衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 公介君    尾身 幸次君

      三ッ矢憲生君    富田 茂之君

二月二十六日

 富田茂之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 富田 茂之君

      赤澤 亮正君    井澤 京子君

      伊藤 公介君    尾身 幸次君

      木原 誠二君    近藤三津枝君

      中根 一幸君    藤田 幹雄君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

   兼務 石井 啓一君 兼務 上田  勇君

   兼務 大口 善徳君 兼務 塩川 鉄也君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   総務大臣政務官      二之湯 智君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 利男君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   大西 珠枝君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  重  義行君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            辻原 俊博君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            小牧 和雄君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         尾見 博武君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 公介君     藤田 幹雄君

  尾身 幸次君     中根 一幸君

同日

 辞任         補欠選任

  中根 一幸君     松本 洋平君

  藤田 幹雄君     井澤 京子君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     赤澤 亮正君

  松本 洋平君     木原 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     近藤三津枝君

  木原 誠二君     尾身 幸次君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     伊藤 公介君

同日

 第一分科員塩川鉄也君、第二分科員石井啓一君、大口善徳君及び第五分科員上田勇君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

富田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。冬柴国土交通大臣。

冬柴国務大臣 おはようございます。

 国土交通省関係の平成二十年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算につきましては、所要の国土交通省関係予算を計上し、その歳出予算額は五兆八千九百三十億円であります。

 また、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び特定国有財産整備特別会計に所要の予算を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の独立行政法人等分として三兆六千四百六十一億円を予定しております。

 国土交通省におきましては、厳しい財政状況のもと、限られた予算で最大限の効果の発現を図る観点から、国際競争力の強化と地域の活性化、地球環境問題と少子高齢化への対応、国民の安全、安心の確保などの課題に対応するための事業、施策を重点的に推進してまいります。

 また、政策評価を予算の効率化等に適切に反映させるとともに、社会資本の戦略的維持管理、コスト構造改革の推進、ハードとソフトの連携、PFI手法の活用等により、成果目標の達成に向けて効率的な施策展開を図ります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

 以上です。

富田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま冬柴国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田幹雄君。

藤田分科員 自由民主党の衆議院議員、藤田幹雄でございます。本日は、冬柴大臣そして松島副大臣初め各省庁の方々に、大変お忙しいところにこのような機会を与えていただきまして、本当に感謝を申し上げる次第でございます。

 私は、本分科会におきまして、今この国会でも大変議論が白熱しております道路問題についてどうしても質問させていただきたいと思いまして、この第八分科会を希望させていただきました。

 特に、私の地元であります千葉県船橋市、千葉第四選挙区でありますが、大変道路事情が悪いわけであります。昨今、道路渋滞がかなり深刻化しており、そしてまた、アクセスにおきましても、私も地元を回るときに本当にいつも渋滞にはまる、特に週末は大変な状況であります。その一つの突破口であります、ことし、来年と着工予定であります湾岸船橋インター、そして若松交差点という大きな予算、これはもう船橋市民が二十年来渇望してきた予算であります。

 この予算をめぐりまして、本国会の道路特定財源の暫定税率廃止の是非を伴ってこの予算が消えてしまうのではないかということが、私の選挙区内におきましても皆さんの大きな関心の一つであります。委員長であります富田先生も千葉でありますけれども、やはりこのテーマ、私は、船橋市民の方々を代表してぜひお伺いしたいということで、きょうは勇んで参った次第でございます。

 まず最初の質問でありますけれども、基本的なところからお伺いをさせていただきたいと思うわけでありますが、我が国におきます高速道路、そして一般国道、市町村などの道路延長距離についてお伺いをさせていただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 高速自動車国道の供用延長でございますが、本年四月時点で七千五百五十三キロになる予定でございます。また、一般国道、都道府県道、市町村道の延長は、それぞれ、五万四千キロ、十三万キロ、百万キロとなっておりまして、以上をすべて合わせた我が国全体の道路延長は約百二十万キロでございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 そのような予定が立っているわけでありますけれども、我が国は、戦後、第二次世界大戦後のモータリゼーションとともに、道路整備というものが急速に加速をしてきたわけであります。この戦後の道路整備の急速な発展そして歴史についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 道路関係の法律の制定とか予算制度の確立、どのような経緯をたどって現在に至っているのか、そして、主要な高速道路の開業等々重立った今までの歴史などを振り返りながら、戦後の道路整備につきまして総括的に教えていただければというように思っております。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 戦後からこれまでの道路整備というのは、大きく分けまして三つの時代に分けられるのではないかと考えております。

 最初は、泥道、砂利道の克服と新しい道路行政制度の構築の時期と考えておりますが、戦後の荒廃から脱却するために、国道を初めとする幹線道路の舗装や改良を進める、道路整備に当たって必要となる法制度を構築したという時代でございまして、昭和二十七年が道路法の公布でございます。二十八年が道路特定財源制度の設立、それに伴いまして、昭和二十九年に第一次道路整備五カ年計画の決定が見られました。

 二番目の時代でありますが、先生お触れになりましたモータリゼーションの飛躍的進展と高速道路ネットワークの構築の時代ということでございまして、昭和三十八年の名神高速道路尼崎―栗東間の開通を皮切りにいたしまして、諸外国に大幅におくれました高速道路の整備を推進してまいりました。

 一方、急激なモータリゼーションの進展とともに、交通事故、渋滞が増加いたしまして、沿道環境問題が顕在化するなど、それらの対策が現在まで主要な課題となってございます。

 ちなみに、昭和三十五年の自動車保有台数は二百三十万台でございました。平成十三年は七千二百七十三万台ということでございます。三十一・五倍になってございます。

 三番目の時代、現在でございますが、情報化、少子高齢化あるいは環境など新たな要請へ対応する時代ということでございまして、これまでの着実な道路整備により、一定の道路ストックはできてまいりました。しかしながら、高度情報化の進展、少子高齢化の進展あるいは地球環境問題の顕在化等に対応しなければならないという必要が出てきております。これらに対しまして、最も根幹的な社会資本である道路が果たすべき役割というのはますます大きくなっている、こう考えております。

 さらに、高度成長期に数多くの道路ストックが建設されてまいりました。今後、高齢化した橋梁等が急増いたします。このために、計画的な維持管理への対応というのが重要になってまいると考えております。

 本格的な人口減少、高齢化社会の到来、また道路ストックの高齢化を控え、この十年は、必要な道路整備を計画的に進める時期だというふうに考えておりまして、残された大切な期間だ、こう考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 本国会におきまして、道路特定財源の暫定税率をめぐって、今後十年の道路計画というものが大変大きな争点となっているわけであります。一万四千キロ余りの道路計画というところで、それが本当に必要なのか、そして、地方に道路がまだまだ必要だという議論がある中で、それでも無駄な道路もあるのではないかということを含めまして、今、議論が白熱しているわけであります。

 しかしながら、今の御回答をお伺いしておりますと、やはり日本には、高速道路を初め主幹道路、そして地方の道路等々、必要な道路はまだまだ整備が足りないのではないかというふうに思っております。今後、必要であるか必要でないかという精査を含めましてきちんと審議をしていく中で、やはり必要な道路というのはきちんとつくっていかなければならないというところがあるように感じる次第でございます。

 そして、先ほど諸外国との比較の議論もございましたけれども、やはり我が国というのは、先進国の中で極めて国土が狭い国の一つであります。そしてまたその一方で、車の台数は、その面積に比べますと大変多いのではないかというふうに思う次第でございます。その多い車が道路に全部並ぶと必然的に渋滞も起きてしまう状況が今あるのではないかというふうに考えるわけであります。

 そんな中で、一つお伺いさせていただきたいのは、まず、アメリカやドイツ、フランス等々ほかの先進国に比べまして、率直におっしゃっていただいて、道路整備状況というのはどのような比較対照となるのかというところを教えていただきたいと思います。

宮田政府参考人 諸外国との比較でございますが、ドイツのアウトバーンは、第二次世界大戦以前から整備をされてまいりました。欧米先進諸国は、我が国に比べましてはるかに長い道路整備の歴史を持ってございます。

 先ほど申し上げましたように、一定の道路ストックが形成されたといいながら、欧米諸国に比べて依然として低い整備水準にある分野がございます。

 例えば、都心部の通過交通を排除する環状道路の整備率でございますけれども、ロンドン、パリ、ベルリンというのは完成ないしは概成をいたしておりますが、御案内のように、東京はまだ四割という状況でございます。

 それから、先生お触れになりました高速道路の自動車当たりの延長でございますが、自動車千台当たりで見ますと、日本は九十九キロ、アメリカは三百九十一キロ、ドイツは二百六十二キロということで、おおよそ半分から四分の一という状況でございます。

 さらに、依然として高い頻度で交通事故が発生してございます。死傷事故率という指標がございます。億台キロ当たり何件ということでございますが、日本は百二十二、アメリカは四十二、ドイツは四十九ということで、二倍から三倍の死傷事故率でございます。

 それから、いまだ数多くの踏切が残されてございます。

 さらに、電線類の地中化ということでいいますと、ロンドン、パリは一〇〇%でございますが、東京二十三区に限っても七・三%ということで、我が国の道路、欧米先進諸国と比較いたしまして、いまだ不十分な分野というのが数多く残されていると考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 今の御回答をお伺いしていますと、やはり日本というのは先進国の中で道路整備状況は大変厳しい状況なのかなというふうに考えるところであります。国土が狭いというところで道路をつくる上でかなり制約があるということは十分承知をするところでありますけれども、それにしましても、もっともっと改善すべき点はあるのかなというふうに率直に思うところであります。

 そんな中で、今の御回答を含めて、ちょっと重複する部分もございますけれども、今の日本の道路状況というのは、国交省の方で考えられているのは、まだまだ発展するべき点が多々あるのか、それともこのあたりで少し一息つける状況なのか、あるいは、これからどの点が道路整備において重点となっていくのかというところを、さらに深く教えていただければというように思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのお答えと重複する部分がございますが、道路整備によって一定のストックは確保されてきたということでございますが、先生御指摘のように、特に都市部では渋滞が激しゅうございまして、一年間で見ますと、全国で約十兆円の渋滞損失額でございますし、事故の危険性が高い通学路ということでいいますと全国で約十一万キロございまして、まだまだ多くの課題がございます。

 こういう課題がある中、中期計画の素案の作成に取り組んでまいりました。昨年の四月から七月まで、重点的に取り組む施策ということで国民各層に問いかけを行ったところ、全国的には、渋滞対策、生活幹線道路、交通事故対策、こういう意見が非常に多うございました。千葉県でも全く同じ御意見が出ております。

 したがいまして、渋滞対策とかあかずの踏切対策、通学路の整備、こういったものを緊急に整備するということが重要なのではないかと思っておりますし、また、地方部では、落石や土砂崩れの災害対策でありますとか、あるいは救急医療施設への連絡、こういった地域の自立と活力の強化に不可欠な生活幹線道路ネットワークの形成に対応することも重要であるというふうに考えてございます。

 先ほど触れましたストックの高齢化でございますが、五十年以上経過した橋、現在六%でございますが、二十年後には約半分になるという状況でございまして、橋梁の維持補修に対応していくことも重要だというふうに考えてございます。

 後段の方の、今後、道路整備に国交省としてどういうふうに取り組んでいくんだという御質問でございますが、先ほどの素案の中で、いろいろな御意見を踏まえまして十六の政策課題を設定いたしました。その十六の政策課題それぞれに対応する具体の箇所を抽出いたしまして、そこの中から今後十年間で重点的に対策すべき箇所数というのを限って計画の内容にしておりまして、必要な事業量は、昨年の政府・与党合意で五十九兆円を上限とするということになってございます。

 具体的に申し上げますと、渋滞対策でございますが、全国で信号交差点が十九万カ所ございます。我々の調査によりますと、この中で日常的に混雑が発生している箇所、朝夕のラッシュ時で半分以上渋滞が起こっている、そういう箇所が九千カ所ございます。これが具体的に抽出した箇所でございます、具体箇所でございます。ここの中から、この十年間で、特に事業効果の高い三分の一、三千カ所を重点的に整備しまして、先ほど冒頭申し上げました渋滞損失時間、全国で年間十兆円ございますが、それを七兆円まで下げていくという目標を達成したいと考えております。

 今後、道路中期計画を策定いたしまして、引き続き、重点化、効率化に積極的に取り組み、真に必要な道路整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 確かに日本は、道路事情を含めて、まださまざま不足な点はあると思います。特に、今の御回答を聞いておりますと、五十九兆円という議論を今行っておるわけでありますが、その五十九兆円が本当に必要なのかということが、野党からも、そしてさまざまな関係機関からも聞こえてくるわけでありますが、目に見える部分と目に見えない部分というのがあるのではないかと。特に、道路渋滞によって事故が引き起こってしまう、あるいは緊急車両が通れない等々、道路整備の不備によってさまざまな表に出ない数字というのもあるように思います。

 私の地元の船橋市でも、本当に、火事が起こるたびに消防車が通れない、あるいは緊急自動車も通れないということもございますし、また、道路渋滞の引き起こす追突事故であったりとか、そういったいわゆる付随するさまざまな事故等があるわけでありまして、この暫定税率の議論は、国民の皆様に対しましても、このようなことも含めて、与野党のみならずしっかりと議論をしていかなければならないのかなというふうに私は思っておるわけであります。私も、地元の皆さんにこれを説明するときに、道路計画そのものも大変大切であるけれども、それに付随したところで、先進国日本の中でこれだけまだ整備がおくれているんだということを皆様に御説明していきたいというふうに思う次第でございます。

 それでは、ちょっと時間もなくなってきたんですけれども、道路整備につきまして、国交省の考えておられるスケジュール、予算等々、具体的な数値を御説明できる点がございましたら、ぜひ御説明いただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 中期計画、上限を五十九兆ということは、今御審議をいただいています財源特例法の中で閣議決定をいただきたいということでございまして、法律が成立いたしますと、それに沿って閣議決定がいただけると考えておりますが、五十九兆の額とこの内容について整理をしてまいりたいと考えております。

 そういう十年間の大枠の中で、各年度各年度、それぞれの事業というのを厳正な事業評価をやりながら進めていくということでございまして、今、各年度各年度どういうふうにするかというのは定まっておらないと理解しております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 それでは、この道路の議論も最終段階になるわけでありますけれども、本国会で議論が進んでおります道路特定財源の暫定税率につきまして率直にお伺いをしたいわけであります。

 もう一度確認をさせていただきたいわけでありますが、仮に、これを廃止した、野党の主張のような形になった場合に、その影響額というのは一年間で幾らぐらいのものなのか、あるいは、具体的に国に対する影響、そして地方自治体に対する影響額、そして、もしわかりましたら、私の選挙区であります千葉県、富田先生もお気になさっていると思いますが、千葉県に対する影響額、そして我が千葉県船橋市に対する具体的な影響額、もしわかりましたら教えていただきたいというふうに思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に特定財源の暫定税率が廃止となった場合でございますが、国で一・七兆円、地方で九千億円ということでございまして、トータル二・六兆の税収減となります。

 具体的に千葉県の場合でございますが、特定財源の財源税収の暫定税率分が二百二十六億円でございます。もし暫定税率がなくなるとこれだけ減収になるということでございます。あわせて地方道路整備臨時交付金というのが一括交付金で地方に行っておりますが、そこの部分もあわせて廃止になるということになりますと、千葉県では七十八億円がなくなります。トータルいたしますと、三百億余の財源がなくなるということでございます。

 ちょっと、船橋市だけで調べたものは手元にないのでございますが、県内の市町村トータルで申し上げますと、暫定税率分が百七十億、それから臨時交付金が九十億、それぞれ減収になります。

藤田分科員 どうもありがとうございます。

 今おっしゃった金額というのは、道路に特定しているという意味では大変大きな金額ではないかというふうに思うわけであります。

 船橋市のことは、実は私、船橋市長にちょっとお伺いしたことがあったんですが、およそ二十億円ということであります。これは一市町村としては大変大きな額でありますし、また、道路に特定しているということでありますと、特に必要なところから整備は進めるわけでありまして、新しい道路、これから計画されている必要とされる道路の分が全くそのまま削減されてしまうという危機に今瀕しているのではないかというふうに思います。地方行政の方、知事や市町村長初め、今回はほぼ大多数の方がこの暫定税率の廃止議論に反対されているということも、これをもってとても理解できるのではないかなというふうに思うところであります。

 それでは、この質問の中での最大の私の関心事でもありますし、また、私の選挙区の船橋市民の方々が大きく関心を持たれております、ことしの秋着工とも予定をされておりました湾岸船橋インター、そして来年の予算として計上されております国道三百五十七号線の若松交差点の整備、この二つの整備の予算がこの暫定税率の廃止によってなくなってしまうのではないかという質問が行政の方々初め多くの市民の方から寄せられているわけであります。

 これがもしこのようなことになりますと、市民にとっては本当に大きな痛手でありますし、また、湾岸船橋インターの予算というのは、平成元年から二十年かけて、県会、市会の先生方を初め多くの方々の努力によってこの予算が計上されたというふうに聞いております。

 私も、二年半前に初当選してから、このことについては地元の先生方とともに活動させていただきました。そして、ようやくことしの秋、待望となります予算がついたというところで、本当に喜んでいたわけでありますが、もしこのような議論の中でこれが廃止されてしまうということになりますと、大変なことになるわけであります。このことをこの道路関係の最後に確認させていただきたいというふうに思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、トータルで二兆六千億、国、地方でなくなります。国で考えますと、ほとんど維持管理しかできなくなる。地方の方は、都道府県によってそれぞれ事情は違うとは思いますが、おおよそ、過去整備をした借金を返していく、あるいは維持管理、もうそれだけしかできないというところが多いのではないかと思います。

 お尋ねの湾岸船橋インターチェンジと若松交差点、昨年の四月に私先生に御答弁申し上げました。ちょっと地元の状況というのが変わってきております。御答弁申し上げた方がよろしゅうございますか。(藤田分科員「はい」と呼ぶ)

 昨年四月の決算行政委員会では、十九年度後半から、まさにこの年度の後半から高速道路拡幅部の橋梁下部に着手というふうに申し上げましたが、地元のいろいろな調整の中で環境団体の方々から騒音を危惧する意見が出されて、その調整に今入っておりまして、今年度着手は少し困難になってきてございます。

 千葉県、東日本高速会社、関東整備局から引き続き関係団体に説明を行って、事業に対する御理解を得た上で、当初予定どおり二十三年完成に向けて鋭意作業を進める予定というふうに聞いてございます。

 もう一つの若松交差点でございますが、これは、前回御答弁申し上げましたように、平成十八年度より交差点改良に着手したところでございますが、これも平成二十三年度の供用を目指して工事を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 湾岸船橋インターについては、そのような状況というのは私もちょっと知らなかったわけでありますが、おしりの平成二十三年に完成予定というところは変わっていないというふうに拝察しますので、船橋市民の一人として、また地元選挙区の議員として、改めてこのことを切望させていただきたいというふうに思います。

 また、諸問題ある中で、まず、この道路特定財源によって事業が立ち行く、あるいはその是非が問われているというところは、私の気持ちとしては何が何でも死守させていただきたいと思いますので、与野党間協議、本国会でしっかりと議論をして、そして最終的にきちんとこの予算を維持できるように鋭意努力させていただきたいというふうに思う次第でございます。

 それでは、あと時間も残り少ないので、少しテーマをかえさせていただいて、都市型農業について幾つか質問させていただきたいと思います。

 今、私の選挙区船橋市においては、都市型農業というのが大変盛んであります。しかし、その一方で、都市型農業特有のさまざまな問題がありまして、私も、地元の農家そして農協の方々からもさまざまな陳情をいただいております。

 まず一つ大きいのは固定資産税等々の相続に伴うところで、全くもってこれが相続に関して厳しいということで、事業転換せざるを得ないような苦しい状況をお伺いしておるわけであります。

 まず国交省の方にお伺いしたいわけでありますが、生産緑地を選択している農地の隣接地におきます建物の建築に関して開発規制強化をお願いしたいというふうに思っておるわけでありますが、このことについてはいかがでございますでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、私どもも、緑とオープンスペースは都市に必要不可欠なものであると思っておりますし、とりわけ都市農地につきましては、都市の緑地的空間、防災的空間として、また、農業体験やレクリエーションの場など都市における良好な生活環境の確保の面から大変大きな役割を果たしていると認識しておりまして、保全すべき農地につきましては、私どもとしても可能な限り保全していくことが重要だと考えております。

 ただ、御指摘がありました農地の隣接地の建物の規制ということでございますけれども、市街化区域は都市的土地利用が前提となっておりますので、農地として利用する観点から隣接地の建物の規制を強化するというのは、現時点では基本的にはなかなか難しいものというふうに考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 きょうは実は農水省の方にも御足労いただいておりまして、ちょっと一つだけ質問させていただきたいと思います。

 この都市型農業に関しまして、農業経営の環境悪化ということが今非常に問題となっております。いわゆる新興住宅というものが広がってまいりまして、日照権の問題等々、今、都市農業にさまざまな足かせになっているところがございます。

 農水省として市街化区域での農業の振興というものをどのように考えているか、簡潔にお答えをいただければというふうに思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農業は、消費地に近いという利点を生かした新鮮な農産物の供給といった生産面での重要な役割のみならず、身近な農業体験の場の提供、災害に備えたオープンスペースの確保、潤いや安らぎといった緑地空間の提供など、多面的な機能を有していると認識しております。

 このようなことを踏まえまして、食料・農業・農村基本計画におきましても都市農業の振興が位置づけられておりまして、これを受けまして、生産緑地を中心とした農地の保全や市民農園の整備などにかかわる取り組みを推進しているところでございます。

 都市農業の振興に当たりましては、先ほど局長からもございましたが、都市政策とも関係していることから、農林水産省としては、国土交通省などともよく連携して、都市農業の重要な役割が発揮できるよう、また、都市部におきまして一生懸命頑張っておられる農業者の皆様の実情もよく踏まえながら、必要な施策を講じてまいりたい、このように考えております。

藤田分科員 どうもありがとうございます。都市農業に関しては、これから農水省の方々とともに頑張ってまいりたいと思います。

 最後に、もう時間がないものですから、冬柴大臣に大所高所から。

 私も、地元で道路の陳情をいろいろいただいております。この道路特定財源の議論、地元の方も行政の方も不安を持っておられるわけでありますが、最後に一言、大臣の御所見をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 我々の子供や孫たちが自信と誇りが持てるような安全、安心の国土をつくるために、道路整備を進めてまいります。

藤田分科員 どうもありがとうございました。

富田主査 これにて藤田幹雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根一幸君。

中根分科員 自由民主党の中根一幸でございます。

 冬柴大臣におかれましては、本当に連日連夜の御公務、激務、お疲れさまでございます。何とぞよろしくお願いいたします。

 私は、本日は、首都圏の環状道路、放射道路について、特に私の地元であります圏央道、上尾道路、この整備と早期開通のお願いということで質問をさせていただこうと思っております。

 ただ、今予算委員会の中で大変話題になっております道路特定財源の問題、いろいろな議論がございます。ですから、まずこのあたりを若干整理しながら質問をさせていただこうと思っております。

 道路特定財源の暫定税率についてですが、民主党さんは、廃止しろ、そしてガソリンを二十五円安くする、これは国民の大多数の要望だというような形で一生懸命言っておられます。しかし、それは非常に問題があると私は思っております。国民の皆さんに問題があるというんじゃないんです、民主党さんの言っていることにですね。

 私はきょう、毎日そうなんですが、朝、まず起きると新聞を読みます。それが日課になっております。うちの家内も日課があるんですけれども、その新聞の中に入っているチラシを、広告を見るんですね。特に週末は多いものですから、食料品が少しでも安い、十円、二十円、どこが安いんだというのを一生懸命見ながらやっているんです。実際、どこの家庭でもそうだと思うんですね、原油が高騰して、そして今の景気でございますから。主婦としてみれば、どこの家計も楽な家計はないわけで、そういったことから、少しでも安くなる、ただ単純にガソリンが二十五円安くなるということだけを聞けば、これは大多数の方が反対する人はいないと思うのであります。

 しかし、問題は、これを仮にやってしまったら、後で例えば地域行政が大変混乱したり、本当に後で考えてみると、あのときのおかげでこんなことになってしまったというようなことがあってしまっては、これは元も子もないわけでございます。

 そういった観点から、まず最初に、この道路特定財源の暫定税率がなくなりますと、もう四月からでございますが、地方行政に与える影響、打撃というもの、そしてまた国民生活にどのような影響があるか、詳しく御説明をお願いいたします。

平井副大臣 暫定税率が廃止されると、国と地方合わせて二兆六千億の大幅な減収となるというのは大臣も何度も答弁をされておりますし、本当に臨時交付金も合わせて一・六兆円が地方の財源からなくなってしまうわけですから、これは大変なことになります。

 例えば、委員のお地元の埼玉県では、県と市町村合わせて平成十七年度では四百五十五億円、これに地方道路整備臨時交付金百八十五億円を加えますと、各地方自治体のものも加えると、これは六百四十億円の減収となります。これにより、あかずの踏切の解消や通学路の歩道整備を初め、バイパスの整備等による渋滞対策などの対策を進めていくことが困難になると考えております。

 具体的には、埼玉県より、既に暫定税率分の税収を見込んだ予算案を作成しており、暫定税率が廃止されると、予算の組み替えということになるんですか、バイパス整備や道路拡幅などの幹線道路整備が立ち行かない、交差点改良や歩道整備などの交通安全対策が進まないといった影響があるというふうに聞いております。

 このような影響は、各地方自治体の財政状況によるものと考えていますが、いずれにしても、道路整備に少なからず支障が出るものと認識しております。

 なお、暫定税率と直轄事業負担金が廃止され、かつ地方への補助金等の額を確保するとした場合には、国が行う直轄事業に使える予算は〇・四兆円となり、国道の除雪や維持管理に係る予算〇・四兆円に使えば、新規事業の凍結はもちろん、継続事業もすべて休止するということになります。

 委員御心配の圏央道や上尾道路の整備等の事業もできなくなってしまいます。

中根分科員 平井副大臣、詳細な御説明ありがとうございました。

 新しい道路の建設はおろか、今まである道路の補修、修繕もできなくなる可能性も十分あるということです。また、古い橋も含め、いわゆる高度成長期にできたいろいろなものも、大変修繕が叫ばれているところもございます。これは何年前ですか、アメリカでも大変ショッキングな、橋が崩壊してたくさんの方が亡くなったということがありましたが、これは決して日本でも他人事ではございません。これから来る修繕も含めたことに対しても、もうそれどころではなくなる。ましてや新しい道路の建設というのは、もう本当にどうなるかわからないというようなお話でございました。

 そしてまた、安全面からも大変疑問に思うということで、子供たちの通学路の話もいただき、また、よく言われておりますあかずの踏切の対策も、これは大変なことになるということをおっしゃっていただいたと思います。

 また、地方の財政は今本当に苦しい。そういう中で、今までの道路に関する借金の返済でさえ地方の道路特定財源だけでは不足している、そういった自治体もあるわけでございますね。結局、地方の財源は一般財源から投入することになりますから、それこそ福祉や教育といったものに対して影響が出てくる。本当に地方は苦しいわけでございます。

 その中で、冬柴大臣、知事を中心に地方の方からたくさんの要望をいただいていると思うんですね。この要望についてこれから御説明願いたいのですが、どのような要望があり、どのように地方が苦しんでいるかということをお話し願えればと思うんです。

 私は埼玉県でございます。埼玉県は上田知事ですね、元民主党の衆議院議員でございますが。あの上田知事が、たしか私の記憶では、どこの県の知事よりも、一番最初にこの暫定税率維持ということで民主党案に反対されたと思うんですね。私が、この間、公明党埼玉の新年会に出たときに、ちょうど太田代表と上田知事が前にいまして、こそこそ話しているんです。聞くと、上田知事、例の暫定税率についていいこと言った、ぜひあれを話してくれと言って、大きな声でそこでも知事は話しておられました。

 こういうように埼玉県の知事もぜひとも維持をしてとお願いにいろいろなところを回っていると伺っておりますが、それも含めて大臣から御所見をお願いします。

冬柴国務大臣 知事さんだけではなく、全国の市町村長まで千八百七十四名の方から意見をちょうだいいたしました。また、全国の市長会が中心になられまして、署名も、三分冊に分けて、ほとんどの、九九・三%ですか、署名をいただきまして、私の方に暫定税率を維持しながらやってほしい、こういう御意向でございました。

