衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席分科員

   主査 小島 敏男君

      大野 功統君    片山さつき君

      木村 隆秀君    杉田 元司君

      中野  清君    葉梨 康弘君

      武藤 容治君    川内 博史君

   兼務 田端 正広君 兼務 塩川 鉄也君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      上総 周平君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (観光庁長官)      本保 芳明君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   枡田 一彦君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         尾見 博武君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     杉田 元司君

  木村 隆秀君     片山さつき君

  川内 博史君     村井 宗明君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     中野  清君

  杉田 元司君     武藤 容治君

  村井 宗明君     川内 博史君

  下地 幹郎君     鈴木 宗男君

同日

 辞任         補欠選任

  中野  清君     木村 隆秀君

  武藤 容治君     大野 功統君

  鈴木 宗男君     糸川 正晃君

同日

 第五分科員田端正広君及び第七分科員塩川鉄也君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

小島主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉田元司君。

杉田分科員 おはようございます。自由民主党の杉田元司です。

 きょうは機会をいただき、質問に立たせていただきます。

 私は、愛知県十四区選出であります。愛知県と申しますと、今は自動車を初め、電機あるいは輸送機器の大変な不況の波にのみ込まれておりまして、大変厳しい現実であります。

 ただ、愛知の場合は、工業品出荷額は三十有余年、日本では輝かしい実績をつくり上げてまいりました。とかく愛知といえば、豊かな愛知、そして工業の盛んな愛知と思われがちでありますけれども、実は農業の部門におきましても、全国で農業粗生産額が第五位を占めるという大変農業立県でもあります。その農業をつかさどっている地域が、申し上げました私の、愛知県の東三河地方であります。

 ただ、思い起こしてみますと、かつては、水もなく、そしてため池に頼るという、大変に貧しい農漁村地域でありました。幸い、豊川用水というものが昭和四十三年に通水をいたしました。自来、米から施設園芸に転換をいたしまして、菊あるいはキャベツあるいはトマトやメロンといった、これは全国有数の農業地帯に変貌を遂げてまいりました。今や、まさにこの東三河の下流域は、豊川市、豊橋市、そして田原市、農業出荷額は全国一位を占めるまでに至りました。

 私が今選挙区としている地域は、この豊川市を含んでおりますけれども、実は山間地域が多くの部分を占めております。私自身は、三十五年前に政治の道に携わるようになりまして、生まれ育った地域というのはまさに水の少ない、全くないと言っていい半島、渥美半島でありました。農家は貧しくて、日照り続き、そして作物はたばこ以外には栽培ができないというような状況の中で、四十三年の豊川用水の通水以来、豊かな農業地帯に変化を遂げてまいりました。

 三十五年前に私はこの道に携わったと申し上げましたけれども、そのときに、きょう質問をさせていただく設楽ダムの当時の関係者、実は元町長でありますけれども、その方に話を伺ったことがあります。

 杉田君よ、あなたの生まれ育った地域は、今豊かな農業地帯で、ふんだんな水に恵まれている。それぞれの農家が大変麗しく営農を営んでいる。ただ、このことは、私どもの地域、山間地を含めた地域の多くの犠牲があって、その上にこの下流域というものの繁栄があるということを忘れてはいけない。このことが、私が最初、三十五年前に教わった一言でありました。

 実は、きょう質問させていただくこの設楽ダムは、三十六年前にこの計画というものが立ち上がりました。以来、延々と、地域の方々の犠牲、そしてまた多くの尽力を賜った中で、この二月五日に補償基準の妥結を含めた調印式が行われるに至りました。幾多の先人の涙ぐましい努力あったればこそ、こうした時を迎えることができたのかなと感慨ひとしおでありますし、そしてまた、この歴史を忘れてはいけないものだと肝に銘じながら、きょうは質問に立たせていただきたいと思っております。

 三十六年前の当時は、まさに取りつく島もないほどの町民の猛烈な反対運動がありました。ダム計画の発表以来、変遷があったわけでありますけれども、まず最初に、現下のこの設楽ダムの進捗状況についてお伺いをいたしたいと思います。

甲村政府参考人 設楽ダムの進捗状況でございます。

 設楽ダムは、豊川に建設を進めております多目的ダムでございまして、豊川流域における洪水被害の軽減、流水の正常な機能の維持、東三河地域のかんがい用水の補給、豊橋市などへの水道用水の供給のためのダムでございます。

 本ダムの進捗状況でございますけれども、昭和四十八年十一月に愛知県による設楽町への調査の申し入れ以降、昭和五十三年四月の実施計画調査着手、平成十三年十一月の豊川水系河川整備計画の策定、平成十五年四月の建設事業着手、平成十八年二月の豊川水系水資源開発基本計画全部変更、平成十九年七月の環境影響評価書の公告縦覧、平成二十年十月の基本計画公示等の手続を経まして、先生おっしゃるように、ことしの二月五日には、地元設楽町の御理解、御協力を得まして、設楽ダム建設に伴う損失補償基準の妥結調印、設楽ダム建設同意に関する調印がなされたところでございます。

 今後、用地取得や準備工事等に着手いたしまして、平成三十二年の完成に向けて、地域の皆様の御協力を得ながら、着実に進めてまいりたいと考えております。

杉田分科員 長い歴史を今局長がコンパクトにまとめて御説明をいただきました。

 私も実は、国土交通省、そして愛知県、設楽町から強い要請を受けて、この二月五日の調印式に参列をしてまいりました。

 その中で極めて印象的だったことは、町当局はもちろんでありますが、町議会、わけても設楽ダムの対策協議会会長の一言でありました。この調印式を迎えるに至った。でも、このことに尽力をされた多くの方々が命をなくされ、そしてこの日を迎えることができなかった。まさにきょうは、苦渋の選択であったこの調印式を万感の思いで迎えるに至ったと。

 さてそこで、お伺いをしたいのでありますが、この水没地域は百二十戸に及ぶと言われておりますけれども、水没地域を初めとするこの設楽ダム対策協議会に多くの方々の尽力を賜ったわけでありますが、こうした方々に対する国土交通省としての御見解、思いをお聞かせいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 設楽ダム対策協議会、さらには設楽町長、設楽町議会の皆様方が、先ほど申しましたように三十年以上設楽ダムにかかわってこられ、今回、大変重い決断、苦渋の決断をされたことに、敬意と感謝を表する次第でございます。

 特に、御指摘のとおり、約百二十世帯の水没者の方々が長年の居住地を去られるという辛苦ははかり知れないものがございます。このため、水没者の生活再建及び設楽町を初めとする水源地域の地域振興は、ダム事業の中でも最重要課題でございまして、愛知県、下流市町及び地元設楽町の関係者と協力しつつ、取り組んでまいります。

 また、事業推進に当たりましても、ダムの工事等はもちろんでございますけれども、水没者の生活再建、地域の振興を最優先に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

杉田分科員 わけても、今お話がありましたように、住民の方々の生活再建、そしてまたその周辺に至る地域の振興、これは町側が国と県に対して、ある面では条件闘争の歴史であったとも思っております。七項目に及ぶこの提示に対して、国と県からは一定の理解を得る回答をいただいてまいりました。このことは私も評価に値すると思っております。水没地域の方々も納得いく回答であったと評しております。

 ただ、町議会は、十二名の方々で構成をされておりまして、当初は、住民投票に持ち込んでこの設楽ダムのいかにかを問おう、こういうことでありました。しかし、ここまでに至った経緯等々長い歴史を考えれば、今住民投票に頼ることなく、町議会で議決をしていくことの方が優先ではないだろうかということで、十二名がそれぞれの意見陳述をし、そして採決に至りました。八名が賛成、そして二名は全くの反対、そして二名は七項目の条件が意を満たしていないということで反対に回られました。

 これらのことも踏まえながら、国としては、国土交通省としては、愛知県、設楽町、そしてこの地域の住民の方々に対する、このダムに対する思いというものをいま一度お述べいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答えを申し上げます。

 設楽ダムは、先ほど申しましたように、豊川の洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水の補給、水道用水の補給等、東三河の安全と安心のために重要な施設と考えております。

 本ダム事業に、地権者の皆様方を初め町長、議会の皆様方の深い御理解と御協力をいただくことができまして、まことに感謝申し上げております。地権者の皆様方の生活再建への御苦労と、とうとい財産の提供に報いるべく、ダム建設に当たりましては、地域の振興、水没者の生活再建とあわせまして、一日も早く事業が完成するよう、なお一層の努力をする覚悟であります。

 また、ダム事業につきましては、水源地域対策特別措置法に基づく事業や、豊川水源基金による設楽ダム対策基金等と一体となって進める必要がございます。地域振興策におきましても、地域の声をよく拝聴し、愛知県、下流市町と一緒になって、設楽町の皆様方と連携を図りながら、誠意を持って取り組んでまいりたいと考えております。

杉田分科員 冒頭申し上げました、上流域、そしてまた下流域、このことはそれぞれ思いは同じであろうと思っております。

 そして、本来、治水であるべきダムが、今やもう利水の部分が多くを占めておると思っております。この豊川という一級河川は、総延長七十二キロ足らずでありまして、非常に水源地から河口部までは短い河川であります。せっかく山にたまった水が勢いよく河口部へ流れていく。そういう意味では、治水そして利水の面でも極めて必要とされるダムだと思っております。そしてまた、今や環境という面におきましても、豊川は全国でも非常に美しい川の一つに挙げられております。

 こうした中で、今は上流地域のことをお尋ねいたしましたけれども、東三河七十万市民にとってこの設楽ダムというものがどういう役割、あるいはこれからも必要とされてくるのか、そのことの国土交通省のお考えをお尋ねしたいと思います。

甲村政府参考人 お答えを申し上げます。

 東三河地域でございますけれども、先生おっしゃるように、従来から慢性的な渇水に悩まされてまいりましたし、また洪水被害にも見舞われ、不安な生活を余儀なくされてまいりました。

 豊川におきましては、先生先ほどおっしゃったように、これまで宇連ダム、大島ダム等の農業用水等の利水施設は整備されてきましたけれども、洪水調節や河川の維持流量の補給を目的とするダムは現在まで建設されておらず、この設楽ダムがこれらの目的をあわせ持つダムとなります。

 設楽ダムは、東三河地域の安全と安心、そして将来の発展のために大変重要な施設でございまして、地域の期待は非常に大きいものと認識しております。

 豊川の下流市町や愛知県からは、東三河の発展のために設楽ダムをぜひとも建設していただきたいと強く要望を承っているところでございまして、国土交通省といたしましても、早期効果発現のために、事業を着実に推進してまいる所存でございます。

杉田分科員 私、実は先日でありますけれども、予算委員会で小野寺議員が農林水産大臣に質問されている内容が大変印象的でありました。

 中山間の地域というのは、今や林業の衰退は目を覆うものがあります。そしてまた、公共事業等に携わっておられた方々もこれまた甚だしい落ち込みでありますし、中山間地の農業というものも、今や鳥獣被害等々に遭われてまさに瀕死の状態であります。

 そんな中で、小野寺議員が、山間部というのは林業だけではもう食べていけない、では農業だけで食べていけるかといえば、農業だけでも生活をしていけない、公共事業もましてそうだと。ならば、農業の傍ら林業にいそしむ、林業の傍ら公共事業にいそしむ、農閑期等々を利用したいろいろな産業にリンクしながら生計を立てていく以外にない。そしてまた、工場等々が、下請、孫請であった工場も今や円高の影響で海外に進出をし、若者が働く場所も失っていく。

 私は、そんな中で設楽ダムというのはまさに公共事業の最たるものであると思っておりますし、この二〇二〇年の完成までの十有余年、絶好の機会到来ではないのかなという認識も持っております。

 申し上げましたように、林業や農業や公共事業がうまい循環で、そして、この公共事業を通して人々がもう一度山に戻り、仕事につき、雇用という大切なものを手に入れる、こんなことが次なる林業や農業にもつながってくるのではないだろうかと思っております。

 そういう意味で、この設楽ダムというのは私どもの地域にとっては多くの経済効果が期待をされると思いますが、その点につきましての御見解をお伺いいたします。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、中山間地域、特に過疎化、高齢化等で問題を抱えております。その問題の原因といたしましては、都市的施設へのアクセスが悪いということで日常生活に不便を来すというようなこと、さらには就業の機会がないということで、おっしゃるように、林業だけでも生活できないし農業だけでも生活できないという、就業の機会の不足ということがその大きな原因かと思っております。

 今回、設楽ダムの建設の期間中はもちろんでございますけれども、設楽ダム建設にあわせて、愛知県が地域振興として周辺の道路整備等を計画しておりまして、ダム完成時には周辺からのアクセスが向上するということで、生活の利便性、さらには就業機会がふえると思いますし、さらに、設楽町では、設楽ダムを有効活用すべく、ダム湖周辺整備検討委員会が立ち上げられておりまして、ダム湖やその周辺を将来的な観光にも利用したいということで、関係者と調整しているところでございます。

 設楽ダムの下流域、洪水被害からの防御あるいは各種用水の供給ということで受益を受けるわけでございますけれども、単に上流、下流といったような別々の考え方ではなくて、上流と下流が一体となりまして、流域圏と申しますか、豊川流域圏として上流域と下流域が共存共栄できるように、上流、下流の交流、さらには相互の協力が必要と考えております。

杉田分科員 いよいよ、二月五日の調印から補償段階に入っていきます。そしてまた年度内には工事が着工に入る予定だと伺っております。

 愛知県と国と、そして設楽町と、受益を受ける下流域。ただ、私がよく耳にする言葉は、周辺整備と今局長のお話がありましたけれども、直下流地域でありますが、これからすぐ上流でこのダムの工事が始まる。私たちは夜も、不安がないとは言えない。これから十年以上にわたってこれらの工事が進んでまいる場合に、まくら元で何かあったらどうするんだ、そんな不安がつきまとっておる、そんなこともよく耳にいたします。

 今までは、流域圏の中でも関係機関の方々のみがこうした協議に参画をされましたけれども、直下流地域の人々は直接の参加はできませんでした。いよいよこれから年度内の工事が始まってくる段階に至りましたので、国に対しても、あるいは県に対しても、生活不安の解消という面でもいろいろな意見を聞いてもらいたいと申しております。そのことにつきましての御所見をお伺いしたいと思います。

上総政府参考人 今御質問のありました、直下流地域への地域振興として何かということでございます。

 直下流地域につきましては、なかなか支援の手を差し伸べることが難しい地域ではございますが、この設楽ダム、大変重要な施設でもございます。何らかの知恵を絞っていく必要があろうかと思っております。

 その一つとして、水源地域対策特別措置法に基づく事業というのはなかなか難しゅうございますが、豊川水源基金による対策、そういう基金対応ということは、まだこれから考えていく、知恵を絞っていくところがあると思っております。

 今御質問のさらに下流になるかもしれませんが、新城市の鳳来地区につきましては、愛知県と下流の五市一町で十億円の基金で振興をしてまいりました。小学校の整備あるいは町道の維持管理等でございますが、こういったことを設楽ダムの直下の地域でもやれないか。この基金の充実等も含めて関係の皆さんとよく連携を図ってまいりたいと思っております。

 さらに、制度としまして、地域活性化の専門家の方をその地域のアドバイザーとして派遣するという制度もございます。

 今後、地元の要望をよくお聞きしながら、こういった制度も活用しながら直下流の地域振興にも取り組んでまいりたいと思っております。

杉田分科員 ぜひ、知恵を絞り、これからの対策に力をかしていただきたいと思っております。心からお願いをさせていただきます。

 最後になりましたけれども、冒頭申し上げましたように、私どもの愛知県は、トヨタ・ショック以来、来年度の予算減収は四千九百億円に上ろうとしております。そんな中で、二〇〇五年には愛知万博、そして中部国際空港の開港がありました。今、愛知県には両論あります。さらに新しい投資を進めていくべきか、あるいはこの四千九百億円という減収の中で極めて緊縮的な財政に移行すべきか。

