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第1号 平成18年6月5日(月曜日)

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本分科会は平成十八年四月十四日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

六月二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      赤池 誠章君    伊藤 達也君

      坂井  学君    中山 泰秀君

      矢野 隆司君    池田 元久君

      筒井 信隆君    前田 雄吉君

      佐藤 茂樹君    江藤  拓君

六月二日

 伊藤達也君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年六月五日(月曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 伊藤 達也君

      藤野真紀子君    矢野 隆司君

      池田 元久君    佐々木隆博君

      筒井 信隆君    前田 雄吉君

      佐藤 茂樹君

   兼務 鈴木 馨祐君 兼務 福田 昭夫君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   環境副大臣        江田 康幸君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   最高裁判所事務総長    竹崎 博允君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 桜井 康好君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     藤野真紀子君

  池田 元久君     佐々木隆博君

  佐藤 茂樹君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  藤野真紀子君     坂井  学君

  佐々木隆博君     池田 元久君

  福島  豊君     佐藤 茂樹君

同日

 第二分科員鈴木馨祐君及び第四分科員福田昭夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、裁判所、内閣府(金融庁)及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました伊藤達也でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管及び沖縄振興開発金融公庫並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に、決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十六年度決算外二件中、本日は、環境省所管、内閣府所管中金融庁、皇室費、裁判所所管について審査を行います。

 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。小池環境大臣。

小池国務大臣 平成十六年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は十三億五千八百二万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は十五億九千五百十九万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は二億三千七百十六万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千八百三十七億一千四百四万円余でありましたが、これに予算補正追加額七百七十三億二千百八十二万円余、予算補正修正減少額二十四億四千四百二十五万円余、予算移しかえ増加額九十四億八千八百七十六万円余、予算移しかえ減少額二十五億一千二百八十一万円余、前年度からの繰越額六百八十一億七千六百六十万円余を増減いたしますと、平成十六年度歳出予算現額は四千三百三十七億四千四百十七万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額三千三百十七億三千百七十三万円余、翌年度への繰越額六百五十三億八千六百五十七万円余、不用額三百六十六億二千五百八十六万円余となっております。

 次に、環境省所管の石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の平成十六年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定につきましては、収納済み歳入額は百四十四億二千九百九十万円余、支出済み歳出額は九十二億九百七十九万円余であります。収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は五十二億二千十万円余でありまして、翌年度への繰越額三十億八千九百九万円余、平成十七年度予算に歳入計上した剰余金五億三千五百五十八万円余、これらを除いた純剰余金は十五億九千五百四十二万円余となっております。

 以上が平成十六年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院千坂第二局長。

千坂会計検査院当局者 平成十六年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤野真紀子君。

藤野分科員 自由民主党の藤野真紀子でございます。

 本日、質問の機会をいただきましたことに、まずは御礼を申し上げます。

 このたび、動物愛護管理法が改正となりまして、動物の命を尊重するさらなる取り組みが強化されますことを心よりうれしく思い、同時に、この法案に御尽力をされました小池環境大臣を初め諸先生方、そして環境省の皆様に敬意を表し、また感謝を申し上げる次第でございます。

 今回、動物愛護に関しましての質問をさせていただきますが、その前に、私自身、動物、中でもとりわけ犬に対しての思いというものを少し述べさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 私は、一人っ子で、小さいころから本当に動物に囲まれて育ってまいりました。一時は犬が九匹ということもございましたし、小鳥にハト、猫と、みんなよい遊び相手でございました。現在も二頭の犬を飼っております。

 また、私は、二人の娘を育て、現在は六人目の孫の誕生を待っているところでありますが、今、三、四歳の孫に接して感じますことは、三、四歳の子供たちと犬というものが、非常に知能的にも近いのではないか、また、それ以上に、感情のあらわし方が非常によく似ているのではないかということでございます。

 こういうことを申しますのも、子供と同じような魂を持っている犬、動物、小さな命ということを申し上げたく思いまして、お話をしております。

 つい先日でございますが、娘が吐き気でひどく苦しんでおりましたときに、四歳になります孫が、娘の背中をその小さな手で一生懸命さすりながら、お母さん大丈夫、お母さん大丈夫と、つたない言葉でぽろぽろと涙を流しておりました。もう心配で心配でたまらなかったのだと思います。まだまだ言葉が達者ではない小さい子供が、その気持ちを一生懸命行動であらわそうとしていたのだと思います。

 人というのは、日々の暮らしの中で、だれしも苦しいときとか悲しい場面は幾つもあると思いますが、私も、こう見えましても人並みに落ち込むこともございます。非常にいら立った気持ちを隠せないときもございます。そんなとき、我が家におりますと、いつも、いつの間にか我が家のゴールデンレトリバー、もう十歳になり、今がんで三年目に入っておりますが、ハナという犬が私に駆け寄ってまいりまして、時には私の肩に手をかけ、あるときはひざの上に頭を置きまして、じっとそばを離れずに、私の気持ちが落ち着くまで、ずっと一緒に悲しみのときを共有するかのように寄り添っております。

 これを見ますと、幼い子供の行動と非常によく似ている、一生懸命心配をするというあの子供の行動と非常によく似ていると思います。俗に、犬や猫は人をよくいやすという言葉を使って申しますけれども、私は、彼らの人を思う優しさに、いつも自分の気持ち、心、魂が浄化されていくような気がしてなりません。

 個人的に大変な動物好きでございますので、自分の感情、情に流されないように、あくまでこれはモラルの問題である、そういう観点で質問をさせていただきたいと思っております。

 大変前置きが長くなりましたが、動物たちの中でも、小さな命の中でも、特に非常に感情が豊かな犬、猫に関しまして、幾つか質問させていただきます。

 まず第一点でございます。

 今回の動物愛護管理法の改正で、動物取扱業が登録制となるという、大変大きな進歩がございました。

 ただし、このことで、例えば現在、平気で営業しております二十四時間営業のペットショップが本当になくなるのだろうか。また、悪徳ブリーダーが、繁殖犬を極めて劣悪な環境のもとに置き、一頭の母犬に二百匹以上の子犬を産ませ、そして乳首が真っ黒になって地面にまで垂れ下がり、体じゅうがぼろぼろになった、そういった母親犬をあげくの果てに捨ててしまうようなことが本当になくなってくるのでしょうか。この辺の確実な見通しについて、ぜひともお伺いをしたいと存じます。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

南川政府参考人 御指摘の動物愛護管理法でございます。改正法がつい先日、六月一日から施行されまして、新規の業者は六月一日から、また、現在届け出をしております業者については一年以内に登録をし直すということが義務づけられております。そして、必要な措置をとらない場合には、営業停止あるいは営業の取り消しといった措置ができるようになっておるところでございます。また、それによりまして悪質なペット業者を排除していきたいと考えております。またさらに、登録を受けていない業者がいては困るわけでございますので、登録を受けていない業者との取引も制限をするということにいたしておりまして、業者間での相互チェックもできるというふうになっておるところでございます。

 ぜひ、この登録制度の趣旨を周知徹底しまして、新しい改正法が円滑に施行できるように努力してまいりたいと思います。

藤野分科員 ありがとうございました。

 登録制になることによって、小さな犬たち、猫、それから小さな動物たち、そういった今までの非常に悪質な、劣悪な環境がなくなることを心から祈っております。

 ただ、一つ、営業時間に関しましてはまだきっちりと決められていないかと存じますが、せめて犬、猫に関してでも、夜の八時までですとか、そういった決まり事ができないものだろうかということを思うものでございます。

 また、母親の犬に関しましては、一頭が出産する回数をせめて規制できないものであろうかということも思っております。ばっちゃんという犬を御存じかと思いますが、それこそ二百頭以上の子犬を産まされたあげく捨てられ、目の見えなくなった犬でございます。半分の目が見えなくなりました。幸いなことに大変いい里親が見つかりまして、最後は幸せに暮らし、つい先日亡くなりました。ばっちゃんは何回もお産をしましたが、その子犬はすぐに母親から引き離されます。そして最終的に、ばっちゃんは小さな縫いぐるみをたくさんいつもくわえて自分の周りに置く、そういう習性があったということでございます。本当に、最後は幸せに息を引き取ったということを聞きまして、心がほっとしたところでございます。

 チェック機能でございますが、悪質なペット業者をチェックする機能を、年に一度ではなく、たくさんのボランティアの方たちがいらっしゃいますので、毎月そのボランティアがチェックをするような、そんなことができたら、ぜひやっていただきたいと思います。

 そして、第二点でございますが、ペットブームの陰で今も心ない飼い主がたくさんの犬を捨てております。年間四十万頭とも言われております。現在、日本で行われている殺処分の方法とその処分にかかる費用でございますが、これは大体一頭につき、中をとって四、五千円。四千円ぐらいというふうに伺っておりますので、費用といたしましては四十万頭掛ける四千円ぐらいということで、その分は国民の税金を使われているということでございます。それに関しまして、日本で行われている殺処分の方法についてお伺いをしたいと存じます。

南川政府参考人 殺処分でございますが、若干補足しまして、四十二万頭の犬、猫が引き取られております。内訳としては、約二十万頭弱が犬で、二十二万頭強が猫ということでございまして、猫は大部分が殺処分されております。犬についてはかなり里親探しなどが進んでおります。

 実際に具体的な方法としましては、麻酔効果があると言われています炭酸ガス、二酸化炭素を吸わせる方法、それから麻酔薬による方法とございまして、半分以上の自治体が炭酸ガスのみによる殺処分、それから四割程度の自治体が炭酸ガスと麻酔薬を併用、あと麻酔薬のみによるのが四%となっております。

藤野分科員 その麻酔薬というのは注射でございますか。そうでございますか。

 麻酔薬をぜひとも広めていきたいと思っております。と申しますのは、日本だけがまだガスによる殺処分という前近代的な方法をとっているというふうに伺っております。

 私はつい先日、名古屋に、愛護センターに行ってまいりました。三頭の犬がおりました。一頭はうなっておりました。そして、この犬は家庭犬には難しいというので、すぐに殺処分ということで、本日がタイムリミットになっております。しかし、当然のことながら、虐待を受け捨てられた犬でございますから、人間を警戒するのは当然のこと。しっかりと話をし、五分、十分とたちますと私の手をぺろぺろとなめて、そして静かに横になって、とてもおとなしい賢い犬でございました。

 こういう犬たちがなぜ怖がり、そして注射をするときにも暴れるということも言われておりますけれども、ここまで、人に捨てられ、つらい思いをしてきた犬でございます。最後のときだけでもせめて温かい家庭的な雰囲気の中で安らかに死んでいくことを私は望んでおります。

 どうせという言い方がございまして、この子たちはどうせ死ぬのだから病気の手当てもしない、傷も手当てをせずに、どうせ死ぬのだからガス室に送るというお話もそのセンターで伺いました。どうせではなく、せめてでございます。ここまで苦しんだのだから、せめて死ぬときだけは安らかにということをぜひとも周りの方たちにもしっかりと思っていただきたいと思っております。

 そして、マイクロチップの普及等のことでございますが、マイクロチップ自体は本当にまだ害がないのかどうかということでございます。アメリカでは六〇%普及と聞いておりますが、マイクロチップの普及促進につきまして、ぜひともお伺いしたいと思っております。

