衆議院

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第1号 平成19年4月23日(月曜日)

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本分科会は平成十九年四月十日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      赤池 誠章君    鴨下 一郎君

      坂井  学君    玉沢徳一郎君

      広津 素子君    保坂  武君

      赤松 広隆君    仙谷 由人君

      松本 大輔君    漆原 良夫君

四月二十日

 鴨下一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十九年四月二十三日(月曜日)

    午後零時三十分開議

 出席分科員

   主査 鴨下 一郎君

      赤池 誠章君    猪口 邦子君

      坂井  学君    玉沢徳一郎君

      広津 素子君    仙谷 由人君

      前田 雄吉君    松本 大輔君

      丸谷 佳織君

   兼務 鈴木 宗男君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   外務副大臣        浅野 勝人君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   衆議院事務次長      鬼塚  誠君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第五局長            増田 峯明君

   最高裁判所事務総長    大谷 剛彦君

   最高裁判所事務総局民事局長            小泉 博嗣君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 後藤  博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房総務課長)            上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房会計課長)            齋木 尚子君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松井 哲夫君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          松田 浩二君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   外務委員会専門員     前田 光政君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  玉沢徳一郎君     猪口 邦子君

  赤松 広隆君     前田 雄吉君

  漆原 良夫君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     玉沢徳一郎君

  前田 雄吉君     赤松 広隆君

  丸谷 佳織君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  斉藤 鉄夫君     漆原 良夫君

同日

 第四分科員鈴木宗男君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十七年度政府関係機関決算書

 平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、裁判所、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(金融庁)及び外務省所管〕


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     ――――◇―――――

鴨下主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました鴨下一郎でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管及び沖縄振興開発金融公庫並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うこととなっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に、決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十七年度決算外二件中、本日は、外務省所管、内閣府所管中金融庁、内閣所管、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、皇室費、裁判所所管について審査を行います。

 これより外務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生外務大臣。

麻生国務大臣 平成十七年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明させていただきます。

 歳出予算現額は九千百八億六千百十二万円余でありまして、支出済み歳出額は八千四百一億二千六百七十四万円余、翌年度繰越額は五百八十七億一千六百三十三万円余、不用額は百二十億一千八百三万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千三百七億二千四百二十九万円、前年後繰越額八百一億三千六百八十三万円余であります。

 以上、平成十七年度の外務省所管の一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。猪口邦子君。

猪口分科員 ありがとうございます。

 私は、まず冒頭、本日は、哀悼の意と申しますか、追悼の意を表することから始めたいと存じます。

 核軍縮に取り組まれました伊藤一長市長が選挙期間中に凶弾に倒れましたことを深く愁い、御冥福を申し上げる次第でございます。

 言うまでもなく、暴力は断固として許されるべきではないということ、そして、故伊藤市長の生前の良心的で果敢な平和と非暴力へのリーダーシップについて、改めて思いをいたしているところでございます。また、私は、日本政府の軍縮大使経験者として、故市長との心響き合う多くの対話を思い出しているところでございますので、本日は、外務省の所掌事務につきまして全般的に議論をさせていただきつつ、特に私として、冒頭のところで、追悼質問のような思いで、我が国の軍縮、不拡散政策についてお伺いいたします。

 改めて、軍縮、不拡散政策を我が国として重点化していく使命を私たちは新たにすべきであると思っております。

 まず、核軍縮についてでございますが、言うまでもなく、NPT体制は、テロ組織など非国家主体への核兵器の拡散防止、そして、NPT体制を非核兵器国も納得しながら、彼らの納得も得ながら、日本もそうですけれども、堅持していくという観点から、軍縮、核不拡散を徹底し、そしてその上でこの体制を守っていかなければならないということでございます。

 それに対しましてさまざまな努力がされてきましたけれども、二〇〇五年NPTレビューコンファレンスが、検討会議と訳していますでしょうか、さまざまな困難性を示した局面がありました。日本は軍縮、不拡散の旗手としてどのようなリーダーシップを今後NPT体制の維持発展のために尽くす決意があるか、政府にお伺いいたしたく思います。

麻生国務大臣 猪口委員は、前にジュネーブで政府の軍縮代表部に大使として活躍をしておられました。政府としても大変感謝をいたしているところであります。

 今、御指摘ありましたように、日本の場合は唯一の被爆国、被爆国といいますとチェルノブイリの事件がありますので、爆撃を受けたという意味において被爆国として、いわゆる安全保障という問題を改善していくという意味からも、このノンプロリファレーション・トリーティーと称されるいわゆる核拡散防止条約というものの国際的な核の軍縮、不拡散体制の維持強化というものに非常に力を注いでおります。

 今、御指摘がありましたように、二〇〇五年の場合におきましては、いわゆるNPTの運用検討会議が、御存じのように具体的なところでうまくいきませんでしたので、合意ができなかったということであります。次回が二〇一〇年ということになっておりますので、これを成功させることが極めて重要なことだと思っております。

 今月、四月の三十日から始まる準備委員会というものを予定しておりますが、この二〇一〇年の運用検討会議に向けたプロセスの一環としてこれはすごく重要な会議だと思っておりますので、日本としては、この会議を成功させるべく、今、御指摘のありましたように、リーダーシップをということを考え、十分に発揮していきたいと思っております。

 具体的には、ことしの二月にビエナでNPTの日本セミナーを既に開催いたしております。また、今この準備委員会においては天野ウィーン代表部大使が議長ということに内定をいたしてもおりますので、議長を擁立いたします日本といたしましては、今度の準備委員会というものに関しましては、これは非常に大事なところだと思いますので、今かなりいろいろな方面にわたって準備をスタートさせるようにいたしておるところであります。

猪口分科員 大臣、ありがとうございます。

 多国間外交を成功させていくには、見えないところでもいろいろな配慮、努力が必要でありますし、そのための細かい予算措置も必要ですし、執行についてのいろいろな工夫も必要です。ぜひそのことを御理解いただきたく、特に議長職をとったときには、もう全世界とともに協議をしなければならないという観点から、それを支える事務スタッフも含めて体制の強化、あるいは必要な予算の獲得とその適正な執行をぜひよろしくお願いしたいと思います。既に準備段階で大変なことであったと思いますけれども、成功裏にここまで、日本のリーダーシップが二〇一〇年に向けて始まろうとしているということに期待を寄せたいと思っております。

 次に、やはり核軍縮のテーマでございますけれども、NPTは不拡散条約でございますが、今後核兵器をこれ以上製造すべきではないという考え方、これが国際社会で今日ではかなり広く共有されつつあります。これは核分裂性物質生産禁止条約、FMCTと呼ばれる条約概念でありまして、これの交渉入りをめぐっていろいろな問題提起がされ、困難性もあるのですけれども、だんだん、査察の余り侵入的でない方法など新しい科学技術も発展してきていますので、そう遠くない将来にこの交渉入りを実現できることが望ましいと思います。

 また、我が国は一貫してこのFMCTの必要性を主張していると私は理解しているのでありますけれども、その方向性に向けての十分な働きかけ、そしてそれに必要な予算、執行状況等、あるいは外交戦略等を確保できているとお考えでしょうか。外務大臣及び政府の関係者にお伺いいたしたく思います。

麻生国務大臣 今、御指摘がありました、いわゆるカットオフ条約と称する、フィシル・マテリアル・カットオフ・トリーティー、FMCT、核分裂性物質の協定の話ですが、これは御存じのように、兵器用の核分裂を起こす物質の生産を禁止する、ちょっとほかの原子力と少し意味が違いますので、そういったことを禁止するということで、核兵器による、いわゆる兵器の増産というものは、他国にとか、また別のところというのをやめようじゃないかという、今ある核兵器国以外に新たな核兵器国の出現というものをとめるという意味が一番大きなところなんです。

 この条約につきましては、これは極めて重要な意義を持っておると思っておるんですが、少なくとも、国際的な安全保障環境の構築という意味におきましても、今まさに、この核関連というか、技術というものが拡散するというところが最大の問題でありまして、その実験を行った国の技術がほかのところに、国に限らず、テロ等々に可能性があるということが非常に危なっかしいところなんであって、この条約の意義というのは非常にはっきりしておりますので、なるべく早くこの条約の締結ということが大事なものだと思って、私どもとしては、この交渉が開始されることになっておりますのですが、なかなか交渉が開始されるところまでいかないというところなので、ぜひこの交渉の早期開始というものについて今後とも積極的に取り組んでいかねばならぬと思っておりますが、これは結構いろいろ御意見が分かれているところでもありますので、私どもとしてはさらに努力をしていきたいと思っております。

猪口分科員 大臣、ありがとうございます。

 日本の外務大臣のそのような積極的な姿勢が国際社会としては非常に貴重であると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今、核兵器のことをお話ししたんですけれども、そのような大量破壊兵器のほかに、日々大勢の方々が武器の犠牲になっていまして、それが通常兵器の分野でございます。対人地雷でありますとか、小型武器でありますとか、いろいろと努力してもやはり犠牲者がふえ続けているのが残念な現代世界の状況でありまして、このような通常兵器の軍縮、あるいは違法なる小型武器の取り締まりなど、このようなものを徹底することは、日本外交が主張しておられます平和構築、これを推進する意味でも本質を構成すると思うんですね。

 そういうものが残存していれば、そこで農村を復活したり、そこに帰還したり、そこで何らかの家内工業から始まる経済活動に着手する、これすらもできないということになりますので、平和構築の出発点が、このような通常兵器で、かつ、戦時を超えて残存するものの除去、及びこのような兵器の、対人地雷については既に禁止条約がありますけれども、非合法小型武器の軍縮なども国連プロセスを通じて今推進しているところです。

 このようなことについての日本政府としての重要性を、FMCTの場合と同じく、強く立場をとっていただき、その重要性を明確化していただき、それをさまざまな、細かな対応も含めて、しっかりとした予算と戦略の中に位置づけて、強化する方向で取り扱っていただきたいと思っております。話だけでなく、志だけでなく、予算措置をもって、世界にこのような分野の軍縮を進める手本を我が国外交に示していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先生がおっしゃるとおりだと思っておりまして、特に、ポストコンフリクト、紛争後の平和構築の大前提になるのが残存する通常兵器の除去というふうに考えております。

 我が国は、このような考え方のもとに、ODA大綱におきましても、対人地雷の除去、それから小型武器の回収、廃棄など、平和の構築のための支援を重点課題の一つに位置づけてきておりまして、先生も御承知のように、アフガニスタン、カンボジア、スーダン、中央アフリカ、コンゴ等の国々でその支援に積極的に取り組んでおります。

 今後とも、ODAを活用して、対人地雷の除去や小型武器の回収、廃棄の支援に積極的に貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

猪口分科員 ありがとうございます。

 日本社会そのものが世界に対する手本、こういう観点から見ると、安全な社会を築いていますので、なっております。また、日本は、武器輸出三原則など、非常に自制ある対応をしていますので、手本の国として機能する立場にありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、それとの関連でもう一つなんですけれども、我が国は科学技術立国で、安倍内閣ではイノベーション戦略を重点化しております。

 そして、それは非常にすばらしいことで、やはり人間社会のさまざまな問題は、科学技術の突破力によって解決できる部分が多いんじゃないか、環境問題なんかもそうではないかという議論がたくさんありますが、ぜひ、今お伝えしたような分野もまたそうなんだということの認識を強く持っていただき、また、それを開発することにかかわっている関連省庁と外務省はぜひ連携をとっていただき、日本の科学技術力が、小型武器及び対人地雷及び残存するそのような武器の回収や、あるいはそれを除去していく、そういうことに少しでも生かされたり、あるいは、残念ながら出た被害者、その被害者の救済に役立ったりという方向で、日本の科学技術が人道的な科学技術として世界にもっと示されるべきではないかと感じております。

 例えば、ロボット技術は日本が世界に誇るものでございます。これを使えば、対人地雷の除去作業はとても危険な作業でございますけれども、理想的な形でこれを早く除去できるのではないかと、私は素人でありますけれども、そう感じたりもいたしております。

 また、残念ながらその被害に遭った方たちの例えば義足を用意するとか、そういうことにつきましても、最新の素材、最新のさまざまな技術を使えば、きっとすぐれた救済措置を提示することができるのではないか。

 ぜひ日本のイノベーション戦略を、まさにこれは日本ブランドではないですかね、軍縮に適した、ある種の科学技術の分野を日本として世界に示していく。そのようなことのための予算、そしてその執行、そして関係省庁との戦略的連携を組んでいただけるようお願いしたいのですが、いかがでございますでしょうか。

岩屋副大臣 対人地雷の除去につきましては、先生おっしゃるように、我が国の技術力を生かし、除去機あるいは探知機の開発に積極的に取り組んできているところでございます。

 例えば、経済産業省は、NEDOを通じて、既存の技術を用いた除去・探知機材の開発、改良の支援をしておりますし、文科省は、科学技術振興機構、JSTを通じて、大学等研究機関等の研究者等が行うより高度な探知技術の研究開発を支援しておりますが、外務省は、これらの省庁の支援を得て、国内で開発された機材の海外における実証試験に必要な渡航費、滞在費、研究費等の支援を目的とする無償資金協力を行っております。

 今後とも、関係省庁と綿密に連携をとりまして、対応を強化していきたいと思っております。

猪口分科員 ぜひそのようにお願いしたく思います。

 もう一つ、それとの関連でもあるんですが、ちょっと方向性を変えまして、来年、我が国ではG8サミットがございます。日本が主催国となるわけですね。そういう場合に、世界共通に認識されている問題を日本がしっかりとまたテーマ化して扱うということも重要ですが、同時に、日本ならではと期待されているテーマ、こういうものも重点的に扱うということも重要ではないかと感じております。

