衆議院

メインへスキップ



第2号 平成25年4月15日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十五年四月十五日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石田 祝稔君

      秋本 真利君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    木内  均君

      小島 敏文君    斎藤 洋明君

      桜井  宏君    薗浦健太郎君

      田所 嘉徳君    武村 展英君

      細田 健一君    若宮 健嗣君

      大島  敦君    大西 健介君

      奥野総一郎君    辻元 清美君

      上野ひろし君    重徳 和彦君

      西岡  新君    井出 庸生君

      柿沢 未途君    三谷 英弘君

   兼務 大口 善徳君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 佐々木憲昭君 兼務 畑  浩治君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   国土交通副大臣      梶山 弘志君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   文部科学大臣政務官    丹羽 秀樹君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官

   兼復興大臣政務官     坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  田中 博敏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     佐川 宣寿君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁長官)      井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     桜井  宏君

  金子 一義君     細田 健一君

  辻元 清美君     大西 健介君

  重徳 和彦君     上野ひろし君

  柿沢 未途君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     薗浦健太郎君

  細田 健一君     斎藤 洋明君

  大西 健介君     奥野総一郎君

  上野ひろし君     宮沢 隆仁君

  三谷 英弘君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     木内  均君

  薗浦健太郎君     小里 泰弘君

  奥野総一郎君     大島  敦君

  宮沢 隆仁君     中丸  啓君

  井出 庸生君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     武村 展英君

  木内  均君     田所 嘉徳君

  大島  敦君     辻元 清美君

  中丸  啓君     西岡  新君

  椎名  毅君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     秋本 真利君

  武村 展英君     小島 敏文君

  西岡  新君     重徳 和彦君

  畠中 光成君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     金子 一義君

  小島 敏文君     大塚 高司君

  椎名  毅君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  畠中 光成君     柿沢 未途君

同日

 第一分科員佐々木憲昭君、第四分科員浜地雅一君、第六分科員大口善徳君及び第七分科員畑浩治君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井宏君。

桜井分科員 おはようございます。

 自由民主党の桜井宏でございます。

 きょうは、早くから大臣ほか政務官にお越しいただきまして、また質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、大臣と同じように、大学、大学院で土木をやっておりました。それで、私の専門は土木のコンクリート工学です。コンクリートから人へということがありまして、私も相当、これはやはり自分がコンクリートの必要性を説明しなければならないなと思いまして、一人一人、国民を説得しなければならないものと思いまして、政治家になることを決断させていただきました。

 それで、今、大臣、国土交通省ほか国が一丸となりまして日本の国土強靱化政策を立案しております。東日本大震災がございまして、これはやはり国民が大変心配していることなので、特に今後の東海、東南海、南海地震、資料を用意させていただきましたけれども、これは周期的には大体百年から百数十年周期ということで、いつあってもおかしくない状態になるかと思います。

 こういったことに関しまして、東日本大震災では、高速道路ネットワーク、高速道路自体が津波からの避難場所になったこともありますし、また、復興の際に東北自動車道が非常に重要な役割をなしたかと思いますが、どうぞ、今後の高速道路のネットワークと道路整備の重要性、そういったところの大臣の御所見をよろしくお願いいたします。

太田国務大臣 御専門の先生が国会に来られたということは大変力強く思っておりまして、これからもまた御指摘いただいたり御指導いただければというふうに思っているところでございます。

 東海、東南海、南海、また日向灘を入れまして四連動地震、これは本当に対応していかなくてはならない喫緊の課題。私は、なかなかこれに対して危機感がどうも全体的には薄く、そして、現地の皆様方は大変苦労しながらこの対応をどうしようかということを悩み、今、急ピッチで対応を進めているということを承知しているわけでございます。

 道路はつながって初めて道路と言われるということで、先生、北海道御出身ということも聞きまして、そういう意味では、北海道におきましても、また何よりも先生の選挙区の三重県、そしてまた静岡等々におきまして、第二東名ができました去年の四月に、私は、地震に対してリダンダンシーということで、ちょうど由比、蒲原のあたりで海に迫っていますから、第二東名ができたということはそうした観点からも大変いいということを言わせていただきました。

 三・一一以降、初めて、道路というものは選択肢があるということが大事であって、リダンダンシーということが言われるようになったということは極めて重要なことなんですが、そういう意味からいきまして、道路というものは、つなげる、そしてリダンダンシーという観点を常に持っておかなくてはならない。

 しかも、高速道路におきましては、脆弱国土日本ということからいきまして、全長のうち、実に二四・六%がトンネルとか橋梁ということです。それに対して、アメリカではそれが七%、フランスに至っては二・六%というデータが出ておりまして、この脆弱国土の中で、リダンダンシーというものも考えた高速道路あるいは道路整備ということが極めて重要だというふうに認識をしております。

 三重県におきましても、津波が予想される地域における紀勢線や国土の大動脈のリダンダンシーを確保する新名神高速道路など、こうした整備が非常に必要であると認識をしておりまして、またよく連携をとり合って対応したいというふうに思っております。

桜井分科員 いろいろ高度なところからの大臣の御答弁、ありがとうございました。

 それで、三重県は中部に相当するんですけれども、資料の一ページ目の下側でございますけれども、最近、日本の道路、それから港湾のネットワークの問題がちょっとありまして、特に、道路のほかに港湾の整備。特に、日本に阪神・淡路大震災があった後、神戸からどんどん釜山とかあるいは上海の方に、アジアの貨物の集積地が移りつつある。それで、いろいろ国交省の方から資料をいただきましたら、それが大変大きなシフトになっておりまして、それの一つの原因としては、道路と港湾の連結性が余りとれていない。

 それで、一ページ目の下の絵なんですけれども、先ほど大臣の方から御答弁いただきました、従来の名神のほかに、新名神あるいは東海環状等、いろいろ道路がありますけれども、非常に交通量がこちらは多くて、背後には、シャープさんですとかあるいはホンダさん、それから富士通さんとか、日本の基幹産業の物づくりの現場がございます。

 それで、一昨日も私の選挙区、いろいろ地元の様子を見たり、あるいは有権者のお話を聞きに行くんですけれども、例えば津の方面から四日市あるいは桑名の方に向かうのに、高速道路に乗ってしばらくするとぴたっととまって、二十キロぐらいのところが、渋滞すると大体一時間ぐらいかかることもございます。相当渋滞の状況がひどくなっております。

 二番目の質問になりますけれども、今言ったことから、これらの幹線道路の渋滞の問題、それから、そういうときに地震あるいは津波が来ると避難すらできない、そういった状況にあります。それから、幹線道路が混むと、高速道路から下におりて国道に行く。国道も、国道一号線、天下の国道一号線なんですけれども、まだ片側一車線の部分が相当ありまして、それで、その国道からさらに地元の抜け道、そういったところに車が全部回って、そしてその地域一帯が交通麻痺を起こしてしまう。地元の市民、住民は、こういうときに地震が来たり、あるいは津波が来たりしたらどうしよう、そういった不安を重ねております。

 それで、先ほどお話を聞きました新名神、東海環状、それから国道一号線のバイパスになります北勢バイパス等に対しまして、大体どれぐらいの見通しが立つのか。成長戦略にも、渋滞しているようでは日本の物づくりの主力産業と港をつなぐことができないので、そういったところの見通しについてお話しいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

前川政府参考人 三重県北部地域の幹線道路の整備状況について御説明をさせていただきます。

 三重県北部地域は、委員御指摘のとおり、物づくり産業が集積しておりますし、国道、幹線であります高速道路から地域の幹線である国道一号、二十三号が集中しております。また、四日市港からの物流の交通も集中しておりまして、交通の要衝として渋滞が大変激しくなっているというふうに思っております。

 このため、主要な幹線道路の整備を進めておりますが、まず新名神高速道路につきましては、名古屋市と神戸市を結ぶ全長百七十四キロの道路でございまして、三大都市圏を相互に結び、人の交流と物流を支える大動脈であると同時に、委員御指摘のように、東名阪自動車道が四日市から鈴鹿にかけまして慢性的な渋滞を引き起こしておりまして、それの解消のためにも大変重要な路線だと考えております。

 現在、四日市ジャンクションから亀山西ジャンクション間、延長三十二キロでございますが、中日本高速道路株式会社において、用地買収並びに工事を推進しているところでございまして、平成三十年度までの供用を目指して整備を進めているところでございます。

 続きまして、東海環状道路でございます。

 東海環状自動車道、延長約百六十キロでございますが、愛知、岐阜、三重の三県の都市を環状に連結をいたしまして、新名神高速道路や伊勢湾岸道路と一体となりまして広域的なネットワークを形成する道路でございます。西側の整備がおくれておりますが、昨年の九月に大垣西インターから養老ジャンクション間、延長約六キロが供用をしております。

 また、現在、国並びに中日本高速道路株式会社において、事業中の三重県の東員インターから四日市北ジャンクション間、約二キロにつきましては、平成二十七年度の供用を目標としているところでございます。その他の区間につきましても整備を促進してまいりたいと考えております。

 続きまして、国道一号の北勢バイパスでございます。

 国道一号の北勢バイパスは、延長約二十一キロでございまして、三重県の四日市市を中心とする北勢地域の渋滞緩和、また交通安全の確保並びに地域開発の支援に資する重要な道路であると考えておりまして、これまでに全体の約三割、七キロを供用しているところでございます。

 残る未供用区間につきましては、現在、調査設計や用地買収及び工事を推進しておりまして、このうち四日市市垂坂町から市道日永八郷線間につきましては、平成二十六年度の供用を目標としております。残る区間につきましても、引き続き、地元の協力をいただきながら整備の促進に努めてまいりたいと考えております。

桜井分科員 どうもありがとうございました。

 それからあと、一部道路については、港地区がありまして、港湾整備の方からの位置づけになっている道路もございます。それで、先ほど言いましたように、港から高速道路の物流。

 それからあと、コンビナートがありまして、そこに現在は橋が一カ所しかありません。万が一その橋が落ちたりした場合、あるいは避難経路のリダンダンシー、代替線といったところから、やはり橋は複数ないと、そこに非常に規模の大きい石油の精製基地あるいは化学薬品工場、そういったものがありまして、そこの従業員の方も、万が一津波が来たとき、我々は逃げられるんだろうかと。

 それから、ふだんは石油精製あるいは化学薬品等を積んだ貨物が滞って、なかなか幹線道路まで行かない、それで幹線道路上で渋滞しているというような状態がありまして、そういった危険物等があった状態で渋滞するというのは、地震があった際にも非常に危険な状況になるので、そういった港湾に附帯する道路についても早期に整備をお願いしたいというのが地元の要望でございます。

 それにつきまして、港湾の担当の局長からお願いできればと思います。よろしくお願いします。

山縣政府参考人 ただいま先生の方から、四日市の特に道路、臨港道路についての御質問でございました。

 まず、四日市港でございますが、この港は石油化学を中心とした産業が集積しておりまして、昭和三十年代の高度成長期から中部圏を代表する工業港として発展してまいりました。物流機能の強化あるいは港内の各種施設の老朽化への対応というものが急務だというふうに考えてございます。

 特に、御指摘のように、物流機能の強化という観点では、港湾と背後道路とが一つの橋梁のみで結ばれているということから、朝夕を中心に発生している渋滞の早期解消が求められております。

 このため、四日市港では、この橋梁の渋滞解消による物流効率化を図るとともに、災害時の物流機能の確保のため、臨港道路霞四号線の整備をしているところでございます。

 四日市港背後や三重県内の産業活動の競争力強化のためにも、この臨港道路の整備を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

桜井分科員 どうもありがとうございました。

 いずれの道路にしても、現にいろいろ物つくりの現場、特に桑名では、コンピューターの「京」がありましたね、富士通でそれの素子の工場がありまして、それが量産の体制になればいいんですけれども、ならないと生産を縮小する、あるいは中止するというような状況もありまして、常に国際競争にさらされている状況にあります。

 それで、できるだけ前倒しにしていただけると助かります。全ての産業が国際競争に負けてしまって、その後道路整備ができても有効な投資となりかねるので、これは日本の国の最先端の物づくり、それから世界に輸出する、日本の非常に大事な黒字を出すものでございますので、ぜひとも早い整備をよろしくお願いいたします。

 それから次に、特に橋の中の、二ページ目ですね、これは例えば国道一号線の伊勢大橋でございます。これは昔の旧内務省基準ですか、日本には昭和一桁台につくった橋、非常に立派な橋があります。名橋のほとんどはこの年代につくられたものでございます。恐らくは、関東大震災がありまして、日本の設計法を、その耐震の設計が大分基礎的なところからいろいろ研究が進んで、それの成果がこういうような橋になったかとも思います。

 例えば東京では隅田川の、いろいろ川にかかっている、勝鬨橋とか、そういったすばらしい橋がこの年代につくられたもので、恐らく当時は、戦車だとかそういった軍事用の車両が通っても大丈夫なようにというようなものでできていると思います。

 しかし、この橋がなかなか、これは絵を見ていただきますと、ちょうど真ん中辺ですね、橋の桁を支えるところの、支承というんです、大臣もお詳しいと思うんですけれども、これはシューともいいますけれども、そこのところが腐食してきたり、かなり厳しい状況にあります。耐震工事は数年前にしているというふうに聞いておりますけれども、かなり厳しいところでございます。

 そして、その下の図なんですけれども、地盤沈下とか、それによって河川が洪水を起こすと、計画高水位、計画高潮位を橋の桁のところがやや下回っているところもございまして、これはやはり早く進める必要があるかというふうに思います。

 ただ、この橋もすばらしい橋なので、隣に新しい、下流側に国道一号の片側二車線以上の道路が計画されているようですけれども、この橋も土木遺産として何かの形で残ると地元の宝にもなるかというふうに思っております。私も土木学会の土木遺産の選定委員をやったことがございまして、これはなかなかすばらしい橋だというふうに思います。

 しかし、片側一車線のこの橋は、地元の国道一号線の渋滞のネックになっておりますので、河口の方に予定しております新しい橋、すぐそばですね、ぜひとも一日も早くこれをつくっていただくのが地元の懸案事項でございます。

 それから次に、大臣がおっしゃられまして、私も感銘して聞いていたんですけれども、やはり地域の医者として、地域の建設業が地元に貢献をする必要があるだろう。それで、地元のインフラの維持管理、それから防災を担うのがやはり地元の建設会社なんですけれども、なかなか地元の建設会社、公共工事も長い間抑制することがございまして、非常に経営が厳しくなっております。

 それから地元の経済にも、昔は建設業というのは担い手の役割を果たしていたんですけれども、なかなかそれもできなくなってきている。特に、そこで働いている職人さんとか専門家、そういった方がいなくなってきている。ほかの仕事に転職された、あるいはそこにいて頑張っておられても、相当平均年齢が上回っております。

 それからあと、国土強靱化で、十年の間いろいろそういった計画をしていただくということは、建設会社にとってはうれしいことなんですけれども、ただ、新卒の学生さんを採ると、大学の土木を卒業して十年たつと、これから現場の代理人、所長になる。そうすると、十年間しか仕事が続かなければ、なかなか若手も採りかねる。若い人もその仕事につきづらい。

 それで、そういった建設業の将来についてどのような形で展望が、あるいは国土防災上の観点からどのように進めていくのか、そういったところの御所見をよろしくお願いいたします。

前川政府参考人 前半の伊勢大橋のかけかえについて御説明を申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国道一号の伊勢大橋につきましては、昭和九年ということで、もう七十八年が経過しておりまして、大変老朽化しております。また、この地域は大変地盤沈下の激しい地域でございまして、先ほど御指摘のように、計画高水位を橋桁が侵しているというような状況もございますし、二車線の道路ということで大変渋滞もしておりますし、この断面を見ましても、歩道がほとんどとれていないというような状況でございます。

 数年前にリフレッシュ工事をやりまして、安全性については確保した上で修繕をしておりますが、国土交通省といたしましては橋のかけかえを計画しております。

 ただ、橋のかけかえに当たりましては、長良川と揖斐川の河川の中に橋脚をつくる必要がございまして、これにつきまして内水面漁協の皆さんの御理解がまだ得られていない状況になっております。早急に漁業関係者の御理解をいただきまして、整備が進むように地元調整を図ってまいりたいというふうに考えております。

桜井分科員 地元の方もいろいろやりますので、よろしくお願いいたします。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、地域の建設産業は、インフラの整備、維持でございますとか、あるいは災害対応、こういったことを行う地域の守り手でございまして、また、地域の経済、雇用も支えるという極めて重要な役割を果たしていると考えております。

 ところが、近年の建設投資の急激な減少などによりまして大変厳しい状況にございまして、お話がありましたように、若年の入職者も大幅に減少しているという状況でございます。

 三重県の状況を拝見いたしましても、平成二十三年度の建設投資がピーク時に比べて約六割減ということになっておりまして、許可業者数が二割減にとどまっているということからも、その結果として、過当競争によりまして大変厳しい状況にあるというふうに認識しているところでございます。

 こうした中で、地域の建設産業の経営の安定化を図るためでございますけれども、まずは、何といいましても、地域で計画的に事業が行われていくということが必要だと考えております。その上で、ダンピング対策でございますとか、あるいは適切な地域要件を設定することによりまして、地元の建設企業の受注機会の確保を図っていく。あるいは、入札契約において地域への貢献状況を評価する、例えば防災協定を結んでいるかどうかといったようなことで貢献状況を評価する。そういうことを通じまして、建設産業の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

 あわせて、若年入職者の積極的な確保が必要なことから、社会保険への加入の徹底や適切な公共工事設計労務単価の設定、これはこのたび大幅に見直しをさせていただきました。こうしたことによりまして就労環境の改善に努めてまいりたいと思っています。

 今後とも、地域で誇りを持って建設業を営めるような環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

桜井分科員 どうもありがとうございました。

 それで、今のそういったことの一つは、三枚目の資料でございますけれども、その下側ですね、特に大きな橋、もともと国あるいは地方公共団体が管理したような橋がありまして、それが地方の市町村に移管される。そうすると、工事の予算の確保が大変きつい状態にあります。

 それで、今回の法案で、国が大規模構造物の修繕、改築をやってくださるということは非常に助かるということであります。それで、その予算確保、市町村の方から強い要望が出ておりますので、これの計画を一層進めてくださることをよろしくお願いいたします。

 それからあと、今いろいろ局長の方から、地元の工事等ございましたけれども、それもなかなか、工事のロットの関係ですね、民間の業者が非常に利益の出づらい構造になっている。せっかく工事をしても、なかなか、単価等、非常に黒字の出ない構造になっておりまして、それで最近は入札の不調ということも相当起こっております。震災のあった地域も相当多いんですけれども、一般の普通の地域でも不調の工事が非常に多くなっております。

 やはり、建設業も今まで相当体力を出してやっていたんですけれども、もういよいよ存続すら難しくなっている状況ということでございますので、この辺の建設業の将来、それから人材の確保、そういったところの御検討をぜひよろしくお願いします。

 よろしければ、大臣、将来についてもう一度コメントをいただければ大変ありがたく思います。よろしくお願いします。

太田国務大臣 御指摘のように、大変大事な仕事を担っていく建設業界がかなり疲弊をしてきている。また、いろいろ御指摘のありましたように、若い人がなかなか入らない、職人が育つということがない。長期的に仕事があるという見通しというものが一つ大事なことだというふうに思っております。

 また、町医者というお話がありましたが、地域の建設業にとりましては、私は、土木あるいは建築関係は誇りというものが非常に大事だというふうに思います。誇りがずたずたになってきたということもありますものですから、この間、渋谷駅で夜中に工事をやりまして、見事にやり遂げる。俺はやったんだという誇りが技術者の胸の中にできたんだというふうに私は思いますが、そういう意味で、この町は自分たちがメンテナンス、修繕、こうしたことについて守るんだというような、新たな、メンテナンスの誇りということも含めてやっていく必要があるというふうに思っております。

 予算やあるいはそうした誇りということも含めてしっかり支えて、いい仕事をしていただけるような、業界というものが見通しがきくようにということを強く思っておりまして、さまざまな手を打ちたいというふうに思っているところです。

 ありがとうございます。

桜井分科員 副大臣、それから政務官にもいろいろお話を聞きたかったんですけれども、時間がなくなりました。水曜日、また国土交通委員会で私の質問する時間を設けていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 きょうはどうもありがとうございました。

石田主査 これにて桜井宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、細田健一君。

細田(健)分科員 ありがとうございます。自由民主党新潟二区から初当選をさせていただいた細田健一と申します。よろしくお願いいたします。

 最初に、新潟二区の御紹介をしたいと思います。

 日本最大の離島である佐渡、それから新潟市の西南部にあります西蒲区というところ、これは本州有数の米どころでございますが、その西蒲区からずっと新潟の海岸線に沿った区域でございまして、燕市それから長岡市の海岸線の部分、それから柏崎、刈羽、これは世界最大の原子力発電所がございますが、柏崎、刈羽を含む地区でございます。

 本日、諸先輩から、分科会では地域の課題をばんばんやれというふうに聞いておりますので、ばんばんやらせていただきたいと思いますが、その前に、実は、いろいろ細かい質問をして一番最後に大臣の御所見をというようなことを予定していたんですが、きょうは、拝見したら、審議が十一時間続くんですよね。ですから、大臣、大変だと思いますから、最初、三、四分、大臣にぜひ聞いていただきたいことについて私がしゃべりますので、それが終わればもう自由に御退席いただいて結構ですので、最初に、三、四分だけ耳を傾けていただければと思います。

 それで、大臣にぜひ御理解をいただきたいんですが、私の地元新潟二区は、御党の国対委員長である漆原先生の御地元でもありまして、漆原先生は燕の御出身でいらっしゃいます。それで、私も今、燕市の市民なんですが、まさに私の住居から本当に車で三、四分のところに漆原先生の事務所もございまして、親しく御指導をしていただいているところなんです。ですから、私が申し上げたいのは、るる申し上げますが、これは漆原先生の地元の課題でもあるということをぜひぜひ御理解をいただきまして、また前向きにぜひ御指導いただければというふうに考えております。

 それで、きょうは、新潟二区内の国道八号線のバイパスの問題、これは柏崎市です。それから、百十六号線のバイパスの問題、これはまさに漆原先生の地元、私も住んでおります燕市の吉田地区それから分水地区の関係でございますが、まずそれについて取り上げさせていただきたいと思っております。

 それで、特に百十六号線のバイパスの問題なんですが、着工がおくれにおくれておりまして、一方で、この百十六号線のバイパスができるという前提で、既に市役所あるいは警察の新庁舎というのが建設終了いたしました。

 ことしの四月から供用開始ということなんですが、今何が起こっているかというと、田んぼの真ん中、農道しかないところにいきなり市役所の建物ががんとできてしまっているんですね。アクセスの道路というのが本当に不便な形になっております。地元では、田んぼのど真ん中、道もないところに市役所をつくって、これは県とか国は一体何を考えているんだという、ある意味、パブリックセクターの無能の象徴のような感じになっておりまして、これはぜひ大臣、前向きに御指導いただきたいと思います。

 ただ、実は、百十六号線のバイパスというのはいわゆる県管理の国道でございまして、一義的には県に責任があるわけでございます。

 私の理解では、なぜ着工がおくれているかというと、この百十六号線、いわゆる同一県内に始点と終点がある県管理の国道でございまして、これを地方分権の流れの中で、いわゆる建設の費用負担等々について、地方分権との絡みで国と県の役割分担をどうするかという問題提起が行われまして、基本的には、国のスタンスも県のスタンスも、分権の議論が決着がつくまでは、要するに後年度の費用負担の問題というのが生じてまいりますので、なかなかその着工が難しいというような御見解のようなんです。

 これは市民に言わせると、市民は全くそういうことは関係ないわけでございまして、およそその議論が決着がつく、つかない、あるいはどうなっているんだというようなことを国あるいは県の間でがたがたがたがたやっている間に、市役所の建物ができちゃう、警察の建物ができちゃう、周りは田んぼしかないというような状況になっているわけでございます。

 私の立場からいいますと、少なくとも調査だけでも。後年度の費用負担の問題、建設の費用負担あるいは管理の費用負担の問題というのは当然ございます。ただ、それを決着がつくまで調査もしないということになりますと、これはもう本当にいつになったら道ができるんだという強い市民感情の不満がございますので、ここは少なくとも調査にだけでもぜひ取りかかっていただきたいというふうに考えております。これはなかなか難しいところはあるんでしょうけれども、少なくとも後年度の費用負担の問題については、別途、国と県が誠意を持って話し合うというような合意をとりあえず結ぶということもあり得るのではないかというふうに考えておりますので、この点、ぜひ御配意をお願いしたいと思います。

 ちなみに、前川道路局長、いらっしゃっていますね。前川局長は前職が北陸地方整備局長でございまして、よく御存じでいらっしゃいますから、ぜひ道路局長のレクチャーを聞いていただくようにお願いをしたいと思います。

 それからあと、離島振興。先ほど申し上げたように、私は佐渡全域が選挙区でございます。佐渡は、今、人口が大体六万人ちょっとぐらいなんですが、毎年人口が二千人ずつ減っております。これは、いわゆる自然減が千人、それから、高校を卒業すると、皆さんやはり本土の方に進学、就職されますので、それで千人、社会減で千人ということなんですが、このままだと、三十年たつともう佐渡の人口はゼロになっちゃうんじゃないかというような話もあるくらいです。

 離島振興法が昨年改正をされて、これに基づいて新しい支援策等々を今、国土交通省が策定していただきましたが、やはり離島の立場から申し上げますと、確かに厳しい財政事情等々はあるんでしょうけれども、もう少し何とか知恵を絞っていただけないかというような声が非常に強うございます。この点についても、ぜひ大臣に御理解いただければというふうに考えております。

 とりあえず申し上げることは以上ですので、もう自由に御退席いただければと思います。答弁は特に結構ですので。

石田主査 ちょっと、大臣、せっかくですから。

太田国務大臣 御心配いただきましてありがとうございます。私、十分体力もありますので、大丈夫です。お話をしっかり聞かせていただいたと思います。

 今お話をいただいたことは、これからの日本の町をどういうふうにつくっていくか、全体の国土としてのグランドデザインというものもございます。人口が減少してくるということで、日本は、一平方キロメートルに全部切り分けるメッシュに分けますと、何と六六%が二〇五〇年には人口が半分以下になるというような人口減少社会を見据えた国土の姿というものをどうするか。あるいは、道州制ということを志向する方が多いわけですが、そうした中で、一体、その中核となる州都になるべきところ、つまり、経済も含めたエンジン役というものがそれぞれになければということを、どういうふうに配置するかという、力の入れ方ということもあろうと思います。

 また、佐渡のお話もございましたが、過疎地というのがますます過疎になっていきます。そうしたところが、それは必要ないということでは全くございません。その土地は固有のものを持っていて、そして、生きるということは、人間というものは、私は、その土地柄の文化を呼吸しながら生きる動物というのが人間である、その土地を離れてはその人間形成はできないというふうに思っておりまして、そこには、どういう過疎というものと、医療や教育のシステムというものをどうつくるかという、そうした過疎地域の道路をも含めたリダンダンシーという、選択肢が多いというようなことも必要になります。

 世界の都市間競争という点もございます。世界の都市間競争の中で勝ち抜いていけるという大都市をさらに一層新しい形でつくり上げていく。そして、州都というものがエンジン役になるようなものにしていく。そして、県都、県市、あるいは県の県庁所在という今のところが、そこのまさにエンジン役にどうなっていくか。そして、十万に至らない地域のそうしたものが、個性あるいは観光というものを生かしながらどういうふうに再編していくか。

 国土のまさに均衡ある発展と言われた時代は、もう私は間違った理念であろうというふうに思っておりまして、それぞれのところ、新潟県都、明治になりまして最も人口の多かった新潟県でございます。そうした中で、各市町村というものをどうして支援しながら再編して次の時代に向かっていくかということで、きょう御指摘いただいたことは、そうした意味で、私は、国もよく話し合いに参画をして、都市、道路、そして海のフェリーを初めとするそうしたことをしっかりつくり上げて、新しい美しい日本の国土をつくり上げていくということで、よく連携をとり合っていくということが大事だというふうに認識をしております。

細田(健)分科員 大臣、非常に大所高所の観点からの御答弁、本当にありがとうございました。

 当然、リソースも限られてきますし、選択と集中ということも必要になってくると思いますが、ぜひいろいろと御配意賜りますよう、また大臣の御健闘を心から期待をしております。本当にありがとうございました。

 それでは、余り時間もないんですが、用意した質問を簡単に、ぜひ簡潔にお答えいただければと思います。

 まず、柏崎市内の八号線のバイパス、これはもう工事着手から二十年たっているわけですが、今後の建設の見通しと早期開通に向けて、特に遺跡が出たりしているので、今度、県の教育委員会が対応すべきことになりますが、県が特に何をすべきかということについて御答弁ください。

前川政府参考人 国道八号の柏崎バイパスについてお答えを申し上げます。

 柏崎市内の交通混雑の緩和を目的とした延長十一キロの道路でございますが、現在、国道二百五十二号と国道三百五十三号の間、約三キロが開通しているのみでございます。残りの区間につきまして、用地買収でございますとか埋蔵文化財調査、また道路の改良工事、橋梁工事を推進しているところでございます。

 柏崎バイパスには、特に東側の区間でございますが、埋蔵文化財調査が必要な区間が多数存在をしておりまして、早期開通のためには、工事に先立って、新潟県教育委員会が実施する発掘調査のさらなる推進も必要であると考えております。

 引き続き、新潟県並びに地元の御協力をいただきながら、早期供用に向け、事業を推進してまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 よく県と連絡をとって、早期完工に向けて御配意いただければと思います。

 次に、先ほどお話ししました燕市内の百十六号線のバイパスですが、これは、調査も含めて、早期着工すべきというふうに私は考えておりますが、国土交通省の見解をお願いします。

前川政府参考人 燕市内の国道百十六号線のバイパス計画でございますが、過去に調査をやっております。平成十四年から十七年度にかけまして、パブリックインボルブメントということで、地域の皆さんと計画づくりを進めております。その後、吉田町地区のみちづくり・まちづくり提言書をいただきまして、地元説明会をやり、平成十九年の十月には、環境影響評価方法書の公告縦覧まで進んだところでございます。

 一方、当時、国と地方の役割分担の見直しの議論がございまして、地方分権ということから、国道百十六号につきましては、県内で完結する三桁国道だということもございまして、新潟県に移管する方向で今後さらに調整が必要な路線というふうに整理をされたところでございます。そのため、新潟県からの申し出により、バイパス計画につきましては、その取り扱いを含め、調整が必要だということで、国、県双方にて確認をした上で、事業化に向けた手続を中断したところでございます。

 その後、平成二十一年三月に、政府全体といたしましても、出先機関にかかわる路線の移譲に対する工程表が決定をされましたが、これにつきましては、二十一年九月の政権交代によりまして、事実上凍結をされたと考えております。また、その後、民主党政権になりまして、地域主権戦略会議ができまして、そこの場でさまざまな議論がなされたと承知をいたしておるところでございます。

 今般、さらに、自公政権になりまして、三月八日には地方分権推進本部が再開をされたということでもございますし、先週の金曜日、地方分権にかかわる有識者会議が発足をしたということでございまして、これら路線の移管について、どういう方向になるのか、この辺の状況をよく踏まえながら、また国と新潟県でよく調整をしていく必要があろうというふうに考えております。

 ただ、その関係で、委員御指摘のように、地元の市町村それから地域の利用者の皆さんに大変御迷惑というか御不便をおかけしているということについては、よく承知をいたしております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 よく御理解いただいていると思いますので、ぜひ早期着工に向けて、特に県とよくお話し合いをいただきたいと思います。私も、これは当面、県管理の国道ということでございますから、一義的な管理責任は県にあると思いますので、ぜひ県と前向きな方向でお話をいただくよう、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、離島活性化の問題について簡単に御質問させていただきたいと思います。

 離島振興法が昨年改正をされて、関係者の御努力に改めて敬意を表したいと思いますが、これを受けて、離島活性化交付金が十億円、本年度の予算案に盛り込まれたところでございます。ただ、これは、離島振興法の対象が二百五十の有人離島ということになっておりまして、十億円を二百五十で割ると一離島当たり四百万円ということになってしまうので、もちろん均等配分するわけではないでしょうが、やはり、ここはもう少し前向きな御対応を、来年度以降、ぜひお願いしたいと思います。

 この点については、実は担当局にちょっとお話をさせていただいたことがあるんですが、国土政策局全体の予算が少ないのでなかなかというようなお話もございました。そういうことであれば、局間を超えてさまざまな予算を手当てするとか分捕るというようなこともあり得ると思いますので、ぜひそこは国土政策局にも頑張っていただきたいと思います。

 まず、この活性化交付金、来年度以降、ぜひ総額の増加に努力をしていただきたいと思います。また、特に海上輸送費の支援については、これは非常に地元の期待が高いんですが、今のところ、その対象品目数が一離島当たり三であるとか、あるいは、補助率に相手の枠がはまっておりまして、この部分について、ぜひかさ上げをしてほしいという強い要望を聞いております。

 この点について、来年度以降、ぜひ御配意を賜れればと思いますが、国土交通省の見解をよろしくお願いいたします。

大森政府参考人 お答えいたします。

 まず、お尋ねの離島活性化交付金でございますけれども、離島振興法の改正を踏まえて、離島における地域活性化を推進し、定住の促進を図るため、二十五年度予算に盛り込んだところでございます。

 この交付金の創設によりまして、離島における雇用拡大等の定住促進、観光の推進等による交流の拡大促進、また、安全、安心な定住条件の整備強化等の取り組みを支援することとしております。

 先ほど、先生、予算のお話もありましたけれども、今後とも、当該交付金につきましては、先生の御指摘などを踏まえながら、より充実させるよう努力をしていきたいと思います。

 もう一つ、物資の流通の関係のお話もされました。

 この点につきましては、二十五年度予算、この交付金の中で、島の外に出荷する際の海上輸送費の補助を行って、輸送費用の低廉化を支援することとしたところでございます。この事業につきましても、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいというように思っております。

細田(健)分科員 ありがとうございます。ぜひまた前向きに取り組んでいただきたいと思いますし、必要があれば、私も地域の自治体とともに応援をしていきたいというふうに考えております。

 済みません、やや飛ばしてしまったんですが、今度、離島振興の基本方針の中に、特に文化あるいは福祉の分野が対象となったということなんですが、この離島活性化交付金の対象として、このような文化あるいは福祉分野も枠を広げて対象とすべきではないかというような声もあるんですけれども、これについての国土交通省の御見解をいただければと思います。

大森政府参考人 先ほど申し上げましたように、離島活性化交付金につきましては、定住の促進、交流の拡大促進、そして、安全、安心、この三つの項目から成るものでございまして、これらは全体として、離島における人口減少防止、定住の促進を図るという趣旨で定めたものでございます。

 この交付金の中にどういった形のものをこれから入れていくのがいいのか、先ほども申し上げましたように、先生の御指摘また公共団体の要望、いろいろなものを踏まえながら検討させていただきたいというように思っております。

細田(健)分科員 どうもありがとうございました。

 局長、大変恐縮ですが、もう一問だけ離島について。

 特に改正離島振興法の十二条に、いわゆる本土との輸送費あるいは往来の費用の低廉化というのが今回新たに盛り込まれた。とりあえず、活性化交付金の中で、今お話があったように、海上輸送費の、いわゆる物の移動に対する支援というのは盛り込まれたところなんですが、これも地元の声としては、本土に行こうとすると、当然、船に乗って運賃がかかるということで、これに対する何らかの補助をいただけないかという声も、私が地元に帰ると必ずいろいろとお伺いするところでございます。

 国土交通省の方でも、基本的には、いわゆる輸送事業を行っている事業者ないしは事業主体に対してさまざまな支援を行われているということなんですが、交通費について、直接的に住民の方ないし事業者の方、いわゆる直接的な支援あるいは補助のようなものを今後検討していただけないかと思うんです。

 改正離島振興法十二条を踏まえた費用の低廉化について、今後、どういうアイデアで進めていこうというふうに考えておられるのかということについて、国土交通省の御見解をいただければ幸いです。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、離島の住民の生活に必要な交通の確保と、島民の生活の利便性の向上を図るために、地域公共交通確保維持改善事業というので、先生今御指摘のございました運営費に対する補助というのを行っております。

 それから、御指摘の、人の往来に要する費用の低廉化についての取り組みにつきましては、この事業におきまして、離島航路それから離島航空路のそれぞれにつきまして、運営費補助とは別に、島民向けに実施されます運賃の割引に対して支援を行っております。

 これらの制度がきちっと御活用いただけるように、まずは必要な予算の確保と制度の周知も図ってまいりますし、さらなる取り組みにつきましては、国土政策局が担っております離島振興全体の枠組みの中で、我々も連携して検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。ぜひ前向きに取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 済みません、やや早口でしゃべったので時間が余りそうになってきたんですが、最後にちょっと一問、長目にしゃべって終わらせていただきます。

 二年以内に北陸新幹線が開通いたします。長野―石川間が開通するということで、これも非常に喜ばしいことであると思いますし、また関係者の方の御努力に心から敬意を表したいと思います。

 一方で、私も燕三条という新潟の一つ手前の駅を使っているんですが、いわゆる新潟方面に出る新幹線のダイヤがどういう形になるのかというのが、新潟、燕三条、長岡の区域の住民あるいは自治体の皆様方にとっては非常に強い関心事項になっております。ありていに言うと、北陸新幹線が開通することで、石川まで延びることで、新潟に行く本数が劇的に減らされるんじゃないかというような恐怖感があるわけなんです。

 これについては、JR東日本にお話を承ると、今のところ対外的には何もちょっと申し上げられる状況にないというようなことをおっしゃっておられます。当然のことながら、民間の会社ですから、最終的には需要予測等々を踏まえたJR東日本さんの御判断ということになるんでしょう。ただ、地域住民あるいは地域自治体の立場あるいは感情からしますと、最終的にダイヤがどういう形になるにせよ、やはり事前にきちんと、仮に本数が減らされるのであれば、その理由をきちんと示していただいて、合意をとるというのはなかなか難しいと思いますが、少なくともダイヤが正式に発表になる前に、事前に十分な御説明を自治体あるいは関係者にはいただきたいというふうに思っております。

 繰り返しになりますが、最終的には、当然、JR東日本という民間企業体の経営判断に基づいて決定されるということだと思いますが、この点について、ぜひ国土交通省の方から御指導いただいて、事前に関係者あるいは自治体の方に、ダイヤ編成に当たっては十分な根回し、あるいは意見を聞くような場を設けるように御指導いただきたいと思うんですが、国土交通省の御見解をいただければと思います。

滝口政府参考人 委員が今お話ありましたように、一般論として申し上げますと、新幹線の運転本数などの運行ダイヤの設定につきましては、第一義的には、鉄道事業者が、路線の利用状況などを勘案いたしまして、適切な設定を行うべきものだというふうに考えております。

 今お話のございましたように、長野―金沢間の北陸新幹線につきましては、平成二十六年度の末ということで開通を予定いたしておりますが、この開通後の上越新幹線のダイヤにつきましては、地元の関係自治体が関心を持っていることは承知いたしております。いただいた御要望につきましては、私どもからJR東日本にもお伝えいたします。

 地元のニーズにつきましては、地元からも直接事業者に伝えていただくということ、あわせて、地元においても利用者増につながるような取り組みをお考えいただくということが必要でございまして、こういった点についてJR東日本との対話に努めていただければと思っているところでございます。

細田(健)分科員 どうもありがとうございました。今御指摘があったように、地元としても自助努力するということは当然の前提だというふうに考えております。私も地元自治体の首長さんにお話を伝えていきたいと思っております。

 大臣、本当にありがとうございました、予定外の答弁までいただきまして。先ほどいただきましたが、確かに選択と集中も必要だと思いますが、他方で、まさに地域の方にはそれぞれの生活もございますので、ぜひこの点にも御配意をいただきまして、国土交通行政のかじ取りに邁進されますよう心から祈念をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

石田主査 これにて細田健一君の質疑は終了いたしました。

 次に、薗浦健太郎君。

薗浦分科員 自民党の薗浦健太郎でございます。

 きょうは、ありがたい時間をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 きょうは、通告に従いまして早速やらせていただきますけれども、首都圏には、道路に関して三環状九放射という考え方がございます。これが完成していないからこそ、渋滞による環境の悪化、それから経済的な逸失利益等々が頻発をしておるという認識のもとであります。

 外環道というものがございまして、この千葉県区間が平成二十七年度末開通を目指してただいま工事が進んでおります。この何年かの間、非常に予算措置が少なくて、ちょっとおくれているのではないかと地元では言われておるんですけれども、これは何としてでも二十七年度までに完成をしていただきたいということで、この完成目標は変わらないのかということと、それから、予算確保に向けていろいろやっていらっしゃると思いますけれども、まず、その関係の御答弁をいただければと思います。

太田国務大臣 外環は大変大事な道路だと思います。

 道路はつながらなければ意味がない。よく中身を吟味して、やるとなったらそこはきちっとやっていくということが大事で、交通渋滞の解消ということもあります。これは都心の部分の解消ということもございます。

 また、圏央道も千葉県は関係しているわけですが、そうした圏央道も、そこに道路ができますと周辺に工場がさまざまできるというような、いわゆるBバイCの中にカウントされないような状況も生まれていることは事実でございます。

 結論的には、今御質問にありました年度は、そのまま遂行して、実現するように頑張っていくということが基本でございます。

 用地取得もほぼ完了したことから、全面的に工事も展開しているところでありまして、引き続き、地元自治体の御協力もいただきながら、二十七年度の供用に向けて、変わりなく全力を挙げていくということを御報告させていただきます。

薗浦分科員 ありがとうございました。心強い御答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。

 外環が、実は完成がおくれている。当初に比べておくれているということでございますけれども、おかげで、例えば、あの外環の下に下水道の本管を入れるとか、外環の周りに雨水の管を整備していわゆる豪雨対策をやるということがすごくおくれております。

 市川市というのは、東京に隣接する自治体でありながら、下水道整備率がまだ六割台という状況が続いております。おかげさまで、外環ができますとこういう整備が一気に進むのでございますけれども、下水道の整備に関して、下水道事業、公共汚水、雨水を全部含めてですけれども、平成二十四年度の総予算が大体三十一億円というふうになっておるんですけれども、二十五年度は五十八億、そして二十六年度は百八億というふうに予算が倍々でふえていきます。

 これは一自治体にとっては極めて重たい負担でありますし、もちろん国庫補助、国の方からのお金がないとできないということになりましょうけれども、下水道、それから雨水、それからポンプ場も含めて、総合的に整備をしないと、豪雨が来ると、あのあたりはまだまだ水が出るということでございますので、そちらの方の予算確保もあわせてお願いをしたいと思っておりますが、答弁があれば、お願いします。

足立政府参考人 市川市の下水道についてお答えをいたします。

 市川市におきましては、現在、下水道の未普及地域の解消や雨水対策の推進、合流式下水道の改善などを目的といたしまして、下水道事業を積極的に進めているところでございます。

 特に、今後、委員御指摘のとおり、外環の整備の進捗にあわせまして一体的に下水道管渠を布設するなど、整備を加速させる必要があるというふうに聞いております。

 この事業は、外環周辺地域における未普及地域の解消や浸水安全度の向上の観点からも大変重要な事業というふうに認識してございまして、今後、国土交通省におきましては、市川市に対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 これは要望ですけれども、本管だけつくっても、横の面整備ができないと、住んでいる方々には何のメリットもないので、そこのところもぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、市川には行徳橋という橋がございまして、これは江戸川の水門、水を管理していまして、洪水、高潮等々の防波堤であると同時に、上流において大きな雨量が計測された場合には、そこの水門をあけて、海にそっちからも流すという機能を持っております。

 これが大変老朽化をしておりまして、今も実は補強工事をやっていただいているんですけれども、ここの上に道路があります。これが、水門の上の道路にもかかわらず、市川というところは非常に交通事情が悪いものですから、バスの路線にもなっている、車も通る、自転車も通る、人も通る。この自転車と人の通るところが非常に狭くて、転がって骨を折ったり、ぶつかったりというところが非常に頻発をしております。

 今、ここに新しい行徳の水門、それから新しい架橋をつくっていただく計画が進んでおりますけれども、新しい橋ができるときに、この前のお話ですと、今と同じような道路構造でつくる。当然、古い橋というのは、千葉県の方は廃止するのかどうか、これは県の判断になろうかと思いますけれども、今、事故がこれだけ起こっているのに、同じものをつくってさあどうするのだという根本的な疑問がございます。

 ここの、道路云々というのは、やり方はいろいろあると思うんです。例えば、今の橋を補強して、それを人が通れる、自転車が通れる橋として残す、新しい方で車を通すとか、そもそも新しいものを両方が安全に通れるように整備するとか、いろいろやり方はあろうかと思いますけれども、これは今のままのものが、同じようなのができて、それで古いのが崩れて何にもならなかったということでは全く意味がありませんので、歩道それから自転車道の拡幅もしくは今の橋を使えるということも含めて、抜本的な対策を講じていただきたいと思いますけれども、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

前川政府参考人 行徳橋についてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、行徳橋は昭和三十一年に行徳可動堰、これは国土交通省が設置をしております。この可動堰の上に千葉県が橋梁をかけて、今は一般の交通の利用に供しているというものでございます。

 行徳橋を管理する千葉県からは、可動堰の改修とあわせて橋梁を撤去し、下流側に新橋を架橋する計画だと聞いております。

 千葉県からは、旧橋の老朽化が著しいので、存置することは危険であるというふうに聞いておりまして、新しい橋の方では、現在の歩道が大変狭いということもありますので、自転車も通れるような広幅員の歩道をつけた橋にかけかえるというふうに聞いているところでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 この前の説明会では、ちょっとそういう話ではなかったものですから、そこはしっかり指導していただきたいと思います。

 橋というのは、地震のときに、特に私の市川、浦安、千葉県全体を含めて、東京に働いている方がその橋を渡って家に帰る。これは、埼玉、神奈川、千葉、全部そうでしょうけれども、そうした防災という側面もございます。

 ちまたでよく言われているのが、鉄道橋は除いて、人が歩いて帰れる橋に関して、東京と神奈川の県境というのは、非常に狭い範囲で、つまりどちらかに、下流か上流に一キロ半ぐらい歩けば必ず橋があるんだけれども、千葉と東京の県境は非常に橋が少ないという話をよくされます。

 実際的にそういうデータをお持ちであればお答えいただきたいんですが、ございますか。

前川政府参考人 多摩川との比較のデータはちょっと持っておりませんが、江戸川橋、千葉県と東京都の県境で申し上げますと、先ほど御質問のありました行徳橋の上で、人が通れる道路、したがって有料道路は省きますが、国道十四号にかかる市川橋まで五・七キロ、それから、さらに上流にいきますと、国道六号の新葛飾橋まで三・九キロということで、十キロ区間の間に国道十四号の橋しかないということで、そういう意味では、橋の間隔が大変長いというふうに認識をしております。

薗浦分科員 局長も千葉ですから、同じ認識を持っていただいていると思うんですけれども、大洲架橋、つまり市川の大洲防災公園と、それから江戸川区の、例えば篠崎の地域を結ぶ仮称大洲橋とか、幾つか架橋の整備計画があります。調査まで入って、東京都と千葉県が四年ほど前に話をしていたんですけれども、これが今は現実問題として完全にとまってしまっているという現状があります。

 これは、橋をつくる、そこに仕事ができるという問題ではなくて、今局長からおっしゃっていただいたように、あの東日本大震災のときに、東京から、僕も実際、あの日じゃないんですけれども、上野から自分の市川まで歩いてみましたけれども、非常に橋の間隔が長くて、遠くを見ると、橋が向こうの方にしかない。では、いざ地震で火事があったとき、この辺の人たちはどこを渡るんだろう。つまり、五キロ以上あるということですから、真ん中の方にいる方というのは、例えば地震で建物が崩れた中、三キロ歩かないと対岸に歩くことができないというのが現状でございまして、これは何とかしていただきたい。

 それともう一つは、いろいろな橋が、車は真っすぐスムーズに上がっておりられるようになっているんですが、人は歩くときに迂回をして、随分長い階段を上がっていかなければならないところ、これは江戸川じゃない、都内の川なんですけれども、そういうところも幾つかありました。

 そういう意味では、震災対策、防災という観点から、こうした都県境の橋の整備を、もちろん、これは県、都が合意をしないと進まないことではございますけれども、国が指導をし、防災の観点からこうした整備を進めるべきだというふうに私は考えますが、国交省の見解はいかがでございましょうか。

前川政府参考人 国道の橋につきましては国土交通省で計画をしておりますが、その他の橋梁につきましては関係する地方自治体、ここで言いますと東京都と千葉県がよく調整をしていただいて計画を進めることが必要だと思っております。

 また、東日本大震災のときにも明らかになりましたような帰宅困難者の問題もございます。帰宅困難者の問題については、そういう道路の整備で対応するのか、会社とか地域に泊まっていただくのか、東京都の方ではいろいろな条例も用意しているというふうに聞いていますので、そういった点も踏まえまして、必要な検討を進めさせていただきたいと思っております。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 これは、ある意味、その都と県という行政区にまたがる話でして、ただ、現実問題として、千葉や神奈川や埼玉に住んで東京に通っていらっしゃる方はいっぱいいらっしゃいますので、ぜひとも国の方で指導力を発揮して、問題を解決に向けていただきたいと思っております。

 では、次の課題に移らせていただきますけれども、ちょっと一個飛ばしまして、液状化の話をさせていただきたいと思います。

 浦安市というところは、テレビにもよく出ましたけれども、大変な液状化による被害を受けました。今なお復旧、復興ではなく復旧の途上でもございます。中にある下水、ふだん空の管は全部浮き上がり、また何十センチにわたって泥が積み重なってという現実を私も見、そして翌日から泥かきを一緒にやってまいりました。

 ところが、これは、ある地域によると全く液状化がない。地域によっては液状化がある。ないところで話を聞いてみると、いわゆるサンド・コンパクション・パイルとか、いわゆる新しい工法等々で地固めをきちっとやって工事をしているところは液状化がない。これはお金がかかることでございますので、今から全部やれということを一概に申し上げることはできませんけれども、そうじゃないところは液状化をしてしまった。

 さて、この液状化という問題に関しては、我が国は海に囲まれた国家であります。そして、非常に埋立地が広い国家でもあります。こうした液状化対策、ガイドライン、指針の取りまとめというものは国でやるべきだと思いますけれども、去年あたりまでどうなっていたかというと、市町村が個別に対応しているのが現実でございます。

 これは国で、ぜひとも大臣主導のもとでガイドライン等々の取りまとめをしていただいて、それで予算をつけて対処していただくということが必要だと思いますけれども、今の現状と認識をどなたかにお伺いできればと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のように、東日本大震災の場合には、埋立地や河川沿いなどの宅地におきまして、大変大きな液状化の被害が発生をいたしました。御指摘の浦安市でも八千七百件という大変大きな被害が生じたわけでございます。

 まず、私ども、液状化のメカニズム、これは完全に技術的知見が解明できたというところまでは達しておりませんけれども、今回の地震による地盤の液状化被害状況というのをもとにしまして、昨年度、液状化の被害可能性を判定するための手法等について、地盤の専門家に入っていただきましていろいろ検討を行ってまいりました。

 この四月一日に、宅地の液状化被害可能性判定に係る技術指針というものを策定、公表いたしました。これは、地下水位あるいはボーリングデータによりまして、地盤の液状化のしやすさというものを計算しまして、これをもとに、その上に住宅が建っている場合に、どの程度の被害が出てくるのかというのを三つのランクで判定するという仕組みをつくったわけでございます。

 これで、例えば地方公共団体などにおきまして、地域内での液状化被害の可能性というのを十分了解をしていただいて、判定をし、住宅をこれから建てる方あるいは購入される方、こういう方々に、あなたの場所はこういう状況になっていますということをわかっていただくという情報提供をまずしていただくということに役立てたいということでございます。

 あわせまして、個別の液状化対策についての技術的な問題点、技術的な対応策についても現在検討しているところでございまして、まとまったところから順次、工法ごとに技術的なガイドライン等の公表を行っているところでございます。

薗浦分科員 ありがとうございます。

 調査をしていただき、自分の住んでいる、買おうとしている地面がどういうところかよくわかるというのは大変大事なことです。

 その次、では、それに対して何をするのか。これは非常にお金がかかることでもございますので、買う前のところはもちろんいいんですけれども、そこも含めてしっかり対応していただきたいと思います。

 これは非常に難しいと思いますけれども、私有財産であるという前提のもとで、重々承知の上で申し上げますけれども、戸建て、マンションも含めて、家を買うというのは一生に一回の大きな買い物、ほとんどの人たちにとってはそうであります。そこがたまたま地盤が緩かった、家が傾いてしまった、これを直すとなると何百万というお金が新たにかかる、ローンを組もうと思っても、例えば三十代、四十代であれば負担がふえる、それもかわいそうなんですけれども、逆に六十代、七十代になるとローンも組ませてもらえないという現実が今そこにあります。

 これは私有財産だということを前提の上で申し上げているんですけれども、ここに対して、いわゆるお見舞金とか補助金という形で国、県、市から幾ばくかのお金が出るというシステムはできていますけれども、そもそも、では、この液状化というのは誰の責任なのだということを考えたときに、買った人がよく調べて買わないからだめなんですよという一言で片づけるのは余りにかわいそうです。

 ですから、そこに住宅を建てることを認めた行政にも責任がある、造成業者にも責任があるということを考えると、今、液状化の被害に苦しんでいる方々にもっと手厚い支援というものがあってよかろうかと思いますけれども、御見解はいかがでございましょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 液状化被害の予防ということになりますと、よく指摘されますのは、液状化が起きそうなところに家を建てるのを禁止してはどうかという規制の議論も当然ございます。ただ一方で、先ほどの御質問にもお答え申し上げましたように、液状化する場所、液状化しやすい場所という判定はできても、地震があったときに、ここは必ず液状化します、ここは絶対大丈夫ですというところまでまだ技術的知見が得られていない、これが第一でございます。

 それから、第二としまして、住宅建築物の耐震性能の問題、上物の耐震性能につきましても、我が国では、上物に損壊があっても、被害があっても、人命にまでは及ばないというところまでを規制するという仕組みになっておりますので、液状化について一概に、一律に全部規制をしていく、これはバランスからいってもなかなか難しいのではないかと思っております。

 その上で、私ども、液状化被害というのが相当程度確率が高いという格好で見込まれるような場所についてどうしていくのかという議論をずっとしてまいりました。

 今、先生御指摘がありましたように、今回の震災で被害があったところについて、復旧に合わせて再度災害の防止をするという場合には、周辺の道路などの公共施設の液状化対策とあわせて行う場合について一定部分、今お話のあった個人の宅地のところにもプラスになるような格好で助成をするという仕組みをつくりました。

 これを、被害予防をする場合についてもやれるようにするということを二十五年度の予算案にも盛り込んでおりまして、実際には、この場所が液状化しそうだから、あらかじめ先に工事を始めますよというのは公共団体としてもなかなか難しいという声も聞いておりますけれども、必要な場合にはそういう手だてもとれるようにするということで予算を用意いたしました。

 宅地と公共施設があって、一体的に予防できるような格好で取り組みということができるように、これからもやってまいりたいと思っております。

薗浦分科員 ありがとうございます。

 せっかく社会資本整備総合交付金というものがあって、僕の理解では非常に使い勝手のいいお金だというふうに理解をしておりますので、そういうものも活用しながら、今申し上げたような対策をぜひ進めていただきたいと思います。

