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第1号 平成20年4月21日(月曜日)

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本分科会は平成二十年四月九日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      麻生 太郎君    江藤  拓君

      冨岡  勉君    平田 耕一君

      広津 素子君    山本  拓君

      枝野 幸男君    津村 啓介君

      前田 雄吉君    坂口  力君

四月十八日

 平田耕一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年四月二十一日(月曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 平田 耕一君

      薗浦健太郎君    広津 素子君

      山本  拓君    枝野 幸男君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      福田 昭夫君    前田 雄吉君

      笠  浩史君    坂口  力君

      高木美智代君

   兼務 末松 義規君 兼務 寺田  学君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       泉  信也君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   会計検査院長       伏屋 和彦君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       斉藤 邦俊君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       平川 素行君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第五局長            高山 丈二君

   最高裁判所事務総長    大谷 剛彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 利男君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   林  景一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          松田 浩二君

   参考人

   (独立行政法人環境再生保全機構理事長)      湊  亮策君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  麻生 太郎君     薗浦健太郎君

  津村 啓介君     逢坂 誠二君

  坂口  力君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     麻生 太郎君

  逢坂 誠二君     笠  浩史君

  古屋 範子君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     川内 博史君

  高木美智代君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 昭夫君     津村 啓介君

同日

 第二分科員寺田学君及び第三分科員末松義規君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十八年度政府関係機関決算書

 平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁)、外務省及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

平田主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました平田耕一でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管及び沖縄振興開発金融公庫並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に、決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十八年度決算外二件中、本日は、内閣所管、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、皇室費、裁判所所管、会計検査院所管、内閣府所管中警察庁、環境省所管、外務省所管、内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。町村内閣官房長官。

町村国務大臣 平成十八年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額は三億一千五百三十一万円余でありまして、これを収納済み歳入額五億四千二百五十九万円余に比較いたしますと、二億二千七百二十七万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額は一千二十億六千八百九十三万円余でありまして、これを支出済み歳出額九百九十二億二千十八万円余に比較いたしますと、二十八億四千八百七十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は十一億七千四百四十二万円余であり、不用額は十六億七千四百三十二万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、庁舎警備業務における警備費の積算に関するものであります。

 庁舎警備業務における警備費の積算に当たり、内閣衛星情報センターでは、緊急事態に対処するための待機を兼ねているとして、所要時間に休憩時間を含めて積算していたため、積算額が過大となっていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、内閣衛星情報センターでは、十九年九月に警備業務に係る積算の基準を定め、勤務単価の積算に当たり、所要時間に休憩時間を含めず、警備業務に従事している実働時間に限ることとして、積算対象となる所要時間の範囲を明確にするなどの処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。町村内閣官房長官。

町村国務大臣 平成十八年度の決算検査報告における処置済み事項につきましては、会計検査院の御指摘に基づき、内閣衛星情報センターでは改善処置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

平田主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。町村内閣官房長官。

町村国務大臣 平成十八年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百十三億五千八百六十一万円余でありまして、これを収納済み歳入額二百八十五億三千六百二万円余に比較いたしますと、七十一億七千七百四十万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は五千九百八十七億五千二百九十九万円余でありまして、支出済み歳出額五千百八十一億二千四百七十一万円余に比較いたしますと、八百六億二千八百二十八万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は五百二十三億二百三万円余であり、不用額は二百八十三億二千六百二十四万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁及び金融庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額は二千九百五十八億七千百十九万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千五百十一億六千二百八十九万円余に比較いたしますと、四百四十七億八百二十九万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二百七十一億三百三十四万円余であり、不用額は百七十六億四百九十五万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度内閣府の決算のうち、歳入並びに内閣本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

平田主査 次に、会計検査院高山第五局長。

高山会計検査院当局者 平成十八年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

平田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平田主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

 それでは、御退席ください。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十八年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十八億五千三百三十五万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十五億九千三百四十五万円余と比較いたしますと、二億五千九百九十万円余の差額が生じますが、これは、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため、不用となった額であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

平田主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

 御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

平田主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成十八年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千三百三十一億六百三十九万円余でありますが、これに財務省所管からの移しかえ額二億四千六百九万円余、平成十七年度からの繰越額四十七億八千六十五万円余、予算補正追加額五十五億五千六十四万円余、予算補正修正減少額四十八億五千百九十六万円余、差し引き六億九千八百六十七万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百八十八億三千百八十二万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千二百八億九千三百八十一万円余であり、歳出予算現額との差額は百七十九億三千八百万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百十七億七千七百十万円余、不用額は六十一億六千八十九万円余であります。不用額となった経費は、人件費三十二億二千七百二十七万円余とその他の経費二十九億三千三百六十二万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は百八十五億七千七十五万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は二百四十六億四千八十三万円余であり、歳入予算額に対し六十億七千八万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金の増加等によるものであります。

 以上、平成十八年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、裁判員制度広報用映画制作に係る請負契約において取得した三十五ミリフィルムの利用に関するものであります。

 裁判員制度広報用映画の三十五ミリフィルム三本を取得するに当たり、最高裁判所において、事前の具体的な調査検討及び取得後の使用計画の検討や、貸し出しなどについての市町村等の関係機関に対する周知が十分でなかったことなどのため、一本が一度使用されたのみで貸し出しの実績が全くなく、取得の目的に沿った利用がなされていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、最高裁判所では、今後の使用計画を検討するとともに、十九年九月に事務連絡を発し、地方裁判所等に対して市町村等の関係機関に三十五ミリフィルムを貸し出すことができる旨を周知する処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、最高裁判所のとった措置等について御説明申し上げます。

 最高裁判所が制作した三十五ミリフィルムにつきましては、裁判員制度ホームページ上で三十五ミリフィルムの貸し出しについて周知を行うとともに、地方裁判所等に対し、平成十九年九月に事務連絡を発し、市町村等の関係機関に対して三十五ミリフィルムを貸し出すことができる旨を周知させ、また、各種上映会を実施するなどして、三十五ミリフィルムの有効な利用が行われるよう措置を講じたところであります。

 今後とも、予算の適正な執行につきまして努力する所存であります。

平田主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 御退席なさって結構でございます。

    ―――――――――――――

平田主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。伏屋会計検査院長。

伏屋会計検査院長 平成十八年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額三千四百二十万円余に対しまして、収納済み歳入額は三千三百九万円余であり、差し引き百十万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸し付け収入二千九百四十一万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額二百三億四十四万円余から、補正予算額一億八千六百九十四万円余を差し引いた予算現額二百一億千三百四十九万円余に対しまして、支出済み歳出額は百九十二億五千四百七十二万円余、翌年度繰越額は千八百四十八万円でありますので、その差額八億四千二十八万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、人件費として百三十五億二千三百六十八万円余、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十一億七千六百五十八万円余となっております。

 以上、平成十八年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

平田主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 御退席していただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

平田主査 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。泉国家公安委員会委員長。

泉国務大臣 平成十八年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十八年度の歳出予算現額は二千八百二十二億三千七百十五万円余でありまして、支出済み歳出額は二千四百八十五億六千四百七十九万円余であります。

 この差額三百三十六億七千二百三十六万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は二百五十一億九千八百六十九万円余であります。

 また、不用となった額は八十四億七千三百六十六万円余であります。

 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤審議官。

斉藤会計検査院当局者 平成十八年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、都道府県警察施設整備費補助金の算定に関するものであります。

 警察庁では、都道府県警察施設の整備事業を行う都道府県に対し、都道府県警察施設整備費補助金を交付しております。この警察施設の整備におきまして、実際に整備された車庫及び射撃場の面積や車庫の構造が算定表とは異なっていたり、同庁が定めた基準表における車庫の補助対象面積の範囲や単価表におけるくい打ち工事の単価の適用が明確となっていなかったりしていて、補助金が過大に交付されていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、警察庁では、十九年十月に事務連絡を発するなどして、都道府県警察に対して車庫及び射撃場の面積や車庫の構造を算定表に記載されたとおりに整備することについて周知徹底を図るとともに、算定表の審査や補助対象事業終了後の確認を十分行うこととし、基準表において車庫の補助対象面積の範囲を明確にするとともに、単価表においてくい打ち工事の単価の適用を明確にする処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、概要の説明を終わります。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。泉国家公安委員会委員長。

泉国務大臣 平成十八年度の決算検査報告において掲記されました改善の処置を講じた事項につきましては、会計検査院の御指摘に基づき、全国に対し事務連絡を発出したほか、国庫補助金の返還を受けるなど所要の措置を講じたところであります。

 今後、適正な事務処理について、さらに指導の徹底を図ってまいる所存であります。

 以上でございます。

平田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平田主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。逢坂誠二君。

逢坂分科員 どうもおはようございます。民主党の逢坂誠二でございます。

 泉国家公安委員会委員長におかれましては、お出ましいただきまして、大変申しわけなく思っております。わざわざ委員長にまでお出ましいただく案件かどうかというふうに思ったんですけれども、政治的に答える方が委員長しかいらっしゃらないということなものですから、御足労をかけまして、よろしくお願いいたします。

 きょうは、私は、二〇〇六年の六月から新たに導入されました駐車の取り締まりに関する民間委託、この件についてお伺いをしたいというふうに思っております。冒頭、政府参考人の方からさまざま話を伺った後に、最後の方で委員長の方からお考えを伺いたいなと思っているわけです。

 御承知のとおり、駐車違反でございますけれども、全国的にさまざまな問題を引き起こしている。都市である、田舎であるとを問わず、ルールを逸脱していろいろなところに車をとめている方が多いわけであります。そのことによって通行の障害になるとか、あるいは交通安全上も問題が多いとか、あるいはまた治安の上からも、かぎをかけないで置いてある車があったりとか、さまざまなことがあるわけであります。

 そうした中で、やはりそういう車をきっちりと、ルールに沿った形でやってもらわなきゃいけないということで、いわゆる取り締まりを強化しなければいけない。しかしながら、警察の手もこれは数に限りがありますので、民間委託を可能にしてやろうということで、二〇〇六年の六月から新たな民間委託の制度が始まって、そろそろ二年ということになるわけでございます。

 まず、政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、民間委託をされた結果、この二年の間、その効果をどのように考えているのか、かつまた、その効果とあわせて、逆に、実はこういう点はちょっと不都合なことが生じているよなとか、悪いことも出ているんだよなというふうなことがあれば、その辺、お伺いをしたいと思います。

末井政府参考人 新駐車対策法制につきましては、民間委託による放置車両確認事務も順調かつ円滑に実施されておりまして、違法駐車抑止に必要な体制が確保され、効果的に機能しているところと考えております。これによりまして、大都市地域を初め各地の違法駐車の実態を大幅に改善させまして、違法駐車による交通事故の減少、交通渋滞の減少など、交通の安全と円滑を確保する上で相当の効果が発揮されるとともに、地域の住民の皆さんからも好意的な評価を受けているものと認識をしております。

 例えば違法駐車台数の減少につきまして、具体的な数字を申し上げたいと存じますが、新制度施行一年後と施行前の主要都市における違法駐車台数の比較でございます。東京都内の晴海通りなど主要な路線、十の路線を考えますと六五・五%の減少、大阪市の御堂筋におきますと七八・八%の減少となっております。

逢坂分科員 今、効果というところの話がございましたけれども、これを実施する主体として、逆に、制度上ちょっとこういうところが不都合だよな、悪くなったよなというところは何かないんでしょうかね。そのあたりはいかがでしょうか、政府参考人。

末井政府参考人 悪くなったと申しますよりも、取り締まり力の充実によりまして、国民各層から御意見はちょうだいしているというのはございます。

 例えば、トラック等の物流業界は、十八年六月の施行の前後から、取り締まりが厳しくなるのではないか、そうすると貨物の集配について問題が起きはしないかというような御懸念もありました。また、身体に障害をお持ちの方などの団体からは、これまで駐車規制から除外をし、あるいはいろいろな面で、車をとめることはできた、それが実際に取り締まられるのではないでしょうかとか、あるいは訪問看護の団体からも、どうなんでしょうかといった、福祉の関係からのそういった御意見は寄せられました。

 私ども、これにつきまして、昨年の二月でございますけれども、物流への配慮、あるいは福祉への配慮、そして公平性への配慮、これは日本郵政公社が民営化をされますと、郵便物、そして郵便としても郵便パックその他、いわば民間の宅配業者と同じ部分がある、それについても見直しをする必要があるという観点の公平性もございましたが、そういった感じで見直しをした、こういうことでございます。

逢坂分科員 警察庁の方からは、御自身としてというか、警察庁みずから、こういうところはちょっと不都合だったよなというところは余り話がなく、国民の皆さんからはこういう意見があったというような話があったわけでございます。

 新聞報道などを見ますと、例えば、「安易な「民力」導入見直せ」なんという意見があったり、駐車違反というのはれっきとした刑事犯罪である、犯罪である以上は、警察が捜査を尽くし、違法駐車をした当人を検挙するのが筋道だなんという意見があったり、かつまた、これも報道レベルでございますけれども、確かに道路の駐車、昼間はよくなったんだけれども、裏道とか夜間はやはり相変わらず違法な状態がそのまま放置されているのではないかというようなことですね。

 だから、制度は導入したけれども、必ずしもそれがすべて機能しているわけではないのではないかとか、あるいはまた、これは雑誌の記事でありますけれども、公平性に疑問があると。どこか厳しいところがある反面、どこか抜け落ちている緩やかな部分が取り締まり上あるのではないか、公平性に疑問もあるのではないか、こうした声も出されているわけですね。

 したがいまして、私としては、二〇〇六年から導入された制度でございますけれども、制度が変わるということは、プラスの面もあればやはりマイナスの面もある、あるいは、運用上、常にさまざまチェックをしておいて、当初予定したとおり動いているかどうかということを、やはり不断のチェックをしておくということが大事なことではないかなというふうに思うわけでございます。

 こうした、先ほども言っていました、国民の声、幾つかのことに対しては対応を講ずるというようなことをされているようでありますけれども、それ以外に何かお考えのところというのはございますでしょうか。

末井政府参考人 制度そのものにつきまして、まだ施行して二年弱でございまして、悪い点ということではございませんが、先ほど御指摘の点について、考え方についてちょっと御説明をさせていただきたいと存じます。

 まず、刑事事件だから捜査を遂げよという観点でございます。

 もともと、使用者責任を拡充して、使用者に放置違反金の納付を命令の形で、いわば感銘力を与えていこうとしましたのは、放置行為といいましょうか、車両を放置してどこかにいなくなるといいますのは、刑事事件ではございますが、そこの現場を警察官が見ていない、これについて追及をしていくには相当のコストがかかる、特定に困難がかかるという意味でございます。

 他方で、では目撃者を捜すのかということについて、いわば、駐車違反とそれ以外にもまだまだ重点的に捜査をしなければならないという意味で、警察力の投入の問題、優先順位の問題もあったということで、特定が困難であるという根源的な問題を解決するために、まず第一義的には、私どもは、悪質な者、繰り返す者、そして衝突事故その他を起こすような者、これはきちんとした捜査をやるということで対応しておりますが、それ以外につきましては、使用者のいわば補充的な責任を追及することによって駐車秩序をよくしようという考えでございました。

 それから、夜間あるいは裏道についてはなかなか手が及んでいないということ、この点につきましては、いわば駐車実態に応じた、私どもで考えております計画的な取り締まり、これを民間委託する場合にはガイドラインというものを設けます。取り締まりガイドラインにおいて、重点地区、重点路線、重点時間帯、そういった観点でそのガイドラインの見直しをすべき話だろうと考えておるわけでございます。

 それから、公平性に疑問があるのではないかということで、厳しいところ、そうでないところというのがございます。いわば計画的に、重点的に取り締まりをしなければならない、駐車実態を改善しなければならない場所につきましては、民間委託をして取り締まり力を充実する。他方で、警察官ではございませんので、ここをどのように公平かつ的確にやっていただくかというので、私ども、制度的な担保はとりました。

 これにつきましては、まず第一に、資格を設けるということで、駐車監視員資格者制ということで、まずもって、これが違反かどうかという現認の問題がございます。次に、全体としてどのようなものを取り締まるか。これにつきましては、警察署長といいましょうか警察の方でこれを指定いたします。これがガイドラインの中に生かされます。

 ただ、ではどこをやるかということにつきましては、交番・駐在所連絡協議会とか警察署協議会、あるいは商工会議所を通じたいろいろな御意見もございます。そういったものを自治会の皆さんと御相談を申し上げて、ここはやはり必要ですねといった形で練り上げてまいります。そういう意味で、民意を反映して、ここをやるのかどうか、ある意味、これが公平性につながってまいるのではないかと考えております。

 そういうような形で対応しておりまして、決して現在の状況がベストであるという前提ではございませんで、いろいろと手直しをしながら運用の公平性を確保してまいる、このように考えております。

逢坂分科員 さまざま御答弁いただきまして、今の状態が必ずしもベストだとは思っていない、だからいろいろな声も聞いて手直しをしていくという発言がございましたが、まさにその姿勢が私は大事だというふうに思っております。

 私自身も、今回の質問というのは、これが悪いということではなくて、例えばタクシーの運転手さんとかバスの運転手さんとか、日常的に車を、しかも同じ箇所を運転する皆さんから話を聞きますと、確かに、この制度が導入されて、今まであそこのカーブは曲がりづらくて、いつもあそこの角に車があって曲がりづらかったんだけれども、そこの車がなくなって随分円滑になったなとか、本来二車線道路だったところがいつもずっと片側に駐車していて一車線道路になっていた、そこがまさに二車線確保されたなとか、そういうプラスの評価も大変多いわけでございまして、一定の効果は上がっているというふうには私も感じているところであります。

 しかし、その一方で、制度変更後、これはやはり制度の周知の仕方も多少問題があるのかもしれませんけれども、市民の皆さんから私のところへもさまざまな声が寄せられます。

 それは、例えば、民間委託、委託を受けた方々が、件数をいっぱい稼ぐために、何か投網をかけるように、ここの駐車を取り締まっても交通安全上さほど問題が解決されるとは思わないような、ここへとめておいてもそんなに問題ないだろう、しかもここは長時間とめるところじゃないよなというふうにその地域で慣例上みんなが思っているようなところにある種投網をかけて待ち伏せをしていて、件数を稼いでいるんじゃないかみたいな、そういう思いを持っている市民の人も中にはいるわけですね。

 あるいはまた、地域の生活の実態に合わないような取り締まりというのもあるんじゃないか。確かに法律の決めは決めではありますけれども、例えばの言い方で大変恐縮ですが、制限速度六十キロのところを仮に六十・五キロで走ったからといって即検挙されるわけではないというのは多分、いや、法律上は確かに六十キロぴったりなんでしょうけれども、現実的には必ずしもそうではない、ある種の生活の余裕幅みたいなものがある。でも、今回のこの制度が導入されてからその余裕幅みたいなものが全然なくなったんじゃないのかというような声も私のところへ届けられるわけであります。

 こうした点について、地元の皆さんとも話をしながらということがございましたけれども、やはり制度の周知やそういう話し合いというものがまだ十二分に徹底されていないのではないかなという印象を持っているところでございます。

 実は、私の地元、函館市でございますけれども、ここは海産物とか農産物が結構豊富な地域でございまして、いわゆる市場というものが結構多い地域でございます。しかも、その市場というのは、狭い路地に軒を連ねて店がある、そういうところばかりではなくて、大きな通りの両側に直売店のようなものがあるようなところがある。

 そこでは、地元の皆さんは、これまでは何げなく店の前へ車をとめて買い物に行っていた。でも、今度はこういう制度ができたからだめだよということは皆さんわかっている。だから、ちょっと車をとめて、例えば、おじいちゃん、おばあちゃんを店の前でおろして、おじいちゃん、おばあちゃん、あと十分たったら戻ってくるからねというような形で地元の皆さんもいろいろ対応されているわけですね。

 ただし、先般あった例はこういう例でありました。車におじいちゃん、おばあちゃんを乗せて市場へ行った。おじいちゃん、おばあちゃんをおろした。それじゃ十分ぐらいで戻ってくるからねと言おうとしたところが、たまたま知り合いの方にそこで会ってしまった。それで、車をおりて、やあやあ、どうもどうもということで、佐藤さん、どうもどうもみたいな世間話をちょっとして、振り返って車へ戻ろうとしたらもう既にシールが張ってあった。これは幾ら何でもひどいでしょう。まるであらかじめ投網を張って待ち伏せをしていたかのようなやり方で、これは生活実態には合わないんじゃないですかというような声が私のところへ届けられるわけであります。

 それから、もう一つあった事例では、これはある画材店というか額縁屋さんなんですけれども、小雨が降っていて、絵の先生が絵をかいてそこへ届けようとしていた。本来であるならば、そばの駐車場へ車を置いて絵を届けるというようなことになるのでありましょうけれども、小雨が降っていたということもあって、店の前へ車をとめてさっと絵を置いてすぐ戻ろうとしたところが、このケースも同じように店の中で知り合いに会った。そうしたら、ああ先生、これは新しい作品ですか、とってもいい絵ですね、先生の絵、好きなんですよみたいな話を一、二分して戻った。そうしたらシールが張られていた。これでは市民生活は成り立ちませんよというような話もあるわけでございます。

 それからもう一つ、これは事実かどうかは全くわからない、確認のしようはないんですけれども、市民の思いとして、今のようなケースとは全く逆に、交通安全上は実は危険だと思われるようなところに結構放置してある車がある。でも、それがある種高級車であったりすると、なかなかああいうのは逆に取り締まらないんじゃないか、それは実態がそうかどうかはわかりませんよ。市民の間にはそういう声もあって、いろいろな苦情とともに、庶民の生活のところは何か厳格に直撃するんだけれども、何かお金を持っていそうな高級車のところは余りやっていないんじゃないかなというような、これはもしかしたら誤解なのかもしれませんけれども、そんな声も聞こえてくるわけですね。

 したがいまして、今回のこの制度改正の当初の目的というものをしっかり達成していくことが大事だとは思うのでありますけれども、当初目的からずれていないかどうか、そして必要以上に市民生活、地域の生活を圧迫するような形になっていないかどうか、こういう点はやはりしっかりとチェックをしておく必要があるのではないかというふうに思うわけですが、政府参考人、このあたりはいかがでしょうか。

