衆議院

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第1号 平成24年3月5日(月曜日)

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本分科会は平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      打越あかし君    大西 健介君

      櫛渕 万里君    村越 祐民君

      金子 一義君    佐田玄一郎君

      山内 康一君

三月二日

 村越祐民君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十四年三月五日(月曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 村越 祐民君

      石井登志郎君    打越あかし君

      大西 健介君    櫛渕 万里君

      高橋 英行君    矢崎 公二君

      柳田 和己君    小野寺五典君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      柿澤 未途君    山内 康一君

   兼務 玉木雄一郎君 兼務 伊東 良孝君

   兼務 小里 泰弘君 兼務 橘 慶一郎君

   兼務 長島 忠美君 兼務 石田 祝稔君

   兼務 大口 善徳君 兼務 赤嶺 政賢君

   兼務 小林 正枝君 兼務 服部 良一君

    …………………………………

   国土交通大臣       前田 武志君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   農林水産副大臣      岩本  司君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石井 正文君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   長嶺 安政君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            小島愛之助君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 中田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  長田  太君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            岡本  博君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     矢崎 公二君

  櫛渕 万里君     高橋 英行君

  金子 一義君     小野寺五典君

  佐田玄一郎君     永岡 桂子君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 英行君     石井登志郎君

  矢崎 公二君     柳田 和己君

  小野寺五典君     北村 茂男君

  永岡 桂子君     佐田玄一郎君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     櫛渕 万里君

  柳田 和己君     打越あかし君

  北村 茂男君     丹羽 秀樹君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     金子 一義君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 第一分科員長島忠美君、第二分科員服部良一君、第四分科員石田祝稔君、大口善徳君、第五分科員橘慶一郎君、第六分科員小里泰弘君、小林正枝君、第七分科員玉木雄一郎君、伊東良孝君及び赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

村越主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。前田国土交通大臣。

前田国務大臣 国土交通省関係の平成二十四年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額につきましては、四兆五千四百七十六億円です。

 また、国土交通省の関係事業として復興庁に一括計上した予算を含め、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費として東日本大震災復興特別会計に六千五百四十三億円を計上したほか、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 なお、投資補助金のさらなる一括交付金化に伴い、二千百八十二億円を内閣府所管の地域自主戦略交付金等に移行しております。

 次に、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として三兆二千三百三十億円を予定しております。

 平成二十四年度の国土交通省予算におきましては、東日本大震災からの復興等に総力を挙げて取り組むとともに、震災を契機として我が国が抱える諸課題を克服し、我が国の明るい未来を築くため、昨年十一月に発表いたしました持続可能で活力ある国土・地域づくりに基づく施策を強力に推進してまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

村越主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま前田国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

村越主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

村越主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

村越主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 皆さん、おはようございます。

 きょうは、朝から夜までの非常に長丁場になりますけれども、前田大臣を初め、国土交通省の政務役の皆さんにおかれましては、大変ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 私の地元、知立市というところに、名鉄知立駅の立体交差事業という事業があります。これは長年、知立市にとっては悲願と言ってもいい事業でありまして、町の分断を解消して、交通渋滞、交通事故をなくす、この立体交差事業を一刻も早くやっていただきたいという市民の願いがあります。

 一方で、これは全体で六百十五億円という、総事業費が大変大きい事業でありまして、半分を国、そして一部を名鉄負担で、残りを県と市で負担している事業なんですけれども、知立市の負担は百三十億円程度になるんですが、知立市は一般会計が二百億円という規模の市でありますので、これでもなかなか大変な負担になります。

 そこで、知立市では、愛知県に対して、県、市の負担割合一対一を二対一に見直してくれということをずっと要望してまいりました。きょうお手元にちょっと資料を配らせていただいているんですが、ことしの一月二十五日付の中日新聞でございます。そういう中で、県、市の負担割合の見直しには至らなかったんですが、二十三億円の負担軽減が実現できました。

 一つは、知立駅というのは乗りかえ駅でございますので、この駅の恩恵を受けるのは知立市民だけではなくて、周辺市、乗りかえに使われる皆さんが恩恵を受けられるということで、広域的な機能に着目をして、名古屋本線と三河線の乗りかえフロア、そして直接乗り入れをするための渡り線の整備、これについては県が負担しましょうということで、これでまず十一億円の負担が軽減をされた。

 もう一つは、民主党政権になって、社会資本整備総合交付金が導入されたことによって事務負担の負担率が変わった、このことによって、さらに十二億円、負担軽減することができました。これは私は、政権交代の効果、恩恵であったのではないかなというふうに思っています。

 ただ、それでもなお、まだまだ知立市にとっては非常に負担が重いということで、ぜひとも、県、市の負担割合の部分は県の裁量の部分ではありますけれども、今回軽減することができたように、例えば交付金の支給の仕方だとか、こうした広域的な機能に着目をして少しでも市の負担を軽減することによって、こういう大きな事業、なかなか長年の懸案になっていて進んでいない事業を前に進めていく、そのことについて国交省にもいろいろと御支援をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

室井大臣政務官 早速でありますけれども、御質問にお答えをしたいと思います。

 連続立体交差事業は、鉄道を連続的に高架化もしくは地下化することによりまして、複数の踏切を一挙に除却することで、道路交通の円滑化も図ることができますし、分断されたそれぞれの町がまた統一される、往来が自由にできる、また地域の活性化が図られるわけでありまして、さまざまな効果を発揮する、そういう意味では非常に重要と考えております。

 こうしたことから、国土交通省としては、名鉄名古屋本線連続立体交差事業の推進に向けて、引き続き社会資本整備総合交付金により財政面でしっかりと支援を行っていきたい、このように思っております。また、コスト縮減に向けた施工方法や鉄道事業者との費用負担の考え方について技術的に助言を行うなど積極的に支援をしていきたい、このように思っているところであります。

大西(健)分科員 今、政務官から、技術指導等で総事業費を圧縮していく、これも私は一つ必要なことだというふうに思います。

 今、連続立体交差事業の意義についてもお答えいただきましたけれども、知立というのは実は東海道の宿場町なんですね。江戸時代にも交通の要衝として発展をした町であります。ぜひともこの事業をしっかりと進めていきたいと思いますので、今後とも引き続きの御支援をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、この事業に関して地元から御要望があるのは、鉄道事業者への委託工事の積算だとか精算の透明性の問題です。

 これについては、会計検査院が、鉄道事業者への委託工事の積算やあるいは精算の内容が不透明だということでこれまでも指摘を行ってきております。そういう中で、国土交通省におかれても、関係部局あるいは鉄道事業者に対して透明性の確保の申し合わせ等も今まで行っていただいているんですが、ますます経済事情が厳しくなっています。また、自治体の財政も非常に危機的な状況の中で、これだけ大きな税金を使ってやる事業については、進めていくためにはやはり市民の理解というのが不可欠だというふうに思います。

 そういう中で、請求書の中身がわからないのに、これを払ってくださいと言っても、これはなかなか市としても払えない、私はそういうところがあると思うんですね。これは鉄道事業者の方も、会社のそれぞれの企業秘密とかがあって、なかなか細かいところまでは公開できないというようなお話もあるみたいですけれども、やはりその中でもできるだけ透明性を高めていただきたいと思うんですが、この点について、国土交通省から鉄道事業者や関係の皆さんにどのような御指導をしていただいているか、お願いしたいというふうに思います。

室井大臣政務官 お答えをいたします。

 鉄道と道路の立体交差また河川改修に伴う鉄道橋梁のかけかえなどの公共事業は、通常、事業主体から鉄道事業者に委託をして行われておるわけでありますが、これらの工事は、特に、昼間は列車運行の安全確保等を基本とした狭い空間での作業、夜間は終電車から始発、このような短時間で作業を行うなどから、極めて専門性が高く、また、工事内容や経費の積算根拠について、本来の事業主体と鉄道事業者との間での密接な協議と情報共有が円滑な事業の推進のための前提となってくる、このように思っております。

 したがいまして、このような認識のもとで、鉄道委託工事における透明性確保の徹底を図ることを目的として、平成二十年十二月に国土交通省と主要な鉄道事業者との間で申し合わせをしっかりと行わせていただき、関係機関にその旨を周知しているところであります。さらに、今後とも、申し合わせの趣旨を一層徹底させていただきまして、事業主体と鉄道事業者との間の情報共有が滞りなく行われるように強力に指導していきたい、このように思っているところであります。

大西(健)分科員 今、政務官からも最後に、強力に指導していきたいということでお答えいただきました。申し合わせをしっかりと履行していただいて、透明性の確保、これをぜひお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、鉄道についてお伺いをしたいというふうに思うんです。

 お手元にお配りをさせていただいた資料の二というのを、ちょっとわかりにくい図なんですけれども、これは都市計画道路西端線という、私の地元の碧南市の道路の都市計画図なんです。白黒ですのでちょっとわかりにくいんですが、色がついた部分、これが整備区間です。ちょうど真ん中のところに未整備の区間が残っているんですけれども、その途中に名鉄、鉄道が走っています。

 この未整備の区間については、鉄道をアンダーパスで通るという計画に今なっているんですが、アンダーパスということになりますと、急に掘り下げることはできませんから、大分前から緩やかに掘り下げていかなきゃいけない。そうすると、両側の町が分断されますし、沿道が利用できないということで、なかなか地元の皆さんの御理解が得られていないというふうにお聞きをしております。

 一方で、では、鉄道を高架させようか、これはまたすごいお金もかかりますし、時間もかかる。では、鉄道と道路を平面交差で踏切をつくればいいじゃないかという話があるんですが、実は道路法で、新しい踏切というのは基本的にはつくれないということになっております。

 そういう中で、この図をもう一度ごらんいただきたいんですけれども、実は、少し南のところに北新川一号踏切という踏切があります。次の資料三というのがその写真なんですけれども、これもまたちょっと印刷が悪くてわかりにくいんですけれども、この踏切というのは交差点の真ん中にあって、線路を斜めに横切っているという非常に変形の踏切でありまして、この踏切自体、非常に危ない踏切なんですね。

 この踏切を廃止して、それを西端線の延長上に持ってくるということであれば、一つの踏切を潰して一つの踏切をつくるということですから、踏切の数はふえませんので、こういうことであれば、私は、新しい踏切をつくるということには当たらないんじゃないか、これなら可能じゃないかと。

 もちろん、それには鉄道事業者の理解を得るということが大前提になりますけれども、一般論としてで結構ですので、こういうことが可能かどうかということについてお答えをいただければと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘ありましたように、道路と鉄道の交差というのは、基本的に、道路法でございますけれども、道路交通の安全の確保というふうな観点から、立体交差にするというのが原則ということになっております。

 ただ、交通量が少ない場合とか、あるいは一時的な場合というようなケースについては、平面交差とするというようなことも例外的に許容されているというところでございます。

 今御指摘の場所のことにつきましては、現時点で事業主体がまだ決まっておりませんので、余り確定的なことは申し上げられませんけれども、今申し上げましたような道路法の趣旨を踏まえながら、交差の方式につきまして、県、そしてまた碧南市、そして鉄道事業者、名古屋鉄道になりますけれども、さらに地元住民の方々の意見も大変大事であります、そういった中で合意形成を図っていくということが大事だというふうに考えております。

大西(健)分科員 ぜひ、その点についてまた、国土交通省中部地方整備局からもいろいろと御指導いただければと思います。

 次に、港についてお伺いをしたいというふうに思います。

 同じく碧南市に衣浦港という港があります。平成二十二年度、この衣浦港については、国の直轄事業を行う重点港湾に指定をいただきました。このことについては、国土交通省に心より御礼を申し上げたいというふうに思います。

 また、これはお手元に資料を配付させていただいているんですが、衣浦港の全体図なんですけれども、見ていただくとわかりますように、非常に細長い湾になっておりまして、対岸の半田側、そして碧南側、両岸にびっしりと企業が立地をしています。そういう意味では、余裕スペースというか、土地が余りない港になっているんです。

 そこで注目をしていただきたいのが、港の入り口にポートアイランドというのがございます。埋立地なんですけれども、北半分については既に埋め立てがほぼ完了しています。私は、なかなか余裕スペースがない衣浦港において、これだけまとまった土地が新たにできる、これをいかに活用していくかというのがこれからの衣浦港の発展を左右するというふうに思っております。

 平成二十五年度から新しい港湾計画が愛知県において策定をされると伺っておりますけれども、私は、南側の部分の埋め立て、これをちゃんと新しい港湾計画で事業化していただいて、そして、このポートアイランドをいかに活用していくかということについて港湾計画の中にしっかり位置づけて、それを国がしっかりと支援していくこと、これが重要だというふうに思います。

 もう一つの衣浦港の特徴、これは民間埠頭が多いんですね。八五%ぐらいが民間埠頭というふうに伺っております。港湾の選択と集中、特に国際コンテナ戦略港湾なんかにおいては、民間活力の活用ということを当時の前原大臣が繰り返しおっしゃっていました。そういう意味では、私は、衣浦港についても、民間活力をいかに活用していくかが重要になってくると思います。

 ポートアイランドの活用と、民間活力の活用、この二点について、衣浦港を国土交通省としてどう支援していくのか、お答えをいただければと思います。

室井大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先生いろいろと今説明をされましたけれども、まさに衣浦港は、周辺に自動車、飼料メーカーを初め、約五百社以上の事業所が立地をしております。愛知県の電力需要量の半分以上を供給する産業、エネルギーの拠点でありまして、先生もこの件に関しましては非常にやはり重要視されておるというお考え、よく御理解をさせていただいております。

 現在、衣浦港の港湾管理者である愛知県が衣浦港港湾計画検討委員会を設置しておりまして、その中で、地元の市、町や港湾の利用企業と連携をとりながら、沖合のポートアイランドの活用策を含めた衣浦港の将来の姿について検討されておるというふうにお聞きをしております。

 国土交通省としましては、港湾計画を踏まえた今後の衣浦港の施設設備については、その必要性を見きわめた上で、直轄事業、また補助事業、交付金事業などを通したあらゆる支援を検討していきたい、このように考えておるところであります。

大西(健)分科員 今、政務官からも、衣浦港についてはしっかり支援をしていくというお答えをいただいたというふうに思います。

 もう一つ重要なのは、昨年、東日本の大震災がありました。これを受けて、衣浦港についても地震・津波対策検討会議というのを中部地方整備局の方でしていただいています。私も第一回の会議に出席をしましたし、次の週末、第三回目の会議が行われます。このときも、再び船上視察をする予定になっております。

 その中で、今政務官にもお答えの中でお話をいただきましたように、ここに、愛知県の電力の半分を供給しています中部電力の石炭火力発電所が、この衣浦港の入り口の部分にあります。先ほど言っていただいたように、びっしりと企業が立地をしている。なかなか逃げ場がないんですね。ですから、いざ津波が来たとき、液状化したとき、逃げるところがない。私は、やはり人命の安全を確保するというのが一番の重要課題ではないかというふうに思います。

 今後は検討会議の報告が出てということになると思いますから、現時点で、今私が申し上げました人命の安全を含めた、衣浦港の地震、津波、災害に対する備え、その対策についてお答えいただければというふうに思います。

室井大臣政務官 お答えさせていただきます。

 衣浦港においては、昨年十月に、有識者、港湾管理者また立地企業関係者等から構成される衣浦港地震・津波対策検討会議を設置し、地震、津波対策に関する基本方針の策定に向けて検討を進めておるところであります。

 この衣浦港では、防潮堤などの防護ラインよりも海側に、先ほど申し上げましたように五百以上の事業所が立地し、約二万五千人以上の方々が就労しております。このため、これまでに二回開催された検討会議では、従業員の安全対策、まさに先生が御心配されている部分でありますけれども、事業の早期復旧方策等が喫緊の課題として議論をされておるところであります。

 今後、こうした議論を踏まえながら、情報提供体制の強化、津波からの避難先の確保といった避難対策、また発電所などの立地企業と協力した港湾の業務継続計画の策定等を内容とする、衣浦港における地震、津波の基本方針が検討会議において三月中旬にまとめられることになっております。どうか御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。

大西(健)分科員 私もしっかりと支援をしていきたいというふうに思っております。

 この図を見ていただくと、北の方に通称高浜緑地と呼ばれる埋立地があるんですが、この緑地については、港湾環境整備事業による埋め立てが平成二十三年度で完了します。ただ、これについては、今後、都市計画手続を経て、海に面した憩いの場の整備であったりとか、整備をした後には地元のイベント等に活用していくということになっているんですが、地元の、NPO渡し場かもめ会という、この地域で活動されているNPO、それから地元の芳川町内会からは、この埋立地をできるだけ早く使わせてほしいという御要望をいただいております。

 港湾環境整備事業については、事業仕分けの中で、レクリエーションに関する予算については、これはちょっと無駄が多いんじゃないかということで予算を廃止したと伺っております。そういう中で、今後、この埋立地、高浜緑地にフェンスとかトイレを設置して使えるようにしていくためには、社会資本整備総合交付金から整備をするというふうにお聞きをしているんですけれども、そうなると、場合によっては、埋め立てが終わって、もう使えるのかなと思ったら、それから一年ぐらい使えないということになってしまいます。

 地元で、この地域で海をきれいにするボランティア活動等を展開してこられたNPO渡し場かもめ会の中川会長は、国土交通省からも、みなとまちづくりマイスターということで表彰もしていただいている方なんです。そういう皆さんの熱意に応える形で、ぜひとも、せめてフェンスだけでも設置をして早く使えるように、柔軟な対応をお願いしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 衣浦港の高浜緑地につきましては、港湾管理者でございます愛知県によりまして、平成八年から港湾整備事業によって整備が開始され、平成二十二年から交付金事業に移管されて、整備が進められております。

 今年度で埋め立てが完了いたしまして、引き続き、植栽、休憩所、フェンス等の整備が行われる予定と聞いてございます。

 整備効果を早期に発現させるためにも、高浜緑地の早期供用に向けた交付金の活用や緑地の利活用方策につきまして、港湾管理者でございます愛知県、あるいは地元の高浜市、NPOの方々の主体的な取り組みが必要不可欠というふうに考えてございます。

 以上でございます。

大西(健)分科員 本当に、この渡し場かもめ会の皆さんたちはすごく活発に活動されています。そういう皆さんの熱意に応える形で、ぜひとも早く供用開始できるようにしていただきたいと思います。

 次に、私、民主党のITS議員連盟という議員連盟の事務局長をさせていただいております。ITSの技術については、日本は世界のトップクラスにあるというふうに思います。我々の成長戦略のインフラパッケージ型輸出の一つの有望な柱としても、このITSというのは位置づけられております。

 そういう中で、二〇一三年にITS世界会議東京というのが行われます。私、きょう、そのバッジをここにつけてきたんですけれども、ぜひ、国交省の大臣初め政務三役の皆さんにも、また近づいたらつけていただきたいと思うんです。

 このITS、日本は高度成長期において非常に、交通戦争と呼ばれる、あるいは大気汚染、そういったことを乗り越えて、高度な道路交通システムというのを確立してきました。今後は、アジアの国においては、本格的なモータリゼーションが進展をしてくる中で、交通死亡事故の問題、交通渋滞の問題、大気汚染の問題、そういった問題が大きな社会問題になってくると思います。これを解決できるのがこのITSという技術です。

 それからもう一つ、昨年、東日本の大震災において、民間プローブ情報というのを活用して、どの車がどの道を通ったかというのが、ITSの技術を使ってそういう情報を集約することができます。それと通行どめ情報を合わせることによって、どの道を使えば救援物資が運べるかということをいち早くホームページ上にアップすることができた。ITSが災害においても大きな力を発揮するということが証明をされました。

 こうしたことを踏まえて、この二〇一三年の東京会議、ここで日本の技術とこれまで培ってきた経験を世界に向けて発信して、そしてまた、世界で日本がITSにおいてリードしていくという大きなチャンスにしていかなきゃいけない。私はこれを官民一体で大成功に導いていかなければならないというふうに思っておりますが、国土交通省の意気込みというのをお聞かせいただきたいと思います。

室井大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 若い大西先生が事務局長として旗頭になって頑張っておられます。最高の敬意を表したいと思います。

 今先生がおっしゃられましたように、日本で行われるのが第三回目ですか、そして、このITSというのは、恐らく日本がナンバーワンといいますか、トップクラスであるということも聞いております。これを利用することによってあらゆる情報が集められ、また、災害に対しても、交通事情に対しても活用されていくと思っております。

 交通省では、八月に、インフラと自動車が協調し、交通の円滑化や交通事故の削減等を目指すITSスポットサービスを、先生おっしゃっていただいたように、官民連携して世界に先駆けて開始させていただいたところであります。

 また、東日本大震災において、NPO法人であります「ITS Japan」が、自動車メーカーの通行実績データと道路管理者の通行どめ情報を一つの地図に統合、公表し、緊急物資などの輸送に貢献をしたところであります。この部分、全く先生と同じ御説明でありますけれども。

 時間がございませんので端的にお答えいたしますが、十月に二十回のITS世界会議が東京で開催されるということでありまして、約三千人から五千人が集まってこられるということをお聞きしております。

 本世界会議を通じて、官民連携のもとに、さらに、先ほどのITSスポットサービスなどを含め、道路交通問題を解決するITSや、災害時などいざというときに役立つITSなどについて積極的に国交省も国もアピールをしていきたい、このように考えている所存でございます。

大西(健)分科員 ありがとうございます。

 私、これはもう本当に超党派で、我が国の成長にこのITSというのを結びつけていかなきゃいけないと思っております。野党自民党の方にも議連があるということで、お互いの議連で協力してやっていこうということで話も進めさせていただいております。我々国会議員も全面的にバックアップをいたしますので、ぜひとも国においても強力な御支援をお願いしたいと思います。

 時間がなくなってきました。

 最後に、資料の五というのをお配りさせていただいておりますが、これは、屋上駐車場の上に太陽光発電設備を設置している例であります。今後、再生可能エネルギーの普及拡大を促進させるということで、国土交通省におかれては、今回、建築基準法の容積率の緩和をこういう例について行っていただいたということなんですけれども、一方で、容積率緩和によってふえた部分について、固定資産税がその部分にかかってしまう。

 これは、せっかくいいことをやっても、駐車場をやっている方々からは、容積率緩和がされたので使おうかなと思ったら、その分、またその面積に固定資産税が加算されてしまうということで、やはりやめようということになってしまったということですから、そういう税制と、せっかくやっていただいている国土交通省の施策がちぐはぐになってしまっているというのが私は残念で仕方がないんです。

 ぜひとも、こういうことをやるに当たっては、政府部内において、縦割りではなくて、ほかの省庁ともよく連携していただいて進めていただければと思うんですけれども、時間が来ましたので、もしお答えがいただければ、簡潔にお願いできればと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、増加の著しい民生部門のエネルギー消費を削減するためには、こういった再生可能エネルギーの利用促進というのは非常に大事でございまして、住宅、建築物の省エネルギー対策というのは非常に大事になってくるというふうに思っております。

 御指摘のように、屋上などに太陽光パネルを設置する際に支障にならないように容積率の緩和等を行ったわけでございますけれども、これについての税の扱いということになりますと、恐らくは、パネルを屋根の上につける場合だと、設置方法とのバランスということが議論になるんだと思っています。

 いずれにしても、こういった再生可能エネルギーの普及に向けての促進策ということになりますと、設備設置の費用そのものに対する税財政上の支援でございますとか、そういったものも含めて、経産省や環境省などといろいろ詰めていかなきゃいかぬ、このように考えております。

大西(健)分科員 どうもありがとうございました。

村越主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、打越あかし君。

打越分科員 おはようございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、離島の問題について、時間の許す限り質問させていただきたいと思います。

 考えてみますと、日本は本当に島国であります。本土に住んでいる方々は時々、島があることを忘れてしまっているようなときがありますけれども、本土の周りに人の住む島があって、人の住むその島の周りに人の住まない島があって、そして日本の東西南北全ては島によって国境が形成をされ、私たちの国ができ上がっているということであります。

 私も、与党でつくります「島の振興」議員連盟の一員として活動させていただいておりますが、前田大臣もその熱心な会員の一人として御協力をいただいております。

 今、有人離島については、十年に一回の離島振興法改正ということで、人が住み続けられる島をつくるにはどうすればいいだろうかということをテーマにしながら、与野党、熱心に協議をさせていただいているというさなかであります。

 きょうは、この対象になっていない人の住まない島、無人島について少し質疑をさせていただければありがたいと思います。人の住まない島の現在の実情、あるいは取り組み、今後の課題というのが明らかになるような質疑になればいいかなというふうに思います。

 まず最初に、現在、無数にあると言われる日本の島、全国に島の数あるいは無人島の数がどれくらいあるのか把握しておりましたら、御答弁をお願い申し上げます。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、全国の島の数の把握というのは大変難しゅうございますけれども、昭和六十一年に、海図で周囲百メーター以上の島の数というのを調査したことがございまして、そのときの調査によりますと、百メーター以上の島が六千八百五十二島ございました。一方、その中で有人島につきましては、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島の五島に加えまして、平成十七年の国勢調査結果で有人とされた離島は四百二十一島ございまして、合計四百二十六島になります。

 これらの数値から計算いたしますと、周囲百メーター以上の無人島というのが六千四百二十六島となります。

打越分科員 六千四百余りの島が無人島であるということであります。

 恐らく、これは周囲百メートル以上ですから、周囲百メートルを切れているような小さな小島にあってはまだまだたくさんあるということになりますし、それ一つ一つが日本の領土、領空、領海あるいは経済水域を形成しているということは紛れもない事実であります。

 では、国土地理院の院長、来られていると思いますけれども、この中で、無人島六千四百二十六島と言われましたけれども、既に名前がついている、名前がついて国土地理院発行の地図にもきちっと掲載されて、国内、国外にしっかりと発信をされている、周知されているという島の数は一体幾つありますか。

岡本政府参考人 国土地理院では、国土の調査、測量を行っておりまして、電子国土基本図という形で、インターネットで二万五千分の一の地図を発行して公開しております。

 この中で、無人島について名前を表記している数というのは四千二百六十九になります。この中には、島とか岩とか瀬とか表記されているものもございます。

打越分科員 私の理解では、実は、無人島の中の大体半分ぐらいに正式の名前がついているというふうに思っておりましたけれども、まあ、瀬とか島とかいうのは名前になるのかどうかわかりませんけれども、それも含めて四千二百。残りの二千二百ぐらいの島には名前もない。ただ、恐らく、戸籍といいますか、どこどこ県の何々市町村の島であるという戸籍だけはしっかりしておかないといかぬのだろうなというふうには思いますけれども、きょうはそのことについては問いません。

 ただ、六千四百余り無人島がある中で、この島、いわゆる地政学的に見ても極めてこの島は重要であると思われる島がもちろんあることは間違いないだろうというふうに思います。今、日本の場合には、国土は小さいけれども、経済水域まで入れた海洋国家として見れば世界のベストテンに入ってくるというような国でありますから、特に、EEZの基点になる、あるいは国境を形成している、あるいは周辺に大きな資源を蓄えておる、こういった島については、非常に国益に寄与する重要な島であるというふうに考えられますけれども、この国益に寄与する島というのが一体そのうちの何カ所ぐらいあるというふうに政府は考えているのか。あるいは、さらに、この中で名前がついていないといったような島がいまだにあるのかどうか。

 これは、実はちょうど通告をしたら、週末、各新聞に、基点になっている島の命名が大体終わったという報道がわあっとなされたものですから、何かタイミングがいいなと思いましたけれども、同じ時期に中国側もまた、重なっているところについて命名を発表した、お互いに抗議をしたといったようなことになっています。

 何となく遅かったなという気も私はするんですが、海洋基本法によって、政権交代後、海洋政策本部を中心にして熱心にこれは取り組んできたというふうに私は理解をしておりますけれども、今申し上げたように、EEZの基点になるような島、あるいは国境を形成する島、重要な島が幾つあり、その中で名前がついていなかった島、そして最近名前をつけた島、その辺の状況について、これは海洋政策本部、よろしくお願いします。

吉田副大臣 打越先生の離島を思う気持ちというのは非常に大きいものがあるということを感じさせていただいております。

 我が国の排他的経済水域、いわゆるEEZ外縁を根拠づけております離島は九十九島ございます。そのうち五十島が、調査をしておりましたら、実はもう既に地域において名前がつけられておりました。

 地図、海図に名称が記載されていない四十九島につきまして、平成二十二年度に地元自治体への確認を改めて行いました。そのうち、十島につきましては地元での呼称が判明いたしましたので、昨年、平成二十三年五月に、記載する名称を決定したところでございます。今、議員御指摘のように、新聞等に報道されましたけれども、残りの三十九島につきまして同様に地元自治体への確認等を行い、本年三月一日に、記載する名称を決定したところであります。

 政府の方から問い合わせをして、こういう名前でと言ったところ、地元の方から、いや、もう既にこういう名前になっているんだ、地域ではこういうふうに名前が呼ばれるようになっているんだということを、しっかりと地元の方々にもヒアリングをさせていただきまして、これにより九十九島全ての名称が決定をした。そして、決定した名称につきましては電子地図において既に記載をしたということが、今お話にございましたように、マスコミ報道等になったのではないかなと思っております。

 なお、海図及びいわゆる紙の地図につきましては、版の更新のたびに順次記載をしていく予定でございます。

 以上です。

打越分科員 決定をした後は、国際的にもきちんと認知をしていただけるような情報の発信、記載、そういったものをきちんとやってほしいというふうに思いますので、今後の必要な処理を急いでほしいなというふうに思います。

 名前をつける、親元や戸籍がしっかりしているということは、ここまではもう基本中の基本です。領土であるというふうに主張する以上は、それすらやっていなかったということでは実はお話にならないわけでありまして、ここが基本。

 ここから先が問題なんですが、とりあえず、EEZで重要だと思われる九十九の島に絞りましょう。それ以外の島まで入れると切りがないですから。ある程度絞った上で、大事な島だ、無人島ではあるが大事な島だというふうに認知している島の中で、国またはその島を持っている地方公共団体が何らかの構築物、建築物をつくっています。例えば灯台一つでもつくっている、あるいは土砂流出防止だとか、そういったものの施設をつくっている。

 こういった施設が行われているような島、要するに、日本人の手によって何かつくったというものがある島は一体幾つあるんだろうか。そしてまた、それをつくらなくちゃいけないのではないかという声もあります。これをやる場合には、一体、今、国内法にあるどういう法律に準拠してやっているのかということについてもあわせて質問をさせてください。

吉田副大臣 ただいま御指摘いただきましたように、そういう地域の島でございますけれども、数的には事務局の方で掌握していましたら答えさせますけれども、基準点という形で、また灯台という形が出ているところもございます。

 代表的なものといたしましては、国境線、この国にとって重要なEEZの基点となっている島のうち、南鳥島及び沖ノ鳥島につきましては、排他的経済水域の保全及び利用に関する活動の拠点という大変な重要性の中で、活動拠点となるような港湾をただいま整備しているところでございます。

 具体的には、平成二十二年度から南鳥島におきまして、また二十三年度から沖ノ鳥島におきまして、国が施設の建設に着手をしているところでございます。多分御承知だと思いますけれども、これらのものは、低潮線保全法という法律に基づきまして、特定離島として指定した上で国が港湾整備をしているところでございます。

打越分科員 ほかの国々、竹島の例を取り上げたくはありませんけれども、竹島には集客施設までつくろうとしている動きもあるわけですけれども、本当に重要なところに、きちんとした戦略があってこれをちゃんとやっているのか。これは市町村任せにできる話ではないわけです。国全体を構成している重要な要件でありますから、国がこれを保全したり、きちんとした形で確保するという状況をつくっておく必要がありまして、ここについては若干、国内的な法律も手薄だったのではないかなという認識が私もあります。

 今後、この領土政策、国土政策あるいは周辺の資源を確保するという上からも、きちんとした、これを担保する法律というのが必要だと思うんですけれども、大臣、どうですか。この辺の認識について、ちょっと大臣のお考えをお聞かせください。

前田国務大臣 今までの御議論を聞かせていただいておりまして、もちろん、打越議員においてはこの離島問題等について、特にEEZを含めて海洋政策について非常に関心が深く、政策のリードをしていただいているわけで、敬意を表する次第でございます。

 そして今のお話でございますが、要は、海洋基本法というものを制定して、今、海洋政策本部というものも内閣につくっておるわけでございます。この海洋基本法の見直しの時期が迫っておりますので、端的に答えれば、委員の御指摘についてはこの見直しの中で、何が付加されるべきか、新たな法律が必要なのかどうかも含めて、今、議論はしていただいているところでございます。

 さらに申し上げれば、この面については、打越議員に代表されるように、超党派の国会における議論というものが熱心な先生方でなされておりまして、むしろ、この先生方の御議論を我々も随分と参考にさせていただくといいますか、リーダーシップを国会の方に発揮していただいているようなところもございます。

 いずれにしろ、日本の国が海洋立国ということにおいて、離島というものが日本のEEZの一番大きな拠点というようなことになっているわけでございますから、その辺のところをしっかり踏まえて、海洋権益の保全、海洋資源の開発及び利活用、そういったことについてさらに進めていきたいと思います。

 そこにおいて重要になるのは、やはり国民の海洋に対する意識といいますか、そういったものについても、もっともっと触発を図っていく必要があるのではないか、私個人はそのように感じているんですね。もうちょっと申し上げると、海洋立国なのでありますけれども、必ずしも日本国民一般に、海洋に対して非常に関心が深いということではありません。行政の側からいうと、もっと国民が海洋にアクセスしやすい、そういった施策も、この海洋基本法の中で何らかの形で反映をしていただければいいなというふうにも考えているところであります。

打越分科員 そのとおりだと思いますね。

 冒頭に触れましたけれども、本土に住んでいる方々は時々、日本が島国であることを忘れる、自分自身が島に住んでいることを忘れてしまうというような状態だと思います。しかし、現実に船に乗って、あるいは飛行機の上から日本を見てみると、まさに日本じゅうが島だらけ。それが本当にこの国をつくっている、その意識を持たなければだめで、国境に近いところの島に行きますと、改めて、その島が自分たちの防人を果たしてくれているということを感じるときがよくあります。歴代の内閣総理大臣も、やはり北方四島は半島に行って、あるいはその近くまで行ってみると、改めていろいろな意識が芽生えてくるということだろうと思います。そういった意識が国民の中にもだんだん希薄になっているということは指摘しておかなければならないと思います。

 そういう中で、今、無人島について質疑をしていますが、有人離島は振興法によって人が住み続けられるようにということを、今一生懸命模索をしている。しかし、現実には過去、尖閣なんかもそうですけれども、かつて日本人が活動し、拠点としていた島々の中で、既に無人化をしていったというような島々がたくさんあります。

 どうでしょうか、この一世紀ということで絞りましょう、一九〇〇年代に、日本の中で有人島であったものが無人島化してしまったという島がおおむね一体どれぐらいあるのか、お聞かせいただけますか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 過去一世紀という期間では、なかなか、有人島から無人化した島の数は把握してございませんが、昭和二十八年に施行されました離島振興法で指定された有人離島につきましては、その後、五十五島が無人化したと把握しているところでございます。

打越分科員 いろいろな、島に関心のある方々の話であれば、現在、有人離島が四百余りですけれども、この一世紀の間に半減したのではないかという説もあります。四百近く減ったのではないか。記録に残っていないということでありますが、逆に言うと、日本の官庁というのは、有人であるか無人であるかに対する関心がそれほど強くなかったということであります。

 やはり、いざ何か起きてみると、そこに日本人が住んでいるのか、住んでいないかということは極めて大事なことでありまして、もし尖閣のかつおぶし工場が今残っていたらいろいろな問題は起きていなかったんだ、そういうことは多くの日本人が理解をしているわけでありまして、人が住まなくなるということは非常に重大なことであるという認識がこれから、今まで以上に必要になってくる、そういうふうに思います。

 特に重要な島については、無人島であっても、例えば、間違いなく国の所有あるいは地方公共団体の所有にしておく、あるいは個人の名義になっておれば、何もない間に買い取って、きちっと国の施設を何かつくっておくというような必要が僕はあると思うんですけれども、この無人島の所有とか、あるいは買い取りとか、あるいは尖閣なんかは賃借料を払っているというお話を伺いますけれども、借り上げているといったような状況はどうなんでしょうか。

吉田副大臣 今、打越議員がおっしゃられるとおり、定住という部分。離島振興法の問題の中で、定住という問題が今出てきているというのは大変大きなテーマでして、これは、そういうふうな振興策をしていかないと無人島になってしまう。また、今御指摘のとおり、先ほど海上保安庁の長官の報告にもありましたように、本州も、数で言うならば島の一つというふうに数えていっているということ。これを私たちはやはり、もう一度再認識をしなければならない、そういうふうに思っております。

 もちろん、今委員御指摘のとおり、無人島というふうなものがあることによって、EEZ、世界で有数の大きな海洋権益を私たちは有しているということ、それをどう守っていくのかということ、非常に重要なことだと思います。

 今、この所有等につきまして御指摘ございましたが、EEZの基礎となる無人の離島につきましては、国の所有、地方公共団体の所有、もちろん賃借しているもの、民間が所有しているもの、そして持ち主がないという、無主という言葉がございますが、そういうものがございます。なお、無主につきましては、民法二百三十九条におきまして、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」というふうに規定がなされております。

 そういう中におきましても、離島の基本方針、また低潮線保全基本計画に基づきまして、EEZの基礎となる離島の低潮線周辺の無主の土地のうち、二十三地区につきましては、灯台等、海上保安庁が行政財産として所有する手続を平成二十三年八月に完了しております。それ以外の無主の土地につきましては、先ほど申しました民法二百三十九条に基づいて、今、所属という部分でいいましたら、財務省が所掌する国庫という形になっているということでございます。

打越分科員 所有の問題や構築物の問題も含めて、いわゆる金をかけるということではなくて、念を入れる。どういうところに出ていって議論をしたり何かのいさかいがあっても、しっかりと主張できる、あるいはそういう状況をきちっとつくっておくことで、さまざまなトラブルを未然に防ぐということが極めて大事だというふうに思います。

 離島は、今、国境という立場、あるいは人が住み続けながら日本を防人として守っていくという立場でお話をしましたが、もう一つ、大きな海洋資源あるいは海底資源といったものを有する大事な宝庫であります。特に水産資源についても、地域によっては極めて水産物が豊かで、豊かな漁場になっておる。例えば、尖閣周辺は台湾や中国の漁船が非常にたくさん集まるわけです。これは明らかに、あの地域は非常に豊かな漁場であるといったことが当然これにはかかわっているわけでありまして、そういった水産資源、海底資源等々について、これは海洋基本法でも極めて重要な位置として定めているというふうに私は認識をしております。

 現在、日本の島の周辺にあるさまざまな資源についての調査はどのくらい進んでいるのか。あるいは、例えばそれぞれの埋蔵量あるいは推定金額、こういったものについて、日本の消費エネルギーに対して何年分とか、そういったものがわかっている限り、ちょっと御報告いただけますか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘の中で、海底の鉱物資源あるいは資源関係について中心にお答え申し上げたいと思います。

 まず、探査につきましては、石油、天然ガスにつきましては、先生御案内の現在の鉱物資源開発計画におきまして、平成三十年度までに六万二千平方キロメートルの三次元物理探査を行うということになっております。現在、ほぼ予定どおりの一万九千平方キロメートルにつきまして三次元物理探査を行わせていただきました。メタンハイドレートの有望海域の抽出に取り組んでいるところでございます。

 また、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラストにつきましても、平成三十年度を目途に、商業化の検討に不可欠の資源量調査、探鉱のための技術開発を行わせていただいております。本年二月から白嶺の運航開始をさせていただきまして、沖縄及び伊豆、小笠原海域におけます海底熱水鉱床の有望地点の把握に拍車をかけていきたいというふうに思っております。

 また、今先生、資源量、埋蔵量、金額について何か指標がないかというお尋ねでございます。

 メタンハイドレートにつきまして一例を申し上げますと、東部南海トラフ海域におきまして、原始資源量、これは物理的に可採可能かどうかというよりも、資源の総量を規定したものでございますけれども、約一・一兆立方メートルということで、現在の年間の消費量に換算しまして、天然ガス十一年分ということに相当いたします。また、周辺海域全体では、産業技術総合研究所の研究者によりまして、百年分という試算が一つございます。二〇一一年のLNGの輸入金額四・八兆円をもとにいたしますと、十一年分は五十三兆円、百年分は四百八十兆円ということにそれぞれ相なります。

 また、金属鉱物資源については、大変難しゅうございますけれども、沖縄、伊豆、小笠原海域におけます海底熱水鉱床の鉱石量といたしまして、約五千万トンという推定がございます。これは世界的にも大変有望な鉱床でございまして、秋田北部の黒鉱の累積鉱石量に匹敵する、このような試算が一つデータとしてございます。

打越分科員 まだ十分に全ての資源を探査できている、把握できているという状況ではないと思いますが、大変価値の高い、特に日本はエネルギーというのが一つのアキレス腱になっています。そういったものを補う非常に重要なものがこの周辺にはあるということは、多くの国民は期待をしているわけでありますので、粛々とまずは調査を進めて、できるだけ早く商業化できるというめどを立ててほしいなというふうに思います。

 あわせて、そういったものであるだけに、外国との間で微妙な問題が起きてきますと、今度は、やはり資源に対する権益までおかしくなってくるということになってまいります。

 外務省が来ていると思いますけれども、どうでしょう、領土的な野心、あるいはそういった水産関係、あるいは地下の鉱物資源、さまざまな資源に対する野心等々も含めて、非常に今、外国が関心を持っているなと思われる島あるいは地域というのはどれくらいあるのかお示しをいただけますか。どういうふうに把握をしているのか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外務省といたしまして、当然のことながら、我が国の周辺水域、領海、排他的経済水域、また大陸棚におけます天然資源に関する主権あるいは主権的権利を国際法に基づきまして適切に保全するということは、極めて重要なことであるということで取り組んでございます。

 ただいま先生御指摘になりましたように、我が国周辺国との関係でも、よくこの資源をめぐってはいろいろ、先方の関心等もあるところでございます。

 一例を申し上げれば、東シナ海における資源開発に関しましては、中国との間で二〇〇八年に合意ができてございます。東シナ海の境界画定が実現するまでの過渡的な期間において、双方の法的立場を害さないということを前提に、東シナ海北部において共同開発を行うこと、それから、白樺の現有の油田、ガス田の開発に日本法人が参加すること、これらの合意を実現するための国際約束を締結していこうということで今進めておるわけでございます。

 この例に見られますように、我が国周辺水域において、周辺国との間でさまざまな話があるということが現状でございます。

打越分科員 時間がなくなりましたので、最後にちょっと一言申し上げたいと思います。

 やはり国内法でしっかりと整えるべきは整えて、例えば国境に対する島々、あるいはそういった資源を抱えている島々、そういったものについてどんなふうにこれから対応していくのかという法的な整理も必要だなというふうに感じているところであります。

 また、国内的に見ても、無人島は、実は国策としていろいろ活用できる可能性がある。人の住んでいる地域ではなかなかうまく解決できない、例えば産業廃棄物の最終処理場みたいなものも含めて、活用できる方法というのはいろいろな可能性があるというふうに考えています。

 ぜひひとつ、私どももそういった法令について、国会の方でも一生懸命また勉強し、提言させていただきますが、それぞれの所管においては、意識を高く持たれてそれぞれの業務に頑張っていただきますことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

村越主査 これにて打越あかし君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木(雄)分科員 おはようございます。民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、本四高速の料金の問題、また、高松自動車道を初めとする暫定二車線の四車線化の問題について質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、本四の料金について御質問させていただきたいと思います。

 そもそも、これまで橋の料金というのは、当初、私がたしか高校を卒業するころだったと思いますけれども、瀬戸大橋ができたころというのは、高くて、たしか基本料金が五千七百円だったと思いますが、これが次第に引き下げられてきました。

 平成十年に、五年間の時限措置だということで、これは国、地方の出資を平成二十四年までするという前提でまず四千六百円に引き下げられ、そしてさらに平成十五年に、今度は平成三十四年まで国、地方の出資を延長するという条件のもとで四千百円に引き下げられました。

 ただ、このときの地方分の出資について、実は必ずしも地方が納得していない、合意していないということで、今、たしか吉田副大臣に大変御尽力をいただいておりますけれども、調整会議ということで、国交省と関係の都道府県で調整が行われると承知をしております。

 さらに、これは自民党政権時代ですけれども、利便増進事業を活用してこの値段がさらに引き下げられて、いわゆる週末の千円割引というようなことも導入をされ、震災の影響があってこれが今戻って、現在、普通車二千五十円という形になっております。

 ただ、この利便についても今年度末で切れるということと、先ほど申し上げた出資について折り合いがつかないと、結局、もとの条件が崩れてしまうので、根っこの基本料金まで料金が引き上がる、戻ってしまうんじゃないかということで、今、調整が大詰めを迎えていると承知をしております。

 それで、まず最初にお聞きをしたいことがございます。

 それは、この二月十七日に国交省から、この調整を受けまして、今後の本四高速料金の基本方針というものが発表されたと承知をしております。その中には、平成二十六年からは全国共通料金とすることを前提に、当面の二年間については、普通車以下の土日祝日の料金は、陸上部についてはNEXCO並み、建設コストが高くかかった海峡部については、少し普通のものよりは高いけれども、他の区間と比べてそんなに高くないところにするというような、定性的な一つの方針が示されました。四国の皆さんも大変関心があるんですが、ただ、これでは具体的にどうなるのかよくわからないので、もう少しこの辺を具体的に教えていただきたいと思います。

 その際、我々いつも四国に住んでいる側からすると、三本も橋があって、高い建設コストをかけてつくったんだからそれなりの高い料金は負担してくれ、これはわかるところもあります。ただ、今、一般的な高速道路の料金というのは、たしかキロ二十四・六円で計算されて設定されていると思います。

 これは、確かに本四の道路というのは建設コストが高いんですが、調べてみますと、明石大橋の大きな橋を除く他の海峡部分の建設コストというのは、キロ二百九十六億円です。これで、一般料金の約十倍のキロ当たり二百五十三円が、今、計算上それで料金設定されている。

 ただ、この本四高速道路より実は建設コストが高い伊勢湾岸道路というのがあります。これはキロ当たり三百五十五億円もかけているんですね。キロ当たり三百五十五億円、さっき申し上げたように本四の方はキロ二百九十六億円なんですが、これより高い伊勢湾岸道路では、料金は一般料金の四倍のキロ当たり百八円に抑えられているんです。

 私は、今後この本四の料金を見直していく際には、例えば、少なくとも伊勢湾岸道路並みの一般料金の四倍ぐらいまで、これぐらいの料金で抑えられ、そこまで引き下げるべきだというふうに考えます。単純平均するとたしか千七百円ぐらいになると思うんですが、今後の本四の料金、特に当面のこの二年間どうなるかということについて、現時点での政府の方針をお聞かせいただければと思います。

    〔主査退席、大西(健)主査代理着席〕

吉田副大臣 玉木議員の御質問にお答えを申し上げます。

 二月十七日の調整会議、私は副大臣になって二度目の調整会議で、具体的に取りまとめをしようと。これは政府が一方的に押しつけて決めるのではなく、出資をいただいております関係各行政のトップの皆さんにおいでいただきまして、調整をさせていただきまして、取りまとめという形で基本方針というものをお出しさせていただきました。

 これはもちろん、高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめを踏まえているということ、そして今委員御指摘のとおり、NEXCO並みの全国共通料金の導入を目指す等の方針という形で国、地方が合意をしているということは御理解をされていることだと思います。

 そして、今御質問ございました、この橋の海峡部、いわゆる橋の部分についてですけれども、これにつきましては、今御指摘いただきましたように、コストが非常に、この明石海峡大橋の部分がどおんと突き抜けておりまして、ここの部分を本四道路会社としてどう持つのか。それぞれの橋を取り出していきますと、今お話ございました伊勢湾岸道路等とも、場合によっては安いというところも出てまいります。

 それゆえに、今回のこの基本方針の中で政府そして地方の皆様と合意をいたしました部分には、NEXCOの料金水準を参考に、他区間と著しく大きな料金差とならないよう配慮しつつ検討していくということで決めておりますので、この他区間という部分にさまざまなものを含んでいただければいいのかな、そういうふうに思っているところでございます。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。

 なかなか今の時点で具体的な数字をおっしゃることは難しいんだと思いますけれども、先ほど申し上げたように、建設コストが高いということで他の区間より少し高くするのはわかるんですが、今申し上げたように、伊勢湾岸道路は明らかに建設コストが本四より高い、それでも料金は本四より安く設定されていますので、こういったことの整合性を少し見ながら料金設定をしていただければということを、要望をぜひ申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、今、吉田副大臣がおっしゃったような中間取りまとめの中で、二十六年度から全国の共通料金を導入する場合には、この本四会社についてはNEXCO西日本と一体的な経営をしていくことが合理的だということが書かれておりますけれども、ということは、この二十六年から新しい料金体系になるときには、これは、本四とNEXCO西日本がある種合併するんだという理解でよろしいんでしょうか。この点についてもお聞かせいただければと思います。

吉田副大臣 今御指摘ございました本四会社の将来というふうな御質問でございますけれども、これは既に、高速道路株式会社法附則第二条におきまして、西日本高速道路株式会社との合併に関する規定が定められております。

 一応いわゆる条件等々はございますけれども、こういうふうなものが今回の基本方針の中でいろいろこれから具体化されていくということですけれども、こうして法律の附則の中に定められているということ、また、全国共通料金の導入に向けた具体的な実施施策については、今御指摘もございましたように、平成二十四年度末、ちょうど一年先を目途に取りまとめをすることとしておりますので、今後、鋭意検討を進めてまいります。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。

 今副大臣がおっしゃった高速道路株式会社法の附則第二条ですけれども、見ますと、本四高速株式会社については、同社が事業を営む高速道路に係る機構の債務が相当程度減少し、かつ、同社の経営の安定性の確保が確実になったときにおいて、その合併に必要な措置を講ずるというふうにたしか書かれていますので、これは、残りの二年間というか、今後の二年間の中で、今まさにこの附則に書いてあるような、債務を相当程度減少させること、経営を安定させることという、まさに合併に向けた条件がきちんと整うように、これは、国も地方もある意味力を合わせてこの条件を満たすように努力をしていく必要があるなというふうに思っておりますので、国としてもぜひ御尽力いただきたいというふうに思っております。

 この料金値下げをぜひ実現していきたいと思っているんですが、大変悩ましい問題は、料金を下げると他の公共交通機関に対しての影響というのが常に出てまいります。これは私、毎年分科会でこの問題を取り上げておるんですけれども、当初、橋をつくったときに、あれは特別立法までつくって、例の旅客船事業を行っている皆さんに対しては、総額七百億を超えるある意味での補償をしてきております。ですから、人によっては、もう今さらフェリーとかそういったものに配慮する必要はないんじゃないのかと言う方もいらっしゃいます。

 ただ一方で、先般発生をした東日本大震災などにおいては海上交通輸送の極めて重要な役割が再認識されたところでもありますし、南海地震、これは近々起こると言われていますけれども、海に囲まれた四国においては、いざというときの輸送手段、この海上交通は極めて大事だというふうに思っています。

 ですから、先ほど来お願いしています料金の値下げとあわせて、こういったことを行う際にはフェリーなどの公共交通機関に対しても何らかの配慮がやはり必要ではないかと思うんですけれども、この点について、ちょっと大臣の御所見をぜひお伺いできればと思います。

前田国務大臣 この問題は常に、今までの経緯の上でも、非常に重要な課題であると国土交通省も認識をしておりまして、今の段階で明確にどうこうと言うわけにはいきませんが、委員御指摘のように、フェリー等海上輸送の重要性というのも大震災以降改めてまた認識もされたところでございますので、その辺はよく受けとめて慎重に議論を進めてまいります。

玉木(雄)分科員 これは本当に非常に難しい問題だとは思います。あっちをとればこっちが立たず、こっちをとればこっちが立たずのようなことがあるんですが、ただ、どういう総合交通体系をつくるのかという大きな哲学の中で、私は、やはり最低限地域において保障すべき交通手段の多様性というのがあると思うんですね。道路だけやればいい、あるいは空だけ、空港だけやればいいじゃなくて、幾つかの交通手段のルート、多様性というのがやはり必要だ。これはバックアップという意味でも必要だと思っていますので、そういったことを踏まえて、特に、旧運輸省と建設省が今一緒になっているわけですから、まさに国土交通省としてそういう総合的な交通体系の中で施策をぜひ進めていっていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、引き続き料金の話をさせていただきたいんですが、少し地域性のある話を今からさせていただきます。

 瀬戸大橋は、実は、北から言うと櫃石島、岩黒島、与島という三つの島にかかってつくられた橋なんですね。橋ができるまでは、それぞれ本当に島でした。橋ができて以降つながったんですが、ただ、この三島に今もたくさんの方がお住まいになっておられます。彼らにとっては、この立派な立派な瀬戸大橋が、実は、通勤とか買い物とか、あるいは病院に通ったり、最近では介護の必要な方が利用されたり、まさに生活道そのものなんですね。

 ですから、島民の皆さんにとっては本当に毎日使う生活道として瀬戸大橋があるんですが、料金を払っておられます。ただ、これは配慮をしていただいて、今随分低い値段に下げているんですが、実は、橋ができて以降、島民の皆さんにとっては、生活道たる瀬戸大橋の料金の無料化というのが長年の夢なんですね。

 私、これを調べましたら、昭和五十五年の二月二十七日に、これは島民の方から実はいただいたんですけれども、覚書というか確認書というのがございまして、これを見ると、これは当時ですから手書きなんですね。確認書というのがありまして、誰と誰の確認書かと申し上げますと、本四公団の第二建設局の局長さん、吉田さんという方だったんですが、それと、当時の知事、そして坂出市長と、先ほど申し上げた岩黒島の自治会長さん、そこに坂出の市議会の議長さんが立会人となって確認した確認書があります。その中に、「通行料の無料化」という項目が二つ目の項目にあって、それに対する確認事項は、「公団、県、市で今後研究します。」となっているんです。

 しかし、私の調べた範囲では、この後、無料化に向けたそういった研究が国も入れて真剣に行われたということはなかったと私は思います。橋の建設以降、なかなかこの無料化については進んでこなかった。それが、二年前の政権交代で民主党が、これは島に限りませんけれども、高速道路の無料化という政策を掲げて出たときに、島民の皆さんも、島民の皆さんの橋の無料化については非常に大きな期待を寄せてくれたんです。

