衆議院

メインへスキップ



第2号 平成14年4月9日(火曜日)

会議録本文へ
平成十四年四月九日(火曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 持永 和見君
      小西  理君    橘 康太郎君
      渡海紀三朗君    中村正三郎君
      井上 和雄君    木下  厚君
      永田 寿康君    山村  健君
      大森  猛君    矢島 恒夫君
      鈴木 宗男君
   兼務 藤島 正之君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       平沢  明君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   参考人
   (日本放送協会専務理事・
   技師長)         中村  宏君
   参考人
   (日本放送協会理事)   笠井 鉄夫君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  井上 和雄君     永田 寿康君
  石井 紘基君     山村  健君
  大森  猛君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  永田 寿康君     井上 和雄君
  山村  健君     石井 紘基君
  矢島 恒夫君     大森  猛君
同日
 第二分科員藤島正之君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十年度一般会計歳入歳出決算
 平成十年度特別会計歳入歳出決算
 平成十年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十年度政府関係機関決算書
 平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成十一年度一般会計歳入歳出決算
 平成十一年度特別会計歳入歳出決算
 平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十一年度政府関係機関決算書
 平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔郵政省所管〕


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
持永主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。
 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件中、本日は、郵政省所管について審査を行います。
 これより郵政省所管について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十年度郵政省所管一般会計、郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計について申し上げます。
 郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆四千八百二十三億四千七百四十八万円に対しまして、収納済み歳入額は一兆四千五百九十三億三千四百七十七万円余であり、差し引き二百三十億一千二百七十万円余の減少となっております。
 また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額二千八百八十三億七千百三十七万円余に対し、支出済み歳出額は二千五百九十四億三千百十九万円余、翌年度繰越額は二百六十六億四千三百二十七万円余でありまして、差し引き、不用額は二十二億九千六百九十万円余となっております。
 次に、各特別会計について申し上げます。
 最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。
 郵政事業特別会計の決算額は、歳入では七兆一千二百四十五億三千五百万円余、歳出では七兆一千百三十億八千六百万円余となっております。
 次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定の決算額は、歳入では十四兆八千七百十一億一千三百万円余、歳出では九兆九千六百八億円余となっており、差額四兆九千百三億一千二百万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
 次に、簡易生命保険特別会計の決算額につきましては、歳入では十八兆九千百六十億八百万円余、歳出では十二兆九千二百七十四億二千万円余となっており、差額五兆九千八百八十五億八千八百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。
 続きまして、平成十一年度の決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計について申し上げます。
 郵政省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆四千八百二十六億一千五百五十万円余に対しまして、収納済み歳入額は一兆四千百二十八億三千九百七十五万円余であり、差し引き六百九十七億七千五百七十四万円余の減少となっております。
 また、郵政省所管の歳出につきましては、歳出予算現額二千十六億二千五百六万円余に対し、支出済み歳出額は一千五百五十三億九千四百十三万円余、翌年度繰越額は四百六億八千百三十六万円余でありまして、差し引き、不用額は五十五億四千九百五十七万円余となっております。
 次に、各特別会計について申し上げます。
 最初に、郵政事業特別会計について申し上げます。
 郵政事業特別会計の決算額は、歳入では七兆一千七百七十六億一千九百万円余、歳出では七兆一千八百四十二億二千七百万円余となっております。
 次に、郵便貯金特別会計につきましては、主なものといたしまして、一般勘定の決算額は、歳入では十二兆八千六十八億一千百万円余、歳出では九兆九千九百八億三千八百万円余となっており、差額二兆八千百五十九億七千二百万円余は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
 次に、簡易生命保険特別会計の決算額につきましては、歳入では十七兆一千六百二十八億九千九百万円余、歳出では十三兆三千六十七億八千百万円余となっており、差額三兆八千五百六十一億一千七百万円余は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。
 以上をもちまして決算の概要説明は終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
    〔主査退席、木下主査代理着席〕
木下主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院円谷第五局長。
円谷会計検査院当局者 平成十年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十八件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号一七六号から二〇三号までの二十八件は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。
 これは、月寒郵便局ほか三十郵便局におきまして、簡易生命保険や郵便貯金等の事務に従事している職員が、契約者から受領した保険料や預金者から受領した定額郵便貯金預入金等を領得したものであります。
 なお、このうち一八四号から二〇三号までの二十件については、十一年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 これは、資金輸送業務における委託費の積算に関するものであります。
 郵政省では、郵便局の各業務に必要となる資金に過不足を生じないよう、郵政本省と郵便局との間を中継する郵便局を通じて、資金の交付及び回収を行っており、八年度からこれらの業務を警備会社に委託することとしています。
 北海道郵政局ほか十一郵政局等について、委託契約の予定価格の積算状況を調査いたしましたところ、東北郵政局ほか八郵政局の委託契約において、実際の積載量に比べて過大な輸送車を使用することとして積算するなどしており、積算が過大になっていると認められました。このような事態が生じていたのは、郵政本省が定めた標準仕様書で委託契約に使用する輸送車の積載量等の決定方法を明確に示していなかったことなどによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、郵政省では、十一年十月に各郵政局に対して通達を発するなどして、契約実施部局において適切に仕様書の作成及び予定価格の積算ができるよう、標準仕様書を改め、仕様の決定方法を明確に示すなどの処置を講じたものであります。
 引き続き、平成十一年度郵政省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号一八〇号から二二四号までの四十五件は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。
 これは、米沢郵便局ほか五十郵便局等におきまして、簡易生命保険や郵便貯金等の事務に従事している職員が、契約者から受領した保険料や預金者から受領した定額郵便貯金預入金等を領得したものであります。
 なお、このうち一九七号から二二四号までの二十八件については、十二年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。
 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。
 これは、郵便局における硬貨過超金の保管に関するものであります。
 郵政省では、郵便局において、業務上保管すべき額を超える現金である過超金を日本銀行本支店または代理店に預入し、郵政三事業の事業資金に充てております。しかし、近年、過超金のうち硬貨の増加が著しく、日本銀行代理店の多くでこの硬貨過超金の全量預入が困難となったため、郵便局で硬貨過超金が滞留し、外部委託して保管せざるを得なくなっております。郵政省は、日本銀行等と協議して滞留の解消に努めておりますが、依然として解消しておりません。したがいまして、硬貨過超金の滞留を解消して効率的な資金管理が行えるよう、日本銀行と引き続き協議してその円滑な処理に務めるとともに、受け入れが可能な近隣の日本銀行支店を取引先とする郵便局に移送するなどの措置を講ずるよう意見を表示したものであります。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 これは、逓信病院における特定疾患療養指導料等に係る診療報酬の請求に関するものであります。
 全国の十四逓信病院では、郵政省職員等及び地域住民の診療を行っております。
 札幌逓信病院ほか十一逓信病院について、診療報酬の請求状況を検査しましたところ、仙台逓信病院ほか九逓信病院において、特定疾患療養指導料等の診療報酬の請求に当たり、治療計画に基づく指導の要点の記録や診療計画等の説明、指導などの文書化が徹底していなかったり、診療報酬の請求の前提となる届け出についての検討が十分でなかったりなどしたため、診療行為等に適合した適切な診療報酬を請求していなかったものであります。
 このような事態が生じていたのは、郵政本省の指導が十分でなかったこと及び各逓信病院において診療報酬の請求に係る院内体制が十分でなかったことなどによると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、郵政省では、適切な診療報酬を請求するよう各逓信病院所轄郵政局長及び東京逓信病院長に対して通達を発するとともに、各逓信病院でも診療内容の文書化を徹底し、所要の届け出を行うなどの処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
木下主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十年度決算に関する会計検査院の指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。
 今後とも、防犯施策のなお一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳正に実施し、不正行為の根絶を図る所存であります。
 次に、郵便局間の資金輸送業務を委託するに当たり、輸送車の積載量等を明確にするなどして委託費の積算を適正に行うこととするようにとの指摘につきましては、平成十一年十月に標準仕様書を改め、委託契約において輸送車の積載量等を適切に積算できるようにするなどの処置を講じたところであります。
 今後は、なお一層適切な会計処理の実施に努め、この種事例の再発防止を図る所存であります。
 次に、平成十一年度決算に関する会計検査院の指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。
 今後とも、防犯施策のなお一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳正に実施し、不正行為の根絶を図る所存であります。
 次に、郵便局における硬貨過超金の滞留を解消し、効率的な資金管理を図るようにとの指摘につきましては、平成十二年十二月までに滞留と認められる硬貨について、日本銀行と協議を行い、ほぼ解消したところであります。
 また、逓信病院における特定疾患療養指導料等に係る診療報酬の請求を適切に行うようにとの指摘につきましては、実際の診療内容に見合った診療報酬を算定するとともに、診療報酬の請求を初めとする医療事務知識の向上に努めたところであります。
 今後は、なお一層適切な会計処理の実施に努め、この種事例の再発防止を図る所存であります。
 これをもちまして概要の説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
木下主査代理 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木下主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
