衆議院

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第2号 平成15年5月20日(火曜日)

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平成十五年五月二十日(火曜日)
    午前十一時開議
 出席分科員
   主査 持永 和見君
      橘 康太郎君    谷畑  孝君
      中村正三郎君    橋本龍太郎君
      山口 俊一君    木下  厚君
      山井 和則君    神崎 武法君
   兼務 西村 眞悟君 兼務 東門美津子君
    …………………………………
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   国務大臣         石原 伸晃君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       小川  広君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 遠藤  啓君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府北方対策本部審議
   官)           林  幹雄君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            薮中三十二君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           坂野 雅敏君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
分科員の異動
五月二十日
 辞任         補欠選任
  橘 康太郎君     谷畑  孝君
  赤松 広隆君     山井 和則君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     橘 康太郎君
  山井 和則君     赤松 広隆君
同日
 第二分科員西村眞悟君及び第四分科員東門美津子君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十三年度一般会計歳入歳出決算
 平成十三年度特別会計歳入歳出決算
 平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十三年度政府関係機関決算書
 平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫及び外務省所管〕


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     ――――◇―――――
持永主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。
 平成十三年度決算外二件中、本日は、外務省所管、内閣所管、内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。
 昨日に引き続き外務省所管について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。西村眞悟君。
西村分科員 西村でございます。
 日朝関係について質問させていただきます。
 まず第一に、昨年九月十七日にピョンヤンで締結されたいわゆる日朝平壌宣言、この効力について押さえていきたいと存じます。
 この平壌における両首脳の署名した文書は、国際法上いかなる文書であるのか、我が国を法的に拘束するのか、これについてまず確認させていただきたいと思います。
茂木副大臣 西村先生、この日朝関係の問題に大変熱心に従来から取り組みをいただいておりまして、よく御案内の上で御質問いただいていると思うんですが、日朝平壌宣言でありますけれども、法的な性格を有するものではないわけでありますが、今後の日朝関係を包括的に取り進めていく上で、方向性を示す、政治的には大変重みのある、小泉総理と金正日委員長の間で取り交わされた文書である、このように承知いたしております。
西村分科員 両署名者の意思の表明にすぎず法的効力はない、例えが大げさで恐縮ですが、ヤルタ密約と同じようなものだ、このように解釈してよろしいですね。答弁をお伺いしておきます。
茂木副大臣 法的な拘束力、こういうことで厳密に申し上げますと、そういった法的な文書ではありません。
 しかし、今後、この文書をてこにして、この宣言をてこにして日朝交渉を進めていく、こういう種類の文書であると思っておりますし、また、西村委員御案内のとおり、この宣言の中に書かれておりますこと、これは、どちらかと申しますと北朝鮮の側が今後守っていくという項目が多く含まれている、そのように理解いたしております。
西村分科員 てこにしてと、それから、北朝鮮側が守る内容が多く含まれているということに関してまさにお聞きしますが、北朝鮮はこの共同宣言を守っておりますか。署名当時、守る意思があったと、現在からさかのぼって考えた場合、判断できるのですかということです。
茂木副大臣 個別の問題について申し上げますと、例えば、北朝鮮の方が、NPTから脱退する、そういう宣言をしたり、守っていない側面、こういうのもある、このように思っておりますが、むしろ問題なのは、北朝鮮が守っているか守っていないか、こういうことについて判断することよりも、守らせる、そして、この文書に戻って北朝鮮がしっかりした対応をする、そういうことを働きかけていくということだと思っております。
西村分科員 にせ札をつかまされたようなものではありませんか。
 核の問題は、アメリカと我が国にとって重大な安全保障上の問題であります。その約束を、署名した昨年九月十七日当時も守っていなかったし、現在も守っていない。守っていない者が守るという約束をしたということは、うそをついたということであります。この宣言、うそをつかれて、例えばにせ札であると。
 相手は現在も守っておりません。守ってもらうようにしていただくという希望は結構ですが、それをいつまでも言っておれば、日本だけが守ることになるのではありませんか。すなわち、数兆円に及ぶ金を北朝鮮に渡す、その北朝鮮は核ミサイルをワシントンに届く目的を持って開発しているという中で、日本が世界最大のテロ支援国家になり、世界最大の不安定要因、危険要因を生み出す国家になるのではありませんか。
 もうぼつぼつ、これを守っていただくという発言は日本政府からなくしていただきたい。なぜなら、相手は守っていない。こちらは守っていただくと言っている。ということは、小泉内閣が続く限り、相手にはお願いするだけ、こちらは約束したことを履行するということになるのではありませんか。
 北の独裁者が、九月十七日、言い方が悪いですが、拉致をえさにして小泉さんをピョンヤンに呼び入れたその戦略は、まさに日本に金を出さすことであった。核開発を認めて金を出さす、核保有を認めて金を出さす、その真ん中に、小泉さんの幕間狂言のような、拉致を認めて金を日本からせしめるという向こうの戦略があり、それに我が国はまだはまったままなのではないですか。どう思われますか。
茂木副大臣 日本からの経済的な支援につきましては、西村委員も御案内のとおり、国交正常化がなければそういった支援は行わない、こういうことは明確に宣言の中でも言っておりますし、昨年の九月十七日から、米一粒たりとも北朝鮮に対しては出していないわけであります。
 この平壌宣言、一つは、拉致の問題、もう一つは、核そしてミサイルを含めた安全保障の問題、こういった問題を包括的にまず解決する、そして、その解決がなければ国交正常化というものは決してあり得ません、そして、その国交正常化というものがなければ経済協力はない、そして、補償等々に対する考え方についても今まで我が国としてとってきた考え方にのっとった形になっている、そのように理解いたしております。
西村分科員 幸運にもそのように答弁される。国際的な情報が入ったからそのように答弁されておる。仮に、アメリカが、北朝鮮は核を開発しているんだ、落とすのは日本なんだと言ってくれなかった場合に、我が国はまだ北朝鮮は平壌共同宣言を守っておるんだと思い込んだ上で答弁が出てくる。
 それから、九月十七日、外務省局長は、頭の中が真っ白になったと言った。こういうすぐ真っ白になる人物を実務担当者として同行するのも考え物だけれども、日本は、拉致を認めた金正日のことを、誠意を示してくれたと解釈しておった。これは確かです。
 だったら、そんなちっぽけなことを言わずに、貴国の人間を二百名拉致しているんだ、政府専用機に乗せて連れて帰ってください、感涙の涙を流して誠意を認めて、今ごろは数兆円の金、国交樹立、私は国交正常化という言葉はふさわしくないので国交樹立という言葉を使いますが、このピョンヤンにおける小泉さんとの約束を守っていただいて、拉致被害者を帰してくれた独裁者と金を渡す具体的な手続に入っておったのではないんですかということなんです。国際的に金正日の側からこの謀略、戦略を見れば明らかにそうだったと言っているんですよ。