 私も幸いにも当選させていただいたので、政権交代直後、当時の前原大臣、また馬淵副大臣、長安政務官だったと思いますが、お願いをしまして、その当時、新たな交付金ができて、その効果促進事業を使って、それでこの無料化、実は数千万なんですね、年間にかかっている島民の皆さんの残余の負担分というのは。この効果促進事業を利用してできる仕組みを何とかつくっていただいたんです。

 ただ、これは、市や県から申請が上がってこないと実現できない。市や県からすれば、根っこの公共事業のところが今後肥えていくというか大きくなっていく自信がないので、なかなか効果促進を使ってやっていくのは自信がないというようなこともあって、結局申請をしてこられなかったんですね。

 ただ、私は、これは非常に大事な問題なので、ぜひ、離島振興という観点からも、県や市からの申請を待たず国の政策として、島民の皆さんについては生活道としての瀬戸大橋無料化をぜひ実現していきたいと思っておるんですけれども、この点について、島民の無料化について何か国としての仕組みをつくることについて、これは大臣、この点について何かお考えを、もしあればぜひいただきたいと思います。

前田国務大臣 玉木委員の今までの経緯をお聞きしながら、よく調べていただいているなというふうに感心をしていたわけなんですが、その当時の覚書、坂出市長、あるいは岩黒島ですか、そして県、その当時の関係者の熱意というものが反映されていて、しかし、そういったものがあったからこそ、今、島民の割引というものを関係者の間で、たしか八割ぐらいの割引率になっている、こう聞いておりますけれども、ここまで来て、さらに無料化ということについて、方向としてはそういう方向を目指しての議論が続けられてきたと思うんですけれども、離島の御指摘がありました。離島振興法の改正の時期にも来ております。そういった中で、さらにまた議論を深めたいと思います。

 ただ、一点申し上げれば、民主党政権になって、とにかく地方主権ということで、公共事業関係はもう随分と地方自治体に移してきているんですね。二十四年度予算においても、地域自主戦略交付金ですか、一括交付金、これが恐らく一兆円近くにまで、国交省からも二千何百億円か、相当提供したりしております。もちろん、社会資本整備総合交付金等もあります。

 そういう中で、確かに自治体にとっては非常に厳しい状況ではあるんですが、片一方ではそういう一括交付金的なものも相当用意をさせていただいておりますので、その辺の中身も含めて議論を進めていきたい、このように思います。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。

 私も、引き続き、坂出市や県については、大臣がおっしゃったような地域の裁量を生かした交付金、あるいはその効果促進事業、こういったものも積極的に使って、申請をぜひ上げてきてほしいというお願いをぜひこれからもしていきたいと思いますけれども、一方で、先ほどおっしゃった離島振興とか、国家的な観点からそういったところをどうするのか、こういう点も踏まえて、また引き続き国交省においても御検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 最後に、料金について問題点だけ一つ御指摘をしていきたいんですが、これは今、坂出市と本四会社の間の協定、覚書がありまして、実は、島民の料金の徴収業務については、坂出市が本四会社から請け負う形でやっている形になっているんですね。これは、民営化前の公団であれば国の事業を市が代行してやるということはわかりやすいんですけれども、民営化してしまった以降は、いわば一民間会社の料金徴収業務を市が請け負っているというような形に実はなっております。

 実は今、後納カードというのが島民の皆さんには出ておりまして、まず坂出市が全額立てかえて本四会社に払って、坂出市がそれを島民との関係で徴収していくということになっております。実は、未納等、未収金等も非常に発生しておって、市からは改善してほしいという要望が非常に出ております。同じようなことをやっている今治市の馬島というところがありますけれども、ここは、事前にプリペイドの十枚つづりのチケットをまず島民に買ってもらって対応する。市としてやっているのは、島民が確かに島に住んでいるという住民票の確認だけに市の役割はとどめているんですね。

 ですから、民営化した以降、とりわけ先ほど吉田副大臣からも話がありましたけれども、NEXCO西日本と今後合併していくような話があれば、こういったことについては少し整理をして、もう民間会社になったわけですから、余り市をかますことなく、きちんと民間会社として島民との関係の契約の中でやっていくということで一旦これは整理をすべきだというふうに思っておりますので、この点は御指摘をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、昨年二月二十五日の当分科会において、大畠前大臣からも、地方自治体からの要請があれば政府としても前向きに取り組んでいきたいという答弁もいただいておりますので、この点について、前田大臣のリーダーシップも発揮していただいて、改善に向けてぜひ省内でも検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 最後に、四車線化のことについて質問をさせていただきたいと思います。

 本当にちょうど私の選挙区に重なっているんですけれども、高松自動車道には、かなり長い区間、暫定二車線区間があります。これは私自身よく利用するんですけれども、片側一車線というか、やはり対面で高速ですれ違うのは私自身非常にひやっとすることがありまして、実際、正面衝突などの重大な死亡事故も発生しております。事故が起こったときに、本当にすごい渋滞をしますし、通行どめの時間が長くて円滑な交通の妨げになることは、私自身、これは身をもって感じております。去年の九月の台風十五号があったときも、徳島の板野インターチェンジから鳴門インターチェンジのまさに暫定二車線の区間というのは、二週間通行どめになったんです。ですから、これは本当に、高速道路が高速道路としての役割を果たすためにも、この四車線化はぜひ早期に実現したいと私は思っているんです。

 これは経緯がありまして、自公政権時代に、補正予算で全国六区間をやるということに決めました。政権交代が起こって、一旦これを執行停止しましたね。ただ、その後、民主党政権下で再検証して、その六区間のうち四区間については、民主党政権下でも、これは必要性があるということでゴーサインが出たわけであります。しかし、残念ながらその関連する法案が通らなくて、今日に至るまでこれが着工できていないということです。

 私が今心配しているのは、南海地震がそう遠くないうちに起こると言われている中で、四国は、多分、津波が来たら、地理的な条件の中で高知とか徳島は一定程度被害が出る、これは仕方がないと思うんですね。そのときに、瀬戸内側にある、例えば香川県からさまざまなそういう補給ルートを伸ばしていくとか、支援をそこから出していくという中で、道路、特に高松自動車道は非常に大事な役割を果たすというふうに思っております。

 先ほど来申し上げているように、民主党政権においてもやるというふうに決めたわけでありますから、ぜひこの四車線化については早期に実現するよう、大臣のイニシアチブで進めていただきたい。

 加えてこれは、自公政権下と違って、民主党政権下でやろうとしたのは会社方式による整備なんですね。つまり、地方負担を求めることなく整備をすることができるということで、これも当時、非常に地方の期待もあったわけであります。

 ですから、ぜひこれは早期に着工していただきたいことと、あわせて整備手法についても、地方の負担を求めない方式でしっかり整備をしていただきたいということを思うんですけれども、この点について大臣の御所見をいただきたいと思います。

前田国務大臣 経緯については、玉木委員が今御指摘されたとおりでございます。これまた、東日本の大震災の教訓、反省を踏まえて、やはりしっかり車線を確保しておくことが、そういった大震災等における安全の確保、あるいは多重防御というような観点からいっても重要かと思います。

 そういう意味で、四車線化、全国で六区間ありますけれども、高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめを踏まえ、高速道路の利用者負担による、要するに会社がやるということを前提にしながら、もちろん国としても知恵を出すことができますし、さらに言えば、四車化を前提にして用地買収もしてありますし、そして重要な構造物なんかは基礎だとかそういうのもやっているわけですから、コスト的にいうと、二車を四車にしたから倍かかるかというと、そういうことではないわけであります。その辺のところも踏まえて、なるべく四車化というものをスムーズに実現するように検討を進めたい、このように思います。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。ぜひこれは、積極的に、前向きに進めていただきたいというふうに思っております。

 今大臣からお話があったように、利用者負担を求めながらやっていくということは、私は正しい方向だというふうに思っています。先ほど来、料金の話もさせていただきましたけれども、民主党が高速道路の無料化ということを出したときにおかしいと言われたんですが、実は、現行の高速道路の整備も、期間は四十五年とか五十年になっていますが、最後は償還が終わったら無料を前提にやっているんです。ですから、いずれにせよ無料化になっていて、いつするかの問題なんですね、実は。

 ただ、私は、今もう財政も非常に厳しくて人口が減少に転じている中で、例えば、償還が終了した後もやはりメンテナンスのためのコストはかかるわけですから、ですから、償還が終わった後も薄く利用者負担を求めていくような、実はこれは根本的な高速道路整備のあり方の変更を伴うものなんですけれども、新しい時代、今までのように人口もふえ税収もふえていく時代ではない時代に我々は突入する。そんな中で、持続的なインフラ整備、維持をしていくためにはどういう利用、そして負担のあり方が適切なのかということまで少し踏み込んで、新しい料金のあり方、そして整備のあり方をぜひ考えていっていただきたいと思いますし、そういった一貫性のある政策の中でこの四車線化についてもしっかりと早期に整備を進めていただきたい。そのことを最後にお願い申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大西(健)主査代理 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部分科員 おはようございます。社民党の服部良一です。

 冒頭、まず前田大臣にお聞きいたします。

 前田大臣とはCOP10で初めて御挨拶をさせていただきました。大変環境に御熱心な先生ということで承知しておるわけですけれども、海洋政策担当大臣としての前田大臣に、洋上の風力発電の普及の問題について質問させていただきます。

 私は、昨年、超党派で博多湾の海に浮かべるタイプの洋上風力発電を視察してまいりました。そして、九州大学とか福岡市あるいは環境省からも、いろいろ現場でも説明を聞いて大変感銘を受けて帰ってきたわけですけれども、こういった浮体型の洋上発電を含む洋上風力発電の普及について、大臣の決意といいますか、所見といいますか、あるいは公有水面でもありますので、この普及のためにどういうハードルがあるのかということも含めて概括的に大臣の夢のある話をお聞きできればと思います。

    〔大西(健)主査代理退席、主査着席〕

前田国務大臣 服部先生が、風力発電、特に洋上風力発電について熱心に取り組んでいただいているということは、まことに力強い限りでございまして、敬意を表します。

 私も海洋政策担当ということになっているわけでございまして、先ほど来、EEZの問題であり、この委員会において非常に大きな関心事として議論されていることに、私自身も力強く感じるわけでございます。

 ところで、御指摘の風力発電なんですが、私自身の受けとめ方からすると、技術的にはすばらしいものが日本にはあります。御指摘の、洋上の浮体の発電、九州大学なんかが一緒になってやってくださっている、多分世界の先端を行くような技術的に高度なものであると承知をしております。

 しかし、概観と言われたので言うと、欧米に比べて随分見劣りいたしますね。実質的には、風力発電の比率というのは、中国等も含めて、これは陸上が多いんでしょうけれども、日本は相当おくれをとっている、そういうふうに認識をしております。

 何が大きな障害になっているか。一つは、三・一一のあの大震災が起こるまでは、こういう自然エネルギーというものは、端的に言うと、大きな電力会社、さらに言えば経済産業省においても、いわば主力ではない、マイナーなものであると言っても過言じゃなかったと思うんです。だからこそ、固定価格買い取り制度等についても随分と時間を要して、やっとこの七月からということになっているわけです。

 そのほか、特に海上風力発電ということになりますと、環境影響評価であったり、海上のいろいろな権利、特に漁業権との調整であったり、こういったことを考えると、相当時間のかかることになります。そんなことも考えますと、もっとゾーニングで、いわば国家計画とは申しませんが、広い海域においてこういう洋上風力発電をどう位置づけるのかといったようなことの根本議論も必要になる、こう思います。

 しかし、今の段階では多分国民の理解がそこまでまだ来ていない、こんなことを言うといささか言い過ぎかもわかりませんが、そのぐらいの私は危機意識を持っておりまして、これから国民的議論を、国会を通じてむしろこの意識を高めていく必要がある、このように考えております。

服部分科員 どうもありがとうございました。

 風力発電については、片や電磁波の問題もあったりします。ヨーロッパでは、特に海に、洋上ということで、ヨーロッパは非常に遠浅なので着床型の風力が設置しやすい。日本の場合、そういうこともあって、博多湾で今実証実験をされている浮かべるタイプ。これは海洋牧場みたいな、だからそこに魚も寄ってくるという効果がある。いろいろ御説明もいただきまして、なかなかいいなと率直に感じました。そういったことも含めて、ぜひ大臣にも頑張っていただければというふうに思います。

 続きまして、これまた大臣の地元の話です。

 私も社民党近畿ブロックで衆議院に送っていただいておりまして、今住まいは大阪なんですけれども、近畿ということで奈良にもよくお邪魔をさせていただいております。昨年の十月に、台風十二号、十三号の被害に伴う水害の現場を、奈良の我が党の県会議員あるいは前県会議長の川口県議等々と一緒に、社民党も台風の水害状況の視察をしてまいりました。

 大臣はまさに地元であられますので、よくよく地元の事情は御存じなわけですけれども、今回、この災害からの復旧復興を考える上で幾つかの問題点が明らかになったというふうに思っております。

 その中の一つが、国道百六十九号、百六十八号のいわゆるアンカールートと言われている道路の整備、あるいは南部の道路の整備ということなんですけれども、今回の水害被害に加えて、近々起こるであろうと言われている連動地震、紀伊半島は海端にずっと道があるわけですけれども、これが万が一津波の被害ということになりますと、一体ここはどういう形で逃げるのか、あるいは復興させていくのかという意味では、この縦の線、アンカールートをどう整備していくかということが非常に重要な問題であるということを、地元も非常に切迫感を持って今感じているわけです。

 その中で、特に国道百六十九号線の新伯母峯トンネルは、天井が低い、雨漏れ、道路も狭い、大型バスが通れないで迂回をせざるを得ない、しかも補修費に県の方も大変なお金がかかっているということもあり、ぜひ国の直轄権限代行による新規事業に踏み切って、そういう意味では今後起こると予想される震災対策も含めてやっていただく判断が必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、そういったことも含めた総括的な御意見をぜひ大臣からお聞きしたいと思うんです。

吉田副大臣 今委員御指摘の新伯母峯トンネルは、奈良県吉野郡川上村と上北山村を結ぶ延長約二キロメートルのトンネルでございます。御指摘がございましたように、幅、高さとも足りておりません。大型車のすれ違い等ができ得ない状況という中で、しかし、さはさりながら、奈良県南東部と三重県東紀州地域を結ぶ幹線道路であります。もちろん、そういう中で、国道百六十九号の中でも難所の一つになっている。これは各方面からも御指摘をいただいているとおりでございます。

 このため、国道百六十九号の管理者である奈良県において、奈良県南部地域における百六十八号、百六十九号などの幹線道路に関し、災害時における安全、安心も含め必要な機能の確保について検討を行っているものと理解をしております。

 国土交通省といたしましては、奈良県の検討結果も踏まえ、必要に応じ支援を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。

服部分科員 ぜひ支援を、その中身がもう一つようわかりませんけれども、具体的にぜひ踏み込んでいただければというふうにお願いを申し上げます。

 それから、視察に行ったときに、膨大な量の土砂が川に埋まっていて、これを取り除くのに十年かかるぞというようなことも現地では声が出ておったんですけれども、これの対策については今どういう展望をお持ちでしょうか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、今回、台風十二号によりまして、紀伊山系では約一億立方メートルともいう膨大な土砂が発生し、支川や渓流に流出してございます。特に熊野川においては全川にわたり河床が上昇し、山腹崩壊が特に著しかった奈良県の五條市大塔町から十津川村にかけては、局所的にではございますが、川底が十メートルも上昇しており、緊急的な対策が必要というふうに認識してございます。

 その箇所につきましては、奈良県が出水期までに通水断面、洪水が流れるような断面を確保すべく災害復旧事業で河床掘削を今進めてございます。そのほかの箇所につきましても、奈良、和歌山、三重県がそれぞれ河床掘削を実施しており、引き続き国交省としても迅速な復旧を支援してまいりたいと思います。

 特に、土砂の量が多うございますので、この処分地というのが大きな課題となってございます。これにつきましては、国、県、関係市で構成する連絡調整会議でその処分地の確保を進め、迅速な復旧に努めてまいりたいと考えているところでございます。

服部分科員 地球温暖化の影響なのかどうかわかりませんけれども、非常に集中豪雨が降りやすい状況になっていまして、今後来るであろうそういったことも含めて迅速な対応をぜひお願いしたい。

 同時に、新たなこういった警戒監視あるいは避難システムをどうつくっていくかということも非常に地元の関心事でございまして、その件についてはどうでしょうか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の台風十二号による災害経験を含め、御指摘のように大規模土砂災害の監視・警戒・避難システムをつくっていくということは極めて重要でございまして、現在、奈良県でこういった場を設けておられまして、国交省としても、担当官あるいは研究者を派遣してこういった監視に関しての技術的助言を行っているところでございます。

 さらには、実際に、山に振動センサーあるいは衛星画像など最新の技術を駆使して大規模崩壊を監視、警戒する、いわゆる大規模崩壊監視警戒システムを世界で初めて紀伊山系に導入したいというふうに考えてございまして、出水期までには、特にこの大規模崩壊が集中した五條市大塔町、十津川村、天川村、こういった地域において試験的に、試行的に導入を出水期までに行いたいというふうに考えているところでございます。

服部分科員 ぜひ地元ともよく御相談いただいて、国の方もしっかりとした対応をよろしくお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、阪神大震災の借り上げ復興住宅の問題について質問をいたします。

 私も、震災後、神戸市役所前で被災者の集いというのがずっと十何年か持たれてきたんですけれども、その実行委員長を十一年間やってきまして、特に、生活、いわゆる住宅の問題なんかが大変深刻な問題となってきたわけです。

 その中で、借り上げ復興住宅、約八千戸あるわけですけれども、もともと民法の六百四条によって賃貸借契約が最長二十年とされておりましたので、当初この借り上げの期限を二十年として期限が設けられていたわけです。ところが、一九九九年にいわゆる借地借家法が改正をされて、この二十年期限というのはこういう建築については適用外になりました。

 今どういう問題が起きているかといいますと、まず、入居した人が期限が二十年だということを余り認識していなかった、知らなかったという方が非常に大勢おられるわけです。そして、今、神戸市が、二十年で出ていってほしいということで方針を立てておられるので、現場では大変な不安、混乱が起きているわけですね。御存じのように、六十歳以上の高齢化率が六五%、それから生活保護世帯が四五%。

 大臣、神戸大震災の孤独死というのは、何人ぐらい出たか御存じないですか。約千名ぐらい出てきているわけですね。ですから、経済的にも精神的にも、震災からやがて二十年たつわけですけれども、今さら出ていけと言われても、年はとっている、皆さん、もうそういう力はないわけですよ。半分ついの住みかと思って生活されているところに、二十年だから出ていきなさいと。

 兵庫県とか伊丹とか西宮とか尼崎は、検討協議会をつくって、来年度中ぐらいには検討しましょうということなんですね。宝塚市は、そのまま継続でどうぞと。自治体の対応も分かれているわけなんですよ。それで、神戸市は出ていけ、こういうことなんですね。

 ですから、これは私は非常に人権の問題だというふうに思っておりまして、国としてはそれは神戸市が決めてくれたらいいんだという考え方かもしれませんけれども、これはぜひ国としてもリーダーシップを持って、本当に大変な状態にならないようにやっていただきたい。そういう意味で、大臣、この件はどうでしょう、お考えをぜひお聞きしたいと思います。

前田国務大臣 委員の御指摘のことですが、神戸市の対応については、委員も御承知と思います。他の公営住宅等をあっせんするだとか、いろいろ考えているんだろうと思います。

 ただ、基本的に国土交通省として考えているのは、東日本大震災の反省ということもありますし、私が大臣就任以来申し上げている持続可能な地域づくりということであります。そして、神戸市の震災の住宅ということは、もちろん、東北のこれからの復興についてもやがてそういう事態にならないような持続可能なものにしていかなければなりません。特に震災がなくとも、日本の都市といいますか、ニュータウンがオールドタウン化していって、その先はということがあります。どんどん人口も減っていき、超高齢化して、住宅自体も老朽化していく、それをどのように再生していくのかというところにもかかわってくると思います。

 結論として、議員が心配なさるような、コミュニティーが壊れてしまうだとか、高齢者が非常に不安なままで何か全然違うコミュニティーに移らざるを得ないだとか、そういうことにはならないような持続可能なまちづくりという面で、神戸市さんなんかは大きな政令市でもありますから、その辺のところはよくおわかりいただいていると思いますが、これは御相談をしながら進めてまいりたい、こう思います。

服部分科員 現場の細かいことはなかなか国から見えにくいところもあるとは思うんです。つい一月にシンポジウムがございました、そういう住宅の皆さんが集まって。私も、ちょっと来いということで行かせていただいて、いろいろお話を聞いてきたんですけれども、やはり非常に切迫感、切実感がございます。八十四歳のおばあさんが、出ていけと言われたら上から飛びおりると。それは半分冗談でしょうけれども、半分本気とも受けとめられるような状態なんですよね。そういう意味では、単に神戸市任せにするんじゃなくて、ぜひ国としてもリーダーシップを発揮していただきたい。

 東北の震災と比べますと、東北は持ち家率が非常に高いわけですね。副大臣もよく御存じのように、大阪とか都市は、本当に単身者、しかも高齢の単身者が大勢住んでおられて、そんな中で地震が起きて、今、そこがずっとそのまま復興住宅で皆さん苦労されているということですから、やはりその実態をきちっと直視して対応をお願いしたい、繰り返しになりますけれども、お願いしておきたいと思います。

 続きまして、ポーラスコンクリートの件についてお聞きをいたします。

 ポーラスコンクリートの環境性ということについて私は非常に注目しておりまして、特に排水性、透水性、保水性において、アスファルトとか従来のコンクリートと比較しまして、環境を重視したインフラ整備、地域づくりに非常に役に立つのではないかというふうに考えているわけです。

 特に、生物多様性社会を前提とした海洋牧場づくり、あるいは沿岸域や河川護岸の整備、それから道路ののり面の緑化などに大きな役割があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、国として、今どのような議論になっているのか、考え方、検討状況、今後の展望について御所見をいただければと思います。

吉田副大臣 委員御指摘のように、近年、都市部のヒートアイランド現象というものが大変大きな問題となっております。道路事業におきましても、舗装面の温度の低減を図っていくために、御指摘のとおり空隙率の高い多孔質性のコンクリート、いわゆるポーラスコンクリート舗装もその対策候補の一つであると認識しているところでございます。

 一方、ポーラスコンクリート舗装につきましては、いわゆるアスファルト舗装、通常の舗装に比べてコストが非常に高いということ、それから、経年変化によりまして温度が低減する効果が減少してしまうという課題があるというふうなことも考えているところでございます。

 そこで、ポーラスコンクリート舗装につきまして、直轄国道におきまして、四カ所で試験施工を行っておりまして、温度低減効果の経年変化やコストの動向等の把握に努めているところでございます。

 ポーラスコンクリート舗装につきましては、引き続き、温度低減効果等の把握に努め、その導入につきましては、試験施工における結果やコスト等も勘案しつつ対応してまいります。

服部分科員 それでは、最後に、港のいわゆる津波対策の問題、この件についてちょっとお聞きをいたします。

 東北大震災は津波ということが非常に注目されているわけですが、震災直後に福島県の小名浜港に行ってまいりました。小名浜港は、地震で大変な被害状況になっておりまして、岸壁が全然使えない、陥没もしておりましたし、改めて地震による被害の状況というものを認識させていただいたわけです。

 今後、いわゆる東海・東南海・南海、あるいは三連動じゃなしに五連動とかいう話もありますけれども、そういう巨大地震に際して、特に港で働く労働者、あるいはその避難の問題、これは一体誰が責任を持つかということが若干まだグレーになっているのではなかろうかというふうに思いまして、その辺についてちょっと御質問をさせていただきたいと思うんです。

 まず、地震が発生した場合に、港湾で働いている人に対する通報とか避難の指示というのは、誰の責任でどのように行われるんでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 津波発生時におきましては、市町村長が、災害対策基本法に基づきまして、避難勧告や避難指示を行うことになっておりますけれども、港湾管理者も協力しまして、避難に関する地震、津波対策の対応を図っていく必要があるというふうに考えてございます。

服部分科員 港湾管理者ということだったんですけれども、港湾管理区域の避難については港湾管理者が行うべきだ、そういう理解だと思うんですけれども、例えば名古屋港の場合、行政区域としては名古屋市、東海市、知多市とか四市一村にまたがっている、あるいは港湾管理組合は愛知県と名古屋市によって構成されているという現状がありますけれども、こういった場合は一体誰が責任を持って港で働く人の避難計画を立てるんでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 各管理者がまたがるケースもございますけれども、先ほど申しましたように、基本的に、避難勧告、指示というのは、それぞれ当該の港湾の市町村長がなされるということになってございます。

服部分科員 当該のというのは、例えば、またがっている場合はそれぞれで出すということですか、一つの港に対して。何かちょっと、私的には理解がしがたいところがあるわけですけれども、そういう縦割りの行政で混乱しないかということもあるじゃないですか。例えば名古屋市は出したけれども、隣の東海市は一時間ほどおくれたとか、そういうことがあってはいかぬと思うんです。そこは、ぜひ国としてはもう一度その体制も含めて考えていただく必要があるんじゃないかと意見を申し上げておきます。

 それから、津波警報が解除されていないにもかかわらず、今回の東日本大震災のときですけれども、解除されていないのに港湾の荷役作業を続けているという港があったわけです。作業を中止し、避難するよう勧告または命令する権限を港湾管理者は持つべきではないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御質問につきましても、先ほど答弁いたしましたとおり、それぞれの港湾における港湾の労働者あるいは利用者の避難の指示というのは、当該市町村長等が災害対策基本法に基づきましてしていただくということになろうかと思います。

服部分科員 現場でそういう状態になっていたということの御認識はあるわけですか、現状として。まあ、これは現場がそう言っているわけですけれどもね。

 要するに、大津波警報が解除されていないにもかかわらず、作業は港で続けているという、これは誰が責任を持つんですか。

山縣政府参考人 実態としてどうなっているかということについては、また管理者等もいろいろヒアリングをして検討させていただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、避難をどういう形でやっていくのか、これにつきましては、管理者さんとも一緒にこれから考えていきたいと思ってございます。

 以上です。

服部分科員 ぜひ御検討いただきたいんですけれども、東海・東南海・南海地震による津波到達時間は今回の東日本大震災より短いんじゃないかという想定の中で、五百メーター以内に避難場所がないといけないというふうに言われているわけですけれども、港についてはこの対策はどうされるんでしょうか。

吉田副大臣 服部議員の御指摘、さまざまあったと思いますけれども、もちろん、津波が到達するまでに港湾の労働者であったり利用者の方が避難するというのは最大限重要なことでございます。また、それに向けての施設、今御指摘ございましたように時間との関係もございます、ですから、できるだけ高い建物と高い逃げ場の建設も必要になってくるかと思います。

 今、港湾における具体的な避難計画につきましては、各港湾の状況に応じて港湾管理者が策定することになっております。国土交通省といたしましては、港湾における避難に係る情報連絡体制の構築や、津波避難施設の適切な規模、配置などを内容とする指針を早急に策定いたしまして、港湾管理者が避難対策を計画的に推進することを支援してまいります。

 以上でございます。

服部分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、その策定に当たっては、現場で働いている方々の声がきちっと反映できるように、やはり現場を一番知っている方は現場で働いている方なんですから、そういう方の声がきちっと反映できるような形でぜひ計画を立てていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

村越主査 これにて服部良一君の質疑は終了いたしました。

 次に、矢崎公二君。

矢崎分科員 皆さん、おはようございます。民主党・無所属クラブ、長野県の矢崎公二でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 さて、昨年は、三月十一日の東日本大震災、あるいは台風被害、私の地元長野県では、栄村が震度六の地震に襲われるということで、本当に大変な被害を受けました。前田大臣初め国土交通省の皆さんには、精いっぱい、全力で、被災地の復旧復興のために御尽力をされていることに心から敬意を表したいと思います。

 その上でお伺いしたいんですけれども、昨年の自然災害を受けて、国土交通省の役割、その重要性が改めて認識されたというふうに考えております。まず、国土交通省の最重要の使命をどういうふうに考えるか、御答弁をお願いします。

津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 まさしく、災害等々で大変地域の人たちは困っている。その中で、私ども国土交通省の果たす役割というのは非常に大切なものがありますので、これらの地域の住民の皆様、あるいは被災を受けた皆様にしっかり応えられるように頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 私は、国土交通省の最重要の使命というのは災害に強い国土づくりだというふうに思います。

 平成二十二年度の国土交通白書はこういうふうに書いてあります。「被災地の復旧・復興のみならず、今後発生すると想定される巨大地震を念頭においた取組みを進めることとしており、災害への対応力を高めた国土基盤の整備や、国土全体、地域全体として災害に強いしなやかな国土の形成、広域的観点からの国土政策の検討を進めることとしている。」と明記をしております。災害に強いしなやかな国土の形成、私は、やはり地道に地域のインフラを整備する、それは欠かせないのではないかというふうに思います。地域のインフラを整備することによって、加えて、地域の振興や活性化を実現する大きな力になるというふうに考えております。

 その上で、きょうは地元の話が中心になりますけれども、長野県の中南信、そして木曽地域の交通基盤の整備について、国交省の意気込み、考え、対策をお伺いしたいと思います。

 質問は五つありますけれども、一つはJR中央東線の高速化について、二つ目はJR中央線と国道二十号の交差点の解消について、三つ目は国道二十号バイパスの建設促進、四つ目は恵那山トンネルの危険物積載車両の規制について、最後になりますが、五つ目は震災の影響で沈んだ観光地の振興についてお伺いしたいというふうに思います。

 それでは、まず第一の中央線、特に中央東線の高速化についてお伺いをいたします。

 中央線は、皆さん御存じのように、長野県と首都圏、さらには中京圏、関西圏を結ぶ交通手段というばかりではなくて、今後、本当に危惧をされている大規模な東海・東南海・南海地震の発生時には、東海道新幹線の代替補完として、さらには首都圏と関西を結ぶ大きな大動脈となる路線というふうに私は考えております。

 国交省の方では、北陸新幹線、整備新幹線の建設の促進や、あるいは四月に開通をする第二東名を、いわゆる代替路の大きな柱にしていると思いますが、私は、中央線の役割も非常に強いというふうに思っております。中央本線、中央東線の代替ルートとしてどのような御認識があるか、お伺いしたいと思います。

久保政府参考人 先生御指摘のように、JRの在来幹線であります中央線については、中央東線、中央西線とも、先生御指摘のように、重要都市を結んでいくという意味で、国土の連担について非常に効能のある路線だと我々は認識しております。

矢崎分科員 久保鉄道局長、ありがとうございます。

 実は、中央東線については、いまだに単線区間がございます。中央東線というと、新宿から塩尻を経由して松本へとつながる路線ですけれども、その高速化というのは急務だというふうに考えております。いまだ単線区間というのは、諏訪市の四賀、それから、大臣いなくなりましたが、大臣が時々足を運んでいる岡谷、その約十一・五キロ区間、これが単線の区間でございます。このため、減速を強いられ、何か通行が乱れた場合には上下線がとまってしまうということで、地元ではこの単線の解消というのが大きな悲願になっております。

 国としては、この単線区間の解消についてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。

久保政府参考人 中央東線の先生御指摘の区間については、御指摘のとおり、単線区間でございます。また、地元からいろいろなお話、御要望が上がっていることも我々は承知していますし、重要なことだと思っています。

 一般的に在来線の複線化についてなんですけれども、先生いろいろ御承知だと思いますけれども、対象区間の輸送需要の動向だとか収支採算性などを総合的に勘案して、まずは鉄道事業者さんの経営判断により行われるものであろうと思います。

 したがって、沿線自治体さんもいろいろなお考えを持って御活動されているところでありますけれども、沿線自治体さんと当該鉄道事業者との間で十分な検討を行っていただいて、中身、案件の成熟度を高めていただくことが重要だなというふうに認識しています。

 それで、私ども国としても、状況を踏まえて、必要な助言、さらには、事業の制度的な支援もございますので、検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、主体はJRということになります。歴史をひもときますと、昭和三十九年に、JRが国鉄の時代にこの地区を複線化しようということで、JR側から周辺自治体に提案がございました。ところが、景観が損なわれるという反対の声が上がりまして、地下化にしてほしいという提案を自治体の方はしたようでございます。ところが、それで折り合わず、その後六十年、半世紀にわたってここが動いていないということでございます。当事者はJRということですけれども、防災の観点から、国が積極的に単線の解消を進める後押しをするということが大切だというふうに私は考えております。

 同時に、中央東線の高速化については、長野県だけではなくて、山梨県を含めた周辺の自治体が中央東線高速化促進広域期成同盟会というのをつくっております。現在、山梨県の知事が会長を務めておりますけれども、昨年の十一月十六日に、国の方に中央東線高速化の早期実現についてという要望をしているというふうに思います。その内容は、一つは、中央東線の高速化と輸送力の強化、二つ目は、中央東線の高速化に関する財政的なあるいは技術的な支援の充実を国の方に訴えておりますけれども、これについて国交省の方ではどのように対応をされているか、お伺いしたいと思います。

久保政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年の十一月十六日でございますけれども、中央東線高速化促進広域期成同盟会の皆さんから、いろいろな活動をされていることは我々も承知しています。

 まず、確かに、こういう地域のいろいろなお考え、盛り上がりと、鉄道事業者さんとの間で、中身、案件の成熟度と先ほど申しましたけれども、中身の充実を図っていただいた上で、私ども国としても、いろいろな助言、検討を続けていきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 今のお話によりますと、やはりJRと地域自治体の体制がまず第一だというようなお話ですけれども、実は、リニア新幹線の計画がございます。諏訪・伊那北回りのBルートではなくて、Cルートということが決定をいたしました。その意味では、リニアが開通をすると、この中央本線、中央東線はある意味置いていかれるというような状況になります。計画では、甲府盆地の中にリニアの駅ができるということが決まっておりますけれども、その駅からのいわゆる中央東線のアクセス、そういうものをきちんと充実していくことが大事ではないかというふうに考えております。

 長野県の方からも、国との協議の場をぜひ設けてほしいという要望も来ていると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

久保政府参考人 先生御指摘のように、リニアの開業によって、それを沿線地域の全体の利便性の向上につなげていくということは大変大事な話でありまして、当時、交通政策審議会に中央新幹線の案件を諮問しておりましたが、その答申の附帯意見の中でも、今先生言われた御趣旨に沿うと思いますけれども、国や建設・営業主体、沿線自治体並びに沿線交通事業者による検討の場において、中央新幹線の整備効果を最大限に波及させる方策を検討すべきであるという附帯意見を頂戴しているところであります。

 また、長野県さんにおかれても、昨年の十二月五日からだと思いますけれども、長野県新総合交通ビジョン検討委員会というのを設けて、この種議論を開始されたということでございますので、国あるいは地域とともに、両者で沿線地域の交通力の利便性向上というものを我々もしっかり考えていきたいというふうに思っております。

矢崎分科員 ぜひ、できるだけ早く地元とのそういった協議の場を設けていただきたいというふうに思います。

 国交省の諮問機関である運輸政策審議会の答申では、こんなことが書いてあります。五大都市圏、つまり東京、大阪、名古屋、札幌、福岡ですけれども、五大都市圏と地方主要都市を結ぶ主要な在来線について、最速列車の表定速度を、線形の改良、踏切の除去、保安対策の強化等により、時速百キロ台までに向上させることを目指すと書いてあります。時速百キロ台と書いてあります。

 ところが、いまだに中央線の「あずさ」については、最速でも九十二・五キロです。平均すると、八十三・〇キロということになります。エネルギーの問題や地球環境の保全の観点からも、環境の負荷の少ない鉄道への支援は非常に大切なことだというふうに思いますので、引き続き、沿線地域の活性化につながるように御尽力を賜りたいというふうに思います。

 質問の二問目に参りますけれども、長野県の諏訪市には、国道二十号とJR中央東線が交差する踏切が市街地に二カ所ございます。一つの踏切は、JR諏訪駅のすぐ近くにありますけれども、この踏切の間はわずか二・二キロという近距離にございます。そのため、著しく渋滞や事故が多発しているというような状況でございます。

 長野県警諏訪警察署の調査によりますと、昨年一年間で、この区間で四十六件の物件事故、さらには七件の人身事故が発生をしております。平均すると、この地域で一週間に一件の事故が起こっているというような状況であります。

 国道二十号の踏切の解消ということは国の責務だというふうに考えますけれども、この踏切の解消についてどのような状況にあるか、御答弁をお願いします。

津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 まさしく今先生御指摘の大変な渋滞、そしてまた危険ということも御指摘をいただきました。

 諏訪市内の国道二十号線でありますけれども、JR中央線の踏切が二カ所存在しており、一つは渋滞を招く要因となっていることであります。山側へ新たにバイパスを整備する計画が昭和四十七年に都市計画決定をされておりますが、残念ながら、まだ事業化に至っておりません。

 そこで、都市計画決定時から長期間が経過しておりますので、周辺の交通や土地利用の状況の変化など、都市計画の見直しに向けた調査を実施するとともに、長野県、諏訪市と今後の進め方について十分に意見交換を行ってまいりたいと思います。

 引き続き、計画の具体化に向けて調査を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 踏切の解消に加えて、現在進めている二十号バイパスについて取り組んでいくというお話でございましたけれども、その前に、踏切の解消については、国の方では施策が幾つかあると思います。

 立体交差点事業というのを首都圏では特にやっておりますし、中央線の立川までは複々線化を進めているというふうに思います。これは、いわゆる自治体だけの負担ではなくて、事業者のJR、さらには国の方の支援もあるということでございます。ところが、こういった仕組みは都会向けなんですね。あかずの踏切とか、そういうものを解消するための政策である。

 そういう意味では、本当に財政力の少ない地方、政務官の御出身のところもそうだと思いますが、地方は財政力もございませんし、その意味では思い切った政策を展開できない。その意味で、国がさらに支援をしていくことが大事だというふうに思います。

 さらには、まちづくり事業と連携した立体交差事業もあると思いますので、地元と連携しながら、そういった知恵を絞って進めていただきたいというふうに考えております。

 三つ目は、先ほどの国道二十号バイパスの建設促進についてでございます。

 これは、東日本大震災を受けて、ネットワーク機能のある代替道路の重要性が再認識されているところでありますから、できるだけ早く、なかなか遅々として進みませんものですから、ぜひとも御尽力を賜りたいと思います。

 御存じのように、諏訪地域は諏訪湖を中心とした盆地でございます。過去、再三にわたって、諏訪湖の氾濫による水害に見舞われております。平成十八年七月の豪雨災害では、土石流あるいは河川の氾濫などにより、八人の方が犠牲となられました。さらには、三千以上の人家が浸水をする。復旧に要した費用は二百億円という大きな被害になりました。

 二十号が災害によって寸断されると、交通が全てストップをいたします。諏訪地域はかなり水没をして、諏訪は陸の孤島と化すということです。さらには、最近はゲリラ豪雨、台風被害ということで、いわゆる自然災害の危機がふえております。その意味では、二十号バイパスの工事の促進というのは急務であるというふうに考えております。

 もちろん、これまで本当に御支援をいただいて、下諏訪岡谷の工区についてはもう供用がされておりますけれども、その隣の第一工区は用地買収が一部進んでおります。地元では、ぜひこれをという思いで大きな運動も展開をされていますので、この下諏訪岡谷バイパスをよろしくお願いします。

 そしてもう一つ、諏訪バイパスというのが、先ほど政務官の方からお話がありましたが、これがほとんどストップしております。計画を今つくり直して、国交省の方でどんなルートがいいのかということを調査を進めているというふうに思いますけれども、この調査結果がなかなか出ないんですね。長野の国道事務所に伺いますと、いや、今やっているからということですけれども、ではいつですかというと、明確な答えがないです。

 その意味では、計画路線の確定に向けた調査を早急に進めていただいて、結果を地元に伝えていただきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。

津島大臣政務官 先ほども申しましたように、先生の御指摘は大変な御指摘だと思いますし、昭和四十七年の都市計画をしっかりと見直しをして、今の実情に合った形の新しい計画を進めなければいけないと思っております。

 そういった意味で、地元の諏訪市あるいは長野県と十分に意見交換をしながら、新しい具体的な調査に向けてしっかり頑張っていきたい、こう考えております。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 今のお答えは、諏訪バイパスの概略計画の提示と早期事業化を進めていただける、そういう御回答だというふうに認識をさせていただきます。

 四番目の質問になりますが、中央高速道路の恵那山トンネルについてでございます。

 昨年は、この通行料金を下げていただきまして本当に感謝を申し上げますけれども、恵那山トンネルは昭和五十年に供用された長野県と岐阜県を結ぶ非常に長いトンネルです。総延長八千六百四十九メートルということで、危険物積載車両、つまりガソリンなどを積載したタンクローリーとか大型のトラックの通行が禁止をされております。そのために、そこを通れない大型車が木曽路の十九号の方に逃げてしまいまして、十九号が大型車の通行ラッシュになっているところでございます。この規制を緩和するということはできるんでしょうか。

津島大臣政務官 トンネルの規制の緩和というのは非常に難しいことであります。

矢崎分科員 そういうお答えが返ってくるというふうに思っておりました。

 トンネルの交通規制については三つございますね。一つは、関門トンネルなどの水底のトンネル、二つ目は、環状・四号新宿線の千代田トンネルのように水際を走っている水際トンネル、三つ目が、長さが五千メートル以上の長大トンネルということでございます。それぞれ規制が行われ始めたのが、水底トンネルについては昭和三十三年、水際トンネルについては四十六年、長大トンネルについては五十年。これは恵那山トンネルが供用された年。恵那山トンネルができるために、道路法の施行規則を改正して、事故があった場合は大変だということで、危険車両の通行を禁止しているというふうに思います。

 その意味では、ここを解除するというのはなかなか難しいと思います。全国でも、十カ所のトンネルについて長大トンネルの規制がされているようでございますが、もしここの規制を緩和できないということであれば、交通量がふえる十九号バイパスについての拡幅やバイパスの整備をきちんとやっていただきたいというふうに思います。

 南木曽町というところがございますけれども、宮川正光町長はこんなことを言っております。早朝は、タンクローリーやトラックが列になって通過している、数年前にはタンクローリーがスリップをして、土手側に転倒し、通行どめになった事故もあった、事故があった場合の危険度を考えると、住宅が密集している木曽谷の十九号の沿線もトンネルも同じであるということを言っております。

 道路法規則の改正も本当に難しいとは思いますけれども、そうであれば、十九号の拡幅、改良、一部バイパスの建設、そちらの方に力を込めていただきたいと思います。いかがでしょうか。

津島大臣政務官 今御指摘がありました、国道十九号の交通集中にどう対応するのか、こういうお話でございました。

 まず、先ほどもお話を申し上げましたが、恵那山トンネルはまさしく長大トンネルでありますので、危険物を積載した車両は十九号を通行しておるというのが現在の状況だと思っております。

 ただ、その国道十九号でありますけれども、落石の危険箇所や線形不良箇所等があることから、順次、これはいろいろな意味におきまして、防災対策や線形改良等を実施しているところであります。

 国道十九号につきましては、ネットワークの多重性を確保する観点から重要な路線であるということは十分認識しておりますので、引き続き、防災対策や線形改良等の現道対策を進めてまいりたいと思います。しっかり頑張ります。

矢崎分科員 ありがとうございます。ぜひお願いをいたします。

 先ほど、国土交通省の飯田事務所から、十九号の通行量の調査の資料が来ました、この資料が来るまで三日間かかりましたけれども。

 例えば、塩尻の木曽平沢、一日当たりの交通量は一万八千三十三台です。そのうち大型車が七千四百七十六台ということになっています。木曽町についても、一日当たり一万五千四百七十六台のうち、大型車両が六千九百二十五台ということで、もう三分の一以上が全部大型車である、こういう状況であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

 もう一つ、長大トンネルについてですけれども、五千メートルの規制がどうしてできたかというのはよくわからないんですね、調べたんですけれども。このため、五千メートル以上のトンネルができると危険車両が通れなくなるということで、それ以降のトンネルは、四千九百何メートルとか、五千を切るトンネルを国交省ではつくっている。そうすると危険車両が通らなくていいということで、距離を延ばさないために、例えば山の中にトンネルをつくるときに、わざわざ上の方につくって、実際は非常にお金がかかっているというような状況が出ています。

 そういう意味では、両方を立てることは難しいんですけれども、そういう無駄がないように、公共事業は、必要なものはやりますけれども、無駄なものはやらないということですから、その辺は御考慮をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、観光についてお伺いをいたします。

 震災の影響で、被災地の観光も本当に大変だと思いますが、日本全国の観光地も大変な状況になっております。沈んでいると言ってもいいかと思いますけれども、昨年、ホテル、旅館、これは全国にたくさんありますが、たくさん倒産をいたしました。

 長野県の場合は、帝国データバンクの調査によりますと、二〇一一年に倒産したホテル、旅館は十五件です。十五件と聞くと皆さん少ないなと思われるかもしれませんけれども、これは全国一でございます。福島県の倒産旅館の数は九件。そういう意味では、長野県も大変な状況になっております。

 全国的に予約がキャンセルされたり、原発事故とか歴史的な円高とか、灯油サーチャージの上昇等、いろいろ原因はあると思いますけれども、ぜひ地方の観光地を活性化させていただきたいというふうに考えております。利用客も本当に減っております。長官、いかがでしょうか。

溝畑政府参考人 議員御指摘のとおり、東日本大震災によりまして、風評被害によりまして、訪日外国人のいわゆるインバウンド、国内観光とも、非常に大きなダメージを受けました。

 しかし、官民一体となったさまざまな取り組みによりまして、訪日外国人につきましては、例えば今年の一月でございますが、対前年比マイナス四・一、これは昨年四月がマイナス六四%でございますので、いわゆる驚異的な回復というふうに言われております。ただ、まだまだ本格回復に至っていないというふうに我々は考えております。

 また、特に国内観光でございますけれども、東北そしてまた被災地を含め、まだまだ風評被害で苦しんでいるところは多々ございます。特に東北、北関東、そしてまた各都道府県におきましても、まだまだそういった風評被害で苦しんでいるケースがあるというふうに考えております。

 したがいまして、国内旅行需要をとにかく本格回復に持っていくというために、官民一体となったキャンペーン、そしてまた東北観光博、そしてまた全国的な需要回復に取り組んでいきたいと思っております。

 特に、議員の諏訪地域でございますが、私も実は六年前の八月十五日に諏訪の花火大会に行ってきました。非常にダイナミックで、これはすごいな、こういう風光明媚なところがあるということと、それと、私は映画、ドラマが好きでございまして、フィルムコミッションの中では、織田裕二さん主演のそういうドラマがドラマ化されたり、あと温泉博覧会、それから、冬には御神渡りという、湖にびびっと入る、これも神がかり的でございます。こういう非常にすばらしい、将来的に日本が世界に通用するものをいっぱい持っております。

 今後、県、地元と十分に連携をとりながら、国内観光地域の浮揚という中で、一体となって取り組んでいきたいというふうに考えております。

矢崎分科員 ありがとうございます。

 ことしは四年ぶりに御神渡りがございました。宮司さんによりますと、ことしは昨年に比べていい年になるだろう、そんな予想をされたところでございます。

 ビジット・ジャパンの地方連携事業ですとか、さまざま観光庁さんの事業がございますけれども、やはりソフトに限定されていますね。なかなか使い勝手が悪い。あるいは、観光圏ということで、複数の自治体、団体が連携をしなければなかなか支援ができないというような状況にあると思います。地元にとっては、何か協議会をつくらなければ前に進めることができないというような状況でございますので、この辺の工夫をぜひしていただきたいというふうに思います。

 長々お話をしましたけれども、やはり地方が元気にならないと日本も元気にならないと思います。不必要な公共事業は削減することはもちろんですけれども、内需を拡大するために、都会から地方へ、都市から田園へということで、国交省の事業についても、都会に集中するんじゃなくて、地方に力を発揮して、力こぶをためていただきたいということをお願いしまして、私の質問にかえさせていただきます。

 きょうは、ありがとうございました。

村越主査 これにて矢崎公二君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林正枝さん。

小林(正)分科員 新党きづなの小林正枝でございます。

 本日は質問の機会を賜りまして、関係各位に御礼申し上げます。

 間もなく東日本大震災から一年が過ぎようとしています。何度となく繰り返される津波の映像は、見る側にとってはなすすべもなく、迫りくる津波を背に避難された方々の心境を察するとき、私は想像を絶するものがありました。

 港や沿岸の町は壊滅的な被害を受け、死者、行方不明者を含む二万人近いとうとい命が奪われた昨年の東日本大震災を、私たちは貴重な教訓として受けとめなければならないと思います。今必要なことは、この教訓を踏まえて、地震、津波発生時の対応を総点検することだと私は思います。

 現在、国の予算は四次補正まで編成したところであり、少しずつ成果は上がってきているものとは期待しておりますが、さらなる震災復興対策事業が求められるところだと思います。港湾事業を所管する国土交通省は、公共事業の旗振り役としても尽力されていると承知しております。そして、その役割は極めて重要であると私は考えます。

 さて、そのようなわけで、きょうは、港湾における地震、津波対策について、前向きな御答弁を願いつつ質問させていただきます。

 先月二十九日、国土交通省内の交通政策審議会港湾分科会第四回防災部会の会合におきまして、津波に対する港湾の安全性についての評価がなされました。この中で、今後、大規模な地震により最大級の津波が発生した場合、太平洋側の主要な十九の港の中で、少なくとも八つの港で津波の高さが防波堤を乗り越えるというシミュレーション結果が公表されました。その八つの港の中には私が生まれ育った地元でもある清水港も含まれておりますので、深い関心を持っているところです。

 そこで、まず防波堤についてお伺いいたします。

 東日本大震災の際に、一般論として、防波堤には津波低減効果があったと言われております。しかしながら、私は、防波堤の構造をさらに強化すべきであり、それがすなわち減災へとつながると思うのですが、国土交通省内においても、当然、防波堤を強くすれば港への被害が軽減されるという共通認識はおありだと思います。数百年に一度の頻度で起こる地震対策ではなく、たびたび起こる地震の大きな津波に対しても、倒壊しにくいための粘り強い構造とする必要があると思うのです。

 国として、今後の港湾施設の震災対策について、大臣の基本的なお考えをお聞かせください。

前田国務大臣 小林議員の御指摘、二十九日の審議会の専門委員会の結果をいろいろ出していただいているんですが、そういったことを踏まえて、これからの実際の防波堤の建設に反映をさせていきたいというのが基本でございます。

 震災の反省を踏まえて、要はハードとソフトの組み合わせというふうに考えております。特に津波、いかなる規模の大きいものについても、それを完全にとめるということはまずは不可能でございます。

 むしろ、今御指摘があったように、比較的頻度の高い津波、多分、確率年的に言うと百年前後というようなところなんでしょうか、おおよその感じで言うと、今まであった、三・一一というところまでいくかどうかはわかりませんが、明治あるいは昭和の津波といったようなところに目標を置いて、ほぼ各地において、おおよその高さというのが今推定されつつあると思います。加えて、いかに予知し、警報を出し、そして避難をするかというソフトの組み合わせになるかと思います。

 委員も御指摘のように、防波堤があったところにおいては、昨年はそれを越えた大津波になったわけですが、その防波堤自身が相当の津波の高さを軽減する役割を発揮していたということが検証されております。

 しかし、防波堤そのものも実態的には、あの津波防波堤、特に釜石なんかは写真等にも出ているわけなんですが、倒壊をいたしました。ああいうものの倒壊のメカニズムみたいなものも相当検証が進んでいるようでございまして、津波が越えてきても防波堤がちゃんと抵抗して倒壊しないような構造、こういったことも今開発をされつつあるというふうに聞いております。

 委員御指摘のような、津波に対しても粘り強い防波堤をつくり、そしてその効果を発揮させるとともにソフトの面でもしっかり対応する、そういう考え方でやってまいりたいと思います。

小林(正)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、少し専門的な話となって恐縮ですが、これからの港湾施設の技術基準についてお伺いいたします。

 東日本大震災で発生した津波の威力というものはすさまじいものがあり、防波堤を乗り越えた津波がコンクリートの塊をなぎ倒す様子が各港で見られました。私は、改めて防波堤の重要度を認識した次第です。

 先月二十九日に公表されたシミュレーション結果を踏まえて、国土交通省内におかれましては、港ごとに具体的な安全対策を施そうとしていると伺っております。私も、先ほど大臣の御答弁にありましたように、防波堤の構造の強化が最も重要であると思っております。

 津波による外力がケーソンにかかったときに、仮にケーソンが動いても崩壊には至らないために、基礎マウンドを拡幅することや、かさ上げをするなど、さまざまな対策が考えられると思います。そのあたりの対策について、国土交通省はどのように考えておられるのでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 今回の東日本大震災を踏まえまして、設計対象の津波高を越えた場合でも防波堤の効果が粘り強く発揮できるような構造物の技術開発を進めていく必要があると考えております。

 防波堤というのは、多くの石を積み上げて基礎マウンドを構築いたしまして、その上にコンクリート製の箱、いわゆるケーソンですけれども、これを据えつける構造となっております。

 先生御指摘のように、粘り強い構造という意味で、この基礎マウンドの港内側、内側を拡幅したり、あるいはかさ上げをするといったようなことで、粘り強い構造のあり方、そういったものを交通政策審議会港湾分科会防災部会におきまして御審議いただきまして、その結果を踏まえて港湾の施設の技術上の基準の見直しを検討していく所存でございます。

 以上でございます。

小林(正)分科員 吉田国土交通副大臣は、先月二十九日に行われた記者会見の席上で、防波堤について、個別具体的な検証が必要だと述べられました。全ての防波堤を一気に改善できるのであればそれにこしたことはありませんが、予算の問題もあるでしょうし、難しいことであるということは私も承知しております。

 まずやらなくてはならないことは、太平洋側の主要な港の中で、津波の到達が早いと予測される幾つかの港について可及的速やかに調査をして、対策を講じていくべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

