衆議院

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第2号 平成20年2月28日(木曜日)

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平成二十年二月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 富田 茂之君

      石原 宏高君    尾身 幸次君

      木原  稔君    土屋 正忠君

      三ッ矢憲生君    武藤 容治君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通大臣政務官    山本 順三君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  伊藤 公介君     武藤 容治君

  尾身 幸次君     土屋 正忠君

同日

 辞任         補欠選任

  土屋 正忠君     石原 宏高君

  武藤 容治君     木原  稔君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     尾身 幸次君

  木原  稔君     伊藤 公介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

富田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤分科員 おはようございます。きょうはあこがれの予算委員会第八分科会でございまして、冬柴大臣に御質問させていただく機会賜りまして、本当に心から感謝申し上げます。

 今回、道路特定財源、予算委員会の中で大臣が大変御苦労されている。ぜひ頑張って堅持していただくように、ひとつよろしくお願いいたします。

 私の選挙区でございますけれども、岐阜県というところでございまして、山紫水明、本当に豊かな自然、緑に囲まれながら、かつ、私の選挙区なんというのは、川崎重工さん初め航空宇宙産業、そしてイノベーション、魚やロボットを研究したり、そういうものが共生するところでございます。

 そういうところで、若干おくれましたけれども、この七月、いよいよ東海北陸道で北と南がつながるということで、飛騨・美濃じまんということで知事も一生懸命頑張ってやっているところでございます。そういう意味では、道路特定財源は極めて大事な財源でございます。

 我々も一回生でございますので、予算委員会に出させていただきましていろいろと御議論をお聞きしておりますけれども、もともと私も、選挙に当選して以来、地域代表として、特定財源というのは極めて大事で、道路というものの必要性というのは訴えてきたつもりでございます。今回、地元でもいろいろな方のお話を伺っておりますと、やはりちょっと気になるといいますか、最後にどうしてもちょっとひっかかってくるところが、例の五十九兆という話でございます。

 これも、ことしの秋から、我々は社会保障に関する負担の増大を国民にどうお願いしていくかという議論をこれからしていかなきゃいけない中で、なぜ今これを十年で五十九兆確保するのかという御意見があるのも事実でございます。リッター二十五円安くなるという個人的な問題よりも、日本の国益という大きな問題についても、やはりその五十九兆というところは、ぜひ細かく、わかりやすく国民に御理解を得なきゃいけないと思っております。

 委員会でも大臣がお答えされていましたように、やはり一年一年国会を通じて国民にお諮りするということでございましたけれども、その辺のことについて大臣から若干御説明をいただくとありがたいと思います。

冬柴国務大臣 五十九兆というのは大変大きなお金でございます。ただ、今もまだそうですけれども、十五年から十九年までの五年間は、事業量が三十八兆円で閣議決定していただきました。十年ですから、それを倍にしますと七十六兆になるわけでございますが、今回は、それを六十五兆にし、なお、政府・与党、また政府内の協議により、厳しい財政事情というものを反映し、五十九兆に縮減しているわけでございます。

 その中で国費分がどれぐらいかというと、二十九兆五千億、ちょうど半分ですね。そしてあと、地方、これは、我々の新直轄とか直轄とか、あるいは地方でやられる事業についての補助というもの、これが十七兆一千億です。そのほか、ここは仕組みが非常にややこしいんですけれども、有料道路、これは道路会社、切り離しておりますから、税金とは関係なしに、最終的には料金というもので四十五年かけて返済していくものですけれども、そこの工事相当分が十二兆四千億とカウントいたしております。

 したがいまして、それを全部合わせましたものが今言っている五十九兆ということになるわけでございまして、十年分ですから、一年間にそれを引き直しますと二兆九千五百億ということになります。その部分について、道路を使う方、例えば武藤さんの選挙区から富山まで一直線に走れれば、ドライバーとしてはそういうものができればということをずっと熱望しておられるわけで、そういうものに使うということを条件といいますか、受益を示して負担をお願いするというものでございます。

 この道路財源、今回の中期計画を言いますと、その部分は大きいんですけれども、道路のネットワーク、どうも高速道路ばかりイメージされるんですが、それ以外に、東京には六百七十三という踏切があるんですね。これは、パリの十四とかロンドンの十に比べてとてつもない踏切です。日本の交通体系というのは、最初、鉄軌道が路面、平面を走るというところから、そこへ町ができたものですから、やたらと踏切ができるというような沿革があるようですが、ロンドンやパリへ行きますと、ほとんどバスとか地下鉄ですね。そういう意味でこんなことになっているんだろうと思うんですけれども、しかし、これが多くの市民生活を妨げていることもまた事実でして、交通事故の問題あるいは渋滞というものを引き起こしているわけですね。こういうものも、十年間でこの中から手当てをさせていただく。

 通学路についてもそうですし、そのほか、いろいろ生活をしていく上において、高速道路ではないけれども、日常使う、歩くあるいは自転車に乗る、そういうような道路も整備されなきゃならないし、そこに歩車道というものをつくらないと交通事故になる。

 そういうものをまとめてお示ししているのが道路の中期計画でございまして、確かに五十九兆円と言われたらとてつもない金額ではございますけれども、そのように分析をしますとわかっていただけるのではないかな、そういうことで、一生懸命頑張って説明をさせていただいているところでございます。

武藤分科員 おっしゃるとおりでございまして、金額は確かに、五十九兆、でかいというふうに思いますけれども、今の大臣の御説明、大変わかりやすくお話しできると思います。

 私は、もともとその五十九兆というものに対して、私の出身地で考えますと、大体地方というのは、今までずっとシーリングをかけて抑えられてきています。そういう形で、今まで地方は、頑張って我慢してくださいよという話でずっときた中で、岐阜県というのはそういう意味では高速道路は比較的整備されつつありますけれども、いかんせん、やはり抑えられていたということが、ここにきて、小泉総理のときからの流れの中で、全体的にとにかく財源は何とかやり直さなきゃいけない、だから今回ずっと我慢してきたよと。ところが、ここにきて余っている財源が本四で出てきたからという話は、ちょっと我々には通らない話でございます。

 そういう意味からすると、この道路財源というのは、我々のニーズというものは、今、全国的にも地方が疲弊をしている中で、やはり相当大きな部分がこの財源について期待をしているものですから、我々はやはりその辺については意見を大きくしていかなきゃいけないと思っています。

 ところが、国民というのはどうしてもいろいろな方がいらっしゃるものですから、今のお話ですと、やはり一年一年国会で審議をするということが当然一つあると思います。それと、もう一つは例のBバイCというものですけれども、いろいろ私も分析をいただきましたけれども、これがやはり非常にそういう意味ではわかりづらい、国民にはちょっと見えにくいところがありまして、何か政府がまた勝手なことをやっているんじゃないのか、そういう不信感というのは、今、これだけじゃなくていろいろな国民不信をいただいている中で、やはりもうちょっとわかりやすくその辺をやらなきゃいけない。

 そして、BバイCの中身では、いわゆる時間の問題ですとか経費の問題とか、三観点ですか、今いろいろやっていると思いますけれども、これについて、これから一年一年経ていくと、もうちょっとわかりやすいのはないのかという議論がやはりそこには出てくると思いますし、先ほどの消費税の問題が出てきたときに、よし、五十九兆はわかったと。だけれども、では今度消費税を、例えば五%上げるのか、あるいはもうちょっと上げるのかといった議論のときに、五十九兆というものがどうしても国民の頭の中にこびりついて、その辺についてはやはり議論が出てきてしまうんじゃないかと思います。

 ですから、我々としては、秋以降になりますけれども、今ずっとこういう話をしながら、やはり消費税との絡みというのは出てくるものですから、それについては、例えばBバイCをこれから見直せる余地があるのかどうか。道路も、今の三課題だけでは若干ちょっと時代にそぐわない点というのもあるのかなと。あれはたしか平成十五年ですか、BバイCが出てきたのは。ですから、そういうものも見直せる基準があるのかどうか。

 その辺についてお答えをいただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、事業評価、いわゆるBバイC等でございますが、これは、個別事業で、新規に事業に着手する際、あるいは事業が長期に及びまして再評価をする際、それから事業が完了したときにやってございます。

 道路におきましては、基本的には、先生御指摘のように、走行時間短縮、走行経費減少、それから交通事故減少、三つの便益で費用便益分析をやってございますが、おっしゃるとおり、非常に経済学的な要素が入っておりますので、なかなかわかりづらいということもございます。国民へのわかりやすさ、ホームページ等でわかりやすくやるということが課題だろうと思っています。

 いろいろな御議論がありましたので、今すぐ改善いたしましたのは、評価結果の一部であります走行時間短縮便益の根拠をわかりやすく公表するように、少し様式も変えて出し直してございます。

 さらに根本的な議論として、もう一つ御指摘ありました、本当に三つの便益だけでいいのか。昨今、CO2削減ということが叫ばれておりますので、そういう便益も金銭換算できるのであればやった方がいいのではないかという御指摘もありますので、引き続きさまざまな視点から検討を進めまして、有識者の御意見も伺いながら、ことしの秋までに、マニュアルの改定を含めて事業評価手法の見直しを行ってまいりたいと考えてございます。

武藤分科員 局長さんからことしの秋までということですので、本当に前向きな議論として、お役所の方も決しておごることなく、今総理がおっしゃっているように国民の目線でというところでございますので、ぜひひとつわかりやすいものをおつくりいただければと思っております。

 それから、予算、特定財源の中で、例の臨交の問題があります。これについて、やはり地方負担の観点というのは、岐阜県からも、大変心配というのか、国の道路なんだからもう少し国が負担して当たり前じゃないかと。もともと、補助金の三位一体の問題から地方交付税も減らされて大変苦労しているというのが実際でございます。そういう意味で、臨交の枠がちょっとふえるとか新しい措置ができるという今回の道路特定財源の議論の中で一部地方に配慮していただけるようなところがあると聞いていますけれども、その御説明をちょっと詳しくお話しいただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度予算におきまして、今御指摘のように、地方公共団体、非常に財政が厳しいということで、地方負担の軽減措置というのをとりまして、計画的に地方が道路整備を進められるように措置をしたいと考えてございます。

