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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)

委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      川村秀三郎君    吉良 州司君

      高邑  勉君    宮島 大典君

      金子 一義君    佐田玄一郎君

      笠井  亮君

二月二十四日

 吉良州司君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 吉良 州司君

      金子 健一君    川村秀三郎君

      後藤 祐一君    高邑  勉君

      玉木雄一郎君    宮崎 岳志君

      宮島 大典君    谷田川 元君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      福井  照君    笠井  亮君

   兼務 石原洋三郎君 兼務 長島 忠美君

   兼務 高木美智代君 兼務 古屋 範子君

   兼務 服部 良一君

    …………………………………

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        櫻井  充君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           市川 雅一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        澤木 英二君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          内田  要君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      谷本 光司君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           中田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     谷田川 元君

  高邑  勉君     宮崎 岳志君

  金子 一義君     北村 茂男君

  佐田玄一郎君     福井  照君

  笠井  亮君     吉井 英勝君 

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 岳志君     金子 健一君 

  谷田川 元君     後藤 祐一君

  北村 茂男君     金子 一義君

  福井  照君     佐田玄一郎君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     高邑  勉君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  玉木雄一郎君     川村秀三郎君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

同日

 第一分科員石原洋三郎君、服部良一君、第二分科員長島忠美君、古屋範子君及び第三分科員高木美智代君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

吉良主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 吉良州司でございます。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。大畠国土交通大臣。

大畠国務大臣 おはようございます。

 それでは、早速、国土交通省関係の平成二十三年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算につきましては、所要の国土交通省関係予算を計上し、その歳出予算額は五兆十億円でございます。

 また、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 さらに、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 なお、投資補助金の一括交付金化に伴い、三千七百六十億円を内閣府所管の地域自主戦略交付金に移行しております。

 次に、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として二兆三千百二十二億円を予定しております。

 現在、我が国は、人口の減少と急速な高齢化、厳しい財政事情、激しい国際競争といった大きな課題を抱えております。このような状況を踏まえ、平成二十三年度の国土交通省予算におきましては、既存の事業を抜本的に見直しし、国土交通省成長戦略の実現を初め、確固たる戦略のもとに大胆に予算を組み替えることにより、新たな時代に対応しながら、我が国を牽引する国土交通行政へと大きく転換を図ってまいります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

 以上です。

吉良主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま大畠国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉良主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉良主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉良主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川分科員 おはようございます。民主党の谷田川元でございます。

 きょうは、大臣そして津川政務官、ありがとうございます。きょうは夜七時半まで長丁場でございますので、朝起きて一番頭がさえているときにこういう質問をさせていただいて、うれしく思います。ぜひ、いい答弁を期待しておりますので、よろしくお願いします。

 まず最初に、地球温暖化問題に関してお伺いしたいと思っております。

 一昨年の九月の国連の演説で、民主党政権発足間もない鳩山当時総理大臣が、一九九〇年比で二五%温室効果ガスを削減するという国際公約をある意味で発表いたしました。その中で、鳩山総理はここまでおっしゃっているんですね。これは、我々が選挙時のマニフェストに掲げた政権公約であり、政治の意思として、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく決意ですと。この意味からも、政府全体としてこれに取り組んでいかなきゃならぬというふうに思います。

 そうした中で、あの演説からもう一年半がたとうとしておりますが、国交省としての取り組みはどうなのか、ぜひ、その辺のことを御説明いただければと思います。

津川大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたとおり、国土交通省といたしましても、地球温暖化防止のための温室効果ガスの削減というのは大変重要な課題であると認識をしているところでございます。

 現在、省といたしまして、燃費のすぐれた自動車の普及促進及び自動車の適正な使用の促進、あるいは住宅、建築物の省エネ化の推進、そしてITSの推進等といった交通流対策、モーダルシフト等の物流効率化の促進、通勤交通のグリーン化等の公共交通の利用促進などに取り組んでいるところでございまして、今後、国交省として、さらに具体的に検討を進めてまいる所存でございます。

谷田川分科員 今、津川政務官からもお話がございましたように、やはりいかに自動車の排気ガスを少なくするかというのは大事なポイントなんです。

 そこで、具体的なことをちょっと申し上げたいと思うんですが、国交省の自動車交通局に、自動車エコ整備に関する調査検討会というのが一昨年十月に発足いたしまして、学識経験者や業界関係者によって自動車エコ整備に関する調査検討を行ったわけですね。それで、いかにCO2の排出量を削減するかということを真剣に検討された結果、昨年の三月にその報告書がまとまりました。

 その中で、定期点検で、まず一番目にエンジンオイル及びエンジンフィルターの交換、そして二番目にエアクリーナーエレメントの交換、そして三番目にタイヤ空気圧の調整。この三項目を実施すると二・〇%のCO2の削減につながる、そういう指摘がございます。

 これはいろいろ議論があるんですけれども、日本の自動車は世界各国と比べても性能がいいから、他の国で車検だとか定期点検がかなり長いのに、日本はちょっと短過ぎるんじゃないかという経緯もございまして、昭和五十八年には、車検、自動車検査ですね、これは、新車に関しては今まで二年だったのが三年に延ばしたという経緯がございました。あるいは、定期点検も、平成六年にそれまで半年だったのが一年に延ばされたという経緯がございました。しかし、このエコ整備に関する調査検討会が指摘するように、二%のCO2の削減に効果があるということがはっきりしているのでありますから、この際やはり、定期点検をしっかりやっているかどうか、これは大事なポイントだと思うんですね。

 国交省でも調査をされておりまして、一般ユーザーの定期点検整備実施率は大体四割だと聞いております。これはまさに有効なCO2削減策だと思いますので、これをやはり強力に推し進めていく、これが大切だと思うんですが、国交省の見解はいかがでしょうか。

津川大臣政務官 ありがとうございます。

 御指摘いただきましたとおり、CO2排出削減効果といたしまして、自動車の単体、構造そのものもありますが、その使用のあり方というものも大変大きな影響があるところでございます。

 運転の仕方も影響するということが言われているところでございますが、今委員御指摘のように、しっかりと点検整備を行うということだけでも二%の削減効果がある、大変大きな効果があるというふうに認識をしているところでございます。

 一方で、今委員からも御指摘をいただきました定期点検の整備実施率というものは、私どもの調査によりますと、若干上昇しているかと見ることもできますが、まだ四割台ということでございまして、残念ながら大変不十分な状況にあるというふうに認識をしているところでございます。

 自動車の点検整備促進運動につきましては、各地の自動車ディーラーさんですとか整備組合さん等々もそれぞれのお取り組みをしていただいているところでございまして、使用者の方々、ドライバーの方々に責任を持って適切に点検整備を行っていただけるように、国土交通省としてもしっかりと、今御指摘をいただきましたCO2削減効果あるいは安全という意味におきましても大変重要であるということにつきまして周知を図りまして、点検整備の実施促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

谷田川分科員 まず隗より始めよということわざを御存じだと思いますが、一般国民にしっかり呼びかける前に、まず政府、官公庁、それから地方自治体、その公用車がどうなっているかというのが非常に大事なポイントだと思うんですね。

 そこで質問いたしますが、道路運送車両法第四十八条は定期点検を義務づけているわけですよ、一年間。ですから、もし官公庁だとか地方自治体がやっていなければ、これは法律違反なんですよね。ですから、法律違反をほっておくわけにいきませんので、この辺、官公庁と地方自治体が、こういった点検整備を今どの程度実施しているか把握されているかどうか、お答え願います。

津川大臣政務官 御質問いただきまして、確認をいたしましたが、現在のところ、個人、法人、官公庁、自治体等、ユーザーの属性ごとに定期点検の実施率というものは把握をしていないというのが現状でございます。

 ただ、今御指摘いただきましたとおり、まさにこれは法律でありますし、しっかりと点検をしていかなければならないということも当然でありますが、国交省として、各官公庁、地方自治体の公用車についてどのように実施をされているかということ、確実に実施をされるよう働きかけるとともに、その状況については把握をしてまいりたいと思っております。

 まず隗より始めよということでございますが、国交省はどうなんだということを確認しましたが、一〇〇%やっているということでございます。

 以上でございます。

谷田川分科員 国交省が一〇〇%ということで安心いたしましたが、では、各官公庁だとか地方自治体はまだわかっていないということでございますので、いつごろまでにそれを把握されて、そして把握できたときには公表していただけるかどうか、御答弁をお願いします。

津川大臣政務官 いつまでにということはなかなか申し上げられませんが、大至急進めてまいりたいと思いますし、その結果についても可能な限り早目に公表させていただきたいと思います。

谷田川分科員 わかりました。

 それでは次に、圏央道の整備についてお伺いしたいと思っております。

 圏央道というのは首都圏中央連絡道ということで、私の地元千葉県十区のほぼ真ん中近くを通るんですけれども、後で質問いたしますが、成田空港のアクセスにとっても、非常に重要な道路でございます。大畠大臣の地元である茨城県ともつながる非常に重要な道路でございますので、一刻も早く完成することが望まれるわけでございます。

 非常に残念なんですけれども、民主党政権になって公共事業を減らした、選挙のときに訴えたわけですから、それはそれで構わないわけなんですけれども、しかし、民主党政権になったから圏央道の整備がおくれてしまったなんというデマがいろいろ飛んでおりまして、そんなことないんだということで私は打ち消しておるんです。

 実際、私も、そんなことないということで説明を受けておりますけれども、特に、完成間近と思われています茨城、千葉県境から大栄ジャンクションまで、これが当初の予定どおり進んでいるかどうか、その整備の見通しについてお伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 お尋ねをいただきました今の圏央道の茨城、千葉県境と大栄ジャンクション間につきまして、見通しでありますが、現在、平成二十四年度開通を目標といたしまして、用地取得、橋梁工事等を順次進めているところでございます。

 用地については、全体の九九%が取得済み、工事につきましては、利根川を渡る橋梁の下部工が完成するなどの状況でございまして、現在のところ予定どおり進んでいるところでございます。

谷田川分科員 そうすると、予定どおりということは、私が聞いているところによると、平成二十四年度末までには完成するというふうに理解してよろしいでしょうか。

津川大臣政務官 二十四年度開通を目標として、今進めているところでございます。

谷田川分科員 しっかり今政務官から二十四年度末という御答弁をいただきまして、安心いたしました。ですから、これは当初の予定どおり進んでいるということで、風評は打ち消されるというふうに思います。ありがとうございます。

 それで、一つ留意していただきたい点が、神崎インターのところに、神崎町が中心になって、道の駅をつくろうとしているんです。そういう構想があるんです。もう一刻も早く、圏央道開通とほぼ同時につくりたいと。

 ただ、我々民主党政権が高速道路の無料化ということを打ち上げましたもので、今は社会実験をしているという段階ですが、道の駅をつくるに当たって、有料か無料かによって設計が変わってくるわけですね。つまり、有料の場合だと、入る入り口をしっかり設計しないといけない。無料であれば、どんどん入ってきて構わないわけですが。ですから、まだ圏央道が有料か無料かなんかもはっきり結論が出ていない、そういう中にあって、その道の駅の設計もできない、そういう状況なんですね。

 この間、大畠大臣は、高速道路の見直しについては、社会的実験をやった上で速やかに結論を出す時期に来ているような、そういう発言をされましたが、とりあえず、この道の駅の整備に関して、有料か無料かというのは非常に大事なポイントでございますので、この辺の見通しについてひとつお尋ねしたいと思います。

津川大臣政務官 今御指摘をいただきましたとおり、まさに現在、社会実験を行い、そしてその後のあり方につきましても検討を進めさせていただいているところでございますので、現在、今委員御指摘のとおり、有料になるか無料になるかによりまして、この道の駅の構造についてまだ確定的に申し上げられないというのはまさにそのとおりでございます。

 ただ、一方で、さまざまな施設の内容、規模等々の検討内容もございますので、関係機関と今後引き続き協議を進めて調整を進めてまいりたいと考えているところでございます。

谷田川分科員 早急に結論を出していただければありがたいと思っております。

 それでは、成田空港のことに関して御質問したいと思います。

 一昨年十月に、前原大臣が就任早々、羽田は国内線、成田は国際線という内際分離を取っ払って、羽田を二十四時間ハブ空港化する、そういう地元成田にとっては非常に衝撃的な発言をされました。その結果、地元の皆さんは、これは非常に大変だということで、成田空港の発展のために、地元市町村がその前原大臣の発言に触発される形で非常に危機意識を持って、昨年、地元の合意を得て、年間離発着三十万回にこぎつけました。それはそれで、前原大臣がああいう発言をしてくれたことが結果的にいい方向に行ったと思います。

 ただ、当初、羽田空港は、四本目の滑走路をつくる段階で、国際線は六万回までという話だったんですが、我々民主党政権になって、成長戦略の中でさらに三万回離発着をふやそうということで、今進めております。

 それで、国際線ターミナルビル、羽田空港を御利用された方はもうごらんになっていると思いますが、非常に手狭なんですよね。昼間三万回、深夜三万回で、もう目いっぱいなんですよ。ですから、さらに昼間の時間帯を三万回ふやすには国際線ターミナルビルを増設しなきゃいけないということで、今PFIの契約もやり直して、かなりこれは大幅な投資になります。

 私は、それも大切かもしれないけれども、それよりも大切なことは、成田空港と羽田空港を一体的に運用して、いかに成田空港と羽田空港のアクセスをよくする、これを先にやった方がいいんじゃないかなと私は個人的に思います。もう決まってしまったことなのでこれは以上は言いませんけれども。

 でも、少なくとも、成田空港から羽田空港のアクセスをよくする、つまり、東京から成田まで三十分台、東京から羽田まで二十分台、それで羽田―成田五十分台。もう既に昨年の七月に、当時、津川政務官もおいでいただきましたが、成田スカイアクセスが開業いたしました。お乗りになった方はいらっしゃいますか。日暮里から成田まで三十六分で行くんです。ですから、上野から羽田に行くよりも、スカイアクセスに乗っちゃいますと成田の方が早いんですよ、羽田に行くよりも。ぜひその認識は持っていただきたいと思います。

 昨年の九月に、私、成田と羽田の一体化のためにも、五十分台の鉄道の構想について国交省内で検討されているという話もあったので、どうなっているんだという質問を前原大臣にしました。そのときに前原大臣がこういう答弁をされました。ポイントは、費用、そして事業主体はだれがやるか。例えば、京成とか京浜急行とか都営地下鉄、あるいは自治体がどう絡んでくるか。こういったことも、これから関係者との合意形成がポイントになってくるのではないでしょうか、そういう認識を持っています、そういう答弁でございました。

 あれから約半年近くがたちましたので、その後の検討経緯はどうなのか。これこそ、こういう事業主体の問題だとかあるいは費用の問題があるのであれば、まさに政治主導で推進していくべきことだと思いますので、その辺の状況はどうなのか、御答弁いただければと存じます。

大畠国務大臣 谷田川議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 既に前原大臣からもその件についてお話があったということでありますが、私も、国土交通大臣を拝命いたしまして、オープンスカイという方針を民主党政権で打ち出しているわけでありまして、その意味からも、成田と羽田の飛行場の持つ機能というものを最大限発揮することは非常に大事だと思っています。

 そういう意味で、以前から、谷田川議員から成田と羽田を結ぶ鉄道というものの強化という御指摘をいただいておりまして、確かに、どういう形でこれを強化することができるのか、こういうことを、プロジェクトについて調査を行っていることは事実であります。

 概算事業費が大体三千五百億円になる、こういうことでございますが、さまざまな観点から、昨年度に引き続き、事業費、需要予測、それから整備効果等について調査を進めてきておりまして、この調査では、本プロジェクトの実現に向けての課題として、極めて厳しい財政状況下における整備スキームのあり方や、地方公共団体あるいは鉄道事業者等の関係者の合意形成が必要である、こういうことが指摘をされております。

 しかしながら、今後ますます航空需要は高まるものと考えておりますから、そういう周辺の整備を進めるという意味からも、調査結果を踏まえて、関係者との協議を進め、このプロジェクトがより成熟したものとなるように努めてまいりたいと考えております。

谷田川分科員 大臣からは前向きな答弁をいただいたと思いますので、ぜひリーダーシップを期待したいと思います。よろしくお願いします。

 それで、今、大臣からの答弁の中に、航空需要は伸びていくという話がございました。このままいきますと、羽田空港というのは、四本の滑走路がありますけれども、非常に管制が難しいですね。井げたになっていまして、滑走路を横切って使わなきゃいけない。管制上、結構危険なところがあります。ですから、管制を熟達させるためには時間をかけてやっていくということで、それでも最終的に年間四十四万七千回まで容量を拡大できると。先ほど申し上げましたように、成田空港は年間三十万回ということで、合わせて約七十五万回の首都圏での航空容量は確保できている。

 しかし、どうも、あと十年もしますと、二〇二〇年ごろは、いろいろなシンクタンクの調査なんかがありますけれども、ちょっと過大なものですと、運政研が出した九十五万回なんというのがありますけれども、八十万回を超えるんじゃないかなという予測もございます。この辺、七十五万回という今現在確保できている航空容量、これはいつごろ飽和状態になると見込んでいらっしゃるか、御答弁いただければと存じます。

大畠国務大臣 谷田川議員から御指摘をいただきました、首都圏の発着容量の飽和という状況を考えているのかということでありますが、現在のところ、向こう十年間は需要を上回る供給が可能、こういう見込みをしているところでございます。

 しかし、これから新たにLCCといいますか、ローコストキャリアという状況が生まれたり、あるいは、ヨーロッパなんかではもう当たり前になっておりますが、小型の飛行機が飛行場に置いてありまして、いつでも時間に関係なく行って、タクシーと同じように、予約をしてそれですぐ飛び立てる、これは国内空港的なものでありますが、こういうことも徐々に広まってくるんだろうと私は思います。

 したがって、この需要動向というものを、これは将来変化もいたしますので、こういうことをよく見きわめて、首都圏空港の全体の容量についてはさらに御指摘をいただいて検討を進めていきたいと思います。

谷田川分科員 航空需要について見きわめたいというお話でございました。

 向こう十年ぐらいは今の容量で大丈夫だというお話がございましたが、何か、去年と比べると、少し需要見込みが少なくなったのかなという印象を受けましたが、それはそれとして、いずれにしても、その十年を超えた先にふえる可能性が高いわけですから、航空需要に見合うためには新たな滑走路をつくる必要があるわけですね。そうすると、これはすぐにできる話ではありませんので、早い段階から検討する必要があろうかと思います。

 首都圏の航空需要が増加すると考えてみた場合、では成田空港にもう一本滑走路をつくるか、あるいは羽田につくるかという話があろうかと思います。

 ただ、羽田の場合、お手元にきょう資料をお配りしましたが、これは成田空港と、あと羽田のこの間完成したD滑走路の費用対効果の資料でございます。これを見ておわかりのとおり、はるかにBバイCの観点からいけば成田空港の方が安いんですね、安上がりなんです。羽田空港の四本目の滑走路、施設だとか埋め立てとかすべて入れると、大体一兆円かかったと言われていますね。非常に莫大な経費がかかっているんですね。あれは国だけでも調達できないので、地方自治体からも負担をお願いしたという経緯もございますし、ですから、予算状況、財政状況が厳しい折、なかなか大きな負担でつくるというのは難しいのかなと。

 ですから、この辺、今後の首都圏の航空需要を見きわめるときに、やはりBバイCというものを重視して検討していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 確かに、将来の需要の拡大というものを考えたときに、成田または羽田の拡張というものを検討すべきじゃないか、そのときにはBバイCをベースとして考えなさい、そういう意味では成田の方が有利ですよ、こういう御指摘でございます。

 確かにBバイCというのは非常に大事な指標でございますが、同時に、これを拡張するときに、どのような地域の方々の御了承を得るか、こういうこともプラスして考えなければならないと思っております。

 BバイCというものではそのとおりでございますが、谷田川議員御存じのとおり、成田の近くに茨城空港というものがございまして、非常に閑散としておりまして、ここら辺もどう使うか。いわゆる首都圏全体の飛行場の有効活用というのも考えなければならないとは思っておりますが、いずれにしても、御指摘をいただきましたので、首都圏の発着枠の拡大というものをどうしたらいいか、よく検討させていただきたいと思います。

谷田川分科員 今、大畠大臣から茨城空港の話がありましたので、一言言わせていただきますと、羽田空港国際線を拡張したことによって、結構地方空港が困っていることもあるんですね。例えば、本来ならば羽田空港は国内線の枠をふやすというはずだったのが、鳥取なんかは増便を要求したんだけれども、結局見送られている。ですから、その辺を考えますと、羽田を集中的に国際線を多く飛ばせばいいという発想になると、かえって茨城空港も犠牲になるということを頭に入れていただければと思います。

 それで、最後になりますが、ちょっと一つ要望をさせていただきたいと思います。

 実は、おかげさまで、私の地元の香取市佐原で、今度、三月下旬に佐原駅が新しく完成いたします。この費用負担は、大体香取市側が八割ぐらい持って、あとJRが一割ちょっとぐらい持つという感じで、六億近くかかるんです。JRがすべて委託して請け負いますが、そういった情報の開示が何かうまくなされていないようなところがございます。

 既に、平成十七年度、会計検査院が、鉄道事業者に工事を委託する際には委託後の事業の進捗状況を把握するために情報の開示を求めておりますし、それから、それに基づいて、平成二十年十二月に、JR各社と国交省の間で、公共事業における鉄道委託工事を行う場合の透明性確保の徹底に関する申し合わせというのも結んでおります。この辺をもう少し徹底していただくということを要望いたしまして、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉良主査 これにて谷田川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原洋三郎君。

石原(洋)分科員 おはようございます。

 本日は、質問させていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。民主党・無所属クラブの石原洋三郎でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 一般国道十三号線西道路は、商工業者の関心も極めて高く、福島のさらなる発展に欠くことのできない道路でございます。そのため、本路線が環状道路としての本来の機能を十分に発揮し、慢性化している市街地南部の渋滞緩和や県立医大病院への救急患者の迅速なる搬送のためには、南伸により福島市松川町地内で国道四号と接続することが必要不可欠でございます。

 一般国道十三号西道路バイパスの今後の事業計画、実施時期につきましてお伺いいたします。

池口副大臣 まず、石原議員が地元の課題解決に向けて毎日努力していることに敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 御質問の福島市内の国道四号線の件でございますが、我々の認識としては、伏拝交差点等で渋滞が著しくて、交通事故も多発している状況であるという認識をしております。この課題を解決するために、平成二十二年の三月に全線四車線で供用した福島西道路の南伸を計画しております。現在は、都市計画決定に向けた手続が進められて、環境影響評価準備書を縦覧中でございます。

 早期に事業を着手できるように、できるだけの努力をしてまいる所存でございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、常磐自動車道は東北地方と首都圏を結ぶ幹線道路で、現在の東北自動車道が万が一の事故や冬期の降雪で通行どめになったときには、常磐自動車道が東北地方のすべての機能を果たすこととなります。相馬地方の産業、経済、文化、観光などの発展に寄与することはもちろんのこと、仙台以北の東北地方から茨城県を経て東京へ向かう関東地方への交流、連携を強力に推進する重要な役割を担っております。

 常磐道富岡インターチェンジ―相馬インターチェンジの供用目標が平成二十三年以内、相馬から山元インターチェンジが平成二十六年以内と伺っておりますが、進捗状況、今後の事業計画、完成時期についてお伺いいたします。

池口副大臣 常磐自動車道は、今お話のあったとおり、産業、経済、文化の交流発展に資する高速道路であるというふうに認識をしておりまして、常磐富岡インターチェンジから相馬インターチェンジについては、二十三年度供用を目指して、今、舗装工事とか施設工事を実施しております。

 相馬インターチェンジから山元インターチェンジは、若干時期が遅くなりますけれども、平成二十六年度供用を目指して、現在は、用地買収や土木工事を実施しております。

 今後とも、地元の皆さんの御協力をいただきながら事業を進めてまいりたいというふうに思っております。

石原(洋)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、東北中央自動車道相馬―伊達―福島―米沢間は、常磐自動車道、東北縦貫自動車道と連結し、南東北中枢広域都市圏、阿武隈地域などの発展を促していく極めて重要な区間であります。

 自動車道の整備により、相馬中核工業団地を抱える相馬地域と、伊達、福島、米沢など先端産業の集積が進みつつある南東北内陸地域との連接が強化され、酒田港と相馬港が連結することにより、環日本海と環太平洋の経済圏の交流を担う二十一世紀のグローバルな経済活動の基軸となることが期待されます。

 東北中央自動車道が整備され、このような機能を発揮することは、南東北の集積を西東北の開発につなげる極めて戦略的な意味を持ち、東北の均衡ある発展を推進するものであります。

 自動車専用道路一般国道百十五号阿武隈東道路、霊山道路の進捗状況、今後の事業計画、完成時期についてお伺いいたします。

池口副大臣 まず、阿武隈東道路でございますけれども、平成十六年度から国の事業として着手をしております。現在は、用地買収が九七%進捗しているとともに、トンネル四本のうち三本が工事に着工しております。引き続き、事業を推進していきたいというふうに思います。残る用地の取得に向けて努めながら、工事の全面展開を図っていきたいというふうに思っております。

 霊山道路につきましては、平成二十年度に同じく国の事業として着手をしました。二十三年の二月、今多分始まったところだと思いますが、用地買収に着手をしておりますので、引き続き、早期の供用に向けて事業を進めていきたいというふうに思っております。

石原(洋)分科員 完成時期に関しましては、ちょっと御答弁いただいていないんですけれども。

 霊山道路と阿武隈東道路が一体的に完成していただかないと、なかなかそのメリットというものが生じてこないところでありまして、霊山道路の方がおくれて用地買収等々を進めておりますが、霊山道路の早期促進というものもお願いしたいと同時に、完成時期がどのくらいになるか教えていただければと思うんです。

池口副大臣 現在のところ、特に霊山道路はこれから用地買収ですので、いつできるというのは現段階ではなかなか明確な時期をお示しすることができないということで申しわけないんですが、できるだけ早期につながるように、予算の獲得等を含めて努力はしてまいりたいというふうに思っています。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。ぜひ、一体的な整備促進ということで、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に移らせていただきますが、相馬港三号埠頭は、平成二十四年度には供用開始予定でありますが、国際物流ネットワークを形成し、産業活性化に大きな役割を果たす物流拠点としていかなくてはなりません。内航フィーダーの確立支援、あるいは積み荷がおろしやすいようなガントリークレーンの施設整備支援策などが必要不可欠と考えますが、三号埠頭が活用しやすい、国としての地域活性化支援策をお示し願います。

池口副大臣 相馬港の三号埠頭でございますけれども、お話にありましたように、二十四年度に供用すべく、今工事を進めております。水深十二メートルの国際物流ターミナルの整備を進めておりまして、相馬市のビジョンにおいても、物流機能向上による企業誘致というのが期待をされているという認識をしております。

 さらに、現在、京浜港との間で内航フィーダー輸送の支援を通じながら、相馬港の集荷力強化と利用促進のための取り組みを進めているというところでございます。

 それと、施設整備につきまして、ガントリークレーンの整備についても、今後の集荷動向により補助制度、補助率は三分の一だというふうに理解をしていますが、この補助制度の活用も可能であるというふうに考えております。

 国土交通省としましても、相馬港三号埠頭の利用促進と地域活性化を支援してまいりたいというふうに考えております。

石原(洋)分科員 こちらの相馬港の方ですと、相馬港の三号埠頭が整備されて、そして阿武隈東道路、霊山道路が整備されていくことで、そのことによって、先ほどお話しいたしました日本海方面に向けての整備が一体的に推進されていくところでございます。

 三号埠頭が仮にでき上がったとしましても、一般の民間会社の方が活用しにくい体制であればなかなか生かされてまいりませんし、港と道路との一体的な運用による地域活性化というものがなかなかできませんので、ぜひとも、港、道路、そして地域全体、工業団地、そういったものを含めての活性化支援策を何とぞよろしくお願いいたします。

 次に移らせていただきます。

 相馬六号バイパスの開通後、交通量が増加傾向にありますが、町の中心部にある新地町小川地区は、朝夕通勤車両が多い中、学生が通学路として、また日中は高齢者などが利用しており、歩道のない箇所での事故が懸念されております。

 国道でもありますので、歩行者の安全を確保するためにも歩道の早期設置が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。

池口副大臣 お尋ねの、福島県新地町小川地区における歩道の整備ということでございますけれども、まず、現状、調査をしているところでいいますと、一つには、上り線側には歩道があるというふうに聞いております。それと、平成十七年度の道路交通センサスによりますと、昼間の十二時間におきましては、歩行者交通量は七人で、自転車の交通量は十二台ということです。さらに、新地小学校、尚英中学校への通学路ということでは町道が指定されているというふうに聞いております。

 そういう意味で、現在は下り線側については未整備の状況でありますが、必ずしも道路を何人が通るということではなくて、自動車の交通量等も含めて、事故が起きる危険性はあるというふうに思っておりますが、歩道の整備については全国何カ所かであるというふうに思いますので、緊急性の高いところから実施をしていきたいというふうに思っております。

 ただ、本日、委員の方から御指摘をいただきましたので、改めて現地の確認をさせていただきたいというふうに思いますし、できるだけ事故等のないような対策を急いでやるように、できるだけの検討はしていきたいというふうに思っております。

石原(洋)分科員 今ほどお話がございましたとおり、下り線側、国道の西側の方が設置されていない状況でございまして、特に六号線ですと、仙台から東京方面に向かう主要な道路、一けた国道ということもありまして、ダンプ、トラック等々の交通量が非常に多い地域でもございます。

 ですので、やはり歩行者の安全が確保されるような形、特に六号線という、明治以降、一けたの国道として指定された地域で、重要なところに歩道がないということでもありますので、ぜひ善処のほどをよろしくお願いいたします。

 次に移らせていただきます。

 一般国道三百九十九号線は、福島県いわき市から阿武隈高原を縦断し、山形県南陽市に通ずる国道でございます。しかし、本路線は、国道であるにもかかわらず、いまだに幅員が狭隘で、急勾配やカーブが甚だしい区間がほとんどであり、車両等の通行に多大な支障を来しております。

 このような中、福島市飯坂町―福島市飯坂町湯野地区を結ぶ仮称飯坂東バイパスの整備が計画されておりますが、いまだ着工のめどが立っていないところでございます。

 また、摺上川ダムが完成したにもかかわらず、飯坂町―茂庭地区間もいまだ整備が進んでいないところでございます。

 また、飯舘村飯樋滝下地区に関しましても、通勤通学路線であるにもかかわらず、幅員が狭く、急カーブ、急勾配であり、早期改良整備が求められます。

 国道三百九十九号線の整備計画が促進できるような交付金などの国の支援策、ビジョンといいますか、御所見をお伺いいたします。

池口副大臣 御質問の国道三百九十九号線でございますけれども、この路線につきましては、観光、産業、経済、文化の交流、連携を支える重要な道路であるというふうに認識をしております。

 この事業の主体者でございますが、補助国道という認識のもとに、福島県が事業主体だということで聞いておりまして、基本の工事主体は福島県ということになります。

 その中で、具体的に、現在の計画ですけれども、福島市飯坂町から福島市飯坂町湯野地区に至る一・九キロ区間については、現在の道路の利用状況から、当面の間は現道を活用するというふうに福島県からは聞いております。

 それと、福島市飯坂町から茂庭地区の二・八キロにつきまして、現在は、〇・八キロ区間について、どうも除雪をした雪を堆積するスペースがないということで、そこを中心に幅員を確保する事業がされているというふうに思っておりますし、残りの二キロについても、現在の幅員を広げる工事が終わった段階で、それ以降どうするかというのが、今福島県の計画であるというふうに聞いております。

 さらに、飯舘村飯樋滝下地区、ここについては、急カーブ区間の線形改良が実施をされております。それと、現在、事業用地の保安林解除手続ということが行われておりますので、これが解除できれば工事が進むんだろうというふうに思っております。

 三百九十九号線の整備については、福島県の要望に基づき、社会資本整備総合交付金等により国としては支援をしてまいりたいというふうに思っております。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

 社会資本整備交付金等々での支援策は引き続きお願いしていきたいと思いますが、三けた国道になりますと事業主体が県になるということで、その一方で国道ではあるということでもありますので、国としての三けた国道に対する、新直轄方式等々いろいろありますけれども、そういう考え方というものも、今後、地域活性化策あるいは国全体としての国道という考え方でもって何らかの方向性というものを導いていただければなと思います。

 引き続きまして、国道六号線、市道陣ケ崎北原線交差点から市道上北高平金沢線交差点区間における交通量は増加傾向にあり、片側一車線のため、朝夕のラッシュ時には著しく渋滞になるとともに、救急患者の搬送が迅速にできず、地域住民の生活に支障を来している状況でございます。

 交通渋滞緩和及び地域住民の安全確保のため、早急に四車線化整備するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

池口副大臣 福島県の南相馬市の国道六号線ということにつきまして交通量の調査をしておりますが、一日当たり約一万八千台の交通量ということでございまして、中心部の原町地区においては朝の渋滞時に混雑が発生しておるという認識をしております。この改善のために、現在の施策としては、高見町交差点改良を実施しながら、原町区北原地区の路肩拡幅事業を推進しているというふうに思っております。

 一方で、国道六号線に並行して整備される常磐自動車道も、平成二十三年度に常磐富岡インターチェンジから相馬インターチェンジまでということで、平成二十六年度には全線が供用されるという計画でございます。それもありまして、供用をした場合に交通量がどうなるかということも考慮をしながら、残りの四車線化については検討をしていきたいというのが今の我々の整理でございます。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、公共建築物等木材利用促進法が制定されましたが、木材の建築基準に関しまして現在検討中と思いますが、現在、進捗状況はどのようになっておりますでしょうか。建築基準法などの見直し内容についてお伺いいたします。

 また、木材建築物に係る官庁営繕の技術基準の整備状況についてお伺いいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の木造建築物の建築や木材利用の促進ということにつきましては、従来から、例えば、部材の耐火性能を確保するための技術開発を進めるとか、個別の性能の大臣認定というものを的確に行うといったこと、さらには、木のまち・木のいえづくりの推進というようなことで、予算措置による支援などをこれまでも行ってまいりました。

 こうした中で、今御指摘ございましたように、昨年の十月には公共建築物等木材利用促進法が施行されまして、木材利用の観点から建築基準の規制を見直しする、それを推進するような規定が設けられたわけでございます。

 私ども、これを受けまして、関係省庁とも連携をしながらもう既に検討を開始しておりまして、平成二十三年度の予算案におきましては、大変御要望の強い木造三階建ての学校の安全性の検証をしようということで、実大の火災実験を行うといったような経費の計上を行っているところでございます。

 当然、基準法では、火災に対する安全性の観点からいろいろな規制を設けてございまして、規制を見直すということになればそのための検証も必要でございまして、来年度、今申し上げました予算を使ってしっかり検証を行います。さらに、外国における規制の状況というものも今調べております。そういったものも比較をいたしまして、必要な規制の見直しというものを進めてまいりたい、このように考えております。

澤木政府参考人 お尋ねの官庁営繕における技術基準の整備状況についてお答えさせていただきます。

 官庁営繕におきましては、木造の建築物に関する技術基準につきまして、平成九年に、木造建築物の施工に関する基準として木造建築工事標準仕様書を策定して、これを適用しているところでございます。

 昨年の公共建築物等木材利用促進法の成立を受けまして、今年度末を目途に、木造建築物の設計の関係の基準を新たに策定することとしてございます。この基準におきましては、耐久性でございますとか耐震性、構造計算等の設計に関する技術的な事項とともに標準的な手法を定めることにより、木造庁舎においても官庁施設に必要な性能を確保することができるものと考えてございます。

石原(洋)分科員 木材利用の促進に伴って、林業の再生を図っていったり、あるいは、日本の資源である山林の整備といいますか保全等々も含めて今後やっていくべきと考えます。

 三階建ての学校を実際に燃やして検証を行うということであるんですけれども、例えば木材の中におきましても燃えにくいような不燃材があったり、例えば栃木県の茂木町等々ですと、コンクリート、RC構造と木造とをうまく組み合わせることで、なかなか燃えにくいように、あるいは火災がすぐ広がらないようにしていく、そういう技術的な検証といいますか、そういったところも取り組んでいただければなと思っております。不燃材等々だと高くなってしまうという話もありますけれども、うまく鉄筋コンクリートと木材とを組み合わせることによって、少しでも木材が普及拡大していくということをお願い申し上げるところでございます。

 次に移らせていただきます。

 東北中央自動車道は、福島―米沢間におきましては新直轄方式で整備が進められており、本線の早期整備が大きく前進したところでございます。栗子トンネルなどは、延長八千九百七十二メートルと、完成すれば東北一の長さとなります。

 東北中央自動車道の進捗状況、今後の事業計画、完成時期についてお伺いいたします。

池口副大臣 東北中央自動車道福島―米沢間ということでございますが、これについては、平成十五年度から、直轄事業として国において事業を推進しておる最中でございます。

 現在の進捗状況ですが、用地買収についてはほぼ完了しました。それと、主要構造物の中で最も工事期間を要する長大トンネルの栗子トンネルにつきましても着工をし、工事としては全面展開を今しているところでございます。

 ただ、いつ完成をするかということについては、なかなか現在のところ確約をできる段階ではないので、引き続き早期の供用に向けて鋭意努力は進めてまいりたいということですが、いつできるかということについては、ちょっと現段階では言明できる段階ではないということで、御了解をいただければというふうに思います。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問に入らせていただきます。

 大笹生インターチェンジは、福島市北西部の観光、農業などの地域振興のみならず、山形市、米沢市などとの連携強化に向けて必要不可欠でございます。また、東北中央自動車道と東北自動車道を接続する福島ジャンクションは今年度の発注が予定されております。

 大笹生インターチェンジと福島ジャンクションの進捗状況、事業計画、完成時期についてお伺いいたします。

池口副大臣 まず、大笹生インターチェンジでございますけれども、これは、インターチェンジもいろいろな形態がありますが、福島県が整備する地域活性化インターチェンジという位置づけの中で、平成十一年度に整備計画として決定をしております。

 その中で、今事業を進めているわけですけれども、今は、インターチェンジの設計及び用地買収のための地域説明会を実施中でございます。本線の供用に合わせて開設できるように、平成二十三年度から用地買収に着手する予定であるというふうに聞いております。

 また、東北自動車道と東北中央自動車道を接続する福島ジャンクションでございますけれども、これはNEXCO東日本の事業でございますけれども、本線の供用に合わせて開設ができるように、国の事業と調整をしながらジャンクション工事を進める予定でございます。

 ですから、インターチェンジなりジャンクションも含めて、本線が供用できればそれと同時にやるように、鋭意努力をしながら工事を進めていきたいというふうに思っております。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

 以上、掲げさせていただいた点の整備等々をお願いしたいということと同時に、福島・相馬地域、伊達地域というところの国道の番号を見てみますと、国道四号線あるいは十三号線、国道六号線という形で、比較的一けたの国道等々も多いところでございます。やはり、明治以降、そういう形で一けた国道が整備されていったということは、日本地図を見ましても、案外交通の要衝だったところもあるのではないかなと思うわけであります。

