衆議院

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第1号 平成28年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      越智 隆雄君    門  博文君

      山本 有二君    大西 健介君

      柿沢 未途君    赤羽 一嘉君

二月二十四日

 赤羽一嘉君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 赤羽 一嘉君

      越智 隆雄君    加藤 鮎子君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      工藤 彰三君    瀬戸 隆一君

      中川 俊直君    野中  厚君

      山本 有二君    大西 健介君

      柿沢 未途君    武正 公一君

      中島 克仁君

   兼務 中谷 真一君 兼務 小川 淳也君

   兼務 緒方林太郎君 兼務 玉木雄一郎君

   兼務 西村智奈美君 兼務 福島 伸享君

   兼務 上田  勇君 兼務 大口 善徳君

   兼務 池内さおり君 兼務 真島 省三君

   兼務 井上 英孝君 兼務 椎木  保君

   兼務 村岡 敏英君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      土井  亨君

   国土交通副大臣      山本 順三君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   財務大臣政務官      中西 祐介君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    江島  潔君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        北村  匡君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 掛江浩一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 亀水  晋君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房参事官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            土井 良治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        金尾 健司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    塩路 勝久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     西山 幸治君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     野中  厚君

  山本 有二君     勝沼 栄明君

  大西 健介君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     瀬戸 隆一君

  野中  厚君     工藤 彰三君

  武正 公一君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     中川 俊直君

  瀬戸 隆一君     加藤 鮎子君

  大西 健介君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     山本 有二君

  中川 俊直君     越智 隆雄君

  中島 克仁君     大西 健介君

同日

 第一分科員村岡敏英君、第二分科員井上英孝君、第三分科員緒方林太郎君、真島省三君、第四分科員小川淳也君、上田勇君、第五分科員西村智奈美君、第六分科員玉木雄一郎君、大口善徳君、椎木保君、第七分科員中谷真一君、福島伸享君及び池内さおり君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

赤羽主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私は、予算委員会理事を務めております赤羽一嘉でございます。

 本日、本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 国土交通省関係の平成二十八年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般会計予算の国費総額につきましては、五兆七千七百六十七億円です。

 また、復興庁に一括計上している国土交通省の関係予算は、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費として東日本大震災復興特別会計に六千八百九十七億円を計上しております。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 また、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として、一兆七千四百九億円を予定しております。

 次に、平成二十八年度の国土交通省予算の全体方針につきまして、御説明申し上げます。

 まず、東日本大震災からの復興については、実感できる復興に向けてしっかりと取り組みを進めていく必要があります。また、激甚化する気象災害や切迫する巨大地震等に備えるための防災・減災対策、高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化対策が喫緊の課題となっております。さらに、個性豊かな活力ある地域の形成や成長戦略の具体化による強い経済の実現が強く求められております。

 こうした認識のもと、平成二十八年度予算については、東日本大震災からの復興加速、国民の安全・安心の確保、豊かで利便性の高い地域社会の実現及び日本経済の再生の四分野に重点化し、施策効果の早期発現を図ってまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

赤羽主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石井国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)分科員 おはようございます。衆議院議員の中谷真一でございます。

 きょうは、発言の機会をありがとうございます。また、大臣初め皆様、朝早くから御苦労さまでございます。一生懸命質問させていただきたいというふうに思います。

 それでは、時間もありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、最初の質問は、官公需法について御質問したいというふうに思います。

 今、地方創生、あとは、一極集中をどう排していくかというところのさまざまな議論が行われているところでございます。特に地方は、なかなかお金が回っていかないという現状もございます。試算によりますと、地域において、一〇〇お金があったとしたら、地域で還流するお金はそのうちの大体六〇と言われていまして、四〇は東京、こういったところに向かっていくというふうに言われています。

 こういう言い方をするとちょっと語弊があるかもしれませんが、例えば、セブンイレブンさんとかローソンさん、またイオンさんで買い物をしたりとか、またインターネットで買い物をすると、やはり東京にお金が向かっていってしまうというものであります。

 私は、地域の均衡ある発展というのが非常に重要だというふうに思っています。最近、余りこの言葉も言われなくなってきたというところで、これは大きな声を上げていかなければいけないなというふうに思っておりますけれども、そういった意味では、やはり集中した富を再配分していくという機能が国にはあって、また、それが非常に重要だというふうに私は思っているところであります。

 特に国土交通省の事業というのは、私はやはり、地域にインフラを整備していくという意味では、地域に対して均衡ある、いわゆる再配分に非常に適しているのではないかというふうに思っています。そういう意味では、この再配分機能を私は最大限発揮していただきたいというふうに思っているところでございます。

 この際、事業を行うときに、官公需法のお話になりますけれども、官公需法というのは、地域においてインフラを整備するときに、その地元の中小企業、こういったところにやはり発注をかけていく。これは、地域に落としても、ゼネコンさんがとっていくとなかなか地元に落ちないというものでございまして、私の地元の中小企業事業者も、やはりもっと地域に、私のところは今、中部横断道を整備していただいているところでございますけれども、これも大事業であります、年間三百億円を超える予算を投じていただいて今整備を行っているところでございますけれども、やはりこのうちのできるだけ多くの部分を地元に落としていただきたいというふうに思っているところでございます。

 今政府が行っているいわゆる公の事業に対して、そのうちどれぐらいが中小企業に向かっているかというところを、これは政府全体です、五二・八%、約五三%が中小企業に向かっているというものであります。このうち国土交通省は五五%ということでありまして、この約五三%に比べれば、中小企業に向けて発注をしていただいているという状況であります。

 ただ、山梨県を見れば、九九・九%は中小企業でありまして、また従事者も八九・九%が中小企業において従事している、これは全国で最も高いというふうに言われているんですけれども。そのような状況において、五三%というのはそもそも適正なのかという議論もあるんだろう。私は、もっと中小企業に向けて発注するべきではないかというふうに思うところでございます。

 また、中小企業に発注していただこうとする場合には、いわゆる国土交通省の出先機関、全国にあると思うんですけれども、この出先機関が発注をしていく際に、例えば、大きく切れば小さな中小企業というのはとれなくなっているわけであります。ですから、これを細かく切ったりとか、こういう作業が出てきます。これは、私は非常に非効率的な作業なんだろうというふうに思うところであります。

 ただ、やはりこの非効率的な作業をしていただかなければ、なかなかそういうことができないというものであります。ただ、一連の人員削減等により出先の人員が削減されているということもお聞きしているところでございまして、そういう非効率的な作業をするに当たって非常に人員が不足しているんだという声も聞いているところでございます。この点についてもお伺いをしたいなというふうに思います。

 また、山梨県は、この後、これも山梨県の一つの夢でありますけれども、リニアを整備していただけるという計画になっております。このリニアも全部合わせると五兆円ぐらいの事業になる、これは非常に大きな事業であります。このうち、山梨県は地表面に最も出る区間というふうに言われておりまして、二十一キロが地表面に出ます。そのほかのところはほとんどトンネルなんですね、リニアは。地表面に二十一キロ出るというところもございまして、やはり私は、これはまた住民対策という意味でも、工事発注に関して地元の企業をできるだけ使っていただきたいというふうに思うところでございます。

 ここで御質問申し上げたいのは、まず、先ほども申し上げました、中小企業向け発注が約五三%というのはもっと高くてもいいのではないか。そのことに対しての見解。

 また、公共事業を官公需法に基づいて地元企業に落としていこうとした場合、これは非効率な作業をしなければなりません。これに対して、非常に人員的に厳しいというお声も聞いています。この現状について。

 また、もう一つは、先ほども申し上げました、いわゆるリニア工事自体が、まず、これはJRですから民間企業だという言い方もできるわけでありますけれども、官公需法の対象なのか。対象であれば、できる限り地元に、中小企業に向けて発注をしていただきたい。これに対しての御見解を伺いたいと思います。お願いいたします。

山本副大臣 おはようございます。御質問ありがとうございます。

 今、中谷議員からお話があったように、官公需法におきまして、中小企業の受注機会の増大を図るために、政府は毎年度、中小企業者に関する国等の契約の基本方針を閣議決定いたしておりまして、各府省はこれに基づく取り組みを実施されることとされております。

 今、五三%という話がございました。もっともっとしっかりやれよというような激励のお話でございますが、国土交通省におきましては、先ほど申し上げた基本方針に基づいて、平成二十七年度の中小企業者向けの契約額の比率の目標値を五五・八%、国全体の契約目標は五四・八なんですけれども、国交省は五五・八%という目標を掲げておりますけれども、恐らく議員の考え方はもっともっとやれよということだろうと思いますので、そういったお話も参考にしながら、これからも努力をしてまいりたいと思っています。

 なお、人員の話が出ました。今の流れからいきますと、そのために人員をふやすというのはなかなか難しいんだろうと思いますけれども、国交省も非常に優秀な人材がたくさんそろっておりますので、そういった意味では、今の限られた人材の中で懸命の努力をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

 そして、その目標達成に向けまして、今お話がありましたけれども、地域要件の適切な設定をしたり、あるいは分離分割発注の推進を積極的に行う、さらには無理のない適正な工期の設定をする、そういったところにこれから取り組んで、中小企業の受注機会の増大を図っていきたいなというふうに思っているところでございます。

 地域の中小企業は地域経済の活性化に極めて重要な役割を担っていることを踏まえ、さらには、山梨県も私の地元の愛媛県も田舎でございますから、そういった意味では、地方創生という観点からも引き続き中小企業の受注機会の増大に取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

池田政府参考人 工事の発注に伴う方法についての御質問がございました。

 公共工事の発注に際しましては、トンネルなどの大規模な工事を除きまして、現場の状況を踏まえて、できる限り地域企業を対象にする規模での発注に努めておるところでございます。

 例えば、国土交通省の一般土木工事では、大規模な震災復興工事の割合が大きい東北地方を除きますと、地域企業を対象とする規模の工事の比率につきまして過去十年の間で平均してみますと、金額ベースでは五三%から五八%、件数ベースでは九一%から九二%の間で推移しておりますので、現時点において、地域企業を対象とした規模の発注が困難になっているというような状況にはないと考えております。

 今後とも、地方整備局の発注体制につきまして、入札契約事務の効率化を図りながら、地域の状況を十分に注視して、引き続き地域企業の受注機会に配慮した工事発注に努めてまいりたいと考えております。

藤田政府参考人 リニア中央新幹線についてお答えいたします。

 リニア中央新幹線の建設主体でありますJR東海、これは御指摘のとおり民間企業でございまして、官公需法の対象ではございません。

 ただ、一部区間、これは山梨県内にもございますけれども、これにつきましては独立行政法人の鉄道・運輸機構がJR東海から建設事業を受託しております。この鉄道・運輸機構は官公需法の対象になっております。

 したがいまして、鉄道・運輸機構は、官公需法に基づきまして、中小企業者の受注の機会の増大を図るための方針を策定しておりまして、リニア中央新幹線の工事も、この方針に従って実施されることとなります。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 今国の出先のお話もございましたけれども、人員削減をまたさらに進めていくと、そういったこともできなくなっていくんだろうというふうに思いますので、ここはしっかりと業務との折衷を図りながら、地域のためにだというところもあると思いますので、そこはやはり適正な人員配置、これについても国交省の方からぜひお声を上げていただきたいなというふうに思います。

 また、リニアについては、いわゆる地表面に出るところは鉄道・運輸機構というお話だというふうに思います。そこはしっかりと、またぜひ、できるだけ地元のことに配慮していただきたいなというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に移ります。中部横断道について御質問をさせていただきます。

 山梨県というところは空港もなければ港もないというところでございまして、非常に山に囲まれた、ただ風光明媚ではございますけれども、そういう地域でありまして、道路というのは非常に重要なインフラ、いわゆる山梨県の外とつながる唯一の手段と言ってもいいのではないかなというふうに思います。二年前の大雪のときには、中央道、またJRの中央本線も六日間通行どめになって、これは非常に心配をしたというところでございます。

 そういった意味では、今やっていただいている中部横断道というのはまさに命の道だ。今、中央道一本しかないわけでありますね。これに対してやはり縦に通していただければ、いわゆる災害時とか、こういったときの対応というのは非常に大きく前進するんだろう、命の道だというふうに私は思っております。

 今、国土交通省に、増穂インターチェンジから新清水ジャンクションまでの間、二十九年までにこれを整備するということを言っていただいているところでございまして、これを強く望むものでございます。

 これに合わせて、やはり地元も今さまざまな道路周辺整備を行ったりとか、こういったことをしながら今計画的に進めているところでございまして、何とかこの二十九年、整備完了をぜひお願いしたいということがまず一つでございます。

 もう一つは、この南区間は今整備をしていただいているところでございますけれども、実は北区間というのがございまして、長坂インターチェンジから佐久、これは長野県になりますけれども、佐久までつなげるという計画に今なっています。

 これは、南だけではなかなか力を発揮できないというものではないかなというふうに思います。この北もあわせてやはりしっかり整備をしていただいて、そして、いわゆる新潟から静岡までしっかり縦の線をつくっていただく、このことが、私は、地域の発展、また、やはり山梨県においては防災力強化につながっていくんだろうというふうに思っているところでございまして、この重要性を認識はされていると思いますけれども、この重要性について改めて国土交通省の方からお伺いをしたいというふうに思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の中部横断自動車道、静岡市と小諸を結びまして、まさに太平洋エリアと日本海エリアを広域的に結びつける道路でございます。当然、その通過をするエリアあるいは都市群を連携させ、それによりまして、物流の効率化あるいは医療施設へのアクセス向上、そしてまた大規模災害時におけます広域的な救急ルートというような役割も果たす高速道路でございます。

 今御指摘の南区間でございます新清水―増穂間、五十九キロございますが、おのおの供用目標を掲げまして、国そして中日本高速道路株式会社の方で工事を進めさせていただいておるところでございます。

 しかしながら、また、この区間につきましては、非常に地盤のもろいところを通るトンネルを掘削しているということもございますし、また、掘削をした土の中に重金属等々の物質も含まれる、そういう処理対策もあわせて行いながらということの非常に難渋する工事を今進めているところでございます。

 そういうこともございますので、工事の工程といったようなものにつきましてもしっかりと精査をしながら、特に安全対策にしっかり十分配慮して、関係自治体の御協力も得ながら、早期開通に向けて努力してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

 また、今御要請のありました北区間でございますが、これも中央道の長坂付近から八千穂間を結ぶことによりまして、上信越道の佐久、そしてまた中央自動車道をしっかりとつなげて、さらにその開通効果が高まるということになるわけでございますので、長野県そしてまた山梨県といったような関係自治体とも連携しながら、調査をしっかりと進めさせていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

中谷(真)分科員 二十九年、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、富士山の火山防災についてお伺いをしたいというふうに思います。

 富士山は非常に大きくて、これはちょっと自治体でやっていくには非常に厳しいというところもございます。そういった意味では、これは山梨県と静岡県がかかっておりますけれども、この二県で見ていけというのは非常に難しいというところもあります。

 そういった意味では、国も基本編というものを作成していただいて、いわゆるソフトをどうしていくんだというところを今やっていただいているところであります。

 これに引き続き、やはりハード面もぜひやっていただきたい。これは対策編というふうに言われておりますけれども、この対策編をどれぐらいの時期に完成させて、そして、以降どういう事業につなげていくのか、この概略と、あとは何といっても、やはり国が前面に出て対応するよというところのぜひ意思を示していただきたいというところもございます。それについて御質問をしたいというふうに思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の火山噴火緊急減災対策砂防計画でございますけれども、これは、噴火に伴います土砂災害の被害をできるだけ軽減するために、緊急時に実施いたしますソフト及びハード対策と、そのために平常時から準備をしておく対策をまとめた計画でございます。

 富士山につきましては、昨年十二月に、国土交通省、山梨県、静岡県の三者で本計画の基本方針を取りまとめ、基本編として公表いたしました。

 今後は、監視機器の設置や緊急的な砂防工事等の具体的な内容についてさらに検討を行いまして、平成二十九年度を目途に対策編を策定してまいります。

 また、この対策編の取りまとめに当たりまして、富士山の重要性や噴火した場合の影響の大きさを十分に踏まえながら、国と県の役割について検討してまいります。

中谷(真)分科員 非常に大きな山で、これはまた日本の象徴というところもございますので、ぜひ国が前面に出てやっていただければ非常にありがたいというものであります。

 次に、先ほども申し上げましたけれども、山梨というのは、いわゆる車での輸送というものが非常に大きなウエートを占めているというお話をさせていただきました。そこで、トラック輸送に係る人材不足というのが非常に深刻化しておりまして、私のところにも、誰かいないかと事業者から来るぐらいになってきております。

 これはいろいろな理由があるんだというふうに思いますけれども、昔は、トラックに乗れば稼げるからやれということで非常に若い人とかが集まったというものでありますけれども、今非常に低収入ということをお聞きしているところでございます。この収入を上げる方策をどのように考えておられるのか。

 また、この間、免許の改定がありまして、今までは普通免許で四トントラックまで乗れたんですけれども、これを二トンに下げたというところもございます。

 高校を卒業してなかなかすぐにつけない、そこで、準中型免許というものを制度化されるというふうに聞いておりますけれども、これはもう新たに免許を取るという形になるので、なかなか一緒に取ってもらえないんじゃないかというようなことも思うわけであります。そこについての対策についてお伺いをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 トラック運送業は我が国の経済活動を支える重要な役割を担っていることから、その担い手の確保は非常に重要と認識をしております。

 トラックドライバーの確保に向けては、賃金や労働時間等のドライバーの労働条件の改善が重要だと考えております。

 このため、国土交通省では、今年度、厚生労働省と共同して、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会というものを中央及び各都道府県に設置いたしました。今後、同協議会の枠組みを活用しながら、適正運賃の収受の実現、それによって低収入を改善していく、ドライバーの処遇を改善していく、そういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 準中型免許についてのお尋ねがございました。

 これは、昨年の六月に成立しました改正道路交通法に基づきまして、車両総重量三・五トン以上七・五トン未満の車両を十八歳から運転できる準中型自動車免許というものを創設したものでございます。これは十八歳からということで、まさに高校を卒業してすぐに車の運転ができる、そういったことで、若年の労働力の確保をしっかり図りたいという目的を持って創設をされたものでございます。

 これにつきましては、この施行に向けて警察庁とも連携しながら、早期かつ円滑な制度の施行、制度の周知に努めてまいりたいと考えておりまして、今委員御指摘のありました、これをしっかり使っていただく、そういったことについてもこの中でしっかり検討してまいりたいと考えております。

中谷(真)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に、ワールドカップ、二〇一九年の日本大会成功に向けた施設整備についてお伺いをしたいというふうに思います。

 二〇一九年に実はラグビーのワールドカップがあるんですね。私は、成功させる議員連盟というのがありまして、そこの事務局を担当しております。

 これは世界の三大スポーツの祭典のうちの一つでありまして、オリンピック、サッカーのワールドカップ、そしてラグビーワールドカップというものであります。これは非常に大きな大会で、世界からたくさんの人が集まってくるというものであります。そういった意味では、日本として、何としてでもやはりこれは成功させていかなければいけないんだろうというふうに私は思うところでございます。

 これはもともと、委員長もラグビーでございますね、国立競技場をメーンスタジアムとしようというところだったんですけれども、この建設完了が二〇一九年に間に合わないとか、これに対してやはりチケット収入が非常に厳しくなっているというところがあったりとか、次の年にはオリパラを控えているというところで、使いたい資金源というか、資金の競合とか、また資材の高騰も予想されるわけでございまして、今計画を進めているところであるというふうには思うんですけれども、非常に資金的に厳しくなってくるんではないかという見通しがあります。

 また、東京だけで行うオリパラと違いまして全国で行う、北は北海道、南は九州まで十二会場を今準備しているところでございまして、この自治体は、やはり東京のようなパワーがないという自治体もあって、なかなかこの施設整備に苦慮しているところでございます。

 ただ、これを成功させるためには、この十二スタジアム、まず、メーンが変わりまして、日産スタジアムというところがメーンスタジアムになります、さらには花園、そして熊谷、これは大改修を行います、さらには、新しく今からつくらなきゃいけない、これは復興の象徴にもなると思うんですけれども、釜石、この四つを特にしっかりと整備していかなければいけないというふうに思います。

 私は、これは国土交通省に大きなお力添えをいただかなければなかなか達成できないものだろうというふうに思うところでございまして、これに対しての御所見また御決意をよろしくお願い申し上げたいと思います。

石井国務大臣 ラグビーワールドカップの大会につきましては、開催十二会場のうち十会場が都市公園にありまして、開催自治体より社会資本整備総合交付金による会場整備の支援の御要望を伺っております。

 厳しい予算状況ではありますけれども、国土交通省といたしましては、関係省庁や関係自治体等と協力しつつ、開催会場となる都市公園整備への支援を通じて、大会の成功に貢献できるよう取り組んでまいりたいと存じます。

中谷(真)分科員 ありがとうございました。質問を終わります。

赤羽主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

 次に、勝沼栄明君。

勝沼分科員 おはようございます。自由民主党の勝沼栄明でございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。

 自己紹介させていただきます。私の選挙区は、宮城県第五選挙区でございます。石巻市、東松島市、女川町、美里町、涌谷町、そして、旧志田郡、田尻を含む大崎市の一部でございます。いわゆる東日本大震災で大変大きな被害を受けました沿岸部から内陸部に至る非常に大きな地域を選挙区として与えていただいております。

 来月の十一日で東日本大震災から五年目を迎えるわけでございますが、発災当初よりの日本国内はもとより全世界の皆様からの御支援、行政の献身、そして何よりも被災された方御自身の頑張りにより、着実に復興は進んでおります。

 しかしながら、やはり一番大事な住まい、なりわい、コミュニティー、そういった観点から申しますと、まだまだ完全復旧とは至らず、まだ道半ばであるということも事実でございます。

 住まいに関しましては、平成二十九年度で大体九割方の災害公営住宅も完成いたしますし、また、インフラに関してもほぼ戻りました。なりわいも七、八割は戻ってきていると聞いております。ただし、やはりコミュニティーに関しましては、長い仮設住宅暮らしでできたコミュニティーを一度分断して、またさらにそれを再構築しているという段階でございますので、非常に難しい、ここが一番残る課題かなとは思っております。

 しかしながら、今度の五年間は創生・復興期間に入るわけです。この創生は、やはり地方創生の創生でもあります。復興をなし遂げ、さらにその先へつないでいく大事な大事な五年間となるわけでございます。

 やはり今、日本全国各地で人口減少、少子高齢化、そういったことで悩んでいるんですが、私の地域も震災前からそれは同じでございました。それが震災によって加速化してしまった事実は否めないところがございます。私の選挙区だけでも六千人の方がお亡くなりになったり行方不明になったり、そして、一万四千人の方が流出されております。こういった中で、持続的で発展的な地域づくりをしていくというのは非常に困難でありますし、険しい道ではございますが、やはり何としてでもなし遂げなきゃいけない道でございます。

 やはり、そういったときに考えますのは、幸いにして、今、三陸縦貫道は四車線化が順調に進んでおりますし、また、仙石線、いわゆる仙台と石巻を結ぶ鉄道も昨年開通させていただきました。石巻から女川を結ぶ石巻線も開通させていただきました。そういったことを考えますと、やはりこれからの肝は流通をさらに一段上げていかなきゃいけないと思います。

 我が町石巻には石巻港という港もありますし、そこにつながる道路もございます。したがって、本日は、ちょっと前置きが長くなったんですが、港湾と道路について何点か質問したいと思っております。

 まずは、港湾についてです。

 先ほどお話ししました、我が石巻には石巻港がございます。東日本大震災で甚大な被害を受けたものの、着実に復旧は進み、平成二十四年十月には、仙台塩釜港、松島港、この二港と統合一体化しまして、国際拠点港湾仙台塩釜港の石巻港区となりました。

 そこで、お聞きいたします。仙台塩釜港及び石巻港区の役割を国としてはどう捉えているんでしょうか。よろしくお願いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 仙台塩釜港は東北地方唯一の国際拠点港湾でございまして、基幹航路である北米航路も就航する、国際海上コンテナ輸送の東北地方における一大拠点となってございます。また、完成自動車を初め、背後に立地する製造業の製品輸送や資源、エネルギー輸送の輸入の拠点として大変重要な港湾であると認識しております。

 特に石巻港区につきましては、地域の主要な産業でございます紙・パルプ製造業、木材関連企業、そして飼料などの穀物関連企業が多数立地しておりまして、これら産業の原料輸入の拠点となっております。石巻港区は、このような地域の産業活動を支える極めて重要な役割を担っているというふうな認識を持ってございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 まさしくおっしゃるとおり、仙台塩釜港は東北唯一の国際拠点港湾でありまして、東北の物流、産業、観光のまさしく牽引役となる使命が与えられたものと思います。統合した三港がそれぞれ持つ機能をさらに強化し、全体として底上げを図っていかなければならないと思います。

 また、石巻港区は、今お話しになった役割とともに、国際バルク戦略港湾である釧路港との連携も計画されているとお聞きしておりますが、石巻港区に対して具体的にどのような整備が今なされているか、お伺いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 仙台塩釜港石巻港区は、穀物の輸入に関しまして、国際バルク戦略港湾である釧路港の連携港として国際バルク戦略港湾の選定に向けた計画書、こちらに位置づけられてございます。

 現在、釧路港におきまして、北米からの最初の荷揚げ地として大型船による穀物の輸入を可能とする、こうした目的のために、水深十四メートルの国際物流ターミナルの整備を進めておるところでございます。

 石巻港区におきましては、釧路港からの二港寄り輸送、いわゆるセカンドポートによる大型船での効率的な輸入を実現するために、港湾管理者である宮城県におきまして、連携港として必要な水深十一メートルの泊地整備、このためのしゅんせつ工事を行ってございます。

 国土交通省といたしましては、国際バルク戦略港湾政策を推進するという観点から、石巻港区での整備促進に向けて引き続き支援をしてまいりたいと考えてございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 その整備、県が管轄でございますので、県が一生懸命なのはもとより、やはり国もぜひ御支援いただきまして、国際バルク戦略港湾との連携をさらに進めていただきたいと思います。

 さらにまた、石巻港区は、仙台湾における大型客船、いわゆるクルーズ船の寄港地としての一翼を担っていると思います。クルーズ船の寄港促進に関しては地元からも非常に強い要望をいただいておりまして、来るたびに周辺の住民の皆さんが集まってお祭り騒ぎになるわけでございますけれども、実際のクルーズ船の寄港状況はどうなっているのかということと、あと、やはり日本全国並びにクルーズ船の寄港回数が増加している港湾等に関しても、ぜひ数字でお示しいただければと思います。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 仙台塩釜港へのクルーズ船の寄港回数でございますが、二〇一四年が十回、二〇一五年が十一回でございました。このうち石巻港区につきましては、二〇一四年が二回、二〇一五年が一回というふうになってございます。

 一方、我が国全体のクルーズ船の寄港回数でございますが、二〇一四年が千二百四回、二〇一五年が千四百五十二回ということで、大きな伸びを見せてございます。

 その結果、二〇一五年の我が国への外航クルーズ船による訪日外国人旅行者数、これにつきましては百十二万人ということになってございまして、二〇二〇年のクルーズ百万人時代という目標を昨年、五年前倒しで実現したところでございます。

 特に、御質問がございました、寄港回数が大幅に増加している港湾でございますが、博多港が対前年百四十四回増の二百五十九回、長崎港が対前年五十六回増の百三十一回、そして那覇港が対前年三十五回増の百十五回となってございまして、九州そして沖縄の港湾が大きく伸びているという状況にございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 今数字でお示しいただいたとおり、日本国全体でのクルーズ船の寄港回数及びクルーズ船での訪日外国人の数は非常に著しい伸びを見せておりますし、これは非常に喜ばしいことだと思いますが、やはり南西地域に寄っていることは否めませんし、東北、特に石巻港区では去年は一回で、本当は二回だったんですけれども、その一回は天気が悪くて、私も港でずっと待っていたんですけれども、結局入ってこれなかった、そういう状況がございました。

 本当に地元の方は楽しみにしておりますし、復興は今ここまで進んでいるんだよというのも外国の方にお示ししたいところもありますし、まだまだ買い物できる場所とかはないんですが、観光の目玉、近くには松島等もありますし、ぜひ見ていただきたいなと思っております。当然地元がいろいろな努力を重ねることも大事だと思うんですけれども、やはり国のいろいろな支援も非常に大事になってきます。

 したがって、今後のクルーズ船での訪日外国人のさらなる獲得、先ほど二〇二〇年までのを前倒しして達成したとおっしゃいましたけれども、今後のさらなる獲得、さらに言えば、受け入れ体制の整備に関して国としてのこれからの対策をぜひお伺いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、クルーズ船による訪日外国人の増加を図るために、クルーズ船社へのプロモーションやクルーズ船の受け入れ環境の改善、こうしたものに積極的に取り組んでおるところでございます。

 具体的には、クルーズ船社からの問い合わせに対応する政府全体の窓口を国土交通省港湾局に設置してございます。また、全国クルーズ活性化会議に参加されています全国百十六の自治体にお声がけをいたしまして、クルーズ船社との商談会を開催するなど、さまざまな取り組みを進めてまいったところでございます。

 また、近年寄港が増加しております大型クルーズ船の受け入れを可能とするために、防舷材あるいは係船柱の改良など、既存ストックに少しの改良を加えることでクルーズ船の寄港ニーズにしっかりと対応できるような、港湾を賢く使うような取り組みも進めておるところでございます。

 今後とも、クルーズ船の誘致、そして受け入れ環境の改善にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 現在、宮城県を訪れる観光客数は、おかげさまで、震災前、平成二十二年ベースで見ますと、大体九割ほど戻ってまいりました。ただ、沿岸部、いわゆる被災沿岸部に関しては、まだ六割しか戻ってきていないところがあります。ただ、外国人の方は、二〇一五年の訪日外国人全体が千九百七十三万人、二千万人まであと二十七万人というところまで非常にすごい伸びを見せていますので、そういったおかげもあってか、震災前の水準に戻りました。東北全体も戻っております。

 ただ、東北全体の国内でのシェアを見ると、まだまだ〇・八%なんですね。依然として非常に低い水準なので、東北全体を観光地として引き上げるためには港湾の窓口というのは非常に大事だと思いますし、これから重要度はますます増してくると思います。特に、今お話あったように、仙台塩釜港は東北唯一の国際拠点港湾でございますので、ぜひ国としても積極的なお力添えをお願いしたいと思います。

 では、港湾は以上でございまして、今度は道路でございます。

 仙台塩釜港は、本日は石巻港区に関してのみしか質問できておりませんが、統合港湾として、先ほどお話ししたように、東北の物流、産業、観光のまさしく牽引役になり得ると思うんですけれども、そうならなければ、今後の復興、そしてそこに連なる地方創生には決してつながっていかないと思いますが、拠点のみ整備できたとしても、そこから広がる道路網の整備、これがしっかりついていかなければそれは達成できない、これは当然のことだと思います。

 特に東北地方は、東から、先ほどお話しした四車線化の工事を行っている三陸縦貫道がございまして、東北自動車道、東北中央自動車道、そして日本海沿岸東北自動車道があって、縦軸のアセスは非常にいいんですけれども、御案内のとおり横軸のアクセスは決していいとは言えない、そういった状況がございます。

 縦軸と横軸の結びつきがあってこその道路網だと思います。それが整備されれば、当然、流通の質、量も変わりますし、周辺の産業にも多大なる貢献ができると思います。

 観光の面でも、例えば先ほどのクルーズ船なんかは、大体、朝早く着いて、片道二時間ほどのところに行って用を足して、二時間で帰ってきて船泊まりするというスケジュールだと思うんですけれども、限られた時間の中の観光メニューというのはやはり広がっていくと思うんです。そうすると、集客もしやすいですし、今後うちの港にも来てくださいよとも言いやすい状況が生まれると思うんです。

 また、防災の面におきましても、東北は、東日本大震災発災のとき、当時、東北整備局長であられました徳山事務次官がくしの歯作戦というのを敢行されて、そのおかげで復旧は本当に早まったと思っておりますし、地元の方からいまだにそのくしの歯作戦に関しては非常に感謝されております。また、石巻には国道百八号線を通って救援物資ですとか支援物資を運び込んでいただいて、そのおかげで助かった命もございますし、非常に復旧復興の役に立ったのがこの横軸の道路でございます。東北の方々が、あの出来事によって、改めて横軸のつながりの重要性を認識されたのは言うまでもないことでございます。

 そして、その中でも、特に、今ちょっとお話を出しましたけれども、国道百八号線、そしてそこにつながる国道四十七号線です。

 ここは、我が石巻市と山形県の酒田市を結ぶ、東北地方の太平洋側と日本海側を結ぶ最短距離の、百六十キロですか、みちのくウエストラインと呼ばれています。一番短いので、きゅっと絞った形のウエストライン。

 また、国際拠点港湾の一部となった仙台塩釜港石巻港区と、さらに重要港湾である酒田港を結ぶ、ちょっと大げさに言えば、環太平洋の経済圏と環日本海経済圏をつなげて、まさしく東北の産業、経済、観光に大きく資する道路だと我々は自負しているんですけれども、実際、この石巻と酒田を結ぶいわゆるみちのくウエストラインに対する国の認識をぜひお話しいただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 石巻―酒田間の、今委員御指摘の、いわゆるみちのくウエストラインでございますけれども、国道百八号そして四十七号も使うという形になって、先ほど来出ております重要な酒田港そしてまた石巻港を起点、終点といたしまして、特に都市集積の進みます宮城県の大崎市、そして新庄市等々を経由いたしまして、いわゆる日本海と太平洋側を結ぶ極めて重要な路線だというふうに認識をしているところでございます。

 特に、今も御紹介いただいたところでございますけれども、この東北地方におけます重要な、枢要な横断方向のネットワークでございます。東日本震災におきましても、酒田港で陸揚げされました緊急支援物資がこの四十七号、百八号を通して被災地に運び込まれるという、いわゆるくしの歯作戦の重要な役割を果たさせていただいたというふうに理解をしておりますし、また、現下、地域の震災の復興に際しましても重要な役割を果たしてくれている路線だというふうに認識しておるところでございます。

 以上でございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 本当に、くしの歯作戦はいまだに語り継がれておりまして、徳山さん、地元では神様と呼ばれていますので、ぜひまた足を運んでいただきたいなと思っております。

 重要性と貢献というのは国の方もしっかり認識されているんだなとわかるんですけれども、ただ、現状のウエストラインは、御存じのとおり、道幅が非常に狭い山間部も多いですし、また、慢性的に渋滞がぼんぼん発生するような市街地をよく通る。また、道路を見ますと、九十度に急に曲がっていたり、非常に使い勝手が悪いところも実はあるんですね。結構、自然災害等で長期の通行どめを余儀なくされて大規模な迂回をしなきゃいけなかったり、そういったことが実は頻繁に発生している道路でもあるわけです。

 正確な調査を踏まえてからの総合的な判断をしてからになるとは思うんですけれども、端的に言って、この大事な大事なみちのくウエストライン、これを地域高規格道路へ整備する必要性をどうお考えでしょうか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 みちのくウエストライン、今申しましたように、日本海側、太平洋側を結びます極めて重要な東北の横断軸ということでございます。

 今委員から御指摘のございましたように、実際に、国道四十七号あるいは百八号といった区間につきましては、積雪寒冷地域を通過するということもございますので、急勾配あるいは急カーブというようなことと相まって、交通事故あるいは冬期の交通障害というものも発生しておりますし、また、石巻周辺なんかにはクランクも実際に存在をするというものでございます。

 この路線に関しましては、過去から、涌谷バイパスあるいは小牛田バイパス、古川東バイパス、鳴子バイパス、私自身も実際現場でこの事業に携わらせていただきましたので、この事業がどれだけスピードを上げてやってきたかというところも認識しているところでございますが、既にでき上がっているバイパス、こういったものをうまくくっつけながら、そして、今ある四十七号、百八号の道路の部分的なものも使いながら、地域高規格の位置づけをしっかりとさせていただいて、勉強を進めてきているところでございます。

 今、私どもとしては、四十七号を中心としました特に宮城県と山形県県境、ここが一番、積雪寒冷地域としては非常に厄介な部分ということで、標高の一番高いところを通過しております区間でございますので、ここに関しましては、平成二十六年から、宮城県、山形県、そして国も参加をさせていただいて、全体としてのさまざまな課題を議論する意見交換会の場をセットさせていただきながら調査を進めさせていただいているところでございます。

 いずれにしましても、先ほど御意見、委員からも要請のございました、物流の質を高めて企業の立地を進める、また、周遊観光とかにも資するというようなそういう路線の調査をしっかりと進めてまいりたいというふうに考える次第でございます。

 以上でございます。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 本当に、必要性を認識されておりますし、前向きな御答弁をいただいたと思いますけれども、ただ、実際のところ、石巻―酒田と言っているんですけれども、途中に新庄がございます。新庄―酒田間の道路というのは、実は着実に整備が進んでいるんですね。ただ、その酒田―石巻に関しては、平成十年に候補路線に指定されて以来、正直手つかず、ほとんど何もされていないような状態でございます。政治力の差なのかなとちょっと思ってしまったりもするんですけれども。

 みちのくウエストラインサッカー大会というのがあるのは御存じでしょうか。実はそういったサッカー大会がありまして、みちのくウエストラインの地域高規格化道路への早期実現を目指して、サッカーでの青少年の健全育成と地域交流といったものとをあわせて行っていくということで、いわゆるみちのくウエストラインの沿線地域持ち回りで行われているサッカー大会なんですけれども、これは実は去年、十七回目を迎えました。一回目に参加された小学校六年生は、ことしもう三十歳になるんです。

 それだけ長い時間たっていますし、また、石巻新庄道路、あわせてみちのくウエストラインの地域高規格化というのは、石巻市民のみならず、こういった沿線にかかわる全ての方々の本当に悲願なんです。

 道路を地域高規格化するということは、これからの東北が一歩も二歩も前に進むことに本当に資する大きな大きなものとなるということは皆さんが認識されているところでございますので、やはり手つかずな石巻―新庄間も含めて早期に事業着手していただくことを非常にお願いしたいんです。

 その早急な事業着手に対して、非常に前向き、本当に前向きな御答弁を最後にお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今、石巻新庄道路の早急な事業着手ということでの御要請をいただいたところでございます。

 先ほど来お話をさせていただいておりますけれども、特にこの百八号を中心としました石巻から新庄までの間に関しましては、過去から、特に渋滞対策ということではありますけれども、平成四年には涌谷バイパスというところ、そしてまた平成十四年には小牛田バイパス、そして平成十五年には鳴子バイパスといったようなバイパスを順次整備させていただいているところでございます。

 こういった事業自身は、基本的には地域高規格の一部を構成するものだというふうには私は理解しておりますので、残る区間をうまくつなげながら、しっかりと先ほどの役割を果たせるような全体計画、事業計画を早急につくってまいりたいというふうに思う次第でございます。そういう全体の地域高規格の利用計画あるいは事業計画の中で、短期的にできるところ、そして中期的にやっていくところというのを、集中と選択をうまく使い分けながら事業を進めてまいりたいというふうに思います。

 先生の御指摘を承ります石巻新庄道路、特に今、現地におきましては、復興を支える重要な路線として今も役割を果たしているところでございますので、そういった復興に支障のなきよう、しっかりと短期対策を実際にやっていきますし、また中長期的にも、先ほど申しましたようないろいろな対策を講じて、できるだけ有効にこの百八号、四十七号が機能できますように頑張ってまいりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

勝沼分科員 ありがとうございます。

 道路局長は東北整備局にもおられたと聞いておりますので、非常に重要性もわかっていらっしゃると思いますし、現地も何回も見てこられたと思いますので、ぜひお願いしたいなと思います。

 きょうは道路と港湾中心に質問をさせていただきました。港湾局長も名取市出身ということで、宮城にはそれなりの思い入れ、東北にはそれなりの思い入れがあると思いますので、我々も、皆さんとぜひ一体となって復興をなし遂げ、そしてそのさらに一歩先、未来へ向かってしっかりと頑張っていきたいと思いますので、ぜひこれからも行政としてしっかり地元住民を支えていただき、我々の力にもなっていただきたいと思います。

 きょうは、政務三役の方にはお答えいただかなかったんですけれども、道路局と港湾局の方とちょっとお話をしたかったので、失礼いたしました。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて勝沼栄明君の質疑は終了いたしました。

 次に、野中厚君。

野中分科員 自由民主党の野中厚でございます。

 質問の機会をいただきましたことに感謝をいたしまして、早速質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、改正品確法についてお伺いいたします。

 昨今、建設投資額は、ピーク時の平成四年度の八十四兆円から、二十二年度に四十一兆円まで落ち込み、増加に転じた平成二十七年度でも四十八兆円と、ピーク時のまだまだ約六割でございます。

 また、建設就業者、技術者、技能労働者は、ピークの平成九年から、建設業者は六百八十五万人から五百万人、技術者は四十一万人から三十二万人、技能労働者は四百五十五万人から三百三十一万人と減少しております。

 高齢化も進行し、五十五歳以上が約三四%、二十九歳以下が約一一%と、全産業の割合と比較をしますと、五十五歳以上が約五%高く、一方、二十九歳以下が約五%低い割合となっておりまして、地域インフラを支える建設業界にとりましてまさに正念場でございます。

 その中で、改正品確法が平成二十六年六月に施行されました。現在及び将来の公共工事の品質確保と公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成、確保の促進が新たに目的に追加され、発注者の責務が明記されたことは、私は大きな進展であろうかと言えるのではないかと思っております。

 改正品確法施行後、平成二十七年一月三十日に品確法運用指針が策定され、平成二十七年四月一日に品確法運用指針に基づく発注関係事務の運用が開始をされました。

 国交省は改正品確法施行後の各地方公共団体の取り組みをどのように把握されているのか、お伺いいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、まず、品確法、運用指針の趣旨が浸透するように、全国九ブロック、さらに四十七都道府県で説明会を開催するなど、その周知を図ってきたところでございます。

 各発注者の取り組み状況の調査につきましては、従前より、入札契約適正化法に基づく法定調査を活用し、品確法に基づく施策の実施状況につきましても、各省庁、独立行政法人、地方公共団体等全ての発注者、全部で千九百三十二団体ございますけれども、これを対象に調査を行ってきたところでございます。

 改正品確法、さらに運用指針の策定を受けまして、御指摘ございましたように、今年度から、各発注者の取り組み状況、始まっているわけでございますので、この調査につきましても、これまでと同様、しっかりと調査を行うこととしております。

 また、歩切りの根絶でございますとか施工時期の平準化など、特に速やかな対応が必要なテーマにつきましては、地方公共団体に対して随時調査を行い、その取り組み状況を把握した上で、必要な指導等を行っているところでございます。

 今後とも、各発注者の取り組み状況をきめ細かく把握し、市町村まで品確法等の趣旨が浸透するよう取り組んでまいりたいと考えております。

野中分科員 ありがとうございました。

 私、今回、改正品確法について質問をさせていただいたのは、運用が開始されて約一年が経過しました。法案が施行されて、運用指針が策定、そして実際運用されるまでの間、私は地元の方々に、今国が指針を策定しているからもうちょっと待ってくれ、指針が運用されたら必ず地方公共団体に速やかにしみ渡ることだろうというふうに伝えてまいりました。

 実際、地元に戻りまして、いろいろな建設業者の方とお話をさせていただきましたが、どうやら発注者、受注者の感覚がそれぞれ違うかというふうには思っておりますが、都道府県までは浸透してきているんじゃないか、ただ、市町村についてはまだまだこれからじゃないかというふうに私は考えておりまして、先ほど御答弁をいただきました、特に重要な歩切り、平準化、そしてもう一点、私が改正品確法の肝であろうかという三点について、これから質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、先ほどの質問で、適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除し予定価格とする、いわゆる歩切りについて調査をされたということであります。歩切りは、改正品確法によって、規定に違反するということが明記されたというふうに記憶しています。

 改正品確法の施行後、国土交通省としてどのように取り組みをされているか、お伺いいたします。

谷脇政府参考人 歩切りの関係でございますけれども、今御指摘ございましたように、改正品確法並びに二十六年の九月に閣議決定をいたしました指針におきまして、御指摘ございましたように、歩切りは品確法に違反するということが明記をされたところでございます。

 国土交通省といたしましては、総務省とも連携をいたしまして、これまで四回にわたりまして、地方公共団体に対して、歩切りの実態、それと、なぜ歩切りを行っているのかという理由、こういうものに関する調査を行いまして、歩切りを行っている地方公共団体に対しては、あらゆる機会を通じて早期に見直すように求めてきたところでございます。

 その結果、昨年一月時点では、慣例、財政健全化のために歩切りを行っている自治体が四百五十九団体ございましたけれども、現時点では三団体にまで減るという見込みになってございます。

 国土交通省におきましては、引き続き、歩切りの根絶に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

野中分科員 ありがとうございました。

 総務省とも連携をして四回調査して、そして、現段階で三団体というところまで迫られたということであります。

 私もいろいろ聞きましたけれども、実際、歩切りについては相当浸透しているというふうに思っております。

 根絶が目標ですから、最後のゼロ団体までもう一歩でございますので、御努力を願いたいというふうに思っております。

 次に、必ず実施すべき事項の一つであります予定価格の適正な設定についてもお伺いしたいと思います。

 公共工事の品質確保の担い手となる人材を育成、確保するために、適正な利潤を確保するためには、予定価格が適正であるということが必須であるというふうに思っております。

 平成二十七年五月から八月に建設業協会が会員に対してとったアンケートによりますと、都道府県においては、以前から反映している、改善された、改善予定がおおむね九割と非常に高い数値を示しておりますが、市町村は約三割、町村ではおおむね二割とのアンケート結果が出ております。

 アンケートから約半年が経過しまして、数値に変化はあると思いますけれども、今後、市町村単位に国の立場でどのように予定価格の適正な設定を技術的支援をしていかれるのか、お伺いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 公共工事の予定価格は労務単価や資材単価及び企業の経費などから算定しておりまして、このうち、労務単価、資材単価につきましては、最新の市場取引価格を反映するために、労務単価については年に一回、資材単価につきましては月に一回の頻度で更新をしております。

 例えば、労務単価につきましては、直近では二月一日に改定をいたしまして、全国平均で四・九%の増加をさせたところでありまして、今年度の補正予算にも反映することにしております。

 一方、委員御指摘のように、市町村につきましては、このような単価の見直しをみずから実施する職員が不足しているという課題がございます。

 これに対しまして、先ほど申しました国の単価や経費算定率などの見直しを市町村に参考にしていただけるように、国が改定を行った際に地方公共団体向けの説明会を開催するなどの取り組みを随時行ってきております。

 今後とも、国や市町村を含めました地方公共団体において適正な予定価格が設定できるように、必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

野中分科員 ありがとうございました。

 予定価格の適正化というのは責務の項目に入っているというふうに記憶をしております。責務とは本来果たさなければならない義務の部分であるんですが、一方、予定価格の適正な設定というのは、言うならば、ちょっとぼんやりしている部分もございます。

 今御答弁いただいたところで気になったのが、これは質問はしませんけれども、国が進んで行っていることについて、説明会を行っていると。説明会に対してどれぐらいの市町村が来られているのか。市町村が、恐らく説明会に来られている方がより直近の情報が入るわけですから、そこに対してはちゃんと予定価格の適正な設定に努めようという自治体の方が多かろうというふうに思いますが、その説明会にできるだけ多くの団体に出てきていただけるように、これからも国の方で、指示はできませんから、積極的に案内をしていただければというふうに思っております。

 次に、先ほど重要な部分の一つという説明をいただきました発注や施工時期の平準化についてもお伺いしたいと思います。

 月別の公共工事量の格差が現在約二倍であります。民間工事は約一・三倍と差がある中、平準化が進むことで建設業は建設資材や建設労働者の確保を円滑に行うことができると思います。平準化に向けてどのような取り組みを行っているか伺います。

 また、工期は天候にも左右されるというのは承知をしておりますが、できれば週休二日をとることで若い労働者を確保することにもつながると考えますが、適正工期の設定の必要性についてもあわせてお伺いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 公共工事の施工時期を平準化することは、建設業の生産性を向上させて、魅力ある建設現場を実現するために重要なことと考えております。

 このため、国土交通省が発注する工事におきましては、従来より、早期執行のためのゼロ国債の活用、繰越制度の活用を進めてまいりました。

 また、平成二十七年度からは、工期が十二カ月未満の工事につきましても、必要に応じて、年度をまたいだ工期とするために、二カ年国債を約二百億設定したところでございます。平成二十八年度におきましても、この二カ年国債をさらに大幅に増加していきたいと考えております。

 また、週休二日を初めとした休暇の確保も重要な課題と考えております。このため、国土交通省では、今年度、週休二日を義務づけるモデル工事を全国で約六十件実施しておりますけれども、来年度以降もこのモデル工事を広げていく予定を考えております。

 さらに、こういった取り組みにつきまして、地方公共団体にも広げることが必要でございますので、従来よりいろいろな機会を捉えまして働きかけを行ってまいりましたけれども、去る二月十七日には、改めて総務省と連名で、ゼロ債務負担行為の活用など、平準化を進めるよう全国の地方公共団体に通知をしたところでございます。

 今後とも、国、地方公共団体において平準化や休暇の確保、適正な工期の設定が進みますように、関係機関とも連携して取り組んでいきたいと考えております。

野中分科員 ありがとうございました。

 平準化することで、今、ただでさえ少ない人材を有効的に使えるということであります。

 それで、週休二日が非常に難しいのは承知をしておりますが、今回質問するに当たって、ちょっと地元でいろいろ聞いてまいりました。ちゃんと一人前になる若い人が、業種は変わっても、ほかの、例えば、言うならば公共団体の方に移る方も出てくる、その理由としては、賃金というよりは、やはり休日の安定性があるというふうな話を聞きました。

 先ほども申し上げました、五十五歳以上が通常の全産業の平均値より上回って、そして若手の方、二十九歳以下が全産業の平均値よりも下回っているという、まさに技術の伝承も含めて、若手の育成、そして、若手が建設業界に根づいていただくというのは本当に大切なことであろうというふうに思っております。

 今回の品確法もそうですが、建設業、地域の下支えでもありますし、守ってもらわなきゃいけないというところで、一つの事例を出させていただきたいと思います。

 二年前になると思いますが、二月に私たちの埼玉県でも大雪が、埼玉、群馬、栃木、山梨、あのあたりだったと思うんですが、大雪が発生しました。やはり、そういった自然災害発生時に最初に除雪を初め対応してくださるのが建設業界の方ですが、残念ながら、そこは人口二十万弱の市なんですけれども、重機を持っている会社が一社、本当に一台、二台の世界でありました。ただ一方、ちょっと離れた町の方に行くと七台持っているところもあるんですが、全体的に、重機を持てる余裕のある会社というのが非常に減ってきたわけです。

 言うならば、一時期、公共事業イコール悪というレッテルを張られた時期がありまして、建設業界は非常に厳しい不遇の時代を過ごしたわけであります。その厳しい風の中で生き残るためには本当にぜい肉をそいで頑張ってこられたわけですが、もはや、ぜい肉だけじゃなくて本当に大切な筋肉もそがれて、地力が全体的に落ちてきた、本当に私はその証拠だというふうに思っております。

 改正品確法の中に災害についても項目が入っていたというふうに思っております。災害に強い地域づくり、地域を支える建設業の育成、そしてまた、建設業の技術の継承の観点からも、今回のこの改正品確法、もうそろそろ運用が開始して一年近くが経過するわけですから、今後ともこの改正品確法が市町村単位までさらに浸透することが、また建設業の発展と地域の安定にもつながるというふうに思っておりますので、引き続きの国の御努力をお願いいたしまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次は、国道の整備について質問をさせていただきたいと存じます。

 圏央道が、来年、茨城県区間が開通をいたします。従来の東京から放射状に整備されている道路と異なり、神奈川県から千葉県まで結ぶ圏央道の開通は、東北道、関越道へのアクセスも便利になるほか、埼玉から湘南や成田空港が直結するなど、我々、埼玉県にとっても地域のポテンシャルを高める重要な道路整備であります。

 そこで、お伺いいたします。

 埼玉県内も昨年十月に全線開通をしました。圏央道の整備効果についてお伺いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 首都圏中央連絡道、いわゆる圏央道でございますが、都心から半径約四、五十キロの圏域にあります環状道路でございます。これは、東京の外郭にございますそれぞれの都市圏を有機的に連携いたしまして、大都市機能の分散あるいは立地誘導といったようなものを促進するための環状道路ということで位置づけられておりますが、やはり、今委員からの御指摘にございましたように、交通の流れを大きく変えるという意味では、要は画期的な日本におけます大都市圏の環状道路の一つでございます。

 今回この圏央道が開通いたしました区間によりまして、放射方向の高速道路が連携されて、首都圏の交通事情が画期的に変わっているというところもございます。

 例えば、昨年十月の桶川北本インターチェンジから白岡菖蒲インターの開通によりまして、今御指摘のように、湘南から東北道までがつながりました。これによりまして、圏央道の内側を通過しておりました東名高速―東北道間の交通が九割から三割に減少した。要は、その六割分が圏央道を利用してくれるという形になったわけでございまして、これによりまして、当然、東京都市圏の中の交通の環境がよくなったということと、これら誘導された交通が、当然、埼玉を中心としました沿道に展開されるわけでございますので、これによりまして、埼玉県内でもこの十年間で圏央道の沿線地域の新規企業の立地件数が五・四倍、さらには新規雇用が五・八倍にふえるというような、画期的な地域経済の好循環につながっているというふうに認識をしているところでございます。

 また、来年度、いよいよ今度は境古河インターからつくば中央インターチェンジまでつながることによりまして、東北道から東関東自動車道までがつながります。これによりまして、先ほどのつながった区間の、湘南からいわゆる東関東道までがつながってくるということで、例えば桶川市から成田国際空港までの所要時間が一時間短縮されるという、非常にとんでもない交通の事情の変化、あるいは短縮がされるということでございまして、これによる効果も大きな効果が期待されているところでございます。

 引き続き、皆様方の御支援もいただきながら、しっかり事業を進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

野中分科員 ありがとうございました。

 局長が二、三回、画期的という単語を使われました。まさに、埼玉県に住んでいる者からしても画期的だと思います。縦の道路は強くても横が弱いというのが東京圏の特徴、特に埼玉は縦は強いが横の道路は弱いというふうに昔から言われておりましたので、まさに画期的ではないかというふうに思っております。

 また、東名、東北、常磐、関越、道路がつながることで我々の地域のポテンシャルも本当に高まりました。先ほど、産業のポテンシャルが高まったと言いましたけれども、私、以前、県会議員を平成十九年から務めさせていただいていました。県の企業局も、当初は圏央道周辺おおむね四キロを整備しておりましたけれども、最近では圏央道以北という、エリアを広げて産業団地を整備して、また、手を挙げる企業が本当に多く出てきたということも聞いておりますので、そのことについても御報告をさせていただきたいと思います。

 高速系道路ができるというのは大変喜ばしいことであります。次に、その高速系道路に自前のインターを持っていない地域からそこの高速系道路につなげますアクセス道路の重要性について、私は質問をさせていただきたいと思います。

 特に、国直轄のアクセス道路を整備することは重要であると考えております。上尾道路は、圏央道へのアクセス道路として直轄で整備しておりますが、このうち一期区間は完成間近となっております。さらに、今年度初めに、事業幅員を二十三メートルから都市計画決定どおりの五十七メートルに変更されました。

 この二期区間の進捗状況についてお伺いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の一般国道十七号上尾道路でございますけれども、まさに圏央道の桶川北本インターから流れ出る車を南北に利用していただいて地域に分散をさせる効果、そしてまた、インターチェンジへのアクセスという効能を持っているところでございます。

 全体としては、国道十六号から圏央道までの間を一期、そしてその北部区間を二期という形で、全体二十・一キロの区間の事業を進めてきておりまして、今御指摘の二期の部分を今鋭意事業を進めさせていただいているところでございます。