 この軍縮、不拡散の重点化は世界の期待に沿うテーマではないかと思っているところでございますが、来年日本が主催するG8サミット、環境重視路線などは、日本も愛知万博などで示してきたところでございますので、当然ながら重点化されるでしょうけれども、ぜひ、今、議論申し上げましたような分野につきまして、地味ではあっても、大事な取り扱いを外務大臣においてしていただければ大変ありがたいと思いますが、麻生大臣、いかがでございますでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘をいただきましたように、これはすごく大事なところで、これは八年に一遍回ってくるんですが、この八年に一遍回ってくるG8の主催国、すなわち議長として日本が何を発信するかというのは、日本が今置かれている立場、もしくは世界の環境の中における日本の地位等々を勘案して今これを言うべきだという点は、これは十分に検討をしなきゃならぬ大事なところだと思っております。

 ことしは、たしか、メルケル・ドイツ首相はスイスのダボスの会議で、これをやりたいという話をダボスで発言して、それで世界をその問題に向けたということをやりましたけれども、どういう形でやるにしろ、ダボスというのは一つのアイデアだとは思いますし、そういった形で総理がそこで日本としてやりたいことということを言いますと、あっという間に世界がやってくれますので、そういった意味では、何をやるかというのが大事であって、そこはよく綿密に詰めていかねばならぬと思っております。

猪口分科員 ただいま麻生大臣から大変に工夫のある方法論につきましての発言をいただきまして、大いに期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上、私は、伊藤市長のことを思いまして、ちょっと重点的にこの分野のことを取り上げさせていただきました。

 次に、このように積極外交をしていただく場合に、それをサポートする事務方の皆様、あるいは司令塔として機能する、そもそも本省の担当部局、大変な思いをされるのではないかと思います。

 ここで、私は、かねてからこういう制度があったらいいのではないかなと思っていることをお伝えしたいと思うんですけれども、官房の中に、必要に応じてエクスパンドできるような、そういう定員枠をお持ちであれば、ちょうど、例えばラピッド・ディプロイメント・フォースという概念が作戦にはありますね。あれは、ふだんはどこかに控えているんですけれども、重点化する場合には緊急展開する。これからは、そのような、能力というよりも外交力によって多くの世界の問題を解決する時代ですから、外交的な意味での緊急展開ができる必要がある。

 そのためには、余りにも不可能な事務量になるということの制約から日本が積極的な打ち出しができないというようなことがあると残念ですし、あるいはEPA交渉などにおいても、それゆえにおくれをとるということは、今のところないと思いますけれども、もし今後発生するとよろしくないので、大臣官房にそういうエクスパンドできる定員枠を抱え、非常に強い司令塔機能を持つ、もちろん出先機関も強化するわけですが、やはりこの司令塔機能のところを重点化する、それによって各部局も積極外交に果敢に打って出やすくなるのではないかと思うのですが、大臣、いかがでございますでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、猪口先生、外務省職員の絶対量が不足していると思いますね。やはり、今、国連加盟国百九十二カ国になっております。ドイツとかフランスとか、その辺で大体七千五百人ぐらいだと存じますが、アメリカの二万一千人はけた違いにしても、大体それぐらい。大使館の数やら何やら見ましても、それはもう、中国等々と比べましても、アフリカ地域においてかなりの差がついていることは確かであろうと存じます。

 また、この十五年間ぐらいの間に、旧ソ連邦だった国々が新たに十五に分かれましたので、新しい国が十四できておりますけれども、そのうちで日本が大使館を持っておりますのは四つだと思います。

 そういった意味で、基本的には人が足りませんので、今、大使館ができたらそこに割り振る人が不足しておりますので、日本は国力に見合っただけの外務省の職員の数が足りていないということだと思います。

 効率的にうまくやることで、今エクスパンドの話を伸縮できるという意味で言われたんだと思いますけれども、そこのところのそのもとがないものですから、引っ張り出すもとがないものですから、絶対量の不足というのはかなりしんどいことになっていると思いますので、今年度から十年計画で、少なくとも中国、イギリス、フランス並みぐらいにはと思って、今、総人員約五千五百人ぐらいが外務省ですけれども、これを二千人増ぐらいまでには持っていきたいと思って、今いろいろやっております。

 特に、新興国がアフリカにできましたり、また東ヨーロッパでも、チェコとスロバキアと分かれて二つになってみたり、いろいろしております。ユーゴスラビアなんかも六つぐらいに分かれたりしていますので、国がふえる傾向にあるのは事実です。それに対応をやっていくということをうまくやらないと、国連というものの中における日本の存在という意味におきましても非常にマイナスになろうかと思って、今、御指摘として大変正しいと思いますけれども、そのもとのところを何とかするところからスタートいたしました上で、今言われたようなヘッドクオーターのところをきちんとしてそこのところにということは、全く御指摘のとおりだと存じます。

猪口分科員 外務大臣として大変に御苦労が多いこと、よくわかります。

 おっしゃるとおり、職員の善意であるとか意欲であるとか志であるとか、そういうことだけでたくさんの仕事をどんどん積極外交のためにやっていくということについては、やはりどこかで限界が来るんだろうというふうに思います。そして、我が国はやはり積極外交に打って出るべきであると思います。ですから、ぜひ外務大臣としても、今おっしゃったようなことを改善するために御努力いただき、また私たちとしても、よくその問題を理解していきたいと考えております。

 つけ加えてなんですけれども、積極外交に打って出るときには、すべてがうまくいくことではないと思いますね。何もやらなければ、一番、何も事が起こらないんですね。いろいろと、ちょっと困ることとか難しいことが出てくるかもしれませんけれども、それは乗り越えていくような、そういう風土を外務省の中に、職員の中につくっていくということも必要であると思います。

 次に、国際機関に邦人職員をふやすという、いつもよく議論されることなんですけれども、これも一つの提案なんですけれども、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサーの制度というのがありますね。これは手弁当で二年間ぐらいですか、非常にいい制度なんですけれども、私の見るところ、もう少しその後をフォローする必要があるのではないか。その人材が、その後なかなか続かなくてちょっともったいないことになる場合があるのではないか。また、運よく続いたとしても、実際には国際機関において職階制が非常に厳しいものがあって、高いレベルに行くと、たとえ内部昇進する場合でも、出身国の政府からのいろいろな働きかけがあるとやはり違いがあるんだという意見も聞きます。本当かどうかは、私は調べたことがないので申し上げられませんけれども。

 つまり、私が申し上げたいことは、邦人職員をあらゆるレベルでふやしていくためには、かなり長期戦略と、その人材を息長く育てていく姿勢が必要だというふうに思うのですけれども、そのような戦略性はいかがでございますでしょうか。

麻生国務大臣 これはすごく大事なところなんですが、猪口先生、外務省に入ってもしくは国際機関等々において、言葉が二つ三つできるというのは別にそんなに難しい能力とは思いませんけれども、問題は、その二つ三つの言語を使ってどうやって国際機関において仕事をするかということなんだと思っております。

 同じ外務省という大きな組織に入っても、やはり国際機関で働くのに向いている者、また、会社用語では支店ですけれども、大使館に行ってそこの現地で働くのに向いている人、しかも先進国向き、発展途上国向き、これは僕はいろいろあろうと思いますね。そして、同時に、忘れちゃいかぬのは、やはり国内において財務省と予算の交渉をやるとか、やかましい国会議員の相手をするとかいうのは全然別の能力を要求されていると思いますよ。これは、大きく分けて少なくとも四つ。

 全然向いていない者を日本に持ってきて国内対策なんかをやらせると、その対策の後始末は外務大臣でやらないかぬなんというのは、ばかばかしくてやっておられませんので、だから、そこのところをうまくやれるようなのを、ちょっとおまえ、国内向きじゃない、おまえは国内に向かないから国際機関向きといって、それはもうずっと国際向きで養成していった方が人物経済的にはいいんじゃないかな、私は率直にそう思います。

 したがいまして、一番育てるのが難しいのは国際機関向きというところが一番難しいと思いますので、これは、ある程度国内事情もわかっておかないかぬ、加えて言葉が一つじゃとても足らぬとか、いろいろなことになろうと思いますので、そういうのは、長く国際機関向きのを育てていこうということを、私どもとしては、この一年半ぐらい、随分、国際機関向きの人を育てることを考えた方がいいんじゃないかという話をして、今やらせております。

 もう一つ考えておかないかぬのは、なかなか、国際機関に行きたいという人を他省庁において、例えば、私が前におりました総務省で、ITUという、いわゆるテレコミュニケーションユニオンというんですけれども、国際電気通信連合、ここはいわゆる通信協会で古い歴史のある協会なんですが、この事務総局長を二期、日本人がしております。これは総務省というか旧郵政省の役人なんですけれども、極めて評価が高かったと存じます。

 こういうのというのは、実は他省庁の中にもいるのであって、私ども今、そういった人たちを育てるに当たって、少なくとも思いつきで持ってくるなと。こういう人たちを、選挙があるというと、大体今から十年以内に、三年間で百幾つ国際機関の選挙がありますので、そういったものに出す人間を各省庁で、ITUならITU、UPUならUPUに出す人間はこれで、何年後に入れかえ選があって、何年後にこれをしてというのはちゃんと決まっているはずなんだから、それをおれたち外務省に出せ、我々が選挙対策本部をやる、こういうのは思いつきでぱらぱらやるとどこかの党の選挙みたいなことになっちゃうから、ぱらぱらやるな、系統立ててやれということで、各省庁全部出せという話で、今調整をして国際機関の選挙対策本部というのをやっと先週立ち上げたところでもあります。

 人を育てるためにはある程度長期間を考えないとできないという御指摘は、私ども全くそう思っております。

猪口分科員 時間が終了しつつあるんですけれども、ぜひそのようによろしくお願いしたいのと、今おっしゃった中でも、民間からも人材を起用する方法もたくさんあると思うんですね。NGOやNPOの方も大分育ってきている部分もあります。あと大学も、ポスドクといいますか、博士課程に進む学生さんも多く、全員が学者になるという希望でもない場合もありまして、知識を実務に生かしたいという学生も多いので、ぜひ、そういう方も視野に入れて育成していただければと思います。

 きょうはもう時間がなくなりまして、私は、近いところで二回ほど大臣に、自由と繁栄の弧のことについて共感を込めて質問しておりましたので、本日は取り上げていないんですけれども、よく、外交について発信力が重要であると言います。発信力というのは、まさにこういう知的なフレームワークを提示すること、これが最も本質的な発信力であると思いますので、ぜひ、さらに努力をしていただければと思っています。

 そして、何かそういう知的なるテーゼや枠組みを示すということは、またいろいろな反対意見や批判も来るかと思いますけれども、それは建設的に取り入れて発展させればというふうに思います。

 私、国際政治学出身で、その中で、リアリズムの哲学の中で、実践的な精神あるいは用心深い楽観主義という表現があるんですね。プルーデントオプティミズム、これはなかなかすばらしい表現で、大臣の外交はそういう感じがするんですね。

 もともと、不安定な地域だと言われていたところなんですね。そこに自由と繁栄の可能性があるんだ。だけれども、そう浮き足立ってもいないんですよね。やはり、用心深い、プルーデントだけれども、物事を所与のこととしてあきらめるような悲観主義、それに道を譲っていないんですね。そういうふうに私は感じておりますので、きょうは質問いたしませんでしたけれども、どうぞ発展させていただけるようお願いして、委員長、私の質疑を終わります。

鴨下主査 これにて猪口邦子君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸谷佳織君。

丸谷分科員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 現在、私、いわゆる民法の七百七十二条にあります三百日嫡出推定の問題に国会議員として取り組まさせていただいております。この問題について当委員会の方で議論するということでは当然ございませんけれども、現実問題として、こういったことを背景に、出生届が出されていない、いわゆる無戸籍の状態の子供たちについて、受けるべき行政サービスを受けることができていないという状況を踏まえまして、きょうは外務省に質問をさせていただきます。

 例えば、子供たちが受けることができるサービス、当然でございますけれども、福祉サービス、あるいは新生児の健診ですとか、保健健診ですとか、あるいは扶養控除等々さまざまあるわけでございます。

 ただ、戸籍がないことによって、住民票だけではやはり受けることができない行政サービスもあるということで、例えば、厚生労働省は、先月の二十二日に、新生児健診ですとか保健指導等のサービスを受けることができるようにという確認の意味での通知を出したと承知をしております。しかしながら、扶養控除ですとか、あるいは外務省関係でいいますと旅券の発給についてはまだ難しい状況にあるのが現実でございます。

 これも三月でございますけれども、いわゆるこういった無戸籍の子供たちに旅券を発給してほしいという訴えが東京を初め全国で起こされたと報道で承知をしておりますが、まず、この件数等を含めまして、事実関係から御説明をしていただきたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 外務省が現在、各都道府県担当部局を通じまして把握しております国籍のない方からの旅券申請でございますけれども、全体で十二名おられます。その中で、修学旅行を目的とした申請が一名おられ、また、そのほか卒業旅行、さらには友人訪問等の渡航目的で申請されている方が残りの十一名おられます。

 以上でございます。

丸谷分科員 現在は、この申請に対して、各都道府県の窓口では、ではどのような対応になっているのでしょうか。

谷崎政府参考人 旅券法の規定しますところによりますと、戸籍謄本ないしは戸籍抄本の申請の際の提出が義務づけられておりますので、各都道府県におかれては、その要件を満たしておりませんので、外務本省の方にどういう扱いをするかということを見解を求めてきているという状況でございます。

丸谷分科員 それで、求められた段階で、外務省は各都道府県にどのような答えをしているのですか。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 旅券法の規定は、先ほど申し上げたように、戸籍謄本、戸籍抄本が義務づけられておりますので、法のそのままの解釈で果たしてこの申請を受け付けることができるのかどうかということを外務本省としても検討中というところでございます。