末井政府参考人 五点御質問があったと思いますが、まず、いわゆる件数主義に陥っているような運用ではないかという御指摘だろうと存じます。

 駐車違反の取り締まりそのものは、取り締まること自体が目的ではございませんで、交通秩序を維持して交通の安全と円滑を確保する、そのために必要な手段として考えておくべきものでございます。

 放置車両の確認事務を行います駐車監視員はどのような考えで運用されているかを御説明させていただきたいと存じます。

 これはいわば、委託をする際に、件数一件ごとにその委託金といいましょうか金がふえていくというようなものではございませんで、巡回という考えを導入しておりまして、この路線、この地域、このルートで何回巡回をしなさいと。巡回をしている間に放置車両を確認すれば、それは確認をして確認標章を取りつけ、後々の放置違反金納付命令につながっていくということでございます。私どもは、そこの路線が、いわば駐車秩序が向上すればよいと考えておりまして、何件取り締まってくれ、この駐車監視員の効率性が悪いというようなことを考えて運用しているわけではございません。

 そういう意味におきまして、件数主義ではございませんで、いわば警察署長が承認する巡回計画書に基づいてきちんとした巡回をして、その場合に確認をしなさい、こういう運用でございます。これは、件数主義ということでは決してございませんで、これがまさに公平性なり民間委託の核心として追及をされる、批判をされる点でありますので、私ども、それは重々注意をして運用しておる、こういうことでございます。

 二点目、北海道の場合、函館だと存じますが、大変広い形で市場というものが成り立っているところもある、そこの場所における取り締まりはいかがなものか、こういうお話でございました。

 まず第一に、広い道路に面した市場につきましては、取り締まりの前提となる駐車規制というものが適正でなければならないと考えておるところでございます。一般的には、非常に広い道路があるということでありますと、まずは、短時間駐車のためにパーキングメーターを設置する、時間制限の駐車区間の設定というのを行います。また、そのようなものを設けて短時間駐車をいわば秩序立てる必要がなければ、駐車可という規制で、いわばお使いくださいということを考えます。また、どうしても貨物その他いろいろな荷おろしがある、それが集中するのであるということであれば、時間的に、例えば朝の六時から八時の間は貨物の荷おろしのための駐車というものは除外するという意味で、規制から外すといったようなことをまず考えるべきでございまして、まず、そのような規制というものがルールの設定のところにおいて合理的である必要がある。

 次に、そういった場合でありましても、例えば、二重駐車をする、派生的な問題が起こるということになりますれば、これは取り締まりを行います。したがいまして、先ほどの点が、どのような個別の実態があるのかというのはわかりませんが、恐らく、いろいろな車が錯綜する、歩行者、自転車があるといたしますと、そういった方々の保護のためにもやはり取り締まりはしなくてはならない。

 その場合に、先ほど、生活の余裕、幅ということがございましたが、この駐車違反の取り締まりにつきましては、従前、短時間駐車というものは、ある意味、なかなか取り締まりができておりませんでした。これは私ども、一定の時間帯、ワンブロックを全部やるためには、一台一台やっていくと不公平なことになりますので、重複チェックをやっていくという形でやっておりました。

 そうすると何が起こったかでございますが、国民の間に、短時間であれば駐車してもいいんだという誤った意識も出ますし、また他方、一回目の重複チェックがあれば、それがされたら動かせば取り締まられないということになりまして、その結果、さらに、要するに短時間の駐車が入れかわり立ちかわり起こってくる。これではやはり結果的には交通の妨害を生ずるということで、今回の制度の導入に合わせまして、時間の長短にかかわらず、悪質、危険あるいは迷惑性の高いものについては、重点を指向して、めり張りをつけて取り締まりをしていこう、こう考えたわけであります。実は、生活の余裕、幅を設けて、短時間がいいといった形ではなかったわけでございます。

 先ほどの額縁のお店でございます。

 貨物の荷おろしを行う貨物自動車につきましては、やはり用務先、用がある先の直近に、路上に駐車せざるを得ない事情があるというのは、私ども、これも当然承知はしております。これをどのように、駐車の規制の必要性と交通の安全の確保の必要性とそのバランスをかけるかという問題だろうと思います。

 そこでまず、法律上は現在も、貨物の、荷物の積みおろしのための停止、五分以内でありますればこれは駐車に当たらないと、定義上外してあるということでございます。そういう意味で、できる限り早くやってください。ただ、それを延びる、五分を超えるということがありますれば、これは先ほど言っているような規制の除外、要するに、そんなものが頻繁にあるのは規制の除外、あるいは貨物専用のパーキングメーターをつくるという形の運用になっていくんだろうと存じます。

 なお、現在の実際の取り締まりの運用に当たりまして、私どもは、違反車両の車内に人がいらっしゃるとか、あるいは周辺に運転者がいる場合、これにつきましては移動するように指導いたします。そして、確認標章を取りつける前に運転者の方が戻ってきた場合には、原則として警告にとどめるという運用にしておるところでございます。

 それから、危険だと思われるのに、例えば高級車だったらやらないとかということでありますが、交通取り締まりは、先ほど申し上げたとおり、限られた警察力で、膨大な量の違反があるということを前提にいたしますと、悪質なもの、あるいは危険なもの、そして迷惑性があるものを重点的に取り締まりせざるを得ません。

 そういった観点で、危険なものというものは取り締まりをしておるわけでございまして、例えばカーブのところ、交差点の中、坂の頂上付近、トンネルの中に放置車両があるというのは極めて危険でございますので、これはどんな自動車であっても取り締まりをするのが当然でございまして、そのようなことを現場で、高級車であるからとかというようなことがあるようにはまずもって私は受けとめていないわけでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、先ほど申し上げた悪質、危険、迷惑なものを重点として、ガイドラインに従いながら取り締まりを行っていくということについては指導してまいりたいと存じます。

 最後に、五点目でございました、取り締まりの現状が目的からずれているのではないかという御質問でございました。

 先ほど来申し上げているように、違法駐車による交通の危険の防止あるいは交通の円滑の確保というのが目的でございますので、それに合わせた取り締まりをやっていくわけでございますが、結局、住民の方々あるいは交通に参加する通過交通の方々から見たときに、このようなところで取り締まりをするのはいかがなものかという御指摘を受けるのは、いわば個々の交通実態に合わせた運用がなされていないという問題があるのではないかと思います。

 そういう意味で、私ども、従来から、民間に委託する際には、駐車違反の実態、交通事故の発生状況、そして地域住民の方々の要望、意見というものに基づきまして、こういった重点路線、地域を定めようとしております。これをいかに精度を上げるかという問題だろうと考えております。

 引き続き、適切な活動が行われるように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

逢坂分科員 いろいろ御答弁ありがとうございました。

 今の答弁の中でいみじくもあったのでありますけれども、今まで、この制度が導入される以前というのは、やはり、短時間駐車というのは人手の関係もあってなかなか十分にやれていなかったというようなこと、あるいは、国民の側にも、そうした実態があるがゆえに、仮に駐車禁止区間であっても、短い時間なら大丈夫なのではないか、あるいは移動をすれば大丈夫なのではないかというような、警察庁からいえばある種の誤解のようなものがあって駐車の規制というものを理解していたわけでありますけれども、多分そうしたことを踏まえて地域の生活というのは成り立っていたわけですよね。

 だから、かつてのような、二〇〇六年六月以前の駐車規制区域と同じ感覚で国民の側もいてはきっといけないわけで、だから駐車規制区間が、今度は新しい制度が導入されることによって、やはり地域の生活の実態に合わせて柔軟に見直されていくことが必要なのではないかというふうに私は思うわけですね。もちろん、そのために地域の皆さんの声も聞いて、規制区間も随分解除をされたというふうにも伺っておりますけれども、その部分がまだまだ十分ではない側面もあるというふうにも思うわけです。

 それからまた、今話を聞きますと、市民の皆さんの誤解と警察庁が考えていること、やはりここにはずれもあるようにも思いますので、さらに制度の周知とか丁寧な説明というのも、二年たった今であっても必要なのかなというふうにも思っているところでございます。

 最後ですけれども、国家公安委員長にお伺いしたいんですけれども、きょうの話の全般を聞いて、委員長として、この駐車の新しい方式についてどのようにお考えか。私は、やはり、国民生活を前提に踏まえて、そこにいたずらに混乱を来すことのないように、地域ではこれで十分安全なんだというようなやり方もあるはずでございますので、それを踏まえた上で、最後に御所見をお伺いしたいと思います。

泉国務大臣 先ほど来、委員の具体的な事例も踏まえての御意見を承りまして、さすがにニセコ町長として地方行政の実態を踏まえて、その上に立っての御指摘だと受けとめさせていただきました。

 局長から答弁を申し上げましたように、この制度は、交通事故の防止、それから渋滞の解消といった大きな目標のもとに制度を組み立てさせていただき、地域の方々にお力添えをいただく、御協力をいただくという仕組みになっておると私は理解いたしております。

 しかし、それぞれの日常の生活の中で、御指摘になりましたようないろいろな御不満も恐らく市民の方々、住民の方々にあることも、私自身もうかがい知ることができるわけであります。したがって、平成十六年の一月に、全国の警察に駐車規制の見直しの指示を出させていただきまして、その後も何度かこの見直しをさせていただいてまいりました。

 しかし、まだ恐らく地域の方々にとって御不満の点もあろうかと思いますが、当初のこの法の目的に対応できるように、しかし、御要望に対しては積極的に対応していく、物流の問題もそうですし、ちょっとした短い時間での駐車という事柄につきましても、きめ細かな対応が必要だというふうに考えております。

 この制度を実施する上に光と影があるわけでありますが、できるだけ多くのところに光を当て、影の部分を少なくしていくということは当然であります。原則は、その地方地方の実態に即して、あるところは厳しく、あるところは緩めることによって所期の目的が達成できるのであれば緩めていく、こうした対応をしていくように、これから警察庁の方にも十分指導をしてまいりたいと思います。

 お話のありましたような周知の仕方等につきましても、一工夫あるいは必要なのかもしれません。大方の方は御理解をいただいておりますが、なおその点につきましても考慮してまいりたいと思います。

逢坂分科員 きょうはいろいろな御答弁、本当にありがとうございました。

 以上で終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

平田主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平田主査 次に、内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。寺田学君。

寺田(学)分科員 泉大臣におきましては、本当にお忙しい中、このような質疑の時間をいただけましたことに、まずは感謝したいと思います。

 逢坂委員が駐車違反のことを質疑されているのを最後のあたり聞きまして、私としても少し関連することをお伝えしたいんです。

 私の住んでいるところに駐車違反を取り締まる場所がありまして、いわゆる駐車違反の切符を切られるメッカとして地元では有名なんですが、そこに、ある大臣のお名前が入った、いわゆる衆議院の社章が入った車がどーんととまって、そこにつかつかと民間の切符を切る方が歩いていかれたんです。私は、たまたまそれに並走して歩いていたものですから、どうなるものだろうと見ていたら、おっ、大臣の車だと言って、駐車切符を切らずにすたすたと出ていったというところを見受けました。

 どういうことでやられているのかわかりませんけれども、正直、私の目から見ても、それはそもそもそこにとめている自体政治家側の問題だとは思うんですが、やはりそういう意味においては何かちゅうちょされている部分があるんだなというのが、実態面でかいま見たところです。そういうところも含めて、逢坂委員が御指摘されたと思いますけれども、改善をしていただきたいというふうに思っています。

 私の質疑の方に入りたいと思いますけれども、昨年質疑の中でもさせていただきました災害支援法についての質疑をさせていただきたいと思います。

 ねじれ国会の中で与党も野党も知恵を出し合って、そして成案に至った本当に大きな改正ではあったと思うんですが、その運用自体、そして法律で決められていない内閣府令の部分も含めて、やはりしっかりとアフターフォローしていかなければならないというふうに思っています。

 ことしの二月ですか、富山県入善町の高波の災害というものが起きましたが、結果だけ申し上げますと、これはいわゆる被災者支援法の対象にはならなかったということであります。その地域、町の中の高波の被害をこうむったところは本当にひどい被害をこうむったんですが、いわゆる局地的な被害であったということもあって、この被災者支援法というものが要件にひっかからず適用されなかったということなんです。

 まず、そもそも局地災害に対してこの支援法が実質的に適用されない理由、適用しないような要件を組んでいるわけですけれども、なぜそのような形にされているのか、御答弁いただけたらと思います。

泉国務大臣 お尋ねはございませんでしたが、先ほどの駐車取り締まりにつきましては、たとえどのような方の車であれ、ルールに反することにつきましてはきちんと取り締まっていく、公平性の担保は当然重要であると思っております。先ほど局長からもその旨答弁をさせていただきました。一層留意をしてまいりたいと思います。

 それから、入善町の問題、さきの国会でお力添えをいただきました生活再建支援法の適用ができないことについてのお尋ねであると思います。

 委員御承知のように、この生活再建支援法というのは、全国の都道府県がお金を出し合って共済基金を積み立てて、いわゆる被災者世帯に対し支援金を出す、これに国が二分の一の補助をする、こういう原則があるわけでございまして、これは、被災した市町村のみでは対応が困難な、そうした一定規模以上の災害が発生した場合に、今申し上げましたような仕組みでお力添えをしようということでございます。

 このような考え方からしますと、入善町の場合はいわゆる生活再建支援法の適用ルールに該当しないということになるわけでありまして、一方で、我々が再建支援法の中で決めておりました、例えば市町村において十世帯以上の住宅が全壊した場合といった、こういうルールにも実は当たらなかった、こうした適用ルールに該当しなかったということで、入善町にこの支援法の適用ができなかったということでございます。

寺田(学)分科員 被害自体がその自治体の範囲を超えたものであったときにいわゆる共済として救うシステムだからこういう要件になっているんだというお話ですが、要件をいろいろ見てみますと、隣接している地域であればいい、これは県境を挟んでもということなんだと思いますけれども、そういう意味においては各都道府県、各都道府県で考えれば一自治体、一自治体なわけで、そういう意味でいうと、この内閣府令で定められた部分というのはやはり相当のアンバランスがまだあるものだと私は思っています。

 もちろん、局地災害自体をどうとらえるかというのはいろいろあると思います。そこら辺に関しても今後、今内閣府令も新しくつくり直したところだと思いますが、引き続き問題点として考えなければならないとは思っております。

 もう一つ、この入善町のケースですが、いわゆる災害が起きたときの二つの支援法、大きな支援法のもう一つの、厚労省が管轄している災害救助法に関しては、いわゆる数字が挙げられている要件、住居五十棟以上の全壊とか、そういうことには該当しなかったけれども、もう一つの要件の、多数の者が避難して継続的に救助を必要とする場合というものに該当したということで、災害救助法を適用した。

 厚労省の方で、多数の者が避難して継続的に救助を必要とする場合だと認定しておきながら、私たちが改正もしたこの被災者生活再建支援法においては、内閣府令の定める要件に該当しないということで、結局のところ適用にならなかった。

 どのように災害をとらえるかというのは、その法律によってさまざまあるのかもしれませんが、一方で多数の者が避難して継続的に救助が必要だと認めておきながら、生活再建支援は要らないという国の総合的な回答になっているのが、私はアンバランスになっているのではないかなと思うんです。この救助法と支援法が、多少リンクしている部分はあるんですが、一方が適用されて一方が適用されないというようなことに実際としてなっているわけですけれども、このアンバランスを正していくということは必要ではないでしょうか。

泉国務大臣 支援法は、先ほど来御説明しましたようなルールの中で運用を図らせていただいておるわけでございます。救助法の方は、この中に書いてございますように、緊急的な対応、炊き出しでありますとか、あるいは緊急避難の毛布を準備するとか、あるいは飲料水を準備するとかといった、そういう事柄でございます。

 救助法の中で、施行令の一条一項四号ということをもって入善町に救助法の適用がなされたということでございますが、このことと被災者支援法の一条の三号までとは、考え方に私どもの扱いが違っておるわけでありまして、これはそもそもの両法律の立法趣旨がやはり違うことに起因するものである、このように考えております。

 支援法は、いわゆる被災を受けた住民の生活の安定に資するということを目的としておるわけでありまして、その意味からは、今申し上げました救助法の適用の考え方とは違う、そこを無理にこの両方が同じレベルの被災に適用するようにすることがいいことかどうかということについては、立法の趣旨から少し違うのではないかというふうに理解をいたしております。

寺田(学)分科員 それでは、はっきりお話しいただきたいんですが、多数の者が避難して継続的に救助を必要とする場合においても、国として生活を再建していく支援を行う必要はない場合がある、法律を言葉にして直すとそういう結論になりますが、そういうことでよろしいですか。

泉国務大臣 厚生労働省の所管する法律でございますので、有権的な解釈を私が許されるかどうかわかりませんが、この規則に書いてあります、今先生引用されましたように、「発生し、又は発生するおそれのある地域に所在する多数の者が、避難して継続的に救助を必要とすること。」というこの言葉、それからまた、後にかかっております、食品の給与等の特殊の補給方法を必要とし、また救出に特殊の技術を必要とすること、二つあると承知いたしておりますが、この前半部分の規定については、まさに緊急の中で一時的に避難を強いられる、ここに「継続的に」という言葉をどう理解するかという問題は残されておりますが、必ずしも被災者支援法が目指すような長い時間を、被災を対象にしたものではないと理解すべきではないかと思います。

寺田(学)分科員 いろいろな理由をお話しいただきましたけれども、もう一点お話をいただきたいと思うんですが、災害救助法の中では、具体的な数字を挙げた要件のほかに、今回適用されたような「多数の者が、避難して」というふうに、ある意味主観的にその被害を考えて認定するかどうかというような余地があるんですが、こっちの再建支援法の中においては明確な数字に基づいたような要件というのが課されていて、ある意味主観的に、この被害にはこの法律を適用してやればいいのではないかというような解釈ができない仕組みになっています。

 先ほど、大臣もみずから、これは都道府県が相互扶助の形で出してもらったものなんだからということをお話しされていたんですが、だとすれば、この支援法の中にも、ある種、都道府県の申し出によって、基準には満たないけれども認めるというような余地、さまざまな余地というのは持っていてもいいと思うんです。これは厳格にこの数字、支援法の内閣府令で定められた数字に原則のっとらなければいけない、もう例外はないというふうにとらえるべきなのか、都道府県の方が自分から出しているんですから、都道府県の申し出によってある程度柔軟に対応する余地があるというふうにお考えになられているのか、いずれでしょうか。

泉国務大臣 この支援法の仕組みからいたしますと、私は、四十七都道府県が基金を出して、六百億ですか、そうした基金の中で被災者を支援していくというルールを決めておるわけでございますので、原則はやはり守っていくべきだ。ある被災を受けた地方自治体からの申し入れによって、ある場合は支援法の適用をする、ある場合は難しいというような判断をしていくことはやはり行政上公平性を欠く、あるいは立法の趣旨に反するという思いを持っておりまして、全国統一的な制度の運用を図っていくことの方が、被災者の皆さん方にも御理解をいただけるのではないかと思います。

寺田(学)分科員 都道府県で拠出をしているいわゆる基金を内閣府において運用されている。その運用の中において、私は、柔軟性を認めてもいいのではないかなと。もちろん、それに対しては、ある程度の理由がない限り内閣府としてもお認めできないと思いますが、ただ単純にこの数字にこだわって、もう十でないとだめです、九でもだめです、ほかのいろいろな、半壊の部分が幾ら多かったとしても、全壊が内閣府令に定める件数になっていないから認められませんということは、やはり被害の実態を見詰めていくという立法の中での本当に基本的に大事な部分をおろそかにしてしまうのではないかなと思いますので、以後、これもまた委員会も含めて議論させていただきたいと思います。

 昨年の十一月の審議の部分に移りたいんですが、その中において、私として、基本的にこの支援法というものが地震を契機につくられたものであって、水害というものの規定はあるけれども、地震と水害を比べてみると水害の方がいわゆる基準の中においては粗い基準で、なかなか全壊と認められないものであったり、水害自体が特殊性を持つような被害を勘案しないような仕組みになっていることはおかしいのではないかということを三十分かけて大臣に質疑をさせていただいたところ、大臣から、最後は、実態とかけ離れている部分があることはよく承知をいたしました、だめな部分がありますねという部分はお認めになっていただいて、それを踏まえて対処させていただきますという御答弁をいただきました。

 それから約半年近くたっていますけれども、どのような対処をまずいただいたのか、御答弁いただけますか。

泉国務大臣 さきの国会で委員から御指摘がございました。そしてまた附帯決議にも、御決議をつけていただいたわけでございます。

 その後、私自身も関係の者と、地震と水害によっての被害の考え方がどう違っておるのかということをもう一度検討させていただき、私なりの問題点と考えるところを担当者と議論させていただいたところでございます。

 そういう二つの、委員の御指摘、そして附帯決議という重たいものを受けまして、浸水被害のみならず地震被害の場合も含めて、被災の実態により適切に対応できるように認定の仕組みを整備するということが必要である、こう考えまして、実施体制を含めて現在検討を進めておるところでございます。

 御指摘をいただいてから、特に委員から御指摘のあった運用指針では、浸水被害での損害割合が一〇〇%に達していないという、これは先生の御指摘にあったわけでございますが、柱でも基礎でも、水圧等によって現に壊れた場合、単に水につかっただけではなくて水流等の水圧によって壊れた場合は、浸水と外力の複合被害だということとして一〇〇%認定するようにという考え方を実はまとめまして、先ほど被災者生活再建支援法についての解説、QアンドAを全国に示したときに、改めてこの部分は明示をする。従来のルールでもそのように取り扱うことは可能であったわけですが、改めて、委員の御指摘もいただいて明示をして、全国に、説明を自治体に配付をしたところであります。この五月にも、改正被災者生活再建支援法や被害認定につきましての説明会を開くことにいたしておりますので、ここでも周知を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

寺田(学)分科員 改正前においても、既に出されている指針の解釈のあり方とか、今お話しされたとおり、いや、混合としてやってくださいよと付言するとか、さまざまな形でやっているんですが、指針は指針としてあるわけですよね。指針自体は七〇%というところでとどめておいて、いや、事によっては例外的に一〇〇にしてもいいですよという話をされているんだと思うんですよ。

