衆議院

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第2号 平成16年5月18日(火曜日)

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平成十六年五月十八日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 鈴木 恒夫君

      岡本 芳郎君    斉藤斗志二君

      谷川 弥一君    早川 忠孝君

      奥田  建君    岸本  健君

      小泉 俊明君    近藤 洋介君

      細川 律夫君    松崎 公昭君

      東  順治君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       竹中 平蔵君

   国務大臣

   (構造改革特区担当)   金子 一義君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官  小川  広君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   小平 信因君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)  平田憲一郎君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     谷川 弥一君

  岸本  健君     小泉 俊明君

  松崎 公昭君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 弥一君     斉藤斗志二君

  小泉 俊明君     岸本  健君

  近藤 洋介君     松崎 公昭君 

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔内閣、内閣府(金融庁)所管〕


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     ――――◇―――――

鈴木主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十四年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中金融庁及び内閣所管について審査を行います。

 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。竹中金融担当大臣。

竹中国務大臣 平成十四年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成十四年度の当初予算額は百三十五億二千六百四十八万円でありましたが、これに予算補正追加額八億七千九百三十六万円余、予算補正修正減少額五億二千九百十八万円余、前年度繰越額十七億五千百九十七万円余を増減いたしますと、平成十四年度歳出予算現額は百五十六億二千八百六十三万円余でありまして、これを支出済み歳出額百四十二億二百二十一万円余に比較いたしますと、十四億二千六百四十二万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は八億六千四百二十一万円余であります。これはモニタリングシステム等整備経費でありまして、計画及び設計に関する諸条件の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。

 また、不用となった額は五億六千二百二十一万円余であります。これは、人件費を要することが少なかったこと等のためであります。

 以上をもちまして、平成十四年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

    〔主査退席、奥田主査代理着席〕

奥田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院小川審議官。

小川会計検査院当局者 平成十四年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

奥田主査代理 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

奥田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。小泉俊明君。

小泉(俊)分科員 民主党の小泉俊明でございます。おはようございます。朝早くから御苦労さまでございます。

 早速質問に移りますが、四月の二十七日、財務金融委員会におきまして、銀行に証券仲介業務を認めるという法案につきまして質問をさせていただきましたが、その中でも私が大臣に強くお話し申し上げたことは、やはり、権限を認めるのはいいとして、それをいかに監督していく、その実効性があるかどうかということが今一番問題になっているということを質問させていただいたわけであります。

 銀行等の金融機関、非常に情報も、いろいろな意味で一般公衆に比べて非常に強い力を持っています。これが一たん不正行為等が行われた場合には、現実にはほとんどの被害者が救済されないんですね。実は、変額保険のお話も四月二十七日のときにお話を申し上げましたが、あの不正行為によって被害者はごまんといます。でも、実際は裁判が四百件ぐらいしかないんですね。それで、何と、被害者が勝訴したのは五件しかないんですよね。ですから、一般公衆とか顧客、そして一般の預金者を守るためには、やはり金融監督庁の、監督という名前のついているとおりでありますが、これがいかに実効性を持っているかということが私は一番大切なことだと思います。

 そこで、きょう、これは旧大蔵省からですけれども、金融庁の金融検査の実効性について、一つ具体例を通しながら検証をさせていただきたいと思います。

 それは、一昨年、これはかなり実は事件当時は大変な問題になりまして、新聞とかでもばんばん出ました。それで、私の地元であります、旧関東銀行に関するいろいろな不正行為に関して判決が去年出たんですね。それに関しまして、その具体例を引きながら、一般論に引き直してお尋ねしたいと思います。

 まず、この概要なんですけれども、昭和六十一年三月、旧関東銀行の本店営業副本部長、あと頭取、この方たちが、地元しにせのY商店に対しまして、業務はすべて銀行がやります、取引相手も全く心配ありません、利益が上がり、絶対損はかけませんと、ウナギの輸入取引に関する仕事を持ちかけたわけですね。そこで、総額九億三千八百二十七万円という巨額融資をしました。しかし、実際は取引会社がすぐに倒産しちゃったんですね。それで、不渡り手形を出しまして、何とたった一年後、翌年の六十二年の一月には、約二十億円もの損害をこれはY商店に与えたわけであります。

 そしてその間、裁判でも明らかになった事実関係を申し上げますと、六十一年の十二月三十日に五億円の融資をしています。そして、これをすぐ両建て預金にしたんです。そして、取引会社が倒産する直前の昭和六十二年一月五日、ですから、十二月三十日に五億円の融資と両建て預金をさせておいて、次の年の五日ですよ、たった五日後には、その両建て預金に積ませた預金を不正流用して取引会社に送金しちゃったんですね、倒産するのがわかっているのにですね。

 それで、この両建て預金に関しましては、法廷に出された、ここにも資料が、後で言います、配付してありますけれども、稟議書の改ざんまで法廷でこれは明らかになっているんですね。そこで、水戸地裁では、平成十五年四月二十一日の判決によりまして、旧関東銀行の不法行為責任を認めています。

 これで、ここに至るまでの旧関東銀行に対する金融検査には、私はやはりさまざまな問題があったのではないかと思うわけであります。

 そこで、これを引き合いにしまして、一般論に引き直して御質問いたしますが、もう少しちょっと具体的に言いますと、まず第一の点でありますが、関東銀行がしにせのY商店に対し六十二年の二月十七日に貸し付けました七億三千八百二十七億と、同じ昭和六十二年五月六日に貸し付けました二億円、これが、もうその貸したすぐから現在まで一円の利払いもされていない状態なんですね。

 これで御質問申し上げますが、長期間金利が支払われていないような大口の問題債権につきまして当然調査をされていると思うんですが、金融庁は、こういう場合どういう検査を行っているんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 小泉委員の、銀行監督の実効性を高めることが重要であるという問題意識は、我々もかねてより承知をしているつもりでございます。

 個別ではなくていい、一般論として答えろということでございますので、そのような観点から、大口のそうした問題債権についての検査、どのような検証を行っているかということを申し上げますと、長期間に金利が支払われていないような大口の問題債権がその金融機関にある場合、当該金融機関のこれは財務の健全性から問題があるおそれがあるわけでありますから、これは、検査において、財務の健全性の観点から厳正な検証を行うことになります。

 具体的に言いますと、まず、金融機関が自己査定において、その延滞の状況はどうか、発生の原因はどうか、将来の解消見込み等、その債務者の的確な実態把握を行っているかというのが重要なまずポイントになります。さらに、適切な基準に基づいて債務者区分が適切に区分されているのか、それにふさわしい、それに見合った償却、引き当てを実施しているか等々、そういう点が当然重要になるわけでございます。また、適切な自己査定を確保するためのリスク管理体制が十分か等々、そういった観点から、検査において我々として検証を行っているところでございます。

小泉(俊)分科員 旧関東銀行はY商店に対し、昭和六十一年十二月三十日に五億円を貸し付けました。そして同日、これを両建て預金にしたんですね。また、翌年の一月五日、先ほど申し上げましたように、これはY商店に全く無断でこの両建てにした預金を流用して、倒産直前の取引会社に送金してしまいました。これは裁判所もこの事実を認定しております。

 それで、普通、このような巨額な両建て預金というのは、これは当然、旧大蔵省のときから、そしてまた今もやはり通達によってこれはたしか禁止しているはずだと思うわけでありますが、まず、この巨額の両建て預金に関して大蔵省、金融庁は、一体これはどんなような検査をまず行っているんでしょうか。そしてまた、両建て預金の事実が判明した場合、監督上どのような指導を行っているんでしょうか、竹中大臣。

佐藤政府参考人 まず、検査の関係についてお答えをさせていただきます。

 いわゆる両建て預金でございますけれども、私どもの検査マニュアルにおきましても、金融機関とその経営者が遵守すべき具体的な法令等として、独禁法の第十九条、これは不公正な取引方法について規定しておりますけれども、これとか、あるいは過度な歩積み両建て預金といったことが具体的に示されているわけでございます。

 この考え方でございますけれども、金融機関が、資金の貸し手という優越的な立場を利用して債務者の意思に反して預金を創設させたり、あるいは預金の解約、払い戻しの制限を行うといったことがないように、検査において必要に応じて検証するということでございます。