 特に、南側の一期に関しましては、これは圏央道の開通効果をさらに高めるということで、今年度中にも全体をつなげるということに向けまして今事業を一生懸命進めさせていただいているところでございまして、特に、北部分にございます上尾道路の二期部分でございますけれども、これも南部分と同様に、北部エリアのアクセス道路という意味合いでの極めて重要な区間だというふうに理解をしております。

 これは、実は平成二十三年度に事業化をさせていただいておりまして、測量あるいは環境調査といったようなものを今までやってきておりまして、今年度は設計用地の説明会を行っているところでございます。了解が得られた区間から用地買収に着手をさせていただけるよう頑張っていきたいというふうに思っております。

 特に、事業を進めていく上では、設計の確認、そしてまた、それに伴います用地買収といったようなところが全体事業の極めて枢要な部分を担っているところでございますので、引き続き地域の方々の御協力、御理解もいただきながら、事業の積極的な展開を図っていきたいというふうに思っております。

 引き続き御支援いただければと思います。よろしくお願いいたします。

野中分科員 ありがとうございました。

 圏央道からのアクセス道路、今御説明いただいた上尾道路の二期がございまして、その先にあるのが国道十七号熊谷バイパスでございます。

 これは、国会の場で質問に上がっていなかったのが不思議なぐらい、地元では非常に長い間要望活動も行われていますし、熊谷というのは自前のインターがない、また高速系道路に行くにも非常にアクセスが不便な市でありまして、またあわせて、緊急輸送道路としての役割や、四年間で二十件以上の死傷事故が発生している点からも、この十七号熊谷バイパスの早期整備というのは地域住民の願いでもあります。

 都市計画決定どおりの整備の実現が最も望ましいわけでありますが、当面、渋滞する複数の交差点を部分立体化し、立体化以外の箇所には車線をふやすなど、整備する可能性についてお伺いします。

 例えば、私は、上之南、そして雷電神社交差点を立体化し、肥塚陸橋までの間の道路については、中の緑地帯を有効活用し、車線をふやすことで渋滞を緩和すべきと考えますが、国はどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の国道十七号熊谷バイパスというものでございますが、先ほどの上尾バイパスと連続する形でございまして、この地域の交通需要を担い、そして渋滞解消、そしてまた沿道の立地誘導といったようなものを図る路線ということでございます。

 既にこれは、国道十七号の渋滞対策という形で、平成五年までに一応十六キロが開通しているわけでございますが、今御指摘がございましたように、全体としては約五十メーター程度の幅で実際には都市計画決定がされ、用地買収がされてきているということでございます。

 しかしながら、実際には、両側に二車線、二車線、合計四車線の街路部分というんでしょうか、街路利用がされますような一般部を実際に供用しているというところでございます。

 今御指摘がございましたように、渋滞がひどいところについては部分的な立体化を図ったりすることができるのではないかという御指摘、これは実際にはいろいろなところでも議論されておりますし、また、きょう御意見がございましたような貴重な御提案でございます。

 私どもとしても、国、県、あるいは警察、関係自治体の方々から構成されます埼玉県移動性向上委員会、いわゆる渋滞対策の議論をしていく場でございますけれども、こういったところで渋滞箇所のピックアップ、そして、どのような短期的な対策なりあるいは中期的な対策をやっていけるかというのをしっかりと議論していきたいと思っております。

 今いただいた貴重な御提案は、私どもとしても、将来的には連続立体を旨とします都市計画決定が既にされておりますので、将来の連続立体に手戻りといったような影響が出ないかどうかといったような設計の見直し、そして効果、そしてまた工期、費用といったようなものを少し勉強させていただいて、今御提案いただいたような渋滞対策がしっかり打ち出せるかどうかといったようなことを研究してまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

野中分科員 ありがとうございました。

 熊谷というのは、何度も重ねて申し上げますが、高速系道路についても、東北道、そして圏央道についてもアクセスが不便な場所でありまして、ちょっと自分たちの地域が孤立化しているという考えをお持ちの方もいらっしゃいますので、ぜひ実現に向けて御努力をいただきたいと思います。

 本当は、堤防事業、私は、県会議員からの選挙区は、カスリーン台風によって切れ所があります旧大利根町、加須市の選出なものですから、堤防事業の重要性についても質問をさせていただきたかったんですが、時間が参りました。また次の機会にさせていただきたいと存じます。

 本日はありがとうございました。質問を終わります。

赤羽主査 これにて野中厚君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、門主査代理着席〕

門主査代理 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸分科員 おはようございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず最初に、コンパクトシティーについて質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 私の地元は香川県でございます。全国のほかの地域と同じように、県庁所在地以外の市町村では人口減少や中心市街地の空洞化に直面しているという状況でございます。そして、市や町の市街地が広がったことによって効率性が失われた、そういった状況になっており、例えば水道施設の維持管理費の増大に悩んでいるといったところであります。

 今、地方は、魅力ある、そして特色あるまちづくりに向けて懸命に努力をしているところであります。ちょうど香川県の瀬戸内海側の中心部に、ちょっと西寄りではあるんですが、宇多津町という町があります。宇多津町では、地方において人口減少が進む中で、少しずつですが人口がふえているといった点では、ちょっと違う点があります。香川県の活性化のためにも、やはりまだまだ元気な宇多津町がさらに香川県を引っ張っていく必要があるんじゃないかというふうに考えているところであります。

 宇多津町には、御存じのように、ゴールドタワーというシンボルタワーがあるんですけれども、それを中心にかつては観光客を呼び込んでいたところであります。ただ、それが、最近はその観光客も減ってきておりまして、町として将来の活性化策を現在検討しているということでございます。

 現時点、民間事業者が宇多津町に水族館を建設する計画が出ているところであります。この水族館によって、町の中心部の求心力を強めて、岡山とか四国各地から観光客を呼び込もうとの計画だということであります。民間企業が中心となっての計画なのですが、町や国からの支援についても何とかならないかというのが地元からの声としてあるところであります。

 そこで、お尋ねしたいと思います。コンパクトシティーを進める政策を推進されていますけれども、都市機能立地支援事業について、民間事業者に対して国としてどのような支援ができるんでしょうか、お尋ねします。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度に都市再生特別措置法が改正されまして、市町村がコンパクトシティー形成を進めるためのマスタープランであります立地適正化計画、こういう制度が法律の中で創設をされております。

 今委員から御指摘ございました都市機能立地支援事業ですけれども、その法改正に合わせまして、立地適正化計画に基づくまちづくりを支援する予算制度として創設されております。

 具体的に申し上げますと、立地適正化計画に位置づけられた町の拠点となる地区で、医療、社会福祉、教育文化、そういった都市機能を整備する民間事業者に対しまして、市町村が公有地の賃料の減免、そういったことを行うことを要件にしまして、国から直接民間事業者に財政的な支援を行うというものでございます。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 立地適正化計画を立てて、そうすれば、市町村が公的不動産などを活用することができる、そうすれば国も同程度の支援ができるということでございます。ありがとうございます。

 そこで、お尋ねしたいと思います。この都市機能立地支援事業の交付対象となる施設はどのようなものがあるのか。水族館は対象となるのか、お尋ねしたいと思います。

栗田政府参考人 都市機能立地支援事業におきましては、立地適正化計画に、誘導施設として計画の中で位置づけられました医療施設、社会福祉施設、あるいは博物館などの教育文化施設等が対象となります。

 水族館の整備についてということでございますと、博物館法上の博物館あるいは博物館相当施設に該当するものであれば、都市機能立地支援事業の支援対象となるということでございます。

瀬戸分科員 博物館または博物館相当施設であれば当たるということでございます。

 博物館法上、水族館がここに当たるのかどうか、これは文科省の方にお尋ねしたいと思います。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 水族館も、博物館法上の博物館になるためには、まず登録される主な要件といたしましては、設置者が教育委員会、一般社団法人、一般財団法人等であること、館長及び学芸員が置かれていること、開館日数が年間百五十日以上であることとなっております。

 また、博物館相当施設に指定されるための主な要件といたしましては、学芸員相当職員が置かれていること、開館日数が年間百日以上であることとなっております。

 いずれにいたしましても、博物館の登録、博物館相当施設の指定に関する事務は、博物館法上、いずれも都道府県の教育委員会等で行うこととされておりますので、宇多津町の場合でありますと、香川県教育委員会と十分に連絡をとりつつ進めていただくことになります。

瀬戸分科員 これは香川県の教育委員会と連絡をとってやってほしいということですけれども、基本的には、博物館法上、水族館は当たるということと理解してよろしいでしょうか。ということでございます。水族館が対象となるということがわかりました。ありがとうございます。

 ただ、この事業を実施するに当たって、いろいろな要件があるんじゃないかということでございますけれども、市町村がこの事業を活用するためにしなければならない地域要件等はどういったものがあるのか、教えていただきたいと思います。

栗田政府参考人 都市機能立地支援事業を市町村に御活用いただくためには、まず、先ほど御答弁がございましたように、その施設が支援対象施設に該当するということを一つの前提といたしまして、幾つかのことがございます。

 一つは、まず市町村が、先ほど私から御答弁申し上げました、都市再生特別法に基づく立地適正化計画を作成いただくということでございます。もう一つは、市町村が、支援の対象となる民間事業者に対しまして、公有地の賃料、あるいは譲渡額の減免、あるいは固定資産税の減免、そういった財政的な支援を行っていただくということが要件でございます。

 また、その施設が立地する場所ということにつきまして、町の拠点となる地区に必要な都市機能を誘導するという政策上の必要性の観点から、立地適正化計画に位置づけられました都市機能誘導区域の中であること、あるいは人口集中地区の中であること、あるいは鉄道駅から一キロ以内であることなどの要件を満たすというふうになっているところでございます。

瀬戸分科員 わかりました。

 まずは、市町村が立地適正化計画を立てなきゃならないということで、あとは、地域にも限定があるということでございます。駅から一キロメートル以内にあるのか、人口集中地域であるのか、そういった要件があるということでございます。

 ただ、そういった要件を満たした中で、町村が公的不動産、そういったものを提供することができれば大丈夫だというふうに伺ったところであります。そういった場合には、国からも民間事業者に対して直接支援ができるということでございます。

 そこで、お尋ねしたいと思います。今までのお話を総合しまして、水族館を中心として地域の活性化を行おうとしている宇多津町等が地域要件を満たしてこの事業を申請してきた場合など、コンパクトシティーを推進するためにも、都市機能の整備に対して積極的な支援が必要と考えられますが、国交大臣の見解をお伺いします。

石井国務大臣 人口減少や高齢化が進む中で、地域の活力を維持するとともに、生活に必要な都市機能を確保し、高齢者も安心して暮らせるためには、町の拠点となる地区に医療、社会福祉、教育文化等の都市機能を誘導し、コンパクトなまちづくりを推進することが重要でございます。

 このため、コンパクトシティーを目指す市町村において、町の拠点となる地区に都市機能を整備する場合に、国として財政的に支援をしているところでありまして、引き続き積極的に支援をしてまいりたいと存じます。

 さらに、昨年三月に設置をいたしましたコンパクトシティ形成支援チームの枠組みを活用いたしまして、関係省庁と一体となって、まちづくりの現場の課題、ニーズに即した施策の充実、他の市町村の参考となるモデルケースの形成、横展開を図るなど、都市のコンパクト化に取り組む市町村を強力に支援してまいりたいと存じます。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 しっかりと宇多津町等が要件を満たした計画を立てれば、国としても、民間水族館も含めて支援することができるということなんだということでよろしいでしょうか。

 もちろん、宇多津町の方もしっかりと要件を満たした計画を立てていかなきゃならないということでございますが、そこのところを民間事業者がしっかり準備できるかというところもあるんだというふうに思っています。そういった全ての要件をそろえていく中で、町の活性化、そういったものにつなげていかなきゃならないと思っています。

 本当に、中心市街地を活性化するという問題は非常に大きな問題でございまして、特にこの宇多津町の場合は、宇多津町の活性化が香川県の活性化にもつながっていくというふうに私も考えております。しっかりまた、こういったところ、国として支援できるところがあるのであれば、ぜひ応援できればというふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

 次に、円座香南線についてお伺いしたいと思います。

 高松空港と高速道路のインターチェンジを結ぶ円座香南線というものがございます。

 先日、山本副大臣にも、中方橋の件とかで香川県においでいただきました。本当にありがとうございました。

 副大臣も御存じのように、高松空港は、四国の空港で唯一、津波の被害を受けにくい高台にあります。南海トラフ地震とかの大災害の際は、空からの緊急物資支援や医療活動などの交通拠点として期待されているところであります。

 今、ちょうど空港の民間委託も進められているところでありますけれども、ますますの活性化が期待されているところであります。

 また、中国からの爆買い観光客が高松空港にも来ておりますが、平成二十四年と平成二十六年、この二年間で比べてみますと、二十四年は一万四千人でしたが、二十六年には三万三千人ということで、倍以上にふえているということでございます。昨年はもっとふえておりますので、地元への影響というのは、この空港の役割というのは非常に大きいものがあるというふうに考えているところであります。

 ただ、副大臣も来られて、通られたかもしれませんが、高松空港から高速道路の高松西インターチェンジまでの道路、これは狭かったりとかくねったりとかして、非常にアクセスが悪い状況にあるということでございます。

 そこで、お尋ねします。南海トラフ地震への対策拠点として、また外国人観光客を誘致する拠点として、高松空港を全国道路ネットワークにつなげる意義は大きいと考えますが、副大臣のお考えをお伺いします。

山本副大臣 瀬戸議員からお話がありましたとおり、南海トラフ地震の際の津波の被害でありますけれども、実は、瀬戸内側は余りないのかと思っておったのでありますけれども、精査をしたら、かなりのことが起こる。加えて、例の高松港周辺は高潮等々で被害を受けたということもございますので、そういった意味においては、津波被害を受けない内陸部に立地をして、そして救援救助の拠点としての道路というもの、あるいはまた高松空港というものが非常に重要だと思っています。

 今お話がありましたとおり、利用者は国際線が五年で四倍ということでありまして、特に台湾あたりから大勢のお客さんが来られているということを私も認識しておるところでございまして、高松空港が大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。

 この高松空港と高松自動車道、高松西インターチェンジとの間、延長九キロの地域高規格道路が現在計画をされております。

 今、高松西インターチェンジから約三キロ区間の中間工区については、香川県において、平成二十九年度の開通を目標に工事が順調に進んでおるということを私どもも理解しておるところでございます。

 あとは、残る高松空港までの約六キロ区間の香南工区について、香川県において整備方針を今検討されておるというふうなことでございまして、引き続き、観光、防災対策の観点から、香川県からの要望を踏まえて、必要な支援を実施してまいりたいというふうに思っております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 本当に、特に中間工区について順調に進んでいるということでございます。今まで若干おくれぎみなところがありました。これは、県の方もしっかりやっていかなきゃならない問題なんだと思っています。

 特にまた、香南工区について、これから調査が始まるということでございます。そういったところについて、県の方もしっかりとこれから計画を立てていくということが必要なんだというふうに思っておりますけれども、国の方もぜひ支援の方をよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、香川県のダムについてお伺いしたいと思います。

 香川県は、御存じのように、雨が非常に少ない県であります。空海を初めとしまして、ため池を築いた方々のいろいろな伝説が残っているというところでもあります。

 高松市におきましては、水源の五〇%以上を高知県の早明浦ダムに依存しているという状況であります。この早明浦ダムが、時々、渇水になりますと取水制限があるんですが、これは過去四十年間で二十四年も発生した、つまり、二年に一回以上取水制限が発生したという状況でありました。

 そしてまた、渇水になるとほとんど、トイレに行くと水がちょろちょろちょろっとしか出ないという状況でありまして、そういった状況になってくると、観光客にも影響を与えるという状況であります。実際、観光客が大幅に減少したという例が過去には結構ありました。そういった中で、ダムの整備というのは香川県民にとって悲願でもあります。

 そこで、お尋ねしたいと思います。香川県の渇水状況や断水が観光客に大きな影響を与える状況に鑑みまして、椛川ダム、長柄ダム、五名ダム等の整備に向けて、国交省としても前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っておりますけれども、見解はいかがでしょうか。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 香川県内では、委員御指摘のとおり、渇水被害がたびたび生じております。また、洪水被害もたびたび発生している、そういう状況でございます。

 このため、香川県では、椛川ダム建設事業、それから長柄ダムを含む綾川ダム群連携事業、それから五名ダム再開発事業の三つのダム事業を実施しております。

 これらのうち、椛川ダムにつきましては、平成三十二年度完成を目指して本体工事を今実施しているところでございまして、国土交通省としてもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、長柄ダムを含む綾川ダム群連携事業は、坂出市や綾川町の洪水や渇水対策を、それから五名ダム再開発事業は、東かがわ市の洪水や渇水対策をそれぞれ目的とした事業でございまして、現在、詳細な事業計画の策定に必要な調査を実施している段階です。

 これら二つのダム事業につきましては、現在ダム検証を進めているところでございますけれども、国土交通省といたしましては、速やかに検証の結論を得て、その結果に沿って対応してまいりたいというふうに考えてございます。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 椛川ダムの方は順調に進んでいる、三十二年の完成を目指してやっていただいていることは、本当にありがたいと思っています。

 続きまして、椛川ダムの後に、長柄ダム、五名ダムの整備も控えているというふうに考えているところでありますので、そこに向けて県と一緒になってしっかりとまた取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 水の問題は香川県民にとっては本当に大変な問題でありまして、去年、ことしとかはないんですけれども、大体、渇水になると、夏になると、早明浦ダムの取水量が、取水制限がどうなのか、ダムの貯水量がどうなのかというのがニュースに必ず出てくるという状況でもあります。そういった中で、ダム建設、ダム整備について、国交省としてもしっかりとお願いしたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

門主査代理 これにて瀬戸隆一君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 民主党の玉木雄一郎です。

 香川県が連続しますけれども、おつき合いをよろしくお願いいたしたいと思います。

 まず、坂出北インターチェンジのフル化についてお伺いしたいと思います。

 これは、私は太田前国土交通大臣にも大変お世話になりまして、今回、四年連続、五回目の質問になります。なかなか進まなかったものを太田前大臣のリーダーシップで大変前に進めていただきまして、今年度から四者、県と市と道路会社、そして国も入って準備会が今開催されておりまして、先月一月までで三回既に準備会が進められておりまして、事業が前に進んでいるということは大変ありがたいと思っております。

 早期実現を願う地元の要望も大変強うございますので、検討の現状と今後の実現に向けた見通しについて伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の坂出北インターチェンジでございますけれども、このフルインター化ということで、平成二十七年度、いわゆる今年度から、国も調査をする準備段階調査という調査段階に着手をさせていただいたところでございます。もう既に、先ほど御紹介がございましたように、国、県、市、そして高速会社が入ります準備会を設置いたしまして、今その研究を進めているというところでございます。

 一般的には、概略検討、そしてそれを受けた詳細設計というふうなことを考えていくわけでございますが、まずは、その概略検討という中で、例えばインターチェンジをどのぐらいの車が走るのか、御利用いただけるのか、そしてそれがどういう効果があるのかといったようなこと、そしてまた周辺の道路整備の計画がどうなっているのかといったような概略の検討を受けて、今度はいよいよ、それに向けてインターチェンジの詳細設計といったようなものを行い、また、その事業の費用区分、あるいは誰がその事業をするのかといったような詳細の詰めをその後行っていくということでございます。

 いずれにしましても、そのインターチェンジの必要性、そしてまた将来の運営管理の方法につきまして、関係機関で調査を進めていきたいというふうに思っております。よろしく御指導ください。

玉木分科員 ありがとうございます。

 一点教えてもらいたいんですが、スマートインターチェンジを幾つか全国で競合してやっていかなきゃいけないんですが、一般的に、スマートインターチェンジも含めて、準備会を立ち上げてからできるまでに、通常、一般的に大体どれぐらいかかるのか、大体の年数のめどを教えていただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 一般的なめどということに関しましては、いわゆるスマートインターチェンジを実際に事業をしていく上では、用地買収が必要になるのかならないのかというのがかなり大きなポイントになってまいります。特に、インターチェンジ周辺というのは、もう既にかなりの工業立地、あるいはさまざまな立地が進んできているということもございますので、設計いかんよりも、用地買収がどのぐらい円滑にできるかというのが一つの大きなスピードのめどになってまいるというふうに思っております。

 一般的には、私どもとしては、設計で一年から二年、そして、事業を進めるに当たっては、やはり一年から、場合によってはかなり長い期間、もう既に五年近くを要しているインターチェンジもございますので、できるだけ早く、地元の御協力もいただきながら、早く効果の発現を目指していきたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

玉木分科員 ありがとうございます。

 ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、設計に一、二年、実際の工事に着工してから数年ということかもしれませんので、オリンピックが二〇二〇年にあるので、今は二〇一六年ですから、ひとつオリンピックを目指してぜひやっていくということで、国土交通省としても応援をいただきたいと思います。

 次に、土器川の中方橋の復旧について伺いたいと思います。

 これは、去年の台風十一号で、香川県というのは、さっき瀬戸委員も言っていましたけれども、水が余りないので、一級河川は一本しかないんですが、そこにかかっている比較的大きな橋が壊れてしまいまして、もう半年ぐらい通れないんです。高校が周辺にあるので、軽い自転車で通う高校生は早く通ってもらうことにしたんですけれども、一般車両が通れないんですね。

 ただ、県も国も御尽力をいただきまして、何とか復旧に向けた工事は進んでいるんですけれども、一般車両は年が明けたら何とか通れるんじゃないかという話もちらほら聞いておりますけれども、通行どめになってからはや半年、いつ一般車両が通れるようになるのか、そのめどがわかれば教えていただければと思います。

石井国務大臣 昨年七月の台風十一号により被災をいたしました中方橋につきましては、香川県におきまして仮橋の設置に昨年秋から着手をしておりまして、近々の開通を目標に鋭意準備を進めているというふうにお伺いしております。

 中方橋につきましては、地域住民の生活に欠くことのできない橋梁であると認識しておりまして、国土交通省としても、香川県と連携して、早期の復旧に取り組んでまいりたいと存じます。

玉木分科員 住民説明会を何度か県が行っているんですが、そのときに、一月中にくいを打って、二月中には大体完成するという感じで住民説明をしていて、私もそれを同席して聞いたんですが、二月もあと数日間、二十八年度当初予算も衆議院を通過するような形になってきていますので、大臣、近々というのは、それは今月中という理解でよろしいですか。

石井国務大臣 できれば今月中をめどにやりたいと思っています。

玉木分科員 今月はあとわずかですけれども、ぜひそのことは国としてもプッシュいただければというふうに思います。

 次に、高松空港について伺います。

 高松空港は、先ほども答弁いただきましたけれども、最近LCCが入って海外のお客さんもふえているんですが、私は、高松空港には二つの問題があると思うんですね。

 一つは空港アクセスということで、これは、円座香南線、二十七年度補正予算でも五億の要求に対して八億つけていただいて、大変前に進んだ。感謝をいたしております。

 もう一つは、霧でおりられないんですよ。四国四県のうち三つの空港は、大体海岸沿いにあるので低いところにあるんです。津波の被害を受けるという意味ではマイナスなんですが。逆に、高松空港というのは山の上にあるので、霧が出るとおりられない。私もよく条件つきで飛んで大阪とか名古屋に戻されたことが数知れずあるので、これをもうちょっと何とかしてくれぬかなと思うわけです。

 このことはちょっと後で聞きたいんですが、そのことを踏まえた上で、空港の民営化が今検討されています。これは、民主党政権のときに、私もかかわりましたけれども、コンセッション方式ということを入れて、民間の資金と知恵を生かして、これまで公的な管理だった空港の運営をより効率化していこうということが進んでいます。仙台空港では事業者が決まったということなんですが、被災地だという仙台空港を除けば、通常の一般の地方空港では多分高松が最初だと思うんですね。

 改めて、コンセッション方式ということの意義と高松空港の民営化の現状について御説明をいただきたいと思います。

石井国務大臣 空港運営の民間委託につきましては、滑走路とターミナルビルを民間事業者に一体経営させることによりまして、空港サービスの向上及び航空ネットワークの充実を通じまして、空港や地域の活性化を図ることを狙いとしております。

 国が管理する高松空港におきましても、運営委託に向けて地元の香川県とともに検討を進めてきたところでありまして、具体的な手続の第一歩として、昨年十月から民間投資意向調査を実施いたしまして、多くの民間事業者から関心が示されているところでございます。

 国土交通省といたしましては、民間事業者からいただいた御意見も踏まえながら、引き続き、香川県と連携をいたしまして、平成三十年度からの空港運営の民間委託の開始を目指して検討を進めてまいりたいと存じます。

玉木分科員 ありがとうございます。

 今、意向調査をやっている、いわゆるマーケットサウンディングということをやっていると思うんですけれども、これは事務方の方で結構なんですが、仙台空港でもやりましたよね、それで決まったんですけれども、仙台空港の応募者数と高松空港の応募者数と比べると、ふえているのか減っているのか、要は、人気があるのかないのか、関心があるのかないのか、この点、ちょっと数字を教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 民間投資意向調査、マーケットサウンディングの参加企業数でございますけれども、高松空港で実施をしたものにつきましては九十三社から関心が示されているところでございます。その前に行いました仙台空港につきましては七十一社でございました。

玉木分科員 ありがとうございます。

 大変関心が高いということで、これはぜひ成功させてもらいたい。先ほど申し上げましたように、被災地ということでやったのではなくて、通常の地方空港でやる第一号のケース、日本初のケースだと思うので、これはぜひうまく進めていってもらいたい。

 私も、昔、行革の仕事をしたときに、空整特会の真っ赤っかなあれをどうするんだというのは長年の課題でありまして、そんな中で、民間が自立的に、民間のお金と知恵を使いながら空港運営を効率化していくというのは、財政が厳しい折でも、行政改革の観点からも極めて重要だと思いますので、大臣もしっかりと後押しをいただきたいなと思います。

 その上で、先ほど申し上げた件を質問したいんですが、どうせ民間委託を受けるのなら、私が民間事業者だったら、いい空港を受けたいんですよ。要は、きちんと着陸できて、きちんと飛ぶ空港をもらった方が、言葉は悪いですけれども、うまくもうける算段もつきやすいと思うんですね。

 先ほど言ったようにネックは二つあって、一つはアクセス道路。これは、お隣の徳島空港が、スマートインターが最近できて、高速道路からのアクセスがかなり便利になって、香川県の東の方の人も、高松空港に行くよりは徳島空港の方が便利なので、時間的に読めるので、そっちに行くような人もふえているので、空港間競争という観点も極めて大事になってきていると思うんですね。

 その上で、道路をしっかりと整備していただくということとあわせて、さっきの霧の問題です。

 これは、国土交通省に聞くと、ILSといって、インスツルメント・ランディング・システムですか、計器着陸装置というのがありまして、電波を発射して、視界が悪くても滑走路まで誘導できるシステム。これは何かレベルがいろいろあるらしいですね。今、高松空港に置いているものだと時々おりられないんですが、高精度のものを置けば、かなり霧が立ち込めても着陸できる。

 これは、今後の民営化を進めていく上でも、平成三十年という話がありましたけれども、それまでにしっかりと整備をすれば、民間事業者としてもより民間の知恵や工夫を生かしやすくなるのではないかということで、より高精度なILS、計器着陸装置を高松空港にぜひ整備していただきたいと思うんですけれども、これについての支援はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 計器着陸装置、ILSについてお答えを申し上げます。

 計器着陸装置、ILSは、システムの精度により着陸に際しての条件が設けられておりまして、一般的なものは、地上六十メートルまで降下した時点でパイロットから滑走路や灯火が見えない場合には着陸ができないというものでありますけれども、さらに視程の悪い場合であっても着陸が可能なものもあり、これを高カテゴリーILSというふうに呼んでおります。

 国土交通省といたしましては、利用者利便向上という観点から、空港の就航率の向上や定時運航の確保は重要な課題であると認識しておりますので、これまでも、濃霧などによりまして欠航や遅延が頻繁に発生する空港には、視程が悪いときでも航空機の着陸を可能とする高カテゴリーの計器着陸装置、ILSを整備してきたところでございます。

 高松空港におきまして高カテゴリーILSの整備を進めるに当たりましては、高松空港周辺に急峻な谷があるという地形的な特性上、ILS自体を設置する用地の確保や航空機の飛行高度を計測するための用地の確保に工夫が必要となっております。

 国土交通省といたしましては、高カテゴリーILS整備に係る費用対効果を勘案しつつ、地元香川県ともよく御相談をしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

玉木分科員 多分、優先順位が全国でいろいろあると思うんですね。高松空港よりもっと霧が出るところ、多分それを先にやらなければいけませんし、費用対便益の分析も必要だと思うんですが、第一号として民営化するんですね。そういう新しい環境、新しい要件が加わってきた中で、霧で飛べなくなるというのが少なくとも年間何回かあるわけですから、民間事業者の予測可能性を高めていくという観点からも、私は、もちろん横並びで全国いろいろ地方空港はあると思いますけれども、その意味で、今回、ILSの整備をぜひしていただきたいなと思っているので、県も要望を出すと思いますけれども、前向きにぜひ検討いただきたいと思うんです。

 これはちょっと通告していませんけれども、大臣、できるだけおりやすくするILSの整備、特に、事実上、民営化を普通の地方空港では初めてやるということなので、霧でも着陸できる高カテゴリーILSの整備をぜひ前向きに検討いただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 地元の香川県ともよく相談しながら検討してまいりたいと存じます。

玉木分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 民営化の話に戻しますけれども、これはやはり成功させなきゃいけないと思うんです。これでうまくいけば、単に空港にとどまらないで、公的管理の施設を民間のお金と知恵と工夫で回していくというモデルができれば、少子高齢化になって財政が非常に厳しい、逼迫するという中で、これは本当に大事だと思いますし、アベノミクスの第三の矢にも実は非常にかかわってくるという問題なので、これはしっかり応援したいと思いますから、前向きに局を超えて進めていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、高松自動車道の四車線化について伺いたいと思うんです。

 宮内政務官にお越しをいただきましたけれども、先日二月二十日に香川県に来られましたね。私にいっぱい問い合わせが来たんです、そのとき電話がかかってきて。特に、高松自動車道の四車線化について、早期実現に向けたシンポジウムをやる、二十八年度予算、国の予算をそれについて求めるというようなことが県民の皆さんにも伝えられて、そもそも、四車線化はまだできていないのか、これから着工を決めるのか、さらに、国の予算がないと完成しないのか、さまざまな質問が私のところに来ました。

 まず伺いたいんですけれども、二十日に来られたんですが、県内もいろいろなところに行っておられますけれども、私はあえて、東かがわ市というところに来られた件についてだけお伺いします。

 これはそもそも、政務官としての公務ですか、あるいは自民党衆議院議員としての政務ですか、どちらですか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 二月二十日の東かがわ市におけるシンポジウムの参加につきましては、政務日程として出席したところでございます。

玉木分科員 政務なんですね。それなら、私、少し安心したんですが。

 これは、この夏に行われる参議院選挙の候補予定者、あるいは同日選挙、あるいはそれより早く行われるかもしれない衆議院選挙の候補者になろうとする者がみんないますね。これは、広く一般に開かれたものというよりも、どちらかというと自民党の集会のような感じがします。

 ただ、私が伺いたいのは、これは政務ということで来たんですが、では、何の目的でこのシンポジウムに参加されたんですか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 全国いろいろなところから、道路整備等々、社会資本の整備についての御要望をたくさんいただいておりますけれども、なるべく多くの現場を見て、そしてその上で、住民の方々と対話をする中で、その必要性について実感をして行政を進めていくことは大切なことだというふうに思っておりまして、今回のシンポジウムは、有志の方々が実行委員会をつくってこういう集会をするので、視察をすると同時に参加をしてくれないか、こういう話がありましたので伺った次第でございます。

玉木分科員 シンポジウムのチラシが手元にありますが、国土交通大臣政務官に、高松自動車道四車線化及び大内白鳥バイパスの早期実現に向けて、地元の熱意を伝え、平成二十八年度予算を確保していくために、宮内国土交通政務官に要望する場を設けていますと書いていますね。

 この場に行く前の高松港に寄ったときに、浜田知事、大西市長と会っています。これもある種のいろいろな話を聞いたり予算の要望を受けたと思いますが、これは政務ですか、公務ですか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 前日に高松の方に参りまして、高松港を視察させていただきました。その後、知事それから市長とも懇談、やりとりをさせていただきました。これは公務ということでお伺いをさせていただきました。

玉木分科員 港湾に関しては知事、市長から要望を受ける。後の東かがわ市は、四車線化と大内白鳥バイパスについての要望を伺う。同じく要望を伺うのに、なぜ前者は公務で、後者は政務ですか。その差は何ですか。

宮内大臣政務官 このシンポジウムの出席につきましては、瀬戸議員から、ぜひ来ていただきたい、それで視察をしていただいて、地域の要望を聞いていただきたい、こういうお話がありましたから、政務という整理の中で出席をさせていただきました。

玉木分科員 意味がよくわかりませんね。

 それでは伺いますが、政務であるのであれば、そこへの行き来、車の使用等、これは税金から出ていませんね。あと、政務であれば、例えば整備局長を初めとした公務員は同席していませんね。事実関係を教えてください。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 前後の交通手段につきましては、シンポジウムに行く前に視察をさせていただきました。そういうことで、国土交通省の整備局の車を利用させていただきました。

 それから、公務員の同席につきましては、視察につきましては公務員と一緒に視察をさせていただきましたけれども、シンポジウムにつきましては一切公務員の出席なく出席して、私、シンポジウムに参加させていただきました。

玉木分科員 本当ですか。後者の事実は本当にそうですか。公務員の同席はありませんか。もう一度。

宮内大臣政務官 当該シンポジウムにつきましては、整備局幹部は参加しておりません。

玉木分科員 私の関係者もいっぱい参加していましたので、当日のメモをいただいていますし、メモを起こしたものも手元にありますけれども、整備局の人間がいたんじゃないですか。これはしっかりと整理して、調査して委員会に出していただきたいと私は思うんです。

 今、明確に、ないとおっしゃいましたね。では、そのことがもし後で覆ったら、そのことについては改めてまたやらせてもらいますけれども、今は、ないというふうにおっしゃったので、それを信じたいと思います。

 ただ、少なくとも政務官はこういうふうにお話をされていて、四国地方整備局、政務官がこう動くとですね、国土交通省の地方整備局の、この幹部が全員私についてきてくれるんですね、こういう発言も御自身でされていますね。

 ここは、ないとおっしゃるから、そのことを信じたいと思いますが、私が問題にしているのは、公職選挙法百三十六条の二、公務員が、ここは公務員というのは政務官を初めとした特別職公務員を含めます、その地位を利用して選挙運動あるいはその準備行為をする等、選挙運動に紛らわしい行為をすることを禁止しています。ここで言うその地位を利用してというのは、補助金の交付などの職務権限を有する公務員等が、地方公共団体、関係団体、関係者等に対し、その権限に基づき影響力を利用することとされていますね。少なくとも、私は、そういう誤解を受けるようなことを選挙の数カ月前にやるべきではないと思います。

 もう一つ伺います。

 形式的なこととあわせて、私は、政務官が発言されている内容が非常に問題だと思うんですね。こういうふうに発言をされている。引用します。四車線化の計画があったのが、民主党政権のときにとまって、確かにこれはとまりました。そして、安倍内閣ができて再スタートをしております、予算は厳しいわけでありますけれども、四車線化、しっかりやっていきたいと思っております、こういうふうに発言されています。

 伺います。まず道路局長に伺います。

 確かに、高松自動車道四車線化、これは、全国六区間、国幹会議で決まっていたものをとめました。そのうち四つは速やかに民主党政権下で復活をして事業を再開しておりますけれども、四車線化の計画があったのが、民主党のときにとまって、安倍内閣ができて再スタート、事実に反すると思いますけれども、この事実関係を正確に教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 この高松自動車道の部分でございますけれども、ここはもともと平成十四年七月に暫定二車線で全線が開通されているところでございます。その後、利用していただいている交通量が非常に多かったということで渋滞もたくさん発生した、こういうことを受けまして、平成二十一年の四月、第四回の国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議でございますが、この議を経まして、国と高速道路会社の合併施行方式で四車線化を行っていこうということが、平成二十一年、四車線化が決定をしたところでございます。

 しかしながら、平成二十一年の十月に、その事業の執行を停止するということと相なりました。

 その後、事業手法を合併施行方式というものから高速道路会社の単独の事業手法という形での見直しを行いまして、平成二十四年四月に四車線化の事業を始めさせていただいたというところでございます。

 以上でございます。

玉木分科員 平成二十四年四月は民主党政権です。安倍政権になって再スタートしたわけではありません。

 もう一つ申し上げると、確かに、自民党政権時代は、合併施行方式、薄皮方式ということでやろうとしたんですが、整備方式を見直して、かつては百億円の地元負担を求める方式でやりました、それを、私が担当したので覚えているんですが、このときは、会社方式、つまり会社の料金収入の体系の中でやっていくということにシンプルにしたので、実は国費は一円も入りません。

 お伺いしたいのは、要望を受け取っておられますね、政務官。大内白鳥バイパスはいいです、これから整備が必要ですから。四車線化について、早期実現について、国の予算で、陳情を受けて何をするんですか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 もちろん、これはNEXCO西日本において事業をしているところでございますので、国の予算等とは関係のないことでございます。

 私の発言の中で、高速道路会社に早期実現を要請いたします、こういうような発言をさせていただきました。

玉木分科員 着手率は御存じですか、今。大きなトンネル工事の発注はほぼ終わっているんですよ。NEXCOのホームページを見ると、今、事業がどれだけ進んでいるのかということに関していうと、工事着手率九九%です。何をさらに押すんですか。大変順調に工事は進んでいますよ。

 余り誤解を与えるようなことを言うべきではないと思いますよ。あなたは政務官だから、行政を代表しているから、もしそういうことが選挙の目的で言うんだったらあるかもしれないけれども、これについては既に事業が決まっていて平成三十年度に完成するから安心してくださいと言うのがあなたの仕事だ。違いますか。

 今、NEXCOに言いますということを言いましたけれども、予算は厳しいわけでありますけれども、四車線、しっかりやっていきたいと思っておりますと。誤解を与える表現じゃないですか。

 私は、こういったことを発言したことは、政務官として、そもそも、こういう形態で、選挙が近いときに、補助金の交付決定をするような権限のある者が発言する、行動することが間違っていると思うし、そもそも言っている内容が事実に反することは、訂正して謝罪していただけませんか。

門主査代理 宮内大臣政務官、質疑の時間が来ております。答弁は簡潔にお願いします。

宮内大臣政務官 現地に行きましたら、多くの方々がかなり熱烈な要望をされておりました。それを受けて、また、視察をした中で率直に思ったことを発言させていただきました。

 いずれにいたしましても、社会インフラにつきましては、私もあのときに発言をいたしましたけれども、誰がやる、彼がやるじゃなくて、みんなで力を合わせてインフラ整備を進め、そしてそのことを、いかにストック効果を利用して地域を振興していくかということをみんなで考えていただきたいというような発言をさせていただきました。

玉木分科員 事実に反すること、あるいは誤解を与えることを発言したことについての謝罪はないんですか。訂正はないですか。

宮内大臣政務官 事実に反するようなことで理解をされる方がいらっしゃいましたら、大変申しわけないことだと思っております。

玉木分科員 事実に基づいた公正な行政を行っていただくことを強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

門主査代理 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美さん。

西村(智)分科員 西村智奈美です。きょうは、三十分、よろしくお願いいたします。

 私は、きょうは社会資本整備総合交付金に関連して、何点か伺いたいと思っております。

 民主党政権のときにスタートしたこの交付金は、それまでの個別補助金、ばらばらに交付する、そしてその都度補助対象事業について決定するというやり方を一つにまとめて、自治体にとっては非常に自由度が高くて創意工夫ができるということで高く評価をいただく中で、平成二十二年にスタートいたしました。

 これは、少しずつ形を変えながらでありますけれども、今も継続をしていただいているということで、自治体の方としても、本当に使い勝手がいいという面では評価をしているものの一つではないかというふうに思うんです。

 それで、今、実はいろいろな都市の公共交通についても国土交通省としてはこの社会資本整備総合交付金を配分しているということで、私の地元新潟市に対しても、平成二十五年度から総額で三十六億、配分を決定していただいているということでございます。

 まず冒頭、伺いたいと思うんですけれども、そもそも国が、国土交通省が公共交通について、さまざまな事業に対して社会資本整備総合交付金などを初めとする支援を行っている理由といいますか背景、これを答弁いただきたいと思います。

土井副大臣 お答えをいたします。

 ただいま御指摘いただきましたように、公共交通の各モードの適正な役割分担を行い、交通渋滞の緩和、交通に起因する環境負荷の低減を図ることは、安全で円滑な交通の実現や都市の魅力を最大限に高めるために重要だと考えております。

 このため、バランスのとれた交通体系の構築に努める観点から、地方公共団体が策定をいたします公共交通に関する施策を含む整備計画に対しまして、社会資本整備交付金等を活用して支援を行っているところでございます。そういう観点で支援をさせていただいております。

西村(智)分科員 人口偏在の問題もありますけれども、やはり、少子高齢化社会にあって、持続可能な公共交通体系というのは、まさに住みなれた地域で安心して生活を送ることができる基盤という意味もあります。

 昨今は、残念ながら高齢者の交通事故等の比率も高くなっている。これは、高齢になってもハンドルを握る方がたくさんいらっしゃるようになったということが背景にあると思いますけれども、特に、私の地元などは、すごく広大な面積があるところもあるので、車がないとなかなか買い物にも行けないという方が結構多くいらっしゃるんですね。そういう方々がやはり最後の頼みの綱にするのは公共交通だというふうに思いますので、こういった点からもこれからもぜひ支援をお願いしたいと思うんです。

 ちょっと確認のために伺うんですが、この社会資本整備総合交付金ですけれども、非常に自由度が高いということで、自治体の方からすると非常に歓迎する交付金ではあるんですけれども、一方、支出する側からするとちょっと心配なところもあるのではないかという懸念も想像はできます。つまり、これまでは事業官庁が箸の上げ下げまで指導してきたけれども、この交付金については比較的自由度が高いということから、それまでのやり方を変えたということですので。

 そういう点からの質問なんですけれども、こういった交付金の使途とか手続などについて、国交省が例えば地方自治体に助言や指導した例があるのかどうか、それから、会計検査院などから指摘を受けたことがあるのかどうか、また、財政制度審議会等から指摘を受けたというようなことがあったのかどうか、これについて伺いたいと思います。

土井副大臣 社会資本整備総合交付金の適切な執行を図る観点から、国土交通省は、地方公共団体に対しまして必要に応じて助言を行っております。例えば、社総交において、事業の進捗に合わせて、当初予定した事業とは別の事業に国費を充てることが可能というようなものも助言をいたしておりますし、これらについての具体的な手続について、地方公共団体からの相談に対して、もろもろの助言を行っているところでございます。

 会計検査院からの指摘につきましては、本年二月十七日に、国土交通省において地方公共団体に対しての支援、助言等を行う必要があるという旨、会計検査院から国会に対して報告がなされたところでございます。具体的には、地方公共団体が整備計画を作成するに当たって計画の目標や評価指標を適切に設定すること、交付期間の終了後には速やかに事後評価を行うことなどについて、国土交通省において支援、助言等を行う必要があるとされております。

 また、財政制度審議会におきましては、平成二十七年十月の財政制度分科会におきまして、交付金事業においても一定の線引きを行った上で事業評価を要件化すべき、また、事業計画の目標設定が適切に行われるよう国による一定の指針などを検討すべきという指摘を受けております。

 これらの指摘も踏まえつつ、地方公共団体におきまして社会資本整備総合交付金事業等が適切に進められるよう、引き続き、必要な支援、助言を行ってまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 もちろん、個別のケースでいえば、指導や助言等々必要になってくるところもあろうかと思いますし、基準については、もしかしたら部分的には適正化するということが必要になってくるかもしれません。ですけれども、交付金の性格上、ここは確認させていただきたいんですけれども、国の細かい関与はそもそもは求めていないものだというふうに理解してよろしいでしょうか。ここは確認させてください。

土井副大臣 御指摘いただきましたように、これまでの補助金よりはまさに自由度が高いということで進めておりますので、国の関与というものは極力少なくしてまいっておりますけれども、特に、地方公共団体からいろいろな助言、支援の御相談があったときに、しっかりとそのことは地方公共団体と連携して取り組ませていただいております。

西村(智)分科員 そこで、実は新潟市では、BRTの整備についてこの間議論もされ、そして取り組んでまいっております。

 新潟市の新年度予算のうちBRT関連は二億七千四百九万円、うち恐らく国庫から一億強の補助があるということだと思います。

 今、市議会でも新年度予算が議論されている最中なんですけれども、来年度は専用走行路を設置する社会実験の事業費というものが盛り込まれております。ですけれども、この具体的な開始時期や区間、距離などが、まだ概要が明らかになっていないんですね。

 そういった具体的な事柄については国や県警と調整中であるということなんですけれども、国と調整中というふうに伺いましたので質問をいたしますが、現在、専用走行路の社会実験に関して、誰と、それから何を今調整しているところなのか、お伺いいたします。

江島大臣政務官 まず、BRTの社会実験でありますけれども、これは新潟市が主体となって実施をする予定と伺っております。

 それから、検討する内容でありますけれども、大きく二点ございまして、まず一点は、駅前通りバス停周辺の道路中央部にアイランド方式のバス停を設置して、バスを実際に走行させて客の乗降を行うことで、このアイランド方式のバス停の快適性、安全性を確認する実験、これがまず一点です。それからもう一点は、BRT区間における一部車線で一般車両の通行を制限しまして、中央部にバスの専用走行路を設けることによる周辺交通への影響を把握する実験。この二点を実験内容として伺っております。

 それから、誰と調整しているかという御質問でありますけれども、これは、社会実験の実施に向けまして、現在は、新潟国道事務所、新潟県警本部、さらには新潟交通株式会社、この三団体と調整をしているというふうに伺っています。

西村(智)分科員 実は、新潟市のBRTは、専用走行路の設置のないままにスタートをしたんです。構想自体は五年以上前から議論がありまして、結果、BRTという形をとることになって昨年開業したんですけれども、実は、乗りかえ等々の負担がいろいろ言われるなど、率直に申し上げて、開業の出だしはスムースではなかった、混乱があったというふうに申し上げなければなりません。

 ですが、やはり持続可能な公共交通を維持していくというためには、公共交通の再編ということは必要な改革であると私も思いますし、現在の形が完成形であるというふうには全く思っておりませんので、ぜひいい形でこれからも改革を進めていってもらいたいというふうに思うんです。

 特に、社会資本整備総合交付金を活用しての支援をいただいているということの中でもありますので、先ほど、誰とという協議については、新潟国道事務所も含めて協議をしているというお話がありましたが、恐らくこれはインフォーマルな協議の場なんだというふうに思うんです、交付金の性格からいいましても。

 新潟市としても、以前の予算要望の中ではこういうふうに要望しています。平成二十七年度以降、段階的に機能強化を図る中で専用走行路の設置等諸課題に対する技術的支援を要望するということも言っていますので、新潟市としても国土交通省に専用走行路の開設に向けては技術的な支援もお願いしたいということの中で、そこで質問なんですけれども、せっかく新潟国道事務所も入っていただいての協議が行われているということでもありますので、当事者等々に加えて、例えば運輸局、こういったものもバスの運行ということに関してはかかわってくる部分もあるかというふうに思いますので、運輸局も加えてのインフォーマルな形での協議という形が望ましいのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

江島大臣政務官 御指摘のとおり、これは新しいシステムを導入しようというものであります。だからこそ、社会実験という形で行っているわけでありますけれども、少し重複いたしますが、まず、国道七号、百十六号、これを使用いたしますので、この道路管理者である新潟国道事務所、それから車線規制等を行う新潟県警本部、さらにはバス事業者である新潟交通株式会社、この三者が現在調整の当事者になっているところであります。

 さまざまな観点からの検証というのは御指摘のとおりでございますので、今後は、運輸局も含めて広く関係者と調整を行っていく予定であるというふうに確認をしております。

西村(智)分科員 ありがとうございます。

 最後、一点は要望にしたいと思いますが、できるだけやはりそういった形で、オープンで多角的な形で議論が行われて、その内容も市民に、利用者にわかるように適時公表されて、その上でまた手直しがされていくということが望ましいと思いますので、今後ともどうぞ御支援をよろしくお願いいたします。

 それで、もう一点、この社会資本整備総合交付金に関してなんですけれども、新潟駅は今、連続立体交差事業が進んでおります。新潟は、以前、国土交通省から環日本海圏の窓口であるというふうにお墨つきもいただいて、それがゆえに、海も陸もそして空も、その玄関口としての機能を強化してこれたというふうに思っておりますけれども、実は、この新潟駅の連続立体交差事業が、ちょっと事前の調整に時間がかかりまして、事業の進捗が危ぶまれている状況です。

 平成三十三年度の全面開業に向けて現在工事中なんですけれども、今既に連立は優先度が高いからということで御配慮いただいているというふうには聞いているんですけれども、これ以上長引くことがないように、できるだけ、引き続き優先順位を高くしていただきたいと思っておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

石井国務大臣 JR新潟駅付近では、新潟市が事業主体となり、連続立体交差事業が実施をされております。本事業は、信越本線、白新線及び越後線を高架化することによりまして踏切の除却や交差する道路の整備を行い、交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化を行い、都市の活性化を図るものでございます。

 国土交通省といたしましては、連続立体交差事業は都市の骨格の形成を実現する重要な事業と考えておりますので、引き続き、新潟市に対して予算の範囲内で支援をしてまいりたいと存じます。

西村(智)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 大臣が今御指摘くださったように、やはり山形県の酒田とか鶴岡の皆さんからも応援していただいて事業化へと結びついた部分もございますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 残りの時間で、予算案に関連して、三世代同居対応工事について伺いたいと思います。

 この件について、私が石井国土交通大臣に質問をさせていただくのは初めてですが、予算委員会では既に何度か議論になっております。

 きょう、資料としておつけしているのは、二月二十三日、おととい、財務金融委員会での玉木委員と麻生財務大臣とのやりとりなんですけれども、例の三世代同居対応工事です。

 もう改めて申し上げませんけれども、三世代に対応する住居のためのリフォーム工事をする、その内容は、例えばトイレを二つつくる、お風呂を二つつくる、玄関を二つつくる、あるいはキッチンを改善するというようなことなんですけれども、そういったことを地元の優良企業などにお願いをしてやるときに、補助事業としてもお金が出るし、それから、これは今年度の補正予算でもありましたし、新年度予算の中にも、五百四十億だったか、入っていると思います。それから、税制改正においては税額控除を導入するということになっているということなんですけれども、では、三世代同居をしているかどうかというのは本当にチェックできるんですかということを玉木委員はこれまでも何度も質問しておられました。私も同感です。

 いろいろな資料などを見たんですけれども、結局、確認するすべがないというふうに思うんですね。ところが、驚いたことに、二十三日に麻生大臣は、三世代同居をしているかどうかについては一応のチェックぐらいはできる、建築確認等々が主になりますので国土交通省がチェックするんですというような趣旨で答弁をされておられるんです。

 きょうは、財務政務官、お越しいただいていると思いますけれども、こういう答弁をされたということで間違いありませんね。

中西大臣政務官 西村智奈美先生にお答え申し上げたいと思います。

 二月二十三日の財務金融委員会におきまして、玉木雄一郎先生に対して財務大臣から申し上げさせていただいたと伺っておりますのは、この制度がどのぐらい三世代同居のために使用されているか、建築についての内容を確認する機会なども利用して何かの調査を行えるよう、国土交通省において対応することになろうとの趣旨で申し上げたというふうに承知をいたしているところでございます。

西村(智)分科員 では、国交省に伺いますけれども、どのように確認するすべがあるんでしょうか。確認するすべの有無、内容、こういったものについて国交省から答弁をいただきたいと思います。

石井国務大臣 例えば、リフォームを実施した事業者の団体を通じたアンケート調査などによりまして、本税制を利用された方がどの程度同居を実現されたのか、本税制が同居を行うきっかけとなったのか等について検証してまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 それは、アンケートを通じてということですから、一般論としての話に終わってしまうと思うんですね。実際にそのリフォーム税制あるいはリフォーム補助金の対象になった家が三世代同居をしているかどうかというのはどうやって確認するんですか。

石井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この税制等の効果について、アンケート調査などにより検証してまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 いや、お答えになっていないと思うんですけれども。

 今、財務省も国交省において確認されると。国交省もそれについては否定されないわけなんです。それで、どういう形で確認するんですか。具体的にどういうふうに調査をやって、その該当する家が三世代同居になっているのかどうか。

石井国務大臣 この三世代同居に対応した住宅リフォームに係る税額控除につきましては、三世代同居など複数世帯が同居しやすい住宅ストックの形成を促す住宅政策の観点から、いわゆる二世帯住宅仕様とするに当たり割高になる工事費に対する支援を行うというものでございます。

 具体的には、複数世帯が同居する場合に一般的に行われる工事の内容として、キッチン、浴室、トイレまたは玄関のいずれかを増設し、その結果、これらのうち二つ以上が複数となる工事を要件としております。

 同居世帯の構成につきましては、親と本人夫婦と子供という典型的な三世代同居の場合のほか、例えば出産を予定している夫婦の場合、この場合はまだ予定していますので、予定の段階では二世代ということになりますが、いずれ三世代になるということになりますし、また、おじ、おばなど他の親族と同居する場合等も含めて、世代間で子育てを支え合うあり方としてはさまざまなケースが考えられます。

 また、家族の構成や間柄、出産の予定や意思などはプライバシーにかかわることから、慎重に取り扱うべきものだと考えたところでございます。

 このため、家族の構成や間柄などについては一律に要件とせず、子育てしやすい環境づくりという観点から、三世代同居など複数世帯の同居に必要となる工事に着目して支援を行うこととしているところでございます。

西村(智)分科員 答弁、今変わったと思うんですね。前段では、アンケートを通してということで、結局、三世代同居をしているかどうかということは確認したいという意思を持った上で答弁をされながら、今度は、それは目的とはしていないんですと。確認はしないということの意思を前提に、こういった政策目的でやるんだという、事業の内容について説明はされたと思うんですけれども、結局、結論は何かというと、確認をするつもりもないし、確認する方法はないんですよ。できないんですよ、これは。

 財務大臣は、実はおととい、いろいろやらせていただいて、結果を見て、詰めろという話が出てくるかなというふうにも答弁されていたんです。これは結局、始まる前から、この三世代同居対応工事については詰まっていないんだ、中身はよく詰まっていないけれども、とにかくスタートするんだということを認める答弁でもあったというふうに思うんですよ。

 こういうことで本当に政策意図が実現されるというふうに政務官、思いますか。

中西大臣政務官 お答え申し上げます。

 本特例制度につきましては、複数世帯が同居しやすい住宅ストックの形成を通じて世代間の助け合いによる子育てを支援し、子育てをしやすい環境づくりにつながることを期待しているということは、これまでも申し上げてきたとおりでございます。

 また、二月二十三日の財務金融委員会で財務大臣から申し上げさせていただきましたのは、ほかの措置と同様、当初意図した政策目的が実現されているかどうかについて不断に検証をし、期限が到来した際に必要に応じて見直しを行っていくというふうな趣旨で申し上げさせていただいたというふうに承知をしております。

西村(智)分科員 今、国土交通大臣は、検証する方法については何も明らかにしなかったんですよ。三世代が本当に同居できていたのかどうかということについて検証するすべは、国土交通省から何も明らかにされませんでした。だから、これは本当に政策目的が達成されたのかどうかというのは検証しようがないんです。検証しようがないのに、財務省として不断の見直しを図っていくということは、これは非常にいいかげんな政策だと私は思いますよ。

 それで、既に財務大臣みずからも、今後これは見直していくかもしれませんというようには言っているんですけれども、これは、始まる前から言うのはなんですけれども、ぜひ見直してほしいと思うんです。

 三世代同居について、実は昨日、予算委員会の中央公聴会で公明党推薦の公述人の方が、これは希望出生率一・八に向けた効果が疑わしいというふうに発言をしておられました。資料としてつけております。二枚目です。ここについて、ここで線を引っ張ってあるところですけれども、私はちょっとクエスチョンマークがともりますしというふうにもおっしゃっておられるわけです。

