図られるように調整に努めておるところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、ダム事業そのものの取り扱い、それからこの下流負担の取り扱いについて、関心を持って関係者間の協議を見守ってまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 地方自治体間の協定だということでありますけれども、いずれにしましても、近畿整備局さんを中心に調整をしていただかないと、自治体間同士ではにっちもさっちもいかないというのが現実だと思います。

 その点につきまして、重ねてで恐縮ですが、もし、具体的にこういうふうな形で調整をしていこうというようなことがあれば教えていただきたいと思いますし、そういった意味からも、早く基本方針を策定して、早目に関係両府それから滋賀県の合意を得られるように努めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 このつけかえ道路、我々ダム事業者としては、水没いたします道路の機能をそのまま保全するという意味でございまして、今水資源部長がお答えになったのは、さらにそれを改良するという部分の上下流負担の部分でございまして、ちょっとややこしいんですが、その根っこの部分が我々ダム事業者が担当するわけでございまして、同じ道路で二つあるということでございます。

 いずれにいたしましても、関連の道路整備の取り扱いについて、ダム事業者であります私どもと、それから大阪府、京都府、下流の府県と一体となって、責任者として関係者で調整、検討をしているところでございまして、できるだけ早く答えを出してまいりたいと思っております。

上野分科員 ぜひ早期に解決するように、よろしくお願いしたいと思います。

 あともう一点、治水の関係ですが、大津市内に大津放水路というのがございます。これは、大津市の市街地は慢性的な洪水でこれまで悩まされていた経緯がございまして、大津市南部から中心部を流れる八つの小河川につきまして、これを中ほどでカットして、横に串刺しにしたようなトンネルを掘って、それを瀬田川に流すというようなものでございます。

 この大津放水路ですが、平成十七年に約二・四キロ分、一期工事というふうに言われておりますが、これはもう既に終了していただいております。しかしながら、当初の計画では、残り二・三キロ、第二期工事として進めるということでありますが、その実施時期あるいは実施内容等が宙に浮いているというような状況でございます。淀川水系の河川整備計画の中にしっかりと位置づけていくべきだと思いますが、これにつきましてはいかがでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、一期区間につきましては、平成四年度から直轄事業として、瀬田川の合流点から盛越川までの約二・四キロの区間の工事に着手いたしまして、十七年度に完成させたところでございます。現在までに三十五回、洪水処理に効果を発揮いたしまして、地域の安全、安心の確保に大きく貢献していると考えております。

 お尋ねの二期区間でございますが、一期区間に続き、盛越川から諸子川までの約二・三キロについての放水路を延伸するものでございまして、その施工時期につきましては、現在、社会資本整備審議会河川分科会で審議いただいております河川整備基本方針の策定後につくります河川整備計画の策定過程におきまして、大津市を初め地域の意見を聞いた上で検討して、位置づけてまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 確認ですが、これは平成十九年末までに整備計画という理解でよろしいでしょうか、それとももう少し先になるんでしょうか。

門松政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、できれば十九年度末までには整備計画をつくっていきたいという気持ちでおります。

上野分科員 ありがとうございます。

 地元からの要望も非常に強い事柄でございますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 最後になります。第二名神の整備でございます。

 現在、甲賀土山それから大津ジャンクション間が整備を進められていると思いますけれども、この進捗状況、それから大津―城陽間の整備の見通しにつきまして、御説明をお願いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 第二名神の滋賀県関連区間、亀山―大津間四十一キロにつきましては、用地買収がすべて完了してございます。平成二十年度の供用に向けて、工事を全面展開中でございます。

 一部報道で一年前倒しということが出ております。会社におきましては一生懸命そういう方向で御努力いただいているというふうに理解しておりますが、まだ公式に一年前倒しという供用時期が決まったわけではございません。そういう状況でございます。

 大津―城陽間二十五キロにつきましては、昨年二月に開催されました第二回の国幹会議におきまして、主要なネットワークの供用後における交通状況等を見て、改めて事業着工について判断する、それまでは着工しないということでございまして、そういう状況に至った段階で総合的な判断をしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、事業中区間については、引き続き地元の御理解と御協力をいただきながら、できるだけ早期の供用が図れるよう事業を推進してまいりたいと考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 今、一年前倒しだと思っていましたが、公式ではないということですが、そうした方向で進めていただいているものと理解させていただきたいと思います。

 それから、大津―城陽間につきましても、また引き続きこれにつきましてはぜひよろしくお願いをしたいと要望させていただきまして、これで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤松主査 これにて上野賢一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠田陽介君。

篠田分科員 自民党の篠田陽介でございます。

 予算委員会の分科会、国土交通省関係ということでお時間をいただきましたことを感謝申し上げます。

 地元のテーマとか課題にも踏み込んでいいということを承知しておりますので、私は、本来余り我田引水的なことは好きではないんですが、やはり地元の関心のあることを取り上げさせていただいて、また大臣の御認識も深めていただきたいと思っております。

 私は、一点に絞りまして、地元を流れます堀川という川の整備について質問させていただきます。

 まずその前に、背景等々を御説明させていただきます。

 まず、名古屋市におきましては、環境首都名古屋ということで最近取り組みを進めてきております。特には、二〇一〇年にCOP10と呼ばれる国際会議、これは生物多様性条約締結国会合ということで、世界の各国から約五千人もの方々がお見えになって、今、地球上でのさまざまな生物についてこれからどうやって保護をしていくか、そういった国際会議が二〇一〇年に開かれます。これが名古屋に誘致、開かれますといいますか開かれることで日本国内においては調整ができた、あとは海外との競合の中でどうなるかということですが、ほぼ名古屋で行われるんじゃないかということが確実視されております。

 そして、私の選挙区でもあります名古屋市におきまして、この堀川というのが、実は、この国際会議が開かれる国際会議場の隣を流れておる川でございます。私は、二〇一〇年、この外国の方々が大勢集まる会議におきまして、環境首都名古屋という中において、会議が開かれる隣の川が汚れていてにおいがするようなことがあっては、やはり世界に対して恥ずかしいというふうに考えております。

 また、その二〇一〇年というのは、名古屋城ができましてちょうど四百年を迎える年であります。もともと堀川という川は、名古屋城の築城と同時に掘った、人工につくられた川であります。川といいましても、上流からの水源がなくて、生活排水等々で、運河というか、そういった活用をされてきた河川であります。ですから、古くから地域の住民に親しまれながら生活物資を船で運んでいた、名古屋城にいろいろな物資を送り届けていたという経緯がございます。

 しかしながら、どこの全国各地の都市部でもあるんでしょうけれども、やはり水質の汚染、あるいはにおいが大変きついというような状況がありまして、本来でしたら、川を中心としまして、そこに皆さんの建物が川を向いて建っているのが本来でありますが、私も二回ほど船に乗りまして、視察、ヘドロの調査とかを自分で行ったんですが、その川から見ましたら、みんな川に背を向けて建物が建っている、今、残念ながらそういった状況であります。

 環境首都と標榜するのであれば、やはり、川に向かってみんなが住める、川を見ながら生活できるというような環境をぜひつくっていきたいと思いまして、私は、地元での一つのライフワークとして今取り組みをさせていただいて、各関係者からいろいろな意見を聞いておりますが、今までの経緯、いろいろありました。

 また、その河川といいまして、今は河川管理者が県になっております。ですから、事業を行うに当たり、国が三分の一、県が三分の一、市が三分の一という予算を出し合いながらやってきた。私はこういったことについて、市と県と国、いろいろな関係の中に、しっかりとしたリーダーシップを持ってやっていくところがどこだったのかという、いわゆる責任の所在とリーダーシップといいますか、そういったところがあいまいだったこともうまく整備が進んでこなかった一つの要因なのかなと思っております。

 そういったことをこれから質問させていただきまして、この堀川の浄化対策につきまして、大臣の見解もお尋ねしたいと思っております。

 まずは、一般的な国交省の概念についてお尋ねをいたします。

 国交省は、美しい国づくり政策大綱というのを平成十五年七月に取りまとめられております。安倍内閣が美しい国づくりと言うはるか前から、国交省は美しい国づくりに向けて政策大綱を取りまとめてやってきたということと承知しております。

 特に、水質浄化や水辺環境の整備において、平成十九年度、来年度予算、これからいろいろと中身は決めていくんでしょうけれども、これまでの取り組み等々を踏まえて来年どんな事業を行うのか、特にその概要や予算の規模などを教えていただきたいと思っております。

門松政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、良好な河川環境を形成するための事業として、河川や湖沼の水質改善、河川の自然環境の保全あるいは復元、河川空間を体験活動の場として活用する、そのための整備を全国で実施しているところでございます。

 平成十九年度の政府予算案では、これらの整備のために、河川事業の都市水環境整備事業費として五百七十五億五千万の事業費でもって推進すべく、御審議をいただいているところでございます。

 また、都市水環境整備事業以外のいわゆる一般的な河川改修事業におきましても、実施に当たっては、自然の環境、景観などに配慮した川づくりを行うことといたしております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 そこで、私の地元を流れます堀川について質問させていただきます。

 堀川と申しますのは、先ほど申しましたが、名古屋城築城と同時に掘られた川であります。しかしながら、やはり近年大変な汚染が進んできておりまして、堀川浄化対策ということで一生懸命これまで関係各位が努力をされ、また市民運動なども活発に行われてきておりました。

 昭和五十八年に木曽川から水を引っ張ってきて流そうという計画がありましたが、これも昭和五十八年にこの事業を着手しましたが、平成十二年に一たん中止となっております。それまでにまたいろいろな経緯があったと聞いております。

 また、市民団体におきましては、クリーン堀川という団体が発足され、また、堀川ライオンズクラブあるいは堀川千人調査隊といった市民団体も次々に立ち上がり、それぞれの立場でできることをやっております。しかしながら、なかなか決定的な策がなくて現在に至っているというのが正直なところであります。

 それで、私は地元、その川を視察しまして、やはりヘドロのしゅんせつを行っても、なかなかそのヘドロが減っていかないというのも聞いております。それはどこに原因があるのか。果たして、上流部から流れてくる生活排水なのか、あるいは河口から流れてくる、港、湾から流れてくる汚染水質が原因なのかということも、きちんと整理をした上でこれに取り組んでいかなければ、すくってもすくってもまたヘドロがたまっていくという状況であれば、やはり予算の無駄遣いにもなりますし、効率的な水質浄化には至らないんじゃないかなというふうな心配をしております。

 まずは、質問としまして、名古屋市の南北を流れる堀川、国交省の第二期水環境改善緊急行動計画、いわゆる清流ルネッサンスIIという計画に基づいて取り組んでいるところと承知をしております。また、先ほど申しましたが、COP10の会場の横を流れる河川でありますので、これまで以上にぜひ積極的に支援していただきたいと私は思っておりますが、国交省の見解を聞かせていただきたいと思っております。

門松政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、堀川の水質浄化あるいは水辺環境の整備は、これからの名古屋のまちづくりを進める上で、非常に重要なことであるというふうに考えております。

 清流ルネッサンスIIに基づいて、堀川のしゅんせつ、あるいはエアレーションによる水質改善、あるいは下水道とタイアップした水質改善等々、関係者と一緒になって進めているところでございまして、今後とも、堀川の水質改善あるいは水辺環境の改善等、名古屋市ともども、愛知県も一緒になって積極的にやってまいりたいというふうに思っております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 今局長がおっしゃられましたけれども、やはり、自然の上流部から水が流れてくる川ではありませんので、いわゆる生活排水がその水源となっておるというところがもともとの発祥であります。しかしながら、それではいかぬということで、いわゆる庄内川水系の水を今引っ張ってきて、試験的に導水を行っております。ですから、上から流す、これも水利権の問題でいろいろと協議が難航したということも聞いております。

 また、今、何とか平成十八年度中にということで大変厳しい状況ではありますが、木曽川水系からの水も入れて流していきたいということでやってきております。しかしながら、いわゆる水利権の問題、岐阜県さんとの調整、さらには、水が上から流れてきて湾に出てしまったら漁業者にも影響が出るということで、三重県の方の漁業関係者との調整とか、やはり一つ川で水を流すにも、いろいろな水利権の問題、いろいろな環境への配慮ということがあるということを承知しております。