 しかし、せんだっての愛知県議会で神田知事は、愛知にも西高東低、格差があります。これは、トヨタを中心とする名古屋地域と私どもの東三河地域、一人当たりの県民所得におきましても四・五倍の差がある、大変格差社会が生じておる地域であります。そんな中で愛知県知事は、この設楽ダムについては愛知県の最重要課題として、こうした厳しい経済情勢の中でも、財政運営の中でもとり行ってまいりたいという強い決意を述べられました。

 いろいろと申し上げてまいりましたけれども、国としてのこうした設楽ダムに対する強い意思というものを最後にお伺いをさせていただき、質問を終わらせていただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月十二日に愛知県から設楽町に対してなされました七項目の回答におきましても、県から、県としましても県政の最重要課題の一つとして、県土のバランスある発展と東三河地域の将来の安全、安心を目指して、水源町である貴町の御理解をいただきながら取り組んでまいりたいというふうになっております。このように、厳しい財政状況の中、愛知県からは事業の推進に当たって御支援、御協力を得ているところでございます。

 国土交通省といたしましても、設楽ダムは豊川流域における治水上、利水上重要なダムと考えておりまして、コスト縮減を図りながら、平成三十二年度完成に向け、工期、工費を遵守することが極めて重要であると考えております。

 このため、コスト縮減を目的に、学識経験者とそれから費用負担者でございます県水道部局の関係機関を委員といたしまして、設楽ダム事業費等監理委員会を昨年立ち上げたところでございます。年二回程度のペースで開きながら、コストの縮減、さらには工期の厳守を目指し、一日も早いダムの完成に努めてまいりたいと考えております。

杉田分科員 ありがとうございました。

小島主査 これにて杉田元司君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 公明党の田端正広でございます。

 大臣には、連日、大変に御苦労さまでございます。

 私は、きょうはまず、私の地元に大和川という一級河川、国土交通省の所管でございますけれども、残念ながらワーストワンに汚いということで、長年私も苦労しておりますし、関係の皆さんには大変御努力いただいているんですけれども、平成十七年、十八年、十九年と三年連続してワーストワンということになりまして、東の綾瀬川、鶴見川、あるいは西の大和川、この三つがワーストワンを争っているということでございます。何としても克服していきたいな、こう思っておりまして、また、三月一日には、大和川クリーン作戦というのが、国土交通省初め大阪府知事等も先頭に立って、私も何回か過去にも参加しておりますが、そういうクリーン作戦に市民が参加して意識啓発も行っているわけでございます。

 そういう意味でも御努力があって、今、BODは四・七ミリグラム・リットルまで回復してきました。そして、アユが戻ってまいりまして、産卵するというところまで来たわけでありますけれども、しかし、やはり市民の間では、大和川に行って水辺で遊ぼう、あるいは親しもうという気分にはまだ至っていない。そこをもう一工夫していただいて、せっかくの自然との共生ということで、大和川に親しめるような、そういう大和川にしなければならない、こう願っているわけであります。

 ぜひ、合併浄化槽等の整備も含めて、下水道対策、そして上流に至るまで、また、奈良県等に及ぶわけですが、そういったことも含めて浄化対策をお願いしたいと思います。

 その上で、かねてからお願いしてきたことですが、大和川の、私は河口部分に当たるわけですけれども、この河口のしゅんせつといいますか、土砂を掘削していただいて、そして、天井川のような形に今なっているわけでありますが、万々一集中豪雨等によって被害が起こらないように、そういった意味でも、掘削していただいて川底を深くする、それによって川が川らしくなっていくんではないかということで、今、平成二十年、二十一年度で、二十六号線沿いの橋のところ、潮どめ堰というところまでほぼ計画を進めていただいておりますが、これはぜひ続けていただいて、川をきれいにするという意味でも、川を川らしくするという意味でも、ぜひお願いしたいと思います。

 今後、この掘削作業がどういうふうに進んでいくのか、どういうお考えなのかということを一つはお尋ねしたいと思います。

 これは、防災対策、水防対策になると同時に、今までのように中州ばかりで水が少ないという形であれば、せっかく川に来ても、川という感じにならない。今ようやく、水がたまる、そういう川らしくなってまいります。そうすると、ここで釣りを楽しむという一つのこともまた起こってくるわけでありまして、ぜひ、このことについてはさらにまた進めていただきたいと思います。

 それから、私は十三年ほど前に、当時、関谷さんが建設大臣のときに質問をさせていただいて、そして、大和川に桜並木をつくったらどうかということを提案しました。そして、その結果、十本ほどですけれども植えていただきまして、今その木がもうこの天井ぐらいの高さまで、六、七メートルまで育ちまして、去年の四月に私も花見に市民の皆さんと一緒に、私は勝手に田端桜とそれを呼んでいるわけですが、楽しませていただきました。ようやく、ところどころではありますが、桜もそういう形でつながっていくような形に今なってきておりますので、そういった自然環境を整えるということもぜひ一層推進していただきたいな、こう思います。

 私の方は右岸ですけれども、左岸の方では八月一日に、大和川水辺の楽校、ガッコウというのは音楽の楽ですね、楽しいという字ですが、楽校を八月一日に、これは国土交通省の推進で建設、開校されるということになっておりますが、右岸の方にもぜひそういうものをいろいろとお考えいただきたい、こう思います。

 例えばゲートボール場とか、散歩する遊歩道とか、あるいはテニスコートとか、多摩川の両岸にはそういったものがたくさんありますけれども、ぜひそういう整備をお願いしたい。例えば、私の方の右岸の方にはずっと土手がありますけれども、サイクリングロードをつくっていただくとか、そうすればジョギングもできるし、散歩もできるし、サイクリングもできる、こういうこともうまくつながれば大体いけるようになると思いますので、十キロぐらいは可能かと思いますけれども、ぜひそういったこともお考えをお願いしたいと思います。

 まず、これらについて総合的に御答弁をお願いしたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昭和四十年代前半から悪化した大和川の水質でございますが、近年、下水道の普及と清流ルネッサンス事業に取り組んだ結果、環境基準レベルまでは改善されているわけでございますけれども、全国の河川の水質も改善されておりますので、残念ながら大和川についてはワーストワンというような形を続けているわけでございます。

 ただし、全国一級河川で過去十年間にどれだけ水質が改善されたかという水質の改善率について申しますと、大和川は十年前はBODで九・二であったものが、先ほど先生がおっしゃったように、現在では四・七ということでBODが約半分になっているということで、水質の改善率で見ますと全国ベストツーの川でございます。このために、先生おっしゃるように、アユやメダカなど多様な動植物も確認されるようになってきております。

 さらに、平成十八年度にCプロジェクト計画二〇〇六を策定して、生命財産を守る安全な大和川、次世代に伝える美しい大和川、地域をはぐくむ豊かな大和川の目標のもと、地域とともにさらに再生に向けて取り組んでまいる所存でございます。

 続きまして、河口部の河道掘削についてでございます。

 過去最大洪水でございました昭和五十七年八月洪水を安全に流下させるべく、河口から潮どめ堰間の掘削を行っておりまして、平成二十年度末現在で百四万立方メーターの掘削を行う予定でございます。さらに、平成二十一年度には二十四万立方メーターを掘削し完成を目指す所存でございますが、その後も土砂の堆積状況等を見ながら掘削等を検討してまいりたいというふうに思っております。

 河川に親しみ触れられる施設でございますが、先生おっしゃるように、左岸側では堺市浅香地区で水辺の楽校、楽しい校でございますが、平成二十一年八月に開校予定でございます。右岸側につきまして、堤防天端や高水敷に約九・五キロメートルのサイクリング道路整備を大阪市が計画して一部工事に着手しておりまして、早期完成を目指しているというふうに聞いております。

 そのほか、先生御指摘のゲートボールあるいは遊歩道、テニスコート等、地域の意見をよく聞きながら、親しめる、美しい、安全な大和川を目指して今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。

田端分科員 ぜひ今後とも前向きにお取り組みいただきたいと思いますし、私も現場でしっかりとチェックさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 実は、私は上町断層と言われている活断層の上に住んでいるわけでありまして、大阪の豊中市から大阪市内を通ってずっと南に真っすぐ、堺市そして岸和田市まで四十二キロにわたってこの活断層が大阪を縦断しております。

 この上町断層が、もし神戸級の地震が起こったらどうなるか、こういうことが言われているわけでありますけれども、南海・東南海地震がやはりこれから起こる確率が高いということで、昭和二十二年に起こってからもう六十年を過ぎているわけでありまして、いつそういったことになるかということも大きな問題であります。

 この上町断層が、マグニチュード七・六、神戸が七・三でしたから神戸級だと思いますけれども、もしこれがそういうことになったらどうなるかというので、中央防災会議が昨年、被害状況をまとめました。それによりますと、全壊棟数が九十七万棟、死者数四万二千人ということでありまして、九五年一月十七日の神戸のときには、これはもう本当に大変だと思いましたが、私の家自身が震度五強でありまして、もう本当に大変な思いをしました。これで死者が六千四百三十四人で、それでも大変だった、すごかったという思いは今でも強烈に命に刻み込んでいますけれども、四万二千人なんということは、これはもう想像できない被害状況であります。

 それで、大臣、私はぜひ大臣にお考えいただきたいのは、中央防災会議は学者の先生とか専門家が集まってこういう予測をされる、それはそれでいいんですけれども、では、予測をしてこういう被害だよというんだったら、それを受けて、これは国を挙げて対策を立てていただかなければ、ここに住んでいる者にしたら、これはもう大変な心配でございます。そういう意味で、ぜひお考えいただきたい。

 特に、古い民間住宅が大阪市内に密集しています。私の住んでいる西成区は、その中でも被害がワーストワンと言われているわけであります。つまり、戦前の建物がたくさん残っているわけでありまして、五十五年以前というよりも戦前の建物がたくさんあるわけですから、そういう意味では被害が大きいと思います。そういう民間住宅の耐震化をどう進めるかというロードマップみたいなものをつくっていただかなければ、被害はこうだとだけ発表されて、そのほか国はそれに対して対応しないというのでは大変困るわけであります。

 幸い、地元で大阪府木材連合会というのがその辺のところを非常に心配されまして、今、より安価な耐震化技術を開発しようというので、京都大学とか大阪府、大阪市とも連携をとりながら、例えば、家は仮に壊れても命は助かるような壊れ方、そういう木質耐震補強部材、新しい技術を開発して、窓のところに枠をはめるとか、はりのところを補強するとか、柱とか壁をどうするかとかという、そういう部分的な、少しでも揺れを防ぐ、少しでも倒壊を防ぐ、そういうことで今この技術が開発されています。

 それで、建てかえとなると何千万とかかかって、これは大変なことです。だけれども、そういう形であれば何十万で済む、三十万とか五十万とかで少しのことならできる。例えば、家財が、家具が倒れないようにきちっととめておくだけでも被害の状況が違うわけですから、そういうことから考えましても、地震に対してどう備えるかということが大変大事だと思います。

 そういう意味では、ぜひ各家庭でもできる、そういう技術、そしてそれを普及させていくという広報活動も含めてお考えいただきたい、こう思います。そして、そういうことに対して、例えば五十万かかった、そのうち、ではこれだけは助成しよう、こういうことがもしあれば、これは市民の皆さんもいろいろな形で工夫されるのではないか、こういうふうに思いますので、手軽な補強工事に対してもぜひ助成措置をお考えいただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、地震から人命を守る最大のポイントは耐震改修でございます。耐震改修促進法に基づきまして、平成二十七年度までに九割を耐震化するというようなことで頑張っておりますが、そういった上で、今回の二次補正予算あるいは二十一年度の予算におきましても、制度の拡充あるいは必要な国費も確保しています。

 今委員御指摘の大阪府木材連合会が開発した簡易な工法、一時、府と市と若干の行き違いがあったようでございますが、今は調整してきちんと公的機関でその効果を検証する、こういった作業を進めているようでございまして、そういったことが終わって、効果があるということを市、府が判断すれば、私どももしっかりと応援してまいりたい、こう考えております。

田端分科員 ぜひ前向きにお取り組みいただきたい、こう思います。そして、それらについてはまた広報活動もしっかりしていただいて、わかるようにしていただきたい、こう思います。

 それで、大臣にちょっとお尋ねしますけれども、平成二十七年度までに住宅の耐震化率を九割進めるという検討をされているように思いますけれども、そういう高い目標を持っておられるのは結構なんですよ。九割というのはすごいことだと思いますけれども、今申し上げた上町断層の上に住んでいる、古い戦前の建物なんというのはとても九割ということは私は考えられない、こう思います。

 そういう意味で、地震対策というのは大変、特に古い民間住宅、ここに人が住まわっているわけですから、これについての、今御答弁がありましたが、しかし、そういう高い目標を持ってやられるんだったら、大臣としての御所見も私はお尋ねしておきたい、こう思いますが、よろしくお願いします。

金子国務大臣 住宅局長から答弁させていただきましたように、そういう目標を立てて、田端委員御存じのとおり、そのための税制も手当てしていくということで、今進めさせていただく。それから、先ほど技術の話をされておられましたけれども、大変参考になるなと。それが認定されて、使えるなということであるならば、大いに使っていただくということもいいんだろうと思います。

 それからもう一つ、さらに具体的に、今与党でも改めて、密集市街地等々をどういうふうにしていくかというような検討もされておられる。こういう大不況のときですから、ちょうどこういうリフォーム、特に住宅のリフォームというのはもう一つの大きな、耐震改修というのは非常に大きなテーマとして位置づけておりますものですから、それの具体的な取り進め方、密集市街地対策みたいなものでやるのか、どういう手法でやっていくのか、これはさらに検討をしてまいりたいと思っております。

    〔主査退席、葉梨主査代理着席〕

田端分科員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、私の地元にあいりん地区というのがあります。ここは日雇い労務者がたくさんいるところで、ホームレスの人も多い。そういう意味では、今まではいろいろなこともあったりして、治安的にも非常に不安定でもあった。しかし、ここが少しさま変わりしてまいりました。

 どういうことかといいますと、ここに日雇い労務者の方が泊まるようなホテル、簡易宿泊所が多数あるんです。実は、三年前ですか、サッカーワールド大会が大阪の長居競技場でも開かれて、世界各国からいろいろな方が来られた。そのときが一つのきっかけになったと思いますが、この簡易宿泊所で泊まる外国人がふえてきました。

 一泊二千円前後なんですね。個室でシャワーだけあれば、別に食事なんかは外ですればいいわけですから。そうすると、大阪市内の日航ホテルとかスイスホテルとか、これは一泊二万円はすると思いますから、そういうところで一泊するならここで十泊できる、こういうことになります。

 そういう意味では、インターネットを通して皆さん、ここは安いということで、たくさんの外国人が今来るようになりまして、年々すごい急成長です。それで、昨年は七万人来ているんです。ほんの一角なんですが、これは大変なことだと私は思っております。

 それで、交通の便が、JR環状線があり、南海線があり、地下鉄があり、これは本当に便利です。コンビニもその一帯に五カ所ありますから、二十四時間、食べるものとかは不自由はしない、こういうことでありまして、中国人、韓国人、台湾人、それから最近は欧州、特に北欧の人が、関空との関係だと思いますけれども、大変ふえてまいりました。大臣、この流れをぜひ育てていただきたい、こう私は思います。

 ビジット・ジャパンが、平成十九年八百三十四万、平成二十年八百三十五万ということで、ちょっと足踏みしていると思います。二〇一〇年一千万ということはこれだと厳しい状況だなと私は思いますけれども、ぜひこういう芽を育てていただくということで、ちょっと二、三、提言させていただきます。

 一つは、道路標識は外国人の人にわかるような、例えば英語、ハングルとか中国語とか、そういうものの案内を表示してあげるとかいうことが一つです。大阪の場合はまだ全然その辺ができておりませんので、ぜひ大阪市とも話し合っていただきたい、こう思います。

 それから、今実はこの地域で阪南大学が、観光学科の教授と生徒たちが一月二十六日から一カ月間、二月二十七日まで、案内を買って出て、事務所を設けて観光案内を今やってくださっています。そして、訪ねてきた外国人にいろいろなアドバイスをし、大阪市内とか関西一円の観光まで含めて計画を立ててあげたり、通訳してあげたり、こういうことで延べ百五十人の生徒がこれに今参加していただいているわけであります。

