衆議院

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第2号 平成17年4月26日(火曜日)

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平成十七年四月二十六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 鈴木 恒夫君

      井上 喜一君    大野 松茂君

      川上 義博君    中山 泰秀君

      藤井 孝男君    岡本 充功君

      川内 博史君    岸本  健君

      津村 啓介君    長浜 博行君

      樋高  剛君    細川 律夫君

   兼務 辻   惠君 兼務 橋本 清仁君

   兼務 太田 昭宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (食品安全担当)     棚橋 泰文君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   総務副大臣        今井  宏君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       大濱 正俊君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        上原  哲君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         知念 良博君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           高橋 直人君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     川上 義博君

  岡本 充功君     川内 博史君

  松崎 哲久君     樋高  剛君

  東  順治君     井上 義久君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     中山 泰秀君

  川内 博史君     岸本  健君

  樋高  剛君     津村 啓介君

  井上 義久君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  岸本  健君     岡本 充功君

  津村 啓介君     松崎 哲久君

同日

 第二分科員辻惠君、太田昭宏君及び第四分科員橋本清仁君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁)及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

鈴木主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十五年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、環境省所管、内閣府所管中警察庁、内閣所管について審査を行います。

 昨日に引き続き内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。川内博史君。

川内分科員 おはようございます。民主党の川内博史と申します。本日は、食品安全委員会並びに食品安全委員会担当大臣であります棚橋大臣に対して、BSE問題について質問をさせていただきます。

 私の議論の中心は、食品安全委員会というのは、本来、純粋に科学的知見に基づいて、食品の安全について公正中立な立場から科学的に判断することが任務であるということを求められているというふうに理解をしております。しかし、昨年九月に発表されました日本におけるBSE対策について、中間とりまとめという文書が発表をされておりますが、これは法的根拠の非常にあいまいな政治的な文書であると言わざるを得ないのではないかというふうに考えております。

 そして、この法的根拠が全くあいまいな中間とりまとめという文書が発表されたことによって、米国からの牛肉輸入再開につながる一連の動きが出てきている。そういう意味では、前回の決算行政監視委員会でも申し上げたとおり、食品安全委員会の先生方やプリオン専門調査会の先生方は科学者として非常に真摯な御議論をされていらっしゃるが、その真摯な議論を食品安全委員会事務局がねじ曲げて、牛肉輸入再開事務局として自作自演をしているのではないかということを私は指摘しているわけであります。

 そういう中で、きょうは、議論に入る前に、事実関係について幾つか質問をさせていただきます。

 まず、今まで何回も来ていただいていて、きょうやっと質問をさせていただきますが、厚生労働省にお伺いします。

 屠畜場での全頭検査にかかる費用について、私がいただいた資料によれば、その費用は三十一億円、仮に二十カ月齢以下の牛を検査しないとなればその費用は二十七億円である、その差額は四億円の費用が安くなるだけであるということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の屠畜場で処理されている牛は、年間で約百二十五万頭であります。そのうち二十一カ月齢以上で処理される牛の割合は八八%となっております。二十一カ月齢以上に検査を限定した場合の検査経費、これは平成十五年度の額で申し上げれば三十一億円でございます。その八八%を掛けた数字になるものと考えておりますので、先生の御指摘のとおりだと思います。

川内分科員 さらに、すべての屠畜場に持ち込まれる牛の全頭検査の費用三十一億円ということでございますが、これは牛一頭につき大体幾らぐらい、さらには牛肉一キログラムにつき幾らぐらい、百グラムにつき幾らか、これは単純に割り算すればすぐ出るわけでございますが、一応確認のためお答えをいただきたい。

 さらに、この費用は、全く牛肉の小売価格等には影響しないということもあわせて、すべて公的な部門が費用を出しているということを確認させていただきたいというふうに思います。

外口政府参考人 一頭当たりの検査の費用の経費でございますけれども、これは約二千五百円ということになります。牛一頭から牛肉が約三百キログラムとれると仮定いたしますと、計算しますと、一キログラム当たり八円強、百グラムでは約〇・八円、したがって、百グラム当たり一円弱という計算になります。

 これは、公的な経費で賄われております。

川内分科員 農林水産省に続けて伺わせていただきますが、四月十九日の衆議院農林水産委員会での答弁で、島村農水大臣は、米国での飼料規制の有効性について、食品安全委員会への諮問事項とはしないと答弁をされたようであります。もし牛肉輸入再開についての諮問をするとすれば、飼料規制について諮問事項とはしないと、これは一体どういうことなのか。米国産牛肉のリスク評価をする上では、米国での飼料規制の有効性というものは最も重要な諮問事項になるというふうに思われるわけでありますが、この大臣答弁の真意というものをお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、昨年の中間まとめの際もそうでございますが、厚生労働省それから農林水産省として食品安全委員会に、これまで、国内の牛肉あるいは今後はアメリカの牛肉かもしれませんけれども、その安全性についてお伺いするときには、そういったものによっての食品による健康の影響への評価を求めるということが、これは諮問のコア、核でございまして、そういった意味では、それはそれぞれのいろいろなリスク管理措置そのものについてどうですかというようなことの諮問をしているわけではないということは、ひとつ御理解を賜りたいと思います。

 その上で、アメリカ産の牛肉の輸入再開条件、これは今後の話になりますけれども、米国産牛肉が国内産のものと安全性において差がないかどうか、この点につきまして食品安全委員会に諮問いたしたい、かように考えております。

 飼料規制そのものは、それはそういった飼料規制、ほかにもリスク管理措置がございますが、一種のフィルターのようなものでございます。そういったものを通して出てくる米国産の牛肉のBSEのリスクはどういうふうになるかということを評価していただくことは、諮問の核心でございますので、直接の諮問事項になり得ません。しかし、その米国産牛肉のBSEリスク、その安全性について評価する上では当然考慮に入れるべき事柄でございますので、私どもとしては必要な情報は十分食品安全委員会に提供してまいりたい、かように考えております。

川内分科員 棚橋大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、今御説明がございましたけれども、食品安全委員会としては、あるいは食品安全委員会担当大臣としては、米国での飼料規制の有効性というのはリスク評価に大きくかかわる事項であるというふうにお考えになっていらっしゃるということを確認させていただきたいというふうに思います。

棚橋国務大臣 お答えいたします。

 まずもって、川内先生の日ごろ食品安全に寄せる大変熱い熱情に心から敬意を表させていただきます。

 食品安全行政は、先生が今まさに冒頭おっしゃったように、科学的知見に基づいて中立公正な立場からなされるものであるという点、全く私も同感でございまして、担当大臣としては、食品安全委員会が中立公正な立場から科学的知見に基づいてきちんとしっかりと議論ができる、そういうことを守っていくこと、あるいは食品安全委員会のその審議が科学的知見に基づいて中立公正になされているという信頼を守っていくことが私は非常に大事だというふうに思っております。

 御質問の件でございますが、アメリカ産牛肉の輸入に関してというお話でございますが、これはもう先生重々御承知の上でお聞きになっていると思いますが、御承知のように、現在、アメリカ産牛肉の輸入に関して食品安全委員会に対して諮問はなされておりません。また、御承知のように、今意見募集の最中ではございますが、国内牛に関する措置の見直しに関する諮問を食品安全委員会は審議しているところでございます。

 そういった中で、諮問がなされていないアメリカ産牛肉の輸入に関する審議について担当大臣が何らかの形でお答えをすることは、これはまたもう先生重々御承知の上で御質問されていると思いますが、かえって、先生が一番御懸念の、食品安全委員会の中立公正さ、そして科学的知見に基づいて判断するということに対する信頼を失わせる危険があるのではないか。

 そういう観点から、まことに申しわけございませんが、しかし、これは先生の御理解もいただけると思いますが、そういった食品安全委員会の信頼、あるいは中立公正な立場である審議を守る観点からお答えすることは適当ではないと思っておりますし、今申し上げたように、アメリカ産牛肉の輸入に関する諮問は食品安全委員会に今行われておりませんので、担当大臣としてもお答えする立場ではございませんことを御理解いただければと思います。

川内分科員 いや、棚橋大臣、実に食品安全基本法あるいは食品安全委員会の規定ぶりに沿った御答弁であるというふうに思います。

 私は、そういう行政機関というのは法にのっとった手続あるいは行動というものが求められます、求められているんじゃないですかということを従前から申し上げてきているわけで、後ほどその議論もさせていただきますが、それでは、まず、食品安全委員会にお伺いをします。

 三月三十一日に発表されました食品健康影響評価案が答申をされるまでの手順、あるいはスケジュールについて御説明をいただきたいというふうに思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 三月三十一日から、現在、この食品健康影響評価につきましては、パブリックコメントということで、広く国民の皆様から御意見をいただく、募集の期間四週間ということで、二十七日まで、ただいまパブリックコメントの期間でございます。これが終了いたしますれば、内容につきまして整理した上で、最終的な答申につきまして委員会でこれを御審議いただく、場合によりますと、専門調査会を開催するということもあろうかと思いますが、その辺は、二十七日にパブリックコメントが終了した時点で、この内容いかんによるということで、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

川内分科員 場合によってはプリオン専門調査会も開くかもしれないということであります。場合によっては開くかどうかということの判断はだれがされるんですか。

齊藤政府参考人 このパブリックコメント自体は委員会として求めておりますが、審査内容がプリオン専門調査会の案件でございます。でございますので、これはプリオン専門調査会の方で御決定になるというふうに考えております。

川内分科員 そうすると、プリオン専門調査会にパブリックコメントを整理した内容を提示し、プリオン専門調査会を開くという理解でよろしいですか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 プリオン専門調査会は座長を中心に構成されておりますので、委員の皆様、専門調査会の専門委員の皆様に座長を介して、実際にはそれぞれお送りして、その上で、これは座長の方が御判断されるということでございます。現時点で、これを開催するしないということについて、とりわけ事務局の立場から申し上げるというものではございません。

川内分科員 一義的には座長が判断をする、しかし、それに当たっては、プリオン専門調査会の委員の皆様方にパブリックコメントの内容を整理したものをごらんいただいた上で座長が調整し判断をするということでよろしいですね。

齊藤政府参考人 そのようにお考えいただいて結構でございます。

川内分科員 それでは本論に入らせていただきます。

 昨年九月の日本におけるBSE対策についての中間とりまとめ、この文書は、食品安全委員会の事務局の皆さんは、食品安全基本法二十三条第一項第二号の、食品安全委員会がみずから行う食品健康影響評価であるとおっしゃられるわけであります。しかし、この中間とりまとめが食品健康影響評価であるということは、食品安全委員会の議事録にもプリオン専門調査会の議事録にも、大臣、私は全部読ませていただきましたけれども、第一回から第二十回まで全部読みましたが、そんなことはどこにも書いていないんですね。この中間とりまとめが食品健康影響評価であるということは、書いていないんです。だれも諮っていないんです。したがって、委員の皆さんも、食品健康影響評価ですねという同意も与えていないんです。

 しかし、四月二十日の決算行政監視委員会、本委員会の私の質疑で、食品安全委員会齊藤事務局長は、昨年九月六日の第十四回プリオン専門調査会の議論の中でこれが食品健康影響評価として位置づけられるという議論がされているという答弁をされていらっしゃいますが、それは議事録の何ページのどの部分ですか。そして、その議事録の何ページのどの部分で、委員の皆さんがこの中間とりまとめを食品健康影響評価としてオーソライズしていらっしゃいますかということにお答えをいただきたいというふうに思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の九月六日のプリオン専門調査会は、この中間とりまとめを取りまとめる際のプリオン専門調査会であったというふうに記憶しております。この中で、いろいろ議論されております。

 それで、その議事録ですと、三十九ページから四十ページあたりになろうかと思いますが、金子専門委員の御発言として、現時点での科学リスクを科学的に評価したらこうであったということを記載するのがこの報告書の中間とりまとめ案の意義でありますからということで、ここでこのような形でもって、科学リスクを科学的に評価したらこうである、これがリスク評価であるということはこういう形で明確に位置づけられており、これに対して特段の御議論はなく、このとおり取りまとめられているというふうに私どもとしては理解しております。

川内分科員 専門委員の中の一人が発言したことをもってこれが食品健康影響評価であるとおっしゃられるのは、他の委員の皆様に私は失礼なことだというふうに思いますよ。

 先ほど、三月三十一日に発表された食品健康影響評価案は今後どのように取りまとめられますかということをお尋ねをしたらば、座長が委員の皆様に御意見を承った上でプリオン専門調査会を開くかどうか御判断になられますということを齊藤事務局長はお答えになられました。プリオン専門調査会の議事をまとめるのは座長のお仕事であり、委員の一人が発言したことをもって食品健康影響評価であると言い張るのは、いかにもそれは論理が飛躍をし過ぎている。さらに、リスク評価がすなわち食品健康影響評価であるということは、食品安全基本法の中のどこにも書いていない。中間とりまとめという文書の中にも、食品健康影響評価という言葉は出ていない。そのことはお認めにならなければならないというふうに思います。

 吉川座長が、この中間とりまとめは食品健康影響評価であります、皆さん、いいですねと委員の皆さんに諮っている箇所がありますか。

齊藤政府参考人 同じ九月六日の会議録でございますけれども、取りまとめに近づいた部分のところでございますが、四十一ページ、吉川座長「これはあくまで、その総論の中間のまとめなので、」というような形でこの報告書につきましての位置づけについてお話しなされるとともに、四十二ページのところでは、この中間とりまとめの扱いについてでございますけれども、広く公表した方がいいというふうに思いますというような形で、こういう形でこれを位置づけて公表していくということを取りまとめの中でお話しされているところでございます。

川内分科員 食品安全基本法に定められた食品健康影響評価であるということを座長が発言をし、それを委員がオーソライズした場面がありますかということを私は聞いているんです。

齊藤政府参考人 法の何条に基づきこれがどういうことである、そういう具体的な形での整理はされていないということは委員御指摘のとおりだと思います。しかしながら、プリオン専門調査会、リスク評価をずっと行ってきたところでは、それを取りまとめたものをリスク評価として位置づけるということは、専門委員の皆さんは特に異論がないということで、こういう形になったというふうに承知しております。

川内分科員 それは事務局の認識でしょう、事務局の認識。今、認識しているとおっしゃったのは、事務局の認識ですね。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、私どもが認識しているという意味では事務局の認識ではございますが、これに対して特段の異論のないというところも事実でございます。

川内分科員 では、この中間とりまとめが食品健康影響評価であるということを位置づけたのは事務局ですね。いいですか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきまして、最終的には九月九日の委員会でこれを各省にお渡しするということを申し上げております。その位置づけということにつきまして、そこで、みずから評価である、いわゆる食品健康影響評価であるという、法的な言葉を用いていないという観点におきましては法的な意味での明確化はされておりませんけれども、これをリスク評価として各省に通知されたのは委員会の意思でございます。

川内分科員 大臣、これは事務局の越権行為だと私は思うんですよ。事務局は食品健康影響評価だと認識をしていたが、しかし、この中間とりまとめを出した後の、大臣、十五回のプリオン専門調査会の議事録には、ある委員から、この中間とりまとめというのは一体何の意味があるんですか、どういう意味なんですかというような疑問が呈されているわけです、複数の委員から。中間とりまとめというものに対して、専門委員並びに食品安全委員会の委員の皆さんはその法的な位置づけというものを全く知らされずに、中間取りまとめが行われ、そして、それがスタートになって農水、厚生労働からの諮問につながっているわけです。

 これは、齊藤事務局長、食品健康影響評価であるということを事務局は認識をしていたかもしれない。しかし、平成十五年度食品安全委員会運営状況報告書という文書が、食品安全委員会から平成十六年七月の一日に出ております。

 この七月の一日の文書の三番の「平成十五年度の運営状況の総括」という部分の、段落でいうと五段落目、「他方、平成十六年度に積み残された課題としては、食品健康影響評価については、厚生労働省及び農林水産省から要請された案件の処理に追われ、平成十五年度中に、食品安全委員会自らの判断により評価を行うべき対象の点検・検討に着手できなかったこと、両省から評価要請のあった案件のうち未処理のものについて、必要に応じ、評価指針を策定した上で、早急に評価を行う必要があること等が挙げられる。」と。食品安全委員会さんが運営状況の報告書の中で、平成十五年度中にみずから食品健康影響評価を行うべき対象の点検、検討にも着手していないということをおっしゃっているんですよ。

 平成十五年度というのは、平成十六年の三月三十一日までですからね。既にもう中間とりまとめのまとめの作業に入っている時期ですよ。この時期であっても、みずから食品健康影響評価をやってはいないということをおっしゃっているじゃないですか。それがなぜ、中間とりまとめが食品健康影響評価であるということを言い張られるのか、その根拠が全く薄弱です。

 大臣、私は今からでもいいと思うんですよ。この中間とりまとめは食品健康影響評価ですということをプリオン専門調査会あるいは食品安全委員会の皆さんにオーソライズしてもらわなければ、これは法的に重大な瑕疵のある文書だということになってしまうと思います。まず齊藤事務局長に御答弁いただき、その後大臣に御答弁いただきたいと思います。

齊藤政府参考人 平成十五年度におきましては、BSEの問題について、確かに、当初着手したときに、これが最終的に評価に至るかどうかわからないということで事業を始めたということは事実でございます。一方、十五年度において、これとは別に、みずから評価を行うものとして改めて項目を挙げ、これについて着手することはできなかったということは、これも事実でございます。

 そういう意味で、みずから評価という形で、改めてその時点で立てまして評価を行うということは、十五年度では着手できなかった。しかしながら、BSEの問題につきましては、これは特別のものでございます、十五年度発足の当初からこれについては議論をするということでやってきたわけでございます。その結果、種々御議論いただいた結果として取りまとめに至ったというのが私どもの認識でございます。

川内分科員 聞いたことに答えていないじゃないですか。

 大臣、ちょっと時間もないので、最後に御答弁いただきます。

 あなた方、ここは国会で、法律にのっとった手続が行われたのかどうかということを議論する場ですよ。あなたの勝手な解釈、演説を聞く場じゃないんですよ、ここは。我々は、法と正義に基づいて仕事をしていくべきであって、あなたの勝手な解釈で仕事をしたことを私が聞いて、はあ、そうですか、そうですかという場じゃないわけよ。

 あなたは、今までの再三にわたる議論の中で、私が食品健康影響評価がいつから始まったんだと聞いたことに関して、それは平成十五年の八月から、発足当初から始まっておりますと堂々と答えているわけよ。しかし、運営状況の報告書には、みずから食品健康影響評価はその点検、検討にも着手していないということをおっしゃっているから、矛盾がありますね、おかしいでしょうということを申し上げているわけです。おかしいから、そのおかしさをもう一度修復するためには、この中間とりまとめが食品健康影響評価であるということを、プリオン専門調査会あるいは食品安全委員会の先生方にオーソライズしてもらわなきゃだめでしょうということを申し上げているんです。そうでなければ瑕疵がある、食品健康影響評価を事務局が決めたんだと。食品安全基本法の中には、食品安全委員会事務局が食品健康影響評価を行うとは書いていないんです。食品安全基本法には、食品安全委員会が食品健康影響評価を行うと書いてあるんです。そうでしょう。うなずいていらっしゃる。

 だから、大臣、これは食品安全委員会の先生方あるいはプリオン専門調査会の皆さんに、この中間とりまとめは食品健康影響評価である、二十三条の一項二号に基づく食品健康影響評価であるということを、私は今からでもオーソライズしていただくべきだというふうに思います。そうでなければ、最初は全然認識がなかったわけですから、今でも認識していない先生方もいらっしゃるかもしれない。その点について最後に大臣の御答弁をいただいて、時間もないですから、私はしつこい性格ですから、これはずっとやりますので。

棚橋国務大臣 川内先生の食品安全に寄せる熱意の高さというのは、本当にいつも敬意を持たせていただいています。

 ただ、この問題につきましては、私は、昨年の九月の九日の中間とりまとめ、食品安全委員会が食品健康影響評価を行ったというふうに認識しております。

 ただ、どちらにしろ、先生と私の共通認識なのは、食品安全委員会が食品安全基本法を初めとする法に基づいて食の安全に対してしっかりと仕事をしていかなければいけないという御趣旨ではないかと思いまして、その点は重々受けとめた上で、また、食品安全行政が適正に執行されるように努力してまいりたいと思っております。

川内分科員 終わります。

鈴木主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 昨日に引き続き環境省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋高剛君。

樋高分科員 民主党の樋高剛でございます。

 きょうも、質疑の時間をいただきましてありがとうございました。きのうは、決算行政の分科会で厚生労働政策について議論させていただきましたけれども、きょうは、ライフワークの一つであります環境政策についてディスカッションさせていただきたいと思います。

 特に、環境問題につきましては、今までの旧来の考え方というのは、どちらかというと環境と経済は対立した概念であるというふうに思われがちでありましたけれども、これから二十一世紀、日本が世界で環境先進国を目指すということのためには、やはり、経済との融合、統合、両立を含めて先進国を目指すべきであるという一つの理念を持ってきょうは議論させていただきたいと思っております。

 まず、地球温暖化対策についてであります。

 温室効果ガスの増加に伴います地球温暖化問題は、これは人類だけではなくて、地球上にすむあらゆる生物、人間以外の生き物の生存基盤にかかわる重大な課題であります。特に、持続可能という概念、私はとても重要なことだと思いますけれども、持続可能な社会の構築が強く求められている中で、いかに温室効果ガスの排出を抑制して気候の変動を最小限に食いとめるのか、対策が迫られていると思います。