 実は、日銀支店が東北で一番最初にできたのは福島市でありまして、やはり、日本海側に行く、あるいは太平洋側に行く交通の分岐点でもあったわけでございます。均衡ある国土の発展ということを進めていく点において、明治、大正、昭和の政府は、そういう形で、結構重要な地域として、四号、六号、十三号というものをつくったと思います。

 ですので、優先順位を規定していくということは非常に難しいかと思いますけれども、そういう、なぜ順番で四号、六号、十三号あるいは百十五号となっていったのかというのは、時の政府が優先順位としてつけていったというものがあるのではないかなと思います。そういうことも御考慮いただきまして、日本全国、そういう点で整備をしていっていただければと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

吉良主査 これにて石原洋三郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)分科員 自由民主党の長島忠美でございます。

 大臣には、朝早くから分科会、大変御苦労さまでございます。

 私は、災害に強い町づくり、あるいは地域づくりという観点から、少し質問をさせていただきたいなと思います。

 先立って、私も地震を経験して、今回のニュージーランドの地震で大変大きな被害、それも人的被害が起きていることについて、心からお見舞いを申し上げたいし、一刻も早い救助を望むものであります。日本の技術を国交省としても防災担当としてもぜひお伝えをいただいて、御尽力いただけるように、心からお願いをさせていただきたいな、そんなふうに思うところでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年、豪雨災害、そして今冬の雪害、私も被災地に出かけさせていただいたり、私自身も豪雪の中に住んでおります。ことしの最高積雪、我が家の隣は四メートル四十センチ、そんな中で、二月に雪が降らないのが幸いして、今は少し小康になっております。

 そんなことで、地方にとって公共の果たす役割はどういったことかを、少し大臣からお聞かせいただければありがたいなと思っています。聞きにくいことも聞かせていただかなければいけないので、ぜひ率直にお答えをいただきたいと思います。

 昨年、政権が鳩山さんから菅さんに交代して、その直後の八月だったと思いますけれども、我々、豪雪地帯の町村議長会が要望に参りました。各党の代表がそこに臨みました。そのときに、御党民主党、政権与党の民主党の代表の方が、我が党はコンクリートから人への政策をもうやめたんだという御発言をなさいました。

 私は、そのことをまず大臣に基本的な方針としてお聞かせいただきたいと思うんです。民主党として、コンクリートから人へというメッセージの発信はもうおやめになったのかどうかということを、まずお聞かせいただきたいと思います。

大畠国務大臣 長島議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 コンクリートから人へ、これはマニフェストでうたったことでありますが、象徴的な言葉でございます。

 考えてみますと、政治というのは何のためにあるのか、いわゆる日本国民の生活の安定と、そして発展のためにある、これは自由民主党でも民主党でも同じだと思います。ともすると、何かこれまでいろいろ言われてまいりました。公共事業というものを大事にして、地域の人を大事にしていないんじゃないか、そんな御主張も一時あったことも事実だと思います。確かに私自身、国土交通大臣として、公共事業というのは、一般的に公共事業といいますが、何かといったら道路ですとか、あるいは橋ですとか、あるいは役場、そして消防署、警察署、学校、非常に大事なものであります。したがいまして、私たちが生活していく上で、公共事業というのは、私は大事だと思っているんです。

 今、先生から御指摘のように、コンクリートから人へ、それはもうやめたのか、こういうことでありますが、私たちは、あくまでも日本国内に住んでいる日本国民が安心して暮らせる社会を目指す。これが、まず第一番目。これは、自民党も民主党も同じだと思うんです。

 そのときに、では公共事業はどういう位置づけかということでありますが、住んでいる人が安定して、そして将来に向けて安心して暮らすためには、公共事業というのは非常に大事であります。したがって、コンクリートから人へ、一つのキャッチコピーといいますか、マニフェストの中に入っておりますが、私は、公共事業も人も、両方とも大事なんだろうと思うんです。

 したがって、その方がどういうことで言われたかわかりませんが、まずは人を大事にする、そして、人が暮らしをしていくためには公共事業というのは大事である、こういうことを多分おっしゃったんだろうと理解しております。

長島(忠)分科員 ここでそのことを余り深く議論するつもりはないんですが、大臣もそうでしょうし、我々国会議員の最大の使命は、私はやはり国民の命と財産を守ることだと思うんです。それに余りにも偏ったメッセージを発してしまうと、今大臣がおっしゃったように、公共事業は悪である、あるいは無駄遣いであるというメッセージとして伝わってしまうんではないか。

 我々はやはり、メッセージとして発信すべきは、国民の命と財産、地域を守るということが最大限の使命であるというメッセージを発信してほしいな、そう思っています。そこのところをまず前提に議論させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 来年度維持管理費のことを、まず最初にお伺いしたいと思うんです。

 直轄事業の維持管理の資料しかいただいていないんですが、地方によると、補助事業も含めて、除雪も含めて、維持管理のサービスが少し落ちているんではないか、これは国が事業仕分け等によって削減したことによる影響ではないかという声が非常に大きくなっております。そこのところを大臣としてどうお考えなのか、まず基本的にお伺いをしたいと思います。

大畠国務大臣 私、野党時代に、民主党のネクストの防災担当大臣も拝命させていただいたことがあります。地震のときに現地に伺ったり、あるいは雪、あるいはまた洪水等々のときにも現地に伺わせていただいて、防災といいますか雪害といいますか、あるいは地震対策といいますか、国がやらなきゃならないということは大変大事なことだと思っています。

 今、民主党になって、仕分け等々で、どうもそこら辺の対策が手薄になっているんじゃないか、こういう御指摘をいただきました。

 先生御存じのように、日本の国も非常に財政的に厳しいというのは、自民党政権時代も民主党政権時代も同じであります。そこで、どうしたらいいのか、少し工夫をしようということで、予算は削減させていただきましたが、いろいろな工夫をさせていただいております。

 例えば、先生おっしゃるように、その地域に人が住む、あるいは暮らしていく上で、不安あるいは不十分になったのでは困りますから、そういう意味でどうしたらいいかということで、除雪の場合には、今まで二台のブルドーザーで車幅いっぱいに除雪したんですが、一台のブルドーザーで車が通れる範囲内でいいのではないかという工夫をしたり、あるいは豪雪地帯に行きますと、よく道路の横の方に、防雪といいますか、雪が吹き込まないような風よけのようなものがありますが、それは夏場は畳んで冬場使うときに上げる、こういうこともやっていたんですが、何も夏場は畳まなくていいじゃないか、そのまま置いておいてもいいのじゃないかということでコストを削減したり、そういう意味で、確かに予算は削減いたしましたが、実際のそういう機能は損なわないようにしているところであります。

 さらに、ことしは豪雪でありまして、雪を除去するための予算が非常に少なくなったということで、百一億円追加で予算を充てまして、さらに必要であればそれに補充していくことを私どもも検討しておりますが、実際のところにその予算削減の影響が出ないように、最大限の努力をしているところであります。

長島(忠)分科員 メッセージだと思うんですね。費用を削減しなければいけないというメッセージを国が出していくと、県それから市町村に下がるに従って、それを責務として受け取ってしまう。

 今、大臣がおっしゃったように、二台のグレーダーでやっていたものを一台のグレーダーでやったら、それは費用という面では影響がないとおっしゃるかもわからぬが、必ず影響が出ます。ですから、我々のところは、グレーダーでは除雪のできない地域、グレーダーで排雪して押しつけるだけでは道路を確保できない地域、そこも一律に同じ費用でやれというメッセージとして伝わってしまうということだと思うんです。

 例えば、北海道と東北と新潟、そして山陰と、除雪の形態はそれぞれ違うと思うんです。我々のところは、グレーダーで押せるのは初回か、一回か二回、後はロータリーがなかったら排雪できない。そういう状況のところですから、一律に費用を見ていくということはしない。地域に合った除雪。それは、生活確保のためにグレーダー一台で済ませる時代もあるかもわからぬ。ただし、豪雪になったら必ずそのことのサービスはするというメッセージを国が伝えないと、やはり市町村は責務として受け取りますから、そこのところはきちんと国交省として伝えてやっていただきたいなと思います。

 それを受けるために、そういうメッセージが伝わってしまうと、老朽化した橋あるいはトンネル、そういったものに対しても、なかなか手当てが届かないのではないか、改良が届かないのではないかというメッセージも、雪だけではなくて、届いているんだと思うんです。

 私、地震で村内の道路の約七〇%が形なく被災してしまった例をとると、全部を耐震化しろとか全部を災害に強い状況にしろとは言わないけれども、幹線、とにかくどんなときでも命を守るために走れる道路をということの点検はやはり早急にすべきだと思うんですね。

 それは、公共事業を圧縮するとか無駄遣いを削減するとかいうことのほかに、やはり命を守るために公共事業は必要だということで、維持管理あるいは改良に努めるべきだと思うんですが、その辺はどういうふうにメッセージとして発信をしますか。

大畠国務大臣 先生から御指摘のように、私たち国が何をすべきか、特に国土交通省でありますが、私は、その地域に住む方の命と暮らしを守る国土交通省、こういう方針でいこうということを大臣就任のときに申し上げさせていただきました。

 国がお金がなくなってきたから地域に暮らしている方々のところに影響が出ても仕方がないんだ、こういう立場には立ちません。国土交通省として、乏しい財政でありますが、やはり大事なところ、いわゆるポイントのところは押さえていけと。

 そういう意味では、先生がおっしゃるように、いざというときに移動しなければならない道路については、これはきちっと整備していかなければなりませんし、老朽化した橋については取りかえていかなければなりません。私も国土交通大臣になっていろいろと調べさせていただいていますが、国道については大方耐震化の手は打たれておりますけれども、県道あるいは市町村道の橋というのはどうかというと、どうもまだ不十分なところがございます。

 そういう意味では、今、民主党政権として、地域のことは地域で決められるようにしようということで、地域、自治体が自由に使えるお金をふやそうということをしておりますが、その中で、自治体が、ここはどうしても必要な道路あるいは橋である、あるいは建物であるというところは、ぜひそういう形で手当てをしていただいて、先生が御指摘のように、国の方から、とにかく節約、節約、節約、節約というと、何となく意識して、主張するところも主張できなくなる、これでは困りますので、そういう乏しい財源でありますけれども、命、暮らしを守るところについてはきちっと手当てをするように、あるいは国の支援が必要なときには手を挙げて率直におっしゃっていただくようなことを、私も国土交通大臣として方針として示していきたいと思います。

長島(忠)分科員 力強い言葉だと思います。地方に、改めてメッセージとしてお送りいただきたいと思います。

 そして、私、今度ちょっと観点を変えますけれども、去年かなり水害が頻発した。これは日本の気象状況が、以前、例えば国土交通省が計画をして、内閣府が計画をして、五十年に一回の災害、百年に一回の頻度の災害に備えるためのインフラではもう既に間に合わなくなっている部分があるのではないかなと私は実は危惧しています。二百年に一度と言われた水害が、もう既に五年に一回あるいは十年に一回来るような気象状況になってしまった。

 私も去年、何回か被災地を回らせていただいて、そこの役場の職員等に聞くと、信じられない、雨が降り出したらもう山が動いていた、雨が降り出したら川がはんらんをして、床下あるいは天井まで水につかった、そんな状況は今まで信じられないということが全国各地で実は聞かれます。

 そのために、ではどうやって命と財産を守るかということも国土交通省はきちんとやはり対策を示していかなければいけないんだろうと思うんです。

 去年、私が災害の後行った広島の庄原ですか、あそこの被災地に入ったときに、沢筋が二つありました。一方の沢筋には小さな砂防、いわゆる堰堤ですけれども、三カ所あって、何とかそれが踏みとどまって流木だとか土砂の流出を、下流まで行くことを防いでくれていた。隣接するもう一つの沢筋には、砂防ダムあるいは砂防堰堤の施設が何もなかった。そのために山が崩れ落ち、流木あるいは土砂が下の住宅あるいは農地まで押し寄せてしまっているという状況を考えたときに、それは、たった今、そこの山を五十年、百年に備えるためには、費用としてどれだけの経費がかかるかという観点で議論をされるのかもわからないけれども、この異常気象の中で、気がつく限り、やはり手だてはしておくべきだと思うんですね。

 幸いにして、そこは命が失われることがなかったところでありましたけれども、場合によっては、そのことによってとうとい人命が失われたり、いろいろな形でその沢筋で大きな被害が起きることを考えると、予防という観点から、治山、山を守るという観点から、私は、そういった手だて、やはりコンクリートの力もかりることが必要だと思うんです。

 そういう意味では、そんなことを新しく、新しくじゃないんですけれども、検討して、ぜひ、予算が膨れても命を守るためにやっていただきたいと私は思うんですけれども、どうお考えになりますか。

大畠国務大臣 先生御指摘のように、私も、およそ十年ぐらい前だったかその前後だったと思いますが、熊本県で同じように集中的に部分だけ雨が降るという、たしか湿舌現象といいますか、その部分だけに短時間に大量の雨が降りまして、その川筋、通常はほとんどそんなに川の流れはないので沢なんですが、そこに集中的に雨が降ったために土石流が起こりまして、たしか私の記憶では、直径一メーターぐらいあるような岩がごろごろ流れてきて、その沢筋に住んでいた方々の住宅も流されて大変な死傷者を出すことがありました。

 確かに先生がおっしゃるように、最近では従来考えられないような異常気象のもとで災害が起こることが出てまいりました。したがって、国土交通省の管下に気象庁というものもございますが、その気象庁がきちっと状況を把握すると同時に、そういうことも起こり得るんだという目であちこちを点検して、必要なときには必要な手だてというものを改めて考えなければならない、今そういう時代に入っているという認識をしておりまして、先生の御指摘を踏まえて、全体的にそういう防災という視点で対策を見直さなきゃならない、私もそう考えております。

長島(忠)分科員 済みません。三十分の時間に欲張ったので。来ていただいているので、東副大臣からも。申しわけありません。

 中央防災会議、二十六回の資料を私少し見せていただいて、広大な浸水地域、深い浸水層とか、都市等における浸水被害についてかなり議論をされた経緯があります。

 民主党さんが政権をとられたときに、スーパー堤防は中止をするんだ、それにかわる安心、安全策を提言されるんだというお話をされていましたけれども、そのことについて、防災担当の副大臣として、今どんなふうに検討が進んでいるか、後で国交大臣からもお聞きしますけれども、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

東副大臣 具体的な今の御質問に対しては、今お聞きしたので、きちんとした形で答えられるかどうかわかりませんけれども。

 一方においては、例えば東京の中を見て、私は江東区に住んでおりますが、隅田川沿川にスーパー堤防が一部分完成しているわけであります。これを、全部にわたって将来起こるだろう洪水の可能性を踏まえた上で既存の堤防をスーパー堤防にかえるとか堤防を補強していくとなると、相当な時間と相当な財源が必要になってくる。

 他方、東京の中には、首都圏の中には物すごい脆弱な土壌がたくさんあって、過去のカスリーン台風の場合は、例えば一つの堤防が決壊して水があふれ出すと、ある地域においては何週間にもわたって水がはけないとか、そういう部分もありまして、土壌の改善というものも進めていかなくちゃいけない。

 基本的には、首都圏の中におけるハザードマップというのはほぼでき上がりつつあるんですけれども、そのことも含めた上で、随時検討と準備をさせていただいているというのが一般論として言えることだと思います。

長島(忠)分科員 比較的最近は、神戸以来、大都市部における、洪水も含めて、そんな大きな災害がないということなんですが、私は、東京の一番心配するところは、地下構造物が非常に多いということ、それと人口が密集しているということ、それと不特定多数の人が日夜を問わず出入りしているということで、災害があったときに人的な被害が広がるおそれが非常に大きいと思うんです。

 それを防ぐためには何が必要か。やはりきっちりとした社会資本、インフラで防ぐこともある意味大事だと私は思っているんです。スーパー堤防ということを費用という面であきらめるんだとしたら、それにかわるものを早急に急がなきゃいけないと思うんです。そのことに対してどういう方向で進んでいるのか、国交大臣として少しお聞かせをいただきたい。

大畠国務大臣 スーパー堤防というのも、洪水対策として、一つの考え方としては非常に効果的なものだろうと私も受けとめております。

 従来の堤防の場合、それを乗り越えた場合、あるいはどこかで堤防が決壊した場合、その堤防の川から見ると外側のところに住宅地がある場合には非常に大きな影響を受けるわけであります。そこら辺を、堤防が決壊しないように、さらに堤防を乗り越えたとしても、その地域全体を持ち上げて、町全体をその堤防の上に乗せてしまえば、結局、床下等々のところへ行ったり、あるいは床上になったとしても大規模な水害にはならないだろうという発想のスーパー堤防ということで受けとめておりますが、これには、先ほどお話があったように、大変な費用がかかるわけであります。

 したがって、全部スーパー堤防にしてしまえば一番いいわけでありますけれども、予算という観点からどうなんだろうか、こういうことでいろいろと検討されているということは、先生が御指摘のとおりであります。

 では、スーパー堤防にかわるものは何か、こういうことでありますが、一つは、その地域全体をどんな形で洪水に備えるか。それは、上流側から始まって下流側まで含めて、全体にどう水が集中的にその地域を襲わないようにするか、こういうことの検討が必要だと思うんです。

 一つは、山というものに対して、一気に水が下流の方に流れないようにいろいろな工夫をして、山に水を押しとどめておいて徐々に流れてくるという工夫ですとか、あるいは人口が密集していない地域で、いわゆる霞堤防ですとか、江戸時代からのいろいろな工夫があります。この地域については水があふれ出たとしてもよしとする、いわゆる人的な被害がないような地域をつくろうとか、あるいは水田とかさまざまな農地もありますが、そこのところは、大変申しわけないけれども、水が出たときには人口密集地にはその被害が及ばないように、その地域にため池といいますか、一時的に水があふれ出て、そこで充満して、それから徐々に下流の方に流れるような工夫とか、その水系全体で何とか対応できないか。

 そういうことを検討することも必要だろうということを、私自身も、この一カ月いろいろお話を伺っておりますが、そのお話の中にはそういう工夫を含めて検討する、こういうことと伺っております。

長島(忠)分科員 時間がなくなってくるので、もっといっぱい議論をしたいんですが、東副大臣、霧島が噴火をしました。多分、火山の対策は常にされていて、その辺の予算はやはりきっちりと確保して、これからも日本の国にどんな災害があるかわかりません。

 一点だけ。ある東京の団体が工夫をされていて、いわゆるハザードマップ、日本語だけではなくて韓国語や中国語に全部自分たちでつくって、地域のホテルとか公共施設に配っているという例が実はありまして、非常に人気があってすぐになくなるそうです。今回、ニュージーランドに行って我々の同胞が被害を受けていることを考えると、日本もいろいろなところの国が来ることを考えると、やはりそこのところも検討されて、国が東京都とか密集地にはそのことを配慮する必要があるんではないかなと思うんです。

 私は最後に、質問というか、私の願いを少し話をさせていただきたいと思います。

 今、大臣からお答えをいただきましたスーパー堤防、私もスーパー堤防を見せていただいて、あれができたら日本の国は、都市はとても安心、安全になると私は思います。ただ、それが理想だとしても、今大臣が言ったように、費用という面あるいは期間という面でそのことがちょっと大変だというんだったら、それにかわる安全策をやはり早急に国民に示す必要があると思うんです。それはお金がかかるとか、かからないとかいう問題ではなくて、国民の命を守るために我々はこうしますという対策を早急に国土交通省さんが出して、取りかかっていただきたいなと私は思うんです。都市部においてはそういうこと。

 地方においては、やはり人口がどんどんどんどん流出をして過疎になってしまっている。費用対効果だけ言われてしまうと、我々のところはこの道をもう少し安全にしたいんだけれども、そこのところはなかなかできないんではないか、できないんだとすると、このふるさと、地震があったらどうしよう、豪雪になったらどうしよう、豪雨が降ったらどうしようということであきらめざるを得ないということがどんどんどんどん加速してくるんではないかなと私は心配をする一人なんです。

 例えば費用対効果、BバイCを計算されるときに、日本じゅうの道路を多分同じ基準で評価されると思うんです。さっき、少し前に来て、質問に答えられているのをここで見ていたら、排雪の場所を今度拡幅されるというお話を副大臣の方からされていましたよね。

 雪国に、私のところに来ると、よく、いい道路ですねと私は言われるんです。冬に来てくださいと言うんです。冬に来るんです。あの道路はどこへ行ったんですかと聞かれるんです。いや、この下にありますよと。どうしたんですかと。雪を置いたら使える道路は一車線、すれ違いのできない道路しか残らないんです、だから冬は凍ったりすると危険で、事故も多くなるんですということをよく説明させていただくんです。

 だとしたら、雪の効果というのは、それは生活の効果ですから、費用の中にできるだけ含めないような方向でBバイCを算出していただくことも、地方に生きる人にとってやはり希望を与えることになるんではないかな、私はそう思うんです。

 私は、余り地域案件をきょうは言わないようにしようと思ったんですが、我々のところはおかげさまで高速道路が開通をして、非常に利便性を増しています。ただ、同時に、その高速道路に集中するために、周辺の道路が少し手薄になっている感が否めないんです。昔の街道であった三国街道、旧十七号線、我々にとっては関東への道でした。江戸時代からずっと続いている三国街道です。その頂上付近に、県境に三国トンネルというのがあるんです。今、老朽化してしまって、絶えず漏水、それと、たび重なる改修によってすれ違いができないトンネルになってしまって、非常に危険な思いをして通っています。

 災害があることを想定してはいけないんだと思うんです。あったときには、群馬県の猿ケ京の方から新潟県の湯沢までに暮らす人たちにとってあれが命の道になるんです。そのトンネルがあのまま、将来的に何年後にはこれを何とかしますよという方向も見えないままあそこに住み続けさせるというのは、我々国会議員として、あるいは政府として、少しメッセージとして伝えられるところは伝えてやってほしいなと。

 ぜひ、大臣あるいは副大臣には、新潟にお越しの節は、豪雪も大切ですけれども、あの三国のトンネルを見ていただいて、本当にあのトンネルが将来何かあったときには命のトンネルになるんだ、そういう観点でごらんいただいて、改修、あるいはいろいろな意味で改良という方向を地元に伝えていただけるように心からお願いをしたいと思います。

 私は、国土交通省の皆さんが命を守ってくださるということを大変評価しています。ですから、冒頭申し上げたとおり、コンクリートから人へというメッセージ、それはコンクリートも人もということだと思うんですが、そのメッセージがともすると誤って伝わることがある。その誤ったメッセージによって地方は憶病になってしまう。そういうことがないようにするのも、政府の役割だし、大臣の役割だろう、私はそんなふうに思います。国土交通省の皆さんには勇気を持って国民の命と財産を守ってほしいということを申し上げて、ちょうど時間ですから、私の質問を終わらせていただきます。

大畠国務大臣 私も、山古志村に当時参りまして、国土交通の政務官をやっている市村さんが現地に駐在いたしまして救援活動に入ったことを思い起こしております。

 先生がおっしゃるように、地域に住む方々が、本当に万が一のときにどういう形で命と財産を守っていったらいいのか、このことは国の一つの責務でありますから、しっかりと先生の今回の御提案あるいは御指摘を踏まえて国土交通省として対処してまいりたいと考えております。

 以上であります。

長島(忠)分科員 どうもありがとうございました。

吉良主査 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部分科員 社民党の服部良一です。

 皆さん、おはようございます。大臣、御苦労さまです。

 まず、現在、山口県上関原子力発電所建設工事予定地において、工事を強行しようとする中国電力の作業員と反対派の住民との間で攻防が続いており、地元祝島の六十九歳の女性が負傷して救急車で運ばれるという非常事態が発生しております。

 その中で、海上保安庁の船が、反対派の漁民の船の進行を邪魔して中国電力の台船の前に立ちふさがる、あるいは反対派一隻に対して四隻ぐらいの船でわざと船に当ててくる、現場に近づこうとしたシーカヤックを海保のゴムボートが連行するといった事態があるというふうに聞いておりまして、海上保安庁は中国電力の味方になって地元漁民の反対行動を阻止しているのかというような地元の漁民の声が上がっておるわけです。

 どういう基準でこういう行動をしているのか、あるいは、安全確保を前提に中立性を守るために現場にどのような指示を徹底しているのか、お聞きをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 上関原子力発電所建設予定地の沖合での海上保安庁の活動の件でございますが、委員御指摘のように、中国電力の工事船、あるいはこれに抗議をする漁船等の船舶が当該予定地の沖合で多数せめぎ合っておるところがありますので、海上保安庁といたしましては、あくまで事故を防止して海上の安全を確保するという観点から必要な指導を行うということにしておりまして、場合によっては、やはり船舶同士が接近して危険があるという場合には、その間に割って入るというようなこともやってございます。あくまでこれは、公正中立な立場で、事故を防止し安全を確保するという観点から行っているものでございます。

服部分科員 実は同じようなことが沖縄の辺野古の環境調査でもございまして、最初、海保さんは非常に中立的な立場でやっておられたんですね。両方とも距離感を持ってやっておられたんですけれども、途中から、明らかに事業者の方の味方をするような、要するに反対派を排除するような、そういう動きをされたことが実はあるんですね。そんなことで、私は当時、山内徳信参議院議員の秘書をやっておりまして、一緒に中城の海保の事務所まで、けしからぬということで抗議に行かせていただいたことがあるんですよ。同じようなことをするというのは非常にまずいと思うんですね。

 写真も来ているんですけれども、こういう形で、大臣、海保のと漁船がぶつかったりしているわけですね。それから、大勢の海保のゴムボートが来て漁船を取り囲むというような行動になっておりますので、ここはぜひ、厳正中立、海の安全を守るという海保の本来の目的に沿って行動されているというふうに信じますけれども、少なくとも現場からはそういう声が上がっているということをしっかり受けとめていただきたいというふうに思います。

鈴木政府参考人 海上保安庁としては、あくまでも海上の安全確保が使命でございますので、不慮の事故がないように、しっかりとこれからもやっていきたいと思っております。

 委員御承知のように、海上においては、やはり波とか風の影響で思わぬ船の動きがありますので、事故を未然に防止するためには、ある程度、私どもの船艇も出してそれで整理をしていかなきゃいかぬという部分もありますが、これは、あくまで公正中立の立場で、安全を確保するという観点からやっていきたいと思っております。

服部分科員 続きまして、阪神・淡路大震災の被災者向けの期限つき借り上げ復興住宅の問題で質問をいたします。

 この復興住宅の期限が二十年とされているために、一部自治体で、居住者をいわば追い出すような動きが今出ております。昨年一年の兵庫県内の災害復興住宅での孤独死が六十名、それから高齢化率も六〇%に近くて、非常に高齢化して収入もない方が多いという現実で、居住者からは、確かに二十年という期限はあるけれども、今さら出ていけと言われても行くところがない、そういう悲鳴の声が上がっているわけです。

 そこで、こうした高齢者など生活弱者世帯への配慮も含めて、借り上げ期限到来時の国の対応についてお聞きをいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 阪神・淡路大震災の被災者対策として、今先生御指摘のとおり、当時、公営住宅をつくる一方で、民間住宅の借り上げを行ってこれを公営住宅として活用するということで、住宅を失われた方々の対策を行ったところでございます。

 この借り上げ公営住宅については、二十年という期限でございますので、平成二十七年度から順次借り上げ期間の満了を迎えるということになります。当然のことでございますけれども、期間の満了に際して入居しておられる方々の居住の安定を確保する、これは重要な課題であるというふうに思っております。

 そうしますと、対応ということでどういうことが考えられるかということになるわけでございますが、期限の来た住宅について、これは事業主体は地方公共団体になるわけですが、再度借り上げる、あるいは住宅をお持ちの方といろいろ交渉されて買い取るというやり方、あるいは、公営住宅にあきがある場合に別の公営住宅にお移りいただくというようなあっせんをする、そういったやり方が考えられると思っております。

 当然その場合に入居しておられる方の意向の確認ということが必要になるということで、兵庫県や神戸市で、去年の十月あるいは十一月ぐらいから、入居者に対するアンケート調査ですとか相談会といったようなことを前もって早目にスタートをさせているというふうに聞いておりまして、県、市とも、そういった入居者の意向の確認の上で対応策を検討していくというふうに聞いております。

 御指摘のように、居住者は相当数高齢者になっております。県営住宅の場合には七〇%をもう超えておるというような状況もございますので、こうした世帯の居住の安定に支障が出ることがないように、私どもも、事業主体、公共団体の方といろいろ話をいたしまして、必要な支援策というのは講じてまいりたい、このように考えております。

服部分科員 ありがとうございました。

 一部自治体では、国が支援を打ち切るからもう出ていってもらわないかぬのやというような趣旨の説明をしている自治体もあるんですね、現実に。ですから、居住者の方は非常に不安を募らせておりまして、また、宝塚市みたいに前向きな対応策を打ち出しているところもございます。

 大臣、あの震災があって、神戸市役所の前で被災者の集いがずっと毎年、一月十七日あるいは年末とかに続けられていまして、私もその実行委員長を十一年間やってきたんですよ。もちつきをやったり、もちをついて被災者の方に配ったり、そういう意味でいろいろ思いもございまして、ぜひ高齢者を追い出すようなことにならないように、各自治体に対して国が、今こういう選択肢があるんだよということについてもやはりきちんと説明をしていただきたいというふうに思います。ぜひよろしく対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、昨年、まさに歴史的とも言えるJRの解雇問題の和解が成立いたしました。私が察するところ、大畠大臣はこの件については特別な思いを持っておられるんじゃないかなと思っておりまして、二十三年かかって解決したこのJRの解雇問題、これに対する大臣の思いをぜひお聞かせいただきたいのが一点です。

 それから、しかし、御存じのように、まだ再雇用の問題というのが解決をしておりません。これは別に何千人、何万人雇えという話じゃないんですから、この再雇用の解決に向けてテーブルづくりをするとか、大臣にはぜひ一汗かいていただきたいなというふうに思っておりまして、その決意なり思いも含めて大臣の声をお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

大畠国務大臣 服部議員から、JRの不採用問題についての御質問を賜りました。

 私も、この課題については、おおよそ二十年ぐらい、いろいろな場面でお話を聞いたり、あるいは北海道の現地に伺って、その方々との、あるいは家族の方々とのお話し合いというものもしたこともございます。

 千四十七名の方が解雇をされたという事実、そしてその後、この千四十七名の方々を中心として、さまざまな方々が助力をして、何とかこの問題を解決したいという御努力をずっとされてこられました。時には解決の糸口が見えるかなと思うときもありましたし、それがさまざまな形でそうならなかった、こういうことがございました。

 結果として、先ほど服部委員から御指摘のように、平成二十二年の四月九日、民主党、社会民主党、それから国民新党、公明党の各幹事長からの「国鉄改革千四十七名問題の政治解決に向けて」、こういうお申し入れを当時の前原国土交通大臣に提出され、そのことが一つのきっかけとなって、この問題に一つの大きな解決の流れというものができたわけであります。

 政府が五月の十八日に、四党の解決案というものを正式に受け入れる、こういうことを決定し、鉄道・運輸機構に対して裁判上の和解を行うよう指示をいたしました。その結果、昨年六月二十八日に、原告団の九百十名のうち九百四名の方々と鉄道・運輸機構との間で和解が成立したことも先生御存じのとおりであります。

 解雇から二十年以上が過ぎまして、たしか五十名を超える方々がもうお亡くなりになっているということでありますが、この長きにわたる問題解決に向けての流れの中で、原告の方々が大変な思いをした、そして家族の方々も、同じように、同様以上に大変な思いをしてきたことは私も実感をしておりまして、今回、人道上の観点から、大変歓迎すべき時代に入ったと考えております。

 しかし、この四党の幹事長からのお申し入れの中に、「JRへの雇用」という課題がございます。「解決にあたって、JR北海道、九州等の各社を中心に二百名位の採用を要請する。」こういうものがございますが、この四党からのお申し入れについて、現在、政府としても、この課題についての党からの具体的な要請というものを、今、新たな段階に入っておりますから、改めて現段階における状況を踏まえての要請というものをしていただけるようにお願いをしておりまして、その要請がありました場合には、JRに対して、改めてこの問題についてのいわゆる取り次ぎというものをしたいと思うところであります。

 ただ、JRによる雇用につきましては、昨年の四月九日に三大臣と四党幹事長の間で了解をいたしました解決案受け入れの条件に、JRによる採用を強要することはできないということから、人数等が希望どおり採用されるということは保証できないと明記されているところでございますけれども、しかし、四党からの、及び和解に応じられた原告の方々も、このことについては了解をされているところでありますが、改めてそのような申し入れがあった場合には、私どもとしても努力をしていきたいと思います。

服部分科員 画竜点睛を欠くじゃないですけれども、せっかくここまで来ているわけですから、やはりもう一歩努力をしていただく。当事者はもちろん、いろいろな政党がいろいろな思いで動いたわけですけれども、今まで長年解決してこなかった。これがやはり、政権交代して本当によかったなというふうに思っている人が本当に多いんですね、この件については。ですから、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それから、国が最大の発注者である公共事業について、労働者の賃金が減り続けております。単価の平均が二〇一〇年までの十年間で日額四千円下がり、建設産業全体がこれ以上疲弊すれば、公共事業を通じた社会資本の整備にも影響するのではないか、そういう指摘も出ておるわけです。

 公契約法や公契約条例の制定を求める意見書は八百五十二議会にも及んでおりますし、それから、民主党の方でも、過去、公共工事報酬確保法案というものをシャドー内閣で閣議決定されたということも聞いておりまして、まず、こういう公共事業に従事する労働者の実情ということについて厚労省としてどういう御認識をお持ちなのか、お聞きをいたします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事を含めました公契約につきまして、そこに従事する方々の適正な労働条件を確保していくということは、労働条件全般の底上げを図る観点から大変重要な課題ではないかと厚生労働省としても受けとめているところでございます。

 ただ、その一方で、公共工事を含めました公契約につきましては、予算の効率的な執行という要請もあるわけでございまして、こうした租税の負担者である国民からの要請ということについてもきちんとこたえていかなければいけない、こういう問題であろうかと思います。

 私どもといたしましては、この公契約に関しましては、今後、発注者でございます国の機関や地方公共団体も含めました議論を進めるべきと考えているところでございます。

服部分科員 公共工事の発注の無駄もやはり省かなければいけないという一方で、元請が受注した公共事業の末端の末端の労働者にしてみたら、結局、搾り搾り取られて非常に厳しい労働条件で働かざるを得ないという、これもまた一方の現実だと思うんですね。

 それは確かに非常に難しい問題だとは思いますが、十一月十九日の参議院の予算委員会で、我が党の吉田議員の質問に対して、公契約の法制化について厚労省で検討をするというような答弁をされておるわけですけれども、その後の検討状況について厚労省の方にお聞きをしたいと思うんです。

金子政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたけれども、この問題、発注者であります国や地方公共団体を含めた大変幅広い議論が必要でございますが、厚生労働省といたしましては、こうした議論に資するために、地方公共団体での取り組み状況の把握ですとか、それから発注の際の工夫のあり方、それから私どもが制度として持っております最低賃金制度との関係、こうした点について、現在、幅広く研究、検討しているところでございます。

服部分科員 具体的に項目立てして検討に入られているという理解でいいんですか。

金子政府参考人 今まさに課題、問題点の抽出をしているところでございまして、今後、研究につきましては、さらに鋭意進めてまいりたいと思っております。

服部分科員 国交省としては、この問題についてはどういう御認識をお持ちでしょうか。

津川大臣政務官 ただいま御指摘をいただきました点につきましては、国土交通省としても大変重大な関心を持っているところでございます。

 公契約のあり方については、一義的には労使で自主的に決定されるべき賃金、そういう条件は確かにございますが、国土交通省の建設産業政策という観点からは、まず、労働環境改善に資するように実効あるダンピングの防止策の徹底をしていかなければならない、また、保険未加入企業の排除等、総合的に進めてまいりたいというふうに考えておりますし、今御説明がありました、総理の指示でありますが、厚労省の中で今後進めていただきます検討の中でも、国交省としても必要に応じて積極的に参加してまいりたいと考えております。

服部分科員 それでは、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、沖縄の新石垣空港の建設の問題についてお聞きをいたします。

 この新石垣空港の建設が、琉球カルスト台地の上に建設をされているわけですけれども、専門家の方からは、非常に危険だというふうに安全性を指摘する声が出ております。沖縄鍾乳洞協会の代表も、一挙に崩壊する危険性があるとも言っておられるわけです。

 本事業用地には三本の地下川が流れているというふうに認識されているようなんですけれども、専門家はさらに二本の地下川があるというふうに指摘をしており、国としては、こうした地下水とか洞窟だけの調査でなくて、こういう地下川の調査、あるいは未調査の洞窟や空洞がないというふうに言い切れるのか、本当に安全というふうに言い切れるのか、答弁を求めたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 新石垣空港は現在建設中でございまして、その地下に、今委員御指摘のとおり、洞窟あるいは水が流れるそういった空間がある、これに伴って地盤の陥没を引き起こすのではないかといった懸念が示されていることは十分承知しております。

 この問題につきましては、同空港の設置管理者でございます沖縄県において、まず洞窟そのものの調査を実施させていただいて、その上で、洞窟等の存在が確認された地盤の強度につきましては、専門家から成ります新石垣空港建設工法委員会を開催し、技術的な検討の上で、強度が不十分な箇所についてはコンクリートの構造物でこれを覆うといったような対策を既に実施しておられると承知しておりますし、また、今後新たな洞窟等が確認された場合におきましても、必要な対策を実施する、こう承っております。

 したがって、私どもとしては、現在のところ、これまで沖縄県からの報告を受けた状況では、航空機の運航には十分たえ得る強度が確保されている、こう判断しているところでございます。

服部分科員 大臣、沖縄県が環境アセスをやっているわけなんですが、大阪経済法科大学の教授でこういう洞窟学の専門家の方が、これは世界の五百ぐらいの洞窟を調査したことがあるという方なんですけれども、沖縄のアセスでは、地下水の調査はやっているけれども、地下を流れる川、地下川の調査はやっていない、環境アセスとしては重大な欠陥があると言わざるを得ないということを昨年の八月に書面で出されているわけなんですね。

 それで、秋吉台とか平尾台とか、ああいうカルスト台地というのは、何億年という歴史があって、非常にかたく石灰岩が凝固されているらしいんですよね。ところが、やはり沖縄のあの地域のカルスト台地というのは、非常に歴史も浅くて、凝固している部分があったり固まっていない部分があったり、非常に不均等だということ、それから、あそこの地下の川が海まで延びていて、海に川が出ているといいますか流れているといいますか、というようなことだということです。ですから、陸の環境汚染とか工事が直接海の方に影響する、そういう構造になっているというふうに指摘をされているわけですね。

 そういう状況の中で、ドーム型のコンクリートの防護壁で滑走路の下に対応されているというのは私も知っているわけですけれども、本当にそれだけで大丈夫なのか。こういう専門家の方が、沖縄の環境アセスは問題がある、本当にすべての川とかの調査はできているのかという懸念が出ているということなんですね。