 中国語とか英語とか韓国語とか、そういうことを駆使しながらこの人たちはやっていただいていますが、こういうボランティアに対して何か励みになるような支援をしていただければ、一カ月で今もう終わってしまうんですが、さらにまた続いていくと思うんですけれども、ぜひお願いしたいというのが二点目です。

 もう一つは、「ロンリープラネット」という世界共通のガイドブックがありまして、この「ロンリープラネット」を持って欧米から来られる方はこれを見ていろいろなところへ行くんですが、この中に、実は今言ったような日航ホテルとかそういう宿泊のところを書いているんですけれども、ここのこういう簡易宿泊所組合の、宿泊できる、しかもこんな安い値段でできるということがもし一行でもここに入っていれば、これを頼りに来る外国人の人から見れば、すごくいい要素になると思います。

 そういったこともお考えいただいて、このビジット・ジャパンが今行き詰まっているという中で、年々一万、二万という形でふえているわけですから、ぜひ今申し上げたことを御検討いただいてお取り組みいただきたいと思います。よろしくお願いします。

金子国務大臣 いいアドバイスをいただきました。浅草で、東京でも同じ方がおられた。東京でもこういう方が今、本当に簡易宿泊所をこういう形で生かすということで、外国人をどんどん引っ張ってきて、これもボランティアを連れて浅草かいわいを案内しているというような、非常にいいことであると思いますので、今の「ロンリープラネット」、こういうものに登録させるといったようなことを通じて、今先生がいろいろ御紹介いただきましたあいりん地区の件について、さらにそれがうまく活用されるようにやってみたいと思います。

田端分科員 大臣は、ビジット・ジャパンが二〇二〇年二千万という次の目標をお持ちだというふうに聞いていますから、そういうことなら、ぜひいろいろな知恵を絞る必要があると思いますので、これだけ安くて喜ばれているわけですから、私は、治安がしっかりしていれば町も変わっていく、こう思いますので、ぜひあわせてよろしくお願いしたいと思います。

 次は、バリアフリーの問題について、これはJR関係でございますけれども、ぜひお願いしたいと思います。

 大阪の環状線の大正駅が、私はずっと前から申し上げて、平成九年に上りだけエスカレーターをつけてくれました。これは五十六段、階段があるんです。五十六段、ホームに行くのに、これはもう我々が上り下りするだけでも大変なんですが、このおりる方、下りがないんです。それで、年配の方から、むしろ下りの方が大変なんだ、何でつけてくれないんだ、エスカレーターつけろとしかられているんですが、非常に構造的な問題があるようなので、簡易なエレベーターでも、何か工夫して、ぜひこれは実現をお願いしたい。

 大正駅のすぐ前が京セラ大阪ドームですから、大阪ドームの開設に合わせて上りはつくってくれたんですが、下りはつくってくれないから非常に変なことになっておりますので、ぜひお考えいただきたい。これはJR、大阪市にも国土交通省からしっかりとまた打ち合わせをお願いしたいと思います。

 それからもう一つは、JR阪和線が四・二キロにわたって高架になりました。一生懸命、私もやらせていただきましたが。

 高架になって、終点といいますか、杉本町という駅で高架が終わるんですが、本当はここも高架にしておけば問題なかったんですが、旧の駅舎のままで、地べたに入ってきて杉本町におりる。そうすると、杉本町だけ全く古い駅舎のままで、階段を上って陸橋を渡ってホームに行くということですから、車いすでは全然対応できないことになったままになっています。この駅の東口のところは大阪市立大学がありまして、だから、東口をあけてあげればいいんだけれども、それもしない。だから、西口から踏切を渡って市大の学生さんも行き来する、こういうことでありまして、ここのところも非常に大きな問題だと思いますので、ぜひお考えいただきたい、こう思います。

 それから、新今宮駅というのは、環状線にあるので、今申し上げたあいりんのところに接続しているところですが、観光振興という意味からも、ここもぜひバリアフリーを進めていただかないと、ここもエスカレーターもエレベーターも何もありません。そういった意味では、大変乗降客が、南海電車とJRとが交差しているところでありますので、ここも非常にバリアフリー化が求められているところであります。

 以上、三点申し上げましたけれども、ぜひ推進方をよろしくお願い申し上げたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のバリアフリー化でございますけれども、バリアフリー新法に基づきまして、その基本方針におきまして、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の駅につきましては、平成二十二年までにすべてバリアフリー化するということを目標としております。十九年度の年度末の実績ですが、全国的には段差解消が六七%というのが現状でございます。

 先生御指摘の三つの駅でございますけれども、これはいずれも、もちろん基本方針の対象駅でございます。

 そして、JR西日本によりますと、まず新今宮の駅でございます。これは一日の利用者数が十三万五千人という非常に大きな駅でございますが、これにつきましては、平成二十一年度からエレベーターの設置工事に着手しまして、二十二年度に整備を完了する予定ということでございます。

 また、大正駅でございますけれども、これも一日四万六千人の方が利用されていますが、これにつきましては、平成二十二年度にエレベーターを設置するという予定でございます。

 そして、もう一つ、残る杉本町駅でございますが、これは一日当たり一万七千人の方が利用されていますけれども、実はこの駅につきましては、ホームの幅が四メーター五十センチと非常に狭くて、エレベーターを設置するスペースの確保が非常に難しい状況にありまして、現状におきましてバリアフリー化のめどが立っているわけではございませんけれども、国土交通省といたしましては、地方公共団体などの関係者の緊密な連携のもとに課題の解決に向けて取り組むように、さらにJR西日本を指導してまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、バリアフリー化は非常に大切なことでございますので、その基本方針の達成に向けて、引き続き取り組みを着実に進めてまいりたいと思う次第でございます。

 以上でございます。

田端分科員 終わります。ありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

 次に、片山さつき君。

片山分科員 おはようございます。

 きょうは私、予算、国土交通で質問させていただくのは初めてなんですけれども、非常に大きな目的意識を持ってやってまいりました。

 この問題が国会で取り上げられるのは初めてだと思いますが、私の地元に本社があります中堅の全国規模のハウスメーカーが、一月の二十九日に倒産いたしました。自己破産でございます。通常、これだけの規模、年間二千棟とかつくっている規模ですと、今までは事業承継をしたりスポンサーを見つけて何とかしてからそういう債権処理をすることが多かったわけですが、この経済状況もあり、また経営上の問題も多々あったんだと思いますが、自己破産でばったり倒産してしまいました。

 被害の件数は約二千百件と言われております。うち八百件は建築中で投げ出された物件、建築中でですよ。さらに、その千三百件の人は、お金だけ取られて実際の工事はまだほとんど何もできていない状態です。

 その影響は、実は、関東、関西、全国に及んでいるだけではなくて、富士ハウスで建てた、あるいは建てつつあろうという方ではなくて、これからの一生の夢、マイホームをお考えの方全員に、特に全国の若い御家庭に大変な不安感と不信感を与えてしまったわけですね。

 私たち、この景気の落ち込みのときに、政府として党として、住宅が最大の消費だ、住宅着工をこれ以上落としちゃいけないということで、住宅ローン減税を頑張って過去最大にしたわけですよ。それがこれで帳消しとまでは言いませんが、非常に、さいの河原の石積みのような形で、これを政治と政府で何とかしなければ、せっかくの景気対策も二十一年度予算も効果が減殺されてしまうという思いで質問をさせていただいております。

 まず最初にお伺いしますが、住宅メーカーの倒産、工事が途中の場合、現在どのようなセーフティーネット制度があるんでしょうか。完成工事の保証はありますが、義務づけもなく、非常に加入率が低い状況です。まず、お答えいただきたいと思います。

和泉政府参考人 お答えします。

 今委員御指摘のとおり、工事の途中で建設業者が倒産した場合に、他の業者に工事を継続してもらう、その際の追加費用などについて一定範囲で保証する、委員まさに御指摘のように任意の制度として住宅完成保証制度がございますが、これまた委員御指摘のとおり、普及は少ない状況でございます。

 その理由としまして、通常の住宅請負契約の場合につきましては、出来高と既支払い金とが大きく異なるような払い方は少ないというようなこととか、あるいは、この保証制度がまだ普及していないこともありまして、保証料が高いということもございまして、現時点ではなかなか普及していない。ただ、制度としては、任意の形で住宅完成保証制度がある、こういった状況でございます。

片山分科員 ちょっとここで一つ、私のところに毎日二千件ぐらいメールが来るんですよ、御紹介させていただきます。既にこれは管財人が決まって、説明会が行われているんですね。被害者の方です。

 「私たちの被害額は、管財人の言いなりだと千八百万円になります。以下、簡単ですが経緯を書きます。」

 私は妻と一歳の娘の三人暮らしです。去年十月に富士ハウスと契約し、以来何度も打ち合わせを重ね、ことし一月二十五日に地鎮祭が終わり、着工金の入金を済ませ、一月二十九日、あとは我が家が建つのを待つだけ、二月二日着工予定のときに、同じ二十九日に会社が自己破産。その入金の指定日がなぜ二十九日にされたのか、しかも、着工金を多く払えば料金をまけるというキャンペーンが非常に広範に行われていた。本来工事費の七〇%でよかったところを全額二千万円を振り込み、完全未着工状態で二千百万円が消えてしまいました。

 まず第一、相場に比べて、この会社は、手付百万、三分の一、三分の一、三分の一が普通の住宅着工の相場ですが、七割というのも非常に高いんです。それがさらに、十二月においては極端な前倒しキャンペーンをやっていたわけです。

 こういう状態が放置されたということも含めて、また、この会社は国の長期優良二百年住宅補助を受けているんですね。これについては二百万円割引で契約されています。それで、そういうことを表示した多くのコマーシャルですとか新聞広告が出ていたわけです。

 その状態で倒産しているということがございますが、その点で、補助金を出す上で財務の健全性が全く考慮に入れられていないという状況であると私は聞いたんですけれども、そういうことでいいのかなと。つまり、長期優良住宅というのはある程度割高にもなるわけでございまして、その分国が出すわけでございますし、そこにある程度国の方向として、政策として合ったものをつくっている、そこに協力するという意識が施主にもあるわけです。

 そういったことを総合的に判断して、補助金を出す上での今後の財務の健全性の審査等についての方針も含めて、ちょっとお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、私ども、破産管財人に聞くところによりますと、ぎりぎりになってそういった大きな金額を契約した、振り込ませた、そういった例があることは承知してございます。これは極めて遺憾なことだと思います。

 御質問の、いわゆる長期優良住宅の補助事業との関係でございますが、とりあえず建前だけ言わせていただきますと、この補助事業自体は、いわゆるモデル的な長期優良住宅を普及させるために、物に着目して、どういった技術的な特徴があるか、現にそういった長期優良住宅のモデルになるような事業か、こういったものに着目して、この富士ハウスの件について言いますと、去年の七月に採択して事業を進めてまいりました。

 当然、物に対する補助でございますので、最終的に完成したことを確認して国としては補助金を交付しますので、その限りにおいてはまだ国費については交付されていない、こういった状況がございます。

 いずれにしましても、そういった状況の中で、なるべくこの採択を受けた事業が破産管財人のもとで完成に至るように、私どもも管財人の方にお願いしてまいりたいと思っております。

 また、こういった事業に当たって、では、どこまでいわゆる企業の財務の健全性を見られるかということでございますが、当然、事業の目的がそういったことでございますので、事業者の財務自体を詳細に見ることまでは正直言って予定してございません。

 しかしながら、こういった事業者に関しましては、当然のことながら、事業が継続できることを前提に許可を受けている建設業の許可でございますとか宅建業の許可、こういったものについては着実に確認した上で、昨年の七月に交付決定をさせていただいた、こういった状況でございます。

葉梨主査代理 挙手をお願いします。

片山分科員 はい。

 確かに、私も法制等を手がける霞が関に長いこといた人間ですが、この倒産を聞いたときに、これは今の法制ではそのまま救いにくい、しかも非常に悲惨な状況が生じるなということが直観的にわかって、その後、被害者の方のお話を聞き、実はあした、地元の浜松の方でも弁護団の説明会があるんですが、私どもでやっております危機と戦うセーフティーネット議員連盟の方でも、これは住宅という、みんなが一度は考え、一生の夢である人生最大の買い物に対するセーフティーネットの未整備なのかなという意識が、私どもの議員連盟には元官僚それから弁護士が非常に多いものですから、何らかの対応を今後考えるべきではないかということで、この問題を取り上げようというふうに考えているわけです。

 破産財団に入って破産債権になると、例えばこの勧誘を、二千万円できるだけ払ってくださいということを一生懸命していた人たちへの賃金の方が優先になるんですね。今時点において経営者は出てきていないわけですよ。私財提供がどうなっているのか、その辺はもうきちっとやっていただかなければなりませんが、こういう状況が建築工事請負契約というある程度特殊な契約の状況において生じているんです。

 これは、宅建業法の場合、つまり、完成した住宅や完成したマンションを買う場合については、かつてこういう問題が生じたときに、余りにも多い前渡し金を取るというのは、それを持ってつぶれられたら困るわけだからという議論があって、例えば、余りにも多い前渡し金を取るんだったら、その部分は第三者保証をするべきであるというような手当てもなされているわけですが、建築工事請負契約については、現段階ではそれがないわけです。

 私、日本人というのは捨てたものじゃないなというふうに思うのは、この富士ハウスの案件については、被害に遭った方だけがメールやあるいは社会的な声を上げているわけじゃないんですよ。つまり、家を建てるということはだれでも考えることだと。きょうはテレビ局の方も来ていただいているんですが、残念ながら全国レベルの報道はまだ非常に少ないんですが、地元の報道を見て、これは今後こういった被害が、こうした泣き方をする人が減るようなことをするために何らかのことをすべきだ、一市民としても社会人としてもすべきだという声が非常に多いです。

 ただ、そのためには、問題意識をまず政府に強く持ってもらわなければどうしようもないということでお伺いしたいんですが、大臣、工事の進捗度合いを超えた前渡し金を取ることを、全面禁止するかどうかは別として、というのは、工事の場合は、ある程度資材を調達しないとできないわけですね。特に、町の建設や建築会社さんなんかできにくい。

 そのことはわかった上で、ある程度、第三者保証なり、あるいは今回のことを非常に重要な反省事項として、施主、住宅メーカー、住宅メーカーの連帯保証会社の三者契約をできるだけ要請するようなガイドラインとか、前渡し金についてのガイドラインとか、そういったことを行政指導で義務づける、あるいは業界団体で徹底する、さらには法的義務、法的なあるいは改正、義務づけを行うといったことについて何らかのアクションをとっていただきたいと思うんですが、その点についてぜひ御回答いただきたいと思います。

金子国務大臣 この事例、私も今初めて伺って、大変お気の毒な事例だなと認識をいたします。

 確かに、宅建取引業法では、今の手付金等の受領の場合の保証が、保全措置を講ずることが義務づけられていますけれども、建設業法ではこれが義務づけられていないという問題、御指摘のとおりだと思います。

 今おっしゃるように、建設業者が前渡金を受領する場合に第三者による保証への加入を義務づけるというお考えは、一つのお考えだと思います。

 ただ、一方で、このことが注文する側、建設業者双方に負担ともなってくるということも考えなければいけないということは、片山委員も当然おわかりいただいているわけでありまして、そういう状況で、現在の法制度あるいは住宅完成保証制度等について、建設業者に対してやはり同じような考え方で対応できるようなことを指導する、あるいは検討してもらう、周知徹底する、何らか少し、私の方もお預かりして考えてみたいと思っております。

葉梨主査代理 挙手をお願いします。指名を受けてから発言してください。

 片山さつき君。

片山分科員 ありがとうございます。

 この件に関する初めての国土交通大臣の御見解ということで、あした早速、説明会でも伝えたいと思います。

 本当に、説明会の現場では、机に顔を埋めて突っ伏してしまう二十代、三十代の若い御家族、これからどうしていいかわからない、そういうような年代の比較的安価な住宅の施主さんが多いんですね。それも大変な数に上っております。

 きょうの御回答を奇貨として、何らかの今後の未然防止措置についてはお考えをいただきたいし、私たちも党の方から積極的に声を上げたいと思いますが、現実に今の被害のことがございます。