 そして、京都議定書目標達成計画案なるものが、先月、三月二十九日でしょうか、対策推進本部を開催いたしまして、いわゆる目標達成計画の案を決定し公表したところでありますけれども、同時に、広く市民の声を聞くという意味でパブリックコメントを募集なさったわけであります。各界各層の意見を聞いて真摯に意見を反映させることは、私もとても大事なことであると思います。

 まずお尋ねをいたしますけれども、この募集期間なんでありますが、今回は四月十三日までの二週間ということで、極めて短かったのはなぜなんでしょうか。いかがですか。

小池国務大臣 御指摘のように、京都議定書の目標達成計画のパブリックコメントの募集期間、三月三十日から四月十三日までの十五日間行わせていただきました。これは推進本部事務局が内閣官房でございまして、こちらの方で募集を行うということでございました。そして、大変熱心な計画案に対してのコメントを多数ちょうだいしたわけであります。

 期間については、規制を導入もしくはそれを変えるというときは、例えばオオクチバスなんかもそうなんですが、より長くなるわけでございますが、今回のこの計画案が規制には該当しないという点、それから、各関係の審議会でその都度意見募集を行っておりまして、それをまとめて、答申を踏まえて作成をしているということ、それから、計画案を早急に策定して、その施策の実施が望ましい、こういった観点からこの十五日間と設定されたものと承知をいたしております。

樋高分科員 私は短過ぎたのではないかと思います。目標達成をするという大切な計画案なわけですから、やはりこれは、市民お一人お一人の理解は欠かせないと思います。そういう意味において、パブリックコメントというのは、いろいろな種類にもよりますけれども、通常、一カ月程度は募集期間を設けるというふうに思うわけであります。やはり啓発の意味も込めまして、特に半年とか一年というふうに大げさには言いませんけれども、せめて二、三カ月は、しっかりと本当に英知を結集するという意味におきまして、もう少し長い期間を設定すべきであったのではないかと思います。

 中身についてもちろん審議会で熱心に御議論なさったり、あるいは、この後のいろいろな政治日程が詰まっているということももちろん理解はできます。しかしながら、やはり本当に、審議会での議論だけではなくて、広く国民の皆様方に考えていただく、地球温暖化問題について、環境問題について考えていただくという意味からして、二週間というのは余りに私は短過ぎたのではないかと思いますし、その短いということをもってするならば、うがった見方をする人は、何か余りつつかれたくない部分があったんではないかというふうに言われてもいたし方ないのではないかと思います。政策決定過程に市民参加を促す時代の流れに逆行をしているというふうに、まず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 京都議定書の第一約束期間は二〇〇八年から一二年までで、目前であります。目の前に迫っているということであります。気候の変動は現実のものになっておりまして、第二約束期間、二〇一三年以降でございますけれども、さらに大きな削減をすることは不可避であると私は思います。議定書の発効を受けて策定する目標達成計画は、温室効果ガスの排出が九〇年比で八%も増加しているという現状を踏まえたときに、増加・減少要因をしっかりと分析あるいは評価をきちんとして、自主的取り組みや普及啓発に大きく依存した地球温暖化対策推進大綱の政策の不十分さをやはり見直して、抜本的に強化したものでなくてはならないと私は思います。

 そこでお尋ねをいたします。

 九二年、ブラジルで開催されました地球サミットでありますけれども、我が国そして世界の各国は、それぞれ自国、自分たちの国を持続可能な社会にするということを約束したわけであります。本計画の作成に当たりましても、我が国の地球温暖化対策の目指す方向を示すということでありますから、まず、持続可能な社会を目指すということをはっきりと明記するべきであると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 目標達成計画案におきましては、「我が国の地球温暖化対策の目指す方向」といたしまして、「地球規模での温室効果ガスの更なる長期的・継続的な排出削減」ということをまず明記いたしております。この中で、「京都議定書の約束達成の取組と中長期的取組との整合性を確保しつつ、温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築を目指す。その過程で、活力のある持続可能な社会経済の発展を目指して、中長期的な地球温暖化対策のための技術の開発・普及、社会基盤の整備などを進める。」というふうに第一章第一節二項におきまして明記をいたしたところでございます。持続可能な社会の構築に関しては、このように目標達成計画案に位置づけられているところでございます。私も、この持続可能な社会というのは、極めて大きな目標といいましょうか、新聞で言うならば大見出しにも当たるかなというふうにも思うわけでございます。

 ただ、一点、どうも漢字が重なりますので、何かほかにいい言葉がないかなといって、サステーナブルという英語を、どう訳せば一番もっとすとんと皆さんに入るかなということを今もずっと探し続けているところなんですが、まあ、わかりやすいといえばわかりやすいかもしれません。持続可能ということは、これをずっと続けていくということでありますので。

 いずれにいたしましても、目標達成計画案にこのように明記をさせていただいているということをお伝えしたいと思います。

樋高分科員 私、重要なのは、この冒頭の部分でしっかりと入れるということが大切なのではないかと申し上げております。この資料もずっと拝見させていただきましたけれども、持続可能な社会を目指すということは随所で書かれていることはわかっているわけでありますけれども、優先順位というかそのプライオリティーを考えたときに、一番最初の方向性の中で、この一部分なんですけれども、地球温暖化問題において世界をリードする役割を果たすということでうたっているんですが、やはり、細かい話なのかもしれませんけれども、世界をリードする役割を果たし、持続可能な社会を目指すということを一番最初にきちんとうたうということが私は大切なのではないかと思います。

 去年制定されました景観緑三法、いわゆる緑三法の方でありますけれども、あと、特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律におきましては、都市緑化に当たっては、今後、地域在来の植物を活用した緑化に努めるべきという附帯決議がなされたわけであります。

 また、森林整備という部分、森林整備に当たっても、森林依存の多くの野生生物が絶滅の危機にさらされている。したがって、温室効果ガスの吸収源対策ということのみを先行させるのではなくて、森林生態系の保全、回復という視点も私は重要であると思います。

 そんな中にあって、この計画の中にありますけれども、次の視点なんでありますが、温室効果ガス吸収源対策施策の中の森林吸収源対策、あるいはまた、都市緑化等の推進については、生物多様性の保全、回復という観点をあわせ持つことの重要性も明記すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 森林の保全というのは、生態系、生物の多様性を保つという意味でも大変重要でございます。

 ただ、目標達成計画案は、地球温暖化対策に関する計画でございまして、森林という項目については、温室効果ガス吸収源という観点から記述をしているところでございます。ただこれは、生物多様性の保全、これが重要ではないと過小評価するものではございません。

 よって、目標達成計画では、現状認識そして計画の策定の経緯を述べた「はじめに」のところに、「地球温暖化問題は、」ちょっと飛びますが、「自然の生態系及び人類に深刻な影響を及ぼすものである。その予想される影響の大きさや深刻さから見て、人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題の一つ」と明記いたしておりまして、生態系の重要性の認識については、この部分で記述もしているところでございます。

 また、目標達成計画案での森林吸収源対策の目標については、森林・林業基本計画に示された、森林の有する多面的機能の発揮に関する目標と整合性がとれているものでございます。すなわち、この多面的機能の中には生物多様性の保全の役割が含まれているわけでございます。

 いずれにしましても、政府としては、この目標達成計画そして森林・林業基本計画に基づいて森林吸収源対策を推進していくということで、それはすなわち、生物多様性の重要性ということにも広くつながっていくものと考えております。

樋高分科員 今、日本は、気候変動枠組み条約とともに生物多様性条約にも加盟をしているわけであります。森林整備あるいは都市緑化を進める際には、温室効果ガスの吸収源対策という観点だけではなくて、やはり、生物多様性の保全、回復という観点も絶対忘れてはならないというふうに申し上げさせていただきます。

 次に、目標達成計画案でありますけれども、地球温暖化対策推進大綱と同様に、森林吸収と京都メカニズムに五・五%を依存して、なおかつ、エネルギー起源CO2の目標を後退させてしまった後ろ向きの変更と私は言わざるを得ないのではないかと思います。京都会議の議長国でありましたから、やはり、全体の排出量の九割を占めるエネルギー起源CO2の削減目標は、従前の九〇年比二%削減を維持して、これを確実に達成するための政策措置を導入することが必要であるというふうに考えます。つまり、国内での削減を高めるべきであると思いますけれども、御所見を伺います。

小池国務大臣 目標達成計画の策定に当たりまして、京都議定書の六%削減の約束を確実に達成するため、今回、温室効果ガス別の目標など、総合的に見直しをさせていただきました。

 エネルギー起源のCO2排出量の目標については、これまで増加傾向にあるわけでございます。先ほども御質問の中にその数値も示されておりました。そこで、追加対策を講じることで、達成可能、そして基準年の総排出量比でプラス〇・六%という数字になっているわけでございます。

 これまでの大綱で、国民のさらなる努力と革新的な技術開発でエネルギー起源CO2の排出量の目標をマイナス二%と御指摘のように設定をしてきたわけであります。定量的な評価が可能なものだけに絞り込むということで今回の目標の見直しにつながったわけでございます。

 政府としては、今回の目標の見直しで、六%の削減というその実現性が高まったと考えております。また、温暖化対策の後退というふうには考えていないわけでございます。また、国内対策で、削減目標については、目標達成計画の中でPDCAサイクルに従って常に点検を行う、そして見直していくということといたしております。

 いずれにいたしましても、六%の削減約束を確実に達成していきたいと考えております。

樋高分科員 本計画案につきましては、個々の対策レベルでさまざまな追加対策が講じられてはおります。しかし、日本の温室効果ガスの排出を減少させられる可能性は私はいま一つ感じられません。大事なことは、日本が、そして世界が持続可能な社会を目指すために、やはり時系列的に考えていくということが必要ではないか。

 例えば、百年後こういう社会を目指すんだ、百年後は余り先過ぎるということであるならば、二〇五〇年にはこういう姿にするんだ、こういう数値目標を達成するんだということをきちんと示して、それはもう世界各国が示しているわけでありますから、日本も示して、あるいはその中間で、二〇三〇年ごろにはこういう途中経過で数値目標を達成するんだということを示して、そして遡及をしていって、さかのぼっていって、だから今これをやらなくてはいけないんだということを明確に示していくことが大切であると思いますけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 御指摘の中長期的なビジョンを示すべきではないかということでございます。まさに、中長期的に地球温暖化対策に取り組む、その上で、温室効果ガス濃度の安定化の水準、気温上昇の抑制水準などについて検討するということは、重要な課題の一つと考えております。

 そこで、中央環境審議会の地球環境部会のもとに気候変動に関する国際戦略専門委員会、ちょっと長い名前ですけれども、こういった委員会を設置いたしておりますけれども、そこで条約の究極目標の具体化、究極目標は改めて言うまでもなく、自然の生態系、人類に悪影響を及ぼさない水準で温室効果ガスの大気中濃度を安定化させるということでございますけれども、この具体化について現在御議論いただいているところでございます。

 また、環境省では、本年度から、二〇五〇年脱温暖化社会に関する総合研究プロジェクトを開始いたしております。そこで温暖化対策の長期的なビジョンについての検討を進めているところでございます。

 こうした研究、そして検討の成果を踏まえて、条約の究極目標の具体化、そして、それを達成するための対策のあり方について引き続き検討していきたいと考えております。

 今御指摘ありましたように、まず長いゴールを設定する、そして、それをだんだんむしろ遡及していって、今何をすべきか、その方法論については一致しているところではないかと思います。

樋高分科員 私が申し上げたいのは、今、大臣から説明ありましたけれども、議論をする、しかし、私の問題点は、その一部の方々だけと申しましょうか専門家の方々だけ、あるいは役所だけで議論するのではなくて、やはり、国民の皆様方に見える形で、巻き込んでいって議論をしていかなくちゃこの地球温暖化問題というのは私は解決しないんじゃないかというふうに思うんです。

 やはり一人一人が、環境のことに対して、特に地球温暖化、気候変動ということに対してきちんと意識を持つ、そして自覚をする、深い理解を持つということのためには、先ほど、冒頭申し上げましたパブリックコメントの期間も短いし、一部の方々だけで決めて、何か気がついたら、いや、そういうふうに五十年後、三十年後の姿は一応議論はしているんだよということではなくて、それを、国民的コンセンサスを得るためにやはりみんなで大きく議論をしていくべきではないかというふうに申し上げさせていただいているわけであります。

 本年三月下旬、EUの閣僚理事会では、先進国が二〇二〇年までに温室効果ガスの排出量を一五%から三〇%削減することを検討するというふうに結論を出しております。また、日本の国立環境研究所の試算によりますれば、地球の気温上昇を二・六度以内に抑えるためには、日本は七八・四%から八四%の削減が必要であるというふうに発表されているわけであります。

 こうした議論をきちんと参考にして、まずはその長期的ビジョンと目標をきちんと立てて、そこから現在何が必要なのかを考え、しかしそれは、一部だけで行うのではなくて、国民参加のもとに、市民参加のもとに、その政策決定過程においてじっくりと十分過ぎるほどきちんと意見を集約して、そして、御理解をいただき、意識を高めていただく中で達成をしていくべきであろうというふうに思います。

 まず、二〇一二年以降、第二約束期間、そしてその先、第三約束期間と永遠に続いていくわけでありますから、この視点を絶対忘れてはならないと思いますし、やはり、日本国民だけではなくて世界に対して説得力を持つ施策を講じていく、そして結果を出していくためには、今、小池環境大臣が指導力を発揮していただくと。私は、時にもちろん厳しいことを申しますけれども、一方で応援団の一人であるというふうに思っておりますので、どうぞ指導力を発揮していただきたいというふうに強く要望させていただきます。

 次に、環境教育についてお伺いをさせていただきます。

 市民一人一人が環境問題に関心を持ち、暮らしと環境とのかかわりについて正しい知識を持って環境保全の推進に努めることは、重要なことと考えます。地球規模の環境問題も私たち一人一人の日々の生活に密接にかかわっていて、日々の生活そのものに起因して発生していると言ってもいいかもしれません。つまり、私たち一人一人が加害者となり、同時に被害者にもなるという関係にあるわけですから、だからこそ、みんなが環境とのかかわりについて正しい知識を持って、環境保全に配慮した行動と深い理解、環境を大切にする意識を高めることが重要であると考えます。

 一昨年の平成十五年七月に成立をして、平成十六年十月に完全施行されましたいわゆる環境教育法、私は大賛成でありますけれども、これは、学校、地域あるいは家庭のさまざまな場における環境教育の推進とあります。その後の運用状況、どのようになっていますでしょうか。

小池国務大臣 ちょっとその前に、先ほどの中長期目標の件なんですけれども、先ほど申し上げた国際戦略専門委員会の方でも、「科学的知見を踏まえれば、気温上昇の抑制幅を二度C」と、これはEUの考え方ですね、「は、長期目標の検討の出発点となりうると考えられる。」また、「長期目標の設定は、科学のみによって決定されるべきものではなく、最終的には社会としての判断が必要とされるため、今後、この二度Cを中心にして、社会的に建設的な議論が進展することが期待される。また、影響等に関する科学的知見のさらなる蓄積も必要である。」このような、委員会の中での第二次中間報告骨子をいただいているところでございまして、先ほど御指摘のあったところは、まさにその基礎固めをしているということではないかと思っております。

 そしてまた、今の御質問にもつながるんですけれども、やはり、環境問題、また持続可能な社会の構築のためには、国民の一人一人が自分のこととしてとらえていただく、そして環境保全活動に取り組むということは、これは何よりも重要なことであります。そうしますと、必然的に、基礎となります環境教育の推進が重要ということになるわけでございます。

 今、これまでの環境教育推進法についてのお話ございました。昨年九月に環境保全活動・環境教育推進法に基づいての基本方針を閣議決定いたしておりまして、環境教育の推進方策などについて定めたわけでございます。

 環境省としては、この法律の完全施行というのを踏まえまして、これまでも全国各地で展開してまいりましたこどもエコクラブ、約八万人の子供たちが参加しております。

 そして、それに加えて、家庭とか学校に焦点を当てた新規事業の実施をしていこうと考えているところでございまして、例えば、我が家の環境大臣事業というのを、家庭をベースにして環境保全に取り組む家庭を全国的に募集して、環境省にいる環境大臣じゃなくて、一人一人の、樋高家の環境大臣を決めていただいて、それで、ネットを通じてアプライしていただきますと私が任命をさせていただく。できるだけ多くの人たちを、環境教育、環境のことを実践していただくそのツールにしたいと考えております。

 それから、地球温暖化防止ということで、学びの場であります学校のエコ改修、それから、環境教育モデル事業といったようなことを進めようと今検討しているところでございます。

 関係府省、文部科学省を初めとして、それぞれと連携していかなければなりません。そういった連携を強めまして、環境教育の施策を推進してまいりたいと考えています。

樋高分科員 大切なことは、やはり社会生活を送る一人一人の意識が変わらないと、私自身は環境問題はいつまでたっても解決をしないと思います。

 意識を変えるという意味では、一点だけ申し上げますと、やはり、人間の成長過程における早い段階、特に幼少期、幼児期というんでしょうか、環境の大切さを自然との触れ合いを通じて感じていただくということが必要であると思います。物心ついたときにもう自然と触れ合うということ、二、三十年前までは本当に多くあったのかもしれませんけれども、その地域によりますが、なかなか今都会ではそういうふうに触れ合う機会というのは本当に少なくなっているという中において、やはり、環境に対する気持ちをはぐくむためには、自然との触れ合いというものを随所に設けると同時に、先ほど申しました、やはり環境というものについて考える、それが家庭であったり、地域であったり、学校であったり、職場であったり、ありとあらゆるところで考えるということが大切ではないかと思います。

 やはり、そのための教材やプログラムのいわゆる充実強化というのはもちろんでありますけれども、一方で、人材育成も大切でありますし、また情報発信、この人材育成と情報発信というのもより一層充実をさせていかなくてはいけないと思いますけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。

小池国務大臣 せんだって、環境雑誌の編集に携わっている方から伺いました。最近の子供たちはニンジンの絵がかけない、ニンジンは、赤い部分はかけるんですけれども、葉っぱの部分を知らないということで、大変だというお話を直接伺ったことがございます。特に、次世代を担う子供たちに対する環境教育というのは重要であると、そのエピソードを聞いて改めて感じたところでございます。

 環境省では、例えば環境省の登録制度にございます環境カウンセラーという方々、全国で三千六百人以上おられるんですが、この皆さんに幼稚園へ行っていただきまして子供たちに環境に関する紙芝居を見せたり、子供向けの環境絵本を作成するというようなことなどを通じてさまざまな活動が展開をされているわけでございます。この中で一番学ばれるのは、ひょっとしたら環境カウンセラーの人ではないかなと思ったりもするわけでございます。

 それから、先ほど申し上げましたこどもエコクラブ、それから我が家の環境大臣といったことを通じまして、この環境教育というのをさらに一層進めてまいりたいと考えております。

 環境教育の重要性については、大変認識をしているということを改めて申し添えたいと思います。

樋高分科員 子供に対してということでありますが、一方で、やはり我々大人たちも意識を高めていかなくてはいけないと思います。

 最後にお尋ねいたしますけれども、そういう意味では、職場というセクションも私は重要なことだと思いますし、あるいは地域地域で、例えば地域にあります公民館で、いろいろな環境、まさしくいろいろな自然との触れ合い、昔、この町にはこういう川があって、昔はこういう魚がとれたんだ、釣りはおもしろいんだよということを地域地域で大人たちが子供たちにしゃべるだけではなくて、やはり大人同士でも、お互いに、昔話に花を咲かせるだけではなくて、同時に環境の大切さというのを常々言い続けていくということが私は大切なんだと思います。

 きょう私が申し上げましたのは、環境教育の大切さ、自然生態系の大切さ、そして、持続可能な社会を目指すということの大切さを申し上げたわけでありますけれども、大臣に最後に決意をおっしゃっていただきたいと思います。

小池国務大臣 環境問題は、また、地球温暖化問題を含みます環境問題でございますけれども、やはり非常に幅が広く、またそこには、政府、地方公共団体、事業者、さまざまな団体、組織、そして個人ということで、本当にすべての主体に対して、環境教育、そして環境への意識を高めていって、そして行動に移していただくということが肝心だろうと思っております。

 折に触れまして、そういった意識の啓発について努力を重ねてまいりたいと考えております。

樋高分科員 環境問題につきましては、私自身は、また一方で人と自然との共生という理念も主張させていただいておりますけれども、今こそ日本は、環境先進国を目指す、それは、冒頭申し上げましたとおり、経済と環境の両立を含めた上での環境先進国を目指すということで、今後もこの国会の審議を通じて取り組んでまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

鈴木主査 これにて樋高剛君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本清仁君。

橋本(清)分科員 おはようございます。民主党の橋本清仁です。

 前回、前々回に引き続き、我が選挙区、宮城三区にあります柴田郡村田町にある竹の内産廃の不法投棄問題につき、柴田郡村田町に住む国民のために質問いたします。

 まず、大臣にお伺いしたいのは、前回の分科会におきまして私が大臣にお渡ししました写真、ごらんになられましたでしょうか。

小池国務大臣 時系列がどうなっているかわかりませんけれども、拝見をいたしております。

橋本(清)分科員 ありがとうございます。

 あの写真には、小学校、この村田の産廃不法投棄といいますのは、普通の産廃の不法投棄と違いまして、町の中、小学校、中学校の隣にあるということが非常に重要な問題になっています。