 これは、何十年かたって陥没しましたというようなことになると、飛行場ですから大変な問題になるわけで、ここは国としても十分注意して、沖縄県が環境アセスをやっているからいいだろうみたいな、そういうわけにはいかないわけですから、ここは引き続き検討をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、最後になります、道路行政についていかに環境の視点で取り組むべきかという点についての私の問題意識なんですけれども、一つはやはり、都市部の道路の路面温度が非常に高くなる、それから、最近、集中豪雨が多い中で、保水性が非常に低いアスファルトによって雨水が一挙に側溝とか河川に流れ込んで水の被害が起きる、こういう現象があるわけですね。それから、石油の高騰によって、アスファルトの材料が、コストが今非常に上がってきている。アスファルトじゃなくてナフサの方に生産を転換しようというような動きもあるということで、将来的には受注生産になるんじゃないかというようなことを指摘する専門家もおられるわけです。

 そういう観点からしますと、環境に優しい、保水性の高いポーラスコンクリートが今非常に注目を浴びているわけなんですけれども、それが今、基幹国道では四カ所、実験的に使用されているというふうに聞いておるわけなんですが、その今の現状、及び今後の利用拡大に向けた方針があるのであればお聞きをしたいと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 道路事業におきまして、これまで、アスファルトの保水性舗装あるいは遮熱性舗装等の温度低減効果を確認しながら施工実績を積み重ねてきたところでございますが、今御指摘をいただきました多孔性コンクリート、いわゆるポーラスコンクリート舗装につきましては、今御指摘いただきましたとおり、直轄国道において四カ所施工し、その効果について現在把握に努めているところでございます。

 お尋ねでございますのでお答えをさせていただきますが、国道百五十五号線、豊田市でございますが、平成十二年の九月に測定をした段階では、それまでの舗装に比べまして約六度から十一度程度低減をしたということが効果として確認をされておりますが、二十二年の九月に測定をした段階では、マイナス二度から九度ほど逆に上昇をしているというような測定もされているところでございまして、いわゆる耐久性、物がその穴にどんどん詰まってしまうとその効果が薄れていくのかもしれない、そういったところについて引き続きその効果をしっかりと把握してまいりたいと考えているところでございます。

服部分科員 道路というのは、要するに、道路をここからここに引くということが、どうしてもその路線だけが問題になるんですけれども、やはり今からは、どういう道路をつくるのかということ、環境の面を見てどういう道路が本当にいいのかということも含めて今後ぜひ検討をしていただければというふうに思います。

 公共工事については、私、五十年以上たった老朽化した橋の建てかえをどうするのかとか、あるいは老朽化した下水道の配管を本当にどうやっていくかとか、電柱の地中化の問題とか、あるいは自転車の専用道路をどうつくるかとか、いろいろ公共事業の課題というのがやはりあるというふうに思うんですね。

 質問通告しておりませんけれども、その辺、大臣の今後の公共事業にかけた思いという点について、ちょっと一言だけお聞きいたします。

吉良主査 大畠章宏国土交通大臣、簡潔にお願いします。

大畠国務大臣 委員の御指摘でございますが、公共事業というのはどういうものかということでありますが、地域に住む方々にとって安心して生活ができるというものの一つとして、例えば、子供たちの学校ですとかあるいは道路の安全性、あるいは道路にかかる橋の安全性、そして先生がおっしゃるように、建設をして五十年、六十年、七十年たちますと劣化してまいります。そういうものを、きちっとその状況を見きわめて、安全な建物、安全な橋に取りかえるというのは非常に大事であります。

 したがいまして、私自身の認識としては、公共事業というのは、まさに地域で生活する上で大変大事なものでありますし、その劣化あるいは老朽化というものをしっかりと確認して、適切な時期に適切に建てかえていく、あるいは取りかえていく、こういう認識を持ちながら進めなければならないという事業だろうと考えております。

服部分科員 どうもありがとうございました。

吉良主査 これにて服部良一君の質疑は終了いたしました。

 次に、福井照君。

福井分科員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 すばらしい服部良一先生の御質問、何か、何党の方だかよくわからない、コンクリートから人へという政権だったのかなと思いますが、私の方からも、今せっかく大臣が御答弁されましたので、公共事業の必要性、そして資産管理ですね。

 多分、道路の資産はもう百兆円を超えておると思います。下水道は五〇%で、一人百万円ですから、下水道の資産というのはすごく簡単にアセスできるんですね。ですから、日本人全体が持っている下水道資産というのは、五十兆円あるんです。あと、ダムと河川とあわせまして、それが五十年でリサイクルをしないといけませんから、当然のごとく、毎年毎年の必要投資額というのがあるわけでございます。それに、今のデフレ脱却の需要創造ということがありますので、ぜひ、自由民主党が出しました動議についてお認めをいただければそれなりの、それでも五パーを削減しまして、七・一兆円に戻すのじゃなくて六・四兆円、公共事業費、遠慮して動議を出させていただきますので、よろしく御査収をいただければというふうに思います。

 さて、お許しをいただきまして、資料を配らせていただきました。ちょっと二枚目の方からごらんいただきますと、もう本当にかわいそうな四国というのが、これだけ見て余りにも如実にわかると思います。整備新幹線の建設費が、北海道では一・五五兆円、北陸では三・二三兆円、東北では〇・九二兆円、九州では一・八一兆円ということで、整備新幹線だけでも七・五兆円以上、四国以外の地域に投資をされております。もちろん、新幹線はかねてから投資をされているということでございます。

 北海道、沖縄、離島、奄美は特別法があって、補助率差額もあり、そして組織的にも、人的にも、補助金的にも支援をしてきたという経緯があった。その次にかわいそうだったのが四国だったんです。ですから、今となっては、地域整備が一番立ちおくれているのは四国地方だということは客観的に言えると思いますし、これからの整備新幹線の投資額を見ても、かなりそのおくれが助長される状況にある、これはもう現実でございます。

 一ページ目をごらんいただきますと、高知―高松で距離と在来線と自動車、鹿児島―熊本―博多で距離と在来線と新幹線と自動車、それぞれ出ています。つまり、新幹線が整備されると、抜本的に変わるんですね。自動車と在来線で変わらない地域もありますけれども、新幹線というのは、地域を変える、住まい方を変える。そして、もっと言うと、貿易外収支で、観光客が海外からやってきてそこで何泊かするときの、観光スポットと観光スポットを高速で結ぶことができる。そうすると、それぞれ客単価もふえて、地域に落ちる、地域GDPがふえるということで、貿易外収支のキーになるわけです。九州も、九州新幹線ができてから、JRの財務諸表もよくなりました。

 まさに、高速鉄道ネットワークというのは、地域整備について肝になってきたし、そしてこれからもなるであろうし、大事なものであるということを御認識いただいて、それで四国に対する鉄道整備の基本的な大臣の御所見をぜひここで教えていただきたいなということでございます。

    〔主査退席、宮島主査代理着席〕

大畠国務大臣 建設省という職場で先生も御尽力をいただいた経験を踏まえて、福井先生から四国の高速鉄道の課題についての御質問を賜りました。

 実は、私、茨城県選出でありますが、茨城県も、高速鉄道からは縁遠いといいますか、新幹線がありません。先生からの四国も高速鉄道網が計画されていないんだという御指摘については、共感をするところがございます。

 その上で、先生から改めてこの資料を賜りまして、四国関係では整備新幹線が全くないじゃないか、こういう御指摘、そして、高速鉄道ネットワークというものが地域経済には大変大きな影響を与える、今後この問題についてどう考えていくのか、こういう御指摘をいただきました。

 四国におきましても、鉄道というものは地域の足を支える重要な輸送手段である、これは私も共通した認識を持っておりまして、現在、高徳線の高速化というもの、徳島と高松を結ぶ線でありますが、これの支援を行ってきたところであります。

 あと、全体的にどうするのかということでありますが、現在、四国経済連合会や四県の知事さん方など関係する方々が四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会というのを昨年の四月に発足させたと伺っておりまして、先生御指摘のように、四国における鉄道に対する関心が高まっているという認識を持っております。

 政府といたしましても、JR四国の特急車両の更新などの設備投資を支援するため、鉄道・運輸機構特例業務勘定の利益剰余金等を活用して、助成金の交付と無利子貸し付けを行いたいと考えており、その内容を含む法律案の審議を今国会でもお願いをしたいと考えています。

 いずれにしても、先生御指摘の四国における高速鉄道のあり方については、地元の方々のこの懇談会の中で一つの方針といいますかビジョンというものが示されると思いますが、そういうことを参考にしながら、国としても考えてまいりたいと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたのは鉄道局の業務を中心に御答弁いただいたわけですけれども、国土交通委員会が始まりましたら、仮に審議があったら、国土のこれからの整備、国土計画局といいましょうか、昔でいえば国土庁の業務でカバーしていた国土全体の、昔でいえば全国総合開発計画、開発という言葉が古いのであれがなくなったわけですけれども、日本というのは各地方各地方、都市と地方、そしてアジアとの関係、いろいろな評価軸がありますけれども、その日本をこれからどう整備していこうと大臣はされているのか。ぜひ準備をしておいていただければということで、その中で四国がどういう位置づけかということを御教示いただければというふうに思います。

 それでは、JALの問題でございますが、ちょうど大臣ですので、ちょっと紹介したくなった話があります。

 ちょうど農水省の政務官をしていた時代、安倍政権時代でしたけれども、中央省庁の改廃の問題がありまして、具体化しました。それで、農水省のブランチに三月末に行きまして、農水省の国家公務員、数十年間勤めていたけれども、その組織がなくなるので、泣く泣く地方公共団体とかあるいは国家公務員でもよその省庁に転勤を余儀なくされたという人を目の前に、申しわけなかったということで、僕としては慰めに行ったんです。

 そうしたら、最も官公労の労働組合の闘士が、そんなことを言ってほしくない、我々は安倍総理に言われて泣く泣く嫌々そういうことになるんじゃない、みずから欲して国家のために転勤をするんだ、みずから欲して国家のためにやっているんだ、このことをよく安倍総理に言っておけ、こう言われまして、さすがと思って本当に、官邸で二期生、三期生の夕食会がありましたので、安倍総理にお伝えしました。そのまま伝えさせていただきました。まさに、ちょっと申しわけないんですけれども、いわば労働組合だから身勝手とか、そういうことじゃなくて、国家のために働いておられたし、これからも働いておられるんだなということを経験しました。

 ですから、JALで、裁判は裁判であります、労使関係の裁判がありますけれども、しかし、見えないところでJALの職員がどういうふうにJAL再生に、国家のために働いていらっしゃるのか。何かそういう情報があったら、お気持ちをぜひ大臣からお伝えいただいて、これからもお願いしますというふうなことをぜひやっていただきたいなというふうに心からお願いします。

 質問としては、ここ従前の国土交通委員会で、JALの再生の状況について、情報開示をずっとお願いしてきました。ましてや、四から十二の営業利益の実績は千五百八十六億円。計画は六百四十一億円だったんですけれども、実績は千五百八十六億円。だから、上がっているんですね。上がっているんだからなおさら、実績について事業別、路線別のデータを出してくださいねとお願いしているんですけれども、それはちょっと今までは教えていただけていなかったという状況が続いているので、これだけ実績が、営業利益が上がっているんだから出したっていいじゃないのということで、ぜひお願いをさせていただきたい、それが一つ。

 それからもう一つは、大臣の所信で、着実な再建のために支援する、管理監督をするというふうにこの前の委員会でおっしゃったんですね。もう既に五千二百億棒引きをしているんです。それで、三千五百億投入をしているということなので、さらに着実な再建のために支援するとおっしゃっているその支援の意味が、これ以上一体何をするのかなということで、ちょっと具体的に教えていただければありがたいなということでございます。

 お手元のメモをそのまま教えていただければいいんですけれども、今までのJAL再生の状況について、できるだけ具体的な数字を教えていただきたい、そういうことでございます。

大畠国務大臣 そういう情勢をよく御存じの福井議員からの御指摘でございますが、先ほどの、まさにJALの再生に向けて協力をしている方々の生の声を私も今お伺いいたしました。私は、推測でございました。直接のお話し合いをしたことはありませんが、その企業といいますか、会社を愛するゆえに会社を去る決断をされたという方からの肉声だろうと受けとめておりまして、その思いというのは大事にしながら、JALの再生に当たる方々は心してやらなきゃならない。それだけに重要な今の先生からの御指摘だろうと思います。

 そこで、今御指摘のように、四月から十二月までの営業利益累計というのは千五百八十六億円、そして再生計画における二〇一〇年度の営業利益、目標でありますが、六百四十一億円、こういうふうに聞いているわけでありますが、今後どういう支援をしていくのだ、こういう御指摘を賜りました。私としては、先日、JALの社長さんにも来ていただいていろいろなお話を伺ったところでありますが、自主的な再建に向けて国がさらに何をすべきなのか、こういうことについても率直にお伺いをしながら、国としてできる限りのことはやっていきたいと思います。

 尾翼のマークもツルのマークに戻る、こういうことになりました。まさに日本の航空の歴史上、日本航空というのは日本国民にとっても大変大きな印象を持つ飛行機会社でありますし、しっかりと、先ほどの会社の再生のために協力をしている社員の方々の思いも含めて、再生に向けてぜひ着実な形でやっていただきたいと思うし、私も今後とも、先生からのまた間接的なお話等も伺いながら、国土交通大臣としてできることをやっていきたいと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

 もう一つの評価軸として、ANA、全日空とのバランスですね。今大臣もおっしゃいました、この三年間を航空行政の集中改革期間と位置づけているということで、一方で、LCCが来て、海外の情勢も本当に日ごとに変わっているという状況の中で、日本全体としてはJALとANAがしっかりひとり立ちして世界と戦っていかなければならないという状況で、今再生の真っ最中だからということを割り引いても、しかし、JALにだけ援助の手が伸びて、もしイベントリスクで何かあればANAがもう本当に、ANAこそまた倒産するという状況も考えられないこともないわけですので、JALとANAのバランスというのがこれから大事だというふうに思います、その直接の答えはいいんですけれども。

 もう一つ、さっき申し上げた、労働者といいましょうか、JALで働いていらっしゃる方の見えないところでの協力もありますけれども、全日空としての協力もあるんですね。それは本当に見えないんです。どうしてかというと、四十機ジャンボを売りました。ジャンボというのは、ほとんどの値打ちがエンジンなんです。エンジンは四つありますから、だから百六十個の立派なエンジンがマーケットに放出された。実は、全日空も売りたかったんですね。何機か、だから何十個かエンジンを売りたかったんだけれども、我慢している。いまだに売っていませんからね。ですから、それは、それこそインプリシットな、静かな大人のJAL再生に向けての全日空としての協力なんです。これもぜひ大臣にわかっていただきたい。

 それから、羽田の国際化についても、ずっと言い続けてきたのは全日空の方なんですよね。ずっと言い続けてきて、それで最後の瞬間に、いや、実はJALも羽田の国際化についての果実をとるということで、ずっと言い続けてきた人からいえばよく言うよという、だけれどもそれを言うのも我慢して、そのかわりに今僕が言ってあげているんですけれども、我慢して、それもJAL再生、要するに国家のために、JALというのはやっぱりナショナルフラッグキャリアとして一本立ちしていただかなければならないということで全日空として協力しているということがあります。

 だからこそ、全日空とJALとの援助のバランスについて、これは航空行政の、まさに大臣の御差配のそのもの、ずばり本質だと思いますので、ぜひその辺のところも留意していただいて、大人の協力もしていただいているということも頭に入れていただいて、今後、航空行政の方、御指導をよろしくお願いしたいなということでございます。簡単に、コメントを。

大畠国務大臣 私も、一カ月ほど前は経済産業大臣を拝命しておりました。経済における自由競争というのは、お互いに切磋琢磨して世界競争の中で活動していくという意味では大変大事でありますが、当然、その前提には公正な競争というものがなければなりません。

 現在、先生からも御指摘のように、日本航空が経営的に大変苦しい状況になった。言ってみますと、健康を取り戻すまでは国としても支援をしていく、しかし、その支援策というのが競争という意味で、先生がおっしゃるように、なぜか、支援をしているところと支援を全くしていないところと競争して、その競争の競い合いのときに国の支援策というのが使われたのでは不公平ではないか、こういう御指摘だろうと思いますので、その点については私もしっかり監視していきたいと思うんです。

 いわゆる健康な状態になるまでは私たちは支援しますが、その後は自立して競争していただかなければなりません。国の支援策が競争の有利な条件のところに使われないように、そこのところは私も先生と同じでありまして、公正な競争、ルールということを意識しながらの競争関係にあっていただきたいと思いますので、その点については、御指摘を踏まえて私もしっかり監視していきたいと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

 次に、高速道路の割引でございます。

 御答弁されたかもしれませんが、再び私にも教えていただきたいということで、二千円ですね。トラック協会は全国的には民主党支持になっていますので、トラック協会の陳情といいましょうか、本心は多分届いていないと思いますので、ちょっと御紹介をしますと、やはり千円でも大分渋滞があって、それでちょっとトラックとしては困ったということで、二千円になったらさらに困る状況に拍車がかかるということ。

 それから、やはり荷主があってトラックが荷物を運ぶということなので、荷主の発出の時間、それから受け入れたい時間、もうこれは決まっているから、割引が時間帯でどうあろうとも、一番経済的な時間帯を選ぶということが荷主との関係でできていないということもまずわかっていただきたい。

 それから、大口の多頻度の割引制度、これもあるんですが、もっと深掘りをしてもらいたいなということで、トラックを運営している皆さんとしてはかなり強烈な御希望があるようなので、この機会を利用させていただいてお伝えをさせていただきたいなということでございます。政権交代から遠慮して余りおっしゃっていないみたいなので、野党ですけれども、お伝えをさせていただきました。

 そこで、前原さんといろいろな議論もしましたけれども、要するに無料化とは何かということなんですね。一部でも、一番枝葉の路線であっても、全部じゃなくても無料化というんだということで前原大臣としてはおっしゃりたかったんだと思いますけれども、はっきりとはそういうことで答弁はなかったんですね。なので、今回の無料化というのは、大臣としてはどうとらえていらっしゃるのか。

 マニフェストの変更にしても、まず最初の高速道路料金無料化というその意味が、最初のスタートの定義がないから議論が右往左往するんです。ですので、あのときの高速道路無料化というのは、全線にわたっていつかはまさに無料化するんだということだったということ、それさえはっきりしてくれれば議論はもういいんです、それで右往左往して申しわけなかったということもあるし。

 それで、ここから先がポイントなんですけれども、トラック協会の方もおっしゃっていましたけれども、それから国民全体にも、これからあと二年から三年で終わってしまう、財源が尽きてしまうような二千円だったりほかの割引制度だったりすると、では、これは一体何だったのかと。では、ちょっとだけの期間、政権交代からいうと、四年から五年の間だけ夢を見させて、それでまたもとのもくあみに戻ってしまうのかいなということで、これは国民的な信頼関係への疑義がありますので、もともとの定義と、それから、いついつまでにどういう議論をして、どういうところに公共料金としての高速道路の料金施策を持っていこうとしていらっしゃるのか、ぜひ御教示いただきたいと思います。

大畠国務大臣 福井委員から本質的な御質問を賜りました。

 実は、私も、国土交通大臣をお受けするときに頭にすぐ浮かんだのが、八ツ場ダムの課題とこの高速道路の課題でありました。

 今御質問の高速道路の課題でありますが、先生もそうだと思いますが、ヨーロッパに私も何度か行かせていただきました。アメリカにも行かせていただきました。そのときに高速道路を通ったときに、料金を払っている風景を見たことがありませんでした。特に、私、十八年、九年前にフランスに原子力関係で行ったときに、友人のうちまでパリから郊外までずっと行きましたが、そのときも高速道路的なものといいますか、料金所はありませんでしたが、かなりの距離をどっと走りました。どうしてヨーロッパでは料金を払わない高速道路的なものがあるのか、日本ではどうして料金を払わなきゃならないのか、そういう疑問を持ったことも当時ございました。

 そして、民主党が原則無料化と打ち出しましたが、私もそれが方向としては正しいのではないかと思ったわけであります。先日も予算委員会で答弁させていただきましたけれども、もともと東名をつくるときに、お金がない、そういうことで、借金をして東名をつくって、三十年でこの借金返済のための料金を取って、返し終わったら東名も無料にして国の管理に入れる。言ってみますと、一般の国道と同じような形で扱う、こういう発想で始まったと伺っておりますし、小泉内閣のときにも、四十五年間の料金を取った後は、大体借金も返し終わるので、それで後は無料にしてもいいんじゃないかという発想を行ったということも聞いているところであります。

 ヨーロッパはヨーロッパ、アメリカはアメリカの道路政策というのがありますが、日本においては、自民党政権であれ民主党政権であれ、貫くような道路政策でなければならないと思っております。そこで、私自身も、この検討の場というものを、私だけの考えではなく、広く知識人の方々、専門家の方々の英知を結集して、では日本の高速道路というのは将来も含めてどうするのかということをよく論議していただいて、無料のところ、有料のところ、あるいは財源はどうするか。先生からもトラック業界の方の本音のお話を伺いまして、本当にありがとうございます。特に日本の場合に、無料にしたときにはどういう状況になるのか。特に、首都圏と大阪は無料化しておりません。

 そのほかにも、沖縄でやったところ、大変混雑するというので有料に今戻したところでありますが、どうやら日本では、大変混雑をする、あるいは渋滞をする。これでは何のための道路政策かわからなくなりますから、渋滞が予測されるところは、シンガポールと同じように料金制をもって調整するということが必要なんだろうという、これまでの経験からわかるところでありますが、そんなことも含めて、将来に向けての日本における高速道路のあり方をこの検討の会の中でぜひとも練り上げて、これは、ああ、そういうことなのかと、与党とか野党とか自民党とか民主党とかというんじゃなくて、みんなが納得するような高速道路の政策について論議をして、一つの方針を先生にも御理解いただき、そうなのか、こういう形で御納得いただけるような政策方針をつくってまいりたいと思います。

福井分科員 ありがとうございました。高速道路政策をのりにして大連立ができたような気分に今なりまして、本当にありがとうございます。

 最後に、外国人による山林売買をきっかけに、やはり地下水というのは大事なんだなというふうに国民的には思ってきたんですね。一方、地下水というのは、自分の土地の地下の部分だけが自分のものであるということで、公共利用なり公共の制限なり義務が位置づけられておりません。一方、河川行政では、水資源というのは河川水だけで、あるいは伏流水だけで、地下水というのはらち外だったんですね。一方、地盤沈下に対しては地下水の取得制限があるということで、貴重な日本人の資源としての地下水という意味での行政の組織もなければ法律もないという状況でずっと続いてきたので、外国人の山林の問題をきっかけにして、地下水に関しての統括的な、国家戦略局的な組織なり今後の運営施策について、これはどうしても、それこそ何党の政権であろうと関係なく、今、日本が必要となっている状況だと思うんです。

 そこで、基本的に今どういうふうにお考えか最後にお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

大畠国務大臣 実は、私も、先生の御質問をいただいたわけでありますが、日本という国は、水というものは自由に、また不足することなく使える国でありまして、そういう意味では、余り頓着をしておりませんでした。しかし、世界的には、水、食料、エネルギーというのが大変貴重なものになりつつあるということで、水に関する国際紛争も起こるんじゃないか、そんな予測もされているところであります。

 そういう目で見ますと、日本の土地というものを外国の方が購入される目的は何か、こういう視点で見なきゃいかぬだろうということで、現在、国土交通省の担当官の方に、どういうところを外国の方が購入しているのか調べるように、こういう指示をいたしまして、現在調査をしているところであります。中間的にも上がってきておりますが、観光地あるいは別荘地として転売をするとか、そういうところが少し上がってきておりますが、先生の御指摘をいただきましたので、改めてそういう視点からの、外国の方々あるいは企業の土地の購入というものがどんな傾向にあるのか、しっかりと調査をして対策をしてまいりたいと思います。

福井分科員 では、終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮島主査代理 これにて福井照君の質疑は終了いたしました。

 次に、北村茂男君。

北村(茂)分科員 自由民主党の北村茂男でございます。与えられました三十分間、どうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣には、きょうは長丁場になりますけれども、どうぞ頑張っていただきたいと思います。

 さて、去る二十二日、ニュージーランド南部のクライストチャーチで大きな地震が発生をいたしました。連日報道され、邦人もたくさんおられるようでありまして、いまだにその安否が確認できないという方もたくさんおられるようであります。被災地、被災者の皆さん方には心からお見舞いを申し上げますと同時に、既に亡くなられた皆さん方には心から御冥福を申し上げたいと思っております。

 実は、いまだに安否が確認できない日本人の一人に、私の親しくしていた友人がおります。ここ二年前まで、地元にあります北国新聞という新聞社の記者をして、東京で政治部の記者をしておりました。将来を嘱望される若い青年でありますが、自分の人生をと考えて新聞社を退社し、広く世界に羽ばたくための語学の研修でということでニュージーランドへ行っておられたようであります。個人的にも、あるいは記者としても大変親しくしておりましただけに、大変、連日の報道を見ながら、祈るような気持ちで今おるような状況でもあります。

 こういう災害はいつ訪れるかもしれませんし、とりわけ、私にとりましては、能登半島地震の直撃を受けたことが体にまだ残っておりまして、あの地震のときの揺れというものはとても逃げるという心境にはなりませんで、へばりつくというか、しがみつくというか、そういう心境での体験をしているだけに、彼の安否に大変心を、彼だけではありませんけれども、とりわけ知り合いであるだけに、そんな思いをしているところでもあります。

 また、我が国においても、霧島連山の新燃岳ですか、大変な噴火をいたしておりますし、さらには、私ども積雪寒冷地帯でありますだけに、昨年末から続きました大寒波襲来による豪雪には、死者も我が県でも五名を出しております。全国的にも百三十名に近い死者を出している、重傷者、負傷者を入れると一千名を超える被害が出ているとのことでありまして、災害に日ごろ備えるということの難しさと、しかし、政治とすれば常にこのことに心しておかなければいけないという立場から、質問をさせていただきたいと思っております。

 その豪雪についてでありますが、ことしの記録的な豪雪により、いわゆる除雪費が大変底をついているという自治体が今悲鳴を上げております。しかし一方、国道に関してだけ申し上げましても、いわゆる事業仕分けで、国道の維持管理費なるものが、平成二十二年度予算では前年から比べて一割以上削減をされているわけであります。この中に含まれるいわゆる除雪費という項目だけを取り上げましても、二百二十億円から百九十億円に、一五%近くも減額になっている。

 私は、災害は、起こったときに、次は備えようということを言うんですけれども、起こってしばらく時間がたつと、みんな忘れて、これは備えが必要ないのではないかという、軽んじられる傾向が人間としてはあるのではないかということを思います。

 したがって、国道を管理する現場の人たちに伺いますと、これまで除雪車二台で、一方が前を行き、一方がまたその後ろを追うことによって、一回でできたけれども、除雪費が減ったために、経費を節減するために、あえて一両で行っているんだ、しかし、また戻ってきてもう一回やるというようなことをやるたびに、かえって経費がかさむんだというようなことも現場から聞いているわけであります。

 私は、そういう意味では、国道の維持管理費あるいは除雪費なるものは、幹線道路であるから直轄国道なのであって、そういう思いの中での、事業仕分けで経費を節減するなんということはなじまないというふうに思うんですが、これに対して大臣はどのようなお考えを持っておられるのか、伺っておきたいと思います。

大畠国務大臣 北村議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 事業仕分けによって、確かにそのようなことが対象として指摘をされました。事業仕分けにそぐうかそぐわないのかという御指摘でございますが、国の財政が非常に厳しい状況にあることも事実でありまして、そういう意味では、あらゆる分野について無駄という観点で仕分けすることは大変大事だろうと思います。

 先生の御指摘のように、雪害といいますか、雪の除去ですとか、あるいは国道の管理ですとか、そういうところまで踏み込むのは踏み込み過ぎじゃないか、こういう御指摘でございますが、先ほども、山古志村の村長さんだった長島さんからも、これについての御指摘がございました。

 私も、国というのは、やはりその地域に住んでいる人の命と暮らし、あるいは財産というものをどう守っていくのか、そういう大変大事な役目があります。そういう意味で、国の財政が厳しくなったからといって、その分野まで脅かすような節約といいますか、節減というのはやり過ぎだろうと思います。

 実は、先ほどお話しのように、グレーダー二台で除雪したところを一台でやれば予算が安く済むじゃないか、こういう発想で、実際の住民の方々の安全とか交通のものには支障がない形で節減をする、こういうことにしたわけですが、先生から、一回やったんだけれども、もう一回やらなきゃならない、これは結局、かえって効率が悪いんじゃないかという御指摘も賜りました。

 いろいろな状況から、今回、先生が御指摘のように、除雪費で申し上げますと、平成二十一年度の二百十八億から平成二十二年度は百八十七億、こういうことに節減をさせていただきましたが、今回の豪雪によりまして予算がなくなったと。私も、国土交通大臣として、予算がないからできないなんということは国としてやるべきじゃないと思いますので、百一億円を追加して、雪害、雪の降雪量等に応じて、地域にお願いをして、十分にやってもらいたいと思っております。

 これでも足らないというときには、さらに予算的な措置も講じなければなりませんし、先ほど先生からお話のあった新燃岳の問題でもそうですが、こういうときこそ国がバックアップする。本当に町長さんも大変な思いをして降灰対策をやっているわけですから、町長がやるべきことはきちっとやってください、予算的な措置は国で一生懸命やりますからということを直接お話をしましたし、携帯電話でもつながるように今なっておりまして、先生のその御指摘については十分踏まえて対策をとっていきたいと思います。

北村(茂)分科員 時間もありませんので、簡潔にお願いをしたいと思います。

 除雪車の出動も、除雪が十センチを超えたら出てくれとか、十五センチになったら出てくれと要請をするということになっていまして、除雪をする人たちの判断で出るというふうな状況になっていないんです。したがって、そのことも含めて、いわゆる雪害に対する対応を機敏に、しかも適切にできるような対応をしてほしいということであります。

 そこで、今大臣からお話もありましたが、都道府県では、それぞれ除雪費が底をついたということで、各地から強い要請があった。国では、百一億円、交付金を追加配分することを決めたということであります。その際には、市町村に対しても、今後、必要とあらばその対応を検討するということを言われておりますが、それはいつごろで、あるいはどのような検討状況なのかを簡潔に教えていただきたいと思います。

津川大臣政務官 御指摘をいただきました市町村に対します支援の検討につきましては、二月十日に着手をしたところでございます。

 また、今御指摘もいただきましたが、社会資本整備総合交付金で、二月十日に、道府県に対して百一億円を追加配分させていただいたところでございまして、交付金の保留額、残り二十五億で足りなくなったらどうするか、こういった御心配もいただいているところでございます。

 その部分につきましては、今後、調査の結果を受けながら、財政当局とも協議、調整をさせていただかなければならないと思っておりますが、過去におきましては、道路予算内での流用もさせていただきましたし、また、予備費の流用をさせていただいたという過去もございますので、そういったことも含めて検討させていただきたいと思っております。

北村(茂)分科員 ぜひ、スピーディーに対応していただきたいと思います。

 次に、これまでいわゆる公道の除雪を担ってきたのは建設業者であります。しかし、拘束時間が長いということもあったり、あるいは不規則な勤務の割には余り利益にならないということで、積極的に請け負う業者が減ってきているというのが実態であります。

 私は、昨年の国土交通委員会でも申し上げましたけれども、各市町村で除雪計画を立てようとして、前年担当してくれたある会社に、あなたは去年と同じような除雪対応をしてくれますか、いや、できません、もう重機がありません。あるいは、あなたはと。うちはもうオペレーターをやめてもらいましたというふうな状況があって、除雪計画が成り立たないという市町村ももう現に出てきているんです。

 したがって、そのことに対する質疑も昨年申し上げたところでありますが、建設産業が今どんな状況に置かれているか、あるいは、この除雪に対して建設産業との関係をどうしようとしているのか。これをしっかりやらないと、雪国ではもう除雪ができなければ生活そのものができないんですから。

 いわゆる建設業界に対する期待とあるいは役割、これを国土交通省としてはどう思っているのかということを伺いたいと思います。

津川大臣政務官 御指摘をいただきました除雪作業につきまして、地域の建設業が担う役割というのは大変重いものだと思っております。これは除雪に限ったことではありません。例えば災害があったときの対策なども、地域の建設業がまず対応していただくというのが現状でございますから、そういった意味で、その地域の建設業がしっかりと健全に発展をしていただくということは大変重要だというふうに認識をしております。

 また一方で、今先生から御指摘をいただきましたように、大変厳しい経営状況にあるということも認識をしておるところでございまして、その再生、発展を図るために、外部有識者から成ります建設産業戦略会議におきまして、現在、必要な方策について幅広く検討をいただいているところでございます。

北村(茂)分科員 ぜひ、今置かれている状況というものをしっかりとらえて対応をしていただきたいと思います。

 これも関連をいたしますけれども、いわゆる公共事業に対する予算のカット、二十二年度は二十一年度に比して一八・三%、今年度はさらに五%という予算になっております。このような事態が続けば、地方の建設産業はとてもとても産業として成り立たないということであります。

 前の国交大臣でありました前原大臣にそのことを申し上げましたら、もう時代が変わっているんだから、建設産業そのものも変わらなければいけないというようなお話でありましたけれども、本当にそういうことであれば、国がどうあるべきかという枠組みというか指針をしっかり示して、そして、建設産業のあり方をもう一度再構築をするということに踏み込まなければいけないというふうに思うわけでありますが、これら公共事業カットによる地方経済への影響というものを、今、二十二年度、二十三年度の予算の中で、どういう影響を与えるものと理解をしているのか、お伺いいたします。

津川大臣政務官 一昨年の政権交代以後、国土交通行政を大胆に転換するために公共事業予算の大幅な削減を行ったところでございます。一方で、今先生御指摘のように、それによる地域の不安や不満の声があるということも認識をしております。

 そのため、累次の経済対策におきまして、住宅版エコポイントの延長、あるいは耐震化、ゲリラ豪雨対策等の地域の防災対策など、地域活性化を促進する施策を講じ、事業の維持、創出を図っているところでございます。

 今後も、中古住宅リフォームですとか、あるいは国土ミッシングリンクの解消などを推進しながら、引き続き、地域経済に貢献できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

 あわせて、現在、社会資本整備重点計画の見直しを進めております。それによりまして、社会資本整備の目指す姿を国民にわかりやすく提示するとともに、選択と集中の視点や、計画の実効性を確保するための手法についてもお示しすることといたしておりまして、国民の声も幅広く伺いながら、ことし夏までに策定を目指してまいりたいというふうに考えております。

 特に、建設産業につきましては、先ほども触れさせていただきましたが、産業政策として、建設産業戦略会議において幅広く御議論をいただいてまいりたいというふうに考えているところでございます。

北村(茂)分科員 ぜひ、強力に進めていただきたいと思います。

 時間の関係で、先へ進みます。

 高速道路政策について、私からも伺いたいと思います。

 先ほど、福井先生の質疑のやりとりも聞いておりました。その中で、私は、大臣とは若干認識が違うのかなという気がいたします。アメリカやフランスでは無料が当たり前、料金を払っている姿は余り見たことがない、こういうような状況でありました。

 高速国道というのは、いわゆる国の道路公団がつくった道路もありますし、私ども石川県というのは、細長い、縦に長い県でありまして、有料道路を持って、県内、長い県をつないでいるところであります。いわゆる道路公社制度をつくって、高速道路とは言えないんですが、走行速度は違うんですけれども、そういう道路をつくっているんですね。

 では、大臣のお話のように、一般道でやればいいじゃないか、高速道路じゃなくてもいいじゃないかということであれば、税金でつくるということになるんですね、簡単に言えば。私どもの有料道路、能登有料道路というんですけれども、金沢から能登半島まで百十キロぐらいですか、あるんですが、これをもしも税金でやっておったら、完成するまでに三十年、四十年かかって、とてもじゃない。ですから、税金じゃなくて別方式、すなわち有料道路方式でつくったということです。

 国の高速国道も、税金で全国の高速道路網をつくっていけば、こんな道路もまだできていないと思うんです。公団制でつくったから、有料道路方式でつくったから、この高速道路が今日できて、経済効果も発揮していると思うんです。

 したがって、私は、日本の道路政策とアメリカやフランスの道路政策とは一緒ではあってほしくないし、そういうふうには日本はなれないというふうに思います。それは、地政学上、地形上から、いろいろな意味からいってもそう言えると思います。

 したがって、高速道路は、料金体系をしいて、受益者が負担してそれを維持していく、償還していく、こういうことが当たり前だ、私はそう思っておる立場であります。

 今回の高速道路政策の中で、これまでも政府は二転三転してきたわけですね。最初は、全部無料化する、原則無料化だ、こう言いつつも、無料化も社会実験の域を出ていない。昨年度は三十七路線、一定の路線でやって、ことしは二百億円追加をして千二百億円でやる。その中には、それまで無料化にかかわりのなかった北陸、我々の地域は、新潟から米原の方までですか、トラックを無料化する、こういうようなことでありますが、これも社会実験の域を出ていない。将来本当に無料化になるのかどうかということも、実験ですから、実験の結果によってはどうなるかわからないということだと思います。

 一方、私ども自民党・公明党政権時代につくった土日祝日どこまで行っても千円という制度は、国民生活を支援するという立場よりも景気対策として行ってきたものでありまして、それに伴う財源は、これぐらいなら税金で見ても国民は受け入れてくれるだろうというのが我が党と公明党の政権時代の政策でありました。その後、皆さん方は全面無料化ということを言われて、その政策も二転三転して今日に至っているという状況であります。

 しかし、大臣のかねての幾つかの発言を見てみますと、これはもう見直しのベストスリーに入っているんだ、もう行き詰まっているんだ、いわゆるマニフェストというのは破綻しているんだ、こうお認めになっているわけですね。それであれば、岡田幹事長の発言もありますしね。まあ、それが破綻しているかどうかはともかくとして、破綻しているかどうかを聞こうとは思いませんので。事実上破綻をしているというふうに思っておられるから、そう言われるんだろうと私は思うのであります。

 そこで、今度、国土交通省が提示をされました、どこまで行っても二千円というキャップ制、これを取り入れるということは、これまでの財源であった、割引等に利用しようと思っていた、十カ年でこれをなし遂げようとした我々の時代の財源を使って、一年に七千億かかれば、おおむね三年間やればこの二兆円を使い果たす、こういう政策でやろうとしているわけでしょう。このことに間違いありませんか。

大畠国務大臣 北村議員から、日本の高速道路の基本的な考え方についての御質問がございました。

 確かに、先ほど私は、ヨーロッパでは無料、アメリカでも無料、日本ではどうしてお金を払わなきゃならないかという疑問を持ったこともある、こういうことを申し上げたことも事実であります。

 それで、先生からの御質問のように、では、税金でつくっていたらこんな日本の高速道路なんかは今できていないんじゃないか、それも事実であります。現に、東名高速道路をつくるときに、お金がないものですから借金をして東名をつくり、三十年間でその借金は返済して、三十年後はただにしようという発想で日本の高速道路も始まったことも事実であります。その後、さまざまな変遷を経て、三十年償還でなくてもいいじゃないか、四十年ぐらいかかって大体お金を払い終われば、あとは国道、国の方に管理を任せて無料化しよう、こういう発想であったことも事実であります。先生がおっしゃるように、新しい方式でやったからここまで日本の高速道路が発展してきたんじゃないか、それも私も事実だと思います。