木下主査代理 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
木下主査代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田寿康君。
永田分科員 おはようございます。
 この決算、大変大事な仕事であります。予算に比べて決算はないがしろにされてきたという指摘は、あながち外れていないと思います。ぜひ、熱心で、しかも実りある審議にしたいと思いますので、大変短い時間でございますので、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。
 さて、けさの朝日新聞にも報道されておりますとおり、渡し切り費、いわゆる郵便局に渡されます渡し切り費につきまして、重大な問題が明らかになってまいりました。
 報道等によりますと、平成十二年と十三年の上半期にわたる渡し切り費については、これは郵政事業庁が調査をし、そして、その不正使用等について詳細な調査をした結果、一部不正流用等が見つかり、十一人を処分する、このようなことが三月に発表されました。
 なぜ平成十二年及び十三年上半期だけに限ったのか、その前になぜさかのぼらなかったのかという問題を調べましたところ、渡し切り費関係の書類の文書の保存期間が一年間に定められたことがある。よって、書類が紛失をし、要するに廃棄され、これ以上さかのぼって調査することができないというようなお話がございました。
 事実をまた調べますと、平成十二年までは、どうやらこの保存期間は三年間に定められておったようです。しかし、平成十二年に一たん省庁再編等に伴って一年間にこれを改め、そしてまた、会計検査院から、これでは過去にさかのぼることが困難である、このような指摘を受けて、平成十四年二月に改めて三年間に戻した、このような経緯が明らかになっておりますが、これはおおむね事実であるかどうか、大臣に確認したいと思います。
片山国務大臣 大体事実でございます。
永田分科員 考えますに、ただいま平成十年と十一年の決算について私たちは国会で審議をしておるわけでありまして、この審議が終わる前に文書を廃棄するというようなことは大変遺憾であると思うのですが、大臣の御意見はいかがでしょうか。
片山国務大臣 これは、御承知のように、平成十三年の一月六日から中央省庁再編が動き出しますね。そこで、私どもの方の総務省は、郵政省を初め自治省、総務庁と三つ一緒になるものですから、しかも新しいところに引っ越しをせないかぬ、そういうこともありまして、三年を一年にしようと。毎年監査もやっているからいいじゃないか、会計検査も。こういうことで一年にしたと思いますが、会計検査院の、委員言われるとおりですよ、御指摘がありまして、もとの三年に返したんで、三年を一年に、また三年にすると、若干疑われてもしようがないところがあると私は思いますが、実情はそういうことでございます。
 中央省庁再編で一緒になって引っ越す、こういうことがございましたので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
永田分科員 大臣みずから、今、若干疑われても仕方がないところがあるというふうなお話がありましたが、どのような疑いを持たれても仕方がないというふうにお考えですか。
片山国務大臣 三年残すものを一年にしたというと、いろいろな書類がそのまま残りますから、残っていない方がいいというような考えがあったんではないかと疑われるということを言ったんで、そういうことじゃないんですよ。疑われるおそれがあると。疑わしきはしない方がよろしい、こういうことであります。
永田分科員 省庁再編に伴って膨大な書類を持って引っ越しをしなければならない、これが理由だという話ですが、それは政府の中のお話なんですよ。私たち国会は、そんなことに興味はありません。国会の場で決算をしっかりと審議していく、この目的のために、私たちは膨大な費用と手間と時間をかけて、いろいろな作業をしているわけですね。
 ところが、書類が廃棄されて、審議がまともにできないということになって、これは政府の内部の事情ですからね、引っ越しなんというのは。そんなことで決算の審議ができないような状況に陥るのは、これまた大変遺憾なことであると思いますが、大臣、お考えはいかがでしょうか。
    〔木下主査代理退席、主査着席〕
片山国務大臣 だから、今言いましたように、郵政省の中で、省庁再編の前ですよ、それぞれ内部的にはちゃんとした検査や監査をしているので、その書類を残しておけば十分ではなかろうかと考えたんだと思います。
永田分科員 もちろん、監察も内部的にはやっているんでしょう、会計検査院もそれなりに検査をしているんでしょう。しかし、これは両方とも政府の中の話なんですよ。国会の決算の審議に何ら影響を与えるものではないんですね。郵政省の中で監察をしていた、これは郵政省の中の話です。会計検査院の検査、これも政府の中の話です。
 こういったことが適切に行われ、最終的に納税者の立場から、国民の代表としてこの決算を認めるかどうか、これを今審議しているわけですから、その前に政府の中でどんなことが行われていようと、国権の最高機関たる国会には興味のない話です。そんなものは言いわけにならないと思いますが、もう少しまともな言いわけは考えつかないんですか。
松井政府参考人 御案内のように、郵政事業は全国二万四千七百の、簡易局を含めてそうですから、直轄の局でいいますと約二万ということになろうかと思いますが、大変膨大な事務を日々やっております。
 これについて、効率化の要請も大変強うございます。御案内のように、特定局は、大半の、ほとんどの局が三、四人の少人数でやっておりまして、郵便貯金、保険、それも毎日頻繁に、大変お客さんの多いところでございます。ですから、そういう中で事務の簡素化、効率化、特にいろいろな書類の処分もしていかないと効率的な仕事ができません。ですから、そういう意味で、私どもオフィスワークの中では、この書類の処分とかいうことも大変大きな課題で、毎年そういうふうなかけ声をかけてやったりもしております。
 そういう中での話でございまして、御案内のように、国会審議との関連という御議論ももちろん重く受けとめなきゃならぬと思っておりますが、一方において、日々、ああいったところで、郵便局の窓口を持っているところで、膨大な事務になっている中での効率化、簡素化、この背景があったということもお含みいただきたいと思っております。
永田分科員 今、我々が話し合っているこの決算の委員会で、この話し合いというのは、大事な税金を政府が預かって、予算という形で国会に認めてもらって、その支出の結果を国民に説明し、また承認してもらう、こういう大事な場なんです。この場が持たれる前に書類を廃棄するというのは、どんな理由があろうとも絶対に許されることではありません。
 いいですか。事務の効率化、簡素化のために書類を廃棄したなどというのは全く理由にならないんです。例えば、株式会社で株主総会が開かれた。そこで昨年一年間の事業の概要、それから収入、支出等々、決算も承認をいただく。そこで承認をもらう最中に、ここでは事務の簡素化、効率化のために書類を廃棄したので詳細についてさかのぼることができませんなどという話をしたら、一発で役員総辞職ですね。役員は全員首が飛びます。
 そのことを御理解いただいた上で、もう少しまともな説明をいただきたいと思うのですが、もう一回発言してください。
松井政府参考人 先生御指摘になっておられますけれども、基本的には、国の決算に関連する証拠書類については、当然、基本的なもの、必要なものを指定して、そして保存することになっております。私どももその定めに従いまして、会計検査院の方に提出して、会計検査院の方で保存していただいているところであります。
 それはそうでございますが、渡し切り費の、出した文書そのものはもちろんそういうものとして残っております。渡し切り費の先の個々のものにつきましてはそういう扱いになっておりませんで、渡し切りという制度の中で、一般のそういった支出と別の取り扱いになっておりまして、言ってみれば、まさに補助という形で残しているものでございます。それにつきましての処分につきましては、従来から内部的な定め、それから、これは私ども、当時の郵政省のみならず、各省各庁ともに、そういった処分期間等につきましてはそれぞれの長にゆだねられておるというのが国の定めでございます。
 その中で、特に特定局での渡し切りについては、従来、昭和二十二年以降ずっと三年だったわけでございますが、省庁再編の見直しを契機として、そのときに事務の簡素化等を考えて一年にしたということでございます。それで、後ほど具体的に、昨年の秋にいろいろ新聞報道で取り上げられて、渡し切り費の支出のあり方そのものが取り上げられて、そういう中で、会計検査院とのいろいろなお話の中で、何でもそうですが、裁判でもそうですけれども、さかのぼって調べなきゃいかぬことがいろいろあります。そういうことにすべて備えることはできませんけれども、そういう必要があるというお話がありまして、それを踏まえて見直しをしたということでございます。
永田分科員 事務の簡素化、効率化のために一回は一年間にしてもよいという判断をしておきながら、過去にさかのぼる必要性を認めて、改めて戻したということですから、一年間に設定をしたという判断が、そういう意味では誤りだったというふうにお認めになるのが正しいと思いますが、いかがですか。
松井政府参考人 すべて物事は、そのときの情勢の中で総合的な判断になるんだろうかというふうに思っております。
 渡し切り費の使用についての今日の事態というのは、当時は想定されておりませんでした。そういう中で、事務の簡素化ということについて優位に考えて、総合判断したものでございます。その後具体的な状況が出て、また会計検査院の方からのお話もありまして、それを踏まえてやったということで、言ってみれば判断の時点が違っておりまして、その判断の時点における情勢が違っていたというふうに御理解賜りたいと思います。
永田分科員 想定の時点が違って、考える根拠が違ったというお話ですが、しかし、違ったということがおかしいわけであって、過去にさかのぼってやる必要があるかどうかわからない、多分、平成十二年のときにはそうだったんでしょう。一年にしても問題ないというふうに思ったんでしょう。しかし、それは政府の中の話なんですよ。決算が終わっていない書類を捨ててしまうということは、これは不正使用がある疑いがあるなしにかかわらず、常識のことだと思うんですが、いかがですか。
片山国務大臣 委員、こういうことなんです。
 渡し切りというのは、渡し切りの時点で会計上の手続は終わっているんです。だから、いろいろな附帯的な資料を残すというのは、これは内部で念のためにやっているんですよ。法律上はそこまでは求められていないのです。だから渡し切りなんですよ。
 そこで、これは、議論がありますから、本年度からやめたんです。来年から公社になりますから、公社でもやめますけれども、渡し切りというのは、法律上そういう簡易な会計を認める制度なんです、国会の御承認を得て。それはぜひ御理解賜りたいと思います。
永田分科員 私が高校一年生に入ったときに、現代国語の先生が、私たちの行儀の悪さに大変あきれて、愚かな民に辛き政府ありという言葉を教えていただいたんですが、大臣、この意味は御理解いただいていますか。
片山国務大臣 いや、正確には知りませんけれども、何となくわかります。
永田分科員 法律の定めに従った文書はすべて残している。法律に定めのない細かい書類は、これは内部的に念のために保管しているだけであって、それを処分するのは一向に構わない。このようなお話ですが、しかし、であるならば、私たち国民の税金を預かる立法者の立場として、これはすべての書類を詳細に残さなければならないという法律をつくらなければならないという話になっちゃうんですよ。
 愚かな民に辛き政府ありというのは、それは政府が、普通は統治者が定めたルールがある、法律がある。厳し過ぎる場合には、それは政府を恨むのではなくて、自分たち民が愚かでそのような法律が必要だから、やむなく統治者はそのような法律を定めるのであって、ルールを定めるのであって、それは統治者を恨む筋のものではない。自分たちを反省しなさい、そういう言葉なんですよ。
 今、法律に定めのない文書は自由に捨ててもいいんだ、渡し切りだから、これはもう郵便局の方に渡った段階で、そこから先、国としては納税者に対して責任を負う必要はないんだ。このようなお話をするのであれば、これは辛き政府ありです。厳しい法律を定めなければならないと立法者の立場で判断するのですが、お答えはいかがですか。そうしてもいいんですか。
片山国務大臣 だから、そこが接点が要るんですよ。もう何でも残せということだと、これは大変なことになるんですよ。だから、事務の簡素化と公平の確保と国会のチェック、そういうものの接点をどこで考えるかということなんで、そこで、法律上は渡し切りした時点で会計法上の手続は終わっているんだけれども、我々としては三年間今までは保存してきたんですよ。
 ところが、省庁再編もあるから一年でもどうだろうか、こういうことにしたんだけれども、会計検査院のお話もあるから、もとの三年に返した。こういうことなので、我々はどうにかしようというようなことを実は考えていないので、そこで国会の方でも、会計法ではこういう渡し切りという簡易な会計処理の方式を認めますよ、その中で特定郵便局ほかそういう独立したようなものについては渡し切り制度を認めているんですから。一年で、渡し切りの時点で全部処理が終わっているから、後は知ったことではないと一つも考えていない。だから三年保存しておったんですよ。ぜひ御理解賜りたいと思います。
永田分科員 報道によりますと、渡し切り費によって政治家のパーティー券を購入したというようなことも明るみになっておるんですが、第五局長、この事実を確認したいのと、あと大臣、副大臣におかれましては、渡し切り費からパーティー券を買ってもらったことがあるのかどうか、事実をお答えいただきたいと思います。
円谷会計検査院当局者 渡し切り費の個々の使途につきましては、昨年ああいう報道がされましたので、全体的な問題は昨年検査報告に掲記したんですが、個々については本年度検査をやっておる途中でございまして、まだそういった事実は個々に確認はいたしておりません。
片山国務大臣 私は、渡し切り経費でパーティー券を買ってもらったことはありません。
佐田副大臣 大臣の言われたとおり、私もございません。
永田分科員 しかし、調査の中でそのようなことが明らかになったということが報道もされておるわけで、恐らく事実でありましょう。