 そこで、その中で、先ほど局長もおっしゃられましたが、下水道の整備も重要でありまして、名古屋市の堀川に出ます下水処理場、この下水処理場からやはり少しでもきれいな水を流していかなければいけないということであります。

 その中で、名古屋市においては、下水道整備が喫緊の課題、重要であると考えておりますが、その整備の取り組みについていかがか、御見解を聞かせてください。

中島政府参考人 名古屋市堀川の流域の下水道整備率は、平成十七年度末時点で既に一〇〇%整備が終わっております。

 ところが、この下水道が、これは先行して下水道整備した都市共通の課題なんですが、いわゆる合流式というもので、汚水と雨水を一つの管で処理をしております。したがいまして、ふだんはいいんですが、少しの雨ならいいんですが、ちょっとした雨が降りますと、処理されない水がそのまま川へ出てしまうという構造になっておりまして、堀川流域、処理場二つございますけれども、それらに雨水はけ口というのが百三十カ所もございまして、そこから、雨が降ったときは汚水と一緒に出てしまう、そういう課題になっております。それが堀川流域の下水道の抱えている最も大きな問題だと思います。

 名古屋市は、十五年度にこの合流式下水道の改善計画を策定されまして、具体的に申しますと、雨が降ったときには一時的にためる貯水施設をつくって出さないようにするとか、あるいは雨水ばけ、放流口の前にスクリーンを置きまして汚物をそこでストップするとか、そういう事業をやっておりまして、精力的に取り組んでいただいております。

 名古屋市全体の数字でございますけれども、合流式の下水道改善率は、平成十七年度末で大体一一%でございます。これを、二十四年度末までには何とか四割ぐらいまで向上させたい、こういう計画で進んでおられます。

 さらに言えば、そういう基礎的なことができていない状態ではあるんですが、もっと言えば処理場から出る水もさらに高度処理をするという課題もございまして、これも堀川流域の名城下水処理場での実施を検討中と聞いております。

 国交省としましては、名古屋市のこういった計画の進度に合わせて、必要な予算上の措置初め支援をしていきたいと思っております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 やはり、雨が集中的に降った場合、そういった合流式でありますと、汚水と雨水が一緒になって出てくるということでありますので、今、そういった貯留施設なども設置をされ、努力をされていると思いますが、さらなる推進をお願いしたいというふうに考えております。

 また、浄化事業とあわせて親水整備なども進められてきた結果、納屋橋地区ではにぎわい創出のためのオープンカフェなど新しい取り組みが始まっていると聞いております。これはやはり、川ににぎわいを取り戻し、川を中心としながら生活ができるようなまちづくりのための一歩だと考えておりますが、その取り組み状況はいかがか、お聞かせをいただきたいと思っています。

門松政府参考人 お答えいたします。

 本来は、河川は公共用物であるということから、従来、営利的な利用は認めてきませんでした。ただ、近年、都市や地域の再生等に資する目的で、河川敷をにぎわいのある水辺空間等にして積極的に活用したいという要望が増加しております。このようなことから、次に挙げます三点ほどの条件が満足したところにおいて、社会実験として、河川敷地における営利的な利用等を認めておるところでございます。

 その三点でございますが、地域の合意が十分図られること、二点目が公平性確保の調整を図る仕組みが明らかにされていること、三点目が占用施設の適正な管理が将来にわたって確実に実施される見込みがあること、この三点の条件が満たされたところで社会実験として実施しているところでございます。

 堀川でございますが、平成十七年の一月二十一日に、納屋橋地区について、この特例措置を実施する区域の指定を受けまして、河川敷地利用の公平性の確保のために、堀川納屋橋地区活性化協議会を設置いたしまして、コンサートなどの催し物のできるイベント区域と、地区の活性化に寄与すると協議会が認めた業者によるオープンカフェ区域を設けて、社会実験を行っているところでございます。

 今後も水辺のにぎわい創出に寄与するための施策の推進に努めてまいりたいと考えております。

篠田分科員 どうもありがとうございました。

 それで、今、今まで経緯を紹介させていただきました名古屋市におきましてもいろいろな対策を考えておるということも承知しております。また、四月の一日から河川管理者、今まで県が河川管理者でありましたが、名古屋市に移行します。

 この四月の一日から名古屋市に河川管理者を移行するというこのタイミング、さらには、二〇一〇年にCOP10が誘致されるということが決まりましたこのタイミングで、私は一気にこの河川整備、堀川の浄化対策が動き出すんじゃないかというふうに期待をしておりますので、ぜひこの機会に、私の持論なども少し述べさせていただきたいと思っております。

 大阪に道頓堀川という川があります。ここも過去においてはかなり汚染で苦労をしていた、大変悪臭が漂い、住民も何とかしようということで取り組みをされていたということで承知をしております。

 今、対策の中身を見ましたら、道頓堀川、いわゆる水門を設置されております。いわゆる潮の満ち引きを上手に活用しまして、汚い水が入ってこないような取り組みを道頓堀川で行われておる。ですから、湾からの汚水が満潮時に道頓堀川に入ってくるようであれば、そのときに封鎖をする。また逆に、干潮時にはその門をあけるということ。あるいは、そういった閘門、当然御存じだと思いますけれども、船を通すときに、まずこちら側をふさいで船を通して、船がこっちまで来たら、こっちを上げてこっちを下げるというような形で船を通す、そうすることによって湾からの汚い水が上流に上がってこないのではないかというふうなことを道頓堀川の方で進められていると承知をしております。

 そういったことにつきまして、今名古屋市でも、私の持論としては、ぜひこういったことを行っていきたい。いわゆる湾からの汚い水がまず入ってこないようにしなければ、河川対策、上から幾ら流したって、下から汚い水が入ってきてしまって、ヘドロがたまり続けるようなことがあってはいけないというふうに考えており、これはまだ私の持論でありますが、ぜひ堀川においても、こういった門をつくって、満潮時に名古屋港からの汚い水が上流部に入ってこないような取り組みをしなければいけないというふうに考えております。

 そこで、先ほども申しましたけれども、これからは市の管理でありますので、河川管理者である市の方がこれからどうやっていくのかということ等、きっちりと地元で相談をしながら取り組んでいくことが私は必要であると思っておりますので、私も地元におる限り、この問題については名古屋市さんと精いっぱい連携をとりながら進めていきたいと思っております。

 そこで、大臣の決意についてお尋ねをさせていただきます。

 二〇一〇年はCOP10の開催、あるいは堀川が開削されて四百年を迎えます。ぜひ大臣にも、一度、私の地元名古屋に来られる機会がありましたら、堀川を視察して見ていただきたいと思っております。ぜひ見ていただいて、感じていただいて、国交省としてどういった対策ができるかということを一度見ていただきたいと思っております。また、安倍内閣が行っております美しい国づくりの内閣の一員として、この河川整備にぜひ取り組んでいただきたいと考えておりますが、大臣の見解をお尋ねいたします。

冬柴国務大臣 私は、名古屋へは何回も行きまして、堀川のことも知っております。納屋橋の上から見た堀川は、本当に余りきれいではなかった。それを、篠田代議士、ライフワークとして、きれいにして、道頓堀川のようにしたい。

 道頓堀川、余りいいあれではないですけれども、タイガースが優勝すると、そこへ飛び込める程度の水質ができておりますので、ドラゴンズが優勝されたときに、それは飛び込んでもらっては困りますけれども、堀川がそんなに水質が浄化されることは本当にすばらしいことだと思います。必ず行かせていただきたいと思います。

 水辺は地域社会に潤いをもたらします。都市に水と緑を提供する貴重な空間であります。美しい国づくりを進めていく上で、そのような水辺空間の再生を図ることは重要なテーマであると我々も考えております。

 国土交通省といたしましても、地方公共団体や地域の方々と連携をし、全国の河川において、自然豊かで美しい水辺、地域のにぎわいの核となるような水辺を形成する川づくりに積極的に取り組んでまいります。

 二〇一〇年COP10の開催とか堀川開削四百年を迎えられるということでございますので、ぜひその機会には、ここにすばらしいコイが泳いでいるような堀川とされるように期待をいたしております。

篠田分科員 大臣の見解を聞かせていただきまして、どうもありがとうございます。

 私は、これまで環境委員会の場で、いわゆる地球温暖化対策というのを熱心に、私のライフワークとして取り組んでまいりました。

 また、地元におきましては、環境問題ということで、また環境首都名古屋ということで、市民の意識を高める意味においても、やはり中心的な、中心部を流れる堀川、この浄化は私は重要なことだと思っています。これを達成することにより市民レベルから意識が変わっていくと思っております。

 やはりこれが、国が積極的に市と協力をして主導してきれいになったんだということが市民の皆さんにわかっていただくと、いろいろな意味で私はプラスの面が出てくる、それは投資以上の効果が出てくるんじゃないかなというふうにも考えております。

 これから地球環境が大変厳しい環境を迎えてまいります。その中で、私は、やはり地元の方々の意識からまず変えていくということで、この堀川を浄化する取り組み、川に清流を取り戻すという取り組みをライフワークとしてやっていくことが、環境首都名古屋を標榜するに当たり、大事なことかなと思っております。

 日本をリードする物づくり地域でありました名古屋でありますが、これからは、環境技術を売りながら、環境都市名古屋として、世界に対して発信していくことが必要であります。

 冒頭にも申し上げましたけれども、二〇一〇年にCOP10、生物多様性条約締結国会合が名古屋に誘致をされます。やはりこのタイミングに合わせて、また、名古屋城築城四百年、また堀川が掘られて、開削されてから四百年というちょうどいい節目でありますので、また、名古屋市に河川管理者が移行するということしの四月から、これを一気に私としては動かしていきたいということが地元においての課題であります。こういったことを私も微力ながら努力をさせていただきたいと考えております。

 時間が余りましたけれども、終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤松主査 これにて篠田陽介君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡部英明君。

岡部分科員 おはようございます。自由民主党の岡部英明でございます。

 予定より早く始まりまして、びっくりしております。第八分科会、国土交通省管轄事項についての質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、地元の道路整備及び港湾についての質問をさせていただきたいというふうに思う次第でございます。

 まず、私の地元は茨城県の日立市でございまして、関東平野の最北に当たります。地域は、海岸線から山まで三キロぐらいの非常に狭い土地でございまして、そして、南北に三十キロという細長い地形でございます。そこに国道六号線、そして二百四十五号線、二つの幹線が通っておりまして、それが人口二十万の日立市の経済活動、そして災害対策など、大きな重要な役割を果たしている幹線道路でございます。

 この二本の道路は慢性的に渋滞しておりまして、特に日立市における渋滞の時間の浪費というものは茨城県の平均の四倍を上回り、全国的に見てもトップクラスであると聞いております。また、そのほか、死傷者事故比率、交差点の追突事故件数、歩行者と自転車事故数も茨城県内でワーストツーでございます。そしてまた、市内の幾つかの交差点におきましては、県平均の十七倍前後の時間の浪費をするというような調査結果も出ております。

 この渋滞は、地域住民にとりましても非常にストレスを与えておりまして、また、経済活動におきましても大変大きな妨げとなっているというふうに考えております。日立市民にとっても、この六号線の渋滞の解消が長年の課題でありますし、また、今後の地域の発展にとっても、一刻も早く解決しなければならない課題だというふうに考えておるわけでございますが、ぜひ国土交通省の方に、この日立市内の国道六号線の渋滞についてどのようにお考えなのか、どのような認識をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。特に、六号線は二車線でございまして、一日当たり三万五千台の交通量がございます。ほぼ全線にわたって深刻な渋滞が発生しているというふうに認識しております。

 特に、日立市南部の大和田交差点では、二キロを超えるような渋滞が発生しておりますし、諏訪五差路交差点、兎平交差点、日立駅入り口交差点、こういった渋滞交差点が連続する大和田町から田尻町の渋滞損失時間は、ほとんどの区間で、委員御指摘のように、県の平均の四倍を超える状況というふうに認識しております。

岡部分科員 今お話があったように、大変その渋滞が、先ほども申し上げましたが、特に経済活動におきましても、なかなか商圏が広がらない、そういうことで商業的施設の集積もままならぬ。また、日立市内の南、北においては、日立の中心部に集まるよりもほかの地域に出ていった方が利便性がいいということで、経済活動においても、また市民生活においても、非常に不満があり、また、非常に問題があるというふうに認識しているわけでございます。