丸谷分科員 大臣、さまざまなケースがございまして、例えば、滋賀県のケースなんですけれども、ある女性が前夫からいわゆるドメスティック・バイオレンスで暴力を受けまして、離婚手続を行わないままに家を出ました。家を出てから長い間の間に出会った男性との間にお子さんが生まれた。その後、裁判で離婚も成立をし、法的に再婚もした家庭なんです。

 前の夫が暴力を振るうという理由で離婚にも至ったということから、二度と自分たちの居どころを知られたくはない、また暴力を振るわれる可能性があるということから、これは前夫の子として三百日嫡出推定規定が働く間の出産だったために、どうしても前夫の戸籍に一回その子供を入れて、そして前夫と連絡をとり合って、前夫の子ではないということを調停、裁判で証明して、新しい戸籍をつくらなければいけないという手順があり、前夫と連絡をとりたくなかったので、いっそ出生届は出さないままにしましょうということにしたというケースがあるんですね。

 ちょっと複雑ですか。そういったケースがあります。このドメスティック・バイオレンスのケースでは、前夫と連絡をとりたくないということで出生届を出していない。このケースに関しては、旅券法上、戸籍謄本は不可欠だとして、発給を見送られております。

 東京のケースでは、お二人の女性が都庁の方に申請をしました。再婚した夫と生まれた子ですが、早産だったために離婚から三百日以内に生まれたので、前夫の戸籍に一回入るという手順を踏む、そして裁判、調停をして戸籍を消して、新しい夫との戸籍に入れるという手順を行わなければいけないんですけれども、現在、法的に再婚している夫の子であることは間違いないので、前の夫の戸籍に入れることは理不尽であるとして出生届を出していないという東京のケースもございました。これも、外務省に問い合わせをしている段階ということで、まだ当然受理はされていないということなんですね。

 本当に個別のケース、いろいろな理由があるとは思いますけれども、実際にそういったことを背景にして戸籍がない子供、出生届が出されていない子供に関して、例えばさっき説明していただきましたような修学旅行であるとか、そういったところにこれが理由で参加をできないということに関して、例外的に旅券を発給することができないだろうかという前向きな検討をぜひしていただきたいと思いますけれども、外務省はこの点についていかがお考えになりますか。

麻生国務大臣 めったにないケースだとは思いますが、あり得ないケースではないということなんだと思いますので、同情は申し上げます、確かにそういうケースもあり得るだろうと同情は申し上げるんですが、これは基本的には旅券をもらうときには旅券発給何とかかんとかというのであって、あれは戸籍と戸籍謄本だったか何とかを持っていかなきゃいかぬことになっていますでしょう。したがって、それをなしでやるというのはちょっとどうかなと思って、とにかく、状況としては、基本的には無理です。

 無理ですけれども、ただ、今のような、修学旅行をそれがためにというのはちょっとかわいそうな気もしますし、めったにある話じゃないとも思いますので、そういった意味では、ちょっと例外的に、旅券、一回出てくるだけの話だからということでやれるかどうか、ちょっと今検討してみるということで、やってみたらどうだということは言っております。言っておりますけれども、これは丸谷先生、麻生が言ったから大丈夫だなんて思ってもらっちゃ困りますからね。

 だから、そういった意味では、ちょっとここのところは法務省やら何やらとよく詰めにゃいかぬところだと思っておりますので、どういう対応が可能なのかということについて検討してみるという話はいたしております。いたしておりますというところまでしかちょっと申し上げられませんけれども、今の段階では。

丸谷分科員 ぜひ、麻生大臣がおっしゃっていただいたので大丈夫ということで推し進めていただきたいという思いでいっぱいでございます。

 先日の報道によりますと、実際に現場の方では、旅券課の方ですか、領事局の方ではいろいろな問題点も挙げながら検討しているとの報道がございましたが、例えば考えられる問題点ですとか、論点ですとか、この点について、局長、いかがですか。

谷崎政府参考人 ただいま大臣から答弁がございましたとおり、このケースにつきまして、どういう形で旅券が発給できる可能性があるのかということを検討するように指示を受けておりまして、鋭意検討している最中でございます。内閣法制局等とも協議しております。

 旅券法の建前そのものは、先ほど来答弁申し上げているとおり、戸籍謄本ないしは戸籍抄本が必要でございます。他方、極めて例外的な場合が許されるのか、法の精神からそれが許されるのかというそのぎりぎりのところを法制局の方とのすり合わせをしているというところでございます。その要件がある程度整えば大丈夫だということに仮になった場合には、現行法令の範囲内で、例えば外務省令を改正する、政令を改正するというようなことは可能なのかどうかという点について検討しているという段階でございます。

丸谷分科員 ぜひ、そういった細かな点も実際に詰めていただいているということでございますので、早期に結論を出していただきたいと思います。

 最後に、重ねてお伺いいたしますけれども、その検討はどのぐらいのめどで、スピード感を持ってやっていただけるのか、この点を確認させていただきます。

谷崎政府参考人 先ほど来例に挙がっております修学旅行の件でございますけれども、具体的には、六月以降、修学旅行のシーズンが始まるというふうに聞いておりますので、この十二名の方以外の申請の方、修学旅行目的で旅券申請をされる方もおられるかもしれませんので、やる以上はその時期に合わせたいというふうには考えております。

丸谷分科員 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、続いて、同じくパスポート関係ということで、こちらは決算行政委員会ですので、今までの予算の使われ方について一点質問をさせていただきたいと思います。

 旅券の電子申請システムが廃止になりました。大臣は民間企業でも社長をされていらっしゃいましたし、総務大臣をされていらっしゃいましたので、この問題については率直な御意見を、ぜひ感想をお伺いしたいと思いまして、まず大臣にお伺いいたしますけれども、このパスポートの電子申請システム自体は昨年の十月末に停止をされました。実に、運用開始から約二年八カ月ということで、三年もたたずに、残念なことに停止をされております。

 このシステムに費やされました公費としましては、開発費が約二十億円、運営費が約二十億円ということで、約四十億円の税金が使われております。単純に旅券一通当たりの発給経費ということで計算をしてみますと、一通当たり千三百万円以上かかってしまった計算になるわけですね。通常ですと三千円から四千円の経費、窓口の発給となるわけですので、これは三千倍以上もかかってしまった経費だと言うことができます。

 費用対効果の観点からいえば、確かに失敗であり、だからこそ停止したということなんだと思いますけれども、このシステムの廃止について大臣の率直な御感想からお伺いいたします。

麻生国務大臣 御記憶かと思いますけれども、今から四年、五年ぐらい前に、いわゆるe―Japan計画を重点的に小泉内閣のときにさせていただいて、最終的には、いわゆる書類を提出しなければならないと書いてあります法律が五万二千百本あったんですが、それをたった一本の通則法で全部オンラインでいいというように可能にした画期的な大改正をやったものの中の一環として、このパスポートの申請というものについては、いわゆる遠くまで行かなくてもとれますというシステムの提案が出されて、それに伴っていろいろやっていくことになりました。

 それで、四十七都道府県のうちで十二県、これを開始いたしておりますが、その後、さらに問題は二点ありまして、一つは、これを本人が丸谷太郎なら丸谷太郎という名前であるという本人確認をするためには、住基ネットの例の住基サービス、あのネットを使うという前提で普及をする予定が、普及しなかったのが一点。もう一点は、県まで行かなくても、県以外でも、市でも区役所でもできるというように広げましたものですから、早い話が町村再委託という言葉になるんですが、そういったことが可能になったために、県まで行かなくてよくなったものですから、県に行かずみんな町にとりに行くようになったものですから、利用率ががたんとおっこちて、先ほど言われたように一人頭に割り振りますと非常に高いものになったということで、これ以上やっていても意味がないということで、早目に切り上げるべしということで切り上げさせていただいたというのがこれまでの経緯であります。

 いろいろ前提条件が変わったとはいえ、最初予想したのを大幅に下回るということになったのは、予想の立て方としては非常に甘かったのではないか、もっとあの段階で、県から町に移管されることになったらどうなるであろうかという、ちょっとそこまで頭が回らなかった、想像ができなかったというところは我々としては反省をしなければならぬところではないかと思っております。

丸谷分科員 二〇〇五年度の旅券発給件数は全体で約三百七十五万件であったのに対しまして、旅券電子申請システムによる発給件数は百三件というかなりの少なさでございます。

 今、大臣が利用率が低迷した原因としてお話をしてくださいました。まず一点目は、住民基本台帳カード、これ自体の取得率が国民の一%にも満たないという状況。当然、これは特に外務省の旅券電子システムだけではなく、全体的なe―Japan構想の中でネックになってくる問題だと思いますけれども、これプラス、パスポートの申請の場合にはカード読み取り機というものも用意する必要があったといった新しい煩雑さをネット上に求めてしまったという原因もあるのだと思います。ただ、こういったことをやはり導入前から検討、予測されていれば、システム自体の構築にもう少し改善が加えられたのではないだろうかという気もします。

 しかしながら、当然、一方でメリットも電子申請にはあったのだろうと考えます。一点目は、申請時と交付時に本来であれば二回窓口に行かなければいけないものが、交付時だけの一回で済むということ、プラス二十四時間の申請が可能であったということもメリットではございますけれども、いかんせん導入した自治体が岡山県を初めとする十二県にとどまったということを考えますと、もう少し都道府県に対する働きかけというものがあってしかるべきではなかったのかという点が、私も感想として持っております。

 もう一点は、国民に対する広報、PRというものが十分だったのだろうか。この点について大臣にお伺いしたいと思いますが、三月九日の参議院本会議におかれまして、麻生外務大臣の方からは、「システム導入後、利用率向上に向けた広報を行ってまいりましたが、」といった御発言もございました。実際にどのような広報を行われたのでしょうか。これは、国民側からしますと余り周知されなかったのではないかというのが率直なところでございますが、いかがですか。

谷崎政府参考人 都道府県への働きかけ、それから国民への広報という二点あると思います。

 都道府県への働きかけとしましては、開発段階において、都道府県に必要な準備作業について説明会を行ったというようなことはございます。また、システム導入後につきましては、既にこのシステムを導入した県の経験に基づいて説明会を行うというようなことを行ってきております。

 国民への利用率を高めるための広報でございますけれども、当初の段階では広報用のリーフレットを配布するというようなことを行いましたが、他方、やはり利用率は十分上がっていないということを踏まえて、広報をより強化しようということで、平成十七年の三月から電子申請に関する広報用のホームページを立ち上げたということでございます。その利用率は約百万件くらいのアクセスがございましたけれども、他方、広報とは別に、先ほど来ありますように、この利用率につきましては、根本的なところにほかの要因が重なっておりますので、十分な成果が得られていないというのが現状でございます。

丸谷分科員 実際に百万件のアクセスがあっても、一年間、二〇〇五年度では利用が百三件ということですから、やはりかなり使い勝手が悪いシステムであったということになるのかと思います。しかしながら、これだけの税金を投入して開発したシステムですので、やってみましたけれども使い勝手が悪かったのでもう廃止しますということだけでは、やはりこの四十億円というのが本当の意味で無駄になってしまうんだと思うんですね。

 今後、このシステムを改良していくですとか、システム構築、あるいは機能するような環境づくりという観点でこれから取り組んでいくおつもりはあるのかどうか、この点はいかがでしょうか。

谷崎政府参考人 このシステムそのものが十分利用できていないという点につきましては、先ほど来、幾つかの要素が重なっているということでございます。基本的に、それらの原因が除去されればまた開発するということは理論上あり得ますけれども、一つ一つの利用率が高まっていないという原因を考えますと、これを再利用するということは現実としては非常に難しいのではないかというのが我々の現在の判断でございます。

丸谷分科員 政府が推進しますe―Japan戦略に基づいて行っていけば、行政のオンライン化、あるいは国民の利便性というのは高まっていくはずなんですね。ですから、もうちょっと確信を持って、必ずシステムを機能させていくぞという気概を持ってぜひ外務省も取り組んでいただきたいと思いますし、問題点が除去されればというよりは、除去するためにどう知恵を出していくのか、環境づくりをしていくかという視点が欠けているように思いますので、ぜひ、せっかく四十億円も投入してできたシステムですので、本当に無駄にしないようにしていただきたいと思います。

 最後に、最近の新聞に出ておりましたけれども、汎用受け付け等システムというものがあるわけですね。この汎用受け付け等システムというものも、これは今休止をしている状況だというふうに報道に出ておりました。これは、実際にことしの二月二十八日から停止をされているシステムのようでございますけれども、概要、構築に要した経費、運営経費についてまず御説明願えますか。

塩尻政府参考人 お尋ねの外務省のシステムでございますけれども、これは、行政文書の開示請求あるいは公益法人等の関連手続、独立行政法人関連手続、在留証明等八十九の手続について電子的に申請、届け出を受け付けられるようにしたものでございます。経費につきましては、開発経費全体で約一億二千万円でございます。年間の運用経費というのは約七千六百万円ということになっております。

 丸谷先生御指摘のとおり、ことしの二月の段階で一時運用を休止しております。これは、やめたということではなくて、よりよい、使いやすいシステムにしたいということで、さらに見直すということで今休止しております。できるだけ早くそういったシステムを確立して再開したいというふうに思っております。

丸谷分科員 これは、先ほどお伺いいたしましたパスポートの電子申請システムとはまた違った項目ですので、また八十九項目もあるということですから、一概には、どういった理由で使い勝手が悪いのか、あるいは利用率が低いのかということを分析することは難しいのかもしれませんけれども、この点についてはいかがですか。