室井大臣政務官 お答えいたします。

 小林先生は太平洋側で、震災、津波に対しては、先生だけじゃなく、多くの国会議員の先生方が心配する、また、今後どういう対策をされるかということに対して非常に注目を浴びているところでありまして、誠心誠意お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、東日本大震災においては、御承知のとおり、釜石港の湾口防波堤が津波の到達時間をおくらせた、また、津波の、難しい言葉でありますけれども、遡上高を低減させる効果があったと既に試算をされております。防波堤による一定の減災効果がここで確認をされたわけであります。

 想定震源域に近接し、津波の到達が早い外洋に面した港湾においては、このような減災効果を有する防波堤の整備、復旧等のハード対策や、避難方法の整備等のソフト対策を含む総合的な地震、津波対策を、各港の事情を踏まえ、先生申し上げられましたように、個別具体的に検討していかなくてはいけない、これは十分に認識をさせていただいております。

 各港が個別具体的に検討していく上での指針とすべく、五月の下旬をめどに、交通政策審議会港湾分科会防災部会において、港湾における総合的な地震、津波対策の方針が取りまとめられる予定でございます。関係者と連携して、港湾における地震、津波対策に積極的に取り組んでまいりたい、このように国交省、全力を挙げて進めていきたいと思っております。

小林(正)分科員 政務官からも力強い意欲を伺いましたので、ぜひ、五月下旬の総合取りまとめにおきましても、太平洋側の全ての港とは言いませんけれども、可能な限り安心、安全な港を築くために御尽力いただきたいと思います。

 次に、港湾労働者の安全対策についてお伺いいたします。

 私の地元である清水では、百年以上も前から、清水港が地元産業の中心として経済活動を牽引してきました。しかし、三十年前ぐらいからでしょうか、東海大地震の発生が危惧され、近年では、それよりも広範囲にわたる三連動地震の発生が懸念されるようになってまいりました。

 昨年の東日本大震災では、漁業や港湾関係に従事する多くの人のとうとい命が奪われてしまいましたが、それは、津波被害を最も受けやすい港湾において、津波から避難するための施設が未整備であったことも大きな原因であったと思われます。

 緊急時において人命を守るためには、何よりも津波避難施設の整備を充実させていくことが必要と思われます。また、緊急時に海上から避難できる体制もつくることが重要であると思います。

 緊急時に避難できる施設をどの程度港湾の中に整備していくおつもりなのか、国土交通省のお考えをお聞かせください。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 港湾の産業、物流施設は一般に防潮堤などの防護ラインよりも海側に立地しておりまして、津波による浸水の可能性が高いことから、これらの施設で働く人々や利用者の避難対策は喫緊の課題であるというふうに認識しております。

 こうした方々の避難場所を確保するため、まずは既存のビルを津波避難施設として活用できるかといったことを各地方公共団体において検討していただいた上で、新たに津波避難施設が必要となる場合は、社会資本整備総合交付金等により整備することが可能となってございます。

 以上です。

小林(正)分科員 今お話がありました、社会資本整備総合交付金についてお伺いいたします。

 平成二十四年度政府予算案の中で、津波避難施設の整備のための交付金が新規採択される予定とのことです。津波被害を受けるおそれのある港湾において、港湾の労働者が津波から避難する施設を想定浸水区域内に整備することで、人命を守り、さらには震災発生直後の港湾の機能を維持するため、この交付金の活用は極めて重要だと考えます。

 私の地元の清水港内においても避難困難地区が存在しておりますので、交付金をどのような事業に活用していくのかという点には大変関心を持っております。限られた予算ですから、無駄なく効果的に、かつ地域のニーズに応じて使えるようにしていくべきだと思います。

 そして、港湾において津波からの避難を効果的に行うためのガイドラインをつくる必要もあると思うのですが、これらの点についていかがお考えか、お答えいただけますでしょうか。

室井大臣政務官 津波が起きれば、もちろん人命が大事で、避難ということで、我々にとりましても、今後どういう対応がと、いろいろと施策、方法を今考えて進めているところでありますけれども、今、ガイドラインをどのようにという先生の御質問でありますが、もちろん、津波が発生した際には、港湾で働いている労働者の方々また利用者に速やかにまずは避難していただく、これは当たり前のことであります。

 したがいまして、港湾における具体的な避難計画については各港湾の状況に応じて対応していかなくてはいけないことでありまして、まずは各港湾管理者がそれぞれ策定することとなっておりますが、国土交通省としては、港湾における避難に係る情報連絡体制の構築や、さらに津波避難施設の適切な規模そしてまた配置などを内容とする指針を早急に策定する、そして港湾管理者が避難対策を計画的に推進する、こういうことをしっかりと支援していかなくてはいけない、このように進めておるところであります。

小林(正)分科員 港湾で働く人々の安全を考えたとき、特に埠頭で働く人たちは、津波避難ビルやさまざまな避難施設まで最も遠く、最も危険性が高いのだと思います。また、これらの人たちは必ずしも日本人であるとは限りません。そのようなことも含め、私は、港湾の施設内に英語や中国語といった外国語表記の表示も必要だと思います。

 港湾管理者が最初に避難の策定計画をされると先ほど政務官はおっしゃられましたが、こうした危険と背中合わせの人たちに対する避難誘導や避難訓練教育といったことについては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 港湾の労働者の避難対策を推進するためには、ハード面だけでなく、避難誘導や避難教育等のソフト面での対策が重要であると認識しております。

 このため、国土交通省におきましては、内閣府及び農林水産省とともに、平成十六年三月に津波・高潮ハザードマップマニュアルを作成いたしまして、ハザードマップの作成事例を取りまとめた冊子を配布するなどによりまして、関係市町村等への周知を図っているところでございます。

 また、社会資本整備総合交付金等の効果促進事業によりまして、ハザードマップの作成や避難訓練の実施等に対する支援を実施していき、引き続きソフト対策への支援を実施してまいりたいと思っております。

 以上です。

小林(正)分科員 今の御答弁の中で、ハザードマップを作成し、またそれを配っているとのお話でしたけれども、実際にそれを配って、どのくらいの人が手にしているのでしょうか。私が伺っているのは、一般に港湾労働者というのは時間との闘いでして、そんなに長く同じ場所に停泊しているというケースは少なく、また、もっと言えば、船からおりない場合もあると思われるのですが。

 もしそのハザードマップというのが港のある施設の中にパンフレットと同じような形で掲げられているとすると、それは非常にもったいないと申しましょうか、効果が薄れてしまうと思うのですが、どのような形でそのハザードマップを配布されているのか、また、現在どこに行けば私でも手にすることができるのか、教えていただけますか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 ハザードマップにつきましては、先ほど先生御指摘のように、例えば外国語の表記の問題とか、あるいは、どういう形で配るのかといった問題があろうかと思います。

 この辺を含めまして、今回の震災の経験を踏まえ、どういう形でつくるのか、あるいは配っていくのか等につきまして、これはまた個々の港で事情が違うと思いますけれども、そこは港湾管理者と一緒になって考えられるような、そんな対応をしていきたいと思っております。

 以上です。

小林(正)分科員 私の地元の静岡市では、来年度の予算編成の中で、三億円の建設費用を見込んで津波避難タワーを三基建設しようという計画が上がっております。今、そのための御審議を市議会にお願いしているところだと伺っておりますが、津波避難ビル等までたどり着けない地域などは全国にたくさんあると思います。高い危険度が認識されるような地域においては、自治体と協力して、今後、タワーの建設にも積極的にかかわっていただきたいと思います。

 国土交通省の積極的な姿勢が問われていると思うのですが、いかがお考えか、お伺いいたします。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 港湾におけます避難対策の推進に当たりましては、国、港湾管理者のほか、関係自治体や港湾利用者が連携することが極めて重要というふうに認識しております。

 このため、現在、地方整備局等におきまして、こうした関係者で構成されます地震・津波対策検討会議というものを設置いたしまして、津波避難タワーの整備を含む避難対策につきまして、港湾における地震、津波対策の一環として検討しているところでございます。

 今後とも、地震、津波対策を推進するために、関係者間の連携を一層強化してまいりたいと考えております。

 以上です。

小林(正)分科員 時間が余ってしまいますけれども、これで私の質問を終了いたします。

 しかし、海洋国家を自負する我が国であるからこそ、これからもますます安心、安全な港づくりが急務だと思います。ぜひそのために関係各位の御尽力を祈念しまして、私の質問にかえさせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

村越主査 これにて小林正枝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤分科員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、国土交通省の外局である気象庁の予算についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、緊急地震速報についてお伺いします。

 震災以降、携帯にエリアメールの着信するあの音、NHKテレビの緊急地震速報のときに鳴るあの音、耳について離れなくなりました。

 この緊急地震速報ですけれども、どのように配信をされているか。気象庁の地震活動等総合監視システムから提供される緊急地震速報が、財団法人気象業務支援センターを通じて、NTTや放送局や民間の気象会社に配信される仕組みであります。

 これは有料なんですね。配信契約に当たっての開設時負担金が一社当たり五万二千五百円。月々の基本料金、基本負担金が八千四百円。そして、一回の緊急地震速報を受信するごとに、従量負担金として三万五千九百円ないし二万九千九百円の料金がかかる。一回ごとです。

 緊急地震速報は、いわばもともと税金でつくったデータですね。何で財団法人をかませて、そこに料金が落ちるような形で配信しなければならないんでしょうか。緊急地震速報を配信するに当たって、財団法人気象業務支援センターを経由している理由は何か、お伺いしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁が保有する気象情報につきましては、民間における気象業務の健全な発達の支援を目的としまして、気象業務法第二十四条の二十九に基づきまして、民間気象業務支援センターから、情報の配信にかかる応分の実費負担のもとに情報配信を行っています。緊急地震速報についても、この枠組みにより情報配信しているところです。経費につきましては、情報配信のための情報システムの整備や運用にかかわる必要な実費をいただいているということで認識しております。

 なお、民間気象業務支援センターにつきましては、気象業務法第二十四条の二十八の規定により、申請に基づき、財団法人気象業務支援センターを指定しているところでございます。また、同センターによる情報提供業務につきましては、実費を負担していただいていることから、その透明性を確保するため、気象業務法第二十四条の三十二に沿い、その他の業務と区分して経理することとしております。

 さらに、同センターは、情報提供業務の実施に当たり、気象業務法第二十四条の三十一の規定により、実施方法、料金等について気象庁長官の認可を受けることとされています。

 以上でございます。

柿澤分科員 今御説明はいただきましたけれども、法律に書いてあるということはわかりました。法律に書いてある。だけれども、気象業務支援センターが行うことにどういうメリットがあるのか、どういう妥当性があるのかということに関する御説明はなかったように思います。

 もう一度、気象庁長官、お願いいたしたいと思います。

羽鳥政府参考人 気象庁の情報につきましては、非常に多様な利用者がいるということで、国、地方自治体、報道機関、通信事業者、さらには民間気象事業者、通常の企業等、多種多様にわたるということでございますので、これへの情報の提供ということで、気象庁としましては、通常の注意報、警報等の防災情報につきまして、防災関係機関についてはみずから直接伝えるということをやっておりますし、さらに、さまざまな機関がございますので、その中で公平、平等に情報を提供するということを目的としまして、先ほど言いました民間気象業務支援センターを法的に位置づけて情報配信を行っているところでございます。

柿澤分科員 これ、今聞いていてわかりましたか。どういう合理性があってこのスキームになっているかということについて。

 私は、こう答えるんじゃないかと思っていたんです。緊急地震速報を導入するときに、一秒でも早くと言っていたわけです。気象業務支援センターは高機能の配信サーバーや高速通信ネットワークを採用している、こういうふうに正当化をされるんだろうと思っていたのです。

 もっと何歩も手前の御答弁をいただいてしまいましたけれども、私が申し上げたいのは、一秒でも早くと言いながら、実は、緊急地震速報がむしろおくれてしまうリスクを、気象業務支援センターを経由することで抱えてしまっているのではないかということなんですよ。これはホームページを見ると、五十ミリ秒の速さで配信できる、こういうふうに気象業務支援センターは胸を張っているんですけれども、しかし、通信の常識として、ルーターを多段階で通過すれば、それだけ伝送速度は落ちるし、そして通信障害のリスクも高まるんですよ。一秒でも早くという緊急地震速報の趣旨に反してしまっているのではないですか。

 気象業務支援センターのホームページを見ると、当センターの配信システムは気象庁の直近に設置されておりますと、自慢のように書いてあるんですけれども、それなら、なおさら気象庁自身がやればいいだけの話ではありませんか。この点についてはいかがですか。

羽鳥政府参考人 支援センターのシステムの整備に当たりましては、外部の有識者あるいは利用者も含めて検討会を設けて、基本的な方向を定めているところでございます。それを受けて、先生御指摘のようなおくれが生じないように、システムを整備するように気象庁としても指導をしているところでございます。

 以上です。

柿澤分科員 緊急地震速報はまさに一秒でも早く、一秒どころじゃない、〇・〇〇〇一秒でも早く到達をしなければいけないものであります。

 そして今、羽鳥気象庁長官は、この気象業務支援センターを経由することで、いささかなりとも緊急地震速報が到達するスピードがおくれる可能性を事実上認められたんです。そういうことがないように指導しているということは、そういうリスクがあるということじゃないですか。こういうことをやっていて本当にいいのかと私は思います。

 続いてお伺いをいたします。

 先ほどのように、開設時負担金五万二千五百円、月々の基本料金八千四百円、緊急地震速報一回ごとにおよそ三万円から三万六千円、携帯電話であの音が鳴るたびに、NHKでチャイムが鳴るたびに、気象業務支援センターに一社ごと、一機関ごとにこれだけのお金が落ちているんですよ。

 緊急地震速報の有料配信による気象業務支援センターに入っている年間収入は、過去三年それぞれ幾らか、お答えください。

羽鳥政府参考人 財団法人気象業務支援センターからは、緊急地震速報やさまざまな気象情報を、情報の配信にかかる応分の実費負担のもとに配信しています。これらの配信では、共通に必要な負担金収入と、その情報の配信のための必要な負担金収入がございます。

 具体的に、過去三年間について年度ごとに見ますと、平成二十年度には、緊急地震速報による収入が三千九百七万円、共通に必要な負担金収入が四千七百六十七万円。平成二十一年度には、緊急地震速報の収入が四千三百四十二万円、共通に必要な負担金収入が四千七百四十一万円。平成二十二年度には、緊急地震速報の収入が四千四百三十一万円、共通に必要な負担金収入が五千三百四十一万円でございます。

柿澤分科員 これで足し算すると、大体一億円弱ぐらいの収入を気象業務支援センターは得ているわけであります。

 もともと、気象業務支援センターというのは、民間の気象会社等に気象のデータ、天気予報のデータ等を配信する、こういうことが業務としてあったと思うんです。気象業務支援センターを通じて、民間会社にやはりこれも配信をされていると思うんですけれども、気象データの配信による過去三年の収入、これはいかがでしょうか。

羽鳥政府参考人 気象情報につきます配信の負担金でございますが、これも、共通に必要な負担金収入と、その情報の配信のための必要な負担金収入がございます。

 具体的には、平成二十年度には、気象情報の収入が一億八千九百六十四万円、共通に必要な負担金収入が四千七百六十七万円。平成二十一年度には、気象情報の収入が一億七千二百八万円、共通に必要な負担金収入が四千七百四十一万円。平成二十二年度には、気象情報の収入が二億百四十二万円、共通に必要な負担金収入が五千三百四十一万円となっています。

 以上です。

柿澤分科員 両方合わせると三億を超える、こういう収入になるわけです。

 このデータというのは、基本的に気象庁から提供されるものを使っているわけですよね。インターネットで気象業務支援センターから全国六領域の気象データをダウンロードしようと思うと、これは一社当たり幾らかかるかというと、予報データと注意報、警報のデータをダウンロードするだけで、月額基本料金と通信経費を合わせると、何と月額十五万三千五百円も支払わなければならないんですよ。税金で整備された気象衛星やらアメダスやらの観測網を使って、それで得られたデータに基づく天気予報を気象庁からもらって、それを民間に配信するコストが十五万円。

 ちなみに、予報や注意報、警報だけでなく、詳細な数値データとかを合わせていくと、これはもっともっとかかるんですね。三十万、四十万という額になるんです。

 気象データを気象業務支援センターを通じて民間会社に配信している、この理由は何ですか。お伺いしたいと思います。

羽鳥政府参考人 気象庁の情報、天気予報等一般に発表しているもの以外に、基本的に、数値予報ですとか、さまざまな観測データの基盤的な情報がございます。これにつきましては、非常に膨大な量の情報がございまして、民間における予報業務等に十分活用できるということがございましたので、これについて広く公開していくという観点から、一定の役割分担のもと、応分の負担をいただいて情報提供する体制あるいはシステムを構築したところでございます。

 以上です。

柿澤分科員 公開するのはいいんですよ。公開するのはいいんです。しかし、今、一定の役割分担と言いますけれども、これは今の情報通信技術であれば、気象情報も緊急地震速報もそうなんです、RSSフィードで気象庁のホームページから無料で配布するということは十二分に可能だと思いますし、なぜそうやらないのかと言う人も多いんですけれども、何でやらないんですか。

羽鳥政府参考人 天気予報等一般に公表してございますものは、現在、気象庁のホームページで広く公開し、利用することが可能でございます。

 緊急地震速報等につきましては、やはり先生御指摘のように、おくれてはいけないというようなこともありますので、そこら辺の関係におきまして迅速に提供できるシステムの整備を行ってきているところでございます。

 以上です。

柿澤分科員 甚だ不明快な御答弁ではないかというふうに思います。

 先ほどおっしゃられたように、緊急地震速報及び気象データの民間等に対する配信によって三億円以上の収入を得ているわけですけれども、この気象庁の関連公益法人である財団法人気象業務支援センターについては、役員、職員が何人いて、国土交通省出身者、気象庁もこの外局ですから、その出身者はそのうち何人いるのか。また、現役出向者というのがいるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 常勤の役員三名のうち二名、非常勤の役員十三名のうち二名が国土交通省出身でございます。また、常勤の職員三十二名のうち十二名、非常勤の職員六名のうち四名が国土交通省出身でございます。

 なお、現役出向者はございません。

 以上でございます。

柿澤分科員 常勤の役員のうちの三名中二名、そして職員の三十二名中十二名、これが国土交通省、気象庁からの出身者ですね。これは、言葉をちょっと厳しく言えば、典型的な天下り公益法人、こういうことではないかと思います。

 つまりは、天下り公益法人にお金を落とすために気象データを民間会社に高く売りつけて、さらに、緊急地震速報の配信にも目をつけて、通信障害やデータのおくれが生じるリスクが大なり小なりあるのもいとわずに、気象庁からの直ではなくて気象業務支援センターから、しかも有料で配信をしている、こういうことではないんですか。

羽鳥政府参考人 趣旨としては先ほど申し上げたとおりでございますが、なおつけ加えるとしますと、緊急地震速報を伝達する義務を負うNHK、また、協力を求めて放送していただく放送事業者等につきましては直接気象庁から情報を配信するということも行ってございますので、その点も御理解いただきたいと思います。

柿澤分科員 こういった点については、私は不断の見直しが必要だと思いますが、御通告しておりませんけれども、大臣、お聞きになられていて、どうでしょうか。

前田国務大臣 今長官が御答弁されましたが、一つは、公共の場への情報の提供というものは、基本的には気象庁そのものの責任だと思います。そういう意味では、NHKあるいは公共団体等には直接ということでありましょう。

 それからもう一つは、気象情報を用いて、民間、特にいろいろなビジネスに随分と利用される時代になってきた。こういったところに広く情報を提供するというのは、気象庁そのものからすると、多分、制度、組織人員的にはほぼ無理なんだろうと思うんですね。したがって、こういう財団法人等を通じてということになるかと思います。

 さらにこの先、予知であったり、まあ地震ということではないんですが、気象情報も含めて、観測、予知、そういったものが非常に大きく広がって、多分インターナショナルにも必要になってくると思います。この辺の担い手はやはり民間等が非常に大きな役割をしょうと思いますので、そういう意味での必要性というのはあるのかなというふうに思います。

 ただ、今の意見のやりとりを聞いておりますと、本当に国民のために、いかに多様な情報を的確に提供するかという、いわば国民、ユーザーオリエンテッドの視点ということにおいては、いささか、何か専門家集団だけの閉じられた中でというような感じがいたしますので、この辺については不断の見直しもしていきたい、そして、これからのニーズに応えられるような情報の提供ということを考えていきたい、このように思います。

柿澤分科員 平成二十三年度の緊急地震速報の配信による気象業務支援センターの収入は、まだ年度途中ですから出てきていないんですけれども、これは激増しているはずですから。そういう意味で、不断の見直しとおっしゃいましたけれども、本当にこの配信コストが気象業務支援センターにこれだけの額落ちるというのが妥当であるのかどうか、ぜひ考えていただきたい、このように思っております。

 気象庁そのものについてお伺いします。

 気象庁の地方支分部局である管区・地方気象台は五十三あります。航空、海洋を入れると五十八、航空を除いて五十七。これだけの気象台を全国に置く必要性が本当にあるのかどうかということについて、まず御認識をお伺いしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 気象庁の業務は、我が国において、気象、地震・津波、火山噴火、波浪・高潮等の自然現象を総合的にきめ細かく観測、監視することにより、自然災害の防止、軽減や社会経済活動の発展に資することでございます。

 このため、ブロック単位や府県単位の機関を設置し、全国的な業務の管理を行っているところでございます。例えば、台風、集中豪雨、大雪等の監視や注意報、警報の発表等につきましては、対象とする現象の規模や業務の内容に応じて、気象庁本庁、管区気象台、地方気象台等を配置し、適切な役割分担を担うことにより、的確な防災気象情報の提供に努めてきているところです。

 なお、防災気象情報を地域の防災対策に効果的に活用していただくためには、地方気象台等と都道府県を初めとした地方の防災関係機関との連携が必要不可欠でございますので、日ごろからこの連携を強化してきているところでございます。

 以上でございます。

柿澤分科員 今、全国に、航空を除いて五十七、海洋を除いて五十三、これだけの管区・地方気象台を設置する必要がある、こういう御認識を語っていただいたということでいいですね。

 お手元にきょうは資料をお配りしています。

 日米で比較してみたんです。日本は国土面積三十七万平方キロ。アメリカだと、カリフォルニア州が四十二万平方キロですね。NOAA、海洋大気庁の下部組織であるナショナル・ウエザー・サービスの下に、ウエザーオフィス、気象台が六カ所です。日本の管区・地方気象台、海洋もほとんど同じことをやっていますから五十七カ所と数えても、カリフォルニア州で六カ所、同じ面積でおよそ十倍の違いがあるわけです。

 中でも、管区は、ちょうど管区の気象台の数とカリフォルニア州のウエザーオフィスの数というのは基本的に同じなわけですけれども、管区はともかくとして、地方気象台なんですけれども、防災が叫ばれて気象庁の人員増強要望が出ているような時期に、私、時局に水を差すようで申しわけないんですけれども、正直これを見て、こんなに必要なのか、こういうふうにも思うんです。

 地方気象台には全部でどれだけの人員がいて、何人の予報官が配置されて、総額幾らの予算が投じられているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

羽鳥政府参考人 まず、米国のカリフォルニア州との比較についてお答えさせていただきますと、米国と日本ということを考えますと、やはり気象現象、自然現象の厳しさ、例えば台風等の集中豪雨、豪雪等さまざまな違いがありますし、また人口密度、社会、あるいは防災体制も異なりますので、簡単には比較はできないものと思いますが、我が国の気象台について見ますと、定員につきましては、二十三年度末現在で千六百人でございます。

 予算につきましては、人件費、物件費合わせて、平成二十二年度の示達額と申しますか、約二百二十八億円となってございます。

 以上でございます。

柿澤分科員 カリフォルニアとは気象条件が違う、こういう話でありましたけれども、それこそカリフォルニア州の方が、山脈を抱え、また砂漠もあり、また人口構造からいっても、人口は確かに四千万人ですけれども、しかし、都市部に大多数の人口が集中している。私は構造的には同じだと思いますよ。そういう意味で、十倍もの気象台を設置しなければ同じような観測精度が持てないというのは妥当でない、こういうふうに私は思います。そして、千六百人、二百二十八億を地方気象台に投じて維持していく、こういうことが本当に必要なのか、このことをさらに掘り下げて少し伺っていきたいと思います。

 地方気象台について、その業務と日々の気象情報、天気予報の間にどのような関係があるんですか。今や、コンピューター解析によって日々の予報が出されており、予報はコンピューターが出すもので、人間はたかだか目先の実況でそれに多少修正を加える程度だと、プロ中のプロの気象予報士、森田正光さんも言っておられます。そして現実には、コンピューター解析の結果を気象台の予報官が修正して予報を出す、こういうケースは今やほとんどないというのが実情だというふうにお伺いいたします。

 地方気象台の予報官は、日々の気象情報、天気予報の発出にどれだけかかわっているんですか。お伺いします。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 地方気象台では、国の機関や地方公共団体、企業、国民等が防災対応を行うために必要な気象警報、注意報等の防災気象情報を作成、発表してございます。また、注意報、警報等の防災気象情報を作成、発表するために必要な基盤を活用することによって、効率的に天気予報を作成、発表しているところでございます。

 なお、地方気象台において、予報官は、高分解能の実況観測、解析、予測データに基づきまして、詳細な大気の三次元構造を把握しております。これにより、地域の気象特性も考慮しながら、今後の気象状況を分析、判断することにより、きめの細かい、例えば市町村ごとの注意報、警報などの予報、警報の発表を行っているところでございます。

 以上です。

柿澤分科員 コンピューター解析を、実況を加味して修正する、そして三次元の大気を読んで天気図を描いてということなんですけれども、これは、今やレーダー観測網も整備をされている、こういう状況であるわけですから、必ずしも私は四十七都道府県に一個ずつ気象台を置いて、人を張りつけて予報を行うという必要性は今や薄れている、こういうふうに思うんです。

 しかも、コンピューター解析依存になって、今や予報官の中には天気図そのものを描けない人もいる、こんな状況だというふうに現場からお伺いをするんですけれども、これは事実ですか。

羽鳥政府参考人 現在は情報通信技術あるいは情報処理システムが非常に高度化してございますので、手描きによる天気図というような予報作業については過去のものとなってございます。

 例えば、実際にやっているものとしましては、さまざまな観測データとシミュレーションによる予測技術を融合しましたデータ同化と言われる手法がございますが、こういう手法による解析結果等に基づきまして、最終的には気象庁本庁において、予報官がマン・マシン・システムによって一元的に天気図を作成するといった形で、効率的な体制としてございます。これらを地方気象台等の予報官が予警報の発表の基礎資料として活用しているところでございます。

 また、先ほど触れましたような予報につきましては、現場において三次元の構造等を把握しながら発表しているということでございます。

 以上です。

柿澤分科員 基本的なデータは気象庁の本庁でやっているんじゃありませんか。

 そして、三次元の情報を加味するというのはどういう意味ですか。お伺いします。

羽鳥政府参考人 特殊現象につきましては、極めて局地的な現象でございまして、府県の範囲内でもかなり変化をするということがございますので、きめ細かな分析結果、あるいはレーダーの結果等を常に監視し、的確に判断して情報を発表していく必要があるということでございます。

柿澤分科員 余りはっきりしたことは言われなかったですけれども、これは多分、地形の要素などを加味するということなんだと思うんですけれども、地形は日々変化するものではありませんので、本来これはコンピューター解析の精度を上げればいいだけの話でもありますし、何度聞いても、私は、気象台に多数の人員を張りつけて予報を行うという必然性が感じられない、このように思います。

 さらに言えば、平成二十四年度予算で、国土交通省本省のXバンドレーダーを取り入れて大雨監視に使う、こういうことでもある。気象庁の気象レーダーよりこのXバンドレーダーの方が解像度が高いレーダーである、こういうことが言われているんですね。ならば、これは本当に、地方気象台に人を置いておく必要はますますなくなって、そして管区気象台でXバンドレーダーの情報を使って監視すれば十分だということになりませんか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、全国二十カ所にCバンドレーダーを展開し、海上を含め全国的に降水等の観測を行っています。これにより、全国の気象台では、気象衛星アメダス等の観測データとあわせて、台風や集中豪雨はもとより、局地的な大雨などの実況監視を行っているところでございます。

 平成二十四年度予算案におきましては、気象レーダーの高精度観測データを利用した局地的大雨監視・予測の強化と題しまして予算を要求させていただいているところでございまして、気象庁のレーダーの解像度を一キロメートルから二百五十メートルに改善するとともに、国土交通省のXバンドレーダーのデータも活用することにより、高密度、高精度の降水予測情報を作成することとしています。

 地方気象台では、この新たな高密度、高精度の降水予測情報も活用しながら、局地的な特性を持つ大雨をより的確に監視、予測し、市町村ごとの大雨警報等を発表することとしてございます。

 以上です。

柿澤分科員 結局、全国各地に地方気象台がなくても、今や天気予報は困らないんですよ。

 一方、結局、手描きで天気図を描いていた時代の名残で地方気象台を全国に置いて、そこに予報官を張りつけて、ある意味では過去の惰性でこういう人員を抱えている、こうした状況になってしまっているのではないかというふうに私は申し上げたいんです。

 一方、何か局地的災害があれば、役場に参集したり、現場に急行しなければならないのは、むしろこれは市町村の防災担当の職員なんですよ。こういう人たちには、気象データや天気図を読むことのできる人は本当に少ないんです。国家公務員である気象庁の人員をできれば地方に移管して、市町村の防災担当の対応能力を強化する、こういうことが今や必要になってきているのではないかというふうに思うんです。

 さらに、火山噴火予知連の藤井会長から去年お話を聞きましたけれども、気象庁には火山噴火の専門家は実に少ない。今後、地震及び火山活動の活発期に入る可能性が高いことを考えれば、気象庁の人員だって、規模も中身も適切な見直しを行っていくべきだと思うんです。惰性で、この人がやっているからということではないんだと思うんです。

 大臣の見解をお伺いして、終わりにしたいと思います。

前田国務大臣 確かに委員御指摘のように、火山については、プレートが動いたということもあって、今や非常に危険な状況になってきたと専門家の先生方から御指摘を受けております。新燃岳、それから桜島がレベル三に指定されているというふうに聞いておりますけれども、今議員が御指摘のように、その時代時代の要請に応えて、また技術の進歩に応えて、中の専門家をそうやって、また再研修してもらってシフトしていくというようなことについても検討をしたい、このように思います。

柿澤分科員 終わります。

村越主査 これにて柿澤未途君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野寺五典君。

小野寺分科員 自由民主党の小野寺五典です。

 大臣には、日ごろ復興支援に大変御努力いただきまして、ありがとうございます。

 まず、前回、二月二日の予算委員会でも確認をさせていただきました防災集団移転促進事業、このことについてお伺いをしたいと思っております。

 実は、この事業で今一番問題になっておりますのは、例えば低地ゾーンということで、ここは自治体が購入するようなそういう場所については集団防災移転の対象ということでしっかり対応できる。ですが、そこに隣接する、例えばかさ上げをするゾーン、このかさ上げをするゾーンについて集団防災移転を希望する方、この方は、かさ上げをする場所なんだから防災移転の対象になりませんということで、現場では切られてしまう。

 実は、今まで集団防災移転は、一緒になってみんなで防災移転しようねということで、地域コミュニティーがまとまって協議をしていたのに、その中で移転できる人とできない人ができてしまう。このことを御指摘しましたら、大臣は、コミュニティーをちゃんとすることが大事だ、そして、そのようになるように指導するというお話がございました。

 このような希望する方に関しては防災移転の対象になるということで理解してよろしいんでしょうか。

吉田副大臣 被災地の円滑な復興を進めるためには被災者の意向というのが最重要であるということでございます。その上で事業手法を選択し、実施していくということと考えております。

 具体的には、復興計画におきまして土地区画整理事業によりかさ上げの実施を予定している地区においても、防災集団移転促進事業をうまく組み合わせることにより、地区外への移転を希望する被災者の意向を反映することができると考えております。

 具体的に申し上げますと、地区外への移転を希望する被災者には、防災集団移転促進事業を活用してまず地区外の住宅団地等に移転していただいた上で、移転跡地を土地区画整理事業により集約、整形化して、かさ上げせずに公園等の公共施設用地や事業所等の敷地として活用し、一方、現地再建を希望する被災者の宅地につきましては、土地区画整理事業により集約した上でかさ上げして安全性を確保し、引き続き住宅地として利用することが考えられております。

 現在、国土交通省におきましては、このような両事業を組み合わせた運用方法について検討しているところであり、検討結果をできるだけ早期に被災自治体に周知してまいりたいと考えております。

小野寺分科員 土地区画整理事業とかそういういろいろな事業の組み合わせではなくて、低地ゾーンとかさ上げゾーンがあって、今までそこの地域両方にまたがる皆さんが一体となって集団防災移転をしたいというときに、低地であろうがかさ上げであろうが、希望する方は一緒に今回の移転に関しての対象になる、その一言を私は聞きたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

前田国務大臣 ちょっと、具体的なところというよりも、イメージとしては、今、吉田副大臣の答弁というのも、多分、小野寺委員が考えておられることを、制度的にうまく運用すればこういうふうにして対応可能ですよと言っているように私は受けとめておったわけです。

 もう少し現地の状況ということについて、多分、市であったりあるいは県であったり、特に市ということになってくるとこういったケースというのは初めてでございましょうから、よほど国側、国土交通省側であり、あるいはURなんかも入るのかもわかりませんが、そういう専門家を入れて、とにかく先生が言われるような、コミュニティーを壊さずに一体化して事業がなされるような、そういう知恵を出し合ってやっていきたい、このように思います。

小野寺分科員 大臣はおわかりかどうかわかりませんが、現場ではさまざまな妨害を受けております。

 具体的に、私はおととい、宮城の知事に会いました、村井知事。目に涙を浮かべて怒っていましたよ。そして、きょう、復興庁に宮城の知事と仙台の奥山市長が抗議に来るそうです。要請じゃないです、抗議ですよ。そして、これはなぜかというと、今回の集団移転事業も含めた復興交付金、これが余りにひど過ぎる。知事の記者会見の言葉をちょっと聞いてください。復興庁なんて査定庁だ、交付金なんてやめればいい、これが現場の知事の言葉ですよ。

 そして、きのう私は、石巻、女川、南三陸、気仙沼、ここの首長の皆さんとも話してきました。みんな、この交付金事業、さまざまなところで制限されている、前に進まない、道路をつくりたくてもこれはだめだと言われている。復興庁の責任なのかもしれませんが、今回の五省庁四十事業の中で、査定が厳しいのはやはり国土交通省も同じなんですよ。

 なぜ、被災者の心に塩を塗るような、傷口に塩を塗るような、知事が涙を浮かべて抗議するような、こんなひどい仕打ちの交付金事業にしているのか。大臣は恐らく、現地の窓口でどうなっているか、そこをよくお感じにならないと思います。だけれども、実際に対応している職員と日々突き合わせている自治体の皆さんは、こういう気持ちで見ているんですよ。

 私、初めて聞きましたよ。復興のことに関して地元の知事が、要請じゃないですよ、抗議ですよ。ぜひこのひどい実態を早く大臣みずから確認していただいて、そして、被災者の人はこのままでいくと大変怒りますよ。被災民を敵にしないように、私ども、協力して前に進みたいと思うからこういうことをこの場でお話しさせていただいております。ぜひ大臣に細かく目くばせしていただいて、もし書類の不備があったりそういう問題があったら、なるべくこちらから寄り添ってつくっていただく。

 こういうことも言われました。外は瓦れきの山、だけれども、前の交付金事業に比べて書類の提出は三倍になりましたと。庁舎は書類の山、これが今の現状だそうです。

 ぜひしっかり再度検証して、政治の主導で、寄り添う形でしっかり相手の意に沿うような対応をするとお答えをいただきたいと思います。

前田国務大臣 今の御指摘を聞いていると、現地では非常につらい状況になっているようでございます。私自身、まだ今の現場については実態を承知しておりませんので、どういう状況かということは直ちに調査をいたします。

 今度の平野復興庁担当大臣も非常に意欲的に取り組んでいただいていて、ちょっと今のお話を聞いていると、知事さん、市長さん、自治体の方ともう一つ何かかみ合っていないなという感じはするんですね。

 ただ、私も福島県なんかに行っていたわけなんですが、復興交付金の第一次の査定の採択率が非常に低かったということは聞いているんですね。それは、どうやら原因もあるようなんです。これについては余り申し上げませんけれども、どうしても、最初の復興交付金に対する要請というんですか、そのもとになっているものが、多分、復興の全体のまちづくりというものなんかが、構想が出てくるその前の一番初期の段階の、基本的なといいますか、どちらかというとハードのインフラ、道路であり堤防でありといったようなものが非常に多かったというふうに聞いているんですね。

 そういうものの最初の段階というのは、レベルの完成形というか高いものではじきますから、額的にも大きくなっているでしょうし、かなり規模的にも、完成のものというのを想定すると、ちょっと、段取りからいうとまちづくりの進展と必ずしも合わないというようなところがあって採択の結果がそれほど高くなかったと。何か、所によると五〇%台のものもあったというふうに聞いているんですね。ということは、多分、まだお互いの共通の認識というのが、しっかりしたものができ上がっていないところもあるのじゃないかという心配を今お聞きをして感じておりました。

 そんなことも含めて直ちに調査をし、そして国交省としてどういうような対応、指導ができるか、これもしっかりやってまいります。

小野寺分科員 大臣、堤防がなければ、つくった新しい工場や住家も今度はまた津波に流されてしまう。そして、今、一メートル地盤沈下しているわけですよ。ですから、全てのインフラをまずつくらないと何も前に進まない。どうも私、査定している人は現地に行っていないんじゃないかと思いますよ。

 そして、もっと言えば、あずかる首長、この人たちは今回相当の支援を国からいただきます。ですから、普通であれば、いろいろな不満があってもきちっと受けとめて、いろいろなお願いをして詰め合えると思います。その人たちがここまで怒るというのはよほどのことだと私は思います。

 そして、もっと言えば、岩手県は九割を超えているんですよ、採択率が。宮城は五十数%。一番ひどい石巻は、一番震災がひどい石巻ですよ、三〇%ですよ。これじゃ市長は怒ります。こう言っていましたよ、申請したのは全部じゃないんだと。申請したものを、言われたから厳選して厳選して半分以下にして申請したら、採択率三〇%。一割から一割五分ですよ、石巻で。こういうことがあっては、やはり復興する意欲がなくなる。なぜそれをそぐようなことをするのか。そういう実態があることをぜひお感じいただければと思います。

 さて、復旧復興の中で私ども困っていることが一つあります。実は、例えば石巻であれば仙石線、気仙沼であれば気仙沼線、今回、JRのさまざまな復旧復興が大変必要です。そして、例えば石巻であれば、日本製紙という工場からの湾港線という引き込み線、こういうものが全てこれから復旧しなきゃいけない。ですが、被害が大変厳しい。そして、実はもともと黒字路線ではありません。こういうJRの支援について国がもしきちっと支援しなければ、今、JRも事業者ですから、ある面では赤字路線が廃止になってしまう。

 今回の震災を受けて、私は、庶民の足であるJR、ここの復旧復興というのは国が支援すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉田副大臣 鉄道の災害復旧におきましては、鉄道軌道整備法に基づく鉄道災害復旧事業費補助制度というのが存在しております。さはさりながら、JR東日本さんは経営が大幅な黒字でございまして、この対象外となっておりまして、原則、みずから会社の責任で復旧するという形になってまいります。

 一方では、より内陸部への路線の移転を伴う復旧となる場合においては、例えば市街地開発事業においてまちづくりと一体的に鉄道用地を確保する等、まちづくり事業の実施者とJR東日本との間の調整により必要な措置がなされるよう、そういうようなことを検討するということにはなっております。

小野寺分科員 検討しても断られているから、私、ここで質問しているんです、吉田さん。断られているんですよ、国から。今回、内陸に移す、あるいは鉄道にある面では防災、防波堤機能を持たせる、そういうことで、鉄道の路線のかさ上げについて防災の面から必要だと自治体が思って、そして今回の事業に盛り込もうと思って国に断られているから、こういう質問をしているんですよ。わかりますか。地元でようやく、通勤通学の人たちが使うこの路線、赤字かもしれない。でも、津波でやられてしまって、国は一切支援しない。JRは事業者だ。事業者は採算ベースで考える。最終的にこの路線がなくなる。これほど被災民の心に厳しい、こんな対応はないと思いますよ。なぜそんな冷たい言い方ができるんですか。

 お願いしたいのは、赤字路線だったら、今、企業化しているJRであれば、それはボランティアでは直してくれません。まちづくりと一体化する。町は考えますよ。では、JRのかさ上げ、このかさ上げする費用は、今回の多重防災の意味でも対応する、だからJR一緒にやりましょう。でも、この提案ができないわけですよ、国交省が許さないから。

 政治として、政治家として、この問題、もう少し関係部局で相談していただけませんか。

吉田副大臣 鉄道の復旧につきましては、これは、いわゆる地域の思いというもの、鉄道に対する思いというのは非常にあると思います。これは私もよく理解をしております。

 ただ、今おっしゃられましたようにいろいろなパターンが、例えば、まず通勤の足、現地の足の確保というふうなもの、では、それは鉄道でいいのか、また別の方法があるのか、それは省内でも今検討し、それぞれ、今お話もございましたように赤字とかコストという部分がございますので、そこは一緒にあわせて、今先生御指摘の中の検討というものをさせていただきたい、そういうように思っております。

小野寺分科員 もしこの路線が民間で赤字だったら、多分支援してもらえるんでしょう。ですが、JR東日本という形であるから、これはJRがもうかっているから、そのままJRに任せろ。でも、JRは企業として、ここの再生する費用対効果でなかなか大変だ。そこの間を埋めるのが私は政治だと思いますよ。被災地を見て、現地を見ていただいて、そこの子供たちが通勤通学で使っているこの路線すら国が支援できないということであれば、吉田さん、もし私と立場が違っていて、この立場に吉田さんがいたら、多分私と同じような気持ちになると思いますよ。ぜひ省内でもう一度検討していただいて、JRと相談していただくこと、それをお願いしたいと思っています。

 また、同じく、今回のこの震災、災害復旧で一番大切なのは、実はやはり道路の問題です。

 沿岸部の道路は相当被災しました。そして、今回、車の中で流された人がたくさんおりました。ただ、幸いにして、高速道路が幾つか開通したところ、ここは救われました。また、その後の災害復旧でもこの道路を使っていただきました。

 前の質問でも大畠大臣に確認をさせていただきました。今回、三陸縦貫自動車道、これが大変有効な機能だということで、全線着工を決断していただきました。私ども大変感謝をいたします。ぜひ、このめど、ことしだけじゃない、来年も再来年も、これは時間がかかります、どのぐらいのめどでこの全線開通が実行されるのか、そのことについて確認したいと思います。

吉田副大臣 今議員御指摘のとおり、今ちょうどくい打ちが始まって、昨年の十一月末から測量立ち入り説明会を開始し、測量を実施しているというところでございます。もちろん、復興道路会議等も設置をしていただいておりますし、三次補正で未事業化区間全線を新規事業化したところでございます。

 ですから、めどにつきましては、いましばらくお時間をいただきまして、しっかりとしたお答えを出したいと思っております。可及的速やかにとは考えております。

小野寺分科員 前田大臣は大変お詳しいので再度大臣からお伺いしたいんですが、前回の質問で、大畠大臣は記者会見で、十年をめどというお話をされました。そのめどについて、変わっていないのか、あるいはもっと早くなりそうなのか、大臣からお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 たしか、小野寺委員の質問、復興特別委員会だったですか、何かお答えした記憶があるんですが、十年というのはもう大畠大臣が言われたことでございまして、できればそれを前倒しして、もう少し何とか早くというふうにお答えしたつもりです。要するに、つなげにゃいかぬ、早くつなぎますというお答えをしたつもりでございますが、その線で、とにかく大畠大臣の十年を少しでも縮めるようにいたします。

小野寺分科員 ありがとうございます。

 やはり、今回、新しいまちづくりをするためには、実は、新しい高速道路がどこの路線でいつごろできるか、それにあわせて、例えば新しくそこに集団防災移転を考えようとか、新しい町をつくろうとか、もしかしたら鉄道の問題もそれとあわせて考えようとか、いろいろなことが出てまいります。基本はやはり背骨に当たります高速道路だと思っております。

 もう一つ、実は今回、私ども反省しましたのは、さまざまな災害復旧に当たりまして、あるいは救援物資の搬入に当たりまして、東北道や沿岸の道路だけではなくて、内陸の道路、日本海と太平洋をつなぐ道路、こういうことの重要性も大変確認をさせていただきました。

 例えば、石巻と山形、秋田をつなぐ四十七号線、ここは早く整備してほしい、こういう要望が出ております。特に宮城と山形をつなぐ、例えば宮城の大崎市の鳴子と山形の最上、ここの拡張が早くなされればさらにこの状況が前に進むと思うんです。このような路線の拡張あるいは予算の措置について要請をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉田副大臣 今、小野寺議員御質問の一般国道四十七号、というよりも横断道路ですね。これはやはり、震災になりましたら、縦断だけではなく横断、山を越えてやってくる、これが大きな力を出したというのは、私も当時災害対策の特別委員長をやっておりまして、十二分に感じたところでございます。

 今、私が言うまでもなく、その結果として、四十七号以外の横断の道路につきましては、遠野でありましたりさまざまなところも、予算措置、事業化という形がなされております。今御指摘がなされましたように、現実に今ある道路を、では、どういうふうに、より災害に対して強い道路にされるかということ。

 とりわけ、この宮城県仙台市と山形県酒田市を連絡する広域幹線道路であります一般国道四十七号は、今御指摘ございましたように、この大震災におきましても、緊急物資を輸送する道路として非常に重要な役割を果たしてきたということは言をまたないところでございます。

 また、御指摘のとおり、宮城県大崎市鳴子から山形県最上町間については、急勾配、急カーブが連続し、交通事故、そして冬期速度の低下など課題があるところで、これまで改良に向けた調査は実施をしてきているところでございます。

 今後は、この調査結果を踏まえ、課題が大きい箇所より、いわゆる線形改良、堆雪帯確保のための拡幅など、改善に向けた対策の実施について一歩進めて検討してまいりたいと思っております。

小野寺分科員 今の吉田副大臣の、実施に向けての一歩進めた検討ということでございます。ここは雪が降ると大変また厳しいところでもありますので、少なくとも道路の改修を早くしていただきまして。

 ここはもう一つの重要な路線が考えられまして、ようやく宮城の県北に、トヨタ自動車を初めとする産業基盤の整備が行われております。そして、将来的には太平洋からの、例えば自動車関連部品、自動車製品の輸出もありますが、日本海を使ったロシアとの交易ということもこの地域ではよく検討されております。そのためには、この横のラインが早く整備されることが地域振興そしてまた今回の震災地の復興に大変役立つということですので、ぜひこの整備もお願いしたいと思っております。

 これからやはり道路整備やインフラ整備、さまざまお金がかかることばかりでありますが、よく見ると、住民の方のさまざまな要望というのは実はこういうものにかなり帰着しますし、そして、いざというときにいかに道路が大切かということも改めてわかると思います。

 さて、一つ、すごく細かいお話ですが、実は、被災自治体をずっと回って問題になっているのは、埋蔵文化財の問題です。

 特に三陸沿岸というのは、もともと高台というのは、私も子供のころから経験があるんですが、高台で見晴らしがいいところをちょっと掘ると貝塚が出てきたり、さまざまな文化財が多いということになります。実際、岩手県では、集団防災移転を計画したところで埋蔵文化財があって諦めたということもございます。

 これは大変難しい問題ですが、どのような形でこれを進めるかという中に、特に埋蔵文化財の調査を促進することも大切だと思います。その調査促進の予算についてもぜひ政府内で検討していただきまして、実は、ようやく見つかった土地が文化財があって使えないということが実際あるということですので、この状況について認識をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 私の地元の大和は、何か公共事業をやると必ず埋蔵文化財が出てきて、随分時間がかかるということに相なります。

 その辺は、確かに埋蔵文化財の多い府県というのはそれなりの知恵を出して対応してきていますので、そういった知恵も取り入れて、しかし、例えば先生の地元であれば、多賀城市であったり亘理であったり、これは実は非常に歴史的に道と関係しているんですよね、亘理なんというのは。東山道と東海道があそこで一緒になっていたなんて、多重防御のための道路を千年以上の先輩たちが奈良時代からやっていたというのはすごいことだと思うんですね。

 そういった文化財の発掘を通じて、また東北の新しいアイデンティティーといいますか、そういったものも大いに国民が共有する、ある意味では観光なんかにも大いに活用できればなというふうに思います。

 そんな意味で、ちょっと国交省限りの範囲ではございませんが、これも復興庁とも相談をし、文部科学省、文化庁との連携等を含めて検討してまいりたい、こう思います。

小野寺分科員 災害に遭って初めて、私は、国土交通省は大変大きな力のある役所だなというふうに感じました。

 四年前、宮城内陸地震というのがありました。あれも実は選挙区で、私はその瞬間、栗原市におりまして、自分も道路が寸断されたところにおりました。すぐTEC―FORCEというのが来て、これが出動第一号だったと伺いましたが、さまざまな支援をしてもらいました。

 そしてまた、今回の震災に関しても、防災の問題だけではなくて、その後の復旧復興も相当しっかりやっていただいた、そういう思いでみんな見ております。ですから、地元では実は大変信頼関係が強い、これが恐らく国土交通省への被災自治体の皆さんの気持ちだと思います。

 ただ、今回の集団防災移転を含めて、さまざまな交付金事業の今の査定の状況を見ると、恐らく一義的にはこれは復興庁の問題だと思いますが、ただ、最終的に合い議をするのか、担当者がいらっしゃるのかわかりませんが、国土交通省の担う役割も大変大きいと思います。

 恐らく、今回は全て国費の投入ということですので、当然財務省との関係もあり、かなり厳しくいろいろなことを精査されるということがあるんだと思いますが、かといって、やはり被災者がこの問題に関してすごくつらくなるようなそういう対応がないように、特に申請に当たってのさまざまな問題については、むしろ寄り添って、こうすればうまくいくということを、ともに汗をかいて知恵を出し合ってやっていただきたい。

 最後に、復興にかける思いを改めて大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

前田国務大臣 小野寺委員の御指摘は全く共有しておりまして、そういうつもりで対処してまいります。

小野寺分科員 ちょうど時間になりましたので。

 きょうは、前田大臣そして吉田副大臣、どうもありがとうございました。今後ともこの地域に対してのさまざまな御支援をいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

村越主査 これにて小野寺五典君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

村越主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫛渕万里さん。

櫛渕分科員 こんにちは。民主党・無所属クラブの櫛渕万里でございます。

 きょうは、人口減少時代における高齢化社会、その中での都市政策や多摩ニュータウンの再生について御質問をさせていただきます。

 まず、国交省で二月に中間取りまとめをされました「国土の長期展望」、これは大変興味深く、日ごろ活用させていただいております。主に三つの柱、人口減少と少子高齢化、地球環境問題については気候変動の問題、そしてグローバル化の進展といった、この大きな柱は大変興味深いものがございます。

 特にきょうは人口減少と高齢化について見ていきたいと思うんです。

 一九八〇年代までの日本は、本当に先進国の中で最も高齢化率の低い、いわば極めて若い人口構造であった。そうした時代から、九〇年代に入ると、本当にどんどんどんどんと他の先進国を追い抜いていって、早くも一九九八年には世界で最も高齢化率の高い人口構造へと変貌した、そういったこともこの分析の中にあるわけであります。これから先もその速度は衰えずに、二〇五〇年には総人口が三千三百万人減るといった分析がなされております。

 そうした歴史的な変化の中で、持続可能性、このキーワードがどの分野においても軸となっていく。そして、いわゆる大都市問題と言われる都市政策においては、特に東京圏において待ったなしの課題であると私は強く感じているところであります。

 問題意識として二つのことがあります。

 全体が人口減少していく中で、細かな統計を見ていきますと、その速度は地域によってかなり異なっているんですね。東京圏で進行する高齢化は、このままいきますと総人口が減らずに高齢者だけが増加をする、こういった特徴があります。東京圏では二〇三五年までに六十五歳以上の方が何と七五・七%もふえる、人口の三二・二%を占めるといったことであり、これは現在の島根県よりも高齢化率が高い、こういった数字が出ています。

 二つ目は、大都市地域が直面する高齢化へのスピードが余りにも急速であるために、この急速な変化にシステムの変化が追いついていくのか、こういった問題が二つ目の問題意識です。

 地方、地域の方が高齢化率は高くても、そこに至るスピードが緩やかであれば、社会や経済はそのシステムを徐々に変えていく、そのことで緩やかな形で適応することが可能であるわけです。しかし、大都市地域が高齢化へ向かうスピードが余りにも早いとなりますと、システムの変化も急速なものにならざるを得ず、そうした変化に人間がついていけるのか、あるいはインフラがついていけるのか。かといって、システムの変革を先延ばしにすれば、社会や経済は機能不全となりかねません。

 こういった問題意識の中で、まず前田国土交通大臣にお聞きをしたいと思います。人口減少と高齢化社会における都市政策について、どのように現状認識をされ、本来どのようにあるべきか、お聞かせください。

前田国務大臣 櫛渕委員の御指摘、そして、東京都、大都市における急激に進む高齢化、そのあたりのことは全く同じ考えを共有しております。

 三日前の金曜日に、ちょっと午後から時間ができたものですから、野田総理が行かれました柏市の豊四季、それから船橋市の高根台という、これは典型的にURの賃貸住宅なんかが中心にできている、それでも五千戸ぐらいあるんでしょうか、非常に大きな住宅都市ですね、そこの再生のプログラムが現実に動いているわけですが、見学をしてまいりました。

 豊四季の方については、柏市自体が、これは昭和三十年代にできた団地ですから、六十五歳以上が四一%といいましたか、大変な高齢化が進んでいるところでありまして、柏市自身も以前からこのままではという危機感を非常に持っておられた。そこに東京大学の高齢者社会何とか機構とかいう研究機構ができたんですね。そこの先生方、それからUR、それぞれが同じ方向性で非常に大きな危機意識を持って一堂に会して、これではいかぬということで非常に情熱を持って取り組みをされ始めたんですね。