 幸いに、天網恢々疎にして漏らさずで、我々、拉致問題に携わってきた人間に、八名の死亡年月日の情報が入った。外務省は隠しておった。それから、アメリカが、核開発しているんだ、おまえはにせ札つかまされて帰ってきたんだと。マツタケをもらって帰ってきたけれども、実はにせ札つかまされたんだと。ピョンヤンの飛行場で見送った金正日はにこやかにさいならと言ったと思うけれども、このばかと内心は思っておった。
 さて、今、国交樹立と言ったら、それまではすべて懸案を片づけてというふうに、向こうと交渉すると言っている。テロリストと交渉するといまだに言っている。
 だから、そう言っている流れの中で財産的方式について聞きますが、日韓国交樹立の方式について説明いただくとともに、政府は日韓の方式を日朝の方式に同様に当てはめるという前提で動いておるのかどうか、これをお聞きします。
茂木副大臣 まず、日韓の国交樹立の方式でありますが、具体的な分野とか内容にもよるわけでありますけれども、基本的には、一九六五年、我が国と韓国が国交正常化した際には、いわゆる経済協力及び請求権協定を別途締結したわけであります。
 どういう形であったかといいますと、双方が自国及び自国民の財産と請求権を相互に放棄することによって両国及びその国民の間の財産と請求権の問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認する、そういうものでありました。
 一方、日朝平壌宣言におきましては、日朝双方は、国交正常化を実現するに当たっては、一九四五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本的原則に従って、国交正常化においてこれを具体的に協議すると。今後、具体的に協議をどうやっていくかということによりますけれども、日韓の場合と基本的な方式ということでいいますと同様ではないかなと考えております。
西村分科員 日韓と日朝が同様になったということを評価するような雰囲気がありました。
 これは、国際的に見れば、日本は能力がないのではないか、無能ではないか。つまり、マックス・ウェーバーの言う、政治のイロハもわからない未熟児なのではないかということを表明しているのではないか。核開発を進めている独裁者と、核開発はしませんという約束を交わしてきて、核開発を進めて核保有したんだということを言っている国に対して、いまだに核開発をしませんという約束を守っていただくと言うことと同様に、未熟児ではないかということを示すのではないか。
 したがって、私は、日本人の一人として、どうか、以後は、平壌共同宣言に言及されるのはやめていただきたいと強く思うんですよ。つまり、にせ札をつかまされて、まだ後生大事に財布に入れて、それで重大なものが購入できるんだと思っているのはばかでしょう。まあ、お願いだけにとどめておきます。
 それから、今の、日韓の国交樹立の方式を日朝に同様に扱うと。つまり、その前提に請求権を放棄する。なぜ、日韓と日朝をともに扱えるんですか。昭和四十年のときの東アジアの情勢はどういう情勢でありましたか。金正日のおやじの金日成は背後のソビエトと中国人民解放軍をもってなだれ込んできて、もし、アメリカ、トルーマンが即座に派兵を決定しなければ、釜山から重大な脅威を我が国が与えられておった。それを、血で血を洗いながら三十八度線まで押し上げていったのは、韓国という国家とアメリカである。
 だから、昭和四十年はどういう状態ですか。国内では、ソビエトを母国だと思っている野党勢力が野党の三分の二ぐらいおったんですよ。そういう中で、韓国の存在というのは、我が国が断じて排除しなければならない共産化を朝鮮半島でとめておったんです。だから請求権を放棄したんです。経済協力をしたんです。
 今は何ですか、北朝鮮という国家は。我が国の明確な敵ではありませんか。我が国の東京を火の海にすると言う国家だ。我が国との約束を破りながら、破るというか、もともとそういう前提はないですからうそをつきながら、我が国から金をせしめようとする。我が国国民を二百名拉致して、いまだ拉致問題は終わったとうそぶいている国家、敵ではありませんか。友邦である韓国と敵である北朝鮮、なぜ同様の扱いができるんですか。こういう点検は外務省がする能力はないんですか。世界から見て無能だ。違いますか。
茂木副大臣 私は、決して、昭和四十年当時と今の国際情勢、極東そして朝鮮半島の情勢が同じだとは一言も申し上げておりません。それからまた、日韓と日朝の間の方式が同じであるべきだと言っているわけではありません。
 委員がよく御案内のとおり、これまで北朝鮮側はどういう主張をしてきたか。これは、賠償、補償という形であったわけです。日本は、そういう形はとれない、そういう形はおかしいと思う、お互いが財産及び請求権を放棄すべきだ、こういう主張をしてきた。そして、九月十七日の段階で、日本側の主張に沿ってそれが決まったということであります。
 では、その方式が日韓と日朝で似ていますかと聞かれたので、それは基本的には同じ考え方だ、そういうふうに申し上げたわけでありまして、昭和四十年当時の国際情勢、極東情勢と今の情勢が同じかどうかと聞かれれば、違いますとお答えを申し上げます。
西村分科員 よくわかりました。
 だったら、冒頭の質問で、この共同宣言は法的に効力はない、つまり、我が国を法的に拘束するものではない。そして、小泉さんは拘束しておるでしょう。しかし、もう一人の署名者の金正日という男は何ら拘束されていない。だから、どうでもいい問答なんですよ。どうでもいい問答なんですから、日韓の方式と同じかどうかを外務省が決めたわけでもないんですから余りここでは言いませんが、やはり記録にとどめておかねばならない事態がある。
 北朝鮮という国家は、一九七〇年代までは韓国の経済を凌駕しておった。その前提に電力がある。この電力というものがどれほどすごいものであったか。戦前、当時の日本の最大出力を持つ水力発電所は四万五千キロワット。日本が昭和七年に完成せしめた赴戦江の発電所は二十万七百キロワットです。それに続いて、昭和八年から開始された同じく長津江の発電所の総出力は三十二万六千五百キロワット。さらに、昭和十二年に着工された発電所は三十三万八千八百キロワット。それから水豊ダム、これは実に七十万キロワットであります。その当時、日本国内の最大出力は四万五千キロワットであります。
 こういうことを、すべて向こうはとっていき、この電気に基づいて――この電気は、半分以上は民間の朝鮮の方々の家に送電されるとともに、四〇%を超える残りはチッソ工場、世界最大の重化学工業地帯を日本がつくって、二百人の寒村であった部分に、そのダムができてから十八万人の工業都市ができたわけですね。これを日本国として放棄できますかということは私は申しておきます。
 幸い、こんな共同宣言に法的効力がないから、今からでも遅くはない。この議論をしなければならない。
 アメリカは、朝鮮戦争でこのダムをつぶさなければ北は屈服しない。いかに爆撃してもこの鴨緑江のダムはつぶれなかった。昭和四十年代に、チッソの元社員、この水豊ダム開発に携わった者が訪れたら、そのダムに、金日成首領様の偉大なお力によりこのダムはできたと書いてある。
 結論はどうであれ、日本人にも、交渉相手となり得る向こうの民衆、人民にも、歴史は正確に伝えねばならない。仮に放棄しても、向こうは何が放棄されたかわからない。こういうことで、今のことは外交ではない。
 さて、来るべき、国家を拘束する日朝国交樹立、このとき、朝鮮という国があるかどうか知りませんよ。しかし、外務省はあるとして説明しているんだから私もそうしますが、請求権を放棄する必要はありやなしや、国民的議論を呼ぶ。これこそ、我が国家の近代、東アジアにおける歴史を我が国民自身が見詰める絶好の機会です。
 さて、またがらっと違いますが、昨年十月十五日、政府専用機で五名の北朝鮮による拉致被害者が帰国しましたが、事もあろうに、この政府専用機に、これはエアフォース1ですな、検疫点検ができる時間もないのに、トラック二台分の物資が運び込まれており、この物資については、時間があれば聞きますが、これはマツタケだという話ですけれども、二人の、北朝鮮におけるどういう地位かわからない人間が同乗しておった。
 政府専用機に外国人二人、これは身分が国民に説明されていない。赤十字だというのは、あれはうそだ。これはどういう経緯で許したんですか。これは、明らかに、五名を監視するための者ですよ。邦人の保護を任務とする外務省が、日本国国民を監視する者を、民間機で勝手に乗るならともかく、政府チャーター機に乗せて日本に運び込んで、入国審査をどうしたのか知らぬけれども、国内でしばらく滞在しておった。これはどういういきさつなんですか。
薮中政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の点でございますが、まず、十月十五日の飛行機、政府でチャーターした飛行機でございますけれども、これに、向こう側から、朝鮮赤十字会の者であるということ、そしてまた、北朝鮮との間で必要な連絡をとるために必要なので日本に一緒に行きたいという話があって、そして、それを認めたという経緯がございます。
西村分科員 これはともかく、僕は重大な日本外交に対する懸念を持っているというのは、アリの一穴で、こういうところにもあらわれているということで質問したんですけれども、まあ、しらっとお答えになるわ、整合性があるように。質問通告しているから事前に御準備になった。