 具体的には、歩積み両建て預金等の自主的な管理をどのように行っているか、あるいは内部チェック体制が整備されているかどうか、さらには、所要の手続をとらないまま払い出しに応じないといった対応を行っていないかどうか、三つ目に、営業店での苦情処理体制といったものが整っているか、あるいはその処理状況がどうかといった点について、銀行の内部管理体制の適切性という観点から検証を行っているところでございます。

小泉(俊)分科員 この事件で、もう一つ極めて私は重要だと思うんですが、決してやってはならないことをやっています。

 金融機関が顧客の預金の不正流用をした事実がこれは判明しているんですね。これは業務上横領ですね、刑法上は。こういうような顧客の預金の不正流用に関しまして、大蔵省、金融庁はどのような検査を行っているんでしょうか。そしてまた、これは監督上どのような指導を行っているんでしょうか、竹中大臣。

佐藤政府参考人 一般論としてのお答えでございますけれども、金融機関が顧客の預金を不正に流用したといった事実が判明した場合には、検査マニュアルに規定されております「法令等遵守態勢」あるいは「事務リスク管理態勢」というところで各チェック項目が記載されておりますので、それに即した検証を行うこととなろうかと思います。

 具体的には、法令等遵守に問題があるという事実がないかどうか、問題があるとすれば、どのような原因でそれが発生しているか、さらには、問題事例の発覚の際に金融機関側はどういう対応をとったか、それは適切だったかどうか、さらには、発生防止のための法令遵守態勢、事務リスク管理態勢が十分であるかどうかといった点について検証を行っているところでございます。

小泉(俊)分科員 また、旧関東銀行が両建て預金とした五億円の融資につきまして、これは資料をお手元に配っています。これは、稟議書を改ざんしていることが裁判上も明らかになっています。

 この稟議書は、まず一ページは改ざん前であります。二ページ目が改ざん後なんですが、これは裁判の過程で裁判長によってこの改ざんが発見されまして、実は、これは裁判上の稟議書なんですが、もう一通、金融庁の検査を回避するための稟議書が銀行の中にあるんじゃないかと言われています。

 金融庁の検査を回避する目的で、一般論でいいですよ、このような稟議書の改ざんをしたことがわかった場合、どういう対応をとられるんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 一般論としてということでございますけれども、仮に、銀行法六十三条に定めるような、検査忌避等の行為も含めて各金融機関の検査対応に問題があるということが明らかになった場合には、これはもう銀行法の規定に則して、検査において厳正に検証の上、その検査結果の通知において的確に問題の指摘を行うということになります。検査をしっかりと行えないような条件ができてしまえば我々の検査監督が機能いたしませんので、これは、銀行法六十三条に定める検査忌避等の行為も含めて、我々としてはしっかり対応するということになります。

 この際に、稟議書を改ざんする等、具体的にどのような行為が六十三条に定める行為に当たるかどうか。これは、個々の案件の実態に応じて総合的に判断するということになるわけでございますけれども、我々としては、検査はしっかりと行う必要がある、それに基づいてしっかりと監督する必要がある、そうした意味で、法令にのっとってしっかりと対応していくという仕組みになっております。

小泉(俊)分科員 これは昭和六十年から六十一年にかけての事件なんでありますから、今までずうっと長い時間をかけて争われてきた事件であります。

 この中で、一つ、この事件当時、関東財務局勤務の方の息子さんが関東銀行に就職されたと。これにつきまして、やはり地元では、金融検査との関連で疑惑が持たれています。これは個別ですから置いておいたとしましても、大蔵省や金融庁などの、監督権限がある官庁の幹部の子息が金融機関に就職することについては、この点についてはどのような見解を竹中大臣はお持ちでしょうか。

竹中国務大臣 金融庁の幹部職員の子息の民間金融機関への就職については、これは、個人の職業選択の自由等々も当然一方であるわけでございますので、これを金融庁として把握したりコメントする立場にはないというふうに思っております。

 考えてみますと、これは、金融庁のみならず、監督権限を持っている役所とそれの業界、その企業に就職するお子さん、金融庁のみならず、さまざまな役所に当てはまる可能性がある事例だというふうに思いますけれども、今申し上げましたようなことも含めて、幹部職員の子息がその関係の金融機関に就職しているか否かにかかわらず、これは法令等に従って適切な監督検査を行っているところでありますし、そこはゆがめてはならないし、ゆがめないように我々もしっかりと行っているつもりでございます。

小泉(俊)分科員 竹中大臣、李下に冠を正さずと言いますね。やはり疑わしきことは、極力――確かに、職業選択の自由というのは憲法上ありますのでわかるんですが、非常に強大な権限を持っている監督官庁、特にその幹部の方に関しまして、やはり何らかの、決まりじゃないですよ、しかし、事実上何らかのそういう歯どめをかけないと、いろいろな意味でやはり不信が芽生えてまいりますので、その辺は、今後もう十分に御検討いただけますことをよろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、この五億円にも上る両建て預金の不正流出につきまして、旧関東銀行の内部でも、関東銀行本店営業部長ら六名が役員報酬の減俸処分などの懲戒処分を受けています。

 このような銀行内部の懲戒処分があった場合、大蔵省や金融庁はその報告を受けることにこれはなっているんでしょうか、大臣。

五味政府参考人 金融機関で不祥事件が発生いたしました場合は、銀行法の五十三条などの規定に基づきまして、人事処分の内容も含めましたところで届け出が提出されるということになっております。届け出様式を事務ガイドラインで定めておりまして、そこにそうした欄を設けております。

 それで、この届け出を受けました場合は、事件の事実関係、あるいは原因、改善対応策、こういったものについて、必要に応じて、人事処分の内容も、必要があれば具体的なヒアリングを実施するという形で把握をするようにいたしております。

小泉(俊)分科員 また、この旧関東銀行のY商店に対する貸し付けは、先ほど冒頭で申し上げましたように、これは関東銀行からの持ちかけ融資なんですね、バブルの前後によくありましたが。

 その際、裁判所も認めた事実によりますと、高額な利益が保証されているなどのセールストークをこれは行い、リスクの説明は一切していないと。また、ウナギの輸入業者と国内販売業者はいずれも当時から極めて懸念されていた信用状態であったのに、銀行はY商店には全くこれを秘密にしていました。

 これは、こういった事態というのは多々あると思うんですけれども、顧客に対して銀行に課せられた社会的責任に私はこれは反すると思います。優越的地位で情報もたくさん持ちながら、提案型融資を持っていきながら、全然その取引相手の信用状態も何にも言わない。銀行の説明責任、説明義務について、やはり大蔵省、金融庁というのはどういう指導監督をしているんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 金融機関の優越的地位の乱用につながらないようにしっかりやらなきゃいけないのではないか、これは、委員もおっしゃいましたように、財務金融委員会等々で常に委員からも御指摘をいただいているところでございます。

 提案型セールスという場合に何を意味するのか、これは人によってちょっと定義もいろいろかもしれません。必ずしも明らかではないわけでありますが、一般論としては、やはり、金融機関が顧客のニーズに応じて必要な状況を適切に提供しながら融資を行うこと、このこと自体はやはり否定されるべきではないわけでございます。これもやはり金融機関の重要な社会的な機能であるというふうに思います。

 しかし一方で、同じくこれも一般論でございますけれども、金融機関が顧客に対して取引の内容やリスク等の適切な説明を行うということは、これは、健全かつ適切な業務運営の確保及び顧客保護の観点から極めて重要なことでございます。委員御指摘のように、情報量に格差がある、取引経験にも格差がある、そのような場合に、こうしたことを踏まえてやはり取引のルールをつくっていかなければいけない。

 金融庁としても、昨年七月にこの事務ガイドラインを改定しておりまして、与信取引に関して、貸し手の責任において整備すべき説明態勢について、これを、当局が銀行の内部管理態勢の検証を行う際の着眼点というのを類型化して、公表して、しっかりとやっていこうという体制になっているところでございます。

 また、今検査事務年度における検査の重点事項としても「債務者等に対する説明責任」を我々掲げておりまして、金融機関の説明態勢の整備状況の重点的検証に注力をしているところでございます。