 それから、私、実は、この点について質問主意書も提出していたんですけれども、三世代同居をすると希望出生率一・八に近づく根拠は何ですか、本当に三世代同居で希望出生率に近づくんですかということを質問したら、バックデータがこれですといって出てきたのが資料の三枚目なんですね。

 これをごらんください。確かに厚生労働白書では、親との同近居別で同居の方の出生率、完結出生児数というふうな言い方をしていますけれども、これでいうと、同居、近居、別居、確かに同居の方の数字が一番高くはなっているんです。だけれども、これはちゃんと細分化して見ないといけませんね。

 次のページをごらんください。資料四です。

 上の段の方は、一億総活躍社会に関する意見交換会で加藤教授が出されたものです。ちょっと見にくくなっていますけれども、これは時代も古いです。ですが、見ていただきたいのは、妻方の同居、妻方の親と同居しているという、列でいうと上から三列目、下からいっても三列目になりますけれども、第一子の出生力、ここは出生力という言い方になっていますが、第一子の出生力から、妻方の親と同居していると、第二子、第三子とだんだん出生力は落ちていっていますよね。夫方の親と同居していると確かにちょっと上がってはいます。だけれども、妻方の親と同居していると下がっていっちゃっているんですよ。

 その下を見てください。

 これは、この加藤教授のデータが少し古いものなので、何か新しいものはないかと思って探しました。そうしたら、厚生労働省が出してきたペーパーと同じものから、妻の母親、妻の父親、夫の母親、夫の父親との同居別の平均出生子供数というものが出ていまして、見ると明らかなんですけれども、確かに夫の親と同居していると、一番高いのは同居の場合の出生数なんです。ところが、妻の親と同居していると出生数というのは下がっていますよね。

 夫方の親と同居するのか、妻の親と同居するのか、これは選べません。どちらと同居するのかによっても違いがありますよねということは、昨日、白石公述人もそういうふうにおっしゃっていました。

 本当にこれで効果が出るというふうに思いますか。これは国土交通省と、それから税制要望をしていた内閣府にも伺いたいと思います。

石井国務大臣 今お示しいただいた資料を拝見いたしましても、表の七の十、一番右側の平均出生子供数を見ますと、やはり妻の母親、父親と同居の場合より近居の方が平均出生子供数は多いようですが、別居している場合よりは同居の方が出生率は多くなっているということはこの表でも明らかではないかなというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、こうしたことを踏まえまして、三世代同居など複数世帯が同居しやすい住宅ストックの形成を促すという住宅政策の観点から、二世帯住宅仕様とするに当たり割高になる工事費に対する支援として、今回住宅リフォームに係る税額控除の制度を創設しようとするものでございます。

 もとより、希望出生率にこれだけでつながるということではないと思いますけれども、さまざまな施策を講じる、その支援策の一環として、この施策も有効であるというふうに考えております。

西村(智)分科員 済みません、時間ですので終わりますが、ネットでもこのことは大変な話題になっていまして、もう絶対こんなの無理、安倍政権何考えているんだという書き込みが非常に多いものもあるんですよ。

 けさ、私たちは雇用保険法の改正でヒアリングをしました。日本ケアラー連盟、それから認知症の人と家族の会、いずれにも私、この三世代同居について伺いましたら、支え合いの社会を構想するのはいいが、こんな特定の形にしようと思っているのは間違っている、同居家族に任せるというのはこそくな感じがすると。今は、子供は小さいです、高齢出産も多いですから。育児と同時に介護がやってくるから、そんな、同居家族でできるという甘いものじゃないということを訴えておられました。

 これは、今から見直すという申し送りをぜひしてもらいたいと思います。

 終わります。

門主査代理 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

    〔門主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 第八分科会、質問に立たせていただきます緒方林太郎です。

 きょうは質問をたくさん用意しておりますので、迅速な答弁をよろしくお願いいたします。

 まず、一問目です。

 北九州市の八幡西区折尾地区の総合整備事業については、事業開始から十年を経まして、駅周辺の事業進捗に実感を得ているところです。平成二十八年度は鹿児島本線の切りかえ工事を行うなど、クリティカルパスを迎えています。切りかえ工事というのはJRをとめなきゃやれないので、やれる日程が非常に限られております。

 既に要望活動等を受けておられると思いますが、重ねて、地元民として強く事業費の確保をお願いしたいと思いますが、石井大臣。

石井国務大臣 折尾地区総合整備事業は、北九州市が事業主体となりまして、JR九州折尾駅周辺で連続立体交差事業、土地区画整理事業及び街路事業を一体で実施するものであります。

 特に、連続立体交差事業は鹿児島本線と筑豊本線の四・五キロを立体交差化し、踏切を除却するもので、平成二十八年度に鹿児島本線の仮線切りかえを予定していると聞いております。

 これらは、総合的に実施することにより交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化により都市の活性化を図る重要な事業でございますので、国土交通省としましては、引き続き予算の範囲内で支援をしてまいりたいと存じます。

緒方分科員 元気な答弁をありがとうございました。

 次に、同じく八幡西区、黒崎バイパスというものがございますが、三号線バイパスです、これまでの一部供用によりまして、渋滞緩和、速達性、定時性向上が認められまして、物流の効率化や沿線への企業進出につながるなど整備効果は着実に上がっております。

 一方で、現在は国道三号線や国道二百号線に未接続で直轄国道のネットワークが形成されていないため、バイパス本来の効果が十分に発揮されていない状況にございます。

 本バイパスの早期開通は、黒崎副都心の再生、地方産業の振興など、市の活性化の鍵を握ると考えておりまして、さらなる御支援をお願いしたいと思いますが、石井大臣。

石井国務大臣 黒崎バイパスは、国道三号の黒崎駅周辺の渋滞を緩和するとともに、北九州高速道路等と一体となる自動車専用道路網を形成し、北九州地域の経済の発展等に資する重要な路線であると認識をしております。

 これまで、全延長五・八キロメートルのうち、北九州高速道路への連絡を図る五・二キロメーターの区間を平成二十四年九月までに開通させ、現在、小倉都心部へのアクセス性向上を図るため、JRをまたぐ橋梁の下部工工事等を順次進めているところであります。

 引き続き、北九州市など地元の協力を得ながら工事の進捗等を図り、早期開通に向け取り組んでまいりたいと存じます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 本当に、地元の要望は非常に強いものでありまして、今後とも、大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、無電柱化についてお伺いをいたします。

 国土交通省は、無電柱化に向けて、道路の新設とか拡幅を行う際に同時に整備を推進するとともに、緊急輸送道路における新設電柱の占用禁止等を展開していく方針を出しておられます。

 その一方で、緊急輸送道路に限らず、景観向上、歩行者等の交通円滑化のために無電柱化を推進する場合、電線管理者と協議の結果、要請者が負担する方式として、この場合、要請者は自治体でありますが、自治体が負担するケースもございます。本当に、車椅子とかベビーカーが通行しやすいように要請者がこの件に取り組もうとしても、要請者の満額負担ということになりますと非常につらいわけであります。

 要請者負担方式においても国による支援を拡大するなど、検討をお願いしたいと思いますが、国土交通省。

森政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化の施策でございますが、当然、先ほど御紹介がございました災害対策等のためにも必要でございますし、バリアフリーそしてまた通学路における学童の安全歩行といったような観点でも、そしてまた、要は観光の訪問者を促していくためにも、良好な景観形成ということでも、無電柱化の促進、そしてまた自治体からの要請もたくさん集まっているところでございます。

 今委員の御指摘のございます要請者負担方式というものが、現在、実際、現場現場ではある状況にございまして、通常の方式と同様に自治体が管理をされます管とかあるいは升といったようなものに対しましては、法に基づいて支援を行ってきているところでございます。

 しかしながら、要請者方式というのは、まさに地上の機器、例えばトランスだとかあるいはケーブルといったものを自治体が負担しないといけないということになりますので、自治体の負担が通常の例えば電線共同溝等をやるよりもかなりふえてしまうという、委員のまさに御指摘はそのとおりでございます。

 私どもの方もいろいろ研究を重ねてきておりまして、例えば、電力会社の資産となりますような地上機器をちっちゃくするということ、そしてまたケーブル等々、またいろいろな意味でのコスト縮減を図ってもらうというようなことをやっていくことが重要だと思っておりますし、私どもの方も関係機関といろいろ研究を重ねてきているところでございます。

 国交省といたしましても、今後関係者と連携をして、今まさに申しました小型化、あるいは民地にそういうものを動かしていただくことでの検討といったようなことも今進めてきておるところでございまして、電力会社等が中心になってこういったことに取り組んでいただけるよう、ぜひとも委員の御協力もいただきながら、あるいはまた自治体のお声もいただきながら進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

緒方分科員 答弁ありがとうございました。

 そういった小型化とかのノウハウの伝達についても、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、上下水道の話でありまして、全国の上下水道管で、法定耐用年数四十年を超えた老朽管が今急増しておりまして、破損等による漏水事故が相次ぐなど市民生活に影響を及ぼすところがございます。事故対応や老朽管更新のための水道料金の値上げというのはマスコミでも取り上げられておりますが、非常にこれに苦慮いたしております。

 その一方で、浄水場とか配水本管の基幹水道施設を現行の耐震基準を満足する施設へ改築、補強することは災害対策として極めて重要であると考えておりまして、現在、我が町でも一生懸命取り組んでおります。

 この観点から、重要なのは長期的なアセットマネジメントでありまして、これを見据えて、計画的な更新工事を進めるに当たりまして、安定的な財源を確保するために、平成二十六年度補正より創設された生活基盤施設耐震化等交付金制度について、補助率や長期的なアセットマネジメントの観点からの交付期間等の拡充について特段の御配慮をお願いしたいと思いますが、厚生労働省。

福田政府参考人 お答えいたします。

 生活基盤施設耐震化等交付金は、水道施設の広域化等を促進するために、平成四十一年度を時限として、平成二十六年度補正予算より創設されたものでございます。地方公共団体等はこの交付金を活用して水道の広域化等の事業を実施し始めたばかりのところでございまして、まずは現在の制度を積極的に活用し、事業を進めていただきたいと考えております。

 なお、厚生労働省といたしましては、御相談がございますれば、事業の進捗状況も見つつ、今後の本交付金のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

緒方分科員 また新しくできた制度ということでありまして、うちの地元も整備をしてからかなり時間のたつ水道管等々がたくさんございますので、多分うちの町からもいろいろな相談が行くと思いますので、よろしく御配慮のほど、お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、高齢者の公共交通利用促進についてお伺いをいたします。

 我が町北九州市では急速に高齢化が進んでおりまして、マイカーにかわる公共交通が高齢者にとってより利用しやすい移動手段となるよう事業を展開しております。

 一方で、現在、高齢者の運転免許の特別講習での講習予備検査において、先般改正されました道路交通法の改正においても、記憶力、判断力が低くなっていると判定されても、一定の要件を備えれば免許更新が可能となっております。

 私は、高齢者の方に免許を交付しないように施策を講ずるよう求めるつもりは毛頭ございませんが、ただ、講習予備検査段階において免許交付可否を実施する等して、高齢者による加害事故を減らすとか、そういったことを進めて、逆にそれによって高齢者の公共交通利用を促すような制度を見直すことを考えられないかなというふうに思うわけでありますが、これは、警察庁、よろしくお願いします。

掛江政府参考人 認知症のおそれがある方を把握し安全上の措置を講ずることは、高齢運転者の交通事故防止の観点から重要でございます。

 このため、委員御指摘のとおり、昨年六月の道路交通法改正により、七十五歳以上の運転者が更新時の認知機能検査で認知症のおそれがあると判断された場合には、従来と異なり、その者の違反状況を問わず医師の診断を要することとする制度などが導入され、二年以内に施行されることとされております。

 認知機能検査はスクリーニングでございますので、認知症として処分をするにはやはり医師による診断が必要となりますが、改正法を適切に運用することにより高齢運転者の交通事故防止に努めてまいりたいと考えております。

 また、認知症として免許を取り消された方などのため移動手段を確保することは重要な課題と認識しておりまして、警察としても自治体等との連携を強めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

緒方分科員 ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。

 次の質問です。

 我が北九州市は政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいる町でありまして、しかし、その我が町におきましても公共交通の利用者が既に減少に転じております。公共交通空白地帯が少しずつ出始めているところでありまして、公共交通の利便性を向上させるということも施策の中でとても重要になってきております。

 あわせて、市民、企業、交通事業者、行政が一体となって、公共交通とマイカー利用のバランスをとりまして、地球環境に優しい交通行動を実践していくことが求められる、これも我が町として強く感じているところです。

 全国的に高齢社会における足の確保が課題である中、行政における運行支援で路線を維持するというのはなかなか現実的ではないと思うんですが、例えば、交通事業者の努力や行政の支援による交通利用環境の改善により、公共交通利用者の減少を防ぎ、持続可能な交通環境を整備することが課題だと思います。

 交通事業者の提案、努力を前提とした上で、例えば、バスとモノレールとか、モノレールと電車とか、そういった異なる公共交通の乗りかえの割引のところに対する助成ということが考えられないかな、交通そのものに補助をするというのはこれは青天井になっていくということがありますが、乗りかえのところをピンポイントで支援するというような方策が考えられないかなと。

 そうすることによって、例えばバスからモノレールに行くときに値段が二十円、三十円と安くなっていくことで公共交通の利用が推進されるのではないかと思いますが、国土交通省。

毛利政府参考人 地域公共交通の確保、維持を図る上で、バスと電車など異なる交通モード間の乗りかえの運賃割引の設定等による乗りかえ利便性の向上を図ることは、御指摘のとおり重要であると認識しております。

 このため、国土交通省におきましては、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、バスと電車など異なる交通モード間の乗りかえを含む運賃割引の設定及び企画切符の発行に当たって必要となります、需要調査に関する負担、切符の印刷経費、広報経費等への支援を行っております。

 今後とも、地域のニーズをしっかり踏まえて、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 次に、空き家についてお伺いしたいと思います。

 私、二〇一二年に落選をして二〇一四年に戻ってくるまで二年間浪人生活でありましたが、その中、こつこつと地域を回りました。そのときに最も衝撃的だったのがやはり空き家であります。

 訪ねていってみると、本当に、空き家の数がこんなに多いのかということに、我が町ながら、ある意味自分でもわかっていなかったことを恥じるわけでありますが、一区画全部空き家とか、場合によっては、そこにある家屋の半分近くが空き家で、そして、残っている、今まだ住んでおられる家屋のうち大半の方が七十以上とかいう、そういう地域もたくさんございました。

 たくさん人の家をピンポンと押しておりますと、押す前にもうこの家は空き家だなということが大体わかるようになりまして、空き家専門家と自分で言っているんですが、本当にこの空き家の問題、そして、もうこれは三十年ぐらい空き家なんじゃないかなと思う、上から崩壊している空き家とか、そして、空き家は余り中を見ちゃいけないんですけれども、ガラスが割れていたりして中が見える空き家なんかになると、明らかにこれは非行の対象になっているなと思えるような空き家とか、いろいろな空き家に出会いました。

 それは恐らく国土交通省としても問題意識をお持ちだと思いますが、危険な老朽空き家について問題が重視されていますけれども、これから我が町はさらに増加していくと思われます。もともとマックスのとき、百七万、百八万近くまでいった人口が現在九十五万台です。十二万の人口が、明らかにもう人がいなくなったということで、これからも、大幅な増加というか、むしろ減少傾向でありまして、一層の対策強化を求められておりまして、国策としても空き家対策を進める必要は高いと認識しております。

 そういった中、現在実行しておられます空き家再生等推進事業については、除却後の跡地が地域活性化のために供されるもの、例えばポケットパークとかに限られるため、現状では活用しにくい状況にあるのではないか、そういう問題提起を私は受けました。まず、これが一つ目の質問です。

 そして、これから空き家対策特別措置法の施行を受けて空き家対策を強力に推進していく中で、今後、国として支援し得る方策等のメニューをぜひ御紹介いただければというふうに思うわけでありますが、国土交通省。

由木政府参考人 お答えいたします。

 空き家対策につきましては、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するという考え方のもとで、地域のまちづくりあるいは住まいづくり全体として取り組むことが必要だというふうに考えております。

 これまで、空き家対策に関します取り組みにつきましては、今委員お話ございましたように、社会資本整備総合交付金の中の空き家再生等推進事業で取り組んでまいっております。

 これとは別に、新年度の予算案におきましては別枠で、市町村がいわゆる空き家法に基づいて策定をいたします計画に従いまして実施する取り組みを支援するための新しい補助制度、空き家対策総合支援事業を創設してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 この事業の中では、交付金では、先ほど先生おっしゃいましたように、除却の際に跡地を地域活性化等のために利用するという要件をかけておりましたけれども、その要件を外しまして、そういったことであるかどうかにかかわらず、いわゆる特定空き家等というふうに空き家法で呼んでおります、管理不全によりまして周囲に悪影響のある空き家につきましては、除却工事を補助対象ということでしてまいりたいというふうに考えております。

 あわせて、空き家を活用するという観点から、例えば、介護やあるいは子育て等の施設へ転用するような場合のいわゆるリフォームの費用、こういったものについても助成の対象にしてまいりたいというふうに考えておりまして、市町村が計画的に実施をいたします空き家対策を総合的に支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 空き家の問題は全国津々浦々どこにでも存在するテーマでありまして、東京都とてその例外ではないというふうに思います。国土交通省としての力強い取り組みをお願い申し上げたい。もちろん地方自治体は頑張りますけれども、問題意識を高く持っていただければと思います。

 続きまして、東京オリンピック・パラリンピックの関係でありますが、全国からキャンプ地の誘致活動がいろいろ行われておりまして、誘致を通じて、将来にわたりまして、スポーツ、文化、経済、学術等々、さまざまな分野での交流につなげていくその足がかりになることが期待されているというふうに思います。

 スポーツ庁の事業の中に、スポーツ環境整備事業として、平成二十八年度は十億円を計上しているというふうに承知をいたしております。東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、更新時期を迎えた施設を再整備して誘致活動に貢献できるよう、交付対象事業、支援額、補助率等々、一層支援をしていただくようお願いしたいと思いますが、これは内閣府ですか、よろしくお願いいたします。

白間政府参考人 お答えさせていただきます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前のキャンプ地としての誘致に際しまして、地域のスポーツ施設の整備を図る、これは各国・地域に選ばれるキャンプ地としての魅力を高めるその重要な要素である、このように考えております。

 文部科学省では、施設整備に関しまして、今委員の御指摘にもございましたが、従前より地方公共団体が実施をする地域のスポーツ施設の新築、改築、また耐震化等に対する支援を行ってきているところでございまして、これは二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会向けにも資する、このように考えているところでございます。

 また、これとあわせまして、独立行政法人日本スポーツ振興センター、こちらの方でスポーツ振興くじ助成を行っており、この中で、地方公共団体が行う地域のスポーツ施設の大規模改修などの支援を支援しているところでございます。

 地元のニーズを十分に把握しながら、今後ともこういった支援を通じまして、地域におけるスポーツ環境の整備を一層促進してまいりたいと考えているところでございます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 続きまして、公共施設のマネジメントについてお伺いをいたしたいと思います。

 公共施設のマネジメント、今、実は我が町では本当に大きな課題になっておりまして、これは何かというと、我が町北九州市というのは、五十数年前に五市合併という形で、五市の対等合併、五つの町が対等合併して一つの百万の都市をつくったという歴史的経緯がございます。その関係から、旧五市に大体同種の施設が必ずあったりして、その結果として、市民一人当たりの公共施設のストックの量が非常に多いという実態があります。

 ただ、人口減少社会に入っておりますので、このまま放置しておきますと、人口が減っていきますので、住民一人当たりのストックの量がどんどんどんどんと上がっていくということから、公共施設のマネジメントをいかにやっていくかということがとても重要な課題になっております。これはまさに、町全体の活力を維持しながら、そしてこれは財政支出にもはね返ってきますので、財政支出の低減を図って、そしてまちづくり全体を持続可能なものにしていく、そういう意味もございます。

 本当に、公共施設全体のストックの量を下げていくというのは結構至難のわざでありまして、例えば、どこの町でも同じだと思いますが、公共施設の中で、市が持っているストックの中で一番大きなものというのは大体市営住宅なんですね。その次に学校とかいうことなんですね。大体これで全体の六割ぐらいを占めてしまうということで、公共施設のマネジメントだ、ストックをこれだけ減らそうといっても、今言ったような非常に公共性の高い施設になってくると、そうそう簡単に、では手がつけられるかというと、なかなか難しい。これは本当に我が町としても苦悩しながらやっています。

 そういった中、既に耐用年数を迎えている公共施設の更新につきましては、単独での建てかえを行わず、複合化とか多機能化とか、一つにまとめてできるだけ多目的な施設にしていくということが重要でありまして、今取り組んでいるところです。

 ただ、それで一つ難しいのが、国から補助金をもらっている機関とか、いろいろな意味で国とひもづいている機関が、やはりそれぞれいろいろな施設があるわけですが、これを統合して一つの施設としてマネジメントをしようとすると、例えば、それぞれの施設にホールがあります、一つの施設にまとめてホールを一個にしましょうというときに、それぞれの施設に、この施設は厚生労働省です、この施設は文部科学省です、ここは国土交通省ですと上にそれぞれひもがついている施設を一つにまとめようとすると、補助金要綱との関係とかいろいろな関係が絡んでなかなか難しいというのが、これが我々の今直面している課題であります。

 本当に、例えばホールを一つにまとめればすごく便利になる、そしてそこに区役所を入れる、いろいろな複合的な施設をつくっていくということの意味というのはとても高いと思うんですけれども、複数の行政目的を持つ公共施設を整備するに際して、それぞれの設置目的に応分の国庫補助が受けられるよう、現在、複数の省庁にまたがっている施設整備に関する補助制度を例えば一本化できないかなと思うんです。

 今、我が町で一生懸命統合しようとしても、一個一個お願いしに行かなきゃいけないんです。別のところから別の目的でお金が流れてくるわけです。例えば、ワンストップサービスでやってくれないかとか、流れてくるお金も一本化できないかとか、そういうことも含めて、いろいろな意味での一本化の制度の実現について本当に特段の配慮をお願いできないか。せっかく国が旗を振って公共施設のマネジメントと言っていても、逆に、やる側のところが一生懸命中央に来て陳情に行かないといけないということというのは、地方のやる気をそぐんじゃないかと私は思うんですね。

 この件、内閣府の方にもう一押し頑張っていただけないかなと思うところでありまして、御答弁いただければと思います。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 各地域の公共施設マネジメントにつきましては、私どもも省庁横断的な課題と考えてございまして、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましても、国公有財産の最適利用の観点も踏まえつつ公共施設等の集約化、活用を進めるとさせていただいているところでございます。

 現在、全国の地方公共団体におかれまして、公共施設等総合管理計画の策定が進めておられますが、先生御指摘の北九州市公共施設マネジメント実行計画のモデルプロジェクトのように、公共施設の複合化、多機能化を図ることは重要な取り組みであるというふうに考えてございます。

 このような公共施設の整備を進める場合に、どのような機能の複合化とか多機能化が行われていくのか、またその際にどのような課題があるかということにつきましては、私どもとしても、これを把握させていただくとともに、公共施設等の戦略的な維持管理に向けまして、手続の負担の軽減策も含めまして、どのような方策を講じていくことが必要なのか、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと考えてございます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 最後に一問だけ。

 タクシーの関係でありますが、緑ナンバーによる相乗りという可能性については、緑ナンバーですので、二種免許のため安全が確保されており、そして緑ナンバーのために保険等も安心であって、かつ、総量規制もタクシー適正化・活性化法によって行われているということがございます。

 一方で、現在、通常のタクシーが運転手の主導によって不特定多数の乗客を一度に乗せることというのは道路運送法によって禁じられております。傾斜地とか遠隔地では、タクシーの効率的な利用の観点から、同乗ということが、一緒に乗るということが、運転手の主導によって同乗していく、例えば、ある方から呼ばれてタクシーが行ったら、そういえば、隣のあの人もよく呼ばれるから、一緒におりるなら、一緒に買い物に行かれるならどうですかというような感じでやるということは、地域の利便性の改善につながるということもあるんじゃないかなというふうに思います。

 もちろん、この件は悪用の可能性があるから禁じているわけでありまして、そこはよくわかっています、悪用すると変なことになる制度ですので。その悪用の歯どめをかけながらでも、運転手の主導によって例えば相乗りを可能とするような方策を考えられないかなというふうに思うわけでありますが、これは最後、国土交通省、よろしくお願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 タクシー車両を用いた乗り合い型の運行につきましては、タクシー事業者が乗り合い事業の許可を取得することによって可能となっております。公共交通機関による旅客運送が困難な地域における移動手段の確保のために、このような形の乗り合いタクシーが現在増加をしているところでありまして、平成二十六年度には千四百二の事業者がこの許可を受けているところでございます。

 地域住民の移動の手段の確保は重要であると考えております。地域のニーズに応じたサービスが持続的に提供されるように、地方自治体等関係者と連携した取り組みを進めていきたいと考えております。

緒方分科員 三十分質問させていただきました。きょうは、見ていると二十時までということで大変でありますが、石井大臣、頑張ってください。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 民主党の武正です。

 三十分質疑の方をよろしくお願いいたします。

 大臣には、たしか国会サッカー議連でも御一緒したことがあったかなというふうに思うんですが、実は、埼玉スタジアムで今アジアチャンピオンズリーグが行われておりまして、きのうはシドニーFCと浦和レッドダイヤモンズの試合があり、二―〇で浦和レッズが勝ったんですが、この後触れる地下鉄七号線、南北線、そして埼玉高速鉄道の終点が、今、浦和美園駅ということで、そこから徒歩十五分から二十分で埼玉スタジアムがあるわけでございまして、その埼玉スタジアムの前を通って、岩槻そして蓮田までの延伸をかねてより要望させていただいております。埼玉県、さいたま市、そして地域を挙げての取り組みでございます。

 大臣、最近、サッカーの方はいかがでしょうか。あるいは、埼玉スタジアムは行かれたことがありますでしょうか。また、埼玉高速鉄道は、前任の太田国交大臣は北区ということもあって、よく利用されているというお話だったんですが、浦和美園駅までの南北線あるいは埼玉高速鉄道に乗車をされたことがあるかどうかもあわせて伺えればと思います。

石井国務大臣 埼玉スタジアムは、日韓ワールドカップの折に、当時、議員連盟に所属しておりまして観戦をしたことがございます。

 地下鉄南北線は時々利用しますが、埼玉高速鉄道には残念ながら乗ったことはございません。

武正分科員 昨年も、この分科会、三月十日にやりとりをさせていただきました。

 実は、五年前になろうかという三・一一の折には埼玉県内の公共交通機関、特に鉄道は全て当日とまっておりまして、一番最初に動き出したのが南北線、埼玉高速鉄道でありまして、私も議員会館にいたんですけれども、夜の十時半に動き出すということで、当駅から乗車をしまして、ふだんは五十分ぐらいで終点の浦和美園まで着くんですが、一時間半かけて着いて、駅をおりますと、駅前にはタクシー待ちの方が二百人ぐらい並んでいるというような状況でありました。

 やはり、地震あるいはまた台風などのそういう悪条件に、実は地下鉄というものは強いんだな、災害に強い路線というようなこともありまして、地下鉄の延伸の持つ有用性、こういったものを改めて認識をしているところでありまして、昨年もこの場で太田前国交大臣ともそういったやりとりをさせていただきました。

 副大臣がそのときにさまざま御答弁されたんですが、特に償還期限三十年をもうちょっと延長できないんだろうかということについては、なかなか難しいという副大臣の答弁に対して、私が再三やりとりをする中で、大臣の方から、「首都直下地震というようなことも考えるとなるとどう考えたらいいかということも含めて、さまざまな角度で検討というものは必要かな、こういうふうに思っています。」と。最後、「これから研究をしたい、このように思います。」ということでした。

 地下鉄の浦和美園からの延伸に向けての、お手元の方にある資料でも、さいたま市の要望書を添付させていただいておりますが、二ページにありますが、「都市鉄道等利便増進法における国の補助割合の拡大等を行うこと」、そして、ちょうど今まさに審議中であります、「交通政策審議会における次期答申においても、引き続き、高速鉄道東京七号線の延伸を計画に位置付けること」ということで、特に一番については、右側の「背景・理由」の最後に書いてありますが、「同法における国の補助割合の拡大や許可要件の緩和を行うことを要望するものである。」と。

 許可要件には、先ほどの償還期限の延長といったものも含まれるわけですが、特に、補助割合の拡大等が行われれば、償還期限についてもおのずから三十年内でおさまるということが下のグラフに書かれているわけでございます。

 これについては、お手元の一ページ、「埼玉高速鉄道線の概要」といったことを見ていただけるとわかるように、二十五年度まで債務超過額も含め純資産あるいは累積損失額、利益剰余金、こういったところが大変大きな数字だったものを、借金を棒引きし、そして、民間なども含めた、国の借金も、県、市が肩がわりをするというような形で、一番わかりやすいのは、この累積損失額の六百九十六億、これを消したということでありまして、大変な努力を地元の埼玉県、さいたま市、それから川口市などが行っております。

 あとはやはり国からの補助の拡大といったところが何といっても必要であり、それがひいては交通政策審議会次期答申にもといったことにつながっていくのではないかというふうに思っておりますが、これについて御所見を伺えればと思います。

石井国務大臣 補助の割合の拡大というお話でございますが、都市鉄道利便増進事業の補助割合の拡大につきましては、既に現在の都市鉄道利便増進事業が都市鉄道整備に対する補助制度の中でも最も高い割合、すなわち国三分の一、地方三分の一の補助スキームとなっておりまして、これ以上の拡充等は難しいというふうに考えております。

 また、許可要件の緩和でございますけれども、地下鉄七号線の延伸のような地下鉄の整備に当たりましては、地元負担も含め、膨大な建設費で整備をし、その上で、開業後の経営を安定的に維持していくことが必要でございます。

 このため、都市鉄道利便増進事業の制度を適用する際には、原則として三十年以内の累積資金収支の黒字転換を判断要素としているところでございまして、安定的な鉄道経営の観点からは、この許可要件は必要なものであるというふうに考えているところでございます。

武正分科員 その中で、昨年も、前大臣から検討あるいは研究といったことが出てきたわけですが、何かこの一年で検討、研究をしていただいたのであれば御紹介をいただければというふうに思います。

 ぜひ、事務方の方から何かちょっとお聞きをいただければというふうに思っております。

石井国務大臣 特にこの一年で研究、検討ということはないようでございます。

武正分科員 大臣も交代をされておりますので、ぜひ、新大臣におかれましても研究、検討をお願いしたいというふうに思っております。

 今国交省が進めている以前からのミッシングリンクの解消あるいはシームレス化、こういったところにも私は符合するものではないかと思っております。というのは、先ほど大臣が見られた埼玉スタジアムに行くについての地下鉄は浦和美園で行きどまりというような状況でありまして、これをやはり別の路線につなげていくといったことは、国の、そして国交省の進めているミッシングリンクの解消、シームレス化とも符合すると思うわけなんですね。

 特に、埼玉県にあって、最近はやはり上野東京ラインの開通の効果が、多分常磐線も同様だと思うんですが、やはり大変な速達性と、それから乗りかえの解消といった利便性が向上しているわけでありまして、これは多くの利用者が感じておられると思います。このミッシングリンクの解消、シームレス化、そしてまたこのような速達性については、この上野東京ラインが顕著な例ですが、大臣としても必要だということでよろしいでしょうか。

石井国務大臣 上野東京ラインにつきましては、私も常磐線をよく利用しております。

 御承知のとおり、常磐線は全て上野駅からでございましたので、東京駅、さらには品川まで通過するということは、利用者にとっては、乗りかえの必要性がなくなるということで、非常に利便性を感じていたところでございます。

 そういった意味で、必要な鉄道路線の整備はこれからもやっていくべきだというふうに考えております。

武正分科員 その中の一つがやはり、今、浦和美園でとまっているこの路線の延伸ということだというふうに私は思っております。

 大臣も茨城ということで、埼玉についても何となくおわかりいただけると思うんですが、例えば埼玉からの路線について見てまいりますと、これも国交省さんの資料をいただいているんですが、「遅延の「見える化」(案)」ということで、十分以上の遅延の状況、二〇一四年十一月から二〇一五年十月についてを見ますと、遅延発生回数、一週間、平日五日間当たり、第一位はJR宇都宮・高崎線、第二位はJR埼京・川越線ということで、三位が東海道線、四位がJR横須賀線、五位が中央・総武線と連なってまいりますが、常磐線は十三位ということでありまして、この一位、二位を埼玉のJR両線が占めております。

 埼玉からのアクセスといった点ではやはりまだまだ鉄道が不便地域である、東京七号線の延伸なども、こういった遅延状況などを見ても必要ではないかというふうに思っております。

 こうした、埼玉としての利便性の向上を求めているわけですが、これについては大臣として、埼玉県ということで、鉄道についてさらなる利便を求めているこの地域の実情についての御理解はいかがかなということで、御答弁いただければと思います。

石井国務大臣 遅延の原因が何かは私も詳しくは承知をしておりませんけれども、さまざまな要因があろうかと思いますが、鉄道事業者の方でしっかりとそういった問題の解消に向けての努力をしていただきたいというふうに思っております。

武正分科員 それでは、この地下鉄の七号線の延伸について、地域としてもその取り組みも進めておりますし、またこの次期答申ということでの位置づけもお願いをしておりますので、先ほどのやはりミッシングリンクの解消といった点からは極めて有益というふうに考えておりますので、引き続きの取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 埼玉について申し添えますと、首都圏の中においては、やはり今国交省が進めている成田への結節、こういった点でも、当地域は、やはりバスを利用した結節というようなこともあって、鉄道での結節も含めて、まだまだ利便性を向上しなければならない地域というふうにも考えております。

 ちょうど、埼玉スタジアムでは二〇二〇年のオリンピックのときにサッカーも開催を予定しておりますので、やはりそれについての整備といったところもあわせて必要かというふうに思っております。

 また、外国人宿泊客の宿泊者への割合、こういったことを見ますと、これは昨年の数字だったと思いますが、一位東京都、二位千葉県、そして神奈川がたしか十位だったでしょうか、七位か十位ということで、埼玉県は二十七位ということで、やはり首都圏にあって外国人の受け入れといった点ではまだおくれている点がございます。

 そういった点では、やはりこの開発余地も含めて、鉄道の延伸も含めて、また特に千葉、神奈川、東京と比べますと鉄道路線も少ない埼玉であります。成田の方には第三セクターも鉄道延伸をして成田空港まで届いたといったところも既に紹介をされておりますけれども、地下鉄の延伸について、さらなる取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、首都高速埼玉新都心線の東北自動車道までの延伸について伺いたいと思います。

 これも先ほどの資料の四ページ目にあるんですけれども、この中の、「核都市広域幹線道路を東北自動車道まで延伸すること」ということでございます。

 埼玉方面というのは、首都高の延伸というのは、埼玉県なりの出資というのもおくれて出資もしましたし、また、御承知のように、神奈川方面、千葉方面に比べまして首都高の延伸というものはおくれて着手がされ、そして今進行中といったことでもありますが、「新大宮上尾道路の整備」の下の方に、「核都市広域幹線道路(首都高速埼玉新都心線)」、今、第二産業道路のさいたま見沼でこれもやはりとまっている、さいたま新都心を抜けてとまっているこの路線を東北自動車道まで延伸すること、これもさいたま市の国への要望として提出をされております。

 先ほど、鉄道が浦和美園でとまっていることは、ミッシングリンクの解消、シームレス化ということで延伸が必要ではないかと申し上げましたが、同じく首都高も、今さいたま見沼でとまっているこの路線を延伸する、これについてさいたま市も要望をしているんですけれども、これについての現状、そして御所見を伺えればというふうに思います。

石井国務大臣 御指摘の首都高の埼玉新都心線の延伸につきましては、現状では具体化が図られていない状況でございます。

 さいたま市周辺につきましては、国道十七号を初め、非常に多くの箇所で渋滞が発生していることから、埼玉県中央地域の渋滞ボトルネック対策について、埼玉県、さいたま市、埼玉県警、それから東日本高速道路株式会社、首都高、それから私どもの関東地方整備局、こういった構成員でワーキンググループを設置して、渋滞状況の検討を進めているところでございます。

 今後、並行する圏央道の開通後の効果を見ながら、埼玉県及びさいたま市等と協力しながら、首都高速埼玉新都心線の延伸の必要性について整理をしてまいりたいと存じます。

武正分科員 ぜひ前向きにお取り組みをいただきたいと思いますし、また、地域からの国に対する要望も地域を挙げて行えるようにというふうに、私自身もその一員として努めさせていただければと思っております。

 今大臣が圏央道に触れられたんですが、やはり昨年、圏央道が埼玉部分で開通した効果というのも大変大きなものがあるというふうに感じております。

 私も後援会のバス旅行などで茨城、あるいは栃木、群馬、あるいは神奈川、千葉ということで行くんですけれども、なかなか、埼玉から出ていくについては、これまで道路が結節していなかったということで、どうしても都心を通らなければならないことも含めて時間を要したり。何年か前に、静岡の清水まで行ったことがあったんですね。本当は午後七時に埼玉に帰ってくるはずが、東名で二つほど事故もあったのも影響したんですが、夜十一時ぐらいに着くということで、大変支援者の皆さんに御迷惑をかけたこともありました。

 東名とは直接的なものではないわけですが、首都高と、特に圏央道の効果、これは大変大きなものがあったというふうに理解をしております。

 ただ、この四月から、今度は圏央道の利用料を下げて、首都高の料金を上げるわけですよね。そうすると、さいたま市でいえば、先ほどのさいたま見沼から乗りますと、都心まで九百三十円のものが今度は千三百円になるということで、利用者にとってはどうでしょうか、三割、四割増ということで、事業者の方にとってはいろいろな軽減措置は継続されるということでありますけれども、やはり一般利用者の方にとっては、何でこんなに高くなるのといったことに四月に直面するわけなんです。

 埼玉県も、先ほど、出資者であるということも含めまして、この首都高の延伸のメリットというものは、今回、負担増になるだけに、やはり目に見えた形で見せていく必要があるんじゃないかな、先ほどのミッシングリンクの解消も含めて必要ではないかなと思っておりますが、圏央道の開通効果についての御認識もあわせて、再度、やはりこの首都高の延伸は、特に負担増になる地域にとっては必要ではないかなというふうに思うんです。

 あわせて、「「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」に基づく広域防災拠点として位置付けられた災害対策基本法上の指定地方行政機関が設置され、災害応急対策・復旧活動及び広域後方支援活動に関する指示機能等を担っている。」と、今お手元のこの資料の四ページ目ですけれども、右側の「背景・理由」のところで書いてあるわけでございます。四つ目の黒ポチのところでございますが、さいたま新都心の位置づけといったことも書いてありますが、このような地域も含めた当地域でありますので、防災拠点も含めて、やはり拠点性、有用性、そのための交通のアクセス性も、一方からではなくて、これが東北道まで結節すれば、東北道方面からのアクセスも、あるいはそちらへのアクセスも可能ともなってまいりますので、再度、御所見を伺えればと思います。

石井国務大臣 御紹介いただいたとおり、圏央道、昨年十月に埼玉県区間は全通をいたしました。これによりまして、湘南から東北道までつながりまして、圏央道の内側を通過していた東名高速―東北道間の交通が九割から三割へと大幅に減少してございます。また、埼玉県内では、この十年間で、圏央道沿線地域の新規企業の立地件数が五・四倍、新規雇用が五・八倍にふえるなど、地域経済の好循環につながっておりまして、大変大きな整備効果を上げているものというふうに認識をしてございます。

 その上で、御指摘の首都高速埼玉新都心線につきましては、先ほど申し上げたとおり、このさいたま市周辺についてはいろいろなところで今渋滞箇所が発生していますので、その対策ということでいろいろ検討しておりますけれども、埼玉県やさいたま市と協力しながら、この延伸の必要性については今後とも検討してまいりたいと存じます。

武正分科員 ちょうど、きょうまた、首都圏の広域計画策定についてのシンポジウムも、この後、午後開かれるということで、国交省からも御出席をされるのではないかというふうにも聞いておりまして、首都圏地域における広域基本計画におけるさいたま新都心あるいはさいたま市の拠点性、今度、来月には、鉄道について言えば、北海道新幹線もこの大宮を経由するといった意味での駅のグランドステーション化、これもさいたま市から要望も出されているわけですが、そういった拠点性、ますます首都圏の基本計画でも重要な位置づけを持つ地域であるだけに、ぜひその交通の利便性が、先ほどの地下鉄の延伸も含めて必要ではないかというふうに考えるわけでございます。

 最後に、ちょっとまた戻るわけですが、資料でいうと三ページ目、「東西交通大宮ルートの構想実現に向けた支援」というものについてお聞きしたいというふうに思います。

 これも前回、運輸政策審議会で位置づけられて、一五年で今回見直しということ、交通政策審議会における次期答申でも、引き続き東西交通ルートの新設を計画に位置づけること、あわせて、構想実現の際は各種支援を積極的に行うことということで、先ほど触れました浦和美園駅と、それから今グランドステーション化を要望している、また、今回、北海道新幹線も乗り入れ、ますます拠点性、重要性を持つ大宮駅、この間を結ぶ新交通システムが、十五年前、東西交通大宮ルート、大宮―さいたま新都心―埼玉スタジアム二〇〇二ということで位置づけられております。これを再度今、審議会で審議をいただいているわけですが、位置づけることというのは、また今審議会で審議中だというようなお答えになるのかもしれませんが。

 先ほど来申し上げております重要性、拠点性をやはり補完する意味、そしてまたミッシングリンクの解消ということで、地下鉄の、今、浦和美園でとどまっている路線と大宮を結節することによる効果、そしてまた地域の開発、そしてまたゾーニングというような言い方もありますが、残すべき自然などはしっかり残しながら、あるいは農業に適したところは農業をしっかりとやりながら、一方、開発すべきところは開発をするというめり張りをつけたゾーニング、こういったことにもつながっていくものというふうに考えるこの東西交通大宮ルートの構想実現について、御所見を伺いたいと思います。

土井副大臣 ただいまお話がありました東西交通大宮ルートにつきましては、現在、さいたま市におきまして、沿線状況の現況把握や整備に向けた検討に必要な調査などを行っているとお聞きをいたしております。

 本路線の事業化に向けては、導入空間の確保や需要、収支採算性などに課題があると認識しておりますので、これらの点につきまして、さらに調査検討を進めていく必要があると考えております。

 以上です。

武正分科員 導入手法については、LRT、BRTなどのコンパクトな交通システムが有効でありということが書いてあります。

 先ほど触れましたように、二〇二〇年東京オリンピックにおいては、埼玉スタジアムでサッカーが、そして、今度また、定期的なというか時間も経過しましたので改修に入りますが、よくコンサートなども行われるようになっているさいたまアリーナでバスケットボールがということでありますので、この路線というのは、バスケットボールの会場とそれからサッカーの会場を結ぶ地域でもあるわけなんですね。

 二〇二〇年ですから、今からLRTというのはなかなか難しいかもしれませんので、BRTというよりも、バス路線などは、あるいはバスなどは考え得るのではないのかということはあろうかというふうに思いますが、やはり、それだけポテンシャルのある地域を結ぶ路線でありますので、この東西交通大宮ルートの構想実現に向けた支援を重ねてお願いしたいというふうに思っております。

 きょうは、それぞれ政務三役、大臣、特に副大臣に御答弁をいただきましたが、先ほど来触れておりますシームレス化、ミッシングリンクの解消、そしてまた、さいたま新都心を初めとするさいたま市の拠点性、特に震災時などではバックアップ機能としての内陸部の有用性はもう既に指摘をされておりますし、また、首都圏広域基本計画における位置づけといったことも重ねてありますので、先ほど来の御答弁でさらに前に進めていただけるような、昨年、大臣にもお約束いただいた、ぜひ検討、研究を国交省としてもお進めをいただけるように、そしてまた交通政策審議会の次期答申にも盛り込んでいただけるようにお願いを申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽主査 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

門主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 質疑を続行いたします。工藤彰三君。

工藤分科員 自民党、愛知四区、名古屋の工藤彰三でございます。

 質問の貴重な時間、三十分をいただいたことを感謝申し上げます。

 地元のインフラ整備に対して、順次質問させていただきます。

 まずは、二〇二七年開業予定の東京―名古屋間リニア中央新幹線についてお尋ねいたします。

 リニア中央新幹線は、平成二十六年十月十七日に国が建設指示をし、工事実施計画の認可をした大プロジェクトであると考えております。東京―名古屋間二百八十六キロをわずか四十分で結ぶことは、国民初め皆さんに周知されていると思います。

 国土形成計画において推進していますスーパーメガリージョンの形成にも不可欠だと考えております。リニアを計画どおりに進めて、その整備効果を最大化することに、名古屋市及び近隣自治体、愛知県だけではなく、国としても積極的にかかわるべきだと考えておりますが、リニア開業に向けて、名古屋駅周辺の整備の重要性について、国土交通省の認識をお聞かせください。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 リニア開業に向けまして、名古屋駅周辺整備の重要性についてのお尋ねでございます。

 既に委員がお尋ねの中で言及しておられますけれども、名古屋駅周辺は、国土形成計画に位置づけられたスーパーメガリージョンの形成を促すリニア中央新幹線の新駅の設置が予定されております。現在でも、東海道新幹線あるいはJR東海、名鉄、近鉄、地下鉄、こういった数多くの駅が集中して、一日に約百十万人が利用する名古屋圏最大の交通ターミナル、大変高いポテンシャルを有しているゾーンというように認識しております。

 二〇二七年に予定されていますリニア中央新幹線の開業に向けまして、ますますの利用者の増加が見込まれるというように考えておりますが、その駅周辺の整備については幾つかの課題も指摘されているというふうには認識しております。

 例えば、駅西側の土地の高度利用、リニアから各路線、また路線間の乗りかえの利便性を向上していくこと、あるいは、段差が多くて複雑な地下空間、こういったことを改善していくべきではないか、こういった指摘もございます。これらの課題はきっちりと克服していくべきものと考えております。

 いずれにしましても、リニアの開業を見据えまして、名古屋駅周辺の整備は大変重要なことであるというように認識しております。申し上げましたような課題を克服しながらまちづくりを進めていくことで、名古屋駅周辺の拠点性は一層高まっていくものというふうに考えておるところでございます。

工藤分科員 都市局長、答弁ありがとうございました。

 今お話しになりました名古屋駅の西側、これは委員会では余り言葉に出せませんけれども、大変複雑多岐にわたる地域でありまして、この用地買収というのは非常に困難を要しているというふうに考えております。

 これは、市当局、県、県警挙げてやられると思いますが、国もぜひとも力をかしていただきたい、そういう場所柄が残っているのが、残念ですけれども、ここが最重点の課題だと私は考えております。

 また、段差の問題もあります。乗りかえの問題もあります。今、重要というお言葉が出ましたので、ほっとしておりますけれども、さまざまな課題、そして時間との闘いが待っておりますので、ぜひとも全面協力をお願いしたいと思います。

 続きまして、いよいよリニアの南アルプスの工事、そして、大きな駅、始発駅であります品川駅の工事が始まりました。同様に時間を要すると思われるのが、今申し上げました名古屋駅の工事であります。名古屋駅と駅周辺は、高度に市街化した用地があり、その買収、立ち退き、話し合い、このあたりについて問題が大変多くあります。この進捗状況がリニア全体のスケジュールを大きく左右すると言っても過言ではないと私は考えているわけであります。

 現在の状況は、用地の買収について、地元自治体、名古屋市がJR東海に協力して、地域に入り込んで交渉を始めていると伺っております。リニア駅の周辺を含めたまちづくりに取り組んでいると聞いておりますが、地権者の理解を得て用地買収を円滑に進めるのに、それに対し、将来のまちづくりとセットで進めることがぜひとも肝要だと考えております。

 また、リニアの整備効果を最大化するには、九つの路線が集中するターミナル駅である名古屋駅での乗りかえ利便性の向上も不可欠であります。駅全体や駅周辺を抜本的に改造する絶好の機会であることから、これまでに自治体が中心に、名古屋市が中心になって、乗りかえ空間の整備、そして、いわゆるスーパーターミナル・ナゴヤと言われる構想であります。名古屋駅における、こうしたリニア駅周辺のまちづくり、乗りかえ利便性の向上は国家的な意義があると考えております。

 また、多額の費用を要する事業でありますので、国としても積極的に地域をバックアップしていただきたい。予算はかかることはわかっておりますが、これは名古屋の予算だけでできる事業ではないと考えております。ぜひとも国のバックアップをこの場をかりてお願いしたいので、再度、国土交通省としての考えをお聞かせください。

山本副大臣 名古屋市におきましては、平成二十六年九月にリニア開業を見据えた名古屋駅周辺まちづくり構想を策定し、わかりやすい乗りかえ空間の形成などの実現に向けた検討を進めているものと承知をいたしております。

 国土交通省では、構想実現に向けた各種検討会に参画をいたしておりまして、愛知県それから名古屋市と一体となって、今現在、議論をしておるところでございます。

 名古屋駅周辺の整備に当たっては、今ほど都市局長からもお話し申し上げまして、議員の方からもお話ございましたけれども、特に用地取得に向けての努力をさらにしていかなければならないこと、あるいは、JR東海、近鉄、名鉄、地下鉄等々、これらの乗りかえ空間をどういうふうに確保していくか、整備をしていくかということも大変重要な案件となっておりまして、これらを克服しながら、リニア中央新幹線の整備と一体となったまちづくりを進める必要があると思っておりまして、国際的、広域的な拠点として充実していくこと、すなわちスーパーターミナル・ナゴヤ、これを立派に完成させることが極めて重要であると思っております。

 国土交通省といたしましても、名古屋駅周辺のまちづくりの重要性を認識しており、引き続き、愛知県、名古屋市とも十分連携をし、しっかりと支援をしてまいりたいと思います。

工藤分科員 山本副大臣、大変重いお言葉をいただきました。バックアップをしていただけるという答弁だと私は理解しております。

 このリニアについて、皆さんが認識は高いですから話すことはないと思いますけれども、名古屋という町は、住みやすいんですけれども観光都市ではないんです。東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今日本は、民間投資、そしてデフレからの脱却ということを掲げてやっております。その後に名古屋のこのリニアがありますけれども、果たしてこのリニアを持ってくることで名古屋がどれほど発展するのか。さもなくば、逆に言えば、ストロー現象で名古屋初め中部圏の皆さんが名古屋から首都圏、関西に出ていってしまうんじゃないだろうか、そういう問題も危惧しているところであります。

 ぜひとも、人の呼べる町、名古屋。そして、物が動く町、名古屋。世界からも、名古屋市が外国の方からどこにあるのと聞かれることなく、特に、ニア・トヨタと言われます。トヨタの近所にある町ですかということを言われると非常に寂しい思いがありますので、ぜひとも、名古屋が活性化、今も元気にまちづくりは進んでおりますけれども、さらに発展できるようお力添えをぜひとも賜りますことをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、リニアがあります名古屋駅でありますけれども、名古屋駅は余り皆さん知られていないと思うんですけれども、名古屋の駅の地下には大きな地下街が八つあります。名古屋市においては、ほかに栄駅、他の駅の地下街を含めますと、十二の地下街があるわけであります。十二の地下街の数は、面積、テナント数は別として、東京の地下街の数が十一でありますから、それよりも多い地下街があります。

 特に、今開発予定の、今、名古屋駅の東玄関、西玄関がありますけれども、東玄関の地下街には、昭和三十二年からナゴヤ地下街として営業を開始しました現名古屋地下街協同組合、いわゆるサンロード地下街という地下街があり、それに付随して大きく東に迷路のように延びております。西側は、新幹線地下街、エスカという地下街があります。よくある名古屋飯がそちらの方にそろっておりますので、みそ煮込みや矢場とんのみそカツ、あとは手羽先、どうしても西側に観光の方は行きがちですけれども、実は、大きな地下街は東側にあるわけであります。

 そこで、お尋ねをしたいんですけれども、八つの地下街があります名古屋の地下街でありますけれども、実際、ここ数年、国土交通省も考えていると思います、気象庁も考えておりますけれども、異常気象が続いております。

 ゲリラ豪雨対策、これは急務でありまして、そのときの対策も急務でありますけれども、実際、私たちの予想に反した、予想以上の時間百ミリのゲリラ豪雨、何回も名古屋も襲われております。東海豪雨もありました。

 三年前の九月にも、ゲリラ豪雨で、名古屋駅前、駅の地下街は浸水しませんでしたけれども、駅前のビジネスホテル、キャッスルプラザというホテルが浸水した経緯があります。

 また、平成二十六年九月二十五日にゲリラ豪雨がありました。地下街に浸水はありませんでしたが、そのとき、何と、これからのスーパーターミナルで建築中の高層ビルの工事の排水口から水が漏れ出して、名古屋市交通局の地下鉄東山線が浸水した報道がありました。

 実際、浸水して二時間後、水浸しの名古屋駅に私も足を運ばせていただいて、よく地下街は浸水しなかったものだなと考えておりますけれども、一刻の猶予もありません。この地下街が浸水したら、過去に福岡で起きた水害事故のようなことが起きないように、ぜひとも万全の対策を打っていただきたいと考えております。

 昨年二月十八日には、名古屋地下街を、過去の東海豪雨で決壊しました、庄内川決壊時から守れるかという庄内川水防災フォーラムが開催されております。

 そこで、お尋ねしたいと思います。水防法に基づく地下街等の避難確保・浸水防止対策を進めていると思いますが、名古屋駅周辺の地下空間における現在の取り組み状況についてお聞かせください。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 地下空間は、浸水に対して非常にリスクが高い空間であることから、水防法において、浸水想定区域内の地下街等の管理者へ避難確保・浸水防止計画の作成を義務づける等の措置を講じることとしております。

 名古屋駅周辺の地下空間においては、平成二十六年二月から順次、地下街等の各管理者により、避難確保・浸水防止計画が作成されております。名古屋駅周辺の地下街とかあるいは地下駅、地域防災計画に位置づけられているものが十八ございまして、そのうち十六まで今その作成が進んでいるというようなところでございます。

 これらの計画作成において、国土交通省では、浸水シミュレーションに基づく想定浸水深等の情報提供などの支援を行ってまいりました。

 また、これらの計画の実効性を高めるためには、これらの地下街等の管理者間の連携が重要でございます。このため、国土交通省、名古屋市、気象台、地下で接続した各施設の管理者等から成る会議を昨年十月に設置いたしまして、あらかじめ時間軸に沿って防災行動を定めたタイムラインの作成等を進めております。

 名古屋駅周辺には大規模な地下街が広がっていることから、引き続き、地下空間の浸水対策が充実するよう国土交通省としても努めてまいります。

工藤分科員 しっかりとした答弁、ありがとうございます。

 知ってのとおり、水は高いところから低いところに流れる、誰でもこの対策は考えているんですけれども、東京でも、都内でもそうですが、もう考えられないゲリラ豪雨が名古屋でも起こっております。高速道路に沿った雨雲によって、南北に、北区から東区、中区、そして私の暮らしている熱田区に降ってきたり、逆に、三重県で発生した雲が今度は東西、西から東に流れてゲリラ豪雨を起こすということもあります。

 また、自分たちの町でそんなに雨が降っていないにもかかわらず、山間部で降って河川が増水し、それが流れてくるということも都市部ではありますので、そのあたりのことも考慮していただいて、今は名古屋駅前の空間のことでありましたけれども、地下都市名古屋、私、地底都市名古屋というふうに申し上げておりますけれども、脆弱なところがありますので、引き続き支援を、バックアップをお願いしたいと思います。

 次は、また水に関してでありますけれども、私の選挙区であります愛知四区というところは、昭和三十四年九月二十六日の伊勢湾台風で大打撃を受けた地区でもあります。一晩で選挙区の中で千八百八名の方がとうとい命をなくした。もう五十五年以上たっておりますけれども、その地区、海抜ゼロメーター地帯のさらに下を通っている地下鉄がございます。これが名古屋市交通局名城線、名古屋港線という地下鉄でありますけれども、その地下鉄の名港線の地震、災害、そして浸水発生時に列車が停止した場合の乗客の避難誘導方法についてお尋ねしたいと思います。