 一つ、今回浮かび上がったのが、つなぎ融資というのがかなり広範に行われているんですよ。これは、住宅ローンはでき上がったところで、建築住宅の場合はそこから担保にして住宅ローンを借りていくんですが、その前に前払い金が当然払えないということになると、つなぎで融資を借りてしまうんですね。今回も、自己資金だけでは先ほどの例のように千何百万円というのが手当てできないような所得層の方がほとんどだったものですから、つなぎ融資がかなり多用されております。

 その全容も解明しなければいけないんですが、これに何らかのルールはなくてもいいのか。特に、前渡し金の比率が余りにも高い場合ですね。かつ、この富士ハウスについては、経営がおかしいのではないかという風評は夏ぐらいから出ていました。ただ、直前の帝国データバンクの見通しでは、当面、すぐだめだということにはなっていないんですよ。だから、そこが非常に微妙で、何を信じたらいいかわからないんですが、これは、素人である施主さんにそこまで求めるのは無理ですよ。

 ところが、では銀行は素人でしょうか。特にメーンバンクだった場合、この場合、長らくこの富士ハウスの経営を見てきたのはりそなと旧東海ですが、過大投資をさせていたのではないかということはもう広範に言われております。浜松の駅前にも巨大なビルがあり、通常のメーカーの規模に反して、展示場とか仮設、モデルが余りにも多いんですね。磐田の方にも巨大なものがございます。

 そういった投資は当然借り入れでやっているわけですが、それがわかっていながら何で直前に融資枠の拡大に応じちゃったのかなということを考えると、経営状態を非常によく知る銀行がその上で設定したつなぎ融資については、返済猶予とか長期化とか、ある程度のことをやっていかないと、特に悪質なケースがある場合については責任もあると思うんですが、きょうは金融庁にも来ていただいていますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この年度末を控えまして、金融の円滑につきまして、金融庁としても極めて強い問題意識を持っているということにつきましてはここで申し上げたいと思います。

 その上で、つなぎ融資の問題でございますけれども、一方で、このつなぎ融資というものがあることで住宅取得を円滑化するといったような積極的な役割もございますので、なかなか、これを一律なルールに服せしめるということにつきましては慎重である必要があると考えてはおりますが、他方、やはりこういった問題が一たん生じました以上は、金融機関としても、その債務者の方々と真摯に話し合いに応じまして、きちんとした解決を目指していくということについては、私どもとしましても、このケースに限らずでございますけれども、指導監督してまいりたいと考えております。

片山分科員 ありがとうございます。

 金融庁という銀行、信用金庫等を監督している当局から初めて今回、御指導という言葉もいただいたわけでございますが、やはりその辺の契約実態、ビジネス実態について、かなり、この経済危機の中で貧すれば鈍す状態になってきているという実態があると思います。ですから、もちろん経済行為で、資本主義でございますから、ルールはルールで、すべてを一律にすることはできませんが、その点について必要なセーフティーネットを完備しないと、恐らく住宅需要に対する非常にネガティブな要因になりますので、今後もぜひ御検討をいただきたいと思います。

 きょうは法務省の方にも来ていただいていると思いますが、きょうは来ていないですかね。

葉梨主査代理 いや、来ています。

片山分科員 これはもう破産の裁判になっていくわけでございますが、責任追及等も当然弁護団は考えておりますが、こういった全国規模のハウスメーカーの倒産の場合に、施主それから中小、個人、零細の取引先が非常に多いんですよ。つまり、全部ハウスメーカーの事業が下請におりますからね。この辺が全部泣くことになると、これは中小零細対策としても非常に悪いので、少額弁済制度のバーを単純に引き上げただけではだめなのかもしれませんが、こういった場合について何らかの特例を考えることはできないのかということについて御質問したいと思います。

團藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の少額弁済制度でございますが、これは、倒産法制上は、民事再生手続それから会社更生手続においてそのような制度が設けられております。具体的な条文として申し上げれば、民事再生法第八十五条第五項、それから会社更生法第四十七条第五項がそれに該当いたします。

 この民事再生手続あるいは会社更生手続におきましては、原則をまず申し上げれば、再生計画あるいは更生計画の定めるところによりませんと再生債権あるいは更生債権等について弁済することはできないということになってございます。

 ただ、少額の再生債権や更生債権等を早期に弁済することによりまして、再生手続あるいは更生手続の円滑な進行が期待される場合がございます。また、少額の再生債権や更生債権等を早期に弁済いたしませんと、再生債務者や更生会社の事業の継続に著しい支障を来す場合も多うございます。このような場合に、再生計画または更生計画の認可の決定の前でありましても、裁判所がその弁済をすることを許可することができるとされておりますのが、御指摘の少額弁済制度ということになろうかと考えております。

 この少額弁済制度のバーを引き上げるという御質問でございましたが、この少額の債権というものが、具体的にその上限金額がどうなっているかということにつきましては、今申し上げました民事再生法あるいは会社更生法上、一定の金額が上限金額として定められているわけではございません。個々の事案に応じた、裁判所の個別具体的な御判断にゆだねられております。実際上も、裁判所におかれまして、個々の具体的な事案において諸事情を総合的に考慮され、弁済を許可しておられるものと承知いたしておるところでございます。

片山分科員 ありがとうございます。

 今回の場合は破産でありまして、財団の実態解明がまだできておりませんが、今後、大変残念ながら、この経済状況ではこういったことが再発する可能性がございますので、ぜひ私、地元では、守るべきはかんぽの宿ではなく富士ハウスの被害者キャンペーンをやっておりますので、今後もこういった問題を国会でもお話しさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、一般国道直轄道路事業につきましてお伺いしたいと思います。

 民主党の馬淵議員が予算委員会で質問をされた、こういった資料をお配りになっているわけです。道路の中期計画、整備計画、それから新しい需要推計と評価に関してということで、私どもも政府・与党で、最新のデータに基づく交通需要の推計結果をもとにということにはしているわけでございますが、先日、こういった資料を民主党の議員が予算委員会の場で配られて、これが各地元では非常にショッキングな話題になっているわけです。

 私の地元でも、一般国道一五二、三六二、三遠南信というのが明記されておりまして、ちょうど時を同じくして、道路の推進の議員連盟を国も県も市も全部一体となって立ち上げまして、その中には当然野党系の議員もいらっしゃるものですから、こうですよということを御説明したところ、絶句しておられましたが、まず、この道路事業のBバイCの今のルールと、現状での国道の直轄道路の事業の再点検がどうなっているのか。つまり、再点検の結果が出る前に御自身で分析をされて、その結果を発表された野党議員がいるわけですが、そういったことも踏まえて、ちょっとお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 先生御指摘のとおり、BバイCの議論は、非常にいろいろな議論がございます。自治体からも、道路の多面的な効果をちゃんと評価してBバイCを計算すべきだという御提案を多々いただいておるところでございますが、現状では、貨幣換算化が可能である、少なくとも確実に評価できるということで、三便益と言っておりますが、走行時間短縮の便益、走行経費の減少便益、それから交通事故の減少便益、これらの三つの便益を中心としてBバイCを算出して評価をするというようなことが主流でございます。今後、自治体等の提案その他を踏まえて、また改良していく必要があると思っております。

 御指摘の一般国道の再点検の状況でございますが、先生御指摘のとおり、平成十七年の新しいセンサスに基づいた交通量、それから新しい事業評価手法に基づいて、一月中旬から整備局で具体的な費用便益の算定に入っております。この算定につきましては、年度内に確実に終わらせまして、もし問題があれば再評価等の手続も行う、このようなスケジュールで考えております。

片山分科員 道路というのは、途中でちょん切れてしまったらほとんど意味はないわけですね。高齢化が進展すれば、交通量のみで判断しますと、過疎地の道路のBバイCというのは自動的に下がるわけでございます。

 これらの道路は、私の地元に限らず、地域が長年要望してきたものばかりで、上から押しつけているものはありません。命の道であったり、あるいは、これがあって工場誘致や観光ルート増強ができるということであって、今後そういう部分をぜひ考えに入れていかないと、事実上、こういった二千九百キロのものも含めて整備はできにくくなるということと、今四半期でマイナス一二・七%という異常な国内総需要の落ち込みで、即効性があるものは公共事業しかないわけでございますが、それをやるべきで、箱物をつくってもしようがないんで、高速道路、しかも地域が望んでいる、しかも既存で途中までできているということになると、むしろ前倒しをすべき政策判断をすべきではないかと思うんですが、これは済みません、大臣か副大臣か、どちらかわかりませんが、お願いいたします。

西銘大臣政務官 道路事業の評価手法については、先生御指摘のように、現在、三つの便益の費用便益分析では、道路整備の効果をすべてとらえているわけではないという指摘は、第三者の有識者委員会からも指摘をされているところであります。また、地方からは安全と安心の確保等に、地域にもたらされるさまざまな効果についても御提案をいただいております。

 この三つの便益以外の多様な効果に係る評価手法としましては、すべて貨幣換算化してBバイCで評価する方法と、貨幣換算化ができるものとまた貨幣換算化が難しいものを総合的に評価する方法、二つが考えられておりますが、この第三者の有識者の委員会では、便益の計算の精度あるいは二重計上になる等々のおそれの課題も指摘をされているところであります。

 このため、今後、地方や有識者等から御意見をいただきながら、さまざまな事業で試行を重ねるなど、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

 もう一点、前倒しについてでありますが、全く私も先生と同意見であります。このような大変厳しい状況の中で、高速道路が地域経済に与える効果は最も大きく、また地元の期待も大変大きいところから、国土交通省といたしましては、重点化や効率化は当然であります。

 先生の地元も含めて、一日も早い供用を目指して頑張ってまいりたいと思います。

片山分科員 大変ありがとうございます。地元も安心すると思います。

 あと、残り二点だけ伺いたいんですが、去年の夏にガソリン、軽油が高騰したときに、高騰対策議連というのをつくりまして、提言等をし、結局、トラック運送業についても構造改善事業実証実験の、いわゆる百万円の補助金というのが初めて入った。トラック運送もある程度、命の確保なもので、農業に税金を入れるのであれば、水産業に税金を入れるのであればということで主張してまいりまして、初めて入って、それはもう非常に感謝を申し上げている話でございますが、最近は、燃料は、軽油はまだまだ高いですが、下がってはきているんですが、工場の景気低迷で運ぶ物がなくなっているんですね。逆の意味で非常に厳しい景気になっております。

 その構造改善事業実証実験も、初めは五両から始まって、二十両以下、今度は三十両以下というところまで補助対象が広がってきたんですが、さらに、台数に必ずしもとらわれず、もう少し補助対象をふやさないとまずい状況になっているんじゃないのかなというのと、それから中小企業の緊急雇用安定助成金というのがあるんですが、運送事業者もこの助成金を申請することが当然今ふえているわけですが、これが、中小のトラック事業というのは時間のとらえ方が非常に難しい。どうしたって深夜に残業も来てしまうということも含めて、書類整備が大変煩雑なため、引いてしまう事業者が多いんですね。その点で、ぜひ緊急雇用安定助成金の申請書類の簡素化をお願いしたい。

 以上二点、ちょっとお伺いしたいと思います。

本田政府参考人 お答えいたします。

 トラック関係についての支援につきましては、第一次補正、第二次補正で国費百八十五億円の中小トラック事業者構造改善実証実験事業を創設させていただきました。先生を初め、大変御支援を賜りましたことに改めて御礼を申し上げたいと思います。

 今御指摘のとおり、この補正予算の対象となります事業者に対しては、一次補正につきましては二十両以下の事業者に限定をさせていただき、二次補正に際しましてはそれを拡大して、三十両以下の事業者さんに拡大をさせていただいております。

 ちなみに、その対象事業者の数でありますけれども、二十両以下で全国で四万八千七百十四社、それから三十両に拡大させていただいた結果、五万四千七百九十五社が対象になっております。したがって、二次補正につきましてはまだ執行ができない状況ではございますけれども、まずは、当初予定させていただいております事業者さんに対しての執行をすることが先決であろうというふうに考えております。

 先生御指摘の、トラック事業に対しての、今の大変厳しい状況にどう立ち向かっていくかという点については、引き続き検討課題とさせていただきたいと存じます。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業緊急雇用安定助成金についてのお尋ねでございます。

 この助成金は昨年十二月に創設をしたところでございますが、経済情勢、雇用情勢が急激に悪化する中で、労働局、ハローワークへの相談件数あるいは休業等実施計画届の提出件数が急増しているところでございます。

 こうした中で、本助成金につきましては、さらなる支給要件の緩和等々を行ってまいりまして、利用をしやすくするとともに、申請に当たりましての事業主の事務負担を軽減するために、本年二月より申請書の項目を三分の二程度に削減するなど、見直しを行ってまいっているところでございます。

 今後とも、事業主の事務負担をさらに軽減する観点から、いろいろな御要望、ニーズ等も踏まえながら、申請手続のより一層の簡素化を図るべく検討してまいりたいと考えております。

片山分科員 ありがとうございます。済みません、最後に一問だけ。

 この状況になりまして、やはり自動車の方も整備の方も非常に苦しい状態になっております。今現在、道路運送車両法上の定期的な点検整備というのは義務づけられてはおりますが、罰則がない。こういう状況で、点検実施率がまだ四三%と未実施車が多い中で、最近大きな事故で、結構点検の不備によるものがふえてきております。しかも経済状況が悪いということになると、ますますそれが加速しておりまして、車検の際には、ユーザーによる点検整備がなされているかどうかを国が確認するなど、自己責任を履行しないユーザーに対する点検整備の確実な実施を担保する措置をぜひお考えいただきたい。

 特に、年式の古い車につきましては、点検項目を付加して強化するなどの安全確保対策を強化していただきたいと思いますが、御回答をお願いします。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、自動車につきましては、ユーザー自身が定期点検その他の日々の点検整備を実施することが極めて重要でございます。このために、罰則というものは残念ながら今設けられてはおりませんけれども、私ども、車検の際に持ち込まれました車両の定期点検整備記録簿というのがございますけれども、その確認を常にさせていただいております。

 その結果、車検には合格したとしても、定期点検整備がなされていないことが判明しておりますユーザーに対しましては、点検整備を励行するよう、はがきを送付させていただいて、注意喚起をさせていただいております。

 また、当然ながら、車検が通らなかった、保安基準に該当しないという場合におきましては、道路運送車両法に基づく点検等の勧告といった形で、点検整備が行われますように、車検の際にも配慮をさせていただいているところでございます。そのほか、あらゆる機会を通じて、ユーザーによる自動車点検整備が励行されますよう、努力をしてまいりたいと思っております。

 その際に、今先生から御指摘のありました年式の古い車の問題でございますけれども、これは年式の古い、新しいにかかわらず、やはり点検すべき項目というのは、自動車の場合、おのずから必要なものがございます。したがって、それについては常に点検をしていただくような項目として今指定をさせていただいておりますが、確かに昨今、バスの火災事故でありますとか、大型車のホイールボルトの破損といったような新しい事故が発生しておりますので、これに伴って、点検項目についても見直しをさせていただいておるところでございます。

片山分科員 ありがとうございます。

 この経済状況で、きょうはハウスメーカーの販売も、トラックにつきましても、あるいは今の自動車整備につきましても、やはり貧すれば鈍す状況が国民の安全を守れない状況になっておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて片山さつき君の質疑は終了いたしました。

 次に、武藤容治君。

武藤分科員 金子大臣、おはようございます。大変誉れ高い、今、岐阜県で大臣がお二人も出ているということで、大変御期待しておりますので、ぜひよろしく。きょうの分科会、お時間を賜りましたので、岐阜県を中心にお願いをさせていただきたいと思っております。

 今、片山先生からもお話ありましたが、このいわゆる経済危機ということで、私の地元、七市四町ありますけれども、自動車中心の各務原市から始まりまして、航空産業もありますけれども、そういう中で、やはりこの経済の影響というものが非常に県民あるいは市民の心の中に異様な不安感というものを醸し出しているのも事実でございまして、我々として、皆さんから選んでいただいた負託をいかに果たすかという責任が今非常に求められているときではないかというふうに思っております。