 また、法令遵守態勢等に問題があると認められるような場合には、これは、法令にのっとり厳正に対処をすることにしているところでございます。

 我々としては、今後とも、この検査や監督を通じまして、各金融機関が顧客に対する適切なまさに説明態勢を整備するように、ぜひ強力に促していきたいと思っているところであります。

小泉(俊)分科員 冒頭申し上げましたように、銀行に今度証券仲介業務等を認められるわけでありますね。まさにこのセールストークなんですよね。ですから、いろいろな預金の情報からすべての情報を金融機関が持っていまして、一般顧客、本気でこれをだまそうとしたら、銀行は、簡単に、赤子の手をひねるようにだませちゃうんですよね。ですから、ますます金融監督庁のこの職務というのが、物すごい、一般の顧客とか預金者を守るために一番重要なお仕事が皆さんのお仕事だと私は思います。

 ですから、今、竹中大臣がおっしゃいましたように、厳正に、ぜひとも厳しくそういったことは、顧客を守れるのは皆さんしかいませんから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 また、この点につきまして最後の質問になりますが、これは、旧関東銀行には、御案内のように、つくば銀行と合併する際、六十億の公的資金が投入をされたわけであります。それで、これは今、東京高裁で裁判官が和解を勧告しているらしいんですが、何と、その席上、関東つくば銀行の顧問弁護士が、公的資金の注入を受けているために、金融庁から和解に応じてはならないということを言われているということを明確にこれは話しているそうであります。

 公的資金を注入している金融機関というのはいっぱいあるわけですけれども、金融庁は、公的資金を投入した銀行に対して、和解等には一切応じるな、こういうような指導監督をされているんでしょうか、大臣。

竹中国務大臣 個別の法廷でのケースでありますので、個別のコメントというのは差し控えさせていただきますが、これは、今お話を聞いてちょっと私も驚いておりますが、一般論として申し上げますと、訴訟については、これはあくまでも当事者間で解決されるべき問題でございます。それに対して当局が、和解の是非についてこうこうこうしろという指導をする、これはちょっと考えられないことでございます。これはもうはっきりと申し上げておきたいと思います。

小泉(俊)分科員 私も、当然聞いて愕然としたんですが、私は、ずっと当選以来、大蔵と財務金融一貫しておりますので、こんなことは聞いた瞬間に絶対ないと自信を持って私は言いました。ただし、みんなそう言われますと信じちゃうんですよ。ですから、みんなびびっちゃうんですね。非常に、やはり金融庁の持っている大きな権限というのをみんなよくわかっていますので、そういうことを特に銀行サイドの代理人から言われると、普通の国民というのは、そうなんですかとみんな素直に思ってしまいますので、やはり私は、きちっとそういうことはないということを、まあ、そういう意味も含めて質問させていただいたんですが、明確に今のようにお答えいただいて、今後、こういったことのないようにぜひとも指導なりしていただきたいと思う次第であります。

 何度も何度も私はこれ、監督の実効性ということについていろいろな機会で話をさせていただいているわけでありますが、今、一般論として私はお伺いさせていただきました。しかし、一般論というのは、全国津々浦々すべてにやはりあまねくそれをしていくというのがこの一般論の意味でありますので、当然、この日本全国、私はきょう旧関東銀行について申し上げましたが、似たようなケースで、実は裁判も起こせないんですよね。

 これはなぜか。印紙代が高いんです。なおかつ長期化します。ですから、五年も十年もかかる裁判を普通の方ではこれは起こせません。この後、保証の問題もやるんですが、自分も連帯保証を受けていますし、嫁さんも受けていますし、親戚まで全部連帯保証人になっちゃっているんですよ。ですから、そんな裁判なんてやっていることが不可能なんですね。

 ですから、銀行に対する裁判というのは実際はほとんど起こすことができませんし、今回、なぜ旧関東銀行はこれほど出たか。余りにも悪質なので、旧関東銀行にいた元役員の人たちが、すべての情報を、原告側に立って実は証人に立っているんです。極めてまれなケースですよ、これは。情報量も違いますし、資料も出てきませんから、ほとんどは負けちゃうんですよ。ですから、四百件やっても五件しか勝訴できないわけであります。ですから、監督庁が大切になってきます。

 その辺を踏まえて、やはり一人でも、今こうしているときにも、金融監督庁がしっかりやってくれないと人が死んでいるんですよね。毎度毎度私は申し上げますが、三万人の年間自殺者と言われていますが、実際、実数はその三倍の十万人、自殺未遂者は三十万人一年に出ているんですよ。ですから、そのかなりの部分、全部とは言いませんけれども、何割かは、極めて銀行とか金融機関によってとらの子の財産を失って路頭に迷い、年老いた母とか親を持ちながら、全部死ななきゃいけない人たちも出てくるわけですよ。

 ですから、そういう意味では、しっかりと――今も検査していますね。たまたま関東銀行にはきょう入っているはずだと思いますが、全国の今入っているところに対しては、公平に、厳正に私はやはり検査をやっていただきたいということを心からお願いを申し上げます。

 そして、ちょっとこれは時間が迫ってまいりましたので、もう一個、さっき話しました個人保証の問題です。

 手元に資料をお渡ししてありますが、これは個人破産数です。御案内のように、この三枚目に、よく言われておりますが、平成十五年、ついに二十四万件をこれは突破しました。もうウナギ登りですね。

 それで、この一つの問題が私は連帯保証にあると思っています。やはり、先ほど申し上げましたように、お金を金融機関が貸すときに、その融資する金額よりはるかに超えた物的担保もとる。抵当権ももちろんとります。それ以外に、本人は保証させ、奥さんは保証させ、両親ともに生きていれば親にも保証させるわけですね。もうがんじがらめにしているわけですよね。それで、中小企業は、融資を受ける際、経営者、親族の個人保証が必ず必要になります。その保証の内容は、ほとんど、限度額や保証期間を定めない包括根保証であります。その結果、主たる債務者の破綻により、保証人は信じられないほどの過大な責任追及を受けるわけであります。

 それで、経済財政諮問会議の中でも、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」の中で、「個人保証のあり方の検討、見直しを進める。」という、たしか竹中大臣が主宰されております経済財政諮問会議で言われているわけでありますが、各省庁がこの方針に従っていろいろな方策を立てられていると思うんですが、金融庁は、金融実務上どういう改善策をとられてきたんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 小泉委員がおっしゃった、検査監督を本当にしっかりやれという御指摘は、改めて、我々しっかり受けとめて対応させていただくつもりでございます。

 金融機関というのはまさに目ききが仕事でありますから、安易に担保や保証人に依存するというのは、これは金融業の本来のあり方からやはり離れていると。そういった観点から、二年前の骨太方針で、これは、我々もリーダーシップをとってしっかりとそういう方針を打ち出させていただきました。

 包括根保証につきましては、法務省においてその法制度の見直しのための検討が行われておりますけれども、これは、金融庁としてもこれに連携しているところでございます。

 さらに、より広く担保、保証人に依存しない対応策についての我々の取り組みでございますけれども、これは、我々はもう繰り返し金融機関に対してそうした新たな融資制度への取り組みを要請してきたところでございます。さらに、昨年の三月に公表しましたリレーションシップバンキング関連のアクションプログラムにおいてもそのような取り組みを推進しているところであります。

 こうしたことの結果もありまして、このリレーションシップバンキングの機能強化計画を提出した金融機関、六百を超える金融機関のうちの約八割の金融機関が、ローンレビューの徹底でありますとかスコアリングモデルの活用によって、個人保証、不動産担保に過度に依存しない融資を促進するというふうにしている。

 また、主要行における取り組みはさらに進んでおりまして、四グループのすべてが、中小企業向けのスピード審査による無担保、第三者保証不要の商品を設けて、これを拡大させていっているという動きになっております。昨年度、始めてまだ間もないわけですけれども、一兆円を超えるという規模で拡大しているところでございます。

 今後とも、我々としては、この個人保証、不動産担保に過度に依存しない新たな融資制度に対する金融機関の取り組みを、今の延長をさらに進める形で進めてまいりたいと思っております。