 既に、名古屋市の交通局に尋ねたところ、かなり、現場で停電が起きたり何かあった場合は、避難誘導のシミュレーションもしておるということであります。

 実際、この区間の地下鉄というのは、駅から駅の間がおおむね二分近くあります。一番長いのが、私たち暮らしている金山駅から日比野、この間が丸々二分地下鉄が移動時間にかかっているわけでありまして、距離にして二キロ近くあるんですが、その真ん中でとめた場合、当然トンネルの中ですから闇でありまして、懐中電灯、避難灯があって、はしごを出したりしていろいろするかと思いますけれども、実際、お年寄りの方をはしごでおろす、そして一キロ近く闇の中、線路を歩かせるとなると、かなり時間もかかりますし、その間に浸水や津波が襲ってくる可能性もあるわけでありますが、そのことについて国土交通省はどのような対策を考えていらっしゃるのか、お尋ね申し上げます。

藤田政府参考人 名古屋市交通局におきましては、地下鉄における例えば地震発生時の取り扱い、避難誘導の方法でございますけれども、これについてマニュアルを定めているというふうに承知しております。

 例えば、マニュアルの中で、先ほど御指摘のありました、駅と駅の間に列車が停車した場合、こういった場合には、低速度で最寄りの駅まで列車を移動させて乗客を誘導する。それができない、列車の移動ができない場合には、非常脱出はしごにより乗客を降車させ誘導する。それに備えてLED投光器等も配備されているようでございますけれども、こういったことをマニュアルに定めていると承知しておりますし、また、これに従った乗客の避難誘導訓練も実施されていると承知しております。名港線につきましても、これに従った取り扱いが行われるものとなります。

 それから、津波発生時の対応について申し上げますと、南海トラフ地震防災対策計画に基づきまして避難場所等を既に定めておるというふうに聞いておりますが、より具体的な乗客の避難誘導のためのマニュアルについてもできるだけ早期に策定する、こういう予定を聞いております。

工藤分科員 明確な答弁ありがとうございました。

 地元の方々は本当に水、地震に対してかなり恐怖を感じております。地元に帰って時間があれば、防災訓練の、各学区ごとに集まっていただいて、今おっしゃったとおりであります、いつ、どこで、誰がどこに逃げるのか、そして弱者の方をどのようにお連れするのか、これを地区ごとに重ねて活動してまいりました。

 ぜひとも国も、そして当然、戻りましたら、名古屋市、愛知県にもさらにそういう防災訓練を、防災や、そして、自分がどこにいる、電車の中にいる、食事しているところにいる、ほかの場所にいたときに、万が一そこで何か起こったらどうするんだということを絶えず考えていただきたい、そんなことを絶えず申し上げておりますので、引き続き、全国レベルも大切でありますけれども、水に弱いこの愛知四区というか名古屋市南部の方の対応も考えていただきたいと思います。本当にありがとうございます。

 続きまして、道路のことでございます。

 私たち名古屋、四十年前から、名古屋市の環状線がありますけれども、それに付随しまして、渋滞緩和のために名古屋環状二号線というものが設置されてきているわけであります。着手して、環状二号線は延長が五十九キロの環状線、国道三〇二号線の下部と橋梁部分とまたがるわけでありますが、いよいよ佳境に入ってまいりました。名古屋環状線の名古屋西、千音寺と言われる地区、名古屋西―飛島間十二・二キロの専用部について工事が今行われております。

 起工式にも出席させていただきまして、当時、国土交通省のお話は、できる限り早く完工したい、おおむね何年とは言えませんがと。そのとき私が尋ねたのは、無理かもしれませんが、五年はどうでしょうかねと言ったら、五年というのはかなり厳しい、では七年でどうだという話もしたときに、頑張ってみますという話から、もうそろそろ、今三年半たっておりますので、工事現場、あっという間に足場も組まれて、非常に早いなというのが実感です。

 考えているのは、私たちが暮らす、名古屋港からその環状線へ入って西に行きますと飛島という地区があります、飛島村。日本で一番裕福と言われております名古屋港の輸出に関するものの物流拠点の飛島、その飛島の大橋から北に上がっていくと名古屋西でありますが、これを今、工事してつなげていただきます。

 環状線というのは、皆さん知ってのとおり、つながって初めて効果が莫大に変わってくるわけでありますので、つなげていただきたい。今のままですと、視力検査のC、逆C、まだつながっていない、こういう状況でありますので、かなり工事が進んでおりますし、国もこれに力を入れてくれているんだなという思いはありますが、いつごろまでに完成のめどが立っているのか、それをお答え願いたいと思います。

 私たちは、先般も大臣に要望させていただきました。この環状線がつながると、名古屋港の物流が、市内を経由するわけでなく、その環状線を使って、例えばMRJの部品を飛島や名古屋港でつくって、環状線を上がっていってわずか十五分、かかっても二十分で県営名古屋空港まで到着して、そこから部品を組み立ててMRJを完成させて、そこから日本初の旅客機が海外に国内に飛び立てるということでありますので、夢のある話であります。

 物流が非常に私たち名古屋の生活のかなめになってきますので、三〇二号線、これは反対運動も当時はありました、そして名古屋高速も、昭和四十八年に市政が、市長さんがかわって、三期十二年凍結したこともありましたけれども、それから戻ってまいりまして、この第二環状線、ぜひとも必要な道路でありますので、あと何年とは申しませんが、進捗状況をお答えいただいて、私たちも、予算がかかることであります、名古屋ばかりそんなに金をつけてどうするんだという文句も出るかもしれませんけれども、これは、きょう政務三役もお見えになっていますので、ぜひともバックアップを、さらに道路のことも考えていただきたい、そういうことを踏まえて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のように、名古屋環状二号線は、名古屋の市街地の外縁部にございます環状道路でございまして、特に、港湾そして放射方向の東名神といったような高速道路を有機的に連携させて、名古屋都市圏に用のない、都心部に用のない車を外に出すということで、名古屋都市圏の渋滞の緩和、そして物流の効率化といったものを目指す幹線道路でございます。

 特にこの名古屋環状二号線というのは、西南部の部分だけが、自動車専用道路と一般道路、自転車あるいは歩行者が利用するような一般部と、高速道路として、有料道路として利活用いただく専用道路部分という二階建て構造になっておりまして、この専用道路の二階建て構造部分の南西部部分だけが今できていないということで、今工事を盛んにやらせていただいているところでございます。

 特にこの部分に関しましては、今、下部の工事を全面的に発注をさせていただいて、やらせていただいているところでございます。

 何年までということで、非常に厳しい環境ではあるんですけれども、下の道路を通しながら、車線の切り回しをしながら下部工事をし、そしてまた、切り回しをしながら上部構造をかけていく、そういう非常に難儀な工事を今やり始めたところでございます。いましばらく切り回し等々の工事の工程を詰めさせていただきまして、できるだけ早く、目標をきちっと定めて、工事の実施を進めてまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、現場現場では、まだ、現道環境、交通環境が非常に厳しい中での工事でございますので、地域の方々にも非常に御迷惑をかけることだと思っております。できるだけ早く、一日も早く完成をさせ、また現場の方々にも周辺の環境を乱すことなく御支援いただけることをお願いいたしまして、引き続きの支援をよろしくお願いいたします。

工藤分科員 道路局長から、時間のことは出ませんでしたけれども、本当に名古屋のことを考えていただいて、環状線をつなげていただきたい、もう一刻も、そんな思いでございます。

 物流が変わります。港も変わってまいります。手前みそでございますけれども、名古屋港は、貿易高十七兆円、黒字が六兆円、お金を生み出せる港であります。ぜひとも名古屋に国家予算を投入していただいて、物流をさらに発展させて、私たちはその税をまた国に還元したい。いつも倍返し作戦だといって国土交通省に乗り込んでお願いしているわけでありますので、ぜひとも道路網の整備をお願いしたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、質問はできませんが、局長さんがせっかくすばらしいお話をしたので、地元の報告を一点させていただいて、私の質疑時間を終わらせていただきたいと思います。

 今、南西部の三〇二号線はもう少しだという話でありますけれども、それに付随して、逆に南北じゃなくて東西の道、国道一号線があります。

 愛知県は、交通死亡事故ワーストワンが十三年連続と不名誉な記録が続いております。昨年も二百十三名亡くなった。そういうことを踏まえて、県警もいろいろなところで考えたかもしれません、三車線をわざわざ二車線に変えたり、合流させたりしているんですが、名古屋の方の運転のマナーは余りよくありません。かぶせてきたり、信号が黄色になったら、信号が長いから踏み込んで信号無視をして、そこにお年寄り、お子さんたちをひいてしまった、そういう事故が多発しているところでありましたが、名古屋の国道事務所の方がしっかりと対応していただいて、事故防止のために何かないか、右折車線を明確に示してほしいということに際し、色をブルーとレッドに分けていただいて国道一号線を整備していただいております。

 これから半年かけて国道一号線も事故のないような道路に改良していただける、地元の国道事務所も頑張っていただけるということを御報告申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

門主査代理 これにて工藤彰三君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川分科員 民主党の小川淳也です。よろしくお願いをいたします。

 大臣におかれましては、連日の長時間の御審議、また日ごろの御公務、大変お疲れさまでございます。

 きょうは分科会ということで、いろいろと各地域の実情を踏まえた課題、場合によっては陳情合戦というようなこともあり得るのかもしれませんが、ちょっと全体を通して、きょうは整備新幹線についてお聞きしたいと思っております。

 いよいよ来月は函館ルートが開業、そして昨年は金沢ルート、大変大きな話題性もございました。そういう中、昨今、長崎ルート、福井ルート等についてもいろいろ言われているようでありますが、まず、長崎ルートについて、フリーゲージの可能性は依然探るのか。それとも、リレー方式ということも言われているようでありますが、どういう形で二二年度の開業に向けて取り組まれるのか。一部には、フリーゲージという技術そのものが、思った以上にレールに、あるいは軌道に負荷がかかって、少し技術的に難しいんじゃないかということも言われているようであります。

 大臣、この点をまず御答弁いただきたいと思います。

石井国務大臣 九州新幹線長崎ルートのフリーゲージでございますけれども、この技術開発につきましては、耐久走行試験を行っておりましたけれども、平成二十六年十一月にふぐあいが発生し、走行試験を休止しております。

 その後、開発主体である鉄道・運輸機構においてふぐあいの原因推定や対策案を検討してきたところでありますけれども、昨年十二月に開催をされました軌間可変技術評価委員会におきましてその対策案の内容が了承されたところでございます。

 当面の技術開発の工程につきましては、鉄道・運輸機構において、この評価委員会で了承された方針に基づいて対策の有効性を検証するということになりますけれども、検証試験等が順調に進めば、来年度の後半から耐久走行試験を再開するということになるところでございます。

小川分科員 今の御答弁ですと、諦めていないということだと受けとめますが、現場からは、少し無理があるんじゃないかということも聞こえてきたりします。このあたりは、追ってこちらとしてもフォローしたいと思いますけれども、ある意味、鉄道事業者にしますと、どちらでいくのかということは、ある程度の局面で御判断いただきませんと、なかなか前に進めないという環境があろうかと思います。

 もう一点、福井ルートですが、敦賀を目指して、さらに金沢ルートが延伸されるということでありますが、途中、福井までを先行開業するというような議論もあるようです。これについては、具体的にどういう検討状態であるのか、こんなことはあり得るのかどうか、その点もちょっとお答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 北陸新幹線の金沢―福井間の先行開業につきましては、昨年三月以降、与党において検討が行われましたが、国土交通省としては、昨年の八月に、まずは金沢―敦賀間の平成三十四年度末開業の確実な達成を図るとともに、敦賀までのさらなる前倒し開業の検討も含め、早期開業に最大限努力する、そういう方針を明らかにしたところでございまして、引き続きこの方針に従って取り組んでまいりたいと存じます。

小川分科員 民主党内でもさまざまな議員連盟の活動等を通して、大臣にも昨年、特にJR九州の株式上場に伴う税制特例について御要請させていただくような時間をいただきました。大変感謝いたしております。

 そういった政治的ないろいろな判断も交えながら最終的な御決断をされるということだと思いますが、ちょっとここは、福井先行開業ということになりますと、福井において折り返し設備を別途設けなければならないということでありますので、今、全体を早期開業とおっしゃいましたが、その問題と、福井先行開業するかどうかという問題は少し性質の異なる問題というふうに私どもも受けとめております。鉄道事業者もそういう感覚を持っていると思います。

 そこらあたりは、さまざまないろいろな、政治的な背景も含めて御検討されるということだと思いますが、ぜひ冷静な御判断を一方でいただかなければならないということをお願い申し上げたいと思っております。

 大臣、ここから少し私自身の地域事情を含めてであります。

 大臣、北関東で主に政治活動をしておられ、そして水戸を拠点に置いておられる。実は、水戸と私ども高松市は友好親善都市でございまして、ゆかりは、光圀公のお兄様が初代高松藩主としてお越しいただいているという歴史がございます。そういう中で、一定の親近感なりもお感じいただいた上でぜひ御答弁いただきたいわけでございます。

 私も四国島民です、これまで新幹線というのは極めて高ねの花でありました。率直に申し上げて、四国に新幹線ということは、昔から言われてきたことではありますが、みんな余り現実味を感じずに、議論として上滑りをしていたというのが四国島民としての率直な感想です。

 ところが、ここへ来て、昨年の金沢ルート、ことしの函館ルート、それ以前に鹿児島ルートの全線開通。さらには長崎、そして福井、敦賀、さらには京都、大阪への乗り入れ等々と、大幅に環境が変化してきている中で、さすがに四国島民としても、やや今までのような夢物語あるいは高ねの花感はむしろ薄れ、大臣、新幹線というのは、昔は東京―大阪間のある意味特別な乗り物だったんです。しかし、ここまで日本列島が新幹線軌道で結ばれ始めますと、むしろ日本列島にとって新幹線は標準装備だというふうな感覚に徐々に変化してきていることを感じています。

 その意味で、かつて基本計画には、ちょっと大胆なルートも含めて、例えば淡路島から大分のようなことも含めて、机上の計画にはあったようですが、私はもう少し現実的でいいと思うんですね。例えば、瀬戸大橋なんかは新幹線仕様でできているんですよ。今、四車線軌道がありますが、在来線の二車線しか使っていません。新幹線用の二車線は全く利用されていない状態にあります。

 この全国的な状況の変化と、既にインフラとしてかなり整っている、特に海峡部分が整っているわけですから、そういう意味では、現実の政治日程に、議論の土壌に、四国の新幹線ということも上がってくるべきだと思いますが、大臣、御見解をお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 新幹線は、今委員御指摘のとおり、地域間の移動時間の短縮により、観光客の増加ですとか企業立地の進展を促すなど、人の流れを大きく変え、地域社会の活性化に大きな効果をもたらすものでありまして、さまざまな地域から御要望をいただいております。

 現在は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和四十八年に整備計画が決定された整備新幹線である、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線西九州ルートの三区間の整備を順次進めております。

 大阪市と大分市を結ぶ四国新幹線及び岡山市と高知市を結ぶ四国横断新幹線、これは同法に基づき、昭和四十八年に基本計画路線として位置づけられた路線であります。

 国土交通省といたしましては、まず、現在整備中の整備新幹線について着実な整備を進めることが重要であり、基本計画路線の取り扱いにつきましては、今後の経済社会の動向及び整備新幹線の整備状況等を勘案しつつ、長期的な課題と認識をしているところでございます。

小川分科員 まず、門前払いいただかなかったことに感謝を申し上げたいと思います。それから、後方より山本委員の大変力強い応援のかけ声をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 大臣、では、ここについてぜひ御同意をいただきたいと思っています。

 まず、交通政策基本法が成立しました。人々の移動にかかわる権利を提唱した、その意味では哲学的には画期的な法案、法律でありました。

 それから、これから日本は大幅に人口減少に向かいます。圧倒的なスピードで進みます。インバウンドの受け入れの拡大は急務でありますし、一定成果が出てきている。さらに、高齢化はこれまで以上に大変なスピードで、深刻なスピードで進んでまいります。

 つまり、そういう環境の中で日本列島の活力を維持していくためには、何もマイカーでどこそこへ出かけるということ、これはこれで大事なことですが、これから、より公共交通への依存度や公共交通の有用度が高まっていく社会である、大きな環境変化の中で。そのことには大臣は御同意いただけますか。

石井国務大臣 公共交通、それからいわばプライベートな交通というんでしょうか、それとうまく連携してやるということが重要だと思っております。その重要さは今後とも変わらないのではないかというふうに考えております。

小川分科員 ありがとうございます。

 もう一歩踏み込んで、人口が減り、高齢化が進み、インバウンドで外国人が入ってくる、そういう日本列島においては、これまで以上に公共交通が機能を果たさないと活力を維持できないということを問題提起として重ねて申し上げたいと思います。

 もう一点、この六〇年代、七〇年代から、日本は大変な車社会でありました。一方、欧州においては鉄道復権ということが言われつつあります。それは、鉄道を中心にした広域交通圏、鉄道の駅を中心にしたまちづくり、そして、ライトレールを含めて、身近な鉄道を利用した日常生活、鉄道復権ということが言われているんです。

 その背景には、こういう考え方があります。鉄道は、料金収入のみをもって、必ずしも独立採算でやっていかなければならない事業ではないという考え方です。むしろ、応分の公費を投入して、道路と同じなんですよね、極めて公共性が高い、ですから、一定の基盤整備には十分に公金を投入して、その分料金を引き下げて、多くの利活用者を募り、そして公共交通を主軸としたまちづくりを展開していくという考え方に少しずつ変わってきているということが言われています。

 その点、日本においては、新幹線敷設に伴う在来線の切り離しもそうですが、非常に鉄道に対しては厳しい独立採算制、料金収入のみでやっていってこその鉄道だという考え方が根深くある。申し上げた公共交通の役割の拡大を念頭に置けば、これから少しそういった古い固定概念を乗り越えていただいて、一定の公的資金、公共投資を基本に、低い料金収入で多彩な公共交通網を維持していくという考え方をとっていかなければならない可能性が高いと思います。

 今私が申し上げたような鉄道復権、欧州におけるそういった先進的な考え方、これは日本列島においてもこれから必要になると思いますが、大臣、御見解をお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 必ずしも、これまでも鉄道が鉄道事業のみで採算性をとっていたとは言えないんじゃないんでしょうか。例えば、民間鉄道であれば、沿線の宅地化であり、商業施設であり等々、さまざまな事業を展開する中で総合的に採算性を確保するというようなことはあったのではないかなということが一つあると思います。

 それから、ヨーロッパの哲学がそのまま日本に当てはまるかどうかというのは、ちょっと私にもはっきりわからないところがありますけれども、鉄道の復権といいますか、例えば地方都市等ではLRTとかBRT等々、新しい鉄道のあり方ということも生じておりますし、また一方、自動車の方も、新しい自動車のあり方といいますか、自動走行等も含めていろいろ技術開発等を進めてまいりますから、必ずしも今の時点で将来の交通像がどうかというのは描きにくいところがあるかと思います。それぞれの交通機関の特性をうまく活用して生かしていくということではないかなというふうに思っております。

小川分科員 全くそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、いま一歩踏み込んで、やはり、もっと端的に言えば、五割が料金収入、五割が公金投入という形でやっていっているところがふえつつあるんですね、欧州では。そのぐらい思い切った形で公共インフラを維持活用しているということなんです。ですから、大臣がおっしゃったのはそのとおりでありますが、いま一歩将来に向けて踏み込んでいただく必要があるのではないかということをこの場をおかりして主張したいと思っています。

 それで、いま一度、ちょっと四国の話に戻らせていただきます。

 実は、高速道路についても、私は、かつて学生時代に、香川県内で自動車学校に運転免許の講習に行っていました。そのときに、高速道路教習を一応、書面の上では受けるんですよ。でも、当時、四国には高速道路はありませんでした。何のためにこんな教習を受けているんだろうと思いながらの日々でした。

 ところが、それから何年たったんでしょうか。当時、私はこれも夢の夢だと思っていましたが、今や四国にも、もはや、高松―徳島、高松―松山、高松―高知を中心に、大幅に、おかげさまで、本当にありがたいことに、高速道路ネットワーク網が築かれており、それは四国島民にとっての日常的なインフラとして深く浸透しています。それぐらい、やはりかつては夢のまた夢だったものを一つ一つ形にしていただいてきた国土交通行政の歴史であり、また、それぞれ節目節目で、大臣を初めとした主要幹部の方々の決断があって今日に至っている。

 そういう意味で、いま一度、新幹線です。北海道ルート、ことし開業するわけですが、北海道には五百万人の方々がお住まいです。四国四県には四百万人近い人々が暮らしています。そこに、北海道ルートは、全部合わせれば恐らく一兆円近い投資なんでしょう。長崎ルートもそうだと聞いています。金沢ルート、敦賀等々、大体一兆円内外の投資によって行われている。

 そういう意味でいうと、大臣、もう具体的にお願いなんですが、平成二十年以降、四国の新幹線敷設に関しては調査費すら停止しているんですよね。願わくば、ことし、山本委員、絶大な応援をいただきながら、せめて調査費、そんな何億もの調査は要りません、何百万、何千万で結構です。調査費だけでも、せめて先鞭をつけていただくようなことを御検討いただけないかと思いますが、大臣、御答弁をお願いします。

石井国務大臣 四国新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法第五条の調査指示に基づきまして、昭和四十九年度から平成十九年度まで、鉄道・運輸機構、旧鉄建公団が海底トンネル部の地形、地質調査を実施しておりました。

 しかしながら、当面、早期に着工の見込みがなく、直ちに調査の進捗を図る必要が薄いことから、平成二十年度に調査を中断することとしたところでございます。

 中断した平成二十年度以降、こういった状況に変化はないことから、直ちに調査を実施すべき状況にはないと認識をしております。

小川分科員 大臣、冷たい御答弁であります。

 先ほど申し上げた高速道路については、きのう実は、遅くまで資料を整理していただいて、事務方からいただきました。全国の総投資額が三十四兆円だそうです。そのうち四国に投資いただいたのは約一割、三兆円。これは深くお礼を申し上げなければならない。新幹線の総投資額、これはもう昭和三十年代から始まっていますから、貨幣価値は随分違う。随分違いますが、それでも、ならして額面で申し上げれば、十一兆円。

 四国にも四百万人の方が暮らされています。瀬戸大橋は通れる状態です。ぜひ、まずは調査費だけでもということについては、そんなに法外なお願いではないと思いますので、これは、きょう一回ということではなくて、繰り返し繰り返し、何度も何度もお願いを申し上げたいと思いますし、その分、私どもとしても、さまざま、いろいろな角度から研究、検討は進めなければならないということも自覚したいと思います。

 大臣、鉄道局の予算というのは大体年間一千億内外なんですね。きょう港湾局にお聞きしたら、大体二千億だそうです。航空局も二千億内外ですか。ほとんどがこの公共交通に係る部分が、特定財源を持っていません。

 一方、道路局。大臣も、建設省にいらしたお立場で、内情をよく御存じだと思いますが、道路局だけ、道路予算を見積もっても、少ないときでも二兆から、多ければ三兆ぐらい。そして、社会資本整備交付金が全体で四兆円近い。

 それからいいますと、最大道路に三兆、四兆も使える環境の中で、鉄道一千億、港湾二千億、空港二千億。現在、国土交通行政、インフラ整備の資源配分は余りにもバランスを欠いた状態にある、将来に向けて。冒頭申し上げました問題意識。そう私は思いますが、大臣、この点も問題意識として受けとめていただけないでしょうか。

石井国務大臣 我が国の場合、近代化を進めるに当たり、まず鉄道の整備が最優先で行われてきたというふうに思っております。そういった意味で、戦後ようやく道路整備が始まった。

 モータリゼーションの進展に応じて、道路の需要が非常に多くなり、それに対応して今まで整備をしてきたということで、それぞれの時代に必要とされるインフラの整備をこれまでやってきた。その結果が現状になっているのではないかというふうに思っています。

小川分科員 現状はそうだと思いますが、将来に向けては、そういう問題意識は大いにあり得ると思います、大臣。

 ぜひ、これは大変なことだと思います。局をまたいで資源配分を変えていくというのは大変なことだと思いますが、それこそがまさに国家戦略であり、将来を見通した形での政策配分だと思います。重ねてこの点も主張していきたいと思います。

 参考までに、高速道路に関して言えば、申し上げたように、四国はかなり整備されてきていますが、今、四国島民が目指しているのは、8の字構想なんですね。それをループ化して、ルート化して、全部つなげるという構想があります。それはそれでいいことでしょう。そこには、恐らくですが、キロ五十億で計算して、二百キロ、約一兆円の予算がつく予定です。

 一つの問題は、もちろんそれを待ち望んでいる方もたくさんいますから軽々には申し上げられないんですが、同じこの一兆円で四国に新幹線を通せば、例えば高松―松山間、今二時間半、三時間近くかかりますが、四十分になります。徳島ルートも十分台になります。

 一つの問題提起として、道路であれば一兆円の予算がつく。しかし、それは物事の優先順位からして、その同じ一兆円を交通インフラに使えるのであれば、本当は何が急がれるか、何が望ましいかということを四国島民が決められる環境にない。なぜなら、鉄道局には一千億の予算しかない、道路局には三兆、四兆の予算があるからです。

 こういった状況についても、資源配分、また分権的な考え方からいっても、この国交省の古い体質が資源配分の大胆な変革を妨げている、あるいは、住民にとっての本当のニーズ、優先順位のつけ方に対して大きな制約を与えている。そのことについては、大臣、問題意識として、頭の片隅で結構です、ぜひお持ちいただきたいと思いますが、御答弁お願いいたします。

石井国務大臣 それぞれの地域でインフラ整備の御要望をたくさんいただいております。地域に応じたインフラの整備をしっかりと進めていきたいと思っています。

小川分科員 この点、きょうは最初の機会でございましたので、一定、背景となる考え方や地域の状況、また感じ方の変化も含めて、まずは大臣の頭にインプットしていただきたいという願いを込めて質問させていただきました。これは、きょう、あす、直ちに結論が出るような簡単な課題ではありませんので、引き続き、ぜひ前向きに御指導いただき、また議論に加わらせていただきたいと思っております。

 関連して、最後に五分間、観光振興と公園管理あるいは史跡管理の観点から、きょうは環境省さん、文化庁さんにお越しをいただいておりますので、それぞれ御答弁いただいて、質問を終えたいと思います。

 具体的なテーマは、地域の実情で恐縮なんですが、高松市内に屋島という史跡、また国立公園がございます。瀬戸内海国立公園に位置しております。そこには、私も小さいころ、子供のころ、遠足等を通じてよく通ったんです。水族館の設備がございます。ここが大変老朽化しております。

 一方で、香川県内には、日プラさんというアクリル板製造で世界に大変名をはせている会社がございまして、こうした会社を中心にこうした施設をリニューアルしていきたいという思いが一方にございます。しかし、残念ながら、公園管理との調整、あるいは史跡としての屋島の価値の保存という観点から、なかなか、そうしたルール、規制をクリアしていくという意味で、課題が多いと聞いております。

 この点、きょうは結論でなくて結構です、結論でなくて結構ですが、市当局なりから相談があった場合には、もちろん、史跡の管理、公園管理というのは極めて重要な観点でありますので、既存のルールを大事にしていただきつつも、ぜひ柔軟に、前向きな、建設的な御助言、アドバイスを市当局に対しても行っていただきたい。

 それぞれの観点から一言ずつ答弁をいただいて、質問を終えたいと思います。

亀澤政府参考人 ただいま御指摘がありましたのは新屋島水族館と承知しておりますけれども、瀬戸内海国立公園の第二種特別地域にありまして、公園利用の拠点としての集団施設地区という地区内に位置しております。また、同水族館は、環境省で策定しております国立公園の計画上、国立公園の利用を推進するための施設に位置づけられておりまして、さらに、再整備を促進することとされているところでございます。

 このため、環境省といたしましては、今後、再整備の具体的な内容について相談をいただければ、前向きに対応してまいりたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました新屋島水族館の建てかえにつきましては、文化財保護法の規定に基づき、史跡等の現状変更の許可が必要となるところでございます。現状変更につきましては、当該現状変更が高松市が策定いたしました保存管理計画に定められた基準に適合しているということが求められるものでございます。

 今後、この保存管理計画の基準を踏まえまして、事業者において、これは史跡等の管理団体でございます高松市と御相談をしていただきながら、具体的な水族館建てかえの内容を御検討いただくことになるものでございますけれども、文化庁といたしましては、史跡等の適切な保存と活用を図る観点から専門的、技術的な助言等を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

小川分科員 終わります。ありがとうございました。

門主査代理 これにて小川淳也君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島分科員 民主党の中島克仁です。

 本日、機会をいただきましたので、私からも質問させていただきたいと思います。私は、地元が山梨でございまして、山梨に関連した問題について順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地元山梨で二〇一二年に起きました笹子トンネルの天井板崩落事故、これに関連をいたしまして、その後のインフラ管理、整備状況などについて質問をしていきたいと思います。

 二〇一二年の十二月、中央自動車道笹子トンネルで天井板の崩落が起こり、九人のとうとい命が犠牲となりました。二〇一二年十二月といいますと、私も、初当選をさせていただいた選挙直前ということ、さらには、日ごろから使う笹子トンネルであの大惨事が起きたことに大変ショックであったとともに、この事故を契機に、全国各地のインフラ老朽化対策に大きな影響を与えたと言えます。

 この笹子トンネル事故に関連して、今三つの訴訟が行われておりますが、犠牲者五人の遺族が中日本高速道路とその子会社を訴えた裁判で、昨年の十二月、会社側の過失責任を認め、約四億四千万円の賠償を命ずる判決が下され、確定をいたしました。一方で、本年の二月十六日、当時の役員四人に対する裁判では、個人としての賠償責任はないと、二社役員の過失は否定する裁判が下されました。

 まず、大臣にお尋ねをいたしますが、この二つの裁判、判決結果についてどのように受けとめられるか、御答弁いただきたいと思います。

石井国務大臣 中央自動車道笹子トンネルの事故により亡くなられた九名の方々に対して、改めてお悔やみを申し上げたいと存じます。

 笹子トンネル事故に関する損害賠償訴訟につきましては、昨年の十二月に中日本高速会社などに対し、本年二月に中日本高速会社などの当時の代表取締役四名に対して、それぞれ判決が言い渡されたことは承知をしております。

 私から個別の裁判の結果についてコメントすることは適当でないと考えておりますので、差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにいたしましても、中日本高速会社には、再発防止の徹底と、安全、安心に向けた国民の信頼回復に努めていただきたいと考えております。

 国土交通省といたしましても、引き続き、インフラのメンテナンスをしっかりと行い、老朽化対策を着実に進めてまいりたいと存じます。

中島分科員 もちろん、個別の案件でございます、個別のコメントというのはなかなか難しいとは思いますが、この十二月の判決に関しましては、管理者の過失責任を認めた、ここに踏み込んだことは大変意義が大きいのかなというふうに私個人としては思っております。

 この笹子トンネル事故においては、国交省事故調査委員会が報告書をまとめました。

 最終報告書では、天井板の設計や施工、点検の甘さなど複合的な要因が作用して事故につながったと、会社側の管理体制が不十分だったことを指摘しております。この報告内容から、点検が適切に実施されていれば事故は防ぐことができたという原告側の主張と、点検と事故との因果関係は特定されていないという会社側の主張が争点となったわけでございまして、事故の予見性が争点となった結果、会社側の過失を認定する判決が下ったわけです。

 事故は予見できた、ちゃんとした保守点検がなされていれば事故は防げたということでございまして、この判決は、道路インフラにかかわる事業者や自治体等に、より厳格な姿勢で臨むことを突きつけたものだと言えると思います。

 一方で、二月の判決は、会社役員の過失は否定するという判決であって、会社自身の過失は認めたものの、その会社の責任者の過失は認めなかった、少し矛盾も感じる内容ということで、まさにこれが、現在の老朽化したインフラ管理は一体誰に責任があるのか、そもそも、インフラ管理自体、一体どこに責任の所在があるのかということが浮き彫りにされた結果なのではないかな、大変考えさせられるものだというふうに私は考えております。

 さて、この事故を契機に、先ほど申し上げましたように、全国各地の老朽化インフラに対する点検の必要性が迫られたわけでございまして、二〇一四年から、国や自治体、高速道路会社が管理する全ての道路橋やトンネルについて、五年に一度の点検を義務づけられました。

 まず、お尋ねをいたします。この点検の実施状況はどうなっているのか、確認させてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの笹子トンネル事故を重く受けとめまして、国土交通省といたしましても、平成二十五年をメンテナンス元年と位置づけまして、道路法改正、そして点検基準の法定化というものを行いました。

 具体的には、平成二十六年七月に施行されました省令によりまして、橋、トンネル等につきましては、五年に一度の近接目視点検を行うということ、そしてまた、統一的な尺度で健全度を診断するということで、それを各道路管理者の義務という形で明確化させていただいているところでございます。

 平成二十六年度でございますけれども、橋梁は全体の九%に当たります六万橋、そして、トンネルに関しましては、全体の一三%に当たります一千四百カ所で点検が実施されたという報告を受けておるところでございます。

 管理者別で見ますと、橋梁については、国が約一五%、地方自治体が八%という状況になっておりますし、トンネルにつきましても、国が二二%、一方、地方公共団体が一〇%という点検の実施状況という報告を受けております。

 以上でございます。

中島分科員 今、点検実施率というのが示されたわけでありますが、橋梁、トンネル、道路附属物等、特に橋梁、トンネルに関しては、国交省管理、高速道路会社管理含めて合計九%ということ、トンネルに関しては一三%ということでございます。

 ちょっとここも確認ですが、それぞれ、国交省管理、高速道路会社管理、各自治体管理というところでございますが、先ほど言ったように、点検基準の法定化がされて、五年に一度ということでございます。二十四年からということで、二十六年度の数字があるわけでございますが、いつまでに一通り終わる予定でいるんでしょうか。

森政府参考人 私どもの基準におきましては、五年に一度で点検を行っていただくということでございます。

 また、全体を点検し終わった後、その進捗状況等を踏まえて将来どうしていくかというのは、またその後の議論でございますが、五年で点検が完了するようにお願いをさせていただいているというところでございます。

 以上でございます。

中島分科員 このペースで五年で一通り終わるんでしょうか。そこは確認ですからいいんですが、そもそも、当然、建築年とかいろいろなさまざまな要因があって、優先順位というのもあると思います。

 五年に一度ですから、五年間の間に一通りということですが、今、前年の進捗率はこのぐらいの状況で、このままのペースで五年で一通りできるのか、それと、その優先順位の基準というものは何なのか、教えていただきたい。

森政府参考人 お答えいたします。

 点検自身は各道路管理者の方で優先順位をつけてやっていただいているということでございますけれども、私どもとしてお願いをしている観点では、特に橋梁ですと、例えば第三者被害、要は、鉄道と道路、あるいは高速道路と道路というような交差をしている場所、そういうところで万が一のことが起こったときに第三者に多大な被害を与えてしまいかねないようなところ、こういったところを中心に、そしてまた、地震防災等々の緊急輸送道路といったようなところを中心に、橋梁の点検の優先順位を上げてほしいというお願いをさせていただいているところでございます。

 ただ、今委員御指摘のように、自治体の点検の実施状況が非常に少ないのではないか、これで五年間で本当にできるんだろうかということについての御指摘でございます。

 私どもの方としても、なかなか低いということに関しましては懸念しているところではございますが、ただ、平成二十六年度の点検実施率というのは、先ほど御紹介しましたけれども、基準を示したのが年度途中であったということ、そして、実際に市町村の方々からの意見をいろいろ集めますと、点検をするための技術力が十分ではないとか、あるいは点検をする人材がなかなかいないのだというような御指摘もいろいろいただいているところでございます。

 私どもとしても、そういったところに対しましてさまざまな取り組みをしっかりとやらせていただく中で、点検をしっかりとやっていただき、五年で一巡が終わるようなことを目指して頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

中島分科員 点検の進捗状況は進んでいないと認識されておると今の答弁を私は受けとめますが、わざわざ答えていただいて恐縮だったんですが、資料の二枚目はこの点検状況でございます。

 橋梁に関しては、先ほど申し上げましたとおり、国交省、高速道路会社、都道府県、市町村、それぞれ点検実施率はさまざまでございますが、合計で九%、そしてトンネルに至っては一三%ということで、これは誰が見ても進んでいないと言わざるを得ないというふうに思うわけです。

 先ほど、答弁の中で、進んでいない理由について、技術者不足であったりとかといったことも申しておられましたが、大臣、この数字を見て、端的にどのように思われますでしょうか。

石井国務大臣 今道路局長が答弁したとおり、二十六年度はスタートの年だったということで、開始が年度途中になった等々のこともあり、自治体の点検率は国交省や高速道路会社に比べますと低い割合になっているようでありますけれども、今後はしっかりと進めていただく必要がございますので、さらに加速をしてやっていただく必要があるというふうに考えております。

中島分科員 口で言うのは簡単なんですが、加速するために具体的にどのような取り組みをされていますでしょうか。

森政府参考人 先ほど御紹介をさせていただきました、いろいろな自治体のお悩み事を私どもとしても受けまして、例えば、人材という意味合いにおきましては、市町村の点検業務自身を県も含めて一括で発注してあげるとか、あるいは、実際に職員が出向いていって講習あるいは研修をすることによりまして、自治体、県、市町村の方々の技術力のアップを図る、あるいは、場合によっては国の職員がみずから現場に赴いていって点検を代行してあげるというようなことも含めて、今進めさせていただいているところでございます。

 また、予算という意味合いに関しましては、私どもの方に交付金というものがございます。防災・安全交付金というものを使いながら重点的にその支援を行うということを行ってきておりまして、まだまだいろいろこれからも改善の余地はあろうかと思いますけれども、私たちの今ある資金力、そしてまたマンパワーといったものを最大限有効に活用しつつ自治体の御支援を申し上げ、また、関係方面への御協力、御支援、御理解もいただきながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。

中島分科員 点検が義務づけられている国内の橋は約七十二万カ所です。トンネルは約一万カ所に上って、このうち、橋は市町村管理分が四十八万カ所ということで、今御答弁いただいたように、財政基盤が非常に厳しい市町村、財政的な問題であったり技術者の問題であるということでございまして、これについてはしっかり予算措置をしていくということでございましたが、先ほどの資料の二枚目に戻って、高速道路会社も一六%、トンネルにおいても高速道路会社は一八%ということになっています。

 もちろん、各自治体は、そのような財政事情や、始まったばかりということで、そういうことはあると考えられますが、高速道路会社に関して、橋梁でいえば一六%、トンネルに関しては一八%、これに対してはどういう指導をされているんでしょうか。

森政府参考人 先ほど冒頭で御紹介させていただきましたように、笹子のトンネルの事故を重く受けとめまして、高速道路会社も点検あるいは修繕、改善といったようなものに関しまして努力をしていただいているところでございます。

 私どもの方も、各会社の管理に当たりまして、しっかりと点検をお願いするということを重ねて行ってきているところでございますが、高速道路に関しましては、一個一個の橋が非常に長いとか、非常に高いところにあるというようなこともございます。あるいは、トンネルも、非常に長いトンネルというのを高速道路会社としてお抱えであるところも結構ございます。実際に、そういった高速道路を点検するには、例えばトンネルを点検するにはトンネルを通行どめにしてしまうとかいうようなことも含めて、いろいろ段取りが、私たちの国道レベルでやっている点検よりもかなり難しい作業、段取り、準備が必要であるというふうに理解をしております。

 先ほどのような財政的な問題だとか、あるいはマンパワー的な問題というよりも、どちらかというと、現場のレベルでの実際のいろいろな障壁でパーセンテージが低いというふうに御理解いただければと思います。

 当然、技術陣をたくさん抱えている高速道路会社でございますので、おのずと自然に、パーセンテージは計画的に上がってくるというふうに御理解いただければと思います。

中島分科員 上がってくると思われるではなくて、上げないといけないというふうに思いますよ。国交省としてちゃんと指導するべきだと。

 この数字、各自治体にはそれぞれの事情があるのは、まあ、十歩譲っていいかな。これから財政措置をしたり人的投入をしながら改善していく。でも、今御答弁されたように、技術やそういったものはもう会社は持っているわけです。先ほどの十二月の裁判結果は会社側の過失責任を認めた非常に大きなものだったわけです。

 資料の一枚目ですが、これは直接は関係ないんですが、千葉で昨年十二月に起こった事故です。笹子のトンネル事故をほうふつとさせるような事故だったわけです。これは、点検の結果、修繕が必要だという最中に起こった事故で、もちろんこれは老朽化によって、笹子と同様の事故ではないとは思いますが、またこのような事故が、ほうふつとさせると言いましたが、今の点検状況で、そして、高速道路会社、これは裁判結果もそのように出ているわけです。

 それに対して、この実施率は、この判決結果を踏まえて見ても、世間に笹子の教訓が全く生かされていないんじゃないかと言われてもいたし方ないのではないかと私は思います。

 国交省の社会資本整備審議会は、笹子のトンネル事故を受けて、「今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」と題した提言を行っています。この中で、「産学官の予算・人材・技術のリソースをすべて投入する総力戦の体制を構築」するようにということを国に強く訴えています。このことは認識されていますよね。

 この予算、人材、技術のリソースを投入する総力戦の体制を構築するための、総力戦ですから、この数字を踏まえて、大丈夫だと思いますとか、そんな曖昧な言い方で本当にいいんでしょうか。大臣、全て総力戦でこのことに取り組むという御決意をぜひお聞かせください。

石井国務大臣 笹子トンネルの事故を契機にしまして、改めて、メンテナンス、老朽化対策の重要性を我々としても認識をしたところでございまして、メンテナンス元年と銘打ちまして、省を挙げて戦略的なメンテナンス、老朽化、耐震化対策等に取り組んでいるところでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

中島分科員 通告していないので、ちょっと確認で、もし答えられなければいいんですが、今回成立をしている補正予算で点検、整備、メンテナンス管理にかかわるものがどのくらいあるのか、わかる範囲で構いませんので、お答えいただけますでしょうか。

森政府参考人 済みません。ちょっと手元にそういうことはございませんし、今回の補正予算におきましては、特に災害復旧といったものが中心だったというふうに理解をしておりますので、正直なところ、点検といったようなところに今回の補正予算を割くというような形はかなり難しかったかというふうに思っております。

 詳細なデータは、どこまでさかのぼって分解しながらできるかというのは若干難しいところはございますけれども、また御相談もさせていただければというふうに思います。

中島分科員 済みません、通告していなかったので、わかる範囲でということでしたが、私が見た範囲では、ここに本当に緊急対策として予算措置がされておるとはちょっと見取れなかったわけです。

 何度も申し上げますが、先ほどの笹子トンネルの事故は老朽インフラの怖さを本当にまざまざと見せつけたものです。しっかりと点検をしていれば防げた、これは人災とも言える事故だったと思います。裁判結果はそのことを指摘しているわけでございまして、この結果を真摯に受けとめて、笹子の真の教訓とするべく、国を挙げて本格的な点検、修繕作業を進めていただきたい。将来の安全のため、投資や手間を惜しむことのないよう、ぜひとも大臣にも先頭に立って取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、これも山梨関係でございます、リニア中央新幹線工事に関連した質問をさせていただきたいと思います。

 二〇二七年開業に向けて、リニア中央新幹線計画がスタートをしております。最大の難所とされます、南アルプスを貫きます総延長二十五キロの南アルプストンネルの工事が昨年末より本格着工されました。

 リニア中央新幹線は地元山梨でも念願でありまして、今後、開通予定に向かって期待も高まっているわけですが、一方で、懸念材料もございます。

 ちょっと時間もたっているんですが、大臣も当然ながらリニアに試乗されたと思いますが、御感想がございましたら端的にお聞かせ願えますか。

石井国務大臣 昨年の十一月八日に、アメリカのフォックス運輸長官が来日された際に、御一緒にリニアに試乗させていただきました。初めて試乗させていただきましたけれども、時速五百キロに及ぶ超高速でありながら、非常に静かな車内でありますし、また、いわゆるGをほとんど感じずにスムーズに円滑に加減速しているということで、快適な走行でございました。我が国が誇る技術水準の高さを実感したところでございます。

中島分科員 ありがとうございますと言っていいのかどうか、ちょっとよくわからないんですが、大変乗り心地がよかったということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、地元山梨でも、これから未来に向けて本当に期待が大きいわけでございますが、先ほど申し上げたように、今回最大の難所と言われております、南アルプスを貫通する、日本では過去にない、地表面から千四百メートル地下をくぐる。さらには、南アルプスは活断層というか断層が大変複雑で、水脈系も入り組んでいるということで、それに対する環境被害、このことが地元では、本当に大丈夫なのかということがなかなか払拭し切れない実情があることも御認識をしていただきたいというふうに思うわけです。

 JR東海から提出された環境影響評価書では、路線の一部は厳重に保護される、地表面は改変しない、だから問題ないというようなことをJR東海の環境評価書ではされているわけですが、本当にそのような見解でいいのかということだと思います。

 これも御承知のとおり、南アルプスはエコパーク登録もされております。そこで発生する残土の問題であり水脈の問題であり、そのようなことが本当にエコパークの理念に沿うのかどうか。残土置き場、最終的な残土の処理場についてもまだ最終決定はされていないところがほとんどだというふうに思いますし、工事が始まって、仮残土置き場も、今、確定というよりは、限定はされておるようですが、そのエコパークの地域内に大量の残土が発生する、そして工期は約十年という工期になるわけでございまして、この状況が、エコパーク登録をされた南アルプス周辺、エコパークの理念に本当に沿っているものなのかどうかということを、国交大臣として御認識されておるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

石井国務大臣 リニア中央新幹線がユネスコエコパークに登録された南アルプス地域を通過することは承知をしております。

 本地域においてリニア中央新幹線を整備することにつきましては、環境影響評価の手続におきまして、平成二十六年六月、環境大臣から、本事業の実施がユネスコエコパーク登録申請地としての資質を損なうことがないよう、事業実施に際しては関係地方公共団体と十分に調整し、その意向を尊重することとの意見が出されております。

 このため、環境影響評価法に基づく国土交通大臣意見、これは平成二十六年七月十八日に出しておりますが、この中で、環境大臣意見を踏まえまして、本事業に係る環境保全について適切に配慮することをJR東海に求めたところでございます。

 南アルプスのエコパークにおきましては、今後、地元自治体において、自然環境の保全、調査、教育、地域の活性化を推進する計画が策定される予定と承知をしております。

 国土交通省といたしましては、本計画等を踏まえ、環境保全について適切に配慮するよう、環境省と連携しながら、JR東海を指導監督してまいりたいと存じます。

中島分科員 時間もないのでもうこれ以上質問しませんが、自然破壊、一度壊れてしまったら二度と戻ってまいりません。そのような観点からいっても、私が懸念するのは、リニアは国家的プロジェクトとも言える事業だと思います。だからこそ、ストップできる勇気をしっかり持つべきだとも言えると思います。

 なぜならば、これは、一回立ちどまらなきゃいけない、そういうときにしっかりと立ちどまれる、そのようなことも踏まえながら、環境問題には慎重かつ丁寧に進めていただきたいというふうに思います。

 時間もないので最後ですが、資料の三枚目です。これは障害者優先調達法成立後の実施状況についてでございます。

 これはもう国交省の話ではないんですが、この法律は、三年前の通常国会で成立をいたしまして、二年前の四月から施行されました。法定雇用率の改定とも連動して、障害のある方々が自立した生活を送るため、就労によって経済的な基盤を確立することが重要である、その趣旨のもとに、障害者の就労する施設の仕事を確保して経営基盤を強化することを目的に、国や地方自治体が率先して障害者就労施設から物品等の調達を行うように定めたものでありまして、これは各省庁の契約件数、調達契約額が示されております。

 国交省は、ちょっと印がしていないのでわかりづらいかもしれませんが、昨年度よりも約倍ぐらいになっています。契約件数も契約額も伸びておりますが、各省庁かなりばらつきがあるんです。そして、国交省としても、もちろん厚生労働省が多いのは当然なのかどうかわかりませんが、国交省は一千六百万円になって前年より多いわけですが、厚生労働省は二億九千万円、かなり差があります。

 他省庁に比べれば国交省もかなり多いわけですが、もう言うまでもなく、障害者の支援をすること、これは社会コストを減らすことにもなります。障害者の自立を促すために、促すという言い方はちょっと間違いでございますが、支援していくために、我々が率先してそのような取り組みをする必要があると思います。私も名刺は障害者施設でつくっております。

 この数字、いいとか悪いとかというよりも、これは、福祉を大事にする公明党の大臣として、国交省のみならず各省庁にしっかりと旗振りをしていただきたいと思いますが、最後に御認識をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省におきましては、政府全体の基本方針に基づきまして、毎年度、省としての調達方針を定め、これまで、前年度の実績を上回ることを目標に掲げ、受注機会の増大に努めているところでございます。

 取り組みの推進の結果、平成二十六年度の調達実績は、件数は前年度の二倍となる百三十件、金額は前年度の八〇%増の約一千六百九十万円と増加をいたしました。加えて、今年度からは、特に、前年度に実績がない部局について努力するよう働きかけまして、障害者就労施設への発注事例を共有するなどの取り組みを行っております。

 障害者が就労されている施設からの調達を進めることは、障害者の方々の自立を進めていく上で重要な取り組みであると認識しておりまして、引き続き、障害者就労施設からの調達の推進に取り組んでまいりたいと存じます。

中島分科員 ありがとうございました。

門主査代理 これにて中島克仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島分科員 民主・維新・無所属クラブの福島伸享でございます。

 同じ茨城を拠点とする石井国土交通大臣に質問させていただく機会をいただいたこと、ありがたいと思っております。毎週月曜日、大臣もよく、大臣になられる前、駅に立っておられまして、七時半から立たれて、私は七時から立っているので、実は、場所を邪魔しちゃっているんじゃないかと思いながら。ともに地元で活動する人間として、きょうは主に地元のことについてお聞きしたいと思いますので、地元の皆様方に勇気を持っていただけるような御答弁をお願いしたいと思っております。

 まず一点目は、軽井沢のスキーバス事故の件であります。

 一月十五日未明に起きた軽井沢スキーバス事故、本当に痛ましい事故でありまして、私の水戸一高の後輩の方も一人犠牲になっておられます。

 まず、犠牲になられた皆様方に心からお悔やみを申し上げますとともに、前途洋々たるお子様方を失った遺族の皆様方にお見舞いを申し上げます。

 事故の後、国交省では、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会というものを設置いたしまして、これまで、きのうも含めまして四回、委員会を開催して、三月下旬までに速やかに実施すべき施策というのを中間整理して、夏までに総合的な対策について取りまとめを行うというふうにお伺いしております。

 委員長を務めております山内一橋大教授、私、経産省にいたときに電力やガス事業の規制改革をやっておりまして、そのときも委員長としてさまざまな御尽力をいただいたことがあると思っておりまして、非常にしっかりした立派な先生だと思っております。

 規制緩和がこういう状態を生んだから規制強化という安易な議論に流されがちなんですが、私はそうではないと思っております。事前の参入規制はできるだけなくして、競争環境を整えた上で、安全性がいかに失われないか、フェアな競争がいかに行われるかという規制のモデルチェンジ、高度化というのを進めていくのが行政の役割であるというふうに思っておりまして、私は、そのような観点からきょう質問させていただきたいと思っております。

 その前の平成二十四年の四月に起きた関越道での高速ツアーバス事故後も幾つかの規制の見直しが行われました。その一つに、平成二十六年の四月から施行された貸し切りバスの新運賃・料金制度への移行というのがあると認識しております。

 これまで複雑だった料金制度を、時間と距離に合わせて料金を事業者がつくって、それを事前に国土交通省に届け出る、設定できる上限と下限を決めた上で、そのバンド内におさまっているのであれば基本的にそのまま通して、それを超えるものについてはしっかりと審査をするという制度であると認識をしております。

 この料金が施行された後に、私の地元の幾つかのこうした貸し切りバス事業会社にお話をお伺いしてまいりました。貸し切りバス事業者といってもいろいろなところがあるんですね。路線バスを運行しながら貸し切りバス事業を行っているところもあれば、貸し切りバス専門でやっているところもあります。それも、旅行のツアーを主にやっているところもあれば、学校の子供たちの送迎を主にしているところもあるというふうにいろいろありまして、いろいろな問題を聞いてまいりました。

 例えば、距離と時間を併用すると、学校の送り迎えの場合は、一回送って、学校が終わるまでずっと待って、それから帰ってくるので、時間はかかるわけです。したがって、どうしても今までのお金より高くなりがちです。この料金制度ではなかなか柔軟に対応できないということになりますし、この料金制度、届け出た料金制度に合わせて料金を提示すると、新しく参入してきた事業者はそれより安い料金でやる。

 役所というのは、どうしても論理的に物事を考えがちです。一回つくった料金制度は、合理的だなと思われても、生き馬の目を抜くような事業者にとっては、その料金制度の裏をとってやるんですね。

 今回の料金制度がこのようにできちゃったことによって、既存のあの人はこれぐらいの料金の提示をしているだろうということを想像した別の業者が、さらに別の料金体系を持っていって、お客がとられちゃう。お客がとられないようにするには、届け出料金とは違う料金や、あるいは料金じゃない別のサービスをつけてお客さんを守るとか、いろいろなことが行われているのが実態であります。

 そういうのを、何とか業界団体をつくって紳士協定をつくろうと私の地元なども努力をしているんですが、これは日本全国で見ても、貸し切りバス事業者が日本バス協会という業界団体に加入しているのは五割にも満たなくて、イタチごっこなんです。せっかく団体をつくっても、次から次へと新しい人が入ってきて、横紙破りをやってしまう。そういう中で、誠意を持ってルールを守ろうとする人も、ぎりぎりのところか、場合によってはルールを守らないということをやらざるを得ないというのが現実なんですけれども、この点について、石井大臣、どのように御認識されていますか。

石井国務大臣 平成二十四年の関越道のバス事故を受けまして、現行の貸し切りバスの運賃・料金制度は平成二十六年四月に導入をされておりまして、人件費や車両更新など、安全運行に必要なコストを適正に運賃・料金に反映した制度になっております。

 このたびの軽井沢スキーバス事故におきましては、バス運行事業者に対して事故後特別監査に入ったところ、下限運賃を下回る運賃で運行されていたということが判明をいたしました。

 国土交通省としましては、この運賃・料金制度に従って貸し切りバス事業者による適正な運賃収受が徹底されることが重要というふうに考えておりまして、そのための具体的な方策を、今、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において検討していただいているところでございます。

 例えば、下限割れなど届け出運賃の違反に係る通報の窓口を設けるなど、バス会社のみならず、旅行業者を含めた安全確保の強化について検討していきたいというふうに考えております。

福島分科員 平成二十六年からの新しい料金は、適正に反映した適正なものになっているということなんですけれども、役所から見たら理論上は正しいんですよ。ただ、どんな制度をつくっても、民間の人は利益を上げるためだったら、法のぎりぎりを縫って、時には法に違反してでもやるというのがビジネスの世界なんですね。私が今大臣に申し上げたかったのは、そのことなんですよ。

 ですから、私は、そのときに大事なのは、しっかりと事後的にチェックをしていくことだと思います。今、事故を起こした会社は下限料金を下回る料金でやっていたと言いましたけれども、これもなかなかチェックをすることはできませんね。実際に当事者間がどのような契約をしていたかというのは、きちんとその書類は残すということになっておりますけれども、実際には、では、どのようなことがされているかというのはなかなかチェックをすることができません。