 では、今後どうするんだということで、小泉政権下においても、将来、四十五年ぐらい過ぎたら無料化していいじゃないかという一つの指針というのが出されたと聞いておりますが、いずれにしても、日本における高速道路はどうあるべきなのか、こういうことをしっかりと検証することが必要であります。

 今回も、先生から御指摘のような形で、先生方が考えたものを使って社会実験をしております。一方、無料化に向けて社会実験をさせていただいておりますが、やはり、無料化することによって混雑をしたりあるいは渋滞をしたりしたのでは困りますから、そういうことも含めて、私は、この社会実験をする中で、日本の高速道路は将来に向けて一体どういう形にするのか、それを財源も含めて、私の国土交通省内で検討会をつくって、先生方にも御理解いただける形のもの、これは、政権がかわったりなんかしたとしても変わるべきものではなく、やはり五十年、百年、将来に向けて貫くような日本独自の高速道路のあり方というものをぜひ検討してまいりたいと思っています。

北村(茂)分科員 いわゆる全線無料化という問題と、今回の三年間にわたる二千円制度の導入ということは、若干、事は違うんですね。したがって、分けて考えなければいけないと思います。

 そこで、時間がありませんので、はしょっていきます。社会実験の結果、読売新聞等では、大変な事故等が発生している、渋滞が起こってきていると言われています。それから、社会実験の検証も三カ月に一回ずつ出して対外的にも公表している、こう言われています。一年たった今、六月からですから、もう一年たつんですか、その社会実験の結果を受けてこのようなことが報道されているんです。

 この無料化という問題について、私は撤回をすべきだと。あなたの言うベストスリーに入っている。これは私も強く進言をいたしますけれども、ここではっきりイエスというふうに言えるんでしょうか、言えないんでしょうかというのが一点。

 もう一点は、この二千円というキャップ制を導入した場合に、三年後、使い果たした後、またもとへ戻すということになるのか。財源を検討するとこの間予算委員会で言っておりましたけれども、また財源をこれから探すんですか。これについては、三年後どうする予定なのかということ。

 この二点を聞きたいと思います。

大畠国務大臣 最初に、私が記者会見のときに、ベストスリーというものに入っているという発言をしたことが大きく報道されまして、少し誤解を与えておりますが、ベストスリーと申し上げましたのは、世論調査等で、民主党として政策を見直したらどうかというものの一つに入っている、そういう国民の声も当然視野に置いて私は考えなければならないと思っているんです。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、日本における高速道路は一体どういう形であるべきなのか。無料あるいは有料、あるいは財源問題、あるいはメリット、デメリットを並行する公共交通機関にどう与えるのか、あるいは、さっきトラックの話も出ましたけれども、事業者の方々はどういうことを考えていらっしゃるのか、そういうことも含めて検討をする。

 したがって、先生から、三年後はまたもとに戻るのかということでありますが、またもとに戻るということではなく、将来を貫いて日本の高速道路はこうあるべきだ、これは与党野党問わず基本的に理解できるようなものをぜひつくりたいと思います。

北村(茂)分科員 せっかく内閣府にお越しいただきましたので、最後に一点、時間の関係で簡略に申し上げます。

 いわゆるひもつき補助金を自由度の高いものにする、これが菅内閣の大きな目玉政策の一つであります。地域自主戦略交付金であります。私は、本当に自由度が高まったものになっているのかどうかという検証をきょうは議論としてやりたかったんですが、時間がなくなりましたので、いわゆる恣意性のない客観的指標は何であるのかということも含めて議論したかったんですが、時間がありません。

 したがって、今度のこの一括交付金の九割は継続事業にするという理由は何なのか、なぜなのか。自由度が高ければ新規事業でもいいではないかということが一点。

 それから、残りの九割はそうだけれども、一割は客観的指標に基づいて七月ごろ配分をすると言っているんです。ところが、地方では今、県議会等が行われている最中でありますが、ほとんどの県は、いわゆる九県以外はこれを計上していない、先が見えないからという状況になっているとも報道されております。一体全体、残り一割の七月配分ということについて、なぜ七月なのか、あるいは、都道府県が計上しない理由をどうとらえているのか、伺いたいと思います。

平野副大臣 先ほど御紹介いただきましたように、菅政権のもとでは、いわゆるひもつき補助金を段階的に廃止しまして、地域の自由裁量を拡大するための地域自主戦略交付金等を創設することとしておりまして、平成二十三年度は、第一段階として都道府県分を対象に当初補助金の一括交付金化を実施することとしまして、沖縄も含みまして五千百二十億円の予算を今計上しているところでございます。

 そして、今の御質問の件については、その配分についての御質問だったと思いますが、なぜ九割を継続事業で一割を新しい指標のもとで行うのか、まずこういった御質問がございました。

 地域自主戦略交付金をつくるに当たっては、今の事業制度を基礎にしてこの地域自主戦略交付金というのをつくっております。すなわち、今の事業につきましては、各県ごとの地区ごとに残事業費というのを抱えております。残事業費を抱えている以上、まずそれをきちっと事業の計画に基づいて実施しなければならない。である以上、その継続事業費についての事業についてきちっと把握して、それに配慮した形での総額としての配分をしていくのが筋ではないかということで、まず九割の額についてはその考え方で配分をするということにしております。

 残り一割につきましては、どちらかといいますと、これは継続事業というよりは新規事業をまず大体想定しておりますけれども、客観的な指標によって配分することとしておりまして、現在、可能な限り審議に資するよう、幾つかの客観的指標をお示ししつつ、その考え方を明らかにしているということでございます。

 その検討等において若干の時間がかかるということもございまして、七月に一割は配分するということになっております。ただし九割は、予算成立後できるだけ速やかに配賦しますので、都道府県においての実施において大きな支障が出るというふうには想定しておりません。

 それから、予算計上についてですけれども、一部報道等において、地域自主戦略交付金の予算が計上もされていないといった報道がございました。

 御案内のとおり、各都道府県は、対象事業の実施予定等を踏まえて、まず基本的に自分たちの考え方で予算計上を行うということで、その後、国の予算が決定して配分額の通知等があれば、必要に応じて予算の補正等を行うということで予算を編成しているものと承知しております。

 報道は、歳出予算を計上していないという趣旨ではなく、いわゆる歳出予算を計上したときに、補助金なのか、あるいは地域自主戦略交付金なのか、その財源の区別をしていないということの趣旨で報道しておりまして、歳出ベースでの各事業の予算については各県とも計上しているというふうに承知をしております。

 ちょっと長くなりましたけれども、答弁でございます。

北村(茂)分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

宮島主査代理 これにて北村茂男君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、電気自動車の普及促進と、それから、私の地元でございます横須賀パーキングエリアへのスマートインターチェンジの導入について、大畠国土交通大臣にお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、電気自動車の普及の必要性についてお伺いをいたします。

 世界的にモータリゼーションの進展は著しく、これに伴って、燃料であるガソリンの使用量は年々増加をいたしております。一方、現在の中東情勢もございます。石油の供給をめぐる情勢というのは非常に不安定な状況となっております。このために、石油の消費節減、あるいはまた、これは自動車産業だけは例外というわけにはまいりません、脱石油を目指した燃料の多様化のための努力が必要であろうと思っております。また、ガソリン自動車の排出ガスは、大気汚染、地球温暖化等の大きな要因として、排出規制が強化をされております。

 こうした観点から、私は、燃料として多様な第一次エネルギーを利用した、また公害問題の発生しない電気自動車の普及促進を図ることが極めて重要であると考えております。

 EVの最大のメリットを大臣もよく御存じのことと思いますが、エネルギー効率が高い、あるいは二酸化炭素の排出量の削減につながることであります。また、利用者のエネルギーコストも安くなる。エネルギー輸入国日本にとっては、EVの普及、これが重要な問題であります。さらに、走行中のガソリン車のエンジン音のような騒音が全くないということであります。排ガスも一切出さない、車の多い都会でも、静かで空気も汚れないということであります。

 未来の車と言われてきたこの電気自動車、特に神奈川県におきましては、全国に先駆けてEVを広めようということで、EV購入の際、補助金を独自に上乗せをしておりまして、税金免除など、全国一手厚い施策を進めている真っ最中でございます。

 昨年四月ですが、三菱がアイ・ミーブ、それから十二月には日産のリーフが発売となりました。私も、昨年十二月、日産の追浜工場でリーフに試乗してみました。非常に静かで、動く応接室とも言えるような感じでございました。また、意外と加速も非常にいいという車でもございました。

 公明党といたしましては、低炭素社会実現、また経済戦略、この二面で電気自動車の普及を進めたいと考えております。自公政権時代には、補助金または減税制度を創設いたしましてエコカー需要を喚起し、EVの普及に欠かせない充電インフラの整備も、一昨年の衆院選マニフェストに明記をいたしました。

 私は、環境問題の解決と、それからもう一方でビジネスチャンスの拡大、両面につながる究極のエコカーとも言える電気自動車を今後一層普及させる必要があると考えております。大臣のお考えをお伺いいたします。

大畠国務大臣 古屋議員の御質問にお答えを申し上げます。

 古屋議員は以前から、環境問題ですとか、特に電気自動車に高い関心を持ち、普及に努力をされている、こういうことを伺っているところであります。

 ただいま御指摘を賜りましたが、私自身も、環境問題、そして、特に日本としての技術を集積しました一つのものとして、電気自動車があるのだろうと思います。

 私も、昨年末からことしの初めにかけて中東に行ってまいりましたが、エネルギー資源を持たない国日本がなぜこれだけ経済的に発展をしてきたのか、そこに高い関心を持たれておりました。私は、その理由として、日本における昔からの教育、あるいは、資源がないだけに一生懸命努力をしてここまで技術を発展させてやってきた、こういうことをお話しして、これからも努力をしていきたいということを申し上げましたが、その中の一つの電気自動車をどうやって日本の中に定着させ、発展させていくか。

 特に、先生から御指摘のように、環境問題を考えたときに、例えば太陽光発電あるいは風力発電、いわゆる循環型エネルギーというものを活用して、それを電気自動車に用いれば、非常に環境にも優しいということにもなりますので、私は一月の十四日までは経済産業大臣をさせていただいておりましたが、その当時から、ぜひともこれは普及させなければならない、こういう認識を持っております。

 国土交通省としても、先生のいろいろなお知恵も拝借しながら、普及拡大に向けて努力をしてまいりたいと思います。

古屋(範)分科員 大臣の御所見を伺うことができました。ありがとうございます。

 政府としても、次世代自動車戦略二〇一〇を策定していらっしゃいます。これには、日本を次世代自動車開発生産拠点にと、十年後の二〇二〇年には新車全体の五〇%をEVなどの次世代自動車にするという目標を立てています。本当にこれからEVが普及するのかどうか、まだまだ実感がないわけなんですが、こんなに多くの利点、メリットがありながら、なぜなのかということであります。

 ガソリン車に比べて価格が非常に高い、これは事実であります。また、エネルギー補充一回当たりの走行距離が短い。日産では、二百キロぐらいとおっしゃっていました。また、充電インフラがまだ整っていない。さまざまな理由があろうかと思います。

 そこで、まず、割高な車両価格についての対応について伺います。

 ガソリン車と同等の電気自動車を新車で買おうとすれば、現状では百万円以上割高と言われております。これでは、ガソリン代よりも電気代の方が安いとはいっても、車両価格が高過ぎて、EV購入を考えるのはなかなか難しいと思われると思います。

 私たち公明党は、地方統一選のマニフェストの中で、CO2削減に向けて中古車の電気自動車への改造を推進する、同時に、充電設備などのインフラ整備で電気自動車の普及を応援するということを掲げております。

 そこで、この割高な車両価格と品ぞろえ不足がEV普及の障害になっていることから、まずは改造EV、こちらの方の安全基準を明確にして、米国のように日本でもガソリン車を合法的にEVに改造できるということを国民に周知していただきたいと思います。

 EV改造促進のための取り組み、また国民への周知について、これは政務官にお伺いします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、EV普及の中の一つのポイントといたしまして、車体価格をいかに安く抑えるかということがございまして、その有力な手法の一つが、まさに、今あるガソリン車をEV車に改造するというものでございます。

 その中で、保安基準がどうかというところが、現場で確かにいろいろ御指摘をいただいているところでございます。当然、改造EVにつきましても、道路運送車両の保安基準に適合している必要がございますので、その基準適合についてわかりやすく理解できるように、平成二十二年の九月に、「電気自動車への改造に当たっての留意点」というものを取りまとめさせていただきまして、ホームページ等で広く周知をさせていただいたところでございます。

 また、自動車メーカー、改造事業者、学識経験者等で構成されております電気自動車普及協議会に、国土交通省といたしましても関東運輸局が参加をさせていただきまして、改造EVに係るガイドラインを現在策定中、年度内に取りまとめをしていただけるというふうに伺っているところでございます。

 国交省といたしましても、今後とも、改造EVの安全確保のための必要な措置を積極的に講じてまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)分科員 ありがとうございます。

 年度内にガイドラインの取りまとめをされるということであります。中古車を電気自動車に改造するというのは、今、地域おこしにもつながっておりまして、ぜひ国交省としても、それに資する施策にしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、EV購入の公的補助について伺ってまいります。公的補助の現状と、さらなる充実へのお考えを伺いたいと思っております。

 この優遇税制につきましては、二十三年度末までの措置となっております。これはぜひ、五年とかあるいは十年というもう少し長いスパンで優遇税制を考えていただきたいと思っております。いかがでしょうか。これは経産省にお伺いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、電気自動車の開発普及は、温暖化対策や産業競争力強化の観点から重要でございます。一方、その普及には、これも委員御指摘のとおり、コストが高いことが課題でございます。

 このため、購入者に対する負担軽減措置によりまして初期需要を創出して、量産を通じた早期の価格低減を目指しているところでございます。

 具体的には、いわゆるエコカー減税といたしまして、電気自動車などの自動車取得税、自動車重量税を免税としておりまして、来年度も継続いたします。また、購入者に対します補助事業も実施をしておりまして、来年度予算案では、今年度予算の約二倍となります二百六十七億円を計上してございます。

 これらの購入支援策の継続、拡充に加えまして、インフラ整備ですとか蓄電池開発などにも取り組むことで、今後とも電気自動車の開発普及を促進してまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)分科員 ありがとうございました。ぜひ、電気自動車に対する税制面での優遇あるいは支援等、さらに拡充をし、また長期にわたる措置をお願いしたいと思っております。

 次に、充電インフラの整備拡充についてお伺いしてまいります。

 電気自動車の普及の最大の課題というのは、今、充電インフラの整備だと言われております。これはどうしても、自動車会社だけではどうにもなりません。

 EVの弱点としては、一回当たりの充電で約百キロ程度しか走れないというような弱点がございます。また、基本的には自宅で夜間に充電をすることになるんですが、工事費は必要ですが、コンセントは簡単に設置できるといいます。新築住宅については、設計段階から電源インフラ設置の奨励を行ってはどうかと考えております。

 また、長距離を走ろうとした場合に、頻繁な充電が必要となってまいります。自動車会社としてもいろいろと今努力をしているようなんですが、EV急速充電のステーションの整備が必要となってまいります。

 現状ではまだ、電気自動車を出しているメーカーの販売店あるいは一部のガソリンスタンド、駐車場などに設置をされ始めているようですが、今後、高速道路のサービスエリア、幹線道路沿いのガソリンスタンド、あるいは、目的地となるショッピングモールあるいはテーマパーク、観光地の駐車場など、とめておく間に充電をするということが必要となってまいります。

 政府も、この充電インフラの整備は欠かせないとして、充電器を設置する商業施設や事業所に補助金を出していますが、さらにインセンティブを促すためにも、補助金のさらなる拡充が必要と思います。高速道路のサービスエリア、一定以上の広さの駐車場やショッピングモールなどに急速充電ステーションの設置の義務づけを検討すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

 また、自宅で直接充電ができない、例えば集合住宅、マンションの駐車場への対応についてもいろいろと課題がございます。今後、電気自動車を置きたいという住民も出てきたときに、マンションの駐車場に充電器の設置が必要となります。電気をどう供給していくのか、それをまただれが管理をするのか、また全体の住民の合意を得られるのか、利用した電気料金の徴収をどうするのか、こうしたルールができておりません。こうしたルールづくりなど、マンション住人への対応も考えていかなければならないと考えております。これを一企業に、あるいはそこの住民だけに任せておくのではなく、国が主導していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。政務官にお伺いします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、現在のところの電気自動車の一つの弱点が、一充電当たりの走行可能距離が長くないということがございます。また、これは自動車の普及とともに、充電できる施設が現在のところまだ限られているということがございます。この充電施設が限られているということがEV普及のハードルとならないように、充電施設をしっかりと普及させていくということについては、国土交通省も、関係省庁あるいは自治体、関係業界等と連携協力し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今ございましたように、設置をするに当たりましてさまざまな留意点というものもあろうかというふうに考えているところでございまして、今年度、経済産業省と協力をいたしまして、設置者向けのガイドブックというものの取りまとめをいたしまして、自治体や関係業界等に広く今周知を図っているところでございます。

古屋(範)分科員 ぜひ、この充電器の普及について国交省もしっかり今取り組んでいる、そういう姿勢を見せていただけると、やはり建築する側も変わってくるかと思います。よろしくお願いします。

 次に、神奈川県では今、普通自動車ではなくバスのEV化にも力を入れて取り組んでおります。これは慶応大学といすゞ自動車等、産学公の連携による電動フルフラットバスの実証研究というものが環境省のモデル事業に採択をされまして、本年度中に試作車両が完成する予定となっております。

 やはり公共交通にEV車が導入される、当然個人のものについてもそうなんですが、公共交通、ここに導入をしていくというのが非常に大事になってくるのではないかと思っております。

 こうした最先端技術の結集とも言える、また地球温暖化防止への国際的な貢献とともに、国際競争力の強化が実現をされたグリーンイノベーションのモデルとなるのではないかと私は期待をしております。

 しかし、本格普及には、また実用化開発には多額の開発費用が必要となります。メーカー単独で負担することは非常に困難であるということが言えるかと思います。

 そこで、この電動フルフラットバスにつきまして、量産化につながる実用化開発、あるいは全国主要都市でのデモンストレーション、あるいは新興国等への次世代電動バスの展開、こうしたことにやはり国としても大きく力を注いでいただきたいと思っております。この事業についてどうお考えか、伺います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 バスにつきましても、乗用車同様に積極的に電動化を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、小型のバスにつきましては、一部電動バスが実用化されつつあるという状況がございますので、EVによる公共交通のグリーン化促進事業というものによりまして、これも、ただ買っていただくというだけではなくて、観光地等におきまして地域の関係者と連携しつつEVを活用した事業展開を行うということを条件にさせていただきながら、電動バスの価格の二分の一を補助させていただいているところでございます。

 また、駅前広場等におきます充電施設の適切な配置、設置のあり方というものにつきましても、二十二年度、実証実験を行い、検討を進めているところでございまして、今先生からも御指摘をいただきましたような地域、地方の取り組みにも積極的に国としてかかわりながら支援をさせていただきたいと考えているところでございます。

古屋(範)分科員 ありがとうございます。既に観光と環境、こういうものを結びつけた取り組みも進めていらっしゃるようですので、ぜひ、この電動フルフラットバスについても御支援いただければと思っております。

 次に、EVタクシーの普及について、規制緩和が必要だということを申し上げたいと思っております。

 タクシー業界の方でも、このEV自動車を導入したいという要望が高まってきております。しかし、現行の制度によりますと、電気自動車であっても、一台ふやせばガソリン車を一台減車しなければいけないという規則にのっとって進めることが求められております。せっかく高額なEV車を環境のために、あるいは会社のイメージアップのためにも導入しようというところに、何とかこの規制を緩和していただけないか。これについてお伺いしたいんですが、政務官、いかがでしょうか。

津川大臣政務官 タクシーもまさにEVが非常に適切ではないかというふうに現場でも言われているところでございまして、EVタクシーの普及というものも積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 今バスで申し上げましたように、予算措置として、EVタクシーの導入につきましても、通常タクシーとの価格差の二分の一の補助ですとか、あるいは、先ほど申し上げましたように、観光地等と連携をしたものでありましたら、EVタクシー価格の三分の一を補助するということを二十二年度の補正予算でスタートさせていただいたところでございます。

 ただ、今先生から御指摘がありましたような規制の緩和というものの関係につきましては、しっかりと勉強させていただきたいと思います。

古屋(範)分科員 タクシーにつきましては、自公政権時代に余りに台数がふえ過ぎたという反省のもとに、我々もそこを配慮してつくってきた法律でもあり、そこのところは、このEVタクシーのことは余り視野に入れていなかった面もあろうかと思います。ですので、これにつきましては、例えば一台に一台ではなくても、EV車三台ふやしたらガソリン車一台とか、いろいろな配慮の仕方も考えられるかと思いますので、ぜひとも今後御検討をよろしくお願いいたします。

 それでは、EVに関しての最後になりますが、こうした電気自動車の普及の課題、これは充電インフラだとも言われております。もちろんそうだとも思いますが、やはり一番の課題は、政府の取り組み、この姿勢が最も問われていると思っております。

 アメリカでは、オバマ政権で、米国再生の切り札、石油並びに環境対策の目玉として電気自動車を掲げて、積極的に資金面、税制等支援に動き、既にメーカーもインフラ整備に走り出したと伺っております。

 今後、欧米政府が、自国産業の競争力確保もにらみまして、ガソリン車規制強化に動く中で、日本がEV技術など次世代車の技術開発で優位に立って技術規格を世界標準にしなければ、市場では生き残っていけないと思います。今後の世界的な規格の主導権争いあるいは販売競争などを考えますと、日本企業が世界の中心となっていけるかどうか、これが重要なポイントだと思っております。

 昨年の三月、日本主導で、電気自動車の安全性に係る国際統一基準を策定したとのことでありますが、日本が先行する自動車の安全、環境技術を国際的に広く普及させるためにも、日本の基準の国際標準化を進めていくことは成長戦略上も極めて重要であると考えております。そして、日本の国際競争力確保の観点からも、EV技術の発展は非常に重要であります。EV技術の開発、新規参入への支援についても必要であります。そして、日本が国際基準をリードしていく、世界市場をにらんだ大胆な戦略を展開すべきと考えます。大臣の御所見をお伺いします。

大畠国務大臣 御指摘のEV技術に関する国際標準化の問題でありますが、委員御指摘のとおりであります。

 日本は、ともすると、技術的に優秀なのでありますが、最終的には何か他国に主導権をとられてしまう、こういうことがございました。電気自動車につきましては、リチウム電池の開発が非常に熾烈な戦いをしておりまして、この問題も非常に大事だと思います。

 したがいまして、日本が先行する自動車の安全、環境技術を国際的に広く普及させるために、日本の基準というものを国際標準化させることは成長戦略上も大変重要であり、昨年十一月に設置いたしました官民による自動車基準認証国際化ハイレベル会議というものがございますが、これを中心に、戦略的に、議員の御指摘のように、国際標準化に向けてリードしていきたいと考えているところであります。

古屋(範)分科員 ぜひ、世界の中で国際競争力をつけられる産業へと育成していただきたい、このことを申し上げておきます。

 次に、スマートインターチェンジの今後の取り組みについて、また横須賀の問題についてお伺いしてまいります。

 スマートインターチェンジの導入促進ということなんですが、これは高速道路本線あるいはサービスエリア、パーキングエリア、バスストップなどに設置することによって、地域経済の活性化ですとか、あるいは地域生活の充実などが図られる、従来のインターチェンジに比べて非常に低コストで導入ができる、全国から要望が多いと聞いております。

 平成十六年の社会実験の開始から平成十八年度の本格導入に移行し、これまで、全国で五十二カ所の本格導入が行われております。国としては、各地に設置するスマートインターチェンジにどのような支援を行っていらっしゃるのか、また、今後どのようなお考えをお持ちか、伺いたいと思っております。

 また、この導入につきまして、当初は高速自動車国道のみを対象としていて、横須賀市と東京、横浜方面を結ぶ大動脈であります横浜横須賀道路、全国一高速道路料金が高いと言われているんですが、適用外の路線となっていました。それが、平成二十一年に実施要綱が改正をされたことによりまして、横浜横須賀道路も対象路線となりました。

 私の地元横須賀市でも、国道十六号など限られた路線に大量の交通が集中するという現状を改善し、広域圏と横須賀市、市内各地域が相互に連携をして、その役割を十分に発揮できるようにということで、幹線道路ネットワークを形成する方針を立てています。

 この幹線道路ネットワークの構築のためには、横須賀パーキングエリア周辺におけるスマートインターチェンジがぜひとも必要です。これまで、国の検討会、交流会など、積極的に活動を行って実施計画を練ってまいりました。

 また、昨年四月、横須賀パーキングエリアに自然環境や生活環境を保全するためさまざまな取り組み、太陽光発電の増設、電気自動車急速充電器、LED照明、エコトイレ、保水性舗装、遮断性舗装、壁面緑化などを取り入れ、エコパーキングエリアとしてリニューアルしました。そこで、公明党市議からも、このエリアにスマートインターチェンジの導入をと強い要望がございます。

 大臣も全国から非常に多くの要望があり、予算も限られているとは思うんですが、横須賀エコパーキングエリアにスマートインターチェンジのスピーディーな導入をしていただきたいと考えております。これについて、お考えを伺います。

大畠国務大臣 ただいま横須賀パーキングエリアへのスマートICの導入について御質問をいただきました。

 実は、私の茨城県内でも、近くなんですが、常磐高速道路に那珂インターチェンジというのが、失礼しました、那珂のパーキングエリアがありまして、そこを通して出入りができるようになりまして、非常にこれは便利であります。したがって、そういう利便性は広く、できるだけ利用することがいいという実体験も持っております。

 ただいまの御指摘の横須賀パーキングエリアのスマートICの設置につきましては、現在、横須賀市として検討中と伺っておりまして、国としても、構造や整備効果の検討に当たっての助言をしたり、あるいは関係機関との協力のもとに整備が進むように、国の負担による利便増進事業の活用等を行って、必要な支援を行ってまいりたいと思います。

古屋(範)分科員 ぜひ、横須賀パーキングエリアにスマートICの導入を積極的にお取り組みいただきたいと思っております。ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

宮島主査代理 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代君。

高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、初めて国土交通で質問をさせていただきます。大畠大臣には、おくれましたが、御就任を心からお祝い申し上げます。経済産業もわかり、そして国土交通行政にもお詳しい、そうした大臣は恐らく大変まれであると思いますので、どうか経済の活性化に資する国土交通行政をお願い申し上げる次第でございます。

 本日私は、住宅問題につきまして多くの御要望をいただいておりますので、生活者の立場に立ちまして質問をさせていただきたいと思います。

 独立行政法人都市再生機構、UR賃貸住宅には七十六万戸、二百万人に近い方がお住まいでございます。家賃の値上げが今検討され、間もなく発表されると伺っております。これは二年前、自公政権のときに、リーマン・ショックがあったことから、その当時の景気、経済情勢、また雇用の状況を勘案しまして、値上げをするべきではないと当時の金子大臣に陳情させていただきまして、大臣はURに要請され、URの判断で据え置きとなったという経緯でございます。

 それを今回、凍結解除を行うというお話を伺っております。聞くところによれば、七十六万戸のうち十万戸、約一三%が対象になる。平均引き上げ額は千円ということですが、何しろ居住者の平均年齢は、二〇〇五年の調査で五十四・三歳、これから六年たっておりますので、計算しますと六十歳という状況でございます。

 また、二〇〇八年の全国自治協の約十万世帯に対するアンケート調査でも、六十歳以上の世帯主が六二%を超えていると言っております。高齢化に伴い、当然、低収入世帯がふえていることと推察されます。加えまして、現下の経済情勢や雇用が依然として厳しい、また年金も政府の方針で五年ぶりに引き下げという状況でございます。

 こうした中で、UR賃貸住宅の家賃について今上げるべきなのか。これでは、民主党さんがおっしゃってきた国民生活が第一、ここに対して疑念を持つ方も多いのではないか、反するのではないか、このように考えます。

 答弁を求めます。

市村大臣政務官 これは先生も御存じのように、平成十一年にURの賃貸住宅は市場価格を導入しているところであります。しかしながら、激変緩和措置ということで三年ごとに三分の一ずつ上げるということでございまして、本来であれば平成二十一年にその最後の三回目がやってきまして、市場家賃ということで、平成十一年以降に入居した方と平成十一年以前からいらっしゃった方との家賃のバランスをとる、公平にするということでやってまいっております。

 ただ、これも御存じのとおりに、二十一年の前には何があったかといいますと、リーマン・ショックがありまして、大変日本の経済も含め世界経済が一気に落ち込んだということも踏まえまして、二十一年四月の改定につきましては見送ったところでございます。

 そのことを受けまして、来年度、これは公平性の観点からしても値上げせざるを得ないということで今考えておるところであります。ただ、先生御指摘の、まさに低所得で家賃を払うのがなかなか難しいと言われる高齢者の皆様方についての配慮はしっかりとやってまいりたいということについてはURの方に配慮を求めているところでございます。

高木(美)分科員 その実施の時期をどういうふうに考えていくかとか、それから、同じ千円といいましても、そのもとになる所得の細かい調査のデータというのが恐らく今おありにならないんじゃないかと思うんです。五年ごとの調査ですので、今大体基本にしているのは平成十七年、六年前の調査になっています。

 ですから、本来であれば、この値上げのときに、今生活の実態がどうなっているのか、また低所得の方が何%までどうなっているのか、そこのところをもう少し正確なデータに基づいて、そうしますと、その先ステップを踏んでいこうとか、さまざまなまた知恵も違うのではないかと思いますが、その点につきましてはいかがでしょうか。

市村大臣政務官 今、先生御指摘のいろいろな調査等につきましては、URの方でもやっているということであるようでございます。決して、何もやっていないということではないんです。

 ただ、先生が今おっしゃったようなこともつぶさにやっているかどうかはちょっと今私から申し上げる資料がないんですが、そういうことについてもやりながら、二十一年から二年たちますので、公平性の観点から、やはりここは改定せざるを得ない状況。これは、基本的にURが決めることでございますので、私ども国土交通省としましては、機構に対してここは配慮してほしいということを申し上げることしかできないわけでありますけれども、しっかりとそうした意味での調査をやっているものというふうに私は認識しております。

    〔宮島主査代理退席、主査着席〕

高木(美)分科員 ただ、そのトータル的な調査がまだ出ていないという状況があります。恐らくそこは、住んでいらっしゃる方の正しい理解が得られるかどうか、心情的な反発、また不安というのを増幅するおそれにつながるかと思います。そうした緻密な制度設計、その逆算したスケジュール、ここをやはりもう少し構築していただくことが必要なのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 大臣、その点のお考えはいかがでしょうか。

大畠国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、実は私も、この件について陳情といいますか要請をいただきました。

 実情については、私も事務方からいろいろ聞いておりますが、やはり実態というものを踏まえて、そういう御意見も強くございますので、こういうことについては十分配慮すべきじゃないか、こういう考えを持っておりまして、いわゆる負担の軽減措置等についても検討するように、こういうことを当局の方にも申し上げているところであります。

高木(美)分科員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。ぜひその実施の時期も含めまして、調査結果とすり合わせをしながら、再度御検討をお願いしたいと思います。

 また、先ほど市村政務官からもお話がございました、配慮しなければならない高齢者、障害者、また母子家庭、低所得の世帯の方々ですが、この方たちにとりましては、住まいの安心こそ安定した生活のかなめでございます。そこで、URの果たす社会的役割は極めて大きいものがあると思います。この家賃改定をされる場合には、当然配慮を図るということが必要ではないかと思いますが、具体的にどのようにお考えでしょうか。

市村大臣政務官 これも先生御存じのとおり、これまでも家賃改定に当たりましては、低所得者の高齢者世帯の方々、また母子世帯の方々、また生活保護世帯の方々、または障害者世帯の方々ということで、家賃の据え置き等の措置を講じてきたところでございます。

 先ほどから申し上げておりますように、URの家賃は、これは国が認可等をすべきものではなくて、機構がその責任において定めるものでありまして、さっきまさに大畠大臣の方からありましたように、大臣が直接機構に対して要請をさせていただいている。馬淵前大臣も昨年末に要請をし、改めて、ことしに入ってからも、大畠大臣が再度要請をしているところでございます。

 こういうことを踏まえまして、機構に対して、十分にそういった配慮を求めるということで今お願いしているところでございます。

高木(美)分科員 恐らく、いわゆる中間水準家賃というところになかなか張りついていない低所得の方たち、ここが私は一番問題だと思います。そこへのやはり特段の配慮をお願いしたいと思います。

 また、そのような値上げにURが踏み切る場合につきましては、相談窓口とか、個別に相談に乗るとか、それぞれ今の景気、経済の状況は、今までアルバイトに行ったけれどももう行けないとか、介護の範囲に今入っているとか、さまざまな生活の変化というのもあります。そうしたことにつきまして、きめ細かく支援が必要な方たちに行き届きますように、ぜひ大臣の方から要請をしていただければと思いますので、恐れ入ります、一言御決意をお願いいたします。

大畠国務大臣 政治というのは、先生からも御指摘のように、地域の実情、あるいはそこに住んでいる方々のさまざまな環境というものを考えて適切にやらなければと思います。

 そういう意味では、市村政務官からお話がありましたように、私たちとしても機構に対して、そういうきめ細かな実情というものを把握した上で適切に対処するようにということを申し上げたいと思います。

高木(美)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。

 そこで、この機構につきまして、事業仕分けでは、セーフティーネット機能の部分は自治体または国に移行する、また市場家賃部分は民間に移行する。この結果は、まさに住んでいる方たちの不安を増幅させました。民営化されて、もし再開発が進んだら、高い家賃になって住み続けられないんじゃないか、生活のよりどころが失われるんじゃないか、こうした御不安でございます。このUR賃貸住宅、ここのところを今後どのようにしていくのか。機構をどのように進めていくのか。

 また一方で、この機構には、御存じのとおり三十七の特定関連会社、法人、そこには天下りであるとか出向であるとか、または契約のあり方も含めまして、さまざまに改革をしなければならない課題が山積みでございます。住民の方たちからは、十四兆円に上るという債務のツケを家賃の引き上げという形で回されたらたまらない、こういうお声があるのも現実でございます。この機構改革を今後どのようにお進めになるのか、伺います。

市村大臣政務官 今、委員の方からは、機構改革だけではなくて、UR賃貸住宅をどうするかという話がありましたが、そのことについてはもっと大きな議論が必要だと思います。

 今から私がお答えさせていただくのは、機構改革についてでございます。これも委員御存じのとおり、今URは、何と十四兆円という多大なる負債を抱えているということでございまして、この債務の縮減をすることが急がれるということであります。しかし、そのためには、より効率性や透明性を高めていく、そういったことの中で改革を進めることが重要であるというふうに認識をしております。

 例えば、さっき御指摘がありました関連会社との不透明な取引とか随意契約につきましては、徹底的に排除する必要がありますので、今年度中にすべて競争性のある契約に移行するとともに、関連会社の利益剰余金につきましても機構に返納させることとしておりまして、現在作業中でございます。

 また、機構の業務についても見直しを行いまして、事業運営の合理化を図るとともに、ガバナンスの強化や賃貸住宅部門と都市再生部門の経理区分や組織区分を明確化するなど、速やかに改革に取り組んでまいりたいと存じております。

高木(美)分科員 何か改革委員会とか、そうした機関は設置されないんですか。

市村大臣政務官 改革委員会ということなのか、先ほど申し上げたことは昨年十月の検討会の報告書に基づいております。改革委員会の名だったかどうか、ちょっと今すぐは私はわかりませんが、検討会があって、去年の十月に先ほど申し上げたような方針を出しているということでございます。

高木(美)分科員 たしか、馬淵大臣のときに、工程表を今年度つくりますという答弁が以前あったかと思うんですが、その工程表はもうでき上がっているということでしょうか。

市村大臣政務官 確かに年度内に工程表を策定するということになっておりますが、今はまだできていないようでございます。

高木(美)分科員 やはり改革には工程表がどうしても必要で、そうでなければ、ずるずると後ずさりをし先送りになってしまいます。いつごろまでにおまとめになるか、そのめどというのはおありでしょうか。

市村大臣政務官 これは年度内と申しておるわけですから、年度内にということが約束だと思います。

高木(美)分科員 約束はそうですけれども、きょうは二月二十五日でございます。あと一月でございます。

 お出しになるということでよろしいんですか。

大畠国務大臣 大臣はかわりましたが、前大臣の発言でございますから、これはしっかりと守らなければなりません。

 したがって、年度内ということで事務方に、幾つかの課題があるのかもしれませんが、ぜひまとめさせるように私の方からも指示したいと思います。

高木(美)分科員 ぜひお願いいたします。それがやはり、今住んでいる方たちの安心、また、ちゃんとやってくれる、そういうことにつながるんだと思いますので、ここは督励をしていただきまして、年度内におまとめをお願いいたします。

 平成二十二年の補正予算の中に、私ども提案をさせていただきまして、住宅セーフティーネット強化事業を盛り込ませていただきました。また、そのような補正予算を今の政権がおつくりになったわけですが、この既存ストック活用によります住宅セーフティーネット強化事業、これは今、手を挙げる事業、または事業者が大変多くいらっしゃるということで、予定した百億もかなりいい状況で、恐らくあっという間になくなってしまうのではないかという話があります。

 しかし、でき上がったこのセーフティーネット住宅を住宅困窮者の方にどのようにつなげていくのか、ここの結ぶ線がありませんと、政府のお金でこの住宅はつくった、しかし、それが必要な人に届いていないといいますと、これはまさに無駄遣いになってしまうかと思います。今後どのようにつなげていくのか、伺います。

市村大臣政務官 ありがとうございます。

 先生、もう釈迦に説法でございますが、高齢者、障害者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を要する方々の居住の安定の確保を図ることは重大な課題であると認識をしております。

 こういう観点から、まさに公明党さんも強く御主張された住宅セーフティーネットを構築するための補正予算で百億の予算を確保させていただきまして、住宅確保要配慮者、大変かたい言葉でありますが、特に住宅を確保することが大変難しいというような方々に対して配慮をすることということで、今までは公営住宅とかでやってきたことでございますが、なかなか今の時代、公営住宅をどんどんどんどんつくるという状況じゃありませんので、例えば使われていない住宅を改修して、リフォームして、耐震化もしっかりして、そしてそういった住宅確保要配慮者に住んでいただこうということで、今制度を進めているところでございます。

 先生御指摘のように、では、これがどうなったのか。百億消化はされているけれども実態はどうなのかということにつきましては、今から利用状況を把握した上で、民間住宅を活用した政策のあり方について検討を進めさせていただくということにしております。

 これらを通じまして、公的賃貸住宅に加え、民間住宅の既存ストックも活用しつつ、地域における幅広い住宅セーフティーネットの強化に努めてまいる所存でございます。

高木(美)分科員 恐らく、家賃が余りに高いとそのまま残ってしまうとか、必要な方に届かないとか、何らかの助成をするのかしないのか、そういうことも含めて今制度設計中だと思うのですが、政務官、私、今ちょっと聞き取れなかったのですが、民間住宅のあり方に関して今検討しているというお話でしょうか。