 それで、上田知事も私の大臣室へも来られまして、上尾道路を何とかと。私も上尾へ行くと、夕方、あそこだけ全然予定がつかないんです、そういうことも体験をしておりまして、そんな話もしたところでございまして、道路に対するニーズは大変高いものがあります。

 埼玉県からいろいろな道路に対するニーズがあるんですが、一番多かったのは、生活幹線道路ネットワークの形成を急いでほしい。埼玉県内には三千キロメートルにも及ぶ整備を必要とする生活幹線道路がある。渋滞対策が二番目でございます。三番目は、あかずの踏切対策。三百十カ所にわたる支障が生じている踏切が埼玉県内にはある。交通事故対策が四番目。五番目が通学路の歩道整備でございまして、毎日四十人以上の学童が使っている道路が埼玉県内で三千キロメートルございます。そのうちの約四割が歩車道の区別がないんです、歩道がないんですね。そういう危ないところは本当に早く直してほしいという御要望がありまして、我々は、これを含む十六の政策課題に分析をいたしまして、そして、これをこの十年間に整備していこうというのが今回の中期計画の中に入っているわけでございます。

 高速道路のネットワークの整備とかそういうものだけではなしに、そのような市民生活密着の問題も大きくこの中には取り入れてあるということを申し上げたいし、知事さん初め全国の首長さんの御要望もそういうところは非常に強いものがあるということでございます。

中根分科員 ありがとうございました。本当に地方の首長さん、埼玉県知事初め九九・三%の方々が……(冬柴国務大臣「九九・七%です」と呼ぶ)九九・七%の首長さんたちがこのようにお願いをしているというのは非常に重いことだと思うんですね。

 民主党さんは、これは何か意図的なものがあるのではないかとか、また、国民の皆さんはそういうふうには思っていないじゃないかと言うんですが、首長さんたちというのは選挙で当選されて、しかも四年後には少なくとも選挙がまたあるんですね、その方々が必死になって今の現状を考えて、この状況の中でだれもが言っている。これは非常に重いわけでございます。当然ですが大所高所から考えて、木を見て森を見ずのような議論にはなっていない、しっかりした訴えだと思っておりますので、どうか大臣、私からも何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ただ、一つ残念なのは、いわゆる無駄遣いをしているのではないかというふうに国民に非常に映っている。国交省も、道路投資額についてピーク時よりも半分に減らして改革を行ってきている。しかし、それが国民の皆さんにはなかなか伝わっていないようでございます。昨今では例のミュージカルの問題も出ておりまして、また、アロマセラピーなり、いろいろ、ちょこちょこちょこちょこ出てくるんですね。これは非常に残念ですね。一生懸命頑張っている皆さんがいる中でこういうふうなことが一つ二つ出てくると、まるで官僚の皆さん全員が、また、特に与党の政治家全員がやっているように、私も駅立ち等をしていて言われることもございます。非常に残念ですね。

 今の時代、国民の皆さんから見てこういうふうないわゆる無駄遣いというものに対しては、やはりこれからも徹底的に改革をしていく、これは当然のことだと思うんですね。特に福田総理が言われております、国民の目線に立って改革をしていかなきゃいけない。この苦しい時代を生き抜くために国民と一緒になってやっていかなきゃいけない。その中での改革を国交省はどのようにこれからやっていくのか、改めてお伺いをいたします。

平井副大臣 結論から申し上げますと、大臣の御指示によりまして、ミュージカルの公演、不適切なレクリエーション器具の購入というものは、今後一切行いません。

 ミュージカルに関して言えば、これは道路に対する理解を深める、また、レクリエーション器具に関して言えば、職員の福利厚生ということだとは思うんですが、先ほど委員の御指摘のとおり、国民の目線から見ればやはり不適切ということになろうかと思います。そういうことで、大臣に御決断をいただいて、今後支出はしないということになりました。

 道路特定財源の支出については、いささかも国民の皆様方に疑念を持たれることのないよう適正な運用を図ることが必要であり、今後、不適切な支出は正していこうと思っております。

 去る二十二日に、冬柴大臣を本部長とする道路関係業務の執行のあり方改革本部を設置しました。私は、大臣から副本部長に指名されまして、大臣を補佐して本部を総括して改革に全力を尽くしてまいりたいと思っております。もう既に作業にはかかっておりますが、執行状況について改めて総点検を実施し、支出の適正化や道路関係法人のあり方について具体的な検討を進め、可能なものについてはすぐにでも改革の方向性を示していきたいというふうに考えております。

 私を含め六人の政治家が張りついて、四つの分科会に分かれて徹底的にやろうと思っておりますので、ぜひ御協力のほどお願いをいたします。

中根分科員 副大臣から大変心強いお話をいただきました。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、先ほど私がお話ししました圏央道や上尾道路の環状道路、また、放射道路の整備状況等についてお話を伺っていきたいと思います。

 その前に、世界の首都と日本の現状はどういうものなのか。環状道路というものは、世界の首都に比べると、私は、日本の道路というのはまだまだ非常におくれていると思っております。それが証拠に、非常に経済効率が悪いですね。高速道路といいながら渋滞をしている。また、高速ではない下の道路も、大臣御承知のように東京や近隣は至るところで渋滞をしているわけでございます。

 こういった状況の中で、特に地方の中では本当に苦しい、ですから道路をという声も聞きますが、むしろこの首都こそ道路が必要なところもある。もちろん、あかずの踏切の問題、安全面等々あります。そういった中で、まだまだ首都圏においても環状道路はでき上がっていないと思っておりますので、そのあたりについての御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、諸外国との比較のお尋ねがございました。

 欧米は、ロンドンは一〇〇%、ベルリンは九七%、パリは八四%という環状道路の整備率でございます。欧米諸国だけではなくて、アジアも、北京では五つの環状道路の整備が進んでおりまして、もう九二%が整備できております。ソウルでは、もう二つの環状道路が完成をしてございます。

 そういった状況でございまして、首都圏の三環状道路というのは、都心部に用のない通過交通、そういうものをバイパスさせることで首都圏の渋滞緩和とか環境問題の解決に大きく寄与するものと考えておりまして、できるだけ早期にネットワークとしての機能を確保できるように整備を進めてまいりたいと考えてございます。

中根分科員 ありがとうございます。

 私が調べている範囲では、本当に、ある場所ではまだ三〇%に満たないところもあり、世界は、今ロンドンは一〇〇%というような話も伺ったんですが、軒並みそうやって、特に首都近郊に関してはでき上がっているというのが当たり前なんですが、日本ではまだまだそれもおぼつかないような状況でございます。これが、もちろん経済効果を悪くしたり、また環境も悪くしているでしょう。そしてまた、これから日本が考えていかなければいけない新しい新産業としても環境立国を目指そうとしている中でも、ほかの国に比べて大変おくれているということがわかるわけでございます。

 その中で、この圏央道なのでございますが、圏央道についての幹線道路の整備状況はどのようになっているのか。そしてまた、暫定税率が廃止された場合、圏央道についてこれがどうなっていくのか、わかる範囲で結構でございますので、お答えを願えればと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道の整備は、昭和六十年度に着手をいたしました。現在までに、中央道の八王子ジャンクションから関越道の鶴ケ島ジャンクションまで六十一キロが供用してございます。本年の三月には、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジの間の七・七キロが新たに開通する予定になってございます。

 これに続きまして、川島インターチェンジから上尾道路との接続部でございます桶川ジャンクションまでを平成二十一年度を供用目標ということで整備を進めておりまして、現在、埼玉県内区間におきましては、全線を平成二十四年度供用ということで、鋭意、用地取得、工事を推進してございます。

 国土交通省といたしましては、埼玉県区間の事業の進捗に全力で取り組んでまいりたいと考えておりますし、圏央道全線の一日も早い供用を目指しまして、地域の住民の方々、自治体の方々と協力を進めながら進めてまいりたいと考えてございます。

 もう一つのお尋ねは、仮に暫定税率が廃止されればどういうふうになるかということでございますが、国、地方合わせて二・六兆円の減収というのは副大臣からお話をさせていただきましたが、国の方で維持管理に予算をとられますので、道路の建設に投資できる予算というのは、本当に限られたもの、あるいはないということでございますので、圏央道につきましても、今申し上げました供用目標に対して大幅なおくれあるいは事業中止といった事態に追い込まれるだろうと思います。

 こういったことによりまして、首都圏の渋滞解消とか生活環境の改善が進まなくなる。さらに申し上げますと、圏央道の供用を見越して沿線で進められております都市開発とか、あるいは先生がお触れになりました物流拠点づくり、こういったまちづくりの計画が頓挫するという深刻な問題が出てまいると考えております。

中根分科員 ありがとうございます。

 大幅なおくれ、また事業中止、それに付随して都市計画もどうなっていくのかわからない、本当に大変なことになってしまうというようなお話、暫定税率が仮になくなった場合のお話もしていただいたわけでございます。

 私の入手した資料でも、相当なおくれが予想されますね。これはあくまで一つの資料にすぎないのでしょうけれども、平成二十七年を目標にできているものが約二十年ぐらいおくれてしまうというようなショッキングなデータも一つの資料として出ているわけでございます。こういったことからも、暫定税率を維持するのは必要不可欠なわけでございます。

 この圏央道につなぐ上尾道路、私の選挙区でございますが、先ほど冬柴大臣が、本当にさすがだと思って、おっしゃっていただきましたが、本当に渋滞しているんです。簡単に言えば、国道十七号、日本橋から新潟までつながっている国道ですが、近年の人口増に伴いましてバイパスがほとんどででき上がっているんですよ。それが、なぜか私の選挙区になりますと、大宮まではバイパスがあるんですが、上尾というところから一つになりまして、そして、なぜか私の選挙区が終わるところでバイパスができ上がりまして、それから先は熊谷バイパス、深谷バイパスとずっとつながって、上武道、そして群馬へと続きますと、きょうは尾身大臣もいらっしゃいますが、やはり優秀な政治家が多いからかわかりませんが、群馬は高崎前橋バイパスも上武道もすべてでき上がって、なぜか埼玉地域の私の選挙区の区間だけが、国道十七号一つになるものですから、当然、二つが一つの場所になっているので渋滞するのでございます。

 そういった現状から、もちろん、経済的な効率も悪くなるし、いろいろな交通事故も多発しているんです。都市計画を考えるならば、これは何が何でも必要不可欠なバイパス道路なのでございます。そういう観点からも、ぜひともこの上尾道路の早期開通に向けて何とぞお願いをしたいわけでございます。

 この上尾道路については、大宮から圏央道までの区間、そして圏央道から鴻巣までの区間、九・一キロの区間なんですが、圏央道以北の九・一キロにおきましては事業認可もまだ都市計画決定のままでございます。そういったこともありますので、ぜひとも圏央道以北も含めた早期開通を心から大臣にお願いするものでございます。

 大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。

冬柴国務大臣 上尾道路については、委員の熱意が伝わる質問でございました。

 首都圏中央連絡自動車道桶川ジャンクションに接続する二キロメートル区間につきましては、圏央道の供用とあわせて平成二十一年度に供用できるよう現在改良工事を推進しているところでございます。

 渋滞交差点が集中する宮前インターチェンジから県道上尾環状線の四キロ区間につきましても、早期の供用が図られるよう用地買収及び改良工事を推進しているところでございます。

 さらに、県道上尾環状線から主要地方道川越栗橋線の約五キロメートルについては、ルートに交差する江川周辺に生育する希少植物の保全対策について早急に学識経験者等から成る検討会を設置し、早期工事着手に向けて検討してまいりたいと考えているところでございます。

 また、未事業化区間である桶川市川田谷から鴻巣市箕田までの九・一キロにつきましては、事業中区間の事業進捗状況及び圏央道の供用に伴う周辺の交通状況等を勘案しつつ、事業化に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。

 狭いところですけれども、なかなかいろいろな問題があって今日まで来ていることを申しわけないと思うんですが、それなりに、ここが渋滞していて大変だ、周辺の方が大変迷惑しておられるということはよく認識しておりますので、引き続いて頑張ってまいりたいというふうに思います。

中根分科員 冬柴大臣、本当にありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。

 時間もそろそろでございますが、この上尾道路と圏央道ができることによって、私たち埼玉県というのは本当にインフラ整備が全く変わります。私たちの埼玉県というのは海がない県でございますが、圏央道ができることによって、横浜の港、木更津の港、そして新潟港までつながるんですね。そして、成田空港からもすぐに来れるわけですね。これができるかできないかで埼玉百年の計が変わるわけでございますから、この問題について、またこれからも私も一生懸命行っていきたいと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田主査 これにて中根一幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、井澤京子君。

井澤分科員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 早速私ごとではございますが、私の地元京都六区というところは、宇治以南の十二市町村から成りまして、観光の名所といいますか、平等院と宇治上神社、世界遺産が二つありまして、そのほかにも宇治茶の産地としても有名で、また、自然と歴史、文化、いろいろな観光名所と言えるようないい場所でございます。

 そこできょうは、私の地元の観光についてお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 御存じでいらっしゃいますでしょうか、ことしは、世界最古の長編小説である源氏物語が発見をされて千年を迎えることになります。私の地元も、源氏物語の宇治十帖ゆかりの地でもありますので、国や京都府、地元の自治体や観光協会などが協力し合いながら源氏物語の千年紀事業を進め、さまざまなイベントを開催しております。国交省でも、平成十八年と十九年度に、ビジット・ジャパン・キャンペーン事業の一環として、日本の古典文学を生かした外国人誘致の促進を展開していただいていると聞いております。昨年二月には、源氏物語フォーラムを国交省が私の地元でも主催していただきました。

 国は、このような日本の古典を含めた形での事業をどのように展開してビジット・ジャパン・キャンペーンを今後引き続き繰り広げていかれるのか、教えていただきたいと思います。お願いいたします。

本保政府参考人 国際観光の振興についての御質問でありますので、お答え申し上げたいと思います。

 二十年度につきましては、全体といたしましては、ビジット・ジャパン・アップグレード・プロジェクトという名前をつけまして事業の推進を図ろうとしておりますが、国際観光振興全体につきましては、二〇一〇年に一千万人の外国人旅行者の訪日を目指すということで事業を進めております。昨年は、八百三十五万人、対前年比で百二万人の増加でありましたので、おおむね順調に事業が推移している、このように思っておりますけれども、一千万人という目標に着実に到達するためにはさらなる強化が必要ということで、特に三つの点からの事業強化を考えております。

 一つは、リピーター対策でございます。

 実は、訪日外国人旅行者を見ますと、六〇%以上がもう既にリピーターになっております。このリピーターを確保し増加させていくということが重要でありますので、訪日旅行の満足度の向上が重要だと思っております。このため、外国人旅行者のニーズを的確に把握して、民間企業や地域によりきめ細やかなサービス向上策を進めていただくように働きかけますとともに、ICカードの共通化あるいは相互利用化などによる利用者の利便性の増進も図ってまいりたいと思っております。

 二つ目は、新興マーケットの開拓でございます。

 これまでは、韓国、台湾、中国といった十二の重点市場につきましてビジット・ジャパン・キャンペーンを展開してきておりますけれども、今後は、インド、ロシア、マレーシアといった新興マーケットが大きな伸びを期待されております。つきましては、こういうマーケットで効果的なプロモーションの実施ができるよう、モニター調査など戦略的な市場調査をしてまいる予定としております。

 三つ目は、これまでやってまいりました海外プロモーションのより一層の発信力の強化でございまして、例えば、滞在型あるいは体験型といったような新しい旅行形態の提案をするとか、源氏物語についての御言及がございましたが、我が国の観光資源の一つである多面的な日本文化の発信の強化、あるいは、本年七月に開催されますG8北海道洞爺湖サミットや日韓観光交流年あるいは日仏観光交流年の活用などで、さらに海外プロモーションの強化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

井澤分科員 ありがとうございました。

 二年後の二〇一〇年一千万人に向けて、今お話がありましたようなリピーター対策、新興マーケットの開拓、また海外プロモーションの発信ということに取り組んでいただきたいと思います。

 では、源氏物語の千年紀事業に関してもう一問お伺いいたします。

 総務省で、地方自治法施行六十周年関連施策の記念貨幣発行があると伺っております。この平成二十年度には、サミットが行われる北海道、石見銀山世界遺産登録での島根県、そして源氏物語千年紀事業関連として京都府の三つが選ばれました。今後、千円と五百円硬貨の表面のデザインや発行時期等については各都道府県と協議をすると伺っておりますが、今後の京都府との協議の見通しやスケジュール、また、これと連動して郵便事業株式会社においても切手を順次発行されると伺っております、京都府関連の今後の見通しについてもお伺いいたします。

 また、あわせまして、記念貨幣や切手の発行については意外と知られていない。私も、今回、源氏物語千年紀の硬貨が出るということで、地元の皆様にもお話をしたところ、へえ、そんなのあるんと聞かれてしまいました。ぜひとも国民に広く広報していただきたいとも思っておりますので、二之湯大臣政務官、京都にもお詳しくいらっしゃいますので、お答えのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

二之湯大臣政務官 源氏物語が書かれて記録の上でちょうどことしは千年を迎えるということで、地元はそれを契機にいろいろな事業を展開していこうということでございます。このすばらしい源氏物語の魅力を再認識して、日本人が自国の文化への誇りを高めるとともに、源氏物語の持つ豊かな内容を酌み取って文化創造のきっかけとしよう、こういうことでございまして、それによって、地域の町おこしというのですか、活性化を図っていこうということであるわけでございます。

 したがいまして、昨年の一月に、京都府、京都市、そして井澤議員の地元の宇治市の三自治体と京都商工会議所が中心になって源氏物語千年紀委員会を立ち上げて、さまざまな事業を展開していこう、こういうことでございます。そして、ことしの十一月一日に源氏物語千年紀記念式典を行うことになっておりまして、この日を、国民が源氏物語などの古典に親しむ日ということで、古典の日としてほしい、このように今政府に働きかけているところであります。

 また、源氏物語のフォーラムとか女性文化フォーラムを開催して、日本人の考え方や文化について国際理解を深め、文化交流を進めていこう、こういう事業も展開をしている。また、宇治を初め京都には多くの国宝や文化財があるわけでございまして、源氏物語にちなんだそういう展示会をしていこう、こういうことです。

 さらにまた、ことしは六月二十六、二十七日に京都でG8の外相会議がございますから、こういう機会をとらえて海外にも日本の文化のすばらしさを発信していこう、こういうことでございます。

 そして、最後に今先生がお話しになりました、これを機会に記念切手とか記念貨幣を発行したらどうか、地元からそういう声が起こってきたわけでございます。今お話ありましたように、たまたま昨年の十一月に地方自治法施行六十周年という節目の年を迎えまして、総務省としても、記念貨幣を発行しよう、こういう動きが出てまいりました。今年度から十年かけて四十七都道府県すべてにゆかりのデザインを凝らした記念貨幣を発行していこうということになったわけでございます。

 ことしはとりあえず三つの県に絞って発行していこうということになりまして、今先生がおっしゃいましたように、洞爺湖サミットが開かれる北海道、昨年世界文化遺産に登録された石見銀山を持つ島根県、そして京都で行われます源氏物語千年紀を記念して京都府、この三つになったわけでございます。ことしは十二の府県から申し出があったわけでございますけれども、記念発行に関する会合でこの三つに絞られたわけでございます。

 貨幣のデザインは、表面は各都道府県共通でございますけれども、裏面の方にそれぞれ各都道府県にふさわしいデザインを今検討中でございまして、記念貨幣のデザイン等に関する懇談会で十分地元の意見を反映したデザインになるのではないか、このように思っておるところでございます。

 そして、発行時期でございますけれども、十一月一日に記念式典がございますから、もっと前倒しで、今のところ、十月の中下旬に発行する、こういうことでございまして、記念切手は九月二十二日、これは郵便事業株式会社が発行するわけであります。

 なお、貨幣は額面千円でございますけれども、これは記念でございますから、販売価格は六千円で、そのうち七百円が収益でございまして、この収益を国と都道府県が折半していただくということでございます。十万発行いたしますので、とりあえず、三百五十円掛ける十万枚、三千五百万を地元京都府に交付するということでございます。

 ただ、十万枚は最小の単位でございますから、もし井澤議員が多くの方に声をかけていただいてたくさん売っていただければ、それだけ京都府の取り分が多くなり、また地元の宇治市の方にもそのお金が行くかと思いますので、ぜひとも先生の御協力をお願いしたいと思うわけでございまして、当然、国としても、せっかく発行した記念貨幣が広く多く国民の皆様方に買っていただけるように、そういう広報活動に努めてまいりたい、このように思います。

 以上でございます。

井澤分科員 御答弁ありがとうございました。

 貨幣の発行につきましては、私も努力をして広報活動をさせていただきたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 地元の京阪宇治駅の西側一帯で土地の区画整理事業が行われる際に、歴史文化が多いところですので、必ず発掘調査という作業を行うことになります。その作業がちょうど昨年の六月から行われまして、その調査の中で、太閤堤と言われているんですが、宇治川の旧護岸の遺跡が発掘されました。御存じの方がいらっしゃるかもしれませんが、太閤堤とは、豊臣秀吉が、伏見城の築城に伴い、宇治川の川筋につけかえに関係して築いた堤防のことで、文禄三年、一五九四年、今から四百年以上前のものと推測される堤防が発見されました。

 お手元の資料にありますように、見ていただくと、このような形で宇治川がありまして、宇治橋から下流に四百メートルほどにこのような形で旧護岸が発見されました。今回の発掘の遺跡から見ていただくように、古くから高いレベルにあったという我が国の治水技術の具体的な全体像を知るきっかけとなるような貴重なものになっています。私も早速昨年の十月に現地を視察しましたけれども、よくこれだけのものが残っているなと、その迫力に圧倒されました。本当に驚きました。

 これに伴いまして、地元宇治市では、太閤堤の史跡指定と、この場所は、世界遺産でもあります平等院や宇治上神社、また、この太閤堤の隣のちょうど右の上の方に、奈良時代より残るウジノワキイラツコのお墓もあります。今回は、このような歴史全体の観光名所にもなるような場所ですので、地元の名産であります宇治茶とも連携して、宇治茶と歴史・文化の香るまちづくりという構想も宇治市の方ではございます。新たな観光集積地の目玉としても活用するために、宇治市では、策定費として約一千万を来年度の予算として計上しております。

 しかし、土地の区画整理事業にかかわった事業者や地権者の理解が得られないと、事業も進められません。保存に関しては、慎重な意見があるのも現状です。

 この太閤堤とは歴史的に見てどのように重要なものなのか、実際現場を見てこられた文化庁の方に御説明をお願いしたいと思います。

大西政府参考人 お答えいたします。

 このたび発掘されました堤防跡は、城郭のように石垣を築いた大規模なものでございまして、位置や規模、構造から見て、安土桃山時代に豊臣秀吉が築造したことが知られております太閤堤と考えられます。

 堤防跡は、一般的に、築造された年代や築造者が判明するものは少ないのですけれども、この遺構は、築造年代だけではなく、豊臣秀吉という歴史上極めて著名な人物が築いたことがわかるものでありまして、歴史的な価値は高いと判断しております。

 また、この堤防跡は、我が国で本格的な河川の治水工事が始まった時期の遺跡として、河川土木、工学的にも重要と聞いております。

 以上でございます。

井澤分科員 ありがとうございます。

 今御説明がありましたように、歴史的に見ても貴重なものであるということがよくわかりました。

 実は、宇治橋のたもとや太閤堤の東側に入り江が存在した可能性があると今調査の中でわかりつつあるものもあるそうです。今後、第三次の発掘調査も予定されていると伺っております。

 もし仮にそのような史跡が発掘された場合、史跡をどこからどこまで指定するかということが次の重要な課題になってくるかと思います。史跡等の保存や活用方法について国や京都府、宇治市で今後検討されると思いますが、他方、これにより宇治市の負担が大きくなると、今、予算を決めている最中でございますけれども、現在でも厳しい財政事情の中でさらに財政が圧迫をされていくようなことであっては、本当に本末転倒な話になってしまうのではないかと思います。

 そこで、保存に慎重な意見があることも踏まえながら、太閤堤を史跡指定するためには今後どのような手順が必要になって、また、保存の規模にもよるかと思いますけれども、国における補助制度、京都府、宇治市の負担がどのようになるのか、文化庁にお伺いいたします。

 また、もう一点、もし仮に国の史跡指定が行われた場合に、ここ全体が観光集積の中心地となるわけですから、まちづくりも含めた総合的な整備が必要になると思います。国交省の御見解も重ねてお伺いいたします。

大西政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般的な史跡指定のための手順を申し上げますと、前提として、遺跡の内容、範囲、価値について学術的な発掘調査等を行いまして、十分な価値が評価されることが必要でございます。その上で、指定について地権者や関係者等の同意を得て、文部科学大臣あてに地元市町村教育委員会から史跡指定についての意見具申が行われまして、文部科学大臣から文化審議会に諮問し、そして文化審議会で調査審議の上、国史跡指定として価値があると判断された場合、文部科学大臣に答申され、その後、官報告示、所有者への通知を行うといった手順が必要でございます。

 そして、史跡として国に指定されたものにつきましては、文化庁といたしまして、地方公共団体がその土地を公有化したりその後の活用のために整備を行う際には補助を行っているところでございまして、史跡の公有化を行う際には、国は八割の補助を行い、残りの二割を地方公共団体に負担していただくことになります。

 さらに、史跡について、その活用のために、建物、遺構等の復元的整備やガイダンス施設等の建設、案内板などの整備を行う際には、国は五割の補助を行いまして、残りの五割を地方公共団体に負担していただくこととしております。

 以上でございます。

増田政府参考人 お答えいたします。

 先生からお話がありましたように、宇治市の太閤堤が発掘された地区の概況でございますが、宇治川と京阪宇治駅、それに宮内庁の管理していますウジノワキイラツコの墓に囲まれて、これは市街化区域ではございますが、現況は茶畑等の農地が広がっているところでございます。これは、平成十六年ごろから区画整理事業にふさわしい土地ということでその取り組みが行われておりまして、事実、先買いも既に行われている。昨年夏に土地区画整理組合設立の準備協議が始まった、そこで埋蔵文化財調査で発掘された、こういう経緯でございます。

 したがいまして、今、文化庁からお話がありましたように、非常に貴重な遺跡、保全すべきということになれば、まず、区画整理事業をどういうふうに収束するのか、あるいは、収束した後どういうまちづくりをここで展開するのかということにつきまして、お話ありましたように、現在、宇治市におきまして、まちづくり構想調査をこれから行うというふうに伺っております。

 私どもといたしましては、そういった地元でのまちづくり構想ができましたら、その中で、例えばまちづくり交付金の活用でありますとか、あるいは都市公園事業をセットするとか、そういったことで可能な限り御支援はさせていただきたいと思っております。

 なお、まさにこういう地域の貴重な歴史遺産を生かしたまちづくりということに関しまして、実は、本年一月二十九日に閣議決定いたしまして、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案を現在国会に提出させていただいております。仮にこれが成立いたしましたら、ぜひこの適用についても文化庁とも調整したいと思っております。

井澤分科員 ありがとうございました。取り組みの方、よろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、次に移らせていただきます。

 少し視点を変えまして、国宝や重要文化財の防災対策という点、やはり、今のように重要文化財や国宝を指定していただいて国で守っていただいても、いざ地震が起きたときにはその文化財等がどうなるかというのが一番気にかかるところでございます。

 先週、二月の十八日に政府の中央防災会議が開かれたと聞いております。京都府内の約七割、百九十九カ所という重要な建造物等がございます。このような国宝や重要文化財が多い京都に対する防災対策を国として今後どのように取り組まれるか、またそれに対してどのような課題があるのか、お伺いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、中央防災会議の専門調査会の検討では、京都等におきまして内陸地震が発生した場合には、数多くの文化遺産が被災する可能性があるということが明らかになったところでございます。

 文化遺産の被災につきましては、これらの後世に引き継ぐべき貴重な国民の財産が失われるということだけではなくて、それに加えまして、これらの文化遺産には数多くの観光客の皆さん方が訪れているということもございますので、場合によっては多くの人命が失われる可能性もあるというふうに考えております。

