衆議院

メインへスキップ



第1号 平成21年4月20日(月曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成二十一年四月六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      赤城 徳彦君    菅  義偉君

      冨岡  勉君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    川端 達夫君

      津村 啓介君    平岡 秀夫君

      漆原 良夫君    渡辺 喜美君

四月十七日

 山口泰明君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年四月二十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 山口 泰明君

      赤城 徳彦君    遠藤 宣彦君

      菅  義偉君    藤井 勇治君

      宮下 一郎君    川端 達夫君

      中川 正春君    長妻  昭君

      平岡 秀夫君    田端 正広君

      冬柴 鐵三君    渡辺 喜美君

   兼務 上田  勇君 兼務 鈴木 宗男君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  甘利  明君

   内閣官房副長官      松本  純君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 濱坂 豊澄君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館副館長   吉永 元信君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第三局長            河戸 光彦君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  樹下  尚君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (内閣府官民人材交流センター審議官)       平山  眞君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 村木 裕隆君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  西川 克行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石井 正文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      内藤 邦男君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林  光君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       原  徳壽君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  黒田大三郎君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          松田 浩二君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  赤城 徳彦君     藤井 勇治君

  菅  義偉君     遠藤 宣彦君

  津村 啓介君     中川 正春君

  漆原 良夫君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     菅  義偉君

  藤井 勇治君     赤城 徳彦君

  中川 正春君     長妻  昭君

  富田 茂之君     冬柴 鐵三君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     津村 啓介君

  冬柴 鐵三君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  田端 正広君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  高木美智代君     漆原 良夫君

同日

 第三分科員上田勇君及び第四分科員鈴木宗男君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔国会、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(金融庁)、外務省及び環境省所管〕


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山口主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました山口泰明でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管及び沖縄振興開発金融公庫並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に、決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十九年度決算外二件中、本日は、外務省所管、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、内閣所管、国会所管、内閣府所管中金融庁、環境省所管について審査を行います。

 これより外務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。中曽根外務大臣。

中曽根国務大臣 平成十九年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は九千六百十億四千九百二万円余でありまして、支出済み歳出額は八千七百五十億一千七百三万円余、翌年度繰越額は六百六十六億七千四百七万円余、不用額は百九十三億五千七百九十一万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千七百八十六億四百三十万円余、前年度繰越額七百九億六千三百七万円余、予備費使用額百十四億八千百六十三万円余であります。

 以上、平成十九年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、政府開発援助の効果の発現に関するものであります。

 無償資金協力において、資材調達型の援助により相手国が建設した施設の安全性及び耐久性が損なわれていたり、我が国による改修は完了したが他の援助国等による改修がおくれていて、施設が十分に効果を発揮していなかったりしている事態、また、円借款において、建設された施設の稼働実績が計画を大幅に下回っていたり、建設された施設が稼働していなかったりしている事態が見受けられました。

 このため、援助実施機関である外務省及び独立行政法人国際協力機構においては、援助の効果が十分に発現するよう、資材調達型の援助については、相手国が行う工事の完成時に出来型の確認を行ったり、また、相手国の事業計画に対して多数の国等が関係する場合には、相手国及び関係国との調整を綿密に行い、事業の早期完了に向け進捗が一層図られるよう努めたり、さらに、事後評価及び事後モニタリングで得られた教訓及び提言が十分生かされるよう積極的な事後監理に取り組んだりするよう意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、国際機関の信託基金の閉鎖に伴う拠出残余金の返還等について、受け入れなどに係る具体的な事務手続を定めることなどにより、早期に処理するよう改善させたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。中曽根外務大臣。

中曽根国務大臣 平成十九年度決算検査報告において、不当事項として御指摘を受けたことはまことに遺憾であります。

 在外公館における会計経理につきましては、このような不正行為のないよう、在外公館に対して注意喚起を行い、改めて会計手続の厳守及び職員に対する指導の徹底等の措置を講じてきております。

 また、政府開発援助の実施につきましては、援助効果が十分発現するように、相手国政府等との協議や調整をより綿密に行うなどにより、所要の措置を講じてきております。

 今後とも、これらの措置を着実に実施し、不正の再発防止や、より効果的な政府開発援助の実施に努めてまいる所存であります。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川(正)分科員 民主党の中川正春です。

 こうした機会をいただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 きょうは幾つかテーマがあるんですけれども、まず北朝鮮の関係から質疑をしていきたいというふうに思います。

 拉致の問題だけではなくて、今回の核あるいはミサイルについて、全般的な議論をしたいんですけれども、それは予算委員会なり、また一般の委員会なりに機会を得ることとしまして、今回は、その中でも、以前から私自身が取り組んでいる、あるいはずっとさまざまな提起をさせていただいております北朝鮮からの脱北者、それからもう一つは、それに絡む、今の北朝鮮の権力構造が揺らいできているという中で、さまざまな情報を取得していくということが必要不可欠な状況になってきているわけですけれども、そんな中で、日本の脱北者を受け入れるスキームの中に、基準の中に、情報ということと、それから人権、これはもちろんの話ですが、そういう観点を考えていくと、幅広く難民として脱北者を受け入れていくということが、将来の戦略的な、北朝鮮に対する国家としての対峙の仕方、その中に非常に大きく貢献をしていく要素をはらんでいるんじゃないかということ、こういうことを私の議論の趣旨といいますか要点として申し上げた上で、少し質問をしていきたいというふうに思っております。

 最初に確認をしておきたいことなんですが、今、北朝鮮からの脱北者を受け入れる基準というのは、外務省としてはどのような形で対応しておられるかということ、まずこれから確認をしておきたいというふうに思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生の御質問でございます脱北者の基準でございますが、我が国は、日本国籍を有する者である場合には、邦人保護の見地から、当該者をしかるべく保護してその安全を図るということで、いわゆる北朝鮮人権法がございますが、この趣旨をも踏まえた対応をとってきております。

 また、元在日朝鮮人等、その他の脱北者につきましては、やはり北朝鮮人権法の趣旨も踏まえた上で、人道的観点とともに、個々の事案に係る事情を具体的に検討した上で判断するといった方針に基づいて対処してきているところでございます。

中川(正)分科員 具体的な事例にのっとって判断するということなんですけれども、そこは、基準になっていないんだけれども、どういうことなんですか。

小原政府参考人 これは、北朝鮮人権法にございます、まさに人道的見地から保護及び支援が必要であると認められるものについて、政府として、個別の事情、これはまさに面談等を通じて我々は御本人の確認をいたしておりますが、そうした個別の事情を面談等を通じまして把握した上で、この法律、北朝鮮人権法に基づきまして判断をしてきているということでございます。

中川(正)分科員 わけのわからない答弁をしておっていただきますが、そういうわけのわからないところを具体的にどう運営しているかということですよね。

 要は、日本に帰ってきたいという人たち、これは、帰ってきたいというより、日本に逃げてきたいというのかな、そういう人たちというのは、ほとんどがもともと在日の人たちの係累といいますか、帰還運動で北朝鮮に帰って、帰るというか、北朝鮮に行ってしまってということですね、そこでもう五十年たったわけですね。そのピークというのは一九六〇年代で、九万五千人ほどの人たち、それと日本人妻、こういう人たちが渡ったと言われていますけれども、その二世、三世の時代なんですね。

 今のところ、外務省が、在外公館に逃げ込んでくる、あるいはまた助けを求めてくる人たち、対象というのはほとんどこういう人たちであるものですから、そこのところを、身分を確認する、日本に親戚や何かがいるかどうかというようなところも含めて身分を確認して、それで判断しながら、日本に連れてくるといいますか、日本に入国をする許可を与えているということが実態なんですね。

 そこで、こういう説明をしてくれたらいいんですけれども、いろいろ幅広く運用したいという意図でぼかすんだったらそれでいいんだけれども、そこの辺、いずれにしても、中国に気を使い過ぎているんですよ。そういうことが実態なんです。

 私はここで言いたいのは、今何が起きているかというと、こういう人たち以外で、北朝鮮の中で階層が分類されていて、そこに大きな差別があるわけですけれども、それが、核心階層、動揺階層、敵対階層、大きく分けてこういう三つの階層があると言われているんです。

 大体、日本から渡っていった人たちは、親戚が仕送りをしていって、それなりに国家に貢献をする余地のある人たち、そういうことがある間はいいんですけれども、それが切れて、どんどん社会的に孤立をしてくると、結局、動揺階層とか敵対階層に落ち込んでしまって、だから、向こうでも差別されて、差別された子供や孫というのがまた日本を求めて脱北をしてくる、あるいは中国に脱北をしてくる、こういうことなんですね。

 ところが、最近起きている事象というのは、この階層だけじゃなくて、核心階層、これまで党の中の要職についていた、あるいは軍の中の要職についていた人たちが脱北をして、その人たちが、特に韓国のNGOなどを通じて日本に入ってくることができる、そういう余地がないかということがありまして、そういう情報に基づいて、外務省の窓口に対してNGOが要請をするわけですけれども、今、さっきのような基準で外務省の中が運営されているだけに、この層が拾えないんですね。

 この層が、実は、外交的にも、あるいは北朝鮮を牽制していく上にも非常に大きな力を持っていまして、韓国あたりは、こうした人たちを特別扱いして、身の安全ということも含めて、いわゆる情報源として非常に戦略的に使っているということ、そういうこともあって受け入れるわけですよね、脱北として。そういうことが今進みつつあるんです。

 そこは、私は、これは政治判断、あるいは外交戦略の中の一つなんだと思うんです。このまま窓口だけに任せておくと在日の人たちの係累しか受け入れないんですが、さらにこれを広げて、戦略的に、この核心階層、在日ではないんだけれどもそうした要素を持っている人たち、あるいは、もっと広く言えば、人権という立場からいえば脱北者は難民なんだということを日本なりに実質的に認定をして、難民として日本に受け入れる。それは、だからもう在日の枠組みとは関係なく、それを超えて、日本に来たいという人たちについてそうした枠組みをつくるということ、こういうことを考えていく必要があると私は思うんですね。

 それについて大臣の所見をお伺いしたいし、そういう戦略的な北朝鮮に対する進め方、拉致の枠組みだけじゃなくて、こうした分野での、それぞれ、アメリカあるいは韓国などとの連携と、それから、もう一つ言えば、中国に対する、態度を変更させる努力ですね。中国は、これは不法侵入者だということで、この人たちを捕まえたら北朝鮮へ向いて送り返しているんですが、そういうことであってはならないということを、中国に対してしっかり物を言っていくということ、このことも含めて、新しい外交戦略というのはそこから出てこないかということ、これを一つ確認していきたいというふうに思います。

中曽根国務大臣 先ほどの基準等につきまして、もう委員が十分御承知のことですから参考人からも説明がなかったんだと思いますけれども、とにかく、脱北者かどうかということは、本人であるということを、身分を証明できる書類等が必要なことは言うまでもありませんし、また、本人しか知らないような情報を持っているかどうかということも一つの基準になろうかと思います。

 それで、御質問のございました、対象範囲を広げたらどうだ、それは情報の収集や外交戦略的な面からもどうであるかというお尋ねでございます。

 今まで情報収集等につきましては、政府としても、いろいろな形で脱北者から話を聴取するなどして、北朝鮮の内部の状況とか、あるいは特に拉致被害者に関する情報の収集などには努力をしてきておるわけでございます。

 先ほど御説明いたしましたように、現在のところは、日本国籍を有する場合には、邦人の保護という観点、人道的観点、そういうものから行っているというのが現実でありまして、今お話ありましたような、対象範囲を、例えば北朝鮮の政府関係者、軍の関係者、そういうところまで拡大するという考えは現在のところありませんけれども、今後とも、そういう情報収集という点は、これは非常に大事なことでございますので、お話ありました韓国等の関係国とも連携をしながら、脱北者からの聴取を含めまして全力を尽くしていきたい、そういうふうに思っております。

中川(正)分科員 情報収集ということだけじゃなくて、人権あるいは難民保護という観点でも、いわゆる在日の人たちの係累にかかわらず、これはやはり日本として、北朝鮮に対する戦略上も、門戸を開くべきだというふうに思うんです。

 その観点も含めて、もう一つ違った聞き方で確認したいと思うんです。

 面と向かって、いわゆる核心階層を積極的に受け入れますよと外交的には言えない、これはそういうことだと思うんですが、例えば、NGOが脱北者をケアしたり保護したりしているわけですけれども、そういう人たちが、この脱北者は日本の在日の係累ではないけれども、それなりに日本にとって受け入れる価値がある、人権的にも、あるいはさっき申し上げたような政治的な考え方の中にも、あるというふうに判断したときに、それを在外公館へ向いて支援要請をかけたときに、これまでだと、それは話にならないよ、こういうことだったんですが、そうではなくて、ひとつそこは一度検討して考えてみようじゃないかという余地を残していく、そういう政治判断として現場に向いて指示を出すということ、そこは十分考慮の余地があるというか、やっていいことだと思うんですね。

 後ろの判断じゃなくて、大臣の判断ですね。ここは大臣の判断です。だから、そこをもう一つ踏み込んで答弁をしていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今委員からは、難民保護という観点からもというお話がありましたけれども、難民保護ということになりますと、そちらの方の観点から北朝鮮の脱北者を難民として受け入れるということについては、またきちっとした整理が必要だ、私は一つそういうふうに思います。

 それから、NGO等が、在日の係累ではないけれども受け入れる価値がある、そういうふうに判断した場合というお話でございますが、NGOも幾つかあろうかと思います。そういう意味では、大体、お話を持ってくる、判断するNGOがどういうものかとか、あるいは受け入れる価値ありというのはどういう観点からの価値であるかとか、そのような状況についても十分これは注意をするという必要はあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたけれども、ケース・バイ・ケースでこれは的確に判断するということでもございますし、過日、脱北者として入国した人の関係者が実は正当な入国に適した者ではなかったというようなこともたしかあったと思いますので、そういう点も含めて、やはり政府としてはこれは慎重に判断しなければならない、そういうふうに思っております。