市村大臣政務官 今、委員おっしゃいましたように、民間住宅の既存ストックも活用するということで、地域における幅広い住宅セーフティーネットを強化してまいりたいという思いでございます。

高木(美)分科員 今の答弁で、このつなぐ流れがまだでき上がっていないということがよくわかりました。ここをしっかりとつくっていただきまして、必要なところに届く形でお願いをいたします。

 二〇〇七年に、私ども頑張りまして、住宅セーフティーネット法を成立させました。その中で、居住支援協議会を提案しております。ここで、NPO等支援をする方たちを地域で結びながら計画を立て、そしてそこで実行していくというものですが、各自治体の設置状況はいかがでしょうか。

市村大臣政務官 先生御指摘の、居住支援協議会というものがあります。これは何かといいますと、住宅セーフティーネット法に定めておりまして、障害者等の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居の円滑化に向けまして、住宅の情報提供や入居の相談等を行うため、地方公共団体、不動産関連団体、社会福祉法人を含みます居住支援団体等から組織されるものでございます。

 この居住支援協議会につきましては、現在のところ、全国で六協議会が設立されておりまして、平成二十二年度内、今年度でございますが、合わせて計十協議会の設立が見込まれておるところでございます。

高木(美)分科員 どう見ましてもこれは少ないと思いますが、今後どのように推進をされるのでしょうか。

市村大臣政務官 これは、福祉部局等の協力も必要であると思います。ですので、厚生労働省さん等々関連省庁と連携をしまして、さらなる設立を図るべきだと思います。

 今、その立ち上げにつきましては、国土交通省としましても、住宅確保要配慮者に対します民間賃貸住宅等への入居の円滑化に関する活動に対しまして、補助金を出しております。そのことについて支援をしておりますが、しかし、先ほど申し上げましたように、福祉部局等の協力が必要でございますので、厚生労働省とも協力して進めてまいりたいと思っております。

高木(美)分科員 恐らくこの居住支援協議会の立ち上げ、また運営につきまして、国が直接補助するという仕組みであるかと思います。

 ただ、そういうことは余り知らないとか、その周知徹底から必要なわけで、また、住宅につきまして支援をしなければならない、いわゆる住宅確保要配慮者という方たちですが、高齢者、障害者、子育て世帯、さまざま考えますと、その窓口は役所では全部ばらばらですので、そこを厚生労働省で束ねてといいましても、要求とか、また住宅の中の整備の形態とか全く違うと思います。もう少しくきめ細かく推進をしていただきまして、例えば障害者について考えるとか、高齢者とは固めて構わないとか、そのような配慮をまたさらに進めていただきたいと思います。

 私は、きょう実は、大臣にぜひお願いといいますか、お考えを伺いたかったのは、高齢者につきましては、サービスつき高齢者向けの住宅制度の創設等が盛り込まれた高齢者住まい法の改正案が提出されております。障害者につきましても、施設、今まで日本は隔離政策でした。それを、地域でみんな一緒に住める、安心して暮らせる共生社会を目指していこう。こうした理念に基づきますと、地域生活に移行するためには、現在進めているグループホームやケアホームを拡充しなければなりませんし、福祉的な住まいの整備とともに、高齢者と同様に障害者が安心して暮らすための住宅施策の推進が必要だと思います。

 障害者の住宅確保への対応につきまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。ともすれば、高齢者がボリュームが大きいので障害者は置いていかれてしまう、こういう傾向があるように思います。御答弁を求めます。

大畠国務大臣 先ほどから高木議員の御質問を伺っておりますと、いわゆる社会的に弱い方々の立場に立った住宅政策というものをしっかりと国は進めなきゃならない、こういう御主張だと思います。また、そういう観点から、住宅セーフティーネット法というのも先生が肝いりでつくられたものと思いますし、そういう意味では、先生方の思いというものをしっかりと受けとめて運用もしなければならないと思います。

 その上で、まさに先生から御指摘のように、住宅は国民のすべての方々の基盤でもあり、障害者の方々にとっても住宅の確保というのは大変大事でありますし、私も、障害を持つ子の親の方のお話を伺ったり、あるいは団体の方のお話も伺うことがあります。そういう意味で、障害を持つ方々にとっても住宅を確保することは大変大事でありまして、厚生労働省など他の省庁とも連携して対策をしていきたいと思います。

 また、具体的に今御指摘を賜りましたが、障害者の方々の居住の安定確保を図るため、一つとしては、公営住宅について、優先入居措置を講ずるとともにグループホームとしての活用を認めること、二つとしては、民間賃貸住宅への入居の円滑化に向け、住宅の情報提供や入居の相談などを行うため、地方公共団体、不動産関係団体、あるいは社会福祉法人等を含む居住支援団体等から成る居住支援協議会の活動の支援などの施策を国土交通省としても推進しているところでございます。

 今後とも、公的賃貸住宅の供給や民間賃貸住宅への入居支援などにより、障害者などの方々が地域において住み続けることができるように、まさに住宅セーフティーネット法の精神を生かしながら強化に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)分科員 実は大臣、URのホームページなんですが、高齢者支援情報サイト、子育て支援の取り組みというコーナーはあるんですが、障害者支援サイトというのはないんです。細かな話ですが、相談する窓口を置いていただくとか、ぜひこういうところから少しずつでも広げていただければありがたいと思います。

 今、大臣の御答弁をいただきまして、私はやはり、例えばセーフティーネット住宅、先ほど政務官からも、これをどんどんふやすという今の状況にないというお話がありましたが、ただ、今までは、どちらかというと住宅政策は経済政策でした、高度成長社会の中でどう支えていくかという政策でした。しかし、今、高齢化、そしてまた家族形態の変化、単身世帯もふえております。そこにはやはり今対応し切れていません。ということから、やはりこれを社会保障の政策に切りかえていく、こうした視点というのが大事ではないかと思います。

 そこで我が党は、新しい福祉社会ビジョン、これを昨年十二月に中間取りまとめとして発表いたしました。社会の安定には豊かな住環境が不可欠でございますので、こうした変化に対応するために、今、例えば高齢化率も、二〇〇七年二一%、団塊の世代が後期高齢者になる二〇二五年は三〇%になるわけですので、やはりここに対応するビジョンというのが今必要ではないかと思います。

 抜本的に、この住宅政策をもう一度見直していただきまして、先ほど申し上げた、セーフティーネット住宅を拡充する、民間賃貸を借り上げるなど、ストックシェア、今四・二%ですが、これも倍ぐらいにふやしていくとか、サービスつき高齢者住宅の整備であるとか、また公営賃貸住宅の団地に、地域の福祉拠点として医療、介護、子育て等の施設を整備するとか、こうしたビジョンをお示しになるということは私はとても有意ではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。

大畠国務大臣 高木議員も経済産業政務官として御活動いただいて、確かに、高度成長といいますか経済成長というものを一つの柱として日本が走ってきたこともまた事実だと思います。しかし、今御指摘のように、高齢化社会を迎えて新たな住宅政策というものを考えていかなければならない、その点も高木議員御指摘のとおりだと思います。

 したがいまして、今後、厚生労働省とも連携をとりながら、高齢者の単身あるいは夫婦世帯等を対象としたサービスつき高齢者住宅の制度を創設する高齢者住まい法の改正案というものを今国会に提示させていただいております。

 今後とも、生活の器である住宅について、厚生労働省など関係省庁とも一層連携をとりながら、先生の御指摘を踏まえた形での住宅政策というものが進むように努力してまいりたいと思います。

高木(美)分科員 大畠ビジョンをお示しいただければ、恐らく、これは生活のまさに基盤ですので、国づくりの一番の大もとになると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

吉良主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

吉良主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。

 まず冒頭に、今駆けつけてきたんですけれども、直前まで予算委員会の理事会ということで、野党と与党の日程の合意がないままに月曜日にこの予算審議を終わるような提案をしているというようなことで、さまざまな懸案があった中でもそういう強行をしたということで、私は断固抗議したいと思うんです。

 そういう中で、私きょうも取り上げさせていただきますが、来年度の予算案をめぐっては、本当にまだまだ議論を重ねていかなきゃいけない問題がたくさんあります。大畠大臣とも、予算委員会の本体の方でも、幾つか我が党の議員と、私自身も質疑をさせていただきましたが、やはり国民の立場から、本当にこの予算でいいのかどうか、そして今後の国の政治のあり方ということで真摯な討論を重ねる中で結論を出すということが当然必要で、それを一方的に強行するということはあってはならないということを申し上げたいと思います。

 そこで、本題に入りますが、まず初めに、スーパー堤防事業について伺いたいと思います。この問題は、さまざまな形で国会内外でも議論されてきまして、昨年の国会でも何度か取り上げられております。

 まず伺います。この事業の概要とこれまでの進捗状況についてお答えください。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 スーパー堤防整備事業、高規格堤防整備事業でございますが、沿川に資産が集中しております荒川、淀川など首都圏、近畿圏を流れる大河川におきまして、堤防決壊による壊滅的な被害を回避するために、川沿いの木造密集市街地の解消など、まちづくり事業と連携を図って整備を進める事業であります。

 進捗状況でございますが、平成二十二年四月時点の整備状況は、対象六河川合計で整備延長は約五十一キロとなっているところでございます。

笠井分科員 進捗率はどうなっていますか、率でいうと。

津川大臣政務官 整備延長でございますが、五水系六河川におきまして要整備延長とされておりますのが八百七十二キロでございまして、それを分母といたしますと、整備状況は五・八%。また、そのうち重点整備区間というものがございます。重点整備区間が同じく五水系六河川で二百二十三キロでございますので、重点整備区間の中で整備が済んだのが一二・四%というものでございます。

笠井分科員 なるべく大きくしたいんでしょうけれども、全体の計画からすると五・八%と。

 では伺いますが、この事業の完成年次はいつというふうに現時点で見込んでいますでしょうか。そして、総事業費は、これだけの五水系六河川ですから相当のものになると思うんですが、どのぐらいのものということで考えていますか。

津川大臣政務官 誤解を招くような発言がありましたら失礼をいたしますが、特に進捗率を高く見せようとして表現をしたつもりはございません。

 それで、全体の完成年次と総事業費についてのお尋ねでございますが、沿川のまちづくりや土地利用転換に合わせて関係者の合意形成が図られた箇所を対象に実施していくということから、完成年次を現段階で明らかにすることができないという状況でございます。

 また、総事業費につきましても、個別箇所ごとに地盤改良の必要性、まちづくり事業の実施内容が異なるため、現在、算出するのは困難という状況でございます。

笠井分科員 進捗率がありましたが、単純計算しても四百年、十二兆円もかかると言われたりしておりますけれども、五・八%という数字は事業中の区間や暫定完成区間を含めたものでありまして、しかも、完成した箇所は、国の河川施設があったとか、公園や工場跡地というものも少なくありません。

 この事業は一九八七年に開始されて四半世紀近くたっているわけですけれども、まだ五・八%と、完成までに四百年どころか、実際は何年かかるかわからないという状況であります。だからこそこの問題が、昨年、事業仕分けでも問題になりましたよね。

 十月二十八日の仕分けの中ではどういう評価結果が下されたでしょうか、結論だけお答えください。

津川大臣政務官 御指摘をいただきました昨年十月二十八日に行われました行政刷新会議、事業仕分けの取りまとめにおきまして、スーパー堤防に関しては、現実的な天災害に備える視点に立ち入り、治水の優先順位を明確にした上で、事業としては一たん廃止することとされたところでございます。

笠井分科員 この仕分けが行われた十月二十八日、ワーキンググループの会議で、津川政務官はこう発言されていますよね。

 厳しい財政の状況の中で優先順位はどうだというと、私どもは、結論から申し上げますと、非常に低いと思っています。むしろ、より優先順位の高い河川整備をやらせていただきたいし、現実的には、この地域においても、スーパー堤防ではなく堤防の強化というような対応をさせていただいた方が現実的ではないかなというふうに、今、私の段階では思っております。

 こう発言されました。間違いありませんね。

津川大臣政務官 議事録を読んでいただいたとおりだと思います。私も、もともとこの高規格堤防事業、スーパー堤防事業につきましては、委員が御指摘いただきましたように、現在の進捗状況からいきますと、いつ終わるのかよくわからない、そういう状況も含めてさまざま問題があるのではないかという認識を持っていたところでございます。

 事業仕分けの場では、まさに現下の厳しい財政制約の中で、優先順位の判断の一つとして、今引用されませんでしたが、私申し上げたかと思いますが、何度も水害をこうむっておられるような地域、毎年のように床上浸水、床下浸水があるような地域もございます。そういったところへの緊急性というものを考えたときには、高規格堤防よりも優先順位が高いものが多いという私の考え方を述べさせていただいたところでございます。

 一方で、治水事業というものはそもそも時間がかかるものでございまして、過去の我が国あるいは世界の治水事業を見ましても、相当多くの時間と規模をかけたものも少なくございません。そういった中で、現在の時の政権が判断して実行してその後の国土を守っていくという視点そのものは私は重要だと思っておりますから、現在の財政事情というものはまず大きな課題としてございますが、ただ、目の前でやらなければならないということの優先順位だけで、高規格堤防のような将来にわたっての根本的な治水対策を検討すること自体を放棄していいのかということについては、私から付言をさせていただいたところでございます。

笠井分科員 いずれにしても、一たん廃止ということにしたわけです。スーパー堤防ならぬスーパー無駄遣いとまで言われてきました。この事業仕分けの結果は、マスコミでも大きく報道されました。とりわけ、地元では強い反対の声が上がってきたんですね。

 江戸川沿川の東京都江戸川区では、北小岩、北小岩一丁目東部、それから篠崎公園の三つの地域で、区がスーパー堤防と一体になった区画整理事業を計画して、先行買収もやってきた。もともと、この江戸川右岸のところに、何キロにわたって二百メートルから三百メートルの幅で盛り土をするということで整備していくというので、広大な地域に、かなりの建物、二千戸とか二千棟とか、それから五千人、六千人の方々が住んでいるという状況です。

 この地域に七百年前からあるお寺に私も行きました。それから、四百年前、江戸幕府ができたときにできた寺院も先頭に立って反対署名に取り組まれて、幅広い方々が運動に立ち上がっています。先祖代々のお墓を掘り起こしてまでこんな事業を無理やり進めるのか、また、堤防整備と一体の巨大開発で住民を長期間仮移転させるために、一度ここを離れたら二度と戻ってこられないという批判や不安の声が渦巻いてきた。

 私も、二〇〇六年に現地調査に行って以来、何度も現地へ行きました。住民の方々と懇談してきました。それからまた、この間、民主党もそうですが、超党派の議員も含めて運動が広がって、昨年十一月には院内集会も開かれるという状況でした。

 大臣、こんな事業が続けられてきたことについて、今政務官からもどういうことだったか話がありましたが、どう考えていらっしゃるでしょうか。もう明らかにおかしいな、これはやはり立ちどまってちゃんと見直さなきゃだめだな、一たん廃止は当然だなということだと思うんですが、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 笠井議員から、高規格堤防整備事業、いわゆるスーパー堤防事業というものに対する考え方いかん、こういう御質問をいただきました。

 実は、茨城県で那珂川という川がありまして、ここのところも洪水等で大変被害を受けたところであります。もう十数年前でありましょうか、その後のところに行きまして、洪水の被害者の方々の状況を見て、国として何とかしなければならないという思いを持ったことは、私自身、心の中に入っております。

 そこで、このスーパー堤防という考え方でありますが、確かにこういう考え方もあるのかなとは思います。堤防の外側というか、川から見て堤防の外側のところにたくさんの方々が、町ができて、そして、堤防を越えた場合には大変な水害が出る。したがって、町全体を持ち上げてしまえばいい、こういう発想でございますから、これは一つの考え方としてあるのかなとは思いますが、一つには、そのスーパー堤防をつくるために、一たんそこに住んでいる方々に移転していただかなければならない。そして、そこのところに大変な造成をする。

 そんなことを考えますと、先ほど津川政務官からお話ありましたように、お金も潤沢である、そしてその地域の方々がみんなこぞって全部、そういうふうに協力しましょう、こういうことになればできるわけでありますが、先ほどお墓のお話ですとか住民の人の話がありましたが、そこで生活している方々がどんなお考えなのかということを十分踏まえてやらなければならないという壮大な事業であります。

 したがいまして、今回の仕分けの中で、一たん廃止、こういうことになったわけでありますが、改めてこのスーパー堤防というものについて、見直しに関する検討会というものを学識経験者の方々に集まっていただいて設置いたしまして、首都圏、近畿圏の堤防整備のあり方、高規格堤防の整備区間、コスト縮減策、あるいは投資効率性の確認手法に関して検討を着手したところであります。

 平成二十四年度の概算要求までには結論を得たいと思いますが、端的に申し上げまして、もう一度この事業については総合的に見直すべき事業ではないかと私も考えております。

笠井分科員 今大臣言われましたけれども、つまり、この事業については、新規に進めるんじゃなくて一たん立ちどまってと。ここで廃止して検討をするというのがありましたが、総合的に見直すということでありまして、だからこそ、来年度予算案でも新規箇所には予算措置しないことになっていると国交省の文書にもはっきり書いてあります。

 ところが、江戸川区の現場では何が起こっているかということなんですが、北小岩一丁目東部の十八班と言われる地域では、住民の皆さんの反対が強くてなかなか事業の条件が整わない。そこで、江戸川区が、本来盛り土は国の仕事なんだけれども、区画整理地域を区で独自に盛り土したいと。しかし、それだけだと、隣接した河川区域、つまり国が管理する堤防との間がくぼ地になっちゃうということで、昨年、二〇一〇年二月二十五日に、江戸川区長が国交省の江戸川河川事務所長に対して、河川区域、堤防のわきも区で盛り土したいので認めてほしいと協議を申し入れた。それに対して、同年三月三日に河川事務所長が、異存ありませんというふうに回答をしていたという経過がありました。この経過は間違いありませんね。間違いないということだけ確認してください。

津川大臣政務官 間違いございませんが、もう少しだけ詳しく言わせていただくと、回答の中で、「異存はありません。なお、施行及び占用にあたっては河川法、占用許可準則に従って別途許可申請願います。」こういう回答をさせていただいたところでございます。

笠井分科員 異存はないと言ったんです。ただ単に河川区域を占用したいという話じゃなくて、何も起きていない地域でただ区画整理がやられているのともわけが違うんですね。区が盛り土したいと言えば、これはスーパー堤防化だなとだれでもわかる話です。当時の前原大臣も、北小岩地区の約二・二キロメートルにつきましては、高規格堤防、スーパー堤防とまちづくりの一体整備を行うため、平成十六年から関東地方整備局と江戸川区で検討会を立ち上げたと国会で説明しているわけであります。これが去年三月十五日。もともと、この地域のスーパー堤防とまちづくりは一体と国も言ってきたわけであります。

 当時、では国会でどういう審議がなされていたかといいますと、ちょうどそのときなんですけれども、江戸川区長が河川事務所長に協議を申し入れた、まさにその日なんです。二月二十五日、この衆議院の予算委員会分科会の場でこの第十八班地域の問題が問われまして、当時の前原大臣は、「今後とも十分な合意形成を図っていく必要があると認識をしております。」このように答弁していました。また、河川事務所長が回答した三月三日ですが、その後、三月直後の参議院予算委員会でも、前原大臣は、江戸川区が実施する土地区画整理事業と連携をして、現在地元説明を実施しているところというふうに答弁していました。

 つまり、国会では、国交大臣が当時、スーパー堤防事業を始めるには合意形成が必要とか地元説明をしていると言いながら、現地では、江戸川区と国交省の出先機関が、事実上、だれが見てもスーパー堤防化を進めることで合意していたということじゃないかと思うんですけれども、大臣、こんなことを許していいんでしょうか。

大畠国務大臣 今の議員の御指摘でございますが、大規模な事業を展開する場合には、議員御指摘のように、その地域の方々の御了承をいただかなければ事業というのは前に進まないことは事実であります。

 したがいまして、先生の御指摘のように、地域の方々が全くその状況について了承をしていないのにもかかわらず国が何か事業を進めようとすることについては、先生の御指摘のように、私自身も、どういう状況なのかなという、ちょっと理解に苦しむところであります。

笠井分科員 理解に苦しむということでおっしゃったのであれなんですが、これはだれが見てもスーパー堤防計画と一体だということで、これはことし二月四日の東京新聞の夕刊の一面トップに出た記事なんですけれども、「仕分けで「廃止」スーパー堤防 江戸川区十億円計上 住民「見切り発車では」」こういうふうに書いてありまして、仕分けで廃止とされたはずなのに、みんなそう思うわけですよ。ところが、区が実際には予算までつけているということで、多田区長は、「都の都市計画審議会で近く、北小岩地区の事業化が決まる見込み。国にはやってもらわないと困る。どこまでも押していく」というふうに言っているんですね。

 そうすると、さっきおっしゃったような、これはまず一たんとまって検討、総合見直しといって国がやっているのに、実際には、現地で国交省の出先の方もかかわって、それはいろんな解釈の仕方はあるかもしれぬ、でも、だれが見ても一体と言ってきたことについて、区は進めたいと言っていた。それについて、こんなふうになっているということであれば、大臣、ぜひこれは事実をちゃんと確かめてもらいたいんですが、どうですか、確かめるということで。

津川大臣政務官 御指摘がありましたので改めて確かめさせていただきたいと思っておりますが、私どもとしては、新規事業として今事業化をしておりません。そして、新規事業化を進める前には、今設置をしております、学識経験者から成る高規格堤防の見直しに関する検討会の中で今検討いただいているところでございますので、その結果を受けて、コスト縮減策等々の、私が仕分けの中でお答えをさせていただいたような手法等々への見直しというものが始まるものだと思っております。

 ただ、今御指摘いただきましたように、区の方から、区としてはやりたいというような御要望は確かに要請書としてはいただいておりますが、スーパー堤防事業としては、私どもはあくまでも事業化をしていないというのが正式な立場でございます。

笠井分科員 そうしますと、幾つかありまして、まず、大臣御自身、政務官を通じてでも結構です、大臣御自身で一度確認していただきたいんですが、経過がどうなっているのかという点。

 それから、区の方は、これは国の事業で、それを受けて一体にずっと検討しながらとやりながら、実際はもう進めてきた話なんだけれども、国ははっきり一たん廃止ということでとっているということも含めて、これはもうここまで来ていますので、大臣御自身が現地の多田区長と直接連絡をとられるなりして、国の事情はこうなっている、区の事情はどうなっているのかと聞いていただいて、これはやはり、まずとめてもらわなきゃだめよねということでやっていただけないかという問題。

 それから、現地で河川事務所長が回答しているわけですね、異存ないと言っているのは。これは、事業仕分けでいうと、廃止と決める前のことであるとはいえ、それを片方は、区は、もう異存なしと言われているからとやるわけですから、それは、今の水準からいうと、国の判断からいうと、さかのぼってみればそれはまずい。だから、その回答については撤回するのなら撤回するというふうにしないと、それをよりどころに区は進めてしまうと、これはますますこじれると思うんですよ。

 ほかにも公共事業をめぐって大臣いろいろ御苦労されていることがありますけれども、国の判断と、地元がその前に決まった自公政権時代の問題を引きずりながらやってきたこととのそごがどんどん出てくると、大変なことになる。

 だから、この問題について言いますと、今申し上げたような形できちっと事実を確かめていただくということで調査する。それから、区長との関係で話をしていただく。そして、今申し上げたような回答というものについては、調べた上で、必要なら撤回する。大臣、そういう御判断をいただきたいんですが、いかがですか。

大畠国務大臣 今御指摘をいただきまして、私も、大変恐縮でありますが、現場の詳細なところまでは確認しておりませんので、担当の方で確認させていただいて、混乱をすることがないように、先生の方にもまた後日改めて整理したことを御報告させたいと思います。

笠井分科員 大臣も御多忙で、国土交通省はいろいろな問題を抱えていらっしゃいますから大変だと思うんですけれども、このスーパー堤防事業というのは、これを本当にきちっとけじめをつけるかどうかというのは大きな問題に今後なりますので、一たん廃止じゃなくて、もうやらない、きっぱり廃止すべきだと私、強く思うんです。

 その前提としても、検討会というお話がありました。前原大臣も蓮舫大臣も仕分けチームも、この事業の現地を、江戸川区に限らず違うところに行かれた方もいらっしゃいますが、実際に行かれました。私、御一緒してもいいですから、ぜひ現地にも行っていただいて、もちろん区の話も聞いて、住民の皆さんの話を聞いた上で、これは本当にどうなのかという御判断も含めて、そういうことを御検討いただけないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

大畠国務大臣 何事も現場を見ることというのは大事だと私は思っております。国土交通大臣になってから、ここにもぜひ来てほしい、ここも見てほしいという、そういう御要請、各所からいただいておりますが、状況を見て、私も、担当の者から話を聞くとともに、機会があればそのような場も持たせていただきたいと思います。

笠井分科員 私だけではなくて与党民主党の議員も一緒に行けばいいわけですから、野党のほかの議員もいますし、そういう機会をぜひお願いしたいと思います。

 次に、残った時間ですが、UR、都市再生機構の家賃値上げ問題について伺います。

 都市再生機構、URは、賃貸住宅の家賃をことし四月に値上げする方針を明らかにしております。去る二月十日に、大畠大臣は全国公団自治協の代表の方とお会いになった。いろいろやりとりがあったと思うんですが、この時期に家賃値上げなどをしていいというふうにお考えでしょうか、率直にお考えを伺いたいんです。

大畠国務大臣 このUR賃貸住宅の家賃の問題につきましては、私も事務方からいろいろとお話を伺っております。

 もともと、平成十一年から周辺の民間の賃貸住宅の家賃並みの水準とする市場家賃制度が導入されておりますけれども、その際、平成十一年以前に入居していた従前入居者については、家賃の上昇について激変緩和措置を講じ、三年ごとに、市場の家賃を支払っている新規入居者との差額のおおむね三分の一を引き上げるということにしたと伺っております。

 現在でも新規入居者と一部の従前の入居者の間では依然として家賃負担の格差が残っており、公平性の確保の観点から三年ごとに家賃改定を行ってまいりましたが、平成二十一年の四月に予定していた家賃改定につきましては、リーマン・ショック直後の混乱もあったことから、御指摘のように機構として当面延期したところでありますが、今回、機構はルールに沿った形での家賃の改定を検討していると伺っております。

 しかし、先生から御指摘のように、昨今の状況というものは、経済的にも非常に厳しい状況にありますので、公平性というものを確保することも必要だと思いますけれども、特に低所得の高齢者の世帯等々については配慮すべきではないか、こういうことを機構の方には私の方から要請したところであります。

笠井分科員 機構の方で負担の公平性ということで家賃値上げということなんですが、民間家賃と変わらなくなれば、何のための公共住宅なのかという問題になります。

 それから、機構の健全な経営ということも言うんですけれども、機構は、昨年、一昨年も家賃収入は約五千六百億円で、六百億円を超える純利益を上げているわけですね。昨年末にも、当時の馬淵大臣が、高齢者の皆さん、低所得者というお話があったんですが、しかし、その指示自体は、家賃値上げそのものは容認したものだという形で、居住者からは厳しい批判も上がっている。

 今大臣、今の経済状態は厳しいと言われたんですけれども、二年前からすると、改善どころかむしろ悪くなっている。高齢者、低所得者の皆さんはもちろんですが、サラリーマン、労働者の賃金は下がる一方です。中小企業は悲鳴を上げている。それから、この二年間に後期高齢者医療制度が導入されて、そして介護保険の保険料は引き上げで、年金は物価スライドで今度引き下げる。これで家賃が値上げされたらもう住み続けられないという状況で、ますます悪化して、これじゃもうだめだというのが声だと思うんです。

 二年前、二〇〇九年四月には、当時の金子国交大臣、自公政権時代でさえといいますか、厳しい経済状況を考慮した上で対応するという要請をして延期されたわけなので、まして厳しいんですから、一定の措置をとったからというふうに済まさないで、この際、やはりきっぱり値上げ中止ということで強く要請すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

大畠国務大臣 御指摘の点でございますが、私も議員がおっしゃることはよく理解をいたします。住宅というのが、あるいは住居というのが、私たちの生活の本当に基盤なんです。その住宅の家賃というものが、収入、あるいは生活をする上で非常に厳しい状況というものは、私はある程度考慮しなければならないと思っております。

 ただ、同時に、同じ住宅に住んでいる方で格差があるというのも問題だなという意識を持っておりますが、しかし、今日の状況を見るときに、高齢者の方あるいは低所得の方々に対する一定の配慮というものも必要だと思いますので、そういうことを含めて、再度機構の方には、一定の配慮をすべきじゃないか、こういうことは要請したいと思います。

笠井分科員 配慮するなら値上げするな、こういうふうにぜひ言っていただきたい。笠井議員がそう言っていた、居住者の皆さんの声だということを言っていただきたいと思います。

 最後、一点だけなんですけれども、実は、URがこの四月からの値上げ方針なんですね。きょうは二月二十五日、もう二月末です。あと一カ月しかないわけです。こんな直前になってから値上げを通知するとなると、これは世間的にも余りに非常識になると思うんです。これまでだって、調べてみますと、大体三カ月以上前には決めて通知しているという話になっているわけで、今、現時点でいいますと、四月からの家賃値上げというのはこれは無理だよ、断念しなさい、こういう話に当然なると思うんですが、これはいかがですか、最後。もうあと一カ月ですからね。

津川大臣政務官 今、要請を再度するべきだという委員の御指摘がございました。

 大臣あるいは前大臣からもかかる要請はさせていただいてきたところでございまして、これを踏まえて機構で判断をしていただくものというふうに考えております。いずれにいたしましても、大臣からの要請を踏まえて適切に措置されるものと認識をしているところでございます。

笠井分科員 二月末になって、四月から上がるのかという報道は出ているけれども、一体どうなるんだと。家計をやりくり、そして場合によっては、住み続けられないと思ったって、引っ越そうったって、もう時間がないですからね。そこのところをやはりしっかり受けとめてもらわなきゃいけないと思います。

 大臣言われましたけれども、やはり住まいは人権ということであります。憲法二十五条の生存権、言うまでもなく、そういう立場からいっても、福祉という立場からもやはり住宅を位置づけて取り組む必要があると思うので、私は、家賃値上げはきっぱりやめるだけじゃなくて、高過ぎる家賃はむしろ値下げする、それから近傍同種の制度あるいは三年ごとの値上げというのはやめて、そして住んでいる方をしっかりと支援する立場でこういう問題も考えていかなきゃだめだ、このことを強く申し上げたいと思います。

 また大臣にお願いするとあれですけれども、私も、東京あるいは全国でもいち早く公団ができた東京・三鷹の公団住宅にお住まいのところにも実際行きまして、話を聞くといろいろな問題を抱えていらっしゃいますので、そういう点でもまた、現場を見ていただくことも含めて、しっかりこの住まいという問題に対応してもらいたいと思います。

 終わります。

吉良主査 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次の質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉良主査 では、速記を起こしてください。

 出席を要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 次の質疑予定者の出席が得られません。

 再び事務局をして出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉良主査 速記を起こしてください。

 出席を要請いたしましたが、出席がかないませんでした。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 次に、高邑勉君。

高邑分科員 貴重な精神統一の時間を与えていただきまして、ありがとうございました。

 予算委員会、私、初めての質疑に立たせていただきます。きょうは、大畠大臣そして市村政務官、ありがとうございます。

 午前中の質疑でもコンクリートから人へという言葉がございましたが、私は、コンクリートも人もどちらも大事である、国民の生命財産を守るための投資、そして経済成長に資するためのコンクリートというのは必要だと。限られた財源でありますから、それをいかに重要な分野に、かつ迅速に投資をしていくのか、そういった判断こそが今政治に求められているのではないか。

 その観点から、本日は、いろいろ申し上げたいこともございますけれども、国際戦略バルク港湾の選定、この一つの話題に絞ってお聞きをさせていただきたいと思います。

 昨年の十一月に、総理の指示のもと、当時の大畠経済産業大臣の指導のもとで、日本国内投資促進プログラムが策定をされました。その中で、世界最高水準の投資環境の整備を目指すとございます。安価で効率的な物流インフラの充実は、まさに企業立地にとっての大前提であると。

 そこで、大臣にお聞きしたいと思います。

 民間企業の御出身でもあられ、またかつ経済産業大臣を歴任された大畠国土交通大臣が、今、国土交通政策、特にインフラ整備を進められようとしていることに私は大変期待を申し上げておるわけでありますが、新成長戦略の中で今回の戦略バルク港湾の選定がどのような意義を持っているのか、そしてどのような効果を期待しているのか、端的に御説明いただきたいと思います。

大畠国務大臣 高邑議員の御質問にお答えを申し上げます。

 高邑議員も民間企業あるいは国際的な企業にお勤めをされた経験をお持ちでありますが、幅広い観点から、日本における新成長戦略の一つの道筋というものに党の中でも御努力されてきたことは、私も存じ上げております。

 ただいまのいわゆる国際バルク戦略港湾の話でありますが、私ども国土交通省として、どのような視点でこれを取り上げているかについて申し上げたいと思います。

 バルクについても、石炭ですとか穀物ですとか、そういうものについても、大型船舶の活用によりアジア主要港湾と比べて遜色のない輸送コスト、サービスを実現し、それにより我が国の産業や国民生活に必要不可欠な資源、エネルギー、食料などの物資を安定的かつ安価に供給する、こういう位置づけでこのバルクについての港湾という意味でのとらえ方をしているところであります。これにより、国際バルク貨物輸送における我が国産業の国際競争力を強化し、我が国での産業の立地と雇用を確保する、これが国土交通省の成長戦略の一つでございます。

 委員も御存じのとおり、最近の船というのは大変大型化してまいりまして、例えば、パナマックスというのは満載の喫水は十二メーター、あるいはケープサイズというものも満載の喫水は十七・五メーター、長さも、大きいのでありますと三百四十メーターという巨大なタンカーもあるわけでありまして、こういう巨大な船を受け入れる日本の港というものを選択と集中で整備して、世界の潮流にしっかりと乗りながら日本としての戦略を高めていきたい、それが国土交通省としての一つの戦略であります。

高邑分科員 大臣、ありがとうございます。

 まさに、雇用の確保、そして企業の立地を促進していく、そういった観点からの選択と集中を行っていくというのが、今回の国際戦略バルク港湾の選定の意義であろうかと思います。

 お手元の資料の一枚目をごらんください。

 私は昨年の夏、鳩山前総理と一緒に、中国・唐山にあります曹妃甸というところを視察してまいりました。何と水深二十五メートルのバースが既に運用をされている。やがて三十六メートルになろうかとしている。石炭のバースは、これは右側の方を見ていただきたいんですけれども、もう既に十万トン級のクラスの船が出入りをしておりまして、水深は二十メートルであります。それに比して、我が国の港湾、なかなかそこまでの水深に至らないというわけでありまして、国際競争の観点からも、私は非常に大きな驚きと脅威を感じてきたわけでございます。

 そんな中、この資料の二枚目、私の地元に総合化学大手のトクヤマという会社がございまして、そこが、まさにこの二月の十七日の報道にあるんですが、何と八百億円の投資をマレーシアにするということを決めました。これはインフラの整備が立ちおくれているということだけが理由ではないとは思いますけれども、しかし、そこで三百人の雇用を生むということになっております。私は、この事実が非常にショッキングでありました。

 経済産業省の調査でも、港湾等のインフラの整備が立ちおくれていることがなかなか立地が進まない理由の一つに挙げられているわけであります。私の出身であります山口県も、石油化学コンビナートが集積しておりまして、政府の温暖化対策への対応等で収益が非常に圧迫されている中で、選択と集中ということを今回打ち出していただいたわけでありますので、ぜひ山口県の出している案も選ばれるように、大きな期待をしておるところであります。

 そして、今回のこのバルク戦略港湾の選定基準に当たりましては、三ページ目に一覧表をつけさせていただいておりますが、この中で、輸送コストの削減と民間の視点、企業連携の促進等を選定基準に挙げていただいておりますことは、大変今回の趣旨に沿うものであるというふうに私は評価できるんじゃないかと思っております。

 その企業連携というところについて言いますと、四ページ目、実際、昨年末に社会実験を行っていただきました。山口県の大手三社、宇部興産、東ソー、トクヤマ、この三社が共同でオーストラリアから石炭を調達するという社会実験を行い、大変大きな成果を上げている。今、国土交通省は分析中であるというふうに伺っておりますけれども、こういった企業間の連携が既に各地で進んでいるということ、こういった事実を今回の戦略港湾の選定に反映させるべきであると私は思うんですが、これについて、市村政務官、いかがでしょうか。

市村大臣政務官 こうした閉塞感が漂う中でございますけれども、高邑先生の元気な御質問を聞いていますと、また私も元気がわいてまいりまして、きちっとお答えしたいと思いますが、私が申し上げたいことは高邑委員が御自分でおっしゃったと思いますので、もう繰り返しはしません。そういう基準をしっかりと盛り込んでおります。

高邑分科員 ありがとうございます。

 私だけが元気でもだめなんで、地元企業やそこで働く仲間、そして日本全国の労働者に、日本は産業政策、頑張っている、そういうメッセージをぜひ伝えていく、そういう民主党政権に期待をしたいところでございます。

 続きまして、資料の六をごらんください。

 実は、先ほど申し上げました私の地元の各社なんですが、大変重要な製造物もつくっております。例えば塩化ビニール、これは、住宅のサッシとか内装材、それから電線とか半導体、いろいろな被膜とかに使われていまして、実は大変温暖化対策にも役立つものでございます。この塩化ビニールの製造シェアは、この二社で我が国の約五〇%を占めている。それぐらい、基礎素材型産業が地元に集積をしているということでございます。

 また一方で、石炭の取扱量というのは、徳山下松そして宇部、この二港が今回の私どもの計画の対象港なんですが、この二港を合わせた取り扱い、輸入だけではございません、国内移出もしておりますので、これを合計いたしますと千九百六十万トンということで、破格の取扱量であるということをお伝えしたいと思います。

 また、あわせまして、先般オーストラリアで洪水が発生をした際にも、宇部にあるコールセンターに約二百万トンの備蓄がございました。これは約二カ月分の日本国内の消費量に相当するということでありまして、こういった不測の事態に対するエネルギーの安全保障の観点からも、このコールセンターの役割というのは極めて重要なのではないかと思います。

 また、環境面に配慮いたしましても、ここは実はセメントもつくっておりまして、石炭を燃やした石炭灰、自家発電をするわけですけれども、その石炭灰をセメントの原材料にしていくという意味で、まさに循環型社会に貢献をしている、そういう地域であることもあわせてお伝えをしたいと思います。

 そこで、今回、バルク港湾については全国で十一カ所が応募をしていると伺っておりますけれども、こうしたそれぞれの地域の持つ産業構造とか、こういう重要なエネルギー安全保障上の位置を占めるコールセンターの立地とか、また環境への貢献とか、こういったその産業特有の構造、特徴といったものを今回の選定に配慮するべきではないかと私は考えるんですが、市村政務官、いかがでございましょう。