 中身でございますが、二つございます。

 一つは、今までやっておりました地方道路整備臨時交付金につきまして、対象が今まで都道府県道、市町村道だけでございましたが、総体的に要請の大きい地方公共団体が管理されております補助国道にも対象を広げるということ。もう一つは、これは運用になりますが、今まで一律十分の五・五の交付率でございました。それを、地方公共団体の財政状況に応じて国費率を十分の七まで引き上げるという運用改善をしたいと考えてございます。

 二つ目は、地方道路整備臨時貸付金の創設でございます。これは、地方公共団体が負担されます道路整備費用、例えば、直轄事業でございますと三分の一を地方に直轄負担金ということで御負担いただいてございます。あるいは、補助、臨時交付金、それぞれ地方負担がございますが、これに対して無利子融資をするということで、五カ年間、五千億、五年据え置き、二十年以内償還ということで、いろいろな大きな事業をやられるときに、単年度で物すごく支出がかかる、それを、二十年償還でございますので、平準化してそこの部分に対処できる、そういうことで、非常に厳しい財政状況の地方公共団体に御活用していただければという内容でございます。

 以上でございます。

武藤分科員 ありがとうございます。

 新しい融資制度、借金がしやすくなるということで、今とにかく進めなきゃいけないという、岐阜県もたしか千七百キロを目指して頑張っていると思いますので、そういう意味では、少し前向きに気持ちが明るくなって整備が進められるのかなという気がするわけですけれども、先ほど申し上げましたように、何か三位一体で総務省さんに裏切られたというような気持ちがどうも地方にはあるようでして、我々も、やはりその辺は、説明不足あるいは勉強不足の中で、もうちょっと早く議論をお互いに煮詰めておかなきゃいけなかったのかなという反省もあるわけです。

 いずれにしましても、例えば今おっしゃられている新直轄みたいなものも、人の畑はよく見えるみたいな話でございまして、岐阜県の場合は中日本さんが後はやるようでございますけれども、何かどうしても全国均一というわけにはいかない。それは当然ですけれども、例えば修理、保全の負担をもうちょっと軽くしてやるとかいう形の中で、その要件というんでしょうか、基準率というものを、やはり地方をもうちょっと細かくフォローしていただけると大変ありがたいなと思います。今のこの制度自体も予算が通ってこれからの話ですから、また随時そういう観点というのは、私どもも引き続いてちょっと観点を入れておきますので、今後ともひとつよろしく御検討していただければ、そんな気持ちでおります。

 それから、この第八分科会というのはいろいろ地元のことも言っていいという話でございましたので、ちょっとその辺をお伺いしたいなと思っております。

 今、東海北陸道がことしは南北に抜けて、そして、ちょうど万博の時期に、高規格道路ですけれども、東回りの東海環状がおかげさまでできまして、そういう意味では、企業立地という問題では、今、全国的にもおかげさまで岐阜県というのは大変着目をいただいておりまして、経済産業省でも今一生懸命頑張っていただいています。

 ちょうどあそこの関のインターチェンジというのが私の選挙区でございまして、数年前まで全然売れなくてどうしようかなと言っていたところがすべて完売になりました。関の上に美濃というところがありまして、ここも比較的そういう意味では伝統の町なんですけれども、今、工業団地が足らなくなっちゃいまして、これからどうしようというところで今いろいろ計画をしております。

 そういう意味では、企業立地というところでは今回見事にフィッティングをしてきていると思いますし、ぜひこの勢いをとめることなくやっていきたいと思います。

 道路というのは、やはり、南北ができてここがずっとこうできてという、ネットワークで初めて、大臣もおっしゃられていましたように、入り口と出口がつながるということの効果というのが大変そういうような楽しみなものを出すわけです。

 この前も中部整備局さんの方で、一応十年で東海北陸道の西回りを整備したいという、これはお気持ちだというふうに思いたいんですけれども、実はもうちょっと先を期待したいというのが現実でして、その辺の見通しについて、今新聞でも御望山の問題とかいろいろ伺っていますけれども、その辺の今の進捗についてぜひお伺いしたいなというふうに思います。

冬柴国務大臣 豊田から美濃関まで七十三キロが開通して、それまで四カ所しかなかった工業団地、会社じゃなしに工業団地が十七立地するという、道路とそのような地方の再生、活性化というものを絵にかいたようなことだと思うんですね。そこから四日市の方に向けての西側がまだできていないということで、後で局長からもお話がありますが、これは急いで。

 ただ、道路をつくる場合一番困るのは、地元の方、地権者との調整ですね。ここには一カ所、トンネルをどうするかという相当難しい問題が発生しているようでございますので、できるだけ地元を代表する先生方の御協力も得ながらそういうものを円満に解決し、一日も早く我々もそういうものの整備に専念できるような、そういうような雰囲気が必要だとつくづく考えます。

 西回りの方は名神沿いに一カ所しか団地がないということから見ても、これが全部つながれば、今も強いわけですけれども、東海地方というものがいかに強いかをあらわすことになるだろうと思いますので、この間は新名神が部分開通いたしましたが、あれだけでも、亀山にはシャープの工場ができ、そしてまた滋賀県甲賀の方にはトヨタ紡織ほか六十六社ですか、こっちは七十四社とか、そういう企業が立地するわけですから、道路とそのような企業立地というのは物すごく関係があって、そしてそれがその地域に住む若い人たちに職場を提供し、非常に活性化するんですね。そういう意味で、道路についての御協力をぜひお願いしたいというふうに思う次第でございます。

 あとは局長から。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 進捗状況でございますが、委員御指摘になりました点をなぞりますけれども、美濃関ジャンクションから西関インターチェンジ間約三キロについては、平成二十年度供用で工事を進めてございます。それから、大垣西インターチェンジから養老ジャンクションについては、用地説明会を終えまして、一部用地取得、工事に着手したところでございます。

 先ほど御望山のお話がございましたが、御望山につきましては、昨年九月二十八日に、都市計画ルートと御望山の南、北、山の中を通過する三つのルート帯を公表しまして、十月十七日から地元の住民の方々に対する説明会を開催して、アンケート調査も実施をしてございます。十一月九日から地質調査も継続して実施をしてございます。こういった調査結果を踏まえましてルートの再検討を行うということにしておりまして、結果につきましても、再度住民の皆様方に提示をする予定でございます。

 今後とも、住民の方々の意見を踏まえながら、この区間、早期に結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。

 それから、西側全体でございますが、今ちょっと申し上げますと、先ほど申し上げました養老から大垣西、用地の進捗率は今約六割という状況でございます。それから、新名神から北西までの用地進捗率が九割ということでございますので、この西側区間、ルートがつながっているところを順次つなげてまいりたいというふうに考えておりまして、早期全線開通に向けて頑張ってまいりたいと考えております。

武藤分科員 国と地域と連携して進めていきたいと思いますので、ぜひまた御指導よろしくお願いしたいと思っています。

 それと、その中で、これは事前通告しておりませんのでただ意見としてお聞きいただきたいと思いますけれども、いわゆる観光というものも、非常に道路に密接につながっていると思います。そういう意味では、インターチェンジの名前ですけれども、これはいろいろとルールがあるというふうに伺っていますけれども、地域の希望するもの、例えば観光的なイメージをわき上がらせるものとか、地域のこだわりというのがあると思いますので、その辺についてはぜひ加味していただきたい。これはお願いをしておくだけにしておきます。

 それと、今みたいな高速道路というのもあるんですけれども、やはりドイツとかそういうところになりますと、非常に細かいインフラの整備が整っているネットワークの道路がたくさんあります、これは地方道も含めてですけれども。

 そういう形の中で、私のところは、岐阜県というのは三つの大きな河川が流れていまして、どうしても橋を渡るというロスが非常に出てくるところでして、うちのひいおじいさんなんかも、昔、長良川に長良橋という大きな橋をかけた、大変な努力をしてそういうこともやったわけです。

 私のところでも、今三つ、県道で二つ、それから今度の合併特例債で市が発注するものが一つあるんですけれども、そういう取り組みというのは、どうしても岐阜県とお隣の愛知県で、つばぜり合いじゃありませんけれども、譲歩するべきものは譲歩できるんだけれども、できないところはなかなか進捗しない。ネットワークという意味で、橋でぶち切れるということがない道路の必要性がありながら、それぞれの思惑というか財政上の問題もあるし、なかなか難しいところがあるわけです。

 これも一つお願いですけれども、東海地域として将来的には道州制の話もあると思いますが、そういう意味で、中部整備局というものがおありになるわけですから、それぞれの事情を察しながら引っ張っていただけるような立場でぜひ御指導いただければと思っております。これも一つお願いでございますので、よろしくお願いしておきます。

 時間も余りありませんので、もう一つ、先ほどの話に戻りますけれども、道路ができた、今の大臣のお話のように、さあ、工場が出てきたと。出てきたんですけれども、今、正直申し上げて、伸びているんですけれども、なかなかつくれていないんです。正直申し上げてちょっととまっているというのがありまして、これはやはり例の建築基準法の改正がどうも影響しているようでございます。

 この辺については、この前やっと構造計算プログラムの認定第一号が出たという話でございますけれども、大変気がかりな問題でして、そもそも、ちょっとああいう姉歯事件が起こると制度自体が厳しくなり過ぎ、そのとき準備が整っていないという大変残念な結果になっちゃっていますけれども、そういうことが今たくさんございます。その辺も、政治不信という一つの中で、やはりそういういろいろな流れを今つくっちゃっていると思います。

 これについてはぜひ早急に解決をしていかなきゃいけない問題だと思いますけれども、建築基準法の問題について、今の状況をちょっとお話を伺いたいと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 構造計算書事件の再発防止を目的とする今回の基準法の改正、これは大事な改正でございましたが、今委員御指摘のように、建築確認の現場で混乱が生じ、あるいは国民経済にも影響を与えていること、心からおわびを申し上げます。

 今の状況でございますが、昨年六月二十日からの基準法の施行後減少が続き、対前年同月比四四%減まで落ち込んだ住宅着工は、十月以降は増加に転じまして、十二月には対前年同月比一九%減までまいりました。また、今御指摘の工場とかオフィス、ショッピングセンターといった非住宅でございますが、その着工床面積について、直近の十二月の数字は、対前年同月比マイナス三・九%までまいりました。