 そういう中で、多分、地域包括ケアというのが厚生労働省から出てまいりました。要するに、今住んでいるところで年を重ねても、医療であれ介護等福祉であれ、ちゃんとサービスを受けられる、コミュニティーは維持する。できればそういったところに医療、介護のサービスセンターなんかもできて、世代循環なんかも起こる、そういう構想のもとにまちづくりを進めている実態を見てまいりました。

 冒頭、こんなことを申し上げているのは、いかに具体的に持続可能な都市再生を果たしていくか。さらに言えば、ニュータウンがオールドタウン化して、ニュータウンができたときには、同じ年齢層の方々が入って、非常ににぎわった町を形成された。その市等においては一つの成長のエンジンであったわけですから、インフラ整備なんかもどんどんやって、もちろん学校もでき、ショッピングセンターもあり、コミュニティーもでき、祭りもやってというのが、今やそれがオールドタウン、ゴーストタウンになりかけている。それをどうするかということで具体的な再生の動きが出てきているんですね。

 今、当初の御質問は、これからの高齢化の時代のまちづくりをどう考えるかということでありましたが、こういう現場も見せていただきながら、持続可能なまちづくりということは、一つは、やはりコンパクト化していくということが重要だろうと思います。

 それから、当然のことながら、例えばURの団地なんかを中心に考えると、相当な空き家も出てまいります。そこで、今までの四階建て、五階建てを高層化して、そこのコミュニティーは維持したまま、新たな賃貸住宅もつくり、若い層も入ってこれるように、次世代循環も起こる、要するに年代構成にバランスがとれるようにしていく必要があるんだろうと思います。できれば周りの住宅地なんかも、その団地の新しい再生する都市にできる地域包括ケアなんというのがその中に入ってきますから、そのサービスも受けられる、町全体として持続可能で活力が続くというようなことにしていくべきだと思います。

 日本全体をトータルで考えると、人口の減少というのは御指摘のように当然あるわけで、特に大都市、東京を中心とする首都圏で、急激にその固まりが一斉にどんどん高齢化するわけでございますから、そういう意味においても、大都市圏におけるニュータウンのオールドタウン化をいかに再生していくかということに尽きると思います。

櫛渕分科員 今、大臣から、具体的に持続可能な活力のあるまちづくり、こういったお話がございました。私はそこは全く賛成なんです。でも、大臣、ニュータウンがオールドタウン化しているとかゴーストタウン化している、これはぜひ現場に行っていただいて、実は多様性のある町なんだということで、新しい活力があるといった視点に立ってこれからのまちづくりをお考えいただきたいと思うんです。

 いわばこうしたレッテル張りのような形は、これからニュータウンを再生していこうという中においては、私はこれから御質問にもつなげていきたいんですが、あらゆる多様性、世代間の交流、活力をぜひ見ていただきたいなというふうに思っております。そういった意味も込めまして、多摩ニュータウンと先に言っていただきましたので、御紹介も兼ねて質問を続けさせていただきます。

 私の地元、町田市、多摩市、そして稲城市、八王子市にまたがる多摩丘陵には、日本最大規模のニュータウン、いわゆる多摩ニュータウンが広がっているわけであります。本当にそれぞれの市によって、団地のあり方、あるいは住宅ゾーンのあり方、建物のあり方や住宅の仕様についても、住宅の展覧場とも言われるぐらい大変多様な町であります。そうした一九六五年の都市計画決定から半世紀近くがたったわけでありますけれども、四十年以上の月日が流れて、今、人口は二十万以上になるんですね。

 その多摩ニュータウンの初期入居地区である諏訪二丁目団地では、住民が二十年以上取り組みを続けて、住民の九割の合意を経た上で建てかえ決議が成立をし、来年の夏には竣工されるといったことで工事が進んでおります。ニュータウンのこうした新しい取り組みが、ようやく再生に向けた一歩を踏み出したところなんです。

 しかし、きょう取り上げたいのは、こうした初期の開発地域において、都市インフラの更新、急激な高齢化への対応、また、職住近接した都市政策への転換といったさまざまな困難な課題があることも事実であります。特に、計画的に高水準な都市整備をされてきたのがこのニュータウンの都市インフラでありまして、更新にも莫大な費用がかかります。これが老朽化していること、そして、先ほど大臣もおっしゃられたように、同時期に大量な皆さんが入り、類を見ないスピードで高齢化が進んでいるといった状況の中で、人と施設、そこが同時に緊急の対応がこれからますます必要になってくると思われます。

 ニュータウンの開発は、言うなればつくりっ放しの都市政策と言われているような状況がずっと続いてきたわけでありますが、こうした時代にあって、もう政策転換のときではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

前田国務大臣 まさしくそのように思っております。

 ちょっと誤解をされたようでございますが、私がニュータウンがオールドタウン化と言っているのは、要は、多少危機感をあおる意味もありますし、実は地元で非常に熱心にコミュニティーの連帯の中でまちづくりをやっていただいているところが全国にいっぱいあるんですね。私も実際に存じております。先週行ったところもそういうところなんです。

 しかし、全体から見ると、本当にコミュニティーがすばらしい形で熱を持ってやっていただいているところは、ケースとしては少ないんですね。政策としては、そういうところに期待をするだけではなしに、おっしゃるように早く、早くというか、既に私はおくれをとっていると思うんですが、政策として方向を転換しないと、転換しないとということは、新しくつくるというよりも、今ある成熟した住宅都市というのをいかに再生させるかという、そちらの方に政策のかじを切らないと間に合わなくなるぞという危機感を持っていて、そういう表現をするんですね。

 特に、具体的に申し上げますと、団塊の世代が今一斉にリタイアし始めているわけですが、この方々が、イメージで言うとニュータウンを引っ張ってきた世代だろうと思います。賃貸であれ分譲であれ、あるいはその中の一戸建てであれ、非常にある意味ではレベルの高い住宅をお持ちで、それが、今相当、リタイアとともに子育てした子供たちもいなくなっております。ということで、人口は減少してということです。

 そういったニュータウンは全国至るところにあります。西の方にもあります。この間、泉北ニュータウンも見学をしてまいりましたが、これまた地域でボランティアの方々が大変すばらしい連帯を持ってやっていただいているんですね。高齢者に対する求職活動をやったり、レストランまでおつくりになったり、あるいは、いわゆる福祉のようなショートステイにすると非常な制約がかかるのを、わざわざ公団、公営住宅でしょうか、部屋を幾つか買い取って、いわば年老いた両親を、しばらくの間、宿泊という格好でお預かりをして、若夫婦がちょっと旅行に行けるようにするだとか、いろいろなことをやっています。

 そういった成功例というか熱心にやっておられるようなモデルをぜひ生かして、政策として新しい持続可能なまちづくりを展開してまいりたい。その一つのケースが、近くでいうと豊四季なんかで既に行われ始めているということであります。

櫛渕分科員 ただいま大臣から政策転換の必要性を御答弁いただいたわけであります。

 国の都市政策のあり方としても、高度成長期の時代の基盤整備を重視した都市政策からストックの活用を重視する都市政策へ、こういった政策転換の時期に来ている、まさに時代の要請であると私は思っているんですね。

 さらに、税制においても、適正な都市基盤の更新財源を確保できる仕組みが必要ではないかと思っております。まちづくりを進めるために、都市計画を目的にいただいている税、都市計画税というのがございます。大正八年に制定されたこの都市計画税が、最後に見直されたのは何と昭和三十一年だそうでありますけれども、実に半世紀が過ぎ、もう当時と今とでは社会情勢は大きく変化をしているわけであります。

 ぜひここをお聞きしたいんですが、都市計画税を、新たな整備だけでなくて、都市インフラの更新や維持管理、バリアフリー化など、老朽化と高齢化社会を迎える時代の都市の再生のために使えるようお考えをお聞かせいただきたいと思います。

吉田副大臣 多分、櫛渕議員の御質問の意図の中には、御地元の多摩市では都市計画税を基金化なさっている、その活用ということも含まれるのではないかなと思っておりますが、御承知のとおり、都市計画税は目的税として課せられる地方税でございまして、総務省所掌でございますが、その税収につきましては、都市計画事業などの費用に充てることとされております。

 この「など」という言葉が非常に重要でございまして、したがいまして、公園等の都市施設の整備を都市計画事業として行うのであれば、施設をリニューアルする場合も含めて都市計画税を活用することが可能であります。

 このリニューアルという言葉も非常に重要な言葉でございまして、そういうような言葉の派生というものの中でいろいろできる可能性があるという場合もありますので、その際、バリアフリー化など高齢者のためのリニューアルを行うことも考えられるということで答弁とさせていただきます。

櫛渕分科員 では、副大臣、例えば下水道はいかがでしょうか。

吉田副大臣 申しわけございません。やっている例はございます。

櫛渕分科員 では、都市計画税は下水道や道路などの都市インフラの更新にも使えるということでよろしいでしょうか。

吉田副大臣 先ほど申し上げましたように、都市計画事業などという形で、その「など」の中に含まれる事業であるならば可能である、そういうふうにお答え申し上げたいと思います。

櫛渕分科員 前半で見てきましたように、この間、社会環境は大きく変化をしております。また、こうした更新に係る財源の必要性、例えば、先ほど冒頭で申しましたこの資料の中にも、現在ある国土基盤ストックの維持管理費、更新費が今後急増する、そして、これは国家全体でありますけれども、二〇三〇年ごろには、現在と比べて約二倍になるというふうな分析も国土交通省の中でされているわけであります。

 ぜひ国として適正な財源確保を、先ほど「など」というような幅のある形でお認めいただいたというふうに私は理解をしたいと思いますけれども、こうした施設の更新や維持管理に続けて、この時代の転換期に、ここのニュータウンだけでなくて、計画的に開発整備が行われた都市を中心に、全国の自治体でこの施設維持の財源確保がこれから課題になってくると思われます。前向きな御答弁、ありがとうございました。

 さて、ニュータウンは、高度成長期を支えるモデル都市だったわけですけれども、大臣もおっしゃったように、新たに高齢化社会に適応するモデル都市としてさらに前向きな取り組みをお願いしたいと思っているところであります。ぜひ旧来の論理あるいは発想、平面的に固持するのではなくて、先ほどのような未来に向けた、立体的な、都市生活に本当に役立つ御判断をお願いしたいと思っております。

 そうした中で、次の質問に参りますけれども、独立行政法人UR、都市再生機構の改革についてお伺いをいたします。

 今、全国で七十六万戸、二百万人近い方が居住されており、私の地元、町田と多摩においても二万人近い方が毎日生活を営んでおられます。

 しかし、一月二十日に政府が閣議決定しました独立行政法人の見直しにおいて、実は、居住者の皆さんは大変御不安の中におられます。この閣議決定の後半の部分、賃貸住宅については、居住者の居住の安定の維持等の必要性を踏まえ、中略いたしますが、会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化を検討し、夏までに結論を出すというふうにされているわけなんです。

 居住の安定については、この見直しと、また一方で平成十九年の六月に成立したいわゆる住宅セーフティーネット法にも明記がありまして、こういったさまざまな状況の中で、内閣府の行政刷新会議のもとで進んでいる検討について中塚内閣府副大臣に方向性をお伺いいたします。

中塚副大臣 今先生から御指摘ありましたとおりに、一月二十日の閣議決定で、百二あります独立行政法人全てについて制度と組織を見直すということを決定いたしました。その中で、都市再生機構、URにつきましては、有識者から成る検討の場を設置するということになったわけであります。

 それで、住宅セーフティーネット、特に住宅確保要配慮者につきまして、都市再生機構が一定の役割を担っておるということについてはもう重々承知をいたしております。政策目的について、それがいいとか悪いとかいうことではなく、その政策目的が効率的に行われるかどうかというところが、私どもとしては一番の主眼を置いている点でございます。特殊会社というのはそのほんの一例でありますけれども、言ってみれば、そういう法人自体のガバナンスが、果たして本当にちゃんとうまく行われているかどうかということについて注目をしているということでございます。

 先ほども申し上げました、配慮は必ずしなきゃなりません。ですので、調査会の第二回目の会合におきましては、全国公団住宅自治会協議会の方もお招きをし、実態をお聞きしたところでございますし、私の選挙区にも公団の団地が三つほどございまして、お餅つきやら盆踊りやら夏祭りやらお招きいただいて、地域の皆さんと交流をさせていただいているところであります。

 検討すべき課題は本当にたくさんございます。しかし、今申し上げたことについてはちゃんと留意をしながらこれから議論を進めてまいりたい、そう考えております。

櫛渕分科員 URそのものは巨額の負債も抱えておりますので、組織の抜本的な改革の必要性ということは私も同感であります。

 ただ、もう副大臣は御理解いただいていると思いますが、これは行政的な合理性のみで判断するのではなくて、ここに居住されている皆さん、世帯主の三人に二人が六十歳以上、また年金生活者も大変多い中で、八割が長く住み続けたいと声を上げておられる中であります。ぜひとも政治がしっかり皆さんの安心を守っていただく改革として進めていただきますようお願いを申し上げます。

 続いて、前田国交大臣に……

村越主査 副大臣は御退席いただいて結構ですか。

櫛渕分科員 失礼いたしました。ありがとうございました。

 次に、URに限らず、公共賃貸住宅についての必要性をどのようにお考えか、お聞きしていきたいと思います。

 私は、我が党の旧公団の居住安定化を推進する議員連盟の副幹事長もさせていただいておりますけれども、皆さんから、公共住宅を国がどのように政策としてきっちり持っておられるのか、こういった声をよく耳にいたします。いかがでしょうか。

前田国務大臣 公団、あるいはURを含めて、改革の方向性というのは民主党政権においても出してきているわけです。それは、今御指摘のように、例えばURであれば総額十四兆円の負債になるんじゃないか、こう言われているわけですね。その辺のところは、内閣府で、岡田副総理が行革担当として、そして、多分、事務局長が中塚さんなのではないかと思うんですが、検討していただいております。

 そこで、今の公営住宅も含めて、今実際にお住みになっている方々が御心配されるようなことでは絶対まちづくりはできません。むしろ、今住んでおられる方々が、同じ世代だけで孤立していくのではなしに、若い子育て世代もその町に入ってくるというような世代循環も含めて町の再生をしていく、そういう中にUR住宅であったり公営住宅というのが公的な大きな役割をずっと担い続けていく、それが一つの中心になるだろう、こう思っております。

 そういうまちづくりをするプロというのが、実はURのまちづくり部門の専門家なんですよ。この専門家以外に、そういう統合的なまちづくりをする専門家というのはなかなかおりませんよ。そういう意味で、URの専門家というのは非常に重要だ、こう思っております。

櫛渕分科員 公共賃貸住宅については、URに限らずさまざまなタイプがあるかと思います。

 なぜ私がこのことを申し上げたかといいますと、実は、欧米諸国と照らして、我が国ではこうした住宅を社会資本あるいは社会的資産としてみなされていないという歴史が長く続いてきているように思うんですね。つまり、あくまで個人資産であり、政府の施策といえば、低利の融資あるいは持ち家の取得支援策に限られています。

 例えば欧米では、都市の健全な発展のためには住宅ゾーンと公共住宅をセットで社会資本として整備していこう、こうしたまちづくりが進められております。空間の利用の仕方も全然違いますね。こうした新しい発想を持って、これからストックを活用した公共賃貸住宅の重要性が少子高齢化の時代の中で必要なのではないかと思うわけであります。

 加えて言えば、これまでの終身雇用や年功序列型の賃金体系も崩れていくと、これから先、長期に安定した収入あるいは右肩上がりの賃金体系の両立が難しいとなると、長期のローンを組んで持ち家を持とうという方が今までに比べて減ってくる。そうした中で、貧困が生まれたり、あるいは生涯の平均所得の額も変わってきたりします。所得の相対的な率もどんどんと減っていくというようなことが人口構成変化の中では考えられるわけでありまして、ニュータウンの公的賃貸住宅をストック資産として活用しながら、こうした公的住宅の必要性なども、これからまちづくりの中に持続可能なものとして整備していってはどうかという提案でございました。

 そろそろ時間となりました。大臣、ニュータウンには四十年以上にわたってのコミュニティーも貴重な財産であります。先ほどURしか専門家はいないとおっしゃられたんですが、一つ最後に例を御紹介して終わりにしたいと思います。

 多摩市の中に多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議というNPOがありまして、これは住民が参画して住宅政策や都市政策を実践しているんです。最近、コーポラティブハウスを事業として展開されて、新たな住宅を保育園のそばにつくって、いろいろな世代が一緒に住まう新しい住まいとして展開されています。こういったことも、ぜひ今度現場にお越しいただいて、新しいまちづくりを進めていっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

村越主査 これにて櫛渕万里さんの質疑は終了いたしました。

 次に、石田祝稔君。

石田(祝)分科員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、お時間をいただきましたので、地元の四国の問題等を中心に、国土交通大臣ほか関係の皆様に御質問をしたいと思います。

 まず、本四高速の料金、また出資金等の問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 本四高速は、大臣も御存じのとおり、昔、大変な船の事故がありました。紫雲丸という船が沈んでしまった。そのことを受けて、本州、四国の間に橋を、歴史的にはこういうことでずっと進んでまいりました。

 このことで、一番新しいところでは、二月十七日に国土交通省と関係の十府県市で話し合いもなされたというふうにお伺いいたしておりますけれども、基本的には今後どういうふうに進んでいくのか、また確認されたことは一体どういうことなのか、端的にお答えをいただきたいと思います。

前田国務大臣 それには前段がありまして、高速道路のあり方検討有識者委員会というところで、たしか、これは昨年の暮れに中間取りまとめをやっていただいて、本四架橋の料金についてもある方向性を出していただきました。それは、余りにも料金が高過ぎる、何とかNEXCO並みの料金にという方向性を出していただいた。それを受けて、三橋の関係自治体及びNEXCOであり国交省であり関係者が寄って協議をやっていただいて、地方出資団体において合意を出していただいたということでございます。

 具体的な実施方針については、平成二十四年度末、これから一年少々かけて結論を得たいということになっております。

石田(祝)分科員 昨年の十二月九日ですか、「今後の高速道路のあり方 中間とりまとめ」ということで、今お話しされたように、本四高速の料金が大変高い。私は四国に住んでおりますけれども、本州から、ある意味では観光だとか、いろいろなところで来ていただくに際して、料金が非常にネックになっているのではないか。ですから、この中で話し合われた、ちょっと言葉が適当かどうかはあれですけれども、NEXCO西日本ですか、そちらの方に本四も引き受けていただいて、料金体系も余りほかのところと大きな差がないように、一言でいえば来ていただきやすいようにやっていただく、こういうことで、非常に私はその面は賛成であります。非常にこれはありがたい。ぜひ、ほかの大きなところと一体化して、橋の料金また陸上部の料金等も見直しをしてもらいたい、こういうふうに思っております。

 その中で、一つひっかかるというんでしょうか、地元の十府県市、これは四国だけではなくて大阪等も入っているわけでありますが、地元の負担金ですね。出資金というふうに名前はなっておりますけれども、これが、例えば愛媛県の知事さんともお話をすると、今、一年間五十三億円だ。非常に負担が大きい。確かに、橋で利便性はあるんだけれども、非常に大きいので、出資金の額の低減、また期間を延ばしてもらう、一つの同じ金額を延ばして払うことも考えてくれ、こういうことであります。

 ここの各府県市のいわゆる出資金の額を下げてほしいというのが正直なところなんですけれども、これについてはどのような御検討をこれからされる予定でしょうか。

前田国務大臣 愛媛県の知事さん等からもお話は直接聞いております。確かにもっともなことだなという感じは受けるんですね。

 いずれにしろ、関係の自治体と、そしてNEXCOも含めて、関係機関が今協議に早速入ってくださっておりまして、負担の割合軽減についても必ずや納得できるような答えを出していただけるもの、このように期待をしております。

石田(祝)分科員 出資金を出す方としては、これはできるだけ少なくお願いしたい。一つは、議会の問題もあるわけですね。そして、いろいろとお聞きをしておりますと、やはり本来の値段から通行料金を下げたときに、出資金をいつまで出していただけるのか。そのお尻のところが、どうも国と地元の県市は違っているんじゃないか。ですから、これは一つの書き物をしても違う捉え方をされているところがあるんじゃないか。

 ですから、地元の方にいろいろ意見を聞くと、三十四年度までなんということは合意はしていないよ、こういうことも実はあるわけなんですね。国としては、NEXCOとしては、三十四年度まで出してもらえるという前提で料金を下げていますよ、こういう話も片やあるんですね。

 ですから、二十四年度中にそういうものを含めてやっていただけるだろうと思いますが、書類等をつくった後でお互いの読み方が違うようなことは、今後も非常にマイナスになると私は思いますが、こういう点は、大臣、御存じだろうと思いますけれども、どうお考えでしょうか。

前田国務大臣 関係自治体は、大阪市、神戸市等を含めて十自治体だったでしょうか。随分精力的に話し合っていただいた上で合意ができて、具体的にこの二年間の間の負担についてさらに話し合いに入って、この一年少々の間に結論を得るということで、お互いの信頼関係と譲り合いの中でここまで来ておりますので、そこは、私はいい答えを、お互いにぎりぎりのところで、そうやって協調した答えを出していただけるものと期待をしております。

石田(祝)分科員 この点、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと違う角度から見ますと、我々としては、その面だけを取り上げて、本四がほかのところと同じぐらいの値段になる、料金になる、これは非常にありがたいことでありますけれども、また別の心配な点がありまして、一つは、四国島内のJR四国の問題、またフェリーの問題、この二つの問題が実はあるわけですね。この問題についても、私は、二律背反のような話にもなるんですけれども、料金の値下げということと同時に、そういうJRまたはフェリーに対する配慮をどのようにお考えいただくのか、ちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 十二月九日におまとめをいただいた中間取りまとめにも、実は、本四間のフェリーなど他の交通機関に影響を与えないことに配慮しつつ、こういう一文も出されているわけですね。まずフェリーについて、ここにあえて書かれておりますので、これはどのような配慮をするお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

前田国務大臣 これは、これから精査をして、どういうような対応をするかということは議論をしていただき、またその中で答えを見出していきたいと思うんですけれども、基本的な立場としては、鉄道であり、フェリーであり、そのモードを幾つか多重性を持ってちゃんと維持しておくということ。特に、公共交通的な大量輸送機関というのは非常に重要でございます。特に、大震災の反省等があります。

 という意味で、こういうフェリーであったり鉄道であったりというものが成り立たなくなるようなことは絶対避けるべきだ、こう思っております。

石田(祝)分科員 ありがとうございます。

 それでは、JRの点についてもお伺いをいたしたいんです。

 JR四国は、六つあるJRの中で非常に経営が厳しい。JR貨物と同じぐらい、もっと厳しいかもしれません。JR四国の社長も、四国の四県知事に、四国における鉄道ネットワークを適切に維持していくための措置、対策を講じていただきたい、こういうことを各県知事に要望されております。当然、国土交通省の鉄道局にもそういう趣旨のことが伝わっていると思います。

 以前に我々が政権にいたときに、本四または高速道路を土日祝日千円、こういうふうにしたんですね。これは、我々も、本四また高速道路をそういうことによって移動していただける、いろいろなところに行っていただけるだろうということでやったんですが、非常な影響が出ました。これについてJR四国も非常に心配している。これはそのとおりだと私は思うんですね。何の根拠もない心配ではなくて、一度そういうこともあった、そういう点での心配をしているんです。

 JRについてのそういう配慮的なものというのはどのようにお考えでしょうか。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 四国につきましては、JR四国の路線と高速道路が並行して走っている区間が大変に多いということで、今委員が御指摘になりましたように、高速道路の料金というものがJR四国の経営に非常に影響しやすいのではないかということは、私どももその認識を持っているところでございます。

 その中で、瀬戸大橋になりますが、料金を下げる、あるいは全国共通料金の導入をするというような際に、JR四国の瀬戸大橋を通る路線の部分について影響があるのではないか、そういった問題点は有識者委員会の中でも御指摘をいただいたところでございます。

 ただ、今、JR四国では、瀬戸大橋の維持修繕に係る費用として、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の鉄道勘定というところに利用料を支払っている仕組みになっているところでございまして、道路の料金とは会計が少し別になっているというところがまずあるわけであります。

 ただ、まさに今、全国共通料金の導入を目指す中で、二十四年度末に具体案を取りまとめていく運びとなっておりますが、その中でも、JR四国に対する対応については、必要に応じてしっかりと検討させていただきたいと考えているところでございます。

石田(祝)分科員 今、私がちょっと別の角度からお聞きしようとすることもお答えいただいたように思いますけれども、あえて申し上げたいと思いますが、JR四国の橋の部分の利用料については、平成二十三年が八億四千三百万、二十二年が八億二千九百万、二十一年は十億、こういうお金を保有機構に一種の利用料として払っているわけですね。

 八億という金額をどう見るかということは当然ありますけれども、大変厳しい経営の中での八億円ということで、鉄道利用料の問題、今お話もいただいたんですが、これは二十四年度でこの面もあわせて見直しをしていただくというお答えであったのか、確認をさせてもらいたいと思います。

津川大臣政務官 これにつきましては、まさに二十四年度中に一つ結論を出させていただくことに関係をしてくるとは思いますが、JR四国と独立行政法人との間の利用料の話でありますので、そういった料金のあり方については、あわせて、私どもとしても、必要であればしっかりと検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

石田(祝)分科員 この問題は、ことし、二十四年度いっぱいかけて検討していただくということですから、最初に申し上げたように、私の率直な気持ちは、料金はほかの高速道路並みにしてほしい。また、NEXCOに引き受けてもらいたいという気持ちがあると同時に、やはり船の問題、そしてまたJRの問題もありますので、回答を一発でということはなかなか難しいかもしれませんが、そういうことが四国という非常に経済力の厳しいところの大きな要望である。このことをぜひ大臣も踏まえていただいて御検討をお願いいたしたい。このことをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、二十九日に発表されました津波シミュレーションのことで少々お伺いをいたしたいと思いますが、中身について簡単に御説明をいただけますか。

前田国務大臣 国土交通省における津波シミュレーションでございますが、港湾の計画というのを早急に立てていかないかぬわけですね、たしか十九港湾だったと思いますが。港湾業務に関して、津波の影響を受ける施設が数多く設置されているわけでございます。おのおのについて多くの関係者による利用がなされていることから、これらの施設の津波による被害を把握するなど、港湾の安全性を早急に評価する必要に迫られております。

 このために、国土交通省においてシミュレーションを行って、それをもとに港湾関係の検討を進める、こういうことになっております。

石田(祝)分科員 私は、質問通告をして、全部を大臣に答えていただくのは非常に恐縮である、ですから、事実関係等については大臣でなくても結構である、こういうふうに申し上げてあったんですが、これを見ると、大臣が全部お答えいただくということになるんですか。よろしいんでしょうか、私はそういうふうに申し上げたつもりですが。だから、大事なところは大臣に答えてもらおうということでお話はしておったんですけれども、大臣以外、どうもお答えになるようなことになっていないんです。済みませんが、私がやったわけではないので、大臣、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。

 これを私がなぜお聞きしたかといいますと、二月二十九日に発表がなされまして、例えば、私が住んでおります高知県、高知港と宿毛、そして徳島の小松島、こういうところが防波堤を越える、こういうことが発表されたわけですね。

 例えば、高知では十一・九メートルだ。現在の防波堤の高さが四・九メートルだ。四・九というのは、沈降して、地震で沈んでという高さになりますから、七メートルを越えるじゃないか、こういう記事になっているわけですね。

 そうすると、これは港湾局としては堤防部分だけを図ったんだ、こういうことのようでありますけれども、誰が考えても、堤防のところだけその波が来て、その周辺に波が来ないなんということはあり得ないわけですから、堤防のところはそうであるということは、その同じ高さの波がその周辺にも来るだろう、こう受けとめざるを得ないんですね。

 ですから、二十九日の私の地元の高知新聞の夕刊に、高知港防波堤七メーター越え、こういう記事が白抜きで大きな字で出ているわけですね。お隣の宿毛含め、全国八港湾、今夏にも対策、こういうことも書かれているんです。

 大臣、二月二十九日に、なぜこのときに発表したのか。私は非常に疑問があるのは、これから内閣府が、昨年の東日本大震災を受けて、三月にも津波の高さとかそういうものを発表する、そういうふうになっているのに、私からしたら、何でこんな時期に唐突に発表したんだろう、こういう率直な疑問が湧くんです。

 二月二十九日、要するに内閣府が発表される前に発表しなきゃいけないという理由が何かございますか。

前田国務大臣 冒頭申し上げましたように、国土交通省の場合には、特に東京湾から九州に至る主要十九港湾の計画づくりに取りかかっているわけでございまして、そのための、いわば外的条件として一応の目安を持って検討に入らなければなりません。そのために、あえて今の段階において、なるべく早くということでやったわけでございます。

 もちろん、内閣府が三月から四月に発表するであろう、これは津波防災計画等万般にわたっての一応の前提になるものでありますから、多少時間はかかっても、これは各自治体であったり、あるいは各種の計画、港湾のみならず、いろいろなものに用いられるわけでございます。

 出たデータと、多少暫定的にと言ってもいいかもわかりませんが、港湾の方で使うものと、結果が違ったような場合には、当然のことながら、既に各港湾のところにも通知しているんですが、今発表したものは暫定的に使うという前提ですから、改めて出てきたもので修正もいたす、そういうような前提でございます。

石田(祝)分科員 ですから、大臣、これは報告書の中にも入っているんですが、内閣府が発表したらまた修正します、こういうことを書かれているんですね。

 そうすると、地震、津波の心配をしている住民からしたら、約一月前に発表されたものを訂正するのか。これはわかりにくいですよ。私なんかが見ると、まず七メーター越えだよと。最初に申し上げたように、堤防のところだけそうですよ、ほかのところは関係ないですよという話じゃないんですよね。堤防のそばの海岸は当然それだけの高さが来るだろう。ですから、これは縦割りと言われるんじゃないのか、私はこの心配を非常にします。

 内閣府に来ていただいていますから、津波高とかの発表は一体いつされるのかが一つと、今回港湾が発表されたものは事前に相談があったのかどうか、ちょっと二点、お答えください。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、十二月二十七日に、南海トラフの巨大地震モデル検討会中間取りまとめという形で、まず想定震源域と波源域の設定の考え方ということで取りまとめをさせていただいて、現在は、今月中に巨大地震による最大クラスの震度分布と津波高等の推計結果を公表するということで、今最終的に鋭意取りまとめをしているところであります。

 二月二十九日の分は、少なくとも私自身は直接聞いておりませんが、考え方としたら、先ほど前田大臣がお話をしたように、いろいろな機関が政府の中にもございます。個々の防災対策の観点から、いろいろな前提を置いて推定することはそれぞれの立場であるというふうに思いますが、少なくとも、先生が御指摘のように、それをもって国民の皆さん方や住民の皆さん方が混乱のないように、今後は今まで以上に政府の中でもきちっとした連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)分科員 これは、後藤副大臣も非常に言葉を選んで、私はというふうにおっしゃっていましたけれども、多分内閣府中央防災会議は相談を受けていないと思いますよ。国土交通省限りで試算をした、こういうことじゃないかと思います。

 津波とか地震の問題でデータを提供されているのが文科省だと思います。文科省の政務官に来ていただいておりますが、文科省にそういうデータ等の提供の申し出だとか相談、そういうことはございましたか。

神本大臣政務官 お答え申し上げます。

 文科省にデータ提供の相談があったかということでございますが、そのことはございませんが、内閣府が昨年末に、今、後藤副大臣からお答えのあった、公表される前には、文科省の方から地震調査研究推進本部で行っておりますデータについて提供を行ったところでございます。

石田(祝)分科員 大臣、私が心配しているのは、まず前提が、国交省はマグニチュードが八・九でやっているでしょう。十二月二十七日のときは、内閣府は南海トラフの巨大地震については暫定値で九・〇だ。そして、地震モーメントも面積も、これは国土交通省が前提としている数字と全然違う数字をもう既に内閣府としては発表しているんですよね。結果としては、中央防災会議の数字を使ってやり直しをします、修正します、こういうことのようですから、それはそれでぜひやっていただきたいんですけれども、そういうことがわかって、あえて前提が違う計算をして、あと一月待っていただいたら中央防災会議の方も出せる。ですから、政府として、これは統一をした数字で出すべきではなかったのか。これは、直すんだったら、結局またやり直しでしょう、今のままの数字でいけるわけじゃないわけですから。

 ですから、なぜ一月待って政府としての数字を明確に、各役所同じ数字をもって政策の実行をしないのか、こういうことを非常に疑問に思うんですね。

 東日本大震災から、私も復興特別委員会で一番思ったのは、やはり縦割りではいけない、復興についても一元的にやるべきだということで復興庁を我々も提案したわけですね。

 しかし、東日本大震災のいろいろなことを受けて見直しをしている中で、一カ月の間に政府がそれぞれ発表するというのは、これは大臣どうなんですか。数字を出したのは非常にまずかったのではないか。それは、港湾として堤防、いろいろなものをやるときに必要だ、そういう数字だ、できるだけ早く出したい、早くして将来に備えたい、これはよくわかるんですけれども、さっきも申し上げたように、最初の前提のマグニチュードも違っているし、これは数字が二つになって、結果としては中央防災会議の数字を待たなきゃいけないんじゃないのか。そうしないと、全然違った話になりはしないか。

 そして、私が心配するのは、そういう数字が最初にぼんと地元中心に大きく扱われてしまいましたから、違ったものが出てくると、住民としては、一体どうなっているんだ、何で一カ月の間に二つも数字が出てくるんだ、受けとめ方がこうなりはしないかということを心配しているんですが、大臣、その点いかがでしょうか。

前田国務大臣 石田委員の御指摘、ごもっともだなと思って聞かせていただいていたんですが、三点ほど申し上げますと、まず一点について、縦割りじゃないか、それは確かに反省をいたします。

 というのは、私も大臣就任以来、省の中では横に横に、こういうふうに言っておりまして、陸海空、いろいろな部局がこれだけ数多く、しかも、かなり縦割りの強いところも、かつての省庁、幾つかの省庁が三つか四つ一緒になっておりますから、そういう意味では、確かに横横ということにおいては反省すべき点があるかと思います。

 二点目においては、発表の仕方ですね。

 今の委員のお話を聞いていて、確かに新聞でああいうふうに発表されると、まさしく、それが国が決める一つの前提のように受けとめられる。あくまでも、これは十九の港湾施設の、しかも具体的な設計等に、港湾の対策工法であったり、そういうものを検討するためには、とにかく、一応港湾関係としての専門家が前提とすべき外力として何らかの基準を与えにゃいかぬということで、あのシミュレーション、結果を出したわけですけれども、そういう説明も余りあの報道からは読み取れない。

 そして、三点目でございますが、そういう反省も踏まえた上で、中央防災会議が出すものは、港湾計画で使う外力と必ずしも一致をするわけじゃないんですね。やはり、国の対策、大綱の見直しのために使うわけでございますから、施設計画というのは、必ずしもアッパーの値をそのまま使うということではなしに、評価を経た上で、あるべき妥当なものにするということですから、そこは必ずしも一致している必要はなくて、先行してこういう専門的な分野でやったということで、あくまでも、おっしゃるように、縦割りということについては、これからはしっかりその辺はなきように対応をさせていただきます。

石田(祝)分科員 最後に一言申し上げます。

 やはり数字が先に出てしまって、その後というのはなかなか説明が住民の皆さんには入りません、もう先に頭に数字が入っちゃっていますから。例えば、これが逆で、中央防災会議が発表した後に、いわゆる防波堤の施設の特殊性から、これはこういうふうに考えて対応はとる、こういう数字を使います、こうであればいいんですけれども、今もう七・九メーター、七メーターですか、高知港なんかもオーバーしますよとなったら、防波堤なんというのはすぐそばなんですよ、その後ろに海岸線があるわけですから。全く違う数字で来るなんということは誰も思いませんので、港湾局が御自身の仕事として熱心に取り組まれたことは私は評価をしたいと思いますけれども、地震、津波を心配している住民からすると、一体どうなっているのかな、こういう無用の混乱を招きかねないので、きょうは、あえて質問をさせていただきました。

 大臣、そういう点も踏まえまして、よろしく御検討をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

村越主査 これにて石田祝稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、小里泰弘君。

小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、地元の課題を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、平成十八年、北薩豪雨災害が私どもの郷土を襲いまして、戦後未曽有の被害となりました。これを受けまして、二度とあの川を氾濫させてはならない、そういった信念のもとに、地元自治体そして国交省と一体となりまして、治水事業を進めてまいりました。特に、上流、中流、下流、その区別なく、それぞれの危険箇所を同時並行的に、一斉に短期間でやり上げなければならない、そういった観点から河川激特事業を導入したわけであります。

 まず、その進捗状況、そしてその効果についてお伺いをいたします。

前田国務大臣 小里委員の御地元でありますが、私も、二週間か三週間前、現場を少し見せていただきました。あの当時の大変な状況というのがしのばれたわけでございます。

 御指摘のように、上中下流の治水安全度のバランスを図りながら河川整備を行ってきております。

 平成十八年七月のあの総雨量、多いところで千ミリ、浸水家屋が二千三百四十七戸というふうに聞いております。激特事業に指定されて実施をしているところです。

 私も、あの中流部の支川、羽月川というのですか、平成十八年の洪水を超える流量が去年あった、しかし、支川のショートカットといいますか、あれができたところだったらしくて、効果を発揮して、十八年洪水を超えるぐらいの流量だったのに、築堤の効果によって大きな被害には至らなかったというふうに聞いております。また、下流側のさつま町の虎居地区では、これまた十八年洪水で大きな被害が発生したところですが、推込分水路の整備により、今言っているのがその推込分水路のことでしょうか、洪水時の水位が大幅に低下をしたというふうに聞いております。

 残りの対策をことしの出水期までに完了させ、平成十八年洪水と同規模の洪水が再来しても、災害発生の防止が図られるものと期待をしております。

小里分科員 お話にありましたように、特に羽月地区、顕著な例であります。羽月川の地域、平成十八年を超える雨量が昨年七月にあったにもかかわらず、浸水面積、平成十八年当時、百八十ヘクタールでありました。それが昨年の七月時におきましては〇・一ヘクタールということで、一千八百分の一になったということでございます。浸水戸数にしましても、七十戸が一戸になったということで、大変顕著な効果があらわれております。まずは、激特事業の推進につきまして感謝を申し上げたいと思います。

 続きまして、鶴田ダム、大臣もごらんになったかもしれません、川内川のほぼ中間点に位置いたします。

 この鶴田ダムは、下流を水害から防止する、その役割と同時に、上流域の水をそこでしっかり受けとめる、もって上流域の治水事業を推進しやすくする、そういう役割も持っているわけであります。その鶴田ダムの容量をふやしていこうということで、これも平成十八年に決定をいたしまして、今進んでいるところでございます。

 二十七年にはこれを完成させるという予定でありますが、その進捗状況について確認をさせていただきたいと思います。

前田国務大臣 このダムの現場も行ってまいりました。あれだけの巨大なダムに、さらに容量を拡大するための余水吐けというのでしょうか、洪水吐けみたいなものを増設する、非常に高度な大事業だというふうに現場を見て感じました。

 そういった工事を、平成二十五年度からいよいよ放流管の増設工事に着手して、引き続き、平成二十七年度の完成に向けて、計画的な事業の推進に努めてまいります。順調に今のところはいっているのではないか、このように感じました。

小里分科員 平成二十七年の完成に向けまして、順調にいっているという大臣の御答弁でございました。

 その鶴田ダムにも関連してまいりますが、上流部の湧水町旧吉松町部にあります阿波井堰、これが過去九十年にわたりまして地域の洪水の大きな要因となってまいりました。ただ、ここを改築すると下流に水がどっと行って、下流に影響が出るということで、なかなかその改築事業も着手できなかったわけであります。

 ところが、鶴田ダムで受け皿ができるということになりまして、阿波井堰につきましても、平成十九年の暮れ、自民党政権時でありますが、これも着工を決定いただきまして、昨年、具体的に着工いたしました。そして、ことしいよいよ、二十四年度には左岸部の築堤、二十五年度に右岸部の築堤、さらに二十六年度に導水路をつくって完成に至る、そして平成二十七年の鶴田ダムに平仄が合っていくという見込みでございまして、計画に沿って進んでいると思いますが、これも、その進捗ないし今後の見込みにつきまして確認をさせていただきたいと思います。

前田国務大臣 これも、今、小里委員の御指摘があったとおりに進めておりまして、二十四年、二十五年と築堤をやり、二十六年度に導水路を整備して、二十七年度に古い堰を撤去するということで、平成二十七年度の完成に向けて今鋭意努力中でございます。

小里分科員 ありがとうございます。

 計画どおりに進めていただける、そういう御答弁でございました。

 曽木の滝分水路、これもまた激特事業の大きな柱であります。曽木の滝分水路は、流量を分派していくという点において上流域の治水に大変大きな効果を発揮することが期待をされているところであります。とりあえず、激特事業の中では暫定分水路として整備が進み、この完成を見たところであります。

 引き続きこれを本格化していくということでありまして、これが本格化をしていきますと、今の毎秒二百立米の分派量に対して四百立米になるということでございます。これも、鶴田ダム、二十七年の完成に合わせてこの曽木の滝分水路の本格化も完成が成るという計画でありますが、この点も確認をさせていただきたいと思います。

前田国務大臣 東洋のナイアガラと言われるようで、非常に風光明媚な滝があるということで、そういった文化的、観光的な資源ということも大事にしながら、第一段階として暫定的な整備を終えております。

 今後は、平成二十七年度の鶴田ダム再開発事業の完成に合わせて分水路の掘削等を行って、整備を完了することにしております。

小里分科員 つまり、二十七年には完了予定ということでよろしいでしょうか。

前田国務大臣 そのとおりでございます。

小里分科員 どうぞよろしくお願いをいたします。

 続きまして、残る課題として、支流域の整備、針持川とか市山川とか、いろいろな支流域が大きな網のようにめぐらされております。そして内水対策、そういった課題が控えているところでございますが、これはちょっと質問通告をしておりませんでした。残る課題として当然やっていかないといけないことでございますが、一言、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 一連のものでございますから、画竜点睛を欠かないようにしっかりやらせていただきます。

小里分科員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、南九州西回り高速道路についてお伺いをしてまいります。

 これも地域悲願の建設工事でございます。これが完成を見ますと、地域間の交流促進、そして観光の振興を初め農林水産業の振興など、地域産業の振興に大きな効果を発揮していくことが予想されております。まさに、私どもの郷土にとりまして今までに経験したことのないような、新たな可能性をもたらしてくれるのがこの路線でございます。ぜひこれを急いでまいりたいと思います。

 そこで、今、建設工事が鋭意進められてきているところでございます。特に、北薩の部分につきましては平成十九年に着工いたしました。現在、それぞれ区間が進んできておりますが、特に、野田―高尾野間、そして高尾野―出水間、この区間の完成のめどがまだ立っていないように思います。その原因についてお伺いをいたします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員から御指摘をいただきました、南九州西回り自動車道の野田―高尾野間及び高尾野―出水間でありますが、平成二十一年度から用地買収を現在推進しているところでございまして、まだその見通しが十分に立っていないというところでございますが、今後、まとまった用地が確保され次第、順次工事に着手をしてまいりたいと考えているところでございます。

小里分科員 御指摘のとおり、用地買収、野田―高尾野間で見れば、現在、進捗率が九二%、高尾野―出水間で見れば、用地買収の進捗率が六〇%ということであります。この用地買収に地元を挙げてしっかり取り組んで、これが進捗が成っていけば、この区間の完成も見えてくるということでよろしいですか。

津川大臣政務官 そのとおりでございます。

小里分科員 早期の完成に向けまして、ぜひ用地買収に官民挙げて取り組んでいただきたい、取り組んでまいりたいと思うところでございます。

 さらに、残る課題としまして、阿久根―鶴川内間、これが都市計画決定済みでありますが、事業化がまだであります。さらに、出水以北につきましても道路設計を実施中でありますが、用地買収及び工事実施はこれからの課題ということになってまいります。

 これをしっかりと急いでいかないと、まさに大臣がおっしゃったように、画竜点睛を欠くということでございます。全区間がしっかり完成されて初めてその効果を発揮するわけであります。何とか、これもあわせまして、西回り高速道路全体として、今から十年のうちには完成させたい。

 と申しますのは、平成十九年に着工がなされましたときに、時の国交大臣、北側大臣でしたか、あと十年ぐらいで全部やりたいとおっしゃっていた経緯もございます。ぜひ今から十年のうちにも、少なくとも遅くとも完成させたいところでございますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 とにかく、昨年の東日本大災害の反省を踏まえて、つなぐということが重要であります。ぜひ、委員御指摘のように、十年という目標を持って、なるべく早くつなげていきたい、こう思います。

小里分科員 西回り高速道路全線完成に向けまして、十年という目標を持ってしっかりやっていきたいという大臣の御答弁でございました。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、国道十号線、これも国交省の直轄事業としてお世話になっているところでございます。

 鹿児島湾沿岸を走るこの路線、まさに地域唯一の基幹道路でございます。霧島市と鹿児島市を結ぶ唯一の基幹道路となっているところでございます。ところが、この道路が片側一車線でありまして、そこに大変な交通量があることから、朝晩は大変な渋滞状況となっているところでございます。この渋滞解消は長年の課題となっているところでございます。

 そういった中で、国道十号加治木バイパス部分、ここの四車線化の事業は平成十九年に始まりまして、二十四年度には完成の見込みというところでございますが、確認をさせていただきます。

津川大臣政務官 国道十号加治木バイパスでございますが、平成十九年度から加治木団地入り口交差点から加治木ジャンクションまでの延長二・七キロの四車線化を進めているところでございます。

 これまで、二・三キロの四車線化を完了しているところでございまして、現在、残る区間のくも合戦橋から加治木ジャンクション間の延長〇・四キロにつきまして、先生御指摘のとおり、二十四年度の四車線化の完成を目標に整備を推進しているところでございます。

小里分科員 ありがとうございます。ぜひ計画どおりにお願いしたいと思います。

 国道十号線の大きなポイントとして、白浜拡幅という事業がございます。姶良市脇元地区から鹿児島市吉野町部までの交通混雑状況を解消しようということで進められている区間でございます。全長七・三キロ、そのうち、現在、工事として、大崎地区の事業、これが来年いよいよ用地買収に入って、二十七年度には供用開始という予定であるように聞き及んでおります。

 さらに、既に供用されている区間を除きますと、約三・四キロメートル区間が未着手であるということになります。これも、しっかりとここを埋めないとまずこの区間の効果が出ないわけでありますが、ぜひ急いでいただきたいと思います。

 見解をお伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 国道十号の白浜拡幅でございますが、延長七・三キロ区間の現道を四車線化する事業でございまして、現在、御指摘をいただきましたとおり、三・六キロの整備が完了しております。

 現在、残る区間のうちの大崎地区の延長〇・三キロにつきまして、二十七年度の供用を目標に用地買収を推進しているところでございますが、残る姶良市脇元地域の延長三・四キロでございますが、公有水面埋立申請に必要な環境調査というものを現在実施しているところでございまして、今後、道路設計を実施し、四車線化事業を推進してまいりたいと考えているところでございます。

小里分科員 ぜひしっかりと急いでいただきたいと思います。まずは財源確保でしょうけれども、しっかりこれは一緒に取り組んでまいりたいと思います。

 その国道十号の最大の難所となるのが鹿児島北バイパスであります。ここが景観とのマッチングということも一つの大きな課題となっておりまして、その工法をめぐりまして、山側にトンネルを掘るのか、あるいは海底にトンネルを掘るのかといったようなところで、大きく今議論もあるところでございます。

 しかし、いつまでもこれを待っているわけにはいかない。これが成らないと、その手前を霧島方向に整備しても、結局はここで詰まってしまうわけであります。何とかここは国交省の方でぜひリーダーシップを発揮して、前に進めていただきたいなと思うところでございます。

 大臣の決意をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 これは一番重要な十号線であります。この間も、竜ケ水というんですか、よくあの当時、JRの乗務員が乗客の避難をさせて、何とか人身事故に至らずに済んだというふうに聞いていますが、何かありましたね、あれは十年ぐらい前になるんでしょうか。まだ二車線というのも実際に見てまいりました。

 御指摘のように、国交省直轄でございますから、しっかりと対応をしてまいりたいと思います。

小里分科員 御指摘のとおり、この路線は、防災対策の観点からも極めて重要な基幹道となっております。地元のその辺の見解がいろいろあるところでありますが、それだけに、やはり国がそこは主導をして、打開をしていかないと進まないと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、在来線、三セク鉄道の肥薩おれんじ鉄道についてお伺いをいたします。

 この肥薩おれんじ鉄道は、地域住民の日常のまさに基幹的な交通手段として、また観光振興、地域振興の観点からも是が非でも残していかないといけない、そういった大事な路線であります。その支援策として、いろいろな観点から、今、国交省、県、自治体が一体となって進めつつあるところでございます。

 そこで、この路線の存続のためには、地方負担の軽減について検討を進めていく必要があろうかと思います。財源確保の方策を、しっかりとしたものを、確かなものにしていかないといけないと思います。同時にまた、経営維持のための赤字補填、運営費助成等の財政支援制度というものの創設を図っていく必要もあろうと思います。地方負担に係る所要の地方財政措置をさらに格段に講ずることが期待をされるところであります。そういった観点から方針をお伺いいたします。

津川大臣政務官 並行在来線の経営状況というのは大変厳しい路線が多いわけでございますが、一方で、地域の公共交通としての役割は大変重要なものがあるわけでありまして、その維持、経営の安定化を図るということは大変重要だというふうに国としても認識をしているところでございます。

 従来より貨物調整金制度を柱に並行在来線に対する支援を行ってきたところでございますが、昨年の債務等処理法改正法によりまして、平成三十二年度まで、鉄道・運輸機構の特例業務勘定の資金を活用するとともに、今年度から施設の使用や運行の実態等をより踏まえた制度の拡充を行わせていただいたところでございまして、並行在来線の負担の軽減を図ってきているところでございますので、引き続き、並行在来線の支援について適切に対処をしてまいりたいと考えております。

小里分科員 税制面から見ました場合に、JRからの譲受資産、あるいは新たに整備、取得した鉄道資産に対する税制特例の拡充というものを年末ごとに徐々に行ってきたところであります。さらにJR三島特例並みの創設というものが期待をされるところでありますが、見解、意気込みをお伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 第三セクターがJRから譲渡されました鉄道事業用の資産につきましては、不動産取得税、登録免許税が非課税となっているところでございますが、固定資産税及び都市計画税の特例措置につきましては、課税標準を十年間二分の一とされていたものを、二十年間二分の一と拡充したところでございます。

 ただ、特に第三セクター、並行在来線につきましては、全国に同様の並行在来線があるところでございますので、そういったところに対して、ある程度公平性を持った支援というものも必要になってくるかと考えております。

 各現場からは、さらなる並行在来線の支援について、税制支援もお願いをしたいという声は確かにいただいているところでございますので、引き続きその支援についてさらに検討してまいりたいと考えております。

小里分科員 国に頼る、あるいは県に頼るといったようなことだけではなくて、やはり、おれんじ鉄道自体を魅力あるものにしていく、そういった経営努力というものが当然あってしかるべきであります。

 そういった観点から見ましたときに、私は今、DMVというもの、デュアルモードビークル、これに関心を持っております。十年ぐらい前でしたか、北海道に参りまして、開発中のDMVに試乗をしたこともございます。まさにもう、あすにでも実用化されそうな雰囲気でありましたが、なかなかこれが実用化されたというニュースを聞かないところであります。

 これが実用化をされますと、同じ車両で鉄路も走れば、一般の自動車道も走る。あるいは、高齢者を自宅で乗せて、あるいはまた観光スポットをそれぞれ回りながら、また鉄道の上も走るということで、極めて有効な利用法というものが期待をされております。こういったものをおれんじ鉄道のような三セク鉄道にも活用を図っていけば、かなり大きな可能性が生まれてくるんじゃないかな、そんなふうにも思うところでございます。

 このDMVについての開発状況をお伺いいたします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員からまさに御指摘をいただきましたとおり、地方の公共交通機関、大変厳しい中で経営努力を続けていただいておりますが、単に国あるいは行政からの支援というだけではなくて、地域の利用者の方々と一緒になって、利便性の向上ですとか魅力の向上というものにも取り組んでいただく中で、一つの答えが見えてくるのかなと考えているところでございます。

 御指摘いただきましたデュアルモードビークルの開発につきましては、平成二十三年の四月に、国土交通省及びJR北海道が主催をいたします技術評価委員会におきまして、専用線区、単車運行を前提として、走行安全性、加減速性能等の実用化に関する基盤技術は構築されたものと評価がなされたところでございます。裏を返しますと、ほかの鉄道車両が運行しているような区間、あるいは二重連結などで運行するということに関しては、まだ技術的に確立をしなければならないことがあるという判断がされたところでございます。

 具体的には、JR北海道が開発をしたDMVでございますが、大変に車両が軽いという特徴がございます。それ自体は決して悪いことではないわけでありますが、一方で、現在の鉄道の、列車、踏切位置検知システム、これは線路と線路の間に車両があるということを検知しなければならないものでありますが、どうも車体が軽いということがむしろ課題になっていて、検知されない、不検知の可能性がなくもない。具体的に言いますと、車両が走っていながら例えば踏切が下がらないとか、そういったこともあるかもしれない、こういったところがまだ、さらに開発をしなければならないと考えているところでございます。

 JR北海道としては、引き続きDMVの専用区間における実用化を目指すということとしているところでございまして、国土交通省といたしましても、必要に応じて協力をしてまいりたいと考えております。

小里分科員 DMVにつきましては、いざ導入をされますと、通常の運転費用がかなりコスト削減になるという利点もあるように伺っております。ぜひ早期の実現を目指しまして、本来はJR北海道の仕事であろうと思いますが、国としましても、可能な限りの御支援、御指導をお願いしたいと思います。

 それぞれの項目につきまして積極的な御答弁をいただきました。ありがとうございました。

村越主査 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口善徳でございます。

 きょうは、前田大臣、また皆さんよろしくお願いいたします。

 三・一一から一年を迎えようとしております。東北整備局を中心に大変頑張っていただきました。大臣の陣頭指揮のもとで、復興につきまして全力を挙げていただきたい、こう思う次第でございます。また、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 本年四月十四日、新東名高速道路が、御殿場ジャンクションから三ケ日ジャンクション、百六十二キロ、供用が開始される予定でございます。関係者の皆さんの大変な努力によって供用が開始されるということでございます。そして、これは、現東名の渋滞や混雑の解消に大きく貢献をするということでございます。昨年の東日本大震災のときも、東名高速の代替路としても活躍をした、こういう実績もあるわけでございます。

