衆議院

メインへスキップ



第2号 平成22年2月26日(金曜日)

会議録本文へ
二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      金子 一義君    谷川 弥一君

平成二十二年二月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 古賀 一成君

      打越あかし君    畑  浩治君

      若泉 征三君    遠藤 乙彦君

      大口 善徳君

   兼務 服部 良一君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     菊池長右ェ門君

  若泉 征三君     中島 正純君

  大口 善徳君     池坊 保子君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    畑  浩治君

  中島 正純君     若泉 征三君

  池坊 保子君     遠藤 乙彦君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 乙彦君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  大口 善徳君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  坂口  力君     大口 善徳君

同日

 第三分科員服部良一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古賀主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑浩治君。

畑分科員 おはようございます。昨日は、遅くまで大変お疲れさまでございました。私も分科員としてここに来させていただきまして、きょうも朝から本当にお疲れさまでございます。

 改めて、畑浩治でございます。私、一年生議員でございまして、本日、生まれて初めて国会議員として国会で質問させていただきます。そういう意味では、大変緊張しております。

 また、前原大臣、辻元副大臣、長安政務官におかれましては、私も国土交通委員会におりまして、大変お世話になっている次第でございます。本日、いささかちょっと緊張しておりますけれども、地域の思いを質問に込めさせていただきます。よろしく御答弁のほどお願い申し上げます。

 まず、本日は、JR貨物の貨物線路使用料の問題について議論させていただきたいと思います。

 新幹線が整備、開通されますと、これはJR旅客の経営安定の観点なんでしょうけれども、その並行在来線は経営が分離されて、そして地元の方に移管されるということになっております。大体は第三セクターが引き受けるというのが現状でございまして、岩手県の場合でありますと、いわて銀河鉄道、IGRが経営を引き受けて担当しているところであります。

 もちろん、JR貨物は引き続き在来線を通るわけでございますので、そこの使用料というものをその三セクに払うということになっておりますけれども、まずお聞きしたいのは、このJR貨物の線路使用料の支払い分担の考え方はどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。

辻元副大臣 畑議員の初めての質問に初めて答弁させていただくのを非常に光栄に思っております。

 御地元のことも、新幹線と在来線やそれから貨物の問題で、いろいろな問題の御認識もお持ちで御質問されているものと考えております。

 それで、JR貨物が並行在来線の運営主体である第三セクターなどに支払う線路使用料については、当該路線の修繕費やそれから人件費、業務費、さらには新たな設備投資に係る資本費、前からずっとあるものはだめなんですけれども、新たな設備投資、これはプラスになった部分ですけれども、そういったコストについて、旅客と貨物の走行量等で案分をいたしまして、貨物の負担分について支払う仕組みになっております。

 JR貨物が従来からJR旅客会社に対して支払ってきた線路使用料との差額相当分については、新幹線貸付料を財源とする貨物調整金をJR貨物に対して交付して、そしてJR貨物の負担が並行在来線の分離前と実質的に同じ負担になるというように措置をしているところです。

畑分科員 今、分担の考え方をお聞きいたしました。

 ここのところで若干議論があるというか、岩手県の要望等もあるところでございますけれども、これは資料一を私も用意させていただきました。ここに、現行の考え方、辻元副大臣が今おっしゃったようなことがるる整理されておるわけでございますけれども、確かに、軌道の修繕費あるいは人件費、業務費、あるいは新規の投資については案分されている。それはそれで合理的なんだろうと思います。

 そこで、若干疑義があるというところがございますが、この資本費、既に保有している装備、これはもともと、三セクに移管して、その三セクが持っているんだから自分のものだろうということだろうと思うんですが、ここの部分がJR貨物の支払い対象にはなっていない。当然、調整金制度の対象にもなっていないということでございます。それからもう一つは、新規の設備投資をした場合、当然、資金調達コストが発生するわけです。それとともに、固定資産税、その施設に関してこういうものも発生してくる。ここの部分も対象外である。

 これは、三セクの所有なんだからと言われればそれまでなんですけれども、そもそもこういう決め方、そもそもの決め方、これはJR旅客とJR貨物のアボイダブルルールというところからきているんだと思いますけれども、新規の追加的な費用の部分について負担をもらう、その考え方から、これが三セクになった場合にも引き継いでいく、そういうことであろうと私は理解しております。

 ただ、ちなみに次の資料二をごらんいただきたいと思うんですけれども、行政の論理、役所の論理としてはそういう論理もあるかもしれない。ただ、民間の論理からすると、既存の施設とはいっても、ただで使っているという部分も確かにあるわけです。そこのところがどうなのかなというふうな問題意識はございます。

 例えば、この下の方に、支払われるべき既存設備等の使用料、岩手県の試算でございますけれども、これが払われているとすれば年間三億九千万、ここのところの収益がIGRに対しては欠けてくる。

 それから、次の「見直し二」の方にありますけれども、支払われるべき固定資産税のコスト、年間三千万、あるいは支払われるべき資金調達コスト、これは二十一年度から三十四年度の推計になると合計で六千万、そういうところがございます。

 こういうものを見ておりますと、JR貨物がJR貨物としてみずから線路を運営して所有してやっている場合に比べればかなり優遇というか、民間からすればちょっとどうかなという構成になっているような気が私はいたします。

 改めてお伺いしたいんですが、このような考え方というのは、これは行政の論理とは別に、ゼロベースで考えた場合、民間ルールにのっとっていかがなものかというふうにお考えになりますでしょうか、御所見を伺いたいと思います。大臣にお願いいたします。

前原国務大臣 畑議員にお答えをいたします。

 民間の観点からというお話もございましたけれども、今お話のありました貨物調整金制度につきましては、現在、整備新幹線の整備に関する基本方針において、並行在来線の維持、また、今御指摘のありました貨物の維持のあり方、これについても検討することとしておりますし、国土交通省におきまして、私を含めた政務三役で構成いたします整備新幹線問題検討会議を設置するとともに、三日月国土交通大臣政務官が主宰をし、総務省の小川大臣政務官、財務省の大串大臣政務官が参加する整備新幹線問題調整会議を設置したところであり、今委員から御指摘をいただきました民間の観点というものも取り入れるかどうか含めて、今後検討をさせていただきたいと思います。

畑分科員 ありがとうございました。ちょっと質問が前後、お聞きするのが早くなっちゃいまして、恐縮でございます。

 ちょっと前後になりますけれども、ここの調整金というところの部分について、議論というか、お伺いしたいと思います。

 この調整金、いろいろ払われるべき、もらえるべき分がもらえていないという問題意識は別として、それはそれで、JR貨物に全額払えというわけにはもちろんいかない。JR貨物の経営の厳しさは私も承知しているつもりであります。そういうことで、まさに調整金の部分で穴埋めしている、ここの調整金をどう見直していくかというところが課題になってくる、おっしゃるとおりだと思います。

 この調整金の部分でございますけれども、現状の状況をお聞きしたいと思っております。この調整金について、現行、財源、規模等はどのようになっているのか、そこを伺いたいと思います。

辻元副大臣 貨物調整金の財源であります整備新幹線の貸付料の収入は、平成二十年度実績で二百七十五億円になっております。

 また、貨物調整金の全体の金額は、平成二十年度実績で十六・九億円、そのうち、御指摘の鉄道分は十一・五億円というようになっております。

畑分科員 ありがとうございます。

 この調整金の制度がこれでいいのかどうか、そこの議論もあるだろうと思います。

 この調整金の額がこれぐらいのところでいいのかどうか、これも含めてでございますけれども、私が心配しておりますのは、今後、新幹線が通るところは、かなり地域が厳しい状況、経営が厳しい状況になると思います。そうであれば、旅客収入は少なくなってくるんだろう。

 そして、今、この調整金というのは、JR新幹線貸付料、これは営業収入から来るわけですが、そこから来ているという制度になっております。であれば、旅客収入に依存している制度で、大変不安定な部分もあるんではないかなというのが一つ。もう一つは、収入が減る中で、厳しい地域の三セクが多くなりますから、恐らく調整金としても出る部分が多くなってくるんではないかなという気がしております。そういう観点から考えますと、この調整金制度全体のあり方の検証というのもあわせてこの議論の中で必要ではないかなと思っておる次第であります。

 そういう中で、昨年十二月二十四日に決定されました整備新幹線に関する基本方針、大臣からおっしゃっていただきましたけれども、貨物鉄道の維持のあり方として、新幹線の整備後においても、並行在来線等を運行する貨物鉄道を維持する必要がある、「このため、並行在来線の分離等に伴うJR貨物に対する影響を検証しつつ、必要な対策を検討するものとする。」とされているところであります。