 国交省としましては、建築着工の早期回復、また、今御指摘の新規物件の建築の円滑化といったことに向けまして、構造計算プログラムにつきまして、一月二十一日に、先行して開発が進んでおりましたNTTデータのプログラムを仮認定しまして、設計側、審査側で構成するコンソーシアムにおいて試行的な利用を行い、おかげさまで二月二十二日に第一号の大臣認定を行わせていただきました。

 このほか、今後、公共団体との緊密な連携のもと、審査側と設計側から成る連絡協議会の設置、構造計算適合性判定機関の業務の効率化や適判資格者の増強、構造設計の個別相談を行うサポートセンターの活用などに取り組むとともに、中小企業者の資金繰り対策についても情報提供を進めております。

 今後とも、きめ細かな情報提供や技術的支援等の取り組みを進め、この問題の早期解決に向けまして全力で取り組んでいきたいと思います。

武藤分科員 さまざまな対策を緊急に施していただいて、まさにたまっちゃっているものをこれから何とかこれで処理していけるんだというふうに思いますけれども、期間というもので考えると、今回の改正で、どうしても若干長くなるだろうと思っております。

 岐阜県ですと、従来、法改正の前、マンションで五、六週間でできたものが、今回、まだ二・五カ月ぐらいかかるんじゃないかと。ですから、たまっているものということだけでなくて、やはり制度が変わり時間がかかるということは、タイムリーな企業立地というのは、どうしても時間というものが非常に微妙な大事なものになってきますので、これからも、この一件が落ちついてきたとしても、その期間というものについては十分御考慮いただいて、姉歯の問題というのは我々真摯に受け取らなきゃいけませんけれども、そういう意味ではやはり市場混乱という観点は非常に大事だと思いますので、ぜひその辺についてもこれからも引き続き御検討をお願いしておきます。

 もう一つお話ししたかったんですけれども、また改めて機会をつくっていただくことをお願いして、これで質問を終わらせていただきます。大臣、本当に頑張っていただくように、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて武藤容治君の質疑は終了いたしました。

 次に、土屋正忠君。

土屋(正)分科員 私は、鉄道関係並びにまちづくりに関連して何点か質問をさせていただきたいと存じます。

 鉄道は、長い間国有鉄道で来たわけでありますが、昭和五十五年の臨調から始まって、長い経過を経て分割・民営になったわけであります。昭和六十年の七月には正式に方向が決まり、六十二年の四月、いわゆる六二・四によって、全国が分割・民営になったわけであります。昨年の四月でちょうど満二十年たち、今二十一年目を迎えているわけでありますが、質問に入る前に、この分割・民営について改めて私の見解を述べておきたいと存じます。

 大きな流れとして、この分割・民営は成功したと考えております。

 何といっても、国鉄の時代には数年に一遍ずつ運賃値上げをしていたものが、この二十年間、基本的には消費税以外には値上げをしていない、こういうことが大きいと思います。消費者の利益ということだろうと思います。

 二点目として、法人税を初めとする幾つかの税金を払っていただくようになった、固定資産税も含めて。これは国家財政あるいは地方財政に寄与している、こういう点で評価をしなきゃならないだろうと思います。

 そして三点目として、さまざまな雇用を確保し、さらに雇用が拡大している。

 この大きな三つの角度からいって、分割・民営は極めて成功した、このように評価をしておきたいと存じます。

 その理由でありますが、旧国鉄では鉄道事業に限定されていて、物販などは旅客の便利を図るためということで極めて鉄道に付随したものしか認められていなかったわけでありますが、分割・民営され一般会社になった結果、従来の鉄道事業に、かてて加えて物販、ホテルとかさまざまなサービスの提供、不動産、さらにスイカ事業のように金融と、こういう総合的な事業を経営することにより採算性を維持し、乗降客数、利用客数は基本的には横ばいでふえていないにもかかわらず、良好な持続的な経営ができている、このように評価をいたしたいと存じます。

 同時に、一番鉄道事業者にとって大事なのは、利用客、乗客の安全ということでありますが、これも、西日本で極めて残念な事例があり、ATSを半年、一年前倒ししていたらと、まことに悔やまれる事故があったわけでありますが、それ以外にその他の会社においては基本的にはそう大きな事故もなく、余部鉄橋の墜落事故とか羽越線のダウンバースト、一種の予期せざる風速四十メーターというようなものがあり、一部残念な事故があって、人命もまことに残念なケースもあったわけでありますが、しかし、おおむね事故率も下がり、安定した経営をしているのかな、こんなふうに考えております。

 とりわけ、この際、私が気になったことを申し上げておきたいと存じますが、実は、中越地震のときのことでありました。私は当時の武蔵野市長でありましたが、中越地震の小国町というところと姉妹友好都市関係がありましたので、それなりのサポートをさせていただきましたが、そのとき上越新幹線がどうなるか非常に注目をしておったわけでございますが、脱線はしたものの決定的な事故に至らなかったわけであります。

 あれも、私、興味を持ってその後しばらく調べさせていただきましたが、山鳴りがしたというトンネルの特徴は別にしても、その後、いろいろなことがわかってきたわけであります。あの脱線した手前の鉄橋で活断層が見つかって、活断層のため支柱を二十三本事前に補強していた。私は、事故の安全とか予防とかということからすると、これは余り語られていないことでありますが、JR東の皆様方の卓見である、このように考えているところであります。

 そもそも、南関東大地震を想定したり、あるいは宮城沖地震を想定したりした前提が多いわけでありますが、上越新幹線のあの飛び地の活断層を見出して、あらかじめ、恐らく普通は投資を嫌がるわけでありますが、そこに投資をして、二十三本のうち二十本をあの列車が走ったわけでありますから、こういう手法こそ安全という角度から未然に事故を予想して防ぐ典型例ではなかろうか、こんなふうに考えております。イージス艦の事故など見ると、改めて組織の経営者の力量というものが問われているんだなというふうな感じがしているわけであります。

 さて、前置きが長くなりましたが、そういう前提の上に立って具体の質問をしたいわけでありますが、まず一点目は、中央線の吉祥寺駅の駅舎改造についてであります。

 二〇〇〇年にバリアフリー法ができて、十年間の時限立法でございますので、乗降客数が一日五千人以上の駅についてはすべてバリアフリーをやる、こういうことで積極的に進めてきているわけでありますが、吉祥寺駅はまだおくれており、いまだバリアフリーは、具体の話としては、エスカレーター、エレベーターの設置が未着手であります。と申しますのも、駅に一緒になってロンロンという年間三〇〇億ぐらい売り上げる商店がありまして、どこを抜くかによって重大な影響を与えるものですから、そういうこともあっておくれてきた。これはやむを得ないことと思いますが、間もなく二〇一〇年の時間切れになるわけであります。

 そこで、いよいよ具体の話として、JRの皆さん、また関連する京王線の皆さんとで設計が始まったわけでありますが、同時に、ここには南北に、鉄道敷地内でありますが、実際に南北を通行しているような自由な準街路みたいな空間がありますので、こういうことを含めてどうするかということが問題になっているわけであります。

 吉祥寺の駅は、明治三十二年に開業した日本で最も古い駅の一つでありますけれども、現在の駅舎が開設されたのは昭和四十四年で、連続立体交差事業に伴ってできたわけであります。当時は二十万人程度の乗降客数を予想したわけでありますが、現在の乗降客数は、一日当たり四十二万人であります。JR東日本の中で十八番目。一番が新宿でありますが、以下ずっと順位が来まして、十八番目に当たるような乗降客数があるわけであります。

 こういう状況の中で駅舎の改修があるわけでございますが、一たん改修されると、三十年、四十年は吉祥寺という町を制約してくるわけであります。新宿以西で三千億の売り上げのある、百万都市のような商業活動をしている最も大きな町でありますので、この駅舎のつくり方によっては極めて大きな影響を与えてくる、こういうことになるわけであります。

 そこで、私の質問は、バリアフリーだけではなくて、同時に安全、安心、さらに快適、風格のある駅舎づくりということについて、限られた空間ですから、上に電車が通っちゃっているわけですから、その下の話ですから、非常に難しい状況なんですけれども、そういう立場で、鉄道事業法第一条の目的に従って、国として鉄道事業者に対してどのような指導をしていくかについてお尋ねいたしたいと存じます。

 また、先ほど申しましたように、その一部が南北の通路になっております。井の頭公園というのがあり、花見どきには一日に十五万人ぐらい出るものですから、そこが最大の安全の場所になっているわけであります。まちづくりという観点からしても、そもそも都市計画の原点であります安全で快適だという角度からいって、都市計画の立場からもどのように御指導したり、あるいは補助やその他の制度を使ってバックアップするか、これについてお尋ねいたしたいと存じます。

大口政府参考人 先生の御質問にお答えさせていただきます。

 鉄道駅につきましては、ともかく多くの方々が利用されるという観点から、エレベーターなどの設置によるバリアフリー化の促進、そしてまた利用者数に応じた通路あるいはそのスペースの確保、そうしたことから、混雑緩和などを含めまして、駅利用者の利便の向上とか、あるいは安全を確保するという観点から大変重要なポイントかと思っております。

 特に、高齢化社会あるいは少子化社会の中で御高齢の方を含めて移動しやすい、利用しやすい、そしてまたお子様連れのお母さんを含めまして利用しやすいという観点は非常に大事だと思っていまして、私どもは、そうした意味からも各鉄道事業者にバリアフリーあるいは駅の利用の利便性向上について強く指導しているところでございます。

 先生今御指摘のJR中央線吉祥寺駅でございますけれども、これは先生御承知のように、京王電鉄の井の頭線と結節する大変重要な拠点駅だというふうに理解しております。この拠点駅ということにつきましても、現在、地元自治体で自由通路の改修を御計画されているというふうに承知しております。

 これにあわせまして、事業者でございますJR東日本においては、現在五基のエスカレーターがあるようでございますが、それに加えてエレベーターの設置、それから改札口の一階から二階への移設、駅構内の各種施設の再配置、こうしたものを全部含めまして改良工事を行う予定でございます。より安全で使いやすい駅とすることにJR東日本も一緒になって取り組もうということで、現在地元と御協議を進めているというふうに承知しております。