 今、貸し切りバス事業者に対する監査が行われているということでありますが、その件数は千七百九十八件、確かに年々ふえていて、三事業者に一事業者が監査を受けていることになっております。しかし、大体、監査のきっかけになるのは、先ほど通報窓口と言いますけれども、安くやってきた誰がそれを通報しますか。多分しないと思います。安く値切られた方はお客をとれてうれしいと思っているし、値切った方は安くできてしめしめと思っているわけでありまして、それ以外の者で、お客さんが幾らで契約しているかなんというのは知らないわけですから、通報窓口をつくったって、そんなに機能しないと思うんですよ。

 必要なのは、日常的にちっちゃなミスから見つけてくることですけれども、これを仮に、国土交通省の陸運局が回ってやるような規制強化をやっても見つからないし、コストもかかると私は思っているんです。むしろ、事業者間でお互いがお互いをチェックしながら、小さなミスから、小さなところから改善していく。大きなミスを見つけて監査に入って、それで許可の取り消しだということをやると、これは事業が成り立ちません。それよりも、もっとちっちゃなところから、民間の活力も使いながらやっていくのが私はいいんじゃないかなと思っております。

 トラック業界では現にそのようなことが行われておりまして、国土交通大臣が指定する適正化事業実施機関が巡回指導みたいなものを実施して、日常的にやっているということです。

 今回進められている検討で、トラックのように、貸し切り事業についてもある程度そういう団体に予算をつけてあげたらいいと思うんです。しかも、アウトサイダーを許さないように、全社に加盟してもらう努力を国交省も呼びかけたらいいと思うんですよ。そのようにして、業界団体内で監査を行わせるような仕組みの導入が必要だと思われますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

石井国務大臣 道路運送法等によりまして、国土交通省は、輸送の安全確保や法令遵守に関する指導等を行う民間の機関を指定することができます。これは適正化事業実施機関というふうに称しておりますが、御指摘のとおり、トラック輸送については既に適正化事業実施機関が指定をされておりまして、トラック事業者に対する指導等の事業を行っているところでございます。

 今回の軽井沢スキーバス事故を踏まえて、参入後の監査の実効性の向上を図ることは急務であると認識しておりまして、御指摘のような民間機関の活用も含め、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において具体的方策を検討してまいりたいと思っております。

福島分科員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 ただ、実際には大手と中小でいろいろ差がありまして、私の地元でも、中小の人たちが任意の団体をつくるような動きもございます。やはり必要なのは、一つは先立つもの。ある程度お金を、大した金じゃないと思いますよ、ちゃんと支援してあげること。もう一つは、しっかりと国土交通省自身がお墨つきを与えてあげることだと思うんです。そうしたことも含めて、きめ細かな対応をしていただければと思っております。

 やはり、いろいろ考えていくと、根本のところは料金だと思うんですね。かつてのような認可料金で各社一律同じ料金というのは、今の規制改革の趣旨には合わないと思います。しかし、ある程度の明瞭な料金体系は必要だと思うんですよね。考えてみれば、タクシーも貸し切りバスも変わらないわけですよ。距離と時間で料金ができるわけです。

 タクシーに乗るとメーターがついております。途上国へ行くとメーターがついていないタクシーがあって、いきなりぼったくりに遭ったりするときもありますけれども、しかし、日本は大体メーターがついている。貸し切りバスも同じものをつければいいんです。同じように、距離と時間で料金が決まってまいります。カチャンとやって、はい幾らといって精算する。事前に、大体このぐらいですよ、ただ、実際に走った距離と時間で精算しましょうといって料金をつければいいわけですね。

 現に、これは一番後ろの資料五というもの、ちっちゃな写真を大きくしちゃったのでちょっと不鮮明なんですけれども、バスのメーターというのを考えて開発した人がおります。これは石井大臣も多分御存じの方じゃないかと思うんです。お会いになったことがあると思うんですよ、話したことがあると言っていましたから。

 こういうバスのメーターみたいなものをつけるということで、料金を明確にして、お互いにとって、契約する旅行会社にとってもバス会社にとってもクリアな形で料金を決めることができるので、こうした貸し切りバスへのメーター設置の促進なんというのも今回の検討の場でテーマにすべきだと思いますし、推進すべきだと思うんですけれども、石井国交大臣、どのようにお考えでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 貸し切りバスの運賃は事前届け出制となっておりまして、貸し切りバス事業者は、届け出た範囲内の運賃額で、運送前に旅行業者等の運送申込者と契約を結ぶ、これが一般的な状況でございます。また、旅行業者にとっても、貸し切りバスによる運送を組み入れた旅行商品を造成する場合には、当該商品に係る旅行代金を算出して旅行者に示すというためにも、事前に貸し切りバスの運賃額を把握しておく必要があります。そういった点で、利用者が乗ってその料金を払うというタクシーの状況と、少し状況が違うというふうには考えております。

 ただ、先ほど委員御指摘のとおり、茨城のバス会社がそういったメーターを開発されたということも承っておりますので、どういった形で新運賃が遵守できるか、さまざまな方策を検討してまいりたいと考えております。

福島分科員 例えば、乗り合いバスは上限認可制、貸し切りバスは今おっしゃったとおり、トラックは事後届け出制、タクシー、ハイヤーは距離と時間の単位での認可制、それぞれ微妙に違うんですよ。

 それぞれの業界の業態に応じたこともあるんでしょうけれども、ただ、今の貸し切りバスの話は余りにも不透明で、かつ、事業者にとって交渉力を余り強くしない制度だと思うんですよね。そうした意味で、一つの制度だけじゃなくてもいいと思うんです。そこは事業者が選べばいい。うちはもうメーターで、明朗会計でやりましょうという会社があってもいいはずでありますから、その点大臣も、地元の人も期待しておりますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 次に、河川の防災対策についてお話をさせていただきます。

 昨年九月、関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫をいたしました。氾濫をした地点は私の隣の選挙区でありますが、その上流の筑西市あるいは下妻市といったところは私の選挙区でありまして、あの氾濫が起きた日、朝六時に起きてテレビのニュースを見たら大変なことになっているということで、私も議員宿舎から、飛び起きてつくばエクスプレスに乗って、秘書の運転する車で現場に駆けつけさせていただきました。

 お手元にある資料一の鬼怒川と書いた上のあたりに前河原というところがありまして、私はこのところで、まさに越水する瞬間におりました。目の前で見ていたら、堤防を最初ちょろちょろと水が越えているんですけれども、だんだんどかっと越水して、見る見るうちに堤防が崩れていって、周りの集落は、住宅団地があるんですけれども、湖の中に浮かぶ島のような状況になって、あっという間に水があふれて、恐怖心を持ちました。

 ただ、ある時を経たら、すっと水が引いていったんです。後で知ったんですけれども、それは下流の、常総市のまさに決壊したところ、そこで決壊があったことによって私の選挙区は、幸いなことにと言ったら被災に遭った方にまことに失礼なんですけれども、たまたま堤防が決壊しなくて済んで、そのときの越えた水のごうっという滝のような音とか、えも言われぬ恐怖心というのは忘れることができません。

 この前河原のところも無堤防地域でありまして、自然の丘を堤防がわりにしていたところで、大丈夫かねというのは地元ではずっと言われていたそうなんです。川というのは、やはり線なんです。どこか弱いところがあるとそこから決壊する。線で、上流から下流、右岸、左岸両方をひとしく整備しないと、どこか一カ所弱いところがあるとそこからやられてしまうということを私は身をもって実感をいたしました。

 国土交通省は、鬼怒川緊急対策プロジェクトというものを策定して、五年後の平成三十二年度の完成を目指して堤防等の整備をするということで、それがこの資料一であります。本当にありがたい話です。心強く思っておりますし、住民は大いに期待をしております。

 そこで、平成二十七年度予算、今年度の予算、そして、審議中の平成二十八年度予算で具体的にどのような措置が講じられるのか、特に、地元のことで恐縮なんですけれども、筑西市とか下妻市といった私の地元でまず何をやるのか、そうしたことをまず御紹介いただけませんでしょうか。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 関東・東北豪雨による甚大な被害を踏まえまして、鬼怒川下流域において、国、茨城県、沿川の七つの市町によるハード対策とソフト対策が一体となった取り組みを、鬼怒川緊急対策プロジェクトとして今年度から実施することにいたしました。

 本プロジェクトの一環として実施する鬼怒川の河川改修は、今回の出水と同規模の洪水を安全に流すために、堤防整備や河道掘削等を平成三十二年度の完成を目指して進めることとしております。

 具体的には、まず決壊箇所あるいは溢水箇所から先行的に着手するということにしておりまして、決壊箇所である三坂町地区については六月末の完成を目指して整備を進めてまいります。また、溢水箇所である若宮戸地区や前河原地区は用地買収の手続をもう既に進めておりまして、めどがつきましたら堤防整備に着手する予定でございまして、その他の溢水箇所についても来年度から用地買収に入る予定でございます。

 その他の箇所につきましても、下流から順次、堤防整備や河道掘削を進め、大形橋から下流については平成三十年度、大形橋から上流については平成三十二年度の完了を目指して整備を進めてまいります。

福島分科員 ちょっと個別地点で恐縮なんですけれども、下流からやるというと、越水した箇所に、このプロジェクトの一番上流の船玉とか伊佐山というところがありまして、かなり被害を受けております。この船玉とか伊佐山というところは、来年度の予算あるいは今年度の予算で何か措置は講じていただけるんでしょうか。

金尾政府参考人 これは既に溢水をした箇所でございますので、来年度から用地買収に入らせていただきたいというふうに思っております。

福島分科員 ありがとうございます。

 五年間で下流からやっていくんですね。私の選挙区は全部上流なんですよ。ひがんで言うわけじゃないんですけれども、下流からやるのがセオリーだというのは、そこはそうだと思います。ただ、五年という結構早い期間で、本当にやってくれるのかなと。

 いざ用地買収するとなったら、困難にぶち当たるところもあるでしょう。事前の説明では、県がやるか国がやるか、両方やることがあるんですよということなんですけれども、私は、ここは、国の意思で何としても平成三十二年度末にやり遂げるという決意をおっしゃっていただきたいと思うんですね。住民の皆さんはそれを望んでいると思うんです。特に、上流部の私の選挙区の皆さん方は、本当にいつまでかかるの、堤防整備は長くかかるからねと思っているんですよ。

 石井国交大臣、いろいろなことはあると思いますよ、しかし、三十二年度までにやり遂げるという思いでやるんだということをぜひ御答弁いただけませんでしょうか。

石井国務大臣 昨年九月の関東・東北豪雨による災害を踏まえまして、施設では守り切れない大洪水は必ず発生するとの考え方に立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、水防災意識社会再構築ビジョンを策定いたしました。

 鬼怒川の緊急対策プロジェクトにつきましては、このビジョンにおけるリーディングプロジェクトとして位置づけておりまして、平成三十二年度完了を目標に、ハード、ソフト一体となって推進してまいりたいと考えております。

福島分科員 力強い御答弁をありがとうございました。ぜひとも三十二年度末までに完成させていただくようにお願いをいたします。

 私の選挙区にはもう一つ川が流れておりまして、鬼怒川の方から大分離れた、数十キロ離れた私の住んでいる水戸市というところに流れている那珂川というのがあります。鬼怒川と那珂川は上流は那須連山でありまして、ほぼ同じ地域でありますので、雨が那須の方で降ると、鬼怒川も那珂川もあふれるというのがこれまでの通例であります。

 昭和六十一年に那珂川が氾濫を起こしまして、私、そのとき高校一年生だったんですけれども、クラスの一番かわいい女の子の家が水没しまして、みんなで文房具を届けたり、泥さらいに行ったりといったようなことを思い出しております。

 雨が降ったらまず川を心配して、川を見に行くというのが多くの水戸市民の感情なんですね。それぐらい関心が高い。私のところにも、大臣のところにも恐らく行っていると思いますけれども、さまざまな地域からさまざまな要望が上がっていると思います。

 過去、長いタームで見て、どのぐらい年間の最大流量があるかというグラフを国土交通省からいただいたんですけれども、昭和六十一年より前に比べて、ここ最近は、異常気象のせいか最大流量が大分ふえる年が多くなってきた。直観的にも、何か最近水が危なくなることが多いなというのは直観でもあるんですけれども、データでもそういうふうになっているわけですね。

 先ほど大臣が御答弁いただいた水防災意識社会再構築ビジョンに基づいて、全国の直轄河川を見直して、今後おおむね五年間をかけてハード、ソフト対策を一体的にやると。では、那珂川において、これは何を具体的にされるか、御答弁いただけませんでしょうか。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 那珂川では、委員御指摘のとおり、昭和六十一年八月の出水、それから平成十年八月にも大きな出水がございまして、被害を受けてまいりました。このため、多く残っている無堤部について、順次堤防の整備を進めてきたところでございます。現在は、県道水府橋の旧橋撤去や、水戸市大野地区などの下流区間の無堤部の堤防整備を重点的に実施しております。

 今後の対策については、先ほどございました水防災意識社会再構築ビジョンを踏まえまして、洪水を安全に流すハード対策として、今後おおむね五年間で優先的に河川整備を実施する区間を設定しております。

 具体的には、浸透対策として水戸市城東地区の延長〇・六四キロメートル、パイピング対策として水戸市飯富町地区の延長一・一九キロメートル、流下能力不足箇所の対策、これは堤防の整備でございますが、水戸市大野地区の延長二・四九キロメートルの整備を予定しております。

 今後も引き続き、無堤部における堤防整備等を進め、地域の安全、安心の確保に努めてまいります。

福島分科員 ありがとうございます。

 資料四というのをごらんになっていただきたいんですけれども、これは水戸の城東地区という、水戸市内の結構住宅が密集している地域の堤防なんです。これはちょっと写真で見づらいですが、対岸、川の向こう側が林のようになっております。

 今、河川敷が、そのまま草ぼうぼうになって、そのうち木が生えて林になっちゃうようなことが多いんですね。そうすると、住民の皆さん方は、雨で河川敷まで水があふれたときに、当然、この容量というのが減るわけでありますし、場合によってはダムのような形になって氾濫する可能性があると言っていまして、こうした木を切るような小まめな対策も必要だと思うんですけれども、そのようなものは今回の対策で講じられるのでしょうか。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 鬼怒川及び那珂川においては、日ごろから、河川巡視や点検、それから定期的な縦横断の測量などにより、土砂の堆積状況とか樹木の繁茂状況を把握しております。

 その状況を踏まえまして、洪水の流下を阻害したり、河川管理施設に損傷を与えるおそれがある場合には、計画的に、堆積土砂の除去または樹木の伐採などをこの二つの河川についても行ってきてございます。

 また、全国的な取り組みではございますけれども、限りある予算の中で河川の維持管理を効率的に進めるために、民間活力も活用して、コスト縮減と資源の有効活用を進めてまいります。

 具体的には、国が管理する河川において、堆積した土砂については、民間事業者の砂利採取により掘削する取り組み、繁茂した樹木については、個人や事業者により公募伐採をしていただく取り組み、堤防除草については、河川協力団体の協力による除草や、刈り草を家畜の飼料や堆肥に活用する取り組みなどを進めているところです。

 今後とも、所要の洪水の流下能力を確保するため、さまざまな工夫をしながら、適切な河川管理に努めてまいります。

福島分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、単に要望を受けるだけではなくて、こういうやり方もあるよということを提案して、特に民間をうまく使ってやっていただければというふうに思っております。

 先ほど、堤防は下流から整備をすると言いましたが、那珂川は下流に堤防がございません。資料の二というものがありまして、赤い線で引いたところがこれから堤防を整備するというところですが、下流で分かれる涸沼川、そして那珂川の下流は、両側にわたって無堤防地域がこれだけ長く続いております。事務方の方にお伺いしても、こんなに下流に無堤防地域があるところはないというふうに言います。

 三・一一東日本大震災の後に地盤がちょっと下がってしまった影響もあって、雨ごとに、年に二回ぐらい、大潮の満潮時には塩分を含んだ水が田んぼに入ってくるという被害が毎年恒常的に起きています。

 かつては堤防をつくるのに反対した農家の皆さん方がいたんですが、この地域は、今、全部の区長さん、自治会長さんは、一刻も早く堤防をつくってくれという心からの叫びを上げております。国交省さんに聞くと三十年ぐらいかかるよという話なんですけれども、三十年たったら、その訴えている人はみんなこの世の中にいないということになってしまいます。悲痛な叫びなんですね。

 下流にこれだけ堤防がない地域があるというところは、全国にないんですよ。それは、地元の要望の仕方やさまざまな反対運動の問題もあるかもしれない。しかし、これだけ気象条件が変わり、三・一一の東日本大震災を経た中で、一刻も早く那珂川下流の堤防をつくってくれというのが住民の声なんです。

 予算ができてからということを大体おっしゃいます。しかし、この上流に、もう一つ、霞ケ浦導水事業というのがあります。那珂川と霞ケ浦をトンネルでつないで、霞ケ浦をきれいにしましょうというプロジェクトです。私は、これにずっと反対をし、昨年の分科会でもその問題点を太田国土交通大臣に質問させていただきました。

 国交省さんは必要だと言うかもしれない。しかし、住民の皆さんに聞いてください。導水と堤防とどっちが必要ですか、どっちもと言うでしょう。でも、どっちを優先するかといえば、必ず堤防と言いますよ。今でも霞ケ浦導水には十億円以上の予算がつけられております。このお金をゼロにして堤防をつくる方に使えば、三十年なんて言わないで、もっと早くできるわけですね。局とか課の枠組みを超えて、住民の安全にかかわることなわけですから、この堤防に関する予算をしっかり確保していただいて、つくっていただく必要があると思うんです。

 石井大臣、多くの皆さん方が地元を代表する石井大臣に期待をされています。那珂川の下流域の堤防建設をもっと早くやる、三十年なんて言わないで、今一生懸命要望している人が生きていらっしゃるうちに完成させるというその思いをぜひお話しいただけませんでしょうか。

石井国務大臣 那珂川の下流部には無堤部がまだ多く残っておりまして、堤防の整備を推進する必要があると考えております。

 このため、水防災意識社会再構築ビジョンに沿って、五カ年で優先的に対策を実施する箇所において堤防を進めるとともに、その後も、本年一月に策定いたしました河川整備計画に基づき計画的に整備を推進してまいりたいと存じます。

福島分科員 計画的にと言いますけれども、計画的に進めると三十年後になるというから、早くしてくださいということを申し上げているんですね。

 ですから、予算を持ってくるのは私も協力しますよ。霞ケ浦導水をちょっとやめてこっちにつけるというんだったら、私は、地元の皆さんを説得するために汗もかきますよ。それは、多くの地元の皆さん方がそっちの方を望んでいるから。どんなに多くの地元の人に聞いても、堤防より導水が大事なんという人はいませんよ。ですから、そうした政治的な判断をぜひしていただきたいと思っております。

 また、今回の計画に入っていない無堤防地域というのはあるんですよ。国田地区という、もうちょっと上流に行った左岸の方のところも、自然堤のままのところもあります。ずっと住民の皆さんが要望しているにもかかわらず、今回の計画では入っておりません。

 そういったところも含めて、極めて川に対する関心が高く、かつての水害の恐怖が生々しく残っている住民が大きな不安を抱いている地域でありますので、こうした今回の計画に載っていないところも含めまして、しっかり事業を進めていただく、そのことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

門主査代理 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

    〔門主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、椎木保君。

椎木分科員 おおさか維新の会の椎木保です。

 本日は、交通政策に関して質問をいたします。

 最初に、本年一月十五日に発生した軽井沢スキーバス転落事故に関連してお尋ねいたします。

 乗員乗客四十一人のうち十五人がお亡くなりになり、生存者も全員が負傷するという極めて悲惨な事故が起こってしまいました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様には心よりお悔やみを申し上げます。また、負傷された皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い御回復をお祈りいたします。

 平成十二年に、貸し切りバス事業について、需給調整規制の廃止等を内容とする道路運送法等の改正が行われました。いわゆる規制緩和が施行されております。その結果、貸し切りバス事業への新規参入をする事業者は大幅にふえました。今日、参入、退出が容易になったため、問題のある言い方かもしれませんけれども、事業者も玉石混交という状況になっているかと思います。

 平成十二年の規制緩和を契機として、利用者の利便性向上のために努力している事業者がいることも承知しておりますが、今回のような事故が起きるたびに、事業者のずさんな管理体制が指摘されます。公共交通が何よりも重要視しなければならない安全、安心というものが、何かどこかに置き去りにされてしまったのではないかと思わずにいられません。

 平成二十六年度の監査実施体制について、国土交通省の調べによりますと、自動車運送事業の全業態およそ十二万事業者に対する監査件数は一万六千十九件で、ここ十年で約二倍に増加している。このうち、貸し切りバス事業者四千四百七十七事業者に対する監査件数は千七百九十八件で、ここ十年で約三・五倍に増加しているとの報告があります。

 平成十四年七月の組織改正により監査部門が専任化されたと聞いておりますが、そのときの監査要員数は百八人でした。現在は三百六十五人とのことですが、規制緩和が施行される前と後とを比較したとき、監査のあり方も大きく変わったと言えるのではないでしょうか。監査要員数は組織改正時に比べて約三・五倍にふえているとはいえ、人員不足は明らかであると思います。

 そこで質問いたします。

 この体制の中で自動車運送事業者への監査はどのようにして行われているのでしょうか。お尋ねいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、関越道高速ツアーバス事故を受けて、平成二十五年に本省に安全監理室を設置いたしました。さらに、地方運輸局の監査担当の増員に努め、現在、全国の地方運輸局三百六十五名の体制で監査を実施しております。

 監査には、社会的影響の大きい死亡事故や悪質な法令違反を端緒とした特別監査、重点事項を定めて行う一般監査、バスの発着場等において運行実態を確認する街頭監査があり、道路運送法関係の法令遵守状況を確認しております。違反がある場合には、改善を指示した上で、行政処分等を行っているところでございます。

 現行の監査体制のもとで、悪質な事業者に対し優先的に監査を実施することなどにより、効果的、効率的に監査を行うように努めているところでございますけれども、このたびの軽井沢のスキーバス事故を受け、監査の実効性の向上が急務であると認識をしております。

 この点につきましては、有識者から成る軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において、民間団体などの活用による監査機能の強化も含め、検討を行っているところでございます。

椎木分科員 今の答弁で、ちょっと一点だけ確認させてください。

 人員不足は明らかではないでしょうかという私の問いに対して、人員不足を認めるのかどうか、その点だけお答えください。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 監査人数につきましては、先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、平成十二年の規制緩和から監査の体制を専任化し、人員は三倍ということになっておりますので、それにつきましては、今の体制において監査というのは必要なものは行われていると認識をしているところでございます。

椎木分科員 ちょっとここで余り時間をかけたくないんですけれども、認識とか監査体制ができている、できていないということを私は聞いているんじゃないんです。人員が足りているか足りていないか、これがどちらなんですかということを聞いています。もう一度お願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 国の監査体制につきましては年々増員を経て今の人員ということで、監査体制としては一定の体制ができているというふうに考えております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、トラックの例がございますけれども、民間機関の活用ということでさらに監査を補完する、そういったやり方もございますので、そういったことも含めて今回新たに検討を行おうとしているという状況でございます。

椎木分科員 十分な答弁だとは思っていませんので、これについては、今後、国土交通委員会で引き続き質問させていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 安全に対するコストを削減してまで料金を安くして金もうけに走るという安易な考え方は、絶対にあってはならないことだと思います。特に、公共交通にかかわる全ての事業者は、常日ごろから多くのとうとい命を預かっているという意識が大事です。

 今回事故を起こした運行会社イーエスピーの事業許可は取り消されたと聞いておりますが、ルールを守らない悪質事業者に対して、個人的には罰則を強化すべきと考えております。

 これまで悪質なルール違反を犯した事業者に対する行政処分の状況はどうなっているのでしょうか。お尋ねいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年に発生しました関越道高速ツアーバス事故以降、悪質な法令違反の事実を確認した貸し切りバス事業者に対し、関越道高速ツアーバス事故を起こした有限会社陸援隊、今般の事故を起こした株式会社イーエスピーを含む合計三件の許可の取り消し及び二件の事業停止処分を行っているところでございます。

椎木分科員 私は、規制緩和の全てが悪かったと言うつもりはありません。しかし、残念ながら、悪質事業者による事故が定期的に起きているのも事実です。

 事故の再発を防止する上で、規制緩和の見直し等を含めて、今後どのような対策を考えているのか、再度お聞きいたします。

石井国務大臣 今回の軽井沢スキーバス事故の原因につきましては、現在、警察において究明のための捜査を行っているところでありまして、その捜査の状況を注視しているところでございます。

 貸し切りバスにつきましては、平成二十四年四月の関越道高速ツアーバス事故を踏まえまして、参入時におけるチェックの強化や安全コストを反映した新運賃・料金制度の導入等を行ってきたところですが、それにもかかわらず今回の事故が起きたことについては、まことに遺憾であります。

 今回の事故を踏まえ、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきまして、安全規制のあり方を総合的に検討しております。

 例えば、事業参入の際の安全確保に関するさらなるチェックを強化していく、また、先ほど自動車局長が申し上げたとおり、監査の実効性を向上していく、また、運転者の運転技術のチェックを強化していく等々の対策を検討していく予定でございます。

椎木分科員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、一般の自家用車を使って有償で人を目的地まで運ぶライドシェアの導入についてお尋ねいたします。

 白タク合法化と言われる問題についてですけれども、昨年、福岡市において、外資系資本、アメリカのウーバーテクノロジーズによる法を逸脱したと言うべき自家用自動車無償旅客運送実証実験が行われたと聞いております。シェアリングエコノミーの成長を促す法的環境整備の名のもとで白タク行為の合法化を進めるということは、業界が長きにわたって築き上げてきた安全、安心を第一とするタクシー業界の根幹を覆すものであります。利用者の安全をも脅かし、地域公共交通の存続も危うくするものであると言わざるを得ません。

 これに対して、安倍総理は、昨年十月二十日に、ライドシェアの導入について過疎地で解禁する方針を明らかにしました。ライドシェア特区申請により、公共交通空白地域のみで解禁するということですけれども、交通圏、いわゆる営業エリアを持たない白タクが過疎地域を超えて都市部に広がることは明白です。

 公共交通空白地域での住民の移動手段を確保するのであれば、白タクというよりも、ちょっと違った手法があるのではないかと私は考えています。

 平成十八年に創設された自家用有償旅客運送制度、これらを十分に、有効に活用すれば対応できると考えますけれども、このライドシェア導入の是非について国土交通大臣の見解をお願いいたします。

石井国務大臣 現在、国土交通省で検討しておりますのは、鉄道、バス、タクシー等の公共交通機関による旅客輸送が困難な地域における交通手段の確保の観点からでございまして、具体的には、過疎地等において、安全の確保、利用者の保護等を十分に図りつつ、訪日外国人を含む観光客の移動手段を確保するため、現在は地域住民を主な対象としている自家用有償旅客運送制度のさらなる活用方策を検討しているところでございます。

 いわゆるライドシェアにつきましては、昨年十月に民間から提案がなされておりますけれども、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。

 この点については、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がありまして、極めて慎重な検討が必要と考えております。

椎木分科員 白タクについては、本当に慎重に検討していただきたいと思います。

 ちょっと仮定の質問になってしまいますけれども、仮にライドシェアを導入するとした場合の問題点についてお尋ねしたいと思います。

 タクシー事業者は営業エリアが定められておりますが、白タクは、乗客をどこで乗せても、どこでおろしても、基本的には自由なため、既存のタクシー事業者の営業機会を奪う可能性があると考えますが、これらについて答弁をお願いいたします。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 現在検討を進めております自家用車の活用拡大につきましては、公共交通機関による旅客運送が困難な地域において、一の市町村の区域内における観光客等の移動手段の提供を主たる目的とするケースを想定しております。そういったことによって、事業エリアが無制限に広がることがないようにということのもとに検討を進めているところでございます。

 また、自家用車による運送を行う者が、市町村、タクシー事業者等と旅客の運送に関し協議する枠組みを設けることもあわせて検討しております。これによって、タクシー事業者の営業機会を確保しつつ、新しい制度が運用されるように努めてまいります。

椎木分科員 タクシー会社は料金設定の裁量に限界があるのに対して、白タクは基本的に自由で、タクシーよりも安い運賃設定が可能であります。また、料金設定が曖昧になることが予想されるため、料金をめぐって利用者との間にトラブルが多発する可能性があると思いますけれども、この料金面での公平性についてどのように考えているのか、あわせて白タクの料金設定についての考え方もお伺いいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 現在の自家用有償旅客運送制度におきましては、旅客から収受する対価について、人件費や車両整備費等の安全コスト等を含めた当該運送に必要な費用を勘案した実費の範囲内であるということとされているところでございます。

 これによりまして、現在検討を進めております自家用自動車の活用拡大におきましても、既存の自家用有償旅客運送制度と同様の考え方に基づいて対価の設定を行うこととしております。

 現行の制度におきましても、タクシーとの関係におきましては、公平性というものを担保した形で進めておりますので、それと同様の形で進めたいと考えているところでございます。

椎木分科員 タクシー業界との公平性が担保されているという答弁ですけれども、私が地元でこの業界の皆様から現状をお聞きする限りは、認識が全くそうじゃないんですね。だから、あえて私も地元の声として質問させていただいているんです。

 本当に公平性が担保されているのかということについては、今後、私も、ちょっと資料を収集しながら確認させていただいた上で、改めてまた委員会等で質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、通常のタクシーについては毎年の車検と月に一回の定期点検が義務づけられています。白タクは、個人所有の車両を使用することから、二年ごとの車検と法定点検が課せられていますけれども、法定点検については受けなくても何ら罰則がないという現状であり、場合によっては整備が万全でない可能性も考えられます。

 また、タクシー運転手には二種免許が必要ですが、白タクを運転する者には不要です。さらに、運行管理についてもどうするのか疑問が残ります。

 車両の整備と運転手の技能、運行管理についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 現行の自家用有償旅客運送制度においては、車両の整備あるいは運行の管理を行うための責任者の選任、あるいは、運転手の技能として、普通免許の保有者の場合には大臣が認定した講習の受講を義務づけしております。これらの措置は、白ナンバーによって有償で他人を輸送するというその特性から、その安全確保のために重要な措置であると認識をしているところでございます。

 現在検討を進めております自家用自動車の活用拡大においても、自家用有償旅客運送制度において求められている輸送の安全確保のための措置を同様に義務づけることを想定しているところでございます。

椎木分科員 私は、数、質問させていただいているんですけれども、自動車局長の答弁ばかりで、何か、全く石井大臣の出番が出てこないので、かなり私は懇切丁寧な通告をさせていただいていると思っているんですけれども、そういう意味では大変誠実さに欠けるなと思っています。

 私は、今の二種免許のところで強く申し上げたいんですけれども、これは、御承知のとおり、昭和三十一年に第二種免許制度が採用されていますよね。何で当時こういう採用があったか、私もちょっといろいろ調べてみました。

 そうすると、簡単に申し上げますと、その発端は、要するに、いわゆる昔の神風タクシー、これらに対する国民の批判もさることながら、直接的には、内閣の交通事故対策本部、これらの決定によるものだというふうに書いてある、私が調べたところ。これは当然国土交通省からも資料提供をいただいて、私は今ここで申し上げているんですけれども。

 私は何を言いたいかというと、二種免許を持っている人たちというのは、これは単なる物を運んでいるんじゃないんですよ。荷物を運んでいるんじゃない。人の命を運んでいる。だから、そこが白タクと今までのタクシー業界の、安全性を担保しながら、お客さんの命を大事にして今まで仕事に取り組んできているわけですよ。だから、やはりここの原点にもう一回立ち返っていただきたい、そういう意味で私は質問させてもらっているんですよね。

 大臣、どうでしょうか。昭和三十一年の第二種免許制度の採用に一度立ち返ってもらいたいという今の私の質問に対して、何か見解はございますでしょうか。

石井国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおり、いわゆる白タクを導入することについては我々は極めて慎重であるということでありまして、あくまでも私どもが検討していますのは過疎地等において自家用有償旅客運送制度の活用ということでございますので、白タクを導入するという前提で御質問されると、なかなかこちらも答弁がしにくいということでございます。

 タクシーにおいては、従前のように、しっかりと命を運ぶ運転をしていただきたい、こういうふうに思っております。

椎木分科員 私は、地元の皆様から今の大臣の答弁をまさしくいただいてほしいということで、きょう質問に立たせていただいているんですよね。

 その前提でというつもりで質問しているわけではないんですけれども、それだけ業界として危機的立場にあるということで、やはりこれは非常に不安なんです、先ほどお話しした総理のコメントもありますから。

 だから、そういう意味で、慎重に検討するんだと今大臣から答弁をいただければ、地元の皆さんは安心しますよ。私もここで質問に立ったかいもあります。だから、今のような形で、自動車局長の答弁も重いですよ、重いですけれども、やはり石井大臣みずから答弁いただければ私も私の地元の皆さんも安心できる、これをもう一度強く確認させていただきたいと思います。

 白タク参入が前提となっているような質問だと言われるので、ちょっと質問しづらくなってしまったんですけれども、タクシーが減車されても、白タクが参入してしまうと供給過剰状態となってしまって、これまでの国の政策と矛盾してしまうんじゃないかというのが私の考えなんですね。これについてはどうでしょうか。

石井国務大臣 都市部を中心にタクシーは供給過剰の状態でございますので、その結果として、タクシー運転者の労働環境の悪化や安全性の低下等の弊害が生じているものと認識をしております。

 タクシー特措法の改正はこうした点を踏まえて行われたものと承知をしておりまして、これらの地域においては、タクシーの供給量の適正化に取り組むとともに、タクシーサービスの高度化を図り、利用者の多様なニーズに的確に応えていくことがまず先決であると考えております。

 先ほど申し上げましたとおり、現在国土交通省で検討しておりますのは、こういった都市部ではなくて、あくまでも過疎地等において自家用有償旅客運送制度のさらなる活用ということでございます。

椎木分科員 今大臣の方から過疎地というものを非常に強調されて答弁をいただけましたので、これについては本当に大変ありがたいと思っております。

 最後に一点だけ、改めてですけれども、事業への参入、撤退が基本的に自由なんですね、この業界は。実態の把握が極めて困難であると私は思うし、何らかの問題が生じても、国としての対策を講じるのが極めて困難だと私は考えるんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。答弁をお願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 現行の自家用有償旅客運送への参入に当たっては、安全の確保、利用者の保護等の観点から、国土交通大臣ないしその委任を受けました地方公共団体が、運行管理、車両整備の体制確保、あるいは損害賠償能力等を確認して登録を行っているところでございます。

 さらに、自家用有償旅客運送からの撤退においても、事後の届け出を義務づけているところでございます。

 現在検討を進めております自家用自動車の活用拡大におきましても、今申し上げました現行の制度で求められている登録あるいは廃止の届け出を義務づけいたしまして、事業の実態についてしっかり把握をしてまいりたいと考えているところでございます。

椎木分科員 局長の答弁は非常に体裁が整っていて、非常に立派な答弁なんだと思いますけれども、ただ、私が申し上げたいのは、一つは、実態の把握が極めて困難ではないんですかということを聞いているんです。それが困難じゃないなら、困難でありませんと答えてください。

 もう一点。何らかの問題が生じたとしても国としての対策を講じるのが、これも困難じゃないんですかと私は言っている。今の答弁を聞いていると、困難じゃないというふうに私は聞こえるんですけれども、どうなんですか。困難なんですか、困難でないんですか。それについて答えてください。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 今の自家用有償運送制度において運行されている事業者につきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、全て登録をされ、私どもはその実態についてしっかり把握をしておりますので、何か問題が起こったときに対策を講じることについては困難ではないというふうに考えております。

椎木分科員 自信を持って答えられましたから、これについてはちょっと具体的な事例等々を今度挙げながら、また質問させていただきたいと思います。

 きょう、私は、あえてといいますか、ちょっと時間の関係もありましたので資料の配付はできなかったんですけれども、ライドシェア、いわゆる白タクの先進的な制度化をして取り組んでいる諸外国があるんですね。その状況についても、私も、いろいろな事件の例示とか、制度上どうなのかというものをちょっと調べてみました。

 資料をお配りしていませんけれども、ちょっと幾つか御紹介すると、まず諸外国における状況の事件の例、これは直近の三年間、大きく五つあります。サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューデリー、シドニー、メルボルン。この中で、五つの事件の中の三つが女性客を誘拐し、暴行なんです。直近の五つの事件の事例で三件が女性客に対する暴行なんですよ。ここがタクシー業界と白タクの違いじゃないのかということを私は申し上げたい、一つは。だから、それはやはり一種と二種の差もそこにあるでしょうということを私は申し上げたい。この残りの二件だって、六歳の女の子を死亡させたとか、もちろん運転手は逮捕です、シドニーで人質事件が起きている、そういう極めて重大な事件の事例なんですよ。

 要するに、これらの事例を持っている先進的な諸外国については、やはり白タクについては問題があるなというような見解でいるんです。だから、私はこういうところも、大臣はさっき慎重に検討して進めていくということですので、それで十分な答弁だと思います。

 自動車局長なんかどうです、私の今の事例の紹介に対して。何かございましたら、大臣じゃなくて局長で結構です。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 有償で他人を乗せるという事業を行うに当たりまして、今委員が御指摘になりましたような事件が絶対にあってはならない、そういったことを防止するための十分な事前措置が必要であると考えておるところでございます。

 先ほど大臣からも御答弁をさせていただきましたけれども、いわゆる民間の提案にありますライドシェアというものは、運行管理あるいは車両整備、こういったものに対する責任を負う主体を置かないで、運転手のみが運送責任を負う、そういった形での御提案だという認識をしておりまして、これについては、安全の確保、利用者の保護などの観点から極めて大きい問題がある、慎重に検討すべきものであると考えているところでございます。

 先ほどから私の方で御説明しております自家用車の有償運送制度、今主に地域において行われております五百程度の事例がありますけれども、これにつきましては、まさに今申し上げたような問題点を踏まえた上で、しっかりと運行管理、車両整備の責任体制を確保した上で運行を行っていただいている、そういった管理を私どもは行っている、制度のもとに運用されていると認識をしておりまして、今回、特区のもとで自家用車の活用拡大という検討を行うに当たりましても、同様の考え方を持ちまして運用を行ってまいりたいと考えているところでございます。

椎木分科員 大変誠実な答弁をいただいたと思っています。多分、局長も御承知の上で私の資料の説明を聞いてくださったと思うんですけれどもね。

 これも、あわせてもう一つ御紹介しますけれども、いろいろ白タクについては、国際的に取り組んでいる問題はやはり非常に多いですね。ドイツ、スペイン、フランス、アメリカ、インド、韓国、中国。大体が、全土で提供を禁止するとか、サービス停止の仮処分をするとか、業務停止命令を出すとか、やはりこういう問題が先進的に取り組んできているところでは既に起こっている。

 これもやはり今後慎重に、大臣の答弁にありましたけれども、慎重に推進していく中では十分こういうところもきちっと検証していただいて進めていただければと思いますので、ひとつその点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 我が党は、どちらかというと規制緩和を推進していく立場なんです。私も、もちろんそうです。ただ、やはりこの問題については、何度も申し上げていますけれども、安心、安全、荷物、物を運ぶんじゃないんだ、人の命を運ぶんだ。これについては、規制緩和は推進しながらもやはり慎重に、行き過ぎがないように、これを私はきょう申し上げたくて質問に立たせていただいていますので、その点についてだけは、別にこの白タクを本当に導入するという前提で否定的な質問をしているんじゃなくて、とにかく命なんだ、人の命を預かる大切な問題なんだというところだけは御認識いただければと思います。

 大臣、どうでしょうかね。きょうの私の質問で、何か白タクを、ライドシェアを導入するのが前提のような質問だとさっきちょっと言われてしまいましたけれども、そういう意味ではないんだというのを御理解いただいた上で、とにかく、人の命を運ぶ、安心、安全だということについてさらなる御認識を持っていただいた上で、本当に慎重に進めていただければと思いますので、最後に一言あったらお願いいたします。

石井国務大臣 昨年民間から提案がありましたいわゆるライドシェアにつきましては、今委員からもるる御説明ありましたとおり、さまざまな問題点を抱えておりますので、極めて慎重に検討する必要があると思っております。

椎木分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて椎木保君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上英孝君。

井上(英)分科員 おおさか維新の会の井上英孝です。

 よろしくお願いをいたします。

 大臣初め副大臣、政務官、参考人、本当にきょうはありがとうございます。

 また、適宜抜けていただいても結構ですので、いていただくときにいていただけたら結構ですので、その辺は。また、赤羽先生も御苦労さまです。よろしくお願いします。

 それでは、限られた時間ですので早速質疑に入らせていただきたいと思いますけれども、きょうは、少し局地的といいますかローカルといいますか、そういう話に終始させていただきたいというふうに思っています。

 私の選挙区に、国道四十三号線というのがあります。関西の方はよく知っている、有名な国の直轄国道であります。大きく言えば大阪から神戸を結んでいる非常に大動脈の道路でありますけれども、その国道四十三号線の環境といいますかその問題について少し質疑をさせていただきたいと思います。

 赤羽先生も多分国道四十三号線はよく御存じだと思うんですけれども、特に神戸地域を走っているときには片側四車線、だから合計八車線の国道でありまして、その上に阪神高速道路神戸線が走っていて、大きなトレーラーから当然普通の乗用車、小型車までが走っている本当の大動脈であります。その国道四十三号線が神戸からずっと来たときに、大阪に入っていって天王寺という、ここも繁華街なんですけれども、そこまで行くのが国道四十三号線ということになっています。

 大阪に入ってきて、私の選挙区であります大阪市の港区というところを通って、隣の大正区、浪速区、そして西成区を通って天王寺というところに抜けていくんですけれども、その通り道であります港区の国道四十三号線の環境について特にきょうはお話をさせていただきたいと思います。

 そこに、先ほども申し上げたように、ここの近くで想像すると、六本木通りの溜池の交差点から六本木までの道路のような環境ですね。断面にすると、高速道路が、T字の橋脚があって、両サイドに道路があって、建築物が周りに建っているという道路ですね。必然的に、当然排気ガスを出して車は走るわけですけれども、高速道路がT字になってかぶせているような形になりますので、そういう意味では、大気的には、沿道の方々初め、非常に心配されているような環境がある。

 先ほども申し上げたように、非常に大きい国道ですので、非常に大きい大型のトレーラーだとかトラックが走ったりするような道路であります。それがずっと神戸から、片側四車線、合計八車線の規模の道路をずっと走ってきて、その四車線の車が大阪に入ってくる。大阪に入ってきたときにはその四車線が二車線になるわけですね、環境的に。そういう国道なんです。

 地元の方々は、やはり環境という意味では非常にナーバスになっているところがあります。それは、先ほども言ったような構造上の問題もあったり、それから、片側二車線の道路になったときに、かなり大きいトレーラーなんかが入ってきますと、当然、沿道の方々は、騒音だとか振動だとか、そういったものも非常に出ているという現状の中で、地域としてはかなりうっせきした感情を持っている。

 ただ一方で、道路ですから、非常に大事な大動脈の道路として、物流も含めて、非常に機能を果たしてくれているというわけなので、必要悪と言ってしまえばちょっと言葉は行き過ぎかもわかりませんけれども、住んでいる方々からすると、必要なんだけれども、隣にそういう道路があるんだなというような感覚でずっとおられるわけですね。

 その上を走っている、大阪の港区というところを走っている高速というのは阪神高速で、西大阪線と言われる支線であります。

 それを、いつごろ建築かというのは、ちょっと失念したんですけれども、かなり前、四十年ほど前に建築して、そのときには地元説明で、阪神高速の西大阪線、これは無料になりますということで当初建設が始まったわけですね。始まって、でき上がって、供用開始して、その間に、今は、もう皆さん御承知のように、阪神高速道路は料金がプール制になって、次の高速道路の建設のためにそのお金をどんどんつぎ込んでいくという形態をとることになりまして、当然、プール制に変わったことについては地元に説明は当時はなかった。

 最初は無料になりますよという約束で国道四十三号線の上に阪神高速ができたわけですけれども、本来ですと約束した期限は過ぎているんですけれども、今でもまだ有料で、今環境がそういう状況になっているというのが大前提であるというのをまずここにおられる皆様方にはよくわかっておいていただきたいと思います。

 その国道に今度エレベーターをつくっていただけると。それは、国道四十三号線が東西に走っていますので、南側と北側にエレベーターをつくる。エレベーターをつくって、地下道を通ってもらって、安全に南北に行き来していただく、渡っていただくのに地下道をつくる。

 当然、横断歩道は現状ではありません。それは、先ほども言いましたように、非常に大きい、大規模な道路ということで、非常に大きいトラック等も走っているということで、交通安全上非常に危ないということで路面上の横断歩道というのはなくて、南北に行き来するときには必ず地下道を通って渡る。バリアフリーの観点から、今まではスロープの坂で地下道に入って、またスロープの地下道を上がっていって行き来するという状況でありました。

 それを今度はバリアフリーで、エレベーターでおりて、地下道をわたって、エレベーターで上がって逆側、北側ないし南側に抜けていくという工事であるんですけれども、先ほども言いましたけれども、地域の方々からすると、そういう意味で、先ほども申し上げたように、やはり非常にうっせきしたものがある。

 今回そのエレベーターをつくるに当たって、せっかくつくるんだから、大は小を兼ねるじゃないですけれども、大きいサイズのエレベーターをやはりつくるべきじゃないかと。それは、一度に輸送人員も非常に大きくなりますし、自転車等も、これはバリアフリーですから、例えば自転車で高齢者の方が通ってきたときに、今まではスロープを自転車を押しながら上っていかなければならなかったのを、少しでもエレベーターを利用していただくのに待つ必要がないように、一度の輸送人員の大きいサイズのエレベーターをつけてほしいというお願いがあります。

 そういうものも含めて、国交省にお伺いしたいんですけれども、まずは、そういう地元の要望も踏まえたそういう大きい型のエレベーターを設置することが可能なのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 当該路線自身は非常に大動脈でございますが、そういう意味では幹線道路であり、かつまた地域の方にとっては生活道路という意味合いもございます。

 また、委員御指摘の部分の箇所につきましては、弁天町というJRの駅と地下鉄の駅のまさに乗りかえる場所ということになっておりまして、そういう意味では非常に歩行者がふくそうして移動されるというエリアでございます。

 特にここの部分に関しましては、大阪市の方でもバリアフリー基本構想重点整備地区というふうに位置づけられておりまして、上下移動に関しましてエレベーターの設置を検討するということとなっているところでございます。

 この特に南側、今御指摘の部分でございますけれども、交差点の南側にございます地下エレベーター、平成二十六年度に事業化をさせていただいて、設計を進めさせていただいているということでございます。

 先ほど、その大きさという議論がございました。

 今、私どもの方で地元に最初に多分御提示をさせていただいているものが、車椅子が中で回転できる大きさということで、そういう大きさをベースに、そしてまた自転車であれば二台並べる大きさということで、一応御紹介をさせていただいているという状況にございます。

 ただ、やはりどれだけバリアフリーの需要があるのかとか、あるいは、先ほど言っているように、車椅子の方々がやはり重なって乗られるようなことがあり得るのかどうかみたいなことも含めまして、地元の御意見も伺いながら設計をまとめていきたいというふうに思っているところでございます。

 また一方で、反対側にあります北側のエレベーターにつきましても、鋭意関係機関と調整しながら、早目に計画をまとめて事業に移っていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 南側のエレベーター、結論から申し上げると、つけるんだったら早期に完成するようにお願いしたいと思っています。ですから、早期にはつけろ、でも地元の方々には丁寧に説明しながら、極端に言うと時間もかけてやってくれということで、矛盾したことをお願いしているかとは思いますけれども、適宜地元には説明をしていただいて、本当にやはりどのサイズがいいのかということをよく情報も発信していただきながら、しっかりと理解をしていただいて、なおかつ、早く、スピード感を持って南部の側のエレベーターの完成をしていただきたいなというふうに思います。

 先ほど局長が触れていただいたように、北側については、これも局長の答弁にもありましたけれども、弁天町という駅があります。その大きい弁天町の駅の、地下鉄の弁天町の駅とJR環状線の駅とコネクトするところなんですけれども、JRの駅舎のところに北側のエレベーターを建てる。ちょうどJRの駅舎の再開発といいますか改築工事が予定をされておりますので、JRのエレベーターとの関係は非常に大事になってきますので、関係ありますJR西日本ともしっかりと協議を行っていただいて、JRが、後々駅舎ができたときでもそのエレベーターとリンクできるようなエレベーターで、それも同じく早期で何とか整備をいただけたらと思いますので、森局長、よろしくお願いをいたします。

 次に、その地下道なんですけれども、私も学生時代、そこの地元で生まれ育ちましたので、高校のときにはその地下道を通って三年間高校へ通いましたけれども、その地下道がその当時から余り環境が変わっていないんですね。

 地元からよく言われるのは、照明がやはり暗い。地下道なんですけれども照明がやはり暗い。壁面が非常に汚れが目立っていて、少しきれいにした方がいいんじゃないかと。また、そういう汚れが目に見えてたまるほどではなくて頻繁に清掃等を行ってくれないかというようなこともあります。

 さらには、今のこういう御時世ですので、地下道ですから非常に人の目に触れにくいようなときもあります。もちろん通勤ラッシュで人が行き来するときは大丈夫なんですけれども、朝の早い時間帯だとか夜だとか、そういうときには少し危ないというようなこともあって、防犯カメラを、地元の区役所も含めて要望はさせていただいているかと思います。さらには、下水の整備。

 そういったもろもろの要望があるんですけれども、もちろん全て一遍にというわけにはいかないと思いますけれども、その辺の改善については、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今御要請のございましたお話、地元の港区役所の方からも御意見をいただいているところでございまして、安全、安心な利用をしっかりと私どもとしても対策を講じていくということを考えていかねばならないというふうに考えております。

 今までも、階段の滑りどめだとかいうようなことをやったり、あるいは、二十六年度からは、地下道の汚れをできるだけなくすということで月に二回の清掃ということを、ほかの地下道のレベルからは格段に頻度を上げて清掃等を行わせていただいているところだというふうに聞いているところでございます。

 カメラの設置というようなこともございますし、また、照明を明るくする、あるいは壁面をさらに美装化するというようなことの御要請もいただいておりますので、どういうところからやっていくのか、そしてまた防犯カメラということをするに当たっては、当然、区役所の方とか警察だとか、あるいはその地区の方々というようなことでの防犯対策も含めまして御相談をしてまいりたいというふうに思っております。

 各地区でも、いろいろやはりこういう地下道に対する防犯対策等々の御要請はあるわけでございますが、いずれにしましても、地元の防犯の意識あるいは防犯に対する見守りというんでしょうか、そういったものがどうしても必須という形になりますので、それとセットで御議論させていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

井上(英)分科員 局長、ありがとうございます。

 ぜひ明るくしていただきたいと思います。今はLEDとか、非常に明るい、最初の初期投資は少し値段が張るみたいですけれども、維持費が非常に安くて非常に明るいそういう電器も出ておりますので、なるべく早目に対応していただけたらと思いますし、防犯カメラについては、先ほどおっしゃっていただいた、区役所も含めた関係機関、そういうところと打ち合わせ、調整をしていただいて、区役所には、局長からとは言いませんけれども、また国交省から連絡があれば即座に対応するように、私の方からも区役所の方に言っておきますので、ぜひとも前向きに御検討をいただけたらというふうに思います。

 先ほどから国道四十三号線の状況というのは説明をさせていただきましたけれども、口頭で言っている分にはなかなかわかりにくい環境かと思いますので、想像の中で皆さんちょっと考えていただけたらと思うんです。

 そういう状況で、先ほども言いました、神戸側からは片側四車線でずっと来る。それが、大阪の此花区と港区の、ちょうど橋が、安治川という川があって、そこにかかっている橋から国道四十三号線と阪神高速との二車線、二車線に分かれているんですね。

 その二車線の阪神高速の方は、そのまま上下を通って、先ほども言いました大阪の天王寺の方に行く。残りの二車線は、そのまま国道四十三号線として、川を渡ると一旦下って国道四十三号線としてあるわけです。結果的に四十三号線として下る。そして、片や阪神高速として、有料道路ですから、四車線で走ってきた車が必然的に全部二車線の方に、結局、一般国道である、直轄国道ですけれども、料金がかからない、そういう国道の方に行って、阪神高速の方は台数としてはやはり少ないんですね。

 地元から言うのは、最終的にはこの阪神高速の西大阪線というのを無料にして、それが国道化になるのか、それからまた、阪神高速ですので大阪市道扱いになっていますので、それを市道化するのかは別にして、この阪神高速の西大阪線というのを無料化してくれないかという動きはあります。

 それはもう、大臣の所属の公明党の先生も、私はもともと市会議員でしたので、同じ選挙区に同僚の市会議員の先生もおられますし、私の後継の維新の市会議員もいてますし、自民党の市会議員もいてます。三人区ですから三人、その政党で市会議員を今構成しているんですけれども、その三人とも話し合って、やはり無料化してもらえたらいいよねという話になっているんですけれども、まずはこの無料化をどのようにお考えか、大臣、お答えいただけますでしょうか。

石井国務大臣 阪神高速西大阪線につきましては、交通量が多く渋滞の激しい国道四十三号からの交通の転換を図るために、現在、西大阪線のみを利用する交通に対して、来年度までの時限措置として割引を導入しているところでございます。

 西大阪線の無料化につきましては、西大阪線を含めた阪神高速全体の料金収入で債務返済を実施していることから、償還に支障がないよう、財源確保が大きな課題でございます。

 一方、近畿圏の新たな高速道路料金につきましては、来年の春より新たな料金を導入すべく、昨年十二月より道路分科会国土幹線道路部会において議論を開始したところでございます。

 今後、西大阪線を含めた近畿圏の高速道路料金について、この国土幹線道路部会での議論を踏まえ、地元自治体と連携し、確実な債務返済にも考慮しながら検討を進めてまいりたいと存じます。

井上(英)分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 先ほど大臣もおっしゃっていただいたように、割引もその区間、距離にすると、ちょっと正確にはあれなんですけれども、支線なので四キロほどの距離なんですけれども、その距離を今は二百円、四百円で分けさせていただいています。

 そういう割引もやっていますし、恐らく、この料金については地方議会で秋ぐらいにまたあるんですね。地方議会で料金設定があると思います。そのときにまた提示できるために、夏ごろまでに、先ほど大臣がおっしゃった分科会部会で相談いただけるとは思うんですけれども、そういう流れの中で、ぜひとも、今後とも継続して、その地域の皆さん方の思いというのを常に感じておいていただきながら施策を打っていただけたらというふうに思います。

 国道四十三号線は、本当にでかいといいますか、大動脈なんですけれども、今後、そういう面ではさまざまな環境があるということを、局長、局長はまた前職が近畿地方整備局長でしたので多分よくわかっていただけているとは思うんですけれども、今後とも忘れずに頭の中に入れておいていただいて、先ほども含めた施策をよろしくお願いいたします。

 それでは次に移らせていただきたいと思います。

 菊地港湾局長も来ていただいていますので、港湾についてですけれども、鉄のスクラップの輸出にかかわる港湾設備改善を業界からお願いされているかと思います。

 日本の鉄スクラップ輸出というのは一九九二年に本格的に始まりまして、輸出の数量というのは拡大している。最近の数年間は年間七百万から八百万トン、鉄スクラップが韓国を初めとするアジアに輸出をされているということであります。

 現在は、この日本産の鉄スクラップの輸出形態は、全国の百近い港から二千から五千トンの小型の貨物船を利用してアジア諸国に向け輸送するというのが主流だというふうに聞いています。今は韓国が最大の相手国ということを聞いているんですけれども、行く行くは韓国も輸出国に転じていって、今度は逆にライバルになっていくんじゃないかというふうにも言われています。

 その後、二〇二五年以降を見据えると、二〇二五年以降の鉄スクラップの需要国は、韓国から東南アジア、また東南アジアからまたさらに中東の方、トルコあたりが一番多くなるんじゃないかというふうに想定されている。

 要は、近距離ですと小さいサイズの船で大丈夫だ、大体今でいうと二千から先ほど言いました五千トンぐらいの船でも行けるんだけれども、それが東南アジアからまだ向こう、インドやそれからトルコといった中東の方までどんどん運んでいくということになると、費用対効果も含めて、恐らくもっと大きい船が必要だというふうに言われています。