 ただ、それ自体が、自治体が被災を受けて本当にてんやわんやの中でその指針をもってやるときに、果たしてその後でつけられた、事後的につけられた解釈を中心的な意味ととらえてやれるかどうか、私は疑問に思うんです。もしそこまで言われるのであれば、最初からその指針自体を一〇〇%にしてしまえばいい話のところを、いまだ、結局その事後的な解釈のあり方ということでやっているのは、私は、現場の混乱を招くんだと思いますし、適正な評価はされないんだと思うんです。

 どうですか。今現物は持ってきていませんが、いわゆる冊子自体、指針ですけれども、後で通達やら何やらでいろいろお話をつけ加えられているんですが、冊子自体をまた改めて改定をしてお配りするということはやられていないと思います。聞くところによると、七年同じ冊子でやられていて、通達が後で何回か出ているという形になっていますので、この冊子自体をまず改められるというようなお考えはないですか。

泉国務大臣 現在の取り扱いについて、被災を受けられた自治体等がすぐに理解できるような書きぶりになっていないということは、私もそうかなと正直思うわけです。説明をし、きちんと聞いていただいている方々には、また、問い合わせがあればそういうことの御説明はできるわけですが、そこまで書き切れていない部分があることは御指摘のとおりだと思います。

 したがって、それでは基準を変えるのかというお尋ねでございます。つくって七年たっておるということでございますので、いずれ、先ほど来申し上げましたように委員会の附帯決議にもございますし、そうした事柄に取り組まなければならない、その準備を今事務的に進めさせていただいております。被害の内容も変わってきておりますし、建築資材そのものも、あるいは場合によっては物の値段等も変わってきておりますので、そういうことも織り込みながら、実態に即した形に改定をするための検討をやっていきたいと思っておるところでございます。

寺田(学)分科員 なるほど、被害認定の改定を行われるということでよろしいですよね。今そのための検討を行われているという御答弁だったんですが、それでよろしいですよね。

泉国務大臣 今申し上げましたように、今できることは、できるだけ自治体に徹底をしていくという努力をいたします。そしてまた、七年を経過したという実態を踏まえて、次にどう対応していくべきかというのは大きな課題でございますので、これに取り組んでまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 ストレートにお話ししていただきたいんですが、改定をするための検討を今、行っていると。それには改定というものが視野に入っている、被害認定のあり方を改めていくというような御答弁でよろしいですよね。

泉国務大臣 おっしゃるとおりに、こういう実態を踏まえていけば、恐らく実態に合わないところが今の基準の中に出てくるのではないか、そういう可能性が見えておるわけでありますので、その部分については少なくとも改正をしなきゃならない、そういう時期が近づいておるというふうに認識しております。

寺田(学)分科員 梅雨入りの時期、台風シーズンというものをこれから迎えていくことになるんですが、私が問題意識を持っている一番の部分は、水害に関して、洪水に関してですので、その部分の改定だけでもできるだけ早くやっていただきたいと思うんですが、その日程的なめどというのはどのようにお考えでしょうか。

泉国務大臣 この件は、前の委員会でも、いつまでにやるのかという厳しいお尋ねがございました。

 正直申し上げまして、いつまでにということは今申し上げることはできません。これは、いろいろな情報を集めて、そしてその分析の中で方向性を決めていく、あるいは具体的なマニュアルを決めなきゃならないわけでありますので、できるだけ早く取り組まさせていただく。

 そしてまた、委員の御指摘の水害の問題について今のルールの中でどういうことができるかを検討して、実態に反しないような、できるだけそこに近づけるような努力はいたしたいと思います。

寺田(学)分科員 情報の分析というものに関しては、それは年月をかければかけるだけいろいろ幅は広がって、研究する、分析する分母というか土俵も大きくなると思いますので、ある程度のところに区切って、それこそ、災害は確実に、残念ながらことしも起きるわけですから、せっかく改正されたこの法律がうまく生きていくためには、内閣府令のその認定というのがまさしく肝でありますから、私は早く改定していただきたいと思います。遅くともことしじゅうの改定というものはできますよね。大臣、いかがですか。

泉国務大臣 この被害の認定がいろいろな分野に影響を与えてくる代物であるという非常に大切な事柄でございますので、時間を切っていつまでにという事柄については、現在時点ではお答えは少し遠慮をさせていただきたいと思います。

寺田(学)分科員 とはいえ、二年、三年のお話ではないと思います。丸一年の間にはというぐらいのめどを私はお伺いしたいんですけれども、二年、三年後ということはないですよね。大臣、いかがですか。

泉国務大臣 おっしゃる言葉どおり、二年も三年もということは私の本意ではございません。この基準ができるまで水害が起きないという保証があれば、これは二年も三年もということでございますけれども、いつ水害が発生するかわからない状況の中での改定の議論でございますので、そのことは十分意識して取り組んでまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 いずれにせよ、一年度中ということなんだと思います、二年、三年というのは考えていないということであれば。

 それで、その間は、現在のこの被害認定の基準をもとに、実際、残念ながら起きてしまった水害等の被害を認定していくことになると思うんですが、十四日に出されたQアンドAをちょっと拝見させていただいたんですが、クエスチョン八というところに、判定は県、市町村の判断にゆだねられるのかどうかということに対して、「具体的な判定は、当該都道府県、市町村の判断に委ねることになるが、」と前置きしておきながら、最後は「上記認定基準に則り、執り行われたい。」と。最初は、いや、都道府県の方でいろいろやってくれていいですよと言いながら、最後は、とはいえ基準に従ってくださいと。その基準というのはどういうものかといえば、まさしく大臣がお認めになられている、現実との乖離が進んでいる、存在する今の認定基準でやられているわけです。

 ぜひともこの文書を読んでいただきたいんですが、こう書かれてしまうと、幾ら前段として「都道府県、市町村の判断に委ねる」と、私も質問したところ、内閣府の方から、極端な話、あれは指針であって、被害認定の参考にしていただきたいんですということを言いながら、QアンドAでは、とはいえ、「認定基準に則り、執り行われたい。」と。これは「たい。」で結んでいるから裁量権があるんだと、それは強弁できますけれども、こう自治体が言われたら、基準どおりにやるのがお役所仕事だと思うんですよ。

 どうでしょうか。このQアンドA自体をもう一回つくり直せとは言いません。この部分の書きぶりは、およそ自治体の自主的な判断を阻害してしまう可能性はあると私は思います。大臣自身言われるとおり、混合被害も含めて、あの基準自体にいろいろな形で、現場の感覚で合わせてやっていただきたいというお考え、先ほど述べられたとおり、あの基準を一つの基礎として、現場で本当に被害の実態に合わせた形で判定していくという意味では、この文言というのはふさわしくないと私は思います。

 どうでしょう、大臣。これはちょっと書き直した方がいいんじゃないんでしょうかね。いかがですか。

泉国務大臣 このQアンドAが、今先生御指摘のような、結局は認定基準にのっとってやれということになるではないかという御指摘でありますが、恐らく、これを書いた事務方は、そこまで基準どおりにやれということではなくて、先ほど申し上げました、もう少し浸水と外力の混合被害だというようなことも考えてやってもいいんですよということを言いたかったんだろうと思うんですね。その部分が、この表現だけでは意思がもし通じていないということでございますならば、説明の際等によくこの内容、意とするところを説明するように私の方から注意をいたしておきたいと思います。

寺田(学)分科員 改正された支援法の使い方等に関して、これから内閣府の方々がいろいろな自治体に御説明に上がるのかもしれませんけれども、言葉の問題ですけれども、上記基準にはのっとらなきゃいけないが、具体的な判断は当該都道府県、市町村の判断にゆだねるというぐらいになったら、逆に都道府県としても、いろいろな解釈をしなきゃいけない、してもいいんだなという話になると思うんですよ。

 説明の中で、そういうような形で説明しておくと言いながらも、こういう文書というのは行政文書として保管されて、その説明から実際に被害が起きるまで時間があったときに、この文書だけ見てやったら、ああ、やはりこれにのっとらなきゃいけないんだなと思ってしまうので、僕は、ここの部分の差しかえだけでもいいので、ぜひとも文書として残るようにやっていただきたいと思いますが、それはいかがですか。

泉国務大臣 この被害認定は、先ほど申し上げましたように、いろいろな分野に影響を与えてきますので、一つの基準を持ってきちんと対応させていただかなきゃならない事柄だと思っております。

 しかし、前国会から委員御指摘の事柄、そして、きょう伺いました事柄を踏まえまして、もしもここをもう少し間違いのないように自治体の方々にお伝えできることが可能であれば、書き直すことも含めて検討させていただきます。

寺田(学)分科員 時間が参りましたので、以上にしたいと思いますが、本当に災害に見舞われた方々は深刻な中でやられているので、できる限り、本当に法の精神にのっとって適用されるように、ぜひとも努力していただきたいと思います。

 内閣府の方々も、本当に少ない人数の中で一生懸命頑張られているというのは、レクを聞きながら非常に痛感しました。そういう意味で、大臣の御英断のもと、いろいろ進めていっていただければと思いますので、御期待申し上げます。

 ありがとうございました。

平田主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

前田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 平成十八年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は十九億八千二百五十七万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は二十四億七千二百四十三万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は四億八千九百八十五万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千百七十四億二千八百五十一万円余でありましたが、これに予算補正追加額二十七億七千九百四十五万円余、予算補正修正減少額二十六億八千万円余、予算移しかえ増加額百二十一億九千五百四十九万円余、予算移しかえ減少額十七億六千四百八十万円余、前年度からの繰越額四百六十三億六千三百七十五万円余を増減いたしますと、平成十八年度歳出予算現額は二千七百四十三億二千二百四十万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額二千百五十八億七千十万円余、翌年度への繰越額四百二十六億二千九百二十八万円余、不用額百五十八億二千三百一万円余となっております。

 次に、環境省所管の石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の平成十八年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 この会計は、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)附則の規定により、特別会計の根拠となる法律が廃止され、平成十九年度は、同法第二条の規定により、エネルギー対策特別会計が設置されております。

 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定につきましては、収納済み歳入額は三百二十億八千八百五十一万円余、支出済み歳出額は百九十三億千七百七十一万円余であります。収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百二十七億七千八十万円余でありまして、翌年度への繰越額六十九億八千二百四十五万円余、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の平成十九年度予算に歳入計上した剰余金十五億六千二百三万円余、これらを除いた純剰余金は四十二億二千六百三十二万円余となっております。

 以上が平成十八年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院平川審議官。

平川会計検査院当局者 平成十八年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、廃棄物処理施設整備事業により整備した灰溶融設備を故障させたまま放置していて適正な維持管理が行われていないため補助の目的を達していないものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、国立公園内の集団施設地区における土地使用料の債権管理事務等に関するものであります。

 土地使用料に係る債権管理事務等においては、地方環境事務所長等が土地の使用許可を行った場合、遅滞なく債権発生通知書を歳入徴収官に送付することとなっており、歳入徴収官は、遅滞なく、調査決定を行い適宜の納付期限を定め、債務者に対して納入の告知を行います。そして、土地使用料が滞納となった場合、債務者に対する督促等や必要に応じた債権保全の措置をとらなければならないこととなっています。

 そこで、土地使用料に係る債権管理事務等について検査いたしましたところ、使用許可期間開始後債権発生通知書を速やかに作成しなかったことから調査決定がおくれていたり、滞納が発生した場合の債務者に対する督促が十分行われていなかったりなどしていて、債権管理事務等が適切に行われていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、環境省では、十九年九月に、債権管理マニュアルを定めて各地方環境事務所長あてに通知を発し、債権発生通知及び調査決定や滞納が発生した場合の督促などをそれぞれ適時適切に実施することを周知徹底するなど、土地使用料に係る債権管理等が適切に行われるよう処置を講じたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

前田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 平成十八年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。

前田主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠分科員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、鴨下環境大臣、そしてまた、独立行政法人の環境再生保全機構、わざわざ湊理事長にも当委員会においでいただき、去年の八月に和解しました東京大気汚染訴訟、ぜんそくの大気汚染による患者さんたちを救済していく訴訟について、あるいは今後の国の方針等々について、若干お伺いをさせていただきたいと思います。

 実は私も、北九州に住んでおりまして、高校を卒業するくらいまで小児ぜんそくを患っておりました。小学校時代も、実は小学校六年生のときに福岡市のぜんそく児だけを集めた施設に入って、その隣の養護学校を一年間かけて卒業し、本当に、ぜんそくで自分自身も苦しんできましたし、またそういう多くのやはり同じように苦しんだ方々を見てまいりましたので、今回の、去年八月の八日に正式に和解をされた訴訟自体は、私は、ちょうど四十年来続いてきた四日市のぜんそく訴訟に始まって、そういったことについて、今回、国側も一つの責任を果たしていく、あるいは自動車メーカー等々の責任も明確にしたということで、この和解自体は評価をするところでございます。

 ただ、やはりまだまだ、このぜんそく患者の皆さん方に公平性の点からもっと国としてやるべきことがあるんじゃないか。あるいは、このスキームについてちょっと見てみますと、どうも首をかしげざるを得ない点がありますので、その点について、以下、大臣を中心に質問させていただきたいと思います。

 今回の和解、去年の八月の和解によって、五年間で二百億円というスキーム、国と都と、そして旧首都高速道路公団、自動車メーカーがそれぞれ負担をするという形になっているんですけれども、国は五年間で六十億円を拠出するということになっております。まず、確認として、これは医療費助成には資金拠出しないということでよいのか、その点を端的にお答えください。

西尾政府参考人 今先生から、二百億円というお話がございました。これは、東京都が医療費助成制度ということで、東京都として実施しようということで計画されておるものでございます。

 この和解の過程におきまして、この医療費助成制度への国の参画というようなことも東京都との間で議論になりましたが、私どもといたしましては、医療費を直接負担するということは難しいということでございますので、これの負担をするということにはしない、こういうことでございました。

 しかしながら、今御指摘いただきましたように、長年にわたる東京大気汚染訴訟を和解に至らしめるということでございまして、そういうことで政治決断がなされました。これとは別途、予防事業ということで東京都に対して六十億円を拠出するということになったものでございますので、この両者は別のものであるというふうに考えております。

笠分科員 局長、もう一点だけ関連して確認をさせていただきます。

 ということは、東京都は医療費助成ということで二百億の枠組みをつくっておるけれども、国から拠出されるこの六十億円というものが、例えば何らかの形で迂回してこれが医療費の助成に使われるということは絶対にない、また、それは許さないという確認をさせていただきたいと思います。

西尾政府参考人 まず、和解条項の中での二つは明確に別々に書かれておりまして、東京都は都内に引き続き一年以上住所を有するぜんそく患者等の医療費助成制度を創設する、これが一点でございます。それから、国は、医療費を直接拠出するものではないけれども、公害健康被害予防基金から、予防事業の実施に充てるため、東京都に対して六十億円を拠出するということでございまして、二つは別個の事項として規定されております。

 それから、実際にも、東京都でそれぞれを実施するための準備のための条例ができました。東京都は医療費助成に充てられる基金というものをつくる、これが一つの条例でございます。もう一つは、予防基金から拠出するお金を受け入れるため、ですから、予防事業に充てるための基金という条例をつくられました。ですので、この二つの基金は別々でございまして、私どもは、この予防事業に充てるための基金の中に再生機構からの拠出金が充てられる、こういう形で基金の拠出をしていく、こういう仕掛けになろうかというふうに思っております。

 いずれにしても、この和解条項におきまして、先ほど申し上げましたように、二つのことが決まったわけでございます。それぞれがきちんと達成されますよう東京都ともきちんと対応してまいる、こういうことで実施をしてまいりたいというふうに思っております。

笠分科員 予防事業にということが大前提として六十億円が拠出をされるわけですけれども、では、ちょっとお伺いしたいんです。私が聞いているところだと、今現在、東京都の予防事業で大体どれくらいかかっているのかというと、年間で五千万円ぐらいなんですよ。この六十億円というものが出てきた根拠というのは何なんですか。

 例えば、仮に五千万円使ったとしたら百二十年間かかりますよね。では、この六十億円の根拠というのは何なんでしょうか、予防事業を前提にということで。その点をお答えいただきたいと思います。

西尾政府参考人 六十億円の根拠でございますけれども、これは、先ほど来申し上げましたように、東京大気汚染訴訟を和解に至らしめるということで政治的決断がされたものでございますので、それにつきまして、積み上げといったような形での算定根拠、積み上げた算定根拠というものがあるというわけではございません。

 なお、東京都では、たしか東京都の傘下の各区などでいろいろな予防事業を行っておられまして、年によって違っていると思いますけれども、一億とか二億とか、もうちょっと大きい金額の事業を実施しておられる都市もあると思います。東京都が、和解もございました、さらに一層この予防につきまして力を入れていくということでございますので、東京都におきます予防事業の支出ということにつきまして、これからもさらに積極的にやっていただくということを期待するものでございますけれども、今申し上げましたように、積み上げがありまして六十億円が何年かかって行うというふうになっておるということではございません。

笠分科員 今局長がおっしゃった、私が伺っている五千万円、いろいろ考えれば、それは一億かもしれない、あるいは二億かもしれない、ただ、いずれにしても、五年間で六十億円も使うというのはまずちょっと考えられない。私が随分前に環境省の方から御説明を受けたときにも、実は都の方でも、予防事業に限定されて六十億ということになると、正直、担当の方も、六十億を使い切るということはなかなか難しいということを率直におっしゃっていたということも伺っていますけれども、では、例えば余ったお金というのは、その後どのようになるんでしょうか。

西尾政府参考人 今、五年間という御指摘がございました。五年が一つの節目ではないかというのは、和解条項の中でも、東京都が医療費助成制度を行う、それにつきましては五年後に検証して見直しをすると書かれていることから、一つ、五年というのが節目になるのではないかという御指摘かと思っております。

 確かに、被害者に向けまして積極的に事業をしていくということでございますれば、五年とか、そういう期間に一生懸命事業をするということは必要なことではあるとは思いますけれども、ただ、この六十億円につきまして、五年という期限を限定したわけではございません。的確に必要なものを実施していただくということでございますから、五年間で使い切らなきゃいけない、そういう性質のものではないというふうに思っております。

 したがいまして、やはり、この予防事業は必要である、これは公健法の地域を解除いたしましたけれども、これから、ぜんそくの子供たちなどを含めまして、ぜんそくの予防が必要だということで的確な事業をやっていくわけでございますから、そういう事業が必要な間はこの六十億円を活用して使っていただくということが基本ではないかというふうに思っております。

 そういうことでございますので、そういうぜんそくの予防のためのお金ということで六十億円が余ってしまうとか使い道がないということはないのではないか、やはり、それはそれなりに効果を上げられる東京都で、時間をかけてでも的確な事業を実施していただくということが基本ではないかというふうに思っております。

笠分科員 これはイエスかノーかでお答えいただきたいんですが、では、六十億円、拠出したお金については、例えば、五年たって見直しの段階で何十億かまだあるよ、それがもう一度国に戻ってくるということはないわけですね。もう渡し切りで、何年かけてでもずっと予防事業で使っていただければいいんだということでよろしいですね。これは本当にイエスかノーかでお答えください。

西尾政府参考人 五年に限定されるものではなくて、東京都におきまして、積極的に予防事業にこれを充てていただくということで考えております。(笠分科員「では、渡し切りということでよろしいんですね」と呼ぶ)

前田主査代理 発言は挙手にて求めてください。

 西尾政策局長。

西尾政府参考人 概念の整理としては、もはや予防事業をやる必要がなくなった、そういう事業をやらないんだということに東京都がなって、お金が余っていれば、要らないものを渡し切りということは制度上ありませんので、それは戻していただきますけれども、やはりぜんそくの予防あるいは子供に対するケアというのは非常に大事なことでございますから、それを積極的に東京都でやっていただくということが基本ではないかというふうに思っております。

笠分科員 今、戻していただく可能性もあると。別に、国から強制的に、五年たったから余った分を戻せということじゃないけれども。もしそういう可能性があるとすれば、これは、裁判の中で、和解案の中でそのことをきちっと項目としてうたっているんでしょうか、合意案の中で。いかがですか。この和解案の中で、そのことはきちっと、国として、その六十億円についての項目、きちっと約束事がなされているんでしょうか。

西尾政府参考人 和解の中には、国から予防事業として六十億円を拠出するということのみが掲げられております。五年間だという期限の限定は、これについてはかかっておりません。

 それから、今申し上げましたのは、ですから、通常は想定されない概念としての話でございまして、東京都としては、もはや予防事業というものはやる余地もないし、またやることもなくなってしまうということがありますれば、これは補助金でございますから、当然、補助金のルールに従って再生機構の方の基金に戻していただくというのが条理ではないかということを申し上げたわけでございます。

笠分科員 また後ほどお伺いしますけれども、今のことと関連して、次に、私、これはもう本当におかしいなと思うのは、政治決着ということばかり言われますけれども、このことの経緯はもう結構ですけれども、私が申し上げることがもし間違いであればそれは御指摘をいただければと思います。

 去年の五月三十日に石原都知事と安倍総理が会談をして、国として六十億円を予防事業として拠出することを表明されました。この六十億円の出どころが問題なんですよ。これが、きょう来られておりますけれども、独法の環境再生保全機構の公害健康被害予防基金から都へ拠出するんだと。この予防基金は、運用益において、たしか四十七ぐらいの自治体ですか、それを広くいろいろと公害被害者の支援をするために使われているもので、その原資を、なぜその六十億円を切り崩すというやり方をするのか、なぜ一般財源からしっかりと出していかないのか、その点について、これは大臣、お答えをいただけるでしょうか。

 これはもう大臣ですよ。

前田主査代理 大臣御指名ですが。大臣、お願いします。

鴨下国務大臣 今回の拠出につきましては、一連の大気汚染に係る訴訟の中で唯一残った、こういうようなこともありまして、特に十一年にわたっての大変長い間、東京大気汚染訴訟のいわば訴訟が続いておりましたので、それを早期に決着を図る、こういうような見地に立って、今局長からも答弁しましたが、政治的に決断された、こういうふうに私たちも理解をしております。

 国としてでも、できるだけぎりぎりの対応として、医療費を直接助成するのではなく予防事業として拠出する、こういうようなことにしたわけでありまして、公害健康被害予防基金は、先生おっしゃるように、基本的にはいわば運用益を使う、こういうようなことでありますけれども、地方公共団体が実施する予防事業に対して助成する役割を担ってきた、こういうようなことから、何回も申し上げますけれども、ぎりぎりの対応として同基金を活用するようになった、こういうふうに理解をしているわけでございます。