 こうしたことに対応いたしまして、現在、専門調査会でその対応策等々について検討していただいているところでございますが、例えば、建造物の耐震化、それと消火設備ですとか消火体制の整備ですとか、美術工芸品等の落下とか転倒防止対策、それに加えまして、周辺市街地における延焼防止対策等のいろいろな対策を行っていく必要があるというふうに考えております。

 ただ、その際には、先ほど申し上げました周辺市街地を含めた防災力を強化するということが非常に重要ではないかというふうに考えておりまして、その意味から、関係者あるいは関係機関が連携してさまざまな対応をとっていくということが必要だと考えております。

 また、こうした取り組みを進めていくに当たりましては、多額の費用を要することも見込まれることでございますので、そういう意味からも、関係機関が連携して対応策を検討していくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。

井澤分科員 ありがとうございました。取り組みの方、よろしくお願いいたします。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと別の話題になりますが、どうしても一点確認させていただきたいことがあります。

 実は、私の選挙区に、京都府八幡市という、ちょうど隣が大阪・枚方市で、京都府南部の中心になるような市になります。つい先日の二月十七日に市長選挙がありまして、新しい市長が誕生いたしました。

 この八幡市は、人口が約七万四千人おります。しかし、この七万四千人のうちの三分の一以上の約二万三千人が住む、男山団地という名前の二百近い大きな団地がございます。たしか、これができてそろそろ約四十年近くたちまして、老朽化、そして住んでいる方も高齢化してまいりました。

 昨年末にたしか都市再生機構が、UR賃貸住宅ストック再生・再編方針として、団地の建てかえや改善、規模縮小など団地の再編を行っていくことを公表されましたけれども、これによると、男山団地は規模を縮小する団地とされ、今お住まいの高齢者の中には大変不安を感じるという声が私のところにも届いております。

 例えば、大規模な団地には、建物の一階部分に店舗があったり、あるいは、今はもう大分古くなって、その店舗もシャッターをおろしてしまっているというようなところがあります。今後、都市再生機構として男山団地についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、ちょっと具体的に教えていただきたいと思います。

尾見参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生からお話がありましたように、UR賃貸住宅ストックの再生、再編につきましては、今後の基本的な方向としては、セーフティーネット機能を強化する、さらには地域の福祉拠点として団地を再生、活用する、こういう大きな考え方のもとに計画を進めようというふうに考えておるところでございます。お尋ねの男山団地につきましても、こういう方向に沿って、今後、居住者の居住の安定とコミュニティーの維持というものに十分配慮しながら、集約形式による団地の再生を図っていくことにしております。

 今先生から、地元の住民の方々の不安なお気持ちについての御説明もございました。このことについて、三点申し上げたいと思います。

 第一は、何といいましても、この再生、再編を進めていくにつきましては、団地の自治会等、居住者の方々とか地元の八幡市の御理解と御協力が不可欠でございますので、今後、意見交換等をさらに十分に行って、地元の方々に不安が生じないように丁寧に御説明をしていきたいというふうに考えております。

 第二には、従前の居住者の方々が引き続き住みなれた団地内に住み続けられるように、団地再生に伴い移転が必要となる方々には、団地の中での移転先の住宅の確保、さらに、移転料の支払いとともに、国の方で出資金制度をつくっていただきましたので、それを活用させていただいて、従前の住宅と同程度の家賃で入居が可能となるよう、家賃減額を行うということにさせていただいております。

 第三としましては、今先生のお話もございましたが、団地再生を通じて地域の活性化にも貢献する、さらには団地の住民の方の利便性の向上を図るという観点から、今後、八幡市の福祉政策と連携して、地域の需要に応じまして、お尋ねの店舗などの施設の有効活用、さらには団地の集約化で生じます整備敷地の譲渡とか賃貸だとか、そういうことによりまして、地域の福祉拠点となる施設、民間の福祉施設も含めて、子育て支援施設、交流施設、生活利便施設等を積極的に誘致していきたい、こう考えております。

 以上でございます。

井澤分科員 ありがとうございました。八幡市の福祉政策と連携をして、住民の不安のないように取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

富田主査 これにて井澤京子君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 大臣初め、連日、大変御苦労さまでございます。私も財務金融委員会で道路特定財源のことを何回も質問させていただいております。とにかく、今、二〇一一年を目指してプライマリーバランス黒字化という時期に、暫定税率が廃止されますと国、地方で二・六兆円も歳入減になる、これは財政の観点からいっても大変な問題があることだと私は思います。

 それから、道路特定財源というのは三つの特徴があります。一つは、油種の中で、それこそ揮発油、軽油にかなり高い税率がかかっている。そして、自動車のユーザーにだけかかっている。また、公共交通機関の発達していないところの方がそうでない方よりも相当多く払っておられる。

 こういうことに対して、やはり納税者の理解を得るということが大事でございます。そのときには、必要な道路をこれだけ整備するということ、これは、道路は命の道路でございますし、いろいろな企業誘致をする場合も道路の条件というのが一番不可欠なわけですよね。そういう点で渋滞の解消、通学路の交通安全、そして環境対策もということでやっと理解をいただいたわけでございます。それを考えますと、一般財源化ということにつきましても、やはり納税者の理解を得ることでなければならない、こう思っておるわけです。

 知事さんたちが、また首長さんたちも、今予算を発表されておりまして、三月議会で、この暫定税率を当然含めてやっておるわけですね、これが三月三十一日に通らなければ全部ひっくり返すことになる。国の予算も地方の予算もその裏づけを欠くようなことがあってはならないことである、こう思っておるわけでございます。

 そこで、本日は、静岡県のさまざまな地域のさまざまな要望はほとんど道路なんですね、そういうことで、主に道路についてお伺いさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 まず、特定重要港湾の清水港でございます。これは海上コンテナ取り扱い量が、今、平成十八年度でございますが、五十七万二千TEUでございまして、平成十四年から五年間で十三万三千TEU増加ということで、増加率は三〇・三%アップでございます。今後もこれは増加が見込まれますし、ここは、将来、中部横断自動車道の供用が予定され、着々とその整備も行われておるわけです。そうしますと、ますます渋滞が悪化する。こういう地域でございます。

 特に、地元の国道一号の静清バイパスの庵原交差点、県道清水インター線、臨港道路と袖師の交差点、特に国道一号清見寺のインターチェンジですね、これは朝夕ラッシュ時に物流の車両と通勤の車両が重なって大渋滞を起こしております。今後、総合的な渋滞解消の方策につきまして、国交省からお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 静清バイパスでございますが、平成九年に全線暫定二車線で二十四・二キロ供用しておりますが、先生御指摘のように、庵原交差点、清水インターチェンジ西交差点、清見寺交差点で激しい交通渋滞が起こっております。中期計画の中でも、庵原交差点、清水インターチェンジ西交差点は要対策箇所というふうに位置づけてございます。

 したがいまして、交通容量の拡大策としまして、ちょうど清水地区は平面でございますので、本年一月に立体化に向けた都市計画変更手続が完了したところでございます。さらに、隣接する八坂―鳥坂インターチェンジ間におきましては、本年三月に四車線で供用される予定でございます。

 これらの交通容量拡大策を進めながら、有料道路の弾力的な料金施策の推進と、それから、警察と一体になりまして、信号現示の効率化ということでソフト施策もあわせながら積極的にやってまいりたいと考えておりまして、総合的に静清バイパスの渋滞対策に取り組んでまいりたいと考えております。

大口分科員 この中部横断自動車道は、中部日本横断自動車道という形で上越市までつながるということでございます。東名、中央、そして上越自動車道とネットワークを形成しております。広域的に経済の振興に非常に資する路線であります。

 今、この中部横断自動車道の清水港への延伸というものが構想として地元ではあるわけであります。この高速自動車道ネットワークに清水港を直結するということなんでございますけれども、こういう構想について、大臣、どうお考えなのか。あるいはこれは国、県、市の関係者が協議する場というものを設置する必要があると思います。この点についてもお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 国際競争力を確保するために、拠点的な空港や港湾と高速道路等へのアクセスを高めることは極めて重要なものでありまして、私どもの道路の中期計画を見ていただきましても、そういうものが一番最初に取り上げられていることからもおわかりいただけると思います。

 清水港は、今お話がありました全国二十三あります特定重要港湾の一つでありまして、二〇〇六年の速報値でございますけれども、外貿コンテナの取扱個数が全国七位、極めて重要な港湾であるというふうに認識をいたしております。外貿コンテナの貨物量におきましても、外貿コンテナの個数におきましても七位とか八位ということで、全国有数の重要港湾でございます。

 そういうことから、清水港から中部横断自動車道初め、周辺の道路網へのアクセス性を高めるということは重要な施策であります。地域の発展のみならず、我が国全体の活力の強化という意味でも大きな効果が期待できるものと考えております。

 このため、現在、関係行政機関で勉強会を開催しておりまして、国土交通省としても、引き続き県、市と連携を図りつつ、清水港とその周辺道路網とのアクセス性の改善につきまして検討が進むように協力をしてまいりたい、非常に大事なことであるというふうに考えております。

大口分科員 大変重要な、また、地元にとってもありがたいお話でございまして、しっかり私も地元も頑張ってまいりたいと思います。

 次に、国道一号静清バイパスの牧ケ谷インターチェンジでございますけれども、藁科川右岸、それから藁科川の堤防と丸子藁科トンネルの間の非常に短い区間にあるインターチェンジであります。東西両方向にオン、オフできるランプが設置されております。ただし、東京方向へ向かう上り車線に進入する場合は、高架道路上にある信号機を右折しなきゃなりません。そのため、このインターチェンジを頭に渋滞が発生し、渋滞の中や後ろの方で事故が起き、死亡事故も発生しております。

 将来、四車線化で供用開始されるときは、この信号機は円滑で安全な運行のために撤去するとの話も伺っておりますが、信号機を撤去すると、上り線へ合流するオンランプがなくなります。既に当地域において多くの企業が進出しておりまして、この信号機の存続を希望する要望も出ております。

 そこで、この信号機を撤去しても上り線へ合流できるオンランプを新しく建設する必要があると考えておりますけれども、国交省のお考えをお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の牧ケ谷インターチェンジは、現在、東京方面出入り口が信号制御をされている、そういう運用でございまして、昭府立体はこの三月二十四日に暫定二車線で供用いたしますが、静清バイパスの清水地区を除いて唯一の信号交差点になります。地元より、入り口ランプの新設及び信号機の撤去の要望をいただいている。先生の御指摘どおりでございまして、国土交通省といたしましては、昭府立体完成後の交通の状況を見ながら、昭府立体以西の四車線化とあわせて、牧ケ谷インターチェンジの改良について検討してまいりたいと考えております。

大口分科員 三月二十四日、昭府立体の供用開始ということで、これは私も本当に非常な思いがありまして、関係者の皆さんの努力でこういうふうに至ったと思っております。またしっかりこの件についてもお願いしたいと思います。

 次に、地域高規格道路の静岡南北道路、通称の流通センター通りの立体化についてお伺いしたいと思うんです。

 新東名高速道路の静岡インターチェンジと国道百五十号を結ぶ地域高規格道路、静岡南北道路、通称流通センター通りは、途中、国道一号静清バイパス、北街道、北街道バイパス、静岡鉄道、国道一号、JR東海道本線、東海道新幹線、南幹線等、こういうところで交差をしておりまして、政令指定都市であります静岡市の南北を結ぶ骨格の道路でございます。道路のより効率的なネットワークを形成し、地域間の交流を促進し、物流の効率化、地域経済の活性化に資する道路なんですが、慢性的な渋滞により移動に時間がかかり、経済的損失もはかり知れないものがあるわけです。新東名の供用開始後は、さらなる車両の増加により、当該道路は大渋滞になるということが予想されるわけであります。

 そういう点で、この渋滞を避けるため、今度は多くが生活道路の方に流入してくる、そういう点で事故やトラブルがふえるんではないか、こういう懸念もされております。私は、地域経済の発展と住民の安心、安全のために当該箇所の立体化に向けた検討が必要である、こう考えるわけでございますけれども、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

冬柴国務大臣 当該道路は、静岡市内を南北に通過しまして、新東名高速道路、仮称静岡インターチェンジと国道百五十号を連絡する延長約十キロの路線でございます。

 静岡南北道路は、並行する山脇大谷線において南北交通の集中による渋滞や事故が多発しております。我々の道路の中期計画におきましても、政策課題に照らしまして重要な路線である、そのような認識をいたしているところでございます。

 ところで、静岡南北道路のうち、新東名高速道路と一般国道の一号静清バイパスの間の区間につきましては、物流の効率化等を促進するために、平成二十四年度に予定されている新東名高速道路の供用にあわせて静岡市が立体化を進めているところでございます。

 残る国道一号静清バイパスから南へ国道百五十号までの区間につきましては、引き続き立体化の必要性について今静岡市が調査検討を進めておられるところでありまして、国土交通省としては、その結果を受けて全面的に協力をさせていただくつもりでおります。

 たくさんの線路、道路等をまたぐわけでございますので、大変な大きな予算になりますけれども、その必要性は認めておりますので、よろしく。

大口分科員 ありがとうございます。

 ここが非常にこれからの静岡市の発展のため大事なところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、この静岡南北道路が海岸部で接続する国道百五十号は、来月の三日に清水バイパスが四車線道路で供用開始される、先ほども御紹介がありました。そして、駿河区の下島から中島までの延長二・三キロメートル、これは静岡バイパスでございますが、この四車線道路も平面供用開始が平成二十二年度になっているわけです。この静岡バイパスと清水バイパスに挟まれた静岡市の駿河区の大谷と清水区の蛇塚までの延長四・二キロメートルが久能街道と言われるところでございまして、二車線対面交通の道路でございます。久能山東照宮ですとか石垣イチゴで有名な久能街道を走る幹線でございます。

 この静岡、清水両バイパスが供用開始されますと四車線で、この久能海岸のところが二車線、そしてまた四車線、こういうことでボトルネックの箇所になってしまうわけです。これは観光でバスもたくさん来ますし、地域経済に大きな影響が出ると懸念されているところでございます。この当該路線は、清水港、焼津港、御前崎港をも結ぶトラック輸送の重要な道路でもあって、早期の拡幅が必要である、こう考えております。

 国道百五十号久能地区の四車線化は重要な課題と考えますけれども、静岡市から要望があった場合、国交省としてどういう対応をされるか、お伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、久能地区は二車線区間でございまして、そういった状況で一日当たり二万六千台の交通量がございまして、混雑度も一・五を超えてございます。平日、休日を問わず交通渋滞が発生している、御指摘のとおりでございます。

 現在、静岡市の方では、久能地区より交通渋滞箇所の多い静岡バイパス、清水バイパスを事業中でございますので、このうち清水バイパスが平成十九年に完了する予定ということから、久能地区の早期事業化について検討しているところと聞いております。国土交通省といたしましても、静岡市の事業計画を踏まえまして、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

大口分科員 ついては、河川局にお伺いしたいんですけれども、静岡市の安倍川というのがございます。これは三大崩れで有名な大谷嶺というのが源でございまして、静岡市内を貫流する延長五十一キロメートルの一級河川で、水質は日本一、こういうふうに言われておる河川でございます。

 その安倍川でございますけれども、私、建設委員長のときに、平成十二年の二月に、安倍川の右岸のトイグチ沢を視察しました。このトイグチ沢は大正三年に土石流災害を起こしていて、災害歴のある危険なところなんですね。その下に大河内小中学校があるんです。昨年、台風でこの沢の右側山腹斜面が崩壊しまして、大きな被害にならなかったので私もほっとしたんですが、前々からこの地区は本当に心配でございました。地元でも大変な要望があって、いろいろと検討されていると聞いておりますけれども、このトイグチ沢の災害防止対策について、今後の計画についてお伺いしたいと思います。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 安倍川でございますけれども、先生御指摘のように非常に急流な河川で、また、上流に崩壊地を抱えているということで、非常に危険な川でございます。その支川のトイグチ沢でございますけれども、先生御指摘のように、昨年の七月、がけ崩れが発生しておりますし、また、昭和四十一年の九月にも土石流等が発生しております。

 そういう過去の土砂災害の発生状況を踏まえまして、学校、公民館、あるいは人家等を土砂災害から保全するために、平成二十年度から砂防堰堤等の整備にかかりたいと思っております。

大口分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、安倍川二線堤の秋山陸閘がございます。そこは県道大川静岡線が走っていて、通学路にもなっています。朝夕のラッシュ時は大変危険な箇所でもございます。通学する生徒の安全確保のため、例えば、道路管理者がいろいろ検討しておるんですけれども、道路を拡幅する場合は、陸閘というのは河川局の所管でございますので、河川管理者がどのように対応していただけるのかということが、これから地元で道路の拡幅を考える場合、非常に大事でございます。そこで、この点について御答弁を願いたいと思います。

甲村政府参考人 安倍川の二線堤でございますけれども、これは先ほど申しましたように、安倍川は非常に急流な川で土砂の流出も多いということで、万一安倍川が上流で堤防が切れたときに、そのはんらん流を制御する非常に重要な施設でございます。そこに県道大川静岡線が陸閘という形で通っておるわけですが、この県道もふだんは学生の通学路として利用されており、学生さんの交通安全という点もまた非常に重要な問題でございます。

 このために、県道を静岡市が拡幅されるという要望がある場合には、河川管理者といたしましても、道路管理者である静岡市とよく協議を行いまして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

大口分科員 ありがとうございます。

 ここも静岡市では大きな課題になっておりまして、今河川局長からそういうお話をいただきましたので、また鋭意しっかり地元の要望も聞いて進めてまいりたいな、このように考えております。

 次に、県道藤枝静岡線の安倍川橋というのがあります。これは、一九二三年、大正十二年の七月二十三日供用開始ということで、延長四百九十・八メートル、幅七メートル、築八十五年で、中部五県で最も古い橋の一つでございます。材料は英国から輸入した鋼材を使用して、そして、ボーストリングトラス形式では国内最大級の橋長で、美しい弧を描いた姿が多くの静岡市民に親しまれております。

 二〇〇五年でございますけれども、社団法人土木学会選奨の土木遺産ということで選ばれまして、ユニークな球形飾りのある橋門を持つなど、優美な姿を今日に残している大正期における最大級のトラス橋である、こういう橋でございます。

 一般的に、橋梁の寿命というのは五十年から六十年と言われております。今回の道路財源の問題でも、橋の維持が大きな課題になっておるわけでございますけれども、この安倍川橋は築八十五年になって、鋼材の経年劣化とか鉄骨疲労とか耐震性ということで心配する声が私のところにも届いているわけなんですね。

 この橋は重要なインフラでありますし、橋が使えなくなりますと、市民生活は多大な打撃を受けます。つけかえには多くの費用と時間もかかりますので、ここは長寿命化というんですか、その対策が早急に必要である、こういうふうに考えておりますけれども、国交省のお考えをお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 中期計画素案の中でも、道路ストックの管理というのは極めて重要な課題だというふうに位置づけております。今先生御指摘の安倍川橋は、静岡県の歴史的土木遺産に登録をされておりまして、地域にとっての財産というべき橋梁であると認識しております。

 地方自治体が管理するこういった貴重な橋梁については、長く安全に使用できるように大切に保存する、使えるようにするということが重要だと考えておりまして、平成十九年度より、道路橋の長寿命化修繕計画の策定に対して地方公共団体に補助する制度を設けております。静岡市も計画策定ということで取り組んでおられまして、この補助制度を活用していただいてございます。

 この静岡市で立てられました長寿命化修繕計画に基づいて来年度より修繕を実施する予定と聞いておりまして、国土交通省といたしましても、静岡市の御要望を踏まえまして、本橋梁の修繕等に積極的に支援してまいりたいと考えております。

大口分科員 ありがとうございます。

 次に、東駿河湾環状道路についてお伺いしたいんです。

 これは、東名高速、国一、国道二百四十六号、伊豆縦貫自動車道、さらに新東名とも接続する静岡県東部地域の骨格を形成する道路で、市街地の慢性的な交通渋滞の解消のみならず、災害時のライフラインとしての期待も高い路線でありますが、西区間の岡宮インターチェンジから原一本松までの七・八キロについて事業着手の見込みがついておりません。真に豊かな活力あふれる国土の形成のために、この岡宮インターチェンジから原一本松までの未整備区間の早期の事業着工が重要である、こう考えておりますけれども、国交省の対応についてお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の東駿河湾環状道路でございますが、沼津インター線の岡宮インターチェンジから一号までの塚原インターチェンジ十キロについては、平成二十年度供用でございます。残る塚原―函南間の五キロについても、今用地買収及び工事を推進してございます。

 御指摘のありました西区間の岡宮インターから原一本松間八キロにつきましては、今申し上げました岡宮―函南間の進捗状況を勘案しながら、静岡県とも、あるいは地元とも御相談申し上げながら早期の事業化に向けて調整を図ってまいりたいと考えてございます。

大口分科員 次に、都市計画道路の志太中央幹線の藤枝工区についてお伺いしたいと思います。

 今、静岡県民の熱い期待が寄せられているのが富士山静岡空港、これが来年の三月開港に向けて着々と準備が進められています。この空港がもたらすインパクトというのは、人の交流、物流は言うに及ばず、産業、経済、教育、文化、スポーツ等、さまざまな分野で多大なものがあって、地元でもあるこの志太榛原地域の活性化だけではなくて、静岡県全体に非常に大きな影響を与える、こう思っております。

 この中で、空港へのアクセス道路、そしてまた、そのアクセスにつながる道路を静岡県あるいは関係市町が開港に間に合うように工事を進めているところであります。慢性的な渋滞を引き起こしております百五十号の富士見橋、島田吉田線の谷口橋の間に、渋滞の緩和、それから新空港へのアクセスとして、現在、大井川新橋(仮称)が建設中であります。現況では平成二十一年度末には完成する予定であるということでございますが、この橋が完成すれば、空港及び榛南方面と、藤枝市や大井川以東の静岡県中部方面の交通は非常にスムーズになるものと考えられますが、これまで以上に人、物の交流が図れるに違いない、こう思っております。

 この仮称大井川新橋と藤枝市内を結ぶ道路が都市計画道路の志太中央幹線であります。現在、県、藤枝市、大井川町がそれぞれ工事を進めていますが、逼迫した地方自治体の予算の中では、補助金を使いながらとはいうものの自治体が捻出できる金額は限られておって、完成がかなりおくれる路線があるわけです。こうした中で、暫定税率の議論、あるいは道路特定財源を見直すというような動きで事業がおくれるのではないかという不安が募っておるわけです。静岡空港の開港に間に合うように、志太中央幹線藤枝工区の道路整備促進に向けて国の支援についてお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、御審議をいただいてございます財源の特例法の中で、地方の事業はいろいろ進捗が厳しいということで、二つ制度を考えてございます。

 一つは地方道路整備臨時交付金の国費率を高める、そういう工夫をする、運用をするということと、もう一つは地方公共団体が負担をされます道路整備費用の一部に対して国が無利子で貸し付ける地方道路整備臨時貸付金、五年据え置き、二十年償還、五年間で五千億というものでございますが、こういった措置を法律が通りますれば講ずることができるということでございます。

 いろいろまた静岡県とも相談しながら、こういう制度の活用も含めまして、当該道路の整備が促進されるように積極的に支援をしてまいりたいと考えてございます。

大口分科員 きょうは一部だけ道路整備について要望させていただきました。本当に、地方は道路の整備というのは要望がございます。本当に、将来の日本のためにも大臣にも頑張っていただきまして、また御協力をお願いしたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

 以上で終わります。

富田主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本洋平君。

松本(洋)分科員 自由民主党の松本洋平でございます。

 大臣におかれましては、連日本当に御苦労さまでございます。午前中の質疑は私が最後ということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは私は、公団住宅の件に関してと都市農業に関して、この二点質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず第一点目は、公団住宅に関してでございます。

 これまでも国会審議等々で公団住宅の件に関しましてはさまざま取り上げられてきたところでございますから、もう御存じのとおりでございますけれども、今、公団住宅に居住されている方々というのは、将来に対する不安というものを感じながら生活をしている、そういう実態があるかと思います。

 私自身も、地元の公団住宅等々にお邪魔をする機会が多々ございます。また、そうした公団住宅のイベント等にもお邪魔をするたびに、住民の方々からさまざまな御意見を聞かせていただくわけでございますけれども、住民の皆さんからしてみれば、長年住みなれた住居でございまして、自分たちのふるさととして大変な愛着を持って生活をされているわけでございます。また、自分たちが住んでいるそうした公団住宅を何とかよくしていこうという思いを持って、住民の方々もさまざまな努力をされております。

 私も、夏祭り等々には必ずお邪魔をいたしまして、一緒に盆踊りなんか踊ったりしながら楽しい時間を過ごさせていただくんですけれども、昨年の夏も、公団住宅の自治会の会長さんといろいろとお話をしたときに、こんな話をさせていただきました。これからのまちづくり、大切なことはやはり地域のきずなだよなという話をいたします。

 例えば、私の地元は東京ですけれども、首都直下型地震なんというものの危険性がよく言われておりますけれども、そうした災害に強いまちづくりというのはどういうまちづくりだろうかということを考えたときに、やはり、御近所づき合いがあって、例えば、あそこの家にはどういう人が住んでいて、その人たちはもう避難したから大丈夫ですよとか、あそこの家にはまだ小さいお子さんが、また寝たきりのお年寄りがまだ残っているから助けに行ってあげてくださいとか、そういう声かけだったりとか、また、住民同士の助け合いの心というものがこれからのまちづくりには必要不可欠でございますし、逆に、今私たちの地域から失われてきているからこそ、もう一度取り戻していかなければならない大変な財産じゃないかと思っております。

 実は、公団住宅というのは、そういう意味では、そういう地域のつながりといいますか自治会のつながりというものが大変強いなというのを、私自身どこの団地にお邪魔をいたしましても感じるところでございます。これらは、やはり住民の皆様方が、それこそ一生懸命努力をしながら少しずつ少しずつ信頼関係を醸成し、そしてつくり上げてきているのがこの公団住宅ではないかというふうに思っております。

 しかしながら、彼らが今一番不安として思っているのは、国の政策によって自分たちの生活の将来というものを不安に思ってしまう部分が強いというのが、やはり彼らにとっては一番大きな問題になっているものと私自身は思っております。都市再生機構の住宅ストックの再生、再編ですとか、また家賃が原価家賃主義から市場家賃化等々ということで、そういうさまざまな制度の変更によって、彼ら自身が、お住まいの皆さんが大変将来に関して不安を感じていらっしゃる。

 また、公団住宅にお住まいの方々も公団住宅の当初のころとは大分変わってきておりまして、御存じのとおり、高齢化がだんだんと進展してきてしまっている。また、いわゆる第一分位、第二分位と言われる、低所得者という言い方がいいのか、そういう方々の割合がだんだんと高まっているというような実態があります。

 そんな中で、まず最初に、都市再生機構の公団住宅についてどのように認識をされ、今後どのようにしていくおつもりなのかということを教えていただければと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず初めに、松本委員におかれましては、かねて都市再生機構の業務全般につきまして御助言、御指導を賜りまして、ありがとうございます。

 今御指摘の賃貸の件でございますが、日本住宅公団として昭和三十年にできまして、自来、大都市圏のファミリー向け賃貸の供給に頑張ってまいったわけでございます。現在、七十七万戸のストックがございます。当初は若いファミリー世帯が入ったわけでございますが、委員御指摘のとおり、現在では、三割強の方が六十五歳以上、また、五〇%の方が所得分位下から二〇%、そういった意味で、地域のセーフティーネットとしての役割というのは極めて大きい、こう考えています。また、この辺は、都市再生機構法改正における附帯決議や昨年の通常国会におけるセーフティーネット法といった法律におきましてもしっかりと位置づけをされているわけでございます。

 ただし、一方で、つくられたのが長きにわたりますので、過半が四十年代以前の古いものが多い、したがって、結果として、古い、老朽が進んでいる、あるいはバリアフリーとかエレベーターの設置という観点からも問題がある、こういったことがございまして、今後は日本の人口とか世帯が減少することも踏まえると、委員御指摘の一定の再生、再編ということも大事だと思っておりますが、その際にも、居住者の居住の安定とか地域のきずなといったものを大切にしてそういったものに取り組んでまいる所存でございます。