 まず、この村田の産廃の不法投棄の問題について第一にお伺いしたいのは、宮城県知事、三月二十八日の定例記者会見の中で、全量撤去や一部撤去をしなくても、生活環境上の支障を抑える恒久対策を模索していきたいと示唆なされております。ここでも、生活環境上の支障の定義がないため、予算状況にかんがみ、恒久対策で決着させようと考えていらっしゃるようです。

 この生活環境上の支障の定義というのは、また後ほど改めて質問させていただきますけれども、一方、村田の竹の内地区の産業廃棄物の最終処分場問題にかかわる県の対応を検証して行政責任を明らかにすることを目的に、環境省のさまざまな審議会の座長を務めていらっしゃる田中先生を検証委員会の座長として四月十九日に立ち上げ、六月までにこの報告書ができると聞いております。

 これらの検討委員会で行政責任が明らかになった場合は、国は村田の不法投棄現場を県と連携し原状を回復するための予算措置などをとって対応してもらうのが可能かどうか、この問題もそうなんですけれども、村田の産廃の問題について大臣の決意と申しますか、第一回目の分科会でもお伺いしましたけれども、そういった部分についてお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 前回、前々回と同様の御質問をちょうだいいたしております。

 宮城県村田町の事案、大変大規模な事案であるということ、それから、高濃度の硫化水素の発生などが報告されているということで、環境省としても強い関心を持って注視をしてまいりました。

 宮城県は、現地で環境状況を調べられたり、生活環境保全上の支障の状況がどうなのか、講ずべき対策などについて専門家による検討を行っておられまして、現在その取りまとめ段階にあるというのは、今の御質問の中にもあったのかなと思います。

 その結果について、環境省としてよく聞かせていただくということにいたしております。その上で、生活環境保全上の支障のおそれがあるということであるならば、その除去や予防の方法などについて効果的、効率的な対策が進むように宮城県に対して助言をする、こういう立場でございます。

橋本(清)分科員 この村田の不法投棄問題、十一年以上も放置されていまして、ここに住んでいる小学生とか住んでいらっしゃる方々、引っ越していらっしゃる方もいらっしゃいます。ぜひとも早急に、本当に抜本的な解決をお願いしたいと思います。

 これからは前回の質問で明確な答弁がいただけなかった部分についてお伺いしたいと思います。

 まず、現行の不法投棄廃棄物の原状回復の予算措置について、これも大臣にお伺いしたいと思います。

 二月二十八日の予算委員会の分科会におきましては、膨大な不法投棄を原状回復するための予算が足りないと指摘させていただきました。国がすべての責任をとれないとの趣旨は理解できました。

 産業廃棄物処理特別法において、平成十年六月以降の不法投棄については、国及び都道府県、民間事業者などで浄化するスキームを構築され、一定の規模の不法投棄を浄化されている、そして、平成十五年度までに二十八億円の基金、平成十六年度においても一・七億円の国庫補助で対応されているということは理解いたしました。これまで不法投棄されている量からすると、解決できるだけの予算額ではないことは明らかだと思います。

 この不法投棄防止には全力を尽くしていただいていると思うのですが、負の遺産である不法投棄現場を今後どのように解決なさっていくのか。大臣、さまざま事前の防止が必要であるとか、そういったことをおっしゃっております。また、排出者責任をさらにこれも追及していただき、排出者からお金をもっと取る仕組みや、健康被害をこれ以上拡散されないように、自然災害に対応するような気持ちで、地域住民に対しまして都道府県と国が連携して具体的な計画などを示すべきではないかと思いますけれども、これについてお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 今、幾つかの御質問があったかと思いますが、まとめてお答えをさせていただきます。

 金目の話でございますけれども、財源確保、平成十年六月以前の不法投棄については、御承知のように、産廃特措法の制定に当たって、その実施に要する総事業費九百億円から一千億円程度、これに伴います国庫補助額を三百億から四百億円程度と試算いたしております。産廃特措法の対象としてこれまで六つの事案に同意をいたしまして、これらへの対応に不足が生じないようにということで、十七年度予算では増額をいたしまして予算措置を講じたところでございます。ちなみに、十六年度が三十億、それを十七年度で三十八億というのが具体的な数字でございます。

 また、平成十年六月以降、産廃特措法の制定以降のものでございますが、国庫補助と産業界からの出捐金を受けまして、十六年度までに約三十二億円の基金が造成されております。十七年度でも一億七千万円の国庫補助を行うというのは、御指摘のあったとおりでございます。

 そもそも不法投棄というのは、実際にそれを行った者、行為者、そして排出事業者などが原因者でありまして、その原因者によって支障の除去が行われるべきということが一番基本的なベースになっております。

 環境省としては、引き続き、都道府県などに対しまして、原因者への対応を徹底するようにまず助言をしていく。そしてまた、不法投棄の現状、取り組み状況を的確に把握して、都道府県などにおいて効率的、効果的に対策事業が実施されるように助言をしてまいりたい。さらに、必要となる予算の確保についても鋭意努力をしてまいりたいと考えております。

 ただ、基本的には、私は、やはり都道府県がさらに責任を持って進めていただかないと、オール・ジャパンで環境省が全体をやるということは物理的にもまた効率的にも難しいということで、都道府県との連携ということは常に持ってまいりたいと考えております。

 それから、未然防止の対策強化についても御質問があったと思います。環境省では、不法投棄対策を強化しようということでマニフェスト制度の強化などを内容として、この国会で廃棄物処理法の改正案を提出しているところで、まさに御審議の真っ最中ということでございます。

 昨年六月には不法投棄撲滅アクションプランというのを策定いたしております。その三点を御紹介しておきますと、運搬する車両、トラックですね、トラックというか大きな車に決められたステッカーを張っていただく、そして処理施設整備への支援を行う、それから、産廃アカデミーと称しまして国、地方の人材育成を行っていく、そして優良な処理業者を育てていくというような形で、各種これらの施策を推進してまいることによって、不法投棄撲滅アクションにしていきたいと思っております。

 また、先ほどオール・ジャパンで環境省が全部ウオッチするのは難しいということを申し上げましたけれども、しかしながら、環境省としてよりきめの細かな対応を地方で行っていくためにも、ことしの十月には、地方環境事務所を設置いたします。立入検査、報告徴収の権限を持つ、そういった人間を送ることになっております。現場に近い地方環境事務所が不法投棄ホットラインからの不法投棄情報などをより効果的に収集、活用するといったようなことで、都道府県等との連携を一層強化できる、このように考えているわけでございます。

 何よりも未然防止というのが重要ということで、こういった措置を現在とるための準備をしているところでございます。

橋本(清)分科員 ありがとうございました。

 未然防止の重要性ということを第一に取り組んでいらっしゃるということでした。この未然防止というのも非常に重要なことだと思います。環境汚染といいますか不法投棄をこれ以上ふやさないということがまず第一の前提だとは思いますけれども、過去の負の遺産、もう既に起こってしまった、言うなれば、今まできちんとした対策がとられていなかったから、こういったことが起こってしまったということの負の遺産の処理に対しましても、さらなる一層の御尽力をお願いしたいと思います。

 そしてまた、生活環境上の支障について、私、この生活環境上の支障についてと申しますのはさまざまないい点、悪い点があると思いまして、その点を踏まえまして御質問をさせていただきたいと思います。

 この不法投棄を原状回復するためには、生活環境上の支障を都道府県及び国が認め、必要な手続をとる仕組みとなっています。何度も、私、これはずっと申し上げておりますけれども、生活環境上の支障の定義がきちんとなされていないために、都道府県や国に対して抜け道を認めることになり、不法投棄で苦しんでいらっしゃる周辺住民に対して泣き寝入りを強要していることになっています。

 私の選挙区の柴田郡の村田町におきましては、この抜け道のせいで住めなくなったとか、それこそ雨が降ると、産廃の不法投棄現場から水があふれてきて農作物に被害を与えている、とてもそんな被害をこうむった農作物は食べられない、こういった状況で泣き寝入りを強要していることになっています。

 したがって、廃棄物まじりの土を定量的に評価できる基準、原状回復対象か、もしくは応急措置対象なのかについて、ある一定期間内とする制度をつくる必要があると思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 生活環境の保全上の支障ということでございますけれども、非常に幅広く見ております。例えば、廃棄物の飛散、流出、水質の汚濁、土壌汚染、大気汚染、悪臭、害虫発生、さらに火災や崩落のおそれ、そういったことも含んでおるわけでございます。

 この判断でございますけれども、実際に土地の利用状況とか周辺環境、そういった個別具体的な事情に大きく左右されるわけでございます。仮に、これを国で一律に基準を決めますと、例えば水質汚濁は環境基準の何倍とか、具体的な数字にしますと、火災とか崩落の危険性とか害虫発生、こういったことは多分含まれ得ないというふうに思います。このあたりは、むしろ実際の現場を抱えておる都道府県で判断いただいて、都道府県が積極的かつ柔軟に対応していただくということが適切というふうに考えておるところでございます。したがって、それ以上の具体的な数値は決めておらないというのが現状でございます。

 ただし、悪臭のように実際に測定も可能なことがあるわけでございますし、硫化水素なりVOCの悪臭があるということもあるわけでございます。生活環境に何らかの支障が生じておれば、それを消極的に解釈する、だらだらと先延ばしするということは好ましくないというふうに考えておるところでございます。

橋本(清)分科員 何度も申し上げているとおり、一から十まですべて決めろと言っているわけじゃないんですよ。先ほどおっしゃいましたけれども、悪臭とかそういうのもありますね。逆に、害虫とかそういったところが含まれなくなるんだったら、そういうのが含まれるような制度にすればいいじゃないですか。

南川政府参考人 もともとが、生活環境の保全ということにつきましては、人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が生じるということでございます。

 それ以上の定義も、法律上、これは廃棄物関係だけではなくて全体的にないわけでございまして、特に、廃棄物の観点からそれを決めるということについては無理があると思います。

橋本(清)分科員 ないんでしょう、ないんだったらつくればいいんじゃないですか。廃棄物まじりの土を定量的に評価できる基準、すべてつくれないというわけじゃないんですから、部分的にでも決めたらいいんじゃないですか。

南川政府参考人 部分的につくるということにつきましては、実際そういう作業をすれば、これは例えば環境基準の何倍ということでやることになります。それ自身が、必ずしもその結果としまして、非常に、崩落の危険性とか火災の問題とか、そういったことについては作業をすればするほど含みづらくなるということで、かえって地方自治体の自主性を阻害するというふうに考えております。

橋本(清)分科員 部分的に決めて、さらなる、総合的に評価する仕組みをつくればいいだけじゃないんですか。

南川政府参考人 これも自治体によりまして、例えば青森、岩手の問題、それから豊島の問題については、実際に自治体の判断で全量撤去ということになっているわけでございます。これにつきましても、どこまでが化学物質等による汚染の問題なのか、あるいは悪臭の問題なのか、そういった議論があったわけでございますけれども、崩落の危険性あるいは害虫の発生のおそれ、そういったことを広く解釈して地元で全量ということにしたわけでございます。

 私ども、実際に地方公共団体と頻繁に話をしております。その中で、特に基準が決まっていないから非常に困るということはございませんで、むしろ自治体ごとによく検討したいということで、それについて特段の、現在での支障は生じていないと考えております。

橋本(清)分科員 うちの選挙区の村田では、支障が生じているんですよ。結局、この生活環境上の支障というのが明確化されていないから、今も宮城県村田町のものは、十一年も放置され、致死量が七〇〇ppmの硫化水素、二〇〇一年三月時点では二万八〇〇〇ppm、先月も、二カ所から県の調査で千ppmの硫化水素が検出されているんですよ。これが生活環境上の支障でないと言えますか。

南川政府参考人 先ほども答えましたけれども、悪臭など現に生活環境に支障が生じていれば、それについて、生活環境の保全上の支障ということを消極的に解釈して対応を先延ばしするということは許されないことだと思います。

橋本(清)分科員 許されないことですよね。

 それで、この村田の問題については、生活環境上の支障であると言えるのか、言えないのか。

南川政府参考人 村田町の問題につきましては、宮城県の方で専門家を含めて詳細な検討が行われております。また、私どもも話は聞いておりますし、担当の者がこの三月にも現地を訪れたところでございます。その過程で話はしておりまして、行政の対応が適切かどうかということの検証も求めておるところでございます。県の方で適切な判断が行われるというふうに考えております。

橋本(清)分科員 言えるのか、言えないのか、それについてお答えいただきたい。

南川政府参考人 悪臭などの問題が生じており、明らかであればそれについては速やかな対応が必要だと考えておりますけれども、いずれにしても、県で御判断されることと考えております。

橋本(清)分科員 もう任せっ放しというか、今の答弁を聞いても明らかなように、結局、逃げ道、抜け道になっているんですよね、そういう部分が。こういったところで、国民に健康被害を引き起こし、また問題、これは特に村田の産廃不法投棄というのは、隣に中学校があるんですから、小学校も。それで、新聞でも報道されましたけれども、健康被害が現実的に出ているんですから。こういった部分をほうっておく、この問題についてはまた質問いたします。

 それでは次に、健康被害、今言いましたけれども、不法投棄による住民の健康被害の補償制度について、この不法投棄問題というのは、現状では予防措置、応急措置と原状回復による対応になっておりますけれども、実際には、不法投棄された廃棄物や有害ガスにより健康被害を訴えた住民がいるのは事実です。我が選挙区にある村田でもこういった事実がありました。これは、学校でも調査をとって、本当に健康被害が出ているという結果も出ていますからね。高度成長期時代の公害病のように、何らかの健康被害の補償制度などもこういったものに対して必要だと考えます。そういった問題について、特に村田の場合は、不法投棄現場近くに住んだ住民が泣き寝入りしている、そういった状況です。

 二月二十八日の予算委員会分科会では、健康被害については民民で解決してほしいと答弁なさっておりました。私、このときにも申し上げましたけれども、請求できる相手がいればとっくにこの人たちはしているんですよ。しかしながら、現状では、倒産したり、逮捕されたりというように、請求できる相手がいない。こういった状況の中、過去の公害病のように、二十一世紀の公害病として国が責任を負う仕組みも検討しなければならないのではないんですか。

 これは、たまたま不法投棄された近くに住んでいたというだけで、何の罪もない小学生とか中学生が健康被害に苦しんでいる状況があるといった状況をかんがみながら、その点についてお答えいただきたいと思います。

南川政府参考人 この問題、私どももアンケート調査は見せていただいております。実際に、宮城県の検討委員会でお医者さんの方がアンケート調査をされまして、報告を出されたということも承知をしておるところでございます。実際、これにつきましては、宮城県の方で保健所の健康相談などが行われているところでございますけれども、さらに踏み込んだ対策、何ができるかということの検討がなされているというふうには承知をしております。

 ただし、制度ということで、法制度となりますと、個々の具体的な地域の問題については、なかなか国の制度になじみにくいというふうに考えておるところでございます。基本的には民民でございますけれども、あとは個別の地点の問題として、地元で何ができるかということに尽きるというふうに考えます。

 ただ、全体で見まして、前に東京都の杉並区でも、化学物質過敏症が大変な大きな話題になったことがございます。これは、練馬とか中野とか杉並の粗大ごみを江東区に持っていく際に、余りにもかさばって車の数がふえちゃいけないということで、杉並の井草で粗大ごみをスクラップする、そして砕いて江東区に容積を小さくして持っていくという破砕工場があったわけですけれども、その周辺で過敏症が出るということがございました。

 たまたまそこだけだったんですけれども、そういったこともありまして、環境省では、平成九年から七年間程度にわたって調査をして、去年、化学物質過敏症の調査報告書も出したところでございます。途中、たまたま私、十二年ごろだったですけれども、保健の関係の課長をしておりまして、その途中状況につきまして求めがありまして、実際に杉並区に伺いましてお話をさせていただいたこともございます。

 ただ、全体的には、これは私が言っても余り素養がないからだめなんですけれども、当時、上田安全課長という医学の専門の方も一緒に行きまして、その報告書の説明をいたしました。一言で申しますと、化学物質の暴露による病態についていろいろ全国的に調べて、否定はできないけれども、実際にごく微量の化学物質の暴露と症状の発現との間の関連性が認められないということで、幾らいろいろ調べてもなかなか因果関係がはっきりしないというようなことに結局尽きてしまうということでございました。専門家がきちんと説明したものですから、納得はいかないまでも、そういうものかということでうなずいていただいた記憶がございます。

 いずれにしても、この問題は大変難しい問題でございますけれども、化学の問題とは別にして、制度論としては、あくまで民民をベースに地元でお考えいただくべきものだというふうに考えております。

橋本(清)分科員 この間の予算委員会の分科会のときの答弁とはちょっと変わっていましたけれども、ベースとしては民民で、そして、さらなる必要があればまた都道府県レベルでという答弁だったと思います。そういったところで住民の健康に対する被害を何らかの形で補償していかなければならないのではないかと思っています。

 次に、不法投棄の低コストな原状回復技術の開発についてお伺いしたいと思います。

 全国の不法投棄残存量が膨大であり、生活環境上の支障があり、原状回復が必要な現場が多いにもかかわらず、不法投棄廃棄物の浄化のガイドラインや対策技術の研究開発がおくれていると私は思っております。不法投棄廃棄物は、廃棄物まじりの汚染土壌。汚染土壌対策技術のように低コストな対策技術についての研究開発など取り組みが必要だと考えられます。予算を見てみますと、予防、産業廃棄物業者の優良化に関する対応はなされていますけれども、対策技術に関する予算がついていないように見受けられますが、今後の対応策についてお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、公費を使って、国であれ地方であれ、執行することについては、できる限り効果的、効率的な事業を行って費用を節減することが大事だと思います。私ども、原状回復等の指針の中でも、経済的にも技術的にも最も合理的な手段の選択をお願いしているところでございます。

 具体的な措置でございますけれども、一つには、各地域の対策の事例を具体的に紹介しております。それから、個別の分野につきましては、今非常に頻度がふえております硫酸ピッチの処理についての報告書をまとめまして、その中で、いかに安く効率的に処理するかといったガイドラインを示しております。さらに、これをほかの分野にも広げていきたいというふうに考えております。

 また、個々の場による治療の違いも大きいわけでございます。これにつきましては、技術士を含みます専門家チームをつくっておりまして、これまでのところ、年に十カ所程度現地に派遣して、効率的かつ費用効果の高い対策技術の計画づくりなどのアドバイスを行っているところでございます。これにつきましては、今年度予算で金額を増額いたしまして、年に十五カ所程度こういった専門家を派遣して、より効率的な原状回復などができるように、専門家の立場からアドバイスをできるようにしていきたいと考えておるところでございます。

橋本(清)分科員 今まで、前回、前々回三回にわたって村田の産廃の不法投棄の問題に関して質問させていただきました。私が質問の中で何度も申し上げましたけれども、環境省、未然防止と過去の負の遺産に対する対応をなされているとは思います。

 ただ、現実問題として、村田の産廃不法投棄、私の選挙区にあります村田町の住民のように泣き寝入りしたり、実際にここに住んでいられないといって引っ越していらっしゃる、そういった現状があることをきちんと肝に銘じていただきたい、そして、こういった人たちが二度と出ないように、きちんとこれからも未然防止をやっていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。

鈴木主査 これにて橋本清仁君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十五分開議

鈴木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。村田国家公安委員会委員長。

村田国務大臣 平成十五年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十五年度の歳出予算現額は二千六百二十五億七千百九十一万円余でありまして、支出済み歳出額は二千五百三十億九千百三十一万円余であります。

 この差額九十四億八千六十万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は十億一千三百七十万円余であります。

 また、不用となった額は八十四億六千六百九十万円余であります。

 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

鈴木主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十五年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鈴木主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。岸本健君。

岸本分科員 民主党の岸本健でございます。

 まず、質問の前に、きのうのJR福知山線脱線事故によって犠牲になられた方々、亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに、おけがをされた方々にお見舞いを申し上げます。

 そして、一刻も早い事故の原因究明と再発の防止に取り組んでいただきたいと思います。警察庁におかれましても、所轄の尼崎東署に対して、徹底した取り調べを行うように指導をしていただきたいと思います。これは要望ですので、答弁は結構でございます。

 村田国家公安委員長、災害の際にも大変いろいろと御苦労なされて、地元にはなかなか帰れないので、ほとんど東京で待機されているとかという話で、もう気苦労が絶えないんだろうなと思います。きょうは、もう質問というよりも要望という側面の方が強いと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 私は、きのうここで中国に対してのODAの質問を町村大臣にさせていただきました。中国に対する日本の国の政府援助は、円借款と無償援助を含めて約三・三兆ということになると。もう中国は非常に経済が成長してきて、宇宙開発に取り組む、それぐらい大きくなってくる。また、片や財政赤字に悩んでいる日本、これが援助するというのは失礼じゃないかなと。町村大臣も、まあそうだなということで意見が一致したと私は思っているんですが、ODAで開発援助したこの中国からの見返りは何かなと思いますと、犯罪者の大量の輸入であると。