 国交省といたしましても、拠点駅としての吉祥寺駅の改修工事が着実に進められ、そしてまた、駅利用者の一層の利便の向上とか、あるいは安全の確保が図られますよう、これからもJR東日本を指導してまいりたいと思っております。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 多くの人が集まる駅でありますとか、その周辺の市街地というのは、町のにぎわいの中心となる大変重要なエリアでございますので、その拠点性、利便性を高めていくということは、都市再生の問題あるいは地域の活性化の問題、さらには魅力あるまちづくりといった面で大変重要な課題であるという認識でございます。

 その整備に当たりましては、まず、自由通路等が大変大事な役割を果たしておりまして、鉄道による市街地の分断を解消するということでございます。また、駅及びその周辺における災害時の避難路の確保ということも考慮しながら、そういった整備が必要だというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、自由通路や駅前広場等の交通結節点整備というものにつきまして、まちづくりの重点分野と位置づけておりまして、各般にわたる整備手法も用意しております。

 これらの整備が円滑に進みますように、関係者が多いものですから、実は昨年の十一月から、国土交通省と主要な鉄道事業者、主要な地方自治体のメンバーによりまして、そういった事業のあり方につきまして検討を既に開始をいたしておりまして、そういった駅周辺の整備が一層進むようにこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。

 御指摘の吉祥寺駅につきましては、現在、地元自治体と鉄道事業者間で自由通路の整備も含めた改修計画を検討されていると伺っております。当該検討案が立派なものになるようにこれから必要なアドバイスも行っていきたいと思っておりますし、整備計画なり整備手法が固まりましたら、それに沿った形で必要な支援をしていきたいというふうに考えております。

土屋(正)分科員 大変積極的な御答弁、ありがとうございました。

 先ほど私の方からは申し上げませんでしたが、JR東日本だけではなくて京王線の結節点でもありますので、また、京王線も新宿に次ぐぐらいの乗降客数が多いターミナル駅でありますので、新宿、渋谷に次ぐものでありますので、どうぞひとつよろしくお願いいたしたいと存じます。また、駅空間が狭い、何といっても高架の下ということで限定がありますので、非常時における空間確保、こういうことにも十分御留意をいただきますようにお願いをいたしておきたいと存じます。

 さて、二点目の質問でございますが、中央線の三鷹―立川間の連続立体交差事業がおかげさまで現在進んでおります。大臣初め皆さんのお力添えのたまものと思いますが、平成元年から調査費をつけて、これはJRと東京都が調査費をつけ、翌年から当時の建設省も入って企画してきたわけでありますが、おかげさまであと数年で完成の見込みであります。

 これは十八の踏切が解消されるという大事業でありますし、千七百九十億と試算される大事業でありますが、ガソリン税でお世話になっている次第でございますけれども、それはともかく、さらに大事なことは輸送力確保のための複々線化をどうするか、こういうことなのであります。

 中央線は、この四十年間、輸送力が増強されていないわけであります。昭和四十年、一九六五年から四十年間をとってみますと、人口は二百万人から四百万人になりました。倍になっているわけであります。しかし、輸送力はわずか一・一倍であります。

 通勤に使っております五方面作戦を見ますと、当時、旧国鉄時代は、東京を中心として通勤五方面作戦というのを考えて、それを整備するという方針を立てたわけでございますけれども、その他の四方面を見ますと、東海道が一・七倍、総武線が三倍、常磐線が三・三倍、東北線は二・四倍と著しく増強しているにもかかわらず、先ほど申しましたように輸送力はわずか一・一倍、ほとんど変わっていないといった状態であります。

 大臣、西の方は随分痛めつけられている。この間、予算のときも申し上げましたが、東京都でも西の方は四百万人も住んでいるんですけれども、道路の完成率も悪い、五一%ですから。それは余計なことできょうの質問ではございませんが、どうぞ大臣の頭の中にもしかと、西の方をしっかりやれということを御下命のほどお願いいたしたいと思うんです。

 さて、それで混雑率も二〇〇%でございます。私もきょう乗ってまいりましたが、本当に混雑でありますので、あらぬ誤解を受けないように私はいつも両手を上げてつかまったまま通勤をしているのが実態なのであります。平均速度も、他の方面に比べると十キロ遅い。十キロというのは、毎日十キロですから、一本十キロでありますから、これは大変なことであります。

 幸い東京都やJRでも調査がことしから始まったわけでありますけれども、しかし、これは国の支援なくしてはできないわけでありますし、また国家の経営としても、首都の東京の中で、四方面は強化されているのに、片一方が一・一倍ですから、言ってみれば右足がこんなに太くなっているのに左足が細いというような状態でございますから、これは国家の政策としてバランスのとれた首都圏づくりということに関係するんだろうと思います。

 こういうことについて現場の鉄道局長はどうお考えになっているか、これでいいと思っていらっしゃらないだろうと思うんですけれども、ひとつよろしく御答弁のほどお願いいたします。

大口政府参考人 委員の御質問にお答えします。

 まず、結論から申し上げまして、混雑というのはやはり緩和される必要があるというふうに考えております。それを基本にお答え申し上げたいと思います。

 JR中央線、これは委員御指摘のように、まさに西に向かう東京都市圏の大動脈でございます。このうち御茶ノ水から三鷹間は複々線化されておりまして、三鷹以西につきましては、まさに今複線でございます。この輸送力増強につきましては大変重要な課題というふうに私どもも認識しております。

 三鷹―立川間の複々線化につきましては、平成十二年の運輸政策審議会の十八号答申で、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画というものにおいて、目標年次までに、平成二十七年でございますけれども、着手することが適当である路線ということで位置づけられているところでもございます。

 この複々線化事業の着手に当たりまして、今後の輸送需要の動向とか、あるいは複々線化する場合の増線分の用地が大変難しい地域でもございますので、地下化等が現在計画としてはあるように聞いております、そんなことからそれに対する多額の事業費の確保をどうするか、そうしたものについて十分な見きわめが必要ということで、現在、JR東日本において検討を行っているというふうに聞いております。

 一方で、昨年十一月でございますが、沿線の自治体、東京都、そしてJR東日本も加わりまして三鷹立川間複々線化専門委員会が設置されまして、二カ年計画で委員御指摘のように複々線化の必要性あるいは事業効果等について調査検討を行う動きも出てきているところでございます。

 私ども国交省といたしましても、複々線化の着手に向けたJR東日本や地元の動きをよくよく注視しながら、今後の需要動向も踏まえて、必要に応じてJR東日本に適切に指導してまいりたいと考えております。

土屋(正)分科員 どうぞ引き続き前向きにお願いをいたしたいと存じます。もうちょっと議論したいところですが、最後の項目がありますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと存じます。

 次に、最後の質問は中央線の高速化についてであります。

 明治二十二年に新宿―立川間が開業したわけでありますが、甲府までは明治三十六年六月に開業をいたしているわけであります。したがって、この地域は、全国的に見ると比較的鉄道先進地域。ちなみに、明治二十二年というのは、新橋―神戸間が全線開通した年でございます。同じくこの年に立川まで行っているわけであります。

 ところが、残念ながら、その後投資が十分行われないために著しくおくれているわけであります。先ほど申しました通勤以外にも、それぞれ新幹線などが整備され、あるいは在来線、新線などが次々と整備をされているにもかかわらず、西の方向だけは基本的な投資がその後行われていないといったような状態になっているわけであります。

 その結果どうなったかというと、中央線新宿―甲府駅で百三十四キロを、「あずさ」で一時間三十分、「かいじ」で一時間四十五分かかっているわけであります。一方、おくれていると言われていた常磐線は、百二十一キロを、十キロほど短いんですが、現在ではスーパーひたちで一時間十五分。何と、三十分以上もの差がついているわけであります。

 さらに、特急の本数などを比べましても、新宿―甲府間が一日三十一本、一方、スーパーひたちは三十七本と、このように本数が違っているわけであります。なお、極めて特徴的なことは鈍行です。庶民が乗る鈍行、青春切符が通用する鈍行。この鈍行が、常磐線だと東京駅から水戸まで四十二本出ているわけでありますが、何と、始発の新宿駅から甲府まで行くのはないんです。一本で行けないわけであります。乗り継いでいかなきゃならないわけであります。首都圏のわずか百キロ圏の中に鈍行がストレートに行かない路線があること自体、これは極めて異例なことなんだろうと思っております。何か山梨県知事にかわったような質問で恐縮でございますけれども。

 東京の都民は、富士五湖とか諏訪湖とかというところは、東京近辺からというよりも、京阪神からも来て、世界に誇る最高のハイランドリゾートだと思うんですけれども、そういうところに向かう鉄道が弱いということは、これから環境の時代を迎え、車だけに頼って行くということについては、長い目で見た場合に非常に問題が多い、私はこのようにいつも考えております。

 災害対策も含めて強化すべきだと思いますが、これは明治のころから基本的に投資しておりませんから、トンネルなんかはれんが積みなんですよ。これはほとんど鉄道博物館に行くようなれんが積みのものなのであります。しかも、当時の技術ですから、そこを山並みに沿ってこうなっておりますから非常に崩れやすく、不通の回数も多いわけであります。

 そこで質問になりますが、最近の中央線において、災害や土砂崩れ、大雨など、いわゆる事故以外の天災でもって不通となった回数は何回ぐらいか、他の四方面と比べてどうなのか。また、甲府までの開業以来、大規模な投資、抜本的な改修は行われているのか。今後、大規模な投資などを行い、高速化を目指すべきだと考えるけれども、どうですか。新宿からストレートに乗り継ぎしないで鈍行でも行けるようにしてほしい、こう思っておりますが、いかがなものでございましょうか。

大口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、土砂崩れ災害等の状況いかんということでございますけれども、私ども、調べた限りでは、最近、災害により列車の運転を見合わせた事例といたしましては、平成十四年でございますけれども、八月の十九日、台風十三号によって、大月―初狩駅間が線路の盛り土の土砂崩れで、これは復旧までに半日以上かかりまして、とまったというケースがございます。そのほか、雨による運転見合わせが平成十二年から十八年までの間に十四回発生しております。