 この「並行在来線の分離等に伴うJR貨物に対する影響を検証しつつ、」というところがどういうものかというのがポイントだと思っているんですが、JR貨物の経営が厳しくなるということとともに、私は、事務方からいろいろお話を伺いますと、経営基盤の弱い三セクに経営が移ることによって安定的な鉄道輸送の確保が困難になるという影響もあるんじゃないか。つまり、三セクなり地方に対する厳しい影響もある、そこもちゃんと見てあげなさいよという趣旨ではないか、そういう議論もあるんじゃないかというところで伺ったところです。

 そういう観点も踏まえまして、ぜひとも、厳しい地方に対してこの調整金のところの議論をまたしっかりとさせていただければ、検討していただければ幸いでございます。

 そこで、改めてまた申し上げますけれども、なぜ岩手県がこういう議論になるかというと、資料四のところに、IGRの経常収支、経営の状況が書いてあります。実は、調整金で最初からきちっと埋めればよかったんですが、調整金制度の議論の過程で、寝台特急が並行在来線を通るから寝台特急からも線路使用料が上がるでしょう、そこの部分で経営が厳しいところを埋めればいいという議論も最初の過程であったように聞いております。その寝台特急自体が平成二十年三月で減便になって、つまり、そこから収益が減ってしまっているという状況がIGRにございます。

 そういうところで埋められなくなって厳しくなってきたという状況もこれありで、そういうことで、調整金の部分の本来見られていなかった部分の拡充、民間ベースの論理も含めて御検討いただきたいという部分、これは岩手県の要望ということもございまして、達増知事の方で大臣に対して御要望したとき私も同席させていただいたところでございます。こういう背景もこれありというところでございます。

 そして、話が前後になりましたけれども、先ほども大臣から答えを先にいただいたような形になりますが、改めまして、調整金制度を見直して全体の財源の拡充なり安定化を図ることをひとつすべきではないかということが私の問題意識の一つです。

 それとともに、もう一つ、具体的な話になりますが、対象経費について、現在の負担分ではなく、さらに加えて、現在持っている施設に関する使用料の部分、あるいは、新規の施設等に関する資金調達コスト、固定資産税相当額、資料一に戻って、対象外となっている部分でございますが、ここの部分を算定対象に加えるべきではないか。その検討の状況なり今後の方向性について、改めて大臣から方針を伺いたいと思います。

前原国務大臣 委員からお示しをいただきましたこの資料一ですね。一の対象外になっているところについてどうするかという議論も含めて、内部で議論をさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、これから、既着工についてはしっかりと決められた年限までに完成をさせたい、このように思っております。

 そのときに、さらに大きな並行在来線との問題が起きますし、また、JR貨物との関係というものを生じますので、問題の先送りはせずに、また微修正、微修正を重ねるというようなその場しのぎの対応をせずに、根本的にどうすればいいのかといった議論をしっかりさせていただき、また、御地元にも提起をさせていただきたい、御地元にも相談をさせていただきながらまとめていきたい、こんなふうに考えております。

畑分科員 御答弁ありがとうございます。

 鉄道輸送というのは単にIGR一つの問題ではありませんで、いろいろ、これからの課題だと思います。

 と申しますのは、まず、鳩山内閣では、地球温暖化対策の観点から二五%CO2削減を目指しております。その中で、モーダルシフトの推進も含めて、鉄道貨物の輸送が大変ポイントになると私は思います。そういう意味で、全国一元的な鉄道輸送の確保が大変重要である。これから経営基盤の厳しい三セクが破綻するようなことがあっては、恐らくそこの部分が切れてしまう。全国一元化の部分に非常に支障が生じる、大変なことになると思うので、これは、財源あるいはコスト論等もございますが、あと、地方とJR、国がどこまで見るかという大きな議論がありますが、そこの部分も御配慮いただいて、よしなに御検討いただければと思います。これはもちろん今後の、IGRに限らない、全体の課題になってまいります。いろいろ並行在来線を分けてまいりますので。

 そして、もう一つ申し上げたいと思っておりますのは、一義的な経営主体、所有者はどこかという議論から、今、官僚的な整理がなされていると私は思っております。そうではなくて、JR貨物と三セクが実態としては共同資産のような形なわけです。共同運営、共同資産的なものではないか。そういう考え方、パラダイムの転換も含めて、そこをゼロベースで御議論いただければ幸いでございます。そのことをお願い申し上げまして、このIGR貨物使用料の問題については終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 次の課題でございます。

 これは、地方における公共交通維持のための支援ということでございます。

 この公共交通の維持について、端的には採算がやはり問われる。でありますから、地方は大変厳しい状況なわけでございます。この採算が問われるということは、公共交通についてはどうなのかなという思いを私は持っております。

 国民は、地方の人も含めて、厳しい地域の人も含めて、移動する権利を持っているわけでございます。そういう中で、建設費や維持費も含めて採算を求めることは大変無理があるというか、どうかなという思いを私は持っている次第でございます。低廉な公共サービスを提供しながらしっかり地方を支えていく、これが、これから、環境面においても、あるいはそういう国民の権利維持、保護の観点からも大変重要なことではないかと思います。

 ただ、残念ながら、国民の間あるいは日本において、採算をぶっちゃけ度外視してもいいというコンセンサスは今ないんだろうと思います。そこがちょっと議論の余地があると思います。

 今、交通基本法の議論をされているとお聞きしておりますけれども、まさに基本法というのは、このような国民の基本理念、これを定める法律だと思いますが、この交通基本法において、今のようなコンセンサスをどのようにとろうとしているのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

辻元副大臣 今御指摘がありました、公共交通をいかに維持し発展させていくか、活性化していくかというのは、私は、今の日本にとっての一つの大きな課題だというように考えております。

 そういう観点に立って、今、交通基本法という、いわゆるあらゆる人が移動する権利というものがあるだろうという観点から、それを保障するために国としてはどんなことをしなければいけないのか、さらには、今の公共交通の問題点はどこにあるのかということを洗い直して見直していこうというような作業を進めております。

 といいますのも、おっしゃいましたように、一つは、環境の観点、エコの観点からも、鉄道やバス、それから内航船舶や、環境負荷が少ない公共交通へのシフトが必要だと思います。さらには、高齢化社会を迎えるときに、自動車を運転できない高齢者の方もいらっしゃるわけです。そして、自動車は自動車で役割はあるわけですけれども、今、通勤に四割がマイカーを使っているという統計もあるんですよ。ここから出るCO2だけで三千万トンと言われているんですね。環境、それから高齢化の側面から見ましても、バリアフリーも必要ですし、公共交通の見直しが必要だというように考えております。

 そのためには、このコンセンサスづくり。一つは、それぞれの地域によって事情が違います。岩手県でしたら岩手県、私が住んでいる大阪ですと大阪、それぞれの地域の事情に合った形で、地方分権といいますか、これも地域の方々にお決めいただけるような、そういうシステム組みかえみたいなものも必要だと思っています。

 交通基本法をつくるに当たっての今の議論も、今まででしたら、鉄道やバスや業者の皆さんと、それから官庁を中心に議論を進めてきたと思いますけれども、そうではなくて、その方々だけではなくて、高齢者の介護をされている方や環境的な側面でいろいろな活動をされている方々や、さらには、きのうは離島航路のお話もございましたけれども、離島の航路を実際運営されている方々などもお招きして、今議論を進めております。

 それぞれの地域で今、公共交通を守ろうという声は少しずつ広がってきておりまして、国交省としても、例えばバスを維持するに当たっては、業者の皆さんや自治体の皆さんや、そして住民の皆さんのお声も聞きながらの協議会をそれぞれの地域につくって、それぞれの地域の事情に合ったバスの運行の仕方を決めていただいたり、そういうところに予算もつけております。ですから、きめ細かな対応をしてまいりたい。

 最後になりますけれども、今、ある新聞で連載が始まったんですね。「あなたの安心」という連載なんですよ。今これは、地域の足を確保せよとか、自発性と環境の観点をとか、欠かせない住民側の視点とか、そういう観点から、公共交通をいかに守るかという観点でのこういう意識も広がってきているのではないかと思っておりますので、ぜひお力をかりていいものをつくりたいと思います。