 岐阜県は、金子先生のお力、また藤井先生、たくさんキャリアをお持ちの方がいらっしゃいますので、東海環状自動車道を初め、ここ数年、全国の中でも道路整備が非常に活発に進められてきたものというふうに思っております。東海環状自動車道については、全国でも有名になるぐらい、いわゆる今まで売れなかった企業立地というものがトヨタさんの東回りルートが開通したということで即売になったという形。そしてまた、東海北陸道も去年の七月に全線開通しまして、北と南がほぼ抜けた。

 いわゆる観光資源として、インフラ整備という意味でも大変効果が出たということで、そういう意味ではここ数年ずっと順調に来ていたと思いますけれども、残念ですけれども、ここに来て、私の選挙区であります関市の企業立地も、土地は買ったけれども凍結したとかいう形で、今、非常にそういう意味でも不安があるところです。

 私も、今、片山先生がおっしゃったように、高規格道路ですけれども、やはり高速道路というのは基本的にネットワークが実現しないとその効能を発揮しないというふうに思っております。西回り、これも工事が大垣の方から始まっておりますけれども、聞くところによると、多分、金子大臣のところにも御陳情が来ていると思いますが、岐阜県の財政事情、これは本当に、二十三年ぐらいには基金がもう枯渇してしまうんじゃないかという予測も立っている状況の中で、景気がまた悪くなったということで法人税等が減ってくるわけでございまして、道路をつくりたくても、その負担の問題でなかなか進まない。

 私も、きょう持ってきまして、高規格道路だけじゃなくて、こんなようなものもございました。七市四町、それぞれ陳情をいただいていますけれども、七割から八割がいわゆる道路整備。やはり半分の負担というものが非常に乗っかかってきておりますものですから、いわゆる箇所づけの問題も、優先順位の問題もいろいろと、飛騨ばかりがきれいになってもいけないと思いますので、ぜひ我々の選挙区の方にも配分の方、よろしくお願いしたいと思います。

 この裏負担の問題を解決していくには一体どうしたらいいのかということは、過去、随分いろいろな議論もされていると思います。今回、特に道路特定財源の一般財源化も含めて、そういう形で今後どうしていくのかということを非常に速やかに解決をして、我々としてはやはり現場へその意思というものを示さなきゃいけないというふうに思いますものですから、ぜひこの辺の、まず何とか県負担の控除。岐阜県から言われているのは、いわゆる補修、維持管理費を何とか免除してくれという話も出ていますけれども、このような対策について、まず冒頭お伺いしたいというふうに思います。

金井政府参考人 東海環状、特に東回りについて、先生御指摘のとおり、企業立地であるとかアウトレットモールの立地であるとか観光であるとか、非常に大きな効果が報告をされております。引き続きまして、西側を計画的に整備する必要があると考えております。

 その場合、こういった大規模事業が進捗いたしますと、県の負担が急速にふえまして、地方負担の平準化という意味で非常に大きな課題があるというようなことを、岐阜県の方からも御指摘をいただいております。

 こういったことから、国土交通省としましても、平成二十年度以降五年間でございますが、地方公共団体の負担するいわゆる地方負担に対して、無利子の貸し付けを行えるという制度を創設いたしまして、岐阜県においても有効に御活用をいただいております。

 さらに、御指摘のとおり、全体のコスト縮減であるとか、それから事前の計画調整、年度をまたがったどういった事業をどうやって重点的にやっていくかということを事前に十分調整をさせていただくということも必要なことであるというふうに考えております。

武藤分科員 五年無利子貸し付けの話は伺っておりますけれども、ある意味で、やはり借りるということになると必ず返さなきゃいけないということになるので、何かやはり補助費の割合を根本的に見直すとか、そういう形にはできないのかどうか。これは今お答えは多分できないと思いますけれども、やはり何かそういう考え方で抜本的な見直しというものも、この景気の中で対策を打つということではぜひお考えをいただきたいと思います。

 何かございますれば、お答え願います。

金子国務大臣 全国知事会の麻生知事がおいでになられまして、こういう直轄負担金についてのあり方を、見直しというよりも検討したい、検討する場を国交省と持ちたいというお話をいただきました。

 知事あるいは市町村の中にも、約束をして負担をする、地元が便益を得るわけですからやはりそれなりに負担をすべきだという意見はあるんです。広島市長も、電話がありまして、きちんと負担したい、負担するという約束でやってきていると。福島県の相馬市長も、負担をしないなんというモラルハザードが許されるのかと。自治体によっても、やはり随分考え方に違いがある。

 ただ、岐阜県の方の東海環状もそうでありますけれども、一気に工事が集中するという山ができるようなとき、それから、今のような経済状況の中で県の財政事情が急速に悪くなるとき、これは払いたくても払えない状況というのもある。

 ですから、今、国交省と地方整備局と地方自治体、あるいは県と、こういう直轄工事を毎年毎年こういうペースでやっていきましょうと任意でやっているんですけれども、これをもう少し法定化しようかと。知事がかわったら、こんな負担金払えない、市長がかわったら、冗談じゃない、そうならないようなことも、やはりやっておく必要がある。

 一方で、今度の道路財源の新交付金について、地方臨交金にもありましたけれども、財政力の低いところ、悪いところはやはり直轄負担金の負担率も少ないというような状況もありました。こういうものとか、あるいは、先ほど道路局長からお話ありましたけれども、この無利子貸付金を例えば三十年にしちゃおうというような、こういうことも考えていきながら、どうあるべきかと。

 かつ、道路、河川、ダム、新幹線、直轄負担金というのがそれぞれ全部対応が違ってくるんです。ですから、なかなか全部一律でやるわけにいかないので、今委員御指摘のとおり、岐阜県は本当に苦労されている。そういう中で、武藤先生は本当にお地元に、頑張りに頑張って先頭に立って道路の整備を今推進していただいている中で、もっと、少しでも地元の負担を下げて、早くやりたいという御熱意を持って取り組んでいただいておる。私も日ごろ大変高く評価させていただいておりますけれども、安くするということだけでなくて、いろいろな工夫をしながら、一刻も早く整備されるように工夫をしてまいりたいと思っております。

武藤分科員 大臣には本当に前向きな御答弁をありがとうございます。

 やはり我々、政治としては、その地域地域にもちろん差もありますし、こういう危機、機会でございますので、そういうことの御検討を十分していただいて、弾力的な運用ができるように、必要なものは早急に早く整備していくという形でぜひよろしくお願い申し上げます。

 そして、全体的な公共工事、私も前、実は家業で生コン関係、セメント販売もやっておりますので、正直に申し上げて、中小企業の零細ですからこの危機がどうのこうのより以前から、もうバブルがはじけてからずっと、極めて厳しい状態が続いている中でやってきておりますけれども、いずれにしても、公共工事がどんどん減らされて、そして、民間がちょっと元気になったかと思うと、今回のように、企業立地をせっかくやっていただいても実行できないような形になってまいりました。

 今の業界の中というのは極めて、本当に危ない、もうそれに尽きる状況にあると思います。結果的にも、倒産件数も軒並みふえておりますし、ここに来て、本当に業界対策というのも必要であろうと思います。いろいろと談合で過去随分たたかれましたが、そういう中で、本来まじめにやっているところまで救えなかったという現実というのは、やはり我々としてはしっかり見詰め直さなきゃいけないというふうに思っております。

 そういう形で、公共工事はずっと減らされてまいりましたけれども、今回、第一次補正から始まって、第二次、そして今度の二十一年度の本予算を今審議しているわけですけれども、そういう形の中で最近の傾向が変わるのかどうかをちょっと数字で教えていただければと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のように今般の景気対策は、第一次の補正予算、それから第二次補正予算、そして二十一年度当初予算、いわゆる景気対策三段ロケットということで政府全体が進んでいるわけでございます。

 そういった中で、公共事業関係予算につきましては、今お話がありましたように、二十一年度当初予算につきましては、地方道路整備臨時交付金の影響額を除いた実質ベースでは残念ながら八年連続のマイナスということなわけでございますけれども、第一次補正で四千六百二十七億円の追加、それから第二次補正予算で三千百四十一億円の追加ということでございますので、これらを合計いたしますと、昨年度の公共事業関係予算を上回る額が一応確保されているというふうに考えております。

 さらに、これも御案内のように、二十一年度当初予算におきましては、経済情勢に機動的かつ弾力的に対応するということで経済緊急対応予備費、これが一兆円措置されておりますので、これの相当部分もぜひ公共事業の方に回していただければというふうに期待をしているところでございます。

 また、これらに加えまして今般の景気対策では、地域活性化・生活対策臨時交付金、これは六千億措置されておりますし、それから、地域雇用創出のための事業ということで地方交付税の中でも別枠で措置されているものがございます。これらも相当部分が建設事業費に回るものというふうに考えております。

 いずれにしても、いろいろ工夫して公共事業関係予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

武藤分科員 そういう意味で、前年度を上回るものが確保され、そして二十一年度、いろいろな形で対策が打てるということで今、仕組みができつつあると思っております。

 私は、先ほど申し上げましたように、少なくとも、公共工事がずっと漸減状態で、なおかつ民間がここで投資が急に渋っている形の中で考えれば、我々として、二十一年度も含めて公共工事、これを正面から、しっかりとした議論を国民に知らせながら、やはりやるべきものはつくっていかなきゃいけない。

 逆に言うと、公共工事も大変時間がかかる工事が多いわけですけれども、工期を短縮したことによるコスト削減というのも考えられるわけですから、要は、地元に対する説明、配慮、そして地元の熱意というものをやはり数字で地元へ還元するということがしっかりと求められているのではないかと思います。二十一年度、さまざまな対策がありますけれども、もちろん緊急経済の予備費というのは、そういう意味で私も、雇用という問題、あるいは福祉という問題も、これは今大変大事な観点が必要だと思いますので、よくそのルールづくりを、今後、わかりやすく国民に知らしめながら、やはり御理解をいただきながら進めていかなきゃいけないと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 その観点でいいまして、地元のちょっと細かい話でいいますと、橋が、これは私の父の時代からずっと話がございまして、岐阜県には木曽川あるいは長良川、また揖斐川という三大河川がありますけれども、私の選挙区ではその木曽川と長良川というのが、これは大きな交通の渋滞のメッカになっております。

 そういう形の中で、新愛岐大橋、新濃尾大橋というのは県事業でやっておりますけれども、各務原市の新川島橋というのは、六百六十メーターの大きな橋ですけれども、これは市の単独事業ということで今回初めてやります、これは合併債も含んでおりますけれども。こういうものに対して、地域活力基盤創造交付金というものが使えるような形になるのかどうか。

 少なくとも、各務原市の新川島橋は、いわゆる今までまち交関係でつくっておりましたので、ぜひそういう形の中で計画がうまく推進できるように。これも一番問題のある橋なものですから、一刻も早く整備していきたいと思っておりますけれども、新しい制度、交付金の使い方についてちょっと御教示をいただければと思います。

金井政府参考人 従来から、新愛岐大橋、新濃尾大橋、新川島橋、いろいろ整備の御要望をいただいておりまして、なかなか十分に進捗が図られていなくて、大変恐縮でございます。

 今度新しくできました地域活力基盤創造交付金につきましては、道路を中心に、関連する他のインフラにも使えるということでございますが、特に、今までの地方道路整備臨時交付金と同じく、例えば、橋がメーン事業といたしますと、それに対するアクセス道路であるとか、今回であれば、それに関連する社会資本も含めて一体としてスピーディーに整備をするというような制度設計を心がけたいと思いますので、そういった面で、地域の必要な社会資本を一体として早期に整備するという趣旨で制度設計に取り組ませていただければと思っております。(金子国務大臣「やるということなんだな」と呼ぶ)

武藤分科員 もう少し具体的に。やりますよと言えばそれで済むんですが、もうちょっと細かく、スケジュールも含めて教えていただけますか。

葉梨主査代理 金井道路局長、大臣の意を体してしっかりと答えてください。

金井政府参考人 今、大臣から御指示もありましたとおり、こういった新愛岐大橋、新濃尾大橋、新川島橋、地域の御要望があれば、すぐに対応できるように準備をいたしたいと思っております。

 新愛岐大橋については、現在、進捗率二八%ということでございまして、引き続き用地買収を進めて、改良工事をすぐ進めたいと考えております。

 新濃尾大橋も、現在の進捗状況は大体二〇%強ということでございますが、これについても、工事に入っておりますので、至急、事業の内容を進めたいというふうに考えております。

 それから新川島橋、これは今まだ一〇%強の進捗率と承っておりますけれども、これは地元の方でも道路改良に着手をされたというふうに聞いておりますので、早く進捗できるように、私どもとしても目いっぱい御支援を申し上げたいというふうに考えております。

 以上でございます。

武藤分科員 ありがとうございます。

 先ほど私、まち交と言いましたけれども、臨交の間違いでしたので、ちょっと訂正しておきます。

 本当に前向きな大臣のお口添えもあって、ありがとうございます。大変楽しみにしておりまして、本当に地域の再生という意味でこれは大事な橋でございまして、さっきのネットワークの話ではありませんが、ぜひ皆さんの温かい御指導を重ねてお願い申し上げます。

 新愛岐も新濃尾も愛知県側と岐阜県との問題ですので、そういうこともいろいろ、それぞれの県の立場というものがありますので、問題があろうかと思いますけれども、ここはぜひ地域、面ということで、国交省さんの力強い御指導をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それと、今の景気対策の一環で、安心、安全社会の形成ということになると、やはり高齢者の対策が極めて大事だろうというふうに思います。福祉でもいろいろな観点で今考えておりますけれども、この一環で、きょうはこの分科会でいうと、私の地元でも、都市再生さん、URさんのいわゆる団地、賃貸住宅があるわけですけれども、極めて老朽化しているところがありまして、なおかつエレベーターもない。そして、そういう安いところには最近外国人の方も随分住まわれておりますけれども、高齢者の方がエレベーターのないところを上まで行く、そういうような大変な不便を感じておられるということで、前にもURさんには一度、できるだけエレベーターを早くつけていただきたいというお願いもしておりました。

 こういう環境の中でなかなか財政事情が厳しい、これはどこもお決まりの文句なんですが、その中で、やはり相当長いスパンで計画を考えておられましたので、これもできるだけ地元要望ということでもっと地域から吸い上げなきゃいけないと思いますけれども、この辺についての対策。今回、特に高齢者の居住の安定確保に関する法律もできてきて、閣議決定しているようですけれども、これとの絡みなんかで、もしURさん来ていらっしゃれば、ちょっと御説明をいただければと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げます。

 先生今お話がありましたように、私どもも、公的機関として景気対策の面でもできるだけ使命を果たしていきたい、こういうふうに基本的には思っております。

 今御指摘のUR賃貸住宅ストックでありますけれども、お話がありましたように、この間、設備とか間取りの改善とかやってきたつもりではありますが、現在の高齢化のスピードだとかそういうことを考えてみますと、なかなか対応し切れていないというのが現実だと思います。高齢者の方々は、今私どもの住宅に六十五歳以上の方が全国平均で三五%いらっしゃいます。低所得の方も、第一分位の方が五〇%以上ということですので、なかなか厳しい状況になっている。

 私どもは、一昨年になりますが、十二月に全体のストック再生・再編計画というのをつくりました。これはいろいろな内容を含んでおりますけれども、基本的には、具体的な取り組みで、高齢者の安心居住あるいは子育て支援、あるいは地域としての医療とか福祉とかの拠点化をする、そういうことを大きな目標として計画を立てて、今その実施を進めているところでございます。

 それで、今幾つか御指摘がございましたが、まず建てかえにつきましては、三十年代のものから順次やってまいりました。全体で、当時十六万戸ございましたが、今九万戸は建てかえが完了している、こういう状態でございます。なかなか難しいことでありまして、住民の方々といろいろお話し合いをして進めているわけでありますが、それについても、加速したらどうか、こういう御指摘もございます。これまでも、住民の皆さんとのお話し合いの期間は、二年間だったものを一年半に短縮するとか、そういうようなことで取り組みを進めてまいりました。今後とも、きちっと御説明をして、御理解を一刻も早くいただいて整備を進めるということをしていきたいと思います。