 JR東日本においては、中央線の防災機能の強化、そして列車の安定的な運行を確保するという観点から、山岳区間になっている高尾―塩山間、これは六十五キロございますけれども、平成十六年から土砂崩壊防止用の設備とか排水設備の整備を行うなど、降雨防災強化工事というものを進めております。

 高尾―大月間三十五キロ区間につきましては、平成十九年の五月までに百五十七カ所の整備がすべて終了いたしておりまして、残る大月―塩山間、これは三十キロございますけれども、平成二十年度完成を目標に工事を鋭意進めているというふうに承知しております。

 国交省といたしましても、防災対策工事を計画的に進めて、今後そうした安全確保ができるように強力に指導してまいりたいと思っております。

 それから、高速化のお話でございますけれども、東日本は、今申し上げた施設改良も含めまして、新型車両、これはスーパーあずさ等々もございます、そうしたものについてよくよく導入に取り組んできております。国鉄が分割・民営になりました昭和六十二年から現在まで、大体十一分間ぐらい短縮されておりまして、最速で一時間二十三分というのが現状でございます。

 私どもといたしましても、中央線の高尾以西も含めまして、こうした多数の狭いトンネル、あるいは小半径の曲線、あるいは急勾配、そうしたものがあるものですから、さらに抜本的なスピードアップを目指すためには、そうしたものに対する設備投資等々も必要かなというふうに考えておりまして、こういうものについて、県、自治体、そして事業者がよくよくこうした一つの共通した命題に対して合力しながら取り組んでいただきたいというふうに考えております。特に、今年の一月に、山梨県を中心にしまして中央東線高速化促進広域期成同盟会が設立されたというふうに伺っております。こうした取り組みを今後もよくよく進めていただきながら、その案件の成熟度をさらに上げていただければというふうに考えております。

土屋(正)分科員 時間が参りましたので、最後に一言お願いだけ申し上げておきますが、連日ガソリン税で御苦労されておられまして、中には極めて瑣末的な質問があり、そういうことにも丁寧にお答えなさっておられる大臣を見て、ひそかに御同情と拍手を送っている次第でございますが、道路と並んで鉄道は幹線中の幹線でございますので、これから余り議論がないわけでありますが、どうぞ西の方の鉄道の整備にもぜひお心を寄せていただければと思っております。

 なおまた、鉄道局長にはJRの皆さんに、JR東海なんて五兆円を自前でやろうというんですから、JR東日本もせめて五千億ぐらい思い切ってどうだと、そうすれば複々線もできるし、甲府ぐらいまで行くんですから、最後にそのような発言があったということをお伝えいただきますようにどうぞよろしくお願いします。

 きょうはどうもありがとうございました。

富田主査 これにて土屋正忠君の質疑は終了いたしました。

 次に、木原稔君。

木原(稔)分科員 自由民主党の木原稔でございます。お時間をいただきまして、きょうは熊本県に関する質問に限って質問をさせていただきます。

 早速入ります。まずは、熊本空港に関しての質問でございます。

 この熊本空港、九州の物理的な中心でございますが、まさしく真ん中にあり、熊本県の空の玄関口として、毎年その乗降利用客というのはふえているという状況であります。

 昨年でございますけれども、その熊本空港、愛称を阿蘇くまもと空港というふうに改称いたしまして、さらに観光立県としてどんどん観光客、お客様を誘致していこうという、そのきっかけになればということで今運動を進めさせていただいております。

 熊本空港のロケーションといいますのは、熊本市の中心部から東へ二十キロという非常に便利なところにあります。阿蘇外輪山台地の西の端の高遊原台地というところにあります。上益城郡益城町ですとか、菊池郡菊陽町、大津町、阿蘇郡西原村というところにまたがっており、全国的に見ると比較的利便性のいいところではないかなと思っております。また、空港と熊本中心部を結ぶ空港線も現在二本整備していただいて、非常に時間も短縮しておるところでございます。

 これは地形の問題でもあるんですが、もともと霧の多い場所であったために、例えば霧のために着陸復行を余儀なくされたとか、または代替空港への移動を余儀なくされたりとかいう場合があったんですが、一昨年、着陸誘導装置、ILSのカテゴリー3Bというもので運用させていただくことになって、自動着陸が大変円滑にいくようになりました。定時就航率も上がり、また欠航率も下がり、このことに関しましては感謝を申し上げたい、そのように思っております。

 きょうの質問の内容なんですけれども、空港周辺環境対策事業でございます。

 空港周辺というのは、実は民家というのは少なかったんです。農地とか、またゴルフ場とか、自然の樹木といったものが多くて、大変自然環境の恵みを受けた、もともとは風光明媚な場所でございました。さらに現在は陸上自衛隊の高遊原分屯地というものが隣接をしておって、現在、滑走路は、民間機と自衛隊機、ヘリコプターが多いんですけれども、それが共用しているという状況でございます。

 また、国際線は、最近はアシアナ航空が大変順調で、円安の影響もあるのかもしれません、韓国からの利用客というものが大変ふえてまいりました。

 将来、九州というものが一つの道州制になった場合は、熊本がその中心的な役割を果たしていきたいというふうに思っておるんですが、そのきっかけとしても、まずは熊本空港における深夜便を導入したいなという思惑もございました。特に、夜中に飛ぶ貨物便を利用することで、何といってもやはり農業県である熊本県は、県南の農産物であるとか天草の方の海産物、こういった農水産品を東京の市場に届けること、どこの地域もそうですが、人口減少社会においてこれからいかに農産品の需要というものを上げていこうかということになると、やはり外に対して発信をしていくことが求められている中で、景気活性化の対策にもつながり、また、先ほど申し上げた深夜便というものが最終的に二十四時間空港ということにつながっていけば、アジア圏、または、今大変話題になっておる中東、ドバイを中心として新たなハブ空港になりつつある中東を席巻するような、そういったハブ空港化をどうしても目指していかなければいけないと思っております。

 さらに、観光立県を目指す熊本県としては、外国人利用客、外国人の観光客をふやしていくこと、または、外国にとらわれず、国内からも多くの観光客を呼び込むことは重要だというふうに考えております。

 実は、一昨年、日本航空が深夜貨物便を一度は申請したんですけれども、断念したという経緯がございます。その理由の一つに、騒音対策が不十分だったことというのがございます。冒頭に申し上げました、比較的民家が少ない地域だったにもかかわらず地域住民の理解を得ることができないという今の現状認識、私は、これはすべてが正しい認識ではないのではないかな。反対のための反対運動というのも実は起こってしまっているということも聞いております。さりとて、周辺住民の皆様方の理解を得る、そういう施策というのはやはり引き続き講じていかなければならないというふうに思っております。次世代における空港の重要性をアピールすることも必要だというふうに思っております。

 そういった観点から、空港周辺環境対策事業というものが今現在どのような状況になっているかということをお伺いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 熊本空港につきましては、委員御指摘のとおり、地元で阿蘇くまもと空港という愛称も決めていただきまして、この利活用の促進に大変積極的に取り組んでいただいておると承知しております。

 また、私どもも、お話がありましたような計器着陸装置の高規格のものを設置するなど、熊本空港の整備にこれまでも十分取り組んだところでございます。

 ただ、御指摘のように、内陸空港でありますので、環境問題も発生しておるということで、かねてより、深夜便の構想が延期になるなど、そこら辺の問題についての対応を迫られてきたところであります。

 私どもの所管団体で財団法人空港環境整備協会というのがございまして、これが、空港の円滑な運用の確保に協力する観点から、空港周辺における環境対策、空港周辺住民の生活環境の改善や空港と周辺地域との共生に寄与する施設整備に対する助成等の事業を地元自治体の要望を踏まえまして実施しておるところでございます。

 熊本空港周辺におきましては、地元自治体が設置する騒音測定機器や消防、救急自動車への助成を初め、学校、公民館等の教育施設や共同利用施設へのパソコン等の備品寄贈など、平成十八年度実績で約六千万円、十九年度予算で約七千五百万円を計上して実施しているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 財団法人空港環境整備協会というところでそういった事業を行っていただいているということでございます。

 その事業なんですけれども、確かに、今、ある一定の制約のもとで円滑にやっていただいているところでございますけれども、どうしても、エリアも限定されており、またその対象というのも限定されておるのではないかなというふうに今若干感じております。

 実は、対象エリアではないんですけれども、空港に近接したところにパークゴルフ場というレクリエーション施設もございまして、そこではコースの拡張ですとか管理棟の整備というのを考えているわけでございますけれども、残念ながら、今の体系の中では、そこにはそういった還元がなされないといいますか、整備の対象ではない、政策の対象には当たらないというところでございます。

 こういった施設の利用者というのは地域住民の方も多いし、理解を得られる上で大変重要ということであれば、戦略的に、こういった需要のあるところで積極的に地域の理解を求める、そういう広範囲な対策を事業にも加えていただきたいということを、ぜひともまた一緒に私も提案させていただきたいし、考えてまいりたい、そのように思っている次第でございます。

 続きまして、今度はレンタカー業界との連携についてお話をさせていただきたいと思います。

 最近の旅行の形態というのを見ておりますと、多種多様でございます。個人型とかフリー型と言われているような、そういう商品が今売れているように思います。一昔前は、団体バスで、例えば農協の団体さんとか会社の社員旅行とか、大型のバスで行動をともにする、そういった旅行が多かったところが、最近は、二人とか四人とか、また多くても五、六人といった小グループでの旅行というのが多いというふうに、実際にこれはデータが出ております。

 さらに、熊本空港でございますけれども、二〇〇五年度の旅客数、利用者数というのが三百十三万人、これは、九州の中では、新婚旅行で一昔前は一世風靡をしておった、最近また一生懸命知事もPRをされておりますけれども、その宮崎空港を抜いて福岡、鹿児島に次ぐ第三位というふうに、乗客数は今上昇しております。

 また、昨今はビジネスの需要も大変ふえており、ビジネスで来られた方というのは、これは一人ないし二人、多くても四人ぐらいだということで、レンタカーを使われる方というのが実は急増しております。今後も恐らくふえていくのではないかな、そういう予測が立っております。