 ただ、あいつらが来て何をやっておったか、把握しているのかしていないのか。実質は、五名の人間を監視して、五名から報告を得て、あの恐怖政治の北朝鮮の雰囲気をそのまま日本国内に持ち込んで、その中に五名をとどめておくという重大な心理的圧力を加える要員であった。これは確かです。
 さて、曽我ひとみさんの向こうの家族との文通。今、曽我ひとみさんだけが配偶者もなく日本にぽつんとおられるわけですね、帰ってきて。十九歳で拉致された。素朴な少女であったと思いますが、二十五年間の歳月は、向こうで御亭主とお子さんを家族とするに至った。曽我ひとみさんだけが一人、こちらにおられる。しかし、五名それぞれ、子供さんを向こうに置いておられる方ですから、手紙を出す。なぜ、ほかの四名の手紙は北朝鮮に拒絶されるのに、曽我ひとみさんの手紙だけが向こうに届き、また、向こうからこちらに返事が来るんですか。このからくりは、御承知であれば教えてください。
茂木副大臣 曽我ひとみさんの郵便物が北朝鮮にいる御家族に届いているのは事実である、このように承知いたしております。
 もちろん、我々としては、そのほかの被害者の方につきましても、北朝鮮にいる家族の方と御連絡が実現できるように、こういう努力はしているわけでありますが、その詳細については、プライバシーにもかかわりますし、差し控えさせていただきたいと思います。
 そして、曽我さんの手紙だけがなぜ届いて、ほかのものが届かないか。これは、北朝鮮側の話でありますから、我々として、なぜ届いているかということにつきましては、わかりませんという形です。
西村分科員 五名が帰国された直後は、五名は、ほかの拉致被害者のことは何も知らない、言いたくない、会いたくない、ただ横田さんだけは会いたいと。今回、曽我ひとみさんの手紙だけが届き、また、返事が返ってくる。
 日本政府は支援室というものをこしらえている。これは非常に立派な配慮である。ただ、二十五年の空白があって浦島太郎さんみたいだから社会復帰のお手伝いをするという意識では、副大臣が今おっしゃったように、わからないということでとまってしまう。
 五名は謀略の中にまだいるんですよ。その謀略の中にいる対象が、昨年十月十五日、しばらくは、横田さんを北朝鮮に呼び寄せて大歓迎して、そして、もう歓迎攻めにして、何かきついことも言わずにヘギョンちゃんと会って涙の抱擁をするということで拉致救出運動を終息、分断、ガス抜きしていく。今回は、そこから曽我ひとみさんに移っている。幸い、朝日新聞はこの謀略のもとにあると思うけれども、詳細な向こうの住所を報道した。そして、文通している、普通の国ではないか、曽我ひとみさん、家族に会いたいんだ、戻ってくれば会えるじゃないか、なぜ日本国政府は戻さないんだ、こうですな。
 戻ったら最後ですよ。言うておきますが、戻ったら最後。首領様のおかげでいい生活ができていますと言う日本人妻、広告塔としてこっちに来よった。そして、戻った。外務省、わかりますか。あれは邦人ですよ。あの邦人たちが今どこで生活していて、二回目に日本に里帰りできるのか、わからないでしょう。わからないことになる。したがって、どうか、その謀略にひっかからないでいただきたい。
 それから、話が違いますが、アルカイーダのときには、日本国政府は、アメリカと同様に、これはテロだと。だからこのテロリストに渡る資産は凍結すると。これはやったんですな。そして、アメリカは、拉致はテロだと言っている。日本国外務省は拉致はテロだと言っているのか言っていないのかもわからない。したがって、どうかと。これは一遍明確に言ってください。
茂木副大臣 拉致はテロに匹敵する非常に残虐な行為だ、このように許しがたい行為だと思っております。
西村分科員 我が国は、テロリストに対して、すべての人の命は地球より重いと言って、昭和五十二年に屈服したんです。五十二年当時に久米裕が拉致されて、その現行犯を逮捕して、そして暗号も解読した。その時点で、日本国政府、福田内閣は、福田現官房長官はそのときの総理秘書官ですが、日本人拉致を北朝鮮が組織的に仕掛けてきていると判明したわけだ。それから、テロリストに屈服する、テロリストの言うことを聞くダッカ・ハイジャック事件がその十日後に起こって、今言った、地球より重いという声明を発して屈服していく。
 国民の知らない日本人拉致は、屈服するもしないも、こっちが屈服したままになれば、国民は知らないんですから、そのまま経過させた。その二カ月後に横田めぐみさんが拉致され、その年があけて六月に田口八重子さんが拉致され、そして、七月、八月、今帰ってきたすべての人が拉致された。その田口八重子さんが、李恩恵という名前で蜂谷真由美という日本人に成り済ました大韓航空機爆破犯人の日本人化教育係だ。
 こういう流れから見れば、明らかにテロだ。そして、世界の常識は、テロリストとは闘う、交渉しない。ピョンヤンで交渉したから言いにくいんだろうと思いますが、プーチン大統領が百名の人質、犠牲者を物ともせずテロリストを制圧したことを国際社会は何ら非難しない。これと同じ原則を我が国が持つのか持たないのかです。
 つまり、北朝鮮に経済制裁をする手段を我が国が持っておるのか、それとも、政府はそれを持っていないのか、持っていないとすればそれを保有する意思ありやなしや、これを最後にお聞きします。
茂木副大臣 委員御案内のとおり、現行法の中でも、例えば麻薬とか覚せい剤、そういう取り締まり、また、キャッチオールという形の対策、これはより厳しくとっていくべきだ、私はそのように考えております。
 それから、外為法に基づきます支払いや輸出入の規制、これも一定の条件の中ではとり得ることだ、このように考えております。
西村分科員 時間が終わりました。残念ですが、やめます。御苦労さんです。
持永主査 これにて西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。
 午後五時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十分開議
木下主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。
 昨日に引き続き内閣所管について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。山井和則君。
山井分科員 それでは、本日、公務員制度改革の中の再就職承認、天下り問題、まさにこれは今国民から一番批判が多い部分であります。このことについて、私、今まで三回取り上げさせていただいておりますが、本日、四回目、取り上げさせてもらいたいと思います。
 まず冒頭、石原大臣にお伺いしたいんですが、この公務員制度改革の法案ですが、今議論になっておりますが、今国会に出されるのでしょうか。
石原国務大臣 先日、先週だったと思うんですが、閣議の後に、この公務員制度改革を所管しております、法案提出は私でございますが、このほかILOの問題等々、結社の自由委員会の中間報告、勧告等々も出ておりますので、厚生労働大臣、また人事・恩給局がございます総務省の総務大臣、そして官房長官と私と集まらせていただきまして、現在、法制面の調整等々準備作業を進めてきて、当初の予定よりはおくれておりますけれども、今国会に国公法の改正等々の関連法案を提出すべく引き続いて努めていくということで一致をいたしたところでございます。
山井分科員 この公務員制度改革の中で最も批判が多いのが、天下りがふえるのではないか、いわゆる大臣承認制のところであります。
 このことも今まで何度か石原大臣と議論をさせてもらいましたが、その後、報道を見ておりますと、大臣承認制が内閣承認制になったとか、いや、大臣承認制のままだとか、いろいろな報道があるわけですけれども、このことについて、いわゆる大臣承認制でいくのか、あるいは内閣承認制でいくのか、そのことを、石原大臣、明確に御答弁いただきたいと思います。
石原国務大臣 これは山井委員とも、もう何度も御議論をさせていただいたわけですけれども、行政事務の執行に関する国民に対する責任は一体どこにあるのか。第一義的には、間違いなくやはり大臣にあると私は思いますし、そこのところでは、皆さん方もやはり、長たる大臣に責任があると。しかし、大臣がそれだけ多くの天下り案件等々を見ることができるのか、あるいは、小泉内閣は大臣が今二年目に入らせていただいておりますけれども、仮に一年間しか大臣がいなければ、役所の側から上がってくることをうのみにすることしかできないんじゃないか、こういう御批判が、委員との議論の中でも、あるいは他の委員会等々でも出たと思います。
 そういうものにどうこたえていくのかということで、内閣官房、内閣が持つ総合調整機能というものをどういうふうに具体化していくのかということで、委員の今の御質問の答えになってくるのではないかと思っております。
 これは、我が党の中でも、あるいは与党の公明、保守新党の中でも、やはりこの公務員制度改革の法案を出すに当たっては、国公法の改正、これは能力等級制の導入でありますけれども、これと双璧の大きな課題が、今御議論をさせていただいております再就職の問題であると。
 そこで、同じような意見が各党の部会等々でも出まして、それに対しまして、大臣承認制、一義的に責任を持つのは大臣であるけれども、これだけ与党の中、野党の皆さんから批判があるということは、やはりそこに抜け道があるのじゃないか、抜け道をつくるんじゃないかというおそれがある以上は、大臣承認制というものはそのままにしますけれども、先ほど来話しております内閣の総合調整機能というものをどういうふうにかませていくのか、二重、三重の規制というものはあるわけですが、それによって三重、四重になる、抜け道をつくらせない方法はどうあるべきかということで、議論を今深めております。
