衆議院

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第2号 平成18年6月6日(火曜日)

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平成十八年六月六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 伊藤 達也君

      赤池 誠章君    坂井  学君

      とかしきなおみ君    中山 泰秀君

      矢野 隆司君    池田 元久君

      津村 啓介君    筒井 信隆君

      古本伸一郎君    前田 雄吉君

      松原  仁君    上田  勇君

      佐藤 茂樹君    福島  豊君

      江藤  拓君

   兼務 広津 素子君 兼務 安井潤一郎君

   兼務 逢坂 誠二君 兼務 神風 英男君

   兼務 長妻  昭君 兼務 山井 和則君

   兼務 鈴木 宗男君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (行政改革担当)     中馬 弘毅君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   衆議院調査局長      大西  勉君

   衆議院法制局法制企画調整部企画調整監       伊藤 和子君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 阿部 隆洋君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     黒澤 隆雄君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   会計検査院事務総局第五局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            関戸 秀明君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            畑中龍太郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            谷口 博文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房総務課長)            上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房人事課長)            片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房在外公館課長)          今村  朗君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局北東アジア課長)      伊藤 直樹君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局中国課長)         泉  裕泰君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中田  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間杉  純君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           塚本  修君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     谷 みどり君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      久米 正一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          松田 浩二君

   外務委員会専門員     前田 光政君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     とかしきなおみ君

  池田 元久君     津村 啓介君

  佐藤 茂樹君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   坂井  学君

  津村 啓介君     古本伸一郎君

  上田  勇君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  古本伸一郎君     松原  仁君

  福島  豊君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  松原  仁君     池田 元久君

  高木美智代君     佐藤 茂樹君

同日

 第二分科員安井潤一郎君、逢坂誠二君、山井和則君、鈴木宗男君、第三分科員広津素子君、第四分科員神風英男君及び長妻昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔国会、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁)、外務省及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十六年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中金融庁、内閣所管、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、外務省所管、国会所管、会計検査院所管、環境省所管、内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 昨日に引き続き内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。広津素子君。

広津分科員 広津素子です。どうもありがとうございます。

 きょうは、貸金業をめぐる高金利、過剰融資等の諸問題について御質問させていただきます。

 現在、我が国における多重債務者は二百万人と言われており、二〇〇四年度における自己破産の申し立て件数は二十一万件超、経済・生活苦を原因とする自殺者数は約八千人を数えています。こうした悲劇的な状況が生まれた背景として、貸金業における高金利や過剰融資の存在が考えられます。

 私の地元、佐賀県の弁護士会や行政書士会などで、そのような問題意識から調査を行い、その結果の陳情を受けましたので、これらの問題に関連して幾つか御質問させていただきます。

 まず、高金利問題について、私の見解を御説明します。

 現在、利息制限法の上限金利は年一五から二〇%、元本百万円以上ですと一五%、十万円から百万円ですと一八%、十万円未満ですと二〇%の上限金利になります。それに対しまして、刑事罰の対象となる出資法上の上限金利は二九・二%、約三〇%弱であり、両者の間に乖離が生じております。

 公定歩合が〇・一%、銀行の貸出約定平均金利が年二%以下、普通預金金利が〇・〇〇一%という超低金利時代におきましては、企業の粗利益率、これは売上高マイナス仕入れ高、単純に商品の売り上げから仕入れを引いた金額。これは、粗利率よりも二九・二%という利子率は高い場合がありまして、余りにも高くて、この金利を、まじめに事業を行うことによって支払える企業というのはほとんどないと思われます。

 そして、こうした高金利でも貸金業者に貸し倒れが発生しないのは、事業の基盤となる工場や店舗を担保にとったり、親戚や知人に保証させたりして、利用者の支払い能力を無視した過剰融資が行われているからであり、その結果、多くの多重債務者を生み、無理な回収を行って、自殺者をふやす結果となっております。

 そこで、上限金利引き下げに関する御質問をいたします。

 まず、出資法上の上限金利二九・二%を、少なくとも利息制限法の上限金利まで引き下げるべきであるという意見があります。私もそれが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 上限金利に関する出資法、利息制限法の規制はともに法務省の所管でありますが、出資法が刑罰の対象となる金利を定めているのに対し、利息制限法は民事の一般法として、貸金業者だけではなく個人の間の貸し借りにも広く適用される、民事上無効となる金利を定めているところでございます。

 四月の二十一日の貸金業制度等に関する懇談会におきましては「座長としての中間整理」が取りまとめられました。その中で、出資法の上限金利については、利息制限法の上限金利水準に向け、引き下げる方向で検討することが望ましいとの意見が委員の大勢であるとされているところであります。

 現在、金利規制を含め、貸金業制度等に関する諸問題については、与党においても議論が行われていると承知しているところでありまして、金融庁としても、最近の最高裁の判決も十分念頭に置きながら、多重債務を防止する観点から、どのような道筋をとることが適切か、検討を深めてまいりたい、こう思っているところでございます。

広津分科員 どうもありがとうございます。

 次に、上限金利の決め方は、固定金利がよいのか変動金利がよいのかについて御質問をいたします。

 利息には固定金利と変動金利があります。固定金利とは、満期までの利率が決定されており、その後、途中で経済環境が変化して公定歩合が下がり、市中金利が下がっても、満期まで最初に決めた金利が維持されるというものです。これに対し、変動金利とは、満期までの期間に市中金利が変化すると、これに連動する形で金利が変動するものです。低金利時代には、高い固定金利は債務者に不利となるため、避けるのが通常です。

 諸外国の例では、例えばドイツでは、市場平均金利の二倍を超える金利は暴利であって無効とする多くの判例があり、フランスでは、金利規制法により、市場平均金利の三分の四を超えると暴利とされ、刑事罰が科されます。

 我が国においても、ドイツ、フランスのように上限金利に変動利率の採用を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

 なお、金利は、貸出金利イコール基準金利プラスリスク、つまり、リスクと申しますのは企業ごとに異なっておりますので、したがって、借り手の信用力に応じて金利設定をするのは合理的であると考えられます。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 金利の問題につきまして、所管は法務省でございますが、私どもが承知しているところで申し上げますと、今委員御指摘ございましたように、ドイツでは、上限金利は、判例上、市場貸付金利の二倍か、あるいは市場貸付金利に一二%を加えた率の低い方にされております。また、フランスにおきましては、上限金利は金融機関による与信の平均利率に連動して変化しているというふうに承知をいたしております。

 先ほど副大臣からお答えございましたが、二十一日の中間整理におきましても、この金利水準について多くの議論がございました。その中で、貸金の市場においては、他社借り入れによる返済等を通じた信用リスクの転嫁、あるいは信用情報の不完全な利用等によって価格メカニズムが十分に機能していないから、現段階においては上限金利規制が必要との見解でおおむね一致したわけでございますが、その上で、上限金利規制としては、固定金利型と、今ほど御指摘ございました市場金利連動型があり得るという御意見が懇談会でもございました。

 いずれにいたしましても、金利水準等の問題につきましては、多重債務を防止する観点等から、どのような対応をとることが適切か、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

広津分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、みなし弁済規定、貸金業規制法四十三条の撤廃に関して御質問いたします。

 本来、貸金業者が資金を貸し付ける場合、利息制限法を上回る金利は原則として無効なはずですが、借り手がみずからの意思で利息を支払い、貸金業者が適切に契約書や受領書等を発行している場合には有効となる規定、いわゆるみなし弁済規定が存在します。

 本来、みなし弁済は、一定の業務規制を遵守した貸金業者に対して、利息制限法の例外を与え、業務の適正な運営の確保と資金需要者の利益の保護を図るべく定められたものです。しかしながら、現在では、貸金業者が利息制限法の超過利息を徴収する口実として利用され、過剰融資、多重債務、自己破産等の温床になっていると考えられます。

 この際、みなし弁済の規定は撤廃すべきと考えますが、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 四月二十一日の貸金業制度等に関する懇談会において「座長としての中間整理」がまとめられたところでありますが、その中でも、「現行の「みなし弁済」制度については、貸し手は利息制限法を超える金利が民事上無効であることを説明する必要がなく、借り手は当初の金利支払契約の一部を弁済時に反故にできるという点で、双方の不公正な対応を容認する制度であり、廃止すべきとの意見で概ね一致した。」とされているところでございます。

 現在、金利規制を含め、貸金業制度に関する諸問題については、与党等において議論が行われているところと承知しておりますが、金融庁といたしましても、最近の最高裁の判決も十分念頭に置きながら、多重債務を防止する観点から、どのような道筋をとるのが適当であるか、検討を深めてまいりたい、こう思っております。

広津分科員 わかりました。どうもありがとうございます。

 次に、日掛け金融の特例廃止に関して御質問いたします。

 現在、日掛け金融については、中小自営業者に対して、百日以上にわたり、期間中半分以上の日数を店舗または自宅に集金に行くという一定の要件を満たすことを条件として、上限金利五四・七五%の特例が認められています。五四・七五%です。

 しかしながら、最近、こうした高金利に着目した貸金業者による、集金名目での厳しい取り立てや、要件を満たさない主婦やサラリーマンへの貸し付け等の違反が後を絶たないそうです。また、返済手段が多様化している今日、日掛け金融の持つ本来の、日々集金に来るという形態が、果たして今でも必要か否かも疑問に思われます。

 この際、日掛け金融に対する高金利の特例廃止を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 日掛け貸金業者は、三つの要件、すなわち、一、主として物品販売業、サービス業などを営む者で、常時使用する従業員が五人以下であり、小規模のものを貸し付けの相手方とすること、二つ目に、返済期間が百日以上、三つ目に、返済金を返済期間の百分の五十以上の日数にわたり、かつ、貸し付けの相手方の営業所または住所において貸金業者がみずから集金する方法により取り立てるとの要件を満たすことにより、出資法上の特例金利、いわゆる五四・七五%での貸し付けが認められているところでございます。

 四月二十一日の貸金業制度等に関する懇談会において「座長としての中間整理」がまとめられた中でも、日賦貸金業につきましては、要件外の違法な貸し付けや集金方法が多発しているということ、最初に日賦貸金業者から借りるというよりは、それ以外の貸し手から借りられなくなった借り手が利用していることなどから、日賦に対する健全な需要が本当にあるのかどうか疑問であり、特例金利五四・七五%を見直すべきとの意見が委員の大勢であったというところでございます。

 御指摘の日賦貸金業者の問題につきましては、多重債務を防止する観点から、これから検討を深めていきたい、そう考えております。

広津分科員 わかりました。どうもありがとうございます。よろしくお願いします。

 次に、保証料に関して御質問いたします。

 保証料は、本来、金利とは性格を異にするもので、保証会社が信用保証を行う対価としてもらうものです。

 しかしながら、貸金業者と提携関係にある保証会社が取る高額の保証料が、金利と合計すると出資法の上限金利を上回るような高額の実質金利を借り手に負担させる原因の一つとなっています。つまり、保証料という名のもとに金利を上乗せしているということもあるわけです。

 この点について、何らかの対策が考えられているのでしょうか。御質問します。

谷口政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま保証料に関するお尋ねでございましたが、出資法の第五条第七項におきまして、金銭の貸し付けを行う者がその貸し付けに関し受ける金銭、及び、貸し付けられた金銭について支払いを受領し、または要求する者が、その受領または要求に関し受ける元本以外の金銭につきまして、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、利息とみなして上限金利の規定を適用する、このようになっておりまして、保証料につきましても、これらに該当するというふうに認められる場合には、出資法上、この上限金利の適用に当たって利息とみなすということになると考えられます。

 具体的なケースにおきまして、これは出資法ではなく利息制限法に関連する最高裁の判例でございますけれども、保証会社が貸金業者の一〇〇%子会社であるというような場合におきまして、貸金業者が、法を潜脱し、当該保証会社に保証料等を取得させ、最終的には同社から受ける株式への配当等を通じて保証料等をみずからに還流させるといった目的で、借り主をして保証会社に対する保証委託をさせている。このようなケースにつきまして、保証料等を利息とみなすという判決が出されているものと承知をいたしております。

 私どもといたしましては、このような判例を参考にしながら、仮に法令違反の事実が認められると判断した場合には、貸金業規制法に基づいて適切に対応してまいる所存でございます。

広津分科員 どうもありがとうございます。

 ちょっと弱いかなと思いますのは、保証料を支払って保証されている場合にはリスクがかなり低くなりますので、それならば金利を低くしてもいいはずだというふうに思いますので、金利を高くしながら保証料をなおかつ取っているというのは、ちょっと不自然かなと思います。

 次に、省庁間の対応と連携について御質問いたします。

 そもそも、利息制限法は、一九五四年、個人間の貸し借りなどを規定する目的で制定されたものであり、法務省の所管となっています。これに対し、出資法は、同年、やみ金融の取り締まりを目的に制定されたものであり、法務省及び金融庁がその所管となっています。また、貸金業規制法は、一九八三年、消費者金融の規制策の一環として議員立法で制定されたものです。

 こうした法律制定に至る背景や所管する省庁の違いが、金利問題等がスピーディーに進展しない原因の一つではないかと考えられますが、この点について、各省庁の対応及び連携状況をお聞かせください。

櫻田副大臣 利息制限法の上限金利は、民事の一般法として法務省が所管し、また、出資法の刑罰対象金利の部分についても法務省が所管しているところであります。

 そうした上限金利規制を含めた貸金業制度をめぐる諸問題を議論する金融庁の貸金業制度等に関する懇談会においては、法務省にもオブザーバーとして御参加をいただいており、金融庁といたしましても、これまで必要に応じて連絡をとり合ってきたところでございます。

 また、懇談会の「座長としての中間整理」で示されました御指摘や意見等について法務省と意見交換を行っているところであり、引き続き連携を確保してまいりたい、こう考えております。

広津分科員 本当によろしくお願いします。どうもありがとうございます。

 次に、広告規制について御質問いたします。

 借り手が消費者金融から借り入れを行う背景には、少なからずテレビコマーシャルの影響があると言われています。また、新聞、雑誌、インターネット、看板、ビラなど、多くの媒体を駆使して、借り入れ意欲を喚起するような広告も数多く見受けられます。

 たばこの警告文言のような他の規制事例を参考にしながら、こうした広告規制について考える必要があると思われますが、いかがでしょうか。

畑中政府参考人 お答えを申し上げます。

 中間整理におきましても、今御指摘の点は大きな論点になったところでございます。

 この整理におきましては、このような記述がございます。「テレビコマーシャルの影響を受けて消費者金融業者から借入れをする者が多いなど、貸し手の広告が、特に若者の借入行動に大きな影響を与えていること、また、雑誌、新聞等の媒体に加え、近時は広告の媒体としてインターネットなどが多用されるといった動きが見られることから、外国の規制例や「たばこ」の警告文言や広告の規制を参考にしつつ、その頻度と内容も含めて借過ぎを防止するための規制を強化することが必要であるとの意見があった。」というふうに整理をされております。

 この広告規制につきましては、資金需要者が貸し付け条件に関する重要事項を過不足なく正確に把握できるようにするといった観点、あるいは、特に若者などが無計画に借り入れを繰り返すことがないようにする、そういった観点から、どのような対応が適切か、検討してまいりたいと考えております。

広津分科員 既に言われていることを再度申し上げて申しわけありませんでした。

 次に、参入規制、監督方法について御質問いたします。

 過剰融資や違法行為を生まないためには、貸し手のコンプライアンス意識の徹底や倫理観の高揚が必要であり、貸金業者の社会的責任も強く求められます。この点に関連して、貸金業者への参入を適格性ある業者へ限定するため、貸金業取扱責任者などの貸金業を行うための資格を制度化すべきとの考えがありますが、いかがでしょうか。

 また、現在、貸金業協会の自主規制はどの程度機能しており、今後どのように強化していかれる予定でしょうか。

 なお、監督行政の実効性を担保するため、現在の行政処分の登録取り消しや業務停止処分に加えて、業務改善命令を導入することが必要と考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、立入検査権限の強化や無登録業者に対する罰則強化についても検討が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目の取扱主任者制度等の資格制度についての御指摘でございました。

 これにつきましては懇談会でも同様の御指摘がございまして、「貸金業務取扱主任者について試験による資格を制度化するなど、参入規制を強化すべきであるとの意見で、概ね一致した。」ということでございました。これは、東京都等からも、コンプライアンス上問題の多いいわゆるトイチ業者についての説明等があったところでございまして、こうした実態等も踏まえて検討する必要があると考えております。

 それから、業務改善命令についての御指摘がございました。

 これは、委員御案内のように、現在の貸金業規制法上は、登録取り消しとそれから業務停止に関する規定はございますが、業務改善命令に関する規定はございません。したがいまして、一般論ではございますが、行政指導や注意ということにとどまりますものですから、牽制効果や周知効果に限界があるとの指摘がございます。この問題は、規制当局自身の問題でもございますので、多重債務を防止する観点からどのような対応が適切か、金融庁としても検討していく必要があると考えております。

 それから三点目につきましては、立入検査権限あるいは無登録業者に対する罰則強化という御指摘がございました。

 この立入検査権限も、規制当局自身の問題でございます。それから罰則につきましては、これは平成十五年の改正のときに、いわゆるやみ金対策法で非常に重要な問題ということで罰則強化がなされたわけでございますが、さらなる取り扱いについてどうするかということにつきましては、これは罰則の問題でございますので、法務当局の意見も十分伺う必要があると考えております。いずれにいたしましても、検討を深めてまいりたいと考えております。

 自主規制につきましては、監督局から答弁をさせます。

谷口政府参考人 貸金業協会に関するお尋ねがございましたので、つけ加えさせていただきます。

 貸金業協会は、貸金業規制法上、都道府県ごとに設立することができるというふうにされております。具体的に、貸し付けや取り立て行為、広告等に関する自主規制基準を策定しているとか、あるいは貸金業者に関する苦情相談の受け付け、処理、あるいは貸金業者の従業員に対する研修など、貸金業者による法令遵守及び業務の適正化等につきまして、一定の自主規制機能を果たしているものと承知いたしております。

 懇談会におきましてもこの点についての指摘がございまして、「貸金業協会は、現行貸金業規制法上、借り手の保護、苦情の処理、貸し手への指導・研修、信用情報機関の利用による過剰貸付けの防止といった重要な役割を担っているにもかかわらず、加入率が極めて低い状態にある。このため、加入へのインセンティブを高めるとともに、業界全体の自主規制機関としての機能強化を図る必要があることについて、概ね意見の一致」を見たというふうに記載されておるところでございます。

 私どもといたしましても、こういった点を含めて検討を深めてまいりたいと考えております。

広津分科員 よろしくお願いします。

 最後に、セーフティーネットに関して御質問いたします。

 無担保の消費者金融を利用し多重債務へ陥る借り手の中には、本来、社会保障によって手当てされなければならない人も多く存在すると思われます。そして、日本では社会保障よりも消費者金融の方が身近にあるとやゆする人もいます。

 こうした、本来、生活保護、失業保険、雇用確保などの社会保障で救済すべき人たちが消費者金融に走るという実態があるのであれば、その解決策についてどのように取り組まれているのでしょうか。御質問します。

中村政府参考人 社会保障についてのお尋ねがございましたので、まず、全般の状況について御説明をさせていただきます。

 セーフティーネットということについて申し上げますと、例えば、貧しい方は生活保護を受けられますけれども、我が国の生活保護は、昭和五十九年から平成七年まで一貫して保護率が落ちてまいりました。しかし、経済不況の結果、平成七年をボトムにして、今日まで保護率は上がっている。そういうことで、委員の方は、貧しい方がいれば社会保障の方で救済すべきではないかというお話でございますが、ボトムのときに比べて、今日保護率は六割程度上がっているということで、そういった意味では、低所得者の方でお困りになっている方で、生活保護の要件、これは自分で働ける方はまず働いてください、そういう厳しい要件はございますけれども、生活保護の方が六割ふえているということは、ある意味ではセーフティーネットが機能している、こういうことではないかと思います。

 また、さまざまな社会保障制度のもとで、例えば国民年金、介護保険、国民健康保険などの保険料は低所得の方には軽減をしておりますし、また、そういった方々がそういうサービスを受けられるような場合、例えば医療保険だと三割負担、介護保険だと一割負担などでございますけれども、それぞれサービス料の患者さん、利用者さん負担の上限の設定をするなど、そういった意味では、社会保障の方でセーフティーネットの確保に努めているところでございます。

 今、そういった中で、消費者金融の方にそういった方が走られるのではないか、こういうことで、公的な制度として何も手がないのか、こういう御指摘だと思いますが、低所得者等の方々に対します資金貸付制度としては、国と都道府県が資金を出して、運営を都道府県の社会福祉協議会にお願いしてやっております生活福祉資金という貸付制度がございます。主として低所得者向けのこの制度を使っていただきますと、一時的な不意の出費でございますとか、緊急の小口融資でございますとか、お子さんの修学資金あるいは離職者の支援資金など、そういった資金がございまして、低所得世帯のニーズに対する生活の安定のために活用されている制度ではないかと思います。

 しかしながら、必ずしも十分周知されていないというようなこともございますし、貸し付け決定までに時間がかかる場合がある、こういうような御指摘もいただいておりますので、私どもといたしましては、こういう制度もあるということで積極的な広報を行うとともに、一層活用されるように努力してまいりたいと考えております。

広津分科員 どうぞよろしくお願いいたします。ほかに手がなくて高金利の貸金業のところに走るという人が少なくなるようにお願いいたします。

 これで私の質問を終わります。

伊藤主査 これにて広津素子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 平成十六年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額は二千七百四万円余でありまして、これを収納済み歳入額四億一千百四十二万円余に比較いたしますと、三億八千四百三十七万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は九百二十二億四千七百二十五万円余でありまして、これを支出済み歳出額八百九十億九千四百三十七万円余に比較いたしますと、三十一億五千二百八十七万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は六億三千六百八十二万円余であり、不用額は二十五億一千六百五万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

伊藤主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 平成十六年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額は五百八十八億四百九十九万円余でありまして、これを収納済み歳入額七百七十七億一千八十二万円余に比較いたしますと、百八十九億五百八十二万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は五兆六千三百六億五千三百六十九万円余でありまして、支出済み歳出額は五兆四千八百五億二千九百六十五万円余に比較いたしますと、一千五百一億二千四百三万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は九百五十六億六千七百七十四万円余であり、不用額は五百四十四億五千六百二十九万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、防衛庁、金融庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額は三千四百七十四億九千四百九十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額三千四十三億五千九百三十七万円余に比較いたしますと、四百三十一億三千五百六十万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二百二十七億六千九百九万円余であり、不用額は二百三億六千六百五十万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院高山第三局長。

高山会計検査院当局者 平成十六年度内閣府決算のうち、歳入及び内閣本府、宮内庁、公正取引委員会関係の歳出について検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、磁気探査のため、水上において設置、撤去する仮設足場に係る費用の積算に関するものであります。

 磁気探査で使用する大規模で連続した仮設足場に係る費用の積算に当たりまして、地質調査で使用する比較的小さい仮設足場を対象としている市場単価を適用するなどして算定していたため、一日当たりの施工量及び作業員の職種が施工の実態と相違しており、適切なものとなっていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、沖縄総合事務局では、十七年八月に新たに磁気探査で使用する仮設足場費に係る歩掛かりを制定し、同年九月以降積算する工事から適用する処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

伊藤主査 次に、会計検査院増田第五局長。

増田会計検査院当局者 平成十六年度沖縄振興開発金融公庫の決算について検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

伊藤主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。小池沖縄及び北方対策担当大臣。

小池国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、沖縄総合事務局において改善措置を講じたところであります。

 今後、道路整備事業を所管する国土交通省の指揮監督のもと、沖縄総合事務局において一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより外務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生外務大臣。

麻生国務大臣 平成十六年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は九千九百八十億一千八百九十五万円余でありまして、支出済み歳出額は九千四十億二千六百八十二万円余、翌年度繰越額は八百一億三千六百八十三万円余、不用額は百三十八億五千五百三十万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千八十二億三千七百十七万円余、前年度繰越額一千三百九十四億五千七百五十四万円余、予備費使用額五百三億二千四百二十三万円余であります。

 以上、平成十六年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項に対する処置状況一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号十号は、職員の不正行為による損害が生じたもので、在ウィーン国際機関日本政府代表部の職員が、契約等の事務に従事中、職員宿舎に使用する建物を借り上げるに当たり、家主との間で借料を水増しした契約を締結して、水増しした借料と実際の借料との差額の払い戻しを受け、これを領得していたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、日本人学校の校舎等の建設等に対する援助に関するものであります。

 日本人学校の校舎等の建設または購入に対する援助に当たり、援助額の算定の基礎となる援助基礎額の算出手順が明確なものとなっていなかったなどのため、援助基礎額に開差が生じていたり、援助金と金融機関への償還金との乖離の状況を把握していなかったなどのため、交付した援助金の総額が償還金の総額を上回っていて援助金が過大に交付されていたりしており、援助額の算定及び援助金の交付が適切なものとなっていない事態が見受けられました。外務省において、当該援助を適切なものとする必要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、外務省では、十七年十月に援助基礎額の算出手順を明確化したり、援助金の交付について、毎年度の運営主体の金融機関への償還の状況を十分把握し、これを踏まえた援助金の交付を行ったりするなどの処置を講じたものであります。

 なお、以上のほか、平成十五年度決算検査報告に掲記いたしましたように、在外公館における出納事務の執行について処置を要求いたしましたが、これに対する外務省の処置状況についても掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

伊藤主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。麻生外務大臣。

麻生国務大臣 会計検査院の検査の結果、在外公館の会計経理について指摘を受けたことはまことに遺憾であります。

 外務省といたしましては、関係職員の厳重訓戒処分の措置を既にとっております。また、在外公館に対して改めて会計手続の厳守及び館内におけるチェックを徹底するよう指導するとともに、在外公館で会計業務に従事することを予定している、または現に従事している職員に対する会計研修・指導及び支援体制の強化などの措置を講じてきております。

 今後とも、これらの措置を着実に実施し、予算の適正な執行や不正の再発防止に努めてまいる所存であります。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 限られた時間ですから、簡潔に質問しますので、答弁の方もよろしくお願いします。

 今、外務省の予算執行等の話を聞きながら、大臣、外務省の中で、飲酒運転をして人を殺しても大使になっている人がいますね。しかも、処分が停職一カ月なんですね。これは、私の質問主意書に対して、ドミニカ大使の岡本さんという人が、かつてモロッコでそういった事故を起こして、人を死なせているんですね。国内では考えられませんね。外交特権を使ってのそういう処置なんですけれども、このことを大臣はどう考えますか。

塩尻政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、特命全権大使……(鈴木(宗)分科員「塩尻さん、時間がないから、私の質問にだけ答えてください。事実関係は質問主意書で出ていますからね」と呼ぶ)はい。

 自動車を運転し、人の死亡にかかわる交通事故を起こした者がおります。それは御指摘のとおりでございます。

 大使の任用につきましては、適材適所の観点に立って、公正かつ厳格に判断しております。

鈴木(宗)分科員 官房長、大使は少なくとも認証官ですね。では、こういう事故を起こしましたと天皇陛下様に報告でもしているんでしょうか。

 そういったことをきちっと説明しないで、委員長、どうですか。国内で飲酒運転をして人を殺したら、どんな処分が待っていますか。先生方、どうですか。そういったことを明らかにしないで、内々で済ませていくだけでも、私は外務省の特権意識があると思うんですが、大臣はその点、どうお考えでしょうか。

塩尻政府参考人 繰り返しになりますけれども、大使の任用につきましては、適材適所の観点から、公正かつ厳格に判断するということでやっております。

 一般論になりますけれども、我が国の特命全権大使としてふさわしい見識を有するというふうに考えておりまして、大使に任用したということは妥当であったというふうに考えております。

麻生国務大臣 鈴木先生、これは犯罪者の意味にもよるんだと思いますけれども、今言われたように、その職員が任国の法令に反する行為を行ったことは事実であります。

 したがいまして、これらの行為に関しましては既に懲戒処分が行われているところでありまして、現在、これらの大使は、その後職務に励んでおり、職責を全うしているものと考えております。

鈴木(宗)分科員 大臣、その懲戒処分というのは、処分が停職一カ月なんですよ。通常の社会通念上あるいは常識から見て、飲酒運転して人を殺して、停職一カ月が妥当かどうか、このことを聞いているんですよ。いいですか。それは麻生大臣のときじゃないですから、何も私は大臣を責めているんじゃないんですけれども、そういった行為が多過ぎる。

 例えば、今パナマの大使をしている下荒地さんという人も、カナダで総領事のとき、奥さんに暴力行為を働いて、地元の警察に捕まっている。それでも今は堂々たる日本国の全権大使ですよ。少し甘過ぎはしませんかということを言っているんですよ。あるいは、痴漢行為だとか盗撮、各役所の処分一覧表を見ても、外務省が圧倒的に多いですね。

 私は、そういった点、規律がおかしい、あるいは甘えの構造があるのではないかと。この点、麻生大臣、せっかく総裁候補を久しぶりに外務省が持っての大臣なんですから、大臣みずから指導力を発揮してほしい、こういう願いを込めて今私はお話をしているんですよ。

 過去の慣例、前例は、余り我々国会議員も知らされていない。私なんかも、その中身を少し知っていて、今、外務省を応援し過ぎたかなという自責の念も込めて、あるいは、予算も外務省の言うとおり私はつけてきたわけですからね。そういった反省もしながら、今、国民の目線で、国民の支持なくしていい外交はできないわけでありますから、そういった意味で、私は、外務省に期待したいのは自浄能力なんですよ。そのことが必要ではないかということを言っているんですね。

 ぜひとも大臣の見解をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 外務省の職員が御指摘のあったような行為を行ったことに関しては、まことに遺憾のきわみ、それははっきりしていると思いますが、それらの職員に対してしかるべき処分はとったということなんだと存じます。

 その上で、外務省に在職をしております者もおれば、退職した者もおります。しかし、今、在籍をしておる者につきましては、それぞれ職務を全うしているんだと思っておりますので、処分を受けた職員は、既に処分を受けて復帰をしておりますので、そのこと自体に特段問題があるということでは思っておりません。

 ただ、それが重いとか軽いとかいうことになりますと、これはまた全然別の話です。

鈴木(宗)分科員 麻生大臣、ゆっくりまた議論したいし、またお話も聞いてもらいたいと思いますけれども、大臣も実態を知らないから、政治家としての今の表現ですよ。

 例えば、痴漢行為をして、減給五分の一の一年間の処分なんですよ。質問主意書に対する答えは全部、妥当であるという話なんですよ。悪かっただとか、これは社会通念上とんでもないことをしたという反省なくして、ただ処分は五分の一、一年間やりましたから妥当であるだとか。あるいは、平成十三年一月二十九日、電車内で女子高校生にさわる、これも減給一カ月ですよ。これも、外務省の評価は「妥当であった」ですよ、減給一カ月で。先生方、どうですか。一般の会社ならば首じゃないですか。違いますか。あるいは、平成十五年三月十日、出勤途中に乗り合わせた女子高校生に痴漢行為をする。停職二カ月で、「妥当であった」ですよ。

 だから、大臣、実態を知っていて――処分はなされた。それは処分はされているんですよ。それはいいんです。処分はなされた。しかし、甘過ぎはしませんか、今までのそういった、社会通念上から見て。そのことを私は、やはり政治家として、しかも期待されている麻生大臣だから、ここは少し甘えの構造は断ち切る、これはしっかり国民の目線になってやっていくんだという披瀝をした方が麻生大臣のためにもよろしいんじゃないかという親切で言っているということをわかってくださいよ。

 この点、ただ外務省の答弁書が「妥当であった」ですよ。国民から見たら妥当でない。私の方にはたくさんのファクス、メールが来ていますよ、ホームページを見て。外務省は甘過ぎる、特権意識だと。だから、それをきちっとするのが、私は大臣や副大臣の立場じゃないですかと。だから、そこで大臣の決意をお尋ねしたいということなんですよ。

麻生国務大臣 特権意識というような感じを持っているというのは今は余りいないんだと思いますけれども、処分というものは、これは多分人事院も関係しているんだと思いますが、そういったところと関係をきちんと詰めた上で処分をいたしておると思うので、したがって、妥当ということを言わざるを得ないところなんだと存じますが、いずれにいたしましても、それが気持ちとしては軽いか重たいか、いろいろ御意見の分かれるところだとは思いますけれども、少なくとも人事院等の指針に従って行っているというのであって、人事院はこれは反対というのであれば、それはすんなり通らなかったんだと存じますが。

鈴木(宗)分科員 人事院も絡む、それは処分してからの話ですね。あくまでもそれは外務省のイニシアチブといいますか、判断でいきますから、大臣も知っているとおり、役所の中での判断をほかの役所がそうそうと口を挟まないというのが、これまた役人同士の一つのルールといいますか、ゲームですね。ルールのゲームと言っていいでしょう。

 ですから、大臣はその範疇においての今の答弁だと思うんですけれども、いずれにしろ、こういった、お酒を飲んで人を殺しても停職一カ月で、これは国内では間違いなく考えられませんね。大臣、どう思いますか。

麻生国務大臣 国内だからどうの、国外だからどうのという話ではなくて、少なくともそれを決定しておりますので、しかも、それをきちんと人事院の対応も得た上での話だと存じますので、それ以上のお答えのしようがないと存じますが。

鈴木(宗)分科員 外務大臣、これだけで時間をとるというのはもったいないですけれども、やめますけれども、もう少し実態を調べて、外交特権があるから逮捕されないで済んだんですよ。いいですか。人事院とは関係ないですよ、モロッコでの出来事ですから。わかりますね。

 ですから、ちょっと大臣、せっかくですから、そういう通り一遍じゃなくて、私は、外務省をかばうよりも、国民の目線になった方が大臣のためになると思うんですよ。

 それと、大臣、やはり知らなかったことは知らないと言った方がいいですよ。今の岡本大使の件は、塩尻官房長も言ったように、事故を起こしたことを認めているんですから。しかも、お酒を飲んで間違いなくモロッコ人を一人死なせたんですよ。しかし、外交特権だから助かっているんですよ。わかりますね。これはだれが聞いたって、私の話に無理はないと思いますよ。

 これは外務省、大臣が職員をかばう気持ちよりも、国民の目線で、私はぜひとも判断してもらいたい。あるいはまた、きちっと、やる気のあるもの、あるいは信賞必罰等考えていただきたい、こう思うんですね。

 大臣、今、決算の話ですから、外務省の皆さん方は、給料のほかに、在外に出ますと、もう一つの給料と言われる在勤手当が出ますよ。これは大体、外務省からの質問主意書による答弁を見ると、一人当たり年間八百七万円もらっていますよ。これは給料以上もらっているんですね、本給以上に。あるいはまた、ランクが上になればなるほどその額はもっと大きいですよ。その中でも、例えば住居手当なんというのは、一人平均すると二十四万ですよ。これも、アメリカも中国もアフリカも、先進国、発展途上国全部合わせてもですよ。一人月二十四万円ですよ。年間約三百万もらう。これは、六本木ヒルズに全員が泊まるようなというか、住むような話なんですね。

 これなんかは、大臣、これから財政再建だ、財政の健全化だ、大きなテーマですよ、消費税率のアップ等。私は、必要な予算はつけていいと思いますよ。しかし、今までの惰性的で無駄だと国民が思うものについては、私はやはりカットしていった方が逆に外務省の信頼回復にもなると思うんですよ。

 そういった意味で、この住居手当なんかも、小泉総理は無駄なものは見直した方がいいということをぶら下がりでも言っておりますね。もうすぐ来年度予算の概算要求に入ってきますから、この点、在勤手当あるいは住居手当。配偶者手当も、これは皆さん、奥さん一人一緒に行くと月十万円ですよ。民間会社でいいところでも年間で十一、二万もらったら精いっぱいじゃないですか。それから比べたら、何のために奥さんを連れていくかといったら、やはり外交に資するためですよ。しかし、今、奥さんがみずから手料理をする、あるいはパーティーを開く、外へ出てやるというのはなかなかないんですね。それも、やっているところ、やっていないところ、それは濃淡あると思いますけれども。

 それと、やはり在外に出るとお金がたまるというのが専らの話ですよ。これは、今スイスの公使をやっている清井さんという人が「女ひとり家四軒持つ中毒記」という本を出していますよ。四年間で二千八百万、フランスでマンション買ってお金を払いましたという話。これはだれが見ても、外務省の在外で働くとそんなにいいものかという話であります。