 それからもう一点、エレベーターについての御指摘がありました。これが実は一番悩ましいところでございまして、エレベーターがついていないいわゆる中層階段室型の住宅というのは、私どもの住宅の半分近くを占めております。階段室ですから、そこのところにエレベーターをつけると、例えば五階建てですと十戸に対して一基つけないといけないわけですね。そういうことで、大変コストがかかります。私ども、コストがかかるからやらないというような姿勢ではなくて、今どういうことをやって突破しようと考えているかということですが、ちょっと長くなりますけれども、ルネッサンス計画というのを今ここにちょっとお持ちしました。

 これは、建てかえをしている団地で壊すことが予定されている住棟がありますね、その住棟を使って実際に実証実験をやって、どうしたら早く、安くエレベーターをつけられるか。これまでのものは、踊り場着床と言って階段室の中間につくるわけですが、非常に評判がよくないんですね。やはり玄関の出入り口のところにすりつくというようなものでないと受け入れられませんので、そういうエレベーターをできるだけ早く整備できるようにしていこう。この点については、民間の建設業者の方々からの技術提案とかそういうものをいただきながら今やっております。二十年度ぐらいには、来年度にかかるかもしれませんけれども、成果がまとまりますので、その成果を活用して進めていきたいと思っております。

 長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

武藤分科員 どうもありがとうございます。

 本当に前向きな御検討をしていただきながら、またおわかりになられましたらその都度教えていただければありがたいと思います。

 残り五分になりましたので、ちょっと生々しい話になってくると思いますが、基本的に、今の公共工事は、そういう意味では今大事なときですから、ぜひ前向きな方向でやっておかなければいけないのですが、さあ、工事は発注した、ところが落札した業者が大変厳しい局面にあるということで、入札制度の問題です。

 金子大臣は、大臣になられる前、入札制度の党内の座長か会長さんでいらっしゃいまして、大変この分野については御見識が高いというふうに存じ上げておりますけれども、私も、さっきの話じゃありませんけれども生コン関係をやっておりましたので、よくその辺のゼネコンの低入札等についての現状は見てまいりました。

 もとはといえば、業界の中の談合の事件に端を発しておりますので、そういうモラルハザードの問題からして、適正化する形の業界のものというのは極めて大事だというふうに思いますけれども、残念ながら、やはり数が多いという現実はどうしてもこれは過当競争を生むことになります。過当競争を生めば、特に一般競争入札がふえましたものですから、その分、全国から全く岐阜県には関係ない、仕事のないところが潜り込んできて、そこで落ちてしまう。地元には何も還元はしない。

 なおかつ、材料も極めて安いという形の中で、まあここまで言うとあれでしょうけれども、大体、他県から来る業者さんでお使いになる例えば生コンクリートというのは、組合の岐阜県の中のルールから外れた、どちらかというとアウトサイダーの生コン屋さんを使うという傾向が多いです。これはやはり値段の問題がありますから。

 そういう形の中で、なかなか本来地元にもうかるという形が、やはり正直者がばかを見るという形が比較的多いというのが現実でございまして、こういうものについて、本来、低入札について、今回総合評価とかいろいろな形で改革はされましたけれども、これが本当に実益が伴って県内に落ちているのかという点でいうと、なかなかまだまだ厳しいですし、特に県あるいは市町村の発注、今、県が新しい総合評価方式のやり方をしておりますけれども、市町村に至ってはなかなか一般競争が多く、中身がない状態です。

 ざっと今申し上げましたけれども、時間がないので端的に申し上げますと、そういう形の入札制度というのから、本当に適正化の利潤を持ったゼネコン、そしてそのゼネコンから二次、三次下請、あるいは材料屋さんという形の中での入札制度の実現というものを、まだ試行錯誤がこれからもあるでしょうけれども、ぜひ実現するように、ひとつお力添えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。

金子国務大臣 委員非常にお詳しいので釈迦に説法になりますけれども、予定価格の八五%を切った入札、落札になりますと、どうしても、下請会社の赤字に押しつけるか、あるいは手抜きをするかという相関関係が非常に明確になってくる。そういう中で適正な価格発注、国としては、できるだけ総合評価をしてもらう、価格だけでない。これを地方自治体にも広げてほしいということで、この関係は埼玉県の上田知事が知事会の座長をやっておりますので、彼にも働きかけて、地方自治体も総合評価、価格だけでないということをやらせていただきました。ただ、まだまだ十分ではない。少しずつ進んできているんですけれども、必ずしも十分であると思っておりません。

 特に、私が大事だと思っていますのは、結果として中小企業労務費の引き下げ、単価引き下げにつながっている、格差を結果として呼ぶことになっている。このためには、やはり安ければいいだけでない、材料費あるいは人件費への配分、適正競争入札というものを目指していけるようにしていきたい。また、来年度に向けて、最低発注価格基準というのも見直してもいいんではないかということも含めて、検討させていただいております。

武藤分科員 ありがとうございます。

 時間が来ましたが、今の最低基準の見直し等も含めて、今言った、いわゆる発注システムといいますか、材料あるいは一次、二次下請まで含んだ形でぜひ業界のそれぞれが活性化できるように。中小企業というのは、そういう意味では大変厳しい状態の中で、緊急保証制度も今しいていただいて、三割以上が建設関係ですけれども、やはりなかなか借りられないところが実際ある。したがって、現実的には倒産がふえるという形になってくると思います。

 そういう形の中で、二十一年度の本予算を含めて、本当にさまざまに、正直者がばかを見ないように。まじめにやっていれば必ずそこにはある程度の利潤が出る、そういう社会というのもやはり必要だというふうに私は思っておりますので、総体的な形での取り組み、そして先ほど来から申し上げている弾力的な取り組み、これをぜひやりながら、そして国民に説明責任を果たすという形で、ぜひ元気な日本再生に向けて頑張っていただければと思います。一生懸命私どもも応援させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 きょうはありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて武藤容治君の質疑は終了いたしました。

    〔葉梨主査代理退席、主査着席〕

小島主査 次に、中野清君。

中野(清)分科員 自民党の中野清でございます。

 私は、長年の間、国会で与野党が結束して首都直下地震対策を研究推進する危機管理議連の事務局長といたしまして努力をしてまいりました。今年一月の十七日には阪神・淡路大震災の十五周年を迎え、大規模な災害対策に対する重要性を改めて痛感するものでございます。

 特に、阪神・淡路大震災の時点で防災体制の不備というものが、関係者の努力によりまして、今日、漸次改善をしている。そのことについては皆さんに感謝をしているわけでございますが、今仮にマグニチュード七・三とか八とかという首都直下地震が襲ってきたと考えますときに、中央防災会議では、死者が最大で一万一千人、負傷者が最大で約二十一万人、建物全壊や焼失が最大で約八十五万棟、そしてまた避難者が最大で約七百万人、帰宅困難者が最大で約六百五十万人と予測されている膨大な被害に、現在のいわゆる整備状況、また防災体制で十分とは言えないと憂えている者の一人でございます。

 特に、本日は金子国土交通大臣を中心とした分科会でございますから、マクロ的な面もありますけれども、なるべく現場に即した質問もさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思いますし、もし時間があれば、私の課題でございますところの空港問題についても触れたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず第一といたしまして、地震によるところの直接の被害とか避難者を守らせるための対策が必要でございます。

 平成十八年の四月、中央防災会議では、首都直下地震の地震防災戦略で、今後十年間で、例えば風速十五メートル、そういうときには一万一千人以上が亡くなるわけでございますから、死者を約五千六百人まで半減させようという計画というか思いがあるわけでございます。

 建物の耐震化率というのは現在七五%と言われておりますけれども、この目標を今後十年間で九〇%にする。私は、現時点での建物の耐震化率は七五%、これは本当だろうかと実は疑問がないわけではございませんけれども、しかし、これを認めたとしても、この目標が今度九〇%に本当にできるのかどうか、また、来年度予算の状況についてもお伺いしたいと思いますし、これと一緒に密集市街地の整備という大きな問題があるわけですね。これは、阪神でも長田地区の問題なんかがありましたけれども、この現状と目標達成に向けての取り組み、また、今年度の予算措置について、なるべく簡単に御説明を願いたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、最大のポイントは住宅等の耐震化でございます。

 御指摘のとおり、平成十五年現在七五%のものを二十七年度までに九割を上回るところに持っていきたい。そのため、耐震改修促進法に基づきまして、すべての都道府県に耐震改修促進計画の策定を義務づけると同時に、耐震改修に対する補助についての拡充等をしてまいりました。

 平成二十年度の第二次補正予算につきましては、居住性、施工性等にすぐれたモデルとなる耐震改修モデル事業を実施するとか、あるいは危険性の高い地域の住宅等についての補助制度の拡充、こういったことを図ってございまして、二十一年度におきましても、二十年度は百七十億円の予算に対しまして百九十億円、そういった形で必要な予算の確保に努めてございます。

 また、次に御指摘の、危険な密集市街地、委員御案内のとおり、全国で八千ヘクタール、東京、大阪おのおの二千ヘクタールございますが、これにつきましては、住生活基本計画におきまして、平成二十三年度末までに最低限の安全の確保を図る、こういった方向で努力してまいりました。

 十九年には密集市街地整備のための法律も改正し、取り組みの強化を図ってございます。現時点での進捗でございますが、二十年三月末時点で全国で三五%となってございます。

 そういったことも踏まえまして、二十一年度予算におきましても、必要な国費の確保、具体的には二十一年度予算におきまして百六十五億円の予算を確保しまして、今後、こういった予算を活用しながら、公共団体と連携して、御指摘のような建物の改修あるいは安全な市街地の形成に努めてまいりたい、こう考えております。

中野(清)分科員 今の点についてはまだまだ不十分ですけれども、ぜひ頑張っていただきたいということで、要望だけしておきます。

 次に、緊急輸送道路のうち優先確保ルートにある橋梁につきましては、平成十七年度から三カ年で、落橋、倒壊を防ぐ耐震補強が実施されて、私が伺いますと、六千九百八十三橋については十九年度までに実施ができたと聞いておりまして、これは感謝しております。

 しかし、直轄国道では二十四橋梁が未着工であり、また都道府県管理道路では二十八橋が未着工であります。また、新幹線をまたぐ道路でも十八橋がまだ未着工だというわけでございます。

 私は、きょうは首都圏の直下地震が中心でございますから、首都圏について考えてみますると、具体的には、東京都の川口川橋がまだ未着工だ。それから埼玉県の幸魂大橋の上下、上りと下り、これは二十年度というのが二十一年度着工と延びていますね、はっきり言いまして。それから、千葉県の水郷大橋、これもやはり二十一年度に延びているというような現状。また、都道府県の管理道路でも、千葉県の南房総市の道路は二十年度に着工しておりますけれども、川崎市の大井町の橋はまだ未着工だということです。

 私が心配しているのは、大臣、これは重要な橋なんですね、今申し上げた橋は。ですから、国土交通省も一生懸命やってきたと思うんです。例えば、高速道路にかかっても新幹線にかかっても私鉄でも、これはすぐに交通麻痺が起きてくる。

 そうすると、阪神・淡路の大震災以来もう十五年もたっている、そういう中で、危機管理意識を持ってやっているかどうかということについて、私はやはり取り組みとして、ふだんの仕事ではないんだ、そういう意識でもってやってもらいたいと思うんですけれども、その一番代表的な、しかも重要な橋梁に対しては、少なくとも私は国土交通省としては一〇〇%なるべく可及的にやるんだ、そういう決意でもってやるべきだと思いますが、これについてぜひお考えをいただきたいと思います。

金井政府参考人 委員御指摘のとおり、平成十九年度末で見ますと、首都圏の直轄国道で四橋、まだ耐震補強に着手をしていない箇所がございます。

 個別の事情をごく簡単に申し上げますと、さっき御指摘いただきました国道十六号の川口川橋でございますが、これは拡幅事業をやっておりますので、隣に路線を移します。それにあわせてやるということで、今、用地を至急取得しているところでございます。

 それから、その他御指摘いただきました、幸魂大橋であるとか水郷大橋であるとか、こういった橋につきましては、これはケーブルを使った斜張橋という橋でございまして、静的な解析ではなくて揺れた解析をしなければいけないもので、その動的な解析のために若干時間を要しましたが、さっき御指摘のとおり、二十一年度には着手をいたしまして、三年以内に完了するという予定でやっております。

 いずれにしましても、早急にできるように危機感を持って臨みたいと思っております。

中野(清)分科員 今そういう大きな問題について申し上げました。

 私の地元の埼玉県で、例えば道路橋梁の点検について伺ってみますと、特に直轄道路は、さすがに五年間ということで一〇〇%できております。しかしながら、県道については、千橋中で約三百七十橋梁が未点検だ。まして市町村道に至っては、千八百橋梁のうち点検したのが一五%の二百七十橋梁で、八五%に当たる千六百橋梁が未点検である。点検すらこういう状況であるということについては、私は非常に危機感を感じておるんです。

 これはこれからも幾つか申し上げますけれども、中央のことはやってくれるけれども、地方についてはだんだん時間がかかっているということだと思います。ですから、点検の問題はぜひこれからやってもらいたい。

 しかしながら、点検も大事だけれども、埼玉県で現在、橋梁の中で、通行どめになっているのが四橋梁あるんですよ、それから三十一橋梁がいわゆる通行規制。これは、役所がだめだということはわかっているわけですね。これについては、やはり県民の安心とか国民の安心を考えたらば、わかっているんだったらば、これをどうするんだということをはっきり言ってもらわなきゃ困るということについてお伺いをしたいと思います。

 私は、やはり、これについては特に役所がもうとにかくわかっている、点検しなくてもわかっているわけでしょう、もちろん点検したと思うけれども。ですから、それについてはぜひお願いしたい。優先的に補強を願いたいと思います。

 また、これは質問の答えは結構でございますけれども、役所の方で長寿命化修繕計画というんでしょうか、これを一生懸命やっていますね。ところが、私が考えるのは、この補助金の率が、例えば県の段階では三年間、それからまた市町村は五年間と言っていますけれども、これは答弁はいいですよ、お願いですから。本当にこれでもってできるかという話ですよ、率直な話が。だから、ぜひこれは頑張ってもらいたい。

 時間の関係がありますから、前の質問だけ答弁していただきたいと思います。

金井政府参考人 簡単に答弁をさせていただきます。

 御指摘のとおり、市町村で見ますと、点検を行っている市町村はまだ約一五%しかないということで、大変寂しい状況でございますので、先ほども御指摘ありましたとおり、長寿命化計画、これは計画策定のための点検の費用、それから点検に対する技術指導、こういったものも含めて、計画を全部策定していただいて、それに対して、点検が終われば至急対応できるように、具体的に相談をしまして御支援を申し上げたいというふうに考えておりまして、今回、新たな中期計画で二十四年までに一〇〇%、こういったものは概成するという目標を立てておりますので、そういったつもりで大至急やらせていただきたいと思っております。

中野(清)分科員 今二十四年までの計画ということで、ぜひこれをお願いしたいと思います。

 それから、今度は、実は大臣に特にお願いしたいことなんですよ。といいますのは、国土交通省の資料によりますと、JR東日本とか関東の私鉄、地下鉄等の高架橋の耐震補強実態、これを私も見させていただきました。そうしますと、JR東日本は補強済みが約一万二千三百、九八%ある。ところが、大手の民鉄は補強済みが六千三百で五七%、実に四千七百の橋梁が未補強なんですよ。もちろん、地下鉄も補強済みが三千四百で八七%、残りが五百あります。中小民鉄も補強済みが千で七七%、残りが三百と伺っております。

 私は、JR東日本が九八%いっていることについては本当にありがたいと思っておりますけれども、大手民鉄とか地下鉄の現状を見ますと、阪神大震災のときに実際に事故が起きたのは私鉄だったと考えておるんですけれども、本当にこれでよいか。特に、大手民鉄は、大臣も御承知のように、今都内なんかを初めとして、連続立体交差事業とか金がかかる仕事がいっぱいあります。ですから、私は、それについてぜひやってもらいたいという気持ちでおります。しかし、それだけでもって、いや、安全が第一じゃないかという話については、やはり、この際、特に大臣にお願いしたいと思うんですよ。