塩尻政府参考人 今丸谷先生御指摘のとおりでございます。それぞれについていろいろな理由がございます。物によっては添付する資料を求めるということで、それを送るのがまた複雑になるというようなことで送りにくいといったことだとか、あるいは先ほど御紹介しましたような公益法人の届け出なんかもここで行っていますけれども、その届け出がなかなかやりにくいというような理由で使われていないというところがございます。

丸谷分科員 この汎用受け付け等システムにつきましては、問題点、それぞれ今実態把握に努めていらっしゃるところだと思いますので、これも、やってみたけれどもだめでしたというものでもないと思います。

 実際に、e―Japan構想ということで行政のオンライン化が進んでいく中で、外務省全体を見てみると、活動範囲が非常に広いところまで網羅をしている省なんですけれども、その分、オンライン化が進めば、インターネット上でアクセスあるいはいろいろな書類のやりとりができるようになれば、非常に国民にとっては便利なことにつながりますし、また国益にもつながる。一方で、情報の守秘義務ですとか、そういったところにも気をつけながら、より国民が利益を受けられるようなオンライン化に向かって、省を挙げて、また全体で取り組んでいただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鴨下主査 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 大臣、御苦労さまです。

 最初に、きのうは、ペルーの大使公邸事件から丸十年でした。私は、最近の日本を心配するとき、のど元過ぎれば熱さ忘れるで、一人の犠牲者もなく全員助かったのは奇跡的なことですよ。私は、当時のフジモリ大統領、今不遇をかこっていますけれども、フジモリ大統領のリーダーシップは大変なものだったと思うんですね。それゆえに、当時の橋本総理はフジモリさんを大変大事にして、また日本に招待もしたという経緯があります。

 あの当時は、青木大使初め外務省の皆さん方も大変頑張りました。本当によくやった、こう思っております。ついては、外務省として、その十年という節目に、関係者にねぎらいの行事といいますか、何か会を持ったのか。何となく新聞やテレビを拝見しても、ペルーに対して感謝の言葉もなければ、外務省からは何のメッセージもない。

 特に、あの奇跡的な、日本人が解放された中で、バレルという大佐とヒメネスという大尉が二人亡くなっているんです、特殊隊員が。この二人には家族がいるんです。特に、バレル大佐には五歳の子供がおりました。翌年、私は、両家族を日本に呼んで慰労したんですけれども、もう子供は高校生ぐらいになっているでしょう。

 バレルさんの場合は、奥さんもおられて、ヒメネスさんの場合は、婚約者がいたけれども、残念ながら、結婚の衣装まで用意したけれども結婚できなかったという中で、弟さんは、外務省が世話して、これは私もお願いして、JICAに頼んで、日本に留学希望したから入れました。下の弟さんもまた留学を希望しているのですね。この点、私は、今直接外務省にアプローチするのは避けた方がいいと思ってしていませんけれども、向こうから手紙が来たものですから、リマの大使館に相談に行った方がいいですよというアドバイスはしていますけれども、この点なんかもぜひ親切に対応してやってほしいと思います。

 大臣から、この十年の節目にやはりいま一度、ペルー政府に対する、当時のフジモリさんに対する思いなり、日本政府の姿勢を私はぜひメッセージとして送っておいた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 ペルーの大統領が御存じのようにかわりましたものですから、あの形で。お礼するのに、今の人にお礼するのかとか、感情的には、先生、これはなかなか、正直検討しないわけではなかったんですが、ちょっと正直そこのところで、今本人が日本にいるとか、当時検討したときはそういう時代でしたので、チリにいるとかペルーにいるとかいう時代だったので、一番お礼を言うべき本人がいないのでちょっとなというところでとまっているのが事実です。

 ヒメネスの話の件につきましては、二人いる弟の下の弟の方が日本に対していろいろ申請をしておる、留学を希望しておる、申請があるということを我々承知しております。

 それで今、ペルー大使館、在ペルー大使館ですけれども、ペルー大使館を通じて、とにかく遺族と本人にちょっと確認せいと、この点に関しては。その点についてどのような対応ができるかこちらも検討してみるからという話を既にいたしております。

鈴木(宗)分科員 あと、大臣、人情味ある大臣ですから、ぜひともやはり青木大使だとか当時の人たちを、大使館員、邦人、大変な苦痛のあの十二月末から四月二十二日までだったんですから、私は、何かねぎらいの会を持つなり、声をかけてやるべきだと。同時に、フジモリさんも元気なわけですから、フジモリさんのいる場所ははっきりしているわけですから、私は、やはり日本政府としての明確な感謝のメッセージは伝えた方がいいと思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 検討させていただきます。

鈴木(宗)分科員 ぜひとも大臣、私は、心のこもった外交が一番だ、こう思いますので、やっていただきたいなと思います。

 外務省の案件に入る前に、この分科会は国会もありますから、国会の方で私は先に質問させてもらいますけれども、衆議院の方、来ていますか。

 最初に、例の、問題というか話題になっております、赤坂の新議員宿舎、この今の入居状況、それがどうなっているかを教えてください。各党配分がどうなっているか。

鬼塚事務次長 お答え申し上げます。

 赤坂議員宿舎の議員数割り当ては、各会派の所属議員数の比率により配分してございますが、自由民主党百九十一、民主党・無所属クラブ七十一、公明党十九、日本共産党六、社会民主党・市民連合四、国民新党・無所属の会三、無所属六、計三百戸ということになってございます。

 四月二十二日現在、入居希望者数は百八十四名でございます。また、実際に入居される方は三十五名でございます。

 以上でございます。

鈴木(宗)分科員 各党の入居の状況を言ってください。

鬼塚事務次長 今の入居状況は、自由民主党が二十八、民主党・無所属クラブが二、社会民主党・市民連合が一、国民新党・無所属の会が一、無所属の方が三名ということでございます。

鈴木(宗)分科員 次長さん、せっかくつくったけれども、生かされていない。なぜ生かされていないか、それは九万二千円という値段にありますよ。聞くところによると、あの周辺は、あの面積にしたら四十万から五十万だというんですね。九万二千円というのが、国民の目から見たら、やはり国会議員の特権だと言われている。だから批判があるんですよ。この点、私はしっかり議運にかけて議論をしてもらいたい。国民の理解を得た方が、国会議員も逆に信頼を増すわけでありますから。

 私は議運の庶務小委員長に出てもらおうと思ったら、国会答弁はなじまないというわけですね。それで事務次長が来ているわけなんですけれども、ぜひとも次長から、この点、議運にかけてもらいたい。決算行政監視委員会でそういう意見が出たということできちっと諮ってもらいたいと思いますが、それを申し立ててくれますか。

鬼塚事務次長 昨年の十二月十九日に議運の理事会で、今お示しの九万二千円という額を決めさせていただいておりますが、それについてはいろいろな御議論がございます。したがいまして、これをお決めになるのは先生方でございますので、議運の方へお伝えしまして御検討いただきたいと思います。

鈴木(宗)分科員 次長、次長が事務の責任者として、この九万二千円で国会議員が決めた。率直に次長としてどう思いますか。相場感覚からして、これでいいのかなとか、これは妥当な値段だとか、国民としてどう考えますか。

鬼塚事務次長 私個人の意見を申し上げる場ではないと思いますが、一応、議員宿舎の使用料は、国家公務員宿舎の使用料に準じた算定方法で、なおかつ先生方については五%上乗せという形で決めさせていただいておりますので、とりあえずは今の線で決めさせていただいたということで、ちょっと御容赦いただきたいと思います。

鈴木(宗)分科員 あなたを責めるつもりはないんですけれども、どう考えても、ここは世間の常識からは離れている。それゆえに、みんな入りたいという気持ちは持っておっても入っていないのが現実ですよ。

 それでもう一つ、次長さん、これも議運の関係なんですけれども、麻生大臣なり副大臣もおられますね、岩屋先生も浅野さんもおられる、文書通信事務費というのが百万出ていますよ、百万。はっきり言って、皆さん方、文書通信交通滞在費で百万円使っていません、現実問題として。みんな事務所で費用に使っていますよ、はっきり言って。

 電話代は今ない。私なんかは国会議員で一番多い方ですよ。それでも七万か八万ですよ、一つの事務所。プライベート事務所もありますから、そういったものも持てば十万、二十万、北海道も入れれば三十万とかいうレベルになる。私の場合、飛行機は一番使っています。去年だけでも国内二百四十回なんというようなデータ、これは飛行機会社を調べればすぐわかりますから。それでも一千八百万ぐらいなものですよ。私の場合、破格に多いだけの話です。一般の人はパスが出ていまして、使っていません、現実問題。しかも、この百万円は、東京の人も百万、沖縄も百万、北海道も百万なんですよ。私は、この文書通信交通滞在費というのは、これまた国会議員の特権だと思っていますよ。

 今、財政再建だ、これから国民に新たな負担も議論してもらう時期だというような声があるときに、まずは国会議員みずから律しなければいけませんよ。もう来年の概算要求、さらには年末の予算に向けて、これは衆議院が要求する話ですから、これも議運で、この文書通信交通滞在費の見直しというものをしっかり提言すべきだと私は思うんですよ。

 同時に、これは税金のかからぬお金ですよ。領収書も何も使わなくてもいいわけですから、これは何に使っているかわからぬ話になっていますから、これは、財務省からも来てもらっていますけれども、財務省もこの査定はしっかりすべきだと私は思いますよ。財政再建を言っている財務省がやはりこの国会の予算には甘いという印象は持たれぬ方がいいと思いますよ。

 そういった意味では、この文書通信交通費の見直し、これは去年の決算行政監視委員会でも私は提言しているんですよ。これはぜひとも来年の予算で。衆議院事務局も、調べたらわかりますよ。各議員の電話代何ぼかというのは、明細出ますからね、給与明細に出てきますから。例えば、鴨下先生は東京ですから、ゼロ発信すれば電話代ただですからね、都内は。ですから、外にかけたとしても、例えばあなたが北海道に親戚がいるからと思ってかけても、これはもう知れている額ですよ。百万円というのは絶対必要でない。この点は、私は、現実的に無駄をなくすという意味から、それは逆に国会議員の信頼を得るもとですから、事務局も考えてもらいたいし、財務省も、この点の問題提起がこの委員会でされたということを踏まえて、概算要求、さらには予算の政府案決定の際は検討してもらいたいと思いますので、それぞれ、衆議院の事務局と財務省から答弁を求めたいと思います。

鬼塚事務次長 大事な御指摘だと思います。議運の委員会に連絡させていただきたいと思います。

江崎大臣政務官 財務省といたしましても、聖域なく改革に取り組んでいく重要性から、基本方針二〇〇六でも、「国会についても、「先ず隗より始めよ」として、自ら歳出改革に取り組むことを要請する」としているところでございますし、また、国会におきましても、みずから改革に取り組んでいただくことが重要でございまして、議運でも改革に向けた議論が行われていると承知してございますが、さらに推進をお願いしたいと思っております。

鈴木(宗)分科員 江崎政務官、きょう、主計局の鈴木次長も立ち会ってくれていますから、何といったって事務局も頭に入っていることが大事でありますから、この点、ぜひとも検討してもらいたい。それは逆に、私は国会議員が国民から理解を得られるもとになると思います。国会議員みずからが血を流している、あるいは身を削っているということが大事でありますから、無駄をなくすという意味では、率先して、まずは国会議員がやっていくということが大事ですから、この点、衆議院事務局もよろしくお願いしたいと思います。

 昨年十二月のこの委員会で、私は浅野副大臣に質問して、ワインの話をしました。私はこの国会でもワインについてどうなっているかという質問主意書を出しているんですが、この質問主意書では、詳細な調査を要するため答弁するのは困難であるというのが、三月二十二日の閣議決定された答弁書には出てきているんですよ。去年の浅野副大臣の答弁では、できるだけ速やかに調べてお答えしたいという中で、去年の十二月の二十五日には、十三、十四、十五、十六、十七年のうちの二千本近いワインの金額が来たんですよ。しかし、八千本のワインですからね、まだほかに報告が六千も残っているんですけれども、その点、どうなっていますか。

浅野副大臣 鈴木先生から、去年その質問をいただきまして、会計関連文書は保存期間が五年なものですから、この期間のものは少なくとも詳細がわかるだろうから一遍全部洗い出してみるようにということで、十三年から十七年のものについては、会期中にと思いましたけれども、ちょっと会期からずれましたけれども、十二月の二十五日に先生に御報告をした各年度の総額と本数、それから、私も知りたかったんです、鈴木先生、一体どのぐらい高いものを買っているのか、いろいろな実態を私自身も知りたかったものですから、一番高いものと一番安いものと、聞いた人がそれなりの内容がわかるきちんとしたデータを報告するようにということで、こういう報告をさせていただきました。

 今の御質問は、それ以前のもの、それはどうなっているかということだと存じますけれども、会計関連文書の保存が五年で、それ以前のものが廃棄処分になってしまっているものですから、鈴木先生に御報告した以前のものを一本一本洗い出す、文書の上で洗い出すということができないのが実情であります。

鈴木(宗)分科員 浅野副大臣、あなたの今の話と、閣議決定がされる質問主意書の答弁書というのは、全然答えがかみ合っていないんですよ。なぜかというと、私が質問主意書を出した、答えはこうなっているんですよ。お尋ねの物品に係る物品管理簿については適正に作成されているけれども、この物品管理簿は電子的に作成しておらず、お尋ねの購入価格は記載または記録していないという。これが閣議決定、麻生大臣が署名している決裁なんですよ。いいですか。それは五年前の決裁云々じゃないんですよ。そもそも購入価格を書いていない。

 そこで、財務省、私はこの予算要求には積算根拠というのが必要だと思う。これは、ワインの物品管理簿をつけている、価格が入っていない。しかし、外務省からはワインは何ぼという金額の積算根拠に基づいた要求があって、予算をつけていると思うんですよ。間違っても、財務省はいわゆるワインの値段は入れなくてもいいという指導はしていないでしょうね。

