衆議院

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第2号 平成20年4月22日(火曜日)

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平成二十年四月二十二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 平田 耕一君

      麻生 太郎君    井澤 京子君

      篠田 陽介君    冨岡  勉君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      山本  拓君    市村浩一郎君

      枝野 幸男君    津村 啓介君

      前田 雄吉君    坂口  力君

   兼務 篠原  孝君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 泉  信也君

   国務大臣

   (国民生活担当)     岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (公務員制度改革担当)  渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 濱坂 豊澄君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     長尾  真君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       平川 素行君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          川村 卓雄君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中  敏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           本川 一善君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橘高 公久君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          岡田 秀一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    岩井 良行君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     藤井 勇治君

  冨岡  勉君     篠田 陽介君

  山本  拓君     井澤 京子君

  津村 啓介君     市村浩一郎君

  坂口  力君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     山本  拓君

  篠田 陽介君     冨岡  勉君

  藤井 勇治君     江藤  拓君

  市村浩一郎君     津村 啓介君

  赤松 正雄君     坂口  力君

同日

 第四分科員篠原孝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十八年度政府関係機関決算書

 平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔国会、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁)及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

平田主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十八年度決算外二件中、本日は、内閣所管、環境省所管、国会所管、内閣府所管中金融庁、内閣府所管中警察庁、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 昨日に引き続き内閣所管について審査を行います。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。篠原孝君。

篠原分科員 民主党の篠原孝でございます。

 きょうは初めて渡辺大臣に質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 渡辺大臣、あちこちでいろいろ発言されています。私はそれを全部フォローしているわけではありませんけれども、非常にポイントをついた問題点を指摘されておりまして、私、お父さんに、下っ端でしたけれども、お仕えしたことがありまして、遺伝子は偉大だなと思っております。そういったところ、そっくりじゃないかと思っております。

 特に、公務員制度改革について、官僚は本来業務、政策の企画立案や何かに専心すべきであって、国会議員との接触ではない、そっちをやっていろという点、それから、人事をめぐって、大臣にきちんと人事をさせる、事務方にさせるべきじゃない、この点は全く私も同感で、ほれぼれしております。そのように改革していただきたいと思っております。

 ただ、細部にわたるとちょっと違う点がございまして、その点について大臣とちょっと議論をさせていただきたいと思っております。

 最近、政治家たたきも甚だしいと思います、赤坂の議員宿舎に入っちゃいけないなんというのは。私なんかは、よく知らなかったんですが、第一議員会館で最も遅くまでいる人だそうです、夜勤務されている方にお伺いしたんですが。それを女房に言ったら、能率が悪いだけだ、ばかと言われましたけれども。そうやって、やっているのにもかかわらず、赤坂の議員宿舎に入っちゃいけないとも言われているわけですね。

 そういうマスコミのいろいろな動きに左右されるのが学生じゃないかと思います。最近の国家公務員たたきは甚だしいものがあって、これは御存じだと思いますけれども、国家公務員の1種希望者は、一九九六年四万五千人、そして、ずっと減り続けて去年は半分以下の二万二千四百三十五人というふうになってしまっているんですね。これはやはりゆゆしき事態だと思います。これだけ文句を言われているのだったらなりたくないと言うのですね。

 これはちょっと迎合し過ぎた感じが我々にもあるし、マスコミにもあるんじゃないかと思いますけれども、大臣、この点についていかがでしょうか。

渡辺国務大臣 委員が御指摘の1種試験の申込者数の推移でございますが、確かに、ピーク時、平成八年から比べますと半分以下に落ちているという状況でございます。私も、これを見て大変残念に思っております。

 一般的な傾向として、景気のいいときには公務員志望者が少なくなるということがよく言われます。景気の悪いときにはふえるということであろうかと思います。そういった状況を差し引いたにしても、やはりこれは相当真剣に公務の世界を魅力あるものにしていかないと、こういう傾向には歯どめがかからないのではなかろうかと考えたところでございます。

 したがって、今の公務員制度、とりわけ国家公務員の幹部候補になる人たちの間でどういう仕事ぶりが行われているかということを考えますと、これではなかなかチャレンジ精神を持った若者がこの世界に入ってこようというぐあいにはならないのではないかなとつくづく思うのでございます。先ほど、国会議員の仕事は能率が悪いと奥様が言われたそうでございますが、どうも霞が関の仕事も似たようなところがあるのではないでしょうか。これは国会改革とワンセットの話ではございますけれども、国会待機のために毎晩徹夜に近いような仕事を強いられるなどというのは、まさしく魅力を失わせている大きな要因ではなかろうかと思います。

 したがって、チャレンジングな公務の世界を確立していこうということで、昨年、能力・実績主義というものを導入いたしました。試験区分や採用年次にかかわらずに能力や実力のある、意欲のある人たちが昇進をしていく、そういう制度の導入を図ったところでございます。また、ことし、今、国会に御提案をしております改革法につきましては、さらに国家公務員全体の改革パッケージとなっているところでございます。キャリア制度を廃止する、そして、総合職といういわば各省の縦割りの壁を越えた日の丸官僚を育てていこう、いろいろな観点から日本の国家公務員の世界の抜本的改革を図ろうとしているわけでございます。

 こうした改革が成功いたしますと、まさに公務の世界に魅力を持って取り組む、そういう若者がたくさん応募してくれるものと考えております。

篠原分科員 ごちゃごちゃしていて、今のも最近ずっと続いているわけでして、早く改革が進んでそのような状況になってほしいと思います。

 二番目でございますが、資料を用意しておりますのでちょっと見ていただきたいんですが、一ページ目の、OECD代表部の一九九三年と二〇〇七年の手当比較というのがある。

 これは何で一九九三年と二〇〇七年かというと、一九九三年、在勤手当の「篠原」というのは、私、外務省に出向させていただきまして三年間パリにおりました、そのときに在勤手当が七十一万円だったんです。それで、昨年、ちょっと五月の連休にドイツのシュバルツバルトに、林業政策をきちんとしなくちゃいけないというので菅直人代表代行にせがまれて行ってまいりまして、帰りにパリに寄りまして、その当時の北島信一大使と会食をいたしました。そうしたら、びっくり仰天しました。北島大使、七十四万円の在勤手当ですよ。私の十五年前の手当と同じ手当に下げられてしまったんです。

 これはお答えは要りませんけれども、これが典型的な例で、外務省バッシングがありまして、外交機密費がどうこうというのがありました。こんなふうになっているんですね。やはりこれはよくないんじゃないかと思います。こんなにも、いきなり下げたりするんです。やる気をなくす。もっとも、もとが高過ぎるというのがあるのかもしれませんけれども、それにしても過激過ぎる。一罰百戒でこういうことばかりしているというのはよくないんじゃないかと思います。

 だから、虚心坦懐、こういうのがいいのかどうか。例えばこれだって、外交機密費なんかでごちゃごちゃしないで、大使にぼんと三百万から四百万やっておいて、自由に使えと。後でちゃんと、領収書をとれないのはとれないでいい、それでもって蓄財するようないかがわしい大使はいないと思うんです。例えばそういうふうにした方が私はいいと思うんです。そういうふうにいろいろな道があるということ。

 次に、それと同じですね、天下り。天下りはいけないということで、私は民主党の中の議論にもきちんと参加していないのでよくないかもしれませんけれども、民主党案も出しています。天下りをしなくて済むように六十五歳までいさせる。

 しかし、もう一つの考え方があって、役所にいろいろな人材が入っている、それで、天下りと言っていますけれども、どんどん認めて、さっさと民間に入って、そして自由にやってくれと。今は天下り先に行って何とかかんとか、癒着でどうこうというのも、それは違うところでチェックすればいいような気がするんです。

 公益法人とか独立行政法人とか何とか法人をつくって、そしてそこに政府の金を置いてやらせるのはよくないです。それは絶対やめるべきですけれども、純然たる民間で役人時代に培った能力を生かすのだったら、それはそれでいい、そして癒着みたいなものが生まれるということは別途チェックすればいいというのは、これはこれであっていいような気がするんですが、例えばこういうことを言い出すと、天下りを認めるのかとすぐ袋だたきに遭います。

 たたかれるのにはお強い大臣のお考えをお伺いしたいんですが。

渡辺国務大臣 昨年の国家公務員法改正におきまして、各府省の天下りあっせんを禁止するという条項を盛り込んだところでございます。

 一方、知見活用型の再就職、これは天下りとは言わないのではないかと私は国会で申し上げたところであります。天下りというのは、各府省が人事の一環として固定的ポストをつくり、そこに年功序列型人事ではめ込んでいくというやり方を一般的には言うのではないかと申し上げたわけでございます。したがって、本人が知見を生かして民間企業などで活躍をする、そういったことは人材流動化の観点からも大いに進めるべきではないかと申し上げたわけでございます。

 ことしの秋ごろつくる予定の官民人材交流センターというのは、まさしくそういった天下りとは根本的に異なる、知見活用型の再就職を支援するものでございます。天下りが統制価格での再就職であるのに対して、官民人材交流センターの支援する再就職は、いわば市場価格での再就職になるわけでございます。まさに市場価格のついているうちに民間企業などへ再就職できる仕組みが大事でございます。

 国家公務員法百三条の待命期間というのは三年後に廃止をするというのが昨年の改正の主なポイントでございました。こうした措置が功を奏していきますと、天下りという言葉がいずれ死語になっていくことを期待いたします。まさに、人材が官から民へ、民から官へ、官から官から、民から官からというぐあいに流動化をしていくことこそが日本の活力の大きな要素になるものと期待をいたしております。

篠原分科員 そのとおりだと思います。そういうふうにやっていただきたいと思います。

 例えば、今大臣がお答えになったもので典型的なのは、立派な役人で本を書いたりしているのは大学から引っ張りだこで、大学へ行って実務経験を生かしてやっている。あれは、事務次官だからといって引っ張られるわけじゃないんですね。ちゃんと識見があって物を書いている。ちょっと自慢話になりますけれども、私もいろいろ大学から誘われまして、こんなことをしているよりもそっちに行っていた方がいいかなという気もたまにすることがあるんですけれども。

 それで、私は、人事とか、こういう役所のあり方を考えていくときに、事務次官の存在というのは非常に大きいというか、いろいろなものをゆがめているんじゃないかと思います。

 次官と審議官の定年を六十二歳に延長しました。私は、それはそれでよかったと思うんですが、時間がなくなったのでちょっと質問を途中省かせていただきますけれども、次官の定年を六十歳から六十二歳に延長するんだったら、同時に在職年数を制限すべきじゃないかと思います。

 典型的な例が守屋防衛次官です。四年もやっている。これはひど過ぎるんじゃないかと思うんです。守屋さんも同じように、何かほかの民間企業に二年行ったりしたので、一年間延長手続をして四年もやらせた。チェックをだれもしなくて四年もやらせるというのは非常によくないんじゃないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

 実は、アメリカも定年なしだそうです。ドイツとフランスは六十五歳まで、イギリスは六十歳で各府省が決定している。

 しかし、長いというのは絶対よくない。なぜかというと、先に申し上げておきます。次官は人事をやるわけです。人事権を大臣にというので、その大臣にというときにやり方が違って、町村官房長官は各府省に、渡辺大臣は、いや、人事庁でやってと。それも、結局、役人が原案をつくるのをやめさせるためだ。役人がつくるというのは、事務次官がつくっているんです。

 このへんちくりんな権力のもとをそぐような形にしなければいけない。それには、在職年数を制限する、これが一つ大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 いわゆる官僚主導型体制を改革するには、いろいろなやり方があろうかと思います。今委員が御指摘になられた次官の在職年数を制限するというのも、その方法の一つかもしれません。

 我々は、まず、今回の改革案に当たりまして、幹部職員の人事の一元化ということを考えたわけでございます。内閣人事庁をつくり、各府省が人事のたたき台のようなものをつくることは認めますけれども、人事庁が適格性審査を行う。必要に応じて人事庁が別途たたき台案をつくる。そして、内閣の一員たる大臣が、内閣に本来あります人事権を分担して所掌しているわけでございますから、大臣が複数の人事案の中からまさに人事権を行使する。そういう仕組みを考えたところでございます。

 したがって、こういう制度ができ上がりますと、年功序列型仲間内人事というものは排除されていくことになるわけでございます。よく巷間言われているように、何代も先の次官まで決まっているというようなことは、本来あってはならない話なのであって、まさに適材適所の人事が行われる、そういう能力・実績主義というものを徹底していくことが大事であろうかと思います。

篠原分科員 私は、この問題についてはもう去年の夏ぐらいから資料をつくっております。二ページから三ページ、四ページをぜひごらんいただきたいと思います。麻生さんも見てください。

 事務次官各省任期比較という資料を見ていただきたいんです。それから、三ページ、渡辺大臣に見ていただきたいんですが、渡辺大臣、渡辺美智雄外務大臣の秘書官をやっておられて、これは、平均の在職年数と、二年以上やった人。外務省と法務省は長いんですね。農林水産省は、最近、二〇〇〇年以降長くなっている。これは堕落した証拠だと思います。高木、渡辺、石原と、大した力もないのに二年八カ月、二年七カ月ぐらいやっている。よくない。

 渡辺美智雄さんが大臣をやっているときは一年でかわっています。なぜ一年かというと、ここから大事なんです。事務次官には一回しか人事をさせないというルールがきちんとした役所にはあったんです。

 二ページを見てください。旧とかなんとかがあったりしてちょっとややこしいんですが、財務省、在職平均年数が一年三カ月です。次に、七番のところ、旧自治省一年四カ月。農林水産省も実はその点ではしっかりしていまして、二〇〇〇年以降の三人を除けば一年四カ月で三番目なんです。それで、こんなことを言ってはいけないんですが、人材が少なくてちょっとだめな役所なんて言ってはいけませんけれども、十四番旧郵政省とか、防衛省、旧文部省、運輸省は一年十カ月ぐらいになっているんです。事務次官の権限の源は人事なんです。それを一回しかさせない。それを守屋さんは四回もやっている。

 そして、何年か先の次官まで決まっているという例は、四ページを見てください、通産省、経済産業省。二年の人のだけやっておりますけれども、渡辺通産大臣の秘書官をやられました。そのときは多分福川さんが事務次官じゃなかったかと思います。小長さんから福川さんにかわって、その後どうなったかというと、福川さんも約二年で、一年十一カ月なんです。杉山さんは一年でした。児玉さんは二年、棚橋さんは二年、棚橋議員のお父さんですよ。経済産業省は意外とだめでして、二年やっている。そして、覚えておられると思います、名前を出してもいい。内藤さんというのは、総務課長で、次次官が決まっている。そして四人組の反乱が起きたんです、決まっているからと。まさに、渡辺大臣のおっしゃるとおりです。

 私は、公務員制度改革の根源は事務次官をなくすことにあるんじゃないかと思います。人事は大臣、副大臣、政務官でやればいい。大臣官房長ぐらいにちょろちょろとつくらせて、あとは大臣がやればいいというような気がするんですけれども、これをごらんになっていかがでしょうか。

 そして、まだ、四ページもちょっと見てください。解説ですけれども、財務省のところで、見てください、武藤敏郎さん、最近新聞紙上をにぎわせた方がおられます、二年八カ月もやっておられるんです。これ、何となく符合するんです。そして、偉いのは、環境省ですね、この次官、三年やっておられますが、この方は立派でして、御存じですか、一切天下りせずに環境のボランティアグループの中の一員として、天下りを拒否してやっておられる。その下の防衛省、守屋武昌さん、四年一カ月、ゴルフ三昧。次官によっても違うんですけれども、守屋さんのようになりがちな次官も多いということです。

 それで、また資料の二ページのところへ戻っていただきたいと思います。

 なぜこんなにしつこくやったりしているかというと、これを見ていただくとよくわかるんです。国土交通省が十一カ月です。これは何でかおわかりだと思います。統合して、次官を順繰りにやらなくちゃならない。総務省も同じです。だけれども、自制が働いて、立派な省庁は一回しか人事をさせない、こういうのがあるんですよ。

 だから、それがわかっていたら、一番手っ取り早いのは、事務次官をなくすというのがベストだと思います。そんなものはない国はいっぱいあるんです。イギリス等はありますけれども、アメリカにはありません。この考え方はいかがでしょうか。

渡辺国務大臣 渡辺農水大臣のころは、たしか、大臣になる前に農林政務次官を二回やった経験がございました。そのときの農林大臣が倉石忠雄大臣で、倉石大臣が御病気でお休みになっていた期間がございまして、実質、農林政務次官が人事権を行使したなどということもあったようでございます。文書課長が全く知らない間に人事が発表されていたりとか、そういうすごいこともあったそうでございまして、まさに、大臣が人事権を行使するという議院内閣制本来のあるべき姿に我々は戻していく必要があろうかと考えております。

 事務次官の人事権というものは、言ってみれば、事務方仲間内人事権と言っても過言ではなかろうと思います。我々は、まさしくこうした官僚主導体制からの脱却を図るべく、本来内閣にある官吏の事務の掌理というものを突き詰めていけば、まさに内閣に人事権はあるんだ、法律に基づいて内閣の一員たる各省大臣がこれを分担して行使しているんだ、そういう立場から今回の内閣人事庁の仕組みを考えたところでございます。

 したがって、この内閣人事庁による必要に応じてのたたき台、原案の大臣への提示ということは、実質的に大臣の人事権を強化する、仲間内人事を排除する、そういう意味を持っていくのではないかと考えているところでございます。

篠原分科員 考え方は同じなんですけれども、そこはちょっとやり方が、細部になってくると違うんですよ。

 渡辺美智雄大臣は、確かに剛腕でした。強引にやられました。政務次官二回。では、この次です。私は、内閣人事庁で一括採用してなんというのはよくないと思うんです。お父さんの言葉、私が覚えているもので申し上げますと、政務次官を二回もやられて農林水産大臣になると思っていたら、厚生大臣になってしまった。農林水産大臣になられたとき、これが待ちに待っていた農林水産大臣だということで、何か、この前ちょっとヘリコプターが違うビルにおりちゃったんだよ、ここにおり損なってと言っておられました。この気持ち、よくおわかりいただけるんじゃないかと思います。

 渡辺美智雄さんは、てっちゃん、いっちゃん、みっちゃんと、三ちゃん艦隊というので農政を非常に一生懸命やってこられた方です。農林水産行政に非常に力を入れてこられた。やはり役人にもそういう気持ちがあるわけです。私なんか長野の田舎で生まれまして、ちょっと何か暇なときに篠原孝というのをインターネットでやっていたら、麻生さんのホームページに私の名前が出てきまして、おらほの村の代表みたいな議員とかいって書いてありましたが、的確だと思います。

 私は、農林水産省に入りたくて入った。これが、そうじゃなくて、あっちゃこっちゃと、本籍不明というのは、私はよくないと思う。本籍はちゃんとあって、そしてバラエティーな経験を、いろいろなことを経験させなくちゃいけない。一回は地方に行く、二回ぐらい他省庁に行く、一回は外国に行くというような人事にすればいいのであって、一挙に内閣人事庁で採用して、全部内閣に所属して、あとどこに行くかというのは内閣の人事庁が本人の希望もほとんど聞かずにやるなんというのは、私は無理だと思うんです。

 ですから、これは、大臣の権限を持たせるためにも母屋をちゃんとしておいて、そのかわり、ずっと一カ所にはいさせない、内弁慶にはしないというような人事をやればそれで払拭できるんじゃないかと思いますけれども、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

渡辺国務大臣 内閣人事庁採用に係る総合職というのは、専門性を全く否定するものではございません。また、本人の希望どおりの配置が全くできないということでもございません。

 例えば、今委員が御指摘のように、自分は農林水産行政をやりたいと考えた学生が総合職を希望したといたします。まず、農水省の面接を受けます。そこで、これはいいということになりました暁に、内閣人事庁の最終面接を受けるわけでございます。そこで一種のオーソライズを内閣人事庁が与え、人事庁採用という位置づけにしまして農水省に配属をし、そこから先は農水省の人材育成プログラムに従ってキャリアパスを上っていくということになるわけでございます。

 当然のことながら、総合職においては、一つの役所にずっととどまるということではなくて、いろいろな経験をしてもらおうということから、例えば十年間の間に幾つかの役所を経験してもらうということはあり得ることでございますが、まさしく、今ある中途半端な専門性、中途半端なゼネラリスト、そういうところから、徹底した専門性を追求すると同時に、徹底したゼネラリストを養成していこうというのが内閣人事庁の総合職という発想なのでございます。

篠原分科員 その点も問題意識は同じだろうと思いますけれども、私は、日本社会は、どぎつい言葉で言いますが、渡辺喜美さんや美智雄さんの言葉から出てもいいようなものだと思いますけれども、インチキゼネラリストばかりがはびこるよくない社会だと思っています。本当のプロを大事にしない。

 役所の人事の中でも、変な人事、これは外務委員会でちょっと現外務大臣に突っかかったのですけれども、六ページ、七ページを見ていただきたいんです。将来外務大臣になられるかもしれませんし、よく見ておいていただきたい。それから、外相秘書官のときに見たことのあるような名前がいっぱい出てきます。

 幹部の略歴を見てびっくり仰天しました。これもまたしつこくつくったんですけれども、だけれども、これはみんなオープンにされている資料からです。一番右の、若いころの発展途上国経験というのだけがちょっと資料要求してやったんですが。見ていただいておわかりいただけると思いますけれども、アフリカなんか、勤務した人、だれもいないんです。私は、本人が悪いわけじゃないですけれども、偏り過ぎているのじゃないかなと思うんです。河相総合政策局長と齋木アジア大洋州局長を見てください。アメリカ大使館ばかり勤務していて、アメリカと本省以外経験がないわけです。こういう人事がまかり通っているわけです。この二人が悪いわけじゃないんですが、こういうことをしているんです。東南アジアの勤務すらない、本省とアメリカばかり。だから、アメリカ一辺倒の人事になってしまうんじゃないか。こういうのは出さなくちゃいけないと思います。