 大臣も御案内のように、昨年の「来日外国人犯罪の検挙状況」という警察庁刑事局組織犯罪対策部がまとめたこの資料なんですが、この中にも明らかになっておるんですが、検挙件数、人員とも過去最多を記録とあります。それから、国籍・地域別検挙人員では、中国人が四千三百十九人、全体の三九%を占めておる。約四割であります。法務省に聞いたところでは、不法在留者の数は約二十三万人に上ると見られて、その約六割が中国人と思われるということでした。全員が犯罪予備軍、そんなことは申しませんけれども、潜在的な不安みたいなものは取り払うことはできない。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。

 もう日本でも、外国人犯罪を対象とした国際捜査の部署、これを独立させて、十分な人員と装備、そしてそれに伴う予算を組んで、そういうふうにした方が国民の理解を得られるのではないかなと思います、治安のいい日本が外国人犯罪に侵されているのですから。この分科会は決算ですから、今までの国際犯罪に関する予算では追いつかないことだと思います。SATのような特殊部隊をつくって、全国の警察官から外国人犯罪のエキスパートを招集して、制服もそういう外国人犯罪の特別な機関であると認知されるようなものとして、日本の警察は、もう外国人から見たときに、これは本気だなと思われるようなこういう処置が必要な時期になっているんではないかな、もし実現できれば相当の抑止効果を発揮するんではないかなと思うんですけれども、大臣の御所見を伺います。

村田国務大臣 今、岸本委員が言われましたように、昨年の来日外国人犯罪の検挙状況を見ますと、件数それから人員等も残念ながら大幅に伸びておりまして、いろいろな、組織化とか地方への拡散とかそういう問題が見られているところでございまして、最近における国民の治安に対する不安の大きな原因の一つになっていると私どもも感じております。

 そういうことで、委員の御指摘でございますが、実は私、一月に中国へ参りまして、中国の周永康部長に、この周永康さんが日本でいえば私のカウンターパートでございまして、中国の治安を担当している、こういうことでございますが、中国へ行きましてこの周永康部長とお会いいたしまして、率直に、中国人の日本国内における犯罪が大変多い、大変我々も迷惑しているという話をしてまいりました。周部長は、私も反論されるかなと思ったんですが、率直に、我々中国当局としてもそういう事態には大変苦慮しているという御発言がありまして、その上で、双方努力をして何らかの方策を考えていこうではないか、そういう意見の一致を見たところでございまして、今、警察庁と中国の公安当局との間で、そうした何らかの前進が見られるように努力を重ねている、こういうふうに聞いております。

 私としても、日本側の努力だけではなくて、送り出し側の政府の何らかのかかわり合いというものが相まって、不法滞在者を減らし犯罪を減らしていくそういう成果が上がってくる、こういうふうに考えますので、それはそれで私ども、そうした外国政府との協力を進めていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 一方、今、岸本委員が御指摘なさいましたように、警察庁にそういう国際的な、あるいは来日外国人犯罪への専門的な部署をつくったらどうかという御指摘がございました。実は、昨年の四月から施行されました警察法の改正法によりまして、警察庁刑事局に、今までは薬物銃器対策、暴力団対策をやっていた部署に来日外国人犯罪の取り締まりを担当する国際捜査部門を組み入れまして、組織犯罪対策部、きょうは部長が来ておりますけれども、これを設置いたしました。そうしたことから、来日外国人犯罪を含む組織犯罪全般に対しての情報を集約いたしまして、全国統一的にそういう対策を練っていくというそういう組織をつくりましたわけでございまして、その組織犯罪対策部で考えましたいろいろなやり方、対策のいい案につきましては、これを全国の警察に広めていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

 新たな組織をつくって警察庁みずからが捜査を行う、そういうような組織をつくるということについては、組織上、要するに警察というのは地方分権になっておりまして、各都道府県警察との捜査の競合というような事態も起こりますので、当面は、今申しましたような組織がえをいたしましたものですから、これを充実して、来日外国人の犯罪に対処していきたいというふうに考えております。

 それから、平成十七年度予算において増員が認められました。三千五百人ほどの増員が認められまして、大変予算が厳しい中において私ども警察官の増員を認めていただいたことは大変感謝をいたしておりますので、そういう中で、人員を来日外国人犯罪への対応ということでそちらにも振り向けて、なお一層警察庁あるいは警察としての取り組みを充実していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

岸本分科員 ぜひお力を入れていただいて、お願いをしたい。

 私なんか和歌山の田舎ですから、ちょっとその辺まで行くときは、家のかぎなんかもちょっと前まではしないで、もうあけっ放しで出ていく。しかし、今だったら、家の中におってでもかぎをしておかぬと、これは何があるかわからないからというふうに非常に今は不安なんですね。こんな、僕なんか山の人間ですけれども、そこでも、外国人犯罪、外国人が何人か入ってきて、ガムテープで縛って、そしておばあちゃんの財布からお金をとって逃げていった、そういうのがある。

 もちろん、国内のお巡りさんをこれはもうふやしていただかないと、事故があったときにぱっと近くの駐在所からお巡りさんが来る、署の方から来るまでは余りさわれないんだけれどもと言いながら、駐在さんが近くにいてくれたらやはり安心するんですよね。だから、もうお金がないのはわかりますけれども、ぜひにお巡りさんをまたさらにふやしていただくというのと、あと、特に本当に外国人犯罪というのは広がってきていますから、何とか抑止力になるようにいろいろとお考えいただきたいと思います。

 今お尋ねした理由に、また中国の話になりますけれども、先日来、反日の暴動、これがありました。きのうも言うたんですけれども、私、子供とテレビを見ていたときに、子供から見ると、建物にジュースの殻であるとか卵を投げたりとか、そういうのを見ていて本当に心が痛むというか、子供に何と説明したらいいのか、そういうことがあったんですけれども、中国だけではなくて、例えば韓国やフィリピン、ブラジル、イラン人、ほかにもありますけれども、犯罪がありますが、犯罪の中身は、圧倒的にやはり中国人の犯罪が凶悪で組織化されている。蛇頭というんでしょうか、中国マフィアとの関係、これも無視できないのではないか。それから、愛国無罪という思想的背景、これも日本での犯罪を助長しているんじゃないかなと思います。

 何をしても許される、そんなことでは、年々巧妙化し凶暴性を増していく中国人犯罪に対して、今こそ具体的な対策を講じていかなければならない。治安の回復、それから警察への信頼回復、前に何かテレビで、カメラよりもお巡りさんが先に逃げたとかといって問題になったときもありますけれども、やはり実際、でも困ったときに見ると安心するんですよね。やはりそれを、信頼回復、これはおくれてしまってはだめだと思います。

 私は、警察は一生懸命頑張っている、そんなふうに思っています。だからこそ、この警察の現場の声を吸い上げて、何が不足しているのか、それから、どうしたら検挙率の向上につながって犯罪を未然に防ぐことができるのかということを考える必要があると思いますし、思い切った対策を講じないと本当に手おくれになっていくんじゃないかと心配しています。最近のやはり世論調査でも、国民の不安の第一位は、郵政じゃなくて治安でありました。

 大臣はどのような施策が外国人犯罪の歯どめになるとお考えなのか、率直な御意見をお願いいたします。

村田国務大臣 外国人犯罪を含めまして、かつてのように安心な、本当に治安について犯罪率が低いそういう日本を取り戻すために、政府としても、平成十五年の十二月に、犯罪に強い社会実現のための行動計画、そういう計画を取りまとめました、各省で。それを見ますと、なかなか犯罪対策として重要なことが書いてございます。私どもとしては、その内容をできる限り早期に実現をしていきたい、こういうふうに考えておりまして、関係各省にも今後とも協力を求めていきたいというふうに考えておりますが、一部はもう既に実現されているのもございます。

 特に外国人犯罪に限って言うと、まず、入ってくるときの水際対策、出入国というか、入国管理をいろいろな面で厳しくする。例えば、入ってくるときに、アメリカでもうやっておるんですけれども、これはテロ対策もあって、指紋を外国人の方からちょうだいするとか、あるいは、APISといいまして、入国者の情報を、例えば飛行機で来る前にあらかじめ向こうの航空会社からこちらに渡してもらうとか、だから、飛行機に乗っている間にいろいろな調べをしまして、着いたときに、問題のある人はこちらでとにかく対応が打てるというような、そういうのももう既に動き出しているわけですね。

 それから、あとは在留管理といいまして、これまで日本は割合そういう面はヨーロッパとか何かと比べて弱かったんですが、入ってきている外国人に対してチェックを強化する。例えば、ホテルや旅館に泊まりますと宿帳を書いてくれと言われますよね。ところが今までは、それは警察は何もタッチしていないで、書くだけみたいな話でありまして、だからこれについては、今後とも、そうしたせっかく旅館等がお客さんから書いてもらったものを警察が見られるようにしていただくということも実現をしましたので、それもやっていきたい。

 あるいは、これから法案を御審議いただくわけでございますが、例えば風営法を改正いたしまして、人身取引に結びつくようなそういう外国人の興行とか、そういう資格で雇う場合に、その雇い主に対してビザのコントロールをしていただくとか、そういうことで、我々が望まない外国人が日本に入ってくるということをいろいろな場でチェックするという在留管理、そういうことももっともっと強化していかなければいけない、こういうふうに考えているわけです。

 そのほかに、先ほど御答弁申し上げましたように、警察庁では、今年度を始期といたしまして一万人ぐらい警察官をふやしたいという希望を持っておりまして、その三千五百人分が十七年度で実現したわけでありますけれども、今後は、そうした警察官を増員いたしまして治安の回復に我々は一層努力をしたい、こういうふうに考えているわけであります。

 以上でございます。

岸本分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今、ビザの話を聞いてちょっと思い出したんですけれども、愛知万博で各国から来ておりますから、そこで働くのに来ていた特殊なビザだったんでしょうか、その特殊なビザで入ってこられていて、そして、その後十数名もうどこかへ行ってしまったという話をちょっと新聞か何かで見たような気がするんです。やはり徹底してやっていただかないと、愛知万博で入ってきているというのは何か信頼性が高いように思いますけれども、実際逃げていってしまっている人がおるということですから、やはり、さらに強化していただきたいと思います。

 次に、不法残留者の摘発と身柄の拘束には、警察庁と法務省、これが車の両輪のように機能してこそ効果が上がるものだと思います。事実、昨今の入国警備官の摘発現場の約九割で警察が帯同していると伺っております。これらは、主に不法残留の摘発ですからさほど危険性はないと思いますが、やはり、外国人の身柄拘束には大変な苦労が伴うと思われます。

 そこで法務省の方にお伺いをいたしますが、第三次出入国管理基本計画の中で、「強力な水際対策の推進及び不法滞在者の大幅な縮減を通じた我が国の治安を回復するための取組」として六項目の方針を示された。その中に、審査官と警備官の増員及び装備の充実などが盛り込まれていないようなのですが、年々増加する不法滞在者に歯どめをかけるために、大幅なこれも職員の増員が必要ではないのかな。また、水際対策にしても、陸海空の窓口となるこのブースの職員が大変苦労されていると聞いております。今の体制で十分とお考えなのか、担当局長さん、よろしくお願いいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 入国管理行政に多大なる御理解をいただける御質問をありがとうございます。

 今、委員御指摘のとおり、入国管理局におきましては、不法滞在外国人が非常に多いということから、これを五年間で半減するという目標のもとに、入国審査ですとか在留審査の厳格化でございますとか、かつ、積極的かつ効果的な不法滞在者の摘発などを積極的に推進しているところでございます。

 このような中で、平成十七年度におきましては、関係当局の御理解をいただきまして、百七十四名の増員及び所要の経費の措置をいただいたところでございまして、感謝しておるところでございます。

 第三次出入国管理基本計画に盛り込まれました事項につきましては、これを着実に実施いたしますために、今後とも、必要に応じて体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

岸本分科員 とにかく現場の人は大変だと思いますので、増員されてこの人数で果たして大丈夫なのかどうなのかわかりませんけれども、しっかりとやはりやっていただきたいし、危険も伴うと思いますので、その辺も十分考えてやっていただきたいと思います。

 次に、これはもう最後になりますけれども、不法滞在者が日本での仕事を終えて帰国する。仕事の内容はいろいろでしょうけれども、不法滞在ですから、結局違法行為で稼いだお金である、すべてこれは非合法ですから。それから、オーバーステイを承知の上で入管に出頭申告する。そして、送還費用を自己負担して、パスポートのある者は四、五日で帰国して、密航などによってパスポートのない者については、それぞれの国の大使館で帰国のための臨時パスポートが出されるまでの間、収容施設で割合よい生活をしているというか、天国のような時間を過ごしているとちょっと聞きました。その間の費用は、すべて日本人の税金が使われていると言われております。船による密航で来て水際で摘発されて、日本で稼ぐ機会を失った外国人、これは無一文ですから、国費によって送還せざるを得ない。

 そこで、もう本当に素朴な疑問でありますけれども、これらの経費をそれぞれの国の大使館、その先は大使館に請求できないのかということです。収容施設は二十四時間冷暖房完備、それから一日三食弁当を支給されている、さらに運動場もある、面会も比較的自由と聞いております。こういう待遇が犯罪者たちの温床となり、再入国と再犯に結びついているのではないかな、そんなことも感じております。偽造パスポートの技術も格段に進歩している。再入国禁止などの期間延長がなされても、結果は疑問である。

 余談ですけれども、アムネスティ・インターナショナル、この調査によると、昨年の死刑執行者数は世界で三千七百九十七人、その九七%が中国人であると報告されております。日本では到底死刑に値しないような犯罪でも、中国では簡単に死刑を執行してしまう。こういうことを考えても、日本というのは本当に犯罪天国、彼らにとっては、一回失敗しても日本だったらもう一回行ってやろう、大したことないじゃないか、そのように映っているのではないか。

 決算の分科会にはそぐわない質疑かもしれませんけれども、収容者の弁当代に特別会計を充てるようなことはちょっと納得ができない。収容者の食糧費だけでも、今年度の当初予算額は約七億五千万円。不法滞在者の縮減に向けて政府が取り組むべきことは、不法滞在者にかかわる経費はその者の母国に請求するという法整備を行うことである。とにかく現場が大変です。現場の声を吸い上げて、第一線で働く方々が、職場の環境の改善があるはずです。法務省それから警察庁で外国人犯罪に取り組まれている方々、この方々のモチベーションが上がるような施策を早急に講じていただきますことをお願い申し上げて、どなたでも結構です、答弁をお願いできたらと思います。

知念政府参考人 モチベーションの関係でございますが、来日外国人犯罪の捜査には、日本人被疑者に対する捜査の場合と比べまして違いが幾つかあると思います。

 まず、取り調べに通訳を要する、習慣や文化の違いに留意しなければならないこと、それから、来日外国人犯罪組織は離合集散を繰り返して広域で犯行することが多いため、実態解明に多くの時間と労力を要すること、それから、来日外国人犯罪者の中には、先生御指摘のあった、偽造旅券あるいは他人名義の不正旅券によりまして不法に入国、残留したり、居所や就労場所を転々と変える者も大変多うございます。身元特定や所在確認に困難を伴います。そういった特性があります。

 このため、検挙に至るまでには多大の困難を伴うのがこの種捜査での通例でありますが、ただ、現場で捜査する警察官諸君も、大変な努力と工夫を重ねまして、士気高く捜査に取り組んでくれているものと承知しているところであります。

 警察庁としましては、これらの現場の警察官の努力に少しでも報いるため、これまでも、通訳体制の強化でありますとか国際捜査部門の体制の強化でありますとか、それから、国際捜査官を育成する、国際捜査に関する実務研修、語学研修、海外実務研修、こういったものの研修メニューを充実してきております。それから、情報の集約、分析、全国警察への還元、これは、先ほど大臣からも御答弁申し上げたように、第一線の捜査をバックアップしているところであります。こういったことで来日外国人犯罪の全体の捜査体制の強化に努めてきているところであります。

 今後も、熱意を持って捜査に当たる現場警察官の職務が少しでもやりやすくなるように、細やかに捜査現場からの声をくみ上げて所要の施策を講じていきたい、この取り組みを強化してまいりたいというふうに考えております。

岸本分科員 とにかく、大臣を先頭に現場の人が本当に一生懸命頑張ってくれて、それこそ、初めに言いましたけれども、かぎなんかあけておいても大丈夫な日本、安心して生活できる、どこへ行っても生活できる、そういう日本になるために頑張っていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

鈴木主査 これにて岸本健君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田昭宏君。

太田分科員 公明党の太田昭宏です。

 地震防災対策について質問をさせていただきます。

 二月十日の予算委員会におきまして、私は、機能が停止したときに人命にかかわるライフラインというのがあると。私の学生時代の先輩に当たります神戸大学の高田至郎教授が言っているわけですが、救命ライフライン。この救命ライフラインという概念を確立したいと私は思っています。

 四つのライフラインがありまして、一つはエネルギー供給システム、電力、ガス、石油など。二番目には上下水道などの水処理システム。三番目は交通システムという角度で、道路、鉄道、空港あるいは港湾など。四番目には情報通信システムということで、電話、無線、各種マスメディアなど。これらの救命ライフラインという角度で一つ一つ点検して、通常のライフラインというものとはちょっと特殊な角度でこれをやるということが極めて大事である。

 例えば、水が停止したら、普通の家庭ではまだ一日ぐらいは困らないかもしれないけれども、透析をやっているといったら非常に困るというようなことも含めて、特にこれは人命にかかわるものだからという角度での救命ライフラインの整備ということを訴えたわけです。

 そのときの予算委員会で村田大臣から、そうした考え方、救命ライフラインなどの考え方を中央防災会議等でも検討してまいるようにしたい、あるいはまた、救命ライフラインという思想は大変重要だと考えているので、私も中央防災会議の専門会議等でも発言してまいりたい、こういう答弁をいただきました。

 その後のこれらについての考え、また進捗状況についてお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 太田委員から、二月の予算委員会でしたか、そういう救命ライフラインなる概念というものをお教えいただきまして、大変それは重要なことでありまして、優先度をつけてやっていくことも大変重要であるかなというふうに私自身も太田先生に教えていただいた次第でございます。これはどの場でやるのがいいかなというふうに考えたわけでございますが、中央防災会議にそういう考え方を披露して、そこでそういう考え方の普及を図っていくのが必要ではないかというふうに私も考えたところでございます。

 中央防災会議のその後の状況でございますけれども、二月は、直下型地震等の被害想定を受けて、これからのいろいろな計画といいますか、被害想定を含めました、首都圏の直下地震についてのいろいろな検討結果を発表したところでございます。

 三月まではそれで過ぎまして、四月に入りまして、首都直下地震の専門部会、首都直下地震対策専門調査会というのがございますが、四月の十二日から本格的に首都直下型の地震を受けての対策というものを検討し始めたところでございます。その中で、人命、生活、これが一つ、それから経済、産業、それから政治、行政という三つのカテゴリーに分けまして、対策を幅広く検討し始めたところでございます。

 その中で、ライフラインにつきまして、先生が御指摘なさったような観点も入れながら議論をしていただく機会がある、こういうふうに思っておりますので、その機会に、ぜひとも先生の提案なさいました救命ライフラインなるものを御披露して先生方に御審議を願いたい、こういうふうに考えているわけでございます。

太田分科員 その直下型地震の中央防災会議では、この間、二月二十五日では、百十二兆円ぐらいの経済損失があるとか、去年の十二月十五日の中間報告でも、一万三千人の死者が出るというようなことが言われているわけですが、これからいよいよその具体的な対策ということになりますから、今大臣おっしゃったように、救命ライフラインというような角度、概念というものをぜひとも言っていただきたい、検討していただきたい、このように思います。

 一つ一つ、四つを聞きますが、最初の、エネルギー供給システムとしての電力、ガス、石油など。

 例えば、病院で電力がとまると集中治療室の人は亡くなってしまいますね。病院で水がとまると透析患者に影響する。これについては政府としてどういうふうに考えているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

柴田政府参考人 対策に入ったばかりでございまして、しっかりやっていきたいと考えております。

 エネルギー供給システムのうち、電気の被害が、百六十万軒の停電、復旧目標日数六日と想定いたしてございまして、これにつきましては、停電しないように系統を二重化して給電するあるいは自家発電装置を整備する、こういうようなことが重要ではないかというぐあいに考えているところでございます。

太田分科員 上下水道などの水処理システム。

 水でいうと、消火栓も救命ライフライン。阪神のときなどは、消火栓があって、そこまでたどり着いたんだけれども、結局消火栓から水が出なかったというようなこともあって、水が出ていたら相当助かったということもある。この辺は、一般的なライフラインであるとともに、救命ライフラインという角度で、消火栓、ここだけは生かしておかなくちゃならぬということがあると思います。

 その辺は、この十年、またこれからの中央防災会議に反映してもらいたいんですが、いかがでしょうか。

柴田政府参考人 御指摘のように、阪神・淡路大震災のときには、水がすべて地震によって流れてしまった、失われた、消火に大変不都合があったということでございます。

 上水道の被害につきましては、約一千百万人の支障、復旧目標日数を三十日と想定いたしてございます。このシステムの途絶に対処するためには、何よりも耐震性の貯水槽というものをつくっていくということ、それから耐震性の防火水槽を設置するということ、こういう事前の準備が重要と考えております。特に、主要な病院等の関係については重要ではないかと考えております。

太田分科員 三番目に、交通システムなんです。

 同じ道路でも、橋がある、道路がある、その向こうに大きな大事な病院があるというようなことでは、その橋とか道路というものはほかの道路と優先順位が違うというような角度もありますから、産業用とは少し違った整備の仕方というのが大事になるというふうに私は思います。