 そのような不正な使用が少なくとも調査をされた期間であっても起こっているわけですから、その前について、政治家のパーティー券に限らないでしょう、いろいろな疑義を持たれるような支出があった可能性は否定できないと思うんです。それを現時点においてさかのぼって調べることは、今残っている書類で可能なんでしょうか。もしも御存じでしたら、局長及び大臣、副大臣から答弁をお願いしたいと思います。
松井政府参考人 委員御案内かと思いますが、このたびの監察による調査で平成十二年度と十三年度の前半期について、全国の特定郵便局の、特推連の会長局二百三十八局全部について調べました。その中で、全国トータルで七十万円というパーティー券の購入があったということがわかっております。
 ただし、その前につきましては、十一年度以前につきましては、先ほど申し上げましたように、監察による調査というのは具体的な事実に基づいて、司法警察権を持っている調査でございますので、捜査に至るような調査でございますので、事実に、ファクトに基づいて積み上げていきます。そういう手法からして、それは無理だと考えております。
永田分科員 七十万円のパーティー券購入があったということですが、だれのパーティー券ですか。
松井政府参考人 パーティー券の渡し切り費の不正使用による購入先につきましては、これはパーティー券に限らないんですが、その使途先につきましては、それぞれの方の、売られた側のお立場というのは、別にそういうふうな不正だという認識がないと思っておりますので、一般に、政治家のみならず、そういった第三者に対して使途先を申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと思っております。
 それから、具体的な調査の過程でも、そういった協力もいろいろしていただいております。文書による照会あるいは直接訪問による調査、そういうこともやっておりますが、公表ということを前提にしておりませんし、そういう了解も得ておりませんので、差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
永田分科員 驚くべき答弁であります。
 過去に使った税金を、このように使ったから決算を承認してくれと国会で議論をしている場で、税金でパーティー券を買われたという事実を明らかにしておきながら、その先はどこだかわからない。国会議員というものは、まあ国会議員じゃないかもしれません、政治家というものは、皆さん税金で歳費をもらい、そして仕事をしているんです。さらにそれに加えて、税金でパーティー券を買わせるという事実が明らかになっておきながら、どこに売ったか説明する義務を負わないというのは、僕は全くおかしな話だと思います。もう一回機会があったら答弁をお願いしたいと思います。もう一回どこかでお話をしてください。
 さて、平成十年と十一年の渡し切り費の予算と決算の額はお幾らですか、総額で。
松井政府参考人 ちょっと手元に数字がございません。後ほど、探してから、また答弁します。
永田分科員 第五局長、済みません、お願いします。
 平成十年と十一年の渡し切り費の使途について、今のような政治家のパーティー券を買うとか、あるいは、聞くところによると、どこかのジュエリーショップで宝石を買ったとか、そういうような話も出ているわけですが、このような極めて疑いの深い、疑義のある使い方をさかのぼって調べようと思うと、現行の書類だけではどうやら難しそうだと思うのですが、今残っている書類だけでもそれは可能ですか。
円谷会計検査院当局者 ことしの二月に三年保存ということで、とりあえず十二年と十三年度分の検査ができるということになりましたので、そういうことで、今回、一月から検査を続行しております。その範囲ではわかるかと思いますが、それ以前にさかのぼるということは残念ながらできないということだと思います。
永田分科員 今第五局長がおっしゃったように、調べる上で大変困難な状況にあるわけですよ。これは、恐らくこのままいくと、この決算は国会としては承認するようなことになるかもしれません。しかし、承認されたからといってこの問題が終わるわけではないんですね。やはり、一たん保存期間を一年に定めて書類を廃棄したということは、その判断自体が正しかったかどうかということを問わなければならない話なんですよ。
 なぜかと申しますと、保存期間を一年に定めた瞬間、その判断というものは実は部長が決裁をしていますね。最終決裁者は部長だというふうに聞いています。大臣官房の財務部長が最終決裁者となって決裁をしたと。つまり、大臣の判断はここにはないわけですよ、実は。僕は、こういう重要な書類についてはまずは大臣決裁にするべきだなというふうに考えます。
 それからもう一つ、当然、会計検査院にもこの保存期間は何年にするからというようなことをお伺いを立てる必要があると僕は思います。さらにさらに、やはり、どんなふうに保存期間を定めようとも、国会で決算審議が終わるまではあらゆる書類を残しておく、これが僕は常識だというふうに思うんですが、そのように制度を改めていただく考えは総務大臣にはありませんか。
片山国務大臣 今、委員いろいろ言われますけれども、恐らく当時の郵政省のこの権限配分では、部長でそういう判断ができるということだったと思いますね。その辺は議論があるかもしれませんよ。ただ、渡し切り経費は昨年度でもう全部やめたんです、交付は。新年度から、ちゃんとした会計、渡し切りでない、簡易な方法でない会計手続に従うことにいたしましたので、今の委員の御意向はしっかり受けとめて今後の会計処理に生かしたい、こういうふうに思っております。
松井政府参考人 先ほど答弁できませんでした十一年度と十二年度の渡し切り費の予算、決算について御報告申し上げたいと思います。
 まず、予算ですが、十一年度の渡し切り費の計は一千四十四億円でございます。それから、十二年度は九百九十三億円でございます。
 次に、決算を申し上げます。九年度の決算は、渡し切り費で九百七十六億円でございます。それから十年度――申しわけありません、今、十一年度、十二年度という御質問でございました。十一年度の決算は、九百四十三億円でございます。それから、十二年度の決算が九百十二億円でございます。
永田分科員 質問は十年と十一年の数字だったんですが、まあいいでしょう。
 このような巨額の予算ですよ。国民に対してどういうふうに使われたかということをきちっと説明する義務があるのは、これは僕は明らかだと思うんですね。正直申し上げて、このようなずさんな管理体制をしく役所に国民の大事な税金を任せることはできないと僕は思います。それでは国民に対する責任が果たせません。大臣、おやめください。辞職なさって、私がかわってあげますから、そこできっちりした管理体制をしきますから。きっちりした管理体制をしく気がないのであれば、ぜひおやめいただきたいんです。
 何しろ、大臣は先ほど、当時は郵政省の部長が決裁する権限があったというふうなお話をなさいましたが、今でもそうなんですよ。平成十四年に三年間に直したのも、これまた部長なんです、決裁は。これじゃ国民に対するその責任が果たせませんよ。ぜひ、制度を変更なさるか、ないしはおやめいただくか、どちらかを選んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 まあ大臣の任免権は総理にありますからね。ひとつその辺はよくお考えで御質問賜りたい、こういうふうに思いますね。
 その文書の保存をどうするかというようなことまで全部大臣といったら、大臣はいろいろいっぱい仕事があるんで、そこは大臣の意向を聞きながら部長がやるということがあってもいいんで、何でも大臣というわけにいきませんよ。まあ、役所におられた方ですからよく御承知だと思いますけれどもね。
 いずれにせよ、この渡し切りについてはいろいろな御議論があるから、十四年度からはこれはやめたんですよ。だから、今後は国民にそういうことでいろいろな疑惑を持たれないようなしっかりした会計処理をいたしたい、これが私の責任だ、こう思っております。
永田分科員 まあこの話、大変長く続く話で、これからも続けていきたいと思いますが、仮に決算が承認された場合であっても、この問題は決して終わりになりませんので、ぜひしっかりと準備をして今後の審議に臨んでいただきたいと思います。
 さて、残り五分になりましたから、NHKのお話にも戻したいと思いますが、今までずっとNHKの方々とはお話をしてまいりました。そして、先日の総務委員会でもお話をさせていただいたんで、一足飛びに本題に入りたいと思います。
 NHKの子会社、これは役員のほとんどがNHK関係者で占められている、このような事実が明らかになっておりますが、この関連会社の役員体制、常日ごろから、この関連会社、子会社を使ってNHK本体の業務をスリム化していくことは、これは国会の審議から出てきた話であると。確かにそれはそうかもしれません。しかし、子会社の役員の大半をNHKの関係者が占めるということは、これは国会の意思とは全く無関係のもので、NHKがみずからの意思を持ってそのような体制をしいているものというふうに理解しますが、事実関係はいかがでしょうか。
佐田副大臣 先生の御指摘ありました関連企業でありますけれども、先生御案内のとおりNHKは特殊法人でありまして、そしてまた、子会社にというか、出資するにつきましては、放送法の九条でしっかりと決まったところに出資するという形になっております。それはもう非常に関連性が高いわけですね。非常に関連性が高いからこそ、NHKの方々で非常にベテランの方々が行っているということはあろうかと思います。
 ただ、子会社の方につきましては、これはもう完全なる民間法人でありますから、その中の役員につきましても商法に基づいてしっかりとやっている、こういうふうに認識しております。
永田分科員 資本関係があり、役員が関連の人たちで占められており、そして、取引の多くがNHK向けであるということを考えると、これはもうNHKがほとんど支配しているというふうに考えるのが普通なんですよ。そこで自主的に経営が行われているという詭弁はここでは通りません。
 ですから、これはNHKの一部が事実上民間企業の方にはみ出しをして、特殊法人という枠を超えてはみ出しをして、そしてそこで好き勝手な営利活動をやっている。そこに受信料収入から来る取引の決済代金も支払われ、そしてそこで利益も上げている、自主的な事業でも利益を上げている。このような支配関係にあるというふうに考えるのが普通ですが、そのような指摘を受けてもまだ副大臣は、これは自主的な民間企業で自主的な経営がなされているというふうにお考えですか。
佐田副大臣 そういうふうな観点もあろうかと思いますけれども、やはり国民の知る権利であるとか国民の利益になる方向でやっていかなくちゃいけない、こういうことを考えますと、ただ、やはり受信料で成り立っておるという公的な立場を考えたときに、先ほども申し上げましたとおり、放送法九条におきまして、何でもかんでもやっていいということじゃなくて、きちっと補完的な要素、この間もインターネットの話が出ましたけれども、これがデジタル化の話になって、それが本当の意味で国民のためになって、かつ補完的なものに限られてこの出資が行われておるわけでありますから、そういう意味においては私は問題はないんじゃないかと思っております。
永田分科員 もう一人おやめいただかなければならない方が出てきました。その認識ではだめですよ。
 いいですか。関連会社で、NHKの関連の仕事をしているのは、実は関連会社の事業のうち一部なんです。全部じゃないんです。それ以外の部分もあるんです。附帯業務として認められていないものもあれば、全く自主的にやっている、いわゆる自主事業と呼ばれるものもあるんです。
 では、その自主事業の部分は、受信料収入とは関係なくやっているのか、あるいは放送法九条と関係なくやっているのか、経営判断は全くNHKとは別に行われているのか。そんな詭弁は通りませんよ。だって、役員構成見れば明らかじゃないですか。役員はNHKの関係者ばかりなんですよ。その人たちが、今はNHKの関係者としてNHKと関連のある仕事をやっている、今はNHKとは関係ない立場で自主事業をやっている、こんな詭弁が通るわけないじゃないですか。
 認識が甘過ぎますよ。子会社に広がっているやみの深さの認識が全然違います。そんな認識で仕事をなさっているのならば、一刻も早くこれまたおやめいただかなければなりませんが、手が挙がっているようなので、どうぞ。
高原政府参考人 委員、今のお話でございますけれども、子会社の業務範囲というのは決まっておりまして、先般、子会社の業務範囲に関するガイドラインというのを我々総務省として示したところでございますが、原則として、放送法施行令二条、これは出資対象業務でございますが、その出資対象業務に定める事業を原則とするということでやっておるところでございます。無原則に業務が広がっておるわけではございません。
佐田副大臣 やめる、やめないの話は、これは別として、先生の言われた、要するにNHKの出身の方が多い、これは非常にまずいんじゃないか、こういう話でありますけれども、今も局長の方からありましたように、業務は完全に、子会社というのは出資が半分以上というのは、基本的にそういうふうな形になろうかと思いますけれども、その中で、やはり人的な問題というふうになりますと、これはやはり、先生も御案内のとおり、非常に特殊な業務でありますから、そういう中において、なれた方々がそこに入るというのは決して大きな問題をはらんでいるということにはならないと私は思っております。
永田分科員 大きな問題をはらんでいるんですよ。現実に調べていただきたいと思います。
 最後、時間が来ましたから、ぜひ会計検査院にもお願いをしたいんですが、あるいは大臣にもお願いしたい。
 これは、子会社もこの間連結決算ということが導入されるようになったようですが、ぜひ会計検査が及んで、そして情報公開の範囲も本体並みにやはりなされる。本当はそれ以上してほしいんですけれども、なされる。このようなことがなければ、受信料で成っている話ですから、これは事実上税金みたいなものですから、取られている側としてみれば。ですから、適正な取り扱いに努めていただきたいと思います。
 その際、民間の公認会計士からも監査を受けているとか、そういうようなことは言いわけにしかなりません。これは、適正に経営が行われている、効率的に経営が行われているということの理由ではなくて、単なる言いわけにしかなりませんから。やはり、国民視聴者の利益を代弁するところの国会議員の目にさらして、そして疑義なしと言われて、初めて胸を張っておれたちは立派にやっているんだと言えるのであって、自己満足に陥ることのないよう、制度改正も含めて御要望をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