 この次のページは主要国の大使なんかのですけれども、見ておいてください。同じです。加藤前アメリカ大使などは、五回アメリカ勤務、ほかのところには、一回エジプトに勤務したことがあるだけという。プロはプロですけれども、これで、加藤さんだけだったらいいんですけれども、みんなが同じような人たち。アフリカ・プロ、アジア・プロというのは偉くなっていないんです。

 だけれども、こういう人事を是正するにも、内閣人事庁じゃなくて、外務大臣が目を光らせてやるべきであって、麻生外務大臣もそういうことを多分、一度指摘したことがあるのでやられただろうと思いますけれども、歴代外務大臣が、これではいけないと、アフリカの年とか言われているので、やっていかなくちゃいけないんですよ。

 ですから、私の願いは、公務員制度、改革していただいて結構ですけれども、母屋をなくすなんということは絶対やめてくださいということ。それから、役人があれこれ出しゃばるのはやはりやめて、その一番いい方法が事務次官をなくすということ、これに尽きるんじゃないかと思います。

 私の意見を申し述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。最後に、この全体についての考え方の大臣の所見をいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 現状のままでは、残念ながら、日本の発展を支えてきた公務員制度の劣化がとまらないという思いにおいては同じであろうかと思います。したがって、あとはどういう手段、方法をとって、いかに公務員制度を再生、復活させていくかということであろうかと思います。

 我々も、国会審議を通じて、建設的な前向きの発想で何とかこの国会において法案の成立を図りたいと考えておりますので、ぜひ前向きの御提案をどしどしぶつけていただければと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

篠原分科員 終わります。

前田主査代理 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

前田主査代理 昨日に引き続き環境省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。藤井勇治君。

藤井(勇)分科員 おはようございます。自民党の藤井勇治でございます。

 私は、きょうは環境問題について大臣に質問をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ことしの七月には、北海道で洞爺湖サミットが開催される。主要国首脳会議でございますが、通称環境サミットと呼ばれております。地球温暖化問題など、環境、気候変動を主要テーマとして掲げられていると聞いております。我が国がサミットに向け地球環境問題でしっかりとイニシアチブを発揮し、特に二〇一三年以降の京都議定書の次期枠組みに関する議論を後押しすることは、世界から求められていると思います。

 また、これまで議論されてきた環境問題といえば、ある一定の地域に限られた大気汚染や水質汚濁の問題が多かったと言えます。しかし、近年の環境問題は、そのような限られた地域や国での問題ではなく、日本全国、さらには国境を越えるような問題、そして地球規模の問題となってきております。

 この地球規模の環境問題として、北極圏の海氷面積が縮小するなど、地球温暖化の影響が世界各地で進行していることが挙げられます。また、東アジアから黄砂の飛来、酸性雨の問題や渡り鳥の生息環境の悪化など、我が国にも多くの影響が出ております。

 このようなさまざまな問題について、我が国一国だけの取り組みでは到底解決することができず、多国間の連携により対処していくことが必要不可欠であります。また、砂漠化対策としての植林や森林の整備は、早急に取り組むべき世界的課題であると考えています。

 そこで、地球環境問題で強いリーダーシップを発揮することが期待される日本の役割、環境大臣として各国との連携そして洞爺湖サミットにおける日本の立場についてどのように考えておられるのか、まず質問させていただきます。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、ことしは我が国にとって非常に重要な時期であります。特に、七月の洞爺湖サミットにおいては、気候変動を初めとする環境問題が最重要課題になるというふうに私たちも考えております。

 そういう中で、今、世界的にもあるいは国内的にも環境問題は非常に重要な時期に差しかかっておりまして、特に国内の問題について申し上げますと、京都議定書から十年、そして、ことしからは京都議定書の約束の第一期間に入るものですから、日本は、その基準年、九〇年と比べてマイナス六%をこの五年間の間に実現しなければいけない、そういうような年に入ってきているわけでございます。

 加えまして、昨年の十二月にバリ島でCOP13が行われまして、バリ・アクションプランというのが取りまとめられました。この中では、今先生お触れになったように、これから京都議定書後の二〇一三年以降の新たな枠組みをどういうふうにつくっていくか、こういうようなことは今世界の中で問われているわけでありまして、そういう趣旨でいいますと、このバリ・アクションプランの、最終的にはCOP15でのコペンハーゲンでまとめられるわけでありますけれども、その手前のいわばG8の洞爺湖サミットは極めて重要な位置にあります。

 こういう中で、我が国は、国内的にも国際的にも環境問題、特に、過去に、省エネ技術、あるいはさまざまな公害を克服してきたある意味での苦い経験、さらには伝統的な、もったいないとか物事を大事にする、自然と共生する、こういうようなことをすべて動員して、世界の中で日本が環境問題でリーダーシップをとっていく、こういうようなことが問われているわけでありまして、それぞれ、環境大臣会合も五月には神戸であります、そういうような結果を踏まえまして、洞爺湖に向けてあらゆる国際会議での成果をインプットしてまいりたい、こういうふうに考えております。

藤井(勇)分科員 ぜひ、この二十一世紀、環境の時代、それにふさわしい環境サミットが成功に終わりますように、鴨下大臣のリーダーシップを御期待申し上げます。

 国際的な連携を図る重要性についてもお答えいただきました。ありがとうございました。

 次に、私の地元のことで少し質問をさせていただきたいと思います。

 私は、滋賀県、琵琶湖のほとりで生まれ育ちました。この琵琶湖の環境問題における各行政機関の連携の重要性の大切さということについて、何点かお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私たちのふるさとは、文字どおり琵琶湖とともにでございまして、琵琶湖の面積は六百七十平方キロ、そして琵琶湖の周囲は二百三十五キロ、最も深いところでは百四メーターございまして、貯水量は二百七十五億立方メートル、文字どおり日本の最大の湖でございます。滋賀県はもちろんでございますが、近畿地域の一千四百万人の水がめでありまして、人々の命と暮らしと産業を支えているのが琵琶湖でございます。

 また、琵琶湖は世界でも有数の古代湖でありまして、四百万年の歴史を持つと言われております。湖にはホンモロコなど五十種類以上の固有動植物が生息をしておりまして、まさに自然の聖地であるということから、我々地元では、母なる湖と皆さんから親しまれております。琵琶湖の美しい自然と景色やすばらしい文化をはぐくみ、今に伝えてきました。

 琵琶湖の中に沖島というのがございまして、唯一でございますが、現在、四百人以上の人がこの島に定住して生活をいたしております。このように湖上の集落というのは、非常に世界でも珍しいのだそうでございます。今なお湖と生活文化が密着しているというのが、琵琶湖の特徴でございます。

 実は、この琵琶湖の環境保全対策として、滋賀県と六省庁が、約三十本の法律、条例をもとに、それぞれの分野で対策に取り組んでおります。しかし、琵琶湖には実は新しい問題が次々と発生をしております。環境改善、保全の観点から、環境省が関係省庁を調整してぜひ一括化して取り組んでいただきたいという思いから、何点か質問をさせていただきます。

 まず最初に、外来魚の問題でございます。

 昭和四十年代から、外来魚でありますブラックバス、そしてブルーギルの生息が確認されてまいりました。これら外来魚は、琵琶湖に生息するアユ等の在来魚を実は食べ尽くしてしまいます。また、近年、さまざまな対策によりその生息数は減少してきつつあるものの、外来魚による琵琶湖の生態系への影響は大変大きなものとなってまいりました。例えば、平成十九年春の時点で、ブラックバスとブルーギルを合わせて千六百トンが生息していると推定されています。これら外来魚による琵琶湖の在来種の捕食量は三千五百トンにも上り、その被害額は二十三億円と試算された例も出ております。

 このため、地元滋賀県は、水産庁の支援を受けて、平成十四年以降に年間五百トン前後の外来魚を駆除し、また、ここ三年では一千万尾を超える稚魚を駆除してまいりましたが、まだ十分な効果は得ておりません。一方、滋賀県の財政は大変緊迫しておりまして、今後、現在と同規模の駆除対策を継続することは非常に困難となってまいりました。効率的な外来魚駆除技術の早期の開発とその実用化、そして国による財政的支援の拡充や支援の継続がぜひ必要であると考えております。

 この点についてどのような認識をしていただいておられますか、お答えをお願いいたします。

鴨下国務大臣 今、外来種について、特にバスの話をいただきましたけれども、これは、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づきまして、我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある情報を収集いたしまして、特に、特定外来生物を選定する、こういうような中で、今御指摘ありました、オオクチバスあるいはコクチバス、ブルーギル、こういうような十三種が指定されているわけであります。

 これについて、環境省の取り組みとしましては、オオクチバス等は全国に広範に分布しているというようなことでありますけれども、優先的に防除に取り組むべき水域として全国の六カ所を選定しまして、もちろんその中には琵琶湖も入っております。平成十八年度から防除モデル事業を実施しまして、事業の成果を各地方公共団体などが実施する防除に活用していただく、こういうようなことを現在のところ予定しております。

 特に、琵琶湖におけるオオクチバス等の防除モデル事業についても少し説明させていただきますが、固有種が多く生息し、ラムサール条約湿地にも登録されている琵琶湖をモデル事業実施水域の一つとして選定しておりますが、在来種の繁殖場として重要であり、そして外来魚の繁殖場ともなっている内湖、これにおいて外来魚の効果的な駆除方法の実証調査を現在実施しているところでありまして、二十年度にかけて取り組んでまいりたい、こういうふうに今考えております。

藤井(勇)分科員 深刻な外来魚問題でございますので、引き続いてよろしくお願いをいたします。

 それからもう一つ、琵琶湖の新しい課題に、カワウ、水草問題というのが発生しております。

 琵琶湖周辺の生態系の異常を示す一例として、カワウによる漁業被害があります。

 カワウは、昭和四十六年には全国で三千羽ほどに減少したということでありますが、その後、禁猟等の措置によりまして、大変生息数がふえてまいりました。そして、県境をまたいで広域的に移動するものですから、カワウの生息数が激増するに伴い、カワウによる漁業被害が大変増加してまいりました。現在、滋賀県に生息するカワウは三万四千から五千羽と推計されております。年間で二千五百トンの魚類が捕食されている、そして、その被害額は十八億円にも上るという試算が出ております。また、琵琶湖内にある竹生島はカワウの一大繁殖地になっておりまして、巣づくりによる枝折りやカワウのふんによって、この島に植生する多くの樹木が枯れるなどの被害が広がってまいりました。

 カワウは広域的に移動するものですから、滋賀県のみの取り組みでは十分な効果を上げることはもちろんできません。このような広域的に移動する有害鳥獣に対処していくために、中部近畿カワウ広域協議会が既にありますが、この協議会、実効性のある体制を早期に整備する必要があると考えます。

 そして、琵琶湖の琵琶湖大橋から南の部分を南湖といいますが、ここ数年、急激に南湖に水草が繁殖し、南湖はほぼ全体にわたって水草に覆われています。船舶の航行や漁業に大きな支障を来してまいりました。ぜひ大臣にも南湖の水草を見ていただきたいと思う次第でございます。

 ぜひ、カワウ、水草問題についてどのようにお考えを持っておられますか、お願いいたします。

鴨下国務大臣 今、二点御指摘がありました。特に、琵琶湖における新たな課題としての水草の異常繁茂の問題とカワウの食害、こういうようなことであります。

 特にカワウにつきましては、平成二年ごろから竹生島あるいは伊崎半島に大規模にコロニーを形成して、今、全体では三万五千羽程度いるんじゃないかというふうに推定されているわけで、先生おっしゃるように、例えば、アユ、フナ、ウグイ、こういうようなものを捕食して、漁業は多大な被害を受けている、あるいは、ふんによる樹木等の枯死、こういうようなことが被害として大変拡大してきているということでございます。

 このため、環境省でも、都道府県における取り組みを推進するというようなことで、平成十八年からカワウの広域移動に関する研究を竹生島等で実施する、こういうようなことで、滋賀県にも、竹生島におけるカワウの個体数管理手法の検討及び植生回復手法の検討というようなことで施行委任をお願いしているところでございます。これらの事業につきましては、効果的な成果が上げられるように、引き続き推進をしてまいる考えであります。

 環境省としましては、これは琵琶湖に限ったことじゃございませんけれども、広域協議会、こういうようなことに主体的にかかわることによりまして、カワウの広域管理ということをさらに進めてまいりたいというふうに思います。

藤井(勇)分科員 ありがとうございます。ぜひとも、水草対策、カワウ対策について、環境省の積極的な対策をお願いいたします。

 それからもう一点でございますが、琵琶湖の水質汚濁の取り組みということについてお伺いいたします。

 琵琶湖の水環境問題については、下水道整備の生活排水対策や工場等からの排水規制対策に取り組んできた結果、琵琶湖への流入負荷は大幅に削減されてまいりました。しかし、CODは漸増傾向にありまして、それらの対策に見合うだけの顕著な水質の改善が見られておりません。

 現在、琵琶湖における水質汚濁のメカニズムの解明のため、環境省や国土交通省及び滋賀県が連携をとりながら調査を実施しておりますが、その調査内容がかなり広範囲にわたっているために、さまざまな研究機関との連携が必要だと思います。

 これまでも、琵琶湖の水質汚濁負荷削減対策として、生活排水対策、農業排水対策そして市街地排水浄化対策などが講じられてきましたが、顕著な水質の改善が見られないため、今後は、ぜひ環境省のリーダーシップのもとで、国家的な財産である琵琶湖の水質汚濁に取り組んでいただきたいと思います。

 我々は、ことしに入りまして、党内で近畿圏の国会議員による琵琶湖の環境改善を促進する議員連盟を発足させまして、環境改善に取り組んでおります。先ほども申し上げましたが、琵琶湖については県と六省庁が対応しているのでありますが、やはり環境省がリーダーシップをとって環境改善、保全に取り組んでいただきたいと思います。大臣のお考えをお願いいたします。

鴨下国務大臣 今先生お話しになったように、琵琶湖の新たな課題として水質汚濁の問題が生じているということは、我々も承知しているところでございます。

 また、琵琶湖の環境改善を促進する議員連盟、こういうようなことで積極的にお取り組みをいただいているわけでありますけれども、先生もその中で役員として取り組んでいただいているというようなことでございます。

 今御指摘があったように、琵琶湖の全循環の問題が生じてきているというようなことがそれぞれ御指摘があるわけでありまして、ある意味で、これも大きな意味での気候変動の影響があるんじゃないか、こういうようなことも言われているわけであります。特に、例年二月ごろ、湖面の冷却で表面水と深層水が混合して深層に酸素が送られるというようなことが、平成十九年では四月までおくれてしまっている、こういうようなことも含めて、酸素供給がされず底層の酸素が低下すると、湖底表面の酸化層が還元して、燐、窒素の再溶出や底層生物への影響が懸念される、こういうようなことが大きなメカニズムとして今起こりつつあるということであります。

 そういうようなことの中で、特に、琵琶湖についても、下水道整備を初めとしたこれまでの取り組みによりまして、いわゆる流入汚濁負荷は削減されているんですけれども、今申し上げたようなことでCODなどの水質がほぼ横ばいになる、こういうようなことで、なかなか難しい状況が今あるんだろうというふうに我々も認識しております。

 特に、今先生おっしゃったように、環境省がしっかりと総合調整しろ、こういうようなことでございますけれども、これまでの汚濁メカニズムをはかる基礎的な調査、こういうものは今までも進めてきたわけでありますけれども、琵琶湖等の代表的な湖沼を対象に、湖沼の水質汚濁メカニズム全体のさらなる解明をしよう、こういうようなことで、新たな調査を昨年度から実施しているわけであります。平成十九年度においては、これは五千万円の予算でありますが、琵琶湖等の代表的な湖沼を対象に、難分解性有機物による影響調査、植物プランクトンによる内部生産等の影響調査、地下水から湖沼への流入負荷調査、こういうようなことを実施してきておりまして、こういう知見を集積しまして、関係各省と連携をして、先生おっしゃるように、環境省も先頭に立ってしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

藤井(勇)分科員 ありがとうございます。せっかく六省庁が取り組んでいただいていますので、ちぐはぐにならないように、環境省のリーダーシップをよろしくお願いいたします。

 それから、琵琶湖に関連するもので、最後にもう一点質問をさせていただきます。

 琵琶湖の北の地域、湖北地域と申しますが、ここに長浜市という町と湖北町という町がございますが、ここに早崎内湖干拓地というのがございます。これは、当時、食料増産の要請を受けまして、昭和三十八年から四十五年まで、干拓が始まりまして完成した干拓農地でございます。

 しかし、その後、国の減反政策やら、あるいは社会状況の変化によりまして、現在は、湖辺の自然景観、動植物の生息、生育環境など自然環境の再生が必要という観点から、平成十五年から、地元の滋賀県、市町、そして自治会、あるいは漁業組合、土地改良区、民間団体の皆さんによって早崎内湖再生協議会を設置いたしまして、この内湖の再生に取り組んでおります。さらに、平成十七年には、早崎内湖再生計画検討委員会を設けまして、干拓地八十九ヘクタールのうち十七ヘクタールで、環境省から交付金を受けまして、県事業として試験湛水を実施いたしております。平成十八年、十九年は水質浄化機能の調査、また水産資源増殖機能調査等が実施されております。そして二十年度には、一億弱の予算で、本格的事業実施に向けまして、測量そして設計等実施計画を策定する予定であると伺っております。

 これまでの試験湛水で、早崎内湖には三百九十八種類の植物種が出てまいりました。また、百五種の鳥類が確認もされております。特にコハクチョウが大変多く飛来しているほか、ニゴロブナ等二十三種類にも及ぶ魚類も確認されております。成果が上がってまいりました。

 この事業は単年度ごとに予算化されていますが、滋賀県も、非常に厳しい財政の中、この問題に積極的に取り組んでおりますので、ぜひ関係省、国としても、引き続き早崎内湖の再生についてしっかりとした御支援をいただきたい。この早崎内湖のことについて、大臣のお考えをぜひともよろしくお願いいたします。

鴨下国務大臣 琵琶湖の周辺には、こういういわゆる内湖と言われるようなところが随分多いようであります。今先生おっしゃったように、それを戦後、稲作というようなことでそれぞれ田んぼにしてきた、こういうような経緯があるわけでありますけれども、自然再生をもう一度していこうというようなことで、特に、過去に損なわれてしまったような自然環境を取り戻そう、こういうようなことで取り組んでいるわけでありますけれども、その中のいわば代表的な一つなんだろうというふうに私どもも考えております。

 我が国の生物多様性、こういうようなことを保全するという意味で、今先生もおっしゃったように、鳥類あるいは魚類、非常に多様な種類のものが復活してきているというようなことは非常に意義が深いんだろうと考えております。そういう意味で、早崎内湖の自然再生事業、特に水辺の生態系の保全あるいは再生、こういうようなものを目的としているわけでありますけれども、我が国における先進的な取り組みというようなことに位置づけられるわけであります。

 本事業は自然環境整備交付金によりまして環境省の支援を受けて滋賀県が実施している、こういうようなことでありますけれども、約十七ヘクタールの湛水というようなことによりまして、もう既に、今お話しになったような魚類それから鳥類、こういうものが復活してきているというようなこともありまして、いよいよ動植物の良好な生息域となりつつあるというふうに我々も考えております。

 環境省としましては、引き続き、この事業主体であります滋賀県に対しまして技術的あるいは財政的な支援に努めてまいりたい、かように考えております。

藤井(勇)分科員 大臣、大変ありがとうございました。早崎内湖の再生が恐らく全国に先駆けて、全国のモデルケースになるように我々も精いっぱい応援していきたいと思っておりますので、大臣の御指導をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 午後二時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

平田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十八年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十一億六千八十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は十二億四千五百四十万円余であり、差し引き八千四百五十一万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百五十三億五千百五十二万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額九億四千三十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百四十四億千百十九万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百十二億五千六百四十四万円余でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費五百九十五億七千二百六十八万円余、衆議院の施設整備に要した経費十六億八千三百七十五万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、三十一億五千四百七十四万円余となっております。

 以上が、平成十八年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

平田主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。長尾国立国会図書館長。

長尾国立国会図書館長 平成十八年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百三十一億六千六百十一万円余でありまして、これに前年度繰越額六億六千七百八十八万円余を加え、既定経費の節約等による予算補正修正減少額三億八千三百四十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百三十四億五千五十二万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二百三十二億六千四百九十九万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の管理運営に要した経費百九十六億九千六百二十九万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億一千二百六十五万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費二十五億五千六百四万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は一億八千五百五十三万円余でありまして、その内訳は、翌年度繰越額七百五十四万円余、不用額一億七千七百九十八万円余となっております。

 以上が、平成十八年度国立国会図書館関係歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。濱坂裁判官弾劾裁判所事務局長。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 平成十八年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千七百七十七万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額三百四十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千四百三十四万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億一千二百五十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、百八十三万円余となっております。

 以上が、平成十八年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

平田主査 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成十八年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千六百五十二万円余でありまして、これから既定経費の不用等による予算補正修正減少額六百九十九万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千九百五十三万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億二千四百七十一万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、四百八十二万円余となっております。

 以上が、平成十八年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平田主査 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十八年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、議員会館の入構車両警備業務における警備単価の積算に関するものであります。