 そういったことを踏まえて、今回、新しい施策として、リニューアルとか建てかえといった再編に際しまして、当然、従前の居住者の方が団地内で移転するわけでございますが、その際、所得が低い方々において、建てかえ後あるいはリニューアル後の家賃がなかなか難しい、払えない、こういったことがございますので、居住の安定という観点から、平成二十年度予算におきまして四百億円の出資金を準備して、そういった方々の居住の安定に最大限の配慮をしてまいりたい、これが一点でございます。

 もう一点は、厚生労働省と連携しまして、貴重な公共空間でございますので、こういった場所を再編、再生する場合に、あいた場所に、なかなか立地が困難な保育所とか、あるいはデイセンターみたいな福祉関連施設等の集中的な立地を促す、こういったことを通じて、単に団地の再生じゃなくて、こういった団地が地域の福祉拠点として再生し、地域全体に貢献できるような取り組みも今後しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

 いずれにしましても、セーフティーネット法の趣旨等を踏まえて、しっかりと団地の再生、再編に取り組んでまいりたい、こう考えております。

松本(洋)分科員 積極的な御答弁だったと思います。

 私も、今後の公団住宅というものを考えるときにキーワードになるのは、多分福祉という言葉ではないかと思っております。やはりこれをしっかりと位置づけていただいて、とにかく、そこに住んでいらっしゃる住民の方が将来心配することのないような、そうした施策を万般にわたってよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、住民の方の安全、安心といいますか、居住の安定といいますか、そういうものを考えたときに、私は、やはり住民の声をどういうふうに反映させるのかという観点は大変重要な観点ではないかと思っております。

 実際に住民の方々とお話をさせていただいたときにこんな話がございまして、例えば、今、団地管理でさまざまな業者、業種の方々が入ってこられていろいろな管理作業をされているわけでございます。しかしながら、そうした管理者の選定に際して、住民の方々は、やはりもっといろいろな意見を言いたいというような声が多数出ております。

 と申しますのも、やはり業者というのはただ管理をするだけじゃなくて、管理をするためには、当然、住民の方との信頼関係だったりとか、この人に任せておけば安心という関係づくり、信頼関係というものがなければなかなかそういうものもできないというような現状があるわけでございます。

 そうした観点からも、団地の管理運営に際しましては、より一層住民の意見というものを反映させるような仕組みをぜひつくるべきではないかと私自身は思っているところでございまして、その点に関しましてお答えをお願いいたしたいと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げます。

 今先生から御指摘がございましたように、機構賃貸住宅の管理に当たって、居住者の方々のお考えというものを適切に承っていくというようなことは、大変重要なことだと思っております。

 個別の団地につきましても、団地の管理運営に当たって日ごろから居住者の御意見を伺いながら取り組むというつもりで、自治会の御要請をいただく機会というのを定期的に設けている、これが一つやっているところでございます。それから、居住者団体といいますか、自治会あるいは自治会の連合体みたいなところとも定期的な意見交換の場を設けて、居住者の考え方を承り、管理に反映させていく、こういうことをしております。今後とも、居住者サービスの維持向上という観点も重要でございますので、そういうことを続けていきたいと思っております。

 それから、今お話がございました賃貸住宅管理業務における契約制度の見直しということが今般ございます。これに伴いまして、団地の居住者の方々は、管理業務というのは観点を変えてみれば居住者サービスそのものですので、それの直接的な受益者でいらっしゃる。そういうことで、管理業務における契約制度の見直しによって、今後、具体的な業務がどのように遂行されていくのか、場合によっては今までの業者さんがかわるかもしれないというようなことがあるわけでございまして、この点について重大な関心をお持ちになっているということは私ども十分承知しております。

 この点につきましても、居住者の方々の意向をどういう形で酌み取って反映することができるか等も含めて、これから十分に研究してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

冬柴国務大臣 せっかくの御質問ですから、私からも一言。

 団地にお住まいの方々は、経済成長期に地方から出てこられて、そして日本を支え、つくった方々が本当に多いんですよ。そういう方々が、今、高齢になってそこに入っていらっしゃる。その方々もお年を召しましたけれども、団地も老朽化して建てかえをしなきゃならないという時期を迎えておりまして、昔は大体五階建てでエレベーターもないという大変厳しいものですけれども、今回は、エレベーターのついた十階あるいはそれ以上の高層になります。

 そういうところへ住みかえていただくについて、先ほど和泉局長からも言いましたように、我々は、そこに安心して住み続けていただきたい、そういう思いで予算措置をしまして、そして、戻り入居される方について、今までの家賃から大きく上へ上がるというようなことが絶対ないように、そしてまた、特に低所得者の方々について、新しい家賃が払えないようなことにならないように十分配慮して、この都市再生機構法成立のときに衆参で示していただいた附帯決議を十分遵守して不安のないようにさせていただくということを、どうぞ先生からもお伝えいただきたい、こういうふうに思います。

松本(洋)分科員 大臣からも御答弁をちょうだいしまして、ありがとうございます。私からも住民の方には誤解のないようにしっかりと伝えてまいりたいと思いますが、話し合いといいますか、やはりそういうものは本当に一番大事なことだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いできればと思います。

 本来であれば福祉の関係に関してもちょっと御質問しようかと思ったんですけれども、先ほど局長からお話もございましたので、ちょっと時間もあれですから飛ばさせていただいて。

 もう一つ、先般のさまざまな改革の議論の中で、都市再生機構の三年後の見直しというものがどうなるのかというのが、やはり住民の方からしてみれば一つ大変大きな関心になっております。国土交通省として三年後の見直しに向けてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 昨年の十二月二十四日、いわゆる独立行政法人の整理合理化計画が決まっています。

 委員御案内のとおり、まずポイントだけ言いますと、機構が行う都市再生事業は、現在計画実行中のものを除き、防災性の向上や環境の改善、地方の都市再生など公の政策目的に資するものに限定する。賃貸住宅事業につきましては、高齢者、子育て世帯等の社会政策的に配慮が必要な者への供給に重点化する。そこで、居住者の居住の安定に配慮した上で、賃貸住宅の削減を含むストックの再生、再編を行う。さらに、関連会社等の随意契約を廃止する。こういったことを基本にしまして、そういった業務の見直しを行った上で、これらの業務に即した組織形態を検討し、三年後に結論を得る、こういったことでございました。

 今大臣からも御答弁がありましたように、都市再生機構の賃貸住宅、こういった社会のセーフティーネットとしての位置づけを十分踏まえながら、国会の場で示されました附帯決議あるいはセーフティーネット法の精神といったものを十分踏まえながら、関係機関とよく連携して、整理合理化計画で示された方向並びに国の施策との整合性といったものを十分検討して、三年後ということになっておりますけれども、禍根を残さないようにきちんとした見直しをしていきたい、こう思っております。

松本(洋)分科員 いずれにいたしましても、そもそも国の政策によって進められたこの公団住宅の行政でございますけれども、これが今度、国の政策によってそこに住んでいる住民の将来不安が増大をするなんということは、私は決してあってはいけないことだと思っております。今おっしゃっていただいた趣旨に基づきまして、住民の方々が将来に対する不安を抱くことがないように、ぜひさまざまなお力添えといいますか、お願いをできればと思います。

 時間が過ぎましたので、都市農業に関しての質問に移らせていただきたいと思います。

 これも大臣御承知のこととは思いますけれども、都市的農地というものが今大変な勢いで減少を続けております。しかしながら、実は、都市農業が日本の農業に占める割合というのは大変大きいものがございまして、農業産出額で約三一%、総農家数で二四%、耕地面積で二七%というような数字を占めております。

 また、東京都の都政モニターアンケートによりますれば、八割以上の方が農業や農地を残したいと思う、また、大阪ネットパルアンケートでは、九割以上の方が農業、農空間を守っていくべきだというような、こういう住民からの熱い思いというものもございます。

 御存じのとおり、農業生産という側面ばかりではなくて、都市においては、特に環境、食育、また災害対策等々ということで多面的な機能を有している都市農業、都市農地でございますけれども、まずは、この都市農業、農地につきまして国土交通省はどのような御見解、お考えをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 緑とオープンスペース、これは都市に必要不可欠なものと考えておりまして、その中でもとりわけ都市農地につきましては、今先生からもお話がありましたように、都市の緑地的空間の確保、それから防災空間として、さらにはまた、農業体験やレクリエーションの場など都市における良好な生活環境の確保の面から大変大きな役割を果たしておると思っておりまして、保全すべき農地につきましては、私どもとしてもしっかり保全したいというふうに思っております。

 今、二つの制度を活用しておりまして、一つは生産緑地制度、もう一つは市民農園制度でございます。

 まず、生産緑地制度につきましては、実はこれは平成三年に抜本改正を行いまして、三大都市圏特定市の市街化区域農地につきましては、都市計画の目で宅地化するものと保全するものをしっかり分けようということで、保全すべき農地については積極的に生産緑地にするということで、現在、約六万四千七百地区、面積でいいますと一万四千七百ヘクタールの指定をしております。

 それから、市民農園につきましても、これは平成二年に市民農園整備法が制定されまして、現在、三百九十五件、四百六ヘクタールの市民農園が指定されているということでございます。

 私どもとしても、都市農地で保全すべきものにつきましては、今後ともしっかり保全してまいりたいというふうに考えております。

松本(洋)分科員 国土交通省としても、大変重要な都市の財産だというふうにお考えだということだと思います。

 生産緑地法自体は一定の成果を残してきたんだろうと私自身も思うんですけれども、しかしながら、御存じのとおり、実際問題としては農地はどんどん減少を続けている、そういう実態がございます。

 また、その生産緑地法自体が、そもそもつくられたのが平成三年でしたか、もう十五年とかそれぐらいの時間がたっているわけでございますけれども、その後、取り巻く状況というのも大分変わっていると思っております。

 二〇〇六年の大都市法の改正では宅地供給の数値目標が廃止をされまして、そういう意味では、都市政策自体が大転換を遂げたと思っております。また、住生活基本計画におきましては、「市街化区域内農地については、市街地内の貴重な緑地資源であることを十分に認識し、保全を視野に入れ、農地と住宅地が調和したまちづくりなど計画的な利用を図る。」ということが明記されているわけでございます。

 そういう意味におきましては、生産緑地法ができた当初と、二〇〇六年の大都市法改正、住生活基本計画が出た段階では、またちょっと違ってくるのではないかと私は思っております。

 そこで、住生活基本計画において都市農業の位置づけの変更が明記されたことを受けまして、具体的に国土交通省として保全のためにどのように取り組んできたのか、教えていただければと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありましたように、市街化区域内農地は減少をしております。ただ、先ほど二つに区分してと申し上げたんですが、宅地化すべき農地として私どもが見ておりましたものにつきましては、これは計画的に宅地化を進めてまいりましたので、そういった意味で、年々もちろん減少してきているわけでございます。

 ただ、生産緑地と指定したものにつきましては、ほぼ横ばいで推移しております。ただ、近年、特に東京都におきましては、後継者の不足の問題、あるいはお話ありました税の問題等々で、やはり減少傾向にあるということでございます。

 今御指摘ありました住生活基本計画におきましては、市街化区域農地全般につきまして、市街地内の貴重な緑地資源であることを十分認識し、保全を視野に入れて、農地と住宅地が調和したまちづくりなどを計画的に進めるとなっておりますので、実は私ども、この計画を受けまして、現在、関係省庁とも連携いたしまして、新しい取り組みをどういうふうに進めるかということにつきまして、各自治体の取り組み状況でありますとか課題の把握に努めている、こういう段階でございます。

松本(洋)分科員 おっしゃることはよくわかるんですけれども、では、そもそも残すべき農地とそうじゃない農地というのは一体何をもって分けるのかというところも正直私は疑問に思っているんです。

 確かに、現在の数字を見てみると、生産緑地指定されていない農地が大変な勢いで減少しているという現実があるのはよくわかっているんですけれども、でも、それは、今減っている農地というものは残さなくていい農地なのかというと、私はそうじゃないと思っております。本来であれば残すべき農地なんだけれども、しかしながら、やはり現行の制度の中にまだ使いづらさだとかさまざまな問題があってそうした生産緑地指定ができない農地、本当はしたくてもできない農地というのがたくさんあるというのが地域の実情ではないかと私は思っております。そんなことをぜひ国土交通省にはしっかりと御認識いただきたいと思います。

 もう時間もありませんので、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 そうした都市部の農地が減少しているという現状がいまだにあるのは事実でございます。先ほど、検討するという話はしておりましたけれども、具体的にどのように取り組んでいくのかということを、決意も込めてぜひお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、私どもの持っている制度、生産緑地制度、それから市民農園制度につきましても、御指摘のありました点を踏まえて、今、制度そのものの問題点の洗い出しをさせていただいています。

 ただ、問題は、実は、生産緑地も含めて指定がなかなかしづらい問題もございますし、それから、しても実際にはなかなか買い取りができなくて、結果、解除されて宅地化されるという農地も多々ございます。

 そういった問題を今考えておりますと、実は、かなり農業政策全般にわたる問題が出てきております。御指摘のように、後継者問題もございます。それから、営農する上でのさまざまな条件整備の問題もございます。それから、一番大きいのは、やはり税の問題、固定資産税それから相続税の問題がございまして、これを、先生御指摘のように、抜本的に、住生活基本計画を受けて新しいスキームでやるということになりますと、これは農水省さんとも今勉強させていただいているんですが、そういった都市農業、特に都市内の小規模農業につきまして、農業政策の中でどういう位置づけになるのかということをまず農業政策としてまとめていただきませんと、私ども、これを都市計画としてどう受けとめるかという問題が出てまいります。

 実は、これは自民党の勉強会でも、私どもも参加させていただいておりまして、るる御指摘もいただいておりますが、それも踏まえまして、これからもっとピッチを上げて、農水省とも一緒になって、できるだけ早く結論が出るように検討してまいりたいと考えております。

松本(洋)分科員 おっしゃるとおりで、これは農水省の管轄だとか国土交通省の管轄だなんて言っていたら守れるものも守れないと思っております。こうして議論をしている間にも都市部に残された農地というのはどんどん減っていくわけでございまして、この農地というのは、一度失われたら二度と取り戻すことはできないものです。私たちが子供たちの世代に、本当に日本という国を、どういう都市を残してあげるかということを考えたときに、一度失われたら二度と取り戻せない財産を、今私たちがこれを守れるか守れないかの瀬戸際にいるのが今この日本の国の実情だと思っております。

 そんな観点で、国土交通省といたしましても、みずからのこととして積極的に取り組んでいただいて、早急に必ず抜本的な結論を出しますぐらいの、そういう気持ちでぜひやっていただきたいと思います。

 ちなみに、きょう質問をさせていただきました公団住宅にいたしましても都市農業にいたしましても、それこそ、私たち自民党はもちろんですけれども、公明党さんも地域におきまして一生懸命取り組んでやっていただいている、そういうネタでございます。通告していませんけれども、大臣、何か。

冬柴国務大臣 この都市農地、これはやはり、都市に住む者に潤いを与え、また、災害のときの避難地にもなります。それからまた、営農を続けるのはなかなか難しいんですね。高齢になりますし、亡くなったときに跡取りがいないということもあります。

 しかしながら、一坪農園なんというものは物すごいニーズがあるんですね。ですから、そういうものを組み合わせて、東京のある区ではそういう一つの工夫をしてやっておられるようですけれども、何か公のもの、農業協同組合でもいいと思うんですけれども、そういう人が入ってそういう土地の管理、営農を本人がずっと続けなきゃならないというところが非常に難しいところがあると思うんですね。それを、ニーズに合わせて一坪農園のような形でそういうものを楽しむ市民生活ができるように、そしてそれに合わせてそこに農地というスペースが残る、こういうものもいろいろ工夫しながらやっていかなければならないんじゃないかな、そんな感じを私は受けております。

松本(洋)分科員 大臣も、何とか残さなきゃいけない、そういう思いだということでございますので、どうぞ、公団住宅にいたしましても都市農業にいたしましても、国土交通省として全力で取り組みをしていただいて、今住んでいる方の安全、安心、そしてこれからの子供たちにすばらしい日本という国そして都市というものを残してあげるためにも、今大きな決断が必要な時期だと私は思っております。どうぞよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて松本洋平君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤澤亮正君。

赤澤分科員 自民党の赤澤亮正でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。第八分科会ということで、地元の事情も含め、国土交通分野のお話をさせていただきたく存じます。よろしくお願いをいたします。

 まず、観光の振興についてお話をさせていただきます。

 公共事業の削減でありますとか、米価の下落によりまして農業所得が減少して、地方の基幹産業が総じて不振な状況の中で、観光については、平成十八年から十九年にかけて年間の来訪者数が五十万人以上ふえた水木しげるさんのふるさと境港に、最近になってさらに国際旅客フェリーの就航計画が持ち上がるなど、地域の特色を生かした取り組みが功を奏している例も少なくありません。

 観光を所管する国土交通省出身の私も、地方を元気にするとともに、我が国の国際的な存在感のアップにつながる観光の重要性を十分に認識しながら、過去、その振興に努めてまいりました。与野党の国会議員の皆様の御理解を得て、旧観光基本法を議員立法で改正し、現行の観光立国推進基本法の制定にこぎつけることができましたこと、さらには、長年の懸案であった観光庁の創設が目前に迫っているということも大いなる喜びとするところでございます。

 しかしながら、中央との格差に悩み、いまだに景気回復の実感がない地元を初めとする地方経済の窮状を見るにつけまして、国が推進する観光振興の諸施策が地元経済を目に見えて潤わせて初めて、現在、国に最優先で求められている地方への配慮が形になったと言えると考えます。その意味で、今般の観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案に対する地方の期待は非常に大きいというふうに思います。

 そこでお尋ねをいたします。新法案が目指す滞在型の広域観光圏の形成により、どのように地域経済が活性化をし、換言をすれば地方経済に金が落ちることになるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、赤澤議員には日ごろから観光行政に御理解と御支援を賜っておりますこと、この場をかりて御礼申し上げたいと思います。

 今御質問のありましたいわゆる観光圏整備法につきましては、四つの特徴があると考えております。第一は、農林水産省との共管によりまして、農山漁村活性化制度による支援ができることであります。第二は、国土交通省としての総合力を生かした、ソフト、ハードの連携による支援を行うことができることであります。第三は、事業の成果が出ますように、事業者が観光庁長官に政策の改善を提案できるようにしていることであります。第四は、ホテル、旅館による宿泊客への旅行商品の販売を可能とするなど、民間セクターの活力再生のための規制緩和を導入したことであります。

 これらの特徴を生かすことによりまして、観光圏整備に取り組む地域が今まで以上に強力にバックアップを受けるようになると思っております。このことを通じまして、観光業はもとより、地域の産業が一体となって観光消費の拡大を図り、地域経済の活性化という具体的な成果に結びつけていくことができると考えているところであります。

 こうした法律でありますので、ぜひ早期の審議をお願いできればと思う次第でございます。

赤澤分科員 ありがとうございました。

 私の尊敬いたします本保審議官というか、きょうは特に尊敬する先輩がたくさん来ておられますので、緊張して質問させていただいておりますけれども、尊敬する本保審議官のお言葉を信じまして、地元の関係者ともども大いに期待をさせていただきたいというふうに思います。

 私の地元におきましても、県境を越えて、生活圏、文化圏、あるいは歴史のつながりでカバーをされます鳥取県、島根県、両県にまたがる大山・中海・宍道湖観光圏、これが必ずや名乗りを上げるはずでございます。このような地域の創意工夫を生かした、やる気のある取り組みを、今後、新法案で応援していく国の意気込みについてもお伺いをしたいと思います。

本保政府参考人 ただいま赤澤議員からお話のありました大山・中海・宍道湖圏は、非常に豊富な観光資源があるところでございまして、県域を越えた広域観光ルートの構築などによる滞在型観光地として積極的な取り組みがなされていると聞いております。また、赤澤議員御自身が大変な御尽力をされていると聞いているところでございますが、その成果が着実に上がりつつありますとともに、実は、広域連携という言葉はよく聞かれますが、なかなかその実現を見ていないという意味でも貴重でかつ重要な地域だと思っております。

 そうした意味で、この一月に私どもの方で「地域いきいき観光まちづくり」という本をまとめさせていただきましたが、その中でも取り上げさせていただきまして、滞在力のある町ということで説明をさせていただいているところであります。

 また、地元の方では、先週、鳥取県と島根県の両経済同友会が、両県を圏域とした広域観光圏の形成に向けまして一層強力に活動していくということで共同見解を取りまとめたというふうに聞いているところであります。

 私どもとしても、こうした意気込みのあるところを、モデルとしても重要でありますので、精いっぱい応援してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

赤澤分科員 実は、地元においては、鳥取県と島根県の連携というのは、過去、なかなかうまくいかなかったという実態がございます。いろいろな意味で今非常に力強い応援のメッセージをいただきましたけれども、この大山・中海・宍道湖観光圏が、ようやくその緒についたばかりの両県の広域連携といったものを大いに活性化させて、観光分野にとどまらず、この山陰地方の活性化につながることを期待するものでございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、社会資本整備についてお尋ねをさせていただきます。

 現在、国土形成計画の策定作業中であると承知をしておりますけれども、その中には、アジアのダイナミズム、アジアのエネルギーを取り込んで今後の我が国の発展の糧にするという基本的考え方が盛り込まれていると承知をしております。

 今後、長期にわたり、中国、韓国、台湾などアジア諸国が目覚ましい経済発展を続け、我が国の貿易相手国として存在感を急速にアップさせることが見込まれる現状におきまして、アジアのダイナミズムを取り込むための国際物流のあるべき姿、物の動きについては、日本海側の玄関口である港湾から高規格道路網などを通じて全国土に展開をする、そういう物の流れを考えていくことが合理的であろうと考えます。実体経済の数字を見ましても、境港の貿易額は毎年大幅に増加するといった形で、日本海の時代が確実に到来をしているところでございます。

 そこでお尋ねをいたします。今後、アジアのダイナミズムを最大限に取り込み、国全体の発展につなげる観点から、日本海の時代にふさわしい社会資本の整備のあり方といったものを追求していくべきであると考えますけれども、政府の御見解はいかがでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、平成七年から十七年の十年間で見ますと、日本海側諸港における国際海上コンテナの貨物量というのは一二・四%伸びておりまして、全国平均が四・八%ですから、約二・五倍の伸びになっております。それから、日本海側の県にございます空港の国際航空旅客数でございますけれども、これも全国平均が二・七%に対して六・四%ということで、二・二倍以上の伸びを示している。こういったようなことで、東アジアとの円滑な交流、連携といったようなものを強化する上で、日本海側の重要性が高まっているというふうに言えるかと思っております。

 したがって、私どもとしても、日本海側の地域と東アジア地域の直接交流が増加しているという認識のもとに、日本海側におけるアジア・ゲートウエー機能を向上させるため、港湾、空港のみならず、これらと結ぶ道路、東アジアと直接交流していくためのこういった交通ネットワークの充実が重要だというふうに認識しているところでございます。

赤澤分科員 ありがとうございました。

 非常に具体的に数字を挙げて日本海の時代の到来というものについて言及をいただきましたし、アジア・ゲートウエーといった新しい考え方で港湾、空港をきちっと整備し、交通ネットワークの完成につなげていくという力強い御発言をいただきました。まことにありがとうございます。

 地元においては、これは改めてきょうは質問いたしませんけれども、米子空港の滑走路の延長、あるいはまた、JRがつくります空港新駅までのアクセスについても、空整特会の中で、空港の敷地をはみ出てでも利用客の利便増進につながるということで事業への国のかなりの御配慮をいただく方向であると承知をしておりまして、大変感謝をしております。その方向も、引き続き力を入れてぜひ支援をいただきたいというふうに考えるところでございます。

 最近になって、冒頭触れたとおり、境港と韓国の東海、東海と書いてトンヘと読むようでありますけれども、そしてロシアのウラジオストクを結ぶ国際貨客船航路の就航計画が持ち上がりました。これは、今現在、非常にスピード感のある形で動いておりまして、今月になって、去る二十一日に、同航路の就航について韓国海洋水産部から運航主体の韓国DBSクルーズフェリー社に許可がおりたところでございます。早ければことしの夏にも就航が開始されるという期待も地元にはございます。

 アシアナ航空が運航中の米子―ソウル便と、今申し上げました、今般開始に期待が集まっている国際貨客船航路が、いわば車の両輪としてアジアのダイナミズムを取り込む大いなる役割を果たすことが期待をされます。

 そこでお尋ねをいたしますけれども、境港、韓国、ロシアを結ぶ国際貨客船航路の就航後に、さらに利便性を向上して定着させていくといった観点から、境港の竹内岸壁における旅客船ターミナルの整備でありますとか、あるいはかねてから地元の要望の強い竹内岸壁におけるリサイクル岸壁の整備促進について、政府のお考えを伺いたいと思います。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 境港は、日本海側におきます拠点港湾として、山陰地域の経済や産業を支える極めて重要な港と認識しております。このため、現在、港内の静穏度を確保して、航行船舶の安全性を向上させるための外港防波堤の整備並びに昭和北地区の水深九メートルの岸壁の改良を鋭意進めております。

 先ほど先生御指摘の、韓国東海を起点に境港とロシアのウラジオストクを結ぶ貨客船、フェリーですけれども、この航路が開設の見通しとの報道につきましては私ども承知しておりまして、この実現あるいは定着によりまして、環日本海における対岸諸国との交流の一層の促進に大きく寄与するものと期待しているところであります。そのため、この航路開設の実現に向けまして、私たちとしましても、必要な支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、今、委員御指摘いただきました竹内南地区の旅客船ターミナルの整備につきましては、その利用動向等を踏まえまして検討してまいりたいと思っています。さらに、竹内地区のリサイクル企業が利用できる岸壁の整備につきましては、既存岸壁の利用状況でありますとか企業の進出状況等を見つつ、検討してまいりたいと思っております。

赤澤分科員 需要があればしっかりと取り組むという言葉でございました。

 本当に、今、境港は大変にぎわっておりまして、私が訪れるたびに、非常に活発にいろいろな活動が行われていると確信をしております。間違いなく需要もあると思いますし、企業も進出してくると思いますので、ぜひ前向きな検討で実現にこぎつけていただきたいと強く要望をいたします。

 次に、社会資本整備あるいは公共事業の重要性の再評価といった問題について、問題を提起させていただきたいと思います。

 私は、今、本当に懸念をしておりますのは、いろいろな新聞の論説の議論でありますとか、あるいは一部の国会議員、一部の学者の方たちが、我が国の公共投資について対GDP比をとって単純に外国と比較をする。例えばヨーロッパ諸国と比べて我が国の公共投資の対GDP比は突出しているではないかというような議論のもとに、今からさらに公共事業を半分にしなければならないといったような議論を割とよく耳にする。この点について私は大変な懸念を持っているということでございます。こういった公共投資の対GDP比の単純な国際比較は意味がないばかりか、経済活動の基盤あるいは国民生活の安全、安心を損ない、国の方向性を大きく誤る議論であると私は確信をしております。

 端的に申し上げれば、ヨーロッパの国と我が国を比べれば、細長い国土、脊梁山脈の存在、狭い平野といった厳しい地形は言うに及ばず、地震国である我が国の現状、あるいは大雨、台風といったものがヨーロッパと比べてもはるかに頻度が高い。そしてまた、大都市の大半は軟弱地盤の上にある。あるいは、六〇%が積雪寒冷地である。こういった国土の状況にかんがみれば、特に地震や台風といったことを考えれば、我が国の社会資本整備は、ヨーロッパ諸国などと比べて対GDP比で割合が高くて当たり前じゃないか。その辺のことをしっかり踏まえた上で、本当に経済の揺るぎない基盤、国民生活の安全、安心を確保していくことこそ、国のやるべきことだと私は思います。

 この点について、社会資本整備、公共事業の重要性をきちっと再評価していく必要性、あるいは今私が申し上げたような議論について国民にきちっと普及啓発をしていく、こういったことの重要性について政府の見解を伺いたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国は、地震、台風等が多発するなど、国土条件が欧米と著しく異なっている。例えば橋梁の耐震設計などの防災対策が必要ですとか、細長い国土が海峡と脊梁山脈により分断されているということで、道路整備を行いますと、どうしてもトンネル、橋梁が多くなる。こういったようなことがございまして、日本の公共投資の対GDP比率は、欧米と比べれば押し上げられているというふうに考えております。