 世界でも最大の鉄スクラップ輸出国であるアメリカなんかは三万トンから四万トン級の船というふうにも言われていますけれども、日本では大体二万トン級ぐらいの貨物船が利用されることを想定していかないといけないんじゃないかと言われていますけれども、こういったハードに、設備に対してどのようにお考えなのか、局長、お聞かせいただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、我が国の鉄スクラップの輸出量でございますが、平成六年に九十七万トンであったものが、十年後の平成十六年には六百八十一万トン、そこまで増加しております。それ以降は、毎年、それなりの増減はございますが、ほぼ横ばいで推移してきておりまして、平成二十六年、七百三十四万トンというふうになってございます。

 また、その輸出国でございますが、韓国、中国が全体の八割を占めているという状況にございます。

 鉄スクラップの業界団体の方々からは、我が国の輸出先として、ただいま委員の方からもお話ございましたように、将来的にはインドやトルコといった遠方への地域の拡大ということも想定している、また、これに伴いまして輸送船舶の大型化というのが必要になってくるだろうというお話も承っております。

 国土交通省といたしましては、将来にわたって我が国からの鉄スクラップの輸出が安定的かつ円滑に行われるように、業界団体との意見交換、こういったものを通じまして、具体的な要望をしっかりと承りながら、港湾における対応について検討していきたいと考えてございます。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 これは全国の必要な港全てに言えることだと思いますので、ぜひとも対応をお願いしたいと思います。

 それからまた重ねて、答弁はもう結構ですので。

 私の選挙区であります大阪は、府、市あわせて、南海トラフの巨大地震の対策として、防潮堤の整備というのを考えています。平成二十六年度当時に十年間かけてやるという話をしていましたので、今からいうと約八年後には府で大体五十九キロメートル、金額でいうとおおよそ一千二百五十億円、それから市では四十七キロ、一千百億円という金額、巨額なんですけれども、これはやはり地震対策としてやりたいというふうに知事、市長が申し上げているんです。

 その整備に係る海岸事業の予算が、求めている金額よりも組まれている予算が少し小さいんじゃないかなという思いがありますので、ぜひとも予算の増額を省内で頑張っていただいて、よろしくお願いしたいということを要望しておきますので、お願いをいたします。

 それでは、住宅局長もお越しいただいているので、もう時間的に最後の質問になるかと思いますけれども、これまた私の選挙区で生野区というのがあるんですけれども、生野区の東地区ですね、住宅地区の改良事業というのがあります。

 この改良事業というのは、老朽木造住宅の密集市街地の整備に当たって、本来は自主建てかえというのを促進していくというのが基本原則なんですけれども、自主建てかえが見込めないような地域を、それぞれの都市計画審議会の審議を経て、国交大臣の指定を受けて住宅地区の改良事業というのが行われるというのが住宅改良事業なんです。

 この住宅改良事業において、平成十年からスタートしているんですけれども、土地の買収が今約五七%ぐらいということで、進捗はそんなに進んでいないんですね、今で十八年目になるんですけれども。

 当初の計画、十八年前に立てた計画と現在の進捗ではやはり少し違いがありますので、今後変わっていっても、もちろんこの十八年間、補助金が入っています、補助金が入っているんですけれども、今の十八年たった現状に鑑みて、その計画を変える、変わるということになったときにでも、国交省として、住宅局として柔軟に対応していただきたいというふうに考えているんですけれども、いかがでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 お話しいただきましたとおり、住宅地区改良事業は、平成十年から三十一年までの計画期間でございまして、用地買収面積は約六割、改良住宅の建設戸数はまだ計画の二割強でございます。

 おっしゃるようにかなりの年数が経過した中で、地区住民の方々も高齢化がかなり進んでいるなど、地域の状況は変化をしているというふうに私どもも考えております。そうした中では、事業計画の見直しを検討していただくということも非常に大事な観点だというふうに思っております。

 市の方では、昨夏、居住者の方々を対象に、改良住宅への入居意向などについて調査を実施されておられるというふうに聞いております。それを踏まえて、事業計画の変更に向けて検討を進めておられるという話を聞いておりますので、私どもといたしましても、できるだけ前広に、早い段階から国交省としても御相談を受けて対応するという形で、この市街地の整備が最終的に円滑に進んでいくように御支援を申し上げたいというふうに考えております。

井上(英)分科員 もう時間も来ましたのであれなんですけれども、ありがとうございます。

 計画が変わっても、もちろん近畿地方整備局に大阪市の方からは適宜、随時情報を提供させていただきますので、何とか事業が一日でも早く収束できるようにしたいと思っておりますので、御理解と御協力を賜りますようによろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて井上英孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、真島省三君。

真島分科員 日本共産党の真島省三です。

 長崎県と佐世保市が起業者である石木ダム建設事業について質問します。

 配付資料の一、地図をつけております。

 石木ダムは、長崎県の川棚川本流に河口から二キロメートルの地点で合流する石木川に、合流点から約二キロ上流に県が建設を計画しているダムですが、予定では、事業費約二百八十五億円のうち、県が百八十五億円、佐世保市が約百億円を負担し、約百二十六億円を国費で補助する。長崎県は、このダムの目的として、川棚川下流の洪水調節、佐世保市の水道用水確保、流水の正常な機能維持の三点を挙げております。

 二〇一三年の九月六日、国交省九州地方整備局長は土地収用法に基づく事業認定をしましたが、長崎県はこれをお墨つきにして、今まさに住民の私有財産を強制的に収用し、ふるさとの全てを奪おうとしております。

 土地収用法は、憲法二十九条三項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という規定に基づいて制定をされております。国民の基本的人権たる私有財産に制約を加える以上、憲法二十九条三項に言う「公共のため」、これは少なくともどんな要件を満たす必要があるのか、まず最初に端的に御紹介ください。

毛利政府参考人 まず、入り口のところで御説明させていただきますけれども、収用法の事業認定の要件でございますが、まず一つは、収用適格事業であるということでございます。

 それから二つ目として、起業者がその事業を遂行する十分な意思と能力を有するということであります。

 三つ目として、事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであるということでございます。

 そして、最後に四つ目として、土地を収用し、または使用する公益上の必要があるものであること。

 以上、四つの要件を満たすかどうかを判断させていただいております。

真島分科員 ここでは半世紀以上にわたって予定地の住民が反対を続けています。それは、本当に必要不可欠な公共性がある事業なのか、あるいはその事業の手続が本当に正当なのか、多くの疑問を持っておられるからなのです。

 強制収用を認めた国の事業認定で、こうした事業の公共性をどう判断したのかということをきょうお伺いしたいと思っています。

 配付資料二に経過を私、まとめました。

 始まりは一九六二年、長崎県が川棚町と地元住民に無断で調査、測量を行ったのですが、地元の抗議で中止になっています。

 その十年後に、一九七二年七月二十九日、県と町は三集落の代表との間で、建設の必要が生じたときには、改めて地元住民と協議の上、書面による同意を受けた後着手をするという覚書を交わしています。

 ところが、県は、地元住民との同意もないままに建設予算をつけて、それ以降、戸別訪問や酒食のもてなし、そういうことで住民の切り崩しを進めて、一九八二年の五月には、県が七日間にわたり機動隊を延べ百四十名投入して強制測量を行いました。

 これに対して地元住民は、連日の座り込みで説明を求め、厳しく抗議をするとともに、石木ダム建設絶対反対同盟を結成して四十年以上闘っておられます。

 先ほど言われたように、公共性が大前提の事業の手続において、長崎県が法的効力があるこの覚書に明らかに違反する進め方をしている、これは起業者としての適格性が問われると思うのですけれども、事業認定で判断された公共性そのものが問われる問題と思いますが、これについての大臣の認識、いかがでしょうか。

毛利政府参考人 私の方から収用法の解釈も含めて御説明させていただきます。

 まず一般に、起業者や関係行政機関におきまして、事業に関する説明の機会を確保して、地域住民等の理解を得ながら事業を進めることは非常に重要であると考えられますが、土地収用法に基づく事業認定は、先ほど申し上げました四つの要件に該当するかどうかによって判断されることになっております。

 覚書の存在といったような起業者と地元住民の方々等との間で行われた交渉の経緯に係る事項というのは、この土地収用法に定める事業認定の四つの要件に該当しているか否かの判断におきましては考慮すべき事項ではないと考えられております。

 いずれにいたしましても、認定庁である九州地方整備局長は、本事業について、こうした観点も含めて審査を行った上で事業の認定を行ったというふうに承知をいたしております。

真島分科員 九地整は二〇一三年三月に川棚町で地方公聴会をしています。このときに、地元の出席者の中で反対意見、賛成意見、それぞれ何人だったでしょうか。

毛利政府参考人 お答えをさせていただきます。

 二〇一三年三月に、二日にわたりまして収用法に基づく公聴会が行われまして、全部で二十組の公述人の方々に御意見を述べていただきました。

 この全二十組の公述人の方々につきましては、公聴会の場におきましても地元の方かどうか公表いたしておりませんので、この場で述べるのも差し控えさせていただきたいと思いますが、起業者を除きまして、すなわち十九組の中で、賛成の御意見の方が八組おられて、反対の御意見を述べられた方が十一組おられたという事実だけ申し上げます。

真島分科員 反対意見が地元の公聴会で多かったんですね。これが、本当にその意見をどう反映されたのかなというふうに思うんです。

 住民と石木ダム対策弁護団は、知事や市長本人の説明を求めて、繰り返し公開質問状を送っています。ところが、県や市は、事業認定がなされているため、事業認定内容にかかわる質問に答えることは控えると言って、話し合いどころか、国の事業認定をお墨つきにして、一切回答を拒否しております。

 この住民らの声に押されて、二〇一四年七月に初めて、知事、佐世保市長、川棚町長が出席した現地説明会が行われました。そこでは、引き続き地権者の同意を得るために説明を行う、知事が出席した説明会を引き続き行うと確認されているんですが、その後も知事は説明会拒否を続けております。

 一方で、県と市は、国の事業認定を受けて、昨年、土地収用裁決と明け渡し裁決の申し立てを行いましたけれども、住民らの抗議で、昨年十月以降、六回の県収用委員会は開かれておりません。

 また、昨年六月十二日の早朝に、県がつけかえ道路工事のために予告なしで重機を搬入しようとしたときも、住民の抗議で、それから八カ月間、座り込みが続いて、一ミリも工事ができず、一月には業者との契約も切れて、重機や資材も撤去し、入札のし直しということになっています。

 この石木ダム事業の五十年にわたる経過をありのままに見たら、知事や市長が説明責任を放棄している、合理的な説明もできないという中で、地権者の皆さんが納得できないと反対をし、説明を求め続けているというのが、五十年の経過なんですね。

 大臣にお聞きしますけれども、公共性が大前提になるこうした事業、だからこそ、起業者は十分な説明や丁寧な話し合いで同意を得る努力をすることが大事だと思うんですけれども、長崎県知事や佐世保市長は十分な説明や話し合いの努力をしてきたと思われますか。

石井国務大臣 一般にダム事業は、大規模な移転となることが多く、受益地と水没地が異なることもありまして、水没地にお住まいの方々の御理解をいただくのに努力が必要なものと認識をしております。

 石木ダムにつきましても、事業主体である長崎県が、地権者の方々から御理解を得る努力を粘り強く続けてこられたと承知をしております。

真島分科員 昨年、県の公共事業評価監視委員会が行われまして、石木ダム事業の継続という意見を結果として出すんですけれども、そのときに、県と市から関係住民への説明責任が果たされていない、住民に対して説明責任を果たすことを求めるということを盛り込んだ答申を知事に出しているんです。今の大臣の認識と、現場の評価監視委員会の認識は全く違います。

 次に、国が事業認定した本事業の公共性について、利水事業の水需要予測、そして治水事業の治水安全度についてお聞きしますけれども、国の事業認定で、新たな水源として石木ダムの公共性を認定しているわけなんですが、その根拠は何でしょうか。

毛利政府参考人 石木ダム建設事業につきましては、洪水調節と流水の正常な機能の維持に加えて、御指摘の安定した水道用水の確保というのを目的とした多目的ダム事業でございまして、先ほど申し上げましたように、九州地方整備局長が事業認定を行ったものでございます。

 このうち、安定した水道用水の確保につきましては、事業認定理由といたしまして、まず、佐世保市は、過去たび重なる渇水に見舞われていること、不安定取水に依存している状況にあること、今後の生活用原単位の回復や観光客数の増加、大口需要の企業経営方針の転換等に対応するため、さらなる供給能力の不足が予測されていること、これに加えて、このように、佐世保市の水道用水としての供給能力の不足の解消に加え、将来の水需要に対応するためには、川棚川において新規水源の開発が急務となっていること、これが事業認定の理由として示されたものでございます。

真島分科員 きょうは厚労省にも来ていただいておりますけれども、佐世保地区の一日最大給水量の実績値、二〇一二年度以降の各年度と二〇一五年度、これは十二月まで出ていると思いますが、御紹介ください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 佐世保地区の一日最大給水量の実績値でございますが、二〇一二年度が八万九百四十一立方メートル、二〇一三年度が七万九千八百十一立方メートル、二〇一四年度が七万七千九十九立方メートル、二〇一五年度が、四月から十二月までの暫定値でございますが、七万六千八百七十二立方メートルでございます。

真島分科員 今御紹介あったように、ずっと減っているんですね。

 配付資料三の上のグラフは、佐世保地区の一日最大給水量の実績値、そして、佐世保市水道局が平成二十四年度再評価水需要予測として出した予測値です。

 佐世保市の二〇一二年度の水需要予測では、二〇一四年度の佐世保地区の一日最大給水量の予測値は九万一千七百十七立方メートルでした。実績値は七万七千九十九立方メートルと減少の一途で、八年間で三割も減っているんですね。

 厚労省にお聞きします。

 新水道ビジョンで、日本の総人口が減っていく、水道は拡張を前提にいろいろなことをやってきたけれども、これからは給水人口、給水量の減少を前提にして、老朽化施設の更新需要に応えるなど、そういうことをやっていかなきゃいけないと言っているんですが、二〇六〇年の水需要をどう推計していますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年三月に厚生労働省が公表いたしました新水道ビジョンにおきましては、「日本の人口の推移は、少子化傾向から減少の方向を辿り、二〇六〇年には八千六百万人程度と推計され、三割程度減るものと見込まれています。また、水需要動向も減少傾向と見込まれ、二〇六〇年には現在よりも四割程度減少すると推計されています。」と記載されてございます。

真島分科員 佐世保市の水需要予測は、新水道ビジョンの認識に逆行していますよね。

 給水人口が減っても、一日一人当たりの生活用水量の予測次第で、ダムが要るか要らないかという判断に差が出るぐらい大きな予測の差が出てきます。

 札幌市が二〇一二年にできた当別ダムに参加する根拠とした水需要予測を、二〇一五年度の水道ビジョンで、現在の供給能力を大きく下回る水準まで、三割も下方修正をしています。これは、一人当たりの家庭用水と都市活動用水の予測を大きく変更したからなんですね。

 配付資料の三の下のグラフに、佐世保市の二〇一二年度の水需要予測資料の中にあります、佐世保市民の一日一人当たりの生活用水量、推移を書いております。

 二〇〇八年度以降各年度の一日一人当たりの生活用水量の実績値、御紹介ください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 佐世保地区の二〇〇八年度以降の一日一人当たりの生活用水量の実績値でございますが、二〇〇八年度で百八十八リットル、二〇〇九年度で百八十九リットル、二〇一〇年度で百九十リットル、二〇一一年度で百八十九リットル、二〇一二年度で百九十リットル、二〇一三年度で百九十一リットル、二〇一四年度で百八十八リットルとなってございます。

真島分科員 明らかに横ばい、減少傾向です。

 佐世保市は、水需要の予測が増加するのは、一日一人当たりの生活用水の量がふえるからだと予測しているわけなんですが、なぜこの生活用水量がふえると言っているんですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 佐世保市では、平成二十四年度の事業評価におきまして、将来の水需要を予測してございます。その際、渇水によります給水制限の影響を受けた水の利用を通常時における水需要と考えるのは難しいため、過去の実績のうち、給水制限を伴う渇水の影響を排除して一日一人当たりの生活用水量を予測しているというものでございます。

 その結果として、平成二十三年度に百八十九リットルであった一日一人当たりの生活用水量は、平成三十六年度には二百七リットルになるという予測となってございます。

真島分科員 今おっしゃったように、渇水で市民はそのときに使用を我慢していたんだ、だから、それがずっと回復してくるということが一人当たりふえていくという理由にしているんです。

 この佐世保市の報告の中で、市民が、節水どころではなく、受忍限界を超えているという表現があるんですけれども、佐世保市はこの認識の根拠となるデータを示しているでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 具体的なお示しはないというふうに理解してございます。

真島分科員 今おっしゃったように、地元での公開質問の席上でも、佐世保市水道局は、市民が我慢していることを示す根拠となるデータは何もない。これは主観的な決めつけなんですね。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きしますが、国の事業認定で、佐世保市の水需要予測が増加していくということを前提に、新たな水源、石木ダムが必要だという公共性を認定しているわけですけれども、佐世保市のこの水需要予測、水需要は減る一方なのに増加傾向と恣意的に表現をし、受忍限界を超えていると根拠もなく断じて水需要がふえると決めつけているということが今のやりとりで明らかになりましたけれども、これでも石木ダムの利水事業に公共性はありますか。

石井国務大臣 石木ダム建設事業については、水道用水の確保のみならず、洪水調節、流水の正常な機能の維持等を目的とした多目的ダム事業として事業認定を行ったものと承知をしております。

 水需要の件でありますけれども、一般に、事業認定を含む行政処分が適法か否かの判断は、処分がなされたときに存在していた事実等を基礎とすべきであるとされております。

 そのため、事業認定につきましても、認定後に発生した事柄については、事業認定の適法性の判断に直接つながるものではないと解されております。

 本事業につきましても、九州地方整備局長において、事業の認定を行った当時の佐世保市の水需要の予測を踏まえて認定がなされたものでございます。

真島分科員 この予測値と実績値のずれというのは、事業認定する前からずっと続いているんですね。こういうふうな公共性、必要性というのが非常に疑わしい事業で、ふるさとを奪う強制収用に国がゴーサインを出した、これは国の責任が厳しく問われていると思うんですね。

 次に、配付資料の一。

 もう一回地図を見ていただきたいんですけれども、今、治水面もおっしゃいましたので、長崎の治水計画では百年に一度の、長崎県の川棚川水系河川整備計画では、川棚川のうち、石木川との合流地点より下流は百年に一度の治水安全度とし、合流地点より上は三十年に一度の治水安全度にするということにしておりまして、石木ダムでピークカットして洪水を防ぐんだ、調整するんだと言っています。

 しかし、これでは、治水安全度が百年に一度と想定した豪雨が発生した場合に、三十年に一度の治水安全度しかない上流部で、上流部も同じように百年に一度の雨が降るわけですから、先に越水をして、基準点になる山道橋付近では流下してくる水量が大幅に減るんじゃないでしょうか。

金尾政府参考人 川棚川の下流部は川棚町の中心部を流れておりまして、大変川幅が狭くて、台風、大雨による被害がございます。特に、平成二年の七月の洪水では九十七戸の床上浸水がございました。

 そういうことで、河川管理者であります長崎県が定めた川棚川水系河川整備計画によりますと、川棚川は、河川整備基本方針においておおむね百年に一回発生する規模の降雨による流量の安全な流下を図ることといたしまして、河川整備計画では、優先的に石木川合流点下流をおおむね百年に一回発生する規模の降雨による流量の安全な流下を図るとともに、石木川合流点上流については、おおむね三十年に一回発生する降雨による流量の安全な流下を図る、そういう計画を持っておるわけでございます。(真島分科員「上流が先に漏れるかどうか」と呼ぶ)はい。

 御指摘の点につきましては、現在裁判で係争中でございまして、訴訟の場において国の考えを述べ、対応させていただきたいというふうに考えております。

真島分科員 ちょっとこれは、この前提が治水事業として石木ダムが必要だという根幹ですよ。それを国会の場で、これは非常に一般的な理屈です。一つの川を二つに区切って、上と下で治水安全度が違って、でも、百年に一度の雨は上も下も一緒に降るから上から漏れるでしょうという、こんな非常に単純な理屈にも回答できないというのはひどいですよ。

 大臣にお聞きします。

 長崎県は、上流、下流の治水安全度に差をつけて、下流の治水安全度を恣意的に上げて石木ダムが必要だと言っているわけです。こんな合理性のない治水事業に公共性はありますか。

石井国務大臣 ただいま局長が答弁いたしましたとおり、係争中の案件でございますので、訴訟の場において国の考えを述べ、対応してまいります。

真島分科員 こんなことが答えられないのでは裁判は負けますよ。

 次に、配付資料四をごらんください。

 これは、写真家の村山嘉昭さんという方が、川原地区に暮らす住民の素顔や日常を伝えようと、写真集「石木川のほとりにて 十三家族の物語」というのを出しているんですが、それから一部お借りしました。

 川原という地域は、棚田や畑が広がって、日本の農村の原風景が残る自然豊かな集落です。春は菜の花が咲き、チョウが舞い、夏はゲンジボタルが乱舞し、秋はコスモスが咲き乱れる。昼間はカワセミやヤマセミ、カワガラスが空を舞い、夜はフクロウの声が山々に響く。石木川は多くの魚のすみかとなり、トンボが田畑を飛び、絶滅が危惧される生物もたくさんいます。

 この豊かな自然の中で、子供たちは、石木川で魚を追いかけ、野山を駆けて遊び育っています。そして、みんなが顔見知りで、子供らは家を行き来して遊んで、親は子供らの様子を話し合う。大人たちは、何世代にもわたって耕されてきた田畑に石木川の清流を引いて米や野菜をつくり、お裾分けをし合って、地区の集まりには料理を持ち寄る。集落総出で準備する蛍祭りでは、県内外から訪れる人々をおもてなしする。このような生活は、川原の地で醸成されてきた、この地でしか築けないものなんです。

 安倍総理が所信表明の中で、「美しい田園風景、伝統あるふるさと、助け合いの農村文化。日本が誇るこうした国柄をしっかりと守っていく。」とおっしゃいましたが、大臣、川原で奪われようとしているものは、まさに総理が言っている、この日本が誇る国柄ではありませんか。

石井国務大臣 一般に、起業者や関係行政機関において事業に関する説明の機会を確保し、地域住民等の理解を得ながら事業を進めることは重要であると考えられます。ただ、土地収用法に基づく事業認定は、土地収用法に定める四つの要件に該当するかどうかにより判断されることとなっております。

 この事業の認定に当たっては、利害関係を有する方々から多くの意見書が提出されるとともに、公聴会においてもさまざまな意見が出されております。

 これを事業認定庁である九州地方整備局長において検討し、見解を付した上で、社会資本整備審議会公共用地分科会に対して意見聴取を行い、事業認定をすべきとの判断を相当と認める旨の御意見をいただいたことを踏まえて、さきの四つの要件に充足すると判断をいたしまして事業認定が行われたものでございます。

真島分科員 土地収用法に基づいて粛々と手続を進めているんだという答弁でした。しかし、本当にそれでいいんでしょうか。

 今、五十年の経過、そして、利水、治水の中心、公共性を問う中心問題をお伺いしてきました。

 土地収用法では、失われる私有財産に対して代償を補償するんだということで納得してもらうという仕組みになっているわけなんですが、それを事業認定して土地収用にゴーサインを国が出して、そこで奪われるものというのは、私有財産、お金にかえられるものだけじゃないんです、今御紹介したように。ふるさとそのものが根こそぎ奪われるんです。どんな土地で、どんな生活を送って、どんな人生を送るか、その選択を自由にできるということは、日本国憲法のもとで決して奪われない人権じゃありませんか。

 大臣、お聞きします。

 この人が人として生きていくための権利、お金にかえられますか。それは奪ってはならない、奪うことができないものだ、そういう認識はございますか。政治家として答えてください。

石井国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、一般にダム事業は受益地と水没地が異なることもあり、今御紹介いただいたような水没地にお住まいの方々の御理解をいただくことが必要だというふうに認識をしております。

 公共性に鑑みて、水没地の皆様に丁寧に説明をしながら、御理解をいただくことが必要だと思っております。

真島分科員 質問にお答えになりませんでした。一番大事な問題ですよ。

 御理解をいただくとおっしゃったけれども、五十年かかって御理解が得られていないわけです。丁寧な説明もされていないし、そして、理解をしてもらおうにも、利水事業、治水事業の今さっき言ったような根幹の問題で、とても納得できるような説明をされていない。ここで聞いても、国も答弁さえ拒否をするというようなありさまでしょう。どうやって同意を得られるんですか、これで。地元でふるさと全てを失う人たちに説得できるんですか。本当に血が通っていないですよ、皆さん方の姿勢は。

 九州地方整備局は、公共性も必要性も説明できないこんな事業によって、十三世帯六十名の人々を川原から強制的に追い出す、川原をダムの底に沈める、そして、川原での生活と、そこで送るはずだった人生を奪うことを認める事業認定をしたんですよ、大臣。これは行政不服審査請求も出ています。

 事業認定を見直す決断ができるのは大臣しかいないんです。大臣、これを再検討していただきたいと思いますが、もう一度答弁ください。

石井国務大臣 先ほども申し上げたとおりでありますが、事業認定庁である九州地方整備局長において検討いたしました上で、収用法における四つの要件を充足すると判断し、事業認定が行われたものでございます。

真島分科員 私はきょういろいろな事実を突きつけました。こんな非道がまかり通ったら本当に許されないと思うんですよ、今の憲法のもとで。ぜひ、大臣、もう一度調べて、しっかり、これでいいのかと立ちどまって、直視していただきたい、検討していただきたいと思います。こういう道理も正義もない事業認定をぜひ見直して、撤回していただきたい。

 大臣の政治家としての正しい政治決断を強く求めて、質問を終わります。

赤羽主査 これにて真島省三君の質疑は終了いたしました。

 次に、村岡敏英君。

村岡分科員 改革結集の会の村岡敏英でございます。

 石井大臣初め国土交通省の皆さん、きょうは地元秋田のインフラ整備についてお聞きしたい、このように思っております。先ほどちょっと議論を聞いておりましたけれども、いろいろお疲れだと思います。

 私も運輸大臣秘書官というのをやっていましたので、国土交通行政という中でやっていますと、国土交通行政ほど現場に行っている、そして、工事事務所でいろいろな住民の声も聞いている、そしてまた、航空や港湾なんかでも、本当に現場とつき合って、そして現場の状況をしっかりと把握している省庁だと思い、皆さんの頑張りは私自身も中にいて感じておりましたので、ぜひともこのインフラ整備というのは、今、地方創生の時代、国土交通省がやはり地方創生の中心となってしっかりやっていただきたい、こう思っております。

 そこで、函館まで間もなく新幹線が通ります。私は、自分が小学校一年生のとき、地元の本荘高校が甲子園に出たときに、初めて新幹線に乗りました。富士山を見て驚き、そして新幹線の速さに感激をいたしました。それから、小学校六年生になったときに、昭和四十八年、整備新幹線の基本計画に羽越本線、そしてさらには奥羽本線が発表されました。そして、小学校六年生ですから、ついに、あの乗った新幹線がこの秋田にも来て、観光や、そして私たちも東京に行くのか、すばらしいな。中学校になり、高校になり、大人になり、国会議員になり、もう四十数年、全く動いていないという状況であります。

 しかしながら、ことしの一月に、我が県の佐竹知事が、新潟、山形、青森と協力して、もう一度整備新幹線をしっかりと国に要望していこう。確かに、非常なお金がかかることはわかっております。しかしながら、我が県なんかは、残念ながら、少子化、高齢化、人口減少、ありがたくないので全国で一番進んでいるという状況です。

 やはり、インフラ整備というのがなければ、それぞれ県や市町村も、少子化対策やそして雇用の問題に取り組んでいますが、どうしても誘致工場であったり働く場所であったり、特に東京の企業の人に聞くと、やはり遠過ぎると。一つには、もちろん輸送コストとかありますけれども、出張して技術者が行くにも遠過ぎる。また、秋田からいろいろな工場に出かけていって、技術をその工場でするにも遠過ぎるという中で、整備新幹線、昭和四十八年組と言われていますけれども、これに関して、大臣、これから先の話ではありますけれども、整備新幹線はしっかり国土交通省で整備していくという計画をお持ちなのかどうかお伺いしたい、こう思っております。

石井国務大臣 新幹線は、地域間の移動時間の短縮によりまして、観光客の増加、企業立地の進展を促すなど、人の流れを大きく変え、地域社会の活性化に大きな効果をもたらすものでありまして、さまざまな地域から御要望をいただいております。

 羽越新幹線や奥羽新幹線につきましては、四国新幹線や東九州新幹線などの路線とともに、昭和四十八年に基本計画路線として位置づけられた路線であります。

 国土交通省といたしましては、まずは、現在整備中の整備新幹線について着実な整備を進めることが重要であり、基本計画路線の取り扱いについては、今後の経済社会の動向及び整備新幹線の整備状況等を勘案しつつ、長期的な課題と認識をしているところでございます。

村岡分科員 長期的な課題は、もう既に四十年以上たっていますので超長期という感じなんですが、これはやはり、地方創生と言っているときに、インフラ整備というのは大事なので、基本計画にのせたものを、多少の時間はかかってもしっかりとやっていくという希望を与えることが地方創生につながる、こう思っています。

 そして、特に秋田の場合ですと、整備新幹線は国が資金を出しますけれども、盛岡―秋田間、秋田新幹線と通称呼ばれていますけれども、その当時、国鉄民営化によって出てきた一兆円の基金から無利子融資を受けて、秋田県は全額出している。これの返済も終わったので、秋田県も、そして山形県、青森県、新潟県、富山県、福島県とこういう要望がありますので、ぜひともしっかりこの基本計画を大臣の時代にもう一回発表するぐらいの心構えで、ぜひ地方創生で頑張っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして次に、リーマン・ショックのときにありました高速道路の無料化実験ということで、リーマン・ショックのときには経済対策ということで高速道路の割引、そういうものをやりました。そしてさらには、今度は、無料化になったとき、物流コストの低減や時間短縮という中で、いろいろな実験をやったと思っております。

 国土交通省として、割引とか無料化実験というのは、どういうメリットがあり、そして経済効果をもたらすのかというふうに、大臣、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 高速道路の役割という意味合いにつきましては、人、物、それをいかに遠方から運び、そしてまたスムーズに他地域に輸送するかということだろうというふうに思っております。それによりまして、観光あるいは産業といったものがさまざまな効果あるいは影響を受けるわけでございまして、この数年の間、道路公団の民営化といった時代から料金の割引を導入し、そしてまた、この五年の間でございますけれども、無料化の実験等々を委員御指摘のような形で進めてまいったわけでございます。

 最初の、料金の割引という視点におきましては、各物流事業者の方々、あるいは乗用車の御利用の方々といったようなところにそれぞれある程度のメリットがあるようにということでの割引をしてまいりまして、これによりまして、例えば、土日の観光地での御利用、あるいは通勤時間におけますプライベートユーズとしての御利用といったものが格段にふえたというふうに理解をしております。

 それは、私どもの方が今普及に努めてまいっております例えばETCという、あの仕組みの搭載率、ETCの搭載率が、その当時ほとんど普及していなかったものが、今やもう七割ぐらいまで普及するということに至ったことを見ても明らかであろうかと思います。

 その後、無料化をするという実験を行ったわけでございますが、この無料化の実験に関しましては、期間的にあるいは区間的にかなり限定された実験ということもあったわけでございますが、その実験の結果によりまして、各地で渋滞が発生したりという、いわばそういうような問題もあったということ、そしてまたそれに多大な費用がかかるというようなこともございまして、一旦それについては打ち切りという形にはなっております。その後も、一部、割引の修正あるいは見直しを行いながら今に至っているという状況にございます。

 いずれにしましても、そういう割引を行った結果がどのような形で利用者の御利用の変化に影響を及ぼしたかというようなことを私どもでも数値的にしっかりと捉まえながら、その効果に比したしっかりとした投資ができるかどうかといったことも十分しんしゃくしながら施策を展開してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

村岡分科員 確かに、渋滞とか、また莫大な費用がかかるということはあったと思います。ただ、実験したところで、それだけ渋滞が起きるというところは車の台数も多くて、そして無料化の実験をやっての効果というのを国土交通省からお聞きしましたけれども、やはり東京から大変遠いところというのは非常にこの割引というのは効果があります。もちろん道路公団が民営化しましたから、民営化の中で努力していくということが大切だと思います。

 しかしながら、地方創生の中で、高速道路料金、道路公団がつくったときは料金を払う、今、直轄道路は無料、無料と有料と組み合わせながら今進んでいるわけですけれども、大臣として、これからつくるところはみんな直轄ですけれども、直轄のところは無料です、地方創生という観点で、高速道路の料金の効果をしっかりと、高速道路の料金を割引する効果と、そして地方創生につなげるところということで、もう少し深く国交省としてそれを調べていただきたい、こう思っているんですが、大臣、どうでしょうか。

石井国務大臣 高速道路の料金割引につきましては、審議会の議論などを踏まえまして、物流対策などの観点を重視しつつ、高速道路利用の多い車に配慮するよう、平成二十六年の四月に再編を行っております。

 この中で、物流対策として、大口・多頻度割引の最大割引率を四〇%に拡充し、さらに、補正予算を活用して平成二十九年三月末まで五〇%に拡充をしております。

 御指摘のように、地方創生のため、物流コストを軽減することは重要であると認識をしておりますが、高速道路の料金割引の実施には財源確保という課題もございます。

 今後とも、地域の意見を聞きながら、幅広く議論を行い、時代に即したものになるよう努めてまいりたいと存じます。

村岡分科員 ぜひ、そのような方針で、地方創生は大変大事なことだと思っておりますので、よろしくお願いしたい、こう思っております。

 それと、我がふるさとには、今、まだミッシングリンクがたくさんあります。一つには日本海沿岸自動車道、さらには東北中央道、そして東北縦貫自動車道と、それぞれまだミッシングリンクがあります。御努力いただいて、だんだんとつながっていっているわけですけれども、やはりどうしても県境がまだ整備されていない。

 その中で、日沿道、日本海沿岸東北自動車道、東北中央自動車道、そして東北縦貫自動車道、この整備の進捗状況とこれからのことをお聞きしたいんですけれども、道路局長、お願いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 特に御指摘いただいております日本海沿岸東北自動車道、また東北中央自動車道といったような路線でございます。今まさにミッシングリンクと言われた、その御指摘のとおりでございまして、その解消がこの地域にとっては極めて重要だという認識をしておりまして、現在、その早期整備に向けて取り組んできているというところでございます。

 特に委員のお膝元でございます秋田県内の日本海沿岸東北自動車道あるいは東北中央自動車道は、これまでに約八割が開通し、現在七区間で事業を行っているところでございます。

 事業についてはかなり進捗を見てきているところだというふうに認識しておりますけれども、特に日本海沿岸自動車道につきましては、鷹巣インターから二井田真中インターについては二十八年度、そしてまた、あきた北インターから鷹巣インター間は二十九年度の開通を予定し、その開通を確実にしていくために、現在、トンネル設備あるいは舗装工事といったものを全面展開させていただいているということでございます。

 また、東北自動車道につきましても、ちょうどこれは県境に当たるところに近いところではございますけれども、院内道路という事業を今現在行っておりまして、これも開通を二十八年度に向けてしっかりやっていけるように、現在、トンネル設備あるいは舗装工事といったものを全面展開しているところでございます。

 いずれにしましても、残る区間がだんだん少なくなってきておりますけれども、地域の御要請に応じる形でしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

村岡分科員 二十八年度七カ所開通ということですけれども、それ以後の、残りが少なくなってきましたけれども、一刻も早くミッシングリンクをなくすということによって高速道路の効果が出ると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたい、このように思っております。

 そして、我々の地域は農村地帯なんですけれども、今、国交省のダムということで、成瀬ダム、そして鳥海ダムというのをやっております。これは全員が賛成のダムで、着実に進んでいることが、国交省の方々に大変御努力いただいている、こう思っております。

 最初に、事業執行した成瀬ダムですけれども、どのような状況で今進んでいるのかお願いしたい、こう思っております。

金尾政府参考人 成瀬ダムについてお尋ねがございました。

 成瀬ダムにつきましては、これまで全十一戸六世帯の家屋の移転を全て完了しておりまして、現在はダム本体工事に向けての工事用道路の整備等を進めております。

 引き続き、着実に事業を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

村岡分科員 もう一つ、鳥海ダムがあるんですけれども、ここも農業地帯で、治水の部分もありますし、それから農業の水、そしてさらには、そこは工場地帯ですので工場の水ということで、二つの側面で大変要望していて、これも四十五年で決まったということで、実は、水没するところの人たちも前から全員賛成しておりまして、三十代のときにその計画があって、今もう八十ぐらいになっている。

 全員賛成していますので、用地買収ということで協力しているわけです。まだ測量という段階ですけれども、用地買収して、そしてどういうふうな進み方をするのかお聞きしたい、こういうふうに思っております。

金尾政府参考人 鳥海ダムについてお尋ねがございました。

 鳥海ダムにつきましては、今年度建設段階に移行をいたしまして、現在、用地調査それから地質調査、環境アセスメントの手続を進めておるところでございます。できる限り早く用地買収に着手できるように、必要な調査を促進してまいりたいというふうに考えてございます。

村岡分科員 両ダムとも、治水、防災も含め、そして農業にとっても、地域の企業が来たときの水にとっても、非常に大事なものなので整備をしていただきたい、こう思っております。

 そして、鳥海ダムですけれども、もう一つ、地域の中で、自然再生エネルギーで発電、水力発電というのも地域から出てきております。そういう考えはありますでしょうか。

金尾政府参考人 今、発電についてのお尋ねがございました。

 そういうお話も伺っているところでございますので、現在、現地の方で調整をしておるところでございます。

村岡分科員 ぜひ、小水力の農業のところもあるんですけれども、鳥海ダムができるときの発電ということも検討していただいて、水とそして発電とということで考えていただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、大臣にお聞きしますけれども、先ほどの高速道路のミッシングリンクの話もありましたけれども、どうしても県境というのがおくれてしまいます。

 その原因の一つに、県境というのは、当然、国からお金が来るときに、県や市町村に来る。そうすると、県が違うと、やはりそこの部分で、いろいろな整備をしていくときに、高速道路は国が整備しますから別ですけれども、いろいろな市町村のお金の流れの中で整備されなかった。それと、政治というのは、やはり有権者が半分違うというのはなかなか進まない、こういうこともありました。期成同盟会というのがあっても、これはお金が来ない。

 私は、地方創生の中で、我が秋田県でいけば百三万人を切ってしまいました。やはり、県境を整備することによって、人的交流、物流、それから農業も、ロットがそろえば価格勝負もできる。県境というのは、同じ風土を持って、土壌も持っていますから、そういう意味ではいろいろなことの協力ができると思っています。そういう意味で、先ほどから言っていた県境整備に力を入れていく。

 そして特に、国交省の中で、これは観光庁が手がけているものですけれども、アメリカでは進んでいる、州の境目のところで、州で予算があっても、お互いに何々州と何々州が出資して、そこに国のお金が来る。日本でいけば、例えば秋田県と山形県、それぞれ市町村が出資する、そこに新たな国からのお金をつぎ込むというような、司令塔みたいなのをつくってやるという方法がアメリカの中にあります。

 そういう形で県境整備を進めていくということの中で、今、観光庁で進めているのは、日本版DMOということで、交通事業者、商工業、宿泊施設、農業、飲食店、行政、地域住民ということで一つのものを持っていますけれども、こういうところにインフラ整備も加えていくような形、新しい考えを持つべきじゃないか、こう思っておりますけれども、大臣、どう思いますでしょうか。

石井国務大臣 昨年策定をいたしました新たな国土形成計画では、個性豊かな地域が相互に連携することにより、人、物、情報等が双方向で活発に行き交う対流促進型国土を国土の基本構想としております。

 このような観点からは、御指摘の県境を越えるインフラの整備というのは、両県間の広域的な対流の活性化に資するものであり、重要な課題であるというふうに認識をしております。

 現在、ブロックごとの広域地方計画の策定に取り組んでいるところでございまして、地域間の広域的な対流が活発に行えるような計画にしてまいりたいと存じます。

 県境を越える具体の事業の実施に当たっても、個別の事業に即して必要な調整が円滑に行えるよう努めてまいりたいと存じます。

村岡分科員 ここは大切で、例えば、国土交通省に直接関係ありませんが、秋田では秋田杉というのが有名です。山の中に杉が生えていて、こっちが秋田杉、こっちが岩手杉なんというのはないんですよね。県境に余りにもこだわり過ぎ。それから、お米なんかでも、その地域、別に線が引いてあって壁があるわけじゃないのに、そのお米も、何々米というのだけをやっている。

 だから、私なんかは、農協の方々に、一緒に協力すればいいんだ、ロットがなければ、山形のサクランボが有名ですけれども、実は、秋田のサクランボ、量は少ないんですけれども非常にいいものがある、そうしたら一緒に協力すると。そこにはなぜ協力できなかったかというと、やはり交通網の整備であったり鉄道であったり、そういうことがありました。

 そして、よく観光なんかで、山形と秋田ですと鳥海山というのがありますけれども、そこに観光に来たときに、どっちが山形側なのか秋田側なのかじゃなく、観光があります。

 そういう意味の中で、協力していくところに、インフラ整備をしていく国土交通省が、観光庁も持っていますので、しっかりと司令塔みたいな形で、いろいろな人たちを組み合わせる中の部分を、せっかく日本版DMOの部分を国交省の中で観光庁がやっていますので、ぜひ推し進めていただきたいと思っていますけれども、どうですか。

石井国務大臣 今御紹介いただいた日本版DMO、非常に広域的に観光振興をやっていこうということで、自治体等にとらわれずにやろうという発想でございます。

 そういった発想も生かしながら、県境の振興ということも考えていきたいと思っております。

村岡分科員 ぜひ、新しい試みをしたのを活用しながら、県境整備にもこの部分を活用していただきたい、このように思っております。

 そして、秋田は大変雪が多いわけですけれども、私も昨年まで国土交通省の中で豪雪委員を務めてまいりました。その中で、冬になると、ことしは大変少ないんですけれども、多いときには、高齢者の人が屋根から落ちてお亡くなりになったり、また、けがをしたとき大変な状況があります。

 特交で除雪費用の八割が国から来ており、大変それは市町村として助かっているんですけれども、実は、個々の家の屋根の雪どめだとか、また命綱だとか、そういう部分の中で、高齢者の人が多いものですから、なかなか設置をできない、そこまでの費用を出せないというのがあります。

 そういう意味で、県もしっかりとした対策をとっておりますけれども、充実して、個人個人の家というのはちょっと難しいのかもしれませんが、雪の対策として、国交省で雪国に対してどのような対策をとっているのか教えていただければ、こう思います。

土井副大臣 委員から御指摘いただきましたように、豪雪地帯では、やはり高齢者の皆さん方の雪おろしによる転落事故というのが多発をいたしております。

 このため、事故防止に向けた取り組みとして、雪おろし安全十カ条動く電子ポスターという動画を作成しまして、公共施設のロビーで放映するなど、注意喚起を行っております。

 しかしながら、そういう意味では犠牲になられる方がまだまだ多いということで、屋根に簡易な、廉価な命綱の取りつけを推進する団体を支援いたしまして、開発や普及をサポートいたしております。

 また、除雪ボランティアセンターの設立、運営や雪処理の担い手の育成などの支援を通じ、地域における除排雪体制の構築を推進させていただいているところでございまして、引き続き、地元自治体等と緊密に連携をしながら、地域の実情に応じた安全対策を講じてまいります。

村岡分科員 土井副大臣も東北ですので、ぜひよろしくお願いします。

 これはなかなか、屋根の雪おろし、何人も落ちているんですけれども、高齢者の人は、そんなものをつけていられるかと、これがあるんですね。これを何とか、今言ったビデオから何から、本当に徹底しないと、やはり雪ですから、緩んできたときに滑って落ちる。

 そして、一番あれなのは、昔は雪というのを、逆に、個人個人で機械を買わなかったので、下の方は雪だらけのところに落ちるから、そんな死ぬことはなかったんですが、みんな片づけちゃうんですね、雪を飛ばして。コンクリートのところにもう一回落とすということをやっていますので、命綱をつけないと大変なんです。

 しかしながら、ほとんど使っていないという実態がありますので、そこはぜひ指導していただいて、県が積極的にそれに取り組むということをやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 その雪に関連してですけれども、鉄道の中で、国鉄民営化のところに合わせて、第三セクターということで、秋田県にも内陸線と由利高原鉄道というのがあります。道路には除雪のときの国の補助があるわけですけれども、鉄道は、第三セクターですから、ないという現状があります。

 これが、自治体が持ったところならあるんですけれども、ここのところ、やはり地域の足であり、そして観光のためのものであって、第三セクターの鉄道というものに国が除雪の部分の費用で何か取り組んでいるようなことがあれば教えていただきたい、こういうように思っています。

藤田政府参考人 お答えします。

 地域の鉄道は、地域によって大変大事な存在であると思っております。ただ、他方で、人口の減少等もありまして、多くの場合、大変厳しい経営状況に置かれております。

 こうしたことを踏まえまして、国土交通省としましては、特に、例えばレールでありますとか車両でありますとか、そういった安全性の向上に必要な施設の整備をするときには補助を通じて支援策を講じておりますけれども、特に雪に着目したという措置はございません。

村岡分科員 雪に着目して、全国一律あると思いますので、ただ、雪国の部分は、やはり雪にかかるお金が、莫大なお金になるということも認識していろいろとまた検討をしていただきたい、こう思っております。

 そして、最後に空き家対策の支援についてということで、空き家対策に真剣にもう取り組んでいただいております。

 その中で、やはり空き家となっている原因の一つに、もちろん、東京に出てきたり、いろいろなところへ行って、権利関係が複雑になっています。そして、その権利関係がしっかりわかったとしても、その方が借金を抱えていたり、放棄したりということの中で、行政代執行の中で空き家を処理しなきゃいけないことがあります。

 特に多いのは、やはり地方なんですね、代執行しなきゃいけないのは。人が減っているわけですから、空き家がどんどんふえています。私も地域を、自分のふるさとを歩いていると、山の側に行けばどんどん空き家が、そこは山ですから危険じゃないということじゃなく、やはりそこに風が来れば飛んでいきますし、また町の中も、人が出ていっているわけですから、大変空き家があります。

 その空き家を代執行してやったときの費用というのは、結局、全部県や市町村になるということで、いろいろな意味で、空き家をしっかりと安全性を保つ、そしてまた地域の活力を戻すということの中で、空き家の費用に関して国はどう考えているか、教えていただければと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 市町村が、今御指摘をいただきました代執行に空き家の場合は至ることもあるわけでございますけれども、できるだけ、そこに至る前にやはり所有者を見つけて、丁寧に説明をして、協力を求めて空き家対策をやるということがまずは肝要かというふうに思っております。

 来年度の予算案におきましては、こうした取り組みを含めまして、いわゆる空き家法に基づく市町村の取り組みを総合的に御支援申し上げるという観点から、新しい補助制度を創設するということにいたしております。

 具体的に申しますと、今おっしゃっていただきました、周辺の環境に悪影響を及ぼすような、いわゆる特定空き家等、これについて所有者の協力を得て除却できるような場合に、その除却費用については補助の対象にするということを考えております。

 できるだけ、こういった制度を活用いただいて、代執行に至るまでの間に、市町村の方で積極的に空き家対策に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 なお、代執行費用につきましては、やはり命令を受けてそれが履行されないので代執行に至るということでございまして、その費用については、強制徴収の規定も認められておるということがございますので、そういった事務については市町村において適切にぜひ執行していただきたいというふうに考えているところでございます。

村岡分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、石井大臣にお願いしたいのは、二〇二〇年に東京オリンピックがあります。私は前の東京オリンピックは二歳半で、ほとんどわかりません。今度のオリンピック、若い人たちが、日本の選手たちが活躍するのを見て、これは大変高揚感もありますし、世界に発信すると思います。

 そのときに、東京はすばらしくなっていると思います。たかが四、五百キロ離れたところに行ったら、道路も整備されていない、そして人もいない、雇用もないということじゃなく、石井大臣のときに、四年後に、日本というのは、東京だけじゃなく、地方もしっかりとすばらしい国だなという意味でのインフラ整備にぜひ頑張っていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて村岡敏英君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、門主査代理着席〕

門主査代理 次に、池内さおりさん。

池内分科員 日本共産党の池内さおりです。

 きょうは、東京都で進められようとしている特定整備路線の問題について質問いたします。

 現行の都市計画法では、十六条に公聴会、十七条に都市計画案の縦覧の規定があります。それまであった都市計画法とは大きな違いなわけですが、この趣旨は何ですか。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 都市計画法第十六条第一項は公聴会等の開催に関する規定を定めております。これは、必要な場合に、都市計画の案の作成の段階で住民の意見を反映させようとする趣旨で設けられているものであります。

 都市計画法第十七条第一項、第二項、こちらは都市計画の縦覧手続に関して定めております。これは、都市計画を決定しようとする際に、あらかじめ都市計画の案を広く住民等に周知しまして、その意見を伺って都市計画の内容を検討するために、意見書を提出する機会を確保する、こういう趣旨で設けられているものでございます。

池内分科員 この規定は都市計画を進める上で非常に重要な手続だと思います。

 旧都市計画法は、よらしむべし、知らしむべからずという行政の典型例で、計画決定前には住民には一切知らされることがなかったと言われています。したがって、この規定は都市計画を進める上で非常に重要な手続だというふうに思いますが、この規定を取り入れた当時、建設省の計画課長は、知らなかったとは言わせないための措置だと言ったという話が伝わっています。大臣、まさかそんな認識ではありませんね。

栗田政府参考人 現行都市計画の事務につきましては、都市計画法十六条、十七条の趣旨にのっとって執行しておるつもりでございます。

池内分科員 国土交通省がつくった都市計画運用指針の中では、公聴会の意義を、「都市計画の案が作成された後の手続としての法第十七条の縦覧及び意見書の提出とは別に、都市計画の案の作成の段階でも住民の意見をできるだけ反映させようという趣旨である。」このように述べています。都市計画というのは、住民の声を、意見を反映させたものでなければならないということだと思います。

 そこで聞きます。昨年二月、国土交通省が事業認可をした、東京都が進める特定整備路線の前提となっている、昭和二十一年に決定されたという都市計画、これについて、民主的手続が行われたのか。行われていませんよね。

栗田政府参考人 公聴会あるいは縦覧、こういった手続は、昭和四十三年に制定されました現行の都市計画法において導入されております。それ以前の旧都市計画法につきましては、これらの手続は定められておりません。

 今委員から御指摘の特定整備路線につきましては、旧都市計画法に基づいて都市計画決定をされておるというところでございます。

池内分科員 昭和二十一年に決定されたこの都市計画には、民主的手続がとられていないということだと思います。

 この問題の都市計画ですけれども、一九四六年、当時の戦災復興院が作成したものです。住民の全くあずかり知らないところで決められたものです。ましてや、七十年を経た今、住民がこの決定に関与することなどもう全く不可能なものです。

 大臣にお聞きしますが、そういうものを七十年後の住民に押しつけるというのは、現代の感覚からしておかしいと思いませんか。大臣にお願いします。

栗田政府参考人 法律の趣旨に沿ってお答えを申し上げたいと思います。

 都市計画法が先ほど申し上げました旧法から現行法に移行した際、経過措置が設けられておりまして、現行法の施行の際に現に旧都市計画法の規定により決定されている都市計画は、現行法の規定によって相当の都市計画とみなすということが定められております。このような規定によりまして、旧都市計画法のもとで定められた都市計画は、現時点においても適法に引き継がれているというように考えております。

 それから、旧都市計画法におきましては、都市計画の決定に当たりまして、民主的手続としまして、都市計画審議会の議を経ることとされておったということを付言させていただきます。

池内分科員 手続に瑕疵はないということをるる述べられたわけですけれども、住民の合意を前提に進めていく、これが現代の考え方です。もはや大日本帝国憲法下での日本ではなくて、日本国憲法、主権在民に基づく憲法下で私たちは生活をしています。民主国家、それが日本のあり方のはずですよね。

 大臣、もう一度お聞きいたしますが、そうであるならば、七十年も前の計画、これについて改めて現行法のもとで都市計画をつくり直す、手続をやり直すということこそ必要なのではないですか。

石井国務大臣 先ほど局長が答弁したとおりでございます。

池内分科員 非常に納得のいかない答弁なわけですけれども。

 住民の皆さんの痛切な思いは、こんな古い計画、それも、みずからの声が反映されてもいない七十年も前の計画を一方的に押しつけられてはたまらない、現代の常識からは拘束力を持つ都市計画とは到底言えないというのが多くの住民の皆さんの声です。だから、事業認可を不当である、受け入れられないと、たくさんの行政不服審査法に基づく審査請求がなされています。

 件数は幾つか、それらの申し立てがなされた時期はいつか、答えてください。

栗田政府参考人 東京都におきましては、委員御案内かとは思いますが、平成二十四年一月に、木造住宅密集地域の防災性を向上させるために、木密地域の不燃化十年プロジェクトを策定しております。

 これに基づきまして、同じく平成二十四年十月に、東京都におきまして、平成三十二年度までに整備する木密地域内の都市計画道路二十八路線につきまして特定整備路線として選定しております。

 この都の申請に基づきまして、国土交通省関東地方整備局が平成二十七年二月までに順次、都市計画事業認可をいたしております。平成二十七年二月までにと申しますのは、それ以前から逐次申請が上がってきておりまして、逐次認可をしておる、こういうことでございます。

 その後、このうちの八路線につきまして、その事業認可処分を不服としまして、逐次でございますが、行政不服審査法に基づく審査請求が地域住民等から延べ四千二百六十二件、審査庁であります国土交通省の本省に提出されているところでございます。

池内分科員 一固まりの事業について、これほど大量の行政不服審査が申し立てられた。かつてない数だと聞いております。多くの住民がこの決定に異論を持っているということの証左だと思います。

 行政不服審査法の趣旨は、簡易迅速な手続によって国民の権利利益の救済を図り、行政の適切な運営を確保するというものです。

 今度こそ大臣にちゃんと答弁いただきたいんですけれども、多くの住民の声があって、国土交通省の事業認可に対してこんなに多くの不服が申し立てられている、そのことをどう思いますか。

石井国務大臣 行政不服審査法第三十四条第一項では、審査請求をされたことをもって処分の執行等を妨げるものではないこととされております。

 同条第二項では、処分庁、関東地方整備局の上級行政庁である審査庁、国土交通本省は、必要があると認めるときは、審査請求人の申し立てによりまたは職権で、処分について執行停止をすることができることとされております。

 執行停止は、当該処分の効力等をそのまま認めたのでは処分の相手方に回復困難な損害が発生することが予想され、その損害の発生を避けるため緊急の必要がある場合に認められます。

 特定整備路線に係る都市計画事業については、こうした執行停止の規定の趣旨に鑑み、現時点では執行停止を行うことは考えておりません。

池内分科員 それは後の質問なんですよね。これほど多くの不服の声が出されているということをどう感じますかと聞いたんです。

栗田政府参考人 件数の多い、少ないという評価につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、審査庁であります国土交通省におきまして、これら上がってきております案件につきましては、法律に基づきまして審査請求内容を審理することとなっております。引き続き、法にのっとり、きちんと審理してまいりたいと考えております。

池内分科員 大変一般論での答弁、ありがとうございます。

 住民一人一人の暮らしというのは、七十年間その地域で営んできたものです。全て具体的で、一つ一つが違います。一般論で片づけられるのには、私は本当に心から怒りを覚えます。

 最初の審査請求は品川区の住民が行ったものだというふうに思います。既に二年がたとうとしています。ほかにも多くの請求が出されていますけれども、全部一年がたっています。審理はほとんど進んでいないのに事業だけは着々と進んでいく、これでは、権利救済の仕組みなどというのは有名無実で、絵に描いた餅になってしまいます。