 議員会館の入構車両警備業務における警備単価の積算に当たり、衆議院において、緊急事態に対処する必要があるとして、所要人員数に実質的に休憩となっている交代要員数を含めて積算していたため、積算額が過大となっていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、衆議院では、十九年九月に積算業務を行う会計課長に文書を発し、警備単価の積算に当たり、所要人員数に交代要員数を含めず、警備ポストに配置する警備員の数を所要人員数として用いることとする処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院が講じた措置について御説明いたします。

 議員会館入構車両警備に係る警備単価につきましては、積算事務を行う会計課に対して文書を発出するなどして、適切な積算を行うよう改善措置を講じたところであります。

 今後とも、なお一層、契約事務の適切な実施に努めてまいる所存でございます。

平田主査 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介と申します。

 本日は、四日前に通告をさせていただきました質問予定項目の順に沿いまして、まず、宮内庁の風岡次長に、二月の羽毛田宮内庁長官の記者会見における発言について若干の質問と、その後、衆議院事務総長駒崎さんに、昨年、一昨年から続けてお伺いしておりますが、国会改革の現状について引き続き御質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、宮内庁さんにお尋ねします。

 二月十三日の記者会見における羽毛田長官の御発言に関連してでございますが、二月十三日の長官会見で羽毛田長官から、皇太子殿下の御所への参内の回数について異例の御発言がございまして、皇族にお仕えする立場の長官が公のメディアの記者会見の場で異例の御指摘をされたということで、多くの国民が、衝撃とともに戸惑いを感じる方もいらっしゃったかもしれません。

 そういう中で、振り返りますと四年ほど前に、当時、皇太子殿下の、たしかお誕生日の記者会見の際だったと思いますが、後にいわゆる人格否定発言と呼ばれる御発言がございまして、その後の宮内庁の取り組みについてもお伺いしたいと思いますけれども、四年前の御発言の後、当時話題となりました殿下御夫妻の外遊の頻度等を含めまして、皇太子殿下御夫妻の御公務のあり方にどのような変化が見られたか、お尋ねしたいと思います。

風岡政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年の五月に、これは外国御訪問のときの記者会見でございましたけれども、皇太子殿下の御発言以降、宮内庁といたしましては、よりきめ細かなお世話に努めてきているところであります。

 例えば、皇太子同妃両殿下のお出ましに当たりましては、医師団と緊密な連絡、相談を行い、妃殿下の御負担がより少ないスケジュールの作成に努めているところであります。また、報道取材につきましては、取材設定の工夫など、メディアの側の御協力もいただいているところであります。さらに、医師団からの助言もありまして、平成十八年の夏でございますけれども、御一家そろってオランダでの御静養もしていただいたところであります。

 こうした取り組みもありまして、東宮御所や都内での御活動に加えて、長野県や徳島県の地方行啓にもお出かけになるなど、御活動にも広がりが出てこられているところであります。

 今後とも、医師団と密接に連絡、相談をしつつ、両殿下のお考えも十分にお伺いしながら、私ども、お世話の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

津村分科員 続きまして、二月の羽毛田長官発言の真意について伺いたいと思いますが、あわせて、愛子様が最近、天皇皇后両陛下を御訪問になっている回数の推移についてもお尋ねします。

風岡政府参考人 本年二月の長官の発言でございますけれども、これは皇太子殿下として御発言いただいた事柄について、大切にしていただきたい、そういう長官自身の思いを記者会見の場で述べたものと承知をしております。

 なお、皇太子殿下の御発意によりまして御一家で御参内をされるのは、近年、年二ないし三回程度、このようになっているところであります。

津村分科員 二月の記者会見後、国民からどのような反応が見られたでしょうか。宮内庁で把握していることをお聞かせください。

風岡政府参考人 この件につきましては、メール、電話等で当庁にいろいろな意見も寄せられております。その内容につきましては、長官の発言を支持するものとして、皇室のおそばでお仕えする宮内庁長官の立場としては適切な発言ではある、そういうものもございました。また、長官発言を批判する立場からは、記者会見の場でそういう発言をされなくてもいいのではないか、そういう意見もございました。また、これらの要旨以外の意見にも、さまざまな立場からの意見が寄せられたところであります。

 二月末までの期間で私どもに寄せられました意見の総数は、おおよそ二百件程度というふうになっております。

津村分科員 引き続き、事前通告の項目に沿いまして御質問してまいりたいと思います。大変重要な質問と思いますので、丁寧にお答えいただければと思います。

 羽毛田長官の発言に関連しまして、皇太子殿下は、御自身の記者会見の中で、家族のプライベートな事柄だという旨の御発言をなさっています。皇室のプライバシーをどのように考えていくかというのは、大変古くて新しいテーマだと思いますが、今回の事案の総括を含めて、宮内庁の所見をお伺いいたします。

風岡政府参考人 さきにお答えをしましたとおり、今回の長官の発言につきましては、皇太子殿下として御発言をいただいた事柄について述べたものと承知をしております。

 皇室のいわゆるプライバシーをお守りするということは当然大切なことであるというふうに考えておりますけれども、一方で、私どもは、皇室の御活動やお姿を国民にお知らせすることも当庁としては大切な使命であると考えております。

 この両者のバランスをいかにとるかということは常になかなか難しい問題で、私どもとしても悩ましいところであるわけでございますが、やや抽象的なお答えで申し上げますと、私どもとしては、よりアンテナを高くして、国民の皇室への思いというのを的確に把握するように努めるとともに、両陛下を初め皇族のお考え方も十分お伺いをしながら、皇室の御活動が円滑に運ぶことを念頭に心を砕いてまいりたい、このように考えております。

津村分科員 引き続き、通告項目に沿って御質問いたしますが、今回の発言後、巷間、千代田側と東宮側のコミュニケーション不足ということを指摘する声もございます。また、先ほども御質問しましたが、四年前からのある種の流れといいますか、いろいろな流れの中で、国民の心配ということもございますが、宮内庁が果たすべき役割は大変大きいと思います。

 今後、どのような取り組みをされていくのか、見解をお伺いします。

風岡政府参考人 私ども宮内庁といたしましては、日ごろから、関係部局の間で十分な連携を図るため、定期的な連絡会議を開催するなど、幹部だけではなくて、各レベルで緊密な情報の共有に努めているところであります。

 宮内庁としては、このような横の連絡をより密にするとともに、さまざまな立場からの国民の御意見も受けとめながら、皇室の御活動がより円滑に運ぶように、さらに一層努力をしてまいりたい、このように考えております。

津村分科員 風岡次長、ありがとうございました。宮内庁への御質問は以上でございます。

 続きまして、一昨年、衆議院の議院運営委員会、その中で衆議院事務局等改革小委員会という委員会に私自身も所属をさせていただきまして、衆議院事務局、中には調査局のテーマもありますが、改革の議論がありました。

 一昨年の五月、平成十八年五月には中間取りまとめが決定をされまして、その中で衆議院所管の国有財産について、事務局分室、法制局分室、速記者養成所及び職員研修所の四つについて、「衆議院の施設整備等を勘案しつつ、できるだけ速やかに財務省に移管する。」こととされております。

 この国有財産の売却について、昨年時点での売却はほとんど進んでおりませんでしたが、現在の状況と今後の計画について御説明をお願いします。

駒崎事務総長 まず、速記者養成所につきましては、建物の解体を昨年度末までに終えたところでございます。財務省への移管につきましては、昨年の予算委員会の分科会における先生の御質問に対して、「二十年度中にでもと考えております」とお答えしたところでございまして、今年度、境界確定と測量が終わりましたら、速やかに財務省に移管したいと考えております。

 事務局分室及び法制局分室につきましては、現在、国会審議のための事前作業や議員立法の立案業務が深夜に及んだ場合の職員の臨泊施設等として使用してございます。現在、移管の方法等について検討しているところでございます。

 職員研修所につきましては、現在、研修施設としてのほか、職員等の保養施設として使用いたしております。方向といたしましては、二十一年度末まで使用した上で、二十二年度中には財務省に移管することを考えております。

 これら三カ所の境界確定と測量に要する費用につきましては、二十一年度の概算要求に向けて準備をしてまいりたいと考えております。

津村分科員 そのほかにも、国有財産の合理化ということに関しましては、話題となっております宿舎、青山や高輪の議員宿舎も含めまして、さまざまな合理化計画というものが議論されていると思うのですが、平成十九年度、二十年度、そして来年、二十一年度の予算の議論がこの夏から始まると思いますが、衆議院事務局としての取り組みのスタンスを具体的にお伺いしたいと思います。

駒崎事務総長 旧速記者養成所、用賀職員宿舎及び穏田職員宿舎につきましては、平成十六年十二月の議院運営委員長と財務省の協議に基づきまして、平成二十二年度までに財務省に引き継ぐこととなっておりまして、今年度、境界確定と測量を行うことといたしております。

 このうち、旧速記者養成所につきましては、境界確定と測量が終わりましたら、今年度中に財務省へ移管したいと考えております。

 用賀職員宿舎につきましては、宿舎を廃止し、昨年度建物を解体いたしましたが、財務省への移管は二十一年度と考えております。

 穏田職員宿舎につきましては、本年度まで宿舎として使用し、財務省への移管は二十一年度と考えております。

 また、青山議員宿舎と高輪議員宿舎につきましては、昨年九月に廃止され、今年度境界確定と測量を予定しておりまして、財務省への移管に向けて検討しているところでございます。

津村分科員 測量で費用を計上されているというお話は、事前にも御説明いただきましたし、今も詳しくお述べいただいたところなんですけれども、技術的なことは私たち専門でない者にはなかなかわかりにくいところがありまして、測量に一年かかる、その次の年、もう一年売却で財務省と議論があるというようなお話をいつもいただくんですけれども、ずばりどれだけリストラ効果といいますか立法府のスリム化が進んでいるということがなかなかわかりにくいところがあるわけですけれども、数字的なお答えを一ついただきたいということで通告を申し上げております。

 事務局改革の効果についてでございますが、事務局等改革小委員会の中間取りまとめでは、「効率的かつ機能的な組織に向けた取組み」として、定員の削減であるとか組織の統廃合、そして幹部職員の給与の見直し等、さまざまな項目が盛り込まれました。これらの取り組みによって、結果的にどの程度の費用縮減効果が生まれるのか、数字のわかるものについて具体的に説明してください。

駒崎事務総長 事務局といたしましては、組織を効率的かつ機能的なものとするため、中間取りまとめの内容を着実に実施するべく、定員の純減、組織の統廃合、幹部職員の給与の見直し等を行っております。

 定員の純減につきましては、平成十八年度から二十年度までの三カ年で五十七名、三・一八%の純減を行っており、平成十八年度からの五年間で九十五名、五・二九%以上の純減を行う方針でございます。

 組織の統廃合につきましては、平成十八年十二月末に速記者養成所を廃止したのに続き、平成十九年九月末に青山宿舎と高輪宿舎を廃止いたしました。また、平成二十二年度末までに、新議員会館竣工後の第一議員会館課、第二議員会館課の統合を予定しております。憲政記念館と議事部資料課との統合につきましても、その方向で検討しているところでございます。

 幹部職員の給与の見直しにつきましては、平成十九年一月から事務総長の給与を内閣官房副長官と同額に引き下げるとともに、常任委員会専門員の最高号給である四号給を廃止いたしました。

 このほか、平成二十年度には自動車運転手の外部委託を十名とし、最終的には三十名程度にする予定でございます。

 中間取りまとめの事項について、今先生おっしゃるように、個別具体的な削減効果の積算は困難でございますが、一例を挙げますと、定員純減に係る削減効果といたしまして、平成十八年度から二十年度までの三年間で五十七名純減となっておりますので、その職員俸給予算で比較いたしますと、約二億五千九百万円の減額となっております。

 また、議員宿舎統廃合に伴う青山議員宿舎及び高輪議員宿舎の廃止により、平成二十年度予算においては、両議員宿舎に係る維持管理費が前年度に比し約一億二千八百万円の減額となっております。

 さらに、国有財産の処分につきましては、財務省に移管することとなりますが、仮に国有財産台帳ベースで試算いたしますと、先ほどお答えいたしました事務局分室等合理化予定の九つの国有財産の各資産の価値は、合わせて約百九十四億円になっております。

津村分科員 続きまして、私たちが二年前の議院運営委員会での議論、そういった、事務局をコンパクトにしていく、無駄をなくしていくということはもちろん大変重要なことで、当時、自民党さん、公明党さんも含めて熱心に取り組まれたところですが、一方で、立法府には、立法補佐機能といいますか、あるいは行政監視機能ということも含めて、立法府ならではの、ここは失ってはならない、むしろこれから二大政党化ということが時代の趨勢として進んでいる中で、行政、霞が関と比べても質の高い議論を国会でしていくという中で、調査局も含めた立法補佐機能の強化ということが非常に重要だということが、これは民主党を初め、共産党さん、あるいは場合によっては公明党さん、自民党さんからも繰り返しそういう話が出たと記憶をしております。

 そういった中で、小委員会の中間取りまとめにおいても調査局ビジョンというものを策定するということが明記をされていますし、ビジョンを策定するというからには、その後、そのビジョンを一つのたたき台にして、私たち外部の者といいますか議会においてもしっかりとそこをフォローアップ、チェックをしていきたいということかと思いますが、大変残念なことに、まず、その中間取りまとめをした一年後の昨年に私が伺った時点で、調査局ビジョンはまだできていませんでした。現在はまだ公表されていないと認識をしていますが、現在の策定状況をお尋ねします。

駒崎事務総長 調査局ビジョンにつきましては、中間取りまとめにおきまして調査局ビジョンを策定することが示されてございまして、自来、調査局内で検討してきたところでございますが、この検討結果等を受けまして、昨十九年九月には、調査局の役割及び目標、新たな業務の実施等について定めた調査局ビジョンが策定されてございます。

 その後、議院運営委員長、議運理事等へ調査局ビジョンを御説明し、御了解を得ております。その上で、このビジョンに基づき、今国会冒頭より新たな業務を拡大したところでございます。したがいまして、この調査局ビジョンにつきましては、公表できるものと考えております。

津村分科員 本日、公表していただくことができますか。

駒崎事務総長 はい。公表することは、当然できます。

津村分科員 恐らくここで読み上げていただくのは余りにも大部だと思いますので、それはお尋ねしませんが、本日、必ず公表してください。

 それから、なぜこの二年間、策定に時間がかかったのか、少し長過ぎると思います。一説では、内部で相当たたき台が幾つか変わって、実質的には非常に薄い内容になっていると伺っていますが、分量としてはどの程度のものをおまとめ願っているんでしょうか。

駒崎事務総長 分量としてはA4判で二ページでございますが、昨年の九月ですので、二年はかかっていなかったと思います。

 それと、中間取りまとめで調査局ビジョンについて策定するように定められたのが四項目ございますので、これを定めるように、局内で検討していたということでございます。

津村分科員 大変残念といいますか、事務局としての熱意を示す大切なチャンスを時間的にもお逃しになっていますし、結果として、中身は今後精査させていただくにしても、わずかA4二枚ということですから、そのぐらいのビジョンしかお持ちじゃないのかなと。もちろん、大きな目標を書かれているのかもしれませんけれども、具体的にイメージがわくのかなということが大変心配でございます。

 私たちが小委員会でも繰り返し強調させていただきました行政監視機能強化のためには、新たにどのような業務が実施をされているのか、お尋ねします。

駒崎事務総長 調査局ビジョンを受けまして、調査局では、行政監視機能強化のため、この常会から新たな業務として、委員会ニュースの作成、政省令に関する情報の提供、委員会決議及び附帯決議に対する政府の対処状況調査等の業務を開始してございます。

 委員会ニュースとは、これまで調査局が提供していた委員会審査に関する情報を拡充、発展させ、速報性を重視しつつ、各委員会の質疑等の概要をわかりやすく紹介するものでございます。

 政省令に関する情報提供についてでございますが、原則として、第百六十五回国会、平成十八年臨時会以降の各国会において成立した法律につきまして、その施行に伴う政省令の内容を委員会ごとに調査して概要レポートを作成することとしております。

 委員会決議及び附帯決議に対する政府の対処状況調査につきましては、原則として、第百六十五回国会以降のものにつきまして、五年間、継続的に委員会決議及び附帯決議の各事項に関する政府の対処状況を調査するものでありまして、これも、先生方に対し同様に情報の提供を開始しております。

 また、これら以外にも、調査局ビジョンにおいて定めましたとおり、今後とも、多様化、高度化する先生方のニーズに対して迅速かつ的確に対応できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。

津村分科員 質問の最後に、調査局ビジョンをきょうどういう形で公表されるのかお話しいただきたいと思うので、ちょっと答えを考えておいてください。

 続きましてもう一問、専門員についてですけれども、中間取りまとめで、「立法補佐機能の充実強化について」というところで、「専門員及び首席調査員については、今後新たな出向者を受け入れない。」という文言があります。専門員というのは、これは管理職だと思いますけれども、給与でいうとどのぐらいの水準、例えば行政でいうと、たしか局長クラスですか、事務次官クラスですか、どのくらいのクラスだったかお答えください。

駒崎事務総長 行政でいうと局長クラスになります。

津村分科員 局長クラスの俸給をいただかれているこの方々について、今後新たな出向者を受け入れない、つまり天下りを受け入れないということで、これは実現されているものと信じておりますが、一方で、これは事務局内の天下りといいますか、事務局と調査局があるわけですけれども、事務局出身で調査局の経験者じゃない方、つまり、専門性を必要とするはずの調査局の、局長クラスの専門員の方が、調査員を経験していない方がいらっしゃるというふうに伺っておりますけれども、専門員何人中何人いらっしゃるんでしょうか。

駒崎事務総長 現在、常任委員会専門員は十五名おりますが、このうち、調査員としての経験がなく専門員に登用された者が五名でございます。

 しかしながら、これらの五名につきましても、委員会運営業務や法制立案業務、各省への出向等を経験しておりまして、専門員としての職責を十分に現在果たしているものと考えております。

津村分科員 それをおっしゃるのであれば、ある意味では中間取りまとめの「今後新たな出向者を受け入れない。」というこの趣旨との整合性みたいなことがまた議論になっていくと思うんですが、やはり調査局自体の、つまり後進を育成するということも含めて、一貫した人材育成のプログラムを持っているのかということが問われているわけで、お一人お一人について、この人は能力がないとか、そんなことを個人的に攻撃しようと思っているわけじゃないんです。これは調査局として、人材育成のプログラムをきちんとお持ちでなければ組織として脆弱じゃないかということを申し上げているわけです。

 そういう意味で、現状についてはわかりました、十五人中五人調査員未経験の方がいらっしゃるということで、そのことは大変問題だと思うんですが、調査局の歴史が比較的浅いということも含めて、人事のさまざまなバランスがもしかしたらあるのかもしれません。しかし、今後の方向性ということは、これはトップとしてしっかりお示しいただきたいところなんです。今後、専門員に、調査員としての経験、能力というものを持った方が望ましいと考えるわけですけれども、今後の任用の方向性、その改善の具体的な目標についてお伺いします。

駒崎事務総長 これまで専門員の任用に当たっては、専門知識とともに、第一に、委員会の審査及び国政調査を補佐するとともに、所管の分野に関して国会議員に対する説明を行う職責を担うこと、第二に、委員長初め与野党の委員から信頼を得て、当該調査室の室長として調査員を指揮監督する立場であること、この二つから、国会職員としての人格、識見とも均衡のとれた人物を登用することを重視しているところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、調査員としての経歴は専門員の職務に役立つものと考えておりますが、調査局の専門性強化や業務拡充等に対応していくためには、組織全体としての専門性を高めていく必要がありまして、個々の知識や能力を組織的に共有し、より高次の知識を生み出し、活用していく能力も重要であると認識いたしております。

 いずれにいたしましても、与野党の委員から信頼を得られるよう、個別に人物を見きわめながら、人格、識見とも均衡のとれた者を登用してまいりたいと考えております。

津村分科員 端的にお尋ねしますが、先ほどからの議論でおわかりだと思いますので、その棒読みの部分もわかりましたけれども、駒崎さん、これからは調査局でしっかりと内部で人材を育てて、十五人中五人も調査員未経験の方が専門員として局長クラスの給料を取っていらっしゃる、局内での天下りというふうにマスコミ等からやゆされるような、そういう事態はこれからはなくしていくということでよろしいですね。

駒崎事務総長 今後……

平田主査 事務総長、国会のルールを守ってください。

 駒崎事務総長。

駒崎事務総長 今後につきましては、立法補佐機能の充実強化に資するような方向で検討していきたいと思います。

津村分科員 イエスかノーか、どちらですか。

平田主査 発言の場合は挙手を願います。

駒崎事務総長 調査局の専門性の強化に資するような形で……(津村分科員「ですから、それはどっちなんですか」と呼ぶ)

平田主査 津村さんも発言の場合は挙手を願いますね。

 いいですか。(津村分科員「では、もう一回」と呼ぶ)

 津村君。

津村分科員 私は、イエスかノーか、どちらなんですかとお尋ねしました。方向をはっきり示してください。

駒崎事務総長 調査局の人材育成のプランに従って行っていくということでございます。

津村分科員 そのプランがどっちの方向を向いているかということをお尋ねしているんです。簡潔に答えてください、時間がないので。

駒崎事務総長 専門性を強化していくような人材育成を行っていくという……(津村分科員「専門員のことを言っているんですよ」と呼ぶ)