奥田主査代理 小泉君、最後の発言としていただきたいと思います。

小泉(俊)分科員 はい。

 時間が参りましたが、何度も申し上げますけれども、一般の、本当にまじめにこつこつ働いて生きている国民にとりまして、預金者とか顧客とか一般公衆を守ってくれる最後のとりでが金融庁なんですね。ですから、今後とも私は、この監督の実効性を保っているかどうかという点については引き続き質問をさせていただきますが、ぜひとも、厳正中立、そしていろいろな監督の視点はあると思いますが、やはり、一般公衆を守るんだ、最後のとりでだというその誇りを持って職務を遂行していただきますことをお願いして、質問を終わります。

奥田主査代理 これにて小泉俊明君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

奥田主査代理 昨日に引き続き内閣所管について審査を行います。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)分科員 民主党の近藤洋介であります。

 本日は、地域再生への取り組みを中心に、金子担当大臣及び内閣府の見解をたださせていただきまして、議論をさせていただきたいと思っております。

 私は、昨年の十一月に初当選をして議席を預かったわけでありますが、まだ半年強というところでありますけれども、毎週末、金帰火来で地元と東京を往復しております。

 大臣も、お忙しいでしょうからなかなか地元に足を運ぶ機会はないかもしれませんが、よく各地区をお回りになられていると思うんですが、私も、地元の山形県へ帰りますと、あの板谷峠というのを新幹線で通って帰るわけですけれども、板谷峠を越えますと、もう風景ががらっと変わるんですね。やはり東京は、大変ビルが乱立して、いやあ、非常に景気がいいなと思うわけでありますけれども、地元に帰るたびに、非常につらい気持ちになって帰ってまいります。地元でいろいろ話を伺いますと、小泉内閣はちょっと地域に冷たいんじゃないかという声は、これは、私が現在民主党に所属しているからということは抜きにして、全体の傾向としてやはりあるのではないかと思っております。

 マーケットといいますか、市場原理というのは、これは経済にとって大切なことだとは思っておりますけれども、しかしながら、そればかりでは、政治は何をしているのかというところでございますし、やや小泉内閣は、ややといいますか、かなり地方切り捨て論であると。先般の交付税の問題についても、地方の悲鳴が今各地で沸き上がっているという認識でございます。

 そういう中で、ようやくといいますか、やっと地域再生への取り組みを政府においても動き出されて、昨年来から、地域再生本部をつくられ、そして地域各地区にそのアイデアを出させて、それを後押ししようという取り組みを始められたということでありますが、まず最初にお伺いしたいのですけれども、日本の経済全体にとって、まず、地域、地方が与える地方の意義といいますか、地域再生の意義というのは日本全体にとってどういう意義があるとお考えなのか。そして、その中で、現在の取り組みの効果といいますか、これがどの程度地域経済に効果があると思って現在の地域再生プログラムをお考えなのか。

 この点についてお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 昨年の十一月に当選をされて、今、金帰火来、多分、一番地元の状況あるいは地域の状況というのを敏感に理解をされておられる近藤先生だと思います。また、お父様の近藤鉄雄先生、やはり財政面、特に私自身も御指導いただきましたけれども、地域の問題についてもまた随分御指導もいただいてまいりました。

 私自身も地元には非常に帰る回数が少なくなったんですが、全国各地区、やはり地域に元気を持ってもらいたい。そして、それぞれの地域がどういう考え方で自分たちの地域を伸ばしていこうとするのかということを、地元の市町村長さんあるいは知事さん等々とほとんど毎週のように全国各地区でお話を伺っておる状況であります。

 御指摘いただきましたように、経済、けさ発表になりましたけれども、この一―三月もかなりいい経済成長率、十五年度全体でいきますと、実質で三・二、名目でもプラス〇・七という報告は出てまいりましたけれども、しかしそれは、我が国全体、あるいは引っ張っている部分はいいんですけれども、地方へ行きますとこの実感が本当に得られるのかということでは、決して肌では感じられないよね、そういう意味で、改めて言うまでもありませんが、それぞれの地域をどういうふうに私たちは支えていくのか、または政府として支援をしていくのか。

 それで、今、地域をそれぞれ支える意義は何かという御質問なんですけれども、やはり、中国特需のある地域、IT等々のある地域、地方も全部が全部だめじゃありません。もちろん、東北でも鉱工業生産で物すごく伸びているところがありますよね。そうじゃなくて、やはり中山間地等々になりますと、それなりのことをやっていただかないと、そういう地域がなかなか伸びるきっかけがない、こういう地区をどうするかということを私たちはやっていく。

 そういう中で、従来ですと、財政支出ということで対応してきたんでありますが、小泉内閣の構造改革の中で基本的な考え方は、従来型の財政措置をとるという方法ではなくて、やっぱり、そういう地方でも、自分たちでどういうことをやっていけば自分たちの地域が一番伸びていけるのか。

 それぞれの地域、東北でも、例えば岩手県遠野市でも、ああいう昔からのカヤぶきの里というもの、これだけで観光客がそれなりに来てくれていた。しかし、それにどぶろくというものを追加したらば、もうそれだけで五割増しの人たちが来てくれる。五割増しの人たちが来てくれるならば、さらにそれを生かしてビジネスチャンスをつくろうではないかという動きが既に行っていく。私たちはそういうものを支援する。その支援の仕方も、与えるということではなくて、そういう地域の人たちがやりたいことをやっていただけるような環境をつくっていく。それが規制改革であり権限移譲である。

 そのほか、もちろん来年度へ向けて、まちづくり交付金等といったようなものも考えておりますけれども、いずれにしても、まず第一には、そういうそれぞれの地域で何をやっていけば一番持続的な雇用につながっていけるのかということをお考えいただいて、そして、我々はそれを実現できるような環境を整えていく。そのことが、今私がまた一番最優先して取り組んでいる課題であります。

近藤(洋)分科員 大臣御指摘のとおり、今の景気回復は、QEにしろ何にしろ、大企業型であり輸出型であり都市型である。これはもう間違いないところであるわけであります。

 先ほど申し上げたように、地方はせっぱ詰まった状況にあるわけですが、その中で、今回の地域再生計画でございますか、十四日に第一次の締め切りがあったということを聞いておりますが、それぞれの地域がみずからの生き残りをかけて計画を出しております。

 私の地元の山形県でも、二つ、大きく分けて県としては二つということでございますが、「超精密技術」関連産業集積促進計画、これは、率直に申し上げて、なかなか今工業団地も用途が限られている、これを広げてほしい、研究開発だけではなくてものづくりも入れてほしいとか、そういった用途制限を緩和してほしいということも含めた地域再生計画、ものづくりを中心としたもの。もう一つは、山形いきいき園芸産地創出計画、これは農業でございますが、製造業と農業ということに絞って計画を政府に出したところであります。

 それぞれの地域が、何とか必死になって生き残りをかけたプランを出しているわけでありますが、大事なのは、一つ確認をしたいわけでありますが、これまでのお役所仕事ではなくて、どうしても政府は、地方が持ってきたものを認可してやる、許可してやるという姿勢だとこれは話が進まないわけでありまして、やはり、行政は最大のサービス産業であるわけですし、その中核が政府なわけでしょうから、各地域が必死になって出してきたこのプランを、改めて伺います、ぜひ、前向きにできる限り認めるという姿勢が重要かと思うわけでありますが、いかがでございますでしょうか。

金子国務大臣 先生の御熱意、伝わってまいっております。それで、私、先ほど申し上げたように、従来型の予算措置でない、あえて与えるということではない、地域の人たちがやりたいということをどうやったらばやってもらえるようにするかというのが私の役割であるということを申し上げました。そういう中で、山形県から出てこられました、お地元から出てこられました案件についても、先週金曜日に出てきたばかりでございますので、今、予見を持ってはもとより言いにくいのは当然でございますけれども、前向きに進めさせていただきたい。

 そういう中で、「超精密技術」関連産業集積促進計画、山形県にもすばらしいものがあるんですね。この中でも、いずれにしても、今お話を伺っているのは、米沢のアルカディア、これは、研究所はできないということのようでありますけれども、一般的なオフィスだけじゃなくて、そういう研究関係もできるようにしていったらどうか。それから、米沢八幡原中核工業地帯、これも、保税蔵置所というらしいですけれども、要するに保税庫ですか、こういうものをやっていく、対象を広げていく。