 さて、二〇〇九年八月十一日早朝、静岡県内で最大の震度が六弱を観測した地震がございました。東名高速の路肩の一部が崩壊し、静岡―袋井間が通行どめになり、物流や市民生活が麻痺状態になりました。高速を走っていた車は静岡インターチェンジでおろされ、行き場を失った車が次々と一般道にあふれ、国道一号を初め市街地は大渋滞を起こし、市民生活を初め地域の経済活動も大混乱となりました。ちょうど選挙の真っ最中のときでございました。

 そこで、今回、新東名が供用されるということでございますので、渋滞は緩和されるわけでありますが、現東名高速が開通して四十年以上経過しているということもございます。東海、東南海、南海三連動地震に備えて、耐震性あるいは巨大津波対策の総点検を実施し、耐震補強、液状化対策、さらには由比地区の地すべり対策や越波対策等を本格的に推進すべきである、こう考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 東名高速道路は、地震等の災害時におきまして、緊急物資や資機材、人員等の輸送ルートとして重要な役割を有しているということはもちろんでありますが、これまで橋梁の耐震補強や盛り土点検などを進めてきたところであります。

 そして、今の委員の御指摘でございますが、液状化対策につきましては、今回の東日本大震災での盛り土の被害を踏まえ、高速道路の防災上の課題として改めて認識したところであります。今後、要対策箇所の特定に向けた調査などを進めてまいります。

 それと、由比海岸の越波対策につきましては、これまで越波防止柵などを設置したところでありますけれども、依然として通行どめが頻発しており、引き続き必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

大口分科員 次に、三連動を想定いたしまして、非常時において既存の交通ネットワークが機能するために、静岡県の交通ネットワークビジョン検討委員会が提案をしております。

 高速道路のサービスエリア、パーキングエリアや道の駅を防災拠点に利用するということで、具体的に申し上げますと、東日本大震災の経験を踏まえまして、サービスエリア、パーキングエリアや道の駅の機能に、災害時の応援部隊の進出拠点や救援、救護、情報支援などの機能を追加し、燃料や食料などを備蓄するとともに、自家用発電機や非常用トイレなどの防災設備の配備ということを提案しておりますが、大臣の御所見をお伺いします。

津島大臣政務官 今の御質問ですが、サービスエリア、パーキングエリア、道の駅におきましては、現在、ヘリポートや自家発電設備の設置、備蓄倉庫の設置など、災害時のあらゆる緊急支援等の機能の確保に取り組んでいるところであります。

 引き続き、関係機関と調整を図りながら、防災拠点化を積極的に進めてまいりたいと考えております。

大口分科員 大臣、新東名は大動脈として、リダンダンシーということで非常に大きな意義があると思います。そういう中で、新東名が供用されることによって、防災の強化に非常に有益であると考えております。

 今申し上げた点、大臣からも御答弁いただきたいと思います。

前田国務大臣 今の御質疑を伺っておりまして、いよいよ新東名が開通するわけでございまして、大口先生は御地元でございますから、地元の方々の期待も大きいと思います。

 昨年のあの大震災の反省の中から、今御指摘のリダンダンシーといいますか、特に災害における高速道路の機能というものの重要性は身にしみたわけですね。しかも、非常に規格の高いああいう東名でございますから、まさしく、これからその持っている機能を大災害時に、三連動だとか言われる時代でございますから、万一のことがないことを願うわけですが、たとえあったとしてもしっかり機能が果たせるように、これからもそういう道路のあり方を希求していきたい、こう思います。

大口分科員 次に、東名高速は一日当たり大体八万台ぐらい通行しているわけでございます。そして、静岡県内では一万八千とか九千の方々が乗っておられる、こういう状況でございます。

 二〇〇九年の八・一一のときも、東名から車がおりるということで、市街地が大変な渋滞になったということであるわけですけれども、やはりそういう点では、新東名というのは長距離移動の方に使われる、しかも、今回も実績があるわけでありますが、緊急輸送路に使う。そういう点で、渋滞を解消しなきゃいけない。しかし、新東名から車両をおろすということになると市街地へ流入する。そうすると、市街地が今度は大変な渋滞になりまして、そして、そこで救急車両等の通行ができなくなる。人の命にかかわってくる。

 そういうことから、新東名のインターチェンジ近くに、これらの新東名からおろした長距離移動車両等を退避させるスペース、こういうものを確保する必要があると思うんですね。この点、どう検討されているか、お伺いしたいと思います。

津島大臣政務官 今、新東名のお話がございました。

 新東名も、開通後、災害により通行どめとなった場合、高速道路をおりた車両で市街地の一般道路が渋滞を起こすということは、検討すべき最大の大変な課題だ、重要な課題だと認識しております。

 今後、退避スペースの確保を含め、新東名が通行どめのときの一般道の渋滞を軽減する方法といたしまして、静岡県を初めといたします関係機関と十分に、退避スペースの確保を含めて検討してまいりたい、こう考えております。

大口分科員 ありがとうございます。

 次に、災害対策基本法に基づく防災基本計画において位置づけられている基幹的広域防災拠点は、現在、国内に三カ所しかありません。首都圏では有明の丘地区、そして東扇島東地区、また京阪神都市圏においては大阪府の堺泉北港でございます。

 この基幹的広域防災拠点は、都道府県単位では対応不可能な広域かつ甚大な災害に対して、国、地方自治体が協力して応急復旧活動をするための広域防災拠点であります。東海地震、東南海、南海と、三連動地震で甚大な被害が出ると見られる東海地域においてはこの基幹的広域防災拠点がない、こういうことでございます。

 平成十六年七月に、名古屋圏広域ネットワーク整備基本構想で、名古屋空港に近接し、かつ、東名高速の春日井インターチェンジの周辺地域、名古屋港の周辺地域が拠点の候補となったわけでありますが、その後、実現をしておりません。中部地方整備局では、東日本大震災の教訓を踏まえて、名古屋圏広域ネットワーク整備基本構想の対象範囲を、名古屋圏から中部地方整備局管内に拡大する考えのようでございます。

 そこで、東海地震及び東南海、南海地震の三連動地震の切迫性が指摘されている中、この中部圏に、先ほど触れた基幹的広域防災拠点のような、国と地方自治体が協力して応急復旧活動をするための中核的な拠点を早急に整備すべきである、こう思うわけでございます。新東名や東名高速に近接する富士山静岡空港はその有力な候補地となると考えますが、内閣府の見解をお伺いします。

後藤副大臣 先生おっしゃるとおり、空港を使った防災拠点の整備というのは、昨年の東日本大震災でも、山形空港等々が直接被災を受けなかったということで重要な役割を果たしたというふうに考えております。

 先生御指摘のとおり、基幹的広域防災拠点という部分は、その地域だけではなくて、国と地方公共団体が協力して整備をする。ある意味では財源の問題がベースだというふうにも思っています。平成二十一年に中央防災会議で、先生御指摘のような形で、近畿、中部圏にも早く整備をしようということで、それ以降いろいろな議論が、広域防災ネットワーク整備・検討準備会ということで、ことしの一月までに四回あったというふうに承知をしています。

 その中で、ちょうど一月の議事録を見ますと、今月中に中部圏の広域防災ネットワークの基本構想案を作成して準備会に提出をするということで、適地というものが、先生御指摘のように、名古屋が先行して対応したものが、静岡空港も活用しろという静岡県の強い思いもあるようですから、その場でどういうふうな形で、中部圏という形で整理をされるかどうかは別としても、いずれにしても、やはりきちっとした準備をしていくということが防災、減災には一番大切だということで、静岡空港の問題も含めて、この準備会で中部圏という中で整理をされながら、国としてもいろいろな財政的な支援というのを、準備をこれからすることに多分なるでしょうから、そういうものと連動してできるだけ早く、先生御指摘の形のように、それぞれの地域で進められていくことが大切だというふうに思っています。

大口分科員 ぜひとも、やはり東海地震のまさしく一番の想定地域でございますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 それから、港湾の津波対策についてお伺いしたいと思います。

 今回、二月二十九日に、港湾の安全性を評価するための津波シミュレーションの結果が発表されました。これは、交通政策審議会の港湾分科会においてその方針を取りまとめる、こういうことになっているわけでございます。

 内閣府の南海トラフ巨大地震モデル検討会においては、この三月か四月に津波高の想定見直しが発表される予定になっていますが、それより先に発表されたということでいろいろと物議が醸されているわけでありますが、その二月二十九日の発表の中で、この津波シミュレーション、太平洋側主要港湾のうち、静岡県の清水港など少なくとも八港湾で、最大クラスの津波が発生すれば、第一線防波堤の天端高を津波が大きく乗り越え、破壊に至る可能性がある、こういうショッキングな結果であったわけでございます。

 この結果を受けまして、各港湾の構造物の安全性やコンテナの流出防止対策、港湾労働者等の避難方法などの安全確保、さらには被災後の速やかな復旧復興、災害に強い物流体系の構築に向けて、これから交通政策審議会で検討されていくということは承知しているんですが、そのスケジュール、そして、それを受けての国交大臣の港湾津波対策への取り組みの決意をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 御指摘のような、いささか混乱をさせたかというようなところは先ほどの石田議員からの御指摘にもありました。

 委員御承知のように、清水港を含めて、東京港から西の方にかけて十九港湾ですね、東海、南海三連動が来たときにということで、既に、施設の外的条件をどうすべきか等検討が始まっておりまして、そのためには、どうしても一定の外力としての基準を示さないと、その先の検討がどうしても深まらないものですから、そういう意味で、港湾関係の外力としてあのようなシミュレーションをやったというふうに承知をしております。

 しかし、これはあくまでも港湾の施設設計ということでありまして、内閣府からそのうちに全体の、津波、三連動等についてのシミュレーションの結果が出ると思います。もちろん、そういったことをも、出たのを受けて修正すべき、あるいは補正すべきところは補正してやっていくということになります。

 いずれにしろ、津波防災地域づくり法等もつくっていただいて、昨年のあの大津波の反省を踏まえた上で、一つの方針も出しております。その方針に基づいて港湾の整備というものが早急になされるように、それはあくまでもハードとソフトの組み合わせということで、かなり頻度の高い、かなりの頻度といいますと百年前後ということでしょうか、そういったようなものに耐え得るような、港湾も含めての施設をしっかりとつくってまいりたい、このように思っております。

大口分科員 昨年、津波防災地域づくり法が成立しました。国で基本方針、そして県で津波浸水想定、また市町村で推進計画を立てるわけでございます。その中で、各市町村はもうそれを待っていられないということで、いろいろと対策を講じようとして努力をされているわけです。

 静岡県の場合、五百キロメーターの海岸線でございます。ですから本当に、沼津も清水も、そして焼津も浜松も、いろいろなところで首長さんが必死になって対応しているわけでございます。

 その中で、静岡県榛原郡の吉田町におきまして、土地を確保しなきゃいけないということで、町道の上の空間に歩道橋のように津波避難タワーを建設する。今ここに資料を示させていただいていますけれども、ライフセービングタワー。これは、プロトタイプ、それからミニフロートイベントサークル、レストラン・アンド・ショップと、この三タイプがあるわけでございますけれども、これを吉田町は来年度、三基建設を目指して、四億五千万円の計上をしているわけでございます。

 津波避難タワーを道路の上につくるということで、道路管理者は、この場合は町道ですから、町長が許可をすればいいわけでございます。県道であれば県知事、国道であれば地方整備局長の許可が必要だ、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、土地がないときに、公道の上にこういうものをつくるということは大変なアイデアでありまして、ぜひとも国としてもこういうものを推奨していただきたい、あるいは占用許可も含めて積極的に支援していただきたい、こう考えます。

 これは大臣、ぜひとも御答弁をお願いします。

前田国務大臣 委員のこの資料を見せていただきながら、これはなかなかユニークかつ有効だなというふうに見せていただいておりました。

 もちろん、土地がないということもありますが、それ以上に、やはり道路というのは地域の方々にとってはふだん頼りにしている交通路でございますから、よく皆さん認識をされているわけでございます。ということは、どういうルートでどこに行けばこれがあるかということもわかるわけでございますから、そういうことを考えると、なかなか有効な手だてだなと思うんですね。

 という意味で、ぜひこういったことも進めてまいりたいと思いますし、予算的には都市防災総合推進事業というのが社会資本整備総合交付金の中で使えるようになっておりますから、そういうのも大いに利用していただければいいと思います。

大口分科員 今大臣から力強い御答弁がありましたが、首長さんたちはいろいろと考えておられますので、そういう創意工夫というものを大いに推奨していただきたいと思っております。

 次に、農地における津波避難タワーの建設についてでございます。

 これは浜松市の例なんですが、昨年、浜松市単独事業で、海岸より約二キロメートル以内の地域に、民間の施設を含め、耐震性があり鉄筋コンクリート三階建て以上の建物を、地域の住民の津波避難所として約二百カ所指定したわけでございます。これは、仙台平野とよく似ているということで、市長が海岸から二キロというところを重点地区として取り組んでいるわけであります。

 ただ、そういう三階建て以上の建物がないところもたくさんありまして、やはりこれは農地を活用するしかないというところもかなりあるわけでございます。

 農地法五条あるいは農振地域整備法十五条の二によれば、市町村が農地に津波避難タワーや津波避難マウンド等を整備し管理する場合は、法的に何の制約もない、こういうことと考えますが、農水省のお考えをお伺いしたいと思いますし、このことをしっかり地方自治体に徹底をしていただきたい。まだこういうことを知らないで本当に悩んでいるところもありますから、その点、御答弁をお願いします。

森本大臣政務官 きょうは御苦労さまでございます。

 御指摘のような、市町村みずから設置する避難施設でございますが、ここのところは、農地法の転用許可、それで開発許可を要しないというふうになっておりますので、積極的に進めていただいたらというふうに思っております。

 今御指摘のありました、やはりPRが少しできておらないということは、委員の御指摘、そのとおりだというふうに思っています。我々、担当分野ではやっておりますが、平成二十一年の改正時に少し転用基準を強化しましたので、そこの考え方で少し、病院とか学校施設は転用許可の対象になりますが、こういうこともあわせながら、具体的に、積極的に委員がおっしゃるような行動を我々はとってまいりますので、本当にありがとうございます。今後も頑張ってまいりますので、委員も何とぞ、そういうPRをよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

大口分科員 ありがとうございました。

 自治体もそういう点で悩んでおられるものですから、しっかり徹底していただきたいと思います。

 次に、国道一号浜松バイパスの防災機能強化、防潮堤等についてお伺いしたいと思います。

 この国道一号浜松バイパスの浜松市南区石原町地区から西区篠原インターチェンジにかけて、遠州浜海岸にも非常に近いルートを平面で走っている。交通量が二十四時間で四万四千台と非常に多くなっておりまして、ここは東西物流の重要な路線でございます。

 そこで、三連動地震ということが見込まれているわけでございまして、これは本当に強い地震動でありますし、また、直後に津波が襲来するということでございますから、そういう点で避難行動に十分な時間が割けない、こういうことでございます。

 そういう点で、ここにつきましては盛り土構造にして、堤防機能も備えた国道に整備するということが、多くの生命と財産を守るため期待されているところでございます。盛り土構造の仙台東部道路、私も三月二十五日に見させていただきましたけれども、内陸部市街地への瓦れきの流入を抑制するということとともに、命を守った、こういう機能があるわけでございます。

 そこで、防潮堤の整備を含めて、多重防御化ということでしっかりと、浜松の内陸部を津波被害から大きく守ることが期待できるということで、この国道一号浜松バイパスの盛り土の構造化並びに遠州浜海岸の防潮堤の整備について、国交大臣にお伺いしたいと思います。

津島大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 今先生御指摘の遠州浜海岸の防潮堤は、従来の津波防災の考え方に基づきまして、平成二十二年度までに整備を既に完了したところでございます。また、浜松バイパスにつきましては、津波防災の観点ではなく、国道一号の渋滞緩和を目的として平成二十年までに整備を完了したところであります。

 一方、今般の大震災の教訓を踏まえまして、人の命が第一、災害に上限はないという考え方のもとに、災害時の被害を最小限にする減災の考え方に基づきまして、ハードとソフトの施策を組み合わせた多重防御による津波防災地域づくり、これを全国で推進することが重要であるということを認識しているところで、昨年の津波防災地域づくりに関する法律を制定したところであります。

 御指摘の地域につきましても、本法律に基づきまして、今後、津波災害に強いまちづくりを総合的に推進すること、このことが重要と考えております。

大口分科員 大臣、最後に質問をさせていただきます。

 国道一号線の静清バイパスでございます。清水区興津東から駿河区丸子二軒屋に至る延長二十四・二キロメートル、これは政令市の静岡市における主要幹線道路でございます。

 ことしの二月十四日、唐瀬インターチェンジから羽鳥インターチェンジの間、高架四車線化がされ、供用開始されたわけでございます。千代田上土インターチェンジ―鳥坂インターチェンジ間の高架四車線化事業も、平成二十六年度の供用開始に向け、順次進んでおります。

 しかし、丸子藁科トンネルを頭に、上下線とも、朝夕ラッシュ時は大変長い渋滞が発生しておりまして、地域経済の発展や交通事故の削減、災害時の骨格道路でもある静清バイパスの丸子藁科トンネルの四車線化についても、ぜひとも今後の見通しを大臣からお話をいただきたいと思います。

前田国務大臣 御指摘の国道一号静清バイパスですね。天下の一号線の丸子藁科トンネル、三キロに近い大工事になると思いますが、来年度に調査予算をつけて調査設計に入るということになっておりますので、なるべく早くこの事業のめどをつけたい、このように思っております。

大口分科員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございます。

村越主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東良孝君。

伊東分科員 自由民主党の伊東良孝でございます。

 ことしの冬は大変な大雪でありまして、日本海側から北海道に至るまで大変な降雪量をもたらしたところでありまして、きょうもまた北の方では大荒れだ、こういう話であります。政府も、除雪対策を初め、所によりましては自衛隊の出動も含めた豪雪災害と位置づけておりまして、民間の皆さんは、その大雪の中、雪おろしの最中の転落事故あるいは除雪中の崩落事故、さらにさまざまな形の交通事故など、犠牲者の数も大変多いわけであります。

 まずお伺いしますが、私、北海道の事例はわかっているんですが、全国の事例がちょっとつかめておりません。国内で何件、何名の事故あるいは犠牲者が出ておったのか、お伺いするところであります。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 今冬期の大雪によります人の被害ということだと思いますけれども、人的な被害につきましては、消防庁の方で統計をとっております三月一日まで把握しているところで、死者が百十五名、重傷者が七百五十四名、軽傷者が九百九十九名となっております。

 原因につきましては、今冬期にお亡くなりになった方につきまして分析をしておりますけれども、これを見ますと、屋根の雪おろしなどの除雪作業中にお亡くなりになられた方が八十四名、落雪等による死者が二十三名、雪崩によってお亡くなりになられた方が四名、その他四名などとなってございます。

 以上でございます。

伊東分科員 ことしは、例年にない本当に多くの雪による事故がありました。今お聞きしたように、百十五名の方々が亡くなっております。

 この中で北海道の場合を例にとらせていただきたいのでありますけれども、豪雪が原因で発生した建物のいわゆる崩落、倒壊、こうした被害が、これは二月二十五日現在でありますけれども、昨シーズンの二・四倍に及ぶ三十一棟を数えました。これは原因は、よく言われるんですけれども、古くなったところに雪が積もって、ただ潰れるのではなくて、結局、屋根からの雪おろしもない、あるいは中に暖房を通してないものでありますから、そのまま全く解けずに積もっていく、固まっていく、重量が増すということであります。

 この三十一棟中、実は半数以上が岩見沢とか美唄とかと呼ばれる北海道の米作地帯でありまして、大変に雪の多い地方でありますけれども、空知振興局管内と呼ばれるところが十七棟と半数以上を占めております。その他北海道各地で、それぞれ、九棟、二棟、一棟、さまざまな被害が生じております。

 全国集計で、豪雪が原因による建物の倒壊、崩落というのは何棟になっているか、お伺いするところでございます。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 倒壊等とか、状況を全部把握しているわけではございませんけれども、消防庁の方で把握しております、このときの大雪によりましていわゆる全壊判定を受けたもの七棟、それから半壊判定を受けたものが六棟、一部破損の判定を受けたものが二百九棟などとなってございます。

伊東分科員 全国集計が全壊七棟、半壊六棟というのはちょっと少ないようですね。北海道だけでもこれは相当数に上っているわけであります。もう少し正確なこうした数字を捉えた方がよろしいのではないか。

 私ども新聞等々でも集計を見るわけでありますし、写真もしょっちゅう掲載されているわけでありますけれども、もう映画館から倉庫から一般住宅の果てまで、大雪による倒壊が起きているわけであります。

 問題なのは、今、空き家が倒壊の危機にあるわけであります。空き家の出現というのは大変に多いものでありまして、近年、過疎化が進む、あるいは人口減少の中で空き家もできてきているわけでもございます。

 また一方、人が仕事をしているところで、農業施設の被害も実は大変多いものがございました。雪の多い米作地帯、空知管内というところでは、農業用のビニールハウスがもう三千棟ほど倒壊している。これは改めて農水省にその対策を求めなければならない、こう思うわけでもありますけれども、雪によるそういう農業施設の被害が二十億円にも及ぶところもあるわけでありますし、今、水稲用の育苗ハウスが倒壊している例が多いものでありますから、米どころで水稲の作付面積が減るおそれも出てきている、こういう心配もあるわけであります。

 そして、まず空き家対策で一番問題なのは、実は、持ち主が不明であったり、あるいは持ち主が雪おろしやあるいは適切な管理をする力、能力がない場合がしばしばあるわけであります。一例を申し上げますと、二月十七日の深夜に、美唄市の三年前まで営業していたもと映画館、でありますから比較的町の真ん中近くでありますが、ここが雪の重みで全壊いたしました。大きな映画館が潰れるということになりますと、近隣の商店街にも大変な被害が及ぶわけであります。隣のうちの人も、自分のうちの玄関先まで倒壊した映画館が雪に押し潰されて迫ってきたということでありました。

 実は、この映画館の屋根の一部が雪の重みで崩れ始めたのが一月の二十七日であります。潰れたのは二月の十七日でありますから、これは二十日間たっているわけであります。一部が崩れ始めたときに、美唄市は、市内に在住しておりますこの映画館の所有者に撤去を要請したのでありますけれども、この解体撤去費用が一千万円もかかるということから、所有者がその検討をしていたところ、三週間たって崩落してしまった、実はこういうことになったわけであります。

 また、この二月十五日に中心部で全壊した空き店舗がございまして、これは、建物の所有者は既に死亡して、親族が相続を放棄していた空き家が全壊してしまったということでもあります。この倒壊後、地主が市に撤去を求める事態になっているのであります。倒壊した空き家の所有者が死亡し、市が家族に撤去を求めている、こういった例もまた一方であり、撤去を求められたその家族も、費用の問題でなかなかすぐ手がつかないということがあるわけであります。

 さて、こうしたことが相次いで起きてまいりますと、市も大変に困るものでありまして、ことしの一月、秋田県の大仙市で、行政代執行による撤去もできる空き家条例が施行されました。これは、昨年の冬に大雪で危険な空き家への苦情が相次いだことを受けまして、市が条例化をしたものであります。ことしの一月下旬には、壊れた屋根が飛びそうで危険だ、こう指摘された空き家の所有者に解体を勧告し、市はその後措置命令を行ったが、対応しなかったので、三月五日にも、三月五日といったらきょうでありますね、行政代執行で解体する方針だと我々は聞いているわけであります。

 この秋田県の近隣自治体でも、このことを受けまして、同様の条例を制定したり、条例制定の検討をしているということでありますけれども、北海道内におきましても、自治体で条例の制定あるいは検討がなされているところであります。

 さて、ここで私が国土交通省の大臣、副大臣にお願いしたいのは、全国の自治体にこのような運動あるいは対策が広がっていく中で、このような例を、豪雪地帯の自治体に国土交通省として一つの指針を示しながら条例化を進める、あるいはこういった危険な家屋、空き家の撤去に対する指導力を発揮すべきではないか、このように思うところでありますけれども、これについてのお考えをお伺いします。

奥田副大臣 伊東委員にお答えいたします。

 確かに、今、空き家の戸数が増大していくという中で、管理が不十分な空き家というものも多数発生している。防災、防犯、あるいは火災予防、衛生、さらには景観や地域の活性化、さまざまな課題に対するため、地方自治体の方でも条例という形で、また多くの自治体がさまざまな施策を実施しているということは十分に承知しております。

 国土交通省としては、こういった地方自治体の住環境の改善といった取り組みに対して必要な助言を行うなど、支援をしてまいりたいというふうに思っております。どのような支援かということにおいては、地方自治体が提供する空き家の情報、あるいは地方自治体の施策に関する相談体制、このことを整備して、適正な管理が地方に行き渡るようにしているところでもあります。

伊東分科員 今副大臣お話しのように、これは必ずしも冬期間の落雪あるいは降雪による崩壊の危険ということだけではないというふうに思います。どこの地域にも、所有者不明というか、所有者にその管理責任能力のない形の中で、古い老朽化した家がたくさんある、空き家、倉庫がある。しかしそれは、浮浪者が入ってきたり、あるいは子供たちがそこで火遊びをしたり、さらにはまた、目抜き通りのところにあって景観上非常によくないものであったり、台風や地震などがあったとき倒壊して両隣、近隣に危険を与えるような建物というのは実はたくさんあるわけです。

 これは、個人の所有物を税金でどんどん壊していったりあるいは処分したりということがなかなか簡単にできない仕組みの中でありますから、ですから行政代執行の条例をつくらなければならないということになるわけでありますけれども、私は、やはり国交省として、自治体のやることだからといって見ているだけではなくて、一つの指針をおつくりになるべきだというふうに思うのであります。その地域で過疎化が進む、高齢化が進む、あるいは所有者不明の空き家が増加する、どうしたらこれに歯どめをかけてきちっとした整理ができるか、そしてその危険の除去をしていくことができるか、この道筋を実際に示す役割こそ国交省にはあるのではないか。

 これは住宅局になるのかどうかはわかりませんけれども、新築の住宅計画やそういうものをどんどん進めていくだけではない、もう一方の意味での住宅政策が必要ではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

前田国務大臣 伊東委員の御指摘のとおりでございまして、結論から申し上げれば、今、豪雪に際して、まさしくそういった、住宅政策の矛盾とは申しませんが、まちづくりも含めて、高齢化、過疎化、人口減少している中でなかなか対応し切れない、そこで自治体の行政代執行というような形で対応していただいている。国土交通省としては、その辺、非常に肩身の狭い感じもするわけでございます。

 委員のおっしゃることはよくわかるんですが、国がそこまで方向を示し得るところまでいっているかというと、まだもう少しのところではないかという感じがするんですね。

 と申しますのは、やはり、五千七百万戸かあるという個人住宅に対して、相変わらず今までは、右肩上がりの新築政策というものが住宅政策の中心でございました。今や、実は、既にある住宅資産というものを、いかに寿命を長くして、断熱もやり、耐震等安全も確保し、そしてコミュニティーとしての町全体の価値を上げていくか。当然、人口も減っていくわけでございますから、地方都市のみならず、大都市圏においてもそういう状況が出ているわけでございますから、そこはコンパクトにしていく。当然、そのときには、撤去というような問題だって出てくるはずでございます。

 しかし、今、国民全体がそれを受け入れるような状況にあるかというと、まだそこまではいっていない。まずは、まちづくりの政策自体がその方向に向いていなかったという反省があります。

 したがって、今国会でいわゆる低炭素まちづくり法案というものを提出させていただいておりますが、そういうことを踏まえて、国として、委員がおっしゃるような問題意識を持ってこれからの住宅、まちづくり政策というものを進めてまいりたい、このように思っております。

伊東分科員 総務省の統計では、二〇〇八年、ですから三年前、四年前、全国の空き家率は一三%でありました。今大臣おっしゃられるように、新規住宅着工がこれまでのペースで続けば、三十年後、空き家率は四三%に達するという野村総研の試算があります。少子高齢化、少人数家族化の進展の中で、四三%といいますと、十軒に四軒ちょっとが空き家ということは、前か後ろか隣かのどこかが一、二軒必ず空き家になっているということになってくるわけです。

 ですから、まだ国民の皆さんはそこまでというお話ですけれども、私は、もうそろそろ、ここに手をつけるというか、将来そういうことになり得る可能性が高いとしたら、構想を練り、それに対する対策、これは住宅政策とあわせておやりになるべきではないかな、このように思うのであります。

 私、一例で車の話をさせていただきますと、放置自動車という投げ捨てられた自動車があちらこちらに随分たくさんありました。これは個人の所有物ということで、なかなか自治体が手をつけることができなかったんです。ところが、これは、赤さびた、本当にタイヤもないような放置された自動車に、弁護士、警察立ち会いのもとで公告の紙を張るわけです。この所有者は届け出てください、二週間待ちますよといって、来ない場合にはそれを裁判所に申し立てて撤去していくということが堂々とできるように、車の場合、新しいシステムができるようになりました。家の場合、なかなかできないんです。

 ですから、これについて、お話しのようにこれには所有者があって個人財産であるということが一つの前提になってきますので、所有者不明その他の場合、何らかの形でこれを自治体が処分して、その処分した費用の中から撤去費用を支出することができるような仕組みも必要だろうな、こう思いますし、あるいは不明者の場合も、土地の収用、売却あるいは除却の費用等の捻出方法を含めて自治体がそういう一定の権限を持たなければ、これは本当に、あっという前に二〇%、三〇%、三軒に一軒が空き家になって、崩落の危険、火災の危険、地震その他台風での倒壊の危険、こういうものと隣近所の人がいつも隣り合わせでなければならぬということになるわけでありますので、ぜひ具体的な方策などを自治体の意見を聞きながらお進めいただきたいと思います。

前田国務大臣 問題意識、危機感は全く同じでございます。実は、国土交通省の中に持続可能なまちづくり研究会というのを発足させていただいておりまして、まさしく委員のおっしゃるようなことを、個々に、モデル的にどういうような対応が可能か、それをまちづくりにどう反映させていくかというようなことを今研究しております。

 さらに申し上げれば、要するに、今持っている持ち家そのものに二つの問題があります。

 一つは、平均すると寿命が余りにも短過ぎる。平均二十五年。二十五年たつと産業廃棄物になるわけですよ、おっしゃるように。

 それからもう一つは、マイホームというものが流通しませんものですから、そういうことになる。いい住宅であって、ちゃんと手入れをしておれば、住まなくとも貸せるわけですよね。定期借家権というのも導入しているわけです。しかし、日本においてそういうふうなマイホームの流通というものもありません。要するに、既存の中古住宅の流通がありません。だから、この流通市場というのを整備していくというのも非常に大きな課題として、今、その研究、あるいは既に不動産特定共同事業法というものの改正も提出させていただいておりますが、この法改正というのも、そちらの方向に向かって多少は動き得る、活用し得る手段であります。

 要するに、五千万戸以上ある既存の住宅というものの長寿命化とレベルアップ。そうすると、実は、日本の住宅資産というものは、今の現在価値、大体二百三十兆円ぐらいだそうですね。それを、九百兆円まで今のマイホームの資産価値というのを上げ得るということをリチャード・クーさんなんかが試算しているんですね。そういったことも頭に入れながら政策を展開したいと思います。

 しかし、何といっても住宅は、個人にとってはまさしく先祖伝来の人生の城でありますし、個人の所有権というものがあるものですから、余り手荒な、早急なことはできません。やはり国民の意識というものとともに、何とか先導的にモデルを提示していきたいな、こう思っております。

伊東分科員 ぜひよろしくお願いします。

 それではもう一つ、私、LED街路灯の設置について、これをぜひお進めいただきたいという思いであります。

 御案内のとおり、LEDは大変に進化してきておりまして、その明るさ、光量も明るくなってきております。これは単位が、ルーメン・パー・ワットでありますから一ワット当たり何ルーメンかというのがあるんですが、つい二、三年前まで五十ルーメン・パー・ワットでありましたけれども、最近、百あるいは百二、三十、理論上はもう二百、二百五十の明るさが一個の発光ダイオードから出るようになってきております。

 私、この中で特に注目をしているのでありますけれども、街路灯がありますけれども、街路灯の光源部分を電球、水銀灯、あるいは蛍光灯からLEDにかえるのがここ四、五年、増加してきております。その中に、日本ではまだ少なかったのでありますけれども、その光源の上にソーラーパネルがついておりまして、日中、充電をしてポールの中にあるバッテリーにその電気を蓄え、夜になると、暗くなると自動的に発光する、明るくなると消える、そういう街路灯が、今から四、五年ぐらい前から、日本もそうですし中国、台湾でも、随分たくさんこれができてきているわけであります。

 私は、日本の国の電気の約二〇%から三〇%は照明によって使われているという話を聞く中で、さらなる省エネを進めるために、LED型の、特にソーラー街路灯を普及させるべきだと自分自身も長年ずっと思ってきたところでもあります。これが、道路はもちろんでありますけれども、公園、港湾、河川敷、あるいは峠とか、本当に電気工事しづらいようなところにでも、単に設置すると、もう電気料は要らないで半永久的にこれが動くということになるわけでありまして、国家的にも、あるいは国道その他を管理する国土交通省にしても、これは大変な省エネになるのではないかという思いがいたします。

 時間がありませんので詳しいことは言いませんけれども、相当な電気料金の削減にもなるし、あるいは場合によっては、配電ということがないものでありますから、工事費の削減にもなる。こうしたものを、国として、国交省として、少なくとも公的施設、あるいは港湾、公園を初めとするそういったところにこれをふやすようなお考えはないかどうか、お聞きします。

前田国務大臣 御指摘の、ちょっと見せていただいていて、なるほどなと思っていたわけなんですが、調べてみますと、二十三年度の第三次補正予算において、直轄国道においてLED照明に九千灯、その中で予算づけしてやっているようでございます。さらに、その他の公共施設の方にこれをもっともっと広げろという御指摘でございますから、もちろん、いろいろな施設における条件というものがあるでしょうから、その辺はちゃんとコストを初め検討は進めますが、方向はその方向に持っていきたいな、こう思います。

伊東分科員 LEDにかえただけでも、電気料金は相当、四分の一くらいに落ちる。さらに、寿命が十倍ぐらい延びるわけですから、これは大変に効果があるんです。ただ、それにさらにソーラーパネルをくっつけることによって、配電しない、電気料がかからないで屋外のそうした照明施設を維持することができる。これは本当に十二分に考え得る話だし、日本国じゅうの自治体と国がこれを取り進めれば、私は、国家的な省エネ対策としてはすさまじい効果を上げるのではないか、こう思うものでありますから、ぜひお進めいただきたいな、こう思います。

前田国務大臣 賛成でございます。低炭素循環型社会を目指す、こう言っておりますので。

伊東分科員 時間ですので。ありがとうございました。

村越主査 これにて伊東良孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 最初に万葉集を詠んで始めるというのが、いらっしゃっている方は御存じなんですが。道の万葉集というのがありまして、信濃路の道が今開かれたばかりで、木の切り株に足をとられないように靴を履いていきなさいよと送り出した歌というのがあります。万葉集巻十四、三千三百九十九番。

  信濃道(ぢ)は今の墾(は)り道(みち)刈りばねに足踏ましむな沓履け我が背

ということで、今の「墾り道」、高速道路の話から始めさせていただきます。(拍手)

 二十四年度予算におきまして、地域活性化のための基盤整備等という省の重点化項目におきまして、全国ミッシングリンクの整備ということを掲げられて、国費は昨年より九%増、三千六百六十三億円の計上であります。具体的に力を入れる事業内容と、期待される効果を伺います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路のミッシングリンクの解消でございますけれども、地域の活性化あるいはその波及効果としての地域の生産額の増加、加えて災害面からの弱点の克服、こういった観点からも大変大事なものだというふうに認識いたしております。

 今後、高速道路のあり方の委員会で中間取りまとめいただきました、これを踏まえまして、厳格な事業評価のもとで整備効果や緊急性の高い箇所へ重点化を図りますとともに、走行性の高い国道の活用あるいは完成二車線といったものの採用、こういったことも考えながら、効率的な整備を図ってまいりたいと考えております。

橘(慶)分科員 今ほど局長からお話のございました、走行性の確保、完成二車線というところが私の期待したいところであります。

 今の「墾り道」、高速道路の中に中央分離帯を設けず、片側一車線のまま暫定供用されている場所があるわけであります。これは、交通安全上、危険度が高いのではないか、このように思います。予算上の制約があってすぐに全てということはないにいたしましても、逐次解消を図っていくべきものではないか、それはまた、一面、安全だけではなくて、経済効果も大きいものと考えるわけでありますが、いかがでございましょうか。

菊川政府参考人 御指摘のとおり、暫定二車線の高速道路につきましては、四車線がちゃんとある区間と比べまして死亡事故率が約二倍ということで、一度事故が発生しますと重大な事故になる確率が大変高くなっております。

 また、渋滞の発生している暫定二車線区間では、四車線化をやりますとスムーズに走行できるようになります。物流の効率化などの経済効果も発現するということになります。

 加えて、東日本大震災におきましても、暫定二車線の区間では、復旧工事によります交通規制などで、被災地への物資輸送などで影響が出るなどの課題も生じたところであります。四車線化の効果というのは大変大きいものがあると考えております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 そういう基本認識の上で、またさらに質問を続けさせていただくわけですが、実は、平成二十一年四月二十七日の第四回国幹道建設会議におきまして、東海北陸自動車道の白鳥―清見間、上信越自動車道の信濃町―上越間など六区間が四車線化の整備計画の打ち出しとなったわけでありますが、残念ながら今日まだ事業化されていない状況で、やがて三年になろうとしておるわけであります。

 今ほどありましたように、事故率の問題あるいは経済効果、そして今回は大震災ということを踏まえればリダンダンシー、そういった問題も含めて非常に大事ではないかと思うんですが、まずはその事業化されていない経緯、理由についてお伺いいたします。

菊川政府参考人 御指摘の東海北陸自動車道などの四車線化の六区間でございます。

 平成二十一年度の第一次補正予算におきます関連予算を執行停止いたしました。その後、平成二十二年四月に利便増進事業を活用した枠組みでの整備というものを提案いたしましたが、同年の十二月に関連法案が廃案となりましたために、現在のところ事業休止中ということになっております。

橘(慶)分科員 今ほど経緯でも出ましたように、二十二年度の初めに、言ってみればいろいろ事業の費用対効果とか必要性ということも一度見きわめが終わっていまして、その中で何とかこういう形で進めようという話が、不幸な展開の中で法案が廃案ということで、今は宙に浮いたような状態になっているわけであります。

 また、この間に例の休日千円上限割引とかいったような形で利用促進のいろいろな施策が高速道路に打たれたわけでありますが、そういう場合に、こういった六区間において、交通量や渋滞量、あるいは事故の問題でどういうことがあったのか、これは一つの示唆を与えるわけでありますが、可能な範囲で示していただければと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 休日上限千円という割引を導入いたしましたが、この導入の前後で比較いたしますと、休日の交通量につきましては、先ほどお話がありました六区間の平均でございますけれども、約一・四倍になっております。また一方で、休日の渋滞回数については、これは平均で約三・七倍ということになっております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 いろいろな面で需要のある場所であり、かつ、やはり安全性の面で非常に大事だ。私どもも沿線に、特に東海北陸道は私ども沿線になるものですから、事故があってその一車線がとまっちゃうと、そちらの方向へは全く行けなくなって、一度高速道路からおりなきゃいけないとか、また、悲惨な事故の事例も見ているわけであります。

 そこで、先ほど局長さんとのやりとりの中でもありましたように、事業のBバイCといいますか、その必要性ということについては大体理解されているんじゃないかな、そういう国土交通省さんの認識ではないかということで大臣に一つお伺いをさせていただきながら、あわせて、先ほどお話の出ました「今後の高速道路のあり方 中間とりまとめ」ということで、有識者委員会における中間取りまとめも踏まえてこの六区間についてどのような御方針で臨まれるのか、ここで確認をさせてください。

前田国務大臣 経緯については委員の方からもございました。また、道路局長が答えておりますが、基本的にはそういうことなんですが、六区間の、なるべく早くちゃんと当初の計画どおりということは我々も考えておりまして、それは昨年の大震災のときに、救援、復旧復興の段階でもちゃんと当初の車線がなかったために随分と支障を生じたということもありますし、多分、委員の御地元、北陸の方は、雪等のときには車線がちゃんと四車線化していないために、随分と救援とかそういうところで障害になったケースが今出ていると思うんですね。

 そんなことも踏まえまして、高速道路の有識者委員会の中間取りまとめを踏まえて、原則的には高速道路の利用者負担による対応ということが基本になるわけですから、高速道路の採算状況など、御指摘の結果が出つつあるというふうに聞いておりますので、精査しながら前向きに対応をしてまいります。

橘(慶)分科員 確かに、これらの道路については、今ある高速道路の株式会社さんそれぞれが整備をしていかなきゃいけないということでありまして、今、前向きにというお話もございました。最初の方のくだりでは早期にというお話もいただいておりますので、そこを受けとめさせていただいて、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、高速道路についてあと二、三点お伺いをしていきたいわけでございますが、これを有効に使っていくということが非常に大事な観点だと思います。

 その中で、インターチェンジ、スマートインターであれ新設インターであれ、そういったものの追加設置ということは、既存の道路をさらに活用するという意味において、安全面さえうまく乗り越えられるのであれば非常に費用対効果の面でも一般論としては有効ではないかと思うんですが、まず、この点について確認をさせてください。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 スマートインターチェンジも含めまして、追加インターチェンジでございますけれども、今ある既存の高速道路を有効に活用していく、さらには地域活性化という点でも大変効果があるというふうに思っております。

 ちなみに、日本の高速道路のインターチェンジの間隔は、大体十キロ平均になっておりまして、アメリカとかヨーロッパは大体その半分、五キロ間隔ぐらいになっております。今後とも、必要性を見きわめながら、こういった追加のインターチェンジの整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 どうもありがとうございます。

 そういう意味におきまして、これまた一般論になるわけですが、実は、高速道路の中には、高速自動車国道ということでNEXCOさん等が管理されている部分もありますけれども、一般国道の自動車専用道路というような形のものもありまして、その中にはインターチェンジの新設要望がなされている箇所があるわけであります。

 実は、NEXCOさんの方のインターチェンジについては手続が割と見えているわけですけれども、一般国道の自専道の場合は余り手続が見えていないという声も地元にはあるわけであります。このあたりについて、現状どうなっているのか、また、それが建設中の場合、供用後の場合についてどうなっていくのかということについて、ここで御説明を賜りたいと思います。

菊川政府参考人 一般国道の自動車専用道路も含めまして、高規格幹線道路のインターチェンジにつきましては、先ほど申し上げましたように、地域活性化とか利便性向上の観点から、その間隔を狭めていくのが望ましいというふうに考えておりますけれども、必要性とか安全性、あるいはコスト、こういったものも踏まえて、地域の協力を得ながら整備を行っていきたいというふうに考えております。

 今御指摘の手続でございますけれども、一般国道の自動車専用道路のインターチェンジにつきましては、国土交通大臣が定めます整備計画の中で、連結位置、さらに連結予定施設として示されることになります。したがって、建設中の場合、供用後の場合のいずれにつきましても、新たにインターチェンジを追加する場合には整備計画の変更ということが必要になってまいります。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 整備計画を変更するという手続を、多分、各地域であれば地元の国土交通省さんの出先と協議をしながら大臣のそういう整備計画というものを受けていく、こういうことで理解をさせていただきました。

 もう一点、高速道路の整備ということについては、新直轄とかいろいろな形の整備を工夫されながら進めてこられたという歴史の中で、たまたまこういう指定区間の高速道路あるいはいわゆる高速道路化している国道の中では、全国的には地方道路公社に管理をさせているという事案が幾つかあるわけであります。そういうところでは、どうしても料金も地方道路公社で取るものですから、国の料金政策とはにわかには連動しない。もちろん、その地域で頑張ればいいということもあるわけですけれども、なかなかそうでもない場面もあるわけであります。

 こういったものについて、なぜ引き続き地方道路公社に管理をさせていくことになるのか。というのは、国の全体の高速道路のネットワークを構成しているものの中で、それを地方道路公社ということであれば、それは国道の百番台、二百番台、三百番台のところで地方に管理させているのはあったとして、それは国道の番号上は四百番台かもしれませんけれども、それを高速道路をずっと地方道路公社に管理させるということはいかがなものかなという感じも、素朴にはしないわけでもありません。

 この辺は整理をしてすっきりさせていくべきではないかとも思うのですが、現状、そしてその管理させている理由について、御説明を賜りたいと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたように、一般国道の指定区間につきましても、地方道路公社によって整備、管理をしている区間が、そんなにたくさんはございませんけれども、全国に何カ所かございます。

 これは、地元の発意、これが大変大事なんですが、地元の希望があって、有料道路事業を入れることで整備が早く進む、整備が促進される、こういったケース、それから、地域の交通の円滑化に資するとともに、産業あるいは観光開発等の地域に重要な役割を果たす、こういった条件を満たす場合に限り認めているところでございます。

 今ある地方道路公社の部分をどうするかということにつきましては、また地方公共団体とかそういったところとよくお話をしていきたいというふうに考えております。以前、御地元の能越なんかでいろいろな議論があったようでございますけれども、またこれはいろいろな効果を検証しながら検討してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)分科員 たまたま能越道ということを言っていただきましたので、これは、NEXCOさんの東海北陸自動車道に接続しながら、まず地方道路公社さんの有料区間があり、その後、新直轄でつくって、石川県側に行きますと能登の有料道路につながって、最後は輪島まで行くということで、その区間区間の整備の手法がまだらになっています。それは、確かに、そのときそのときの事情の中でそういうことはしてきたわけですが、今、石川県側も道路公社をやめて無料化をしていくというようなこともありまして、これは全体としてどうしていくかというのが一つの課題になるわけですが、一般論としては、全国に数カ所と伺っていますので、ぜひ何らかの形で御検討も賜りたい、このように思うわけであります。

 それで、今たまたまそういうまだらのお話をいたしましたけれども、整備新幹線、北陸新幹線も、一時はスーパー特急の話があったり、いろいろな整備手法の話があった中で、昨年末、前田大臣、奥田副大臣、皆さんの御努力もありまして、所要の確認、手続を経て着工する方針が示されていることは、北陸地域三県、もっと言うと新潟を含めて四県、みんなで大変喜んでいるお話であります。

 そこで、それは評価をしながら、これは前からこういうことをお話ししていたんですが、もう少し時間をかけてスタートということでありますけれども、これは、実際は建設主体は鉄道・運輸機構のスタッフになります。そうすると、まずは用地から始まるわけで、用地部隊は、どちらかというと金沢までのところで、最後は残っているところの用地取得などをしてきたわけですが、これをうまく金沢から小松へ、福井へと送っていけば切れ目のない施工になるんじゃないか。

 そのように重機であれいろいろなものをうまく段取りを組んでいただいて、切れ目のない施工に努めれば、今は十四年間ぐらいということで言われておりますけれども、私どもの区間について、平成十六年に始まるよと言われて二十六年度ということですから、私なりの経験で、この富山県西部については最速で十年間で仕上がるということもございます。その辺が技術的に可能な一つのポイントになるんじゃないかと考えますが、切れ目のない施工ということをお努めになってはどうかと思うんですが、対応を伺います。

久保政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げれば、まさしく鉄道・運輸機構という建設主体でありますけれども、これまでも新幹線の整備事業を着実に実施する観点から、その進捗状況に応じて、御指摘のとおり、職員の配置等を適切かつ機動的に行ってきたものだと考えております。

 今後も、着工が認可された場合においても、適切な職員配置等を行うことによりまして、先生御指摘の切れ目のない事業実施に努めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 物理的、技術的にそう進めてもらえば、あとは予算上の問題になるというふうに理解しますので、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、敦賀以西については、今、新聞紙上、フリーゲージトレーンの活用なども話題に上っております。もちろん、全線きちっとつくってほしいというのは、誰もがそう基本的には思うんでしょうけれども、このフリーゲージトレーン自体については長崎新幹線で先に実用化をされることになっているわけであります。

 そこで、現在、長崎新幹線のこの実用化に向けた技術の完成状況はどの程度になっているのか、確認をさせていただきます。

久保政府参考人 御指摘のフリーゲージトレーンの技術開発について御説明申し上げます。

 これまでの走行試験等によりまして、軌間変換性能、これは車輪の幅を変える性能であります、二つ目には、新幹線上での時速二百七十キロメートルでの安全、安定走行性能、三つ目には、在来線、普通の線路でありますけれども、そこの直線部で時速百三十キロという通常の特急と同じように、また、曲線部、カーブのところで現行特急と同様の速度での安全、安定走行性能、こういうことが確認されておりまして、昨年の十月に鉄道車両の専門家等の有識者で構成されております軌間可変技術評価委員会におきまして、「実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立している」との評価をいただいております。

 現在は、残る開発目標、コストでございます。車両、地上設備の製作だとか保守のコストの分析、検証を行うため、在来線での耐久走行試験、何度も走らせてみるという耐久走行試験を行って、必要なデータの収集分析を行っているところであります。

 また、来年度予算案では、より一層の軽量化、長編成化等を図った試験車両の設計、製作費を予算案に計上しております。これを用いて引き続き耐久走行試験を実施する予定でありまして、今後とも、九州新幹線長崎ルートでの実用化に向けて着実に技術開発を進めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 そこはぜひ着々お進めいただきたいんですけれども、実は、ここまでお話をしながら、一つじくじたる思いのことがございます。

 鉄道局の所管されている予算というのは大体一千億ばかりでございまして、そのうち七百億円が整備新幹線に充てられているわけであります。残った三百億円の中に、今のフリーゲージの話もそうですが、地下鉄あるいは大都市圏で非常に大きな大事業になっている鉄道整備への支援が続くわけであります。そして、地域公共交通活性化とか再生といった形、いわゆるローカル鉄道の支援については、鉄道局関係では言ってみれば一%程度、九・五億円という数字になってくるわけであります。

 もちろん、総合政策局でサバイバル計画の中で応援される部分もあるわけですけれども、一般論としてはここは結構格差があったかな。また、鉄道局さんの枠というのは非常に、それは枠は変えりゃいいじゃないかという議論もあるかもしれませんが、諸般の事情においてはなかなか大変なのかなとも思ったりもしております。

 一応、一般論として、潜在的な鉄道利用ニーズが大きい地方都市あるいはその近郊の路線等への国からの支援の方針についてお伺いをしておきたいと思います。

久保政府参考人 地域の鉄道につきましては、私どもとすれば、通勤通学等の地域住民の足、また、それだけじゃなくて、地域振興とか活性化の担い手としても重要な役割を果たしていると認識しております。

 このため、地方鉄道に対しては、今先生御指摘の補助事業によりまして、新駅や行き違い施設の設置などに対する支援を通じて利用者の利便向上を図っております。また、これも御指摘いただきましたけれども、総合政策局所管の事業の中に地域鉄道の安全性の維持向上のための支援制度、あるいはLRT導入のための支援制度もあわせて行っているところであります。

 私どもといたしましては、これら一連の措置を通じまして、地方鉄道の維持、さらには活性化のため、できる限り今後も支援をしていく所存であります。

橘(慶)分科員 姿勢はそういうことで結構なんですけれども、なかなか予算としては確保できない。

 今さら終わった話を持ち出すのも変なんですけれども、去年、鉄道・運輸機構の、例の国鉄から移られた方々の退職金の、これがデフレやいろいろなことがあって思ったほど出ていかないということで、出てまいりました例の特例業務勘定の利益剰余金一兆六千億円、それを使って年金の方も手当てをしたけれども、あわせて、そのときにいわゆる整備新幹線の関係、地元の負担の関係で非常に助けていただいたわけであります。

 あのとき、北海道、九州、四国の三島会社とか貨物鉄道まで助けたんですけれども、考えてみたら、その先のローカル鉄道、もちろんJR絡みじゃないのはどうなんだということがあるかもしれませんけれども、ここについて、先ほど申し上げた鉄道局の今の予算が一年間十億円ばかりということであれば、数十億単位といいますか、十億であっても何かそういうことを手当てしておくと、全国的にはローカル鉄道の支援という意味では非常によかったんじゃないかな、私なりにもっと発言すればよかったかなと後悔もするわけであります。

 この辺、何か機会があれば、もうほとんど利益剰余金は出し切ったような感じにはなっていますけれども、そうはいっても、まだ大阪のプロジェクトとかいろいろ出てくる場面もあるかもしれません。今度は、一千億、二千億という話じゃありません、十億、二十億の話であります。

 こういったことについて、所感を前田国土交通大臣にお願いしたいと思います。

前田国務大臣 橘先生におかれましては、この辺の経緯も全ておわかりの上で言っておられるわけで、今回の北陸、あるいは北海道、長崎にしても、これがベースにあって貨物ということで何とかゴーサインが出せるかな、こういうことなものですから、この辺は、まずは目の先がちゃんと進むようにしていく必要があると思います。

 一・二兆円の国庫納付に加えて、JR三島貨物会社に対する支援措置を実施しているところでございますから、今後、相当程度の期間、借り入れが残るなど厳しい状況が見込まれているわけです。

 一方で、御指摘のように、地方鉄道は国民生活や地域の経済社会活動にとって極めて重要な公共交通でございますから、国土交通省としては、額は少ないということはあるかもわかりませんが、地域公共交通確保維持改善事業などを活用して、さらに言えば一括交付金等もどんどん出しているわけですね。今年度も国交省の公共予算二千数百億を一括交付金化しているわけでございまして、その辺はやはり地域の重要度というものをぜひ踏まえた上で、この関係者が寄って知恵ある対応をしていくべきだ、このように思っております。