 そういう意味で、昭和五十九年に六号バイパスというものが計画されたわけでございます。田尻町から河原子町まで十・四キロの区間が都市計画決定されました。事業着手から約三十年という長い年月と総事業費約三百億円をかけて、平成十九年度末に旭町アクセス四・七キロ、当初十・四キロのところのちょうど半分ぐらいのところまで完成し、国道二百四十五号線と接続する予定でございます。

 しかしながら、市の中心部の交通の分散化ということは期待できるわけでございますが、市街の北から入ってくる交通量に対しましては緩和するということではなく、市内に行ったら渋滞がまた出てきてしまう。抜本的な渋滞の解消にはつながらないのではないかというふうに思うわけでございます。

 また、旭町のところの近隣地区の会瀬地区では、先ほど言ったように、交通渋滞がさらにひどくなることも予想されますし、騒音や大気や振動なども、非常に住宅地が密集しているところでもございますので、環境の悪化が懸念されるわけでございます。したがいまして、この旭町以南の五・七キロにつきまして、ぜひ今後事業化を進めていただきたいというふうに強く要望するものでございます。

 しかし、一方では、メーター一億ぐらいかかるという非常に難しい工法、今、海岸線といいますか、海の上に橋脚をつくって、それを通しているわけでございまして、非常にコストがかかるという事業でございます。そういう意味では、今の国の財政状況を考えれば、なかなか難しいのではないかというふうなお話も工事事務所の方から聞いておるわけでございます。

 しかし、一方で、昭和五十九年の事業計画のときとは状況が多少変わりまして、二百四十五号線と並行して走っておりました日立電鉄線が廃線になりました。また、地域の会社社宅とか、いろいろな近隣の状況が大変変わってきておりまして、二百四十五号線、ただいまその地域は二車線なんでございますが、電鉄線と二百四十五号線、本当に十メートル、二十メートルぐらいのところに並行して走っておりますので、それは十分拡幅可能なのではないかというふうなことも期待されているわけでございます。

 そういう意味では、ぜひ計画変更、そして二百四十五号線の拡幅をもってこの事業の推進を進めていきたいというのが地元の要望でありますし、また日立市民の要望でもあるわけでございます。ぜひその辺につきまして、国土交通省の御意見、御見解をお伺いしたいというふうに思う次第でございます。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、十・四キロの日立バイパスでございますが、五十四年に事業化しまして約半分できた、しかも暫定二車線という状況でございます。

 残りの河原子町から旭町五・七キロは、御指摘のように、現行の都市計画決定ルートが海岸部にせり出しております。したがいまして、高架、高い橋脚で、事業費がかなり高額でございます。日立市の方から、今御指摘の日立電鉄の跡地を活用した道路整備について提案がございました。これらを含めて、コスト縮減あるいはまちづくりの観点から、ルート、構造の変更を現在検討してございます。

 関係機関、茨城県、日立市、それから当方でございますが、関係機関で今後の進め方を検討しているところでございまして、平成十九年度の早い時期には検討結果を取りまとめたいというふうに考えております。

岡部分科員 ありがとうございます。

 前向きな御回答であったと御理解させていただき、また冬柴大臣にも、地域の発展のため、渋滞を見てもらいますとこれはひどいなという御見解をいただくのではないかと思いますので、ぜひ強く要望するものでございます。

 そして、日立市、地域の計画といたしましては、現在、北から六号バイパス、そして南から、水戸方面からは六号線の拡幅をお願いしているところでございます。日立市までは大体四車線化が済んでいるわけでございますが、日立市内に入りますと、現在のところ、ほとんどが二車線の状況でございます。そういう意味で、現在、石名坂という日立市の南に当たる地域なんですが、そこの拡幅をお願いし、昨年、平成十八年度に調査費が計上されております。

 工事の早期の着工、そして今後どのような取り組みを考えていらっしゃるのか、国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 大和田拡幅につきましては、延長三・三キロでございますが、平成十八年に着手をしております。

 現在、路線測量と調査設計を鋭意進めておるところでございますが、平成十九年度、来年度には、その設計成果をもちまして、沿道地域で設計の説明会を実施したいと考えております。

 今後とも、地元の皆様の御理解、御協力を得つつ、事業の推進に努めてまいりたいと考えております。

岡部分科員 ありがとうございます。ぜひ大和田拡幅の方もよろしくお願いしたいと思います。

 そしてもう一つ、渋滞緩和についてお伺いしたいんですが、それと並行しまして常磐道が日立市内を通っているわけでございます。日立地区において、常磐自動車道の社会実験を平成十五年、十六年、十七年と三回行ったわけでございます。いろいろデータは出ているわけでございますが、その中でも、十五キロの区間、大体平均で四十三分かかるというデータが今出ておりますが、五〇%割引という社会実験を行った際に、約九分、十分近く市内の道路の所要時間が削減されたという結果が出ております。

 これは、地元といたしましては、大変渋滞の緩和策になるのではないかなという期待があるわけでございますが、現在、もちろん、通勤割引等が実施されているわけでございますが、特に休日等も大変、逆に休日の方が渋滞が厳しいという状況もございますし、また日中も、やはりいろいろな、産業都市でございますので、運輸関係の渋滞も激しいということでございますので、恒久的な割引というものを考えられないかという声もあるわけでございます。

 もちろん、道路公団が民営化いたしまして、株式会社となったわけでございます。収入減につながるということでございますので、株式会社としてはそれに対する理由づけというのはなかなか難しいのかなと私も思うわけでございますが、もう一方では、高速道路という非常に公共性の強いものでございますから、国として何らかの方策、施策を行うことを妨げる理由、排除する理由というものもないのではないか。また、株式会社に負担をかけないように国の施策として行うということは、これは可能であるべきだろうというふうに私は思うわけでございます。

 そしてもう一方では、一部の地域だけにそういう割引というものはという御意見もあるというふうにも聞いております。しかし、それも、例えばこのようなケース、日立市内のように高速道路と幹線が並行に、本当に近いところを走っておりまして、そして高速道路を割り引くことによって道路の渋滞が緩和されるというようなところであれば、そういう割引も考えられるのではないか。新たに道路をつくれと先ほど言っておいてなんなんですが、道路をつくるコストと渋滞を緩和するコスト、メリットを考えたときにどっちがいいのか、そういうことも考えられるのではないか。

 そういう意味では、一部の地域だけということではなくて、やはり大きな、全体的なことを見て、その地域の道路のあり方というものを考えて割引制度を考えるということも、これは今後必要ではないかなというふうに私は思うわけでございます。

 恒久的な割引というものについて現在どのような御所見を持っているのか、国土交通省にお伺いしたいというふうに思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、常磐道で社会実験を平成十五年度にいたしました。割引率は五〇%でございましたが、常磐道の交通量は六割から八割増加したということでございまして、断面の交通量で見ますと、渋滞する一般道が八%減少しております。それで、常磐道が七%増加ということで、結果、常磐道、道路で見ますと、一日当たり六十万の減収が起こりましたが、渋滞緩和効果は一日当たり千五百万、そういう結果でございます。

 今お尋ねがありました我が国の高速道路の現状でございますが、整備の経緯の違いによって料金体系がまちまちでございますとか、今のような、利用状況や混雑にばらつきが大きい、そういったいろいろな課題がございます。我が国の成長力や地域経済の強化、安全、安心の確保など、政策課題に適切に対応するために、高速道路の有効活用を図ることが重要だというふうに考えております。

 こうしたことから、昨年の十二月八日に閣議決定されました「道路特定財源の見直しに関する具体策」におきまして、「高速道路料金の引下げなどによる既存高速道路ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずる」というふうにされたところでございます。

 この新たな措置につきましては、「二十年の通常国会において、所要の法案を提出する。」というふうになっておりまして、その具体的な内容につきましては、平成十九年度に料金引き下げが交通量に与える効果あるいは影響を把握するために行います料金の社会実験、これを今政府原案では三百六十億の社会実験の予算を提出しておりますが、それをもって料金の社会実験を行います。その結果も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

岡部分科員 ありがとうございます。

 平成二十年に法案が提出されるということでございます。その中に、地元の、そういう地域の声が、そしてまた政策として実施可能なように、ぜひ前向きに御検討願いたいと思いますし、私も頑張っていきたいというふうに思う次第でございます。

 次に、日立にあります日立港についての御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 茨城県には、日立港、常陸那珂港、大洗港、鹿島港という四つの大きな重要港湾がございます。これらの重要港湾は、茨城県における国際、国内海上輸送の拠点としてばかりではなく、日本全体の物流という意味で大きな役割を担っているわけでございます。

 特に、私の地元の日立市にあります日立港でございますが、茨城県の中で最も県北にございます。そして、地元の日立製作所の背後企業の製品輸送港として、そして北海道の釧路港から新鮮な牛乳を毎日首都圏に輸送しております。茨城県のみならず首都圏の住民生活や産業活動を支えている重要な港湾だというふうに認識しているわけでございます。

 しかし、一方で、海の天候、しけるときに荷役が遅延するというような状況もあるというふうに聞いております。それというのも、沖の堤防が、工事の方の進捗状況が、まだまだ整備されていないという状況でございます。ぜひ一刻も早く整備を進めていただき、そのような状況が少しでも解消されるように望むわけでございます。

 日立港、重要な港湾ではございますが、やはり昨今のいろいろな悪い経済的状況がある中で、荷役が減っているという、ポートセールスの意味においても非常に厳しい状況にあるわけでございます。そういうマイナス部分といいますか、そういうものを早く解消して前向きに検討できるよう、地元からの声もあるわけでございます。ぜひ日立港の整備というものをお願いしたいわけでございますが、国土交通省さんの日立港に対する今の認識と今後の取り組みについてよろしくお願いしたいというふうに思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、日立港の現状でございます。

 日立港は、茨城県北部に位置する重要港湾でございます。日立市を中心とした背後地域企業からの大型重量貨物の国内外への輸送とか北海道の生乳など生鮮食料品の首都圏への輸送等に重要な役割を果たしております。委員御指摘のとおりでございます。

 現状では、平成十七年の港湾統計によりますと、取扱貨物量、これは年間約五百万トンを超えております。入港隻数は年間約二千五百隻でございます。また、現在、北海道航路など四つの定期航路が就航をしております。

 次に、日立港の整備でございます。

 現在、港湾管理者であります茨城県におきまして、港内の静穏度の確保と船舶航行の安全性、定時性の向上を目指しまして、本港地区におきまして沖防波堤の整備が推進されております。また同時に、第五埠頭地区というところにおきまして、本年度の完成を目指しまして水深十二メートルの泊地の整備もやっておるところでございます。

 今後の日立港の整備でございますけれども、委員御指摘のように、日立港における静穏度の確保が最大の課題だと認識しております。静穏度の向上を図るための沖防波堤の整備を引き続き促進してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、茨城県北部地域の産業拠点、流通拠点として重要な役割を担っている日立港の整備促進、さらに利用振興につきましても、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

岡部分科員 ありがとうございます。

 大変力強い、前向きな御回答だというふうに認識し、期待をするところでございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地元からちょっと離れますが、現在政府の方で行っているビジット・ジャパン・キャンペーンについてお伺いしたいというふうに思います。

 訪日の外国人数が非常にふえている。二〇〇二年には五百二十四万人だったのが、昨年、七百三十三万人という、過去最高を記録した。二〇一〇年の一千万人という目標に対しまして順調に進んでいるのではないかなと認識しております。

 特に、訪日韓国人の数が非常にふえている。二〇〇六年に日本から韓国へ渡航した日本人が二百三十四万人、逆に韓国から日本に来た方が二百十二万人。もしかすると逆転してしまうのではないか。日本から行く数と韓国から来る数が、もう隔世の感があるなというふうな気がするわけでございます。

 その中にあって、韓国から来る方、アジアから来る方が、全国各地の地方の空港を利用しているということでございます。例えば福島空港なんですが、日本人の観光客、利用者数というものが減少傾向にある。しかしながら、韓国人の利用客の方が約一五%ぐらいふえている。

 そういう意味では、一時期、地方の飛行場をつくり過ぎではないかなという一部の御意見もあったわけでございますが、今ここに来て、やはり非常に地方の飛行場というものが、改めて地方にとっては大事なものになってきているというふうに私は思うわけでございます。そして、それも国の政策で、やはりビジットキャンペーンの中で、いろいろ国の政策が、観光ビザの規制緩和だったり、またいろいろな誘致策というものが効果を上げてきているというふうに考えるわけでございます。