持永主査 これにて永田寿康君の質疑は終了いたしました。
 次に、山村健君。
山村分科員 このたび、決算の分科会ということで、再びまた片山大臣にお目にかかれることを非常にうれしく思っている次第です。
 といいますのも、私、二〇〇〇年の六月、初当選させていただいて以来、逓信委員そして総務委員と、IT、放送というような畑を主に歩かせていただいていたわけです。この一月から経済産業委員会ということで、基本的には同じようなことをさせていただいておるんですけれども、やはりどちらがといいますか、すみ分けということを考えましたときに、いわゆる技術的な部分、ハード面というのが、きょうは郵政省管轄になるわけですけれども、総務委員会、そして非常に身近なところで、ソフトの部分といいますか、そういう方面が経産省というようなすみ分けなのかなというふうに私なりには理解しております。
 今回もといいますか、この国会始まる前から、実は昨年の秋の国会に引き続いて、地上波デジタルの問題であるとか放送行政、IT行政というものをもう少し深く掘り下げてみたいなというふうに思った次第で、きょう、この場、お時間をいただいた次第なんです。
 昨年の秋にも同じような趣旨で質問に立たせていただいたんですが、昨今、また地上波デジタルについての問題がいろいろ出てきておりますが、いわゆる見積もりが甘かったであるとか、どうなんでしょうね、具体的にそういう数字は調べてはいないんですけれども、本当に二〇一一年にすべてテレビがデジタル化されてというふうに思っている国民の方が少ないんじゃないかなというのが私の受けた印象なんです。
 デジタル地上波の、今、主に送信設備の部分だと思うんですが、いわゆる三大都市圏、来年には実施されるわけなんですが、その進捗度合いというのをお聞かせいただきたいんです。
佐田副大臣 今マスコミで不安説みたいなことを書いている方もいらっしゃいますけれども、一切そういうことは我々は申し上げておりませんし、二〇〇三年、今、先生も言われました、二〇〇六年、そして二〇一一年には停波をしてデジタルに移行する、この方向は全く変わっておりません。
 ただ、アナ・アナ変換の費用につきまして変化があったというのは、先生も御案内のとおりで、日本の地形というのは非常に複雑でありまして、私の住んでいる関東の方であるとか非常に山間部が多かったり、九州の方に非常に電波が込んでいるところがありまして、計算違いがあったことは事実でありますけれども、そういうことはとにかく、各地域地域で全国地上デジタル放送推進協議会を全国につくりまして、できるだけ早くそういう解消をしていきたい、こういうふうに思っております。
 したがって、いろいろな方法がありますけれども、ケーブルであるとかセットトップボックスを使うとかいろいろなことを今考えて、日程は変えないでしっかりとやっていきたい、かように思っております。
山村分科員 今、現状、一番問題になっているのが、今言われましたアナ・アナ変換ということをいかに進展していくかということだと思うんですけれども、実際、我々が思う部分からしますと、本来ですと、来年から始まるのであれば、いわゆる新しいテレビ塔がどこへどのぐらいの高さで建つんだというようなことが全くまだまだ目に見えてあらわれてきていない、そういう現状の中で、果たして大丈夫なのかなという心配を持つんですが、いかがですか。
高原政府参考人 二〇〇三年には、関東、中京及び近畿広域圏で地上デジタルを始めようということで、今進んでおります。そういうところで、NHK及び民間放送事業者がデジタル放送開始に向けて、今取り組んでおります。
 それで、今、先生お尋ねのテレビの鉄塔の件でございますが、まず、関東広域圏におきましては、現在の東京タワーを利用するということになっておりまして、そのための準備を、今、先ほど申し上げたような関係者の間で進めております。
 それから、中京の広域圏、これも二〇〇三年放送開始に向けて愛知県瀬戸市に鉄塔を建設しようということで進めておりまして、これは二〇〇三年秋ごろに完成ということで、今進んでおります。
 それから、近畿の広域圏でございますが、これは現在、生駒山に各社がアナログ用のテレビ鉄塔を持っておりまして、これをそのまま利用するということで、今進んでおります。
 そういうことで、鉄塔については心配ないものというふうに理解をいたしております。
山村分科員 ということは、用地買収等々の問題というのは全く心配しなくていいということですね。
高原政府参考人 先生がおっしゃるとおりでございます。
山村分科員 東京タワーを利用する、生駒山の山頂をそのまま利用していくという、既存のものを活用していくということはわかるんですけれども、いま一点気になるのが、瀬戸市といいますと二〇〇五年の愛知万博の会場にもなるところなんですが、この辺のいわゆる環境アセスといいますか、そういうものは大丈夫なんでしょうか。
高原政府参考人 現在のところ、特段、先生、今おっしゃったような関係で紛争が生じておるというようなものは、私ども、きっちり理解はいたしておりません。
山村分科員 次へ移りたいと思うんですが、具体的な心配事としては、送信設備等々の部分で、タワーの件が一番私も気がかりになっていたんですが、肝心の放送局自体の経営といいましても、ちょっとまたここへ来て民放局等も持ち直してきているような状況がございます。
 ただ、これは去年の秋にもそういうような質問をさせていただいたんですけれども、この計画といいますか、出たのが、審議会から答申があったのが九八年というふうに聞かせていただいております。その後に、結局、二十一世紀、いわゆるIT技術を、インフォメーションテクノロジーというんですか、IT、e―Japan構想であったりとかということに同じように含まれてしまっているのかなというふうに思うんです。
 別件ですけれども、先ほどの永田議員の質問に対しまして、松井局長が、この言葉をそのまま利用していいのかどうか別なんですが、その時々の状況で総合的に判断するというような答弁もあったんです。私は、本当に心配しているのは、先ほど副大臣は計画どおり進めますと力強くおっしゃっていただいたんですけれども、ほかの状況といいますか、IT関連、今のインターネットの普及率であるとかiモードの普及率であるとか、いわゆるiモードというものは九八年にはなかったと思うんですよ。
 携帯電話だけしかなくて、携帯電話に対してのことは決めていたと思うんですけれども、同じ携帯電話の中で、いわゆるiモード、インターネットというような概念というのは、全くない状況からぽこんと出てきて一気に広まって、それが国民のほとんどが、今、卓上のコンピューターでインターネットにアクセスする数より、iモードを通じて携帯電話からアクセスする数の方が倍近くあると思うんです。その辺の事情を考えたときに、このまま地上波デジタルでいってしまっていいのかどうか。
 その疑問の大きな要素といたしましては、一昨年の十二月ですか、始まりましたBSデジタル放送というのが、一千日一千万件ですか、そのような目標を掲げられたと思うんですが、BSデジタルの普及状況といいますか、それも含めてちょっと教えていただければと思うんですが、いかがですか。
高原政府参考人 BSデジタルでございますが、先生おっしゃるように、平成十二年十二月から開始をされておりますが、平成十四年三月末で二百六十六万世帯が視聴いたしておるところでございます。
山村分科員 このままのペースで、一千日で一千万という数は達成できそうなんでしょうか。いかがですか。
高原政府参考人 今申し上げましたように、平成十二年十二月から、今、一年四カ月後に二百六十六万世帯ですから、ほぼ、かなりいいペースで進んでおるのではないかというふうに考えております。
山村分科員 私が先ほどの地上波デジタルの件もあわせて思った部分といいますと、今総務省の推進している政策の中で、いわゆる地上波デジタルの部分、例えばBSデジタル、そしてこの四月に放送を開始しました、三月からですか、百十度のCS放送、それ以前からあるCS放送等々、放送関係においても、当然既存のアナログ放送があるわけなんですけれども、四つの方針といいますか方向性で、道で進んでいると思うんです。
 そのうちのアナログの放送というのは二〇一一年に停波、サイマル放送というのは停波して、すべてがデジタルに移行するという計画なんですけれども、それと相まって、ケーブルテレビ、CATVであったり、いわゆるブロードバンドと言われる、インターネットを通じての放送なのか情報なのか、どちらともとれるような方法というのは、ここ近年というよりも、本当にここ数カ月の間に倍々ゲームでふえてきているわけなんです。
 先ほども申しましたとおり、その時々の状況で総合的に判断する、いわゆるマウスイヤーというような時代になってきている、この電波、いわゆるデジタル関連の政策についてなんですけれども、本当に九八年の答申のまま進められていいのかどうか、もう一度、これは大臣に確認したいんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 国会でもいろいろな御議論を賜っておりますが、我々としては、デジタル放送のメリットを十分認識しておりますし、よその国の動向、今後のあれを考えると、やはりデジタル化は、私はもうこれはどうしても必須の方向だと思っております。二〇一一年からということで電波法の改正も去年国会でお認めいただきましたので、いろいろな状況はよく考えなきゃいけませんけれども、とにかく、来年から三大都市圏で始めてもらって、始め方については、エリアを見直すとかあるいは混信しないような方法を考えるとか、いろいろな工夫はしてもらわなければなりませんが、いずれにしても、来年中に始めてもらう、二〇〇六年からその他の三大都市圏以外でも始めてもらって、最終は二〇一一年、こういう方針は全く変えておりません。
 そういう意味では、状況は見ていきますけれども、私は、我々が決めた今の方針で適正ではないか、こう思っております。
山村分科員 副大臣、大臣ともども本当に力強い発言をいただいているわけなんですけれども、ここで私、ちょっと離れますけれども、疑問に思う点といいますか、そのままできればそれはそれでよしとして、今まで本当に片山大臣の場合は、去年、おととし、非常に歯切れのいい、はきはきとお答えをいただいたもので、私は質問に立っても、野党でありながらいつも与党側の質問になってしまうな、大臣のペースに巻き込まれるなと思ってはいたんです。
 これは、片山大臣、佐田副大臣だけに限らず、今いろいろな方面で、政治家というものの存在といいますか、政治不信というような言葉で、本当に耳にたこができるほど、ここ二、三カ月の問題だけじゃなく、ずっと続いてきていると思うんです。
 その原因の一つというのが、本当に責任ある立場におられる方が、はっきり言いましたら、大臣という職責が、一年やそこらでころころとかわってしまって、その時々で決めた政策に対して全く責任というものが問われてこなかったということにあると思うんですよ。
 そういう意味合いから、これは、大臣の場合参議院で、非常に失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、私自身、代議士という言葉、衆議院議員の場合いただいているんですけれども、代議士というのは一体何なんだと問われたときに、やはり参議院は、もともとが、生い立ちが貴族院というところから、有識者の大所高所からの意見をいただく院であって、衆議院というのは、もともとが、言ってみたら、どんな平民であったとしても、いわゆる選挙によって選ばれれば、住民を、有権者を代表して言葉を吐くことができる。
 ただ、私が非常に気に入っている点というのは、代議士というのは、代わって議論をする士と書くわけなんですよね。日本人のというよりは、日本男児のと言った方がいいのかもわかりませんけれども、たとえ部下のやったことでも、それが汚名であったとしても、昔の日本人の心意気というのは、みずから切腹をしてといいますか、そのような責任のとり方というのをやってきたからこそ、ある意味、一般庶民から、有権者から尊敬というのも集められたと思うんです。
 話はちょっと横道にそれましたけれども、そういう意味合いからしますと、大臣、副大臣、大臣はそれは代議士という言葉はおいておいてなんですけれども、大臣という立場で、二〇〇三年、二〇〇六年、二〇一一年、これらの地上波デジタル、あとBS、CS、ケーブルテレビ、その他もろもろの政策というのが、このままいつまでも進められるというのか、あるときにそのときの状況判断で変える可能性もあるかどうかということを、この場で明言いただきたいんですよ。
 もしならないときには、それこそ先ほどの永田議員じゃないですけれども、身の処し方というのはまた考えていただくぐらいの気概を込めて、推し進めるなら推し進める、途中で見直しもあるかもねというのなら、それはそれで私はいいと思うのですよ、環境に合わせて。その御答弁を願いたいのです。
佐田副大臣 本当に先生の言われるとおりだと思います。私は昔、随分、ずっと郵政をやってきたのですけれども、電気通信関係というのは完全に目に見えませんから、非常に複雑な部分もあるのです。そしてまた、例えば、今モバイルがこれだけ制覇して、固定電話がどんどんだめになっちゃう、それでまたインターネットでADSLがどんどん進んで、こんなことは十年前だれも想像はしなかったです。先生の言われるとおりだと思います。であるからこそ、我々が政治の立場として大きな方向をつくっていくということは、責任を含めて非常に重要なことだ、私はそう思っております。
 昔、放送と通信の融合という話があります。これが大きな流れなんですね。そしてハードとソフトは一体だ、こういう大きな中で、昔はITと言わないで、マルチメディアと言っていたんですね。それで、いろいろなことを考えて、いろいろなところに手を出したりいろいろなことをやる中において、例えばデジタルみたいな形で、テレビや放送だけじゃなくて、要するに、いろいろな通信のツールもあるんだなということがいろいろ出てきた。そして、これからブロードバンドでケーブルテレビなんかもあるわけでありますけれども、では、どういうふうにこれからやっていくかというのは、その時代時代で何が先頭を切っていくかということはわからないです、先生確かに。でも、国民の利益に即して大きな筋道をきちっとやっていく、守っていくというのは、私は、大事なことだ、先生言われるとおり非常に大事なことだ、こういうふうに思っています。