中川(正)分科員 いわゆる北朝鮮といいますか、在日あるいは日本国籍にこだわらずに、そこは幅広く検討をするということでいいんですね。

 ということは、いわゆるNGOに対するメッセージで違ってくるわけですよ。最初からいけないということだったら、彼らはコンタクトしてこないわけですから。そこのところはケース・バイ・ケースで考えていきますよ、調査しますよと。それは、さっきの話で、とんでもない者も入っている可能性はあるわけです。だから、そこは幅広く、ケース・バイ・ケースで調査しますよということでいいんですね。

中曽根国務大臣 いろいろな観点から受け入れるということが考えられるわけでありますが、今お話ありましたけれども、ケース・バイ・ケースで判断して、この人は受け入れるにふさわしいということであれば、それは受け入れてもいいのではないかと思いますけれども、基本的には先ほど申し上げたとおりでありまして、現在の受け入れというものにつきましては、人権等の見地とか、保護が必要であるとか、そういうことが大原則でありますので、その基本方針にのっとって行うことがよろしい、そういうふうに思っております。

中川(正)分科員 普通であればちゃんとしたプリンシプルを持って、北朝鮮に対しても、それから特に中国に対しても、この問題についてもしっかりメッセージを発していくということが本当は望ましいんですよ。それを、メッセージを発したら現場でややこしくなるから余り物を言わない方がいいんだ、静かに受け入れる方がいいんだというのが今の日本のスタンスなんですね。それを何回も現場で聞かされました。そういうことをやっている限り外交にならないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そのことも含めて、大臣、この問題にも少し傾注をしていただきたい、ブリーフというか、しっかり知識を持っていただきたい。

 これは外交的に、戦略的に、韓国の国会議員だとかアメリカだとか、あるいは今東南アジアに広げているんですが、議員のサイドで議員連盟というのをつくりまして、これを多極的に外交的に使っていこうと。それに拉致の問題も入れ込んで、拉致を認識してもらうと同時に、人権という枠組みの中で多国間で北朝鮮に迫っていこうというふうなことをここ五年ぐらいずっとやってきました。韓国もハンナラに政権がかわったものですから、それに非常に積極的に今乗ってきていまして、新しい展開が始まっているということ、このことも申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに、この問題について、この人権法、さっきから取り上げていただきましたけれども、私もこれをつくるときにメーンの一人としてかかわってきまして、その中に、実は予算をつけなさいよという話があるんですよ。

 予算をつけなさいよということはどういうことかというと、帰ってきた人たちのケア、これをやらないと、いろいろな事故といいますか、逆に北朝鮮に利用される可能性があるということ、そういうことがあるので、特にNGOを通じて予算措置をしてもいいし、みずから、例えば外務省の場合は、ベトナム難民を受け入れたときに、その研修施設をつくって日本への同化策というのをやったということなんですが、そういうことが必要だという意味で予算措置ということなんです。

 内閣府で拉致があるでしょう。それはきれいに予算がついているんですよ。ところが、この脱北の問題については、どこが所管するんだといったらみんながたらい回しして、それぞれ、政策をやろうと思ったらどの省庁でもできるんだけれども、みんながたらい回しして逃げ回っているんですよ。私は議員立法の難しさというのはそこにあるのかなと今改めて感じているんです。自分の省庁がつくった法律だったら自分のところで積極的に予算をつけるんだけれども、こっちがつくったものはみんなが逃げるんですよ。

 そういう状況があるものですから、大臣、ひとつここは中心になって、予算づけ、そういうプログラムを、どこでもいいですから、どこが受け持ってもいいですから、とにかく中心になってその具体策というのをつくり上げていただきたいというふうに思いますが、どうですか。

中曽根国務大臣 今委員がおっしゃいました脱北者の受け入れに関する予算につきましては、これは大事なことだと私も認識をしております。

 したがいまして、関係省庁等ともよくまたこの協議をしてみたいとは思っておりますが、重要性というものは十分認識をしておるところでございます。

中川(正)分科員 法務大臣にも同じことを聞いたことがあるんですが、法務大臣も同じような答弁をしましたよ。みんなそうやって言っておくだけで、後はほうりっ放しなんですよ、それで立ち上がってこないので、さっきの話、本気でやってもらえるんだということで解釈していいですね。

中曽根国務大臣 繰り返しになりますけれども、今後検討してみたい、そういうふうに思っています。

中川(正)分科員 時間の関係で、もう一つ、次の課題に移らせていただきます。

 国内の問題なんですが、これは必ずしも外務省だけということではなくて、最近の話というのは、各省庁にまたがる、プロジェクト単位で解決をしていかなきゃいけないことが多いんですね。外国人労働者の処遇についての問題です。

 こういう極端な不況といいますか派遣切りの中で、日本の統計資料ではそれこそ四%、五%の失業率ですよという話が出ていても、外国人労働者のコミュニティーでは、これが実は、実際五〇%、六〇%の失業率になって今あらわれてきているんです。そこへ向いてしわ寄せが来ているんです。

 私の地域も、鈴鹿、四日市、亀山という、それこそ物づくりの核になっているところなので、忙しいときには外国人労働者を頼って、そこで組み立てていくということでしかなかったという現状があるんですが、国内でなかなか次の仕事が見つからないという状況の中で、自民党の長勢さんがまとめていただいた答申に基づいて帰国に対する支援をするということ、これはいいと思うんですが、その条件の中に、一たん帰ったら、今度戻ってくるためのビザというのは同じビザではおろさないよ、いわゆる日系という枠で帰ってきてもらっては困るよというふうな取り扱いがあるんですね。

 これについては、それを支援している人たちはもちろんなんですが、外国人の労働者の間にも、これは余りにもつらいと。その中に、日本の国家としての外国人労働者に対する価値観というか見方というか、それがにじみ出ているように受け取られているんですよ。これはひとつ見直していく必要があると私は思います。

 岐阜県は先般から独自に施策を打ち出していまして、この場合は支援じゃなくて貸し付けなんですね。貸し付けという形の中でフリーに帰ってもらって、また日本に帰ってきたら、あるいは向こうで仕事が見つかったら、それを返してもらうということで、条件がフリーということなんですね。この方がずっと気持ちがいいと思うんです。仮に彼らが帰ってしまった後、借金が返せなくて、そのまま忘れ去られてしまっても、彼らにとっては気持ちがいいということだと思いますね。そうした、それこそ人権的な工夫というのをこの中に入れなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんです。

 そのことについて、大臣、どのようにそこを改善されるか、答えていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今お話しの件は、私の地元の群馬県の大泉町、太田市におきましても、大泉町は人口の一五、六%はそういう外国からの方々がおられるわけでありまして、私も大変重要なことだと認識をしております。

 こういうような、景気が悪くなって帰国をせざるを得ない、そういう方々への支援策として、今の事業は時限的なものである、そういうふうに認識をしております。これは当面の間ということになっておるわけでございまして、帰国支援金を支給する条件としては、当面の間、日系人としての、そういう身分に基づく在留資格による再入国を認めないということになっているわけですが、この制度の趣旨について誤解を招くことのないように、これは十分説明を行うことが必要だと思っております。

 これは、御本人の意思ではなくて、世の中の景気とかそういう状況でやむを得ず帰国ということでございますから、私自身は委員と同じような基本的な考え方でもってこの問題には対応していきたいと思っております。

中川(正)分科員 同じような考え方を持ってやっていただくとすれば、この当面の間を、例えば二年とか三年とかと具体的な年数にしちゃうということがいいんじゃないかと思うんですね。

 当面の間と言われると、私たちもそうですが、案外、行政に対してはそんなに信頼を持っているわけじゃないから、当面の間と言いながら、当面の間がずっと延びていって永久にということになるんじゃないかとか、そんな思惑がいっぱい出てくるんですね。

 だから逆に、はっきりさせる、一年間はだめだよということ、一時帰国じゃないよということをはっきりさせるという意味で、これは明示をする必要があるというふうに思います。それでなければ、こういう制度ではなくて岐阜県型にしていくか、どっちかだと思うんですね。

中曽根国務大臣 帰国支援金ですか、そういうものをお渡しして、帰国して、またすぐ帰ってくるということでは、これも政府の、これは国民の税金を使うわけでありますから、そういう意味でも問題があるのではないかというようないろいろな観点から、内閣府を中心にこういうような事業を行うということだと私は理解しております。

 どれぐらいの期間とか、あるいはもうちょっと具体的にいろいろ定めるということも、それは必要かもわかりません。現時点では、当面の間という形でスタートしたということでございますので、今後もどういうふうにしたらいいかということは関係省庁ともよく相談してみたいと思っています。

中川(正)分科員 だんだん大臣の癖がわかってきましたよ。相談してみたいと思います、考えてみたいと思います、それで終わってしまうんですが、ここはやはりはっきりさせていく方がいいと思うので、リーダーシップを発揮してください。

 もう一つは、将来にわたって外国人の受け入れをどうしていくかというのは、中国からも、研修事業についての改善、何回も言ってきておりますし、日本の国の形として大きく整理をしていかなきゃいけないところなんだろうと思います。なし崩し的が悪いということだと思うので、そういうスケジュールもしっかり政府の中で、整理をするスケジュールですね、国の形を考えていく舞台の設定もぜひ早急にやっていただきたい、そのことを申し上げて、時間が来たようでございますので、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 大臣、御苦労さまです。時間が限られていますから、端的にお尋ねします。

 毎日新聞の報道で、谷内政府代表が北方領土交渉について、三・五島、面積分割論というのを言われたということが大きく報道があって、また、ほかの報道機関も後追いしたりなんかして、その真意を確認したい、こう思うんですけれども、この谷内さんの発言について、外務大臣は谷内さん本人に経緯なり事実関係というのは詰めたでしょうか。

中曽根国務大臣 御指摘の報道を受けまして、私、直接ではありませんけれども、外務省の担当から谷内政府代表に確認をいたしました。

 同代表からは、これは、日ロ両国がアジア太平洋の地域において戦略的な利益を見出す中でこの北方領土問題を解決すべきである、そういうような基本的な考えを述べた、そういうふうに聞いております。

 また、北方領土の面積についての事実関係について答えたようでございますが、御指摘の記事において引用されておりますような、個人的には三・五島返還でもいいのではないかというような、そういう発言は行っていない、そういう旨の説明を受けているところでございます。

 いずれにしましても、大事なのは政府の立場でございまして、政府といたしましては、かねてから申し上げておりますように、北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結する、そういう基本方針は変わりません。そういう基本方針のもと、北方四島の返還を実現していく考えでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、では谷内政府代表は、この新聞記事に書かれているようなことは言っていない、確認ですけれども、明確にそう言っているんですね。

 というのは、大臣、これは皆様方も読まれたと思いますけれども、署名記事です。署名記事というのは、大臣もインタビュー等でテープを置いていますね。これは山口先生だったらわかると思う。あなたも外務省におられたとき、インタビュー記事なんかのときはテープを置いてある。少なくとも署名記事ですから、私は、ただ言葉のやりとりで書いているとは思っていません。毎日新聞さんの方でもテープをとっていると言っていますから。

 私は、この事実関係については大変大事だと思うんです。国家主権に関する話だから、私はこれを聞いているんですよ。今大臣の言ったとおり、四島の帰属の問題を解決して平和条約の締結、これは基本方針だということは、総理も予算委員会等でも私の質問に対して答えているし、外務大臣も同じく答えられている。それが基本であることは私も承知している。しかし、政府代表、しかも特命の政府代表、今回麻生総理から受けているわけですね、谷内さんは、ことしになって。その人の発言は、私は重いと思うんです。

 あわせて、谷内さんという人はバランスの悪い人じゃない。私も外交官としては高く評価している一人です、見識のある人だし。しかし、私も、外交にはいろいろなアプローチがあると思っているんですよ。中身について表へ出すかどうかは、それはタイミングだとか、また水面下の話が外交ですから、出すべきでないと思っていますけれども、ただ、ここまできちっとインタビューに答えて言っている。明確に、「ロシアのプーチン首相が五月来日します。北方領土問題の打開に向け方策はありますか。「独創的アプローチ」の真意は」という答えの中で、「私は三・五島でもいいのではないかと考えている。北方四島を両国のつまずきの石にしないという意思が大事だ。二島では全体の七%にすぎない。択捉島の面積がすごく大きく、面積を折半すると三島プラス択捉の二〇〜二五%ぐらいになる。折半すると実質は四島返還になるんですよ。」という言いぶりですよ。

 これは考え方として、かつて麻生総理も国会答弁でも言っている話なんです。何もこれは唐突というか、びっくりする話でもないんです、はっきり言って。ただ、タイミングだとか、言った場所だとか、しかもインタビューですから、間違いなく記事になることは事実ですね。これだけ大きく扱われているわけですから。しかも署名記事なんです。

 そこで、もう一回大臣に確認しますが、言っていないと今大臣が言われたけれども、もしテープ等で言ったことが明らかになれば大変な問題になりますから、この点、さらに正確を期して、私は大臣の答弁を求めたいと思います。

中曽根国務大臣 繰り返しになりますけれども、私が言っていないと申し上げているんじゃなくて、政府代表から、そういう発言は行っていないという説明を受けているということでございますので、毎日新聞などの記事が正しいのか、本人が言っているのが正しいのか、現在のところ、私自身は直接本人から話を聞いておりません。また、テープ等をとっておられるのかどうかもわかりません。

 いずれにいたしましても、今海外出張中と聞いておりますので、帰国をしたら私はまず本人から直接話を聞いてみたい、そういうふうに思っています。

鈴木(宗)分科員 外務大臣、国家主権に関する話を帰ってから聞くというのは、外交上どうでしょうか。これは外国人の話じゃないんですよ。日本国内で、少なくとも、政府代表といえども、総理大臣なりあなたの指揮命令系統の中にあると思っているんですよ。

 そこで、あなたが確認していないならば、外務省のだれが確認したか、教えてください。

中曽根国務大臣 事実関係ですので、もしよろしければ……。政府委員いないのか。ちょっと、突然の御質問でございますので、今私がだれとここでお答えできるものはありませんけれども、そういう報告を受けております。