 何とかそういうことが実現されることによって、この工場地帯、この超精密の技術関係のものが生きてくるということが本当にできるんであれば、ぜひ、進めるということを他省庁とも働きかけながらやっていきたいと思っております。

近藤(洋)分科員 ぜひ、各地の知恵を生かしていただきたいと思っているわけであります。

 続きまして、特区についてお伺いしたいのですが、構造改革特区、大変昨年来、各地区で手を挙げる地区が相次いで、数字は、ちょっと資料があれでございますが、成功例集、成果集ですか、見させていただきましたが、大変なそれぞれのアイデアが、おもしろいアイデアも含めて実績がまさに上がりつつあるかなと思っているわけでありますけれども、大臣、大事なのは、特区というのは、やはり一つの考え方で、この地域だけに認めるということでしょうけれども、よいものはやはり全国に広めるというのが基本原則かと思うわけであります。

 一つの実験台で成功事例が見えたら、それを全国ベースで広げていく、さらには、そして日本経済を活性化していくという発想かと思うわけでありますが、まだ、できて、実際動き出して一年ということでありましょうが、こういうスピードの時代でございますから、ぜひ、成果が上がったものについては、早急に各省庁連携をして一般化していくということが必要かと思うわけでありますけれども、いかがでございますでしょうか。

金子国務大臣 いい御指摘をいただきました。

 私たちも地区を限定してスタートしておりますけれども、それがいい結末を得る、あるいは逆に言いかえますと、問題がない、全国に広めたらいいではないか。主に規制緩和あるいは権限移譲が中心になっておりますので、今、考え方といたしましては、実施されて一年したら評価しよう、半年以内にもう評価しちゃおう、そして、そこで問題なければ全国展開をしていこう。

 今、全国の市町村長の間でありますけれども、先生が提示されました全国事例集ですか、これを見て、あそこがこれをやったんなら、おれのところもやりたい、宝の山だ、今まで思いつかなかったけれども、こんなことができるのかということで、各全国の市町村長たちも、やはり、全国化される、あるいは全国化されなくても、自分のところで特区でやりたい、そういう意味での、成功事例集というのは宝の山だと言ってくれているのがございます。

 そういう意味で、御指摘のように、なるべく早く全国化していきたい、今のスケジュール感でやっていきたいと思っております。

近藤(洋)分科員 ぜひ進めていただきたいと思うわけであります。

 さて、地方経済を地域を歩きますと改めて感じるわけですが、私は、政治活動を始める前は新聞記者をやっておって、いろいろな産業を歩いてまいりましたけれども、地元に帰って活動して改めて思うのは、建設産業のウエートの大きさなんですね。これは、大変、東京にいますとちょっと考えられないぐらい大きいというのを感じるわけであります。

 これまで、建設業というのは地域によっても基幹産業だったわけですけれども、歴史的に見ると、農業から建設業にずっとシフトしていったわけでありますね。高度成長からずっと雇用の数がシフトしている。マクロ的に見ても、農業従事者と建設業従事者を比べ見ますと、ほぼリンクして農業から建設業に移ってきた数字がわかるわけでありますが、今まさに公共事業がこういう状況の中で、国の財政がこういった状況の中で、五十万社とも言われる建設業、大変、特に地域においては塗炭の苦しみを味わい、何とか個々の企業としても業態転換といいますか、生き残りをかけてそれぞれの各社は模索をしているわけであります。

 その中で、一つ、農業なんですけれども、農業というものにもう一度建設業が移っていくといいますか、道は考えられるのではないかと思っているわけであります。

 私の友人などでも、建設業の若手の経営者の中から、農業分野、例えばダチョウを飼育したりとか、私の地元は米沢牛でありますが、米沢の牛舎に着目をしてやってみようとかいう取り組みをしている経営者、若手は出ております。無論、公共事業というのを据えながらも、もう一度農業に目を向けてみようという経営者たちが出てきているわけでありますが、この地域再生のプランの中にも、「建設業の新分野進出等を促進するための関係省庁連携会議の開催」というのも事例として「地域の基幹産業の再生」という項目の中に入っておりますが、この農業分野への後押しも含めて、建設業の再生、何か御計画、お考えがございましたらお教えいただきたいんですが。

金子国務大臣 そうですか、米沢牛の牛舎を活用するとかダチョウをやろうというお話も出ていると、大変力強いお話も伺いました。

 御指摘いただいたように、確かに歴史的に見ると、農業から、この人たちが建設業をやっている。あるいは、経営者はともかくとして、働いている人たち、これは、農業をやりながら、建設のときにはそちらに従事するという非常に近い分野だということも事実でありますし、したがって、その逆、つまり、建設から農業に入っていきやすいという部分もそのとおりだと思っておりました。私たちもそれに注目というんでしょうか、着目をしております。

 それで、従来は農家でなければ農業に従事できなかった。それを、株式会社のまま農業分野に進出して結構ですという、できるような特区というのをつくらせていただきました。ただ、全国では事例がまだ少ないんです。

 しかしながら、今、近藤先生がまさにおっしゃっていただいたように、新分野進出。例えば三十人の建設業の会社、公共事業が減っちゃった、あるいは、これからはもうそうそう簡単にはふえない、公共事業削減にあわせて十人を農業分野をやらせようということで、会社のまま農業に参入してくれている例が、まだ少ないんですけれども、出始めておりました。

 この人たちが事業を行うのに、とりあえずできるようにした。さらにそこから先何が必要かということについて、つまり国が支援する。ここから先をどうするのか。資金の調達問題、さっきの例で言えば、ダチョウを飼う鳥舎の建設資金、あるいは農林省の予算が本当に必要なのかどうか、こういう話があれば、また我々は対応していきたいと思っています。

 今のところは、株式会社は参入する。資金調達の面についても、いろいろもっと資金調達はしたいけれども、なかなかどこどこは貸してくんないなあとか、農協は、本当は農協はそこを出せるんですけれども、兼業建設業になりますと、準会員というようなことで少し枠が狭まっちゃうというような幾つか問題はあるようでありますけれども、しかし、そういうものを今ある制度の中でかなりできるというのも事実なものですから、それを、さらに必要があれば我々は支援をしていきたい。そういう、兼業農家というよりも兼業建設業というものをどんどん進めていただきたいと思っております。

 ある東北の建設会社の方が、農業も一分野でやりました。そうしましたら、彼らが言っていましたのは、単におれたちは農家じゃないんだから、農協につくったものを売るだけじゃなくて、株式会社なんだから、ほかのものと組み合わせた商品をつくりたい。農産品を、三陸沖の、アワビと岩ガキが産地だと思いますけれども、あの海産物と組み合わせて地元の商品をつくりたい。株式会社だからこそこれができるんだと言って、しかし、市場に近づいたら、味のテストとか何とかということになったら、場合によってはまた国の支援を頼むというお話もありましたけれども、そういう取り組みというのが全国にさらに展開されていくこと、そういうときに、また私たちは必要な状況であれば支援していきたい、そんな気持ちで取り組んでおります。

近藤(洋)分科員 ぜひ、総合的にこの分野に取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 いずれにしろ、成長のエンジンは実は地域にあるんだということで、その一つの分野が実は農業ではないかと思っておるわけであります。私どもも、政党として民主党農業再生プラン、これから打ち出してまいりますけれども、ぜひ農業というものをもう一度見直して、担い手の多様化という観点からも重要ではないかと思っておるわけであります。

 続きまして、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、PFIについてお伺いしたいと思っております。

 大臣御指摘のとおり、財政が厳しい。ただ、全体として、国にしろ地方自治体にしろ、お金がないと言うけれども、国全体で見ると、実は我が国はお金はあるわけでありまして、このPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、民間の資金と知恵を活用した公的分野の整備ということでありますけれども、これが非常にこれから重要になるのではないかと思うわけであります。

 全体のお金の資金循環のことを見ますと、日本は何か一生懸命せっせとお金をため込んで、そして、最近はとまっているようですけれども、為替介入を通じて米国債を買って、何か日本が貢いでいるような資金循環構図になっているような気がするわけですけれども、ぜひここの分野を、やはり、国内にお金を回すという意味でもPFIは重要かと思っております。