 それともう一つ、これは外務省の人は知っていますけれども、松尾事件のとき、松尾さんとマージャンやった人、名前を挙げてもいいですけれども、この人はいつも私のところにこう言ってきましたよ。いや、まあ、負けたらアフリカに三年間行って頑張ってくるんです、それで全部借金を払います、こういう話をしていましたよ。これは私はじかに聞いていますよ。

 ですから、これも麻生大臣みずから、大臣の判断によって必要なものはとる、しかし無駄なものはやめる、こういう時期に来ているんでないかと私は思うんですよ。いかがでしょうか。

伊藤主査 麻生外務大臣。(鈴木(宗)分科員「ちなみに、大臣、こういう数字ですよ。これは外務省から来た……」と呼ぶ)

 指名を麻生外務大臣にいたしましたので、麻生外務大臣、まず答弁をお願いします。

麻生国務大臣 まず、在勤手当につきましては、少なくとも過去五年間ぐらいの間、在勤手当は約四割減っておりまして、それは御存じですね。一般の、いわゆる一等書記官クラスで約三割減っております。五年間で、第二の給料と言われましたけれども、第二の給料と言われるようなものが四割減っている、三割減っているというと、そんなにないんじゃないですかね。私は、基本的にはそういうぐあいにまず思っております。

 したがって、在勤手当というものにつきましては、少なくとも日本の企業とか、また主要外交官と比べましても……(鈴木(宗)分科員「大臣、在勤じゃない、私は住宅手当の話ですから」と呼ぶ)ちょっと、僕が答弁している最中ですから……

伊藤主査 主査が指名してから御発言をお願いします。

麻生国務大臣 指名してから答弁されるようにしてください。(鈴木(宗)分科員「いやいや、時間がないものですからね」と呼ぶ)時間がないのは、それはあなたの都合であって、私の都合ではありませんから。私は、答弁を頼まれたものだから答弁しているわけで……(鈴木(宗)分科員「いや、だから、私は住宅手当も聞いていますから、住宅手当について答えてください」と呼ぶ)

伊藤主査 主査が指名してから御発言をお願いします。

麻生国務大臣 だから、在勤手当と最初に言われたから在勤手当の話をしている。在勤手当の中に住宅手当も入っております……(鈴木(宗)分科員「ちょっと委員長、これは時間もないですからね。在勤手当には住宅手当も全部入っているんですよ。私はまとめて言っていますからね」と呼ぶ)

伊藤主査 主査が指名してから御発言をお願いします。

麻生国務大臣 住宅手当が在勤手当の中に入っているぐらい知っていますよ。だから、在勤手当と最初に言われたから在勤手当とお答えしているのでありまして、住宅手当は在勤手当の中に入っております。それはもう私もよくわかっておりますから。

 したがって、今私どもも、この五年間の間、約四割減ってきているという全体を見てみまして、こうやって見てみると、私どもから比べまして、特に日本の在勤手当が、急激に減らされた結果、在勤手当、住宅手当を含みます、特に高額というようなことはこの五年間の間に随分変わっているんじゃないだろうか、基本的にはそう思っております。

鈴木(宗)分科員 大臣、いいですか、減った、減らないじゃないんですよ。在外に行く、この清井さんの本にもあるように、本来つかみ金なんですよ、在勤手当というのは。本来精算すべき金なんですよ。ところが、使い切らないで、これはみんな蓄財に回しています。だから、こういう話が出てくるんですよ。使い切ったら家四軒持てますか。どうですか、先生方。大臣、少し、そうやって中身をしっかり、役人のつくった答弁のように答えるんじゃなくて、中身を見て言ってくださいよ。いいですか。減っている、では何で貯金がふえるんですか。

 ですから、その点、大臣、私は何もあなたと議論するんじゃなくて、あなたは今、役人の言われたとおりの答弁を言っていますから、私は、逆にこういう事例がある、「女ひとり家四軒持つ中毒記」。それと、例えばこの月刊現代を見てください。外務省の佐藤優さんという人が検事から言われたというんです。調べたら、あなたの仲間なんかは七千万も貯金しているよ、何でこんなにたまるんだと思ったら、やはり在外手当を全部預金に回しておったと、事実出ているんですよ。そういうことを踏まえて私は言っているんですよ。何もカットがどうのこうの言っているんじゃないんです。中身の問題で、私は、これも本来使い切る金なんですよ。貯金に回す金じゃないんです、この在勤手当というのは。日本外交に資するためにつけている手当なんですから。そうですよね、官房長。

 ですから、この点も、日本のためになる、そのために必要なものはふやすならふやしてもいいんですよ。しかし、働かないで、それを個人的な蓄財に回す。所得税法まで、私は知っていますから、これは無駄な時間はとりませんけれども、この点、もっと一般の人たちにも理解のできるレベルでやった方がいいんじゃないか、私はこういうことを指摘しているんですよ。

 例えば、健康管理休暇なんというのがありますよ。瘴癘地手当がありますよ。これはフィジーなんというところも瘴癘地手当に入っていますね、官房長。今ここへ来るまでに交通公社に寄ってパンフレットをとってきたんですよ。フィジーなんというのは、「ゆるやかな時間が流れる楽園」、旅行しなさいと日本は勧めているところですよ。そこへ瘴癘地手当がついている、健康管理休暇がつくなんということがちょっと時代的に合わないんじゃないんですかということを話しているんですよ。

 この点、ぜひとも大臣、私は、せっかく麻生大臣という強力な大臣ができたんですから、外務省の改革をすることがまた国民の理解も得られるわけだから、しっかりやっていただきたいなという意味でお話をしているということでおわかりをいただきたい、こう思っているんです。

 同じく、外務省に省員手帳というのがありますね。私が質問主意書を出しましたら、これは職員に出しているものですから、一般の人には出すことができませんといって、私にそういう答弁が来ました。そうしたら、おもしろいものですよ、外務省の中からちゃんと送ってくれました、こういう省員手帳。そして、この省員手帳にはこう書いています。「直接わが国の外交事務の遂行に関するものではありませんが、皆様が健康に恵まれて豊かな生活を送り、もって職務に精励できるように支援するものです。」と書いているんですよ。ところが、私の質問主意書に対する答弁では、この手帳は職員の執務参考用に作成されたものであることを踏まえて、いわゆるオープンにしていませんということなんですよ。

 これは塩尻官房長、頭に「直接わが国の外交事務の遂行に関するものではありません」と書いておきながら、閣議決裁を受ける答弁書では執務参考という表現をしていますよ。私は、これだけでも外務省は正直でないと思いますよ。しかも、何も悪いことをしている話じゃないんですから、外務省の人が在外から帰ってきた場合、少しでも英気を養うなり、その態勢をとるためのサポートなんですから、なぜ正直にこれも言わないかも私は不思議でならぬわけですよ。

 大臣、このことに関してどう思いますか。

塩尻政府参考人 省員手帳についての御質問がございました。

 これは、給与、休暇等外務省職員の勤務にかかわる諸制度が記載されておりまして、外務省が職員の執務参考用につくった文書ということで、外部には提供しておりません。

 この省員手帳の中に、個人情報あるいは法人情報等、公表したりあるいは提供するに当たってその可否を慎重に検討しなければならない情報があるということで、御理解いただきたいというふうに思います。

鈴木(宗)分科員 官房長、この手帳の何が個人情報に関しますか。これは皆さん、一回見てください。何もこれは、普通の手帳ですから、こういう恩恵があります、例えばホテルならば五〇%オフだとか、そういうことを書いているだけですよ。官房長、これで何が個人情報に該当しますか。個人の名前も何も出るわけでない、ただ手続の話を書いているだけですから。先生方もぜひともこれをあれしてください、これをお渡ししますから、何が実態かということを。

 省員手帳を私も全部見ましたけれども、何もこれは個人情報に関係ない。ただ、外交官のいわゆる恩恵といいますか、特典を書いているだけですよ。ここを使いなさい、ホテルならばこれだけ安くなりますよという、書いているだけなんですね。

 ですから、ぜひとも大臣、今の時代に合った、構造改革というのは痛みも伴うし自助努力が伴うわけですから、これは避けては通れない話だと思いますよ。そういった意味では、必要なものは制度として残してもいいけれども、甘いものはみずから断ち切るという判断をぜひともいただきたいなと私は思います。

 時間がありませんから、原田局長、来ていますから、さきの特別国会で、私はあなたにルーブル委員会に関して質問しました。私は、再度聞きます。

 月刊現代の佐藤さんの本を読みましたね。まず、それをお尋ねします。

原田政府参考人 熟読はしておりませんけれども、読みました。

鈴木(宗)分科員 この佐藤さんという人は、一時期あなたの直属の部下でありましたね、あなたが二回目の勤務のときは。あなたはモスクワに二回勤務しているわけですから。その中で、佐藤さんはこう書いていますよ。「外務省が」、ルーブル委員会ですね、私が国会で質問主意書を出した。

 「お尋ねの事実は存在しない」ではなく「確認されていない」と答弁したことはある意味で賢明だ。後で虚偽答弁と追及される危険から逃れることができるからだ。「ルーブル委員会」という裏金組織は確かに存在した。鈴木宗男氏の質問に記された内容はおおむね事実だ。なぜなら筆者もこの委員会からルーブルを購入し裨益しただけでなく、ある時期、上司からこの業務を担当するようにとの指示を受け、担当者から詳細な引き継ぎを受けたからだ。しかし、筆者があまりに嫌な顔をしたせいか、筆者がこの「汚れ仕事」を担当したのは二日間だけで、再び前任者に戻った。その後、「ルーブル委員会」の業務を筆者の後輩が担当したが、「汚れ仕事」に嫌気がさして外務省を退職した。筆者自身はこの制度を用いて私用車を売却しなかったが、それは筆者が「クリーン」だったからではなく、モスクワ在勤期間が長すぎたので、その間にルーブルの公定レートと闇レートの差がなくなり、旨味がなくなった「ルーブル委員会」が解体してしまったからだ。

こう書いていますよ。佐藤さんはここで、国会で堂々と議論していいと言っているんですよ。参考人で呼んでくれるなら、呼んでくれてもいいと言っているんですね。

 そこで、せっかくそう言っているんですから、一回こういう決算委員会の場で、主査、堂々と私は、これは身分だとか税金にもかかわる話ですから、議論する気持ちがあるかどうか、原田局長、答弁願いたいと思います。

原田政府参考人 いわゆるルーブル委員会なる組織につきましては、既に去年、沖特委員会で議員の御質問に答えたように、そういった組織が設けられたという事実は確認されておりません。と同時に、私の記憶の中にもございません。

鈴木(宗)分科員 原田さん、いずれまた、私、きょうは時間がないから、このルーブル委員会はやめて、質問主意書なり、また別の委員会でも機会があればやりたいと思いますけれども、私は、正直であった方がいいと思いますよ。ルーブルであなた方が裨益をしたことは間違いない。やみルーブルで組織的にお金を回しておったことは事実なんです、旧ソ連時代は。いずれ先輩の名前を出してもいいですよ。この点、私は皆さん方の前で言っておきます。うそつきにいい外交はできないということ、それが今の八方ふさがりの外交であるということを明確にしておきたいと思います。

 もし反論があるなら、してください。堂々と私は受けて立ちますから。そのかわり、私は職を賭しても結構です、あなたも職を賭すというならば。私は、責任を持って、それなりの裏づけ、しかも講談社という日本では一流の出版社がきちっと書いている話等を、ルーブルというものが、やみレートがあったことは皆さん方も知っている話だし、あるいは、関係している人がたくさんいることも事実なんですから。それは、当時の時代背景が生んだ悪例だ、私はこう思っていますけれども。

 しかし、それは私は、何もあなた方を責めるのではなくて、自浄能力を聞いたんです。かつてこういうことをしたけれども、しかしこれはいいことではなかった、そのことを指摘したことに対して一回の反省もないというそれ自体が国民から信頼を得られるものではない、私はそんなふうに考えているんです。

 大臣、きょうの新聞を見ますと、上海総領事館員の自殺問題で、中国に真相の究明を再要求したというんですよ。

 そこで私がお尋ねしたいのは、おととしの五月六日に自殺をされた、たまたまこの自殺された方は私の同郷の人なんですよ。その経緯から見て、今抗議するのでなくて、この二〇〇四年五月六日、亡くなった時点でどういう対応を日本国政府がしたかを私は聞いているんです。

 このことについて、大臣、日本政府はどんな対応をしたんでしょうか。そして、官邸に上げないのは、当時の北島官房長と薮中アジア局長で決めたというんですけれども、事務次官や川口大臣には報告したということも質問主意書には答弁で帰ってきていますよ。当時、仕事の重圧で、向こうと書類のやりとりをしたという報道も読売新聞にありますけれども、こういったことについて、その事実関係をちょっと明らかにしてほしいと思います。

麻生国務大臣 二〇〇四年、平成十六年の五月六日に発生した話の点で、いろいろ調査を行った結果、自殺の直接の原因となったものは、現地の中国側公安当局者による恫喝もしくは脅迫ないしそれに類する行為であったと判断、これはもうたびたび答弁をいたしているとおりです。

 これらの行為というのは、明らかにウィーン条約、接受国の違反、極めて遺憾な行為であったと考えておりますので、事件発生後から厳重な抗議というのを行ってきております。これももう何回も申し上げたとおりです。

 そして、さらに事件発生後、この在外公館に対しまして、これは通信官ということもありましたものですから、外交通信の秘匿にかかわる暗号システムというものの秘匿の問題がかかわりますので、これが漏えいしているということになるとさらに大きな影響を与えるということでありますので、その状況を考えて、漏えいしたか否かというのを調査した結果、漏えいはしていないということを確認の上、さらに暗号は変えるということの機密保全等々をやったというのが事実であります。

 外務省から総理官邸に報告しないということについては、当時の外務省の担当部局が判断したものだと思っております。本件につきましては、先ほども申し上げましたように、外務省としては、事実関係の究明というもので、この機密漏えいというところも重ねて、その後再発の防止をせにゃいかぬところでもありますので、そういった意味におきましては、当時の対応としては官邸への報告が行われなかったものだと思いますけれども、そのときの処理の判断としては上げる必要がないと判断したからなんだと思いますので、当時の対応につきましては、その当事者の判断ということなんだと私どもは理解しております。

伊藤主査 鈴木君、質疑時間が経過しております。御協力をお願いいたします。

鈴木(宗)分科員 答弁で今聞きたかったのは、二〇〇四年の五月六日に亡くなって、今まさに大臣は、ウィーン条約に違反していると、恫喝、脅迫であった、こう言いますね。それをわかっていながら、そのとき中国側に具体的にどんな抗議をしたか、それを聞いているんです。ですから、これは事務局で結構ですから、そのことを話してください。

 それと、例の読売新聞によると、遺体を引き取るために、仕事の重圧で亡くなったのが原因だということに、紙で、それに署名したという報道があるから、それについての事実関係をどうかということですから、これは事務側でいいですから、二〇〇四年五月六日の時点でどう抗議したか。我々、一般国会議員も国民も、去年の十二月に週刊文春さんがこれを書いた、それから慌てて外務省が中国側に抗議し始めたという印象しかないんじゃないんですか。

 ですから、当時の、いわゆる亡くなったときの外務省、日本国政府の対応がどうであったかというのと、その紙を出したかどうか、遺体を引き取るために、仕事の重圧で亡くなったという、そのことを答えてください。

伊藤主査 鈴木君に申し上げます。質疑時間が終了しておりますので。

 質疑時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

佐々江政府参考人 最初の部分についてお答えいたしたいと思います。

 先生御承知のとおり、館員が死亡した平成十六年の五月六日の公電により外務本省に報告をされたわけでございますが、中国側に対しましては、それを受けて、五月十二日に、在中国大使館公使から中国の外交部アジア司副司長に対して抗議を行い、かつ真相の究明を求めたということでございます。

 我々としては、その当時の判断としては、これを適切に迅速に抗議を行ったというふうに考えております。

鈴木(宗)分科員 ですから、その返事はどうだったか、そのことについて。質問によく答えてくださいよ。私の質問に答えていないから、どうしたのかというのを。

伊藤主査 鈴木君に申し上げます。質問時間が終了しておりますので、質疑はおやめください。

塩尻政府参考人 今御質問の、記録に署名したか否かということでございますけれども、死亡証明書というのがございまして、これは医学的な見地から館員の死因が記載されております。報道されている仕事の重圧といった記載はないというふうに承知しております。

 いずれにしましても、先ほど来から大臣が御説明申し上げておりますとおり、これは遺憾な行為によって自殺に追いやられたということであって、死亡の原因が職務の重圧であったということは全くないということで、この点、全く受け入れることができないということで、中国側に対して累次の機会を設けてはっきりと、しっかりと言っているところでございます。

鈴木(宗)分科員 答弁漏れがありますから。二年前の五月六日の時点で抗議した、それで中国側からどういう返事があったかだけ、局長、答えてくださいよ。

伊藤主査 鈴木君に申し上げますが、質問時間がもう終了いたしておりますので、議事に御協力をお願いいたしたいと思います。

鈴木(宗)分科員 ですから、追加質問じゃないですから。さっきの私の質問への答えですから。中国側からどんな返事があったかだけ答えてください。

佐々江政府参考人 中国側からは、事件発生直後の申し入れに対しては調査するというのが最初の反応であったわけでございます。その後、死亡の原因は、先ほどの職務の重圧であったということを申してきたので、我々はかかる主張は受け入れられないということを答えたということでございます。

伊藤主査 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 本日は、防災関係について何点か伺っていきます。問い数が多いので、少し矢継ぎ早に伺う形になりますが、お許しください。

 まず、大臣にお伺いします。

 激甚災害指定につきまして、従来から二カ月程度期間がかかるということが言われておりましたけれども、中越地震のときにはたしか一カ月と四日ほど、大変短くなりました。また、最近、台風関係でも一カ月強というケースがふえてきているように感じているんですけれども、昨今、災害指定に要する期間が早まってきている、この背景はいかがですか。

沓掛国務大臣 激甚災害の指定の政令を公布するまでの手続で簡単に申し上げますと、まず、災害が起きる、そうすると、地方公共団体、市町村や県というのは応急対策をとります。堤防が切れておればまずその堤防を埋めること、そしてまた、人が孤立しておればその救済、そういう応急対応をして、それから次に、いわゆる激甚災害の指定を得るためにどれだけお金がかかるか、そういう復旧事業費をいろいろ算定し、調査をいたします。

 その調査をしたものを今度は各省庁、国土交通省であったり農林省であったり、そこへまず上げます。そうすると、そこで各省庁がある程度査定した見込み額なり査定額、そういうものをきちっとまとめます。それを今度は内閣府に上げ、もう一方では財務省に上げる。それがある程度進みますと、今度は内閣府と財務省で協議をいたしまして、それで了解をいたしますと、中央防災会議、そしてさらに今度は内閣にかけて、そして激甚災害の指定、政令の交付がなされるわけでございます。

 そこで、問題はどこかというと、まず災害が起きる、そして地方公共団体がここでいろいろな応急対策をする、そして、それから続いて災害復旧費の調査をして出す、この期間が一番長いわけでございまして、大体一カ月余かかっています。それで二カ月近くかかっているんですが、今御指摘の新潟における中越地震、あるいは台風二十三号ですと、これが大変短縮されております。

 これはどうしてかと申しますと、非常災害対策本部をつくって、本来、地方公共団体が応急対策をとる、そして被害額をいろいろ調査するんですが、そのとき、非常にいろいろな状況もあったものですから、この被害額が幾らになるかというのを国が直接やったんです。これは非常に異例なんですね。地方公共団体がしたものを国が査定してどうするかというのを、異常だということなものですから、本来、地方公共団体が復旧費に幾らかかるというものを、国の出先機関を使って国が直接やったんです。ですから、この期間がなくなって、すぐそのまま国へ上がってきた形になったものですから、非常に速くなったわけなんです。

 ただ、ではこれが常時できるかというと、本来は地方公共団体がそれをきちっと査定して国がやるのを、地方公共団体はもう応急復旧で手に負えないという状態ですから、本来自分が査定するものを国が調査して、そしてそれを上げていったという非常に異常な災害であったものですから、緊急避難的というか異例な対応をしたものでございます。

 したがって、四十日ぐらいという、普通六十日のを四十何日でできるということだったので、ではこれからどうなのかということについては、やはりそういう大きな災害が起きたときには、そのケース・バイ・ケースでどうするかという、緊急避難的、異例な措置としてやるかどうかを決めてのことであって、画一的にそれができるというものではないわけでございます。

 しかし、何といっても、大きな災害を受け、そして復旧復興というのは、その地域の発展、その生命、いろいろ大きなものにかかわるわけですから、この激甚災害の指定の政令交付というのは、今後とも速やかに、できるだけ早くやるように努めていきたいというふうに考えております。

津村分科員 消防団に対する国の支援について伺いたいと思います。

 昨今、国の財政が大変厳しいわけでもありますが、そうした中で、市町村合併も含めて、いろいろな意味で行政コスト、行政サービスというものが削られているという現状がございます。

 そうした中で、本日、衆議院本会議で採決をされますように、消防組織法の改正ということも行われております。より広域で、プロの消防の方、行政の消防をより広域化していこう、それはそれで一つの合理的な動きと思いますけれども、一方で、民間のいわばボランティアである消防団の方々の役割というものは相対的に増してくるものと思いますし、大変きめ細かく日常活動をされている消防団の方々を国としてしっかりと見詰めて、支援していっていただきたいと思います。

 そうした中でお尋ねするわけですが、この全国の消防団の役割が大変増して、住民からの期待が高まっている中、この消防団の組織がどのくらいの大きさで活動しているのかということを確認させていただきますけれども、単一組織の消防団として、規模の大きな消防団は大体何人くらいになっているんでしょうか、具体的な状況をお答えください。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

桜井大臣政務官 消防団は地域における消防防災の中核的存在として大いに活躍しており、地域住民に期待されているところであります。

 今消防団員の多いところといたしましては、東京都の特別区や、横浜市あるいは名古屋市等の政令指定都市があり、平成十七年四月一日現在、約六千人から一万人を超える規模となっているところであります。これは複数の消防団が存在しているところであります。単一組織の規模の大きい消防団としては、新潟市、上越市、そして岡山市等の消防団がございますし、約四千人の消防団員がいるところであります。

津村分科員 わかりました。

 単一の消防団で四千人を超えるということですから、消防団、現場の皆さん、大変御苦労があると思うわけですけれども、こうした消防団活動で大変功績があった方々に対して、国としてはどういったねぎらいといいますか、支援をされているのか伺いたいと思います。

桜井大臣政務官 全国の消防団または市町村では、勤続年数の活動内容を考慮して、消防団員に対する表彰や昇任を実施しているところでありますし、また、消防庁といたしましても、消防団活動で功績があった団員に対して、その労に報いるための長官表彰等の各種表彰を行っているところであります。

津村分科員 ありがとうございます。

 そうした中で、表彰を含めていろいろとフォローアップ、支援をされているということですが、一口に消防団活動といいましても、大変多岐にわたっていると思います。

 例えば、地域ではいろいろなお祭りなどもあって大勢の人が短時間に一カ所に集まって、時として危険だという場面もあるわけですけれども、そうした警備の手伝いとか、あるいは地域のさまざまな行事の設営、そういったことまで、消防団がまさに地域に密着して、いわゆる行政サービスの手が届かないところ、かゆいところに手が届くような活動もしているわけですけれども、そうしたことまでしっかりと目が配られているんでしょうか、国としての姿勢をお尋ねします。

桜井大臣政務官 消防団は火災の消火を初め、火災予防、災害現場における警備、地震等における避難誘導等の災害対策のほかに、祭りやイベント等で各種警戒を実施し、地域住民に対する協力や支援をしているところであります。大規模火災等においては消防団と地域住民との相互の連携が必要となるため、このような祭りの警戒等を通じた地域のコミュニティー活動の支援は重要と認識しております。

津村分科員 そうした中で、お越しいただいている平井政務官にお尋ねしたいと思います。

 少し地域の話になりますけれども、一昨年、昨年と、私は地元が岡山で平井政務官はお向かいの香川ということですけれども、瀬戸内海に次々と大型の台風が襲来をいたしまして、この両岸とも大規模な高潮災害がございました。

 これまで必ずしも台風の通るコースという印象がなかった地域なんですけれども、近年、相次いで瀬戸内地域に台風が襲来しているということで、地域の住民の皆さんの中には、昨今の地球温暖化とか、あるいはさまざまな気象条件の変化の中で、これからはこの地域に台風が来るケースがふえてくるのではないか、地球規模で何か変化が起きているのではないかという漠然とした不安を口にされる方も大勢いらっしゃいます。そうしたことに関して、実際、平井政務官も地元にお住まいなわけですけれども、御自身どういう感触を持っているか、また今後の台風に対する、今防災のお仕事を公務としてされているわけですけれども、どういった備えをしていこうとされているのか、見解を伺いたいと思います。

平井大臣政務官 委員の御指摘のとおり私も対岸に住んでおりまして、一昨年の台風十五号、十六号、十八号、二十一号、二十三号、昨年の十四号、特に一昨年の十六号では私の自宅も床上四十センチ以上になりましたし、岡山、香川、合わせると物すごい数の床上、床下浸水があったと思います。あのときの経験というものはやはり我々、地域の住民にも深く刻まれていまして、私もいろいろなところでいろいろな方とお話をさせていただきますが、やはり多くの方々が心配をしている。それに対して対策も考えていかなきゃいけないんですが、なかなか抜本的な対策というのは難しいと思います。

 今、政府においては、被害の軽減を図るために、災害の影響範囲や避難場所を示す洪水、高潮のハザードマップの作成と住民への周知を促進しているということもありますし、また、ことし五月に、梅雨期及び台風期を迎えるに当たって、中央防災会議会長である総理から「梅雨期及び台風期における防災態勢強化について」として、防災態勢の強化を図るために、土砂崩れ、河川のはんらん、高潮等による災害の発生を未然に防止するように、各指定行政機関の長、各都道府県防災会議会長及び指定公共機関の代表者に周知徹底していただくように通知をさせていただいたところです。

 恐らく、委員の考えられている原因というのはエルニーニョなのか地球温暖化なのか、そのあたりのところが一般的な考え方だと思いますが、実際のところはまだ解明されているわけではありません。しかし、この風水害、特に瀬戸内地方を初め全国でも高潮とか水害というものは起こり得る可能性があるわけですから、今後とも、関係機関と協力しながら、原因究明そして国民一人一人の意識の啓発を進めていきたいと考えています。

 また、県とか市町村においては、防潮堤を整備していったり、特に弱い場所ですね、脆弱なところ、あとは防水ポンプ、それぞれ対策をやっていますが、十六年度のような高潮がもう一度来た場合にはそれでは十分対応できないというふうに私も危機意識を持っておりますので、今後とも研究をさせていただき、対策を考えていきたい、そのように思っております。

津村分科員 済みません、ちょっと更問いをさせていただきますけれども、地域の安全、安心ということでいいますと、そういうハード面ももちろんなんですが、安心とか安全とかいうのは人の心の問題ですから、今まで余りそうした災害になれていない地域の方々が、最近どうもふえている、明らかにふえているというふうに思えば、ほかの地域の方以上に不安を感じるのは当然だと思います。そうしたことをどう政治の役割としてケアしていくのか、基本的な考え方を伺いたいと思います。

 まず一つは、ふえているという御認識が同じ地域としてあるかということと、二点目は、そうした住民の心の不安にどう向き合っていくかという政治家としての姿勢を伺いたいと思います。

平井大臣政務官 私も地元に帰って、災害、消防団の皆さん方と議論をしたり、高潮のときには、うちの地元の消防団は普通の道を舟で救出に向かったり、そういうだれも経験したことがないような事態があったわけです。そういうときの経験とかそういうものを今でもいろいろ検証しながら議論したりしていますし、一般の方々におかれましては、やはりある程度の社会資本の整備というものを計画的にやってほしいという要望もありますので、そういうものも順次ちゃんと要望を聞きながらやっています。

 防災というものに対する国民の関心は非常に高まっていますので、さらにリスクコミュニケーションといいますか、そういうものを深めていくようなことを考えていかなきゃいけないと思います。

 あともう一つ、放送と通信というものも今後防災に対応できると私は考えています。特にデジタル波による防災対応、これは所管ではありませんけれどもそういうものであるとか、通信がだめになっても放送、またそれ以外にもいろいろな新しいメディア等々を使って、携帯電話、ワンセグもそうだと思いますが、これからはできるだけそういう情報にアクセスしやすいようなことも考えていかないと、一々どこかに問い合わせるよりも、常にそういう情報に触れるチャンスがあるというようなことで、少しでも多くの方々に安心をしていただければというふうに考えています。

 ただ、地震の問題等もありまして、国民の将来に対する不安というものを取り除くためには、災害とかそういうものは、忘れたころにやってくるのではなくて今そこにある危機だということを我々自身がちゃんと説明をしていき、それに対する対策は国も都道府県も、そして各自治会、消防団も含めて一人一人が備えを持っておかなきゃいかぬという啓蒙をしていかなければならないと考えています。

津村分科員 マスコミ界に詳しい防災担当政務官として御自身の言葉で語っていただいたのが大変印象に残りました。ありがとうございます。

 続きまして桜井さんに伺いたいんですけれども、今、平井政務官と議論させていただいたとおり、近年、瀬戸内海地域においては台風による水害が大変ふえているわけですけれども、この地域は同報系の防災行政無線はどの程度の整備状況になっているんでしょうか。現状をお聞かせください。

桜井大臣政務官 同報系の防災行政無線の平成十七年三月三十一日現在の整備率は、市町村ベースで見ますと全国平均で約七〇%となっております。瀬戸内海地域で見てみますと、愛媛県が八九%、広島県は八六%と全国平均を上回る整備率となっておりますが、香川県については四九%、岡山県については約五三%と全国平均を下回る整備率となっております。地域によって大きな差があると考えております。

津村分科員 もう少し詳しく、台風での被害が大きかった地域について状況を聞かせてください。

桜井大臣政務官 岡山県について見てみますと、県北部においては比較的整備率が高い一方で、玉野市等、特に平成十六年度の台風による被害が大きかった県南部の整備率が低い状況であると認識をしております。

津村分科員 実は、これが先ほどの話と大変関係をしておりまして、行政無線というのはお金のかかるものですから、今地方財政が厳しいわけで玉野市もその例外ではないんですけれども、なかなか整備が進んでいかない。そのときに、うちの地域はそんなに台風が来ないな、台風だけじゃありませんけれども、地震も含めて、安全な地域だなと思っていれば余りその整備が進んでいかないわけで、これが、先ほどの話ではありませんけれども、最近台風がふえてきた、つまり盲点をつかれた形で非常に大きな災害につながったというふうに思います。

 そういった意味で、この同報系の防災行政無線の整備率に地域的な偏りがある、これは大変問題かなと思いますし、また、実はミサイル防衛、今、国民保護法制が整備されつつあるわけですけれども、近い将来ミサイル防衛が本格的に導入された際に、Jアラートというそうですけれども、一斉に危険を国民に知らせるために同報系の防災行政無線の役割がさらにクローズアップされているということでもあります。

 しかしながら、こうした地域ごとにばらつきがあるのでは、住んでいる地域によってそれこそミサイル防衛の脅威の度合いも変わってくるわけですし、これはまさしく国の防衛ということにも絡んで、ナショナルミニマムという考え方で、整備がおくれている地域をしっかりと国がケアしていかなければいけない、底上げを図る必要がある、そう考えるわけであります。

 そこで、桜井さんにまた伺いたいんですけれども、ミサイル防衛の配備までに想定される整備率、そして整備率が将来的にどの時期に一〇〇%になっていくのか、この見通しを伺います。

桜井大臣政務官 住民の方に一斉に情報を伝えるという同報系の防災行政無線の整備は災害対策として非常に重要なものであり、その整備を急ぐ必要があると考えておるわけであります。将来の整備の見通しについてお答えすることは困難でありますが、平成十七年三月三十一日現在の整備率は市町村ベースで見ると全国平均約七〇%になっており、整備は着実に進展していると思います。

 一方、御指摘のとおり、地域によって大きな差があることから、整備がおくれている市町村に対し、その整備を強く要請いたしているところであります。整備がおくれている岡山県南部について見ると、さきに水害が発生し、東南海・南海地震対策地域に指定されている岡山市及び倉敷市においては昨年度に整備または拡充が行われているところであり、瀬戸市内においても今年度に拡充予定と聞いております。

 御指摘のとおり、防災行政無線は、大規模災害対策だけでなく、有事の際の国民保護の対応の観点からも、迅速かつ的確な伝達手段が必要と考えられていることから、大規模地震の発生が懸念される地域や整備がおくれている都道府県を含め、すべての市町村において整備されるよう、引き続き地方団体に対し強く働きかけてまいるとともに、地方債及び普通交付税措置を伴う防災基盤整備事業等による支援を行ってまいる所存であります。

津村分科員 続きまして、ダム事業につきまして、農水省及び国土交通省の方にお伺いします。

 本年二月に、岡山県の苫田ダムで緊急放流が行われました。これはノリの色落ち対策という側面がございましたけれども、この色落ち軽減に関しまして、緊急放流の効果は農水省ではどのように把握されていますでしょうか。

金子大臣政務官 津村委員御案内のとおり、雨が少ないために河川からノリ養殖漁場に栄養分の流入が減少してノリの色落ち被害が広がっている中で、ことし二月、岡山県知事の要請によって苫田ダムからの緊急放流が行われたというふうに承知しております。

 岡山県や岡山県漁連からは、ダムからの緊急放流が行われた後、ノリ養殖漁場の栄養分の濃度が上昇して、ノリの色合いにも回復が見られるなど、緊急放流の効果があったとの報告を受けておりますし、また、新聞等におきましても、「養殖ノリ生き生き 黒み、つや戻る」とか「養殖ノリ色合い回復 苫田ダム放流効果」というふうに大きく報道されていると承知しております。

 農林水産省といたしましても、地元の意見をよく伺いつつ、関係省庁と連携をとりながら、今後もノリ色落ち対策に努めてまいりたいと思っております。

津村分科員 統計上はどうなっていますでしょうか。

金子大臣政務官 岡山県のノリの生産状況ということで、それぞれの漁協から生産枚数というものが出ておりますが、それによっても効果が十分に発揮されていると思います。

津村分科員 国土交通省に伺います。

 今、農水省の方から、効果が確認されている、統計上もそういう効果があらわれていると明言していただいたわけですけれども、今回の緊急放流は実は大変異例なことであったということであります。ある意味では今回こうして効果が実証されたわけですから、今後、一定のルールにのっとって迅速かつ機動的にこうしたことが行われたらよいのかな、場合によったらもっと早く行われてもよかったのかなという気がいたします。

 今回の放流については、当時のプレスリリースでは前例としないということをおっしゃっているわけですけれども、今後、こうした緊急放流を実施していくための要件として、どういった状況が整ったときにこれを検討するということでしょうか。

後藤大臣政務官 今委員から御指摘がありましたように、本年二月四日から八日にかけて、二百万立方メートルの水量を苫田ダムから緊急放流いたしまして、養殖ノリの色合いが回復したという報道がなされたということもよく承知しております。

 今後、同様の事態が生じました場合には、地域代表である知事から緊急放流の要請がある場合、ダムの貯水状況、上流域の積雪状況だとか今後の気象予報などを勘案いたしまして、ダムの利水目的等に支障が生じないように十分に留意をした上で対応していきたい、そういうふうに考えております。

津村分科員 今おっしゃったような条件が整えば今後とも取り組みを続けていくということでよろしいですね。

後藤大臣政務官 今言ったようないろいろな状況の中で、また対応していきたいというふうに考えています。

津村分科員 農水省さんにもう一回お伺いします。

 海岸の漂流、漂着ごみによって漁具や漁獲量に被害が出るケースが多発しておりますけれども、今、全国的に被害の状況というのはどうなっているでしょうか。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 海岸における漂着物の回収量につきましては、都道府県からの報告によりますと、海藻が四割、また流木が一割であり、人工物も四割を占めますが、その内容はさまざまなものが含まれております。

 増減については、実はこの十年間の状況を見てみますと、一概にふえているわけでもないし減っているわけでもない。これはなぜかといいますと、大雨が降ったり台風が来たりということで、河川等から流入する量が変化するということでございます。

 今度の漂流、漂着ごみによる漁業に関する全国的な被害額の統計は、きちっとしたものはないわけでございますが、被害の実態としましては、漂流する網やロープが漁船のスクリューに絡むことによる航行被害とか、魚網に漂流物が絡むことによる操業被害等が指摘されております。