鈴木(宗)分科員 まだ二十五分ありますから、この委員会の間に、電話すれば確認のとれる話ですから、確認をいただきたい。官房長官も記者会見で言っているんですよ。ワシントンにいる本人に確認したらそういうことは言っていないと。ということになっていますから、ここはきちっと明らかにしていただきたい、こう思いますね。

 あわせて、秘書官、確認させてください。谷内さんがワシントンに行っていると承知していますが、何の用務でワシントンに行っているのか、それもあわせて確認してください。

 政府代表ですから、これは国会中ですから、国会でも、もし答弁の要請があれば出てこなければいけない立場の人ですから。これは官房副長官だって出てきているし、今や事務次官だって国会答弁に、委員会で決めれば、理事会で決めれば出てきても不思議でない話なんですからね。少なくとも国会中に行っている。だれについていったか。私なりに情報はとっていますけれども、それもあわせて、正確を期すために確認をとっていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 まず報告は、これは谷崎局長から報告を受けているところでございますが、今の、どういう目的で行っているかということにつきましては、もちろん調べますけれども、これは外交でございますので、その点は詳細にお答えできない場合があるかもしれない、私は今そう思っておりますので、そういう点は委員が一番よく御存じだと思いますので、そういうときは御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)分科員 大臣、私は中身で、だれに会いに行っているだとかというのを聞いているんじゃないんですから。それは政府代表として行っていると私は思っているんですよ。いいですか。だからそれは、例えば安倍さんが訪米しているから安倍さんについていったなら、ついていったでもいいんですよ。何も隠す話じゃないんです、そんなものは。みんな向こうで確認されていることなんですから。しかも、現地でも新聞記者にも会っているわけですから、谷内さんは。

 だから、大臣、こういうところの答弁で、何も隠し立てする話じゃないんですから、ここら辺を、事務的な答弁はいかがかと思いますよ。その辺ではもっとざっくばらんに、真実だけ伝えればいいのであって、何も私は、交渉の中身だとか、だれと何をやっているんだという話じゃないんですからね。この点はちょっと、考え違いしないでください。何も私は、何か反対だとかだめだという話で質問しているわけじゃないんですから、事実確認だけでありますからね。この点、誤解のないように。

中曽根国務大臣 私も、知っていることを隠しているわけじゃないので、今委員がお問い合わせのような件については至急調べさせたいと思いますし、政府代表として行かれているのかどうかということも、そこのところもちょっと詳細は承知しておりませんので、すぐ調べたいと思います。

鈴木(宗)分科員 谷崎局長が確認したら、言っていないということなんですね。大臣、それでよろしいですね。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。

鈴木(宗)分科員 これもおいおい明らかにしていこうと思いますけれども、では大臣、言っていない話がこれだけ記事になるとすれば問題ですね。しかし、私は、署名記事というのはそれなりの重み、それなりのきちっと裏づけがあって書かれているものだと思っているんです。

 ついては、政府代表ですから、これは少なくとも、外交旅券も有していけば、国家公務員法、外務公務員法に準じて活動していることも事実でありますね。そういった意味では、もしどちらかにそごがあるならば、私は谷崎さんもうそを言っているとは思いませんし、うそを言っているか言っていないかの話ですから、この点、事実関係が明らかになれば、国家主権に関する話ですから、大臣として、しかるべき処分なり、きちっとした注意は必要だと思いますが、どうでしょう。

中曽根国務大臣 繰り返しになりますけれども、まず私が直接本人に会って話を聞いてみたい、そういうふうに思っております。それからの判断だと思います。

鈴木(宗)分科員 ぜひとも大臣、お帰りになった後確認するというんですが、今の時代、携帯電話で麻生総理は大統領と北朝鮮の大事な問題でもやる時代ですよ。大臣、帰ってきてから国家主権に関する、これは拉致問題も、この北方領土や竹島問題も、国家主権が侵されていることには変わりないんですよ。一般の話とは、大臣、違うと思いますよ。それを、帰ってきてから聞くんでなくて、本来ならば、大臣、即刻聞くのが筋じゃないでしょうか。そういう軽い話ですか、国家主権が侵されている話は。

中曽根国務大臣 私も、軽い話とは全然思っておりません。非常に重要な話だ、そういうふうに思っております。

 ただ、責任ある外務省の者がまず当人から話を聞いているわけでありまして、私自身も、それは電話でも済むかもしれません。しかし、本人とよく話をして聞いてみないと、この新聞記事、これについていろいろ違いといいますか、解釈の違いですか、あるようでございますから、その点は、私は会って話をお聞きしたいということなのです。

 それも、何も一週間後とかそういうことじゃない、もう間もなく戻ってくる。日程は存じ上げておりませんけれども、できるだけ早く、そういう気持ちでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、この記事が十七日です。ということは、十六日以前にインタビューを受けていることも事実ですね。ですから、表になってからもう四日たっているんですよ。表になってから四日たって、大臣、あなたは部下を信頼して谷崎さんに聞かせたんじゃないんでしょうか。それならば、谷崎さんの答えが現時点における正しい答えじゃないですか。それで今あなたも言ったんじゃないんですか。さらにあなたが確認するということは、では、谷崎さんの話も危ないという話なんですか。

 いいですか、大臣。その点、軽く考えないでくださいよ。国家主権にかかわる話だから、即刻、大臣の判断によって聞いたんじゃないんですか。官邸からだって、騒ぎになったから尋ねたんじゃないんですか。それを谷崎さんに聞かせた、その答えが正しくない、あるいは信用していない、それで、帰ってきたら私がまた再度聞く。それならば、何であなたが即刻電話しないんですか、この記事が出た段階で。

 領土問題だとか国家主権というのは、そのぐらい重い問題じゃないんですか。その認識はどうでしょう。

中曽根国務大臣 私も、外務大臣として、これはもう本当に国家主権の一番大事な問題だ、長い間の懸案でありますから、そういうふうに思っております。そして、責任ある者からまず状況を、報告を受けたわけでありますが、さっきから申し上げておりますように、もちろん電話で済むかもしれませんが、これは非常に大事なことですので、やはり本人と会って話を聞きたい、そういうふうに思っていることでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、一日、二日、日がたつことによって、ロシアに間違ったメッセージ、間違ったシグナルと受けとめられたらどうします。即刻日本の姿勢はこうだと言うのが、大臣としての筋じゃないですか。

中曽根国務大臣 間違ったメッセージとおっしゃいましたけれども、政府代表からは、この外務省の局長が聞いたところ、面積についての事実関係については質問に答えたけれども、当該記事において引用されているような、個人的には三・五島返還でもいいのではないかと考えているといった発言は行っていない、そういうふうに本人が既に否定しているわけでありますから、これを私が本当にそういうことなのかどうかということをさらに確認したいということでございまして、メッセージとしては、今御説明いたしましたようなのが本人の発言である、そういうふうに本人が言っているということであります。

鈴木(宗)分科員 だとするならば、この署名記事は誤報であるということでよろしいですな。大臣の認識として、それだけは明確に答えてください。

中曽根国務大臣 ですから、誤報という言葉がいいのかどうかわかりませんが、本人の発言と報道の内容に違うところがありますから、どちらがどちらということを私が今判断できることでもありませんし、すべきことではありません。

 ただ、本人から聞いたところは、さっき申し上げましたように、この報道とは違うということであります。したがいまして、これを再度確認しようということでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、わかりやすく言いましょう。何も言葉のやりとりをしているんじゃないですよ。いいですか。

 では、谷内さんはこれは否定をしたわけですね。そうすると皆さん、誤報か虚報しかないですよね。大臣も、もし谷内さんを信頼する、谷崎さんを信頼するならば、谷内さんの答弁からすれば、これは誤報だ、あるいは虚報だととるんじゃないですか。私はそれを聞いているんですよ。

 それと、もう一つ言うならば、なぜ外務省として、これは国家主権に関する話であると毎日新聞に抗議しないんですか。これはきちっとした写真入りで、しかも一対一のやりとりですよ。それを大臣、今の大臣の答弁をするならば、あなた方は何か自分らに都合が悪いときはすぐ抗議するじゃないですか。何でこの件だけ黙っているんですか。

中曽根国務大臣 毎日新聞社に対しましては、もう既に、このインタビューに関する谷内政府代表の説明ぶりとともに、政府の立場というものはお伝えをしてあります。

鈴木(宗)分科員 大臣、さっきの谷崎さんの話からして、官房長官もこれは引用しているんですよ、言っていないという話で。それを大臣、信頼するしかないんじゃないんですか。それに合わせるならば、国益に関する話だから、こういったことを書かれては困る、間違った話は困ると注意するのが大臣の立場じゃないんですか。国として申し上げるのが筋じゃないんですか、それは。

中曽根国務大臣 この新聞のが正しいのか、本人のが正しいのか、これは……(鈴木(宗)分科員「本人のが正しいということを官房長官もそう言っているじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、ちょっと聞いてください。

 ですから、本人に確認をしたところは、さっき申し上げたように、この三・五島返還でもいいのではないか、そういうふうな発言は行っていないということでありますから、毎日新聞社にはその旨を伝え、また政府の基本的な考えを伝えているところでありまして、正確な報道となっているのかどうか、あるいは本人が勘違いしているのか、そういう点、私としては、しっかりと私自身が確認したいということであります。

鈴木(宗)分科員 大臣、これは国益に関する話なんですよ。(中曽根国務大臣「わかっていますよ」と呼ぶ)いや、それならば、政府の方針と違う、本人も言っていないというならば、伝えているという表現が適切ですか。抗議が適切じゃないんですか。

 山口さん、この点、ちょっと速記をとめてくださいよ、時間の無駄ですからね。私は同じことを言いたくないから。いいですか、同じことを繰り返しても困りますから、速記をとめさせてくださいよ。

山口主査 まあ、ちょっと話してください。

鈴木(宗)分科員 いやいや、時間の無駄だから、ちょっととめさせてください。

山口主査 では、もう一回発言してから。

鈴木(宗)分科員 大臣、いいですか、私は何も、大臣の言っているのがうそだとかいう話をしているんじゃないんですよ。大臣が谷崎さんを通じて聞かせた、官房長官はそれを引用している、大臣も今引用して答弁されたんですよ。それならば、伝えたんじゃなくて、国益に関する話だから抗議するのが大臣としての立場じゃないですかというのは、どうですか、先生方。私が言うのは間違っていますか、山口さん。聞いていて、あなたが仕切り役なんだから。私が言うのは無理なのか、どっちだ、君。そんないいかげんな話をするなよ。

山口主査 では、外務大臣。(鈴木(宗)分科員「正確に答えてくれよ」と呼ぶ)

中曽根国務大臣 ですから、先ほどからの繰り返しになりますけれども、毎日新聞社に対しましては、これは既にこのインタビューに関する谷内政府代表の説明ぶりといいますか、外務省が聞いたことと、それから政府の立場を伝えてあるということでございます。

 いずれにしましても、大事なのは政府の立場でありまして、これは一貫して変わらないということです。

鈴木(宗)分科員 山口さん、今の答弁を聞いていて、答えていますか。私は何も、政府の方針がどうだとかこうだという話じゃないんですよ。谷内さんがこう言った、あなた方も確認したら言っていないと言うからということで、河村官房長官までが記者会見して、それを引用されているんですよ。それが政府の考えだし、政府の理解なんでしょう。それならば、これは間違っている、国民の皆さん誤解しないでください、政府の方針は何も変わっていませんよと堂々と言って、毎日新聞に抗議するのが筋じゃないんですか。それを伝えたというのは、大臣、それで交渉だとか二国間の領土問題という大事な話を解決できるんですか。

中曽根国務大臣 これも繰り返しになりますけれども、先週の金曜日ですか、これが報道された日にも、私は、閣議後のいわゆるぶら下がりで記者さんたちから聞かれまして、当時はまだ本当に新聞の報道が朝あったばかりでございましたけれども、政府の方針は従来から申し上げているとおりだということで、一貫して、私だけではございませんけれども、そういうようなお答えをしているところでありまして、抗議をせないかぬというお話でありますが、毎日新聞に対しましては、その旨を伝えておるということでありまして、さらに政府の考え方も伝えてあるということで、御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)分科員 大臣、毎日新聞は、そのことに対しては報道のとおりでございますと言っているんですよ。いいですか。少なくとも、ここは皆さん方も、国益にかかわる話だから、国家主権にかかわる話だから、私はこだわっているんですよ。ですから、大臣、山口先生、ここはぜひとも確認して、この決算行政監視委員会で報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

山口主査 今のについては、抗議と、伝える、両方の認識の違いですけれども、後日……。

鈴木(宗)分科員 いやいや、谷内さんに、政府代表に聞くというから、聞いた結果を委員会に報告していただきたいと。

山口主査 外務大臣、それでよろしいですね。(中曽根国務大臣「はい」と呼ぶ)

 外務大臣。(鈴木(宗)分科員「いやいや、返事がもらえればいいですよ、もう時間がなくなりますからね」と呼ぶ)

中曽根国務大臣 さっきお問い合わせがあった件で、いいですか。

 どういう目的でアメリカに行かれたかということで、すぐ調べろということでしたので、すぐ調べました。

 アメリカには、シーパワーダイアログ、そういう会議がありまして、それに政府代表として参加をし、また、安倍元総理も御出席されていますが、スピーチを行ったということでございます。

 以上でございます。

鈴木(宗)分科員 あと、谷崎さんが確認したということでよろしいんですね、さっきの話は。(中曽根国務大臣「はい」と呼ぶ)はい、わかりました。

 あと、大臣、もう時間がありませんから、例の、ことしの春、ビザなしで人道支援に行ったら、たまたま出入国カード問題が発生しまして、人道支援ができなくなりました。間もなく、五月からことしのビザなし交流がスタートする予定になっておりますけれども、今この出入国カード問題はどうなっていますか。あわせて、ビザなし交流がとまるんじゃないかと思って、元島民の皆さんだとか領土返還運動原点の地である根室の皆さん方はちょっとやきもきしたり心配もしているんですよ。

 私は、ビザなし交流はやった方がいい、それなりの成果も上がっているし、信頼関係も進んだ、こう思っているんですね。そういった意味で、ビザなし交流は予定どおりことしはやれるのかどうか、さきに問題になっている出入国カード問題の解決は今どういう状況にあるのか、教えていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 私も、ビザなし交流、委員と同じように、これはいいことだと思っておりますから、今後もぜひ継続して行いたい、行えればと思っております。