 PFI法が議員立法で施行されてから五年ということでありますけれども、まだまだ箱物も多いという課題もございますが、これから、政府としてこのPFIをどのように位置づけ、進めていこうとされているのか。まず、認識を簡単に述べていただきたいと思います。

小平政府参考人 今、先生御指摘になられましたように、PFI事業、大変私どもとしても重要であるというふうに思っておりまして、これまでも、さまざまな政府の決定でそのように位置づけをいたしてきております。

 その観点から、ガイドラインを制定するというようなことも含めまして取り組んできているところでございまして、今後とも、さらに力を入れて取り組んでいきたいというふうに考えております。

近藤(洋)分科員 ぜひこれは、内閣府の資料を事前にちょうだいしましたら、いわゆるバリュー・フォー・マネーというんでしょうか、通常の公共入札と比べてPFIがどれだけ安く、低くできているのかという数字が出ておるわけですけれども、押しなべてというか、すべてにおいてやはり当初の通常の入札よりも低く出ておりますが、これは当然ですね。やはり、民間の知恵を発揮すれば、当然効率的でよいものができるというのはこれは当たり前なのかなという気がしているわけですけれども、ぜひ進めるべきかと思うわけであります。

 そして、そこでぜひお伺いしたいのですが、補助金の事業主体が民になった場合、そして最終的に官に返すというケースの場合、この補助金が、通常の官の事業であれば、国からの補助金等が、例えば地方自治体が進めるものに出るものが、民に、PFIにした場合に果たしてどうなんだろうかというイコールフッティングの議論があるかと思うのですが、この点について、まさにその地域の地方自治体が民間活力を活用しようとする場合、ここが非常に大事なポイントになるかと思うんですが、いかがでしょうか。

小平政府参考人 今御指摘のPFIの補助金に関しますイコールフッティングでございますけれども、これにつきましては、ことしの二月に決定をされました地域再生推進のためのプログラムにも、その項目につきまして明確に位置づけをしているところでございます。

 私どもといたしましても、PFI関係省庁に働きかけをいたしまして、このイコールフッティング、積極的に推進するように申し合わせを行ってもらったところでございますけれども、ことしの三月に行いました調査結果によりますと、六十二件の補助制度のうち、BTOにつきましては八二%、BOTにつきましては六三%が既に補助対象になっているということでございます。

 昨年の秋につきましては、BTOは七〇%、BOTは一四%でございましたので、かなり進んでいるというふうに思っておりますけれども、今後、さらに拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)分科員 ぜひ拡充すべきだと思うんですね。

 これは、何もパブリック・ファイナンス・イニシアチブではないわけではありますが、しかしながら、民がやるときに、より民間が知恵を出しやすいように、参入しやすいようにするためにも、地方自治体が発注する際に、民間にすべてをゆだねたときに、同じような状況で事業が展開できるように、その結果として、施設でも何でもいいんですが、安くできればそれはそれにこしたことないのでしょうが、ぜひ、この点については進めていただきたいと思うわけであります。

 時間が参りましたのでやめますが、ぜひ大臣、これはちょっと通告にはないんですが、最後に確認で、PFI、大臣は金融の御経験も、大変銀行での御経験もありますので、この分野、大変極めて重要だと思うわけであります。一言だけ大臣の意気込みといいますか、お声をお聞かせください。

金子国務大臣 力強い御指摘をいただいておりまして、ありがたいと思っています。

 PFIというのは本当の意味でイコールフッティングで、官であろうが民であろうが、同じ立場に立ってやっていける状況というのをつくっていきたい。山口県の刑務所もPFIでやるんです。

 ただ、イコールフッティングの問題というのは、今の補助金だけじゃないんです。固定資産税、これも含めてぜひ協力してください。

 私は、今これ以上申し上げられませんけれども、本当の意味でのイコールフッティングを何とか実現できるように、場合によっては会計法の変更も要るんだろうと思っておりますけれども、ぜひ推進に御協力を、私自身先頭に立って進めてまいりますけれども、御協力もいただければと思います。

 ありがとうございました。

近藤(洋)分科員 大臣、固定資産税の点について言及いただきまして、大変ありがとうございます。これは私も大賛成でございます。この部分ができないとなかなかということでありますし、財務省との百年戦争的な部分もあるのでしょうが、しかし、重要な、これがなければなかなか進まないという部分かと思っているところでございます。

 繰り返し、成長のエンジンは地方にある、地域にあるということを重ねて御指摘をさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

奥田主査代理 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷川弥一君。

谷川分科員 自由民主党の谷川弥一であります。

 きょうは決算行政監視委員会第一分科会で質問の機会を与えていただきました。ありがとうございます。

 お尋ねをしたいことがたくさんあるんですが、衆議院選は小選挙区であること、私にとって長崎三区は初めての戦いであり、そこで数項目の公約をしたこと、最近地元に帰ると年金未納の件を中心に政治家の姿勢、特に考え方についての批判には相当な厳しいものがあることを考えるときに、公約実現に体を張り、必死に頑張っている姿を見せながら、信頼される自民党ブランドの確立を目指さなければなりません。

 そこで、公約その一、離島振興に絞ってきょうはお尋ねしたいと思います。

 昭和二十八年に離島振興法が施行され以来、五十一年間で長崎県だけでも離島予算二兆円の事業が実施されました。社会資本は相当整備され、交通の便も私の子供のときに比べたら隔世の感があります。そのことについては感謝申し上げます。

 しかしながら、人口はピーク時の昭和三十五年比五〇%減、高齢化率全国一七・三%に対して離島二九・七%、産業構造比率で第一次産業、平成十二年度、本土四・九%に対して離島は二三・九%であります。

 この二つの数字が示すとおり、離島は生活基盤を一次産業に大きく依存している。WTO、FTAの流れ、グローバリズムの進展により、一次産業で生活するのは年々厳しさを増しており、後継者であるはずの若者が離島から離れ、結果として高齢化が進むという構図になっているのであります。

 それを補ってきたのが公共事業だったのですが、近年の公共工事削減で雇用の場が激減、さらに今年度から始まった三位一体改革という名の補助金、交付税のカットで息の根をとめられようとしています。本土ですら厳しい農林漁業が、離島では運賃ほかの横持ち経費が追い打ちをかけます。壱岐、対馬、五島の水産業では売り値の四割がそれで消えます。

 角度を変えてみます。

 人類の歴史を大きく眺めると、幸せになるために、貧乏からの脱出と自由の獲得を目指して必死でやってきました。そのための絶対条件が雇用の確保です。さきに述べた状況で、それがうまくいってないのが離島です。離島は一次産業以外に生活手段が少ない。その一次産業の林業は、エネルギー革命で、薪炭、木炭需要壊滅、木材業も輸入材に押され、需給率が二割を切り、ほとんど業として成り立たなくなりました。水産業も、世界先進国だったのが、近年、韓、中ほか、アジア諸国からの輸入増大で、自給率五三%、年を追うごとに厳しさを増し、若者から見限られ、高齢化率もどんどん上がっています。農業は米、肉を中心に政治力を発揮し、そこそこやってはいますが、他産業に比べたらこれで生活することは容易ではありません。その厳しい一次産業を兼業という形で補っていた公共事業を何らかの形で雇用を提供せずカットしたらどうなるのか、結果は明らかであります。

 産業再生を担当する金子大臣にお尋ねしますが、公共事業をカットするなら、それが担っていた雇用を何かで補わないと生活できない。全国で許可された特区は、各地方から申請があれば諸手続を経て許可されるそうですが、離島の行政マンにその能力、意欲があるのかないのか、積極的に打って出ようとしません。

 そこで、次のように事柄が発展するために何が不足しているのか考えてみました。今まで許可された三百二十四特区のどれを活用すれば自分の地域に雇用が生まれるかを考え、行動をし、わからないところは県や国に尋ねて申請をする。1.申請しようという意欲がない、方法がわからない。それに対して、イ、国が県を指導して、やり方をマニュアル化し、それをヒントに申請させる。ロ、地方行政マンの教育機関を設置する。2.離島からの申請は例外的に簡単な運用を適用させる。これらの方法で、公共事業削減による雇用減対策としたいが、御所見があればお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 谷川先生の長崎県の離島の厳しい現状、今るるお伺いをいたしました。大変厳しい、どちらを見ても厳しいのが現状である。しかし、そういう中で、今お話、最後の方でありましたのは、やはりそういう中で特区というようなのも活用して、そして地域を興していきたい、どういう方法をとったらいいのかという御質問でありました。