平田主査 最後の質問にしてください。

津村分科員 最後の質問にしますが、お答えいただいていないことについて全部言って、お答えを投げて、終わらせていただきますね。

 私が今御質問さしあげたのは、専門員が、局長クラスの方々が調査局未経験の方が十五人中五人もいるということは、現在の状況としてはさまざまあるにせよ、今後はそれは減らしていく方向ではないか、調査局の経験のある方がまさに事務総長おっしゃる専門性の高い方なのであって、そういう意味で、今後専門員には調査局経験者を積極的に登用していくべきではないですか、イエスかノーですかということを一点お伺いした。

 それから、先ほど御質問したことをもう一回繰り返させていただきますと、公表をしていただくということですが、それはきょうどういう形でプレスや国民の皆さんに伝わる形でされるのか、そのやり方についてお尋ねしました。

 そして、最後一つだけ追加しますけれども、調査局の調査業務を拡充していく観点から、一つ宿題を出させてください。

 ペイオフ解禁後の地方自治体の公金預金の保全状況についての調査ということをこの間お願いしておりますけれども、調査室として取り扱っていただけますか。

 この三点、簡潔で結構です、お答えください。

駒崎事務総長 一点目は、先生おっしゃるように調査局の経験者を任命するような形で行っていく、そういう方向で行っていくということでございます。

 それから二点目は、調査局ビジョンの公表でございますが、これは本日の衆議院の立法情報ネットワーク等へ掲載させていただくことによって公表していきたいと考えております。

 それから三点目のペイオフ解禁後の地方自治体の公金預金の保全状況についての調査でございますが、これにつきましては、調査方法等につきまして御相談させていただきながら進めてまいりますよう、調査局へ指示いたしております。

津村分科員 ありがとうございました。

平田主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠田陽介君。

篠田分科員 篠田陽介でございます。

 決算行政監視委員会第一分科会、国会所管について質問をさせていただきます。

 我が国の財政事情をかんがみたら、まず無駄遣いをやめていく、そのことから始めていかなければいけないのは当たり前のことでありまして、私はそれをまず国会からやっていきたいということでこれまで取り組んでまいりました。今、自民党におきましては、国会改革委員会というのが立ち上がりまして、私が担当しておりますのは、国会所管の事務局の効率化及びスリム化、これを担当しております。

 きょうは、あくまでも、基本的に平成十八年度決算についてということでありますから、国会からいただきました平成十八年度国会所管歳出決算報告書に基づいて質問させていただきますが、まずその前に、議員宿舎の件でお尋ねをさせていただきます。

 昨年、私は、参議院で新しい議員宿舎の移築計画が持ち上がっている、他方、衆議院では赤坂新議員宿舎ができて空き部屋を多く抱えておる、この二つの問題を国会トータルとして考えると、衆議院と参議院の垣根を外して、同じ国会議員だからどこに住んだっていいじゃないか、共有化を図ることによって効率化、スリム化が図れるんじゃないかということで、提言を取りまとめて、衆参両院に対して申し入れをさせていただいたなどの運動をしておりました。

 私は衆議院議員でありますので、余り参議院側についてごちゃごちゃ言うつもりはありませんので、まず、現行、衆議院の議員宿舎の入居状況についてお伺いをします。

 現在の新赤坂議員宿舎の入居状況及び九段議員宿舎の入居状況数を教えてください。

駒崎事務総長 入居状況でございますが、四月二十二日現在、赤坂議員宿舎二百四十一名、九段議員宿舎五十七名であります。そのうち三十七名の方が今後九段議員宿舎から赤坂議員宿舎へ転居する予定になっております。

篠田分科員 笹川委員長のお示しした案というのは、六月末までにすべての九段議員宿舎に入っている議員は赤坂に転居をしてくれと。今の話でありますと、ちょうど、二百四十一であれば、赤坂議員宿舎の空き部屋数が五十九となります。今、九段議員宿舎に入っているのが五十七名、そのうちの五十七名ということでありますから、すべての議員が赤坂議員宿舎に入った場合、九段宿舎が不要になると私は思っております。

 そんな中で、笹川委員長が、六月末までに九段宿舎に入っている議員はすべて赤坂議員宿舎に入ってくださいという通知を出していると承知をしておりますが、この五十七名のうち、まだ二十名が移転をするということを表明していないという解釈でよろしいでしょうか。

駒崎事務総長 まだ赤坂議員宿舎に転居するということが予定されていないということであります。

篠田分科員 なぜしないのか。それで、六月末までしなかった場合、事務局としてどういったことをそれらの二十名の議員に言うつもりがあるのか。あと、その二十名の議員はどなたか、御氏名を公表していただくことはできますか。

駒崎事務総長 昨年十二月十一日の議院運営委員会理事会におきまして、九段議員宿舎にお住まいの方々には本年六月末日までに赤坂議員宿舎へお移りいただくよう要請することを決定いたしましたが、当然のことながら、この要請は非常に重いものと認識しております。

篠田分科員 議運の委員長は国会の事務方のトップだと私は思っています。この議運の委員長の方針に従うということに忠実に努力をされるのが事務局の仕事だと私は思っておりますので、どうぞ、この二十名の方々、どなたかはわかりませんが、速やかに赤坂議員宿舎に移っていただけるように、再度、事務局の方から要請をしていただきたいということを、まず冒頭に述べさせていただきます。

 それで、決算でありますので、いただきました平成十八年度国会所管歳出決算報告書、これに基づいて順次質問をさせていただきます。

 国会と一言に言いましても、衆議院と参議院、国立国会図書館、裁判官弾劾裁判所並びに裁判官訴追委員会という五つの組織があるということであります。これをトータルで見直しをしていかなければいけない時期に来ていると私は思っています。そんな中、いただきました決算書に基づいて質問をさせていただきます。

 まず、衆議院の職員諸手当ということの質問をさせていただきます。

 衆議院の職員数、今、大体千七百名ぐらいおると承知をしておりますが、基本給が全体で約八十六億円。その基本給とは別のいわゆる職員諸手当というのに四十四億四千七百万円使っております。これは、基本給の半分より上、半分以上その諸手当で占められているということだと思うんですが、諸手当と一言に言いますが、どんな内訳があるのか。何に幾ら、何に幾ら、何に幾らということを教えてください。

駒崎事務総長 職員諸手当は、国会職員の給与等に関する規程等に基づき職員に支給される各種手当に必要な経費でございまして、平成十八年度の支出済み額約四十四億四千七百万円の内訳でございますが、期末手当及び勤勉手当としての支出額が約三十五億円でございまして、これが全体の約八割を占めております。

 その他、主なものといたしましては、管理職手当で約三億円、通勤手当で約二億九千万円などとなっております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 次に、衆議院の超過勤務手当、いわゆる残業代と言われるものについて質問します。

 一人当たりにならしましたら年間約九十一万八千円というのが衆議院の職員の残業代。これは平均ですね。平均約九十一万八千円、毎月大体八万円ぐらい残業代がついているという計算だと思うんですが、やはりちょっと感覚から照らし合わせて多いのかなという感じはしております。

 ですから、私、常に感じておりますが、国会というのは会期があります。閉会中と開会中、それぞれ事務局によって作業量が異なると思います。例えば、今、開会中ですから、委員部あるいは調査局、こういったところは大変忙しいと思うんです。当然それにかかわる議事部だとかも忙しい。しかしながら、他方、いろいろな、国会議員が海外に渡航できないという制約があったりしたら、今度は逆に国際部が暇になる。逆に、閉会中になると国際部が忙しくなって、今まで忙しかった部署が暇になるということもあると思うんですが、普通の民間で考えると、やはりそういった時期はお互いが助け合う精神があって当たり前だと思うんです。

 こういったシステムというのは衆議院の事務局において実際あるのか。あるとしたら、どんなことを実際やっているのか。あるいは、ないのか。教えていただきたいと思います。

駒崎事務総長 超過勤務手当につきましては、必要最小限の適切な超過勤務の命令に努めまして、業務の簡素効率化、早期退庁促進のための月二回の定時退庁日、第二と第四の金曜日でございますが、それを設ける等、超過勤務の縮減に努めております。

 また、業務の多寡に応じて柔軟に職員を配置するため、相互に関連性のある業務については、繁忙状況に応じて一名の職員に複数の業務を兼務させること等により、効率的な人員配置に努めているところでございます。具体的には、委員部や調査局の担当におきまして、例えば常任委員会と特別委員会を同一の職員に担当させる等の配置を行っているところであります。

 衆議院事務局等の改革に関する小委員会中間取りまとめにおいて、五年間で九十五名の定員純減を求められているところでありますので、引き続き、効率的かつ機能的な組織となるよう職員の適正な配置に努めてまいる所存であります。

篠田分科員 ありがとうございます。

 次に、衆議院の要するに印刷関係についてお尋ねします。

 我々は、財務省の印刷局も、法律が通るたびにこんな分厚い資料をお届けいただきます。あるいは、いろいろな資料が議員会館に届くわけです。私は、今の時代に即してペーパーレス化ということをこれから打ち出していきたいと思うのですが、そんな中、衆議院には印刷課というのがありまして、独自に印刷所というのを持っていて印刷をしていると思うんですが、これが年間約七億一千五百万円だということで、この決算書に支出で書いてあります。

 他方、参議院はどうなのかということを調べましたら、参議院は、印刷関係、多量にわたるものはすべて外注をしていると聞くんですが、印刷課は、職員数が何人いて、どんなものを刷っているのか、そしてこれを外注することはできないのかということをお尋ねします。

駒崎事務総長 衆議院印刷課の職員数は、事務系職員五名、技術系職員十名の計十五名でございます。

 衆議院印刷課の業務でございますが、衆議院事務局事務分掌規程により、会議録の印刷に関する事項と議案類、参考資料等の印刷に関する事項となっております。

 衆議院印刷課で印刷しているものには、議案類では、議案の提出文、要旨、報告文、決議案、重要動議などがあり、議案類以外では、政治倫理審査会会議録、職員関係法規集、院内電話番号表、政策担当秘書研修テキストなどがあります。

 議案類について言えば、昨年の常会の第百六十六回国会中に印刷課で印刷したものは、四百九十件で合計部数は約三十二万六千部でございました。

 そのほか、印刷課では、各課から印刷された書類や会議録の製本業務を行っております。

 また、外注することについてでございますが、本会議が深夜に及ぶ場合や急に決議案が提出された場合等にも対応することが印刷課であることで可能であると思います。また、そのような場合、原稿を受け取ってから納入するまでの時間も、外部に発注するよりも短くて済むと思います。さらに、国会職員として国会情勢のほとんどの事態に対応できるものと考えております。このような特色は、特に緊急時に必要になってくるものと考えております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 緊急動議だとかを印刷するのに時間がかかると。

 そのときだけにコピー機のちょっと高速なものを何台か用意しておけば済む話かなと私は思うんです。緊急性を要するときのためだけに印刷課というのが果たして必要なのか、緊急性の伴わないものは外注した方が安くできるんじゃないかと思っていますが、このことについては、いずれ見に行かせていただきます。我々は事務局すべて見ているわけじゃありませんので、実際どういった業務をやっているのか近いうちに見させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、国立国会図書館についてお尋ねをします。

 国立国会図書館という組織は九百八名職員がおるというふうに書いてあります。その中で、何点か見た中で、私が日ごろ疑問に思っていること、あるいは今回の支出決算について疑問に思うことを質問させていただきます。

 先ほど津村委員が質問されていましたが、いわゆる衆参の調査局と同じような組織が、国立国会図書館に調査及び立法考査局というのがあります。私は、この局といわゆる衆議院の調査局、ちょっと業務が重複しているんじゃないかなと常に感じております。

 そこで、国会図書館の方は、議員のいろいろな情報を提供するに当たり我々は寄与しているということを言うのはよく理解できるんですが、それでは、実際に一年間で衆参両院あるいは議員からどのぐらいの調査依頼件数があるのかということをまずお尋ねさせていただきます。

長尾国立国会図書館長 平成十八年度の衆参両院からの調査依頼の処理件数につきましては、衆議院議員からは二万五千九百十九件、参議院議員からは一万五千四百十二件、その他二千八百六十八件で、合計四万四千百九十九件でございました。

篠田分科員 ありがとうございます。

 我々も、例えば調べ物をするときに、調査局に頼むのか国会図書館に頼むか、たまに悩むことがあります。それはなぜなのかといいますと、国会図書館の調査及び立法考査局というのが、どんな部門があって、どんな専門調査員がいて、どういった方々が何をしているのかというのが余り見えてこないということに原因があるとも思っています。ホームページなどを見ましても、専門調査員という方がどんな方なのか、どんな経歴を持って今専門調査員という仕事についているのか、あるいはこれまでどんな論文を発表されたのか、そういうことについてもっと情報を公開すべきだと思っております。

 いわゆる専門調査員という方々の年間の給料は、大体二千百万ぐらいだというふうに聞いております。かなり高額の給料をもらっていることにかんがみ、私は、やはりそれぞれどんな仕事をしているかというのをきちんと公開する義務があるんじゃないかなと思っておりますが、このことについてお尋ねをします。

長尾国立国会図書館長 専門調査員の顔が見えないという御指摘でございますので、衆参両院の事例を参考にいたしまして、今後、どのような公開の仕方があるか検討してやりたいと思っております。

篠田分科員 ぜひお願いをいたします。

 それで、決算に基づいて国会図書館さんに質問させていただきます。

 国会図書館の決算書を見ましたら、超過勤務手当で、数字を見てちょっと違和感を感じたんです。先ほど言ったように九百八名職員がいて、予算の見積もりでは、当初四億六千万必要ですよということでありました。それで、実際に超過勤務手当を払って、不用額というところを見ましたら、二円というふうになっております。九百八名職員がいて、それぞれ残業手当を申告するなりにやって、積み重ねて、なぜ二円という結果になるのかということ。これは、何か取り決めがあるのか、偶然なのか、どうして二円になったのか、お尋ねをさせていただきます。

長尾国立国会図書館長 当館におきましては、調査業務、夜間閲覧業務を初めとする司書業務、また一般事務の各部門において恒常的に超過勤務が発生しているというのが実態でございます。

 その超過勤務手当につきましては、予算額を限度として執行しております。

 職員の超過勤務につきましては、従来から縮減に努めているところでありますが、今後業務の一層の効率化を図ることにより縮減に努める所存でございます。

 恒常的な超過勤務に対しましては、予算額を限度として執行したということの結果がそこに出ておるわけでございます。よろしくお願いします。

篠田分科員 いや、偶然にしてはすごいなというふうに思わざるを得ないのが私の見た実感なんです。

 ですから、私は、例えば残業すると、それはいろいろ予算枠があるかもしれませんが、足らない場合はやはりどこかから持ってくるなり、こういったいろいろな決算書を見ると、どこかから持ってきたとか書いてありますので、ただ、どうしても二円というのはちょっといかがなものかなというのが正直な感想でありますから、どういったシステムになっているか、またいろいろ聞かせていただきますが、改めていただきたいということを申し述べさせていただきます。

 次に、国会の所管の中で、裁判官訴追委員会という組織についてお尋ねをします。

 この組織について、職員数と、平成十八年度、どんな業務を行ってきたのかということをお尋ねさせていただきます。

白井裁判官訴追委員会参事 裁判官訴追委員会職員の定員は十二名でございます。その他に非常勤職員が一名おります。

 当委員会の平成十八年度の主な業務実績と申しますか、数字を用いさせていただいて、ちょっと御説明申し上げます。

 訴追請求人等から全体で六百九十一通の文書を接受しまして、そのうち訴追請求状としての要件が備わっているもの五百五十四件について立件をいたしまして、最高裁判所、法務省、訴追請求人等に対し四百四件の調査照会をいたしました。それで、訴追委員会での審議資料としまして、その調査の結果をまとめた千四百ページ余に及ぶ訴追事案概要書等を調製いたしました。

 訴追事案審査のための委員会は三回、小委員会は三回開かれまして、前年度未済事案を含めて五百八十四件の事案について審議した結果、定年退官等により裁判官の身分を喪失した十九件については審査を打ち切りまして、その他五百六十三件の事案については罷免の訴追をしない旨の決定がなされました。そして、この委員会の決定を受けまして、各訴追請求人へ決定通知を二百十五通送付いたしたところであります。

 また、訴追請求状の提出等のための訴追委員会への来庁者が十八年度は五十一名、訴追請求の仕方等を尋ねる電話照会等が二百九十九件ございまして、その対応をいたしたところであります。

 以上、御説明いたします。

篠田分科員 ありがとうございます。

 次に、裁判官弾劾裁判所についてお尋ねをします。

 裁判官訴追委員会でいろいろな裁判官の不祥事について審査をして、そして訴追に当たるというものを裁判官弾劾裁判所に送って、そして裁判官弾劾裁判所でいわゆる裁判を行うというふうに私は理解をしておりますが、裁判官弾劾裁判所について、今の職員数と平成十八年度の業務の実績を教えてください。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 お答えいたします。

 裁判官弾劾裁判所の事務局には、組織の維持運営業務をつかさどる総務課、それから、事件の審理及び裁判に関する事務等をつかさどる訟務課がございます。

 定員は十二名となっております。なお、そのうち参議院事務局兼任が一名、参議院法制局兼任が三名となっております。

 それから、十八年度の業務実績でございますが、先ほど訴追委員会からありましたように、十八年度は訴追の請求はございませんでした。

 なお、ほかに、裁判長の互選等を行う裁判員会議というのがございまして、これは、開会、一回行っております。それから、過去の裁判員会議議事録等の電子データ化をこの年に行いました。それから、事件記録の保存、閲覧謄写等に関する事務、また、弾劾制度に関する法制とか法規の調査研究、この結果をまとめました調査研究誌といいますか、二〇〇六年版の弾劾裁判所報の発行を行っております。

 そのほか、罷免手続に関する国民からの各種問い合わせへの対応、それから、小学生あるいは法科大学院生、一般の国民からを含めて約五百三十七名の法廷の参観案内、この参観案内には訟務課の方でいろいろ説明をするというような事業を行っております。それから、弾劾裁判所のホームページ、これの企画、立案、運営。

 重立ったところはそういう実績でございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 それでさらにお尋ねをしますが、裁判官弾劾裁判所の、これまでの裁判件数、そして最後に直近で行われた裁判はいつか、お尋ねをさせてください。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 お答え申し上げます。

 弾劾裁判所で取り扱う事件でございますが、二種類ございまして、裁判官をやめさせるための罷免訴追事件と、罷免判決によって失った法曹資格を回復させるための資格回復請求事件がございます。

 これまでに、罷免訴追事件は七件、資格回復請求事件が七件、計十四件の事件が係属してございます。

 また、直近の事件は、平成十三年十一月に罷免の判決がございました罷免訴追事件でございました。

 以上でございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 職員数十二名ですか、そのうち兼務が四名ということで、八名が裁判官弾劾裁判所の職員だということであります。今の業務内容を聞いて、そして、平成十三年度に最後に裁判が行われて以来五年間以上ですか、今裁判が行われていないという段階において、超過勤務手当について質問させていただきますが、三百七十万計上しているうち、三百七十万ほぼ使い切っておりまして、不用額が二百二十四円。どんな残業をしているのかお尋ねをさせてください。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 お答えいたします。

 弾劾裁判所における十八年度の超過勤務の内容でございますが、予算、決算及び会計に関する業務、それから職員の人事に関する業務、弾劾裁判所関係法規集の改定に向けての業務、弾劾裁判所報の発行に向けての業務等が主なものでございまして、超勤手当につきましては、予算額を限度として執行した結果こういうふうになったというふうに思います。

篠田分科員 超過勤務手当というのは、使わなきゃならないお金じゃないと私は思うんです。五年以上裁判をやっていないという中で業務内容を聞いて、私は、正直言って二人か三人で十分賄えるんじゃないかと思います。組織としてあるからしようがないとは思うんですが、これらについて、みずから自浄作用がなければ我々の方からやはりいろいろなことを言っていかなきゃいけないと思いますので、いずれにしても今度見学させていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、これは国会の組織とはちょっと違うんですが、議員秘書厚生年金基金というのがあります。また、議員秘書の健康保険組合というのがあります。これも国会の連絡表を見ると職員が何名かいらっしゃるので、私はてっきり国会の組織なのかなと思っておりました。それはなぜかというと、国会の電話帳の中に内線電話までその事務長を初め職員の名前が書いてあるから、てっきり国会の職員かと思ったら、どうやら違うそうであります。

 ここの各事務長という方がおられますが、この方は国会の職員でしょうか。

駒崎事務総長 国会議員秘書厚生年金基金及び国会議員秘書健康保険組合の各事務長につきましては、いずれも国会職員OBでございます。

篠田分科員 この各事務所のOBというのは、衆議院、参議院、もとどちらなのか教えていただきたい。あと、今年齢がお幾つで、この基金及び組合でどのぐらい勤続をされている方なのか。あとは、これらの基金と組合に対して、衆議院、参議院から、この人を使ってくださいと、いわゆるあっせんみたいなことをしているのか。これらについてお尋ねをします。

駒崎事務総長 議員秘書厚生年金基金が衆議院のOBでございます。それから、議員秘書健康保険組合は参議院のOBでございます。

 四月現在で、基金の事務長が六十歳、在職七カ月、健保の事務長が六十七歳、在職六年と聞いております。

 事務長の任用につきましては、それぞれ独立法人である基金と組合において、退職した国会職員等の中から適任と思われる者について理事会に報告し、お諮りした上で、理事長が任命していると承知しております。

平田主査 国会職員のOBです。

篠田分科員 ということは、今の話では、あくまでも衆参からその基金あるいは組合に対して、この人がふさわしいのでどうぞという推薦をしているという解釈でいいですか。改めて。