 これからの地方、大変厳しい状況にございます。観光というものも一つの目玉として、やはりそういうものを今後も、ビジットキャンペーン、地方の活性化につながると思いますので、ぜひ頑張っていきたいと思います。

 その点につきましても、国土交通省の今後の意気込みというものをぜひお伺いしたいというふうに思います。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 ビジット・ジャパン・キャンペーンにおきましては、訪日外国人旅行者の数の多い十二の国、地域を重点市場といたしまして、対象国、地域の市場特性に応じまして、海外メディアを通じた日本の観光魅力の発信でございますとか、海外の旅行会社を招いての日本向けツアーの造成支援、海外における旅行博への出展といった取り組みを進めております。

 こうした中で特に、地方自治体の方々がこれらの事業に取り組む場合につきましては、地方からの要望を受けつつ、日本ブランドということにも心がけながら、当該地方公共団体と連携、共同してこれを実施しているところでございます。

 これらの取り組みによりまして、先生御指摘のとおりでございますが、昨年度は七百三十三万人という過去最高の記録を達成いたしました。二〇一〇年に一千万人という目標に向けて着実に増加しているというふうに考えております。

 今後とも、これは交流人口の拡大を通じた地域の活性化ということでも大変重要な事業だというふうに思っておりまして、これまでの事業の評価を踏まえまして、より効果的、効率的な事業の実施に努めるとともに、さらなる市場の開拓、リピーターの増加等も含めまして対応していきたいというふうに思っております。

 特に本年は、我が国と距離的にも近く、経済、文化の密接な交流がございます中国、韓国との観光交流の拡大を図るために、日中国交正常化三十五周年、また朝鮮通信使四百周年といった機会を活用した交流事業を積極的に展開したいというふうに考えております。

岡部分科員 ありがとうございます。

 とはいっても、まだまだ世界の観光大国から比べると見劣るところがありますので、ぜひ今後も頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そして、関連いたしまして、茨城県の方でも、航空自衛隊百里基地の民間共用化ということで事業が進められているわけでございます。平成二十一年度に供用を開始するという期待があるわけでございます。現在の取り組み状況というものをぜひお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 百里飛行場の共用化につきましては、茨城県地域の航空需要に対応するため、平成十三年度に新規事業として事業化が認められました。その後、環境アセスメント等の手続に若干時間を要しておりましたが、平成十七年七月九日に無事、現地で起工式を行いました。私も当時航空局の次長をしておりまして、現地へ行かせていただきました。

 現在、共用化に必要となる滑走路や民航ターミナル地区等の整備を進めておりますが、今年度の予算におきましては、当初予算で三十二億円、それから社会資本整備事業調整費というところから十四億円を確保いたしまして、事業の進捗を進めているところでございます。一般空港をめぐる財政状況は大変厳しいものがございますけれども、そういう中で、今後も引き続きいろいろな工夫を凝らしながら、早期供用に向けて事業の進捗を進めてまいりたいと考えております。

 また、投資効果を最大限発揮するためには、百里飛行場の共用化後により多くの方々に利用していただく、また、より多くの路線を張っていただくということが大変重要だと思っております。

 この方面では、百里飛行場ということですと、やはり県外での知名度といいますか、なかなかわかりにくいという面がございますので、地元の茨城県の方で愛称の公募というのをやっておられました。本年一月に県の方で茨城空港という愛称も決定していただきまして、これを看板として、時刻表でもこちらの方で載せていただきますので、茨城空港ということで、県を中心として、地元が一丸となって積極的に利用促進に取り組んでいただくことが重要だと考えております。私どももしっかり支援してまいりたいと思っております。

岡部分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 最後の質問になるんですが、よく国会等で、タクシーの運転手さんの給料が非常に厳しいというお話が出ております。統計調査によりますと、全産業平均が五百二十二万円という数字の中のタクシー運転手さんの年間所得が三百二万円という、大変厳しいものになっているというふうに聞いておるわけでございます。

 そういう一方で、今百六十六回の通常国会においてもタクシーに関する法案が提出されるというふうに聞いておるわけでございますが、私が聞いていますと、個人タクシーの運転手さんに聞きますと、やはり法人タクシーよりも収入がやや高いようなお話を聞くわけでございます。聞くと、十万ぐらい高いのかなというようなお話を聞くわけでございます。

 もう一方で、個人タクシーになるには、年齢にもよるんですが、十年間無事故無違反、そういう基準もあるように聞いております。もう少しその基準を、個人タクシーさんがなりやすいように、もちろん、運転手さんの質の低下につながるようなことではいけないと思うんですが、所得がふえるという可能性が高いのであれば、そういう方向というものも検討に値するのではないか。それがひいては、やはりいろいろな意味でのタクシー運転業の向上にもつながりますし、安全性にもつながるのではないかなというふうに思うわけでございますが、その辺の国土交通省さんのお話をぜひ聞きたいというふうに思います。

岩崎政府参考人 先生も御指摘いただきましたように、やはりタクシーについての安全、安心が非常に重要であると思っております。法人たる事業者が、過労運転がないだろうかとか、あるいは運転手の健康状態がどうであるかとか、運行管理あるいは車の整備管理、こうした責任を負いながら運転手を適切に指導監督していくというのが今の法人タクシーのシステムでございますが、これが我が国のタクシーの水準を保ってきたもの、このように思っております。

 個人タクシーになりますと、そうしたことを全部運転手がみずから負わなきゃいけないということでございますので、やはり厳格な許可要件を定めた上で慎重に対応していくことが適切だろうと思っております。

 ただ、先生おっしゃるとおり、タクシー運転手の賃金の問題、これにつきまして、基本的には労使の問題ではありますが、やはり適切な労働環境を確保していくというのは重要だろうと思っております。厚生労働省と連携しながら、最低賃金法違反のおそれのある場合に指導をするとか、あるいは、現在、タクシーの値上げ、運賃改定の申請が出ておりますけれども、そうしたことに適切に対応しながら対処してまいりたいと思っているところでございます。

岡部分科員 どうもありがとうございます。

 大臣にはきょうは御質問いたしませんでしたが、きょうの議論、地方にとってはまだまだ社会資本というものが地域の発展にとって大切であるということを最後にお願いいたしまして、きょうの質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

赤松主査 これにて岡部英明君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、三ッ矢主査代理着席〕

三ッ矢主査代理 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)分科員 民主党の鈴木克昌でございます。

 私は、きょう、地元であります東三河の交通基盤整備、そしてまた今後の基本的な進め方等について、お時間をいただいて質疑をさせていただきたい、このように思っております。

 まず、東三河、これはもう皆さん御案内かもしれませんけれども、三河港を中心として、臨海部そして内陸部というふうに分かれておるんですが、特に臨海部を中心に生産拠点が集中をいたしております。ある意味では愛知県の工業出荷額を、豊田市ほどではないんですが、担っておるということが言えるのではないかなと思います。当然のことながら、三河港は、自動車の輸出入の拠点ということで大変な急成長をいたしております。

 ただ、現状は、国道一号線が通っておるということでありますが、あとは委任国道と県道で賄っておるというのが実情でありまして、国道一号線は慢性的な渋滞状況である。したがって、それがまた産業基盤の脆弱性を示しておるということにもつながるのではないかなと思います。

 それと同時に、全く逆の状況で、山間部につきましては大変な過疎化が進行いたしております。特に、いわゆる道路整備のおくれというものが過疎化をどんどん進めておるというような状況でございまして、その両面にわたって、きょうはちょっと御質問させていただきたい。

 したがって、産業基盤としての道路整備、それから生活基盤としての道路整備ということでございます。

 産業基盤としての道路整備は、国が進めていただいておる地域高規格道路であります名豊道路を中心にきょうは伺ってまいりたい。それから、生活基盤といたしましては、私は、きょう特に大臣初め皆さんにお聞きいただきたいのは、人口で、要するに費用便益という形で議論をされてしまうと、人口の弱いところはどうしても整備が置いていかれてしまうということでございまして、この辺をどんなふうな形でお考えになっておるのかということも含めて、少し時間をいただきたいというふうに思います。

 まず最初に、三遠南信道路でございます。この道路は、言うまでもなく、長野県、静岡県、そして愛知県という三県をまたぐ道路でございます。とりわけ、日本の中央を南北といいますか縦軸というのか、それを走るまさに重要な道路でございまして、先ほど申し上げました港を初め、生産拠点をつなぐという意味で非常に重要な道路だというふうに思っております。

 したがって、三遠南信と言いますが、きょうはその三遠部分、三遠道路について、現在の進捗状況、そして今後の取り組み等について、まず最初にお聞かせをいただければありがたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 三遠南信自動車道は、飯田市から浜松市に至る約百キロの高規格幹線道路でございます。

 そのうち三遠道路、二十一キロでございますが、平成五年から事業に着手をして、鳳来インターから引佐ジャンクションまで延長十三・九キロにつきましては、十九年度内の供用を目標に事業を進めてまいりました。

 しかしながら、当該区間のうち最も延長の長い三遠トンネル、延長が四・五キロございますが、この掘削については、中央構造線と交差するため、難工事となっております。専門家の指導のもとに掘削を推進しているところでございますが、現在、約六割に相当する二・六キロの掘削を完了した状況でございます。

 このために、本区間の平成十九年度内の供用というのは困難な状況というふうに認識しておりますが、三遠トンネルの掘削にめどがつき次第、新たな供用時期を公表したいと考えております。

 この区間に続きます三遠道路の東栄―鳳来間七キロにつきましては、現在、調査設計を進めております。地元の皆様の御理解、御協力を得つつ、工事区間に引き続き、着実に事業を推進してまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 今、三遠道路につきまして御説明をいただきました。とりわけ三遠トンネルが大変な難工事であるということでございます。

 しかし、十九年に供用開始目標であったということで、地元としては、まさに本当に大きな期待をいたしております。私は工事の専門家ではありませんし、その難しさというのはよくわかりませんけれども、何とかひとつ、集中的な財源の投入も含めて、十九年は無理であっても、地元の期待にこたえて、ぜひ早急に御整備をお願い申し上げたい。

 それから、東栄―鳳来の間の七キロでございますが、調査中ということでございます。しかし、道路というのは、つながって初めて効果があるわけでございますので、やはり縦軸として、この部分についてもひとつさらなる精力的なお取り組みをこの場でお願い申し上げておきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、二つ目の質問でございます。

 これも私の選挙区の話で大変恐縮ですが、先ほど申し上げた、どちらかというと臨海部よりも山間部の方の話になるわけでありますが、国道百五十一号線というのがまさに縦で走っております。

 しかし、これは、私も毎週のように地元へ入るわけでありますが、本当に狭隘でございます。そして、ある意味では、いつ大きな事故が起きてもおかしくないというような状況でございまして、もちろん、鋭意、視距改良を含めてやっていただいておることは十分承知をいたしておるわけでありますが、とりわけ、三輪バイパス、そして豊根拡張、また新城バイパス、一宮バイパスということで、非常にこれは長い道路でございます。

 したがって、いろいろと御苦労いただいておることは十分承知をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、まさに地域の人々の生活道路ということでございます。山の人々にとっては、道路がまさに命だということも言えるわけでありまして、いわゆる交通の難所、一五一のそれぞれの箇所についての現在のお取り組み、そしてまた今後の見通しについて、詳しく御説明をいただければありがたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 百五十一号につきましては、愛知県におきまして、三輪バイパス、豊根拡幅、新城バイパス、この三カ所の改築事業を行ってございます。

 三輪バイパスにつきましては、現在、用地買収、工事を推進しておりまして、平成二十年度に供用する予定でございます。

 豊根拡幅につきましては、これまで二・六キロを供用してございますが、残る八キロにつきましては、用地買収を完了し、工事を進めております。平成十九年度に供用する予定でございます。

 新城バイパスにつきましては、全体八・七キロですが、六・八キロをこれまでに供用しておりまして、残り一・九キロ、用地買収、改良工事を現在進めているところでございます。早期供用に向けて事業を推進してまいりたいと思います。

 一方、一宮バイパスでございますが、当該地域で土地区画整理事業が起こっておりますので、それとも調整しながら、事業着手の時期について検討していくというふうに聞いております。