橘(慶)分科員 そういう意味では、ぜひその一括交付金の中にそういったメニューも読めるようにいろいろ御配慮も賜りたいなと思うわけであります。

 最後に、市街地整備について、時間の許す限り、一、二お伺いしてまいりたいと思います。

 先ほども伊東委員の方から空き家対策の話がありまして、この既存市街地のリニューアルという問題は非常に大きい問題があるわけであります。国土交通省さんの方では、自治体に対して密集市街地整備事業、これは今大臣もお話がありました、一括ではありませんが、社会資本整備交付金の方に溶け込ませる形で、昔からの町並み、非常に密集しているところのリニューアルに大きな効果を上げているわけであります。今後とも継続を望むものでありますが、省としての今後の方針についてお伺いいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 地震時に大規模な火災の発生などのおそれのあります、いわゆる密集市街地の整備改善を進めることは、災害から国民の生命財産を守る上で大変重要な課題であるというふうに考えております。

 昨年三月十五日に新たな住生活基本計画の閣議決定を行いましたが、その中におきましても、地震時などに著しく危険な密集市街地を平成三十二年までにはおおむね解消する、これを目標とするというふうに掲げたところでございます。

 こういった密集市街地は、大都市圏だけではなくて、先生御地元の射水市など地方都市にも散在をしておるわけでございまして、その早期解消を図っていくためには、公共施設の整備はもちろんでございますが、避難経路の確保や老朽建築物の除却、それから耐震改修や建てかえ、こういったことをそこに今お住まいの方々の居住の安定というものを確保しながらきめ細かく進めていく、こういうことが必要になるというふうに考えております。

 今もお話がございました社会資本整備総合交付金を活用して支援いたしますとともに、先進地でのいろいろなノウハウも地方の公共団体にいろいろ提供いたしましてその促進を支援してまいりたい、このように考えております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 そういう制度があれば、あとは住民の皆さんの理解、納得ということについては自治体が汗をかいていかなきゃいけないと思います。ただ、一面、制度があるから頑張れるというところもありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 あわせて、歴史まちづくりということで、これもここ数年テーマとして進めてこられたまちづくりのジャンルでありますけれども、この二十四年度の予算では、新たに歴史的風致維持向上推進等調査ということで、一つソフト的なツールを加えられたわけでありますが、その内容、今後の歴史まちづくりに対する、国、省としての支援方針をお伺いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの調査でございますが、この調査は、民間資金による町家等の歴史的な建物の保全、活用ですとか、歴史まちづくりの専門家組織の育成など、地域の持てる歴史的風致を生かしてまちづくりを進めていく上で、言ってみれば全国共通的な課題への対応を検討しようということで、市町村等を公募いたしまして、対策を実施するとともに、その成果を全国で共有することにより、歴史まちづくりに取り組む市町村等を支援しようとするものでございます。

 今後、今申し上げた調査を活用するだけでなくて、これはもちろんでございますが、加えて、平成二十年に制定していただきました歴史まちづくり法の中でも、認定計画制度を用意し、認定計画に基づく事業に対しましては社会資本整備総合交付金等による支援を行うということにされておりますので、そうした制度も引き続きあわせて実施をしていきたい、そういうことでもって全国各地の歴史まちづくりの推進に努めていきたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 ぜひ歴史のストックというものを大事にしていただきたいことを申し上げ、一問残しましたが、時間が参りました。これで質問を終わらせていただきます。

 きょうはありがとうございました。

村越主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、北村茂男君。

北村(茂)分科員 自由民主党の北村茂男でございます。

 分科会での質問の機会をいただきましたので、与えられた時間を精いっぱい努めたいと思います。

 きょうは、朝八時から夜の八時までという過酷なスケジュールでの分科会でありまして、大臣初め皆さん方には、肉体的にも精神的にも大変お疲れであろうかと思います。理解できないわけではありませんので、私の方は爽やかに質問をいたしますので、肩の力を抜いて爽やかなお答えをいただければありがたいというふうに思っています。

 さて、私も地元であります北陸新幹線を初めとする新幹線の問題を質問しようと思っておりますが、実は橘議員から新幹線の質問があろうということは全く知りませんでした。したがって、事前の打ち合わせも何もしないまま、しかも、その順番もわかりませんでしたので、私も新幹線にかかわる質問を申し上げようと思ってやってきたわけであります。橘議員は富山県、私は石川県ということから考えれば、いわば新幹線待望沿線だという意味で御理解をいただきたいというふうに思っている次第であります。

 私は、余り細かいことよりも、大まかな、現時点での考え方あるいは将来に向けての思いというものを聞かせていただければという思いで質問をさせていただきたいと思います。同じ質問になるかもしれませんけれども、その辺は御理解をいただきたいと思います。

 政府・与党においては、昨年末、整備新幹線で未着工となっている北海道の新函館―札幌間、北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州・長崎ルートの諫早―長崎の三区間を新たに建設する方針を決定いたしました。沿線自治体やJRの同意、収支採算性の確認などの条件が整い次第、着工を認めることとし、早ければ今年度内にも認可がされるやに伺っておりますし、さらには、来年度中には当然建設が始まる運びだというふうに伺っているわけであります。

 政権交代して二年半ほどたちますが、本来なら、我々自民党・公明党政権時代にもっと早くこれが進む予定でありましたけれども、今日に至ったことは、ある意味時間がかかってしまったかなという思いがしないわけではありませんが、しかし、その中で着工の決断をしていただいたということについては、高く評価もし、同時に感謝も申し上げているところであります。

 何よりも、ここまで至った以上は、一日も早くこれを着工して、そして沿線住民の皆さん方の期待に応えていく、一日も早く投資効果を生むような日を実現しなければいけないというふうに思っているわけでありまして、この新幹線を決断されて、さらに認可、着工と運ばんとしている今の前田国土交通大臣の思い、これまでの経過を含めて、所感を承りたいと思います。

前田国務大臣 お答えいたします。

 現在の状況なんですが、交通政策審議会のもとに置かれた整備新幹線小委員会を一月二十七日から五回開いております。

 御承知のように、認可に至る五条件というのがありますね。それは、BバイCであったり、あるいは在来線、地元の受け入れ状況、御納得いただけるかどうかだとか、そういったことを含めて、例えば御地元の北陸整備新幹線については、この間、泉田知事さんと私とで署名をさせていただいて、そういった意味では、もう最終段階ということになります。できれば、北海道、北陸、そして長崎、やはりスタートのところは同時にというふうにぜひさせていただきたいということで、それぞれ、地元を含めて、今最終段階にあるということであります。

 さらに申し上げれば、これは昨年のあの三月十一日の大震災、いよいよもう一年になるわけでございますが、やはり多重防御というようなこと、あるいはまた、日本海時代と言われる、発展するアジアというもののいわば受け入れ口というのは、港湾も含めて日本海側ということでございますから、日本海側の新幹線をつないでいくということは非常に重要な国の大きなプロジェクトである、このように認識しておりまして、もうあとわずかでございますから、ひとつ温かく見守っていただきたいと思います。

北村(茂)分科員 もう言わずもがなでありますけれども、この北陸新幹線、今大臣お話しのように、東海道新幹線の代替機能を兼ね備え、あるいは、災害に対応するという意味からいっても優位な機能を持っている。

 もっとさかのぼって言いますと、かつて、私は昭和四十一年から国会に来ておったんですけれども、そんなころから、北回り新幹線といって、東海道新幹線の代替機能を持つ北陸新幹線の優位性ということは沿線でずっと議論されて、新幹線を一日も早くということを、かねがね沿線の人たちは結束をして運動を展開してきた経緯があるわけであります。どういうわけか、上越に越され、東北に越され、九州に越され、北陸新幹線がだんだん遅くなってきている現実については残念でありますが、しかし、そうはいっても、今日までこぎつけていただいた関係者の皆さん方の努力や、あるいは前田大臣を初め、今回の決断については、心から感謝もし、敬意も表している次第であります。

 そこで、今回の政府・与党の決定によれば、従来十年間としていた工事期間でありますが、今回の決定では、北海道は二十四年間、北陸は十四年間に延ばし、九州は既に着工した武雄温泉―諫早間も合わせて十年間の工期を要する。したがって、開業時期は、北海道が二〇三五年度、北陸が二〇二五年度、九州が二二年度の見通しであるとのことであります。

 工期について、このように多くの時間をかけざるを得ないということであるようでありますけれども、これによって、これまでの二兆七千五百億円といった総事業費は三兆百億円にまで膨れ上がるということでありますし、総事業費抑制の観点や、いわゆる早期着工、早期開業、さらには早期効果という側面からいけば、これをもう少し前倒しできないかという思いは沿線の人たちに非常に強いわけであります。

 ぜひ、前田大臣、今の政権の中ででも、たとえ政権が交代しなくても、こういう案が提示されたわけでありますが、後にお答えいただく奥田副大臣は同じ石川県でありますが、年齢からいけば十四年後もまだ頑張っておられるかもしれませんけれども、少なくとも私には、十四年後、この世に生きているかどうかの自信がありません。したがって、もっと早い効果をもたらすようなことを考えるべきではないか、こう思うんですが、奥田副大臣、決意のほどを。

    〔主査退席、大西(健)主査代理着席〕

奥田副大臣 北村議員とともに、本当に長くかかったな、今一番大事な扉をようやくあけられるかなという思いであるかというふうに思います。

 この新規着工を目指す三線以外にも、早期供用ということは当然の目標だと思います。ただ、今回は、財源という一番重い課題を何とかクリアしなきゃいけない、その中で、これからの経済成長率であるとか、あるいは人口の動向であるとか、そういったものを控え目、控え目に見積もった中で、安全な形での財源の見通しというものを提示させていただいております。

 あと十年というのは一つの節目でしょうけれども、これまでの新幹線、既着工の部分でも、やはりルートの長さであったり、あるいはトンネル部分が多い、橋梁部分が多いという工事の難易度によって、その時間というものは差があるということも御承知いただければというふうに思います。

 もちろん、コストを削減する努力は、鉄道・運輸整備機構を初めとして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

北村(茂)分科員 ということは、北陸新幹線に限って言えば、十四年の時間がかかるということについては、現時点では前倒しは困難、こういうふうに理解をしていいんですね。

    〔大西(健)主査代理退席、主査着席〕

奥田副大臣 公共事業自身が、長い時間のかかるものは随時の再検討、再見直しというものも行っておりますし、また、政府の財政状況、社会経済状況というものも全体としていい方に持っていく中で、希望のある前向きな政策を一つ一つ積み上げることは可能だというふうに考えています。

北村(茂)分科員 ですから、副大臣も、お互いに北陸人でありますし石川県人でありますから、この際大臣に、自分の思いを、頭をすりつけてでも、一年でも二年でも早くするという思いを、県民の一人として強く期待をしておきたいと思っております。

 そこで、国土交通省では、今も橘議員の質問にあったところなんですが、政府が昨年末に金沢―敦賀間の着工方針を決めた北陸新幹線の関西方面への接続手段として、車輪の間隔を広げたり狭めたりするという、いわゆる新幹線と在来線の直通運転ができるフリーゲージトレーンの導入を検討していると伺っております。

 一日に開かれた、金沢―敦賀間など整備新幹線未着工三区間の収支採算性や投資効果の検証を行う有識者会合で、国交省は、同区間の採算性向上の一案として、湖西線経由で大阪と北陸方面を結んでいる特急「サンダーバード」をフリーゲージトレーン化することを想定しているようでありますが、一説に、フリーゲージトレーンに対する認識が、我々県民や沿線の認識が十分でない人たちにとっては、本当に新幹線なのか、高速性は確保できるのか、あるいは、踏切を持つ在来線を新幹線仕様の列車が走るのに、それで本当に大丈夫なのかという意見が、私も専門家じゃありませんけれども、県民や沿線の人たちにはそういう危惧の念を持つ意見が非常に多いんです。

 したがって、一点目は、同区間の建設費、一兆一千三百億円と言われておりますが、これとは別に、フリーゲージトレーン化すれば導入費用がかかるわけでしょう。したがって、通常車両よりも維持費用もさらに膨らむということになるようでありますし、さらには、我々の地域は積雪寒冷地帯であります。したがって、その安全性等について十分な確保ができるのかどうかという問題を危惧する意見もあります。また、在来線区間の安全、安定輸送の確保などが課題になると言われてもおります。

 そこで、このフリーゲージトレーンに関する検討状況は、今の段階で導入をするという一案なのか、フリーゲージトレーンを導入するという前提で進めているのか。さらには、フリーゲージトレーン仕様の車両は、金沢以東にまで導入されるつもりなのか。将来、金沢―敦賀間も導入されるとすれば、金沢以東についてはどうなるのかということも含めて、このフリーゲージトレーン導入に関する現在の考え方を伺いたいと思うんです。国の想定では、東京―大阪の直行便ではなくて、運行区間が重なる特急「サンダーバード」の廃止を見据えているとも言われているようでありますが、国交省の見解はどうなのか、伺っておきたいと思います。

久保政府参考人 まず、フリーゲージトレーンの技術開発の状況でございますけれども、これまでの走行試験によりまして、整備新幹線は最高速度二百六十キロとしておりますので、新幹線上での時速二百七十キロでの安全、安定走行性能については専門家において確認をしていただいております。また、在来線におりたときは、これは時速百三十キロメートル、いわば普通の今までの特急と同等の速度で走るということが前提でありまして、その速度での安全、安定走行性能については確認をされているところであります。

 今後でありますけれども、これをいざ使うとなったら、コストの問題がありますので、コストの分析、検証を行うということから、一層の走り込みをやっていく必要があるだろうと思っております。

 また、来年度の二十四年度予算案では、より実用化をにらんだという形で、より一層の軽量化、これはメンテナンス費用に関係してございますので、より軽いもの、あるいは長編成化を図った試験車両の設計、製作費を計上しておりまして、これを用いて、引き続き、耐久走行試験を実施して、実用化に向けた着実な技術開発を私どもとしては進めてまいりたいと思っております。

 また、フリーゲージトレーンであれば、これは先生から今御指摘もありましたように、敦賀での乗りかえにおける抵抗が低くなる、そういうメリットがあるということもありまして、運営主体として予定されておりますJR西日本においても、前向きに検討していく。その場合、確かに、先生御指摘のように、積雪地帯を走るということもありまして、そういうことも今後念頭に置いて検討していく必要があるだろうということであります。

 また、実際の運用をどの程度にするのか、JR西日本としてもいろいろな考えがあろうと思いますけれども、これは現実の営業が近づいた段階で最終的な形になっていくものだと思いますけれども、JR西日本さんにおいては、これも先生お話がありました、現行の「サンダーバード」に置きかわるものとしての一つの案として考えているというふうに表明されているところであります。

北村(茂)分科員 スピード、速度性、安全性、あるいは走行性を含めて、十分新幹線としての仕様あるいは機能にたえ得るというようなお話でありましたが、我々沿線の中には、東北とか九州とか、まだ経験していない沿線の人たちからすると、大変不安を持っているということだけは申し上げておきたいと思います。

 そこで、先ほどこれも大臣が触れられましたが、もう合意ができたということですから、これ以上お話を申し上げることはないのかもしれませんが、我々石川県側にとっては、新潟問題という言葉で、新潟県知事の新幹線に対する対応で、地元負担金に耐えられない、新潟県は新潟県の考え方がある、こういうことをかねがね言ってこられたわけでありますが、負担金の支払いについては解決をした、合意が得られたということを伺っております。

 特に、国の方から県に対し、東日本大震災を踏まえた上で、並行在来線を貨物の輸送ルートとして位置づけ、補助金などとして約七百八十億円を支払うなどの案を県に提示して、二月十七日、その協議が合意に至ったと伺っておりますが、この合意に至った経緯、あるいはその内容について、いま一度明らかにしていただきたいと思います。

奥田副大臣 北村議員御承知のとおり、二月十七日、泉田新潟県知事と前田国土交通大臣のもとで合意書を交わしていただきました。

 並行在来線、そして新潟県内の中で、いろいろと問題提起がされておりましたわけですけれども、一番大きな課題は並行在来線への財政支援という部分であったかというふうに思います。

 議員お話しの七百八十億という数字も、三十年間の支援措置として上がっておることは確かでありますけれども、これは新潟県の試算に基づく数値で、そのことを一つの目標として掲示してほしいということで、事務方の文書の中にその数字も入れさせていただいたところであります。

 あと、貨物調整金による並行在来線の支援を昨年の法改正とともに決めていただきましたけれども、御存じのとおり、信越線の方はその貨物調整金から外れた区間ということになっております。その積み残した部分の支援をどういう形でするかということで、これからの国としての支援をしっかりとやっていくという意思表示をさせていただいたものであります。

 これで、並行在来線がただ切り離されるというだけではなくて、これまでの並行在来線、そしてまた新たな並行在来線に対して、しっかりと国の支援を打ち出したものであります。

北村(茂)分科員 ひとまず、沿線にいるものとして胸をなでおろしているところであります。

 また、並行在来線問題については、新潟、富山、石川、既にそれぞれ独自の取り組みをしております。いち早くその体制を整えるよう、地元でそれぞれが準備をしているところでもあります。ぜひこれの実現のために、単にどの政党、政権だというだけじゃなくて、長い期間にわたっての悲願ですから、一日も早く完成のための日を迎えることができますように、その努力を求めておきたいと思います。

 さて、時間が迫りましたので、次に、豪雪対策について伺いたいと思います。

 二月七日、我が党の谷垣総裁とともに、新潟県へ豪雪災害の視察に行ってまいりました。同県では、先月末の段階において、死者二十五名を含む三百四十一名の人的被害が発生するなど、深刻な被害に見舞われておりました。心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。

 新潟県小千谷市内では、三メートル近くにも及ぶ積雪、大変な豪雪でありました。新潟県や長野県では、二〇〇五年十二月から二〇〇六年二月のいわゆる平成十八年豪雪に匹敵する積雪のおそれがあると言われておりました。

 この豪雪災害に関し、除雪に必要な経費がもう底をついたと、地元自治体からは、新潟知事、新潟市、長岡市長、小千谷市長、あるいは自治体関係者から、財政負担を求める強い声があちこちから届けられておりました。

 これらに対し、政府として取り組む財政支援についてどのような対応をしたのか。一説、新聞にも出ておりますけれども、例えば農道等も生活道路の一環なんだと、きょうは農林省じゃありませんからお答えは結構ですが、大変深刻な声を発しておられました。

 したがって、関係方面として、できる限りの、しかも、前倒しして早い対応を強く望んでいるところでありますが、既に我が党として、その視察結果を、早急にこれらを実現してほしいという要望も官房長官に申し上げているところでありまして、我が党に答えも返ってきているというふうにも伺っているところでありますが、改めて、総務省としての対応策、さらには、国土交通省として、道路除雪等についての対応を、現時点でどのようなものをとってきたのか、このことについて伺いたいと思います。

米田政府参考人 地方公共団体の除排雪の経費、本当にことしは多額に上っております。

 この経費につきましては、通常、私どもは二段階で算定をやっております。第一段階は普通交付税でございます。毎年度の普通交付税の基準財政需要額の算定におきまして、積雪の度合いに応じて標準的な所要額を措置しているというのが第一段階でございます。そして、第二段階は、実際の所要額が普通交付税での措置額を超える場合には、三月分の特別交付税によりさらに対処するというふうにしておるところでございます。

 この三月分の特別交付税についてでございますけれども、現在、今月の下旬の決定、交付を目途といたしまして、算定作業中でございます。除排雪経費が例年に比べまして非常に多額に上ると見込まれますので、この所要額をできる限り的確に把握するということで、ぎりぎりの段階まで各団体の所要額をお聞きしながら、現在作業中でございます。

 さらに、これは今年度に限った特段の措置ということで、記録的な豪雪により被害を受けた地方公共団体の資金繰りの確保という観点から、平成十七年度、先ほどお話にございました平成十八年豪雪以来の措置といたしまして、特別交付税の一部につきまして、災害救助法適用団体など百四十七市町村に対しまして、二月二十日でございますけれども、繰り上げて交付をしたところでございます。

 今後とも、地方公共団体の円滑な財政運営に支障が生じることがないように対処してまいりたいと存じます。

 以上でございます。

前田国務大臣 過去の積雪量の積算の図を見ているんですが、確かに、委員御指摘のように、平成十八年が三月一日現在で四百四十五センチ、それに対して今回が既に四百九センチまで迫っておりまして、伸び率からいうと、また雪が随分と北陸等は降っているようでございまして、今回は非常に厳しい状況だなということを感じております。

 そこで、道路の方でございますが、道府県に対しては、各地域のこれまでの降雪状況を勘案して、保留していた社会資本整備総合交付金の一部百一億円を二月十日に追加配分したところであります。

 それから、市町村道等についてでございますが、これについては、道路会計の方で持っているお金を、残りを全部出そうということで、今調査に入っておりまして、三月中、もちろん今年度でございますが、なるべく早くそれは配付をするつもりでございます。

 加えて、御承知のように、機材の貸与であったりあるいは専門家の派遣であったり、そういったことで国交省としてできる限りの支援をしてまいっております。

北村(茂)分科員 時間が迫ってまいりましたので、ややはしょって申し上げます。

 私のところも積雪地帯です。今回は、豪雪のすさまじさを新潟で見てきましたけれども、私ども石川県も同じような積雪地帯です。したがって、ことしは大変苦しみました。

 こういう雪に対して対応してくれたのは、本来は建設業界の皆さん方がこの役割をずっと担ってきてくれたわけであります。しかし、昨今の建設業界の置かれている状況は、公共事業の削減等によって、市町村が年末に決める除雪計画がなかなかスムーズにいかない。例えば、去年は三路線やってくれたAさん、あなたはことしはやってくれますか、いや、私はできて一路線です、なぜですか、うちはオペレーターがいません、あなたのところは、うちはもう重機類は持っていません、そんな現実がもう現実のものとなっているんです。そんな中でのことしの豪雪ですから、大変苦しんでいる。

 したがって、建設業界の置かれている状況について、もう時間がありませんので細かい数字は省略しますが、そういう状況下における除排雪に対するあり方というものを考えるべきではないか。これまでは、どちらかというと、公共事業等でお世話になっているんだからお返しのつもりで社会的な貢献もしようという意味で、採算性を度外視してでもやってくれたのが建設業界の実態でありましたけれども、今やそれすらかなわないという状況下における建設業界と、除雪、排雪に対する、例えば入札制度を含む改善策等を国交省として考える必要があるのではないかということを申し上げたいわけでありますが、お考えがあったらお答えをいただきたいと思います。

奥田副大臣 同じ積雪地域で深刻な問題であると思います。建設業の疲弊と、その担い手の維持、育成ということが大きな課題でもあります。

 国土交通省としましては、こういった技能者と機械の必要な除雪作業ができる企業の減少ということに鑑みまして、一つは入札積算単価といいますか、基準稼働日数というところをもって積算に当たるという、その積算方法を変えさせていただきました。

 そして、今一つ、先ほど言った人材と機器の効率的な運用ということも含めまして、地域で包括的に契約ができるという地域維持型契約というのも昨年十一月に決定いたしまして、全国の自治体にその周知と活用をお願いしているところであります。

 これらの方策をどうかしっかりととっていただいて、地域の防災、そして除雪に地域の建設業が活躍していただきたいと考えております。

北村(茂)分科員 ありがとうございました。終わります。

村越主査 これにて北村茂男君の質疑は終了いたしました。

 次に、永岡桂子君。

永岡分科員 自民党の永岡桂子でございます。

 前田大臣、きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、人口減少、高齢化が避けられない我が国にとりまして、国内旅行はもちろんですが、事外国人の観光客の誘致というのは、地域経済の活性化のためにも非常に重要なものであると考えております。

 昨年は、訪日外国人の数は、対前年比で二八%減の六百二十二万人にとどまったと報道をされております。国は、震災後落ち込んだ観光需要を回復するために、前向きの観光業の振興対策を打ち出しております。今後とも予算措置と具体的な実践活動の充実が必要ですので、これは頑張っていただきたいと思っているところでございます。

 さて、現在発生しております原発事故による観光業の被害についてお尋ねしたいと思っております。

 昨年七月のデータでございますが、福島原発事故による旅行に係る意識調査というのをされたらしいんですね。放射能の影響を懸念いたしまして、旅行先として避けたい地域にはどこが挙がったかといいますと、福島県が九六・七%、茨城県が五七・一%、宮城県が四六・七%などとなっておりました。

 本当に、全国ベースでいきますと、全国のニュースでもやはり福島県のニュースが随分出ておりましたし、茨城県は何でかといいますと、首都圏のニュースでは、やはり一番被害が大きかったのが茨城県、関東地方ですね、そういうこともあり、夕方のニュースなどでは茨城県が被害が大きいという話が出ていたのが原因ではないかというふうにも私も思うわけなんです。

 不安にさいなまれている業種の一つでございます旅館、ホテルなどの観光業に対する補償がどのようになされているか、東京電力からの賠償基準の設定の考え方ですとか、それに基づく現実の請求、賠償の実績、支払い予定などについてお尋ねをしたいと思います。経済産業省の方でしょうか、よろしくお願いします。

糟谷政府参考人 観光業の風評被害の賠償金支払い状況でございます。

 本年三月一日までに全国から請求をいただきましたものが約六千二百件、約六百三十三億円ございます。このうち、約四千六百件、約三百七十三億円をお支払いしております。このうち、茨城県からの御請求分につきましては約千二百件、約百一億円でございますが、このうち約九百八十件、約七十六億円を支払っております。

 これは、東京電力はなかなか支払いが遅いということを非常に厳しくお叱りをいただきまして、請求書類の到着から書類確認までの日数を、法人からの請求については平均で約十五日、合意書の受領から支払いまでの日数を平均で約七日ということで短縮化しておりますけれども、さらに迅速かつ適切に賠償がなされますように、引き続き指導してまいりたいと考えております。

永岡分科員 どうもありがとうございます。

 東電の本賠償が遅いときには、国は仮払いができるということにはなっております。福島、茨城、栃木、群馬におけます観光業の中小企業者が受けた風評被害を対象に実施している仮払いの実績はどうなっていますか。お聞きいたします。

奥村副大臣 お答えいたします。

 三月二日現在でございますが、六十二件の請求がございました。そのうち十二件は対象外ということになっておりまして、五十件につきまして約十七億三千万を仮払いでお支払いしたところでございます。

永岡分科員 ありがとうございます。

 関係者の不安をできるだけ解消する迅速な取り扱いを、これからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 さて次に、自動車道路の制限速度の緩和の検討状況について、これは警察庁の方だと思いますが、お伺いいたします。

 自動車の制限速度というのは、一般道路につきましては六十キロと道路交通法に定められております。住宅街ですとか、または道路の幅が狭いなどということも勘案して、必要な場合には、六十キロではなくて三十キロとか四十キロ、地域の実情にふさわしい制限速度が決められているようでございます。周辺事情を考えて、きめ細やかに制限速度を設定するというのはとても重要なことだとは思います。

 一方では、道路の整備も大変進みまして、立派な道路が次々できております。私の地元にも四号国道バイパスというのが通っておりまして、この四号バイパス、信号も少ないんですよ。そして、私が住んでおります古河市から宇都宮、そして北関東自動車道路までこれはつながっているんですけれども、すごく幅が広いんです。片側二車線、両側で四車線。所によっては、片側三車線のところがあるんです。ということは、両方で六車線。六車線の道路の幅がありますと、これはもう、見た感じも走った感じも高速道路並みと私は思っているところなんです。

 これだけ広いと、一般道路でありながら、実は、六十キロで走っている車というのはなかなかお見かけいたしません。見かけないんですよ。そうなりますと、走っている車はほとんどスピード違反なんですね。それは、警察の方も取り締まるというお仕事はあるかとは思うんですが、実際に私もよく走るわけです。私は乗っているだけなんですけれども、運転手さんが四国バイパスを走るんですけれども、六十キロで走ろうとしますと、反対に、車の流れに乗れなくて危険だと感じるということも実は多いんですね。

 そうしますと、このような、幅が広くて高速道路並みの道路については、経済効率の観点からも、時速は六十キロではなくて、もう少し緩和してもいいのではないかと感じております。そこのところをお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

石井(隆)政府参考人 速度規制につきましては、交通の安全と円滑を図るために実施されるものでございますが、同時に、交通実態を的確に反映し、国民に守られる合理的なものでなければならないと考えております。

 警察庁では、平成二十一年十月に一般道路における速度規制の基準を改正しました。この新しい基準では、自動車の通行機能を重視した構造の道路で、かつ安全が確保された道路における最高速度は、時速七十キロまたは八十キロを原則としたところでございます。

 新基準に基づきまして、岡山、石川、宮崎、兵庫等八県八路線で時速七十キロに最高速度を引き上げておりますし、今年度中にさらに一路線で時速八十キロに引き上げる予定でございます。

 御指摘の四号バイパスの部分でございますが、四号バイパスの片側三車線区間につきましては、法定速度であります時速六十キロが最高速度規制となっております。

 現在、実勢速度や交通事故の状況など交通実態を踏まえて、最高速度の規制のあり方について関係府県において検討中であると聞いているところでございます。

永岡分科員 ありがとうございます。

 よくよく考えていただきまして、検討していただきまして、もうちょっと緩くなってもいいのかなということもお考えいただければありがたいと思っております。

 それでは、道路の速度規制のことでございますが、高速道路についてもちょっとお聞きしたいと思います。

 高速道路は、一般道と違いまして、制限が時速百キロメートルになっております。これは随分と前に決められているようですね。平成元年の調査の成果を踏まえて定められたというふうに聞いております。もう既に二十四年目を迎えております。二十年以上たっているわけですから、この間の道路の整備の進展ですとか、自動車の性能の向上ですとか、道路を取り巻く環境も随分大きく変わっていると思うんです。

 外国でいいますと、お隣の韓国は百十キロというのが高速道路の制限速度になっているようですし、イギリスは百十二キロ、イタリア、フランスは百三十キロということになっているようです。日本でも、百キロではなくて、区間を区切って、もう少し緩和しても大丈夫というようなところもあるのではないかと思いますが、そういうことではいろいろと検討なさっていらっしゃらないか、お聞きしたいと思います。

石井(隆)政府参考人 先生のような御意見もたびたび伺っておりますので、警察庁では、平成十八年度に大学教授等有識者から成る規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会を設置いたしまして、三カ年で調査研究を積み重ね、二十一年三月に調査研究結果が報告されたところでございます。

 その調査研究の結果によりますと、最高速度規制が時速百キロを上回ると事故率が増加すること、それから、危険認知速度と申しまして、直前の速度が上昇するにつれ事故の重大性が増加すること、車両間の速度差が時速四十キロを超えると事故発生確率が上昇すること、これは、大型には八十キロの規制がかかっておりますので、そうすると、百二十キロにしますと四十キロの速度差が出てまいります、こういうふうなことが指摘されておりまして、高速道路における最高速度規制の上限を時速百キロより引き上げるためにはさらなる検証が必要であり、直ちに引き上げられる状況にないとの結論がその調査研究で示されたところでございます。

 警察庁といたしましても、本調査研究の結果を尊重しているところでございます。

永岡分科員 どうもありがとうございます。

 伺ってみると、速度制限を上げるというのは結構難しいんだなと思いました。ありがとうございました。

 次に、今お話に出ました新四号国道の四車線化の見通しについてお伺いしたいと思います。

 平成四年度に、越谷より宇都宮線に至る全線の八十・五キロが二車線の供用が始まったわけです。その後、順次四車線化が図られてまいりまして、平成十七年四月には、栃木県内の新国道四号線は全て四車線化されました。また、埼玉県内もほぼ四車線化が済んでいるようでございます。

 現在、茨城県内では、五霞町の幸主から古河市柳橋のところが二車線となっております。まだ四車線には至っておりません。

 この新四国バイパスは、古河市内におきまして国道三五四と立体交差されているということで、そこで合流をしておりますので、合流する地点、そこのところがいまだに二車線なものですから、特に朝晩の上りの車線が本当に渋滞いたしまして困っているんですね。また、下りの方も、利根川を渡る橋が二車線のため、そこでも大渋滞となっているのが現状なんです。

 四号バイパスの四車線化というのは、現在、圏央道に合わせて、圏央道の完成と一緒にということで実行しましょうというふうには話は伺っているんですけれども、何も別に圏央道を待っていることはないと思うんです。本当に渋滞が厳しいものですから、ぜひ早期の四車線化をお願いするものでございます。

 ぜひ副大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

奥田副大臣 先生御指摘のとおり、この四号国道の方、大変に利用が多いということは聞いておりますし、また国土交通省の方でも認識しておるところであります。

 今、五霞インターチェンジの供用に合わせる必要はないじゃないか、もっと早くできるじゃないかということでありましたけれども、今、残った二車線区間という一つのボトルネック的なところになっておりますけれども、時間のかかるものは新利根川橋の架設ということになっております。その橋の工事がまず一番時間のかかる工事ということになります。そして、経済的にも大変大きな影響のある路線だということでありますので、全四車線化の完成に向けて、引き続き事業の推進というものに邁進してまいりたいと思っております。

永岡分科員 いつごろできることになりますでしょうか。具体的に教えていただければありがたいです。

奥田副大臣 失礼いたしました。工事の見通しがおくれている中で、二十四年度以降という言い方をしておりましたけれども、今は二十六年度を目標として頑張っております。

永岡分科員 いいお返事をいただきまして、しっかりとした期限を区切っていただきました。二十六年度ということで、私も大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、今、副大臣とお話をしている間に出てまいりました、圏央道の全線開通に向けての見通しについてお伺いしたいと思っております。

 平成十七年十一月に、圏央道は国土交通省の重要施策の目標宣言プロジェクトに位置づけられました。茨城県内は平成二十四年度に開通するとの目標が決められました。現在では、つくば中央インターから稲敷インターまでが供用されているということになっております。

 また、圏央道の沿線の古河市には、日野自動車が東京から移転いたしまして、ことし五月、これは一部なんですけれども、ノックダウン工場が操業される予定でございます。日野自動車の進出というのは、日野自動車自身が、この圏央道の開通がもう目に見えている、平成二十四年度にはでき上がるということを見込んでの、織り込み済みの進出だったんですね。ですから、この予定どおりの開通が地元でも喫緊の課題となっているわけでございます。

 ところで、平成二十二年十一月三十日に突然、五霞インターからつくばインターまでの区間については平成二十六年度以降の完成になるということを国交省は公表されたわけなんですが、以前は平成二十四年度と明確でございました。今度は平成二十六年度以降と、一体いつできるかが決まっておりません。努力目標がないわけです。どのような経緯でそうなったのか、教えていただけますか。

奥田副大臣 圏央道の整備に当たりましては、早期開通を求める声が大変強いことに鑑み、平成十七年度より、一部区間を除いて開通目標を公表し、目標の実現に向けた事業進捗管理を行うこととしております。

 この事業の目標公表後、用地取得の難航により開通目標の見直しを行わざるを得なくなった区間もあります。しかし、圏央道周辺には企業立地なども多く予定されており、今後とも目標の実現に向けて整備を進めてまいります。

 なお、用地取得の見通しなどが不確定な場合には、先生御指摘のように、開通目標を平成二十六年度以降などとしておりますけれども、今後、これらの見通しが明確になった時点で、新しい目標を公表してまいりたいと思います。

永岡分科員 やはり、副大臣のおっしゃるとおり、ネックは用地取得だということでございます。

 実は、平成二十二年十月二十二日に、用地取得に対しまして頑張ろうということで、県内の関係七市町の関係者がプロジェクトチームを立ち上げまして、県、市町ともども用地買収に積極的に頑張っているわけです。用地買収も随分と進んできたのではないかと考えております。用地取得は進んでいても、まだのところもありますし、国の直轄事業だといいましても、まだこれは六百から七百億円ほどの事業費がかかるということになっております。

 本当に、これは関東地方だけの利便性であったり物流の効率化などというものではなくて、日本の国民全体の民生用にも、また産業基盤としても重要と考えておりますので、ぜひ、財源の重点配分、めり張りのついた予算の執行をお願いしたいと思っております。

 目標宣言プロジェクト、二十四年度にはできますよという話が出てから、地元の人は、早期開通の実現に向けての十万人の署名活動もいたしているところなんです。ですから、地元の方たちのためにも本当に、開通時期についての明確な御説明をぜひ副大臣から聞かせていただきたいと思いますので、具体的に、どうぞよろしくお願いいたします。

奥田副大臣 先ほども言いました、圏央道の一つのおくれている区間、用地買収が大きな問題だということで、また先生の方からも御指摘をいただきました。

 この一部用地の取得についてですけれども、任意買収はもちろんですけれども、それと並行して事業認定申請に向けた準備を進めており、昨年十二月には土地収用法に基づく事業説明会を開催させていただいたところでもあります。

 この圏央道、つくばなんかもありますけれども、成田空港をぐるっと囲んでいく幹線道路ということにもなりますので、また、国土交通省としても、ミッシングリンク、そして成長戦略に基づく大切な道路であるということをしっかりと肝に銘じて取り組んでまいりたいと思っております。

永岡分科員 ありがとうございます。

 土地収用法の話も出ました。土地収用法が施行されたらば、二年ぐらいまでには全部の土地が買収が可能になるという話も伺っております。そうしますと、その次には開通の見通しが立ってくるかと思います。ぜひ、早急に開通時期についての明確な御説明が聞けるように御尽力いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、女沼川の釈水樋管の新設事業化に向けての検討状況についてお伺いいたします。

 私の住んでいます茨城県の古河市内を一級河川女沼川が流れております。女沼川の拡幅などの改修工事は、流域の約半分以上を占めます東部排水路合流点までの区間が完成間近でございますので、利根川への新設釈水樋管の早期事業化が地元にとっても喫緊の課題になっております。

 この釈水樋管の新設につきましては、平成十二年度より、古河の市長さん初め、関係土地改良区、また茨城県など、多くの関係者が国土交通省に要請してまいりましたが、残念ながら、いまだに事業化には至っておりません。十年以上も要望活動を続けてきたわけでございますので、ことしこそ何とか樋管の新設に着手してほしいと願っておりますが、見通しはいかがでしょうか。お伺いいたします。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の釈水樋管、これは、女沼川、利根川の左岸側に合流する茨城県が管理されている一級河川、この合流点に設置しようということで検討しているものでございまして、役割分担としては、御指摘の釈水樋管については国が分担するというふうに認識してございます。

 県が今進めておられます女沼川の改修につきましては、平成三年に着手し、二十六年度までに下流部を完成させ、引き続き中上流部に移っていく予定というふうに聞いてございます。

 こういった女沼川の改修状況を踏まえまして、当該の釈水樋管につきましては、県の改修とバランスをとって着手をするということで考えてございまして、平成二十三年度は詳細設計を実施しているところでございます。

 明確な完成というのは申し上げられませんが、いずれにしろ、県とのバランスをとるということが重要でございますので、そういったものを十分踏まえて進めてまいりたいというふうに考えてございます。

永岡分科員 この釈水樋管の新設につきましては、県の方は本当に早くやってもらいたいというふうには言っておりますので、ぜひ早目な着手をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、利根川の強化堤防について伺います。

 茨城県猿島郡の五霞町というところがあるんですけれども、利根川の右岸に実はあります。右岸といいますと、東京都側の方に位置しておりまして、生活圏は埼玉県の左手になります。いわゆる飛び地になります。現在、強化堤防事業が行われております、利根川の上流事務所の管轄になっているところでございます。用地取得もほぼ終了していると聞いております。

 堤防工事の進捗状況と、いつごろ完成するかを教えていただけますでしょうか。茨城県の五霞町あたりの強化堤防の進捗状況でございます。よろしくお願いいたします。

関政府参考人 先生御指摘の、首都圏の氾濫区域というのは堤防強化ということで進めてございますが、このうち、利根川それから江戸川の右岸、六十六キロにつきましては、今申し上げましたが、現在、堤防強化対策を進めているところでございます。

 このいわゆる堤防強化対策につきましては、用地につきましてはおおむね大体九〇%ぐらい進んでございまして、これまで用地を中心に進めさせていただいております。

 今後、堤防に、具体的な工事の方に移るということでございまして、そういう意味では、順次予算の状況を踏まえながら、できるだけ早く工事の方も進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

永岡分科員 それでは、今、右岸のことをお聞きしました。左岸の堤防についても伺わせていただきます。

 平成二十年三月二十五日、中央防災会議の調査会は、昭和二十二年のカスリン台風並みの大雨が関東地方を襲い、利根川の左岸が決壊した場合、最悪で六千三百人が水死するとした被害想定を公表いたしました。二百年に一度の確率とされるもので、三日間で三百二十ミリメートルの大雨が降った場合の被害を想定したものでございます。

 私の地元であります渡良瀬川と利根川の合流点近くで左岸の堤防が決壊したときを想定していまして、排水施設が稼働しないで、ここからがすごいんですが、浸水地区外に誰も避難をしなかった場合がゼロ%のとき、こんなことは普通はあり得ないんですけれども、そうした場合、古河市で二千名、板東市で千四百名、境町で二千八百名、合計六千三百人が水死すると想定されました。

 左岸についての強化はどのようにされていますか。お聞きしたいと思います。

関政府参考人 利根川の左岸側の堤防の強化についてお答えをいたします。

 御指摘のように、先ほど右岸側についての強化をお話をさせていただきました。左岸側につきましても、いわゆる北川辺地区と呼んでございますが、現在、加須市の地域で地盤沈下もしてございまして、安全度が下がっているということで、この堤防断面の拡幅を進めているところでございます。

 こういったように、加須市も含めまして、今後とも引き続き、左岸側の堤防の強化、これは断面の確保、幅それから高さの確保を行っていかなければならないと考えておりまして、古河市にかかわる区間につきましても、御指摘のようなリスクもございますが、こういったことも含め、所要の断面が確保できるよう強化を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

永岡分科員 済みません、加須市は右岸です。(関政府参考人「両側にございます」と呼ぶ)両側ね。

 今お聞きしたところでは、左岸側の計画は、計画もない、これからの課題であるというふうに伺わせていただきました。よろしいでしょうか。

関政府参考人 加須市は両側にございますので、左岸側の方を申し上げました。

 現在、北川辺地区の堤防拡幅を進めておりまして、左岸側につきましても、順次、堤防の強化を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

永岡分科員 ありがとうございます。

 私たちは、昨年、大きな震災を経験いたしました。二百年に一度が、そんなことは想定しなくていいんだというようなところから、いつ何があってもおかしくないというのが、私たち日本人の気持ちが変わったところだと思います。ですから、災害対策についての強化堤防の話も、そして左岸の話も右岸の話も、ぜひしっかりと計画を立てて、実践していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

村越主査 これにて永岡桂子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、丹羽秀樹君。

丹羽分科員 自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 きょうは予算委員会の分科会の質問時間をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 愛知県の中を走っております一般国道百五十五号線バイパス、通称名古屋環状三号線、また北尾張中央道について御質問させていただきます。

 本道路は、愛知県常滑市を起点といたしまして弥富市に至る名古屋環状三号として位置づけられているもので、私の選挙区でいいますと、春日井市や小牧市の町中を通りまして、豊田市や一宮市など多くの都市を結ぶ主要な国道、幹線道路に交差して広域交通ネットワークを形成する重要な道路であります。

 現在、この国道は片側一車線の道路として都市を縫うように走っているため、市街地を通り抜けるのに時間を要して、輸送面に大きな支障を来しております。また、一部バイパス工事が進んでいるものの、まだまだ十分とは言えず、車のスムーズな流れを欠き、渋滞が発生するなどまことに利用しづらくなっているのが現状であります。

 この点について、まず防災の観点からお尋ねしたいと思います。

 緊急輸送道路というのは、国の位置づけとしてどのようなお考えでしょうか。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 緊急輸送道路というのは、地震とか大きな災害が起きたときに、緊急の輸送あるいは救援活動、こういったものに使う道路ということで、高速道路とか一定の道路について今指定をしている、そういったものでございます。

丹羽分科員 ありがとうございます。

 読んで字のごとくの御説明であったと思いますが、実は、この緊急輸送道路に百五十五号バイパスが指定されております。

 災害が起きたときに、先ほども説明申し上げましたが、渋滞してしまうような道路を緊急輸送道路と言えるんでしょうか。ちょっとその辺をお尋ねしたいと思います。

菊川政府参考人 災害時に、いろいろな耐震補強とかそういったものがしっかりなされておって、なおかつ、沿道の建物なんかも、仮に地震等がございましても、道路を塞いだりするというのは緊急輸送道路としては確かに好ましくないということでございますけれども、ただ、まだ整備途中の段階、多分、先生御指摘のこの百五十五号というのはそういうところだと思います。今、計画を立てて、順次整備をしているというふうに聞いております。

丹羽分科員 政府は東海・東南海地震を非常に危惧されておりますが、災害が起きた場合、我が愛知県においては緊急輸送道路というのが非常に重要になってまいります。ぜひとも一刻も早くその整備を、東海・東南海沖地震に備えるためにも行う必要があると思っております。

 この百五十五号線の開通によって、地域の活性化ももちろんでありますけれども、これからの交通需要を担うものということは確実で、全線開通に向けての早期の着手と早期の開通は地域住民も非常にこれを期待いたしております。この点、ぜひ予算の方をつけていただきたいと思っておりますが、御意見をお願いいたします。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 この百五十五号でございますけれども、先ほど先生からお話がありましたように、名古屋の都市圏の北部地域を環状で連絡するという幹線道路でございまして、大変重要な位置づけだと思います。今、愛知県において整備が進められております。

 私どもとしては、県の事業でございますが、社会資本整備交付金とか、こういった制度を使いながら支援をしてまいりたいというふうに考えております。

丹羽分科員 ありがとうございます。

 いつまでにやれるめどがあるんでしょうか。お願いします。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 これは、先ほど申し上げましたように、愛知県の方で整備しておりますので、具体的にいつまでというのは、ここの手持ちでは持っておりません。

 今、小牧市の方から春日井市の方に向かって整備をしているというふうなことで、いろいろな工区で実際に事業、用地買収等が行われているというふうに承知いたしております。

丹羽分科員 局長のお話、県の方がなかなか方向づけが決まっていないというお話もありましたけれども、国の方は東海・東南海を心配しているんだったら、国の方が全面的に出てやってもいいんじゃないかと思うんですけれども、御意見をお願いいたします。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 百五十五号というのは国道でございますけれども、県で管理する道路、指定区間外の国道でございます。したがいまして、愛知県の方で今、事業をやっているということでございます。

 先ほど申し上げましたように、国としては大事な道路だとよくわかっておりますので、いろいろな交付金等の手だてを講じながら、県の計画に基づいて御支援を申し上げていきたいというふうに考えているところであります。

丹羽分科員 わかりました。

 ここで押し問答をやっていても長々となっちゃうので、では、ちょっと違う観点から申し上げさせていただきます。

 実は、この百五十五号線の上を、一部区間、平成十八年に採算性の問題で廃線となりました新交通システム桃花台線が平成十八年まで走っておりまして、そのインフラ構造物については現在の耐震基準を満たしているかという疑問もあるんですけれども、これは国の方も補助金を出していただいております。県の方も、また市の方も建設予算を出しておりますが、このインフラ構造物を撤去した場合や、耐震化をして利活用するにしても、その方法が道路以外への転用の場合、インフラ建設時に受けた国庫補助金返還の可能性があるなどとして、こういったものが足かせとなって、県の方もなかなか検討が進んでいないというのが現状であります。これについてお答えいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新交通システムの桃花台線についてのお尋ねでございますが、これは、先生御案内のとおりでございまして、愛知県小牧市の小牧駅から桃花台東駅をつなぐ新交通システムということで、平成三年の三月二十五日に開業いたしました。

 当初は一日当たり一万二千人の利用者を見込んでおりましたけれども、実績が一日当たり三千人程度で推移をいたしまして、平成十八年十月一日に運行廃止に至ったところでございます。

 この桃花台線については、その支柱ですとか桁等のインフラ構造物の整備に対し、国の補助金として約八十九億円が充当されております。

 補助金の返還ですとか、インフラ構造物の解体費用の取り扱いをどうするかというお尋ねであったかと思いますが、これについては、そもそも、今ありますインフラ構造物をどのように今後活用していくかということを現在愛知県で検討中であるというふうに伺っておりまして、県の方針決定を待って、国土交通省として判断をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

丹羽分科員 今の局長のお話を聞きますと、私の質問にはきちんと答えていただいていないところが若干あると思うんですが、例えば、愛知県がこの百五十五号線の上を走っている通称ピーチライナーを、もし市と連携して撤去を決めた場合、建設時の国庫補助金として八十九億円を、これは返さなくてもいいという御見解でしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 社会経済情勢の変化に対応する等のために、補助事業の完了後十年を経過した財産を処分する場合は、直ちに補助金の返還が求められることにはならないということにしてございまして、そういう意味から、先ほど御答弁申し上げましたように、現在ある構造物をどう利活用するかという観点から検討していただいて、それを踏まえて私どもとしては適切に対応していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

丹羽分科員 ごめんなさい。ちょっと私が余り優秀じゃないのか、わからなかった部分があるんですけれども、県が撤去をすると言った場合、国の補助金返還は、十年過ぎた場合は直ちに返還を求めないという御意見ですよね。直ちに返還を求めないということは、急遽返還を求める可能性もあるというふうにもとれますが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 補助金の返還等については、国土交通省の各局から、平成二十年から二十一年にかけて、補助事業等に係る財産処分承認基準というのを通知させていただいておりまして、その際に、補助金返還を要しない条件として、道路本体の効用を毀損しないことといったようなことが示されております。

 したがって、こうした条件に合うような形で利活用の方針を検討していただくことが必要であるというふうに考えております。

丹羽分科員 ごめんなさい、もう一度。

 道路本体を毀損しないこと、ちょっとその点をお願いいたします。

加藤政府参考人 一言で申し上げますと、もともと、補助金を使って道路の機能をアップさせるためにつくったものですから、今回、その構造物に対して入れた国費をどう取り扱うかということについて言えば、今ある構造物の機能を、これは現在いろいろな提言をしていただいておりますが、例えば、インフラ部を小型車用の道路とすることで国道百五十五号バイパスの混雑緩和を図って、交通量が軽減される平面部にバスレーンを設置して、バスの速達性を確保するといったような提言もなされているというふうに伺っております。したがって、どういうふうに利用されるかによって考えるべきではないかというふうに私どもとしては考えております。

 先ほど申し上げましたのは、直ちに補助金の返還が求められることとはならないというふうにお答え申し上げましたが、それは、今残っている構造物をどういうふうに利活用するかということ、先ほども申し上げた承認基準でも、補助金の返還を要しない条件として、道路本体の効用を毀損しないことといったようなことが示されているものですから、それに則して、うまく基準に適合するような形がとれるかどうか、それは考え方の整理を含めて、よく検討していきたいということでございます。

丹羽分科員 わかったような、わからないような、わかりました。

 ただしかし、局長、先ほど道路局長にもお話ししましたが、この百五十五号線というのは緊急輸送道路としても指定されております。こういった点からして、都市局長のお考えというのはいかがですか。

加藤政府参考人 災害時に、緊急輸送道路というのでしょうか、そういう緊急車両を通すための道路整備というのは非常に必要だというふうに認識をしております。そういう意味から、今回の、百五十五号線の今あります新交通システムの部分をどういうふうに活用できるかという視点も、当然、重要な視点だと思っております。

 いずれにしても、やはり災害時に備えて、必要な緊急用車両を通すような道路整備というものは必要である、都市行政としても必要であるというふうに考えております。

丹羽分科員 もう一度ちょっと道路局長にお出ましいただきたいんですが、道路局長として、実際、もし東海・東南海という大きな災害が起きたときに、今、耐震基準を満たしているか疑問もあると思うんですが、そういったものが緊急輸送道路の上に建っているとしたら、どう思われますか。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 できるだけ早く、より安全な道路にしていただくということが大事だと思っておりますし、よく県とか地方公共団体と調整をしながら進めてまいりたいというふうに思います。

丹羽分科員 わかりました。

 本当に、この百五十五号線沿線に住んでいる方々は、新交通システムの残されたインフラ構造物について非常に危機感を持っております。今後、愛知県も多分いろいろ検討すると思いますが、そういった場合において、先ほどの加藤都市局長の話にございましたが、国庫補助金の面とか、いろいろな意味でぜひ柔軟に対応していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、地元の一級河川であります庄内川に頻発する豪雨災害に伴う治水対策に関してお尋ねをしたいと思います。

 近年、台風や前線に伴う集中豪雨、また局地的な、記録的な集中豪雨が全国各地で頻発しております。昨年は我が愛知県でも頻発し、特に九月二十日から二十一日にかけて愛知県に接近した台風十五号においては、名古屋市内、春日井市内を流れる庄内川が氾濫し、多くの住民が避難指示、避難勧告の対象となりました。名古屋市内だけでも百万人以上の規模の方々が避難指示、勧告の対象になったと言われております。

 ちなみに、その豪雨によって、JR中央線も約三時間から七時間にかけて運休した状況であります。

 実際に氾濫した部分ですけれども、庄内川の名古屋市守山区の下志段味の地区において越水し、浸水被害が発生いたしました。本地区の再度の災害防止はもちろん非常に重要なことであるんですけれども、名古屋市を強化しちゃうと、今度、反対側の側面が非常に不安定になるんじゃないかということも挙げられておりますが、この辺についてお尋ねしたいと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、昨年、台風十五号によりまして、名古屋市の庄内川の左岸側の堤防から河川の水が越水いたしまして、大きな災害が発生したところでございます。

 この災害が発生した箇所につきましては、応急対応ということで、翌日には大きな土のうを積む等の対応をさせていただき、現在この本格復旧を進めているところでございます。

 御指摘のように、左右岸のバランスをどう考えていくかということになるわけでございますが、特に庄内川につきましては、平成十二年、いわゆる二〇〇〇年の水害がございまして、この災害を受け、左右岸、上下流のバランスを考慮しながら、順次下流から基本的に進めてきたところでございまして、今回氾濫した場所はまさに上流側で、下流から順次やってきて施工途上といいますか、工事の最中にあふれたと言ってもいい場所だというふうに考えてございます。

 そういう意味で、大きく言いますと、高さについては大体、上下流、左右岸のバランスがおおむね図られてきているということでございますが、ただ、御指摘のように、堤防が細いとか、それから部分的に低い、そういったようなところもありますし、それからさらには、川底を掘らなければいけない場所もございます。先生御指摘のように、上流、中流、下流、そして左岸、右岸、こういったバランスを改めてしっかり図りながら、より庄内川の安全度を上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。