市村大臣政務官 いろいろ御指摘ありがとうございます。

 産業構造に関してでありますけれども、先生が先ほどおっしゃっていただいたように、今回、三つの分野に分けて応募を受け付けておるところでございまして、一つは先ほどから先生がおっしゃっていただいている石炭、それから鉄鉱石と穀物ということであります。これは、さきのコンテナ戦略港湾と違いまして、そういう産業に配慮して、やはり穀物とか石炭、鉄鉱石では全然違いますので、これを一緒くたにできないということで、三つに分けてやるというところであります。

 特に、石炭ということであれば、先ほどから御指摘のとおり、基礎素材型産業のまさに基礎になるものでありますので、先生もこれは多分御指摘なさりたいと思うんですが、やはり、先生の御地元のところでは、石炭を利用して電力を発電して、そして基礎素材型産業がきちっとその電力を使って製品を生み出していくという構造があります。そういうところにもきちっと配慮した上で、またそうしたこともきちっと基準に盛り込んだ上で選定に当たっているところでございます。

高邑分科員 ありがとうございます。

 まさしく、それぞれに立地の特徴がございまして、私は、どこが選ばれるとか選ばれないかじゃなくて、こうやって企業がいろいろ自分で工夫をし、そして日本の産業に貢献をしているんだという自覚のもとに、さらなる設備投資を促していくことが今求められているのではないかなと思います。

 そういった意味で、私は、地元のことをもう少し宣伝いたしますと、基礎素材型産業というのは、これは装置産業なんです。インフラが弱くなっちゃったら結果的に競争力が落ちていって、また、その原材料から基礎素材をつくるわけですから、それを使っている国内のほかの産業にも影響を与えてしまう。逆に言うと、それを安くつくれれば、ほかにもそれを材料として使ってくれる工場やメーカーさんが安く原材料を調達できるということで、大変大きな影響を及ぼすプロジェクトなんですね。

 私の地元のある会社の幹部がこんなことを言っていました。総合化学産業というのは、切り売りして海外に持っていくことができないんだ、国内に残れなかったら全部やめちゃうしかないんだということをおっしゃっております。これは本当に切実な願いだと思うんですね。

 私がいろいろ調べましたら、今申し上げました宇部興産、東ソー、トクヤマ、大手総合化学、セメントも入っていますが、この三社で見ても、この四十年間で何と二・三兆円の投資をしてくれているんですね。かつ、今でも一万二千人の雇用を維持してくれています。

 お手元の七番の資料をごらんいただきたいんですけれども、ここにトクヤマ、東ソーの近年の設備投資、見ていただきたいんですが、上の方にトクヤマ徳山製造所、多結晶シリコン四百五十億とありますね。これは、先ほど申し上げたマレーシアに出ちゃったものと同じものです。四百五十億も工場の増設に投資をしてくれているわけであります。これがわずか二年前。

 そして、下が東ソー。エチレンアミン、二百億の投資を今まさにやっております。そして、その下、貯炭場を新たに二〇一一年完工予定。もう完工しました。二月に完工して竣工式をしたわけですが、八十七億円ということで、一枚めくっていただいて八枚目の新聞記事にしっかりと九十億投資したというふうに、真ん中のところに傍線を引いておりますが、書いてございます。

 まさに、こんな景気が余りよくないと言われている中でも、大手の総合化学は旺盛な投資意欲を持っている。私は、これは今日本にとって非常に貴重な産業だと思います。

 それで、地元のことばかり言ってもあれなので、もう一枚めくっていただきますと、国交省はいい資料を持っているんですね。港湾局の調べで、臨海部における大規模な設備投資の事例ということで、これだけあるんです。これは、報道ベースもしくはもう既に発表されているものでありまして、周南市、トクヤマだけじゃなくて、大臣のお地元の鹿島もしっかり大きな額が入っておりますけれども、すごく大事な資料だと思います。私が申し上げたいのは、これはよく調べていただいているなと思って、大変すばらしい資料であるんですが、ここに書いていない数字も多分あるんだろうと思うんですね。

 例えば、私の地元では、先ほど申し上げたある会社の幹部はこういうことを言っています。国内生産を続けていくことが日本への貢献なんだ、そしてそこで雇用を守ることこそ我が国の成長に寄与することなんだ、だから、もし港湾をやってくれたら、埋立地をすぐ買う準備をしているんだ、二千億の投資を考えているんですがというお話までいただきました。

 そこで、もう一度政務官にお伝えしたいんですが、港湾の今回の選定に当たって、後背地に立地している企業の追加投資のニーズを、これは新聞ベースではなくて、企業秘密も当然あるでしょうから、クローズの場でいいのでぜひヒアリングをかけていただいて、港湾に投資したらどれぐらい投資してくれるんですか、工場を出してくれるんですか、雇用を生んでくれるんですかというのをぜひ内々に経営幹部から全地域にわたってヒアリングをしていただいて、その数字を、まあ、絶対値というわけにもいきません、予測値も含めてでしょうから、少し丸めた数字で、今回の選定の参考値にされてはいかがでしょうか。

市村大臣政務官 今先生御指摘の、後背地にどのような企業が今あり、かつ育っていくかというのは、大変重要な観点だと思います。

 実際に、今現在も、民間投資の額ということで提出をいただいておるものがあります。ただ、今の先生の御指摘は、さらに港を整備したらどれだけの追加投資があるのかという部分でありますが、それにつきましても、実は選定が三月の終わりになると思いますので、それまでの間に、今十一港の応募がありますから、一つだけとか幾つかだけ聞くというのはフェアではありませんので、今御指摘いただきましたので、できる限りといいますか全部に、もう一度お聞かせいただくというものをやってみたいと思っております。

高邑分科員 政務官、本当に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 うちがあるから言っているんじゃなくて、まさにこうやって企業の投資を促していくんだと。今回、選択と集中という、これは一方で大変厳しい選択を政治が迫られているということなんですね。ですから、投資意欲があるところをさらに応援していこうじゃないかというメッセージをぜひ政権としても出していただきたいと思いますし、私、これは、これから設備投資の考え方、こういう意味で大きくかじを切っていく、変わっていく一つのきっかけになるんじゃないかと思って、大変期待をしておるところでございます。

 もうちょっと地元のアピールをしますと、私、先に地元の投資がどれぐらいあるか、全関係者に聞いてまいりました。各社のことは言えないので、トータルで幾らあるか。例えば、私が直接会社の経営陣から聞いてきたところでいいますと、今申し上げていた大手三社だけで、二〇一一年以降、今着工しているものは別で、何と三千億計画している。ただ、その中にはいろいろ、税制の問題とかでなかなか踏み切れないものもあるけれども、そこはぜひ民主党政権にお願いしたいというふうにお願いもついてまいりましたが、私は、そういった企業の旺盛な設備投資意欲をかき立てていきたいというふうに思っているんです。

 そういった意味で、三枚目の資料に戻りますが、選定基準の中に、確かにコスト削減効果を見ていくと。港湾の投資の場合は、BバイCの出し方は、総事業費と、それによってコストの低減効果がどれぐらいあったか、あくまでもこの二つでBバイCをはじくというふうに聞いておりますけれども、本来の新成長戦略における戦略バルク港湾の選定に当たりましては、私は、経済学で言う乗数効果という言葉がございますが、経済波及効果こそ加味して判断をしていくことが最も必要なのではないかと思います。

 ちなみに、いろいろなところで教えていただきまして、化学産業の経済波及効果、乗数効果を調べてまいりましたら、二・二二あるということなので、三千億しっかり投資をしていただければ、少なくとも六千億以上の経済効果を生むということでありまして、成長戦略に大変大きく寄与するプロジェクトになるのではないかと思います。ぜひ参考にしていただけたらと思います。

 そこで、一つ提案なんですけれども、企業から投資計画を聞くに当たっては、仮に選定されたとします。選定された後、言っただけでやってもらわなかったら投資が無駄になっちゃいます。昔そういうことが往々にしてあったと聞いていますので、恐らく評価項目の中に余り確かでない数字を入れることには慎重であったんじゃないかと思いますが、これを逆手にとって、むしろ企業さんに約束をしていただいて、毎年毎年予算編成の段階でどれぐらいまで投資をしてくれたのかをきっちりウオッチしていく。そして、しっかりと投資をしてくれていれば、これは直接雇用と経済に影響を与えるわけですから、むしろ事業を加速していく。

 これは国交省としても堂々と予算編成の段階で発言をしていっていいんじゃないかと私は思うんですが、企業の投資動向と港湾の投資をあわせて考えていく、モニタリングをしていくという発想について、政務官、いかがでしょうか。

市村大臣政務官 今のお答えをする前に、先ほど三役の方でちゃんと盛り込んでほしいという、乗数効果ですね、まさに経済投資効果、これを、まず委員会からいただきますが、その後三役の方で決めてまいりますので、きょうは大臣もいらっしゃいますけれども、大臣がしっかりと最後に御判断いただきますが、三役の会議の中でしっかりと検討してまいりたいと思います。

 それから今の、では、ウオッチが必要じゃないかと。もう当然でございます。今まさに、御存じのとおり財政厳しい折に、成長戦略ということで、港湾は成長戦略の柱だ、柱の一つなんだということで、ほかの財源を削りながらも、港湾設備には一・一倍の予算を出しているところでございます、今のところまだ予算案でございますが。なぜかといいますと、これは成長に資するんだというところでございます。

 ただ、では、選ばれたからといって、安心してもらっては困るんですね。これはやはり、覚悟を決めて手を挙げていただいていると思いますし、選ばれた以上は覚悟を決めてやっていただかなくちゃいけないわけであります。

 だから、今おっしゃったような、投資についても、絵にかいたもちではなくて、地元の方々が、自治体そして民間企業の皆様また市民の皆さんがしっかりと手を携えていただいて、そうした戦略港湾に選ばれたところを大切にしていただいて、そして地元の経済の効果をもっと大きく波及させていただいて、雇用を創出していただくということにつなげていただきたいと思っておるところでございます。

高邑分科員 ありがとうございます。

 まさしく我が意を得たりでありまして、政務官の踏み込んだ御発言に大変感謝をしたいし、そして期待をしたいところでございます。

 私は、今、国土交通委員としてもこれからまた勉強させていただきたいと思っていますが、一年間、経済産業委員をさせていただいておりました。その中で一番感じておりますのは、やはり企業のスピードというのは早いな、一方で行政のスピード、政治のスピードは遅いなと。

 その象徴的な例が実は地元にございまして、ちょっと資料が戻るんですが四ページ、四枚目に戻ります。上の真ん中の写真に東ソーの桟橋のところがあるんですが、これはN7と言われる地区なんですけれども、真ん中の囲い、これは実は、企業はもうすぐに、二年ぐらいかけて埋め立ての外の防波堤をつくっちゃった。その横は、これは県の事業。国の補助事業だったんですが、予算が、県の財政は厳しいですから、なかなか進まなくて、計画の二倍ぐらいになっちゃって、まだできていないんです。だから、企業の方はもう早くやっちゃって、すぐにやってくれと言うんですが、県の方はやはり財政負担が厳しいですから、なかなかお金がなくて進まない。

 実は、このことによってこの会社は、ここを全部埋め立てたら、当然、隣接地ですから、貯炭場を移したりなんなりでもう投資を始めていますから、事業計画にあるんですね。だから、早くアジアの市場を取り込みたい、早く投資をしたいのに、政治が、行政がなかなかお金が続かないのでスピードがゆっくりになってしまうと、これは企業の投資意欲を逆にそいでしまっている。下手をすると、最初に申し上げたある事例のように、海外に行ってしまうかもしれない。

 私は、今、スピードが最も大事なんじゃないかと思います。自治体も今、経営をする時代だと私は思います。そういった意味で、自治体の意欲、スピードを重視した投資判断にもぜひ期待したいところでありますが、大臣、経営の観点から、こういったスピードについてどのように思っておられるか、一言お聞かせいただきたいと思います。

大畠国務大臣 高邑議員からの御質問でございますが、私も昨年末、経済産業大臣として海外の、北アフリカ地域、あるいはことしに入りましてから中東に行ってまいりました。各国とも、非常に経済の変化のスピードが速いということを意識して、それに的確に対応するために全力で頑張っています。

 諸先輩方のおかげで今日の日本があるわけでありますが、さらに今、経済の変化というのは、議員からも御指摘のように、さらにさらに速まっております。したがって、それに的確に国の方もスピードを上げて、選択と集中、そしてきょう御議論いただきましたが、この国際戦略バルク港湾についても的確に事業を進めて、日本の企業、あるいは雇用の場を確保するという観点からも、積極的に進めていかなければと思っておりまして、これからも国土交通委員会の委員としても御指摘をいただき、私もさらに一層頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

高邑分科員 まさに、今おっしゃっていただきましたけれども、私は、今は港湾への投資というのはもうコストじゃない、本当にこれは未来の富を生み出すための投資なんだと。自治体も、大変苦しいときでありますが、ぜひ認識を投資をしているんだという方に切りかえていく。そういった意味で、大畠大臣が経産大臣を経て今国土交通大臣でいらっしゃるというのは、実は大きなメッセージじゃないかなと私は大変期待をさせていただいているところでございます。

 今私が申し上げたこの地域、瀬戸内の徳山というところは、かつて戦艦大和が最後に寄港をしたところでもございます。また、沖合には、大津島というところに魚雷回天、人間魚雷の悲惨な歴史が積み残されている訓練基地があったところでございます。私は、日本の経済はこのまま玉砕してはいけないと思うんです。日本の復活のためにも、日本を、国を開いていく。そのためにも、海への窓口である港湾への重点投資をこれから新たな日本の船出としてぜひお願いをしたいというふうに思います。

 あわせまして、最後に一点、これは通告をさせていただいていないんですが、昨日も予算委員会の中で、上関原発の現地において、住民と事業者との衝突で負傷者が発生したという事案がございました。港湾の整備を行っていきますと、当然、海上交通量がふえてまいります。また、上関の原発の建設現場におきましては、事業者そして住民とのトラブルを避けるために、海上保安庁の現場の職員の皆さんが大変大きな御苦労をしておられます。これからさらにいや増すでありましょう。海上保安庁の現場の職員の皆様方に、ぜひ大臣から一言、ねぎらいと期待のお声をかけてあげていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

大畠国務大臣 海上保安庁の職員に対する激励をという御意見を賜りました。

 海上保安庁も、大変苦労をしながら、そして寒い海上で、あるいは各地域で、命をかけて日本の国益を守るために頑張っております。ただいまの御指摘も一つの活動でありますが、海上保安庁の職員の皆さんにおいても、地域における経済、あるいは地域のさまざまな環境、そういうものの中で自分の職責を果たすために全力で頑張っておりますので、ぜひまた議員の応援をいただければと考えております。

高邑分科員 ありがとうございました。心温まるメッセージをいただきました。

 私も、日本のコンビナートの火を絶やしてはならない、多くの労働者の方々の生活や日本の産業を守っていくために、コンビナートの炎のような赤いネクタイを締めてこれからも活動してまいる所存でございますので、先輩方の御指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉良主査 これにて高邑勉君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民主党の後藤祐一でございます。

 今、大変景気が厳しいというふうに言われております。ただ、これは二つ別の日本があるのではないか。つまり、輸出で、そして多くの大企業が集う東京で、この東京でGDPの数字を見ていると、例えば去年なんかは錯覚に陥るわけです。しかし、内需、特に地域における景気というのはどうでしょうか。これは、なかなか、霞が関の役人、私も昔やっておりましたけれども、こういった方がコンピューターあるいは新聞を見て、これだけだと間違っちゃうんです。まさに、政務三役の大臣を初めとした皆様方が地元にも帰り、そして東京の状況も見て、そのバランスをとってやっていくことが大事だと思います。

 そういった観点から、特に地域における内需、これを拡大するためにも、今回、国土交通省が都市再生特別措置法の改正案を提出予定というふうに伺っておりますが、これは大変すばらしい法律であります。特に、駅前なんかの商店街に、容積率を青天井までやっていいですよ、地元が合意できればそれをやっていいですよと。青天井になった空中の部分を例えば販売をして、それでいろいろなアイデアを使いながら駅前開発をしていく。これで実際にできているところはいっぱいあるわけであります。

 ところが、こういったもので東京の都心部、うまくいったところはいっぱいあります。ただ、地域の拠点都市と言われるようなところ、ここでは、残念ながら、うまくいっているケースとそうでないケースがあります。私の地元の厚木市というところも、この都市再生緊急整備地域に指定されておるのでございますが、残念ながら動いておりません。

 ぜひ、これは内閣府になるんでしょうか、内閣官房になるんでしょうか、うまくいっているケース、特に地域における拠点都市でうまくいっているケース、そしてその理由、うまくいっていないケース、その理由、これについて御見解をいただければと思います。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 地域づくりにかける後藤先生の熱い熱意にはいつも敬意を表しております。

 御指摘の都市再生緊急整備地域については、都市再生特別措置法の制定、平成十四年以降、これまでに六十五地域、面積にして六千六百十二ヘクタールの指定を行ってきております。六十五で六千六百十二ヘクタールでございます。今御指摘がありましたとおり、これらの地域の中で、やはりうまくいっているところとうまくいっていないところがある、これは事実でございます。

 そこで、昨年十二月に、内閣官房と国土交通省が連携をして、これらの地域、自治体に対して調査をさせていただきました。その結果、都心部と政令指定都市以外の十六の地域について聞いてみたところ、おおむね八割の地域では、整備目標は達成または一部達成し、今後達成できる見込みと評価されております、八割。残りの二割の地域については、整備の目標の達成にはかなりの時間を要する見込みとの評価になっているところです。

 それでは、それらの地域、個別に具体的にどの地域かというのはちょっと避けさせていただきますけれども、どんな理由でよくなっているか、どんな理由でだめかということを御紹介させていただきます。

 うまくいっている方の例として、企業誘致について、県と共同して、助成制度、税制支援及び金融支援により、誘致の促進が図られた。あるいは、都市再生に向け、企業、市民、専門家と市による協働のまちづくり体制を整えたことにより、プロジェクトの推進が図られた。さらに、民間事業者の参入を促すため、多様な機能導入の方向性を示して提案を募り、事業化に際しては円滑な推進に行政も協力した、これがうまくいっている方の理由といいましょうか。

 それから、ちょっとなかなかうまくいっていないなというところの例を紹介しますと、事業の具体化に向けた地権者の合意形成に時間を要している。それから、景気の低迷により事業の採算性の確保が困難になっており、プロジェクトの大幅な見直しが必要となった。あるいは、民間都市開発に関しては、景気の低迷により事業協力者が撤退し、プロジェクトの大幅な見直しが必要となった、こんなことが挙げられているところでございます。

 以上です。

後藤(祐)分科員 ありがとうございました。

 そのような中で、うまくいっていないところもあります。ところが、今般の都市再生基本方針、これは先日閣議決定をされましたけれども、その中で、都市再生緊急整備地域の指定の見直しという話が入っております。つまり、既に六十五地域が指定されているわけでございますが、この指定の取り消しあるいはエリアの縮小、こういったこともあり得るのではないかというふうにも読めるわけであります。

 ところが、容積率の青天井は特にそうなんですが、それほどお金をかけないで大きな経済効果を生む可能性がある、まさにその地域にとっては一縷の望みになっているところもあるわけです。ぜひ、この指定の見直しということについては、少なくとも、指定取り消しですとかエリアを縮小してしまうですとか、そういうことのないように御配慮いただきたいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御指摘のとおり、都市再生基本方針は、本年の二月四日に大都市の成長戦略を盛り込むなどの全面改定を行っておりますが、この中で、都市再生緊急整備地域については、都市再生の取り組みの状況を踏まえ、必要に応じて見直しを検討することとしているところであります。

 これを受けまして、今後、各地域における事業の進捗状況などを地方公共団体からヒアリングして、見直しの必要性について検討を進めることにしておりますが、この際、事業が順調に進捗していない地域について、ただこの事業が進んでいないことだけを理由にして直ちに指定の取り消しやエリアの縮小をすることは考えてございません。事業の促進のための方策などについて、地域の地方公共団体とも丁寧に意見交換などを行った後、地方公共団体等の意向も十分に踏まえつつ検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

後藤(祐)分科員 地域の御事情をよくお考えいただき、本当にありがとうございます。いろいろな地域でのうまくいった知恵、これは恐らく国に集まっていると思いますので、内閣でも、そして実例をよく御存じの国土交通省でも、ぜひ、地域でのなかなかうまくいっていないところの後押しも御支援をいただけるようお願い申し上げたいと思います。

 では、ちょっと次のテーマに向かいたいと思います。

 今回の国会に、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正案というものがかかります。これはもうどこの地域でも同じだと思いますが、特別養護老人ホーム、みんな入りたいです。でも、何百人待ちです。一方で、民間の老人ホームは非常に高い。どっちも困っちゃう、その間はないのかというのが、どの地域でも共通の期待だと思うんです。そういう観点から、サービスつきの高齢者向けの住宅をふやそうという今回の法律というのは、今既にやっている高優賃、高専賃、こういったものも取り込んでさらに広げていこうという意味で、大変意義深い法律だというふうに考えております。

 そのときに、ぜひお考えいただきたいのは、質の高くてそのかわり家賃も高いものから、それなりの質でそれなりの安いお値段でという、多様な住宅供給になるように御配慮いただきたいということなんです。

 今、今回通る法案の、登録ということをすることになりますが、この登録のときの基準というのがありまして、例えば二十五平米以上なければいけないですとか、いろいろな細かい基準があります。かなりの程度を省令にゆだねるということになっておるので、これからの話だと思うんですけれども、これを余り、高齢者にとってはこういうおうちがいい、こうでなきゃいけない、余りひどいのはだめだということをぎちぎち書いてしまうと、高いものになってしまうんです。

 私が事務方に聞いたところによりますと、今回の基準を満たしたようなものは、恐らくサービスまで入れると毎月八万から十万ぐらいはやはりかかってしまうんじゃないかということをおっしゃるわけです。これでは国民年金の方は入れないわけですね。もう少し安くて、多少小さくてもいい、そういう選択肢が、省令の基準の書き方によってはシャットアウトされちゃうわけです。

 ここはぜひ、省令で基準をつくるときに、例えば、二十五平米以上とはっきり書いてしまうんではなくて、おおむねとか、東京都心なんかでは多少狭いのも認めてあげないと困りますよね。地域によって事情も違うわけです。

 この省令の中では、各地域ごとに、ある程度基準を変えていいということも規定するように内々伺っておりますけれども、これは、ともすると自治体ごとに基準を上げてしまうんですね、いいかげんなものをつくっちゃだめだということで。そのねらいは、入ってくるなという意味なんです。

 これは大変けしからぬことだと思うんですね。これだけいい話をやろうとしていて、自治体が新しいサービスつきの住宅をもっとどんどんつくりたいという意味で、うちの自治体では基準をむしろ下げて、安くてそれなりの質のものをたくさんつくりますよということも認めてあげるべきだと思うんです。

 ぜひ、国のつくる省令の住宅の基準というのは、参酌基準、このぐらいにしてくださいねとやっておいて、各自治体ごとの実情に応じた弾力的な運用ができるようにすべきだというふうに考えますけれども、御見解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

小泉大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘いただきましたように、このサービスつき高齢者向け住宅制度は、幅広い方たちが居住していただけますように、当然広いタイプを御用意していかなければならないわけであります。そして、その中で、先生今御指摘いただきましたように、地方公共団体が地域の実情に応じて面積要件を緩和していくような、登録基準を柔軟に設定することをまず可能にしていく。そしてもう一つは、既存ストックや、余っております公有地や公営住宅等も活用できるようにしていく。そしてさらには、地方公共団体による家賃の減額についても支援できるといったような仕組みもあわせて措置することとしております。

 これらの取り組みを通じて、高齢者の皆さんが安心して暮らすことができる住宅の供給の促進を進めてまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 ありがとうございます。

 現場での実態、これは大臣も政務官もそれぞれ地元でお聞きになられていると思いますので、幾らぐらいの収入の方が幾らぐらいのところに入る希望があるのかということを、ぜひ地元の情報で結構ですのでお聞きになられて、その方が本当に入れる基準になっているのかどうかは、役所の方がこの省令基準ができましたと上げてくる前に、地元で入れるような基準になっているのかというところに関して、ぜひ政治主導で、御指導を省内で賜ればというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 次は、政令指定都市における線引きの問題でございます。

 線引きというのは市街化区域と市街化調整区域を分けることでございますが、通常、中山間地における人口一万人ぐらいの町とかそういったところでは、線引きはしていない場合がほとんどです。ところが、政令市になるために合併をして、もともとそういう町や村だったようなところが政令市になってしまったところがいっぱいあります。

 ここは、今、残念ながら、都市計画法及び都市計画法施行令というもので線引きをしなければならないことになっておりまして、この結果何が起きるかと申しますと、市街化区域になるところでは、都市計画税というものが新しくかかり、固定資産税が状況によっては何倍という税金がかかる。

 ところが、現実には、ほとんどの方が年金生活なわけです。年金生活で収入が決まっている中で突然税金をたくさん取られて、実際、開発が起きて、そこが貸せるだとか売れるだとかというところだったらしようがないと思うんですが、およそそういうところではないようなところで新たにこの線引きがなされるというのは、だれも得しないような話で、実際に、静かに暮らしておられる方々がいきなり降ってわいたように困ってしまうことが、今現実に起きています。

 これはまさに都市計画法施行令という政令改正を一条するだけで済む話なので、もうずっと、前の馬淵副大臣のころから私はこの話をさせていただいてきておるわけでございますけれども、これに関連してちょっと数問、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、都市計画に関する権限というのは、できるだけ国ではなくて県、そして市に移すべきだということで、昨年決まりました地域主権戦略大綱の中でも、線引きについては県から政令市に権限を移すということで決まっておりまして、これを踏まえた法改正というのも予定されているやに伺っております。およそ、線引きをするしない、どこにするしないということは、本来は私は市町村が考えるべきだというふうに考えておりますが、この線引きについて、地域主権の観点から、できるだけ基礎自治体に移すべきだという考え方についてどのようにお考えか、御見解をいただければと思います。

小泉大臣政務官 先生が今御指摘いただいておりますように、線引きは本来、人口や産業等の急激な都市への集中によってもたらされます無秩序な市街化を防止し、計画的な公共施設の整備等を伴う良好な市街地の形成を図るための制度であります。

 現行法制度におきまして、線引きは、一つの市町村の区域を超える広域的な観点から都道府県決定とされておりますが、先ほど先生にも御指摘いただきましたように、地域主権戦略大綱に基づきまして、政令市に線引きの権限を移譲する予定となっております。ですから、先生お住まいの政令市におきましては、政令市に御判断いただくということになると思います。

後藤(祐)分科員 ありがとうございます。

 ところが、先ほど申し上げたように、政令市においては線引きをするものとする、正確に言うと「ものとする。」となっているわけです。つまり、するしないの判断というのは市にゆだねられていないわけであります。国が市に対して線引きすることを強制しているわけであります。今、政務官からお話があったように、できるだけ地域に移していこう、基礎自治体に移していこうという中で、なぜ政令市だけ線引きが強制されるのか。

 これは、政令市になっていないところ、例えば千葉県成田市というのがございますけれども、成田市も合併したんですね。その一部は首都圏の中に入っていて線引きしなきゃいけないんですが、首都圏の外にはみ出る町と合併したんですね。ここは結局、一市二制度、つまり、線引きするもともとの成田市の部分と、その外側の線引きしない地域というのが共存した形で、今そのままになっています。これは政令市じゃないからそういう選択をしたわけです。それで別に今何も困っていないんです。

 線引きをすることで、確かに税収が少し上がります、固定資産税と都市計画税が。だから、地元の市が税収のためにやるんだという判断はもちろんあると思います。でも、それはその市が判断すればいいのであって、国が強制してはいけないと思うんですね。政令市よりも下の市であれば一市二制度が認められているのに、政令市だけなぜこれを国が強制しなきゃいけないのか、ぜひその理由をお答えいただければと思います。

小泉大臣政務官 やはり、政令市におきましては、人口や都市機能が集積していく、市街化の圧力が高まる蓋然性が高く、一体的かつ計画的に市街化を図る必要性があるという観点から、法律におきましては線引きを義務づけるようになっているわけであります。

後藤(祐)分科員 そうなんです。ところが、実際に市街化が進み集積していく蓋然性が高いエリアかどうかは、行ってみればわかります。これはもう中山間地。私の地元の相模原市というところでは、四つの町が合併しました。そのうちの三つの町で線引きがされていないんですが、中央高速に乗っていくと、山梨県の方に向かう直前に湖が見えると思うんです。あそこは相模湖という湖なんですが、あのあたりなんです。もう山なんです。人口もふえていません。

 実際、これは資料が既に事務方から上がっていると思いますけれども、こういった合併されたような幾つかの町村というのは、人口がふえているところももちろんありますけれども、少なくとも、今、私の地元の旧藤野町、旧相模湖町、旧津久井町は、人口が平成十二年から十七年の間で大体五%ぐらい減っています。

 そういうところはいっぱいあると思うんですが、つまり、市街化が進んでいって集積していく蓋然性というのは極めて低いんです、はっきり言って。それを、恐らく政令市という制度が、昔つくった制度の前提としては、そういったところしか政令市にはならない、横浜ですとか、そういったところを政令市と思っていたんだと思うんですけれども、この数年、政令市になっているところは、静岡しかり、浜松しかり、新潟しかり、この相模原しかり、ほとんどがこういった人口の少ない町なんかを合併して、七十万の要件を超えて政令市になったところばかりであります。

 こういった周辺の合併された町においては、人口がふえているところももちろんありますけれども、余り人口はふえていないところが多いわけです。それを一つずつ教えてくださいという質問は、もうデータはあると思うので、ちょっと私の方から言いますと、浜松は、一部ありますけれども、やはり五つの町、市が人口が減っていますね、先ほどの平成十二年から十七年に関しての変化率で言いますと。静岡市においては、すべての市町村、旧市の静岡市ですら人口が減っていますね。相模原市は、今申し上げたように、合併した四つの町のうち三つの町、この地域が線引きしていないわけですけれども、ここは人口が大体五%ぐらい減っていますね。

 というように、熊本が今度その後予定されていると聞いていますけれども、合併した町の三つのうち二つの町で人口が減っています。

 先ほどの、政令市で線引きを国が強制する理由として、集積していく蓋然性が高いという答弁だったんですけれども、人口が現実に減っていて、これから大きくふえる見込みもないという中で、本当に蓋然性が高いということが言えるのでしょうか。

 これが、もし政令市はそういう前提に立っているからそうでなければならないのだということであれば、私は政令市の定義を変えるなんてそんな壮大なことをお願いするわけではなくて、政令市は線引きしなきゃいけないと規定している部分を少し例外的に書いて、具体的に言うと、都市計画法の施行令というところで、線引きしなきゃいけないところの一つに政令市と書いてあるところに、ただし、合併した場合の旧市町村のエリアについてはこの限りではない、例えばこういう記述をすれば、やりようがいろいろあるわけですよね。

 今、質問が一つ飛んじゃいましたけれども、集積していく蓋然性が高いとはとても思えない中で、こういった町村で本当に蓋然性が高いとお思いですか。もし、いや、これこれこういう理由で蓋然性が高いんだと言える部分があれば、ちょっと御答弁いただきたいんですけれども。

小泉大臣政務官 先生御指摘のように、政令指定都市に合併したところも、人口のふえているところもありますが、五つ、現実に減っているところもあるわけであります。

 そういった中で、私も地方におりますけれども、合併して政令指定都市になりますと、周辺の市町村からかなり人口を吸引する力が強くなるというのもまた事実であると思いますし、また、近年、人口が増加していなくても、当然、車の移動、モータリゼーションの進展によりまして、郊外に住むということも地方にかなり見受けられまして、郊外部での無秩序な市街化が発生する可能性というのは依然としてやはり高いと思っております。

 その意味で、政令市につきましては、こういった線引きを、法の趣旨からすれば、やはり今もその趣旨が妥当するのではないかと考えている次第でございます。

後藤(祐)分科員 なかなか苦しい答弁だと思うんですけれども、実際もう合併してから時間がたっているわけで、もしそうであるならば、実際に合併した後しばらく様子を見てみて、そういうことが起きたら線引きしなきゃいけないということを事後的に言うのでもいいと思うんですね。

 実際、合併したから急に何か市街化が進むですとか集積が進むということは、少なくとも私の選挙区の相模原市においては起きていません。新潟でどうなっているかというのは私は詳しくは存じ上げませんが、人口がそれほどふえていないということを見ると、残念ながらそうではないのではないか。逆に言うと、それを決めつけて義務づけるというのは、やや社会経済の実態から乖離した制度、もう少し言うと時代おくれの制度になっているんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 この話というのは、馬淵前大臣が副大臣のときに、あるいはそれより前の政権交代前に、実は私の地元の相模湖町に来ていただき、実は先月も、まさに相模湖町と藤野というところに来ていただいたわけでありますけれども、もうどういうところであるかはよくわかっていらっしゃる。馬淵前大臣と地元の方ともお話をさせていただいて、私も馬淵大臣とお話をさせていただいて、確かに厳しい現実があるのはよくわかるという御理解も賜ったところでございます。

 そういう中で、制度そのものを変えるというのは確かに大変なことです。ですが、ぜひ社会経済の実態の方に制度を合わせるというつもりでやるのがまさに政治家の役目であり、この民主党政権が前の自公政権と一番違うところは、政務三役が政治家のまさに皮膚感覚で、実態からするとおかしいなというものについては堂々と変えていくというところが我々の政権の最大の意味だと思うんです。

 実際、制度を変える、あるいは予算を変えることで困ってしまう人がいらっしゃるかもしれない。そういったものは相当慎重にやる必要があるんですが、事本件に関しては困る人というのはほとんどいないんです。固定資産税と都市計画税の税収が若干下がる可能性がある、それはその市が判断すればいいんです。その市の税収ですから、これは国は関係ないんです。市の税収が下がることについては市が判断すればいいんです。

 つまり、政令改正をして義務づけはしないで、義務づけはしなくても政令市が市の判断として、税収が必要だから線引きをしてくれという判断は当然私はあり得ると思いますよ。それはでも、税収だけがこの話はネックになるわけですから、市の判断をすればいいわけです。ところが、この私の地元のケースでいいますと、現職の相模原市長自身が、線引きを急にやるということはしないということをはっきり言っているわけであります。このような状況で、なぜ国が強制しなきゃいけないのか。ぜひ大臣、大臣の地元は政令市じゃないかもしれませんけれども、本当に深刻な問題なんです。

 大臣の地元でも、線引きをしていないエリアというのはあると思います。そこは、世の中の速い動きですとか、いろいろな人が土地を買うとか貸すとか、そういうこととはおよそ無縁な、ゆったりと畑をやって、あるいは森林だとか山も多いところ。私の地元なんかですと、神奈川県の水を供給している水源地なんです。それをみんなで守ろうということで、百年、千年のスパンでゆったりと暮らしている方々なんですよ。そこを、人工的な制度である政令市というものが後からどやどややってきて、何でだれも得しないことを制度で強制しなきゃいけないのかというのは全く理解に苦しむ。

 ただ、私も役人でしたから、役人というのは継続性を重視する。よほど急激な変化がない限りは、制度はそのまま続けようというふうに考えるのはわかるので、だからこそ、我々民主党政権の政治主導というところで、大臣の、そして政務官の政治主導を発揮していただきたいんです。地域主権の流れの中で線引き権限そのものも移ります。この一貫の流れの中で、政令市においては線引きするものとするとしている都市計画法施行令の改正をぜひ御検討いただけるようお願いしたいと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 後藤議員が経済産業省の中で元気に活躍している姿も私はかつて見ておりました。政治の世界に足を踏み入れて、政治の場から日本をよりよいものにしたい、そういう熱を持って政界の中で活躍しておられることに敬意を表したいと思います。

 同時に、今いろいろ御議論を賜りましたが、私、感じますには、多分、この政令市というものを考えたときに、合併をして人工的に政令市になったということをひょっとしたら念頭に置いていなかったのかもしれません。人口が増加して、徐々に増加する中で政令市になる、こういうことを前提として、ひょっとしたらそういう制度というものを先輩たちが考えたのかなという思いでおります。

 私自身、ヨーロッパの町はなぜあんなにきれいなんだろう、そして、日本の町はなぜ雑然としているんだろう、こんな思いを持ったこともございます。その中にゾーニングというものがあって、フランス、イギリスの町でも、都市の部と農村部というのがきちっと分けられて、それが保たれてきれいな町並みというのが維持されていることも知っております。

 したがって、日本でもゾーニングというのは私は必要なんだと思うんです。ただ、後藤議員から御指摘のような形のものが、果たして政令市というものを考えたときに先輩たちが念頭に置いておられたのかどうか、私もちょっと疑問に思うところもございますので、この件については私も研究をさせていただきます。

 いずれにしても、民主党という政党が、国民の生活が第一ということで頑張っているわけでありまして、地域の方々がどんな思いで、どんな環境で生活しているのか、このことは大変大事にしなければと思っております。今回の御指摘を踏まえて、制度改正を含めて、事務方に地域の実情をよく把握して分析するよう指示をしたいと思います。

後藤(祐)分科員 大臣の本当に前向きな答弁、ありがとうございます。

 いろいろ、過去の継続性を絶つのは大変だと思いますけれども、まさに今大臣がおっしゃられたように、地域の実情をしっかり御調査いただいて、必要な制度改正も含めて実現をしていっていただけるよう私からもお願い申し上げまして、私の質問を終わります。本当にありがとうございました。

吉良主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 残念ながら、次の質疑予定者の出席が得られておりません。

 事務局をして出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔主査退席、宮島主査代理着席〕

    〔宮島主査代理退席、主査着席〕

吉良主査 速記を起こしてください。

 出席を要請いたしましたけれども、残念ながら出席がかないません。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 残念ながら、次の質疑予定者の出席も得られません。

 事務局をして出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉良主査 速記を起こしてください。

 出席を要請いたしましたけれども、残念ながら出席がかないません。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 残念ながら、次の質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして出席要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉良主査 速記を起こしてください。

 出席要請いたしましたけれども、残念ながら出席がかないません。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 次の質疑予定者の出席も得られておりません。

 再度事務局をして出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉良主査 速記を起こしてください。

 出席を要請いたしましたけれども、出席が得られません。やむを得ず次の質疑者の質疑に移ります。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎分科員 民主党の宮崎岳志でございます。

 本日は、幾つかの質問をさせていただければと思います。

 まず、地元の道路なんですけれども、江戸の昔に三国街道という街道がございまして、関東から新潟をつなぐ街道でございますが、これが現在、国道十七号というふうになっております。その最大の難所がいわゆる三国峠という峠でございまして、その下を通っているのが三国トンネルということであります。全長一・二キロ、関東と新潟を直接結ぶ一般道としては唯一の道路ということになりまして、一九五七年、昭和三十二年に開通をして、五十年を超えまして、そろそろ六十年に向かおうとしているというところであります。この道路が開通して初めて関東と新潟の間を自動車が通れるようになったということでありまして、まことにある意味、歴史の一線を画した道路ということであります。