 といいますのは、阪神・淡路が十五周年だ、こういうときに、例えば民鉄の五七%だという状況については、耐震補強というものを五年計画とか七年計画で八〇%は必ずやるんだ、そういうような計画をさせて実行させる、そういう強力な大臣の意思というものが、私は、この際、民鉄の、特に経営者陣にやらなければ、自分たちの都合のいいときばかり補助金をくれるというんじゃなくて、これは命にかかわる問題だということで、ぜひこれについての明快な御決意をいただきたいと思います。

金子国務大臣 委員御指摘のとおり、本当に、関東の大手民鉄の補強工事の進捗が非常におくれているという認識を、私も改めて深くさせていただきました。

 理由は、高架の下の多くが店舗に利用されているというようなことで、耐震補強を行うに休業補償ですとか、あるいは補修後に面積が減少するものですから、高架下の利用者との面積調整といったようなのが必要であるというようなことで、なかなか進んでいないというのが大きな理由のようであります。

 しかし、御指摘のとおり、言うまでもなく、安全の確保というのは最重要な課題であります。国土交通省といたしましても、ヒアリングを通じて指導しておりますけれども、この耐震補強が一層促進されますよう、鉄道事業者をさらに私も強力に指導してまいる所存であります。

中野(清)分科員 今、大臣の本当にすばらしい決意で、これは気がついていただいたと思うんですけれども、本当に問題だということで、一カ所とまっちゃえば電車がとまっちゃうわけですから、これはもう本当に震災対策としては重要だということで、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、災害時のいわゆる事業継続でしょうか、これは役所でもって今やっておりますけれども、その中で、内閣府においては、中央省庁業務継続ガイドラインということでつくっておりますが、これについて、私は、関東整備局が今一番初めにやっているということについては感謝いたしておりますので、ぜひこれからは、他の整備局とか、いわゆる国道事務所とか運輸事務所とかという出先まで一日も早くやってもらいたい、これは要望をさせていただきたいと思います。

 それからもう一点は、第一ラウンドでいえば中央省庁、それから今度は県の段階、それから市町村の段階というふうに、事業継続のいわゆるBCPの作成をしなきゃいけないわけでございますけれども、とにかく、大臣、十五年たっているんですよ。でもって、やっと中央省庁ができたという状態なので、本当に、実際に困るのは現場だと思うんですよ。現場に行っていないんですよ。これはほかにも問題がありますから後でも申し上げますけれども、少なくとも地方支分部局までやらせる、それから県もやってもらう、それから市町村もやらせる。

 ところが、恐らく、県の場合でも、東京都と徳島県しかできていないはずですよ。それでもって、大阪とあと三つぐらいが今策定中だと、千葉県ともう一つ言われましたけれども。それじゃ話にならない。つまり、だれも催促がないんですよ。しかし、今、我が国の行政は一生懸命やろうとしているんですから、これについてはお願いをしたいと思うんです。

 きょう、私は、時間の関係がありますから、この二つを要望にさせていただいて、私の地元のさいたま広域防災拠点の位置づけについてだけは特に御答弁を願いたいと思うんです。

 と申しますのは、実は私は、一昨年ですか、五月に、危機管理議連の同志とともに、このさいたま新都心エリアを上田知事の案内でもって視察させてもらいました。さいたま新都心というのは、十一の省庁が集結しておりまして、いわゆる大震災時の中央省庁の本格的な代替拠点とも言われておるんです。

 その中では、さいたまアリーナについては、いわゆる県民とか国民の食料備蓄倉庫、またヘリポートもございますし、防災関係では、そのときも、いつも言っていますけれども、上田さんもできる限り国に協力したいと言っておるわけでございます。特に、大臣の所管の関東地方整備局では、積極的に例えば災害本部室とか防災対策室というのを設けて、率直な話、これはやはり私も力強く感じました。

 ところで、首都直下地震の政策大綱の中では、例えば有明の里ですか、または川崎の東扇島地区につきましては、基本的には防災拠点として具体的な位置づけがあるわけですよ。ところが、さいたま新都心については、南関東地震大綱には確かに位置づけはあります。これでいいんだというんでしょうかね。しかし、実際には、首都直下地震対策大綱では具体的な位置づけはないんです。

 私がきょう申し上げたいのは、災害時の中央省庁の、実質的に活動できるような拠点としてのこのさいたま新都心エリアの位置づけがやはり不明確じゃないだろうか。また、今後、その位置づけを明確にするとともに、さらに代替的な拠点としての機能を高めていくことが必要と考えていますが、御見解を伺いたいと思いますし、その機動力を向上させるためには何が必要かもお伺いしたい。

 特に、大臣、例えば国土交通省は、本庁がだめになったら九段だ、九段がだめなら今度は小平だと言っているんですよ。ところが、小平とか九段は恐らく会議室だけはありますよ。本当に必要なのは、いつも勤務できて対応できるような、そういう場所でもってやらなければ、実際の効果なんかないんですよ。会議室なんかあったってしようがない。どこのホテルだっていいわけですから。そういう意味でもって、これは内閣府の方でぜひ答えてもらいたい。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のさいたま新都心エリアについてでございますが、平成四年、中央防災会議が策定いたしました南関東地域直下の地震対策に関する大綱におきまして、現在のさいたま新都心エリアで進められていた防災拠点の整備を推進することが位置づけられたわけでございます。その後、新都心エリアでは、平成十二年に主要施設が完成して町開きが行われ、各施設の運用が開始されたわけでございます。

 その防災関係の態様でございますが、特に、先ほど先生御指摘ありましたように、国土交通省の地方整備局などは業務継続計画を策定しております。その他の地方支分部局についても逐次この業務継続計画を策定していく予定となっておりますが、その中で、例えば、霞が関の中央省庁が被災した際にその機能の一部を当該地方支分部局で代替する、そういった点も含めて検討が行われるものというように承知しているところでございます。

 もう一つ先生おっしゃられました、さいたま副都心において機能を向上させるための方策でございます。

 これについては、中央省庁の代替拠点としての機能を持つためには、中央省庁で本来行っている業務を実施するのに必要な要員とか、また情報資源等々の確保、また代替拠点での業務実施を想定した訓練の実施などが重要であると考えております。当該エリアが中央省庁の機能の一部を代替する際には、以上のような観点から、不足する場合があればそれを補っていくことも重要ではないかというように考えているところでございます。

中野(清)分科員 今、機能についても、何かわけのわからないことを言っていましたけれども、それは議論だけなんですよ。実際は、例えば通信機能なら通信機能というのをきちっとやるとか、そういうふうな具体的なものをぜひこれからきちっと出してもらいたいと、お願いをしたいと思います。

 それから、四番目といたしまして、もう時間がありませんので、あと二問残っておりますけれども、一つは、実は震災の被害者対策。これは、震災後の一日でもって約七百万人の避難者が出るだろう。また、四百六十万人が避難生活を第一日目には強いられるだろう。それからまた、六百五十万人と言われる膨大な帰宅困難者がありますから、これについて実はお伺いをしたいわけでございます。

 特に、両方に共通した課題としては、飲料水やトイレの提供及び不足対策とか、学校や企業等の施設における外部からの避難者、帰宅困難者の対応がございますが、一つだけ、飲料水やトイレなどの提供及び不足対策、これについてだけ御答弁があったら願いたいと思います。なるべく簡単にお願いします。次の空港のこともある。

小島主査 簡単に。大森政策統括官。

大森政府参考人 簡潔にお話し申し上げたいと思います。

 首都直下地震発生時には、先生御指摘のような課題があることは事実でございます。特に飲料水とトイレの問題でございますが、帰宅困難者、避難者にもそういった問題が生じてきます。したがいまして、その対策については、例えば、コンビニエンスストア等との協定による徒歩帰宅者への飲料水等の提供、また災害用トイレの適切な配置計画の策定、またマンホールトイレ等の整備の促進というようなことが考えられるところでございます。

 このような問題につきましては、公共団体、企業等と連携して、対策の実現に向けた取り組みを適切に進めてまいりたいと考えております。

中野(清)分科員 最後に、空港問題についてお伺いします。

 金子大臣が昨年の十二月に、空港の設置及び管理に関する基本方針を発表されました。本当によくできていると思います。しかし残念なことには、首都圏の第三空港に対する取り組みについて、これが出ていないということで、これをどうお考えになるかを中心にお伺いしたいと思うんです。

 といいますのは、例えば、今航空局がつくっている資料の中に、こういう資料があります。これは、首都圏の第三空港の整備候補地として、いわゆる東京湾羽田以南の八候補地と言われておりますけれども、出ております。これは、一つには、平成十二年から平成十三年にかけて首都圏第三空港調査検討会が長期的な視点から絞られたというので、これを見ますと、何かもう決まったように感じるんですよ。

 しかしながら、実際にはアクセスとか何かいろいろな問題があるはずですよ。私どもは、そういう意味で、これについてまず第一に、今日までこの羽田南の八の候補以外の候補地についての言及が少ないんですね、はっきり申し上げて。空港適地については、ほかにも幾つもあるんじゃないかと思うんですよ。ほかの候補地との比較検討をやってきたのかということをまずお伺いしたいと思う。評価はどうかというのも簡単に答えていただきたい。

 それからもう一点は、私はむしろ、第三空港という議論がありますけれども、大ざっぱなマクロ的な議論だけじゃなくて、今の現在において第三空港ができる可能性、それをまず第一に考えた方がいいと思うんですよ。ですから、第三空港と言わないで、三番目につくる空港だ、そういう意識でもってやらなきゃだめだと思う。

 そのときに、例えば、建設コストがどうだとかアクセスがどうだとか、それから、そういう意味での実現性がどうだとか、そういう可能性、そのような問題については、私は、個人の意見としては、東京都の石原知事も言っているし、埼玉の上田知事も言っていますけれども、横田基地の共用化について強力に推進すべきだと思うんです。

 今、国土交通省に伺いますと、外交交渉が何とかかんとかと盛んに言っておりますけれども、さっき言いましたように、横田基地の軍民共用化、これが早期に建設できる空港の一つの候補とするならば、それはすなわち第三空港に供してもいいじゃないか。しかし、四番目の空港もあったっていいわけですから、そういう立場でもって、何か今まで、第三空港と横田の話は別だという感覚でもって、私はどうも航空局はやっているような気がしております。ですから、この点についてぜひ御意見をいただきたい。

 それから、まだいっぱいあるんですけれども、まず、それについて御意見をいただき、大臣のお考えをぜひいただきたい。

 私は、もうこの問題については、率直な話、もう二十五年ぐらいやっております。しかし、埼玉県の七百三十万県民は、空港が遠くて不便だということは昔から言っているんですよ。これをどうか、ロンドンの五つの空港、ニューヨークやワシントンの三つの空港を考えたって、そういう地理的なバランスも必要だということも含めて、お考えをいただきたいと思います。

小島主査 大臣に申し上げますが、時間が来ていますので、簡潔な答弁で進めたいと思います。

金子国務大臣 それでは、時間の関係で。国土交通省としても、今の御指摘は大変大事だと思っております。

 特に、横田につきまして、米側とのさらなる調整が少し今、中断しておりますけれども、さらなる調整が必要だと思っております。その早期の実現を求めて、共同使用の条件等に関する具体的な提案を行うなど、国交省としても取り組みを進めてまいりたいと思っております。

中野(清)分科員 本当に大臣、ありがとうございました。

 また、いろいろな問題なものですから、少し申しわけないと思いますけれども、私は、もう最後でございますから、お願いだけいたします。

 阪神大震災の十五周年という中で、今の首都直下型地震というものがあり得るという前提で考えたとき、災害対策の進捗については厳しいチェックが私は必要だと思っております。特に、その上でもって、例えば東京一極集中の弊害がどうだとか、それからバックアップ都市の構想とかというような問題も、マクロ的な立場から、いわゆる地域エゴじゃない大局的な検討とか意見の集約が求められておるわけでございます。

 ぜひそういう意味でもって、大臣を中心として、特に国土交通省は非常に大事な役割を担っているわけでございますし、内閣府もきょう来ていますからお願いしますけれども、内閣府がまとめるといっても、やはりこれを頑張ってもらいたい。そういう意味でもって、金子大臣を初めとした皆さんのこれからの厳しい対応を御期待しながら、質問を終わりたいと思います。

 どうかよろしくお願いいたします。

小島主査 これにて中野清君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 私は、空港つながりで、きょうは茨城空港について質問をさせていただきます。

 まず最初に、この数年間、原油価格の高騰や、あるいは景気悪化を口実にして、国内線の廃止が相次いでおります。国内航空ネットワークの縮小が進行しているわけですが、〇六年度以降、〇七年度、〇八年度と国内路線数の推移がどうなっているのかを最初にお示しください。

前田政府参考人 我が国の国内航空路線数でございますが、〇六年度が二百二十八路線、〇七年度が二百十七路線、〇八年度が二百一路線、先生御指摘のとおり、減少傾向にはなっております。

塩川分科員 路線の廃止だけでこれだけ激減で、減便というのを含めれば、もっと大きく減少しているというのが現状であります。羽田を中心にということもあり、一方、地方間においての路線が大きく損なわれているというのが現状であります。

 その中で、茨城空港が開港する予定、最後の地方空港、一般空港となっております。

 この茨城空港の開港までがあと一年でありますけれども、国土交通省の需要予測では、大阪、札幌、福岡、那覇の国内四路線、一日十二便、年間八十一万人の利用者を見込んでおります。この国内四路線の就航に名乗りを上げている航空会社はあるのか、今後の見込みはどうなのかを含めて、お答えいただけますか。

前田政府参考人 現時点では、茨城空港国内線就航を表明している航空会社はございません。地元においては、また引き続き路線の誘致、いろいろと要望を出しているということでございます。

塩川分科員 年間八十万の利用を見込んでいる需要予測であるにもかかわらず、来年の三月ですよね、それなのに一便もこの国内路線に就航の予定がないというのが現段階であります。国内の大手二社などはテーブルにも乗ってこない状況だと茨城県の担当者も言わざるを得ないような現状にあるというのが実態であります。

 そこで、総務省に伺います。

 総務省行政評価局が行った公共事業の需要予測等に関する調査結果報告書がございます。昨年の八月です。空港新設事業で調査対象となった新北九州空港、能登空港は、いずれも需要予測結果と実績値に大きな乖離が生まれていると指摘をしています。

 そこで伺いますが、この報告書の空港整備事業では、需要予測等の検証状況についてどのように記述、指摘をしているのか、お答えください。

関(有)政府参考人 調査した空港整備事業につきまして、需要予測の結果と実績値の乖離の原因につきまして、次のように取りまとめを行っております。

 需要予測の際に見込まれる航空路線は、事業主体が需要予測を行い、算出した航空旅客流動量をもとに設定を行っている。しかし、実際の航空路線の開設は航空会社が採算性等を検討した上でその適否を決定し、開港の半年から一年前の時点で国土交通省に届け出を行っており、需要予測の際に設定を見込んだ航空路線が実際には開設されない場合もあり得る。

 このように、現在の需要予測の実施方法では、空港の設置管理者が需要予測において想定した航空路線と実際に航空会社が設定を決定した航空路線とは、結果的に異なるものとなる可能性が伴う。

 以上でございます。

塩川分科員 この指摘にありますように、事業主体の行う航空路線における需要予測と、実際に採算性で飛ばすことを判断する航空会社、それの実績というのは乖離が生まれるということを指摘しているわけですが、この指摘については大臣はどのように受けとめておられますか。

金子国務大臣 昨年八月の総務省からの勧告について、国土交通省所管の公共事業についても真摯に対応すべき事項と認識しております。

 その勧告は、実績が乖離している場合の原因分析等を求めております。国土交通省として、今後も引き続き、この原因分析、解明を進めさせていただきたいと思います。

 一方、各空港につきましては、その適切な利活用を進めること、利用していただくことが重要でありますものですから、航空路開設に向けまして、地元と連携して取り組んでまいりたいと思っておりますし、これによりまして、空港の需要予測と実績値の乖離の解消が図れればいいというふうに考えております。