 農林水産省といたしましても、関係省庁と協力して、政府一丸となった対応に参画していく所存でございます。

津村分科員 こうした海岸漂着物への対策が今後重要になると思いますけれども、環境政務官、竹下さんにお伺いしますが、今後どのようにこの問題に取り組んでいかれるんでしょうか。

竹下大臣政務官 おっしゃるように、災害で流れてくるごみと、外国から出てくるごみが海を漂流して海岸に漂着する。大きな問題として、二つの認識で対応しなければならない。

 環境省が中心になりまして、平成十二年から、漂流・漂着ゴミに関する関係省庁連絡会というものを設置いたしまして情報交換を行っておりましたが、ことしの四月から、局長級の対策会議を設置いたしまして、その運営を行っておるところでございます。

 中長期的な課題としては国際的な対応も含めた発生源対策の検討を行う、あるいは漂流、漂着ごみによる被害が著しい地域への対策を早期に実施できるように検討いたしまして、当面の取りまとめを平成十八年度末までに行おうとしております。こうした会議におきまして、政府として、より実効のある対策を検討していきたい、こう考えております。

津村分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 最初に、リース契約をめぐる消費者あるいは中小事業者に関するトラブルにつきまして、何点か御質問させていただきたいというふうに思います。

 この問題、消費者問題ということもあって、内閣府の所管というふうにも考えたんですけれども、いろいろと事前に打ち合わせをさせていただく中で、経済産業省の方でお答えいただくということでございましたので、経済産業省の方にまずお尋ねをしたいというふうに思います。

 最近、電話機あるいは事務機器等のリース契約に関しまして、私も地元などで消費者あるいは中小事業者からさまざまなトラブルについて耳にいたします。こうしたことについて、実態をどのように把握されているのか、まずお伺いしたいというふうに思います。

谷政府参考人 リース契約は、事業者間で行われ、リースを希望する事業者からの申し込みによりまして契約が行われることが通例となっておりますけれども、一方、昨年問題となりました電話機リースにつきましては、主に販売店が個人事業者などを訪問して電話機などのリース契約を持ちかけまして、虚偽の説明や不十分な説明により契約に至るものでございまして、特にリース料が高額になるなどの問題がございました。

 この電話機リースをめぐる相談件数は、国民生活センターによりますと、平成十七年度は八千四百七十八件となっております。昨年末に経済産業省といたしまして業界への指導や通達の改正を行うなどの対策を講じました結果、一部に改善の動きも見られますが、引き続き注視する必要があると認識をしております。

上田分科員 ありがとうございます。

 次に、ちょっと事前に資料もお渡しをしてございますけれども、具体的な事例を踏まえて御質問させていただきたいというふうに思います。個別の件で恐縮でございますけれども、実は、私の知り合いの中小事業者にかかわることでございますけれども、大手のリース会社との間のリース契約についてでございます。

 これはオリックスという、最大手のリース会社なんだというふうに思いますが、契約の内容ではルーターまたは電話機のリースとなっておって、その期間も八十四カ月、かなり長期間となっております。ところが、実態はそのリース物件が存在をしないということでありまして、そのことについて、そのリース会社の方においても、責任ある立場の方が、役員の方でありますけれども、リース対象物件が当初から存在せず、実態は電話移設等の工事代金であったことが判明したというふうに認めております。そういうふうに認めておきながら、リース契約は瑕疵がなく成立をしているんだ、あるいは、物件の不存在を理由にリース契約の解除の事由はなく、契約が有効であるということを正式に回答いたしております。

 どうもこれは、普通に読みますと、契約に書かれているものというのはルーターあるいは電話機のリース、しかも長期間にわたるリースであって、なおかつ、そのリース物件が存在していないのにそうした契約が成立している、あるいは正当であるというのはどうも理解できないことでありますけれども、個別のことでどういうような御回答ができるかわかりませんけれども、御感想をお伺いしたいと思います。

谷政府参考人 典型的なリース契約ですと、リースを希望する事業者がリース会社に依頼しまして、リース会社はその事業者を審査した上で、リースをしてもよいと判断した場合には、リース会社が物件を購入し、その購入した物件を賃貸し、リース料を徴収する仕組みとなっております。リース契約の開始に当たりましては、リースを希望する事業者に対してリース会社からリース物件の設置工事終了を確認し、契約の意思確認をしてからリース契約を開始することとなっております。

 御指摘の、リース物件が存在しないのにリース契約が存在するという問題では、リース開始に当たっての条件でございます物件購入、設置がなされていないということですから、リース契約の前提条件が成立しておりません。このため、契約の当事者である事業者、リース会社の間で、まずは事実確認や手続、双方の認識においてそごがないかを確認して解決すべき問題であると考えます。

上田分科員 認識はよくわかりました。私も全くそのとおりだというふうに思うんです。

 この事例は、中小とはいっても事業者の契約、つまり事業者と事業者との間の契約でありますが、この点、私もちょっと関心を持ちまして、幾つか伺ってみたんですけれども、そうすると、まさに個人商店あるいは個人事業主みたいなところでも同様な、例えばリースの契約をした物件と内容が違った、あるいはその物件ではなくて別の工事費みたいなものが含まれていたというような事例も幾つか耳にいたしました。また、いろいろと聞く中では、個人商店あるいは個人事業主の方、本来は消費者向けの契約であるべき性質と考えられるものをあえて事業者向けの契約に仕立てて、今消費者契約法とかいろいろな規制も強化されている中で、それを逃れようとするような事例もあったというふうに聞いております。

 非常に社会的な信用もあるようなこういう大きなリース会社、いずれももとはそういう大きなリース会社だったんですけれども、こういう事例を幾つか耳にいたしますと、消費者あるいは中小事業者、特に零細の事業者を保護するために、こうしたリース事業の適正化について何らかの対策が必要ではないかというふうに考えますけれども、お考えを伺いたいというふうに思います。

谷政府参考人 先生御指摘のような問題になるケースでは、販売会社が虚偽、うその説明などにより契約を持ちかける、その一方で、リース会社が事業者の間の取引であるという理由で契約の解除を拒否するという例が見られます。特に、昨年問題になりました電話機リースの問題につきましては、例えば、事業者といいましても、実質的には廃業しているような個人事業者などがねらわれました。

 これに対しましては、特定商取引法の通達を改正いたしまして、事業者名による契約でありましても、実質的には個人用、家庭用に購入したような場合につきましてはクーリングオフなどの救済を受けられるということを明確化いたしました。

 一方、中小事業者の場合は、リース契約が基本的には事業者間の契約であるということでございますので、当事者間の自由意思が尊重されます。しかし、虚偽説明によるトラブルや過度に高額なリースといった問題を排除すべく、リース業界に対し指導を行いまして、電話機等リースの審査の強化、提携している販売店の総点検、苦情体制の整備などの厳正な対処を求めるとともに、中小事業者に注意喚起を行うためにチラシを百万枚配布したところでございます。

 先生の御指摘のような実態をよく踏まえまして、今後とも、消費者及び中小事業者に対するリース契約に関するトラブルにつきましては、引き続き必要に応じて適切な対応を講じてまいりたいと存じます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今お話にもあったんですけれども、このリース契約というのは、リースを受ける事業者あるいは消費者が契約をするのはリース会社となんですけれども、実際に商談を行うのは、仲介に入る、提供する、よく代理店と言われている業者であります。そうすると、リース業者は、直接は契約時には契約の確認がとられない、物件が納入されたのも電話で確認する程度のことが多いということでありまして、いわゆる代理店がどういうような履行をしたのかということについて、結局だれも責任をとらないような体制になって、契約を受けた中小事業者あるいは消費者だけが長期間にわたってリース代の納入を義務づけられるというようなことになってしまうわけであります。

 事業を営む上で、こういうリースというのが非常に有効な手段であるのは間違いがありません。初期投資が少なくて済むわけでありますし、新しい機種に順次変えられるという意味においては非常に有効な手段なんですが、どうもこういうような、いわば責任が非常にあいまいな形での詐欺まがいのような商法が行き渡るとするならば、リース業界全体に対する信用を失墜しかねないことでありまして、これは、業界また今度は消費者保護という観点からも、ぜひまた政府でいろいろと連携をとっていただいて、対策を講じていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、全く違う話でございますけれども、NPO法人の問題について、何点かお伺いしたいというふうに思います。

 今度の国会で公益法人改革関連の法案が成立をいたしました。これによりまして、一般非営利法人、社団法人、財団法人というのは、公益性の有無にかかわらず、準則主義によりまして法人格を取得することができるようになります。その上で、それが公益性のある団体なのかどうか、その認定を独立した委員会などが関与した上で内閣総理大臣または都道府県知事が行うという制度が創設をされます。

 今回の制度改正におきましては、いわゆるNPO法人の制度は引き続き存置されるということになったわけでありますけれども、従来の公益法人の制度がこういうような形で変えられたことによりまして、その位置づけが多少わかりづらくなったのではないかというような気がいたします。

 そこで、NPO法人の意義と役割、また特に新しい制度になりました一般非営利法人との違いなども含めてお考えを伺いたいというふうに思います。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 特定非営利活動法人、いわゆるNPO法人の制度は、市民が行う自由な社会貢献活動を促進するために、認証という行政の関与が極力抑制された簡易な手続によりまして設立できるという制度的なメリットがございます。

 また、この制度が発足して以後、NPO法人数は約七年で二万六千件を超えておりまして、福祉、教育、文化、まちづくり、環境、国際協力といったようなさまざまな分野でその活動が広がっておりまして、社会に着実に定着してきているというふうに考えております。

 こうした制度の意義や実態を踏まえまして、今般の公益法人制度改革におきましては、NPO法人制度が引き続き存置されるということになったものと認識しております。

上田分科員 今御答弁にあったとおり、NPO法人は、その設立について認証という手続で比較的簡易である、同時に、公益性についても一定の認証を受けることができるという意味で、さまざまな市民活動を行う団体に法人格を付与するという方法として非常に活用され、大変多くのNPO法人も設立をされてきました。

 今回、公益法人が、従来はそれぞれ主務官庁の裁量によりましてその設立等が定められていたわけでありますけれども、抜本的に改正をされたわけであります。多分、それに伴って今、内閣府の国民生活審議会にNPO法人制度検討委員会が設置されたものだというふうに理解をいたしておりますけれども、昨年末からさまざまな検討を行っているというふうに承知をしておりますが、この検討委員会を設置された目的並びに今どういうようなことが検討されるのか、主な点を御紹介いただければというふうに思います。

田口政府参考人 NPO法人は、社会の多様なニーズにきめ細かくかつ効率的にこたえるということが期待されているわけでございますが、その活動の面におきましては、組織の管理運営能力の向上の問題でありますとか、市民の理解と協力を得るための情報公開のあり方などに関しまして課題が残されていると考えております。また、このNPO法人制度を乱用して、制度自体の信頼を損ねるような事例もあらわれてきております。

 このため、国民生活審議会のもとに専門の委員会を設置いたしまして、NPO活動をより一層促進する観点から、新しい公益法人制度との関連も踏まえまして、NPO法人制度の見直しを検討しているところでございます。

 具体的には、施行後七年半が経過いたしましたNPO法の現状につきましてまず評価いたしますとともに、法人の認証とか監督あるいは情報公開のあり方、これらの問題に関し、現在検討を行っているところでございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今御答弁にもあったように、やはりNPO活動の増進を図ることを目的として御検討いただいているということと理解をいたしました。特に今、官から民へという流れがある中で、やはり市民の自主的、自発的な活動、それによりますさまざまな公益性の高いサービスを提供しているNPO法人がたくさんできております。その役割というのはますます重要になってきているものというふうに考えております。

 そこで、こういうNPOの今後の役割についてどのようにお考えになっているのか。また、市民活動をさらに活発に活性化していくためにどのような施策を考えられているのか。お考えを伺いたいというふうに思います。

田口政府参考人 多様化いたします国民のニーズにきめ細かく対応するためには、行政でも企業でもない新たな社会づくりの担い手といたしまして、市民活動団体が大きな役割を果たすことが期待されているわけでございます。

 このため、内閣府といたしましては、この市民活動を促進する方向で、平成十八年度税制改正におきまして、拡充された認定NPO法人制度の普及に努めますとともに、市民活動についての情報提供の充実でありますとか、活動の担い手の育成などにつきまして、NPOが十分に活躍できるための環境整備に鋭意努めてまいりたいと考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今回、この公益法人の制度が抜本的に変わることによりまして、今度は準則主義になりましたので、一般の社団あるいは一般の財団というのももっと設立しやすくなってくるんだというふうに思います。ただ、今度は、そうした一般の財団や社団においては、公益性の認定についてはもう一つハードルができるということになってきますので、やはり市民活動のさまざまな団体が機動的に活動していくには今のNPO法人の制度というのは非常に有効な手段だろうというふうに思っておりますので、ぜひ活用のしやすい制度としていただくと同時に、さまざまな活性化のための支援策、これについてもさらに取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。

 次に、公正取引委員会に若干お伺いしたいというふうに思います。

 公正取引委員会では、特殊指定の見直しにつきまして、先般、四つの特殊指定を廃止することを決定するとともに、新聞特殊指定につきましては結論を先送りするということを発表いたしました。

 この間、関係業界との間の議論が平行線をたどっていたというようなことであるとか、またさまざまな政治的な情勢などを考えたときに、今回の判断というのは妥当なものだったというふうには考えておりますが、ただ、こうしたさまざまな議論の中で、果たしてどれだけ消費者すなわち一般読者という立場の意見あるいは利害といったものが重視をされてきたのか、また実態に即した説得力のある議論が交わされてきたのかというと、どうも私はまだまだ不十分ではなかったのかなという感じがいたしております。

 そこで、幾つか個別の項目、何点か御通告をいたしておりますけれども、そうした疑問の中には、ちょっとまとめてお伺いし、今後の方針について最後御答弁をいただければというふうに思いますが、果たして、今回新聞の特殊指定の見直しの問題が提起をされた背景といったもの、そういったものは一般の読者から現行の制度見直しについてそういう要望があったのかどうかというと、私は、ちょっとその辺、まだはっきりしない面もあります。

 また一方で、公取さんが御指摘されているように、特殊指定では値引き行為が禁止されておるんですけれども、実際には、なかなか具体的なデータはないということでもおっしゃってはおりましたが、私が実感することとしては、かなり行われているんじゃないのかなという感じがいたします。こうしたこと、現状についてどうするのか。

 あるいは、公正取引委員会のホームページを拝見させていただいていたら、消費者団体との懇談会を行って、その議事録が掲載されておりましたけれども、ここにも特殊指定の見直しを求める意見も多数出てきておりました。こうした意見について、今後どういうふうに受けとめていかれるのか。

 いろいろとまだ実は論議が足らない部分もあるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、こうした議論も踏まえた上で、今後、新聞特殊指定の見直しについて公正取引委員会としてどのようにお考えなのか、お伺いできればというふうに思います。

舟橋政府参考人 特殊指定の問題でございますけれども、これは昨年の十一月から見直しを行ってきておりまして、その当時は全部で七本ございました。そのうちの二本、これは平成十六年とか十七年と比較的新しいものでございましたので、見直しの対象外にいたしまして、残り五本について見直しを行ってきたわけでございます。

 この五本は、例えば昭和三十年とか三十一年に制定されたものとか結構古いものもございますし、実際に使われていないような、適用例がほとんどない、そういったような事情もございましたので、こういった五本の特殊指定をそのまま残しておいていいかどうか、制定時の必要とされた事情が今もあるかどうか、それから特殊指定と別に一般指定というのがございますので、その一般指定で対応ができるんじゃないかとか、仮にできない場合でも過剰規制の部分はないかとか、そういった観点から五本を見直しまして、四本については委員御指摘のとおり廃止を行った。

 新聞でございますけれども、新聞の特殊指定、これは昭和三十年で、もう五十一年たっておるわけでございますけれども、二つほど我々は問題として指摘をいたしてきておるところでございます。

 一つは、新聞の特殊指定、これは価格競争を原則的または全面的に禁止しておるというものでございます。これについては、特殊指定の指定要件、これは独禁法の二条九項にございますけれども、「公正な競争を阻害するおそれがあるもの」こういう要件がございますけれども、その要件を満たしているかどうか、法的な相当性に問題があるんじゃないか、これが第一点。

 それからもう一つは、委員御指摘の消費者利益の点でございますけれども、こういった新聞の特殊指定がある、それがゆえに長期購読の割引とか口座振替の割引、それから高齢者・学生向け割引、そういった割引が導入されていないということで、新聞の特殊指定があるがゆえに消費者利益の増進、独禁法の目的というのは消費者利益の増進でございますので、そういう増進につながっていないんではないか、その妨げになっているんではないか、そういう観点の問題を指摘してきたということでございます。

 それから、委員の御質問にございましたけれども、実際には値引きが結構行われているんじゃないか、それについて公取はどう考えるかというお話がございましたけれども、御指摘のとおりでございまして、特殊指定の二項では販売店の値引きを禁止しておるわけですけれども、西日本を中心に、例えば一年間購読すると三カ月は無料にするとか、そういう無代紙がございますし、それから販売店でなくて新聞社の方につきましても、特殊指定の一項で地域によって異なる定価を付すということが禁止されている、その禁止がありますけれども、実際には名古屋と東京で、あるスポーツ紙なんかは値段が違うわけですね。そういったことがございます。

 そういった価格差の存在、これは形式的には特殊指定に該当しますけれども、公正な競争を阻害するということが本当に言えるかどうか。そういったところについて我々は疑問に思っていまして、実際には特殊指定というのは適用できないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

 それから消費者団体の懇談会のことでございますけれども、四月二十日に八団体十名の方においでいただいて懇談いたしました。その席上では、新聞の価格は自由化すべきだ、それから長期購読者に対して割引というのを行うべきではないか、短期でくるくる変わる人には値引きとか景品というのはあるけれども、五年十年ずっと購読している人は同じ値段で、全然そういうサービスも何もない、そういった問題などの指摘がございまして、新聞特殊指定の廃止について支持する意見が圧倒的だったということでございます。これは、私が先ほど申し上げた消費者利益増進の観点、いろいろな割引が導入されていない、特殊指定がその妨げになっている、そういったことと軌を一にする消費者団体の御指摘だったかな、そういうふうに理解をしているところでございます。

 それから、最後でございますけれども、今後どのように取り組んでいくかということでございますけれども、これにつきましては、今回、六月二日の発表にも書いてございますけれども、議論がかみ合っておらない、特段の進展が望めない、それから各政党においても、特殊指定を存続させるべきだ、こういう御意見がございますので、そういう状況にかんがみて結論を出すことは見合わせるということでございますので、今後、そういった経緯を踏まえまして、どうしていくかは適切に判断して行ってまいる、そういうふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございました。

 多分、まだいろいろと議論の尽きないところもあるんだというふうに思います。他方、新聞業界からは、特殊指定が廃止されると宅配制度を維持できなくなるというようなことも言われておりました。今いろいろな公正取引委員会からの御意見も伺ったところでありまして、また今後幅広くさらに検討しなければいけない課題なんだろうなというふうに感じたところでございます。

 ちょっとまだ時間がありますけれども、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十六分開議

伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。逢坂誠二君。

逢坂分科員 民主党の逢坂誠二でございます。

 中馬大臣にはいつも大変お世話になりましてありがとうございます。

 きょうは、ちょっといつもと違った観点で、国立国会図書館の関係と、広く一般に図書館というものについてお考えを伺いたいなと思っております。

 まず、国立国会図書館に限らず、広く図書館というのは、私は大変重要なものであるというふうに思っております。それはもちろん、本を貸し出すという機能だけではなくて、いろいろな資料や文献を調査したり、あるいはまたさまざまな啓蒙活動をしたり、本当に、単に本を貸し出すという以外の大きな役割を持っているんだろうと。

 日本においては必ずしも全国津々浦々に図書館の整備というものが進んでこなかったわけでありますけれども、多くの先人の皆さんの努力によって、今いろいろなところで、規模の大小はあれ図書館が整備されて、また、いろいろな方たちが努力をして、図書館をもっと有効なものにしていこうというようなことを担っていることは、私は非常に喜ばしいことだなと思っています。

 民主主義を考える上で何が大事か。いろいろと大事なポイントはありますけれども、一つは、やはり情報がきちんとしていることだろう。物事を判断するための実態、実情をはっきりわかっていること。もちろんこれは情報公開という側面もありますでしょうし、それからもう一つは、やはりそもそも先人が残してきたさまざまな知恵、知識、そういうものが集積されていて、それらに国民が簡便にアクセスしていけるというふうなことも、これは重要なことではないかなというふうに思っているところです。

 そんなことで、図書館というのは、本来、ふだんは余り派手に目立つような場ではないわけではありますけれども、極めて重要な役割を担っているというふうに思っております。

 しかし、御承知のとおり、今大変厳しい財政の状況が続いている。それで、全国の公立図書館でも随分とコスト削減が行われるというようなことになっていますが、広く一般の図書館における行政の効率性といいましょうか、それはいかなるものだというふうに大臣はお考えでしょうか、お考えをお聞かせ願えればと思います。

中馬国務大臣 現在、国を挙げての一つの行政改革と申しましょうか、こうした国家運営の方策そのものを改めていく、あるいはまた効率化していくという形の法律も、先日、逢坂さんの方からも御質問をちょうだいして、これが成立したわけでございます。

 その観点とは、もちろんそのことの御質疑もあるんだと思いますが、一般的には、図書館、これはやはりその地域社会なりまた国の大きな財産だと私は思うんですね。これをどう利用していくか、またこれをちゃんと守っていくか、充実していくかということは、これは大きな社会的な務めだと私は思います。

 そうする中で、今、利用の利便性等の問題がありました。確かにそれが、現在のようなIT化が進んだ中におきましては、従来のような窓口貸し出しだけではなくて、それをどのように効率的に分類、集計して、さっと出てくるとか、あるいはその項目だけが利用できるかとか、そうした貸し出しの際においても、最近では、何かコンビニで、初めに申し込んでおけば、夕方にはそれを通勤帰りに貸し出して帰れる、そこまでの利便性を考えている図書館も出始めております。また、それだけじゃなくて、インターネットで図書館の情報を自由に引き出せるといったこともあるようでございます。詳しくは私も知りませんが、ともかく、そうした形で、せっかくの持てる財産、宝といったものを大いに国民の利便性に供する、利用者にもっと利便的な形で活用してもらう、こういうことも私は必要だと思っています。

逢坂分科員 今、大臣の方から基本的な考えを聞かせていただきましたが、いわゆる一般の図書館というものは、通常の言葉でいうところの市場原理というんでしょうか、マーケットメカニズムというんでしょうか、そういうものに合致するようなものだというふうにはお考えでしょうか。民間企業がやればうまくいくというようなものだというふうにお考えでしょうか。そのあたり、いかがですか。

中馬国務大臣 少し違うと思いますね。やはり公共のサービスではありましょう。ただ、それを民間に任せたらより効率がよくなるという面もあるのかもしれませんが、私は、基本的には公共サービスとして、やはり一つの地域社会の自治体が、あるいはまた国が、ある程度しっかりとした運営の基本的なことは決めたり、あるいはそれを監督する義務はあるんじゃないかと思います。

逢坂分科員 私も、まさに大臣と同じ考えでありまして、いろいろと民がやった方がいい分野というものもあるかもしれないけれども、図書館のようなものというのは、そこから必ずしも収益が大幅に上がるというものでもないし、社会の中では必要なものではあるけれども、民に任せてはいけないというか、任せられない側面が強いものなのかなと。その意味では、やはり行政がしっかりとした考え方を持ってこれを維持し、あるいはその機能を高めていくことが重要なのではないかというふうに私は思っております。

 そこで、次にですが、同じ図書館という名前ではありますけれども、性質のちょっと違う国立国会図書館のあり方について若干お伺いをしたいと思います。

 もちろん、この国立国会図書館は、行政、立法、司法の三権分立の観点からいって、これは国会の所管に属しておるわけでありますので、大臣としてこのことについて深く言及できる部分とできない部分があろうかというふうには思います。しかしながら、最終的には国立国会図書館といえども予算の形で国会で議論をされてその形をなしていくものでありますから、全く無縁というふうにも言えないだろうと思っておりますので、大臣の所掌している範囲の中でいろいろとお考えをお聞かせ願えればと思うんです。

 国立国会図書館というのは、国民にとって有益な施設ではあるのですが、なかなか実はわかりづらい側面もあるかなというふうに思っています。当然、私がここで言うまでもなく、国立国会図書館のサービスは、国会に置かれた機関として国会議員の職務遂行に資するというのが第一番の役割だということがございます。しかしながら、日本においてはもう一つの機能を有していまして、国立図書館としての役割というんでしょうか、いろいろと資料を収集したり、日本で発行されているさまざまな出版物を収集しておくというような機能もあるわけでありますね。

 しかも、実は国立国会図書館が置かれている理由というのは、国立国会図書館法の前文ですか、ここに「真理がわれらを自由にする」、こういう言葉がありまして、ちゃんとした情報がなければ実はきちんとした判断ができないんだ、そのことによって本当の民主主義も機能するんだという考え方のもとにつくられているということであります。

 そんなような観点から、国立国会図書館も今のこの厳しい行財政の中に投げ込まれているわけではありますけれども、この厳しい財政の中での国立国会図書館の運営というのはどうあるべきかということについて御所見をお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 先ほど申しました今回の行政改革推進法でも、こうした国家運営全体の中で、行政減量といいましょうか、公務員の数を行政の場合は五・五%減らすということまでもはっきりとした規定をしたわけでございますが、行政が命令を下すとかといった形ではない国会とか、あるいは今の国会図書館もそうでございましょうし、裁判所、こういったものがございます。こういったことには、やはりこれは一つの国の方針であるから、昨年十二月の重要方針、閣議決定、この中でも、そうしたことにもこれを及ぼすんだということでございます。

 ですから、今回もこれに準じて、国のあり方に準じて、それなりの努力をしてほしい、それなりのまた効率化を図ってほしいということは、これは政府としましても公文書をもって正式に要請をいたしております。命令はできませんから、要請をいたしております。それにつきまして、国会の議院運営委員会が衆参ございます、衆議院の場合は小委員会も持っていたと思いますが、国会図書館のあり方等については、そこが、その要請も受けた形で、また、やや自主的に、この利便性の問題やあるいはまた減量といいましょうか、ただ数を減らしたらいいとは私は思っておりません。ただ、もう少し効率的にできる面がある。先ほど申しましたITを利用したりすれば、もっと人的には効率よくいくかもしれません。場合によっては、外部委託ができる面もあるのかもしれません。

 そうした形で、この国の方針に沿った形でひとつ御協力願いたいということを申し上げている次第でございます。

逢坂分科員 確かに、独立した国会、それから行政といえども、この厳しい財政の中ではいろいろと要請ということもせざるを得ないんだろうというふうには私も思うわけですが、この国立国会図書館のあり方を考える上でやはりどうしても注意しなきゃならないことがあるだろうというふうに思います。

 それは、当然、国会の立法補佐という機能に支障が生じるようなことがあってはこれはもう大変なことになる。やはり公平な情報というものがきちんと生み出されなければ、これは国会運営上極めて重大なことになりますので、そこを阻害してはいけないだろうということ。

 それから、国民へのサービス、これにやはり支障が生じても困る。日本においては唯一の国立の図書館でありますから、それがなくなってもやはり困るだろうということですね。

 それからもう一つは、納本図書館。先ほど冒頭にも私、話をしましたけれども、国内でのありとあらゆる刊行物を集めるという網羅性ですね、この網羅性にやはり抜け落ちがあるようになると、せっかくいろいろな人的あるいはさまざまなコストをかけて本を集めていてもそれはだめになるので、この納本機能というものも支障が生じないようにする必要があるというふうに思うわけですが、大臣、このあたりいかがでしょうか。

中馬国務大臣 冒頭に申しましたように、これは国の宝でございますから、この宝が持ち腐れになったら何にもなりません。ですから、これは、ただ国会の立法事務に、これがもちろん主たる業務ではございますけれども、しかし、それ以外にもいろいろな方々からこれを利用していただくということも、私は十分にその機能を発揮しなければいけないと思っています。それにはもちろんかなり人手が要るのかもしれませんが、かなり人手を使って機能を維持する、発揮するということではなくて、最近のいろいろな技術的な問題や、また民間等のそうした分類、集計等をやっておりますいろいろな機能等も利用するならば、もっともっと利用する側に利便性がいいとか、迅速性があるとか、そういったことの機能を私は果たせるんじゃないかと。

 ですから、例外なく、一応は減員の対象にはさせていただいておりますけれども、しかし、ただ数を減らすということではなくて、機能をもう少し高める方法も考えていただきたい。それがこれからの国立国会図書館にも求められる作業ではないかと私は思っています。

逢坂分科員 今、大臣の方から、単に減らすということだけではなくて、逆に機能を高めるというお話がございましたけれども、今のような時代だからこそ、この国立国会図書館の機能というものにきっちりと着目をして、単に減らすとか、あるいは何か統合をして組織がえすればうまくいくということではなくて、本来の機能がいかに果たせるかというところにやはり十分着目をすべきだというふうに、まさに私も同感でございます。

 ちなみに、もうこれも大臣、御承知のことというふうに思いますが、米国の国会図書館でございますけれども、この職員数が、私が持っています手元の資料によりますと、何と日本の約四倍以上の職員がいるということであります。もちろん、上を見ても下を見ても、施設、仕組みというのは切りがないわけでありますけれども、やはりアメリカの民主主義というものがしっかりしていることの背景にはこうしたこともあるのかなというふうにも思われますけれども、このアメリカの四倍という数字に関して、大臣、どう思われますか。

中馬国務大臣 一つには、人口が多いから、もちろん倍のあれがあってもおかしくはないと思います。

 ただ、もう一つ言えることは、向こうは議員立法が主ですよね。全部議員の名前をつけて何々法と言うぐらいでございますから、日本のように閣法がほとんどだということではなくて、議員立法でいっております。

 そういうことから、各議員がそうしたスタッフを持っておりまして、立法のことまでもできる秘書を大抵持っていますよ。そして、その方が図書館等を利用してどんどんとやって、自分で法律を出していく。こういう機能が国会にも求められておりますし、そういう現実でございますから、それに対応するためにはかなりの職員も要るんじゃないか。そういうことで、日本の人口に比してみましても倍の人数が要っているんじゃないかと私は思います。

逢坂分科員 まさに私も多分そういう側面があるんだろうというふうに思っています。

 それで、大臣御承知かもしれませんけれども、実は私、今の仕事になる前に二十二年自治体の現場におりまして、その半分は首長をやっておりました。首長をやった経験から、今この永田町に来ていろいろと仕事をしていて、立法機能を補佐する、人的にもあるいは制度的にもやはり弱さというものを痛切に感じております。もっとスタッフがいればなとか、もっと有機的にいろいろな情報だとかを使えたらまだまだ日本の国会というのはよくなるなというふうにも感じているところであります。

 したがいまして、改革といえば減らすとかということばかりに目が行きがちでありますけれども、繰り返しになりますけれども、ぜひとも機能更新と機能向上ということにも目を注いでいただいて、それが本質的な改革につながるということも御理解をいただきたいなというふうに思います。

 そこで、次に入りますけれども、きょうは文部科学省から政府参考人にもお越しをいただいております。国立国会図書館に限らず、先ほど冒頭に言いましたとおり、図書館の果たす役割というのは非常に大きいと思っているわけですが、国、地方を通じて今極めて厳しい財政事情にある中で、いわゆる図書館に要する費用がどんどん削減をされている、それから資料だとか図書の購入費もどんどん削減をされているというような状況がございます。これが日本の将来に与える影響というんでしょうか、そのあたりについてどのようにお考えになっているか、お聞かせください。

中田政府参考人 冒頭、議員の方から御指摘ございましたように、我が国の公立図書館につきましては、設置数あるいは設置率が増加しておりまして、整備が進んでおります。また、貸出冊数も年々増加するなど、その利用も進んでいるというふうに認識しております。

 しかしながら、最近の地方財政の厳しい状況の中、近年、徐々に図書館の資料費というものが削減される傾向にございまして、私どもが調べたところによりますと、十七年度の予算額で、都道府県立では一館当たり平均五千三百万円ということで、五年前と比較しますと四百万円の減、約八%の減でございますが、市町村立になりますと一館当たり平均約一千万円、これも五年前と比べると二百万円の減ということでございます。

 このように資料費が削減されている状況ではございますが、文部科学省といたしましては、図書館が、単に図書等の閲覧、貸し出しだけではなく、議員も御指摘なさっているところでございますが、地域を支える情報拠点として、住民の生活や行政施策の立案推進などに当たって諸課題の解決を支援したり、あるいは学校教育との連携により青少年の読書活動を推進するなど、極めて重要な役割を担っておりまして、各自治体におかれては、これをよく御認識いただきまして、図書館の整備充実にさらに努めていただきたいというふうに考えておるところでございます。

逢坂分科員 実は、私が今も住んでおります北海道のニセコというところには非常に小さな図書館がございます。図書館と呼べるようなものであるか、それに値するかどうかもわからないぐらい本当に小さなものです。かつては古い郵便局だったんですが、それを当時の郵政省から譲り受けて、改装をしていわゆる図書館にして、蔵書冊数も極めて少ない、しかしながら、そこでの維持管理、運営は、地域のボランティアのお母さんたちが会をつくって、町から幾ばくかのお金をもらってやっているのが実態であります。だから、どうしても、図書をなかなか買えないとか資料がそろえられないといった悩みがあるわけであります。

 しかし、そういう中であっても、そのお母さんたちが、何とかして地域の中でこの図書の活動、単に本を貸すだけではない、総合的な意味での図書の活動というものが大事だということをやり始めて、ことしでそろそろ三年か四年になるんでしょうか、地域の子供たちだけではなくて、高齢者を含めて広い世代にやはりとてもいい影響、いい効果をもたらしているという実態がございます。

 ですから、そういう点から考えてみますと、図書館というのは、資料費だとかそういうものも、やはり確保せざるを得ないものはきちんと確保するということが前提ではありますけれども、いろいろなあり方があるんだなということを学ばせていただいているところであります。

 そこで、二点目、文科省の政府参考人にお伺いしたいんですけれども、図書館のいわゆる行政効率というような言い方をもしされた場合に、どのようにこの言葉を解釈すればよろしいでしょうか。単に単位面積当たりの収穫量が多いとか、きっとそんなものではないんだろうと思うんですが、このあたり、いかがでしょうか。

中田政府参考人 私ども文部科学省は、図書館法という法律がございまして、その中で、公立図書館につきまして設置運営上望ましい基準を定めるという規定がございまして、一番最近のでは平成十三年に告示をいたしておりますが、その中では、サービス水準の指標を選定して、数値目標を設定しなさいということを定めております。具体的にはそれぞれの設置者が決めていただくことでございます。

 従来、私ども、図書館サービスのレベル、アウトプットとしてのレベルを一定に保つということに力を注いでまいりましたが、今議員御指摘のように、これからは同じサービスレベルをどうやって達成していくのかという、効率性ということについてもやはり十分注意しなきゃいけないということで、最近、「これからの図書館像」という提言を私どもいたしたわけであります。その中で、資源の配分を効率化するとか、運営を効率化するとか、あるいは管理運営形態のあり方とか、そういうことについてより具体的に検討し、評価をしなさいということを提言しております。

 図書館というのは基本的に料金を取ってはいけないという制度なものですから、収入は上がらないということなので、これをどうやって効率的に限られた資源の中でやっていくかということについて、これからは公立図書館についてもいろいろと自分で評価しながら改善していかなきゃならないというふうに、不断に見直しをしていかなきゃいけないというふうに考えてございます。

逢坂分科員 まさに、今政府参考人の口から出ましたけれども、図書館というのはお金を取れない、お金をいただいてかわりにサービスを提供するということができない施設になっているわけです。いわゆる一般的に言う行政効率というのはなかなか当てはめづらいものだというふうに思いますので、やはりこれも何度も繰り返しですが、今のこの厳しい財政の中で、単に削減というようなことだけでの方向では本来の機能を阻害してしまうんだろうというふうに私も感じております。

 そこで、さらに文部科学省の政府参考人にお伺いしたいんですけれども、文部科学省として、国立国会図書館を見た場合、その国立国会図書館の役割というものをどう見ているかということをお伺いしたいんです。先ほど私が言いましたとおり、国会図書館としての機能と、日本全体の図書館の頂点としての国立図書館の機能がある。特に国立図書館としての機能の面で文部科学省としては国立国会図書館をどう見ているかということをお伺いします。