駒崎事務総長 基金と組合の方に紹介しているということでございます。(篠田分科員「紹介」と呼ぶ)

平田主査 挙手の上、質問してくださいね。

篠田分科員 はい。

 紹介というのは、こんな人がいますよということでありますか。それについて、理事会、いわゆる公設秘書さんで組織するところで理事長が決定をして、組織として決めるということでよろしいですか。

駒崎事務総長 そういうことでございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 それで、最後の質問とさせていただきます。

 今質問させていただきました組合の事務長、これも国会職員のOBであるということもありますし、私はよくいろいろ話していて、例えばこの間衛視さんがあいさつに来られました、定年になりましたからやめますと、ああ、これからどうされるんですかと言ったら、議員宿舎の管理の方に回りますということでありました。

 実際、職員の数を減らす減らすといっておりますが、こういった事例が結構多いんじゃないかな。結果として総職員数は変わっていないんじゃないかなと思うんですが、何か再任用制度というのがあるとお聞きをしたんですが、今、その再任用制度に基づいて一度退職された職員をまた雇うということ、これに基づいての再任用の職員は何名いるのか。あと、この数ですが、平成十七年度と現在を比べてこの数はふえているか減っているか、教えてください。最後の質問とさせていただきます。

駒崎事務総長 平成十七年度におけるフルタイムの再任用職員は十五名であり、現在は、フルタイムの再任用職員九名、さらに、平成十九年度から導入された再任用短時間勤務職員が十二名おります。

 これらの再任用職員は、国会参観や、第一、第二議員会館、九段宿舎における夜勤業務等の職務についております。

篠田分科員 この数、総数十五名ですか、十五名プラス十二名と言いましたか、それらの数は、これは減っていますか、平成十七年度からは。

駒崎事務総長 フルタイムの再任用職員で見ますと、十五名から現在は九名になっておりますので、六名減っているということでございます。

平田主査 もう時間ですので。

篠田分科員 ありがとうございました。

 時間となりましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平田主査 これにて篠田陽介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平田主査 昨日に引き続き内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。広津素子君。

広津分科員 質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは、商品取引、商品先物取引について御質問いたします。

 現在、商品取引、商品先物取引が行われている国、市場、その役割について、まず御質問します。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 商品取引の場合に、いわゆる現物そのものの取引と、それから、この世界では、先々の価格を取引いたします先物取引と、二つございます。

 現物取引につきましては、基本的に、商品の供給者とそれを需要される方の当事者間の二者関係を中心に、世界各国どこの場所でも取引がされるわけでございます。

 他方で、商品先物取引につきましては、基本的に、その物を必要とされる方と売りたい方との間のさまざまなリスクヘッジの問題とか、あるいは公正な価格形成という観点から、一定の取引所というものをきちんと設けまして、そこで多くの方に参加していただくという形が通例でございます。

 したがいまして、大きな取引所という意味では幾つかの代表的な国にございまして、例えば先進国、米国や英国、もちろん日本にもございます。また、最近ですと、中国とかインドなどの大きな新興経済国におきましても、活発な取引所の取引がなされておるところでございます。

 一体どういうものが取引をされているのかということにつきまして、私ども経済産業省の立場からは、国内的には工業品を主として担当しておりますものですからそういう目で国際的な実態を御説明申し上げますと、例えば世界で一番大きい取引所といたしまして、米国にニューヨーク商業取引所というものがございます。あるいはまた、英国には欧州インターコンチネンタル取引所という、これもかなり大きな取引所がございますが、こういうようなところにおきましては、原油などさまざまな一次産品が取引されております。また、イギリスのロンドン金属取引所というものも有名な取引所としてございますが、こちらではアルミニウムですとか銅などの非鉄金属が盛んに取引をされているという実態にございます。

 ちなみに、こういう取引所という形で取引をされておる背景といたしましては、商品先物の取引というものの目的が、一つには、透明な形で、かつ常に外にきちんとした形で取引、数字を公表するという形での価格の決定機能、あるいは取引の際の価格の発見機能と言われておるものが一つ。それから、商品を売られる方あるいは買われる方が、先々の価格変動を見越したリスクのヘッジをするとか、あるいは、先々に物を実際に入手するようにするために、観念的に在庫のような形で取引所を通じて予約をしておくというような役割でございますとか、はたまた、投資家あるいは投機家の資金によるいわゆる資産運用の場というような機能をここで果たしているというのが、工業品を中心に申し上げましたが、現状でございます。

 我が国におきましても法律に基づいて取引所が設けられておりまして、産業インフラとして位置づけられておるところでございます。

平尾政府参考人 私ども農林省でございますけれども、所管しております農産物、トウモロコシとか大豆、小麦等を取り扱っている商品取引所についてでございます。

 我が国でも同様な商品取引所がございますけれども、このほか諸外国では、主なものといたしまして、まず米国でございます、シカゴの商品取引所、それからニューヨーク商品取引所がございます。中国におきましても大連の商品取引所等がございます。それから、インドのインドマルチ商品取引所がございます。

 これらの商品取引所の機能、役割でございますけれども、先ほど経済産業省さんから御説明がるるあったわけでございますけれども、先ほどの三つでございます。よろしくお願いします。

広津分科員 最近のトウモロコシや原油の値段の異常な高騰には、地球温暖化による干ばつとか世界の人口の増加とかバイオエタノールへの転用などによる需給の問題以外に、商品取引、商品先物取引への投機マネーの流入の影響があると思われます。

 トウモロコシの値段の上昇は、酪農や養鶏におけるえさ代の高騰をもたらし、まじめに酪農や養鶏を営んでいる人に、その人たちの経営努力ではいかんともしがたいコスト高による経営難をもたらしました。もし今後もこのようなことが続けば、国の支援にも限界があると考えられます。そして、投機マネーのような大量の資金がまじめに酪農や養鶏を営んでいる人の経営を妨げるようなことになれば、実業を助けるはずの金融が実は実業をつぶしてしまい、ひいては金融においても資金の投資先がない状況になります。

 また、燃油の高騰は、漁業における出漁を困難にしました。例えば、とれる魚の値段よりも使う油の値段の方が高いと、これは出漁ができません。そういうような状態になりますと、本当に子供の給食費も払えないような、そういう水産業の漁家が出てきます。ハウス農業や中小企業にも打撃を与え、まじめに物づくりをしている人々に大きな打撃を与えております。このようなことが短期的かつ頻繁に起これば、農業、漁業、商工業のような重要な産業でも、リスクが高過ぎてできないということになり、後継者難がさらに激しくなると思われます。

 そのため、生活の基盤となる食料、原料やエネルギーに対する商品取引、商品先物取引への投機マネーを規制する必要があると思います。もちろん、日本の市場だけで規制を行っても無意味であり、世界の市場、例えばアメリカ、ヨーロッパ、中国の市場でも同じ行動をすることが必要です。

 地球上の食料、エネルギー需給が逼迫してきている現在、投機はもうかりますので、起こりやすくなります。昔、米相場というのがあって、買い占めると値段が上がったというのと全く同じことです。そのため、ぜひ、投機マネーによる短期間、一定以上の値上がりに対して規制を行うことが必要と思いますが、いかがでしょうか。

橘高政府参考人 商品先物市場に関する規制についての御質問でございますが、基本的な考え方をまずもって御説明申し上げたいと存じます。

 先ほど申しましたように、もともと商品先物取引におきます中心となるプレーヤーといいましょうか当事者といいますのは、一番原点にありますのは、商品を供給される方、それから、それを入手して取引をして使おうという方、我々の世界ではいわゆる当業者と呼んでおりますけれども、そういうまさに物の取引に直接かかわっておられる方でございます。

 ただ、残念ながら、現物であれば、これを幾ら幾らで買いませんかということで、いろいろな形で相対で話し合いが進むわけでございますけれども、先々の価格に基づいて契約を、今取引をするということになりますと、どうしても先々の価格についていろいろな考え方というものがないと、売る方と買う方との間でなかなか取引が成立いたしません。

 したがいまして、もともと商品先物取引の中ではそういう当業者が大事な役割でございますし、また、今委員おっしゃられましたように、そういう方々が、例えば中小企業とかあるいは農業のような立場で影響を受けておられますものですから、大事なんでございますが、先物を公正な価格を形成して取引していただくというためには、できるだけたくさんの投資家、あるいは言い方によっては投機家、そういう方々のお金、あるいはそういう方々の将来の価格に対する思惑というものが相まって、多数の取引あるいは多数の価格のオファー、売りたい、買いたい、そういうやりとりがなされるような場がございませんと、円滑に価格が形成できないという問題がございます。

 したがいまして、この取引所の基本的な性格といたしまして、今申し上げましたように、当業者のリスクヘッジを円滑にする、その前提として、価格形成を透明できちんとしたものにしていくためには、どうしても外部から資金を持って、投資家あるいは投機家、これはいろいろ定義の難しいところでございますが、そういう資金が多数入ってくる中で、流動性と言っておりますけれども、さまざまな方の取引がいろいろな値段でやりとりされるという中でおのずから決まっていく値段が、透明で公正ということになりますものですから、こういう参加者を広くオープンに参加しやすいようにしておくということは、大変基本的な設計として求められるところでございます。

 もとより、先生の御指摘のような、中には思惑の極端な人もいるのではないだろうかというような懸念も我々はございます。したがいまして、実は多くの国で、我が国もそうでございますけれども、市場のルールをあらかじめ法律などできちんと決めてございます。そのルールはきちんと守っていただく。また、取引に参加できる方についても、通例、法律できちんとした資格が定められている。だれでも飛び込みで取引ができるわけではございません。

 そういう意味で、市場のルールとか参加の条件というものは決まっておりますものですから、そういうものはきちんと守っていただく。その中で、例えば相場操縦のような法に触れるような取引は、これは厳しく監視してまいります。

 ただ、恐縮でございますが、広く開かれた形でやりとりがされるというところは市場の基本であるというところを御理解賜れればと存じます。

平田主査 大量の資金がということについての懸念についての質問ですので、それはお答えいただけませんか。

橘高政府参考人 今申しましたように、取引所では、もともと、価格を透明に形成するためにはできるだけ多額の資金を、多数のプレーヤーが取引をしていただくという意味での、先ほど流動性と申し上げましたのはそういう意味での規模でございますので、参加者のみならずいろいろな資金も相当程度まとまった規模で取引をされませんと、散発的な取引では値段が安定しないという意味でもっと変動が大きくなる懸念がありますものですから、量的にも相当程度のものが必要であると考えております。

広津分科員 今のお答えに再度御質問をいたします。

 開かれた市場が必要だということはもちろんそうなんですけれども、そこに公正な価格形成がなされるということが必要であります。例えば株式市場なども、開かれた市場ではありますけれども、投機のマネーが入ってきて買い占めが行われたりするという場合には、ある程度のルールに違反していますとそこでストップがかかるわけです。

 そういうようなある程度のルールが必要なのではないかという質問です。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの御説明と一部重なる点があれば大変恐縮でございますけれども、商品取引所、商品先物取引におきましては、それぞれ多様な、一次産品、鉱工業品あるいは農業品が上場されてございます。

 それらにつきまして、今御質問にもございましたけれども、やはり、きちんとした、国際的にも通用するような、共通の、透明性の高いシステムとルールというもので運用をされておるわけでございますけれども、ただ、その際に、例えば価格決定そのものは、これは市場でございますので、どうしても、それに参加される当事者、売る、買うということで価格が決定してまいりますので、買われる方につきましての、それが、例えばどういう目的で、どれぐらいの期間、どれぐらいの金額をそこに投資されるかあるいは投機されるか、それが長期なのか短期なのか、そういう意味では、実にさまざまなプレーヤーが参加してまいりますけれども、それらを、こういう方についてはこういうルールで、こういう方についてはもっと緩やかなルールでというふうに、参加者に応じてルールを区分けするということになりますと、これはなかなか、冒頭申しましたように、広い方に公平で統一的な機会を与えるということからしますと大変難しゅうございますものですから、今、一律の扱いをしているところでございます。

平田主査 市場に限ることではなくて、農業、漁業等、商工業のまじめな方に影響があるが対策はという御質問と解釈してよろしいんですか。

広津分科員 はい。

平田主査 そういう観点で、的確に、手短にお答えいただくことはできませんでしょうか。

平尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、穀物の国際価格について今委員から御指摘がございまして、この点は、委員からも御指摘ありましたように、一昨年の秋から急速に上がってきているというふうなことを私ども承知しているわけでございます。

 その原因も、委員が御指摘ございました、何点かございまして、まずは、中国、インドの経済発展に伴います食料需要の増大、それから、世界的な、バイオ燃料に穀物が使われるというふうなこと、あわせまして、豪州の干ばつが二年続いたとか、あるいは地球温暖化の影響等の地球規模の気候変動の要因、こういったものが構造的に影響している。それから、あわせまして、これを背景として輸出国で輸出規制が行われているというふうなことが関係して穀物の国際相場が急速に上がった。また、委員まさに御指摘がございました投機資金につきましても流入があるというふうな見解があるわけでございまして、私どももそのように認識しているわけでございます。

 それで、では、それをどうするのかというふうなことでございます。

 商品市場の性格なり態様につきましては、先ほど経済産業省さんから御説明があったわけでございます。食料の価格の高騰の問題でございますけれども、これは最近特に問題になって、新聞でも取り上げられておるわけでございます。これは我が国の問題だけではなくて、委員まさに御指摘の話でございますけれども、国際社会としてどうやって取り組むのか、また考えるべき課題でございます。そういうふうな観点から、国連機関とかあるいはG8サミット等の場でも議論をしようというふうな方向にあると承知しております。

 そういう意味で、私どもは、国際的な議論についてもしっかり勉強させていただきまして、市場においても適切な運営ができるように考えたいと思っております。

広津分科員 どうもありがとうございます。

 ちょうど金融庁の皆さんに来ていただいていますので、プロの立場からコメントをいただければと思います。

渡辺国務大臣 株式市場でありますと、委員が先ほど御指摘になられたように、いろいろな規制あるいはルールがございます。例えば、けさもニュース報道で問題になりましたインサイダー取引というものは、当然のことながら、これは厳罰に処されなければなりません。相場操縦あるいは風説の流布、こうした行為も、公正取引のルールの中で処断されているわけでございます。

 また、規制の実効性を確保するために、証券取引等監視委員会の体制強化に努めているところでございます。

 また、今国会に金融商品取引法の改正案を提出しているところでございますが、その中では、課徴金制度の充実強化を改正案の中に盛り込んでおります。

 証券取引所においては、例えば一日の価格変動に値幅制限を設ける、それに触れる場合をストップ高あるいはストップ安ということも導入してございます。先物相場が現物相場と比較して急激に変動した場合に、こうした取引を十五分間中断するサーキットブレーカー制度も導入してございます。投資家の冷静な投資判断を確保する仕組みを設けているところでございます。

広津分科員 どうもありがとうございました。

 株式市場はかなりのルールでしっかりとコントロールされております。商品先物取引、商品取引に関しましてはまだ大ざっぱなところがありますので、これは、金融庁とも相談の上、世界でそのルールを取り入れていって、ぜひ、まじめに仕事をしている人がばかを見ない、そういうような仕組みにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 これで終わります。

平田主査 これにて広津素子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平田主査 昨日に引き続き内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。

 ちょっとお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平田主査 速記を起こしてください。

 井澤京子君。

井澤分科員 こんにちは、自由民主党の井澤京子でございます。

 きょうは子供の安心、安全、防犯対策という問題を中心に質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私から申し上げるまでもなく、現在はねじれの国会の中で、道路特定財源の問題や年金、そして先日から始まりました後期高齢者、長寿医療制度についてなど、さまざまな課題等が山積しております。私も地元を回っておりますと、昨日の朝の駅立ちでも大変厳しい御意見を通り過ぎるサラリーマンから御指摘いただくなど、苦しい思いをしているところが現状でございます。

 私が初当選をさせていただいてから二年半がたちます。その後、私の大きなテーマは、常に将来を担う子供ということをテーマにしていろいろな問題に取り組んでまいりました。今率直に私の気持ちを言うならば、道路特定財源よりも子供特定財源というようなものがあってもいいのではと思うようなこともございます。

 現在、私は青少年特別委員会に所属をしておりまして、また昨年の予算委員会でも子供に関する質問の機会を与えていただきました。最近では、きょうもいろいろと部会等に出ておりまして、有害情報から子供を守るというようなプロジェクトにつきましても、有害情報から守るためにフィルタリングを義務化する、法制化するということも取り組ませていただいております。

 いろいろと、連日、子供を巻き込む犯罪が本当に多い世の中になってきているなと改めて思います。スピード化、複雑化、多様化する子供をめぐる環境の中で、私たちは与野党を本当に超えて子供の問題に取り組まなければならないと思っております。

 そのような私の当選後からの初心の思いを込めまして、私の地元京都で起こった事例を含めながら、三つの事件についてまずは現状をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、皆様方がまだ記憶に新しいことかと思いますが、平成十七年十二月一日、栃木県、当時の今市市で、下校途中の小学一年生の幼い女の子が日光宇都宮道路近くの山林で行方不明になり、地元警察署員や消防署員が二百人態勢で捜索を行ったところ、その翌日に、自宅から何と六十キロも離れた茨城県の山林で遺体が見つかるという痛ましい事件がありました。

 私たち自民党では、「犯罪から子供を守る」緊急対策本部を設置し、私もその一員として自治体関係者や学校関係者などから説明を受け、実際に現地の通学路、その女の子が通ったという通学路を歩きました。木がうっそうと生い茂る、本当に人けがない寂しい道を歩きながら、ここで事件が起こったのだと、その道を歩きながら状況を、私も経験いたしたところです。それから二年余りたった現在でも、現場の方々の本当に懸命な努力にもかかわらず、なかなか捜査の進展が見られず、いまだ犯人は捕まっておりません。

 そこで、まず警察庁に、現在の捜査状況がどうなっているのか、お話しできる範囲で結構でございますので、状況をお聞かせください。

米田政府参考人 委員御指摘の事件につきましては、発生地が旧今市市、現在の日光市、そして遺体が発見されましたのは茨城県の常陸大宮市内の山林ということで、栃木県警、茨城県警両方が絡むわけでございます。そこで、事件の当初から、栃木県警察本部の刑事部長を長といたしまして、栃木、茨城両県警察の合同捜査本部を設置いたしました。設置当初の捜査従事人員は約二百人でございますが、これは現在もこの態勢を維持しておりまして、縮小されることなく続いております。現在までの延べ人員といたしましては十八万六千人ということになります。

 それから、その発生翌年、平成十八年の八月一日からは、民間の方々の協力を得て、懸賞金をかけまして情報提供の呼びかけを行っております。さらに、昨年、平成十九年度からは、これは公費による懸賞金制度を警察庁においては開始いたしましたので、昨年の八月一日からは警察庁における捜査特別報奨金対象事件といたしまして、報奨金をかけて広く情報提供を求めております。

 それから、この事件の風化を防ぐために、本年三月からは、栃木、茨城両県警では毎月第一木曜日をこの事件の情報収集強化日と指定いたしまして、栃木県下全域及び茨城県の常陸大宮警察署管内におきまして情報提供を呼びかけるチラシを配布するなど、関係情報の収集強化を図っているところでございます。

 本件は、事件が栃木、茨城両県の広範囲に及ぶということ、それから目撃情報が非常に少ないことなどもございまして、捜査上困難な面がございます。現在まで被疑者の検挙には至っておりませんけれども、合同捜査本部におきましては、一日も早い事件解決に向けて、全力を挙げた捜査を推進しているところでございます。

井澤分科員 今、取り組みの状況を伺いました。事件が風化されていくのではなく、一日も早い犯人逮捕に向けて御尽力をいただきたいと思います。

 次に、当時、子供が犯罪に巻き込まれる事件が、本当に二年前にいろいろと立て続けに起きました。自民党は、先ほどもお話ししましたように、「犯罪から子どもを守る」緊急対策本部で、十二月の十九日に現場視察を行った後、緊急の提言を取りまとめ、官邸に申し入れをいたしました。

 その主な内容としては、一つ目が、路線バスを活用した通学時の安全確保、そして、学校安全ボランティア、スクールガードへの参加を呼びかける国民運動の推進、そして、防犯教室の実施充実、安全な通学路の確保、最後に、五つ目になりますが、不審者等に関する情報を共有する取り組みの推進などを柱とした提言を行いました。この提言を受けたその後の取り組みについて、関係省庁より御説明をお願いいたします。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の自民党の提言を受けまして、平成十七年十二月に、政府の犯罪対策閣僚会議で「犯罪から子どもを守る対策」が了承されまして、警察では、これに基づいて各種対策を推進しているところでございます。

 その主な具体例を申し上げますと、次のとおりでございます。

 まず、一つ目には、防犯ボランティア団体に防犯パトロール用の用品を貸与するなどして支援する地域安全安心ステーション推進事業というのがございます。これを国のモデル事業として平成十七年度から実施しておりますけれども、平成十九年度からは、専らこれを子供の安全確保のために活動している地区を指定するということにいたしまして、通学路の安全確保、子供の見守り活動等の活動の活性化を促しているところでございます。ちなみに、平成十七年度以降今年度までに、計六百地区を指定したところでございます。

 次に、二つ目には、子供が被害に遭った事案が発生した場合に、その情報が迅速に学校や保護者に提供されますように、平成十八年三月末までに、管内に小学校のある全警察署において、管内の小学校等との情報共有体制を確立いたしております。

 また、地域の不審者に関する情報を携帯電話等の電子メールを活用しまして地域住民に情報発信する活動を本年一月現在で、全国計三十八都道府県において実施をしているところでございます。