 今、開通から五十四年を経て、しかし、老朽化というのが非常に進んでおります。特に、あそこは火山帯でございますので、土壌が酸性だということで傷みが早いんですね。内部のコンクリートを塗り直したりということで、どんどんどんどん内部が狭くなってしまって、今、車両の通行に支障を来しているような状況がある。大型車がすれ違うことも現実に難しい。壁面をこすったりとか、そういったことがあります。ですから、観光バスなどはあえてそのルートを避けるというようなことも起こっているのが現状であります。

 もちろん、その後、関越自動車道ができて、関越高速がありますので、大部分のというか多くの交通は関越道を利用しているわけですけれども、まず一つは、危険物を搭載した車両というのは関越トンネルの通行を禁じられておりますので、これはもう三国峠を通るか、あるいは長野を迂回していくかということしかないということであります。

 もちろん、高速料金を払いたくないという人もいるでしょうし、また、例えば、そんなに頻繁にあることではないにせよ、関越の通行どめなんかがあると、もう三国峠しか通るところがない。それを避けるのであれば、碓氷峠を回って、一回信州、長野に入って、そこから新潟に行く。実は私も、新聞記者をやっておりました時代に、群馬から新潟県の中越の地震を取材に行ったことがあるんですけれども、そういうときもあのあたりはとまったりしていましたので、多くのいわゆる救援隊が長野回りで新潟入りをしたということがあったんです。

 そんなことを踏まえて、少々前置きが長くなりましたけれども、このトンネルの再整備をそろそろしなければいけないということが懸案になっております。もちろん、拡幅をする方法とか、あるいは新たにトンネルを掘るとか、それも一車線で掘って上下分離するとか二車線で掘るとかいろいろな考え方があるんだとは思いますけれども、そういったことも踏まえて、どういった新たな整備が必要かということを検討されていると聞いております。

 そういったことを踏まえまして、ぜひ早目にこのトンネルの整備をお願いしたいということでございますけれども、国道十七号線三国トンネルの整備の見通し、そして、それによってどういった政策効果が期待されるか、そのようなことについて、大畠国土交通大臣にお伺いできれば幸いです。

    〔主査退席、宮島主査代理着席〕

大畠国務大臣 宮崎委員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 ただいま取り上げられました三国トンネルでありますが、私も写真を見せていただきました。先ほどのお話のように、昭和三十二年に完成をし、延長一・二キロメートルの大変大事なトンネル、それも、供用を開始してから五十年を経過して、御指摘のように、酸性水によるコンクリートの劣化、あるいは漏水が生じており、その補修のためにトンネルの内側に補強したために、だんだんトンネルの有効断面積が小さくなってきている。そして、大型車が通るときに壁面をこする等々でトンネルも傷んできている、こういうことから抜本的な対策が必要だろう、そういう御指摘だと受けとめております。

 国土交通省は、まさに国民の生活と暮らしを守る、こういう使命がありまして、そのためにも、道路あるいはトンネルというものは大変大事なものでありますから、この写真等を見ても大変劣化が進んでいるというのもわかりますし、委員からの御指摘は大変大事な点だろうと思います。

 現在、有識者及び地元の自治体をメンバーとして三国トンネル整備検討委員会というものを設置することとしておりまして、ことしの二月二十二日に第一回の委員会を開催したところであります。今後は、ことしの夏ごろを目標に対応方針を決定することとしており、その後、得られた対応策というものを中心として、実施に必要な詳細な測量、地質、水等の調査を実施する予定でございます。

 現在、群馬と新潟の県境部であり、今御指摘がありましたように、危険物積載車両が通行可能な箇所は三国トンネルが唯一であり、その安全で円滑な交通の確保というのは広域物流にとって欠かせないものと考えておりまして、御指摘を踏まえましてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

宮崎分科員 大臣、大変前向きなお言葉、ありがとうございました。

 完成から間もなく六十年を迎えるトンネルでございます。既存のものの更新ということでありまして、純然たる新規の事業ではございませんけれども、観光や物流や防災や、いろいろな観点で重要な施設であるというふうに考えております。もちろん、予算は無駄に使うわけにはいかないというのが我々の政権の理念ですから、どんな方法が一番効率的で効果的なのか、よく慎重に御審議いただいた上で前進をさせていただければありがたく思います。ありがとうございます。

 二点目といたしまして、これも道路の問題でございます。

 私の地元であります群馬県の片品村、小さな村、人口五千人に満たないようなところなんですけれども、二〇〇七年に誕生いたしました尾瀬国立公園の表玄関であり、また日本百名山のうちの三つが存在をしております。また、七つのスキー場と九つの温泉を擁する、関東でも有数の観光地の一つではないかというふうに思っております。

 そこから山一つ、いわゆる日光連山というのがあるんですが、これを越えますと、今度は栃木県日光市であります。世界遺産である日光東照宮を初めとする神社仏閣、あるいは中禅寺湖とか華厳の滝とか豊富な観光資源を有しまして、こちらはまさに日本を代表する観光地の一つと言えるんだと思います。

 この二つが山によって隔てられているわけで、国道百二十号線、金精峠というのが唯一の交通ルートになっております。しかし、ここは豪雪地帯でございまして、雪崩の危険等が大変にあるということで、例年十二月の下旬から四月の下旬までおよそ四カ月、年間の三分の一は冬期閉鎖で通過ができないということでございます。

 この通年開通というのが地域の住民にとって長年にわたる悲願でありまして、どうやったら通年開通できるんだろうということもさまざま考えられてきたわけであります。一番簡単なのは除雪ということだと思いますが、雪崩の危険等もあるということでございますので、スノーシェードとかルート変更とかあるいはトンネルとか、さまざまなことが考えられると思うんですけれども、ぜひ、通年開通を進めたいという観点から、この可能性や展望についてお伺いをできればと思います。

小泉大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今先生から御指摘いただきました国道百二十号線はいわゆる補助国道でありまして、現在、栃木県と群馬県の両県が管理をしているわけであります。そしてまた、先生から今お話ありましたように、この金精峠周辺というのは、関東有数の豪雪地帯であるとともに、急峻な地形で雪崩が発生する危険性もある、そういったことで冬期は通行どめになっているわけであります。

 この通行どめの解消につきましては、今群馬県が沿線市町村から要望を受けているところでありまして、両県が連携して現地の実態把握に努めるとともに、引き続き情報交換を行っていると聞いているところであります。

宮崎分科員 先ほどの質問の関連になるんですけれども、世界遺産を有する日光ということでありますし、それに対して、非常に良質なスキー場の多い片品村というのが隣接をしているということであります。歴史的建造物などの見物という観点、あるいはレジャースポーツという観点を一体化させることがもしできれば、まさに国際的な大きな魅力のあるリゾート地をつくり上げることができるのではないかということで思っております。

 冬季五輪が開かれましたイタリアのコルチナダンペンツォなども、人口も六千人ぐらいしかないんですね。やはりそういうところでも国際的に通用する観光地になり得るということを考えていけば、アジアを中心に国外からも、またもちろん国内からも多くの観光客の来訪が期待されるのではないかというふうに思います。

 そういった観光振興という観点からもお考えをいただければと思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

小泉大臣政務官 今先生からも御指摘いただきましたが、観光立国ということを我が民主党政権は成長戦略の柱の一つとしておりまして、今積極的に、国内そして国外の観光客をいかに誘致するかということに全力を挙げているところであります。

 その中で、日光市は、先生お話しされましたように、国内外からの観光客が大変訪れる世界遺産の日光の社寺を有しており、平成二十一年度の観光客の入り込み数が約一千百万人にも上り、また、海外の宿泊者数が約八万人にも上ると聞いております。一方、先生の選挙区であります片品村も、これは非常に豊富なすばらしい雪質のスキー場が七つもあり、特にアジアの観光客にとっても大変大きな魅力となっているところであります。

 この両地域の連携による観光振興策につきまして、冬期の道路状況等の制約もありますけれども、先生を初め、そしてまた地元の関係者からの御相談を踏まえて、積極的に検討してまいりたいと思っております。

宮崎分科員 まことにありがとうございます。

 繰り返しになりますが、金精峠の通年開通は地元の住民にとっては長年の悲願でありますし、また、先ほどおっしゃいましたように、観光立国という点でも大きな可能性を秘めたプランということで考えております。

 歴史を振り返りますと、古代からの伝承ということで、群馬県の赤城山の神様と栃木県の日光の男体山の神様が、中禅寺湖の領有権をめぐりまして、大蛇と大ムカデに化けて戦った。そのときに戦ったのが戦場ケ原という地名の湿原に今なっておりまして、そのときにムカデと蛇の流した血がいわゆる今の関東ローム層になったという、これは古代の伝承でございます。

 こういう伝承が残っているということは、まさに有史以前からの交流があったということでございます。近代になって自動車化の波には乗りおくれた観点もありますが、そういった歴史的な観点を踏まえ、交流の活性化というのもさらに図れればというふうに思っておりますので、改めて、ぜひ通年開通に向けた調査研究等の可能性を探っていただければというふうに思っております。よろしくお願いを申し上げます。

 さて、これに関連をすることになるんですけれども、当然、私どもも、観光立国ということで、海外からの観光客を三千万人にふやしていこうということで、日夜大変な取り組みをいただいているところでございます。海外からの観光客ですね。

 私も観光地ランキングなどを、いろいろ民間がやったものなんかもありますけれども、見てみますと、やはり地方の観光がふえたといっても、海外からのお客さんはほとんどが東京なんですね。物によって違うんでしょうけれども、私が見たもので、全国市区町村で一番たくさん外国人観光客が来るというのは新宿でした。そのほか、銀座だったりとかいろいろ、ほぼ東京。そして、そのほかでいうと京都、たまに奈良。それから、そのほか出てくるものというと、東京ディズニーランド、ディズニーリゾートですか、これは千葉県になるんだと思います。結構日本で有名と言われている観光地でも、外国人の方は実は余り来ていらっしゃらないという状況があるというふうに思われます。

 これまで大都市や歴史的な建物というのが海外からの観光の中心であったというふうに思われますが、これをふやしていくと、当然、大都市圏も、キャパシティーも足りませんし、また幅も広がらない。やはり潜在的なニーズを掘り起こしていかないと、この大きな目標というのは達成できないんじゃないかというふうに思っております。

 そう考えると、日本人にとって魅力的なリゾートあるいは魅力的な観光地というのを海外に売り込んでいくことも必要かというふうに思っておりまして、先ほどの話の関連ですけれども、例えばスキー場。アジアの国の方々は、スキーというものを体験したことがないという方がやはりほとんどだと思うんですね。もちろん韓国等にもスキー場はあるでしょうけれども、中国、台湾あるいは東南アジアを含めて、ほとんど雪を見たことがないという人もたくさんおります。また、温泉というのも、これも日本人にとっては大変なじみが深いものですけれども、国際的には必ずしも、これは火山帯に特有のものでございますので、なかなか体験したことがないという方も多い。

 こういったものを、私の地元がどうとかという話ではなくて、やはり全国的に振興していくということであれば、なかなかにすばらしい観光の目玉になるんじゃないかというふうに思っております。

 こういった観点から、今観光庁の方でも大変一生懸命海外への売り込みをやっていると聞いておりますけれども、その現状と取り組み、そして今後の展望をお聞かせいただければと思います。

小泉大臣政務官 御指摘のように、やはり観光立国を大きな柱としておりますので、今観光庁といたしましても、全力で日本のこの魅力のすばらしさを海外に宣伝しているところであります。

 特に、訪日されます外国人の方々のアンケートによりますと、最大の訪日の理由の一つが、魅力がまず温泉ということを掲げていらっしゃいますし、また、スキーにつきましても、オーストラリアや台湾の方が近年非常に日本のスキー場に対して人気が高まっている。こういった点もしっかり踏まえて、やはり効果的な宣伝をしていかなければならないと思っております。

 そういった意味では、もちろん東京や京都、奈良のような大都市だけではなく、先生御指摘の温泉とかスキー場に関しましても、これはテレビや新聞、あと街頭の広告等でしっかりと今後海外に宣伝をしていくようにしてまいりたいと思います。

 また、いろいろ御指導のほどよろしくお願いをいたします。

宮崎分科員 ありがとうございます。

 私も旅行は好きで、この仕事に入りましてからは余り行く機会もないんですけれども、かつては一人旅を随分安くしておりました。

 海外に行ったときに、やはり外国の方というのは本当に目が肥えているなという思いをするわけであります。例えば、私はラオスという国に実は行ったりとか、あと、フィリピンに行ったときも、フィリピンの世界遺産、マニラから九時間ぐらいかかるようなところの棚田なんですけれども、山の巨大な谷が一つ丸ごと棚田になっているような、日本に似たような原風景なんですけれども、世界遺産でございますが、そういったところへ行くと、日本人はほとんどいないんですね。

 なぜいないかというと、やはりアメニティーが悪い。快適さが、現地のホテル、宿泊もそうですし、行く途中の交通もそうですし、そういったことはないけれども、例えば西洋人あるいは中国人、韓国人、こういった方は、魅力があればどこへでも出かけていく。日本人には全然会わないんだけれども、アジアのそういう方々やアメリカ、ヨーロッパの方々には本当にたくさんお会いするということがございました。

 何といっても、形は大切だし、日本流のおもてなしも大切だとは思いますが、やはり本当に魅力があるところに人は集まるのかなという感を強くしております。今後とも、ぜひ観光立国を推進していただければと思います。

 さて、最後の質問でございます。

 今、地方の温泉地等、旅館の廃業、ホテルの廃業というのが大変多くなっております。長引くデフレ、不況によるところが大きいわけでありますけれども、それが、当該のホテルや旅館のみならず、周辺にも深刻な事態を及ぼしているようなケースが間々あります。

 どことは申しませんけれども、ある観光地に行きますと、まず、駅前の一等地のホテルが閉館をしている。そして、閉じてしばらくしておりますと、やはり荒れてまいります。荒廃をしてきます。そしてまた、その温泉街のど真ん中のホテル、何階建ての鉄筋コンクリートの巨大なホテルがやはり閉館をしてどんどんどんどん荒れていく。そうすると、観光地というのはやはり美しさを売って商売をしている地域ですから、周りの旅館、ホテル、観光に従事している方々も大変に困る。観光客の方も余り楽しめないということになるわけであります。

 閉館をした後に、例えばそれをすぐ買収してくれて営業を再開してくれるような企業があればいいですけれども、必ずしも今はそういう環境ではございません。そして、自治体の方も、何とかしてくれという声がどんどん届きますから、何とかしたいということですけれども、まず、民間の持ち物であるし、また、それを取得するというのもなかなか大変なことでありますし、予算もないということで、なかなかお困りだと。

 これは実は温泉地に限りませんで、中心市街地等でも似たような状況があります。かつて商店だった家、一階が商店で二階に住んでいたというようなケースが、店を閉め、そして郊外の団地かどこかに家を買って、そちらに移っていかれたりして、もともとの家はそのまま放置される。シャッターが閉まったままというぐらいならまだいいですが、場合によって、例えばそのもともとの商店主の方が入院されるとか施設に入るとかという話になってきたときには、管理もなかなか行き届かなくなって、そして、例えば落書きをされるだとか不届きな若者に荒らされるとかということになりますと、ますますその一帯が沈滞をしていく。

 先ほどのホテルにしても、また商店街の中にしても、例えばこれをつぶして駐車場にするとか、せめて芝生でも植えるとかすれば、また雰囲気も変わってくるんでしょうが、なかなか難しいということであります。

 こういった取り壊しを何とかできないかという声が自治体関係者を通じていろいろ届いておりまして、容易に対応できない状況なんですが、国としては、こういった状況に対してどんな対応を考えていらっしゃるのか、考えられることがあれば教えていただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 民間の経営であったけれども、倒産等によりまして、今御指摘のように、放置されたまま空き旅館で残っているとか、あるいは空き店舗といったような形で残っている施設につきましては、私ども、地域づくりを所管している立場からすれば、地域の活性化ですとかまちづくりの観点から、例えばその建物の利活用ですとか、あるいは解体撤去による敷地の新たな活用ということが非常に望ましい、あるいは望まれる場合があるというふうに考えております。

 そうした場合に、その空き家、空き旅館でありますとか空き店舗等につきましては、地方公共団体が建物を改修いたしまして、その改修後、地域交流センターなどに使うといった場合、あるいは、建物を解体撤去いたしまして、例えば公園ですとか広場等を整備するといったような場合、これらはまちづくりの一環として公共公益の目的で活用する場合ということでございますので、国としては、社会資本整備総合交付金により、現在、支援を行っているところでございます。

宮崎分科員 ありがとうございます。

 ここからは要望ということで、時間も迫ってまいりましたので、お伝えをできればと思いますけれども、もちろん、次に何を使うかということが決まっていれば、当然、社会資本の交付金等を活用して新しい事業をやればいい。しかし、地方の実態でいえば、くしの歯が抜けるようにぼこぼこぼこぼこ建物がなくなっていく、それが完全になくなるんじゃなくて、廃墟として崩壊をしていくという状況になりますと、皆さんは大変お困りだということであります。

 もちろん、所有権の問題も含めて、あるいは行政として何をやるべきかという問題も含めて、なかなか大きな問題が横たわっているんだとは思います。しかし、やはりこれを壊していくとか撤去していくという観点から、単純に後を何に使おうかということだけではなくて、壊していく、撤去していく、これから人口も減ってまいりますから、ある意味で、国全体が人口の減少に伴っていかにきれいに縮小をしていくかというところも、未来に向かって重要な観点かと思います。

 そういった点で、もちろん後をいろいろ使う余地があればいいんですけれども、とりあえず、直接すぐ何に使うかは決められなくても、手をつけて、一たんそこをきれいにしてしまいたいという発想になっている人たちが多いということもひとつ御理解をいただきまして、すぐすぐということにはいかないでしょうけれども、研究をしていただければということで思っております。こういった実態も、多分地方からも、国交省初めいろいろなところに声が届いていると思いますので、まず実態調査、全国の自治体でどういう状況なのか、どういう声が届いているのかということ。

 それから、やはり取り壊し等について、例えば行政がそれを取り壊して更地にして、それで募集をかければ買うという人も当然出てくるわけですね。上物があって、これを壊すのに七億かかります、八億かかりますみたいな話だと、当然、業者も手が出ないですけれども、ある程度、更地であればこれは価値も出てくるということですし、当然、公園にすれば、それを手放すというわけにはなかなかいかないんですけれども、民間の力を使って活用していくという観点も含めて、新たなスキームづくりが今求められているのかなというふうに思っております。

 やや時間は余っておりますけれども、改めて、これからの地域の姿、高度成長の時代はただ広げる、ふやす、つくるということでしたけれども、これをだんだんに縮小していき、必要なものは残す、必要のないものは取り払う、そして社会全体のランニングコストも引き下げていくという発想に立って、新たなそういう補助制度や新たなスキームについてお考えをいただきたいということを、これはお願いといたしまして、質問を終えさせていただきます。

 御丁寧な御回答、ありがとうございました。

宮島主査代理 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木(雄)分科員 民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 きょうは、大畠大臣、池口副大臣に御質問をさせていただきます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、私自身世界一美しいと信じております瀬戸内海を望みます四国の香川県の出身でございまして、きょうは瀬戸内海の交通体系にかかわる幾つかの質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず最初に、先日、この四月から適用されます新しい高速道路の料金体系が発表になりました。これまで続けてきた週末の、自家用車でいうと上限千円の割引は維持するということなんですが、これに加えて平日の自家用車に上限二千円の割引制度が新たに導入されるということで、大変期待が高まるところであります。

 私たち四国選出の国会議員は、この全国の料金体系に加えまして、とりわけ橋の料金がどうなるのか、このことにやはり最大の関心がございまして、これまでも、高いと言われた橋の料金をできるだけ下げてほしいというようなことで、陳情も繰り返してきたわけであります。

 今回、新たな料金制度が発表される中で、本四架橋については乗り継ぎ割引といったものが新たに導入されるというふうに聞いております。二千円の上限制度に加えて、乗り継いだ場合には、本来は橋の料金が二千円ということでお伺いしておりますけれども、これが割引で五百円に引き下げられるということであります。この乗り継ぎ割引、五百円に割り引きになるということで、これまた地元の期待が高いわけであります。ただ、この乗り継ぎ割引の五百円というのはちょっとわかりにくいところがございまして、具体的にどういう形で割り引きになるのかといったことについて、少し具体的に教えていただければというふうに思っております。

 二例申し上げます。

 まず一つは、四国と本州側で例えば百円区間ずつNEXCOに乗る。四国で百円の料金分だけNEXCOに乗って、橋に乗ります、それでまた本州側でも百円分乗るとします。そうすると、四国と本州側で百円、百円乗って、間で橋を使っていますから乗り継いで橋が五百円になって、百円プラス橋五百円プラス百円で七百円になるのかということで期待が高まるのでありますけれども、七百円になるのかどうか、これがまず一点であります。

 もう一つ、これも地元からよく聞かれるんですが、乗り継ぎというのは橋とNEXCOの高速道路を乗り継ぐんですが、これは両方を乗り継がなきゃいけないのか。つまり、高速道路を通って橋を通って高速道路というふうに両側で乗り継ぐ場合と、橋にいきなり乗って本州側で高速道路に乗る、いわゆる片側の乗り継ぎでもこの乗り継ぎが適用されるのかどうか。

 この二つの具体例につきまして、この四月から導入が予定されております橋の乗り継ぎ割引についてお答えをいただければと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な事例を使ってということでございます。二点ございましたけれども、まず一点目でございます。

 四国百円、そして本州側百円、真ん中が五百円かということですけれども、残念ながらそうではございませんで、そういう場合には、百円、百円プラス二千円で二千二百円ということでございます。上限を二千五百円にするということでございます。

 平日で御説明申し上げますけれども、平日にETCを搭載した普通車がNEXCOの高速道路と本四道路を乗り継ぐ場合に、NEXCO料金と本四料金の合計額の上限を二千五百円に設定するという考え方でございますので、今申し上げたような格好になります。

 もう一点、片側だけ使うという場合でございます。

 例えばでございますが、平日の昼間に、瀬戸中央自動車道の坂出インターから乗って、本四道路を渡って、そして山陽道の広島インターまでというケースでございますけれども、現在の料金ですと、NEXCOで二千七百五十円、これは時間帯割引の三割引きということでございます。それから、本四で二千八百七十円、これも三割引きでございます。合計で五千六百二十円ということになりますけれども、今回の新たな割引によりまして合計二千五百円になる、こういうことでございます。

玉木(雄)分科員 ありがとうございました。

 この点についてはやはりちょっとわかりにくさがあると思いますので、四月の実施までに、ぜひパブリックコメントや、あるいは十分な周知徹底を図って、せっかくですので、利用される皆さんにその点をしっかりと宣伝も含めまして行っていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に行きたいと思います。

 大臣、瀬戸大橋は二十年前にできたんですけれども、あれは実は、当時離島だった島にかける形で香川県と岡山県が結ばれているわけですね。離島だったんですが、橋がついた形になって離島ではなくなったんですけれども、その結果、船の航路がなくなりまして、今も住んでおられる島民の皆さんにとっては、あの高い高い立派な瀬戸大橋が唯一の生活道路になっているわけであります。橋ができて以来、実は鉄道も通っておりまして、駅をつくってほしいとか、あるいは生活道路なので通行料金を島民に限っては無料にしてほしいというのが、もう二十年来、要望として出てきておりました。

 ただ、今日に至るまで、旧政権下におきましてもなかなかそれが実現せずに、一部割引は適用されておりますけれども、無料化には至っておりません。それが、民主党の無料化の政策マニフェストが出てきて、多分、その意味では、この無料化に一番期待した方々だったんだというふうに思っております。

 その意味で、私は、島民の皆さんの無料化についてはぜひ実現をしていきたいなというふうに思っております。これまでも、国土交通省の皆さんともいろいろな協議をさせていただいておりますけれども、離島振興法の適用になるような小さな島、橋がかかって確かに純粋な離島ではなくなっておりますけれども、生活道路として、例えば病院に行ったり、特別養護老人ホームに入っている御両親をお見舞いに行ったり、いろいろな形で使っておられます。

 この島民の方々に対する無料化について、例えば社会資本整備総合交付金等々を活用して無料化にすることは制度上可能だと思われます。ぜひこの点を実現していただきたいと思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。

菊川政府参考人 本四高速沿線の離島、櫃石島とかこういう島でございますが、こういう離島の住民の方々に対しましては、島民生活の安定や福祉の向上の観点から、本四会社と地元の自治体の協力のもとに、御承知のとおりでございますけれども、島民割引を実施いたしております。

 仮にこれを無料とする場合の方法でございますが、これにつきましても、今地元に御負担をいただいているということを踏まえますれば、本四と自治体の合意のもとで得られる方法を両者の間で検討していただくというものではないかと考えております。

 ただいま社会資本整備総合交付金というお話がございました。あくまで地元自治体と会社、両者の合意が得られる方法ということではございますけれども、一般論として申しますと、現在、実は、地方自治体が社会資本整備総合交付金を活用して料金割引の社会実験をやっている事例は、これは公社の有料道路でございますけれども、ございます。

玉木(雄)分科員 いろいろと制度的には対応できるところはあると私は思いますので、地元ともよく相談しますけれども、そういった要望が出てきた場合には、ぜひ国としても前向きに対応していただきたい。これは単に瀬戸大橋がかかっている島だけではなくて、愛媛にもそういう島はあると思いますし、数は限られていますけれども、とにかく生活にそういう橋を使っている方々に手を差し伸べるということがやはり政治の役割だというふうに思っておりますので、これはある意味政治主導で、ぜひ実現に向けてまたサポートいただきたいというふうに思っております。

 あわせて、島民の料金についてちょっと御質問させていただきます。

 実は、この瀬戸大橋が開通して以来、島の皆さんの料金の収受業務等々については坂出市がやることになっております。坂出市と本四高速株式会社の間に協定書、覚書というのがありまして、これに基づいて行われているわけです。橋ができた当時は、本四公団というのはまさに国の組織でありまして、国そのものでありましたけれども、これが民営化されました。民営化されて、今何が起こっているかというと、一民間会社の、本来会社自体がやるべき業務を行政がある意味肩がわりしている。例えば、料金後納制度になっていますから、後で料金を回収しなきゃいけないんですが、回収できなかった場合、その料金回収業務も市がやるというふうな形になっております。

 調べましたら、こういうケースは全国にもないというふうに思います。隣の愛媛県今治市の馬島でも市が一定関与して行っておりますけれども、この場合は、島民が島民であるという住民票の確認作業しか市は行っていないんですね。そういった、収受業務に関係することまで市がやっているところはないと思っております。

 その意味で、高速道路の使用に関する業務というのは、本来、やはり本四と島民との、利用者である、受益者である島民との間のある種契約に基づいて行われるのが筋だと思うので、二十年来こういうことが続いてきたんですが、この際、こういった業務のあり方についても見直すべきだと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

大畠国務大臣 御指摘の趣旨については、よく理解をするところであります。確かに、スタート当初とは状況が変わってきて、これでいいのか、こういう御指摘は、私も、ただいまの御質問を伺って、そう思うところがございます。

 とにかく、現在の状況というものを含めて、御指摘に従って、地域から相談を受ければ、自治体の方もいろいろ複雑な思いもあるでしょうから、その解決策については、国としても検討し、助言をしてまいたいと思います。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。

 大臣から力強い御答弁をいただいて、本当に私もうれしく思います。

 いろいろな過去の経緯が多分あったと思いますけれども、二十年たっていますので、今、ある意味更地で考えてもらって、住民にとって、島民にとって、また地方にとってよりよい解決策になるように、そこはまた御協力をいただければというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 これも、きょう、池口副大臣がいらっしゃっていまして、副大臣には大変御尽力をいただいた件でございます。

 橋の料金の値下げに伴って影響を受ける他の公共交通機関、これはJR四国もあります、フェリーもあります。とりわけ、フェリーについて、橋の料金が下がってしまうと、どうしてもこれは競争条件が悪化してフェリーの経営状況が悪化するということで、一方で大変な心配をいただいている案件でもございます。

 総合交通体系をつくると口で言うのは簡単なんですが、あちらを立てればこちらが立たずといったようなことが現実に起こりまして、私自身も正直いろいろ悩むところがあった案件ではございますが、ただ、今、交通基本法の議論がなされておりますけれども、さまざまな公共交通機関、モードがそれぞれの役割においてある種併存、並立していくという姿が望ましいのかなというふうに私は思っております。

 その意味では、現在、この瀬戸大橋の料金の値下げに伴って影響を受けるフェリーについて、さまざまな支援策について御検討をいただいていると思いますけれども、その現状について教えていただきたいなと思います。

 特に、岡山県の宇野と香川県の高松を結ぶ宇高航路について大変心配が多いわけでありますけれども、ここは国道三十号線で、ある意味海の道なわけですね。先ほど質問したように、橋を使うと乗り継ぎ割引があるということであれば、同じ海の道にも乗り継ぎ割引があっても悪くないんじゃないかということで、私も提案させていただいたんですが、副大臣にもいろいろ御尽力をいただいて、今、支援策を検討いただいていると思います。

 そこで、二つ、その支援策を考える際にお願いがあるので、そのお願いを申し上げて、現在の検討状況についてお答えいただきたいと思います。

 まず一つ目のお願いは、先ほどの話にも絡むんですが、乗り継ぎといったときに、高速道路を使ってフェリーに乗って高速道路を使うまさに乗り継ぎ、これはやはり乗り継ぎ割引をぜひ適用していただきたいと思うんです。先ほどと同じように、いきなりフェリーに乗って、着いた向こうで高速道路に乗るという片側の乗り継ぎについても割引を適用していただきたいと思っておりますけれども、この点について、現在の検討状況いかんということが一点目。

 二つ目は、道路と違って、乗り継ぎといっても、高速道路を使ってインターチェンジをおりてフェリーに乗る港まで行くのは、一般道路を走って結構距離があるわけですね。着いた先でも、フェリーをおりて最寄りのインターチェンジまで行くにはそれなりの距離もあるし時間もかかるということで、インターチェンジからインターチェンジに接続するときの時間は、なるべく時間的な余裕をとって乗り継ぎを認めてもらいたい。そうじゃないと、すぐに乗り継がないといけないと思って、運転手さんが急いで、慌てて船をおりて、次のインターまで一生懸命フルスピードで行ってしまうようなことをやると事故にもつながりますし、定期的にやっていますけれども、船は運航が不規則な面もあるので、この乗り継ぎの時間については十分余裕をとっていただきたいということ。

 片道でも大丈夫にしてほしい、また、十分な接続の時間をとってもらいたい、この二点をちょっと御要望申し上げ、今の検討状況をお聞かせいただければと思います。

菊川政府参考人 本四間のフェリーの乗り継ぎでございますが、当面の措置といたしまして、本四高速との競合関係、そしてまた平日二千円の導入による影響といったものを勘案いたしまして、必要な航路につきましては、フェリーを利用した場合でもNEXCOの上限料金を千円でつなぐという措置を導入する予定でございます。

 今、二点御要望がございました。

 まず第一点目でございますけれども、NEXCOの利用が片側のみである場合についてどうかということでございますけれども、今回、平日二千円導入による影響ということで、高速料金が大変大きく引き下がる本四高速をまたいだ高速道路の長距離利用を念頭に置いて乗り継ぎの割引を考えております。

 そしてもう一点は、片側のみの利用の場合には、高速道路のインターチェンジにおきましてフェリーを利用したかどうかという確認ができないといった課題もありまして、適用外という方向で今検討しているところでございます。

 もう一点目でございますが、余裕を持った時間ということでございますが、今回検討しておりますフェリーを利用した場合につきましては、お話がございましたように、フェリーへの乗降時間、こういったものも十分勘案した、必要な時間を確保してまいりたいというふうに考えております。

玉木(雄)分科員 片道の方は確認ができないということなんですが、確認できる仕組みができれば逆にできるのかなというふうにも思いますので、ぜひそこは前向きに御検討をいただきたいと思います。

 今、議論されている交通基本法の二十一条に、道路交通、鉄道交通、海上交通、それぞれの連携並びに公共交通機関相互間の連携の強化の促進ということがうたわれております。まさに、船と道路をつないでいくというのは連携の典型だと思いますので、そういったものが実現できるように積極的な検討をお願いしたいと思います。

 あと二問、お聞きしたいと思います。大畠大臣にお聞きしたいと思いますけれども、道路の整備の話を一点お聞きしたいと思います。

 私の地元に高松自動車道というのがありまして、これは暫定二車線の区間が非常に長い道路でございます。政権交代にあわせて、全国に六カ所あるこの二車線の四車線化の事業が一たん凍結になりまして、これをもう一度、民主党政権のもとでBバイC等々再検証して、この凍結六区間のうち四つの区間については民主党政権でも整備するということを決めました。国幹会議でもしっかりと決めた路線でありまして、昨年、その関連する法案を、利便増進事業を道路整備にも回すことを可能にする法案を出したんですが、種々の国会の情勢もありまして、これが廃案となっております。

 その意味で、今、この四車線化について、これまで予定していたスキームでの整備のめどが立っていないということで、これは地域住民の皆さん、私の地元だけではなくて、他の地域も二回がっかりしているわけですね。政権交代のときにがっかり、一度やるぞと言ってもう一回がっかりということなので、もう二度とがっかりさせないように、これは民主党も含めて、民主党政権のもとでも整備の必要があるというふうに決めたものでありますから、これは法改正を伴う整備手法も、伴わない予算措置だけでできる手法もさまざまあると思いますので、ぜひその整備手法もいろいろと検討していただいて、とにかくこの四車線化事業については速やかに行っていただきたい。

 なぜかというと、きょう大畠大臣来ていらっしゃってよかったなと思うのは、大臣の地元の茨城県の茨城空港、春秋航空、LCCが乗り入れていると思いますけれども、実はこの三月末から高松空港と上海も結ばれるわけです。そうすると、ゴールデンルートと言われる、ディズニーランドへ行って、富士山を見て、京都、大阪へ行って帰っていくときに、茨城空港で入って高松空港を出ていく、そういう意味では非常にいい連携ができると思うんです。

 大阪から高松空港に行くときに使うのが、まさに今、本来四車線であるべきところが二車線になっているんですね。これが非常に込んでしまいますと、高松空港に到着するのが遅くなって中国に帰れないというようなことになると、せっかくの茨城、高松のこのすばらしい連携ができなくなってしまうかもしれないという意味で、その新しいニーズ、中国のインバウンドをいかに取り入れていくか、そのことの意味でも、成長戦略の一環としてもこの四車線化をぜひ進めていただきたいと思います。

 これは、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

大畠国務大臣 茨城空港の話も出していただき、そういう一つの大きな構想というものも示していただきました。そういう構想というのは、基本的に大変大事だろうと思うんです。

 そのときに、先ほどのお話の四車線化の四区間の話でありますが、残念ながら、さまざまな状況で、御指摘の点については、この法案が廃案になりまして、現在ホールドされていることでありますが、私ども国土交通省としても、基本的にこの四車線化の四区間については実施しなければならない、そう思っております。

 それで、どうやって実施するかでありますが、議員からの御提言というものを踏まえて、今、高速道路の全体的な見直しを社会実験をしながらやっているところでありますが、その検討の場というものを私は三月の上旬からでもスタートさせたいと思います。その中で、将来の日本の高速道路のあり方というものを検討すると同時に、御指摘の四車線化の四区間についても実現できるように、いわゆる財源というものも含めて、ぜひ一つの道筋というものをつくりたい。そして、今議員から御提言のありました構想というものがぜひ実現できるように頑張ってまいりたいと思います。

玉木(雄)分科員 力強い御決意を聞かせていただいたので私も安心しました。

 経済産業大臣を経験された大畠大臣が国土交通大臣に就任されたのは、私は非常によかったと思っております。今申し上げたような、例えば海外からの観光客が高速道路を使うというニーズは、これまでの需要予測の中にも入らなかったはずですね。そういう新しいニーズに対応して、また、日本の新しい成長戦略に寄与するインフラ整備のあり方という観点から、この高速道路、公共事業のあり方についても、とかく悪く言われがちでありますけれども、新しい時代のインフラ整備のあり方、道路整備のあり方といったことを、財源論も含めて検討いただいて、ぜひ前向きに推進をしていただきたいというふうに強くお願い申し上げておきたいと思います。

 最後に、一点御質問をしたいと思います。原油の高騰についてであります。

 アメリカの量的緩和あるいは最近の中東をめぐる情勢、さまざまな要因があって原油が今上がってきておりますし、これからもさらに上昇する可能性が私はあると思っております。

 その意味で、このフェリーもそうでしょうけれども、トラック業界でありますとか、大臣が所管されております運輸関係の業界というのは、やはりこの原油高の影響を大変受けやすい業界だと思います。一方で、デフレ状況の中で、なかなかそれを料金に転嫁しづらいという中で、一生懸命業界の方は努力をされておられると思います。

 その意味で、私、いつも疑問に思っておるのが、この間、非常に円高でありまして、円高、厳しい厳しいという一方で、物を外から輸入している人にとっては安くなっているはずでありますね。ただ、この間、では、円高によってガソリンなり軽油なり安くなったかというと余り安くなっていないような気がします。

 しかし、こういうふうに国際的に価格が上昇するとなるとすぐ転嫁の動きが出てくるということになっておりまして、この原油価格の上昇についてさまざまな対策が必要だと思うんです。時には、まあないと思いますけれども、例えば独禁法に違反するような価格形成の動きがないかどうか、こういうことも含めて広い意味での原油高騰対策をしっかりとやっていただきたいなというふうに思っております。

 このトラック業界を初め運輸業界の皆さんは本当に心配されておられると思いますけれども、こういった原油高に対する対策について大臣の御所見を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

大畠国務大臣 玉木議員から、原油価格が上昇傾向にあることを受けてどういう対策をするのか、こういう御質問をいただきました。

 現在、政権の内部でも、じわじわと原油が上がりつつあるという状況を踏まえて、対策が必要だろうという認識を持ちつつあります。特に、中東においてさまざまな政治的な状況も刻々変化をしているわけでありまして、こういうことを受けてどういう対応策をとるかということは、国土交通省としても対策を準備しなければならないと思います。

 過去において、いわゆる平成二十年の原油価格の高騰時というものがございました。このときには、燃費の改善ですとか、あるいは燃料サーチャージ制の導入等でトラック事業者への支援を行うなどの対策は行ったところであります。このときの対応策というものをもう一度掘り起こして、私ども国土交通省として何ができるかというものの準備に入りたいと思います。

玉木(雄)分科員 ぜひ、きめ細かな対応をお願いしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。終わります。

宮島主査代理 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子健一君。

金子(健)分科員 民主党の金子健一でございます。質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 きょうは、私の愛する千葉県の田舎のいろいろな問題につきまして、二点に分けてお伺いをさせていただきます。

 まず初めに、九十九里海岸、大臣もよく御存じだと思いますけれども、昔は白砂青松とよく言われました。その海岸線がどんどん削れていってしまっている。いわゆる浜ががけの状態になる、浜がけがどんどん進んでいます。そのことにつきましてお伺いをしたいと思っています。