 次に、高潮、津波対策に関してお伺いをしてまいりたいと思います。

 東京湾のみならず、例えば伊勢湾、それから大阪湾も含めて、南海トラフ等々の大地震が来たときに、津波、高潮の対策が今きちんとできているのかというような疑問がございます。そして、いろいろなところが高潮、津波のシミュレーションをやってみたら、実は東日本級の津波が来たら僕の家も沈んでしまうよとか、逃げなさいよという新しいシミュレーションがどんどん出てきています。

 一方で、いわゆる堤防、防潮堤それからポンプ場等々、これは高度成長時代に整備をされたものが非常に多い。したがって、ほとんどの場合、老朽化という言葉が今忍び寄ってきているというのが現状であります。

 そこで、地元のことのみならず、いわゆる津波、高潮が想定される三大湾を含めた臨海部の地域において、高度成長期に整備をされたさまざまな施設に関して、現況をどう認識されておるのか。そして、その更新計画はどうなっているのかという概要をまずお伺いしたいと思います。

山縣政府参考人 津波、高潮対策についての御質問でございます。

 まず、東京湾のことを中心にお話ししますと、東京湾は、我が国の人口、産業が集積しておりまして、産業、経済活動にとって極めて重要な地域だという認識でございます。

 一方で、先生も御指摘がございましたが、ゼロメーター地帯を含む低地帯が広がるとか、あるいは竣工後五十年以上を経過した埋立地が三割以上を占めておりまして、今後、護岸の老朽化の進行、あるいは首都直下地震等によります地震、津波による被災というのも懸念されてございます。

 このため、昨年九月に中央防災会議において策定されました防災基本計画におきましても、大都市圏の湾域の港湾の防潮堤においては、地域の実情等を勘案しつつ、比較的発生頻度の高い一定程度の津波、いわゆるL1津波と申していますけれども、これを超える津波を想定した防護水準の確保を検討することが必要というふうにされるなど、東京湾の津波、高潮対策は極めて重要な課題となってございます。

 そこで、千葉県等を含めた東京湾の海岸の保全に関してですが、これは、各都道府県知事が海岸法に基づきまして、海岸保全区域を指定し、そして海岸管理者であります都道府県等が海岸保全区域の管理を行うことになってございますけれども、国といたしましても、海岸の保全が適切に行われますよう、老朽化対策等も含めるということでございますけれども、関係の都道府県等に働きかけをしてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

薗浦分科員 ありがとうございます。

 今、海岸というお話をたまたまいただきまして、また、津波、高潮対策は極めて重要であるというお話をいただきました。

 あの大震災で得た教訓というのは、海岸だけじゃだめだということだと僕は思っているんです。映像で流れましたけれども、河川をずっと津波が遡上していって、橋にいた車をのみ込んでずっとというのは、映像でごらんになられた方も多いと思います。

 一方で、皆さん御存じのとおり、企業が持っている岸壁、管理をしている堤防というのも世の中にはあります。これが、これまた浦安の話で恐縮なんですけれども、ここは県が管理していますよ、港湾法、海岸法ですよ、ここは海に面しているんだけれども河川の扱いだから河川法ですよ、ここはガントリーがありますから、私有物ですから、ここは企業に話をしてくださいよということで、話が全く進まないんです。

 いろいろなところに話をしていかなきゃならない。法律によっても違う。例えば、国が指導、何とかをしなさいよという法律がある法律もあれば、ここまで書いていない法律もあって、国の関与ができないところもある。

 津波、高潮というのは、国の最低限の仕事である国民の生命や財産を守るという意味においては、一丁目一番地の仕事だと思っているんです。だけれども、その仕事が、法律が入り組んでいるから、管理者がばらばらだから、何がどうだからという理由で、頼む方からしてみると非常にやりづらい。

 ここは、県が管理しようが、どこが管理しようが、民間の管理であろうが、この堤防は危ない、高潮対策をきちっとやれ、もしあれだったら国の方で金を出しますよということを国交省もしくは政治の力で決めて進めないと、首都直下も含めて間に合わないのではないかというふうに僕は思っていますけれども、いかがでございましょうか。答弁をいただけるなら、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

山縣政府参考人 御指摘のとおり、東京湾等、港湾を含めて、民間企業の護岸とかいろいろな施設がございます。そういう意味では、各機関、省庁あるいは都道府県等が連携して、しっかりとした総合的な対策を講じるということが必要じゃないかと思ってございます。

 そういう意味では、今回の震災の教訓を機に、関係機関がしっかりと連携をして東京湾全体で防災対策を考えていく、そういう取り組みをしていきたいと思ってございます。

薗浦分科員 今、行政等の話がありましたけれども、現実問題、例えば浦安市で民間が持っているところがあって、要は、ここが沈んじゃっていて、満潮、高潮がちょっと重なったら間違いなく水に洗われる、そこを入り口にして市の中が海水に全部浸される、ディズニーランドが浸されるかどうかはちょっとあれですけれども。そこも含めて、今、行政等の話だけされましたけれども、危ない、これはやらなきゃだめだと国が認定したものに関しては、話し合いじゃなくてやりなさい、民間を含めて、こういうことはできないですか。これをぜひやっていただきたい、きょうはこれが最後の質問になるかと思いますが、お答えいただきたいと思います。

山縣政府参考人 お答えします。

 先ほど連携と申しましたのは民間企業も含めてという趣旨なんですけれども、御指摘のとおり、民間が持っている護岸とかそういったものの老朽化等々、あるいは耐震性がどうなっているかという議論もございます。

 これにつきましては、今、新しい法律等の中で、そういう民間の施設がどうなっているかも含めて検討して、今後、総合的な施策を講じるということでやっていきたいと思ってございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

石田主査 これにて薗浦健太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 自由民主党の新潟県第三選挙区選出の斎藤洋明と申します。

 私の新潟三区は、農漁村と地方都市から成る典型的な地方の選挙区でございます。ですので、地方の声をお届けするという観点から、何点か質問を申し上げたいと思います。

 第一に、先ほど、薗浦議員の御質問に対して、太田国土交通大臣より、道路はつながってこその道路であるという御発言をいただきました。私の地元の選挙区、新潟三区でも、日本海沿岸東北自動車道の県境区間が未開通になっております。また、新潟と福島県の県境を結ぶ磐越自動車道も、一部二車線区間が残っておりまして、災害が起きたときの対応もそうなんですが、平常時から、対面通行になっているために、事故があると死亡事故につながりやすいという問題が起こっております。

 私どもとしましては、日本海沿岸東北自動車道の早期全面開通、それから磐越道の全面四車線化ということは急務であるというふうに考えておりますが、国土交通省のお考えをお伺いします。

太田国務大臣 日沿道については、私自身がずっと関心を持ってきました。鉄道の事故もあったりしまして、風が非常に強いというようなことの中で、とにかく鉄道も道路もということではもうとても、これからさまざまな意味での支障を来すという認識をしておりましたし、また、東日本大震災で、日本海側に港湾あるいは道路を通じて陸揚げされたりして、そこから幹線道路網が物資輸送のルートとなったという、重要な機能ということも認識をしております。

 そうしたことからいきまして、災害時に道路が寸断されている場合でも選択肢があるというリダンダンシー、そして日沿道については、青森―秋田、そして山形―新潟とずっと、早く通していかなければならないということは私は十分認識をしておりまして、日沿道の新潟―山形県境部の整備など、日本海側の道路ネットワークの強化ということについて早急に取り組みたいと考えているところでございます。

前川政府参考人 磐越道の四車線化について、お答えを申し上げます。

 磐越道につきましては暫定二車線で供用をしておりますが、渋滞でありますとか事故の懸念についてさまざまな御意見を頂戴しているところでございます。

 また、東日本大震災におきましても、復旧復興のための物資輸送等に大変大きな役割を果たしたと理解をしております。

 四車線化につきましては、一日の交通量約一万台を目安にしておるところでございますが、磐越道につきましては、昨年度の交通量でいきますと、大体七千三百台から九千八百台ということでございます。

 今後、交通量の増加でありますとか、スマートインターができることによって利用しやすくなって、また交通量がふえるということもあろうかと思いますので、そういったことを踏まえながら、必要性について検討をしてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。大臣から力強い御答弁をいただきました。

 私ども、狭い意味のBバイCだけではなくて、そのネットワーク効果、あるいは、例えば救急医療に資するという観点からも、高速道路網の整備を引き続きお願いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 引き続きまして、鉄道でございます。

 先ほど大臣からも言及をいただきましたJRの羽越本線でございますが、平成十七年の十二月に脱線事故がございました。それ以来、この羽越本線は、強風がありますと、ダイヤの運休あるいは大幅な遅延ということが生じております。

 日本海側の大動脈でありますと同時に、羽越本線は地域の通勤通学の大事な生活路線でもあるという役割を担っております。ですので、公共交通機関である以上は、安全確保というのは大前提でございますが、その中で、安定運行の確保に努めていただきたいと考えておりますので、御答弁をお願いいたします。

滝口政府参考人 委員、今御指摘がございましたが、平成十七年十二月に羽越本線の列車脱線事故が起こっております。その直後の平成十八年の一月から、国土交通省では、国、鉄道事業者、運転分野の専門家などから成ります鉄道強風対策協議会というものを設置いたしまして、風による事故対策の検討を行ってきております。この結果を全国の鉄道事業者へ周知を行ってくる、こういうことをやっておるところでございます。

 JR東日本におきましては、これを踏まえまして、風速計の増設、それから鉄橋区間などでの防風柵の設置といったような強風対策を行っておりますが、このような安全対策を前提といたしまして、平成二十三年十二月から、羽越本線の一部区間におきまして、増設した風速計を活用いたしまして風速をきめ細かく観測するといったことなどによりまして、一旦、秒速二十五メートルまでに落としておりました運転を中止する風速値を秒速三十メートルまで戻すといったような、安定輸送にも対応しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地元からの要望については承知いたしておりまして、今後とも、これまでの検討結果を踏まえまして、安全を確保しながら安定輸送の確保に努める所存でございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございました。

 高速道路それから鉄道という基幹的な交通ネットワークの整備につきましては、防災・減災の観点からも、また生活の足としても確保が最重要と考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 引き続きまして、豪雪地域、私の新潟も豪雪地域でございますが、豪雪地域における子供の通学路の安全確保についてお伺いをしたいと思います。

 私どもの地域では、特に冬場でございますが、除雪を行っていただく結果、道路の両側に雪が積み上がって道幅が非常に狭くなるという現象が生じます。その中で、路面は非常に凍結してスリップしやすくなっている。地吹雪が起きて、特に、子供が通学する朝方に、非常に地吹雪が起こりやすい気象条件が整います。地吹雪で視界が悪くなります。そして、路面は凍結して、車はスリップしやすい。そのような状況の中で、子供さん方が集団登校しているという状況が見られます。

 ですので、私としましては、お子さん方の安全確保のために、歩道を確保していただくですとか、あるいはそういった安全対策をしていただくことが急務というふうに考えておりますが、国土交通省から御答弁をいただければと思います。

前川政府参考人 通学路の安全についてお答えを申し上げます。

 通学路の安全確保につきましては、昨年の四月に京都府亀岡市で、通学中の児童生徒の列に自動車が突っ込みまして、多くの死傷者が出るという大変悲惨な事故がございまして、その後もほかの都市で似たような事故がございました。

 こういったことを受けまして、昨年の五月に、国土交通省、文部科学省、警察庁が取り組みをまとめまして、昨年の五月から八月末までの間、道路管理者と学校関係者、それから保護者の方、警察の方による緊急合同点検を実施したところでございます。緊急合同点検を実施した学校の数は二万校、点検を実施した箇所は八万カ所というふうになっております。

 この緊急合同点検の結果、対策が必要な箇所については、平成二十四年度の補正予算におきまして、防災・安全交付金等を活用し、歩道整備や防護柵の設置等の対策を鋭意進めてきたところでございます。

 なお、緊急合同点検は八月ということで夏場にやりましたけれども、参加されている学校関係者、保護者の方はその地域の道路の冬場の状況もよく御存じの方ばかりでございまして、冬場の状況も念頭に入れつつ緊急点検を実施したと聞いておるところでございます。

 なお、冬場において、地吹雪等、予期せぬいろいろな状況が生まれれば、またそれに合わせた追加対策も必要になってくるというふうに考えてございます。

太田国務大臣 通学路の点検をしまして、こうした悲惨な事故が起きないようにということで、防災・安全交付金ということを補正予算でかなりやらせていただいて、そして、本予算でもかなりの額を積ませていただいたんです。

 ぜひとも、積雪という状況がありますから、現場からこういうふうにしたいということを出していただいて、そして、何とかお子さんが学校へ安全に行けるようにということを、これはある意味では優先事項として我々としては取り組みたいと思っておりますので、現場から具体的に、ここの何をどうして、防災・安全交付金でということを、ぜひとも協力をして出していただければというふうに思っているところです。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。ただいま国土交通大臣からもお話をいただきましたとおり、具体的な危険箇所というのは親御さん方が一番よく御存じでございます。具体的な箇所についても、私も陳情をいただきます。お話を伺ってみると、国道であったり、県道であったり、あるいは市町村道であったり、事情はさまざまでございますが、住民から見れば同じ道路でございますので、関係自治体やPTA初め関係団体の皆さんとよく協議をしながら、防災交付金でぜひとも整備をお願いしたいというふうに思っております。ありがとうございます。

 引き続きまして、公共工事の発注方法について、何点かお伺いをしたいというふうに思っております。

 まず第一に、設計労務単価が適正な水準になっているのかどうかということについては、さまざまな御指摘があるところでございます。平成九年度をピークに設計労務単価は減少しております。平成二十五年度につきましては、約一五%上げていただきました。建設業界初め関係者の皆様から一定の評価をいただいております。しかしながら、例えば、新潟県の交通誘導員の方のうち低い方の単価はまだ八千七百円にとどまっておるなど、建設労務者の皆さんの収入を確保するという観点からは、もっと引き上げていただきたいという声を伺います。

 この設計労務単価の適正化に関する国土交通省の認識と、それから今後の取り組みについて、お伺いをしたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、公共工事設計労務単価は非常に落ちてきたわけでございますけれども、長期的に下落を続けてきたのは、原因としては、何よりもデフレによる賃金低下が第一でございますけれども、それに加えまして、建設業界において過当競争によるダンピングが頻繁に行われておりまして、こういった中で、従来の調査方法において、必ずしも十分に実勢を反映できていなかった面があるんじゃないかというふうに思ったわけでございます。

 このため、昨年度は、例えば宿舎費や福利厚生費、こういったものは労務単価に含まれないというようなことにつきまして周知をするなどのことをしたわけでございますけれども、今回、算定手法そのものを大幅に見直しまして、実勢価格を適切に反映するように努めたところでございます。

 その結果、ただいまお話がありましたように、全国平均で一五・一%という大幅な見直しとなったわけでございますけれども、現在、人手不足でございますので、労務費が上昇局面にございます。したがいまして、こういうときには、調査頻度とか調査方法についてさらに工夫しながら、実勢価格を迅速に的確に反映する、こういう取り組みを行ってまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 市場の実態を踏まえて、実勢価格は上がっているにもかかわらず単価が上がらない、それによって建設事業者の方々の適正な利益が確保されないということのないように、引き続き取り組みをお願いしたいと思います。

 同じく、公共工事の発注方法につきまして、今度は社会保険の未加入問題という御指摘がございます。特に下請業界の皆様からの御指摘でございますが、法定福利費を企業が確保できない、あるいは何らかの事情でしないことによって、社会保険に未加入の労務者の方が発生しているのではないかという御指摘でございます。

 当然、福祉の観点から見ますと、従業員の方が年金あるいは医療といった公的保障が受けられないという問題のほか、法定福利費を負担しない企業と法定福利費を法にのっとって負担している企業とが入札あるいは見積もりという形で価格競争を行うと、法定福利費を負担しない企業の方が有利になってしまうのではないか、これはコンプライアンスの観点からも適切ではないのではないかという御指摘でございます。

 全くこれは問題だと私も思っておりまして、この社会保険未加入問題、解決する方向で取り組んでいただきたいと思っておりますが、現在の取り組み状況をお伺いしたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありましたように、一つは適正な競争環境をつくっていくということ、それから若い人たちに建設業に入っていただく、こういう両面から考えましても、社会保険に加入するということは極めて大事なことだというふうに思っております。

 現在、私ども行政と、元請団体、下請団体、労働者団体などから構成されます社会保険未加入対策推進協議会というものを設立してございまして、関係者を挙げて取り組んでいるところでございます。

 それに加えまして、私ども行政といたしましては、建設業の許可、更新時、あるいは経営事項審査の際に社会保険等に入っているかどうかということを確認し、指導する、こういう取り組みも始めているところでございます。

 また、社会保険等への加入を進めていくためには、何といいましても法定福利費をしっかり確保するということが必要であると考えておりまして、この観点から、今回の労務単価の設定におきましては、法定福利費相当額を反映する、こういうことをさせていただいたところでございます。

 これとあわせまして、関係者に対しましても、社会保険等に加入していただきたいということを徹底するよう、文書による要請も行ったところでございまして、今後とも、関係者を挙げて社会保険の加入の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 ほかのあらゆる業種あるいは業界と同じように、私は、建設業界も若い方が希望を持って入る業界であっていただきたいというふうに思っております。ですので、社会保障が十分に保障される、その中で、御本人の志望あるいは能力に応じて、例えば下請業界であれば、下請の企業に入っていただいて胸を張って働いていただけるような、そして、少子高齢化の問題もありますが、家族を養っていけるような適正な社会保障が行われますように、引き続き取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、公共工事の発注につきまして、地元優先発注ということについても私は問題意識を持っております。

 直近では、一昨年、新潟・福島豪雨に見舞われまして、地元で災害復旧に出動したのは地元の事業者の方々でございます。加えて、毎年のように来る災害であります雪害対策でございますが、除雪に出動できるのもやはり地元の事業者の方でございます。

 しかしながら、地元の事業者の方から、もう除雪に対応できるかどうかわからないという御指摘をいただいております。その理由は、機材もあるいは人員も公共工事の発注量が先細りする中でどんどん整理をしてきた、この中で、冬だけ出動してくれというお願いがあっても、我々はいつまで対応できるかわからないという御指摘をいただいております。

 我々、地元に住む人間からすれば、冬期間の除雪というのは、別に、何か利益が生み出されるわけではなくて、除雪をしていただくことによって、ようやくほかの季節並みの生活ができるという最低限の環境の確保でございます。その最低限の環境確保である除雪の対応もできないということになってしまいますと、地方がますます疲弊をしてしまうというふうに私は問題意識を持っております。

 ですので、私は、地域の企業に質あるいは量の両面である程度の公共工事が発注をされることによって、地域に底力のある、すなわち、機材や人員を備えて、災害有事の対応力を十分に備えている建設事業者の方が残っていただくというのは最低限必要なことだと思っていますし、また、望ましいことでもあるというふうに思っております。

 ですので、そのような観点から、地元の優先発注ということについてどういった取り組みをしていただいておりますか。また、今後どういう取り組みをお考えか、伺いたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお話がありましたように、地域の建設産業は、インフラの点検、維持管理、整備、あるいは除雪、災害対応、こういったもろもろの点におきまして大変重要な役割を担っている、まさに地域の守り手でございまして、健全な発展が不可欠だと考えております。

 まず、何といいましても、地域における事業が計画的に進むということが第一じゃないかというふうに考えておりますけれども、その上で、ただいまの地域の建設業のあり方でございますけれども、直轄工事におきましては、建設企業の本店、支店等の所在地の要件、いわゆる地域要件の適切な設定とともに、総合評価におきまして、例えば防災協定を結んでいるかどうかといったような地域への貢献度を評価する、こういったことを行ったり、あるいは入札契約手続におきましても、地域の建設企業に頑張ってもらえるような、そういった手続について検討しているということでございます。

 地方公共団体に対しましても、競争参加資格としての地域要件を適切に活用すること等によりまして、地元建設企業の受注機会の確保に努めるよう、総務省と共同で要請しているところでございまして、人材と機会を確保して、地域のために頑張っていただく建設企業の方に活躍できるような環境をつくってまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 地域に健全な形で建設業が存続をしていくということは、ほかのあらゆる業種が地域に残っていただくことと同様に極めて重要なことだと思っておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、質問としては最後でございますが、海岸侵食の問題というのが私の地域では非常に多く生じております。特に日本海側でございますので、冬期間、船も出せないような天候の中で、砂をみんな持っていかれるという状況が生じております。今現在も関係者の皆様には御尽力いただいておりまして、例えば、川砂のしゅんせつを行った際に、その砂を海岸に持ってきていただくというような柔軟な対応をしていただいておりますが、せっかく持ってきていただいた砂が一冬で全てなくなってしまうというほどの状況でございます。砂浜がなくなって、海の家が営業できないという次元の世界を超えて、人家のすぐ近くまでえぐられているという状況でございます。

 そのような中で、地域住民の方も関係自治体の皆さんも、そして、もちろん国土交通省の皆様にも非常に御尽力いただいておりますが、まだなかなか抜本的な対策、確かに海岸侵食はとまったというところまではいっていない状況でございます。特に、先ほど薗浦議員からの御質問にもありましたが、海岸管理の所管省が異なりますものですから、どこに相談をしたらいいかわからないということを地域の住民の方からいろいろ御指摘いただいております。

 そこで、私からお願いを申し上げたいのは、まず、関係省の管理区分の整理というのは簡単にはいかないとは思いますが、国土交通省として、海岸侵食に対して今どういう取り組みをしておられるか、教えていただきたいと思います。

足立政府参考人 海岸侵食対策についてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新潟県北部の海岸は、冬期の高波など、厳しい自然条件にさらされておりまして、海岸侵食対策が大変重要な課題だというふうに認識いたしております。

 海岸管理者でございます新潟県では、村上市の瀬波海岸で昭和四十七年から人工リーフや離岸堤の整備、それから胎内市の桃崎浜海岸で昭和五十五年から離岸堤の整備を行うなど、県北部の海岸の海岸侵食対策を進めてきたところでございます。

 平成二十四年度は、当初予算で、胎内市の桃崎浜海岸で離岸堤のブロックの製作を行ったところでありまして、さらに、補正予算の防災・安全交付金によりまして、村上市の岩ケ崎海岸、塩谷海岸等で、人工リーフ、離岸堤、突堤の整備を進めているというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、海岸の侵食対策は非常に重要な課題だというふうに認識してございますので、今後とも、海岸管理者であります新潟県に対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 日本海沿岸の集落は、かつて、歴史的に見れば、北前船の寄港地として大いに栄えた土地でございまして、非常に豊かな文化を持っております。また、防風林や防砂林、海岸の集落が農業を営むことによって、砂が内陸に流れていくのを防止するという機能も担っております。

 ですので、これは海岸地域の問題だけではなくて、地元に住む人間共通の問題だという気持ちで我々は取り組んでおりますので、引き続きまた御指導いただければというふうに思っております。

 以上、何点か質問を申し上げてまいりました。

 私の新潟三区は、冒頭申し上げましたとおり、農漁村、そして地方都市から成る典型的な地方の選挙区でございます。その中で、特に、議員定数の見直しがあるたびに地方選出の議員の数が減ってきております。その分、声が届きにくくなっているというふうに思っております。ただでさえ、人口希薄地の議員は一人当たりの担当している面積が広いというふうに思っておりますので、その広い面積の中で問題をどんどん吸い上げて、関係省庁の皆さんと協力しながら問題を解決していかないといけないというふうに思っております。

 その中で、今御質問を申し上げまして、大臣から力強い御答弁をいただきました。基幹的交通網の整備、これは非常に重要だと思っておりますので、ぜひお願いしたいというふうに思っております。

 また、通学路の安全確保も、緊急点検、非常にいい取り組みをしていただいたと思っておりまして、地域の自治体の皆さんあるいはPTAの皆さんも、この緊急点検に参加をすることによって非常に問題意識を持つことができたというふうに言っていただいております。

 ですので、今すぐ全部できるということではなくても、国が問題意識を持って取り組んでいるというメッセージを伝えることが一つと、あるいは、管理者が国であり、県であり、あるいは市町村であるので、縦割りでやっていますということではなくて、問題意識を持って見ていますということをお伝えすることが重要だというふうに思っております。

 公共工事の発注方法の適正化のことにつきましては、ずっと取り組んでいきたいというふうに思っておりますが、防災・減災ニューディールあるいは国土強靱化ということで今与党は取り組んでおりますが、景気対策としての財政出動をやりました場合に、適正な価格で発注されないと、それこそ、かえってばらまきになってしまうという問題意識を非常に持っております。いわゆる死に金にならないように、投入をした予算がきちんと景気対策としての効果を持つことができるように、地域の経済が活性化する方向で発注をしていただきたいという観点から、何点か御質問を申し上げたところでございます。

 社会保険の未加入問題につきましても、当然、建設業界だけが特別ではありません。ほかの業界で社会保険の未加入問題があってはならないのと同じように、建設業界でも社会保険の未加入はあってはならないことだと思っておりますので、ぜひ取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 最後に一点申し上げたいのは、私は地元の生まれの地元の育ちでございますが、地方に住んでおります人間は、一面、好きこのんで地元に住んでいるんだというふうに思っております。そこは我々自覚しなければいけないと思っていますが、好きこのんで地方に住むことによって地域に貢献しているんだというふうに我々は思っていますし、地域に貢献することを通じて日本全体に貢献しているんだというふうに思っております。

 その中で、特別扱いをするということではなくて、必要な社会資本整備についてはぜひ後押しをしていただくことによって、我々は胸を張って地元で住み続けることができますし、また、日本全体にそれによって貢献することができるというふうに思っておりますので、大臣、きょうは予定外に御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。引き続き、皆様の後押しをいただきながら、我々は地方で頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうはどうもありがとうございました。

石田主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、上野ひろし君。

上野分科員 上野ひろしでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来、各委員からも御質問がありました公共事業の関係について、まず何点かお伺いをしたいと思います。

 今般の予算は公共事業に大変手厚く手当てをされているということだと思います。ぜひ、やるからにはしっかりと効果がある形でやっていただきたい、そういう思いで、まず何点か質問をしたいと思います。

 最初に、公共事業の費用対効果についてお伺いをいたします。

 これは私、歴代国土交通大臣にも何回か質問させていただいてきておりまして、ぜひ太田大臣のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

 まず、公共事業、例えば道路について申し上げますと、道路のBバイCは、いわゆる三便益というもので計測をされております。走行時間の短縮、走行経費の減少、また交通事故の減少便益といった三便益で計測をされているわけでありますけれども、公共事業の効果を道路についてはかる上で、それ以外にもいろいろな要素というのがあるのではないかなというふうに思っております。

 例えば、地域の経済活性効果というのが見込まれるという点があると思います。道路が通れば観光客の方々がいらっしゃる、また道路が通って利便性がよくなることで工場の立地が進んでいく、また逆に、販路が開拓をできるといった面があるかというふうに思います。また、先ほども答弁の中でありましたけれども、東日本大震災で我々が経験をいたしました、仮に走行時間が短縮をされなくても、複数の道路が通っている、複数の交通手段があることで、例えば避難経路が確保される、また支援物資を搬送できる、そういったリダンダンシーといった点も、道路の整備に当たっては見逃せないものではないかなというふうに思います。さらには、例えば救急医療、命の道と言われるような存在。そういった効果、観点、必要性というのも、道路について言うと存在をしているのではないかなというふうに思います。

 こういった観点、これは、日本では先ほど申し上げた三便益でありますけれども、諸外国ではさまざまな効果も含めて判断をされている、計測をされているということであります。

 ぜひ、費用対効果、BバイCの計測のあり方を御検討いただいて、いわゆる三便益だけではない、公共事業の多面的な効果、それも踏まえた上での公共事業の整備、社会資本の整備といったものを進めていくべきではないかなというふうに思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 BバイCというBを、いわゆる三便益ということで、走行時間短縮、走行経費の減少、そして交通事故減少と、定量的にはかることができるということでいえば、この三便益ということはまさにそのとおりで、そうしたことを踏まえることは当然大事だというふうに思っておりますが、さまざまな役割が上野先生御指摘のようにございます。

 圏央道ができ始めまして、随分その周辺に工場等が立地したということは現実にもございますから、そうしたことの効果ということをやはり総合的に考えることも大事だと思います。

 あるいは、東日本大震災で、三陸沿岸道路というのがあったということで本当に助かったということも随分ありまして、これはリダンダンシーという観点から、今、それをきちっと全部そろえるということについて、事業をしているということでもございます。

 そうした渋滞緩和、あるいは物流の効率化、そしてまた、ほかにも工場が立地するというような経済的効果、リダンダンシー、さまざまな観点から総合的に評価を行っていくという方向は出て、現実には行われつつありますけれども、さらにそうした観点から、よく実態に即した事業評価というものが行われる。

 そして同時に、公共事業はどうしても無駄だというようなことが言われがちでありますから、私は、命を守る公共事業ということと同時に、地元からの要望をしっかり踏まえて、地元の要望といっても、地元が納得できる、ここは確かに必要だなということが納得できる、そうした地元の理解を得る公共事業というものが大事だ、中身もしっかり吟味しなくてはならないと思っております。

上野分科員 ありがとうございました。大変心強い御答弁をいただきました。

 その上で、幾つか具体的な事例についてお伺いをしたいと思います。

 私、地元は群馬県でありまして、群馬県は県内で七つの交通軸ということで、公共事業、道路を整備することで、県内の潜在的な活力を発揮していこうということで取り組んでおります。

 その中の一つに、上武道路という道路がございます。これは昭和四十五年に事業化をした道路でありますけれども、それからもう随分時間も経過をしておりますが、まだ全線開通はしておりません。その間に、周辺には工業立地も進んでいる。また、もともと計画をされたときは人のいないような場所が、もう随分人家もふえてきて、道路が通れば大変な効果も上がってくるというようなことも見込まれている状況であります。全線開通、それから四車線化をするということで大きな効果が見込まれる案件でもあるというふうに思います。

 あともう一点、あわせてお伺いをしたいのが前橋笠懸道路という道路、これは地元の道路で、群馬県を東西方向に走る計画をされている道路でありますけれども、平成十三年度にこちらは事業化をされました。例えば、渋滞緩和といった効果も見込まれておりますし、また一方で、死傷事故の減少、それから県内の救急医療、三次救急施設にしっかりと患者さんを搬送できるような観点からも、これは地元にとっては大変必要な道路ではないかなというふうに思うわけであります。

 これらの案件、社会資本の整備について、これまでの取り組みの状況、それから、ぜひ円滑に早期に進めていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、今後の取り組み方針についてお伺いをしたいと思います。

梶山副大臣 今、上野委員から、国道十七号と国道五十号の整備状況、そして今後の見通しについて御質問がございました。

 国道十七号、上武道路につきましては、交通混雑の緩和及び地域の活性化を目的とした、延長四十・五キロの道路でございます。これまでに三十七キロが供用されておりまして、このうち十九・七キロは四車線となっております。残る未供用区間、三・五キロの区間でありますが、これにつきましては、現在、用地買収や改良工事を推進するとともに、太田市世良田町から伊勢崎市境三ツ木間、約一・七キロにつきましては、平成二十五年度の四車線化に向け整備をしているところであります。

 引き続きまして、国道五十号線、前橋笠懸道路でございますけれども、これは委員御指摘のとおり、混雑緩和と交通安全の確保を目的とした、延長十二・五キロの道路でございます。この区間は、死傷事故率が全国平均と比べて一・四倍と非常に高い状況となっております。現在、みどり市笠懸町鹿地区、これは〇・五キロでございますけれども、これにつきましては平成二十五年度に四車線化に向けた工事を推進しております。残る区間十二キロのうち、前橋市今井町から二之宮町間、約〇・九キロにつきましては、設計説明会を開催いたしました。そして、伊勢崎市赤堀今井町から香林町間、四キロにつきましては、測量説明会を開催しているところであります。

 いずれの道路も、交通渋滞の緩和のみならず、芳賀東部工業団地への企業立地や、前橋赤十字病院など救急医療施設へのアクセス向上など、地域経済や住民生活の観点からも大変重要であると認識しておりまして、引き続き、早期の整備に努めてまいりたいと思っております。

上野分科員 ありがとうございました。

 県内、さまざまな公共事業が計画をされておりますけれども、今申し上げた二つの道路は大変地元での要望も強い案件であります。ぜひ早急な整備、完成をお願いしたいと思います。

 関連で、もう一点お伺いをしたいと思います。

 先ほど大臣からも、私が今から申し上げるようなことに関連をした御答弁もいただいているんですけれども、公共事業を行うときには、例えば周辺の安全対策でありますとか、または、近隣地域に与える経済的な影響、社会的な影響、これも踏まえて、真に地域の役に立つような公共事業にしていく、社会資本整備をしていくといったことが大事なのではないかなというふうに思います。

 今、例で申し上げた上武道路について言いますと、これは単に道路を通すというだけではなくて、道路が通ることで、近隣に小学校があるんですが、交通上の安全性が危惧をされるといったケースもございます。例えば歩道橋をつくってほしいというような要望も地域から出ておりますし、また、道路が通ることによって利便性が向上する、その周辺に幾つかあいている土地があるわけですけれども、例えばそういうところもどういうふうに使っていくのか。道路が通ることとあわせて総合的な開発をしていく、そういったことも必要なのではないかなというふうに思います。

 単に、道路を通すことによる効果、数字上の効果だけではなくて、さまざまな社会経済上の効果をしっかりと踏まえてやっていく、これは考慮して考慮し過ぎることはないんじゃないかなというふうに思います。

 今回、公共事業の整備をされるというわけでありますけれども、ぜひ、これをやってよかった、しっかり公共事業に重点的に予算をつけてよかったということに、やるからにはそういった事業にしなければいけないですし、逆にそういったことができなければ、やはり公共事業をやっても借金がふえるだけだったんじゃないか、コンクリートから人へといった議論にもまたなりかねない、そういう問題でもあると思います。

 執行の部分について、しっかりと地域の状況も踏まえながら、地域のためになる、また、もちろん日本のためになるような執行をしていくということが大事だと思うんですけれども、その点についてお伺いをいたします。

梶山副大臣 今、委員御指摘ありましたように、道路整備の推進に当たりましては、行政や政治だけではなくて、地域住民を初め関係者の皆様の幅広い御意見を聞くことが大変重要なことであると認識をして取り組みを進めているところであります。

 御指摘ありました横断歩道橋につきましては、芳賀地区でございますが、暫定二車線供用であったため、当初設置の予定はありませんでしたけれども、平成二十三年二月に、地元自治会や教育委員会などから、通学路の安全を向上させるための横断歩道橋の設置要望がございました。

 これを受けまして、国として再度、歩道橋の必要性や設置位置などについて地元の皆様や前橋市の御意見を踏まえつつ検討を進めて、平成二十四年度に横断歩道橋を設置することを決定し、今後速やかに、二十五年度にこれらの工事に着工することといたしております。

 先ほどお話もありましたけれども、通学路につきましては、昨年の四月、亀岡市において児童が巻き込まれる交通事故の発生を受けて、学校関係者やPTAの方々の参加も得まして、全国で緊急合同点検をするなどにより、より一層の住民参加の取り組みを推進しているところでございます。

 以上です。

上野分科員 ありがとうございました。

 今まさに芳賀地区の歩道橋の話を副大臣の方から明示もいただきました。これは大変、地域にとっても本当に深刻な課題でございます。ぜひしっかりと取り組んでいただいて、また、繰り返しでありますけれども、公共事業を執行する際には、しっかりと地域の声、地域の事情、これは経済的、社会的な事情も踏まえた上で、ぜひ、地域のためになる、やってよかったと言っていただけるような公共事業の執行に努めていただきたいというふうに思います。

 もう一点、自転車道の整備についてお伺いをしたいと思います。

 特に東日本大震災の発災後、自転車の活用というのが随分注目をされているというところではないかなというふうに思います。

 私はもともと、政治家になる前は経済産業省というところで、車両課という部署で自転車の振興を担当しておりました。これまでも国会でも何度か質問もさせていただいておりますけれども、自転車の利用を拡大していこうという思いがあっても、走行環境が整わないと実際には活用がなかなか難しいといった面があるのではないかなというふうに思います。

 自転車道ということでいうと、ハードの方は国土交通省、また走行ルールであったりさまざまな走り方については警察庁の担当ということかなというふうに思うんですけれども、まず本日は、自転車道それから自転車走行専用レーンの整備についてお伺いをしたいと思います。

 例えば、自転車を使おう、自宅から会社、学校まで自転車に乗っていこうというふうに思う方がいらっしゃっても、その間に一カ所、自転車が通ることが難しい場所、危険な場所があれば、自転車の活用というのは進んでいかないという面があるのじゃないかなというふうに思います。また、仮に自転車道それから専用レーンがあっても、それが安全性に配慮されたつくりになっていなければ、それは、物があっても実際に通るときには危険でなかなか使えないといったこともあるのかなというふうに思います。

 ぜひ、そういった使い方といいますか、実際の自転車に乗る方々のまさに利便性ということも踏まえた自転車道それから自転車専用レーンの促進について、これは、ハード面それからソフト、走行ルールも含めて御配慮いただいた上でしっかりと整備をしていくといったことが、まさに自転車の活用、これは環境問題を含めて大きな意味があるということではないかなというふうに思うんですけれども、ぜひ促進をしていただきたい。これまでの取り組みの状況、また平成二十五年度予算でどのような手当てがされているのか、今後に向けてのお取り組み、意気込みをぜひお伺いしたいと思います。

梶山副大臣 自転車は身近な移動手段として重要な役割を担っておりますけれども、交通事故全体に占める自転車関連事故の割合は拡大傾向にありまして、より一層安全で快適な自転車の利用環境整備が求められているところであります。

 これまで、自動車と歩行者から分離されました自転車通行空間として、約三千キロメートルの整備を進めてきたところでありますが、これも自動車道と同じように、つながらなければ意味がないわけであります。断片的な整備にとどまっているところも大変多くございまして、今後は、面的なネットワークとして機能させることが大変重要なことだと考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、警察庁と連携をいたしまして、昨年十一月に、各地域において自転車ネットワーク計画の作成やその整備、通行ルールの徹底等が進められるよう、計画や設計の留意点等を定めたガイドラインを策定いたしました。地方公共団体等に周知をしたところでございます。

 今後は、本ガイドラインを活用し、地方公共団体や関係省庁等と協力のもと、ハード、ソフト両面から自転車の利用環境整備を推進してまいりたいと思っております。

上野分科員 ありがとうございます。

 自転車の活用は、環境面でも、また健康といった意味でも、大変大きな意味があるのかなというふうに思います。ぜひ、引き続きのお取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、私の地元の案件でもございます、八ツ場ダムについてお伺いをしたいと思います。

 これは、松下政務官が委員長のときにも、私、参議院でたびたび質問もした案件でもあります。ただ、これは本当に地元での大事な案件でありますので、改めてこの場でもお伺いをしたいと思います。

 八ツ場ダムについては、我が党の石原代表も、都知事時代に、これは大変思い入れを持って、積極的な推進をお願いしてきたという案件でもございます。これは地元では、本当に長い間、さまざまな議論がありました。賛否含めてさまざまな議論がある中で、治水、利水の両面から大変な効果がある、また、下流都県の方からもさまざまな要望があるといった中で、これは、ある種、苦渋の決断をしてきたというような歴史もございます。

 それが、民主党政権になって、突然の再検証ということになりました。地元では随分混乱もあった、戸惑いもあった、また怒りもあった。そういう中で、ぜひこれは、新政権、政権交代をいたしましたが、円滑に進めていただきたいという思いがございます。これまでの取り組み、それから、平成二十五年度の予算でどのような手当てをされているのか。それから、今後どう進めていくのか。まず、その点についてお伺いをしたいと思います。

松下大臣政務官 参議院時代は大変お世話になりまして、また衆議院としてもよろしくお願いいたします。

 お答えいたします。

 御審議いただいております平成二十五年度政府予算案におきまして、八ツ場ダムに、この建設に関します事業費は、約九十八億円を計上しているところでございます。その内訳ですけれども、もちろん、予算が成立していただいて、それから事業実施計画、そして確定していくわけですけれども、その前提の上において、地元の方々の御要望、つけかえ道路とかの生活再建事業、そして本体工事の準備に係る関連の事業を想定しているところでございます。

 上野委員、御地元で、いろいろ御苦労をされたというお話も承っております。国土交通省といたしましては、早期完成に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

上野分科員 政務官に、改めてこれはお伺いをしたいと思います。

 参議院のときに、委員会でも議論がありました。私も何度も質問もさせていただきました。今、早期完成という話をいただいたんですけれども、委員会の中で、これは昨年の三月二十二日だと思いますけれども、前田大臣から、工期短縮について、これは最大限の努力をしていくという御答弁もいただいております。これはぜひ、政権交代して、自公政権でこれが後退をするというようなことがあってはいけないのじゃないかなというふうに思うんですけれども、工期短縮についての考え方、改めて政務官にお伺いしたいと思います。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 自公政権になりまして、地元の先生方、住民の方から大きな御期待をいただいていることは承知しております。

 ただ、大臣指示のもとに、一つ一つ丁寧に説明をしながら進めていくということもあわせて重要だと思いますので、先生の御指摘も踏まえて、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

上野分科員 ありがとうございました。

 公共事業については、工期の短縮それから工費の縮減といったことは常にやっていかなければいけないことなんじゃないかなというふうに思います。前政権、前田大臣のときの、工期短縮については最大限努力をするといった話も、それを踏まえての御答弁かなというふうにも思います。ぜひ太田大臣のもとで、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 今、生活再建についてもお話をいただきました。この点について、もう一点お伺いをしたいと思います。

 先ほど来申し上げております八ツ場ダムについては、そもそも地元が大変な苦労もして、いろいろな議論もある中で進めていくという決断をした案件でもあります。もう長年地元は大変な思いもしながら取り組んでいる案件でもありますし、さらには、これは繰り返しでありますけれども、この四年間、大変な混乱と、そもそも決断がされないという中で、大変不安定な、不安な時期を過ごしてきた、そういう事案でもございます。

 ぜひ生活再建事業については、これは本体工事の議論というのは当然あると思いますし、八ツ場ダムの基本計画の見直しといった議論もあるとは思いますけれども、生活再建事業についてはそれとは切り離して、しっかりと、円滑に進めていっていただきたいというふうに思うんですけれども、これは国土交通省のお考え方をお伺いしたいと思います。

足立政府参考人 八ツ場ダムの生活再建についてお答えを申し上げたいと思います。

 まず、これまでの経緯を少しお話をさせていただきますが、昭和二十七年に八ツ場ダムにつきましては調査に着手をいたしまして、昭和四十五年の四月に建設事業に移行して事業を進めてまいりました。また、昭和六十一年七月に特定多目的ダム法に基づきます基本計画を定め、平成四年に用地調査に係ります基本協定を締結して用地補償調査に着手し、その後、平成十三年の六月に補償基準の調印に至ってございます。

 現時点で用地の九〇%を取得させていただきまして、また、家屋については九四%移転をいたしてございます。このように、地元の皆様の御理解をいただきつつ事業を進めてまいりました。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、平成二十一年から全国のほかのダム事業と同様にダム検証を行ってきてございまして、平成二十三年十二月に八ツ場ダム建設事業を継続するとの対応方針を決定いたしてございます。

 八ツ場ダムの地元の方々の生活再建につきましては、今申しましたような長年の経緯、こういったものを踏まえまして、最優先の課題だというふうに認識してございます。住民の方々の移転補償のほか、代替地の造成、つけかえ道路、つけかえ鉄道、こういったものも整備を進めてきておりますし、国土交通省といたしましては、平成二十五年度におきましても、引き続きこうした生活再建事業に万全の対応をするように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 では、時間も限られておりますので、最後に大臣に決意をお伺いしたいと思います。

 先ほど政務官の方から、早期完成に向けて取り組むという御答弁もいただきました。また、私の方からは、前政権のときの答弁も踏まえて、工期短縮も含めて早期完成にぜひ力を尽くしていただきたい、そのように申し述べさせていただいたところであります。ぜひ大臣の御決意をお伺いしたいということと、また、今後、大臣はさまざまな決断をされる場面というのがあるんだと思います。ぜひ地元の方々、また首長さんたちを含めて、地域の声というのをしっかり聞いていただければありがたいかなというふうに思います。

 八ツ場ダムについて言うと、水没予定地に川原湯という温泉地があるわけでありますけれども、長年の混乱、それから、特にこの四年間、先が見えない中で決断もできない、そういう状況がございました。廃業していく旅館がたくさんある。また、ダム湖ができることを前提に、その湖の近くに移転をするという計画も当然あるわけでありますけれども、ダムができるのかできないのかわからない、そういった中で移転することすらままならない、そういった状況もありました。ぜひそういった地元の声というのを、しっかり踏まえていただきたいというふうに思います。

 その上で、歴代大臣、地元を訪問いただいております。太田大臣には、もし可能であれば、ぜひ地元も訪問いただいた上で地域の方々の声を聞いていただく、また、首長さんたちの声を聞いていただく、その上で、ダムの早期完成に向けてしっかりと取り組んでいく、そういう思いをぜひこの場で、御決意をお伺いしたいと思うんですけれども、大臣、よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 八ツ場ダムについては、ずっと関心を寄せながら、私も、土木、治山や治水のことについてはずっともうこの二十年かかわってきましたから、関心を寄せてきたところでございます。

 八ツ場ダム建設事業は、日本の社会経済の中枢である首都圏を支える、いわゆる利根川水系全体の治水、利水において大きな役割を担う極めて重要な事業であると私は認識をしています。この認識のもとで、長年の経緯の中で苦渋の決断をされた水没地域の住民の皆様を初めとする地元の思いというものを重く私は受けとめて、しっかりと取り組んでいかなくてはならないと思っています。

 今後とも、関係の一都五県とも緊密に連携をしながら、合意したことについて、早期完成に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。また、現地でいろいろな意見をお聞きするということは、しかるべきときにそうしたいというふうに思っております。

上野分科員 ありがとうございました。

 大臣の方から、本当にありがたい、しっかりとした答弁をいただきました。八ツ場ダムに関する思いというのは、我々は本当に共通をしているんだと思います。しっかりと取り組んでいただきたい、改めてそのことを申し上げさせていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて上野ひろし君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷英弘君。

三谷分科員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 それでは、この予算委員会分科会におきましての質問をさせていただきます。

 まず一点目、これは実はちょっと質問通告にはないことなんですけれども、重要な問題なので伺いたいと思います。

 北朝鮮から本日にもミサイルが飛来するのではないかというような報道等もなされているところでございます。これは事前通告がないところではございますけれども、わかる範囲でお答えいただきたいというふうに思います。

 もし仮に北朝鮮のミサイルが東京に飛んできた場合には、甚大な被害が生じることが予測されます。被害の確認や避難誘導等、行うべきことは多岐にわたると思われますけれども、国土交通大臣といたしまして、こういうミサイルの危機というようなものに対してどのように対処されるのか。

 もちろん、国土交通省がこういった事態のメーンの部局ではないということは十分承知しておりますけれども、四月四日付で出された総理大臣の指示の三点目におきまして、国民の安全、安心の確保のための所要の体制をとることということの中身が必ずしも明らかでないことから、国土交通省として、日本に仮に着弾したということが確認された場合の、その後の一連の対応の内容について伺いたいと思います。大臣、お願いします。

太田国務大臣 四月四日に総理の指示が出まして、私は、国土交通省としまして、重ねて国土交通大臣としての指示を我が省内に発しました。

 北朝鮮が昨今、累次にわたって挑発的な発言もし、そして次第に緊張させるというような行動をしている、緊張感が高まるような動きを現実にしているということに対して、全ての面で万全の体制をとらなくてはいけないと強く決意をしているところでございます。

 一つ一つの内容については、申し上げることは適切でないと思っておりますので申し上げませんが、政府全体として協調し、その大事な部門を担う国土交通省として、国民等の生命と安全はもとよりのこと、心配を払拭できるような、そういう万全な体制をとるという構えできょうも体制を整えているところでございます。

三谷分科員 非常に心強い御答弁ありがとうございました。ぜひともしっかりとした対応をとっていただきたい、これはもう心から一国民としてお願いする次第でございます。

 それでは、質問通告に基づきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、自動車のナンバープレートの活用について伺いたいと思います。

 アメリカでは州ごとに異なるナンバープレートというものが発行されておりまして、その色もデザインもさまざまでございます。自分が以前住んでおりましたワシントン州では、ナンバープレートにワシントン州のシンボルであるマウント・レーニア、富士山みたいな形ですけれども、その絵が描かれておりましたし、お隣のオレゴン州では杉の木が、またフロリダ州ではオレンジの絵がそれぞれ描かれております。

 もちろん、アメリカは自動車社会ということもあるのでしょうけれども、州ごとに本当にさまざまなアイデアが施されており、その州のアイデンティティーというものがそこのナンバープレートに表示されているというようなことで、この点については非常にセンスがあるのではないかというふうに考えております。

 しかしながら、ナンバープレートというのは、ただ単に州ごとにデザインが違うということだけではありません。アメリカでは寄附金つきのスペシャルナンバープレートというものがあります。公立の図書館の読書促進活動や動物愛護など、自動車のオーナーが選択して、追加の費用を負担することで特別なナンバープレートというものを装着することができます。

 そういった自動車の運転をする人としては、周りの人に対して自分がどのような分野に社会的な貢献をしたいのかということを表明するということもできますし、そもそも、その追加の費用というものが寄附金として活用されることからも、現実的に自分が応援したい、そういう社会的活動のためにもなります。

 日本では、以前、番号希望制というものが実施されましたけれども、これは単に自分の好きな番号を選べるだけという、全く個人的な趣味の範囲を超えないものでありまして、これで満足するということであれば残念と言わざるを得ません。

 そこで、伺いたいと思います。

 こういういわゆるスペシャルナンバープレートの導入につきまして、国土交通省の見解を伺いたいと思います。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 個性の時代と言われて久しいわけですけれども、三谷委員御指摘の、こういったナンバープレートを有効に活用するということは大変重要だというふうに考えております。私も存じ上げなかったんですけれども、寄附金とかそういったシステムがあるというのはまた勉強させていただきたいというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、先ほどお触れいただきましたけれども、ナンバープレートの活用ということで、誕生日とかあと記念日、そういったものを希望いただいて、それを活用しているところで、もうおなじみになっているのではないかなと思います。

 一方で、委員御指摘いただきました形状に関して、デザインとかそういったことに関してですけれども、日本のものは今、縦十六・五センチ、横三十三センチ、おなじみの規格なんですけれども、これについて、国交省としてもこれまで議論をしてまいりました。

 パブリックコメントもとりまして、その結果は、国民、両論ございました。もちろん、輸入された大切な車を、今の日本の形式のプレートじゃなくて、欧米型の横長の格好いいプレートにしたいという要望等々もございましたけれども、現在はこのナンバープレート、画一化されておりまして、その活用、例えば駐車場の識別に使いますとか、あとさまざまな、視認性といいますけれども、高速道路のそういったナンバープレートを活用したシステムも構築しておりまして、それを変更するとなると、社会的な資本もかなり想定されまして、慎重にならざるを得ないという状況でございます。

 先生の御指摘は、また勉強することもございますけれども、現在のところは慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

三谷分科員 ありがとうございました。

 日本も、地域主権というようなことを言うということであれば、やはりその地方地方のアイデンティティーというものを何らかの形で表示していくということに重きを置いていってはいかがかというふうに考えておりますし、また、クール・ジャパンというような言葉もございます。自分の個性をキャラクターですとかデザインですとかで発揮をしていくというような表現の場に、そういったナンバープレートを使ってはいかがかということを考えておりますので、ぜひとも、そういった点について検討を進めていただければというふうにお願いを申し上げさせていただきます。

 それでは、このクール・ジャパン絡みで、済みません、質問通告の順番を変えさせていただきまして、ビジット・ジャパンについて若干伺いたいというふうに思います。

 ビジット・ジャパン事業というものがございますけれども、これはどういったものか御説明いただけますでしょうか。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 ビジット・ジャパン事業でございますが、外国から多くの旅行者に日本に来ていただくということで、今からちょうど十年前でございますが、二〇〇三年、ビジット・ジャパン・キャンペーンという形で開始をしたものでございます。

三谷分科員 今、政府の中ではクール・ジャパンというものを積極的に推進しようというふうなことが表明されておりますけれども、このクール・ジャパンというものの中で、ビジット・ジャパンというものはどのように位置づけられておりますか。その点についてもお答えいただきたいと思います。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 クール・ジャパン、今、政府を挙げて取り組んでおるところでございますけれども、クール・ジャパンは、日本のいろいろなコンテンツあるいはファッションなどについて諸外国に積極的に発信をして、そしてまた大いに利用していただこうということでございます。そういう意味では、先ほど申し上げましたビジット・ジャパンの事業とかなり親和性があり、大いに関係があるところだと考えております。

 そういうことで、従来から私どもも、経済産業省等と連絡をとりながら、在外でいえば例えばジェトロといったところとも、私どもの方の独立行政法人でございますJNTOから連携を深めながら事業を進めておるところでございます。

三谷分科員 ありがとうございました。

 まさに、このクール・ジャパンを進めていって日本のブランドを世界に売っていくということの結果、日本に対して旅行者がふえれば、それによって日本の持っている価値がどんどん高まり、そしてそこで海外の人が日本にお金を落としてくれるというような観点で、極めて重要な位置づけになるというふうに理解をしております。

 そして、このクール・ジャパンの戦略の中で、今話題となっておりますスイーツの話、スイーツが一つの柱として検討されているというような報道等もございます。

 スイーツというのは、まさにこのビジット・ジャパンにふさわしいテーマというふうに言わざるを得ません。それはなぜかといいますと、スイーツというのは、基本的に生クリームを使ったり、非常に日もちのしないような製品で構成されていることが日本の場合、多いわけです。もちろん、ようかんですとか煎餅ですとか、そういったものは全然日もちがするんですけれども、最近、日本で話題の人気のスイーツというのは、日もちがしないソフトクリーム、生クリームを使ったりというようなものでございます。

 このスイーツというのは、海外で同じものをつくろうとしてもなかなかできないんだそうです。実際にスイーツをつくっている方々の話を何人かにも聞きましたけれども、やはり原材料も違うということもありますし、向こうで同じものを輸送しようといっても、なかなか採算には乗らないということですね。日本に来ていただいて味わっていただくという観点では、スイーツというのはやはり最もふさわしいテーマなのではないかというふうに思うわけです。

 そういう意味で、ビジット・ジャパンの中でこのスイーツというのを重要な戦略として位置づけることができるのではないかというふうに考えるわけですけれども、この点について所感をお伺いいたしたいと思います。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から、スイーツの魅力について御説明をいただきました。

 実際、今までも、いわゆる日式ラーメン、日本のラーメンでございますが、これは、中国の麺よりも、日式ラーメンということで大変世界的に有名になってまいりました。そして、これもまた本当は洋食なんだと思いますけれども、パンにつきましても、日本の白いやわらかいパンを例えばシャンゼリゼで列をつくってフランス人が買うというふうなことも聞いております。

 残念ながら、私、スイーツにつきましては最近までその魅力というのを知らなかったのでございますが、委員御指摘のクール・ジャパンの関係でいいますと、三月四日だったと思いますけれども、クール・ジャパンの第一回の会議でお一人の委員の方が、パンと並べて、スイーツというのが大変すごいんだというふうな御発言をされたというふうに承知しております。

 今まで、私どもは、食との関係という意味では、ビジット・ジャパン・キャンペーンの中で、先ほどのコンテンツとの連携という文脈の中で、例えば、酒蔵とかきき酒といった形でのお酒を利用したいろいろなメディアの招請、あるいはフルーツ狩りの体験などを諸外国のメディアの方を呼んできて、あるいは旅行会社の方を呼んできて発信いただくというふうなことをやっておりました。