 現在は危険動物にのみ義務づけられているというふうに伺っておりますが、私は、ペットの中でもとりわけ犬、猫に関しまして、特に猫は地域猫がひどくふえております。えさをやることを禁止しますが、それをやる前にまずやらなければいけないのは避妊ということだと思います。それをやらずして殺すというのは間違っていると思います。本末転倒だと思います。これに関しましても、個体識別措置、マイクロチップをぜひとも普及させていく必要があると考えておりますが、例えばアメリカ、イギリス、日本の普及率、そしてまた今後の日本における普及活動の見通しにつきまして、ぜひともお伺いしたく存じます。

南川政府参考人 私ども、海外の例も含めて把握していますのは主に犬でございます。犬で申しますと、一番高いのがオーストラリアの方でございますが、これが約三二%、犬のマイクロチップが埋められております。次に高いのはドイツで三〇%、カナダが一四%、イギリスが一三%、それからフランスは二%、日本は約一%という状況でございます。

 私ども、マイクロチップのみならず、大きな犬ですと入れ墨とかいろいろございますけれども、動物の個体識別措置、大変大事だと思います。これによりまして所有者の責任の所在が明確化するわけでございますので、ぜひ進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 体制につきましては、例えば獣医師会の協力を得ながら、私ども、マイクロチップの埋め込み技術マニュアルを作成し、研修会も行っております。それから年内にはマイクロチップ読み取り機の関係諸機関への配備もほぼ終わる予定でございますので、ぜひ今後ともマイクロチップの普及に向けて努力をしていきたいと考えております。

藤野分科員 ぜひともこの取り組みはしっかりとやっていただきたいと思っております。

 私は、何よりも許しがたいのは、命を捨てる人たちでございます。人間のエゴイズムで勝手に飼い、そして好きなように捨ててしまう、まるで物のように捨ててしまう、そういう人たちが、許しがたい行為だと思っております。とりわけ、最近目立ちますのが、一緒に暮らし、そのあげく病気になった犬、猫をいとも簡単に捨ててしまう人たちでございます。

 ある友人といいますか、私がやっておりますセミナーで知り合った方からお手紙をいただきました。公表の許可をいただきましたので、読ませていただきます。

  平成八年七月の暑い日、愚息がまるでボロ布の様に汚れ放題のシェルテーの捨て犬を連れて来ました。炎天下、何日も何日も公園の中をよろよろとうろついていたのを、やっと捉えて来たとの事でした。愚息は自宅でゴールデンリトリバーを飼っております。

御本人は飼えないということでございますね。

 余りにも哀れなその姿に飼う事にしました。早速病院へ同行、身体中全処置、精密検査の結果、心臓、腎臓、膀胱がひどく悪化している事が分りました。遠くから連れて来て捨てられた様でした。元気に力がつく様にと主人がリキと名付けました。

  リキは躾は出来ていましたが、「待て」「伏せ」「お座り」は絶対にせず、夜も横にはならず、壁や家具にもたれかかって寝ました。

  散歩の折、あるタイプの車が来ますと、さっとお座りをしてチンチンをしたり、交互にお手をしました。車が通過しますと引綱が切れる程引っ張り、振り返り車の影が見えなくなる迄、じっと見送っておりました。リキは病気でありながら、帰れない様な遠い所から車で連れて来られ、「お座り」「待て」を命令され、それを守っている内に飼主はリキを捨てて帰った…と私は思いました。リキのその姿に私は散歩中、何度も何度も泣きました。捨てられても犬は決して飼主を忘れないのですね。頑健な顔の主人も良く泣きました。「リキは家の子よ、お父さんの次に偉いのよ…」私は毎日毎日そう言って聞かせ、やっとお座りも伏せもする様になりました

 小さな動物、そして命、小さな子供が似ているというのはこういう点でございます。二、三歳の子供はお母さんに虐待を受けても、受けても受けても母親を慕うものでございます。犬も、この小さな動物たちは、こういった、捨てられても、虐待を受けても、なおかつ飼い主をしっかりと覚えて慕っていく。このひとえの限りない優しさ、こういった動物を、人としてしてはいけないような遺棄ということ、そして傷つけるということを私たちはしております。これを決して許すことはできないと思っております。

 今、一年以下の懲役または百万円以下の罰金、みだりに殺すこと、傷つけることに関しての懲罰でございます。そして、そのほか、虐待等でございますが五十万円以下の罰金ということで、三十万円から引き上げられたということでございますが、この法が整ったといたしましても、この法がしっかりと生かされていかなければ、何のための法であるかということを痛切に感じております。

 そこで、マイクロチップの普及のことも関連をいたしますが、このマイクロチップをつけていくことによって、捨てた人、傷つけた人、殺した人、そういった人たちが明らかになるような、そういった仕組みを今後ぜひともつくっていかなければいけないと思っております。

 例えば、マイクロチップをつけていく一つの手段といたしまして、犬猫救済税もしくは何か補助金などのような形の制度化ができないものかと思っております。そして、マイクロチップの処置をした人には税金の一部が返ってくるような、そんな仕組みがあれば、少しでもマイクロチップを人に知ってもらうことができるし、またマイクロチップをつけていこうという、そういった人がふえるのではないかと思っております。

 さて、時間もそろそろ残り少なくなってまいりましたので、簡単にまとめてまいりたいと思っております。

 私は、小さいころ、親の背中を見て子は育つとよく言われたものでございます。子供は、言葉だけではなくて、むしろ日々の暮らしの中で本当に親の背中を見て、ゆっくりと時間をかけて、人としての道をその体験の中から学び取っていくのだと思います。小さな動物にも温かい血が流れているんだよ、悲しみとか喜びとか痛みを感じるんだよ、君と同じように命そのものなんだよということを私たち大人が手本を示さずして、子供たちに命が大事などと言えるでしょうか。

 犯罪の低年齢化が言われております。動物虐待にとどまらず、人の命を簡単に奪ってしまう子供たちの事件が相次いで起こるたびに、心が痛みます。国がまず子供たちの手本となるためにも、たとえ小さな命でも捨ててはいけないんだ、殺してはいけないんだ、国の税金で殺さないで生かす方法を考えられないであろうか、命をたっとぶというその姿勢を今後ともしっかりと国で守っていくべきだと思うところでございます。

 最後に、動物愛護の今後の取り組みに関しまして、小池環境大臣にその御所見と御決意のほどを一言お伺いしたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

小池国務大臣 大変動物に対しての愛情あふれる御質問、ありがとうございます。

 今回のこの改正動物愛護管理法でございますが、そもそも議員立法としておつくりいただいたものでございます。また、ちなみに、動物愛護という観点で申し上げるならば、ドイツは、五十何回目の憲法改正のテーマがたしか動物愛護、犬の愛護についてということで憲法改正までしてしまうという、そういった国もあるようでございます。

 さて、この今回の改正でございますけれども、それを受けまして、動物愛護の管理施策をまず総合的に推進するための計画制度をつくること、それから、先ほども御質問ございましたが、動物取扱業の適正化であるとか、マイクロチップの推進、そして動物を科学上の利用に供する場合の配慮事項の充実などにつきまして定めたところでございまして、環境省としてしっかりとこれらの運用に努めてまいりたい。

 やはり動物は命あるものでございます。しっかりと人間と動物との共生ができますように、今回の法律の改正を機に、さらに環境省としても運用に努めてまいりたいと考えております。

藤野分科員 小池大臣の大変心温まる、そして力強い御決意のほどを伺いましたことを心より力強く、心強く感じた次第でございます。今後ともぜひともこの取り組みに頑張っていただきたいと思っておりますが、くれぐれもお体だけはお大事になさっていただきたいと存じます。

 最後に、動物愛護センターの殺処分の現場でガスボタンを押している方の言葉を御紹介させていただきたいと思います。処分機にガスを注入し、ボタンを押す職員の方々がいらっしゃいます。そのお一人の方が、いつもそのボタンを押すときに指が震えるとおっしゃるそうです。その方がおっしゃった言葉でございます。ここで仕事をしていると、人の情けは紙より薄いんだと感じます、まさにやりきれない現場の職員の方々の言葉だと私は思います。

 今、自治体では、里親が見つからなかった、そして殺処分を受けなかった犬たちの一部を実験動物として払い下げるということが、ほとんどなくなったとは言われておりますが、まだあるということも伺っております。それは、実験動物として、そのために生まれてきた動物もいる、それと、もう殺処分になる犬たちもいる、動物、猫もいる。そうするときに、二頭の命を失うのであれば、一頭にする方がいいのではないかという考え方を伺いました。

 しかし、センターに預けられる、あるいは捕獲される、捨てられた犬たちは、そのときだけでも十分に痛みを負ってセンターに保護をされております。人に裏切られ、そしてこれから殺されていこうとする動物たちにさらなる苦痛を与えるのはいかがなものかと思います。こういった動物たちはできる限り少ない苦痛の中で最期を迎えさせたい、これはまさに人の情であり、人のモラルの問題だと私は思っております。

 今後とも、私も、しっかりと小さな命を守り、次世代の子供たちに日本を誇れるような、命をこれほど大切にする国は世界にはないんだよ、世界のお手本になれるぐらい日本は小さな命を大切にする国なんだよと言えるような、そんな国にしていくためにも、力を尽くしてまいりたいと思っております。

 きょうはどうもありがとうございました。

前田主査代理 これにて藤野真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木馨祐君。

鈴木(馨)分科員 自由民主党の鈴木馨祐でございます。

 昨年当選の一回生でございまして、小池大臣とは初めて質疑をさせていただきます。非常にお体の方も大変かと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。

 藤野先生、非常にハートウオーミングな質問をされまして聞き入ってしまったわけでありますけれども、私は打って変わって、おっしゃるとおりグローバルウオーミングということで、ひとつやらせていただきたいと思っております。

 きょうも、初めての環境に対する質問ということで、スーツを着ようかどうしようか迷ったんですけれども、私の友人から聞いた話では、環境大臣室はスーツを着ていたら入れない、そういったクールビズの最先端を行くオフィスであるというようなことを伺いまして、安心してクールビズということでさせていただきます。

 さて、私、地球環境問題というところについては、昔からかねがね積極的な興味を持ち、かつ取り組んできたところでございまして、一つ認識として持っておりますのは、地球の環境問題、もう後がないというか、非常にせっぱ詰まった問題である、喫緊の課題である、何としても解決に向かうような方策を各国が取り組んでいかなくてはいけないんだろうというふうに思っております。

 そういった中で、こういったクールビズといった取り組みだとか、まさに今いろいろされているチーム・マイナス六%、またふろしきといった、そういった非常にアピールするような広報を使った取り組みというものも非常に積極的に取り組まれていて、新しいスタイルですし、心から敬意を表するとともに、本当に感嘆している次第でございます。

 ただ、一方で、日本というのは、常々言われておりますとおり、省エネ努力というものを一九七〇年代のオイルショック以降、ずっと企業のサイドでは行ってきた。ある意味で、日本は先進国の中で、京都議定書の枠組みでは義務がかかっている数少ない国のうちの一つでありますから、なぜ、ここまで省エネ努力をしてきた日本というものがさらに一層求められるのか。その一方で、競合相手となるような国は余りそういう規制がかかっていない。そういった非常に不公正という意味で、産業界にも、不満というほどではないんでしょうけれども、ちょっとやるせなさというのが残っているのかなというふうにもちらほらと声を聞く次第であります。