 この辺の、交通システムとしての救命ライフラインというのはどうでしょうか。

柴田政府参考人 道路につきましては、阪神・淡路大震災から十年たってございまして、その間に、主要な高速道路、首都高速道路等につきましては耐震化がほぼ終わったところでございます。

 交通システム全体では、橋梁、高架橋の落橋、倒壊など機能支障に至る大被害が、道路で約七十カ所、鉄道で約三十カ所の施設被害などを想定いたしてございます。先ほど言いましたけれども、道路については主要なものは耐震化が終わっているわけでございますが、今御指摘のような部分についての施設の耐震化、橋梁の耐震化というものは重要であると考えてございます。また、河川舟運や地震に強いとされます地下鉄の活用など代替輸送体制の構築、こういうものも重要であるというぐあいに考えております。

太田分科員 四番目の情報通信システムというのは、私は、物すごく大事だというふうに思っています。

 直下型地震では、帰宅困難者が六百五十万人、三百九十万人が東京都内、六百五十引く三百九十がいわゆる首都圏から来ている、帰れないと。帰れないときに、五十六年以前、五十六年以降ということで耐震基準が変わっていますから、都心部のコンクリート、鉄筋等を使った五十六年、一九八一年以降の建物は案外崩れないということになると、帰らないで籠城するというような方向というのは正しいと私は思うんですよ。三日間は救命に全力を挙げる、それからその後に物資等が来たりするという形になってくる。

 そうなると、一番の焦点は、家に電話をする、そして安否が確認できるというようなことさえあれば、これは大丈夫だということになるんです。その辺、いろいろな新聞社が出してくれたりしているわけですが、災害用伝言ダイヤル一七一と携帯メールなんというようなことが出ているんですが、具体的にどういうふうにやるのかということがよくわからなかったりするし、その辺をNTTとかそういうところにお任せしていくというのはいかにも情けない、私はこういうふうに思います。

 そういう意味では、一般の情報通信システムとしてのライフラインということが一つ。それから今度は、政府関連とかあるいは都の関連とかいうことの中で、ここだけは生かしておかなかったら大変だというものがありますね。そういう意味で、救命ライフラインということが大事だというふうに私は思います。

 この辺の、全体的な情報通信システムということが実は一番大事なかなめであるということで、どうもそこは一般に任せているというようなところがあるので、ここは力こぶを入れて、こういうふうにしますよということが、特に首都圏の帰宅困難者六百五十万人というようなことの中で極めて大事になる。

 そして同時に、ここだけは緊急に何がダウンしても通信がとれるというシステム、いわゆる通信における救命ライフラインということをしっかりやるようにということで、私はきょうは、全力を尽くしますという答弁だけはいただかないとここから去るわけにいかないので、よろしくお願いします。

柴田政府参考人 大変重要な御指摘でございます。

 帰宅困難者がたくさん出てくる、家族との間の連絡がとれないといった場合に、やはり非常に家族、被災者の皆さんが不安になってくる、場合によってはパニックにつながる、いろいろな大きな問題も起きるという感じを我々も持っております。

 通信システムの関係でございますが、首都直下の専門委員会での想定では、固定電話で百十万回線が支障、復旧目標日数は十四日と想定しております。また、通信の集中による逼迫も考えられます。

 それで、どうしても災害時の場合には、災害時の優先電話を優先させて、ほかの部分をかなり絞っていくということをシステム的にせざるを得ないということになってございます。そういったときに一般の電話が通じなくなるということになるわけでございまして、今太田委員の方から御指摘ございましたが、いろいろな所在確認のシステムがNTT、KDDIさん等でできてございます。電話帳にも載っておりますけれども、今御指摘のように、普通の人が知っているのかと言われたら、なかなか余りそこは知れ渡っていないわけでございまして、NTTさんは随分宣伝していただいていますけれども、政府としましても、こういうものがあるんだ、こういうときはこういうものを活用しなさいということをPRを重ねていきたいというように考えております。

 また、病院等の電話が通じないということになっては大変なことでございまして、これにつきましても、先ほど申しましたけれども、災害時優先電話を利用するとか活用する、そういうことによって普通の一般の電話の逼迫の影響を受けないようにする、あるいは、無線設備の整備など、他の通信手段の確保も必要であるというぐあいに考えてございます。

 これらは、専門調査会におきまして、今後、本格的に対応を考えていきます。大臣の方からもお話し申し上げましたけれども、救命ライフラインという視点も踏まえまして、さらに論議を深めまして、夏ごろには対策をまとめていきたいというぐあいに考えてございます。一生懸命頑張らせていただきたいと考えております。

太田分科員 大臣、今の通信の問題は極めて大事で、今柴田統括官からお話がありましたけれども、どうも僕は民間任せというかそういう感じが否めない。一七一と、これは新聞を読んで、一七一にかけてどうやってやればいいかということもよくわからない。

 昔の人は、戦争中に、ある公園の木がある、木のところに、どこかでばらばらになっても、そこにちょっと印をつけて、節のこの辺にこう印をつけていたら私は無事ということだよとか、そういうようなことまで通信手段がない時代でもいろいろ工夫したという話を聞いています。

 私は、そこは一番の命綱のところで、実はここの通信が生きているかどうかというのが大事なんで、ここはちょっと政府として力を入れますと、一言で結構ですから。

村田国務大臣 私もその一七一云々というものを一遍試してみようかなと思っているところなんですが、やはりもっと使い勝手をよくしていかなきゃいけない。

 ただ、メールとかインターネットとかあるいは放送とか、いろいろな安否情報をやる手段というものが幅広くありますので、そういうことを含めて、今太田委員がおっしゃっているような、生存といいますか安否の確認ができれば、帰宅困難者も場合によってはボランティアの力として使えるかもしれませんので、そういう意味では、私ども、真剣に取り組まなきゃいけない、こういうふうに考えております。

太田分科員 建物の耐震診断、耐震改修というようなことの税制措置も含めたそういうことについてはかなり国会でも論議をされているんですが、私は、そういうような通信手段ということについての柱立てが特に首都直下型地震ということについては大事になるので、ぜひともひとつ柱になるようにお願いをしたい、このように思います。

 さて、新潟中越地震からちょうど半年、私は、ここで政府として、十分この半年たったというところをウオッチしているのかどうかということで、全面的にやってもらいたいんです。

 今度は、新潟の現地からいきますと、ちょうどこの半年の今が雪解けということになります。雪解けでいよいよ具体的に自分たちは復興復旧に向かってスタートができるというふうに考えている反面、雪解けによって地盤が崩れる、融水によってそういうことが起きるという懸念もあるということです。

 同時に、その辺の、何が心配ですかということで地元の新潟日報等でいろいろ調査をしていただいて、いろいろな新聞社、マスコミがやっているんですが、地元のこういうことにもよく目を通していただきたいというふうに思っております。

 私が現地に聞いたところ、やはり住宅再建をしたい、しかし、なかなかめどが立たないと。新潟日報等でも、仮設入居者、住宅の復旧、三分の一、資金のめどがないと。資金がないから、なかなか住宅復旧といっても、年も老いてきているしというようなこともあるということで、住宅再建で自己資金のめどが立たない、何とかならないかということが一つ。

 それから、地盤が、雪解けということもあり、もともと地震で弱い、そこに雪解けがある。地盤がちょっとぐちゃぐちゃになってしまって、地盤も自分たちでやりなさい、上の建物もやりなさいというなら、とてもじゃないけれども家は建てられないしというようなこともあるんです。何とか地盤だけでも援助してもらえないかとか、あるいは自己資金がないということで援助してもらえないかという声が現在一番強いということなんです。

 一つは、全体的な雪解けになるということにおいての現状認識と、それから住宅、そして住宅の地盤、この諸点について答弁をいただきたいと思います。ぜひとも力を注いでいただきたいということです。

村田国務大臣 今まで雪が、本当に十九年ぶりの大雪でございまして、中越地震の皆さん方には、雪が解けていよいよ本格的な復興活動が始まる、こういうことでありまして、県やあるいは地元の市町村でも、そうした公共土木事業を初めとして、復旧復興活動に入っていく、そういう時期が来たということであります。

 我々も、豪雪の最中もそれを大変心配いたしまして、新潟県はもとよりでございますが、青森県へも要員を派遣いたしまして、雪害の状況というものを見てまいりました。各省集まって、我々が政府としてすべきことについて協議を重ねてきたところでございます。

 今度は、今先生が御指摘のように融雪でございますので、融雪による雪崩とかあるいは土砂崩れとかあるいは川がはんらんするとか、そういうことによる地震に加えての災害が出るということについてより注意をしなきゃいけないということで、関係当局に対して、我々は警戒を怠らないようにという指示をしているところであります。

 先生が今御指摘になられました自己資金がないということでございますが、我々も見ておるんですが、一つは、住宅に対する支援といたしまして、政府が行います被災者生活再建支援法による支援、それから県による支援、あるいは住宅公庫によります災害復興貸し付けの低利融資、それから保険とか農協の建更の補償がどれぐらい出るだろうか、いろいろそういうことを考え合わせまして、被災者もこれから本格的に、我々に対しての被災者生活再建支援法に基づく申請とか県に対する申請というのが本格化してくるのではないかというふうに考えておりますので、私どもとしては、そうした申請に際しましての情報が的確に行くように、なお一層努力をしなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 それから二つ目の、地盤の方ですね。これも、被災直後もいろいろな、のり面のような崩れたところを道路事業で何とか救えないか、そういうことで、できるだけ救うように、あるいは裏のがけの部分が崩れた場合に、何か我々が事業としてお救いできる、個人の負担が少なくなるような方法はないかということを一生懸命探して、手当てをしてきたところでございます。

 委員の御指摘でもございますので、雪解けになりまして、いよいよそういう建物の作業が始まるということでございますので、なお関係省庁を督励いたしまして、被災者の御希望を十分よくお聞きするような体制を改めてとっていかなければいけないと考えております。

太田分科員 ありがたい答弁だったと思います。玄界島を見ましても、自分のうちが壊れたというよりも、がけそのものが崩れたということもあったりするものですから、すべて個人というよりは、できる限りのところまで具体論でやっていただけるようにというような趣旨の答弁だったと思いますが、お願いしたいと思います。

 それから、話は飛びますが、今から七、八年前に、この場で私は、原子力施設の入力加速度、耐震基準というようなものや堤防の耐震基準や一般の耐震基準、さまざまなものがばらばらである、これを一つの物の考え方として想定する入力加速度自体が変わるというのはおかしいんじゃないかという話をしたわけですが、安全委員会がこの項目を、今度は耐震設計審査の安全検討会というところで耐震基準の再検討をしているということなんです。

 浜岡原発を初めとして危ないというような指摘がなされたりしておりますので、進捗状況と、絶対とはなかなか言いがたいかもしれませんが、安全確保ということに力を注いでいただきたいと思いますが、基準の見直し状況、あるいはそうした安全確保ということについての現状を、もう一問ありますので、手短にお願いします。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘ありましたとおり、原子力安全委員会におきましては、平成十三年度から、原子力施設にかかわります耐震設計の新しい科学的知見を取り入れるべく耐震の検討を進めてございます。現在まで十七回会合を開催いたしまして、先生御指摘ありましたとおり、施設の設計の基準となるような地震動を初めといたしまして、確率論的なリスク評価の問題その他について、現在検討を進めているところでございます。

 これらの検討に当たりましては、当然のことながら、地震学のみならず、地質学、地震工学、その他の分野の有識者に御参画いただきまして、鋭意検討を進めているところでございまして、特に分科会につきましても、開催ペースを月に二回やるとか時間を延長するとかということで、鋭意審議を進めているところでございます。

 また、御指摘がありました浜岡発電所の問題でございますが、浜岡発電所を含みます原子力施設の安全性につきましては、阪神大震災が起きました後に検討会を開きまして、全体としての安全性を確認いたしておりまして、また、現在進めております検討会の中でも、その後に得られた新しい知見に基づきまして、鋭意検討を進めたいと思ってございます。

太田分科員 最後に一問。報道によりますと、いわゆる駐車違反の取り締まりということで、民間に委託する中で大変厳しくなるのではないかというような、報道の仕方もあるでしょうが、そういう意味では、現在どういうふうに考えているのかということをお聞きしたいと思います。

 放置車両に関する使用者責任の拡充と取り締まりの民間委託を二本柱とする改正道路交通法が来年六月までに施行されるわけですが、私もこれができるときには質問もさせていただいたんです。

 それで、運用上の駐車違反の取り締まりのポイントとしては、悪質、危険性、迷惑性の高い違反を重点としためり張りをつけた取り締まりを従来以上に強力に推進するとか、民間委託を行う警察署において、住民の意見や要望を踏まえた上で、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯などを定めた取り締まり活動ガイドラインを策定、公表するとか、あるいはまた、短時間駐車の違反車両に対する取り締まりについての従来の運用上の問題を解消するため、この後がなかなか微妙な言い方になっているんですが、放置車両であることが確認された車両については、駐車時間の長短にかかわらず確認標章の取りつけ対象とするというのがあります。これがそのままなされますと、ちょっとコンビニに寄りました、家族でレストランに行って駐車がいっぱいでありましたとか、買い物があるとか、あるいは営業の人がちょっと寄ってというようなこと、ここはすべて運のいい悪いとかいうことだけで、民間が余り真剣にやり過ぎても困る。

 また、民間になった場合には全然違うと思いますね。何でお前がそういうことをこんな歩道でやっているのかとトラブルが相当出るということ、現実では起きるのではないか。警察がやっているからこそトラブルでないが、民間がやっている、お前は何でそういうことになるのかというようなことでトラブルが発生する。

 私は、ここのところの現在の、さまざまな意味で、いよいよこれが民間委託になって施行されるなということで、かなり臨場感を持って心配しているところがあるので、今のところの状況について正確にお話をいただきたいと思います。

矢代政府参考人 ただいま来年の法施行に向けまして準備をしているところでございますが、今お話がございましたように、従来、違法駐車につきましては、これを発見いたしましても、直ちには取り締まりを行わずに、再度巡回いたしまして、一定時間経過後もなお駐車している車両を取り締まりの対象としてきたわけでございます。

 ただ、これによりまして、一部国民の間に、短時間なら駐車してもよいという誤った認識が生じ、さらには、一回目のチョークチェックを受けてから移動すればいいんだという悪質な運転者も発生しておりまして、その結果、幾ら取り締まりを行いましても、危険性、迷惑性の高い短時間駐車をいたしまして、恒常的な交通妨害が生じているということでございましたので、新たな駐車対策法制のもとでは、放置車両であること、運転者が現場にいない車両でございますが、放置車両であることが確認できた車両については、駐車時間の長短にかかわらず確認標章の取りつけ対象として、良好な駐車秩序の確立を目指すこととしているところでございます。

 そこで、このような取り締まり方法をとった場合には、場所によりまして取り締まりをかなり徹底することになります。そこで、違法駐車によります交通問題が生じている地域を重点とした従来以上にめり張りをつけた取り締まりを行う必要があるものと考えておりまして、このため、今後は、地域住民の意見、要望などを踏まえた上で、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯等を定めた取り締まり活動ガイドラインを策定し、これを公表し、これに沿った取り締まりを行うように都道府県警察を指導する予定にしております。

 御指摘の問題につきましては、やや断片的な報道がなされた向きもありますので、今私が申し上げました考え方につきましては、広報、啓発活動を積極的に行うことによりまして、国民の無用な不安を払拭いたしまして、また理解を求めてまいりたいと考えております。

太田分科員 なかなかデリケートな問題なので言葉を選びながらということなんですが、地域ということや何かも含めてよく理解を得た上で、一方では、いわゆる過剰だと思うようなそういうことについては、要らぬ不安感と言うならば、どういう表現でいいかということも含めて、よく現実やろうとしていることが理解できるようにということを国民に示していただきたい、このように思います。

 以上、終わります。

鈴木主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村分科員 民主党の津村啓介でございます。本日は、貴重な質問のお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭、外務省に日韓シャトル首脳会談についてお尋ねをした後、後段の部分で総務省消防庁に対しまして、民間防衛の観点から防災行政無線の整備促進、そして最後に村田防災担当大臣に、災害時における行政とボランティアの連携についてお尋ねをしていきたい、そのように考えております。

 まず、日韓シャトル首脳会談の件でございます。

 今、申すまでもなく、竹島の日条例制定をめぐるあの一連の議論から、ここ数カ月の間、日韓関係、一時は大変緊張する場面もございました。そうした中で、これからの大切な隣国であります韓国との関係を考えていく上で、昨年から年二回のペースで行われております日韓シャトル首脳会談の意味というのは、昨年、当初考えられていた以上に大変重要な意味を持っているものと思います。

 今、日本の外交は、国連常任理事国入りの問題やあるいは北朝鮮との緊張関係など、さまざまな課題をこのアジアにおいても有しているわけですけれども、そうした大上段の議論をまつまでもなく、やはり韓国との切っても切り離せない隣国としての重要な関係をこれからも重要視していく上で、この日韓シャトル首脳会談、引き続き重要、あるいは従来以上に重要なものと考えているわけですけれども、今後もこれまでと同様のペースでこの日韓シャトル首脳会談が行われていくということは確認されているのでしょうか。逢沢副大臣にお尋ねいたします。

    〔主査退席、長浜主査代理着席〕

逢沢副大臣 日韓の首脳が胸襟を開いて、また忌憚のない意見交換を行うということは、日韓両国の友好の促進、また共通の利益を確保し拡大させていく、そういう意味でも大変重要な場であるというふうに認識をいたしております。また、日韓間に非常に厳しい問題があるときだけに、その首脳会合の意義というものはまことに大きなものがあるということも申し上げておきたいというふうに存じます。

 昨年の十二月、日韓首脳会談におきまして、これは御承知のように鹿児島県の指宿で開かれたわけでありますが、両国の首脳が随時往来をして首脳会談を行うということについて合意が見られたわけであります。盧武鉉大統領はその際の共同記者会見で、次回の首脳会談は、ことし、本年上半期に韓国側で行う意向であるということを表明されました。

 確かに、竹島の日の条例制定等、韓国国内で対日感情が悪化をした、それを受けて韓国政府も対日姿勢を強める、そういう状況にあるわけでありますが、実は今月七日、日韓外相会談が行われたわけでありますけれども、日韓関係を正常な軌道に戻していかなくてはならない、そういう大局に立って、首脳会談を含む既に合意済みの交流やあるいはまた協議等は着実にこれを予定どおり実施するということが確認されたわけであります。ことしの前半のうちに日韓首脳会合が予定どおり韓国側で行われるということを改めて確認させていただいております。

津村分科員 ありがとうございます。

 そのことに関連いたしまして、次の御質問でございますけれども、今まで約束されているペースでこれからも行っていくということですが、それがこの上半期の韓国側でということに恐らくとどまらず、年二回のペースでやっていくということがこれまでも合意をされているわけですから、そうした観点から考えていけば、今副大臣からも御案内がありましたけれども、前々回が昨年七月に韓国、前回が昨年十二月に鹿児島県指宿ということでございます。この上半期に韓国ということになれば、次はこの下半期に日本でということが当然期待されるわけですけれども、そのことについて確認をさせていただきます。

 と同時に、民間外交、日本と韓国の関係は、隣国という地理的、地政学的な条件もあって、大変民間レベルでの外交交流も進んでいるというふうに認識をしております。そうした中で、これは外務省の方から資料をいただいたんですけれども、平成四年以降かなり高頻度で、数年に一度、この数年は平成十二年、平成十六年でしたでしょうか、東京、大阪以外の、大都市圏以外でも首脳会談を開催するということが多く見られているようでございます。

 まず、この下半期に日本で開催されることが見込まれるということについては確認をお願いいたします。

逢沢副大臣 韓国でことしの前半のうちに日韓首脳会談を開催した次の日韓首脳会談につきましては、委員御指摘のように、順番としては我が国における開催となる、そのように政府としては認識をいたしております。

津村分科員 そうした中で、開催地が日本の中でもどこになっていくかということであります。

 外交ですから、直前までさまざまな事情を勘案しなければいけない、そういった性質のものと思いますけれども、反面、外国の大切な賓客でございますので、警備上の要請もございます。また、そのほか、コンベンション施設を整える等のさまざまな準備というものが必要なことから考えますと、やはり早期に開催地を決定していくということが接待の観点から非常に重要と思うわけです。

 そうした中で、昨年の指宿の事例を伺いました。たしか、十月の前半には開催地が決定をされて、そして十二月の中旬に日韓シャトル首脳会談が行われたということでございますけれども、次回の日本における開催地につきましては、こうした過去の経緯から考えますと、大体九月ないし十月ごろに決定されると想定するのが普通の考えかなと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

逢沢副大臣 大変前向きな、積極的な御発言をいただいておりまして、大変うれしく存じておりますが、まずは、ことし前半の韓国におきます首脳会談を成功させる、そのことに意を用いなくてはならないというふうに思います。ことし後半に当然我が国で開かれます首脳会談におきましては、その時期あるいは場所等について、現段階では何も決まっていないということでございますが、しかるべく準備をしていかなくてはならない、当然のことと思います。