 そしてまた、食べ物という意味では、固有名詞を出して恐縮でございますが、牛角の海外のいろいろな展開をしているお店と連携して、そこで日本への誘客を図るというふうなこともやっておりましたが、残念ながら、今までスイーツについてはそういった取り組みがございません。

 したがいまして、今後、そういったスイーツを、例えばクール・ジャパンの分野の事業で発信していくような催しなどございましたら、そことの連携を図っていくことを考えていきたいというふうに思っております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、ビジット・ジャパンという中で、外国の観光客を、スイーツを提供している町、例えば自由が丘というような町はまさにスイーツの町ということで有名でございますけれども、そういった町をこのビジット・ジャパンの戦略的な位置づけに置いていただければというふうにお願いをさせていただく次第でございます。

 続きまして、あかずの踏切の問題について伺わせていただきます。

 先日、小田急線の下北沢の駅というものが地下化いたしまして、世田谷区内の小田急線の踏切が全て解消されたというようなことがございました。小田急線にまつわるあかずの踏切というのはなくなったということでございます。

 その一方で、まだまだ、あかずの踏切というのは数多く残っているところでございます。全国では六百にも上ると言われておりますし、これは世田谷の中に限ったとしても、まだまだ三十以上あるというふうに言われているわけでございます。

 このあかずの踏切への対応も、いわゆる都心に住んでいる住人の願いでもございます。これは東京を元気にしていく、東京をより住みやすい町にしていくということが日本の経済の活性化につながる、こういうふうに思っているわけですけれども、このあかずの踏切の問題の解決に向けて、国土交通省の今の取り組みについてお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 あかずの踏切についてお答えを申し上げます。

 あかずの踏切の解消は、大変重要な課題であると認識しております。

 連続立体交差事業というのが抜本的な対策になるかと思いますが、都市部におきましては、事業費が大変かかるといったようなこと、また用地取得が大変困難であるということから、なかなか進捗していないというのが実態だと考えております。

 このような連立による抜本対策が困難な場合に、速効対策というのもやっておりまして、例えば、踏切道が前後の道路幅員に比べて狭い場合には、踏切道を広げるというような対策、また、踏切の遮断時間を短縮するために賢い踏切の整備というのも進めております。

 賢い踏切といいますのは、御案内かもしれませんが、入ってくる列車が特急か急行か各駅停車かということを判断いたしまして、列車の速度を判断した警報開始時間を最適化することによって、遮断時間をできるだけ縮めるというような対策、そういったさまざまな対策を組み合わせて、少しでも遮断時間が短くなるように努めてまいりたいと考えております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 その賢い踏切等々を含めまして、そういった対応で何とかしのぐということはもちろん考えられるかと思いますけれども、それでは足りないんだ、やはりあかずの踏切を抜本的に解決していきたいというふうに考える場合には、具体的にどのように進めたらよいのか、その辺の対応について伺えればと思います。

前川政府参考人 例えば、東急電鉄目黒線の奥沢駅前でやはりあかずの踏切がありまして、一時間に遮断時間が四十二分ということで、通れるのが十八分しかないというような踏切もございます。

 ここの場合の例で申し上げますと、道路管理者である東京都、それから鉄道事業者であります東急電鉄が話し合いをして、全体の優先順位とかいろいろなものがあろうかと思いますが、事業の必要性、優先順位、それから事業をやる場合の費用負担、そういったものについて検討をすべきだというふうに考えております。

 東京都においても、連続立体交差事業については随分積極的に進めておられますので、ある程度整備の進捗が図られたところ、これからやるところ、現在事業中のところということで考えておられるというふうに聞いております。

 国土交通省としても、そういった東京都、それから鉄道事業者からの要請、要望がありましたら、積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 要は、地元の方々の声、そして鉄道事業者の声というものを合わせていって、それで都や国を動かしていくというような形になろうかというふうに思います。

 自由が丘でも踏み切り解消推進協議会というものが結成されておりますし、そういった取り組みを行っております。ぜひとも、こういったあかずの踏切の問題の解決に向けて、皆さんとともに進めていただきたい、こういうふうにお願いをさせていただきます。

 続きまして、エイトライナー構想というものについて伺います。

 東京を活性化させていく、東京の交通事情をよくしていくということは、東京を元気にしていく、そして日本の経済を活性化させていく、日本の経済全体の牽引役になるというふうに考えているところではございますけれども、どうしても、今の鉄道網というのは、一旦全て乗降客は都心に行かなければいけないというようなことがあるわけです。

 都心に向けての鉄道というのは放射状に散らばっているところでございますけれども、その近郊の町と町とを結んでいくというような、横の鉄道ではなく縦の鉄道というものはなかなかないというような状況があるわけです。

 エイトライナー構想、昔からメトロセブンですとかエイトライナーというような言葉がありまして、地元では検討されているところではございますけれども、その構想についての現状がどのようになっているかについて伺いたいと思います。

梶山副大臣 今委員御指摘のように、東京圏の都市鉄道というのは、一日当たり二千六百二十万人の方が御利用されていて、都市の活動を支える非常に重要な基盤となっております。

 エイトライナー構想ということでありましたけれども、これはエイトライナー、メトロセブンということで、環状七号線、八号線の道路のように環状の地下鉄網をというお話であると承知をしております。

 これに関しましては、ほかの新規の路線と同様に熟度はさまざまなんですね。まだ練り切れていない部分もあるということであります。さまざまなレベルで今構想され、これらについて、事業採算性、そして費用負担のあり方、関係者の合意形成も含めて、まずは地元の自治体を中心に検討が進められております。

 これは、沿線の九つの区がございます。これと東京都で合わせて連絡会をつくって、そして、平成十二年の八月から、この連絡会においてさまざまな調査をしておいでになりますけれども、事業費に関しては、エイトライナー、メトロセブンで大体一兆二千億円弱かかるんじゃないかということがある。

 この資金の調達の方法、そして事業採算性も含めて、どう詰めていくかによって、この実現性につながってくると思っております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、この実現性というものを検討していただいて、これは採算が合わないということであれば、もちろんそれを度外視してやるということはこの国の将来にとってよくないことだと思いますけれども、しっかりその辺の収益性を勘案していただいて、これはいけると思われたときには、ぜひとも積極果敢にいっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。

 続きまして、震災対策という観点から伺いたいと思います。

 震災対策を考えた際には、道路の安全性というものが極めて重要になるわけでございます。特に、国道二百四十六号線と環状八号線が交差するところ、これは、もし大きな災害等が起きたときには、そこで車はもうとまってしまうということもあり得るでしょうから、いろいろな人が歩いて通過をしていくというようなことにもなろうかというふうに思います。そのときに、この瀬田の交差点の歩道橋というものも、これが落下するだの、そういった非常に危険な状況になってしまうということになります。

 これは一つの例ではありますけれども、そういった災害時の道路として重要な通路となる、そういった場所の建造物の安全性を、瀬田の交差点の歩道橋というのを例にして御説明いただけないでしょうか。しっかり、どのような補修改善がなされているかについて伺いたいと思います。

前川政府参考人 歩道橋の老朽化対策についてお答えを申し上げます。

 今、委員御指摘のように、国道二百四十六号と環状八号線の瀬田の交差点のところに瀬田歩道橋がございまして、この歩道橋は昭和五十四年度に完成をいたしまして、既に三十三年が経過をしているところでございます。

 当然のことながら、維持管理につきましては、道路巡回の際の目視点検でありますとか、数年に一遍でございますが詳細点検をすることによりまして、劣化の状況を見きわめて、機能の維持また通行の安全確保に努めているところでございます。

 御指摘のように、地震のときに歩道橋が落下すれば、その下の交通に対して被害、二次災害を及ぼすだけではなくて、緊急輸送路になっています幹線道路の通行にも支障があるということで、大変大事な課題だと思っております。

 この瀬田歩道橋について、直近の詳細点検は平成二十三年度に実施しております。地元からもいろいろな要請がございましたけれども、階段部が特に腐食が激しいということもございまして、平成二十四年度、昨年度に階段部を含めてリニューアルを行ったところでございまして、現在のところ、安心してお使いいただけるというふうに考えております。

 この歩道橋を含めまして、近年、首都圏直下地震も近い将来起こると言われておりますので、道路構造物が破損したり落下をしたりすることのないよう、適切な維持管理に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 それでは、震災対策というところで引き続きちょっと伺っていきたいと思います。

 先日も関西で大きな地震が起きたところではございますけれども、この東京でもまた直下型地震等々含めて、起きる可能性が極めて高いというふうに言われております。

 二つあります。

 一つは、大震災が起きたとき、実際もう既に前回の震災のときにありましたけれども、電車がとまってしまうということによって大量のいわゆる帰宅難民というような方々が、帰宅困難者が生まれてしまうというようなことは以前にもあったことでございます。

 そういった帰宅難民対策というものについて、鉄道に関して、国土交通省としてどのような対応策をとられる予定でしょうか。お願いします。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 東日本大震災時に、長時間にわたって首都圏も運転再開ができない状況が続きました。御指摘がありましたとおり、駅周辺には、駅の利用者も含めて大量の帰宅困難者が発生をしたところでございます。

 これを教訓として、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会を設置いたしまして、鉄道に関するガイドラインをまとめたところであります。この協議会ですけれども、構成員は内閣府と東京都が中心となって、国交省、そして鉄道事業者等の関連事業者から成っております。

 この鉄道に関するガイドラインですけれども、首都直下地震が発生した場合、まず大事なのは、鉄道事業者は利用者保護の観点から施設の安全を確認するということです。次に、可能な限り鉄道利用者等の帰宅困難者を受け入れることをガイドラインとしてまとめております。主要駅におきましては、飲料水等の備蓄を進めているところでございます。

 以上です。

三谷分科員 ぜひとも、特に東京近郊の鉄道という形になりますと、とにかく大量の方々が駅やプラットホーム周辺に滞在せざるを得ないというような状況になります。飲料水や毛布等、そういった安全を確保していただくということに最大限留意をしていただきたいというふうに思います。

 それからもう一点、大震災が起きたときというのは、鉄道もあれば、もちろん交通網としては道路等もあるわけでございます。道路等にひびなどが生じまして、運行が阻害されてしまうというような可能性もあります。

 実際に大震災が起きたときに、道路の保全管理というものをどのように行っていく予定があるのかということについてお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 道路についてお答えを申し上げます。

 首都直下地震発生時には、発生直後から応援部隊の派遣でありますとか緊急物資の輸送、また広域医療搬送など緊急活動が短時間で大量に必要となるというふうに考えておりまして、災害時にも機能する緊急輸送ルートを確保しておくことが極めて重要だと考えております。

 中央防災会議が取りまとめました首都直下地震対策大綱におきましても、緊急輸送道路として、首都圏一都六県で一万四千キロが位置づけられているところでございまして、発災直後においても機能の継続性が求められているというふうに考えております。

 このため、道路の耐震性向上ということで、特に橋梁について、落橋でありますとか倒壊などの致命的な損傷が生じないよう、橋梁の耐震補強を進めてきたところでございまして、首都圏の緊急輸送道路については、現在までにその耐震補強についてはほぼ対策を終了しているところでございます。

 なお、地震発生時には、落橋に至らないまでも、路面の段差が生じたり、また沿道の建物が崩れて道路を塞いだり、いろいろな交通障害が生じる可能性がございます。東京都を初め関係機関と連携をいたしまして、特に緊急輸送路を中心として道路を早く確保するということが大変重要だというふうに考えております。そういった際には、地元のいろいろな団体と、どこの道路をどなたが担当して道路啓開をやるかといったことをあらかじめ決めておくことも大変重要だと思います。さまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。

三谷分科員 ありがとうございました。

 地域の防災ということにもしっかりと目を向けていただきたい、こういうふうに思うわけです。

 ミサイルの問題、そして震災の問題、これから危機管理等々に多く当たられる、そういった省庁になるかと思います。ぜひとも全力で、国民の生命身体の安全、そういったものを図っていただきたい、これを心からお願い申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて三谷英弘君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小里泰弘君。

小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、私の地元の川内川の治水関係からお伺いをしてまいります。

 平成十八年の戦後未曽有の集中豪雨災害を受けまして進められてまいりました鹿児島・川内川の河川激特事業であります。おかげさまで完了をいたしました。その工事の中途段階の平成二十三年には、時間雨量にして平成十八年並みの集中豪雨に見舞われましたが、例えばモデル的な地域で見ますと、浸水面積にして平成十八年時の一千八百分の一、浸水戸数にして七十分の一と激減をいたしました。九州一の暴れ川から、二度と氾濫しない穏やかな川へと変貌を遂げつつあるわけであります。

 あるいは、九州新幹線で見ますと、その構想の段階では、九州に新幹線なんかつくっても、田んぼの中を空車が走るようなものだとやゆされたものであります。ところが、鹿児島―八代間の部分開業の段階で在来線時代に比べて利用客が二・三倍、さらに全線開業時には一・九倍、掛け合わせると在来線時の四倍もの利用客になったわけであります。道路の事業もそうでありますが、それぞれの公共事業が立派に効果を発揮しておるわけであります。

 今、人からコンクリートへだと言って国土強靱化計画などを批判する声があります。こういった声に対して、やはり、地域に必要な事業はやればやるだけ効果があるといったことをしっかりと説明していくべきであろうと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

足立政府参考人 川内川の激特事業について委員から御質問がございました。

 川内川では、お話がございましたとおり、平成十八年七月の豪雨災害を受けまして、激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業に着手をいたしまして、河道掘削、堤防整備などの一般的な対策に加えまして、推込分水路の整備、それから曽木の滝分水路の段階的な整備、輪中堤の整備、宅地のかさ上げなど、上下流バランスにも配慮をしながら、多様なメニューで整備を行ってまいりまして、平成二十五年、ことしの二月三日には、委員御出席のもとに竣工式の方もさせていただきました。

 このような整備によりまして、先ほどから御指摘がございましたとおり、大きな効果を川内川で上げてございますけれども、一例といたしましては、二十三年七月に平成十八年と同程度の出水がございましたけれども、支川の羽月川、こちらの方では、以前百八十ヘクタールありました浸水面積が〇・一ヘクタールに減少する、そういうような大きな効果がございましたし、先ほど委員御指摘のとおり、川内川本川全体でも大変大きな効果がございました。

 こういったことにつきましても、引き続き我々としても広く情報発信にも努めていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

小里分科員 阿波井堰改築、鶴田ダム再開発事業という、激特とは別個の事業が進んでおります。その進捗状況をお伺いしたいところでありますが、ちょっとここは時間の関係で、しっかり予定どおり二十七年には完成をするように、よろしくお願いをしたいと思います。

 その川内川の治水事業でありますが、復旧事業の段階でたしか百億円余、河川激特事業で三百五十六億円、さらに、鶴田ダム再開発事業で四百六十億円、その他、上流域の阿波井堰の改築事業や関連事業を含めてまいりますと、総計で一千億円になろうという大事業であります。

 その規模の大きさもさることながら、例えば、築堤あり、掘削あり、可動堰あり、分水路あり、輪中堤あり、そして、鶴田ダム再開発事業は、世界でも初という技術を使った事業であります。そういった、まさに日本の治水技術の粋を集めた、日本一の事業ともいうべきこの鶴田ダムの治水事業であります。

 ここで、全国の河川の整備率というものをお伺いしますとともに、こういったモデル的な事業をしっかり推進し、そしてそれを生かしながら、これをモデルにして全国の危険箇所の解消というものを加速化していかなければならないと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 まず、数字でありますけれども、直轄河川の堤防整備率は、二十四年四月時点で、全国約一万三千四百キロのうち約六四%ということになっておりまして、防災・減災の観点から、引き続き整備率の向上を図ることが重要だと考えています。

 今、川内川の治水モデル等についてお話をいただきましたが、私は、河川というのは、この基本的な考え方というのは、川を制御するのではない、川をなだめる、これが日本の河川工学の基本だということを約二十年前ぐらいから伺って、九〇年代の河川法改正のときにもそうした主張をさせていただいたことがございます。

 流域全体で河川を整備するということが大事である。そして、川をなだめる、自然との共生ということを常に考えていくことが大事であるということから、具体的には、洪水治水ということは、川幅を広げる、あるいは川底を掘る、堤防を高くする、遊水地をつくる、そして放水路というのをつくり上げる、ダムを適切に配置して、それらのことの総合的な対策の中で、川をなだめるという基本的な理念のもとで、川というものをどうするかということについて日本では配慮してきたというふうに思っておりますし、そうしたことを総合的に考える治水あるいは利水というものがますます大事であろうという観点に私は立っております。

 そうした観点でいいますと、川内川を初めとして、今御指摘になりましたように、ダムをつくるという場合でも、非常に技術的に高度の水準というものと、今申し上げたいろいろな組み合わせというものを適切にやっていくということで、この川内川を初めとする鹿児島におけるこうした河川のコントロールということについては、力ずくではない、そうしたことの組み合わせというものの一つの典型的なモデルを提起していただいているのではないかというふうに思っておりまして、全国の河川整備というものの率を上げると同時に、こうした考え方を正視して、対応していくということが大事だというふうに考えております。

小里分科員 ありがとうございました。

 どうか、川内川をモデルにして、しっかりと全国の治水を促進していただきたいと思います。

 続きまして、日本航空の再生につきましてお伺いをしてまいります。

 この問題は、いろいろ指摘がありますが、しっかり検証して、今後の企業再生にいかにこれを反映させていくか、我々が議論をして、なしていくべき責務であろうと思うところでございます。

 さて、日本航空は、二〇一〇年一月に経営破綻をして、株式の一〇〇%減資、多額の債権放棄によりまして、多くの関係者の皆様に多大な迷惑をかけた経緯があります。一方で、日本航空の持つ公共性や雇用の確保あるいは国民生活への影響等を考えますと、国が一定程度関与してその再建を後押しすることは必要なことであったと認識をいたします。

 再建計画の実行、再上場、業績のV字回復の結果、競合他社を上回る業績となりましたが、このことから、日本航空への公的な支援が国民負担による過剰支援ではなかったかと言われるところでもありますが、果たして本当にそうでありましょうか。

 振り返りますと、日本航空は、まず企業再生支援機構等から三千六百億円のつなぎ融資を受けまして、そのほとんどが機構による出資に振りかえられたわけであります。これが再上場により放出をされまして、六千六百三十二億円で売却をされました。このうち三千五百億円の出資分は回収をされまして、三千百億円が上場益として機構にストックされたわけであります。

 この過程で、国から無償で資金提供されたわけではなくて、機構等による融資分は完済をされまして、出資分は全額回収、その上に、三千百億円のいわば国民の財産まで生んだわけであります。この過程において、不当な公的支援あるいは過剰な公的支援だったと言われるような経緯は存在をしないと考えますが、いかがでありましょうか。

西村副大臣 担当の副大臣としてお答えを申し上げたいと思います。

 今御指摘ありましたとおり、前政権におきまして、平成二十二年一月に再生支援を決定したわけですけれども、そのときの政府声明でこういうふうに言われております。一つには、我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っている、その運航の継続と確実な再生を図るため、必要な支援を行う、こういうふうに書かれておりまして、この方針に従って当時の企業再生支援機構による支援が行われたものというふうに承知をいたしております。

 まさに委員の御指摘がありましたとおり、三千五百五十億のつなぎ融資とか、それから三千五百億の出資とかを行いまして、結果としては、更生計画を上回る実績を達成できたという面があります。御案内のとおり、上場によって回収もできているということであります。

 この機構による支援の評価については、どう評価するかなかなか難しい面も、両面あるわけでありますけれども、しかしながら、機構の目的は、地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図るということをその目的として、設立に際しては、地域の金融機関、地銀等から、民間の百億のうちの三十八億は地域の金融機関から出資をいただいておりますので、基本的には、地域の中堅中小企業、地域だけでは対応できないものについて支援をするというのが基本であったというふうに思いますので、日本航空という大企業を支援したことは極めて異例な判断だったというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、御指摘いただいた点も含めて、今後の対応は、しっかり地域を見ながらも、例外的には大企業も支援をするということになっておりますので、今後、この経験を生かしてしっかり対応していきたいというふうに思っております。

小里分科員 今の御答弁にありますように、その手法において、制度の活用において例外ではあっても、別に違法ではなかったわけであります。そして、公的な支援が過剰にあるいは不当に行われた経緯はなかったということを確認したいと思います。

 続きまして、日本航空の二〇一三年三月期予想では、売上高が一兆二千二百八十億円、営業利益にして一千八百六十億円の見通しであります。ちなみに、全日空の予想では、売上高一兆四千七百億円、営業利益一千百億円と、ともに立派な業績予想であります。ただ、そこに営業利益差として七百六十億円があるのは確かであります。

 日本航空は、破産に伴う財産評定で利益の積み増しはありますが、それ以上に自助努力によるものが大きかったと思います。例えば人件費で見ますと、パイロットの平均年収が、日本航空の一千四百四十万に対して、全日空は一千九百八十九万、パイロットの給与だけで年間百億円の差が予測されているところでございます。

 日本航空は、さらに、運航乗務員、客室乗務員、地上職の給与を約二割カットして、人件費を大幅にカットしてまいりましたし、その他大胆な経費削減を初め、まさに血のにじむような、身を切るような努力を重ねてまいったわけであります。

 決して過剰な公的支援により不当な利益を得たわけではないと考えますが、これもあわせまして見解をお伺いしたいと思います。

西村副大臣 企業再生支援機構からの支援と、加えて、今御指摘の日本航空による更生計画を上回るコスト削減の努力があったものと思いますし、さらには、当時の円高で燃料費の抑制などの外部要因もあったものと思いますので、結果として、更生計画を上回る実績ができ、また、政府の出資についてはしっかりと回収できたということであります。

小里分科員 まさにおっしゃいましたように、円高あるいはまた燃料費が意外と低くて済んだ、そういった外部要因、そして何より自助努力によるものが大きかったと認識をするところでございます。

 放っておけば市場から淘汰されるであろう企業を政府が支援するということは、大なり小なり競争環境というものをゆがめることになるんだろうと思いますが、これは当初から想定をされたことでございまして、それゆえに、これがけしからぬということになれば、それは企業再生の仕組みそのものが否定されることにつながりかねない話であります。

 むしろ、本邦航空会社同士が切磋琢磨して、国民の利便の確保、そして公共的役割を果たしていく、これを後押ししていくことが大事な課題であろうなと思うところであります。そして、何より国民は今回の日本航空の再生というものを評価して、歓迎して、また期待をしているわけであります。

 発着枠の問題とか、あるいは国交省による、新規投資、路線開設について企業行動を監視するといったようなことも取り沙汰されております。しかしながら、政府が民間企業の経営に介入するということは日本のマーケットに対する信頼を損ねることにつながりかねないんじゃないかなということを懸念いたします。

 また、再生企業だから身を縮めていろ、小さくなっていろということでは、企業再生というものはおぼつかないわけであります。やはり、体力をつけながらウイングを広げて業容を拡大していく、これをまた競合他社も含めて同等に後押しをしていくということは肝要なところであろうと思います。

 見解をお伺いしたいと思います。

西村副大臣 航空行政の個別の考え方については、場合によってはまた国交省の方から御回答いただければと思いますが、一般論として申し上げれば、公的な支援を受けた企業が、支援を受けて、事業者の間で公正かつ自由な競争を阻害することのないようにしなければいけないというのは当然のことだと思います。

 日本にはEUのようなそういうガイドラインとかルールがないものですから、こうしたことを国交省においても御検討いただいているようでありますし、将来は関係省庁と連携をして、そうした公正かつ自由な競争を阻害することのないような公的支援のあり方というものはぜひ考えてまいりたいというふうに考えております。

坂井大臣政務官 国交省といたしましても、委員の御指摘と全く同じ認識でございますが、業界全体が、結局、安全とそれから利用者の利便性ということを念頭に、日本航空の投資やそれから路線開設、経営改善のために廃止をした路線等もございますから、そこは利用者の声を聞きながら、適切な指導助言を行ってまいりたいと思っております。

小里分科員 私の指摘と同じ考えであると最初に御答弁でありましたが、まさに、平等な競争環境というものを維持しながら、日本航空の体力に応じてしっかりとその業容を拡大していく、そして、国民生活、国民経済、そしてまた世界にウイングを広げて大きな役割を果たしていけるように、ぜひ御配慮をいただきたいと思うところでございます。

 続きまして、公共事業の入札制度についてお伺いをしてまいります。

 我々は、従来、公共工事労務単価の適正化を訴えてまいりましたが、昨今の技能労働者の不足傾向や賃金の上昇傾向に鑑みまして、この改善が行われたところでございます。評価をしますと同時に、今後これをさらにしっかりと軌道に乗せていかれますように、まず要請をしたいと思います。

 そこで、公共事業について、他の観点からお伺いをしてまいりたいと思います。

 公共事業におきましては、実績が求められる場合が多いんですね。ところが、実績がないために受注ができない、受注ができなければ実績もつくれないということで、まさに、鶏が先か卵が先かといった議論が昔から行われてきたところでございます。技術と意欲ある企業が新たにチャレンジする機会があってしかるべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の直轄工事におきましては、具体的な工事に照らしまして、当該工事の契約を履行する能力があるかどうか、これを判断するために、過去の同種工事の実績を競争参加資格の要件として設定しております。

 同種工事の実績に関しては、実績づくりのために無理な低入札等を行わなくても済むように、なるべく実績として認める期間を長くしたところでございます。また、国土交通省の直轄工事の実績だけに限定しないで、地方公共団体の実績などでも競争に参加できるようにしているところであります。

 さらに、企業の技術力が発揮できる競争環境を確保するために、平成二十二年度から、盛り土の土工やあるいはアスファルトの舗装などの工事の難易度が比較的低いものについては、同種工事の実績の要件について工事の規模を条件から外すなどしまして、なるべく競争に参加できる企業の方が多くなるような努力をしているところであります。

 いずれにしましても、競争環境の確保を図りつつ品質確保に万全を期すためには、必要な程度を超えて厳しい条件を設定するということにならないように、個別の工事の特性に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

小里分科員 個別の事業の特性に応じて適切に対応していくという今の答弁でございました。また、その期間の捉え方、国の事業にとらわれずに地方公共団体の事業も取り入れていくという答弁でございました。その柔軟な考え方に立って、能力のある企業が意欲を持ってチャレンジをしていける、そんな環境をぜひつくっていただきたいと存じます。

 決まった企業がいつも受注をするひとり勝ちの問題というものがあります。一方で、地域の企業は、災害時の対応、あるいは口蹄疫発生時などの防疫活動、地域の雇用の場としても地域社会に大きく貢献をしているところでございます。

 強くて技術力のある企業が優位に立つのは当然といたしましても、公共事業が適度に分散をされることによって、幾つかの企業が健全に機能していくことが肝要であろうと考えます。

 また、関連して、地域に密着したいわゆる地元の企業がなかなか受注できないケースが多いと聞きます。地元の実力のある企業が健全に役割を果たしていけるように、いわゆる地域要件というものを大きく捉えていただきたいと思います。あわせてお伺いいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、地域の建設企業は、社会資本の担い手であると同時に、地域経済、雇用を支え、災害対応、除雪といった、地域を維持するための事業を担う、国土の守り手として重要な存在であると考えております。

 このため、国土交通省直轄工事におきましては、これまでも、官公需法などに基づき適切な地域要件を設定するなど、地域建設企業に対する受注機会の確保に努めてきたところであります。

 委員が御指摘いただいたように、技術と経営にすぐれた企業が受注するということは必ずしも否定されるものではございませんけれども、御指摘の点も含め、社会資本の整備、管理の観点から、優良な地域の企業が適切な価格で受注し、かつ、品質のいいものをつくっていただけるよう、引き続き検討してまいりたいと考えております。

小里分科員 関連して、いわゆる低入札の問題があります。

 この低入札によりまして、地域の企業経営が厳しい状況に追い込まれております。いわゆる調査基準価格が予定価格のおおむね八五%に設定をされまして、そこに入札がへばりつく傾向があることがその大きな要因になっているわけであります。

 この調査基準価格を見直すことも検討すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 低入札調査基準価格は、委員御存じのように、予決令八十五条に基づきまして、当該契約の内容に適合した履行がなされないこととなるおそれがあると認められる場合の基準ということで定められておりまして、応札額がこれを下回る場合には、工事の品質確保の観点等から調査を実施しまして、適正な履行が可能かどうかを確認しているものであります。この調査基準価格につきましては、工事の品質確保上、重要な価格であるということです。

 これまで、工事の品質とこの基準価格の関係を調査しまして、平成二十年度以降、三度の引き上げを行ってまいりました。御指摘の観点も含むさまざまな御意見をいただいているところであります。低入札価格調査基準価格のあり方につきましては、早急に検討してまいりたいと考えております。

小里分科員 早急に検討するということでございました。ありがとうございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、きょうは、西回り高速道路、整備新幹線等々、さらに質問を申し上げる予定でありましたが、せっかく準備をいただきましたけれども、時間の関係でまた別の機会にしたいと思います。お許しをいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

石田主査 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、木内均君。

木内分科員 自由民主党、長野県の木内均でございます。

 本日は、この第八分科会で、国土交通省の所管につきまして、主に高速道路の建設の関連になりますけれども、太田大臣初め関係部局の皆さんにお伺いをしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 この部屋には、永年勤続の諸先輩方が大変厳しい顔で、中には優しい顔つきの方もいらっしゃいますけれども、こういった先輩たちに見守られながら、しっかりと質疑をさせていただきたいと思います。

 最初に、太田大臣にお聞きをいたします。

 道路整備に関する哲学と高速道路のミッシングリンク、未開通部分の解消につきましてお伺いをいたします。今国会でも太田大臣は既にお答えになっていらっしゃいますけれども、まずは道路整備についての哲学をお伺いいたします。

 あわせて、国土交通省は、全国ミッシングリンクの整備の中で、「東海・東南海・南海地震への備えや降雨・降雪時の代替ルートの確保、国際競争力の強化、産業の立地・振興等を図るため、主要都市間等を連絡する高規格幹線道路等のうち、未整備の部分(ミッシングリンク)の整備を推進し、都市間移動の速達性を高めます。」とうたっております。この点につきまして、まず大臣に御所見をお伺いいたします。

太田国務大臣 私は、国土の均衡ある発展という時代は終わった、このように思っておりますが、それぞれの全国の中で、世界の都市間競争にたえ得る、そうした意味での大都市、そしてまた道州制や地方分権ということに絡んで言えば、その地域の中核的な都市というものは産業の牽引力としてさらに整備をしなくてはいけない。そしてまた、過疎という地域がございます。この地域に住まわれる方たちの愛着度というものは、これは非常に大事なことで、しっかりとここは支えていかなくてはいけない。

 都市というもの、それぞれの都市というものを結んでいく、そして産業というものを発展させる、世界にも冠たるものにしていく、港湾と空港と、そして道路網という、まさにネットワークというものが大事だというふうに思っています。

 三・一一以降に特に強調されなくてはならないのは、リダンダンシーということだと思います。東日本大震災ということを考えましても、日本海の方の港湾に揚がり、道路でそのまま行く。先生は長野県だとお聞きしておりますけれども、そうしたところでもやはりネットワークというものとリダンダンシー。

 そして、過疎のところをどういうふうに、病院がない、いろいろなことがないけれども、三つなら三つの過疎の地域をつないで、どうすれば結節点ができるかというような観点も極めて大事で、そういう意味では、リダンダンシーというものと、命を守る、妊婦さんがいらっしゃる、出産をする、急にそうしたことが起きる、あるいは急に心臓がおかしくなる、そこで近所のところにというわけにはなかなかいかないけれども、道路を整備してしっかりと医療行為というものがなされるというようなこと。

 その意味では、産業も含めたまさにリダンダンシー、選択肢が多いということが一つ。そして、道路は単に富を創出するというだけでなくて命を守るという観点もあるということで、それを組み合わせていくということが大事だというふうに思っています。

 首都圏を初めとする大都市のところは道路ができて、地方のところには人間も車もそんなに通らないじゃないか、こういうふうに言われて、中央と地方との戦いになるようなこともございましたが、私は、今申し上げましたリダンダンシーと、命を守るということ、そして全体には産業の活性化ということですが、大都市圏の周りの道路というのは、狙い定めて経済発展を促す産業経済戦略道路というふうに捉え、そしてまた地方の道路というものは、特に生活インフラ道路というような位置づけで、この国全体の道路網というものを考えていかなくてはいけない。

 一色に道路というものを考えるのではなく、それぞれの道路は何ゆえに、何の目的でこの道路が必要かという説得力ある道路網の整備が大事だというふうに考えております。

木内分科員 太田大臣、どうもありがとうございました。

 私の選挙区は大都市ではありません。中核都市というよりも、過疎の地域です。そういった中で、大臣からは、大都市では経済戦略道路である、それからその他の地域ではまさに生活インフラ道路であるという御答弁、哲学を披瀝していただきました。

 後ほど、私は具体的に中部横断自動車道の件も触れさせていただきますが、まさしく、我々のような地方に住む人間にとりましては、道路というのは産業を活性化させるためだけのツール、インフラではないんですね。命を守る。道路整備をすることによって、医療機関とか福祉機関との時間的短縮が図られることによって、今まで助けることができなかった命を助けていく。まさに地方にとりましては、道路整備イコール医療行政であり福祉行政である、こういった実態があるわけでございます。

 そういった地方の実態に詳しい太田大臣でありますので、積極的に説得力のある道路整備を進めていただきたいと改めてお願いを申し上げる次第でございます。

 二つ目の質問に入らせていただきます。

 高速道路の具体的な整備の手法についてお伺いをいたします。

 高速道路の整備に当たりましては、さきの自民党・公明党連立政権のときには、国土開発幹線自動車道建設会議、略称国幹会議、こちらの方で議論をしていただいて、基本計画から整備計画に格上げをしていく、こういった手続を踏んでいただいておりました。

 政権交代後に、民主党が政権をとりました。民主党政権になってからは、この国幹会議が形骸化しているという指摘があって、国幹会議にかわる会議体で高速道路の整備を議論していきたい、具体的には、社会資本整備審議会、略称社整審、こちらの方で高速道路の是非、基本計画から整備計画に格上げをしていく、こういった議論がなされておりました。

 さきの十二月の総選挙で政権を奪還させていただきまして、私ども自民党と太田大臣率いる公明党さんで、また過半数以上を確保させていただきました。こういった政権交代後に、高速道路の整備に関して具体的にどの会議体を使って議論をしていくのか、この点についてまずお伺いをいたします。

前川政府参考人 高速道路整備のプロセスについてお答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、国幹会議の設置根拠でございました国土開発幹線自動車道建設法につきましては、平成二十二年三月に廃止法案を国会に提出いたしましたが、同年十二月に廃案となったところでございます。

 したがいまして、現在、高速道路整備のプロセスにつきましては、一つは計画段階評価というプロセスをとっております。もう一つは新規事業評価。この二つのプロセスを経ることによって整備を進めているところでございます。

 計画段階評価と申し上げますのは、関係地方公共団体でありますとか有識者の方による委員会を設置いたしまして、その委員会の意見を聞きながら代替案の比較評価を行って、おおむねのルートを決めていくものでございます。

 また、新規事業評価につきましては、委員御指摘のございました社会資本整備審議会の中に道路分科会がございまして、その中の事業評価部会、さらにはそれの地方小委員会というのがございます。地方での御意見、それから中央の審議会での御意見を聞きながら、事業評価の充実を図りながら進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたような透明性を高めたプロセスを通じて、整備の緊急性でありますとか整備効果を確認しつつ、必要な事業を進めるようにしていきたいというふうに考えております。

木内分科員 道路局長から御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 自公政権になってから、どういった会議体を使って高速道路の議論をしていくのか、まだ正式に具体的には決まっていないんですね。国幹会議を復活させて、復活させてといいますか、これはもうあるわけですね。今国会でも、例えば我が党であれば石破幹事長あるいは野田聖子総務会長が国幹会議の委員に選任をされているわけでありますけれども、せっかくある機関ですから、この国幹会議を再活性化していただいて、ぜひ具体的に高速道路の必要性について議論に入っていただきたいとお願いをいたします。

 私自身は、地方の政治家をやっておりましたので、この国幹会議の動向というものに一喜一憂をしていた一人なんです。と申し上げますのは、国幹会議、さらにはそれ以前の国幹審、これは、毎年毎年開かれるものではなかったですね。しかも、十二月の暮れが押し迫ったころ、二十七日とか二十八日、ぽっと開催をされて、そこで道路の基本計画が決まっていく、あるいは整備計画への格上げが決まっていく、そういった審議が行われておりました。地方にとりましては、二、三日遅いクリスマスプレゼントになることもあれば、がっかりして、ああ、次の国幹審あるいは国幹会議を待たなければいけないのか、そういう会議体だったんですね。

 ここからちょっと具体的なお話をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区の中に、中部横断自動車道という高速道路がございます。これについて、少し経過をお知らせさせていただきたいと思います。

 この道路は、当時の議論では、費用対効果をはかると、Dランクにランクをされたところです。有料高速道路で整備した場合がD、無料のときがC、さらに、八千穂から長坂間に関しては、無料でも有料でもDランクに評価をされていたところです。この道路が何とか首の皮一枚つながったのは、当時、新直轄方式という方式を与党、自民党、公明党、協力をして編み出していただいたといいますか、地方の視点に立っていただいて、何とか高速道路整備を進めていくということで、新直轄方式というのを採用していただきました。その第一号の路線がこの中部横断自動車道の一部になってまいります。

 平成二十三年三月に佐久小諸ジャンクションから佐久南インター間の八キロが供用開始をされました。この八キロ間は、今、無料の高速道路として、地域の皆さんに大変喜ばれながら、そして使い勝手のいい道路として利用させていただいております。そして現在は、この佐久南インターから仮称八千穂間でありますけれども、この十五キロメートルが工事進捗中です。

 この平成二十五年度の新年度予算でも、大変ありがたいことに、暫定予算ではありますけれども、中部横断道関係だけで二十億円予算をつけていただいております。地元の皆さんは、まだいつ供用開始になるかわかりませんが、恐らく平成二十八年度中には供用開始になるのではないか、そういった大きな期待を込めて道路の進捗状況を見守っております。

 しかしながら、この総距離百三十二キロメートルの中部横断自動車道のうち、唯一の未着工区間が佐久穂町の仮称八千穂インターから山梨県の北杜市間の約三十四キロであります。このうち、長野県分は約二十二キロ、山梨県側が約十二キロという状況になっています。

 民主党政権のときにも、平成二十四年十月四日に社整審の小委員会が開催をされまして、全線高速道路構造での整備が了承されています。その次の小委員会で八千穂―長坂間の整備手法が最終的に取りまとめが行われるのではないか、こういった予想もしておりましたし、期待をしておりましたが、それ以降、この小委員会は開催をされておりません。そして、私どもが政権を奪還したわけです。こういった中で、どうやってこの整備を進めていくのか、その手法が注目をされております。

 この中部横断道は、私が改めてその必要性を申し上げるまでもなく、我々の住む佐久地域につきましては、最初にお話をさせていただきましたとおり、救命救急の道でもあります。

 あわせて、私どものこの地域の主要産業であります農産品、特に南佐久郡川上村とか南牧村はレタスの一大産地です。この主要産物であるレタスを一刻も早く静岡県側に運んで京阪神に輸送していく、さらには、清水港から東南アジアに向かって輸出をしていきたい。まさに、安倍総理が申している攻めの農業、これを具体的にやりたいといったときに、残念ながらミッシングリンクでつながっていない。直線距離にすればそんなに長い距離ではないんですけれども、残念ながら、この三十四キロ間が整備をされていないことによって、せっかくいい生鮮食料品がとれても、それを戦略的に売っていくことができないという地域になっています。

 そして、長野県全体にとりましても、これは太平洋と、それから日本海、上越、これを結ぶ壮大な道路になるんですね。上信越自動車道と中部横断自動車道の結節点になる佐久にとりましては、これからますます地域経済が発展をしていく、そのための高速道路としても大いに期待をされております。

 そして、太田大臣からも答弁をいただきましたとおり、道路というのは医療であり、福祉であり、人を助けるんだという御答弁がございました。まさにそのとおりで、実は、並行して走っております国道百四十一号というのは、南佐久郡にとりましては、南北に走る道路はこれ一本きりなんですね。特に冬場は、県外からのお客さんがたくさん参ります、県外の皆さんは長野県の事情を知りませんから。そして、余り雪の降らない地域なんです。標高がそのかわり高いんですね。一旦降ってしまった雪は、根雪になってアイスバーンになってしまう、凍結をしてしまう。そういう事情を知らない県外の皆さんがノーマルタイヤで来られて、そして事故を起こして、国道一四一がストップしてしまうんですね。二、三時間の通行どめは当たり前なんです。ひどいときには半日、一日、交通が寸断されてしまうんですね。

 警察車両ですとか消防車、救急車、こういった緊急車両さえ入っていくことのできない道路になってしまっているのが、私の選挙区にあります国道百四十一号の実態なんです。本来であれば緊急車両が駆けつけて助けることができた命、これも助からないのが今の状況なんですね。

 そういった意味では、三・一一災害以降、私ども自民党は、国土強靱化、そこに住んでいる地域の皆さんの生命財産を守るための公共事業の促進ということを訴えておりますし、太田大臣の公明党さんは防災ニューディール政策ということで訴えております。

 そういった意味では、この地域に住んでいる皆さんの生命財産を守っていただくためにも、どうしてもこの中部横断道は必要な道路なんです。

 こういったことを太田大臣に再度認識していただきながら、ぜひこのミッシングリンクの解消に向けてお力を発揮していただきたいと思っています。

 そこで、二点、具体的にお伺いをいたします。

 まず一点目は、平成二十五年度の新年度予算でも、暫定予算として二十億円強の予算をつけていただいております。地元では、工事がますますスピードアップするのではないか、供用開始の時期が早まるのではないかという期待をしております。具体的に、この佐久南インターと八千穂インター間の供用開始が早まるのかどうかということをお聞きいたします。

 あわせて、唯一の未着工区間であります八千穂インターから山梨県の長坂ジャンクションまでの整備について、これは現在、基本計画のままでとまっているわけでありますけれども、今後の整備の方針についてお伺いをいたします。

前川政府参考人 中部横断自動車道についてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中部横断自動車道につきましては、この地域の第三次救急医療機関でございます佐久総合病院へのアクセスでありますとか、川上村を中心とする高原野菜の出荷にとっても大変重要な道路ということで、地域からも大変期待が大きいと認識をしております。

 現在、過去に国幹審とかで整備計画を出したのが佐久小諸ジャンクションから八千穂インターまでの間でございまして、このうち、平成二十三年三月には、佐久南インターまでの約八キロが既に供用をしておるところでございます。

 現在、残る佐久南インターから八千穂インター間約十五キロについて事業を進めておるわけでございますが、用地買収も九九%済んでおりまして、工事が最盛期となってございます。二月の大型補正においても必要な予算を確保いたしましたし、二十五年度予算でも必要な予算を確保して、今の段階で何年度に供用という目標をまだ示す段階ではございませんけれども、事業の進捗が図られるように努めてまいりたいと思っております。

 それから、未事業化区間でございます八千穂インターから中央道の長坂ジャンクションまで三十四キロございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げました計画段階評価の手続に入っておりまして、代替ルートも含めて地元にお示しをして、小委員会の議論を経て、今ルートの検討をさせていただいております。

 このうち、長野県側については、ルートについては地元の理解もおおむね得られておりますし、これから環境調査等に入っていく準備を進めておるところでございます。

 山梨県側につきましては、八ケ岳南麓の別荘地を通過することから、さまざまな御意見が地元からございまして、ルートについての検討を、手順を尽くしてといいますか、地域の皆さんの御意見を十分聞きながら検討を進めさせていただいているところでございます。

 山梨県側についても、そういったことでおおむねの合意が得られれば、小委員会の了承をとった上で環境調査等に入ってまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、三十四キロがミッシングリンクということで残っておりますので、これらの事業が進むようにこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。

木内分科員 道路局長、御答弁をありがとうございました。

 山梨県側の難しい状況も、実は私も存じ上げております。当初、別荘に住まわれている皆さんが、もう高速道路はこれ以上要らないのじゃないか、そういった視点で反対をされておりました。国土交通省の方が、それではということで、少しルートをいじったんですね。そのことによりまして、今度は古くから住んでいる皆さんも、ちょっとこの整備はいかがなものかなという状況になっているということも存じ上げております。

 ただ、努力をいただくことは非常に大事なことでありまして、三十四キロ間が一遍に整備計画に格上げをされて、このミッシングリンクを解消していく、これがやはり最優先でありますが、そうでなかった場合にも、二枚腰でぜひ検討をしていただきたいと思います。

 それは、もう十分に地元同意ができて、環境が整っている、これは環境アセスも含めてですけれども、そういうところに関しては、先行して進めていただくというのも一つの選択肢ではあろうと思います。

 三十四キロのうち二十二キロ分が長野県になっているわけです。そこだけでも先に進めていただくということになりましたら、工事をしながらその先線をさらに考慮して、地元の皆さんにも御理解をいただく、そういった手法もとることが可能であるというふうに思いますので、改めて御検討をお願い申し上げます。

前川政府参考人 委員御指摘のとおり、現在、長坂ジャンクションから八千穂については、一体となって進められるよう検討しておりますが、山梨県側の状況によりましては、長野県側を先行してやるということも考えられますので、これは山梨県側ともよく調整しながら、今後の進め方についてよく検討をしてまいりたいというふうに思います。

 なお、先ほどの答弁で、中部横断道について補正予算がついたと私は申し上げましたが、間違いでございましたので、おわびをして訂正を申し上げます。当初予算で、しっかり予算を確保してまいりたいというふうに思います。

木内分科員 思わぬいい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 確かに補正ではついていないんですけれども、今度の新年度、暫定でありますけれども、もう既に二十億という大変なお金をつけていただいているのは事実でありますので、この点に関しては、地元が大分期待していますので、改めてお願いを申し上げます。

 最後に、工事の請負事業者の選定について、これは具体論で聞くとちょっと問題があるかもしれませんので、一般論としてお伺いをさせていただきたいと思います。

 国直轄の事業に関して、地元の皆さんに優先的に仕事をとっていただく、そういったありがたい方針で進んでいるんですが、その地元の解釈が、道路整備局によってまちまちというところもあるんですね。例えば、長野県全体が地元ですよという捉え方をしているところもあれば、長野県の中の一地域が地元ですよという捉え方をしているところもあります。

 そういった意味では、例えば三億円未満はC級業者がとっていく、これは地元の業者が対応できる範囲の工事なんですね。そういった意味では、よりその地域に密着をした事業者が仕事ができるようにしていただく、こういった地域要件の緩和、見直しということを御検討していただけないか、お聞きをいたします。

 と申しますのは、私は市議会議員、県会議員をやってきている中で、例えば除雪のような本当に大変な仕事があるんですね。地域に密着をしている業者が、ここは私の道路だから、命を守るんだということで一生懸命、赤字を覚悟でやってくれた、そういった道路が、最終的に、ほかの整備のときの入札になると、遠くの業者が来て、目の前の道路をやってしまう。もうこんな除雪なんということはやっていられないということで、応札をしてくれないということまで出てきちゃっているんですね。

 災害もそうなんですね。災害復旧、災害なんていつ起こるかわかりませんから、真夜中に災害が起こったときには、一番御近所の業者が呼ばれて、応急復旧をやるんですね。やるんですけれども、今度、本復旧になったときには、また違う業者さんが遠くから来て、目の前の河川をいじったり道路をいじったりしている。そうしたら、もうこれからは災害が起こったって、夜中、誰が出て行くもんか、そういう業者が実は地方にはいらっしゃるんです。そういう実態があるんです。

 そういう意味では、国が出す直轄事業に関しても、より地域の要件を狭めていただいて、地元の業者が何とかとれるような、そういった地域要件の緩和が可能かどうか、お伺いをいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の直轄工事の発注に当たっては、委員御指摘のように、地域の建設企業に対する受注機会を確保するという観点から、これまでも官公需法等に基づきまして、きめ細かな地域要件の設定に努めてきたところであります。

 地域要件の設定に当たりましては、それぞれ整備局ごとに、管内全体のバランスであるとか、個々の事情を踏まえて設定してきております。長野県のように、関東、中部、北陸、このようなところは全国でほかにはないので、それぞれの地域要件の設定の仕方が若干異なっているというのは、これは事実であります。

 地域要件の設定に当たっては、これは公共事業でありますので、競争性あるいは公正性、透明性等の観点も十分踏まえなきゃいけないということもありますし、また、それぞれの地域のいろいろな御事情もあるかと思います。そういう形で、今、若干異なっておるわけですけれども、もともとの趣旨、地域の建設産業の方々になるべくとっていただきたいという趣旨等も踏まえつつ、それぞれの関係する方々の御意見も聞きながら、地域要件のあり方については引き続き検討していきたいと思っています。

 一点、今お話がありましたけれども、維持、修繕、防災等につきましては、関東の場合も地域を幾つかに分けて、なるべく地域に近いところの方にやっていただくというふうにしております。

 いずれにしましても、地域要件のあり方につきましては、引き続き検討してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

木内分科員 さすが地元の事情に明るい審議官から答弁いただきましたが、長野県は本当に特殊なんですね、中部、北陸、関東と三つの整備局が入っておりますので。何とかその三つに違いがないように対応していただきたいと改めてお願いをします。

 時間が参りましたけれども、きょうは、十二月の総選挙で初当選をさせていただいて、初めての質疑となりました。地元の細かい質問をして恐縮でありましたけれども、これが本当に地元の生の声でありますので、こういった事情を、太田大臣初め鶴保副大臣、坂井政務官、国交省の皆さんには御賢察をいただきまして、与党の強みを生かせるような、そういった事業の運営を改めてお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて木内均君の質疑は終了いたしました。

 次に、武村展英君。

武村分科員 自由民主党の武村展英でございます。

 本日は、予算委員会の分科会ということで、私が選出されました地元の課題を中心に、社会資本の整備、そして維持管理、さらには入札に係る問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区の紹介をさせていただきますが、私は、滋賀三区、滋賀県の南部にございます草津市、守山市、栗東市、野洲市、この四市から成る選挙区でございます。滋賀県の南部の地域ということで、湖南地域と呼ばれております。この地域は、古くから、東海道あるいは中山道、こうした交通の要所として発展をしてきた地域でございます。

 湖南地域は、現在では、京阪神に隣接する地理的優位性と交通の利便性から、人口が急増をしております。平成二十三年の統計では、滋賀県の人口増加率は沖縄県、東京に次ぐ全国第三位の増加となっておりますが、その滋賀県の中でも特にこの湖南地域というのは人口の増加が著しい地域となっています。

 一方で、増加する人口に道路の整備が追いついていない、こうした現状がございます。平成二十二年の統計では、国道の整備率は滋賀県は全国で三十九位、県道の整備率は三十四位となっております。

 このように人口の増加が著しい一方で、道路整備が全国的に見ても進んでいない、こうしたいわば矛盾した現状の中で、長年にわたって、慢性的な道路の渋滞、そして交通事故の増加、沿道の環境の悪化、こうしたものに苦しんできたという経緯がございます。

 こうした滋賀県南部の道路整備の現状について、国土交通省の御認識をお伺いいたします。

前川政府参考人 滋賀県南部地域の道路の現状について、お答えを申し上げます。

 滋賀県南部地域でございますが、琵琶湖と逢坂山、また瀬田川で分断されるということで、狭い地域に名神高速道路、新名神高速、国道一号、八号と、四本の幹線道路が集中しておりまして、近畿圏と中部圏並びに近畿圏と北陸圏を結ぶ交通の要所となってございます。

 国道一号、国道八号におきましては、交通量が日当たり約二万台から五万台と大変多くなっておりますし、朝夕の時間帯を中心に二十キロ以下でしか走れないような区間が多く存在して、整備の状況がまだまだだというように思っております。

 ことしの一月に滋賀県内の渋滞対策協議会で、道路利用者の意見をお聞きして滋賀県内の主要渋滞箇所を公表させていただきましたけれども、滋賀県内全体で七十四カ所の主要渋滞箇所のうち、南部地域に五十五カ所、率にして四分の三が集中しておりまして、そういった面からも、大変交通が集中するにもかかわらず、道路整備がいまだ不十分な地域だと認識をしております。

武村分科員 ありがとうございます。

 滋賀県の湖南地域について、道路の現状について認識を共有させていただいたということで、本当にありがとうございます。

 この湖南地域では、今申し上げましたように、慢性的な交通の渋滞が起こっているわけでございますが、特に、こうした課題を解決するために、国道八号線バイパス、野洲栗東バイパスというふうに言われております、そして国道一号バイパス、栗東水口道路と呼ばれております、さらには山手幹線、こうした幹線道路の早期の整備が大変重要だというふうに思っておりますが、国土交通省の御認識をお伺いいたします。

前川政府参考人 御質問にお答えを申し上げます。

 国道一号と国道八号が栗東市において合流をいたしまして大津市の方に行っているわけでございますが、まず、国道一号を栗東水口道路によりましてバイパスするための事業を今進めております。現在、栗東水口道路、約十一キロでございますが、用地買収及び工事を進めております。

 このうち、湖南市菩提寺から栗東市小野までの延長四キロにつきましては、当初、平成二十五年度供用目標で事業を進めておりましたけれども、用地買収が大変難航しておりまして、現在、土地収用法に基づく手続を行っております。引き続き、早期完成を目指して努力をしてまいりたいと考えております。

 国道八号の野洲栗東バイパスでございますが、これも四・七キロ、事業中でございますが、現在、用地の幅ぐいを設置するとともに、順次、用地測量に着手をしているところでございます。

 ただ、ここの区間は、事業化したのは随分昔でございまして、高架にするか盛り土にするかということでなかなか地域の合意が得られませんで、ようやく近年、用地買収にかかれたというような状況になっております。

 それから、山手幹線でございますが、山手幹線は、滋賀県が整備している十・四キロの事業でございます。周辺の工業団地と名神高速道路の草津田上インターとの連携強化を目的として、滋賀県が整備を進めておりまして、これまでに七・五キロが供用済みでございます。

 将来は、国道一号の栗東水口道路と連絡をすることになっておりますが、その連絡するところの残る三キロについて、現在、滋賀県におきまして、側道部の二車線の整備を推進していると承知をしております。

 本線につきましては、どういう形で整備をするか、国土交通省と滋賀県でよく相談をさせていただきたいというふうに思っております。

武村分科員 ありがとうございました。

 次に、滋賀県南部地域の河川の現状について御質問をさせていただきます。

 滋賀県南部の河川は、川底が両側の土地よりも高い、いわゆる天井川が多いという特徴があります。さらに、人口の増加とそれに加えて資産の集中、こうしたことによって、一たび河川の氾濫や土砂崩れが起きれば被害は甚大なものとなってしまいます。

 そういう実態の中で、現在、滋賀県の河川の整備率、これは平成二十三年度末の統計でございますが、五五%しか進んでいない、こうした現状にございます。こうした滋賀県南部の河川の現状認識について、国土交通省の御見解をお伺いいたします。

足立政府参考人 滋賀県南部の河川整備の現状について、お答えをいたします。

 滋賀県南部地域は、過去に、昭和二十八年の台風十三号、昭和四十三年の梅雨前線による豪雨、昭和五十七年の台風十号などによりまして、草津川、日野川等で洪水被害を受けたというふうに承知をいたしております。

 特に草津川は、市街地を流れる、先生御指摘のとおりの天井川でございまして、昭和四十六年に滋賀県が草津川放水路に着手をいたしましたけれども、その後、沿川の人口、資産の急増や、技術的に非常に難しい河川でもあるということなどから、平成四年に国土交通省の直轄化、直轄で工事をすることが決定されまして、平成二十年に事業を完了し、既に滋賀県に再び移管を行ったところでございます。