 三つ目には、学校や教育委員会等と連携しまして、全国の小学校において被害防止教室というものを開催しておりまして、この中で、子供の危険予知能力とか回避能力の向上を図っているところでございますけれども、平成十八年度には、全国で約一万七千の小学校、これは全小学校の七六%に当たりますけれども、ここで実施をしたところでございます。

 次に、四つ目に、退職警察官等をスクールサポーターに委嘱して、学校と連携して、学校また通学路の安全を確保する活動に従事させる事業を行っておりますけれども、これを平成十八年度からは地方財政計画に盛り込みまして、順次その増強を図っているところでございます。

 警察では、今後とも、家庭、地域、学校、ボランティア等と連携しまして、子供を犯罪から守るための活動を推進してまいりたいと考えております。

田中政府参考人 文部科学省といたしましては、日光市等の事件を受けまして、通学路を含む児童生徒の安全の確保ということを図るための施策を講じてきておりますし、また、学校の安全管理の状況ということについても順次調査を行ってきてございます。

 まず、学校安全ボランティア、いわゆるスクールガードでございますけれども、文部科学省といたしましては、都道府県等が行う養成研修会、これを支援いたしております。また、学校安全ボランティア等に対して、巡回の指導を行いますスクールガードリーダー、これの全国展開というようなことの取り組みを行ってきてございまして、地域のボランティアによる学校内外の巡回警備ということについての小学校の割合は、平成十六年度六四・二%でございましたけれども、平成十八年度には九一%に増加をしてございます。

 次に、防犯教室でございます。

 小学校一、二年生向けの防犯教室用教材ということも作成をいたしまして、対象の児童すべてに配付をしてございます。また、防犯教室の実施なども、子供の安全対応能力の向上を図るための取り組みを行った小学校の割合というものを調べてみますと、平成十六年度八五・九%でございましたけれども、これらの結果、平成十八年度には九五・八%ということに増加をしてございます。

 安全な通学路の確保ということも大事でございまして、文部科学省としては、各都道府県の教育委員会等への通知の発出、あるいは教職員や保護者による通学路の安全点検の徹底ということ、あるいは通学路の安全マップの作成ということによる要注意箇所への周知徹底ということを促しているところでございまして、通学路の安全点検を行ってございます小学校の割合は、平成十六年度の九七・六%が平成十八年度は九九・七%ということで、ほとんどの小学校においてこのような点検が実施されているということになってございます。

 また、ITを活用した学校や保護者が不審者等の情報を共有する取り組み、あるいは路線バス等の活用によって児童生徒の安全を確保する取り組みということに関しても、各学校等が調査を行うモデル地域の支援ということも行ってございます。例えば、日光市でございますと、タクシーを活用した登下校の安全の確保というようなことについても支援をしてございます。

 今後とも、関係省庁とも連携をとりつつ、安全の確保が確実に実施されるよう取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

井澤分科員 ありがとうございました。

 とにかく、犯罪を未然に防ぐために、一時的なものではなく、もう永遠にこれは続けていかなければならないことですので、各省庁連携をとりながら、犯罪から子供を守っていただきたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 その栃木県の事件の直後、十日後に、十二月十日、今でも忘れません、私はその朝のことをよく覚えております。私の地元宇治市でも、学習塾で、塾のアルバイトの講師が、当時小学校六年生の女の子を刺殺するという本当に痛ましい事件が起こりました。現在は、控訴審がまだ引き続き行われております。ちょうど私の自宅が宇治署の真裏ということもあり、その日の夜、犯人が宇治署の中にいるかと思うと、眠れない、何か、この世の中はどうなっていくのかという憤りを覚えたことが、いまだに記憶に鮮明に残っております。

 その後、事件を受けて、私は毎年十二月十日の日に、その事件のあった学習塾で献花をして手を合わせております。こんな事件を二度と起こしてはならないと、本当にその都度強く思っております。

 この事件を受けて、関係四省庁局長会議がその後開催されたり、学習塾の主務官庁である経済産業省から、平成十八年二月に、学習塾に通う安全対策について、社団法人全国学習塾協会に対し、学習塾における子供の安全を確保するための万全の対策を講じるように指導されていると聞いております。また、その全国学習塾協会もガイドラインを策定されました。翌年の三月には、京都で、ガイドラインの周知徹底を図るためにセミナーが開催され、私も出席をいたしました。

 そこで、この学習塾の安全対策について、政府としてその後どのように取り組んでこられたのか、また学習塾における広報や周知徹底についてどの程度その後進んでいるのか、経済産業省にお伺いいたします。

岡田政府参考人 委員御指摘のまことに悲惨な事件でございました。私もよく覚えております。

 平成十七年十二月十日、宇治市の学習塾で起きた事件を受けまして、経済産業省では、同じ月の十二日に、社団法人全国学習塾協会に対しまして、まず、通塾時における安全を確保すること、教職員の資質を向上させること、そして学習塾における安全を重視した学習環境を整備することという三つの点につきまして、詳細なガイドラインを定めて、万全な対策を講じるように指導をいたしました。

 また、今、委員御指摘のように、内閣府、警察庁、文部科学省及び経済産業省の四省庁の局長級会議もつくりまして、学習塾に通う子供の安全対策に関する四省庁局長会議というものを開催して、このガイドラインづくりを支援いたしました。

 十八年三月には、学習塾協会が中心になりまして、学習塾に通う子どもの安全確保ガイドラインが策定されたわけでございます。早速これを全国に広めなければいけないということで、経済産業省は、全国学習塾協会と共催で、関係省庁の参加を得まして、まず、平成十八年三月には京都市、そして東京都、大阪市、広島市、福岡市、名古屋市、札幌市、仙台市、宇都宮市と、全国九カ所で安全対策セミナーを開催し、そのガイドラインの周知徹底を図ってまいりました。

 さらに、学習塾協会におきましては、塾生や保護者を対象にしたわかりやすいセキュリティBOOK、これは小学生用と中学生用の二種類をつくりまして、配付するとともに、協会のホームページにこれを掲示し、定期的に会員向けの会報誌の中で特集記事を掲載するなどの取り組みを通じて、このガイドラインの周知徹底を図っているところでございます。

 いずれにしても、学習塾における子供の安全確保を図ることは当然の課題であると思っておりまして、引き続き、学習塾業界の中でこのような取り組みが講じられて、周知徹底が図られて、子供の安全が図られることを強く期待するとともに、経済産業省といたしましても、必要に応じて指導を行ってまいりたいと存じております。

井澤分科員 ありがとうございました。

 今後も、引き続き、子供の安全の確保のために、経済産業省の方には監督をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 学校の安全体制の予算についてでございます。平成二十年度の予算について、文部科学省に早速お伺いしたいと思います。

 子ども安心プロジェクトの今年度の新規項目、重点項目の具体的な中身について御紹介ください。お願いいたします。

田中政府参考人 御説明を申し上げます。

 文部科学省では、子ども安心プロジェクト、これは平成十四年度から実施してございますけれども、平成二十年度における重点項目、新規項目ということでございましたので、まずは、スクールガードリーダーの配置ということは大変重要だというふうに思ってございます。平成十九年度は全国で二千四百八十名のスクールガードリーダーが巡回できるような予算を確保してございましたけれども、平成二十年度は四百名増加させて、学校等に対する指導の充実ということを図ってまいりたいというふうに思ってございます。

 また、新規項目ということでございましたけれども、防犯を含めた学校安全を確保するためには、児童生徒の指導に当たる教職員のすべてが学校安全に関し十分な知見を有するということは大変重要だというふうに思っております。したがいまして、例えば、学校における自転車運行のルールでございますとか、学校安全に関する最新の知見、あるいは先進的な取り組みの実例に関して、校内研修等で活用できる資料、教職員用の資料というようなことを新たに作成して、全国の小学校に配付したいというようなことを新規項目として考えているところでございます。

 以上でございます。

井澤分科員 ありがとうございました。

 新規項目、重点項目を含めて、しっかりと実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 次に、児童虐待についてお伺いいたします。

 今、一つ二つと、京都であるいは栃木で起きました事件について触れてまいりました。最後に、三つ目の事件がありました。児童虐待でございます。同じ京都府の長岡京市で、平成十八年の十月に三歳児が虐待により餓死をして、父親と同居女性が逮捕されるという、これも大変痛ましい事件が発生いたしました。

 私が所属しております青少年問題の特別委員会で、委員長、委員の同僚議員とともに翌十一月に長岡京市へ視察に行き、私も、その事件があった住宅、そしてその地域を歩いて視察し、関係者から報告や対応状況等についてヒアリングを行いました。

 厚生労働省では、この事件を受けて、平成十九年一月に児童相談所運営指針等を改正され、児童相談所は通知受理後四十八時間以内に安全確認を行うことが望ましいとされました。児童相談所が虐待の行われているおそれがある家庭を訪問しても、不在であったり、面会をかたくなに拒むケースがいまだにあると聞いております。児童相談所は大変な御苦労をされていると関係者からも引き続き聞いております。そのために、臨検や捜索等の規定を盛り込んだ改正児童虐待防止法がことしの四月から、今月から施行されたところでございます。

 京都府では、この長岡京市の事件を受けて、虐待対応の案件会議や、各保健所に虐待対応の担当者を配置したり、また、児童相談所外部評価委員会を設置して評価委員会の報告をまとめたりというように、積極的な取り組みを行っております。

 今回、質問をするに当たり、私も京都府の担当者や、また地元宇治市の児童相談所に出向き、現状を伺ってまいりました。宇治市によりますと、虐待相談受け付け状況は、平成十年度が十四件だったのに対し、平成十八年度では百三十三件と、八年で何と十倍にも増加をしているというのが現状です。

 そこで、質問に入ります。

 長岡京市の事件を踏まえた先ほどの四十八時間ルールの導入など、法改正により児童相談所の権限は強化しましたが、これに対応するには、今の児童相談所の体制では、本当に十分な対応ができているのかというのも、不安を感じております。児童相談所の体制強化に向けた取り組みなどについて、厚生労働省より御説明をお願いいたします。

村木政府参考人 今、先生が例に引かれました長岡京市の事件を初めとしまして、児童虐待、大変続いております。そのこともありまして、先生が御指摘されましたように、児童虐待防止法を改正していただきまして、この四月から施行ということで、まず、虐待通告を受けた児童相談所は児童の安全確認を必ずしなければいけないということで、これが義務化をされました。また、場合によっては児童相談所の職員が強制的に立ち入りをすることができるというような新しい制度も設けられました。

 こうした新しい制度をせっかくつくっていただきましても、これを児童相談所が迅速かつ適切にこの手段を使えないと対応ができないわけでございますし、また、先生御指摘になられましたように、非常に虐待の相談件数がふえております。その意味で、児童相談所の体制強化というのが非常に大事な課題だというふうに私どもとしても思っております。

 このため、平成二十年度でございますが、地方交付税措置におきまして、特に児童相談所の中核的な専門職であります児童福祉司につきまして、標準人口百七十万人当たり、昨年三名増加をしていただきましたが、ことしもう一名さらに増加をしていただいたというところでございます。

 また、児童相談所の職員の質の向上という意味で、児童相談所で指導的立場にある方の研修を新たに追加するなど、研修体制も充実をしているところでございます。

 これらを通じまして、さらに児童相談所の体制強化、私どもこれから一生懸命やっていきたいと考えております。

井澤分科員 ありがとうございました。

 引き続きこれは取り組んでいただきたいと思っております。

 限られた時間でございますので、最後、二問、厚生労働省の方に引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 今のお話でありますと、児童相談所の力だけではなかなか未然に防止しにくいというのが、これは一番難しい問題ではないかと思います。児童相談所以外にも、市町村における取り組みも必要だと思います。

 未然に防止するための対策として、市町村の行う生後四カ月までの全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業は大変意味がある事業だと評価をさせていただいております。この事業がすべての市町村において一軒も残されず実施されることがまずは目標だと思いますが、生後四カ月までの訪問事業の普及に向けた厚生労働省の取り組みについてまずは御説明いただき、引き続き、私、ちょっと違った観点からこれは質問をしたいと思っておりますが、私はまだ子供がありませんで、母子手帳を持ったことがないので大変触れにくいテーマではあるんですけれども、違った観点から、この日本が独自に持つ母子手帳の活用について、この委員会を通して提案をさせていただきたいと思います。

 私、とにかく、児童虐待というのは未然に防止をするということがまず第一だと思います。これはここにお集まりの皆様方も共通認識だと思っております。小学校就学前までの各種健診の段階で、健診を実施する医師や保健師のみならず、保育園の保育士や幼稚園の先生など、さまざまな人がこの母子健康手帳を確認し、持っていない場合、最近ですと、母子手帳を持っていなくて救急で出産をする、あるいは出産できない事件があるというようなことも聞いて、皆さんも御存じかと思います。持っていない場合には児童虐待の可能性を疑うというような仕組みが効果的ではないかと思います、ちょっと大胆な考えになりますが。

 このように、母子健康手帳は虐待防止に非常に有効なものであると思います。例えば、これはここに母子健康手帳と書いてありますが、子育てパスポートというように命名をして、子育てを周囲のみんなが見守っていく、確認をしていく。その成長過程によって本当に成長していっているのかというのが何か確認できるような、これを命名して子育てパスポートあるいは育児日記パスポートのようなものに役割を強化、活用してはどうかということを提案させていただきたいと思います。

 妊娠の早い時期にこれを交付するなり、あるいはもっと早い、高校などの場で、教育の現場でもこういう母子手帳の役割について教育をしていくような、早い段階での指導が必要ではないかと思っておりますが、厚生労働省の方に続けて二問質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

村木政府参考人 ありがとうございます。

 先生が御指摘をされましたように、虐待は未然防止が本当に一番大事だというふうに考えております。

 御紹介をしていただきましたこんにちは赤ちゃん事業、生後四カ月までの赤ちゃんの生まれたおうちを全戸訪問するという事業でございます。これは非常に役割として大きいと思っております。虐待の死亡事例の約三割がゼロ歳児ということで、虐待防止の意味からも非常に大事でございますし、そうでなくても、核家族化で子育てをしているお母さんが大変孤立をしているということでございますので、そこにできるだけ早い時期に必要な情報を届け、それから、もし何かお困りのことがあるということであれば必要なサービスに結びつけていくということで、この事業をぜひ、先生がおっしゃったとおり、全市町村に広げたいというふうに考えております。

 残念ながら、十九年度、初年度、まだ六割の市町村で実施をされているという状況でございます。そういったこともございまして、実は、この国会に提出をさせていただいております児童福祉法等の一部を改正する法律案におきまして、この事業を乳児家庭全戸訪問事業として児童福祉法の中に法的に位置づけをしまして、市町村に実施の努力義務をかけたいということで法案を提出させていただいております。

 このこんにちは赤ちゃん事業をしっかりと全市町村でやっていただく。それから、市町村に子どもを守る地域ネットワークをつくっていただいております。関係者のネットワークでございますが、この事業と上手に結びつけて運営をしていただくというようなことを自治体と御相談しながら、一日も早く全自治体へ普及するように努めてまいりたいと思っております。

 それから、母子健康手帳でございます。これは日本の非常にすぐれた制度だと言われております。私ども、母子保健法におきまして、できるだけ早い時期に、妊娠した方については自治体に届け出をしていただく、そのことによって必要な情報を妊娠をされた方々にお渡しするということ、それから、その際に母子健康手帳をお渡しして、それに必要な記録をしていただくということをやっているところでございます。

 実は、この妊娠の早期届け出と手帳の早期交付というのは、私どもが今展開をしております国民運動でございますが、健やか親子21という二十一世紀の母子保健分野の国民運動におきまして、できるだけ妊娠十一週以下で届け出が行われるようにということで、これを目標として今やっております。この運動をしっかり広げていきたいと思っております。

 それから、この手帳を子育てや虐待防止に活用をしていくということで、大変貴重な御示唆をいただきました。手帳そのものは、実は赤ちゃんとお母さんの健康情報ですとか、非常に個人情報の塊のようなところがございますので、この手帳をそのまま使えるかどうかは別としまして、妊娠とか子育てとか、そういったことに関する情報を早く手渡すということ、それから正しい情報を持っていただくというようなこと、手帳の活用なども含めまして、これからまた工夫をしていきたいというふうに思っております。

井澤分科員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

平田主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平田主査 昨日に引き続き内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。市村浩一郎君。

市村分科員 民主党、市村でございます。

 きょうは、最後でございますが、一時間いただきまして、じっくりと、岸田大臣また山本副大臣にきょうお越しいただいていますので、また議論させていただきたいと思います。

 私は、内閣委員会にもう四年以上所属をしておりまして、一貫して、非営利法人制度、本当の、真のNPO制度について議論をしてまいりました。内閣委員会でもかなりやらせていただいているんですが、きょうまた改めて、この決算行政委員会の分科会でもお時間をいただいたということで、引き続き議論をさせていただきたいと思っています。

 岸田大臣、きょうはこうしてかなり距離も短いので、本当にしっかりと議論できるのではないかと楽しみにしておりますが、先日、私が、特定非営利活動法人も新たなる公益法人改革の制度の中に取り込んでいくべきだという提案をしましたら、その方向性には一定の御理解をいただいたと思っておりますが、とにかく十二月一日に発効するんだからなるべく混乱を避けたい、こういうお話であったと思いますが、具体的にどういう混乱が予想されるのか、まず大臣の方からお話をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 新制度につきましては、ことし十二月のスタートを目指して今準備が進んでいるわけですが、昨年は政令ですとか内閣府令を整備し、そしてこのたびはガイドラインにつきましても決定をしたところでございます。こうした準備を進めていきながら、関係者の皆様方におかれましては、この準備状況を見ながらそれぞれの準備を進めていただいているという現状でございます。

 それぞれのガイドラインあるいは政令、内閣府令、こういったものを見ながら関係者が準備を進めているわけですので、我々としては、まずはこうした基準をしっかりと明確化して、そしてこうしたものをしっかりと御説明を申し上げる、そして予定されたスケジュールに従って準備を進めていくことが大変重要だというふうに思っています。

 そして、逆に言いますと、我々がこういった基準とか手続についてぶれたり、あるいはスケジュールが変更になったりいたしますと、関係者の皆様方にとって混乱を招くということになってしまうのではないか。そういったことにならないように我々は努力をしなければいけない。混乱を招かないように、ぜひしっかりとした基準を明らかにし、そしてしっかりと御説明を申し上げ、そしてスケジュールに従って準備を進めていくこと、しっかりと努力をしたいと考えております。

市村分科員 今岸田大臣がおっしゃっていただいたのは、公益法人制度改革に基づいて、いわゆる公益法人、民法法人と言われるものが新しい制度になる、五年間特例公益法人として残りながら、新しい公益法人を選択するのか、一般社団、一般財団と今言われているものを選択するのかという準備を進めていらっしゃるということだと思います。

 私は、何も、その準備をやめてくれとか、これを変更してくれとか一言も言っていないわけでありまして、その制度の中に、いわゆる民法三十四条法人、公益法人も、五年間存置して、特例として存置しながら選択をしていけばいいという流れで今話が進んでおるわけですね。十二月一日までに決めろと言っているわけじゃないわけですね、こっちの特例民法法人になる方たちにも。それから五年あるわけです。私は、それはそれでいいと思います、流れとしてやっていただいて。

 ただ、これについても、公益認定委員会がやる仕事なのかということは、私は、これも議論しているわけでございますけれども、それは後で議論します。

 だから、私は、今の流れを何もとめてくれとか変更してくれとか一言も言っていないわけでありまして、そこに、今の流れの中に、特定非営利活動法人が今日現在三万四千を超えたと言われていますけれども、この方たちも加えて、しかも、この方たちも、別にすぐ、十二月一日までにどうするか決めてくれという話じゃなくて、公益法人も五年間であれば、特定非営利活動法人の方々もこの制度へ取り込んだ上で、五年の間にどうするかを決めてください、こういうふうな提言をさせていただいているわけでありまして、この場合、どういう混乱が起きるのでしょうかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、新しい公益法人制度につきましては今申し上げたとおりであります。

 そして、この法人制度をスタートするに当たって、市村委員御案内のとおり、さまざまな議論を積み重ねて今日に至ったわけであります。そして、その際に、特定非営利活動法人制度と新しい公益法人制度との関係につきましてもいろいろな議論が行われ、そして、特定非営利活動法人につきましては、認証という手続によって法人格を得られる、そして公益性を認められる、こういった制度であり、そして、新しい公益法人制度につきましては、準則主義に基づいてこうした制度をつくっていくという整理になったわけであります。

 その間、関係者の皆様方にいろいろな御意見をいただき、要は、この二つの制度、一緒にするのではなくして、それぞれ選択肢を維持する、それぞれの判断に応じて、どちらの制度をとるのか、そうした選択の自由を確保するということになったというふうに認識をしております。

 こういった経緯があって今回この新しい制度をスタートするということでありますので、ここでこの二つの制度をまた一緒にするということになりますと、こうした流れをしっかり見ながら自分たちとしてはどちらの制度をとるのか、いろいろ御判断されていた方々にまた新たな混乱を生じさせることになるのではないか。

 市村委員も、この新しい公益法人制度につきましては、八合目まではたどり着いたということで、基本的には評価するというお言葉をいただいていたかと存じます。

 とりあえずはこの制度をスタートしながら、ただ、スタートしたからといって、これですべてもう終わりだ、もう変わらないというものではなくして、スタートした上で、引き続き関係者の皆様方の御意見も聞きながら、また改めることは改めていく、こういった姿勢が大切なのではないか、そのように思っています。