中田政府参考人 国立国会図書館におきましては、国立国会図書館法第二条及び第二十一条に基づきまして、全国の公立図書館等との連携協力、それから一般公衆へのサービスが行われているところでございます。

 具体的には、全国の図書館で利用者の求めに応じられなかった資料の貸し出し、複写、あるいは情報提供、それから、インターネットを通じて、図書館サービスの情報源となる図書や雑誌の目録などの情報の提供、それから、国立図書館と公立図書館の蔵書、資料の総合目録のデータベースの作成、あるいは全国の学校図書館へ向けたセット資料の提供、あるいは図書館職員に対する研修、これらのサービスをやっていただいておりまして、全国の図書館にとりましてはこれらのサービスは非常に重要でございますので、これを活用することによってそれぞれの公立図書館のサービスの充実を図ることができるということで、今後とも相互に連携協力を進めることが必要であるというふうに考えてございます。

逢坂分科員 今御紹介いただきましたことというのは、やはり相当重要なことだというふうに思います。特に、自治体の財政が今厳しくなって、資料などは十分にそろえられない。だけれども、国立国会図書館には我々がそろえられないものもあるんだということが、国民全体に大きな安心感をもたらしているというふうに思います。

 それから、確かに、司法、行政、立法の三権分立、そしてその中の立法府のもとに国立国会図書館はありますけれども、今のお話を伺ってみると、必ずしも立法だけではない側面というのも随分ある。全国の公立図書館や学校図書館、図書室とも直結した役割を果たしているということでありますので、多面性を持っている国立国会図書館の役割をいま一度多くの国民が認識をすることが必要ではないかというふうに私は思っています。

 まさに中馬大臣がこれは財産だというふうにおっしゃられたのは、私も、本当にいいことを言っていただいたな、その財産をやはりこれからも守り育てるという視点がぜひとも必要だろう、そんなふうに思っております。

 改めてでありますけれども、国立国会図書館法の前文に「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」というふうに規定しているわけであります。ぜひとも、この崇高な国立国会図書館設置の理念を阻害することのないように、これからも、私も国民の一人としてその機能の維持そして更新、発展に参画をしてまいりたいと思っております。

 最後に、大臣の方から、きょうの議論を通じての御決意、国立国会図書館に対する思いなどをお聞かせ願えればと思います。

中馬国務大臣 国会図書館の今回の行政改革のことについても触れられましたが、これはやはり、ただ惰性に流れて人手でやっているといったことも、場合によっては効率化が十分でない、そのことをやってもらいたいということの趣旨はもちろんここでわきまえていきたいと思います。

 と同時に、今委員の方から御指摘がございましたような形で、それぞれの地域社会やまた国が持っている大きな宝でもございます、これを、利便性を高めながら、そして本当にこれを活用しながら、それぞれの社会やまた日本の国の大きな発展にもつなげていく必要がある、そのための体制をこれからも私ども心がけていく所存でございます。

逢坂分科員 時間が多少残っておりますけれども、以上で質疑を終わりたいと思います。いつもありがとうございます。

伊藤主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十六年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十九億五千四百三十二万円余に対しまして、収納済み歳入額は十九億九千五百九十七万円余であり、差し引き四千百六十五万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百七十三億七千二百九十三万円余でありまして、これに改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れのための予算補正追加額四千十八万円を加え、既定経費の不用等による予算補正修正減少額二十二億二千三百七十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百五十一億八千九百三十三万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百二十九億五千五百四十万円余でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費六百二億三千二百三十一万円余、衆議院の施設整備に要した経費二十六億六千二百八十二万円余、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに要した経費六千二十七万円であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、二十二億三千三百九十三万円余となっております。

 以上が、平成十六年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

前田主査代理 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。黒澤国立国会図書館長。

黒澤国立国会図書館長 平成十六年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百四十億六千八百八十一万円余でありまして、これに改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れのための予算補正追加額三億二千九百万円余、前年度繰越額七億一千四百二十九万円を加え、既定経費の節約等による予算補正修正減少額五億九千八百六十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百四十五億一千三百四十三万円となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二百四十一億三千八百七十六万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の管理運営に要した経費百九十九億二千九百三十五万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費九億五千六百十五万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費二十七億五千九百七十五万円余、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに要した経費四億九千三百五十一万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、三億七千四百六十六万円余となっております。

 以上が、平成十六年度国立国会図書館関係歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

前田主査代理 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。阿部裁判官弾劾裁判所事務局長。

阿部裁判官弾劾裁判所参事 平成十六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千八百三十八万円でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額六百五万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千二百三十二万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億七百九十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、四百四十二万円余となっております。

 以上が、平成十六年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

前田主査代理 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成十六年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千七百三十万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億三千三十万円となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億二千八百四十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、百八十九万円余となっております。

 以上が、平成十六年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

前田主査代理 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、電話関係業務に係る契約について、契約事務を適正に実施する体制を整備したり、予定価格の積算手順を整備したりするなどして契約事務を適切に実施するよう改善させたものであります。

 衆議院では、電話関係業務に係る契約について、契約方式の決定に当たり、競争に付するべきものを随意契約としていたり、予定価格の積算に当たり、労務費や材料費の積算を誤り契約額が割高となっていたりするなどしていて、契約事務が適切なものとなっておらず、改善の要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、十七年九月に通知を発し、会計法令等をより十分理解して契約事務を執行するよう周知徹底を図るとともに、審査体制を強化するための職員を配置したり、予定価格の積算手順を整備したりする処置を講じたものであります。

 以上、簡単ではございますが、説明を終わります。

前田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院が講じた措置について御説明いたします。

 会計検査院の検査の結果、電話関係業務に係る契約事務が適切なものとなっていないとの御指摘を受けましたことを踏まえ、本院では、契約事務の審査体制を強化するための職員を配置するとともに、予定価格の積算手順を整備するなどの改善措置を講じたところであります。

 今後とも、なお一層、契約事務の適切な実施に努めてまいる所存であります。

前田主査代理 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本分科員 民主党の古本伸一郎でございます。

 決算の中で、国会分につきまして私からは質問を申し上げたいと思います。

 昨今、国会職員という範疇なんでしょうか、あるいは国会図書館の方々も含めてだと思いますが、何かと御議論があるわけでございますが、これはそもそも給料が高いんじゃないか、あるいは退職金をもらい過ぎているんじゃないか、こういう御批判が世論の中にあるわけでありますが、もとより、その給料に見合った仕事をしているのであれば何ら批判には当たらないわけでありまして、きょうはこういう決算行政監視の場でありますので、そのあたりから少し議論をさせていただきたいと思っております。

 そこで、きょうは人事院にもお越しをいただいておりますが、この人事院月報の中で、人事院勧告に基づけば、例えば本省の、要するに霞が関の課長さんですね、四十五歳、配偶者あり、扶養三ですかね、配偶者と子供二人、つまり四人家族の課長さんの場合、諸手当も入ってだと思いますが、勧告後で年収が一千二百三十二万七千円。これは事実ですか。

関戸政府参考人 今の御指摘のとおりでございまして、昨年度の勧告後の水準、十七年度の水準として、本府省課長で……(古本分科員「事実かどうかだけ」と呼ぶ)はい、事実でございます。

古本分科員 そうしますと、本府省の課長さんという職種でしょうか、職能給が出ているわけですが、これは衆議院においてはどのあたりの方に相当するんですか。

駒崎事務総長 衆議院事務局の中の課長職に相当すると思います。

古本分科員 ということは、霞が関の方々の大体ざっくり言った年収、給与ですね、これと国会職員とはほぼ相違がないという理解でよろしいでしょうか。

駒崎事務総長 そういうことでございます。

古本分科員 そうしますと、ここで疑問が出るわけですね。霞が関の皆さんは別に高いとか何だと余り言われている記憶がありません。新聞報道等でも、今、ある意味たたかれているのは国会職員であります。何が問題かというと、そこら辺が単純な疑問としてわいてくるわけであります。いや、霞が関の皆さんも含めて高いんだ、退職金はけしからぬという議論があるならば、まだわかります。

 そこで、私が最近ある意味でお世話になった事案に、常任委員会は財務金融委員会に所属させていただいておりますので、証取法改正に当たりました。そして、この証取法改正の議論に参画するに当たり、私ども野党の立場で申し上げれば、まず当然に政府案の閣法を審議しつつ、必要があれば修正案あるいはみずからの衆法という形で議員立法を提出していくわけでありますが、そのプロセスにおいて衆議院法制局に大変お世話になりました。そして、職員の皆さんの昼夜を分かたない御努力はつぶさに見てきたつもりであります、私といたしまして。

 そういう意味で、単純な比較というのはなかなか難しいと思いますが、閣法である証取法を書いたのは金融庁ですね、金融庁の皆さんが今回の証取法改正を書き上げるに当たり要した時間、労苦がどのくらいあって、一方で衆議院の法制局が私ども民主党の要請に応じていただいて、さまざまな議員立法あるいは修正案を書いていただいたことに要する手間暇、これを例えば比較してみてはどうか、こう思うわけであります。そうしますと、もちろんさまざまな準備の過程から、役所の方は、当然、新たに法律を書くとなればさまざまな審議会も経て至るわけでありますから相当遠大な計画があると思います。もちろん前提の条件はあるのでしょうけれども、金融庁におかれましては、大体どのくらい手間暇がかかったか、簡単に御説明いただけるでしょうか。

細溝政府参考人 証取法の改正案及びその整備法案を今国会にお願いしておりますが、それに向けましていろいろ審議会をやっておったのは事実でございますが、去年の八月ごろから法制化に向けて本格的な作業をいたしました。

 それで、去年の八月の半ばからことしの三月十日、法律を提出するまでの間でございますが、その間に常時かかわっていた者が約三十三名、それから、年明け後、やはりそれでは足りないので、全庁的な取り組みということで庁内の他局から応援をいただいた方が七名、延べにしまして四十名でございます。昨年八月からことしの三月まで七カ月弱で四十名で作業をやっておりました。

 以上でございます。

古本分科員 七カ月を要し、四十名の工数を投入し、法案にしますと大体何ページぐらい書かれたんでしょうか。

細溝政府参考人 法案の場合は、改める文でカウントいたします。法案本体で申し上げますと、千百六十七ページでございます。いわゆる五点セットとして国会には提出しております、この分厚いものですが、それが法案本文も加えまして二千七百九十九ページでございます。

古本分科員 さて、法制局はどれぐらいの人数で、私どものオーダーに対し一体どのくらいの成果品を出していただいたんでしょうか。

伊藤法制局参事 お答えいたします。

 古本先生から御依頼を受けましたのは、証券取引委員会設置法並びに証取法一部改正法に対する修正案、そして証取法一部改正法の関係法整備法に対する修正案でございますけれども、いずれも私ども衆議院法制局第二部第二課が担当しておりまして、これらの立案作業に携わった職員は、第二課長ほか三名、トータル四名の職員でございます。法案、修正案の立案、またこれにかかわる資料の作成作業に要しました期間は、正味二カ月弱でございます。

 法案、修正案そのものの枚数は十七ページということでございますけれども、そのほか先生の御依頼に基づきましていろいろ資料を御用意させていただきまして、これも含めますと総計百五十ページの資料を作成してございます。

 以上でございます。

古本分科員 そうしますと、これはもう大変粗っぽい単純比較でありますが、霞が関の金融庁の方々は四十名の体制、そして衆議院の法制局は四名、つまりは十分の一であります。一方で、法律をつくるところが国会でありますから、大変粗っぽいですが、出てきた、書かれた法律の枚数をもって成果物と言っていいのではないかという理解の前提に立てば、片や閣法が約一千百枚余、そして衆法の方が十七ページ、関係資料を含めると百五十ページ。五点セットでいけば二千七百数十ページですか。これは単純に比較はできませんが、後で冷静に皆様方は計算していただければ答えは出ると思いますが、人数の割にはアウトプットは出ていると思います。そして、大変なタイムリーな対応をいただいたと私は感謝しています。

 そういう前提に立てば、実はもう一点指摘をしなければならないのが、この四名というのは、衆議院の法制局の四名、第二課さんだと理解いたしておりますが、我々にある意味対応していただいておった、証取法の議論があった一月、二月、三月にかけての二カ月間、この間にほかに仕事はなかったんでしょうか。

伊藤法制局参事 私ども法制局では並行して複数の法案を立案、処理するのが通常でございまして、先生御依頼の証券取引法関係の作業を行っている間も、民主党から御依頼いただきました行革推進法案、あるいは非営利法人税制に係る修正案を初めといたしまして、与野党から御依頼いただきました複数の立案作業を同時期に行っております。

 また、ほかの課と共同で立案作業を行うなどしておりまして、そういう意味では、非常に繁忙をきわめる中でのこの作業であったということを御理解いただければと思います。

古本分科員 つまり、政府の方はもちろんこの証取法一本だという前提でいいですよね、金融庁。ほかに仕事はありましたか。

細溝政府参考人 関係する課は市場課と企業開示課の二課でございまして、通常の業務を行いつつ、ただ、法案作業はかなり抜本的な法案作業でございまして、それにかなりの労力を割いたというものでございます。

古本分科員 これはなかなか定量的に比較というのは難しい作業なんですね。ところが、世間の皆様はこういうアプローチというのは多分今までしていなかったと思うし、何よりも、衆議院の予算、総長から先ほどの報告でいくと、今年度の予算は六百億ですか、このうち職員の給料、あるいは職員関係が幾らぐらいあって、それから国会議員の歳費が幾らあってという仕分けが多分あると思いますが、こういう予算の査定を入れるのは財務省の主計だと思いますが、きょうは来ていただいていますが、こういう前提でいわゆる予算定員も含め衆議院の予算を査定したことはありますか。つまり、単位労働コストに基づいて、つぶさな積算に基づき査定を入れたことはありますか。

鈴木政府参考人 国会の予算につきましては、三権分立の観点から留意しつつ、財政法に規定がございますけれども、各院から提出されました概算要求に基づきまして予算編成過程におきまして調整を行うということでやっております。

 国会事務局の人件費につきましても、厳しい財政事情ということではございますけれども、事務局の方々から勤務の実情等についての御説明をいただきまして、そうしたものを踏まえつつ、新規定員要求につきましては、真に必要な部分に重点的に配置するよう配意する。他方で、既定定員分については、両議院の決定による給与規程の改定等を計上するということでやっております。

 御指摘のような非常に定量的なところというのは必ずしも十分ではないかと思いますけれども、事務局の方々からはなかなか定量化が難しい事務をやっているという御説明も伺っておりまして、できるだけそうしたお話を伺いながら実情を把握したいというふうに考えております。

古本分科員 予算の組み方は、恐らく人件費の部分が相当占めるという、我が国の職種、産業横断的に共通する問題だと思いますね。この人件費の問題を議論する与件として、単位労働コストという概念は大変大事だと思います。つまり、漠然と、退職金が何千万出ている、あるいは年収が何千万ある、これはだれだれより高いからけしからぬという議論ではなくて、その金額にかなった中身の仕事をしているかどうか、まずこれをぜひ財務省には査定をしていただく癖をつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘の観点は大変重要な観点だと思いますけれども、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、なかなか定量化するのが難しい事務というのもございますので、いずれにいたしましても、勤務の実態等についてはできるだけ把握して、その上で査定作業も行っていきたいというふうに考えております。

古本分科員 先ほど中馬さんは閣法が多いという話がありましたが、最近の衆法並びに修正案の提出件数というのを少し法制局の方で出していただいたわけですが、平成三年ごろから定点でずっと見ていきますと、この十数年で、衆法、つまりは議員立法ですね、格段に数が伸びております、それから修正案の数も伸びてきております。そういう中で、恐らく職員の皆様は限られた陣容の中で、そして予算定員の中で努力をしていただいているんだと思います。

 これは、閣法の提出件数と単純比較いたしましても、伸びは如実に衆法の方が出ております。これはもちろん、私ども民主党を初め、野党の先生方はもとより、与党の先生も当然衆法は出すわけでありますから、ニーズは高まっているということだと思います。そして、このことを私たち国会に携わる人間たちが放棄してしまったら、あるいはこの機能に対してある意味でコストベネフィット的にぎりぎりやってくると、本来の立法作業に求められることが十分に機能できないのではないかという危惧も一方では持っております。さりとて、世論の御批判のある、余りに高過ぎると言われる退職金の問題等々は、先ほど申し上げたような、どれだけの成果を出しているのかということで少し査定を入れることにより明らかになるのではないかと思っております。

 そういう意味で再度財務省にお尋ねいたしますが、アウトプットに見合った給料なのか、逆に給与に見合った成果が出ているのか、どちらでも結構ですが、しっかりと査定を入れる御決意はありますか。

鈴木政府参考人 給与体系につきましては、人事院の勧告を踏まえた公務員給与、それを踏まえて両院の方で御決定いただいた給与規程を踏まえてなされているものと承知しておりますけれども、定員等につきましても、国会におきます事務局の役割、立法作業を支えていくというお仕事の内容を十分把握して査定作業に反映させていきたいというふうに考えております。

古本分科員 そこで、財務省なのか人事院なのかどちらでもいいですが、答えられる方にお願いをしたいのですが、生涯収入という概念で議論をしたいと思うのです。

 これは霞の方々それから国会の職員の方々を含め、モデルを前提に入れていただいて、例えば高卒十八歳で入って勤続四十二年、六十歳で定年を迎える方、あるいは大卒二十二歳、勤続三十八年で定年を迎える方、その与件はお任せします。どういう経歴で入った方が、たどっていくと最終的に退職金も含め大体どのぐらい手になさるのかということについてお尋ねしたいと思います。霞の皆さんと国会の職員の皆さん、それぞれに分けてお願いします。

関戸政府参考人 生涯の所得ということでございますが、私どもは実は国家公務員法の規定に基づきまして一般職の国家公務員の給与制度を所管しておりますけれども、退職金や年金はそれぞれ所管省庁が違いまして、またそれぞれにおいて妥当な水準を維持するという考え方に立っておりまして、全体について把握しているものはございません。

駒崎事務総長 衆議院の1種、2種、3種及び議警職職員等の処遇につきましても、一般職の国家公務員との均衡に配慮して行われておりまして、採用区分別の生涯賃金等の試算をすることは困難になっております。基本的には、人件費の積算というのは政府職員と同様になるんだろうと考えております。

古本分科員 これは大事なポイントなんですよ。高い安いとメディアの皆さんも騒いでおられるのは給与だけです。これは、月例の賃金と、賞与というんでしょうか皆勤手当というんでしょうか、世間でボーナスですね、これを合わせた給与所得分を本体としたならば、これに加え家族手当とかあるいは住宅手当というのもあるんでしょうか、そういう諸手当が入りますね。その諸手当があって、さらに福利厚生費、つまりは年金負担、医療保険負担、いわゆるフリンジベネフィットの部分がありますね。これは普通、企業でいけば、民間でいけば、大変頭の痛いコスト負担の部分です。この部分を加えていただいて、さらに仕上げに退職金が乗っかってくるわけであります。それで生涯収入が何億円という数字が多分出るんでしょうね。この概念なくして、一体どうやって高い安いの議論ができるのだろうかと思います。

 そういう意味では、世論も含めて、単に退職金だけが高い安いではなくて、生涯収入という概念で人事院もしっかりと見ていく必要があるのではないかと思います。

 その際に、恐らく、例えば官舎、宿舎ですね、これは小泉さんがやれ売れ、それ売れで、私は実は財金委員会で、国のそういう貴重な財産をそうそう簡単に売るべきではなくて、もっと高度利用を図った方がいいという立場で論陣を張ったつもりでありますが、いいじゃないですか。霞が関の皆さんが国家の大事な計算をするのに、中央線に一時間半揺られてたどり着いたときにはへろへろで計算を間違えましたなんということより、三十分で帰れるところに宿舎があっていいと私は思います。しかしながら、その宿舎に安く入れるということで、これは明らかなベネフィットです、役得です。

 しかし、それをコスト化して、ある意味で生涯収入計算をした上で大体これぐらい入るんだということの前提に立てば、地方の公務員も含めよく言われる、我々は給料が安かった分退職金で元を取るんだと言ってはばからない人も中にはいらっしゃる、国家公務員の皆さんはそうじゃないと言うかもしれませんが、実はそうじゃないのかもしれないんですね。

 そうなってくると、これは公務員の皆さんの給料が高い高いの大合唱になっちゃうんです。ちなみに、私はその立場には立っていません。皆様方はそれをきっちりオープンにした上で、私たちの生涯収入はこれだけです、通勤電車も民間の皆さんに比べれば一時間半揺られずに三十分でたどり着くところの宿舎に入っています、しかしながら天下国家のためにまさに奉仕者としてこんないいことをしていますと。それをもっとアピールすれば、コストベネフィットの計算を仮にしたとしても、それにたえ得るアウトプットがあるんだという論陣を張ればいいと思うのです。

 それを、退職金が高いとちょっと書かれてしゅんとなる。逆でしょう。これだけのアウトプットを出しているんだと。まさにきょう法制局の例を引きましたが、そういうことをやった方がいいんじゃないかと思うわけであります。

 皆同じ人間でありますから、あなたの給料が高い、けしからぬ、下げろと言われて、その人がやる気が出るでしょうか。むしろ、今いただいている給料に見合った働きをこれからやろうではないか、こういう方が極めて健全でありますし、前を向いた発想ではないかと思うのですが、その点を人事院に今聞いたって答えは出ようがないと思うので、私はここでは自説の開陳にとどめますけれども、そう強く思うわけであります。

 そして、そういう作業をした上でぜひアピールしなければいけないのは、私たち国会議員の方もそうなんですが、例えば宿舎の問題が今話題になっています。一部の方が騒いでおられ、それがメディアに流れていますが、例えば私のように地方から出てきた議員が、二十三区内に家を持ち合わせない者が、民間のアパートを借りろと言われても、さすがに中央線に一時間半揺られて通えと言われると、これはきついです。例えば都心三区に部屋を借りようと思うと、恐らく五十万円は下らないでしょう。そのことに対し世論は今御批判があると一部メディアが書いていますが、ではこの五十万円はどこから持ってくるか。これは、スポンサーのいる先生方はいいですね、どこかの会社が貸してくれたとか、あるいはパーティー券を買ってくれて、まあパーティー券のお金を回していいかどうかよくわかりませんが、そういう資力のある先生はいいですが、そうじゃない議員は困っちゃいます。そういう冷静な議論を世論ができないように今メディアも含め扇動するのはよろしくないと私は思っています。

 その意味では、皆様方も決して潜ることなく、どんどん表に出すべきだと思います。退職金もこれだけ出ているというその根拠は、生涯収入も含め議論すべきだと思います。そういう中で、ぜひ宿舎の問題、退職金の問題、さまざまな御批判はありますが、それに見合ったことをすれば国民の皆様も納得してくださるのではないかと思っております。

 その意味で、卑近な例を引けば、今国会議員の宿舎が建てかえ中というふうに伺っています。これはもちろん議運あるいは庶務小委員会等々で議論をしていると思いますが、単純に、私は衆議院の、ハウスのPFIの方に尋ねたことがありますが、建築コストを含め、あるいはその高度利用を含め、テナントの貸し出しを含め、そこに大変な原価の意識に芽生え、安くていいものを建てようというアプローチがあったかどうか、残念ながら確認はできませんでした。これは私たちの手にはないという説明がありました。これは通告していませんから一方的に申し上げますが。

 つまり、ハウスとしてもこれだけ原価の改善に努力しているんだということを、これから新しく会館も建てかえるというふうに伺っていますから、そういう中で努力をした人が報われる、あるいはそういった建屋、ファシリティーの面できっちり相見積もりをとって、競争入札の問題ももちろんありますけれども、しっかりやった結果安くていいものができた、それに資することに汗をかいた職員がしっかり処遇をもらう、処遇されると。これは結構なことじゃないですか。

 同等に、私たち議員の相手をしていただいて立法作業のサポートをしていただく、あるいは調査局の皆様が大変な資料を集めていただく、大変な御努力をいただいておるこの人たちも、これは最後に総長に確認しますが、日々接しているのは議員であります。議員の評価といいますか、この人はよく頑張っておるというようなことは評価の対象項目に今入っていますか。

    〔前田主査代理退席、主査着席〕

駒崎事務総長 私ども事務局は、国民全体の奉仕者であるとともに議員の活動を補佐する立場でございますので、先生方に喜ばれるサービスを心がけるのは当然のことでございます。職員一同、常にその思いで職務に日々励んでおります。また、私どもの仕事ぶりについて先生方から評価をいただくことは大切でありますし、事務総長といたしましても、その御意見に真摯にこたえていかねばならないと強く思っております。

 ただ、先生が今おっしゃられたような、個々の職員に対する国会議員による成績評価につきましては、常日ごろから先生方の身近で仕事をしている職員と、先生方と日常的には接触しないで日々職務に励んでいる職員が事務局にはおりますために、なかなか公平な評価方法として制度化するのは難しいのかなと感じております。

 今までも、先生方の評価の高い職員につきましては成績評価の参考には当然しておりますし、またそれを生かせるような職場に配置するように配置転換しておりますので、そういった意味では御質問の御趣旨に沿った評価を行っているのではないかと思っております。

古本分科員 誤解なきように。言葉は悪いですが、決して茶坊主のようなものをつくればいいと言っているわけじゃなくて、つぶさに職員の皆さんの頑張りぶりを見ているのは私たちがまず第一義にあるわけで、皆様がハウスの職員としてサービスを提供するとしたならば、そのサービスを受けるのは我々の側でありますから、私たちは国民の代表としてこうやって国会に上がってきているわけでありますから、そのことを考えれば、何ら問題はない評価の項目ではないかと思います。

 大分持ち上げた質問をしたわけでありますけれども、個々の職員で見れば、残念ながら私はその給料に見合った働きではないんじゃなかろうかという人も散見されます。これは、事細かな職種は申し上げませんが。

 ハウスの中でさまざまな職種がありますね。朝、登院してきてまず最初に会う衛視さん、それから車の呼び出しのところに座っている案内係の人、それからハウスの中の職員の方、それぞれ接しますよ。いろいろな人がいます。これは、今、民間では、世間では、ぎりぎり査定が入ってまさに能力評価でやっているわけですね。ですから、決して潜ることなく、表に出し、そしてしっかりやっている人が報われる、それにはめり張りをつけた評価を入れる。そういうことがまたやる気になっていい仕事ができる。いい仕事というのは、国民の血税を無駄遣いしないということですよ。安くていい議員宿舎、会館が建つなら、そっちの方がいいに決まっているじゃないですか。あるいは、いい議員立法が短期につくってもらえるなら、これはいいに決まっているじゃないですか。そういうことを強く問題提起を申し上げ、本日は終わりたいと思いますが、この問題は国民的にも大変関心の高いテーマだと思いますので、引き続きフォローをさせていただくことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島豊君。

福島分科員 先般、行政改革推進法が成立をしたわけであります。そうした一連の流れの中で、国会においても当然財政再建のために徹底した歳出の見直しというものを行う必要がある、そのように私は思っております。公務員定数の削減、人件費の削減、これに向けて国会としてどのような取り組みをしてきたのか、また、これからしていこうとしているのか、この点についてまず確認をしたいと思っております。

 この十年間というものは、民間企業にとりましては、大変厳しい経済状況の中で人件費をいかに圧縮するのか、血みどろになって取り組んできたと言っても過言ではありません。そのことが現在の景気の回復をもたらす一つの原因になってきている。

 一方で行政府はどうだったのか、そしてまた立法府であるところの国会はどうだったのか、このことが問われなければならないと思います。この十年間の国会事務局の職員数また人件費総額の推移について御説明いただきたいと思います。

駒崎事務総長 衆議院事務局の予算定員は、平成九年度の千七百四十七名から平成十八年度は千六百九十二名となっており、十年間に五十五名の純減となっております。

 人件費の決算額につきましては、平成七年度の百九十億七千七百九十七万円から平成十六年度は百八十八億四千百二十八万円となっており、二億三千六百六十九万円減少してございます。

川村参議院事務総長 最近十カ年における参議院事務局の職員の定員数と職員人件費についてお答え申し上げます。

 事務局職員の定員につきましては、平成九年度は予算定員千二百九十七人であったところ平成十八年度には千二百七十六人と、純減二十一人となっております。

 職員人件費につきましては、事務局、法制局合わせた決算額で申し上げますと、平成七年度が百四十七億四百五十六万円であったところ平成十六年度には百五十二億九千百七十万円となっております。

 以上でございます。

福島分科員 若干の定員の削減はあったんだろうと思います。しかし、見直すべき余地は多々あるというのが共通した認識ではないかというふうに私は思っております。

 先般、衆議院事務局等の改革に関する小委員会が中間取りまとめを行っていただきました。この中には定員の削減ということについて一定の方向性が示されておりますけれども、この改革ではどの程度人件費の削減というものが実現できるのか、ここの点についてお聞きしたいと思います。

駒崎事務総長 人件費の削減分の算出につきましては、削減対象部署の人員が直ちに退職するものではないことや、業務の外部委託による新たな費用負担が発生することなどから、正確な積算は困難な状況でございます。

 なお、議運の衆議院事務局等の改革に関する小委員会におきまして事務局機構のあり方などについて御検討いただいているところでございますが、定員につきましては五年間に九十五名以上純減するという方針を御決定いただいております。十八年度は既に二十一名の純減を行ったところでございますが、この方針に基づきまして、引き続き新議員会館建設に伴う削減や速記者採用停止等による削減などを進めることにより、目標を達成いたしたいと考えております。

福島分科員 参議院の方の取り組みはいかがですか。

川村参議院事務総長 参議院における人件費削減への取り組みにつきましては、参議院議院運営委員会などにおける御議論を踏まえて行う必要があることから、ただいまのところ削減を行う具体的な部署、削減数等を申し上げるまでに至っておりませんけれども、事務局といたしましては、議院活動の補佐に万全を期しつつ、業務の簡素合理化に努め、これまで政府の定員削減計画に協力してきたのと同様に、今後も継続して定員の合理化に努めてまいる所存でございます。

福島分科員 我が党は、行政改革において、事業仕分けが大事だということを訴えてまいりました。定数の削減についても、単に何%削減するのか、全体としての公務員定数の削減に横並び、こういうような感がなきにしもあらずだと私は思っております。

 具体的に申し上げると、機構をどうするかということが問われなければならないというふうに私は思っております。例えば、衆議院事務局千六百九十二人のうち大きな比重を占めておる部門は、庶務部が二百三十九人、管理部が二百六十八人、記録部が百九十八人、こういう大変大きなグループがあるわけです。システムとして、組織としてどう変えていくのか、本当にどういう仕事が必要なのか、効率化できるものは何なんだ、こういう洗い直しを徹底してやっていただく必要がある。今回の取りまとめは議運で行っていただきましたけれども、ここのところの踏み込みは私はぜひもっとやっていただかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っております。

 その中で、例えば記録部については速記システムの合理化をするという一つの方向性があります。また、運転手の体制の合理化、議員会館の統合によって議員課の統合、こういう一定の方向はあるんですけれども、これは私はあくまでパーツだと思う。立法府としての機能を果たすために最低限必要な組織というのは一体どういうものなのか、そしてまた、今ITの時代ですから、それを効率化することによってもっと人員削減できないか、こういうことが問われているんだろうと思います。

 ハウスが異なるとあれですから、駒崎事務総長、お考えがありましたらちょっとお聞かせいただけませんか。

駒崎事務総長 ただいまのお話は、衆議院事務局等の改革に関する小委員会でも、立法調査機能の強化とか運営部門の強化というようなことを中心に、そちらの方は定員削減はすべきではないのではないか、むしろ庶務、管理部門で合理化、効率化できるところを削減していくというふうなことは当然考慮に入れて御議論されてございますので、私どももそれに沿って行ってまいりたいと思います。

福島分科員 次に、契約のあり方についてお尋ねをしたいと思います。

 随意契約が非常に多いんじゃないか、こういう指摘がなされております。これに対して、平成十八年二月二十四日、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議が設置をされまして、四月の十一日には閣僚懇談会で随意契約の見直しについて総理指示がなされております。

 随意契約については、手続が非常に不透明である、そしてまたコストも割高になるんじゃないか、場合によっては贈収賄というような事件も起こっているわけでありますけれども、各省庁で、随意契約どうするんだ、このことが問われているわけであります。国会においてもこのことは同じであるというふうに私は思っております。

 衆議院においても、入札・契約手続運営委員会の調査審議対象を拡大する、また入札・契約手続運営委員会の構成員の見直しをする、契約担当課に契約監査係及び契約監査主幹を配置する。先般の不祥事を受けてこういう改革があったと伺っております。

 また、参議院ではホームページ上に、なぜ随意契約にしたのかという理由を公表して透明化を図るというふうに伺っております。しかし、その努力によって現状が本当にどう変わったのかということが問われているんだと思います。

 参議院のホームページを拝見させていただきました。「調達関連情報」ということで大変興味深く拝見をさせていただきました。理由が示されているということでありますけれども、随意契約の場合は、その理由ということで確かに示されております。しかし、例えば保守的なものであると、互換性ということでほとんどが同じ理由になっておりますね、このあたりは。そしてまた、互換性というのは、一たんその設備の施設整備を受注したところが、互換性がないということで繰り返しその保守を請け負う、こういうことになっているんだろうと思います。

 その中で、具体的なことについてお尋ねをしたいんですけれども、これは、押しボタン式投票装置保守一式ということで、十七年の四月一日、落札が決定した。電機会社が受託しておりますけれども、二千七百八十三万五千五百円、およそ三千万ということになります。

 これを見ていて私は、こういう押しボタン式装置、確かに電気機器でありますけれども、そんなに複雑な構造ではないだろうな。そしてまた、簡単に壊れるような電気機器というものは、日本の製品ですからそんな簡単に壊れないだろうな。そして、なぜ一年間にこの保守のために三千万近いお金がかかるのか。そして、互換性がないということで同じ業者が受注し続ける。非常に不透明だとは申しませんよ、どうしたら価格を下げることができるか、そういう努力が全くなされていないんじゃないか。そう思わざるを得ないんです。

 この金額、二千七百八十三万五千五百円、どういうことでこういう数字になるのか、御説明をいただきたいと思います。

川村参議院事務総長 押しボタン式投票装置による投票システムは、そのシステムを設計、製作した者にしか扱うことができない固有のノウハウを有する機器及びプログラムにより構成されているところでございまして、本業務はほかの者では行うことができないため、会計法第二十九条の三第四項及び予算決算及び会計令第百二条の四第三号により随意契約を行っているところでございます。

 金額が高いのではないかという御指摘でございますが、押しボタン式投票装置は本会議の表決に用いる議院の最も重要な設備でございまして、その動作の確実性、安全性には万全を期しているところでございます。このため、本会議の前日及び当日に入念に設備の総点検をいたしますとともに、本会議当日も、緊急事態に備えて保守要員を待機させるなど特別の体制を組んでいるところでございます。

 こうした体制で本会議に臨んでおります中で、保守経費につきましては、年間の本会議開会日の二倍の日数にわたり保守要員の派遣を求めているということなどから、先生御指摘のとおり契約額が二千七百八十万円余になっているということでございます。

福島分科員 もう少し具体的に、何人の保守要員がいて、一人の保守要員の一日のコストは幾らですか。

川村参議院事務総長 保守点検要員は一日三人でございます。一人当たり五万七千六百円のプログラマーを用意いたしております。

福島分科員 プログラマーである必要があるかどうかということは、私は甚だ疑問だろうなというふうに思います。例えば仮にふぐあいが起こったとしても、そこでプログラムを変更するような事態というのはまず起こらないでしょう。それほど複雑なプログラムではない、そう思います。

 現にプログラマーが来ているかどうかというふうな質問はいたしません。そしてまた、プログラマーが一日常駐して、一体何回ボタンを押して点検作業というものをしているのか、実時間というのはどのくらいなのか、そういうこともお尋ねはいたしません。

 しかし、この随意契約の値段は言い値でやっているんじゃないですか、向こうの言い値で。そしてまた、この業者しかできませんというのは、最初の発注の段階からその業者でしかできないような発注の仕方をするからそうなるんじゃないですか。仕様をきちっと決めて、どの業者でもできるような発注の仕方をすれば、後で競争入札をさせて安くさせることができますよ。これは国民の税金ですから、どういうふうにして安くするかということを工夫しないで、国民の負託にこたえることはできないというふうに私は思っております。