 参考までに、自由民主党の方の議論の中では、大臣承認制のもとで、閣議了解を得た後に各大臣が承認する、あるいは、大臣承認制のもとで、官房長官主宰の審査検討会で基準適合性について審査した後各大臣が承認する、こういう二案が議論の俎上に上がって、今この有力な二案を中心に、法制的にしっかりとしたものをどうするか、法制局等と検討させていただいているのが現状でございます。
山井分科員 ある意味で長い答弁でありましたが、もう一度聞きますが、内閣承認制か大臣承認制か、二つに一つ、もう一度、明確にお答えください。
石原国務大臣 先ほど、冒頭申しましたように、やはり行政の一義的な責任というものは大臣が持つ、こういう考え方にはやはり間違いはないと思うんですね。
 ですから、大臣承認制のもとで、しかし今、これまでも山井委員と議論をさせていただいた中で、あるいは他の与党の中からも同じような声が出ているということに真摯に耳を傾けまして、大臣承認制のもとで、内閣を、どういうふうに総合調整機能というものを発揮する仕組みをつくれるかという形で、三重、四重のバリアができるように、今法制的な詰めの作業をさせていただいているところでございます。
山井分科員 大臣承認制でいかれるということですが、問題は、今の閣議のように、各省が上げてきたものをそのまま承認するというような、そういう形でチェックをするのであれば全くチェックにならない。逆に、大臣承認制で、その後、内閣官房や内閣の中に第三者機関のようなものをつくったり、しっかりした基準をつくる、そういうふうなことにしていくわけなんでしょうか。そこのところを御答弁ください。
石原国務大臣 これはまた、しつこいようですけれども、我が党の議論の中で、やはり責任というものは一義的には担当大臣が負う。これは情報公開をもう既に始めておりますし、どれだけのものをどれだけの大臣が求めたのかということが明らかになるわけですから、これまでとはかなり違って、大臣に批判があるとしたならば、大臣の責任というものはより明確になる。
 そこでもやはり、二重、三重にしているけれども、そうはいっても、大臣がかわったりしたら、すき間をついてまたふえるんじゃないかというような御批判等々、いろいろ批判が各委員会で出てきた。そういうものにどうこたえるのかということで、先ほど申しましたけれども、大臣に一義的な責任があるということは今度の公務員制度改革大綱の中で決めている話でありますから、これはやはり守っていかざるを得ない。
 そんな中で、さっき言いましたけれども、閣議了解を得た後に各大臣が承認する、あるいは大臣承認制のもとで、官房長官主宰の審査検討会で、基準適合性について審査した後に各大臣が承認するといったような、三重目、四重目の案というものを議論させていただいたということもあるわけであります。この有力な二案を中心に、法制的にどういうふうに仕組むことができるのかということを、現在鋭意検討させていただいているというのが現状でございます。
山井分科員 今、内閣官房の中に審査会のようなものをつくってきっちりチェックしていくということなんですけれども、そこでまさに問題なんですが、今の話を聞いていると、今人事院がやっていることとそう変わらないように思うんですが、石原大臣、どう違ってくるわけですか。なぜ人事院だったらだめなんですか、その審査会が。
石原国務大臣 冒頭に申しましたように、営利企業への再就職については、今回の改革では、行政事務の執行に関する国民に対する責任は一体どこにあるのかというところがそもそもの論点であるわけで、それはやはり、行政の長は大臣でありますから、担当大臣が負うべきである、そこが基本なわけですね。
 この基本をやっていく上で、しかし、そうはいっても、担当大臣がすぐかわったり、大臣が忙しい中でそんなところまで目が届くのかとか、さまざまな問題の指摘があったわけであります。それを、どういうふうに三重、四重にフォローしていくのかという議論をさせていただいているのであって、これまでの制度とは、抜本的に、大臣が一義的に責任をとるんだ、行政の長が責任をとるんだというところは大きく違うと御理解をいただきたいと思います。
山井分科員 やはりそこは、役人の方と大臣との関係というのは、どうしても密接になってしまいます。そういう意味で、お手盛りになりがちだというのが今の一番国民からの不信であります。そういう意味では、やはり私は独立した部署の方がいいんではないかと思うんです。
 人事院の中島総裁、お越しくださっておりますが、今のようなことというのは、今の人事院ではできないんですか。やはり新しい組織をつくらないとだめなんでしょうか。総裁、いかがですか。
中島政府特別補佐人 石原大臣の答弁を聞かせていただきました。一応理屈が通っているようで、実は非常に不安なところがございます。
 それは、なぜかといいますと、行政責任というものを大臣が負っておる、もう少し具体的に言うと、請負契約について、あるいは許認可権について大臣が責任を負っておると。そのとおりでございまして、その大臣に天下りの最終的な決定をさせるというのは、癒着が生ずるということで皆さん心配をしておられるわけです。したがいまして、行政責任を負っておる大臣が天下りの審査権を持つということについては、国民の疑念というのはどうしてもぬぐい切れないというふうに私は思います。
 それよりも、やはりその疑念が生じないシステムというものをつくっていかなければ、今度の行政改革というものは国民から支持されないだろうというふうに考えております。
山井分科員 ある意味で、ここはお二人に議論してもらう場ではないんですが、こういう意見もございましたので、石原大臣、今の御意見、いかがですか。
石原国務大臣 これは、冒頭申しましたように、今回の公務員制度改革で、行政庁の長たる大臣が、政治家がしっかりと責任をとっていこうということに今回の改革の原点があると御理解をいただきたいと思います。
山井分科員 そこで、二〇〇二年十月一日の新聞報道で、過去三年間に営利企業に再就職した課長補佐以下の国家公務員二千四百十八人の約四割が、勤務していた工事事務所や郵便局の事業受注先企業に天下りしている、こういうふうな問題が起こっているわけです。
 これについては、やはり、今、人事院がタッチしていなくて、各官庁に委託をしてチェックをしている、承認を委託しているというのが私は問題だと思うんです。逆に、こういうふうな問題が大臣承認制にすると出てくるんではないでしょうか。このような現状を石原大臣はどう受けとめて、これからどう改善していこうと考えておられるんでしょうか。
石原国務大臣 委員御指摘の記事は多分、平成十四年の十月の「天下り四割は受注企業」というこの記事を念頭にお話をされているんだと思うんですけれども、営利企業への再就職承認に関しましては、各府省が委任に基づき承認を行った件数というものがこの新聞に示されている七百二十五件であったということが、この記事には書いてあるわけであります。このうち、人事院の直接承認ですか、幹部の方だと思うんですけれども、そういうものが五十九件であったという記事の内容だと思っております。
 考えてみると、いわゆる天下り問題というのは何が問題なのかというと、その人がこれまで培ってきた各府省でのキャリアによって、権限あるいは予算というものを背景にして、仕事をとりまっせというようなことで押しつける、こういうものが非常に大きな問題があるということが、この問題の私はスタートであったのではないかと。そして、国民の皆さん方が、これだけ民間企業が苦しい中で、リストラをしている中で、それだけのことで押しつけられるのはどうかと。
 もちろん、公務員の中で、公務員の皆さん方の職業選択の自由を奪うということはできないわけですから、優秀な方がいて、ぜひ来てくれといって企業が採っているという話も伺っていますけれども、やはり、こういう押しつけ型のものについては、あるいは、先輩、後輩がこの人事制度の中でしっかりとできていますから、後輩に対して電話一本言うと、過去の人間関係から、不正とは申しませんけれども、断り切れない、こんなケースも報道されていることもありますけれども、こういうものに実は批判が強いんじゃないかと私は思っております。
 ですから、こういう押しつけ型の再就職というものは、絶対にこれから認めていってはいけませんし、大臣承認制のもとで明確な基準というものを内閣がつくり、統一的で、そして客観的な運用というものが確保されるように、制度の透明化を図ることによって、情報公開が最大のツールになると思いますけれども、こういう批判に対してこたえていく体制をつくっていくという形で努力をさせていただいております。
山井分科員 でも、実際そういうきっちりした承認基準がつくれないから、こういうふうに再就職の四割が受注企業に行っているわけですよね。ここをどうしていくのかということが、やはり現時点ですらできていないわけであります。
 中島総裁にお伺いしますが、私は、今回のように大臣承認制にすれば、この新聞記事にありますように、やはり、こういうお手盛りというか天下りが非常にふえてしまう、そういう危機感を持っているんですが、総裁、いかがでしょうか。
中島政府特別補佐人 現在、一年間に公務員で民間企業に天下りしておる人間というのは、年によって少し変動はありますけれども、大体八百人前後でございます。