畑分科員 心強い答弁、ありがとうございました。公共交通、コンセンサスを得ながら、さらに、国としてしっかりとした財政援助も含めた支援も必要だろうと思っております。

 そこで、欧米では公共交通の料金水準はかなり安いわけでございます。なぜかというと、運営費の補助が欧米ではかなり入っている。これは何も中央政府からだけではありません。中央政府、地方政府、まあ州政府、あるいは公共団体合わせた三者の補助ということで入っております。日本でありますと補助率が二割に満たないようであります。ただ、欧米だと三割ある、大きいところだと七割ぐらいのところもございます。こういうことによってしっかりと補助をしている。そこがやはり採算性を求め過ぎる日本との違い、公共で支えていこうという姿勢があるんだろうなと思っております。

 公共交通の使いでをよくするためには、まず、定期的に一定程度の本数が来ること。田舎だと、一時間に一本どころではありません。二、三時間に一本なり、半日に一本ということもありますが、それでは使いにくい。私は、一時間に一本、本当は、できれば三十分に一本ぐらいだと人間が待つぐらいの気持ちになれる本数だと思いますが、それぐらいの定時性が確保されること。そして、もちろん料金が低廉であること。そして、正確な運行がされていること。恐らく、この三つが非常に重要なファクターになるんだろうと思います。

 こういうことを維持するためには、やはり相当程度公共からの支援が必要であろう、そういうふうに思っております。もちろん、財源は大変厳しいのは私も承知しております。

 これはいろいろ、案というか考え方があると思います。例えば、これは私の私案ですけれども、石油税等の暫定税率、これは年間約一・四兆ございますけれども、もちろん一般財源だから何に使ってもいいわけでございますが、道路だけに使うのではない。もちろん、道路だけにはもう使わない、それは議論ありますが。かといって、社会保障を含めて余りにも広げ過ぎるのも一足飛びである。いわゆる交通的な部分に広げて、交通部門でもかなり支える必要があるし、困っているところもあるわけですから、こういう交通政策、公共政策、地域交通を支える、こういうところの財源に使うことも含めて考えれば、財源も出る余地があるんじゃないかなという気も私個人はしておりますが。これは答弁を求めません、さておいておいて、私の私案です。

 いずれにいたしましても、国としては、こういう交通条件の厳しい地域に対して、住民が安全かつ快適に移動できるように、公共施設の整備、そして移動サービスの提供に対する支援が必要だと思いますが、現状と今後をどうお考えになっているか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

前原国務大臣 運用の改善でできるものは、実際に運用の改善をしっかりしていただくということが大事だと思います。

 私の選挙区でも、限界集落で、スクールバスはあったんですけれども、そのスクールバスが、いわゆる教育委員会の管轄で、デイサービスに行かれる、あるいは病院に行くお年寄りの方の運搬に使えなかったのを、そういった縦割りをやめて運営できるようにしたということで大変喜ばれているところもございますし、自治体の創意工夫によって運用改善できるものはしていただくということが大事だと思います。

 国としましては、先ほど辻元副大臣が答弁をいたしましたように、まずは交通基本法というものをつくって、そして今、百九十三億という予算、これで果たして十分なのかということと、中身の使い道についても抜本的に検証するという作業が大事だと思います。

 それから、今回、二・二兆円の社会資本整備総合交付金というものをつくらせていただきまして、地方自治体が使い勝手のいいものにいたしましたけれども、これも実は、こういう地域交通というものに使っていただく面もございます。

 したがいまして、まずは、もちろん現在の仕組みをより地域にしっかりと啓蒙し、優先順位をつけてやっていただくと同時に、さらに、今後、高齢化、環境問題、委員が御指摘をされた点が非常に大事になってきますので、地域交通の維持、そして移動の権利の確保のために努力をしていきたいと考えております。

畑分科員 ありがとうございました。

 これはもうみんなで、単に地方は支援してくれと言うのではなくて、みんなで支え合う、その中で、足らざればまた考えなきゃいかぬ、そういうことで、お互い知恵を絞っていく話だと思います。これは地方も頑張ってまいります。また、国としても、ぜひ御指導、御支援をお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、地方における建設業構造改善対策というのをお伺いしたいと思います。

 公共事業費が減るというのは、これはやむを得ないと思います。これはもう時代の趨勢であります。ただ、今議論がちょっと欠けていると思いますのは、実際、公共事業が減った場合に、建設業の転換が必要であります。このまま建設業をやるわけにはいかない。かなり過剰な状況であります。そこを国がどう支援するか、支援というかどういうビジョンを描くかということだと思います。

 それで、そこのところの道筋が明確でないといいますか、もちろん、新規産業なり、森林なり、あるいは農業なり、そういうところを変えていこうという議論はあります。問題は、それを具体的にどのように支援していくか、どのように地方の建設業を助けていくかということだと思います。地方の建設業のおじさんに農業をやれと言っても、あるいは観光をやれと言ってもすぐには難しくて、そこのところはやはりきめ細かい支援が必要なんだろうと思っております。

 建設業から新分野への転換については、私、事務方から聞きましたところ、昨年度までですか、建設業と地域の元気回復助成事業というのがあって、二十一年度の一次補正、二次補正で合計三十五億もついたそうで、すごいなと思って聞いたら、平成二十二年度は事業仕分けで要求見送りになったようでございます。これは一件当たりの額が数百万程度の少額補助金であって、こういうものについて国がやるのはどうだろうと効果が疑問視されたというのが正直なところのようであります。これを続けろということではありませんが、このような地域の不安を解消するためのきめの細かい政策は必要なんだろうなと私は思っております。

 私が必要だと思っているのは、特に異業種に関しては、ノウハウや販路開拓とかマーケティング能力を持ったようなコーディネーターの存在が必要だと思っております。そういう人が建設業を助けていくというか相談できるような、そういう仕組みをつくっていく。そうであれば、今、その育成に対する支援が十分ではないなと具体的には思っております。そして、その支援こそが必要ではないか。

 もちろん、本当は一番ベストなのは、業務の同質性が高いところの転換をまず優先した方がスムーズにいくと思います。農業とかは難しいのであって、これから維持修繕がふえてくる、維持修繕に対する活用とか、あるいは環境関連、廃棄物関連産業とか森林も含めて、近いところだと思っております。

 そういうことも含めまして、建設業の転換支援について御所見を伺いたいと思います。

長安大臣政務官 畑委員の御質問にお答え申し上げます。

 建設業の事業転換をスムーズにできるように応援していくというのは、これはもう重要な観点でございます。まさに御指摘のとおりであります。

 御存じのように、地方におきまして、そういった建設業の方々が事業の転換を図られることは、まず相談できる窓口を設置しなければならないということで、建設業総合相談受付窓口というものを設けさせていただいております。そこにまずは御相談をいただいて、ここはワンストップサービスを提供しておりまして、今、畑先生が御指摘されましたようなアドバイザー、これは中小企業診断士のような方々をアドバイザーとして経営支援を行っておるところでございます。

 そういった中で、省エネ、耐震、維持管理の新しい分野の開拓、また農林業、観光といった分野に挑戦しようとされる方々の支援は続けていかないといけないのと同時に、今申し上げた、こういったアドバイザーの方々の育成も進めていかなければならないと思っております。これからもそういった活動に取り組んでまいる所存でございます。

 今後とも、関係省庁と各分野で連携をしながら、成長分野展開を支援してまいりたいと考えております。

畑分科員 きょうは、答弁、本当にありがとうございました。地域の不安もまたしっかり支えていただけるよう、しっかり御検討をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀主査 これにて畑浩治君の質疑は終了しました。

 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)分科員 おはようございます。公明党の遠藤乙彦でございます。

 前原大臣、中井大臣ほか政務三役の方、また委員長、大変御苦労さまでございます。なかなか予算委員会で激しい議論が続いておりますし、また昨夜も大変遅くまで御苦労さまでございました。

 私は、皆様お疲れのところでしょうけれども、少し建設的な方向で、観光振興の問題を取り上げたいと思っております。

 御承知のように、今、日本は、バブル崩壊後、大変な厳しい状況にありまして、失われた二十年ということになっております。また、少子高齢化が進行いたしまして、特に地方にとっては、いかに地域の活性化をするかが、最も困難であり、最も重要なテーマであるかと思っております。特に、経済成長戦略をどう今後構築するかが、今後日本が持続可能な先進国としてやっていけるかどうかの死命を制する問題だと思っております。

 特に、そういった意味で、私は、地方にとっては農業と観光が車の両輪であって、この二つを、本当に可能性を引き出すことがこれからの日本の将来を決める最も重要なテーマだと思っておりまして、そういった意味で、観光振興も大変重要なテーマであると思っております。