 このことの発端は、最南端に太東漁港という港がございます。そして、九十九里海岸のちょうど真ん中あたりに片貝漁港という漁港がございます。そこの港の改修工事を行う、それをきっかけに、どんどんどんどん九十九里海岸が減っていきました。南から申し上げますと、私が住んでおります一宮町、大臣に見ていただいている写真がそうなんですけれども、一宮町の海岸が減ってまいりました。

 千葉県におきましては、ヘッドランド工法によりまして十基のヘッドランドが建設をされております。ヘッドランドというのは、突堤の先端に横堤が出るんですけれども、そのところは、すぐ左側はつきます。そうすると、その間がまた削れてしまいます。その隣につけると、また同じようなことが行われます。大臣に今見ていただいている写真の真ん中、その下、ちょうど波が押し寄せているような写真があると思いますけれども、それは、左側にあるものは海の家です。ですから、海の家まで波が押し寄せているような状況になってしまいました。

 東浪見海水浴場という海水浴場がありましたけれども、消滅をしました。それが、ヘッドランドができましたので、今、一宮町に十基あります。そうしますと、その隣の長生村というところに、一松海岸というやはり海水浴場があります。そこも浜がけが行われました。一瞬にして浜が二十メートルほどなくなります。それがどんどん北上しまして、今、先ほど申し上げました片貝漁港、そこまで行きました。海の家を経営されている方が朝行くとびっくりする。台風が来た後に行くと、もう目の前が海になってしまっている。その状況がどんどん続いています。

 この被害は海の家だけではありません。漁業に対する被害も多くあります。

 大臣はナガラミという貝を御存じでしょうか。形はカタツムリのような貝です。地元の大きな特産物として、今は合併しましたけれども、長生漁業協同組合の方々がとっておりました。当時、一番あったときが、平成十二年度は一億三千三百二十四万五千円の水揚げがありました。それがどんどんどんどん減りまして、平成十九年には二百八十三万四千三百五十円、これが年間の水揚げ高です。

 これはどういうことか、漁協の方にお聞きをしました。浜が欠けているだけじゃなくて、海底の砂もとられていってしまっている状況だと。ですから、漁協の方々は、毎年毎年稚貝の放流をしています。そのナガラミとともに小さなアサリもやっていますけれども、なかなかつかないような状況です。

 そして、海岸管理者の県が養浜事業をしていただきました。この砂はどこから持ってきたかといいますと、先ほど申し上げた太東漁港。そして、片貝漁港は逆に港の中に砂がたまってしまいます。

 どうして浜ができるか。これは、大臣もよく御存じだと思います。両わきの砂が削れて横に入っていく。それがまた沖に入っていく。それが、港ができたおかげで砂の供給がなくなってしまった。それで、その供給をしているところをとめてありますから、港の中が、今、大きな漁船が入れないほど砂がたまってしまっている。それを今とっていただいて、海洋投棄、養浜事業をやっていただいております。ただ、これも莫大な費用がかかります。そしてまた、ずっとやり続けなければいけないような状況です。

 千葉県はさまざまな形でこの海岸侵食に対して頑張っていただいていますけれども、地元の方々からは、ぜひ国としての支援をお願いしたいという考えでございます。このことにつきまして、問題意識、そして今後どのような形で考えていただけるのか、その意気込みについてお伺いをしたいと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 ただいま委員から御指摘をいただきましたように、九十九里浜におきましては、約六十キロの海岸線を持っている長い砂浜でありましたけれども、現在、広範囲にわたりまして侵食が進行いたしまして、激しいところでは百メートル以上砂浜が後退をしている、大変厳しい状況であるという認識をまず持っているところでございます。

 現在、海岸管理者であります千葉県と地元の一宮町におきまして、一宮の魅力ある海岸づくり会議を設置いただきまして、学識経験者や海岸利用者等の御意見を幅広く聞いていただきながら、海岸侵食対策としてのヘッドランド整備や養浜事業を行っていただいている。これは、社会資本整備総合交付金を御活用いただいてこの事業を行っているというふうに伺っているところでございます。

 このため、大変大規模な海岸侵食に対しまして効果的に対策を講じていくためには、常に最新の技術や知見を取り入れながら検討を進めていくということが重要であろうかと思っております。

 今御指摘いただきましたように、ヘッドランドの整備、養浜だけで問題が解決をするということでは必ずしもないという認識は持っているところでございまして、今、県においても新たな対策を検討していただいているところでございますが、国としても必要な技術的アドバイスを行ってまいりたいと考えているところでございます。

金子(健)分科員 ぜひお願いします。

 このことは、もう数十年にわたりまして地元の方々の切なる要望です。今、その写真から、まだまだ侵食が進んでおりまして、台風が来ると民家の近くのところに、波が押し寄せてくると言うと大げさですけれども、波の音が聞こえてくる。住んでいる方々は、怖くてもうここには住めないということです。一つの自治体の力ではもうどうしようもないような状況になっています。今、政務官がおっしゃられましたけれども、県と十分に協議をしなければいけないというふうに思っております。

 ただ、これは県の今までの事業を否定するわけでも何でもないんですが、この南九十九里の養浜計画をつくっていただきました。これについては、ヘッドランドによるというのが基本的にあるようです。今、政務官のお話がありましたように、地元の方々は、今のやり方よりも別のやり方があるんじゃないかと。

 海外へいろいろ行かれている方がいらっしゃいます。この一宮海岸は、サーフィンでは世界的に有名なポイントでもあります。野球でいえば東京ドームだというふうによく言われています。その利用されている方々から、ほかのやり方もあるのではないのかという話もあります。このことについては、漁業関係者だけでなく、住民の方々、いわゆるサーフィンというスポーツを愛好する方々からさまざまな意見があります。

 これは集約をするのは県なのかもしれませんけれども、国が一度入っていただいて、先ほど政務官がお話しになりましたけれども、これは国家を挙げてのプロジェクトでないと対応できないほどの予算を投下しなければいけない。簡単に養浜事業、砂を入れ続けるということになると、これはエンドレスになってしまいます。

 太東漁港に砂がたまります。それを海洋に出す。そしてそれが、また砂がつくんですけれども、何だかわかりませんけれども、ちょうど夏になると、海水浴の時期になると、とりあえず砂はつくんです。ただ、それが終わって台風が来るとまたなくなってしまうということが繰り返されます。本当にそのやり方でいいのか、大切な国民の税金をそこだけに、そのために使うのがいいのか、ほかの工法もあり得るのではないかという、いろいろなお考えがあります。

 そしてまた、もう一つ問題が起きているのは、この養浜事業をやったときに、玉石、いわゆるネットで中に岩を入れて護岸整備をしました。今何が起きているかといいますと、海水ですから、ネットが壊れてしまいました。中の岩が海底に落ちました。そして、残っているのは、針金の凶器のように、海に向かって砂浜から針金のようなものが出ている。先ほど申し上げましたけれども、サーフィンでは世界でも有数です。いろいろな方が世界から来ます。それを見てどういうことを思うのか。本当に危険なところだというような意見も聞いています。

 今までのやり方を否定するわけではありませんけれども、去年よく言ったんですが、政権交代をしました、今までのやり方を、もう一度立ちどまってもっとよい方法を考えるのも、自公政権から民主党政権になった一つのきっかけになるんだろうというふうに思っています。地元の方々は、もう一度、国の大きなバックアップをいただきながら県とじっくり相談をしたいと言っておりますので、ぜひその辺も含めて御対応をお願いしたいと思います。

 そしてまた、これは大臣にぜひお願いしたいことがあります。自公政権時代に、今の問題は国の大変な課題であるという認識があったのか、歴代の国土交通大臣はこの現地に来ていただいています。北側さんであり冬柴さんであり、そこで現地を見ていただきました。今、写真は見ていただきましたけれども、それよりもはるかに進んでいるところ、どんどんどんどん北上している、九十九里海岸の半分がもうがけのようになってきている。

 大臣、お時間は大変かもしれませんけれども、我が千葉県のそこまでは、一時間あれば特急で来られます。ぜひ一度見ていただいて、そして、先ほど政務官がおっしゃられましたけれども、現場の方はいろいろなお考えがあります。漁業の方は漁業の中で、この資源を絶対有効に使いたい、みんなで一生懸命に稚貝を放流して、砂の養浜事業の協力もしています。現場の検査に関しては、漁業の方々はすべてボランティアです。船を出してもボランティアでやっていただいています。さまざまな方と意見交換をしていただく場をぜひつくっていただきたいと思います。

 大臣の御所見をいただきたいと思います。

    〔宮島主査代理退席、主査着席〕

大畠国務大臣 写真を見させていただきました。

 金子議員からの御指摘でございますが、実は私、小学校六年生のときに、一年間、大洗町というところで、まさに海岸のすぐ近くのところで住んでおりました。最初はなかなか海の音で眠れなかったわけでありますが、三日目ぐらいからは、それが子守歌のような形で自然に溶け込んで、よく眠れるようになりました。そして、小学校のときの夏休みなんかは、常に自分のうちの前に松林がありまして、その先がもう海岸ですから、よく遊びに行きました。美しい海岸で多くの友達と遊んだ、そういう環境が子供のころの教育にも大きな影響を与えたなという実感を持っております。

 さらに、この九十九里浜でありますが、日本の中でも美しい海岸として有名でありますし、私自身、今から三十年あるいは三十五年ぐらい前に、仲間の人と一緒に、たしかあそこに国民宿舎か何かがあったような感じがしますが、そこに泊めていただいて、九十九里浜の海というものをいろいろと楽しませていただいたことを覚えております。

 それで、この写真を見せていただいて大変驚いたわけでありますが、私も、何事もまず現場を訪ねて地域の方々の話を聞くことが政治的には大変大事だろうと思いますので、いろいろなことがありまして、ここにも来い、あそこにも来いと言われておりまして大変なんですが、ぜひ、議員の御指摘でございますので、時間あるいはチャンスを何とかつくって、できれば現地に行ってつぶさにその状況を把握して、一緒にどう対策すべきかということを考えたいと思います。

金子(健)分科員 お待ち申し上げております。どうもありがとうございます。

 続きまして、圏央道関係につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 首都圏中央連絡自動車道は、木更津―茂原間、そして茂原―東金間では二十四年度に供用が開始されるということになっておりますけれども、これは当初、平成二十二年度の供用開始というお話がされていました。地元ではこのことについて余りよく言わない人もいらっしゃいまして、民主党政権になってコンクリートから人へになったからこうやっておくれるんだというような話もあります。

 このことについて、事実関係を再度御確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

津川大臣政務官 今御指摘をいただきました圏央道東金インタージャンクションから木更津東インターチェンジ間でありますが、東関東自動車道水戸線と東京湾アクアラインとを結ぶ大変重要な区間であるという認識をまず持っておるところでございます。当該区間につきましては、今御指摘いただきましたように、平成二十四年度を開通目標として、用地取得そして橋梁工事等を順次進めているところでございます。

 用地についてでございますが、全体の約九九%が取得済みではございますが、用地難航箇所が十八件ございまして、供用に必要な用地につきましては、土地収用法に基づく手続も行いながら、引き続き平成二十四年度の開通に向けて事業を実施してまいるところでございます。

金子(健)分科員 ありがとうございます。地元の方々は二十四年度に供用が開始されるものだというふうに信じて待っておりますので、ぜひ御努力をよろしくお願いします。

 その圏央道の中で、地元から二つのスマートインターチェンジの設置に対します要望があります。一つは茂原市、長柄町さん、もう一つが大網白里町さんというところからです。

 茂原におきましては、世界的に脳外科の権威であります福島孝徳先生の記念病院がございます。そしてまた、スマートインターチェンジができるということを期待しながら、製薬工場の誘致もされています。そしてまた、大網白里町におきましては、今は町ですけれども、五万人を超えました。市政を施行するために今努力をされていますけれども、ちょうど東京まで特急で約三十分ちょっとのところでございますので、どんどん人口はふえていく、これが期待できるような町でございます。

 そこで、この二つのスマートインターチェンジに対しまして、地元では協議会が設置をされました。千葉県と地元自治体と一緒になってこのスマートインターチェンジの設置について協議がなされています。そしてまた、今政務官お話がありましたけれども、今、圏央道が工事をされています。逆に言えば、まだ道路が完成をしていないような状況です。

 これは、わがままな、ちょっとぜいたくなお願いかもしれませんけれども、今のうちに、スマートインターチェンジのところに、ボックスカルバートのような、先に設置させておいていただければ、いわゆる設計の変更をさせていただければ、終わった後にかかる工事費から比べても十億円を上回る経費の節約になるというふうにも考えております。

 今ちょうどつくっている、だからこそ急いでいるというところもあります。今、設計変更ができるのか、そしてまた、地元の要望をなるべく、こういった形でこれからの利便性も考え、医療の発展も考え、さまざまな形で推進できればというふうに思っておりますけれども、お考えをいただきたいと思います。

津川大臣政務官 今御指摘をいただきましたスマートインターでありますが、地域の方々に大いにこの圏央道を有効に、上手に活用していただく上で非常に有効な手法であるというふうに考えているところであります。

 ただ、今委員からの御指摘ではございますが、まさに圏央道について、現在、用地取得、工事を進めているところでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、土地収用法に基づく手続を行っているところでございます。この状況の中で、今、私どもとしては、本線整備の状況を踏まえて、まず本線をなるべく早くお約束どおり開業させるということが一番大事なことかなというふうに考えているところでございます。

 また、並行いたしまして、今御指摘いただきましたスマートインターにつきましては、地元の関係機関そして関係者の方々によります検討会を今開いていただいているところでございまして、具体的な必要性と構造等について検討いただいているというところでございますので、国としてもしっかりと協力をしてまいりたいと考えているところでございます。

金子(健)分科員 ありがとうございます。

 このことにつきましては、三市町だけではなく、近隣の町村も含めまして大いに期待をしているところです。見た目がああいったような状況ですから、今やればというのは、これは地元の方々の単純な発想ではありますけれども、大いなる期待だということは御理解をいただきたいと思います。

 そしてまた、この圏央道の茂原長南インターチェンジから一宮町に向かっての地域高規格道路、通称ですけれども、長生グリーンラインというものがございます。それと、市原南インターチェンジから、そこに接続されているというかそれにくっついているところなんですけれども、国道二百九十七号線という二つの国道がございます。

 私の地元は、千葉県でいっても水産物が有名なところでございまして、イセエビでは三重県を抜く日本一の漁獲高を大原漁港というところが持っています。そこに直結していく道路が長生グリーンラインであります。そしてまた、カツオの水揚げでは関東一の勝浦漁港というものがございます。二百九十七号線をおりたところがその勝浦漁港でございます。

 この二つの道路が、計画はされております。それがなかなか進まないということでございまして、これからの水産資源を考え、そしてまた圏央道の開通を考えますと、羽田に直結する、そして築地等にもすぐ行ける、いわゆる新鮮な海産物をすぐ届けられるような状況は地理的にはあるんですけれども、なかなかインフラが整っていない。そのことによってこの地域の活性が図れないというのも現実でございます。この二つの道路ができることによって、そのところはある部分大きな前進があるのではないかなというふうに考えます。

 この二つの、長生グリーンライン、そして二百九十七号線、長生グリーンラインは用地買収が若干始まっておりますけれども、二百九十七号線では、ある部分相当な距離数、用地買収も済んでいるというふうに聞いておりますが、ここ十数年、一歩も進んでいないという話も聞いております。

 今、BバイC、さまざまな形で道路をつくるときに計算をされますけれども、産業の活性化も含めた中でこの二つの道路の計画を進めていただきたいと思います。これについては意気込みをいただければというふうに思います。

津川大臣政務官 今、二つの国道につきまして御質問をいただきました。

 国道四百九号、長生グリーンライン、これは、今御指摘をいただきましたように、圏央道と房総半島、こういった地域を連絡する道路でありますが、地域の交流促進を図ることを目的とした地域高規格道路でございます。現在、千葉県長南町から茂原市に至る延長約七キロを県が事業実施していただいているところでございますし、また、圏央道に接続をします茂原長南インターチェンジと国道四百九号を結ぶ一キロ区間でございますが、この区間については、圏央道と同時に供用できるように事業を今進めているところでございます。

 県におきまして、残る区間につきましても引き続き早期供用に向けた事業を進めていくという方針を伺っているところでございまして、国としても、補助事業により引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

 また、一方の国道二百九十七号線の方でございますが、これも、現道の狭隘部及び線形不良区間を迂回するために千葉県として計画をし、事業を行っている区間であります。現在、私どもとして伺っている現状としては、事業の開始が平成元年でありますから、その間相当な時間が過ぎているという認識をしているところでございますが、一方で、用地難航箇所が幾つかあって、当事者の方々の理解を得られるような努力を今県として進めていただいているという状況を伺っているところでございます。

金子(健)分科員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたけれども、この二つの道路、今までのあの地域の方々、いろいろなところで水産資源も豊富なところです。よく私は、素材はすばらしいものがあるんだけれども、なかなか料理人の腕が悪くてそれを生かし切れなくて申しわけありませんというふうに言っています。その料理人の腕というのは政治家だというふうに思っています。行政も含めてそうだと思います。せっかくある資源です。先ほど申し上げましたように、イセエビでは三重県を抜いて、群を抜いての日本一の漁獲高を持っています。釣り船もありますので、その方々のところにいろいろな方々が遊びに行くにしても、ちょっと遠いよと言われます。

 私の選挙区、端から端まで行くのにどうしても二時間はかかってしまう。どうしてかというと、高規格道路がないからだというふうなお話です。私の事情ではありません。皆さんがもし病気になったとしても、今、東金というところに、私の選挙区の一番上なんですけれども、そこに三次救急の病院をつくろうという計画があります。もし、今の道路状況の中でそこから三次救急の患者が生まれて、一番南の外れの方が疾病をした場合、その場合、二時間かかるということになります。毎回毎回ドクターヘリが飛ぶわけにもいきません。どうしてもインフラの整備が必要になります。この日本の道路は命の道路とも言えると思います。

 そしてまた、二百九十七号線は、今既に現存はしております。バイパスをどうしても欲しいというのは、そこにダンプ、トラックが走ると、今、雨が降れば子供さんは傘を差せないような状況になっているというのも確かな状況です。

 今まで置いていかれた地域でございますので、そのことについては千葉県に対しましてもさまざまな援助をしていただいて。千葉県もよく言います、やりたいんだけれどもなかなか資金がありませんと。今度、どんどん一括交付金化されます。それを通じて県には働きかけたいとは思いますけれども、そのためには、ぜひもう一度、必要であるという国の認識をいただいて、県の方にも絶大なるバックアップをいただきたいと思います。

 最後に、大臣の御所見、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

大畠国務大臣 千葉県は私の住んでいる茨城県の隣でありまして、大変昔から親しく感じているところであります。同時に、千葉県は農業県ということで、茨城県も農業県でありまして、そういうところも一つの共通点であります。しかし、千葉県には成田空港というすばらしい空港がありまして、まさに日本の玄関口ということもございます。そして、先ほどからるるお話がありましたが、魚といいますか、漁業というのも盛んな銚子というものもあります。

 まさに素材はたくさんいいところがある、あとは調理人の腕を振るえと、行政と政治家に対する期待が大きいということでありますから、その議員の御指摘をいただいて、私どもも一生懸命バックアップをし、そして課題の解決をして、何とか将来に一つの明るい展望が持てるように努力をしてまいりたいと思います。

金子(健)分科員 地元の方が勇気を持てるような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 質問を終わります。

吉良主査 これにて金子健一君の質疑は終了いたしました。

 次に、川村秀三郎君。

川村分科員 民主党の川村秀三郎です。本日は、長時間、本当に御苦労さまでございます。私がしんがりとなりそうでございますので、もうしばらくの御辛抱をお願いしたいと思います。

 さて、私は先日の十五日の予算委員会でも質問に立たせていただきました。そのときにも申し上げましたけれども、本当に私の地元宮崎は、昨年の口蹄疫もありました、そしてことしに入って鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火のトリプルパンチを受けております。

 大畠大臣には、新燃岳の噴火直後の一月二十九日に宮崎県入りをしていただきまして、現地の実情をつぶさに見ていただいて、陳情を踏まえて早速いろいろな手配といいますか措置をしていただきまして、御配慮いただいたことに改めて御礼を申し上げます。

 実は、先日、週末の日曜日にも、また市長会あるいは町村会ということで、会長それから関係の市長さんがそろっておいでになりまして、宮崎県の県連に対しまして新燃岳の噴火等について改めて陳情を受けたわけでございます。いろいろ陳情はございましたけれども、きょう特にお願いをしたいのは、避難勧告の基準の問題であります。

 噴石、降灰が沢に堆積しておりまして、雨によっては土石流とか泥流のおそれがあるわけでございます。そして、雨が降るたびに警戒をされるということでございまして、現在どういう状況になっているかといいますと、もう御案内だと思いますけれども、時間雨量が四ミリを超える、あるいは累積の雨量が二十ミリを超えたら避難勧告を出すという態勢でやっております。これはどういう根拠かといいますと、これも御案内でしょうけれども、三宅島噴火の際の土石流が発生した事例を参考にしたものというふうに聞いております。

 これまで雨は何回かありました。その都度、雨が降り続く限り厳戒態勢ということで、現場は不眠不休で対応されております。先日もお会いしたときは、もう何日間も寝ていないというようなことを首長さんもおっしゃっていまして、非常に大変だろうなというようなことを思います。雨が降れば、避難すべきなのかどうかとか、そして勧告をしても、避難の誘導だとか避難所での対応とか、もう本当にいろいろなことがございます。

 それで、より現場に適合した基準はできないものか。三宅島の例を参考にしているのだと思うんですが、やはり地域によっては地形も違いますし、噴石とか降灰の状況も違うでしょうから、もうちょっと専門家による現地の調査とかを詳細に行っていただいて、まあ、やっていただいていると思うんですが、地形なり火山灰の状況等を見ていただく。

 それから、雨量の観測地点、これもできればふやしていただくとか体制を強化していただく、あるいは土石流のセンサー、こういうものをふやしていただく等、強化をしていただいて、そういう上で新しい基準はできないものかということで、切実な御要望を受けたわけでございまして、この点、どういうことになっているのか、現時点でのお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 新燃岳噴火のために大変な被災をされていらっしゃいます多くの皆様方には、本当に心からお見舞いを申し上げるところでございます。

 国交省といたしまして二月四日に地元関係自治体に対しまして説明をさせていただきました、土石流に対する避難のための参考となる雨量基準というのは、今委員から御指摘をいただきましたとおり、一時間当たり四ミリとしているところでございます。新燃岳におきまして土石流が発生する雨量がどのくらいであるかという経験則がないところでございまして、平成十二年の三宅島雄山の噴火後の発生をいたしました土石流発生実績等を参考にさせていただきまして、今、一時間当たり四ミリというふうに決めさせていただいているところでございます。

 昨日まで、雨量基準時間当たり四ミリを超える雨量を観測したのは、二月の十六日から十七日にかけましての一回のみでございまして、なお一部の観測所だけでございました。そのときには土石流は発生しませんでしたけれども、渓流内における火山灰の堆積状況に変化が見られないことなど、現地の安全性をまだ十分に確認できていないということから、現時点では雨量基準の見直しは行っていないところでございます。

 ただ、今後とも、雨量と土石流の発生状況、さらに渓流の状況などを調査させていただき、必要に応じて、新燃岳周辺の地形や火山灰の特性に応じた雨量基準の見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。

 今御指摘いただきましたように、少し雨が降っただけで避難をしなければならない、もう避難するだけでも大変、そういった思いの皆様方が大変多いかと存じております。ただ、これはまさに安全に対する基準でございますので、それは一方で慎重にさせていただきたいと思っております。

 なお、時間当たり四ミリという雨は、必ずしも体感的にそんなに弱い雨でもないところでございますので、現在としてはこの雨量基準をもとにしまして、今後、状況をしっかりと見ながら、専門家の方々の御指導をいただきまして見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。

川村分科員 今、御説明いただきました。

 確かに、人命にかかわることでもあり、また科学的根拠とかそういうものを踏まえてやらないとこれは後悔することになるということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。やはり、避難勧告を出してみたけれども空振りに終わった、これは、何も起こらなかったということで非常に結構ではあるんですけれども、何回も続きますとオオカミ少年的になりまして、なかなか現場が動かないということにもなりますし、噴火が非常に長期戦にもなりそうなものですから、ぜひ引き続きの御努力をお願いします。よろしくお願いいたします。

 さて、引き続きまたローカル的な案件をお願いしたいと思います。道路の問題でございますけれども、国道二百二十号の防災対策の平成二十三年度の新規事業化ということでお願いをしたいと思うんです。

 国道二百二十号線、まだ御存じないかと思いますが、宮崎市を起点に、日南市、串間市を経まして鹿児島に至る道路でございます。物流とか観光の振興、非常にきれいな日南海岸、観光の名所でございますが、そこを貫いている国道でございます。そういう観光面、物流面も大変大事なんですけれども、沿線住民の生活道路、医療を支えるいわゆる命の道となっております。ところが、非常に困った問題は、この沿線の土質が非常に脆弱でございまして、これまでも幾度となく災害が起こっております。そして、そういうことを踏まえまして、連続雨量百七十ミリで通行規制をしておりまして、年に何回も通行どめになるという状況になっております。

 これがどういうことになるかといいますと、これまでの事例、要望書等にも掲げておりますが、改めて御説明をいたしますと、例えばクモ膜下出血の患者さんが出たんですけれども、通行どめで病院へ連れていけなかったということで、残念ですけれども、翌日に亡くなられたという事例も発生しておりますし、雨による休校、これが年間三日程度はあります。それで、百ミリを超えると、学校側としてはどうしようかということを悩むということです。

 それから、宮崎市の道なので通勤にも使われておりまして、通行どめがなければ二十分で通じるのですけれども、これがもし通行どめになると、ぐるっと都城の近くまで行って、田野というところを通って日南の方におりてきて回るということになると、三時間かかるわけですね。こういうふうに、大変不便をしております。

 特に、こういう通勤とか生活の不安があるものですから、若い人が離れてしまう、宮崎市等に移ってしまうということもあって、過疎化にさらに拍車をかけているということもございます。

 この道路は、前政権下で、BバイCを厳格にやるということで一たん凍結になって、解除になるんじゃないかというところでまたとまってしまったということで、二十二年度、何とか復活するんじゃないかと地元は非常に期待しておったんですけれども、新規事業は一切認めないという国交省の方針がありまして、断念せざるを得なかった、こういう事情でございました。

 二十三年度、もう本当に皆さん首を長くして待っておりますので、今申し上げたような、生活それから生命、そういうものに非常にかかわるところでございますので、ぜひ二十三年度は新規事業化ということでお願いをしたいということなんですが、この方針、今の状況をまず御説明していただきたいと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今御指摘をいただきました国道二百二十号線でございますが、その中で、宮崎市の小内海から日南市の風田までの区間につきましては、今御指摘いただきましたとおり、大変脆弱な地質の地域でございまして、災害が発生をしやすい、実際に落石等が頻繁に起こっているところでございます。災害による全面通行どめ、あるいは雨量によります通行規制、こういったものが頻繁に起こり、地域の皆様方には大変使い勝手が悪い、なかなか大変な道路になってしまっているという状況については、現場の方々から繰り返し御要望をいただいているところでございます。

 当該地域における安全で安心な通行を確保するためには、当該区間の抜本的な対策が必要であるという認識は持っているところでございまして、通行規制を解除し、孤立集落を解消するため、現在、学識経験者の意見も踏まえながら、具体的な計画について検討中でございます。引き続き、早期に事業に着手できるよう検討を進めてまいる所存でございます。

川村分科員 ぜひお願いしたいんですが、先般も、この新規事業化をお願いしたいということで、地元で国道二百二十号命の道を守る会というのが結成されて、署名活動を行ったんですね。そうしたら、短期間で十四万名の署名が集まりました。たしか津川政務官にお渡ししたと思いますが、そういうふうに地元は本当に心待ちにしております。いわば悲願中の悲願でございますので、ぜひ大臣も、今のこういう事情を理解していただいて、後押しをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、もう一つ道路の関係で御質問をしたいと思います。それは、国道十号線の新富バイパスの整備促進でございます。

 この新富バイパスは、宮崎市の佐土原町と新富町をつなぐ道でございます。国道十号線自体は東九州の幹線国道でございまして、宮崎から見ますと、県都の宮崎市と大分県、そしてまた鹿児島県を結ぶ重要な国土軸となります主要幹線でございます。地域の住民とか地域経済にも非常に大きな役割をしております。

 この道路は、実は、宮崎市と新富との間に一ツ瀬川という川がございまして、そこに日向大橋という橋がかかっているんです。これが実は片側一車線なものですから、ここがまさにボトルネックになりまして、特に朝晩の通勤帯は大渋滞をしております。これを拡幅するための工事が今行われているんですけれども、二十二年度は公共事業一八%カットの中で、この新富バイパスの予算は七〇%もカットされてしまったということでございまして、二十二年度に実際ついたのが二・五億円でございました。

 橋の橋脚、これを一本つくるのに四億円かかると聞いています。そうすると、年間二・五億円ついたのでは、大変な額なんですけれども、一年に一本の橋脚もつくれないということでございまして、まだ未着手の橋脚が三本残っているんですよ。そうすると、この橋脚をつくるだけでさらに七、八年かかるだろう、上にのっけるだけでも、やれば十年以上かかるんじゃないか。そういう意味で、非常に完成がおくれるんじゃないかということを懸念しております。しかも、川のところの工事なので、渇水期でないと工事ができないということで工期も制限をされるということで、冬場の時期しかできないというんですね。

 それで、先日、私もここの現場を見に行きました。日向大橋、現在かかっている橋の横に工事用の仮設の橋がかかっているんですね。そのリース料が何と年間七千万から八千万かかるというんですよ。そうすると、一年延びるたびにそれだけ余計な費用がかかる。三年か四年分を合わせれば橋の橋脚が一本できちゃうんですよ。それぐらいになるので、これは、工期が延びれば本当にさっき言ったように十年で七、八億となっちゃいますから、ぜひ集中投資をしていただいて、しかもそうやって非常に通行のネックになっておりますので、予算の効率的な利用、それから効果を早期発現するという意味からも集中投資をしていただいた方がいいと思うんです。

 ぜひこれを、県としても要望して、県連も重点事項には挙げているんですけれども、そういう事情にありますので、早期完成に向けての重点投資をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

津川大臣政務官 今御指摘をいただきました日向大橋を含みます国道十号新富バイパスでございますが、ちょうどこの橋を挟みまして大変渋滞をしている地域でございまして、渋滞の緩和と交通安全の確保を目的として今この事業を進めさせていただいておりまして、これまで約三キロ延長を供用させていただいているところでございますが、残る区間のうち、日向大橋を含む延長一キロ区間で、御指摘いただきましたとおり、現在橋梁工事を実施しているところでございます。

 なかなか進まないではないかというおしかりかと思いますし、また工事用道路もお金がかかっているそうじゃないかというお話かと思いますが、工事用道路をなくすわけにもなかなかまいらないところでもございます。また、御指摘もいただきましたとおり、川の中の工事でもございますので、梅雨期、台風期等を避ける必要があるなど、工事期間に制約があるということもございます。

 ただ、御指摘でございますし、また地域の方々からも大変強い御要望をいただいているところでもございます。工事工程等の見直しなど可能な部分があるかどうかというところについてもしっかりとチェックをさせていただいて、少しでも早期に供用できるような努力を続けてまいりたいと考えております。

川村分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 余談になりますけれども、宮崎県というのは非常に道路の整備がおくれておりまして、実は、道路の改良率は九州で最下位でございます。全国三十八位ということでございます。そういう意味で、そういう事情もぜひ御配慮いただきたいと思います。

 また、今、東九州道を一生懸命建設していただいているんですが、先般、高鍋―西都と並行しているところが一部開通したんですけれども、かなり離れているものですから、余り渋滞緩和につながっていないということもありまして、現地は一日も早い完成を心待ちにしておりますので、今言った事情もお酌み取りいただきまして、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、今度は海岸の問題をちょっとお願いしたいと思います。

 先ほども金子議員の方から九十九里海岸のお話がございましたけれども、実は宮崎県も、私の宮崎市の海岸線、日向灘に面しておるんですが、この海岸線は直線的で外洋に直接面しているということで、波浪による侵食を受けやすいということでございます。そして、一ツ瀬川からの土砂の供給も上流のダムの関係で少なくなっております。また、台風が多いので、たび重なる台風によって著しく侵食が進行している状況でございます。

 おかげさまで、平成二十年度から国交省の直轄海岸保全施設整備事業に着手はしていただいているんですけれども、なかなかうまくいかないというのは、いろいろ課題がございまして、ここは非常に風光明媚な景勝地でもあります。それから、先ほど九十九里もサーフィンのメッカと聞きましたが、ここもサーフィンのメッカでございます。しかも、アカウミガメの産卵の場所でもありまして、年間九百回も産卵に来る、そういう自然環境面でも非常に重要なところでございまして、どういう工事をするかも非常に慎重にやらなくちゃいけないというところですし、利害関係者の意見も尊重しなくちゃいけないというところがあります。先ほど来、ヘッドランド工法とか、いろいろな工法の名前が出ていますけれども、ここもそういう配慮が要ると思います。

 ただ、そこの松林とかに並行している道路が危うくなるぐらい近くまで侵食が来ておりまして、ここも非常に、皆さん方の御努力をいただかなくちゃいけない、そういうことになっておりまして、今関係者との意見調整ももちろん地元としてもやっているんですけれども、ぜひ国としてもここの点は力を入れていただかないと、非常に危ない状況になっているなということで、本当は写真でもお持ちすればよかったんですけれども、そういう状況でございます。

 私もつい先日見に行きまして、養浜事業等もやっているんですが、一年前に置いたものがもうほとんどなくなるぐらいの波の強さなものですから、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、その点、お願いいたします。

津川大臣政務官 宮崎海岸におきましては、広範囲にわたります海岸侵食により砂浜が平均で四十メートル後退をしておりまして、特に背後地の危険性が高まっているといったところから、平成二十年度より直轄事業として侵食対策に取り組ませていただいているところでございます。

 学識者や市民、海岸利用者等の意見を十分にお聞きした上で、まさに宮崎海岸にふさわしい最適な侵食対策の具体的な手法を決定するために、国と宮崎県との共同によりまして検討委員会を開催するとともに、市民との意見交換、情報共有を図るための場を設置させていただいているところでございます。

 これまでさまざまな立場の方々から多くの御意見をいただいてまいりました。工法につきましても、まさに多くの方々のアイデアをいただきながら、宮崎海岸にふさわしい工法を選択していかなければならないと考えているところでございますし、また、できるだけ早く検討結果をお示しして、海岸保全施設の整備に着手できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。

川村分科員 本当に、そういう意味で注意が要るんですけれども、関係者に協力していただいて、何としてでもここの部分を食いとめたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域の建設業の健全な発展、それから入札制度の問題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 日本は大変四季に恵まれておりまして、これは一方では、台風とか大雨とか、豪雪も含めて、災害列島にもなる可能性が非常にあるわけでして、実際にそういう状況ですね。災害の都度、大変力になるのは地域の建設業の方々なんですね。今回の降灰の事業でも大いに活動をしていただいておりまして、大変ありがたいと思っています。

 そして、口蹄疫それから鳥インフルエンザのときも、蔓延防止には早期発見、早期処理が必要なわけですけれども、手持ちの重機を使って迅速に穴を掘って埋却の仕事をやっていただいたということで、これだけスピーディーな処理ができたのも、まさに地域の建設業者の方々の本当に献身的な御尽力があったたまものだというふうに思っております。

 ただ、公共事業の削減あるいは入札制度の改革等で、先ほど北村議員の方からも豪雪のときにも非常に問題であるという御指摘がありましたけれども、非常に減っているわけですね。そして、事業規模も縮小しているので、重機自体が足りなくなっているということがあります。

 ですから、私としても、公共事業への依存からの脱却とかそういうもの、あるいは入札制度の改革自体、これは大切なことだし、それは進めなくちゃいけないという面はあると思うんですけれども、まず地域の建設業を健全に発展させていくという観点から、やはりもうちょっと配慮があっていいんじゃないかと思うので、そういう地域の建設業の健全な発展策という意味ではどういうことを考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 地域の建設業、業者の方々におかれましては、今委員から御指摘いただきましたとおり、地域社会の担い手として大変重要な役割を各地で担っていただいております。地域経済や雇用を支える場でもございますし、また当然インフラを維持管理していただく実力を持った方々でもございます。

 また、宮崎におきましては、口蹄疫ですとか鳥インフルエンザ、あるいは今回の降灰対策などでも、地元の建設業者の方々が非常に迅速に、また献身的に大変なる活躍をしていただいていることに心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。また、水害などがあったときも、水防活動につきましても特に中心的に活躍をいただきますし、今回の豪雪のような場合にも、まさに汗をかいていただく方々であります。

 私の地元の静岡などでも、仮に東海地震が来て、幹線をまたぐ歩道橋が仮に崩落をしたらどうなるか。地域の住民が幾ら力を合わせても、素手ではびくともしないものでありまして、重機が必要でありますし、またオペレーターも必要でございます。

 そういった意味で、非常に重要な地域の担い手でありますが、一方で建設投資額、とりわけ公共投資が大きく減少していく中で、経営状況が大変厳しい状況にあるということは、私どもも大変に厳しい思いで今認識をしているところでございます。

 この状況を踏まえまして、今後の建設産業の再生、発展を図るということで、今、外部有識者から成ります建設産業戦略会議というものを立ち上げまして、その中で、入札契約制度のあり方も含めて必要な方策について今幅広く検討をしていただいているところでございます。

 また、入札制度に関してでございますが、よく地域の方々から言われるのは、なかなか地域の建設業が受注することすらできない、こういった御指摘もよくいただいているところでございまして、受注機会の確保という観点から、地域要件等を含む適切な競争参加条件の設定、あるいはダンピング防止対策という観点から、低入札価格調査基準価格及び最低制限価格の引き上げ、予定価格等の事前公表の取りやめ、あるいは総合評価方式等の充実などを徹底していただけるように、総務省と共同で地方公共団体に対しまして要請をさせていただいているところでございます。

 今後とも、地域の建設業の健全な発展に資するように、地方公共団体に対しまして、入札契約制度の改革を促進してまいりたいと思いますし、また、戦略会議の中の議論を通じまして、地域の建設産業のあり方につきまして早急に答えを見つけてまいりたいと考えているところでございます。

川村分科員 今、入札制度の中でも、地域要件のことを話していただきました。宮崎の中でも、県北の業者が県南の遠くまで時間をかけて行くような錯綜したことが行われておりますし、これは必ずしも国の事業だけではなくて、県の事業もそうなんですけれども、非常に不効率な状況になっております。それから、入札の結果自体も非常に、差がほとんどないような、あるいはくじ引きでやるような状況になっていまして、まだまだ入札制度自体も健全な形ではないんじゃないか、まだまだ改善の余地はあるんじゃないかというふうに思っておりますので、引き続きの御努力をお願いしたい。

 地方自治体の指導も、国がやっていることをしっかり見て頑張っておりますので、そういう意味でリーダーシップを、地域主権とはいいますけれども、この問題はやはり国の指導が非常に大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。

吉良主査 これにて川村秀三郎君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時三十分開議

吉良主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十一分散会


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