塩川分科員 この報告が、原因分析を求めているという勧告になっているわけですけれども、それについてどういう努力をされて、どういう原因分析をされているのかをお聞きしたいんですけれども。いかがでしょうか。

前田政府参考人 この原因分析を含め、御指摘を受けた事柄については、事業評価の適切な実施あるいは需要予測の精度向上について徹底を図っております。具体的には、二月五日付で事務次官から各局長あてに事業評価の適切な実施について再徹底を図るように通知を発出したところでございます。

塩川分科員 要するに、国交省の中の公共事業の事業評価の実施要領を再徹底するというだけなんですよね。それで現実に起こっている乖離というのは解消するんですかということを聞いているわけですよ。新北九州空港にしろ能登空港にしろ、近年開港したばかりのところですけれども、それが二つとも、新設空港では需要予測と実績がこんなに離れているという指摘になっているわけです。

 これから開港する地方空港、一般空港はもう静岡空港と百里基地に予定している茨城空港の二つしかないわけですけれども、どうそれを今後生かしていくのかという点で、事業評価の実施要領の再徹底というのはないんじゃないですか。もう一回お答えください。

前田政府参考人 今、静岡空港あるいは茨城空港の事例が出されましたが、これら二つについては開港前でございますので、現時点で需要予測と実績を評価するということはなかなか難しいというふうに思っております。

 ただ、一方で、先ほど地元との連携等の努力ということを大臣の方からも申し上げましたが、そういった形で、総務省の勧告を受けての指摘については、その指摘を真摯に受けとめて、内部的な徹底を図るとともに、乖離の解消という観点からは、地元との連携をしながら、新たな航空路線の開設、これが先ほど大臣が申し上げた点でございますが、こういうことを通じてその解消を図っていければと考えている次第でございます。

塩川分科員 このような対応で総務省としてはよしというお考えなんでしょうか。

関(有)政府参考人 私ども、勧告をいたしました後、半年後にどのような対応がとられたかということを関係省庁から報告してもらうということにしておりまして、その過程でいろいろ御議論をさせていただきたいというふうに思っております。

塩川分科員 要するに、空港をつくるというのは需要予測を前提につくるわけですよ。それなのに、実際に開港してみたら、既にスタートしている新北九州空港ですとか能登空港に大きな差が出ましたというのについて、きちんと評価をして次に生かすということがないといけないのに、それについて何も今の中で出ないじゃないですか。

 事業評価の実施要領を再徹底します、再徹底ということでは、繰り返すだけですから、新しいことを何もやるという話ではないわけで、こういう対応では納得いかない。そういう状況のまま行けば、静岡空港やさらには茨城空港、今後できる空港において同じような乖離を生み出すことになるんじゃないのか、このことが問われているわけです。

 大臣に伺いますけれども、つくってからでは後の祭りになるわけで、こういった、始めたらとまらない、公共事業の典型なんじゃないのか、事前の需要予測と実際の実績には乖離が生まれるような、こういった公共事業のあり方そのものを見直すときだ、こんなことでいいのかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

    〔主査退席、葉梨主査代理着席〕

前田政府参考人 先生がおっしゃいました乖離について、これまでの実績において、いろいろな空港において乖離が生じた例があるということは事実でございます。

 今後についても、需要予測等についてはなるべく正確を期すようにというような形での努力を行うことによって、今後開港する空港についても乖離がないように、あるいは乖離が少なくなるようにという努力は引き続き行っていきたいというふうに考えております。

塩川分科員 ですから、新北九州空港や能登空港で乖離があるということを、では、今後のに生かすのかと言ったら、何もないじゃないですか。だって、新北九州空港について事業評価というのは、実施後、供用五年後の評価ですから、事後評価でしかないので、それはまだその時期ではありませんと言うだけで何にも生かされていないわけですよ。

 こんな調子でいったら、まともに教訓も生かされないことになるわけで、私はこういう事態を生み出したところに国土交通省の航空行政の責任がそもそも問われていると思います。

 大臣に伺いますけれども、もともと建設先にありきということになって進んできているわけです。

 なぜ乖離が生まれるのかということを考えれば、一つは、もともと過剰な空港建設に邁進してきたその路線が破綻をしたのではないのかということと、路線撤退の自由化を行ったこの間の航空法の改正などの規制緩和政策のひずみというのが、結局、自由にエアラインが撤退をするという形で、地方にもしわ寄せになる、国内路線がどんどん廃止をされる、こういうことにもつながったわけですから、こういう乖離が生まれるのはもともと国交省の航空行政が生み出した当然の帰結だと思います。

 大臣に伺いますが、当初想定した需要予測に基づく国内路線の就航予定が見込めないのは明らかですから、国は、茨城空港の建設計画を中止すべきだと考えますが、お聞かせください。

金子国務大臣 つい先日、茨城の知事、地元の関係の皆様方がおいでになられまして、大変、今度の開港に期待を寄せられている旨を私のところに言ってまいっております。

 茨城空港は、現在、羽田空港等を利用している関東北部地域の航空旅客需要に対応するとともに、逼迫する首都圏の航空需要の一翼を担う役割を果たすものだと思います。

 もっと長い目で見ますと、ひたちなか市、北関東圏、港湾、物流、空港という、ある意味、大きな地域の役割を将来この茨城空港が担っていく可能性はあるんだろうと思っております。

 それから、日本の航空会社は大変厳しい経営環境にあります。ですから、羽田も減便、成田も減便、関空も減便、今、世界全体がそういう状況でありますから、直下だけ見ていたら、大変、経営環境が厳しいことはもう言うまでもありません。

 ただ、現時点で茨城空港について言えば、国内線の就航表明は御指摘のとおりされておりませんが、アシアナ航空、就航表明されておられまして、具体的に便数等々も知事からは御報告がありましたけれども、アジアを中心とした交流促進のための国際便の乗り入れ、コミューター、ビジネス等の活用等、多角的な利用を図りたいという御予定のようであります。

 そういう意味で、地元が非常に熱心であります。引き続き、我々としても、十分に連携して、よく見守っていきたいと思っております。

塩川分科員 県がつくっている茨城空港のパンフレットを見ますと、どの辺の人が羽田よりも便利ですかというエリアがあるんですよ。私、埼玉の所沢ですけれども、所沢でも羽田よりも茨城空港の方が便利だという場所になっているんですよ。感覚としても信じられないような実態があって、需要予測そのものが過大、架空のものなんじゃないのかということを率直に言わざるを得ません。

 今、需要の掘り起こしと言って、全国の地方空港、大変なところはエアラインへの助成だとか旅行会社への助成を行ったり、そういう形で、地元の自治体負担はどんどんふえていくという状況に今なっている。この茨城空港でも、就航予定が見込めないといった中で、国内のエアラインが入らない場合にはハンドリング体制なんかはどこがやるのか、県が支援しなくちゃいけないんじゃないのか、そういうところの持ち出しも含めて、どんどん地元自治体がふえていくような、金食い虫にもなりかねないという点でも重大であります。

 私たちは、こういった空港建設そのものが、茨城空港は一周おくれの最終ランナーだと言っておりますけれども、きっぱりと中止をすべきだと申し上げます。

 関連して、この茨城空港は航空自衛隊の百里基地を活用するものであります。そこで、防衛省などに何点か伺います。

 航空自衛隊百里基地も認めております百里基地の空域の問題点は何なのか、指摘されていることを紹介してください。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも自衛隊は、任務あるいはその任務遂行のための訓練ということで訓練環境の整備が必要なわけですけれども、空域も含めまして必ずしも十分な広さとは言えないという一般論がございます。特に百里基地の近傍では、例えば茨城県沖にエコー空域、高高度訓練・試験空域がございますが、この中に民間機の航空路が存在をしていて、この航空路を民間機が通過をする際には、自衛隊機が訓練を一時中止いたしまして、この民間機のために訓練空域を開放するといったような制約は存在をするわけでございます。

 ただ、防衛省といたしまして、民間機の安全で効率的な運航にも配慮しまして、最大限訓練効果が得られるように努めておるところでございます。

塩川分科員 百里基地の説明資料の中に、今の訓練空域内に民間航空路線があるという指摘に加えて、成田、羽田進入管制空域との重複や、また、東海原発や大洗の原子力研究施設、鹿島コンビナートなど、上空飛行制限施設が集中しているということも問題点として指摘していると思いますが、そのとおりですね。

徳地政府参考人 原子力施設の件につきましては、航空機の上昇でありますとかあるいは飛行経路に一定の影響を及ぼすということはございますけれども、自衛隊機も、航空法あるいはAIPに従って飛行をするということとしておるところでございます。(塩川分科員「管制は」と呼ぶ)

 失礼しました。管制につきましても、一定の影響というのはないわけではございませんけれども、ただ、これは高度で区切っておりますので、その範囲内で航空法、AIPに従って飛行をするということにしておるところでございます。

塩川分科員 百里基地に行ってお話を伺った際に、今言った成田、羽田の進入管制空域との重複の問題や、訓練空域を民間のエアラインの路線が入っていることや、上空飛行制限施設というのが茨城県の海岸線に沿ってたくさんありますねということを問題点として指摘をしておりました。

 民間機を飛ばせば空域の危険性は増大をいたします。加えて、茨城空港は、そもそも自衛隊の滑走路とは別に、西側に新たに民間航空用の滑走路をつくったわけであります。それなのに、今自衛隊の使用しております滑走路のかさ上げ工事を行っております。

 そこで、この費用負担は国土交通省だということなので国交省に伺いますが、この自衛隊用の滑走路のかさ上げ工事の工事費は幾らで、そのうち地元負担は幾らで、なぜ自衛隊の滑走路をかさ上げする必要があるのか、その三点についてお聞かせください。

前田政府参考人 まず、費用の点についてお答え申し上げますと、トータルで二十八億円でございます。そのうち、国土交通省負担分が十九億円、地方負担分が九億円でございます。

 それで、もともと防衛省の百里基地、防衛省の飛行場でございますが、自衛隊用の滑走路についてこういった費用負担が生じる理由でございますが、民航機がILSを有する、これは自衛隊側の滑走路にはILSが設置されておりまして、悪天候時には民航機もこちらの滑走路を利用するという可能性がありますので、その観点から、このかさ上げ工事について、民航分の負担として国土交通省及び地元が負担しているということでございます。

塩川分科員 民航用の滑走路にILSを設置すれば、自衛隊の使用する滑走路のかさ上げ工事をしなくてもいいと思うんですけれども、なぜ民航用の滑走路側にILSを設置しなかったんですか。

前田政府参考人 民航用滑走路にILSを設置しなかった理由でございますが、これは事業効率化という観点から、空港用地拡張面積を最小限に抑えるために、民航用滑走路については、いわゆる非精密進入の滑走路として整備を行った、このためでございます。そういう意味では、費用を節減するという観点からILSの設置を行わなかったということでございます。

塩川分科員 地域の方の理解が得られないという実態が前提にあるわけですよね、用地の取得におきまして。その点で、民間航空用の滑走路に対応したILS対応の無線装置が施設外に設置できる条件がないということで、結果として自衛隊の滑走路のかさ上げとなるわけです。

 そこで、防衛省に伺いますが、自衛隊の滑走路のかさ上げ工事によって、今までは戦闘機対応の滑走路だったわけですけれども、自衛隊の輸送機C130や、また次期輸送機のCXなどの使用も可能となるのかどうかを確認させてください。

枡田政府参考人 お答えいたします。

 現在、百里基地におきまして進められております民間共用化事業でございますが、まず、自衛隊の既設の滑走路につきまして、総重量が約百五十トンであります民航の中型機の着陸に対応できるよう、滑走路の改修工事、これはコンクリートによるかさ上げ工事等でございますが、これを行っているところでございます。

 一方、C130の全備重量は約七十トンであります。あと、例えばCXの全備重量は約百二十トンを予定しております。したがいまして、改修工事後の滑走路におけますこれらの航空機の発着は可能であろうと考えておるところでございます。

塩川分科員 自衛隊の滑走路のかさ上げ、強度の補強が行われることで、自衛隊の輸送機CXなどの発着も可能となるということです。

 あわせて防衛省に伺いますが、民間航空用の滑走路については、自衛隊機の使用というのは禁止をされているんでしょうか。

徳地政府参考人 お答えをいたします。

 原則といたしましては、自衛隊は従来からある自衛隊側の滑走路を使って離着陸をする、こういうことでございます。それで、民間機の方は民間側というもので離着陸を行う、これが原則というふうになっております。

 しかしながら、例えば、飛行中の自衛隊機が自衛隊側に着陸をするというような場合に、何らかの理由でもって従来からある滑走路というものがそのときに閉鎖をされているというようなことで一時的に使用できないというようなことも考えられないわけではないと思いますので、そういう場合に、自衛隊機の方も新たに設置された滑走路を使用するということはあり得るものであると考えております。

塩川分科員 使用はあり得るということです。

 自衛隊の飛行場で見ましても、滑走路を二本持っているというところはほとんどないんですよね。小松とか徳島とか三沢などのほかの共用空港でも、自衛隊、米軍が使用する滑走路を民間も利用しているわけですから、滑走路二本体制を持つ自衛隊の基地をつくったと言われても仕方がないことに実態はなっております。

 茨城空港を初め共用空港の多くが米軍との共同使用ともなっております。共用化による空港整備が、米軍の基地使用の利便性を高めるものとなる。訓練移転の米軍部隊、百里、小松などでも訓練を行っておりますが、イラクの派遣部隊だったということを見ても、県民の負担で基地強化を行うというのは納得がいかないというところであります。

 最後に、滑走路の設計についてお聞きしますが、もともと茨城県は、格安航空会社の受け皿を目指すと答弁をし、ある意味では海外のLCCを受け入れる、新しいビジネスモデルを打ち立てるとまで言っておりますが、裏返せば国内線就航の見込みがないということを認めるものでもあります。その対象となっているのがマレーシアのエアアジアエックスですけれども。

 そこで、航空局がつくっております空港舗装構造設計要領の中で、設計荷重の区分としては、就航している、あるいは就航予定の航空機の中で最も厚い舗装厚を必要とするであろうと推定される航空機が属する区分を選ぶのが一般的であると記述をしております。設計荷重の区分としては、LA―1、LA―12、LA―2、LA―3などがあるわけですが、LA―1が大型機対応で、LA―12は中型機対応とされております。

 そこで、国交省に伺いますが、茨城空港の設計荷重の区分は何か。また、茨城空港に就航を検討しているエアアジアエックスの機種は何であって、その機種に対応する設計荷重の区分は何かをお答えください。

前田政府参考人 茨城空港の設計荷重の区分でございますが、これは先生がいろいろおっしゃった仕様の中ではLA―12でございます。

 それから、エアアジアエックスの機材でございますが、今、エアアジアエックス、まだ運航に関する申請が提出されておりませんので厳密には使用機材は不明でありますけれども、エアアジアエックス、大きな機材ではA330―300、これを保有しております。この大きさのジェット機に対応する設計荷重の区分はLA―1でございます。

塩川分科員 そうしますと、茨城空港の滑走路は中型機対応のLA―12ですから、エアアジアエックスが所有をするエアバスA330―300のLA―1ではないわけです。そういう点では、そもそも茨城空港の滑走路は、設計上エアアジアエックスが所有するA330―300の就航を想定していないものとなっているということはそのとおりですね。

前田政府参考人 もともとは先生の御指摘のとおり、LA―12ということで中型ジェット機の利用を想定しているのは事実でございます。

 ただ、このA330―300等の大型機材の関係で申し上げれば、設計の要領に基づいて決定されるその滑走路の舗装構造というのは、航空機の重量と利用頻度に応じた設計を行うということになっておりますので、そういう意味では、仮にA330型等の大きな機材が、例えば一日一便というような就航であれば、現状の舗装構造でも対応可能でございます。

塩川分科員 もともと当初つくる際に想定していないような大型航空機の就航にもすがらざるを得ないところに需要予測の破綻も見えているわけで、茨城空港の建設はきっぱりと中止をすべきだ、私たちは、計画倒れで、金食い虫で、危険、欠陥のある三K空港ということを言っておりますけれども、中止を求めて質問を終わります。

葉梨主査代理 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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