 そこで、その八百人の天下りを審査するというときに、幾ら審査基準を詳細にかつ厳格につくってみても、八百人の天下りの人間というものが、きちっとその審査の基準に適応して可否というものが判断できるというのは、なかなかこれはできない。どうしてもそこに裁量というものが入るということでございます。その裁量というものが、ともすれば癒着の原因になるというふうに世の中で言っておるわけでございますから、そのことを防止しなきゃならない。
 私は、各大臣は一生懸命なさると思います。しかし、やはり人間でございますから、時たま誤ったことが起こる。その誤ったことというものによって、公務員の天下りに対する国民の批判が厳しく出てきておる。この現実というのは、やはりしっかり受けとめなきゃならないというふうに考えております。
山井分科員 やはり私は、これは独立性というものをきっちり担保しないと、お手盛りの承認になってしまうというふうに強い危機感を持っております。
 先ほど、石原大臣は、そういう承認基準をきっちり厳しくするということでありました。実は、過去の議事録を見てみると、過去二年間ぐらいずっと、厳しい承認基準にする、その承認基準も公表していくということを言い続けておられるわけですけれども、冒頭の石原大臣のお話によりますと、今国会にも、そろそろ公務員制度改革を出そうかというときであります。ということは、その厳しい、自信のある承認基準というのは、もうできているんでしょうか。
石原国務大臣 現在鋭意つくらせていただいておりまして、法案審議の際には、この承認基準というものが一つの大きなポイントでございますので、基本的な考え方について、山井委員にも、このような場を通じまして議論をさせていただければ幸いと存ずる次第でございます。
山井分科員 まさに今の点なんですが、やはりこの議論の一番の核になると思うんですね。どれだけ厳しい承認基準にするのか。そういう意味では、法案に先立って、この厳しい基準というのを、これだけ国民の方々から大臣承認制というのはお手盛りになるんじゃないかと、国民の方、マスコミの方々からも、ある意味で最も危機感が募っている部分であります。
 その部分については、法案の前にしっかりと出して、パブリックコメントでもやっていく。やはり、石原大臣のそれだけの強い自信と決意があるんだったら、そういうふうにすべきじゃないかと私は思います。石原大臣、いかがですか。
石原国務大臣 これは、国会という場は立法府でございます。法案を審議し、法律をつくっていく、その過程の中で、十分に時間をとっていただいて、この承認基準はポイントでございますので、深い議論をさせていただきたいと考えております。
山井分科員 国会で深い議論をするということですね。ということは、これはやはり、天下りの承認基準というのは、政令ではなくて、国会でしっかり議論するんでしたら、法律に書き込む、それで国会でしっかりと議論するというのが、今の石原大臣の答弁の趣旨にも合っていると思います。
 この承認基準、政令ではなくて法律に書き込む、そういうお考えはいかがですか。
石原国務大臣 各役所あるいは行政というものの時代の変化ということがございますので、すべてを法律に書き込むということは私はできないと思いますけれども、基本的な事項は、委員御指摘のとおり、法律に定めるということが望ましい姿だと確信しております。
山井分科員 その基本的な考え方だけでは、やはりどういうものかはわからないわけですね。そこをなぜ法律に書き込めないんですか。それほど重要なポイントだということをわかっておられるならば、そして、国会でしっかりと議論をするということを石原大臣おっしゃるならば、やはりそれは法律に書き込むべきではないでしょうか。やはり、そこを何か隠し立てしているから、国民から見ても、何かお手盛りになるのではないかという不信感がぬぐえないんじゃないですか。
 この議論、ずっと二年間国会でも行われているわけなんですけれども、なぜ法律の中に書き込めないのか、明確に御答弁ください。
石原国務大臣 これはかなり私も踏み込んで実は答弁をさせていただいているんですけれども、国家公務員の営利企業への再就職の承認基準というものは、どう取り扱うということは、一昨年、公務員制度改革大綱において、「内閣の責任において、政府全体の行政の公正な運営等を確保するため、再就職の承認基準については政令で定めることとする。」と閣議決定をしているわけであります。
 しかしながら、この議論の中でさまざまな問題が露呈してきて、できる限りのものは法律に書いていこうと今御答弁をさせていただいたところでございます。
山井分科員 そこをきっちりと、できる限りと言わずに、法律に書いていくという方向でぜひとも検討いただきたいと思います。
 そしてもう一点、民間企業への天下りも問題ですけれども、特殊法人や公益法人への天下りこそ、人数も多く、ますます大きな問題になってきております。これからは、民間企業への再就職のみならず、このような特殊法人や公益法人への再就職も一元的に規制すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 この天下りの問題というのは、冒頭お話をさせていただきましたように、公務員の方々を公務員の世界だけに閉じ込めるということを行えば天下りはないんですね。しかし、公務員の皆さんといえども職業選択の自由がある。
 そんな中で、六十歳が定年でございますけれども、さまざまな組織、今回小泉内閣になりまして、早期勧奨退職、今平均で五十四歳ですけれども、これも昨年から、平成二十年までに三歳上げて五十七歳にするということを決めて、もう現に動いております。あと三年退職年数が、もう一回同じ試みを行えば六十歳まで働くわけです。
 では、六十歳の後も一切、公務に従事した方々は、特殊法人はなくなります、独立行政法人あるいは公益法人、民間事業会社、ここに勤めちゃいけないんだということを決めれば、では六十五歳の年金までの間は国で新たな恩給でも出してやろう、そういうことをすれば全部なくなりますけれども、やはり、先ほども申しましたように、民間企業の中でも、こういう優秀な方がいて、こういう方に来てもらいたいということで、現に、公務の世界をやめて今民間の部門にトラバーユしている方々というものは非常に多いわけであります。
 これまでは、どちらかというと官と民は交流はままならぬ、やはり官は官、民は民と言いましたけれども、時代の変化で、これからはもっと官民の交流というものは深めていこうというのが、大きな変化としてあるんだと私は思うんですね。
 ですから、山井委員の言うように、全部、民間企業への天下りだけじゃなくて、公益法人あるいは独立行政法人等々へももう行っちゃいけないんだ、規制するんだというのは、これは一つの考えではありますけれども、現実に即した考えでは私はないと思っております。
 それよりも、さっきから言っているように、押しつけ型、あるいは権威をかさに着る、あるいは後輩を人間関係で縛るといったようなことがあってはならないし、安易な受け皿になっちゃいけない。小泉内閣になりまして、これまでは公表されていなかったのに、一体どれだけどこの役職に最終的にいてどこの企業に行ったかということも公表しているわけですね。そこに、公表するということの抑止によって、今言ったような不正というもの、押しつけるとか、後輩にいろいろ働きかけるということが十分にこれまでよりは抑止できているのではないかと考えております。
 それともう一つ、国民の皆さん方の大きな批判は、わたりというものに代表されますように、二年、三年やってぽんぽんぽんと退職金を何回ももらう、そういうことは厳に戒めるという形で整備をさせていただいておりますし、さらに、一般民間企業と比べても、退職金給与が高いんじゃないか、こういうものも十分な是正を図っているわけでございます。
山井分科員 まさにそういう石原大臣がおっしゃっているような危惧がこの大臣承認制でますます大きくなっていく、そういうことを国民の多くは心配しているわけです。この問題については、これからもまた私も質問をさせていただきたいと思います。
 では、引き続き、もう一個別の課題を農林水産省さんに質問させていただきます。
 茶業については、近年、ペットボトルのお茶の飲料など、新たな需要の増加を背景とした低価格のお茶の需要の増加に対して茶葉の輸入量が増加する中で、国際競争力を強化することが重要な課題となっておるわけであります。
 こんな中で、例えば産地表示の問題、静岡茶、宇治茶、ブランドの問題、そういうブランド志向の中で、これからは雇用の確保、過疎の解消、環境保全、日本の伝統産業を守る、そういうふうなことで、もっと産地でお茶をつくっていこうという機運が高まっている地域も多いわけですけれども、こういう産地表示に伴う生産拡大ということについて、茶業の振興、もっとやはり産地でつくっていけるように振興していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
坂野政府参考人 お茶につきましては、先生御案内のように、鎌倉時代以降長い歴史を持っておりまして、議員地元の宇治茶、これはまろやかという形で特徴がありまして、またマイルドな静岡茶とか、香りの狭山茶とか、そういう形で各地域に有名な産地が形成されるなど、地域の重要な基幹作物というふうに私ども認識しております。
 また近年、お茶の効能ですか、従来のミネラルとかビタミンという以外にも、例えばコレステロールを下げる作用を持っているカテキンを含むとか、そういうことがさまざまマスコミ等に取り上げられまして、消費者も高い関心を持たれているところであります。