 そこで、きょうは、観光振興ということでぜひ議論をしたいと思っているところでございます。

 観光の場合、私も大変個人的に力を入れてきております。古賀委員長とも日中新世紀会という超党派のグループをつくりまして、ずっと日中間の交流に携わってきております。青少年交流や文化交流、特に最近では観光交流にも非常に力を入れておりまして、大きな成果を上げているかと思っております。そんなことも踏まえまして議論をさせていただければと思っております。

 特に、観光の場合には、これは大きな財政出動も必要ありませんし、知恵とアイデアで勝負というところがありまして、ある意味では非常に手っ取り早く結果が出せる、逆に知恵がなければ全然効果が出ないということになりまして、そういった意味で、最も成長戦略の核としてこれから取り組むべきテーマだと思っております。

 私は、これからのそういった新しい経済成長戦略に取り組むに当たって、大きな財政出動が余り期待できないわけであって、これからは、マーケティングそれからイノベーションとブランド化、このことに特に重点を置いた知恵の勝負、これによっていかに可能性を引き出していくか、余り予算をかけずに大きな成果を出すかということがありまして、その意味では観光はその最も最右翼に位置するものであって、したがって、特にこれが今後の日本の大きな経済成長戦略を引き出すリーディング産業になり得ると思っているところでございます。前原大臣も大変意欲的に取り組んでおられることは心強く思っておりまして、ぜひ私も応援をしていきたいと思っているところでございます。

 そこで、まずVJCの問題です。

 これは二〇〇三年以降、前政権からも取り組んできたわけで、一定の成果を上げてまいりました。特に、二〇一〇年までに一千万ということで倍増を目指してきたわけですけれども、当初、非常に調子よくスタートしたんですが、リーマン・ショックとか急激な円高、あるいはまた新型インフルエンザ等さまざまな悪条件に見舞われまして、もう失速をしてしまって、多分七百万を超せないという状況になってしまいました。

 そんな中で、また今、前原大臣は大変意欲的にこの目標を見直して、大きく、将来三千万というところまで出されておるわけであります。その意欲は非常に高く買うわけですけれども、問題は、具体的な施策、戦略が明確にその中にあるのかということでございまして、そこら辺を伺っていきたいと思っております。

 こういう厳しい状況で失速ぎみにもかかわらず、今回大きく目標を見直していった、その考え方、将来、具体的にどのような戦略、手当てをしていくか、そこら辺につきましてまずお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 遠藤委員にお答えをいたします。

 遠藤委員が今まで観光問題に一生懸命取り組んでこられたことに、心から敬意を表したいと思います。

 先ほどおっしゃったことは、全く我々の問題意識と同じであります。財政出動がこれからなかなか見込めない中で、何を成長戦略の核に置いていくのかということを考えた場合、この観光というのは極めて潜在力の大きい分野だと私は思っております。

 先ほど委員が御指摘をされましたように、昨年の日本への外客、訪日数は、六百七十九万人ということで、減りました。日本から海外に行く方は一千五百万人ということで、倍以上の差があいているわけであります。

 仮に、日本で景気対策をして減税をする、あるいはお金を渡しても、海外に行ってお金を使われれば、日本の景気にはダイレクトにはきいてこないということであります。ただ、日本の方が海外に行くなということは言えませんので、いかに海外から日本に来ていただくかということを推進していかなければなりません。

 私は、ヨーロッパはEUという共同体でありますけれども、六千万人ぐらいの人口のフランスに年間七千万人ぐらいの方が来ているということを考えると、これだけ人口の多い中国あるいは発展のアジア、こういった近隣国を抱えていながら六百七十九万人というのは余りにも少な過ぎるということで、目標を大きく設定させていただいたところでございます。

 まずは一千万人というところで、その大きなポイントは、やはり中国、韓国、香港それから台湾、こういったところにまずはターゲットを絞って、もちろん世界全体でマーケティングはしていきますけれども、そこのインバウンドをふやしていくということをやっていきたいと思っております。

 具体的には、今、観光で訪日をされたいという中国の方々は例えば所得制限というものがございますけれども、この所得制限について見直していくとか、あるいは銀聯カードというのがありますけれども、これを日本でより使えるようにしていく。あるいは、これは防衛省さんの御協力でもう実現をいたしましたけれども、今北海道がブームでございまして、何か映画をやって、知床や阿寒湖が極めて人気があるということでありますけれども、新千歳空港の発着枠をかなり大きくふやしたりということで、今も具体的な施策に取りかかっているところであります。

 十三億の民がいて、そして一割が富裕層。ということは、日本と同じぐらいの人口の富裕層がいるのに百万人ちょっとしか来ていないということで、やはりこういったアジアの近隣諸国の富裕層をターゲットにしたマーケティングを、まずはプロモーションもしっかりやる中で行っていくということで、目標達成に向けての努力をしていきたいと考えております。

遠藤(乙)分科員 私も、基本的には前原大臣と同じような認識を持っております。特に中国が一番のポイントだろうというふうに考えておりまして、中国からのインバウンドを特に重視しているわけであります。

 私も取り組んできて、いろいろ国土交通省さんと、支援をいただいて、地方連携事業ということで、一般観光、修学旅行それからアニメ交流という三つを三年次にわたってやりまして、所定の効果を得たわけであります。

 やってきて感じたことの一つは、中国は膨大な潜在力を持っているということですね。おっしゃるように、中国は二〇〇九年だけで何と四千四百万人が海外に出ている。ただ、メーンが香港、マカオ、東南アジアということでありまして、日本は御承知のように二%ちょっと、百万人であります。ただ、これが二〇二〇年には一億ということで、これも間違いなく達成するわけであります。そうしますと、直観的に考えれば、その一割、一千万人は十分可能性があると私は思っておりまして、本気で取り組めば必ずそこにまで到達できるというふうに確信をしております。

 ただ、やってみて、いろいろな問題があることも今大臣が御指摘のとおりでございまして、中国自体にもいろいろな制約があります。他方、日本側にも、私が取り組んでみて一番大きなネックは、やはり日本各地、程度の差はあれ、どうしても意識が内向き、下向き、後ろ向きといいますか、地域によっては非常に進取の気性の強い県もあれば、非常にそこら辺が、純日本的といいますか、内向き、下向き、後ろ向きが強いところ、特に行政が非常にそういった面が強かったり、それから一般の業界も非常に人任せで、国がやってくれれば自分たちも乗るみたいなところがあるんです。自分たちが積極的に開拓しよう、そういった志向性はないわけであって、そこら辺の意識の構造改革をやることが一番大事じゃないかと思うところでございます。

 そんな意味で、これは単純に民間主導といってもなかなかうまくいかないというのが私の率直な感想でありまして、やはりそこは国やあるいは国に準ずる機関が本格的にリードしていく必要があると思っております。

 これはトインビー博士という歴史学者の言葉でありますが、今まで科学技術は驚くほどの創造性を発揮してきた、そして人類の生活に役立ってきた、ところが、政治、行政は驚くほど創造性を発揮してこなかった、むしろこれからは政治、行政が本当に創造性を発揮しなければならない時代であると。私は、これは大変至言であると思っております。

 そういった意味で、政治、行政がそういう主導権をとってしっかりとイニシアチブを発揮する、それが私は本当の意味の政治主導であると思っておりまして、政務三役が単純に官僚化して、電卓をたたいてやるということではない、いかにそういう大きな知恵といいますかリーダーシップを発揮するか、イノベーションをリードするかということだと思っております。

 そこで、特に今まで日本は、官僚の枠が縦割りで、どうしても視野が非常に限定されていた、また課長さんなんかも二年ぐらいでかわってしまうので、どうしても視野が短期的になってしまって、そういう視野の狭隘さ、それから時間的視野の狭さが、結局、限りない可能性を引き出す一番のネックになってきたというわけであります。それを乗り越えて、幅広い視野、長期的な視野に立っていろいろな可能性を引き出す、これこそ本当の意味の政治主導ではないかと考えているところでありまして、そういった意味で、ぜひ前原大臣のリーダーシップを特に期待しているところでございます。

 そこで、VJCにおける観光庁やJNTOあるいは省庁間連携をどのように進めていくかといったことにつきまして、御意見を賜りたいと思っております。

前原国務大臣 遠藤委員の御指摘はすべて、私はうなずいて聞かせていただきました。

 日本の観光の大事なところというのは、もちろん豊かな自然、そして文化、芸術、歴史、こういったものがベースにあるわけでありますけれども、根本はおもてなしの心だと思うんですね。おもてなしの心がなければ、例えば一回海外から日本に来てもらっても、嫌な思いをしたり、あるいはそういった繊細さが感じられなかったら二度と来ないということで、潜在的な市場を逃がしてしまう可能性がある。