 今現在、空港の中には、一階の総合案内所の横にレンタカーの各会社の窓口がございます。八社ございます。ということは、この八社のレンタカー会社が空港近辺に事業所を構え、駐車場を置いて車を配備しておる、そういう状況かと思います。

 この周辺に、お客様を、空港からおりられた方をお運びする、または、今度は戻ってきた方を空港にまた届けるという、これはマイクロバスであるとか小型の車でその送迎を行うわけでありますけれども、やはり空港はどうしても限られたスペースであり、その乗りおりが多少不便になっておるという現状がございます。

 レンタカー利用者というのは今後ふえていくこと、また、それ以外にも、民間の駐車場というものが大変この空港周辺にできておりまして、民間駐車場の利用者の送迎もまたふえていくという現状、マイクロバスなりそういった送迎の小型の車が空港にどんどんふえていくことによって、空港の敷地内のロータリーに非常に多くの車が出入りをするという状況、今後も恐らくそれは右肩上がりにふえていくのではないか。

 そういった中で、レンタカー業界との連携なり、または各業界とのそういった政策の協定なども必要になってくるのではないかなというふうに思っておりますが、その辺のところを少しお伺いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 熊本空港におきましては、平成十六年五月から、国、県、周辺市町村、ビル会社、航空会社、バス協会、タクシー協議会、レンタカー協議会など関係機関で熊本空港利用促進協議会を設立いたしまして、空港の利用促進、利用者利便の向上に取り組んでいるところでございますが、平成十八年九月には、この促進協議会に交通部会というのを設置いたしまして、警察にも加わっていただきまして、ターミナルビルの前面道路の混雑緩和や駐車禁止対策、レンタカーの利便性向上などについて検討しているところでございます。

 いずれにいたしましても、空港にとってアクセスの改善というのは大変重要な課題でありますけれども、一方で、ターミナルビルの前面の限られたスペースをどう有効に使っていくかという点も重要でありますので、この交通部会を通じまして、レンタカー協議会を初め関係者と十分連携を図ってまいりたいと思っております。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 これは空港とか国交省航空局の問題ではないかもしれませんが、レンタカーがふえるに当たって、利用者の急増に当たって、レンタカー会社というのは空港の敷地内に事業所なり駐車場も設置するわけでありますけれども、その拡張がやはり求められるわけですね。また、管理棟というのも、外国のお客様なんかがふえてくるとすればきちっと整備をしていかなきゃいけない。

 そういう中で、実は、この周辺というのは農地が多いんです。農地が多いのは北海道の新千歳空港も同じですけれども、新千歳の場合は、非常に遠くの場所にレンタカーの事業所を設けることによって、実は車で二十分ぐらいかかるんですけれども、空港をおりて車をレンタルするまで非常に長い時間を要するということ。熊本は、今は比較的近接にレンタカーの事業所を設けることができておるんですけれども、ひょっとしたら、今後、農地が多いこの熊本空港周辺からさらに一歩置いたところに移転するようなことも考えていかなければいけないのではないかというふうに業界では思っております。

 実は、農地といいましても、もちろん、優良な農地であれば存続させることは重要でありますけれども、今遊んでいる農地ですとか、また、周辺の遊休国有地もございます。こういったものを、例えば農地を転用してレンタカーの業者が借りたり、また遊休国有地をレンタカー業者が払い下げるとか、そういったことを積極的に対策として講じていかなければいけない、また、そういうことができたとすれば非常に円滑にお客様の利便性に沿うことになるということから、私は、これは自民党の党内でも、また航空局並びに農水省、関係各省庁とも、話し合いの中でさまざまな議論をさせていただきたいと個人的に考えております。

 続きまして、熊本の道路事業についての質問に移りたいと思います。

 昨今は、揮発油税の暫定税率の話であるとか、また道路特定財源のあり方というものが大きな議論を呼んでいるわけでございますけれども、地方にとって、地域間格差の解消であるとか経済の活性化、渋滞緩和による逸失利益の回復、また環境対策、さらに言えば災害であるとか急病発生といった緊急時の利便性、こういったことを総合的に考えた上で、特に九州というのは台風が毎年のようにやってきて、昨年も美里町で大規模な集中豪雨が発生いたしました。そのときに、代替道路がないということで問題にもなりました。そういったそれぞれの地域性というものを考えながら、真に必要な道路事業、これは確実に求められているんだ、ここに関しては異論はないはずだというふうに私は思っております。

 そういった観点から、国道三号熊本北バイパスについてでございますが、来月の三月八日、部分開通の式典が行われる旨、熊本河川国道事務所から案内をいただきました。これは、熊本市の麻生田交差点と合志市須屋の国道三百八十七号飛田バイパスを結ぶ一・六キロ区間が仕上げ段階に入ったということだろうと理解をしております。国交省が進めている国道三号熊本北バイパスの工事が一段落しつつあるという大変うれしい通知だっただろうというふうに私は思っており、参加を予定しております。

 ところで、そもそもこの国道三号熊本北バイパスをつくることになった経緯といいますか当初の計画、またこれまでの経過とか費用、さらに、今後最終的に全線開通するまでの予定、予算、その財源は一体何なのかということを御教示いただきます。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本北バイパスは、国道五十七号の熊本東バイパスと一体となりまして、熊本市東部の環状機能がございます。したがいまして、熊本市内あるいはその周辺地域の交通渋滞の緩和を目的に事業が起こされました。トータルで延長七・六キロ、四車線のバイパス事業でございまして、全体の事業費はおおよそ八百億円を見込んでございます。

 五十六年から用地買収に着手いたしまして、これまでに六百十六億円を投じた結果、現在、国道五十七号熊本東バイパスから北へ四・二キロを既に供用してございます。先生先ほどお触れになりましたが、三月八日には、国道三百八十七号までの一・六キロが新たに開通いたします。トータル五・八キロということでございます。

 これに続きます国道三号まで残された一・八キロにつきましては、本バイパスが環状道路を形成するための最後の区間ということで、早期供用に向けまして、鋭意用地買収及び工事を推進してございます。

 冒頭申し上げましたように、北バイパス全線供用しなければ都市圏の交通渋滞緩和あるいは交通安全の確保といった環状機能が十分発揮されませんので、全体が不十分になるものだろうと思います。引き続き暫定税率が維持されまして、必要な財源を確保した上で、一日も早い供用に向けて円滑に事業を進めてまいりたいと考えております。

木原(稔)分科員 道路は全線開通しないと最大の効果を発揮できないことは、もうだれもが理解しているところでございます。着工したら、一日でも早い開通をやはり目指すべきだと思います。しかも、途中で絶対やめてはいけない。だらだらといつまでも工事を続けないということ。逸失利益というものが発生してまいります。

 暫定税率は、必要な道路が完成するまで維持すべきだというふうに私は考えます。必要な道路とは、予算はどれぐらいかかるか、また効果がどれぐらいかということを冷静に科学的に分析した上で決めていく。少なくとも、この国道三号熊本北バイパスの全線開通というものは、間違いなくこれは整備すべき道路でございますから、これに関しては道路特定財源によって早期に実現していただくことをまた改めてお願い申し上げます。

 続きまして、スマートインターチェンジに関しましてお伺いいたします。

 既存の高速道路の有効活用、そして地域経済の活性化を推進するために、従来のインターチェンジに比べて比較的低コストで導入できるスマートインターチェンジというものに私は大変注目をしております。国家財政も地方財政も大変厳しい中で、既存の施設を最大限活用する、そして最少の投資で最大の効果を期待できる、そこに私は大変注目をしているわけでございます。

 とはいえ、新規着工の事業ですから、どうしても費用対効果を考えないといけない。導入に至るまでには、地方自治体からの申請であるとか社会実験など、そういった諸手続を経なければいけないというふうに聞いておりますけれども、このスマートインターチェンジにおける整備効果というものをお伺いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、スマートインターチェンジ、費用対効果の分析をやる必要がございますし、それから会社の方の採算ということも検討する必要があると思います。

 今お尋ねの効果でございますが、既に社会実験あるいは本格導入しておりますところの事例ということで申し上げますと、地域生活の充実ということで、まずは通勤時間が短縮されたという例がございます。それから、周辺の交通渋滞が緩和したという事例もございます。さらに、災害時における代替ルートが確保された、高次医療機関までのアクセス時間を短縮できたというような効果が地域生活の充実という意味で挙げられると思います。

 二番目は、地域経済の活性化ということで申し上げますと、周辺に工場や商業施設の誘致が進みまして雇用を創出した事例がございます。もう一つは、観光地へのアクセス時間が短縮して観光振興に寄与した事例等々、たくさんの整備効果というものが具体的に報告されております。

木原(稔)分科員 ありがとうございます。

 諸手続を経て、既に全国で導入されている箇所も多いと伺っております。しかしながら、導入されている地域に随分偏りがある、ばらつきがあるというようなデータもございます。

 確かに、これは高速道路が存在することが大前提でありますし、さらに地方自治体の負担も発生するところから、これは簡単にできるものではないというふうに思っておりますが、例えば九州、沖縄地方における設置状況、全国と比較して今どのようになっておりますか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 全国でございますが、平成十六年度から現在まで、五十一カ所で社会実験をやってございまして、三十一カ所が本格導入、十六カ所で社会実験中でございます。

 九州、沖縄地方でございますが、現在までに、九州自動車道須恵スマートインターチェンジ、二つ目が沖縄自動車道喜舎場スマートインターチェンジ、この二カ所におきまして、平成十八年十月及び平成十九年四月にそれぞれ本格導入を行ってございます。また、大分自動車道別府湾サービスエリアは、平成十九年十二月に社会実験の箇所として採択されまして、ことしの夏ごろの利用開始に向けて工事を今やってございます。

 以上でございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 私の選挙区でいうと、実は、一カ所検討しようと思っているのが熊本インターチェンジと植木インターチェンジの間でございます。この区間に設置するとすればこれが適当であるかどうかというのは、実際に自治体から上がってこないと明確な回答は難しいというふうに思いますけれども、今現在、もしそういうのが上がってきたとすればどういうふうに思われるか、所感で結構でございますから御指導ください。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 植木インターチェンジ―熊本インターチェンジ間、インターチェンジ間隔が十四キロということで、日本の平均のインターチェンジ間隔は十キロでございますので、それよりも長いということで、一つは、我々目標に掲げていますインターチェンジ間隔を短くするという観点では、対象になり得るのではないかと考えております。それから、この周辺には工業団地が非常に多くございます。そういう観点で、工業団地へのアクセス向上、あるいは観光地へのアクセス時間の短縮ということが考えられます。