鈴木政府参考人 このような特別の指導を行っているところではございません。

鈴木(宗)分科員 浅野副大臣、そういうことなんですよ。ですから、そもそも私が不思議でならないのは、物品管理簿になぜ値段を入れないか。少なくとも、国民の税金ですよ。それを堂々と開き直ったような形で、この質問主意書の答弁書に出ている。私は、これも常識からかけ離れているんじゃないかと思うんですよ。

浅野副大臣 今、会計課の方に、一体その矛盾をと言って確かめましたら、鈴木先生、購入の一枚一枚、五年間保管する購入の書類には、もちろんこれが幾らだというのは書いてあるんですね。だから、一番高いワインが一九九八年のシャトー・ムートン、この五年間で、二万六千三百七十円のシャトー・ムートンが一番高くて、一番安いものは一九九九年のシャトー・デギュイユが千九百六十二円という、五年間のものについては値段がわかる。

 お尋ねの、物品に係る物品管理簿については、物品管理法の関係法令上の規定、そこで記載しなさいというものに限って法令に従ってやっている、こういうことです。

鈴木(宗)分科員 浅野副大臣、わかりました。では、五年間の、そのワインの何を何本買ったか、その一覧表を、後で結構ですから出してください。五年間、資料が残っているわけですからね。

浅野副大臣 先生、五年間の分について去年御質問があったので、それをトータルとして十七年は総額で幾ら、本数が何本ということを整理して鈴木先生の御要請に対して答えをさせていただきました。

 ただ、ワインの内容全体、何が何本、どれがどういうふうにあるというのは、やはりこれは外交活動をやっていく上で、その目的に従って、相手に従ってさまざまなレベルのものを使っていますので、ちょっと個々のものの手の内をすべてさらけ出すというのは控えさせていただいて、前回のような、トータルとしてどれだけだ、何本だ、総額幾らだということで御了解を賜ります。

鈴木(宗)分科員 副大臣、勘違いしないでください。私は、何をどこに使うだとかということは聞いていないですよ。今のはすりかえの答弁ですよ。相手のレベルというのは、私は何も聞いていませんから、そんな話は。

 いいですか。例えば十三年に六百八十本あるなら、六百八十本の内訳は、こういうものはこうです、これは何本こうですと、それはちゃんと物品管理簿に分けられているというんですから、それを示してくださいという話なんです。

 どこに何を使うなんということを私は聞いていませんし、興味もないんです。どういう内訳になっているかという話ですから、これも時間の無駄ですから、小委員長、後で資料として出していただければいいです。

 その本数とトータルは来ているんですよ。あとは事務的な作業で整理すればいい話ですから。それをどこに使ったとかなんとかというのは私は関心ありませんから。いいですか。勘違いしないでください。相手のレベルだとか、そんな余計な話は私は聞きたくもないし、関心ありませんから。要は、事務的にもらえればいいです。

 ちょっと時間がありませんから、次に行きます。

 これは今週の週刊文春です。大臣、「大使館新築九十三億円 斎藤ロシア大使「公邸家賃」月一千万円」、こういう記事があるんです。これは産経新聞初めほかの新聞にも出ていますから、もうわかっていると思うんですけれども、新しい大使館ができて、何ゆえにまた今の古い大使館を使いながら一千万円もさらに月家賃を払っていくのか。これはまさに私は税金の無駄遣いだと思っているんですよ。しかも、古い大使館というのは居住環境が悪かったんですよ。それは大臣も何回も行って知っているし、私もよく知っています。だから、新しいものをつくるというのに私も協力した側ですよ。当然、いつでき上がる、そのときは公邸も引っ越すんだ、決まっていた話ですよ。

 それがいまだ、齋藤大使が、今の大使が、この大使公邸は使い勝手がいい、豪華だと。そうして今度、今の大使館は本来使わないことが、何か倉庫か何かで使っているという話ですね。公邸と一体なものだからそのまま置くという話。私は、これは税金の無駄遣いでないかと思うんですよ。大臣、その点、どう思いますか。

麻生国務大臣 両方の大使館というか、前の大使館はよく知っておりますし、新しい大使館というのは、まだでき上がってから新しい大使館に行ったことがありませんので、新しい大使館に対してどうのこうの言うことはありませんが、旧大使館は何回も行ったことがあります。鈴木宗男先生ほど行ったことがあるか知りませんけれども、私も四、五回行ったことがあります。

 それで、先月三十日に新しい大使館に移動したという報告は受けておりますけれども、少なくともあの大使公邸というのは、前のものは確か表通りに面していたというのが昔のあれだったと思いますが、そういったものから旧事務所に、何かのあれで今の裏通りに変わってから随分とたつように記憶いたしますが、少なくとも今の時代に合わせて、向こう側も新しい大使館を、戦後も大分たちましたので、向こうもということで話が通じて、やっとでき上がることになった。

 ただし、御存じのように、場所としてああいうところの裏通りのところに、今までのところは随分狭いところでしたので、少なくとも今の旧公邸というものを今の状況で私どもとしては借りて、そこをいろいろな形で新しい公邸のいろいろな機能に使うというのは、私はそんなにぜいたくとも思いませんし、十分に機能し得る、非常に有効に使えると思っております。

鈴木(宗)分科員 大臣、ちょっとその点、今の話とも違うんですよ。これは、大臣、約束があって、しかもこの旧大使館はもうつぶすことになっているんですね。約束があって、同時に、新しい方にまた移るという話で進んでおったことも事実です。

 ところが、今、適当な物件がないからといって、まだ居座っているというのが現実なんですよ。だから、それは逆に、適当な物件がないというのは、前から手を打っておけば適当な物件は手に入るわけでありますから、月一千万円も国民の税金を使うことが、大使の独断で、豪華だ、手の打ち方が悪かったというだけで月一千万円も、私は無駄じゃないかということを言っている。

 あそこはクレムリンにも近いし、場所もいいですよ。しかも、建物もそれは立派であることは事実です。同時に、新大使館をつくるときはそれはまとめて出ることになっているわけですから。そういう経緯があった、それが履行されていないのが逆に無駄でないかという話なんですよ、大臣。

 今大臣が入っている議員会館、我々の議員会館は四十平米ですよ。今度の大使館というのは、鴨下先生、館員一人当たりが二百三平米の面積ですよ。今の議員会館の五倍なんですよ。五倍のスペースの働ける居住環境を持っているんですよ。それもとうとい国民の税金でやっているんですよ。それだけのスペースの大使館がありながら、また古い大使館も使うということ自体がおかしいんじゃないかというのが一つ。

 同時に、約束はきちっと履行していく、その方が税金の無駄遣いじゃないということを私は言っているんですよ。何も建物がどうのこうの言っているんじゃなくて、経緯がありますからね。その経緯の約束は守った方がいいんじゃないですか、それもまた、私は外務省が信用を得るもとじゃないですかと。

 今一般的にモスクワの特派員からも受けとめられているのは、齋藤という大使の身勝手で、ここは居住性がいい、ここはおれも住み心地がいいから、どっちみち何十年もいるわけでないから、おれのいる間はここだみたいな感覚でいるから、これはいけませんよというのが声として入ってくるものですから、この点は、私はやはり庶民感覚に照らして対応した方がいいんでないんですかということを言っているんですよ、大臣。

 これは齋藤大使の判断で行っていることなんですから。外務省の判断じゃないんですからね。その時々の大使の判断が身勝手で、適当な建物がないから移れないんだというのは、適当なしっかりした交渉をしていなかったということになりますからね。しっかりした交渉をやっておけば、ちゃんとロシア外務省も窓口はあるわけですから、そういう在外の大使公邸を紹介するなり世話するという。その点をサボっておったのはこっちなわけですから。しかも、そこで一千万円も家賃を払うのは、これは適当でないから考えた方がいいですよという話ですからね。この点もよろしくお願いします。

麻生国務大臣 基本的に、御存じのように、鈴木先生、大使って、鈴木先生が考えておられるほど偉くはありませんで、そんなに決断が自分一人でやれるようなことはありませんから、これは間違いなく省がかんでやっております。したがって、齋藤一人でやれるなんということはあり得ない、これはまず一つはっきり先に申し上げておきたいと存じます。

 それから、一千万円というお話は、週刊誌は余り読んでいないので知りませんけれども、これは六百八十五万円が正確な数字です。ですから、したがって、千万円ということではないということになっております。

 それからもう一点、この契約のうち、一体幾ら実際やっていくんだということに関しましては、今から土地をきちんとどうやって使うか等々、いろいろ考えて、ロシア政府とさらに値段の交渉は今後まだやっていくということになりますので、六百八十五万に最終的になるかどうかも、おまえ、国会で六百八十五万と言うたやないかと言われると、さらに安くなるとまた話が込み入りますので、ちょっとそこのところもあらかじめお断りしておきます。

鈴木(宗)分科員 ちょっと、外務省事務方、大臣に間違った数字をやっちゃいけませんよ。あなた方の閣議決定の答弁書で、月の賃料は邦貨換算で九百五十六万円と出ているんですよ、大使公邸と大使館の賃料が。だから一千万なんですよ、この週刊誌の報道も。

 その六百何ぼというのは、だれが六百八十五万などと。大臣、これは少なくとも大臣が閣議決定で答弁書に署名しているんです。いいですか。だから、そういう事務方、つまらぬ、例えば六百八十五万でも四捨五入されたら一千万で計算されちゃうんですから、大した話じゃないんです。私が言っているのは、二重の無駄な支払いはいけませんよということを言っているんですよ。いいですか。一回で済む支払いを何で二重でしますか。年間に一億二千万近い国民の税金が使われる、二重払いじゃないですかということを言っているんですから、この点、勘違いをしないように。

 あと、もう時間がありませんけれども、大臣……(麻生国務大臣「答弁させてください」と呼ぶ)いやいや、もう時間がないですから。(麻生国務大臣「いや、あなたの都合じゃなくて、議事の整理権は」と呼ぶ)いやいや、委員長、答弁は要りませんから。私が質問者ですから。答弁要りませんから。私は、これは閣議決定の数字を言っているんですからね。間違いありませんから。

 最後に……

鴨下主査 それじゃ、ちょっと答弁させますので。塩尻官房長。

鈴木(宗)分科員 じゃ、委員長、もう一問だけ時間ありますが、いいですね。それを担保してください。

鴨下主査 はい。

塩尻政府参考人 事実関係でございますので、私の方から答弁をさせて……

鴨下主査 簡潔に答弁してください。

塩尻政府参考人 はい。

 答弁書でお答え申し上げているのは、事務所、広報部の建物、それから領事の別館、これを含めた額になっております。広報部あるいは領事別館を除きますと、先ほど大臣が答弁したとおりの額でございます。

鈴木(宗)分科員 これは先生方よく聞いておいてください。今の話は、もともと大使館も大使公邸も出ることになっているんですよ。出ることになっているのを居座って使っているから、私は二重払いだということを言っていますから、これは、皆さん方もよく調べて、税金の無駄遣いという意味からもわかってほしいと思います。

 大臣、北方領土問題で、これがありますね。外務省が出している「われらの北方領土」。これを読んでみますと、二〇〇四年までは一括返還という記述で来ているんですよ、一括返還。二〇〇五年から一括返還という言葉を取っているんですね、この領土交渉の歩みの中で。これはどういう変化か。

 というのは、私が質問主意書を出しているんですよ。四島一括返還という要求を外交交渉においてソ連もしくはロシアにおいていつから行わなくなったかという質問について、「われらの北方領土」の記述と答弁書が違うものですから。この点、二〇〇四年までは四島一括返還を言ってきているんですね。「北方四島の一括返還を実現して平和条約を締結するという政府の不動の姿勢と不退転の決意を、改めて内外に表明するもの」であった、二〇〇四年までは。二〇〇五年からは、この一括返還がなくなっているんですよ。「四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を早期に締結する」と。これは何のシグナルというか判断なのか、この点、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今の御指摘の話ですけれども、基本的には、政府として、北方四島の帰属の問題を解決して早期に平和条約を締結するという話はずっと一貫して変わっていないんだと私の方としては思っておりますし、二島先行返還論とかいろいろありましたよ、二島返還論とかいろいろ話はこれまでもありましたけれども、この種の話を外務省として採用した例はありません。

鈴木(宗)分科員 大臣、ちょっとこれを見てください。これは二〇〇四年と二〇〇五年の同じコーナーです。一括返還という言葉がなくなっているんですよ、五年から。

鴨下主査 鈴木君に申し上げます。

 質疑時間がもう終わっておりますので、御協力ください。

鈴木(宗)分科員 はい。わかりました。

 そこで、委員長、今の答弁はちょっと私の質問と違うものですから。それと、これは事務方、原田局長、来ていますけれども、外務省の方針は一貫のものだと言うけれども、ちょっと大臣もはしょって言っていると思いますけれども、少なくとも、旧ソ連時代とロシアになってから対応が違ってきたことは事実なんですね、九一年以降。そのことを、もう少しきちっと大臣に役所方も説明してくださいよ。

 いいですか。柔軟になったのは、ソ連からロシアになってからですから。ソ連時代は、向こうが領土問題なしというから、一括という言葉を使ってきた。しかし、ソ連がなくなってロシアになってから、日本は一括という言葉を使ってこなかった。特に、橋本、小渕、森内閣にあっては、その点は徹底してきたものですから、この点、間違ったまた国民にメッセージになっては困るものですから、事実関係だから、しっかり私は押さえて説明をしてもらいたい。国益にかかわる話でありますから。