 さまざまな外交日程がございますが、例えば、ことし十一月には釜山でAPECの会合が開かれます。あるいは、十二月になりますと、マレーシアのクアラルンプールで東アジア首脳会合、サミットが開かれます。そういった両首脳が出席が予定されますマルチの場等々の日程もにらみながら、首脳会談を行うにふさわしい環境、雰囲気がある場所、そして、警備等、幾つかの満たすべき条件についても委員の方から御指摘をいただきました。そういうことを総合的に勘案しながら、よりよい時期と場所というものを政府として責任を持って選定していく、そのようになろうかと思います。

津村分科員 今、開催地の選考に当たっての条件のようなお話に少し触れられましたけれども、ここは、この韓国の件に限らず、一般的にこうしたことを考慮していかなければならないと思いますので、少し具体的に伺いたいと思います。

 私の想像では、やはり大切な賓客ですから、一つは警備が容易であるということや、あるいはアクセスですね、韓国から来るのであれば、そうした韓国との交通アクセスが便利なところ、飛行場があるとか、あるいは、お一人でいらっしゃるわけではありませんので、その関係の皆さんが宿泊できる施設、あるいは会場、コンベンション施設など、そういったことも重要かと思います。

 また、以前たしか、伊豆の方で日ロの首脳会談があったこともあるかと思うんですが、先方が快適に過ごしていただけるような、例えば、それは観光資源もその一つかもしれませんし、あるいは、とりわけ民間レベルでの交流も大変活発な両国でありますから、そうした過去の文化的あるいは歴史的な経緯なども考慮し得る価値があるのかなと思うんですが、こういう首脳会談開催において、外務省、政府がどういったことを一般的に条件として考えているか、少し整理してお聞かせください。

逢沢副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 大切な首脳会合でありますので、それを成功に導くためのやはり条件というもの、環境というものをしっかり確保する必要があるというふうに考えております。とりわけ日韓の首脳会談は、指宿のそれもそうでありましたように、ノーネクタイでお互いがくつろいだ雰囲気で胸襟を開いて、二国間の問題あるいは北東アジアの問題、世界の問題を語り合う、そういう場でありますので、まさにノーネクタイでくつろいだ雰囲気で、しかし真剣に首脳会談を行うにふさわしい、いわゆる環境、雰囲気があるかどうか、そのことをまず念頭に置かなくてはならないというふうに思います。

 また、若干個別具体的なことになりますが、当然、お越しになられます大統領は、韓国大統領一行が専用機で乗り入れになられるということでありますので、空港が十二分にその任にたえられるか、また空港から首脳会談の会場までの交通の確保、そして大統領及び数人の方というわけにはまいりません、大勢のプレスも同様に来日をされる、あるいはまた世界のプレスということの対応も必要になってこようかと思いますが、会場周辺に十二分な、いわゆる宿泊施設あるいはプレスの活動を行うにふさわしい施設、そのようなものも確保される必要があろうかと思います。そして、当然、警備の重要性は指摘するまでもないわけでありまして、警備上の困難がない場所というものは大変重要なポイントであるということを申し上げておかなくてはなりません。

津村分科員 私は、そうしたハード面だけではなくて、民間レベルでの交流の実績とか、そういったソフト面といいますか、目には見えないものも重要かなというふうに思うんですけれども、それについては後ほど少し触れさせていただこうと思います。

 実はこれがどういったところで行われるかということは、多少透明性ということもございますし、選ばれなかった開催地から見ての説得性といいますか、そういったこともあると思いますので、首脳会談がどこで行われるかということについて、少しその決定プロセスについてお話を伺っていきたいと思います。

 前回の鹿児島県指宿市において開催された際には、正確でないんですけれども、県レベルか市レベルかわからないと外務省の事務方の方に伺ったものですから、私もその知識しかございませんが、たしか鹿児島県から要望書が提出をされて、受け入れの準備があると熱意が示されたというふうに伺っているわけですけれども、こうした地元からの誘致といいますか、こういう要望書というものはどの程度参考にされるんでしょうか。過去の経緯もできれば御紹介していただきながら、御説明をいただければと思います。

逢沢副大臣 昨年十二月の日韓首脳会談を鹿児島県指宿で行ったわけでありますが、それに至る経緯についてでございます。

 委員も御指摘のように、昨年夏、七月に韓国・済州島で日韓首脳会談が行われました。その会談後の共同記者会見で、小泉総理より、次回は日本で、この際東京を離れて、温泉保養地で友好的雰囲気で、文字どおりノーネクタイで胸襟を開いた会談をしたい、そういう旨の発言がなされました。それを受け、さまざまな観点から総合的に検討した結果、鹿児島県の指宿で開催することを最終的に総理が決定なさったということでございます。

津村分科員 私の質問と少しかみ合っていなかったかなと思うんですが、私は、地元から要望書が出た場合、どういうふうにそれが選考過程で考慮されるのかという御質問をいたしました。

 もう少し敷衍をいたしますと、これは恐らく最近の傾向なんだと思うんですけれども、そうした日本外交あるいはトップ会談に対する国民全体の関心といいますか、当事者意識といいますか、そういったものが高まってきたことを背景に、昔からこういう要望書のようなものがたくさん出ていたのかどうか、私は正確に知りませんけれども、いろいろな地域からここで首脳会談をやってくださいという話が出てくるというのは、大変外務省としても恐らく政府としても喜ばしいことで、前向きにそういった自治体レベルで関心が高まっているということは歓迎すべきことだと思うんですね。

 そうした中で、後ほど今回の数とかもお聞きしますけれども、もし各地から、オリンピックじゃありませんけれども、誘致活動が広がっていった場合、そこで今のような総合的に勘案してというのはちょっと前の裁量行政の常套句でありまして、どういう形で決定するかということの透明感がちょっとない御説明かなという気がいたします。

 後段の部分はちょっと私の感想ですので、お答えをいただければそれにこしたことはありませんが、まずは前段申し上げた、要望書をどういう形で決定プロセスに使われるか、活用されるかという点について明快にお答えいただければと思います。

逢沢副大臣 津村先生御指摘のように、それぞれの自治体あるいは地域が、ぜひ我が地域で首脳会談を行ってもらいたい、このような条件を整備している、また歴史的な背景や、あるいはまた両首脳をお迎えする雰囲気が整っている、そういうことを政府に対してアピールされるということは、これは政府としても、また外交を預からせていただいております我が省からいたしましても、大変歓迎すべきことであるというふうに考えております。

 もちろん、地域から熱心に要望が出た場合には、それらを精査するということは当然のことでございますが、加えて、最終的には、大切な首脳会談でありますので、政府が責任を持って先ほど申し上げた幾つかの条件について慎重に吟味をする、そして、首脳会談でありますので、最終的には総理が決定をなさるということについては御理解がいただけるものというふうに思います。

津村分科員 それでは、これはちょっと短い質問になるんですけれども、現時点で、六月の、上半期、韓国の開催の次の日本の開催地として具体的に要望書を提出している自治体があれば教えていただきたいことと、もう一つは、まだ要望書を提出してはいないけれども、そういった意向を具体的に示していると外務省が確認されている自治体があれば、あわせて教えてください。

逢沢副大臣 開催地について、政府に対して名乗りを上げておられる地方自治体といたしましては、まず、本年一月二十六日に滋賀県が外務省に対しまして、日本で開催をされる日韓首脳会談はぜひ滋賀県でということにつきまして、要望書を提出いただいております。

 また、たまたま本日、つい先ほどでございますけれども、岡山県を初め岡山県下の幾つかの団体から、日韓シャトル首脳会談岡山誘致期成会より、岡山県開催について、政府に対して、外務省に対して要請書が参りました。

 具体的にはその二件でございます。

津村分科員 今から、私自身もその要望についてお話を聞いたことがありますので、岡山の話を少しいたしますが、その前に申し上げたいのは、私が先ほどからずっと、少し時間をかけて一般的条件等を伺ったのは、この種の前向きな地方自治体からの手が挙がるケースというのはこれからも期待していいと思いますし、むしろ望ましいことだと思うんですね。

 先ほども申し上げたように、オリンピックとかサミットとか、そういったところは華々しく取り上げられることもあって、かなり説明も丁寧にされていたり、あるいは投票のような形で、それは首脳会談とはまた当然おのずから性質は違いますけれども、しかし、透明な決定プロセスの中で開催地が決まっていくということがだんだんこれからの流れなのかなというふうに思うものですから、総合的に判断していただくのはもちろん重要なことなんですけれども、どうやって決めていくのかということを整理していただいた上で、滋賀県、岡山県という話がありましたけれども、これから検討していただき、いずれその結果を示していただければというふうに思います。

 ここからは要望のような形になりますけれども、私は事前に少し勉強してきまして、開催地としての岡山県の利点ということを少しお話しして、それについて外務省さんがそれを認識していただいているかということと、それから今後の検討予定、検討方針について最後に伺いたいと思います。

 要望書がお手に渡っていると思いますので、詳しくそれと重なることを申し上げるのは控えますが、先ほどから上がっている一般的条件を満たしていることは言うまでもないんですが、三千メートル級の滑走路があるとかあるいはコンベンション施設が整っているとか、そういったことが前提でありますけれども、先ほどから逢沢副大臣のお答えに少し私が物足りなさを感じているのは、民間レベルの交流の歴史といいますか、積み重ねというものに対する外務省さんの御認識が十分なのかなということを思いました。

 例えば、岡山県でいいますと、朝鮮通信使、鎖国時代、日本がオランダとともにただ二つ対外的な交流を持っていたのが朝鮮通信使でして、約二百年の間に十一回の使節を受け入れているんですけれども、その受け入れが、オランダは長崎だったわけですけれども、朝鮮通信使は岡山県の牛窓というところであったとか、あるいは、それ以来の両国の歴史の積み重ねの中で、最近では岡山県の日韓友好に尽くしてこられた方が、金さんという方ですけれども、韓国側から叙勲をされたり、これはアピールですけれども、そういった非常に文化的な積み重ねがあるということがあります。

 そういった中で、私がもう少し一般論として申し上げるとすれば、そういうハード面だけではなくて、ソフト面でのそうした首脳会談の位置づけといいますか、地元からの熱意を受けとめて首脳会談というものの場所を選んでいく、そしてそれをぜひ、その地域のみならず日本全国の国民あるいは韓国の方々が、いいところでいい首脳会談が行われたなというふうに思っていただけるような、そういった取り組みをしていただきたいなというふうに思う次第であります。

 私が今申し上げたことにつきましての御感想と今後の検討方針につきまして、逢沢副大臣に御答弁をお願いいたします。

逢沢副大臣 津村先生から、大変大切な点について御指摘をいただいたものと思います。

 先ほど答弁の中で、首脳会談を行うにふさわしい環境あるいは雰囲気があるかどうか、大変重要なポイントであるということを申し上げたわけでありますが、まさにその環境、雰囲気と申し上げた中に、その地域が日韓の交流の歴史をどの程度持っているか、あるいはまた、日韓交流についてどのように積極的に取り組んでおられるか。あえて申し上げれば、民団の皆さんとの融和あるいは協力、そういうものがどの程度建設的にはぐくまれているか、当然そういったことは、広い意味で環境、あるいは大統領をお迎えするにふさわしい、あるいは両首脳をお迎えするにふさわしい雰囲気を構成する大切な要素になっているということは、忘れずに申し上げておきたいというふうに考えております。

 そういうことを非常に大切に考えながら、また津村先生からも御指摘がございました岡山についてあえて申し上げれば、朝鮮通信使についてのシンポジウムを立派に成功されたということは承っております。岡山県の県庁所在地岡山市におかれましては、ソウルのすぐ近郊と承っておりますけれども、富川市と姉妹友好縁組を結ばれて活発な交流をなさっておられる。とりわけ、日韓間が厳しい今日、特にこういうときにこそ姉妹都市間の交流をより活性化したい、そんなことで、さまざまな事業計画もお持ちであるというふうなことを承っておりますが、岡山に限らず、それぞれの地域がさまざまな角度から努力をいただく、政府に対してアピールをされるということを歓迎したいということも改めて申し添えておきたいと思います。

    〔長浜主査代理退席、主査着席〕

津村分科員 逢沢副大臣、ありがとうございました。副大臣への御質問は以上でございます。

 民間防衛に関連いたしまして、今井総務副大臣に短く御質問させていただこうと思います。

 私は、安全保障委員会にも所属しておるんですけれども、きょう参考人質疑がありまして、やはり日本は民間防衛が弱いということを学者の先生方も力を入れてお話しになっておられました。

 ミサイルが飛んできてそれをミサイルで撃ち落とすということも、もちろん一義的に重要なわけですけれども、しかし、それが国民にどの程度早く警報として伝わっていくのか。あるいは、兵器によっては大変甚大な被害が予想されるわけですから、この防災行政無線、現在は文字どおり国内の防災に主眼が置かれているわけですけれども、このミサイル防衛発動時に、今の技術で、今現に設置されているもので最短で何分程度で周知できるんでしょうか。技術的なお答えをお願いいたします。

今井副大臣 津村委員は、たしか三月の安保委員会でこの問題をお取り上げいただきまして、私も答弁させていただいたわけでありますが、おっしゃるように、通常の防災無線が有事等に即時に短時間で対応できるんだろうかという御質問かと思うわけであります。

 そのために、今回私どもといたしましては、検討会を設けまして、具体的な検討をさせていただく、その対応を図らせていただくための予算も計上させていただいたところでありまして、そういう状況の中で明らかにされるものだ、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても、極めて短時間のうちにそういったものができるんではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

 ちなみに、過去の実証実験でございますけれども、緊急地震速報ということを消防庁でやったことがあるんですが、これはおおむね十秒ぐらいかかっているわけであります。それらも含めまして、十秒という時間が決して短い時間ではございませんので、ミサイルその他の有事に対する対応を短時間のうちに、同時に防災無線がサイレンを鳴らせるような仕組みというものにつきましても取り組みを強めていきたい、こういうふうに思っている次第であります。

津村分科員 ありがとうございました。

 実は、あと二つ御質問しようと思っていたんですが、私の方から少し問題意識だけ申し上げて、村田大臣への質問に移ります。

 ミサイル防衛の際の緊急の警報というのは三つの装置が必要で、インターフェースというものとナウキャストというものとそして同報系の防災無線というふうに聞いております。前者の二つについては今年度からその取り組みが始まるということでありますけれども、同報系の防災無線というのは現状六七・八%の整備率しかありません。しかも、それは自治体の頭数で見ているんですけれども、人口のカバー率で見ると六五・四%というふうにお聞きいたしました。まだまだ不十分だと思いますし、これは今まで毎年一、二%しか上がってきていませんから、一朝一夕に改善できないとすれば、私はミサイル防衛の議論をしていく中で重要なボトルネックになるのかなというふうに考えておりまして、今後ともフォローさせていただこうと思っております。

 最後に、一問だけ、大変長らくお待たせして申しわけありませんでした、村田大臣に御質問いたします。

 災害時における行政とボランティアの連携について、大臣所信の中でお触れになりまして、そこは少し短いコメントでしたので、具体的な中身がいま一つ伝わってこなかったんですけれども、もう少しかみ砕いてお聞きしたいということと同時に、今、地方防災会議というものが各自治体に設置をされていて、これが日常的に行政の問題意識と行政以外の方々、地域の皆さんとの防災に対する意識合わせの場になっているのかなというふうに想像するんです。

 昨日、四十七都道府県の数字をお伺いしたところ、防災会議の構成員に民間人が入っている都道府県がわずか三つしかない、専門部会という形では五つしかないというふうに伺っておりまして、これは行政の中の閉鎖的な会議になっているのでは、大臣が力を込めておっしゃられる、行政とボランティア、あるいは自主防災組織等との連携というものが、絵にかいたもちに終わるのではないかなということを危惧しております。

 大臣の所見を伺います。

村田国務大臣 御質問、二つに分かれると思います。

 一つ目は、私も、九月、十二月、それから三月に二回、ボランティアとの話し合いの機会を持ちました。その内容の主なものは、まず、ボランティアのセンターの立ち上げ、これがどうスムーズにいくかということですね。これは行政とのかかわり合いとか、お金の問題とか、そういうことがあろうかと思うので、その問題点について話し合い、あるいは御意見を伺ったわけでございます。

 そういうことを踏まえて、二つ目に、ボランティアの受け付けの様式とかそういうものを実際どうやるか、そういうことも話し合いを行いました。

 それから三つ目は、地方公共団体が防災訓練を行いますが、そのときにボランティアがどういう形で参加できるか、そういうことについてお話を伺いまして、それについて意見の取りまとめが行われました。

 そういうことについては、ボランティアに連絡をして、彼らの活動がスムーズにいくように、我々も今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。

 二点目、地方防災会議ですけれども、地方防災会議には、今、三県と言いましたけれども、その三県で、かつまた、どういう人がそこに参加しているかというと、日赤の支部の方とか消防団の方とか、それから社会福祉協議会の代表ということで、純然たるボランティアという概念からいうとちょっとずれるかな、そういう感じなんです。

 それは、災害対策基本法に問題がありまして、そこの十五条に、地方防災会議の委員の構成がいろいろ書いてあるわけで、そこに、純然たるボランティア、我々が概念するようなボランティアは載っていないということで、今私が申しましたような、日赤とか社協とかそういう人たちが入っているということなんですね。

 けれども、まだ、災害対策基本法の中にもう一つ規定がありまして、専門委員を置くことができるという規定もございますので、これから、ケースによりましては、地方でもうやっているところがあると思いますが、専門委員としてボランティア活動に従事している方に御参加を、学術経験者ということで参加していただける道というのが開かれているのではないかというふうに私ども考えております。

 そういうステータスでもって、ボランティアの御意見を十分聞いて、それで災害時に地方公共団体がスムーズにボランティア活動の環境を確保するような条件づけをしてもらいたいな、私どもそういうことができたらいいなというふうに考えているわけでございます。

津村分科員 もう時間が終わっておりますので、これで終わりますけれども、今おっしゃられた専門委員ですか、これがまだ五県しかないということのようですので、大臣、強い問題意識をお持ちということですから、ぜひ形になって、全国にそういった、地方防災会議がすべてではありませんけれども、実際に、こういったものは自治体の自主性ももちろん重要ですが、一方で、ナショナルミニマムのようなものも必要となってくると思いますので、大臣のリーダーシップに期待させていただいて、質問を終わります。

鈴木主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻惠君。

辻分科員 民主党の辻惠でございます。

 竹中大臣には、二月十六日の予算委員会のときに、後半の時間十五分ぐらいでありましたでしょうか、少しお尋ねをさせていただいて、まだ、私自身、問題点についてもう少し御質問したいというふうに申し上げた点がありますので、きょうは、引き続き御質問をさせていただきたいということでお出ましいただいたわけであります。

 私の問題意識としては、そもそも、竹中大臣について、今の経済金融行政の責任的な立場で推進されているいろいろな諸施策について、根本的に議論をさせていただきたい、果たして本当にそれが日本の未来にとって真っ当な歩みであろうかどうかという疑問もあります。

 思うに、九〇年代の初頭、中坊公平さんが、住専、住管でありましたが、国民の歓呼の声に迎えられて、一時は次期の首相候補というふうに擬せられた時代がありました。血も涙もある回収を行うんだというようなことを見えを切られた。しかし、私は、当時からあの中坊さんの言っておられることには極めて大きな疑問を持っていて、現状のRCCの評価なり、中坊さんが結局どういう現状に今いらっしゃるのかということを考えたときに、その直観的な批判は的を外してはいなかったんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、冒頭申し上げた、竹中大臣の、今回少し、大臣に就任されたころの新聞や雑誌等でお見受けしましたが、やはり、学者大臣ということでかなり好意を持って迎えられていたというふうに思いますので、果たして、その後の推展というか、現状このまま向かっていいんだろうかということについて、私は、もう一度しっかり根底というか前提から議論をさせていただきたいなというふうには思っております。それは次回以降の課題としてお願いしたいなというふうに思います。

 本日は、前回、予算委員会、主要な課題としては政治と金の問題ということで、私もその立場でいろいろな問題を小泉首相を初め諸大臣にさせていただいたわけでありますが、その関連で、竹中大臣の参議院選挙当時のいろいろな行動や、そして企業との関係について御質問させていただいたというふうに思うんですね。

 きょう、その点についてさらに御質問させていただきたいと思うんですが、その前に、実は、四月二十二日に東京第一検察審査会の議決通知書というのが出ておりまして、これは、私ともう一名同僚委員が審査申立人となって、自民党本部の事務局長兼経理部長の職にある元宿仁さんと自民党の衆議院議員の佐藤勉さんについて政治資金規正法違反で告発をしていたのが不起訴処分になった、それは不当であるということで審査申し立てをしたことに対して、東京第一検察審査会が四月十四日付で議決を行い、その議決通知書と題する書面が四月二十二日に私のところに交付されたということなわけであります。新聞報道でも、小さな記事でありますが、出ていたと思うので御存じだと思うんですが、「不起訴処分は不当である。」ということを明確に言っております。それで、迂回献金の手法というのは政治資金規正法の基本理念に反するものである、特に、厚生労働政務官という政府の要職にあった佐藤議員については報告義務はより大きいものがある、献金実態を仮装するためのマネーロンダリング的な隠ぺい工作というのは極めて問題だということを議決書の中で指摘しているわけであります。

 それで、政治と金の問題について、竹中大臣、金の力で政策が動いてはならない、金の力で政治がゆがめられてはならないということについては、これは一致して御賛同いただけると思うんですが、その点はいかがですか。