 そこは、小池環境大臣は国際経験も非常に豊かでいらっしゃいますし、積極的に日本から発信していく外交のツールの一つとして、環境問題というものも大きな玉、日本の環境技術というのは最先端でありますから、それは非常に大きな玉なんだろうというふうに思っておりますし、まさにそういったことで取り組まれているんだろうというふうに思っております。

 まさに馬の耳に念仏というか、本当に大臣のお耳に念仏ということになってしまうと申しわけないんですけれども、質疑を進めさせていただきたいというふうに思っております。

 まず一つ目。今申し上げましたような、日本の産業が非常に省エネ努力を進めてきたという取り組みを数値化してみるとどういうふうになるのかというところで、各産業セクター、例えば鉄鋼であるとかセメントであるとか、そういったところの産業セクターで同じ生産をした場合に、どの程度のエネルギー効率で日本の産業というのは位置しているのか、それは他国と比べて、例えば日本を一〇〇としたら他国はどういう状況になっているのか、そういったところをお聞かせ願えればと思います。

岩田政府参考人 日本の鉄鋼業、セメント業につきまして、エネルギー消費効率についてのお尋ねでございます。

 まず、鉄鋼業につきましては、日本鉄鋼連盟発表資料によりますと、二〇〇三年度におけるエネルギー消費効率は、これは一貫製鉄所における粗鋼生産一トン当たりのエネルギー消費量で比較をいたしますと、日本を一〇〇とした場合、直近の数字で、中国は一一〇から一二〇、欧州は一一〇、米国は一二〇となっております。

 また、お尋ねのセメント業につきましては、これもセメント協会発表資料でございますけれども、二〇〇〇年度におきますエネルギー消費効率は、これも単位生産当たりのエネルギー消費量で比較をいたしますと、日本を一〇〇とした場合に、中国は一五〇、欧州は一三〇、米国は一八〇となっております。

鈴木(馨)分科員 ありがとうございました。

 その前に、ちょっと一つだけ訂正をさせていただきたいんですが、先ほど間違えて、馬の耳に念仏と言ってしまいましたが、釈迦に説法の間違いでございまして、大変失礼いたしました。

 今御答弁いただきましたように、日本のエネルギー効率というのは非常にいいのかなというふうに、数字から判断すると考えてしまうところなのではありますけれども、これは今の数字から判断して、日本の産業というのが世界で最も、一九七〇年代以降省エネ努力に取り組んできた結果、同じ生産というか、同じGDPを産出するという意味においては、現状において他国と比べて非常にエネルギー効率がいい、地球に優しい状況というふうな、そういった考え方をしてよいのか、そこのところの認識を環境大臣に伺えればと思います。

小池国務大臣 今、経産省の方からもお話ございましたように、それぞれのエネルギー原単位からしますと、日本の技術力、エネルギー効率は世界の最高水準にあろうかと思います。

 それから、GDP当たりのエネルギー効率ということでございますけれども、この点については、GDP当たりのエネルギー起源二酸化炭素排出原単位、〇・二四五キログラム・CO2・パー・ドルということになるんですが、仮に世界全体のGDP当たりの排出原単位が日本と同じとして、世界全体のGDPをもとに試算しますと、世界全体のエネルギー起源二酸化炭素排出量、二〇〇三年で約八十四億トンということになりまして、現在の世界の排出量の三分の一程度ということになるわけでございます。

 ただ、このGDP当たりのエネルギー効率という目安でありますけれども、我が国は第二次、第三次産業を中心とした国ということになりまして、産業構造は国によっておのずと違うわけでございまして、GDPという目安を使っての試算がどのような意味が出てくるのかということについては、若干疑問があろうかと思っております。

鈴木(馨)分科員 ありがとうございます。

 とりあえず、もうちょっとマクロな話というか、地球全体の話を数値という意味でさせていただきたいと思っております。

 これまで、地球温暖化を防止する取り組みということでは、ここ十年以上、非常に長い間、各国で議論が行われているわけでございまして、これは学会、学識者も含めて、あと国際機関、そういったところでいろいろなパネルとか研究というものがされているというふうに伺っております。

 そういった中で、地球環境の問題というのは、一つ間違えると非常に抽象的な、雲をつかむような話になってしまいがちなのでありますけれども、恐らく、今の二酸化炭素排出量というものの数値だとか、それから、どの程度の削減を世界全体で行えば地球の気候というものがある程度落ちついてくるのか、持続可能な水準になってくるのか、落ちついてくるのか、そういった試算というか実際の数値というものの推計というものもされているかというふうに思いますが、そういった点についてお聞かせいただけませんでしょうか。

小林政府参考人 今、削減の必要量というようなことについての問い合わせというふうに承知をしてございます。

 気候変動枠組み条約の究極目的、これは気候系に対して人為の悪影響を及ぼさないようなところで温室効果ガスの濃度を安定化するということであります。

 濃度を安定化するためにはどうしたらいいかということでございますけれども、幸いCO2は植物が吸う、あるいはプランクトンが吸うというようなことでございまして、人間が出したものの約半分は地球が吸ってくれているというのが現状でございます。そうしたことから、単純に申し上げますと、やはり半分程度には減らさなきゃいけないというのがまずは言われるところでございます。

 実際に将来の温度上昇を何度でとめるかというようなことで、それによりまして、最終的には削減のスピードといったことも変わりますけれども、基本といたしまして、どんなレベルで安定化を図るにせよ、排出量については二倍以上の削減が必要だ、こういうことに相なろうというふうに考えてございます。

鈴木(馨)分科員 どうもありがとうございました。

 大体半分程度の削減を、これは二〇三〇年ぐらいまでにというような感じでしょうか。

小林政府参考人 そうしますと、結局、大気にたまっていきます二酸化炭素の量ということになります。今おっしゃったような二〇三〇年のレベルで例えば半減させるということであれば、低い濃度で安定化させることができるということでございます。

 どのぐらいの濃度で安定化させることがぜひとも必要かということについては、いろいろな意見がまだございますけれども、そういったものの中で一番厳しいものとしては、今御指摘のとおり、二〇三〇年ぐらいで五〇%ぐらいの削減がいいんじゃないかというような御意見もあるところでございます。

鈴木(馨)分科員 ありがとうございます。

 事実確認だけさせていただきますけれども、先ほど大臣がおっしゃった試算というか、非常にあらあらな、前提条件ありの、仮定ありの推計ではありますけれども、あれですと、日本のエネルギー効率というもので世界じゅうの産業がもし回るようなことがあれば、日本のエネルギー効率ということで世界のGDPに掛けて換算してみれば大体三分の一、すなわち三分の二ぐらいの削減が、最大限ということになるのかもしれませんけれども、見込まれるというような、そういったことでよろしかったでしょうか。これは事務方の方からでも。

小林政府参考人 御指摘のとおりでございまして、結論から申し上げますと、仮に世界じゅうが日本と同じGDP、CO2の比率になるとして考えますと、三分の二ぐらいの削減に当たります。

 大臣が答弁申し上げましたのは、GDPの構成が途上国と先進国によっては異なります。日本みたいに三次産業、二次産業で稼いでいる国と、一次産業だけの国があるということで、GDPを同じにしたままで効率の改善だけができるかということについてはやや疑義があるけれども、お示しのとおりであればそういうことであるということで答弁をさせていただいたところでございます。

鈴木(馨)分科員 どうもありがとうございます。

 もちろん、いろいろ仮定もございますし、産業構造が違う、国土の広さも違う、諸々の前提条件が国ごとに全く違うというのは、本当におっしゃるとおりであると思っております。ただ、一つ言えるのは、恐らく、日本の省エネ技術というものが世界じゅうに広まっていけば、これは地球環境の改善には必ずや資する非常に大きな武器になるのではないかというようなことは言えるのかなと個人的には考えております。

 次に、京都議定書という、これは今まで事実関係の確認をさせていただきましたけれども、京都議定書というスキームについて若干の討議をさせていただきたいというふうに思っております。

 京都議定書、まさに京都で行われた会議の結果出てきたものでございまして、京都という名前が、日本の地名がついている。まさに日本の環境省さん初め外務省さん、各省、霞が関の方々、また政治家の方々の本当に御努力の結果こういった仕組みができ上がってきたのだと思いますし、そのリーダーを務めた国の一つとして、その設定した目標の実現、達成というものには全力を挙げていかなくてはいけないというのは、それはもう当然のことであるというふうに思っております。そのために、できる限りのことを本当にやっていかなくてはいけない。そのためにも、目達計画など立てられまして、さまざまな予算等も効率的に運用していただいているのだというふうに思っております。

 ただ、さはさりながら、実際、いろいろ国際交渉の結果でございますので、まとめるためにいろいろな、もしかしたら理想からかけ離れてしまったような、現実的なものとなってしまっていく過程で、多少不公平というものが出てきてしまっているというようなことも言えるのかなというふうに思っております。これは、不公平といっても、ひたすらに南北問題ということではなくて、北北問題であったり南北問題であったり、もしかしたらこれからは南南問題というのも出てくるのかなというふうに思っております。

 いろいろと報道もしくは論文等を見てみますと、例えば、一九九〇年時点というところに基準点を置いた結果どういったことが生じたか。ここで生じた問題というのは、もしかしたら先進国間の取り組みに向けての不公平というものが生じてしまったんではないかというような議論も耳にしたことがあります。

 具体的に言えば、同じような削減目標を設定されている欧州諸国、とりわけドイツのような国ですと、例えば、一九九〇年というと旧東欧地域がまさに統合された直後でありまして、旧東欧地域というのは石炭発電に非常に多くをよっていた、また産業構造も省エネ努力というのをほぼされていなかった、そういったホットエアを持った国だったわけであります。そういった国が、その時点以降、削減努力をする伸び代を非常に持っていたというのは簡単に言えることであると思います。

 例えば手元で、これは学者さんの論文なので事実関係はわかりませんけれども、ざっとの試算だと、一九九四年時点で、一九九〇年時点に比べて、旧東ドイツ地域では削減幅が四一%削減をされていた。それは恐らく、石炭発電とかの天然ガスへの転換とかそういったことで達成されたのかなと。四年間で達成されたわけですから、非常に容易に達成されたものだというふうに推測はされるわけですが、その一方で、旧西ドイツ地域につきましては逆に増加してしまっている。ただ、国全体としては削減を達成しているという、ある意味二重構造というか、二つお財布があるような、そういった事態が発生しているというような話も耳にする次第であります。

 また同時に、南北問題ということに関しましても、例えば目標値というものを二酸化炭素の絶対量に置いたことで、GDP当たりの二酸化炭素排出量というものに置かなかったことで、恐らくそれは、GDPの絶対値が一人当たり非常に小さい途上国においては、それは非常に有利な扱いになっていく。逆に、例えば日本で考えれば、三万ドル以上の一人当たりGDPがあるわけですから、それに対する二酸化炭素の排出量の絶対値ということでいえば、途上国に比べて圧倒的に大きな削減目標というものが課せられてしまうのは、恐らく自明の理であるのかなと思います。