 一方でまた衆議院の方では、昨年一月に、庶務部の技術調整主幹が施設整備工事発注をめぐって収賄で逮捕される、こういう事態が生じました。このあたりのことは、随意契約が多いということと裏腹の関係ですね。

 衆議院として、先ほどちょっと申し上げましたけれども、どういう対策をされたのか、御説明下さい。

駒崎事務総長 ただいまお話ございました、平成十七年二月に、庶務部電気施設課におきまして汚職事件が起こりまして、それを受けまして、平成十七年四月から、入札・契約手続運営委員会等の調査審議対象の拡大及び構成の見直し等を行うとともに、平成十七年九月には、庶務部会計課に契約監査係を新たに設置し、契約の事前審査機能を持たせ、契約の複数チェック体制を確立するとともに、同課に業務を統括する契約監査主幹を設置する等の措置を行ったところでございます。

 また、技術系職員の外部との人事交流を行い、外部との接触の機会をふやすことにより、意識や技術の向上を図ることとして、同年九月から参議院事務局等と技術系職員の人事交流を行っているところでございます。

福島分科員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。

 同じく申し上げておかなければなりませんのは、手続の適正さを確保するという体制の見直しなんだと思います。その中で、いかにしてコストを削減するのかということについても目を光らせないと、正しくやっていますと言うだけでは済まない部分があるということも申し上げておきたいと思います。

 次に、障害者の問題についてちょっとお聞きしたいんです。

 国会においても、障害者に開かれた国会でなきゃいかぬというふうに私は思っております。その中で、直接的に国会というのは雇用者の立場でもありますので、障害者の雇用の状態がどうなっているのか、このあたりについて衆参両院にお聞きしたいと思います。

駒崎事務総長 障害者の雇用の促進等に関する法律及び同施行令では、国の機関の障害者の法定雇用率を二・一%と定めておりますが、直近、平成十七年六月取りまとめの衆議院事務局における障害者の雇用率は二・二一%と、法定雇用率を達成してございます。

川村参議院事務総長 参議院事務局におきましては、障害者雇用の促進等に関する法律の趣旨に沿った対応を行っており、平成十七年の実雇用率は二・一一%となっているところでございます。

 今後とも、障害者雇用の促進を図る努力をしてまいりたいと考えております。

福島分科員 その具体的な中身についてはお尋ねをしませんが、知的障害でありますとか精神障害でありますとか、そういった方々についても、ぜひ積極的なお取り組みをいただきたいと要請いたしておきます。

 また、国会テレビの中継、最近はインターネットでも見られますので私ども大変便利でございますけれども、障害者の方々の視聴をどういうふうにして支援をするか。例えば政治家の場合、最近ですと、国会の報告会を開くときにも手話通訳の方に来ていただいたり、そしてまた選挙の際の街頭演説でも手話通訳の方についてもらったりとか、いろいろな工夫をいたしております。

 これは、国会の中継においても、障害があってもなくても皆その審議の状況がわかる、こういう環境づくりをすべきだというふうに思っておりますが、衆議院としてどんな取り組みをされているのか、お聞きをしたいと思います。

駒崎事務総長 衆議院のホームページにおきましては、高齢者、視覚障害者対応といたしまして自動音声読み上げ機能を利用できるよう措置を講じておりますが、国会審議テレビ中継におきましては、聴覚障害者のために、例えば今おっしゃった手話通訳映像を流す等の措置は現在のところは講じておりませんので、会議録を見ていただくことになります。

 それで、今後につきまして、その手話通訳映像を流すかどうかということでございますが、これは、国民の要望と、かなり必要経費もかかるんだろうと思いますので、そこは勘案して検討していくべきものと考えております。

福島分科員 先ほどから一方でコストをできるだけ削減しろというふうに申し上げておりますので、コストとの兼ね合いだろうと思いますけれども、できる限り工夫をして、いろいろと努力をしていただきたいと思います。

 そうしたことに関連をいたしまして、次に、速記システムの導入についてお伺いいたしたいというふうに思っております。

 これは、速記部の人員定数の削減ということにもつながる大変大切な取り組みだと思っております。参議院の方が、平成十五年から調査を開始されて、十六年、十七年と速記者の養成を中止した、十七年に議運の委員会の理事会で新たなシステムの導入を決定した、十八年、ことしはプログラムの製造といいますか、作成と言った方がいいでしょうか、時期に当たっている、来年がシステムの構築と。衆議院の方がおくれて、十七年に速記者の養成を中止した、新たなシステムの調査を平成十八年から開始したと。

 この点については国会でも、なぜ両院が別々にやるのか、こういう質問がなされております。これは、国民の目から見ても、それはまあ同じシステムがいいんじゃないか、その方がコストはかからないよね、こういう意見は当然あるんだろうと私は思います。

 ただ、参議院の決算委員会では、正確で迅速な会議録の作成、そしてまた労働負荷を過重にしない、短期間でシステム操作に習熟できるようにする、現状よりもコストが低い、新たな付加価値が期待できる、こういったようなことから新たなシステムの開発をします、こういう答弁がなされているというふうに思います。

 この点について、コストというのは非常に大切なことでございます。参議院は先行いたしておりますけれども、衆参両院で、こうした新しいシステム、どの程度の開発コストがかかって、そしてまた、そのことによって運用コスト、これは速記部の速記者の方に仕事をしていただくので比較するという話になると思いますけれども、一体どういう目標で、これは目標もなくただやっていますということでは済まないんだと私は思いますけれども、考えでやっておられるのか、この点についてお聞きをいたしたいと思います。

駒崎事務総長 衆議院におきましては、平成十八年度は調査費約八百万円を計上して、新しい会議録作成システムについての技術動向調査、導入条件調査等を行いまして、今後のシステム開発に係る費用につきまして検討する予定でございますので、まだ今のところははっきりしたことはわかっておりません。

 さらに、先行している参議院のシステムも採用したらどうかというお話でございますが、本調査の中で参議院の新速記システムの仕様等も検討いたしまして、新しい会議録作成システムの計画を進める上で、有効に活用できるものがあれば有効に活用していきたいと考えております。

川村参議院事務総長 新速記システムの開発及び運用コストに関するお尋ねでございます。

 参議院におきましては、参議院改革協議会の答申を踏まえまして、速記業務の改善に従来から積極的に取り組んでまいったところでございまして、これまでにも速報版の発行を初め未定稿の段階で先生方に審議情報を御提供するなど正確な会議録情報の早期提供に努めてまいりましたが、さらなる速報化の御要請にこたえるため、新速記システムの導入を決定したところでございます。

 開発コストでございますが、平成十六年度から十八年度までの三カ年で、システムの設計、調査、製造に係る経費として約二億六千万円を計上いたしております。そのほか、本システムの稼働に必要な施設整備につきましては、別途予算措置を行っているところでございます。

 運用コストに関するお尋ねでございますけれども、その内容といたしましては機器あるいはシステムに係るリース料や保守料等が挙げられますけれども、平成十九年度にはシステムが稼働することに伴いリース料が必要となります。また、二十年度からは保守料が発生をいたします。

 これらの運用経費につきましては、コスト削減を図るため、いずれも入札により調達することを予定いたしておりますので、現時点で具体的な数字をお示しすることができないことを御理解いただきたいと思います。

福島分科員 入札でやっていただけるということで評価をさせていただきたいと思っておりますが、ここの会社でないとできないというシステムだけは、これは導入の段階での規定の問題ですから、ぜひしっかりやっていただきたいと思いますし、衆参でそういう仕様にして共用できるものは共用していただくということが大切だろうというふうに思っております。先ほどの押しボタンではありませんけれども、導入して随分コストがかかっちゃった、しかし迅速にやるというメリットはありますけれども、コスト意識というのはぜひ持っていただきたい。

 そして、衆議院の方に申し上げておきますのは、幾らかかるかまだわからない、こういう話なんですけれども、むしろ、実際に事業を発注するときには幾らでできるかというのが、普通、民間企業はそうですね。あなたのところは幾らでできるんだと、まずコストを決めて、そしてその中で、どういう努力をさせるか、例えばどの程度の性能が必要か、ある程度折り合いをつけていくわけですね。

 それは、例えば防衛関係ですと、技術性能は非常に高くなきゃいかぬ、こういう話になるのでなかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、国会でどういう性能のものを入れるのかということもコストとの見合いで当然考えなきゃいかぬということなんだろうと私は思っております。ぜひそのあたりは、後から見て賢明な開発をされたと評価されるようなやり方をしていただきたいというふうに私は思っております。

 続いて、若干質問を入り繰りしまして、時間が限られておりますので、先ほども質問がありましたけれども、新議員会館の建設についてちょっとお尋ねをいたしたいと思っております。

 私、個人的には実は賛成していません。大変お金がかかるということがあって。どういうタイミングがいいのかな、こういうふうに思ったりもいたしておりますが、しかし、国会全体で決めたということでありますので、むしろその中で今後どういう努力をするのかということが問われているんじゃないかというふうに思っております。

 一方では都心部の公務員の宿舎は売却する、こういう話があるわけです。一方で何か新しいものがまた建っているぞと。今、議員宿舎も建てている途上でございますけれども、やはり私は国民のおしかりをいただく可能性が高いのではないかというふうに実は懸念をいたしております。しかし、今までの経緯のある話でございますから、そのことについてはこれ以上触れませんけれども、しかし、その中でどう努力するかということが問われている。

 具体的に、この議員会館建設のスケジュール及び必要とされる経費についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。

駒崎事務総長 衆議院新議員会館整備等事業につきましては、平成十七年十一月三十日にPFI事業者を選定し、本年三月に約千百六億円をもって事業契約を締結したところでございまして、これには、設計、建設、工事監理及び維持管理、運営に係る経費が含まれているところでございます。

 本事業の建設スケジュールにつきましては、本年八月中旬から仮施設の建設を開始し、その後は平成二十年一月から新しい議員会館の工事に着手し、平成二十二年六月にこれらが完成する予定になっております。また、駐車場、外構を含めた施設全体の完成は平成二十四年十二月を予定しております。その後、本事業については、施設の維持管理、運営を平成三十一年度末まで行うこととしております。

福島分科員 今、概要の御説明がございましたが、先ほども御指摘がありましたように、千百億、参議院を入れると千六百億になるんでしょうか、この点について、どれだけ経費を削減するのかということで努力がなされたのかということが国民に見えないと、やはり私はよろしくないんじゃないかというふうに思うんですね。

 今までの経緯の中で、そのあたりは私も具体的に計画が煮詰まっていく段階のプロセスを承知いたしておりませんが、どのような努力がなされてこのような数字に落ちついているのか。PFIにしたので、そういう意味では経費が、これは時間をかけて払うということになるわけですからあれなんでしょうけれども、そのあたり国民にもう少しわかりやすく説明をしていただけるとありがたいんですけれども、もう一度よろしくお願いいたします。

駒崎事務総長 本事業の経費削減につきましては、予算要求の段階におきまして施設規模をできるだけ縮小するとともに、施設の内装、外装の仕上げ等に係る要求水準の見直しにより経費の削減に努めたところでございます。また、PFI方式を採用し、民間事業者のノウハウや技術的能力を活用するとともに、設計、建設、維持管理、運営を長期的かつ一括して実施することにより、コストの削減を図ってきたところでございます。

 なお、結果として落札率は約七五%となり、大幅な費用削減が達成されたところでございます。

福島分科員 非常に落札率が低かったということも一つのあかしである、こういうことになるんでしょう。まあ、その御答弁で了解をいたします。わかりました。

 いずれにしましても、議員会館を建設する期間というのは、現在、歳出歳入一体改革、そしてまた経済財政一体改革、そういう議論がなされている時期に当たります。国会の中では、国民の皆様に御負担をお願いする、そういう議論がなされている時期に恐らくなるんだろうというふうに私は思います。そして一方では、国会の隣ではつち音高く新たな建物が建設中である。そうしたことが国民の目から見てどういうふうに映るのかということを私は懸念しますし、また、そのこともしっかりと受けとめていかなきゃいかぬというふうに思っておるところであります。

 いろいろな経緯のある話でございますので、その点については以上で閉じさせていただきたいと思っております。

 本日もたくさんの、大量の書類が机の上に置かれております。これを持って帰られる議員はほとんどいないというのが現状ではないかと私は思っております。この膨大な紙、私の部屋も法案やら何やらたくさんの書類でもう満杯なんでございますけれども、たくさんの紙を消費するこのシステムが何とかならぬかなとこの十数年思ってまいりました。これは、環境問題ということもありますし、実際にはコストにかかわることです。

 私の事務所では、最近はコピーの紙はお役所からいただいた紙の裏を使ってコピーをいたしておりますけれども、経費削減のために。そういう努力はなかなか国会でやるというわけにはいかないような思いがいたしますけれども、具体的に、立法府の仕事としての法案の審査にかかわって一体どの程度の経費、条文にしましてもこのような書類をたくさんつくりますね、どの程度かかっているのか。私も今まで考えたこともなかったし、また教えてもらったこともなかったんですが、後学のために具体的な数字をぜひ教えていただければというふうに思っております。

駒崎事務総長 先生方にお配りしている閣法、衆法、条約及び予算書、決算書等の議案の印刷費でございますが、平成十六年度における実績額は約一億七千百万円でございます。

福島分科員 そういうお話を聞くと、議員立法もお金がかかっているのでどうしようか、こういう思いもするんですが、質疑時間が終了してしまいましたので、私の方から最後に一言だけ申し上げておきます。

 こうした大量の紙、しかも、恐らくは廃棄されているんです、これは。とっておく人は余りいません、スペースは限られておりますから。こういうものをどう効率化するのかということを、システムとしてどうするかという問題ですから、ぜひ真摯に考えていただきたいというふうに思っております。

 たくさん法案を出す厚生労働省の方にもきょうはお越しいただいておるんですけれども、時間が来ましたので、以上で私の質問は閉じさせていただきます。大変ありがとうございました。

伊藤主査 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。大塚会計検査院長。

大塚会計検査院長 平成十六年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額五千三百九万円に対しまして、収納済み歳入額は三千七百四十九万余円であり、差し引き千五百五十九万余円の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入二千七百七十二万余円であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額二百二億七千百五十九万余円でありますが、これに予算補正修正減少額及び前年度繰越額差し引き五億四千七百三十四万余円を除いた予算現額百九十七億二千四百二十四万余円に対しまして、支出済み歳出額は百九十一億三千四百六十六万余円でありますので、その差額五億八千九百五十八万余円を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、人件費として百三十三億七千二百四十四万余円、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十二億三百八十八万余円となっております。

 以上、簡単でございますが、平成十六年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

伊藤主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 会計検査院の問題では、会計検査院の天下り団体、財団法人公会計研究協会というのがあって、職員は十八人おられますけれども、会計検査院の天下り職員が十六人もいる、そのうち常勤が七人。こういう団体がございますが、この団体とおかしな随意契約を結んでいる。

 例えば、いろいろあるんですけれども、一つはテレビ情報ということで、情報整理経費ということでテレビを録画するということでございまして、平成十七年度には百十八番組を録画した。この録画するのを随意契約でこの天下り団体に発注している。録画はだれでもできると思うんですが、しかも、こんなのは自分でやってほしいんです、庁内で。外に録画を任せている省庁はありません。こういうばかなことを会計検査院はやっていると私は思うんです。

 例えば、私も出ている番組ですけれども、「たけしのTVタックル」、役人腐敗列島、春の税金無駄遣いをことしの三月二十日に録画している。あるいは「スーパーJチャンネル」の「新・怒りの導火線!」、これもことしの二月二十二日に録画をしている、随意契約で。そして、「みのもんたの朝ズバッ!」の厚労省職員千人余りを処分、これは昨年の十一月九日に録画している等々、こういう有名な番組、百十八番組を外の団体に随意契約で録画している。しかも、トータルで一年間二千二百九十八万円。これは新聞の切り抜き代も入っているということなんですが、これはテレビだけで幾らですか、発注額。

大塚会計検査院長 検査情報収集整理業務の十七年度の契約額は二千七百三十万円でありますが、事務方より契約金額の考えについて確認いたしましたところ、これまでの業務実績を勘案した使用人員七名に月額の人件費単価を乗じるなどして予定価格を算定しております。

 業務の内容につきましては、検査報告関係のデータ入力業務につきましては一名が専属で業務を行っていることから、契約の内訳金額は三百六十万円程度であります。そして、各メディアからの検査情報を収集整理するのは残りの六名全員で、地方紙を閲読、切り抜きし、関係課ごとの整理、配付する合間に、専門分野の雑誌の切り抜きやテレビに関する番組の選定録画及び概要作成などを行う形で業務全体が進められているものであります。

 したがいまして、先生お尋ねのテレビ番組に係る経費につきましては、各メディアからの検査情報の収集整理業務が一体として行われていることから、その内訳をお示しすることができないところであります。

長妻分科員 それはおかしな話で、私も事務方から詳細に説明を受けると、新聞切り抜きとかテレビの録画を七人でやる、これは以前から七人だから七人なんだ、そんな明細なんか出せるかと。こういう御返答でございまして、こんなどんぶり勘定でテレビ録画の随意契約。これはいいんですかね。テレビ録画を外に発注している役所はまずないですよ。これは本当に足元から、ほかの役所の模範となるべき会計検査院、だらしないと思います。

 そしてもう一つ、宿泊施設情報を登録するシステムというのもつくっておられて、これが全体で二千七百二十五万円もかけてそういうコンピューターシステムをつくったと。これは、会計検査院の職員が出張するときにどの宿に泊まったらいいだろうかというのを検索するシステム。しかし、こんなものは今インターネットの中で幾らでもそういう情報はあるわけであります。

 そのシステムの中をちょっと見てみますと、このシステムの中にこういう職員の書き込みがあるわけですね。例えば、設備。冷蔵庫は中に品物がいっぱい入っていて、あいている場所がなく使えない。何か、検査のために必要な宿を探す、そういう専門的なものだという説明だったんですが、実際取り寄せてみると、こんな情報なんですね、例えば二〇〇六年の四月二十四日は、ホテルの地下にある居酒屋は座敷から釣りが楽しめて、釣った魚を調理してくれる、まあまあ安くておもしろい。こんな情報を入れて、二千七百万もかけてこんなものをつくっちゃっている。あるいは、道頓堀に近い、周囲にコンビニも多い、エレベーターから部屋まで遠いのがきついが値段的にそうなっている模様、チェックアウトが自動精算機でできるので便利でしたと。こんな情報を、二千七百万円もかけてコンピューターシステムをつくるという神経が私は信じられません。

 しかも、先ほど申し上げたこの天下り団体に、出張支援ということでOBのアドバイスをいただくということで随意契約まで結んでいる。こういうはちゃめちゃなことをやっているわけですが、これは院長に反省の言葉をお願いします。

大塚会計検査院長 今委員御指摘のこの宿泊情報につきまして、いわゆる調査官が検査をしたときに、ホテルのいろいろな情報というのを、確かに、今申し上げたような、検査をした後についての情報も一部入っておりますけれども、全体として、調査官が快適に十分な検査を行うための一つの情報であるというふうに広く御理解いただきたい、こんなふうに考えております。

長妻分科員 全く説明になっておりません。

 しかも、検査対象への天下り問題を私も問題にしてまいりましたけれども、確認できないできないと。何代目なのかということを御確認いただきたいと申し上げたんですが、私が直接確認してペーパーをいただきました。例えば新東京国際空港公団、今の成田国際空港株式会社、検査対象でございますが、公団時代からを含めて直近までで六人でありますということで、六代目だと。会計検査院のOBが六代目天下りとちゃんと文書で認められております。さらには、二カ所しか聞かなかったわけですけれども、独立行政法人の都市再生機構、ここは現在の天下りの方々、諸田さんという方ですね、この方までで何代目ですかと聞きましたら、五代目だと。会計検査院からの天下りが自動的に五代続いている。

 こういう自動的に天下るような、しかも検査対象ですよ、これはもうやめるということを明言してください。

大塚会計検査院長 会計検査院の再就職につきましては、要請に応じてそれにふさわしい人材がいるときに限って行っているものでありまして、固定的、定例的、慣習的に行っているものではありません。(長妻分科員「固定的じゃないか、六代目だ」と呼ぶ)

 今後とも、固定的、定例的、慣例的に行っているとの誤解を招かないように……(長妻分科員「誤解じゃありませんよ」と呼ぶ)

伊藤主査 長妻君に申し上げます。

 主査の許可を得てから発言をお願いします。

大塚会計検査院長 再就職先からの要請内容が本院職員の経験と能力を生かすのにふさわしいかどうかを十分に聞き取り、本院職員がその要請内容にふさわしい者であるかどうかを十分検討することとし、再就職について国民の疑惑を招かないように配慮してまいりたいと思います。

長妻分科員 私は十分疑惑を招いていると思うんですね。

 固定的じゃないと言って、お役人の文章だけ本当に院長は読んでいますね。自分の言葉で、自分の頭で考えて答弁してください、操り人形じゃないんですから。

 六代目、五代目というのは、これは固定的ですよ。見直す検討は全くしないんですか。

大塚会計検査院長 先般の衆議院の行政改革特別委員会で、総理の発言を踏まえまして十分検討すると答えたところでありますが、現在、事務総局に命じて検討させているところであります。

長妻分科員 これはぜひやめるということも含めて、事務方に聞くとやめるということの検討は選択肢にないというふうに頑張っておられますから、院長からやめるということも含めた検討だというのを念押ししていただきたいと思います。

 そして、年金問題でいろいろ不正免除が出ておりますけれども、会計検査院、この件についてきちっと検査しますか。

大塚会計検査院長 社会保険庁の保険事務につきましては法令にのっとり適正に処理すべきものでありまして、本院では、主として合規性の観点から検査を行っておりまして、毎年度の決算検査報告に、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収額が不足していた事態等を不当事項等として掲記しているところであります。(長妻分科員「今回の不正免除は」と呼ぶ)

 国民年金事業についても従来からの検査を実施しているところであり、国民年金保険料の免除につきましては、その事務処理の適正化を図るよう昭和六十二年十二月に是正改善の措置を要求するなどしてきております。そして、本年も引き続き国民年金事業の実施について検査を実施しているところであり、ただいま御指摘のあった事態について、私どもとしても、事実関係を十分確認してまいりたいと思っております。

長妻分科員 村瀬長官が来られておりますので、墨田社会保険事務所で新たな問題が発生したと私は思うんです。

 お配りした資料の三ページ目でございますけれども、こういう文書を、つまり、「ご連絡がない場合は当事務所において、免除申請することに同意していただいたこととして処理を進めさせていただきますのでご承知願います。」ということで勝手に進める文書。これは長期未納者を、そのまま所得も見ないで一万三千百七十一人送付をした。そのうち、連絡がなかった人で区役所に照会して所得が合致した人二千四百一人に対して免除をしたと。これが公式発表ですけれども、私は、これはちょっと事実と違うんじゃないかということで、墨田社会保険事務所に二千四百一人に対して本当にこれは所得要件を満たしているのかどうかと。ある情報が入ってきて、いや、自分は年収はかなり高いんだけれども免除の通知が来てしまっているよ、どう考えても免除は満たさないんだと。こういう御指摘があって、調べてもらいました。

 初め、社会保険庁は、そんなことはあり得ない、年収要件を満たさないで免除通知が出る、あるいは猶予通知が出るということは全くあり得ないから調べる必要はないとずっと頑張っておられた。いや、とんでもないので、これはぜひ調べてくれと言ったら、やっと調べていただいた。そして、何ですか、この十二件が所得要件を満たしていないのに猶予通知、免除通知が本人にも送られている、しかもそういう処理がなされている、こういうことであります。

 四、五、六ページに、その方の書類を添付しておりますけれども、ここに、本来は却下しなきゃいけない方が納付猶予承認。このBさんも却下しなきゃいけないのに納付猶予承認。本来は猶予にしなきゃいけないのに全額免除にしてしまうという事例がございました。

 お配りした資料で、一ページ目に、三件、Aさん、Bさん、Cさんの事例、これを調べてほしいということで前から頼んでいて、きょうの午前中は三件だけ見つかりましたということでございましたが、さらに私が本当に三件なのかどうか、隠していないのかどうか厳しく聞きましたら、その数時間後に、いや、十二件あるということで、またお配りした二枚組の資料、AさんからLさんまで十二件、十二人の方に対して免除や猶予の要件を満たしていないのにコンピューター上処理して、本人にもそういう通知が出ている。

 例えばAさん、二十八歳、この方は昭和五十三年生まれ、本人は所得がないけれども、配偶者に控除後の所得三百二十五万円がある。本来はこれが九十二万円でないと猶予できないのに猶予をしてしまっている。

 Bさんは昭和五十二年生まれの二十九歳、本人の所得はゼロ、配偶者は控除後の所得が百九十九万円。本来は九十二万円でないと猶予できないのに猶予をしてしまっている。

 Cさんは五十八年生まれ、二十三歳、世帯主に控除後の所得が三百四十二万円ある。本来は百九十万円でないと全額免除できないのに全額免除をしてしまった。

 Dさんも猶予でないのに猶予してしまう。Eさんも猶予でないのに猶予してしまう。Fさんも猶予でないのに猶予してしまう。Dさんが五十歳、Eさんが二十七歳、Fさんが三十歳。Gさんが二十九歳で、猶予してはいけないのに猶予にしてしまう。通知まで出している、全員ですね。Hさんも三十四歳で全額免除にしてしまっている、本来は半額免除のはずなのに全額免除にした。Iさんは四十一歳、全額免除、これも半額免除のはずなのに全額免除してしまった。Jさんの場合は三十三歳で、本来は全額免除にもかかわらず半額免除にした。Kさんは本来は半額免除なのに猶予にしてしまう。Lさんは猶予にしてしまう、本来は半額免除だ。

 ということで、それぞれのコンピューター上の処理がことしの二月二十一日以降、あるいはことしの三月一日以降、ことしの二月二十八日以降等々、非常に最近行われたこういう処理でございますが、長官、これは何で公表しなかったんですか。私は前に長官に報告するように事務方に言ったはずですけれども。

村瀬政府参考人 まず、公表云々よりも、五月の二十七日に全国事務局長会議を開きまして、五月の二十九日にその段階で把握できる免除の不適正処理について御報告を申し上げたわけでございます。そのときに墨田の案件というのはトータルの件数で御報告を申し上げまして、個々の件数で今回の事例というものにつきましては、そのときにはまだ明確にわかっていなかったということで、その後調べた結果出てきたんだろうというふうに思っております。

 それで、今回、なぜこういうことが起こったのかということをちょっと御説明させていただきたいんですが、従来、社会保険庁の場合、免除につきましてはOCRで入力をしてございます。OCRで入力をいたしますと、今の所得金額等々、自動チェックシステムが働いておりまして、こういう案件は基本的には入力ミスがない限りは出てこないと思っております。一方、ウィンドウマシンで直接入力をいたしますと、そのチェック機能が残念ながらきいておりませんので、そういう点で、今回の墨田の案件は、事務所で事務処理をして、その結果、目検で検査をしている部分が十分できていないがために起こったミスだろうというふうに思っております。

 したがいまして、五月の二十九日の発表させていただいたときの今後の事故防止対策の中で、OCR入力を基本にするんだ、事務所のウィンドウマシンではしないんだという方向を出させていただいておりまして、やはり機械チェックでしっかりやっていく仕組みをつくらない限りはこういう単純ミスというのは起こり得るんだろうというふうに思っております。

長妻分科員 いや、単純ミスというか、この方々に今答弁でも全然謝罪の言葉も何にもないですね。

 いつ知ったんですか、長官、この件は。

村瀬政府参考人 私が知りましたのは、五月の二十九日の発表以降、詳しい日にちは、申しわけございませんが今記憶の中にございません。

長妻分科員 こういうことを速やかに発表しないと、こういう方々は……。今までの不正というのは、社会保険庁の発表では、この十一万件は実際に所得要件はみんな満たしているんだ、ただ、本人の同意を得ない、あるいは得たとしても本人に書かせないでやった、こういうことでしたね。これは要件を満たしていないのに強制的にやっている。

 こういうことが起こると、実際これは裁判等になったときに、自分は全額免除だと思ってずっと払わないとき、あるいはさかのぼれないわけですから、そういう方が訴えられたときに本当に役所としてたえ得るのかどうか。こういう問題も出てくるわけでありますので、これは東京事務局だけがOCRで読んでいないということだと思いますが、これはもう東京に限らず、全国で、この不正免除は十一万件ですけれども、不正免除にかかわらずすべての案件で本当に免除あるいは猶予が所得要件を満たしているのかどうか、これをすべて再点検していただきたいと思うんですが、いかがですか。

村瀬政府参考人 先般の第一次調査報告書の中にも記載させていただいておりますけれども、約二百七十万件の免除、猶予申請がございます。それにつきまして全件調査をしたいというふうに考えておりまして、その中で、今回いろいろな類型の申請案件がございましたけれども、それが十分満たしているかどうか、要するに申請書が、きちっと御本人がお書きになるか、もしくは捺印ができているか、そういう部分について全件チェックを考えております。

 それと同時に、先ほど申し上げましたOCR入力をしていないもの、具体的には事務所がウィンドウマシンで入力をしているものについては、先ほど御指摘のようなミスも起こり得ないとも限りませんので、これは調査の中でしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。

長妻分科員 これはミスというふうに断定できるんですか。意図的ではないというのは確認をとっているんですか。

村瀬政府参考人 個々人からは確認はとっておりませんけれども、私自身は、基本的には市町村で所得情報を確認いただいた上で入力をしているということでございますので、そこは意識的にやったというふうには今の段階では考えておりません。

長妻分科員 村瀬長官、全然事務処理をおわかりになっていないんですけれども。これはウィンドウマシンで入れるんじゃなくて、まず手書きでこのお配りしたところに丸をつけるんですね、職員が。丸をつけて、それを別の方が入力する、こういう手順です。OCRでやっているから大丈夫ということじゃなくて、OCRというのは、区役所、自治体から所得情報を得て、そのOCRに転記するのは、社会保険庁の職員が事務所でOCRに転記するんです。それで読ませて、読み込むわけです。そういう意味では、そのときにミスや意図的なものがあった場合、OCRを使っていてもこういうことは起こり得るわけでありますので、これはOCRを使っていないところに限定しないで、全件、全国の不正以外のものも含めて、不正も含めて、所得を本当に満たしているかどうか、これをぜひ点検していただきたいと思うんですが、いかがですか。

村瀬政府参考人 事務処理上の問題でいきますと、先ほどお話し申し上げましたように、OCR入力は基本的には事務所ではなくて事務局で入力をしております。したがいまして、事務所で書いた人間がそのまま事務局で入力するということではなくて、他人チェックは入っているというふうに考えております。

 したがいまして、今回の案件で事務局全体が不正免除にかかわっているところにつきましては、当然その部分の想定もできますので検討しなきゃいけませんが、個々の事務所がかかわっている案件につきましては、事務局で牽制機能はきいているんだろうということで、その部分については例えば全件ではなくて個別に抽出検査ということも一つの方法としてはあるのではなかろうかというふうに考えております。

長妻分科員 それじゃだめですよ。それは、今は意図的な話で、先ほどはミスだということで、ミスの場合は別にぐるみじゃなくてもやるわけじゃないですか。こっちは、東京事務局管内は所得と突合して不正以外のものも全部チェックすると約束いただけますか。

村瀬政府参考人 東京につきましては、先ほど先生御指摘ありましたように、基本的にはウィンドウマシンで全部処理しておりますので、これは全件チェックをさせます。

長妻分科員 もう一つ重要な問題は、免除、猶予の審査は毎年ですけれども、例えば、前年度、前々年度にミスをした場合、その方が一年間全額免除だと思って払わなかった、しかしそれは今から振り返ってみて、今度チェックしたときにそれが全額免除ではなかったという場合。これは行政処分ですから取り消すというものになるのか、あるいは、社会保険庁に瑕疵があれば向こうの方の利益を守るのか、いろいろな判断が出てくるわけですね。

 これは非常に重要なんです。非常に重要なわけでありますので、これは全国の事務所で免除あるいは猶予をしたものをすべて過去にさかのぼって、資料があるだけ、全部の要件を満たしているかどうか、全国、過去にさかのぼる、これはぜひチェックしていただきたいと思うんですが、これはぜひしてください。不利益になりますから。

村瀬政府参考人 とりあえず、まず急がなきゃいかぬことは何かというと、十七年度に処理をした全件チェックだろうというふうに思っております。まずそれを優先してやらせていただきたい。

 その関係は何かといいますと、十七年度の免除承認をした方々については、七月までにすべて処理を終わらないと十七年度に有効にならないものがございますので、これを優先的にやらせていただきたいというふうに考えております。

 その後、十六年度等の問題につきましては、法制面も含めまして、どこまでどういう状況になるのかよく調べた上でお答えをさせていただけたらというふうに思います。

長妻分科員 そして、この第一次報告書というのが五月二十九日付で出ましたけれども、その中の記述で、「その事実については本庁は承知していなかった。」と。つまり、不正免除については承知していなかったという記述があるんですけれども、村瀬長官、これは自信を持って言い切っているわけですか。

村瀬政府参考人 それは第一次報告書でございまして、第一次報告の調査の中では、そこは、今御指摘のとおり、本庁側の関与は見つけられないという報告になってございます。

 それで、今後、どういう形でこの免除関係について全数調査とともに何をするかということですが、これについては、きょう実は厚生労働大臣のもとで政務官を主査にする検証会議というのが設けられる形になっておりますけれども、その中で、当然のことながら、現地の職員がどういう話をしたのか、一方、本庁の方が時点時点でどういう調査をし、どういう話をしているのかということも検証対象になるというふうに私自身は考えております。

長妻分科員 私自身は、これは本庁ぐるみ、しかも村瀬長官は昨年七月に板橋の案件を知っていた、知っていたのに公表しない、全国調査もしない、これは村瀬長官に辞任いただくということ以外にないと思います。これはスムーズに調査も進みません。ぐるみなのにぐるみじゃないと言って、地方だけが悪いと。こういうことでは調査も進まず、中もきちっとした事務体制が確立できないというふうに考えております。

 その中で、例えばこの板橋も、不可解なのは、お配りした七ページ以降ですね、懲戒処分や監督責任者に対する処分を、東京事務局が本庁に八月二十四日付で処分を検討してくださいという文書を出したにもかかわらず、いまだに処分が出ていない。長官、これはおかしいと思いませんか。

村瀬政府参考人 この書類を見まして、見たというのはきょうじゃなくて、庁の方で確認をさせていただきまして、八月段階で処分要請が来ているにもかかわらずできていない。一つは、国民年金推進員の方については既に退職をされているということで処分をしていない。監督者については、実際に処分を裁定するところは職員課でございまして、職員課の方が失念をしていたという話を聞きまして、私もびっくりしている次第でございます。

長妻分科員 これは一つの考え方としては、この推進員が七月に不祥事を起こして九月末にやめたわけです。やめるまで待っていたんじゃないか。つまり、人事院の公表基準で、懲戒処分が出ると外に公表しなきゃいけないんですよ。そうするとばれる。管理者を処分すると、マスコミや世間にばれる。だから、だれも処分を出していない。こういう異例の事態になっているというふうにも考えますから、これは、長官の公表しないということは大変なミスだったと私は思います。

 そして、岐阜の件でも、三月の調査でメールが来て、「本人とのやり取りにおいて、免除申請を代行するケースは希にあるが、これは不適切な事務とは解しておりません。」こういうメールが三月の十三日に打ち返されたにもかかわらず、何にも指導していない。丸ということをしている。暗黙の了解だと私は思います。

 社会保険庁、年金の問題は、一番悪いのは犯罪を犯した人です。のぞき見した人三人を告発して、社会保険庁が必ず告発してください、法令違反の人は。しかし、本庁ぐるみの場合、本庁も責任をとらないと、長官も責任をとらないと、そういう告発というのがきちっとした説得性がないわけですね。

 そして、年金という、これは不安商品です、私も推進員の方にいろいろお話を聞きましたけれども、非常に不安商品なので払っていただけないんですね。そういう意味でやはり免除しかないということでありまして、本当は、この商品をやはりきちっと売れる商品に変える、年金一元化とか抜本改革をする、そして、税金とダブっている方が国民年金で三百五十万人もおられるわけで、組織を抜本的に変える、こういう荒療治をしないと。ねんきん事業機構ということで看板をかけかえて、福祉には金を使えるという条文は削除したけれども、今度は教育と広報には幾らでも年金保険料を使えるという条文を潜り込ませて……。二十一兆円現金が社会保険庁に集まります、厚生年金、国民年金の保険料。その利権を手放したくない役人を村瀬長官は擁護している、今こういう状態なんです。