 したがって、私は、数はふやしていきたいと思っていますけれども、大事なことは、焦らずに一歩一歩、日本の人材も育成をしながら、そういうおもてなしの気持ちというものを大切にする人を育てながら、いかに観光産業というものをメジャー化していくのかということが大事だと思っております。

 その意味におきましては、さまざまな組織というものの見直しも私は必要だと思っておりますし、あと大事なことはやはり言葉ですよね。我々も、海外に行って、自国の言葉、つまりは日本語がなかなか通じない、しかしホテルに行って例えば衛星放送でNHKが映ればほっとするというのがありますけれども、今、例えばそういったホテル、旅館などで、中国語の放送が見られるところがなかなかない。そういった気配り、おもてなしの感覚というものがまだまだ業界にも欠けていて、観光振興という総論は言うんですけれども、では、それを広めていくための取り組みというのが具体的になされていない。

 そこで、先ほど委員がおっしゃった省庁連携のお話でありますが、私を本部長にし、また辻元副大臣が事務局長になっていただき、他省の副大臣が構成をする観光立国推進本部というものをつくっております。きょうは中井大臣にもお越しをいただいておりますけれども、治安の面であると中井大臣のところ、あるいは他省庁にまたがるような省庁連携、例えばメディカルツーリズムだったら厚生労働省、あるいは休日の平準化をやっていこうと思ったら文科省とか、そういった他省庁連携というのがこれは物すごく大事になります。入管だったら法務省、そして在外公館、ビザの発行だったら外務省。

 全役所で協力をしていただくということで、年末に発表した成長戦略の基本計画にも書かせていただいておりますので、縦割りを廃して、全省庁一丸となって観光立国にさらに踏み込むための努力をしていきたい、このように考えております。

遠藤(乙)分科員 観光を所管される前原大臣が大変正鵠を得たそういう信念を持っておられる、私も大変安心をした次第でございまして、ぜひその方向で取り組んでいただきたいと思っております。

 省庁間連携は大変重要でありまして、そういう壁を取っ払っていろいろなシステム化をしていくことが、実際に飛躍的な可能性を引き出すと思っております。

 特に今回、今成功している例として私が評価しているのは北海道。中国のいわゆる婚活の映画ですか、大変これがヒットしました。ただ、これは日本側の努力というよりも、たまたま中国側がやったもので一気に、「冬のソナタ」と同じような影響で、効果があったわけであります。それを踏まえて、防衛省との間で新千歳空港の離発着、特に外国の離発着のことが規制緩和されたことは非常によかったと思っております。

 逆の問題は、例のメディアの殿堂、これがちょっと、民主党さんの認識では漫画喫茶みたいな認識で、予算がストップされてしまったわけでございまして、これは私は大変残念に思っております。

 実は、今、アニメというのは日本で最も競争力のある分野であって、これから日本は、IT時代といっても、賃金からいっても、IT技術者もインドや中国にかなうわけありません。やはりコンテンツ産業、その創造性で勝負ということであって、いかに若いクリエーターをたくさん育てるか。

 実は、これは日本が一番競争力のある分野であるとともに、また観光という面から見ると、今、世界的に日本のアニメが大変もてはやされることは御承知のとおりで、中国でも、御多分に漏れず、特に若い層に大変な人気があるわけであります。私ども、実はアニメ交流を日中間でやっておりましたが、大変な反響、しかもすそ野が広いわけでありまして、逆に、アニメの殿堂をつくることによってこれが大変な観光ポイントになる。

 間違いなくこれは大きな可能性を秘めておりますので、漫画喫茶といった程度の認識ではなくて、コンテンツ産業の一番重要な核という認識を持って見直していただければ必ずや大きな活路が開けるものと思っておりますので、ぜひとも、前原大臣、もう一度大胆な提言をしていただいて、アニメの殿堂を復活していただきたいと強く要望するものでございます。

 実際にやっていますと、中国の若い人にとって、例えばどこに一番行きたいかと聞きますと、警視庁という答えが返ってくるんですね。どういうことかといいますと、「名探偵コナン」という日本のアニメ、コナンのお父さんが警視庁に勤務しているという位置づけになっておりまして、それで警視庁が一番人気のスポットになっているということで、私も警視庁への案内をアレンジしたことがありますし、意外なところが実は大変に人気スポットになっております。

 日本に対する理解を深めるためにも、またこれから、例えば中国では八〇年代以降あるいは九〇年代以降に生まれた人たちが最大のポイントだと言われておりまして、そこら辺のニーズを掘り起こして、それに照準を合わせた対策を打つことは大きな可能性を秘めております。そういった意味で、アニメに対してぜひ認識を持っていただいて、お願いしたい。

 それからまた、長春というところに昨年十月に行ってまいりました。中国では、アメリカのハリウッド、それからインドのムンバイ、それと長春が世界三大の映画産業の基地でありまして、特に今、アニメに大変な力を入れております。長春動画学院というところがありまして、何と七千人の学生を集めて教育をしております。温家宝首相が視察に来るといったことで、大変な国家戦略としてアニメをやっておりまして、とてもこれは、日本はあっという間に追い越されるなという認識を持った次第であります。

 そういう意味で、ぜひアニメというものをもう少し見直していただきたいということが私の強い期待でございます。

 とともに、今、いろいろ中国の問題がありますけれども、特にビザの問題、さまざまな規制がまだかかっております。やっとここに来て、団体観光旅行が全土にもう既に広がっておりますし、個人観光ビザも昨年七月からとりあえず試験的に解禁になりました。ことしの七月から全土にこれがまた広がるということで、大変これは私は期待をしておりますけれども、この点に絞ってまずお話を聞きたいと思っております。

 まず、昨年七月、個人観光ビザが一応解禁になりましたが、今日まで発給数がどれくらいになっているか、これは外務省にお聞きしたいと思います。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 済みません、ちょっと通告をいただいていなかったので正確な数字は今お答えできませんが、半年間で約八千ではないかと承知しております。

遠藤(乙)分科員 八千ということで、これはちょっと少ないかなという感じもいたします。四千四百万出ているうちの八千ですから、日本に百万人来ていて八千ですので、ちょっと少ないかなという感じもします。

 やはり基本的には、個人観光ビザを極力規制緩和することがこれからの中国からのインバウンドをふやす最大のポイントだと私は思っておりまして、関係省庁間で、いろいろな課題は多々あるということは認識をしておりますが、ぜひともこれは強力に取り組んで規制緩和を進めていただきたい。

 特に、中国側から見ますと、地域で限定する、所得で限定する、これは最も彼らにとっては自尊心を害されることであって、自分たちは歓迎されていないのか、そういう意識を持つことでありまして、最大の心理的な制約要因になっていることは間違いないわけであって、いかにこれを規制緩和するかが大きなポイントだと思っております。

 確かに、どんなことでもリスクはあります。リスクに対して備えることは当然ですけれども、その半面、膨大なチャンスをそれによって逸することはまことにおろかでありまして、リスクはきちっと見詰めてコントロールしなければなりませんが、最大限にチャンスを生かすためにどうするか、そういう発想で取り組んでいただきたいと思っております。その意味で、ぜひともこの七月には本格的な規制緩和をお願いしたいと思っております。

 そこで、これは外務省に、まず基本的な考え方をお聞きしたいと思っております。

西村大臣政務官 外務省としては、ビザの取得要件については今検討中でございますけれども、中国人観光客の増加によってお互いに両国の間の理解増進が進むということは、大変喜ばしい有意義なことだと考えております。

 昨年末に鳩山内閣が閣議決定いたしました新成長戦略は、環境と健康とそして観光がキーワードでござますので、このことも踏まえて、今、ビザの取得要件の容易化については検討中でございます。

 昨年の七月から個人観光客については試験的に取得容易化を実施しておりますけれども、今後、中国人の観光客を増加させるためには、やはりこうしたビザの取得要件も必要になってくるだろう。しかし、それだけではやはり増加につながってまいりませんので、国内体制、観光地のアピールですとか、あるいは先ほどお話のありました語学の問題、こういったことについても同時にあわせて取り組んでいかなければならないことだと考えております。