 農林水産省としましても、従来から、産地の方々に、高品質なお茶の生産に対する取り組み、すなわち、生産をどのように省力化していくか、また栽培加工技術を高度化しまして品質を向上させる、さらに、年間を通じて安定的な生産をするということにつきまして支援を行ってきておりまして、今後ともお茶の振興に努めてまいりたいというふうに考えております。
山井分科員 もうちょっと具体的にお伺いをしたいんですが、輸入の茶葉との競合やお茶の農家の減少ということもあるわけで、これからは国際競争力を高める上で大規模、効率化をしないと生き残っていけないというのがあります。
 お茶も、新たな土地でやるとなると、実際収穫できるのに五年かかると言われております。そういう意味では、やはり国からの補助というものも、こういう過疎地域あるいは産地での茶業の振興というのは、非常に雇用確保にもなりますし、環境保全にもなるし、日本の伝統産業を守るということにもなっていくわけです。
 そういう意味で、これから、そういう効率化という面も含めて、集団茶園や大規模茶園への支援ということをどのように考えておられるでしょうか。
坂野政府参考人 お茶の振興につきましては、先ほど議員御指摘のように、嗜好がかなり多様化しているとか、また輸入品との差別化という課題に対処するために、それらの地域の気候風土、特徴を生かした産地形成とか、それからもう一つ、お茶は極めて労働集約的であります。例えば、十アール当たり、平均すると百二十時間ほどかかります。さらに、特に茶を摘む作業、これはそのうちで四割程度かかる。非常に労働集約的であります。そういった意味で、集団化とか大規模化とか流通の合理化というのは、労働負担の軽減にとって極めて重要であるというふうに認識しております。
 そういうことに対処するため、十五年度の予算におきましても、高品質な品種を含む茶園の改植、植えかえですね、いいものに植えかえるとか、それから、先ほど言いましたように、非常に手間がかかりますから、そのための摘む機械、それとあわせてまた防除もできるというような複合管理機というのがございます、そういうものの導入。それから、産地で荒茶加工をする施設の整備。それから、お茶の産地で、大きな防霜ファンがありますから、ああいったような霜よけの施設の整備。さらには、先ほど言いました、近年、血圧を降下するような作用のあるギャバロン茶、こういうような機能性に着目したお茶もあります。そういうふうな製品の開発、こういうことにつきましても支援を行うこととしているところであります。
山井分科員 最後に一つお伺いします。
 話はまた戻りますが、先ほど石原大臣の御答弁の中で、できる限り承認基準というものについても法律の中に書き込んでいく、そういう御答弁がありましたが、それでよろしいでしょうか。
石原国務大臣 結構でございます。
山井分科員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
木下主査代理 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
木下主査代理 昨日に引き続き内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。東門美津子君。
東門分科員 社会民主党の東門美津子でございます。よろしくお願いいたします。
 二〇〇〇年に沖縄経済振興二十一世紀プランの最終報告が出されて、昨年、二〇〇二年には、沖縄振興特別措置法、振興新法が制定され、これを踏まえて、十年間で沖縄経済の自立的発展を目標に、達成すべき各分野にわたる多くの施策を盛り込んだ振興計画が策定されました。振興計画の目標年度である二〇一一年度には沖縄の経済自立化はかなり達成されていると、尾身前沖縄担当大臣は力強くおっしゃっておられました。ぜひそうであってほしいと、県民の一人として期待しております。
 しかし、二十一世紀プランの中には、二〇二〇年の完全失業率が六%、財政依存度は三五%で、むしろ財政主導型の構造は強まっているとの調査結果が示されています。沖縄経済の自立化に向けての施策が推進されてきているはずなのに、失業率は全国平均の二倍で推移し、県民所得は全国で最下位、財政に依存した経済構造は変わらないというのであれば、振興新法の目指す沖縄の自立的発展、豊かな住民生活の実現というのはお題目だけのものになるのではないかと危惧されます。もちろん、そうでないことを願い、自立的発展に向けての施策の実効性ある推進を私は期待いたしております。
 それで、きょう最初に伺いたいのは、まだ大臣がおいででないので、ちょっと順序を変えたいと思いますが、まず金融特区について伺いたいと思います。
 名護市が一生懸命に取り組んでいる金融特区について、現在どのような状況になっているか、そこからお聞かせいただきたいと思います。
安達政府参考人 お答え申し上げたいと思います。
 金融特区の関係でございますが、金融特区につきましては、金融業務の集積を図るために創設され、昨年七月に名護地区の指定がなされたところでございます。同地区におきましては、特区の指定にむしろ先行する形で、インターネットを通じた証券業あるいは投資顧問業を行う企業の進出を見ておるところでございますが、さらなる企業進出ということにつきましては、当然ながら、これからの課題でございます。
 こういった税制を用意するとともに、私ども、その受け皿となる施設整備も非常に重要でございまして、関連インフラ整備、また金融関係の基礎的な人材育成も非常に重要でございまして、これらの施設整備あるいは人材活用につきましても、国として所要の支援を行ってきておるところでございます。
東門分科員 それで、名護市が当初から強く求めていたのがキャプティブ保険だったと思うんですが、尾身前沖縄担当大臣は、キャプティブ保険については今後の検討課題として勉強させていただくとおっしゃっていたわけですが、そのキャプティブ保険導入については検討されているのでしょうか。
安達政府参考人 私ども内閣府といたしましても、関係する金融分野の企業から具体的なヒアリングを行うというようなこともしてきたわけでございます。そして、何といっても、これは企業自身が具体的なビジネスプランをおつくりいただかないといけないということでございまして、ヒアリングを行った企業に対しては、具体的なビジネスプランをおつくりになった段階でいつでも御相談に乗りますということで、また、金融庁にもつなげてお話を伺うことにしたいということを申し上げているわけでございますけれども、キャプティブに関しては、残念ながら、それ以降、具体的な計画が企業側から作成され、我々に相談が持ち込まれるという状況には現在のところなっていないという状況でございます。
東門分科員 金融特区、せっかく名護市がそういうふうに指定されたわけですが、現在までに、大臣によって認定された企業というのはありますでしょうか。
安達政府参考人 今後の課題でございます。現在、ございません。
東門分科員 やがて一年にならんとしているわけですが、なぜこれまでに一企業も認定されていないのか、その金融特区というのは本当に魅力ある特区であるのかどうか、どのようにお考えか、お聞かせください。
安達政府参考人 私ども、金融特区として想定いたしましたときの金融業務あるいは金融関連業務については、政令等で定めておるわけでございますが、極めて広範にその業務を規定させていただいておる、非常に縛った規定にはしていないわけでございまして、非常に広範な分野で活動が行われることを歓迎するということで考えております。
 そういう中で、私ども、これは情報にも共通するわけでございますけれども、このインターネットの時代になって、本来であれば、サービス業も製造業も、あらゆる産業というものは需要のあるところにしか立地しないというのが大原則でございます。金融もまたしかりということでございます。それを、ある意味で我々は横紙を破ろうとしているわけでございまして、東京とか大阪とか、そういったところが本来需要の中心地だ、それを沖縄でということで考えたというのは、なぜそれが可能であるかということになりますと、やはりIT技術によって、そういった需要地から離れたところで業務を処理してもやっていけるという時代にようやくなってきたというのが、私どもの注目すべき点ではないかというふうに思うわけでございます。
 情報関係、広くとらえますと、この五年ほどで九十社ぐらいの新規の進出を我々は沖縄に実現してきたわけでございまして、金融も、そういった面でとらまえていくということでやっていけば、これはしかるべき集積が可能ではないかというふうに見ておるわけであります。
東門分科員 私が魅力ある金融特区なのでしょうかと伺ったのは、実は、なかなか動かないということもありまして、これは地元の新聞に載ったものなんですが、専門家の意見として出ております。
 「特区としての優遇措置やメリットが中途半端だ」という御意見があるんですね。そして、「名護市の金融特区について、政府は設置を認めながらも制度的には骨抜きで、県も名護市の特区だと誤解して、支援体制が後手に回っている。金融特区は政府レベルで取り組むべき施策だし、県を挙げて支援すべき中身だ」というふうに、かなり厳しい意見がこの新聞に寄せられているんです。二十人以上の雇用条件あるいは控除上限を緩和するということも大切じゃないか、いわゆるハードルもかなり高いというような指摘がなされているんですね。