 いずれにしましても、先ほど申し上げましたような経緯から考えまして、今の時点で一緒にするということになりますとやはり混乱を生ずるのではないか、このように感じているところでございます。

市村分科員 岸田大臣は、この立場になっていただいて、不幸にも私の話をもう何回も聞いていらっしゃるので、大分ベテランになっていただいているということでありまして、大変私はうれしく思いますが、実は、今岸田大臣がおっしゃった中で、いわゆる新しい公益法人制度は準則主義だというふうにおっしゃったんですけれども、これは実は違うんですね。公益法人制度は、準則主義じゃなくて、公益認定等委員会でガイドラインを経てなるものでありまして、今度準則主義になるのは、一般社団、一般財団と言われる制度が準則主義だということなんです。ちょっと違うんです。だから、本当に、この議論というのは細かく言い始めるともうめちゃくちゃややこしいんです。

 例えば認証といっても、これは、設立の認証と、規則の認証、定款の認証というのは全然違うんですね。同じ認証という言葉を使いながらも、例えば宗教法人は規則の認証なんですね。だけれども、この特定非営利活動法人は設立の認証なんです。同じ認証という言葉を使っても、これほどややこしいんです、この話は。だから、内閣委員会でも、きょう聞いていらっしゃる皆さんも、一体何を言っているのかなと思われると思うんです。何でそんな細かい議論が必要なのかなと思われるかもしれないけれども、極めてわかりにくいがゆえになかなか理解されない。

 しかし、根本は簡単なんですね。何かというと、前も申し上げたように、要するに、民の公のセクターをどう考えるのか、どうとらえるのか、もうこれに尽きるんですね。

 いわゆる公というと、今までの日本、特に高度経済成長以降は官の公がはびこっていたわけですね。はびこっていたと言ったら失礼かもしれないけれども、それがうまくいった時代もあったんです、官の公が。官に集中させて、とにかく税金を使ってもらって、政治も余りそれに文句を言わずに、とにかく官僚の言っていることに関してまあ基本的にオーケーと。それがある種、社会システムとして一番働いた時代もあったんだろうと思います。これをすべて悪いとは言いません。

 しかし、この二十年ぐらいを考えると、そのシステムは、実はもう変えなくちゃいけなかったということなんですね。変える力は官にはないんですね、これは。ないんですよ。政治なんです、やはり。ところが、そこで政治が残念ながら機能を果たし得なかった、僕はこう見ているわけでありまして、決して官だけの問題じゃなくて、やはり政治の問題もあるということなんです。

 そのときに、やはり公を官だけが行う、税金で官だけ行うという仕組みを存置、ずっと続けてしまっているんです、これは慣性の法則じゃないですけれども。これがうまくいった時代もあったけれども、今はうまくいかないんです。

 うまくいかないで、何が起こるかというと、しかし、もう積み上げたものがあるから変えられない、前例主義で。とにかく、前やった、前年度やったことは今年度もやるんだとやってきて、結局税金をどんどん、税収は伸びない。高度経済成長期はどんどん伸びたからできたんですね。ところが、税収は伸びないのに、慣性の法則が働いて、とにかく前年度やったことは今年度もそう変えちゃいけないということで、どんどんどんどんやっているうちに借金が積み上がるようなことになってしまって、結局大切なサービスもできなくなった。できなくなっているわけですね、今。例えば医療とかを見ていただければ、介護とか見ていただければ、金がない、金がない、もうすべて金がないで最近片づくようになってしまいましたね。

 しかし、金がなくたってやらないかぬことはありますし、金がなくても知恵を使うべきところもありますし、汗をかかないかぬところもあるわけですね。戦後に、戦後の焼け野原、ここまで日本は高度経済成長して、金があったかというとないんですね。なくたってここまで成長できるんですから、やはり人間、知恵とやる気なんですね。

 もちろん、世界が戦後とは全然違います、世界の日本を取り巻く状況も戦後とは違う。そういう中でもちろん戦後と単純に比較できないにしても、やはり金がないの一言ですべてを済まされている世の中というのは、ある種、官僚の皆さんとか政治家は多分それが一番言いやすい。いや、そうはいってもお金がないんですよというのが一番言いわけになるのかもしれませんけれども、しかし、もうその言いわけが通じない時代になってきているんですね、今。

 だからこそ、民間でも公をなす、官だけがやるんじゃない、民間でも公をなすような社会の仕組みをつくらなくちゃいけないという、これが大きな命題なわけです。そこに向かうために、その主体となる、民の公を担う主体は何かというとNPOなんですね、非営利組織なんです。

 例えば今、最近わかりにくいと言われるので例えばを言うんですけれども、労働者がこれから一千万人足りない、こう言われるわけです。今の議論は何かといいますと、すぐに、外国人労働者を入れようという議論をしているんです。しかし、ちょっと考えてみれば、例えば退職された先輩方、例えば子育てをある程度終えた女性の方たち、まあ男性もいるかもしれません、その方たちが、今さら週五日の九時―五時の、サービス残業もしなくちゃいけないような世界に入っていくのはしんどいですよね。しかしながら、例えば週三日ぐらいなら、自分は、単に家でじっとしているよりは、子育ても終えてどうしようかなと思っているよりは、三日ぐらいだったら働いてもいいかな、別にそんな高い給料はどっちか一方が働いていれば要らない、また、年金世代なら、年金があるから生活のベースはある、単に家にいるよりも何か社会に貢献したいという気持ちがある方がいますね。

 三日間くらい、その主体はどこかというと、多分営利企業は無理だと思いますね。よく今ワークシェアリングと言われていますけれども、では、今営利企業の皆さんに、三日だけ働く制度をつくってくれませんかといっても、多分、営利企業は、そんなことを言っていたら国際競争力では勝てませんよ、国内競争にも勝てない、こういう話になりますね。しかし、NPOがそれを引き受けることはできるんですね。例えば三日。三日間、ええ、いいですよ、ほかの三日間はでは別の方が穴埋めします、そのかわり、給料は営利企業で働くよりは安いですよ、でも、なるべくその辺はワークシェアリングという考え方を入れてやっていきましょう。

 働く場としてのNPOという考え方をとれば、極めて有効な手段なんですね、NPOを育てていくということは、民の公を育てていくということは。

 介護にしても、今、例えばコムスンのことがありました、ああいう営利企業でありました。本当は介護というのはNPOの担う役割なんですね。しかし、前から言っているように、小泉民営化はイコール株式会社化でしたから、私はあのときからずっと、いや、民営化には株式会社化と同時にNPO化があるんだと言っていましたけれども、本当は介護とかはNPOが担う仕事なんです。担った方がいいんです、効率的で。

 やはり営利企業が担うと、もうけてこい、もうけてこい、なるべく経費を減らせ、こうなるわけですね。しかし、NPOがやると、皆さん志を持って入ってきますから、そんなに高くは要らない、でも三日しか働けないよということで、うまくそこで回していけば過酷な条件にならないんですね。営利企業だと、それは朝から晩まで働いてこいという話になって、結局、過酷な労働条件で、しかも給料が安いと来た日には、それはもうだれもやる気をなくしますよ。それで今どうなっているか。介護ヘルパーになる、応募する人、それに試験を受ける人、そういう講座を受ける人、激減していますね。それは嫌です、みんな。嫌ですよね。

 でも、民の公をしっかり育てていく、その主体であるNPOを育てることによって、そういう、いわゆる働きたいけれどもちょっと営利企業では無理だなという方たちを吸収する労働市場も生まれるわけです。まさにNPOというのは経済セクターなんです。私が申し上げているNPO、単に特定非営利活動法人をNPO法人と言いますけれども、確かに特定非営利活動法人というのはNPOの一種ですけれども、NPOの一類型なんですね、一類型なんです、あくまでも。NPOというのは公益法人も含みますから、本来ならば。その公益法人が今天下り先なんて問題があるということで、これはだからちゃんと問題解決しなくちゃいけませんけれども、とにかく、民の公のセクターをどう育てていくかということが重要。その主体がNPO。

 そのためには何かというと、資金。株式会社でも行政でもやはり資金が要るんですね。行政は税で資金を賄っているわけです。株式会社は銀行から借りたり、株式を発行してそれを上場することによって資金を賄うわけですね。では、NPO、今何があると思いますか。岸田大臣、今、例えば岸田大臣が、特定非営利活動法人でいいんですけれども、つくられて、どこからお金を持ってこられますか。どこからお金を持ってこれると、ぴんとくると思いますか。どうぞお答えください。

岸田国務大臣 今の委員のお話を伺っておりまして、私も、民による公益の増進において、委員のおっしゃるNPO、要は特定非営利活動法人プラス公益法人、このセクターが大変大きな役割を果たしているということ、これはもう本当に同感でございます。

 そして、財政的な基盤としてまずどこからお金を持ってくるのかということですが、まずはその法人関係者がみずからの活動の透明化を図り、社会の理解を得て、そしてみずから財政的な基盤を充実させていく、これが基本だというふうに思っています。

 そのために、政府としましても、寄附税制初め、さまざまな環境整備に努めているということだと認識をしております。

市村分科員 まさに、認識はいいんです、認識はいいと思います。

 ただ、失礼ながら、寄附税制、寄附がどれだけ集まっているかなんですね。アメリカは今、年間ですよ、寄附市場が毎年三十兆円を超えています。日本は、今統計にあらわれているのは、六千億から八千億じゃないかと言われています。しかし、その六千億から八千億はどこに行っているんでしょうかということなんですね。

 つまり、この中には、いわゆる法人の一般寄附金枠というのがありますから、それも含まれているはずなんですね、法人の一般寄附金枠。これは何に使われているかというと、例えば赤字会社の補てんとか。自分の関連会社の赤字の分を補てんしているわけです。一般寄附金枠というのは、使い道は別に限定されませんから。資本金と当該年度の所得が算出根拠になっています。(資本金掛ける千分の二・五プラス当該年度の所得掛ける百分の二・五)掛ける二分の一、これが大臣、一般寄附金枠ってあるんです。いや、多分、政治家もそこからの寄附を受けていると思いますよ。つまり、それしか損金算入の手段がないんですね。つまり、そういうところに行っていると思います。

 だから、結局、ほんまもんのNPOに行くお金というのがどれだけあるかというのは、実は日本は極めて低いんですね。例えば特定非営利活動法人にどれだけのお金が本当に回っているのか、そこから、その六千億なり八千億から。これは極めて低いと私は思っています、低いと思います。

 だから、そういう状況で、例えばファンドレーザーという仕事があります、アメリカでは。ファンドレーズ、ファンドをレーズするわけですね、ファンドを持ってくるわけです。ところが、レーズするファンドがないのが日本なんですね。幾らファンドレーザーがいても、どこにお金をとりに行きゃいいの、もらいに行きゃいいのという話ですね。もらうというか、つまり、私はこんなことをちゃんとやっていますから、あなた、ぜひともお金を出してください、こういうのがファンドレーザーの仕事ですよね。これは非常に、アメリカの中でもちゃんとした職業だし、成り立っている仕事なわけです。

 やはり、何かといって、我々政治家も、事務所を回していくためにはお金が必要で、お金を持ってきてくれる人が一番ありがたいですよね。幾ら偉そうなことを言っても資金が、それこそお金がなければ人も雇えない、電話代もどうしよう、来月の家賃はどうしようかなんて話をしていたら、国政以前の問題の話になりますね。その分、国会議員は多少、政党助成をいただきながら、その一部をいただきながら何とか活動を維持させていただいているわけですよ、細々とでも。

 でも、今、ではNPO、例えば特定非営利活動法人、NPOの一種になりますね、これが、どこに行こうかとお考えいただくと、多分、具体的に思い浮かばないはずなんですね。例えば山本副大臣、どうでしょうか。思い浮かびますか。私だったらここにお金をもらいに行くな、志を説いて、ここに私だったら行って、そうしたら、ここに行ったらお金が出てくると思うなというアイデアはございますでしょうか。どうでしょうか。

平田主査 ちょっと質問者に。

 もう少し、問題解決のための御質問であれ、おまえ知っているかということじゃなくて、前向きな御質問をお願いしたいと思いますけれども。

市村分科員 いや、私は極めて前向きに質問しているつもりなんですよ、これは。まさに、ないということをお伝えしたいわけですけれどもね。

平田主査 何がおっしゃりたいのかよくわからないんですけれども。

市村分科員 だから、これが大きな問題ですね。だから、これがこの問題の……

平田主査 まずお考えを述べられて、それについての所感であれ……

市村分科員 委員長、ちょっと待ってください。これ、私は極めて前向きに話をしていますよ。

平田主査 わかりますよ、はい。

市村分科員 ちょっと、これは、委員長が御理解できないのはいいんですけれども、それができない、できないからといって前向きじゃないと言われるのは大変心外ですね、私はそれは。

平田主査 あなたが御存じならば、先に述べられて所感を求められるなり、その方がいいと思いますけれどもね。

市村分科員 わかりました。

 だから、ないんです、ないんですね。

 どうですか。

山本副大臣 私は、委員のように、特定非営利活動法人だとか公益法人、そういうものについて熟知しておりませんから、なかなか申し上げる立場にありませんけれども、さっと考えてどうだと言われますと、例えば企業ですと出資者を募るわけでありますから、そこへ持っていけばいいと思いますけれども、NPO等、どこへ持っていくのかというのは、私にはちょっと思い浮かびませんけれども、だれかがまとめてくれるのかな、まとめたところへ持っていくのかな、そういうぐらいのイメージしか私にはわきません。そんな程度でございます。

市村分科員 まさに今おっしゃっていただいた、まとめるところがないんです、ないんです。だから、結局、お金もないのに頑張ってくれと言っているわけです、今私たちは、NPOをつくる方たちには。これはひどい話ですよね。

 だって、我々、教科書レベルでも、株式会社の始まりはバイキングが出資を募って株を発券したというのはよく習いましたけれども、そのときだって、資本の原始的蓄積というものをやるべきだ、やったおかげで株式会社にお金が回るようになったということを、これは教科書レベルの問題ですよ。資本の原始的蓄積をやった、株式会社ですら。NPOのどこにお金があるんですか、日本では一体というところが問題なんですよ、これ。

 しかし、三万四千できたということを政府は一生懸命おっしゃるわけです。十年かかって、すごいじゃないですか、三万四千団体もできますねと。しかし、三万四千団体が、結局お金がないから立ち枯れ状態なんですね。

 うまくいっている、お金があるところはどこかというと、地方自治体とかが自分たちの行政の受け皿としてつくったところは何とかいくとか、例えば大企業とか企業の研究機関で今まで任意団体で細々やっていたのが、多少お金を入れてここで法人としてやってもらおうか、こういうところはうまくいっています。あとは、介護保険の受け皿として、そういうことでやってきたんですね。

 ところが、介護保険の方も、最近の変更で大変厳しい状態になって、なかなかNPOも維持ができない。ヘルパーも、先ほど申し上げたように減っている。どうですか、この数カ月間の間に、介護殺人、介護心中、大変大きな問題になっていますね。私は、これはもう二年前からこうなるということを厚生労働委員会では言っていました、ちゃんと手を打つべきだと。打っていないからこうなるんですね。

 だったら、やはり何といっても、このNPO、民の公のセクターをしっかり育てるということをやらなくちゃいけない。政府も、この間お聞きしたら、大転換を図ると言ったわけですね。大転換を図るんだったら、特定非営利活動法人も含めて、やはり本格的な非営利法人制度をつくる方向に私はやっていくべきだと思う。私はそう困難じゃないと思うんですよ。この十二月一日から五年かけて、特定非営利活動法人も選択していただいて、そして特定公益増進法人になるような道を開いていくということが今求められる政策だ、私はこう思っているわけですが、改めて大臣の御意見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、特定非営利活動法人、そしてこの新しい公益法人制度、これは全体で、民による公益の増進を図る大変重要なセクターだというふうに認識をしております。委員の認識と一致するところでございます。

 そして、全体でそういった役割をしっかり果たしていかなければいけないわけですが、要は、それを一緒の制度にするのか、トータルで大きな役割を果たしていくのか、この辺の議論になるかと思うんです。今日までの議論、さまざまな議論の中で、とりあえずは、それぞれの制度を存続した形でトータルで役割を果たしていく方向でスタートしようということでここまで来たんだというふうに認識をしております。

 ですから、トータルでの役割、大きな役割については認識が一致するわけでありますが、その中身におきまして、要するに、メニューを幾つか用意した形で全体の役割を果たしていくのか、全部一つのメニューにしてしまうのか、こういった違いかと存じますが、この辺を、メニューを直前で変更するということになりますと、ちょっと混乱を生じるのではないかと我々は考えているところでございます。

市村分科員 これは前にも議論しましたけれども、つまり、選択肢になっていないんですね。それだけ質の違うものなら選択肢なんですけれども、本来質は同じなんです。

 きょうはお手元に資料があると思います。公益法人と特定非営利活動法人の比較ということで、お手元に資料をお届けしていますけれども、これをつぶさにここでやっていると時間もありませんので、ぜひとも大臣にまたゆっくり見ていただきたいんですが、特定非営利活動法人と、公益社団、公益財団なるものについて、例えば設立の際に必要な書類とかを見比べていただいても、あと、情報公開の制度にしてみても、監督にしても、残余財産の分配にしてもということで、こういうのを見ていただければ、そう変わらないんですね、変わらないんです。

 特定非営利活動法人は、今いわゆる認定特活法人、認定特定非営利活動法人となる、つまり、特増並みにする方法もあります。今八十をやっと超えたというところでありますけれども。これと、今度の、一般社団、一般財団が公益社団、公益財団になる方法というのは、今度は公益認定等委員会でガイドラインに基づいて認定を受けるということになるとは思いますが、この違いが大きいと思います。

 ただ、一方の、特定非営利活動法人に関する、特増になるときのパブリック・サポート・テスト等々の話というのは、前二年間の実績がないとだめなんですね。前二年間の実績の中で、寄附の割合が、今特例で三分の一が五分の一になっていますけれども、寄附が五分の一以上ないとだめというような状況が一つ大きな認定基準としてあるんですね。しかし、これは二年間の活動実績が要るわけです。しかも、特定非営利活動法人の段階では寄附優遇税制がありませんから、なかなかこれで寄附を集めようというのは難しいですね。例えば、寄附優遇がある、政治家に寄附すれば。ほとんど集まらないんですよ、もう難しいですよ、これは。もちろん政治家への信頼感がないから仕方ないかもしれませんけれども。これを集めろと言ったってなかなか難しいんですよ、今の段階では。

 一方の、今度の公益社団、公益財団に関しては、これは活動実績は要りません。一般社団、一般財団になったらすぐに公益認定等委員会に書類をそろえて持っていって、後はガイドラインに基づいて認定してくれという話ですね。これは民間の有識者から成る委員が決めることですから、もちろんほかの官庁から来られた方が茶々を入れるとは僕は信じておりませんので、委員の、これはいいじゃないかということで決まっていくわけですから、こっちの方がこれからはやはりいいんです。だから八割方いいんじゃないかというふうに僕は評価をしている部分があるんですね。

 もちろんこれは、ガイドラインの中身とか公益認定等委員会のあり方とかが問われてきますけれども。つまり、抑制的に、なるべくさせないようにしようとしてしまったら、これはやはりまた今と同じです。しかし、この間も、内閣委員会での議論では、違う、これからは民間の公益を増進するという立場でやるんだと高らかにうたっていただいていますから、よもや抑制的にするとは私は信じていませんけれども。そういうところで、ようやくいい制度になっているんです。

 前から何度も申し上げているように、特定非営利活動法人が生まれたときの議論を考えると、まさに今政府がやろうとしていることをやはり求めていたんですよ。あのときも、別に認証でやってくれと言っていなかったんです。たまたまあのとき、民法三十四条があったから認証にならざるを得なかったんですね。これは、私もあのとき野党案をつくっていましたから、泣く泣く認証ですよ。本当は準則主義でやりたかったんですね。ところが、民法三十四条法人を何とかせないかぬ、これがもう前提にありましたから、つまり、民法三十四条を置いたままだとどうしてもこれは準則主義にはならない、こういう議論があった上で特定非営利活動法人は認証になっているんですね。でも、あのときに私たちが求めていたのは違うんですよ、準則主義でやってほしいという話だったんですね。今回の一般社団、一般財団のように、そもそもが。

 しかも、大切なのは何かといいますと、さっきから申し上げているように、やはりお金なんですよ。そこに行き着かないとだめなんですね。お金がないと活動は維持できないんですよ。

 でも、この国はお墨つき社会だったものだから、法人格を取ったら官の信が得られる。日本人も本当にかわいそうというか、お墨つきをうれしがるわけですね、ああ、これでと。いいんですよ、認証が。お認めいただいたと。認証ですから、お上からお認めいただいた存在にさせていただきました、こういうことになっちゃったわけですね。

 お認めいただいたら当然御加護があって、ちゃんとお金がおりてくるとみんな信じたわけです、ここで、特定非営利活動法人の方々は。信じていたら、お金はおりてこないんですよ。それで、一体どうなっているんですかという話になっちゃっているんですよ、ほとんどの人たちは。このお話は。

 あとは、お墨つきをいただいたということを宣伝して、利用して、ある種やくざまがいの人たちが、暴力団とかが利用して、それを悪用した部分もあるわけですね。前提にお墨つき社会があるわけです。

 しかし、お墨つき社会はもうだめですよね。今になり、政府も公益法人改革を進めて、もうそんなお上意識でやっていちゃだめだと。やはり公僕として、我々政治家もそうですけれども、公僕として国民のために尽くすんだ、こういう制度にしていこうと政府もお取り組みいただいていますよね、公益法人制度改革で。なっているんですよ。