 今、少し迂遠な話でありますけれども、やはり、農林省にしても、きょう国土交通省も来ていますけれども、これはもう従来予算をつけるところなんですが、私のところはむしろ、そういう、谷川先生のところの離島、何かやりたい、それを何か生かしていこうということをやるところが私の担当なんです。確かに御指摘のとおり、出す気がないというのも事実なのかもしれません。そこで、迂遠と申し上げましたのは、長崎県からも複数の方に東京に来ていただいて、そして、全国各地区でどういう特区が行われています、地域再生というものはどういうプロセスでやっているんですということを、短期間ですけれども東京にお集まりいただいて研修をさせていただいているんです。

 本当はそういう方が、これはとりあえずは県なんでありますけれども、先生のお地元の離島、諸島の行政マンを集めまして、こうすれば進むよ、こういう事例があるよということを、一度ぜひ先生、やっていただくように、長崎県からももう四方、五方が来ていただいて、全国の事例も知っているものですからぜひ。ほかの県では、もう既に、東京で研修を受けた、あるいはこちらで長期間、地域再生特区で国家公務員と一緒になって働いている人たちもいるんですよ。これは手弁当で来てもらっていたんです。今でも手弁当で、どうぞ各地方自治体から来てください、これは地方公務員。一緒になって、どうすればいいかというのを、それからどういうプロセスを経ればこういう特区とか地域再生というものが進められるかということを学んでいただいているんです。

 ほかの地区と申し上げたのは、ほかの県では、まず県のそういうことを勉強した人たちが市町村を回っているんですよ。あるいは集めて、そしてハッパをかけてもらっている。これが、ぜひ先生のところでおやりいただける、もうそういう人材、長崎県に送り込んでいますので、それが第一点であります。(発言する者あり)

 それから、今、現地を視察しろという、各地区からのお話もあります。私も長崎県、対馬に行く予定を既に立てているんですよ。ちょっとこれは国会明け、国会との都合もありますので。

 それで、島でいきますと、瀬戸内海に浮かぶ小豆島、あれがやはりどうしようもなくなっちゃった。耕作放棄地もぽんぽん出ちゃったというので、地元の業者さんがオリーブを耕作放棄地にばっと植えて、そしてオリーブで観光と食材、オリーブの葉、お茶から実からいろいろ使うらしいんですけれども、こういうものをやろうじゃないかということで、もう既にこれはスタートしておりますし、それから、先生のところの対馬においてはビザを簡略化しましたね、韓国と。韓国との間で、漁船でわずか一時間ですか、漁船で一時間で韓国に行く。結構、韓国に対馬の方が買い物に行かれる、逆に韓国の方が対馬においでになられる。

 そして、今、林業について全くだめだというお話もちょっとあったんですが、一方で、対馬のヒノキを韓国が、あの温かみのあるヒノキ、韓国では、白い木っきりないけれども、少し高いけれども、あれ、買おうじゃないかということで、対馬ヒノキ、私の地域は木曽ヒノキの産地なんですけれども、木曽ヒノキよりも先に、木曽ヒノキ、なかなか輸出なんというのはできませんけれども、対馬ヒノキが輸出に向かって動きが出ているというような新しい動きも出ているやに伺っております。

 いろいろなビジネスチャンスというものが、そういう特区あるいは規制緩和を通じて今全国各地区で動き出している、それをぜひ活用していただければと思います。

谷川分科員 お尋ねしたいことは、人材に問題があるので、どういうふうに彼らにいろいろな諸手当てを考えて打って出るか、そういう仕掛けをしたいというのと、今からちょっとまた触れさせていただきますが、そうはいっても、現実的に公共事業以外にないよ、今は、雇用の場は。それを切られたらどうもならぬのよ。だから、非常に厳しい離島の現状をわかってくれるならば、一律カットじゃなくて、離島はちょっとしんしゃくしていただきたい。これはまた、こっちじゃなくてこっちでしょうけれども、せっかく原稿も書いてきているのでもうちょっと先に進めます。

 経済社会が成熟化した三つの理由は、GDPが低成長になる、二つ目は出生率が下がる、三つ目は耐久消費財が普及をする、これが成熟社会の現象ですが、もう一つは、今それをAとするなら、Bは、豊かになって高学歴社会になると、女性が社会進出をし、男に頼らず自分らしい生き方を求め晩婚化する、それから子育てより自分を磨く、趣味の追求等が幸せだと思うようになる、価値観が変化してくる等々で出生率がますます下がってくる。もう一つは、医療技術、新薬開発、食料等の事情の好転によって長寿化し、結果的に日本の高齢化率は、一九七〇年、七%になりましたが、たった二十四年で一四%を突破したんです。七から一四になるまでに、フランスは百十四年、スウェーデンは八十五年、アメリカは七十五年、イギリスは四十五年かかっていますから、二十四年の日本がいかに物すごい勢いで高齢化しているかがわかると思います。

 そういうことを勘案すると、構造改革をせざるを得ない、公共事業を切らざるを得ない。ようわかるんです。わかるんですけれども、そこだけ目が行って、もう一方で、離島というのは、役割というのはわかっているのかな、この人たちは。経済水域の問題、二百海里の問題、それから尖閣列島が無人島になったときに中国とのごたごたが発生するというように、壱岐、対馬、五島が無人島になったらどうするの、そういうことがわかっているのかな、そういう思いが実はしてならないんです。

 ですから、僕がここでお願いしたいのは、その公共事業カットを離島は待てと、ちょっと。新しい産業が出てくるまでですよ、何か。一次産業で何かするなり特区を活用するなり。インターネットを使った何か、例えばジャパネットたかたというのは私のところですが、佐世保ですけれども、離島じゃなくて。日本一になっているわけですから。離島だって、ネットを使えば、やろうと思えばできないことはない。しかし、その意欲ある人材がなかなか出てこない。

 おまえも五島を捨てて長崎に出たじゃないかと言われて困っているんですが、何とかそういう間、時間をかしてよというのが僕のきょう一番お聞きしたいことであって、決算を見たときに、社会基盤は確かに整備されたんです。しかし、人間はぼんぼんぼんぼん減っているじゃないの。ますます減っていくんですよ、今後。これはどっちにお聞きしたらいいのかな。そういうことを、わかってくれます、質問の趣旨は。一律に切るなということを言いたいんですよ。

平田政府参考人 離島の持つ国家的、国民的な重要性にかんがみて、必要な公共事業予算を確保すべきではないかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、離島は、そこに暮らす人々にとりましての定住の場であるだけではなくて、先生御指摘なさいましたが、我が国の領域でありますとか排他的経済水域の保全、海洋資源の利用、管理、自然環境の保全などの国家的な役割を果たしていること、それからまた、近年、国民の自然との触れ合い志向が非常に高まっている中で、離島は、清浄ですぐれた大自然を有するなどの特性から、価値ある総合的ないやしの空間というような重要な役割を果たしております。こうした離島の持ちます国家的、国民的な役割につきましては、一昨年の議員立法によります離島振興法の改正の際に、目的条項において明確化されたところでございます。

 一方、離島は、周囲を海に囲まれていることから、本土との交通手段が限られている、また、台風など厳しい自然条件、気象条件のもとにあることにかんがみまして、離島の関係公共事業予算の補助率のかさ上げでございますとか、一括計上による予算の集中的、効果的配分の施策を通じまして、離島の基礎条件の改善、産業基盤の整備に努めてきたところでございます。これまでの投資規模は、離島振興法が制定されました昭和二十八年度以降、昨年度までの五十一年間でございますが、一括計上分の当初予算の国費ベースで累積約四兆円になってございます。なお、平成十六年度予算におきましては、約千二百二十億円の規模でございます。

 こうした取り組みの結果として、離島におきます生活環境の改善は進んできておりますが、先生御指摘のように、総じて見れば、人口減少、それとか高齢化の進展など、離島を取り巻く環境には依然として厳しいものがあると思います。また、各種基盤の整備水準もいまだ低いということで、引き続き整備を進めることが必要な状況にあるという認識でございます。