 行政不服審査法三十四条、執行停止の規定があります。審査庁は、住民からの申し立てまたは職権で、その処分について執行停止の措置をとることができるとなっている。まずは、これだけ声が上がっているのだから、執行停止をして丁寧に審理を行う、これが筋ではないか。

 繰り返し私が述べているように、この計画の大もとである都市決定において住民の声は一切反映されていません。この計画の大もとに大きな問題があります。執行停止をして審理を丁寧に行うべきだと思いますが、いかがですか。

栗田政府参考人 現在、審査請求書及び口頭意見陳述について多岐にわたる御意見を承っておりますけれども、その一つ一つにつきまして、法律等に照らしまして検証を進めておるところでございます。審査庁として、裁決に向けまして、可能な限り速やかに審理を進めたいと考えております。

 また、執行停止についてのお尋ねがございました。

 三十四条第一項、審査請求されたことをもって処分の執行等を妨げるものではないというふうにされておりますけれども、他方、第二項では執行停止をすることができると定められております。

 執行停止の規定が設けられております趣旨につきましては、委員御案内のとおりだと思います。そういった規定の趣旨に鑑みまして、現段階で執行停止を行うということは考えておりません。

池内分科員 現段階でというのは、私は本当に無責任だと思います。これほど多くの声が上がっていて、審理もほとんど進んでいない、だからこそ、今、政治判断が求められていると思います。大臣、いかがですか。

石井国務大臣 先ほどもお答えしたところでありますけれども、執行停止は、当該処分の効力等をそのまま認めたのでは処分の相手方に回復困難な損害が発生することが予想され、その損害の発生を避けるため緊急の必要がある場合に認められるわけでありますが、今回の案件については、こうした執行停止の規定の趣旨に鑑み、現段階では執行停止を行うことは考えておりません。

池内分科員 なぜ住民がこれほど反対しているのか。それは、戦後七十年間にわたって築き上げられてきた地域のコミュニティーが分断されて、立ち退きを迫られて、住民生活に壊滅的な影響を及ぼすからです。

 経産省に聞きますが、商店街の機能というのはどういうものでしょうか。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 商店街は、平成十九年度の商業統計によりますと、小売業全体の販売額や従業員数の約四割を占めておりまして、地域における生活者の方々に身近で商品やサービスを提供する商業機能を有しているとともに、地域経済における雇用の担い手でもあると認識しております。

 他方で、商店街は、地域の伝統を伝えるお祭りや、町の安全を支える防犯活動等の実施など、地域コミュニティーを支える役割も果たしているものと認識しております。

池内分科員 まさに地域の暮らしを支える生活基盤なわけです。

 ところが、特定整備路線の計画を見てみると、例えば、板橋区にあるハッピーロード大山商店街の場合は、数百メートルある商店街の中心部、百メートル強が、補助二十六号線によって幅二十メートルから二十三メートルの道路に変えられる。アーケードも撤去をする予定だそうです。この商店街は、中小企業庁の「がんばる商店街七十七選」にも選ばれた。この商店街の機能はほぼ失われてしまうということになります。

 品川区の戸越銀座商店街は、「新・がんばる商店街七十七選」に選ばれて、全長約一・三キロメートルの首都圏でも有数の長さを誇る商店街、約四百軒の店舗が軒を連ねています。ここは補助二十九号線で分断されます。

 二〇一三年、中小企業庁の地域商店街活性化事業の対象にもなった北区の十条銀座商店街も、東京で有数の活気のある商店街ですけれども、補助七十三号線によって商店街のすぐ後ろ側がそぎ落とされて、分断されて、二百二十軒が立ち退きの対象とされている。十条富士見銀座、十条銀座、そして十条仲通り、この三つの商店街が壊滅させられる、そういう懸念も広がっています。

 大臣にお聞きします。先ほど中小企業庁の答弁にもあったように、地域の暮らしを支える生活基盤、まさに商店街を壊していく計画の事業認可をしたという自覚はありますか。

栗田政府参考人 委員の御指摘が幾つかの商店街についてございました。

 ハッピーロード大山商店街は、都市計画道路補助二十六号線の計画の区域に一部かかっております。戸越銀座商店街も、同じく補助二十九号線にかかっております。十条銀座商店街は、補助七十三号線の計画区域にかかっております。

 先ほど経産省の政府参考人から、商店街の機能につきましてるる答弁がございました。東京都からは、それぞれの路線につきまして、商店街の人の流れを踏まえまして、例えば、道路に横断箇所を設ける、あるいは近隣での再開発事業で沿道のまちづくりと連携する、そこに商業機能をまた持っていく、そういったことを行う、いろいろな工夫を積み重ねておるというように聞いております。

 地域の状況に応じまして、商店街のにぎわいに配慮し、沿道の方々や地元区とも連携しまして道路整備を進めていっておるというふうに東京都からは聞いておるところでございます。

池内分科員 商店街を壊しておいて、全く通らない答弁だと思います。

 大臣、事業認可したことは、まさに商店街壊しそのものです。その自覚さえなく事業認可をしたのであれば、余りに無責任だと私は言いたいと思います。

 この認可をしたのは太田大臣のときでした。赤羽や十条、こうした商店街のことはよく知っておられるはずです。こんな計画を認可したなど、私には到底信じられません。

 さらに、歴史的景観も破壊するものだということを言いたいと思います。

 八十六号線は、JR赤羽駅近くを通り、小高い丘の地域を西側に向かう計画です。この丘は、江戸城を築いたことで知られている太田道灌が築城した稲付城があったところです。道灌死後、ゆかりの住職によって静勝寺というお寺が建てられて、現在、静勝寺には北区の指定有形文化財なども置かれています。境内一帯は稲付城跡として東京都の旧跡にも指定されている。

 この静勝寺の高崎住職は、ある新聞のインタビューでこう述べています。

 私の一番の思いは、太田道灌公の菩提をお祭りする環境を大切にしたいということです。それは郷土に刻まれた歴史を大切にすることであって、区民の方々が知りたいと思ったときには、単に遠い昔の話というだけでなく、地形や遺構から昔をイメージすることが可能な状況を残すことだと思います。もし道路ができてしまったなら、駅から近くて静かな場所なのに、騒音と大気汚染の問題で状況が一変してしまうという不安も持っている。城跡の形状もなくなってしまいます。このようにおっしゃっています。

 国交大臣は、どこからどう見ても問題のある事業認可をして、それだけじゃなくて、歴史のあるところを一変させてしまっているという自覚はありますか。大臣にお聞きしています。

栗田政府参考人 ただいまのお尋ねの中で、委員御指摘の静勝寺につきまして、今御指摘のようなことで、例えば東京都の指定有形文化財に指定されているというような事実関係については承知しておるところでございます。

 ただ、今回の都市計画道路補助八十六号線との関係で申しますと、この静勝寺、いわゆるお寺と認識されておる敷地といいますよりも、隣り合っておりますお寺の御住職の住居部分の僅少な一部の非建てつけ地、建物が建っていない部分、その部分を除きましては、この静勝寺につきましては八十六号線の計画区域の外にあると東京都から聞いております。

 なお、補助八十六号線は、災害発生時に避難場所への避難経路となるなど、当該地域の防災性の向上に資する道路というように考えておりまして、整備すべき路線と認識しておるところでございます。

池内分科員 とても納得いかないですね。全部壊さない、ちょっとかかるだけだからいいんだと。本当に許されないと思います。歴史的景観そのものを壊すと私は言っているんです。

 延焼遮断帯という名目もよく皆さんおっしゃいますが、全く成り立たないということを私は強く主張したいと思います。

 補助八十一号線は、東京外大跡地の公園、これは西ケ原のみんなの公園と呼ばれている公園ですけれども、この公園や染井霊園などを通る計画で、外大跡地の公園に沿ってもう既に立派な道路が整備をされています。既に延焼遮断効果は十分にある場所です。

 補助八十六号線は、赤羽西地域の赤羽自然観察公園やスポーツの森公園、こうした公園のど真ん中を、公園を壊して巨大な道路をつくるという。ここは、もう既に避難場所になっていて、お年寄りや多くの住民が日々スポーツを楽しんだり、多くの憩いの場となっている場所です。もともと延焼遮断効果があるという意味では、もうここも十分備わっている。

 補助八十六号線、志茂地域の住民が今裁判に立ち上がっている地域ですけれども、計画地の一部は東京都の清掃工場の敷地に沿ったところで、この南側にはもう既に立派な道路が通っています。

 今挙げたこれらの地域に新たな延焼遮断帯をつくらなければならないという合理的な理由などどこにもないと私は指摘したいと思う。ぜひ答弁いただけますか。

栗田政府参考人 ただいま補助八十六号線あるいは補助八十一号線に関しましてのお尋ねがございました。

 東京都が平成二十五年九月に実施しました地域危険度測定調査によりますと、補助八十六号線、補助八十一号線の周辺の地域は、総合危険度というような評価のもとでランクが高い、危険度が高いということでございます。発災時の危険性が非常に高いエリアとなっております。いわゆる木造住宅密集地域が広がりまして、発災時の避難場所への避難経路あるいは一時避難場所として防災上有効なオープンスペースが面的に不足している、こういったことが地域の危険度を高くしている要因とされておるところでございます。

 このために、東京都は、御指摘の補助八十六号線、補助八十一号線につきまして、地区の消防活動及び延焼遮断帯や避難経路の確保に資する都市計画道路として整備の緊急性が高い、こういう認識のもとに、先ほど申し上げました木密地域不燃化十年プロジェクトの特定整備路線に位置づけたと承知しております。

池内分科員 もう既に延焼遮断効果があるというところに、私は何の合理的説明もないというふうに思います。

 この道路計画というのは、住民の合意を前提にしていない重大な問題があります。多くの住民の皆さんが、行政不服審査、国土交通省に権利の救済を求めているにもかかわらず、審理をほとんど進めないままにこの道路が事実上進められている。本当に重大な問題です。

 さらに、商店街を壊して、七十年にわたって築き上げてきた住民のコミュニティー、営々として積み重ねられてきた人々の歴史を強制的に撤去をさせて壊していくという点でも、決して許されない計画だと言わなければなりません。

 さらに、区民が大切に守って、さきの戦争でも、あの東京大空襲のときにも焼け残ったような歴史的建造物を、今度は行政が壊してしまう、こんなことが許されるのか。歴史的景観を行政が壊すという点でも、私は全く許されない計画だというふうに思います。どこから見ても認めることができない。白紙に戻すべきです。

 大臣にお聞きしますが、まちづくりでは住民の理解や合意は欠かせません。この点、この道路計画は重大な問題があると思いませんか。

石井国務大臣 東京都が整備を進めます特定整備路線は、木造住宅密集地域の防災性を大きく向上させる都市計画事業として、候補箇所が公表された後、地元区の意見を踏まえ、平成二十四年に決定されたと聞いております。

 都は整備に当たり、都市計画事業認可の申請に先立ち地域住民に対して事業概要などを周知する説明会を開催したほか、事業認可取得後には関係権利者の生活再建を支援する相談窓口を現地に設置するなど、さまざまな対応を行っていると聞いております。

池内分科員 東京都がというふうにおっしゃるわけですけれども、先ほど言ったように四千を超える皆さんの声が出されています。都が適切になどと責任を逃れるようなことは私は決して言えないと思います。

 行政不服審査をするのは審査庁であり、国交省。住民がこれほどこの決定は承服できないというふうに述べているのであるから、私は、執行停止の政治判断こそ今行って、誠実にこの声に向き合うべきだというふうに重ねて言いたいと思います。

 事業者に対しても、強引なやり方はすべきではない、住民の理解と合意を求めるために努力せよ、一度認可をしたからといって十分に説明もしないで一方的、強引なやり方をしてもいい、こんなやり方に国がお墨つきを与えたということではないはずですよね。百歩譲って、ないはずだと私は思うんです。

 住民とよく話し合いをして理解を得る、合意を得るという最大の努力をするべきだし、これほどまでに反対の声が多いのであるから、私は即刻廃止をするべきだということを重ねて強く求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

門主査代理 これにて池内さおりさんの質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、何点か国土交通省関係の事項につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。

 初めに、鉄道整備についてお伺いしたいというふうに考えております。

 鉄道の整備は、通勤や通学の利便性を向上させることによりまして都市の機能を高めて、それと同時に、高齢者、障害者を含む住民の移動手段の改善など、まさに生活の質の向上の観点から極めて重要だと認識をしております。今、内閣として進めています一億総活躍社会を推進していく基盤となる都市インフラだとも考えております。

 具体的な項目についてお伺いをいたします。

 まず、平成十二年の運輸政策審議会答申では、二十七年度を目途に東京圏での高速鉄道など鉄道整備の計画がまとめられております。その中で、早期に着手すべき事業と位置づけられている横浜高速鉄道三号線の延伸、これは今の東急のあざみ野駅から小田急新百合ケ丘駅を結ぶ路線でありますけれども、それと横浜環状鉄道、今工事がJRの中山駅まで来ておりますが、その中山駅から相鉄線二俣川駅を経由して東戸塚駅にまで延びる、この二つの事業は、現段階では事業化に至っておりません。

 この計画に沿っての早期事業化を目指すべきだというふうに考えますけれども、国交省の御意見、御見解を伺いたいというふうに思います。

山本副大臣 お尋ねの路線でございますけれども、それぞれ地元自治体において実現に向けた検討が進められているというふうに承知はいたしております。

 横浜高速鉄道三号線のあざみ野から新百合ケ丘までの延伸については、今年度、横浜市と川崎市が共同で事業化に向けた調査を行っているというふうに承知をしておるところでございます。

 また、先ほどもお話があったように、横浜環状鉄道の中山から東戸塚までの延伸については、横浜市が長期的に取り組む路線と位置づけて、現在検討を行っているというふうにも承知をしております。

 鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、採算性であったり費用対効果であったり、そういったものをしっかりと見きわめて、事業主体や費用負担のあり方も含めて検討の深度化を図る必要がございます。

 したがって、国土交通省といたしましても、地元自治体において検討を進める上で御相談がございましたら、必要な助言をしっかりと行ってまいる、そういう所存でございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今申し上げた二つの路線、一つは高速鉄道三号線の延伸でありますけれども、これは、東京を中心として神奈川方面、この横の路線は整備をされているんですけれども、それがなかなか縦につながらないという面があります。そういう意味で、東急と小田急をつなぐ非常に重要な路線だというふうに認識をいたしております。

 また、横浜環状鉄道の方は、これは私のまさに地元も関係しているところでありますけれども、予定されているルートに大型の団地が複数箇所立地をしておりまして、これらの団地は非常に高齢化が進んでおります。居住環境は、それなりにスペースがあって、非常にすぐれたものでありますけれども、どうしても若者や子育て世帯が居住、移ってくる上でネックになるのが、通勤、通学に利用する公共交通がバス便に限られているということでございます。

 やはり、新しい住民を迎え入れて、バランスのいいコミュニティーをつくっていくというのが大きな課題でありまして、こうした公的に整備をされた貴重な住宅ストックでありますので、それを有効に利用していくという観点からも公共交通の改善は重要でありまして、地域住民のそういった要望も強いところでございます。

 副大臣からもお話がございましたけれども、今、自治体におきましてその取りまとめを進めているところでございますので、引き続き、前向きな御対応をよろしくお願い申し上げます。

 次に、JR東戸塚駅の混雑解消の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 JR東戸塚駅は、周辺が急速に開発をされた地域でもございまして、鉄道の利用客も急増してきました。朝夕の通勤時間帯というのは混雑が非常に激しくて、私も何回かそういった場面に遭遇をしましたけれども、改札は入ったんだけれども、階段で人がたまっていてなかなか下までおりていけないというような状態で、何本も電車が過ぎるまで待たなければならないというような実情であります。現状では、利用客の安全の確保にも、それだけ混雑していますので、問題があるというふうにも考えます。

 地域の方々、駅周辺だけではなくて、ここはバス便でかなりの遠方からも利用客がいるものですから、そうした地域の住民の方々からは、混雑の緩和、何とかしてほしいという非常に強い要望がございます。

 地域のお声としては、具体的には、ホームの拡幅をできないのか、あるいは、ここは湘南新宿ラインの快速電車は通過する駅でありますけれども、その通過するのをもう少し停車してもらえれば利用客のはけがよくなるのではないかというような要望も出ているところでございます。

 なかなか、実際にはどれをとってもそれぞれ課題があるというのは私も十分承知をしているんですけれども、今これは非常に緊急な事態になっているところでありますので、この東戸塚駅の混雑解消に向けて御検討をお願いしたいというふうに思いますけれども、御見解を伺います。

藤田政府参考人 東戸塚駅につきましては、利用者の増加によりましてホームが混雑している、そういう状況を受けまして、現在、横浜市とJR東日本において、ホームの階段の増設などの混雑緩和対策について検討が進められているというふうに承知をしております。

 当面、短期的な対策としましては、JR東日本において、利用者通行スペース確保のための、ベンチ、時刻表、グリーン券発売機のような施設を撤去、移設したり、あるいはエスカレーターの高速化等の対策を講じております。

 ホームの混雑緩和、これは鉄道利用者の安全性、利便性の観点からも大変重要な課題でございます。抜本的な対策に向けて引き続き協議を進めていただきたいと考えておりますし、国といたしましても、協議の進捗を踏まえまして、横浜市と連携して必要な対応をしてまいりたいと考えております。

 なお、湘南新宿ライン快速の停車につきましては、これは、鉄道事業者が速達性や利便性などを勘案して適切に判断する、こういった性格のものであると考えております。

 JR東日本によりますと、東海道線の大船以西の旅客に対する速達性確保のために現在のような運行形態にしている、こういうことでございますけれども、引き続き、地元においてもJR東日本との対話に努めていただきたいというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今、さまざまな対策は講じていただいているというふうにも伺いました。なかなか、抜本的な対策となりますと課題は多いというのは十分承知をしているところでございますけれども、引き続き、事業者、そして自治体、また国土交通省におきましても協力をして進めていただければというふうにお願いをいたします。

 また、そのほかの鉄道の課題についても、今、都市鉄道利便増進事業として実施をされています神奈川東部方面線、これは相鉄、JRの直通線であるとか相鉄、東急の直通線、この路線も、相鉄線沿線地域から東京の渋谷、新宿方面や新幹線の新横浜駅へのアクセスが格段に改善するという意味で、地域の活性化に資する事業として非常に期待の高い事業でありますので、この事業の促進についても御要望させていただきたいというふうに思います。

 次に、現在進められています連続立体交差事業についてお伺いしたいというふうに思います。

 現在、相模鉄道線星川駅―天王町駅間で、あかずの踏切の解消を目指しまして、連続立体交差事業が進められております。交通渋滞の緩和によりまして、地域の経済活動が活性化されますし、また、地域住民の生活の利便性も向上されます。踏切の安全性向上の観点からも、非常に地域の期待が高い事業でございます。

 実に、ここの部分は相当数の踏切があって、朝夕の混雑時などは一時間のうち五十分近くあかないなどという踏切もありまして、とても大きな課題でございます。

 そういう意味で、今、平成三十年度の完了予定で工事もかなり進んできました。見てみますと、線路が、桁もほとんど完成をいたしまして、かなり工事が進捗しているということを実感いたしております。予定どおりの完成に向けまして、事業の円滑な実施に一層努めていただきたいというふうに思いますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。

栗田政府参考人 連続立体交差事業についてのお尋ねを頂戴しております。

 連続立体交差事業は、もう委員のお尋ねの中でお触れいただいたとおりなのでありますけれども、交通の円滑化、踏切事故の解消、それだけでなくて、分断された市街地の一体化によります都市の活性化にも資するなど、多面的な効果を発揮する大変重要な事業というように考えております。

 現在、横浜市が事業主体となりまして相模鉄道線星川駅―天王町駅間で実施されております連続立体交差事業は、鉄道の高架化によりまして、相当数の踏切、またその中には多くのあかずの踏切がありますけれども、それらの踏切を除却するものであります。

 本区間につきましては、平成三十年度の全線高架化に向けまして、平成二十八年度には下り線の高架化を予定していると聞いております。

 国土交通省といたしまして、連続立体交差事業は重要な事業と考えておりますので、引き続き重点的に支援してまいります。

上田分科員 よろしくお願いをいたします。

 それで、相鉄線の踏切でもう一つ大きな課題となっているのが、鶴ケ峰駅周辺でございます。非常に利用客も多く、また交通量も多いところなんですが、横浜市として、今、早期事業化に向けて検討に着手をしたところでございます。

 計画がまとまった段階で、また特段の配慮をお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、公共住宅に関するテーマについて質問させていただきます。

 まず、UR賃貸住宅についてでありますけれども、昨年末、UR賃貸住宅の家賃改定ルール見直しが決定いたしました。

 公明党として、住民の居住の安定、負担増の軽減を図るため、国土交通省及び都市再生機構にさまざまなお願い、働きかけも行ってきたところでありますが、そうした要望も十分酌み取ってもらったと評価をいたしております。

 二月三日の日には、全国公団自治会協議会の代表とともに、公明党の議員も一緒に大臣を訪問させていただきましたが、その際にも、公団自治協の方々からは、見直しを評価するという感謝のお言葉も述べられたところであります。

 具体的には、月額所得十五万八千円以下の高齢者世帯等については改定前家賃に据え置く特別減額措置を継続するということ、そしてまた、この特別減額措置の対象に、高齢者世帯、障害者世帯に加えて、新たに子育て世帯を追加するということであります。そして、三点目としては、激変緩和措置及び特別減額措置の既に適用されている人たちについては措置の適用を継続するということ、四点目として、家賃の値上げによります増収額を含む収入については、賃貸住宅の事業に優先的に充てていくなどの措置が講じられたところであります。

 こうしたさまざまな配慮のもとに措置が講じられておりますけれども、でも、やはりこの問題というのはなかなか難しいものでございまして、居住者の高齢化は相当なスピードで進んでおります。そうした中で、やはり、家賃の値上げがあると安心して住み続けられなくなるという不安は依然として根強いわけであります。

 ぜひ、今後とも、そうした住民の皆様の気持ちを酌んでいただいて、居住の安定、安心の確保を最優先に、これからも運営にしっかりと対応していただきたいというふうに思いますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 URの賃貸住宅でございます。

 少子高齢化が急速に進展してまいる中で、高齢者世帯あるいは子育て世帯といった、民間市場だけに委ねている場合にはどうしても制約を受けがちな弱い立場の方々の受け皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められているというふうに認識をいたしております。

 一方で、御案内のとおり、URは多額の有利子負債を抱えております。また、繰越欠損金も有しているといったような財務上の課題がございます。

 このために、平成二十五年の十二月二十四日に閣議決定をされました独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づきまして、民業補完の徹底と財務構造の健全化、この二つを両立させるということを果たしながら、URが本来担うべき役割を果たすことができますように、各種の改革に取り組むということにされたところでございます。

 御指摘をいただきました継続家賃の改定につきましては、この閣議決定された方針に基づきまして、昨年の十二月二十四日に、URが家賃の値上げ幅や改定周期等の見直しを行ったというものでございます。

 御紹介をいただきましたように、この見直しに当たりましては、公明党等から、全国公団住宅自治会協議会の皆さんへのヒアリング等を通じてまとめられた御要望を国土交通大臣の方にいただいております。大臣から、これを受けまして、URの方に対しまして、こうした要望に最大限配慮した内容としていただくよう要請を行ったところでございます。

 この結果、最終的には、高齢者の方々、特に低所得の高齢者の方々については家賃の据え置きを行うなど、御紹介をいただきました四点にわたりまして、URとして居住の安定に最大限配慮した内容になったものというふうに承知をいたしております。

 今後とも、こうした改革は着実に進めていく必要があるわけでございますけれども、やはり居住の安定の確保に取り組むというのは大変重要な課題でございます。来年度の予算におきましても、公明党の要望にもいただいておりましたけれども、団地の医療福祉拠点化を進めること、さらにはバリアフリー改修を推進すること、あるいは高齢者世帯向けの地域優良賃貸住宅の供給を開始すること、こういったことについて取り組むための予算を計上させていただいております。

 引き続きまして、高齢世帯や子育て世帯といった皆様方の居住の安定の確保に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 私も、独立行政法人の改革の必要性というのは十分認識をいたしております。その上で、公共の性格の強い住宅でありますので、これは国民の共有の財産だというふうにも考えております。ぜひ、これから、今言っていただいたようなさまざまな施策も実施をしていただきまして、大切な資産でありますので、それを有効に使えるように、引き続き努力をお願いしたいというふうに要望させていただきます。

 最後に、もう一つ、公共住宅の問題でありますけれども、雇用促進住宅について、きょうは厚生労働省にもお願いしておりますけれども、お伺いをしたいというふうに思います。

 雇用促進住宅につきましては、平成十九年六月の閣議決定に従いまして、遅くとも平成三十三年度までに全ての処理を完了する方針が決まって、それに沿って進められていると認識をしております。

 廃止をする住宅については、既に廃止に向けての準備も進められているところでありますし、廃止を決定した住宅を除く、引き続き使う、いわゆる運営住宅と言われている住宅が約六万八千戸というふうに考えておりますけれども、については、原則として、現在の居住者が入居したままで、居住の安定に十分配慮した条件をつけて、その上で民間に売却するということとなっております。

 計画によりますと、来年度からその手続に入るということでありますけれども、現在の準備状況がどうなっているのか、お伺いしたいというふうに思います。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用促進住宅につきましては、先生御指摘のとおり、平成十九年六月二十二日に閣議決定されました規制改革推進のための三カ年計画、これによりまして、遅くとも平成三十三年度までに全ての処理を完了することとされております。

 それで、所有者であります独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構におきまして、来年度に実施される民間売却の手続の準備といたしまして、本年度、民間売却に関する住民説明会を二月十日現在で六百七十七回実施させていただいております。

 このように、その他のことも含めまして丁寧に対応させていただくとともに、売却物件の情報整理等を並行して行っているところでございます。

 売却に向けた手続を進めるに当たりましては、住民の皆様方への丁寧な説明をした上で、十分気を配りながら進めていきたいと思っております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今、住民の皆さんは、基本的に機構が方針を踏まえておりますけれども、でも、十年間は転売をしないとか、十年間家賃を据え置きするというようなかなり厳しい条件もついているものですから、果たして民間でそういった買い手が見つかるんだろうかといった不安を持っております。かなり規模の大きいところもございますので、果たして民間への売却というのが円滑にできるんだろうか、そうでないと今度は退去しなきゃいけないのか、そういった不安を持っているわけでございます。

 そういう意味では、今、丁寧に御説明をいただきながら進めていくということでございましたので、そういった将来不安についても十分配慮して、これから計画的に進めていっていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わらせていただきます。

門主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 今回、道路整備を中心にお伺いをしたいと思います。

 大臣、副大臣、政務官、きょうは本当に朝早くからお疲れさまでございます。

 それでは、まず、地域高規格道路の静岡南北道路の整備についてお伺いします。

 静岡南北道路、主要地方道山脇大谷線でありますが、新東名の新静岡インターチェンジから、途中、国道一号静清バイパス、北街道、北街道バイパス、静岡鉄道、国道一号線、JR東海道本線、南幹線などを交差し、さらに、平成二十九年度に供用予定の東名静岡東スマートインターチェンジを結びながら、静岡市の沿岸部を走る国道百五十号へとつながる、静岡市の南北を結ぶ骨格道路でございます。

 また、この新東名の供用開始後、流入する車両がさらに増加をし、慢性的な渋滞が発生しております。私どもは、この地域の経済の発展、住民の安全と安心のためにも、当該箇所の立体化に向けた検討が必要と考えています。

 さらに、想定される南海トラフ巨大地震が発生したとき、県の内外から緊急車両が被災地へ一刻も早く到達するための高速道路とネットワークを結ぶ南北軸となるこの道路が大変大事でございます。

 つきましては、平面区間の立体化を含め、当該道路の整備促進が必要と考えますが、国交省のお考えをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の静岡南北道路、市内を南北に通過いたしまして、新東名と国道百五十号を連絡する十キロの幹線道路ということでございます。

 特に、並行する山脇大谷線という県道でございますが、この路線について非常に渋滞が多発する、あるいは事故が多いというようなこともございまして、その視点からも一層、また、東名と新東名を結ぶ路線ということでの連結機能という意味合いからも、極めて重要な路線だろうというふうに認識しているところでございます。

 特に、先ほども少し御指摘のあった、新東名と国道一号静清バイパスの間につきましては、新東名の高速道路の供用、平成二十四年の四月のタイミングで、静岡市の方で立体化を行っていただいたというふうに聞いているところでございます。

 また、残る区間、国道一号静清バイパスから百五十号までの間につきまして、今御指摘のありましたような立体化を含めまして、静岡市の方で今調査検討が進んでいるというふうに聞いているところでございます。取りまとめ次第、国土交通省としても必要な御支援を申し上げたいというふうに思っている次第でございます。

 以上でございます。

大口分科員 局長、かなり大がかりな工事になると思いますので、よろしくお願いします。

 次に、三遠南信自動車道の整備促進についてお伺いします。

 三遠南信自動車道の鳳来峡インターチェンジから浜松いなさジャンクションまでの区間が開通し、沿線地域の観光振興、地域活性化に寄与しています。このような中、新東名の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションがことし二月十三日に開通し、石井大臣もこの開通式に出席されたわけでございまして、これはストック効果がさらに生まれる、こう期待しておるところでございます。

 現在、青崩峠道路や三遠道路、平成三十年度開通予定の佐久間道路において整備が進められており、水窪インターチェンジから佐久間インターチェンジの間についても、昨年度から環境影響評価手続に着手するなど、着実に事業が進められております。

 浜松市北部の地域活性化に加え、命の道路として災害時等の緊急輸送路及び救急搬送路等の重要な機能を担う三遠南信自動車道の早期全線開通が切望されております。三遠道路の仮称東栄インターチェンジから鳳来峡インターチェンジの間の開通見通し、及び水窪インターチェンジから仮称佐久間インターチェンジの間の新規事業化の見通しをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 三遠南信自動車道は、特に三河、遠州、南信州を結ぶ高規格幹線道路ということで、この地域にとって極めて重要な幹線道路であるというふうに認識をしております。特に、路線全体百キロのうち、これまでに約三割が開通しておりまして、残り三十五キロについて今事業を進めているということでございます。

 東栄インターから鳳来峡インターチェンジの間は、現在用地買収が約六割ということでございまして、あともう少し用地買収の割合が高まってまいれば、最終的にいつごろゴールができるか、供用ができるかというところが見えてくるのではないかというふうに思っておりまして、新城市あるいは東栄町とも連携しながら、用地買収を一生懸命進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 今御指摘がありましたように、佐久間―東栄の区間につきましては、平成三十年度の開通というようなことを目標に今やっておりますので、それにつながる形でこの用地買収を進めながら、事業を進めていきたいというふうに思っております。

 特に、水窪インターチェンジから佐久間インターチェンジの十四キロにつきましては、調査あるいは環境調査の手順をどんどん進めてきておりまして、平成二十六年の十月には環境影響評価方法書を公表して、現在、準備書作成に向けた環境調査を実施しているところでございます。県とも緊密に連携をとりながら、速やかに手続を進められるように、そしてまた、その手続が終われば、今度いよいよ本格的な事業に結びつけていけますように、一生懸命調査を推進してまいりたいと思っております。

 地域の皆様方にも、ぜひ引き続きの御支援のほどをよろしくお願いしたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

大口分科員 次に、石井大臣にも要望させていただいております、伊豆縦貫自動車道の一部を構成する東駿河湾環状道路は、現在、函南塚本インターチェンジから沼津岡宮インターチェンジの間十六・八キロメートルが開通しており、さらに、私が毎回この分科会で取り上げております、沼津岡宮インターチェンジから愛鷹インターチェンジの間の二・六キロが今年度事業化され、三月十五日には沼津市でこの事業計画説明会が開催される運びになっております。

 現在、伊豆縦貫自動車道は、東名、新東名から半島中央部の伊豆市修善寺までが規格の高い道路でつながり、企業進出、観光客増加、高速バス路線の拡充など、さまざまなストック効果があらわれています。

 現在、平成三十年の開通予定の天城北道路や河津下田道路において整備が進められておりますが、伊豆市から河津町までの天城峠を越える区間については今年度から計画段階評価に着手されたところであります。ちょうど、要望申し上げましたところ、石井大臣から着手するというお話もいただいたわけであります。

 伊豆半島の地域活性化に加え、命の道としての重要な機能を担う伊豆縦貫自動車道の早期全線開通が切望されております。天城峠を越える区間の新規事業化の見通し、及び河津下田道路の開通の見通しについて大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 伊豆縦貫自動車道の天城峠を越える区間につきましては、昨年十一月に中部地方小委員会を開催いたしまして、概略ルート、構造を決定する計画段階評価に着手をしたところであります。

 今後、地域の意見をお聞きしながら、静岡県のアクセス道路の事業計画と連携も図りつつ、まずは、概略ルート、構造を決定できるよう調査を推進してまいります。

 また、河津下田道路につきましては、先行して事業を進めております河津から下田北間六・八キロメートルにおいて、現在、用地進捗率が約六割となっておりまして、今後も、河津町、下田市と連携し、早期に開通の見通しが立てられるよう引き続き用地取得等に取り組んでまいりたいと存じます。

大口分科員 さらに、二〇二〇年東京五輪の自転車競技、トラックでありますが、伊豆市において開催されることになり、今後、伊豆半島への来訪者増加が確実な状況となっております。

 しかしながら、東駿河湾環状道路の供用区間には暫定二車線部があり、約十キロ、渋滞の原因となっております。

 現在、一日当たり三万台以上が利用している、伊豆半島のゲートウエーである東駿河湾環状道路全線の四車線化の整備の見通しをお伺いします。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 東駿河湾環状でございますが、十三キロの区間が開通しておりますけれども、まだそのうちの半分が暫定二車線、そういう区間になってございます。その結果、三島市大場付近は、沼津市方面に向かって上り坂になっているということもあって、休日を中心にかなりひどい渋滞が発生しているという報告を受けているところでございます。

 このため、短期的な施策として、試行的に表示板で注意喚起を行うといったような渋滞の緩和対策を行ってきているところで、一部、渋滞緩和の効果もあらわれてきているというふうに聞いております。

 しかしながら、先ほど来出ております、東京オリンピック時の自転車競技のトラック会場が伊豆半島の中に想定されていること、あるいはオリンピック時の伊豆半島への来訪といったようなことに対しまして、より抜本的な渋滞対策をどのような形でとっていけるのかというのを静岡県あるいは関係機関等ともいろいろ相談しながら、対策を練ってまいりたいというふうに思っている次第でございます。

 よろしくお願いいたします。

大口分科員 さらに、東京五輪自転車競技の開催に伴う道路予算について御支援をお願いしたいと思います。

 東京五輪自転車競技が伊豆市の日本サイクルスポーツセンター、伊豆ベロドロームで開催されることが決定しているわけでありますが、選手、大会関係者、観客などを競技会場まで安全かつ快適に輸送することがこの大会を成功させるために不可欠でございます。

 開催は夏の観光シーズンであり、多くの一般観光客も観光地伊豆を訪れることから、国道、県道、市町村道等の既存の道路をフルに活用して交通需要に応える必要があります。そのためには、幅員が狭い区間等の拡幅等の一定の道路整備を行うことが必要であります。

 東京五輪開催まで残された期間は四年余りと限られるわけでありますが、必要な道路整備を行うに当たり、静岡県としてもポイントを絞り、集中的に投資をする予定と聞いております。そのために、短期間にまとまった事業費が必要となります。

 東京五輪の成功、観光立国の推進に向け、自転車競技会場周辺の道路整備に関して、交付金事業等の拡充の見通しをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来出ております、東京オリンピック大会におきます自転車競技、トラックレースあるいはマウンテンバイクが、伊豆半島の中で会場が設営されるということで聞いているところでございます。当然、大会関係者あるいは観客の円滑な輸送、そしてまた、それと相まって来られる観光客への対応ということでございます。

 静岡県におきましてアクセス道路の整備をどういう形でやっていくべきなのか、今の県道を利活用しながら、そしてまた、先ほども出ております、東駿河湾環状等々を使いながらアクセスをどのように確保していくのかというのを今県の方で検討されているというふうに聞いているところでございます。

 今後、県の方から御要請があれば、それに対しましてしっかりと御支援申し上げるというふうに考えているところでございます。

 以上、よろしくお願いいたします。

大口分科員 何としても成功させなきゃいけません。よろしくお願いしたいと思います。

 次に、国道一号静清バイパス清水立体についてお伺いしたいと思います。

 国道一号の静清バイパスは、静岡県の中心である静清都市圏の交通混雑の緩和や、あるいは国際拠点港湾である清水港へのアクセス向上を目的とした道路であります。そして、東名、新東名ともネットワークを結び、経済の好循環、災害時の救援活動支援、救急搬送等の医療活動支援など、さまざまなストック効果を生み出す社会的基盤でございます。

 そういう中で、国道一号静清バイパスの清水区の横砂東町から八坂西町まで延長二・四キロメートルの平面区間の立体化、これはもうかねてから課題になっているわけでございます。二〇一〇年の調査では、この区間は一日に五万台が通過する慢性的な交通渋滞箇所となっております。

 平成二十九年度に、山梨と静岡県の清水港を結ぶ、中部横断自動車道で直結されるわけであります。当該区域へ流入する車両はさらに増加し、基幹的交通インフラが機能停止する事態になるのではないかと心配をしているところであります。

 さらには、想定される南海トラフ巨大地震に備えた国土軸を整備しておくことは、事前防災・減災の国家的見地からも必要と考えます。

 一日も早い立体化が重要と考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

石井国務大臣 御指摘のありました区間につきましては、国道一号静清バイパスの中で唯一立体化が完了していない区間でありまして、早期の立体化が必要であると認識をしております。

 平成二十年に都市計画決定されて以降、静岡市と連携しつつ用地買収及び埋蔵文化財調査等を進めてきており、約八割の用地買収が完了し、来年度より工事に着手する見込みであります。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、早期完成を目指して整備を進めてまいります。

大口分科員 来年度からの着手という答弁、本当にありがとうございます。

 次に、国道一号の藤枝バイパス四車線化事業についてお伺いしたいと思います。

 県内の中部における国道一号バイパスは、静岡市内を走る今の静清バイパス、それから藤枝市内を走る藤枝バイパス、島田市内を走る島田金谷バイパスで構成されています。東の静清バイパスは、これは御努力によりまして、平成三十年には全線が四車線化される見込みになっています。西の島田金谷バイパスでも、平成二十四年度から四車線化事業に着手しています。それで、暫定二車線のままの藤枝バイパスがボトルネックとなり、渋滞が深刻な問題となっています。

 藤枝バイパスは、平成十七年の全線無料化以降、通行量が激増しておりまして、朝夕の通勤時間帯はもちろん、バイパスと並行する県道島田岡部線、旧国道一号もあわせて、藤枝市内の幹線道路が渋滞を引き起こしています。この藤枝市に近接する富士山静岡空港では、特に中国からの航空路線が飛躍的に増大し、中国人の方を中心としたインバウンド観光客の利用も急増しております。

 そういうことで、市内の渋滞を引き起こす原因となっている藤枝バイパスの渋滞を何とか解消し、県中部地域のスムーズな物と人の流れをつくる意味でも、藤枝バイパスの広幡インターチェンジから野田インターチェンジの間の延長十・七キロメートルの四車線化に着手できるよう、一日も早く事業化の決定をしていただきたい。大臣に御見解をお伺いします。

石井国務大臣 国道一号藤枝バイパスの渋滞は、企業立地やインバウンド観光の促進の支障となっておりまして、速やかに解消すべき課題であると認識をしております。

 このため、これまでに関係機関が連携し、交通を複数のルートに分散させるための案内看板設置ですとか、あるいはトンネル内での速度低下を防ぐトンネル照度のアップといった取り組みを実施してきたところであります。

 一方、新東名高速道路の延伸等による企業立地の増加を踏まえますと、東名高速道路と新東名高速道路の間をつなぐ南北方向のネットワークとあわせて、藤枝バイパスのさらなる機能強化が必要であると認識をしております。

 今後、藤枝バイパスの四車線化着手に向けて、南北方向のネットワーク強化の見通しや事業効果等を踏まえ、その必要性を取りまとめてまいりたいと存じます。

大口分科員 次に、国道百三十八号の須走道路、御殿場バイパス、西区間についてお伺いしたいと思います。

 この区間は、東富士五湖道路と一体となって東名高速、新東名高速とを結ぶことにより、静岡県東部地域の生活、経済活動を支え、観光産業の活性化にも寄与する重要な役割を担っています。

 現在、この国道百三十八号は、交通の集中により、主要交差点で渋滞が慢性的に発生しております。さらに、静岡県内幹線道路の平均を上回る死傷事故が発生しており、追突事故が約七割、重大事故の危険性が高い正面衝突が約一割を占めています。

 中日本高速道路株式会社では、新東名高速道路について、海老名南ジャンクションから御殿場ジャンクションまでの約五十四キロを東京五輪の開催される二〇二〇年度までに段階的に開通を目指す、こういう状況になっておりまして、そういう点でも、多くの車両の通行が予想されるわけであります。また、大きな事故を未然に防ぐためにも、地方経済の再生のためにも、この区間の整備が必要である、こう思っております。

 東名、新東名と接続する当該道路の完成目標を二〇二〇年の早い時期に設定すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いします。

石井国務大臣 国道百三十八号須走道路及び御殿場バイパスの西区間につきましては、二〇二〇年度に開通する予定の新東名高速道路と一体となり、富士山周辺のインバウンド観光や御殿場、小山地域の企業立地を支える重要な路線であると認識をしております。

 これまでに全延長八・一キロメートルのうち約三割が開通しておりますが、残る区間については、一部の土地の買収見込みが立っていないため、法律に基づく手続を着実に進めるなど、事業推進に努めているところでございます。

 引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの開催、新東名高速道路の開通を見据えつつ、地域の皆様の御協力を得ながら、早期開通に向けて努力をしてまいりたいと存じます。

大口分科員 大臣、よろしくお願いいたします。

 次に、静岡県では、平成十五年度からアセットマネジメントの考え方を取り入れ、そして策定した社会資本長寿命化行動方針に基づき、社会資本の戦略的な維持管理、更新に向けた取り組みを組織的に推進しております。

 この取り組みを戦略的に進めていくに当たり、その基礎となる施設の劣化予測手法やライフサイクルコストの算出手法などが必ずしも確立されていません。中長期的な維持管理・更新計画、個別施設計画の策定に苦慮しているという状況を聞いております。

 このような状況を解決し、最適な計画を策定していくためには、国において統一的な手法を示すなど、社会資本の戦略的な管理のための基本指針を制定することが望まれます。公園あるいは下水道等については策定されているわけでありますが、国交省のお考えをお伺いします。

毛利政府参考人 戦略的なインフラメンテナンスを強力に推進するために、国土交通省では、一昨年五月にインフラ長寿命化計画、国交省の行動計画を策定いたしましたが、現在、これに基づいて、公共団体におかれては個別施設の長寿命化計画の策定を進めていただいているところでございます。

 これをより実効性のある計画としていただくためには、御指摘の劣化予測手法を含むライフサイクルコストの算出方法が重要でありますけれども、委員御承知のとおり、インフラの種類や施設の設置されている環境などにより施設の劣化傾向が異なりますので、これらをデータに基づいて研究した上で、基本的な考え方を示していくことが必要だと考えております。

 御指摘ありましたように、昨年までに、下水道施設等ではライフサイクルコストの算定方法を示したガイドライン等を策定いたしました。

 また、河川管理施設につきましては、これも、自然の河川に整備されて経年的に劣化するだけではなくて、洪水によってもダメージを受けるという特性がありますので、施設ごとの健全度の評価結果等を用いてライフサイクルコストの算定方法の考え方を今検討しているところであり、これを踏まえて手引の取りまとめを行う予定でございます。

 さらに、道路でございますが、海沿いであれば塩害の影響を受けたり、また、大型車の交通量によっても劣化傾向が異なることが想定されますので、分析に多様なデータが必要でございます。このため、定期点検の結果を蓄積しながら劣化傾向を分析いたしまして、ライフサイクルコストの算出方法について今研究を重ねているところでございます。

 引き続き、公共団体のインフラ長寿命化対策に対しまして技術的、財政的支援を行うとともに、御指摘のライフサイクルコストの算出方法の考え方について早急に提供できるように取り組んでまいりたいと思います。

大口分科員 火山の観測体制についてお伺いします。

 富士山を擁する静岡県、山梨県では、噴火警戒レベルに応じて登山者を円滑に避難させるための情報伝達訓練等を実施したり、富士山周辺の市町においては地域住民も参加して実施していると聞いております。これらは噴火警戒レベルが適切に発表されることが前提となっています。

 それこそ、御嶽山の事例もございました。そして、昨年七月一日には改正活動火山特別措置法も成立させたわけでございますけれども、そういう点で、火山噴火予知技術の向上と観測監視体制の充実強化が重要であります。

 気象庁におかれまして、この火山噴火予知技術の向上と観測監視体制の充実強化についてお考えをお伺いしたいと思います。

西出政府参考人 委員御指摘の、火山噴火予知技術の向上、観測監視体制の整備強化については重要な課題であると考えております。

 富士山につきましては、全国四十七ある常時観測火山の一つでありまして、東京にあります火山監視・情報センターにおいて二十四時間体制で火山活動の監視を行っております。

 具体的には、気象庁では、富士山に地震計を七台、空振計を二台、傾斜計を一台、遠望カメラを一台、GNSSを三台など多数の観測機器を設置しております。加えて、大学等の研究機関が設置している観測機器のデータも活用し、監視を行っているところです。

 気象庁では、御嶽山の噴火災害を踏まえ、全国の常時観測火山において、水蒸気噴火の兆候をよりよく捉えるための火口付近への観測機器の整備など、観測監視体制の一層の強化を進めております。議員御指摘の富士山につきましては、傾斜計の増設に取り組んでいるところであります。

 加えて、火山観測データを評価、解析するコンピューターシステムの能力向上も行うこととしております。

 また、観測監視のためには、組織体制、人材育成も重要です。そのため気象庁としては、全国四カ所の火山監視・警報発表体制、機動観測体制の強化を図るとともに、職員の能力向上に取り組んでまいります。

 気象庁では、今後も富士山を初めとする全国の活火山について、大学や研究機関との連携のもと、噴火予知技術の向上や観測監視体制の充実強化に取り組んでまいります。

大口分科員 東海地震は、現在、日本で唯一、直前予知の可能性があると考えられております。

 平成二十五年六月に出されました静岡県第四次地震被害想定によれば、例えば、南海トラフ巨大地震、陸側、冬、深夜の場合、死者は、予知なしで約十万五千人に上り、予知があった場合は約一万四千人と推定されます。このため、静岡県は、国の地震予知観測体制を補完し、地震予知の確度の向上を図るため、大深度ひずみ計観測なども実施しています。

 地震や津波による被害を軽減するために、特に大きな被害の発生が予想される南海トラフ地域の東海地震について、予知観測体制の整備強化などをどのように考えているか、お伺いします。

西出政府参考人 地震や津波の被害を軽減するためには、厳重な監視と的確な情報発表が重要であります。

 東海地震は直前予知の可能性があることから、気象庁では、東海地域に地殻岩石ひずみ計等を整備するとともに、静岡県など関係機関の観測データも活用し、二十四時間体制で地震活動や地殻活動を注意深く監視しております。

 また、大きな地震が発生した場合には、全国の地震計による観測データのほかに、気象庁が東海地域の沖合に整備したケーブル式常時海底地震観測システムや、海洋研究開発機構が熊野灘沖に整備した海底地震計、津波計の観測データを活用して緊急地震速報や津波警報等を迅速かつ的確に発表するとともに、さらなる精度向上等を図っております。

 また、気象庁では、東海地震に対する緊急地震速報及び沖合の津波観測情報を引き続き的確に発表するため、沖合に整備したケーブル式常時海底地震観測システムの陸上部機器の更新強化などを行うこととしております。

 引き続き、気象庁としては、東海地震が想定される地域での地震、津波、地殻変動を注意深く監視し、関係機関とも協力しつつ、適時適切な情報発表に努めてまいります。

大口分科員 時間が終了ということでございます。

 きょうは本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。

門主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 石井大臣初め政務三役の皆様、そして役所の皆様には、けさ八時から長時間、大変お疲れさまでございます。私、ラスト三番目になりましたので、ぜひ最後までよろしくお願いします。

 まず、私は、最初に、大阪湾岸道路の西伸部の延伸問題についてお願いをしたいと思います。

 この件につきましては、兵庫県知事そして神戸市長とともに何度も大臣のもとに足を運んでおりますので、よく御承知をいただいているものと承知をしております。

 大阪湾岸道路は、神戸淡路鳴門自動車道の垂水ジャンクションから関西国際空港のりんくうジャンクションまでを結ぶ実に八十キロの自動車専用道路でございます。その西の端、神戸の六甲アイランド北ランプから長田区駒ケ林南町までの十四・五キロ、ここがミッシングリンクになっているということでございます。この部分については平成二十一年に計画決定済みでありまして、昨年初めて調査費一億円を計上していただいたところでございます。

 ミッシングリンクの解消は、きょうの委員会でも朝から何名もの委員から御指摘がありました。首都圏で特に、ミッシングリンクの解消によって、渋滞緩和を初めとしてさまざまな効果が劇的に出ているという御報告もされているところでございます。

 この地域は、国道四十三号線そして阪神高速神戸線で慢性的な渋滞がありまして、ここがつながれば渋滞緩和は必ず実現する。二つ目は、阪神港また神戸空港等々の機能強化が期待をされる。三つ目は、阪神・淡路大震災のときに大変教訓となりました、いざというときのライフラインの確保に資する。そして四つ目は、国道四十三号線、先ほど、おおさか維新の井上議員からも指摘がありましたが、環境問題の大変厳しい地域でございますが、国道四十三号線の沿道部分の環境の改善に資するということでございます。

 加えて、兵庫県というのは、実は北から南まで一つの県で仕切っていまして、兵庫を通らないと、西日本各地は大阪より以東に行けないという状況でございます。このミッシングリンクの解消は、実は地元の兵庫県だけではなくて、西日本全体の物流の活性化、地方の創生に資するもの、私はそうかたく信じておるところでございます。

 長年ずっと計画はあったんですけれども、大変な事業費がかかるということで、私もおつき合いをしながら、なかなか地元の自治体として経済的な負担ということに腰が引けているような状況が続いておりましたが、今本当にここでやらなければいけない、地方創生のためにしっかりと地元負担も腹をくくってやろうということで、本気度が伝わってくることでございます。

 こうした状況の中で、ぜひ国が主体となって、できれば今年度の当初予算でこの新規事業に着手していただくことを強く希望したい、こう思っております。もちろん、予算もまだ通過をしておりませんし、箇所づけは今後ということで、はっきりしたことは言えないかもしれませんが、できるだけ可能性をにじませる積極的な御答弁を大臣からいただきたいと思います。

石井国務大臣 大阪湾岸道路西伸部につきましては、地元自治体から再三、早期整備の要望をいただいているところであります。人口や産業が集積する大阪―神戸間の沿岸部を強化する重要な路線であると認識をしております。

 当該路線の整備により、交通集中により全国有数の渋滞が生じている阪神高速三号神戸線や国道四十三号の渋滞緩和や、騒音などの沿道環境の改善に大きな効果が期待をされます。

 現在、全線にわたり都市計画決定が完了しているところでありますが、特に六甲アイランド北―駒栄間の事業化に向けて、橋梁などの大規模な構造となることも踏まえたコスト縮減や整備手法などの検討を進めるなど、必要性を取りまとめてまいりたいと存じます。

赤羽分科員 繰り返し言うまでもないんですが、この件につきましては、関係の国会議員のみならず、兵庫県議会また神戸市議会で大規模な議員の議連ができておりまして、また経済界もあわせての強烈な要望でございますので、ぜひ実現の労をとっていただきたいと強く重ねてお願い申し上げます。

 続きまして、同じ地方創生の観点から、神戸空港における国際航空ネットワークの展開を強く求める声、要望についてお願いがございます。

 これはもう釈迦に説法でありますが、外国航空機が航行できる空港は国交大臣の指定する空港ということが航空法百二十六条に書かれております。この前資料をいただきまして、現在、全国の地方都市を含めて三十空港が国際航空のネットワークの展開ができるということになっております。

 その中に、神戸空港とまた大阪の伊丹空港がいずれも指定をされておりません。

 これは、いわゆる関西三空港問題ということで、平成十七年に関西三空港懇談会の地元合意がございました。この三空港の役割を明確にしろということでございまして、当時は、なかなか経済も厳しくて、今のような関空の状況とは全然違う話でございまして、何とか関西国際空港を西日本で守り立てていかなければいけないということで、このときの合意では、関西国際空港は西日本を中心とする国際拠点空港だ、関西圏の国内線の基幹空港は伊丹空港だ、そして、神戸空港は地方空港だということで、運用時間は十五時間、そして一日の発着回数は六十回、年間の発着回数は二万回程度が上限となる、こういった合意に、ある意味では縛られているというか、その合意のままに来ているというところでございます。

 しかしながら、昨今の関西国際空港の状況は、もう劇的に変化をしております。特にアジア圏からのインバウンドの急増はほとんど関西空港に吸収されておりまして、実は、関西空港における外国人の入国者数、二〇一四年は前年比一三六%の三百十七万人、二〇一五年はその前年比でいくと一五八%、五百一万人と急増中でございまして、今後もそうしたことが大変期待をされているところでございます。入国審査に待ち時間が最大八十六分にもなったという調査の報告もあるぐらい活況を示しておるわけでございます。

 加えて、コンセッションが行われた結果、ことしの四月から、関西国際空港と大阪、伊丹空港は、民間での運営が開始されるわけでございまして、関西三空港を取り巻く状況は、平成十七年ころと比べて劇的に変化があるのではないか。

 そういう意味で、まず、神戸空港も、ぜひこの指定を受けられるようにしてほしい。そのために何をやらなければいけないかということをまず局長から御答弁いただくとともに、もう一つは、観光政策、私も党の観光立国推進本部の本部長をさせていただいておりますが、関西国際空港に来ていただいて入国で一時間半も待たせているというのは大変ゆゆしき事態だと思っております。

 国交省も、二〇一七年の一月末に供用開始予定の、新しいLCC専用ターミナルでのCIQ施設の整備ですとか、入国審査ブースも大幅に増設をするということも予定されている、こう聞いておりますが、できるだけ前倒しにして、この観光政策、大変大事な政策でございますので、その点も含めて、航空局長から御答弁いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 それではまず、神戸空港につきまして御説明させていただきます。

 委員御指摘のとおり、神戸空港を含む関西三空港につきましては、関経連の会長、大阪府知事、大阪市長、兵庫県知事、神戸市長といった地元関係者による長い協議の結果、役割分担や運用のあり方について、平成十七年に合意形成に至り、その地元合意に従って運用されているところであります。

 この地元合意の中で、国際線は関西国際空港に限定することが適当であるとされた結果、御指摘のとおり、神戸空港や伊丹空港から外国航空機は発着できないということになっております。

 国土交通省といたしましては、こうした関西三空港の運用を変更するには地元による新たな合意が必要であり、まずは地元において、三空港の役割分担や運用のあり方について議論していただきたいというふうに考えてございます。

 次に、関西国際空港におけますCIQ施設の整備につきまして御説明を差し上げたいと存じます。

 御指摘のように、関西国際空港は、訪日外国人旅客数の増加率が非常に高く、国土交通省としても、CIQ施設の充実に取り組んでおります。このため、特に混雑の激しい第一ターミナルにつきまして、入国審査ブースの増設を前倒ししているところであります。最終的には、平成二十八年度末までに審査ブースを、当初の倍に当たります八十ブースまで増設する予定でございます。

 国土交通省といたしましては、入国管理業務を担っております法務省等と緊密に連携しながら、引き続き、訪日外国人の受け入れ環境整備が可能な限り早急に進むよう尽力してまいりたいと考えております。