 一方、当地域の日野川を初めとする県管理河川におきましては、整備途上にあるため所要の治水安全度が確保されていない状況であり、市街化が進行している当地域の状況からも治水対策が重要であるというふうに認識をいたしております。

 以上です。

武村分科員 ありがとうございました。

 この滋賀県の南部地域の中でも、特に野洲市においては、西は野洲川、そしてまた東は日野川に接しております。その間をさまざまな河川が流れておりまして、童子川、新川、家棟川、光善寺川、中ノ池川、こうした大小の河川が流れる中で、こうした河川は、川幅が大変狭いことに加えまして、河床も浅く、天井川を形成するなど、治水上極めて脆弱な状況にございます。

 日野川を初めとする野洲市内の河川改修を早急に行うことが喫緊の課題だというふうに考えておりますが、国土交通省の御見解をお伺いいたします。

足立政府参考人 日野川を初めとする河川の改修について、お答えをいたします。

 日野川は、滋賀県が管理する一級河川で、これも典型的な天井川を形成しておりまして、これまでもたびたび洪水被害を生じており、平成二年の台風十九号では大きな浸水被害を受けてございます。

 このため、日野川では、平成八年度に河川改修事業に着手をいたしまして、順次、下流から改修を現在進めているところであり、現在、先ほどお話のありました光善寺川合流部付近で主に掘削、護岸等を行っているところでございます。

 今後とも、滋賀県南部地域の治水安全性の向上を図るため、日野川を初めとする整備途上の県管理河川につきまして、管理者である滋賀県の取り組みに対し、必要な支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 これからも、地域の声を等身大に政府の方にお伝えし、そして政府の方で優先順位をつけていただいて、こうしたインフラの整備を進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、資産管理に関しまして、琵琶湖にかかっている橋梁である近江大橋について御質問をさせていただきます。

 この近江大橋は、大津市と草津市の境となる琵琶湖の上にかかっている橋梁でございます。滋賀県道路公社が建設、運営をし、一九七四年に供用が始まって以来、普通車で一回百五十円の通行料が徴収をされております。

 この近江大橋の総事業費は約二百四億円となっておりますが、本年十二月二十五日で償還が完了する見込みとなっております。現在の制度上、償還が完了した場合には、道路整備特別法におきましては、通行料を原則無料にするということが定められているところでございます。

 一方で、滋賀県としては、年間に平均で約一億四千万円の維持費がかかることが見通しで明らかになっておりますが、この維持費に通行料を充当するため、引き続き有料道路として通行料の徴収ができないか、国土交通省と協議がなされましたが、結果として認められませんでした。

 そこで、この近江大橋が、償還後、引き続いて有料道路として通行料を徴収することが認められなかった理由につきまして、国土交通省にお聞きをいたします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、道路整備特別措置法の中で、償還期間満了後も維持管理有料という制度がございます。その適用に当たりましては、一つは、維持修繕に特に多額の費用を要すること、二つ目といたしまして、当該道路の本来道路管理者、この場合は滋賀県になりますが、滋賀県が維持修繕に関する工事を行うことが著しく困難または不適当であること、この二つの要件を満たすことが必要であるとなってございます。

 近江大橋有料道路については、先ほど維持費が一億四千万円というお話がございましたけれども、それが、特に多額の費用を要するのか、滋賀県の財政力からいって著しく困難なのか、そういった観点から検討いたしましたところ、これらの要件を満たしているというふうには考えられないことから、現時点では、維持管理有料道路制度の適用は困難であるということで、十二月二十五日の償還完了をもって無料の道路になるということでございます。

武村分科員 今お答えをいただきましたように、道路整備特別措置法におきましては、償還が完了した道路は原則無料、そして例外として、二つの要件を満たした場合にのみ、引き続き有料道路として通行料を徴収できるという仕組みになっているところです。

 こうした償還後は無料化するという考え方、そしてまた維持管理有料道路化の二つの要件の妥当性について質問を続けたいと思います。

 橋梁などインフラ資産の特徴として、毎年経常的に発生する維持修繕の費用に加えて、何十年かに一度発生する大規模修繕にかかる費用、こうした二つの費用が生ずるという特徴がございます。

 そして、こうしたインフラ資産を長期的に維持管理していくという資産管理の考え方からは、長期修繕計画をまず策定し、これを毎年ローリングしていく、毎年更新をしていく、その上で、企業会計的な発想、発生主義的な視点から、毎年かかるコスト、その年度にかかるコストを適切に把握していくということが今後非常に重要となってくるというふうに考えています。

 その上で、経常的な維持修繕の費用、そしてもう一つ、大規模修繕にかかる費用のうち当該年度分に帰属するコスト、この二つのコストを通行料として徴収していくということも適切な財政運営の一つの方法であるというふうに考えます。

 もちろん、こうしたコストを一般財源から充当するのか、または受益者負担として通行料にオンするのか、こうしたことはそれぞれの自治体の裁量でみずから決めるべきことであるというふうに考えますが、少なくとも有料道路として償還が終わった後も通行料を徴収する道が閉ざされているというのは、今後増加する老朽資産の管理を適切に行うという観点からは極めて問題が大きいというふうに言わざるを得ません。

 そこで、道路整備特別措置法において、償還が終わったものは原則無料とする考え方、そしてまた維持管理有料道路制度の二つの要件は、資産の長期的な維持管理及び財政運営の観点から適切なものではないというふうに私は考えますが、国土交通省の御見解をお伺いいたします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、道路整備特別措置法で定めております維持管理有料制度でございますが、これにつきましては、道路は本来無料で公開することが原則であるという原則の例外として、厳格に適用される必要があることから、先ほど申し上げた二つの要件は適切ではないかというふうに考えております。

 しかしながら、委員御指摘のように、高度経済成長時代に集中投資をいたしました橋梁を初めとする構造物の老朽化、これが大変問題になっております。今後、維持補修費を、安定的に財源を確保するということも大変重要でございまして、私どもとしては、必要な財源の確保に今後も努めてまいりたいというふうに考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 今、近江大橋という滋賀県の琵琶湖にかかる橋梁についてお伺いをいたしましたが、その他の社会資本についても効果的な維持管理を行っていく必要があるというふうに考えています。

 一般的に、国や自治体の会計は、フローの情報、つまり、年度の出納ベースでの予算、決算の情報は非常に充実をしていますが、一方で、ストックベースでの情報、特に社会資本に関する台帳の整備が十分ではないというふうに考えます。

 今後、老朽化した社会資本が増加することが見込まれる中で、橋梁以外のほかの社会資本に関しましても、ストック情報を体系的に整備して、そして、ストック情報を活用した効果的な維持管理を行う必要があるというふうに考えますが、今後の方向性につきまして国土交通省にお伺いをいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、社会資本の維持管理につきましては、建設年度、構造、寸法、材料といった諸元、それから維持管理の状況や建設費、維持修繕費など、施設の情報を適切に把握した上で、効果的な対応を実施していく必要があると考えております。

 このため、建設時の情報に加えまして、点検、診断、修繕、更新を行った際の情報について、台帳を整備するとともに、既存データベースの改善や新規データベースの構築を行った上で、電子情報として蓄積、充実、共有化を進めてまいりたいと考えております。

 これらのデータベースに蓄積された情報等に基づき、点検、修繕、更新の内容や時期等を記載した長寿命化計画の策定を推進してまいります。

 これらの取り組みにより、施設の長寿命化を図り、トータルコストの縮減と維持更新費の平準化、効果的、効率的な維持管理、更新を推進してまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 社会資本の長期的な管理という視点は非常に大切な視点だというふうに考えておりますので、これからも議論をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、低価格入札に対する対策などについてお伺いをいたします。

 一般的に、市場が十分に機能している状況であれば、自由主義経済のもとでは、市場に参加する買い手と売り手が自由に競争することで適切な価格が実現されることとなりますが、入札という制度におきましては、買い手が一人、そして売り手が多数の競争となります。そのため、必ずしも適切でない価格が実現するケースが生じます。

 地元を歩いておりまして、低価格での入札について対策をとってほしいという要望をよくお聞きいたします。

 そこで、低価格入札対策の現状と今後の方向性について、国土交通省にお聞きをいたします。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるダンピング受注につきましては、工事の手抜き、あるいは下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底ということにつながるものでございますし、また、何よりも建設業の健全な発展を阻害するものでございますので、その排除を徹底していくことが重要だと考えております。

 このため、まず直轄工事につきましては、低入札価格調査基準価格というものを設定しております。これは、応札額がこれを下回る場合には工事の品質確保に懸念が生じる、こういうことで低入札価格調査を実施するというものでございますけれども、この基準価格を、平成二十年以降三度にわたって引き上げを図っておりまして、最近では二十三年の四月一日から見直しを行っているところでございます。

 また、地方公共団体についてでございますが、これにつきましては、今申し上げました低入札価格調査基準価格のほかに、最低制限価格というのを設けているところがございます。これはこれ以下での応札を認めないというものでございますけれども、これにつきましても、あわせて総務省と一緒になりましてその引き上げを要請しているところでございます。

 また、公共団体におきましては予定価格等の事前公表をやっているところがございまして、事前公表を行いますと価格がわかるものですから、最低価格のところに応札者が吸いつく、こういう状況になるわけでございまして、この事前公表を取りやめてほしいということもあわせて要請をしているところでございます。

 また、今回、公共工事設計労務単価を大幅に見直しをいたしました。それに伴いまして、関係団体に対しましても、文書でダンピング受注の排除の要請を行ったところでございまして、官民挙げて低価格入札対策に取り組んでまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。引き続き対策を検討していただきたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問ですが、直接の契約関係にない下請企業に対する契約の適正化のための対策について、現状と今後の方向性についてお聞きをいたしたいというふうに思います。また、その中でも、警備業に対する対応についても、地元を歩いていてよく耳にします。警備業に対する対応についてもお聞きをいたします。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 まず、元請、下請関係でございます。

 建設産業の健全な発展のためには、元請、下請企業間の適正な取引が重要であると考えております。

 このため、国土交通省におきましては、各地方整備局等に建設業法令遵守推進本部というのを設置してございまして、ここで法令違反等についての立入調査を強化しております。ちなみに、平成二十三年度では千八十五回の立ち入り件数を記録しているところでございます。また、あわせまして、通報窓口として駆け込みホットラインというものを開設しておりまして、元請、下請企業間の不正な取引に厳正に対応しているところでございます。

 また、毎年、定期的に元請、下請企業間の取引の実態を把握するための下請取引等実態調査というのを実施しておりまして、法令に違反している建設業者に対しては、指導や立入調査を実施しているところでございます。平成二十四年度におきましては、一万八千業者に対して調査をしておるところでございます。

 さらに、元請、下請関係につきましては、法令に違反する行為や事例を明確にしたガイドラインを策定しておりまして、この周知に努めているほか、元請、下請企業間の取引で発生したトラブルの解決を迅速に支援するための窓口として建設業適正化センターというものを開設しておりまして、弁護士あるいは学識経験者等が直接アドバイスをすることができる、こういうことにしているところでございます。これも、年間で千五百件程度の利用があるところでございます。

 また、警備企業についてでございますけれども、今般、これは警備企業の従業者そのものを対象としたわけではございませんけれども、警備業に属する交通誘導員を含めまして、公共工事設計労務単価の算定手法を大幅に見直しまして、実勢価格を適切に反映したところでございます。

 こうした改善によりまして、交通誘導員の方につきましては、単価の継続的な下落に歯どめがかかっておりまして、全国平均値で対前年度比一四・六%の上昇ということになっております。

 また、あわせまして、賃金が適切に確保されるよう、公共・民間工事発注者等に対しまして、ダンピング受注の排除、あるいは労務費の上昇傾向を踏まえた工事発注について文書で要請をさせていただいたところでございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 直接の契約関係にないということで非常に難しい側面もあろうかというふうに思いますけれども、力関係が弱い下請企業対策については非常に重要な問題というふうに思っております。今後とも対策の方を御要望し、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて武村展英君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 民主党の大西健介でございます。

 本日は、この分科会の質問の機会を賜りましたので、地元の港湾、そして空港、道路、河川、こういったインフラ整備について御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、中部国際空港二本目滑走路の実現について御質問させていただきたいというふうに思っております。

 物づくり産業が集積をする中部、愛知は、日本の成長エンジンです。中部国際空港は、開港以来、成田、関空と並んで国際拠点空港としての役割を果たしてまいりました。二〇二七年には、中央リニアの新幹線が名古屋まで開通をする。そうなると、東京―名古屋間が四十分で結ばれることになります。また、愛知、岐阜というのは、航空宇宙産業の特区の指定もいただいております。

 これまでの首都圏、関西圏を結ぶかなめとしてだけではなくて、世界に向けた我が国の物づくり産業、航空宇宙産業の発信拠点として、また、リニアを初めとする新たな交通システムとの連係で、中部国際空港の果たす役割というのは、これまで以上に増してくるものと期待をされております。

 そういう中で、これまでもあったわけでありますけれども、中部国際空港の完全二十四時間化実現に向けた二本目滑走路の早期実現という地元の声、今、私が申し上げましたような、取り巻く環境の変化も踏まえた上で、政府の御見解、ぜひ前向きな御答弁をいただければと思います。

太田国務大臣 先生、私も愛知県豊橋でありますから土地カンはありまして、中部、また愛知県が日本の産業の大きなエンジンになることが大事だというふうに思っておりまして、中部国際空港が我が国の国際拠点空港として大きく発展をする、そして重要な役割を果たすことが大事だというふうに思っています。

 一番の問題は、需要だと思います。三河の方も、尾張とか西三河に比べて、私たちの住んでいたところはおくれていたというんですが、農業とか、柿が大変生産されているとか、私の同級生も携わっていたりして、いろいろな意味でバランスがとれてきた中部であり、愛知県であるというふうに私は思っておりますが、問題は航空需要ということだと思います。

 したがって、二本目の滑走路ということについては、やはり需要の拡大を図っていくことが極めて重要だというふうに私は認識をしております。需要の拡大ということについてさまざま努力をされてきたり、あるいは、空港へのアクセスということで道路網の整備ということもいろいろ考えてくださっていて、ここは応援をしなくてはいけないと私は強く思っているところですが、まず需要ということと、同時に、各国、各地域との間でオープンスカイを推進するなど、空港自体についても需要拡大のための環境整備を進めていくということが大事である。

 いずれにしましても、中部国際空港は非常に重要な空港であり、発展が期待されているところであるということについては、私はよく承知をしているところでございます。

大西(健)分科員 大臣から大変御丁寧な答弁をいただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 この話をすると、必ず需要という話になるんですけれども、それは卵が先か鶏が先かの話もあると思いますので、私は、新幹線で四十分になる、そしてまた航空宇宙産業の特区としてアジアにおける航空宇宙産業の集積地を目指しているということを、ぜひ需要以外の部分として考慮していただきたいなということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 東日本の大震災を受けて、私の地元の重点港湾、衣浦港についても、地震・津波対策会議というのを五回にわたり行いました。私も、節目節目で出席をさせていただいております。

 衣浦港の堤外地、五百以上の企業が立地をして、二万五千人という人が働いております。その皆さんの命をどう守っていくのか。また、臨海埋立地での液状化の発生への対策、そして衣浦港には、愛知県の電力の半分を供給する碧南火力発電所もございます。後背地の自動車産業を初めとした製造業に与える影響、これを踏まえて、仮に被災した場合にも、早期の港湾機能の回復、これが必要になってまいります。

 検討会議でもさまざまな論点が出てまいりましたけれども、この会議の結果を具体的にどのような形で予算や今後の地震、津波対策に生かしていくかについて、国交省からの御答弁をいただきたいと思います。

山縣政府参考人 衣浦港の地震、津波対策についての御質問でございました。

 御指摘の衣浦港地震・津波対策検討会議、これは先生御案内のとおり、平成二十三年十月に中部地方整備局が設置いたしまして、関係者の参画を得て検討を開始し、平成二十四年三月には、地震・津波対策に関する基本方針というものを取りまとめたところでございます。

 以後も、この会議におきまして、この基本方針に記載されました、情報提供体制の強化など堤外地の避難対策をどうするのか、あるいは自動車産業、発電所等の立地企業と協力し、港湾機能をどう継続させていくのか、さらには、港湾施設の耐震性、耐津波性の向上をどう図っていくのか等の具体化に向けまして、検討を進めておるところでございます。

 例えば、堤外地の避難対策という意味では、昨年八月に内閣府が公表いたしました南海トラフの巨大地震による津波の予測結果をもとに、ことし三月には、防潮堤等の現状を考慮いたしました、より詳細な津波高や堤外地の浸水の深さ、浸水深の分析も行ったところでございます。また、衣浦港の背後地には、緊急物資輸送に資するために、愛知県の方で現在、ことしじゅうの供用を目指して進めております武豊北埠頭地区の耐震強化岸壁の整備もしっかりと支援させていただきたいと思っております。

 今後とも、基本方針の具体化に向けまして、関係者と連携して、緊急物資輸送に係る行動計画の策定、海岸堤防の補強など、地域の経済を支える衣浦港の事前防災・減災対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大西(健)分科員 御答弁を丁寧にいただきましたけれども、会議をやったということだけではなくて、しっかりと予算や政策に反映をさせていただきたいと思います。

 衣浦港について、もう一問。

 愛知県でも、被災地の瓦れきの広域処理に協力するという話が一時ありました。残念ながら実現はいたしませんでしたけれども、愛知県も、東海、東南海連動型の地震が起こる可能性がある地域です。もしこうした広域災害が発生した場合には、大量の災害廃棄物が出て、それを処分する場所というのを探さなきゃいけなくなります。災害廃棄物の処理は、その後の復興、都市の再建に大きく影響するために、今から私は検討しておかなければならないんじゃないかというふうに思っています。

 現在、ちなみに、衣浦港の中には、県内全域からの一般廃棄物、産業廃棄物を受け入れる衣浦三号地産業廃棄物最終処分場というのがありますけれども、これも愛知県全域から来ますので、もう十三年間でいっぱいになってしまう。今後の港湾の整備、あるいは港湾計画の策定に当たっては、こうした処分場をどこにつくっていくのかということをしっかりと頭に入れながら、港湾計画なり港湾の整備を進めなければならないというふうに私は思っておりますが、この点について、国土交通省の御見解をお願いいたします。

山縣政府参考人 最終処分場、瓦れき等の処分場についての御質問でございます。

 まず、先生御指摘のとおり、一般廃棄物の処分先の安定的な確保を考える上で、最終処分場の計画的な整備は極めて重要だ、こういう認識でございます。

 衣浦港では、先生も御指摘ございましたが、現在、三号地廃棄物最終処分場におきまして一般廃棄物等の受け入れを行っておりますが、受け入れ可能期間は平成三十五年までということになってございます。御指摘のとおり、衣浦港の将来を検討するに当たりましては、現在の最終処分場が満杯になった後の処分先の問題も考慮されるべきものと考えてございます。

 こうした認識のもと、衣浦港におきましては、この計画を港湾管理者であります愛知県が検討していく中で、関係省庁と連携を図りつつ、最終処分場を計画的に確保できるよう、適切に対応してまいる所存でございます。

 また、震災瓦れきという御質問がございました。先ほど御説明いたしました基本方針の中にも、大量の災害廃棄物に関し、復旧復興の支障とならないよう、広域的な災害廃棄物処分場の確保に関する連携体制の構築を推進するということがうたわれてございます。国交省といたしましても、この点での関係機関との連携というものをさらに深めつつ、検討を進めたいと思ってございます。

大西(健)分科員 国交省の方でも、しっかりとこの最終処分場というものを頭に置いていただいているということがわかりました。

 次に、道路整備に移っていきたいと思うんですけれども、先ほど大臣も豊橋とおっしゃいましたけれども、豊橋と名古屋を結んでいる名豊道路、国道二十三号線の整備ですけれども、私の地元の藤井インターまでは昨年の十二月に四車線でのバイパスの供用開始をしていただきました。これは大幅に前倒しでやっていただいたということで、この場をおかりして関係国土交通省の皆さんにも深く感謝を申し上げたいというふうに思っています。引き続き、蒲郡から先、豊橋に向けても、ぜひ整備促進をお願いしたいというふうに思っております。

 あわせて、この国道二十三号線については、昨年、私の地元の知立市新林町におきまして、スポーツ振興くじtotoの資金を活用して、高架下を利用した多目的広場の整備というのを行いました。雨の日でもグラウンドゴルフ等を楽しむことができるということで、地元では大変ありがたがられているということであります。

 今後も、こういう高架下の有効利用について、自治体からもし協力要請があれば、ぜひ柔軟に協力をしていただきたいというふうに思いますけれども、国土交通省の御見解をお願いいたします。

坂井大臣政務官 道路の高架下利用につきましては、にぎわい創出等の地域活性化に資する観点から、地元のニーズを踏まえまして、その有効活用を図ってきております。

 貴重な空間ということで、各地で地元の方々の御要望に沿って使われている、こういう報告も受けていると認識をしておりますが、委員御指摘の国道二十三号線の高架下の活用につきましても、地元自治体等の要望がございますれば適切に対応してまいりたい、こう考えております。

大西(健)分科員 ほかにも私の地元でもやはり要望が出てきつつありますので、またぜひ御相談をさせていただきたいと思うので、御協力をお願いしたいというふうに思います。

 次に、地域高規格道路、衣浦豊田道路の早期整備についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この道路、先ほどお話をしました衣浦港の臨海工業地域と豊田市を初めとする自動車産業の立地地域を結ぶ道路であります。特に衣浦大橋の東交差点、衣浦港をまたぐ衣浦大橋の東に位置しておりまして、国道二百四十七号線と四百十九号線が交わる交通の要衝であることから、主要な渋滞ポイントとなっているとともに、事故危険箇所にも指定をされております。

 この慢性的な交通渋滞を緩和するために、平成十九年度から交差点を立体交差化する高浜立体の事業が行われておりますけれども、この高浜立体、大変地元の期待が大きい事業であります。ぜひ工事の前倒しでの整備、そして進捗状況について御説明をいただきたいというふうに思います。

前川政府参考人 衣浦豊田道路についてお答えを申し上げます。

 路線名としては国道四百十九号ということでございまして、愛知県が管理する一般国道でございます。

 愛知県内の国道四百十九号でございますが、委員御指摘のとおり、衣浦臨海部でありますとか、衣浦港と内陸部の工業地帯を結ぶ大変重要な幹線道路でございまして、衣浦大橋東詰交差点付近では朝の通勤時間帯を中心に慢性的に渋滞しているというふうに聞いております。

 このため、愛知県におきましては、平成十九年度から立体交差事業に着手しておりまして、現在、かなり橋脚が建ってきておるということで、今後、上部工の工事も着手をしていきたいというふうに聞いております。そんなに時間はかからないと思いますが、何年に完成ということは、まだ愛知県からお聞きしている状況ではございません。

 国土交通省といたしましては、引き続き、愛知県の要望を踏まえ、社会資本整備総合交付金により適切に支援をしてまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 今御答弁の中にもあったように、橋脚が建ってきているということで、地元からも早くやってほしいと。特に、今お話があったように、これは早くやればやるだけ経済的な効用の大きい道路だというふうに思いますので、ぜひ国の協力もお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、主要道路、名古屋岡崎線の整備についてお伺いをしたいと思います。

 こちらにつきましては、現在、豊田安城工区、約二・八キロの事業が進められておりますけれども、この工区の安城市北部の里町地域、現在、株式会社デンソーが、来年四月の稼働に向けて、パワーエレクトロニクス製品の開発、評価を行う施設の建設を行っています。この施設が稼働されますと、恐らく、通勤だとか大型輸送トラックの往来を含めて、大変な交通量の増大が予想されております。地元からも、そのこととあわせて、連動してしっかりと整備を進めてほしいということを、御要望が上がっております。ぜひ、国の予算確保に向けた御支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

前川政府参考人 名古屋岡崎線の豊田安城工区についてのお尋ねでございますが、豊田、安城市内では、現在、御指摘のございました新工場の稼働に当たりまして、伊勢湾岸道路の豊田南インターへのアクセスを確保することが重要だということで、全体二・八キロございますが、そのうち、そのアクセスに重点を置いて整備をしていると聞いております。

 国土交通省といたしましては、愛知県の要望を踏まえ、社会資本整備総合交付金により適切に支援をしてまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 次に、国土交通省と愛知県は、県道路公社が管理をしている有料道路のうち、私の地元にある衣浦トンネル、それから、先ほどお話が出た衣浦豊田道路の有料区間を含む八路線の運営権を、二〇一五年度に民間企業に売却をして民営化するということについて、合意を先日されたということを伺っております。

 地方自治体の公社が管理をしている道路の民営化というのは、全国で初めてのケースだというふうに伺っておりますけれども、実現のためには、特区制度の創設のための法案提出が必要だと聞いておりますけれども、この法案提出を含む今後の進め方と、民営化により期待される効果について、御説明をいただければと思います。

前川政府参考人 愛知県におきます、公社の有料道路に関する民営化についてでございます。

 昨年、愛知県から、道路公社の有料道路につきまして、民間企業が事業主体として参入できる構造改革特区の提案をいただいたところでございます。昨年の八月から、愛知県が設置した有識者会議で検討が進められておりまして、国土交通省としてもオブザーバーとして参加するなど、必要な協力をしてまいったところでございます。

 なお、新聞報道等で、民営化で合意という報道がなされておりますが、これは、先週の、四月の十日の日に愛知県の大村知事さんが来られまして、公社の管理有料道路を民間事業者にコンセッションで運営させたいというお話をいただいたところでございます。

 国土交通省としても、民間事業者によるコンセッションによる運営という方向性については一致しておるところでございますけれども、まだ愛知県において、先生御指摘のような、どういう効果が見込めるのかとか、そういったことについて整理、検討すべき課題もあるということでございまして、私どもとしては、愛知県に対し、さらなる検討をお願いしたところでございます。

大西(健)分科員 先ほど、私も別の委員の質問を聞いておりましたら、県の公社が管理をしている道路について、償還が終わった後も有料にして維持費を取ることができないのかという質問もありましたけれども、この民営化というのは、私は非常に意欲的、画期的なことだと思いますので、ぜひ前向きな方向で愛知県とも協議を進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、河川についてもお伺いしたいと思います。

 私の地元の西三河地域、先ほど来申し上げていますように、自動車産業を初め、日本の物づくりの屋台骨を支えている地域です。一方で、急速に都市化が進んでおります。そういう中で、平成十二年の東海豪雨では地域一帯が甚大な被害を受けて、経済活動も完全に麻痺をしてしまいました。

 境川、猿渡川地域は、昨年の四月一日に、特定都市河川浸水被害対策法に基づく指定をいただいたということを聞いております。この指定を受けたことによる、境川、猿渡川のしゅんせつ工事を初めとした今後の総合的な治水対策について、御説明をいただきたいというふうに思います。

足立政府参考人 境川、猿渡川についてお答え申し上げます。

 境川、猿渡川水系は、愛知県が管理する二級河川であり、委員御指摘のとおり、流域内の市街化が非常に進んでおりますために、平成十二年には東海豪雨により三千六百戸を超える浸水を発生するなど、大規模な浸水被害が発生しております。

 愛知県では、浸水被害対策をより確実に推進するために、御指摘の特定都市河川浸水被害対策法に基づき、平成二十四年四月に、特定都市河川及びその流域の指定を行ったところでございます。

 今後は、河川管理者、下水道管理者、関係地方公共団体が連携して、法律に基づきまして流域水害対策計画を策定することとされており、その計画に基づいた効率的な浸水被害対策の実施が求められてございます。

 国土交通省といたしましても、引き続き、河川管理者である愛知県の取り組みに対し、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

大西(健)分科員 もう一つ、河川について御質問したいと思います。

 皆様、麻生財務大臣が平成二十年の自民党総裁選に出馬をされたとき、名古屋で街頭演説をされました。そのときに、八月に起こった豪雨被害に関して、安城や岡崎だったからいいけれどもという失言をされて問題になったというのを覚えておられるかと思うんですけれども、その安城が私の地元でありまして、この年、平成二十年の豪雨では多数の床上浸水が発生して、地域全体が深刻な被害を受けました。

 この豪雨災害を機に、愛知県は、一級河川鹿乗川について、安城市内の下流区間で床上浸水対策特別緊急事業を開始し、平成二十一年度から本年度まで五カ年にわたってこの事業を進めてまいりました。

 愛知県の緊急事業は今年度で終了いたしますけれども、引き続き必要な整備を進めて、西鹿乗川との合流地点までの改修というのをお願いしたいというふうに思っておりますが、鹿乗川の河川改修整備、浸水対策について、今後の見通しを御説明いただけますでしょうか。

足立政府参考人 鹿乗川について御説明を申し上げます。

 鹿乗川は、一級水系矢作川の支川で、愛知県が管理する河川でございます。先ほど委員からも御指摘がございました平成二十年八月末の豪雨によりまして、七百戸近く浸水するなど、大規模な浸水被害が発生をいたしました。

 このため、愛知県では、平成二十一年度より、床上浸水対策特別緊急事業として、安城市内の約一キロメートル区間について、洪水を安全に流下させるため、河川断面の拡大、橋梁のかけかえ、護岸等の河川整備を平成二十五年度の完了に向け進めているところでございます。

 本区間の完了後につきましては、愛知県において、上下流バランス等を踏まえ、具体的な整備箇所を判断されるものと承知しておりますけれども、国土交通省といたしましては、河川管理者である愛知県の取り組みに対して必要な支援を行ってまいる所存でございます。

大西(健)分科員 次に、鉄道立体交差事業についてお伺いします。

 私の地元の知立は、江戸時代から東海道の宿場町として栄えてまいりました。現在も西三河の交通の要衝として、名鉄知立駅は、名古屋本線と三河線が交差する重要な乗りかえ駅になっています。しかし、踏切では慢性的な交通渋滞が発生しておりまして、また、鉄道による市街地の分断が町の発展の妨げになっております。

 知立駅付近連続立体交差事業は地元の長年の悲願です。知立駅の広域的な機能に着目をして、県も負担の増額などを認めていただきました。関係者の皆様の御理解によって、ようやく事業を進め始めておりますけれども、二〇二三年まで、完成までまだ十年を要すると見込まれております。

 愛知県では、東海市の太田川駅の立体交差事業にめどが立ち、残された課題はこの知立駅だけになっているというふうに思いますけれども、ぜひ国にも予算の確保に御協力いただいて、一日でも早くこの立体交差事業の完成に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘がございました名古屋鉄道名古屋本線等の連続立体交差事業、これは知立駅の周辺でございますが、約四・三キロの区間を高架化いたしまして、十カ所の踏切を除却することといたしております。現在、仮線の工事が行われているというふうに承知をいたしております。

 今御指摘ございますように、この知立駅の周辺、名古屋鉄道の名古屋本線と三河線がクロスするという格好になっておりまして、この連続立体交差事業によりまして交通の円滑化が図られる、また、交通安全が確保されるとともに、非常に複雑に分断化されました市街地が一体化をされるというような、大変大きな効果を生むものだというふうに認識をしておりまして、私どももこの事業については積極的に取り組みたいというふうに考えております。

 私ども、この事業の推進に向けまして、社会資本整備総合交付金による財政面での支援を行うとともに、技術的な面でもいろいろ御助言をいたしまして、事業の推進に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

大西(健)分科員 最後に、我が国が誇るITSの振興についてお伺いしたいと思います。

 私は、きょうここにバッジをつけてまいりましたけれども、ことし十月に、東京で第二十回のITS世界会議が開催をされます。我が党でも、このITSの促進を支援すべく、二〇一〇年に議連を立ち上げまして、関係省庁や関連企業との意見交換、また、都内のITSスポットにおける体験試乗会を行うなど、活発な取り組みを行ってまいりました。

 また、昨年からは、超党派の、ITS世界会議東京二〇一三を成功させる議員の会を結成しまして、東京会議の成功に向けて活動を行っております。私は、この超党派の会の民主党側の事務局として、また当時、自民党の事務局を担当しておられましたのが梶山副大臣でいらっしゃいました。一緒に仕事をさせていただきました。

 昨年のウィーンでの世界会議の開会式にはオーストリアの交通技術省大臣が登壇、また、二〇一〇年、お隣の韓国・釜山での世界会議の折には韓国の国土海洋部大臣が登壇をしてスピーチを行いました。さらには、釜山では、韓国国土海洋部主催の閣僚ラウンドテーブルというのが開かれまして、十八カ国から大臣七名、副大臣十五名、日本からは当時の池口副大臣が出席をされました。

 ことし十月の開会式には、ぜひ大臣に出席をしていただきたいなというふうに思っております。そして、最先端を行く我が国のITS技術を世界に向けて発信していただきたいと強く要望をしておきたいというふうに思います。

 この東京会議の成功に向けて、政府の力強い取り組み、そして現状の御説明を、ぜひ梶山副大臣にお願いしたいと思います。

梶山副大臣 ITS、高度道路交通システムは、人と道路と自動車を情報通信技術で結ぶことによりまして、交通事故、交通渋滞、そして環境問題、こういった道路交通問題の解決を図っていくシステムでありまして、道路交通社会を抜本的に変えることが期待をされております。今後の我が国の成長を牽引する最も重要な技術の分野であると認識をしております。

 このITSに関しましては、国土交通省のほかに、総務省、経済産業省、警察庁が連携をしながら担当をしているわけでありますが、国土交通省では、これまで、インフラと自動車が双方向通信する協調システムを世界に先駆けて実用化したところであり、高速道路上の自動運転の実現に向けて、官民挙げて技術開発を現在進めているところであります。

 このたび、東京において開催されるITS世界会議でありますが、約九十カ国、そして約一万人規模の参加が見込まれる大変大きな会合でありまして、日本のITS技術を世界に売り込む絶好のチャンスと考えております。

 本世界会議において、公道におけるデモンストレーションを通じて、日本が世界をリードする安全で環境にも優しい最新技術を積極的にアピールしてまいりたいと思っておりまして、国土交通省としても、会議の成功に向けて全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げます。

大西(健)分科員 十月が近づきましたら、ぜひ皆さんにもバッジをつけていただくことと、大臣にはぜひ開会式にも出席をお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

石田主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、若宮主査代理着席〕

若宮主査代理 次に、井出庸生君。

井出分科員 みんなの党、信州長野県の井出庸生です。

 長時間にわたる議論、大変お疲れさまです。よろしくお願いをいたします。

 さて、きょう私の方からは、公共事業の老朽化対策について、特に太田大臣がおっしゃられているメンテナンス元年という言葉について伺いたいと思っております。

 私、これからの公共事業というものは、新しいものはその優先順位、必要性をよく見きわめてやっていっていただきたい。例えば、私の地元でお話をさせていただければ、先ほど自民党の木内議員からもお話がありましたが、中部横断道が一つ、地元の最優先、一番必要性の高いものとして挙がっておりまして、そういったものはぜひ進めていただきたいと思うのですが、公共事業のこれからの考え方の中心に、今まであるものの老朽化対策を据えていくべきではないか。もう言うまでもありませんが、これまでつくってきた道路、橋、トンネル、また水門、樋門といったものの平均年齢が高くなっていることは、どなたも御存じだと思っております。

 大臣のおっしゃられているメンテナンス元年という言葉の意味するところは、その方向性は老朽化対策を中心に据えていただくということで、方向性、考えているところは私と一致しているのかなと思うんですが、まず、メンテナンス元年という言葉について、改めてその真意、意味を大臣からお願いいたします。

太田国務大臣 私は、三・一一というものを教訓にしてということがよく言われますが、正直申し上げまして、我が国の脆弱国土というものについて危機感を持っています。

 それは、一つは、今、井出先生おっしゃった高度成長期のさまざまなインフラが五十年、四十年とたって経年劣化をしているということでございます。そのときに、橋でいいますと、大体、一九六五年から八〇年ぐらいの十五年間、毎年一万ぐらいの橋ができたんですね。それが今、百ぐらいの橋ができるというような状況です。

 それは、一九三〇年代のアメリカがニューディール政策という、景気対策もありまして、ケインズ理論によってルーズベルトがさまざまなインフラ整備を推進しました。一九八〇年代、アメリカは、荒廃するアメリカ、こう言われて、橋梁が落ちたり道路が陥没するということが続出しました。それを克服するということで、アメリカは、ITを初めとして経済が成長して右肩上がりになりましたものですから、この費用というものは確保することができて、現在のアメリカということになっている。

 しかし、日本は財政的な大きな制約がある。そういう中で、その老朽化ということの山が、橋一つをとりましても、これから同じようにもう一つ大きな山ができてくる。これを長寿命化したり、あるいは防災・減災ということに持っていくということ、メンテナンスをする、耐震化をするということが極めて重要になってきて、財政的にも、そうしたことの費用というものを捻出する必要があるということで、今までなかなかそういう角度での公共事業はありませんでしたけれども、まさにメンテナンス元年、ことしから、そうした防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういうことに取り組む必要があるということでございます。

 もう一つは、毎週のようにNHKスペシャル等でもあるんですが、また一昨日もございました、とにかく日本は地震列島ということがありまして、これは、首都直下といい、東海、東南海、南海、日向灘を入れて四連動地震を初めとして、先生の長野も新潟県境ということを初めとして、飯山等では地震があって、これは大変な状況で、今もその状況がございます。これを、耐震化ということを含めて、津波対策をどういうふうにするかということについては、これはメンテナンスじゃありませんけれども、この対応に全力を挙げなくてはならない。

 二つの大きく分けての危機管理という中で、防災・減災、メンテナンス、維持管理、そして技術革新、耐震化、こうしたことを、今そういう角度で公共事業に踏み込んでいかないと日本はもたないと私は強く思っておりまして、あえて、ことしはメンテナンス元年である、こう言っているところでございます。

井出分科員 今御答弁いただきました。今までにない角度で老朽化対策、メンテナンスをことしからやっていくというお話は、本当に私もそのとおりだと思います。

 大臣のホームページをちょっと拝見したんですが、日本は地震国で、やみくもにつくっても、壊れては意味がないと。京都大学に進まれたときに耐震工学を専攻されたとホームページで拝見をいたしました。そういった御経歴を拝見するに、そういったかなり強い思いを持たれていらっしゃると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。

 老朽化対策をどうやってやっていくかとなりますと、実際、予算の問題が一つの目安となるかと思います。私の党も、二十四年補正予算の審議のときに、補正予算の公共事業で老朽化対策は一体どのぐらいの割合なんだ、そういった議論もさせていただきました。

 そこで、事前にいただいた数字で、二十五年度当初予算案、老朽化、防災・減災対策が二・一兆円、公共事業関係費の四七%という数字になっている。ただ、これは老朽化対策だけでなく、防災・減災対策が入っていて、その中には当然、今までになかったものを新規につくっていくというものもあると思います。

 ですから、純粋に老朽化対策というものを考えれば、予算の割合というものは四七%より低くなっていると私は感じておりますが、数字が高ければいいというものではないということは十分承知しております。もちろん、必要性に沿って予算を算定しているということも承知はしておりますが、この二十五年度当初予算、老朽化、防災・減災対策が公共事業関係費の四七%というその数字について、大臣また国交省の見解をいただきたいのですが。

太田国務大臣 今指摘のありましたのは、国土交通省四・五兆円の公共事業予算の中で二・一兆円、そういう数字なんですね。これは防災・減災、老朽化対策ということで、確かにいわゆるメンテナンスだけではありません。

 しかし、今回の予算編成の軸が、防災・減災、老朽化対策という角度で一つの固まりがありまして、もう一つ、富の創出という固まりがありまして、生活や地域に直結する基盤整備、これは通学路の点検なんかもあるんです。という大くくりで言いますと、三つの大きなくくりの中で、防災・減災、老朽化対策というのが二・一兆円、補正予算でいきますと、一・八兆円のうちの一・二兆円、これが防災・減災、老朽化対策ということになっておりまして、パーセントでいいますと六五%ということになります。

 基本的には、ここは新規のものではありません。新規のものはそこの中に入っていなくて、今までですと二十数%ぐらいがそういう分野でありましたが、一気に防災・減災、老朽化対策というのをやっているというのが今回の予算組みの特徴でございます。

 防災・減災、老朽化対策のほかのところで、これが全部、四七%のほかの五三%は新規であるとか、あるいは補正予算、六五%が防災・減災、老朽化対策で、残る三五%が全部新規であるというふうにちょっと誤解される方がいますけれども、これは新規のものばかりでは全くありませんで、かなりの部分が継続した事業というものが行われているというのが、今回の補正予算、そして本予算の我が国交省としての内訳でございます。

井出分科員 予算を組むに当たって、そういった大幅な発想の転換をしていただいているという御答弁だったと思います。

 きょう、ちょっとこれから伺うメンテナンス元年のこれからやっていくことの中身を私自身見させていただきますと、本当に老朽化対策で必要なものというものは、これから点検をしていけばもっともっとたくさん出てくる。そうすれば必然的に、予算に限りがありますので、新規事業の優先順位をつけて、老朽化対策に力を入れていこうという議論がまた出てくるのではないかと思うのです。

 そこで、メンテナンス元年の中で話の出ているインフラの総点検について伺います。

 一部、河川局など、これから夏に向けて豪雨のおそれなど、そういった緊急性の高いものは順次進めていくというお話ですが、その総点検のスケジュールをまず簡単にお願いいたします。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今お尋ねがございました点検のスケジュールでございますけれども、まず一番は、やはり笹子トンネルの事故を踏まえまして、トンネル内の附属物の緊急点検というのを実施しております。

 具体的に申し上げますと、笹子トンネルと同様の構造がございます天井板について、それからジェットファン等の非常に重量の構造物につきましては、昨年内に緊急点検を実施しております。それから、トンネル内のその他の構造物につきましては、この三月いっぱいで点検を実施しております。

 それから、今委員御指摘がございました、我々、今後一年を目安に集中点検を実施しようとしておりますけれども、これは河川とか下水、港湾、いろいろな施設がございますが、それぞれの特性に応じまして、なおかつ、築年数とか社会的な影響度を勘案して必要性の高い施設からということで、例えば、話がございました水の関係につきましては出水期の六月まで、それ以外については一年内を目途に、安全性の集中点検というものをまず実施する、その後は通常のサイクルのメンテナンスの取り組みに移行していければというスケジュールで臨んでいるところでございます。

井出分科員 今の御答弁、重ねてお伺いをしたいのですが、道路や橋、トンネル、また水門の老朽化というものは、きのうきょう始まった、提起された問題ではない、そういうことを私、ずっと感じているんですが、こういった総点検というものは、そもそも今回が初めてなんですか。これまでにそういった総点検といったものはなかったんですか、局長。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、点検については、それぞれの社会資本の施設の特性に応じまして点検の要領とかマニュアルをつくって点検をしておりますので、点検を全くしていなかったということではございません。

 ただ、今回の笹子トンネルの事故を受けまして、改めて、例えばトンネルの附属物とか、構造に関係ないところについても点検をしますとか、あと、国の直轄の施設については比較的要領等も整備されておりますが、やはり膨大な量の施設については、市町村とか県を含めた地方公共団体が所管しているものが多うございまして、団体によりましては、その辺の点検について若干取り組みがおくれているというようなこともございましたので、この際、改めて、全ての施設、それから全ての管理主体にきちっと使っていただけるような取り組みということで、点検のスケジュールなり取り組みというのをまとめさせていただいたということでございまして、今まで全くしていなかったということではございません。

井出分科員 今、地方公共団体の所管しているものがかなりある。私もいただいた資料で拝見いたしましたが、その中で、地方公共団体の点検、そういった把握がおくれているといった今のお話も、そういった文面で読ませていただきました。

 全国的に見て、先ほど申し上げた、いろいろな施設の平均年齢がこれから加速度的に上がるということはもう答弁をいただく必要もないんですが、地方の設備の実態について一つお伺いをしたいのは、例えば私の長野県ですと、水門、樋門、樋管といった川の水の流れをコントロールする設備が約八十ある。特に、山合いですので、急流地域も多い。

 ただ、老朽化している水門をどうするかといったときに、長野県で見た場合、長野県一の水門というのは諏訪湖にあるんですが、その一番大きな水門には多少国の支援というか、そういったものが見込める。それは、聞いてみると、どうも水門の大きさによるようなんですが、その他は、長野県の川というのは急流だけれども小さいところが多いので、そういった小さいところに設置されている樋門、樋管、そういったところに国の支援をいただきたいんだけれども、ちょっとそこが対象になっていなくて悩みだというような話も聞いてはおります。

 そういった実態を踏まえて、今総点検をやっている。総点検をやったときに、では、全て国で少し面倒を見られるように、そういった助成の制度を考えて、全部国でやっていくのか、それとも、現場のことは地方自治体がよくわかっています、地方分権の議論もあります、地方に必要な財源を与えて、地方で物を解決できるようにしていくのか、そこは大きく議論があると思うんですが、今メンテナンス元年でやっていこうとしていることは、総点検、そして今おっしゃった通常の点検、報告、補修といったサイクルでやっていく。

 今の方向性ですと、国の方で全て、国土津々浦々把握していくというような方向性に向いているのでしょうか。

西脇政府参考人 まず、水門、樋門等についてお答え申し上げます。

 先ほど、必要性に応じて集中点検を行うといった中には、水門、樋門等の非常に重要な河川管理施設は当然入っておりまして、これについては集中点検をやっていただきます。

 それから、財政負担の分担につきましては、河川管理施設については、いわゆる国が直轄で管理するところと公共団体が管理するところがございますので、これはそれぞれの管理者が責任を持って管理するというのが原則でございまして、あとは、財政支援を公共団体の事業についてどこまでやっていくのかという観点かなというふうに思っております。

 そういう意味では、二十四年度の補正予算で認められました防災・安全交付金というのを新たにつくっております。二十五年度の当初予算案の中にもそれを盛り込んでおりますけれども、これなどはもともと管理者として必要なメンテナンスではありますけれども、特に昨今のこういうメンテナンスの重要性ということに鑑みまして、そういう防災、安全という観点に立った交付金をつくっております。

 最終的には公共団体の判断になりますが、必要があればこれについて支援をしていくという形は整えたつもりでございますので、なるべく公共団体の方のそういう点検、それから点検に基づく補修、修繕というのが円滑に進むように、できる限りの支援をしていくというのが国の立場でございます。

井出分科員 それで、このメンテナンス元年のお話、ちょっと私の方からも申し上げたのですが、まず一年かけて総点検をしていく。それに沿った長期的な計画を立てて、最終的には、PDCA、そういった通常の点検、報告、補修といったものを構築していく。

 私は、ですから、資料を読ませていただくと、メンテナンス元年は、情報収集、またそういった体制をつくるための三年間であって、本当に事が動き出すのは三年後なのかなと思っているのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

西脇政府参考人 委員御指摘のように、最終的にはそういうサイクルに持っていくということでございますけれども、先ほど答弁いたしましたけれども、やはり笹子トンネルのような事故が起こりますと、当然、国民、道路利用者にとってみれば非常に不安になりますので、こういうものはいち早く解消して、国民の皆さんに安心してインフラを使っていただくということから、こういうものは緊急点検をしますし、当然、点検結果に基づきまして、必要があるところについては修繕とか補修をいたします。そういう意味では、既に取り組みは始まっておるということでございますし、集中点検につきましても、既に、新年度に入って始めております。

 それから、一つ例を申し上げますと、トンネルにつきましては、橋よりも若干、点検要領とかマニュアルが、特に公共団体のところでは整備がおくれておりましたので、今般、道路局の方から、トンネルについての点検要領というものをより使いやすいものに改定して、それを公共団体に示すというような取り組みも行っておりまして、それはもう公共団体に通知しております。より簡易な形で、公共団体の体制に合ったマニュアルというようなものもやっておりますので、そういう意味では、既に取り組みは、三年後を待ってということではなくて始めておるということでございますが、そういう点検マニュアル類の見直しでございますとか、計画策定とか、通常のサイクルに入るのを今後目指すということでございますので、緊急、集中につきましては既に取り組みを始めておるというふうに御理解を賜ればというふうに思います。

井出分科員 ありがとうございます。

 メンテナンス元年についての細かい資料、また横長の工程表もいただきまして、大変長期的な視野に立った、細目にわたるものが出ていると私は思っているんですが、そのときに、大臣の一番のお役目は、メンテナンス元年、今最初におっしゃられたことをもっとメッセージ性を強く出していかれることが一番のお仕事なのかなと失礼ながら思っておりまして、というのは、安倍政権が経済の再生、教育の再生ということをメーンに、それを何度も何度もいろいろなところでおっしゃっておりまして、経済の再生については、今一定の期待感が出てきていると私も思っております。

 そういう意味で、経済再生、教育再生と同じぐらいの頻度で、このメンテナンス元年というものを発信していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 もっと強くというふうに思っています。

 それは、今までの公共事業というものにはレッテルが張られているということがありまして、この国会の中でも、従来の公共事業に戻るんだとか、あるいは、防災・減災とか強靱化といって、またばらまきの公共事業をふやすという材料ではないかとか、いろいろなことがありました。

 私は、そこで、私なりに角度をつけまして、今までは、昭和三十年ごろはどちらかというと産業基盤整備ということに重点を置いた公共事業という時代であった。昭和五十年ごろは、住宅とかあるいは下水道を初めとする生活インフラ整備ということに力を入れた公共事業という時代があった。しかし、今は第三のステージになったんですよと。

 今の公共事業は、防災・減災、そして老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういう角度で公共事業をやらなくてはいけないということで、メンテナンス元年と言ったり、あるいはまた防災・減災ニューディールという表現をしたりということでございます。

 私としては、さらに一層、こうした角度をしっかりつけて国民の皆様に提示をしたいと思っておりますし、今までどうしても公共事業にはレッテルが張られてきているということもありまして、そのイメージをしっかり変えたいと強く思っているところでございます。

井出分科員 今、レッテルという話が出まして、国会でも大臣また総理大臣が、公共事業イコールばらまき、イコール悪だという誤った見方についてというようなことを何度か御説明された場面もあったかと思うんですが、では、どうして公共事業イコールばらまき、イコール悪というレッテルが一部に、それが全てだとは全く申しませんが、そういった考えが出てきてしまうのか、そのことについて、もしお考えがあれば伺いたいんですが。

太田国務大臣 それぞれの方がそれぞれの角度で、公共事業は無駄であるとか、ばらまきであるとか、あるいはコンクリートから人へということが言われた時代もございました。

 本来、政治はリアリズムの中で行われるものであり、そして災害対策などは現場の実務ということが大事なので、レッテル張りというのは余り望ましくないことは事実でありますけれども、日本の公共事業が非常に事業費が高いんだと言われたことが、ずっと一方ではありました。

 そこは、日本が実は脆弱国土である、これだけ台風が来たり地震があったり、山は急峻だし、そして川は、大きい川で二泊三日と言われるように、三日たてば海に流れていくというようなこと、海岸端は非常に海岸は長い。そういうことの中で、実は、高速道路一つをとりましても、トンネルやあるいは橋梁という部分が非常に長いんです。地震がない国と地震がある国というのは全く違う。平地の国と山のある国というのは違う。その中で高度成長というものを果たしてきた中では、トンネルが必然的に多くなったりする。

 ですから、公共事業費が他国と比較して高いのは当然なんですけれども、その脆弱国土ということの認識が十分ではないとともに、ともすると、自然環境というよりもコンクリートを打つということに重点が置かれるように見られるとか、あるいは釣り堀港湾とか農道空港というのは十五年前ぐらいから指摘があったりする、無駄があったりというようなこともありまして、私は、命を守る公共事業、国民の皆様に納得いただける、そういう公共事業を再建しなくてはならない、こう思っているところです。

井出分科員 ありがとうございます。

 今、事業費が高い、そういうお話もあって、大臣もかつて、平成九年に、衆議院の予算委員会で徳島のダムの問題をお取り上げになって、公共事業費、二百七十二事業二兆八千億円の削減に結びつけた、そういったこともホームページで拝見をいたしました。そういった活動もされ、そんな太田大臣が今、今までにない新しい角度でメンテナンスに取り組まれる。

 先ほど申し上げましたが、三年がかりの話になると思います。まず、その三年間、強いメッセージを出していただきたい。ですから、どんなことがあっても、この三年間、その職責をぜひ続けていただきますように、そして職責を続けるだけではなくて、本当にメッセージの方を出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

若宮主査代理 これにて井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡新君。

西岡分科員 日本維新の会の西岡新でございます。

 本日は、予算委員会の第八分科会において質問させていただく機会を設けていただきまして、関係各位の皆様方に御礼を申し上げるとともに、長時間の審議、太田大臣を初め皆様、本当にお疲れさまでございます。

 きょうは、災害に対する復興や防災、インフラ整備についての質問をさせていただきたいと存じます。

 災害からの復旧復興は、スピード化を図ることが何より重要であると思っておりますし、太田大臣は常々、現場第一主義を口に出されておられます。先日の国土交通委員会においても、政務三役で担当する県を決めて、被災地からの要望に対応するチームを設けられたということでありますが、これまでの皆さんの在任期間の中で、実際に現地に入られて、復興や防災について何をすべきであるか、率直に感じられた感想や御意見などをお聞かせいただければと思います。

鶴保副大臣 感想ということでございますから、では、私から。

 私の場合は、気仙沼からBRTを見て、そして相馬道路等々の視察に参りましたが、復興が進んでいるという実感があるところ、そして、それぞれの地域でそのために取り組んでいらっしゃる方々の頭の下がるような努力があるというようなところに感銘を受けると同時に、それぞれ、まだまだ今後の問題を抱えておるなと感じるところもございました。

 BRTも、まだまだ地元で、これが最終論なのかどうか議論がまたれるところでありますし、また、相馬道路については一刻も早くやってくれという声が圧倒的に多い。そのために国土交通省としても全力でやらねばならないということを持ち帰ってきたわけであります。

 大臣からも、一つの地域に入れば、細かいことでも何でもいいから必ず一つ宿題を持ち帰ってくるようにという指令がございましたので、私もそのつもりで参りました。要望があるところ、ないところ、さまざまございましたけれども、しっかりとそれを受けて頑張りたいと決意を新たにして帰ってきたところであります。

坂井大臣政務官 政務官といたしまして、青森そして岩手を中心に担当せよということで、担当させていただいております。

 安倍総理から、東北の復興に向けては、二点、一つは加速化ということと、もう一点は新しい東北というキーワードが示されておりまして、加速化は、いろいろな問題はございますが、具体的に、国交省の現場の方々と、そしてまた市町村の方々を中心に、今、目いっぱいやっておりますので、少しずつこれから形が出てくるだろうと思っております。

 ただ、一方で、新しい東北という言葉で示されておりますが、いわば、今まで、震災の前、既に構造的に持っていた問題が被災地にはございまして、過疎であり、高齢化であり、産業の衰退であり、そして、限界集落へと続くと言われる道でございますが、これらの課題が、今回の震災を受けて、二十年先かと思われていたものが一遍に今直面せざるを得ない状況になっておりまして、若い人、特に三十代を中心とした方々の流出がとまらない状況にございます。

 私は、行って、危機感といたしまして、国交省を初め、復興庁の予算を投じて新しい社会資本をつくったとしても、その後、そこに住み、その地域を支え続ける後継者である次の世代が残っていないという状況になれば、せっかく新しい町をつくってもそれが生きないということになります。

 若い世代が被災地に残るためには、先ほど、新しいという表現でくくっておりますが、その新しい東北、新たな魅力がある東北、今までの東北とは違った新しい魅力を持つ東北をつくり、そして、若い人たちがそこで希望を持って生活ができ、同時に、子供を育て、子供にここをふるさととして胸を張ってまた引き継いでもらいたい、世代間で引き継げる、そういった地域をつくっていくための取り組みというのがこれから大きな課題ではないか、こう感じて帰ってまいりました。