 そういう意味で、やはり政府として、せっかく特区として指定されたわけですから、そこら付近を検討するということがなされるべきではないかなと思っているわけですが、いかがでしょうか。
細田国務大臣 我々も、沖縄県にいい金融機関が投資をしてくれれば本当にすばらしいことだと思いながら前向きに取り組んでいるわけですから、そういう意味で、今、東門議員がおっしゃいましたように、せっかくいいものがあって、もうちょっと、政府さえ、この点が一味あれば何とかなるのにということになるのであれば、前向きに考えてまいりたいと思います。
 金融というのは非常に専門的かつ難しい面がややありまして、また、そういうことをやりたいという人の真意とか素性とか、そういったものがいろいろ交錯しておるようでございまして、なかなかうまく条件が合わないというのがこれまでの流れのようでございますけれども、具体的案件に即しまして、前向きに考えてまいりたいと思います。
東門分科員 先ほどの安達さんの答弁の中に出ていたんですが、人材育成というのが出ていました。金融特区関係予算、これは平成十四年度は三千万円ですか、十五年度は二千九百万円が人材育成事業として出ているわけですが、この人材育成事業は金融特区との関連でどういうことがなされているのか、教えてください。
安達政府参考人 金融特区絡みの人材育成事業でございますが、平成十四年度につきましては、金融基礎知識講座及び金融系コールセンター基礎講座を開講いたしまして、それぞれ百六十人程度の受講生に研修を実施させるというようなことを進めたわけでございます。また、金融業務セミナーを開催し、多数の参加者に金融経済の基礎知識を紹介いたしました。また、その金融経済や金融業務に関する知識普及のために、名護市、那覇市、沖縄市においてセミナーを開催するということを進めておるわけでございます。
東門分科員 このような形で育成をした人材が、これから、名護市あるいは那覇市、沖縄でということになるんでしょうか、そういう金融業務関係でかなり活躍をしていける、そういう場があるということも約束されるのでしょうか。
安達政府参考人 非常に一般的なお答えで申しわけございませんけれども、沖縄における失業問題の背景として、ミスマッチングというのが相当ございます。そして、そのミスマッチングは二つのカテゴリーがあるわけですけれども、一つは、やはり企業側が、沖縄に進出した企業は新たな人材を必要とする、ところが、なかなかそれに対応した人材が育っていないというようなクレームを非常によく聞くわけでございまして、ある程度先行的に人材育成については進めていく必要があろうかと思います。
 人材育成を進める段階で、それじゃ、一人一人がもう将来に一〇〇%の雇用の保証があるのかというと、正直言ってそこまではいかないわけですけれども、人材育成ということを先行して進めることによって、産業集積の、いわば新しい二十一世紀のインフラとしての人材育成というものが非常に重要になってきているということで、先行してやっていくことも重要じゃないかというふうに考えております。
東門分科員 その点は私もよく理解しております。
 もう一点、金融特区関係なんですが、平成十四年度、調査費としてですか、二千三百万円が計上されていると思うんですが、どのような調査が行われて、その調査の結果、どういうのが見えてきたか、できたら教えていただきたいと思います。
安達政府参考人 ちょっと済みません、詳細の資料がちょっと今ございませんが、御指摘の調査費につきましては、名護市の方から非常に強い要望がございまして、名護市において、関連する調査を行いたい、したがって、これを支援してほしいということで支出を行ったものでございます。
東門分科員 わかりました。
 次に、新石垣空港についてお尋ねいたします。
 新石垣空港、大臣も石垣には何度かおいでになったことだと思いますので、その問題もよく御存じだと思います。沖縄県、そして県議会、石垣市、市議会あるいは八重山の地元の皆さん、総意のもとで、今度、これまで二十六年にもわたる紆余曲折を経てきた位置選定、それが総意で決まり、八重山郡民の夢であり悲願でもある新石垣空港の建設は機が熟しているのではないか、私もその実感を持って、先日、石垣市から戻ってまいりました。環境にもかなり配慮した、県、市を挙げての真摯な取り組み方から、市長を初めとする住民の熱い思いが伝わってきました。
 八重山地域の住民の足としても欠かせない空港であることは言うまでもありませんが、年々ふえる観光客、それからコンテナの搭載を可能にして農産品や特産品の輸送の適時出荷等に対応するジェット機の導入は、八重山の発展のためには絶対不可欠です。それに、何よりも、悪天候のときでも、千五百メートル滑走路での目視でしか離着陸ができない、そういう離着陸を余儀なくされている、人命を預かっておられるパイロットの皆さんが訴える、本当に安全性の面から整備が急がれる二千メートル滑走路を有する新空港だと思います。
 その整備について、沖縄担当大臣として、所管ではない、国土交通省だろうとおっしゃるかもしれませんが、やはり沖縄担当大臣として、新石垣空港問題についてぜひ御見解を賜りたいと思います。
細田国務大臣 私もどちらかというと交通族のようなところもありまして、私は、同じく離島でございます隠岐島に、今までは超小型機しか、プロペラの飛行機しか着かなかったところを、今、既に二千メーター滑走路の建設が推進されておるわけでございます。土地買収も進んで建設が進んでおるわけですね。
 まして、この新石垣空港、八重山地域の産業、観光、そういったことを考えますと、当然、二千メーター滑走路によりまして、今は、ボーイング737ですか、百五十名程度しか運べないものを、少なくともA300あるいは767の二百五十席で運ぶのは当然でございます。隠岐島との均衡からいっても、人口規模、観光規模からいっても、当然二千メートルにしなきゃいけないということは十分認識しておりますし、沖縄県が五百万人台に観光客を乗せる、しかも、遠距離の航空路もつくっておるわけでございますから、これは絶対にやらなきゃならないというのがまず基本でございます。
 そういった中で、新石垣空港については、いろいろな経緯もありますが、平成十二年四月にカラ岳陸上を候補地として選定し、県において、事業に係る環境アセスメントの手続が進められているわけでございますから、これは大変大切なことでございます。まだ環境については、いろいろな経緯があって今の候補地になっているわけでございますから、こういったことはしっかりと地元でやっていただくと同時に、やはり私が最初に申し上げたとおり、国土交通省とも連携をいたしまして、一日も早く建設を促進してまいりたいと思っております。
東門分科員 ありがとうございます。
 大臣の心強い御答弁、私もとてもうれしゅうございますが、八重山の皆さんもうれしい思いで聞いておられると思います。それをわかったときには本当に喜んでいただけると思います。
 次に、沖縄はいろいろの問題を抱えておりますが、バスの問題もございます。
 大臣、もう既に御存じだと思いますが、沖縄県の路線バス会社四社の統合問題ですが、それは、関係する各社はもとより、地域住民あるいは働く人たち、そして家族が注視する中で協議が進められていたところですが、去る四月二十八日、統合問題を白紙という結論が出されました。四社統合問題が出されてから六年、まことに残念だというほかございません。
 琉球バス、那覇交通、沖縄バス、東陽バスの四社には約二千三百人が働いています。少子化の進行、交通手段の多様化などの影響もあって赤字経営が続き、会社の懸命な経営努力にもかかわらず、経営状態は極めて厳しい状況にあるというのが実際のところです。もちろん、それぞれの企業に体力の差はございますが、労働者、働く人たちは、賃金の引き下げにも応じ、幼子を抱えて不安を抱きつつ、ぎりぎりの生活を強いられながらも、会社再建のために懸命に営業努力をしてきております。
 沖縄のバス路線は、沖縄県民の重要な足であり、高齢者あるいは通学の子供たちにとってなくてはならない大切な公共の交通手段だと言えると思います。近年、自家用車がかなりふえまして、バス利用者が減ってきたということは否めない事実ではございますが、しかし、本当に、今申し上げましたように、高齢者や実際に通学に使用している子供たちにとっては大事な交通手段なんですね。
 それと同時に、働く者の雇用の確保、そして住民の足を守るという視点、また地域経済の活性化という立場から、何らかの国の総合的な支援策がぜひとも必要です。沖縄県が置かれている状況にかんがみて、県民の足である生活交通手段を確保するために、さらには雇用の確保という観点に立って、国は主導権を発揮していただきたい。それには、やはり沖縄担当大臣のお力をおかりしなければならないと思うんですが、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
細田国務大臣 バスの問題については、地方ほど大きな問題でございます。大都会の方にはわからないのでございますが、バスなんか幾らでも走っているじゃないかというわけですし、地下鉄、その他陸上交通もあるではないかと。しかし、陸上の鉄道等がない沖縄県、そしてモノレールは今建設中でございますが、ごく一部である。しかも、モータリゼーションで、多くの若い人は自家用車等で出るわけですが、高齢者あるいは免許のない人、いろいろな都合でバスに乗ることが適当な人は、非常に難渋をきわめるわけでございます。