 一方、公共投資の対GDP比率ですが、十年前の平成十年で見ると、アメリカが二・四、英国一・四、フランス二・八に対して、日本が五・六というような形で、欧米と比較して高い水準にあるというふうに指摘を受けました。ところが、平成十七年には、アメリカは二・五、英国一・九、フランスが三・二であるのに対して、日本は三・六というような形で、実は次第に近づいてきているというのが現状でございます。

 一方、欧州、EU諸国も、アメリカも、国の経済成長率の基盤だという認識のもとに、実は公共投資をふやしてきております。恐らく数年のうちには、この対GDP比率を見ても日本の方が低くなるというような状態に至るのではないかというふうに考えております。

 そこで、私どもといたしましても、国際競争力の強化と地域の活性化とか、地球環境問題と少子高齢化への対応、国民の安全、安心の確保といったような真に必要な社会資本整備を着実に推進していく必要があるというふうに考えておりまして、そのためには、これ以上の公共事業予算の削減というのはほぼ限界に近いのではないかというふうに考えているところでございます。

赤澤分科員 私は、先ほど申し上げた地政学的な我が国の状況を考えれば、むしろ対GDP比で諸外国よりも公共投資の割合が低くなるというのは、私はこれは危険な状況じゃないかというふうに感じるものでございます。そういう意味も含めて、本当に、国民の安全、安心に直結するものでありますから、しっかりとやるべき整備はする、安全は確保するといった観点は絶対に忘れていただきたくないと強く要請をするものでございます。

 引き続きまして、道路についてお話をさせていただきたいと思います。

 これについて繰り返し冬柴大臣も予算委員会などでお話しいただいているので、再論いただくのは大変恐縮でございますけれども、地元経済の活性化あるいは企業誘致、さらには高度医療へのアクセス、災害時の代替路の確保、ありとあらゆる生活の豊かさ、安全、安心にとって、道路の重要性というのは決定的でございます。

 そういう意味で、道路整備の中期計画が、十年で鳥取県の山陰道を初め地方の道路整備を行うことを打ち出したことを大変歓迎いたします。優先順位がこれまで低く見積もられた地方にようやく順番が回ってきたというのが実感でありまして、ここで暫定税率を廃止されるということは大いに困る、とんでもないというふうに考えるものでございます。

 道路特定財源の一般財源化などによって道路整備を地方に任せればいいという議論もありますけれども、例えば県境の道路であれば比較的経済力の強い県は経済力の弱い県に道路を延ばすことに余り関心がなかったり、現実問題として国全体の道路ネットワークの完成は国の果たす役割が非常に大きいというふうに思います。

 そこで大臣にお尋ねをいたします。

 山陰など道路整備後進県における道路整備の必要性、そしてまた道路整備の進捗状況に起因する格差是正に果たす国の極めて重要な役割についての御見解をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 具体的に山陰地方におきましては高規格幹線道路を初めとした基幹ネットワークが不連続になっている部分があって、ネットワークとしての機能が十分発揮できていない、このような状況にあるという認識を持っておりますので、これを何とか取り戻さなきゃならない、このように思っております。

 おっしゃいましたように、道路のネットワークが企業誘致等に大きな力を発揮する。この二十三日に新名神道路の一部開通式に出席をいたしました。これは三重県の亀山市と滋賀県の草津田上というところまで四十九・七キロを結ぶ高速道路が十四年の歳月を重ねて完成したんですね。部分開通です。ところが、この開通を見込んで三重県の北西地域では、もう御案内のとおりですけれども、シャープの工場を初め七十四の工場が進出をいたしておりますし、稼働しています。滋賀県の甲賀地方というのは、昔は茶畑と田園のあるのどかなところだったんですが、今、六十六の企業が立地して操業し、そして工業団地をつくるべきだという話まで出ています。いかにこのような基幹道路が地域の再生、活性化に役立つかという証左を本当に目の前に見た感じがいたしました。

 このために、交通事故、例えば九号線の青谷あたりの交通事故というのは大変多かったわけです。そういう意味で、我々はバイパスという形で整備していますけれども、一日も早く山陰自動車道をすることにより、このような交通事故、渋滞、あるいは災害対策というような課題を一日も早く解消しなければならないという認識をいたしております。

 今後、医療機関への搬送時間の短縮ということにも裨益するわけでございますので、そういう認識のもとに、この部分についても地方とよく話をしながら進めてまいりたい、このような覚悟でおります。

赤澤分科員 それでは、時間の関係で質問をはしょらせていただきまして、次に、地域の中小建設業についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 これは、国土形成計画などにおいても地域の防災力の強化といったことがうたわれております。ただ、私は、現状のままでは絵にかいたもちにならないかと大変危惧をしております。それは、地域の防災力の担い手というのは実は地場の中小の建設業でありまして、消防団などもその若社長などが中核メンバーになっている。災害が起きれば真っ先に重機を持って駆けつける、こういったことがございますけれども、今まさに、地域の防災力のかなめになっているような地域の中小企業が大変弱くなって、次々に倒れるといったような事態がございます。この点について、地域づくりの担い手である建設業支援の重要性を金子大臣政務官にお伺いをしたいと思います。

金子大臣政務官 お答えいたします。

 私どもは赤澤先生と全く共通の認識を持っているつもりでございます。

 申すまでもないことでございますが、建設業は、社会資本の整備を行うというのは当たり前でございますが、地方の地域にとってはいわゆる基幹産業の一つであるというようなことで、地域の経済社会にとって極めて重要な存在であるというふうに認識をいたしております。ただいま御指摘ありました災害時の地域社会への協力とか、なくてはならない一つの産業でもあるというふうに思っているところでございます。

 国土交通省といたしましても、これまでも非常に公共投資が減少する中で地域の中小建設業というものをどう育成と申しますか、やっていくかということに頭を悩ませてきているわけでございますが、これまでも御案内のいろいろな手は打ってきているわけでございますが、今後とも、先生の御指摘の点を踏まえまして頑張ってまいりたい、このように思っております。

赤澤分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、地域の中小の建設業をしっかりと支えていくために大事な観点、これはちょっと指摘にとどめさせていただきたいと思うのですが、下請取引についてもまだまだ、これは元請が場合によって県外からやってきて、自分たちは利益は確保できるかもしれないけれども、協力企業、下請企業は仕事をすればするほど赤字が出るような価格で入札をしてしまう、実態的に地元の企業は仕事をすればするほど赤字になる、こんな声もございます。いろいろな意味で、価格だけでなく品質を見る総合評価方式でありますとか、あるいは下請取引の適正化のガイドラインといったものをしっかりと普及啓発をし、県や市町村ともよく連絡をとることで、地元の企業が誇りを持って仕事を続けられるようにぜひ配慮をお願いしたいというふうに思います。

 そしてまた、これも指摘にとどめますけれども、国が定める公共事業の労務単価の見直しという問題がございます。

 鳥取県の場合、平成十九年で普通作業員の方が一万一千五百円、交通誘導員Aは八千円、Bは七千二百円といったことでございます。交通誘導員については、余りに低いために地元の多くの従業員思いの企業が赤字覚悟で普通作業員並みに支払っている例も多いと聞きます。涙が出るような話でありまして、普通作業員並みとしても年間二百五十日休みなく働いて三百万円にも達しない、こういう状況でございます。

 本当に地方の防災力のかなめであり、基幹産業でもあり、この産業で働いている方たちが誇りを持って働けるということが私は大変重要なことであると思います。他産業並みとは言わないまでも、現在の実態調査によって単価の下落の後追いをするような方式ではなくて、何かあるべき単価といったような方向を模索する温かい御配慮がいただけないか、この点も指摘をさせていただきたいと思います。

 もう一点指摘をしてから最後に大臣に見解を伺いたいと思いますけれども、建築確認の厳格化の問題も、これは指摘せざるを得ないぐらい非常に深刻です。まだまだ旧に復していないという実感が地方では特に強いです。確認申請手続についても、これは安全上根本にかかわる部分でなかなか難しい面もあるかもしれませんが、少しでも基準を簡素化してほしいという声が強いです。既存不適格の建築物に対する規制緩和でありますとか、あるいは本省の運用通達の不徹底などによる無意味なやり直しとか、そういったものについても引き続き不断のチェックで改善をしていただきたい、これも強く要望させていただきたいと思います。

 最後に、地方の活性化に果たす国土交通省の役割の重要性を冬柴大臣からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 経済、社会、生活全般にわたる地方の活性化に果たす国土交通省の役割の重要性は、本当に大きいというのが実感でございます。国土交通省が国全体の八割を占める公共事業は地方の基幹産業であって、なおかつ、これが今財政再建を妨げる悪者であるかのように言われることは本当に国の将来を誤る、この重要性をしっかりと国民が再認識しなければならないと強く思うものでございます。過去十年にわたり、公共投資は、三大都市圏においては削減幅が小さく、三大都市圏以外においては削減幅が大きかったものと私は承知をしておりまして、そのことが公共事業を基幹産業とする地方経済の逼迫を大幅に加速したことは否定できないという理解をしてございます。

 私としては、国の財政再建の重要性は理解するものの、そのための公共事業の三%削減については、景気回復の恩恵をフルに享受している三大都市圏で行っていただきたい。三大都市圏以外の地方においては最低でも横ばいを確保していただきたいというのが地方の切なる願いであり、それこそが地方への配慮の求められる具体的な形ではないかと思うものでございます。

 冬柴大臣の地方への配慮にかける御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

冬柴国務大臣 先ほども申し上げましたように、山陰自動車道は山陰地方の東西を結ぶ幹線道路でありますけれども、いまだネットワークとして連続していない状況にあります。それぞれの地域にはそれぞれの喫緊の課題があります。それにこたえられるような事業、施策を重点的に実施してまいりまして、整備状況やニーズを十分に踏まえ、めり張りのきいた投資を行っていきたいと思います。

 こうしたハードの整備とともに、例えば境港市における、妖怪、お化けの「ゲゲゲの鬼太郎」による町おこしなど、訪問客数を増加させて地域を活性化させる観光の振興といったソフト分野でも支援をあわせ行う所存でございます。

赤澤分科員 きょう、多数質問を用意いたしまして尊敬する先輩をお呼びしましたが、聞けなかった部分については本当に平におわびを申し上げます。本当に前向きな、地方に温かい御答弁をたくさんいただきまして、本当にありがとうございました。励まされました。どうもありがとうございました。

 以上で終わりにさせていただきます。

富田主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、三ッ矢主査代理着席〕

三ッ矢主査代理 次に、木原誠二君。

木原(誠)分科員 自民党の木原誠二でございます。

 大臣におかれましては、連日連夜、本当に激務、お疲れさまでございます。きょうはどうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、きょうは二点、お話をお伺いしてまいりたいと思っております。一点目は都市再生機構、URについて、そして二点目は日本の港湾行政についてということで、二つの点にわたって質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、URについてお伺いをしてまいりたいと思っておりますけれども、実は私も、公団ではありませんが、社宅で育った一人であります。中学生まで社宅で育ってまいりました。こういう団地というのは、単に住居としての役割ということを超えて、やはりコミュニティーとしての大変貴重な役割を持っているなということを常々感じております。実は私が育った社宅にこの間行ってみましたら、もう取り壊されておりまして、民間のマンションになっておりました。社宅時代には緑もあって、そしてまたキャッチボールもできたようなところが、同じ敷地なんですけれども、目いっぱいマンションが建っている、やはり大分違うなという印象を率直に持ちました。

 それはおいておいて、今の日本の現状を考えますと、年収が二百万円以下の皆さんは一千万人を超えている、あるいは、団塊の世代の皆さんがこれから年金生活者になっていく。いろいろな意味で、私は、公的住宅が果たすべき役割というのは、ふえることはあっても減ることはないのではないかと正直思います。

 まず、大臣の基本的な認識として、これからの住宅政策の中で公的住宅の役割をどのように位置づけていかれるか、御所見を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 今後の公的住宅政策についてのことでございますが、人口や世帯減少社会の到来など社会経済情勢が大きく変化して、国民の住宅に対するニーズが多様化する中で、住宅政策におきましては、国民の多様なニーズに合った安全で安心で良質な住宅が適時適切に選択できる市場の環境整備が必要である。また、その市場において自分の力では適切な住宅を確保することが困難な者に対する住宅のセーフティーネットの構築ということを図ることが必要不可欠であるというふうに考えております。

 今後とも、住宅の確保に関しまして特に配慮が必要な方々が安心して暮らせるような、重層的かつ柔軟な住宅のセーフティーネットの充実を図ってまいりたい、このように思っております。

 もう少し詳しく申しますと、低所得者世帯、あるいは高齢者世帯、あるいは子育て世帯の居住の安定確保を図ることは、住生活基本法の基本理念としても位置づけられておりますし、住宅のセーフティーネット法の趣旨も踏まえ、的確に取り組んでいくことが必要だと思っております。

 こうした考え方から、公営住宅の的確な供給に加えて、都市再生機構、URの賃貸住宅やあるいは地域優良賃貸住宅制度による良質な民間賃貸住宅等を活用しながら、住宅のセーフティーネットの充実を図ることが重要と考えております。平成二十年度の政府予算案におきましても、地域住宅交付金に係る予算の増額も盛り込んでおります。二十年度は千九百三十億円ということで、厳しい中でも三%増の予算を確保したところでございます。

木原(誠)分科員 大臣、ありがとうございました。

 まさに市場の整備、同時に、市場の中でなかなか自力で良質な住宅にたどり着けない皆さんにセーフティーネットをしっかり張っていくんですよ、こういうことだっただろうというふうに思いますけれども、その中で、都市再生機構の役割にも若干触れていただいたわけでございます。

 今、大臣がお示しいただいた基本認識の中で、大臣も都市再生機構の役割を御指摘いただきましたけれども、より具体的に、どういったところに特化をして、あるいは重点化をして都市再生機構が役割を担っていくのか、事務局の方から御答弁いただければと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 木原委員には、都市再生機構全般につきまして、いろいろ御助言、御指導賜りましてありがとうございます。

 今の御指摘でございますが、いわゆる昔の住宅公団、昭和三十年にできまして、当時は非常に若いファミリー層が入られました。現時点で見ますると、機構の賃貸住宅に入居されている方々は、現在では六十五歳以上の方が三割以上、また収入が下から二〇%、こういった方々が過半数を占めておりまして、そういった意味でいえば、極めて大きな地域におけるセーフティーネットの柱である。加えて、そういったことにつきましては、先ほど大臣からもお話ししましたように、都市再生機構法の附帯決議とか、あるいは住宅セーフティーネット法、こういったものに明確に位置づけられておりまして、今後とも都市再生機構の果たすべき役割は一層重要になる、こう思っております。

 一方で、都市再生機構の住宅につきましては、御案内のように昭和四十年代以前のものが過半でございまして、老朽化が進行し、エレベーターがないなど、こういった問題がございます。また、将来の人口とか世帯数を考えますと、その再編、再生ということが不可欠である、そういったことでございまして、そういった計画につきましても、昨年末公表しました。

 しかしながら、これにつきましても、冬柴大臣から累次の国会審議で再三御説明申し上げてきたとおり、賃貸住宅の再編を行うに当たって、居住者の居住の安定が大前提である、そういった居住者の方々が継続居住できるような形で再編、再生していくということが基本でございます。

 このため、平成二十年度におきまして、再編に伴い移転が必要となる低所得の高齢者の方々等に対する家賃減額を行うための新しい出資金としまして四百億円を今政府案で準備してございます。加えて、厚生労働省と連携しまして、安心住空間創出プロジェクトと言っておりますが、団地を再生する際に、バリアフリー化や、あるいは介護、医療、子育て支援施設等の施設を誘致しまして、団地の再生を地域の福祉拠点の再生へと近づけていく、こういったこともやってまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、この機構住宅の役割を十分認識して、その再編、再生に取り組んでまいりたい、こう考えております。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 都市再生機構が果たしていく役割というのは私はこれからも引き続きあるんだろうと思いますけれども、その中で、その役割を果たしていくために、やはり安定した組織形態でなければいけない、このように思います。

 昨年末、独法の整理合理化の議論の中で、民営化するのかしないのかといったような議論があったというふうに認識をしております。結果として、三年をかけてまた一から議論をしていく、こういうことであろうというふうに思います。この底流にあるのが、私はサッチャーの民営化の考え方というのがやはりどこか底流にあるのかなと。いわゆる旧住宅公団から累次にわたって組織の見直しをしてきたわけでありますけれども、その底流にイギリス型の民営化の思想がどこかあるのかなと思います。

 大臣もよく御案内のことと思いますけれども、このサッチャーの民営化というのは、いわゆる公的住宅を払い下げて、ただ私の理解するところですと、これは極めて政治的な意図を持って払い下げられた、そういう意味では極めて政治的な意図を持った民営化であったというふうに認識をしております。結果として起こったことは、低所得者がなかなか良質な住宅にアクセスできなくなって、今、イギリスの現状を見てみますと、数百万人の方が待機リストの中に載っている、十万人弱ぐらいの方が定住を持たずに、ホステルというのですか、一時的なホテルのようなところを転々としているような方も結構いるというふうに伺っております。

 実は私はイギリスの大蔵省で二年間勤務した経験がございまして、今のイギリスの首相のブラウンのもとで二年間仕事をしましたけれども、当時のブラウン財務大臣がこの住宅政策の見直しということに一生懸命取り組んでおられました。昨年ようやくイギリスではグリーンペーパーが出て、これが、二〇二〇年に向けて三百万戸近い公的住宅を新たに供給していく、こういう政策転換を図ったわけであります。

 そういうことをいろいろ考えますと、私自身は独法については改革の急先鋒に位置していると思っております。独法の肥大化はよくないと思いますし、民にできることは民にさせるということが自然であろうと思いますが、しかし、逆に、民でできないことは公でしっかりやっていかなければいけない、そういう認識でおります。

 そういう意味では、昨年の独法化の、民営化の議論というのは、若干違和感を持って私は議論を見守っていたわけでありますけれども、これから三年かけてURの組織の見直しを図っていくわけですが、どのような基本的な理念に立って、あるいは見通しを持って、大臣として取り組まれていくのか、御所見をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 URにはいろいろな役割があります。

 一つは、七十七万戸に及ぶ住宅を家主さんとしてたな子さんに賃貸しているというものでございますが、これも築後数十年を経て、今までは五階建て、四角くて、エレベーターもない、階段というようなものがありました。しかしながら、そういう意味では、平面を広くとるわけですが、これをもう少し立体化して、十階、十五階、そしてエレベーターもつけて、近代的なものにして、そしてそちらへ移り住んでいただくということによって、あいた土地をどう利用するか、こういうような一群の賃貸関係を処理する業務というものがあります。

 もう一つは、密集住宅というのがたくさん、東京、大阪、すごいんですね。こういうところで地震とか火災が起きますと大変な犠牲が出る。過日も地震による予測、恐ろしい結果が報告されましたけれども、そういうものを整理するということは大変な労力が要ります。たくさんの方とやらなければならない。東京の世田谷区でも、六メートルの道路しかないところを十六メートルの道路に広げるというような作業、こういうものをURの力によってやっております。

 もう一つは都市再生です。大きな、丸の内とかそういうところの、私の地元の尼崎でも今緑遊新都心というものがURによってつくられております。

 そういう三つほどに分けて考えたときに、家主さんの分、こういうものを民営化していいんだろうかということを、今入っておられる方々は、日本の高度経済成長期に地方から出てこられてそういうところに入られた方が多いわけでして、そのときは若かったけれども、三十年、四十年の歳月とともに御高齢に達していらっしゃる。失礼だけれども、所得も低い層にいらっしゃっしゃる。こういう方々に、建てかえというときによそへかわってくれというのは、これはもう何十年もかけて醸成されたコミュニティーというものを破壊してしまいます。そういうことじゃなしに、そこで安心して住み続けていただけるような、そういうことをするためにどういう改革が必要なのか。何か抵抗勢力みたいに言われましたけれども、私はその一線は譲れないと思いました。

 あとの点につきましては、これからいろいろな方の御意見を伺いながら、あるべき姿で落ちつくだろうと思います。

 私は、このUR、いわゆる独立行政法人都市再生機構法ができたときの衆参の附帯決議というものがありますが、そういう決議をどこまでも尊重しながらこの作業が進められる、そういう形に見直すべきである、こういうふうに思っております。

木原(誠)分科員 大臣、ありがとうございました。

 民営化して本当にいいんだろうかという率直な思いをお述べいただきまして、私も非常に心強く思ったところであります。

 私は、このURについて、真摯に議論をしていけば、必ず国民の理解を得られる、このように思っております。ただ、今現状を見ていますと、実は、真摯に議論をする入り口に入り切れていないのかなというふうに率直に思います。

 といいますのは、関連会社あるいは特定関連会社と随意契約をずっとやっていた。これは次年度には解消されていく、こういうことだろうと思いますけれども、機構がみずからやってもいいようなことをわざわざ関連会社をつくって、天下りを確保していると言われてもいたし方ないような事例もなきにしもあらずだと正直これは思わざるを得ないと思います。

 したがって、入り口に入っていく過程で、ぜひ大臣の御指導で、関連会社の問題は徹底的にやっていただきたいということをお願いしておきたい、このように思います。

 そこで、少し個別の話をさせていただきたい、こう思います。

 実は、私の地元は十七個の公団住宅がございまして、九千戸近い公団住宅がございます。日本で多分最初の大規模な団地と言われているひばりが丘団地も私の地元にございます。

 年末にストック再編の話が機構の中で決定をされた、四類型に分けて、十年かけて十万戸削減する、こういうことになっているわけでございます。

 私の地元の団地も、それぞれ四類型の中で色分けをされたわけでありますけれども、ストック活用という類型を除きますと、残りの三類型は、基本的に今お住まいの皆さん、住民の皆さんが何らかの形で移転をする、そして、それなりの犠牲というかコストを払うということになるんだろうというふうに思います。

 できる限りコストの少ないように再編をしていただきたいと、これは総論的には思いますが、一番大きな問題は、やはり家賃の問題ではないかと私は思います。

 全面建てかえをする、あるいは集約をするという中で、結果的に、家賃が高くなって戻ってこれないというふうな事態にならないように、先ほど住宅局長の方から二十年度予算の中で手当てをしていただいているという御説明がありましたけれども、改めてURの方から、家賃についてはしっかりやっていきますよということについて、一言言明をいただきたいと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げます。

 建てかえや集約などの移転を伴う事業の実施に当たりましては、居住者の方々の居住の安定、これが第一でございますので、これを図るために、移転先の住宅の確保、それから移転料、引っ越し料の支払い、それから家賃減額の措置等を行うこととしております。居住者の方々には、説明会を開催して、これらの措置を十分御理解いただくということを考えておりまして、個々の相談にきめ細かく対応していきたい、こういうふうに思っております。

 そのうち集約化の団地再生におきましては、今先生お話ありましたように、住みかえをお願いするということになるわけでありますので、まず第一には、移っていただく先の住宅を改善して、そこに移っていただくということが一つになります。

 それから、その住宅にお入りいただくときに、コストアップですから、家賃の上昇理由にもなるんですが、そこも従前と同じ程度の家賃負担で入居が可能となるように、先ほど来お話がありましたような四百億円の出資金をちょうだいしておりますので、私ども、それを活用させていただいて、家賃減額措置を行うというような考えでおるところでございます。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 従前と同じ程度のというところがなかなか微妙だなと私は正直思います。やはり住民の皆さんからすると、同じ程度というところ、幅があるのは非常に不安があるだろうと思います。今ここで、改めて全く同じ額ですねと言っても、なかなかお答えは難しいと思いますので、それはあえてお伺いはしませんけれども、しかし、その程度という中に余り大きな幅がないように、ぜひ真摯に対応していただきたい、このように思っております。

 ひとつ個別の団地についてお伺いをいたします。

 私の地元、東村山ですけれども、私の自宅から五百メートル、六百メートルぐらいであろうかと思いますが、南台団地というものがございます。昭和三十八年から管理が開始をされておりますので、もう築四十年たっている、こういうことでありますけれども、今回の皆さんの再編計画の中では、私の地元の団地では唯一、集約型の団地再生ということになっております。

 私は、恐らく、住民の皆さんは非常に割り切れない思いを持っていらっしゃるというふうに思います。と申しますのは、十年間新規の募集を停止している。なぜ十年間新規の募集を停止していたかというと、建てかえをしますということで停止をしてきた。結果として、今、入居率は七割を切っている状況であります。虫食い状態になっている中で、ではその虫食い状態を解消するということも含めて集約をしていきますよというのは、やや住民の皆さんからすると、マッチポンプと言われても仕方ない、そういう割り切れなさを住民の皆さんはお持ちであろう、このように思います。

 簡潔にお答えをいただきたいと思いますけれども、三点、この南台住宅についてお伺いをしておきたいと思います。

 一点は、何ゆえに今回そもそも集約型という結論に至ったのかということについてが一点目でございます。

 それから二点目は、いずれにいたしましても、皆さんのおつくりになった計画ですべてが決定をしたということではないと私は理解をしております。これから住民の皆さんと真剣に協議をして、また同意を得る中で、この再編が進めていかれるものというふうに思いますけれども、個々の団地についてなかなかお答えは難しいかもしれませんけれども、どういう手続で住民の皆さんとこれから議論をされていくのかということについてお伺いをしたい、これが二点目であります。

 それから三点目は、協議の結果、集約化するということで進むということであれば、それはそれとして、その際、先ほども一部お話しになっておりましたけれども、私は、今の、建てかえを待ちながら十年間新規の受け入れをしなかった、募集をしなかったという中で、南台団地は本当に今外壁も大分悪い状況にありますし、バリアフリーも全く進んでいない、こういう状況でありますから、しっかりと団地そのものを再生していただけるんだということについて、どういう方向で何に取り組まれるのかということを、三点目、お伺いをいたしたい、このように思います。

尾見参考人 お答えを申し上げます。

 まず、先生の第一点は南台についてでありますが、これについて、御指摘のように、平成十一年から建てかえを前提として補充停止をしてきた、その結果、現在では四〇%ぐらいが空き家になっているわけであります。そういうものについて、今回、団地再生・再編方針の中で集約化となったというのはなぜなのかというお尋ねでございます。

 これは、まず全体的な再生、再編の考え方でございますが、これまで私どもは、例えば三十年代の団地については一律にすべて建てかえをしていく、それから四十年代の団地についてはリニューアルだとかそういうことを中心にやっていくということで、団地に即してということではなくて、全体のくくりをして方針をやってまいりました。

 そういう中で、現実に建てかえについても、例えば先生の御地元でも建てかえをやっておりますが、必ずしも建てかえ後の住宅について、その入居状況だとかそういうことを勘案しました場合に、私どもは七十年の耐用年数のものとして考えておりますが、将来にわたって、人口減少だとかそういうことが見られていく中で、引き続き同じように建てかえでやっていっていいのかどうか、それを団地ごとに、エリア戦略と呼んでおりますが、例えば西武池袋線なら池袋線の周辺のエリアを一つとして考えて、全体のストックの量はどうなのか、持っている団地の型式なりそういうものが適切なのかどうかとか、そういうものを全体的に検討して、その中で方針を決めていくというのが今回の特色であります。そういう中で、南台については集約化という結論を出させていただいたということでございます。

 それから、どういう手続でこれからやっていくのかということにつきましては、これまでも、再編方針を決定して公表させていただいた後も、自治会等の居住者の方々の御理解を得るために、御説明をさせていただいたり意見交換をしていただいたりしてまいりました。

 今後も、建てかえのときにも勉強会だとかそういうような方式を多様にしておりまして、相当うまくいっていると思いますが、そういう勉強会などを通じまして皆様方の御意見や御要望を伺って進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、修繕がとまっていたというのは御指摘のとおりでありますので、計画修繕、例えば外壁でありますとか、基本的なところの修繕もあります。そういうものについては、これをきちっとやり遂げていくということは、当然、残されたブロックについて必要なことだと思います。

 それから、バリアフリーだとか、残す住宅があるわけですが、そこについては、先ほどのように手を入れて改善をいたしますけれども、高齢者の方々とか子育ての方々とか、そういう方々によりマッチしたような住宅になるように対応していきたいと考えております。

 以上でございます。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 エリア戦略というのは、組織を運営する立場としては私はあり得る考えだと思いますが、一方で、住まわれている方からすると、エリア戦略そのものは関係ない、自分たちの団地がすべてでありますから。ぜひこれから住民の皆さんとの協議を真剣にやっていただきたいな、そのことをお願いしておきます。