笠分科員 いや、大臣、当時は鴨下大臣ではないわけですけれども、これはやはりおかしいですよ、やり方として。長年と。

 しかし、西淀川、あるいは私の地元の川崎もそうです、尼崎も、それぞれかつて裁判を行ってきた。それで、これは初めてのことなんですよ、こういう形で国がこれだけのまとまったお金を、しかも、私はいいんです、政治決着をするんだと、いいでしょう、もし政治決着をしてやるのであれば、この独法の基金というものを政治決着で切り崩すことができるとすれば、では常に政治決着すれば、これはこの独法だけじゃないですよ、ほかにも独立行政法人というのはたくさんありますよ、そういう中で、では、大臣が、あるいは総理が決断すれば何でも切り崩していけるのかというんだったら、何のための独法なんだということにもなるわけですよ。

 だから、一般財源からやればいいじゃないですか、特例措置であれば。しっかりとそのことを国としてやるんだというまさに政治判断をして、それを国民の皆さんに理解を得ればいいじゃないですか。

 ここで、きょうせっかくおいでなので、湊理事長にお伺いをしたいんですけれども、独法を預かる身として、このような政治決着、この中身じゃないです、スキームじゃないです、独法の基金を取り崩す、まとまって切り崩す、もともとのお金が減れば運用益が減るんですからね、これについて、こういうやり方というものは認められるんでしょうか、率直にお答えいただきたいと思います。

湊参考人 環境再生保全機構の湊でございます。

 今の先生の御質問についてですが、今回の件につきましては、法的には、公害健康被害の補償等に関する法律附則第十条第一項で、機構は環境大臣の認可を受けて汚染物質排出施設設置者等から拠出される拠出金の一部を予防事業に要する費用に充てることができるというふうに明記されておりますので、今回のこの予防基金そのものを取り崩すことについては、法的には問題ないというふうに認識しております。

笠分科員 法的にではなくて、では、例えば、今度実際、川崎の患者の団体の方々の中から、同じような訴訟をもう一度起こせば、こういう応分の負担でスキームできちっと自分たちも支援が受けられるんだと。これはほかでもそうでしょう。これはもう前例ですからね、そのたびにこの基金を、その時々で政治決断をすれば今後もこういうことがあり得るということでよろしいですか。それはもう独法としては受け入れていくということでよろしいですか、理事長。

湊参考人 今の御質問につきましては、私どもは環境省といろいろな御相談をしながらやっていくという立場でございますので、環境省の方に解決についてはお願いしたいと思います。

西尾政府参考人 他地域に起こった場合に同様のことがあるのか、前例かということでございます。

 この東京訴訟におきまして、やはり最後、和解に至るときに、いろいろな議論がございまして、いろいろな整合性やら今後のことというようなことが議論になりまして、なかなか和解に至って話し合いが進まない、そういう状況の中で、例外としての政治的判断がなされたものでございますので、同じことが……(笠分科員「そのことはいいですよ」と呼ぶ)こういう例外でございますから、同じことがまた同じように例外になるかという御質問につきましては、現時点では想定していないと言わざるを得ないというふうに思っております。

 いずれにしても、一連の訴訟がこれによって解決いたしましたし、それから、大気汚染の状況につきましても幸いにして改善の方向に向かっておりますから、今後は、ぜひそういう訴訟の起こるようなことのないよう、一刻も早く大気を改善していくということが基本ではないかというふうに思っております。

笠分科員 私は、六十億出すことが悪いと言っているんじゃない。何で独法のこの基金を崩す必要があるんですか、そこから拠出する必要があるんですかということを言っているんですよ。そうでしょう。だって、本来のこの基金の目的は運用益を、では、その運用益が今度は減るわけですよ、当然ながら原資が減るわけですから。これは国がたしか一割出資をして、あとはそれぞれのメーカーさん、財界さんが出されていると伺っていますけれども、理事長、私今度そういう方々と意見交換しようと思っています。こういう使われ方が本当にいいのかどうか。

 だから、一般財源でやればいい話なんですよ。理事長、そういう思いで、私は、この六十億出すことを、例えば白紙にしろとかおかしいとか言っているんじゃない。和解をするためにそれは必要だったでいいんです、国の責任として。しかし、なぜ独法から出す必要があるんですか。この基金から出す必要があるんですか。

 大臣、それはおかしいと思いませんか。だって、想定していないといっても、今後同じようなケースが起こったら、東京都のためには政治決着をするけれども、では、例えば川崎が、そういう患者の皆さんがもう一度裁判を起こしたときに、同じような形できちっと政治決断していただけるんでしょうねと言われたら、これはやはりそのときの大臣は決着しなきゃいかぬですよ。だって、患者さんは公平に扱っていかないといけない、当然ながら。

 だから、これは本当に、この仕組み、独法から出す、この基金の中から拠出するというやり方、これは非常に奇策であり、汚点を残しますよ、やり方として。いかがですか、大臣、率直に。

鴨下国務大臣 お話になったことも理解をする部分もあるわけでありますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、長年にわたって東京だけが訴訟の問題がなかなか解決できない、こういうような中での、ある意味での高度な政治決着だったんだろうというふうに私たちは理解をしているわけでございます。では、その後これが普遍的なルールとしてさらにいろいろなところに適用されていくのか、こういうようなことについては、基本的には私は、これは本当に例外的な例外だ、こういうふうなところで今の段階では理解をしているわけでございます。

 さらに、例えて言えば、他地域で同様のものが起こったときにさてどうなのか、こういうようなことについては、そのときの……(笠分科員「政治決着」と呼ぶ)決着があるのかないのかというようなことが、多分それぞれの時期あるいは訴訟の状況、あるいは全体的な、政治的な判断といいますか、こういうようなものに依拠するようなことになるんだろうなというふうに思っております。

 ただ、我々としては、これは例外の例外だというふうに認識をしております。

笠分科員 大臣、本来だったら、政治決着するときに一般財源からやったと思われませんか、正直、本音では。一般財源からしっかりとやればよかったと。だって、政治決着なんだから。この方法が私は非常にこそくだと言っているんです、やり方が。僕が環境大臣とすれば、これはお金をしっかりと一般財源でやればいいじゃないですか。財務省が知恵をつけたのか何かわからないけれども、こういうやり方というのはやはりおかしいですよ。そう思われませんか。大臣はそうお答えできないだろうけれども、恐らく私と同じような気持ちはお持ちだということを信じております。

 では、ちょっと次にお伺いをしたいんですけれども、今私は、この裁判、この和解によって、本当にこれからぜんそくの患者の皆さん方に対する支援を国としてどのようにやっていくのか、あるいは自動車メーカー等々にもどういう負担をしていっていただくのかということを、やはりもう一歩進めて、国として取り組んでいく必要があると思っているんです。

 例えば、私の地元でございます川崎。市は早くから取り組んでいるから、今、三割負担のうちの二割を市が助成している。一割は患者の皆さん方が医療も予防も含めてそこを負担されているわけですよ。しかし、川を渡って東京に行けば、今度東京の皆さんは、結果として、これは東京都のスキームも含めて全額が無料になるわけですよ。でも、特定できないでしょう、どこの汚染か。

 例えば私の川崎は、住んでいるのは川崎だけれども、一日十時間以上東京で働いている人たちもいるんです。そういう患者さんだっているんです。一方で、東京に住んでいるというだけで無料になる。本当は、東京で大気汚染、そういう影響を受けているかもしれない、そのためのぜんそくかもしれない。でも、その人は川崎に住んでいるがゆえに一割負担しなきゃならぬ。私、これはおかしなことだと思うんですよ。

 ですから、やはり公平性というものを考えたときに、これから本当にどのように国が、国民の皆さん、患者の皆さん方お一人お一人平等に、公平に扱った支援のあり方というものを、単に医療費助成はもうやらないんだということではなくて、一部であっても何らかのルールのもとで、これは川崎にも限りませんよ、首都圏だってそう、近畿圏だってそう、あるいは中京圏だって、患者の皆さんはさまざまおられるわけですよ。そういう方に対して、公平性の点から国としての支援のあり方というものを考えていく、検討していくというお考えは、大臣、ないでしょうか。

西尾政府参考人 大都市で呼吸器疾患、ぜんそく等で苦しんでいる方々のお声というのは、私どももいろいろ聞かせていただいております。

 最初の四十七年七月の四日市ぜんそく以来、私どもは、大気汚染との因果関係ありということで認定できる方々に対しては、医療費でありますとか障害補償費でありますとかということを行う、これは公健法に基づきまして、そういう地域には平等にやっておるわけでございます。

 ただ、それだけでは救えない方々がいるのではないかといういろいろな声がございます。これにつきましては、医療費助成につきましても、やはり私どもは、大気汚染との因果関係はきちんとする必要がある、そういうことで累次調査を行ってきておりますが、そういう確証を得るには至っていない。しかし、なお、そういう因果関係があるのではないかということがございますから、現在、平成二十二年まで「そらプロジェクト」ということで、局地にそういう汚染影響はないのであろうかという調査もしっかりやっておるところでございますので、そういう全体につきましての対応ということにつきましては、そういう調査結果なども踏まえて、しかるべく判断をして対応していくということになるんだというふうに思っております。

 この間、各地の自治体で、それぞれ工夫……(笠分科員「時間がないのでいいですよ、わかっているので、大臣に」と呼ぶ)

鴨下国務大臣 それぞれの地域で、例えば今先生おっしゃったように、川を隔てて隣が川崎で隣が東京、こういうようなことの中で、それぞれどこに原因があったかというのは多分わからない部分もあるんだろうと思います。ですから、そういう意味では、先生おっしゃっている趣旨は私は理解をするわけであります。

 ただ、先ほどから申し上げているように、今回のは特別に、例外的な政治決着、こういうような認識をしております。ですから、環境省の公健法に基づくさまざまな事業、こういうようなことについては、全国平等にしっかりとやってまいりたいというふうに考えております。

笠分科員 大臣、これをやはり第一歩にしないといけない。そういう政治決断があったんだったら、それを第一歩にしてスキームをつくるべきなんです。川崎だって東京都だって、例えば自治体でいえば、ほかの自治体に比べればまだ力がある。だから、無理してでも独自に助成をすることもできる。でも、そうじゃないところもたくさんあるわけですよ。

 力のある自治体は、それは東京都だって一番あるわけですよ。でも、そういうところには、たまたま裁判が長く、そして一番解決ができていなかった、そういうことでこういう政治決着を特別にしたんだ。しかし、早くからその訴訟を終えて、そして今独自に自治体が取り組んでいるようなところも含めて、あるいはそういうこともできていないところもあるわけですよ。

 ですから、そういった、ひとしくこの患者さんの立場に立てば、やはりこれは政治決着とかなんとか関係ないですよ。それでは、ぜんそくの患者さんで、もし無料で治療、予防をしたいんだったら、東京に住めということになるじゃないですか。そんなばかなことはないわけで、やはりこれを第一歩にして、しっかりと公平な制度設計というものを私はやるべきだと思うし、例えば、今回の裁判においては、先ほど局長がいろいろとおっしゃっていたけれども、これは未認定の方々だって原告には加わっているんです。まさに薬害肝炎と同じことになりますよ。私どもは、認定をされているとか認定をされていないとかじゃなくて、本当にすべての患者さんに対して、全国で百六十二万人とも言われている方々がおられるわけですよ、そういう方々に対して、政治がしっかりと公平に支援をしていかなければ、何のために政治があるんだということになるわけですよ。

 ですから、この政治決着の中身ですよ、政治決着したことはいいけれども、独法の基金を切り崩すとか、こういうこそくなやり方を続けていけば、本当にこれはおかしなことになってしまうし、納得しないですよね、これは絶対に。例えば東京都でいうと、今認定されている方が一万八千四百七十五人ぐらいおられるんですか、そのバックには十二万とも言われるぜんそく患者の方々、未認定の方もおられる。大体その十分の一ぐらいの患者さんが、川崎には認定の方もあるいは未認定の方もおられるわけですよ。

 そうしたら、それに応じて、応分の負担を基金から切り崩して、同じように予防事業に適用できるのかということを最後にちょっとお伺いして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思いますけれども、大臣、最後に、そのようなスキームというものをやはり検討するということをお約束していただけますか。

鴨下国務大臣 先生もぜんそくで苦しんでいらしたと。私はぜんそくの医者をやっておりましたので、ぜんそくの患者さんがどれだけ、特に夜、苦しんでいらっしゃるかというのはよくわかっております。

 そういう中で、環境省として、公健法の中でどこまで何ができるのか、こういうようなことについては、これからいろいろと議論もしないといけないんだろうというふうに思っております。

 ただ、大気汚染に起因するということが、呼吸器疾患、特にぜんそくにおいてどこまで広がっているのか、こういうようなことについては、今、さらに、今度は「そらプロジェクト」の中でもこれは追跡調査をしっかりしていこう、こういうようなことを今やっているところでありますから、今のところは、汚染原因者の負担による医療費支給等については、やっているのは限定的になっておりますけれども、加えて、この基金による予防事業、こういうようなことも含めて、できるだけこれから支援をしていきたいというふうに思います。

 ただ、全体的な因果関係等については、先生もよく御存じのように、大気汚染が増悪因子なのか、発生因なのか、アレルギー的な素因なのか、こういうようなことについては、もう少し詳しく調べさせていただきたいというふうに思います。

笠分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、最後に一言だけ。

 引き続き、私も環境委員会等々で、特に独法から拠出をするということの問題点は、引き続き私は指摘をして、また議論させていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

前田主査代理 これにて笠浩史君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 民主党の川内でございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 本日は、大臣は東京の御選出でいらっしゃいますけれども、築地の中央卸売市場の江東区豊洲の東京ガス工場跡地への移転問題について何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この築地の東京ガス工場跡地、豊洲移転問題については、東京ガスが土壌汚染を発表し、そしてまた東京都は、都議会などでは、いや、対策はしているんだ、絶対大丈夫だということを再三にわたって答弁していたのでございますけれども、都知事選をきっかけとして大きな問題になり、石原都知事が、いや、そこまで言うんだったら再調査をするよということで、再調査をしてみたら、汚染が想定をされていなかった地域から、ポイントから、ベンゼン、発がん性物質が環境基準の千倍、シアン、青酸カリのもとになる物質が数十倍という形で、再調査の結果、汚染が発見をされ、これは大変だということで、もう一度詳細に調査をしようということになり、現在、東京都の方で四千百八十一カ所のボーリング調査が行われているということでございます。

 この東京都の再々調査の今現在の現況について、わかっている部分について教えていただければというふうに思います。

前田主査代理 農林水産省平尾総合食料局次長。失礼しました。環境省白石……(川内分科員「農水省が答えるんじゃなかったの。東京都の、今の土壌汚染調査の状況については」と呼ぶ)そうです。農林水産省平尾総合食料局次長。

平尾政府参考人 東京都が実施しております豊洲新市場予定地の土壌、地下水の詳細調査でございます。これは現在調査が進められているというふうに聞いております。

川内分科員 非常にそっけない御答弁、ありがとうございます。

 大臣、今農水省が答えたわけですが、本来は、環境省がこの土壌汚染問題の所管省庁ですから、環境省から御答弁をいただかなければならないわけですが、今どっちが答弁するかということがこの問題を象徴しているわけですね。

 要するに、本来答弁すべき環境省ではなく、農水省が答弁をする。土壌汚染対策法の対象に、この豊洲の東京ガス工場跡地が適用対象になっていない。だから、どれだけ汚染があろうとも、この東京ガスの工場跡地、豊洲の、市場が移転をする予定地というのは、法的には単なる中央卸売市場の移転予定地としての扱いになってしまうということを、今の答弁の状況が象徴的にあらわしているわけでございます。

 しかし、先ほども申し上げたように、汚染が想定されていない地域から、ポイントから、環境基準の一千倍のベンゼンが発見される、シアンが、青酸カリのもととなる物質が発見されるというような状況に今なっているということで、私は、環境大臣として、この豊洲の東京ガス工場跡地が土壌汚染対策法の適用対象になっていない、外れているということに関して、まず率直に大臣として、これはおかしいね、不思議なこともあるものだねというふうにお思いにならないかということを、ちょっと率直な御感想を聞かせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今先生お話しになった豊洲のことでございますけれども、土壌と地下水の詳細な調査、こういうのを東京都がやっているというような話は私も聞いておりますし、この調査そのものが、土壌汚染対策法で求められる調査あるいは対策と比べて遜色のないものである、こういうようなことは承っております。

 それが、今先生おっしゃるように、土壌汚染対策法の対象外であるということについておかしいんじゃないかというような御指摘もありましたけれども、実効上は問題を生じさせてはいない、こういうような理解でございます。

川内分科員 今の東京都が行っている調査というのは、いつごろその調査の結果が国民の前に明らかになるというふうに考えていていいんですか。

白石政府参考人 恐れ入ります。

 今、調査でございますけれども、この二月から、先生御指摘の箇所数で十メートルメッシュでのサンプリングというのをやっておるわけでございますけれども、これについては、一部新聞報道等もございますけれども、私ども、来月の十九日ごろに、中間であるのか最終であるのかはちょっとまだ、詳細は判明しておりませんけれども、東京都の委員会が行われまして、そこで、どのステージかはわかりませんけれども、発表、報告が行われるものというふうに承知しております。

川内分科員 大臣、大臣からは、いや、土壌汚染対策法に定められている調査や対策と遜色のない調査や対策が行われていると聞いているので実効上は問題がないのではないかという趣旨の御答弁がございました。

 ところが、一つ重大なポイントが抜けているのは、土壌汚染対策法上は、土壌汚染がある地域というのは土壌汚染指定区域としてしっかりと管理をしていかなければなりませんよということが定めてある。しかし、そこの、土壌汚染対策法に定められた手続が、調査は、それは十分にやるでしょう、しかし、そこが汚染された土壌の地域ですよということは、結局、法の適用対象にならなければすっぽり抜け落ちてしまうという意味において、遜色がないというお言葉をお使いになられるのは、私は、環境を所管する大臣として適切な言葉であるとは思えないんですね。

 調査はきちんとやっていると聞いていると。しかし、その対応について、土壌汚染対策法にしっかりと準じた扱いになっているのか、遜色がないかというと、指定区域には法の対象にならない限りならないわけでありますから、そこはしっかりと、重大な関心を持ってウオッチしていただきたいなというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 今先生からの御指摘は、私も東京都の議員でありますし、特に築地市場という大きな卸売市場の移転先、こういうようなこともございまして、マスコミ等、あるいは先生からもそういうような御発言があるということ、十分に理解をしておりますし、加えて、私も関心を持っております。

 そういうような意味では、これからも、この問題解決に当たっての状況、これをしっかりと環境省としても見守っていきたいというふうに考えておりますし、問題解決のためにどうあるべきか、こういうようなことについては重大な関心を持って見詰めてまいりたいというふうに思います。

川内分科員 そこで、大臣、土壌汚染対策法が平成十四年に国会に提出をされ、平成十五年に施行されているんですが、そのときに経過措置として盛り込まれた、法律の附則にある部分で、附則三条によって、豊洲が法律の対象にならなくなってしまったという経緯をしっかりと見直さなければならないという問題意識で、実は、私たち民主党は、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を参議院に提出させていただいて、参議院の環境委員会に既に付託になっております。

 これはなかなか審議が、与党の皆さんがなかなか審議していただけないので、審議が進んでいない状況なところがあるんですけれども、政府も、土壌汚染対策法の改正案については、対象範囲の見直しをすべきであるというような、土壌環境施策に関するあり方懇談会の報告なども出ているようでございますし、どのみち対象範囲の見直しに着手をされるというふうに思います。

 その前に、緊急に措置をすべき課題、土壌汚染対策法制定時に、本来は調査すべき対象地が法律の対象から抜け落ちてしまったということに関しては緊急に対応すべきであるということで、大臣の方からも、与党の議員という立場で、民主党案は、これは早く成立させてもいいんじゃないのというようなことを与党の部会にアドバイスをしていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 民主党の、特に先生が中心になっておつくりになった法案については、これは参議院に提出されている、こういうようなことは私も承知しております。

 ただ、院での御審議については、今は私はもう政府の一員でございますので、あれこれ言う立場にもありませんので、ぜひ、そのことについては国会での審議を私は見守らせていただきたいというふうに考えております。

川内分科員 大臣、予想どおりというか、余りおもしろくないんですけれども。

 しかし、大臣、これ、懇談会の報告、ごらんになりましたか。土壌環境施策に関するあり方懇談会報告、平成二十年三月三十一日に出されておりますが、この中で、「法律の対象範囲について」という項目の中で、「土壌汚染地を的確に把握し、情報を開示し、適切かつ確実に管理・対策を進めるため、法律の対象範囲について見直しを含めて検討すべきである。」というような報告がなされております。

 これは環境省の中の私的懇談会の報告ということで、これを法律にしていくためには、中央環境審議会にこの報告をもう一度提出して、中央環境審議会での御議論をいただくということが政府の立場からすれば必要なことであろうというふうに思いますが、私がレクの段階でお聞きしたところによると、中央環境審議会でいつこれを議論するかということについてもまだ確たる方針が定まっているわけではないという御説明を聞きました。

 大臣、私は、院は院の立場で、私どもは一部改正案を成立させるように一生懸命頑張ります。大臣は、政府のお立場だという御答弁でしたから、政府のお立場として、この懇談会報告を中央環境審議会に一刻も早くかけていくという決意をお示しいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 昨年六月に土壌環境施策に関するあり方懇談会を設置しまして、土壌汚染に関する現状を踏まえた課題や今後の土壌環境施策のあり方について検討を行って、その報告が三月三十一日に出た。

 その報告の中には、制度的な検討が必要な事項もある、こういうようなことで中央環境審議会に諮問しということでありますけれども、私としましても、できるだけ早く検討をしてもらいたい、こういうふうに考えておりますので、そのことについては先生のお考えと同様でございます。

川内分科員 大臣、しつこく聞いて申しわけないんですが、できるだけ早く検討してもらいたいと、その大臣の御方針は私も心から敬意を表するところでございますが、そのできるだけ早くというのがどのくらい早くなのか。中央環境審議会にこれは即座にかける、あるいは、可及的速やかに、一カ月以内にはかけるとか、具体的なところをちょっと教えていただければなというふうに思いますが。