丹羽分科員 実は、この件ですけれども、局長御存じだと思いますが、春日井市側も予算をいただいて、三月から六月にかけて堤防強化を図っていただくことになっております。しかし、愛知県における梅雨の時期というのは、四月半ば過ぎぐらいから五月末ぐらいがピークなんです。この点で早急に、もっと早くやっていただきたいというのが住民の要望なんですけれども、その点、何かございますでしょうか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 河川の工事の場合、堤防をやりかえるといった場合も、出水期、梅雨期から台風期というのはなかなか、実際に洪水が起きてしまいますので、こういった時期を避けて行っていかなきゃいけないという厳しい制約条件がございますが、そういうことも踏まえ、できるだけ速やかに地域の堤防の安全度を上げていきたいというふうに考えているところでございます。

丹羽分科員 出水期というのは、時期的にいつまでだったらできるという答弁をちょっといただきたいと思います。

関政府参考人 申しわけございません、個々の川によって、これまでの実績がございますので違うところがございますが、庄内川につきましても出水期という概念がございますので、こういったものを踏まえてできるだけ早く、この期間というのはなかなか工事をすることが制約される場合が多うございます。こういったものを踏まえて、できるだけ早期に安全度が確保できるよう対応してまいりたいというふうに思います。

丹羽分科員 庄内川というのは、私が小さいときはそんなに余り氾濫するような川じゃなかったと思うんですけれども、どうも最近、ゲリラ豪雨というか集中豪雨が頻繁に、特に岐阜県側で起きて、岐阜県の山合いで起きたその水が流れてくるということがありまして、最近、非常に氾濫がしやすくなっているようにも思われています。

 そういった中、私も、ちょうど川が氾濫するかしないかというところを現場を見に行ってまいりまして、二日後、現場をまた見に行ったとき、雑木なんかが随分川底や堤防のところにも固まっておりまして、この雑木の除去を、これも予算をつけてやっていただいておりますが、また早急にやっていただかないと、雑木の上にまた上流から流されてきたごみが重なっていくという状況になりつつありますので、これは早急にやっていただきたいと思いますが、お願いいたします。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、河川での樹木の管理ということ、それからさらには、上流から流れてきたごみの処理というのは極めて重要な課題だというふうに認識してございます。

 庄内川におきましては、庄内川の河川そのものは民間の土地が結構広うございます。そういう意味では、民間の財産ということもございまして、土地を持っておられる方の同意をいただいた上で処理していかなきゃいけないという課題もございますが、いずれにしましても、御指摘のように、できるだけ速やかにこういった管理をきちっとしていく必要がございますので、民間の皆様にお願いをしながらも進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

丹羽分科員 局長がおっしゃるように、庄内川は結構民間の畑があったり、春日井市のグラウンドがあったりとかする状況なんですが、そのグラウンドの中に大きな巨木が、野球をする人たちが端の方に随分のけてくれて、グラウンドが使用できるようになりつつありますし、畑なんかはいまだに何の木かよくわからない木が結構残っていたりするので、これはぜひ早急にやっていただきたいと思っております。

 やはり抜本的な対策というのは、川底の引き下げというのがあるんじゃないかと思うんですが、その辺、局長の御意見をお伺いしたいと思います。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 庄内川につきましては、先ほど申し上げましたように、平成十二年、二〇〇〇年の大洪水を基本としまして堤防の高さの足らないところ等をやってまいりまして、その中であわせて、掘ることが必要なところも部分的に掘ってございますが、そういう意味では、再度下流から上流まで見る中で、御指摘のように川底を掘ることが有効なところについては、こういったものもあわせて進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

丹羽分科員 ぜひ川底の引き下げ、掘ること、うちのおじいちゃんなんかは、昔、庄内川で、バラスというかコンクリートの材料になるようなものが上流から流れてくるのを地域の住民みんなで集めて、それを売って町内会費にしていたとか、いろいろな話をよく聞いたんですけれども、最近はそういった業者の方がいなくなっちゃって、一部の言う人はよく、庄内川はそれで川底が上がっちゃって氾濫しやすくなったんだなんという見解もあるんです。ぜひ、この川底の引き下げをやっていただきたいと思っております。これは要望にとどめておきますので、よろしくお願いいたします。

 そしてもう一件、地元の県営名古屋空港の件についてお尋ねしたいと思います。

 県営名古屋空港に関しましては、福岡、熊本線でFDAという航空会社がある中で、昨年夏には、復興支援も含めて、いわて花巻それから青森の二路線が就航し、観光、ビジネスともに利用客を順調に伸ばしてきております。

 この空港周辺地区は、航空宇宙産業の生産拠点としても、国の総合特区に指定されておりまして、さらなる発展が期待されております。周辺自治体の期待値が高い地方空港として、また、地域経済の発展を支える航空ネットワークとしてのより一層の利用促進を図っていただきたいと思っております。

 そういった中で、新規路線の拡充に向けて御理解をいただきたいと思っておりますが、こちらは航空局長にお願いいたします。

長田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、小牧空港の定期航空路線の関係でございます。

 これは、そもそも中部国際空港が開港したときに、御地元の方で、中部国際空港に一元化という観点からこの国際空港の事業化が決定されたところでございます。県営名古屋空港につきましては、定期航空路線の中部国際空港への一元化に反しない範囲に限定して、現在、定期航空路線が運航されておるところでございます。

 今先生御指摘のような小牧空港の定期航空路線の拡充につきましては、これらの経緯を踏まえまして、御地元の方で主体的に議論を進めていただくのが重要だというふうに考えております。

丹羽分科員 ありがとうございます。

 今月中ごろには新潟便も就航となります。(発言する者あり)そうなんです、新潟便も行くんですよ。また、いわて花巻、青森便も一年延長していただきました。

 一年延長が、復興支援の観点から去年新しく就航したと思うんですが、復興が今の状況ですと相当おくれているというふうに私は感じるんです。そうなると、復興支援の観点からいくと、復興のめどが立つまで延長するという考えでよろしいんでしょうか。

長田政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の路線につきましては、青森県、岩手県から、震災復興の観点から強い要望がございまして、一方で、中部国際空港においては当該県に就航する航空路線がないということで、小牧空港に就航したところでございます。その際に、震災復興の状況あるいは中部国際空港からの就航可能性を見きわめるために、一年間限定ということで当初運航を開始し、さらに一年間の延長がなされたものでございます。

 先生御指摘のとおり、今回の震災復興の観点からの必要性を引き続き判断しながら、適切に対応してまいりたいと思っております。

丹羽分科員 では、ちょっと政務官にお尋ねします。

 政務官は、復興のめどというのはどれぐらいを、その規模として考えていらっしゃるのか。インフラ面でもそうですけれども、また地域経済活性化に対してもそうなんですけれども、どれぐらいをお考えか、何か御所存がございましたら。

室井大臣政務官 復興のめどというのは期間ですか。(丹羽分科員「ええ」と呼ぶ)

 私もよく三県の被災県に入っておりますけれども、復旧はかなり進んでおると思っておりますが、特に福島県を考えますと、まだまだ道半ばだなというような感がしております。

丹羽分科員 ごめんなさい。私も抽象的な質問になってしまって大変申しわけなかったんですけれども、復興対策だけじゃなくて、地方空港活性化に対して、政務官、今まで政府もいろいろな対策をとられていると思っておりますが、全てに何か決定的な、クリーンヒット的なものというのが私は余りないと感じているんですよ。

 そういった中で、今後活性化に向けて、政務官、何か具体的な対策というのはお考えでしょうか。

室井大臣政務官 丹羽先生の質問にお答えいたします。

 地方空港の活性化の具体的というか、その事例をということでありますけれども、一例を申し上げますと、地方空港における路線維持、拡大のための地域の取り組みとしては、例えば石川県の能登空港におきましては、地元空港会社がいわゆる搭乗率保証制度というものを実施しておりまして、設置した目標搭乗率を下回った場合、例えば六五%とか、下回った場合は、地元が航空会社に保証金を支払う。そして、上回った場合には航空会社が地元に協力金を支払うという取り組みを実施しております。

 また、長野県のまつもと空港は、平成二十二年の日本航空撤退後、フジドリームエアラインズ、FDAと申しますけれども、就航を目指し、地元が保証金を支給する等の支援策を実施した結果、現在、同空港には日本航空の路線を引き継ぐ形でFDAが二路線に就航しておる、そういう成功例といいますか、それもございます。

丹羽分科員 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますが、先ほどの県営空港、新潟便も飛んで長島先生とも近くなりましたので、個人的な見解で飛ばし続けてくれというわけじゃないんですけれども、やはり地域によっていろいろな需要が、うちの愛知県においては航空宇宙産業という非常に重要な需要が、今後、地域の発展につながると思っております。ぜひ、国土交通省、特に航空局の御理解をいただけたら大変ありがたいと思います。

 以上、質問を終わらせていただきます。

村越主査 これにて丹羽秀樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)分科員 自由民主党の長島でございます。

 きょうは、分科会で質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。大臣には、一日お疲れさまでございます。

 私は、去年、新燃の噴火に始まって、三月十一日の東日本大震災、そして台風十二号、十五号、そして我が県を襲った七月の新潟・福島豪雨、この災害復旧の方向性について少し皆さんにお聞かせをいただきたいなと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 こんなにいっぱい答弁者に来てもらって、大変ありがとうございます。それぞれお答えをいただきたいと思いますが、質問が行かなかったらお許しをいただきたいな、そんなふうに思います。

 私は、地元で、例にとるのが一番たやすいので、新潟・福島豪雨を例にとって、災害復旧のあり方について少し大臣に基本的考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。

 私どもが地震で被害を受けた平成十六年、国交省の事務次官が、道路はという問いに私にこう答えてくれたことがありました。道路は命をつなぐものだと言われました。私はその事務次官に、道路は希望だというふうに答えたことが実はあります。ですから、道路の災害復旧なくして地域の災害復旧は語り得ないものだと私は思うんですが、新潟・福島豪雨で福島と新潟を結ぶ国道二百五十二号線が大変な被害を受けて、今なお通行どめの区間が実はございます。

 これは、通常二県間をまたぐ道路と同時に、今、東日本大震災で被災を受けた福島の避難をしていられる方が新潟県にもかなりいらしておりまして、その人たちが会津を通って福島に帰る重要な路線でも実はございます。このことをスピード感を持ってやり遂げていただくためには、私は、三桁国道が県管理なのは承知の上で、スピード感を増して二県間の調整をするためにも、国が引き取って直轄事業としてやることもこういった事例では大切なのではないかなと思っているところでありますけれども、大臣からその辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

前田国務大臣 道路が希望であり、命をつなぐ道であるということ、これは去年の大震災の結果を踏まえて、多くの方々がそれを実感したと思うんですね。

 私もかつて、長島議員御地元の「掘るまいか」、地元の方々がみずからトンネルを掘られたというお話を聞いて感激したことがあるんですね。まさしく命の道であったでしょうし、希望の道であったと思うんですね。しかし、そういうことが国民一般に認識されたという意味では、あの大震災という悲劇があったわけですが、その後、そういう国民の理解というものも大いに進んだと思います。

 そこで、今御指摘の二百五十二号なんですが、これはたしか県管理の道路で、国道ではございますけれども、この二本木橋については国施工による早期復旧の要望を受けておりまして、これは受託でやる方向でやらせていただいております。

 ちなみに、その後、十二号台風というのがありました。私の地元だったんですが、これも知事管理の道路の橋が飛んだんですね。それも直轄で直ちに修復するようにしていただいたという経緯があって、まさしく命をつなぐ道でございますから、できるだけ国交省としてやれることはやります。

長島(忠)分科員 私は、東日本大震災発災以来、TEC―FORCEという制度ができていたこともあって、国土交通省の皆さんが現場にいち早く駆けつけて被災地の対応に当たったことについては大きな評価をしている一人です。この事例だけではなくて、二県間をまたぐ国道等について、スピード感を持つ対応が必要なときには、やはり勇気を持って、調整を含めて直轄事業を積極的に取り入れていくことも私は大切なことだと思います。

 橋については直轄採択をしていただけるようなんですが、私は、あの道を通って福島に、ふるさとに帰る人たちが、開通をしたらどれだけ近くなって希望がつながるかと思ったときには、やはりそのことを国からお受けとめいただきたいと思います。

 同時に、あの沿線を走っているJRも、今、実は大白川から会津川口まで不通になっております。これはJRということながら、今、東北地方でもJR等の災害復旧についてはなかなかめどが立たないところがありますが、国としてやはり積極的に関与をして住民の希望をつなぐことをやっていただきたいなと思うんですが、その辺の考え方があったら少しお聞かせをいただけますか、JRについて。

久保政府参考人 今先生御指摘のとおり、只見線の会津川口―大白川間で運休しております。これは、土砂崩壊があるんですけれども、大きなのはやはり橋梁の流失でありまして、この橋梁の流失によって運休区間が生じている、御指摘のとおりでございます。

 JRで現在、只見川は河川管理者は福島県さんなんですけれども、福島県さんが行っている只見川の改修計画の検討結果や、斜面崩壊については土地を持っておられる土地所有者さんとの安全対策の協議などを踏まえた上で対処方針を検討したいとしていますが、私ども国土交通省としても、東日本会社と関係者の調整がちゃんと円滑に進むよう、きちんと指導してまいりたいというふうに考えております。

長島(忠)分科員 先ほども議論になったようですけれども、ぜひ国土交通省は、パワーのある役所として、目標設定をできるだけ早く。何年までに災害復旧をするという目標が地域にどれだけ希望を与えるかということは、私は被災をしてよくわかりますから。

 前にも話しましたけれども、誰もが五年かかると言った国道二百九十一号線、国直轄で、延長十・五キロ、新しい橋が二本、新しいトンネルが一本、誰が考えても五年かかると言われたのを一年十カ月と十一日でやり上げた国土交通省ですから、あのときのパワーを今回も見せてほしいなと。あのとき、住民は言葉が出ませんでしたよ。全て開通のときに、涙を流してふるさとに帰れる喜びを味わったわけですから、ぜひ、そういうところをつかさどる省庁として、やはり覚悟を持ってほしいな、そんなふうに思います。

 一方、私ども、津波でもかなりインフラがやられたように、河川という考え方を少し変えなければいけないのではないかというぐらいの豪雨でした。昔だったら、流れが変わって砂利がこっちについたから、こっちへ行って肥沃な大地が生まれて農地が広がった、そんな感じでいたんでしょうけれども、今は、残念ながら堤防で仕切られているため、川の中で流れが変わるんですよ。瀬ができてしまって、今まで水が回っていた方に回らなくなってしまう。

 つまり、川は、水を流すだけではなくて、農業用水にとっても非常に大切なとり口になっているんですね。瀬がついて変わったために農業用水をとれないようなところが実は頻繁にあるんです。ことしの春の作付、多分、新潟、福島だけではなく台風十二号の被災地も、かなりそのことで悩んでいらっしゃるところがあるんだと思うんです。

 一つ例を挙げると、うちの方に、川口に牛ケ島というところがあるんですが、取水口に砂利がついてしまったために水がとれなくなって、百町歩、春から水をどうやって回そうかと今悩んでいるんです。

 そういったところを河川としてどう対応していくのかというのは、やはり明確に方向を出してほしいなと思うんですが、少しお聞かせをいただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、洪水、水があふれるということだけでなく、川の中の形態も大きく変化してしまうという状況がございます。特に課題となりますのは、御指摘のように、農業用水の取水に関する施設の前に砂がついてしまうというようなことがございます。

 こういったような場合、一般論でございますけれども、河川管理の観点、それから農業の取水の皆さんと相談をしまして、どういう役割分担で、しかも時期的に次の田植えに間に合うようにというようなことで対応していかなきゃいけないと思っておりまして、そういった意味で、現地の状況に個々に対応できるように、現地とも相談をしてまいりたいというふうに思います。

長島(忠)分科員 せっかく森本政務官がおいでになっていますから、農地のそういったことについては国土交通省さんと連携をとりながら、間に合うように、ぜひ農水省からも働きかけてほしいと思うんですが、いかがでございましょうか。

森本大臣政務官 御苦労さまでございます。

 長島委員は、本当に御苦労されただけあって、きょうの質疑でも本当に興味深く聞かせていただいております。私も、そのところ、同じような意見を持っておりまして、ここのところ、今の河川の荒れよう、これは森に尽きると思うんですが、この対策についてはしっかりやっていかないと大変なことになるという認識を持っておりますので、連携を十分図りながら頑張ってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

長島(忠)分科員 そこで、大臣に現場の状況を少し聞いていただいて、お考えを聞きたいと思うんです。

 実は、昔は砂利を取ることを認めていただいていたものですから、そして仕事も結構豊富にあったものですから、川砂利を取る業者さんが結構いたりして、貴重な資源として活用したんですが、今、工事量も減ったということで、川砂利を取ることにそれほど魅力を感じなくなってしまっているんですね。例えば、瀬についた砂利を取れといっても、業者さんがなかなか参加をしてくれないような状況に実はなってしまっているんです。

 そうすると、自治体とすると、やはりそこは、置くところと置くための費用をきちんと確保してあげないとなかなか瀬を解消することができないんですが、そこは国土交通省さんとして、災害復旧のあり方として、その辺の予算を少し考えていただくことはできますでしょうか、どうでしょうか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 河川で、ある種の埋塞といいますか、一カ所に非常に土砂がたまった場合、ある基準以上についてはこれまでも災害復旧ということで対応してやっているところでございます。こういったものを踏まえ、さらには維持管理という観点もあわせて、それぞれの場所に応じた形で対応を工夫してまいりたいというふうに考えております。

長島(忠)分科員 ぜひ地元がそのことに対応できるような予算の配分、誤解なのかもわからないけれども、取ってもいいけれどもそれは自己責任で取ってほしいような情報が一時出ておりましたので、それだと、今、業者はなかなか参入してくれません。ですから、そこのところだけは誤解のないように伝えてほしいなと思います。

 きょう、欲張ると時間がないので……。

 ことしの冬は全国的に豪雪でございました。大臣もあちこち御心配をいただいたようであります。

 特徴的なのは、私のところみたいにふだん雪の降るところは例年に比べてそんなに多くないんです。ふだん雪の降らないところが、特に海岸部とか平野部が多く降ったために、雪の対策がやはり非常に大変だった。かといって、うちが降らないというわけじゃないんですよ、ことしもちゃんと四メートル二センチ降りましたから。でも、平野部でふだん二十センチとか三十センチというところが、八十センチとか一メートル降ったために除雪が追いついていかない。そして、車もそれなりの準備をしていないので、交通渋滞が生じてしまう。

 こういうことを考えると、私は、雪に対する知識を行政も国民にもう一回伝え直す必要があるんじゃないかなと実は思っているんです。そうしないと、いつまでたっても事故はなくならないし、屋根の雪おろしの下に入ってしまったとかいうことはなくならないので、この際、一回、雪はこういうものだということを特に平野部の人たちに伝えることを国土交通省さんなりがやったらどうかと思うんですが、いかがでございましょうか。

前田国務大臣 長島議員の今の御指摘というのは、私も、これはまさしく御指摘のようなことをやらなければいけないなという感じをいたしました。

 例えば東京だって、この間かなり降って、やはり事故があちこちで出ているようですね。長島議員のように雪にずっと長年つき合ってこられたところから見ると、全然わかっていないねというような、雪に対する基礎的な認識というようなものがないところもあるんじゃないかと思います。

 国土の防災という面からいうと、ふだんから国民、住民の防災意識ということを高めていかなければならないわけですから、豪雪ということもちゃんと経験、体験としてつないでいく、そして国民が共有するというふうなことも考えていきたい、こう思います。

長島(忠)分科員 その上で、私さっき、地元では四メートル二センチ降ったと言いました。私のところより雪深いところもあるでしょう。でも、雪の降るところは、それなりに蓄えもしながら覚悟をして住んでいるつもりです。

 今我々が一番頼りにしているのは、道路がとまらないということなんです。だから、除雪をきちんとやっていただけるということなんです。それも、道路をあけるだけではなくて、雪崩等の危険のないようにあけていただけるということが、我々が自立をしながら自助の精神の中で雪国で暮らしていけるということなんだと思うんです。

 その上で、除雪費も、特別交付税については前倒しをして配分をしていただいたり、また、これからもかかった経費について御配慮いただくところでありますけれども、ぜひ、雪については、暮らす者がきちんとお医者さんや買い物に行けるように配慮をするという力強いメッセージを私を通じて我が地元や雪国の人たちに伝えていただけるとありがたいなというふうに思うんですが。

前田国務大臣 結論的に申し上げれば、委員が御指摘のように、除雪というものについては、予算的にはしっかり対応できるようにいたします。

 府県レベルにおいては、たしか百二億円を、先般、とめ置いていた社会資本整備総合交付金を除雪費ということで出しましたし、それから、市町村道レベルについては、国土交通省の道路会計で持っているお金を全てかき集めて出すことにしております。今、その調査も相当進んでいるかと思いますので、先にどんどんやっていただければいいと思います。さらに足らないところは、予備費ということもあります。

 加えて、御承知のように、余り雪になれていなかったところについては、リエゾン等を送り込んだり、ところによってはTEC―FORCE、そしてまた機材の供与というようなこともやります。とにかく、できるだけの対応をしてまいります。

長島(忠)分科員 大臣、道路について機材の供与をいろいろしていただいて、それぞれ新潟県でも活用させていただきまして、大変ありがたかったと思うんです。

 直接大臣が集落のことについてお触れになるのはどうかと思うんですが、実は、中山間地の豪雪地帯においては、雪おろしの担い手が、自分でできなくなってしまって、頼もうにも、頼む人もいなくなってしまっている。屋根からおろすだけではなくて、周りの雪を片づけるのにもなかなか手間がかかってしまう、費用もかかるということで、大変お難儀をしているんです。

 費用で補助をするということではなくて、集落の中には多分、土木とかいろいろ経験された方もいるでしょうから、例えばブルなり大型の除雪機械が少しあったら、自分たちで協力をしながら、道路でないところの生活に関連する除排雪はやれるよというようなところも多分あるんだと思うんです。それが、これからしばらくの間、自立をして生きていく地域を手助けすることにもなると思うんですが、そんなことについて、大臣としてどう向き合っていただけるか、お考えがあったらお聞かせをいただきたい。

前田国務大臣 一つは、具体的には、地域維持型契約方式だとか、こういうのを活用して、地域の建設業者をずっと確保できるような措置というのも進めていきたいと思います。

 さらに言えば、除雪の問題のみならず、洪水、災害のときに一番頼りになるのは、やはり水防活動であったり、復旧あるいは応急対策の場合でも、地域の信頼できる、もともと地域をよく知っている建設業者さんですから、この建設業者さんが持続可能なような策を国交省としても打ってまいります。

長島(忠)分科員 今大臣からお触れをいただいたので、それは、我が党も確かに公共事業を必要以上に圧縮してしまったということがあると思うんです。ですから、道路除雪等は今何とか維持できています。ただ、オペレーター等が高齢化をしているので、この先十年、二十年というと、その後継者をどう確保していくかということが非常にやはり大きな問題になってくると思います。

 民間の住宅等の雪おろし、あるいは民間の住宅の敷地内の排雪等について、業者さんを頼もうにも、雪の降っている間は業者さんも手いっぱいで来てくれないという現状がやはりあるんですよ。というのは、もう地元に業者さんが最小限度になってしまったために、だから、除雪、雪だけではなくて、災害のときには、やはりそういう地域を知っている人たちが一番先に駆けつけてくれるはずなのに、その人たちの数が少なくなってしまっている。

 私は、我が党が公共事業を必要以上に圧縮したことも踏まえて、やはり適正な公共事業の配分というのは民間投資を促進するし、国民が安心して暮らすために私は必要だと思っているんです。あえてきょう攻撃するつもりはないんですよ。コンクリートから人へじゃなくて、コンクリートも人もという政策にやはり転換すべきだ、私はそう思っているんですが、大臣、ひとつ。

前田国務大臣 今言われたことなんですが、きょうの質疑の中でもありました。いよいよ、つくるよりも維持管理、更新の時代じゃないか、もう目の先に来ているじゃないかと。そのとおりでございます。しかも、公共、社会基盤の維持更新ということになると、その地域に合った、そしてその地域の構造というものが、例えばどんな公共施設であれ、つくったころの、今から四十年前だとか五十年前の社会構造、経済構造、人口構造、全て変わっているわけですね。

 だから、やはり地域の中で、身丈に合って、その先を想定したような維持更新の計画もつくらにゃいかぬし、そしてそういった長寿命化の仕事もやっていかにゃいかぬ。これは全て地域の人材になると思うんですよ、スーパーゼネコンが出てきてそれをやるわけじゃありませんから。だから、そういう意味では、地域の人材、そして地域の建設業あるいは専門家を含めて、いわばそれこそコンクリートから人へなんですよ、維持管理、更新の時代になると。

 そういう意味で、国交省の中にもプロジェクトチームをつくって、維持更新の時代のあり方といったようなことを今、研究、勉強し始めているところであります。そこには、さらに言えば、民間といわば連携してやるPPP的な手法というものも導入されるのではないか、このように思います。

長島(忠)分科員 私は、やはり国土交通省さんが、その議論はするつもりはないんですよ、コンクリートから人へという。私は、人がやはり宝だと思っている一人でありますから。ただし、我々が未来に対する投資をするとしたら、やはり、日本全国どこに住んでいても、命と家族だけは守れる環境を与えてあげるのが我々の仕事だと思うんです。だから、維持更新もあるでしょう、新たに必要な道路もあるかもわからない。そのことをあえて否定するような政策ではなくて、やはり地元の業者が参加できて、そして何かあったときにはその業者の皆さんが駆けつけることができるという体制も私は必要なんだと思うんです。

 ですから、一方的な目線ではなくて、やはり民間投資を促すという目線からもある程度の公共事業は必要なんだ、私はそう思っている一人です。

 それともう一点、私は、今回の災害を受けて、被災地を回らせていただいて、今、いろいろ議論がされていますよ。国の出先がどうだとか、国の出先は廃止をして縮小するんだとか県の下に入れるんだとか言うけれども、大規模災害があったときには、少なくとも重要な国の出先についてはきちんとやはり国が守っていくべきだ、そしてその上で、そこがきちんと、今までよりももっと情報を把握できて、みんなに発信できるようにしていけばいいんだ、私はそう思っているんです。そうしないと、今回みたいに情報も錯綜する、そして二県、三県にまたがった広域災害のときに、なかなかそのことを総合的にコーディネートするところが現場近くにないということは不安になる、私はそう思う一人なんです。考えがあったらお聞かせください。

前田国務大臣 考えとしては全く同じでございまして、これはもう東北震災のときに、東北地方整備局を中心に国交省が、現場力、そして統合力ですね、さらには即応力を発揮したということを随分と国会でも議論の中で評価をしていただいた。まことにありがたいことでございます。

 しかも、あの統合力、即応力というのは、東北地方整備局だけではなしに、オール・ジャパンで集まってやっているわけですね。この機能というものは強めこそすれ弱めるようなことがあってはならないということを、地方分権改革の中でも申し上げているところであります。

長島(忠)分科員 私は、今の大臣のお答えを力強く承りたいと思います。

 私が自分の災害のときに一番思ったことは、市町村長に対して国が明確なメッセージを出してくれたのは、私にとってはとてもありがたかったことです。それは、災害復旧復興、今は復興庁ができて、復興庁が向き合う。でも、最終的に向き合い続けなきゃいけないのは市町村だと思うんです。やはりそこのところを国がきちんと思いを込めてサポートしてあげないと、東北各地方の市町村長は体力的にも参ってしまうのではないかなという気がします。

 きょうは復興特別委員会じゃないので聞くつもりはなかったんですが、大臣に。

 高台移転というのがあるでしょう。あれは何年ぐらいかかると思っていますか。

 私、現場に行ったら、少し問題が出てきているんですよ。というのは、超法規的措置をとらないと、不在地主がいる可能性がいっぱいあるんですね、山だから。それともう一つ、余り言うと問題になってから取り消すのはあれなんですが、多分、文化財があるんですよ。これを超法規的措置をとらないと、やはりかなり深刻な事態が出てくるんじゃないかなと思うんです。

 国交省があれを請け負ったら、何年でやり上げられると思いますか。

前田国務大臣 一つは高台移転の話なんですが、あれだけの災害で、そして津波の恐ろしさというものを感じての話ですから、地元の方々も、もう懲り懲りだ、何とか津波に安全なところということで高台を選ばれたケースが多いんだろうと思うんですね。

 しかし、しばらく時間がたって現実的にいろいろ考えてみると、ある意味、もちろん災害に対してハードで対応すると同時に、やはり避難というようなことについて、ハード、ソフトの組み合わせということを考えると、まずはコミュニティーがちゃんと継続して町ができるようにということになると、余り現実味のないようなまちづくりというのは、おっしゃるようにちょっと無理かなと思います。

 しかし、国交省としては、与えられたことについてはしっかりとやらせていただくつもりでございます。

長島(忠)分科員 済みません、時間が来ました。

 最後に一つお願いがあります。

 災害復旧の方法については、国交省さんから力強い方向性を聞いたと思います。私は、今、国がなかなか被災者に遠く、特に東日本大震災の被災者について明確な目標を示せていない時期ですから、国交省さんは、少なくともインフラについて明確な目標を一日も早く示していただきたいなと。御奮闘を期待しておりますし、これからもまた議論をさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

村越主査 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英行君。

高橋(英)分科員 民主党愛媛四区の高橋英行でございます。

 まずは、質問の機会を与えていただきまして、関係各位に御礼を申し上げたいと思います。また、大変お疲れだと思いますが、大臣、もうしばらくおつき合いをよろしくお願いしたいと思います。

 本日の分科会におきましては、地元愛媛の案件で大変恐縮でありますけれども、国交関連の三つの案件について質問をさせていただきたいと思います。お時間もありませんので早速質問に移るわけでございますけれども、愛媛県民におきましても非常に関心が高くて、非常に重要な案件でもあるわけでございます。

 一つ目は、我がふるさとの八幡浜の地域高規格道路の建設促進について、二点目は、本四架橋に絡む新たな出資金について、三つ目は、愛媛県大洲市にある、現在凍結中の山鳥坂ダムについてであります。

 我が愛するふるさとの八幡浜市は、人口三万九千人という港町であります。温暖な気候と地形環境を生かしたかんきつ栽培が盛んであり、温州ミカンは質、量ともに全国トップになっております。また、漁業も盛んであり、魚市場は四国有数の規模を誇る魚市場になっています。

 しかしながら、中心市街地の衰退や若者の人口流出等により地域経済の疲弊に歯どめがかからない現状でありまして、その要因といたしまして考えられるのは、一次産業が基幹産業にもかかわらず、新鮮な農林水産物を運ぶための高速道路だけにとどまらず、自動車専用道路さえない、そういった地域になってしまいました。これは、愛媛県下に十一市あるわけでありますけれども、道路がないのは八幡浜市だけというような現状になった事実であります。

 そこで、今回は、八幡浜市の地域経済の経済復興の鍵を握る国道百九十七号線地域高規格道路、大洲・八幡浜自動車道十六キロ、これは十五年前の平成九年から事業化になっている道路でありますけれども、それについて質問させていただきたいと思います。

 なお、一月の二十二日には、八幡浜市内で「つなげよう命の道 大洲・八幡浜自動車道の早期完成を目指して」といったテーマでシンポジウムが開催されまして、私も、責任ある地元の国会議員といたしまして、その必要性、重要性について訴えもさせていただいたところでございます。

 この大洲・八幡浜自動車道は、今後三十年間に約六割の確率で発生すると予想されている東南海・南海地震にて地震、津波が発生した場合、避難、補給支援のための道路として最も重要な役割を持つ道路となっております。

 また、本日お配りをしております資料一の地図にもありますとおり、四国電力の四割をカバーする伊方原子力発電所が、この八幡浜市から十キロ圏内にある。東日本大震災における福島第一原発の事故の経験を踏まえると、伊方原発における緊急の事態が発生した場合、この道路なくしては市民の安全な避難道路を確保することができないというようなものとなっております。

 もとより、この道路は大分県の臼杵港、別府港と愛媛県の八幡浜港とのフェリーを通じて九州と四国を結ぶ大動脈であり、四国8の字ネットワークにつながっていく、地域経済におきましても非常に重要な道路でありまして、さらに八幡浜、大洲の医療圏、医療の圏域を結ぶ命の道とも言われるところでもあるわけであります。

 しかしながら、まだ事業化されていない区間、大洲市の北只から八幡浜市の郷という地域になるわけでありますが、この八キロメートルが残されている状況でもありまして、大規模な災害に対応した安全で安心できる地域づくりのための防災、減災の道路整備が、この地域においては緊急の課題になっているところであります。

 残るこの区間につきましては、平成十六年三月に調査区間に指定はされましたけれども、現在は、当面現道を利用する区間となっておりますので、東日本大震災の後、命の道として早期に事業着手となる整備区間への昇格を強く望む要求をしたいところでございます。

 なお、愛媛県におきましては、今年度、県の単独で調査費七百五十万円ほどが計上されており、来年につきましては本格的に調査費を国の補助事業として、さらに次の年、再来年度、本格的な事業として申請をされており、既に事業化となっている名坂道路、八幡浜道路とあるわけでありますけれども、この早期完成と合わせて最重点の要望という形でしているところでございます。

 そこで、最初の質問になるわけでありますけれども、この大洲・八幡浜自動車道は、十五年かけてまだ二・三キロメートルしか進んでいない。そういった取り残された状況になぜなっているのか、時間がかかっているのかを踏まえて、重要性の認識、そして完成時期を含めた来年度以降の事業の方向性についてお伺いしておきたいと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 この大洲・八幡浜自動車道は、今先生からお話がありましたように、いろいろな面で大変重要な道路だと思っております。四国の縦貫・横断自動車道、8の字とつながって八幡浜港あるいは三崎港と連絡いたしますし、伊方原発からの避難路というお話もございましたが、そういった防災の面、加えて医療あるいは農業、こういったものを支える大変重要な地域高規格道路という認識をいたしております。

 お話ございましたように、全体は二十キロほどありますけれども、愛媛県におきまして、名坂道路、八幡浜道路の二区間六キロメートルの事業を進めております。このうち、名坂道路の約二キロについては、平成二十四年度、来年度に供用を予定しております。また、八幡浜道路の約四キロメートルでございますが、これにつきましては、平成二十三年度、今年度にトンネル工事に着手いたしますとともに、用地買収あるいは改良・橋梁工事を促進するというふうに聞いております。

高橋(英)分科員 もう少し具体的に教えていただきたいんです。

 我々が話を聞いている中では、八幡浜道路は平成三十年代前半だと。今平成二十四年ですから、もう六年、七年先の話、わずか数キロメートルが。さらに、原子力発電所があるという地域にもかかわらず、その先の道路については全くまだ予定がないというような状況で、本当に八幡浜に住む地域の方が御心配されているという部分があります。

 そのことを踏まえて、これ以上聞いても局長の方から突っ込んだ話はできないんでしょうが、もしあれば突っ込んだ発言をいただきたいと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 昨年の東日本大震災を受けまして、愛媛県の知事さんからも、直接、防災の面からこの道路の重要性を改めて強く認識されているということで要望も受けております。

 先ほど先生からお話がありましたけれども、根元の方の八キロメートルですか、今調査中であります。ここについてもぜひ整備を進めていきたいんだということで、今、来年度、補助調査ということで御要請をいただいているところでございます。

 この区間の重要性、もともと比較的現道がよかったものですからおくれてきたという経緯はありますけれども、地元の自治体の皆さん方の意見、要望も踏まえながら、必要な調査についての支援を行うなど適切に対応していきたいというふうに思っております。

高橋(英)分科員 催促したみたいで大変恐縮でありますが、我々前向きに捉えさせていただきたいと思います。ぜひ事業化に向けて、大臣、よろしくお願いしたい。局長もそういうふうに言われたところでありますから。

 東日本大震災の後、命の道でありますので、この名坂道路、八幡浜道路の早期完成とあわせて、残りの区間の新規事業化をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、今度は四国特有の問題でもございます、本州と四国を結ぶ本四架橋の料金問題について、関係十府県市の出資金について質問をさせていただきたいと思います。

 本州四国高速道路の出資金については、平成九年度の国と関係自治体との合意に基づきまして、平成二十四年度までの計画で出資されており、非常に厳しい愛媛県の財政事情の中でも、歯を食いしばって、資料二の表にもありましたとおり、愛媛県はほかの府県市と比較しても非常に高額な出資金をしているところでございます。本年度につきましても、年間土木予算の一割を超える、実に約五十三億円を捻出し、地方の責任は十二分に果たしていると私自身も思うところでございます。

 このような中で、先月の二月の十七日に、本四高速の料金等に関する調整会議が開催をされ、国から、今後の基本方針といたしまして、平成二十六年度から全国共通料金の導入を目指す、平成二十四、二十五年度に限り出資を継続するなどの提案がなされたところであります。

 今回の国の提案のとおり、再来年度からしまなみ海道に全国共通料金が導入されれば、愛媛県の念願である料金引き下げの達成に大きく前進するということでございまして、しまなみ沿線の島嶼部を初めとした地域振興はもとより、今まで以上に物流や観光が活性化し、愛媛経済の活性化に大きく寄与するものと考えておるところでございます。

 しかしながら、愛媛県のこの厳しい、どこの県もそうかもしれませんが、特に厳しい愛媛県の財政状況を踏まえると、二年間限定とはいえ、新たな出資がこれまでと同程度の額になるのであれば、これは県にとっても大きな負担となり、現在、重点的に取り組んでいる、私の地元である南予地域の津波対策や、さらには伊方原発避難等、今後の防災、減災対策に係る県単独事業もできなくなるおそれがあるというふうにも考えられます。よって、この出資金についてできるだけの減額が愛媛県にとっても極めて重要な状況となっております。

 御承知かもしれませんが、一昨日の報道によりますと、関係十府県市の事務局案といたしまして、普通車以下の土日祝日料金の先行引き下げを条件といたしました、出資金総額を二三%とか二五%とか減額する案が検討されているところであります。

 そこで質問でありますけれども、この地方案を踏まえまして、関係十府県市の出資額をどの程度削減することを検討しているのか、その際、その十府県市の負担割合は、平成二十三年度の単年の割合とかというわけではなくて、これまでの総出資金額の比率にしていただけるのかどうか、その削減幅と負担割合、この二点について前田大臣の方からお聞かせいただきたいというふうに思います。

前田国務大臣 お答えいたします。

 もう少し詳しいことについては道路局長から答えさせますが、とにかく、この関係自治体がこうやってお互いに非常に厳しい状況の中で協議を重ねて合意を見てくれたんですね。これが一番大きいわけです。この前提になっているのは、御承知のように、有識者委員会の中間取りまとめで、十二月七日だったですか、ありました。それに基づいて、本四の交通料金も高過ぎる、これを一般の有料道路並みに引き下げようという、その方針に乗ってここまで来ているわけですから、そういう意味では非常に大きな前進でありました。

 そしてまた、高橋委員が御心配の件なんですが、これも愛媛県中村知事さんからも直接お聞きをしておりますし、そこは今関連の方々の中で協議をやっていただいておりますが、必ず知恵ある答えを出していただけるものと期待をしております。

高橋(英)分科員 もし何か具体的な追加がありましたら、局長の方からお願いします。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお話にありましたように、この二年間、できるだけその出資の、出資の協力金はいろいろな性格を持っておりますけれども、減額をしてほしいという御要請をいただいております。それと、先行的に、この二年間、休日、日曜日等の割引もやろうとしています。その辺もあわせて、今、本当に詰めの調整をしているところでございます。

 その中で、お話がありました出資団体の間の出資の比率の考え方、これについても基本的にはこれまでの経緯の中で出資団体の間で調整をしていただいておるものでございますけれども、そこの調整も今あわせてやっているところでございます。

高橋(英)分科員 スケジュール観をちょっと確認させてください。それはどれぐらいの時期にはっきりわかるものでしょうか。

菊川政府参考人 実は、利便増進で今やっている割引が三月末で一応切れます。したがいまして、いろいろこれからの準備等を考えれば、できるだけ早くということで、もう三月になりましたけれども、速やかに着手をしたいというふうに思っております。

高橋(英)分科員 わかりました。ぜひ早急にお願いしたいと思います。全国共通料金が導入されるということは、愛媛県は今まで以上に物流や観光が活性化されますので、大きな経済波及効果が得られる、そういった期待をいたしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それで、三つ目の質問でございますけれども、本日現在、事業凍結中の国の直轄ダムであり、愛媛県大洲市肱川の洪水調整を目的といたしました、総事業費八百五十億円の山鳥坂ダムについてお伺いをいたします。

 まず、現時点での山鳥坂ダムの置かれている状況と、山鳥坂ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場が、これは平成二十二年、おととしです、十一月二十六日に第一回幹事会が開催されましたが、現在の検証の進捗状況及び今後の見通しについて御確認したいと思います。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の山鳥坂につきましては、全国八十三のダムを対象といたしまして現在検証を進めているところでございますが、この中の一つとして検証を進めてございます。

 検証に入る段階といたしまして、山鳥坂につきましては調査という段階でございまして、その調査の段階で検証の結果に基づきどうするかということを判断していく、そういった状況にございます。

 山鳥坂に関する検証の検討状況でございますが、御指摘のように、関係地方公共団体からなる検討の場を、これは幹事会になりますが、これまで二回開催してございまして、検証対象ダムの事業の点検、これは事業費がどのぐらいかかるんだろうか、あるいは工期がどのぐらいかかるんだろう、こういったことの点検とともに、治水、利水、環境、流水の正常な機能、あるいは総合評価と行くわけでございますが、その中での治水対策の方策の適用について検討をし、議論をしていただいているところでございます。

 特に山鳥坂を計画しております肱川水系は、非常に治水上も難しい課題がございます。部分的に低い堤防や二線堤がある、あるいは下流部の方は緩流である、こういったことも含め、上下流のバランス等を配慮しながら治水上の検討を今進めてもらっているところでございます。

 現在、次回に向けてということで、四国地方整備局において検討を進めているところでございますが、できるだけ早期に結論が出るよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(英)分科員 答弁ありがとうございます。

 この事業が凍結されて二年半が経過をいたしているところでありますけれども、再検証の場がまだ二回しかやっていない、この先はまだまだ不透明というふうに感じているところでございます。とにかく水没予定地域の方たち、そしてまた大洲市民の方たちのためにも早急に結論を出していただくことを望みたいというふうに思います。

 特に水没予定地域の岩谷地区の住民の方たちは、実に三十年間にわたりこの事業に翻弄されてきました。

 当初、ダム建設は、先祖伝来の田畑を奪われ、家や宅地を失って平穏な生活が覆されて、近隣社会が崩壊する現実を想像すると、本当に容易に容認できるものではありませんでした。しかしながら、下流において古来より繰り返されてきた肱川洪水の莫大な被害と、天地の恵みが元来社会全体の共有財産であることに鑑みまして、有効な水利用の必要性を理解して苦渋の決断をもってダム建設を容認されたところでございます。

 そして、ダム事業は、一時推進の鈍化や基本計画の変更によって二十有余年の歳月をいたずらに費やしましたけれども、平成十八年にようやく基本協定を締結し、続きまして平成二十一年の九月に損失補償基準を了解し、いよいよ補償が開始されるという段階になりました。

 その間、高齢となってしまった岩谷地区の住民の生活再建は一朝一夕にして成るものではなくて、宅地の選定や敷地の造成、住宅の購入、宅地の予約、墓地の購入や、福祉施設への入所権など、水没移転者が取得したものは少なくありません。

 そのような中で、忘れもしない平成二十一年十月の九日、何の前ぶれもなく突然に補償事業が凍結されてしまい、岩谷地区住民は国に裏切られた心情になっているところでございます。

 ここで前田大臣に対しましての質問でありますけれども、このような背景の中、国の公共事業に対し、断腸の思いで決断し、生活の不安と犠牲をもって事業への協力を継続し、そして突然補償事業が凍結された岩谷地区住民に対しまして、前田大臣の率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、大西(健)主査代理着席〕

前田国務大臣 高橋委員の今のお話を伺っておりまして、地元の方々に対して本当に申しわけないという思いに尽きます。

 もちろん、肱川の安全度を上げ、特に下流の大洲市を初め、人口が集中している都市部の治水の安全度、それから利水の安全度を上げるという大きな目標を持ってのことでございますが、それは水没するところにとってみたら、先祖伝来のところを幾ら下流のためといっても、そうはなかなか納得はできません。長い経緯の中でやっと下流のために犠牲になる、その覚悟を決めた直後にこういうことがあった。言ってみれば、水没地域の方々を、長年にわたって公共事業の計画がある意味振り回してきたところがあります。そういうことについては、公共事業のダム事業、多目的ダム事業等の責任を預かる大臣としては、まことに申しわけない。

 要するに、ダム事業等のやり方、これだけ長い時間を通じてなかなか進まなかったということについては、だからこそ検証を今やっていただいているわけでございますが、省としても本当に率直に反省をして、今後の治水事業のあり方に生かしていかなければならない、こう思っております。

高橋(英)分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。国土交通大臣といたしまして、本当に御厚情のある岩谷地区の皆様に対してのおわび、それは重く受けとめていきたいというふうに思います。

 山鳥坂ダムというのは若干特異性がありまして、ここで経緯を簡単に申し上げますと、平成二十年の四月に、ダムを受け入れることを前提とした地権者協議会の補償交渉委員会との協議が開始された。その翌平成二十一年六月に、四国地方整備局から損失補償基準案が提示され、八月に補償委員会が案を了承して、直後に対象三十三軒に対し補償金額の目安が、実はここに控えがありますが、このAさんの控えについては補償金額が三千五百万円の明細になっています、これが戸別に提示されて、翌九月に地権者協議会の臨時総会で案が了承されています。

 つまり、妥結という意味では同じ状態でありまして、一般論からいたしましても、用地買収交渉は既に始まっている、そして受け入れたと判断できる段階に入っていると私は思えてならないんです。

 先ほど国交省からも説明がありましたけれども、山鳥坂ダムは今用地買収段階。というのは、補償基準が妥結、いわゆる書面での契約になるということでありますけれども、平成二十一年九月というのは政権交代のまさに混乱の時期だっただけに、事務的な妥結作業がなかなか進まなかったことは私は否めないというふうに思います。そして、その年の十月の九日、用地買収段階前の調査・地元説明段階とばっさり判断をされ、補償事業は悲惨にも凍結されました。

 ここに一昨年に水没移転者の移転等の準備状況をまとめた資料、手持ちの資料しかありませんけれども、対象三十三戸のうち、家屋、宅地、墓地等の移転準備に着手または購入を実施しているのが、既に六割に当たる十九軒。中には補償金を見越して金融機関から借り入れているケースもあり、返済という意味でも本当に不安な毎日を過ごされている。岩谷地区の平均年齢はもう既に七十五歳を超えて、もはや一刻の猶予もない、そういった状況にもあります。

 そうした中、ダム廃止に伴う地域振興対策といたしまして、閣法としてダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案が検討されていると思うわけでありますが、私が副会長でもある八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟で立案をさせていただいた議員立法をたたき台にはされておりますけれども、肝心かなめの生活再建については完全に抜け落ちているというような状況となっていると思います。

 確かに、法案の中で、都道府県は、特定地域振興計画の作成に当たっては、ダム事業の廃止等に伴い水没しないこととなる土地の区域の住民の生活環境の整備に特に配慮しなければならない、そういった規定を新たに追加していただきまして、それについては評価するところでありますけれども、本法案では、残念ながら住民への直接補償というのは対象外となっており、さらに山鳥坂ダムの広大な区域内に水没地権者三十三軒は点在をしているわけでありまして、それら地権者全ての土地を購入するような特定地域振興計画の作成は、私は困難であるというふうに思うわけであります。水没移転者は、あくまでも同意した損失補償基準に基づく補償の実施を強く求めておりまして、本条文によっても地元住民の期待に応えることはできないというふうに思います。

 これで最後の質問でありますけれども、国の山鳥坂ダム事業に対して、生活の不安と犠牲をもって事業への協力を継続し、政権交代後に事業凍結を突然言い渡され、混乱のきわみの中にいる岩谷地区住民に対して、例えば補償事業だけでも凍結解除できないか、そういった情けを持った何らかの救済措置を検討することができないか、ぜひとも前田大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 山鳥坂につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、調査という段階で検証に入ったものでございまして、現在、この検証につきまして、できるだけ早く答えを出すべく進めなければならないと思っておりまして、そういう意味では、検証の結論を前提とした具体的な対応については言及を避けさせていただきたいと思います。

 なお、一般論として申し上げれば、仮に継続になった場合には、事業に必要な補償を行っていくということになりますし、また、中止という判断を行った場合には、先ほど御指摘のように、ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案を今後の状況を踏まえつつ適応してまいりたい。

 その際には、大変申しわけございませんが、内容といたしまして、非移転者の生活環境の整備を進めることについて十分配慮するということで法案を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(英)分科員 理屈上はよくわかるんです、今の、調査、説明段階だということ。

 でも、先ほど私が申し上げたとおり、こういう具体的な、幾らあなたに払いますよという見積もりを提示された以上、何が幾ら、何が幾ら、これは円単位まで詳細に整備局は出している。それを見たら、普通の人はお金がもらえるんだと思って移転の準備を進めるというのが、私は当然普通の人間の心理じゃないかと思います。そういう段階において突然ばっさり切られた。非常に特異性のある山鳥坂ダムであるということを、ぜひとも大臣に御認識をいただきたいと思います。

 この山鳥坂ダム事業には累計で百八十億円が今まで投資されてきました。凍結後の三年間でも実に九億円の予算がついておるわけでありますけれども、岩谷地区への一戸当たりの平均補償目安、例えば三千五百万、単純計算ですけれども、掛ける三十三軒であっても十二億円という金額になるんです。

 政治というのはやはり弱者に光を当てる、それが政治であると私は信じております。三十年間翻弄され続けてきた岩谷地区住民の方たちに対しまして、光を当てる救済措置を何とか考えられないものか。ぜひとも特異性を理解していただきまして、その実現に向けて努力をいただきますよう心からお願いを申し上げまして、時間が来たんですけれども、最後に一言、大臣から答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

大西(健)主査代理 質疑時間が終了しておりますので、前田大臣、簡潔に御答弁お願いします。

前田国務大臣 河川局長から御答弁をいたしました。もちろん、国としての基本的なところはちゃんと法にのっとってやっていくわけでございますが、関連の機関とも知恵を出し合って、先生がおっしゃるようなことに対していかに知恵を出し合うかということに尽きると思います。

高橋(英)分科員 ありがとうございました。

大西(健)主査代理 これにて高橋英行君の質疑は終了いたしました。

 次に、柳田和己君。

柳田分科員 民主党の柳田和己です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、深く感謝を申し上げます。皆さん、どうもお疲れさまです。大臣、どうも御苦労さまです。

 今の四国から、今度は、皆さん、私は茨城県なんですが、茨城県といっても、どちらかというと関東のど真ん中、もう大臣御案内のとおり、古河市を中心としたところなんです。茨城県の県西です。よく、古河というと、栃木県と間違われる。御案内のとおり、利根川が流れ、その西側には渡良瀬遊水地があり、そして、昭和四十一年のころ、大臣も河川局の係長をやられていたということもお伺いしております。そんな地形でございます。

 ですから、茨城県であっても、北側には栃木県、私の家の二百メートル後ろはもう栃木県ですから。そしてまた群馬県、あるいは埼玉県、ちょっと南に行きますと千葉県というふうな地形でございます。

 皆さん、大体、頭の中が少しずつ、あれでしょうか。

 利根川という川が流れている。県庁の水戸に行くよりは、さいたま市や宇都宮市、埼玉県や栃木県に行った方が結局は近いというところでございます。ですから、常磐線でなくて、逆に宇都宮線が通っているということでございます。本来であれば、水戸とつながる道路のアクセスがあればいいんですが、まだできていないということでございまして、鉄道を使っても、あるいは道路を使っても、水戸まで行くのに約二時間かかってしまう、そんな土地柄でございます。

 先ほど言いましたように、一方で西部に位置するために、東京には近く、私もサラリーマン時代は東京に家から通っていたということでございます。鉄道を使えば、古河駅から約五十分で赤羽駅まで到着するというところでございます。

 そんな中で、まず最初の質問でございます。

 この地域では、首都圏中央連絡自動車道、通称圏央道が事業化されております。首都圏三環状道路の一番外側に位置するこの圏央道の開通で、東京圏へのアクセスは格段によくなるわけでございますが、また、水戸へ行くにも大きく時間が短縮されます。当然、沿線住民の皆様は期待をしており、完成を待ち望んでいるところでございます。この圏央道は、全体路線で見れば、計画の半分近くは既に供用されております。

 なぜ、この地域は着工がここまでおくれたのか、疑問に思うところでございますが、ここで一度、確認の意味を込めて、圏央道の神奈川県区間から千葉県区間までの都市計画決定などの事業開始の時期と供用区間について御説明をお願いしたいと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道でございますけれども、東京都心から大体四十から六十キロに位置しております。御承知のように、都心から延びる放射状の道路があるわけでございますけれども、これを環状方向に連絡するということで、都心へ向かう交通の分散導入あるいは交通の円滑化、さらには災害時における迂回機能の確保といった、いろいろな面で大変重要な、全体の延長約三百キロという延長でございます。

 圏央道につきましては、昭和六十年ぐらいからスタートしております。昭和六十年に、中央自動車道と関越自動車道を結びます八王子ジャンクションと鶴ケ島ジャンクションの間の事業化が最初でございました。この事業化を皮切りに、周辺道路の交通の混雑状況、あるいはほかの環状道路、例えば東京外環とかそういった道路でございますが、そういったほかの環状道路の整備状況なども勘案しながら、放射道路とつながるジャンクション部分から順番に整備を進めてきているというところでございます。

 確かに、先生の御地元の茨城、あるいは北の方は若干おくれておりますけれども、いずれにしても、圏央道は、企業立地とか物流効率化、いろいろな観点から大変大事な道路でございますので、早期の全線開通に向けて、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

柳田分科員 どうもありがとうございます。

 私も、実は衆議院議員になって三年目を迎えるわけですが、二年間は農水をしておりましたが、圏央道の早期完成、その意味で国土交通委員会に私は志願したわけでございます。一日も早い供用開始を願うところでございます。