 国土交通省としましては、愛知県からの要望を踏まえ、必要な支援を講じてまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 ありがとうございました。

 三輪バイパスが平成二十年、豊根拡張が平成十九年ということでお示しをいただいたわけであります。

 先ほどから申し上げておるように、地元としては期待の非常に大きい道路でございます。しかも、生活道路として、この道路がなければ、救急車で下流域の病院に行くにも大変な時間がかかってしまうということでございます。医療格差とか生活格差というものを解消する意味においても、この道路の必要性というのはもう既に十分御認識をいただいてはおるわけでありますが、さらにひとつ、スピードアップした整備、そして財源の投入を、ぜひこの場をおかりしてお願い申し上げたい、このように思う次第でございます。

 さて、三点目でございますが、名豊道路でございます。

 私は前職は蒲郡の市長をいたしておりまして、私の市長の最大の仕事と言うとしかられますけれども、名豊バイパスの陳情に、毎年毎年繰り返し、何回お邪魔したかわからないようなことでございますが、何せ、豊橋そして名古屋を結ぶ七十三キロという大変な長い延長でございます。しかし、おかげさまで、万博を契機に、あのところは相当集中的な財源投入をしていただいて、よくなってまいりました。しかし、残念ながら、いわゆる私の地元というと恐縮ですが、蒲郡部分が全く欠落をしておるということでありまして、このことについて、私も非常にあれを感じております。

 したがって、蒲郡インターについては後ほどお伺いをいたしますが、まず、この名豊道路の現在の状況について、とりあえずお示しをいただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 名豊道路は、御指摘のように、延長七十三キロの地域高規格道路でございます。

 これまでに、知立バイパスの全線供用を初め、延長三十九キロ、全体の五四%でございますが、供用してございます。この二月二十六日には、豊橋東バイパス、七根―野依間二・三キロを供用したところでございます。また、三月二十六日には、岡崎バイパスの五・五キロを供用する予定でございます。

 名豊道路の事業につきましては、交通需要、渋滞の状況に対応いたしまして、名古屋側から豊橋側へ逐次整備を進めるとともに、委員御指摘のように、三河港に発生集中する物流を適切に分配するために、三河港周辺の立体化についても優先的に整備を進めているところでございます。

 今後とも、整備を推進し、早期完成が図られるよう努力をしてまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 続いて、冒頭申し上げました蒲郡インターについて、ここは九・一キロということなんですが、非常に急峻な地形でございます。恐らくトンネルと橋梁といったような構造物が連続するということでございますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、この部分だけが未着工ということでございます。私も、何としてもひとつ、私の目の黒いうちにここだけは通していただきたい、完成させていただきたい、このように切なる願いを持っておるわけでありまして、特にこのところについての見通しを御答弁いただけたら大変ありがたいというふうに思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 名豊道路唯一の未事業化区間であります蒲郡バイパスでございます。蒲郡インターから東三河インターまで九・一キロ、この区間につきましては、委員御指摘のように、トンネル、橋梁等の構造物が連続いたします。非常に工事費がかかる道路区間ということになりまして、コスト縮減の観点で道路構造の検討を鋭意進めておりますが、この区間の事業着手時期につきましては、現在事業中の前後区間の進捗状況を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 私も、もう十数年、ここの陳情をずっと続けておって、検討いたします、工法をよく考えますというような御答弁を毎年伺ってきておるわけでありますが、このままでいきますと、目の黒いうちにここを通らせていただくことができるのかなというふうに心配をいたしております。

 しかし、難しいところではあっても、現在の技術、そしてこの道路の必要性を本当にお感じいただければ、もう一歩、半歩といいますか、一歩進めていただくことは可能じゃないのかなというふうに私は思っておりますので、ことしも大臣を前にもう一度、何としてもひとつ、ここの部分だけは、だけはと言うとしかられますが、この部分については本当にお願いしたいということを強調させていただきたいというふうに思います。

 次に、五番目でございますが、市町村合併に伴って、先ほどちょっと医療の話もいたしました。実は私、きょう、一つの例をお話ししたいと思うんです。

 かつて、愛知県で一番、愛知県というか日本で一番小さな村というのが、富山村というところがございました。今は豊根村と合併をいたしましたので、豊根村富山ということになっておるわけでありますが、そのところは、豊根村まで出るのに数十分かかる、しかも冬場には凍結や崩落等で通れなくなるときもかなりあるというようなことであります。まさに、生活道路というよりも命の道路と言ってもいいと思います。救急車が走るについても大変な状況でございますし、富山の皆さんが病気になったらどういうふうになるんだろうかというような状況でございます。

 そこで、実は、合併のときに、新霧石トンネルというトンネルを何としても、合併の条件ということでもなかったんですが、富山の皆さんについては、ぜひひとつ、豊根村と合併するときにこのトンネルを検討してもらいたいというような話になっておるやに伺っております。もう一カ所、これは豊根の中でありますが、阿南東栄線というところがございまして、そこも大変急峻な道でございます。車がすれ違えないようなところでございまして、ループ橋の計画がございました。

 ここで、いわゆる新霧石トンネル、そしてこのループ橋、この二つが現在どんな状況になっておるのか、お示しをいただければありがたいというふうに思います。

宮田政府参考人 冒頭、先ほどの答弁でちょっと数字を間違ったようでございます。百五十一号の豊根拡幅、残る八キロと申し上げましたが、〇・八キロでございます。申しわけありません。

 お尋ねの市町村合併支援のトンネルあるいはループ橋でございますが、豊根村三沢から漆島間を結ぶ三・五キロのトンネル構想でございまして、合併を機に、構想の具体化に向けて地元の期待が高まり、平成十七年度から県の単独事業でその実現性について調査を実施しているというふうに愛知県から聞いてございます。

 一方、主要地方道阿南東栄線でございますが、豊根村から古真立津具線までの区間六百二十メートルにつきまして、愛知県におきまして、平成七年度から拡幅整備を交付金事業で実施しているところでございます。平成十四年度におきましては、このうち三百四十メーターの拡幅が完了しておりまして、残る区間二百八十メーターにつきましても、平成十五年度より、合併支援を進めるべく整備を進めているというふうに聞いております。

 その先の下黒川―小田峠までの二キロ区間というのは、さらに地形が急峻でございます。ループ橋等地形を考慮した道路構造の検討が必要でございまして、道路計画も含めた整備手法の検討については今後の検討課題というふうに愛知県から聞いてございます。愛知県からいろいろ御相談があれば、対応してまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 ぜひ県の方からも国に対して要望をしていただくように私も進めさせていただきたいと思いますので、その節には前向きに御検討いただきたいということをこの場でお願い申し上げておきたいと思います。

 さて、大臣、済みません、先ほど来から私、いろいろと地元の事情をお話ししてまいりました。旧富山村の皆さんのお話を申し上げるまでもないんですが、ややもすれば、まず道路を費用対効果というような形で考えられてしまえば、やはり山間地の、そして僻地の道路整備というのはおくれていってしまうわけであります。大臣の所属されておる政党は、弱者に目を向ける、そして本当に国民の命を守るということだと思います。これはもちろん、御党のみならず、政治の場にある我々共通のものでございますけれども、特にそういう意味で、私は大臣のそういったお考えを期待しておるわけでございますが、今までの状況をお聞きいただいた状況で、大臣の御所見をいただければ大変ありがたい、このように思います。

冬柴国務大臣 地域間の交流とか連携の促進や産業を支えるというだけではなしに、日常生活を支えるための地域のネットワークとしての道路整備、これは非常に重要だと思います。鈴木委員が御指摘になりましたように、辺地における高度医療施設等への広域的なアクセスの強化ということも、また災害に強い道路整備が必要であるということもよくわかっております。そういう意味で、道路整備は本当に必要な政策だと心から考えております。

 このため、国土交通省としましても、広域交通を支える高速道路から日常生活を支える市町村道まで、道路のネットワークを体系的に整備を進めなければならない、このような認識をいたしております。

 今後も、なかなか厳しい財政事情ではありますけれども、地域の生活基盤を支える道路整備につきましては、重点化、効率化を図りつつ取り組んでまいらなければならない、こういう認識でおりますので、どうかよろしくお願いいたします。

鈴木(克)分科員 ありがとうございます。

 先ほど来から、あと二百メーターとか四百メーターとか、この部分が結局ネックになっておるわけですね。もちろん、非常に急峻で難しいということはよくわかるんですけれども、それだけに、結局、地域としては切なる夢というか希望があるわけでございまして、今大臣がおっしゃっていただいたそういう考え方でぜひお進めをいただきたいし、また整備をしていただきたいというふうに思います。

 さて、残り時間も少なくなってまいりました。先ほど冒頭に申し上げました三河港について、少しお話をさせていただきたいと思います。

 実は、私の地元蒲郡港が、この前、外国船入港一万隻という祝いがありました。これは先人の苦労のたまものだということで、心から感謝をいたしておるわけであります。しかし、その蒲郡港は三河港の一部ということでございまして、蒲郡港を含めた三河港の整備について、今どんな状況になっておるのか、お示しをいただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、三河港の現状でございます。三河港は、背後地域に複数の自動車メーカーが立地する世界でも有数の自動車産業の拠点であります。また、我が国有数の輸入自動車の基地ともなっております。平成十五年五月には、国際自動車特区の認定も受けております。

 また、中部地域におきまして、国際海上コンテナ物流の拠点としても重要な役割を果たしてきておりまして、現在では、中国、韓国航路など六つの定期航路が開設されております。その結果、国際海上コンテナ取扱貨物量が平成十二年から十七年の五年間で三倍を超える伸びを示すなど、大きな発展をしてきております。

 次に、三河港の整備でございますけれども、現在は、三河港の神野地区の暫定供用中の多目的国際ターミナルというのがございまして、これの完全供用のため、水深十二メーターの航路泊地の整備を行うなど、地域の産業、物流の拠点として必要な機能の確保に努めているところでございます。

 今後の三河港の整備につきましては、我が国トップクラスの自動車産業あるいは輸入自動車の流通拠点として、また東三河地域経済圏の物流拠点として三河港が期待されている役割を果たすために必要な港湾機能強化を引き続き促進してまいりたいと考えております。

鈴木(克)分科員 蒲郡港を含めた三河港の整備、ぜひひとつお進めをいただいて、過疎山間地と逆の、いわゆる臨海部の発展のもとになるようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 最後の質問になろうかと思いますが、山は人間を元気にしてくれる、海は人間の心をいやしてくれる、こういう言葉がございますが、まさに愛知県にとって、東三河にとって、三河湾は宝であるというふうに私どもは思っております。ただ、その水質が本当に汚れてきておるわけでありまして、環境問題、特に三河湾の水質そして底質等の状況、また、水質改善にどのように取り組んでみえるのか、その点をお示しいただきたいというふうに思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、三河湾の水質等の現状でございますけれども、水質の現況につきましては、平成十七年の化学的酸素要求量、これはCODと呼んでおりますけれども、これで見ますと、湾奥部では環境基準を達成しております。ただ、湾中央部ではいまだ環境基準が達成されていない状況でございます。

 また、底質に関しましては、平成十八年の夏の底層の貧酸素水塊の状況で見てみますと、すべての底生生物の生存が困難な状況が湾奥部から湾央部を中心に広がっておりまして、前年より広範囲に出現しております。

 これまで、三河湾におきましては、三河湾入り口の中山水道航路というのがありますけれども、この航路の整備に伴って発生するしゅんせつ土砂の活用などによりまして、国土交通省及び愛知県が、平成十年度から十六年度にかけまして、湾内三十九カ所で約六百二十ヘクタールの規模の干潟とか浅場造成、覆砂を実施してまいりました。その結果、例えば蒲郡市の西浦地区に造成しました干潟周辺では、平成十八年におきまして底質のCODが周辺海域より低いことが確認されております。さらに、他の覆砂の実施箇所でも、水質などの改善が見られております。

 また、さらに、中部地方整備局を初めとする関係省庁及び関係地方公共団体などが、平成十八年二月に、三河湾を含む伊勢湾地域を対象といたしました伊勢湾再生推進会議を設置しまして、今月までに伊勢湾再生行動計画を策定することにしております。