 ただ、大きな流れの中で時代時代で変えていくということは、必要だと思いますね。ただ、この方向性の中で、デジタルを二〇〇三年、二〇〇六年、二〇一一年と、今のところきちっとこれを進めていくということが一番の、最上の方向であると我々は考えております。
 以上です。
山村分科員 力強い発言をいただいたわけなんですけれども、これで、いわゆるメーカーにしても、受信者である一般の生活者にとりましても、その方向というのは揺るぎないものなんだなということは、ある意味、安心できると思うのです。本当に突発的な、昨年の九月十一日のような不幸な出来事等々が世界のあちこちで起こったりとかすれば、それはまたスケジュールとしては何らかの影響を受けるというのは、いたし方のないことであるのです。
 ただ、今度は、これはどちらかというと、総務省の管轄というより経産省の管轄なのかなというふうにも思うのですが、地上波デジタルに変わったときに、私は、今のいわゆる民放に限って言えば、コマーシャルも、時間帯をスポンサーが借りてといいますか、出向してというような営業形態という方向ではないと思うのです。といいますのは、最近のテレビ、特にニュース番組なんかですと、ブラウン管の左側に天気予報、下にテロップの文字ニュースが流れたり、多重的な、アナログの中でもそのような使い方をされておるわけなんですけれども、デジタル放送に移行するということは、それが本当にもっともっと多重で、いわゆる一つの画面で三つ四つ当たり前に見られるというような形になっていくと思うのです、技術的に。
 そうなったときに、一つの方法として、これは個人的に、それはビジネスプランといいますか、そういうのをうたってビジネスモデルの特許でもとったらいいのかなというふうにも思うのですけれども、結局、いわゆるインターネット上で言われるバナー広告的な、スポンサーが常に下についていて、それに対してクリックといいますか、ボタンになるんでしょうけれども、すれば、一画面がそこのコマーシャルをもっと詳しくテレビでカタログが見られるというような方向性で、今のように本当に全面コマーシャルに変わってしまってというような形でなくなるというふうに私は思っているんですね。そういうような観点からしますと、放送と、副大臣おっしゃられました情報通信、いわゆるインターネットの世界とという境目というのがなくなると思うのです。
 それともう一点、地上波デジタル放送というのが始まったときには、電波というものはそれこそ目に見えない状態ですので、いわゆる放送の電波であっても、通信の電波であっても、また逆に、上り下り、双方どちらであったとしても見えない状態なんですけれども、ボタン操作一つで、キーボード一つでそれぞれ情報がやりとりできるというようなことになります。そういう観点からしましたら、一刻も早く、構想という形で放送と情報通信の融合化法案というような形のものを、少なくとも二〇一一年までには、総合的に、BSもCSもインターネットも、光ファイバーだ、ADSLだ、ケーブルテレビもということをすべて含んだような大きな法律というのをまず制定すべきじゃないかなと思うのですが、いかがですか。
佐田副大臣 本当に先生の言われるとおりです。我々もそういうふうな形を目指して、インタラクティブな関係をつくるためにデジタルがあるわけでありまして、その必然性があるわけであります。したがって、将来に向けて、放送のような一方方向だけではなくて、クリックして違ういろいろなデータを見ることができる、これがインタラクティブな放送というか通信になってくるわけですけれども、先生も言われるとおり、法整備というのは非常に重要なんですね。
 放送の場合は、あまねく皆さんにできるだけ見ていただいたり、聞いていただいたりする。ところが、通信の場合は原則は一対一ですから、そういうことを踏まえると、法整備をきちっとやっていかなくちゃいけませんし、あともう一つは、セキュリティーの問題も出てくるわけであります。
 また、先生の言われたとおり、往復の問題だとか電波であるとか、合体できるところは合体できるんですね。例えば、線で、光ファイバーの中には放送のための信号もあるし通信のための信号、これは合体してもいいわけですから、そういうふうな規制緩和もしていって、やはり二〇一一年に向けて、先生言われるとおり、それはしっかりと、法整備やら、そういうハードの部分、ソフトの部分も整えていかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。
山村分科員 まさしくそのとおりだと思うのですけれども、これは本当に失礼な言い方になるかもわかりません、小泉総理がいまだに構造改革なくして成長なしと唱え続けられているんですけれども、我々はもうずっと改革後のビジョンを示してくれというようなことを言い続けてきたわけなんです。
 ここで大臣に提案があるんですが、一番そういう意味ではわかりやすいのが、ここ一年ほどの間の急速なIT化という中で、いわゆる放送と情報通信というものがなし得る、十年切りましたけれども、二〇一一年までの具体的なビジョンというのを、これは経済産業省等々他の省庁にもまたがってくるとは思うのですが、どういう社会になっていくんだということを、まず本当にイメージ的にわかりやすく伝えていただきたい。
 いわゆるBSデジタル放送であったり、各種のテレビの既存のメディアでそれぞれコマーシャルというのはやってはいるんですけれども、全体としてインタラクティブな社会がどうなっていくかとか、そういうような話というのは全体としてはないと思うのですよ。携帯電話であったりとか目につくところから、本当にいつの間にかだれもが利用できて、当たり前のように一人に一台電話を持っているという時代になってしまったと言っても過言じゃない。
 そういう意味合いから、去年ですか、大臣に、小泉内閣後にすぐに、大臣が留任されたときに、私は、大臣は改革派ですかそれとも抵抗勢力ですかというふうな質問もさせていただいたんですけれども、改革を推し進めるためにも、この任期中といいますか、早い段階で、いわゆる片山構想なる目に見えるような形、法案までいかなくても、情報通信、放送の分野におけるものというのを御提示いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 大変適切なというか、重要な御指摘を賜りました。
 今、通信の方は、例のe―Japan戦略だとかアクションプランだとか二〇〇二プログラムだとか、いろいろなものがありますね。二〇〇五年までに世界で一番進んだIT国家にする、そのためにはブロードバンドを推し進めるとかそういうあれはあるのですけれども、放送の方が、今言いましたように、とにかく一一年までにデジタル化するということだけなんですね。ブロードバンド時代で、お互い融合してきたときの放送のあり方というのがおくれているんですね。
 そこで、せんだって、半年ぐらい前に、ブロードバンド時代における放送のあり方という懇談会をつくりまして、今、大勢の有識者の方に集まって議論をしてもらっているんですよ。そこで一定の方向づけをしてもらおうと思うのです。その上で、放送と通信の距離が近づいてきますから、性格は違いますよ、性格は違うけれども、近づいてくるし、ダブるところもありますので、そこで、通信と放送をどうくっつけながら仕分けしていくか、その連携と分担の関係を私は方向を出すべきだと個人的に考えております。
 その意味で、今、委員が言われたように、新しい通信と放送のビジョンを今後検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
山村分科員 本当に、片山私案なるビジョンというのを示していただきたいと思いますので、早急にお願いします。
 時間も迫ってまいりましたので最後になるのですけれども、これは非常に細かい話といいますか、現実のレベルの話で、最後に一言だけ、その対策、対応というのをお示しいただきたいのです。
 実を言いますと、私の地元の三重県は、先般、先輩である伊藤忠治議員の方からも、いわゆるケーブルテレビ、CATVの普及率がもう八〇%を超えているような地域でございます、加入者のエリアでいきますと。以前は、一行政区に一法人といいますかテリトリーが決まっていたのが、広域化されることによって非常に利便性は高くなったわけなんですが、先ほど大臣言われました、大臣言われましたといいますか、いろいろな状況の中で、昔からの難視聴地域に、海辺の断崖絶壁でどうしても電波が入りづらいところが難視聴地域で、いわゆる共聴というのをやっております。その共聴の事業者、組合になってはいるのですけれども、地元の電気屋さんが何軒か集まってそのメンテナンスもやっているのですが、そこのエリアにも都市型のケーブルテレビが営業攻勢という形で入ってきたという時点で、そこで問題が出てきたわけなんです。
 では、全部が全部、今は行政の助成金等々で、非常に安い金額でその都市型のケーブルテレビに移行しようとしているわけなんですが、既存のケーブルテレビ局にしてみますと、単にテレビを見るだけなら今のままの管理費で大丈夫だけれども、いわゆる自由競争的に、今は安い価格帯で来ても、他の都市は同じケーブル会社が、一月はっきり言ったら三千円なんですけれども、それを千円でやりますという形で、いわゆる加入金も要りませんというような条件で来てしまっておるのです。入った途端に、いわゆる既存の共聴の組合と契約が切れた段階で一斉に月々三千円だどうのこうのという話になるんじゃないかというような話を聞かされたのです。
 もう一点が、もしそうなったとしたら、基地局から当然、幹線を引っ張ってそれぞれの地区で分配するわけなんですが、難視聴地域で幹線が台風だ何だ自然災害で切れてしまったとき、テレビをつけても、いわゆるアンテナを上げても映らない地域ですから、そういう場合のバックボーンといいますか、その対策というのは、やはりある意味、行政主導で、いわゆるあまねく受信できるような体制というのは必要じゃないのかなというふうに、私自身は個人的にその話を聞いて思ったのですけれども、その辺の対策というのはどうなっているのでしょうか。
高原政府参考人 今、先生がおっしゃいましたように、CATVは、BSとかCSあるいはこれから地上デジタルの受け皿として、要するに、ブロードバンド化への対応あるいはデジタル化ということでかなり大規模な投資を迫られております。
 そういう関係で、また行政の方も規制緩和をいたしましてMSO等を認めるということになっておりまして、地域でかなり自由に営業展開ができるということになっておりますので、今、大規模施設が小規模施設をつなぎ込んだり、あるいは合従連衡の動きがかなり活発化しておるというふうに認識をいたしております。
 先生おっしゃいましたように、価格の面で、後から価格を上げるとかいろいろな動きがあるのかどうか、まだ我々、把握をいたしておりませんけれども、基本的には、その辺は自由競争ということになっておりますので、そこの点について、事業者間の競争を促進する観点から、特に今個々の事業者についてどうこうしているという段階ではございません。
 ただ、先生おっしゃいましたような問題がございましたら、いろいろまた対応してまいりたいと思いますが、大きな方向性といたしましては、今申し上げましたように、CATV事業者そのものが非常に大きな設備投資をこれからデジタル化に伴って強いられますので、やはり規模の利益といったようなものがどうしても働いてくるという面は否めないものではないかというふうに考えております。
山村分科員 時間が参りましたので、終了させていただきますが、ぜひともその対応をお願いいたします。
持永主査 これにて山村健君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤島正之君。
藤島分科員 自由党の藤島正之でございます。
 きょうは、IT政策について幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず、ITについては小泉内閣の一つの大きな柱だったと私は認識しておるんですが、最近余り声が聞こえなくなってきているんですが、総務大臣にお伺いしますけれども、IT政策についての考え方、あるいは今後、予算の措置等どのように考えておるのか、お伺いしたいと思います。
片山国務大臣 そういえば、このところIT、ITというあれは聞こえませんが、これは順調に行っている証拠なんですよ。順調に行っていなかったらいろいろ議論が出るんだけれども。
 そこで、今御指摘もございましたが、ITにつきましては、IT基本法ができて、それに基づいて内閣にIT戦略本部ができて、そこを中心にe―Japan戦略というのを決めまして、二〇〇五年までに日本を世界で一番進んだIT国家にする、そのためには超高速を、光ファイバーを一千万世帯に整備する、それから高速、こっちの方は今のCATVなんかも入りますけれども、三千万世帯に整備して常時アクセスできるようにするというようなことを中心にいろいろなことを決めております。
 そこで、十四年度の予算も、大変格好としては緊縮型なんですが、その中でも、重点七分野は伸ばしていこう、こういうことで、ITも主要な項目に入りまして、関係府省のIT予算は相当伸びていると思います。
 そこで、私ども総務省としましては、全国をブロードバンドネットワークで包もう、こういうことで全国ブロードバンド構想というのを発表しまして、これを積極的にやっていく。基本的には民間の事業者にやってもらうんだけれども、民間の事業者では採算がとれない等の地域が出てきたときには、公的な支援を含めて考えるという構想を一つつくりました。
 それからもう一つ、十四年度と十五年度の二カ年かかって電子政府、電子自治体ということで、申請、届け出が今国と地方で一万六千件あるんです。それを全部インターネットのオンライン化しよう。そのための法案をこれから国会に出させていただくんですが、これを二カ年かかってやろう。
 それから、人材育成、リーダーを各地域に養成して、そこでいろいろやってもらおうとか、あるいは学校のインターネット化、公立学校になるんですけれども、全部やろうとか、あるいは研究開発、あるいは電子商取引、Eコマース、そういうことを今万般的にやろう、こうやっておりまして、私は順調に進んでいるんじゃないかと思います。
 実は、きょうもIT戦略本部が五時半からかな、ありますけれども、そこで民間の方も入っていろいろ今後の取り組みをさらに検討していこう、こういうことになっておりますから、小泉内閣の重要な大きな政策として、今後とも全力を挙げて推進してまいりたいと考えております。
藤島分科員 小泉内閣はわっと行くんですけれども、しりすぼみみたいな部分が大変多いわけです。私は、このIT関係は、我が国が世界の中で生き残っていくためには、どうしても重要なものだと位置づけざるを得ないと思うんですね。