 そういったところで、この仕組み自体に改善の余地が非常にあるというような、今のような点も踏まえて、そういった議論も耳にするところではありますけれども、この評価というか、そういった批判についての大臣の御所見というものを伺えればというふうに思います。

小池国務大臣 まず、大きなテーマ設定として、この温室効果ガスの濃度を安定化させるというためには、早期に排出量を半分以下にすることが必要であるというのが、これがまず大前提としてあるわけです。

 そのことから考えますと、先進国の排出量五%削減を目的とする京都議定書は、今申し上げました大前提からすれば小さな一歩、第一歩ということにしかすぎない。しかしながら、一方で、法的拘束力がある数値目標を初めて定めた、国際的に見れば画期的なものでございまして、小さいかもしれないけれども極めて重要な一歩である、そういう認識がまずございます。

 それから、今ございましたように、なぜ一九九〇年なのか、ヨーロッパにとってそっちの方がいいじゃないか、なぜ九五年にしなかったのかとか、それから、目標値のあり方などについては、きょうもここにおります何人かは、その現場にいて、国際交渉に当たってきて、ほとんど寝ずの交渉をやってきた担当の職員もおりますけれども、そういった彼らからも、そのときのことなどについてよく聞いているところであります。大臣が国会に出なくてはいけないので新幹線に飛び乗ってまた引き戻したとか、いろいろな武勇伝もあるようでございます。

 いずれにしましても、この京都議定書については、まず国内的には、平成十四年の段階で国会で全会一致の決議がされているということは極めて大きな事実でございまして、我が国はその時点で国家的に一九九〇年比で六%のマイナスということを国際的に約束したということになるわけでございます。ただ、一方で、今、例えば二〇一三年以降のいわゆるポスト京都ということで話し合いということが開始をされております。せんだってもドイツのボンでその会議がございました。そしてまた、これからいろいろな積み重ねがあって、ことしの暮れはケニアでCOP12というのが開かれることになっている。

 ですから、今ある京都議定書の第一約束期間をどうこう動かすというのは、これはもう既に決まっている話でございますので、何をするかということについて言うならば、ポスト京都の段階になってこようかと思っておりますし、今地球温暖化の議論の中では、一番それが最大のイシューになってきている。

 さて、それをどういうふうな形にしていこうかね、参加国はどうかねということでありますが、我が国はその点でも、京都議定書を実際にもう批准をしている国であり、そしてその責務を負っている国であり、なおかつ省エネといったような観点からすれば世界をリードする国であり、ということは、これからの国際的な議論も我が国がリードしていかなければならない、そのような責務をひしと感じているところでございます。

 せんだって、クールビズのファッションショーもまたさせていただいたんですが、ことしからはそのターゲットに、昨年のターゲットは皆様方ビジネスマンを初めとしたジェントルマン諸氏でございましたけれども、ことしはその枠を地域的に広げて、アジアも対象にしていこうということで、これは日本からの、ある種地球温暖化に対する発信でございます。これは、国民レベルでの発信につながればより大きな効果を呼ぶと思っておりますけれども、国際会議といったまさに本チャンの闘いの場におきましては、これから我が国のスタンスとして、すべての国が参加する、そういうスキームをぜひとも提唱し、そしてその考え方に賛同する国々を一つでも多く確保していきたい、このように考えているところでございます。

鈴木(馨)分科員 どうもありがとうございます。本当に、大臣初め環境省の皆様の日々の御努力には、心から常々敬意を表しているものでございます。

 まさに、今おっしゃいましたとおり、ポスト京都議定書、二〇一三年以降の枠組みの議論、検討というものが今まさに、昨年の十一月からでしょうか、正式に始まったという非常に大事な期間であります。この交渉の結果というものが恐らく今後十数年、今から考えれば二十年ぐらいの日本の産業ですとか日本の環境政策というものに非常に大きな縛りをかけることを考えれば、これからの日本の交渉姿勢というものが、環境行政のみならず、恐らく日本経済全体、日本の産業全体に与える影響というのは非常に大きいのだというふうに思っております。

 そういった点で、このポスト京都議定書にどういった姿勢でこれから取り組んでいくのかというのは、本当に、環境省のみならず、政府全体、日本全体として、まさにオール・ジャパンで知恵を出し合ってやっていくべき問題ではないかなというふうに思っております。

 そういった点で、まず、ちょっと一般論になってしまうんですけれども、これは大臣にぜひとも伺っておきたいと思うんですが、もういろいろ場数も本当に踏まれたベテランの国際政治家としての顔もお持ちですから、いろいろと御意見はあると思いますけれども、恐らく、自分の主張、理想というものを通していくというものが国際交渉、そしてそれの実現に向けていろいろな妥協を強いられてしまうのも、それもまた国際交渉、そういった面はあると思います。そういったところを考えましたときに、これから日本が国際交渉の場に臨むに当たって、恐らくアプローチとしては二つあるのだというふうに思います。

 それは、まずは最初に国内、先ほども申し上げましたけれども、オール・ジャパンで知恵を出し合って、こういった形の議定書、こういった仕組みをつくれば地球環境というものに対する取り組みとしては一番理想的なんだ、産業についても自分で自発的にインセンティブを持ってやりやすいような仕組みになるんだ、そういった本当の理想というものをまずプロポーザルとして打ち出していって、まずそれを通すために何をしていくのだ、それから二の矢、三の矢というのが、次善の策、三善の策というものへ落としていくに当たってどこを譲っていくのか、その段階で議論していくという手が一つあるんだと思います。

 逆に、もう一つの考え方として、やはりそれは国際交渉の場でありますから、まずプロポーザルが全くはねつけられてしまっては意味がないわけですから、最初に各国がのみやすいような、ちょっと最初から妥協――妥協というと非常に言葉は悪いんですが、実現性を重視した、打ち出しをちょっと低目にするというような、そういったアプローチの仕方も恐らくこれは当然あるのだと思います。

 地球環境の会議という今後の人類を占う非常に大事な会議の場ではありますので、今申し上げました二通りのどっちが今回の会議に臨む日本の姿勢としてよいというふうに大臣がお考えなのかという点について伺いたいと思います。

小池国務大臣 二つ御指摘があったかと思います。

 まず、これからの削減のインセンティブを高めるということについては、これはむしろ、既に京都メカニズム、クリーン開発メカニズム、CDM、それから排出量取引などの市場メカニズム、それから技術の開発普及の仕組みなど、さまざまなものがございます。ここでも我が国はかなり、CDMにしても排出量取引におきましても、いろいろなメジャープレーヤーになってくるというふうに思っております。

 特にCDMなどはやはり、第二ODAではありませんけれども、開発途上国が本来そこで石炭をぼんぼん燃やすところを、我が国の省エネ技術を伴った発電所をともにつくっていくとかそういった形によって、先方の国にとってもプラス、そして我が国にとってもプラスといったようなある種のウイン・ウインの構造になるわけで、そういった例を各種今後つくっていくというのも、これも一つの大きなアピールの観点になりますでしょうし、また、そういった省エネ技術という日本の得意な技術を世界で展開するということは、これはまた、我が国の技術力を高めながら世界における環境面での日本の信頼にもつながっていくということになってくるかと思っております。ということで、これも一つ大きな玉になると思っております。

 それからもう一つ、国際交渉の場でございますけれども、先ほども申し上げましたように、次期枠組みというのが既に大きなイシューになっているということと、そこでさまざまな議論がこれから展開する。ある国は、もう議論したくないというのも一つ姿勢として、もうそのままで、先進国は自分たちが言ったんだからその義務をしっかりやってよ、それ以上は自分たちは関係ないよというスタンスの国だってあるわけですよね。

 いずれにしても、各国それぞれがいろいろな思惑を持っているということでありますけれども、我が国のスタンスとして、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことがまず可能であるということが一点と、それから、主要排出国によりまして最大限の削減努力を促す実効ある枠組みを構築すべきであるという、この二点を含んだ我が国としてのアピールを徹底してやってまいりたいと思っております。

 要は、すべての国が入ってしまうということでは既に条約がありますけれども、これは何ら義務というものもないわけでありまして、これはもう既にあるわけなんですが、その上で、みんなが入った上で、それぞれの能力に応じた形で前に進む方法ということについて、さあ、みんな寄っておいでよという感じでこれからも各国に呼びかけをしつつ、その国の能力に応じた排出削減に取り組むということを呼びかけていく。いろいろな議論の中でいろいろなひだがこれからは出てくると思いますけれども、主なスタンスとしてこの背骨を持って、そして取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(馨)分科員 ありがとうございます。

 恐らく、今おっしゃったのは、ある程度現実も見据えながら、ただし、非常に喫緊の問題である地球環境問題でございますから、一番実効性が高いものを追求していく決意を伺えたものというふうに考えております。

 ちょっと具体論というか各論になってしまうかもしれないんですけれども、そういった意味で、先ほどから何回も申し上げていますように、省エネ努力というものを先行して行うような、例えば日本の企業のような、これまでの省エネ努力というものがなされた企業なり国においては、それがばかばかしかった、もうそんな、先にやるものかみたいな、そんな感じの思いを起こさせてしまうような、そういった仕組みではきっとだめなんだというふうに思うわけであります。

 そういう観点から考えたときに、例えば、先ほど最初の質問をさせていただいたときに、日本の産業セクター別の排出量ということを数値としていただきましたけれども、その場合には、日本が一〇〇だとすると、例えば鉄鋼においては中国が一一〇か一二〇、そういったような話を聞いております。ですから、これまで先に投資してきた分というのが報われるような仕組みにぜひともしていただきたいというふうに思っておりますし、そういった日本の国内の産業というものがばかを見たというふうに思わせない、そういった取り組みというのを政府として対外的に積極的にやっていくことが本当に必要なのではないかというふうに思っております。

 最後に、改めてになりますけれども、決意ということで、本当に強い決意をお聞かせいただければというふうに思いますが、ポスト京都の会議に今後臨んでいくに当たっての大臣の御決意というものを伺えればというふうに思います。

小池国務大臣 京都議定書のみならず、今アジア太平洋パートナーシップというまた別枠の議論の場もございます。それから、二国間でいろいろな会議の場も有しているところでございます。我が国は、やはり省エネ技術については既に知られているところでありますけれども、また強い援軍として、ノーベル平和賞を受賞されたケニアのマータイさんが、日本の環境に対しての知恵について、あたかも伝道師のように世界じゅうを回っていただいて、もったいないの心というのが日本にはあってというのを延々とやってくださっているんですね。

 そういった意味で、モラルの部分と技術の部分と、これを両方セットにしまして世界にアピールをしていく、それもありとあらゆる場面を通じてやっていくということが、結果として私は、国家の品格という言葉がはやっておりますけれども、それを高めていく、そしてまた省エネ技術を背景にした日本の物づくりをさらに強力にしていくということで、経済にもプラス。こういった形で経済と環境の両立をまず我が国ですることによって、それをモデルとして、こういった形でこうすればよくなるんですよということを他国にも教えていく、そしてともに歩んでいく、これが今後、我が国が環境立国として歩んでいくときの一番重要なプリンシプルになってくるのではないかなと思っております。