 私ども国土交通省といたしましては、今後とも、離島地域の創意工夫を生かしました主体的な取り組みを支援するため、地域の御要望を最大限に踏まえ、予算の確保に努めていきたいと考えております。

谷川分科員 緊迫感を増すために、ここ、きのう、きょうの新聞記事を示しながら、具体的数字をちょっと挙げてみますが、五月七日の日経新聞に、このままいったら無居住地区が三割ふえるよと。これは離島だけに絞ったら物すごい数になるんです。住めなくなるんです、要するに、このままの政策で続けていくと。

 もう一つは、厚労省が十四日発表したものによると、二〇二五年の年金、医療、介護などの政府支出の社会保障給付費総額は、現在の一・八倍、百五十二兆円になる。内訳は、年金六十四兆円、ことしに比べて一・四倍、医療五十九兆円、同じく二・三倍、介護十九兆円、三・八倍となっているので、公共事業をカットしてくるというのはやむを得ない点があります。消費税を上げるなり何らかの手を打たない限り、このままではどうにもならぬ、それはよくわかるんです。

 しかし、建設経済研究所の予測では、一〇年度に四十五兆円になるというんですね、建設業の投資は。ちなみに、日本の建設投資は、一九九二年約八十二兆円、それをピークにずっと下がってきて、〇三年度には五十四兆円、一〇年度にはこうだということなんですよ。それで、その新聞記事に書いているのが、公共事業に依存度の高い地方の建設業が本業だけで生き残るのは困難だ、国や地方の自治体も建設業の異分野への進出を後押ししているんだ、こう書いているんですね。

 もう一つは、国交省が地方の中堅・中小建設業を対象に昨年十二月に実施したアンケートによると、進出分野一位、リフォームなど建設業周辺三一%、二位、土壌改良材の開発、緑化事業など二三%、環境・リサイクルですね。三位が農林水産業一一%、福祉に九%、こうなっているんです。これが現実的な建設業の移っていく先だ。これが離島にどんなふうに使えるかと考えたときに、非常に、大臣、厳しいんですよ。

 だから、もう一遍言いますよ。こういうことをるる考えて、もう一つありますが、内閣府の県民経済計算年報では、地域経済に占める公共事業の割合、二〇〇一年度、関東四・六%、北海道、四国、中国一〇%以上。これが離島だったらどういう数字になるか、想像してください。物すごい数字になります。

 こういうことをるる考えたときに、結局、現実問題として、何回も言います、公共事業をカットするな、地方交付税もカットするな。例えば、消費税を今五%でも一〇パーに上げるときには、食料品はちょっと待てよ、医療費はちょっと待てよという問題が出てくるでしょう。それと同じ感覚で、離島はちょっと待て、こういうことをしっかり考えていただきたい。まずこれが一つ。これはぜひ交渉してください、どこか、ここの役所じゃないにしても。

 もう一つは、大臣、特区なんですよ。それは、持論はよくわかるんです、私も。しかし、現実問題として、残念ながら、意欲、能力、本当に問題があるんです。もう余り細かいことを言うと角が立つので言いませんけれども、ぜひ、人材教育、それと、その適用を離島に限っては柔軟にしてもらえないかな、これが私の切なるきょうのお願いでありまして、現実問題、本当に生活できない、これだけは御理解を賜りたいと思います。最後に、何かそういう前向きな答弁をいただければ、きょうここに来たかいがあるんですが、どうぞ。

金子国務大臣 先ほど、冒頭に、人材をそれなりの研修をしていますということを申し上げたんですが、谷川先生、岩手県の遠野でどぶろく特区というのをつくったんですよ。そのときに、このどぶろくをつくる人は農家なんです。農家。そうすると、事務的に申請する手間暇がとても対応できない。役場の人にやってもらったんですよ。役場の人がかわってやってつくったんですよね。役場は能力があったんですよね。

 長崎県に少しやらせますかね。要するに、離島の職員、それから、やる気がないは困るんですよ。役場がやる気なかったら、そんなものは……(谷川分科員「ないんですよ、現実に」と呼ぶ)いや、もうなかったらだめですよ。それは先生がけっ飛ばして、何を考えているんだと。(谷川分科員「言っても動かないんです」と呼ぶ)言っても動かないのはかえなきゃだめですよ。いや、本当に。

 だけれども、みんなやる気はあるんだと思います。ただ、何をやっていいかがよくわからないんだと思うんですよね。ですから、これは、さっきのどぶろく特区じゃありませんけれども、離島の場合、県の職員に少し知恵を出させて、そして、私もいろいろ、これからまたさらに地域再生あるいは特区室とも、少しうまくやれるように考えさせますよ。それで、職員の人が長崎県庁に来て、どうだと、こういうのを考えているけれどもどうだということを、代行ですね、少しかわって知恵を出してやる、知恵を出してもらう、谷川先生もそこに参加してもらって、こんなものでどうだと。それでやる気がなかったら、そんな職員はかえちゃってくださいよ。いや、本当にそれくらい、やはり地方は競争ですから、ぜひ、やる気はみんなあるんですから、ここを何とか、特区。

 それから、対馬も、学校なんかで、高校の中で、韓国学というのをやり出したじゃないですか。韓国学でハングル文字を教えたり、韓国の文化を教える。九州というのは、ある意味、韓国との貿易、中国との貿易というのはほかの地域よりもはるかに、私見ていて、一歩大きく前進しているんですよ。その中で、韓国文化を教えるという学校は全国で初めてですよ。あるんですよ、やる気は。

 こういうものとかヒノキの輸出とか、何かいろいろなものを使って、材料は必ずあるはずです。材料は必ずあります。東北の地区だって、おれのところはペンペン草と吹雪しかない、公共事業以外はないんだと言っていた地域が動き出しているんです。必ずそれぞれの地域には何らかあります。そういうものを皆さんで発見して、そして、我々はそれが進むようにお手伝いをしてまいりますので、先生も知恵を出して、激励してやってください。

谷川分科員 国交省にまだ返事をもらっていないので、わかってくださいよ。今金子大臣おっしゃるように、私も最大の努力をして、新しい職場をつくるように努力しますから。しかし、何もないんだから、今。その間ばさばさ切られたら、例えば、あなたたちが離島もばさばさ切っていくと言うのなら、それなら、生活の苦しいところに配慮しないで、消費税も全部一律にしなさいよ、その理屈でいくなら。同じ憲法のもとに同じ国に住んでいるんだから、同じような理屈をとってもらわぬと困るのよ。

 ぜひここで、離島については、新しい産業が見つかるまで公共事業は切らないと言ってください。それから、地方交付税も切らせない、大蔵省と交渉して。言ってください。

平田政府参考人 ただいまの谷川先生からのお話でございますが、先ほど金子大臣の方から、特区制度の離島に関します積極的な活用の手段として期待をされるということの御答弁がございましたが、私ども国土交通省といたしましても、離島振興に積極的に取り組んでいただいている地元の公共団体、これはやる気のない公共団体では困ります。これは、改正離島振興法の中におきましても「自立的発展」という項目が入ってございますので、こういったところで地元地方公共団体とよく相談をしながら、関係省庁とも十分連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

金子国務大臣 私の所管じゃないですけれども、谷川先生、国土交通大臣に私、話しておきます。私自身がどうするとは言えない立場ですけれども、話をしておきます。

谷川分科員 最後に、審議官、非常に親しいと私は思っているので、長崎県にも昔行っていらっしゃったし、わかってくれると思うので、立場上は答えられないんでしょうが、理屈はよく考えてくださいよ。特区を申請しても、それが職場になるのは何年後、数年後ですよ。公共事業カットした、あしたから仕事がなくなるのよ。公共事業に依存する、最大の産業なのよ、離島というのは。それを平均的に、各種ある事情は理解していると僕は言っているんだから。わかっているよと、それでやってばさばさ切られたらどうにもならぬという実態、わかっているでしょうが。立場はわかります。答弁もできないでしょう。大臣もああおっしゃってくれていますし、全力を挙げて、答えは要りませんから、中で協議してくださいよ。お願いしておきます。

 ありがとうございました。

奥田主査代理 これにて谷川弥一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時二分散会


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