西岡分科員 ありがとうございます。

 先週、十三日には、淡路島で震度六弱の地震が未明にございました。先月、政府が南海トラフ巨大地震の被害予想も公表されましたが、やはり、未曽有の地震においては、耐震化が何より重要であります。

 今国会でも、あさって、建築物の耐震改修の促進法が国交委員会で審議される予定であります。これは、不特定多数の者が利用する建築物の耐震診断の義務化が主な目的となっているわけでございます。

 その一方で、私の地元である愛媛県では、避難場所として考えられる公共施設の耐震化が非常におくれているという現実がございます。

 今年度の愛媛県の国の施策等に関する提案・要望の中にも、最重点項目として、公共施設等の耐震化の促進、具体的には、学校、空港、そして医療施設、警察施設などの早急な耐震化を挙げております。

 例えば、愛媛県における公立学校の耐震化は、平成二十四年の四月の時点の数字で、二千百四十八棟あるうち、千四百七十八棟しかできていないんです。実に、耐震化率は六八・九%にしかすぎないんです。これは、全国平均が八四・四%であるのに対して、かなり低いという状況であります。

 また、公立の小中学校は、千六百十一のうち千百五十五棟で七一・七%の耐震化率なんですが、これが高等学校になると、四百二十四のうちの二百四十三棟の耐震化率となっており、実に五七・三%にしかすぎないんです。非常におくれているというのが現実であります。

 現在、愛媛県でも、地震防災緊急事業五カ年計画を策定して、年間五十棟ぐらいをめどに進めていくという予定でありますが、全ての耐震化が終わるにはまだかなりの年数がかかってくるというようなことであります。

 この公立学校の耐震化の取り組みについての文科省の姿勢をお伺いしたいと思っております。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校施設の耐震化についてでございますが、文部科学省といたしましては、平成二十七年度までのできるだけ早い時期に完了させるという目標を定めているところでございます。

 先生先ほどおっしゃいましたが、公立小中学校の耐震化率は、昨年四月現在で八四・八%でございますが、平成二十五年度予算案、これが成立いたしまして執行いたしますと、約九四%になる見込みでございます。

 また、公立高等学校施設の耐震化率、昨年四月現在で八二・四%で、若干小中学校より下回っておりますが、ほぼ同程度の耐震化率となっております。

 公立高等学校施設整備に関しましては、いわゆる一般財源となっているところでございまして、設置者である地方公共団体の財源で実施をするということになっているところでございますが、耐震化のおくれているようなところにつきましては、文部科学省といたしましても、直接訪問するなどして、強く要請をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡分科員 先ほどのお話では、高等学校の耐震化率が低いということは、一般財源化をしたということで、これはたしか三位一体改革の一環でそのようになったというふうに記憶しております。しかしながら、今回の震災、そういったものの観点からすると、何らかの手当てが必要だろうと思いますし、今の地方の財政の厳しい状況では、自力での取り組みがなかなか難しいのではないかと思っております。

 そういった中で、国が何らかのよいアイデア、例えば旧まちづくり交付金のようなアイデアを出していただいて、訪問だけではなく、しっかりと実績を上げていただきたいと思いますが、この点に関してはいかがでございましょうか。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 公立高等学校につきましては、一般財源で措置されているところでございますが、同時に、緊急防災・減災事業債という事業がございまして、これは地域防災計画上の避難所になっているような場合に適用されるものでございますが、これを活用いたしますと、約七割が交付税措置がなされまして、実質的な地方負担が三〇%となるというふうな措置もございますので、こういう措置の活用も含めまして、耐震化に一層積極的に取り組んでもらうよう要請をしてまいりたいというふうに考えております。

西岡分科員 地方の財源負担ということで、結局はそのようになるんでありましょうが、実際、建物の被害は時間とお金をかければ何とかなりますが、人命はそうはいきません。そういった観点からも、また引き続き取り組んでいただきますようお願い申し上げたいと思いますし、今の愛媛県の状況では、平成二十七年度末での達成というのは非常に難しい現状であるということもあわせて御報告させていただきたいと思います。

 続きまして、空港についてでございますが、年間二百二十二万人が利用する四国最大の松山空港の耐震化も必要であると考えております。

 東日本大震災時において、仙台空港が緊急物資、人員等の輸送基地として、緊急救命活動拠点としての役割を果たしたことを考えると、今後高い確率で発生すると予想されている東南海地震や南海地震の際には、松山空港の活用は必要不可欠であります。

 しかし、この松山空港の立地条件としては、海に接しておりまして、また埋立地でもあるんです。そういった状況を考えてみますと、早期の耐震化対策が必要であると考えております。

 東日本大震災の一年前に国交省の四国地方整備局が実施した耐震性能評価結果によりますと、緊急輸送等の受け入れに必要不可欠な二千メートル滑走路等においては、その一部において地盤の液状化により沈下が発生するため、早期の滑走路等の使用が困難になる、また、埋め立てにより造成した滑走路等の敷地外周護岸においては、護岸の変形に伴う沈下が発生するため、滑走路二千五百メートルなどの使用が困難になるとともに、復旧に多大な時間と膨大な費用が必要になるという調査結果が出ております。

 この空港耐震化は国の直轄事業でございますので、早期の耐震化をお願いしたいところでありますが、この点に対する取り組み状況をお教えいただければと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、さきの東日本大震災におきましても、空港が救急救命の拠点になったり緊急物資の輸送拠点になったりということで、非常に重要な施設でございます。

 全国にいろいろございますから、優先度をつけていろいろ整備をしていかなければいけないということではございますけれども、松山空港につきましても、地震発生時において、先ほどおっしゃられました滑走路長二千メートルの機能を確保するため、滑走路を横断する道路部分の耐震対策につきましては、平成二十四年度の補正予算で手当てをして着手したところでございます。

 今後とも引き続き実施をして、なるべく早く完成する予定でございます。

西岡分科員 早期の御対応をお願いいたします。

 次に、大きな課題の一つとなっておりますミッシングリンクについて質問させていただきたいと思います。

 震災で改めて道路の重要性が明確になりました。古来より道路は国の発展の礎でしたし、全ての道はローマに通じると言われたローマ帝国も、街道の整備が国力の発展の源泉でありました。

 今後高い確率で発生すると言われる地震に対して、ミッシングリンクを整備することで、救命救急医療の搬送範囲が広がり、助かる命は確実にふえますし、また、被災後の救援物資の輸送も円滑にできるようになる。まさに命の道となるわけでございます。

 四国では、車を一人一台持っている家庭も少なくない車社会でありまして、長年の懸案である四国四県の高速道路を8の字でつなぐということも必要だと思いますし、我が地元の愛媛県でも、今治小松自動車道、四国横断自動車道、大洲八幡浜自動車道などの道路がつながっていないという現状がございます。

 例えば、愛媛県南端の愛南町は、鉄道もなく、唯一の交通、物流の生命ラインである国道五十六号線も、南海トラフ巨大地震が来れば寸断されてしまうということが十分予想されます。また、九州へ向かって四十キロほど突き出している佐田岬半島のつけ根には伊方原発もあることから、万が一のためにも、この佐田岬半島の頂上を貫く道路でもありますいわゆる佐田岬メロディーラインという道路がありまして、この道路を避難路として整備する必要性も大事だと思っております。

 東北では、あの震災後に、皆さん御承知のとおり、くしの歯作戦と呼ばれた、東北道、国道四号を縦軸ラインに確保して、横軸ラインを各被災都市に通すことによって、救命救急に大きな貢献を果たしたわけでありますが、四国ではまだ、くしの柄も歯も十分な状態ではないわけでございまして、防災・減災の観点から、ミッシングリンクの解消をぜひお願いしたいと思います。

 道路の建設においては、これまでのように、時間や経費、あるいは交通事故の減少など、BバイCだけの観点のみではやはり通用しない。防災面からも取り組んでいくことが必要でありまして、既にもう取り入れられているということであるとお聞きしております。

 そこで質問でありますが、災害が予想される地域からミッシングリンクの解消に取り組んでいるのであれば、その優先順位づけはどのようになっているのか。また、四国や愛媛県内、その扱いはどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。

坂井大臣政務官 高速道路のミッシングリンクの解消につきまして、特に今回、東日本大震災の経験を通じまして、改めて、災害時に高速道路ネットワークが果たす役割というものが再認識されたということだろうと思います。

 また、今御指摘いただいた四国に関しましては、南海トラフ巨大地震、確かに大変な地震の災害の予想がされておりますので、災害時の住民避難、物資の輸送にも役立つ今治小松自動車道、四国横断自動車道など、高規格幹線道路の未整備区間の解消等による道路ネットワークの強化には取り組んでまいります。

 また、BバイCということで、防災面の効果が重要と考えるがどうか、こういった御質問もありました。

 これも確かにそうでございまして、今申し上げたように、道路が災害面において大変効果を上げるということから、ネットワークの多重性等を考慮した防災面の機能の評価手法を暫定的に取りまとめて、三陸沿岸道路などの道路の新規事業評価へ適用してきたところでございまして、これらの道路の多様な目的、効果に見合った評価手法、これは今申し上げたように、取り急ぎ取りまとめてやっているところでもございますので、この評価手法の充実を図って、行っていきたいと思っております。

西岡分科員 このミッシングリンクの解消は、先ほどおっしゃったように、広域高速ネットワークを形成するという新たな観点から取り組むことは大事であろうと思いますし、また、新たな物流の創出にもつながってまいると思います。

 例えば、現在、南九州から京阪神方面への物流は中国地方を経由しているわけでございますが、これが大洲八幡浜自動車道や四国縦貫自動車道がつながれば、四国を経由して京阪神方面へ早く物を運ぶことが可能になってまいります。

 大分、宮崎から吹田のインターチェンジまで、距離にして約二百キロ強、時間にして約一時間の削減が見込まれておるということでありますし、本来は四国―九州の間に橋をかけていただければ一番ありがたいわけでございますが、現在の我が国の財政事情では、そういったことはまず無理でありましょう。

 しかしながら、今、九州からの玄関口となっています八幡浜港や三崎港といったところは、貨物の輸送量や旅客数が増加傾向にあるんですね。そういったことも考えると、新たな多重型国土軸の形成の一環として、新太平洋国土軸を見直していく時期に来ているのではないかと思います。

 この新太平洋国土軸、これは長年議論をされてきたところでありますが、この取り組みや今後の対策についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の太平洋新国土軸でございます。その新国土軸を初めとする四つの国土軸から成る多軸型国土構造は、国民意識の変化や、また時代の潮流の転換等を踏まえた二十一世紀に目指すべき国土構造として、二十一世紀の国土のグランドデザインにおいて示されたものでございます。

 先ほど、その取り組み、そして進捗状況というお話がございましたけれども、国土軸というものは気候、風土、また文化蓄積、地理的特性等において共通性を持つ地域の連なりであることから、このような国土構造の転換は百年、二百年の超長期にわたって緩やかに進行するものであります。平成十年にグランドデザインができたわけでございます。十年、二十年という期間の中で具体的な進捗状況を示すことというのは困難だと考えております。

 しかしながら、このグランドデザイン策定後、先生御指摘のような、さまざまな国民意識の変化とか、高速交通施設の整備、また情報通信技術の発展等、国土基盤整備の進捗、また地方ブロックのグローバル化の進展などが見られまして、それに伴い国土構造は緩やかに変化しているものと考えております。

 このような変化を見きわめて、また二〇五〇年など長期的な視野を持ちながら、これからの国土のあり方について検討してまいりたいと思っております。

西岡分科員 ぜひ防災の観点からも、この多重型国土軸、新太平洋国土軸の取り組みを引き続きお願いしたいと思います。

 高規格幹線道路を整備して広域高速ネットワークを形成することは、やはり防災・減災、物流の効率化、ひいては地域の活性化につながることは間違いないと考えております。しかも、費用については、復興よりも防災の方がお金もかからないとの見方もありますので、引き続き防災面に力を入れた取り組みをしていただきたいと思います。

 続いて、過疎地域を初めとした、公共交通機関としてのバス対策について質問をさせていただきたいと思います。

 現在、生活バスにおける国庫補助制度の補助要件は、距離要件については撤廃されましたが、輸送量が一日十五人以上と全国一律で決められております。過疎地域の実情を考慮すると、十五人もいかないという場合が多いわけであります。しかも、我が愛媛県内に三百四十系統あるバス路線のうち、この補助を受けておる路線は三十五系統しかございません。先日、私の選挙区でも、実は路線廃止がされたところもございます。事業者負担が非常に大きくなっているというのが廃止の主な要因でありますが、一方で、お年寄りなどにとっては重要な移動手段であるという現状もございます。

 これに対して必要な対策をお願いしたいと思いますが、具体的には、一日十人程度の輸送量という四国の実情に合わせた補助要件の緩和も検討してもらいたいと思っております。この点に関しての国交省の御見解をお聞かせください。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、過疎化、少子高齢化ということで利用者が減少しておりまして、地方のバスは大変厳しい状況にございます。バス路線の確保、維持を図っていくことは、私どもの非常に重要な課題であるという認識をしておりまして、地方バス路線の維持に対する財政支援、これは地域鉄道とか離島航路などの補助と合わせまして、地域公共交通確保維持改善事業ということで、三百三十三億円を今年度の予算案において計上しているところでございます。

 この支援制度につきましては、地域の実情とか、あるいはバスの利用実態の変化を踏まえて、充実を図っていくということも必要だと考えております。今御指摘のように、距離要件については廃止をさせていただきました。今年度の予算案におきましては、地域ぐるみで利用促進の取り組みを行われるという前提で、利用者数要件につきましても、十五人未満であっても、直近五年以内で見れば十五人以上の実績があったところも対象とするという新たなメニューを盛り込んでいるところでございます。

 直ちに十人ということではございませんが、今後とも、各地域の御要望を丁寧に伺いながら、地方のバス路線の維持、活性化に向けて、支援制度の充実に取り組んでいきたいというふうに考えております。

西岡分科員 十人という四国の現状を考えてみると、先ほど、検討もしていただいておるようなことでありますが、難しいというような状況ではありますが、現状をまたしっかり私の方も御報告させていただきますので、引き続き取り組んでいただければと思っております。

 もう時間もそろそろ参りましたので、最後に、本四架橋の高速道路料金について質問をさせていただきたいと思います。

 この点に関しては、先週のこの分科会でも玉木雄一郎議員が質問をしておられましたが、私も四国選出の国会議員として一言申したいと思いまして、話をさせていただきます。

 高速道路のあり方検討有識者委員会での、全国共通の料金水準を平成二十六年度から導入するとした中間とりまとめの内容を踏まえて、具体的な検討に入っておられますが、この結論が平成二十四年度末までに出されるというような話でありましたが、まだ結論が出ていない状況でございます。

 この点に関して、改めて国交省の御決意のほどをお聞かせいただければと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

坂井大臣政務官 本四高速料金を含めた今後の料金制度のあり方につきましては、現在、国土幹線道路部会で丁寧な議論を重ねて、検討を進めているところでございます。

 料金引き下げを求めるということは大変わかりますけれども、今この本四高速の全国共通料金導入の具体的な実施方針につきましては、多少やはり取りまとめに時間がかかっておりますが、この国土幹線道路部会の審議状況を踏まえ、取りまとめてまいりたいと考えております。

西岡分科員 時間がかかっているということでありますが、いずれにしても、関係する地方公共団体や事業者等への影響も考慮していただいて、早期の結論を出していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

若宮主査代理 これにて西岡新君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口善徳でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 昨年八月二十九日、内閣府で、南海トラフ巨大地震がもたらす津波高・浸水地域等について第二次報告がございました。静岡県沿岸部のほとんどが十メートルを超え、最大は下田市の三十三メートル、浜岡原発がある御前崎市では十九メートルと予想されているわけでございます。

 そしてまた、沿岸部に人口や産業が集中しております静岡県内の人的被害は、国全体の被害の三分の一に上る約十一万人、その九割が津波による犠牲者であるということと、それから、津波等による建物の全壊は、国全体の被害の四分の一の約三十二万棟となっております。東日本大震災を上回る、我が国の経済に壊滅的な打撃を与える深刻な被害状況が想定されているところでございます。

 そういう中で、やはり新たな国土軸、国土政策ということを考えていかなきゃならない。

 静岡県の場合、おかげさまで、昨年の四月十四日、ちょうど昨日が開通一周年だったんですが、新東名高速道路、これが御殿場から浜松まで百六十二キロが開通したわけでございます。

 沿岸部からいいますと、旧東名は沿岸部を走っていますが、新東名は旧東名の平均十キロメートルほど内陸の高台を走っているということでございまして、やはり新東名、その周辺の内陸部、こういうものをしっかり活用して、そして、南海トラフあるいは東海、東南海、南海地震等に備えていく、予防的な防災・減災対策をとることが極めて大事だ、こういうふうに考えておるところでございます。

 そこで、静岡県は、実は本年の二月十五日に、地域活性化総合特別区域の指定ということで内陸フロンティア構想を掲げまして、ふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区が認められたわけであります。

 これは、防災・減災ということからも内陸部をしっかり活用していくことが大事でございますし、また、沿岸部におきましては、その再生が大事でございます。そのためにも、土地の利用の規制緩和、あるいは農地の再生、それにおける財政的な支援、こういうことも非常に大事になってくるわけであります。

 そこで、計画の策定や手続にいたずらに時間をかけておりますと、民間の事業者等はリスクを負担することにもなるわけでございます。そういう点で、この内陸フロンティア構想は迅速に事業展開できますよう、国は、各省庁が連携して、スピード感を持って支援をしていただきたい、こう思うわけでございます。

 内閣官房、国交省、そして農水省から御所見をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 総合特区制度は、国際競争力の強化や地域の活性化のための包括的かつ先駆的なチャレンジに対しまして、選択と集中の観点から、地域を厳選し、規制の特例措置等により総合的に支援するものでございます。

 ふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区につきましては、内陸部に津波の心配のない先進地域を築くとともに、都市部を防災・減災に対応した地域に再生することを目指すものでございまして、平成二十五年二月十五日に内閣総理大臣による指定がされたところでございます。

 指定自治体である静岡県からは三十三件の規制の特例措置等が提案されておりますが、そのうち十四件につきましては、優先提案といたしまして、今月から国と地方の協議会を開始し、できる限り速やかに結論が得られるよう、スピード感を持って指定自治体、関係省庁との調整を進めてまいりたいと考えております。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる内陸フロンティア構想には、国土交通省の関連で申し上げますと、沿岸部から移転する企業等の受け皿となる地域の土地利用転換でございますとか、陸海空の交通ネットワークを活用した物流ネットワークの充実などにつきまして、必要な規制の特例措置というものが提案されております。

 国土交通省としても、この構想の目標やその実現に向けた提案というのは非常に重要であるというふうに認識しておりますので、今後の国と地方の協議におきましては、地方の意向を十分に踏まえながら検討するなど、関係機関と連携し、スピード感を持って対応してまいりたいというふうに思っております。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘ございました、ふじのくに総合特区でございますけれども、農林水産施策との関係で申し上げれば、地域資源を有効活用し、食と農のビジネス拠点を創出するなどの御提案をいただいているところでございます。

 農林省といたしましても、大変重要な提案だと受けとめておりますので、これから始まります国と地方の協議に当たりましては、関係省庁とよく連携をして、スピード感を持って対応してまいりたいと思っております。

大口分科員 この内陸フロンティア構想でございますけれども、やはり内陸部を非常に魅力的な先進地域にしていく、あるいは、都市部におきましては防災・減災に対応した地域づくりをしていく、そしてまた、沿岸は商業、工業の高次都市機能を維持しつつ、特に沿岸の臨海部を災害に強いまちづくりをするとともに、いろいろと農地の再生等もしていかなきゃならない、このように思っております。

 沿岸部と内陸部を効果的に結ぶ交通ネットワークを強化充実し、多層的な連携軸を形成する必要がございます。

 そういう点で、知事あるいは首長さんと一緒に、大臣にも何回も要望させていただきました。伊豆縦貫自動車道、中部横断自動車道、三遠南信自動車道は四月十二日でございました。こういう三本の高規格道路、そして静岡東西道路、金谷御前崎連絡道路など地域高規格道路、こういうものを整備することは極めて大事である、こういうふうに考えておるところでございます。

 そこで、道路の整備につきましてお伺いをしたいと思います。

 まず、中部横断自動車道の新清水ジャンクションから富沢インターチェンジの間は、NEXCO中日本が平成二十九年度供用開始へ向けて事業を進めています。六郷インターチェンジから増穂インターチェンジも、同じくNEXCO中日本が平成二十八年度供用開始へ向けて事業を進めている状況でありますが、このNEXCO中日本の事業区間に挟まれた形で直轄の高速区間、要するに、富沢インターチェンジから六郷インターチェンジの間の供用開始がいつになるのか、これを明確にしていただきたいということが一つでございます。

 次に、静岡東西道路の一部であります国一の静清バイパスの全線四車線化、並びに清水立体の進捗状況と完成時期についてお伺いしたい。これが二点目でございます。

 三番目に、新東名の利用者の増加により、新東名へのアクセス道路であります山脇大谷線と交差する千代田上土インターチェンジが大変混雑しております。このインターチェンジの渋滞解消策を検討すべきと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

 さらに、伊豆縦貫自動車道の整備につきましては、伊豆半島の主要道路というのは海岸に張りついているわけです。津波等の被害が心配されているわけであります。そういうことでいきますと、伊豆縦貫自動車道というのはいわば伊豆半島の背骨の位置に当たるところにあります。ところが、なかなかこの整備は進んでいない。それこそ、伊豆半島には六十五万人ぐらいの方々が住んでおられるわけでありまして、また、下田から第三次救急医療機関まで一時間二十分かかるんですね。これが整備されれば四十分に短縮されるということで、いわば命の道でもあるわけでございます。

 そしてまた、東駿河湾環状道路、とりわけ西側延伸区間の新規事業化の見通しについてもお伺いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

太田国務大臣 静岡が、東海、東南海地震、また大変な津波の高さというものが予想されたりして、多くの方が心配をなさっていると思います。

 私は、第二東名ができたときにも、リダンダンシーということで論文を書いたこともありますけれども、そういう意味からいきまして、緊急物資の輸送路の確保ということも大事でありますし、中部横断自動車道や伊豆縦貫自動車道、これら、また御指摘いただいたところは極めて重要な道路であるという認識を国交省では共有しております。

 御質問のありました中部横断自動車道、富沢―六郷につきましては、一部用地の取得が難航しておりまして、用地取得時期が不透明であることから、現時点でいつかということについてはなかなか言えないような状況ではありますけれども、ただ、我々としては、中日本高速会社が整備を進めている前後区間の供用年次、御指摘のありました二十八年、そして平成二十九年におおむね間に合うように、引き続き整備を推進してまいります。

前川政府参考人 中部横断道路を除く四つの道路について御説明をさせていただきます。

 まず、静岡東西道路、国道一号の静清バイパスの四車線化でございます。

 静清バイパスは、全体延長二十四キロでございますが、平成九年までに全線暫定二車線で開通した後、交通量の状況を見ながら、順次四車線化また立体化を進めております。これまでに大体四分の三の区間、十八キロが四車線化になっておりまして、残るのが六キロというふうになっています。

 残る六キロのうち、鳥坂インターから千代田上土インター間、並びに、羽鳥インターから牧ケ谷インター間、合わせまして約三キロを、平成二十六年度四車線化の目標で進めさせていただいております。一番最後に残りますのが、牧ケ谷インターから丸子インター間三キロでございまして、ここについては平成三十年度の四車線化を目標に進めさせていただいているところでございます。

 それから二つ目の、新東名高速道路の新静岡インターのアクセス道路に接続いたします、やはり国道一号の静清バイパスの部分でございます。

 昨年四月の新東名の開通以降、この交差点の交通量が約一五%ほど増加をいたしまして、朝夕の時間帯を中心に渋滞が発生をしております。

 当面の対策として、静岡県の道路交通対策推進協議会におきまして、主要渋滞箇所を選定し、検討を開始したところでございますが、やはり、先ほど申し上げました国道一号静清バイパスの四車線化をやることによって、その辺の渋滞の緩和もできるのではないかと思っております。引き続き、検討を進めさせていただきたいと思っております。

 それから三点目、伊豆縦貫自動車道に関してでございます。

 伊豆縦貫自動車道につきましては、全線、下田まで延長約六十キロございますが、これまでにまだ二割、約十二キロしか供用ができておりません。また、事業中の区間が二十三キロというふうになっております。

 事業中区間のうち、東駿河湾環状道路の一部を構成いたします三島塚原インターから函南塚本インター間、延長約六・八キロございますが、これを二十五年度に供用を予定いたしております。

 そういたしますと、東名の沼津インターから東駿河湾環状道路、さらには伊豆中央道、修善寺道路を使って修善寺まではスムーズに行けることになろうかと思っております。残る区間につきましても、引き続き事業の促進に努めてまいりたいと考えております。

 最後に、東駿河湾環状道路の西側区間でございますが、沼津市街部の国道一号の混雑緩和でありますとか、沿道環境の改善にとって大変重要な計画であるというふうに考えておりますが、当該区間の事業化につきましては、近接する事業中区間、先ほど申し上げました伊豆縦貫自動車道等の進捗状況、また、猛禽類等がいるということも聞いておりますので、そういったいろいろな環境調査、そういったものも踏まえながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

大口分科員 次に、昨年もこの分科会で取り上げさせていただいたんですが、基幹的広域防災拠点、これは災害対策基本法の防災基本計画に基づいて位置づけられているわけですね。首都圏は二カ所、それから京阪神においては一カ所、こうなっているわけですが、南海トラフ、そして東海、東南海、南海の三連動地震等の甚大な被害が予想されるこの中部地方にはないんですね。

 そこで、ぜひとも富士山静岡空港、これは浜岡原発から二十キロ離れたところで、オフサイトセンターも移転する、こういうふうに聞いております。ここを基幹的広域防災拠点と指定し、整備すべきであると考えますが、内閣府のお考えをお伺いしたいと思います。

佐々木(克)政府参考人 広域防災拠点につきましては、想定される大規模地震ごとに策定されます応急活動要領によりまして具体的な活動計画を策定していく、その中で位置づけを図ってきているところでございます。

 南海トラフ大規模地震につきましては、今年度、応急活動要領並びに具体的な活動計画を策定する予定でございまして、その中で、御指摘の静岡空港も含めまして、その位置づけについて、関係省庁とも協議しながら、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

大口分科員 次に、清水港の整備についてお伺いをしたいと思います。

 清水港は、東名、新東名、そして中部横断自動車道、また、富士山静岡空港と陸海空の物流ネットワークを形成して、静岡市はもとより、静岡県、そしてまた中部経済圏へも大きく貢献する国際拠点港湾であります。この陸上交通網とのアクセスのよさが地域経済に大きなアドバンテージとなっております。

 港は、市民の暮らしに対して安心と安全を提供する場でなくてはなりませんし、また、発災後の避難者や緊急物資の輸送、さらに、経済活動を維持するために防災機能も強化する必要がございます。

 そこで、清水港の位置づけをお伺いしたいということとともに、防災・減災対策のために、まず、老朽化している岸壁を初めとする港湾施設の緊急点検を初め、港湾施設等の耐震検査を早急に実施すべきと考えますが、いかがでございましょうか。

山縣政府参考人 清水港の位置づけ及び防災・減災対策の御質問でございました。

 清水港は、自動車部品や産業機械などの輸出拠点あるいはLNGなどの輸入基地として、静岡県の産業活動を支える港湾でございます。特にコンテナにつきましては、昭和四十五年にコンテナ船が初入港をいたしておりまして、翌四十六年には内陸にコンテナ基地を設置するなど、早くから物流効率化にも取り組まれております。

 我が国でも有数の国際海上コンテナ取り扱い機能を持つ国際拠点港湾として、物づくりが活発な静岡県を初めとする東海地域の経済活動を支えている、このように考えております。

 また、清水港のように、地域の経済活動を支える港湾は、施設の多くが高度経済成長期に整備されておりまして、整備後五十年以上を経過する施設が急激に増加していくことになります。

 清水港におきましては、富士見地区七号岸壁など整備後五十年以上経過した施設が存在しておりまして、これらの老朽化した港湾施設の緊急点検を現在実施しているところでございます。

 また、清水港は、東海地震に備えまして昭和四十八年に我が国で初めて耐震強化岸壁を整備した港でもございまして、これらの耐震強化岸壁につきましては耐震性能の再検討を実施しているところでございます。

大口分科員 清水港の整備ということでは、新興津の第二バース、コンテナバース、これが、各位の御尽力によりまして、平成二十五年五月に暫定供用、そして平成二十七年度の完成を目指して順調に進んでおります。既に完成しております第一バースと合わせますと、水深十五メートル、岸壁延長七百メートル、こういうことで、世界最大級のコンテナ船の寄港が可能となるわけであります。

 今後、さらに新興津地区へ同一機能を集約し、国際競争力を高めていくことが重要と考えますが、国交大臣の御所見をお伺いしたい。

太田国務大臣 清水港は非常に大事であり、そして、静岡県は物づくりという観点からも非常に大事なところだという認識をしております。

 今お話のありましたように、袖師地区、あるいは新興津地区第一バースに加えて、新興津地区第二バースが本年五月に供用するということで、コンテナ取り扱いの機能が強化されるというふうに思います。

 ここで防災という機能もしっかり備えて、そして、国際競争力が高まって、しっかり活用されることで、清水港が、全国有数の物づくり県である静岡県を初めとして、東海地域を物流面から支えていくものになるべきであるという認識をしているところでございます。

大口分科員 大変力強い御答弁をありがとうございます。

 そして、地震、津波対策では、まず外港防波堤を津波に耐えられる粘り強い構造に強化していくこと、そして岸壁の耐震化が重要であると思います。また、港湾労働者の避難場所の拡充、さらに、憩いとにぎわい空間の整備。また、新興津地区の人工海浜、緑地整備事業が大幅におくれております。地域の皆様は一日も早い完成を待ち望んでおられますので、これらの点につきましてお伺いしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 切迫いたします東海、東南海、南海地震等の大規模地震あるいは津波に対しまして、清水港の物流機能を確保するため、事前防災・減災対策を講じることが極めて重要だと考えております。

 具体的には、新興津地区の海上コンテナターミナルでの耐震強化岸壁の整備、あるいは防波堤の粘り強い構造への補強が必要と考えております。

 また、ソフト対策として、有識者や静岡県等の港湾管理者とともに、港湾労働者等の安全な避難を確保するための検討を行っておりまして、この検討を踏まえ、清水港の避難対策に係る県の取り組みを支援してまいりたいと思っております。

 一方で、平常時におきましても、港湾は、利用者の憩いの場や、あるいはにぎわい空間としても重要だというふうに考えております。そういう意味で、清水港では、地域の要望の高い新興津地区の人工海浜、緑地の整備が、現在、社会資本整備交付金によって進められております。

 今後とも、地域の経済を支える事前防災・減災対策や、憩い、にぎわい空間の確保をハード、ソフトの対策の両面から着実に進めてまいりたいと思っております。

大口分科員 次に、浜松市の沿岸域の防潮堤整備についてお伺いしたいと思います。

 浜松市の沿岸部、西区、南区の海抜三メートル以下の地域なんですが、約十二万人が住んでおります。そういう点で、県におきましても、二十五年度当初予算で津波対策の施設等整備関連事業が計上されているわけでございます。そして、浜松市沿岸域の防潮堤が、二十五年度夏ごろから試験施工が行われ、その後、本施工になる予定になっております。

 実は、報道でも注目されたわけでありますけれども、浜松市に本社工場のある住宅メーカー、これは一条工務店というところなんですが、ここが浄財三百億円を寄附してくれることになりまして、昨年、県、市、寄附者の三者の合意が調ったところでございます。

 現在、県有保安林、防風林、これは海抜六メートルから九メートルの土堤があるわけでありますが、そのルートに新たな工法、土砂とセメントを混合したCSG工法で施工を予定しているところでございます。

 静岡県は、寄附者の意向を受けて、寄附金を活用してレベル1対応を超える防潮堤の整備を行うこととしました。基本的には寄附金を活用して整備を行うこととしていますが、よりよい堤防の整備に向け、やはり国庫補助制度も必要ではないかと思うわけでございます。

 浜松市は、現在、海抜六から九メートルの土堤があるため、レベル1の津波にはある程度の防御が可能であると考える考え方もあるわけですが、現在、東日本大震災等でCSG工法による築堤がなされつつあることが実証されておりますように、砂を盛っただけの土堤ではレベル1相当の津波対応にも不安が残る状況であるわけであります。

 そこで、こうした背景を踏まえてお伺いをしたいと思います。

 一つは、レベル1相当の津波に対応するための堤防の整備は、標準的な整備であることから、国庫補助金の対象としていくべきと考えるが、どうか、これが一点ですね。

 次に、既にある程度の土堤が存在する場合でも、レベル1の津波に対応するため、その土堤をCSG工法などにより強化する必要があります。この場合、その強化に要する費用も国庫補助対象になると考えてよいかが二点目です。

 三点目に、現在の浜松の六メートルから九メートルの土堤ではレベル1の津波には心もとないということで、篤志家からの寄附もあって、静岡県では十三メートル程度の堤防の整備を行おうとしております。これはレベル1に加え、レベル2の津波も堤防により防いでいこうという浜松地域の自主的な取り組みでございますが、このような場合、全額補助対象ということにはならないにしましても、少なくとも国庫補助の標準的な整備の範囲のレベル1対応の相当までは国庫補助の対象となると考えますが、いかがでございましょうか。

足立政府参考人 防潮堤に対します国の支援のあり方について、三点御質問がございましたので、お答えを申し上げます。

 一点目のレベル1津波までの防潮堤の整備につきましては、交付金による税財政支援等が可能だというふうに考えてございます。

 二点目の、議員御指摘のCSG工法を用いて防潮堤の整備を行う場合などにつきましても、施設の効果が粘り強く発揮できる構造であるということであれば、交付金による財政支援が可能であるというふうに考えてございます。

 三点目の、議員御指摘のレベル2津波に対応した防潮堤を整備する際の取り扱いでございますけれども、L1津波までの防潮堤の整備につきましては、一点目で御説明したとおり、交付金による財政支援が可能というふうに考えてございます。

大口分科員 ありがとうございます。

 それでは、浜松の防潮堤整備予定区域のほとんどが保安林区域であります。農水省の所管であるわけですが、保安林のかさ上げも補助対象と考えてよろしいのか、お伺いしておきます。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 静岡県によりますと、こういった事業を今検討中ということを承っておりますけれども、施工予定地には県有保安林が含まれるというふうにお聞きしているところでございます。

 私どもとしては、現時点で、静岡県から本事業について国の補助事業として実施してほしいという要請を受けておりませんけれども、今後、静岡県から具体的な相談があれば、治山事業の要件を踏まえて、適切に対応していきたいと思っております。

 なお、一般論として申し上げればでございますけれども、海岸保安林の機能の維持強化のために、こういった市街地や集落とか、農地の保護を目的に行う植栽でありますとか防潮堤の設置、これはレベル1までのものであれば、国の補助事業の対象としているところでございます。

大口分科員 浜松の取り組みということについて御紹介をさせていただいたところでございますけれども、本当に、現場を見てみますと、やはり第二次被害想定が出まして、大変厳しい想定が出た。この不安を何としても解消しなきゃいけないということで、地域が一体となって今努力をしているところでございます。

 そういうことで、浜松では、こうした堤防建設の動きを受けまして、既に地元自治会などから防潮堤整備に対する寄附が相次いでいます。また、浜松市の商工会議所は、今後、会員から五十億の寄附を募って、よりよい防潮堤の整備を働きかけたいとして決意も表明しているわけであります。

 このように、日本国において、本当に南海トラフの巨大地震、そして津波ということで、ああいう形で発表されました。そこで、市民も、また地元企業も一体となって備えていこうということでやっているわけで、私は、これは全国のモデルケースになるんじゃないか、こういうふうに誇りに思っておるところでございます。

 こうした動きを全国的に加速していくためにも、国、自治体、地元企業、地元住民、一体となった防災・減災の取り組みを強力に推進していくべきであるというふうに考えますが、国交大臣の御所見をお伺いしたいと思います。決意もお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 浜松市の市民の皆様、また、天竜川右岸の多くの方々が、一つは、深刻な津波であるということを受けとめ、そして、みずから何とかしなくてはいけないという思いの中から、多くの寄附がされてきつつあるということに対して、私はそこの真剣さというものをまず国が受けとめていかなくてはならないと思います。

 そして、市民や地元の企業が一体となって、防災・減災に当たる、津波対策に当たるということを、非常にこれは重要だというふうに認識をしておりまして、大口委員、全国の、ある意味ではモデルとおっしゃいましたけれども、そうした取り組みは広めていかなくてはならないというふうに思っております。

 国交省としては、とにかく、深刻であるがゆえに、そうしたせっぱ詰まったという形でやってくださっているということをしっかりと真正面から受けとめていくことが大事だというふうに思います。

 管理者である静岡県とも連携をとって、全ての静岡の海岸線というものの防潮堤設置等についても、よく連携をとって対応していきたい、このように考えております。

大口分科員 大変ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

若宮主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに、太田大臣に基本的な点を確認したいと思うんですが、鉄道会社というのは、日常の生活にとって非常に大切な、不可欠な交通サービスの提供者でございます。その意味で、公共性、公益性、安全性は最優先で守らなければならない社会的使命があると思いますが、その点を確認しておきたいと思います。

太田国務大臣 鉄道というのは、いわゆる営利というだけでなく、公共的なもの、また、明治以来、鉄道というものが実に発展の心躍るものになってきているということも含めまして、大いなる公共性を持っているという認識をしております。

佐々木(憲)分科員 そこで、きょうは、リニア中央新幹線の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 二〇〇七年四月、JR東海は、リニア中央新幹線建設構想の推進を社内決定いたしました。このリニア新幹線構想をどう受けとめ、判断すべきかということで、それを検討する政府ベースの審議が、二〇一〇年三月から国土交通省交通政策審議会鉄道部会中央新幹線小委員会というところで開始をされたわけです。それで、一一年五月十二日にこの小委員会が最終答申を発表いたしました。そして、二十六日、国交省はJR東海にリニア中央新幹線の建設を指示したわけです。

 こういう経過がありますが、JR東海は、国交省のゴーサインを受けまして、来年に着工を予定しております。そういう作業を今急いでいると聞いております。

 端的にお聞きしたいんですけれども、なぜ今、リニア中央新幹線なのか。国交省がJR東海に建設を指示した理由、根拠をお示しいただきたいと思います。

太田国務大臣 中央新幹線の建設の指示に当たりましては、今御指摘ありましたように、平成二十二年三月から二十三年五月まで、交通政策審議会中央新幹線小委員会におきまして、二十回にわたり、有識者の皆様に幅広く御議論をいただいたところでございます。

 また、この小委員会で、JR東海より、みずからの自己資金により中央新幹線の整備を行うとの意思が表明されたわけです。

 この結果、中央新幹線は、東京、名古屋、大阪、三大都市圏を高速かつ安定的に結び、国民生活、社会経済を支える大動脈の機能を強化するほか、東海道新幹線との二重化により、災害へのリスクへの備え、リダンダンシーということになる等の意義を有するとの答申をいただきました。

 このような答申を受けまして、平成二十三年五月、中央新幹線の整備計画の決定を行いまして、建設主体と営業主体としてJR東海を指名し、同社への建設の指示を行ったところでございます。

佐々木(憲)分科員 今言われたように、リニア新幹線というのは、JR東海が建設主体となって建設費用の全額を負担する、その一方、国は建設の指示を出すというだけになっているわけですね。

 しかし、この計画は、大動脈と今言われましたが、実質的に大規模な公共事業でございます。いわば国家的プロジェクトと言われるようなものですね。残念ながら、国会審議など公的関与が及ばない、そういう状況で、異例な形で進められてきているわけです。

 私が非常に驚いたのは、JR東海の社長が審議会小委員会の場で、自己負担でプロジェクトを完遂するので、経営の自由、投資の自主性の確保という民間企業としての原則を貫徹すると断言していることでございます。

 こうなりますと、総額九兆円以上の巨額の資金が投入されるプロジェクトでありますが、公共交通システムにかかわる問題なのに、国はJR東海の主張をただ追認するだけになってしまう、そういうことになるんでしょうか。

滝口政府参考人 委員御案内のように、中央新幹線の整備でございますが、全国新幹線鉄道整備法という法律に基づいて、国土交通大臣が、先ほど来お話のございます、整備計画を定める、あるいは営業主体、建設主体を指名する、あるいは建設の指示をする、こういったようなことを行ったところでございます。

 決してJR東海が勝手にやるということではなくて、全国新幹線鉄道整備法に基づく手続に従って進めているところでございます。

佐々木(憲)分科員 そういうふうに言われても、この内容をどれだけ真剣に国として検討して進めているのか、これが問われるわけであります。

 リニアが果たして必要なのかという議論もあります。JR東海は、当初、輸送力の限界を打破する、こういうことを掲げておりました。しかし、国交省審議会のヒアリングでは、このことについてJR東海は触れておりません。輸送能力の限界というのであれば、最近の輸送実績はどうなっているか、これが重要だと思いますが、この点を紹介していただけますか。

滝口政府参考人 東海道新幹線の輸送実績につきましては、景気動向などによりまして多少の変化はございますけれども、基本的に右肩上がりで推移をいたしております。

 具体的には、昭和六十二年度当時の輸送量が年間三百二十一億人キロであったのに対し、二十年後の平成十九年度には、年間四百六十五億人キロを達成しております。その後二年間は、景気の低迷などに加え、新型インフルエンザなどの社会情勢などの影響を受け、一旦減少いたしましたが、平成二十二年度以降再び増加傾向に転じ、平成二十三年度時点の輸送量は四百四十三億人キロということになっております。

 また、列車の運行本数について見てみますと、平成二十三年度において、一日当たりの列車本数は最大で約四百本、一時間当たりの列車本数は最大で十四本ということで、非常に過密なダイヤ設定となっているところでございます。

佐々木(憲)分科員 今、右肩上がりとか言われましたが、実際の利用率を年間を通して見ると、最近数年間、約一〇%低下しているわけですね。ふだんは、座席の三五%から四五%が空席であります。年末年始あるいはお盆の時期の混雑率は一二〇%と言われていますけれども、これは自由席なんですよ。こういう混雑は年間十日間ぐらいでありまして、やはり、空席が三割、四割という状況を見て、何でこれが輸送能力の限界なのかというふうに思うわけでございます。

 他方、老朽化するからもう一本必要である、バイパスが必要だとも言われていますけれども、これも私は理屈が非常に薄弱であると思うんです。老朽化対策というのは、それはそれとして当然やらなければなりません。大規模改修は、既に全幹法によって定められておりまして、JR東海も改修を予定しております。ですから、老朽化がバイパスを必要とする理由にはならないと私は思うんですね。

 次は、震災へのリスクに備えるというようなことも言われているんですね。

 そこで、大臣にお聞きしますけれども、近い将来予想される東海、東南海、南海の三海域で巨大地震が発生した場合に、このリニア中央新幹線は果たして耐えられるのか、大臣の御見解をお聞かせいただきたい。

太田国務大臣 中央新幹線などの鉄道構造物の地震対策、これは言うまでもなく、鉄道の安全、安定輸送のために極めて重要です。耐震工学の専門家を交えまして、この件については科学的、工学的な見地から検討を進めてきているところでございます。

 その具体的な検討の結果につきましては、かなり詳細な事項が含まれるので、鉄道局長から答弁をさせていただきたいというふうに思っておりますが、どこまでも、このルートをとりますと、大深度に入るというところもあれば、中央構造線を通るというところもあれば、トンネルが多いというところもある。それぞれのところで、科学的、工学的な見地ということから判断しなくてはならない。

 同時に、東海道新幹線が、津波が起きたという場合、東海、東南海、そうした地震に非常に近接しているという危険性を持っているということは、委員も同じ認識だと思っております。

滝口政府参考人 ただいま大臣の方から、基本的な考え方について御説明申し上げました。

 中央新幹線の先行しております東京―名古屋間で行われております環境影響評価が前提にしておりますルートは、全長で約二百八十六キロでございます。うち、トンネル区間というものは二百五十六キロということで、トンネル区間が非常に多くなっているのは事実でございます。

 トンネル区間について見てみますと、品川駅付近から神奈川県の西部の約四十キロの区間は、いわゆる大深度法に基づく深さ四十メートル以上の大深度地下に構造物が設置されることになっております、こういった区間もございます。また他方、南アルプスの山岳区間、これは約五十キロございますが、こういった区間などの山岳部があるわけでございます。

 地下深く走行するといっても、走行する地盤の条件は実は異なるわけでございます。一般的に、地下の構造物というのは、地上の構造物に比べまして耐震性が高いものの、地山が安定した山岳地帯を通る場合には地盤そのものが揺れにくい、そういった性質がございます。他方、沖積層が厚く堆積いたしました首都圏や名古屋市付近では、構造物に影響を与えるような地盤変位が想定されます。

 構造物の耐震対策につきましては、このような地盤のかたさなどの地盤条件を踏まえて、科学的な知見に基づき、確実に検討する必要がございます。

 このため、中央新幹線を含む鉄道構造物の耐震対策につきましては、私どもが平成十七年から鉄道総合技術研究所に委託いたしまして、京大名誉教授の佐藤忠信氏を初めとする耐震工学の権威にお集まりいただきまして委員会を開催し、鉄道構造物の耐震設計に対して徹底した議論を行ったところでございます。

 その結果、設計手法が取りまとめられておりますが、これによりますと、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などによる大きな地震動が想定される区間におきましては、構造物が建設される地点で想定される最大級の地震、いわゆるL2地震動に対して安全性を確保することといたしております。

 一方、大きな地震動が想定されない区間においては、過去に生じた地震動等を参考といたしまして、内陸活断層によるものとしてはマグニチュード七・四程度が直下で生じた場合を、また、海溝型地震によるものとしてマグニチュード八程度が六十キロメートル離れたところで発生した場合を、それぞれ想定した地震動に対して安全性を確保することとしております。

 また、やむを得ず……(発言する者あり)ということで、科学的な基準、検討結果を踏まえておりますが、これを実は私どもの新たな基準として決定いたしておるところでございます。

佐々木(憲)分科員 時間が余りないので。書いたものをどんどん読まれると質問時間がなくなるので、今大臣もおっしゃったように短くやってくださいね。

 それで、今おっしゃった、地殻変動などが起こったようなときには何が起こるかわからないというのが、これから想定されるような地震なわけでございます。何か、安全だ、安全だということだけ今強調されましたけれども、新たな安全神話を振りまくようなことを国交省がやってはなりませんよ。

 審議会の中で、バイパスができても、大震災が起きたときに、例えば東海道新幹線とリニア中央新幹線が一緒に機能しなくなるということだってあるわけですね、そういう疑問が出されたときにJR東海はこう答えたんですよ。御質問はなかなか難しくて、どういう対策をとるかということはまた考えなくてはいけませんと。私、この答弁を読んでびっくりしまして、これは無責任じゃないかと思うんですよ。あらゆることを想定していかなければならないのに、一つの新幹線はだめになるけれども、中央新幹線だけどんどん安全で通れるんだなんて、こんなことを最初から決めつけて、両方とまったということは考えていないという。そんなことがありますか。私は、これは非常におかしいと思っているんです。

 それから次に、例えば、住民の支持が本当にあるのかどうか、これが問題だと思うんです。沿線住民を初め多くの国民は現実にリニア新幹線建設に対して不安を抱いておりまして、私のところにもいろいろな声が届いております。

 例えば、岐阜県中津川市の方々は、東海地震の影響を深刻に受けると予想される警戒区域に、岐阜県内で唯一、中津川市が指定されております。その中津川市の西部に中間駅が建設されるという。例えば、地上二十メートルの高さにつくられるというこの中間駅が、東海地震など大規模地震で原形を保つことができるのだろうか、地元の方はそう言っているんです。

 それから、神奈川県相模原市にお住まいの方からは、そもそも大深度の地底にトンネルを掘って、地震や火山の噴火、予期せぬ水脈の切断などにどう対処するつもりなのか、深くて長いトンネルの中で火や煙が立ち上るなど異常事態が発生した場合、万全の救出策は用意されているのか、狭い空間から高齢者を含む約一千人の乗客をどのくらいの時間で救出できるのか、誘導する乗務員の体制はあるのか、こういう心配が寄せられているんです。

 これらの声に対して、どういう安全の保障を考えるかというのが非常に大事だと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

太田国務大臣 安全ということは一番大事なことだと思います。

 地震ということでどういうふうに考えるかといえば、東海、東南海、南海地震、そして相模トラフの地震、首都直下地震、それぞれ態様が違い、また、津波というものが問題になっているというような東海、東南海、南海という形と、それから相模トラフの地震も津波はありますけれども、そこには至らないということが予想されますし、首都直下の場合は、いわゆる海溝型の地震ということと直下ということと両面があって、十八のパターンが出ているところでありますが、今鉄道局長からお話がありました有識者会議での科学的知見に基づく論証によれば、例えば大深度という、四十メートルのところということについて地震ということについて知見があって、それは安全であるということが科学的な知見として出されている。

 一つ一つ、何が心配かということで、御心配なされることは山ほどあると思いますから、それをしっかり受けて、この心配が具体的な科学的な知見に基づいて安全だということをしっかり示すということが私は大事なことだというふうに思っています。

佐々木(憲)分科員 これは科学的にしっかりと調査もし、私が今述べたようなことは非常に多面的な心配なんですよ、住民の方々の。それに対して説明がほとんどないんです。ですから、やはり安心ができるのかどうかというのが、まだ理解されておりません。しかも、不安の方がだんだん大きくなってくるわけですよ。最近は、これから、南海、東南海、そういう地震が起きたらどうなるんだろうと。

 地震というものの捉え方も、今までの考え方の地震ということだけで、果たしていいのか。あるいは、地殻が変動するような、大きく隆起するようなことが起こった場合に、一体どうなるのか。これは、そういうことがないとは誰も断言できません。

 したがって、そういう問題をきちっと想定して考えていかないといけない。それが、先ほどの答弁だと、もう何か、全て安全です、安全ですと。そんなことをやっていて、後でどういうことになるか。私は、これは余りにも、安全神話のような話を振りまくのはいかがなものかというふうに思うんです。

 例えば、この小委員会ではこういうことが言われております。実験線が今ありますね、そこで百名分ぐらいの避難訓練しかやっていない、営業線になったときに乗務員を何人置くかはまだ決めていない、こんなふうな答弁ですね。工事のときにつくる立て坑を避難通路とするというけれども、交通弱者への対応をどうするのか、これも不明でございます。

 本当に、異常時における安全確保というものは確認されるのかどうか。これはどうなんでしょうか。

滝口政府参考人 今委員御指摘の問題というのは、いわゆる長大トンネル、例えば整備新幹線でも十キロメートル以上の場合は長大トンネルというような言い方をさせていただいておりますが、そういった在来型と申しますか、今ある鉄道においても同じような問題がございます。

 今回、リニアの場合には、特に大深度というものを使いますので、したがいまして、立て坑といったものが一定の距離ごとに実は設けられることになっておりまして、そういったところを使いながら脱出できるといったような物の考え方をいたしております。今委員御指摘の高齢者の方あるいは障害者の方、こういった方に対応するべく、こういった立て坑の活用についても十分考えてまいりたいと思っております。

 また、山岳トンネルにつきましては、山岳トンネルの掘削の際に、横坑であるとか作業坑であるとか、そういったものが実はつくられるわけでございますが、そういったものを活用いたしまして、万が一、トンネルの中にとまった場合であっても安全に避難できる、そういったような体制を組みたいと思っております。

 これも今委員御指摘がございましたが、乗務員の数をどの程度の体制にすべきかということにつきましては、どの程度の車両数で運行するのか、どの程度の旅客人員なのか、こういったことを踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

佐々木(憲)分科員 立て坑というお話がありましたけれども、これは実際にどうなるかわかりませんよ、こういう大変な震災が起きた場合に。

 私は地元の声というのは非常に大事だと思っておりまして、パブリックコメントというのもやっておられますね。この答申に対するパブリックコメントでありますけれども、この中で、反対、中止、再検討、こういう意見が全回答の中で七三%に達しております。八百八十八の意見の中で、六百四十八であります。これは大変比率が高いんですけれども、大臣、どういうふうに受けとめておられますか。

滝口政府参考人 今委員御指摘のように、小委員会で審議をするに際しまして、三回のパブリックコメントを行っているところでございます。その中で、毎回、賛成の方と、反対、中止といったような否定的な御意見、実は両方いただいているところでございますが、特に第三回目のパブリックコメントというのは、平成二十三年の四月から五月に行ったということで、東日本大震災の直後に行ったということがございますので、そういったことを反映して、否定的な御意見も数多くいただいたのではないかというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)分科員 東日本大震災を踏まえたら、住民の方々のリニア中央新幹線に対する不安がより広がったということであります。ですから、これはやはり重視して対応しなければならないと思うんです。住民の意見を最大限尊重するといいながら、手続だけをどんどん進めるというのでは、これは初めに建設ありきというような話になりますので、私は非常に大きな疑問を持っております。

 最後に、地元負担についてお聞きしたいんです。

 中間駅の建設に伴って、周辺整備のための地元負担は膨大となります。答申では、「駅のアクセス圏を従来の鉄道駅に比べて格段に拡大することが重要」と述べております。そうしますと、交通整備、中間駅地上部分の建設用地を初め、さまざまな負担が地元に発生するわけです。

 中津川の前市長は地元のリニア期成同盟の副会長でもありますが、その人がこう言っているんです、東濃に新駅をつくるため、中津川市の一般会計予算に匹敵する三百五十億円を地方負担する、それだけのメリットがあるのでしょうかと。

 名古屋では、効果とは逆に、ストロー現象と言われる地域経済へのマイナス影響が懸念されております。

 財政状況が厳しい中でこのような巨額の投資を求められると、自治体の財政が大変深刻な事態になるのではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

滝口政府参考人 中間駅の建設につきましての地元の負担の問題について、御質問がございました。

 JR東海は、当初、沿線自治体に対しまして中間駅建設費用の負担をお願いするということとしていたところでございますが、平成二十三年十一月、中央新幹線の早期実現の観点から、全額自己負担とするということを表明したところでございます。

 一方、駅前広場あるいはアクセス道路などの整備につきましては、各沿線自治体がそれぞれ、中央新幹線をどのように活用するのか、地域の特性などを生かしながら、主体的に検討を行った上で、それぞれの計画に基づき、みずからの判断で進めていくべきものであるというふうに認識しております。

 このため、整備に係る費用につきましても、各沿線自治体の負担により行われることが適切であるというふうに考えております。ただし、この場合であっても、既存の補助制度を活用できる場合があるということは言うまでもありません。

 このように、駅周辺整備等につきましては、沿線地域とJR東海がそれぞれの役割分担を果たしつつ対応するということを期待しているところでございます。

佐々木(憲)分科員 今の答弁だと、自治体の負担により行われるのが適切であると。全然適切じゃないんですよ、そんなものは。

 今、日本社会の中には、二年前の東日本大震災と福島原発事故を経て、大規模な公共事業、あるいは電力、エネルギー問題、こういうことについて、これまでのあり方を根本的に見直すべきだ、こういう声が広がっております。

 きょう、今まで質疑をしてまいりましたが、私は、どうしてもこれが必要だということについては確認できませんでした。安全性、環境問題、こういう問題でも不安に応えられていないと私は思います。

 ほかにも、技術面でどうなのか、それから人体への影響はどうなのか、あるいは環境問題も、さまざまな問題がございます。未解決の問題を抱えながら、わずか一年余りの審議会の結論だけで見切り発車、これでは私はまずいと思うんです。