 それと、また別の機会に、私は質問の機会がありますから、大臣、今の答弁も含めて、この領土問題の議論は一回ゆっくりしたい、こう思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鴨下主査 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。山本金融担当大臣。

山本国務大臣 平成十七年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成十七年度の当初予算額は、百八十七億二千百二十七万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額五億九千五百六十七万円余、前年度繰越額一億七千六百十七万円余を増減いたしますと、平成十七年度歳出予算現額は百八十三億百七十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額百七十億四千七百四十六万円余に比較いたしますと、十二億五千四百三十一万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、一億一千八百九十六万円余であります。これはモデル事業有価証券報告書等電子開示システム開発経費でありまして、計画及び設計に関する諸条件の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。

 また、不用となった額は十一億三千五百三十四万円余であります。これは、情報処理業務庁費を要することが少なかったこと等のためであります。

 以上をもちまして、平成十七年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。前田雄吉君。

前田分科員 民主党の前田雄吉です。

 皆さん、きょうは衝撃的な事実が発覚しました。事もあろうに、RCC職員がたかり行為をしていた。これは許されるべき行為ではない、私はそう思います。

 もともと、このRCC、整理回収機構ですけれども、私は、時代の要請、任を既に終えている、そう思っております。非常に債権回収をめぐるトラブルが多発している。もともと、中坊氏が持ち前の政治力を使って特殊な株式会社、そして有期限ではない無期限の株式会社としてつくったわけでありますけれども、やはり私は、RCCはここでもう廃止されるべきではないかというふうに思っております。

 きょうは、RCCをめぐる債権回収のトラブルについて御質問をしたいと思っております。

 もともと、この金融サービサーですけれども、前にも予算の分科会で大臣にも質問しましたけれども、この金融サービサーの権限の拡大が非常に問題になってきている。国民の皆さんの生活のすぐそばにまで忍び寄っているのではないか。例えば、携帯電話の料金の徴収、これは徴収と言うとまた違うと言われますけれども、案内業務と言われていますけれども、そうしたもの。また、貸金業規制法の改正の後、やはり実態にしっかり手当てをしていないがために、貸し金の皆さんが今度は無認可で金融サービサーの仕事をしつつある。私はこれはもうゆゆしきことだと思っております。

 金融サービサーですけれども、前にも申し上げましたように、銀行系、外資系、そしてRCC本体、あるいは公認会計士の皆さんがやられている、そんな分類がされると思っておりますけれども、この最大の金融サービサー、RCC、これに少し焦点を絞らせていただきたいと思っております。

 まず初めに、整理回収機構の債権回収の方針について伺いたいと思っております。

 これは、債務者には余剰資産は残さないようにというのが当社の方針である、こう何度も債務者側の弁護士に対して力説して、何度確認してもそのとおりだと言った整理回収機構の弁護士がおります。RCCの方はこの事実を否定しておりますけれども、平然と、余じんを残すな、余剰資産を残すなということは、身ぐるみはげということなんですよ。これが本当に許されていいことかどうか。

 もともと、金融サービサーというのは弁護士法の特例でできているわけでありまして、私は、この特例も有期限で、期限を切って、この金融サービサーも整理しなきゃいけないというふうに思っております。

 この身ぐるみはぐなどということが整理回収機構の回収方針だと言ってはばからない回収機構の弁護士がいるというふうに私は認識しておりますけれども、金融大臣はこの回収方針に対してどのように思われますでしょうか、まず伺いたいと思います。

    〔主査退席、松本(大)主査代理着席〕

山本国務大臣 個別取引の当事者間のやりとりでございますので、金融庁としてのコメントはできませんが、一般論を申し上げますと、RCCにおきましては回収指針というものがありまして、契約の拘束性の追求、人間の尊厳の確保、企業再生の追求という三つの指針の交点を求めると、御承知のとおり定めております。また、関係法令及びこの回収指針に従いまして、個々の債務者の実情等を十分に把握して、適切な対応に努めているものと承知しております。

 金融庁といたしましては、RCCが関係法令等により健全かつ適切な業務運営を行うよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。

前田分科員 今大臣がおっしゃったとおりのことが本当の回収方針なんですね。これを逸脱したことを平気でしゃべる弁護士はこの整理回収機構にいてはいけない、私はそういうふうに思っております。ですから、金融庁としても、こうした事態をちゃんと厳しく精査していただきたいと思っております。

 特に、今この事案は熊谷市の坂石米穀店の債権のお話なんですけれども、この発言が出たときの状況、私はこの発言自体が非常にゆゆしきものだと思っております。先ほど金融大臣が話された回収方針が本当の、我々立法府が定めたときの回収方針でありました。それを逸脱しているわけでありますから、債務者には余剰資産を残さないようにというのが当社の方針だと言った、このときの状況、弁護士の発言が出た状況を、事務方で結構でありますので御説明いただきたいと思っております。

佐藤政府参考人 個別取引に関します当事者間のやりとりにつきましては、金融庁としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論で申し上げますと、整理回収機構におきましては、関係法令及び回収指針に従い債務者との交渉に当たることとしておるというふうに承知いたしております。その際には、個々の債務者の実態等を踏まえ、可能な限り当事者間の話し合いを経て、関係者間の合意に基づき返済を行ってもらうよう努めているというふうに承知をいたしております。

前田分科員 今言われたのが教科書どおりの回収方針なんですね。ですから、私はきちんとそれをRCCに守らせなきゃいかぬと思っております。

 この案件については、商工中金さんも協力されて債権処理のスキームができ上がっているにもかかわらず、RCCがえらく期間を延ばすんですね。私はどうしてこんなことをするのかなと思っていたんですけれども、やはり地価は上がってくる、担保物件の地価の上昇を待てばと、私はそういうことだと思いますよ。スキームができているにもかかわらず、RCCがなかなかそれに応じない。銀行も理解している、しかし時間を稼いでいるようにしか思えない。そのときに、確かに、もっと地価が上がるのを待てばもっとたくさん回収できるかもしれないけれども、私は、個々それぞれのケースに応じてきちんと、先ほど大臣が言われたように債務者の人権も守りながら回収をしていくというのが筋であると思っております。

 この坂石米穀の件でありますけれども、みずほ銀行が本人の承諾なく勝手に相続登記をした。私はこれは違法であると思っております。また財金でやらせていただきたいと思っております。実際に銀行関係者も呼んでやりたいと思っております。

 個別別個のことは答えられないというのが御主張だと思いますので、勝手に許可なく相続登記をするということは、これはどうなんでしょうか、違法ではありませんか。こういう違法なことを行った銀行に対して金融庁はどのように監督指導をされるのか、伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 個別金融機関の個別取引でございますので、直接のコメントは差し控えさせていただきます。

 一般論として、法令上の枠組みについて申し上げますと、例えば、根抵当権の登記がなされた不動産の所有者、すなわち登記義務者、債務者でございますが、この方が死亡し相続が開始した後に、相続人が相続放棄を行わないにもかかわらず相続登記に応じない、こういったケースの場合、この抵当権者、すなわち登記権利者、債権者でございますが、これは民法四百二十三条第一項の規定に基づく債権者代位によって、相続人の有する登記請求権をかわって行使し相続登記を行うことができる、こういう枠組みになっているというふうに承知をいたしております。

 他方で、銀行が一般的に債権譲渡を行うために債権者代位による相続登記等を行おうとする場合には、これまでの債務者との取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえて、顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明を行うことが重要であるというふうに金融当局としては考えております。この点につきましては、私どもの監督上の指針でございます監督指針等において、利用者保護等のための監督上の着眼点といたしまして記載をしているところでございます。

前田分科員 足を靴の上からかくような話になってしまうのは、やはりRCCがこの場にいない、預金保険機構までは呼べるけれどもRCCは呼べないということなんですね、この決算委員会には。私は、これからこれ自体も変えなきゃいかぬと思っております。そして、RCCを目の前にして、きちんと公の議事録に残してRCCの発言を精査していかなきゃいけないというふうに思っております。これが当決算行政監視委員会の職務であるとも思っております。

 それでは、これから、冒頭に申し上げた、旅館業の再生について。

 RCCが昨今破産申し立てをする。これは皆さん、新破産法になって、債権者による破産申し立ては、全体一〇〇%のうちのわずか一%、あとは九九%が債務者側でありますけれども、債権者によるわずか一%の破産申し立て、これによりまして、随分安易にこれが使われているのが現状ではないかなというふうに私は思っておるんです。

 事業再生の場合、民事再生法あるいは会社更生法でかけていけば、長年の年月がかかります。本当に、もともと新破産法の趣旨、ここに「新版破産法」、園尾さんの書かれた御著書がありますけれども、とにかく迅速化、早く処理をするという目的でつくられておりますけれども、この新破産法を活用しての破産申し立てですと、一カ月程度でできてしまうということがあります。

 ですから、新しい再生のスキームだということで、恐らくRCCはこれを活用しようとしたんでしょうけれども、ここからです、私は、サービス業に当たります旅館業にとっては人的な要素が非常に強い、これはこうした破産法を活用しての再生は合わないんではないかというふうに思っております。

 例えば、破産と言った瞬間に、いわゆる旅行の代理店等、全部取引停止なんですよ。管財人が、今までどおり取引を行ってくださいといって手紙を送付しますと、それだけで旅行社はすべて引きます。それをRCCはわかっていない。現状をわかっていない。私は、もっと中小企業のことがよくわかっている経済産業省の、例えば中小企業庁等の皆さんがきちんとこうした事業再生には加わるべきではないかというふうに思っております。

 一部新聞には、今から例を挙げますけれども、日光の川治温泉の老舗の柏屋さん、ここの柏屋ホテルですけれども、ここは本当に、事業再生と銘打ったRCCによる破産申し立てによって、反対に事業再生が不可能な道に追い込まれている、私はそう思います。これが現状であると思っております。少し細かくこの件についてやらせていただきたいと思っております。

 初めに、経済産業省、中小企業についてよくおわかりになっておられるので、伺いたいと思います。

 サービス業としての旅館業、この業界、ほかの中小企業以上に、バブル崩壊以降、長引く経済不況の中で、過大な設備投資、非常にかかりますよね、部屋の内装を変えたり新しい部屋をつくって、お客さんを呼ばなきゃいけないわけですからね、過大な設備投資による債務負担のために経営が困難になる状況が日本全国に見られます。

 経済産業省は、そのようなサービス業としての中小企業、旅館業を再生させて地域活性化を図るために、どのような施策や指導をなさっているのか、伺いたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 旅館業を含みます中小企業は、地域の経済と雇用の大宗を支えておるわけでございまして、そうした企業の再生というのは我が国経済の活性化の観点から極めて重要だと私どもも認識をいたしておるところでございます。

 このため、私ども経済産業省といたしましては、平成十五年から中小企業再生支援協議会を全国四十七都道府県に設置いたしまして、地域の総力を結集して、相談から再生計画策定支援まで、きめ細かく中小企業の再生を支援してきておるところでございます。

 この結果、設立以降、これまで一万社以上の企業からの相談に応じますとともに、金融機関との調整を含む抜本的な対策が必要な千二百四十八社につきまして、これは昨年末時点でございますが、そうした再生計画の策定支援が完了いたしておりまして、八万人を超える雇用が確保されるなど、着実な成果が上がってきておるというふうに認識をいたしております。なお、再生計画が完了いたしました千二百四十八件の案件のうち、旅館を含みます宿泊業は百二十八社というふうになっております。

 まだまだ中小企業を含みます地方の経済の実感が厳しい。昨年は御存じのように中小企業の倒産件数がまた若干ふえたというようなこともございまして、私どもといたしましては、地域におきます中小企業への再生のニーズがまだまだ大変大きいというふうに考えております。まず第一に、現在国会で御審議いただいております産業活力再生特別措置法の改正案におきまして、これは中小企業再生支援協議会の設置根拠になっておるわけでございますけれども、この見直し期限を平成二十八年三月まで延長するということを第一にいたしておるところでございます。

 また、平成十九年度から、各地の協議会活動のさらなる促進を図るという観点から、全国の中小企業再生支援協議会の活動を支えるといいますか、支援するための全国組織を設置いたしまして、各協議会に対します助言でありますとか、各種手続や対応の標準化、あるいは成功事例等のノウハウを共有する、こういったようなことで全体としてのレベルアップを図っていこうということを考えておるところでございます。

 また、財務金融面での支援といたしましては、中小企業基盤整備機構が出資いたします中小企業再生ファンドの設立を引き続き促進することを準備いたしておりますし、また、中小企業が私的整理中に事業再生に取り組む際の資金調達を円滑にするための信用保険制度の拡充強化を図ることといたしております。

 今後とも、こうした中小企業再生支援協議会の活動を軸としまして、旅館業を含みますさまざまな中小企業の再生支援に取り組んでまいりたいと考えております。

前田分科員 こうしたきめの細かな再生支援をしていただきたいと私は思っております。

 その一方で、やはり、先ほど来話に出しておりますけれども、破産法による事業再生、特にこれは人的要素が強い旅館業にとってはなかなか難しいという話を私はしております。

 では、今度は法務省に伺いたいと思います。近年、経営者、従業員ともども経営再建に努力している旅館があって、それに対してRCCが破産手続を利用した企業再生を図るためと称して、先ほど来の破産申し立てをするケースがどんどんふえてきている。二〇〇五年の一月に施行された破産法でありますけれども、この立法趣旨、自己破産が増大している現状を踏まえ、債務者の迅速な救済を図るため破産手続を迅速化するためと私は理解しているんですけれども、立法の過程で、破産手続による企業再生を図るということ、これは議論されたんでしょうか、どうですか。