竹中国務大臣 冒頭、辻委員が中坊元住専の代表者のことを引用されまして、恐らく辻先生としても、同じ弁護士として、ある意味で一般の方以上に厳しい目でそういった評価をしてこられたんだと思います。法律の枠組み、コンプライアンス、これは極めて重要なことでございますから、そうした観点から、私も誠意を持って御答弁をさせていただくつもりできょう来ております。

 まず冒頭の、先生が告発されて、それで検察審査会に関連する御指摘がございました。そのことに関して私はちょっと詳細を存じ上げる立場にはございませんですけれども、まず、これはもう政治と金の関係について、これが極めて重要な問題である、金の力で政治がゆがめられてはならない、この点はまさに委員の御指摘のとおりであるというふうに思っております。

 私も昨年の選挙で政治家の端くれにさせていただいておりますけれども、やはり、選挙を通して国民の非常に熱い思いというものを感じますし、そうしたことを一身に受けて、やはり政は正なり、まさに世の中をただしていくことが政治の役割だと思います。それが仮にも金でゆがめられるというようなことがあっては、これは一国の基礎が崩れる、そのように思います。

 我々政治家一人一人がまずもって身を正さなければいけない根幹の問題であると思っております。

辻分科員 それで、この検察審査会の判断を少し引用させていただきたいんですが、献金者、これは日歯連の会長、当時の常任理事、そして仲介者、これは元宿仁さんのことなんです。受取者、これは佐藤勉さん。すべての主要当事者が、この金の流れについては最終的に日歯連から佐藤勉へ提供されたものであると把握していることを認めている、実質的には被疑者佐藤勉への献金として実行されたことは当事者の証言から明らかである、このような迂回献金の手法は政治資金規正法の基本理念に反するものであると言っているんですね。つまり、迂回献金だというふうにこの事実について認定をしているということなんでありますが、そういう認定についてどう思われますか。

竹中国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたとおり、今回の元宿氏、佐藤氏が絡む問題そのものについて私は事実関係を存じ上げているわけでもございませんし、その検察審査会の報告等々をつぶさに存じ上げているわけでもございません。

 ただこれは、委員まさに法律の専門家でいらっしゃいます。私は経済は少々勉強いたしましたが、法律の専門家ではございませんが、そういった法律の判断というのは、私なりに理解しておりますところでは、やはり、これはもう実体判断なのだと思います。それがまさに実体がどのようであったかということを判断することが重要なのであって、ここはやはり、個別具体の問題として、実体をつぶさにできるだけの情報を集めて判断をするということに尽きるのであろうというふうに思っております。

 私自身はそういう判断をする立場にはございませんが、しかるべき立場の方がそれぞれの問題について実体に即して判断をしていく、その結果がいろいろな形になってあらわれてきているというふうに思っております。

辻分科員 まさに、迂回献金という概念自体確定的なものではありませんから、問題は、実体がどうなのかということで、大臣おっしゃっているように、実体判断がどうなのかということが重要であって、少なくとも、前回の橋本元首相等に対する議決書においても、そして今回の佐藤勉さんたちに対する議決書においても、実体判断としてこれはいわゆる迂回献金だというふうに指摘されている事実というのは極めて重いものがあって、これは、自民党には迂回献金がないんだというようなことで言葉の問題として済ませるような問題ではないというふうに思うんでありますが、具体的にではどうするんだということをお答えいただく立場にはないということではありましょうが、そういう、実体としてまさに重たく受けとめなければならない事実の存在する事案であるというそういう指摘があるんだということについて、重く受けとめられるということでよろしいんでしょうか、いかがでしょう。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、それぞれの立場の方々が、これはそれなりにオーソライズされた立場の方もいらっしゃいますでしょうし、まさに当事者という方もいらっしゃいますでしょう。オーソライズのされ方についてもいろいろございますでしょう。そういう立場で実体判断をしているということでございますから、そういった幾つかの、しかし実体判断は、これはいろいろな実体判断がございますから、それを組み合わせて現実の社会の評価をしていくということなのだと思っております。

辻分科員 それで、大臣にかかわって次に御質問させていただきたいと思いますが、昨年の参議院選挙の選挙の収支報告書を大臣の分を拝見させていただくと、収入が五千三十万ある。自民党の本部から五百万、支部から四千五百万。だから、五千万自民党から。これは、お金の性格というのはどうなるんでしょうかね、政策活動費なのかどうなのか。その点はともかく、五千万収入があって、それ以外に、事務所の無償寄附ということで三十万ある。五千三十万の収入があったんだと。

 それ以外に、カンパがあったりそういうものがあったということはこの選挙の収支報告書には載っていなかったんですが、質問通告から少しずれるのでお答えが即座にいただけるかどうかという問題はありますが、この三十万というのはどこからの無償寄附なんですか。これは選挙事務所の家賃分のようにどうも読めるんですが、これはいかがでしょう。

竹中国務大臣 大変申しわけございません。そのことについて質問通告を直接はいただいていなかったので、今ちょっと手元で、申しわけございません、自分の政治資金のことではございますが、その三十万については、今、私自身はちょっとわかりかねます。

 これは、いずれにしましてもルールに基づいてきっちりと報告書を出しているつもりでございますので、必要がありましたら、またその詳細について御報告をさせていただきます。

辻分科員 政治資金の収支報告書をどの国会議員もこの三月に出しておると思いますし、まだ、竹中大臣に関してその内容を私は閲覧できているわけではありませんけれども、おおよそ収入としては幾らぐらいあったのかというのは、これは最終的には御自身チェックされていると思うんですが、今記憶いただいている範囲でお述べいただくことはできませんでしょうか。

竹中国務大臣 済みません、これも、数字のことでございますので余り不正確なことを申し上げるべきではないと思いますが、昨年の七月に参議院議員にさせていただきましてから、その選挙のときから、初めて私自身、政治資金に携わる立場になりました。それ以降、後援会も何もないところから出発をしまして、これは小さなセミナー等々を少しやらせていただいておりますけれども、実態的には、それを上回るような、何千万になるようなそんな収入を得るにはとても至っておりません。選挙のときに党からいろいろ支援はしていただいております。それに加えまして、ささやかに若干のセミナーをした収入がある程度だったと記憶をしております。

辻分科員 これもきょうお答えいただくのは難しいと思って、その点はちょっと事前の通告が不十分で申しわけなかったというふうに思いますけれども、昨年のこの三十万の事務所の経費、恐らく家賃か何かの無償寄附とか、それから、ことしの三月の収支報告書で出されている内容の内訳として、これは、要するに会社からの献金というもののうち、ミサワホーム東京とかトヨタからのこれは献金なり入金というのはあるんですか。それは覚えておられませんか。

竹中国務大臣 セミナー等々でそういうところから少し御支援をいただいている可能性はあるかと思いますが、まず、申し上げましたようにパイそのものはすごく小さくて、その中での特別の存在ではないいろいろなところに少しずつ今御協力をいただき始めて、私も先生のようにきちっとした基盤をこれからつくらなければいけないところでございますので、そういうのを始めたところでございます。

 今の御指摘のありました二社についても、お願いをしておるかもしれませんが、そこが特別のというような存在ではなかったように記憶をしております。

辻分科員 では、きょうの時点ではそういうふうに伺っておきます。

 それで、前回の質疑のお答えの延長なんですが、前回、中日新聞の二〇〇四年七月十三日付朝刊を引用して、お兄さんが選挙活動をかなりいろいろされたのではないか、その点について、これは政治倫理的にいかがなものかという指摘をする声もあるということで御紹介させていただいたと思いますが、その新聞記事に関連する中で竹中大臣が、誤解を招いたとしたら不徳のいたすところだ、こういうふうにお答えになっているんですが、これは、どういう誤解があり得るというふうにお考えになって、不徳なんだというふうにおっしゃったんですか。

竹中国務大臣 前回申し上げましたように、雑誌等々で、企業ぐるみの選挙とかという御批判が出ました。これは、事実は全くそうではないということは前回も御答弁をさせていただいたわけでございます。これは、肉親が選挙に出たら、恐らく辻先生、御兄弟いらっしゃるかどうかあれですけれども、やはり、自分の兄が今度選挙に出ているんだよ、自分の弟が選挙に出ているんだ、よろしく、そういうようなことを職場の仲間とか知っている人に言うのはごく自然なことなのではないかと思っております。

 兄はそのような範囲でいろいろ心配をしてくれたというふうに思っている次第でございますけれども、にもかかわらず、週刊誌におもしろおかしく書かれているようなことがあるとすれば、これは、決して実際ルールに反したことをしているわけではありませんけれども、事実としてそういうことを言う人がいるということであるならば、これは残念なことであると。その、残念なことであるというような思いでそのようなコメントをさせていただいたんだというふうに思います。

辻分科員 前回も紹介させていただいていますけれども、竹中宣雄さんが、ミサワホーム東京の社長として全国各地の子会社社長ら十人に五千枚のポスター張りを要請したとかいうことが新聞報道されております。私が調べた範囲で、ミサワホーム北海道、北日本、信越、東関東、西関東、静岡、中国、九州、そして東北ミサワホームというのが、ミサワホームホールディングスの子会社のようでありますが、これらのところにどうも指示というか要請が行って、そこでポスター張りがなされたというふうに私の方では一応報告を受けておって、かつ、その子会社の職員の方々がポスター張りをしたのは執務時間中も含めてされていたのではないかという、これは、きちっとした報告書等はまた明らかにして、事実の突き合わせはさせていただければしたいなというふうに思いますけれども、だとすると、企業ぐるみ選挙があったというふうに見られ得るやはり選挙実態があったと思うんですよね。

 ですから、竹中大臣、前回、ほかの点についても選挙運動の実態についてどうであったのかということについて、御自分は候補者で忙しかったから詳細は掌握をしていないというふうにいろいろなところでおっしゃったと思うんですが、やはり、これはもう一回詳細をきちっと報告を受けるなり整理しておいていただきたいと思うんですね。そうすれば、何度も同じ質問をしなくても、これはこうなんだというお答えで問題は解決するというふうに思いますので、今、私が指摘させていただいたような諸点についてぜひ事実調査をしておいていただきたいというふうに思います。

 また、全国二十社の子会社等から資金集めということで資金提供が一部なされたのではないかというような情報もありますので、それは、さっきのお答えでは、要するにセミナーとかパーティー券等限りだというのがお答えですから、事実がそごしている面がありますから、その点についても事実調査をしておいていただきたいなということを、一応お願いとして申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、もう一つ、前回、私は、ちょっと日にちを別の情報で間違って引用して御質問したんですが、トヨタの経団連奥田会長と三沢千代治当時の社長との会談を竹中大臣が設定されたやの報道があって、これは二〇〇三年十月十四日のことのようでありますが、それは事実無根であるということで、これは週刊現代に抗議をされているということでお答えになられたように思いますけれども、これはそうすると、そういう竹中大臣及び竹中宣雄さんからぜひ会ってくれというような、そして竹中大臣は、自分は立ち会えないけれども会ってやってくれというような要請を受けたというふうに三沢さんが言っているけれども、これは、三沢千代治さんがうそを言っているということを御主張なさっているということになりますか。そういうことでしょうか。

竹中国務大臣 三沢千代治さんが何とおっしゃっているかということを私は直接存じ上げません。報道等々ではいろいろなことが言われているようでございますが、前回申し上げたとおりでございますけれども、個別の企業の問題に関しまして、私が特定の企業について特定の個人に何かをお願いしたりそのようなあっせんをしたという事実は、一切ございません。

辻分科員 前回の質疑のお答えについて再質問をさせていただきたいと思いますが、二〇〇二年の一月ぐらいまでに、九九年の三月からの間に、勝浦の土地、建物の購入や佃にあるマンション三棟の購入等で三億近いキャッシュを竹中大臣が用意されたのではないかという、それは出所はどういうことなんだということを御質問させていただいたと思いますが、「大臣になる前、本もたくさんベストセラーになっておりまして、大変所得が今から思うと多かった」というふうにお答えになっておりますが、確かに、ベストセラーで十日で十万部売れたとか、そういうような雑誌があったりいたしますけれども、所得申告は当然されていたわけでありますが、これは、かなり税金を支払っておられた、高額所得者であった、こういうことをおっしゃっているんでしょうか。そして、その収入の内訳というのは印税が多いんだ、こういうお答えとして理解してよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、前も委員はおっしゃったかもしれませんが、前回は一番最後か何かでばたばたとお答えさせていただいたと記憶をしておりますが、今ちょっとおっしゃった三億とか、そういう数字についてはちょっと私はよくわかりません。おもしろおかしくいろいろな雑誌で書かれているようではございますが、私の資産の状況につきましては、きっちりと大臣規範にのっとって報告を何度もこれはさせていただいているとおりでございます。資産公開に示しているとおりのことでございます。

 その上で、マンションは持っておりますから、それは何で稼いだのかと言われれば、これは大臣就任以前のことでありますから、私の個人のことでありますので、私の個人としてそれなりに稼いでおりましたということを申し上げたつもりでございます。ベストセラーというのはそのうちの一つでございますけれども、それだけかということに関して言われれば、これは、社会に出てから私はもう三十年間働いております。また、家内も仕事をしております。私と家内と一生懸命働いて、マンションは買っておりますけれども、そんなにたくさんの不動産投資をしているような人間ではないと思っておりますし、それなりにやってきたということを申し上げたつもりでございます。

 もちろん、きちっと申告をして税金を払っておりました。

辻分科員 もう一点伺いたいと思うんですが、これは、前回、本当に最後のばたばたとした質問のときのお答えなんですけれども、二〇〇〇年の四月四日にこの佃のマンション四十七階についてはあさひ銀行から借り入れをするという事実があって、一億八千百万円で購入されたと言われているものについて一億七千万の抵当権が、登記簿謄本を見るとついているんですね。これは、金融マニュアル等からしても融資の掛け目が極めて高い、何でこんなことになるんだ、何らかの便宜供与なりがあるんではないかという趣旨でお尋ねをしたら、それについて竹中大臣は、「相当の預金があったんだと思います。だから、それが両建てで、むしろ、たくさん借りてくれというふうに銀行から言われたような記憶がございます。」というふうにおっしゃっていて、どこの銀行に幾ら、どういう種類のお金があってそういうようなお話になったのか、明らかにしていただきたいと思います。

竹中国務大臣 二〇〇〇年四月でございますね。大臣就任前のことでございますので、これは私の私人としての活動、私には家族もおりますし、そういう私的な生活の部分があるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、いずれにしましても、何割を貸すかというのは、これは銀行の判断なのだと思います。いろいろな判断があると思いますが、私、あえて当時のことで記憶していることを申し上げますと、できるだけ借りてくださいよというふうに言われまして、預金はしておいてくださいよというふうに言われまして、では、御協力しましょうというような形でそのような借り入れをさせていただいたのを記憶しております。

辻分科員 このあさひ銀行から、今おっしゃったようなそういう友好的な関係の中で借り入れをされたにもかかわらず、翌々年ですか、二〇〇二年の一月十八日には、あさひ銀行から東京三菱銀行にこれは借りかえをされているんですよね。それで、金利が一・二%だと。それはなぜ一・二%なんだということについても、伺っても、余り時間がないからその指摘にとどめたいというふうに思いますけれども、どうもその辺、腑に落ちない面があるから、プライバシーの問題だとおっしゃるのはよくわかりますけれども、もう少しはっきりしていただきたいと思います。

 それで、その二〇〇〇年四月の段階であさひ銀行には相当の預金があったと。では、二〇〇一年、その預金は、大臣に就任される間に大きく使われてなくなったとかどこかの銀行に移動になったとか、そういうような事実があるんでしょうか。その点、御記憶はおありでしょうか。お答えいただければと思います。

竹中国務大臣 二〇〇二年というふうにおっしゃっていただきました。私はもう正確にはちょっと記憶しておりませんが、その後、安い金利のものに借りかえた、リファイナンスしたという記憶はございます。当時の一・二%というのは、しかし先生、当時たしか東京三菱は、一%金利というので大キャンペーンを張って定番商品として売っていたこれはローンでございますから、これは別に優遇でも何でもないのだと思います。

 あと、その間の現金の動きというのは、ちょっとこれは私も記憶をしておりません。ただ、繰り返し申し上げますが、大臣として届けなければいけない資産は、これは資産公開をしなければいけませんから、これについてはすべてきちっと報告をさせていただいているとおりでございます。

辻分科員 最後の質問にさせていただきますが、資産公開、二〇〇一年五月にされていて、あと三回、二〇〇三年十月、二〇〇三年十二月、二〇〇五年一月と、資産公開を四度にわたってこれまでされている。ほかにもされているのかもしれませんけれども、私の確認した事実としてはその四回なんですが、その内容を見ますと、預貯金・有価証券というところは、最初、二〇〇一年五月は、七万円のマクドナルドの株式千五百株が有価証券としてある、貸付金が九千四百七十五万円あるということはあるんだけれども、預貯金はどこにも書かれていないんですね。そうすると、一年前にこのあさひ銀行は、相当の預金があるから信用があるということで担保の掛け目以上のものを融資してくれたというお話なんだけれども、翌年、一年間の間に預貯金はなくなっているということはどうしてなんだろう、この貸付金九千四百七十五万の内訳というのは何なんだろうというやはり疑問が出てくるわけですね。

 個人の問題をあれやこれや微に入り細にうがった見方をしていくというのは必ずしも私は好きではありませんけれども、公的なお立場で、今最も注目されている大臣であるので、その点についてはやはり一定の説明責任というのはおありだと思いますので、今の点、九千四百七十五万円の内訳、そして、この二〇〇一年五月の時点で預貯金が全く資産公開には載っていない、その理由はなぜなのか、この点について最後にお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、国務大臣というのは責任のある立場だと思います。であるからこそ大臣規範があり、それにのっとって行動する、そして資産公開のルールもあるのだと思っております。繰り返しますが、そのルールにのっとってすべてやっているつもりです。

 貸付金に関しましては、これは相手のこともございますから、これはとにかく金額だけを記せというのがこのルールで、それにのっとってやらせていただいております。

 預金でございますが、これも、資産公開のルールの中で、たしか普通預金はこれは含まれない、定期預金は含まれる、そのようなルールにのっとって記載をさせていただいておりますので、その範囲で極めて明確にルールにのっとってやらせていただいております。

辻分科員 またの質疑の機会をいただくことをお願いして、きょうは終わります。

 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて辻惠君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 昨日に引き続き内閣所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。川上義博君。

川上分科員 自民党の川上でございます。

 先ほどのお話を聞いていまして、大臣というのは大変だなと思いました。大臣になるものではないなと。本当に大変でございますが、実は、大変な事故が発生しました。

 あれは民営化の、民営化というのは、民間会社というのは利益の最大化をいつも目指すわけで、サービスが向上するというのもそれは手段であって、最終目的というのは利益の最大化。それで、製造コストとかあるいはエネルギーコストとか、そういったものをどんどん半減して、軽量化をして、ああいった大事故を起こしたのは民営化のたまものではないかというふうな意見があるわけですが、このあたりは大臣、どのようにお考えですか。

竹中国務大臣 私も関西の生まれ育ちでございますが、例の福知山線は多分、先生の選挙区にいらっしゃるときに通る、大変重要な線なのだと思います。まさに本当に痛ましい事故でありまして、まず、犠牲者の救出、そして原因の究明、再発防止等々に政府としても全力を尽くさなければいけないと思っております。

 川上委員御指摘の、安全と安心といわゆる私的企業の営利追求というのが非常に複雑に、ある意味で相反するような場合もあるのではないか。この点は、我々、経済政策を行うに当たって、特に民営化の問題を議論するに当たってはやはり大変重要なポイントであるというふうに思っております。同じような議論が、例えば航空の規制緩和に当たって世界でいろいろ議論されたという経緯もございました。

 しかし、民営化された企業においても安全というのは守らなければいけない最大のポイントでございますから、そこはやはり、民営化するに当たっても、民間企業であっても守るべきルールをきちっと定めて、それを守る仕組みをつくっていくということに尽きるのであろうかと思っております。JRは民営化されましたが、それ以前に私鉄、民間の鉄道というのはあるわけで、民間の鉄道、私鉄においても同じようにそういう安全の基準がつくられ、それに基づき運営をされている。

 今回の事故、これから原因の究明等々が行われると思いますが、安全、安心に関しては、社会性を認識した上でのしっかりとしたルールづくりとそのルールの確実な運用が求められているというふうに思います。

川上分科員 実は、昨夜から、政府と自民党の合意といいますか、自民党の執行部と政府との合意というような文書が配られておりますが、大体これで合意をしたんだということであります。それを前提に質問をいたします。

 まず、「郵便銀行と郵便保険のユニバーサル・サービスの確保」という項目の中で、「移行期間を超えて長期とすることも妨げないものとする。」というのは、これは法律上ではなくて政令とか省令でおやりになりますかということなんですね。

 それと、基金に二兆円を組み込むという話がありますけれども、この基金も政省令でおやりになるかどうかということをまずお伺いしたいと思います。

 同時に、その基金は取り崩し可能な基金なのかどうか。これは運用だけで、利回りだけでやっていくものなのか、あるいは、いざとなったら取り崩しをする可能性があるのかどうか、それをお伺いいたします。

 それからもう一つ、「利益の留保と運用益の確保に努め、」とあるんですが、利益の留保というのはどの会社のものですかということなんですね。

 それからもう一つは、株を多分売却されるんでしょうけれども、持ち株会社は売却した株を全部保有するだろうと思いますが、その基金にはどの程度組み込まれるつもりがありますか。