 今やるべきことは、この建設計画をまずは凍結して、リニア建設に利害の関係がない専門家を含む第三者機関を設置して、さまざまな角度から評価、検証を行うことでございます。

 私は、このことを最後に大臣に提起いたしまして、一言感想をお聞きして終わりたいと思います。

太田国務大臣 安全、安心ということを確保して、公共事業においては、納得性のあるものをしていかなくてはならないというのが国の基本であろうというふうに思っております。

 きょう御指摘のところは、佐々木委員の長い間の経験に基づく指摘であるということを受けとめておきます。

佐々木(憲)分科員 以上で終わります。

若宮主査代理 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑分科員 生活の党の畑浩治でございます。

 本日は、これまで国交省の政務三役の皆様には大変お疲れさまでございます。

 国土をつくる仕事は本当に大事な仕事でございまして、本日、私は、実は鉄道について、中心に議論させていただきたいと存じております。

 と申しますのは、復興に当たって、これはいろいろな観点があるんですけれども、交通プロジェクト、これが実は目に見えて地域を引っ張って、地域を勇気づけるものであると思っております。そういう中で、道路につきましては、三陸沿岸道路も順調にやっていただいて、そして、これは遅い、遅いと言われる復興プロジェクトの中で実は順調に進んでいる、地域に勇気を与えていると思っております。

 もう一つ、交通プロジェクトで地域に勇気を与えるというのは、やはり何といっても鉄道であろうと思います。

 鉄道につきましては、これは地元ネタなんですが、四月一日からNHKの朝の連続ドラマで「あまちゃん」が始まっておりまして、この「あまちゃん」は、実は私の地元がロケなんですが、この中で、三陸鉄道じゃなくて、北三陸鉄道でしたか、正確に言うと。北鉄といって、地下鉄と私はちょっと聞き間違えて、何のことかと思ったんですが、そういうのが出ておりまして、こういうものを見ましても、鉄道が観光とか地域の活性化に大きく勇気を与えるという部分があるんだろうと思います。

 こういうことを申し上げますときに、JR東日本の、岩手県でいいますと山田線と大船渡線、特に山田線については、北三陸鉄道ではないんですが、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線の間に挟まって、鉄路のミッシングリンクになっている。ここを、地域に勇気を与えるべく、復旧のめどをつけてほしいというか、これぐらいまでに復旧するんだということを、やはりそろそろ示していただきたいなという思いがございます。

 こういう観点からちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、JR東日本の山田線の復旧に係る概算工事費、これは三月八日の復興調整会議で、原状復旧が百四十億、そしてかかり増しが七十億、合計二百十億とJR東日本から提示されていると思います。

 ここで改めて確認をしたいわけですが、原状復旧百四十億、額は精査が必要ですが、復旧するとした場合に、ここまではJR東日本が出すということで提示されているのかどうか、そこの事実をお伺いしたいと思います。

滝口政府参考人 委員、今御指摘がございましたように、JR山田線につきましては、国土交通省、復興庁、沿線自治体、JR東日本というところが集まりまして、復興調整会議というものを構成いたしております。ここで、まちづくり一体となった鉄道復旧の課題について検討を進めているところでございます。

 委員お話しのように、先月の八日でございますが、第五回の復興調整会議におきまして、JR東日本から、原状復旧費用が約百四十億円、それから、かさ上げなどを考慮した総事業費が約二百十億円との概算が示されたところでございます。

 委員お話しのように、この金額というのは、全体の復旧計画の詳細が固まっていない段階の、あくまで概算でございますが、このうち原状復旧費に相当する約百四十億円につきましては、JR東日本におきましても、鉄道復旧する際には相応の負担分として同社が負担すべきものと認識しているというふうに承知をいたしております。

畑分科員 今、確認をさせていただきました。

 百四十億、この額は精査が必要ですが、既存の原形復旧に要する費用がこの程度であれば、ここは相応の負担として、JR東日本が、単なる積算ではなくて負担する、こういう前提で議論が進んでいるんだろうと思います。

 これを踏まえて、また引き続き議論を続けたいと思いますが、JR東日本は、結局はここを負担するとした場合に、いろいろな条件があるんだろうと思いますが、どのような条件がクリアされれば鉄道復旧を最終判断するとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。

滝口政府参考人 JR東日本は、山田線の復旧等につきまして、旅客の安全確保、まちづくり計画との整合性、鉄道と道路や河川との交差など、そして復旧に関する費用という、いわゆる四つの条件が満たされることが必要というふうに見解を示しております。

 このうち、山田線につきましては、特にまちづくり計画との整合性といったものが大きな問題であるというふうに考えております。市街地のかさ上げなどを行うまちづくり計画と一体となって鉄道復旧の方策を検討する必要があるというのが大きな問題でございます。

 これに伴いまして、当然のことながら、いわゆるかかり増しと言われる増額が実は出てくるわけでございます。先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、これも課題となっております。また、まちづくりの一環として、復旧後の町において鉄道がどう利用されるのか、こういったような輸送需要の見通しについても課題となっているところでございます。これらの課題につきましては、現在、復興調整会議で鋭意調整を進めているところでございます。

畑分科員 今、条件を三つぐらい、まちづくりとの整合性、安全の確保、そして費用ということをお伺いしましたが、実は、これはいろいろなレベルがあるんだろうと思います。つまり、この三つがきっちりとフィックスされなければJRはその復旧を判断しないかどうかということは、私はそうじゃないと思うので、いろいろな段階に応じて、判断までにクリアしなきゃいけない問題、そして判断をした後、引き続き検討しなきゃいけない問題と、仕分けてやっていただきたいなと思っております。

 そういう中でいうと、例えば輸送需要のことを申し上げましたが、これは恐らく、条件とまで言われると地元はつらいんだろうと思います。ここは引き続き、どうやって輸送需要をふやすかということは、努力していくということはあるんですが、これができない限り復旧しないということはない。

 あるいは安全性の確保、これもそうなんですが、安全性というのは、一二〇%というか一〇〇%、絶対安全はあり得ないわけで、これはまちづくりも同じことです。だから、ある程度の安全性を保ちながら、あとはその中で、運行に当たって、実際、地震が起きた場合に、津波があった場合にどうやって逃げるか、運行をやるか、そういうソフトな部分を含めて考えるべきものであって、これが結局、判断の先送りの根拠になってはいけない、そう思います。

 言ってみれば、まちづくりについては、ある程度、地元市町村が鉄道復旧を前提に絵を描いております。だから、あとは費用の部分をどの程度折り合えるか、しっかり詰めるということだと私は思っておりますが、そこはいろいろなレベルで判断をしていただきたいと思っております。

 そういう中で、費用についてでありますけれども、この費用、かかり増し経費、まちづくりでかさ上げ等をしてかかる、ふえる部分があるわけですが、これが七十億ということでおっしゃっておられましたが、この七十億については、支援も含めてどのような対応を検討されているのか、これは国の方からお伺いしたいと思います。

松下大臣政務官 お答え申し上げます。いわゆるかかり増し分についての御質問でございました。

 国といたしましても、必要な措置について検討を行う必要があるというふうに考えております。このかかり増し分につきましては、まちづくりに伴うかさ上げの費用といった鉄道事業者の側の事情によらない部分でありますので、考えてまいりたいと思っております。

 このため、例えば市街地のかさ上げなどの、まちづくりに伴い必要となる駅や路線部分のかさ上げについては国費により支援することができないか、関係省庁と連携して検討しているところでございます。

 以上です。

畑分科員 まちづくりに係る経費で検討するということだと思いまして、そういう話を承りました。

 まちづくりの費用というのはいろいろあって、ここで答えにくい部分もあるんでしょうが、おのずからどういうツールを使うかというのは、私も大体土地カンで感覚がつくんですが、例えば、ちょっとこれは正確には通告しておりませんが、まちづくりに係る費用として検討した場合のまちづくりの費用というか予算というのは、どういうのが想定されますか。これは事務方でも結構ですが、答えられれば。

滝口政府参考人 まず第一に考えたいと思っておりますのは、当然のことながら、これはまちづくりということでございますので、復興交付金というものがございます。ただし、復興交付金については一定の使途というのがございますので、こういったものについて、現在、復興庁も入っていただきまして、どういったような対応ができるかということについて考えております。

 また、それ以外にも、既存の私どもの補助制度なども実はございますので、そういったものについて活用の可能性があるのかないのか、そういったこともあわせて検討しているところでございます。

畑分科員 ありがとうございます。このツールをしっかりとこういうのも含めてとおっしゃっていただいたことで、かなりフィージビリティーの高い、熟度の高い検討が進んでいるんだなということが明らかになったろうと思います。

 復興交付金は、これはまちづくりに使うお金で、効果促進事業も含めて、柔軟に使うことも含めていろいろ検討すべきことだろうと私も思っておりますし、以前から、これを使うのかなという思いで提言をしたこともございます。

 いずれにしましても、まちづくりのお金で使うということであれば、おのずから、そういうことを含めてツールは大体絞られてくるんだろうと思いますので、しっかり前向きに、そしてこれを出せる方向で検討いただきたいと思います。

 考えてみれば当たり前のことでありまして、町をつくって、かさ上げをした場合に、そこの部分は国が出さないということはあり得ない話で、そうすると、そこだけぽかっと穴があくというのはおかしいことなので、そこは出るんだろうと思います。

 あとは、JR東日本と国の間で、そういう計算をした場合、まちづくりで出せる額がどれぐらいなのか、そして、それがJR東日本と折り合うのかどうかというところも今後の課題だと思いますが、いずれにしましても、ここはしっかりと検討いただきたいなと思っております。そのことはよろしくお願いしたいと思います。

 こういうことを踏まえて、まちづくりとの絡みで検討して、しっかり取り組んでいくというのは当然だと思うし、これまでの議論であろうと思います。

 この中で、今後、さはさりながら、JR東日本がいつ判断するかということで、その判断がどの時期までに行われなければいろいろな支障が出てくるのかという問題意識がありますが、そもそも、JR東日本が復旧の判断がおくれることによって、どのような悪影響が出てくるとお思いか、国の立場からしっかり御答弁をいただきたいと思います。

坂井大臣政務官 復興庁の立場でまずはお答え申し上げたいと思います。

 先ほど質問の中にもありましたように、今、JR山田線の沿線自治体では、BRTではなくて、鉄路にての復興というものを求めておりまして、当然のことながら、鉄路、また鉄道駅を中心としたまちづくりの絵を描いているところでございまして、これが、もし山田線が鉄路での復旧がなしということになると、絵そのものを描きかえなければならないということになりますし、また、鉄道が来ることを想定して、例えば商業スペースであるとか商店街であるとかといったことも計画をされている以上、町の計画そのものを見直すということを当然検討していかなければいけなくなります。

 ですから、やはり計画変更というものの可能性を考えながらまちづくりを進めていく、できるところを進めていくというような足かせになるということを一番心配するところでございます。

畑分科員 そうなんだろうと思います。まちづくりは鉄道復旧を前提にやっております。まかり間違っても、JR東日本が、こういう状況の中で、鉄道復旧をしませんという判断はあり得ないと思っておりますが、結局、そこの方針が目に見えないものですから、進めるに当たって、ちょっとふらふらというか不安があって、なかなかばしっと進めにくいという部分があります。

 一方、やはりまちづくりが早くできてこないことには復興のコアが進まないということで、ここが、最近おくれていると言われる一番の原因の一つなわけですが、そこにJR東日本が水を差すというか、復興に支障になってはいけないし、これは、検討が必要ならば、やはり検討をしっかり、着々とどんどん進めていただいて、判断をいただくことが私は大事だろうと思っております。

 おっしゃるとおり、沿線市町村が既にまちづくりの計画をつくって、まちづくりに入っておりまして、端的には、かさ上げの区画整理、これが今年度の半ばには、恐らく、区画整理の事業認可なりその前提となる都計決定、こういうのがなされるところが多いのだろうと思います。各市町村、遅くても今年度中には、まちづくりのいろいろな計画、整備内容が決定されていくことにはなってくるわけです。

 そういう観点から申し上げますと、いずれ遠くないうちにJR東日本は鉄道復旧をするかどうかの最終判断をしなければ、地域の自治体にとって不誠実なことになると思います。こういうまちづくりのスケジュールを見たときに、JR東日本としてはどのぐらいまでに判断をしてもらいたいか、そこのところを、大臣からそこの感覚をお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 三月八日、調整会議で、例えば、具体的に百四十億あるいは七十億という数字が出たりして、調整会議というものが全く進んでいないならば、これはこれでどうするかということを検討しなくてはいけないんですが、あくまで一番大事なこの調整会議という場があって、そこで具体的に数字が示されたりということが動いていますから、そういう点では、この調整会議というものを開いて、よく詰めていただくことが一番大事だというふうに私は思っているところです。

畑分科員 この調整会議ですが、であれば、調整会議というのは、次はどのあたりで開かれる予定なんでしょうか。この検討の見通しを示すことに大きくかかわってくると思いますので、お伺いします。

滝口政府参考人 復興調整会議につきましては、沿線自治体におけるまちづくり事業の検討の進捗状況あるいは費用負担についての検討状況などを見ながら、タイミングとしては、要所要所と申しましょうか、ポイントポイントで開催をしてきております。

 先月の八日に第五回を実は開催したわけでございますが、現在、それを受けまして、まちづくりと一体となった鉄道復旧を行う場合のより具体的な鉄道復旧の方策であるとか、あるいは費用負担の方法について検討を進めているところでございます。

 今後の復興調整会議の日程ということでございますが、このような課題についての詳細な検討の進捗状況を見きわめながら、沿線自治体の御意見も伺いながら開催してまいりたいと思っております。

 復興調整会議というのは、そこで議論が、一応何らかの合意が行われるということを皆さん方が実は期待をしているという面があるわけでございます。そのため、現在、事務レベルでの意見交換などを行っておりまして、地元の地方公共団体あるいはJR東日本といったところと意思疎通をいろいろ図っている最中でございます。そういったようなものの進捗状況を見きわめながら、具体的な日程というものを考えてまいりたいというふうに考えております。

畑分科員 もう一回、今の関係でお聞きしたいんですが、復興調整会議というのは大体これまでどれぐらいの頻度で開いてきたのか、そして今、検討を加速、調整を加速すべき時期だと思いますが、今までのスパンよりはやはり急激に短いスパンというか、もっと短くどんどん開いていかなきゃいけないと思うんですが、そこをお伺いしたいと思います。

滝口政府参考人 御案内のように、復興調整会議というのは各路線ごとに設けられておりますので、山田線についての復興調整会議の開催状況について御説明申し上げます。

 第一回が二十三年の六月でございます。第二回が二十三年の十一月、第三回が二十四年の五月、第四回が二十四年の十一月、そして第五回が本年の三月というような頻度でございます。

 繰り返しになりますが、復興調整会議というのは、そこで何らかの一歩を進むといったような機能を持っているというふうに考えておりますので、復興調整会議の開催に向けて、引き続きしっかりした意思疎通を関係者の間で図ってまいりたいというふうに考えております。

畑分科員 今お伺いしますと、大体一年に二回、半年に一回ぐらいでしょうか。恐らく、このペースで粛々というわけにはいかないと思います、そこはかなり熟度が高い検討になってきているようなので。区画整理が行われる夏ぐらいとか、工事に入る前にやはり開くべきだし、さすがに秋というわけにはいかぬと思いますが、そういうペースを速めるような形で、ぜひとも調整に向けて頑張っていただきたいなと思います。

 先ほど大臣が、この復興調整会議で検討をしっかりしていって、それに応じてということだったろうと思いますが、これは更問いということになりますが、ちょっとこの点を確認したいわけであります。

 つまり、山田線の復旧が確定しないと、国としてはそれを前提とした復興交付金等の支援は出せない、これはそうだと思います。そうすると、区画整理も、結局は、そういうお金も含めて配分を考えなきゃいかぬわけですから、そういうことを抜きに区画整理の工事に入るわけにはいかない、これもそのとおりだと思います。

 であれば、区画整理の事業認可の前までには、やはりこのJR東日本の鉄道復旧の判断が示されるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

滝口政府参考人 ただいま委員が御指摘になった都市計画決定との関係でございますが、もちろん、都市計画決定の前に、そういった意思表明が行われるということが一つの望ましいステップであろうかと思いますが、一方で、先ほど委員の御質問に対してお答えいたしましたように、JR東日本が四つの条件というものを実は提示しているわけでございます。そういったものが、地元の地方公共団体においてどのような議論が展開するのかということを見ていくということも必要ではないかと思っております。

 先ほど、ちょっとお話がございましたが、利用の促進につきましては、第四回の復興調整会議におきましてJR東日本より、鉄道復旧時の利用促進策について検討をお願いしますという問題提起がありました。これを受けて、現在、県、沿線市町、学識経験者、もちろん私どもの運輸局、それから岩手復興局も御参加いただけるという方向で調整が進んでいると承知しておりますが、こういった関係者間で、この問題についても実は議論が行われることになっております。

 こういったようないろいろな課題について精力的に検討を進めながら、ただいまお話のございました都市計画決定との関係についても調整を進めてまいりたいと思います。

畑分科員 時間がないので、この議論はこれで終わりますが、私は、都計決定なり事業認可をする場合、その許可権者が、まちづくりのコアとして、鉄道が復旧するのかどうかというのは大きな判断要素だと思います。これを抜きに認可とか許可はあり得ないわけで、そこはちょっと今曖昧な答えでしたが、だから、恐らくそこはそういうことで、許可、認可に当たっての大きな要素になるので、そこに向けて鋭意前向きな調整をしていくということだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、話は次の論点に変わりますが、リニアコライダーであります。これも地域に夢を与えるプロジェクトなわけであります。

 このリニアコライダーについては、問題は巨額の費用がかかるということでありまして、その意義は幾らでも言えるわけですが、本会議等で安倍総理の答弁も慎重だったというのは、そういう点があるのかなと思っております。

 リニアコライダーを建設する場合に必要な額は約八千三百億と言われています。もちろん、これはまだまだ少ない、いろいろな要素が入っていないという議論はありますが、とりあえず民間レベルではそう言われております。そして一方、このリニアコライダーの経済効果、これが莫大なものであって、四兆円を超えるという話があります。ただ、この四兆円も、もちろんオーソライズされたものじゃないわけであります。

 私は、やはり議論を進めるためには、BバイCではないんですが、費用と、そしてリニアコライダーの経済効果、これをしっかり政府として、検討の前提として試算しておくべきじゃないかと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。

丹羽大臣政務官 今、畑先生から御質問がございました国際リニアコライダー、ILCの計画につきましては、まさに宇宙創成の謎の解明をする、すばらしい大規模な学術研究の計画でもございます。

 現在、研究者レベルで、国際的な設計活動や建設に必要な額の試算等が行われておりますが、ちなみに、平成二十五年二月に行われた額では、先ほど先生がおっしゃられたとおり、大まかな額で約八千三百億、ここの予算の中には、土地取得とか人件費、測定器運転経費が含まれていないところもございますので、今後これらを精査して、さらに、先生御質問の経済効果の部分でもございますが、現在、研究者レベルで、国際的な設計活動の進捗状況を見定めながら、対応方針について検討させていただいております。

 一応、ことしの夏ごろには、今後どれぐらいの資産効果が、資産価値が、経済効果が出るかということをしっかり検討しながら、誘致に一生懸命になっていただいている各自治体におかれましては、それぞれ試算等も出しておられるようでございますが、一応研究者レベルでは、夏ごろにこの経済効果の額を出す予定でございます。

畑分科員 ありがとうございました。

 夏ぐらいに研究者の間の費用のあれが出てくる。それを踏まえて、多分、今後、経済効果も含めて検討されていくということだろうと思いますが、これは、必要だとか、金がかかるとか言っていてもしようがないので、しっかりと数字の議論をして、それを誘致するかどうか、そしてその場合の条件はどうかということを、しっかりと検討を進めていただければと思っております。

 このリニアコライダーですが、結局、こういうことを踏まえて、政府としては、どのような点がクリアされれば誘致するのに適切だと思っておられるのか、その点もお伺いしたいと思います。

丹羽大臣政務官 畑先生の御質問の、ILCの計画実現はどういった条件かというお話でございましたが、実際、何かこのハードルを越せば確実に誘致ができるということがなくて、例えば、研究者レベルで、現在、国際的な設計活動の進捗状況、また、欧州における素粒子物理に関する大型実験の成果や今後の大型実験計画などの国際的な動向、さらには、我が国の科学技術・学術コミュニティー全体での議論等を見定めながら対応方策を検討していきたいというふうに考えております。

 予算、また地元の要望、それから技術的な面、さらには土地を含めたインフラの整備、それらもさまざまな条件に含まれるということは我々も理解しておりますので、なるべく文科省としてもこの国際リニアコライダー、しっかりと検討の方をしていきたいと思っております。

 以上でございます。

畑分科員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、検討の前提としては、政府としてしっかり、どれぐらいかかるか、そしてそれは国際的にどの程度の分担をしていくのか、そして、そもそもその効果はどれぐらいなのかというところを含めてやはり議論を進めていくべきだろうと思います、感覚的な議論ではなくて。そういうことで、この点の検討及びまた引き続きの議論をよろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問となりますが、道路についてなんですが、復興道路として三陸沿岸道路の整備が急ピッチで進められているということは先ほど申し上げたとおりでありまして、これとともに実は重要なのが、横軸というか、復興支援道路と地元では言っておりますが、内陸から沿岸につながる道路であります。

 いろいろ、岩手県でも何本かあるわけですが、ちょっときょうは一つ、三百四十号というのがありまして、これは内陸を通っている道路ですが、例えば宮古側から行くと川井から遠野へ抜けるという部分がありますが、この遠野というのは災害のときに後方支援基地として機能したところでありまして、ここの部分はかなり狭隘な峠でありまして、昨年トンネルを事業化ということで、これは社会資本整備総合交付金の復興枠でやっているところであります。

 ちょっと心配なのは、今回、社会資本整備総合交付金から防災・安全交付金が切り分けられて、そして従来の社会資本整備総合交付金の一般枠が減るということになりました。これは復興枠でやっていただいているので影響はないと思いますが、これを例にとって申し上げたのは、防災、安全の部分と、あるいはネットワークをつくるような社会資本整備総合交付金の一般枠でやっている部分があると思うんですが、これが切り分けられて、社会資本整備総合交付金の一般枠が結果としては少なくなる、こういうことで、ネットワークを整備したいというところは恐らく不安なところもあると思うんですが、こういうものに対する事業の悪影響というのはないと理解してよろしいでしょうか。そこは心配ないんだよということも含めてお答えいただければと思います。

梶山副大臣 今お話のありました防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金につきましては、大変厳しい財政状況のもとで、真に必要な社会資本の整備を進めるために予算の確保に努めたところでございます。

 これにより、平成二十五年度の当初予算におきましては、一般会計では両交付金を、前年度予算に地域自主戦略交付金を加えた額と比較をしてみると、ほぼ同額を確保しており、これとは別に東日本大震災復興特別会計に復興枠の社会資本整備総合交付金を約四百四十億円、前年度と比較いたしますと、一・六五倍計上したところであります。

 また、平成二十四年度補正予算におきましても、一般会計に両交付金全体で約八千億円、東日本大震災復興特別会計に社会資本整備総合交付金を約六十億円計上したところであります。

 今年度に限らず、来年度以降の御心配ということだと思いますけれども、今後とも引き続き、真に必要な社会資本整備の着実な実施に向けて努めてまいりたいと思っております。

 また、委員御指摘の三百四十号線につきましては、御指摘どおり、復興枠ということでありますが、復興枠につきましても、従来は十九兆円というフレームがございましたけれども、先般、これに積み増しをいたしまして二十五兆円にしているところでありまして、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

畑分科員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうも失礼いたします。

若宮主査代理 これにて畑浩治君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳分科員 日本維新の会の重徳和彦です。

 きょうはお時間を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

 この国土交通省関係の第八分科会におきまして、各論も含めて、少し御質問をさせていただきたいと思います。

 特に太田大臣は、私の地元の豊橋、愛知県の三河地方の御出身ということもありまして、そのあたりの土地カンも含めながら、いろいろな御見解をいただければということを考えております。

 まず、今回の当初予算は、何といっても防災・減災という観点から、かなりの額の公共事業費が盛り込まれております。補正予算と十五カ月予算で見れば、相当な額になると思います。公共事業のあり方あるいは国債発行のあり方、そのあたりはいろいろと議論もあるところではございますが、実際の使われ方として、本当に国民の、地域住民の皆さんの安心、安全というものにしっかりとつながっていくものであれば、多くの皆さんの納得感もあると思います。

 政治の最大の使命は、何といっても、人の命や財産をしっかりと守っていくことだと思います。災害大国日本におきましては、私は、鉄壁の防災対策をやっていくんだということを常々申し上げているところでございます。

 そして、その防災対策、特にハード面の整備につきましては、やはり現場に入って、そして具体的に、その地域の地形や特性に合わせた、人の流れ、物の流れに見合った防災政策の推進ということが必要だと思います。

 きょうは、私の地元の事例を幾つか挙げながら、主に河川と道路のインフラ、そして防災拠点、この三点につきまして国土交通省としての現時点でのお考えをお伺いしたいと考えます。

 まず一つ目は、河川のことでございます。

 私の地元には、矢作川という国が管理しております一級河川がございます。

 先般、地元の総代さんと一緒に、橋の上から矢作川を眺めながら、今、大雨が、ゲリラ豪雨なんかが降ったら一体どんなことになるだろうか、そんなことを思い浮かべながら、想像しながら眺めていたんです。

 矢作川には、場所にもよりますけれども、私が見たのは、河川の両岸に本当に高い樹木が生えていて、堤防より高いぐらいの樹木が伸びておりまして、当然ながら、相対的に川の幅が狭まる。それからさらに、川の真ん中に中州ができておりまして、そこにもまた樹木が生えている、こんなような状況もあるわけであります。

 そうすると、中州の砂の根っこが浅い部分であれば、木はすぐ川の水で流されていきますから、そうすると、下流の橋にぶつかったり、いろいろなところにぶつかったりして、また、そこが水の流れをせきとめるということになると思いますし、中州に根を深くおろしているものであれば、もちろん、それは水の流れの妨げになるわけであります。

 いずれにしても、そういった川に生えている樹木の処理、伐開というものが必要だという話を、地元の方と意見が合致したところであります。

 また、矢作川には矢作古川という水系もありまして、ちょっと中小河川もあるんですけれども、これも、五年前の大豪雨がありまして、河川が決壊して、西三河地域には大変な水害が起こった。これは、多くの地域住民の皆様方にとっては、今の河川の改修をしなければ、いつそういった被害に見舞われるかわからない、そういう不安な状況に置かれているという状況でありまして、早期の河道掘削とか河川の改修、それから、先ほども申し上げました樹木の伐採というものが必要であると考えております。

 また、ちょっと続けて申し上げさせていただきますと、愛知県内は国道のバイパスが着々と、計画どおりにといいますか、計画に沿って進められているわけなんですけれども、国道二十三号、これは俗に名豊バイパスと言われるんですけれども、およそ七十三キロの道路で、名古屋から順番に東の方に向かって工事が進んでいるんですが、今、その半ばちょっと過ぎの幸田町という町のあたりまで進んでいるんですが、そこから先がなかなか東に向かっていかないということで、当然、経済的な物流、そして、もちろん災害が起こったときにはそこがボトルネックになっていく可能性もあるわけでして、そういう意味でも、安心、安全という意味で、そのバイパスを早期に実現していく。

 さらに、これが二車線だと、私も実際に乗っていて、本当に渋滞するんですよね。ふだんでも渋滞します。緊急的なときはなおさら使えない道路になってしまうと思います。ですから、さらに四車線化という話も出てくるんですけれども、これもまた名古屋の方から東に向かって少しずつ進んでおります。

 具体的に言いますと、昨年末に安城市内の藤井インターというところまで来ているんですが、そこから先、二十七年度には西尾東まで来るんだとか、そういうことで着実に進んではおるんですが、その効果は本当にてきめんです。私も、道路やインフラ、そういうことに今までそんなに思いをいたしたことも、過去、特に公務員をやっていたときに、そんなに考えてもみなかったんですが、実際に一住民として、そこのあたりの一利用者として行動しておりますと、やはりそういった道路インフラ、必要なものは本当に必要性が高いな、そして効果も高いなと思っております。

 また、今、名豊道路ということを言いましたが、名浜といいまして、豊橋の方から、中部国際空港、名古屋のちょっと南側にあるんですけれども、そちらに向かう道路というものもまた地域の産業活性化のためにぜひとも必要だ。

 中部国際空港は愛知県民の悲願としてできた国際空港でありますので、そこに、特に西三河、東三河の皆さんが、愛知県の東部の方にお住まいの方々がもっともっと空港を使えるような、そういう道路インフラもあって初めて空港が本当に利用されていくことになると多くの皆さんが考えておりますし、そして、こういったバイパスというものは、きちんと整備がされれば必ず、災害が起こったときの非常に重要なインフラとなることは間違いございません。

 そして、今申し上げました名豊バイパス、国道二十三号線沿いには道の駅がございまして、私の地元の幸田町というところでは、筆柿の里・幸田という道の駅があります。きょうはたまたま幸田町の道の駅にも訪れて、ちょっと視察をしてみたんですけれども、広大な敷地がありまして、その裏には、たまたまかもしれませんけれども、運送会社もありまして、そこの倉庫のスペースもあったりして、これも緊急の場合におきます非常用のいろいろな物資を格納していく場所としては非常に立地的にもいいのではないか。

 もちろん、これ以外にも多くの防災拠点というものは地域には必要ではございますけれども、特にこういった防災・減災といった話は、抽象論で言うというのはもちろん美しい話なんですけれども、少し具体的に踏み込んでお伺いをして、国土交通省、国としてのお考えをぜひとも地域の皆さんの安心、安全につなげていただきたいということで、少し具体的な地域の話でありましたけれども、このあたりについて、国土交通省としてのお考えを御答弁いただければと思います。

梶山副大臣 今委員から、愛知県三河地域における五つの事業についての見通しについて御質問がありました。

 まず河川関係でありますが、国が管理します矢作川につきましては、流域に自動車産業が集積する極めて重要な地域であると認識をしております。地域の安全性をより向上させるために、分派施設の整備、委員から御指摘ありました河道掘削、樹木の伐採などの洪水対策を着実に進めてまいりたいと思っております。

 また、矢作川から分派する愛知県管理の矢作古川流域につきましては、平成二十年八月末、豪雨対策として支川の広田川、占部川などで実施しております床上浸水対策特別緊急事業の平成二十六年度の完成に向けて、国として全力で支援をしてまいりたいと思っております。

 続きまして、道路の関係でありますが、事業中の国道二十三号名豊バイパスにつきまして、また構想中の名浜道路は、交通混雑の緩和や物流の効率化、東海、東南海地震発生時の緊急物資輸送ルートとしても非常に重要な路線であるという認識をしております。

 このうち、名豊バイパス、延長約七十三キロにつきましては、これまで約八割、延長約五十五キロが開通をしておりまして、平成二十五年夏ごろには、東細谷インターチェンジから細谷インターチェンジ間、延長二・五キロでありますけれども、供用を予定しております。

 引き続き、未開通区間、延長約十八キロの整備を推進するとともに、順次、御指摘のありました四車線化の整備を進めていくこととしております。

 名浜道路につきましては、愛知県において整備方針等の検討を現在しているところと伺っておりまして、国としても、引き続き必要な支援をしてまいりたいと思っております。

 五つ目でありますけれども、道の駅につきましては、さきの東日本大震災においても自衛隊の活動拠点となるなど、災害時に大きな役割を果たす施設でありました。

 これを受けて、国土交通省としましては、道の駅に災害用トイレや非常用電源などの防災機能を強化する取り組みを進めているところでございます。

 御指摘の道の駅筆柿の里・幸田につきましては、幸田町が本年三月に地域防災計画を見直し、当該道の駅を災害時支援拠点の候補地として位置づけたと伺っております。

 今後、道の駅設置者であります幸田町と調整をしまして、役割分担を図った上で、災害時に対応できる機能の充実を検討してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

重徳分科員 大変詳細な御答弁をありがとうございます。

 これから、地域の安心、安全、鉄壁の防災対策に向けて、私自身もできる限りのことをやってまいりたいと思っておりますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。

 さて次に、私は以前、三月の予算委員会におきましても一度、少しだけ太田大臣に御質問させていただきましたテーマがございます。それは、高速道路の定額料金制の検討というものでございます。

 特に、安倍総理が本会議だとか予算委員会におきまして繰り返し、公共事業イコール悪という単純なレッテルから卒業すべきだということを今国会もおっしゃっておられるわけなんですけれども、私は、公共事業は何でもイコール悪とは思っておりません。しかし一方で、三年半前の民主党政権が、コンクリートから人へというキャッチフレーズで総選挙で大勝したということも記憶に新しいわけでして、このあたりはどっちの両極端でもないと思うんですね。やはり、どんな公共インフラだって、全然その道路は使われないとか、誰も使わないような公共事業は悪のレッテルを張られてもそれは仕方がないと思いますし、一方で、人々から本当によく使われる公共インフラ、その必要性とか有用性が理解されれば、公共事業イコール善ということだってあるわけであります。

 特に高速道路網、全国にこれまで半世紀以上にわたりまして張りめぐらされたインフラなわけですから、これをもっと賢く使う、そういう努力が必要なのではないか。そういう思いで、つくるから使うへというふうに発想を変えた公共事業のあり方について議論してみたいと考えております。

 御承知のとおり、麻生政権のときに土日祝日の上限料金千円というものが実現をされまして、今も時間帯割引というものが制度としては今年度いっぱい続いておりまして、それが来年度以降どうなっていくのかということについて国交省の中で御議論いただいているということでありますけれども、こういうちょっと予見しづらい仕組みといいましょうか、インターをおりてみたら、実は幾らか料金が安かったねと初めて気がつくような、ちょっと何かわかりにくい制度に、今、ETCを使った仕組みとして時間帯割引はなっているんじゃないかなと思いますし、別に、おりてみて初めて、ああ、よかったねと言っているぐらいの方はもともと正規料金を取ったってよかったんでしょうから、そういう意味では、経営上からすれば、無理に割り引く必要もなかったようなことなんじゃないかなという思いもあります。

 何が言いたいかと言いますと、とにかく多くの高速道路を利用する方にとって、安ければ安いほどいいというのは当然のことなんですが、その一方で、わかりやすいということ、安心して高速道路をいつでも使えるということが重要なことではないかと思います。したがって、私が今訴えたいのは、二十四時間三百六十五日、基本的に、距離にかかわらず定額料金で高速道路を使えるという仕組みであります。

 名古屋高速なんかはこういう仕組みなんですけれども、実は、私の手元にある試算によりますと、これは平成十九年の交通量を使ったNEXCO三社の数字なんですけれども、距離にかかわらず定額料金といったときに、一体幾らぐらいの料金でそれが実現できるんだろうか。

 つまり、実現するということは、今の基本目標であります、NEXCOによりまして二〇五〇年までに全部借金を返して、その後は無料開放する、そういう方針を崩さずして、では幾らの料金設定で今の定額料金が実現できるかという数値をはじいてみたところ、一つの試算では、軽自動車六百二十二円、普通自動車七百六十円、中型自動車九百八十四円、大型車千二百七十円、特大車二千十八円、こういう料金設定でいけば、二〇五〇年の償還を完了しつつ、定額制度が実現できるんじゃないか、こういう一つの試算です。もちろん、この制度を実現したら、またそれによって利用状況も変わると思いますから、そういったことは、やってみなければわからぬ部分はいつまでたってもあるとは思いますけれども。

 この制度のメリットは、想像つくとおりですけれども、幾ら遠くまで乗っても一定の料金なので、経済活動はもちろん、個人や団体の、特に長距離の移動を促すということになると思います。これは、とりもなおさず経済活性化の大きな決め手になるんじゃないかということでございます。

 そしてもう一つは、これはやり方によるんですけれども、基本的に、出入り口で特段、難しい距離に応じた料金計算をする必要はないわけですから、場合によっては、出口は全くゲートを設けないとか、つまり、入り口で定額料金を払って、出口は一切払わない。つまりゲートがないということにすれば、そういったゲート、つまり出口を幾らでも、たくさんそこらじゅうに、今は十キロ置きにインターチェンジがあると言われておりますけれども、それを、極端に言えば一キロごとに置いたって、要は高速道路からすっとおりるだけの傾斜の道路を横につければいいだけなので、非常にインターチェンジを増設しやすくなるんじゃないか。

 そして、何よりもわかりやすくて、これは安く抑えることがどこまでできるかによりますが、リーズナブルな料金で、かつ、ころころ変わらない恒久的な料金システムにすれば、皆さんにとって、高速道路のユーザーにとって非常に利用しやすい仕組みになるんじゃないか。そうしますと、インターチェンジの近くにいろいろな商業施設をつくるとか、いろいろな民間的な発想が湧いて、民間投資も進むことになるのではないかな、こういう恒久的な仕組みにする必要があるのではないかな、こう考えるわけです。

 私が考えるメリットというのはこういったことなんですが、一方で、いろいろな課題もあると思います。今の私の一方的な案に対する課題はどうかという聞き方もいかがなものかもしれませんけれども、国交省として、定額料金制の課題はどのようなところにあるとお考えでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路の料金につきましては、大変わかりやすくなければならないでありますとか、公平性が大事だというふうにも考えております。

 今委員から、定額制にした場合にさまざまなメリットがあるというふうな御指摘もいただいたところでございます。

 私ども、ちょっと委員がおっしゃった八百円という根拠が確認はできなかったわけでございますが、仮に総料金収入を変えないような形で定額制を入れた場合には、大体、高速道路を利用される方の距離帯の分布が、短いトリップが多くて、長距離に行くに従ってトリップの数がどんどん減っていくという状況になりますので、料金収入が変わらないような定額制にした場合には、多分、値上げになる方がかなり多くて、値下げになる方は少ないというようなことになろうかと思います。そういった意味で、特に値上げになる方からは、受益と負担のバランス、不公平だという観点から、いろいろな御指摘があるのではないかという課題があるというふうに思っております。

 また、委員も御指摘になられましたが、休日上限千円というのは、ある種の定額料金だと思います。休日上限千円につきましては、平成二十一年三月に、国民生活や地域経済の支援などのため、平成二十二年度までの約二年間の措置として導入したところでございます。

 休日上限千円の効果と問題点につきましては、高速道路のあり方検討有識者委員会等において、データに基づく検証を行っていただきました。その結果、地域活性化などの面からは一定の有効性が確認された一方で、渋滞発生など、これは、毎休日のたびにゴールデンウイーク並みの渋滞が発生したということを指しておりますが、渋滞発生などの交通政策としての課題もあったという御意見を頂戴したところでございます。

重徳分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいた、近距離の利用者にとって値上げと感じることが多い、受益と負担への疑問があるというようなことにつきましては、確かに、今の仕組みから上がる下がるというのはあるにしても、一旦ゼロクリアで考えてみた場合にどうかというふうに考えてみると、受益と負担というのもいろいろな考え方があろうかと思います。今の距離に応じた受益と負担という考え方もありますし、その一方で、あくまで平均の利用金額をとれば、それはそれで受益と負担ということにはなると思うので、今の制度との比較において、ちょっとそこは上がる下がるの不満なり、あるいはよかったと思う人が出るという観点に必ずしも一〇〇%とらわれる必要もないのではないかなということも思います。

 それから、そもそも、これも考えようなんですね。ちょっと頭の体操的なんですけれども、車の場合は公共交通機関と違いまして、高速道路に乗る乗らない以前に、運転手も、あるいは人件費を払っているとしても自前なわけですし、自分で運転するにしても、運転手を雇うにしても自前であります。それから、車両も自前でありまして、乗れば乗るほど車両は消耗しますし、それから、もちろんガソリン代は乗れば乗るほどかさむ、そして税金もその中で払っている。その上さらに、高速道路を使うときに距離に応じてどんどん負担が重くなるということの合理性というのは、あるといえばあるんですけれども、一〇〇%絶対それが正しい考えだとはそもそも言えないのではないかという考え方もあろうかと思います。

 それから、近距離のユーザーが、今までは二百円、三百円というレベルだったところがいきなり八百円とかになると、確かに負担感はあろうかと思います。これも、単発で利用する方にはそれは抑制的に働くかもしれませんし、それから毎日のように高速道路を通勤に使っているという方にとっては重い負担になると思いますので、そういう場合には割安の回数券や定期券を発行すればよいという考えもありますし、つまり、恒常的に、常に乗っている方々にとってそれなりにリーズナブルな仕組みというのはいろいろと考えられるのではないかと考えます。

 スイスではビニエットと呼ばれる定期券があって、これは詳細まではちょっとまだ研究しておりませんが、年間四千円程度で乗り放題だという話もあるやに聞いておりますので、日本の常識が世界の常識とは限らないというふうに思います。

 その他もろもろ課題はあると思うんです。渋滞を招くだとか、あるいは他の公共交通機関の経営が困っちゃうとか、その辺はあると思いますが、まず、今の短距離の皆さんに対してはそういった一定の割引をすればよいのではないかというあたりについて、お考えはいかがでしょうか。

前川政府参考人 短距離の皆さんが定額制の場合には値上げになる、それに対する対応として、例えば割引とか、短トリップの方が多いわけですから通勤通学の割引とか、いろいろなそういった割引制度を導入して激変緩和をするということも考えられるところでありますが、そういたしますと、かなり多くの方に割引を適用することになりまして、高速道路全体の料金収入が減少いたしまして、債務の確実な返済に影響が生じるという懸念もございます。

 外国の例もございますけれども、外国の例も、ビニエットのほかに、GPSを使った対距離の課金制度を採用しているドイツでありますとか、そういった国々もございますので、外国の例も勉強しながら、問題点について検討したいと思っております。

重徳分科員 これは先日、たしか民主党の玉木委員が言われていたと思うんですけれども、先ほど私自身、今回の試算は二〇五〇年以降無料開放できることを前提にした料金の計算をしていたわけなんですけれども、根本的に考えると、二〇五〇年以降、いきなり無料で開放してしまうということが本当にいいのかということもあると思います。

 そもそも、二〇五〇年までは有料で、そこから無料開放ということは、今から二〇五〇年まで使う人にとっては負担がある程度重たいのに、二〇五〇年以降に、私が八十歳ぐらいになってから使うときは無料だということでは、よく言われる世代間の負担の先送りの逆ですよね、負担の先食いみたいな形になりますけれども。そういった不公平感はあると思いますし、二〇五〇年以降のメンテナンス財源というものは、では税金から負担するのかということになると、ユーザーが受益と負担の関係で負担していたものを一般納税者が、高速道路を使わない人まで負担する、税金でメンテナンスをするとすればそういうことになるのかといったいろいろな矛盾点といいましょうか、問題点もあるんじゃないかと思いますが、こういった高速道路の有料化につきまして、国土交通省としてのお考えはいかがでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 三十七年後の二〇五〇年以降、償還期間が満了になれば無料になるというのが現制度でございますが、その時点におきます維持管理費でありますとか更新費の財源をどうやって捻出するかということも課題であろうかと思います。そういった観点から、高速道路の永久有料を唱える方もいらっしゃいます。

 ただ、永久有料ということになりますと、現在非課税となっております固定資産税が課税になる可能性が極めて高いということで、固定資産税が課税になれば、その分また料金の負担が生じるということで、料金の引き下げにもつながらないし、債務の確実な償還にも支障を来すおそれがあるというふうに考えております。

重徳分科員 御答弁ありがとうございます。

 現時点で考えられる課題というものは、一応、それはそれで理解をいたすわけでありますけれども、冒頭申し上げました、公共事業は悪というんじゃなくて、やはり、せっかくつくった日本の偉大なる公共インフラをしっかりと使うことで、善なる公共事業ということも国民意識の中で、なるほど納得できる、これはいいなと思える、そういう道路インフラというものの活用をこれからも、できれば私も党内でもう少し検討、議論してまいりたいと考えているんです。

 せっかくですので、いろいろなこういった議論につきまして、大臣、適切な情報提供や御助言をこれからいただきながら議論を続けていきたいと思うんですけれども、大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。最後にお願いします。

太田国務大臣 高速道路の料金体系ということについては、今いろいろ御議論いただきました。

 日本の場合は、つくり方がほかの国と違っている、また償還ということ、その後の無料ということ、そしてその真ん中でどうするかということで、高速道路ごとに料金が違ったりする、ETCも発達してきた。シームレスな料金体系ということを志向する方もいらっしゃるし、委員のように定額制ということで、それが利点があるんじゃないかということを数字も含めて言われる方もおり、無料化もあり料金永久化ということもあり、いろいろなことを今は思い切って議論するということでいいんじゃないかというふうに私は思っております。

 その上に、修理、修繕という新しい問題もございます。愛知県でコンセッションということをいろいろ言って、試行するということがあったりして、私は大いに論議をして結構であるということを思っておりまして、またいろいろな形で御提案をいただきたいというふうに思っております。

 私たちとしては、今のところ、現状の中で、寺島実郎氏に部会長をお願いしている国土幹線道路部会で検討ということを基軸にして考えたいというふうに思っておりますが、いろいろな案というものをしっかりお互いに議論を深めていくということは大事なことだというふうに思います。

重徳分科員 ありがとうございます。これからも議論を深めてまいりたいと思いますので、どうか御協力のほどよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

若宮主査代理 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。

    〔若宮主査代理退席、主査着席〕

石田主査 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 民主党の奥野総一郎でございます。

 大臣、お疲れのところ質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。

 私は、民主党の成田空港ハブ化推進議連という議連の事務局をやっておりまして、選挙区も千葉県でありますので、きょうは成田の話、それから羽田の拡張に伴います航空機の騒音、これは千葉で問題になっているんですけれども、その二点について伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ちょうど新聞を見ておりましたら、この日曜日の日経新聞の「日曜に考える 経済史を歩く」という、これは毎週やっているんですけれども、日本の歴史の節目節目を取り上げたものでありますけれども、ちょうど成田の話が書かれておりました。

 そこに書かれてあったんですが、当初は成田空港は、実は、鹿島沖かあるいは千葉県の富里村、そして私の選挙区であります当時は八街町、このあたり、どちらかというふうに言われていたんですね。鹿島灘沖は地盤が悪いということでだめになって、これは今の技術だったらできたのかもしれないですけれども、とりあえず内陸になった。八街そして富里はちょうど台地になって、高台になっているんですね。昔は軍の飛行場なんかもあったところで、向いているということで白羽の矢が立ったのでありますけれども、まずここは激烈な反対運動があって、当時の方々に聞きますと、県庁に肥を持って乗り込んでいって、ぶっかけたとか、こういう話も地元の方から伺っています。

 こういう激烈な反対運動があって、突如、御料牧場があった三里塚、国有地がたくさんあるということで方針転換なされたようなのであります。詳しいことはわかりませんが、御料牧場があるということで、空港敷地の全体の三割、四割だったらしいんですけれども、これでできるということで地元に十分説明しなかったということで、こじれてしまったということのようであります。その結果、御存じのように反対闘争が起きまして、開港もおくれ、それから二期工事もおくれ、どんどんおくれていったということであります。

 この記事のところに書いてありますけれども、おくれている間に、アジアのほかの国々は空港のハブ化を進めて、シンガポール、香港、上海、ソウルと次々に巨大な国際空港が完成した、そして、手狭で都心から遠く、着陸料が高い成田は競争に取り残された、成田は国際、羽田は国内というすみ分け策も世界の空港の潮流に合わなかったんだ、こう記事に書かれています。

 そして、成田は国際貨物の取扱量で世界一位の座を九六年に香港に譲り、二〇一一年には七位まで順位を下げた、また、国際旅客数を見ると、もはや上位十位にまでも入っていないということでありまして、世界の流れから取り残されてしまったということなんですね。失われた二十年、三十年ということだと思います。

 やはり、もう一度、成田を世界のハブ空港に戻さなきゃならない。地元の問題としてもそうです。日本としても、羽田、成田という二つの空港を両輪で、アジアのハブを取り戻さなきゃならないと思うんですね。

 そうした中で、ちょっと民主党の宣伝をさせてもらいますと、オープンスカイ政策、民主党になって一生懸命やったんですね。前原さんのお声がけで推進をしていった。当初、羽田の国際化ということで、成田は、これは困ると大反対だったんですが、結局、これがよかったんですね。羽田の国際化を言ったがために、成田は国際空港の地位を奪われるということで、結束して、発着枠をふやしたんですよ。地元を説得して、二十二万回のところを三十万回まで持ってきました。

 ようやくハブ化の環境が整ってきたというところで伺っていきたいと思うんですが、このオープンスカイ政策で、成田はどうなるんだ。直近の発着枠、成田の発展の見通しについて伺いたいと思うんです。

田村政府参考人 お答えいたします。

 成田空港、本年の三月末から空港容量が二十七万回に拡大したことを受けまして、いわゆるオープンスカイというものを開始いたしました。これによりまして、オープンスカイ協定締約国との間では、成田空港への新規乗り入れや増便が自由化されたところでございます。

 これを受けて、平成二十五年夏ダイヤ、夏ダイヤというのは三月末から始まるダイヤでございますけれども、平成二十四年冬ダイヤと比べて、米国路線や韓国路線における増便を初め、この夏ダイヤ中に五月雨式にふえてはいくんですけれども、週八十七便の新規就航、増便が予定されている等、一定の効果があらわれてきているところでございます。さらに、今後、成田空港では、平成二十六年度中に容量を三十万回へ拡大することとしております。

 そういう意味で、オープンスカイ及び容量拡大によりまして、成田空港の国際線ネットワークの一層の充実等を通じて、アジアのハブ空港としての地位の確立を目指してまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)分科員 三十万回にふえて、そこの増枠を使って、どんどん国外の航空会社を呼び込んでいこうということであります。きょうも、朝日かな、済州航空が七月に成田空港に就航するという記事も出ておりまして、これはいわゆるLCC、ローコストキャリアなんです。

 このLCCも、積極的に成田に持ってこなきゃいけないということで、これをふやすための、今、専用ターミナルはなくて、仮設のターミナルになっているわけでありますけれども、来年度予算なんかを見ますと、このLCC専用ターミナル前提の予算も組まれているようでありますけれども、その整備状況について伺いたい。そして、それが整備されたら、恐らくこの済州もそうでありますけれども、さらなる増便が見込めると思うんですが、その見通しについても伺いたいと思います。

田村政府参考人 今御質問のLCCの受け入れでございますけれども、当面、国内線は第二ターミナルに暫定的な受け入れ施設を整備するとともに、国際線は第二ターミナルの既存施設を活用することとしております。

 今後、LCCの旺盛な就航計画を踏まえまして、平成二十六年度中の完成を目指してLCC専用ターミナルを整備することとしておりまして、現在、設計や準備工事を進めているところでございます。

 専用ターミナルの整備に当たりまして、空港会社では、一応、就航見通しとか機材導入計画等を踏まえて、発着回数で五万回程度、旅客数で七百五十万人程度というのを前提に整備することとしております。

 それから、この専用ターミナルの整備のほかに、着陸料の引き下げ等もあわせて実施することによって、LCCの就航促進を図ることとしているところでございます。

奥野(総)分科員 五万回ということで、これからふえる増枠をほとんどLCCで拾っていこうというふうに今受け取りました。

 これは国交省からいただいた資料でありますけれども、世界の主要都市の発着を見ると、東京は現在、羽田、成田を合わせて五十六万回ですね。ロンドン、ニューヨークを見ると百万回を超えています。まだまだ少ないんですね。ソウルは、仁川、金浦を合わせて三十七万回。ソウルは上回っていますけれども、やはり日本の国力を考えたときに、まだまだ呼び込めるんじゃないかと思うんですね。今、羽田の拡張が終わると四十四万回、成田は三十万回ですか、足しても七十四万回です。まず、それを埋めることが先決とは思いますけれども、七十四万回になってもパリ並みなんですね。もっともっとふやしていかなきゃいけないということであります。

 まずはこの羽田、成田を足して七十四万回を達成することだと思いますけれども、そのために、成田について言えば、今、着陸料の引き下げという話がございましたけれども、これもいただいた資料でありますけれども、これは世界の主要空港の空港利用料金、旅客一人当たりということであります。これを見ると、ヒースローが一番高くなっているんですが、この青の部分というのは旅行客、旅客が払う部分でありまして、これを除いて航空機会社が払う部分だけを見ていきますと、羽田は日本の中では引き下げて低い方なんですけれども、押しなべて日本の空港というのはコストが高いというふうなのが見てとれます。アジアのみならず、ヨーロッパ諸国と比べても高いというのが見てとれるのであります。

 なぜ日本だけが高いのかということを伺いたいと思います。

田村政府参考人 今御指摘ありましたように、旅客一人当たりの空港利用に係る料金というものを考えます場合に、どうしても着陸料というものに注目が集まるのでございますけれども、そのほかに、旅客施設利用料でございますとか、ほかの国でいいますと旅客税でございますとか、いろいろな形態で料金というものが回収されているということではございます。そういう意味では、全体を見て比較しなければいけないというふうには考えます。

 ただ、欧米と比べてそんなに高いわけではありませんが、今御指摘のように、アジアの主要空港と比べて、全体の高さでもやはりやや高目でありますし、それから着陸料だけ着目すれば、やはり高い、こういうことであります。

 そういう意味では、空港に係るコストというものはこれからできるだけ努力をして軽減していく、全体の高さを低くしていく。それから、やはりそういう意味では、中の構成として、いわゆる航空会社が支払うコストというものをできるだけ下げていくというような努力が必要であるというふうに考えております。

奥野(総)分科員 政策的に引き下げている国というのもあるんですかね。地域の拠点空港とするために政府が支援をして政策的に着陸料を引き下げている、あるいは空港の施設利用料を引き下げているというような国はあるんでしょうか。あるとした場合、日本でそういったことはできないのか。今、全くの思いつきですけれども、例えば航空機燃料税をそういうところに充てるとか、そういったことはできないんでしょうか。

田村政府参考人 実は、いろいろと私どもも調べようとして試みているんですが、表に出ているもので、アジアの各国がどういう支援をしているかというところは、必ずしも明確ではありません。

 ただ、少なくとも、空港の建設コスト自体も我が国に比べると低目であるということもありますし、恐らく、国として、陰に陽にいろいろと支援をしている部分もあろうかと推測はされます。

 そういう意味で、私どもも、そういう公租公課のあり方については、政策としてしっかりと考えていかないといけないというふうに思っております。

奥野(総)分科員 やはり、政府として、国家として、アジアのハブあるいは世界のハブを奪いにいくという姿勢が私は必要だと思います。ぜひ御検討いただければと思います。

 それから、もう一つ、成田の問題として、離着陸の制限時間、これまでは深夜の十一時から六時まで離着陸ができなかったのでありますけれども、ようやく地元との対話が実ってといいますか、十一時以降十二時まで一時間延長になったわけであります。

 これも、記事によりますと、十三日に初めてエミレーツ航空ドバイ便が十一時十五分に離陸したという事例が出たようであります。早速、使われたということであります。

 いわゆるカーフュー運用の仕組みについて伺いたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 成田空港では、本年三月三十一日から、現在の運用時間の六時から二十三時までというルールは前提としつつ、出発空港での悪天候など企業努力では対応できないやむを得ない場合に限りまして、二十四時までの離発着を認める弾力的運用というのを行うこととしたところでございます。

 この弾力的運用に当たりましては、対象を低騒音機に限る、あるいは着陸料と同額の割り増し料金を航空会社から徴収する、その割り増し料金は周辺の六市町に全額還元をする、恒常的に遅延が発生する航空会社にはスケジュールの見直しを指導する、それから、ちゃんと情報提供を徹底し、実施状況について一年後に検証を行う、こういった仕組みの中で運用していきたいというふうに考えております。