後藤政府参考人 お答えいたします。

 破産手続は、債務者の財産を金銭化し、これをもって債務者の債務の弁済に充てることを目的とする清算型の手続でございます。新しい破産法は、その手続の迅速化及び合理化を図る等の目的のために制定されたものでございます。したがいまして、債務者である企業そのものの再生を目的とする会社更生あるいは民事再生手続とは目的を異にしております。

 もっとも、破産手続におきましても、破産者の事業を他の企業に譲渡し、その対価をもって債権者に対する弁済の原資に充てる、それとともに、譲渡先の企業において当該事業の存続を図って、従業員の雇用の確保等を図る、こういうことは旧破産法の当時から債務者の清算の手法の一つとして活用されておりました。法制審議会での検討の過程におきましても、そのような手法が紹介されたことがあると承知しております。

前田分科員 今、くしくもお話があったように、破産はやはり清算のための手続なんですね。決して事業再生のためのものではないというふうに、私は今回のRCCによる旅館の破産申し立てにおいては思います。

 では、今度、経済産業省の方に伺いますけれども、二〇〇五年一月に施行された破産法の立法過程、ここで、経済産業省としてこの審議にどうかかわられたのか、伺いたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、破産法の改正、またその当時行われましたいろいろな倒産法制関連の議論におきましては、法制審議会倒産法部会におきまして、中小企業庁の担当課長がオブザーバーとして参加するなど、その検討に協力をいたしてきたわけでございます。

 その中でとりわけ議論がございましたのは、今、破産法の仕組みについてお話がございましたけれども、破産した場合に手元に残ります自由財産の範囲の問題につきまして議論がございまして、これが再起を妨げるぐらい小さいのではないか、こういう議論がございました。これにつきましては、中小企業団体などの意見も聞きまして、中小企業経営者の再起といいますか、再チャレンジを促進する観点から拡大が必要という認識のもとに、関係省庁にも積極的に働きかけた結果といたしまして、破産法においてもそうした自由財産の拡大などの見直しがなされたものというふうに認識をいたしておるところでございます。

    〔松本(大)主査代理退席、主査着席〕

前田分科員 私は、もっと積極的に、この破産法のときに経済産業省としてもお加わりいただいて、中小企業の御意見を加えていただけたらというふうに思いました。

 今お話がありましたけれども、新破産法を活用すれば、先ほど来話もしましたけれども、簡単に債務超過が認められてしまって、手続も簡単であるということなんです。これはもともと、自己破産の場合は、債務超過、支払い不能を認めているんだから、迅速に破産手続を進めても余り問題はないと僕は思うんですけれども、債権者が破産を申し立てる場合、債務者の権利を保障するためにも、私は慎重な審理が必要であるというふうに思います。

 RCCの行った破産申し立てでは、裁判所は、この本の中にもありますけれども、炎天下の生魚をさばくようなものだからという理由で、破産申し立てから一回ぐらいの審問で破産を決定している、こういうことをよく耳にいたします。債権者の権利ばかりでなくて、やはり債務者の権利もしっかりと考えなければいけないというふうに私は思います。先ほどRCCの回収方針について金融大臣が御答弁されましたけれども、やはり債務者の人権も考えてやらなければいけないと思います。

 この点について、法務省はいかにお考えでしょうか。

小泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 一般には、債権者申し立ての場合には、委員御指摘のとおり、慎重な審理が必要となるという事案が多いものというふうに考えられております。また、委員御指摘のとおり、債務者の権利また債権者の権利にも配慮しつつ、事案に応じた判断が必要であるというふうに考えている次第でございます。

 ただ、債権者申し立ての場合にもいろいろな場合があるかと思います。緊急性、密行性を要する場合、破産原因が明らかな場合、早急な審理をしないと事業や財産の価値の劣化が生ずる場合、このような場合もありますので、具体的な事案に応じた、そういう早急な審理が求められる場合があるというふうにも考えている次第でございます。

 以上でございます。

前田分科員 この破産法の立法審議の法務委員会の議事録を見ましても、現宇都宮地裁の所長園尾裁判官が、当時は最高裁事務総局民事局長兼最高裁事務総局行政局長として御答弁に立っておられますが、その園尾さんの最近の御著書、「新版破産法」の本の中で、同書の十三ページ七行にありますけれども、迅速に破産手続をしなければならないケースとして挙げているのは、多数の国民から金銭を募っておいて、それを隠匿、持ち逃げすることをたくらむ悪質な企業、それが迅速な破産手続をしなければいけない企業として挙げられているわけですね。

 旅館業というのは、そこの旅館の信頼、そこにいてそこのサービスを受けることで皆さんが満足をされる。逃げ隠れして、お金を募って逃げていく、しかも財産を隠すようなそうした悪質なケースではないと思うんですね。この点は、私は、先ほど挙げた悪質な企業と旅館業は違うというふうに思いますけれども、法務省はどうお考えになるのか、伺いたいと思います。

後藤政府参考人 今委員御指摘になりました文献におきまして、御指摘になったような記述があることは承知をしておりますけれども、当該部分は、特に迅速な対応を要求するものの例として挙げられているものと理解をしております。

 具体的な事案について申し上げることは難しいわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、一般的に、破産手続は、債権者の利益を図る等との観点から迅速に行われるべきものでありますが、他方で、破産手続自体、債務者に大きな影響を与えるということを考慮して、債権者が破産手続開始の申し立てをするに当たっては、債権の存在及び破産手続開始原因を疎明することが要求されております。また、裁判所が破産手続開始決定をするためには、開始原因の存在について証明が必要であると解されているところであり、慎重な手続を設けているところであります。さらに、破産手続の進行につきましても、事業譲渡の際の裁判所の許可の制度、破産管財人に対する監督権限等が定められており、これらの手続が適正にされるように配慮しているところであります。

 したがいまして、具体的な運用におきましては、個々の事案の内容に応じて、債権者の提出する資料等に照らして破産手続の開始決定をし、今申し上げたような権限を行使して必要な対応をとるべきものであると理解しております。

前田分科員 必要な手だてをぜひとってください。

 私は、本当に、悪質な企業と旅館業とは違うと思います。旅館の場合には、特におかみ、経営者など、旅館の顔が集客の条件になると思っております。その経営者を排除して、さらに従業員の意見も聞かずに、ほかの取引業者ら債権者の声も聞かずに破産申し立てをするのは、旅館業の円滑な継承に、私は反対に支障となるのではないかというふうに思います。法務省、いかがですか。

後藤政府参考人 破産法によりますと、破産手続開始の申し立てをするに当たっては、破産手続開始原因、すなわち債務者が支払い不能等に陥っていることが必要でありますけれども、債務者がこのような状況に陥っている以上、緊急に債務者の財産を保全し手続を進める必要があり、迅速性が求められております。

 したがいまして、破産法上は、破産手続開始の申し立てに当たって、債務者及び債務者の従業員に対して意見聴取等の義務を課すこととはしておりません。

前田分科員 意見聴取等義務を課していない、やはりそれが問題じゃありませんか。やはり旅館業というのはサービス業ですから、人的な要素が強い。だから、きちんと関係者の意見を聞いて、ではどうするんだと。RCCによる破産申し立ての柏屋さんのケースでもわかりますように、結局、破産申し立てと言った瞬間に、旅行のエージェントが全部手を引くんですよ。そういう事実をしっかりとつかんでおられない。私は、こういうケースをやはりきちんともう一回精査していただきたいというふうに思います。

 そして、さらに話を進めますけれども、事業譲渡先、スポンサーの公募について、裁判所はどういうふうにかかわっておられるのか、公募はどういうふうに行っているのか、スポンサーを決定する基準はどういうふうに定められているのか、伺いたいと思います。法務省。

小泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 事業譲渡先のスポンサーの公募等につきましてでございますけれども、破産管財人が、その自由裁量により財団財産の管理、処分を行うというのが原則でございます。

 営業または事業の譲渡をするについては、重要な財産の処分に当たるということから、法律上、これは破産法七十八条の二項三号でございますけれども、裁判所の許可が必要というふうにされている次第でございます。

 したがいまして、事業譲渡に先立ちまして、譲渡先やスポンサーの選定をするについても、最終的な事業譲渡の当否を判断することになる裁判所に対して管財人から事前に相談をすることが多いというふうには承知しているところでございます。

 そのような場合に、スポンサー選定のための公募を行っているか否かという委員御指摘の点でございますけれども、この点につきまして、公募を行う場合にどのような手続によるのか、そのほか、スポンサーの選定作業について裁判所がどのような基準によっているのかという点につきましては、これは個々の管財人の裁量によって行われているというふうに承知しております。そのような次第でございまして、基準というような明確なものはないというふうに認識している次第でございます。

 ただ、裁判所といたしましては、個々の事案において、事業譲渡の許可、これを通じましてその当否を判断しているというふうに認識している次第でございます。

 以上でございます。

前田分科員 今明らかになりましたように、破産管財人の裁量で公募が決められてしまうということですので、私は、この点もやはり問題であると思うんですね。

 実際に柏屋さんのケースでありましたけれども、参加を希望したのに断られた会社もあるんですね。こうした事業譲渡は、裁判所の許可という形式をとらざるを得ないですけれども、密室で決まりますので、実質的には、RCCがかかわってくれば、事業譲渡先をRCCが決めるようなものになってしまうんですね。

 ですから、私は、譲渡先の公募から選定まで透明性を担保できるようなスキームを何かぜひつくるべきであると思います。地域の活性化を願うためにも、やはり透明性をきちんと担保した上での譲渡でないといけないというふうに思っております。そして、基準もきちんとつくるべきであるというふうに思います。

 これについて、法務省、どうですか。もう一度。

後藤政府参考人 個別の運用に関しましては、先ほど最高裁判所の方から説明があったとおりでございます。

 破産管財人は、管財人として裁判所から任命されているわけでございますけれども、善良なる管理者の注意義務をもってその職務を執行すべき立場にある者でございます。したがいまして、その枠内で、裁判所の監督を受けつつ善良なる管理者として適切に職務を執行すべきものであり、そのように制度が組み立てられているものと承知しております。

前田分科員 ですから、きちんと基準を明らかにして、やはり譲渡先の公募もきちんとオープンにやっていただきたい、そういうふうに思います。どうですか、その点は。もう一度。

後藤政府参考人 破産法で決めておりますのは、今申し上げましたとおり、善良なる管理者の注意義務をもって職務を執行すべき者ということでございます。具体的な職務の執行のあり方につきましては、裁判所の監督のもとでそれぞれの管財人が適切に職務を執行すべきものであると考えております。

前田分科員 やはり、ここからがまた問題なところなんですね。破産管財人が適切なる職務執行者であるかどうかということだと思うんですね。適切なる管財人だったら、公平でしかも倫理性の高い方であればそんなことはしないと思うんです。

 今回、冒頭に申しましたたかり行為、二月の二十一日に起きました。これは、裁判所から柏屋ホテルへの破産手続開始が決定した日であります。午後に、RCCの宇都宮支店の副支店長、調査役等六人、他に破産管財人あるいは弁護士、その補助者等が柏屋を訪れました。そのうち、仕事を終えられて、RCC宇都宮の方なものですから当然すぐ帰られると思ったんでしょうけれども、事実は違って、泊まっていかれた。それもいいでしょう。きちんとお金を払われればいいですよ。もちろん、お客さんと同じものを食べて、お客さんと同じような部屋に泊まって、これは一泊一万六千九百五十円でございます。しかし、翌日、チェックアウトのときに、何と一万円でまけてくれと、一万円しか払わない。しかも、店側がRCCの領収書を切ろうとしたら、いや、個人だと。私は、これが適切な管財人補助者かどうか非常に疑問がある。そしてまた、三月末現在、この柏屋ホテルに管財事業補助の仕事と称して延べ百四十人宿泊しているにもかかわらず、一銭もお金を払っていない。これが適切な管財人補助者と言えるでしょうか。

 まず、問題はRCC自体にもあります。私は、破産管財人が、補助者として一債権者であるRCCの職員を使ったりするのは、破産管財業務が中立、公平性を求められるという観点からしてもやはり問題ではないかというふうに思うんです。法務省、いかがですか。

小泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今の点につきまして、どのような者を補助者として選任するのが適切かということでございますけれども、これにつきましては、法令上明らかな何らかの定めがあるというものではございません。したがいまして、破産についての財産の管理、処分権限を有しています破産管財人がどのような者を補助者として用いるかというのは、その事案ごとに、それぞれの事情のもとで破産管財人が判断するというふうに考えております。

 なお、具体的な個々の事件についてでございますので、個別の、今委員御指摘の事件についてのコメントは控えさせていただきたいと存じます。

前田分科員 だから何も変わらないんですよ。個別が集まって全体になるんですから。だから個別のケースを重視していただきたい、私はそういうふうに思います。

 破産管財人が、まだほかにも売り掛け債権をいっぱい持ってみえる方があるわけですよ、その一つでしかないRCCを使って、しかも、そのRCCの職員が飲み食いしてきちんとお金も払っていかない、やはりそれは問題であると思いますよ。そして、整理回収機構の職員が、破産申し立てをされた旅館に補助者として大挙して行って、割引料金で飲食して宿泊したりするのは、やはり法的に問題であるというふうに思いますよ。どうですか、法務省。

後藤政府参考人 私どもで個別の事件についてコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、一般的に、破産管財人は、職務の遂行について善管注意義務を負っており、総債権者の利益のために破産者の財産関係の清算を行うということを職務としているところであります。そのような職務のもとで、裁判所の監督のもとで適切に職務を執行すべきものであると理解しております。

前田分科員 では、実際に破産管財人の補助者のRCCが飲み食いしてきちんとお金を払わなかった、これについてはどうですか。違法じゃありませんか、法務省さん。

後藤政府参考人 具体的な事件についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

前田分科員 常にそういうふうに言われますけれども、私は、これは刑法上の問題があると思いますよ。刑法二百四十六条、人をだました場合だったら、第一項「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」第二項「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」とありますよ。人をおどした場合は、二百四十九条「恐喝」ですね。一項「人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」第二項「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