 だから、やはりそういうお墨つき社会じゃなくて、本来は、私たち国民が民の公を担うという決意を持って、こういう制度を利用して非営利法人になって、そして寄附を集めていく、寄附集めをする、収益事業を行う。

 また、それが前提であれば、政府からの補助金があってもいいですよ。でも、一番の今の問題は何かというと、政府からの補助金とか助成金しかないのが問題なんですね。別に、もらっちゃいけないとは言っていません。お金があるところがそこしかないんですよ。結局、何かというと税金ですよ。結局は官の税金に頼っているけれども、今の民の公を担うべき特定非営利活動法人を初め、公益法人もそうじゃないですか、みんな税金に頼っちゃっている。

 しかし、私からすると、税金に頼る存在はNPOじゃないんです。自主独立という概念が根本にないとNPOと言っちゃいけないんですね。つまり、今私たちは、NPOじゃないものをNPOと言ってしまっているんです。もしくは、NPOと名乗りたいけれども、NPOになりたいけれども、させないようにしているんですね。お金を回せないから、お金が回らないから。

 だから、私たちが考えるべきは、いかにしてNPOに回るお金をつくっていくのか。フローでもストックでも、NPOに回るお金を激増させるか、これが私たちが今負っている大きな課題のはずなんですね。

 そのときに一つの手段として大切なのは、やはり税制優遇なんです、寄附優遇なんです。寄附をした人たちが、団体に寄附をしたときに、NPOに寄附をしたときに、それを控除できる、それは所得控除もあり税額控除もあると思います。そして、とにかく寄附しやすい仕組みをつくっていかなくちゃいけない。そうしないと、お金は出ないんですね。それをつくったとしても出ないんですよ、そう簡単には出ません。しかし、長い期間をかけてそういう文化を醸成していく、寄附をして支えていくんだという文化を醸成していく、雰囲気を醸成していくことが大切なんです。一朝一夕にはいきません。

 私が求めているのは、何回も言いますけれども、今は官製土壌です、官僚のつくった土壌です、私は民製土壌にすべきだと言っているわけですね。岸田大臣がおっしゃっているのは、土壌の上に何を育てるかというときの選択肢をおっしゃっていると僕は思うんですよね。それは、まずしかし、いい土をつくってあげないと選択肢にはなり得ないんですね。土には選択肢は余りないと僕は思います、この場合。いい土壌をつくる、まずここの部分を私は議論しているわけです。

 いい土をつくれば、あとは、私なりにまきたい種がありますし、植えたい苗があるわけですよ。それを大きく育てていきたいわけですね。きれいに育てたいわけです。それは、岸田大臣も皆さんも、山本副大臣も委員長も含めて、いや、そんな制度があるのならおれもこういうことやってみたいなという話ですね。私なんかだったら、コミュニティー財団をつくりたいとか、シンクタンクをつくりたいとか夢があるわけです。

 しかし、そのためには、今の官製土壌の上に幾ら私がコミュニティー財団をつくりたいと種をまいても、シンクタンクをつくりたいと苗を植えても、枯れちゃうんですよ。大きく育たないんですよ、官製土壌の上には。だって、はっきり言ってシンクタンクなんか要らないんですから、官からすれば。こんなライバルは要らないじゃない、ライバルは要らないですよね。要らないから何とか枯らそうと思って頑張ってくれるわけですね。

 あとは、例えばコミュニティー財団にしても、これはいろいろな人からお金を集めてNPOに回す仕組みなんですけれども、やはり今は、官僚の、皆さんとは言わないけれども、今の官僚機構という仕組みからすると、同じ公益を担うものとしてNPOはある種ライバルですから、そこにそんなお金が回って、例えば、タウンミーティングでもいいですけれども、政府がやると二千万かかるタウンミーティングを、NPOがやったら、同じような話を二万円でできるかもしれません。そうしたら勝負にならない。やはりNPOにやってもらった方がいいなというふうになるわけですね。それでは困るということもあるのかどうか知りませんが、いずれにしても、官製土壌の上になかなかそれは育たないんです。

 だから、民間の公を担うものを育てるための民の土壌をつくっていく、これが私の主張していることなんです。これが、NPOセクターをつくる、そのための法律をつくろうということなんですね。それが私が言っているNPO法なんです。

 そのときに、さっき選択肢とおっしゃいましたが、そうじゃないと思うんです。やはりこれは、世界の常識では、公益法人も特定非営利活動法人も、例えば学校法人、私立学校ですね、それから病院、あとは、共益法人と言われる、例えば農協とか生協とか中小企業協同組合とか、こういうのも全部実はNPOなんです、概念としては。

 アメリカでは病院はNPOなんですよ。一九九〇年の終わりから二〇〇〇年の初めに一時期、アメリカも株式会社に変えろと言ってやりましたけれども、結局うまくいかなくて、また戻していますよ。結局うまくいかないんです、株式会社では。やはり、医療とかこういうものはもうけ主義じゃだめなんです。だから、NPOとして成り立つ。アメリカのNPOセクターの年間のGDPというのかな、百十兆ですよ、円に直すと百十兆円、すさまじいですね。それは、学校も入っていますし病院も入っていますからそれだけ膨れ上がるんですけれども。それはもう寄附市場だけで三十兆円以上あります。そして、そこからお金がNPOに回っているわけですね。

 そして、アメリカもさまざまな問題ありますけれども、その解決の主体となっているのがNPOなんですね。大きな、皆さん御存じの例では、例えばエイズ撲滅運動というのはNPOから始まっているわけです。ちっちゃなNPOが始めて、それを全米に広め、世界に広まっていっているわけですね、こういうものがあると。そのスタートはNPOですよ。例えばインターネットのプロバイダーと言われるものも、もともとはNPOで、みんなが趣味でやっていたわけですね。投資家が目をつけて、こんないいものがあるんだったらうちが投資するからビジネスでやれといって、NPOからビジネスの世界に行って、今やプロバイダーというのはすごいですよね。だけれども、スタート地点はNPOなんですよ。

 だから、いろいろな意味で、インキュベーションの役割を果たすのもNPOである、また、そうした民の公で、例えば医療とか介護とか、そういうのを担うのもNPOなんですね。ここが一番効率がいいという話になるんです。だから、そのためには、制度をつくってあげなくちゃならない、土壌をつくってあげなくちゃならない、こういう議論をしているわけです。

 そのときに、せっかく八合目まで来た、すばらしい、いい制度だと私は評価していますから、そこに、これまで我慢して努力された特定非営利活動法人の皆さんも加えてあげた方が、僕は大変親切だということを前にも申し上げているんですが、改めて岸田大臣の御意見をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、民による公益の増進を図るセクターにつきまして、財政的にも自立をしなければいけない、財政的な自立が大切だということにつきましては、委員おっしゃるとおりだというふうに思います。

 ですから、特定非営利活動法人制度につきましても、認定特定非営利活動法人制度を導入したり、また、平成二十年度の税制改正においても、条件の緩和ですとかそれから認定期間の延長ですとか、こうしたさまざまの税制改正を盛り込んだところでありますし、また、新しい公益法人制度においても、具体的に税制優遇をどうしていくのか、大変大きな議論になったところであります。こうしたさまざまな努力をすることによって、やはり、民による公益増進を図るセクター、財政的にも自立をしていただくことは大切だと考えており、そして、そうした努力をしてきたということだというふうに思っています。

 そして、こうした全体の中で、今新しい制度を導入しようということであります。新しい公益法人制度、これは一般社団、一般財団等と、特定非営利活動法人、これにつきましてもさまざまな違いがあるわけです。公益性の認定があるなしの違いもあるわけですし、それから、税制優遇につきましてももちろんこの両者の間に違いがあるわけでありますし、そして特増になったとしても、認定特定非営利活動法人制度との間においても違いがしっかりとあるわけであります。こうした違いをしっかりと見ていただいて御判断いただく。

 これについていろいろ意見があるにしても、今まで長年議論を積み重ねてきた結果がこうしたメニューのありようだというふうに認識しております。全体のセクターとしての役割は大切である、そしてそれをしっかりと財政的にも支援する仕掛けをつくらなければいけない、そこまでは全くそのとおりだと思いますが、その具体的なメニューにつきましては、現状、さまざまな議論を積み重ねて今現在に至っているわけですので、ここでまた大きく転換するというのは、最初の質問に戻ってしまいますが、混乱を引き起こすことになってしまうのではないか、これが我々の認識でございます。

市村分科員 確かに違いがあります。その違いが、今大臣がおっしゃったように積極的な議論の結果違ったのならそれでいいんです。

 違うんですよ。そもそも、今日のようになりたいと思っていたけれども、民法三十四条とかの理由でなれなかったから、今のこの特定非営利活動促進法に落ちついちゃったんですね。だから、なりたくてこうなっているわけじゃないんです。積極的に特定非営利活動促進法に落ちついたのなら、いろいろ議論があって、これはこれで言ってきて、こっちはまたこっちでやったというのは成り立つんです、今大臣がおっしゃっていることが成り立つんです。しかし、違うんです、経過は。違うんです。

 本当は、今政府がお進めになられようとしているような制度にしたかったんです。いや、そのときの議論より、今政府がやろうとしているものの方が進んでいるんです。極めていいんです。だから、もともとそうなりたかった人たちがここにいるんだから、そうしてあげた方がいいと私は言っているわけです。当然、違いがあるんですよ。今回違いができちゃったんです、そういうことになって。

 しかし、もう一回繰り返しますが、その違いが、積極的な意味で違っているならいいんです。すなわち、特定非営利活動促進法には特定非営利活動促進法の意義がある、今度の一般社団、一般財団、公益社団、公益財団にはこういう意味がある、これは違うんだ、質的に違う、だから選択肢なんだという話になっているのならいいんです。大臣のおっしゃるとおりで、もう私も議論しません。ああ、いいですねと。

 そうじゃないんですよ、歴史が。そもそも、今政府がお進めになられようという制度にしたかったんです、もともとは。ところが、そうできなかったから、今特定非営利活動法人に落ちついちゃったんですね。でも、今度の新しい、政府が進めようとされているのは、いよいよ求めていた制度に近いんですよ。だから、皆さん、もともとそれを求めていたんだから、いよいよ皆さんが求めていたものができたんだから、ちょっとこの間も申し上げたように、これまでプロトタイプとか第一号機で我慢していただいている皆さんに、新製品が用意できましたから、ありがとうございます、皆さん、第一号機、プロトタイプでよくぞ我慢していただきました、いよいよ皆さんが求めていたものができましたから、どうぞお使いください、こうしてあげるべきだということを前から申し上げているわけであります。

 そもそも、こっちとこっちが全然質的に違って、こっちはファミリーセダン、こっちはスポーツカーで、これは嗜好がありますよね。たとえ燃費が悪くたっておれはスポーツカーに乗りたいという層があれば、いやいや、そんなにスポーツカーみたいにスピードが出なくていいから、安全に家族が乗れる車、しかも燃費のいい車が欲しい。これは選択肢ですよ、これは選択肢です。

 しかし、これは選択肢じゃないです、この二つは。先ほど言ったように、もともと自分はスポーツカーに乗りたかった、しかし、とても高い、燃費も悪い、安全も、ちょっと家族を乗せるには狭い、だからファミリーカーで我慢していた。ところが、ある会社がスポーツカー並みのファミリーカーをここで開発した。これだ。燃費もいいし、スピードも出る、なかなか安全性も高い、安い、ああ、これだと。では、こっちがいいわけですよ。これは選択肢じゃないですよ。これをもともと欲しかったんだから、乗りかえればいいんでしょう。

 しかし、乗りかえるときに、では、買ってくださいと。この特定非営利活動法人の皆さんに、こんなにいい制度ができましたからまた改めて、これは、一般社団、一般財団になろうと思ったら十五万円ぐらいかかるんです。例えば、登記をするときに定款の認証代が五、六万、それから登録免許税がたしか五万ぐらいとか、あと印紙代が四万ぐらい。結局十五、六万かかっちゃうんです。

 つまり、特定非営利活動法人で頑張っていた人たちが、新しい制度が十二月一日からできて、そっちがいいなと思ったときに、岸田大臣もこの間、そのときに移ってもらえばいいじゃないかということをおっしゃっていたんですけれども、移るためには十五万円かかるんですよ、何の措置もしなければ。一生懸命今まで、政府を信じて、お墨つきを信じて頑張ってきた人たちが、何かおかしいなと思い始めて、いつの間にか、こっちで何か、あれ、これじゃないかな、おれたちが求めていたのは、私たちが求めていたのはと思っていて、いいでしょう、こっちへ移ったらどうですかと言った途端に、はい、では十五万円と、請求書が回ってくるようなものですよ。これは幾ら何でもひどい話だと私は思います。

 だから、特定非営利活動法人の皆さんも公益法人と同じように特例特定非営利活動法人として五年間存置して、五年間の間にどうするかお考えください、こうしてあげる方が、何度も言いますけれども、やはり親切だし、皆さんも喜ぶし、これまで例えば一号機やプロトタイプで御迷惑をかけた皆さんに対しても申しわけが立つ、こういうことだと思っています。

 何とか、大臣、十二月一日に間に合うように、絶対混乱しませんから、選択肢もないですから絶対混乱しませんから、ぜひとも大臣のところで、よっしゃ、特活法人も一緒にやろう、そうか、五年間あるんだからなと。今の時代、五年間というのは何が起こっているかわかりませんよ。それぐらい今の時代というのは一年一年が目まぐるしく動く時代で、五年間もあるというのは、これはもう十分に時間を与えていることだと僕は思います。いかがでしょうか、大臣。

岸田国務大臣 今、委員のお話を伺っておりまして、大変理想を追い求めるすばらしい情熱を感じたところでございますが、評価される、新しい制度をことし十二月からスタートする。要は、全くない、白紙に新しい制度を書くというのであるならば対応もまた違ってくるかと思うんですが、御案内のとおり、この特定非営利活動法人制度、九年間の間に、先ほども委員御指摘のように三万四千の、多くの法人が今現存するわけであります。そして、多くの法人が、いろいろな分野でそれぞれ、大変財政的にも厳しい中にあっても頑張っておられるというふうに認識をしております。こうした現実がこの九年間積み重なった上で、そして今回新しい公益法人制度がスタートするということであります。

 ですから、こうした、それぞれこの現実の中で頑張っている皆様方が、新しい制度ができる、それに向けてどう行動するか、どう判断するか、それはやはり、それぞれの意思、考え方を尊重するという仕掛けもつくっておかなければいけないのではないか。やはり、制度を一方的に一元化するというのではなくして、こうした選択肢、選択の自由を確保するという考え方も大切なのではないかなというふうに思っております。

 委員の御発言の中でスポーツカーとファミリーカーとおっしゃいましたが、それぞれやはり使い勝手というものもあるんでしょうから、スポーツカーができたから全員がスポーツカーに乗るというものでもないのではないかと思います。やはりそれぞれ、どういった利用の仕方をするのか、使い勝手もあわせながら選択ができる、こうした制度も大切にしていかなければいけないのではないかと、まずはこの新しい制度のスタートに当たっては考えているところであります。

 しかし、これは、未来永劫もう変わらないというものではなくして、やはり、引き続き議論を続けながら、よりよい制度が合意できたならばまた新たな制度も検討していく、絶えずいいものを追い求めていく、こういった姿勢は大切だということは変わらないというふうに認識をしております。

市村分科員 大臣、ここはもう私も大分議論を進めてきていますけれども、さっきのスポーツカーとファミリーカーの話は、大臣が認識されていることでじゃないですね、私が申し上げたのは。大臣わかっていただいているとは思うんですけれども。さっきの申し上げた比喩はそういう比喩じゃないですよ。でも、もうあえて繰り返しません、時間も余りないので。

 でも、やはり大臣、これは本当に皆さん求めているんです。というか、こういう制度の話というのは、NPOの皆さんが、別に全員が知る必要はないんですね。こんな議論、それこそきょう委員長からも注意されましたけれども、はっきり言って、多くの人はわからないんですよ。それよりも、NPOをやろうとしている人たちは、これは公益法人も含めて、やはり、もっと社会にいいことをやりたいと思っているわけです。別に制度についてはNPOの人たちが知る必要はないんですね。その皆さんがやりやすい制度をつくるというのが我々の仕事なんですね、政治家とか官僚の仕事なんですよ。だから、私は、使い勝手のいいものを皆さんに御提供した方がいい、そのための議論をしているつもりなんですね。

 せっかくきょうは財務省から来ていただいていますので。

 やはりこういう制度をやると、この制度を悪用する人間が出てくるんじゃないか、こういう議論が必ず出てくるんです。

 それで、私は、悪用することに関しては、特定口座を通した寄附に限って寄附優遇を認めるというアイデアを提案しています。このときには金融機関の皆さんに御協力をいただかないかぬわけですね、特定口座を金融機関に設けますから。その金融機関に寄附者は寄附をする、そして銀行にその寄附証明書みたいなものを発行してもらわなくちゃいけないんですね。その寄附証明書を持って税務署に行ったらそれを控除できるような、そういう仕組みにしたらどうだというものなんです。

 それは、一つの団体一つしか持てません。だから、その特定口座を通したものしかいわゆる寄附優遇を受けられませんから、当局がこの口座だけ見ていれば、おい、ちょっと、こんな団体にこれだけの大量のお金が入って、何しているんだろうな。調べてみたら、ちゃんとやっているわけでしょう。ああ、すばらしい、これだけのお金を集めてこんなにすばらしいことをやってくれているんだ。これはこれでいいんです。ところが、これだけのお金を集めながら、何かやっていることが違うぞ。だったら、目はつけやすいですね。だから、そういうことで、僕は、十分に、かなりの抑止策があると思っております。

 きょう、財務省、古谷官房審議官、来られていますけれども、例えば金融機関にこういうものを求めることは可能でしょうか。金融機関はそれを受け入れてくれるでしょうか。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘ございましたように、寄附優遇措置を付与いたしますためには、租税回避手段として乱用されないことですとか、対象となる法人が適正な事業活動をしておられるといったことが当然前提になろうかと思います。

 今回認定を受けたすべての公益社団、公益財団につきましては特定公益増進法人にするというふうにしておるわけでございますが、こういたしました判断の背景には、公益法人法の方で、寄附を受けた財産につきまして、「公益目的事業を行うために使用し、又は処分しなければならない。」ということが明定をされておるというようなことも背景に、今回御提案をさせていただいております。

 先生から御提案の特定口座の問題につきまして、金融機関との関係につきましては私ども財務省の方から御答弁できかねますけれども、そういったことも含めて、寄附金に関しまして、なるべく制度設計を、手続を含めまして、透明性を確保するということが必要であるという点は私ども認識をしてございます。

市村分科員 済みません。山本内閣府副大臣、ぜひともお答えください。金融庁の立場で。

山本副大臣 今財務省の方から答弁ありましたけれども、特定非営利活動法人にしても公益法人にしても、やはり、先ほどお話ありましたように、お金を集めやすくするということは大変大切なことだというふうに思います。

 しかし、税制がやはり先でありまして、銀行の方で特別何かができるというよりも、まず税制をしっかりしていただいて、その上で金融庁が判断するということになると思いますので、まず税制だというふうに思っておりますけれども、金融機関も、一般論としては、社会構成の一員として協力できるところは協力していくようにしていきたいと思いますけれども、まず税制、所管外、こんなふうに思っていただければ結構だというふうに思います。

市村分科員 これは金融機関にとってもいいことなんです。なぜならば、口座を開いてくれるわけですから、その団体が。そこに預金というか、お金が入ってくるわけですから。それから、そのNPOである程度の雇用が生まれたら、当然、その口座を開いたところに、例えば給料支払いの口座も開くでしょう。やはりNPOというのは、これは経済セクターですから、雇用も生み出します。そうしたことがまた金融機関としても顧客獲得の一つのいい手段になると思うんですね、NPOの特定口座を引き受けることによって。

 だから、とにかく新しいアイデアをどんどん入れながら、新しい雇用を開拓し、新しいサービスを開拓していく、これが今日本に求められていますね。何かするとすぐ、金がない、金がない、何かやろうとすると、物言えば唇寒しの世界で、世知辛くなっちゃって、何か失敗するとすぐ文句言われるから何もしないのが一番いい、事なかれ主義、こうなっているわけですね。そうじゃだめだ、そういうときに突破口を開くのがNPOなんだ、NPOセクターなんだ、私はそういう信念を持ってこれを訴えていますから。しかし、そのNPOが頑張るためには、やはり資金を何とかしなくちゃいけない、こういう話であります。

 また改めてこの議論をさせていただきます。

 最後に、委員長、なぜ私、きょう山本内閣府副大臣に来ていただいたかといいますと、実は、この間別の委員会で、官房長官が、そもそも副大臣制度をつくったのはおたくの小沢さんじゃないかという話だったんですね。にもかかわらず、つくって、では今回ここに立ってみたら、大臣しか答弁させない、こういう話になっているから問題だ、こういうふうに官房長官がおっしゃったので、私は、党が大臣とやりなさいと言っていますけれども、では私も、そうか、副大臣も、そうであるなら来ていただいて、なるべく御答弁いただこう、こういう思いなんです。

 ただ、私の聞き方が悪かったとしたらおわびしますが、しかし、せっかくそういういい議論をしようということで今やっているわけですから、ちょっと私の聞き方が意地悪だったらそれは失礼をしましたけれども、ぜひとも、やはりいい議論、まじめな議論をしているつもりですので、まずは御理解いただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

平田主査 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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