 そこで、担当大臣におかれては、静かなことは順調に行っているという、そんな単純なものでもないと思うんですね。日本国民というのは静かになるとどんどん落ちていきますので、ぜひその辺はPRも含め、常時、ITは大事なんだということをやっていただきたいと思います。
 ところで、これからちょっと細かい話になりますので、政府参考人の答弁でも結構なんですけれども、実は昨年、憲法調査会で孫さんが参考人で見えまして、その際に、高速インターネットについて韓国との比較で実はお話があったわけであります。日本は、昨年時点ですけれども二十万回線、韓国は四百五十万回線、こういうような話をしておりまして、何かそれを聞いて、本当に日本は大丈夫なのかなという感じがしておるわけですけれども、その辺についてどう認識されておるのか。
鍋倉政府参考人 先生御指摘ありましたように、DSLと申しますけれども、高速のインターネットの回線でございますが、この普及率につきましては韓国の方が進んでおります。
 韓国は今、こういうDSLを含めまして、七百五十三万加入ございます。我が国は、これに比較しまして、DSLとケーブルテレビを合わせて三百四十九万加入ということで、確かに、今の時点では韓国の方が進んでいると言わざるを得ないというふうに思います。
 ただ、日本の三百四十九万加入のうちの二百万はDSLでございますが、これはこの一年間で二百万ふえたということで、急激に韓国との差を縮めてきているのじゃないかなというふうに認識をいたしておりますし、それから、ヨーロッパの先進国に比べても、このDSLは我が国が進んでいるということで、韓国に追いついていくのじゃないかなというふうに思っております。
 ちょっと長くなりますけれども、韓国が進んだ理由は幾つか考えられるのですが、それは、一つは、我が国は光を中心にやってまいりまして、各家庭の近くまで光のケーブルを相当引いてまいりました。韓国はそれがおくれておりましたので、手軽にできるDSLという技術を利用して急激に普及し出したというのが一つでございます。
 もう一つは、韓国は、集合住宅が全国の四一%、非常に多うございます。集合住宅であるので、高速インターネットを導入するに必要な機器を設置する場所が中にありますということがもう一つ。
 それから、もう一つ大きな理由と私ども思っておりますのは、韓国の場合には、テレビの番組が昼間ございません。そのかわりにインターネットを代替として見るというようなこともあったのではないかなと思っておりますが、いずれにしろ、急激にキャッチアップをしておりますし、光は私どもの方が進んでおりますので、DSLでも追いつき、光で抜いているというふうに私どもは考えております。
藤島分科員 韓国の事情は事情ですけれども、我が国は我が国の事情があって、私は、その規模を国力の差から見て、今のは絶対数で若干負けているということなので、国力というか、人口その他の規模の数からいったら、とても比較が同列にならない。勝ち負けじゃないんですけれども、向こうの普及率が大変高いわけであります。
 現在でもこんな状態なんですが、この先はどういうふうに考えておりますか。
鍋倉政府参考人 今申しましたように、一年間で日本で、去年の今ごろが一万加入だったものが、DSLで二百万を超えたということで、しかも、このDSLの料金は世界の先進国の中で一番安い料金になりました。常時接続料金で二千円台というものが出てきておりますので、DSLは急激な普及をしていくというふうに思っております。
 それから、CATVにつきましても百万を超えましたので、今後は、DSLについては、確かに先生おっしゃるように、日本に比べて、世帯数は千七百万世帯ぐらいですか、ですから、非常に少ないのに、普及率は非常に高いということは言えると思います。そういう意味では、世界で今一番のブロードバンド大国は韓国だろうと私ども認識しておりますが、それに向けては、今申しましたように、DSLが韓国よりも安い料金になってきておりますので、急激な普及をしていくのではないかという見通しを持っております。
藤島分科員 ぜひ、役所としてもそこら辺をバックアップして、世帯当たりでも韓国に負けるというようなことのないように、積極的な支援策をやっていただきたいと思います。
 次に、ケーブルテレビの問題なんですけれども、同時に孫さんが、日本の場合は規制が多過ぎて、普及が思うに任せないと。日本の場合は、主として電柱を使ってやるケースが多いわけなんですけれども、その辺で、ケーブルテレビ事業者の第一種電気通信事業の許可数との関係は、トータル的に見ると今までどんな感じになっておって、これからどういうふうな見通しになっているのか、お尋ねします。
鍋倉政府参考人 具体的な数字で申し上げますと、十三年度末現在で、一種の電気通信事業者は全体で三百八十三社ございますが、そのうち二百七十四社がケーブルテレビの事業者でございます。
 なお申し上げますと、ケーブルテレビを主たる事業としております営利法人のCATV事業者は三百十七社でございますので、そのうちの二百七十四社、つまり八割が既にインターネットの事業を行っているということでございますので、もう八割ございますので、後はなだらかに増加していくのじゃないかなというふうに考えております。
藤島分科員 ところで、会社の数でいくとそういうことかもわかりませんけれども、内容なんですけれども、一社当たりといいますか、そういう面では実態はどんなふうになっているんですか。
鍋倉政府参考人 ちょっと手元に数字を持っておりませんが、ただ、CATVに加入してインターネットに接続している人はまだ百万ちょっとでございますので、DSLほど急激に伸びるかどうかはちょっとわかりませんけれども、CATVの加入世帯は非常に多いわけでございますので、それともう一つ、CATVのケーブルを利用するとブロードバンドでできますので、加入者自身は伸びていくだろうというふうに思っております。
藤島分科員 CATVは、やはり一つの普及の柱じゃないかというふうに実は思うわけです。
 それで、電柱の使用との関係がかなり多いわけですね。そこで、電柱使用のルールは、現在どういうふうになっておりますか。
鍋倉政府参考人 電柱の使用につきましては、基本的には、CATV事業者それから電気通信事業者、一緒でございますけれども、電柱の所有者、これはNTTであったり、あるいは電力会社であったりするわけですが、そこと個別に交渉をして、当事者間の合意のもとで利用を可能にするというのが基本でございます。
 ただ、そうしますと、CATV事業者とか電気通信事業者が、一部の電柱保有者の拒否に遭ったために、ルートを迂回するとか借りられないとかということで、ネットワークが張れないという事態が起こりかねませんので、そういった面で、公益事業たる電気通信事業の遂行に著しい支障を来すということはあり得ますので、電気通信事業者につきましては、電気通信事業法の規定に基づきまして、一定の条件のもとで電柱を使用することが法律上認められております。
 それからもう一つは、これは去年の四月からでございますけれども、公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインを作成いたしました。これは、電気通信事業者等による電柱使用の円滑化を図って、超高速インターネットの促進に必要な光ファイバー等の整備をするためという観点から設けたものでございます。
 この一年間、このガイドラインを運用してまいりましたけれども、結果として、そればかりではないのかもしれませんが、NTTの管路の新しい貸与件数が二割増加しておりますし、電力会社に至っては、電柱の貸与本数が四割増加をしたという結果になっております。
藤島分科員 今、電柱の使用状況はどうなっていますか。
迎政府参考人 これは東京電力の例でございますけれども、東京電力に対して行われました電柱の貸与に係る申請というのが、平成十二年度は七千三百二十八件ございました。このうち七千三百十九件について貸与の許諾をいたして、結果として十一万七百三本の電柱が貸与なされている。
 それから、平成十三年は四月一日から十一月三十日までの件数でございますけれども、八千四百三十五件の貸与の申請がございまして、七千九百三十二件について貸与の応諾をしておる。これは検討中のものがございますので、すべてについてその申請処理が終わったというわけではございませんが、その結果として十六万一千二百八十三本が貸与なされている。
 それで、拒否をしたというふうな事例は、十二年度で九件、それから、十三年の四月一日から十一月三十日までで二十四件というふうなことで、ただいまお話のありましたガイドラインに規定されている拒否事由としての、電線の地中化が近々計画されているとか、あるいは技術基準に適合しない場合というふうなことで貸与を許諾しなかったケースがございますけれども、おおむね貸与が順調に行われているというふうに認識をしております。
藤島分科員 おおむね順調にということなんですけれども、紛争みたいな形になったケースはありますか。
鍋倉政府参考人 私ども総務省の中に電気通信事業紛争処理委員会というのがございますけれども、これはできたのが昨年の十一月三十日でございましたので、電柱に関しての申請というのはまだございません。ただ、別の施設を貸してくれというような申請はございます。
藤島分科員 電柱は約二千万本ぐらいあるらしいんですけれども、そのうち一千数百万本が提供されているようで、その中で大きいのが、ほとんどがNTTなんですね。東京電力なりほかの電力会社は、大手で圧倒的に強い力を持っている。そういう中にあって、NTTは確かに、交渉力というんですか、それである程度対等だと思うんですけれども、ケーブルテレビはかなりインターネット関係の高速の一翼を担っているわけですけれども、これは大手だけじゃないわけですね。そうすると、東京電力との関係でいくと非常に弱い関係になる。
 なぜかといいますと、これからどんどんふやしていこうというときに、あるところで東京電力と紛争が起こると、次のところの申請をしても、なかなか東京電力が許可しないという方向に行っちゃうわけですね。あんなことを言ったって、うるさいことを言うところは次からちょっと厳しくやれ、これが現実なんですよ。
 皆さんは、行政の側でいきますと、法律上、規制上は対等だ、公平になっておる、こういうふうに認識しておると思うんですけれども、現実にはやはり、強いところは圧倒的に強い。弱いところは、そこで紛争を起こしたのでは今後の経営に非常に差し支えるというようなことで、言ってみれば泣き寝入り的になるわけですね。そういう点についてはどういうふうに考えていますか。
鍋倉政府参考人 先ほど申し上げました十三年四月から運用しておりますガイドラインでございますけれども、このガイドラインは、毎年一回見直しをすることになっておりまして、ことしも見直しをしたわけですが、そのためには、関係の事業者、これはCATV事業者を含んでいろいろな御意見を伺っております。
 先生いろいろ御指摘ございましたけれども、私どもとしましては、そういう面もあるのかもしれませんけれども、非常に率直な意見が、小さな事業者、これは電気通信事業者も小さな事業者がいっぱいおりますので、そういった方々からも率直な意見が出てきておりまして、ちょっとテクニカルタームで恐縮でございますけれども、今回も、一束化といって、束にしてケーブルが張られるとかといったことについてのルールの改正ですとか、あるいはCATV事業者からも、費用の負担の問題でこういう改正をしてくれとか、いろいろ率直な意見が出ているというふうに私どもは認識をいたしております。
藤島分科員 確かに、見直しは大事だろうと思うんです。
 例えば今の一束化の話ですと、要するに、貸す側から見れば、ばらばらやられたんじゃかなわないという面があるんです。一束化といいますけれども、全く新しいところで引こうというときは、利用者側が何社かで話し合って決めますから、それは一束化もいいんですけれども、既にあるところに後発的に一束化で入ろうとしても、それは大体、対立する業者も多いわけだし、なかなか一束化というわけにいかないわけですよ。一束化を頼みに行っても、相手方がいい顔をしない。そういうふうになると、どうも一束化ができない。一束化ができないんなら、貸す所有電力会社としてはだめですよ、こういうルールになっているわけですよ。
 要するに、ルールとしては確かになるほどごもっともなんですけれども、現実に、後から入っていこうという人がなかなか入り切らないわけですよ、結局は。電力会社としては、一束化というルールがあるじゃないですか、それにのっとってこなければ許可しませんよ、こういうふうになるわけですね。
 そこで、私はまず、これはすべてのことについてそう言えるんですけれども、経済活動は自由にしなきゃいかぬということが一つ。もう一つ、電力会社というのはまさに公益事業で、その財産は、確かに私企業ですから、そういう意味では会社の個人財産であるんでしょうけれども、今まで国の大変な優遇措置で育ってきているのが公益事業で、その最たるものが電力会社なわけです。いわば国の財産に近い面がある、それぐらい公共性があると思うんですね、言ってみれば。ですから、国の公園やその他を利用するような、同じような公共物として利用させなければいけない。
 こういう二点からしますと、私は、このルールづくりに次回にぜひ反映させてほしいと思うんです。要するに、許可といいますか、そういう観点ではなくて、申請すればそのままやってもいいと逆にすべきだ。よほど都合が悪いケースがあれば、第三者機関なり何かに電力会社側が、こういう申請があったがこれはとてもじゃないけれども困るんだ、これは申請を許可してもらっちゃ困るんだというか、そのまま実行してもらっては困るんだというような形に逆転させるべきじゃないか。
 確かに今のルールは、いろいろこうこうできるとなっているんですが、最後にただし書きみたいなので、こういうケースはだめだという裁量部分が非常に多くて、結果的に、電力会社に事前に何回も行って承認を得ないとやれないということで、後発の本当に意欲のあるところがそがれちゃう。そうすると、どういうことかというと、そこでけんかしてはほかの部分がさっきのように許可してもらえないから、ここは泣き寝入りして、ほかの部分だけでも何とかスムーズにいくように、こういうふうになるんですね。