 しかも、もし管財人が組織的に、さっきの百四十人以上も泊まって一銭もおまえたちは払わなくていいと言ったら、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の第三条一項「団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。」とありますよ。その九、十、ここに先ほどの刑法規定があります。

 普通だったら、飲み食いしてお金を払わなかったらこれは本当に、しかもまた、優位的地位にある人間が、そうじゃありませんか、債務者の方は管財人が来ていろいろ調べられているわけですから、そういう優位的地位を利用してこうした飲み食いをするようなことは絶対許しちゃいけない。法務省がこれに対してはっきり答えないというのは間違っていますよ。本当に、これからこれは社会的制裁を受けますよ、どういうことをやっているんだと。先ほどのたかりのRCCの職員、これは、私はこのRCCの倫理規程にも反していると思いますよ。

 るる申し上げてきましたけれども、この回収機構のまさにたかりの行為に関して、金融大臣はどのようにお考えになるのか伺いたいと思います。

山本国務大臣 個別事案でございますのでコメントは控えさせていただきたいのですが、一般論で申し上げれば、RCCにおきましても、関係法令を遵守するとともに、役職員の職務遂行の公正を図る観点から社内規程が設けられておるはずでございます。その適切な運用に努めていただきたいと考えております。

前田分科員 今まさに大臣が言われたとおりですよ。RCCの部内の倫理規程に定める行為、第九条「本規程に定める内容に違反した場合は、就業規則等に基づく懲戒処分の対象になる。」こういう条項もあります。ずっと見ますと「懲戒の種類」ももちろん定められています。そして「懲戒解雇」六十七条の十一項「刑法に触れる行為をなし、若しくはその他法律違反となる行為をしたとき」と、懲戒解雇の条項もありますよ。

 私はRCCに対して厳格な対応を求めるべきだと思いますよ。これはそんなに生易しい問題じゃありません。預金保険機構、これは政府も出資しております、国民の税金が行っているんですよ。その一〇〇%出資のRCCの職員がこうしたたるみ切った行為をしているというのは、私は、絶対許せない、また許されるべきことでもない、そういうふうに思っています。まさに、ぜひ大臣が言われたとおりの指導をRCCに対して行っていただきたい、そう思います。

 最後に法務省に、整理回収機構はこの債務者らに対して強制執行妨害として刑事告訴するというふうに、おどし、文書に署名をさせたという訴えを聞きます。本当であれば整理回収機構こそ強要罪になるのではありませんか。私は、こうした事実をきちんとお知らせしますので、ぜひ法務省の方で調査していただきたい、そう思いますけれども、いかがですか、法務省。

小津政府参考人 強要罪という御指摘がございましたが、具体的事案におきます犯罪の成否はあくまでも収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

 一般論で申し上げさせていただければ、強要罪は、人が他者の生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した場合に成立するものと承知しているところでございます。

前田分科員 いや、私はそんなことは聞いていませんよ。事実を伝えますので調査するかどうかということを聞いているんですよ。どうですか、法務省。

菊池政府参考人 私ども法務省は、民間サービサーに対する行政的な監督権を有しておりますので、民間サービサーにつきまして定期的に検査を実施しておりますし、また、債務者の方から苦情があった場合などには直接民間サービサーに事実関係を確認するといったような形で指導監督に努めているところでございます。

 ただいま委員お尋ねの事案につきましては、整理回収機構のいわゆる公的サービサー業務に関する活動と思われますので、この点につきましては当該業務の監督省庁におきまして適切に対応されているものというふうに承知しております。

前田分科員 だから調査してくださいということです。きちんと債務者から訴えがあれば、事実関係が提示されたら調査されますね。どうですか。

菊池政府参考人 ただいま申し上げましたのは、法務省では整理回収機構の民間サービサーとしての活動について監督権を有しておりますので、その範囲では、報告を受けるなり検査をするなり、必要があれば指導監督をいたしている、その基本方針は今後とも変わりはございません。

前田分科員 ぜひこれは調べていただきたい。今後とも私はこれをずっと調査していきますので、反対に、ぜひこれは監督官庁としてやっていただきたい、そういうように思います。

 さらに進めさせていただきますけれども、三井住友銀行に見る債権譲渡のあり方について。普通は、銀行が債権譲渡する場合は債務者の同意を得るように金融庁としては指導されているというふうに聞いておりますけれども、最近、三井住友銀行に関しての事案がかなり出てくる。不良債権処理を急ぐ余り、債務者の同意も得ずに債権譲渡しているケースがたくさん出てきております。

 大阪のある会社の場合は、競売申し立て中なのに、金融サービサーに債権譲渡すると一方的に通告してきた。このケースは、債務者が金融庁に権限発動を求める申し立てを行っていますので、金融庁も御存じだと思います。

 この債務者に対する三井住友の融資及び回収の手口、これは問題があることも、十分金融庁もわかっておられると思います。

 債務者が批判しているように、三井住友銀行は責任逃れに債権譲渡をしてきたと批判しておられます。銀行は、そのような逃げ方をしないで、債務者にきちんと面と向かってこうした債権処理に当たるべきであるというふうに私は思いますけれども、金融庁、いかがお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 個別金融機関の個別取引については、コメントを差し控えさせていただきます。

 一般論でございますが、金融機関は、リスク管理を適切に行うという観点から、信用リスクが高まっている状況にある債権を早期に認知し、評価し、必要な場合に早期の不良債権処理を実施するということは、銀行経営上、重要な事柄でございます。

 他方で、その際に、金融機関は、債務者の再建可能性を的確に見きわめて、再建可能な債務者については極力再生の方向で取り組むということも重要でございますし、また、とりわけ中小企業につきましては、中小企業の特性や各企業の実態等を十分に考慮して、再生可能性についてきめ細かな判断を行っていくことも重要だというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、金融機関が債権譲渡を行うに際しましては、顧客、すなわち債務者の理解と納得を得るための説明に努めるということが重要であろうかと思います。その上で、個別事案については、状況に応じて各金融機関が責任を持って判断すべきものというふうに考えております。

前田分科員 その、責任を持って対応すべき各金融機関が責任を持って対応ができないから、私は、ぜひ金融庁にきちんと御指導いただきたいというふうに思います。

 やはり、自分のところの責任逃れのために、やったことの責任逃れのためにぼんぼん債権譲渡する、こうしたあり方では何も変わりません。私は、この日本経済が回復基調にあって、本当にテークオフしようとしているときに、実際テークオフしているかもしれないけれども、そのおもしとなっている、おもりとなって足を引っ張っているのがこうした債権処理だと思います。これが全国に、もう本当に津々浦々までに広がってしまっている、ここに問題があるわけで、やはりもう一度、銀行の監督官庁として、私は金融庁にきちんと見ていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、やはりこれも三井住友のケースであります。

 このケースも、長年の顧客である債務者に事前に何の説明もなく債権譲渡しました。しかも、このケースでは、この譲渡先はタックスヘイブンのケイマン諸島に本社のある会社であります。この会社は、三井住友銀行から安く買い取って、高く売りつけて巨額な利益を得ても、日本では何の課税もされないわけですよ。三井住友銀行は、公的資金の注入を受けて救済されていながら、私は公的資金と言うなというんですよ、税金で救済されているんですよ、その税金で救済されていながら、課税逃れをする会社に債権譲渡するというのはやはり問題じゃないか、そう思います。

 金融庁は譲渡先についてのチェックはしていないんですか。いかがですか。

佐藤政府参考人 個別金融機関の取引につきましてはコメントを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、債権譲渡契約そのものは民間当事者間の契約の問題でございますので、基本的には当事者間の経済合理性に基づく判断が先行するということだろうと思います。

 ただし、私ども金融行政当局の立場からの着眼点といたしましては、金融機関が債権譲渡等を行うに当たりましては、一つには、先ほど申し上げましたように、債務者とのこれまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえて、顧客の理解と納得を得ることを目的とした周到な説明を行っていただくことが重要だと思います。

 もう一つ、譲渡先につきましては、例えば、債務者等を圧迫し、またはその私生活もしくは業務の平穏を害するような者に対して貸付債権を譲渡していないかといったこと等、原債務者の保護に配慮したものとなっているかどうか、こういったことを私どもの監督指針に着眼点として記載しているというところでございます。

前田分科員 やはり、税金で助けてもらっている銀行が債権譲渡して、その会社が巨額な利益を得てタックスヘイブンのところで課税逃れしているという事実は、私はきちんと追っかけなきゃいかぬと思っております。ぜひ、金融庁もそうですけれども、私は財務省も調べて課税していただきたい。日本の国は八百兆円の借金があるわけですからね。

 そして、最後ですけれども、金融大臣、今後の債権譲渡のあり方について、どのようにされるべきだと思われますか。とにかく、私は、公正で公平なという観点、これを忘れていただいてはいけないと思いますし、ぜひ今後のあり方を伺いたいと思います。

山本国務大臣 金融機関が債権譲渡を行うなど、債務者との取引関係の見直しがある場合は、これまでの取引関係、顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえまして、顧客の理解と納得を得ることをまず目的とした説明体制の整備が必要だと思っております。

 次に、法令により各種手続を段階的かつ適切に執行する体制の整備が次に必要だろうというように考えております。

 具体的な監督上の着眼点を主要行等の総合的な監督指針等において定めまして、利用者保護等のための監督に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、このような監督当局の取り組みも踏まえまして、各金融機関が利用者保護を踏まえた体制の整備強化に努めていただくよう、これに対しても取り組んでまいりたいと思っております。

前田分科員 大臣も、銀行問題、RCC問題に御精通されているというふうに伺っておりますので、私は、今どんどんと権限を拡張していく金融サービサー、これについて厳しい目で、国民を守る、国民生活を守るという観点から、法務省にしても見ていただきたいし、そして、私はもう既に任を終えていると思うRCCですけれども、このRCCの行き過ぎについてもきちんと金融庁に御指導をお願い申し上げまして、私の本日の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鴨下主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。塩崎内閣官房長官。

塩崎国務大臣 平成十七年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきまして、歳入予算額は二億七千八百三十四万円余でありまして、これを収納済み歳入額五億四千六百九十六万円余に比較いたしますと、二億六千八百六十一万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は九百八億一千九百二十八万円余でありまして、これを支出済み歳出額七百七十三億六千五十三万円余に比較いたしますと、百三十四億五千八百七十五万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は百二十一億九千六百二十八万円余であり、不用額は十二億六千二百四十七万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度内閣決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。塩崎内閣官房長官。

塩崎国務大臣 平成十七年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきまして、歳入予算額は五百五十九億七百四十三万円余でありまして、これを収納済み歳入額八百八十億六千七百四十六万円余に比較いたしますと、三百二十一億六千二万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は五兆五千七百二十七億一千五百九十四万円余でありまして、支出済み歳出額は五兆四千二百四十二億八百三十五万円余に比較いたしますと、一千四百八十五億七百五十九万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は九百二十九億九千九百四十三万円余であり、不用額は五百五十五億八百十五万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、防衛庁、金融庁につきましては、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額は二千九百八十三億一千二百九十六万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千六百五十七億七千九百四十四万円余に比較いたしますと、三百二十五億三千三百五十一万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は百八十三億六千四百二十七万円余であり、不用額は百四十一億六千九百二十四万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度内閣府の決算のうち、歳入並びに内閣本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 次に、会計検査院増田第五局長。

増田会計検査院当局者 平成十七年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十七年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は七十億二千四百万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十八億五千九十六万円余と比較いたしますと、一億七千三百三万円余の差額が生じますが、これは、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため、不用となった額であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

鴨下主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成十七年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百五十九億四千八百八十万円余でありますが、これに財務省所管からの移しかえ額二億八千五百五十三万円、平成十六年度からの繰越額六十三億九千三百六十五万円余、予算補正追加額二十六億二千四百五万円余、予算補正修正減少額七十六億五千二百九十万円、差し引き十六億五千三十三万円余が増加となり、歳出予算現額は三千二百七十五億九千九百十四万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千百七十二億三千七百二十九万円余であり、歳出予算現額との差額は百三億六千百八十四万円余であります。

 この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は四十七億八千六十五万円余、不用額は五十五億八千百十九万円余であります。

 不用額となった経費は、人件費二十九億六千二十八万円余とその他の経費二十六億二千九十万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は百七十二億四十四万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は百八十八億三千九百四十七万円余であり、歳入予算額に対し十六億三千九百二万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金の増加等によるものであります。

 以上、平成十七年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

鴨下主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十七年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、自動車等を使用して通勤する職員等に対する通勤手当の支給に関するものであります。

 各裁判所では、自動車等を使用して通勤する職員等に対する通勤手当の支給に当たり、法令等で定められた認定基準を十分に理解していなかったことなどから、経路や距離の認定を適切に行っていなかったり、事後の確認を十分行っていなかったりしていたため、通勤手当を過大に支給しておりました。この事態は適切とは認められず、適正な通勤手当の支給を行う要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、最高裁判所では、各裁判所における当該通勤手当の実態を把握した上で十八年九月に事務連絡を発して、適切な認定及び事後確認の徹底を期すよう運用基準等を示してこれを周知するなどし、適正な支給が行われるよう処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが説明を終わります。

鴨下主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、最高裁判所のとった措置等について御説明申し上げます。

 自動車等を使用して通勤する職員等に対する通勤手当の支給につきましては、平成十八年九月に事務連絡を発出するなどして、適正な支給が行われるよう措置を講じたところであります。

 今後とも、予算のより適正な執行につき努力する所存であります。

鴨下主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 次回は、明二十四日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会


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