赤羽分科員 ありがとうございます。

 関空の入国審査については、今局長の御答弁にもありましたが、法務省もさまざまな対策を講じられようとしているということは新聞報道で知るところでございますので、ぜひ、法務省とも連携をとりながら、よろしくお願いをしたいということでございます。

 また、関西三空港問題は、もちろん地元の意向が多分最優先に尊重されてきたというプロセスから、もう一度その立場からこの問題を新たに提起していきたいと思っておりますので、ぜひ今後とも御指導いただけるようによろしくお願い申し上げます。

 次に、福島の原発被災地の復興について、JR常磐線の全線復旧開通問題について質問をさせていただきたいと思います。

 道路局長も来ていただいておりますが、まず、ここの地域の高速常磐道、これは予定より相当早く全線開通を実現していただきました。このことは、私も足しげく被災地に通っておりましたが、被災者の皆さん、被災自治体の皆さんには大変喜ばれておりまして、先の見えない、夢も希望もなかなか感じることのできない福島の復興の中では、みんなに喜んでいただいた大変大きなことであります。

 他方、なかなかJR常磐線の全線開通は前に進んでこなかったというのが現実でございます。いろいろな問題がございましたが、安倍総理からもJR常磐線は全線開通するという表明があったものの、浪江駅―富岡駅、福島第一原発の西側を通るところなんですが、現状ではその区間の全線開通の具体的な時期が発表されていないということは大変残念なことであります。やはり地元の、地域の鉄道が走ってくるということが復旧復興が進んでいるという実感にすごく通じるものでありまして、このことを何とか前に進めていただきたいというのを私も前職時代からお願いをしてきたところでございます。

 現在、この区間で効果的な除染をどう進めるかということで試験施工をやっていただいて、昨年十二月に終了したというふうに承知をしております。この除染の試験施工の後の空間線量、この前御報告をいただきましたが、ほぼ全ての区間において、避難指示解除準備区域の目安となります一時間当たり三・八マイクロシーベルトを下回る結果だと。これは、私も実はずっとJR常磐線のところには何回も足を運んでおりまして、私たちも線量計を持っておりますが、大変下がっているということを私自身が認識をして、ぜひ公的にというか、JRとしてもしっかり進めていただきたいということで、その結果が出たということでございます。これはJRのこの工事に従事する全ての人にとっても大変な安心がもたらされる、こういうふうに思っております。

 もう一つ、JR東日本は、要するに、鉄道が回復しても、その地域が戻ってこないと、人が集まらないと困るんじゃないかということも当然心配をされていたわけでございますが、これも今、我が党の高木陽介原子力災害現地対策本部長も必死になって仕事をしておりまして、本年四月以降に、南相馬市、また葛尾村、川俣町といったところが続々と避難指示解除の方向に展開をしている、今、準備宿泊が行われているところでございます。

 そして、同時に、この地域、福島の浜通り地域と言うのですが、そこを何とか地域再生しよう、新しい産業を創出しようということで、福島イノベーション・コースト構想というものが政府の政策として今年度も大変大きな予算がついているわけであります。

 この福島イノベーション・コースト構想というのは、実は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会までに地域再生、生まれ変わって、そして、日本に来られた世界じゅうの方々に刮目されるような地域をつくり出そうということで、大変大きな励みとなって頑張っているところでございます。

 そういう意味で、このJR常磐線、生活の足でもありますし、多くの外国人の方が来られて福島の復興を見るといったときにJR常磐線が全線開通していないということは、これは一JR東日本だけの問題ではなくて、政府全体の大変大きな問題だ、私はかねてからそう思っておりました。

 ぜひ、被災地の、また被災者の皆さんの一番の強い要望でありますこのJR常磐線の全線開通、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会までに何としても実現をしていただきたい、そうした被災地の、また被災者の声をぜひ大臣には真摯に受けとめていただいて、このことを前に進めるように最大の努力をしていただきたいと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

石井国務大臣 福島県浜通りの復興の加速化を図る上で、JR常磐線の復旧は大変重要であると認識をしております。

 このため、JR常磐線につきましては、将来的に全線で運行を再開させるとの方針を政府として昨年三月十日に決定いたしました。

 このうち、開通時期の見通しが示されている区間については、先般、JR東日本より、富岡駅―竜田駅間の開通時期を約三カ月前倒ししまして、二〇一七年内の開通を目指すとの方針が示されるなど、復旧に向けた取り組みが順調に進んでおります。

 また、開通時期が明らかにされていない浪江駅―富岡駅間については、昨年八月から年末にかけて、JR東日本が試験的な除染を行ってまいりました。私も、大臣就任後、この試験的な除染の現場を視察させていただいたところでございます。

 この結果を踏まえまして、発生材の仮置き場の確保を初めとする除染、復旧工事の実施に当たっての課題について、関係省庁の副大臣から成る協議会を開催するなど、検討、調整を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁とも緊密に連携し、被災地の皆様の声に応えるべく、JR常磐線の一日も早い全線開通の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じます。

赤羽分科員 ぜひ情熱を持って前に進めていただきたい、こう重ねてお願いしたいと思います。

 このJR常磐線のところというのは、実は、なかなか、これまでは福島第一原発の周辺というのは復興のスピードが遅かったわけでありますが、ようやく、福島第一原発の中の廃炉・汚染水問題も大変落ちつきを取り戻しております。同時に、東京電力も新しい体制の中、また国が前面に出る体制の中で順調にしている。

 実は、毎日七千名の人があの現場に入って、この廃炉・汚染水対策について取り組んでいる。実は、そこの現場に行くのに、国道六号線、これは相当早期に全線開通をしていただきましたが、大変な渋滞になっております。

 この車の大渋滞を何とか解消すれば、現場で大変な御苦労をされている皆さんに対しても大変大きな福音ではないか、こう思っておりまして、あれだけの車通勤、車で通う人を少しでもJR常磐線に流していただきたい。そうしたことをもって、全体にとっても大変大きなプラスになるということを私確信しておりますので、ぜひお願いをしたい。重ねてお願いをするところでございます。

 最後に、国家戦略特区諮問会議で議論されております自家用ライドシェアの拡大について質問させていただきたいと思います。

 これは、他の議員もきょう何度か取り上げられたと承知をしておりますが、改めて申し上げるまでもなく、昨年十月二十日の第十六回諮問会議の席上で、安倍総理から、日本を訪れる外国の方々の滞在経験をより便利で快適なものとしていかなければなりません、過疎地等での観光客の交通手段として自家用自動車の活用を拡大するという指示が出たわけでございます。この総理の指示に基づいて、国家戦略特区法の一部改正法案が準備されていると承知をしております。

 これは恐らく、誰が振りつけたのかちょっとよくわからないんですけれども、過疎地域での交通手段というのは、それは生活手段としてどう交通手段を確保するかという問題とインバウンドのためのというのは、少し整理をしなければいけないのではないか。

 もともと、この総理の指示についてはややクエスチョンなところがあるんですけれども、その中でも、多分、国土交通省と官邸の中で大変な御苦労があることは承知をしておるところでございますが、大臣の御答弁にもありました、この国家戦略特区法の一部改正法案、この中の道路運送法に関する部分につきましては、大臣も、公共交通機関の維持が困難な過疎地等においては、安全の確保等を十分に図りつつ、自家用有償運送制度のさらなる活用方策を検討する、こうした答弁があって、きょうもそうした御答弁もあって、質問された方も一つ安心をされていたかと思います。

 また、この特区に関する提案、特区だけでということで提案があるわけでありますが、これはもう改めて言うまでもなく、特区であろうと過疎地であろうと、安全の確保というのは当然の大前提であるということをまずお互いに確認させていただきたいと思います。

 ですから、道路運送法の許可をとることなく旅客運送事業を行ういわゆる白タク的な行為というのは、安全上問題がある違法行為であるということであって、断じて排除されるべきだということを訴えたい、私はこう思っております。今回の法改正の中で、白タク的行為は認めないと御答弁もありましたが、改めてここで、白タク行為は排除するということを明確にしていただきたいというのが一つ。

 もう一つは、計画策定に当たって、何となく事業者が輪に入れないような経緯が、どんどん官邸の中の諮問会議でいろいろな話が出ている、それに対して関係業界の方が大変な心配をしているということは、やはりどこかおかしいのであって、計画策定に当たっては、当該市町村、事業実施予定者、そして運送事業者、バス事業者とかタクシー事業者が事前協議ができる場をつくるべきだ、私はそう思っております。

 そうした形が組み込まれた法改正案になっているのかどうか、ぜひ自動車局長から御答弁いただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 自家用自動車の活用拡大につきましては、鉄道、バス、タクシー等の公共交通機関による旅客運送が困難な地域における交通手段の確保、そういった観点から検討を行っているところでございます。

 具体的には、過疎地等において、安全の確保、利用者の保護等を十分に図りつつ、訪日外国人を含む観光客の移動手段を確保するために、現在は地域住民を主な対象としている自家用有償旅客運送制度のさらなる活用方策を検討しているところでございます。

 委員の御指摘のとおり、安全に関しましては、地域を分けて、ここではこの程度である、あそこではあの程度である、そういったものではないというふうに考えております。

 現在の自家用有償運送制度は、過疎化、人口減少に伴いまして、緑ナンバー、営業輸送というものがビジネスとして成り立たない、そういったエリア、あるいはそれが非常に不十分なエリアにおいて、それを補完するための、ある意味でやむを得ない措置としての白ナンバーの活用というものを認めているものでありまして、今回の国家戦略特区の中における観光客の輸送の手段の確保につきましても、これと同様の考え方において制度設計をしたいと考えているところでございます。

 その上で、委員から、既存の交通関係事業者、そういった方々との連携が非常に重要ではないかという御指摘があったところでございます。

 持続可能な地域公共交通ネットワークの形成のためには、地域公共交通の活性化、再生に主体的に取り組む市町村が中心となって、鉄道、バス、タクシーなどさまざまな交通モードが密接な連携を図ることが非常に重要であると考えております。

 公共交通機関による旅客運送が困難な地域において観光客の交通手段として自家用車の活用拡大を図るに際しても、今申し上げた考え方に基づいて、こういった関係者がしっかり協議ができる枠組みを前提として制度設計を考えていきたいと考えているところでございます。

赤羽分科員 ありがとうございます。

 役所から示された資料の中で、自家用有償運送制度に基づいて、もう既に全国の過疎地域でさまざまな乗り合い事業が展開されていると。これは私は余りよく知らなかったんですけれども、大変な御努力で、地元の自治体と関係事業者が知恵を出し合ってやっていらっしゃるということで、大変敬意を表する話でございます。

 ですから、こうしたうまくいっている事例がありながら、それとは全く違うようなことをシェアリングエコノミーみたいな話で出してくるというのはちょっと筋が悪過ぎるんではないか、私はこう重ねて申し上げたいと思います。

 私たちはこれをただ根拠なく心配しているんじゃなくて、先ほどの諮問会議の報告書、本年二月五日付の「集中取組期間の最終局面に当たって」という報告書の中の、第三の「その他、今国会で実現すべき規制改革課題など」という項目の中に「「自家用ライドシェアの拡大」に関する議論に関連して、安全確保のために従来より行われてきた諸規制が必ずしも有効に機能していない中で、むしろ、保険を介した監視機能を高めることが期待されるところである。」こういった文言がございます。これはもうオープンになっているあれですから。

 これはすごく危ない話で、現在の安全確保のための諸規制が必ずしも有効に機能していないということは、やはり実際、論拠を挙げてもらわないと言いがかりみたいな話ですし、保険で対応するということは実はすごく危なくて、私は、みんな業界の人が心配しているのは、こうしたことの中で、何かアリの一穴になるんじゃないか、特例といって特区で認められたことが、安全を軽視してしまうような社会が普遍化してしまうのではないか、こういうふうなことを心配されているんだと思います。

 これは絶対あってはいけないことなので、どうも国交省の議論と官邸の議論がダブルスタンダードで、何となく最近、ざっくばらんな言い方をすると官邸が強くて、そこで出てきたような法案というのは、私たち与党は、それは承服は全くできない、また承服できないようなものを提案されては困るという立場で、しっかり安全を守っていきたいと思いますので、石井さん、お疲れだと思いますけれども、ぜひ一言、この点、御決意だけ聞かせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

石井国務大臣 自家用車の利用の拡大におきましても、安全、安心の確保というのは大前提でございます。保険の活用というのは、事故が起きたときの賠償という意味では有効かもしれませんが、事故を起こさないようにするということが大前提でありまして、その原則の上に立って判断をしていきたいと思います。

赤羽分科員 ありがとうございました。以上で終わります。

門主査代理 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

    〔門主査代理退席、主査着席〕

赤羽主査 次に、中川俊直君。

中川(俊)分科員 自由民主党の中川俊直です。

 きょうは、石井大臣初め、早朝から本当にお疲れさまです。心から敬意を表しながら、質問をさせていただきたいということを思っております。

 私からは、きょうは国土交通の分科会ということなんですけれども、石井大臣は国土交通大臣であるとともに、水循環政策担当大臣でいらっしゃる、ここでやはり、こういった委員会の場を通じて、水政策、責任者としてどういうふうに引っ張っていっていただくかといったことをお聞きさせていただきたいということも思っておりますし、後ほど、軽井沢のバス事故における今後の政府の対応についてもお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。あわせて、私の地元にあります東部連続立体高架事業、やはり高架というものもしっかり国として進めていかなくてはいけないという観点から、おおむね三点にわたって御質問をさせていただきたいということを思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、私は、国政へと送っていただいて三年四カ月余りが経過をいたします。国会へと送っていただいた後に、水制度改革議員連盟に入りました。そして、事務局長を務めていきながら、何としても、今までの水政策というのが七つ八つの省庁にまたがっている、これはやはり内閣直轄の水循環政策本部などに一元化をしていきながら、水政策というのは実は、簡単に言ってしまうと、海の水が、太陽が当たって蒸発をして、雲になって、雨が降って、森林にさまざまな水の恩恵、そういったものが湧き水になって私たちの生活に恩恵を与えてくれて、最終的に、下水や上水を通って生活水になった上で、最後は河川を通って水に戻っていくという循環するサイクルだった、これが七つ八つの省庁にまたがって縦割りの弊害があった、これを内閣総理大臣直轄の水循環政策本部に一元化していく、そして水循環政策担当大臣を配置して、八月一日は水の日と定めて啓蒙啓発活動を行っていくんだという思いで、水循環基本法を国会へと提出させていただいて、本当に事務局長として全ての党を駆けずり回って、二〇一四年の三月二十七日に衆議院で全会一致で、参議院先議でしたから、成立をしたというのが水循環基本法でもあります。

 そして、うれしかったのが、昨年の七月でしたけれども、政府が水循環基本計画を、この水循環基本法が成立したことにのっとって、初めて我が国で水循環基本計画というものが策定をされた。私は、昨年二〇一五年というのはまさに、そういった意味では水制度改革のスタートラインが切られたというふうに思っております。

 そういった思いの中で、ぜひ、水循環を担う担当大臣として、これからの水政策について、大臣御自身の御決意というものを冒頭お伺いさせていただければと存じます。

石井国務大臣 水は人々の生活に潤いを与え、産業や文化の発展を支えているものでありまして、水のもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう健全な水循環を確保することは非常に重要であると認識をしております。

 水の問題は多岐にわたることから、水循環にかかわる施策の実施に当たっては、各府省庁が一体となって、また、地域レベルでも連携体制をしっかり構築しながら進めていくことが必要であります。

 このため、昨年七月に閣議決定いたしました水循環基本計画のもとで、内閣官房が中心となり、流域マネジメントの推進、水循環に関する普及啓発の促進など、さまざまな施策に取り組んでまいります。

 今後とも、各方面の声をお聞きしながら水循環施策の積極的な推進に努めてまいりたいと存じます。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 その上で、マネジメントの話等々もしていただきましたけれども、私たちがちょっとお伺いをさせていただきたいのは、流域水循環協議会の設置状況と、さらには流域水循環計画の策定状況について教えていただきたいということを思っています。

 実は、流域水循環協議会の設置というのは、地域のあらゆる水問題を解決する上で、水循環基本計画の中でも最重要の施策と考えております。設置を推進するためには、マニュアルですとかガイドラインの策定と周知だけでは地方公共団体にとって設置の動機にはつながりにくいと私も思います。

 協議会を設置するための予算措置ですとか制度措置について、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

北村政府参考人 お答えをいたします。

 水循環基本計画では、健全な水循環の維持または回復のため、さまざまな分野にかかわる施策を総合的、一体的に推進するということとなってございます。

 現在、水循環基本計画に位置づけられました貯留・涵養機能の維持及び向上や水の適正かつ有効な利用の促進、国際的な連携の確保など、施策について各府省庁が連携をして取り組んでいるというところでございます。

 また、委員御指摘になった個別の流域について、水環境や地下水など水に関する課題を解決するため、関係する行政機関、事業者、団体、住民等が連携して活動する流域マネジメントを推進しているところでございます。具体的には、流域単位を基本に関係者が共同して流域水循環協議会を設置いたしまして、流域水循環計画を策定し、これに基づき流域の水循環の健全化に取り組むこととしているところでございます。

 このような取り組みとして、例えば福井県の大野盆地の流域ですとか千葉県の印旛沼の流域におきまして、水循環基本計画の趣旨を踏まえて、既存の協議会の改組ですとか新たな計画策定が検討されているということでございます。

 このような流域マネジメントの取り組みを広めていくため、現在、内閣官房を中心に、流域ごとの目標を設定するための考え方などを示した手引、また優良事例を集めた事例集を作成しているところでございます。まずは、この手引なり事例集をもって普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 今後は、各方面の声ですとか地域の実情をよく把握しながら、水循環施策のさらなる推進に取り組んでまいりたいと考えてございます。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 そういったものを進めていくためにも、予算措置などもしっかり講じていかなくてはいけないということを思っていますが、その辺の御回答はなかったので、しっかりそういったところもお訴えをしていただきながら進めていただきたいというふうに思っております。

 その上で、八月の一日の水の日についてもお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。

 私は、最初の水の日というのが、ちょうどことしが三回目になるわけなんですけれども、最初の年は、国土交通省の方ではたしか砂防会館で実行されたというふうに記憶をしております。そして、そのとき環境省は国連大学の方で開催をしたということを記憶しておりますけれども、水の日といってもまだまだ国民に周知徹底されていない。そういった中で、各省とかまた下水道協会の皆さんとか、いろいろな意味で、ばらばらでこの水の日というのをおやりになられているという意味では、せっかくこの法律ができて八月の一日が水の日と定められたのに、国民一人一人へのまず周知というのは、全く知らないというような現状でもあります。

 山の日、海の日、そして水の日とほとんどが夏に集積をしている中で、その間をとって八月の一日が水の日と定められている、この辺についての水循環広報のあり方について、お考えについてお聞かせをいただければと思います。

北村政府参考人 お答えをいたします。

 水循環基本法におきまして、「国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、」ということで、八月一日を水の日というふうに定めているところでございます。

 八月一日当日の中央行事でございます「水を考えるつどい」を初めといたしまして、この前後には関係各府省のさまざまな行事が開催をされているところでございます。これは、いずれも水の日関連行事というようなことで位置づけて実施をされているものでございまして、多岐にわたる水の問題に対する理解を深めていただく上で大変意義があるというふうに考えてございます。

 これらの行事により多くの国民の皆様が来訪し、参加していただけるようにすることは重要なことでございまして、なお一層、関係各府省ともよく連携をして、PRの方法についても工夫をしてまいりたいというふうに考えてございます。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 私は、本当にこれからはいよいよ水の時代が来るという意識を持っているんです。そういった中で、やはりこれだけの、北は北海道から南は沖縄まで、水道水、ひねってもセーフティーに飲める水、そして、大地、自然が恵んでくれている水というものを、この国の本当にすばらしい資源、財産であるといったぐあいに啓蒙啓発をしながら、やはり水が当たり前のように飲めることに感謝をしていくというような思いということが大事だろうというふうに思っております。

 その点におきましては、今、ことしは三回目になりますけれども、まだまだちょっと政府としての推し進め方というのに対しては、もっともっと力を入れていかなくてはいけないということは、私自身もかかわらせていただいて、思っておりますので、ぜひその辺につきましても力を入れていただきますように、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思っています。

 その上で、下水道の話もさせていただきます。

 私も下水道は多くのところを視察させていただきました。きょうは津島政務官もいらっしゃいますけれども、津島政務官からも、大田区の方を視察しようといったことで、一緒に視察もさせていただいたことがあります。私は、下水道というのは日本の資源の宝庫だということを本当に強く思っていますし、これだけの日本の技術というのは間違いなく世界一であるということを本当に強く思っております。

 その上で、二〇二〇年の東京オリンピック、ことしがリオデジャネイロのオリンピックですから、いよいよ四年ということなんですけれども、その中間点の二〇一八年には、水のオリンピックとも言われる国際水協会の世界会議が何と東京で開かれる。これはやはり、ぜひ私はコラボレーションしてもらいたいんです。そして、その上で、この機会こそ、日本の下水道の循環技術を世界に示す絶好のチャンスだというふうに考えております。

 これらのイベントを一つの目標に、中長期的な、下水道を核とした、例えば水ばかりではない、食、エネルギー、こういったものをつないで取り組みを進めてほしいというふうに思っております。国としての下水道技術の国際展開方策をぜひお伺いしたいということを思っております。

塩路政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、日本のすぐれた下水道技術の国際展開を図るため、官民連携した取り組みを進めておるところでございます。

 具体的には、政府間での協議あるいは技術セミナーの実施、相手国政府高官の日本への招聘、相手国における技術基準の策定への支援、あるいは日本の技術を考慮した国際標準化、こういうことに今取り組んでいるところでございます。

 こういう中で、委員御指摘のとおり、日本の技術、あるいはその技術の成果を日本に来ていただいて直接見ていただくということは、非常に重要な視点であるというふうに考えております。

 一例でございますけれども、昨年の七月には、カンボジアのフン・セン首相に北九州の下水処理場を御視察いただき、日本の技術への理解を深めていただきました。そのことが、現在、下水道分野における両国初めての政府間の協議につながってきているところでございます。

 今後とも、オリンピック・パラリンピック、あるいは国際水協会の世界会議の機会、こういうものを積極的に利用いたしまして、日本の下水道技術の国際展開に取り組んでまいります。

中川(俊)分科員 ぜひ、八月の一日の水の日や二〇一八年の水のオリンピック東京開催、そして二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックも水というものをどんどんと売り込んでいただくような開会式とか、そういうものにしていただきたいということを思っていますので、そういった視点に立って、ロードマップをぜひ私の方からはつくっていただきたいなということを、この水循環政策本部、政府の方にもお願い申し上げたいということを思っております。

 その上で、いよいよことしで東日本大震災から五年が経過をします。改めて、皆さんとともに本当に御冥福をお祈り申し上げる次第でもあるんです。

 被災地、津波発生したエリアにはいまだ住民というものは戻ってきていないんですけれども、実は自治体では、下水道使用料とか水道料金の収入が低いために経営が落ち込んでいるわけでもあります。このままでは自治体の財政難から赤字再建団体になることが予想されています。それでは住民は下水道が使えなくなったりして、安定した生活が困難となります。

 自治体が借金をした場合、利子の二分の一を総務省が補填することになっていますが、それでは不十分ではないかと私は思うんです。国として何らかの措置はないのか、お考えをお伺いさせていただければと思っています。

亀水政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、公営企業は、料金収入による独立採算の原則により経営されるものでございますため、料金収入の減少に対して財政措置を行うことは制度上なじまないという基本的な考え方があるところでございます。

 他方、東日本大震災による被害状況や被災公営企業の経営状況等を総合的に勘案し、東日本震災特例法の特定被災地方公共団体であって、震災に伴う料金の減免、事業の休止等により資金不足額の発生または拡大が見込まれる団体について、資金手当てのための公営企業債を発行できることとしております。

 また、当該企業債の償還利子の二分の一の額について、一般会計から繰り出した額の全額に対して震災復興特別交付税を措置しております。

 総務省といたしましては、今後とも、被災公営企業の経営状況などを十分踏まえながら、被災地の復興支援に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(俊)分科員 三・一一から五年が経過をします。そういったところの問題等々もありますので、ぜひそういった目線を持って進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、先般発生をいたしました軽井沢スキーバス事故についてお伺いをさせていただければと思います。

 私は、こうしたことというのがこれから起きないようにということを本当に政府の皆さんとも共有させていただきたいということを思っていますし、改めて、犠牲になられた方々に御冥福をお祈り申し上げる次第です。

 少し御紹介をさせていただきたいのが、亡くなった御遺族の方のコメントとして印象に残ったことがあります。そこで紹介させていただきますけれども、今の日本が抱える偏った労働力の不足や、過度な利益の追求ですとか安全の軽視など、社会問題によって生じたひずみによって発生したように思えてなりませんと遺族の方がコメントをされているわけでもあります。そういった意味では、今回事故を起こした事業者の社長も、管理の未熟さとかずさんさを実感しているとコメントしていまして、私は平成二十四年に発生をしました関越自動車道の事故と今回の事故というのは非常に類似点が多いのではないかということも思っています。

 今回、このような社会問題によって生じたひずみを解消しなければいけないのではないかというふうにも思っておりますし、バス事業者が法律を守ってさらに安全に取り組まなければ参入できずに生き残っていけないというような、そういう仕組みを考えていかなければいけないんだろうというふうに思っています。何も私たちは、バスの規制はどんどん緩和をするけれども、安全まで緩和をするといったことではなかったわけでありまして、そういったところをぜひ重く受けとめながら進めていただかなくてはいけないということを思っています。

 そこで、これまでの基準ではまた、今回事故を起こしてしまったような、事業の経験も、事業者が参入してきているけれども、実際に参入の際に事業者に対して求める基準は適正であったのか。経済規制を緩和して、安全規制の部分も緩んでしまったのではないかということについてどういうふうにお考えなのか、見解を伺いたいというふうに思っています。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 貸し切りバスにつきましては、平成二十四年四月の関越道高速ツアーバス事故を踏まえて、参入時におけるチェックの強化を平成二十五年十一月から行ったところでございます。

 これは具体的には、雇用の契約内容の書面での確認、代表権を有する役員に対する知識の試験、施設の整備状況の現地調査の確認、所要資金額の基準の引き上げ、あるいは対人無制限の保険加入の義務づけ、こういったことでございました。

 ただ、今回の軽井沢における事故を起こした会社は、このような参入基準の見直しの後に入った会社でございました。このことを私ども大変重く受けとめております。このことを踏まえまして、安全規制のあり方を改めて総合的に検討する必要があると考えているところでございます。

 現在、省内に設置した軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において検討を進めているところでございます。速やかに結論を出して、実行に移してまいりたいと考えております。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 さらに、昨年末ぐらいからバス火災というのが非常に多く続いているんですよ。その上で言うならば、報道で見る限り、かなり古いバスが見られている。

 私も聞いてみたら、バス一台、新車で買ったら二千万円ぐらいするのが、そういうのを何か、あるバス会社の社長さんが言われていましたけれども、五十万円ぐらいで五台集めたら新規参入できるといったぐあいの中で、そういうのがいっぱい起きているんですけれども、このバスの古さと火災の因果関係についての調査結果というのはどうだったのか、ちょっと教えていただければと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、年末から今月にかけて、七件の貸し切りバスの火災事故が発生しております。

 いずれの火災事故も、幸い負傷者はおらず、大事には至りませんでしたけれども、このような火災事故が連続して発生しているということは、安全確保の点からまことに遺憾だと考えております。

 平成二十三年から二十六年に発生しましたバス火災事故五十八件について、出火原因、その分析を取りまとめましたところ、出火の原因としては、点検整備不十分二十五件、整備作業ミス十一件が約六割を占めており、車齢の高いバスは火災の発生件数が多い傾向にございました。

 このため、二月十九日、バス事業者に対して、主な出火原因である補助ブレーキ、電気配線等について、そういった時期がたっているということも含めて、適切な整備、部品の確実な交換等を指導したところでございます。

 今後、車両火災防止の観点から特に必要な点検項目をわかりやすく示したガイドラインを策定して、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 その上では、本当にこれはもう起こしてはいけないことだというふうに思っておりますけれども、そういった中で、悪徳の業者というのは私はどんどんと取り締まっていくべきだろうというふうに思っていますし、そういった業者が今もインバウンドでいっぱい走っているという状況では、これで事故が起きたときに、国際社会の中で本当に極めて問題になってくる。やはり、何も起きないということが非常に大事だということでは、取り締まりの強化等々も踏まえて御検討いただきたいというふうに思っております。

 その上で、大臣、大変恐縮なんですけれども、そういったところについての御決意等々、所管の大臣として御見解をいただければと思います。

石井国務大臣 貸し切りバスにつきましては、平成二十四年四月の関越道高速ツアーバス事故を踏まえ、参入時におけるチェックの強化や、安全コストを反映した新運賃・料金制度の導入等を行ってきたところですが、それにもかかわらず、今回の事故が起きたことについては、まことに遺憾であります。

 国土交通省といたしましては、貸し切りバス事業者がこのような悲惨な事故を二度と起こさないよう、今般の事故の原因究明を進めるとともに、貸し切りバスの抜本的な安全対策について、現在、有識者から成る軽井沢スキーバス事故対策検討委員会を設置し、議論を進めているところでございます。

 この中におきましては、参入時の安全性の確認をさらに強化していくこと、あるいは参入後の監督体制の実効性を強化すること等々、検討を進めているところでございます。

 この検討委員会での議論を踏まえまして、今年度末をめどに中間整理を行いまして、実施可能な施策については直ちに実施するとともに、本年夏までには総合的な対策を取りまとめ、対策を実行に移してまいります。

中川(俊)分科員 ありがとうございます。

 大臣の御決意も伺わせていただきました。ぜひともそういった方向で力強く進めていただきますように、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、最後に、私の地元の鉄道高架事業についてお伺いをさせていただければというふうに思っております。

 私は、ちょっときょうは資料の方をお持ちさせていただいたんですけれども、実は私の地元で今大問題になっていることがあります。

 山陽本線等々、また呉線等々が交差をしています海田市という駅があります。広島駅からそこに向かって、途中の向洋のあたりから海田市までを高架にするという当初の計画がございました。これは、国、県、市、さらにはJRなどで事業負担割合をしっかりやっていくという方向性なんですけれども、いわゆる県と市が財政難を理由に突然縮小案をぼんと提示した。これによって地元住民は大変なことになってしまうんです。

 当初、海田市の方では、もう本当にいいかげんにしてほしいということで、一枚目なんですけれども、二〇一三年の九月、これは中国新聞の記事なんですけれども、四万一千七百八十五名の署名を集めて市民が提出をいたしました。

 これによって再修正案が出てきたのが、今度は、向洋駅のところは三階までしっかり上げていきますよ、そして、一回また全部おろして、しばらくずっとそのままおろしたままにして、海田市の方がそういうので反対運動が出たから、では、海田市のところだけ二階に上げましょうというのが出てきたんです。

 そうしたら、今度は、一枚めくっていただくと、その途中の住民たちが怒るわけですよね。いいかげんにしろ、向洋は上がって三階になって、海田市は二階になって、途中の中間点はどういうことなんだということで、今、広島市安芸区船越のあたりで非常に怒って、今度は船越のあたりで二万七千九百二十九人分の署名が出ているわけなんです。

 事業主体は県や市だということは私もよくよく存じておりますが、しかし、やはり国も、こういった状況になってきている中で、県や市に対してしっかり指導していただきたいということを思っております。

 そこで、まず冒頭伺いたいのは、鉄道高架事業の意義についてちょっと御説明をいただきたいと思っているんです。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 連続立体交差事業の意義についてお尋ねを頂戴しております。

 連続立体交差事業は、地方公共団体と鉄道事業者の協定によりまして、鉄道を連続的に高架化もしくは地下化するということで複数の踏切を一挙に除却するという事業でございます。

 連続立体交差化することによりまして、交通円滑化、踏切事故の解消だけでなく、分断された市街地の一体化による都市の活性化にも資する、そういった多面的な効果を発揮する事業ということで、国土交通省としても、これまでも重点的に支援してきているところでございます。

中川(俊)分科員 整備効果についても御説明をいただいたわけなんですけれども、であるならば、本当に安全で快適なまちづくり、踏切が残る高架事業については、では、そういうふうに言うんだったら、どうお考えなのか、ちょっとお聞かせをいただければと思うんです。

栗田政府参考人 踏切が残る見直し案についてということでございます。

 先ほども委員からのお尋ねの中でございました新たな見直し案、これは、事業主体であります広島県、広島市、それから関係の自治体の海田町、府中町、こういった四者で慎重に検討された案であると認識しております。

 その中で、高架化しない区間に存します踏切、これは引地踏切というようなことが代表的なものと思いますけれども、遮断時間が長くて横断距離が長い、そういったことから、課題のある踏切であるというようにも承知をしておるところでございます。

 他方、今般の見直し案の中で、引地踏切付近の二つの道路の単独立体交差が含まれているというようにも県、市からは伺っております。また、線路と並行する道路の整備もあわせて行われるというようなことで、踏切の交通量の減少というようなことも想定されているというふうにも伺っておるところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、事業主体、広島県、広島市ということでございます、そこが中心となりまして、丁寧に地元説明を行い合意形成を図る、そういった努力を続けていただく、引き続き協議、調整を進めていただく必要があると考えておりまして、我々国としましても、必要な技術的助言、その他の支援をきっちり行ってまいりたいと考えております。

中川(俊)分科員 私は、やはり、多く考えていく中でも、地元の人の利便性の向上というのも高架事業の目的であろうというふうに思っているんです。

 それで、高架事業は通過交通の流れにならないようにお願いをしたいというふうに思っていますし、JR山陽本線の上下ですとか、呉線、貨物線上下、計五本の線路があるんです。仮線路用地としての用地買収を、仮線路として貨物線を利用できないのかということもお伺いをさせていただきたいということを思っているし、さらには、都市部では建設コストはかかると思うんですけれども、仮線路なしで運行と並行して工事の事例はあるのかどうなのか、そういったところもお伺いをさせていただきたいと思います。

 とにかく本当に一日も早い解決をしていただかないと、一度見せてもらったもので、そういう方向で用地も買収も済んでいて、突然県と市がお金がないからとちゃぶ台返しされたら、それは住民も怒って当たり前なんです。市もいまだに、その上では何が何でもやりますとも言えないような状況になってきているというような状況です。

 そういうのとあわせて、もう時間が最後になってきているんだろうというふうに思うので、事業認可が実は三月に切れてしまうんですね。今後の事業認可の詳細な流れと、めどについてもお伺いをさせていただきたいですし、さらに、本当に、先ほども言っていただきましたけれども、踏み込んで県や市に対してしっかりとリーダーシップを持って調整に入っていただけるという強い強い決意をお伺いさせていただければと思います。

栗田政府参考人 仮線施工の場合に貨物線を仮線として使用できないのか、あるいは仮線なしで施工するということができないのかというお尋ねでございます。

 若干技術的に大変複雑なことでございますが、簡潔にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、いずれにつきましても、このお尋ねは、コスト縮減を図る、そういった代替案の可能性について御示唆をいただく、そういった趣旨の御提案あるいはお尋ねというようなものと考えておるところでございます。

 今動いております貨物線を仮線として使用する、こういったときには、今現実に使われております旅客線を運行している全ての列車を一旦貨物線において運行する必要がある、これは当然のことでございます。

 本区間で、旅客線について上下線合わせて約三百本運行している、一日に動いているということのようでございます。貨物線につきましても上下線合わせて九十本の電車が運行されているということで、列車の運行本数が多い区間であるということは事実のようでございます。したがいまして、現行のダイヤを維持しながら貨物線へ全ての列車を集約して円滑な運行を確保することが可能かどうか、これは相当専門的な検討を要する、そういうところがあろうかなというように思います。

 それから、仮線なしで施工できるかということでございます。これは、仮線なしで、実際に運行している線路の真上で高架本体を施工する、いわゆる直上方式というものでございます。その例で申しますと、関東の例ですけれども、京浜急行電鉄の本線、空港線、そこの連続立体交差事業、これは、仮線の確保が土地の条件から難しい、そういった施工条件が限定された場合に採用された実績があるというように承知しております。

 ただ、本区間について申しますと、一点念頭に置いておくべき要素といたしましては、現状でも、呉線の上り線が山陽本線あるいは貨物線を既に現在でも高架でまたぐ構造になっているということは念頭に置いておく必要があろうかなというように思っておるところでございます。

 それから、今後、事業認可のタイミングに照らしましてどうなっていくのかというようなお尋ねを頂戴しております。

 昨年六月に関係の四自治体で合意されました見直し案、これは、現在都市計画決定されております、これは平成十一年の都市計画決定でございますが、それに適合しているものではございませんので、これに基づき事業を進めるというようなことを仮に想定しましたときには、見直し案に基づく都市計画に変更していただくということが前提になるということでございます。

 今申し上げておりますのは、あくまで事業主体であります広島県及び広島市から伺っております方向ですけれども、当然のことながら、引き続き、住民など関係者の合意形成に努めるということはもちろんのこと、その上で、平成二十八年度に詳細な設計を進め、平成三十年度に都市計画の変更を目指す、そういった方向をとれないかというように伺っておるところでございます。

 いずれにしましても、広島県、広島市が事業主体でございます。繰り返しでございますが、丁寧に地元説明を行い、合意形成の努力を続けていただく、引き続き協議、調整を進めていただく必要があると考えております。

 国土交通省としましては、必要な技術的な助言、その他の支援をきっちり行ってまいりたいと考えております。

中川(俊)分科員 ありがとうございました。

 もうぜひ、延べで七万署名が集まっているという民意を重く重く受けとめていただきながら、例えば、向洋を三階にしていって、海田市が二階に行くんだったら、随時、すうっとおりていってずっと二階にしていくといったようなところも、本当に本当に真剣に考えていただいて、県と市に指導も話もしていただきたいということをお願い申し上げて、私からの質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽主査 これにて中川俊直君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤鮎子さん。

加藤(鮎)分科員 自由民主党の加藤鮎子です。

 質問のお時間をいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 安倍政権は、一昨年の総選挙で地方創生をうたい選挙を戦いました。ことしは各自治体による地方創生総合戦略を実行に移していく年となります。本腰を入れて日本の足腰強化に取り組もうとしている地方の声に、今こそ応えるべきであろうというふうに思います。その一つが、地方のインフラの整備であります。

 現在、私の地元の酒田港におきましては、港のすぐ近くにある花王という企業さんの中国やロシアに向けた紙おむつの輸出が大変好調になっております。

 昨年のコンテナの取扱個数は、中身の入ったコンテナだけで二万二千二十八本、おととしの一万三千七百九十九本から比べて約一・六倍に急増しています。

 花王さんは現在も工場の増設を計画しておりまして、その工場の増設後のさらなる製品の増産が見込まれております。

 また、対中国の定期コンテナの航路の方も、この二年で二便から七便へと急増しています。

 このように、大変活況を呈している酒田港ですが、製品輸出や原材料の輸入といった企業の経済活動を支えるこの酒田港のコンテナターミナルについて、しっかりと機能強化を図っていくことが肝要かと思っていますが、いかがでしょうか。お聞かせください。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 酒田港は、背後に工業品などを生産する企業が多数集積しており、地域の経済活動を支える大変重要な港湾であると認識しております。

 特に、酒田港に就航する外航コンテナ航路を活用した中国、ロシア向けの紙おむつ等の輸出が急増しておりまして、生産工場における能力増強のための設備投資、あるいは百名以上の新規雇用創出などが図られておりまして、地域の活性化に大変大きく寄与してございます。

 こうした動きに伴いまして、委員ただいま御指摘のとおり、酒田港における実入りコンテナの個数につきましても、平成二十五年の約七千八百TEUから、昨年、二十七年には約二万二千TEUと大変大幅な増加を見せております。あわせて、航路数につきましても、平成二十五年の週二便から、二十八年、今現在では七便とこれも急増してございます。

 加えまして、現在工場を増設中というふうに伺っておりまして、こちらの方もことし稼働していくというふうに聞いておりますが、これに伴いましてコンテナ個数もさらなる増加が見込まれております。地元の関係者の皆様からは、増大するコンテナ輸送ニーズに対応した港湾機能の拡充が求められているという状況でございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、港湾管理者である山形県とも十分御協力、相談させていただきながら、地域経済を牽引する企業活動に必要な港湾機能の確保に向けて積極的に対応を図っていきたいというふうに考えてございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。積極的な対応ということで、ぜひよろしくお願いをいたします。

 続きまして、同じく酒田港についてですが、クルーズ船の誘致についてお伺いをしたいと思います。

 世界のクルーズ人口が急増する中にあって、クルーズ船で我が国に入国する外国人観光客の数も急増しております。二〇一五年には百十一万六千人に達し、前年比二・七倍となっています。これは、二〇二〇年にクルーズ百万人時代を目指すといった観光立国実現に向けたアクション・プログラムを五年も前倒しに実現したこととなります。

 これを受けて、酒田港においても外航クルーズ船誘致に向けた取り組みを行っていくべきと考えます。山形県や酒田市の担当課の方でも、さきに行われました青森市内での誘致の商談会に参加するなど、地元自治体の方でも積極的に活動しております。

 頑張る自治体をぜひ国としても応援していただきたいというふうに思いますが、そのあたりに関して国としてのスタンスをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 観光立国の実現、そして地方創生にとりまして、クルーズ船の寄港促進は極めて重要であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、クルーズ船社へのプロモーション、あるいはクルーズ船の受け入れ環境の改善に積極的に取り組んでいるところでございます。

 お尋ねのございましたクルーズ船の誘致でございますが、クルーズ船社からの問い合わせに対応する政府全体の窓口を国土交通省港湾局の方に設置してございます。あわせて、全国クルーズ活性化会議に参加をされております全国百十六の自治体にお声がけをいたしましてクルーズ船社との商談会の開催、こうしたさまざまな取り組みを進めているところでございます。

 委員の方からただいまお話がございましたが、昨年十二月には、青森で私どもが開催しました外国のクルーズ船社との商談会に山形県そして酒田市の方々も御参加をいただきまして、寄港地を選定する立場にある船会社のキーパーソンに対して酒田港あるいは地域の魅力をプロモーションしていただいたところでございます。外国の船会社の担当者からも大変好評だったというふうに伺っております。

 今後とも、国土交通省といたしましては、このような取り組みを積極的に推進するとともに、クルーズ船の誘致に取り組む自治体をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。ぜひ応援の方をよろしくお願いいたします。

 続きまして、道路予算についてお伺いをいたします。

 二〇二〇年に東京オリンピックを控えまして、地方、特に被災地を抱えております東北地方では、被災地以外の地域に対して十分な予算が回ってきにくいのではないかという心配の声があります。

 まず、具体的な質問の前段といたしまして、東京と地方の道路予算配分のバランスについてどうお考えでしょうか。お聞かせください。

森政府参考人 お答えいたします。

 実際の細かな数字でというよりも、今実際に行われている工事のボリュームというところで見ていただければと思います。

 実際に全国を見たときに、今、東北の太平洋岸に関しましては、まさに復興の事業が盛んに行われているところでございます。道路事業といたしましても、東北のエリアの中におきましても、太平洋岸で行われております復興事業と一応バランスのとれた形で、日本海側の予算についても私どもとしては予算の配分を加味しているところでございます。

 また、東京といったようなところ、実際にオリンピック等々が見込まれている東京エリアという形で比較をすれば、東京オリンピックの会場アクセスといったようなところに関しましては、もう既に、あと四年、五年という形で期間が区切られているところでございますので、既にもう今事業をやっているものについての完成をしっかりと見込む、そういうような形での事業を進めていくということとしておりますし、また、あわせまして、やはり首都圏周辺におきましては、利用者負担という、有料道路事業を中心とした事業を活用していく、そういう制度を活用しながら事業を進めていくということを基本的には行っているところでございます。

 そういう意味では、地域創生を進めていく上でのベースになります地域での道路整備、これを進めていくための予算をしっかり確保した上で、全国バランスのとれた形で御支援申し上げられるように頑張っていきたいというふうに思っている次第でございます。

 以上でございます。

加藤(鮎)分科員 お答えいただきましてありがとうございます。

 二〇二〇年ももう遠くないということで、少しイメージが先行して、心配の声が上がっているようなところもあるかと思いました。今の御説明を聞いて、私もしっかり地元に対して説明をしてまいりたいというふうに考えます。バランスのとれた予算配分の方を、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 次に、ウエストラインについてお伺いをさせていただきます。

 酒田港のクルーズ船のみならず、庄内には、東北には空からも観光客がふえてくると見込まれます。アジアから東北に入る観光客の多くは、まずは仙台空港に入り、国道四十七号線、いわゆるウエストラインを大型バスで通ってやってくるということが観光産業の皆さんの見方としてはメーンになっていると言われています。

 観光用の大型バス、また、それだけでなく、酒田港と太平洋側をつなぐコンテナトレーラー、物流の大型の車など、車両が安心して通れるようにするためにも、この四十七号、ウエストラインの整備は重要であろうかというふうに思います。

 余目酒田道路の方は既に目標の方も出ておりますが、高屋道路の猪ノ鼻トンネル、また新庄古口道路につきましては、一日でも早く整備の加速化をしていただきたいという地元の強い声がございます。こちらについて、今後の見通しについてお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 山形県内のウエストラインでございますが、国道四十七号、そしてまた宮城県に入りますと百八号、四十七号と百八号を通じまして石巻まで通ずる、まさに東北を横断する幹線道路ということでございます。

 これは若干余談、つけ足しになるかもしれませんけれども、単純な観光あるいは物流を支援する幹線道路というのみならず、きょう実は、この委員会の中でも少し議論があったところではございますが、東北の大震災の際に、要は、石巻周辺に緊急物資を輸送する路線として、酒田港に陸揚げされた荷物あるいは緊急支援物資がこの四十七号、百八号を通って、いわゆるくしの歯作戦の主要なルートとして極めて重要な役割を果たしたというようなことも記憶に新しいところでございます。

 こういったウエストライン、特に新庄―酒田が山形県内では主要な区間だろうというふうに思います。この区間、私どもとしても、先ほど来出ております酒田港との拠点連絡という意味では、コンテナ貨物の取扱量が過去最高を記録しているという酒田港、そしてまた、地域での物流、観光でのクルーズの立ち寄り港として極めて役割の高いこの酒田港に対しましてネットワークをしっかり内陸側につなげていこうという、そういう路線だろうというふうに認識しております。

 先ほど御紹介ございましたが、この中では、新庄古口道路、そしてまた高屋道路、そして余目酒田道路という形で仕事をさせていただいているところでございますけれども、余目酒田道路は、先ほど御紹介ございましたように、平成二十九年度に全線開通予定ということでございます。

 また、新庄古口道路、そして高屋道路というのは今鋭意工事をしている最中でございまして、新庄古口道路につきましては、ちょうど昨年の十一月に、一部区間二・四キロを開通させていただきました。残る区間に関しましても、今、用地買収がほぼ一〇〇%に近い形で地元の御協力をいただいているということでございます。一生懸命、私どもの方としても工事を進めたいというふうに思っております。

 特に、一部区間につきましては、もうあとわずかということでございますので、地域とよく御相談をさせていただいて、いつのタイミングで供用を図れるかというのも、少なくとも近く、世の中にまたお知らせさせていただければというふうに思う次第でございます。

 また、高屋道路でございますけれども、高屋道路につきましては、用地買収を進めるとともに、大きなトンネルがございますので、そのトンネル工事を今行っているところでございまして、特にこの中、区間としては三・四キロの区間ではございますが、そのうちの大部分を占める三キロのトンネルがあるということで、今その工事を鋭意進めているという状況にございます。

 こちらの方は、その出入り口のところでの用地買収を今進めているところでございますので、いましばらく、そこについては御支援、地元の御協力をいただきながら用地買収あるいは工事を鋭意進めていくということで御理解いただければというふうに思う次第でございます。

 いずれにしましても、国道四十七号の事業区間につきましては、できるだけ早く、一日も早く完成をさせ、利用者の方々に、高速走行によります物流の支援、そしてまた地域振興にかかわる礎のところをしっかりと御利用いただければというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。災害対策、災害のときのフォローにウエストラインが活用されたということ、またその重要性を引用していただきましたことにも感謝申し上げます。

 また、新庄古口道路、供用される日を広く周りにお知らせができる日を首を長くして、地元の方も含め、お待ちしておりますが、早く完成をさせていただきたいことをよろしくお願いいたします。

 高屋道路の方の用地買収、これも地元と協力をしてということもあると思いますので、私も地元代表の代議士として、しっかり用地買収も進むよう地域とのコミュニケーションも図ってまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 一方で、ウエストラインの続きですけれども、まだ計画にも載っていない部分というところもございます。特に最上町と宮城県の県境部分、ここは事業化になっていない箇所でありますけれども、ここについてどのような見通しをお持ちか、少し伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 このウエストライン、国道四十七号の区間のうち、今御指摘のございました山形、宮城県境の部分につきましては、平成二十六年の七月から意見交換をする場を設けております。ここの場で、山形県、宮城県、そして私どもの方の国土交通省という関係者が入って、議論を始めさせていただいたところでございます。

 もともとこの地区の大きな課題といたしましては、新庄南バイパスというバイパスが新庄地区にはございますけれども、そこから鳴子までの、鳴子バイパスという整備がされた区間までの間が非常に標高の高い区間でございます。特に冬期間におきましては交通障害が発生したりということもございますし、そういった課題、加えて、地域間としての連携、交流の強化という意味合いでの宮城県そして山形県のこの四十七号に対する思いといったようなものをこの懇談会の中で意見交換させていただいているところということでございます。

 具体的には、地域の課題の整理、そしてまたルート構造の検討ということで、まだいましばらく時間はかかるところではございますが、私どもとしても、できるだけピッチを速めて、短期、そして中期、長期的な対策としてどういうものを手当てしていけばよいのかというものをこの懇談会の中でまとめさせていただければというふうに思う次第でございます。

 とはいいながら、四十七号の新庄から酒田側の区間におきましても、まだ一部調査をし残しているところというんでしょうか、ルートが確定していないところも実際にございます。

 余目―古口間の事業を進めていないところも含めまして、先ほど来出ておりますような、例えば四十七号の宮城県境あたりからいえば、新庄南バイパスやら、あるいは今事業をやっております新庄古口道路の一部、そして、高屋道路、余目酒田道路といったような、既にもう形あるいは事業が固まっている区間をどんなような形で結んでいくのか。そしてまた、今ある、現道というんでしょうか、国道四十七号も一部利活用できるところはそれをうまく結んで早くネットワークとしてつなげ、地域を、宮城、山形両県をしっかりと連携強化させるようなことを支援できるような幹線道路の軸にしてまいりたいというふうに思う次第でございます。

 よろしくお願いいたします。

加藤(鮎)分科員 大変御丁寧な答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。ぜひ、引き続きよろしくお願いをいたします。

 次に、日本海沿岸東北自動車道について大臣にお伺いをいたします。

 私の地元、庄内地方の人々にとっての悲願は、日沿道の全線早期開通であります。既に全線が事業化済みではありますが、県境部分、いわゆるミッシングリンクは、いまだに設計、測量、そして用地買収等の段階であります。つながってこその高速道路。いまだ、見込まれているストック効果の方も十分に発揮できている状況ではないと思います。一刻も早く、早期完成という形でお願いしたいと思いますが、大臣の方からぜひ意気込みの方をよろしくお願いいたします。

石井国務大臣 日本海沿岸東北自動車道約三百二十キロメートルは、新潟県、山形県、秋田県をつなぎ、広域的な交流、連携の推進、地域振興に寄与し、また、災害時のリダンダンシーを確保するなど、重要な路線として認識をしております。

 現在、山形県の県境部で事業中の朝日温海道路と遊佐象潟道路については、今年度から用地買収に着手しており、さらに来年度には両区間とも改良工事に着手できる見込みでございます。

 引き続き、地域の協力を得ながら早期の開通へ向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 石井大臣からの全力でというお言葉、地元の方々も大変喜ぶと思います。ありがとうございます。

 次に、庄内空港の機能強化についてお伺いをいたします。

 短時間で長距離の移動が可能な航空便は、ビジネスマンや帰省客、また観光客にとっても重要な交通手段であります。庄内空港は、庄内―羽田便が一日四便、搭乗率も高く、チケットがとれないという声も多く聞かれます。繁忙期の五便化や飛行機のサイズアップ、またチケットの格安化など、要望には絶える間もありません。

 政府としての取り組み方やスタンスについてお聞かせください。

佐藤政府参考人 庄内空港についてお答え申し上げます。

 庄内空港には、現在、羽田便四便が就航しております。これらの便は、庄内空港での夜間駐機、ナイトステイなどによりまして利用者の方々にとって利便性の高いダイヤとなっており、搭乗率も良好な水準となっています。これは、地元自治体と航空会社の連携による、需要増に向けたこれまでの努力の成果であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましても、利用者利便の確保が重要であると認識しており、これまでも、国内航空ネットワークの充実に向けた着陸料の引き下げなどの支援を行ってきております。庄内空港につきましては、羽田便の羽田空港側における着陸料を五分の二に引き下げているところでございます。

 一方、航空路線の増便や運賃の設定などは航空会社の経営判断により行われるものであります。このため、航空会社と連携した地元自治体のさらなる努力が重要になってまいります。こうした取り組みを今後も続けていただくことが、航空サービスを充実させるために必要不可欠であると考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 地元自治体と航空会社との連携でのさらなる努力ということを地元の皆さんと一緒に、私も代議士として声を上げてまいりたいと思います。

 また、政府の着陸料の引き下げという形での御協力に感謝を申し上げます。引き続き、引き下げた状態のままをぜひともキープしていただきたく、よろしくお願いをいたします。

 最後に、新幹線の整備に関して質問させていただきます。

 少子高齢化のこの日本の財政状況で、国家予算が年々厳しくなっていることは重々に理解をいたしておりますが、JRも民営化した中、国家百年の計を見据えて、国土全体にまたがる高速交通網のあり方の方向性を出していけるのは、やはり政府しかないと思います。

 しかし、新幹線の予算は、全国家予算の一%にも満たないという状況で、新幹線の整備に対する政府のスタンスが、多少消極的のように感じられてしまうところもございます。地方の活性化や、国の足腰を強くするためにも、ぜひ新幹線鉄道網の整備を積極的に、そして継続的に行っていただきたいと思います。

 お伺いをいたしますのは、北海道や九州、北陸等の整備計画路線の次にも、いわゆる基本計画路線の方も、将来的に予算を確保し、整備を続けていただける見通しでしょうか。そのあたりの展望をお聞かせください。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 新幹線は、地域間の移動時間の短縮により、観光客の増加、企業立地の進展を促すなど、人の流れを大きく変え、地域社会の活性化に大きな効果をもたらすものであります。

 現在は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和四十八年に整備計画が決定された整備新幹線であります北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線西九州ルート、この三区間の整備を順次進めているところでございます。

 国土交通省としましては、まずは、現在整備中の整備新幹線について、着実な整備を進めることが重要だと認識しております。

 基本計画路線の取り扱いにつきましては、今後の経済社会の動向及び整備新幹線の整備状況等を勘案しつつ、長期的な課題と認識しております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 長期的な課題ということですが、新幹線というのは地方にとって希望の星ともなり得るところでありまして、一生懸命頑張ろうという地域の夢ということもあって、ぜひ前向きに御検討いただき、少しでも多くの新幹線を全国に張りめぐらしていけるような、また、それに対して地域も応えていかなければならないと思いますので、ストック効果ということもあるでしょうけれども、双方の頑張りで日本の足腰を強くしていけることを心から望んでまいりたいと思います。

 最後に、庄内地方は、慶応先端生命研究所という研究機関の誘致からベンチャーが四つも生まれ、新しい地方創生の一つのモデルとしても花が咲き始めている地域であります。また、新庄、最上も含めて観光名所もたくさんございまして、観光の目的の堂々一位である食の宝庫でもあるという、そういった地域でございます。そんなところもアピールをさせていただきながら、きょうは私の質問を終えさせていただきたいと思います。

 長時間本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。

赤羽主査 これにて加藤鮎子さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。また、石井大臣初め政務三役の皆様、国土交通省の皆様、一日大変お疲れさまでございました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時五十九分散会


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