 したがいまして、県がもう既に検討を始められておりますが、地元の方々と相談をしてさらに検討を進められて、私どもの方に御相談に参られたときは、積極的に必要な支援を行ってまいりたいと考えます。

木原(稔)分科員 では、時間も参りましたが、最後に、せっかくきょう大臣おいででございますから、質問の通告はなかったんですけれども、一言。

 実はきのう、熊本の方が何名かおいでになって、国営鞠智城歴史公園設置促進期成会という、今の熊本県知事の潮谷義子知事が会長となった会がございまして、鞠智城国営公園推進東京フォーラムというものを開催しました。

 この鞠智城でございますけれども、今から千三百年前に、朝鮮半島の百済を支援して白村江の戦いに敗れた大和政権が、新羅の連合軍の日本本土攻撃に備えて国家的プロジェクトとして建設した古代の山城、今、その跡地を再開発しよう、そういう事業でございます。

 こういった取り組みは、まさしく、歴史的価値を広く国民に理解していただくという国家レベルの意義ある取り組みではないかというふうに私は考えております。実は今、議員の中でも、鞠智城公園化推進に関する議員連盟というのをつくりました。園田議員を会長に、また、公明党の江田先生が副会長でございます。

 大臣には、そういった日本の古代遺跡を守り、広く国民に理解してもらうということに対する大臣のお考え方を教えてください。

冬柴国務大臣 鞠智城跡につきましては、私も行かせていただきました。大変立派で、県が、また県会議員さんで大変熱心な方がいられまして、本当にきれいに整備されてありました。

 私は、今国会にも、歴史とかそういうものを中心にまちづくりあるいは観光地づくりを進めようという法律を提案しているところでございまして、日本はそのように、鞠智城だけではなく、九州には邪馬台国がどこにあるかという大論争がありますし、本当に、千数百年前の我々の先祖のいろいろな営みというものが今に残されているという非常に貴重な国でございますし、我々、郷土愛とか日本国家観というものの根底にそのような歴史認識というものがなければいけないと思うわけでございます。それがその地域の人の誇りであって、住む人、来る人の喜びでもあるわけです。

 これを国営公園にするかどうかという問題は、何か非常に難しい問題があるようでございます。例えば、二〇一〇年、もうすぐですけれども、奈良に都が置かれて千三百年を刻む年でございまして、ここを何とか国営公園にと。特に、西暦でいえば七一〇年にそこにつくられました、七一二年にはそこで古事記が書かれ、七二〇年には日本書紀が書かれ、そしてまた、七五二年には大仏殿が落慶しているというような、奈良を中心に日本の国家というものは明瞭な形をそこにあらわした。そういうものが今に残っているんですね。千三百年前の木造建物が、法隆寺なんかの一群のそれもそうですけれども、これは奈良に住む人たちにとっては大変な誇りであり、また我々日本人にとっても大変な誇りだと思うんですね。これを国営公園にしようと思っても、なかなか難しかったです。

 そういう意味で、国営公園にするにはいろいろなハードルがあるようですけれども、議員連盟もできたということで、その価値も、私も見せていただきまして、大変立派なものだということはよく認識できましたので、お互いに頑張っていかなければならないと思います。

木原(稔)分科員 そういった文化的、歴史的遺跡に対する大臣の深い御理解に感謝を申し上げて、また、今後の御活躍をお祈り申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて木原稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原宏高君。

石原(宏)分科員 自由民主党の石原宏高でございます。

 本日は、予算委員会の第八分科会、国交省所管の大変人気のある分科会で、今までずっと望んできたんですが、三回目にして初めてやらせていただくことになりました。地元の問題を中心にお伺いさせていただきます。

 まず、道路局の方に、首都高速の中央環状線についてちょっとお話を聞かせてください。

 昨年十二月の二十二日に、首都高速中央環状新宿線の一部、四号新宿線と五号池袋線が開通しました。その結果として、首都高速の自動車の流入が減った、渋滞状況が非常によくなったという話を聞きました。どの時点の調査でどの程度減ったのか、現状をお教えいただけますでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 新宿線、十二月二十二日に新宿―池袋間が開通しました。今、一日当たり三万台御利用いただいているようでございます。

 この開通によりまして、一月のデータでございますが、平日の渋滞のピーク時間、これは十一時台でございますが、首都高の東京区域の全体の渋滞量、走行速度が二十キロ以下の区間の延長の累計であらわしておりますが、この渋滞量が平均二割から三割減少してございます。特に四号の新宿線では七五%減少してございます。

 その結果、中央道から常磐道への所要時間につきましては、開通前は約七十分でございまして、これは都心環状経由でございますが、開通区間を利用することによりまして、所要時間が約四十五分に短縮されました。そういった計測がなされております。

 こういうものに基づきますと、二酸化炭素の排出量は、首都高全体で見ますと、年間で約六万トン削減できるというふうに試算をしております。

 引き続き、残る区間の開通に向けて頑張ってまいりたいと思います。

石原(宏)分科員 ちょっと資料を配らせていただいて、これはイメージ図なんですが、実際にこういう換気塔というのが新宿線なんかでできているんですが、私の選挙区の品川区でも、二〇〇六年の十一月から、首都高速中央環状品川線の工事がスタートいたしました。

 西五反田の住民の方々が、実は、五反田の出入り口、換気所の建設の反対運動を行われておりまして、私は、住民の方々に御理解をいただくために、首都高速株式会社、東京都の説明会にも参加をして、話し合い、いろいろと御相談も承っているわけであります。

 住民の方々の希望は、この資料の絵なんかを見ていただくと、四十五メーター近くの高さのある換気塔はつくらないで、例えば新宿線なんかにも設置されました、脱硝装置等を駆使してこの換気塔の高さを二、三メートルぐらいの小さなものにできないかどうか、そういうことを非常に望まれています。

 東京都、首都高速株式会社の説明を聞くと、今の段階では技術的に難しいわけでありますが、品川線は、平成二十六年、これから六年後の完成を目指しておりますので、こういうものの研究開発を進めて新しい低い換気塔をつくることはできないのか、そういう研究開発をやっているのかどうか、もしくは開発のために予算を国交省としてつけることを検討できないのかどうか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 新宿線の方には既にこういったものが導入されて、二酸化窒素を九〇%以上、SPMは八〇%以上除去するという装置、低濃度脱硝装置がついております。それに伴って換気塔がついておりますが、その稼働状況でございます。今既についているものですが、二酸化窒素九五%以上という目標に対して実質は九五%の除去率、それから、SPMは八〇%以上ということに対しまして八八%の除去率ということになってございます。

 さらに、品川線につきましては、平成十六年に環境影響評価をやってございまして、完成時にはもっともっと大気環境が全体的に改善されているだろうという条件のもとで、高さ四十五メーターの今先生がおっしゃいました換気塔を設置して、脱硝装置はつけなくても周辺の大気環境は守れるだろう、極めて影響は少ないだろうと予測をしております。これは東京都の環境影響評価で、まさに箇所を指定して高さもそれぞれ書いております。こういう環境影響評価が前提になっているということでございます。

 そういう考えに至ったのは、一つは、今申し上げました脱硝装置では除去できない一酸化炭素とか二酸化硫黄、そういうものが周辺の大気より高く出たときに、多分いろいろな環境影響評価上問題があるということと、もう一つは、トンネルで火災が起こったときに、その排煙で、多分高くないと周辺に大変な煙を与えてしまうということでこういうことになったんだろうと思います。

 いずれにしましても、中央環状品川線の環境対策につきましては、最新の知見を踏まえて周辺の住民の方々に十分な説明を行ってやっていく必要があるんだろうと考えています。

 もう一つのお尋ねは、国土交通省として首都高の方にそういう研究開発の金を出すのかということでございますが、民営化されました首都高がそういう中でいろいろ検討されると思います。その必要については十分検討してまいりたいと思いますが、基本的には、民営化された会社が自分で研究開発されるものだというふうに理解をしております。

石原(宏)分科員 ありがとうございました。

 短い時間ですが盛りだくさんなものですから、次に、羽田空港の跡地問題並びに多摩川連絡路の建設について航空局の方にお伺いしたいと思います。

 今五十三ヘクタールの羽田空港の跡地について、国土交通省では、東京都や地元の大田区等々と跡地の利用基本計画を今年度末までに策定すると聞いておりますけれども、跡地利用の準備が着々と進んでおりますが、二〇一〇年の羽田空港の第四滑走路の完成、国際化のために跡地の払い下げの時期も早期に行う必要があると思いますが、現状、いつごろにこの跡地を東京都なり大田区なりに払い下げを実施されるのか、そのスケジュールを教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港の跡地の利用計画につきましては、国土交通省及び東京都、大田区、品川区から成ります羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協と言っておりますが、ここにおいて検討を進めてきております。

 この三者協では、昨年十一月に有識者委員会の御意見も伺いまして、跡地を三つのゾーンに分けて土地利用を検討することといたしまして、各ゾーンの利用の方向性を示しました羽田空港跡地利用基本計画の素案をまとめまして、今、パブリックコメントで一般から意見募集をしておるところでございます。これを行った上で、本年度中を目途に基本計画の取りまとめを行う予定でございます。三者協におきましては、引き続き、跡地の基盤整備や事業手法等、跡地利用基本計画の具体化に当たり必要となる課題について検討を行っていく予定でございます。

 したがいまして、この処分時期につきましては、これらの検討に加えまして、都市計画に関する関係自治体との調整あるいは国有財産審議会との調整等もありますので、現時点でまだ明確な時期を申し上げられる段階にはございませんけれども、今後、関係者と十分調整を図って土地の利用促進を進めてまいりたいと思っております。