 いわゆる出入国カード問題につきましては、委員はもう御承知のことでございますけれども、二月にサハリンで行われました日ロ首脳会談、これにおきまして、両首脳は、四島交流等は信頼醸成の観点からも重要であって、お互いに継続していく意向であることをまず確認したところでございます。その上で、友好的、建設的にこの問題を解決させるべく、事務方に、至急作業せよ、そういう指示を出したわけであります。

 そういうような首脳間の合意もありまして、ことしの五月から四島交流などを予定どおり行うことができるように、早期に調整を終了すべく、現在、ロシア側との間で、モスクワや東京におきまして、さまざまなレベルにおいてこの問題の解決に向けた協議を精力的に行っているところでございます。

鈴木(宗)分科員 ということは、大臣、五月からは予定どおりできるという認識でよろしいですね。

中曽根国務大臣 まだ最終的な結論というか決着がついていないわけでありますが、五月から四島交流等を予定どおりできるように、今一生懸命協議をしているということでございます。

鈴木(宗)分科員 もう大臣も十分承知の上だと思いますけれども、ビザなし交流というのは、お互いの立場を害さないということで来ているんですね。そういった意味で、私は、出入国カードを出す出さないはちょっと知恵を使えば済む話でありますから、予定どおり行えると今大臣の見通しも聞きましたからほっとしていますけれども、最後までの詰めだけはよろしくお願いしたい、こう思っております。

 あと、決算委員会ですから、せっかくですから予算のことも聞かなければいけない、こう思いますが、ロシア大使館についてお尋ねします。

 これは、二〇〇七年三月三十日に新しい大使館に移転しましたね。それから二年間、月額八百三十六万円、二年間ですよ、さらに賃借料を払ってきましたね。ことしやっと話がついて、今度はその半分よりちょっと安い三百七十九万で、旧大使公邸というか今まで使っている大使公邸をそのまま使うということで決着を見たというんですけれども、大臣、これはやはり、二年間で国民の税金を一億円以上無駄遣いするのはいいことじゃないと私は思っているんです。

 あわせて、大使館が建設されたときから、予算がついたときから、いつ移転するかも決まっていますから、その間ロシア側との交渉があっても当然だし、終わらせておかなければいかぬ話ですね。それを、大使が、使い勝手がいいみたいな感じで、居座るような印象を与えるやり方で来ましたね。このことについて、大臣、どう思いますか。きちっと、やはり国民の税金を使っているという認識が足りないんじゃないでしょうか。

 今外務省を休職中の佐藤優さんなんというのは、事務次官から大臣の決裁をもらっていますよ。条約局長の決裁をもらっている事件でも、背任なんといって外務省からつくられて、今裁判をやっていますよ。では、これだって背任に値するんじゃないですか。当然、大使館は移るということが決まっているんですから、その間にけりをつけておくのが筋じゃないですか。先生方、そう思いませんか。国民の税金を使う立場にある者が、極めて認識が甘いと私は思っているんですよ。

 この経緯等、これは質問通告しておきましたから大臣も詳しく調べられたと思いますけれども、大臣の考えをお尋ねしたいと思います。

中曽根国務大臣 今契約についてのお話がまずございましたけれども、この同一の敷地内にあります在ロシア大使館の旧事務所とそれから公邸の扱いに関しましては、平成十九年三月の大使館事務所の移転以前からロシア側と鋭意協議を行ってきたものでございます。

 今般、現在の公邸を引き続き使用して、そして旧事務所の大半を返却することに合意をいたしまして、平成二十一年の四月一日に、公邸及び旧事務所のうち一部を引き続き賃貸借する、そういう新たな契約を締結いたしました。今委員がおっしゃいましたとおり、この結果、契約額が月額約八百三十六万円から約三百七十九万円に縮減されたところでございます。

 十九年三月の大使館の事務所の移転以前から、そういうことで、先方と、旧事務所それから公邸の扱いに関しまして鋭意協議を行って、さまざまな検討を行ってきましたけれども、この協議が非常に困難をきわめたところでございます。

 そして、この旧事務所の建物は、これも委員が一番よく御存じなんですが、公邸の建物と一体のものとして扱われている、そういうことから、先方は分割に否定的でございました。移転の以前から大使公邸用の物件の発掘にもずっと努めて探してきたわけでありますけれども、適当な物件を見つけることができなかったために、その間も公邸を使用し続けるためにはこれまでの契約を継続せざるを得なかったものでございまして、したがって、委員がおっしゃるような御指摘は当たらない、そういうふうに考えております。

鈴木(宗)分科員 大臣、交渉も、熱心にやるか熱心にやらないかでは全然違ってきますね。大臣は今笑っていますが、わかると思うんですよ、気持ちは。相当な時間があったんですよ。その時間の間も、やはり、たまたま齋藤さんという人が大使になったら、齋藤さんになる前から、これは丹波さんの時代からもう決まっている話なんですから、大使公邸移転というのは。それから当然交渉をやっておいてよかった話なんですから。

 私は、これも外務省の不作為だと思うんですよ。国民の税金を使っている、あるいは日本の国力を背景にして外交が展開できる。かつて、戦後、日本がまだ世界銀行からお金を借りて、世界のおかげで生きていた時代と違って、今は世界に責任を持つ日本ですよ。やはり、国民のおかげで外交できるんだ、この国民の目線を受けて、もっともっと国民の幅広い支持を得なければ、何ぼ一生懸命やっても外務省は評価されないと私は思っています。

 何となく外務省は、ちょうネクタイとナイフとフォークで横着者だというイメージになりますね。それは一握りの男のおかげで言われるんです。多くの外務省職員はまじめに、必死になって働いているんですよ、日の丸を背にして。ぜひとも、その一生懸命働いている外交官のために、大臣、私は、やはり努力している者に栄光あれという中できちっと判断してもらいたい。

 どう考えても、このロシアの大使公邸なんかは、大使の横着さというかぜいたくさ、こんなもので進捗が進まなかった、こう思っておりますので、この点、これからもまた質問の機会がありますからお尋ねしたいと思いますけれども、大臣ももっともっと、やはり国民の思いというものを大事にしていただきたいな、こう思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。

山口主査 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。河村内閣官房長官。

河村国務大臣 平成十九年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきまして、歳入予算額は五百三十五億九千三百七十六万円余でありまして、これを収納済み歳入額五百九十一億九百三十七万円余に比較いたしますと、五十五億一千五百六十一万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は六千百二十四億六千二百十六万円余でありまして、支出済み歳出額五千四百三十四億九千百六十七万円余に比較いたしますと、六百八十九億七千四十九万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は三百九十一億六千三百五十一万円余であり、不用額は二百九十八億六百九十七万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁及び金融庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額は三千十八億四千五百六十六万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千五百三十一億一千五百五十二万円余に比較いたしますと、四百八十七億三千十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二百八十七億一千六百六十五万円余であり、不用額は二百億一千三百四十八万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度内閣府の決算のうち、歳入並びに内閣本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の歳出につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。

 これは、沖縄振興計画推進調査委託費等による調査・検討業務の委託契約等に関するものであります。

 内閣府沖縄総合事務局は、沖縄振興計画推進調査委託費等による調査・検討業務を実施しております。このうち、委託契約により実施しているものにつきましては、業務の実施過程を明らかにして、業務の完了後に精算報告書等に基づいて契約額の精算を行っておりますが、請負契約により実施しているものにつきましては、委託契約と業務の内容及び調査方法に差異がないのに、業務の実施過程が把握されておらず、業務の完了後に契約額の精算が行われておりませんでした。

 このため、委託費により行う調査・検討業務の実施に当たっては、業務の実施過程を把握して、その実績に基づいて業務の完了後に契約額の精算を行うよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

山口主査 次に、会計検査院真島第五局長。

真島会計検査院当局者 平成十九年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。佐藤沖縄及び北方対策担当大臣。

佐藤国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、沖縄総合事務局において改善措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。河村内閣官房長官。

河村国務大臣 平成十九年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきまして、歳入予算額は三億四千五百八十八万円余でありまして、これを収納済み歳入額二十五億一千百三万円余に比較いたしますと、二十一億六千五百十四万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は八百八十六億五千五十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額八百五十七億九百五十八万円余に比較いたしますと、二十九億四千九十八万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は十六億二千八百四十二万円余であり、不用額は十三億一千二百五十五万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度内閣(人事院)の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。谷人事院総裁。

谷政府特別補佐人 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、このような不祥事が生じましたことは、まことに遺憾でございます。

 当院としては、損害の回復を完了するとともに、不正行為の防止について、職員に対する指導の徹底を図るなどの策を講じたところでございます。

 今後は、このような不正行為が行われることのないように万全を期してまいる所存でございます。

山口主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

山口主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 公務員制度改革というのが大きな論点となっておりますけれども、日本の政治の最大の問題は何かというふうに考えましたときに、わかりやすく言うと、官僚が反対する政策はできない、官僚が嫌がる分野の予算は削れない、こういう制約条件の中、そのすき間を政治が縫っていって政策をしている。つまり、政治家が官僚をコントロールできていないということで、ということは、国民の皆様が選挙でどの国会議員を選ぼうが、あるいは国会がだれを内閣総理大臣にしようが、政治家が官僚をコントロールしていないということが現状でありますので、だれを選んでも世の中は変わらない。

 国民の皆さんが世の中が変わったと実感されるのは行政が変わったときでございますので、政治家や総理大臣すらも官僚の手綱を握っていないという現状では、国民の皆さんが選んだ人が行政を変えるということに全くならないということで、天下りも、三十年間ずっと、どうにかしてくれと国民の皆さんが思っておられるのに一向に、減るどころかさらにふえている。

 こういう問題を変えようということで、今、百年に一度の経済危機と言われておりますけれども、ある意味では政治が百年に一度の統治機構の改革をする、こういうようなことで、公務員制度の改革、我々民主党も何としても実現したいということで、前回も、基本法では我々も協力をして成立をしたんですが、ふたをあけてみたら、残念ながら完全に骨抜きにされ、今よりも悪くなるんじゃないかという強い危機感を私は持っておりますので、これについて質問をいたします。

 その前に、きょうは漆間官房副長官をお呼びしておりました。内閣人事局長にほぼ内定されているということでありますので、その取り組みを聞くというのが最大のポイントだったわけでございますが、金曜日の時点では出席できるという話が、この質問の直前になって、聞くところによると、山口主査の判断で、出席はまかりならぬと。

 何で官僚の人を守るんですか。局長に内定している方なんです。御理由を。

山口主査 漆間官房副長官は事務の調整を行うものであり、国会に対する説明責任は、従来、国会議員の官房長官が対応しております。ですから、本日は所管大臣の甘利大臣と松本官房副長官が出席することで、私の判断においてさせていただきました。

長妻分科員 その判断の根拠は何ですか。

山口主査 通例の、今も、何回も申し上げますが、漆間官房副長官は事務の調整をするものであり、国会に対する説明責任は従来の官房副長官。

長妻分科員 ただ、参議院に漆間官房副長官は出席されておられるんですよね。前例じゃないですよ。

 これがゆゆしき事態だと思うのは、では、漆間官房副長官が内閣人事局長になったときに、内閣人事局長にお話を聞きたいといったときに、国会に全然来ないじゃないですか。これでどうやって百年に一度の大改革ができるんですか、委員長。

山口主査 前回の、私が聞いているのは、参議院では、本人の発言のことで出たと聞いております。

長妻分科員 本人のポストの話なんですよ。もっと重要ですよ。

 内閣人事局長をやられるということなので、御本人のいろいろな発言があるんですね。例えば、先月の十六日の会見で、内閣人事局長のポストについてこういう発言をされているんですね。これは報道ですけれども。公平な立場で政権と関係なく人事を見るとなると政治家でいいのかと。いや、政権と関係ある人事をしようということで、この公務員制度改革、つまり政党が掲げたマニフェスト、これは政権と関係あるんですよ。それを実現するための国民に奉仕する公務員という趣旨でありますので、それについて疑義を唱えるような発言をされている。

 そういう方が内閣人事局長に就任されるということで、御本人の発言として、金曜日もきちっとそれを明示して言って、政府側は了解をしているわけですね。何で覆すんですか。

山口主査 承知しているかどうか私はわかりませんけれども、あくまでも事務の調整をするものであり、国会に対する必要な説明は国会議員である松本官房副長官が。(発言する者あり)

長妻分科員 では、本人の発言でありますから、これは金曜日にも言っていますから、今からお呼びいただけませんか。

山口主査 一応、甘利大臣そして松本官房副長官で対応をお願いします。

長妻分科員 だって、本人の発言だからわからない。(発言する者あり)

山口主査 では、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

山口主査 速記を起こしてください。

 長妻昭君。

長妻分科員 そうすると、さっきもちょっと申し上げましたけれども、もう一つ、非常に重大なことがあるのは、つまり、例えば政務の官房副長官が内閣人事局長であれば、きょういらしている松本副長官のように国会に随時来られるということになるんですが、漆間さん、事務の官房副長官が内閣人事局長という人事を握る絶大な権限を持ったポストについても、失言しなければ国会にはもう一切来ないでいい、こういうことになってしまうんですが、そういう弊害について、主査か政府か、どちらかお答えいただけませんか。

松本内閣官房副長官 事務担当の副長官がここへ出てこられないということ自体が、人事局そのものの話を伝える、あるいは質疑ができないじゃないかという御質問と承りますが、現実に関しましては、副長官のだれを指名する、指定するということについて、現段階で法案がまだ上がっていない状況の中で、その判断がなされていないという状況にありますので、直ちにここで事務の者あるいは政務の者ということでの区別ができる状況に今ないというような受けとめを実はさせていただいているところであります。

甘利国務大臣 事務の官房副長官として国会に答弁者として出てくる際の仕分けはあろうかと思いますが、人事局長の立場としては、人事局長として国会の要請に従って答弁をするということには、これからの議論でありますけれども、その限りにおいてはそうなっていくのではないかと思っております。