 今、まさに菊川さんがお話をされましたように、圏央道の一日も早い完成ということで、私は現場主義ですから、農水のときも、土地改良は十九カ所を全部見ました。今回も、昨年、現地視察会を私の企画立案でさせていただきました。実は三月三日、おとといの土曜日には、元国土交通大臣の馬淵先生にも、この圏央道のインター建設予定地の私の古河の隣の境町というところに、利根川にくっついているところなんですが、境町に来ていただきまして、県西地区圏央道推進フォーラムを開催いたしました。地元の首長さんや議長さんを初め、多くの方に御参加をいただいたところでございます。

 その中で、圏央道がおくれてよかった、なぜなら、みんなが圏央道に関心を持つようになったからと辛口の発言をされた市長もいました。圏央道がおくれた結果、みんながなぜおくれているんだということで圏央道に関心が集まって、三日の会合は三百席満杯だったということをちょっと御報告させていただきます。ですから、それはもちろん完成を待ち望む気持ちのあらわれだということでございます。そしてまた、馬淵大臣からも、必要な道路はつくると断言をされました。東京都の圏央道日の出インターでは、開通後、雇用が五〇%増加したという経済効果もあります。先ほどありましたように、収支採算、渋滞緩和、経済効果、緊急迂回路、全てにおいて優等生の圏央道が必要でない理由はありません。

 平成二十四年度の国交省予算案においては、予算の重点化項目の中に、成長戦略の推進として、大都市圏環状道路の整備という文言があります。茨城県区間においても、橋こそあれ、大きな山もなく、中心市街地も少なく、工事が難航することは少ないと思います。ぜひとも、二十四年度予算における国交省の意気込みをお聞かせいただければと思います。

 また、昨年十月には、東京都日野市に本社のある日野自動車が、私の地元、茨城県の古河市に工場を起工し、今年五月より部分的に操業を始めます。この日野自動車が工場移転地を古河にしたのは、土地の条件もさることながら、圏央道が完成すれば、日野本社と古河工場を一時間で結べるという時間距離が大きな要因だったと伺っております。日野から古河までは、茨城県区間のほかにも、埼玉県の桶川北本インターから白岡菖蒲インターまでの区間は、それこそ市街地の横断となり、難航していると伺っていますが、その区間についてもあわせてお聞かせください。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道でございます。今お話がございましたのは、桶川北本から東北道を経てつくば中央に至る区間ということでございますが、もともと平成二十四年度という計画の目標を掲げておりました。ただ、残念なことに、一部用地の取得で大変難航する箇所がございまして、まず桶川北本―つくば中央間、昨年度、目標を平成二十六年度以降ということで見直したところでございます。今、任意買収をしつつ、事業認定の申請に向けた準備を進めております。

 昨年の十一月に桶川北本と白岡菖蒲インターの間の事業認定の申請を行いまして、十二月には、今度は久喜白岡からつくば中央インターの間について、土地収用法に基づきます事業説明会というものを開催いたしたところでございます。

 引き続き、地元自治体の協力も得ながら、早期供用に向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。

柳田分科員 ありがとうございます。

 今度は、道路から川の方に行きます。利根川です。同じく県西地区の課題であります利根川の防災対策についてお伺いします。

 利根川は、御案内のとおり、昭和二十二年九月に発生したカスリーン台風の影響で氾濫し、中流地域右岸の現在の加須市付近が決壊、その結果、東京都下の住宅まで水没されたという大変大きな被害をもたらしました。それ以降、当時の建設省は利根川治水対策に努めていると伺っております。

 前田大臣も、建設省職員のころ、御担当されたというふうに聞いております。そのあたりの歴史、御認識は精通していると思いますが、この治水対策、現在は首都圏氾濫区域堤防強化対策という事業名で、スーパー堤防規模の防災対策を右岸、いわゆる首都圏側で行っております。

 一方で、さきに申し上げました、私の地元、茨城県県西地区はこの利根川の左岸に位置します。こちらの堤防強化対策については、正直、お話を伺っておりません。

 まず、この利根川中流の堤防強化策について、右岸、左岸ごとの事業の概要と、前年ベースでよいので、予算についての御説明を聞きたいと思います。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、右岸側につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 利根川の右岸、それから江戸川の右岸、約六十六キロでございますが、平成十六年度より、首都圏氾濫区域堤防強化対策ということで、堤防の拡幅を目指して、現在事業を進めているところでございます。

 このうち、利根川の右岸につきましては、ちょうど東北自動車道付近から江戸川の分派点に係る区間、これは約二十四キロございますが、おおむね用地買収のめどが見えてきた、大体九割ぐらいの進捗でございまして、今後、こういった用地の進捗を踏まえ、これまで工事に余りかかっておりませんでしたが、工事にかかっていきたいというふうに考えているところでございます。ちなみに、平成二十三年度の予算額は約百五十六億円、これは事業費ベースでございます。

 次に、左岸側についての御質問でございます。

 利根川の左岸側につきましても、現在、ちょうど首都圏氾濫区域堤防強化対策の向かい側と申しますか、対岸でございます左岸の堤防につきまして、通称北川辺地区と呼んでございます。これは左岸側も加須市でございまして、加須市の堤防断面の拡幅を行ってございます。堤防断面の拡幅につきましても、まず拡幅をし、高さを確保する、そういう順番の第一歩として進めているものでございます。

 さらに、対岸につきましては、下流、古河市にもつながっていくところでございまして、首都圏氾濫区域堤防右岸側の進捗状況を勘案しつつ、左岸側につきましても順次計画的に確保をしてまいるということで考えてございます。

 それから、予算でございますが、先ほど申し上げました加須市地区、北川辺地区でございますが、平成二十三年度で約一億五千万ほどの予算で執行しているところでございます。

柳田分科員 どうもありがとうございます。

 現在、当時のカスリーン台風と同様に、堤防が決壊すると、首都圏の被害額は三十四兆円にもなると想定されます。それゆえ、政府の河川基本方針には理解を示しますが、左岸側の古河市では、平成十年、二十年と、利根川に流れ込む女沼川という河川が台風で何度も越水を起こしております。利根川への樋門が小さく、排水ができなくなったためです。

 対策として、現在、利根川との合流部分に樋門の新設をお願いしているところでございますが、このような対策も含めて、左岸においても水害対策に一定の配慮が必要かと思いますが、どのような御見解でしょうか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、利根川の堤防でございますが、先ほども申し上げましたように、右岸側の堤防の進捗状況、左岸側もしっかり勘案し、進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから二点目、女沼川が利根川に合流する部分の樋管の工事についてでございます。この女沼川そのものは、利根川に合流する支川ということで茨城県が管理し、現在、利根川の合流点から順次工事を進めているところでございます。これは、茨城県が平成三年度に事業着手し、平成二十六年度までにおおむね下流部を完成させ、引き続き、中上流部に移っていくというふうに計画してございます。

 そういうことを踏まえまして、女沼川の合流点、先生御指摘の樋管でございますが、釈水樋管と呼んでございますが、これは国が役割分担し施工するということで県と相談してございまして、県の改修状況に合わせる格好で順次進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

柳田分科員 どうもありがとうございます。

 次に、今度は川から運輸事業ということになります。私もトラック議員連盟にも入っておりますし、運輸事業振興助成交付金制度についてお伺いします。

 この制度は、軽油引取税の暫定税率に対する軽減税率にかわるものとして開始された交付金と聞いております。地方交付税にて都道府県を通じトラック協会に交付されておりますが、法的根拠がないため、この交付金をカットする都道府県が出てきました。

 そこで、昨年八月に議員立法にて運輸事業振興助成法を成立させ、都道府県に交付の努力義務を課したものであります。トラック議連の一員として、ともに御尽力いただいた国交省の皆様にもお礼を申し上げたいと思います。

 九月に施行されてから半年、国交省においても、各県の交付の内示状況、見通し等を把握していると思いますが、施行前と比べてどのような状況でしょうか、教えていただければと思います。

    〔大西(健)主査代理退席、主査着席〕

中田政府参考人 運輸事業振興助成交付金については、今先生御指摘のとおり、昨年の通常国会で法制化をしていただきまして、それ以降、施行してございます。

 トラック事業に対する二十四年度の交付状況についてのお尋ねでございますが、私どもから全日本トラック協会を通じて確認していますところでは、これまで二十四団体から内示がされたというふうに聞いております。そのうち、各都道府県トラック協会加盟のトラックの軽油使用量に基づき算出される基準額に対しまして、二十三年度と同様に満額交付の団体が九、削減率が改善した団体が八、そのうち満額交付となった団体が五、平成二十三年度と同様の削減率の団体が七という状況でございます。

 まだ内示がされていない団体もございまして、引き続き、国土交通省として注視してまいりたいと考えてございます。

柳田分科員 ありがとうございます。

 次に、貸し切りバスの営業区域に関する規制ということでお伺いします。

 現在、貸し切りバスの営業エリアは、原則、営業所のある県内とされ、例外として、県境に接している市町村の営業所のみ、隣の県でも隣接市町村で営業可能とのことです。これは当時の自動車交通局、現在の自動車局から各地方運輸局へ通達されたとのことですが、非常に古めかしい制度だと私は感じています。

 まず、県境にある自治体と内部にある自治体が合併すると、もともと県境に接していなかった自治体の営業所は営業範囲が変わってしまいます。また、これだけの情報化が進んだ現在、利用者がインターネットで質のよいサービスや新しいサービスを提供する業者を探しても、利用することができない。高速網が整備され、先ほど質問でも触れましたが、民間や医療では時間距離という言葉が使われる中、都道府県単位というのはいかがなものかと思います。

 提案として、営業所からの距離が何百キロ圏内とか、物流の専門家に時間距離の定義を定めていただき、営業所から時間距離で何時間以内などの規制に変更した方がよいと思います。また、距離が遠くなり、空輸送がふえると環境上問題があるというのであれば、バスの性能も指数に加えるなどの条件も検討に値すると考えます。

 現在、官民関係者によるバス事業のあり方検討会において議論を行っており、今年度中に結論が出るとのことですが、今お話ししたような議論は行われているのでしょうか。この提案についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

奥田副大臣 柳田議員の方で、問題点あるいは貸し切りバスの営業のあり方というものについて説明もいただきました。最後の結論の部分だけ言いますと、バス事業のあり方検討会の方でも、進行中の新たな議論として議論が行われているということであります。

 ただ、この検討会は年度末に一つの結論を出すということで、それまでにはちょっと結論が出かねる。といいますのは、バス事業者の中でも、営業区域の緩和、拡大を要望する方と、そして、今問題点の方はおっしゃっていただきましたけれども、しっかりと営業所を設けてやっていただければいいんだという形で、拡大をある意味で拒んでいる方とが拮抗しているという状況でもあります。

 検討会の意見集約、バス業界、バス事業者との話し合いなどを含めて、新しい方向性も検討していきたいというふうに思っております。

柳田分科員 どうもありがとうございます。

 国交の方は終わりまして、今度は農水の方です。

 まず、原木シイタケのことなんですけれども、昨年の東日本大震災において、福島原発事故による原木シイタケ類の放射能被害についてですが、福島県では四月ごろ、そしてまた、茨城、栃木、千葉県では十月、十一月ごろから、一部の自治体で基準値を超える放射性物質が検出されました。当然、基準値を超えない地域でも風評被害が発生し、損害賠償が行われておりますが、ことしに入っても同じような状況が続いております。

 この原木シイタケに使われる原木にも、残念ながら放射能被害が及んでおります。この原木に対する放射能基準値がさらに厳しくなるという話も出ております。

 原木は福島県産のシェアが高く、福島県内には原木伐採専門の山師さんがたくさんおります。これまで、各県のシイタケ農家に原木を供給してまいりました。逆に、他県では、原木はあっても伐採をなりわいにしている方が少なく、簡単には原木の出荷先を変更することができません。したがって、この地域の原木が使えないとなると、供給不足に陥ることは必至で、数千人のシイタケ生産者が廃業に追い込まれる可能性があります。

 今、早急な対策が求められるところであります。先週の金曜日にも、東日本のシイタケ生産者の代表者の方々に集まっていただき、林野庁長官にも要望したところでございます。どのような対策を行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

岩本副大臣 柳田先生にお答えをいたします。

 シイタケの放射性物質に関する暫定規制値は、現在、五百ベクレル・パー・キログラムでありますが、先生御承知のとおり、四月の一日より、百ベクレル・パー・キログラムの新たな基準が適用されるところであります。

 また、シイタケ原木につきましては、現在の暫定規制値を踏まえ、当面の指標値、百五十ベクレル・パー・キログラムを定めまして、この値を超えるものの生産、流通等の自粛を要請しているところであります。この指標値につきましても、シイタケの新たな基準適用に伴って見直し、早急に公表する考えであります。

 このため、シイタケ生産者がシイタケ等の新たな基準に対応できるよう、平成二十三年度第三次補正予算におきまして、ほだ木の洗浄機械など放射性物質の防除施設の整備、キノコ原木等、生産資材の購入費用について、支援を行っているところであります。

 また、平成二十四年度予算案におきましても、これらに加えまして、安全なキノコ原木の安定供給プランの策定、キノコ原木等の放射性物質の継続的な調査や安全な栽培技術の普及について、支援をしてまいる予定でございます。

 さらに、新たな基準値による出荷制限等やいわゆる風評被害につきましては、適切かつ速やかに賠償が実施されるよう、農林水産省といたしましても、東京電力に対する働きかけを行い、生産者の皆様がシイタケ生産を継続できるよう、できる限りの取り組みを行ってまいる所存であります。

柳田分科員 どうもありがとうございます。

 時間がなくなってきましたのであれなんですが、今度は六次産業化についてでございます。

 国の事業認定や施設整備への補助が今年度から行われております。平成二十四年度も引き続き行っていくと伺っておりますが、この国の事業認定に関して質問であります。

 この六次産業化の認定のメリットとして農地転用の手続を国が申請者のかわりに行うという特例がありますが、農振除外の申請についてはそのような特例がありません。残念ながら、法律にも明記されていませんので仕方ありませんが、私の地元の農協では、農業振興地での直売所を計画しており、この農振除外手続が大きなネックになっております。

 今後スムーズに認定を行うためにも、県への農振除外手続の中にでも、並行して六次産業化の認定申請を行い、農振除外適用と同時に農転許可と事業認定が行えるようタイミングを合わせていただきたいと考えますが、このようなことは可能でしょうか。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点でございますけれども、農振除外は市町村の権限でもございますので、市町村とよく連携をとりまして、市町村の実態をしっかり把握した上で一緒になって考えていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

柳田分科員 ありがとうございます。

 最後になると思うんですが、総務省にお伺いします。

 昨年、復興特において私も質問したんですが、被災地の自治体庁舎の建てかえについてです。

 国の補助をお願いしたいと質問させていただきましたが、まだまだ庁舎の本格復旧に手をつける自治体は少なく、平成二十四年度予算では時期尚早と見送られました。

 私の地元、二つあるんですが、常総市と坂東市、特に常総市ですが、庁舎の建てかえを検討しておりまして、二十五年度には新庁舎を着工するという方向で動いております。運よく両市とも市町村合併を行っているので、合併特例債が利用可能ですが、基本的には現庁舎の建てかえとなるので、特別交付税が一〇〇%充当される災害復旧事業債を使うことが可能ですし、特別交付税が一〇〇%充当を考慮すれば、恐らく合併特例債より地方負担も少なくて済むと思われます。

 しかし、この災害復旧事業債への特別交付税の一〇〇%充当は二十四年度までしか予定がなく、実際に庁舎を建てかえる予定の平成二十五年度の特別交付税充当の担保がありません。これでは、市の担当者もどちらの起債で行うのがよいのか判断を迷うところでございます。

 このようなことについての御見解をお願いしたいと思います。

久元政府参考人 庁舎の本格復旧につきましての財源手当てでありますが、今先生が御指摘の一般単独災害復旧事業債は、充当率が一〇〇%ですけれども、交付税措置は四七・五%から八五・五%ということになっております。二十四年度につきましては、裏負担についての特別交付税の充当ということであろうかと思います。

 財源手当てにつきましては、平成十八年三月三十一日までに合併した団体については、起債の選択肢としては、やはり合併特例債が一番有利であろうかというふうに思いますので、その裏負担の一般財源をどうするとかということにつきましては、また、市の方からいろいろな御相談もあろうかと思いますので、よく相談に応じさせていただきたいというふうに存じます。

柳田分科員 どうもありがとうございました。

 以上でございます。

村越主査 これにて柳田和己君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井登志郎君。

石井(登)分科員 副大臣、お疲れさまでございます。あと少しですから、おつき合いください。

 まず一つ目、国道百七十六号の整備についてお伺いしたいと思います。

 国道百七十六号と言われても、ちょっと地理カンがなければなかなかわかりにくいかもしれませんが、中国自動車道という大変大きな道に並行する片側一車線の田舎の国道であります。宝塚というところから三田、篠山に抜ける幹線道路の一つでありますが、一日の通行量が片側一車線で二万六千台以上、うち大型車率が二〇%を超えているというところです。そして、ひどいところでは、歩道が五十センチもないところで、人と人がすれ違えないような大変深刻な状況です。毎日何百人も小学生が横断をする道でもございまして、その大型車率から、騒音も、今ですら夜間で標準が六十五デシベルですが、七十デシベルを超えるという、沿線住民にとっては本当にこの状況に悩まされているということです。

 さらに悪いことに、高速道路の無料化の実験が行われまして、舞鶴若狭道がその対象となって、国交省のレポートにも書いているんですが、舞鶴の日本海側まで行くと、最後に平道におりてきて、この百七十六号に、生活道路であるにもかかわらず、多くの通過車両が流れ込んでいるという状況です。

 これはなかなか前に進まない事業であったんですが、供用までの年限が何年というふうに明確なものが事業として進みやすいということであったんですけれども、十キロ以上に及ぶものを一括で供用まで何年というのはちょっと無理があるんじゃないか、全体を地域ごとに分けて考えるべきじゃないかというのを私も申し上げさせていただいて、そして、今一番深刻な名塩工区と言われるところですが、これに関して、昨年、平成二十六年度供用開始予定ということを、初めて国交省で明示していただいたところであります。

 これは、お金の問題だけでなくて、土地の買収などで大変御苦労もされているのは承知をしておることなんですけれども、地元の方々の平穏な暮らし、そして子供やお年寄りの安全のために、この平成二十六年度供用というのを間違いなく実現していただきたいんですが、大丈夫でしょうか。

奥田副大臣 私の方も、尼崎の方に勤務していたこともありますので、また兵庫の方にも大変お世話になっております。

 今御指摘の名塩道路十・六キロ、半分の五・五キロを供用しておりますけれども、残った区間を早くという要望も十分に承知できる話でもあります。ただ、石井議員の方も、残っている名塩工区の方は大変な難所であるということも御承知のことと思います。

 こちらの八幡トンネルの方は、二十四年度から開始、工事に着手するということになりました。名塩工区、そして宝塚寄りの方は、二十六年度中の供用を目指して全力で取り組ませていただきます。

石井(登)分科員 ありがとうございます。

 なかなか確約というのも難しいところでありますが、そういう意味では、一歩前に進む、何とか二十六年度。今もう地元の人たちはそういう意味では二十七年の三月までというのを信じておりますので、私も頑張りますので、ぜひよろしくお願いします。

 それと、先ほど、この十・六キロを三つ四つに区分けをして、今一番深刻な名塩工区、二十六年度供用ということで進めていただいているわけですけれども、その他の工区が二十八年度以降ということで、これは何年というめどが立っていないわけであります。また、物にはもちろん順序はあるんでしょうけれども、まだ買収がしっかり進んでいないところがあります。公図が混乱をしている地区であるとか、地籍調査がまだではないかというような地域があるわけであります。

 これは、お金がついたら話が前に進むという類いのものでもありませんので、時間を浪費することなく、買収、整備の前さばき段階を、とにかく先を見越して前に前に、市と協力をしてやっていただきたいと思うんですけれども、そのあたりについて、本件はこれで最後ですが、お願いしたいと思います。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたように、今、名塩工区をやっておりますが、残りが、未供用が五・一キロで、一・四キロが名塩工区なので、三・七キロございます。この三・七キロの中で、お話があったように、公図混乱箇所もございますし、河川協議等もございます。二カ所あって、一つ、生瀬工区というのはもう大体ほとんど用地も取得できているわけでございますけれども、もう一つの東久保工区というのが今申し上げましたような公図混乱等の箇所でございます。

 御指摘ございましたように、円滑にこれからも事業展開が図れますように、兵庫県を初めとする関係機関とよく連携をして、推進していきたいというふうに考えております。

石井(登)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 では、次に移りたいと思います。

 中央新幹線の整備、俗称リニアについてお聞きをしたいと思います。

 交通政策審議会の陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会、ちょっと長いんですが、この答申が昨年出まして、中央新幹線整備の意義について、三大都市圏を、高速かつ安定的な旅客輸送を中長期的に維持強化するものとして極めて重要というふうに評価しておる。東日本大震災の経験により、大動脈の二重系化の重要性が高まっているとしているわけであります。

 そこで、当時の大畠大臣がこうした答申を受けて五月に、JR東海を事業者に指名する、そして、全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備計画を決定したところでございます。この整備計画の中身が、区間を東京都と大阪市とする、走行方式が超電導磁気浮上方式、リニア方式で、最高速度は五百五キロ、建設費用概算額九兆三百億円、そして、甲府、赤石山脈中南部、名古屋市付近、奈良市付近を主に経由する、これだけ書いてあるんですね。

 そこで、私がきょう議論させていただきたいのが、JR東海の計画として、二〇二七年に名古屋まで通す、二〇四五年に大阪まで通す。これはJR東海の計画であります。これだけの大事業でありますから、JR東海は民間企業でありますから、民間企業の事業というよりも、これはもう国家プロジェクトそのものだと、私の感覚からすると思うわけです。

 例えば、成長戦略から考えてみても、強い国土づくりをしようというのが成長戦略に書いてある。観光立国にも寄与するようなそういうプロジェクトをしよう、そして世界における日本のプレゼンスを強化するようなことをやっていこう、こうしたことを成長戦略にも書いてある。まさにそういう意味では、このリニアというのはそのとおり、これに資するものだと思います。

 また、ちょっと文脈は変わりますけれども、重要インフラの情報セキュリティーに関する行動計画というのを内閣官房によって定められています。これはまさにITのセキュリティーの方ではありますが、ただ、国の重要インフラとして十項目を定めている中に鉄道というのが当然入ってくる。そして、東京と大阪を結ぶ鉄道のインフラというのはまさに国の重要インフラであるというふうに私は考えるところです。

 そうした中で、JR東海のファイナンスの状況によって二〇二七年名古屋、二〇四五年大阪ということで計画を言っているんですけれども、私としては大阪までは一体開通を当然するべきだと思うわけであります。その点について、まず一つ、副大臣、いかがでしょう。

奥田副大臣 中央新幹線は三大都市圏を結ぶ大きな動脈であるということは同じ認識ですし、こういった大きなプロジェクトが早く供用できるにこしたことはないということもそのとおりだというふうに思います。

 ただ、この事業認可の中におきましては、JR東海の方から、国の資金援助を求めることなく、自己負担で東京―大阪間の整備を行うという強い意思が示されたということもあります。そして、この前提として、JR東海は、民間企業として経営の自由そして投資判断の自主性の確保を貫徹することを原則としているということも、ヒアリングの中で明らかになっていることであります。

 整備新幹線を政治が翻弄したとは言いませんけれども、そういったこれまでの経緯を見た中でのJR東海の判断であろう、現在の整備計画認可の段階ではJR東海の判断を重く見ているところであります。

石井(登)分科員 今副大臣がおっしゃられたのは、そっくりそのままJR東海が言っていることであるんですけれども、JR東海が言っていること、そして彼らの投資のさまざまな環境の中でそうなっているわけですが、国の基幹インフラとして、東京と大阪の大動脈を、まさに一気通貫にといいますか、同じ時期に通すべきだと私はそう思うんですが、その考えについて、副大臣としてはどうお考えになりますか。

奥田副大臣 先ほど申しましたように、国としても、中央新幹線の重要性というものは十分に認識しておるつもりであります。

 JR東海の考え方、あるいは事業に取り組む姿勢とともに、経済社会情勢などを勘案しながら、国としても、しっかりとこの事業の進み方というものを見守っていくとともに、また、とるべき方策、あるべき方策というものも常に考えながら取り組んでいきたいというふうに思います。

石井(登)分科員 今、見守りながら、とるべき方策をというようなことでおっしゃっていただいたんですが、交通政策審議会の先ほどの答申の附帯意見に大事なことを書いています。附帯意見で十項目ほど書いてあるんですが、その一つ目に、大阪までの早期開業のための検討をせよ、それからもう一つ、コストダウンの重要性というようなことを書いています。

 JR東海の主張、さまざまな情勢はさておき、交通政策審議会の答申に付された意見に対して、特に大阪までの早期開業の検討を、指名された事業者であるJR東海が果たして行っているのか。行っていないなら、国交相が、交通政策審議会の答申に付された意見に基づいて、これは指導というのか何というのかわかりません、それぞれの性質もありますから。ただ、この答申の附帯意見というのは私は本当に重要だと思います。その他、環境のこと等々書いていますが。

 JR東海は五兆円がアッパーなリミットだと言っておるわけですけれども、仮にもしそうしたコストダウンがうまいことできれば、一体開通が仮に無理であっても十八年もビハインドを負うことはないだろう、そう考えるわけですが、この附帯意見に沿った事業遂行を、国交省にはしかとチェックを、そして、指導というんでしょうか、何というんでしょうか、していただかなければいけないと私は思うんですが、この点いかがでしょうか。

奥田副大臣 大変難しい部分をさわっていただきましたけれども、やはりこの大動脈というのは、今、東日本大震災から見直されている首都機能のバックアップということについても大きな意義を持つことと思います。

 今触れていただきました交通政策審議会の小委員会での答申、附帯意見として、諮問事項には直接該当しないものの、中央新幹線の整備について、特に重要ということで意見が添えられております。この整備効果をしっかりと発揮して、それが早ければ早いほど効果があるということも言われておりますけれども、JR東海の方でも、先ほど一番最初に触れていただきました、ファイナンスの方を考えての長期計画ということになっております。国としても、関係する自治体あるいは事業者との話し合いのもとでやるべきことがあるというときには、また積極的に関与していくべきだというふうに考えます。

石井(登)分科員 ぜひ積極的に関与をいただいて、そして、北陸新幹線に注がれた情熱の一端をぜひ、一段落ついたと思われますので、大阪の方にも少しいただければありがたいと思いますし、そう信じております。よろしくお願いいたします。

 次に移りたいと思います。

 空き家の対策ということで、きょうはちょっと質問をさせていただくというふうに申し上げたんです。

 住宅・土地家屋調査で、二〇〇八年の全国の空き家は七百五十七万戸、一三・一%ということで、一九六三年の五十二万戸、全体の二・五%から劇的にふえているんですね。特に最近の空き家増加は全国的に顕著ではあるんですが、ただ、この五年間に劇的にふえたというわけではなくて、五年間に大体一五%、多いときには二〇%ぐらいふえています。二〇〇三年には六百五十九万戸だったということです。これは例えばマンションとかアパートの空き家とかも含まれておりますので、全部が戸建てというわけではありません。

 ただ、これは今回の大雪などで大変問題になりました。管理が行き届いていないおうちが、まさにお隣のうちはしっかり雪おろしをしているのに、人がいないようなおうちに関しては雪が積もって、それが倒れて、そして普通に人が住んでいるうちにまで影響を及ぼしてしまうというようなこともあって、こうしたこともあって、特に、まず、北国の例えば横手市などでは、空き家の適正管理条例、倒壊の危険がある空き家について、所有者に対して対応を要求する、勧告や命令に従わない場合は所有者を公表するという内容で、横手市を初め整備をしています。

 一方で、雪おろしに関係ない県でも、調べていくと、いろいろなところで条例が整備をされています。和歌山県で、これは景観支障防止条例、建築物を廃墟にさせないための最低限の規範が書かれて、建築物所有者の責務を示し、周辺住民からの要請に基づいて、勧告、命令、自主的な除却への助成、さらには行政代執行による除却も視野に入れているというわけであります。

 これはそれぞれの地域の話ですから、国が一括してどうしろという話ではないにせよ、いろいろ調べていくと、ただ、やはりこれは、国も何らかの指針を示さなければいけない難しい問題だなというふうになるわけです。例えば、幾らぼろ家だといっても、持っている人が、いやいや、これはぼろ家じゃないと。まさにこれは私有財産でありますから、そういう関係もあるでしょう。もしくは、居住用ということで、いや、とにかくいつか住みますからと言ったら、例えば、居住用であれば、普通の土地部分に関して、固定資産税が六分の一の特例が適用されるということであります。

 国交省は中古住宅流通の環境整備に力を入れておられて、これは大変結構なことだと思います。ただ、流通しようもない、もう除却するしかない、もしくは建て直すしかない、そういうものに対する対策を、きょうは国交副大臣にお聞きをしているわけですけれども、国として指針を示さなければ、さっきの固定資産税の話は総務省であるとかになるわけですから、自治体としても、やはり何事も法定主義ということを考えると、条例制定においても困惑をしてしまうというふうに思うわけでありますが、この点について御見解をお願いします。

奥田副大臣 石井議員の御指摘は、ふえていく空き家に関して、防犯という見地、あるいは危険性、防災という見地から問題提起をしていただいているものというふうに思います。

 この空き家の増大、各地で間違いなく空き家が右肩上がりでふえていっているという状況でもあります。国土交通省においても、空き家の活用あるいは除却というものを、地方公共団体の取り組みを支援するという形で応援させていただいているところであります。そのほか、地域振興の視点から、空き家の地面あるいは空き家を活用していこうというものについても、制度を応援させていただいているところでもあります。

 多岐にわたる省庁が関係しますので、こういった関係省庁そして地方公共団体、これらに対して、国の支援策の情報提供、及び、御紹介いただきましたような地方公共団体独自の取り組みの事例を紹介するということで、総合的な支援を行っております。

 何かとといいますか、どうしても財産権というものが絡んでまいります。ただ、所有者不明とかそういった案件もたくさんあるというふうに聞いておりますので、固定資産税の納付の通知先もわからないというような案件が全国に一体どのくらいあるのか、そういった情報も整理しながら次の施策を考えていきたいというふうに思います。

石井(登)分科員 私の選挙区は兵庫県の西宮市と芦屋市というところで、尼崎におられていたことがあるのであれば何となく雰囲気はわかっていただけると思いますけれども、全国的にも人口がふえている珍しいところなんです。私の地元はそういう意味では空き家の件数はふえてはいないんですね。

 ただ、そういうところでも、例えば、空き家は放置をされて、わずかに残った農地を潰して新しい新築のうちが建つというようなことがあるわけです。都市農地の話などとなるとこれはまた農水省になるわけですが、今、財産権のお話にも言及いただきました、総務省の税金の話にも関連してきます。ぜひ、これは国交省がもちろんイニシアチブをとっていただきたいんですが、他省庁、他の政務にも呼びかけていただいて、私どもの方でも研究をしていきたいと思いますので、指針を何らかの形で示していけるように、お取り組みをお願いできたらありがたいと思います。

 あと二つ、別の問題に移りたいと思います。

 海上保安庁の海岸線の警備といいますか、難民保護対策についてということで質問をお願いしているところでございます。

 一月に、隠岐の沖で北朝鮮から漁船が流れ着いたという事案がありました。昨年の九月には、能登半島に流れ着いたというのがあったというわけであります。これは、国に入ってくるというようなことに関してはもちろん入管ではあるんですけれども、入管に行く前に、やはり島国でありますから、海上保安庁の役割というのが大変大きくなってくると思います。

 今御案内のとおり、北朝鮮の情勢は大変に動いています。そして、私たちも、もし何かがあったらということで心配をするわけですね。二十年ほど前は、ベトナムのボートピープルが毎月相当数、千人単位で漂着をしてきた。あれの場合は、ベトナム沖に船で出て、そのあたりにタンカーが出会って連れていくというような事案が多かったんですが、今回、仮に北朝鮮で何らかの状態が起きたときに、一隻一隻がぽつんぽつんと来るのではなくて、相当数来るんじゃないか。一隻二隻が来たときには対応できるけれども、相当な数が来たら大丈夫なのかなというような、私はプロフェッショナルではないんですが、感覚がするわけであります。

 海上保安庁の方で、これはなかなか言いにくいかもしれませんが、どのくらいの想定をして、そして、問題のない、心配のない対策をしているんだということを、ぜひ国民の皆さんに今の体制などをお示しいただければと思いますが、よろしくお願いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生御指摘の、一月の漂流船事案、あるいは、昨年十二月の金正日国防委員会委員長の死去等に伴って北朝鮮情勢がいろいろ動いておるということに対して、私どもとしては、関係機関と緊密に連携の上、情報収集体制を強化するとともに、巡視船艇、航空機による監視、警戒体制を強化しているところでございます。

 一方で、今の御質問の、もし大量に難民が北朝鮮から発生して出てくるというような事態に対しましては、内閣官房を中心に、政府全体として、今そういうケースを想定して対応の方策を検討してきているところでありまして、その中で、まず一番最初は避難民の身柄の保護、応急物資の支給、身体検査の実施等を行うわけでありますが、これを、海上でまず起こることが想定されますので、これは海上保安庁が中心になって、関係省庁とともにしっかりと体制を組んで対応していくということになると思っております。

石井(登)分科員 そういう意味では、まだ起きてもいない、そして余りに過大な心配をし過ぎてもいけないところではあるんですが、例えば、今日までの累計で、人が無人の船が何十隻も着いたとか、そういうことを考えると、もしかしたらそこは実は人が乗っていて、日本に入っちゃったんじゃないかとかいうようなことを心配してしまう、それも人情だと思います。

 ですから、今おっしゃられたような中で、それは遺漏なくやっているというようなことでぜひ周知をしていただいて、またこれからさまざまなことが予想されますから、しっかりと対応いただければと思います。

 最後に、伊丹空港の件でございますが、先般、これは報道で、今、伊丹と関空の経営統合に向けた準備が進められている中で、一部の用地が民間人の名義のままであるということが判明したということであります。なぜこういうことが起きたんだろうか、これからしっかりと進めていけるんだろうかというようなことを素朴に思うわけであります。

 なぜこういうことが起きて、そして、これからちゃんと前に進めていく上で問題なくできるのかということについて、お聞かせいただきたいと思います。

長田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘の点でございますが、現在、伊丹空港用地の中で、民間人の名義となっている土地が七十六筆ございます。これは多分、長い歴史がございますので、土地を買収したんだけれども名義変更ができていない、そういった経緯のものが多いかと思いますが、ことしの七月に、関西国際空港との経営統合に際しまして、伊丹空港のこういった土地を新関西国際空港株式会社へ現物出資する、そういうことで、現在、名義の変更作業を行っているところでございます。

 具体的には、昨年の十一月から、民間人の名義になっております土地の名義人及び相続人に対しまして、国の名義への変更についての協力依頼を現在行っております。連絡がとれた方の多くの方からは名義変更の承諾の意思を表明されるなど、着実に名義変更を進めてきているところでございます。

 国といたしましては、関空との経営統合が本年の七月でございますので、六月末までに登記名義の変更を完了させるべく進めているところでございますが、結果的にもし残るものがあった場合につきましては、平成二十四年七月以降は新関西国際空港株式会社に引き継いで、その作業をしていくということになろうかと思います。

 なお、仮に登記上の不整合が残った場合でございますが、この土地そのものは適法に取得をし、長年にわたり空港用地として供用されておりますので、国が所有していることは明らかでございます。したがいまして、今般の関空、伊丹の経営統合の作業にはこの件が特段に支障があるというふうには考えておりません。

石井(登)分科員 ありがとうございました。

 私、けさも伊丹空港を利用して来たわけですが、いずれにせよ、こうした状況が前に進むのには支障がないということで、それは結構なことだと思います。

 最後に、ただ、これに関して申し上げたいのは、国交省の航空政策の中で、この件よりも大変大きな話になりますけれども、今、神戸空港も合わせると三つ空港があるわけですね。そういう中で、果たして三つのまま、このまま本当にいくんだろうかというようなことを私も正直思います。私の自宅は伊丹空港から車で十五分ぐらいですから、伊丹空港が残っていたらそれはそれで便利なのかもしれませんが、伊丹の需要の四割は東京便です。そして、先ほど申し上げた中央リニアがぱっと通ったら、その四割の需要は一気になくなるわけです。

 今、世界では内陸空港が時代おくれといいますか、どんどん海の方に展開して、そしてハブ空港は海沿いにというのがまた大きな流れだと思います。そういう意味では、伊丹に対してこういうことを言うとちょっと票が減るんじゃないかと心配する人もいるんですが、しかし、やはり、長い長い国家の計を考えたときには、大英断も伊丹空港に関しては必要じゃないか。

 今回、経営統合ということでありますが、こうやって調査をするという意味では、伊丹空港のところが空港でないことに仮になる、一つの必要なプロセスの一環であるということも私は思っておりますということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

村越主査 これにて石井登志郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 大臣初め皆さん、夜遅くまで大変御苦労さまです。これで最後の分科会の質問ということになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、長崎県の石木ダムの建設問題について聞いていきます。

 二月二十二日、国のダム検証に関する有識者会議で、県の検証結果について審議する予定でありました。当日、ダム建設予定地の地権者の方などが長崎から上京し、傍聴を求めて会議の場に駆けつけてこられました。ところが、国の側は傍聴を認めず、会議は流会になりました。有識者会議が流会になったのは初めてのことであります。

 局長に聞きますが、なぜ地権者の傍聴を認めなかったんですか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 この有識者会議の運営につきましては、その公開も含め、委員の皆様方でお決めいただいております。

 具体的に申し上げますと、現時点、事前に登録された報道関係者には公開させていただく、それから、あわせて会議の資料、議事要旨、議事録、こういったものは国交省のホームページに公開する、こういったことで運営をされているということでございます。

赤嶺分科員 当日、傍聴を求めていたのは地権者の代表者の方であります。ダムの事業によって直接影響を受ける地権者が、国の検証の場でどういう議論が行われるのか直接聞きたいと思うのは極めて当然なことであります。しかも、有識者会議は二〇一〇年九月以降、報道関係者には公開されているということをおっしゃっております。マスコミには公開して、当事者である地権者の傍聴を認めないというのはどう考えてもおかしいと思いますが、大臣、いかがですか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の有識者会議につきましては、これは今後の治水対策のあり方に関する有識者会議ということでございまして、ダムの検証に関し、今回御指摘のダムにつきましては県の方が検証を進めてきたものでございまして、この県の検証が、中間取りまとめという一つの目安でございますが、この目安にのっとって、共通的な考え方にのっとって行われていたかどうかということを有識者会議で評価いただくという性格のものでございます。

 その上で、さらに、先ほども申し上げましたように、この有識者会議の運営については委員間でどのように運営していくかを決めていただいて進めているというところでございます。

赤嶺分科員 地権者は、県での議論も国での議論も聞きたい、こう思うのは当然であります。

 情報公開の推進、これは民主党の基本政策ですよね。民主党立党以来、情報公開ということを言ってきたのではないかと思います。そもそも、民主党が政権交代の中心的な眼目として主張してきた公共事業の見直し、その検証を行う国の会議が原則非公開で進められてきたこと自体がおかしい。この点については、ダム検証のあり方を問う科学者の会からも全面公開を求める質問書が届いているはずです。

 石木ダムの地権者の傍聴はもちろん、会議自体を原則公開に改めるべきだと私は思いますが、大臣はいかがですか。

前田国務大臣 今の委員のお考えというのもあるかと思います。

 河川局長が御答弁申し上げたように、この委員会そのものは、まずは中立的な形で、静穏な形で客観的に議論をしていただくということが前提になっていて、平成二十二年の十月だったでしょうか、この有識者委員会が組織化されたわけですね。一年間の検討を重ねた上で発足して、委員長を初めその委員会において会の運営というのを決めていただいたということであります。

 私がその経緯等を承知するに、一番最初は前原大臣のときにこのスキームなんかをつくっていったわけで、そういう意味では公開制というものも念頭にあったと思うんです。という意味においては、マスコミ関係については、登録された方については全て入っていただく、フリーのジャーナリストであろうと誰であろうと。そういう意味で、広く国民を代表する層にジャーナリストが入っていることを通じて、何かあったときに広く伝えていただくというようなことはやっていたんだろうと思います。

 その上で、あくまでも自律的に、自主的にこの有識者委員会を運営していただいているものでありますから、やはりここは、委員会のやり方は全て委員長を初め委員に、委員会にお任せするということでありますし、会そのものは静穏な形でやっていただくということがあるべき姿だろう、こういうふうに思います。

赤嶺分科員 原則情報公開という民主党の考え方の基本に立っても、それから、会議を公開したら静ひつな環境が失われるという考え方自身も、私はこれはおかしいなと思っております。

 こういう会議はマスコミを通じて聞くのではなくて、地権者ですよ、自分の財産がどうなるかわからないという不安を持って会議に駆けつけてきた、こういう人を締め出してしまう。これで本当にニュートラル、中立的な立場でやっている、そういう説明が通るのかという疑問を本当に抑え切れない気持ちであります。改めて、こういう会議の公開を求めるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、具体的な検証の中身について聞いていきます。石木ダムは県が事業主体の計画であり、検証作業は、県が検討主体となって進められてきました。その県による検証の中身がどうだったのかという問題であります。

 石木ダムの建設問題は、大臣も御承知のとおり、長い歴史的経緯のある問題です。私も昨年十二月、川棚町の川原地区を訪問し、地権者の方々と懇談をしてきました。

 ダム建設が持ち上がったのは今から五十年前の一九六二年。長崎県は、最初は川棚町と地元住民に無断で現地調査、測量を行い、これに対し住民が抗議し、調査は中止されました。しばらくして一九七二年には、県は、石木川河川開発の調査であってダム建設にはつながらない、地元の人が一人でも反対するならダム建設はしない、調査だけはさせてほしい、このように説明して、そしてそのことを覚書で取り交わして、初めての予備調査を行いました。ところが、その二年後に、国が石木ダムの建設予算をつけたのであります。裏切られたと住民が感じるのは当然であります。ダム建設に絶対反対するという決意で反対組織を結成し、活動を開始いたしました。

 こうしたもとで、一九八二年には、県が四百名余りの機動隊員を動員して、土地収用法に基づく強制測量も行いました。怒号と悲鳴が響き渡る中、座り込む住民を強制的に排除していったのであります。その中には小学生や中学生、高齢者の方もおりました。そのとき初めてくいが打ち込まれましたが、土地にくいは打ち込まれても、心にくいは打ち込まれない、我々は虫けらではない、こういう思いで、それ以来、親子何代にもわたってダムの建設に反対してきたのであります。今日でも、十三世帯、七十人の地権者の方々が反対を貫いております。

 私は、県のこれまでのやり方を聞いて、私は沖縄県ですが、まるで沖縄の基地建設のための土地強奪と同じやり方じゃないかと。沖縄でも、我々は虫けらではない、このように言って反対運動を続けておりますが、共通な気持ちの重なりを私は感じました。

 こういうやり方は余りにもひどいと思いますが、大臣はどのような認識をお持ちですか。

関政府参考人 御指摘のように、これまで石木ダムの建設に当たりましては地元で反対をされる方々がおられ、そういった中で、県の方が御理解をいただくべく進めてきたというふうに認識しております。

 さらに、現時点においても、事業主体の長崎県により、反対されておられる地権者の皆様方との話し合いが行われている状況にあるというふうに認識してございます。

赤嶺分科員 大臣の認識を伺います。

前田国務大臣 これは知事さんがおやりになる事業でありますから、今のやりとり等も聞きながら、過去の歴史も、今委員の御指摘のようなことがあったということも承知はしておりましたが、なるほど、長いこのダム事業の経緯の中で随分いろいろなことがあり、つらい思いを地権者にさせてきているのだなということも改めて認識をした次第であります。

 この事業そのものは、やはり長崎県にとって、これは大村市になるんですか、下流は。(赤嶺分科員「川棚町です。大村の近くです」と呼ぶ)はい。水没地は川棚町で、下流の受益をする地帯、町場が大村市ということだというふうに承知をしておりますが、どうしても上下流の、犠牲になるのが上流で、そして治水の安全度を上げる、要するに洪水等があったわけでございますから、利水の受益をするのもまたこの町場でありますから、上下流の問題というのは常について回るわけでありますね。その間、いかに県なりが、その流域の一体感というものをどういうふうに醸成していくかというようなことが非常に重要なわけでございます。

 今のお話を聞いていると、十三人の地権者という方の反対というものが今も非常に強固にあるということはわかるわけでございますが、しかし、事業そのものの判断というのは、流域の全体のことから見てどのように判断するかというのは、やはり地元の合意というものが一番重要ではないか、このように思います。

赤嶺分科員 上下流の受益の問題あるいは流域の問題ではないんですよ。地権者はだまし討ちされたんですよ。人を虫けらのように扱ってと。こういうような仕打ちをして、流域の問題について理解してほしいなんて、そんなの不可能ですよ。

 私、もう一つ聞きますが、昨年の三月には、県の検証過程において地権者との意見交換の場が設けられました。これは県から設けたものではなく、地権者の側が何回も申し入れをしてきた結果として開かれたものであります。

 意見交換の場は、予定時間を大幅に上回る六時間近くに及びました。そこでは地権者の側から、こうした歴史的経緯はもちろん、ダム建設の必要性をめぐってさまざまな意見が出されました。

 県が治水上の必要性として挙げている流量自体が根拠を欠いたものではないか。佐世保市が利水上の必要性として挙げている水の一日当たりの必要量についても、人口の減少や節水型機器の普及で実績が下がっている、今後ふえるとしているのはおかしいではないか。ダム建設が漁業や観光に悪影響を与えることはないのか、五月の上旬からは蛍が飛び交い、田んぼやかわもに映る幻想的な光景がダム建設によって壊されてしまうのではないか。こういう意見が、地権者との懇談会の中でるる述べられたわけです。

 こうした地権者の意見、県の報告書が届いていると思いますが、どのように書かれているんですか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、石木ダムに関する検討については、長崎県が平成二十二年九月から検討を始め、そして、この検討の場においてパブリックコメント、あるいは地権者との意見交換、あるいは関係住民の皆様方への説明会、さらには学識経験者、関係利水者、関係地方公共団体の意見聴取を行って、その結果として県の対応方針が示され、国土交通省の方に報告されたところでございます。

 治水あるいは利水、それから環境等に関しまして、県の方では幾つかの代替案を検討する中で、こういったものを総合的に評価した上で報告をいただいたところでございまして、国土交通省といたしましては、この報告がいわゆる中間取りまとめにのっとって検証されているかどうかということを有識者会議の評価を伺った上で、今後、対応を決めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺分科員 今、局長は、その報告書の中に地権者の意見がどのように書かれているかということを聞いたんですが、別のお答えでありました。

 六時間にわたって地権者が述べた意見。川棚川の治水安全度について。佐世保市の利水の必要性の検証について。佐世保市の漏水対策について。川棚川に生息する生物に対する影響について。反対者の切実な思いが資料に反映されていない。

 わずかこの五点、五行ですよ。箇条書きで、地権者との意見交換会の場で出た意見というのは箇条書きで五行。六時間に及ぶ協議で、地権者から具体的にどういう意見が出て、それに対する県の見解はどういうものなのか、全く示されておりません。

 私は、アセス法について、沖縄の基地問題で十何年も取り組んでまいりましたけれども、こういう疑問について箇条書きで出るような行政の態度というのは初めてで、大変な驚きです。

 もう一点聞きますが、県の対応方針の策定を受け、昨年六月には県公共事業評価監視委員会の意見書が出されております。評価委員会では、ダムの必要性や実現性をめぐってさまざまな意見が出されました。しかし、委員長の、意見は意見として現行案で継続したいという采配で、県の対応方針どおりに認めることを決定いたしました。一方で、審議過程において多くの議論が交わされたことについて留意されたい、このように述べて、次の意見を紹介しております。

  事業着手後長期に亘り用地取得が完了していないという事実を鑑みると、実現性の評価において、現行計画(ダム案)が、今後新たに用地取得が必要となる代替案と比較して勝るとは考えにくい。

  利水代替案の比較における維持管理費の算出において、一日最大給水量の確保を前提としているが、現実的な前提とは考えにくい。

  治水計画や利水計画などについて、地権者の理解を得る努力を求める。

 まさに、今、ダム問題を考える際の核心中の核心的な問題が、この評価委員会の監査評価報告書の中には書かれているわけです。具体的に、地権者の理解を得る困難さというのも書かれております。

 こうした点、県の報告書では入っているんですか、入っておりませんか。

関政府参考人 先ほどの件とあわせて御報告をさせていただきます。

 三月六日に、地権者の皆様への県の説明会というのがございました。このときの議事録、速記録につきましては、附属報告書ということで県の報告書につけていただいておりまして、こういった県の検証過程における御議論というのも附属報告書という形でつけていただいているところでございます。

赤嶺分科員 この評価委員会はどうなんですか。

関政府参考人 評価委員会の概要ということにつきましては、主な意見等ということでつけていただいておりますが、議事録そのものがついているかは、申しわけございません、今確認をさせていただきます。

赤嶺分科員 県の報告書には、継続するという結論しか書かれていないんですよ。さっき私が述べた部分は書いてないんですよ。

 それから、地権者との懇談会は議事録として出されると言いましたが、百ページにわたりますよ。百ページにわたるものを有識者の方々がその場でいただいて、ちゃんと判断できるんですね、議事録を全部読んで。これは非常に疑問であります。

 大体、二時間で四つのダムを検証しよう、一ダム当たり三十分というような割り当てになっていたわけですよね。大臣、こんなやり方はおかしいですよ。検証した、したと言いながら、まともな、地権者の意見について本当に検証をされていないと思うんです。

 私は、こういうことが何で起こるかというのを考えてみたんです。皆さんのいろいろな文書も見ました。そもそも、長崎県が再検討するに当たって、ダムの必要性を改めて検証したんですか。

関政府参考人 今回のダムの検証、全国で八十三を進めているわけでございますが、そういう意味では、それぞれの検討主体で検証を進めるに当たり、治水、利水、環境等にわたり各種の案を比較検討する、その中にはダムによらない案を必ず含め、その上で総合的に評価した上で検討を進めるということにしており、この石木ダムについても同様に行われたというふうに考えております。

赤嶺分科員 そうしますと、検討主体である長崎県が出した資料によりますと、「平成十八年度に整備計画策定以降、現在まで大きな洪水は発生しておらず再点検の必要はない。」このように言っています。

 ダムの検証をすると言いながら、現在の整備計画は変えない、これでまともな検証ができるはずがないんじゃないですか。どうですか、大臣。

津川大臣政務官 今回のダムの検証のスキームの中では、事業主体がまさにその検証をするという形になっております。

 ただ、私どもはもともと、できるだけダムによらない治水というものを希求する中で、今回、ダム事業につきましては検証する、あるいは検証していただくということを決定させていただいたわけでありますが、その中では、まさに、これまで建設を進めてきたかどうかといったようないわゆる予断を持たずに、一切の予断を持たずに検証していただくというのが大原則であります。

 また、先ほども先生から御指摘をいただきましたが、いわゆる有識者会議の中でチェックをしていただく予定になっておりますが、これはまさに共通的な考え方に基づいて検証がされたかどうかということであります。その中には、例えば、多く幅広い方々の御意見を聞かなければならないというのは、もともと考え方の中に示させていただいているところでありますが、聞いたけれども、それでおしまいということではそもそも検証の考え方にのっとっていないということは、もともとこの中間取りまとめをする前に議論をいただいていたところでございます。まさに次回、改めて今後の治水のあり方に関する有識者会議を開いていただく中で、そういった検証がされたかどうかをしっかり見ていただくことになります。

 二時間という話がございましたが、資料は事前に各委員の皆様方にお渡しをして、細かく全部見ていただいた上で御意見を出していただく予定で進めているところでございます。

赤嶺分科員 検討主体である長崎県の資料によりますと、「平成十八年度に整備計画策定以降、現在まで大きな洪水は発生しておらず再点検の必要はない。」と。検証することが目的の会議で、検討の必要はないという前提で会議が進められている。これは結局、整備計画そのものについて出した有識者会議の問題もやはりあるのではないかと私は思っています。

 そもそも、この検証を行った検討主体は誰なのかという問題について伺いたいんですが、石木ダムの検証を行った県の直接の担当者である土木部長、これは国交省からの出向者ではありませんか。

津川大臣政務官 今、長崎県の土木部長、平成二十三年四月から国土交通省の者が出向しております。

赤嶺分科員 県が主体となって検証を行ったといいながら、実際には再検討の必要はないという方針が出されたりしている。ダム建設ありきで検証を進めてきたのじゃないかと言われても仕方がない事態だと思うんですね。

 私は、改めて、総務省が毎年公表している国と地方公共団体との間の人事交流状況から、二〇〇一年以降の十一年間の出向状況を調べてみました。土木部長は、二〇〇四年と二〇〇五年を除き、ずっと国交省からの出向者で占められています。副知事については、例外なく国交省からの出向者が認められております。まさに国交省の指定枠のようなものではないか、こういう意見を言わざるを得ません。

 現在の整備計画に基づいて検証するといえば、結論は、結局、ダム建設ということになります。国の基準のあり方そのものがおかしいと思います。大臣、いかがですか。

前田国務大臣 検討の場というのは県に設けられているわけですね。そして、その検討の結果が国交省に上がってきて、有識者委員会において、その検討のプロセスに瑕疵がなかったかどうかをチェックする。こういうことでありますから、まずは、地元の長崎県におけるその検討及び事業の評価というものの客観性がどう担保されているのか、その辺のところも有識者委員会においていろいろと検証をしていただけるもの、このように思っております。

赤嶺分科員 この有識者委員会のあり方という中で、結局、整備計画に基づいて検証していくということになったら、ダム建設にたどり着かざるを得ない、こういうことに今なっていると思うんですよ。

 本当に、県からの報告書もまともな内容ではない。ダム建設の事業が、そもそも地権者の住民をだまし討ちにするような形で始められた計画。五十年反対してきています。そして、県が主体となって検証するといいながら、実は、その県の検討主体の中は国交省からの出向者によって占められている。こういうあり方を根本から見直さない限り、ダムによらない治水計画という民主党の公約、これは本当に国民にうそをついた、国民をだましたと言われかねない、そういうことを強く指摘して、質問を終わりたいと思います。

村越主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時六分散会


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