 URの話はこれで終わりにさせていただいて、もう時間も残り少ないですので、港湾についてちょっとお伺いをいたします。

 一昨年、私、上海の洋山新港に行ってまいりました。海の中に突然巨大な港があらわれるということで、何か映画を見ているような錯覚、宇宙基地を見ているような錯覚に陥るような、正直驚いたというのが率直な感想でございました。これだけの巨大な港湾施設、中国だけではなくて韓国もマレーシアも取り組んでいるわけであります。日本もなかなかこれは太刀打ちできないなというふうに思うのが率直な感想でありまして、結果的に、この十年を見ますと、世界ではコンテナの取扱量は二・五倍ぐらいになっていますし、アジアだけ見ますと三・五倍ぐらいになっているわけですけれども、日本は一・五倍に伸びただけということで、やはり取り残され感というのがあるなと正直思います。

 ただ、これから日本が国際競争の中で生き残っていくためには、これは、空港の話もあると思いますけれども、港湾、拠点整備をしっかりやっていただかなければいけない。公共事業が何でもかんでも悪だという時代が少し長く続き過ぎたかなというふうに思っておりまして、やはり必要な公共事業は真剣に取り組んでいかなければいけないんだろうというふうに思います。

 そういう中で、国土交通省には、スーパー中枢港湾、スパ中の予算をしっかり確保していただいて、これまでも真剣に取り組んでいただいているわけでありますけれども、ここできょうは少し総括していただいて、これまでのスパ中の取り組みの状況いかんということと、それと同時に、これから港湾の国際競争力強化という意味でどんな取り組みを考えていらっしゃるか、お伺いをいたします。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 近年、先生おっしゃるとおり、経済、産業のグローバル化が進展する中で、我が国産業の国際競争力を向上させていくことは極めて重要だというふうに認識しております。

 そのため、アジアの主要港をしのぐコスト、サービス水準の実現を目的に、大水深コンテナバースの整備あるいは共同デポの整備、さらにはターミナルの一体的運営等、ハード、ソフト一体になった取り組みでありますスーパー中枢港湾プロジェクトを京浜港、伊勢湾、阪神港において進めております。

 その中核をなします高規格コンテナターミナルの整備につきましては、既に着手しております名古屋港、大阪港、神戸港に引き続きまして、平成十九年度から東京港、横浜港で新規着手したところでございます。

 また、ソフト面の施策としましても、港湾における手続の統一化、電子化に取り組んでいるところでございます。

 さらに、東京港におきましては、本年四月から東京港埠頭公社が民営化され、企業性の発揮によります、より効率的な経営によりまして、船社等の利用者ニーズに機動的に対応していくことが期待されるというふうに思っています。

 そういう中で、さらに国際競争力強化に向けた今後の取り組みとしましては、今申し上げてまいりましたようなスーパー中枢港湾プロジェクトの充実、深化を図ることとしておりまして、具体的には、コンテナターミナル機能の一層の強化を図るために、民間による岸壁と埠頭用地の一体的な運営とあわせて、隣接します臨海部の産業との連携の強化を図り、効率的な産業物流を目指す臨海部物流拠点の形成でありますとか、港湾手続の簡素化や次世代シングルウインドーの構築の推進などの港湾手続の効率化を進める、さらに、コンテナターミナルの出入り管理において共通カード等を導入して、コンテナ貨物の確実かつ円滑な輸送を確保するための新たな出入り管理システムの構築など、今後とも、港湾の国際競争力の強化に積極的に取り組んでいきたいと思っております。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 一生懸命取り組んでいただいているというふうに思います。ぜひ、アジア・ゲートウェイ構想の中でも、やはり空港、港湾、私は一番重要な拠点だろうと思いますので、今後とも取り組んでいただきますようお願いをいたしまして、そしてまた、大臣、やはり次世代への責任ということを考えたときに、やるべき公共事業、インフラ整備というのは必ずやらなければいけないと思います。私は、大臣の手の中に将来の日本がかかっていると思いますので、ぜひそのことをお願いいたしまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ矢主査代理 これにて木原誠二君の質疑は終了いたしました。

    〔三ッ矢主査代理退席、主査着席〕

富田主査 次に、石井啓一君。

石井(啓)分科員 公明党の石井啓一でございます。きょうは地元の茨城県の課題を中心に質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、茨城空港、百里飛行場でございますけれども、これは、ただいま、平成二十一年度供用目標ということで整備が進められているところでありますが、これが確実に二十一年度に供用できるように整備を進めていただきたいと思います。

 また、航空会社の路線の設定と空港の利用の促進ということで、これは茨城県が取り組んでおります。当然のことながらこれは地元の努力が大前提でございますけれども、国の方からもぜひ支援をお願いいたしたいと思います。

 答弁をお願いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 茨城空港でございますが、平成十二年度に新規事業として事業化が認められました。その後、環境アセスメントの手続における現地調査や、自衛隊の弾薬庫の移転に関する地元調整等に若干時間を要しまして、平成十七年七月に現地着工の運びとなりました。私も当時航空局の次長をしておりまして、起工式にもお伺いさせていただきました。以降、共用化に必要となる滑走路、誘導路や民航ターミナル地区等の整備を鋭意進めております。現在は、用地造成等を引き続き進めるとともに、滑走路の舗装工事にも着手したところでございます。

 一般空港をめぐる財政状況は極めて厳しい状況にありますが、引き続き、平成二十一年度の確実な供用を目指して、事業の進捗に努めてまいりたいと考えております。

 また、この利用の問題でございますが、茨城空港は、茨城県を中心とした関東北部地域の航空需要に対応するものでありまして、首都圏の航空需要の一翼を担う役割を果たすことが期待されます。一方、航空路線の就航は、航空会社がその路線の需要動向等を勘案して経営判断により決定することが原則でございます。したがいまして、茨城空港につきまして、航空路線の開設と利用促進に向けまして、県を中心とした地元におきまして引き続き積極的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。

 国土交通省といたしましても、地方路線の維持拡充のために、地方路線にかかわる国管理空港の着陸料の引き下げや、国内線就航機に対する固定資産税の軽減措置、アクセスの整備等の措置を講じているところでありますが、茨城空港につきましても、地元での取り組みと十分に連携をとりまして、積極的に支援を講じてまいりたいと思っております。

石井(啓)分科員 よろしくお願い申し上げます。

 続いて、利根川の桜堤事業でございますけれども、茨城県の境町で、平成六年度に、皇太子殿下の御成婚を記念いたしまして、境大橋下流の三百二十六メートル区間で桜堤が整備されました。当時はこれは直轄で整備をしていただいたわけでありますけれども、この区間に続いて、境大橋上流から国道新四号橋梁の区間への桜堤の延長整備について地元から要望がございます。ぜひ積極的に対応していただきたいと思いますので、答弁をお願いいたします。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 境大橋下流の桜堤につきましては、先生御指摘のとおり、平成六年に皇太子殿下御成婚記念事業により整備したものでございます。その上流、境大橋上流から国道新四号橋梁までの間でございますが、地元境町からも、桜堤事業として整備していただきたいという要望を承っております。

 この桜堤の整備をやります場合に、堤防を広げる用地を市町村で用意していただくということになっておりますので、その辺も含めまして、境町と十分打ち合わせをさせていただきまして、積極的に対応してまいりたいと考えております。

石井(啓)分科員 地元と連携の上、ぜひよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 続いて、道路関係の質問に移らせていただきます。

 まず、一般国道六号日立バイパスでございます。

 日立市といいますのは地形的に海と山に挟まれた地域でございまして、ちょうど神戸市も海と山に挟まれて市街地が東西に延びていますけれども、日立は、同じように海と山に挟まれて市街地が南北に細長い町になっております。この南北を縦貫する幹線道路は国道六号だけでございますので、移動が国道六号に集中いたしまして、交通渋滞が慢性化しております。そこで、地域の皆様から、市内の渋滞緩和について非常に強い要望が出されております。

 この日立バイパスにつきましては、事業化されております日立市田尻町から旭町の区間四・七キロメートルについては今年度末に暫定供用されるわけでありますけれども、旭町以南の区間について早期事業化を図っていただきたいということで、日立市の人口は約二十万人弱でございますが、約半数の十万人の署名を地元で集めて、昨年大臣にも要請をさせていただいたところでございます。ぜひ早期の事業化を図っていただきたいと思います。答弁をお願いいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、日立市の旭町から河原子町五・七キロ、二十年前に都市計画決定をしておりますが、海岸線を通っているルートということでございまして、少し全体の工事費がかかる。今、日立市内の都市計画道路網の見直しに伴いまして、国土交通省、茨城県、日立市とルート、構造の再検討に着手をしてございます。これまでにも、ワークショップ等を開催いたしまして、多くの市民の皆さんから御意見を伺ったところでございます。平成二十年度には、ルート、構造を確定するとともに、都市計画変更の手続に着手をしてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、そういう手続を早期に終えまして、地域の皆様方の御意見を伺いつつ、前進するように努力をしてまいりたいと考えてございます。

石井(啓)分科員 地元で非常に強い要望のあるところでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 引き続きまして、今度は国道六号の牛久土浦バイパスでございます。

 ここは、近接いたします北側の土浦バイパスはもう既に供用されております。それから、南側の取手、藤代のバイパスも供用されておりまして、この区間だけ現道区間で残っているということから、牛久市内を中心として、やはり日常的に渋滞が発生している箇所でございます。地元からも早期の事業促進について要望が強いところでございます。

 今、この牛久土浦バイパスの十五・三キロメートルの区間のうち、事業化されております三・九キロメートルの区間については平成二十年度に暫定供用されるわけでございますけれども、事業化されていない区間、特に南側の区間の早期の事業化を図っていただきたいと思います。答弁をお願いいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 牛久土浦バイパス十五・三キロ、委員御指摘のちょうど真ん中が二十年度内の供用をするということで、振り分けの形で未供用が残ってございます。

 今御指摘のありました南側の未事業化区間については、既存の道路網、牛久市が今整備中の都市計画道路がございます。事業がかなり進捗をしているところもありますので、その状況を勘案しながら優先的にどこを整備するかということを検討して、全体が早くできるように努力をしてまいりたいと考えてございます。

石井(啓)分科員 地元といたしましても、今局長が指摘されたように、都市計画道路を活用しながら段階的な整備ということで要請も出ておりますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。

 続きまして、今度は東関東自動車道水戸線でございます。

 この東関東自動車道水戸線につきましては、先ほど冒頭に質問しました百里飛行場のアクセスの関係で、茨城町から鉾田市の区間は今事業中でございますけれども、それより南側、鉾田市から潮来市の区間について、現状では基本計画区間ということになっておりますけれども、今現地では都市計画決定の手続中というふうに承知しております。これは、早期に整備計画区間に位置づけていただきまして、事業化を図っていただきたいと存じます。

 ちなみに、道路の中期計画の中での費用対効果の検証によりますと、この区間は一・六三という費用対効果ということになっておりますので、そういったことも踏まえて、早期事業化をお願いいたしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、ちょうどまた東関東道鉾田―潮来間二十八キロが基本計画のままでございまして、環境調査を実施して、昨年三月に茨城県が都市計画決定に向けた具体的な手続を始めていらっしゃいます。本年秋を目指して手続を完了するというふうに聞いてございます。

 この区間、基本計画区間を含めて九千三百四十二キロの外側の整備方針につきましては、まさに今審議をしていただいております特定財源に係る関連法案の成立、あるいは各区間の事業手法、この区間をどういう事業手法でやるのか、今は会社あるいは新直轄でやってございますが、そういう事業手法をどうするのかということの調整、そういうものを踏まえながら中期計画では点検をいたしましたが、さらに事業前の個別の事業評価を実施の上、早期に進むように検討をしてまいりたいと考えています。

 そういうものを踏まえて、いずれにしろ、国幹会議で基本計画から整備計画に上げるという手続が必要になるかと思います。

石井(啓)分科員 この区間も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、圏央道でございます。

 今、圏央道全区間において鋭意整備がされております。私の地元の茨城県におきましても、つくばジャンクションから阿見東インターチェンジの間が既に供用されたところでございます。

 残りの区間も今用地交渉あるいは工事等を進めていただいているところでございますが、阿見東インターチェンジから東関東自動車道と接続します大栄ジャンクションの区間、また、常磐道のジャンクションでございますつくばジャンクションから東北道のジャンクションでございます久喜白岡ジャンクションの区間、ここは開通目標が平成二十四年度ということで、おおむね五年先の開通目標ということでやっていただいております。平成二十四年度といいますと、ほかのところ、東北道から関越道の区間、関越道から中央道はもう既に開通しています。中央道から東名道の区間も二十四年度ということですから、二十四年度でほぼ圏央道が概成するということで、これは首都圏にとって非常に大きなインパクトのある事業になるわけでございます。

 ぜひこの供用目標が確実に達成できますよう、全線なんですけれども、特にきょうは地元で申し上げておりますので、茨城県の区間が確実に達成できるよう、事業を進めていただきたいと思います。御答弁をお願いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お話しいただきましたが、圏央道全体三百キロございまして、おおむねの区間が平成二十四年度までに完成する、一部西側の方で平成二十七年度という目標のところがございますが、おおむね二十四年度に供用するということを目標に鋭意事業に取り組んでございます。

 現在までは、中央道八王子ジャンクションから関越道鶴ケ島ジャンクションなど六十一キロが供用でございます。本年三月末には、埼玉県区間ではございますが、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジ間の七・七キロが新たに開通する予定になってございます。

 茨城県内でございますが、もう御指摘があったので繰り返しになりますが、つくばジャンクションから阿見東インターチェンジの十三・五キロが既に供用しております。引き続き、阿見東インターチェンジから江戸崎インターチェンジを平成二十年度、江戸崎インターチェンジから大栄インターチェンジ二十・四キロを平成二十四年度の供用目標で、現在、用地取得、改良工事、橋梁工事を推進してございます。

 もう一つのつくばインターから久喜白岡ジャンクションでございますが、平成二十四年度の供用を目標として、用地取得と一部橋梁の工事を進めてございます。今後とも、供用目標が確実に達成できるよう、地元の住民の方々、自治体の方々の御協力を得ながら、計画的に事業を進めてまいりたいと考えております。

石井(啓)分科員 大臣、実は今私どもの地元でガソリン税の暫定税率の必要性について訴えているんですけれども、その中で、きょう取り上げましたような日立バイパスとか牛久土浦バイパスとか東関東自動車道水戸線、これは、暫定税率が維持できないとこういったところの早期事業化というのはとてもめどが立たない、こういうふうに申し上げております。また、圏央道についても、五年後に供用できるものが十年から十五年以上先になって大変おくれてしまう、ですからこれはもう絶対必要なんだ、こういう説明をさせていただいています。逆に言いますと、暫定税率が維持されるとなるとそういう事業が着実に実施できるだろうな、皆さんこういう大きな期待を抱いていらっしゃいますので、ぜひ期待にこたえていただけるようにお願いをいたしたいと思います。

 続きまして、高速道路料金の引き下げの件でございますけれども、昨年、政府・与党で合意された道路特定財源の見直しの中で盛り込まれております。高速道路料金の引き下げとスマートインターチェンジで合計二・五兆円ということでありますが、高速道路料金分で大体二兆円というふうに伺っておりますけれども、この具体的な内容はいつどういうふうに決まるのかということを一つ確認させていただきたいと思います。

 もう一つは、今、社会実験で何カ所か、料金引き下げを通常のETC割引に上乗せしてやっていますけれども、これは今、毎年毎年社会実験を続けるかどうかというのは予算が決まらないとわからないということがありまして、また、年度途中からやっているのですね。今回の予算、また道路特定財源に係る法律が成立すれば、この社会実験については、実験という形ではなく、本格適用として通年化、継続化をしていただきたいと思います。大臣の御答弁をお願いいたします。

冬柴国務大臣 現在、全国で料金の社会実験を行っております。例えば、石井さんの地元でありますと東水戸道路、これが朝夕時間帯で五割引ということを行っているわけでございます。そうしますと、北関東自動車道との連続利用が一割ふえました。一割ふえたということは、並行する国道の通行が減るということを意味するわけでございまして、実に、国道二百四十五号ですか、今まではそこを通り抜けるのに一時間当たりで三十五・九キロしか行けなかったのが、一時間当たり三十九・一キロ、すなわち一割以上速くそこを通り抜けることができるようになるというような変化が見られております。

 そのようなことで、料金引き下げの内容につきましては、こうした社会実験の結果を踏まえ、今回の法律の成立後に、各高速道路会社及び日本高速道路保有・債務返済機構が、国民の御意見が現在たくさん寄せられておりますが、そういうものを伺いながら計画を作成し、国の同意を経て本格的に決めるわけですが、その期限はことしの秋ごろでございます。本格導入は秋ごろからということになります。

 なお、社会実験につきましては、必要な見直しは行いますけれども、四月一日以降、そこで打ち切るということじゃなしに、来年度も実施していただくような方向で検討いたしております。

石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、今、圏央道について、開通している部分でETC割引というのは一部区間だけにとどまっております。私は、圏央道は一般有料道路ということでそういうふうになっていると思いますが、一般有料道路の中でも、こういう圏央道のように高速国道を結ぶネットワークを構成する高規格幹線道路については高速道路並みのETC割引を実施していいんじゃないか、こういうふうに思います。特に、これが完成をしてまさに高速道路と高速道路とを結ぶようになれば、そういったことをぜひ考えていただきたいと思いまして、特に地元でいえば、茨城県区間でぜひ実施をしていただきたいと思います。御答弁お願いいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道の料金水準というのが、キロ当たり三十……(石井(啓)分科員「いや、ETC」と呼ぶ)ETCの方ですか。わかりました。

 圏央道の供用区間というのは、既にETC車は早朝夜間五割引ということで実施をしておりますが、今御指摘の既供用のつくば―阿見東インターを含む久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクションにつきましては、先ほども少し答弁申し上げましたが、まだ有料道路事業として事業化をされていない区間が含まれておりまして、全体を通してどういう形になるか、料金設定もまだ確定していないようでございます。

 いずれにいたしましても、今申し上げました久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクションを含む圏央道全体へのETC割引の導入につきましては、先ほど大臣が答弁されました全体の姿を見据えながら、利用状況とか社会実験の結果を踏まえて、会社が新たに国民の意見を聞きながら案をつくられると思いますので、それを踏まえて国土交通省としても的確に対応してまいりたいと考えてございます。

富田主査 ちょっと、今、ダイエイとおっしゃっていますが、地元の出身ですので、タイエイといいます。間違えないでください。

石井(啓)分科員 濁らずにタイエイでございますね。わかりました。

 それから、最後の質問になりますが、今度は圏央道の料金水準について問題提起をさせていただきたいと思います。

 圏央道は、キロメーター三十四円という料金水準になっています。一方で、高速道路の料金水準はキロメーター当たり二十四・六円、それに、ターミナルチャージということで、インターチェンジを利用する料金としてプラス百五十円、これが高速道路の水準です。

 そういたしますと、ターミナルチャージ分は圏央道の方はないんですけれども、私が計算をしますと、十六キロメーター以上走行すると圏央道の方が高速の料金より高くなるんですね。三十四円と二十四・六円の差は九・四円ですか、キロメーター九・四円、圏央道の方が高いんです。九・四円分というのは、百五十円で計算しますと、大体十六キロで百五十円分はクリアされてしまうということなのです。

 圏央道というのは、今、全国の高速道路の償還のプールの中に組み込まれていますので、そういったことを考えると、高速道路の料金水準との均衡というのが非常に重要になると考えておりまして、今後、圏央道の料金水準についてはぜひ低減する方向で見直しをしていただきたいと思います。御答弁お願いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度、大規模な料金の社会実験をやってございますが、三つの大きな観点から社会実験をやってございます。一つは、並行する現道が渋滞等の課題を抱える箇所について、高速道路のさらなる利活用が図れないかという点。もう一つは、物流の効率化を促進するために、夜間に割引料金を利用できる時間帯を拡大できないか。もう一つは、今御指摘の圏央道等でございますが、都心部の通過交通の迂回誘導を図るための環状道路の料金を割り引けないか。そういう観点で大規模な社会実験をやってございます。

 圏央道も具体的に社会実験をやってございまして、開通しております八王子ジャンクションから鶴ケ島ジャンクション間におきまして、圏央道全体を通過する車両に対しまして圏央道の料金を三割割り引く、それから、圏央道と中央道を連続利用する車両に対して一律三百円の割引、そういった内容の料金社会実験をやってございます。

 先ほど申し上げました全体の二兆円を活用して会社が高速道路の利便計画を出される、それは料金の社会実験のいろいろな成果を踏まえて出されてくるんだろうと思います。圏央道等の環状機能が料金によって阻害されることのないようなことを会社でも検討されるのではないかと考えておりますが、会社からの申請を見て、あるいは利便増進計画等について協議をさせていただいて、しかるべく料金体系ができればというふうに考えてございます。

石井(啓)分科員 ぜひ、圏央道が概成する二十四年度に向かって、全体的にどういう料金水準、体系にしたらいいかということは御検討をいただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

富田主査 これにて石井啓一君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 私は、国土交通省の進めております霞ケ浦導水事業について質問させていただきます。

 今、那珂川への取水口の建設が問題となっているときであります。この那珂川は、関東地方では珍しく、源流部に深山ダムがあるだけで、ほかにダム、堰がない川として知られております。春にはアユ、サクラマス、ウナギ、秋にはサケが遡上する自然豊かな川であります。

 日本釣振興会の統計によりますと、全国で最も天然アユの遡上が多い川が那珂川だと言われております。

 そこで農水省水産庁に伺います。

 那珂川のアユの漁獲高は、全国的に見てどのような水準なのか。この点について、過去五年間のアユ漁獲量について河川別全国順位で那珂川が何位となっているのか、また、最近二年間の那珂川でのアユ漁獲量と全国の漁獲量全体に占める那珂川の割合を示してください。

重政府参考人 お答え申し上げます。

 那珂川におけますアユの漁獲量でございますが、最新の統計によれば、二〇〇六年におきまして六百二十一トンであります。これは全国で一位でございます。また、過去五年間、いずれも全国一位という漁獲量になっているところでございます。

 また、那珂川のアユの漁獲量が全国のアユの漁獲量に占める割合でございますが、二〇〇五年が一五・三%、二〇〇六年が二四・一%となっているところでございます。

塩川分科員 那珂川のアユの漁獲高は全国一位であります。大臣の御地元の兵庫県の揖保川は、十八年は全国五位ということで大変多いところの一つだそうですが、シェアからいっても、一番大きいのがこの那珂川というのが現状であります。

 釣り具メーカーなどがアユ釣りの全国大会を開きますけれども、その際に、頻繁にこの那珂川で開かれております。栃木の黒羽という地域が多いと聞いておりますけれども、ダイワですとか「がまかつ」ですとか、あるいは全日本釣具商組合などが行う全国大会が、数年連続して那珂川で行われる。というのも、この那珂川が最も安定してアユの漁獲量が得られる川で、釣りの大会をするにしても、例年、変動が多いような川では困るということもありまして、ここに集中しているということをお聞きいたしました。

 その那珂川に霞ケ浦導水事業において取水口をつくる、那珂川に幅五十メートルにわたって取り入れ口をつくる。那珂川の総水量の一二%の取水ということが言われております。地元の漁協の皆さんが声を上げておられまして、その訴えというのが、先祖から受け継いできたかけがえのない那珂川の清流と生態を守り、現在の姿を子や孫たちにしっかりと引き継ぎたい、こういう訴えであります。こういう漁協の皆さんのお気持ちを大臣はどのように受けとめておられるのか、ぜひお答えください。

冬柴国務大臣 先祖から受け継いでこれを守ってこられた那珂川周辺の漁民の皆様方の、これを子や孫の世代にも引き継いでいきたいという願いというのは、これは本当に貴重なことでありまして、尊重されなければならないと思います。そのような自然環境を保全しつつ、安心して暮らすことができる社会資本を整備していくことが肝要だと考えます。

 霞ケ浦導水事業の実施に当たりましても、新規の水利用の確保など、早期の効果発現に努めるとともに、那珂川等の自然環境を保全するように万全を期さなければならない、これは当然のことだと思います。

 そういう意味で、アユが、落ちアユとか上りアユとかありますけれども、そういうものに影響がないような工法がいろいろ工夫されて、そしてそういうものを御納得いただく、結論的に貴重な自然環境が保全されるということが大事である、私はそのように思っております。

塩川分科員 自然環境の保全に万全を期すというお話、その点で工事の目的も含めて関係者の御納得をいただく努力をという話をされましたが、実態とすると、危惧の声の方が大きいというのが現状です。

 その点で伺いたいんですが、アユの生態調査についてであります。

 この間、国土交通省の現地事務所などがアユの生態調査などを行っております。それに関連してお聞きしたいんですが、産卵からふ化して川から海に流れ下る仔アユ、その仔アユが下るという降下調査を行っているわけですが、その仔魚が取水口に吸い込まれる懸念というのが大変強いわけであります。

 そこで、国交省の方で調べた調査、データの中で、仔魚の降下量というのは、平均すると一年に大体何尾ぐらい降下をするとなっているのか、その数字についてまずお答えいただけますか。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 仔アユの降下量の調査でございますけれども、霞ケ浦導水への迷入対策を検証する基礎資料として、どういう時期に、あるいは一日のどういう時間帯に、どのような比率で降下しているのかというのを調査しております。その結果、十月から十一月の間に全体の九七%、一日の時間帯でいいますと、十八時から八時の間に九八%の仔アユが降下するということがわかっておりまして、その間は霞ケ浦導水の那珂川からの取水をやめるということを計画しております。

 そういうデータをもとに、年間の仔アユの総降下量を推定いたしますと、約六十一億尾と推定しております。

塩川分科員 六十一億尾という大変な数であります。年によれば百三十億というときもあったそうですけれども、もちろん、これは全体の実数の調査ではなくて、ポイントでの調査ですから推計ということでありますが、大変な大きな量であるということは確かであります。

 今お話がありましたように、夜間に降下をする仔魚が吸い込まれないように、十月、十一月については夜間の取水はしないというお話ですが、この二カ月の仔アユの降下量が約九七%というお話でした。それ以外は三%となるわけで、三%でも、六十億尾でいえば一億八千万、約二億の数であります。こういう数が対象外となるわけですけれども、地元の漁協の皆さんなどが特に懸念をされておられるのは、自然環境と一体のアユの生育ですから、数%の仔魚の喪失というのが毎年毎年積み重ねられることによって、結果としてアユの大きな漁獲量の減少を招くのではないか、こういう強い危惧の声が上がっているわけであります。

 この数%の仔魚の喪失が将来大きな漁獲量の減少となるのではないか、こういう危惧の声に対して、国土交通省としてはどのようにお答えするんでしょうか。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 まず、仔アユの降下量への影響でございますけれども、先ほど申しましたように、季節的には十月から十一月に九七%が、その中でも、時間帯でいいますと、十八時から八時の間に九八%が降下する。そういう中で、その間につきましては那珂川からの取水を停止するということで、仔アユの吸い込みの影響は最大で見積もっても約一%になると推定しております。

 仔アユのほかに、今度は遡上してくる稚アユ等でございますけれども、これにつきましてはメッシュの細かい除じん機つきのスクリーンを取水口付近に設置したり、あるいは魚が取水口付近を避けて移動するように障害物のような吹き流しと言われる迷入防止対策を行うことにより、那珂川の生態系に大きな影響を与えないものと考えております。

 しかしながら、仔アユ等への影響につきましては、今般の現地における実証実験を行う予定としておりまして、そのために、那珂樋管の魚類迷入防止等の那珂川の水産資源保全対策につきまして科学的に評価、検証することを目的といたしまして、那珂樋管設置魚類迷入(吸い込み)防止対策効果試験検討委員会を平成二十年二月十四日に設置したところでございまして、今後、この検討委員会におきまして評価、検証していただきたいと考えているところでございます。

塩川分科員 夜間だけとらなくても、昼間流れるのもありますし、十、十一月以外については取水の制限をしていないわけですから、そこで流れ下るというのは実際にあるわけで、その数というのは少なくありません。

 その点について仔アユの降下についての迷い込み、吸い込み防止対策の検討委員会というお話でしたけれども、これは朝日の茨城県版を拝見しますと、その検討委員会の委員長さんが、個人的な感触では、今この時点で考えると導水事業をやった方がいいと思う、将来、導水事業があってよかったという方向でいってほしい、こんな発言をしているわけです。