 国土交通省といたしましては、策定されました伊勢湾再生行動計画に基づきまして、引き続き三河湾の環境改善に取り組んでまいる所存でございます。

鈴木(克)分科員 どうもありがとうございました。

 道路、そして港について御所見を賜りました。先ほど大臣から大変心強いお話を賜りましたので、楽しみにこれからも頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ矢主査代理 これにて鈴木克昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、郡和子君。

郡分科員 民主党の郡和子でございます。きょうは、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 民間損害保険会社のずさんな支払い管理体制というのが問題になっております。御承知のように、自動車保険をめぐっては不適切な支払いというのが問題になりまして、金融庁も業務改善命令を出したわけですけれども、依然として不払いというのが後を絶たず、この問題が、医療保険の、いわゆる第三分野での業務停止という問題にまで広がっております。

 一方、自動車事故での補償にかかわるいわゆる自賠責の障害認定、この認定をめぐっても異議申し立てというのが大変増加をしているということです。私の地元の仙台でも、自動車事故によりましての後遺障害の認定をめぐって裁判になっているという件もございます。

 そこで、きょうは、自賠責保険の査定、後遺障害の認定のあり方について質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 自賠責保険の後遺障害の認定ですけれども、等級認定、この異議申し立てというのが大変ふえているというふうに承知しているんですけれども、損害保険料率算出機構の自賠責保険審査会の審査の結果、等級変更というのが認められたのは何件で、審査件数に占める割合はどれぐらいになっているのか。また、自賠責保険・共済紛争処理機構への申請の件数と等級変更の件数、その割合をまずお教えいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 自賠責保険の後遺障害の等級認定でございますが、保険会社への異議申し立て、これが平成十五年度、四千三百五十一件、平成十六年度、五千二百八十四件、平成十七年度、五千四百九十七件でございます。それから紛争処理機構への申請でございますが、十五年度、二百三十一件、十六年度、三百三十五件、十七年度、四百十九件でございます。

 そのうち、等級変更があったものでございますけれども、保険会社への異議申し立てを受けて変更があったもの、これが平成十五年度、五百二十八件、変更率で一二%でございます。平成十六年度は四百八十七件、九%、十七年度は六百六十四件で変更率一二%となっております。紛争処理機構への申請で変更になったもの、平成十五年度、三十件で一三%、十六年度は五十二件、変更率一六%、十七年度は五十八件で変更率一四%となっております。

郡分科員 今、数字をお示しいただきました。等級の変更というのが一〇%を超えているということについてどのようにお感じなのかもおいおい伺いたいと思います。

 この後遺障害の認定というのは、一級から十四級までの等級があるわけでございますけれども、審査会それから紛争処理機構の等級変更というのが最大でどれぐらいの等級の幅があったのか、これを次にお答えいただけますでしょうか。

 また、この件に関しては、裁判も大変たくさん起こされているわけですけれども、裁判によってはどういう状況なのか、その辺も御説明いただきたいと思います。

岩崎政府参考人 平成十七年度の実績でございますけれども、保険会社への異議申し立てによりまして後遺障害の等級が変更されたケースの中で最大の変更は、十四級から九級への変更、それから十二級から七級への変更、それから非該当であったものが十級に変更した、こうした例がございます。

 それから、紛争処理機構でございますけれども、こちらの最大の変更例は十四級から八級でございました。

 裁判においては、すべてのケースを承知しているわけでございませんけれども、非該当から三級になったというケースがあったと承知しております。

郡分科員 今のお話を伺って、私も改めて驚きましたけれども、非該当から裁判によって三級にまで認定が変わったという方もおられる、あるいは処理機構でも随分と大きな変更幅があるということです。これは、下がったということではなくて上がったということがまさに問題なんだろうと、今お話を聞いて改めて認識をさせていただきました。

 こういうふうに、異議の申し立て件数がふえており、そしてまた裁判も多く起こされていて、そこでの等級の変更も今お話があったようにかなりの幅で行われているということを考えますと、やはり損保会社の認定、査定のあり方に問題があるのではないかというふうに思わざるを得ません。

 この異議申し立てというものについて、無料で後遺障害のアドバイスをしているNPOの団体がございまして、インターネットで検索をするとすぐ出てまいりますけれども、事故一一〇番なんでしょう、事故一一〇・ドット・コム、ここには一日に百件以上の相談が寄せられていると伺いました。この事故一一〇・ドット・コムの主宰者が、紛争がふえるのはあいまいな認定のせいである、症状の見方一つで補償額が大きく変わってくるのだというふうに指摘をされています。

 私の地元仙台でも、交通事故の被害に遭われた方、歩道を歩いていらっしゃって、ガソリンスタンドから出てきた車にはねられたわけなんですけれども、その方は当初は非該当ということだったそうであります。しかし、その被害者の方が算出機構に異議申し立てを行いました。その結果、昨年の一月に五級六号の後遺障害というふうに認定を受けられています。病名は交感神経ジストロフィーということでして、右の腕、壊死状態、全廃という診断でございました。

 しかし、これに不服ということだったのでしょう、今度は自賠責保険の請求手続の窓口となった保険会社が異議申し立てをいたしまして、その年のうちに、今度は五級六号の認定から十四級九号に等級が変更になったということでございます。この間、算出機構の仙台自賠責損害調査事務所による調査のために被害者らが呼ばれたということは一切ございませんでした。

 労災保険の場合ですと、顧問医が被害者を診察して障害等級というのを認定するわけでございますけれども、算出機構の自賠責損害調査事務所では、顔の醜状痕の認定の場合のみ被害者と面談をするということでして、そのほかは面談を行っていないということですけれども、この確認をさせていただきたいと思います。

 この被害者との面談というのが、やはり認定作業、不服申し立てが出されている場合は特に必要ではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

岩崎政府参考人 自賠責保険の請求でございますけれども、先生も御案内のとおり、年間百四十万件に上っております。迅速な支払いによる被害者の早期救済の観点から、まずは書面にて請求をいただき、書面審査のみで判断できる場合は、直接面談等を行うことなく支払われているところでございます。

 それから、今お話しの後遺障害でございますけれども、これも年間十万件ぐらい請求が来ております。特にまた、判定の難しい高次脳機能障害、こうしたものは年間で三千五百件ぐらいございますので、繰り返しになりますけれども、迅速な支払いといった観点から、書面の請求というのを原則にしているわけでございます。

 しかしながら、事案によっては、やはり提出された書面のみでは損害額等の判断ができない場合がございます。そのような場合は、追加の資料の提出を求める、あるいは被害者の方に直接面談する、事故現場の実況見分を行う、こんなことで対処していると承知しております。

郡分科員 今の、書面での審査をするのだと。これは、いろいろと医療記録なども出されることなんだろうと思います。後遺障害の診断書でありますとか、それからXP、CT、MRIの画像などを見て、これをもって診断して等級認定をされるということなんでしょうけれども、今お話にありましたように、高次脳機能障害などは大変認定が難しくて、その場ですぐさま診断が下せるものではないというふうに聞いております。

 大変難しい診断を書面のみでできるのか、また追加の資料の提出、またはそれでもかなわないときには面談も行っているということですけれども、これがどの程度行われているのか。行うことになっているということであって、実際に面談を行っている件数がどれほどあるのかというところまでしっかりとお調べになっていらっしゃるのかどうか、把握されていらっしゃるのかどうか。文言では、文書には、いろいろな通知にはそういうふうに書いてあるけれども、実際それが実効性が上がっているのかどうかというところ、どういうふうに把握されているのかというふうに私は疑問に思わざるを得ません。

 先ほど私が御紹介を申し上げました仙台の被害者の方ですけれども、これは地元のお医者様に、専門医の方々に直接診断を受けて、何度も何度も通って診断を受けまして、交感神経ジストロフィー、先ほども申し上げましたが、こういうふうな診断を受けたわけでございます。おととしには身体障害者二級を認定されまして、障害者年金給付も受けておられます。この方によりますと、この間、異議申し立てをしました間、一度も面談ということはなかったというふうに話しておられます。

 少なくとも、異議申し立てという事案ですとか後遺障害の等級の認定に関する事案などにつきましては、本人そしてまた主治医をしっかりと呼ぶ、あるいは要望書などをしっかりと勘案して、直接にお話を伺うのが適当だと思います。そういう制度を、必ずそういうふうにするのだというふうな制度をしっかり設けるべきではないでしょうか。

 異議申し立て事案、後遺障害の等級認定に関する事案について、保険会社の異議申し立ての内容だとか等級変更の理由などについて、被害者については資料の開示あるいはしっかりとした説明というのはなされているのでしょうか。

岩崎政府参考人 これは後遺障害も含めてすべてでございますけれども、自賠法の十六条の四第二項に基づきまして、保険会社が保険金の支払いを行ったときは、支払い金額の算出根拠を記載した書面を交付しなければならないとされております。後遺障害の場合についても同様でございまして、当該等級に該当すると判断した理由、これも記載しなければならないということになっております。

 異議申し立ての結果、等級が変更された場合、こうしたものを含めて、もちろん書面によって説明する必要があります。私どもの方も、被害者の方に保険会社が十分説明を行うよう適切に監督を行っていきたいと思っているところでございます。

郡分科員 確かに法律の中に書面による説明というのが書いてございますけれども、私の手元には、その書面での説明だろうと思うんですけれども、これを今手に持っているところですけれども、ここに書かれているものを見ますと、見た上で、その被害者の男性は、納得ができない、自分が提出した医師の診断書あるいはさまざまな検査データとは違う所見が書かれていると。

 これは何を意味するのかということを考えてみたいと思うんですけれども、損保会社に被害者の男性が書類をお渡しした、医師の診断書も含めてお渡しした。しかし、それがそのまま算出機構なりに渡っているのかどうか甚だ疑問が残る、その書面を、さらに提出されているものをすべて開示してほしいというふうに要望が出ております。そういうふうな要望が出た場合にかなうものですか。

岩崎政府参考人 私の手元にも書面のサンプルを一つ持っておりますけれども、比較的公平にきっちり理由を書いているなと思っているところでございますが、そうしたケースで被害者の方から資料の開示請求等があった場合には、できるだけ開示に応じるよう、その損害保険会社等々に指導してまいりたいと思っているところでございます。

郡分科員 そうだと思うんです。やはり審査会に実際に異議を唱えるとしても、この審査会に弁明をする機会も与えられない。それからまた、資料も確認するすべがない。これはやはり被害者にとっては大きな不利益だろうと思います。

 自賠責保険というのは強制保険でありまして、被害に遭われた方々の最低の保障をするいわばセーフティーネットでして、国がそれを、制度をいわば保険会社に肩がわりしてもらっているという言い方はちょっとあれですけれども、そういうものだろうと思います。やはり被害者の方々の利益というのを考えるのが第一であろうというふうに思うわけであります。

 民事訴訟でも刑事訴訟でもそうでありますけれども、そういう弁明の機会、資料確認の機会というのがあるわけでして、ぜひそういうものもこの制度の中にしっかりと盛り込むのが筋であろうと思います。御要望を申し上げたいと思います。

 先ほどの被害者の事案の詳細な経過については、時間の都合もございますので省略をさせていただきますけれども、保険会社、自賠責損害調査事務所それから算出機構のそれぞれに被害者救済それからまた消費者保護の姿勢が見受けられないという意見は数多く寄せられているところです。特に保険会社につきましては、事実とすれば大変悪質とも言える弱い者いじめ、それから権利侵害の疑いをぬぐえないような例が次々とあるわけでございます。

 ちょっと御紹介をさせていただきますと、例えば、業界に大変通じた人ということになるんでしょうか、保険会社の顧問医が、主治医の作成した後遺障害の診断書に意見書を添付し、等級を下げようとする(薄めにかかる)行為が公然と行われていますと。あるいはまた、異議申し立てをしている間は、被害者の方々は治療を続けたいわけですけれども、治療費の負担を拒否する。それからまた、異議申し立てをしている間は、被害者から提出された書類というのをとめ置いている、こういうことが行われている。

 この算出機構の理事の方々、名簿を拝見させていただきました。損保会社の方々も大勢入っているわけですけれども、ほかには、日本自動車連盟副会長、それから新日本石油の監査役、日本経団連の事務総長など、いろいろな方々が名前を連ねているわけであります。機構のこの構成役員ですとか、それからまた、審査会に所属している医師の方、弁護士の方、学識経験者、こういう方々は本当に第三者機関にふさわしい者なのかどうか。