白石政府参考人 ただいま大臣からも御発言がありましたように、できるだけ早くということで大臣からも御指示いただいております。

 即座にとかいいますと、どうしても、正直言いまして、委員の先生方の日程調整を今やらせていただいておりますので、それがつき次第ということでございますので月内は無理であったとしても、来月、遅くとも再来月までには何とかしたいというのが事務方の今の調整状況でございます。

川内分科員 ありがとうございます。

 それじゃ、院と政府の審議会で競争をして、どちらが早く法律改正をできるかということを競争させていただきたいというふうに思います。

 もう一点。この豊洲の東京ガス工場跡地で、土壌汚染の問題と、もう一つ、その土壌汚染に起因する、大震災時、大地震のときの土壌の液状化という問題があるわけでございます。

 この液状化について、まず、政府の中央防災会議の方にもきょう来ていただいておりますので、近未来に想定をされている東京湾北部地震と液状化現象について、以前にも御説明をいただいておりますが、改めて、どのような状況になるのかということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のように、相模湾から南東方向に伸びる相模トラフ沿いのプレート境界では、関東地震と同様のマグニチュード八クラスの地震が二百年から三百年間隔で発生しております。そういたしますと、次のマグニチュード八クラスの地震の発生は今後百年から二百年程度先と考えられますが、その間に、南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が数回発生するということが予測されているところでございます。

 このため、中央防災会議では、首都直下地震として十八タイプの地震を想定いたしました。その中でも、特に被害の大きい、東京湾北部地震と言っておりますが、これを中心に検討しております。これはマグニチュード七・三の地震でございますが、これが起こると想定いたしまして被害想定を行っております。被害想定を行った上で、私ども、首都直下地震対策大綱等を策定して、それへの備えをしておるところでございます。

 特に、お尋ねの、被害想定の中の液状化についてのところでございますが、液状化につきましては、地下水位の高い砂地盤では震度五強程度でも液状化が発生する、そのために、首都地域の広い範囲で液状化による被害が発生することが想定されておるところでございます。特に東京湾岸地域ですとか大河川周辺では、液状化しやすい地盤が広範に分布しておりまして、大きな被害が想定されるというふうに考えております。

 液状化によって、建物については約三万三千棟の全壊被害が発生すると予測されておりますが、建物が大きな被害に遭わない場合であっても、配水管等の設備が被害を受けて居住に支障が生ずる可能性もあるというふうに考えられるところでございます。さらに、道路等の交通インフラですとか、電気、ガス、水道等のライフラインについても、液状化対策がなされていない場合、あるいはなされていたとしても不十分な場合には被害が発生する可能性があるというふうに考えております。

川内分科員 一点確認をさせていただきますが、東京湾北部地震、一番被害が大きいであろう、マグニチュード七クラスの地震である東京湾北部地震による被害を想定し、対策を立てているということでございましたけれども、その対策とは、要するに震災直後の二、三日、あるいは一週間程度の対策であって、例えば、中央卸売市場が土壌液状化によって噴き出した有害物質、毒物によって汚染をされた、そして、その中央卸売市場は、日々大量の食料品が集積をし、首都圏に配られる基地になるわけですが、その基地が有害物質によって使えなくなってしまった、その場合にどうするかというようなことについては全くその対策を想定しているものではないということを確認させていただきたい。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 私どもでつくっております計画は、震災対策としての大綱、いわばこれはマスタープランでございます。そのマスタープランと、応急活動要領というのもつくっております。これは、今先生お話しのように、応急的な救急活動、行動、具体の部隊をどうやって運用していくかというようなことを考えております。

 それとはまた別に、もともと、揺れによる被害とかそういうのを……(川内分科員「ちょっと時間がないので、そういうことは考えていないということだけ」と呼ぶ)

前田主査代理 簡潔にお答えください。

加藤政府参考人 失礼しました。

 そういうことはやっておりますが、今お尋ねの、中央防災会議において、地震により液状化が発生し、有毒な物質が噴出して、中央卸売市場が閉鎖された場合における食品流通に関するシミュレーションを行ったことはございません。また行う予定もございません。

川内分科員 それでは、農水省に確認いたしますが、この築地の豊洲移転を決定したときの食料・農業・農村審議会総合食料分科会における議論で、豊洲の東京ガス工場跡地に中央卸売市場を移転した場合、これは流通という観点で、大震災時に土壌汚染、有害物質によって市場が汚染をされる、そして食料供給基地としての機能が失われた場合にどういう代替案があるのかというようなことは議論はされなかったということを確認していただけますか。議論していないと。短く言ってくださいね、あと五分しかないので。

平尾政府参考人 当時の整備計画の検討の段階での審議の中では、議論はございません。

川内分科員 それでは、農水省に確認をさせていただきますが、農水省はこの中央卸売市場の開設認可申請について権限を持っていらっしゃるわけですが、今までの議論の中で、土壌汚染の問題あるいは大地震時の土壌の液状化による有害物質の噴出などによって市場の機能が失われるおそれがあるというようなことなどについて、今まで東京都の報告を聞いて大丈夫だというふうに考えていた、しかし、今現在再々調査をしている状況である、さらには、液状化についてもちょっと心配だねというふうな思いも持っていらっしゃるというふうに思います。

 そこで、お尋ねをいたしますが、食の安心、安全という観点が、中央卸売市場整備基本方針ですか基本計画ですかの中にも盛り込まれているというふうにも聞いておりますし、土壌汚染問題あるいは液状化の問題というのが、開設の認可申請が東京都から、もし、都民の思いを無視して、あるいは国民の思いを無視して出た場合、これは重要な検討項目になる、それは、土壌汚染問題、液状化の問題というのはしっかりと検討項目の一つになりますよというふうに農水省としてお考えになられていらっしゃるかということを御答弁いただきたいと思います。

平尾政府参考人 お答えいたします。

 今の新市場予定地の土壌対策、それと液状化対策でございます。

 これにつきましては、東京都から、各般の施策、対策を打って万全を期すということで考えているというふうなことを私どもは聞いております。ですから、認可申請に当たっては、東京都からそういう各種の対策が十分措置されてくるものと考えております。

川内分科員 大臣、この懇談会報告の中にはもう一つ重要なことが書いてありまして、五ページの中段あたりなので後で読んでおいていただきたいんですけれども、「法律の基本的考え方や、土壌汚染への対応として通常は盛土・舗装等の摂取経路を遮断する対策で十分である」というふうに書いてあるんですね、「通常は」「十分である」。これは、通常はという言葉がついているというのは、要するに食の安心、安全は盛り土とか舗装では担保できませんよということを私は言外に意味しているのであろうというふうに思います。実際に、それは今までの国会答弁の中でも確認をされているわけでございます。

 最後に、ここは大臣に答弁を求めるところではなくて、農水省が、東京都から十分に対策をとってくるものと考えているよというふうに御答弁があったので、それでは最後に一つ聞かせていただきたいと思います。

 東京都の専門家会議の中においては、専門家会議の座長が液状化の問題についてどうおっしゃっているかというと、液状化の調査は今回の土壌調査の項目の中には入っていない、「これらは別途行う必要があるし、今現在、ある一定のボーリングの中での計算は可能だと思う。可能であるが、それを詳細にやるためには、改めての調査が必要ではないかと思う。」というふうに専門家会議の中で発言をしていらっしゃる。

 液状化の調査については現在東京都はやっていない、しかし必要だろうというふうに専門家会議で発言をしているということについて、農水省として御存じかということをお聞きいたします。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都が開催している専門家会議でございますが、私どもは、つまびらかには承知しておりません。

 ただ、私どもが調べましたところ、第五回の専門家会議の後で傍聴者との意見交換を持たれたようでございます。その場で、座長から、今回の調査には、環境サイドの調査であり、土壌の濃度や地下水の濃度を調べることがすべてになっている、液状化の調査は入っていない、これらは別途行う必要がある旨の発言があったということでございます。

 それに続きまして、東京都の事務局から御発言がまたあったようでございます。これは、概要、液状化については平成十八年に基本的な調査を実施した、それで、それを受けて、液状化対策を含めた地震対策については、東京都の統一的な基準に則して液状化や側方流動が起こらないように考えている旨の発言をされたと承知しております。

川内分科員 今農水省が、東京都がちゃんとやっていますよというようなことをおっしゃられたんですけれども、大臣、覚えておいていただきたいんですけれども、液状化対策というのは、建物が倒壊しないように建物の基礎をきちんとしますよということを液状化対策と通常呼ぶのであって、地震が起きれば埋立地においては土壌が流動化して、液状化して、有害物質が噴出するということをとめるすべは実はないんですよ。だから、液状化対策をやっているというのは、実は建物を倒れないようにしますというだけの話であって、有害物質が噴出しないようにするという話とはまたこれは全然違う。有害物質が噴出しないように……

前田主査代理 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

川内分科員 いや、笠さんのときは、委員長、ずっとやらせて、おれのときだけしゃべらせないというのはおかしいんじゃないの。

 噴出しないようにするのとはまた違う問題なので、そこは環境大臣としてしっかり押さえておいていただきたいと思いますし、農水省も、これは食の安心、安全にかかわる重大な問題ですから、しっかりと東京都の対策を指導していただきたいというふうに思います。

 また今後も議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより外務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。高村外務大臣。

高村国務大臣 平成十八年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は九千三百二十九億二千百二十万円余でありまして、支出済み歳出額は八千五百十億五千五百三十二万円余、翌年度繰越額は七百九億六千三百七万円余、不用額は百九億二百八十万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千七百二億六千五百六十三万円、前年度繰越額五百八十七億千六百三十三万円余、予備費使用額三十九億三千九百二十三万円余であります。

 以上、平成十八年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十八年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項の結果一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたもので、大使館の現地職員が、小切手の作成等の事務に従事中、小切手用紙を窃取して、資金前渡官吏の署名を偽造した小切手を作成し、これを現金化するなどして前渡資金を領得したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、帰国費貸付金債権の管理に関するものであります。

 帰国費貸付金債権の管理に当たり、債権回収の具体的な実施方法を明確に定めていなかったことなどのため、外務省において、延滞債権に対する督促等が的確に行われていなかったり、時効中断に十分取り組んでいなかったり、回収すべき債権と回収の見込みのない債権を混在させたまま管理が長期にわたっていたりしていて、債権管理が適切なものとなっていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、外務省では、十九年九月に債権の回収の具体的な実施方法を明確に定めて的確な督促等を行うなどの処置を講じたものであります。

 なお、以上のほか、平成十五年度決算検査報告に在外公館における出納事務の執行について是正改善の処置を求めた事項を掲記いたしておりますが、その結果についても掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

前田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。高村外務大臣。

高村国務大臣 会計検査院の検査の結果、在外公館の会計経理について指摘を受けたことはまことに遺憾であります。

 当省としては、このような不正行為のないよう、在外公館に対し注意喚起を行い、改めて会計手続の厳守及び館内におけるチェックについて、職員に対する指導の徹底を図る等の措置を講じてきております。

 今後とも、これらの措置を着実に実施し、不正の再発防止に努めてまいる所存でございます。

前田主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薗浦健太郎君。

薗浦分科員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 大臣、政務官、お忙しい中、きょうはありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、主に国連の分担金のお話と、それからODA改革についてお話を伺おうと思っておるんですが、その前に、チベットとオリンピックの話を少し大臣に認識をお伺いしたいと思うんです。

 チベット問題というのは、中国当局は内政問題だということで、趣旨は向こう側は一貫しているわけですけれども、我々から見たら、これは人権問題という側面が大きいわけでございまして、人権問題ということは、ある意味国際的に取り組まなきゃならない問題だというふうに私自身は考えておりますけれども、まず、この問題に対する大臣の御認識をお伺いできますでしょうか。

高村国務大臣 チベットの地位の問題というのは、これは内政問題だというふうに認識をしております。ただ、その中で起こるもろもろのことは人権問題になり得るわけで、まさに人権問題として国際社会が注目をしている、こういうことであります。日本を含む国際社会が、人権問題もあるのではないか、こういうことで注目をしているわけであります。

 ダライ・ラマ十四世の側が言うことと中国政府が言うことと、事実関係が必ずしも同じでないわけですね。だからこそ、日本政府としては、中国側にもっと透明性を増してもらいたい、こういうことを言い続けているわけであります。事案の概要が国際社会にわかるようにしなさい、わかるようにならないと、どうしても、強い側が言っているのがおかしいのではないか、そう思うのはある意味で当然のことでありますから、透明性を増してくださいと。それと同時に、ダライ・ラマ十四世の側と条件をつけずに話し合いをしてみたらどうですかということを申し上げている、こういうことでございます。

薗浦分科員 今大臣から御認識を伺いましたけれども、やはり軍事費の話にしても大変透明性が薄い国というのは、我々も認識をせねばならぬことでございます。

 今のチベットの話で、世界各国で例の聖火リレーというもので大変混乱が起こっているというふうに仄聞をしております。今度日本にやってきますけれども、彼らにくっついて、例の青い服を着た聖火防衛隊なるものが一緒に横を走っていますけれども、一部には、あれが武装警察の警察員だというような話も出ています。これをもし我が国が受け入れるということになれば、我が国の主権はどうなるんだという話になろうかと思いますけれども、大臣は、あの聖火防衛隊というのは、我が国の聖火リレーにおいては受け入れるお考えなのか、もしくは、主権国家ですから、我が国の警察できちっとやるべきだというふうなお考えなのか、それもちょっと御確認をさせていただければと思います。

高村国務大臣 通告していただければ、もう少し正確にお答えすることができたわけでありますが、私の認識として、今、聖火防衛隊というのが何者であるかということがはっきりわからないわけであります。はっきりわからないんです。だから、あれがどういう形で走りたいと言っているのか、言っていないかということも、ちょっと正確にはよくわからないわけでありますが、日本の警備は主権国家日本の中できっちりやるのが基本であるということは、それはそのとおりでございます。

薗浦分科員 日本でやるというお言葉を伺いまして、大変安心をしました。

 これもちょっと通告から外れているといったら外れているので、もしなければあれなんですけれども、ヨーロッパの方で今、オリンピックの開会式をボイコットするとか、出ないとかという話が一部出ていますけれども、そもそも、我が国に、中国オリンピック委員会もしくは中国政府から、オリンピックの開会式への招待状みたいなものは既に来ているんでしょうか。それは政府委員でもいいので、どなたか、わかればお答えをいただきたいと思います。

小原政府参考人 御質問でございます個別具体的な政府要人に対する招待状ということでいえば、私、それはつまびらかにしておりませんが、いずれにいたしましても、開会式を含めまして、日本政府の要人の出席につきましては、これはまさに諸般の事情を総合的に考慮しまして検討するということでございますので、今の時点で、日本政府としてだれが出席するということを決めているわけではないと承知しております。

薗浦分科員 いやいや、だれが出席するというのはこれからの判断だというのはわかっているんですけれども、要は、僕が聞いているのは、招待状が来ているんですかということをお伺いしているんです。

 つまり、招待もないのに押しかけていくというレベルの話じゃないと思うんですけれども、招待状は来ているんですか。

小原政府参考人 招待状と委員のおっしゃられるものでございますが、いわゆる口頭でもって、要するにオリンピックへの出席ということについては、これはいろいろな形で話はございますが、正式の招待状というようなことにつきましては、私、この場で確認できませんので、後ほどまた改めて御答弁いたしたいと思います。

薗浦分科員 これから先、大臣が御判断なさることなので余りあれですが、ぜひ、いろいろな意味で、チベットの問題だ、またデモも起こっていまして、中国に行ったら危ないので行くのをやめるなんという世論調査の結果が多いという話も聞いていますので、大臣には、ちょっとその辺は大変慎重に御判断をいただければなというふうに思っていますので、一言、何かお聞かせをいただきたいと思います。

高村国務大臣 基本的には、日本政府とすれば、北京オリンピックは成功してもらいたい、こういうふうに思っております。

 そういうことでありますから、私たちとすれば、こうした方が成功するのに資するのではないですかということを中国側にいろいろ申し上げているところでございます。

 とりあえず、そういうことです。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 ちょっと脱線が過ぎたので、そろそろ本題に移りたいと思うんですが、まず、国連の分担金についてお伺いをしたいと思います。

 〇六年までは二〇%近い分担金を我が国が負担しておったわけですけれども、〇七年からは、一六・六%ぐらいですか、少し分担率が減りました。ただ、いわゆる国民の大変な高い税金を国連に対して我が国が分担していることは紛れもない事実であります。

 そんな中で、我が国の立場が国連の中でどうなのかというものを考えたときに、死文化をしているという話もありますけれども、あの組織にはいわゆる旧敵国条項というものがいまだに残っています。これは死文化したとはいえ、批准の手続を各国でずっとやって、総会まで開いてやらなきゃならないというふうには伺っておるんですけれども、この削除の具体的な見通しというものは今立っているのかということをまずお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 次に国連憲章が改正されるときはこれは削除されるということにほとんどの国のコンセンサスが得られている、こういうふうに思います。

 国連憲章を改正するというのは、まだ一度も改正されたことがないわけですね。ですから、余りこの問題だけを、敵国条項を削除せよということだけ強く言うと、何だ、日本は、常任理事国に入りたい、国連改革をするんだといっても、落としどころはそこだけでいいんだと誤解されちゃうおそれがありますので、我々が初めて国連憲章を改正するときは、そのことはもちろん、もっと大きな改革をなし遂げるというときに、最初の国連憲章の改正に結びつけたい、こういうふうに思っております。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 今、図らずも大臣から安保理改革のお話を伺いましたけれども、たしか五十一カ国でスタートした国連という組織は、今もう百九十カ国を超えました。そんな中で、安全保障理事会というものの構成国が、最初は五十一カ国の中で十一カ国もあった。率にして五分の一以上。今、百九十カ国にもなったにもかかわらず、非常任も含めて十五カ国ですか、大変率が少ないという意味では、やはり安全保障理事会というもののあり方も考えていただかなければならないし、我が国がそれに継続的に取り組んでおられることも承知をしております。

 さて、では具体的に安保理改革が今どういう状況にあって、我が国がどこと組んでどういう話をして、そこから先、いわゆるタイムスケジュールも含めてどういう見通しを持っておられるのか。金を払ったから言うことを聞けという話じゃないですけれども、いわゆる税金を納めている側からすれば、一体何だよとも思われかねないと思いますので、その辺の見通しを今具体的にお持ちであれば、これはいろいろ駆け引きもありますので、しゃべれる範囲内で結構ですので、お教えを願いたいと思います。

高村国務大臣 先ほどの答弁の訂正をすべきところがありますので、ちょっと訂正をさせていただきます。

 国連発足以来、国連の主要機関の構成国数拡大に伴う改正以外では国連憲章が改正されたことがない。全くないわけではないということで、ちょっと訂正をさせていただきます。

 それから、安保理改革の点でありますが、国際社会が二十一世紀の課題に効果的に対処する上で、安保理を改革することは、引き続き国際社会の喫緊の課題であり、安保理改革実現に向けた試みは続いているわけであります。

 我が国としては、引き続き、安保理改革の早期実現及び常任理事国入りを目指す考えであり、G4各国を含む主要国を初め、各国と検討を進めるとともに、国連での議論にも積極的に参加していく考えであります。

 今、今国連総会中にも、何か動くところがあれば動かそうと一生懸命やっているところでございますので、とりあえずそれだけ申し上げておきたいと思います。

薗浦分科員 引き続き、それは頑張っていただきたいし、できるだけ早くというふうに僕らも願っております。

 一方、国連の職員の話でございますけれども、近年というか、もうこれは長くやっているんでしょうけれども、例えば、国際標準を決めるような委員会ですとか、いわゆるそういった世界に影響が多い委員会に、例えば中国であるとかいろいろな国が組織的に国連の職員をふやして、人を送り込んで影響力を強める。もちろん、国連ですから各国共通の利害のために動くとはいいながらも、やはり出身国というものの影響力は否めないというふうに思うんです。

 やはり我が国も、国連にもっと、職員に受からなきゃどうしようもないんですけれども、人を養成して、それで国連の職員に日本人をもっと送り込んで、いわゆる国連の中での、事務局の中での発言力を強めるような作業というものがこれから必要だというふうに私は思っておるんですけれども、そのようなことに対して何か今外務省で考えていらっしゃる、もしくはお考えはございますでしょうか。

宇野大臣政務官 現在、国連機関で働いている専門職以上の邦人職員について、まず少しお話をさせていただきます。

 平成十九年の一月時点ということで、大変古いのでございますが、六百七十六名であります。平成十四年の五百二十一名から、五年間で約三割増加をしておるという状況であります。これは、日本政府、国際機関双方の努力と、特に若手を中心とする人材のすそ野の広がりがかみ合ってきた結果だと承知しております。

 さらに、従来より外務省では、国際機関における邦人職員増強の重要性を認識しておりまして、将来国際機関での勤務を希望する三十五歳以下の若手邦人を対象に、我が国の費用負担で国際機関に派遣するという、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらうジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPOという制度でありますが、等の派遣制度を実施してきております。

 このような制度によりますこれまでの国際機関への邦人職員の派遣人数は、本制度が始まった昭和四十九年から平成十七年までの累計で、千二百二十三名であります。平成二十年度の予算につきましては十二億一千万円、新規派遣予定人数は四十二名となっております。

 なお、諸外国においての状況でありますが、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン等が、我が国と同様に政府の費用負担で自国民を国際機関に派遣する制度を有しているものと承知しております。

 いずれにいたしましても、今後も、こうした派遣制度を初め、国際機関就職に係る各種情報の周知、広報等必要な支援措置を積極的に行ってまいる所存でございます。

薗浦分科員 宇野先生、ありがとうございました。

 そういうものに使われるお金というのは、これからも、余りふやすというのも限られた予算の中ですから難しいでしょうけれども、だれもそれは無駄とは思わないお金だと思いますので、ぜひこれからも引き続きやっていただきたいというふうに思います。

 次に、ODA改革についてお話を少しお伺いしたいと思います。

 去年、自民党総合政策研究所というところで中国に参りました。大連、北京といろいろな都市を回ってきたんですが、その中で、内陸部の銀川という都市に伺いました。そこで何をやっているかというと、ODAで技術協力をして、植林、いわゆる緑化事業というものをやっていまして、貯水池をつくってかんがい設備をつくるのは円借でやっている。植林の木を提供するのも円借でやっている。