石原(宏)分科員 大田区の商工会議所の会長さんが、実は私の後援会の大田区の方の代表をしていただいているんですが、跡地のところに何か集客施設、グラウンドというかスタジアムみたいなものをつくりたいという意見を言われておりまして、ただ、羽田空港の跡地は空港に隣接しているということで高度規制が存在すると思います。この高度規制は何階建てのビルまで建設可能なのか、また、そういうスタジアムなんか特別に規制緩和ということがあり得るのかどうか、その点をお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 空港周辺におきましては、航空法に基づきまして、航空機の離着陸の安全性を確保するために、一般に制限表面と言われております高度規制が設定されております。

 羽田空港の跡地の高度規制につきましても、B滑走路の直近でございますので、基本的に、このB滑走路から距離が離れるほど高度規制が緩やかになる。それから、滑走路の延長線上は一番危ないところなのでそこは厳しくて、側面の方はやや緩やか、そんな状況になっておりますが、跡地全体といたしましては、一番厳しい滑走路直近の場所で数メートル、一番緩やかな一番離れた場所で五十メーター程度の高度規制となります。

 この制限表面の制度は航空機の離着陸の安全性を確保するために必要な規制としてICAO条約、国際民間航空条約に基づいて定められておりますので、しかも、空港の直近でございますので、これを緩和するというのはなかなか難しいものであると考えております。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 次に、航空局の方にちょっとお聞きしたいんですけれども、川崎市と羽田空港を結ぶ多摩川連絡路という橋であります、羽田空港の第四滑走路を建設するに当たりまして神奈川県と川崎市と横浜市が百億ずつ無利子融資を行った見返りというわけではないんだろうと思いますけれども、そんな話があります。ただ、大田区としては、多摩川連絡路がどこにできるかというのはまだ決まっていないと思うんですけれども、これが羽田空港の跡地のところにできてしまうと、その跡地の有効利用がかなわないということで、実は、大田区はこの多摩川連絡路について反対の立場をとっているんですが、この連絡路についての進捗状況、今どうなっているか、お教えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘の川崎市と羽田空港を結ぶ連絡路の問題でございますが、いわゆる神奈川口構想と言われたものでございますが、委員御指摘のように、羽田の四本目の滑走路をつくる再拡張事業に対して、神奈川県、横浜市、川崎市から無利子貸し付けをお願いするということを契機としてこの構想が出てまいりまして、現在、国土交通大臣、神奈川県知事、横浜市長、川崎市長を構成員とする神奈川口構想に関する協議会というのを設置いたしまして検討を行っております。

 平成十八年二月七日に開催されました第四回のこの協議会におきまして、関係者間でその必要性についての共通認識のもと、引き続き幅広く検討を進めることが確認されておりまして、このため、現在、関係者間での検討を進めるために、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、関東地方整備局、東京航空局を構成員といたします京浜臨海部基盤施設検討会におきまして、この連絡路のルート、構造等について幅広く検討しておりまして、その中で委員御指摘の跡地との関係も十分踏まえまして検討を進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 大きな橋を跡地のところにかけるような形になってしまうと、そもそも跡地の有効利用というのができなくなりますし、どちらかというと、私のイメージだと跡地の方が先に行くような気がしてならないんですが、また、そこに建ってしまうと、そこにはかけられないというような形になりますので、御調整の方をしっかりとよろしくお願いいたします。

 それで、実は、多摩川連絡路とは別に、大田区の区長さんなんかが言われているのは、国道三百五十七号線が湾岸の高速道路に沿って通じているわけでありますけれども、都市計画では、東京港トンネルから神奈川県にかけて地下トンネルを延長するという、羽田のところから川崎に地下トンネルで三百五十七号線がつながるような計画になっているわけでありますけれども、この整備状況をちょっと教えていただきたい。これは国道ですから、つくるときには国と都と、神奈川県も入りますから、どういう負担割合で、金額が幾らぐらいかかるのかということがもしわかれば、なければいいんですけれども、進捗状況がどうなっているのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、三百五十七号というのは首都高速の湾岸線に並行してつながっております重要な幹線道路でございますが、東京港トンネルの部分と多摩川の渡河部のところが未整備でございます。

 今、東京港トンネルにつきましては、平成十四年に事業着手をいたしまして、現在、調査設計を進めてございます。首都機能の効率化を増進する社会基盤ということで、二〇一六年の東京オリンピック開催時の主要な輸送道路になるだろうと考えておりまして、早期整備が必要だと思います。今後、詳細設計などの準備を進めまして、平成二十一年度の工事着手というのを目指していきたい、こう思います。

 ちなみに、東京港トンネルでございますが、一・九キロの延長で事業費は千六百億円、国と都が三分の二、三分の一の負担になりますので、千六百億円のうち、国が千七十億円、東京都が五百三十億円ということになります。

 一方、先生まさに個々のお尋ねだと思いますが、多摩川渡河部のトンネル、これは約三キロでございます。これは、現在、環境調査を実施してございます。事業着手の時期でございますが、東京都、川崎市、関係の地方公共団体等と今後調整を進めてまいります。したがいまして、事業費につきましては、トンネルの構造等が未確定でございますので、事業費の方も未定でございます。

 ちなみに、東京港トンネルと同じような、例えばシールド工法でありますとか沈埋工法でありますとかいろいろありますが、同じようなシールド工法ということで考えますと、約二千五百億円ぐらいになるのかな。これはあくまで想定でございます、はじいておりません。三分の二が国、三分の一が都あるいは川崎市ということになろうかと思います。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 私も、大田区が選挙区だからというわけじゃないんですが、三百五十七号線がつながれば、多摩川連絡口までつくる二重の投資をする必要があるのかなというような感じも持っておりますので、ぜひともこの辺もあわせて御検討の方をよろしくお願いいたします。

 最後に、これも地元の問題なんですが、昨年の予算委員会か分科会で民主党の議員の方も質問をされましたが、地元の住民の方々が大崎短絡線の反対運動を行われております。ただ、地権者の方の合意が得られていないために、いつ実施をするかというのはまだめどが立っていないんですけれども、昨年も質問がありましたが、ちょっと鉄道局の方に御質問をさせていただきたいと思います。

 大崎短絡線は大変急カーブで急勾配の設計になっているんですけれども、技術的にはJRさんが自信を持って建設可能だと思います、安全運行にも徹底していただけるんだとは思うんですが、こういう急カーブで急勾配の線路というのが実際に日本国内に幾つぐらいあるのか、また、どういうところにあるのか。そして、その場合は自動列車制御装置、ATCがきちっと設置をされていて速度の規制が着実に行われているのか、また、その速度というのは大体何キロぐらいなのか、その現状をお教えいただけますでしょうか。

大口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全国的ということにつきましては、私ども、現在、JR東日本、JR東海、JR西日本、そして東京メトロでございますが、いわゆる急曲線の箇所数については現時点で調べたものがございます。これが、いわゆる半径二百メートル以下でございますけれども、一千十五カ所ございます。それから、急勾配と言われている箇所が、今申し上げた四社で百二十三カ所ございます。

 いずれにしましても、急勾配あるいは急曲線の区間につきましては、運転の速度でございますとか、先生おっしゃった速度制限機能つきのATS、いわゆる自動列車停止装置、そうしたものをきちんと所要の安全対策として講じているところでございまして、安全性の面からも問題ないというふうにとらえているところでございます。

石原(宏)分科員 済みません、今の点でちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、半径二百メーター以下の急カーブのところと急勾配が重なっているところ、千十五カ所と百二十三カ所で両方重なっているところは、実は大崎短絡線は非常に急勾配アンド急カーブの設計になっているものですから、それは数字としてありますでしょうか。なければ、また事後的に聞きますけれども。

大口政府参考人 先生の御質問につきましては、現時点ではそれがダブっているところについては正確な資料を持ち合わせておりません。

石原(宏)分科員 わかりました。ありがとうございます。

 短絡線は非常に短い範囲の急カーブで急勾配なものですから、福知山線の事故なんかもあって、大変地元の方は心配というか反対をされております。

 それで、実は、反対運動をされている地元の方に相談をされて、今も湘南ライナーが線路を走っているわけですけれども、そのわきに駐車してある車が、線路が削られたことによる鉄粉ではないか、車のボディーが汚れるという苦情を言われました。私の事務所で秘書が写真を撮ってきて、JRの方にも見せて、こういう鉄粉被害があるのかどうかということをお聞きしたんですけれども、本当に線路の鉄粉によって汚れているのか御自分で汚したのか区別がつかないということで、何ともしようがないというような御回答であったわけでありますけれども、電車がどんどん通って線路が摩擦で削れて鉄粉が飛んで周りの近隣の方々に被害を起こしている例は、日本全国で国土交通省が把握されているのかどうか。これは国土交通省に聞くような話じゃないのかもしれませんけれども、そういうケースがあった場合に、それは一々被害者の方が実証しているのかどうか等々、もしわかれば教えていただきたいと思います。

大口政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道というものは、公共交通機関としてまさに多くの方々の移動を支えるという大きな社会的使命を担っているわけで、先生御指摘のように、その安全とか利便の確保は大切でございますが、と同時に、鉄道の沿線の環境を良好に維持するということも地域との共生という点では大変大事なポイントかと思っております。

 先生御指摘の全国レベルでということにつきますと、実は、こうした鉄粉問題について、何か私どものところまで来るような問題があるかというと、今のところございません。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 この大崎短絡線は、地権者の方が四名いらっしゃって、その中のお二人がまだ反対をされているのでなかなか進まないんじゃないかという感触を得ているんですけれども、大変急勾配、急カーブでありますし、できると非常に圧迫感が、私もいつもそこを通って地元の事務所に行くものですから、近隣に住んでいてかなり圧迫感があるので、地域の方は大変敏感に反対をされております。

 さっきの首都高速の中央環状品川線もそうでありますけれども、この短絡線についても、やはりしっかりとした説明と住民の方々の理解を得ていく、時間をかけてその努力を積み重ねていくことが必要ではないかというふうに思います。

 ぜひとも国土交通省として、JR、東京都、首都高速株式会社等にその点で引き続きの御指導をいただいて、地域の方々が納得を得て、利便性のいい道路もしくは鉄道の交通網を整備いただきますようお願いを申し上げて、少し時間が早いですけれども、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて石原宏高君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三分散会


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