 実は、算出機構の収支報告というのも拝見をさせていただきました。これも国交省の方々ももちろん把握されているんだろうと思いますけれども、保険収入を除きますと、そのほとんどは損保会社の会費あるいは入会金収入というのが算出機構の運営を賄っているという実態でございます。となりますと、うがった見方かもしれませんけれども、ややもすれば、これは損保会社寄りの算定、認定を出すのではないかという疑いの目をかけられても仕方のないことだと思いますけれども、いかがでございましょうか。

岩崎政府参考人 先ほど申しましたように、損害保険料率算出機構でございますけれども、そこで高次脳機能障害等なかなか認定の難しい事案等につきましては、先生も今おっしゃいました第三者機関であります自賠責保険審査会、ここで審査をしているわけでございます。

 このメンバーの人選に当たりましては、審査の客観性、専門性を確保するために、日弁連から推薦いただいた弁護士の先生でありますとか、交通法学者でありますとか、お医者さんでありますとか、いろいろな方を幅広く集めていただきまして、やっていただいているところでございます。

 こうしたシステムの中で、我々は公正にやっていただいていると思っているところでございますけれども、こうした保険の等級の認定につきましては、やはり大変難しい問題もございますし、また被害者の納得感も得なきゃいかぬ問題もございます。そうした意味で、このシステムだけではなくて、先生が先ほど、当初御質問いただきました紛争処理機構というのもつくりまして、いろいろな形できっちりした適切な保険料の算定ができるようなシステムを構築しているところでございます。

郡分科員 おっしゃられるように、大変難しい診断というのもあろうかとは思いますけれども、やはり公平公正であって透明なものでなければいけないんだろうと思います。

 裁判になっている例も数多くあるということがまた大きな問題なんだろうと思います。裁判を起こす方々は皆、被害者の方々がほとんどでございます。その方々は、自分が交通事故に遭って、例えばけがを負い、あるいは仕事もできなくなってしまっている。そういう状況の中で、不当な等級の認定で、そうじゃないだろうということで申し立てをされているわけですけれども、裁判によってしか等級が上がらなかったり救われなかったりというのでは本末転倒ではないかと思います。

 先ほどちょっと御紹介申し上げました事故一一〇・ドット・コムは、後遺障害の診断というのは大変難しいということはあるんでしょうけれども、この後遺障害を診断する医師の知見不足が認定の誤りの一因だというふうに指摘をしております。

 それから、この事故一一〇・ドット・コムのコンセプトというのが、これは私自身もなるほどなと思ったものですから、ここで御紹介をさせていただきますけれども、自動車保険は人身傷害保険を中心にセット化され、ブラックボックス化が進められている、理解に乏しい加害者と被害者を囲い込んで、すべてを保険屋さんの都合で解決する、そんなたくらみを交通事故一一〇番は許しませんというふうにしっかりと掲げていらっしゃるんですね。そして、そこに一日に百件を超える相談も寄せられている。この事実は所管する国交省としてやはり厳しく受けとめなくちゃいけないんだろうと思います。

 ちょっと読ませていただきますが、損害保険会社が自賠責算出機構に自分たちの異議申し立ての書類をなかなか提出しない。なぜなら、日数をかければ、被害者である私が生活していけなくなることを損害保険会社は知っているからですとまで被害者は言っている。

 算出機構での認定を延ばし延ばしにし、さらに裁判に持ち込んでいく。これはどういうことかというと、兵糧攻め以外の何物でもないだろうと思うんです。被害に遭われてけがを負い、仕事もできなくなっている方々を、その生活困窮を見据えて、低い示談金や和解金で何とかしようという魂胆が見え隠れするのではないかと私は大変残念に、心配に思うところです。

 最後に大臣に伺わせていただきたいと思いますけれども、アメリカなどでは、保険に関する苦情というのに対して、官民で大変厳しい監視体制をしいているわけです。我が国におきましては、自賠法の改正を含めて、規制緩和が大変急激に進められました。そのために、所管する国交省であっても、この自賠責のさまざまな、支払いがどういうふうになっているのかという実態についても、なかなかデータを自分のところで持っていないというふうに聞かせていただきました。しかも、さまざまな紛争処理に関しても、第三者機関としての厳しい目線が入るのかどうか、そのところにも問題があるということを指摘させていただきました。

 やはりこれはしっかりとしたチェックができる機関を、国として、あるいは国交省の中にでも用意すべきではないかというふうに考えるのですけれども、大臣、これまでのやりとり、そして私がお話し申し上げたことをお聞きになられて、どのように御感想を持たれて、そしてまた、この自賠責についてどのように国交省として取り組むべきとお考えになっていらっしゃるのか、御所見を伺わせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 いろいろと伺いました。

 まず、紛争について何か機関を持つべきではないかというものについては、自賠責保険・共済紛争処理機構というものがありまして、それに対して、被害者あるいは保険会社からでも紛争処理について申し立てをすれば、そこが保険金支払いトラブルについて調停を行う、そのような制度を持っております。

 それから、保険会社が、重要事案、死亡事案とか重傷事案につきましては、保険金支払いについて、いわゆる国土交通省、国へその旨を届け出ることを法律上義務づけておりますので、そのような事案については掌握をさせていただいております。また、支払い基準違反等の場合には、国から保険会社に対して直接必要な指示を行いまして、そして公表あるいは命令ということを行うようにもしてあります。

 それから、先ほど来いろいろなお話が出てきました損害保険料率算出機構というもの、これにつきましても、我々としては、できるだけ利害関係のない、そのような人たちを選んでいるつもりですけれども、保険会社から調査の依頼を受ければ、調査をして、その結果を保険会社に報告するというような形をとってきたわけでございます。これは、今までの再保険制度というものをなくならせた後、平成十四年の七月一日からそのような紛争処理機関として指定してきたわけでございます。

 私も長い間、二十二年ほど弁護士をやっておりました。そういうことで、交通事故というのは、今百万件を、残念ながら百四十万件近く起こるわけでございますから、どうしても一件一件が、その人にとっては、被害者にとっては、加害者にとってもそうですけれども、その人生を左右するような大きな出来事なんですね。

 したがいまして、それは事件が多いからということで、これを定型的に処理するということは決して許されることではないわけでございますが、しかしながら、日本弁護士連合会もそうですし、各地の弁護士会も毎年、事故の態様とその損害をできるだけ定型化して、損害額が算出できるような基準をつくって公表もしております。損害賠償ですから、一々個性的で、本当にいろいろな、定型化することはできないんですけれども、百万件となりますと、これはなかなか、そういうふうにしないとできない面もあるわけでございます。

 したがいまして、こういう重大事案で被害に遭った方が保険査定で再び損害を受ける、そういうことがないように国が頑張ってまいらなければならないと思っております。

 ちょっと余談になりますが、二月十七日に、私は、千葉の療護センターという、聞いたことがないと思うんですけれども、交通事故に遭われて、本当に反応のない植物人間、そういうふうになった人を療養するというか、亡くならないんですね、普通おいておいたらすぐ亡くなるんですけれども、そこに入って手当てを受けると、植物人間のままですけれども、三十年生きていられる、そういう方がいらっしゃるんですね。そこを私はお見舞いいたしました。

 献身的な医療が行われています。そして、そこで患者さんにお会いし、ちょうど土曜日でしたから、親族の方が多くの患者のところへ、奥さんである場合もあればお母さんである場合もあるんですけれども、その方たちが見舞いに来て、そしてそこで、ベッドのそばでいられました。

 本当に感動いたしましたし、その姿を見て、交通事故というのは突然襲ってくるものでございまして、人生が一変するわけですから、こういうものが起こらないようにするということが、道路整備その他でこういう交通事故というものが起こらないようにするということが非常に大事だし、また、起こってしまった場合に、それを何とか回復するための保険制度というものを、自賠責が充実したものになり、今、郡議員からいろいろ指摘いただいたような悲しい事案が一件でも少なくなるような行政をしなければならないとつくづく感じたわけでございます。

 今後も、国土交通省、そういう意味で、国民の安全と安心というものを担う官庁でありますので、その面でも努力をさせていただきたいと思います。

郡分科員 ただいま大臣から高い見地に立った御発言をいただきまして、ありがとうございます。

 重ねて申し上げますけれども、この自賠責保険というのは強制保険でございまして、やはり国として、国交省としても、なお一層の改善に向けた努力というのを、異議申し立ての件数がなかなか減少しない、そして裁判にまで至るケースが多いということをぜひお考えいただいて、さらなる努力をしていただきたいというふうに思います。

 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

三ッ矢主査代理 これにて郡和子君の質疑は終了いたしました。

    〔三ッ矢主査代理退席、主査着席〕

赤松主査 次に、太田和美さん。

太田(和)分科員 民主党の太田和美です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、大臣を初め関係各位の皆様方にまず厚く御礼を申し上げます。

 本日は、交通施策に関する問題について質問させていただきたいと思います。

 初めに、いわゆる東北縦貫線についてお伺いいたします。

 都心は、東京駅から新宿方面あるいは品川方面に今拡大しつつあり、現在、上野駅が終点である常磐線の東京乗り入れと東海道線への直通は沿線住民の要望も多く、そして一刻も早く実現をしてほしいと思っております。平成十二年の運輸政策審議会の答申によりこの事業化が認められたわけですが、常磐線の東京乗り入れと東海道線への直通の意義や目的について、どのような認識のもと答申がなされたのでしょうか。お伺いをいたします。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在上野どまりとなっておりますJR東北線、高崎線及び常磐線を東京まで延伸いたしまして東海道本線と直通するという東北縦貫線構想につきましては、委員御指摘のとおり、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号に、目標年次、平成二十七年までに開業することが適当である路線として位置づけられております。

 本路線の整備によりまして、京浜東北線などの混雑の緩和、さらには茨城、埼玉方面などと神奈川方面などとを結ぶ広域高速ルートの形成、さらには東京、品川での新幹線アクセス向上、羽田空港アクセス向上などの効果が期待されているところでございます。

太田(和)分科員 常磐線の東京乗り入れと東海道線への直通は、上野駅と東京駅を結ぶ線路を新設する、いわゆる東北縦貫線事業ということになっておりますが、宇都宮、高崎線の東京乗り入れといわばセットになって進んでいると聞いております。現段階の進捗状況についてどのように把握をされているのでしょうか。

平田政府参考人 常磐線の東京駅の乗り入れ計画につきましては、平成十四年の三月二十七日でございますが、JR東日本からその概要のプレス発表が行われております。現在の状況につきましては、JR東日本において、東京都条例に基づきます環境影響評価の手続を行っているところであると聞いております。今後、環境影響評価の手続を経まして、鉄道事業法による鉄道工事に関する手続が行われることとなります。

 国土交通省といたしましては、この鉄道事業法による手続につきまして適切に対応することとしております。したがいまして、現段階ではまだ、本件プロジェクトの詳細につきまして、国土交通省としてコメントする立場にはないことをまず御理解いただきたいと思います。

 以上を前提といたしましてではありますが、JR東日本が公表した内容について申し上げさせていただきます。

 まず、神田駅付近の東北新幹線を重層化いたしまして、上野から東京間に新たに線路を敷設し、東北線、高崎線、常磐線の一部の列車を東京駅まで乗り入れるものでありまして、JR東日本は次のような利便性の向上が期待されるとしております。

 第一には、京浜東北線、山手線、上野―御徒町間でありますが、二〇〇%を超えている混雑率、この二〇〇%というのは体が触れ合い相当圧迫感があるという度合いでございますが、二〇〇%を超えている混雑率が一八〇%、体は触れ合うけれども新聞は読める、こういった程度でありますが、一八〇%以下に緩和されること。第二番目でありますが、上野駅、東京駅での乗りかえが不要となって、上野―品川間で約十一分所要時分が短縮されること。第三番目でありますが、東北線、高崎線、常磐線方面と東海道方面の交流を促進いたしまして、地域の活性化にも資すること。そういう利便性の向上が期待されるとしております。

 また、工事の工程といたしましては、東京都条例に基づく環境影響評価の諸手続を経まして、工事に着手し、おおむね五年間で工事を完了させる計画となっているところでございます。