遠藤(乙)分科員 中井大臣、大変お待たせしました。先輩に一言お願いをしたいと思います。警察庁の視点から、今後の規制緩和について、ぜひ御所見を賜りたいと思います。

中井国務大臣 長春生まれでございまして、楽しい話を、またいい話を聞かせていただきました。

 お話がありました省庁間の会議につきましては、前原大臣、辻元副大臣の指導のもとで、各省庁、副大臣が集まりまして、二回か三回既に会議が行われております。国家公安委員会は、副大臣、政務官がおりませんので、四月から政務官をつけていただけることになると聞いておりますが、そのときにはまたこの政務官が出ますが、今のところ次長が出席をいたしております。

 私のところへも参りまして、どうしましょうかということでございます。警察全体としましては、現行、来日される外国人の中で、中国人の犯罪検挙数、逮捕人員がやはり三割近くを占めて多い、また不法滞在においても二割ぐらいだ、こういうこともございまして、一遍に規制緩和ということについては、なかなか部内的に難しいところはございます。

 しかし、お話のございましたように、観光立国、そして前原大臣の強い御意思がございますので、各副大臣クラスで知恵を出して、おっしゃった個人の部門をふやしていくやり方、あり方があるんではないか。

 中国の方の来日の犯罪が多いといいましても、今試行的にやっています個人でお越しいただく要件をクリアした人たちは、だれ一人犯罪を犯していないというわけでございます。個々の要件をどういうふうに考えるかというのは、知恵があると思います。精いっぱい御趣旨に沿うように努力をしたいと申し上げておきます。

遠藤(乙)分科員 中井大臣、それでは、大変恐縮です、どうぞ次のところへ。ありがとうございました。

 中井大臣から大変心強いお話で、リスクはきちっとコントロールするとしても、チャンスを最大に引き出すにはどうするか、その面を忘れると、常に否定的なところばかりにいってしまいますと、特に観光についてはこの点が最大のポイントだと思っておりますので、ぜひとも、前原大臣、この辺は強力に、チャンスを最大に引き出すという視点から、各省庁間の連携を極力お願いしたいと思っております。

 それからあと、地方空港の活用ですね。私は特に、ビザの規制緩和とともに、この地方空港をいかにうまく活用していくかが大きな地域活性化のポイントだと思っております。今、地方空港はそれぞれ、赤字路線がほとんどでありまして、大変厳しい状況にありますが、この国際観光をしっかりと活用することを通じて空港の収支も改善できるであろうし地域の活性化にもつながりますので、この点についてもぜひともお願いしたい。

 例えば、私の地元が栃木県、北関東でありますので、福島空港とか茨城空港なんかも、ぜひこれをうまくVJCとも組み合わせて活用をお願いしたいと思っておりまして、これについての現状と課題についてお聞かせをいただければと思っております。

長安大臣政務官 遠藤委員の御質問にお答えいたします。

 これは地方空港だけではございませんけれども、平成二十年のあのリーマン・ショックから利用客が減っているという厳しい状況にあるというのは、御指摘のとおりであります。

 そういう中にあって、各地方空港が知恵を絞って、利用促進活動を通じて利用客をふやそうという取り組みをされておる現状でございます。地方空港にとってみれば、当然、地域の方に利用していただくということも重要ですけれども、いかに多くの方々を外から呼び込むかということも重要になってくるわけで、そういう意味では、地方の空港が知恵を絞っていただいて、さまざまな促進策を講じていただくということが地方空港の活性化のために一番の近道ではないかなと考えております。

遠藤(乙)分科員 ぜひともそういう視点でバックアップをお願いしたいと思います。

 そこで、ニューツーリズムにつきましてお聞きしたいと思っております。

 観光というと、今まで、名所旧跡とか、いわゆる従来型の観光地という発想が主流でありましたけれども、日本の地方を見ると、例えばグリーンツーリズムとかあるいはヘルスツーリズムの大変な可能性を秘めております。今までいわゆる観光地じゃないところほど逆にそういったすばらしい自然が残っていたり、さまざまな活用が可能でありまして、これも大いに今後可能性を探究すべきだと思っております。特に今、メディカルツーリズムにつきまして、既にワーキンググループ等で検討が始まっていると思います。

 これは韓国とかシンガポールが先行しているようでありますが、単に検査技術だけではなくて、むしろ日本のすばらしい自然を生かして、健康改善、増進のためのプログラムということも大いにあり得るわけであって、特に、最近は世界的に生活習慣病が大きな問題であるし、これはいわゆる食生活、運動習慣それからストレスコントロール、こういったことがきちっとできれば大幅に改善できる話でもあって、逆にそういう目で見ると、日本の地方というのは大変な可能性があります。新鮮な食材を使ったヘルシーな食事、それから森林浴とかウオーキング等を含めた、いい環境の中でのそういったこと、それから温泉療法等、大変な可能性を秘めているわけであります。

 さらに、ほかの国がやっているいわゆるメディカルツーリズムを超えた、より付加価値の高いものをやる。一週間真剣に集中プログラムをやれば正常値に下がるみたいなことも可能なんですね。そんなことをやって何度もリピーターで来てもらうというような発想を持てば、これまた、ただの田舎も非常にすばらしい可能性を持つわけであります。

 そういう付加価値をつけるような、創造性を持ったニューツーリズムの開拓にぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。その点につきましても、これは大臣の御所見、決意をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 先ほど申し上げましたように、観光というもので三本柱を挙げております。一つは、先ほどのインバウンドをどうふやすかということ。二つ目は、ゴールデンウイークやシルバーウイークに観光客が集中しますので、そういう意味では、休日の分散化による観光需要の平準化というものをやっていきたいと思っております。そして三つ目は、今委員が御指摘をされました、省庁間連携のさまざまなツーリズムというものをこれから開拓していくということで、グリーンツーリズム、メディカルツーリズムというものをしっかりとやっていきたいと思います。今、辻元副大臣のもとで具体的な計画を立てていただいております。

 先ほど委員がおっしゃりたかったのは、昔で言うと湯治ですよね。湯治に食事療法とかあるいは運動機能を付加したさまざまな形での健康というものを日本の自然を生かしてやっていくことはすばらしいことでありますし、先ほど長安政務官がお答えをしましたように、羽田をハブ空港化していくということと同時に、これから機材が小型化をされていきますので、ポイント・ツー・ポイントという形での地方空港の利用、ダイレクトにアジアの空港をつないでいくということもあわせて、国土交通政策として総合的に努力をしていきたいと考えております。

遠藤(乙)分科員 時間が来ましたので終わりますが、この観光振興の問題は党派を超えて知恵を絞る話でありまして、ぜひとも、そういった意味で私も全力で支援したいし、また私どもはさまざまな提言をしていきたいと思っておりますので、どうか今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀主査 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部分科員 社会民主党・市民連合の服部良一です。

 国土交通省におかれましては、特に今、不要不急の公共事業の抜本的な見直しということで精力的に頑張っておられるということで、心から敬意を表したいと思います。きょうは、空港の問題等々、いろいろ議論をさせていただきたいというふうに思います。

 お手元に今、石垣新空港の整備計画というか、建設現場で発見をされました二万年前の人骨の記事、これをちょっと配付させていただきました。

 この新石垣空港は、もともと、海の埋め立てで貴重なアオサンゴが発見をされまして、国際的な環境団体からも非常に注目を浴びて、そして陸上の方に建設場所が移ったという経過もあるわけですけれども、今回、旧石器時代のものとされる人骨が発見をされ、これが、今までの発見から約六千年さかのぼるということで、大変貴重な発見ということで、地元では大々的に報道がされているわけです。

 この遺跡の価値評価、並びに保全の必要性、あるいは現在進行している計画との関連をどのように認識されているのか、大臣の方からの御所見をお聞きしたいと思います。

    〔主査退席、若泉主査代理着席〕

前原国務大臣 服部委員にお答えをいたします。

 委員が御指摘をされましたように、新石垣空港の建設に伴い、洞窟の発掘を平成十九年から実施したところ、人骨、獣骨等を発見いたしました。人骨につきましては、放射性炭素年代測定を行いましたところ、今回、三点において、一万五千年から二万年前、この方法で測定された人骨としては日本最古のものと判明をいたしまして、今後、沖縄県は洞窟の発掘調査を行う考えであると承知をしております。

 これまでの専門家の方々の調査などによりますと、当該洞窟は、人が居住していた遺跡ではなく、遺物が流れ込んだものであると聞いております。

 委員も御承知だと思いますけれども、その場所については、もともと沖縄県が浸透池の場所として考えていたところでございまして、もし現地保存の必要性が認められた場合におきましては、その浸透池の場所を変更するということも対応可能だということでございまして、工事の若干の変更で対応できるため、新石垣空港の供用には大きな影響はないものと理解をしております。