奥野(総)分科員 内陸空港の宿命として、やはり騒音問題というのはどうしても出てくるし、夜間の離発着は制限が出てくるんだと思いますけれども、ミュンヘンは成田の事例をよく研究した上で短時間で空港を建設して、このカーフューの仕組みもたしかミュンヘンかどこかで採用されたものだと思います。

 超過の、余分の着陸料については地元の自治体の方に回るということでありますけれども、地元にやはり納得していただく、地域の空港でもありますから、地元の方を説得して、納得していただくということも極めて大事だと思います。

 そういった意味で、難しいのかもしれませんけれども、もう少し、さらなる柔軟な運営ができるように、地元対策も含めてしっかりとやっていただきたいと思います。

 それから、さっきの日経の記事にも出ていましたけれども、やはり都心との距離という問題はどうしてもあります。成田構想当時は、成田新幹線という構想もあったんですね。やはり、昔はダイナミックな構想があったんですね。きちんと、戦略的に日本をもっと繁栄させていこうという構想があったんですけれども、結局、用地買収の問題とかなんとかあって頓挫してしまった。新幹線を引いていたら全然違ったと思うんですけれども、残念ながら、もはやそこは難しいということであります。

 既存の路線の活用という意味で、都心直結線ということで、京成をうまく使って、大深度地下を利用して京成のライナーを丸の内まで持ってくる、そして羽田からも持ってくるという構想が今あるようであります。これが仮にできたとすれば、成田から丸の内まで三十六分で着く。今、成田エクスプレスが大体五十三分ですから、十五分ぐらい短縮できるわけですね。それから、羽田から丸の内まで十八分、これも随分短縮です。羽田、成田をつなぐと五十分ちょっとで行ってしまうということなんですね。

 やはり、両空港をそれぞれつないでいくということ、それから、都心と羽田、都心と成田を直結するという意味で、私は、こうした構想はぜひ実現すべきだと思いますし、公共事業にお金を使うのであれば、こういうところに使うべきだと思うんですね。

 我々も、公共事業を全く否定しているわけじゃありません。こういう波及効果の大きいような事業にぼんとお金をつぎ込むべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。現状について伺いたいと思います。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 アジアの成長を取り込むために、まず、日本の中心である東京、これが発展していくことが必要だというふうに考えております。

 空の玄関口であります成田空港や羽田空港と都心とのアクセス、委員御指摘のとおり、非常に重要だと認識をしております。

 そのために、都営浅草線押上駅から泉岳寺駅の間を大深度地下を利用したバイパス的な鉄道新線で結び、東京・丸の内で新駅をつくる都心直結線の調査検討を進めてきたところでございます。

 委員から、具体的に効果について御指摘がありました。そのとおりでございます。首都圏の国際競争力の強化に大きく資するものと考えております。このプロジェクトがより成熟したものとなりますように、PFIを活用した具体的なスキームのあり方の検討や関係者との調整など、しっかり努力してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

奥野(総)分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 成田を世界のハブにということでしっかり取り組んでいただきたいと思うんですけれども、最後に、成田のさらなる発展について、大臣からお答えいただきたいと思います。

太田国務大臣 ますます日本の玄関として成田空港の役割は重要になるというふうに思いますし、これは、ぜひともそうしなくてはならないというふうに思っています。

 本年三月末からのオープンスカイの開始やカーフューの弾力化が成田の競争力強化ということにつながっていくわけですが、インバウンド一千万という観光的な目標もありますし、さらに、空港容量を拡大して、成田がしっかり玄関口としてさらに拡充されるようにということで努力をしたいというふうに思っているところでございます。

奥野(総)分科員 ぜひお願いいたします。

 それから、残りの時間で騒音問題について少し伺いたいのであります。

 羽田の拡張に関連しまして、千葉市、千葉県に騒音の問題が発生しています。去年の夏には、当時の吉田おさむ国土交通副大臣に私の地元、千葉市の若葉区の方まで来ていただいたのでありますけれども、関西、南の方から来る飛行ルート、それから北の方から来る飛行ルート、これがちょうど千葉市上空で交差して羽田の方におりていくんです。

 これは好天時南風のときでありますけれども、主として夏場ということになります。夏場、皆さん、窓をあけて寝ていると、飛行機の騒音がうるさいと。皆さん、非常に気にされておられるんですね。実際、私も、地元に国土交通省に来ていただきました。また、先日、大臣のところに、うちの千葉市長、熊谷市長がまたお願いに伺ったことだと思います。

 また、千葉だけじゃなくて、北ルートについては、四街道、佐倉も、だんだん高度が下がってきますから、騒音の問題の苦情が来ているところであります。

 そこで伺いたいんですけれども、県民感情として、なぜ、東京の空港の騒音を千葉市民、千葉県民が引き受けなきゃならないんだという思いがこの話にはあるんですね。成田ならわかる、なぜ羽田の騒音を千葉市民が我慢しなきゃいけないんだ、もっと首都圏全体で引き受けてくれないかという声があるんですが、その点についていかがでしょうか。

田村政府参考人 現在の羽田空港への飛行ルートにつきましては、四本の滑走路というのを利用して、増大する航空交通を安全かつ円滑に処理するということを目的として設定されているわけであります。

 それからまた、環境に配慮して、可能な限り陸域への騒音影響を軽減する、そのために、東京湾を最大限利用してルートが設定されているということでございます。

 こうした基本的な考え方に基づきますと、天候に応じたルートが設定されるわけですが、南風の天候がよいときにおいては、平行する二本の滑走路への南向きの進入を安全に行うために、どうしても千葉市上空を通過して東京湾を横断するルートとなっているところでございます。

 そういう意味では、現在のルートを直ちに大きく変更するということはなかなか容易ではございませんけれども、首都圏全体での騒音共有という課題は、今後の機材の低騒音化、あるいは将来の技術の進展等にあわせて取り組むべき長期的課題として、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)分科員 騒音の現状について伺いたいのでありますけれども、では、実際、どの程度の騒音が出ているのかということについて、お願いします。

田村政府参考人 お答えいたします。

 千葉市内に国土交通省が設置しております騒音測定局がございます。その測定結果によりますと、平成二十四年の年間値というのは、千葉市中央区の千葉市役所で、いわゆるWECPNLという単位があるのでございますけれども、W五十五・八でございます。それから、大巌寺小学校でW五十六・〇、若葉区の大宮台小学校でW五十六・八というふうになっております。

 以上でございます。

奥野(総)分科員 これを伺うと、そんな大した騒音じゃないんだ、伊丹とかほかはもっとうるさいんだというふうにおっしゃるんですけれども、ただ、もとからなかったんですね。横に新たに空港ができて騒音が来ますよと覚悟をしていればわかったと思うんですけれども、住民からすると、ある日突然、羽田が拡張されて、ある日突然、騒音が聞こえ出したということなんですよ。しかも、南風好天時といえば夏場ですから、お年寄りなんかは窓をあけて涼んでいると、急に飛行機の音がするというので、物すごく気にされているんですね。レベルの問題ではないところがあるんです。やはり、きちんと説明をして、これこそ御理解いただかなきゃいけないということなんです。

 それから、もう少しきめ細かく測定をしていただきたいのは、大巌寺もそうですし、大宮台小、必ずしも一番うるさいところじゃないと言われているんですね。大宮台小じゃなくて大宮小の方がうるさいんだと地元の方がおっしゃっているところなんです。

 たしか、千葉市は独自に移動式の測定器を大宮小の方に持ってきているということだと思いますし、この間、国交省の方に私と地元の市長さんでお願いに行って、固定式の測定器、さっき申し上げた四街道、佐倉、ここにお願いしたんですね。佐倉市の方にという要望だったのでありますけれども、佐倉市長から四街道にもとお願い申し上げて、今般、二器つけていただきました。そこは本当にありがたく思っておりますけれども、きめ細かく測定をしていただきたいと思っております。

 そうした問題を認識していただいた上で、では、今どういう軽減措置をとっているのか伺いたいと思います。

梶山副大臣 羽田空港の運営に伴い、今、千葉県を含む周辺地域で生じている航空機騒音につきましては、騒音軽減に取り組むことは大変重要な課題であると認識をしております。

 千葉市上空ルートにおきましては、これまでも、飛行経路の見直しや高度の引き上げの試行運用など、関係自治体の要請も踏まえまして、可能な対策から実施をしてきたところであります。

 羽田空港の運用に当たっては、今後とも、地域と空港の調和のとれた発展を図るために、地域の実情を十分に把握した上で、関係自治体とも連携をして、騒音対策に真摯に取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)分科員 この間、千葉市長、佐倉市長、四街道市長、あるいは私も含めて政府の方にお願いをしてまいりまして、さまざまな対策を講じていただいております。

 まず、西の方から来る南ルート、南方向から千葉市に進入してくるルートについては、今、試行的にでありますけれども、飛行高度を引き上げていただいているんですね。引き上げるということは、おりるときに角度をつけておりていかなきゃいけないのでなかなか難しいんだという意味で、試行ということのようであります。

 なおかつ、北から来るものと南から来るものを高度差をつけて交差させなければいけないですね。だから、まず南を試行していただくということでありますけれども、北の方もぜひ引き上げていただきたいんです。北の方は、確かに便数は南より少ないのでありますけれども、佐倉のユーカリが丘とか四街道市の真ん中とか、住宅密集地を結構飛んでくるので、これもいろいろな御意見があるんですよ。

 南の試行、これをまず本格運用にしていただいた上で、次は北ルートもぜひ高度引き上げを考えていただきたいんですが、その検討状況について伺いたいと思います。

田村政府参考人 先生御指摘のように、ルートの高度引き上げというのは、騒音軽減策としてはまず取り組むべきものだというふうに思っております。

 そういう意味で、まず南側の高度の引き上げに向けた試行運用というのをこの三月から、昨年に引き続いてまた実施をしておりまして、ここで安全面の確認など必要な作業が進められて、可能な限り速やかに本格運用に移行できるようにしたいというふうに考えております。

 その上で、次は北側ということでございます。現在は、試行運用の前の準備作業ということでございますけれども、南がしっかりと確定できるようになりましたら、その次の課題として取り組んでまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 これは夏場が問題なんですね。先ほども申し上げましたけれども、南風好天時ですから、夏、この千葉市上空を飛ぶ便がふえるわけです。夏ですから、さっきも申し上げたように、お年寄りなんかは、クーラーだと調子が悪くなるので、窓をあけておられます。ですから、夏に対策をとっていただくことに意味があるんです。ですから、できればことしの夏、南を本格運用に切りかえて、北も試行していただけるようにぜひともお願いしたいと思いますので、お聞き取りいただければと思います。

 それからもう一つ、ジャンボ機の退役の話がありまして、ジャンボがやはりうるさいんですね。大きい、機体も古いですから、うるさいです。北ルートはとりわけジャンボに対する苦情が多うございまして、低空でマンション群の上をばあっと来るんですね。非常にうるさい、あるいは恐怖感を覚えるというような声もあるんですが、このジャンボ機の退役について、世界の主要な航空会社は、もうジャンボ機をどんどん引退させて、よりコストのよい中型機に切りかえるということでありますから、そのあたりについて伺いたいと思います。

田村政府参考人 御指摘のように、騒音発生源である航空機自体の騒音低減というのは非常に重要でございますので、そういう意味で、騒音値が比較的大きいジャンボ機の退役時期の前倒しというのが必要だろうというふうに思います。

 現在、全日空が八機所有をしているわけでございますけれども、この航空会社においても、できるだけこれを前倒しするべく今努力をしておられるということで、私どももしっかりとフォローしてまいりたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 まず、南ルートの高度引き上げの本格運用、それから北ルートの引き上げ、そしてジャンボ機の退役。今、深夜は、東京湾、南ルートは全部、陸地に入らないで、海の上を通って着陸しているんですね。これは便数が少ないからできるんですけれども、航空管制技術とか、あるいは機体の高度化をすれば、将来的には全部海の上を行けるようになるんじゃないかと思います。

 こうしたありとあらゆる措置をしっかりとって、できるだけ騒音の軽減を図っていただきたいと思うのでありますが、最後に、大臣、一言お願いします。

太田国務大臣 御主張はよくわかりますので、検討させていただきます。

奥野(総)分科員 以上で私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石田主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、田所嘉徳君。

田所分科員 自由民主党の田所嘉徳でございます。よろしくお願いいたします。

 ポイントを的確に答弁いただければというふうに思います。

 さて、安倍総理は、全閣僚が復興大臣という気持ちで復興を加速させると言っておりますが、まだまだ東日本大震災の後遺症から立ち直れない人々がたくさんおられる中で、一日も早い復興の実現は、我が国の活力を回復するためにも、大変重要であると思います。

 特に、原発事故と放射性物質の拡散への負のイメージによって、観光産業が大きな打撃を受けております。この回復が大きな課題でございます。

 放射能の影響を懸念して旅行先として避けたい地域という意識調査で、福島県が九六%、茨城県が五七%、宮城県が四六%という厳しい結果が出ております。

 このような中で、国土交通省は、海外に向けて放射線等についての情報発信や、地域再生のための観光業支援事業、東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業による各種商談会や観光復興PRイベントを実施する等の風評被害対策を講じてまいりました。

 しかし、まだまだ観光業の復興支援が必要であるにもかかわらず、平成二十五年度予算では、これらをやめて、茨城県を除いた東北地方だけの支援にとどめてしまったようでありますが、これはどういう理由によるものでありましょうか。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は、東日本の大震災からの復旧復興の中で大変重要な役割を担っているという基本認識を持っております。したがいまして、国土交通省、観光庁では、観光需要の回復に向け、先生御指摘のようなさまざまな取り組みを行ってきているところでございます。

 現在の観光需要でございますが、茨城県について申し上げますと、直近の数字、二十四年の十月―十二月、第四・四半期でございますが、日本に来る外国人の客、これは茨城県については全国平均を上回るぐらいの回復を見せておりますが、国内の観光客につきましては、東北六県よりは回復率は高いものの、全国平均よりはまだ低い水準というところにとどまっているのは残念なところでございます。

 昨年度は、御指摘ありましたように、東北・北関東のインバウンド再生緊急対策事業ということで、茨城県を含めて、東北、北関東についてのプロモーション、これを海外の八都市でやりました。また、海外のメディア、旅行会社の招請なども行い、さらに、北関東、東北だけのガイドブックを、海外の大きな市場ではガイドブックとして作成するというような形で、インバウンドについて実施をしてまいりました。

 このインバウンドについて、今年度の予算につきましては昨年度のような形のものはございませんけれども、訪日旅行促進事業という形で、茨城県を含めた訪日プロモーション、これを国と地方で共同して実施していくいわゆる地方連携事業を盛り込んでおりまして、引き続き、北関東について、海外からの需要の回復に取り組んでいきたいと考えております。

 また、国内の旅行業関係につきましては、昨年度来、官民が一体となりまして、北関東へ訪問していこうという運動を続けてございます。この訪問運動は、今年度につきましても、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

田所分科員 それでも、かかる事業は行わない、継続しないということであります。

 福島を初めとする東北の復興を支援することは大変結構でありますけれども、被災県茨城の現状がわかっていないというふうに私は思うんです。

 茨城県では、海水浴客が六割以上減少して、観光施設への入り込み客が県北臨海地域では三割以上減少しています。主なホテル、旅館の宿泊客も二、三割減少して、休廃業も多いということでございます。国際会議場はキャンセルが続出して、茨城空港のソウル便は運休したままであります。

 国内だけでなく、外国からもマイナスイメージの払拭ができていない状況であります。まだまだ観光産業再生への支援が必要であるのに、消極的な姿勢では非常に困る、安倍首相の考え方とも相反するのではないかというふうに私は思うのであります。

 そこで、復興庁に救いの手を伸ばしていただきたいのであります。復興調整金における支援制度があって、要件も緩和して活用しやすいように考慮していると聞いておりますが、地元、県からの要望があれば応えられる可能性があるのか、また、制度の特徴がいかなるものかを簡単に説明してもらいたいと思います。

佐川政府参考人 お答えします。

 復興推進調整費についてでございますが、被災地の復興に必要な事業であって、既存の予算、制度では対応できない制度のすき間に対して、機動的に対応するものでございます。

 二十五年度予算案では、今先生おっしゃいました復興加速化の観点から要件を緩和しておりまして、制度のすき間へ幅広く対応するために、モデル性とか新規性といったこれまでの事業要件を撤廃しております。予算編成段階で想定されなかった事業であれば、被災県の要望するソフト事業に幅広く対応可能としました。

 今御指摘の観光振興、風評被害でございますけれども、被災地の復興に必要な事業でありませば、これまでもこの調整費によって、被災県が要望する、例えば震災で観光客が落ち込んだ話とか、県産農林水産物の風評被害の話とか、そういったものに対する支援も行ってきたところでございますので、茨城県におきましても、二十三年度、二十四年度と支援を行ってきております。

 したがいまして、今後とも、個別の事業につきましては、被災地から具体的な要望内容を丁寧にお伺いいたしまして、対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

田所分科員 よろしくお願いをいたします。

 地方から要望するに当たっては、観光庁が中に入って財務省との折衝を行うということを聞いておりますが、積極的に支援をしてもらいたいというふうに思うわけであります。

 次に、ソウル便の運休を初めとして、風評被害を受けている茨城空港についてお尋ねをいたします。

 この空港の設置及び管理者は防衛省、すなわち国で、自衛隊機以外の民間航空機が使用する施設の維持管理については国土交通省が行っていることは間違いありませんか。あわせて、国の設置で、実態上、地方が就航対策等を行っている国営空港は幾つあるのか、お伺いいたします。

田村政府参考人 最初の御質問でございますけれども、茨城空港は、共用空港として、国管理空港の一つであるということでございますので、その維持管理について国が責任を持って行っていくということは事実でございます。

 それから、現在の国管理空港におきましては、滑走路等の空港の基本施設というのは国が管理運営する一方で、空港ビルなどは別の民間企業等が管理運営しておりますので、そういう意味では、エアポートセールス等、航空会社誘致に向けた取り組みというのを地域が中心になって行っていただいているということはございます。

 ただ、今後の課題として、もう少し、管理をする国と、それから空港ビル、あるいは地域の自治体、こういうところが一体となって、機動的に誘致活動をしていくということが必要であるというふうに考えております。

田所分科員 確かに、ビルはそういう地方で行っているのはわかりますが、就航対策等については何らの契約とか約束に基づいているわけではないと思うんですよ。事実上やっているということでありますので、その点はしっかり考えてもらいたいと思います。

 国営空港であるにもかかわらず、茨城空港が開港時の前政権の前原大臣は、県が独自に努力をしてほしい、つくった以上は、茨城県が自助努力をされて、活用できるような取り組みをしっかりとしてもらいたい、こう言ったのであります。私は耳を疑いましたね。国営空港の自助努力というなら、それは国がやるということでしょう。

 政権がかわったから、そのような認識はないだろうけれども、全国にある国営の地方空港について、設置管理者が消極的では困ると私は思っております。

 茨城空港でも、当初想定した航路が確保されていない。国交省の需要予測八十万人も達成していません。今言ったように、ソウル便が運休している。こういう状況で、国としてもしっかりと主体的な役割を果たしてもらいたいというふうに思うんです。

 全国の地方空港が厳しい経営を強いられている中で、国が傍観者であってはならない、そう思っておりますが、それらについてどう考えるのか、お伺いしたいと思います。

田村政府参考人 先ほども申し上げましたように、設置管理をする国と、それから地元の自治体、あるいは関係者、ここが一体となって誘致活動等に取り組んでいくというのは非常に重要なことだと思っております。

 そういう意味で、空港法に規定をしております協議会でございますとか、いろいろな場を通じて、ネットワークの維持、あるいは空港を活用した地域振興、航空需要の拡大といいますか、そういった努力を一緒になって私どももしてまいりたいというふうに思います。

田所分科員 特に、航路開設等は非常にいろいろな情報、ノウハウが必要でありますので、そういった点で、しっかりとした力を出してもらいたいというふうに思っております。

 次に、国土強靱化の推進についてお尋ねをしたいと思います。

 一昨日、淡路市で震度六弱という地震が発生しました。時間も短かったので、大した被害もなくてよかったと思っておりますが、同じような経験をした者として、やはりその恐ろしさ、あるいは対策の重要性というものを再認識させられたわけであります。昨日も茨城、埼玉で震度三、福島県沖で震度四の地震が発生しておりまして、まさに、忘れるいとまもなく地震が発生しているわけであります。

 私はいつも、天災は忘れたころにやってくるという言葉で有名な寺田寅彦の国防と天災という論文を引用するわけですけれども、その中で、戦争は外交努力によって避けられるが、地震、爆風、津波、洪水は最後通牒もなしに突然襲来する、国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はない、文明が進めば進むほど、天然の暴威による災害がその激烈の度を増す、この世の地獄の出現は、歴史の教うるところからして決して単なる杞憂ではなく、悪い年回りはいつかは回ってくるのが自然の鉄則で、少なくも一国の為政の枢機に参与する者だけはこれを忘れてはならない、思うに、日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、陸軍、海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかという趣旨のことを述べております。今においてなお、我々が心得なければならない真髄をついていると思います。

 さきの衆院選でも、安倍総裁は、自民党の政策公約の中で、積極的な公共投資によって国土強靱化を図り、経済の活性化につなげるということを大きな看板として掲げておりました。それに、震災で苦しんで、景気低迷する地域がある、強い共感そして支持を得たんだろうというふうに思います。ついては、その約束をしっかりと、期待に応えられるように果たしていかなければならないというふうに思うんです。

 しかし、国土強靱化といいましても非常に抽象的であって、内容が具体的ではない、不明確である。平成二十五年度の予算でどのように対応しようとしているのか、順次お伺いしたいというふうに思います。

 国土交通省は、平成二十五年度予算で一億二千六百万円を計上して、災害に強い国土の実現に向けたグランドデザイン策定のための調査に着手するとし、さらに、総合的な国土の形成に関する施策の指針となるべき国土形成計画について、東日本大震災等の影響も勘案した総点検を行う費用として八千五百万円を計上しています。これらの内容はどのようなもので、どのような関係を持っているんでしょうか。

 さらに、国土強靱化担当大臣のもとに設けられたナショナル・レジリエンス懇談会では、各府省の脆弱性を評価するとしていますが、これらの総合的な調整はどのようにされているのか、お伺いをしたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の国土形成計画の総点検でございますが、まず、国土形成計画は平成二十年に策定されておりまして、その戦略的な目標として、東アジアとの円滑な交流、連携、また持続可能な地域の形成、災害に強いしなやかな国土の形成など五点を挙げているところでございます。この計画は、現時点で策定から五年がたっており、社会情勢も変化しているため、全体として総点検を実施するものでございます。

 一方、御指摘をいただきました災害に強い国土に向けたグランドデザインにつきましては、巨大災害から国民の命と暮らしを守るという観点から、国土の脆弱性についての点検、課題を整理し、災害に強い国土のイメージの具体化を図るとともに、有効な具体策を検討するというものでございます。

 この成果は、先ほど述べました国土形成計画の戦略的な目標の一つである、災害に強いしなやかな国土の形成とも関係しており、当該総点検にも反映させたいと考えております。

 最後に、国土強靱化との関係でございますが、国土強靱化のための取り組みにつきましては、国土強靱化の担当大臣主導のもと、関係府省が連携して検討しているところでございます。今後、各府省庁において、強靱化に関する施策、事業を検討する上で基本となる、国土強靱化に向けた当面の対応を五月末に取りまとめる予定と承知しているところでございます。

 こういった国土強靱化に係る政府全体の取り組みも十分踏まえつつ、災害に強い国土に向けたグランドデザインなどの策定を進めてまいりたいと考えております。

田所分科員 平成二十五年度の予算では、事前防災・減災のための国土強靱化のために巨額の予算を計上しているわけですから、これからいろいろな調査を行う、内容はこれから検討する、しかも外注するなどというのでは、前提が薄弱だと言われないとも限りません。内容が曖昧で、前政権における復興予算の流用のようなことになってはならないと私は思うんです。しっかりとした効果的な計画、迅速な執行ができるように進めてもらいたいというふうに思っております。

 続きまして、インフラの老朽化、長寿命化対策につきましてお尋ねいたします。

 国土強靱化は、新規の投資によるものだけじゃなくて、これまでに整備したもの、その社会資本の老朽化の対策が重要であるというふうに思っております。

 昨年十二月に突然発生した中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故は、いつ我が身に起こるかわからないという点で、衝撃的で、老朽化した社会資本の維持管理について国民の関心を集めるものとなりました。

 我が国では、昭和三十年代、四十年代の高度経済成長期に集中的に社会資本の整備が行われたことから、今後急速に老朽化が進むことが予想されます。現状をどのように把握し、どのように対応しようとしているのか、お伺いをいたします。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、高度成長期以降に整備いたしましたインフラが、今後急速に老朽化することを踏まえまして、国民の命を守る公共事業として、インフラの戦略的な維持管理、更新を推進することが極めて重要でございます。

 インフラの老朽化の現状の例といたしまして、道路橋について申し上げますと、建設後五十年を超える割合が、現状の一六%から、二十年後には約六五%にも増加いたします。

 このような現状を踏まえまして、老朽化対策につきましては、スケジュールを明確にした工程表を取りまとめたところでございます。笹子トンネル事故のような事故を二度と起こさないよう、まずは、今後一年をめどに集中点検を行った上で、必要な修繕等を速やかに実施してまいりたいと存じます。

 また、新技術の開発や、長寿命化による更新費の平準化等、工夫を凝らしながら効率的に進めていくことが重要であると考えております。

 これによりまして、老朽化対策につきまして本格的なPDCAサイクル、プラン・ドゥー・チェック・アクション、これを構築いたしまして、恒常的なメンテナンスに総合的かつ重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

田所分科員 道路等の人工公物は、自然公物に対しまして、国賠法上も、その設置管理者の責任は大変重くなっております。迅速な対応が求められますし、この笹子トンネルの事故が発生したということなどによって、私は、予見可能性ありとして、設置管理者の瑕疵が厳しく問われるようになってくるんだろうというふうに思っておりますので、しっかりやってもらいたいと思います。

 インフラの老朽化は、年月を経るとともに着実に進んでいく。これを計画的に維持管理、そして更新を行うためには、どのくらいの費用が必要なのかわからなければ、対策を立てようがありません。しかし、今に及んで、それが明確に示されていない。

 老朽化対策の費用がかさめば、新規の投資の抑制にもつながってしまうことから、しっかりとした予算配分の計画を立てなければ、国土強靱化といっても、実効性が疑われてしまうわけであります。

 その点、平成二十四年度の補正予算では、公共事業関係費二・四兆円における補修、老朽化の予算とその他の割合は一対三ぐらいの比率となっておりますが、平成二十五年度予算ではどのくらいのものになるのかお伺いいたします。

 あわせて、老朽化対策としての長寿命化によりトータルコストの削減を図る必要があると考えますが、長寿命化対策はどのようなものを対象とし、どのように進めようとしているのかお伺いしたいと思います。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどの問いにも関連しますけれども、インフラの維持管理は非常に重要だと考えております。

 さらに、我が国の災害が多い脆弱な国土を鑑みますと、首都直下地震、南海トラフ巨大地震などに備えるためにも、防災・減災対策をしっかり行う必要がございます。

 御質問ですけれども、平成二十五年度当初予算での国土交通省の公共事業関係費四・五兆円のうち、老朽化対策及び防災・減災対策費等の合計で約二・一兆円でございまして、これらの公共事業関係費に占める割合は約四七%となってございます。

 一方で、例えば、都市が経済成長のエンジンとして役割を果たせるようにするなど、地域の産業、経済を支える基盤の整備等もしっかりと取り組む必要がございます。

 このために、新技術の開発や長寿命化による更新費の平準化等、工夫を凝らしながら効率的に維持管理を行うことを通じて、厳しい財政状況ではございますけれども、真に必要な事業を推進してまいります。

 引き続き、事業ごとに個別に、費用と効果を明らかにしながら、必要性をしっかり吟味して、計画性を持った上で国民の理解が得られるよう進めてまいりたいと思います。

 以上です。

田所分科員 かかる費用が四七%ということで、非常に手厚く進めているということ、これをやはり理解してもらう。そういう中で、公共投資は悪だというようなことを払拭して、子供たちのために必要なんだ、そういうことをしっかりと打ち出して進めてもらいたいというふうに思っております。

 次に、災害に強い道路政策についてお伺いをいたします。

 災害発生時に迅速な救援活動をするためには、堅固な救援ルートが確保できるようにしなければなりません。

 そこで、まず、平時における道路の損傷防止策を考慮する必要がありますが、大型の重量超過車両の通行の場合に、軸重十トンの基準を二トン超過しただけで、舗装に対しては二倍、橋梁に対しては九倍の疲労を蓄積させるとの影響試算があります。これを見れば、規制の厳格化によって道路等の劣化防止を考慮すべきこととなるわけであります。

 また、重量の大きい大型車の通行は道路損傷を招来するのみならず、重大な事故につながることから、将来的には通行経路を分離するなどの合理化も必要でありましょう。

 そして、災害時に液状化で損傷したり、電柱や建築物の残骸が堆積して通行できないような道路では救援ルートとしての役割を果たしません。

 生活の利便性と安全性確保のために、電線の地中化や歩道整備とともに、自転車の有用性を生かしながら安全性を確保する通行空間づくり等により、良好な産業生活基盤としての道路整備の計画を立てていくべきだと思います。

 子供たちが安全に通学できるような通学路の整備とあわせて、今後の道路規制と整備についてお伺いをいたします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 大規模な地震の発生等におきましては、被災地域への救命救助部隊の派遣でありますとか、緊急物資の輸送、広域的な医療搬送など、緊急活動が短時間で行えるよう、災害に強い緊急輸送道路の確保が大変重要だと考えております。

 そのため、日ごろから道路構造物の適切な維持管理、更新に取り組む必要がありますが、その際には、委員御指摘のとおり、大型車両の通行による道路構造物の損傷等が課題となっていることから、重量制限を繰り返し違反するものに対して、呼び出し、是正指導を行うことなど、指導の強化に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、道路の耐震性の向上のために、落橋でありますとか倒壊などの致命的な損傷が生じないよう橋梁の耐震補強を実施しておりまして、緊急輸送道路においては、現在までにほぼ対策を終えているところでございます。

 加えまして、電柱の倒壊による緊急輸送道路の寸断を防止する観点から、電線類の地中化等による無電柱化の促進が必要でありますし、また、災害時に有用な自転車道のネットワーク化を図るなど、自転車利用環境の整備でありますとか歩行空間の確保など、安全な通行区間の整備を進めているところでございます。

 今後とも、これらの施策を推進するとともに、関係機関と連携を図り、大地震が起きた際に、速やかに道路を復旧し、被害を最小限にするよう努めてまいりたいと考えております。

田所分科員 安全な国土づくりという点では、やはり、大型車等が非常に幅をきかせて、あるいは、今エコカーなど小型車が非常に多く用いられる中で、歩行者と一緒に通行するときには非常に危険性を感じるわけであります。

 そういう中で、やはりしっかりとした、そういうものを分離していく、そういう将来的な道路網の考え方というものも必要になってくるというふうに私は思っているわけでございます。非常に甚大な被害のある事故というものは、そういう混雑、いろいろな整理がされていない中で発生するということがございますので、そういった長期的な考え方というものも持ってもらいたいというふうに思うのであります。

 次に、建設業と担い手の育成につきましてお伺いをいたします。

 大規模災害の混乱の中で、行政だけでは対応できない需要に対して、地元の建設業者が大きな役割を果たしてきました。一定以上の震度の地震が発生したときの道路や堤防の点検を、地元建設業者と協定を結んでお願いしている例もあるようです。緊急時に対応するだけの余力を持たない行政を補完する建設業者の存在意義は、大変大きいものであります。

 しかし、公共投資を抑制してきたことや、あるいは景気の低迷によって、それらを担う建設業者が疲弊し、担い手の確保も難しくなっております。建設業者や担い手が少なくなってしまうことによるコストの増加や、技術の承継が難しくなることも問題であります。

 災害時に頼りになり、強靱な国土づくりを現場で支える建設業者や担い手の育成が必要でありますが、どのように対応しようとしているのか、お伺いをいたします。

太田国務大臣 先生がおっしゃるように、ここを、しっかりした建設業界というものをもう一遍つくり直さないと、私は、日本の公共事業、あるいはメンテナンス、老朽化対策といってもできないというふうに思うんです。

 一つは、予算が急激に減ってきているということで、急に上がることもあるんですが、一定のものが常にあるというものでなければ、企業は、そこを充実するということ、あるいは若い人を入れるということができません。ですから、私は、見通しがきくような、そうした予算組みも含めたことをやりたい。

 そして同時に、どうしても、今まで誇りがないというか、公共事業は悪玉ですよ、また、コンクリートから人だということばかり言われていたら、この業界には望みがない、誇りが失われるということがあると思います。

 そういう意味では、日本の安全と安心を守るとりでは我々建設業界であり、メンテナンスということでいうならば、我が町は地元の建設業界が役所と一緒になって守り抜くぞ、こうした誇りを持つということが大事だというふうに思っています。

 さまざまな要因がありましょうけれども、いずれにしても大事な仕事である、そうしたことを、予算面におきましても、誇りという面においても持っていただくように支援をするということを私は決意しているところでございます。

田所分科員 ありがとうございました。

 国土強靱化、そして、太田大臣の言うところの防災・減災ニューディール、しっかりとそういったものを進める、これが大変重要だろうというふうに思っております。

 私は一級建築士でありますけれども、外国の震災では建物が崩落してしまう、ああいうことは我が国ではありません。しっかりと管理がされている。本当に強靱な、しっかりとした国土をつくれるのは、やはり日本だろうというふうに思っております。

 そういう中で、一番を目指してしっかりと頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

石田主査 これにて田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、小島敏文君。

小島分科員 自民党の小島敏文でございます。

 大変お疲れさまでございます。私に持ち時間をいただきまして、心より感謝申し上げます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、私も、今回初めて国会にやってきまして、日ごろから思っていることを御質問したいというふうに思っています。

 国政は、外交、防衛、教育が国家の基本であるといいますけれども、同時に、租税の問題もあります。

 本日は、まず防衛の面から質問に入ってみたいと考えております。

 私は、国政を見ておりまして、とても気になることがございます。というのは、今、各省庁、日本全体、予算がないということで、大変だけれども、省庁の連携というのはどうなっているのかということを考えるわけであります。

 そこで、本日は防衛面から、防衛省と海上保安庁の例を引きまして、まず質問してみたいと考えております。

 防衛省初め海上保安庁の方々、昼夜を分かたず大変広い範囲の日本の国防に従事してもらっていることに対しまして、まず心から敬意を表する次第でございます。

 特に最近は、沖縄県尖閣諸島周辺におきまして、中国公船が挑発的な行為を繰り返しております。こういう状況を見ておりまして、やはり、海上自衛艦、退役自衛艦等を海上保安庁の船舶として転換できないんだろうかということを常に思っているわけですけれども、まず初めに、過去において、海上自衛隊の自衛艦と海上保安庁の艦船の転用というのはあったのかどうか、お聞きします。

北村政府参考人 過去これまで、海上保安庁の巡視船に自衛隊の護衛艦の転用があったのかというお尋ねでございますが、まず、結論としてはございません。

 海上保安庁は、やはり領海警備、救難等の役割をする船でございますので、例えば救難ですと、何か事があればすぐ出ていくだとか、そういう役割を持ち、また、救難活動なんかに容易な構造だとか、そういう目的に合ったような形。領海警備ですと、例えば今、接続水域や領海に入ってきて、すぐ出ていってくださいとか、そういうものを示すような装置ですとか、そういう領海警備なり海難救助に合ったような形というものが必要でございまして、これまでのところ、護衛艦から巡視船に転用したものはございません。

小島分科員 二十五年度の海上保安庁の予算を見ますと、一千トンクラスのものを何隻か建造を要望されていますけれども、日本近海の状況が隣国から非常に脅かされておって、一刻も早くといいますか、体制をきちっとつくるために、例えば巡視船は、今予算が通過しましても、建造に三年ぐらいはかかるというふうに言われております。

 そういう中で、私は、新聞等で見ますと、昨年度も四隻ぐらい退役自衛艦が出ておるというふうに聞くわけでございます。そしてまた、特に思うことは、大変な大海原で、海上保安庁さんは一千トンクラスの船を要求されておる。ところが、自衛艦船というのは三千トンクラスと言われておって、これもヘリコプター搭載可能というふうに聞いております。レーダーも非常に優秀ということで聞いていますけれども、なぜ今までこうした同じような目的を持っている官公庁が連携できなかったのかということをお聞きします。

梶山副大臣 本件につきましては、防衛省と緊密な連携をとりながら今検討を重ねているところでございます。

 護衛艦を巡視船に転用するためには、停船命令等の表示装置などの巡視船として必要な装備を施すほか、船舶安全法の基準に適合するための防火構造、救命設備等の改修工事に一定の時間と費用を要します。

 また、護衛艦に使用されているエンジンは、海上保安庁の巡視船に使用されているディーゼルエンジンとは異なるタービンエンジンでありまして、その寿命から、巡視船として使用できる期間に制約があるということであります。

 加えて、海上保安庁ではタービンエンジンの知見を備えた船艇職員がいない、装備面、要員面でもいない等、そういう面でも検討すべき課題であると考えております。

 いずれにしても、本件につきましては、政府全体として総合的に今検討を行っているところでありまして、十一管区の尖閣方面が手薄になることのないように、全国から運用をしながら今対応をしているところであります。

小島分科員 実は、私は大変気になりまして、防衛省の方にもちょっと聞いてみました。びっくりするような答えが返ってきました。エンジン構造が違うんです、海上保安庁に扱える乗務員がいません、そしてレーダーを扱える乗務員がいない、さらには海保から話がないという答弁でした。

 私は、何だこれはということで今回質問するわけですけれども、我が安倍総理も昨年の十一月にこのことについて言及をされておりまして、今、新聞等で見ますと、協議をされておるということなんですけれども、ちょっと気になりましたのは、防衛省は、乗っている人も一緒に譲るのは勘弁してほしいと言われていると。自衛官というのは大体五十五歳前後で退官される。同じ公務員であるならば、私は割愛というのもあってもいいんじゃないだろうかと。

 要するに、こうしたことが出てくるということは、お互いに理由を言い立てて、縦割り行政の弊害が出ているんじゃないかなというふうに私は思うのでございますけれども、大変予算がない時期です、いわゆる仕様が違う、ディーゼルだ何だ、こういうことですけれども、同じ艦船でありますから、私はできれば、いろいろな理由があるんでしょうけれども、極力汎用性のあるものにしたらどうだろうかというふうな気もいたしております。

 今後の協議がどのようになるのか、また、いつごろまでにこのことが調うのか、見通しをお聞かせください。

梶山副大臣 今の答弁が縦割りのように聞こえたということでありますけれども、海上保安庁と海上自衛隊はおのずと役割が違いまして、その装備も違ってまいります。ですから、大きな船を動かすためにはタービンエンジンが必要だということでもありますし、また乗組員、乗務員の教育に関しても、警察権限を行使する海上保安庁と海上自衛隊とではおのずと、その教育、そして仕事の役割も違ってくるものと思っております。

 そういった中で、運用するにはある程度時間が必要なんですね。その時間が必要だということで、費用対効果を見る。また、新造船に関して、いつまでにできるのか、その間の運用も含めてどういう効果があるのか、また、どちらが効率的に運用できるのかということを含めて、海上保安庁のみならず、また海上自衛隊・防衛省のみならず、政府全体で今検討をしているということで御理解をいただきたいと思います。

小島分科員 これは海上保安庁の方から言うことなのか、そしてまた防衛省の方から言うところなのかでありますけれども、大臣、ここはやはり政治家が前に出ないかぬなというふうに私は思っております。

 最後に、海上保安庁さんは、国土の約十二倍、そして世界第六位の広大な領海、排他的な経済水域を守っていらっしゃる。私は思うんですけれども、今後、隣国とのそういったあつれき、領海を守っていくという中で、海上保安庁を一つの独立機関としてはどうだろうか。なぜ国土交通省にあるんだろうか。私は、海上保安庁をワンランク格上げして、きちっとしたそういう独立した機関にすべきではないかというふうに思っております、このことは私の思いですから答弁は求めませんけれども。

 今後、日本の大きな領海を守っていく中で、きちっとしたそういう政治の仕組みをつくっていただきたい、このように考えております。

太田国務大臣 答弁は要らないというふうに……。

 私も存じておりますが、先生は長い間、県会で、広島というところで、本当に我が党も大変親しくさせていただいておりました。

 いろいろ、どうするかということは別にして、海上保安庁という組織が、領海、まさに四百四十七万平方キロメートルという、領土の十二倍という排他的経済水域を有している。同時に、そこには海底にも資源もある、そして外交上も極めて重要な役割を果たす。私は、この海上保安庁が強化されるということが極めて今重要だという認識をしております。

小島分科員 大臣、どうもありがとうございました。期待を申し上げております。

 それでは話題をかえますけれども、地元に関係しますことを質問に入ってまいります。

 本州四国連絡高速道路の料金について、今お手元に資料もお渡しを申し上げておりますけれども、一目瞭然でございまして、NEXCOの料金と、また本四の海峡部の料金が約十倍違うということでございます。以前から国と各関係十府県市の約束がありまして、平成二十四年までは何とか各関係市、県も出しましょう、出資しましょう、そして料金を下げていきましょうということですけれども、もうこれ以上はこらえてくださいというのが各関係十府県市の思いでございます。

 そこで、国と各関係者が協議されまして、昨年の末に、国土交通省は今後の本四高速道路料金の基本方針を次のように定めたところであります。

 ちょっと申し上げますと、平成二十六年度より、本四高速を全国プール制に組み入れ、全国共通の料金水準を目指す。具体的な実施方法について、平成二十四年度末を目途に取りまとめる。国と地方が協力して、他の利用者の理解を得る。また、関係十府県市は、全国共通料金の導入を目指す上で、二十五年度までの二年間はとりあえず出資をしましょうということで同意いたしました。

 それを受けまして、国土幹線道路部会というのがありまして、ここで昨年の十一月に、今後の国土幹線道路の制度等のあり方について議論を開始しております。その中を見ますと、対距離制及びプール制を維持しつつ、高速自動車国道以外の有料の高規格幹線道路(含む本四架橋)も全国ネットワークに組み込み、原則として全国共通の基準に従った、シンプルな仕組みにするべきである、本四架橋のような代替路線がない割高区間に関しては、過度に自治体の負担を求めず、プール制の中で、配分の工夫などにより、利用料金の格差を縮小すべきである、また、地域間格差を是正するためNEXCOと一体的な料金体系とされたい、こういう議論がされておるところでございます。

 ところが、先般の新聞を見ますと、二十四年度末を目途に一応こういうふうな結論を出すということであったわけですけれども、報道によりますと、五月以降にずれ込むということであります。このことは、今どんな状況でしょうか。

梶山副大臣 本四高速料金を含めた今後の料金制度のあり方につきましては、現在、国土幹線道路部会で丁寧な議論を重ねて、検討を進めているところであります。

 丁寧な議論と申しますのは、利害関係者、いろいろな方から御意見を拝聴して、そして、どうあるべきかという方向性を見出していこうということで、推進をする方、そして、場合によっては低料金によって自分たちの業界が圧迫される方、いろいろな方がおいでになるわけですけれども、本四高速の全国共通料金導入の具体的な実施方針については、この国土幹線道路部会の審議の状況を踏まえて、取りまとめてまいりたいと思っております。

 本来、三月末までにある程度の方針を出すということでありましたけれども、少しおくれておりまして、五月ぐらいまでにはという思いで今審議を進めているところでございます。

小島分科員 どうもありがとうございます。

 関係十府県市におきましては、既に、二十六年度からそれが導入されるように、一応そのつもりでおりますので、ひとつ、ぜひとも間に合うようによろしくお願いを申し上げたいというふうに思う次第でございます。

 民主党が高速道路の無料ということを言われましたけれども、やはり高速道路というのは、定時性、高速性、経済性があるわけで、一律に無料というのは、時間を料金で買うわけですから、私は民主党のような手法はとりません。

 一方で、先ほど副大臣がおっしゃられたんですけれども、確かに、フェリーの問題、悩ましい問題です。これからいろいろな災害等がある場合に、ライフラインといいますかアクセスが寸断されるということもあるわけで、そのときにフェリーがないということでは困るということで、本当に悩ましい問題でございまして、私も念頭に置いてありますけれども、関係者におかれて、どうかひとつそのことも十分に配慮していただきたい、このように思う次第でございます。

 それにも増して、やはり料金が本土並みになったときに、企業誘致、さらには観光振興でぜひともあの地域を伸ばしていきたい、このように思う次第でございます。よろしくお願いいたします。

 次に、本四連絡架橋に関係しまして、国としてのサイクリングロードの支援についてお伺いしてみたいと考えております。

 先般、日経新聞の日経何でもランキングというのがありますが、そこへ実は、瀬戸内しまなみ海道、尾道から今治ですけれども、瀬戸内三橋で唯一しまなみ海道にサイクリングロードがあるんですよ。実は、これが全国で一番に選ばれておりまして、我が広島県知事も、これを何とか観光に育てたいということで、非常に前向きに取り組んでいるところであります。

 資料をお渡ししていますけれども、今、全世界で、ヨーロッパを中心にしまして、非常に自転車の愛好家がふえているところでございます。特に、東アジアにおきましては台湾で、サイクリングロードといいますか、このブームが出てきまして、特に、台湾にはジャイアントという世界的な自転車フレームメーカーがあるそうでございます。そこがヨーロッパの方にも進出して、そんなことから、韓国におきましても、そうしたロードをつくっていくというふうな動きになっております。

 日本も、ビジット・ジャパン事業で、訪日旅行促進事業、訪日外国人三千万人事業ということで取り組んでおられるというふうに聞いていますけれども、やはり我が国は、観光立国を実現する上で、こうした世界的なサイクリングブームを取り込まない手はないというふうに思っております。

 そこで、観光立国のためサイクリングを活用した施策を進めることについての認識をまずお伺いいたします。

太田国務大臣 サイクリングロード、しまなみ海道については、私もいろいろな方から要請を受けて、知事もこの間会いまして、ことし二回会って、二回ともそのことの要請をいただきました。また、愛媛の方からも要請もいただいて、大変なイベントを打ったりということで、ここを世界的なサイクリングロードにしたいという希望を聞いているところでございます。

 認証とか認定、こういう制度につきましては、世界のことを参考にしながら検討したいというふうに思っているところでございます。

 ただ、先生は、この後また無料化のお話をされるのではないかというふうに思いますけれども、国が認証する、そしてまた無料化する、こういうふうに連続されると、私は今までの経験からいって、国から、上から決めるということでは運動は起きないというふうに実は思っておりまして、私もそういうふうになれたらなというふうに思っているところですが、同時に、地元の方からも、そうしたイベントを打ちたい、あるいは、少しでも資金面でも何とか応援をしたい、相携えて両面からここを持っていくということが、認証あるいはまた無料化ということについても大事なことだというふうに思っています。

 私は、いろいろな運動も展開をしてきた歴史がありまして、車は動いてからハンドルを切れというのが私の一つの哲学でありまして、動く前からあれこれ考えるんじゃなくて、まず動いてみて、運動を少し起こしてみて、そこに応援部隊として国がかかわるという形が、実は長い目で見ると一番大事なことではないかというふうに思っておりますので、先生、ぜひとも応援をいただきたいというふうに思います。

小島分科員 大臣、きょうは決して料金のことは言いません、これはもうよくわかっていますから。

 それで、先ほど、そういう中で、日経の何でもランキング一番ということで、申し上げたいことは料金のことではなくて、以前、亡くなったイギリスのサッチャー首相が日本に来られて、ヘリコプターを使って瀬戸内海を飛ばれました。それで、東洋の地中海とまでは言わなかったけれども、あの多島美は非常に美しいということを言って帰られたんですね、それには幾つか問題もあったわけですけれども。

 しまなみ海道というのは、サイクリングロードができていますし、多島美も非常に美しいし、そういう中でぜひともお願いしたかったことは、サイクリングロードの認定制度をひとつ御検討いただけないでしょうかということが一点でございます。

 もう一点は、今、全国でたくさんのコースがありますけれども、ほとんど地元の自治体が資金を出してやっています、何かそういう面で、財政的な面でも支援をできればと。

 こんなことを言うのは、ヨーロッパが非常に進んでいますよね。先般のテレビでも、山梨県にインドネシアから来ていましたね。そういうことも実はあって、全国でブームになっていますから、ぜひともそういう認定をいただきまして、そうした観光に取り込んでいく。そして、今後、人口減少に入りますから、そういう中で、海外から観光客を引き込むという手段として扱ったらどうかということで申し上げたわけでございます。よろしくお願いします。

 では、時間もあれですから、最後に、物づくりの根幹になっております港湾の話を質問してみたいと思います。国際バルク戦略港湾施策の事業の取り組みです。

 平成二十三年五月に全国へ国際バルク戦略港として、穀物、鉄鉱石、石炭などの港が九港、選定をされました。我が方は、岡山県の水島港、そして広島県の福山港。特に福山港というのは、粗鋼生産で全国第一位のJFEスチール西日本を抱えております。

 この中で、瀬戸内海地方は、自動車工場もあります、そして造船もあります、そして機械もあります。そういう中で、やはりこうした強みを生かして、今、全世界で、新興国を中心にしまして、そうした資源獲得の競争がされておる。

 そこで、問題は、今は大型船舶になってきまして、水深が浅くて、途中で積みかえて入っていると非常に効率が悪いじゃないかということで、せっかく国がそういう認定をされましても、いわゆる海底を二メーター増深する場合、その企業負担が何と七五%なんですよ。これを通産省とか国交省へ聞いてみますと、返ってきた言葉が、一企業へ対してそういう支援はどうのこうのとおっしゃったんですね。だけれども、あえて九港を国際戦略バルク港と指定をしていながら、このことは、日本が今円安で、だんだんと企業も、今は立ちどまっていますけれども、どんどん海外へ行くようになったときに、やはり国内の雇用が失われるんじゃないかというふうに私は思うんです。

 そういった意味で、せっかくのこの九港というのは、港湾のいわゆる増深等についても、しっかりとお力添えをいただきたいというふうに考えておりますが、御見解をお伺いします。

梶山副大臣 国際バルク戦略港湾につきましては、委員御指摘のとおりでございます。資源エネルギー等のほぼ一〇〇%を海外に依存している我が国におきましては、産業の国際競争力の強化を図るためには、石炭や鉄鉱石等の安定的かつ安価な輸入の実現に資するばら積みの貨物の輸入拠点となる国際バルク戦略港湾の機能強化が重要であると考えております。

 委員の御地元、福山港湾は、今鉄鉱石の選定を受けたところでありますが、今の航路の深さであるとか岸壁の深さでは、一番大きな船で来ることができない。さらにはまた、積み荷の制限をして、割り引いて、満載にせずに行くような形になっておりますので、船を満載にした形でまず最初に入っていただくような港湾を選定しているということであります。

 このため、港湾については、効率的な海上輸送網の拠点となる港湾施設の整備や、企業間連携の促進による大型船を活用した共同配船等の輸送の効率化に向けた取り組みを推進するための施策を推進いたします。

 国土交通省といたしましては、引き続き、港湾管理者や荷主企業などからの御意見を十分に踏まえながら、国際バルク戦略港湾の機能強化に向けて、ソフト、ハード一体となった施策を総合的に講じていく所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小島分科員 これは極めて、我々にとって大変重要な、また戦略的な施策だというふうに思っております。

 具体的に申し上げますと、水深が十六メーターですね。瀬戸内マックスが、やはり十八メーターないと入ってこられないんですね。だから、どこかで積み荷をちょっとおろして、浮かせて入っていく。こんな非効率な、これがすっと入っていけば、二十万トンぐらいの船がばっと入ってきますから、非常にコストも下がるし、そして、造船にしましても、車にしましても、機械にしましても、全体的にコストが下がって、国際競争力が上がってくる。

 例えば、福山のJFEがもし海外に行った場合に、何と年間で一兆一千億円の生産誘発創出効果が喪失する。一兆一千億円です。同時に、あの地域で、雇用面でも二万六千人の雇用誘発効果が失われるというふうに言われております。

 ですから、これは決して、地元企業、七五%と言われますけれども、これは国策として、ひとつ国の方で十分前向きに御検討いただきますようにお願いしたい、このように思う次第でございます。

 それでは最後に、先ほども田所議員から話があった防災・減災でございますけれども、確かに、いわゆる東日本と先般の淡路地震等、今、地震のことが大変注目されていますけれども、我々は地方に住んでいまして、国土の七割がいわゆる山でございます。

 実は一昨年も、広島県庄原、同時に私の地域でも、山崩れ、集中豪雨が起きまして、実は大変な被害であって、今一生懸命復旧工事をしています。予算におきましても、緊急経済対策で二兆二千億円を組んでいただいております。

 そこで最後に、防災・減災対策において、中長期的な観点からの取り組みと……

石田主査 小島君、もう質疑の時間が過ぎていますので、よろしくお願いします。

小島分科員 それでは終わりますけれども、では最後に、言葉でお願いします。

 地方も非常に頑張っておるわけですけれども、何とか迅速に予算組みをしていただきますように、ひとつお願いしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

石田主査 これにて小島敏文君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 民主党の大島です。

 きょうは石田委員長のもとで質疑をさせていただきます。九時から始まりました第八分科会、夜の九時までですから、十二時間にわたり、まことにお疲れさまです。国土交通行政に対する御関心が与野党ともに非常に深いからだと思っております。

 私の地元は埼玉県でして、都心部から大体五十キロぐらいのところにあります。今の日本の課題というのは高齢化に備えることが非常に大切だと思っておりまして、例えば、前の国勢調査なんですけれども、二〇〇五年から二〇三五年の三十年間でどこの地域が一番七十五歳以上の人口がふえるかと調べてみますと、愛知県の名古屋で二・一倍、千葉県の船橋市で二・九倍。私の地元ですと、上尾市で三・三、鴻巣で二・八、桶川で二・七、北本で三・三、伊奈で三・八というように、今の私たちの国で一番課題なのは、戦後、私の地元もそうなんですけれども、地方から多くの方が都心に勉強あるいは集団就職でいらっしゃいました。そして、家を構えたのが都心から大体五十キロぐらいのところです。これは名古屋でもそうですし、あるいは大阪でもそうだと思います。

 ここの高齢化が、社会資本整備がなかなかまだ十分ではなくて、今までの日本の国土の均衡ある発展は、地方出身の議員の方には若干意見はあるとは思うんですけれども、太平洋のベルト地帯で稼いだ富を地方に配分というのですか、使っていただくことによって均衡ある発展ができたと思うんです。

 でも、これからはなかなか十分な富を蓄積できない時代になってきておりまして、そうすると、都市から五十キロぐらい離れた団塊の世代が住んでいらっしゃるところ、私も時々駅で私のレポートをお渡ししたりするんですけれども、この三年から五年でめっきり人が減っています。本当に昔は、七分間隔の高崎線で切れることなく人が朝ですとJRに乗っていたんですけれども、今、七分間隔の真ん中が、人が切れるんです。ですから、相当多くの方が地元に帰ってきていて、年金生活に入っていらっしゃる。

 そうすると、地方を、地方でもないんですけれども、都市の周辺地域をどうやって保つかということで、これから何問か質問させていただく圏央道というお話になります。

 圏央道は、おかげさまで、国土交通省の皆さん、政府の皆さん、そして各知事さん、関係者の皆さんの後押しがありまして、今、着々と工事が進んでいます。ちょうど私、地元が真ん中にありまして、私の地元からずっと走ると、辻堂とかあるいは藤沢、海まで百キロぐらい。東の方に走っていくと、成田の飛行場まで百キロとちょっとになります。