太田(和)分科員 JR総武線は昭和五十五年より横須賀線との直通運行を開始いたしました。また、宇都宮、高崎線は平成八年から新宿まで乗り入れ、平成十三年からは湘南新宿ラインとして横浜方面への直通運転を開始しており、上野方面への乗客数を新宿方面の乗客数が上回る動向になっております。一方、常磐線は、快速と中距離電車が上野どまり。また、緩行線は千代田線との直通運転で、東京、品川方面へはいずれにしろ今は乗りかえが必要になっております。

 私も常磐線を利用する一人として、このように常磐線の利便性が他線に比べて劣っていることに関し、常々不満を持っておりました。常磐線沿線は交通不便な地域というのが定着をしてしまいましたが、東京圏の中でも最も今人気のない路線とも言われております。

 ですから、東京駅乗り入れと東海道線への直通は、宇都宮、高崎線より常磐線を優先してほしいというのが本音のところでございますが、宇都宮、高崎線の利用者の要望もおありでしょうから、せめてそれぞれの利用乗客の割合に応じて公平に乗り入れを実現していただきたいと思っているところでございます。

 そこで、質問ですが、二〇〇二年三月二十七日付のJR東日本のニュースでは、「朝通勤時間帯については直通列車の混雑等を勘案し、宇都宮・高崎線からの乗り入れを基本とします。」とあります。これを読むと、常磐線の東京乗り入れは日中の特急列車だけで、中距離電車の東海道線への乗り入れはないというように受け取られます。朝ラッシュ時に東京に乗り入れられないのなら、東京乗り入れと麗々しくうたう意味などはないと思いますし、東海道線への直通がラッシュ時に行われないなら、混雑緩和のメリットなどないと思っております。

 具体的なダイヤ編成は、最終的には民間鉄道事業者の判断次第ではありましょうが、これでは運輸政策審議会答申の目指した「混雑緩和」そして「利便性の向上」という目的は達成できないのではないでしょうか。お伺いいたします。

平田政府参考人 ただいま委員御指摘のように、列車の運転本数などの問題につきましては、基本的には鉄道事業者の判断において決定されるものであると考えております。

 なお、JR東日本が、平成十四年三月二十七日でございますが、プレス発表した資料「宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れについて」の中にも、委員が御指摘されました工事完成後の運転に関する記載がございますが、この中で、JR東日本からは、開業後の具体的な列車の本数などの詳細については今後検討を進めていくこととしていると聞いております。

太田(和)分科員 ありがとうございます。

 JR東日本の「東北縦貫線事業概要」という資料では、上野駅から東京駅までの現状の線路の配線図と事業の完成後の配線図が掲載されております、今お話がありましたが。これを見ると、東北縦貫線へ直通する常磐線の上り下りのホームが九番線だけの単線状態になっております。まさかそれはひど過ぎると思いますから、五、六番線が各線の下り、そして七、八、九番線が各線の上りに当てられると想定をいたします。この場合、常磐線の下り方面へ入線するには、上野駅の日暮里側で東北、高崎線の上り線を必ず横断しなければなりません。確かに、こういう配線であるならば、常磐線からの東京乗り入れは限られるでしょう。

 この配線の工事はもう決定しているのでしょうか。現在のところ、東京駅乗り入れの具体的な輸送体系については今後の検討課題だといっても、この配線工事が既に決まっているのなら、常磐線の直通運転は、運転間隔が短くなる朝の通勤時には無理だと思います。試案では、東北縦貫線への直通比率は、宇都宮線が九対高崎線が九対常磐線が二となるとも聞いております。

 私は、東北縦貫線から常磐線の下り線への配線は、上野駅の御徒町側で高架化して、東北、高崎線の上り線との立体交差の構造とすべきと考えております。

 運輸政策審議会の答申に責任を持つ立場として、このことをどのようにごらんになるのか、またJR東日本に対して働きかけをされるつもりがあるのかどうか、お伺いをいたします。

平田政府参考人 ただいま委員の方からお話がありました件は、恐らくこの「東北縦貫線事業概要」、JR東日本がつくられたパンフレットに基づいてのお尋ねであると思います。

 常磐線の東京駅の乗り入れにつきましては、パンフレットの中には記載されてはおりませんが、上野駅の鶯谷駅寄りに、走行する線路を変更することができる分岐ポイントがありますことから、ここで線路を変更し、東京駅につながる線路に入ることができるようになっているとJR東日本から聞いているところでございます。

太田(和)分科員 それを想定してのお話だったんですけれども。

 ですから、今お話がありました、線路の方で常磐線の乗り入れを考えるとすると、上野駅の日暮里側で東北、高崎線の上り線を必ず横断しなければならないんです。そのときに、朝のラッシュ時では三分間隔なので横断することができないということになるのではないでしょうか。そのことについてどのようにごらんになるのか、また、再度質問が重なってしまいますが、運輸政策審議会の答申に責任を持つ立場としてどのようにごらんになるのか、お伺いをいたします。

平田政府参考人 ただいまお尋ねの九番線の接続する区間を高架化することにつきましては、現地の限られたスペースの中では対応することは極めて難しいとJR東日本から聞いているところでございます。

太田(和)分科員 ありがとうございます。

 私たちとしたら、高崎線そして常磐線、宇都宮線の乗り入れを公平に行っていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。

 常磐線は、沿線に国の地磁気観測所というのがあります。その影響で、直流の通勤電車は取手までしか行きません。あとは、直流そして交流の両方のモーターが使える交直流電車となります。最近開通したつくばエクスプレスも交直流電車ですし、茨城県内の私鉄がいまだディーゼルであるということもこの影響です。

 交直流電車は、大分コストも下がってきたとは聞きますが、それでも直流電車より一・三倍から一・四倍くらいの割高になります。東海道線の車両は直流電車ですから、常磐線には乗り入れられず、常磐線から東海道線への直通はこの交直流電車をふやさなければならないわけですが、このコスト面から見ても、常磐線は不利になっているのかなと思っております。

 国の観測所があるおかげで不利になっている面もあるわけですから、しつこいようで大変申しわけないんですが、大臣、くれぐれも常磐線には公平な形で東京乗り入れが実現できるようお願いいたします。これは要望だけにとどめさせていただきます。

 次の質問に入りたいと思います。

 千葉県では、県内のどこからも県都まで一時間以内で行けるよう道路体系を整備しているところですが、特に、私の選挙区でもありますが、野田市からは、千葉市まで国道十六号線を使って行こうとすると、大変な渋滞にひっかかります。

 国土交通省からいただいた資料によりますと、渋滞による時間損失は、全国平均で二万時間・キロメートル・年に対し、千葉県では四万時間・キロメートル・年と倍になっております。それが、国道十六号の柏インターチェンジから大島田間の損失時間は年間三十四万時間で、全国平均の十七倍にもなっております。また、渋滞を避けて生活道路を抜け道として利用するドライバーのため、東葛飾郡北部は、湾岸地域と並んで県内で最も交通事故が多い地域となっておりまして、この十六号線の渋滞の解消は大きな課題になっているところでもあります。

 そこで、平成十三年より、千葉柏道路協議会が立ち上がって、市民意見の集約や協議会委員による協議を進め、交通渋滞とそれに起因する環境悪化を解消するため、バイパス案が有効だとする提言を行いました。

 さらに、昨年暮れからは、行政による検討会、有識者と市民による沿線会議が行われているところだと承知をしておりますが、まず、この検討の経過と現状についてお伺いをいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 国道十六号は、千葉県内におきまして、東葛地域と千葉市それから東京臨海部を結ぶ重要な路線でございますが、柏市の呼塚交差点、有名な交差点でございますが、それを初めといたしまして、交通渋滞が非常に著しい状況にございます。

 委員御指摘のように、東葛地域の交通の円滑化、沿道環境の改善、そういったものを目的といたしまして、国道十六号のバイパスとして千葉柏道路の調査を平成十一年に着手をいたしました。平成十三年には、有識者、市民、行政などから成ります千葉柏道路協議会を設立し、鋭意検討を進めた結果、昨年の六月には、千葉柏道路協議会提言というものが出まして、今後検討を進めるルート案が国土交通省の方に提言されたところでございます。

 現在、国土交通省といたしましては、この提言の具体化に向けて、国、県、沿線市から成る千葉柏道路検討会、それに加えまして、有識者、市民等から成る千葉柏道路沿線会議を昨年末に設置をいたしました。両会議が緊密な連携を図りながら計画の具体化が早急に図れるように努力をしてまいりたいと考えております。

太田(和)分科員 渋滞の解消は重要な課題ですが、一方、巨額の税金を使って新しい道路をつくるわけですから、環境への影響に配慮した上で、そして市民の合意を得ながら進めなければならないと思います。

 その点、この道路の進め方として、市民と行政がツーウエーでやりとりしながら進めるパブリックインボルブメントの手法を採用しているのは評価できると思いますが、千葉柏道路に関して協議会が行った市民のアンケートでは、バイパスの賛否に関する意見が四百十一件あり、そのうち賛成が四割、反対が三割あったと聞いております。反対が三割というのはかなり大きいわけですが、市民の合意形成という意味から、今後どのような取り組みをなされるおつもりでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、千葉柏道路の計画策定に当たりましては、国民に情報を広く公開した上で意見を伺ういわゆるPI方式を取り入れまして、検討を進めているところでございます。

 電話、電子メール、そういうものを積極的に活用して幅広く意見を伺っておりますが、これまでに二千件の意見あるいは提言をいただいていまして、委員御指摘のように、そのうち計画に対する賛否は四百十一件でございました。三割が計画に反対、四割が計画に賛成ということでございますが、四百十一件の残りの方々は、ルートを見直せば賛成という意見も多数ございました。

 これらの意見を踏まえまして、千葉柏道路協議会では、新たに利根川沿いのルートの提案を行うなど、市民の方々とのコミュニケーションを通じて円滑な合意形成を図るための取り組みを始めております。

 今後も、市民の合意形成を図るためのPI方式でありますとか常設の説明会場、いわゆるオープンハウスでございますが、そういったものを積極的に活用して計画の早急な具体化に努めてまいりたいと思います。

太田(和)分科員 慢性的な渋滞という問題を解消するため、私も、千葉柏道路のバイパスはルートを変更したりするなりして進めるべきだというふうには思いますが、ぜひ慎重に、市民の合意形成を図りながら進めていっていただきたいと思います。

 最後に、渋滞の解消に向けた国土交通省としての取り組みについて、大臣の決意をお聞かせください。

冬柴国務大臣 太田議員の地元であります柏から大島田、国道十六号は全国平均の約十七倍に相当する渋滞で、大変深刻な状況であるというふうな認識はいたしております。

 こういう渋滞解消ということは大変な課題でありますので、国におきましても、平成十五年十月十日閣議決定をいたしまして、社会資本整備重点計画の中で、道路渋滞による損失時間、一年間で三十八・一億人時間、これは平成十四年でございますが、これを十九年までに一割は削減しようということが閣議決定されているわけでございます。幸いなことに、この一割削減は、十九年を待つまでもなく、十七年度実績でほぼ、三十五・一億人時間まで削減することができまして、残された期間でなお一層渋滞解消のために努力をしていきたいというふうに思っております。

 渋滞対策の具体的な施策といたしましては、何といっても交通容量の拡大ということが必要でございまして、環状道路の整備とかあかずの踏切の踏切道に係る事業とか、あるいは、ETCの普及によって首都圏の料金所における渋滞はほぼ解消できたんですね、そういうITというものの利用ということも必要だと思います。

 もう一つは、道路をつくるという拡大策以外に、交通行動の転換策を進めるということ。例えば、バスや鉄道等の使いやすさを向上する、バス停を整備する、そしてまた駅前広場を整備する、あるいは自転車の利用を促進するというような、そういうような転換策、たくさんあるんですけれども、典型的にはそういうものがあります。

 我々といたしましては、総合的な渋滞対策を実施していかなければならない、公共交通機関の利便性を向上させなければならない、そのようなところで今一生懸命頑張っているところでございます。

 何とか、十七倍はちょっとひど過ぎると思いますので、解消のためにまた頑張ってまいりますし、それから、バイパス道路をつくるにしても、都市計画決定というものを住民参加の中で県が主導してやっていただかなければならないわけでございまして、どうか、議員のそういう意味での協力ということも期待をしたいというふうに思います。

太田(和)分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

赤松主査 これにて太田和美さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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