長妻分科員 そうすると、松本官房副長官が言われるように、報道では、基本的には総理も、もう漆間さん、つまり事務の官房副長官で決まりのような発言をされておられ、河村官房長官も、当初は政治家を選んだ方がいいような発言をされていたのが、百八十度変わったというようなことでございます。

 では、ぜひ松本副長官にお願いしたいのは、これは政治家のプライドにかけても、事務の官房副長官を充てるということはないということを明言いただけないですか。

松本内閣官房副長官 この法案におきましては、まさにその時々の内閣総理大臣が、諸情勢を勘案した上で、だれを充てるべきかということを適切に判断するということとなっておりますので、その中で、それぞれの、その時々の総理が適切な判断をされるものと存じております。

長妻分科員 そうすると、漆間官房副長官を充てるというのは既に世間では既成事実、ほぼ内定状態になっているんですが、そういう情報というのは一切ない、これはデマだということなんですか。全くそういう方向性も何にもないと。

松本内閣官房副長官 法律そのものがまだ成立をしていない現段階で、内閣としての正式な意思決定はなされていないということでございます。

長妻分科員 今申し上げたのは、方向性というか流れというか、そういうものも、世間に流れている情報というのは全部だれかが意図的にミスリードして流している、これだとまたゆゆしき状態なんですが、では、中枢におられる松本官房副長官は、そういう話は流れも含めてもう一切事実無根だということでよろしいんですね。

松本内閣官房副長官 今報道されているさまざまな案件につきましては、基本的にはあくまでも仮定の話という位置づけで受けとめさせていただいておりまして、いずれにいたしましても、時々の内閣総理大臣の判断によりまして、その意思を反映できる人材を各界から登用し、内閣人事局長に充てていくべきものと存じております。

長妻分科員 そもそも論をお尋ねしたいんですけれども、では、松本副長官は、今の公務員の人事の最大の欠陥は、一つ挙げるとしたら何だというふうに思われますか。

松本内閣官房副長官 内閣人事局は、基本的には、縦割り行政の弊害の排除というものが最も大きな課題であると思っております。

長妻分科員 同じ質問を甘利大臣にもお伺いしたいんですが。

甘利国務大臣 かねてから指摘をされておりますのは、省益あって国益なしとか、もっと言えば局益あって省益なしとか、セクト主義といいますか、どうしてもタコつぼ型に役所の対応がなりがちであるという指摘をされてきました。

 全体の奉仕者たる公務員が全体の奉仕者たる認識を持つためには、採用された省から重要なポストにつくに従ってオール・ジャパン的な意識を持つということが大事であると思います。そういう中で、特に幹部職員あるいは管理職員にあっては、省を超えて、いろいろ全日本的視野から何が適切かということを考えてその省の業務に当たるという感覚が必要である、これが第一であります。

 そして、同様に重要だと思われることは、一条の目的に書いてありますけれども、時代の変化、社会の変化に従って、政府が取り組むべき課題は時々刻々変化をしているわけであります。それに迅速果断に対応できるような組織と人員の再配置が内閣主導で柔軟にできるようにするということが同等に重要な目的かと思っております。

長妻分科員 今そもそも論のお話を聞きましたけれども、ちょっと意外というか、非常に違和感があります。

 私自身は、なぜ公務員制度改革をしなきゃいけないのかというのは、まさに統治機構の改革ということで、政治家が官僚の手綱を握っていく、このことが一番重要だ、それによって縦割りの弊害も除去できるというふうに思っておりまして、何しろ政治家が官僚の人事を決める。

 今は、残念ながら大臣には役所の実質的な人事権がない、こういう現状がございますので、これをきちっと変えていく、内閣にきちっと奉仕する官僚集団をつくっていく、何しろ政治主導で人事を決める、こういうことが最大の目的だと思ったんですが、一番の目的は、省益を変える、タコつぼ型、縦割りを排除するということで、そういう発想であれば、人事局のトップに官僚のトップを持ってきても、官僚がもっと一致結束する、こういうことになりかねないと危惧を持っております。

 そして、論点はたくさんあると思うんですけれども、配付した資料の四ページでございます。これは政府がつくった資料です。

 結局、今回の一番重要なポイントといいますのは、まず、審議官級以上という、ありていに言えば部長級以上の幹部、省庁に約六百人おられる方を、幹部候補者名簿というのをつくって、その中からある程度自由にというか、大臣や官房長官が選んでいく、これが一つの肝だと思うんです。

 ただ、そこの大前提の前に、候補者名簿をつくる、名簿に登載されるされないを選ぶのは適格性審査というところで、実際に運用を始めるとここが最も権限を持つ、注目点になると思うんですが、この適格性審査をして審査の可否を決めるのは、具体的には、事務局と責任者というのはだれになるのでございますか。

甘利国務大臣 内閣人事局というのは、総理の権限を移管された官房長官が責任を負うところであります。ですから、総理、官房長官のラインのもとに内閣人事局長があるわけでありまして、内閣人事局長を支える組織としての内閣人事局があります。そこで各種データを蓄積する。

 これは、職員が管理職から幹部職に上がっていく際に、その職員の能力、適性というのを客観的な項目に従って評価して、そのデータ管理というのを内閣人事局で行うわけであります。それらに基づいて、成績、能力主義によって適格性審査を行い、その審査に合格した者をリストとしてつくる。そのリストをつくる責任者は官房長官であります。

長妻分科員 ここが最もせめぎ合いのあるところだと思うのでございますけれども、そうすると、適格性審査に合格して幹部候補者名簿に載せる、この人数が大きなポイントになるわけであります。

 今、幹部職は約六百人でございますが、例えば、大臣の感覚では、この候補者名簿に大体それの何倍ぐらいの人数を登載する状況になるとお考えでございますか。

甘利国務大臣 詳細の設計はこれからでありますが、私のイメージとしては、まず、幹部職、例えばある省の局長ポストが十あるとします。そうしますと、私の感覚でいいますと、その二倍くらいの人が、例えば文部科学省の局長ポストが十あるとするならば、二十人が登載をされる。ただし、だから二倍かといいますと、重複登録をされると思います。

 つまり、ここの省の局長、それからほかのところの省の局長にも適性があって、こういう能力を使うべきではないかという判断が当然ありますから、他のところにも重複登録をされると思いますから、局長の数に対して二倍ぐらいのリストが挙がるのではないかと思っておりますが、重複部分を外していきますと、名簿全体の登載者というのはそれより少し減っていくのかなという、個人的な感覚ですけれども、詳細の設計の中でどのくらいの規模というのは出てくると思います。

長妻分科員 大臣、以前は二、三倍ぐらいの人数だと言われていたんじゃなかったでしょうか。

甘利国務大臣 私が過去に申し上げた、委員会でかどうか忘れましたけれども、顧問会議から当初上がってきた案は、ポストを固定すると。例えば、何々局長はこの二人とか三人から選べ、何々局長は二人から三人。そうすると、主務大臣が官房長官や総理大臣と任免協議をして選ぶという、いわゆる政治的応答性というのが物すごく制約されちゃうんじゃないのかと。最初から、この局長はこの中からと。いや、むしろ大臣はこの人は別のところの局長にしたいんだというときに、最初から足切りに遭っちゃうんじゃないかということ、それは適切ではないではないかと。だから、もうちょっと閣僚……(長妻分科員「二倍、三倍というのは」と呼ぶ)

 数について、二倍、三倍とかいうことを申し上げたことは、私ちょっと記憶にないんですけれども、ポストの倍ぐらいの数という際に、特定のポストについて、最初からこれとこれから選べというような縛りのかけ方は適切ではないということは申し上げた記憶があります。

長妻分科員 そうすると、人数的にいうと、絶対数というか、幹部職が今六百人でございますけれども、二倍までいかないということは、千人ぐらいの実人数というイメージなんですか。

甘利国務大臣 これは、今から私が詳細の縛りをかけてしまうのもどうかと思いますが、私のイメージとしては、例えば経済産業省なら経済産業省の局長の数に対して、選考対象、大臣が選べるのはその倍ぐらいの幅があるというイメージだと思っております。

 ただ、どのくらい重複があるかということは、これから設計していく中で変わってきますから、千人ぐらいになるのか、六百に対して八百になるのか、それは設計していく段階で明らかになっていくと思います。

長妻分科員 今のお話を聞いていると、かなり深刻な状態まで官僚の皆さんの侵食が来ているという感じを受けるんです。

 そうすると、具体的な話で申し上げますと、例えば、国土交通省の道路局長がいて、それに対して道路局長の適格性審査で幹部候補生は一人だった、ほかの局長はもっといっぱいいるけれども道路局長はたまたま幹部候補者名簿は一人だったら、これはもうその局長を選ぶしかなくなっちゃうんじゃないでしょうか。

甘利国務大臣 顧問会議で一番最初に検討されたのは、道路局長はこの中から選べ、河川局長はこの中から選べということが検討されたと承知しているんですが、私は、それに対して、それじゃだめだと。

 国土交通省の局長全部の適格者、これだけバスケットがある、この中から大臣、官房長官、総理大臣が任免協議でどれを選ぶか、どれをどの局長にするか。道路局長はこれ、河川局長はこれ、何とか局長はこれ、そういうやり方はだめだということで、私はそれは否定したのであります。

 ですから、国土交通省の局長が、河川から道路から、数が例えば十なら十あったとすると、それの二倍なら二倍の数を提示して、その中からだれを道路局長にするか、河川局長にするか、何局長にするかは、所管大臣と官房長官と総理大臣の協議の中であるべきだというふうに考えております。

長妻分科員 そうすると、この幹部候補者名簿というのは、この局長はこの人という印というかそういうのは一切なくて、省ごとになるわけですね。では、例えば国土交通省の局長さんは、局長の倍ぐらいの人数がいて、そこからだれだれにしましょうねと。

 こういう個別、固有のポストのネーミングというのは、候補者個々人についていないということになるわけですか。

甘利国務大臣 私は、そういう意思で顧問会議に投げかけさせていただいたつもりです。

長妻分科員 これは官僚の方の説明とまた違いまして、官僚の方は、ポストごとにもネーミングがつくと。固有ポスト。そして、つかない、分野ごとのグループの方もいるということで、混在するようなイメージ。

 つまり、何が言いたいかといいますと、ここが一番重要でありまして、これを選ぶのは官房長官ですけれども、その下は、実は、官房長官は千人とか一々全員わからないので、やはり内閣人事局長が実質的な事務の手配をする。そして、ここの縛りがきつければきついほど、官僚の人は、大臣が見る前に適格性審査に受かっちゃえばほぼこのポストにつけるという流れができる。

 つまり、適格性審査で人数を絞ったりすると、それだけ適格性審査の重要度が増して、逆に大臣の自由度、総理大臣の自由度が狭められる、こういう非常に見合いの関係にありまして、これは政令で決めるということでありますので、ここは政治家がきちっとやらないと大変なことになる。

 つまり、内務省復活じゃないですけれども、今度は官僚のトップの方が今までは官房長なり省庁ごとにやっていた人事を一手に引き受けるということで、総理大臣以上の絶大な権限を持って、我々国会議員はある意味ではロビイスト的な仕事、そして官僚が政治家の仕事。

 日本の官僚は、基本的には、政策立案、省庁間の調整、与野党議員への根回し、こういうものもしている。これは、長年の自民党一党支配の中で便利に使っているうちに、国会議員の仕事を官僚にさせて、国会議員は陳情団みたいな仕事に成り下がってしまったということ、ここを直さなきゃいけないということであります。

 そして、もう一つは、この図の3、4でありますが、適格性審査は、官僚の中からだけじゃない、公募をして、民間の方もこの中に入れて、一緒に適格性審査をするということなんですけれども、では、仮に官僚の人が適格性審査で千人ぐらいだとしたら、公募の民間人は、私はかなり多く入れるべきだと思うんですが、何人ぐらい適格性審査の中に入れるお考えですか。

甘利国務大臣 具体的に各省横並びの統一的な目標というか、これだけ達成せよという義務のようなことはかけておりません。

 たしか渡辺大臣のときに、渡辺大臣の思いの中に、公募にかかるのは一割ぐらいあるけれども、それは民間が一割という結果ではなくて、我こそはと思う人が官から公募に応募してもいいんだから、結果として公募したものが全部民間になることもあれば半分以下のこともある、それは結果論だというお話がありました。

 私は、民間を登用する余地が高いところあるいはそうすべきところと、その余地がその省に比べて少ないところと、各省ごとに事情が違うんだと思います。これから詳細を詰めていきますが、画一的にこの数字ということが適切かどうか、検討していきたいと思います。

長妻分科員 これで最後の質問にいたしますけれども、結局、公募といったときに、今の話だと、役所の中からも公募するといったら、民間の本来の公募というのが限りなくゼロに近づいてしまうのじゃないかという危惧を持つのであります。

 一つの話として、例えば道路局長を選ぶときに、それは道路局長にふさわしい官僚の中の人の候補者名簿もあってもいいけれども、民間でも道路局長にふさわしい人の名簿をつくって、民間と官僚と並べて、どっちが優秀かで決める。つまり、全部公募にするという手もあるわけですね。道路局長になりたい人といったら、官僚の人からも手を挙げさせ、民間からも手を挙げさせ、そこで並べて選ぶ。大臣、こういうような考え方というのはどう思われますか。

甘利国務大臣 まず、どのポストを公募に付するか。それはもちろん、このポストには民間の感覚を使いたいというその判断基準というのは、公募に付する対象を選ぶ際に非常に大きく働くと思います。

 そのポストが決まって公募をする際は、行政の内外を問わず、自分が一番適性があると信じていらっしゃる方はどうぞと。その中から、なぜ公募に付したかという時代的背景とか政策的な背景ということを勘案して、その中でまさに適性をはかって、最終的に残っている人がなるということだと思います。

長妻分科員 これで質問を終わりますけれども、結局、内務省復活の、強い権限を持った官僚集団が出てくる。事務方に内閣人事局の人数はと聞くと、まだ決まっていないけれども二百人から二百五十人ぐらいになるんじゃないかということで、そこに全省庁の幹部人事を一手に掌握するような官房副長官(事務)が登場して、適格性審査という定義を狭く狭く解釈してそこでほぼ決めてしまう、そういうことが絶対ないようにぜひお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺喜美君。