 大分きれいになっていて、木も大きくなりかけているんですが、そこに行ったときに、記念館みたいなのがあったんです、要は植林記念館。そこの植林記念館の中に一歩入ると、トウショウヘイさんとか江沢民さんとか、要は中国の主席経験者の肖像が四人並んでいる。ジャパンのJの字がどこにもない。これは円借款でやっているんじゃないですか、この建物は何ですかと聞いたら、かんがいと植林は日本のお金でやりましたけれどもこの建物は中国のお金で建てましたから日本の字はありませんというのが彼らの答えでした。

 それは、木の一本一本に日本と書けとは言いませんけれども、円借款でやったというのをどこかわかるようなものにしてくれないと現地の人たちはわからないじゃないかという話をしましたら、外の貯水池にその記念プレートがあるので見に行きましょうと言うので、バスでえっちらおっちら出かけていきました。貯水池に行くと、プレートがない、どこを見ても見えない。プレートはどこにあるんですか、今は貯水池に水をためているので水没しています、水の中で見えませんということを言われました。したがって、周辺の人たちは、あそこの地域を歩いただけではその事業が円借款でやったというものがだれもわからない。それで、抗議をしたら、一カ月ぐらいたって写真が届いて、今度は貯水池の上の方に、円借款でやった事業ですよというのをどかんと出してくれたんですけれども。

 僕は何を言いたいかというと、いわゆる国民の税金を使って外国にこういうことをやったときに、さもその国が、自分のお金でやったとは言いませんけれども、日本がやったことが全然わからないような状況であれば、いわゆるODAの意味が余りない、ある面においてはODAの意義がないというふうに思っているんです。

 そういったいわゆるチェック、ODAはここできちっとやっていまして、現地の人たちが見たらこれは日本の支援だよというのがわかりますよというようなものをきちんとチェックする必要があるかと思うんですけれども、そのチェック体制というのは、今どこがやっていて、最終的にどこが責任を持って、大臣のところにはどういう形の報告が上がってきているのかというのを、どなたかお伺いできる方にまずお伺いしたいんですが、いかがでございましょうか。

小田政府参考人 日本の援助でつくりましたプロジェクトに例えば日章旗とかODAマークをつける、あるいは石碑等を立てていただく、こういったことは、基本的に、多分、大使館とかあるいはJICA、JBICの駐在事務所とか、現地の方でいろいろお願いをしているのではないかと思います。

 今確たる資料があるわけではありませんけれども、やはり現地サイドでの働きかけということが中心かなと思っております。

薗浦分科員 今、働きかけという言葉がありましたけれども、これはやはりきちっとやるべきだと僕は思います。

 ぜひこれから、働きかけというレベルだけではなくて、周辺の人たちがこれは日本のいわゆる国民の税金でできたんですよということがわかるような措置をきちっとするべきだと思うんですけれども、お考えはいかがですか。

高村国務大臣 やはりODAというのは、日本国の国民の税金でやる、相手国民に喜んでもらう、喜んでもらったそのことが我が国の援助でできたということも知ってもらう、その結果、我が国の外交を展開する上にも役に立つ、そのことがまた日本国民によく知られる、そういうことで、ODAの理解が得られて、いい循環になっていくわけであります。ですから、基本的に、どこの国でも、その国の国民に知らせる努力というのは日本国政府自体でしていかなければいけない、相手国に要求していかなければいけない。

 私自身のことで言うと、十年ぐらい前かな、私が外務政務次官だったとき、中国に行って、余り知られていないということに気がつきましたので、そのとき以来ずっと努力をして、会うたびに言っていると言うとちょっと、私はしょっちゅう会うからそのことに触れないこともありますけれども、かなりの頻度で触れております、もっと知らせてくださいよと。私は、感謝しろとは言わないから、知らせることだけはしてくれ、こういうことはいつも言っているわけであります。

 ただ、なかなかこれは難しいのは、例えば、私が大学生ぐらいのときに、新幹線というのは世界銀行の援助でできたんだけれども、日本人の普通の人、私自身を含めて、ほとんど知らなかったんですね。余り知らないんですよ。だけれども、今、十年前と比べれば、それはもう段違いに知らせる努力をし、中国側もそれなりに、中国にかかわらず世界各国ともそれなりに努力をしてくれていると思っております。

 ただ、まだまだ不十分なところはありますから、また気がついたら御指摘をよろしくお願いいたします。

薗浦分科員 大臣、御努力に敬意を表しますが、さっきもおっしゃっていただいたように、現地の大使館が最終的にチェックをして確認をするのか、いわゆる間に入っているJICAなりJBICさんが確認をして責任を持つのかというところが非常にあいまいなところに一つ問題が潜んでいるような気もしますので、それは大臣のリーダーシップで、最終的にはここが責任を持つというのをお決めいただいて、これから進めていただければ、これは要望ですので、ぜひお願いしたいと思います。

高村国務大臣 基本的に共同責任だと思います。それができていなかったら両方が責任を感じる。共同責任は無責任じゃなくて、共同責任はあくまで共同の責任だ、こういうことでやってもらいたいと思っています。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 今、ODA改革というので、すごい予算が限られているので、アフリカの小学校をつくるときに、現地を入れて単価を下げようじゃないかという努力を始めたやに伺っております。

 それで、おととしぐらいからたしか始められたと思うんですけれども、具体的に、これをやったやらないでこのぐらいのコストが削減できましたという数字は、今示せるものがおありになりますか。もしあれば教えていただきたいと思います。

宇野大臣政務官 今お話しのコミュニティー開発支援無償という制度がございます。これは途上国におけるコミュニティーの総合的能力開発の支援を目的とするとともに、現地仕様の設計、施工段階における現地業者の活用によるコスト削減を目指して平成十八年度から入れられた制度でございます。

 具体的に、平成十九年二月に公表いたしました「ODAの点検と改善 二〇〇六」において、学校建設案件について、平成十九年度から平成二十三年度までの五年間の平均で三〇%以上のコスト縮減を目指すとしたところであります。ちなみに、平成十九年度の学校建設案件においては、このコスト縮減目標を達成できる見込みでございます。

 以上です。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 これは別に我が国の体制を批判するわけじゃないんですけれども、よく聞くのが、一番もうけているのは日本の業者とコンサルじゃないかというような話も伺いまして、三〇%以上削減できるということは、逆に言えば、やはり何か今まで問題があった、問題があったというとちょっと語弊があるからやめますが。

 このコスト削減をぜひ各地で、アフリカの小学校だけじゃなくて、今年度達成できそうだというのであれば、例えばアフリカだけじゃなくて南米ですとか、いわゆる人件費が安い国でこういうことをやれば、現地の業者も喜びますし、我が国としてもコスト削減ができるということで、例えば、では五年間でこれをやってみて、うまくいったらその先やろうじゃなくて、ことし、来年、ある程度できそうだということがあれば、前倒しをして世界各国にこの体制を広げるべきだと思うんですけれども、その辺のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

宇野大臣政務官 各地にということでありますが、平成十九年度においては十件以上の案件の実施を目指すということを先ほどの「点検と改善」において言っていたわけでありますが、同年度、十九年度においては目標案件数を上回る十二件の実施決定を行いました。この内訳は、アフリカ地域八件、アジア地域二件、中南米地域二件となっております。

 このコミュニティー開発支援無償資金協力につきましては、人命や安全な生活への脅威に直面するコミュニティーの総合的能力開発を必要とするアフリカの案件が多いのは事実でありますが、引き続き、他の地域の援助についてもこたえていくつもりでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 もうそろそろ時間なので、最後に一つだけ、ちょっと大使館の話をお伺いしたいんです。

 日本は世界第二位の経済大国だと言われておりますけれども、その経済力に比べて、同程度の国に対して大使館が非常に少ないのではないかという認識があります。今、大体百二十そこそこの大使館で日本はやっておるわけですけれども、ほかのいわゆる大国と言われる、先進国という国を見たときに、百五十内外の大使館を備えているというのが一般的だというふうに伺っております。

 これはお金がかかる話なので、大概、簡単にはなかなかいかないんでしょうけれども、いわゆる大使館をふやしていくための設置計画と、それから今後の、例えばどこまで目指すのかというものについて、大臣からちょっと一言お伺いできればと思います。

宇野大臣政務官 委員の御提案の強化でございますが、自民党の中に外交力強化に関する特命委員会というのがございまして、問題意識を大変大きく立てていただいております。今後十年間で百五十大使館体制を目指すべきという提言をいただいておりまして、これに合わせまして、私どもは、今年度、平成二十年度には七公館の新設をし、昨年度には六公館の新設をしたということで、何とか十年間で百五十にしていきたいという思いでございます。

薗浦分科員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ百五十を目指してやっていただきたいですし、それに合わせて、現地の大使館で働く人材の育成というものも大事になってこようかと思いますので、そのことも最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

前田主査代理 これにて薗浦健太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松分科員 民主党の末松でございます。

 きょうは、きょうもと言えばいいんですかね、高村外務大臣に、ミャンマーの民主化についてお話をさせていただければと思っております。

 まず、日本人ジャーナリストの長井さんが射殺されたということで、この前、四月十一日の外務委員会で、私の方から長井さんの事件に言及しまして、まず提案として、中国ルートといいますか、中国にも協力をお願いして、そしてこの解決ということを図ればいいのではなかろうかというふうに提案をいたしました。大臣の方から、二国間の話なので、中国は、そこは今のところ考えていないというお話でもございました。

 と同時に、この長井さんの問題については確かに何の成果も得られていないということは大臣お認めになったわけでございます。

 その後検討をされて、中国を活用するというこの提案についてどういうふうなことを検討されましたか。ぜひお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 外交について見識のある貴委員の御示唆でありますから、我々も検討いたしましたが、やはりこれは二国間で解決すべき問題であるという結論に至りましたので、そのことを申し上げておきます。

末松分科員 私も別に自分の見解が受け入れられないからといってどうこうという話ではないんですけれども、全く成果が得られていないという話であれば、いろいろな手を使うというのが外交ということじゃないかなと思うんですね。

 ですから、これはもう二国間しか使わないという話はちょっと、何らかの成果を上げておられる大臣であれば、それは頑張ってくださいという話なんですが、努力はしても成果がないということは、そこは打つ手を何か考えているのか、ちょっと疑問に思うんです。ただ二国間でやって、らちが明きません、外務省の職員を派遣しました、いろいろな方に言っていますという話なんですけれども、そこは全くなくて、中国は一切使いませんよという、そこはどうなんですかね。私は、そんなにかたくなになる必要はないのかなと改めて思うんですけれども。

高村国務大臣 かたくなになっているわけではありません。ミャンマーとの間では一応日本政府との間の話し合いが続いている状況で、これを中国に頼む、アメリカに頼む、どこに頼むという話では必ずしもないんだろうと思います。

 中国の方が日本よりミャンマーに対して影響力があるかどうかということも必ずしも定かではない。仮に中国の方が影響力があるとすれば、それは、日本と比べて中国の方がミャンマーの民主化に対して厳しくない、人権に対して厳しくない、そういうことゆえに中国の方が影響があるとしたら、その国に対してこの問題を頼むのが本当にいいのかどうかということも総合的に考慮して、この二国間の問題で、日本とミャンマー政府の話が断絶になっていない以上は日本国がやる、その中で、日本国が、あらゆることをやりますけれども、今中国に頼むのがいいとは、私は全体的なバランスの中で、考えていないということを申し上げているわけであります。

末松分科員 中国が民主化に対して日本よりも厳しくない、そういう国に頼むことが果たして適当かというお話が今ございました。

 ということであれば、私はこの前ガンバリさんと二度ほど会ってお話をしたんですよ。そのときにガンバリさんに聞いたんです、長井さんの事件で、ガンバリさん、何とかできませんかと。私ども民主党、あれは超党派でしたね、自民党さんもいましたか、ほかの党の方もおられましたけれども、そこで言ったら、ガンバリさんから意外なことが出てきたんですね。長井さんの件では日本政府から一切頼まれていませんというお話だったんです。ガンバリさんの方は、基本的には、中国とは違って、民主化に対しても非常に熱心にやられている方ですよね、日本政府が応援しているように。どうしてその方にも頼まないんですか。

 二国間だけで、それは話が進んでいればいいけれども、聞くと、進んでいないじゃないですか。そういったのはガンバリさんにも言ってもらえばいいんじゃないですか。

宇野大臣政務官 ガンバリ特別顧問についても、私も会談をさせていただきましたが、長井さん殺害事件につきましては、先方の関係もございますので、この場で詳細についてはお話をするのは差し控えさせていただきたいと思っております。

末松分科員 何か話したんですか、全く話していないの、僕はそこが聞きたいんだけれども。

 つまり、ガンバリさんは話を聞いていないと言っていた。そこははっきりしているんだ。

高村国務大臣 日本政府は、ガンバリさんの努力を全面的に支援するという立場であります。でありますから、ガンバリさんが対外的にそう言っているのに、日本政府がそれは間違いだとか何だとか言うのは正しいか正しくないかわかりませんが、ガンバリさんは、長井さんの件でミャンマー政府にきちっと伝えるということを言ってくれたということもあります。私は、ガンバリさんがうそをついたとか何だとか言うつもりは毛頭ありません。今ガンバリさんを全面的に支援しようということでありますから、要するに、ガンバリさんを支援している中で、そこは違いますよとか、そうですよとかいうことを日本政府が余り言うことは正しくないというのは委員もよくおわかりだろうと思うんです。

 日本政府がガンバリさんとの話し合いの中で、長井さんのことについて何にも話していないということはありません。

末松分科員 では、何らかの形でそこはお願いしたと解釈、それは詳細は私も聞きませんけれども、そこは何らかの形で伝えているということは今外務大臣から言われたということでよろしいんですね。

 そうしたら、今度また、私ども、ガンバリさんと話をして、そこのところを詳細に聞いてみたいと思います。(高村国務大臣「そういうことをするのが、ガンバリさんを日本政府が支えていることの邪魔になるんですよ」と呼ぶ)ちょっと不規則発言はやめてください。答弁として。

前田主査代理 発言は挙手の上でお願い申し上げます。高村外務大臣。

高村国務大臣 ガンバリさんの努力を全面的に支援しているんですよ、民主化努力を。全面的に応援しているんです。だから、ガンバリさんがどういうつもりでそういうことをおっしゃったか、そこを私に詳しく聞かなくてガンバリさんに詳しく言うということは、決してそれは外交的にいいことではないので、特に委員のように外交の見識のある方、経験のある方には、そこはよく考えていただきたいと思います。そのことだけ申し上げておきます。

末松分科員 私どもも、ミャンマー民主化のための議員連盟で正式にやって話をしているんです。ガンバリさん自身も国会議員との会合をしたいとおっしゃったから私どももやっているんですよ。別にそこがガンバリさんの努力を台なしにしているわけでは全くないし、私たちも支援しているんです。まさしく会長は大島理森自民党の国対委員長ですよね。そこはきちんとされておられるわけですよ。

 そういった意味で、ガンバリさんからそういうふうな話を聞いたから、これは意外だなと思って今ただしているわけですよ。だから、そこが外交的にマイナスになるとかなんとか、そういう次元の話ではないでしょう。それで、私たち議連も今度はきちんと、またガンバリさんに会ってお話をしてみますという形を言っているわけですよ。別に何も政府の外交を損なっているとは、そこに小原参事官も、同期がおられますけれども、私も、多少外交をかじった者として、そこはマイナスになるとは考えておりません。

 では、先に進みますけれども、この一枚紙、新聞の報道、日本経済新聞の四月十三日付の「風見鶏」という記事があって、「ビルマ版六カ国協議を」というふうに書いている中で、これは1と書いてあるところなんですけれども、「米国による北朝鮮資金の凍結は効いた。凍結を解除すると、北朝鮮はいったん協議に戻った。不十分だが共同声明もできた。が、風がやむと、怠け始める。 ビルマに対しても、米、オーストラリア、カナダは既に特定対象人物・法人の取引を停止する金融措置をとっている。北朝鮮に効いたこの措置に日本も加われば効き目は増す。」

 こういうことで、これはターゲットサンクションと言われていますけれども、基本的に、多分軍政のトップの方々の本人とか家族とか、銀行口座とかそういったことに対してどうこう、北朝鮮でやったのと同じような形でミャンマーに対してもやっている。そういうことをしないとミャンマーの方は何も聞いてくれないんじゃないか。

 私は、ミャンマーの民主化に対してどうこう、このターゲットサンクションをやると言っているわけじゃなくて、長井さんの事件の解決についてはそういったことを、いわゆる北風といいますか、対話と圧力の中で、圧力も使うというのも一つの方策だと僕は思っているんですけれども、大臣の所見をお伺いします。

高村国務大臣 前から述べておりますように、長井健司さんが亡くなられたことは極めて遺憾であります。

 政府としては、これまでも、ミャンマー政府に対し強く抗議をするとともに、両国の専門家を含めた会合を設けるなど、事件の真相究明及びすべての遺留品の返還を強く求めているところでございます。本件事件につきまして、ミャンマー側は、非常に遺憾な出来事であった旨表明しておりますが、事件の真相についてはいまだ両国間で事実認識に相違があります。政府としては、引き続きミャンマー政府に対して粘り強く働きかけることで前向きな動きを促してまいります。

末松分科員 そこは役人の書いた答弁なんでしょうけれども、そこで実際に効果が上がっていないということなので、いろいろな知恵をめぐらされているんじゃないでしょうかというふうに私は考えたいし、こういうふうな案はいかがですかというふうにまた提示もしているわけですよ。それについて、だからこのターゲットサンクション、いかがですか、そこのところは。高村外務大臣のお考えがあればお願いします。

高村国務大臣 現時点でターゲットサンクションをやるつもりはございません。

 ただ、日本政府は、今までも人道案件に絞ったODAしかやってこなかったところを、より厳しくして、直接ミャンマー国民が裨益すること以外には人道支援としてでもやらない、このように絞り込んでいる。これについては、例えばミャンマーに対して非常に厳しい態度をとっているアメリカなども評価しているというのは、それは事実でございます。

末松分科員 とにかく、日本人が殺害されたということなんで、ぜひ、対話と圧力の中で、ここはいい方向に、事態が進展するような形で何とかいろいろなことをやっていただきたいと思いますよ。これまた、私も引き続きこの点について質問しますけれども、やはり、現在までのところは何ら目立った効果はございませんという言葉は余り聞きたくないので、もう事件から半年以上もたっているわけですから、そこはぜひ。また再びこれを質問させていただくということで、別の質問に切りかえたいと思います。

 次に、ミャンマー民主化問題に関してなんですけれども、これは、今回サミットでテーマとして取り上げるような、そういう意思はございますでしょうか。

高村国務大臣 G8北海道洞爺湖サミットにおきましては、政治問題に関しいかなる議論が行われるかは、直前の政治状況を見て判断することになりますので、現時点で予断をすることは差し控えたいと思います。

 政府としては、引き続き、ミャンマーの民主化につき関心を持つ国々と、さまざまな機会をとらえ、議論していく考えでございます。

 ミャンマーの民主化についてサミットで取り上げられる可能性は十分あると思っています。ただ、問題の大きさからいって、北朝鮮の問題なんかに比べれば、それは北朝鮮の問題の方がはるかに大きい問題で、サミットの中でそれぞれの首脳がどういう判断でどういう順で取り上げるのか、こういうことである、こういうふうに思っております。

末松分科員 日本が積極的に取り上げなくても、もしほかの国で、やろう、この問題もテーマに挙げようと、それよりもチベットの問題とか、いろいろな問題も出てきていますけれども、確かに、拉致の問題を含めて北朝鮮の問題、核の問題、ミサイルの問題、これの方が、大臣が言われるようにプライオリティーが高いというのは、そこは私も日本の議員としてそうだと思いますよ。ですが、国際的にこういう形で取り上げようじゃないかといったときに、日本政府がそれはやめようという話をしないようにしていただきたいというのは、多分しないとは思いますけれども、そこはぜひお願いします。

 二番目に、さらにこの報道で2と書いてあるところなんですけれども、伊奈さんという記者が書いています。「したがって民主化への圧力装置となるビルマ版六カ国協議を開くよう説けば、中国は拒みにくい。参加国は英語名のABC順にビルマ、中国、インド、日本、タイ、米国などとなる。」この六カ国協議という話、何となくイメージ的にわかりやすいので、この方は六カ国協議という話を提案しているんですけれども。

 ガンバリさんの提案も詳しく聞かせていただきました。一応、ビルマ、ミャンマー政府から拒否はされましたけれども、枢要な国数カ国で、その数カ国の中でかなりミャンマー民主化をやっていこうじゃないか、こういう話がございましたけれども、この数カ国の、キーカントリーというんですか、そこでミャンマーの民主化問題をやっていこうという構想、これについていかが思われますか。

高村国務大臣 現在、ガンバリ国連事務総長特別顧問がミャンマーの民主化に向け努力をしており、我が国を含め、ミャンマー問題に関心を持つさまざまな国がさまざまな機会をとらえ、ミャンマーの民主化に議論を行っているところでございます。ガンバリ顧問の努力の一環として、国連事務総長のフレンズグループ会合がこれまで三回開催されており、我が国も参加してきております。

 他方、これとは別に新たな協議の場を設けていくことについては、国連や関係国との議論の中で検討されていくべきものと考えております。現時点では、国際社会が一致してガンバリ顧問を支援していくことが重要であり、我が国としても、ガンバリ顧問の努力を全面的に支援していきたいと思います。

 ガンバリ顧問の話もいろいろ聞いておりますし、いろいろな、関連国としてどんな国とかいうような話も出ていますが、この新聞に出ている六カ国みたいな国にはなかなかならない、できたとしてもなかなかならないのではないかなという感じはしております。

末松分科員 今非常に慎重な対応を聞きましたが、ガンバリさんが言われるような、そういったことを日本政府として支援をしていくという話ですから、彼の構想に乗っていくということが一つの方策だろうとは私も思いますよ。

 だから、別に新たなという話じゃないんですが、そういうメーンなところに、日本としてはやはり、アジアの主要国の一つなんですから、そこはぜひ積極的に関与していって、民主化ということについて、我が国としても、そういった人権という価値あるいは民主的という価値、それに基づいた外交を日本として従来からしてきているということをさらに一歩進めていただきたいと思うし、ここでデモンストレートしていただきたいと思うんです。そういう中で、ぜひ、引き続きガンバリさんを応援していくということをまずお願いしたいと思います。