 したがって、むしろ、だれでもが自由に使えるようにまずしておいて、大変社会的に問題になるような、非常に危険な形でケーブルを張るとか、あるいは一般の経済活動によほど有害であるとか、そういうものを勝手にやった場合は、これはむしろ刑事罰を厳しくして、経済ルールをきちっと守らない、良識に反するようなことをやるのは厳しく罰する。しかし、そうでない場合は非常に緩やかにして、ほとんど規制はなくしてやっていく。こういうふうな方向が、これからの日本経済の活性化のためにも大変必要だし、まさに規制緩和の一つの大きな方向だ、私はこういうふうに思うんですが、この点については大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 委員のお考え、お気持ちはよくわかりますけれども、所有者は電力会社ですよね。電力事業というのも大変公益性の高い事業ですよね。だから、その接点をどこに求めるかですね。
 しかし一方、電気通信事業というのもこれからの大変必要な事業ですから、今相当厳重なことを言っているとすれば、それは改めてもらった方がいい。しかし、電力会社の立場も守っていかなきゃいかぬ。この辺は、十分関係のところと協議してまいりたいと思っております。
藤島分科員 大臣のそういう御答弁をいただきまして心強く思っておりますが、ぜひそういう方向で御検討いただきたいと思います。
 それから、電線類の地中化について、私は日ごろ道路を走っていまして、電柱が非常に交通にも障害になっているということで、ヨーロッパやアメリカへ行きますと、電柱というのはほとんどないんですね。みんな潜っているんですよ。日本ぐらいなんですよ。一部、確かに進んできている場所も見受けられますけれども、私は、こういうものほど急ぐべきだ。一般の公共事業は、景気対策としてやることについてはいかがかと私は思いますけれども、こういうものは本当にどんどん進めていくべきだ、こういうふうに思っております。これは国土交通省の方ですか、御答弁を。
大石政府参考人 今先生の御指摘のとおり、電線類の存在は、欧米と我が国の都市景観の決定的な差になっているというように思います。それは、安全で快適な通行空間が確保されないだとか、あるいは都市景観の問題、あるいは都市の防災性といった観点から大変問題が多いと考えております。また、情報通信のネットワークの信頼性の確保の観点から重要な課題であると認識し、道路局では重点的に整備をしているところでございます。
 昭和六十一年から三期にわたりまして電線類の地中化計画を立てまして、平成十年末までの十三年間に約三千四百キロメートルの地中化を達成したところでございます。現在は、平成十一年から平成十五年までの五年間で三千キロメートルでございますから、従前の実績に比べまして二・三倍の整備速度で積極的に推進する計画にいたしておるところでございます。
 しかしながら、計画を立てました当初、平成十一年、平成十二年は、計画は年間六百キロというような計画だったんですが、実績は計画を下回るという結果になりましたので、平成十二年度に電線共同溝の実施計画を策定するための調査費というものを創設いたしました。関係機関との円滑な調整がやれるような仕組みにいたしましたし、また、よりスピーディーな整備を進めるために、コンパクトな構造で電線類の地中化ができるような次世代型の電線共同溝といったようなものを開発いたしまして、従来より二割程度コスト縮減を目指した、そういった整備も考えておるところでございます。
 以上のようなことから、十一年、十二年は計画を下回りましたが、平成十三年度におきましては計画目標を上回る実績が見込まれる、このような状況になってございます。
 今後とも、電線類の地中化につきましては、道路局の最重点課題として進めていきたいと考えております。
藤島分科員 かなり重要視しているということはわかるわけですけれども、これは、先ほど来のファイバー網とかそういうのもそこに一緒に設置するチャンスであるし、そうすれば先ほどのような電柱問題もだんだん解消できるわけで、現に、先ほどちょっと答弁ありましたけれども、電線地中化の場合には新規の貸与はもちろんしない、それは当然のことなんですけれども。私は、そういう観点からもどんどん進めるべきで、二・三倍とかそんな悠長なことじゃなくて、なぜかというと、今まで物すごく大きかったんなら二・三倍もよくわかりますよ。今まで小さいものを二・三倍といっても、しょせん大したことない。それが何百億とかもっと大きな単位の二・三倍であればかなり効果があるんですけれどもね。
 あえて細かい点は聞きませんけれども、最大の重点政策の一つとして、これは我が国の将来を見たときに全くむだな投資にならない、非常に有益な投資になるというふうに考えているものですから、ぜひその辺を次の予算ではお願いしたいと思います。
 それと、最後になりますけれども、共同溝の整備ですね。これもその一連の関係になるんですけれども、これまでどういう状況で、今後どういう計画を持っているのか、これをお尋ねして最後にします。
大石政府参考人 道路の掘り返しを防止するという観点では、共同溝の設置が最も効果的な施策でございます。また抜本的な施策でもございます。
 昭和三十八年にできました特別措置法に基づきまして、特に大都市周辺の幹線道路を対象に整備を進めてきたところでございまして、平成十三年度末までに全国で四百七十キロメートルが完成いたしております。平成十四年度におきましても、占用予定者の負担分も含めまして事業費約七百五十億円をもちまして事業を推進し、福岡市・福岡外環状共同溝の一部約四キロメートルなど、二十キロメートルを完成いたすことにいたしております。
 抜本的な路上工事対策として、また光ファイバーの収容空間などとしても極めて重要でございますので、今後とも積極的に推進してまいる予定でございますが、今までの総平均を見てみましても、キロ当たり約五十億という事業費がかかるわけでございます。これは、高速道路の平均的な単価とほぼ同じでございます。
 極めて大きな事業費を要するということと、最近では企業側が非常に資金不足といいますか投資能力の不足を来しておりまして、こういった観点からもなかなか難しいものとなっておりますが、いずれにいたしましても、掘り返し防止という観点からは最も抜本的な施策でございますので、大都市を中心に重点的に進めていきたいと考えております。
藤島分科員 確かに、金がかかることは間違いないんですけれどもね。ちらっと聞いたところでは、おおむね行き渡るのに百年ぐらいかかるというような話もあるようなので、事業者の負担の問題もいろいろ難しい問題あると思いますけれども、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。これはまさに従来型の公共投資とは違う意味で、私は大事なことだと思いますので、ぜひお願いしておきたいと思います。
 終わります。
持永主査 これにて藤島正之君の質疑は終了いたしました。
 次に、矢島恒夫君。
矢島分科員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私、昨年来何回となく特定郵便局長の組織である特推連や全特、そしてこれとかかわり合いを持つ渡し切り費の問題を取り上げてまいりました。つい先日、四月の二日にも総務委員会の中で、三月二十九日に発表された調査結果、それと措置、これらについての質問をほんのわずかな時間しかできませんでしたので、その続きという形で渡し切り費の問題について質問をしていきたいと思います。
 四月二日の質問のときにも申し上げたわけですが、この渡し切り費の問題のそもそもの発端というのは、昨年私が十月三十日の総務委員会で質問したように、平成十一年度の東北郵政局管内における渡し切り費の流用問題、裏金問題、こういうのが発端であったわけです。ですから、それをきちんと調査せよということを要求しました。また、そのとき事業庁長官も、大臣の指示もあるので、首席監察官を入れて特別に調査いたしますとお約束をしたわけです。
 ところが、つい先日、四月二日、あるいはその前に出された三月二十九日の調査結果を見ましたら、平成十二年度と十三年度の上半期については、調査結果が不十分ながら、その中身についても後で私質問しますけれども、発表されました。ところが、平成十一年度のそもそものこの裏金問題の発端であった渡し切り費問題については、そのときも私申し上げて、事業庁長官も答弁に立たれたわけですが、時間の関係でお聞きしませんでしたが、結局のところは、証拠書類がないということが監察を入れなかった重要な理由になっているわけです。
 そこで、一番最初にお尋ねしたいのは、監察を入れないと決めたのはいつの時点であるか、こういうことです。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 十月二十四日の読売新聞の報道を受けまして、翌日直ちに郵政事業庁の本庁と東北郵政監察局の合同の調査チームを編成いたしまして、東北郵政局管内における渡し切り費の調査に着手したわけでございますが、その時点で既に十一年度以前のものにつきましては証拠書類が残っておりませんで、郵政監察の調査の直接の対象とすることは困難と当時郵政事業庁として判断したものと承知しております。
 このため、郵政監察による調査は平成十二年度及び平成十三年度上半期を対象に実施することとしたわけでございますが、調査の過程において何らかの具体的な関連事実が判明することがあれば、それを手がかりとして十一年度以前にさかのぼった調査ができる可能性があると考えていたところでありまして、新聞報道の内容についても留意しつつ調査は進めてきたところであります。平成十三年十月三十日の足立前長官の答弁も、そのような趣旨で申し上げたものでございます。
 しかしながら、今回の調査で行われました関係書類の実査、関係者からの事情聴取の過程を通じまして、十一年度以前のものについて不適正な経理を疑わせるような事実は見出すことができなかったところでございます。
矢島分科員 長官、余計なことまでしゃべらないでください、後で聞きますから。十一年度以前では何の不正もなかったというような言い方は、私がこれから質問していく中で、なるほど、なかったんだなとなるか、まだ疑わしいぞとなるか、その辺もあるんですから、聞いたことだけで結構です。というのは、私、時間が余りありませんので、よろしくお願いします。
 そこで、もちろんけさの朝日新聞もごらんになったと思いますが、渡し切り費の問題で、十一年度以前の証拠を保存しなくてもいいということになったことが調査を困難にしているというような記事も載っておりました。
 しかし、たとえそれがなくたって、例えば監察が入らなくたって、十分に疑惑を解明するような調査というのは、やる気になればできるんじゃないかと思うんですよ、私は。監察は入らなかった、しかし、実際に十一年度の渡し切り費の三億五千万円と読売に書かれた裏金問題、これをどういうように解明していくかというのは非常に重要な問題だし、そこで多分、昨年の十月下旬に、事業庁としては、東北郵政局に調査せよという指示を出したと思うんですよ。事業庁のだれがどういう指示を東北郵政局のだれにしたのか、お答えいただきたい。
松井政府参考人 調査指示についてのお尋ねでございますが、郵政事業庁の総務部総務課長から東北郵政局の総務部長に対しまして、渡し切り費が私的に流用されていないかどうかを聴取するよう指示したものでございます。
矢島分科員 そこで、その中身についてだんだん入っていきたいんです。
 この指示を受けた東北郵政局の総務部長が、その指示に従って、どういうことをだれにやったかという点についてお答えいただきたい。どういう調査を、だれを対象にしてやったのかという点です。
松井政府参考人 東北郵政局による調査でございますが、東北郵政局の総務部長と総務課長が、二十五名の特推連連絡会長のうち十二名に対しまして、電話によりまして、渡し切り費の私的流用の有無について事実関係を聴取いたしました。
 また、東北郵政局総務部長が、東北地方特定郵便局長会の平成十一年度当時の事務局長に対しても、東北郵政局に来局を依頼しまして、渡し切り費の私的流用の有無について事実関係を照会しております。
矢島分科員 まず一つは、特推連の連絡会長、全部で二十五名いるわけですが、そのうちの十二名ですか、ただし、そのうち二名は、その当時、つまり平成十一年度当時は連絡会長ではなかったわけですから、事実上、十一年度のこの調査に対して、その当時を知っているのは十名の連絡会長だと思うんですが、その十名に対して電話でやったというのですね。これだけ世間を騒がせた問題で、どうだったですかというお伺いをしたわけですよ。私は、むしろきちんと面接して、どうだったかということをきちんと調査して、その記録を調査結果として残すべきだと思いますが、それもやっていない。
 それからもう一つ、当時の東北特定郵便局長会の事務局長をしていた方を呼んで聴取した、こういうことですけれども、この事務局長さんのお名前と経歴などを教えていただきたい。
松井政府参考人 平成十一年度当時の東北地方特定郵便局長会事務局長は、佐藤信氏でございます。
 主な経歴でございますが、東根郵便局長、それから東北郵政局総務課企画室長、東北郵政局貯金部第一営業課長、東北郵政局秘書課長、東北郵政監察局第三部長に就任しまして、平成七年六月、秋田中央郵便局長を最後に退職しておられます。
矢島分科員 要するに、この事務局長は、もともとは東北郵政局、総務課にも企画室長という形でいらしたこともあるし、それから監察第三部長であったこともある。実際に、最後は秋田の中央郵便局長だと思いますが、こういう人物なんですね。だから新聞に書かれるんですよ。内輪同士の、身内同士のなれ合いだと。
 つまり、総務部が総務部のOBから話を聞いているわけですよ。調査したと言っているんだけれども、これはなかなか世間に通用するものではないんですよ。OBに対して、どうだった、こうだったといろいろ聞いたわけですよ、現在の総務部の方が。なかなか聞けたのかどうか、内容も余りはっきりしないんですが、まさに身内のなれ合いだ、こういうように新聞に書かれたり、あるいは国民が納得しないというのもそのとおりだと思うんです。
 そこで、聞きたいんですが、この佐藤信氏、当時の事務局長を局に呼んで話を聞いた。その中で、いわゆる配算経費の二〇%の上納のことについて、これを事務局長は指示したのか。また、指示を受けた連絡会長は、この問題でどういう答えをしたか。その辺、わかるところを教えていただきたい。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 最初に事務局長の話でございますが、東北郵政局総務部長が佐藤信事務局長に事実関係を照会しましたところ、公金である渡し切り費を流用するような指示などはできないというふうに述べております。
 それから、この事務局長は、任意団体であります東北地方特定郵便局長会の各地区会長に対して、東北地方特定郵便局長会の会費の臨時徴収を指示したことがある旨を述べておられます。これが事務局長の話でございます。