渡辺(喜)分科員 甘利大臣には、大変困難な公務員制度改革を御担当されまして、まことに御苦労さまでございます。

 私も、安倍内閣、福田内閣と二代続けてこの担当をやらせてもらいました。抵抗の大変大きい分野であります。安倍内閣のときには、総理がみずから参議院の選挙を先送りしてでも天下り規制法案を通すべきであるというトップダウンの御決意を示されまして、絶対に通りっこないと言われていた法案が成立をいたしました。

 福田内閣にあっても、最初は、基本法が通ることはまずないだろうとみんな言っていたんですね。しかし、担当大臣が不退転の決意で頑張り、最後に総理が指示を出されれば、これはちゃんと通るわけであります。国会においても修正の協議が行われたわけであります。

 通りっこないと言われているものを通すというのは、やはり担当大臣、特に甘利大臣のような大物大臣におかれては大いにあり得ることだと思うんですね。

 私が大臣のときに、行革大臣の先輩であります中曽根大勲位のところに御説明に行きました。当時は内閣人事庁と言っておったのでありますが、中曽根先生がおっしゃったのは、渡辺君、これは革命みたいなものだよ、実は僕もやろうとしたんだということをおっしゃっていました。その話を聞きまして私も大変意を強くいたしました。

 中曽根先生は、行革大臣の後すぐ総理におなりになったわけであります。甘利大臣も、幾つも主要大臣を経験されて行革大臣になったわけでありますから、中曽根先生と同じ道を歩まれてもちっとも不思議ではないわけであります。

 今回の政府案、一〇〇%満点とは言いません、これは相当不十分なところがあると私は認識をしておりますが、それを補完する手だては幾らでもございます。ぜひ、今国会で成立をするんだ、そういうお覚悟の上に国会審議を進めていただきたいと思います。また、甘利大臣は、総理の側近でもあるわけでありますから、総理を説得されることは簡単にできると思うんですね。ぜひその点はお願いをしておきたいと思います。

 そこで、甘利大臣が抵抗の矢面に立って大変御苦労されました人事院との交渉でございますが、今回の政府案において、器の議論は大変よくできていると思います。人事院の級別定数管理などを内閣人事局に移管することでございますが、やはり基本的なことは、人事院、総務省、財務省の関連機能を統合して、強力な政府の人事部をつくるというのが今回の改革の根幹の一つであります。特に、人事院の持っている級別定数管理機能、それからさまざまな企画機能、これを内閣人事局に移管できるかどうかが今回の改革の成否を分ける重要ポイントであります。

 この点について、政府案はよくできていると思いますが、国会において修正を図ろうという動きがあるんですね。御案内のように、人事院サイドから、幹部に限定して移管すれば十分ではないかという議論もあるようでございます。また、これとほぼ同じ意見を自民党の行革本部の幹部や民主党の行革関係の幹部の方もおっしゃっておられると聞いたことがございます。

 そうすると、こういう話が国会で修正をされてしまうのではないかということを恐れるわけでございますが、甘利大臣の御見解はいかがでしょうか。

甘利国務大臣 私は、まさに希望してこの職についたわけでありますが、つきまして、この公務員制度改革の基本法をつくり、成立をさせた渡辺大臣は、よくぞこんなことをやろうと思ったなと。というのは、その基本方針に沿ったことをやろうとしている私に対してのいろいろな圧力というのは、私が就任する以前に想像していたものの何倍かでありましたから、これをやろうということで基本法そもそもの枠組みをつくるという際には恐らくその数倍の圧力だったんだろう、よくぞこんなことをやろうと思い立ったなと、改めて敬意を表した次第であります。

 私の性格からいって、抵抗が強ければ強いほど絶対やってやろうという気持ちになる性格でありますから、何としてもなし遂げたいという思いで今日まで来たわけでありますし、やっとこさっとこ国会に提出をすることができたわけであります。

 そこで、この級別定数管理機能の移管というのは、先生おっしゃるように重要な肝の部分であります。幹部職と管理職の新しい制度をつくるということが五条一項、二項に掲げてあるわけであります。党内外の一部に、この新しい制度というのは、幹部職、つまり、今で言いますといわゆる指定職の新しい制度をつくるんだとおっしゃる方がおられることは事実であります。ただ、級別定数というのは、厳密に言えば管理職以下が級別定数でありまして、指定職は号俸格付でありますから、級別定数といったら指定職の部分にとどまるという判断は、普通は、素直に法案を読めばそういうことにはならないはずであります。

 その機能を移管するということは、基本法の中にも書いてありますし、国会答弁でも、大臣御自身、それから修正案を提示した当事者の両方からなされているわけでありますから、これはしっかりと基本法及び国会でのやりとりを踏まえて実現をしたいと考えております。

渡辺(喜)分科員 内閣人事局の役割というのは、政権の重要な課題に適切な人材資源を投入するということだと思います。そのためには、まず最適な幹部を配置する、その上で必要な人員規模を投入するということなんですね。ですから、優秀な局長はつくったけれども、定員の制約のもとで十分な部下をつけられないということがあったのでは、これは機能不全なんですよ。これは非常に不十分な改革に終わってしまうんですね。骨抜きになってしまうわけであります。

 私も大臣のときに、座布団の壁というものに随分阻まれました。内閣府の特命担当大臣というのは人事権がございませんので、いろいろなところから座布団を借りてきたりして人員を集めようと。しかし、そのたびに、いや、大臣、座布団がありませんよと。本当はあるのに出さなかったりするわけですね。したがって、やはり政治主導の人事を実現するということであれば、この座布団の壁を取っ払わなければなりません。

 したがって、幹部だけ切り離す、だから級別定数も幹部だけ切り離していいんだなどというとんでもない議論がありますけれども、これはまさに骨抜きの動きそのものでございますから、もう一度、大臣の御決意を聞かせてください。

甘利国務大臣 一条の目的の中に、社会経済の変化に対応した柔軟な公務員制度をつくるということが喫緊の課題であるというふうに書いてあるわけであります。現状でいいますと、時代の変化、世界の変化に従って政策の重要性はいろいろ変わってくるわけであります。それに従ってポスト配置を柔軟にする。それが現状では非常に即応性が、しづらいふうな仕組みになっております。そこのところは極めて重要な肝だと思っております。

 幹部職等と書いてありますのは幹部職と管理職でありまして、幹部職を支える管理職、これも政策課題の重要性の変化に従って、ポストの重要性なりポストの数なり、それを省庁をまたいで柔軟な配置ができる、これが一番今回の基本法の目的とすることと承知をいたしておりますので、そこがしっかりと基本法の精神にのっとって実現するように、全力で取り組んでいく所存であります。

渡辺(喜)分科員 定数管理というのは、これまで総務省でやってきました。そして、人事院で級別定数管理をやる。こういう二重行政だったんですね。実際は、総務省の行管局管理官、人事院給与二課長、ともに財務省の出向者で占められてきております。しかし、二重行政でありますから、責任の所在が非常にあいまいな構造になってきております。

 今回、内閣人事局をつくって、幹部だけ級別定数も移すんだということになれば、これは二重行政どころか三重行政になってくるんですね。ですから、こういうでたらめを許してはいけないわけであります。しかし、人事院や労働組合は、人事院からの権限移管を縮小したいというお立場ですよ。そうすると、与野党問わず人事院ファンみたいな人たちは結構いますので、こういう人たちにロビーイングをかけて、政府案のここだけは修正をしたいと働きかけているはずですよ。

 与野党の修正協議で、人事院からの権限移管を修正されてしまうということがあってはなりません。この改革の根幹を覆すような修正は断じて認めるべきではないのであって、断固排除をしていただきたいと思います。

 再度、申しわけありませんが、決意を聞かせてください。

甘利国務大臣 幹部職等の新しい制度をつくる、幹部職等(幹部職並びに管理職)と明確に規定されているわけであります。その具体的な内容についても基本法で詳細に書いてあるわけでありまして、その意をしっかりと体して、これを具体設計をするのが私の役目でございます。

 基本法の趣旨をしっかりと体現をした詳細設計を実現する、その詳細設計をした第一弾としての国家公務員法の改正案を今国会に提出をさせていただいた、そういうつもりでありますし、今後、国会の中で、このまま、ベストな案と思って私は出しておりますけれども、それが修正協議に、基本法と同じようになされるかもしれませんけれども、その際にも、基本法の趣旨、これは与野党が合意をして国会の九割の意思で成立した法律でありますから、極力その思いを最大限具体化するという方向で全力で取り組んでまいります。

渡辺(喜)分科員 こういう改革を進めてまいりますと必ず出てくるのが疑似改革派というやつなんですね。こういう疑似改革派の議論に惑わされない断固たる姿勢をぜひ貫いていただきたいと思います。

 次に、先ほども議論になりました内閣人事局長の件でございますが、これはいつごろだったでしょうか、甘利大臣の部隊に当たりますが、公務員制度改革推進事務局に対して官邸サイドから指示がなされたと聞いております。内閣人事局長については国会議員がつくことは不可能である、できない。この人事局長のポストは新設をしない。第三点が、内閣官房副長官級のポストとする。こういう指示があったと聞いておりますが、これは事実だったでしょうか。以前の段階ですね。

甘利国務大臣 私は、内閣人事局長をどの位置づけにするか、どのランクにするか、これについてだけ、だけはと言ったらおかしいですけれども、都度都度総理には報告をして指示を仰いだのでありますが、総理の意向を確認してほしいということは事務方に指示をいたしました。

 というのは、総理自身が、後々内閣人事局長は、極端なことを言えば自分自身がなりたいぐらいなんだ、総理のまさに思いを体した人事を行っていく、それが本旨、自分の思いであるということをおっしゃったくらいでありますから、総理にお伺いをいたしました。

 そうしたところ、総理から私の方におりた指示は、官房副長官三名の中から選ぶということに設計をしてもらいたいという話でありました。その際には、党内では、先生御承知のとおり、兼務ではこの事務量がこなし切れないんじゃないか、だからもう一人、四番目の副長官を設置せよという議論があったことは事実であります。

 ただ、麻生総理からきつく言われましたのは、今の三人の体制も自由にフォーメーションは組めるんだ、極端な話をすれば、全員事務の副長官でもいいし、全員政務でもいいし、あるいは二対一を一対二にしようとそれは自由なんだ、その中から工夫をして時の総理が選出をすればいいというお話をいただきました。

 法案の中には、政務でなければいけないとか、事務でなければいけないというのは書けませんから、三人の中から選ぶ、時の総理がどういうフォーメーションにするかは判断をする、そういう指示でありましたので、そういう書き方とさせていただきました。

渡辺(喜)分科員 今のお話ですと、総理の指示でこの三要件、国会議員がつくことはだめだ、ポストは新設をしない、内閣官房副長官級のポストとするということでありますから、これは突き詰めていけば、漆間副長官が人事局長になるということを意味しているわけでございます。

 漆間副長官の三月十六日の記者会見、これはオンレコの会見でありますが、何とおっしゃっているかというと、問題は、政治家が公務員の人事を見るところに、果たして公正中立な立場で人事ができるのかという御認識を御披露されているんですね。つまり、政治家が公務員の人事に介入をしてはいかぬという十九世紀の発想をしておられるんですよ。

 山県内閣は、一八九八年に、こういう政治介入を排した身分保障つきの官吏制度をつくりました。その前の内閣は、御案内のように大隈内閣ですね、これが政治任用をやった。ところが、四カ月で倒れちゃったわけであります。まさにその百十年前の発想を繰り返しておっしゃっておられるわけであります。多分これは本音のことですよ。

 また、副長官級であるとすれば兼任にしたらいい、つまり自分がやる、こうおっしゃっておるわけですね。そして、公平の立場で政権と関係なしに見るんだということになると果たして政治家でいいのかと、再度おっしゃっておられる。つまり、政権と関係なしに役人の人事はやるんだということをおっしゃっておられるわけですよ。何をか言わんやですね。

 こういう発想を持った方が、先ほど松本副長官の御答弁だと、河村官房長官の答弁を事実上修正されたと理解しましたけれども、しかし、世間的には、漆間副長官が内閣人事局長になるんだという理解がもう定着をしてしまっているんですね。

 そうすると、甘利大臣のように大臣の威令を行って人事をやってこられた。例えば、経産省の人事なんというのはだれが見たってそうですよね。これはもう仲間内の人事じゃない、だれが見ても甘利大臣の威令が行われたと見えますよ。そういう大臣の政治家の矜持として、こういう考えはどうお考えになりますか。

甘利国務大臣 公務員人事を考えますときに、人事の公正性ということと、それから基本権でいう政治との応答性、これをどう考えるかということだと思います。

 時の政権と関係なく人事が勝手に行われるということは、これは議院内閣制の否定だと私は思います。言ってみれば、シビリアンコントロールのきかない軍のように、シビリアンコントロールのきかない公務員制度ができてしまう。つまり、国民が選んだ議員によって構成される内閣というのは国民の代弁者であります。全体の奉仕者というのは、国民が選んだものに忠実であるということが大事でありますから、時の政権に忠実であるということが大事でありまして、全体の奉仕者の意思の体現だと思っております。でありますから、もちろん、政権がかわればその政権に忠実に仕えるということが大事であります。

 そして、人事の公正性ということは何かといいますと、戦前の人事のように、情実で勝手に人事が行われない。これは成績主義でありますから、成績実績主義、つまり、幹部公務員にせよ、管理職にせよ、上に上がっていく際には人事評価、これが、客観的な成績、能力による評価がありますから、それでリスティングされて、それから上がってくるわけであります。

 そこで人事の公正性というのはちゃんと担保されているわけでありますから、あとは政治との応答性ということで、時の政権と去就をともにするというのが内閣人事局長の位置づけでありまして、それと全然無関係に、いかなる政権とも中立的な立場であるということではないと思っております。