 次に、そういいながら、実はミャンマーの憲法草案を見たら私は非常に失望するわけですし、この前の外務委員会で大臣ともいろいろとお話をさせていただいたわけですね。大臣は、日本国憲法よりは民主的ではないねと非常に慎重な言い回しをされておられましたけれども、ちょっと、大臣が言われたように、各民主化のグループとも話し合った形でやっていっていないという意味では非常にそこは逆行しているよねということだと思います。

 ただ、うかうかしていると、民主化グループの方は現政権からかなり弾圧を受けてきているというのも、これは国際的に周知の事実になっております。そういった方々に対しても、これはここの記事の3にもありますけれども、日本政府の立場が「民主化及び人権状況の改善を促すため、ミャンマーを孤立させるのではなく、現政権とスー・チー女史を含む民主化勢力との関係を維持し、双方に対し粘り強く働きかけていく」、これは外務省のホームページということで紹介されていますけれども、民主化勢力に対してもやはり、双方に働きかけていくと同時に、双方に対して我々として、特に弾圧をされていると言われるこの民主化グループに対しても、私どもは、やはり支援を日本政府としてもしていくべきだなと思うんですね。

 今、軍事政権の迫害で、国外に流れて、国境近辺で非常に厳しい生活を余儀なくされている方々、特に少数民族の方々含め、おられるんです。こういった方々に対して、日本政府としても、そこは直接あるいは間接、いろいろなやり方があるかと思うんですけれども、やはりそういった方々が弾圧されまくって大変な状況になっていくというのは、これは私どもは何とか支援をすべきじゃないかと思うんですが、そこについてはいかがでしょうか。

 まず、では、支援を行っているかどうか、これについて事実関係を問いましょう。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ミャンマーから周辺国に避難しました難民に対する我が国からの支援でございますが、これまで、NGOあるいは国連難民高等弁務官事務所、UNHCRでございますが、こうしたところを通じまして実施してきております。

 具体的には、例えば日本のNGOと連携をいたしました教育支援分野での無償資金協力、あるいは草の根・人間の安全保障無償資金協力を使いまして、ローカル、現地のNGOと連携をしまして教育支援を行っております。また、UNHCRを通じましては、タイそしてバングラデシュにおきます難民の保護支援、こうしたことに取り組んでいる次第でございます。

 今後も、要請内容、必要性を十分考慮した上で、どのような支援ができるか検討してまいりたいと考えております。

末松分科員 最近また、憲法問題を契機にいろいろな弾圧がかなり強化されているという話も聞きますが、ぜひこういった支援は強化していっていただきたいと思いますが、大臣から一言ございますか。

高村国務大臣 民主化勢力の支援という場合に、今の政権側に対して、民主化勢力と話し合え、それからガンバリ特使の努力を全面的にバックアップする、これ以上の民主化勢力への支援というのは私はないと思うんですよね。

 そして、まさに、前回の憲法の問題についても、私は、プロセスが大事だ、こういうことを申し上げました。だから、その制定のプロセスに民主化勢力を入れろ、意見を聞け、一緒にやれということを今の政権側に強く日本政府は言っているわけでありますから、これは両方に言っているなら民主化勢力への支援でないととられるのは、私はちょっと違うと思うんですね。政権側と民主化勢力があって、民主化勢力の意見が一方的に聞かれないでいる状況の中で、こっちを聞きなさい、両方で話し合いなさいと両方に言ったからといって、民主化勢力への支援ではないということはないので、これこそ日本政府がやっている民主化勢力支援の最たるものだと御理解をください。

末松分科員 大臣、そこはそれでお願いしたいんですよ。私は別にそこの、支援していないという話をしているわけじゃない。

 ただ、問題は、ミャンマー軍事政権がそれを聞いていないことなんです。そうですよね。憲法といったって、全く国際社会のことを聞いていないですよ。実際に日本政府がそう言っても聞いていない。何をやっているかというと、少数民族を含めた弾圧をどんどんやってきている。こういう現実に対して日本の政府はどうするんですか、そういったときに、初めて、国境に逃れている、大変な状況にある、こういった方々に対しても、裏からといいますか、国際社会の一員として、やはりそこは支援も強化していくべきではないでしょうか。

 幸いにして、今、我が同期の優秀な参事官、小原参事官が言ってくれましたけれども、ただ、これをもっと強化していっていただきたい。というのは、今現状がさらに厳しくなっているということを私も、いろいろなNGOの方とか、いろいろと聞いているんですね。あるいは日本国内のミャンマーの方々、ビルマ人の方々ですね、聞いているんです。

 そこをぜひ、一回現状も把握していただきたいと思うんですが、それはいかがですか、大臣。

高村国務大臣 政府参考人が申し上げたような支援は現実にやっておりますし、そういう問題はこれからも引き続いてやっていきたい。

 それから、現状を把握しつつ、より強化すべきであればしていく、そういうことは当然やっていきたい、こう思います。

末松分科員 質問時間もなくなりましたからこれ以上は申しませんけれども、そこはまずちょっと、現状把握のために、日本政府として、国境の周辺地域ですか、そういったところもぜひ、そこはタイ側から入るのか知りませんけれども、そういう現状を把握する努力、あるいはいろいろなNGOからも聞いているかと思いますが、そういったいろいろな幾つかのルートでぜひ現状を把握してください。

 私も、少数民族の方々を初めいろいろな、虐殺されている写真を見せられてうっときた経験がございますので、ぜひそこは日本政府にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

前田主査代理 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。渡辺金融担当大臣。

渡辺国務大臣 平成十八年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成十八年度の当初予算額は、二百十億七千百六十五万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額五億四千五百九十七万円余、前年度繰越額一億一千八百九十六万円余を増減いたしますと、平成十八年度歳出予算現額は二百六億四千四百六十四万円余でありまして、これを支出済み歳出額百八十三億九千七百二万円余に比較いたしますと、二十二億四千七百六十二万円余の差額を生じます。この差額は、成果重視事業有価証券報告書等電子開示システム開発業務庁費を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。

 以上をもちまして、平成十八年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

前田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十八年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、単身赴任している職員が出張の際、自宅に宿泊していて宿泊代の支払いを必要としていないにもかかわらず、この間の旅費として宿泊料が支給されていて、旅費が過大に支給されていたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

前田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。渡辺金融担当大臣。

渡辺国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、金融庁のとった措置について御説明申し上げます。

 会計検査院の検査の結果、不当事項として、単身赴任している一部の職員の出張に係る宿泊料の支給が過大となっていた旨の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。これにつきましては、過大に支給されていた宿泊料を全額国庫に返還させたほか、再発防止のための措置を講じましたが、今後一層事務の改善に努めたいと存じます。

前田主査代理 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、三十分ほど時間をいただきましたので、足利銀行を中心にお話をお伺いいたします。

 足利銀行につきましては、御案内のとおり、平成十五年十一月二十九日、預金保険法百二条に基づきまして破綻が認定され、一時国有化されましたが、池田頭取を初め全行員の皆さんの頑張り、あるいは県内企業、県民の皆さん、行政の皆さんの変わらぬ御支援で再生することができたということで、大変喜んではおります。しかしながら、まだまだ心配な点がございますので、御質問をさせていただきますので、大臣におかれましては簡潔な答弁をお願いいたします。

 まず、足利銀行の再生及び企業再生の問題についてであります。

 御承知のとおり、足利銀行の一時国有化に当たりましては、銀行本体の再生と関係する企業の再生を両立させるというのが大きな目的でございました。大臣は、当時、野党的立場でしたから、それはできない、こう言っていたわけでございますけれども、しかし、その点について若干今回お話をお伺いさせていただきたいと思います。

 一点目は、足利銀行の再生についてであります。

 足利銀行は本当に再生されたのか、ぜひ数字をもってお答えいただきたいと思っています。例えばでありますけれども、不良債権残高が幾らになったとか、債務超過額が幾らになったとか、あるいは自己資本比率が幾らになったとか、幾らになったから再生できたと判断するのか、そうした数字的な根拠をもって、足利銀行が本当に再生されたのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 委員御指摘のように、足利銀行池田頭取初め行員の皆さんの大変な御努力がございました。足利銀行の平均給与は日本一低いなどと言われたこともございました。それくらいに血のにじむ思いで再生に当たられたものと思います。

 不良債権残高でございますが、十九年九月期まで開示がなされております。それによりますと、十九年九月期で一千六百四十一億円でございます。不良債権比率は、五・一〇%となっております。

 当然、まだ債務超過が解消されたわけではございません。今後、受け皿に移行するに当たりまして、預金保険法による金銭贈与がなされ、受け皿において適切な資本が導入されて、これは間違いなく再生をしていくものと考えたところでございます。

福田(昭)分科員 まだ二十年三月期の決算の数値が出ておりませんから、最終的な議論はその後させていただきたいと思っておりますが、何か、今までの経過を見ておりますと、本当に足利銀行を国有化する必要があったのかどうか、非常に私は疑問に思っているところでございますので、今後、最終的な決算が出た時点でまた議論をさせていただきたいと思います。

 二点目でありますが、国立の足利銀行の貸倒引当金についてであります。

 足銀の破綻時、平成十五年の九月期に比べて幾ら貸倒引当金を積み増したのか、また、貸倒引当金の戻り益は平成十九年三月期で総額幾らになるのか、さらに、平成二十年三月期の最終的な戻り益は総額幾らになるのか、その見込み額があればお答えをいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 平成二十年三月期の分につきましては、残念ながらまだ出ておりません。

 十六年三月期における貸倒引当金が五千二百六十五億円、これは委員のお手元にも同じ数字が行っておろうかと思いますが、そのうち、四千八百五十一億円を繰り入れいたしております。その後、十七年、十八年、十九年と取り崩しをしてまいりまして、十九年九月期までに取り崩し益が一千八百億円弱出ておるわけでございます。

 しかしながら、冒頭申し上げました四千八百五十一億円の半分にも満たないという状況でございまして、依然として債務超過の状態は続いているというのが現状でございます。

福田(昭)分科員 今度、二十年の三月期でどれぐらいの戻し益が出てくるのか、その数字を見た上でまたじっくり議論をさせていただきたいと思っております。

 三点目は、整理回収機構の再生支援についてであります。

 もう一方の柱であります企業の再生につきましては、産業再生機構を初め整理回収機構、あるいは栃木県の中小企業再生支援協議会や民間ファンドなどが取り組んでくれたわけでありますけれども、本日は整理回収機構に絞ってお伺いをいたします。

 整理回収機構が、どうやら昨年あたりかららしいんですけれども、今までは会社更生法や民事再生法で企業の再生に取り組んでいたということでございますが、昨年から破産手続を活用して企業再生を図る手法を始めたというような報道がございました。現在の整理回収機構の企業再生の方法がどうなっているのか、特に、昨年の二月に破産申し立てをして今企業の再生を進めております川治温泉の柏屋ホテルの件についてもお答えをいただければありがたいと思います。

渡辺国務大臣 個別の問題については言及はいたしませんが、一般論として申し上げますと、RCCにおいては、事業再生を目的として民事再生手続あるいは会社更生手続に加えて、破産手続も活用いたしております。

 具体的には、例えば、債務者による不正、財産の隠ぺい等が行われるおそれがあることなどから、債務者との間では解決が困難な場合、第二に、種々の事情により、民事再生手続もしくは会社更生手続によることが困難な場合において破産手続の開始の申し立てを行うことがあるわけでございます。いずれにしても、破産手続が行われても、スポンサーが見つかり事業が継続をしていくというケースはあり得るわけでございます。

 RCCは、関係法令及びみずから定めている回収指針に従って、個々の債務者の実情を十分把握しながら、適切な対応に努めているものと考えております。

福田(昭)分科員 この件につきましては、RCC側の考え方、そして柏屋ホテル、ホテルの方のもとの所有者の話、両方聞いてみないと判断ができませんけれども、これもまた後でしっかりと質問の機会を設けさせていただきたいと思っております。

 次に、足利銀行の受け皿選定の経過と結果についてお伺いをいたします。

 一点目は、選定経過の情報漏えいについてであります。

 大臣は、昨年の十月二十四日の財務金融委員会において、私の質問に対して、受け皿の候補について情報は漏らしていないと答弁をされておりましたが、いかがですかと私があのとき指摘をいたしましたように、地銀グループ、野村グループ、二つのうちどちらかには必ず決まるはずだと思いますよ、そのときには大臣が漏れていないと言えなくなってしまいますよ、そんな質問をさせていただきましたが、どうですか、情報は漏れておりませんでしたか。

渡辺国務大臣 受け皿の選定過程におきましては、受け皿候補の名称及び数については一切公表をしないとしてきたところでございます。当然のことながら、受け皿選定過程において厳格な情報管理に努めてきているわけでございます。御指摘のように、金融庁から秘密情報が漏えいされたという事実は一切ございません。

福田(昭)分科員 それは全くうそでしょう。だって、地銀グループと野村グループ、二つが新聞に大々的に報道され、そのうちの一つの野村グループに今回決まったわけですから、情報は必ず漏れたわけですよ。大臣、こういう官僚を直していかなくちゃならないんですよ。大臣はそのための公務員改革をやっているんじゃないですか。

 ですから、確かに、九つぐらいでしたか、何か、受け皿に提案があったそうでありますけれども、そこから、九つは発表しなくても、最後の二つに絞り込んだ段階で正式に公表したらいかがですか。今回、こんなわざわざ情報を漏らして書かせるようなことをやらずに、正式に金融庁として二つに絞り込んだ、その二つの絞り込んだ中から、本当にそれこそ受け皿として適切なものに、地元の要望を考えたりあるいは国としての方針を考えたり、そうした総合的な判断をして選定します、そういうふうに正式に公表したらいかがですか、どうですか。

渡辺国務大臣 繰り返しになりますが、金融庁が情報を漏らしたという事実は全くございません。新聞報道については一々コメントをいたしませんけれども、この点については私の方から断言をいたしておきます。

 また、受け皿の選定に当たっては、御案内のように、三つの基準をつくっております。審査基準でございます。この基準にのっとって三段階にわたり厳正かつ公平に審査を行ってまいりました。

 当初、応募があったのは八者でございます。第一段階の審査が行われた結果、七者に絞り込みが行われました。

 さらに、第二段階の審査によって二者に絞り込まれたところでございます。第二段階の審査に当たっては、各受け皿候補から提出された事業計画書について、基本的な審査基準のうち、特に金融機関としての持続可能性及び地域における金融仲介機能の発揮に重点を置いて審査を行いました。

 第三段階においては、それに加え、公的負担の極小化という観点を含めた審査を行ったところでございます。公的負担の極小化という観点からは、株式譲り受け金額や受け皿決定後に締結される株式売買契約に定められる契約条件等について、厳正かつ公平に審査を行ったわけでございます。

 その結果、受け皿としての適格性や譲り受けの条件において最もすぐれている野村フィナンシャル・パートナーズ及びネクスト・キャピタル・パートナーズを中心に構成される企業連合を最終的に選定したところでございます。

福田(昭)分科員 私が質問する前に野村グループを選定した理由についてお答えをいただきましたけれども、第三段階で最大のポイントは買収額、公的負担の極小化ということだったそうですが、なるほどということでございますが、後でこの点についてはまたちょっと質問をさせていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 今、野村グループを選定した理由についてお話をいただきましたが、この野村グループを選定するに当たって、渡辺金融担当大臣の意向が働いた、そのようなことが報道されておりますが、そんなことはあったんですか、なかったんですか。

渡辺国務大臣 全くございません。事務方が厳正かつ公平に審査を行って決めたところでございます。

福田(昭)分科員 それでは、ちょっと細かい質問をさせていただきます。

 これは、平成二十年、ことしの三月十九日の日経新聞でございます。「脱・国有化 足利銀」、足銀ということで、ここに渡辺大臣の意向が働いたと書いてあるんですね。

 まず一つ目ですけれども、「「おれは野村がいいと思うが、事務方は違うようだ」。渡辺喜美金融相は二月、親しい政界関係者にこう漏らしていた。足利銀行の受け皿選考に残った「野村陣営」と「地方銀行連合」。結局、金融相の意向を反映する形に収まった。」ということなんですが、こうしたことはないんですね。

渡辺国務大臣 これは言語道断の記事ですね。全く事実無根であります。厳重に抗議をしてございます。

福田(昭)分科員 全くの事実無根だということだそうですが、では、続いてちょっと紹介をいたします。

  昨年末までは「地銀連合」が圧倒的に優勢だった。関係者によると、十一月二十二日に金融庁に提出した株式譲渡価格は地銀連合が千百億円で、野村陣営が千億円。野村側は「残念会を開いたほど」。当局も年末に「地銀連合に決定」で発表しようと考えていたとされる。

  潮目が変わったのはクリスマス前。金融庁が年明け以降も交渉を続けることを決めたためだ。税金を投入せずに済むよう譲渡価格のつり上げを狙ったもので、野村陣営は再びチャンスを得る。

  両陣営を駆け巡ったのは「渡辺大臣の意向が働いたのか」という勘繰りだ。そう思いたくなる出来事は昨年九月にも起きている。金融庁が外資系金融機関を中心としたグループを受け皿候補から外した時だ。金融相の地元である栃木県からは「短期に利益を追求する外資では困る」との要望が同相に寄せられていた。「大臣の立場を察した事務方が外資を排除した」と関係者は解説した。

そして、野村側の

 巻き返しは激しく、三月十日には買収額を二百億円上積みした書類を提出する。形勢が逆転した瞬間だ。

  この再提示は金融庁を悩ましい立場に追い込んだ。地銀連合が足利銀を引き受ければ、今後周辺で起こりうる金融有事への備えが進むとの思惑があったからだ。実際、地銀連合の関係者は「不良債権処理に苦しむある銀行を引き取る密約を結んでいた」と明かす。

  当局は地銀連合に対し「百億円増額できないか」と発破をかけた。増額提案に地銀連合の内部は揺れたが、最後まで買収額を動かすことはなかった。発表当日の朝になっても地銀連合の幹部は「六割の確率で勝てる」と自信を見せていたほどだ。しかし、金融庁が選択したのは野村陣営。「最大のポイントは株式の譲渡価格だった」。同日夕の会見で渡辺大臣は淡々と選定理由を説明した。

こう書いてございます。

 これは全く事実無根だ、こういうことでございますか。

渡辺国務大臣 事実無根のところがございますね。

 まず、冒頭、委員が御指摘になられた私のかぎ括弧つきの発言、これは全くうそ、でたらめであります。

 それから、渡辺大臣の意向が働いたのかという勘ぐりだ、そう思いたくなる出来事が九月にも起きた、これも事実無根ですね。内外無差別で審査をやってきております。審査の具体的な中身についてまでは公表はいたしておりません。外資であるがゆえに点数を低くするなどということは、全くやっておりません。

 いずれにしましても、事務方が厳正、公平に審査をやった結果、この受け皿候補が決まったわけでございますから、このような事実無根の記事がどうして出てくるのか、その背景について私も若干調べてみたところでございますが、結果として、厳正な抗議をしたところでございます。

福田(昭)分科員 大臣は全くこんなことはないという話でございますが、天下の日経新聞がこんな記事を書くということで、大臣の言葉も信用したいと思いますけれども、しかし、これは今後さらに調べる必要があるのかな、こう思っておるところでございます。

 そこで、大臣、大臣の身の潔白を証明するためにも質問をさせていただきますが、野村グループを選定したのは大臣の意向が働いた、そう言われているんですから、これは明確にお答えをいただきたいと思いますが、野村証券と大臣は特別な関係はありませんか、いかがですか。

渡辺国務大臣 私の資産につきましては、厳正なルールにのっとって公開をしているところでございます。

福田(昭)分科員 大臣、大臣の地元の土地改良区の資産を運用してふやしてあげたそうでございますが、その運用を任せたのが野村証券だというふうに地元の方がおっしゃっておりますが、本当ですか。

渡辺国務大臣 どこの土地改良区の話をしておられるのか存じませんけれども、私は土地改良区理事長は兼職禁止のルールにのっとって退任をいたしております。

福田(昭)分科員 大臣は、先ほど申し上げましたが、かなりの資産家でありますが、しかし、公表されている資産は何か全然持っていないような、公開されていないんですよね。ですから、何か非常に多くの人たちが、大臣はもっと大金持ちのはずだ、どうしたんだろうということで心配をしておりますけれども、大臣の名誉のためにこれはお伺いをいたしましたが、ぜひ、後で何かが出てくることのないように、大臣のしっかりとした答弁をお願いしたいと思いますが、野村証券と特別な関係はないですね、再度確認をさせていただきます。

渡辺国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。

福田(昭)分科員 それでは、次の質問に入りたいと思いますが、足利銀行の受け皿、野村グループについてであります。

 一点目は、野村グループの構成会社についてであります。

 地元が、栃木県が外資はだめだということで、渡辺大臣の意向でオリックスが直接参加するグループは選定されなかったようだ、そんな報道がございますが、先ほどの渡辺大臣の答弁では外資も一切区別はしないということですから、そういうことはなかったのかなというふうに思っておりますが、しかし、オリックスもなかなかしぶといんですね。今度は議決権を持たない出資者としてこの野村グループに名を連ねているそうですが、それは本当ですか。

渡辺国務大臣 野村ネクストグループにおいては、現時点で、野村フィナンシャル・パートナーズ、ネクスト・キャピタル・パートナーズの組成する投資ファンド、そしてジャフコの運営する投資ファンドの三者の参加が確定をいたしております。

 野村ネクストグループにおいては、今後、足利銀行の株式の譲り受け時を目途に、当グループの趣旨に賛同する国内外の金融機関や有力投資家を広く招聘する予定であると聞いております。これらの金融機関等が、既に参加が確定している三者とともに、足利銀行の株式を譲り受ける銀行持ち株会社の普通株主になる予定でございます。

 オリックスについてお尋ねでございますが、野村ネクストグループが策定した事業計画書においては、ネクスト・キャピタル・パートナーズの組成する投資ファンドの有限責任組合員としてオリックスや国内外の機関投資家等が資金提供を予定しているとされています。また、事業計画書においては、有限責任組合員は、銀行持ち株会社に対する議決権行使など、組合の業務執行に関与する権限は有しないこととされております。議決権は無限責任組合員であるネクスト・キャピタル・パートナーズの権限と責任において行使されることになるわけでございます。