鈴木(馨)分科員 時間が参りましたので、最後に一言。

 まさに環境の問題というのは、今後の日本の産業、外交、そういったものの恐らく基軸の一つになるような問題だというふうに思っております。これからの京都議定書、ポスト京都の議論というのは、本当に日本の今後、将来の帰趨を決定するような、そういった非常に重要なものだと思いますので、ぜひとも強い御決意で臨んでいただきたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。

前田主査代理 これにて鈴木馨祐君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)分科員 民主党の佐々木隆博でございます。

 きょうは、くしくも環境の日ということであって、そのときに大臣と環境の問題について議論できるというのは、大変意義深い日に質問をさせていただいたというふうに思っています。

 二十一世紀は環境の世紀などというふうに言われておりまして、持続可能な発展とか持続可能な開発とか、持続可能という言葉が国際的にも国内的にも頻繁に使われるようになったわけであります。持続可能という言葉が使われるということは、裏を返せばこのままいけば持続不可能ですということを意味しているわけでありまして、省資源とかリサイクルとか循環型社会というものを真剣に考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。

 特に自然環境について言えば、これは一度壊してしまうと、まさに再生が不可能になってしまったり、あるいはまた再生するにしても何十年もかかるとか、あるいは何十倍もの費用もかかるというようなことを招きかねないわけであります。

 そこで、環境省が〇四年、一昨年から取り組んでおられますエコツーリズムについてお伺いをさせていただきたいというふうに思ってございます。

 私は北海道の六区というところでありまして、今、観光でいいますと旭山動物園が大変有名でありますし、そのほかに、大雪山のちょうど西側に位置してございますので、富良野とか美瑛とか、あるいは層雲峡というところを抱えている上川町とか、そういったところが私の選挙区であります。そういう地域にいればなおのこと自然環境の大切さというものを、私自身はある程度認識している人間だというふうに思っているわけであります。

 エコツーリズムというふうに言われているんですが、通常言われております観光、あるいはいわゆるツーリズムあるいはマスツーリズムなどという言い方もされているようでありますが、それとはどのように違うものなのか、概念、定義、目的、効果、必要性、それぞれについてお伺いをいたします。

    〔前田主査代理退席、主査着席〕

南川政府参考人 エコツーリズムでございますが、いわゆる百科事典的な定義はございませんけれども、私どもの理解としましては、地域の自然環境や歴史、文化を体験しながら学ぶ、その保全にも責任を持つ観光のあり方、観光の手法であるというふうに考えております。今、委員御指摘のとおりのいわゆる持続可能な観光形態だと考えておりまして、特定の地域に利用が集中して踏み荒らすとか、あるいはごみをまき散らして植生を壊すとか、そういったことがないものであると思っております。したがいまして、定義だけ言いますと、観光の一部ということになるわけでございます。

 このエコツーリズムを進めることによりまして、環境を守りながら地域振興あるいは環境教育というものを推進したいということでございまして、全体的な地域社会の持続可能な発展、形成ということにもつながると考えております。

 環境省では、小池大臣が議長となりまして、エコツーリズム推進会議というものを設けまして、憲章をつくり、またインターネットによりその情報をまとめ、さらに大賞の授与、モデル事業などを実施しているところでございます。

佐々木(隆)分科員 今、一部お答えいただきましたそのモデル事業について、ことしが三年目というふうに伺っておりますけれども、そこについてもう少し詳しく伺いたいのであります。

 それと、今ありました地域振興という言葉や教育という言葉や、いろいろな言葉がその中に出てくるわけでありますが、それについてはこの後少し論議をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、この三年間、二年とことしで三年ということだと思いますが、この取り組みについてお伺いをいたします。

南川政府参考人 十六年度から三年間、十三地域におきましてエコツーリズムのモデル事業を実施しております。

 タイプを三つに分けておりまして、豊かな自然の中での取り組みということで知床あるいは青森県の白神、東京の小笠原、九州の屋久島、それから二つ目が多くの来訪者が訪れる地域ということで裏磐梯、富士山の北山麓、兵庫の六甲、九州の佐世保、それから身近な里地里山ということで田尻地区、飯能地区、飯田地区、湖西地区、南紀・熊野地区という、十三地域を選んでおります。

 私ども、おのおのにつきまして、基本的にはソフトの支援でございまして、例えばエコツーリズムのカレッジを開催するとか、ガイドラインをつくるとか、それからその地域の自然の資源調査を行うといったことも行っております。これはさまざまでございますけれども、全体としまして申しますと、その体制づくり、それからルールづくり、そしてそのプログラム開発、あるいはガイドの育成、そういったことを行っておるわけでございます。

佐々木(隆)分科員 今お答えをいただきましたが、エコツーリズムということは、一つには自然保護ということに役立たなければいけないという分野と、先ほどもちょっと地域振興というお話がありましたが、観光ということとこれは一見矛盾といいますか、ある種対立といいますか、そうしたようなものを一体化していこうということだというふうに思うんですね。ということは、限られた資源というものをいかに傷つけないで、より多くの人にどう楽しんでもらうかという非常に難しい課題だというふうに私は思っております。

 今、例に挙げていただきましたが、例えば屋久島なんかでもエコツアーの事故があったり、それから西表島とか小笠原諸島でのガイドツアーで、例えば希少種への悪影響だとかあるいは生態系の攪乱などといった自然破壊的なことも懸念をされているというようなことも報じられたりしているわけでありますが、その状況などについて見解を伺います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、現状では、ガイドをつけたのに事故が起きたとかいうこともございますし、また、特定の地域に利用が集中して、一部踏み荒らしがあるということもございます。

 御指摘の例えば屋久島でございますけれども、この地域では、地域で協議会をつくりましてそういった問題を克服すべく議論を進めております。例えば屋久杉地域に利用が偏るということを避けるために里ツアーということで、南の方に温泉が出たりしますけれども、そういった温泉のところも活用するとか、あるいは、北西に永田浜というカメが来る浜がございますけれども、そういった地域もそのツアーに使っていただくということもございます。

 また、救命講習の受講ということもやっておりますし、それから料金の明示ということで、よくわかる料金の自然ガイドの登録をするといったことも進めておるところでございます。

 それから、西表、小笠原等でございますけれども、一部、船の利用によりまして、特に西表でございますけれども、干潮のときにスピードを出しますと、波でマングローブの根がやられるということもあるようでございます。したがいまして、例えば干潮時にはスピードをダウンする、そういったマングローブ保護のルールづくりといったことも行っておるところでございます。

 私ども、ぜひルールを決めて、長く自然と人が共存できるようにしていきたいと考えております。

佐々木(隆)分科員 ありがとうございます。

 今お答えをいただいているわけでありますけれども、後ほども論議をさせていただきたいんですが、今の答弁でもそうなんですが、外から来る人たちにそれほど気を遣うべきものでないというふうに私は思っているんですね。外から来る人ができるだけ遠慮をすべきなのがエコツアーだと私は思っているんですけれども、そういったことなども含めてこれから少し論議をさせていただきたい。

 環境省が幾つかエコツーリズムの方策として大賞とか、それからインターネットでどこにどんなものがありますという一覧表といいますか、それを公表というか紹介しているわけですが、このことが逆に、ここに出ていればそういうところですという、ある種お墨つきになって一般の人たちがどんどん入っていってしまうというようなことも起きているようでありますので、そういったことなどもぜひこれから留意をしていっていただきたいなというふうに思っています。

 そこで、もう一方で、これはぜひ大臣にお答えいただきたいなと思うんですが、例えば知床などでは、行かれたこともあるというふうに伺っておりますが、あそこは財団が運営しておりまして、利用料などを含めて基金に積まさって、それが自然保全のために循環をされているというようなシステムがつくられております。それから、今もお答えいただきましたが、西表島とか小笠原諸島では、そういったいろいろな問題があったという反省もあって、それぞれの地域が協議会をつくって、利用時間を区切るとかあるいはガイドが一人で受け持つ人数は何人に制限するとか、今はかなり厳しい条件を決めて取り組んでいるというふうにも伺っているんですが、エコツーリズムの目的というのは、その土地の自然やその土地の文化やその土地の歴史を知ること、知的探求と言ったりもしますが、そういったことと、その地域をどう保全するかということだと思うんですね。そうした意味でいうと、私は、観光事業とは明らかに違うものでなければならないというふうに思うわけでありますが、大臣の見解を伺います。

小池国務大臣 私、環境大臣に就任いたしまして、たしか一番最初に取り組んだのはこのエコツーリズムでございます。推進会議をつくって、みずから議長を務めさせていただき、先ほどのエコツーリズムの定義であるとかこれからのルールづくり、そして憲章といった形で、自然保護の御専門の方、また観光の御専門の方などなど、それぞれの専門の観点から知恵を出していただいてエコツーリズムとはということでまとめていただきました。

 と申しますのも、ちょうど知床が世界遺産の登録を間近に控えているということもこれあり、また、例えば新聞などによく旅の広告が出ていますよね、何でもかんでもエコツアーと書いてあって、これでいいのかなというような気もして……。そして、エコツーリズムというのをしっかりと確立していかないと、世界遺産に登録しました、観光客がその地に、例えば知床にどんどんやってきました、その結果として知床が荒れ果てましたといったら、何のために世界遺産に登録するのかわけがわからない話になってしまいますよね。

 ですから、観光と自然の保護は相反するようでありますけれども、しかしながら、秩序立った形で観光を行っていかないと、逆にエコの部分も守られなくなってしまったら後の祭りになってしまうということでございまして、利用の方法の制限であるとか、それから地域の野生生物や自然環境などの資源を損なうことなく永続的に活用していく旅のあり方というような形で、ルールづくりとその普及に努めてまいった次第でございます。

 きちんとやってくださっているところは例えば推進マニュアルなどをつくっておられますし、また、例えば文字どおりエコとツーリズムとをうまく連携させておられるところについてはエコツーリズム大賞といった形で褒めてさしあげるとか、いろいろな形で、ただ観光客が何万人ことしは来ましたということを誇りとしないで、どうやって自然を守りながら観光が行われているかを誇りとするというような形に軸足をくうっと移すことができたらなと思っております。

 それには、知床でこれまでも長年取り組んでこられました財団活動、ナショナルトラストのような方法も既に定着しているものですし、そういったところと一緒に連携をして、さらに自然の保全ができる方法で進めていくことができればすばらしいことだと思っておりますし、また、そういったことをほかの地域が学ぶこともできるわけであります。

 ということで、知床における方法、それから屋久島における方法、尾瀬の場合とか、守る自然の保全の仕方がそれぞれ異なりますので、それぞれの地域でもって一番自然が保全される方法はどうなのかというのはその地域の方々が一番よく御存じでありますので、そういった方々を交えてその地域でのエコツーリズムのあり方ということについて考え出していただく、そして、ともに環境省もお世話させていただきながらそれを前に進めていただく、こうすることによって持続可能な形でのエコツーリズム、そして自然がしっかりと守れるエコツーリズムというのが定着していけば、最終的にそれは地域の活性化にもつながってくる、このように考えているところでございます。