渡辺(喜)分科員 漆間副長官が会見でおっしゃられた言葉をよくよく読んでみますと、甘利大臣の今の御見解と違いますよ。要するに、政治家が公務員の人事を見ると公平中立な立場で人事ができなくなる、こういうことを示唆しておられるわけです。したがって、政権と関係なしに人事は見る、これが公平の立場なんだと。だから、政治家を排除する、こうおっしゃっておるわけです。最初の、先ほど申し上げた、推進事務局に対する指示の第一番目、国会議員が人事局長につくことはまかりならぬ、ここに結びついてくるわけですね。

 したがって、こういう背景のもとに河村官房長官の御答弁があったわけです。要するにこれは、先ほどの甘利大臣のお話ですと、総理の御意向を踏まえれば、事務の官房副長官が麻生内閣ではつくんだというのは、まさにこれは漆間副長官の御意向を反映した見解であるということになりませんか。

甘利国務大臣 麻生総理は、三人の中からだれを選ぼうといいんだということであります。つまり、政務の副長官を選ぼうと、事務の副長官を選ぼうと、それは時の総理の判断で、それをこうでなければいけないと制約することはできないし、するつもりもないというお話でありました。

 漆間副長官発言について私は詳細な資料を持っておりませんけれども、政治家がそのポストについたら公平中立な人事ができないというのは、これは間違いだと思います。公平中立というのは、成績主義に基づく限りにおいて、つまり、成績がうんと悪いのにそれを飛び越えていくなんということは公平ではありませんけれども、成績がちゃんとクリアしていれば、それからどれを選ぼうとそれは公平なのでありまして、成績主義で名簿をつくるということにおいて、もうそこは公平中立が担保されているわけでありますから、その中からだれを選ぶかは政治との応答性だというふうに考えております。

渡辺(喜)分科員 一月ぐらいだったでしょうか、もう私は自民党を離党した後なので、自民党内の議論は定かに承知はしておりませんけれども、こういう事務の副長官が人事局長になるということについては相当反対が起きて、この点が修正されたと聞いております。

 それで、三月十三日の河村官房長官の記者会見では、人事局長に「政治家を選べば政治主導の表れで、そういう形でスタートさせることが大事」と言っているんですね。河村官房長官がそう発言をしておられる。これは出典は三月十七日の東京新聞であります。まさに、政治家を起用すべきだという自民党内の議論に沿う御発言をされておられるわけですよ。

 ところが、十六日、先ほど申し上げた漆間副長官のオンレコ会見が行われて、政治家が果たして中立公正な立場で人事ができるのか、こうおっしゃっておられて、最終的に総理の御意向ということで、事務の副長官が兼任する、こういうことになった。

 完璧にこれは、漆間副長官の御意向を麻生内閣は採用したということになりませんか。

甘利国務大臣 私、中馬本部長、石原公務員制度改革委員長等の公務員制度に関する役員の方々と総理と直接にお話をした限りにおきましては、総理は、三人の中からだれを選ぼうと時の総理の判断と。三人のフォーメーションを、政務と事務のフォーメーションをどうするかも時の総理の判断と。それは時の総理が自分の判断で選べばいいということを明確におっしゃっていましたから、事務でなければいかぬとか政務でなければいかぬとかそういう御発言は、私が知る限り総理はされておりません。

渡辺(喜)分科員 官僚ファシズムという言葉がございます。大変大事なときでございますから、後世に禍根を残さない、担当大臣の御実績を残してください。

 終わります。

山口主査 これにて渡辺喜美君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十九年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十四億六千八百二十九万円余に対しまして、収納済み歳入額は十四億八千二百五十三万円余であり、差し引き千四百二十四万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百五十四億七千九百七十六万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額十億三千四百三十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百四十四億四千五百三十七万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百十六億八千五百二十八万円余でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費五百九十八億四千九百二十三万円余、衆議院の施設整備に要した経費十八億三千六百四万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は二十七億六千九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度へ繰り越した額九千七百三十四万円余、不用額二十六億六千二百七十五万円余であります。

 以上が、平成十九年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

山口主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。吉永国立国会図書館副館長。

吉永国立国会図書館副館長 平成十九年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百二十九億五千八百十万円余でありまして、これに前年度繰越額七百五十四万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額八千五百四十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百二十八億八千二十一万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二百二十三億五百一万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の管理運営に要した経費百九十九億七千七百三十九万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億六千七百二十九万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費十二億六千三十二万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は五億七千五百十九万円余でありまして、その内訳は、翌年度繰越額四億九千六百六十七万円余、不用額七千八百五十一万円余となっております。

 以上が、平成十九年度国立国会図書館関係歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

山口主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。濱坂裁判官弾劾裁判所事務局長。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 平成十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千九百二十四万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額七百十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千二百六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億一千百十四万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、九十一万円余となっております。

 以上が、平成十九年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

山口主査 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成十九年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千三百四十二万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額四百二十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千九百十九万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億二千三百三十万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、五百八十八万円余となっております。

 以上が、平成十九年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。

 これは、衆議院赤坂議員宿舎整備等事業契約における消費税の取り扱いに関するものであります。

 本件は、割賦金利が消費税法に定める課税されない利子等に該当するように契約内容を定めておらず、割賦金利に係る消費税相当額を含めて契約金額を算定していることから、速やかに契約相手方と協議の上、割賦金利に係る消費税相当額が契約金額に含まれないよう契約変更を求めるなどの適宜の処置を要求いたしたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院が講じた措置について御説明いたします。

 当該事業契約における消費税の取り扱いにつきましては、御指摘の趣旨を踏まえ、事業契約を見直すべく調整を進めているところであります。

 今後とも、契約事務の適切な実施に努めてまいる所存であります。

山口主査 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、国会所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

山口主査 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。与謝野金融担当大臣。

与謝野国務大臣 平成十九年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成十九年度の当初予算額は、二百二十億五千八百七十三万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額八億一千三十六万円余を減額いたしますと、平成十九年度歳出予算現額は二百十二億四千八百三十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額二百六億一千七百二十万円余に比較いたしますと、六億三千百十六万円余の差額を生じます。この差額は、諸謝金を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。

 以上をもちまして、平成十九年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上です。

山口主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中金融庁については終了いたしました。

 午後零時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

山口主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。斉藤環境大臣。

斉藤国務大臣 平成十九年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は二十一億五千九百八十九万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は三十五億二千三十八万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は十三億六千四十八万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千百九十九億四千六百八十四万円余でありましたが、これに予算補正追加額六十五億七百六十一万円余、予算補正修正減少額十三億六千五百四十五万円余、予算移しかえ増加額百三億八千百九十二万円余、予算移しかえ減少額十七億三千七百四万円余、前年度からの繰越額四百二十六億二千九百二十八万円余、予備費使用額三十六億六千六百三十七万円余を増減いたしますと、平成十九年度歳出予算現額は二千八百億二千九百五十四万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額二千二百十億三千二百三十四万円余、翌年度への繰越額四百三億一千六百三十四万円余、不用額百八十六億八千八十五万円余となっております。

 次に、環境省所管のエネルギー対策特別会計の平成十九年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 エネルギー需給勘定につきましては、収納済み歳入額は四百四十九億二千二十一万円余、支出済み歳出額は二百七十二億四千六百九十九万円余であります。収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百七十六億七千三百二十二万円余でありまして、翌年度への繰越額七十九億九千七百十万円余、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の平成二十年度予算に歳入計上した剰余金四十二億二千六百三十二万円余、これらを除いた純剰余金は五十四億四千九百七十八万円余となっております。

 以上が平成十九年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院河戸第三局長。

河戸会計検査院当局者 平成十九年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号八一八号は、浄化槽設置整備事業において、架空の浄化槽設置工事に対して交付した助成金を補助対象事業費に含めていたため国庫補助金が過大に交付されているものであります。

 同八一九号は、廃棄物処理施設整備事業の実施に当たり、仕様書で定めた設備能力についての確認が十分でないまま施設の引き渡しを受けたなどのため施設が所期の機能を発揮できず、補助の目的を達していないものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、浄化槽設置整備事業及び浄化槽市町村整備推進事業の実施に関するものであります。

 環境省は、市町村等が浄化槽設置整備事業または浄化槽市町村整備推進事業を行った場合に、国庫補助金等を交付しております。これらの事業が法令、要綱等に基づき適切に実施されているか、浄化槽の維持管理状況は適切か、設置された浄化槽が効果を発現しているかなどに着眼して検査いたしましたところ、設置された浄化槽が使用されておらずその効果が発現していない事態、事業実施年度の前年度以前に既に設置が済んでいる浄化槽に助成し、これを補助対象としている事態、設置された浄化槽が法定検査を受検しておらず、適正な設置及び維持管理について確認ができていない事態が認められたことから、環境省において、設置した浄化槽について、その効果を早急に発現させるとともに、適正に維持管理されているか確認するよう適宜の処置を要求いたし、及び浄化槽整備事業の適正な執行が確保されるよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 その二は、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定における剰余金に関するものであります。

 これは、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定において、過年度の不用額の発生原因を十分に見きわめ、歳出予算の見積もりを行う際に反映させるなどして剰余金を減少させるよう意見を表示いたしたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。斉藤環境大臣。

斉藤国務大臣 平成十九年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冬柴鐵三君。

冬柴分科員 公明党の冬柴鐵三でございます。

 きょうは、特に環境と森林の話をお伺いしていきたいというふうに思います。

 我が国は国土の三分の二が森林に覆われているという、世界有数の大変緑豊かな国である、このように自負をいたしております。

 森林は、人類にとって有害な温室効果ガスの典型でもあります二酸化炭素を吸収して、光合成によって幹を太らせ、そして枝を伸ばし、葉を茂らせるという作用を行ってくれるわけでありまして、その過程で大量の酸素を排出する。我々の生きていく上において大切な酸素、そして我々にとっては有害であります、そのような二酸化炭素を吸収してくれる、我々の生命を営む上においてこの森林の営む作用というものは大変重要なものである、これはもう言うまでもないことであります。

 特に、我が国は世界有数の森林国として、古来よりこのような森林を利用いたしまして、それが一つの文化、建築文化というもの等、いろいろな意味で木が我々の生活に果たしてきた役割というのは非常に大きいと思います。

 有史以降を見てみましても、六〇〇年代に聖徳太子が建てられました法隆寺の仏教建築物群というものは世界遺産に登録されておりますが、これは千年の時を経て、中にはもちろん火災に遭ったものもありますけれども、今も厳然とこの法隆寺の仏教建築群というものは存在をしているわけであります。

 そしてまた、あの奈良の大仏殿は、開眼供養が西暦七五二年に行われておりますけれども、この大仏は十六メートル、大体五、六階建てのビルに相当すると思います、それを覆う大仏殿、これは一回火災に遭いましたけれども、その後再築された現存するものですら世界最大の木造建築物であります。

 我々はそのような文化をはぐくんできたわけでございますが、このような森林には、人工林、育成林というものと天然生林の二つに大きく分けられると思うわけでございます。

 林野庁の方からで結構でございますが、どれぐらいの比率、ヘクタールでわかればヘクタール、どれぐらいあるのか、それをお知らせいただきたいと思います。

内藤政府参考人 育成林の面積でございますが、約千百万ヘクタールでございます。森林面積が約二千五百万ヘクタールでございますので、その四五%に当たります。

 天然生林の面積は約千二百五十万ヘクタールでございまして、森林面積の五〇%を占めております。

 以上でございます。

冬柴分科員 私の調べたところでは、育成林は全体の四六%、天然生林は五四%というふうに若干違いますけれども、おおむねそういうところでしょう。

 そこで、育成林でございますけれども、これは植林をしてから伐期が来るまで育てるわけですね。それで植林をするためには、地をならし、そこに植林をし、約十年から十五年は下草を刈り、要らない木を除伐し、そして、それぐらいたつと、植林というのは一ヘクタールに大体三千本ぐらい植えるんでしょうか、これを主伐、全部切り取ってしまうまでの間、この三千本をヘクタール当たり大体千本ぐらいまでにしないと、木が余りにも密度が厚いために、そこにもやし状といいますか、暴れ木とかもたれ木というようなものが出てきまして、そして、木が余りにも生い茂るために、葉っぱが、太陽光が十分に差し込まない、光合成がうまくできないだけではなしに地表まで太陽光が到達しないことによる地表の生物の育成にも影響がある、こういうふうに私は理解をしているんですが、それでいいかどうかということ。

 その場合に、育成林、先ほど言われました千百万ヘクタールですけれども、そのうち間伐をしないと、三千本植えたものを千本に整理しないと十分に光が当たらない。光合成によって幹が太くなり、そしてまた枝打ちをすることによって節のないすばらしいまさ目の木がそこにできるというふうにするためには、大変な手数がかかるわけですよね。こういう作業、林業家の行う作業というものは、特に間伐はどれぐらいやらなきゃいけないんでしょうか。その点についてちょっと教えていただきたいと思います。

内藤政府参考人 委員御指摘のとおり、山は植林をしただけではその機能を発揮しないということでございます。手を入れてこそ初めてその機能が発揮できるわけでございます。

 手を入れる方法としましては、まず、植栽後おおむね五年間程度下刈りというふうなものをします、下の草を刈りまして木の成長を助ける。それから、主伐、切ってしまうまでの間におおむね十年から十五年置きに数回間伐が必要になります。仮にこれを植栽後五十年後に伐採するという場合でありますと、四十年生程度まで三回程度間伐が必要になります。八十年生、八十年後に伐採するという場合でございますと、ややふえまして、六十年生程度までの間に四、五回間伐が必要になってまいります。

 いずれにしましても、こういった形で下刈りをし、間伐をすることによって光を森に入れまして、そして下草をしっかりと生やしてもらいまして地耐力をつける、それから水源涵養を図る。当然、御指摘のように、生物多様性、いろいろな生物が生きられるような環境をつくっていく。これで初めてその森林が機能を発揮できるというふうに思っております。

 以上でございます。

冬柴分科員 育成林についてはわかりましたが、天然生林についてはどうなんでしょう。何か手入れをすることがあるんでしょうか。

内藤政府参考人 天然生林の場合でございますけれども、これは保安林等によって、伐採や保全が一定の義務づけがございますので、そういった制限の中で管理をしていただくということが必要になってまいります。