 これでは検討委員会は形ばかりで、建設先にありきということになるんじゃありませんか。その点、いかがですか。

甲村政府参考人 検討委員会の委員につきましては、各分野の専門家に茨城県等の自治体とも相談しながら参加していただいているところでございます。この委員会の目的でございますけれども、先ほど申しましたように、仔アユ等魚類の迷入防止効果を科学的に検証、実証するという委員会でございます。

 朝日新聞の記事は私存じ上げませんけれども、中立的な立場で、先ほど大臣が申し上げましたように環境も水の利用も両立するような対策を考えていくということでございます。

塩川分科員 委員長自身はやった方がいいと言っているという点では、その中立性、客観性というのがそもそも疑念が浮かぶ。これが本当の意味で関係者、国民の理解、信頼が得られるのかということが問われているんじゃないでしょうか。

 あわせて、稚アユの遡上の対策のお話も先ほどありましたけれども、アユの遡上調査について水産庁に伺います。

 水産庁が行っていますアユの遡上調査の中で、和歌山県の日高川などでの調査があるということを承知しておりますが、その内容、特徴について御紹介をいただけますか。

重政府参考人 私ども調査しております関係でいえば、山形県の鼠ケ関川の遡上率、和歌山県の日高川の遡上率等を調べておりますが、鼠ケ関川の遡上率につきましては、独立行政法人の水産総合研究センターの調査によれば、二〇〇五年が二・三五%という数字になっております。また、日高川につきましては、和歌山県農林水産総合技術センターの調査によりますと、二〇〇五年が〇・〇五%となっております。

 この調査につきまして、同試験場におきましては、十月に雨が多いと翌年の遡上率が向上するという分析をしておりまして、その理由としては、まとまった雨により河川から栄養塩が浅海域に供給され、浅海域の珪藻などが増加することによって、アユの稚仔魚のえさとなる動物プランクトンが増加するのではないかという仮説を挙げているところでございます。

塩川分科員 日高川のお話で、雨が多いと、その栄養分が海に流れ下って沿岸部の珪藻などが増加をし、それを摂取する動物性プランクトンがふえて、それがアユの生育にも大きなプラスをもたらすんだろうということがわかってきたというお話であります。そういう点でも、海で育つアユについて言えば、河川の影響が大変大きいということになります。その点で、アユは沿岸部の栄養分を摂取して成長いたします。今の水産庁の説明のとおりであります。

 霞ケ浦導水事業に関連して、那珂川の下流域、沿岸部での稚アユの生態調査というのは行われているんでしょうか。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 沿岸部における稚アユの調査でございますけれども、現在、霞ケ浦導水事業におけるアユの迷入防止対策についての調査は、アユの生態すべてを解明するのが目的ではなく、那珂樋管による吸い込みの影響を把握するために、まずは樋管の設置予定地点での降下量の調査を行っているものであります。したがって、現在まで、霞ケ浦導水事業としては、那珂川河口における沿岸部の調査は行っておりません。

 しかしながら、アユの生態等につきましては、アユの専門家等の学識経験者や関係漁協をメンバーとする那珂川取水施設懇談会を平成十三年から開催し、議論いただいているところでございますし、さらに、沿岸部については、調査の必要性も含めまして、那珂樋管設置魚類迷入(吸い込み)防止対策効果試験検討委員会の御意見も伺いながら、勘案してまいりたいと考えております。

塩川分科員 調査していないということであります。

 那珂川の総水量の一二%を取水するという計画になっているわけです。ですから、そうなりますと、上流からの栄養分が結局途中でどこかに行ってしまうという点で、その沿岸部におけるさまざまな生態系の変化がどうなるのかということについてまともな調査、検討も行われていない中で取水口はつくりますよということは、これは順序が逆ではないかと思っております。

 そういう点でも、このアユの生態を把握する調査がきちんと行われていない段階で事を先に進めるというのは、これはおかしいんじゃないのか、こういう声が上がって当然だと思います。こういう調査を取水口の工事着工の前に行うという考えはありませんか。

甲村政府参考人 アユの迷入等に対する影響につきましては、先ほど申しましたように、最大でも一%程度と推定しております。しかしながら、それも模型実験あるいは先ほどの遡上、降下の比率から出した数字でございます。

 やはりどうしても、川、川によりまして、川の特性、あるいはそこにすむ魚の特性等もございますので、現在進めます現地での実物大の試験でもって、どれだけ迷入の影響があるのか、先ほど申しました検討委員会で科学的に中立的に検証していただいて、必要であるならば迷入防止対策の改善、さらには、その結果が出るまでは本格的な施設の運用は行わないということにしております。

塩川分科員 その検討委員会の委員長さんが推進が望ましいと言っているわけですから、その中立性そのものが疑われているわけであります。そういう点でも、必要な調査も行わないで進めるのは問題があるということです。

 この間の国交省と地元の漁協との交渉の経緯を見ましても、もともと、昨年の七月に、導水工事事務所から那珂川漁協に対策案の説明をしたいと申し入れがあって、那珂川漁協の方は、十月の理事会で説明を受けて漁協の意見も述べると答えて、導水工事事務所も承知をしたわけです。それが、その十月の前の九月の十日に、導水工事事務所は約束を破って、国土交通省として皆様との調整について新たな段階に踏み出す決断をしたとして、一方的に取水口工事スケジュールを通告してきた、これが実情であります。

 また、上流の方の栃木の漁連の皆さんに対しての説明は、数年前から、二年前とかそのぐらいの時期であるわけで、栃木の皆さんにしてみれば、急な話ということが実態でもあります。

 そんなときに、昨年十二月には、国交省はこの霞ケ浦導水事業の五年間の事業延長を発表しております。この遅延の理由は地権者との同意のおくれというわけですが、一方で、漁業権を持つ漁協との協議については、それこそ目前に期限を切って工事を押し切ろうとしている。

 大臣に伺いますけれども、この事業を五年間延長したわけですから、私自身はこの事業そのものは問題があると思っておりますけれども、少なくとも、延長したんですから、今、現地の工事事務所が行おうとしている四月の取水口の工事着工については取りやめるべきじゃないのか、目の前のゴールを切ったようなやり方についてはやめるべきだ、そういうふうに思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

冬柴国務大臣 那珂川では、河川流量が少なくなると、原則として最初に取水できなくなるような不安定な水の利用があることから、安定的な水供給の確保や霞ケ浦の水質の改善などのために地元から霞ケ浦導水事業の早期完成を求められているところもあります。

 漁業関係者の御理解を得るためには、魚類の迷入防止対策の効果の確認をすることなどを目的に、現地試験のための樋管の設置工事を実施することとしております。また、現地試験の実施に当たっては、新たに設置した外部の専門家による検討委員会においてこの対策等について科学的に評価、検証していただくこととしております。そのようなことから、引き続き関係者の御理解を得られるように努力をしてまいりたい、このように思っております。

 これは、一方的に那珂川の水を霞ケ浦の方へ流すというだけではなしに、那珂川の流量が少なくなると、今度は霞ケ浦の方の水、もちろんこれは浄水をした水でございますが、それを那珂川にも流す、交互に交換するという、こういう思想のものでございますので、もちろん漁協の方が今先生がおっしゃるようにいろいろな不安を持って反対しておられるということもよくわかりますけれども、地元の方々の中には早期完成を求められる方もたくさんいらっしゃるということもございまして、我々は、御納得いただけるよういろいろな措置をとりながら努力をしたい、引き続き関係者の理解を得られるように努力を重ねたいということでございます。

塩川分科員 流況調整河川といいますけれども、ほかの水系の水を引っ張ってくることについて、その生態系に大きな影響が出るんじゃないかということが言われるときですから、その点についての十分な検証が行われていないということであります。

 霞ケ浦の水質を改善するといっても薄めるだけですから、またその水を那珂川に持ってくることについての危惧の声が上がっているわけです。霞ケ浦でコイヘルペスでたくさんのコイが死んだということが大問題になりましたけれども、同じようなことが起こるんじゃないのか。こういうことについてしっかりとした説明がされていないからこそ、現地では、立ちどまって考えるべきだ、こういう声にもなっているわけです。

 私、そういう点でも、漁協の皆さんとのやりとりは、昨年七月の時点にリセットをしろということが今求められていると思います。そう言いながらも進めるということであるわけで、私は、その点に何があるのかということが問われていると思います。

 そこで国土交通省に伺いますが、霞ケ浦導水事業に関し、〇五年度及び〇六年度の全体の契約件数及び契約金額が幾らで、そのうち国土交通省のOBが所属をする企業、法人の契約件数及び契約金額は幾らか。いわゆる天下り先の企業、法人が全体に占める割合がどのくらいになるのかということをお示しください。

甲村政府参考人 まず、漁協との協議でございますけれども、これは昭和五十八年度から長期にわたって漁協関係者と話し合いを進め、その間、学識者から成る魚類迷入防止対策検討委員会での議論、あるいは、平成十三年度から十六年度にかけては、漁協関係者もメンバーとして参加していただいて那珂川取水施設懇談会を開催し、その中で水理模型実験も行い、漁協関係者の皆様にもその実験等を見学していただいているわけでございます。

 そういう中で、平成十八年の六月に迷入防止対策として最善とされるものを提案したわけでございますけれども、それに対する御返事がなかなかいただけなかったものですから、昨年の七月に、十月の理事会で説明させていただきたいという申し入れを行いました。九月十日に那珂川漁協の幹部の方に事前に現地で実物施設による迷入防止試験を行うというのを御説明いたしまして、理事会を九月二十五日に繰り上げていただいて、その場でも御説明したところでございますけれども、残念ながらその場では御理解がいただけなかったということでございます。

 今後とも、漁協関係者の皆様の御理解をいただけるよう、引き続き説明あるいは話し合いの場を設けていきたいと思いますし、先ほど申しました新たに設置した検討委員会にも、漁協の方あるいは漁協が推薦される委員の方々にも参加していただきたいというふうに思っております。

 さて、御質問の、平成十七年度において、霞ケ浦導水事業での契約件数は全体が三十四件、総計が六億七千四百四十三万円でございます。そのうち官庁OBが在籍する公益法人の受注件数は三件、額が一億四千三百万円でございます。比率にいたしますと、件数で約一割、金額で約二割でございます。

 平成十八年度におきましては、全体の契約件数が二十二件、そのうち官庁OBが在籍する公益法人の受注件数は二件。金額は、全体が五億三千四百四十三万円に対し、官庁OBが在職する公益法人は五千九百八十万。比率にいたしまして、件数で約一割、契約金額でも約一割でございます。

塩川分科員 私のお聞きしている数字と違うんですけれども。

 では、国土交通省OBが在籍をしたことのある企業、法人でどのぐらいの割合を占めるのか。私がいただいた資料の中では、二〇〇五年について言えば、二億八千二百四十五万円で四一・八%ですよ。二〇〇六年について言えば、一億三千八百八十万円で二五・九%ですよ。皆さんからいただいた数字なんですが、何で違うんですか。

甲村政府参考人 私が今お答えいたしましたのは、官庁OBが在籍する公益法人の受注件数並びに契約金額の、件数、額及び全体に対する比率でございます。

 先生の以前の資料要求等で、民間会社にOBが在職しているものにつきましての資料も出させていただいているかと思いますけれども……(塩川分科員「私の質問は企業と法人の合計です。その数字を示してもらえますか」と呼ぶ)

 失礼いたしました。今、個別票は持っておるんですが、ちょっと集計ができておりませんので、後ほどお答えしたいと思います。

塩川分科員 では、私が読み上げますが、天下り先企業、法人の合計で見ますと、二〇〇五年度で言えば、三十四件中九件、二六・五%、六億七千四百四十三万円中二億八千二百四十五万円、四一・八%。〇六年度、二十二件中六件、二七・三%、五億三千四百四十三万円中一億三千八百八十万円で二五・九%。契約金額においても三割、四割という規模であります。契約先が天下り企業、法人が大きな割合を占めている。

 大臣、これでは国交省OBの仕事の確保のために工事をとめられないんじゃないかと言われても仕方がないような実態じゃありませんか。大臣としてお考えを聞かせてください。

冬柴国務大臣 我々も改革委員会をつくりまして詳細に事実関係を精査しないと、にわかに我々の役所のOBが入っているからすべてお手盛りのようなことだろうというふうに言えるかどうか、これは検証しなければわからないと思いますよ。そう決めつけるわけにもいかないのではないかというふうに思います。

 ただ、我々としましては、国民に疑念を持たれないようにするために改革には取り組みたいということで、道路特定財源についてでございますけれども、総点検を今しているところでございます。

塩川分科員 一割と言われた公益法人の大半が随意契約という点でも極めて疑念のある事業でもある、きっぱりと見直すべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

富田主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)分科員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日の第八分科会では道路特定財源などに関する質問が多いと思いますが、本件につきましては、同僚議員がそれぞれの地域の実情などを踏まえて質問されると思いますので、私からはそれ以外の国土交通省所管事項を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 なお、道路につきまして、私の思いますところを、まず冒頭に、簡潔に述べさせていただきたいと思います。

 第一に、世界に比類のない少子高齢化、人口減少社会に向かっている日本におきまして、厳しい地形条件によらず、四季を通じて安全に、安心に、安定的に国民の交通手段をいかに確保していくのか。第二に、アジアの急成長の中で、その成長力をそれぞれの地域の人たちがいかに取り込んでいくのか、交通体系はどうあるべきなのか。第三に、滞在型の観光、二地域居住など、都市と農村との交流を促進できる環境を整えていくにはどのようにすればよいのか。第四に、低炭素社会を実現していくための走行条件を満たすことができる道路システムをどのように再構築していくのか。

 以上、安全で安定した国民生活、アジアを視野に置いた地域経済活動、都市と農村の交流、地球環境問題に対応できる道路交通システムの再構築など、道路を取り巻く課題はたくさんございます。これらの課題を一つ一つ解決していくことは、次の世代への我々世代の責任でもあると思っております。

 ローマは一日にして成らずの格言のとおり、中長期的視野に立った道路整備の必要性と、その投資と負担のあり方について、広く国民の理解と協力が得られますよう私も引き続き頑張って訴えてまいりたいと思っております。

 それでは、まず一問目から質問をさせていただきます。

 一問目は、昨年のこの第八分科会でも質問をさせていただきました早期着手の必要性について、取り上げさせていただきました関西圏の基幹的な広域防災拠点についてです。

 来年度の政府予算の中で、堺泉北港の堺二区におよそ十五ヘクタールの基幹的広域防災拠点の整備のため、新規着手に必要な港湾予算が盛り込まれました。今回の着工で関西圏の基幹的広域防災拠点の整備の具体化が図られることになり、その意義は大変大きいと感謝申し上げております。先般、二月九日には、基幹的広域防災拠点の本体と一体として整備される耐震岸壁と臨港道路の起工式が、冬柴国土交通大臣の御出席のもと開催されたとお聞きいたしております。

 この緊急を要する面的な拠点整備事業につきまして、来年度から完成年度までの整備スケジュールと基幹的広域防災拠点が備える具体的な機能について、お答えいただけますでしょうか。

須野原政府参考人 お答え申し上げます。

 堺泉北港の堺二区基幹的広域防災拠点につきましては、京阪神都市圏におきます内陸直下型地震等の大規模災害に対応するため、平常時には広く一般の方々に利用していただき、災害発生時には救援物資の仕分け等のスペースとなります二十七・九ヘクタールの緑地やそのアクセス道路を、平成二十年度から平成二十二年度までの三カ年で整備することとしています。

 この広域防災拠点の役割でございますけれども、災害発生時におきまして、海上から救援物資等を受け入れ、また分配する機能、救援活動や復旧活動を行う人員のベースキャンプとしての機能、さらには、救援物資の備蓄場所やヘリポートとしての機能等の役割を果たすことが予定されております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 いつ大地震が関西圏を襲うかわからないという状況です。ぜひ今後三年間で、耐震性が強化された岸壁、そして全国からの緊急物資が円滑に荷さばきできる十分なスペース、仕分けされた緊急物資を被災地に搬送するための道路ネットワークとの接続など、基幹的広域防災拠点を緊急かつ確実に整備していただきたいとお願い申し上げます。

 さて、二問目に移らせていただきます。

 昨年十一月一日に、衝撃的な数字が中央防災会議から発表されました。大阪平野の中央部を走る上町断層帯で発生するマグニチュード七・六クラスの直下型地震によって、最悪のケースで四万二千人の死者に及ぶという被害想定です。

 この規模は首都直下型地震が最大で一万二千人の死者を想定していますが、これを大きく上回るもので、これまでに公表された地震の被害想定では最大規模のものでございます。まさに、先ほど質問をさせていただきました、堺二区の基幹的広域防災拠点の緊急整備の必要性を裏づける被害想定だと思っております。

 首都圏では、首都直下型地震などに備え、今年度内にも、国によりまして、東京湾の有明の丘地区に大規模災害の緊急対策についての司令塔機能、ヘッドクオーター機能が整備されます。そして、川崎の東扇島に、堺二区に匹敵する災害緊急物資受け入れのための広域防災拠点の設備が整備されるというふうに聞いております。

 緊急物資の受け入れ体制につきましては、堺二区の着手によりまして整備のめどがついてまいりましたが、関西地区におきましては、司令塔機能の場所、整備手法はまだ決定されていないと聞いております。昨年度の質問の中でも述べさせていただきましたが、そもそも広域的な防災拠点の整備の必要性は、十三年前の阪神・淡路大震災を教訓とするものでございます。その司令塔機能が関西地区で位置さえ決定されていないのはいかがかと思うわけでございます。首都圏の有明の丘地区同様、国家プロジェクトとして関西圏の司令塔機能の整備を早急に進めるべきだと思っております。

 中央防災会議から発表された逼迫した大阪直下型地震の被害想定も念頭に置き、関西圏の大規模災害に対応できる司令塔機能の位置、整備手法及び今後の整備スケジュールについて、お聞かせいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、首都圏の場合のお話がございましたが、首都圏におきます災害発生時の防災体制につきましては、首都直下地震を想定いたしまして、ただいまお話がありましたように、有明の丘地区及び東扇島地区において広域防災拠点の整備を進めてきたところでございます。本年三月末には概成の予定となっておりまして、六月を目途に供用を開始する予定でございます。

 京阪神都市圏でございますが、京阪神都市圏におきましても、平成十四年に有識者、関係省庁、関係府県市等から成ります京阪神都市圏広域防災拠点整備検討委員会が設置されまして、平成十五年の六月に基幹的広域防災拠点の必要性、広域防災拠点の適正配置等に関しまして基本構想を取りまとめておられます。

 この基本構想を受けまして、十六年の三月には、京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会が組織されておりまして、基幹的広域防災拠点の整備の実現に向けて具体的な検討が進められてきているところでございます。

 大阪地区といいますか京阪神都市圏の司令塔の機能についてでございますが、これにつきましては、昨年七月の第三回目の先ほど申し上げました協議会におきまして、近畿の、国の官署が集積している大手前合同庁舎付近、または交通の結節点付近でございます梅田北ヤードを候補地とされたところでございますが、引き続き、同協議会において、具体の整備手法や整備スケジュールについて検討が行われるというふうに伺っております。

 内閣府といたしましても、同協議会の議論も踏まえまして、京阪神都市圏の基幹的広域防災拠点の整備に向けまして、司令塔機能を含めまして基本的な事項について検討を行うということとしているところでございます。

近藤(三)分科員 今、政府の方から御答弁をいただきましたけれども、これは命の問題でございます。関西圏の方に住む人々、ビジネスや観光などで関西を訪れている国内の人々の命の問題です。これこそ、国家的使命感を持って、国がリーダーシップを発揮して、国民の期待にこたえるべき緊急課題だと思っております。冬柴大臣におかれましても、国民の安全、安心を守る国土交通大臣と、そして国土交通省として、この問題の解決に向け御努力いただきたいとお願い申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、続きまして、関西圏におきまして、アジアなどとの国際物流基盤についてお伺いさせていただきます。

 関西経済連合会の下妻会長は、歴史的関係が深い、また、現在の関西のものづくり産業と結びつきの強いアジアとの交流をさらに促進するため、アジア太平洋の多様な分野の研究者が集い、新たな知を創造するためのアジア太平洋研究所を大阪北ヤードに設置するという構想を提唱されておられます。このように、関西圏では、アジアとの新たな交流を深める気運が高まっております。

 アジアなどとの交流を深めるためには、ものづくりの技術協力、交流相手国のインフラ整備の支援、円滑な商取引がなされるためのソフト面のインフラ整備も重要であり、この点につきましては、私も経済産業委員会の委員の一員として取り組んでおります。一方で、アジアとの交流を深めるためには、人的交流、物的交流を深めるためのインフラをきちんと整えていかなければならないことは言うまでもありません。

 そこで、近畿圏とアジアなどとの交流の促進を念頭に置きまして、関西国際空港と近畿圏の港湾について質問をさせていただきます。

 まず、関西国際空港につきましては、来年度の政府予算の中で、関西国際空港連絡橋の道路部分を売却することにより、債務処理と連絡橋の料金値下げを可能とするなど、地域の意見を踏まえ、適切な対応をしていただいたと考えております。

 しかし、関西国際空港の債務残高はいまだ一兆円以上あり、完全民営化に対応できる経営基盤の健全化にはさらに強力な対応が必要であると考えております。もちろん、関西国際空港株式会社のたゆまぬ経営努力、そして地元自治体、関西経済界が一丸となりまして、関西国際空港の利用促進、その機能をアップさせる対応について、手綱を緩めることはできません。一方で、国家的視野に立ちまして、我が国のゲートウエー機能をさらにアップさせるため、関西国際空港の健全な運営に向け、国として積極的な対応を求めたいところでございます。

 関西国際空港の経営健全化に向けた政府の現在のお取り組み、そして今後の具体的な取り組み方針を御答弁ください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、関西国際空港は、環境問題に配慮して、大阪湾の沖合五キロの大深水海域を埋め立てて整備されたことによりまして、関空会社は一兆円を超える巨額の有利子債務を現在抱えております。

 そのため、関空会社の安定的な経営基盤を確立するために、平成十五年度から毎年九十億円の補給金を交付いたしまして、有利子債務の確実な償還を期すことといたしております。

 これとともに、関空会社の経営改善努力、地元と一体となった利用促進活動の取り組み等の結果、平成十六年度以降、関空会社は毎年経常黒字を計上しておる状況にございます。

 この結果、平成十五年度末に最大一兆二千五百億円ほどありました有利子債務残高につきまして、毎年約二百億円ほどの削減が進みまして、平成十八年度末には一兆一千八百億円となっております。

 また、御指摘がありましたように、二十年度予算案で、関空の国際競争力強化の観点から、関空連絡橋道路の通行料金を引き下げるために、連絡橋の道路部分の売却に係る予算が盛り込まれておりますが、これが実施されれば、通行料金の引き下げとともに相当程度の有利子債務の償還が可能となります。

 国土交通省といたしましては、関西国際空港のさらなる国際競争力の強化に向けまして、できることから着実に取り組んでいくこととしておりますが、財務構造の抜本的改善に向けての今後の取り組みにつきましては、関空会社の経営改善の状況などを踏まえつつ、幅広く関係者とも御相談しながら検討してまいりたいと考えております。

近藤(三)分科員 アジア・ゲートウェイ構想にもうたわれていますように、アジアの主要空港などと一層競争力のある国際空港にしていくことは喫緊の課題だと考えております。ぜひ、スケジュール感を持って、この問題の解決に向け引き続き取り組んでいただきますよう心からお願い申し上げます。

 次に、アジアなどとの物流について質問をさせていただきます。

 冒頭、アジアの成長力をそれぞれの地域が引き入れ、ともに成長する環境をつくっていく観点からも、道路ネットワーク形成の必要性を訴えさせていただきました。一方、四面が海に開かれた我が国では、アジアなどからの輸入品を、また日本からの輸出品の多くを、海運によって輸送する必要があることは申すまでもありません。

 先般、国土審議会の会長から冬柴国土交通大臣に答申されました国土形成計画の全国計画案に関する資料を拝見させていただきますと、アジアとの物流の拡大に伴い、この十年間、日本海側のコンテナ取扱量は年平均一二%以上の伸びを示しており、その伸びは、太平洋側の港湾の伸びを上回っています。

 また、従来、アジアから北米に向かうコンテナ航路の多くは太平洋側を経由していましたが、近年、北米コンテナ航路のかなりの割合が日本の港湾を寄港せず、日本海から津軽海峡を通過しているというふうに聞いております。もちろん、我が国のこれまでの産業構造などから、太平洋側の三大都市圏を中心としたスーパー中枢港湾の整備は必要だと考えております。一方で、いわば日本海を素通りする大型コンテナ船をどう日本海側の港湾に寄港させ、日本海経由の北米コンテナ航路を我が国の国際物流に活用していくかという日本海側の港湾整備戦略の必要性が高まっていると私は考えております。

 このような観点に立ち、日本海側の港湾についての国家的整備戦略を、国土形成計画として今後それぞれのブロックで策定される広域地方計画の中で、どのように立案しようと考えておられるのか、国土交通省の見解をお伺いさせていただきます。

辻原政府参考人 我が国の港湾におきます基幹航路の寄港便数が減少いたしまして、我が国港湾の国際的な地位が相対的に低下をしている、そういった認識を持っておるところでございます。

 また、こうした一方で、委員からもお話がございましたように、これまで北米向けの海上コンテナの輸送の基幹航路というものは専ら太平洋側を経由していたわけでございますけれども、近年では日本海側を経由する度合いがふえてまいりまして、これに伴いまして、日本海側沿岸諸港のコンテナの取扱量が拡大するといったような状況も見えてきておりまして、いってみれば、アジアの近隣諸国の経済発展に伴いまして、日本を取り巻く国際交通ネットワークの構造に大きな変化というものが見られているところでございます。

 今般、国土審議会から答申を受けました国土形成計画の全国計画の案では、これらの情勢に的確に対応いたしまして、国際的な規模と機能を有する競争力の高い港湾に加えまして、日本海側の港湾など広域ブロックの港湾を活用しつつ、各ブロックが東アジアの近隣諸地域と直接交流をしていくための交通ネットワーク等の形成を促進していくこととしております。

 国土形成計画の全国計画で示されました指針のもとに、今後、具体的な広域地方計画の検討の場、あるいは、具体的には広域地方計画協議会でございますが、こういった場でさらに検討が進められていくものと考えておるところでございます。

近藤(三)分科員 国土形成計画の広域地方計画、これから十年後のブロックの国土のグランドデザインというべきものだと思っております。広域地方計画の中で成長するアジアのパワーをどのようにそれぞれの地域に引き入れ、共存共栄のシナリオをつくっていくのか、非常に重要なことだと考えております。その上で、先ほど申し上げましたように、東アジアに対面する日本海側の港湾の意義も、当然これまでとは違った位置づけになるのではないかと思っております。ぜひ、今後、各ブロックで策定されます広域地方計画の中で、この点をしっかりととらえ、計画の策定に当たっていただきたいとお願い申し上げます。

 さて、次に参ります。

 近畿圏には、日本海側に、舞鶴港そして敦賀港などの重要港湾が配置されています。先ほどの日本海国際物流の観点に立ちますと、舞鶴港と敦賀港を阪神港との連携の中でどのように生かしていくのか、日本海側の産業構造の面からも重要な視点と考えております。日本海側の二つの港とスーパー中枢港湾を高速道路でネットワーク化し、その移動の過程で、内陸部を含めた近畿圏のものづくり産業の力によって付加価値の高い製品を生み出していくといったダイナミックな発想が求められるのではないかと考えております。

 こうした観点から、舞鶴港、敦賀港の機能向上に向けた整備方針について、阪神港などの機能分担の考え方を含め、御答弁いただけますでしょうか。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 経済社会のグローバル化が進展する中で、我が国産業の国際競争力の強化を図るために、アジア主要港をしのぐコスト、サービス水準を実現し、北米あるいは欧州等の基幹航路の維持確保を図ることを目指しまして、京浜港、伊勢湾、阪神港において、現在、スーパー中枢港湾プロジェクトを進めております。

 その中で、阪神港につきましては、西日本地域における国際コンテナ物流の拠点港湾といたしまして、大型化が進みますコンテナ船に対応しました水深十六メートル級の大水深の高規格コンテナターミナルなどスーパー中枢港湾としての整備を進めるとともに、大阪湾諸港の一開港化を図るなど、ハード、ソフト一体となりました総合的な施策を進めているところでございます。