服部分科員 大変重要な発見だというふうに思いますので、工事ありきという形で進めてほしくないなという思いがあります。

 というのは、これはもともとNGOの方が発見をされて県の方に報告されているわけですけれども、もう既に発見から一年以上たっていて、非常に、何でそこまで発表が遅くなったのかという疑問を若干持っているわけですね。ですから、あくまで工事の進捗に邪魔になるという発想では、これはやはり問題だというふうに思いますので、十分対応をお願いしたい。

 この滑走路の建設現場の地下には多くの洞窟が存在しているというふうに言われておりまして、将来の陥没の可能性ということも一部指摘されていると聞いておるんですけれども、その点に対してはいかがでしょうか。

前原国務大臣 委員御指摘のとおり、新石垣空港建設予定地の地下には洞窟等が存在をしております。委員、これが洞窟の分布図でございまして、お持ちでございますか、後でお渡しをさせていただきたいと思います。

 そして、この洞窟を守るために、建設工法検討委員会というものをつくっていただきまして、どうするかということで、このように、洞窟の上にこういうコンクリートのカバーを設けて、崩落してこの洞窟が壊れないような、そういった工法ですべて対処して洞窟を守っていくということで、しっかりと対応させていただきたい、このように考えております。

服部分科員 ありがとうございます。

 洞窟が相当無数にあるとも聞いておりまして、こういう対策ができるところはいいんですけれども、そういう懸念も持っております。それから、洞窟が海の方まで続いておって、赤土なんかがずっと海の方に流れるんじゃないかというような懸念もされているというふうに聞いているわけです。そういうほかの未調査の洞窟もまだ存在するというふうにも聞いております。

 そもそも、この環境アセスでも、実は、これは「沖縄県のアセスは落第だ」という朝日新聞の社説なんですけれども、一回、〇五年の四月に、新石垣空港の環境アセスをめぐってその当時の環境大臣が苦言を呈するということもありました。

 いずれにしましても、公共工事の中でこういう問題が必ず出てくるケースがあるわけですけれども、私が言いたいのは、やはり環境に十分配慮してやってほしい。特に、まだ未調査の洞窟が存在するということであれば環境影響評価の一部やり直しということもあり得るんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

前原国務大臣 今委員が御指摘をされましたように、環境大臣から意見が出されております。新石垣空港整備に当たっての環境影響評価において、今後、新たに事業実施区域及びその周辺で洞窟が確認された場合は、既に確認されている洞窟と同様の調査を行うことということで、この環境大臣の意見に従ってしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

服部分科員 では、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、同じようなケースというか、若干違いますけれども、福山駅前の地下送迎場の建設工事で、まちづくり交付金の認可を受けている事業の中で福山城の外堀の遺構が出土して、文化庁も国の史跡級と認めているということであります。

 この文化財を守ろうということで、実は、市民の方が十一万名もの署名を提出されて、いろいろ地域で大きな議論がなされてきたというふうに聞いておるわけですけれども、この点に対する現状の認識というものはいかがでしょうか。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 今御指摘の福山駅の地下送迎場、ここをまちづくり交付金を活用して進めているということでございます。

 これは、都市再生整備計画、平成十八年三月に作成されたもので、この計画が国交省に提出されました。国交省では、平成十八年度より計画に基づく一連の事業として交付金を交付いたしました。

 そして、その後、調査過程におきまして外堀の遺構が出土したということで、保存や活用を求める声が高まった。このことを踏まえて、福山市が文化財の専門家を含む委員会の意見を取り入れて、遺構への影響を最小限とするよう計画を大幅に見直されました。中でも、特に貴重とされます舟入状遺構、これにつきましては、埋め戻し、保存ということで最大限の対応を講じたというふうに承知しております。

 また、見直された計画につきましてもなおかつまだ意見があるということも伺っておりますが、自治体の御判断で計画変更、そして十分な意見を聞いて見直しを図ったものというふうに認識をしております。これは委員も御承知かと思いますが、当初の計画から大幅に変更をして、遺構にかからないように最大限の配慮をした計画配置図ということも私の方でも確認もさせていただいておりまして、基本計画で見直したということでの自治体の判断、このように承知しております。

 以上でございます。

服部分科員 文化庁が史跡の価値を認めた、そういう事例でまちづくり交付金が交付されている、この辺は非常に悩ましい問題かもしれませんけれども、こういうことになりますと、本当に文化財保護法というのは機能しているのかというような議論にもなってくるわけですけれども、文科省の方に改めてお聞きします。

 こういう状況、あるいは先ほど石垣島の二万年前の人骨の問題、この辺に対する文化財保護という観点からの所見をちょっとお聞きしておきたいと思います。

中川副大臣 服部委員、熱心に文化財の保護について取り組んでいただいておりますこと、私からもお礼を申し上げたいというふうに思います。

 我々の立場は、価値あるものに対してはしっかり保存をしていく、そしてまたそれを将来に生かしていくということであるかと思います。

 しかし、法的には、やはり公共の福祉に関してもそれなりの配慮を払わなければならないということもありまして、その中で、その都度その都度最大限の努力をしていくことだというふうに思っています。

 今回の福山城跡の問題につきましても、実は、もともと史跡として指定されている範囲というのが、ひょっとしたらお手元に届いていないかもしれませんが、(資料を示す)こういうふうに赤線で区切られているところでありまして、駅から外に対しては、これは、遺跡ではあるんですけれども、史跡指定というものの範囲からちょっと外れているところなんですね。しかし、この問題が上がってきて改めて調査をしますと、お城が直接海と直結をしていて、今問題になっている、これは舟入状遺構というんですか、ここから直接舟が出入りをしていたという非常に価値のあるところだということであるものですから、そこで、同等の価値をやはり認めるべきだというふうな判断をいたしました。

 その結果、地元の方からも改めて、先ほどお話のあったように、さまざまな市民運動が盛り上がってきて、話し合いが始まって、できる限りの設計変更をしながら、残すところは残していこうというふうなことになってきたわけです。そういうプロセスというのを大切にしながらやっていきたいというふうに思います。

 飛行場についても、そういう意味では、沖縄県がもう一度調査をするということになっておりまして、その調査の結果を見ながら改めて判断をしていきたいというふうに思っております。

    〔若泉主査代理退席、主査着席〕

服部分科員 ありがとうございます。

 公共事業の中の見直しということが非常に議論になっているわけですけれども、そういう意味では丁寧な作業というものが当然必要になってくると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、地方空港の問題でちょっと御質問をいたします。

 静岡空港は、立ち木の伐採の問題、あるいは県知事さんがおやめになったりして、いろいろ物議を醸しました。私もそういう点で非常に関心を持っていたわけですが、静岡県がJALの福岡便に対して搭乗率七〇%というものを保証する、あるいは、最近、緊急対策としてJALに八千万円の補助金を出すというふうに伺っているわけですけれども、このようなケースというのはほかにもあるんでしょうか。

長安大臣政務官 服部委員の御質問にお答えいたします。

 今御指摘のございました静岡県の搭乗率保証ということにつきましては、搭乗率七〇%で保証を行うということでございます。また、本年の二月からは団体旅行者に対して一人五千円の割引等を行うという利用促進策を行っておりますことは承知しております。

 一方で、これ以外にも地方空港におきまして、例えば、但馬―伊丹路線について運航費補助であったりというのを兵庫県も行っておりますし、また、羽田―能登路線、これは有名でございますけれども、石川県が搭乗率保証を行っております。

服部分科員 こういう保証とか補助というのは特に競争妨害ということには当たらないというお考えなんでしょうか。他社に対してはどういう対応をされているんでしょうか。

長安大臣政務官 服部委員の御指摘されております競争妨害、例えば、一つの空港で、同じ路線を飛んでいまして、一方の航空会社だけに補助を行うという場合はそういった疑いが当然出てくるのかなと考えられます。

 しかしながら、御存じのように、福岡―静岡線というものはJAL一社しか飛んでおりませんので、これはあくまでも地域の取り組みとして、みずからの空港の活性化のためにとり行われている施策だと考えております。

服部分科員 ほかの路線も実は七〇%いっていないわけですね。他航空会社からも不満の意が出ておるともちょっと聞いておりますので、この辺は非常にいかがなものかなという思いもあるわけです。