 これは、村瀬長官、責任をとってやめて、そして歳入庁、そして年金の一元化、魅力ある商品をつくる、こういうことに進んでいかないと。村瀬長官が自分は関与がない、本庁も関与がないないと、こういうふうに頑張って、ただ看板のかけかえのねんきん事業機構ということにしてお茶を濁してほとぼりが冷めるのを待つというのは、これは大変国民の皆さんにとっても大損害だと思いますので、ぜひ長官もよく進退をお考えいただいて……。本当に国民の皆さんにとって安心できる年金がないとお金も集まらない。この根本原因を解決するために、あるいは進退をお考えいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

伊藤主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 昨日に引き続き環境省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井分科員 民主党の山井和則でございます。

 これから三十分間、産業廃棄物の不法投棄の問題、また、私の地元にございます城陽市の非常に広大な山砂利採取跡地の整備の問題、この問題を主に中心にお伺いをしていきたいと思っております。小池百合子環境大臣、そして答弁をしていただく方々、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、廃棄物事犯の検挙件数というグラフがございます。平成十三年から十七年の間にどんどんふえていっているわけであります。産業廃棄物の不法投棄の問題、これは全国的な規模で今非常に深刻な問題になっております。一方では、環境省の取り組みもございまして、多くの悪質な事例が検挙されているという点もございます。

 私の地元は京都南部、京都六区でございますが、ここでも昨年からことしにかけて、三カ所でこのような問題が起こっておりますので、順番にお伺いをしていきたいと思っております。

 まず第一問目、小池大臣にお伺いしたいと思っておりますが、加茂町のこと。全国の不法投棄の現状というのはまた後でお伺いするとしまして、まず最初に、具体的な加茂町の事例をお伺いしたいと思います。

 昨年十月に発覚をいたしまして、大手化学メーカーの石原産業が土壌埋め戻し材フェロシルトをゴルフ場に五万六千トン埋めておった、そして、その中から有害な六価クロムというものが検出されたわけであります。

 問題は何かといいますと、このフェロシルトは、二〇〇三年に三重県で、安全基準を満たしているということでリサイクル製品に認定をされていた。しかし、加茂町の現場では、これはちょっと怪しいんじゃないか、大丈夫なのかという声はあったんですけれども、なかなかこの町だけではチェックする体制もなくて、結局発見が遅くなってしまったわけであります。

 そこで、小池大臣にお伺いしたいんですが、こういう環境汚染対策というのは、市町村だけではなかなか難しい部分がございます。また、都道府県にまたがっている事例もふえております。このようなことに関して、国としてもさらに市町村や都道府県を支援していく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 御質問にもあったかと思いますけれども、産業廃棄物は、実際の加茂町の事例をとりましても三重県内の業者からのものでございます。よって、広域的に移動することが多いというのがまず大きな問題かと思います。そのために、適正処理を確保するために都道府県、政令市間の連携が重要であるということは言うまでもないかと存じます。

 また、環境省においては、昨年十月に、全国七カ所に地方環境事務所を設置させていただきました。これは、自然の保全という観点と、それからこういったごみの問題、廃棄物などの問題といったことを取り締まる、そういった環境事務所をまとめて各地に七カ所に置かせていただいたということでございます。その地方事務所を活用いたしまして、例えばブロック会議などを開催いたしまして、都道府県、政令市間の情報交換や連携の強化を図っていくというのが、一つ、国として支援につながるのではないか、このように思っております。

山井分科員 もちろん時代は地方分権の時代ではありますけれども、こういう環境汚染の問題は非常に深刻な後遺症を地域に残しますので、やはり国としての支援、連携の支援ということをお願い申し上げたいと思います。

 それとも関連するんですが、その近所の京田辺市でも、昨年の五月に、産廃処理業者ら八人が京都府警に不法投棄で逮捕されたという事件が起こっております。農地に十トンダンプ千二百台分が運び込まれまして、リサイクル処理されていない産業廃棄物の建設汚泥だったとして、京都府警が不法投棄の疑いで逮捕したわけであります。このことに関しましても、建設汚泥などに固化剤を混ぜ処理した混合廃棄物の処理土を農地に搬入した業者が逮捕されているわけで、現在も係争中であります。このことに関しては、業者はリサイクル製品だと主張しておりまして、片や逮捕した側は廃棄物だというふうに争っているわけでございます。この事案について、環境省の認識はいかがでしょうか。

小池国務大臣 先ほどのフェロシルトのケース、それから今の京田辺のケースなど、これはいわゆるリサイクルのものなんだ、だからここに置いてあるんだと。それから、廃棄物というのは無価値であるからこそ廃棄物という名前がつくわけでありますけれども、そこにあえて何らかの価値をつける例など、いろいろな例がございます。そのために、リサイクルと称して廃棄物処理法の規制を逃れるというような不法投棄などの不適正処理を引き起こす事例は、残念ながら多く見られるわけで、これについてはまことに遺憾ということでございます。

 そこで、環境省といたしましても、廃棄物か否かということの判断に当たっての考え方をもう少し明確にすべきではないかということから、また、現場での厳格な対応が可能となるように努める必要性があるということから、幾つかのポイントをまとめたところでございます。例えば、建設汚泥に対して、それから産業廃棄物全般に対してということで、判断の基準となる考え方を示しまして、通知させていただいているところであります。物の性状、排出の状況、市場性があるかないか、取引価値があるかないか、占有者の意思はどうなのかといったようなことがそのポイント、判断の目安でございます。

 こうやって判断をより明確にすることによりまして、こういったこれまでのような事案が発生しないように、自治体との連携を密にしながら、厳正に対処してまいりたいと考えております。

山井分科員 まさに、製品なのか、産業廃棄物なのかリサイクル製品なのかという部分が市町村や都道府県レベルでもなかなか判定がつかないケースが非常にふえているわけでありまして、このことについて、より明確な指針が必要になってくると思っておりますが、次に、その隣の城陽市の大規模な山砂利採取跡地のことについてお伺いをしていきたいと思っております。

 実は、今お話しをしました京田辺市の事件の公判の中でその業者が、隣の城陽市の山砂利採取跡地にも同じ製品を、同じ処理土を埋めた、そちらは何も言ってきていないのに、なぜ京田辺だけこんな事件になるんだということを言ったわけでありまして、えっ、この城陽市にも同じものが捨てられているのかということで、また大問題になりました。

 そんな中で、先月五月十八日に、十トンダンプ三千台分を京都府が産廃と認定して、委託基準法違反で業者を告発したわけであります。またここでも、業者はリサイクル製品と主張しておりますが、市民としては非常に心配に思っている部分であります。そこで、この点について城陽市は京都府に判断をお伺いし、京都府はまた環境省に相談をしたわけでございます。

 そこで、お伺いしますが、京都府から環境省にこの処理土の廃棄物性について意見照会があったわけでございますが、どのように環境省は回答されましたでしょうか。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 環境省では、平成十七年十二月に、京都府より本案件の廃棄物該当性の解釈につきまして相談を受けております。その後、環境省と京都府は連携を密にいたしまして、京都府は、廃棄物処理法に基づきます報告徴収や立入検査を行いまして状況を明らかにしたわけであります。

 京都府におきましては、立入検査などの結果をもとにいたしまして、昨年七月に環境省が示しました廃棄物該当性の判断の考え方に基づきまして、先ほど大臣の方からも御答弁しましたように、物の性状、排出の状況、市場性、取引価値の有無、占有者の意思の各要素に関する検討を行いました。その上で、本事案におけます搬入物につきましては、総合的に勘案して産業廃棄物に該当すると解してよろしいかとの照会を本年三月に行ってまいりました。

 環境省は、本年翌四月に、これに対しまして、貴見のとおりという回答をいたしております。

山井分科員 そのような御回答をいただいたわけなんですけれども、このことが地元でも、地下水は大丈夫なのかとか、非常に大きな波紋を呼んでいるわけであります。

 ここに地元新聞、洛南タイムスと城南新報の記事がございます。「山砂利採取場に産廃搬入で業者告発」「搬入現場からpH十一の高アルカリ性」。あるいは「地下水への影響心配する声…」というのは城南新報に。洛南タイムスには、一万六千台のうち立証容易な三千台分を告発したというような記事も出てきておりまして、地元では、今後徹底したチェック体制が必要だというような議論にもなっているわけであります。

 そこで、この城陽市の山砂利採取跡地について、少しパネルをお見せしながら、ぜひこの事情を御理解いただきたいと思うんですが、城陽市は、八万一千人の市民が住んでおりますが、そのうち一二%がこの山砂利採取跡地になるわけですね。非常に広大な面積であります。小池大臣にも御理解いただきたいのが、東京ドーム九十個分の広さであります。そしてまた、これは山の砂利をとっただけではなくて、水平からさらに穴をどんどん掘っていって、非常に良質な山砂利がとれたということで、その掘り込んだ、埋めねばならない容積も東京ドーム十三杯分ということになっているわけです。けた外れの広大な土地なわけなんですね。

 それで、常識的に考えてみても、当然安全な土で埋め戻さないとだめなわけであります。未来の子供たち、孫たちにとっても非常に重要な緑であり、財産であり、また地下水もあるわけであります。ここをどういうふうに埋め戻していくのかというのが、私も城陽市に事務所を構えておりますが、城陽市民にとって切なる願いであり、また大きな不安となっているわけなんですね。

 この山砂利採取跡地は、昭和三十六年に採取が始まりまして、良質の山砂利があるということで、建設骨材として近畿圏にずっと出荷されまして、例えば一九七〇年の万博、そして新幹線、そしてまさに七〇年代、八〇年代の関西圏の公共事業、高度成長を支えてきたわけです。しかし、その一方では、自然環境や景観が破壊されて、ダンプカーがもうびゅんびゅん走って、排気ガス、騒音、振動、また残念ながら交通事故も当然起こってしまっているわけであります。

 そういう山砂利採取跡地をこれからどうしていくのか。実際、もう採取が終わった地域に関しては、これから埋め戻しをどんどんどんどんやっていこうというふうになっているわけであります。そして、このことに関しては、昨年七月一日の京都府議会でも、北尾茂議員が、京都府と城陽市と近畿砂利協同組合の三者で構成する公社の連携を強化して、搬入残土の一元管理を厳格に行うべきだというようなことも訴えまして、その方向になっているわけでありますけれども、とにかく、これから埋め戻していっても三十年はかかると言われている。これをどうやって埋め戻していくかというのが地元にとって非常に重要な観点であります。これはまさに環境の問題でもあると私は思っているわけです。

 そこで、経済産業省にお伺いをしたいと思います。

 このような広大な山砂利採取の跡地というのは、全国で何カ所ぐらい事例があるんでしょうか。このような東京ドーム九十カ所分、四百二十ヘクタールの広さ、また東京ドームで十三杯すっぽり入るようなこの容積ですよね。こういうようなものも含めて、全国でこのような事例というのは幾つぐらいあって、また、この城陽の山砂利採取跡地というのは何番目ぐらいに広大な土地なのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

塚本政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生、全国でどのくらいあるのかというお問い合わせでございますけれども、まず、この山砂利の採取につきましては、砂利採取法に基づきまして、都道府県知事が基本的な権限を有しているということで、当省は、毎年、各都道府県知事の方から業務状況報告書というものをいただいておりまして、そういう中で砂利の採取状況を把握させていただいています。

 それで、お尋ねの城陽市につきましては、十六年度の報告書によりますと、これは山砂利の採取場の業務状況報告書ということでございまして、現在稼働中のものにつきましては、約二百十ヘクタールということでございます。この中で最大のものが五十八ヘクタールということで、一つで東京ドームの十二個分、合わせて二百十ヘクタールということで、先生お尋ねの採取跡地も含めますとさらに大きく上回るというふうに考えております。

 それで、この地域は特に隣接して開発が行われているということで、一カ所が五十八ヘクタールでも、この城陽市で現在十五カ所ぐらいの稼働をやっておりますけれども、それがかなり隣接しておりますので、先生御指摘のように大変広大な土地がこういう砂利採取地あるいは跡地ということでございます。

 申しわけございませんけれども、全国でどの程度かということにつきましては、具体的な数字というのをちょっと今把握してございませんけれども、引き続きその辺につきましては集計をしてみたいと思っております。

山井分科員 もう一言お伺いしますが、集計はぜひとも引き続きやっていただきたいんですけれども、そんなたくさんあるんですか、こういう大規模なものというのは。

塚本政府参考人 かなりございまして、例えば、こういう砂利の採取が一番多いと言われております千葉県の君津市あたりで、一つで二百二十ヘクタールというようなものもございます。百二十ヘクタールのものもございますけれども、城陽市のものは、一番大きいものが五十八ヘクタール、それで、跡地という意味ではさらに大きなものがあるということで、全国規模でも相当な大きなものだというふうに承知しております。

山井分科員 全国規模でも相当に大きなものであるということでありまして、何を言いたいかというと、これだけ大きなものになると、一城陽市あるいは京都府の対応の限界をかなり超えているんじゃないかということであります。このことについては本当に、城陽市、京都府一丸となって今まで取り組んでいるわけですけれども、やはりこの地域の良質な山砂利が、近畿の、関西の公共事業を支えてきたという、ある意味で自負もあるわけですね。

 そこで、経済産業省にあわせてお伺いしたいんですけれども、では、ほかの山砂利採取のこういう大規模な跡地というのはどのような形で修復をやっているのか、そのような事例がございましたら答弁をお願いいたします。

塚本政府参考人 埋め戻しでございますけれども、具体的には、各都道府県知事が実際の採取計画というものを個別に認可しておりますけれども、その際に、個別にその土地土地の事情に合わせて、跡地をどうするかということを、措置の方法も定めております。個別の採取計画ごとにそれなりに異なってはいるわけですけれども、土砂崩れ等の災害防止の観点等から、一般的にはやはり埋め戻しということが多いというふうに我々承知をしております。

山井分科員 埋め戻し、まさに今この城陽の跡地でもやっているわけですけれども、繰り返しになりますが、東京ドーム十三杯分、そして三十年ぐらい今後かかるんではないか。安全な土をどう入れていくのかというのは、逆に今公共事業が減っている面もございますから、なかなかこれは大変な部分がありまして、その中に万が一でも有害物質や産業廃棄物が紛れ込んでは、本当に大変なことになるという危機感を持っているわけであります。

 そこで、続けて経済産業省にお伺いしたいんですが、城陽市民の気持ちとしたら、まさに七〇年代、八〇年代の、万博、新幹線、公共事業、関西を自分たちが支えてきたんだ、それで、先ほども言ったような、景観の破壊、ダンプ、そして排気ガスの問題、振動、いろいろなものでやはりそれに貢献してきたんだ、関西のために自分たちがという思いがあるわけなんですね。まさに産業の発展に寄与してきた。

 そういう意味では、経済産業省としても、ぜひともこれからの跡地整備にやはり何らかの応援をしていただきたいというのが、もう後は京都府と城陽市でやってよということではなくて、応援をしていただきたいというのが、やはり市民としての思いなんですね。その点について、経済産業省、いかがでしょうか。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

塚本政府参考人 先生のお尋ねの、跡地利用等について経済産業省としての何か手助けはないかということでございます。

 先生もおっしゃいましたように、一義的には事業者と都道府県の方でどうお考えになるかというところでございますけれども、足元ではちょうど告発中ということもあるので、我々、この事案につきまして注視をしているということですけれども、先生の御指摘のように、京都府、それから城陽市、事業者が力を合わせて、自然環境と調和した町づくりということで、跡地の修復や有効利用に取り組んでおられるということですので、当省といたしましても、このような取り組みを注視しております。

 当省が担当しております分野で都道府県等からの具体的な御相談があれば真摯に対応をしてまいりたい、かように考えております。

山井分科員 これは本当に一年、二年の問題じゃなくて、五年かかろうが十年かかろうが、やはりいい跡地整備というのをやっていきたいと思いますので、ぜひともお力をおかりしたいと思います。

 同時に、国土交通省にもお伺いをしたいと思います。

 まさに、ここを埋め戻していくためには、品質のよい土というものも必要になってくるわけであります。そして、この四百二十ヘクタールという広大な土地から考えても、都市計画上も非常に重要でありますし、景観という面もございます。

 そういう意味で、まさにこの城陽の山砂利採取跡地が過去、関西の公共事業を支えてきて、そのためにこういう大きな跡地になってしまったんだということにもかんがみ、例えば国の公共事業で出てきた土を優先的に城陽に持ってきてもらうというようなことも含めて、ぜひとも今後、山砂利採取跡地の整備、埋め戻しということについて御支援をいただきたいと思いますが、国土交通省、いかがでしょうか。

川本政府参考人 公共事業において発生します建設発生土につきましては、これを有効に利用するということが大変重要だというふうに考えております。そのことが新しい土砂の採取というものを抑止することにもなりますし、発生した土というのをうまく使って、先生が御指摘のように、新しい町づくりという可能性も開けてくるというふうに考えております。

 私ども、平成十五年十月に建設発生土等の有効利用に関する行動計画というものをつくりました。これによりまして、現在、各地域ごとに建設副産物対策の連絡協議会というのをつくっております。これは、私ども国土交通省の地方支分部局、さらには農水省さんの地方支分部局、あるいは県、政令指定市、関係団体の方にも入っていただいておりまして、これによって、毎年度、各発注者の間で、発生土がどれくらい出るのか、どういう利用が可能なのかという調整を進めさせていただいているわけでございます。

 御指摘のような山砂の採取跡地の修復につきましても、事業の中身によって当然そうした土が使えるようになるというふうに考えておりまして、私ども、この協議会なんかを通じまして発生土の利用調整をやりまして、それによって、新しく出てきた土というものをこの地でうまく使っていただくということについて御支援をしてまいりたいと考えております。

山井分科員 ぜひこの跡地修復について国土交通省としても御援助をいただきたいと思っております。

 ここに城陽市の都市計画のマスタープランもございますが、ここに出ております黄色い地域がまさに山砂利採取跡地の地域でありまして、こういう第二名神の予定もなっておりますけれども、やはりここを何としても、五年かかろうが十年かかろうが、もう一度きっちりとここで町づくりをしていきたい、今の本当に荒れた形の跡地を子供や孫のためにもう一度すばらしい地域に変えていきたいという思いを持っております。

 そこで、また小池大臣にお伺いをしたいと思います。

 このように、私たち城陽に住む者の悲願として、この地域をもう一度修復していきたい、五年、十年かけてでもやっていきたいという思いを持っております。そのときに何が一番心配かというと、計画が決まって、では、公園にしよう、あるいは町づくりをしようとなったときに、いざ整備してみたら産業廃棄物が出てきた、有害物質が出てきたということでは、これは取り返しがつかないことになってしまうわけですね。この部分はこれだけ広大な土地であるわけですから、城陽市、京都府だけではなかなか力の及ばない部分もございます。

 そこで、お伺いしたいのですが、このような広大な土地の埋め戻しにおいて、間違っても産業廃棄物などが紛れ込まないようにしていく、そのために環境省からも援助、御指導をいただきたいと思いますが、環境省として、いかがでしょうか。

小池国務大臣 そのために、廃掃法、廃棄物処理法があるわけでございまして、その改正もそれぞれの国会でさせていただきました。その結果、罰則であるとか処理業者の許可要件、排出事業者の責任などをどんどんと強化させていただいているわけでございます。

 不法投棄対策というのは、不法投棄というのはそもそもイリーガルで、だからこそ不法投棄なわけでありますけれども、責任を逃れるために、わざわざ自分で会社をつぶしちゃったりして、どこかに肝心な人は逃げちゃったりするケースなどもございます。ですから、これからまた埋め戻しなど、これからのことであるならば、廃棄物処理法をよりしっかりと運用、活用していただいて、またそういったことのないように、ある意味では市民の目といいましょうか、そういったことを光らせていただいて、もちろん京都府、そして城陽市などにそういった点もお届けになっていただく。

 そして、それでも、もっとやってほしい、国に対してもより厳しくということであるならば、不法投棄一一〇番というのを私どもはつくっております。これは、全国各地から、そういった不法投棄のおそれのあるところについて、市民の皆さんが直接国に対しても物を言える、そういった受け皿をつくらせていただいたわけでございます。

 そういったこともございますし、それから、最初に御質問がございましたように、何が廃棄物なのかということでしょっちゅうもめるわけでございます。そういったことで、中間のすき間をつくろうというのが悪徳の処理業者ではないかと思いますけれども、その際に、判断の基準というのをより明確にするということで、先ほどもお答えさせていただきましたように、幾つかの明確な判断基準ということもつくらせていただきました。

 これからのそういった町の景観の取り戻し、自然の取り戻しというのは、大いなる市民の意思も必要でございましょうし、また、これまでの法律などもしっかり活用していただければ、このように思っている次第でございます。

山井分科員 引き続きお伺いしたいんですが、環境省としても、まさにそういうバックアップをしていただきたいと思います。

 その中で、城陽市民の一番切実な点は、やはり地下水の問題なんですね。

 今回の事件でも、地下水は大丈夫なのかと。城陽市民八万一千人の水道水の八割がここの地下水から来ているわけでありますね。

 恐ろしいのは、十年後、二十年後になって、地下水が毒されていることにもしなったとしたら、私たち議員としても、また大人としても、一体何をやっていたんだ、何でもっときっちりと取り締まらなかったのかと、本当に後世からの鋭い批判を浴びるわけであります。そういう意味では、後になって、有害物質が入っていたということで、万が一でも地下水が侵されるということになったら、私たちは子供の世代に対して申しわけなくて、これは本当に通らないわけでございます。

 そこで、小池大臣に改めてお願い申し上げたいのは、安定的に環境省が京都府や城陽市と協力をしながら、地下水については安全基準が今後もしっかりと守られるように指導をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 水の問題というのは毎日のことでございますので、大変御不安なことだろうと思います。

 そこで、京都府によりますと、城陽市の不適正処分現場の周辺におきまして地下水の水質には異常は認められていない、このように京都府から聞いております。

 また、現場に投棄されました廃棄物でございますが、土壌の環境基準に定めます二十六項目の有害物質すべてについて環境基準に適合しているということでございますけれども、しかしながら、投棄されました廃棄物のpHが高いということから、周辺地下水への影響の防止には万全を期しまして、事業者に覆土などの措置を実施させるという旨のことも、あわせて京都府から聞いているところでございます。

 いずれにいたしましても、京都府、城陽市が周辺地下水への影響について継続的な監視を行われるということと同時に、京都府並びに城陽市に対しまして、環境省といたしまして、国として適切に助言をしてまいりたいと考えております。

山井分科員 ぜひとも、これからも安全な水を守るために、環境省としても応援をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、今述べましたように、特にこの城陽のケースは、繰り返しになりますが、関西の公共事業をずっと支えてきた、本当に近畿のために貢献してきたわけであります。四百二十ヘクタール、東京ドーム九十カ所という広大な土地が、かつ京都南部という関西のへそに当たる地域にあるわけであります。

 そういう意味では、きょうも、国土交通省、経済産業省、環境省にお伺いしましたが、ぜひとも国家的なプロジェクトとして、国を挙げて、こういう地域の跡地整備というものについても、これからも長い目で応援をしていただきたいと思っております。

 最後に一言、小池大臣からコメントをいただいて、終わらせていただきます。

小池国務大臣 今、循環型社会の構築ということは環境問題の二本柱のうちの主要なものの一つでございます。各地で、不法投棄の問題、これらの不安がより軽減、ベストはなくなることでございますけれども、それらの対策に対しまして必要な施策を国とそれから地方自治体とがしっかり連携をして行ってまいりたい、このように考えております。

山井分科員 どうもありがとうございました。

前田主査代理 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、とかしきなおみ君。

とかしき分科員 よろしくお願いします。

 本日は、ごみの処理方法についてお伺いさせていただきます。

 日本は、御存じのように、ごみは可燃ごみと不燃ごみというような形の分別をしますけれども、欧米の先進国では、ほとんどの場合はリサイクルできるごみ、できないごみというような分別をいたします。そういうふうな目で見ますと、日本のような国は世界の中では非常にまれではないかというふうに考えられます。世界の中でごみ焼却施設の占める割合が日本は多いのではというふうに聞いておりますけれども、欧米と比べてその割合はどうなのか、お教えください。

由田政府参考人 欧米におきましては、比較的、我が国と比べまして気候などが高温多湿ということではありませんで、従来から基本的に埋立処分がされるというふうな形がとられております。したがいまして、焼却比率につきましては、比較的高いフランスやオランダが三二%、ドイツは二二%、アメリカは一五%となっております。

 これに対しまして、我が国ではかつてから高温多湿というふうな事情もございまして、衛生的な処理というふうなことから焼却処理という手法が多用されてございます。安定化、減容化ということを目指しまして、焼却比率は七四%となっておりまして、欧米と比べて高くなっておるところであります。

とかしき分科員 今の数字を見ましても、日本は七四%というと、もちろん高温多湿もあるんですけれども、やはり特異的に高い数字ではないかというふうに考えられるわけです。

 ごみを焼却するといいますと、日本人は、ごみは焼却するしか方法がないということで、ごみをごみとして扱ってしまっている。そして、埋立処理はそのままではできないと信じているということで、日本の廃棄物政策が一気に焼却依存へ物すごく傾斜しているのではないかというふうにも考えられるわけです。

 このように、ごみ処理方法としての焼却の方法を小池大臣は現在どのように評価なさっているのか。そして、今後どういうふうにしていったらいいのか、その辺のお考えをお聞かせください。

小池国務大臣 我が国は七三・五%と他国と比べますと断トツに高い比率を示しております。国土が小さい、そしてその上に経済大国、第二位ということで大変活発な経済力がある、その分廃棄物が多い、一方で国土が狭い、他国と比べますとそういった違いがあろうかと思います。そんなことの結果として主に焼却という形で活用されてきたものだ、このように認識をいたしております。

 一方で、ごみの焼却に伴ってダイオキシン類が一九九〇年代に大変大きな問題となってまいりました。対策技術がその後確立されまして、ダイオキシンの対策、ダイオキシン類対策特別措置法が施行されたことなどによってこの点の問題は克服されたと認識をいたしております。

 また一方で、循環型社会の構築と並んで、脱温暖化社会の形成というのが私どもの環境行政の大きな柱となっておることは御承知のとおりだと思います。一方で、脱石油という意味で、焼却によるごみからのエネルギーを回収するという発想も必要かと思っております。

 したがって、今後のごみ対策として、発生抑制、リデュース、再使用、リユース、再生利用、リサイクル、いわゆるスリーR、これらを行った上で、残ったものは徹底して熱回収、エネルギーリカバリーすべき、このように考えているところでございます。また、この基本原則に沿って、安全を確保しながら、ごみからのエネルギー回収の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

 しかし、私はその前に、今は何か製品をつくるときに、その後は大量廃棄、まあ大量生産、大量消費、大量廃棄と言われていましたけれども、そこからまた大量生産につなげられるような製品が消費者の支援というかバックアップを受け出しているという現実も大切にしていきたいし、またそういったプロダクツに対して、消費者が称賛の声、声だけでなくて買う、購買するという一番大きなエールを送るということがまた違う意味での循環型社会の構築であって、それは焼却でもなく埋め立てでもないというような方向に持っていくのが一番ベストなんだろうな、このようにも考えております。

とかしき分科員 御丁寧にありがとうございました。

 韓国の方もそうなんですけれども、一回限りの使いっ放しの商品はもう使わないようにしようということで、国としてそういう形で法律で制限を加えていくというような動きが出てきたり、やはり大量使用して、一回限りで、それで大量廃棄していく今のやり方にはかなり限界が来ているかなというふうに思うわけです。

 それにしましても、やはり焼却をするといいますと、私は四つぐらい問題点があるのではないか、一つ目はリサイクルが比較的困難になってしまうということ、CO2の排出、さらに化学物質の凝縮、そして財政上の問題、この四つの課題があるのではないかというふうに考えております。

 一つずつお伺いしていきたいんです。

 まず一つ目、リサイクルが困難になるということなんですけれども、焼却してしまうと、先ほど大臣もお答えいただきましたように、熱回収していくということで、であれば、エネルギーの回収が十分にそこでとれるので、わざわざ大変な分別をする必要もなく、分別に意味がないのではないかということで、本格的なリサイクルの芽を逆に奪ってしまっているのではないかとも言えるわけです。

 そこでお伺いしたいんですけれども、自治体による再資源化と住民団体による集団回収、いろいろあちこちで積極的に行われておりますけれども、そのリサイクル率は大体どれぐらいになっているのか。あと、先進国と言われています例えばドイツですとか、最近頑張っているカナダとか、その辺のリサイクル率と比べて日本はどうなのか。近年のリサイクルの推移もお知らせいただければと思います。

由田政府参考人 一般廃棄物の集団回収も含めました資源化量の合計は、平成十五年度におきまして約九百十六万トンということでありまして、リサイクル率は一六・八%となっております。

 平成六年度におけるリサイクル率が九・一%であったことを考えますれば、十年間でリサイクル率そのものは約二倍になっておるわけであります。

 なお、先ほど、あわせて御質問もございました諸外国におけますリサイクル率についてでありますが、OECDの二〇〇四年の調査結果を見ますと、リサイクル率というものの考え方あるいは対象としている廃棄物などの範囲、定義が必ずしも一緒ではありませんので同一に比較することはなかなか困難かもしれませんが、このデータによりますと、例えば、ドイツのリサイクル率は二〇〇一年度で二六・七%、カナダのリサイクル率は二〇〇〇年度で二三・二%となっております。

とかしき分科員 ありがとうございました。

 私が前に視察で訪れたことがあるカナダのノバスコシア州というところなんですが、ここは、一九九七年がリサイクル率三%だったんですけれども、その後、脱焼却をしよう、脱埋め立てをしようというような宣言をしまして、その三年後の二〇〇〇年にはリサイクル率六〇%まで上がりまして、そして二〇一〇年までには八八%までいけそうだと、非常に頑張っているところもあったわけです。

 数値だけ見ますと、カウントが違うとはいえ、諸外国より日本もまだ低い状況なんですけれども、焼却を推し進めていくとリサイクルの芽を摘んでしまうのではないかという考え方について、小池大臣はいかがお考えでしょうか。

小池国務大臣 循環型社会を実現する、そのためには、ごみから資源とエネルギーの両方をできる限り回収するということが必要となってまいります。リサイクルとエネルギーの回収につきましては、循環型社会形成推進基本法の基本原則に示されているとおり、リサイクルできるごみはリサイクルをする、そして、その上で残ったリサイクルが困難なごみは焼却をする、焼却をしながらもエネルギー回収をするという考え方が基本となってくるかと存じます。

 廃棄物処理法に基づきます基本方針におきましても、廃プラスチック類については、容器包装リサイクルなどによりますリサイクルを推進し、そして、なお残った廃プラスチック類を焼却し、エネルギー回収をするという方針を明確にしているところでございます。

 このような基本方針に沿って、資源とエネルギーをできるだけ回収するごみ処理システムの構築に向けて市町村を支援していくことが必要かと存じます。

 また、先ほどカナダのノバスコシア州の例についてお話がございました。そこでのポイントは企業がどう取り組むかということだったのではないかと。州知事か市長かちょっと忘れましたが、それを担当された方から直接伺いまして、そんなことをおっしゃっていたのが大変印象的でございました。参考にすべきと考えております。

とかしき分科員 ということで、今日本の場合にちょっと問題なのが、リサイクルできるごみすらもまだ焼却の方に回しているのではないか、その辺の分別がまだ行き届いていないのではないか、そういうふうに考えられるわけです。

 そして二つ目の課題、CO2のことなんですけれども、今エネルギー回収するということで、回収して効率よくやっていこうとはしているんですけれども、これが本当に効率がいいのかどうかということで、かえって多くのCO2を出しているのではないかという話もあるわけです。

 例えばアメリカの環境保護庁が行った研究によりますと、一トンの廃棄物を燃焼するのに〇・八トン、そういった物すごい量のCO2が要るということも言えるわけです。八百度以上の高温の焼却とかガス溶融炉とかRDF、いろいろな形で発熱によりエネルギーの回収をして発電をするという方法を今とっておりますけれども、これは、京都議定書を批准していかなくてはいけない国として、この方法を推し進めていくだけで本当に効率がいいのかどうなのか、もう一度検討する必要もあるのではないかと思うんです。

 そこでお伺いしたいんですが、日本国内にある焼却施設から排出されているCO2はどれぐらいでしょうかということと、京都議定書で削減を約束しているCO2の中の何%ぐらいを占めることになるんでしょうか。

由田政府参考人 日本におけます一般廃棄物の焼却によりまして排出される二酸化炭素の排出量は、二〇〇三年度で約千四百万トンということになっております。

 これは、京都議定書の基準年であります一九九〇年度におけます温室効果ガスの総排出量の十二億五千五百万トンに占める割合は約一・一%ということであります。

 廃棄物処理施設におけます温暖化対策としまして、循環型社会形成推進基本計画に基づきます廃棄物の発生抑制やリサイクルを進めまして、焼却をする場合にあっても極力エネルギーを回収することを推進いたしまして、CO2の削減に努めていくことといたしております。

とかしき分科員 次に、化学物質のことについてお伺いしたいと思います。

 焼却の場合に、焼却によって有害ガスが出てくるわけです。焼却炉で出てくる有害ガスは空気中の約三分の一を占めるのではないかという話もあるわけです。

 そこで、焼却施設の排出基準、日本でも今設けているかと思いますけれども、それは今何種類ぐらいあって、具体的には何と何であるんでしょうか。そして、参考までに、ドイツの排出基準を設けている化学物質は何種類あるのか教えてください。

由田政府参考人 お答えいたします。

 廃棄物焼却炉から排出されます物質などで大気汚染防止法、廃棄物処理法及びダイオキシン対策特別措置法に基づきまして大気汚染に係ります排出基準等が定められていますのは、硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん、塩化水素、一酸化炭素、それからダイオキシン類ということであります。また、大気に係る環境基準の確保が困難な地域では、硫黄酸化物及び窒素酸化物の総量規制基準が定められているところであります。

 一方、ドイツのごみ焼却炉に関します排ガスを規制する政令によりますと、ドイツでは、金属類十三項目など全部で二十二項目につきまして廃棄物焼却炉からの排ガスに関する排出基準が定められていると承知いたしております。

とかしき分科員 今お伺いしましたところ、重金属は日本の場合規制をしていないように思えるんですけれども、例えば水銀、カドミウム、鉛など、こういったものも焼却炉が非常に大きな排出源と言われているんですけれども、なぜ日本は重金属を排出基準に加えていないのか、その理由を教えてください。

由田政府参考人 廃棄物処理法の焼却施設の技術基準におきましては、焼却時に発生いたしますばいじんや有害物質などを除去するために、高性能の集じん装置の設置とダイオキシン対策上の要請からの二百度C以下での集じん装置の運転管理、それからばいじんの濃度管理が義務づけられているわけであります。これらの基準によりまして、燃焼ガス中に含まれます重金属は排ガス中で凝縮いたしまして、ほとんどはばいじんとして集じん装置に捕捉されまして、排出されるガス中の重金属濃度は極めて低いレベルとなっていると考えております。

 現に環境省の調査例におきましても、重金属中で沸点が比較的低い水銀でありましても一ノルマル立米中〇・〇〇八から〇・〇一ミリグラムと、ドイツの規制値であります一ノルマル立米中〇・〇五ミリグラムと比較いたしましても十分低いレベルとなっているほか、沸点が比較的高い鉛にありましては不検出となっておるところであります。

 このように、高性能な集じん装置によりますばいじんの排出制御が義務づけられ、それによりまして重金属が低レベルまで除去されていますことから、ごみ焼却施設の排ガスについての重金属の排出基準を設けていないところであります。

 今後は、EUにおきます電気・電子機器における特定有害物質の使用の制限に関する指令、いわゆるRoHS指令と言われておりますが、これで使用制限されます重金属等の物質の廃棄物処理システムにおけます挙動等の調査をいたしまして、重金属の回収、リサイクルを含めまして、環境上より安全な処理システムを視野に入れた検討を行いたい、このように考えております。