佐々木(隆)分科員 答弁ありがとうございました。大臣と私にそんなに認識の違いはありませんし、ぜひそういった意味で取り組んでいただきたいというふうに思うんです。

 先ほど大臣がお答えになった世界遺産も、今、たしか何カ所か取り消しになっているところもあるはずですよね、荒らされてしまったことによって。なぜ私がこのテーマを取り上げたかというと、エコツーリズムという名をかりたエコツアーといいますか、エコツアーという名をかりたただの観光といいますか、何かエコという名前がついていればということになってしまって、どんどん観光業者のような方が入り込んでくるというようなことになってしまっては、せっかく今までつくり上げてきた地域の文化とか歴史とかあるいは保全されてきた自然とかが壊されてしまうということを私は非常に心配するものですから、そういうことを申し上げました。

 もう一つ、これはここで論議すべき課題ではありませんけれども、日本は休むことに対してステータスが低過ぎると思うんですね。日本語では余暇というふうに言いますが、余った暇をとれと言われて、みんな余りとりたくなくなるんだと思うんですね。みんな余暇をとりなさいとりなさいと言われたって、字は結局余った暇と書くわけですから。英語はリゾートとかレクリエーティブとかと言って、非常に休むことに対するステータスが高い。そのことが結果として、もっと知的な時間をゆっくり過ごすというところに行っている。そういった意味では、エコツアーではなくて、エコツーリズムというものを通じて、そういうところに発展をしていくべきだというふうに私も思うものですから、あえてこの論議をさせていただいているわけであります。

 生物多様性の保全、再生、創出、維持管理というのを目的にした自然再生推進法があります。もう一つは、その前の年でありますが、自然公園法が整備をされてございます。整備をされていながら、しかしこれもまた十分に活用されていないのではないかというふうに思うわけでありますが、例えば自然公園法では、利用調整区域の設定などという論議が参議院で行われておりまして、附帯意見などもついております。そのときには、例えば知床のようなところとかというような論議がなされたというふうに記録に出ておりましたけれども、そんなことの取り組み方ですね。

 それから、もう一つは、自然保護協会とか、あるいは自然体験活動推進団体という団体、協議会がありますけれども、実は、五月二十日の日ですけれども、超党派の自然体験推進議連というのがありまして、そこの皆さん方が私の選挙区であります富良野を訪れていただきました。倉本聰さんがやっております富良野自然塾で一泊二日で学習をしていっていただいたわけでありますが、そういった団体、今の超党派の方じゃなくてもともとの推進協議会ですが、あるいはグリーンツーリズムという、農山村の方の活性化機構などいろいろな自然体験型の団体というのがあるというふうに思うんですが、このエコツーリズムを進めていくためにはどうしてもそういう団体との連携というのが非常に大切だというふうに思うんです。

 最初の自然公園法の今の状況と、その団体との取り組みについてお伺いをいたします。

南川政府参考人 まず最初の自然公園法の活用の問題でございます。

 御指摘のとおり、自然公園法におきまして、利用調整地区というものが指定できるということにいたしましたけれども、まだいまだ指定されておりません。御指摘のとおり、知床での地域指定を今現在検討中ということでございます。

 ただ、こういった法を参考にしまして、法律、制度ではございませんけれども、東京都の例えば伊豆諸島の一部では、ごく狭い地域をその地域のルールとして利用調整地区的な約束事に決めまして、そこには入らない、そしてその周辺の地域にもガイドツアーつきで人数を限定して入る、そういった活動の一つのヒントにはなっているようでございます。いずれにしても、私ども、指定の検討を急ぎたいと思います。

 それから、関係のいろいろな団体もございますし、また制度としてのグリーンツーリズムといったこともあるわけでございます。団体につきましては、私ども頻繁にお会いをしております、ガイドさんをつくる団体とか、それから鳥獣保護と自然の体験学習を兼ねたような団体もございます、かなりすぐれた団体も多うございまして、非常にその知見が深いということで随分意見を伺っております。

 それから、グリーンツーリズムにつきましては、これは法律もあるわけでございますけれども、基本的には、一部旅行業法の規定を緩めて農家での民宿をやりやすくしようということが主なねらいだということで聞いておりまして、当然ながら、エコツーリズムがうまく普及すればグリーンツーリズムにも寄与する、そんなふうに考えております。

佐々木(隆)分科員 始まったばかりの取り組みですから、ぜひいろいろな関係する団体と幅広に連携を深めていただいて、このエコツーリズムが、せっかくスタートさせたわけですから、きちんと前へ進んでいくように進めていただきたいというふうに思います。

 自然公園ということでいうと、これは少し論議から離れますけれども、先ほど申し上げました大雪山が国立公園でありますので、そこでは、十勝岳の監視事務所というのが上川町にありまして、これは自然公園を監視するということも含めて、十勝岳の噴火ということもあるんですけれども、自然公園の監視ということもありますので、そういったものなどもしっかり利用していっていただきたいというふうに思ってございます。

 最後の質問になるというふうに思いますが、環境という字は、境の中で環(まわ)ると書いて環境というわけでありますね。だから、一定の境目の中で循環をするから環境なんだというふうに思うんですが、日本は世界の人口の二・三%しかいないのに資源は七%から八%使っているというふうに言われていて、この時点で環境を既に破壊している国なわけでありますが、だからできるだけ負荷をどう少なくしていくかということが大切なんだというふうに思います。

 そういった観点で、エコツーリズムというものを進めていく上で、一つは、単なる推進ということではなくて、ガイドツアーなどによる自然利用の規制と、自然環境や文化の保全を趣旨とした包括的な制度設計が必要だというふうに思うんです。だから、一つは規制、一つは保全という、こういうちゃんとした制度設計が今後必要だというふうに私は思っております。

 今まではどちらかというと、エコということが言われる前までは、せいぜい域内の人たちが利用するという程度のものだった、例えば山菜とりのような。それから、もう一つは登山というようなものでいえば、ほとんどは自己規制、登山者に対してマナーを守りなさいということだけで今までやってきたというふうに思うんですね。

 そういった意味からいうと、このエコツアーというのは、今まで観光スタイルというようなことを想定していなかったところにエコツアー、エコツーリズムという新しいものが入ってきたというふうにとらえるべきだと思うんです。つまり、自然体験型産業による自然利用というものを想定していなかったと思うんですね。

 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますが、規制と保全というのが私はここのポイントだというふうに思いますが、そこは先ほど大臣もおっしゃっておられたように、ルールづくりと、とりわけガイドをどうつくっていくかということだというふうに思います。

 一つは、貴重な自然を維持するためのどういう循環システムをつくるか、いわゆる、ちゃんと還元をされていって保全に回されていくというようなシステムをどうつくるか。あるいは、参加者がそこへ行って環境のために何か労力奉仕をするとか、そうしたシステムをどうつくるか。

 もう一つはガイドをする方の資格の問題だと思うんですが、私は、このエコツアーに関して言えば、地域の歴史や文化、自然というものに踏み込むわけですから、そこの地域の人たちが主たる役割を担わなきゃいけないし、むしろ地域の人にガイドは限定をされてもいいのではないかというふうに思っています。

 それと、もう一つは規制の問題でありまして、どちらかというと、今まではツアー客のマナーの方に頼っていたのを、事業者、そこへ連れていく人たちのマナー、規制というものも必要なときを迎えているのではないかというふうに私は思いますが、このことについて大臣のお考えをお伺いいたします。

小池国務大臣 最初に環境という言葉の意味についてお話がございました。よく英語から日本語にするときに福沢諭吉が訳したとか、いろいろありますけれども、環境についてどういうふうな経過をたどったのか、ちょっとよくわかりません。

 いずれにしましても、きょうのこのエコツーリズムの御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、適切なルール、それを実際に実施していくためにも適切なガイド役が必要である。中にはインタープレーターという言い方もありますけれども、そこの道からは行かないでください、それから、この野の花は何という花ですよということもちゃんと説明もしてくれるというような、そういったガイドさんの存在、その役割というのは極めて大きいものがあろうかと思っております。そのためにもガイドの質の向上ということも重要かと考えております。

 そして、地域の人をということでございますが、確かにその地域の方々は一番よく知っていらっしゃるわけで、例えばけもの道でも、そっちへ行くと危ないとか、やはりずっと長くそちらにおられるわけですから、いろいろなことを当然よく御存じであることは事実でございます。

 ただ、限定することはないと思うんですね。いろいろな方がその地域と新たにかかわりを持って、そして、そこで自然を守っていくことに大変人生をかける人もおられるわけでありますので、むしろその方が広がりが出てくるのではないか、このように考えておりますので、ふさわしいガイドの方を、ちゃんとルールを守って、それを広めていくガイドの方を、そういった人材を今後とも育てていきたい、広げていきたい、このように思っているところでございます。

佐々木(隆)分科員 終わらせていただきますが、最初に申し上げましたように、自然というのは壊すとなかなか修復のできないものでありますので、そういった意味では、私はエコツーリズムそのものは反対ではありませんし、みんなが自然に触れ合っていただきたいというふうに思うんですが、そこにはやはりきっちりしたルール、規制というものがあってこそだというふうに思いますので、今後ともその点をよろしく推進いただきますように申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて佐々木隆博君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。与謝野金融担当大臣。

与謝野国務大臣 平成十六年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成十六年度の当初予算額は、百七十二億八千七百四十万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額五億八千五百十三万円余を減額いたしますと、平成十六年度歳出予算現額は百六十七億二百二十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額百五十四億九千九百四十一万円余に比較いたしますと、十二億二百八十六万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、一億七千六百十七万円余であります。これはモデル事業有価証券報告書等電子開示システム開発経費でありまして、計画及び設計に関する諸条件の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。

 また、不要となった額は十億二千六百六十八万円余であります。これは、情報処理業務庁費を要することが少なかったこと等のためであります。

 以上をもちまして、平成十六年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

伊藤主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民主党の福田昭夫でございます。

 忘れもしない平成十五年十一月二十九日、足利銀行が無理やり倒産させられた日であります。私は当時の栃木県の知事といたしまして強い憤りを感じまして、その翌々日、十二月の一日、首相官邸で行われました都道府県知事会議において、小泉総理そして当時の竹中金融担当大臣に、足利銀行は純業務利益をもともと五百億円も上げるほどの実力のある銀行です、したがって、不良債権は一千億円以上ありますけれども、公的資金を二千億円以上も投入してくれれば、あとは時間をくれればしっかりと自力再生できるじゃないですか、どうして破綻処理をしたんですか、そういうお尋ねをいたしましたが、残念ながら満足な回答は得られませんでした。きょうはぜひとも与謝野大臣から明快な答弁をお願いしたいと思っております。

 それでは、大きな質問、二点でございますが、一点目は足利銀行の破綻処理についてでございます。

 まず、りそな銀行と足利銀行の平成十五年三月期と九月期の自己資本比率、債務超過額、純資産額ですか、繰り延べ税金資産が何年分、総額として幾らになっているか、ぜひ教えていただければと思います。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