 以上、質問いたします。

竹中国務大臣 たくさんの御質問を今いただきましたので、できるだけきちっとお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、昨日、党五役と関係六大臣で話し合いを持ちました。その話し合いの結果について、それをお持ち帰りいただいて、今、党で、合同部会でさらにいろいろ御議論をいただいているというふうに承知しております。そういう段階に今私たちはあるというふうに認識をしております。

 その上で、まず最初の御質問ですね。安定的な代理店契約について、その期間は移行期間を超えて長期とすることを妨げないというふうにしているわけですが、それはどのような形で担保されるのか、そういう御質問であったかと思います。

 そもそもこの考え方でございますけれども、みなし銀行免許等々、これは生保の免許もそうですけれども、その条件として、代理店契約については、その業務の運営の健全性を確保する観点から、最低限、移行期間をカバーするものというものが求められる、それを条件にしようというふうに考えているわけでございます。しかし一方で、移行期間を上回る長期の契約で締結することを特に妨げる必要はないだろうというふうに判断をしているわけでございます。

 具体的に、実際の契約期間はどうなるかというと、契約当事者であります郵貯銀行、保険、わかりやすくもう銀行だけに限らせていただきますが、銀行と郵便局会社の経営判断によって決められることになるわけですけれども、法律で条件がつけられている。それは、安定的な代理店契約が締結されているということがみなし免許の条件になる。このみなし免許を付与する前提として、実施計画に、実施計画というのは認可前の承継計画ですけれども、これをつくることになっているわけですけれども、その計画に代理店契約に係る事項を織り込ませるということになります。

 そして、実施計画の認可の際に、主務大臣である、これは金融でございますから内閣総理大臣が、実際には金融庁ですけれども、免許条件への適合性を審査する、これは金融の観点からそういう長期のものを義務づけるということを免許の条件にしているわけでございますから、これが適合的かどうかということを判断する、そういうことになってくるんだと思います。

 したがって、代理店契約の期間についても、十年以上の長期にわたって安定的、継続的であることを担保できるようにする、そういう手続的なものを踏むということになると思います。

 二番目の御質問でございますけれども、二番目の御質問は、取り崩せるかどうかということだったかと思います。

 これも委員は経緯を御承知だと思いますが、こういう基金は非常に安定的に社会貢献そして地域貢献をカバーできるようにしたいという考えから、基金を積んで、その運用益の範囲で地域貢献事業、社会貢献事業をやっていこうというのが基本的な考え方でございます。

 したがって、安易にこれが取り崩されると毎年毎年の運用益を確保できませんから、原則としてはこの運用益でやっていくということになるわけでございますけれども、特別の事情があるような場合、それについては、例えばですけれども、基金の運用益だけでは財源が確保できないで、かつ、その会社の経営努力によって貢献業務の実施が困難となる、その結果、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがある、こういうことが認められるときには、こういう要件を満たす例外的な場合には取り崩すことができるというような方向で、我々今検討をしているところでございます。

 そして、利益の留保とはどの会社かということでございますが、こういう基金を積み立てるのは持ち株会社でございますから、持ち株会社での利益の留保、この中にはいろいろな株式の売却益とか配当益とか入るわけでございますが、そこで持ち株会社に集まってきたお金、これの留保を対象とするということでございます。

 そして、基金にどの程度積まれるのかということでございますが、これは、最低限一兆円の基金を積み立てるということが求められるような仕組みにしたいと考えております。しかし同時に、地域貢献や社会貢献をどのぐらいするのかという御判断に基づいて、基金の積立額に上限を設けるというようなことではないだろう。したがって、基金を積み増すことが経営判断によって可能であるということを昨日、五役と六大臣で話し合ったところでございます。

川上分科員 銀行のことだけでおっしゃいましたので、金融庁が適合と判断した窓口に対しては、認可というか、みなしということでそれを与えますと。ところが、我々の説明というのは、要するに窓口一括でやるんだという説明を受けたんです。要するに、一つの窓口サービス会社が個別にやるのではなくて、すべての契約は一括してやるんですよということで、そのあたりは一体、もう一度、どのようなことでしょうか。

竹中国務大臣 確認ですけれども、移行期間をカバーする委託契約でございますけれども、契約を結ぶ主体は銀行と窓口会社でございます、銀行と窓口会社が結ぶ。窓口会社というのは、今でいうと二万四千の非常に大きなネットワークを持っているわけですから、そこの間で、先生は恐らく一括というのはそういうネットワークとしてという趣旨だと思いますが、基本的に今、郵便銀行というのは、このネットワークをうまく駆使して、そこから預金をうまく集めるという仕組みで成り立っている、そういうビジネスモデルで成り立っているわけですね。したがって、ネットワークを持つ窓口会社と銀行が契約を結ぶということになります。

 それで、移行期以降、移行期が済んだ後に関しては、こういう契約を義務づけるわけではございません。これは経営の判断によって、そういう契約を続けるかどうかということの経営判断をするわけですけれども、基本的には、これはお互い共存共栄の関係で、そういう契約が続くだろうということを一般的には想定しておりますけれども、それでもなお、ネットワーク価値が低下している一部の過疎地等々の地域でそういう金融業務がなされないような事態がもしも生じた場合には、この場合は基金を使おう。基金を活用して、そこで十分な手数料が払えるような状況になれば、このサービスは契約として続けられるはずである、そのときに基金を活用しよう。

 そういう、いわば移行期については長期の契約、それ以降については基金も活用できるような仕組み、そういう二重の形で、地域におけるサービスをしっかりと確保しようというふうに考えているわけでございます。

川上分科員 要するに、不採算の窓口は基金で手当てをするということだというふうに理解をいたしました。基金でやるんですね。

竹中国務大臣 不採算の窓口を基金でやるという、一般的に言うとちょっと誤解があると思いますのでぜひ申し上げたいと思いますが、これはネットワークでありますから、ネットワークを持っているところというのは、不採算な部分でもネットワークとしての価値があれば、私企業としても当然続けるわけですね。例として申し上げると、クロネコヤマトというのがございますけれども、クロネコヤマトの店の三分の一は赤字だ、店全体で見ると赤字だというふうに見られる。しかし、そういったところも含めてネットワークを持っていることに価値があるから、私企業としてもそのネットワークを維持して全部のサービスをやっていくわけです。

 そういうことが一般的には想定されるわけですが、それでもネットワークの価値が認められないようなところで万が一サービスが提供されないような場合に、かつ、そこで地域として、地域貢献として、どうしても金融サービスが必要であるというような声が強い場合には、地域貢献事業として基金を活用して、そのサービスが継続できるようにしようではないか、それが今回の基本的な考え方でございます。

川上分科員 要するに、ネットワーク会社が自主的に判断してということなんですね。ここの窓口は基金で手当てしようとかというのは、自主的にネットワーク会社がやるんだということだろうと思います。

 株式の持ち合いのことについて次に質問するんですけれども、この二番目のハにあります、過料の対象とはしないけれども完全処分と。これは、完全処分は義務化というのは生きているんですね。ところが、罰則はない。完全処分しなかった場合は、それはそれで見過ごしますよということだろうと思いますけれども、それはそれでいいんですね。完全処分しなくても、別に罰則はないから、そのままで見過ごすということでよろしいですか。

竹中国務大臣 法の趣旨というのは、これは完全処分をしていただきたい。逆に、完全処分をすることによって、民有民営になった銀行というのは完全な民間銀行としての自由度を得るわけでございますから、これはやはりぜひやっていただかなければいけない。

 先生お尋ねの、その場合、万が一にもそれができなかったらどうするのか。いろいろな法律的な考え方があるということで、その場合に罰則を科していってはどうかというようなお考え方もあったんですが、これは実は、そういう義務を課せられるのは持ち株会社でございます。持ち株会社が売却する義務を負う。

 この持ち株会社というのはいわゆる特殊会社でありまして、主務大臣である総務大臣の一般的な監督権限のもとにございます。したがって、そういう一般監督権限の中で、法律の精神にのっとってしっかりとそれを実現するような、そういう監督ができるというふうに考えておりますので、できなかったらそれでいい、完全処分できなければそれでいいんだということではもちろんございません。これは、総務大臣の一般監督権限の中でしっかりと監督をしていただいて、そして義務を果たしていただくということを想定しております。

川上分科員 我々の議論は、一体的経営、最初のページに一体的経営は確保されると書いてあるんですね。ところが、今の話を聞きますと、非常にあいまいなんですよ。

 一体的経営というのは一体何を指しているんだろうか。主務大臣が、要するに、法律にのっとって完全売却をしなさいということですよね。完全売却した後に、特殊会社は、民間の今の既存の銀行の株を買うか、あるいは新しい新会社の銀行の株を買うかは自由になるわけなんです。だから、この文言というのは一体的経営の担保にはなっていないというふうに私は思うんですね。一体的経営じゃないんですね、全部株は外れますから。その後買い戻すというのは、それは特殊会社の自由意思なんです。

 だから、今から一体的経営というものを、私は、これを見ても、当然移行後なんですけれども、確保ができるのか、担保になっているのかというのは非常に疑問だと思いますが、大臣は担保になっているというふうにお思いですか。

竹中国務大臣 お尋ねは、完全民営化された、十年たった後に、これは、まず第一義的には、経営というのをどのようにやっていくかという経営者の意思があるんだと思います。

 郵便事業があって、そして郵便局会社があります。そこでいろいろなことをやっていただく。銀行預金も売るかもしれないし、保険も売るかもしれない、それ以外のこともやるかもしれない。これはちょっとわかりやすく例として申し上げますけれども、そのときに、民営化されたこの会社というのは、郵便貯金銀行の預金を売ることもできるし、ほかの民間銀行の預金を売ることもできる、これはまさに経営の御判断になるということだと思います。

 ただ、その場合も、経営者が引き続きそういう郵便貯金銀行と一体的経営をする必要があるというふうに判断をするならば、それができるような仕組みは持っていなければいけない。そういう意味で、民営化された後、特殊会社の制約、独禁法の規制、銀行法の規制の枠組み等々で、経営判断として株を持つということを、これはそれ以上の規制はしませんというのが今の仕組みでございます。

 ただ、現実問題として、一体的経営というのは、実は資本関係だけに依存するものではない。むしろ、多くの銀行なんかで、銀行とその関係の会社等々の株の持ち合いというのは、現実には非常に持ち合いは少なくて、二%とか三%とか、そういう形がむしろ社会では一般的であって、一体的経営というのは、むしろ業務の提携とかそれ以外の提携、業務契約関係とか、そういうところで担保されるのであって、そこはまさに経営者の意思によって、経営判断によっていろいろなことができるような仕組みをつくっておくというのが今回の制度設計の大変重要な点であるというふうに私は思っております。

川上分科員 経営者の判断で一体的経営をする、そういうその後の仕組みをつくっておくとおっしゃいますけれども、こんなのは、仕組みよりも何よりも当たり前の話なんですよ、別に買い戻せばいいわけですから。だから、株を数%持っているからといって、一体的経営にはならないと思うんですよね。そういうことなんですよ。

 だから、経営者の判断に任せます、一体的経営というのは経営者の判断ですよと。今やっているこの法案というのは、経営者の判断に一体的経営を任せるということで、我々は手から離れますよということなんでしょう。だから、一体的経営を担保していないということじゃないですか。確保されていない、それはわからないということでおっしゃっているんじゃないですか、経営者の判断なんですから。

竹中国務大臣 申し上げておりますのは、一体的経営が可能になるような仕組みをつくっておくということでございます。それは、先生おっしゃるように、まさに経営判断でございますから、そういう場合には、これも先生御指摘になりましたけれども、株を持つということが決して一体的経営を担保するわけでもなく、そこは経営の自由度を発揮していただいて、お互いメリットを享受できるような形の関係を民間経営努力の中で築いていただく、それのときにいろいろな自由度を与えて持っていただこうというのが今回の制度設計になっているわけでございます。

 それ以上はまさに経営の御判断だというふうに思います。

川上分科員 だから、要するに、民間の会社ですから、片一方は特殊会社ですけれども、完全民営化した金融部門の会社ですから、それは一体化になるにはお互いに歩み寄ってやればいいだけの話で、我々が一体的経営をやりなさいとかやめろとか言う立場じゃないんですね。そうでしょう。だから、その道というのは当たり前の話なんですよ。

 我々がどのようなことを、それは、法律上二五%持ちなさいということをやるということが一体的経営なんですよ。そうでしょう。一体的経営を運用しなさいということをしっかりと言わないと、一体的経営は担保というか確保はできないというふうに我々は判断せざるを得ないんですが、そういうことなんですかということなんですよ。

竹中国務大臣 これは民間の企業でございますから、こことここは必ず取引をするとか、こことここは必ず資本を持ち合うとか、そういう関係は想定をしておりません。

 しかし、現実問題として、今の例えば郵便局の窓口の七割とか三分の二ぐらいの仕事は銀行、保険の扱いをしているわけでございますから、これはお互いにそういう業務関係を持つことにメリットがあるわけです。そういう関係はまさに一体的な経営として当然続くであろうということを私たちは想定しているわけです。

 しかし、そこにまた、今何度も申し上げておりますように、いろいろな経営判断は入ってまいります。そこの合意文書にも書いていますように、一体的経営が可能となるように、必要であれば可能となるようにそういう仕組みをつくっておくというのが今の考え方でございます。二ページ目の二行目に「グループ経営を可能とするため、」云々というふうに書いております。このグループ経営を必要があれば可能とするための仕組みを考えているということでございます。

川上分科員 いや、だから、最初の、金融のユニバーサルサービスは義務づけないとおっしゃったよね、移行後は。義務づけていないでしょう。だから、これも自由ですから、窓口でそういった手数料とかそういう業務をやるからその密着度合いが大変すごいんですよということは、それも当たらないんですね。だから、どうもおっしゃっているのは担保にならない。一体的経営というのは雲散霧消しますよ、移行後は。そういった認識に立たざるを得ないんですよ、私は。あとは自由に任せますとか、義務づけないという話。

 「株式の連続的保有が生じる」と、株式の連続的保有というのはどういうことなのか、よくわからないんですよ。株を一たん、最初一〇〇%持ちますよね。それからずっと売却していって、連続的保有というのは、何%かをずっと持っていることが連続的保有という認識なんですけれども、この連続的保有というのは一体どういうことになるのか、御説明をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 連続的保有に関する御質問でございますが、その前にぜひ御理解賜りたいのはこの基金の仕組みですね。これは、地域の住民が、そういう社会的なニーズとして、地域貢献としてそういうニーズがある場合には、きちっと有識者会議等々でその意見をくみ上げて、そしてそれを地域貢献計画としてつくる。つくるときにその配慮を義務づけているわけでございますので、そういう形で地域におけるユニバーサルなサービスを確保する仕組みを基金を軸としてつくっている、この事実が一つございます。

 その上で、お尋ねの連続的保有の話でございますけれども、これは先ほども御質問いただきましたように、持ち株会社が持っている銀行、保険の株式については一〇〇%処分義務がかかります。しかし、処分義務を果たしたその直後において、株式を、ここに書いてございますような形で、移行期間が終了した後に特殊会社としての性格を考慮して云々とございますけれども、そういうことを妨げない。したがって、株式は売却していただきますけれども、その直後にそういうことを、株式が必要であれば持っていただいて、結果的にそれが連続的に保有しているということを妨げない、そのような趣旨でこの文章は書かせていただいております。

川上分科員 いや、だから、一たん放出して、その瞬間にまた買い戻すという、それが連続的というのは、それは経営判断で、買い戻すかどうかは経営判断でしょう。だから、連続的というのは、言葉の何かあれだなと思って、むなしいなと思っているんですけれども、そのあたりは、これはもうわかりましたから、いいです。

 次に、経営委員会をやるんだと。要するに、「準備期間内のできるだけ早い時期」とあるんですけれども、これはいつごろを想定されて、その構成員、人数とか、これはどういうことをお考えですか。

 同じく民営化委員会も、いつごろ立ち上げられて、構成員何名でおやりになるお考えですかということなんですね。

 もう一つは、これは「新規業務の」と書いてありますけれども、経営委員会が金融の新商品の開発とかそういったことまでおやりになりますかということです。

 それから、民営化委員会が三年ごとに検証するというんですけれども、これは、例えば特殊会社の企業活動の内容とか給与とか営業方針とか企画とか、あるいはこれはやはり無理だから経営形態を公社に戻そうかとか、検証するというのは、そういうことまで想定する委員会なんですか、この民営化委員会というのは。

竹中国務大臣 今委員から四点、大きくは三点かと思いますが、御質問をいただいたと思います。

 まず、経営委員会でございますけれども、経営委員会というのは、新規業務の準備等民営化後の経営の準備、検討をするための組織でございまして、これは準備期間中に設置をします。具体的には、法律の公布後六カ月以内に設立して、平成十九年三月三十一日まで存続するということになろうかと思います。準備企画会社である日本郵政株式会社の中に置きまして、新会社の経営者となるべき者を含めて、委員は三ないし七名で構成するという方向で今検討をしているところでございます。

 それで、二番目の御質問は民営化委員会でございます。この民営化委員会は、いつから、どういう構成かという御質問であったと思いますけれども、民営化委員会は、これは民営化推進本部、この推進本部というのは全閣僚で構成される政府の中の推進本部、本部長は総理大臣、そのもとに平成十八年四月に設置することを考えております。これは早く設置して、公社が準備期間中に国際業務を含むいろいろなこと、新しいことに取りかかれるように、そういうことも踏まえて十八年四月に設置するという方向で考えております。有識者五名で構成するということを考えております。三年ごとに民営化の達成のためにその進捗状況について総合的に検証しまして、その結果に基づいて意見を述べるということ、そして新規業務等の許認可に際して意見を述べるということを今のところ予定しているところでございます。

 最後に、委員がお尋ねになりましたその仕組みでございますけれども、この民営化委員会は、本部長、本部長は総理大臣ですが、または主務大臣等に対して意見を述べるものでございます。したがって、新会社の企業活動の内容、経営方針、企画等について、何か新会社に対して、郵政の経営者に対して直接意見を述べるというようなものではございません。これは、主務大臣に対して民営化の進捗について総合的にいろいろな検証を行って意見を述べる、そういう仕組みを考えているところでございます。

川上分科員 時間が来ましたので、最後に質問をお許しいただきたいと思うんですけれども、この民営化開始時において、健全な自己資本を有しているのが必要だと。民営化開始というのは、これは普通であれば、株式を一般に売り出すのは民営化で、一〇〇%政府が最初保有しているというのは株式会社化で民営化ではないと思うんですけれども、自民党本部のROAとかROEの議論のときに二〇一七年以降の資料が出ているんです。だから、そのときは、資本がはっきりしていないとあんな数字は出ないと思うんですが、この民間の四会社の自己資本、これはあんな資料が出たら当然想定されていなければいけないと思いますけれども、大体、健全な自己資本というのは、最初のスタートは四会社はそれぞれどの程度ですか。

 それからもう一つ、最後に、巨大な金融資産を有している銀行が既存の銀行と勝負するわけです。共存共栄は絶対許されないと思いますので、どちらが淘汰されるかというのは物すごく重要なことだと思います。今度の新しい銀行が成功すれば、地方銀行はつぶれていくというふうに思われますか。相当な打撃を受けるというふうに思われるかどうか。新しい銀行が敗れれば外資に乗っ取られる、これは想定されますけれども、どのようにお考えですかということを最後にして、質問といたします。

竹中国務大臣 まず自己資本のお尋ねでございますが、委員が御指摘になりましたROA、ROEの話は、御承知の骨格経営試算というのを行っておりますけれども、その骨格経営試算を行うに当たりまして、今ある公社の資産を四つに切り分けるわけですよね。切り分けて、当初のバランスシートができます。そこから事業を始めて、新しい事業の可能性等々もいろいろ考えながら骨格経営試算を出しておりますから、そこで出てくるROE、ROA等々で見る限り、ないしは自己資本比率で見る限り、現状、私たちが骨格経営試算で判断をしておりますところにつきましては、自己資本についてそれなりの自己資本が確保されている、それなりの利益を四社とも確保することができるというような見方を骨格経営試算に基づいて私たちはしております。

 その上で、最終的には承継計画をつくりますから、承継計画をつくる段階で、先ほどの民営化委員会が資本の状況も含めてきっちりと点検して意見を述べるというような仕組みを考えております。その点については、昨日の五役六大臣の紙の中でも示させていただいているところでございます。

 二番目の、これがどういう銀行になっていくかということに関しては、これは、非常に長期の中で、健全な競争を通して、ともに消費者のためになるような競争をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、そのままこれが地方銀行の脅威になるかというと、そういう民間とのイコールフッティングをきちっと検証するために民営化委員会も置かれるわけでございますから、私はむしろ、いろいろな可能性が考えられると思いますが、地方銀行とアライアンスを組んで、より発展的なビジネスをするということも可能でございましょうし、もちろん競争をしっかりとやるという局面も可能であると思います。

 しかし、いずれにしても、これは、フェアな市場における競争を通して、ともにその中で消費者の利益を拡大していっていただきたいということに尽きるわけでございます。

 外資のお尋ねもございましたけれども、この点につきましても、今の商法をうまく活用して、議決権制限株式等々を発行することによって、外資に限りませんけれども、敵対的な買収等々に対抗できるような仕組みも同時にこの中に組み入れていきたいというふうに思っております。

鈴木主査 これにて川上義博君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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