とかしき分科員 ありがとうございました。

 日本は高性能の焼却炉で、集じん施設も充実しているということで、確かに適正に運用されていれば非常にそれは有効だと思うんですけれども、問題を起こすのは大体適正に運用されていないところが起こすわけで、それは、いつもいつも管理していないといつそういう事件が起こるかわからないということで、ある程度、先進国ではもうこれはスタンダードな方法になっていますので、ぜひ重金属を排出基準に加えていただく。クリアしているのであれば、むしろ基準に加えても逆にいいのではないかとも言えるので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 そして、焼却をしてしまいますと、十万種類ぐらい以上化学物質はごみの中に含まれているわけですけれども、ここに熱の処理をかけていきますと非常に複雑な反応が起こってくるわけです。灰になってしまいますと一見容量が減って扱いやすいような気がいたします。見た目はそうなんですけれども、実際は化学物質の濃縮版みたいになっておりまして、ドイツの場合も、焼却灰というのは核廃棄物と同じような扱いで、非常に危ないということで、地下数千メートルの塩田に廃棄したりという形で非常に扱いに困っているわけです。

 ということで、焼却は、埋め立て全体まで考えていくと非常にコストがかかるのではないか。焼却までの段階では非常に安上がりで効率よくできるんですけれども、実際、処理の段階そして後世のことを考えると、化学物質のリスクが非常に大きくついて回る、焼却というのはそういう方法ではないかというふうに言われているのです。

 ということで、これが一つ、化学物質の問題点です。

 四つ目の課題といたしまして、財政上の問題です。

 今言いましたように、焼却は日本の場合はコストメリットがあると言われておりますけれども、欧米ではリスクを回避するための費用が意外にかかるということです。

 さらにプラスアルファ、もう一つが焼却炉自身の費用なんです。例えば一日の処理量が五十トンのものでも、それを超えて二千トンのものでも、日本の場合、大体一トン当たり平均約五千万円前後の費用がかかっているんです。大きくなったからといってコストダウンのメリットが余り見られないわけです。

 そして、私、実は台湾に視察に行きましたら、日本のあるメーカーが向こうで焼却炉を出しておりまして、国内でも私はそのメーカーの商品を見たことがあるんですけれども、全く同じ商品が日本国内ではトン当たり五千万円前後で売っておりまして、台湾では二千五百万円ということで、半額の金額になっているわけです。これは非常に不当に価格が操作されているのではないかなというふうに思ったんです。

 私も前に地方議員をしておりましたときに、こういう問題をクリアするために、国際競争入札みたいなものを自治体自身ももうちょっと取り入れていったらどうかということを提案いたしましたところ、これは難しいというふうに言ってきたわけです。

 ここでちょっと、せっかく国会議員になったのでお伺いしたいんですけれども、では、例えば自治体自身でこういう国際競争入札をしようと思ったときに、それを阻むものは一体何があるのか、ぜひ教えてください。

由田政府参考人 お答えいたします。

 自治体独自で大型焼却炉を建設するために国際競争入札を導入しようとした場合に、それを阻む法律については存在しないものと認識いたしております。

 ただ、自治体の入札参加条件などに国内プラントでの実績などと書くような場合があってそのようなことが起こっている可能性はありますし、そういう指名などにより事実上国内メーカーに限られているのではないかというふうに推定いたしております。

 なお、WTO政府調達協定によりまして、都道府県及び政令指定都市が行います基準額以上の工事などにありましては、国内供給者と他の締約国の供給者との間に差別を設けてはならないこととされておりまして、政令指定都市で大型焼却炉の建設工事を発注する場合には、このルールに従って行われるものと承知をいたしております。これは、例えば建設工事費でありますと、二十四億一千万円以上の場合にはこのルールが適用されるということになります。

とかしき分科員 大型焼却施設は第二の公共事業ではないかというふうにも言われておりますので、ぜひそういった価格操作が行われないようにしていただきたいと思います。

 次に、焼却していない国というのは、まず最初に大体ごみを資源として大きく定義をしていて、その次にローテクを駆使してリサイクルを徹底していくという方法なんです。

 先ほどお話しさせていただきましたノバスコシア州も最初に脱焼却、脱埋め立てを宣言したわけです。

 そして、それはなぜそうなったか、大臣はもう御存じだと思うんですけれども、最初に、一九八九年に国の方で二〇〇〇年までに五〇%埋め立てを削減するようにという指示が下りまして、それで、ノバスコシア州は大型の処理炉をつくろうということで市民に提案をしましたところ、大変な反対運動に遭いまして断念せざるを得なくなったわけです。州側は、では市民の方に責任があるだろうということで代替案を市民側から出してきてくださいということになりました。そうしましたら市民側から、でしたらごみを資源として扱おうということで、自分たちで徹底的にリサイクルをするという案が提案されました。そこで、ノバスコシア州はそれを受けて、脱焼却、脱埋め立て宣言をいたしまして、そして三つのシステムをうまく使って実行していこうというふうに決めたわけです。

 まず一つ目がデポジット制度です。

 これは、リサイクルにはお金がかかる。ドイツの場合もそうなんですけれども、分別を一生懸命やればやるほど税金を取られてちっとも安くならないじゃないか、不満が多いということで、いかにそこを解消していくかということで研究をいたしました。

 普通のデポジットですと、百円のところを百十円で売って、指定場所に持っていくと十円返してもらえるということなんですが、ノバスコシア州の場合は五円しか返してもらえないわけです。残りの五円は、RRFBといいましてNPOの資源回収委員会、これは行政側が委託しているんですけれども、こちらのリサイクル費用にかけているわけです。この効果がありまして、二〇〇一年では八三%の飲料容器が回収されて、二十九億円の費用が入ってきたというような形で非常にお金も浮いたわけです。

 そして、次にやったのが生ごみの堆肥化ということです。

 これは、ごみの中の大体七、八割を占めるのが生ごみと紙ということで、ここを何とかしていこうということで、生ごみを大きな都市で、州を挙げて回収しているということで、これは二週間に一回、一年かけて堆肥化していくということです。

 日本では堆肥化はもう普及できないのではないかということと、引き取り手がいないで、においの問題、費用の問題等いろいろあって難しいというふうに言われているんですけれども、実は、ノバスコシア州で使われておりました日本のメーカーのもので、においも出ないで堆肥化が非常にうまくいくということで、回収ボックスも工夫がしてありまして、においが出ないようにという形でやっているわけです。そして、出てきた堆肥も公共事業に積極的に使うということで、必ず回していくような形をつくっておりました。

 そういうふうに考えますと、今都内の自治体ですと、生ごみ大体トン当たり三万九千円ぐらいかかるんですけれども、ノバスコシア州ですと六千八百円ということで、日本の約六分の一の費用で回収できております。回収率は今八五%ということですね。

 堆肥化にはいろいろなメリットがあるんです。住民参画でごみを処理できるということなんですけれども、この生ごみの処理について今どういうふうにお考えなのか、今後の取り組み状況、どういうふうな方針をお考えなのか、お伺いしたいと思います。

由田政府参考人 環境省では、家庭から排出されます一般廃棄物、粗大ごみを除く可燃ごみ、不燃ごみに占める素材別の割合を調査しているわけでありますが、この結果を見ますと、家庭ごみの約三割を生ごみが占めておるわけであります。

 生ごみは、日本のような高温多湿の気候風土のもとでは腐りやすいということで、衛生的な観点からこれまで各地域で焼却という方法を中心に処理をされてきたところであるということで、既に御答弁申し上げたところでございます。

 しかしながら、生ごみを含みますバイオマス系廃棄物のリサイクルは循環型社会形成と地球温暖化防止を目指す上で重要な課題でありますことから、環境省では、従来の生ごみを単純焼却するという方法から、メタン発酵によりますガス化などの熱回収や、飼料化、堆肥化などの方向に転換を行いますために、循環型社会形成推進交付金制度によりまして、地域におけるバイオマス系の廃棄物のリサイクルの推進を支援しているところであります。特に、循環型社会形成をリードする先進的な高効率メタン回収施設については、通常よりも手厚い支援として、通常交付率三分の一のものを二分の一として整備を促進しております。

 加えまして、食品リサイクル法に基づきまして、食品製造メーカーやレストランなどで発生いたします食品廃棄物を肥料や飼料などにリサイクルすることも促進をいたしております。

 また、生ごみなどにつきましては、発生する場所に応じてその性状や量がさまざまであること、あるいはリサイクルの用途や地域の特性を十分に考慮する必要があることなど、さまざまな課題があるわけであります。これらを踏まえまして、望ましいシステムを構築していくことが必要であるというふうに考えております。

 このために、生ごみ等のスリーRのあり方につきまして、有識者や関係者から成る検討会を設けて検討を進めているところであります。

とかしき分科員 済みません、時間がなくなってまいりましたので飛ばしまして、環境意識を高めるための環境教育の話をさせていただきたいと思います。

 きょうお持ちしましたのは、フランスのエコ・アンバラージュ社というところが、これは多分、容器包装リサイクル法、日本ではそういうものになるんですけれども、フランスでは包装廃棄物政令と言うんですけれども、こちらの広報活動に使っているキットなんですね。これは、容器包装リサイクル法で、大体二百四十億、日本円で換算すると費用がかかっているんですが、その中で広報費用が約五分の一の四十億円を使っているわけです。

 このキットを何でどういうふうに使っているかというと、これは、千五百人の広報担当官を仕立てまして、その人たちが、地方のイベントだとか文化施設とか、そして個々の家庭すらも訪問して、要するに法令のことについて詳しく説明していくわけです。そして、色がこういうふうに分かれておりますのは、それは相手の知識量に合わせてステップアップしていくということになるわけです。

 例えばこういうポスターの内容があったり、そしてアンケート、クイズとか、こういった分別はどういうふうにしていったらいいのか、そして細かい、これが答えなんですけれども、こういったものをクイズで出したりとか、それを説明するマニュアルとか、こういったものを充実させて、広報活動、これがひいては環境意識を高めていくということで、かなりの費用を割いてこういう環境教育をやっているわけです。

 日本も、いよいよ容器包装リサイクル法、先日通りましたので、どういうふうに広報活動を積極的にやっていくべきなのか、環境プログラムの充実をどういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。

由田政府参考人 容器包装リサイクル法の改正案につきましては、現在、参議院で御審議いただいているところでありますが、改正を契機といたしました容器包装リサイクルの一層の推進のための広報活動としまして、新規事業であります容器包装に係る三R推進広報事業としまして約五千五百万円を計上しております。

 これによりまして、国、自治体、事業者、国民の各主体が今まで以上に連携・協働しながら各種の取り組みを推進することを目指しまして、もったいないバッグやもったいないふろしきの活用など、レジ袋の発生抑制やスリーRの推進につながるもったいないの精神を生かした取り組みが各主体に広がっていくような広報活動を進めていきたいと考えております。

 また、先進的な取り組みを促進する事業といたしまして、容器包装廃棄物の三R推進事業として約五千三百万円を計上させていただいております。これは、教育に関するプログラムも含めまして、地域で効果を上げている実践例や取り組みにスポットを当てまして、表彰を行ったり、自治体等と連携しながらモデル事業を進めていくものでありまして、こういった事業も新しい法律の趣旨等の啓発、教育に資するものとして考えているところであります。

小池国務大臣 環境教育というのは極めて重要なポイントだと思っております。

 今、最後のところで、また以降のところでございましたけれども、地方自治体などは、かなりいろいろなそれぞれの地域に即した環境教育を実際にやっておられる例がたくさんあります。仙台市のワケルくんというキャラクターがあったりとか、それから、幼稚園などにおいて、ワケレンジャーといって色別にいろいろなレンジャーがいるんですね、とてもユニークなキャラクター。

 やはり子供のうちからそうやって環境教育を積み重ねていくということが、すなわち、次の世代を担う正しい日本人というのか、また新たな世代で環境をしっかり守ってくれる、そういう世代が育っていくものだと考えております。

とかしき分科員 環境教育というのは、次の世代にいかに環境意識を高めていただけるかということで、自治体ごとでいい取り組みをしているかと思いますので、そういった事例をお互いもっと交流できれば、そして、自治体をぜひ褒めていただいて、たくさんの表彰状を出していただいて、それをPRの場にまた使っていただければということで、環境意識を高めていただけるようにお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

前田主査代理 これにてとかしきなおみ君の質疑は終了いたしました。

 次に、安井潤一郎君。

安井分科員 自由民主党の安井潤一郎でございます。

 質問をさせていただく前に、まずは大臣にお礼を言わなければならないんです。去年の九月十一日の当選のときに、何にもしないで議員になった運のいいスーパーのおやじということで大変前向きにマスコミは取り上げていただいたんですが、そのときに、大臣がテレビに出られたときに、小泉自民党が勝ち過ぎたからこんなやつまで議員になったということで私の写真があって、ところが大臣は、この人はいろいろなことをやって有名人よ、こう言っていただいたということで大変ありがたい思いがあり、いろいろなことをやっているという、そのいろいろな中の一つに、商店街の活性化を環境でいこうということでやった環境活動があります。

 まずは、今現在の環境活動の中、空き缶回収機、ペットボトルの回収機を設置いたしまして、商店街の空き店舗対策などの一つとして、空き缶回収、ペットボトルの回収。そして、生ごみの処理機。毎週月水金、町の皆さんが生ごみをそこにお持ちになって、それを入れてコンポストにして、それを農家に持っていって、そこで物にしてまた戻してくるというのをやっているという状況であります。

 商店街というと経済産業省の所管と言われますが、空き缶回収機等を設置したり、環境活動を商店街の活性化対策にしている商店街が実は数多く出てまいりました。地域商店街の環境活動について、大臣の御所見と、また、何か御要望があればお聞かせいただきたい。

小池国務大臣 安井議員には、官邸におきまして、商店街の活動について大変興味深い実例についてお話を伺ったことが大変印象に残っておりました。実際に商店街における環境に対しての活動を続けておられるということは、絵にかいたもちではなくて実際のことをやっておられて、何が効果があってどうすればさらによくなるかを御存じなんだろう、このように感じておるところでございます。

 資源を有効に利用して廃棄物の発生を抑制するという循環型社会を形成していくというのは、こういった地域を挙げて国民が一人一人のライフスタイルを見直していく、そういうことがまず基本にあろうかと思っております。

 地域の商店街、それから町内会、自治会、こういった地域に根差した団体によります取り組みが各地で大きな役割を担って大きな成果を上げているという例は、最近は幾つも出てきているわけでございます。また、こうした団体によります資源集団回収によりますごみの回収量は、年間で約三百万トンに上っております。これは一般廃棄物の資源化量の何と三割を占めているということで、その割合というのは非常に大きいわけでございます。

 そういったことから、NPOやNGOなどの市民団体によります地域に根差した先進的な循環型社会づくりの取り組みを支援していこうということで、エコ・コミュニティ事業というのを行っておりまして、例えば、神奈川県の厚木市の商店街におけます生ごみの回収、堆肥化といった地域循環システムの構築に向けた取り組みを支援している。

 それから、先日、循環型社会白書というのを閣議決定いたしましたけれども、そこで、ふろしきとかマイバッグの普及の促進によりますレジ袋の削減などについても環境省として発信をしているのと、環境大臣のおひざ元であります豊島区では、こういったペットボトルを使いましたふろしきを作製いたしまして、ネーミングは、しあわせの赤い風呂敷。何か持っていると幸せになるんだとみんなに思っていただくといいかなと思って名前をつけたんですが、こういう包装も、裏をこうやって切り取りますと、またはがきになって使えるということで、とことんしゃぶり尽くそうというアイデアでございます。

 それぞれ商店街が競い合っていろいろな知恵を出して、そしてそこから、ごみを集めたものがまた再利用されていくというような、そういうシステムが地域に根差していくということが極めて重要なことである、そういった支援をこれからもしてまいりたいと考えております。

安井分科員 実は、私は東京・新宿の早稲田でありまして、隣が大臣のおひざ元の豊島なんですが、豊島の商店街では決して出ることのない知恵ではないのか、隣の商店街の連中がそんなに頭がいいわけはないなというふうに、大臣がいらっしゃるからだということはよくわかりました。

 環境問題というと地球温暖化と言われ、そこから脱化石燃料につながってまいります。現在日本で走っている七千万台の自動車は、車検制度で、CO、いわゆる一酸化炭素、HC、炭化水素の一定の規制はかけられております。運送業者、大口荷主などは省エネ法の改正でCO2削減の規制がスタートしているようですが、大半を占める乗用車は、温暖化防止のための規制はありません。

 商店街地域には、昔からまじめに営業されている自動車の修理工場の皆さんがいらっしゃいます。数多くの修理工場の皆さんが大同団結してロータスさんという組合があり、私どもの地元でも活発に動かれております。この皆さんから環境車検という言葉をお聞きいたしました。本来の車検業務ではないのですが、エンジンの中をいわゆるクリーニングする、きれいにすることによって、新車時の燃費を取り戻すそうであります。

 そんなに効果があるならば、この活動を行く行くは本来の車検業務の中に取り入れたらどうかというふうに思いましたけれども、環境省としてはこの部分についてはいかがお考えか、お聞かせいただきたい。

竹本政府参考人 今委員の方から御指摘のございましたいわゆる環境車検でございますが、自動車の車検整備の際に、エンジン内部の燃焼系とかオイルの循環系の洗浄や、排出ガスに含まれるCO2の濃度測定などの作業を追加的にサービスするということで、一部の事業者におきましてもう既に行われているということを承知しているところでございます。こういうサービスについては、自動車整備業界でありますとか保険業界等々、それぞれのお立場において大変強い関心があるということも私ども承知をさせていただいているところでございます

 私ども環境省におきましては、ただいま委員の方から御指摘のありましたとおり、都市の大気環境対策、また地球温暖化対策、非常に重要な課題と考えておるところでございまして、こういった課題に対して、官民の連携をとりながらいろいろな自動車環境対策を進めていくということが大変重要であると認識をしておるところでございます。

 先ほど御指摘のありました点につきましては、エンジン内部の洗浄などについて、排ガス性能とか燃費性能の点における改善効果の把握手法でありますとかユーザー側の評価などが今後の課題と考えているところでございますが、環境省としましても、関係府省と連携をしまして、これら課題を含めまして今後とも検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

安井分科員 ぜひお願いしたいと思います。やっている工場が自分のところで燃費がよくなったよくなったと言っても、それはやはり信用の問題というのはあります。このあたりのところで、いわゆる行政の信用を付与するというところをぜひお考えいただければと思います。

 また、省エネといえばLEDがあります。先月、五月の二十四、二十五、二十六日、大阪で開かれました電設工業展のコンクールに出品されたものに興味のあるものがありましたので、そのパンフレット、チラシをきょう皆さんにお配りさせていただきました。今現状、環境省として取り組まれているLEDを使った活動についてお知らせください。

小林政府参考人 発光ダイオード、大変有望な対策というふうに認識をしてございます。もともと、開発段階ということでございまして、まだ蛍光灯の発光効率には及ばないところがございますが、急速に今改善をしているということでございます。エネルギーの効率が恐らく将来的には蛍光灯を超える、それから寿命が長い、これがまた大変ありがたいことでございまして、そういうことで、京都議定書目標達成計画におきましては、この普及を図るということがきちっと対策として入れられてございます。

 私ども、技術開発についての援助ということを今までしてございます。今お示しのパンフレットも見させていただきましたが、街灯に使うという、また新しいアイデアの御提示かと思います。正直なところ、私ども、地域ぐるみの温暖化対策ということの支援をしてございまして、メニューとしてはそういった支援も可能だろうというふうに思っておりますが、現在のところ、こういったことについての支援をしてくださいというお申し越しはまだございません。しかし、大変有望な政策でありますので、こういったものが採用されるように、ぜひ地元におきましても取り組んでいただきたいというふうに考えてございます。

安井分科員 今局長おっしゃられたように、これについて補助金を欲しいという話で出ているのではないようであります。私もそのつもりでここでお話をしているのではなくて、このような新しいいろいろな取り組み、それを広く皆さんに知らしめるというのが大切な役なのではないかと。

 御案内だと思いますが、LED、これは日亜と中村教授とのやりとりの部分体だけで有名になってしまった状況ではありますが、LED自体は、光ってはいるけれども、あの光が飛ばない。それを今回、日本の企業による特許で、今お話しいただいたように百万本以上あると言われる防犯灯にこれがつくようならば、大きな部分にもなります。それから、蓄電されて十時間光るという部分でいえば、震災のときには大変な、明かりがあって、そこで安心感が出るというふうに考えております。ぜひ御検討いただきたい。

 続いて、今の震災対策なんですが、震災対策というと、よく、家の中、家具が倒れて食器が割れて足の踏み場もないというような大変な写真を見せられ、だから耐震補強が大切だ、だから家具の転倒防止が大切だということなのではありますが、実は、あの割れたお皿、壊れた家具等々はすべて、ごみ、廃棄物になる。それが今までの通例でありますし、何も震災だけではなくて、昨年のあの京都の台風のときにしても、大変な廃棄物の処理のコストだったと思います。

 震災対策というと、内閣府だ、国交省だというふうに言われますが、できれば環境省としての震災対策の取り組み、お聞かせいただきたい。

由田政府参考人 震災廃棄物対策につきましては、平成十年十月に、省庁再編前の旧厚生省におきまして震災廃棄物対策指針というのを策定いたしておりまして、都道府県、市町村におけます震災廃棄物処理計画の策定を促しているところであります。

 首都圏域におけます震災廃棄物処理計画の策定状況につきましては、四百二十四市町村中、三四%に当たります百四十三市町村が策定済みあるいは策定中ということであります。これは、震災廃棄物の仮置き場の想定などに当たりまして、想定地の周辺住民の方々の合意が得られないなどの理由によりまして、なかなか調整が難しいというふうに聞いておるわけであります。

 環境省としましては、大変重要な問題でございますので、昨年六月に行いました都道府県の廃棄物行政担当課長会議、あるいは本年の部局長会議などにおきましても、再三にわたり、地域住民との調整などをきちんとやり、計画未策定の市町村に対して早急に策定をしていただけるよう、少しずつではありますが、前進をさせているところであります。

 また、具体的に、今のお話にありますように、家具、あるいは家屋などの倒壊によりまして発生しました瓦れきにつきましては、廃棄物処理法に基づきまして、市町村が実施しました収集、運搬、処理の費用につきましては二分の一の補助をすることができることになっております。

 それから、首都圏におけます直下型地震に係ります廃棄物対策としまして、都県市におけます震災廃棄物処理計画の策定を中心とする災害への備えを確実にしていくことが重要であります。具体的には、先ほど申し上げました災害廃棄物の仮置き場というものの想定のほか、最終処分場の確保、都内でありますと中央防波堤外側の埋立処分場などへの受け入れが重要となってくるわけであります。また、震災廃棄物の処理が広域にわたることが予想されますことから、日ごろから近隣の自治体との連携を促していくとともに、実際に発生したときには、圏域外の支援とか圏域外での処理の実施等、広域的な調整にも環境省として取り組んでいきたいというふうに考えております。

安井分科員 ありがとうございます。

 六月の十七日、都市センターホテルにおいて、耐震補強フォーラムという催しがございます。ぜひ環境省としても、この問題を前向きに検討するためにも、これに御興味をいただければというふうに思います。

 次に、私ども早稲田でございますので、早稲田大学というのがあります。早稲田大学の学生さんが卒業し、そして世帯を持って、その子供がまた早稲田に戻ってくる。大変ありがたい循環ではありますが、その戻ってきたお子さんが、クーラーをつけてくれとお父さんに頼むわけですね。お父さんは、学生のくせに生意気を言うな、窓をあけておけばいいんだというふうに答える。それで、お父さんがその息子さんの下宿に一緒に泊まると、次の日すぐにクーラーを買いに行く。これは二十年前とは相当違う、ヒートアイランドは大変な状況だというのをよく聞かされます。

 ヒートアイランド、ヒートアイランドと言いますが、そのヒートアイランド対策、今の現況、そして今後の方向性をお教えください。

竹本政府参考人 ヒートアイランドの問題、ただいま委員御指摘のとおり、特に都市圏において大変大きな問題になっております。

 政府といたしましても、関係府省集まりまして、ヒートアイランド対策大綱というのを平成十六年の三月に取りまとめたところでございます。ここでは、四つの柱、具体的には、人口排熱の低減、緑化等地表面被覆の改善、都市形態の改善、そしてライフスタイルの改善、これら四つの柱を掲げまして、さまざまな対策を講じておるところでございます。

 環境省は、この関係府省会議の取りまとめ役としまして、国土交通省と一緒になりまして全体の取りまとめを行うとともに、ここに掲げられた四つの柱を軸として、ヒートアイランド対策の実施に努めておるところでございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 そのヒートアイランド対策の、今や国民的な運動になりつつあるとまで言われている百万人のキャンドルナイト、この活動がございます。毎年、環境省さんとしてもリーダーシップをおとりになっておやりになられると思うんですが、本年、この百万人のキャンドルナイトについては、ぜひもっと広げるような形で動いていただきたいと思うんです。本年のこの部分についての方向性等がありましたらお知らせください。

小林政府参考人 百万人のキャンドルナイト、これをもっと本年力を入れて振興していくべきだ、こういうことでございます。

 百万人のキャンドルナイト自身は、御案内のとおりでございますが、御家庭でろうそくの火のもとで自由に暮らそう、文明をもう一度問い返そう、こういう個人的な試みでございます。そういうわけで、実行の人たちがどれだけいるのか、それを調べる方法というのはなかなかないというのが正直なところでございますけれども、私ども、それとタイアップいたしまして、ライトダウンキャンペーンというのを一緒にやってございます。これは、灯を消していただく、外の照明を消すあるいは室内の照明を消す、大きな施設に着目した取り組みで、こちらと一緒になってやるということでやっておりますので、共通のホームページを立ち上げまして、そこにキャンドルナイトの人たちも広告を張るというような形で一緒に広告をする、このように力を入れていこうと思っております。

 ちなみに、百万人のキャンドルナイト、例えばレストランとか、人が来られるところでやっておるところもございます。こういった箇所数だけを数えますと、三年前に比べて五倍ぐらい、六十件だったのが三百件を超えるというようなところまで現在ふえてきております。そのほか、御家庭で実践されている方はたくさんいらっしゃると思いますが、そういったことを側面で支援するために、私どもは、ライトダウンのキャンペーンの方に力を入れて一緒に誘っていきたいというふうに考えてございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 また、百万人のキャンドルナイトの活動の中から派生した打ち水大作戦等々もあります。ぜひ環境省としても前向きに対応していただければというふうに思っております。

 ヒートアイランドの中で、実は、東京というのは、お寺さん、お墓が意外と多いのであります。今、アイデアの中の一つとして、窓をあけて下にお墓が見えるとマンションの価格が下がるという状況、だったら、屋上ではないのだが、このお墓の上を緑化したらどうだ、建てて緑化したらどうだという動きがあります。ただ、御先祖様の頭の上を歩くわけにいかないということで、そこには人が歩いたりなんかしない、ただ屋根をつける、それでそのコストは価値の上がる隣のマンションが払うというような形のアイデアはどうだというふうにこの間も言われて、おもしろいというふうに答えてはいるんですが、いかがなものでしょうか。

竹本政府参考人 お墓は直接担当はしておりませんが、ヒートアイランド対策の一環としての委員の貴重な御指摘と承りたいと思います。

 先ほども申し上げたとおり、政府を挙げてヒートアイランド対策、大綱の中でも、緑化ということで、可能性のあるあらゆる地表面、緑化の可能性について考えていくというのも非常に重要な視点でございます。そういう意味では、地表面の高温化を防ぐための緑化の可能な土地をできるだけ洗い出しをしまして緑化を推進するということは大変重要な観点だと私ども承知をしておりまして、今御指摘のございました墓地の緑化につきましても、一つの可能性として今後とも考えてまいりたいと思っております。

安井分科員 ありがとうございます。

 いろいろなアイデアを、そんなのは無理だという一言で言ってしまえば終わってしまうんですが、それはおもしろいねという一言が今度は次のアイデアを出してくる、これが現実ではないかと思っております。

 実は、ことし九月の五、六日、愛知県の春日井というところで、全国リサイクル商店街サミットというのが開催されます。環境を切り口に商店街の活性化ということで、全国から七百人のお仲間が集まります。ただ、エコステーションをやっているのが日本じゅうで九十五ふえたとか言ってはおりますが、商店街の中でいえば、環境を商店街の活性化対策にするなんというのは間違いなくマイノリティーでありまして、少数派なんです。

 ただ、その少数派が七百人も集まると異常な興奮状態が起こり、ことし九月の五、六日ということになれば大変お忙しい時期だとは思いますけれども、ぜひ小池大臣にもおいでいただいて、集まったメンバーにエールをいただければというふうに思っております。いかがなものでございましょうか。

小池国務大臣 全国リサイクル商店街サミットは、安井先生が中心となられて、平成十一年からずっと全国それぞれのところで開かれているというふうに聞いております。

 循環型社会の構築に向けて、現場をしょっておられる方々が集まられるわけですから、環境省といたしましても、発信力のある方々がいらしてそれぞれ現場を持っておられるというのは、大変大きなパワーなんだろうと思っております。九月五、六日はまだ環境大臣をやっているかと思いますので、また考えさせていただきたいと思っております。

 また、先ほどの墓地のアイデアなども、フジ棚にするとか何かだったら可能なのかなと思ったりもしますが、墓地だけに、ぼちぼち考えたらいいかなと思っております。

 ありがとうございます。

安井分科員 大変前向きな御答弁をいただきましたこと、心より感謝、御礼申し上げます。

 以上で質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて安井潤一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    〔前田主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。沓掛国家公安委員会委員長。

沓掛国務大臣 平成十六年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十六年度の歳出予算現額は二千六百八十六億四千五百八十三万円余でありまして、支出済み歳出額は二千五百二十七億七千七百六十六万円余であります。

 この差額百五十八億六千八百十七万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は五十二億六千六百九十二万円余であります。

 また、不用となった額は百六億百二十五万円余であります。

 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原分科員 民主党の松原仁であります。

 きょうは特に、六月の一日から新しく駐車違反に関する取り組みが変わりました。このことにつきまして、地域の声を背景にして質問をしてまいりたい、このように思っております。

 現在、特に今、既に六月一日からたくさんの駐車監視員の方々が町に出られて、道によっては従来路上駐車が大変に多かったところがきれいになっているということで、私は大変にこれはいいことだなというふうにも認識をしているわけでありますが、その一方において、生業を持つ多くの地域の中小事業者、商店街の方々、また宅急便屋さんとか、こういった方々の間で非常に、この法律の施行の中で果たして自分の商売が維持できるのか、そういった心配の声も上がっているのが事実であります。

 そうした中でお伺いしたいわけでありますが、もちろん今般のこの運用によって、駐車車両というものに対する、特に一定地域、これはかなり厳しく厳格に行われるわけでありますが、そこに車両で行ったときに、実際民間の駐車場がいっぱいであるということも非常にあるということであります。従来路駐していた車も含めてみんな駐車場に入れる、それは結構なことでありますが、民間の駐車場自体が少ないところにおいては結果的に路駐をせざるを得ないケースも想定される。そういったことも含めたときに、今回の民間委託を実施するに当たり、駐車場の整備状況というのを調査、把握なさったのかどうか、まずこのことからお伺いいたしたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新しい駐車法制は平成十六年の制度改正でお願いしたわけでございますが、そのとき、一般公共の用に供されております駐車場を、平成元年度それから十六年度で比べますと、台数ベースで全国で約二・三倍、それから東京都では約二倍に増加しておりまして、駐車スペースの確保は相当進んでおったものと承知しております。

 平成元年あるいは二年と申しますのは、平成二年に政府におきまして、大都市におきます駐車対策の推進について、これは交通対策本部で申し合わせがありまして、それ以来一体的な施策を推進してきたわけですが、当時警察では、違法駐車の取り締まりとあわせまして、駐車場や荷さばきスペースの確保について働きかけ、あるいはパーキングチケットなどについて拡大してまいりました。また一方、関係省庁におきまして、駐車場法に基づく附置義務の強化、あるいは、貨物自動車をとめる場所が少なかったわけでございますので、その駐車場の整備の技術基準などの改正がありまして、これによりまして、今お話し申し上げましたように駐車施設の整備が飛躍的に改善しておったところでございます。

 なお、今回の制度改正を実施するに当たりましては、そうは申しましても場所によりましては駐車場の不足するところもございました。そこで、二年間かけまして駐車規制の見直しを行いまして、付近の駐車場の状況と駐車需要を見合わせまして、どうしても必要なところは駐車規制を解除し、あるいは一部緩和するというような措置をとってきております。

松原分科員 どうしても必要で厳しいところは解除及び緩和をした、こういうふうなお話でございました。

 これも実は次に質問していきたいと思ったわけでありますが、まず第一点として、駐車場を経営するのが民間のケースがかなり多い、もちろん公営のパーキングというのもあるわけでありますが。したがいまして、民間の駐車場を経営する人が経営しやすいような、例えば税の誘導措置とか、そういったものに対して、例えば税金をかける部署、これは財務省、国の部署にそういった働きかけ等をしたことは今まであるのかないのか、なければないということで結構でありますが、それをお伺いしたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもがお願いいたしますのは、直接駐車場を整備し、あるいはそれに対しまして基準をつくる、そういう部署でございまして、税に関しての働きかけということはいたしておりませんでした。

松原分科員 今後、高層マンションが次々、駐車スペースがなくなって、建つ。私の家の近くもそうなんですが、前に駐車場があったところ、二十台ぐらいスペースがあったんですが、駐車場がなくなりまして、そこに社員寮ができてしまった。そうすると次々に駐車スペースがなくなっていくということで、だから車は持たなければいいんだという議論も一方にあるかもしれませんが、なかなか仕事柄そうもいかないとなると、これは非常に苦慮するところであります。

 そういったところが、車の往来も少なく、渋滞の可能性、またさまざまな事故が発生する危険性も少なければ、駐車の規制を緩和する、今こういうふうな局長のお話だったと思いますが、見通しとしてどれぐらいの緩和の見通しがあるのか。これから具体的にこれぐらいやりますよとか、そういう一つのアクションプログラムがあるのかないのか、ないならないということで結構でありますが、その辺を。

 この間、私も行きましたら、駐車禁止の場所だと思っていたところが、朝の九時から夜の十九時までは駐車禁止でパーキングメーターがある、しかし十九時以降はもういいんだよという場所があるのを私も見つけて、ああ、なるほど、こうやって従来は恐らく駐車禁止だったところも解除しているんだなということは思ったわけでありますが、どれぐらいがこういったところで見直しの対象になるのか、その辺のアクションプログラムの試算というものが現在行われているのかどうか、行われていなければいないということで結構でありますが、お伺いをしたい。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、新しい駐車法制の法律ができました二年前でございますが、そのときから、その前提となる駐車規制につきまして十全な見直しが必要である、こう考えまして、二年間かけまして全国で見直しをしてまいりました。

 全国で十八万キロメートルの区間にわたりまして駐車禁止規制がなされておったわけでございますけれども、これにつきまして、今申し上げましたように、できるところはこれを解除し、あるいは、それが困難なところでありましても、ある時間帯だけこれを解除し、あるいはある一定の対象につきましてはこれを解除するというようなことで緩和をする、これで全体の八・五%ほどの見直しを行ったところでございます。

 もちろん、それ以前につきましても随時これは見直しをしているわけでございますけれども、この二年間につきましては集中的に見直しをやったところでございまして、今後につきましても絶えずこれは見直しをすることでございまして、今後、駐車の取り締まり、運用の状況などを見ながら、必要があれば当然見直しをしていくところでございます。

松原分科員 十八万キロメートルで八・五%ということで見直されたということでありますが、そうすると、これは当然、今後もこの見直し作業は進んでいく。恐らく、場合によったら五〇%ぐらいまで見直しがされる、こんな認識でよろしいんでしょうか。イメージだけおっしゃっていただければと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 私の認識としましては、この二年間の集中的な見直しで、現状を踏まえますと、見直せるところは、ほぼ、もう見直したという印象を持っております。従前ですと、大体全体のコンマ何%ぐらいの見直しが通例でございますが、この間はいわばその五倍以上の見直しをしているわけでございます。実際にやってみますと、やはり駐車の禁止をやってほしいというところ、それから解除をしようとしますと地元で随分反対するところもございます。そういうものを踏まえながら、各方面の意見を聞きながらの見直しでございました。

 したがいまして、この後、もちろん部分的に問題があり、あるいは改善する方がよければ、そういうことはあるわけでございますけれども、これが今後さらに大幅に対象がふえるということは想定しておりません。

松原分科員 いわゆる駐車禁止区間は、渋滞と危険、大体これがその基準になっていると思うんですが、どういう状況の場合にそこの駐車が禁止になるのか、どういう状況のときにその駐車禁止を解除するのか。もちろん住民の声ということもあろうかと思いますが、このあたりをもうちょっと詳しくお伺いしたいと思います。