 やはり、ここの、ちょうど都心から五十キロ、七、八十キロ離れたこの地域が、産業を外から、世界じゅうから呼んでしっかりと基盤をつくることが、そして、その基盤で税収入を上げることが今後も非常に大切になってくると思うので、今後も、国土交通省さん、太田大臣初め皆さんには、ここの基盤整備を、与野党ともに応援していると思いますので、よろしくお願いいたします。

 それで、きょうは他省庁にもお声をかけさせていただいておりますので、冒頭、一問質問をさせてください。

 圏央道と上尾道路の近くに、北里第一三共ワクチン株式会社、新型インフルエンザワクチンの製造施設を整備中です。そして、新型インフルエンザワクチンの生産体制整備事業は、どのような背景で、いつからどんな予算規模で実施されているのか。そして、北里第一三共ワクチンへの交付額がどのくらいであるのか。本事業については、細胞培養法により、短期間に大量にワクチンを製造できるようになると思うんですけれども、現状がどうなっていて、どうして本社を地元に置いていただいたのか。その点について、御答弁いただければと思います。

 特に、今、新型インフルエンザ、ここの工場は、強毒性のワクチンです、H5N1。今、中国ではやっているのは、若干ワクチンの型式は違うんですけれども、細胞培養法というのは日本で初めてだと思うんです。これまでは、有精卵の卵を使ったワクチン製造でしたので。その点も含めて、通告させていただいた内容について御答弁いただければと思います。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今、基盤整備事業としまして、新型インフルエンザのワクチンの開発生産体制の整備事業といたしまして、平成二十一年度の補正予算におきまして、千百九十億円を措置して実施させていただいております。その中で、平成二十三年の八月に、北里第一三共ワクチン株式会社、こちらの方に、交付基準額といたしまして約三百億円させていただいております。

 北里第一三共ワクチン株式会社、こちらの方は、平成二十五年度の実用化を目指して生産体制の整備を行っているところであります。こちらの方も、今までの卵と違って、細胞とかでしっかり生産、量産化できるようにということで取り組ませていただいております。

 先ほど委員御指摘のとおり、今、中国ではやっておりますインフルエンザは型がちょっと違いますので、こちらの方はまだこれからということになるかと思います。

 なお、北里第一三共ワクチン株式会社、こちらの本社は、平成二十三年の四月から埼玉県の北本市にあると伺っております。

 ありがとうございます。

大島(敦)分科員 政務官、まことにありがとうございます。

 本社を置いていただくと、税収入がふえることになります。工場だけだと税収入はふえなくて、でも、ふえるんですよ、本社を置いていただくと、結構税収入がふえて、まちづくりに非常に寄与するものですから。やはり、道路整備というのが企業の誘致には極めて有効で、将来の私も含めて、先輩方の団塊の世代の社会資本整備のために非常に寄与するものですから、そのような採択をしていただいたことに心より感謝を申し上げます。

 答弁は終わりましたので、お帰りになっていただいて結構でございます。ありがとうございます。

 というわけで、多くの工場を呼び込みたいというのが、神奈川県、埼玉県あるいは千葉県の各知事の皆さんの大きな意向だと思います。そのことによって、これから不足する税収入を補いたいという思いが非常に強いと思います。

 そこで、この圏央道、ずっと、藤沢、海の湘南から成田の飛行場まで、二百キロがもうすぐつながるものですから、成田の飛行場について何問か質問をさせてください。

 まず、成田空港、羽田空港は、首都圏や我が国にとって最大の玄関口であり、ビジネス、観光、両面の都市間競争力という観点からも大きな役割を担っていると考えております。

 国土交通省も、両空港を強化するために、成田空港と羽田空港の発着回数を今後大幅にふやす予定と聞いておりますが、具体的にどのように進めていくのか、御答弁をお願いいたします。

田村政府参考人 お答えいたします。

 首都圏空港は我が国の成長の牽引車であるということで、その機能強化が大変重要な課題だというふうに認識しております。このため、現在、来年度中までに首都圏空港の年間発着回数を約七十五万回にしようということで取り組んでおります。

 具体的には、成田空港について、本年三月末に二十七万回化をいたしまして、これに合わせてオープンスカイを実現したところでございますけれども、来年度中に三十万回まで拡大をして、アジアのハブ空港としての地位を確立したいというふうに考えております。

 それから、羽田空港につきましては、本年度末までに年間発着回数を四十四・七万回まで拡大し、これに伴いまして国際線の発着回数を現在の六万回から九万回に拡大するということで、高需要・ビジネス路線が二十四時間、羽田から発着できるようにしたいというふうに考えているところでございます。

大島(敦)分科員 御答弁ありがとうございます。

 羽田空港は、高需要・ビジネス路線ということで、恐らく、都心部と近いですから、同じ都市間でも航空運賃が若干高い設定になっていて、ビジネス向けの離発着が多いかなと。成田の方は、ビジネスもありますけれども、外から来る観光、あるいは日本から外に観光へ行く、そういう、LCCですか、格安航空会社の運航が多くなってくるのかなと思います。

 成田の飛行場ですと、ただいま御答弁いただいたように、私が聞いているところですと、平成二十二年の十月が二十二万回ですから、現状二十五万、それで、二十七万から三十万回ですから、八万回もふやしていくわけですよね。それで、オープンスカイですから、これは、各国の来たい人は来ていただくということで、相当大きなビジネスというんですか、人の往来が予想されると思うんです。

 それで、成田空港と羽田空港の発着回数が大幅にふえることを受けて、成田の空港が大きく変わってくると思います。特に、ただいま指摘しましたように、ことしの三月末からは航空の自由化、オープンスカイがスタートをして、オープンスカイを約束した国との間では、成田空港に自由に乗り入れができるようになりました。

 それで、三十万回まで発着回数がふえ、さらに、成田の空港への乗り入れが自由になるということで、こうしたことを受けて、格安航空が就航してきております。このLCCも、今後ますます便数がふえていくことが見込まれております。これにより、成田の飛行場から安い航空運賃で海外に行きやすくなる、ますます成田空港が便利になることが期待されております。

 さらに、圏央道が整備されることで、埼玉県桶川とか北本とか、私の地元から成田へ行く場合でも、これまでですと本当に三、四時間、あるいは半日ぐらいかかっていたんです。成田まで非常に遠いなという感じがするんです、一回東京に出てから乗り継いで行くものですから。それが、一時間ともう少しで行けるようになると、海外との時間軸が大分変わってきます。そうなると、これまで飛行機に乗ったことがない方でも、成田から格安で海外に行けるなら一度は行ってみようという需要も喚起されると思います。

 私も、私の後援会で、せっかく圏央道が八王子まで完成したものですから、後援会のバスツアーで、圏央道を通って甲府の方に行ってみたりもしているわけです。ですから、成田まで完成すれば、私の後援会も、圏央道を通って成田まで行って、成田から海外に行ってみようかな、そういうことも非常にふえてくるわけです。イメージがしやすくなるんです。すぐそこが成田だから、ちょっとみんな五十人、百人集まって、三百人ぐらい集まると一台ジェット機をチャーターできますから、そうやって海外に行くということが、具体的に多くの需要が見込まれます。

 特に、年金生活者は多いんです。年金生活者というのは、会社に勤めていれば、比較的余裕がある所得階層でもあります。彼らが海外に行きやすくなるものですから、そうなると、先ほど言ったとおり、圏央道を使って埼玉や北関東、さらには神奈川県相模原の方もすぐに成田まで行けますから、成田の空港がますます便利になります。成田の空港のポテンシャルが上がることが見込まれますので、国土交通省として、成田空港について今後どのような取り組みを進めるのか、お伺いをいたしたいと思います。

梶山副大臣 成田空港におきましては、本年三月から開始したオープンスカイにより、国際線ネットワークの充実を図ることといたしております。

 また、容量を二十六年度中に三十万回へ拡大することにあわせて、平成二十六年度中を目途にLCC専用ターミナルを整備するとともに、着陸料の引き下げ等を行うことによりLCCの就航促進を図ることとしまして、多様な航空需要に対応できるようにしてまいりたいと思っております。

 さらに、圏央道の整備により成田空港へのアクセスが改善をされ、人流、物流の活性化につながることが期待をされております。

 これらの取り組みを通じまして、成田空港の利便性を向上させるとともに、国際、国内両面での航空ネットワークの充実等を図り、アジアのハブ空港としての地位を確立してまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 梶山副大臣、御答弁まことにありがとうございます。

 三十万回ですから、本当に離発着の回数がふえ、多くの需要が望まれます。そのためにも、一刻も早く圏央道を、埼玉県のためにも、千葉県のためにも、神奈川県のためにも、そして東京のためにも整備する必要があると考えておりますので、ぜひその点も応援をよろしくお願いいたします。

 そうしますと、いつごろまでにできるかということなんですけれども、本当に国土交通省の職員の皆さんはよく仕事をしていただいています。被災地に行っても、被災地の副市長の皆さんとお話ししても、各中央官庁の方で、特に一番難しいのが、土地の問題です。やはり、高台移転にしても、持っていらっしゃる土地についての合意形成が物すごく大変なんです。でも、その点についても、国土交通省の職員の方がいらっしゃっていただくと、よく御経験があるので、本当に、現場まで入ってよくやっていただくというお話を伺いました。地元の河川事務所あるいは国道事務所の各職員の皆さんも、結構大変な仕事をやっていらっしゃいます。

 昔のいい時代ですと、戦後間もなくは、線を引けばそのまま道路になった時代があったと聞いていまして、今道路をつくるというのは、地権者の問題があります。あと、歴史的な遺跡も全部調査をしなければいけない。環境の問題についての合意形成も必要です。物すごく細かい合意形成を積み重ねてようやく道路が完成するものですから、これまでの地元の職員の皆さんの絶え間ない努力については心から敬意を表させていただいておりまして、河川の事務所についても、十二年ぐらい前ですと、一回だけ工場が浸水した事件がございました。荒川の樋管のあけ閉めというのがなかなか難しくて、ちょっとタイミングを誤ると水がたまってしまうので、でも、それ以降は、どんなに台風が来ても、そうやって工場が浸水するようなことというのはこれまでないんです。ですから、結構綿密に、台風が来ると備えながら、荒川の長い河川を管理していただいて、災害がないようにしていただいています。

 この間も職員の皆さんとお話ししたところ、九州での災害があったので人手が足りないと。ですから、ずっとそこに行って、二週間にわたり昼夜を問わず働いてきたというお話も伺いまして、やはり現場に密着をして、どちらかというと体育会系の役所かなと思っていまして、そういう中で皆さん一生懸命働いていると考えております。

 それで、そういう積み上げの中で、こういう道路の工事も一つ一つ進んできていると考えておりまして、まずは、地元ですと一番気になるのが、皆さんにはぴんとこないかもしれないんですけれども、地元の人にはぴんとくるんですけれども、桶川北本インターというところと白岡のインター、ここがつながると、東北道からずっと海老名のジャンクションまで開通するようになります。

 ここの区間について、今後、明確に、いつごろまでに開通ということは答弁しづらいかとは思うんですけれども、一応、その目安について御答弁いただければと思います。

太田国務大臣 きょう、先生の御質問をいただきまして、確かに、ここの先生の地元のところは物すごく大事なところだなということを、東京に私はいるものですから、東北道と関越道が両方つながって、あとわずかというような考え方をしておりましたが、神奈川の方から成田、そしてそこには、真ん中には筑波というところがあって、成田から筑波、そこで会議も行われる、そして一番両方の真ん中にあるところに、今先生御指摘のところがある、ここがなかなか土地取得等で難航していたということだと思います。

 工場が圏央道の周りに建っていってということを私は何回か答弁でしたこともあって、圏央道の必要性ということを訴えたこともあるんですが、ここは非常に大事なところの箇所だということを思っております。

 その中で、もうほとんどできているんですけれども、現時点では用地取得の時期が不透明であるということから、明確な供用年度をお示しできないという状況にあるわけですが、地元の期待も大きくて、また引き続き関係自治体の協力を得て、ここのところは二十六年度以降と言っておりますが、何とか少しでも早くということで努力をしたいというふうに思っております。

 土地取得ということについては、強引というよりも、やはりその方の納得というか、心が落ちるということがこの件についてはすごく大事だというふうに思いますので、丁寧に、その心情に即して行っていくということが大事だというふうに思っておりまして、できるだけ早く供用できるようにということを頑張っていきたいと思っておるところでございます。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。大臣の圏央道についての重要性に対する御認識を示していただいて、まことにありがとうございます。

 やはり、御指摘ありましたとおり、筑波の研究学園都市があって、海外のお客さんを呼ぶにも、まず筑波で学会をしようと。ずっと来て、湘南も近いですし、富士山も甲府もありますから、こちらの方で遊んでいただこうとなると、いろいろなコンベンション、会議の誘致もできるようになります。

 ですから、大臣の御指摘というのは非常に大切な御指摘であると考えております。ぜひ、関東整備局の皆さんも国道事務所の皆さんも、その熱意を受けて今後も一生懸命に仕事をしていただけると思いますので、まことにありがとうございます。

 続きましてなんですけれども、もう一つ道路がありまして、大臣は東京が選挙区だと思います。なかなか地震のことについて、結構敏感になっています。最近も関西の方で地震がありましたし、よく地元でお話しするときに、千百年前の貞観の地震があって、慶長年間の地震があって、そして、明治、昭和の三陸沖の地震の前後十年間には必ず関東の首都直下型の地震が起きたということを伝えさせていただくと、皆さん、若干身構えられます。

 今後、首都圏で大きな地震が起きたときに、どうしても、緊急物資を首都圏に持ってくる、首都圏からけがした人を今度はまた郊外の方に輸送しなければいけない。そうすると、東西の道路とともに、災害には南北の道路も必要であると考えています。

 そうすると、これから質問させていただく上尾道路という道路があります。これはもう四十年ぐらい前に都市計画決定されて、計画はできていたんです。二つの工事に分けられていて、圏央道から下の部分と、圏央道から上の部分があります。そこの下の部分については、恐らくあと二年のうちには開通するかと思います。ほぼめどがついているのかなと。上の部分も、平成二十三年度に新規の事業化決定をしていただきまして、具体的に進み始めました。

 結構、国道の新規の事業化というのは難しいと思うんです。その難しさについて、全国でどのくらいあって、関東ではどういうところが新規の事業化をされたのか。いつごろできるのかなというところと、あと、新規の事業化についての、どのくらい行われたかについての御答弁をお願いいたします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、委員御指摘の、上尾道路の二期、圏央道から北の部分でございますが、事業化された年度は平成二十三年度でございます。その平成二十三年度に、全国で新規事業化が行われた箇所は十カ所でございまして、首都圏では唯一、この十七号の上尾道路二期のみでございます。

大島(敦)分科員 もう一点だけ伺いたいのは、これはもう少し小さなテーマなんだけれども、地元では極めて大きなテーマとして、農協の直売所というのが幾つかあるんです。

 結構これは侮れないところがありまして、直売所に出していらっしゃる方は、七十代、八十代のおじいさん、おばあさんなんです。今の直売所はよくできていまして、キャッシャー、要はレジを通ると、日に四回、携帯電話に、何が何個売れたか、その人にダイレクトに入るんです。一週間ごとの現金決済ですから、おじいさん、おばあさんが楽しみにしているわけ。いいものをつくれば、たくさん売れる。少ない人では年間二百万ぐらい、多い人だと二千万ぐらい売り上げるんです。

 この直売所というのは、本当に首都圏では物すごく大切な励みになっているものですから、そうすると、今、圏央道と上尾道路がぶつかったところをおりて南に向かう交差点のところに、地元の市長さん、そしてJAの皆さんの御要望もあって、国土交通省の皆さんのところに、早くつくってくれということでずっとお願いさせていただいて、国土交通省さんも前向きに検討していただいていると思うんですけれども、これは、直売所は地元の産品を非常にいいところで、多分、国道沿いだと一番南にある直売所だと思いますので、その点について、今後の取り組む決意について、局長になるのかしら、答弁いただければと思います。

前川政府参考人 委員御指摘の直売所につきましては、桶川市が計画しております道の駅の基本構想のことかと思います。

 桶川市におきましては、昨年の八月でございますけれども、圏央道と上尾道路のクロスするところという地理的な優位性を生かしまして、そういう直売所も含めた地域資源の活用を目的とした道の駅の計画を発表したというふうに承知しております。

 道の駅につきましては、道路利用者にとっても、休憩機能でありますとか情報発信機能の観点からも重要な施設だと考えておりまして、国土交通省といたしましては、桶川市の基本構想を踏まえまして、例えば駐車場は国でやるとか、直売所は桶川市でやっていただくとか、そういった役割分担、費用負担も含めまして今調整をさせていただいておりまして、早急に具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 大臣、これは質問通告はしていません。ただいまの局長の答弁を聞いて、こういう直売所というのは、地元のやる気をどんどん醸し出しているものですから、ぜひ積極的に進めていきたいと思いますので、その点についての前向きな御答弁をいただければと思います。

太田国務大臣 道の駅を発想した、私の同級生で大石さんという人が発想しながら、多くの方の協力をいただいてできました。

 災害ということを考えても、そこに防災拠点としていろいろなものを置いたり、この道の駅、きょう聞いて、大変驚くほどの大事なことだということを改めて痛感しました。しっかり道の駅を注視して、応援できることは応援したいというふうに思います。

大島(敦)分科員 石田委員長、ありがとうございました。太田大臣もありがとうございます。

 ここで質問を終わります。ありがとうございました。

石田主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 九州比例ブロックの単独候補として初当選をさせていただきました。今後とも、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょう朝九時から、太田国土交通大臣を初めとしまして、国交省の皆様には大変長い質疑になっております。できるだけ簡潔に、短く終わらせていただきたい、そのように思っております。

 まず一番最初の質問は、公共工事の入札価格の適正化ということについて御質問をさせていただきたいと思っています。

 私は候補の時代に九州を回っておりまして、建設また土木業者の方々から、最近の入札価格が低下をして非常に苦しいという声を聞いてまいりました。

 実は、私自身の実家も建設会社を経営しておりまして、十年前に父の会社は倒産をしました。当然、経営能力がなかったということが一番の原因だと思っておりますけれども、私もそばで見ておりまして、だんだん入札価格が下がっているということを肌で感じておりました。ですので、しっかりとこの問題に取り組んでいきたいというふうに思いまして、質問させていただきます。

 まずは、やはり入札価格が下がっている、時には赤字工事も辞さない受注状況にある中でございまして、非常に建設土木業者の衰退が進んでおります。特に水害時、災害時に、実際、工事をする業者がいないといったことも、九州は特に昨年の夏に大水害がございましたけれども、そのような声が聞こえてまいりました。

 その中で、この約十年程度、建設業者自体の数または建設関連に従事する従業員の数がどのように減少しているか、お答えいただきたいと思っております。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 まず、建設業の許可業者数でございますけれども、統計をとり始めた昭和二十八年から増加を続けまして、平成十一年度にピークを迎えました。六十万九百八十社でございました。その後減少が続きまして、平成二十三年度は四十八万三千六百三十九社でございまして、ピーク時と比較しますと、十一万七千社余、二一・八%の減少となっております。

 また、就労者数について見てみますと、厚生労働省の労働力調査によりますと、平成九年度に六百八十五万人とピークでございまして、その後減少が続きまして、平成二十三年度は四百九十七万人ということでございまして、ピーク時と比較しますと、百八十八万人、二七・四%の減少となっているところでございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 私は九州で、住んでいるところは福岡でございます。しかし、福岡のいわゆる大都市以外のところを見ますと、実際、若者の就職先というのは農業か、もしくは建設関連業者がほとんどということでございまして、やはりこの建設関連従事者の減少というのは大きな問題であろうかと思っています。

 このような衰退を受けまして、太田国土交通大臣には、このたび公共事業の労務単価の見直しをしていただきました。全国平均で約一五%の見直しということでございます。かつ、二十四年度の受注分につきましても、新年度が始まりまして、二十五年の四月一日以降に契約をする分もこの新単価の見直しで契約できるという大英断をいただきまして、このことをすぐに地元の当の業者に伝えましたら、大変皆様喜んでおられました。その大臣の御英断につきまして、私の方からも深く感謝を申し上げたい、そのように思っております。

 その中で、私はこの公共工事の入札価格の低下をもたらしている原因のもう一つが、予定価格の事前公表、このことがやはり低下につながっているのではないかというふうに思っております。

 すなわち、予定価格を事前公表しますと、いろいろな計算、積算をしますと、最低入札価格もしくはいわゆる低入札調査価格というのがおのずとわかってくる次第でございます。ですので、予定価格と最低入札価格の間で業者さんを入れるわけでございますけれども、どうしても、仕事が少ない中、当然、一番最低の最低入札価格で入札をして、たくさんの業者が競合する中、くじ引きをするというのが現状であろうかと思っています。

 これがまた問題なのが、低価格、いわゆる最低入札価格で入札が行われます。そうなりますと、それが市中に出回りまして、当然労務費が下がる。または、最低限で請け負った金額でもって、それが市中単価になっていきます。そうなると、次の工事を積算するときに、予定価格を計算するときに、市中の価格をもって計算をされる部分が多うございますので、その最低の価格が予定価格にまたはね返ってくるということになっております。すると、また安い価格で業者を落とす。いわゆる公共工事の入札価格のデフレのスパイラル的なものが起きているということを地元の業者の皆様から聞いております。

 実際に、国の直轄事業でありますと、いわゆる予算決算及び会計令の七十九条で、予定価格は事前公表をしないという取り組みが行われていることは承知をしております。ただ、地方公共団体の中には、まだまだかなりの数の工事において、予定価格の事前公表ということがなされておるように聞いておりますけれども、まず、その地方公共団体の実態についてお聞かせいただければと思っております。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 まず、四十七都道府県についてでございますけれども、この予定価格の公表時期を見てみますと、全ての工事で予定価格を事前に公表していた団体が平成二十年度で三十二団体でございました。これが二十三年度は十八団体に減っております。

 一方、逆に、全ての工事で事後公表を行っている団体は、この間、八団体から十三団体にふえているところでございます。

 また、市区町村でございますけれども、平成二十二年から二十三年の一年間ということで見ますと、全ての工事で事前公表していた団体が八百三十団体から七百七十五団体に、五十五団体減少しております。逆に、全ての工事で事後公表のみとしている団体は四百七十団体から五百十団体ということでございまして、四十団体ふえているということでございます。

 このようなことから見ますと、予定価格の事前公表から事後公表への移行が着実に進んでいるのではないかなという認識をしているところでございます。

浜地分科員 そうなりますと、今、事前公表の地方公共団体は減少しているということでございましたけれども、それに伴って、これはおおむねでよろしいんですが、実際の入札価格の入札率といいますか、予定価格からの入札価格というのは上昇の傾向にありますでしょうか。おおむねで結構でございます。

佐々木(基)政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃいました、いわゆる予定価格に対する落札率ということで見ますと、現時点では、直轄工事も都道府県も、ほぼ九〇%弱のところでそろっている、こういう状況でございます。

浜地分科員 いわゆる予定価格からの入札の金額について、大体概算でわかれば結構なんですけれども、入札率といいますか、金額の方がどうかということなんです。

佐々木(基)政府参考人 まことに申しわけございません。ちょっと資料を用意してございませんので、また後ほどお答えさせていただきます。

浜地分科員 事前に国土交通省の方々に聞いた限りでは、やはり事前公表がなくなることによって、金額は徐々に上昇しているというようなお答えがございました。以前、私が個人的にお伺いしたときにお聞きいたしました。

 そうなりますと、国の方は予定価格の事前公表は抑制されております。ただ、国として、まず地方公共団体に対してそのような御指導といいますか、できれば予定価格を公表せずに単価の適正化を目指すといったことの指導というものは、今、現状なされているのかどうか、そのことについてお聞きしたいと思います。

松下大臣政務官 浜地委員、私も九州でありまして、また引き続きよろしくお願いいたします。

 九州の建設業の現状についてもお触れいただきましたけれども、まさに私も共有するところであります。

 御質問ですけれども、地方公共団体の予定価格の事前公表につきましては、法令では禁止されておりませんけれども、低入札価格調査の基準価格または最低制限価格を強く類推させること、また、ダンピング受注の原因となる可能性があると同時に、くじ引きが発生しやすい、御案内のとおりでございます。

 このために、国土交通省といたしまして、予定価格の事前公表の取りやめにつきまして、総務省と共同で、平成二十三年八月に入札契約適正化法に基づく要請をしてございます。

 今後ともこうした取り組みを進めるとともに、技術と経営にすぐれた企業が活躍できるよう、品質の確保と適正な価格が両立するような、単なる価格のみの競争ではない入札契約制度の改革に取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

浜地分科員 大変にありがとうございます。

 入札価格が高過ぎるのは問題であろうかと思いますが、かなり安い金額で入札をしているという現状がやはり見てとれます。ですので、先ほどの政務官のお話のとおり、またしっかりと地方公共団体に対しても御指導いただければ大変ありがたく存じます。ありがとうございます。

 続きまして、公共事業を行う際に、建設機械等の確保という点がやはり問題になろうかと思っております。

 現在、建設土木業者は体力がどんどん失われておりまして、以前はスーパーゼネコンといいますか、大きな建設会社は自分のところで建設機材を持ちません。地元の、地場の建設土木業者が機材を持って、いわゆる大手の業者から注文があったときには自分たちがそれを動かすという現状でございました。

 しかし、私が聞いている限りによりますと、やはり建設業者の衰退に伴いまして、地場の業者がなかなか建設機械を保有できずに、どんどん手放している。その中で、建設機械のリース業界に対する依存度が高まっているというふうにお聞きしております。

 現在、全国にあります建設機械の保有台数及びそのリースの割合についてお聞かせいただければと思っております。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 日本国内におけますショベル、ブルドーザー、クレーンなどの主要建設機械の推定保有台数は、平成十一年の百二十万台をピークに減少しておりまして、平成二十一年でございますけれども、八十五万台にまで落ち込んでおります。

 このうち、今、委員御指摘がございましたレンタル企業が保有いたします主要建設機械の推定保有台数は、平成十一年は三十五万台で、全体に占める割合が二九%でございましたが、平成二十一年には二十九万台と、台数はもちろん減少しておりますけれども、全体に占める割合は三五%ということで、御指摘のようにレンタル業者の保有の割合が高まっておるという現状にございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 このリースに依存しているという問題で、先ほど申し上げましたが、九州でも昨年の夏に大水害がございました。地元の業者さんは機械をお持ちでないので、いわゆるリースの方に頼ろうとしても、なかなか品不足になっておりまして、必要なリースの建設機材が手に入らないという状態が続いております。

 実は、八女にも行ってまいりましたけれども、八女の水害の跡地を見ますと、なかなか、山合いでございますのでショベル等が入れない事情もございますが、大きな機械が集まらずに、手つかずのままという現状でございます。

 国として、その後、建設機械のリース業者との特に災害時における取り組み、何か国の方で協定等を結びながら、そういった建設リース業者との連携を深めるべきではないかと思っておりますけれども、その点についての現状の国の取り組みを教えていただければと思っております。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省は国民の安全、安心を守るという立場にございますので、御指摘のように、建設会社が自社で保有しております建設機械というのが減少していく中では、やはり建設機械を多数保有しておりますレンタル業との連携を図るというのは、災害時の対応としても非常に重要だというふうに考えております。

 このため、例えばでございますが、関東地方整備局と日本建設機械レンタル協会では、建設機械の適正な整備でございますとか維持管理を内容とするような災害協定を締結するなどの取り組みを進めておりまして、日本建設機械レンタル協会の加盟企業は、災害復旧の体制をいざとなったら構築するという仕組みになっております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、こういう災害協定の締結を初めとした取り組みによりまして、災害時にレンタル業を本当に有効に活用できるという取り組みをさらに進めてまいりたいというふうに考えております。

浜地分科員 大変ありがとうございます。

 ぜひその取り組みが全国に広がるように努力していただければ、そのように思っております。

 それでは、最後の質問にさせていただきます。

 きょうお渡ししました、写真が三枚ついておる橋がございます。これは、宮崎県の県央にございます高鍋町という町がございます。松下先生よく御存じであると思っておりますけれども、この橋は、一番上の写真を見ていただきますと、見るからに老朽化している雰囲気があるんですが、幅員が約二・九メーター、全長約二百メーター強の橋でございます。高鍋町という町は人口が約二万一千人で、小さな小さな町でございます。

 なぜこの橋を私は取り上げるかといいますと、私は九州のブロックの候補のときに、我が党でも推進しました防災・減災の総点検運動と称しまして、古くなった公共財をしっかりと点検して、重点配備をするという運動を進めてまいりました。その一環として宮崎に行ったときに、高鍋町で、この橋を見てくださいということで拝見をさせていただいた次第でございます。

 この橋は約五十年前につくられております。一日の交通量が約二千台ということでございまして、見てわかるとおり、幅員二・九メーターでございますので、車の離合ができません。

 近くには、まず総合病院がございます。それと地域の防災センターがございます。また、真ん中の写真を見ていただくと、「歩行中」という写真がございますけれども、小学生が歩いております。近くに小学校がございまして、これは通学路にもなっているという状況でございます。

 そして、一番下の「洪水時」の写真が、完全に橋が水没している写真でございますけれども、これは小丸川という一級河川の上に建っている橋でございまして、潜水橋として施工されておりますので、水害時にはこのように沈むようにはなっておりますけれども、非常に傷んでいる橋でございます。

 私、さまざま、九州の中で防災・減災の総点検運動をいたしましたけれども、実は、一番心に残ったのがこの橋でございます。

 なぜかといいますと、私が視察した日は雨が降る日でございました。ちょうど小学生が通学時間でございまして、車が通ってまいりました。真ん中の写真にありますとおり、少し、橋の真ん中に避難域みたいなものがございます。車が通るときは、小学生は雨の中、ここに傘を寄せ合って、肩を寄せ合って、車が通るのを待つという状況でございますので、非常に大変だなという実感を持っています。

 ただし、この橋は、高鍋の町の管理でございまして、残念ながら、国の直轄の橋ではございません。ですので、ここをかけかえしようとしましても、やはり国からの補助金に頼りながら、町としての事業で行うしかないという状況でございます。

 実は、この高鍋町というところは、宮崎県の中では二番目に財政状況がいいところでございますので、いわゆる事業を行うときの国の補助率は五五%のままで、かさ上げはございません。このかけかえ工事を行うのに約五十億円かかると言われておりますけれども、実際は二十二億強のお金を高鍋が出さなければいけないわけでございます。

 しかし、財政状態がいい高鍋でございますが、一年間の予算は約八十億円、その中で、いわゆる公共事業関係費は約三億円でございます。そうなりますと、たったの二億か三億しか予算のない町が二十億強かかる橋を建設するというのはやはり事実上不可能でございまして、それは、直轄ではないから仕方ないということでございますけれども、こういった補助率が非常に低いんだけれども、実際、小さな地方公共団体では、現実的にかけかえ工事をしたくてもできないという橋がたくさんあろうかと思っております。

 その点につきましてちょっと大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういった国の直轄事業から外れます橋につきまして、ぜひ、また国としてのさまざまな強力な支援をお願いしたいというふうに思っておりますけれども、この現状を見てお答えいただければ、そのように思っております。

太田国務大臣 この高鍋の竹鳩橋、これは、写真を見ても、また、通学路になっているということからも必要であって、しかも、修繕、かけかえをしようとするということは当然だろうというふうに思います。

 そこで、結局、財政的な問題ということになろうと思います。御指摘の地方公共団体に対する財政的支援ということでは、防災・安全交付金ということで、これを重点的に配分する、こういうことでしっかり行うということが大事だというふうに思っているところです。

 高鍋町と宮崎県と今後の方向性についてよく御相談をいただいて、国として、その上で必要な支援は行ってまいりたい、このように思っております。

 また、我が省の政務官は松下政務官でありますので、よく連携をとって、支援できるところは支援をしたいというふうに思っているところです。

浜地分科員 大臣、大変にありがとうございます。

 私も、地元の声を聞きながら、また、地元の調整役として果たせる部分の役割をしっかりと果たしていきながら、地元住民の方のために、この橋のかけかえ工事にしっかりと汗をかいてまいりたいと思いますので、今後とも、ぜひさまざまな御指導をよろしくお願い申し上げます。

 大変にありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

石田主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、秋本真利君。

秋本分科員 自由民主党の千葉県の秋本真利でございます。

 あと一人でございます。私が大トリだというふうに思いますけれども、多くの先生方がこれまで十二時間かけて質問をしてきたと思いますので、重複する部分もあるかもしれませんけれども、ぜひ丁寧に、ラストですので、最後、もうちょっとテンションを上げてお答えいただければと思います。

 大臣、副大臣、政務官、政務官は私の学校の先輩でございます、私は後輩でございます、法政大学の出身でございますけれども、十二時間、本当に長丁場、お疲れさまでございました。

 きょう、日中は、私は千葉でございますので、御党の懇話会に出席させていただき、私が懇話会で、きょうこの時間にこの場で太田大臣に質問をするんだという話をしましたら、党の多くの女性の方から、太田大臣はいろいろな意味で大きな方だから、その大きな胸をかりて頑張ってきなさいというふうに声をかけていただいて、送り出していただきました。

 私、地方議会出身者でございますので、二年少し選挙運動をしてまいりましたので、約二年ぶりに公の場での一般質問ということになります。それで、ぜひ大臣に、私、記念すべき初めての質問でございますので、最初の質問の相手が事務方ですと、ちょっと私自身としても少し、できれば大臣に最初の答弁を答えていただければというふうに思います。

 羽田空港と成田空港は、首都圏空港として、両空港とも日本の宝でございますので、しっかりとこれから発展していかなければならないと思うわけでございますけれども、ざっくりで構いませんので、首都圏空港の重要性、これからの発展の必要性というものについて、簡単で結構でございますので、お答えいただければというふうに思います。

太田国務大臣 空港というのは、とにかく、日本の経済、またそれに寄与する観光ということにおいても、何よりも玄関口でありますから、ここが元気でなくちゃならない、そして、発着便数も多くなるという、充実した体制をつくることが大事だというふうに思っております。成田か羽田かという論議が、一時、昔はあったように思いますが、私は、双方が協力をして、首都圏の玄関口として、日本の玄関口として拡充がされるということが大事だというふうに思っているところです。

 成田につきましては、先般も大変御協力をいただいて、十一時までというのを十二時までという例外措置をとっていただいたり、そうしたこともやっていただいて大変感謝しているところでもありますし、きょういろいろ質問もありましたが、圏央道の充実も含めて、首都圏とのアクセスということも含めて、玄関口たる成田が一番大事な空港であるという、そうしたことについて拡充体制がとれるよう、国交省を挙げて努力をしたい、このように思っております。

秋本分科員 太田大臣、大変力強い答弁、本当にありがとうございます。私の初めての質問の答弁の相手が大臣で本当によかったというふうに思っております。ありがとうございます。

 成田空港は、大臣のおっしゃるとおり、この日本国の宝であります。そして、我が千葉県にとっても宝でございますし、地域にとっても非常に大事な宝であります。三十万回も控えておりますし、大臣のお話にありましたカーフュー、この弾力的な運用もいよいよスタートをいたしました。私は、個人的には、これは大変よかったというふうに思っております。私自身もしっかりと後押しさせていただいて、さらなる空港の発展に寄与していきたいというふうに思っているわけでございます。成田空港がますます発展して、世界の中でもトップクラスのハブ空港としてますます、ますます発展することを願っているわけでございます。

 その成田空港も、閣議決定から四十七年たちました。そして、開港から三十五年たったわけであります。約四十年、五十年たった空港ですから、やはり基本設計というのが少し古いのではないかなというふうに思います。空港は、大きなものから小さなものまで諸問題がありますけれども、こういった問題の多くは、やはりその設計の古さに起因しているものも数多くあるのではないかというふうに私自身は思っているわけであります。

 こういったものを、改善できる面は改善をして、世界の空港の中でしっかりとハブ空港としての地位を確立して勝ち抜いていかなければならないわけですから、我々は、これをしっかりと国策として後押ししていかなければならないというふうに思っているわけであります。

 そうした中、施設や交通体系をしっかりと見直す時期にそろそろ来ているというふうに思いますので、何点かお伺いをしたいというふうに思っております。

 成田空港の中の貨物地区というのが、大きく分けて南北に分散してしまっているという状態がございます。そうすると、空港内に、貨物地区に貨物を運び込む大型車と空港一般旅客の一般車が混在するという状況になってしまっています。これは、貨物地区が分散していることが原因なのか、あるいは道路形態の不備が要因なのかというのはコロンブスの卵のような議論でございますけれども、しっかりとこの辺を再考して、もう一度枠組みを考え直す必要さえあるのではないかなというふうに私は思います。

 現実的には無理かもしれませんけれども、やはり空港の競争力を考えたときに、どこか一カ所にどんと貨物地区を置いて、そこに対してのアクセスは、直接外からそこの貨物地区に入れるんだというぐらいの枠組み、見直しがあっても本当はいいんじゃないかなというふうに私は思います。ただ、現実的にはなかなかそういったことは難しいのかなというふうに思いますけれども。

 貨物地区への道路網を新たに整備する、あるいは一般利用者の車と貨物車の動線をしっかり分ける。こういった整備をすることは、一般利用者と貨物地区の利用者の双方にとって利便性の向上につながるのではないかというふうに私は考えているわけでございますけれども、このことについて、どのように考えていらっしゃるか、見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 成田空港の貨物取扱施設は、開港当初は空港の北側に設置されたわけでございますけれども、その後、増大する航空貨物に対応するために空港南側にも設置されて、平成十五年から供用を開始いたしました。その結果として、今先生御指摘のように、貨物取扱施設が分散し、そして、その周辺で一般車両や貨物車両がふくそうをし、混雑する時間帯がある、こういった課題も生じているところでございます。

 このために、成田空港会社では、先般、これは三月二十八日に発表した中期経営計画でございますけれども、この中で、航空物流機能の強化を図るため、貨物地区の混雑緩和、動線の簡素化等、効率化の取り組みを進めるとともに、将来の貨物需要に応えるための上屋の再配置など、施設展開計画を策定すると明記しておりまして、今後、具体的な検討を進めていくものと認識しております。

秋本分科員 しっかりと再編を進めていただいて、貨物の取扱量をこれからもふやしていっていただければなというふうに思います。開港当初に比べて、国際的な競争展開の中で、成田の貨物の地位というのは、少しずつですけれども、低下してきているという中で、やはりここでもう一回カンフル剤を打って、空港の国際的な地位を取り戻していただきたいというふうに思います。

 ぜひ、今答弁のあったとおり再編を進めていただいて、空港の地位の向上に資していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に行きますけれども、空港周辺の道路交通事情は、朝夕の通勤時間には大変混雑をいたします。私も空港周辺の市の出身者でございますけれども、朝晩は物すごく渋滞をしております。空港に入る手前は数キロメーターにわたって渋滞をしておりまして、これは空港への通勤者あるいは空港関連企業等の車両が大きく起因しているんだろうというふうに思います。

 空港周辺の道路網は、空港機能の拡充に伴い、確かに整備は行われておりますけれども、空港への一般道の入り口が、先生方あるいは国交省の方も空港に行ったことがあると思いますけれども、二カ所しかないんですね。しかも、この二カ所は南北に設置されておりまして、東西には空港に対しての一般道での進入口というのはございません。どうしても、その南北の二カ所の入り口で渋滞が発生するというわけですね。

 また、東西から空港にアクセスしようとすると、どうしても東西をぐるっと半周回って空港の中に入場するしかないということになるわけでございますので、東西の地域が分断されていて、一体性を欠いているという観点があるのだというふうに思っております。

 確かに、空港の東西を走っている道路も、小見川鹿島港線という道路があるんですが、たったそれ一本だけでございまして、その道路も全線開通には至っておりませんで、こういったものの整備をしっかりとしていかなければならないんだろうというふうに思います。

 そうした中で、空港の西側にゲートを設置していただいて、そこから空港の中に進入できる、入場できるような体制をぜひとっていただきたいというふうに私は思うわけであります。

 そして、大臣、物すごく大きい空港でございますけれども、この空港の中で、都市計画決定がされている地域やかかわっている地域というのは一カ所しかございません。これが闘争でも有名になりました三里塚地区でございます。この地区だけが、空港に隣接している地区の中で都市計画決定が打たれている。

 この三里塚が空港の西側に位置をしているわけですけれども、この三里塚から空港に入るに当たって、ぐるっと南北どちらかを回らないと空港の中に入場ができないという現状がございます。

 これは、三里塚の現地の方にも言われるんですが、やはり、空港があることの恩恵を多くの方に感じてもらうときに、経済性の観点からメリットがあるんだということを感じることが一番いいのではないかと。その西側ゲートをつくることによって三里塚側からも空港に入場ができるということによって、もちろん、その地価は上がりますし、経済上のカンフル剤にもなりますので、地域経済の発展にも大きく寄与するものだというふうに私は思っております。

 そして、西側には、成田の三里塚地区はもちろんですけれども、隣の富里市ですとか、あるいは八街市であるとか、都市部が結構くっついているんです。都市部がそこにあります。そこから空港というと、重ねて申し上げますけれども、どうしても南北をぐるっと半周回らないと空港に入場できないんです。

 これは、私は、成田空港の抱えている大変大きな課題であろう。特に、その三里塚地区ももちろんそうですけれども、都市計画決定されている地域の方々に対して、空港がそこにあるという恩恵を強く感じてもらう、あるいは東西で分断されてしまっている空港周辺の地域に一体感を持っていただく、そしてその発展に寄与するという意味でも、西側に限らず、今回は西側を質問しようと思いますけれども、東西からも空港にアクセスできるんだということが私は必要なのではないかなというふうに思いますけれども、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。

田村政府参考人 確かに、先生御指摘のように、地域の方々全体が、空港のメリットといいますか恩恵というものを感じていただく、空港と地域が共生共栄していく、こういう視点は非常に重要であるというふうに考えております。

 そういうことがございますけれども、今御指摘のあったその進入ゲートを整備するという場合には、空港内に入った後、制限区域に入らずにターミナルビルまでルートを設定することが可能なのかどうかとか、それから空港警備との関係で問題が生じないかとか、そういういろいろ慎重に検討しなきゃいけないところもございます。

 特に、西側に進入ゲートを整備する場合に、普通に設定しますと滑走路を横断するような形になりますので、トンネルを整備することが空港の構造上可能かどうかとか、いろいろ考えなきゃいけないことがございます。

 ただ、今御要望、御質問の趣旨につきましては、今申し上げたような課題も含めまして、成田空港会社にしっかりと伝えたいというふうに思っております。

秋本分科員 大臣、東西が分断されてしまっている、これは私、成田空港の抱えている大きな政策課題の一つだというふうに思うんです。ぜひ、もう一度、再確認していただいて、成田空港への進入路が南北にしかないという点で、東西からの進入もぜひ実現していただきたい。大きな政策課題で長い時間かかるかもしれませんけれども、ぜひ、検討課題の一つとしてこれからも検討していっていただきたいというふうに思いますので、この辺については、できれば強く要望しておきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 大臣も成田空港を多く利用されると思いますけれども、成田空港、実は第一ターミナルと第二ターミナルを結ぶ交通網がバスしかございません。国際空港であるにもかかわらず、乗りかえを含め、バスでの移動しかないというわけであります。もちろん、地下に電車が走っておりますので、電車に乗れば移動はできるんですけれども、有料である上に、相当程度の垂直方向の移動を伴わなければ移動できませんので、ちょっと現実的ではないのかなというふうに思います。やはり、国際的な観点から空港を比較したときも、水平方向でしっかりと移動できることが必要なんだろうと私は思っております。こうした観点から、成田空港も、第一ターミナルと第二ターミナルをしっかりと水平レベルで結んでこそだというふうに思うわけであります。

 こういった話をすると、航空会社の再編で、一ビルには一ビル、二ビルには二ビルで航空会社を再編してあるんだから、それは一定程度クリアできているんだという話もするんですが、私、成田空港のすぐ、十五分、二十分のところに実家がありますので、空港もよく利用するんですけれども、行って、黄色のバスで移動しているバスがあるんですが、よく見ていても、結構乗っていらっしゃいます。これはやはり需要があるんだろうというふうに思います。それに、潜在的な需要もあると思うので、実際、水平方向での移動がしっかりできるということになれば、今まで以上に移動する方もふえるのではないかというふうに思っているわけであります。

 また、御存じのとおり、空港のビルの中には商業施設も入っておりまして、これは地域の経済の発展、あるいは地域の共生、共存共栄という中でも大きな役割を果たしているんだというふうに思うわけですね。

 現状では、そういう商業施設の近隣の方の利用者という意味で考えればですけれども、一ビルに行って商業施設を利用すれば一ビルだけで終わってしまうし、二ビルに行けば二ビルだけで終わってしまうという現状があるんだというふうに私も思います。

 現実に、私自身も、あそこに例えばお昼を食べに行ったり、何か買い物をしに行ったとしても、一ビルで何かをした後に二ビルまで行こうという気にはなりません。それはどうしてかというと、やはり今言ったように、アクセスが非常に悪いわけであります。一度駐車場まで戻って車を出して、ぐるっとターミナルを回って隣のターミナルまで行って、また駐車場にとめてターミナルに入るんだ。あるいは、バスに乗って移動するしかない。あるいは、電車に乗って垂直方向に相当程度移動してターミナル間を移動するしかない。これは、私は不備なんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 ぜひ、一ビルと二ビルを水平レベルでしっかりつないでいただいて、この移動もたやすくできるという状況をつくり出すことが、旅客に対しての利便性の向上もあるし、今言ったような商業施設の観点から考えたときに、地域の経済の活性化、あるいは共存共栄という観点からも、私は必要なのではないかなというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、今、成田空港のターミナルビルを結ぶ移動手段というのは、成田空港会社において無料の連絡バスを運行しているということでございます。それから、もちろん、有料なら電車があるということでございます。

 そういう意味では、もちろん理想としては、平面で円滑に移動できる手段があるというのは、一つの課題としてあろうかと思います。ただ、仮にバス以外の交通システムを導入するということになりますと、当然多額の投資が必要になるということがございます。したがって、提供するサービスとそれに係るコストとのバランスというのは慎重に検討しなければいけないということではございます。

 いずれにしても、この移動の問題というのは非常に重要な課題でございますから、引き続き検討させていただきたいと思います。

 なお、連絡バスについても、できるだけ、荷物の多い方が通りやすいような、そういう新型の車両を導入したりして、いろいろ努力は引き続きさせていただきたい、こういうことでございます。

秋本分科員 それと、今、ノンストップゲートの実証実験が始まったわけであります。私は、これは大変望ましいことでありますし、できるだけ早期に本格運用をしていただきたい、早期の導入を望みたいというふうに思います。

 しかし、そういった取り組みを、空港になるべく入りやすく、普通の空港に近づくと言っていいんでしょうか、そういった努力をしている手前で、鉄道の二重改札という問題が発生してしまっております。

 これは正式には中間改札と言うのかもしれませんけれども、大臣、電車で空港に行くことは余りないかもしれませんけれども、今あそこにおり立って、普通は、ぴっと一回やって改札を出れば外に出られるんですが、成田空港の場合は二回やらなければ外に出られないんです。これはぜひ大臣にも新たに認識していただいて、この課題に取り組んでいただいて、この二重改札というのを早期に解消していただきたいというふうに思います。

 これに向けて、ぜひ国が積極的にコミットしていって改善することが望ましいと私は思っているんですけれども、このことについてどうでしょうか。

田村政府参考人 御指摘の鉄道駅における二重改札問題というのは、従来から指摘されてきたところでございます。それで、平成二十年十月に、成田空港高速鉄道株式会社、JR東日本、それから京成電鉄、そして成田空港会社で検討委員会を設置して、検討を進めてきました。

 ただ、鉄道駅のエリアとセキュリティーエリアの配置を見直す場合、先ほどとちょっと似たような話なんですけれども、多額の工事費がかかる、費用対効果の検証が必要であるということと、それから、JR線専用の出口、改札口を設置するということになりますと、現状に比べて大きく迂回したルートを設定しなきゃいけないということで、かえって利用者に御不便をかけてしまうというようなことがあって、今後の状況を見定めた上で、必要に応じ対応を検討する、こういう結論が当事者の間でできたところでございます。

 ただ、利用者利便の向上を図ることは非常に重要な課題であるということは、私どももそういうふうに認識をしております。それで、まず当座のこととしては、外国人のお客様も含めて、利用者がわかりやすい案内表示等によって、余り迷わないようにする、わかりやすくする工夫というのができないかということを鉄道事業者あるいは成田会社に対して働きかけてまいりたいというふうに思っております。

秋本分科員 成田空港は特に外国人の利用者の方も多くいますので、二重改札というのは日本人でも戸惑うケースでございますので、できれば、この点については、鋭意取り組んでいただいて、早期に解消していただければというふうに要望いたします。

 次に、羽田空港の騒音の問題です。

 我々千葉県の上空を、今、相当程度羽田の離発着の飛行機が飛んでいっています。私の選挙区でも、多くの方から騒音に関してのクレームを聞くわけでございますけれども、三月七日から南側ルートの試行運用が始まりました。今までよりも二千フィート高度を引き上げるということでございますけれども、この効果は一定程度あるのかなというふうに思います。

 そうした中で、この試行運用がトラブルなく終われば、どこかの段階で区切りをつけて本格運用となるわけですけれども、この区切りがあるときに、試行運用前の旧ルートに戻さずに、試行運用からそのまま本格運用に移ってもらいたいと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

田村政府参考人 今先生御指摘のように、南風好天時に千葉市上空を通るルート下の騒音軽減のために、南方面からの到着経路の飛行高度の引き上げということを今、試行をやっております。昨年八月から十一月まで一回やったんですけれども、その後、検証して、またこの三月から試行運用を再開した、こういうことでございます。

 それで、今先生御要望されましたような段取りでやりたいと思っております。つまり、南方面からの高度引き上げの本格運用へ移行する際、しっかり課題の抽出、検討で安全を確認しなきゃいけないわけですけれども、それが確認された時点で、間を置かずに引き続き本格運用に移行してまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 ありがとうございます。ぜひそのように、旧ルートに戻さずにそのまま移行していただければと思います。

 また、機材、ジャンボを、なるべく低減するんだという話も聞いております。これもぜひ国交省の方で力強く後押ししていただければというふうに思います。

 それと、騒音の監視体制をしっかりと強化していただくということが地元住民の不安の払拭につながると思いますけれども、この点について、協力していただけないでしょうか。

田村政府参考人 従来から、国交省におきましては、空港周辺の航空機騒音を測定するために、周辺地域に騒音測定局を設置いたしまして、年間を通じて騒音値の測定を行ってきているところでございます。

 それで、羽田空港用の騒音測定局、従来から十二カ所あったわけでございますけれども、これに加えまして、騒音監視体制の強化のために、新たに千葉県佐倉市それから四街道市に騒音測定局を設置することとして、必要な予算をこの平成二十五年度の予算案に計上しているところでございます。

秋本分科員 どうもありがとうございます。これから夏に向けて戸をあける方も多いので、いい時期に設置していただけるなというふうに思います。

 この問題なんですが、民主党政権下で、副大臣が私の選挙区まで来まして、視察をしていっているんですね。この測定器の設置に合わせて、我々自公政権でも、ぜひ政務の方に地元に来ていただいて現地を視察していただければこれほど心強いことはないと、千葉県民挙げてお待ちしておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

太田国務大臣 きょうは、成田について、いろいろな、現場で聞いている話、見ている話、これはおかしいなというような話を聞かせていただきました。

 それらも含めてしっかりと、政務の側として、現地を見て、そしてまた空港会社とも、現在のところで、今までの経緯の中で、やむを得ないとかいろいろなことで来たということもいっぱいあるかと思いますが、新しい、成田の拡充という段階でできることはやらなくてはいけないということで、我々としては、きょう御指摘のことを含めて、現地へ行って相談をさせていただくということを申し上げたいと思います。

秋本分科員 太田大臣、本当にありがとうございます。心強い答弁、本当に心から感謝申し上げたいというふうに思います。本当に太田大臣に、千葉県民を代表して私は感謝を申し上げたいというふうに思うわけであります。

 次に、道路の方の問題に移りたいと思います。

 五十一号の北千葉拡幅というものがありまして、これは、県都の千葉市から成田空港の方面に向かっての大動脈であります。私の選挙区のど真ん中を通っているわけでありますが、コンクリートから人への合い言葉のもと、民主党政権下で予算が大幅に削減されてしまいました。

 お手元に資料を配付させていただきましたけれども、三億五千万、二億六千万、これが突然一億二千万に減り、次の年は二千百万円、ほとんどゼロに近い額に減らされてしまっております。

 北千葉拡幅は大変必要なポイントでございまして、朝晩、物すごい交通渋滞が発生しております。きょうも、地元から、秋本君、必ずあそこに予算をつけて自公政権で力強く進めてくれというふうに後押しされて、この場に立っているわけであります。

 国土強靱化、あるいは防災・減災ニューディールという考え方のもと、必要な工事は進めるんだという中で、このポイントは大変重要なポイントであるというふうに思っております。ぜひスピード感を持って進めていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

前川政府参考人 国道五十一号の北千葉拡幅についてお答えを申し上げます。

 国道五十一号は千葉市から水戸市に至る大変重要な幹線道路でございまして、現在、千葉市の若葉区貝塚町から佐倉市馬渡に至る七・六キロを現道拡幅事業として進めておるところでございます。ちょうど約半分の三・八キロについては四車線になっておりますが、残り半分についてはまだ二車線のままということでございます。特に、吉岡十字路交差点の周辺が大変渋滞しているということもありますので、現在、その周辺を中心に、用地買収の説明会等をやらせていただいているところでございます。

 なお、予算につきましては、先生の資料にもありますように、ことしの二月の二十四年度補正におきまして三億六千万つけて、事業の進捗を図ることとしておりまして、今後とも、必要な予算の確保をして事業を進めてまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 本当にありがとうございます。

 スピード感を持って、我々自公政権でしっかりと進めていきたいと思いますので、ぜひお力添えを賜れればと思います。

 最後に一点だけ質問させてください。

 千葉と東金を結ぶ交通の要所である百二十六号の宮田交差点でございます。ここはボトルネックになってしまっておりまして、現在でも大変激しい渋滞が発生しております。交差点の形状がちょっと悪いわけでございますけれども、この点について、近くに中学校もございますし、ぜひ整備を考えていただければというふうに思うわけでございますけれども、この宮田交差点の改良について、どのような考えをお持ちでしょうか。

前川政府参考人 国道百二十六号の宮田交差点でございますが、委員御指摘のように、変則的な四差路交差点になっておりまして、またさらに、近接して東側に、通称中田町交差点がございます。そういったこともございまして、右折レーンが短いでありますとか、直進車の青時間が短くて交通渋滞が激しい、また、近くに学校があるにもかかわらず、毎年二件から三件の事故も発生しているというようなことでございます。

 このため、平成二十一年度に、当面の対策といたしまして、事故危険区間の注意を促し、通行区分を明確にするため、路面にカラー舗装を行いまして、渋滞や交通事故軽減に資することを対策としてやりましたが、抜本的な対策としてはさらなる検討が必要だと考えております。

 今後、警察、また千葉県、千葉市など、関係機関と調整をいたしまして、歩道の設置でありますとか、交差点の形状の改良でありますとか、必要な対策について検討をしてまいりたいと考えております。

秋本分科員 これで質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

石田主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後九時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.