 私も出身のところが過疎県でございますので、さまざまな工夫をしているわけです。最近は非常に新しい動きがありまして、もう既存のバス会社に頼っていられないというので、新しい、関東地区のバス運営会社が入札に参加をいたしまして、そして、学校、福祉、そして地域住民バス、小型のバスを走らせて、どこでもとめられて、そして年寄りにもサービスをする、子供にもサービスをするというところが次々に落札をしていく。従来の大手バス会社は、それに対抗しようと思えば、別会社化をするとか賃金水準を下げて対抗するとか、そうでなければ住民福祉にこたえられない。例えば私の島根県でも何カ所もそういうことが起こっておって、むしろ新しい動きは住民に歓迎されているわけです。
 私が思いますには、沖縄県はやはり沖縄県の伝統があり、しかも、立派な四社がこれまで一生懸命経営してきた。この伝統は生かしていかなきゃいけないし、技術者その他、整備とか体制が整っているわけですから、この際、いろいろなことにこだわらずに、きちっと路線の整理をし、かつ、企業統合をして合理化を図ることによって、立派に生き残ることができる。しかも、人口は多いわけですから。
 ただ、私どもの県のように、過疎バスの補助が簡単に出るとかいうことがなかなか難しい。競合しておるようなものには補助金などはなかなか出せないぞというような論理もあります。やはり大都市を通りますから、市の中の大きなところを。そうすると、必ずしも過疎と言えない。人口増加県でございますので、本当に過疎指定のところは北部とか限られておるということから、過疎対策のお金が行きにくいということがございます。
 私は、そういった他県の例等をよく見まして、バス会社にも腹を決めてもらって、合理化もし、合併もし、路線も整理をし、そして住民に喜んでもらうような交通体系を組み上げていくことは喫緊の課題であるし、それこそがバス事業の本来の目的だと思います。
 それでなおかつ、採算に合わないものについては、一種の離島バスでもあり、過疎バス的な意味合いもあり、地域振興の意味もあるんですから、これは国土交通省の全国的な補助対象のようなことが考えられるのか、あるいは沖縄振興の観点からまた国土交通省等とも協議をして新しい条件を整えるか、これは今後のあれだと思いますけれども、まずは企業間においてもっと努力をしてほしい。
 全国で見ましても、バスの運転士さんの賃金というのは、一般の人の賃金に比べまして非常に高いんですよ。いや、そんなに高くないとおっしゃるかもしれませんが、普通の、ほかの職種の方より高いことは事実なんです。ですから、できるだけ実態に合ったような合理化をしながら、しかし生活権というのがありますから、そういった中で、しかも、四社いることでお互いに足を引っ張っている面がはっきりあるわけですから、もっともっと合理化の精神で取り組んでいただきたいと思います。
 ただ、国がこうせい、ああせい、私がこうしたらいいじゃないかという、アイデアはありますけれども、私のところではこうしていますよとかいうことはありますけれども、さっき言ったような全国の例は、知事さんの方にも県庁にも相当例を示して、勉強しなさいという話はしておりまして、いろいろ聞いているようです。そうすると、全国のそういう要素、特に不採算地域における運行の実態等もわかってまいりますので、それではこのあたりで結論を出すかという方向を出していただきたい。それを放棄しても何らいいことはありませんので。
 そういう中で、しかし、最小限、国も県のためにこうすべきであるという何らかの共通の認識が出てまいりますから、そのときには必ず私どももお手伝いしたい、こう思っております。
東門分科員 そのときにはまたぜひよろしくお願いしたいと思います。
 時間がありませんので、ちょっと急ぎたいと思います。
 大学院大学について伺いますが、私も、その実現にはとても大きな期待を寄せているものです。ただ、建設位置が恩納村に決定された、そして現在、二〇〇七年の開学に向けて計画が着々と進められているようです。本当に二〇〇七年の来るのが遅い、早く来てほしいという思いでおりますが、しかし、まず、ベスト・イン・ザ・ワールド、世界最高水準の大学というのは、現在あるトップクラスと言われる大学の上に、さらにその上に来る大学だと思うんですが、大臣、どういう大学をイメージされているのでしょうか。
細田国務大臣 いろいろな分野も想定しておりますが、中核となりますのは、やはりライフサイエンス等の先進的な分野を考えております。
 それで、大学院大学のような組織が、優秀な方が集まって、また研究も進む、そこから大きな成果を生むには、やはり人材であると言われております。
 したがいまして、六月に、フリードマンMIT教授を議長とする評議会を開催しまして、そこで、メンバーとしては、十人のノーベル賞学者、日本人としては利根川さんでございますが、あと九人の学者にお願いして、いろいろな御都合がありますから数人がお集まりになるんですが、そこでは、全員大変な情熱を持って、すばらしい大学院大学をつくろうということでは燃えております。お年寄りの方もおられるんですが、やはりノーベル賞学者だけのことはあるなというぐらい、非常に、最高のものをつくるにはどうしたらいいかと。給料だって随分出してもらわなきゃいけないよとか、生活環境がよくなきゃいけないし、こういう点もありますよというような条件も出るわけです。
 したがって、恩納村に決めたわけではございますが、今後は、設計自体をどういうふうにしていくかという知恵も出していただかなきゃなりません。また、今後のそういう研究のあり方について、あるいは資金の今後のあり方についても、必要な財源を確保しなきゃなりませんし、また設立母体立ち上げということをしなきゃいけません。
 内閣では、総理大臣が施政方針演説で言っておりますから、島サミットでも、これは仄聞するとということで御勘弁願いたいんですが、知事さんと総理大臣がお話しになって、とにかく、本会議でちゃんと立派なものをつくるという施政方針演説を言っておるんだから、我々は一生懸命やるぞという話を総理もされたようでございます。知事さんも大変喜んでおられましたが、そういった御指示のもとに、関係省も集まりまして、最高のものをつくり上げる体制をとってまいりたいと思っております。
 まずは来年度予算からそういう基本的な取り組みが始まりますので、ここでしっかりとまずスタートを切りたいと思っております。
東門分科員 ただいまのお話を伺いまして、総理もはっきりとそうおっしゃっているということなんですが、ただ、新聞報道等で見ますと、建設費に八百億円、年間運営費に二百億円を見込み、そして学長には、おっしゃられたようにノーベル賞受賞者の研究者を充てる、そして、教授、学生の過半数は海外から招くということのように報じられています。
 その実現についてですが、財務省は、建設費や運営費に算定根拠がない、大ぶろしきを広げているだけで、現実性のない夢物語との厳しい姿勢を示しているとのことですが、大臣、その点、いかがですか。
細田国務大臣 財務省というのはそういう役所でございまして、まだ机上の計画でありますから、そこが論破できますように、さまざまな、人事とか研究内容とか、それから実際の建設コスト、こういうものを早急に組み上げていかなきゃいけません。
 そういう財務担当は財務担当なりの論理で言われますでしょうから、これはしっかりと説得をして、政府全体としては、総理も公約をされ、我々も公約をしてきたことをしっかりと実現してまいりたい。意気に燃えておる次第でございますので、また応援のほど、お願い申し上げます。
東門分科員 ぜひ大臣に頑張っていただきたいと、応援させていただきたいと思います。
 時間ですので、最後に一点だけ。
 一番最初にお聞きしたかったのですが、大臣がまだお着きでなかったので、待っておりました。
 二十一世紀プランの中に、沖縄県の「「優位性」の重視と「不利性」の克服」というふうにあるんですが、私がお伺いしたいのは、沖縄が抱えている、沖縄にある広大な米軍基地、これはどちらに属するんでしょうか。優位性ですか、不利性ですか。
細田国務大臣 振興計画においてはそのようなことは申しておりませんで、それはなぜかといいますと、ちょっと申しますと、長い間、不利だ不利だ、格差がある、そういう点に着目して、格差是正ということばかり言ってきたものですから、そうじゃない、沖縄県に非常にいいところがたくさんあって、気候、風土、環境、観光との関係、アジアとの問題、若年比率が高い、高齢者も元気にしている、長寿県だ、そういういいところに着目して、それを伸ばしていこうという趣旨で盛り込まれているわけですね。
 それで、その中での基地の問題等につきましては、やはり非常な御負担をお願いしている。もちろん、経済的な価値が少しある、貢献もしていると言う方もおられますけれども、心理的御負担も非常に大きいわけでございますから、やはり有利というよりは御負担が多い問題でありますから、これからも県民の気持ちにこたえてまいりたいと思っております。
東門分科員 北方問題、時間がなくて申しわけございません。終わります。ありがとうございました。
木下主査代理 これにて東門美津子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後六時三十六分散会


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