 そもそも、この静岡空港は、開港してまだ一年ということなんですけれども、建設費に五百億ぐらいかかって、毎年二十億ぐらい返済をしなきゃいけない、あるいは毎年の赤字も八億ぐらいに上るというふうに言われていまして、これは、国としては認可しただけで、あとは経営は頑張ってよということになると思うんですけれども、本当に、この地方航空の実態というのは非常に厳しいものがあるなというふうに思うわけです。

 そういう意味で、JALの赤字の原因も、やはり国にも責任があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

前原国務大臣 先ほど長安大臣政務官がお答えをいたしましたように、同一路線で他社にしていないことをやれば問題はあろうかと思いますけれども、そうでない場合については、これは、むしろ地方の取り組みとして考えていただければというふうに私は思っております。

 航空行政について申し上げれば、私は、今、日本航空の再生をやられているわけでありますけれども、撤退をするところが出てくると思います。撤退をすることはこれから自由だ。今までは地方空港をたくさん空港整備特別会計でつくって、そして飛ばさせるというようなインセンティブが働いていた。でも、これからは航空会社には、参入も撤退も自由にやってもらう。そのかわり、撤退をする地域においては、三年ぐらいは国として何らかの協力というものを考えたいと思いますけれども、やはり地域がどうその路線を残すかということ、先ほどの観光の問題ともかかわりますけれども、やはり自助努力していただくということが大事なことなのではないかというふうに思っております。

服部分科員 自助努力してほしいんですけれども、赤字が雪だるま式にふえていくということだって可能性はあるわけで、地方にどう空港をつくっていくかというのは、これは、地元の要望があったからつくりましょうという話じゃなくて、やはり国の基本戦略の問題だというふうに思うんですね。

 そういう意味で、もちろん、先ほどの議論でもありました、観光産業をもっと活発化させて採算をよくしていこうということは当然追求していかなきゃいけないんですけれども、一方で、もう廃港にしてもいいんじゃないか、そういう議論もやはりあっていいんじゃないかなと思うんですね。これは、地球温暖化の観点からも、飛行機のCO2の排出量というのは非常に大きいものがありますし、ヨーロッパなんかではもう、鉄道産業をもう少し見直していこうと、例えば車より電車とか、いろいろ議論がされています。

 そういう意味で、空港の問題、例えばこの静岡空港も、もうこんな状態であれば、将来は、空港を閉鎖して太陽光発電の基地にしたらどうだというような市民の声まで上がっているというんですよ。ですから、やはりそういう意味では、地方空港、それは地方の責任だと言ってしまえばそれまでなんですけれども、しかし、そもそもの乗客の予想から大きく離れて、一体それを国としてもどういう基準で認可したのかという責任というのは、やはりついて回るわけです。

 その意味では、やはり空港を将来的には廃港して別の活用をしていくというような、そういう大胆な選択肢、そういう方向性、戦略、戦術といいますか、そういったこともあってもいいというふうに私は思うわけですけれども、その辺、大臣、所見をお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 先ほどお答えしましたように、地方空港の経営改善につきましては、各空港の設置管理者たる地方自治体が自主的に御判断をいただくということでございます。

 確かに今まで、採算計画を立てて、新たな空港をつくって、そして、今実態を見れば、全然その目標を達成していないというところは、委員御指摘のように、たくさんあります。それを無理に飛ばさせるということを強いてきたことが、一つの原因ではありますけれども、航空会社に経営上の大きな負担を負わせていたというのは間違いのないことだと思います。

 したがって、航空会社というものが、参入、撤退は自由でありますよということ。そして、先ほどの静岡のJALの福岡便の搭乗率保証のような話、これは自治体がみずから創造される仕組みであって、それについては自由です。まさに、地方自治、分権ということで自由ですということ。そして、先ほどおっしゃったように、我々も過渡期的にはお手伝いをしますけれども、仮に航空機が飛ばなくなったようなところにおいてどうするのかということについては、自治体が御判断をされるべきだと私は思います。

 太陽光発電についてお話がございました。全部太陽光発電のものにするというのは大胆な御意見だなと思って伺っておりましたけれども、今のところ、成田とか中部とか北九州とか、そういった十空港で太陽光発電の設置事例があって、そして、二十一年以降も導入予定があるということだけお伝えをしておきたいと思います。

服部分科員 次に、コンクリートの利用の問題について、ちょっと一点御質問をいたします。

 コンクリートから人へということで、コンクリート産業の方は、もうそう言うのをやめてくれ、子供がいじめられるというようなこともあるんですけれども、コンクリートも今非常に研究開発が進んでおりまして、経済性、耐久性、環境保全という立場から、アスファルト舗装よりも、ヒートアイランド現象解消には、むしろ、水や空気を通しやすい、保水性の高いポーラスコンクリートが有効だというような研究も非常に進んでおります。

 そういう意味で、いわゆる道路の舗装のあり方等についての、こういった今後の国交省の考え方とか、もしあればお聞かせいただきたいと思います。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 近年、ヒートアイランド現象によりまして都市部の路面温度が急激に上がっているという状況にあるのは、御指摘のとおりでございます。

 一方で、今まで道路の整備といいますと、ほとんどが、表面はアスファルトで舗装をされておりました。今御指摘のございましたポーラスコンクリートにつきましても、保水性とか遮熱性というような温度低下効果というものが認められているわけであります。現在、直轄国道におきましては四カ所で施工実績がございまして、そういった効果が確認されているという実績もございます。

 引き続き、こういった効果の把握に努めてまいりたいと考えております。

服部分科員 ありがとうございました。

 地耐圧の問題とかで若干まだ難点もあるやに聞いております。ですから、道路だけでなくて、港湾とか、あるいは余り圧力のかからない舗道とかいう形でいろいろ積極的に活用することによって、少しでもやはり住みやすい環境づくりということが可能ではないかなというふうに思っております。

 続きまして、港湾労働者の雇用の問題で、国際コンテナ戦略港湾検討委員会あるいは国際バルク戦略港湾検討委員会における港湾選定作業において、港湾労働者の意見を聞いたり、あるいは労働者代表を選定作業に参加させるという方針はないのでしょうか。

長安大臣政務官 今御指摘のございました国際コンテナ戦略港湾検討委員会さらには国際バルク戦略港湾検討委員会、この委員会の委員に対する御質問でございます。

 構成メンバーは、知見を有しておられます専門家のみで構成しておるというのは議員御指摘のとおりでございます。しかしながら、これからの港湾政策を進めていく上では、官民、労使が一体となって、力を合わせて取り組む必要があると認識をしております。こういった考えを踏まえて、これからも、港湾労働者の方々を含め、さまざまな関係者の方々から意見を賜りながら進めてまいりたいと考えております。

服部分科員 当然、集中から外れたところは、貨物量も減り、雇用の問題も発生してきます。また逆に、集中に選定された港湾というのは、多分、二十四時間操業とか、大変な労働環境が今度は要求されてくる可能性があるわけで、そういったことも含めて、ぜひ対策をとっていただきたいというふうに思うわけですけれども、その辺の考え方は今いかがでしょうか。

長安大臣政務官 今御指摘のございました選択と集中を行うと、貨物が減ってしまい、仕事自体が減ってしまうんじゃないかという御指摘でございます。

 しかしながら、今回、私どもは、コンテナ、バルク、とりわけコンテナにつきましては、今釜山でトランシップされているような貨物をいかに日本国内において集約するかということを考えているわけであります。そういう意味では、国内でのコンテナの取扱量はふえると考えております。

 さらに、今回、そういった取り組みの中で、内航フィーダーの充実ということも打ち出しております。内航フィーダーを充実することによって地方の貨物の量というのもふえていくという認識をしておるわけでございます。

 地方の港湾には、それぞれ産業拠点また物流拠点を初めとするさまざまな役割を果たしており、地域の雇用を支えているという部分もございますので、その役割に応じた振興にしっかりと国土交通省としても取り組んでまいりたいと考えております。

服部分科員 いろいろありがとうございました。

 公共工事は大変重要な問題なんですけれども、今まで、前政権のもとで、ややもすれば、それが利権であったり企業サイドのものであったりしたわけですけれども、やはりこの政権交代を通じて、こういった不要不急の公共工事の見直しであるとか、本当の意味で環境とか文化財を大切にして、あるいはそこで働く、雇用の問題もしっかり見据えた、バランスのいい公共工事であってほしいというふうに思いを持っております。

 そういうことを申し上げまして、きょうは質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

古賀主査 これにて服部良一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午前十時三十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.