 一方、日本海側の港についてでございますけれども、港湾背後に立地いたします企業と、中国あるいは韓国等アジア地域との貿易が活発化してきておりまして、これらの企業の経済活動を支えて、我が国各地域の活性化に資する港湾整備を進めているところでございます。

 具体的には、企業の物流活動の円滑化や船舶の大型化に対応するため、舞鶴港におきましては多目的国際ターミナルと臨港道路の整備を、また、敦賀港におきましては多目的国際ターミナルの整備をそれぞれ進めておりまして、敦賀港については本年中の供用を予定しております。

近藤(三)分科員 舞鶴港、敦賀港の今後の整備に当たりましては、港湾そのものの機能向上だけではなく、港湾と幹線道路ネットワークとの直結、港湾周辺の地域の土地利用の高度化など、関係部局そして地域との連携の中で、総合的な港湾機能の充実に向けた計画が策定され、それが実行されることを願っております。

 次に、住宅問題について質問をさせていただきます。

 福田総理は、総理御就任以前から、二百年住宅構想を提唱しておられました。今国会でも、二百年住宅の実現に向けた新しい法律が用意されていると聞いております。長期的利用が可能な性能を備えた住宅を建設し、その設計や施工の記録を残し、その後の点検、修繕、リフォームなどの履歴についてもきっちりと記録に残し、次の世代に住宅の品質を保証できるような仕組みをつくる、これが二百年住宅構想の目指すところであり、構想の実現によりまして、長期的に住宅の価値を維持し続けることができる、資産として運用していくことができるようになるのだと思います。その結果、建て直しによる環境負荷を減らし、建物所有者の資産価値も守っていくというこの考え方、本当にすばらしいと思っております。

 ぜひ、この考え方を個別の住宅だけではなく、二百年住宅が連檐して群れになり、そして面的広がりを持って、二百年の町並み、たたずまいが醸し出されるような政策に発展していただきたいと思っております。私も微力ながら、自由民主党の国家戦略本部におきまして、こうした二百年の町並みづくりの観点から、いろいろと検討をさせていただいています。二百年住宅を、住宅単体の政策から面的政策に広げていく、まちづくりの視点からとらえ、二百年まちづくり構想に政策の幅を広げていく必要があるのではないかと考えております。

 まちづくりの観点から、二百年住宅構想をさらに政策展開することについて、国土交通省の見解をお伺いさせてください。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年の九月に閣議決定されました住生活基本計画におきまして、ストック重視の住宅政策に転換することとしております。また、委員御指摘のように、福田総理の施政方針演説におきましても、二百年住宅の取り組みについて盛り込まれたところでございます。これは、住宅が新築されてから三十年程度で取り壊されるという無駄遣いをやめ、より長く大事に使おうとするものでございまして、ストック型社会、低炭素社会の実現に向けた具体的施策の第一歩でございます。

 こうした取り組みにより、今まさに委員がおっしゃったように、住宅の解体に伴う廃棄物といった地球環境への負荷を軽減し、建てかえコストの削減により国民の住宅に対する負担を軽減して、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることが可能になります。

 このため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律案を、今月二十六日、昨日でございますが、国会に提出したところでございます。平成二十年度予算におきましても、一番目としまして、住宅の長期利用に向け、建設、維持管理、流通について先導的な提案を有し、普及啓発に寄与する超長期住宅先導的モデル事業の創設など、さまざまなインセンティブを準備しているところでございます。

 さらに、今御指摘があったように、住宅は都市や町並みの重要な構成要素でございまして、将来にわたって町並みの一部を形成するものであることから、二百年住宅の取り組みを住宅単体に終わらせるのではなくて、おっしゃったように、周囲の町並みとの調和、こういったものは不可欠だと考えております。

 このため、少子高齢化社会への対応を初め、都市機能の集約化に向けて、地区計画、景観計画あるいは建築協定、こういった地域におけるまちづくりに関する施策の活用など、良好な居住環境の維持及び形成をより一層推進していくことにより、まちづくりと住まいづくりに関する施策との連携を深めながら、二百年住宅に取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 二百年住宅の考え方は、二百年住宅環境を支える周辺を含めた都市計画や社会資本整備のあり方まで広げていくことが必要だと考えております。また、土地が信託の対象となっておりますように、二百年住宅につきましても、金融政策との連携も必要であるというふうに考えております。私ども国家戦略会議などの場におきましても、引き続き検討を深めたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、本年七月に洞爺湖でのサミットが控えております。サミットでは、御案内のとおり、地球温暖化、気候変動が一つの大きな課題となると思っております。私は、議員に選出される以前から、ジャーナリストとして、キャスターとして、地球温暖化の問題を取材してまいりました。もちろん、COP3、京都会議でも現地取材をしておりました。

 そうした経験を踏まえて申し上げますと、地球温暖化に対する理念、そして地球全体として切迫性を理解することはできるのですが、地球のどこで、どのような地球温暖化による環境問題、地球の異変が生じているのかを、実際の地域を特定、把握することは非常に難しいことでございます。もちろん、切り取られた映像の中で象徴的な地球温暖化の現象を目の当たりにすることはできますが、地球温暖化に対する処方せんを客観的につくるためには、その前提となります客観的な地球の変化をとらえるデータが何としても必要だと考えております。すなわち、地球カルテが必要だと思っております。

 こうした中、国土交通省が中心となり、全世界に技術協力や支援を行っている地球地図に、私は注目しております。地球地図は、地球のさまざまな地理情報を、一キロメートルメッシュの単位で、地球の状態をあらわす地形や緑の状況など八つのデジタルデータが刻み込まれております。そして、そのデータを全世界の比較の中で視覚的にもあらわすことができる画期的な世界地図だと思っております。

 こうした地球温暖化に対する地球カルテとなることが期待されますデジタル地球地図に対する日本のこれまでの世界的貢献の状況、そして、全地球的規模での地球地図の完成の見通し、また、洞爺湖サミットをとらえた地球地図の普及啓発活動の取り組みについて、お答えいただけますでしょうか。

小牧政府参考人 地球温暖化等、地球規模の問題に対処するには、全世界統一仕様の正確な地理情報が不可欠でございます。地球地図プロジェクトは、地球環境問題の解明等に必要な、植生、土地利用等から成る全球陸域のデジタル地図データを整備するもので、現在、国連加盟国の八四%に当たる百六十二カ国及び十六地域の国家地図作成機関等が参画しています。

 我が国は、地球地図を一九九二年に提唱して以来、国際事務局を務めるとともに、世界五十四カ国から延べ九十名の研修員受け入れや、アフリカ地域を対象としたセミナーを開催するなど、各国の地球地図作成に積極的に支援しております。

 二〇〇八年を目標として、全球陸域の地球地図データが概成し、公表できるよう、各国と連携して整備を進めているところです。

 また、北海道洞爺湖サミット開催に合わせ、この六月に地球地図フォーラム二〇〇八を東京で開催する予定です。世界各国から環境、防災、地図等の専門家が参加して、地球地図による地球環境問題への貢献等が討議されます。こうした会議等を通じて、普及啓発活動を一層進めていく所存でございます。

近藤(三)分科員 洞爺湖サミットは、地球地図をアピールするまたとないチャンスだと考えております。そのこと自体が地球環境問題に対する我が国の世界貢献だと考えております。地球の診断書、地球カルテとして、デジタル地球地図がさらに充実しますよう、今後の重点的な国土交通省のお取り組みを期待いたしております。

 最後でございます。

 先般、国土交通大臣に答申されました国土形成計画の全国計画に基づき、いよいよ近畿圏などそれぞれのブロックごとに広域地方計画が策定されることとなります。広域地方計画は、もとより、それぞれの広域地方計画協議会の検討を踏まえて、国土交通大臣が定めることとなっております。その策定に当たって、それぞれ圏域で国民生活の利便性の向上、アジアなどとの経済交流の促進、低炭素社会の実現などに向け、広域地方計画を実効性のある計画としていくことが重要だと考えております。

 広域地方計画が実効ある計画としていくために、今後どのように対応するお考えなのか、冬柴国土交通大臣のお考えをお聞かせください。

冬柴国務大臣 去る二月十三日に、国土審議会の岡村会長から、国土形成計画に基づく全国計画の答申をちょうだいいたしました。今、これを閣議決定していただくべく手続中でございます。これが閣議決定されますと、本格的な広域地方計画協議会が発足をいたしまして、この広域地方計画が策定手続に入るわけでございます。

 私は、大変楽しみにしています。この協議会のメンバーは、地方の知事さん初め経済界、そしてまた市民団体等も参加されて、そして、もちろん私ども国土交通省の方もその中に入れていただきますけれども、これはあくまで民主導、そして地方主導でやっていただく。

 しかも、この都府県界、府県界を越えて、それを一体として、ゾーンとしてそこがどうあるべきかということを協議して決定していただくという意味で、近藤議員がおっしゃったように、ここがシームレスなアジアとの関係をどう持っていくのか。

 そしてまた、近畿でいえば、人口においてはオランダをしのいでいるんですね、一国を近畿二府四県で。そして、GDPは、今抜かされたかどうか知りませんけれども、韓国をしのいでいるんですよ。中、中上ぐらいの国の規模をしのぐ広域が自主的に、主体的にそこを考える。

 近畿では、関空もあれば阪神高もありますし、北の方の日本海にも面している、そしてまた世界遺産も五つもあるという大変な場所でございますから、そこを、近畿は一つということで、近畿は一つ一つではなしに、近畿は一つということで、いい案をつくっていただきたい。そして、それが二十一世紀を生きる我々の子供たちにすばらしい国をつくっていく資料とされたい、こういうふうな思いでございます。

近藤(三)分科員 本日は、御丁寧な御答弁を本当にありがとうございました。

 非常に厳しい状況下にありますが、引き続き国民の安全、安心、そしてアジアにおける我が国の基盤づくりを次の世代に引き継げるよう、御対応のほどをよろしく申し上げ、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

富田主査 これにて近藤三津枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 国土交通大臣初め国土交通省の皆様方には、連日の審議で大変御苦労さまでございます。

 きょうは何点か質問をさせていただきますけれども、まず最初に、あかずの踏切の対策につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

 国土交通省の資料によれば、全国で約三万五千カ所の踏切があって、その遮断によります損失時間は四・八億人時間に及ぶと承知しております。ラッシュ時間などに一時間当たり四十分以上遮断されているいわゆるあかずの踏切が全国に六百カ所、これは大変不便というだけではなくて、非常に大きな経済損失にもなっているんじゃないかというふうに思っております。

 そこで、このあかずの踏切の解消の目標とそれを達成するためにこれからどういうような施策を講じていくお考えなのか、御見解をまずお伺いいたします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、全国にはあかずの踏切六百カ所、交通が集中する踏切が八百カ所、計千四百カ所ございます。

 今回の中期計画素案におきましては、今申し上げた千四百カ所に対しまして集中的に対策を実施することといたしまして、連続立体交差事業等によりまして千四百カ所のうち四百カ所の踏切を除却したいと考えてございます。

 具体的には、非常に数が多うございますので、事業費のアップということが必要かと思います。

 ちなみに、平成十五年から十九年度の実績というのは、今申し上げたようなあかずの踏切、交通が集中する踏切の除却が年十カ所でございましたが、平成十八年、十九年は、予算をマイナス三%以下に削られる中、この対策には五%入れまして、直近では十八カ所ということで二倍にスピードアップをしております。

 今後は、連立事業施行者の拡充でありますとか、施工方法の工夫による工期短縮等々によりまして除却のペースを上げまして、今申し上げた十年間で四百カ所の除却という目標を達成したいというふうに考えてございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 踏切による時間のロスというのはどこでも非常に深刻でありますので、ぜひ今の対策を計画的に進めていただきたいというふうに思います。

 実は、私の地元でも、相模鉄道線、相鉄線でありますけれども、この踏切が交通量が多い時間帯を中心といたしまして交通の非常に大きな障害となっております。

 地域の住民の方々の長年にわたります努力も実りまして、また制度の拡充等も行われて、平成十四年度から、この相鉄線の天王町―星川駅間の連続立体交差事業が実施をされております。これによって交通障害になっております九カ所の踏切が解消されるというような事業でありますけれども、この事業は、今、地域を挙げてその推進を図っているところでございます。

 そこで、この事業を実施することによりまして期待される効果、また事業の進捗状況や今後の見通しについて御説明をいただければというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの相模鉄道本線連続立体交差事業でございますが、これは横浜市が施行者となりまして、天王町駅から星川駅付近約一・九キロにおいて鉄道の高架化を行っている事業でございまして、本事業によりまして、あかずの踏切八カ所、一カ所私道がございますので、それを入れますと九カ所ということになりますが、これが除却されまして、都市内交通の円滑化が図られるとともに、分断された市街地の一体化による都市の活性化が期待される事業でございます。

 お尋ねの進捗状況でございますが、平成十八年五月に車両の留置施設の移転を行いました。昨年十一月には上り線につきまして仮線の切りかえが行われました。現在、引き続き軌道工事や星川駅の仮駅舎等の工事を実施しておりまして、おおむね計画どおりに事業が進捗しているというふうに認識しております。

 横浜市では平成二十四年度の事業完了を目標に積極的に取り組んでおりまして、国土交通省といたしましても、できるだけ早期の完成に向けまして必要な支援等を行ってまいりたいというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 この地区は、本当に、保土ケ谷区の区役所であるとか消防署、警察署、そうした公共施設が非常に集中している地域でもありまして、この事業に対する期待は非常に大きいわけであります。そういう意味で、今後とも、今御答弁いただきましたように、事業の早期完成に向けまして関係者の一層の御努力を御要請したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 この相鉄線については、今申し上げました天王町―星川駅以外の区間も非常に踏切による障害が多いわけであります。その中でも、特に地域の住民の人たちの要望が強いのが、同じ相鉄線の鶴ケ峰駅付近から二俣川駅付近にかけての区間でございます。この地域は非常に商業の集積も多く、また交通量も多い地域であります。また、横浜市の計画においても重点的に開発整備を行う地区と位置づけられているわけであります。鉄道事業者の相鉄さんの方も、さっき申し上げました区間の事業がある程度めどが立てば、次はぜひ取り組みたいという意欲も持っているところでございます。

 事業化に向けて、もうちょっと先の話ということになるんだというふうには思いますけれども、事業化に向けての国交省としての考え方をお伺いしたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の相模鉄道線の鶴ケ峰駅付近のところでございますが、あかずの踏切が十三カ所も連担している大変なところでございまして、朝夕のラッシュ時を中心に交通渋滞が発生しており、御地元でも踏切問題の解消が大変大きな課題ということで、これは横浜市からも十分お伺いをしているところでございます。

 本箇所の事業化ということでございますけれども、横浜市からは、現在実施中の連続立体交差事業もあるものですから、その進捗状況も踏まえながら、できるだけ早く検討したいということで伺っておりまして、国土交通省といたしましても、横浜市より検討状況をよく伺いながら、できるだけ地域の期待にこたえられるよう、早期の支援、協力を図ってまいりたいと考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 地域住民の要望も非常に強いところであります。事業者も意欲を持っているところでございますので、ぜひ前向きな対応をお願いしたいというふうに思います。

 次に、都市再生機構、URの賃貸住宅の問題について御質問させていただきたいというふうに思います。

 きょうも、この委員会に入ってきましたら、住民の方々が傍聴に来ておられるんですけれども、昨年、この独立行政法人改革に関する議論が行われていたときには、UR住宅の住民の方々は、将来の居住に大変な不安を感じておられまして、国土交通省にもさまざまな働きかけ、陳情があったのではないかというふうに思っております。一部、借地に建てられている住宅などの売却が行われるということにはなりましたけれども、基本的にはいわゆる団地の住宅については引き続き公共住宅として必要に応じて整備をしながら活用されていくという、そうした「UR 賃貸住宅ストック再生・再編方針」が策定されたことによりまして、住民の方々も安堵しているところでございます。

 今後とも、UR住宅の居住者というのは高齢者の方々もふえております、したがって、所得も年金中心の世帯が多くなっているというようなこともございます、そういう意味で、今後とも居住の安定に最大限配慮した対応が必要だというふうに考えておりますけれども、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

尾見参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話がございましたように、私ども、UR賃貸住宅のストック再生・再編方針を昨年末に決定し、公表させていただきました。その際に、居住の安定を大前提として再編を進めていくというのが基本的な考え方になっております。

 このため、移転を伴う事業の実施に当たりましては、移転先の住宅の確保でありますとか移転料の支払い、家賃の減額等を行うことにしておりまして、こうしたことを居住者の方々に極めて丁寧に御説明していきたいというふうに思っております。特に、集約化の団地再生において移転を伴う場合には、移っていただく先の住宅を改善しましてバリューアップをして、そういうところへ移っていただくことを基本にする。従前住宅と同程度の家賃負担で居住が可能となるような家賃減額措置を実施したいというふうに考えているところでございます。

 今度は住宅のストック活用というようなことで、移転を伴わない場合にもやはり居住の安定というものは大事な要素になると思っておりますので、そういう場合も、例えば高齢者向け優良賃貸住宅の供給でありますとか住宅のバリアフリー化、例えば、今はバリアフリー化率というのが私どもで平成十八年度末で三七%になっておりますが、これを、今後、平成三十年度までには十万戸ふやして五五%にするとか、高齢者の方々に対する見守りサービスというようなソフトサービスも行って、居住者の方が引き続き安心して住み続けられるような環境整備に努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今いろいろと御説明がございましたけれども、やはりこのURの賃貸住宅というのは、国民共有の非常に貴重な財産であって、公共的な役割もずっと果たしてきて、今後とも非常に期待されているわけであります。そういう意味で、特に居住されている方々が不安を抱くことがないよう、十分な対応をお願いしたいというふうにお願いを申し上げます。

 昨年、議員提案で住宅困窮者に対する賃貸住宅の確保を促進するということを目的といたしました、いわゆる住宅セーフティーネット法が成立をいたしました。その法律の趣旨も踏まえていただきまして、今回、国土交通省の方からは、一つはUR住宅についても住宅の建てかえ、改善に伴う低所得の高齢者や障害者などの既存の入居者の家賃負担の増加を最大で五〇%程度減額するための新たな出資制度の創設、これは平成二十年度の予算では約四百億円が計上されているわけでありますが、また、もう一つとしてはUR住宅の建てかえ等に伴う整備敷地を活用して福祉施設等を整備する安心居住空間創出プロジェクト、そうした施策が提案をされております。

 先ほども申し上げましたけれども、国民の貴重な財産でありますURの住宅を有効に活用して、住宅困窮者などの居住の安定、安心を確保するということは、これは住宅政策の中でも極めて重要な課題だろうというふうに考えております。したがって、今申し上げましたようなこうした新たに提案をされている施策を着実に実施していくということが重要であるというふうに考えておりますけれども、御見解を伺いたいと思います。

尾見参考人 お答え申し上げます。

 まず、住宅セーフティーネット法に関するお話がございました。

 私どもも、この法律の附帯決議におきまして、都市再生機構は、賃貸住宅について、住宅確保要配慮者の居住の安定を図る観点から入居者負担や入居者選考に係る適切な配慮を行い、住宅セーフティーネットとしての役割の充実に努めることが求められておりますので、これをしっかり受けとめて仕事をしていきたいというふうに思っておるところでございます。

 それから、先生今御指摘になられました平成二十年度予算の政府案におきまして、再編に伴って移転が必要となる低所得の高齢者、障害者等の方々に対する家賃減額を行うために四百億円の新たな出資金制度をつくっていただきましたので、この制度を最大限に活用して、居住者の居住の安定の確保ということに努めてまいりたいと思っております。

 また、国交省と厚生労働省による連携施策として、安心住空間創出プロジェクトのお話もございました。これは、高齢者にスポットを当てて、住宅、見守り、食事、医療、介護、五つの安心を確保するということで、住みなれた自宅や地域に住み続けたいという高齢者の方々の御希望にこたえられる住空間の創出を目指すという趣旨だというふうに承知しております。

 私ども、多くの賃貸住宅団地を所有、管理しておりますので、当該プロジェクトの趣旨に従いまして、両省、地方公共団体、民間事業者等との連携を図りながら、住宅や共用部分のバリアフリー、団地内店舗整備敷地を活用した高齢者福祉サービスの拠点形成等に努め、当該プロジェクトの推進に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

上田分科員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 昨年の独立行政法人改革をめぐる議論の中では、冬柴大臣にも居住者の方々の立場を十分御理解いただいて御努力をいただいた結果だというふうに思っております。もちろん、行財政改革は国を挙げて積極的に進めていかなければいけない、もっと効率的な政府をつくるための努力は必要なんでありますけれども、同時に、実際に居住されている方々の立場もまた十分配慮しなければならないわけでありますので、今後とも、そうしたお考えのもとでまた進めていただければというふうにお願い申し上げる次第でございます。

 最後になりますけれども、建築基準法改正の問題につきまして御質問させていただきます。

 改正建築基準法の施行に伴いまして、非常に深刻な問題が発生をいたしました。新規着工の住宅が、一時は四〇%減ってしまうというようなことが起きまして、建築行政のあり方にやはり重大な問題があったということが明らかになったんじゃないかというふうに思います。

 この間、私たち公明党においてもいろいろと検討してまいりました。そして、この間の議論の中で、改正建築基準法の施行に当たって、それがどういう影響が出てくるのかというのが全く想定されていなかった、影響を十分把握できていなかったというような問題があったんじゃないかというふうに思います。また、国と地方の行政の担当者の間でも意思疎通が十分とれていなかったなというのは実感をいたしますし、また、行政と事業に携わっている事業者の人たちとの間の意思疎通も随分と悪かったなというのが実感をしております。さらにまた、なかなか回復の足取りも遅いんですけれども、構造計算などの専門家の不足だとか技術力の問題であるとか、また、当初の対応の中で、それぞれ建築確認を行う行政機関の中でも何とか自分のところで責任はかぶらないようにしようというような責任回避の姿勢も随分と見受けられたような感じがいたします。

 その結果、多くの建築に携わっている事業者が倒産をしたり、経営困難に陥っているのが現状でございます。多くの方々が、いまだに経営が非常に大変だ、職を失った。こうした事態を招いた責任というのは非常に重大なんだというふうに言わざるを得ないわけであります。

 こうした事態を招きました建築行政を所管している国土交通省としての責任、これは明確にしていかなければいけないというふうに考えておりますし、また、建築行政のあり方、いろいろな問題が今回明らかになりました、それを抜本的に見直して機能を改善していく、しっかりと機能していくような行政のあり方に改めていかなければいけないというふうに考えますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 これは、姉歯事件という衝撃的な事件がありました。資格を有する一級建築士が構造計算を偽装するというような驚くべきことでございまして、そういう設計図書に基づいてつくられたマンション等高層建物は、震度五強で崩壊する。中に住んでいる人は亡くなるわけです。

 我々は、この国で二度と再びこういう建物がつくられ、売られることがないようにしなければならないという強い国民の御意思もありまして、学者も総動員をして、一昨年六月にこれが成立をした。その施行期日につきましては、一年では大変短いんです、これには四本の政令あるいは二本の通知等をそれぞれパブリックコメントを出しながらやらなきゃならない。しかしながら、あの事件が起こって、法律が成立した一昨年六月の時点を考えれば、もうマンションは売れない、特に中小企業の建設業者は売れない。ですから、一日も早く施行すべきだという強い要望があったことは客観的事実です。

 そういうことから、一年の間に、国土交通省住宅局はこれを施行するために努力してきたことは知ってほしいと思うんです。その間、四月、五月には、全国の箇所で一万人を超える建築関係者の人に対する講習等をやり、そしてまたインターネットでQアンドA等もやりながらやってきたことは事実です。

 しかしながら、大臣認定の構造計算プログラムというものが大変難しいということがわかってきました。これを使えば申請から確認まで三十五日間でおろすべきことになっておりました。しかしながら、これを使わない、昔のプログラムでやった場合にはもう一度検索をしなきゃならないというようなことから、七十日という倍の期間におろしたらよろしいというようなことが規定に盛り込まれているわけでございまして、そういうことから、本当に上田委員がおっしゃったように、建築関係者、これは物すごく広くて、大体四十五業種ぐらいにもわたる人たちがこれについて建築申請をして、確認がおりにくい、おりないというようなことから、七月は四〇%台まで落ちました。そういうことから、日本のGDPにまで影響を与えるような大きな問題になりました。

 私は、住宅行政を所管する最高責任者として、このような事態になったことを国民に対して心からおわびを申し上げなければならないし、また、そのようなことで影響を受けた業者の方々、今も受けておられる業者の方々に対しても心からおわびを申し上げたい。そして、これがいっときも早く、これが一過性のものとして、国民経済にも影響を与えることにならないようにということで、私も勉励をしてここまで来たわけでございます。

 現状はどうかと申しますと、この施行後に減少が続いていました住宅着工は、十月以降、増加に転じております、着実に改善してきております。特に、戸建て住宅につきましては、改正法施行前と同程度の水準まで回復をいたしております。それから、回復のおくれていましたマンションを含めた全体の住宅着工につきましても、この一月分については、末日に正式に発表されると思いますけれども、全体の着工件数等も、一月分につきましては、これまでの推計によりますと、対前年同月比で二けた減から一けた減にまで改善することが見込まれております。もう数日で明らかになります。

 昨年、前年度はどうだったかといいますと、平成十八年度は着工件数が百二十九万戸ということで、近年では最大の住宅着工であったことを踏まえますと、それと比較して一けた台の落ち込みまで回復すれば、ほとんど通常ベースに回復するのではないかと期待をしているところでございます。

 国土交通省としましては、住宅着工の早期回復に向けまして、構造計算プログラムがなかなかできない、それで、私は、異例ではありますけれども、一月二十一日に、一番先行して開発が進んでいると思われる株式会社NTTデータのプログラムを仮認定いたしました。そして、設計側、審査側で構成するコンソーシアム、協議会において試行的な利用を行っていただいて、ふぐあい、バグの確認などを進めてまいりましたけれども、去る二月二十二日、第一号の大臣認定を行うことができたわけでございます。

 このほか、地方公共団体等との緊密な連携のもとに、全国の都道府県に審査側と設計側から成る連絡協議会を設置いたしました。それからまた、構造計算適合性判定機関の業務の効率化、判定員の増員、構造設計の個別相談を行うサポートセンターの活用などにも取り組むとともに、中小業者の資金繰り対策には昨年九月からいわゆるセーフティーネット貸し付けあるいはセーフティーネット保証の情報提供を進めております。

 こういうことで、今後とも、きめ細かな情報提供や技術支援等の取り組みを進めまして、改正法の施行に伴う建築活動や経済への影響を一時的なものにとどめるよう、そして、再び姉歯事件や田村水落というようなとんでもない設計業者による危ない建物が売られることがないように、また、それを買った人が二重ローンの塗炭の苦しみを受けることがないようにするために、我々は全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

上田分科員 大変御丁寧な御答弁をいただいて、また、大臣の方からおわびのお言葉もあったんですが、行政というのは権力で執行できるんですよ、権力で執行し、施行したがゆえに多くの会社が倒産をし、今多くの人たちが職を失っている、こういった現実があるんですね。その現実が、残念ながら、大臣、認識がちょっと甘いんじゃないかというふうに思います。これは強制することができたわけです。その結果、多くの会社が倒産をし、失業者も出ているわけです。

 もちろん、これは私は大臣の責任だとは申し上げません、これだけ専門技術的な話でありますから。それを実際に担当するのは、きょうは住宅局長もお見えになっていますけれども、官僚の皆さんがやられるんでしょう。その官僚の皆さんが、現実にそうした業界がどうなっているのか、こうした権力を行使すればどういう影響が出るのか、そういったことを理解せずに行った。そして、起こったことについて、対策はいろいろやっていただいています、しかし、全くそれについての責任を感じていないし、行政をどういうふうに変えればいいのかというふうなことも聞き取れないわけであります。これでは、行政は権力を持ってやることはできるんだけれども、その結果については、今回の問題は後で謝って済むというような問題ではないんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、建築行政のあり方はやはり抜本的に見直していただかなければいけない、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。ちょっと時間は超過しておりますが、最後に大臣に、建築行政のあり方を、責任を明確にしてちゃんと改めていくんだと、そのことをもう一度御答弁いただきたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 お説は重く受けとめます。

上田分科員 以上で終わります。

富田主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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