矢代政府参考人 確かに、駐車に起因する事故というのは年間八千件ほどございまして、これによりまして死者が百人ほど出ております。ただ、これは非常に個々具体的な場所でございまして、そこで私ども、駐車規制を考えるに当たりましては、これは規制を行う場合も解除する場合も一緒でございますけれども、交通量あるいは沿道状況等の勘案要素を定めました実施基準によりまして、これを判断するわけでございます。

 具体的には、その場所ごとの状況によりまして判断するということで、道路の整備、社会経済情勢の状況、道路環境、駐車需要、それから地元の意見、これらを踏まえまして警察署が原案をつくりまして、これを警察本部に上申してまいりますので、それを踏まえて各都道府県公安委員会が意思決定を行う、こんな段取りでやっています。

松原分科員 まさに社会動態というのは日々変わっていくわけでありまして、私の地元でも、子供の遊び場道路というのは黄色い布が引いてある。いつ見ても子供が一人もいない、こういう状況であって、そこは例えば車が入っても本当はいいんじゃないか。ただ、黄色いのがありますから、物理的にも入れないわけでありますが。本当に、私も、何回見ても、一回たりともそこで子供が遊んでいる姿をこの十年ぐらい見たことがない。こういうふうなことは、結果として、人口も変わってくる、子供の数も変わる、社会環境も変わる中で、それはもう常に見直しというのはやっていかなきゃいけないと思うんですね。

 私は、今回のこの規制で、もちろん非常に問題があるところの駐車車両の規制はするべきだと思いますが、その一方で、今おっしゃったような見直し、駐車禁止区域の指定の見直しをどんどんやっていくことが必要だと思うので、これは徹底して、本当にそこが駐車禁止地域である必要があるのかどうか、見直しをぜひ進めていただきたいと思うんですね。

 とりあえず八・五%ということでありますが、駐車禁止であるかどうかという判断に、審美眼的な美観というのはとりあえず今入っていないというふうな認識をしておりまして、渋滞をするか危険があるかということでありますので、その中では、人口も今徐々に減っていますから、この駐車禁止区域の徹底した見直しをしていただきたい、このように要望をするわけであります。

 もし御答弁いただければ、一言お願いします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 私どももそのような考え方で進めております。

松原分科員 そういったことで、住民の皆さんの中には、美観が悪いから駐車規制を取らないでくれと言う人もいるかもしれませんが、そういう法律でいくなら別ですが、ロジカルにぜひお願いしたいと思っているわけであります。

 続いて、今回の新制度によって、私も、地域の酒屋さんがいまして、大井町でありますが、配達もできなくなってしまう、何とかしてくれと。あの辺がホームページでどうなっているというのは私はまだ拝見しておりませんが、そういうふうな声がこれまた非常にあるわけです。例えば、五分で駐車禁止違反というステッカーが張られるという議論もありますが、早ければ一分、二分、三分、こういうことになる。運転するドライバーが乗っていなければ、いきなりそこで写真を撮って張りつける。

 こういうことになると、こういった酒屋さんが行って配達をして、例えば年をとったおじいさんだったら、元気なんて声をかけるわけですね。この間テレビでやっていたのは、お年寄りのところへ宅配でお弁当を届ける方が、お弁当を届けてちょっと話をして出てきたら、もうやられちゃいましたと。こうなると会話もできない、こういうふうな悲鳴が上がっているわけであります。大変に、一方においてはかわいそうだし、一方において非常に平仄のとり方が難しいんですが、そうなってしまうとどうなのかな、こういうふうな声もあるわけでありますが、このことについての御所見をお伺いしたい。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの新しい駐車法制の施行に当たりまして、特に短時間の駐車の扱いにつきまして注目をされたところでございます。

 従来の駐車取り締まりは、チョークで二回チェックをいたしまして、一定の駐車時間を確認した上でこれを取り締まるという運用をしてきたところでございますが、この場合には短時間の駐車が入れかわり立ちかわり行われるということで、結果として恒常的にそこに交通障害が生じている、こういうことで、新しい駐車法制の施行に当たり、違法な放置駐車を確認した場合にはすぐにこれを取り締まるということにしたわけでございます。ただ、これにつきましては、従来どおり、貨物の積みおろしのための駐車、これは原則として五分以内であれば駐車から除外されて、法律上許容されておりまして、これはそのまま維持するということでございます。

 それからまた、実際の駐車監視員によります取り締まりにおきましては、標章を取りつける前に運転者が戻ってきた場合には、原則としてこれを取りつけずに警告にとどめるという運用を定めました。これはつまり、違法駐車状態があったかどうかということですが、それを実は現認したというところがポイントでございます。したがいまして、現認してから標章を取りつけるまでには若干時間がかかるわけでございまして、したがって、事実上、ある一定の時間につきましては警告措置にとどめられることになります。

 なお、繰り返しになりますが、その前提として、駐車禁止規制につきましては見直しを行って、合理的なものにする努力をしてまいったわけでございます。

 そういうことで、都市部におきます駐車、これは狭い道路スペースをみんなで使い合っておりますので、みんなが我慢しながら使っておりますので、これを利用する方々もそれなりに努力をしていただく、こういう必要があろうかと考えております。

松原分科員 実際、よくあるんですが、引っ越し屋さんが引っ越しの荷物を現に運んでいるところに、早くどけと。どけられるはずがない状況で、そういうこともしばしばある。実際にそこで作業をしているときに、もう早くどきなさいという、しゃくし定規な話もある。

 こういったことに関して、今、いわゆる物を乗りおりさせるのは五分以内ということでしたが、これは警察署か何かの許可をとって五分以内じゃないんですか。ちょっと確認したいんですが。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 御説明が不十分でございましたが、貨物の積みおろしにつきましては、それ自体、五分以内であればそもそも駐車ではないという扱いで、法律上、これは特に許可の要らないものでございます。

 それで、今のお話の引っ越しなどのような場合でございますけれども、これは本当に交通の妨害になるような場所ですと無理なんですが、通常は、引っ越しの必要があるということで申請がありますと、警察署長から駐車の許可をとることがございまして、この場合には、時間を超えてもその作業に必要な時間だけ駐車が可能でございまして、この場合には駐車禁止場所であっても駐車ができるわけでございます。

松原分科員 そうすると、例えば酒屋さんがお酒をどこかに届けて戻ってくるのは五分間いい、こういうことですか。

矢代政府参考人 細かな構成を捨象して申し上げますと、そういうことになります。

松原分科員 そうすると、その間その車に、宅急便でもそうですよ、五分間、物販をおろして戻ってくる間、運転手がいなくてとまっていても基本的にはいいということなんですね。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 これも説明が少し不十分でございましたが、正確に申し上げますと、まず、貨物の積みおろしの場合には、通常、そこに運転手さんがおります。それで、せいぜい伝票をもらうために店に入るぐらいでございまして、これは貨物の積みおろしとしまして、それ自体、駐車ではないということでございます。しかし、実際にはもう少し遠く離れまして、車から離れる場合がございますが、離れておりますと、それは時間の長短にかかわりなく、放置駐車として駐車違反になるわけでございます。

 私が先ほど申し上げましたのは、そのような場合には放置駐車という駐車違反になるわけでございますけれども、実際の標章取りつけの運用におきましては、そういう車を見つけた場合に、状況を現認して、それから必要な事項を端末に打ち込みましてステッカーを作成いたしまして、それから写真を撮るなどして張るわけでございますけれども、その作業中に運転手があらわれた場合には、違法駐車、放置駐車自体はもう成立しているわけでございますけれども、ステッカーは張らないという運用をする、こういうことでございます。

松原分科員 普通の車を使っている多くの自営の方や市民が、悪意を持ってやるんじゃなくて、本当に今回の法律の運用によって、非常に皆さん緊張していますよね。緊張は大事なんですけれども、やはり行き過ぎるとそれは市民生活の破壊にもつながる。それぐらい思っている人もいるんですよ、極端に言えば。

 そうではないということが私は大事だと思うので、その辺はなかなか、厳格な運用をしないと、逆にえこひいきがあってはいけないわけですが、そこら辺はやはり一つの常識というか、そういったものをぜひとも持ってやっていただきたいと思うわけであります。

 時間が大分迫ってまいりましたが、たくさん質問項目を挙げているので、順次簡単に言っていきます。

 そういう中で、駐車違反の対象から郵政公社の配達の車は除外されている。現在、宅急便の配達は対象になるということですが、これはそういう認識でよろしゅうございますか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございまして、現在、郵便物の集配に使用する車両につきましては、従来郵便事業が国営であり、これが国営の公社に引き継がれておりましたこと、それから郵便物が全国あまねく公平に低料金で配達されるなど、郵便が国民にとって重要な通信手段と位置づけられているということを踏まえまして、御指摘のとおり、都道府県公安委員会において規制から除外する措置が講じられているものでございまして、今後、来年十月には郵政事業の民営化が予定されておりますので、その際にこれをどうするかということを現在検討しているところでございます。

松原分科員 そうすると、郵便の車が当然郵便小包を運ぶこともある。民間の、例えばクロネコヤマトの宅急便が運ぶこともある。片っ方は駐車違反に問われるけれども、片っ方は問われない。例えば郵便小包を運ぶ場合に、郵政公社の車は駐車違反に問われないけれども、クロネコヤマトは駐車違反に問われる、今回、この間はこういう認識でいいんですよね。

矢代政府参考人 この間はそのとおりでございます。

松原分科員 私は、やはり物事というのはフェアじゃなきゃいかぬと思うわけであります。職業に貴賤なしという言葉が昔から言われておりますが、やはり人間の日々の活動の中で切磋琢磨してやっていく。一方は競争もなければいけない。その場合に、郵便局の車は駐車違反が免除されているからドライバーは一人でいい、宅急便の車は駐車違反は免除されていないからドライバーともう一人乗らなきゃいけないとなれば、価格競争において当然郵政公社は非常にメリットが出てくる、こういったことになると思うわけであります。

 そういう点において、私は、例えばこういったことも含めて、極めてこれは不平等ではないかというふうに率直に思うわけでありますが、御所見をお伺いしたい。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、確かにそのような点があろうかと思います。私どもも、来年十月の郵政事業の民営化に向けまして今検討しておりますが、基本的には、郵便事業の公益性というのはございますが、民間事業者とのイコールフッティングの確保を図るべきであるというのが基本的な考え方でございまして、これを踏まえまして、どのようにするかということを検討してまいります。

松原分科員 やはり、同じ物を運ぶ、官がやればそれは駐車から除外される、民がやればどんどんと切符を切られる。私はそれは日本国民としてはなかなか納得できないものがあるんじゃないか。やはり職業に貴賤なしということで、そういうところで私は今回の、もちろん効果は上がっているけれども、そういったこと一つ一つがこれからどんどんマスコミでも出てきますから、そうしたときにどういうふうな国民の皆様の理解を得られるのか、やはりそこは極めて慎重に、市民生活という観点から考えてほしいと思います。

 それから、引っ越しのときに配送業者等が駐車許可をとって駐車するということでありますが、実際、例えば東京の業者が山梨県に引っ越しで行く場合に、現地の警察署の許可を二日前にとりにいく、三日前にとりにいくというのは物理的になかなかできないんですよ。そういったものは、仮に三十分以上とまっていてもいいということになれば、それは簡便化して、現地の警察に、引っ越しをする前に電話、ファクス等の申請でできるようにするべきだ。そうしないと、やはりこれも現実には九九%近い引っ越し業者はこんな駐車違反の免除の手続をとっていないと私は思うんですよ。だから、そういったものは現実に合わせる努力をするべきだと思いますが、御所見をお伺いしたい。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、引っ越し等の際の駐車許可は、駐車をしようとする場所を管轄する警察署長が申請に基づき個別具体的に判断して行うということでございますので、引っ越し等のような場合には、出発地と行く先地でそれぞれ駐車許可が必要となる扱いになっているわけでございます。

 そこで、駐車許可の具体的な申請の手続につきましては、これは各都道府県警察の体制等の問題もありまして、必ずしも斉一ではないのが現状ではございます。ございますが、許可申請者の負担ができるだけ軽減されるよう、今後、駐車取り締まりの新しい制度導入後の引っ越しに係る駐車許可の状況、問題点、それから運送事業者の方におかれましてどのような対応が可能か、このようなことを見きわめつつ、駐車許可の手続のさらなる合理化ができないか、これを検討してまいりたいと考えております。

松原分科員 きょうが六月六日でありますから、施行されて、今まだ一週間たっておりません。これからいろいろな声が伝わってくると思うんですよね。ある地域では、何とか今のこういうがちがちのものはやめてくれ、そういうふうな陳情が上がる地域もあるという話も聞いている、実際上がってきているかどうかわかりませんが。

 ですから、私はそういった意味では、取り締まることそれ自体が目的ではなくて、安全で快適な社会をつくるというのが目的なんだ。だから、だれかがどこかに買い物に行って、すぐ捕まえるんじゃなくて、なかなか難しいんですけれども、その辺のあんばいというか、その辺はぜひとも御検討いただきたいと思うわけであります。

 時間がありませんので、最後の質問をしたいわけでありますが、新制度において、使用者が責任を負う、その罰金も使用者が負う、私はこれは極めて重要なことだと思っております。むしろこの部分は評価されるべきかなと。つまり、宅急便を運ぶ運転手の方々が、自分が好きこのんでそこに駐車しているかといえば、それは仕事のために、例えばもう一人運転手、二人で行かない場合には、経費節減を会社に迫られて、彼はそれをせざるを得ない、こういうふうなことでありまして、ある意味では、運転手個人の責任もありますけれども、使用者の責任を問うというのは、これはやはり一つの考え方としてあろうかと思いますが、この辺についての御所見、お考えをお伺いしたい。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 従来の制度におきましては、運転者責任の追及、これだけでやっておったわけでございますが、現実には運転者を特定できない場合もあり、逃げ得が生じるなど限界もあったわけでございます。

 今般は、車両の使用者に着目いたしまして、その管理責任の立場から責任追及を行うという制度を創設したところでございまして、それによりまして、運転者の特定ができない等によりましてその責任追及ができない、なされないときには、使用者の責任を追及するということにしたものでございます。

 この使用者責任追及の制度は車両の使用者の運行管理義務を問うものでございまして、免許制度におきます運転者責任、あるいは刑法におきます運転者責任とは別のものとして制度をつくっておりまして、そのような目的に沿ってこの制度運用をしていきたいと考えております。

松原分科員 実際、例えば、タクシーの運転手さんなんかもそうですが、宅急便屋さんの運転手の方も含めて、点数がなくなってしまうと家族が路頭に迷う。責任と罪の関係というのは非常に難しいんですけれども、駐車違反というのは人殺しというほどの大罪ではないわけであります。しかしながら、駐車違反を何回かやることによって点数がなくなって一家が路頭に迷うというケースもたくさん世の中にはあるわけでして、罰を与えなきゃいかぬというのは、これはこの社会の成り立ちとしてあるかもしれぬ、しかし、そのことによって一家路頭に迷うほどの罪なのか。私は、これはいろいろな議論があると思うんですよね。

 そういった意味では、点数の部分でなく使用者責任ということに、彼は運転技術という腕で飯を食っているわけでありますから、そこに収れんさせたということは、私はある意味ではむしろよかったかなというふうな認識は持っております。

 どちらにしても、この新しい駐車禁止のあり方が、くどいようでありますが、始まってまだ一週間でありますから、これからいろいろなところの声が上がってきます。私のところにも上がってくると思います。私は、とりあえず一回こういうことでスタートして、いいところはよくなった、しかしそういった声が上がってきたら、そういう声をやはり矢代局長も聞いていただきたいというふうに思うわけであります。

 そのことについて御答弁いただいて、質問を終えたいと思います。

伊藤主査 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度は、委員御指摘のように、取り締まりを強化するためのものではなくて、都会の生活を、都市機能、交通機能の維持を図るためのものでございまして、私どもかなりいろいろなことを考えて準備してまいったつもりではございますが、これを運用していきますと、多分さまざまな問題がまだあるんだろうと思います。

 したがいまして、そういうさまざまな御意見、御指摘を伺いながら、より十全な制度となるように、あるいは制度の運用となるように努力してまいりたいと考えております。

松原分科員 終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、神風英男君。

神風分科員 民主党の神風英男でございます。

 今の松原議員の質問に引き続きまして、改正道路交通法のことについて質問をいたしたいと思っておりますが、多少繰り返しになる点は御容赦をいただきたいと思います。

 まず、今お手元の方にちょっと写真のコピーを資料としてお配りしているかと思いますが、これは、よく町中で見かける路上駐車場の写真でございまして、この場所自体は、東京都港区芝公園二丁目の路上駐車場でございます。

 実は、私の友人がこの路上駐車場の枠内にきちんと駐車をして出かけた。一方で、枠外に違法駐車というか駐車をしていた車がありまして、たまたまその友人というのは、六十分間で戻ってこようと思っていたんですが、用事が、所用が長引いてしまって六十五、六分になってしまった。そうしたところが、結局違法駐車というか駐車違反になってしまって、逆に、一方、枠の外に置かれていた車の方は違法駐車にはならなかった。それで大変腹を立てておりまして、まじめに枠内にとめておいた方が駐車違反になって、枠外にとめておいた方がならなかったということで大変怒って、私の方にさんざんいろいろ議論を吹きかけておったんです。

 まず、路上駐車場の設置の目的というのはどういうところにあるのかなということをお伺いしたい。今お話ししたような形で、まじめにとめた方が、ある意味では六十一分から、一分でも超えれば駐車違反という形でとられるわけですし、結構、枠の外へとめておいた場合には、それが見つからずに違法駐車とならないというケースがあるものですから、その設置の目的についてまずお伺いしたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 枠内に時間を超えて駐車した場合も、それから枠外に駐車した場合も、枠外も駐車違反にはなるわけでございます。

 そこで、このパーキングメーター及びパーキングチケットの設置でございますが、都市部の道路は自動車交通量が多くて、道路交通の安全と円滑という観点から、車両は基本的には路外の駐車場、駐車施設に駐車すべきである、駐車することが望ましい、こういうことがまず第一点でございます。

 ただ、都心部の商業地域等、場所によりましては、短時間駐車需要が多く、その需要を路外駐車施設で収容することは困難である、そのように認められる場合もございますので、このような駐車需要に対応し、できるだけ公平に処理をするために、六十分以内あるいは四十分以内ということで、入れかわり立ちかわり駐車できるようにということで、パーキングメーターあるいはパーキングチケットを設置して運用しているところでございます。

神風分科員 こちらに駐車違反取り締まり件数の推移という統計があるんですが、これを見ますと、平成三年のとき、駐停車違反というのが三百十二万二千二百二十四件であったものが、平成十五年に百六十八万四千二百六十八件に減少している。また、そのうちの放置駐車違反が、平成三年が二百八十五万三千六百六十一件であったものが、平成十五年には百六十万二千九百十七件、ともに約半減をしているわけであります。

 この半減をしているという状況は、取り締まり件数が、つまり、取り締まる能力が減退をしてしまって取り締まり件数が減ったということで、実態的には駐車違反というのはそれ以上に増加をしているということなのかどうか、それとも違法駐車自体が減少しているということなのか、そこら辺、教えていただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のように、この十五年間ほどで駐車の取り締まり件数が徐々に減少しております。その背景でございますが、一つには、これまでの駐車対策によりまして路上駐車車両そのものが徐々に減少してきておりまして、東京、大阪でもほぼ十五年間で半減近くまでいっております。

 ただ、それにもかかわらず、路上の違法駐車はまだ随分あるわけでございまして、それでもなお相当数の路上駐車が行われていることを踏まえて考えますと、警察の業務が近年増大する中で、違法駐車取り締まりに投入できる執行力が不足しているということが一つの原因であろうか、こんなふうに認識しているところであります。

神風分科員 そういう中で、六月の一日からまさに改正道路交通法が施行になったわけでありまして、地元で皆さん方とお話をしていると、非常に疑問であったりあるいは不安に感じている部分が多いわけでございまして、きょうはそういったところをぜひ正確にお答えいただきたい。また、そういった旨を私も地元に帰ってまた皆さん方に伝えたいなという趣旨から質問したいと思っております。

 まず、多くの方が不満というか疑問に思っている部分から伺いますと、これまでは、警察官の方がチョークでタイヤと路面に印をつけて、約十分から三十分ぐらいの時間的な猶予を持ってステッカーを張っていたということでありますけれども、今回の改正ではそれが、民間の駐車監視員であるとかあるいは警察官が直ちに、いわば即アウトという形でステッカーを張るということでありますが、ここに理由のいかんは問われないのか。つまり、公園でちょっとトイレに行きたいとか、あるいは、老人の方あるいは身体障害者のような方が車に乗り込むために時間がかかってしまう、そういった理由というのは一切これは問われないのかどうか、その点をちょっと確認したいと思います。

矢代政府参考人 従来、二回チェックをして駐車の取り締まりをやっておりましたところでございますが、私ども、実際にこれをやってみますと、一回目のチョークチェックをやりまして、ある一定時間後に回ってみますと、十台のうち一台ほどが残っておるというような状況でございました、東京の場合ですが。では残りの九台がいなくなるかというと、実は、いなくなっているんですが、かわりにまた別の車が来ている、そういう状況でございました。

 そこで、やはり、駐車秩序を維持しようと思いますと、駐車の現認につきましては一回で、どのくらいとまっておったかというのはわからないわけでございますけれども、しかし、現認して違法状態を確認したらこれを取り締まるということをしないと根本的な解決にならないということで、この大きな方針を出したわけでございます。

 ただ、駐車はいかなる理由でも違反となるかということでございますが、そういう場合には、先ほど申し上げましたように、一定の事由のある場合には、つまり五分以内の貨物の積みおろしなど幾つかのものが除外されるわけでございますけれども、特に定型的に除外されますのは、緊急自動車等、公安委員会によりまして駐車禁止規制の対象から除外されている車両がございます。これが一つございます。それから、個別の許可になりますが、典型的なのは引っ越しのために使用する車両ですが、その他社会的な事情からやむを得ないものとして警察署長の駐車許可を受けたものにつきましては、その場所につきまして駐車禁止場所であっても駐車違反にならない、こんな扱いになっております。

神風分科員 今のお話ですと、それは事前に許可をとっていなければ、つまり、その場で何らかの事由を申し立てて、それが認められるということではない、そういうことでよろしいですか。

矢代政府参考人 そのとおりでございます。

神風分科員 今回、一般のドライバーの皆さん方も影響をもちろん受けるわけですが、最も影響を非常に受けるのが運送業界の方でございまして、今回、きょう質問するに際しまして地元の運送業者の方々にいろいろと御意見を伺ってきたんですが、やはり一番強い意見が、一般ドライバーと事業用ナンバー、通称青ナンバーと言われる、これを取得している業者とを一律に規制するのは疑問だという声が非常に圧倒的に多かったわけでございます。

 そこで、伺いたいんですが、まず、車の交通量全体の中で青ナンバー車両が占めている割合というのはどの程度になりますでしょうか。

久米政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年二月末現在における軽自動車、臨時自動車も含めました全保有車両数は七千九百三十五万台でございます。そのうち、いわゆる青ナンバーと言われる事業用自動車、これは百九十八万台でございまして、割合としては二・五%ということでございます。

神風分科員 それでは、ある意味ではわずか二・五%の青ナンバーの業者が、荷物の搬送等のために、そういった駐車のために引き起こしている渋滞というのはどのぐらいの割合になるのか、もしデータがあればお示しをいただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 交通渋滞は、原理的には道路の容量を超える交通量が集中して発生するということでございますので、これにどの程度貨物自動車が関与しているかということになりますと、直接のお答えにはならないかと思いますが、平成十七年十月、昨年に東京二十三区内の瞬間路上駐車の状況を調査しておりますが、このうち、貨物自動車、これは今御指摘の青ナンバーも、それから自家用の貨物車も随分ございますので、それを含めましての貨物車でございますが、貨物車の占める割合は約四割ということでございました。

神風分科員 ちょっと委員長にお伺いしたいんですが、今回の業者へのヒアリングの中でおおむね大方の皆さん方がおっしゃっていたのが、荷物の運搬では大体十五分あれば大体の作業は完了するんだと。だから、青ナンバーについては十五分の時間の余裕というものを考えてもらえないのかという御意見が非常に多かったわけでございまして、中には、荷さばき中というような札を自分でつくって、ダッシュボードの上にそれを立てかけて、放置車ではないというようなことを示しながら配達をされているというような会社もあったわけでございます。

 ある意味で、そういった青ナンバーの会社、業者について、そういった本当に短時間の駐車許可証みたいなものを発行して、十五分程度であればそれを認めていくというようなことは検討をされなかったのかどうか。あるいは、逆に、白ナンバー、一般のドライバーだけまず規制をして、それでもやはりだめなんだということで次の段階として青ナンバーまでを規制していく、二段階の取り組みというものは考えられなかったのか。あるいは、これからの推移によってはそういったことも検討されるような余地があるのか。ちょっとその点、御所見をお伺いしたいと思います。

沓掛国務大臣 まず、交通渋滞ということを考えますと、青ナンバー、白ナンバーというよりも貨物自動車という一つのグループで考え、その中で将来どうするかという問題があるんだと思います。

 貨物自動車については、今までもこれからも、かなりいろいろなことに配慮いたしております。貨物の積みおろしは路上駐車の必要性が高いことから、その取り扱いについては、例えば、五分以内の貨物の積みおろしは駐車の定義からそもそも駐車ということではありませんから、貨物自動車の積みおろしは五分以内であれば問題ないことであり、またそれから、実際の駐車禁止規制においても、貨物の積みおろしを規制から除外し、または貨物専用のパーキングメーターを設けるなど、一定の配慮がされております。

 補助板等で、ここは駐車してはいけないというところでも、そういう貨物についてはいいですよとか、その反対とかであっても、いずれにしろ、いわゆる貨物自動車については、かなりのそういう優遇措置はこの駐車規制について配慮いたしておるわけでございます。

 しかし、その中で、特に青ナンバーを白ナンバーと区別して、自家用とするかどうかということについては、同じ目的で、自家用といってもそれなりに営業にいろいろ使っているところもあるわけですから、そういう中で、青と白をここでまた区別できるかどうかということについては、なかなか難しいという考えで、一律な形でこれは取り扱っております。

神風分科員 今の委員長の御答弁の中にもありましたけれども、貨物の積みおろしであれば五分以内であれば認められるということで、この点、いろいろ警察の方とかにも御意見をお伺いしているときに、よく勘違いをされているというか、私もよくわからなかったんですが、この道路交通法の定義で、第二条の十八号、駐車の定義、これでそれが書かれておるわけでございますが、五分以内であればどんな駐車でもいいんですよというような回答をもらうことが結構今回の質問の中であったわけですけれども、これはあくまでも、荷物の積みおろし、貨物の積みおろしでない限りは、五分間であれば認められるという意味ではないという解釈になるんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、細かな点を捨象して大まかにそういう説明がなされておろうかと思います。

 厳密に申し上げますと、貨物の積みおろしのための五分以内の駐車、これはそれ自体が駐車ではありませんで、駐車から除外されております。ただ、運転手がそこから離れてしまいますと、これは放置駐車ということでございますので、時間の長短にかかわりなく駐車違反になるわけでございます。

 そこで、駐車監視員がパトロールをしてきまして、そこに放置駐車を見つけまして、付近に運転者がだれもいないという場合には、それは放置駐車と違反を認定するわけでございます。ただ、認定した後の手続を考えますと、実際には、その状況が違法な場所であるかどうかを確認し、写真を撮り、それから、張るステッカーをつくるために端末に所定の入力をいたしまして、それでステッカーが印字されましたら、それを車に張って写真を撮る、こういう作業でございますので、そうしますと、実は少なからず時間が経過してしまいます。

 そこで、そういうものも恐らくひっくるめて、五分以内であると事実上取り締まりの対象になりませんということで、運転者があらわれますと警告で済ますということでございますので、そのことをあわせて御説明しているものと思っています。

神風分科員 今のに関連して伺いますが、そうしますと、これから警察官の取り締まりの方法というのは、これまでのようにやはりチョークを使ってやるのか、あるいは、もうそれは民間の駐車監視員と同じような手法に変わるのか、その点はいかがなんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 取り締まりの認定方法は、監視員でありましても警察官でありましても全く一緒でございます。

 駐車の取り締まりにつきましては、従前より、非常に駐車の問題な地域につきまして、計画的に体制を組んで、それで取り締まりをやる場合、それから、通例の一一〇番などを受けまして駐車の取り締まりをその場に行ってやる、あるいは、通例のパトロールを通じまして発見して違法なものを取り締まる、こういうことでございます。

 今回、駐車監視員の方々に委託しておりますのは、計画的に、ある一定の地域につきまして、午前中何回、午後何回パトロールする、こういうところにつきまして委託するものでございまして、違法な車両を発見した後の措置につきましては、手続は一緒でございます。

神風分科員 多少細かな質問で恐縮なんですが、民間の駐車監視員の場合には、今おっしゃったような形で、写真を撮って、そのデータを警察の方に送って、ステッカーが送られてきて、それを張る。ただ、警察官の場合には、その手続というか、それはないわけですよね。だから、逆に言うと、私が伺いたいのは、警察官の場合には、極端なことを言えば、一分でもそれがまさに即アウトという形があり得るのかな、その点を確認できればと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 警察官の場合にも、実際に標章をそこで作成いたしまして、それを車に張る必要がございます。そういう意味で、基本的な作業はほぼ基本的には同一でございます。

神風分科員 あと、これは先ほど松原議員も伺っていた質問でございますが、委員長にあえて御所見を伺いたいわけでございますが、郵便小包の集配車については今回駐車規制の対象外となっているわけでありまして、そこで、宅配便業者との不公正、不公平というのを非常に感じるわけでございます。この点、ある意味では民業圧迫とも言ってもいいような状況ではないかと思うわけでありますが、それについての御所見を伺いたいと思います。

沓掛国務大臣 郵便は、現在公社でございますし、来年の十月からこれが民営化するわけですが、今のところ公社という形での判断でやっております。

 それは、郵便物の集配に使用する車両に関しまして、郵便物が全国あまねく公平に低料金で配達されるなど、郵便が国民にとって重要な通信手段と位置づけられてきたことなどを踏まえて、現状では、すべての都道府県公安委員会において、それぞれ個別個別にですが、いずれも規制から除外する措置が講じられております。

 なお、郵政の民営化に伴いまして、来年の十月以降ですが、郵便事業の公益性をも考慮しつつも、民間事業者とのイコールフッティングの確保を図るべきと考えられるところもございます。そういうことで、郵政事業の民営化後、郵便物の集配に使用する車両の取り扱いをどのようにするかについては、警察庁において、関係機関等の意見も聴取しているところであり、これから民営化後の事業の形態を見きわめながら判断していきたいというふうに思っております。

神風分科員 今回導入されました民間の監視員、ある意味でこの方々の放置駐車の取り締まりのノルマというのはないという形で伺ってはいるんですが、逆に、民間監視員導入によって、駐車違反取り締まり件数というのはどの程度増加をすると予想されていますでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 どの程度増加するかということにつきましては、正直なところ、全く、正確な見通しというものは持ち合わせておりません。

 現在、最近の状況を見ますと、一日当たり大体五千七百件ほどのステッカーを張っておった、例えば昨年あたりはそういう状況であったと思いますが、この五日間の状況を見ますと、標章を張ります数はとてもそこまではいきませんで、全体として四千件あるいはその前後というような、そんな状況であったと思います。

神風分科員 都道府県は今回の新しい制度によって放置違反金という新しい収入が得られるわけでありますが、それが民間の委託会社への委託料の財源になると聞くわけでございます。

 そうなりますと、取り締まり件数が余りないということになると、放置違反金の収入が減ってしまう、なくなってしまう。委託料を賄うためにも、ある程度の取り締まり件数を確保しなければならないという要請が出てくるのもやむを得ないのかなという気がするわけでありまして、次第に取り締まり件数が、ある意味では営業ノルマ化というか営業成績化していくような危険というか懸念というのはありませんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 パトロールをいたしまして、その間、違法駐車があれば標章を張るということでございますが、これは違法駐車をなくするのが目的でございますので、したがって、究極的にもし本当に違法駐車がなくなれば、そういう取り締まり自体が必要ないわけでございます。

 したがいまして、あくまで駐車秩序を維持するために必要な範囲でパトロールを委託していくわけでございますので、パトロールを行うための費用を捻出するためにパトロールを行うというのは、これは全く論理的にもおかしなことでございまして、全く想定しておらぬことでございます。

神風分科員 当初想定していなかったことが起こり得る可能性というのは十分あると思いますので、その点、十分な御検討をいただきたいなと思うところでございます。

 また、先般の、これは五月三十一日の朝日新聞に載っていた記事でありますが、警察から任務を託された全国の七十四法人にアンケートをしたところ、約七割が警察の再就職先になっていたということでありますが、このような実態調査というのは何か既にされているんでしょうか。

矢代政府参考人 私ども、全国二百七十の警察署で七十四の法人が受託しておりますが、これがどのような業種のものであるかということにつきましては、報告を受け、調査しておりますが、その委託を受けた法人にどのような方々が働いておられるか、これにつきましては、特段の調査はいたしておりません。

神風分科員 民間の委託先が天下りの温床になるというおそれが、道路交通法が改正された平成十六年の国会審議でも既に指摘をされておって、当時の小野国家公安委員長も、警察に都合のいいところに委託できない仕組みとすることと、委託手続の透明性を確保することが重要だと答弁しているようでありますが、具体的には、どういう仕組みで、どうその透明性が確保されているのか。

 ある意味では、今回の七十四法人の内訳を見ますと、警備業が四十一法人、ビル管理業が十四法人ということでありまして、実態としては、非常に警察とのつながりの深い業界に集中しているように見受けられるわけですが、その点いかがですか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、受託法人を決めるに当たりまして、これは入札で決めるわけですが、その前提として、一定の要件を満たす法人につきまして、届け出ていただきまして、その届け出法人の方々が今度は競って入札する、こういうことでございます。その入札に際しましては、これは各都道府県警察ごとでございますが、地方自治法等の関係法令に基づきまして、公平性それから透明性及び競争性の確保、これに留意しつつ、競争入札により選定しているわけでございます。

 確かに、警備業それからビル管理業などを営む法人が多かったわけでございますが、これは、確認事務委託に関する業務説明会に来た会社、あるいは、今申し上げました競争入札の資格の前提となる法人登録の段階から、確かにこれらの業態が多かったわけでございます。恐らく、そんたくいたしますに、これは、大勢の人を使って街頭で作業する、こういうことでございまして、比較的なじみやすいものであったのかなという印象を持っております。

神風分科員 時間が余りありませんので、最後の質問になるかと思いますが、結構地元の皆さん方も疑問に思っていた点で、放置違反金について最後に伺いたいんですが、この放置違反金、逆に、出頭して反則金を払うと違反点数が加算されるわけでありますが、ある意味では、使用者として放置違反金を納付すれば、これは違反点数はそのままになってしまう。こういう形ですと、ある意味で、正直に出頭するよりは出頭せずにその放置違反金を払った方が得である、いいんじゃないかと思う方が相当ふえるのではないかなという気がするわけですが、それについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、新しい制度では、車の使用者に対します責任追及ということで新たな制度を開いたわけでございます。

 ただ、この新制度におきましては、一定期間に繰り返し放置違反金の納付命令を受けた場合は車両の使用を制限する旨の命令を受けることとなる、こういうふうにいたしておりまして、そこで、違反者が出頭するなどいたしまして、反則告知を受けて、運転免許に係る方の違反点数、これを付加される場合と比べて、これは一概にどちらが有利あるいは不利ということにはならないだろう、不公平とはならないものだろうとは考えております。

 制度全体といたしまして、従前より、駐車違反はその現場に運転者がいないのが通例でございますので、そうしますと、運転者の特定が困難であるということで責任追及が十分に行えない、こういうことで、何らの制裁も受けない、いわゆる逃げ得という不公平もあったわけでございます。そういうことから、運転者責任の追及を貫くということでは不公平感がさらに増幅する、こういうことで、使用者に行政的な制裁を加えるということで、公平で確実な責任追及を可能としよう、こういうふうに考えたわけでございます。

神風分科員 今回の改正道路交通法は、多くの皆さん方、市民に直結してくる課題でありますので、ぜひ柔軟な対応を推移を見きわめながら進めていただきたいと思っております。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて神風英男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後六時八分散会


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