佐藤政府参考人 まず、りそな銀行でございますけれども、平成十五年三月期は資産超過が一千百八十一億円ということで、自己資本比率二・二七%、それから十五年九月期は資産超過額七千三百五十四億円、自己資本比率八・三八%ということでございます。繰り延べ税金資産の額につきましては、平成十五年三月期が三千九百十六億円、十五年九月期が三百五十九億円計上されているということでございます。この繰り延べ税金資産の見積もり期間でございますけれども、主要行におきましては平成十五年九月期以降公表されておりまして、りそな銀行の平成十五年九月期につきましては一年分ということになってございます。

 それから足利銀行でございますが、平成十五年三月期は、自己資本比率、これは銀行の公表したベースでございますが、十五年三月期の決算で四・五四%、七百四十五億円の資産超過ということでございます。続きまして、十五年九月期は自己資本比率マイナス三・七二%、債務超過額が一千二十三億円ということでございます。同じく、繰り延べ税金資産の額は、先ほどの十五年三月期におきまして千三百八十七億円、それから十五年九月期についてはゼロということでございます。

福田(昭)分科員 まず事実関係を確認させていただきましたが、そうしますと、りそな銀行の平成十五年三月期三千九百十六億円の繰り延べ税金資産額については何年分というのはわからないんでしょうか。

佐藤政府参考人 何年分という点につきましては、銀行とそれから独立した監査法人との間の協議によって決まってくるものでございまして、銀行の方から公表がなされておりませんのでお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 ただし、これまでの国会での御審議等の中で、新日本監査法人、これはりそな銀行の担当をいたしております監査法人ですが、新日本監査法人の理事長である竹山氏が三年であるということを発言されているということでございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございました。

 それでは二点目の方へ入らせていただきますが、りそな銀行が預金保険法の百二条の一号措置となった根拠と理由についてぜひ教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 りそな銀行のお話の前に、預金保険法百二条の構成につきましてちょっと……(福田(昭)分科員「それは結構ですから」と呼ぶ)よろしいですか。

 それでは、りそな銀行でございますが、平成十五年三月期におきまして自己資本比率が国内基準である四%を下回ることとなりました。ただ、債務超過ではなく、また破綻という事態にも至っていなかったということでございます。ただし、このような事態を放置した場合には我が国の金融システムに対する内外の信認を損ない、我が国及び同行が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがあるということから、そのような金融危機の発生を未然に防止するために、平成十五年五月十七日の金融危機対応会議の議を経て、いわゆる百二条の第一号措置、資本増強の措置を講じたものでございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 大臣、そこでちょっと、通告はございませんがお伺いしたいんですが、先ほど、監査法人がりそな銀行の繰り延べ税金資産は三年分認めた、こういう話がございますが、そうした中で、やはり専門家の話によると、りそな銀行も一年分しか認められなかったらこれは債務超過だったんではないか、そういう指摘がありますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 いわゆる百二条の措置は金融危機を回避するための制度でございまして、その運用に当たりましては、その時点で得られる最も確実性の高い情報に基づいて迅速に対応するということが求められておるところでございます。

 資本増強の必要性の認定の前提となりましたりそな銀行の十五年三月期決算につきましては、厳格な外部監査を反映したものでございまして、これを罰則で担保された銀行法第二十四条により、当局において直ちに報告徴求を行った上で確認したところでございます。そういう意味で、確実性の高い情報であったということでございます。繰り延べ税金資産の計上につきましては、独立した監査法人が銀行との協議を経て、知り得た事実に基づいて判断されたものというふうに承知をいたしております。

福田(昭)分科員 今回はそれまでにしておきますけれども、ただ、そうした中でいろいろな見方があるようでございますので、本日は三十分しかないのでこの程度で終わらせておきたいと思います。

 それでは次に、足利銀行が同じく預金保険法の百二条の三号措置となった根拠と理由についてお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 足利銀行につきましては、同行から、平成十五年九月期決算におきまして債務超過となる旨の報告及び破綻の申し出がなされました。また、これとあわせまして、同行の規模や栃木県における融資比率が極めて高率ということなどから、同行が果たしております金融機能の維持が地域の信用秩序の維持のために必要不可欠である、こういったことを総合的に勘案いたしまして、平成十五年十一月二十九日の金融危機対応会議の議を経て、第三号措置を講じたものでございます。

 預金保険法の百二条では、一号措置から三号措置まで対応のメニューが書いてございますけれども、第一号措置、資本増強という措置は資産超過の銀行のみに対応可能な選択肢でございまして、破綻あるいは債務超過といった銀行の場合には第二号措置、第三号措置のみが適用可能な法的枠組みとなっております。

 この中で、足利銀行が栃木県を中心とする地域において占めている非常に重要な地位を私どもとしては認識をいたしましたので、第二号措置ではなく第三号措置をとったということでございます。

福田(昭)分科員 第三号措置をとった理由はわかりましたが、しかし当日、十一月二十九日に行われました小泉総理が議長の金融危機対応会議、この会議はたった二十分しか行われなかったと聞いておりますし、その中で、預金保険法に定める、地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められる、こう書かれておりますけれども、そのときの具体的な状態がどうなっていたのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 例えば、足利銀行が栃木県の地域において占めております融資の比率、これは県内で五割を超えておりました。また、融資先の企業の数も極めて多数でございました。また、地域のいわば県民銀行として非常に多数の顧客から預金を預かる、こういった役割を果たしていたということでございます。

福田(昭)分科員 それはそのとおりだと思いますが、しかし、金融庁が重大な危機と具体的に定めている四つの状態、一つは預金の大幅流出とか、あるいは株の暴落とか、大規模な貸し渋りとか、あるいは連鎖倒産のおそれ、こういった金融庁が定めている基準に四つ具体的な状態を述べておりますけれども、そんな状態は何一つなかったのと違うんでしょうか。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げました、この銀行が栃木県地域において占めている非常に大きな役割に着目いたしますと、債務超過であって破綻の申し出ということもなされた、こういう状態を放置しておけば大幅な融資の信用の収縮あるいは預金の流出ということが十分に予想されたということでございます。

福田(昭)分科員 しかし、私の方から考えさせていただけると、債務超過になって銀行みずからが破綻処理申請、無理やりさせたのと違うんですか、基本的に。

 その経過を見てみますと、金融庁が足利銀行の検査に入ったのが平成十五年の九月の二日から十一月の十一日まで二カ月余りでございますね。その際、資産査定において、特に担保評価を、今までは積算方式だったものを突然収益還元法へ転換をして、厳しい査定をして無理やり債務超過にしたんじゃないでしょうか。

佐藤政府参考人 個別銀行の個別の検査について直接あれこれコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ただいま御指摘のございました、例えば不動産の評価につきましては、恐らく物件の規模であるとか、あるいは収益が上がってくる仕組みであるとか、そういったことに着目をいたしまして、収益に基づいて当該不動産物件の価値を評定する、将来の収益の流れ、これを割引現在価値に置きかえてそれを足し上げる、こういった手法は、不動産の評価、鑑定の中でごく一般的に行われていたものであると思います。

 こういった手法を適用するのがふさわしい大口の案件についてはこういったことを検査一般で適用することがございますけれども、これは他の銀行を含めまして、全体の銀行検査の中で特異なことではないというふうに理解をいたしております。

福田(昭)分科員 これも長くやっていると時間がなくなっちゃうのでやめますけれども、特異なことではない、足利銀行に、地銀に初めて導入したのに特異なことではないというのはおかしいんじゃないでしょうか、基本的に。

 後でそれはまたやることにいたしまして、そのときの金融庁の検査の状況につきましては、当時の足利銀行の行員がいろいろなところでしゃべっているのが新聞報道とか雑誌などに載っておりますので、後でそうしたことは時間があれば御紹介したいと思いますが、それはそれは金融庁の検査は大変厳しいものだったと伺っております。

 それでは、その次に、時間がなくなってきましたので先に進みたいと思いますが、あしぎんフィナンシャルグループの優先株式への配当及び残余財産の配分についてでございますが、このことにつきましては質問通告してありましたが、答えは要りません、時間がないので。

 ただ、このことについては、国もさすがに良心の呵責を感じたか、私どもの県の企業とか、自治体に対する配分を多くしてくれたことには感謝をしたいと思っています。きっと整理管財人の清水弁護士が相当活躍してくれたのだと感謝をいたしておりますが、このことについては国も相当譲歩をしていただいたな、こう思っております。

 次に、五点目です。それでは、国立の足利銀行の現在の再生状況について、今回の平成十八年の三月期の決算を踏まえまして、どのように評価をいたしているのかお伺いをしたいと思っていますが、ぜひ、これは大臣からひとつお願いをできればと思います。

与謝野国務大臣 先生は栃木県政に深くかかわっておられたのでもう何から何まで御存じだと思いますが、平成十六年につくりました経営に関する計画、これは三カ年計画でございますけれども、最初の年、ことしと、私どもの目からはほぼ計画どおり物事が進んでいる。これは、足利銀行の経営陣及び行員の皆様方の努力ももちろんでございますけれども、県及び地域社会の皆様方が足銀の将来を本当に心配してくださっているというその結果であると私どもは思っております。

福田(昭)分科員 私も大臣と同じ見方ですが、これからの三年計画が、いよいよ残されたあと一年なわけですが、あと一年の状況をよく見ていくと、今回の国がとった措置がいかに間違いだったか、私はそういう証明になるんではないかと思っているんですね。したがって、今回の措置をむしろ、それこそりそな型の一号措置でやっておけば、税金も余計かからなかった、それから県民資産、国民資産も破損しなくて済んだということで、これは全く当時の竹中金融行政の大きな間違いであった、私はそういうふうに今思っているわけでございますが、ぜひ大臣の御所見もあればお伺いをしたいと思います。

与謝野国務大臣 法律を適用するに当たっては、金融庁としては恣意的に物を考えたわけではありません。これは足利銀行自体のお申し出、破綻するというお申し出に従って、どの条文のどこを適用すればいいかという極めて冷静な、法律的な判断に基づいて足利銀行に対する措置をとったと私は確信をしております。

福田(昭)分科員 ありがとうございました。

 それでは、この足利銀行の破綻処理について、私の見方を最後にまとめて、また御所見をいただければと思っていますが、ここに、御存じの、当時の竹中金融行政を批判しておりました当時早稲田大学大学院教授の植草教授、残念ながらセクハラで逮捕されてしまいましたが、あれももしかしてやらせだったんじゃないかと私も疑っているような状況でございますが、この植草教授がフォーブスの二〇〇四年の三月号で「「足銀ショック」はゆがんだ竹中金融行政の副産物」だ、こう書いております。この中で、見事に言い当てていると私は思っているんですが、

  りそなにとって繰り延べ税金資産を一年と認定されるか三年と認定されるかでは、天国と地獄ほどの違いがあった。

  一年では債務超過になるから、「破綻処理」となり、預金保険法百二条第三号の適用を受け足利銀行と同じ扱いとなる。しかし三年では自己資本比率が二%になり、預金保険法百二条第一号が適用され、「破綻前処理」としてペナルティなしで公的資金が注入される。

  りそなの場合、厳正に破綻処理した場合には、金融恐慌となっていた可能性が高く、同時に小泉政権も崩壊していただろう。

  それをルールを踏み越え救済したので、政権の延命はできた。しかしその後、りそな処理に対して強い批判が生じたので、そうでない足利銀行のような実例を出しておく必要が生じたのだと私は見ている。