 あと、もう一つ先生のお尋ねは、その十二名の連絡会長に聞いたところどのように答えたかということであったわけでございますが、この十二名の当時特推連の連絡会長に聴取しました結果、聴取した者全員が、任意団体であります東北地方特定郵便局長会への納付はすべて私金、つまりプライベートの金でありまして、公金である渡し切り費を流用するようなことはあり得ないというふうに皆述べております。
矢島分科員 前にお聞きしたとき、記憶にある人と記憶にない人がいた、こういう話もありましたが、いずれにしろ、これは額は相当なものなんですね。今おっしゃったように、自分の私的なお金を出した。これは二〇%という配算経費、つまり渡し切り費のうちの二〇%を上納せよというんですよ。この二〇%がなぜ決まったかということはいいんです、これは大体想像がつきますから。
 ところが、十二年度をちょっと調べてみましたら、奨励物品を購入する渡し切り費として一局当たり約一千万円あるんです。九百万円よりも多いですけれども、約一千万円。その二〇%というんですから二百万円ですよ。二百万円を、懐からそれぞれポケットマネーを出しなさいという指示を出して、みんなそのとおりに出した、こういう調査結果になっているんですよ。
 特定郵便局長というのは、給与は年間大体九百数十万だと思うんですよ。九百数十万のうち、大体二百万円近くも毎年出しているなんていう、こんなやり方は、大体世間の一般常識では考えられない。また、本当にそうなのか、極めて疑わしい。
 大臣、大体こういう状況なんです。これは長官や大臣に、こういう状況だったというのは、実際にきちんと報告されているんですか、文書等で。
松井政府参考人 まず、報告の話でございますが、長官に対しては、昨年中に、東北郵政局からの報告については報告されているというふうに聞いております。大臣にも口頭で御報告をさせていただいているというふうに聞いております。
矢島分科員 当時は足立長官ですから、されたかと思います。さらに今、大臣にも口頭だと。本来、調査結果、こういうことをやりました、私が今聞いた程度のことは書いてしかるべきですよ。だって、結論だけ言えば、何もありませんでした、調査しましたけれども特に疑惑はなかった、これが結論なんですよ。そうすると、その結果だけ聞いても、本当にそうかな、本当に疑惑を解明しようとする気があったのかなと。この調査、なれ合い、そして今度、電話で聞く、聞いてそのまま了承する、二〇%の上納の指示についてもそのまま認めていく。どうも大臣、これは私どうしても納得いかないんですよ。もうちょっと調べられませんかね。もう一回、きちんと。
松井政府参考人 ちょっと先ほど申しそびれましたが、矢島先生の御質問の中で、任意的な会費である、結構高いじゃないかというふうなお話がございましたけれども、会長でございますので、自分一人でということではないと思いますので、それはちょっと具体的な話を、それぞれ会の中の事情はありますけれども、一つの会の中で百名近くの局長さんがおられるように聞いておりますので、そういう中でのものですから、一概に一人でということではないんだろうと思います。
 それから、調査ですが、先ほど私が申し上げましたのは東北郵政局から聞いた調査でございまして、これとは別に、監察が十二年度の全期間にわたり、それから十三年度の上半期にわたり、本庁の首席監察官室も入って合同調査チームで調べておりまして、それを踏まえた、つまり、何かあれば引き続き同じようなことがあるんだろうという考えのもとで調査が行われてきまして、その結果を踏まえた今回の報告ということになっております。
矢島分科員 みんなで出し合ったかどうかというのも、調べればわかることなんですよ。だから、それも調べていないんですよ、実際には。多分そうだろうというのがこの調査の結果の、大勢で集めたんだから大した額じゃないと言うつもりかもしれませんが、では、実際に本当に何名からどういうふうに集めて二百万をつくったのか、そんなところも不明のままです。
 大臣、このまま終わりにするのでいいのかね。確かによくこの結果を、まだこれから私、十二、十三年度、先ほどから盛んに言っていますので、監察がやったということを聞きますが、それはまとめて後でちょっとお聞きしたいんです、大臣には。
 時間の関係で先に行きます。
 平成十二年と平成十三年上半期の調査結果、これが三月二十九日に発表されました。不正経理で浮いた裏金で、その中で政治家のパーティー券を購入したということが判明しているんですが、だれのパーティー券を幾ら購入したのか、教えてください。
松井政府参考人 今回判明いたしました不適正経理のうち、パーティー券の購入が確認されたものは、全体で七十万円でございます。これは東北だけじゃなくて、全国全体でございます。
 だれのパーティー券を購入したのかという御質問でございますけれども、不適正経理で捻出されました経費の使い道、これに関しましては、それが奨励物品あるいは記念品等の購入であろうと、パーティー券の購入であろうと、すべて公表を差し控えさせていただいているところでありますので、御容赦願いたいと思います。よろしくお願いします。
矢島分科員 大臣にお尋ねします。こういうようにして裏金をつくった。もちろん、つくり方は水増し請求や架空の請求書あるいはそれの領収書、これは私は実物を委員会にお出しして御質問したわけです。そういう中で集めた金が政治家のパーティー券の購入に使われた、この辺についてどうお考えか、お考えだけ。
片山国務大臣 公金ですから、それを政治的活動に関するパーティー券のような経費に充てることはあってはならないと考えております。
矢島分科員 確かに大臣がお答えのとおりであります。元最高検検事の土本さんですか、郵政監察は、組織の内部にいながら外部的立場をとらなければならないのに、内部的な配慮をするようでは、監察制度そのものが機能していないと言わざるを得ない。さらに、東洋大学経済学部の松原教授は、国家公務員である郵便局長が、特定の政治家のパーティー券を購入するというのは明らかな政治活動で重大な問題、しかも公金を流用したとなれば許されるものではないというコメントが新聞にも載っております。
 こういう重大な問題を抱えているということの上に立って、もう一つ事業庁長官に聞きたい。
 今出された調査報告書を見ますと、領収書の水増しや架空領収書などによって三千八百七十二万円が不正に捻出されている、こういう報告になっております。
 そこで、その報告書の中の四つの項目ですね、主な使い道というのがあります。それを見ますと、例えば、研修会終了後の懇親、聞くところによると二百七十万、営業打合会後の懇親八百六十万、事業協力者との懇親四百六十万、連絡会の役員会後の懇親三百二十万等々があるわけです。
 そこでお聞きしたいのは、三千八百七十二万円という裏金をつくって、それぞれ今言ったようなところで使ったんです。そのほか奨励物品の購入というのがありますが、これは多分七百万前後使っているんだと思うんです。そういうのは、この全体の中で、三千八百七十二万円のうち、ちゃんと使った領収書のあるもの、それから、聞き取りの中でどうもこういうところに使った、金額がこれくらいあるらしいというようにしなければならないものもこの中に含まれていると思うんですが、どんな額になっていますか。
松井政府参考人 不適正経理で支出されました経費につきましては、特に領収書が手続的には必要でないということになってしまうものですから、領収書をもらっていないもの、それから、もらっても亡失してしまったものも数多くあります。したがいまして、実際に領収書のあるものは、不適正に経理されました金額の約三分の一でございます。
 領収書のないものなどにつきましては、行為者の申し立てに基づいて支出先に確認したり、あるいは研修や打合会の開催状況を関係者または開催記録で確認しております。
 いずれにしろ経費を浮かせたことは事実でありますので、処分に必要な事実確認はできたということで、調査は尽くしたと考えております。
矢島分科員 そこで、主な使途の中で事業協力者との懇親とありますが、事業協力者とはだれなのか。あわせて、もう一つ、資料二の方ですが、「関係者に対する措置等」とあって、それぞれA局からP局まで並んでいます。A局からP局のそれぞれ支出がずらっと書いてありますけれども、主な支出内容、これについてお答えいただきたい。
松井政府参考人 A局からP局まで全部でよろしゅうございましょうか。(矢島分科員「全体でいいです、全体で大体こういうものが主な支出だということで結構です」と呼ぶ)
 お答え申し上げます。
 不適正経理の主な使途でございますが、研修会終了後の懇親で二百七十万、営業打合会後の懇親で八百五十八万、奨励物品の購入で二百五十四万、事業協力者との懇親で四百九十三万、協力者謝礼物品の購入で四百七十四万円、連絡会役員会後の懇親で三百十八万円、こうしたもので合計で二千六百七十万円になります。
矢島分科員 局長Aというのは千二百四十一万円の架空領収書で裏金をつくったとなっているんですが、全部これは飲み食いに使われちゃったんですか。使い道はわかりますか、この局長A。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 局長Aというのは、千二百四十一万円になっております。大変多うございますが、他の郵便局と比べても多うございます。行為者の説明によりますと、その理由につきましては、懇親会の回数が多かったほか、連絡会のイベントなどに使用したと申し立てております。A局長の公金に対する認識が甘かったわけでございますが、主な使途としては、研修会終了後の懇親で約二百万円、それから営業打合会後の懇親で約五百五十万円、連絡会のイベントで約三百五十万円でございます。
矢島分科員 それらの使途ですけれども、結局、そのことに本当に使われたのかどうかというところなんですよ。というのは、領収書が存在するのは約三分の一というお答えでした。だが、残り三分の二については、一応、本人の申し立て、こういうものに使いました、幾らぐらいです、それを聞き取ったと。同時に、支出先の帳簿との突き合わせ等をやりというのを今、長官答弁されました。非常に重要な問題なんです。というのは、今述べられたように使われているのが、本当にそこへ使われたのか、裏金としてほかのところに使われていないのか。
 実は、私のところに、内部告発といいますか、そういう手紙が来たんです。届いたのは三月の九日です。出した方は、東京都内特定郵便局長ということで、私の名前になっています。
 実は、これが本物かどうかということが問題だと思うんですが、私のところは三月九日ですが、三月八日に、私の今手元にあるこの内部告発と同じ文書が東京郵政局長のところへ行っているわけなんです。これはどなたかわかりませんよ、私は。あるいは郵政局長の方にはちゃんと名前が書いてあるかもしれません。ただ、私のところには、こういうのを東京郵政局長あてに出しましたと、三月八日に。
 一昨年まで表面化されませんでしたが、渡し切り費の局長会への上納、地区会長から何百万単位で局長会(東京会)事務局にプールされている。このことは明白なことであります。
 そのほか、ずらっといろいろな内部の問題が書いてあります。もし必要ならば、これは東京の郵政局長に行っているわけだから、調べていただきたいと思います。こういう状況があるように、いわゆるプールされた金がどう使われたのかというのが非常に重要なんですよ。
 今言われたように、三分の一しか領収書はありませんから、本当にそのとおりに使われたのか。あるいは、例えば特推連のそういう経費を浮かした裏金づくりが全特の方へ回っていって、それでいろいろな政治活動に使われたりするというようなことがなかったのか。あったんじゃないかという疑いが非常に強いわけなんです。
 そこで、五万円以上の業者を調べるわけですよね。領収書と業者の帳簿の突き合わせは全部やったんですか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと答弁させていただきましたが、領収書があれば、それはそれではっきりします。そうでないものは、本人の申し立てを踏まえて、相手先等について確認できるものは確認しております。それから、そうでなくて会費等に使ったというふうなものであれば、それは当時ほかの状況で会議等が行われたということをもって、本人の申し立てとあわせて判断したというふうに先ほど御答弁したところでございます。
矢島分科員 時間がなくなりましたので、大臣に最後にお聞きしたいと思います。
 今、ずっと長官とやりとりしてまいりましたが、平成十一年の例の大問題になりました裏金問題、読売新聞によれば、三億五千万裏金をつくった、こういうわけですけれども、そのことを私は調査するように要求し、それでやろうということになったんだけれども、いろいろな理由で監察がやれなかった。
 それから、十二年度と十三年度の上半期の報告があったけれども、今出ていますように、まず一つには、パーティー券を買ったとか、いろいろ中身について、それから、集めた金というのも、みんなから集めたんだから大した金じゃないということは、投書がありますから、ひとつこれは、こんな額がみんなから集められている状況などについて、プールされ、それが何に使われているか、もう少しはっきりさせてもらいたい。
 というようなことがありますので、ぜひ、こういう調査でもう終わりだというのではなくて、今十一年度問題については、監察もまだ、十二、十三をやりながら、何かあればやるんだということを長官言いましたが、引き続き重大な関心を持って調査してもらいたいし、もちろん、十二年度、十三年度の上半期についても、ぜひ、これはこれで終わりだ、幕引きだというようなことのないように、きちんと国民が納得するような調査をしてもらいたい。そういうことをぜひお願いしたいんですが、最後にお願いいたします。
片山国務大臣 私が前の長官に言いまして、前の長官もいろいろやり方を考えて、私はそれなりに力いっぱいやった、こう思っておりますし、渡し切りは、そういういろいろなことがあるので、十四年度からやめましたし、今後とも、そういうことについては我々もしっかり認識を持って、国民の疑惑を招かないような経理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
矢島分科員 やめたというのは、やめちゃって、それでもう前は終わりだとならないように、すべてを解明せよということを要求して、質問を終わります。
持永主査 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして郵政省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午前十一時十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.