 野村フィナンシャル・パートナーズとネクスト・キャピタル・パートナーズの二者が、上場までの間、足利銀行の経営の安定性を確保すべく、銀行持ち株会社の議決権の過半を保有し、適切なガバナンスを発揮していくものと承知をいたしております。

福田(昭)分科員 オリックスがネクストグループの一員として参加をする予定だということでございますので、それは確認をさせていただきました。

 二点目は省略させていただいて、三点目の地元出資枠についてであります。

 地銀連合と同じように地元出資枠を設けるようでございますが、どのようにして集めるのか、お伺いをしたいと思います。私は、公募でやるのが一番だと思っておりますが、そして、その際は栃木県の出資は必要はないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 野村ネクストグループの事業計画書においては、地域の方々が株主として参加する機会を提供するため、平成二十年度中に増資、これは普通株式でございますが、増資を実行することとし、その詳細については、今後、栃木県を中心とした地域の自治体、経済団体、主要企業等と協議をして決定したいとしておるところでございます。

 今後、野村ネクストグループにおいて具体的な内容を固めていくでありましょうから、金融庁としては、こうした取り組みを見守ってまいります。

福田(昭)分科員 大臣、県民銀行を主張しておられましたが、あのときは野党的立場ということで、今回は県の出資は求めませんね。

渡辺国務大臣 何年か前に福田昭夫知事のときに私が提案をしたプランは、前回も申し上げましたように、非常時対応プランとして提案をしたわけでございます。この非常時対応プランは、当時の栃木県知事であられた福田昭夫知事が拒否をされたことによってついえたものと理解をしております。

福田(昭)分科員 大変よかったと思います。

 それでは、次の質問でありますが、四点目は野村フィナンシャル・パートナーズの基本的な考え方についてであります。

 新聞報道によりますと、野村グループは銀行経営に参入するのではなく、あくまでも純粋な投資だということですが、本当ですか。

渡辺国務大臣 野村ネクストグループは、現経営陣による経営を継承しつつ、株主としてのガバナンスといった観点から、足利銀行のさらなる成長及び経営基盤の拡大を支えていくことが受け皿としての果たすべき役割であるとしています。こうした基本的な認識のもとで、例えば金融の円滑化を通じた地域産業連関のハブを提供できる金融機関を目指すこととしています。このため、地域密着型ビジネスモデルの堅持、発展と事業継続可能性の確保を重視した経営を行うこととしています。

 第二に、銀行持ち株会社及び足利銀行の経営トップに中小企業金融の分野において豊富な経験を有し、北関東地域の経済情勢等にも明るい藤沢智氏を起用するとともに、足利銀行の現役員については原則として継続を予定しています。現在の足利銀行のビジネスモデルを踏まえ、さらなる強化発展に向けて、リレーションシップバンキングの推進や事業再生への取り組みを積極的に図ることにしています。

 これらから、栃木県を中心とする地域において金融仲介機能を持続可能な形で発揮していくことを目指しているビジネスモデルであると承知をいたしております。

前田主査代理 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

福田(昭)分科員 最後に一言だけ申し上げますが、大臣、私の質問は、野村は純粋な投資かどうかということをお聞きしたのであって、そのことに対して回答がございませんが、五年後に上場して売り払ってしまったのでは、大臣が先ほど申された選定の基本的な視点、三原則に反するんじゃないですか。金融機関としての持続可能性が全くなくなるんじゃないですか。五年後にもしかしてオリックスグループが買ったらどうなるんですか、これは。全くこの基本的な三原則をないがしろにするような選定じゃないんですか。

 こうしたこともありますので、また引き続いて別の機会に質問をして、ただしていきたいと思っています。

 大変ありがとうございました。

前田主査代理 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 次に、内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高木美智代君。

高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、大変お忙しい中、泉大臣には、日ごろから災害対策特別委員会等で大変にお世話になっております。私は、妊婦のシートベルトをめぐります問題につきまして御質問をさせていただきたいと思っております。

 日本の出生率が低い、そしてまた、安心して生み育てられる社会に向けまして、今政府・与党を挙げて取り組んでいるところでございます。そういう中にありまして、交通事故による死傷者数は依然として多く、また、その中の妊婦の数も相当数が予想されるところでございます。しかしながら、果たして今、警察庁によります妊婦事故の統計もありませんし、またシートベルトが妊婦に与える影響といいますのもまだ研究し尽くされていないというのが現状と認識しております。

 妊婦の方にとりましては、シートベルトを着用した方がいいのかどうか、あいまいになっているというお声をよく伺います。この妊婦のシートベルト着用につきましては、先月、日本産科婦人科学会また日本産婦人科医会が産婦人科診療ガイドラインをお出しになりました。進むことが期待されるわけでございますが、妊婦と胎児の命を守り、交通弱者の安全を確保するために、大臣初め警察庁の皆様の今後のお取り組みにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 一般的にも、交通事故で亡くなった方のうち、シートベルトを着用していなかったために車外にほうり出された方は着用者の三倍以上と言われております。命のベルトと言われるゆえんでございますが、六月から後部座席も義務化されると伺っております。

 しかし、妊婦の方の認識はどうかといいますと、これは、独協医科大学の一杉正仁先生、准教授であられますが、一九九四年に行った、当然義務化された後の年代でございますが、栃木県内のアンケート調査がございます。

 妊娠中に交通事故を経験したという方がその集まっていただいた中で三・六%、また自動車乗車時にシートベルトを着用する、そのように決めているとお答えになった方が三二・七%、約三割でございます。残りの約七割の方がシートベルトを着用しないという認識でいらっしゃいまして、その理由につきましては、法的義務がない六三・二%、また、圧迫感があるからとお答えになった方が五四・四%、着用するとかえって危険だと思うという方が四四・一%。

 いわば、しないとおっしゃる七割のうち六割でございますので、全体でいえば約四割の方が法的に義務化されていない、こういう認識をお持ちであったということでございます。中には、シートベルトをしていたら、警官の方に、危険だから外した方がいいですよと言われたという、何とも言えない話もあったようでございます。

 確かに、シートベルトをしますと窮屈ですし、おなかの赤ちゃんを圧迫するのではないかと悪影響を心配して、しない方も多いと聞いております。私も二人の娘がおりますが、シートベルトは確かにしなかったと思っております。

 そういう中で、では妊婦や胎児にどのような交通事故によります影響があるかということですが、これは、沖縄県立南部医療センターの村尾寛産婦人科部長が、シートベルトが義務化されました一九八五年から二〇〇〇年にかけまして、当時沖縄県立中部病院にいらっしゃいましたので、交通事故によるけがで搬送された妊婦六十二人について調べられました。

 その結果、その六十二人のうち、シートベルトを着用していた方は何と十二人というのが状況だったそうです。六十二人のうち胎盤剥離、子宮破裂、切迫流産等で胎児を失った妊婦の方は八人、その八人のうち五人がやはりシートベルトをつけていなかった。中には、打撲程度の軽傷にもかかわらず胎児に重大な影響を与えた例もあったそうでございます。

 このような妊娠期という一番不安定な時期に不慮の事故によりまして胎児を失う悲しみというのは例えようもないと思いますし、中には、この御家族が後にどのようにされたのか、もしかして離婚に至っていらっしゃらなければいいなと懸念をしたところでございます。

 しかしながら、諸外国では、妊婦のシートベルト着用率は、イギリスでは七四・六%、米国では八三・八%。日本ではこういうまだあいまいな状況と認識されますが、まず、妊婦のシートベルト着用に関しまして、現行の法制上の規定はどのようになっているのか、またそのようにされている理由はどういうことなのか、お伺いをいたします。

末井政府参考人 シートベルトの着用でございますが、まず、道路交通法第七十一条の三の規定によりまして、自動車の運転者は原則としてシートベルトを装着しないで自動車を運転してはならないこととされておりますが、政令で定めるやむを得ない理由があるときはシートベルトを装着しなくてもよいこととされております。

 この道路交通法の規定を受け、道路交通法施行令第二十六条の三の二第一項第一号は、シートベルトを装着しなくてもよいやむを得ない理由があるときとして、妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが健康保持上適当でない者が自動車を運転するときを定めております。同乗者についてもこれと同様であります。

 このように、現行の道路交通法令は、妊娠中の方について一律にシートベルトの装着義務を免除しているものではなく、シートベルトを装着することが健康保持上適当でない方についてのみシートベルトを装着しなくてもよいこととしているものではあります。

 このような規定が設けられました理由でございますが、妊娠中の方のシートベルト装着につきましては、シートベルトを装着すること自体により、または事故による衝撃により、腹部などに強い圧迫を与え、むしろ胎児に悪い影響を与えるおそれが全くないとは言えないということから、座席ベルトを装着することが健康保持上適当でない方については装着をしなくてもよいというふうにされております。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 そこで、本来であれば、健康保持上適当でないという、妊娠時のそういう例につきまして検証されるのがしかるべきかと思いますが、いかんせん警察庁は大変男性が多い社会であられまして、その中で、女性のことといいますと、恐らくわかりにくいというのが状況ではないかと受けとめさせていただいております。

 では、果たして妊婦におけるシートベルトの有用性が正しいのかどうかということにつきまして、先ほど申し上げました独協医科大学の一杉先生が二つの実験をされました。

 一つは、妊婦、また妊娠していない方それぞれ二十人ずつに協力をしていただきまして、運転席に座った場合腹部がハンドルに接触するかどうか、こういう検討をされました。わずかのすき間ができるという検証に至りまして、恐らく五十キロぐらいのスピードの衝突に耐えられる、こういう結論を出されたところでございます。

 また、もう一つの実験は、妊婦のダミーモデル、人形を使いまして、これは世界で二体しかないうちの一体が日本で一杉先生のところで所持されているそうですが、医学また工学的解析を行い、検証がされたところでございます。

 その結論といたしまして、追突事故に遭遇すると、反動で当然体は前に変位する、動くわけですが、そこで腹部がハンドルと接触し、大きな外力を受ける可能性があります。しかしながら、シートベルトは子宮内の圧力変化を低減させるのに有効であった、こういう実験でございます。またもう一つは、正面衝突時も腹部にかかる外力を軽減できるということから、胎児を守るためにまず母体を守る必要がある、そのためにもシートベルトの着用は必要であるというのがその結論でございました。

 そこで、お手元にきょうは資料を用意させていただいております。きょうは大変説明が長くなりまして恐縮でございますが、ぜひともこうした現状を大臣に、当然もう御承知かと思いますが、またさらに深めていただければと思いまして、御説明を申し上げている次第でございます。

 この資料一のところでございますが、これは、日本産科婦人科学会また日本産婦人科医会が取りまとめられたガイドラインでございます。この中で、まず1のところですが、我が国におきまして、どのくらいの数の妊婦の方が交通事故に遭われてどのような影響を受けているか、このことについての見解でございます。

 村尾さんとおっしゃる、先ほど申し上げました、今、沖縄の南部医療センターの産婦人科部長でいらっしゃる村尾先生、交通事故に遭遇する妊婦数を試算されまして、日本では年間約一万から七万の妊婦が交通事故により負傷し、約千人から一万人の胎児が流早産し、年間四十人程度の妊婦が死亡することになると報告している。これは、全くアメリカの事故データに基づく試算であります。

 そしてまた、もう一方は、これはKKR札幌医療センター涌井之雄医師が平成十七年の交通事故統計からおまとめになりました推計でございます。ここでもありますとおり、年間約一万人の妊婦が乗車中に交通事故に遭遇し、約二十人弱の妊婦が死亡すると推定される。四十人と二十人、こういう差はございますけれども、恐らく、ほぼこのくらいの人数の規模であると考えなければならないと思っております。

 そこで、もう一つ資料が、二枚先のところに資料二といたしまして、これは妊産婦の方の死亡数を人口動態統計の資料から抽出をいたしました。例えば平成十七年、妊産婦死亡数は六十二人となっております。こういう数字からいきますと、恐らく、この二十人というのは大きな規模の数字ではないかと思っております。

 そして、もとの資料にお戻りいただきまして2のところに、これはシフとお読みするのでしょうか、その次のウォルフという方もそうですが、それぞれアメリカの研究でございます。この方たちが報告された内容によりますと、交通事故による母体死亡の七七%がシートベルトを着用していない状況で発生をしている、また、妊婦がシートベルトを着用していない場合、交通事故時の胎児死亡相対危険度はシートベルトを着用していた場合の四・一倍になると指摘している、したがいまして、妊婦のシートベルト着用積極的推奨は母児を守ることに寄与すると考えられている、こうしたことを取りまとめられております。

 このように、当然アメリカは自動車社会でございますが、では諸外国はどうかといいますと、その次のページの四角い囲みの表に「妊婦シートベルトの法制度」、ここのところに、通常人と同様に一律にベルト装着を義務づけている海外諸国等が記載されております、アメリカ、カナダ、スウェーデン、フィンランド等とございます。「原則として装着義務があるものの、ベルトを免除する旨の医師の診断書を携帯している者のみ例外としている国」、大変厳格でございますが、これがイギリス、ドイツ、イタリア等々と記載をされております。

 このような諸外国の例を見ましても、やはり正しい装着によりまして交通事故時の傷害を軽減化できる、このように産婦人科診療ガイドラインで取りまとめられましたことは、大変貴重な内容であると思っております。日本におきましても、妊婦独特の着用方法さえ守れば、母子ともに負傷や死亡に至る確率が通常人と同じように減るのではないかと考えるところでございます。

 そこで、どのような装着法になるかということですが、それが最後の資料三という写真をごらんいただきたいと思います。

 これは当然、今、三点式固定ベルトが通常のシートベルトになっております。このように、腰ベルト、肩ベルト等をおなかの膨らみを避ける形で、恐らく普通の女性であればそのようにみずからされるのではないかと思いますが、このような独特の装着方法を用いてすることができる。この左側にありますのは間違った例でございまして、おなかの上を真っすぐ通すとか、ちょっと見るからに恐ろしい例が出ておりますが、右側の大きな写真にありますとおり、正しいシートベルト着用法が求められるところでございます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきますが、このような診療ガイドラインを踏まえまして、それをどのように大臣が受けとめておられるのか、また今後の検討をお進めになるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、これはスピードを要することであると思っております。できれば速やかに、施行令も改正をしていただきまして、法的にも義務化されているのだというこのメッセージを明快に伝えていただき、また、正しい装着法につきましても周知徹底を図るべきであると考えております。

 特に、施行令にあります「妊娠中であることにより」というこの言葉でございますが、例えばそこを、医学的事由によりとか、また異常妊娠であることによりとか、妊娠もさまざま状況がございます。ただ、産婦人科医の方たちに伺いますと、そこでシートベルトを適正に締めて、それで悪いという妊娠例というのはほとんど見当たらない、こういう見解が強いわけでございまして、そうしたことを踏まえますと、異常妊娠であることによりとか、その言葉がふさわしいのではないかと思われます。その上で、医師の診断書を携帯するかどうかという、その例外につきましてどのようになさるか、それはまた今後御検討をしていただければと思いますが、そのような文言の改正。

 そしてまた、もう一つは、正しい装着法の普及のために、産婦人科医の方であるとか、また、必ず母子手帳を受け取りに自治体の窓口には皆さんお行きになります、その際であるとか、また母親学級、そして運転免許取得者に対しても含めまして、各省庁に協力を得ていただきまして、ぜひとも前向きに速やかに御検討をいただければと思っております。

 大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

泉国務大臣 先生に妊婦と胎児の安全を守るための事柄について大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 私ども、委員のお話にもございましたように、現在は、どちらかといいますと、原則がベルトをしなくてもいいというように受け取られかねない、特に、健康保持上適当でない方についてのみ装着しなくてもよいという表現がございますので、先生の御心配いただいておるのと少し規定が違うという認識を持たれておることは事実かもしれません。

 御意見ございましたように、先ほど、産婦人科学会が編集あるいは監修されました産婦人科診療ガイドラインの中に、妊娠中の方のシートベルト着用を奨励する内容が盛り込まれておることは承知をいたしておるところでございます。

 警察庁は今、このガイドラインの作成にかかわられました婦人科医の先生方に、妊娠中の方は例外なく、ちょっと言葉が強いかもしれませんが、シートベルトをした方がいいのか、すべきなのか、あるいは例外があるとすればどのような場合かといったところについて、お問い合わせをさせていただいておるところでございます。

 また、委員が例示として挙げられましたように、諸外国はどうなっておるかということにつきましても情報を得て分析をしておるところでございますが、欧米を初め先進国では、健康上、医療上やむを得ない場合は、医師の証明書などによってシートベルトの装着義務を免除しておるという国もあるようでございます。

 したがって、こうした内外の調査結果、実験結果と言ってもいいのかもしれませんが、そういう成果を踏まえまして、これから、妊娠中の方のシートベルトの是非について、あるいは装着の仕方、こうした事柄について速やかに結論を得たい。そしてまた、結論を得次第、御指摘のありましたように、産婦人科医あるいは母親学級、運転免許取得者、自治体、母子手帳を交付するときなどでございましょうが、あるいは関係省庁、そうしたところに、妊婦の方のシートベルトの是非、そしてまた装着するとすればどういう装着の仕方が適切であるか、御理解をいただくために啓発活動もあわせてやりたい、このように考えておるところでございます。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 大変前向きに御検討いただいておりまして、感謝を申し上げます。ぜひとも、妊婦の方たちの意識が変わる、そしてまたその妊婦を取り巻く周りの方たちの意識も変わる、このような結論が一番望ましいわけでございまして、私はやはり、そういう意味から、先ほど来申し上げておりますとおり、こうした紛らわしい施行令はぜひとも変えていただく、そしてまた適正なあり方についても明快なメッセージをお出しいただく、このような速やかな結論をお願いするものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、もう一つお願いなのですが、私は、今回、こうしたことをずっと検討しておりまして、やはり諸外国、特にアメリカはデータを本当に精密によくとられているなと思う部分がございます。日本もこうしたデータを本来とるべきではないか。これだけ少子化対策、また安心して生み育てられる社会、こうお話をしながら、その一番の妊婦の方たちに関するデータが弱い、しかも、そのデータがなければ、妊婦の方たちの事故後のケアをどういうふうにしていいのか、そこの手だても立てられないというふうに思いました。もちろん産婦人科医の方の協力を得て実施をされることかもしれませんが、そうした連携の上でのデータをどのように取得されるのかということも含めまして、ぜひとも御検討をお願いしたいと思っております。

 これは大変痛ましいお話なんですが、一九九一年から二〇〇三年にかけまして東日本で発生をした人工妊娠中絶に関する内容で、これは当然交通事故のためにそのような処置をとらざるを得なかった、そしてその保障を損保に請求したという例でございますけれども、三十七例この方たちはおとりになりました。一杉先生また村尾先生初め御尽力されたわけですが、三十七人のうち三十二人の方が、妊婦自身が治療薬の内服とかエックス線照射のために胎児の発育への影響を考慮して中絶を受けた、そしてまた、二人の方は、診察医の方の判断によって胎児への影響を考慮して中絶に至った、こういう例でございます。

 恐らく今、こうした人工妊娠中絶につきましては、厚生労働省も的確にカウンセリングまた相談にも乗ってというさまざま指示をされているとも伺っておりますけれども、では、果たしてこの方たちに対してどこまでカウンセリングがあったかということになります。このお二方の先生方の調査によりますと、その多くが妊婦自身の主観的判断によるものであった。当然そこには、心理的なことであるとか、外傷だけではなくて心の傷そしてまた不安、こうしたこともあられたかと思います。エックス線照射と聞くだけで、どれだけの量で果たして正常な出産ができるのか、こうしたことも懸念されたかもしれません。そういう意味で、また十分なカウンセリング、相談体制等も整備しなければならないと思ったところでございます。

 また、もう一つ、妊娠初期と後期、この時期につきましては運転を控えた方がいいとおっしゃる医師の方もいらっしゃいました。妊娠初期は、流産を防ごうとするホルモンが分泌されまして、そのホルモンには全身を弛緩させる作用がある、したがって、眠気とかだるさとか集中力の低下を招くんですと。そしてまた、後期は、出産に向けて分泌されるホルモンが、記憶力を低下させたり視力を一時的に低下させる、そういう作用もあるんですと。ですから、本来は、妊娠中は運転は控えていただくのが一番いいのではないか、こういう医師の方もいらっしゃいました。

 そういうことも含めまして、これは泉大臣にお願いするお話ではございませんが、自治体で母子手帳を渡されるときに、例えば、一枚紙があって、運転される方はこのようなことに気をつけてください、妊娠中はこのような特徴があるのでこうしたことに留意してくださいという、交通事故に関するその紙を一枚おつけいただきまして、そうしたことにつきましても具体の取り組みが推進されますように工夫をしていただければ大変ありがたいと思っております。

 最後に、もう時間になってまいりましたが、こうした妊婦そしてまた胎児、この二人分の、まさに交通弱者でございます、こうした方たちの命を守るお取り組みにつきまして、大臣の御決意を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思っております。

泉国務大臣 妊婦であれ、胎児であれ、現在の日本にとっては大変大切なお一人お一人の命でございます。そういう意味では、幾つか今先生お話しになられました中で、妊婦の交通事故の統計さえないではないかという御指摘につきましては、これは少し検討させていただきたいと思います。

 お示しになりました、平成十七年でございますけれども、妊産婦の死亡者数六十二名の中で計算をされた交通事故の数字が二十名から四十名という数字が出ておりますが、こうした事柄が検証できない現在の交通事故の統計であろうかと思いますので、この点については検討をさせていただきたいと思います。

 それからまた、妊娠の前期と後期でホルモンの関係から運転を控えた方がいいのではないか、こういう事柄につきましては、警察庁が本当にそういうことまでやっていいのかどうか、やるべきことなのか、もう一つ疑問はなしといたしませんが、場合によっては、厚生労働省の方々とも、お知恵をかりまして、できるだけ、貴重なお一人お一人の命でございますので、少しでも注意を喚起して、そして妊婦の命を、そして胎児の命を守っていただけますように努力をさせていただくようにいたしたいと思います。

高木(美)分科員 大臣のお人柄あふれる大変誠実なまた前向きな御答弁をいただきまして、感謝いたします。大変にありがとうございました。

前田主査代理 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十二日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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