こう植草教授は見事に言い当てております。

 したがって、植草教授の事件も冤罪かな、私もそんな思いも実はいたしているところでございますが。そして、植草教授のように、このことを同じように考えている人がたくさんいらっしゃいます。私もある有名な経済人とも話したことがありますし、エコノミストとも話したことがありますが、ある経済人などはこんなことを言っておりました。足利銀行とりそな銀行の措置は反対だったんじゃないか、足利銀行はむしろ一号措置、公的資金の投入で、りそなが三号措置で、これが特別危機管理銀行だった。これが経済界の見方だということを、名前を言っては失礼ですから言いませんが、ある経済の大変活躍している大物の方から実は伺ったことがございます。

 したがって、そんなことを考えますと非常に疑いが強くなるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、足利銀行の破綻処理の経過を見てみますと、まず、何といっても平成十五年の九月の二日から検査に入って、しかもその検査のときに検査結果を足利銀行に伝えたのは例の粉飾決算で処分されました中央青山監査法人で、繰り延べ税金資産五年分認めないと通告したその日に、金融庁も、実は平成十五年三月期の決算は債務超過だ、こういう検査通知を渡しているんですよね、足利銀行に。

 ですから、無理やり債務超過に追い込んで、しかも足利銀行の経営陣に泣く泣く、まさか足利銀行がみずから破綻処理申請するなんてことはないと思いますから、無理やり監査法人を使い、しかも足利銀行の監査法人に、みずから、債務超過です、破綻申請をします、助けてください、こういう申請を出させれば金融庁はしめたものですよね。金融庁が、金融庁の指導でやっていない、足利銀行がみずから破綻申請したんですと言えば理由は通っちゃうわけですね。

 こういう答えを当時の、小泉総理はしませんでしたが、竹中大臣はそう答えました。いや、我々がやったんじゃないですよ、足利銀行がみずから、債務超過です、助けてくださいということで破綻処理申請してきたんですよ、ですから私たちは栃木県のために三号措置したんですよというのが当時の竹中大臣の答えでしたが、しかし、よくよく考えてみると、無理やりそうさせたんではないか、こう実は疑えるわけでございます。

 そんなことを考えますと、私は、これはまさに国家権力の濫用だ、そうとも言えるんじゃないかなと思っています。したがって、これは国家賠償法に基づく賠償も国としては必要になるんじゃないか。私は、そうした金融庁のやり方だったんではないかと思っているところでございますが、まさにこれは大臣の御所見を伺えればと思います。

与謝野国務大臣 そういう説をなす方がおられるかもしれませんけれども、金融庁は、出てまいりました数字、また法律に照らして最善の道を選んできたわけでございます。

 また、監査法人に対する我々の立場というのは、監査法人は監査法人で客観的に決算を見ていただく、数字を見ていただくということで、私どもから監査法人に対して、こうしてほしい、ああしてほしいと言うようなことは全くございませんで、これはやはり監査法人が監査法人としての責任を果たすための判断をされたというふうに私どもは理解をしております。

福田(昭)分科員 このことで時間がなくなっちゃうんで、これで終わりにしておきたいと思いますが、いずれまたしっかりとやらせていただきたいと思います。

 大きな二点目として、受け皿の決定についてでございます。

 いよいよ受け皿の決定時期というのも、そろそろタイムスケジュールにしっかりとのってくるのかなというふうに思っておりますが、そうした中で、受け皿の決定方法と時期について簡潔にお伺いしたいと思いますが、ルールに基づいて公正に、随契ではなく入札でやるのかどうか、また、その方法と時期についてお伺いをしたいと思います。

与謝野国務大臣 まず、私どもが自覚しなければならないのは、足利銀行というのは栃木県の地域経済にとって極めて重要な銀行であって、受け皿というのはやはり栃木県の地域経済を心配していただく方でないと、受け皿としては適当ではない。栃木県に全く縁もゆかりもないということではなくて、むしろ栃木県のことを心配する方に受け皿になっていただきたいと思っております。

 受け皿の選定をどういう手順でどういう時期からやるかということは、まだ確定的なことは申し上げる段階にはありません。しかしながら、経営に関する計画の中で少しずつ内容は改善されておりますから、この傾向が続いていけば近い将来そういうことが話題になってくると思います。

 その場合にはやはり何といっても県の皆様方の御意見を静かに伺うということが私は大事なところであって、やはり足利銀行は栃木県経済、栃木県民とともに歩んでいくという宿命があるわけですから、県民の皆様方の御意向を十分考えながらそういう一連の物事を考えていかなければならない、私はそう思っております。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 与謝野大臣にかわりましたら、前の大臣二人と違って、地元の意見をちゃんと聞く、こうお答えをしていただいたので、それは喜んでいるところでございます。

 そこで、時間もなくなりましたので、最後に受け皿に対する地元の希望についてお話をちょっとさせていただきますが、受け皿に対する希望をまとめてみますと、まず一つは、単独再生を望んでおります。特に県内企業の約七割が、地元の新聞社の調査によりますと約七割、正確には六八%が単独再生を望んでいると。

 それから二つ目は、どうしても外資はやめてほしいというのが二つ目であります。

 三点目は、先ほど大臣からも話がございましたが、栃木県にとりましては本当に大事な大事な銀行でございましたから、地元の企業の面倒をよく見て育ててくれるようなところにやはり受け皿になってほしいというのが三点目。

 それから四点目は、これはなかなかうまい方法がなくてみんな悩んでおりますが、どうしても、私が再三申し上げているように、今回国に無理やり破綻させられた、そういう思いがあるので、もとの株主が、ぜひ新しい銀行が誕生するときには希望者はもう一度株主に優先的にさせてほしい、実はそういう思いがあるということでございます。その思いが、私とちょっと口論、けんかをした相手でありますが、渡辺喜美衆議院議員などは県民銀行なんと言っておりますが、これは私は現実的じゃないと思っていますので反対をいたしましたが。

 そういった意味では、本当に国家権力の濫用とも言えるような事件でございますから、新しい銀行が誕生するときには、地元のもともとの株主がもう一度新しくなった足利銀行の株主になりたいというときには優先的にやはり株を分け与えるような仕組みをぜひつくってほしいというのが四点目かな、こんなふうに思っております。

 そこで、確認しておきたいことがあるんですが、それは、今地元では受け皿銀行についていろいろなうわさがございます。どこどこ銀行だ、いや○○銀行だ、××銀行だ、そういううわさがたくさんあるんですが、そうした中で、実は一つだけ異質なところがあるんです。それは、実はあしぎんフィナンシャルグループの北関東リースを買ったオリックスです。オリックスのオーナーが、小泉内閣のブレーンで、しかも政府の規制改革・民間開放推進会議の宮内議長ということもありまして、しかも足利銀行本店にオリックス北関東リースが既に入って仕事をしている、そんな話がありまして、もしかしてオリックスが受け皿になるんじゃないか、そんなうわさも実はあるわけです。

 これは普通は銀行の名前が幾つか出ているんですが、異質なのが一つ、このオリックスなんですね。しかも、オリックスは資本が外資六割なんですね。そういうことを考えると、どうも県民の皆さんが疑うというのももっともかなと。実はこんな話があるんですが、大臣、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 無理やり破綻させられたという部分はとても承服しがたいわけでございますが、基本的には、先生御主張になられるように、やはり県の経済を本当に心配する人が引き受けてくださらないと、県民も納得しませんし、また銀行も成功しないと私は思っております。

 ただ、今いろいろ具体的な名前を挙げられましたけれども、実際は、一切話題になっておりませんし、まだそういう受け皿については金融庁は準備にも着手しておりませんので、全くの白紙だと。ただ、栃木県民の御意見には十分耳を傾けたい、そういう気持ちで将来の受け皿についても考える、これは先生にお約束をしておきます。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、最後に二点だけ要望させていただいて終わりにしたいと思います。

 一つは、やはり特に旅館とかホテル等の再生にあわせて、先日は地元の建設産業協会が、実はぜひ、旅館とかホテルとかを建て直すときに地元の土木建設業者を使ってほしいというような要望書を出しております。まだ、声なき声で、なっていないんですけれども、しかし、地元のいろいろな商品を扱っている業者も、いろいろな物品とか食料品とか、そういうものもできるだけ地元の業者を使ってほしい、そういう要望が大変ございます。旅館、ホテル等のオーナーになった人たちがどうしても県外から、外から品物を購入するという機会が多いものですから、そんな声があるので、ひとつ御配慮いただければありがたい、御指導いただければありがたいというのが一つでございます。

 それから、先ほども申し上げましたが、地元の皆さんが、何とかもう一度自分たちの足銀にしたい、こういう強い思いがありますので、ぜひ地元の意見もしっかり聞いていただいて、地元の皆さんが、特に企業の皆さんが安心できるような受け皿を決めていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。

前田主査代理 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十六年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は七十億五千七百八十一万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十九億六千七百七十四万円余と比較いたしますと、九千六万円余の差額が生じますが、これは、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため、不用となった額であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

前田主査代理 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。竹崎最高裁判所事務総長。

竹崎最高裁判所長官代理者 平成十六年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千百五十六億二千七百五万円余でありますが、これに財務省所管からの移しかえ額四千八百九十六万円、平成十五年度からの繰越額二十八億三千二百三十六万円余、予算補正追加額三十二億九千三百七十六万円余、予算補正修正減少額四十三億三百四十二万円、差し引き十八億七千百六十六万円余が増加となり、歳出予算現額は三千百七十四億九千八百七十二万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千七十八億九千三百八十四万円余であり、歳出予算現額との差額は九十六億四百八十八万円余であります。

 この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は六十三億九千三百六十五万円余、不用額は三十二億千百二十二万円余であります。

 不用額となった経費は、人件費二十三億九千百三十五万円余とその他の経費八億千九百八十七万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は百三十八億千二百十八万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は百七十三億二千二百二十七万円余であり、歳入予算額に対し三十五億千八万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金の増加等によるものであります。

 以上、平成十六年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、常勤医師の研修等に係る勤務時間の管理を適切に行うことにより、家庭裁判所における給与の支払いを適正に行うよう改善させたものであります。

 家庭裁判所では、常勤医師に対して精神医学や臨床医学などの医学知識や医療技術等を維持向上させるために、勤務時間中に外部の施設等で無報酬に限り診療行為等に携わらせる研修を行わせております。その研修に係る勤務の実態の把握が十分でなく、勤務時間の管理が適切に行われておらず、そのため医療機関等から報酬を得ていたり兼業の許可を与えていたりした一部の常勤医師について給与の減額措置がとられていなかった事態は適切とは認められず、改善の要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、最高裁判所では十七年九月に通達等を発するなどして処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが説明を終わります。

前田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。竹崎最高裁判所事務総長。

竹崎最高裁判所長官代理者 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、最高裁判所のとった措置について御説明申し上げます。

 常勤医師の研修等に係る勤務時間の管理につきましては、平成十七年九月に高等裁判所等に対して通達等を発するなどして、適切な管理を行うよう措置を講じたところであります。

 今後とも、予算のより適正な執行につき努力する所存であります。

前田主査代理 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 次回は、明六日午前十時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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