冬柴分科員 そのように管理された日本の美しい森林というものは、下草の下には微生物とか昆虫類というものが、まるでミクロコスモスのような世界をつくっているわけでして、そこを雨水というものが地面に浸透し、ろ過され、川へ流れ、そして海へ流れる、それによって多くのプランクトンが生育をし、日本の近海というのは暖流と寒流が入りまじったすばらしい漁場をつくっておりますけれども、そこに多くのプランクトンを生育しているのが森林だと私は思っているわけであります。

 日本の細やかな味の魚介類というものを生育する、これは森林の役割だろうと私は思うんですが、その点についてもお尋ねしたいと思います。

内藤政府参考人 私どもも、漁業に従事されている方と山林家が連携をしまして、漁場づくりのためにも山づくりをやっていただくというふうなことを進めております。

 各地でそういう形で、漁民の方が山に行きまして植林をしているとか手入れをしているというふうな動きも出ておりますので、そういった動きを我々も進めていきたいというふうに考えております。

冬柴分科員 環境大臣の地元広島では、広島湾のカキの養殖というのが非常に有名ですけれども、そのカキをはぐくむプランクトンというものは、まさに森林の下で、落葉樹等の肥えた土壌で、微生物とか昆虫類の死骸というようなものがろ過された雨水によって広島湾に流れ込む、そういうことですばらしいカキができている。

 ところが、最近、山の手入れが悪いということで、広島の漁業者が上流に植林をしたり、森の手入れをしたりするということを聞いているんですが、そんなことを御存じですか、大臣。

斉藤国務大臣 地御前漁協という廿日市の漁業協同組合がやっておりまして、実は私、三週間ほど前ですけれども、視察をしてまいりました。

 お話を聞くところ、四十年前に比べてカキの生産量は半分になっている。四十年前は山に手が入って、雨が降っても洪水も少なかった、ところが、今は山に手が入らず、雨が降ってそれが一気に流れ出て土しか運んでこない、泥しか運んでこない、そういう状況の中で生産量が半分になった。もう一度我々で森をつくり直そうということで漁民の森というプロジェクトをつくりまして、太田川流域ですけれども、植林活動をされているという活動を知っております。

 山は海の恋人という言葉もありますけれども、まさしく今冬柴委員おっしゃったとおりだと思います。

冬柴分科員 そこで、環境破壊の問題に移りたいわけですけれども、地球が温暖化ガスによって覆われることによって温度が上がり、北極、南極の氷が解け出すというような衝撃的な、あるいは今世紀末、二十一世紀末には海面が平均して七十六センチかな、上昇する。大変なことですよ、これは。

 私は、パチャウリさんという気候変動政府間パネルの議長、インド人の人ですが、その人と親しく話し合うことがありました。

 そこで、地球の温暖化ガスを全部とめてしまうというわけにはいかない、削減はできる。削減の努力ばかりが今脚光を浴びているけれども、削減をしてもなお残る温暖化ガスというものの影響は数百年続くんです。そういうものにも人類は生き残れるような対応策というものが非常に大事なんだけれども、今は温室効果ガスの削減ばかりに政治もマスコミも応じているけれども、私が国土交通大臣のとき、国土を守るという役割をあなたが持っているならば、そういうふうに、もう避けることができない環境悪化というものに対して人類はどう対応していくのか。

 潮位が、それだけ平均水位が上がるということは、南のミクロネシアとかポリネシアでは全部国土が水没してしまうということすらあり得る。日本の大都市というか、東京、名古屋、大阪、すべて海岸に面している。そこで六十センチも七十センチも上がってしまうと、高潮、あるいは地震とか暴風雨というものが及ぼす影響というのは、今までのいわゆる高水、一番上のところ、予想している潮位というものをはるかに超えてしまう。したがって、そういうものに対する対応策が非常に大事なんだということをおっしゃいました。確かにそうだと私は思います。

 環境というのは、そういう意味で、温室効果ガスを削減するといういわゆる緩和策というものと、それから、緩和されるけれども、それは緩和であって、悪くなっていく地球環境でもなお生き残っていけるようにする、これが大事だというふうに思っております。

 さて、このような緑豊かな国というのは、私は国土地理院も所管していましたけれども、地球地図というのをつくりまして、世界でこれをもって嚆矢としたわけですが、この地図を見てみますと、日本の国だけですよ、国土全部が緑色に覆われていて。もちろん、東京とか名古屋は、この大都会のところはちょっと白くなっていますけれども、あとは緑に覆われているんですね。

 ところが、この緑はほうっておくと、先ほど人工生林と天然生林の面積を言っていただきましたけれども、人工生林は手入れをしなければ荒れてしまうんですね。荒廃するんですよ。

 昔は用材として伐期が来ればそれを切り、輪伐をしながら、森林家という大富豪が日本にはありましたけれども、これが、戦後、例えばマレーシアのサラワクからラワンというような南洋材が非常に安い値段で入り出した、あるいは北米材が入り出した。日本の木材というのは、森林が急峻なために出しが非常に悪い、向こうで切ってもそれを市場まで運んでくる値段が物すごく高くつく。ところが、南洋材と北米材は、太平洋を越えてくる運賃の方が安い。したがって、木材価格は暴落しました。六分の一か七分の一になったんじゃないでしょうか。

 林野庁長官から、そこら辺のこと、木材価格について若干お話しください。

内藤政府参考人 済みません。今ちょっと詳しい数字は……(冬柴分科員「アバウトで」と呼ぶ)アバウトで言いますと、やはり七分の一から八分の一くらいには下がって、特に山元の立木価格と言われている山での価格でございますね、そこの下がり方が激しゅうございます。

冬柴分科員 植林の場合、育成林の場合は、間伐をしないと山は荒れていくんですね。それは、暴れ木とかそういうような木ができます。もやしのような木ができると、台風とか大雨のときにそれが風倒木となって山に倒れてしまうんですよね。そういうものが、あるいは洪水のときに流れ出たものが橋を壊し、林野を覆って、大変な農業被害を起こしている。

 なぜそうなるかというと、先ほど言われたように六分の一か七分の一になってしまいますと、これはもう林業経営が成り立たなくなっちゃったわけですよ。

 それでどうなったかといいますと、国が間伐費用の二分の一を補助するんですね。そして、残り半分、五〇%のうちの二〇%は県が負担するんですか、そして残り三〇%は民間、土地の地主、山持ちがやるわけですけれども、とても持てなくなっちゃったわけです。そして、林業労務者がどんどん高齢化してしまって、若い人が働かなくなり、山が荒れてしまったんですね。

 したがって、林野庁も来ておられるけれども、赤字が三兆円ぐらい累積しましたね。そのうち二兆円は一般会計から償却したけれども、一兆円残っていますよね。それで、各都道府県には四十の林業公社がありますね。そこの累積債務額は、アバウトですよ、一兆二千億以上あるんじゃないでしょうか。

 ちょっとそこら辺、それでよければそれでいいということを答えてください。

内藤政府参考人 現在、四十公社がございますけれども、その累積債務額はおよそ一兆四百億程度となってございます。

冬柴分科員 そこで、環境大臣にお聞きしたいんですけれども、京都議定書で、一九九〇年を基準年として、二〇〇九年、一〇年、一一年ですか、そこら辺までに削減すべきCO2、これは何トンというふうに言われているんですか。

斉藤国務大臣 二〇〇八年から二〇一二年までの間、いわゆる約束期間までに一九九〇年のレベルからマイナス六%ということが言われております。今、日本が一年間に出す量が約十二億トンですから、その六%、八千万トンぐらいだと思います。

冬柴分科員 そのうち、京都議定書で、日本はこういう森林国家ですから、森林が吸収するCO2は六%の何%なのか、どうなっていますか。

斉藤国務大臣 きちんと森林整備をする、予算をつぎ込むという約束のもと、六%減らすうちの三・八%森林が吸収してくれるということが国際的に認められております。その三・八%というのは四千七百六十七万トンでございます。

冬柴分科員 そうすると、京都議定書をきちっと守れるかどうかということは、これは森林をきちっとするということを言われましたね、きちっとするということは、特に間伐をきちっとするということだろうと思うんですね。それから、天然生林については保安林の指定をする、こういうことだろうと思うんです。

 そこら辺は一体、これほど山が荒れてしまったんですよね、用材を切り出してもそれを売れないというか価格競争に勝てないんですね、そういう状況の中でどうするんですか、林野庁。

内藤政府参考人 間伐をして手入れをしませんと森林吸収源としてカウントできませんので、私ども、森林所有者には山に入っていただいて間伐等をしていただく。

 しかしながら、委員御指摘のように、林業の経営は大変厳しいということでございますので、私ども、定額助成という形で森林所有者の負担なく間伐をし、あるいは作業路網をつくっていくというふうな事業に今力を入れているところでございます。こうしますと森林所有者の負担なしで間伐が進むものと考えております。

冬柴分科員 残りが少なくなりました。

 私もこういう危機を感じまして、たしか平成十三年だったと思いますけれども、当時も不況で失業者がたくさんおった、そういうときに小泉総理に書面をもって、緑の雇用対策ということで、日本じゅう森林はあるわけだから、その手入れをしていただくためにこういう人たちを雇用する、それに助成をすると。

 建設労務等をやっていられた、今まで力仕事をしていられた方にとっては、その故郷に近いところへ帰って林業に携わるというのは非常にふさわしいんじゃないか。ただぽっと帰ったってできるわけがないので、やはり二年ぐらいいろいろな研修をやらなきゃいけない。そういうことで、ぜひ緑の雇用対策ということで研修とかそういうものをやってほしいと私は提言したことがあります。

 それで、それはいいなということで十三年に一部やっていただきましたが、十四年補正と十五年の予算で本格的に緑の雇用対策というのができました。その各県別のものが、今、資料を、私がお受けしました十九年度研修修了者というものがここに書いてありますが、基本研修が千五十七名、二年目の技術高度化研修を受けた人が六百七十七名で、千七百三十四名の方がこういうことになっている。

 私はこの二年目より一年目の方がぐっとふえているということに非常にいいなという感じがするんですが、これはもっとどんどん伸ばせますか。これはどこに聞いたらいいのかな、やはり林野庁かな。

内藤政府参考人 緑の雇用対策は、委員御指摘のように平成十四年度補正から始まりまして、その後充実をしてございます。平成十八年度からは二年目研修という形で二年目の研修を始めまして、二十年度からは三年目研修という形で、三年目についても低コストの作業システム、効率的な施業の実施に必要な技術を習得していただくための研修を始めております。

 そういう形で、根を長くして、できるだけ現場での技術体験、技術研修を進めているところでございます。

冬柴分科員 この緑の雇用対策については、いろいろなパンフとかそういうものを私もいただいたんですけれども、中を読んでみますと、若い人たちが、厳しい作業ではあるけれども、森の中はオゾン、酸素がいっぱいですよね、しかも鳥やそういうものの鳴き声も聞こえるし、せせらぎの音も。そういう中で汗を流す作業は大変楽しいということで、今までサラリーマンをやっておった人で、こういうふうに帰ってくる人がたくさんあるんですね。私はもっともっとこれはやらなきゃいけないと思っています。

 ただ、資料によりますと、二十歳未満の人たちについては全国平均所得と遜色ない、大体年収二百万ぐらいなんですが、研修とかそういう途上だったらしようがないと思うけれども、二十代になりますと五十万ぐらい違う。それから、三十代になると百二十万ぐらい違う。ということは、全産業の平均所得に比べて、いわゆる林業に携わる人の所得が少ない。四十代になりますと、もう二百万を超える、二百十万近く違う。五十代になりますと二百数十万以上差があるんです、平均所得で。ここはやはり埋めてもらわないと。林業のためというよりも、環境のためにも、十分な作業はできないんじゃないかと私は思うわけであります。

 間伐のために国は五割出すけれども、県が二割、そして地主が三割では、もう全然できなかった。それが赤字になったわけでしょう、累積しておるんですけれども。これを定額助成という形でヘクタール当たり二十五万ですか、という間伐費用を予算計上して、ことしも補正あるいは本予算でも相当多額のものをやっていただくようになりました。けれども、解決できない、林業経営にせっかく携わっていただいた方の所得が全国の平均所得よりも随分低いということは、これは何とかしないといけないと私は思います。

 そういう意味で、相当大きな基金をつくって、そういうもので所得がイーブンになるようなことを考えてもらわなきゃいけない、私はそう思うんですが、最後に環境大臣の御所見を伺いながら終わりたいと思います。

斉藤国務大臣 きょうは、冬柴委員の御提言を重く受けとめさせていただきました。きょうの夕刻、緑の経済と社会の変革という構想を発表させていただきますが、その中にも森林吸収源対策、そして産業政策としての森林対策、これは林野庁さんと共同してまとめ上げたものでございますけれども、それを発表させていただきたいと思っております。

 環境政策、産業政策の両面から大変重要な御提言と受けとめさせていただきました。

冬柴分科員 ありがとうございました。

山口主査 これにて冬柴鐵三君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 公明党の田端でございます。

 きょうは、三十分いただきましたので、環境大臣を中心に質問させていただきます。

 昨年、私も衆議院の本会議で提案させていただいて、党としても当時の福田総理に申し入れさせていただいて、七月七日、七夕の日をクールアース・デーということで、盛大に二時間のライトダウンキャンペーンを政府としてもやっていただきました。これは、大変大きな反響と成果がありました。

 東京タワーやこの国会のライトアップを初め、レインボーブリッジとか、大阪、私の地元では通天閣、大阪城、それから道頓堀にグリコの観光スポットになっているネオンサインがあるんですが、このグリコも消していただいて、グリコが消えたから隣も消えるという連鎖反応で非常に大きな効果がありました。

 トータルで、七万六千三百九十七カ所で参加していただいた。この消費電力の削減量は大変な量でございまして、これで四百七十六トンのCO2削減になった。つまり、換算しますと、三万三千世帯分の一日の電気の消費量であった。こういうことが、後で環境省の方からまとめていただきました。それは、そういう意味では大変な効果があったと思っておりまして、ぜひこの路線は、もっともっと広く強く大きくしていただきたいなと。

 それで、例えば全世帯が参加して二時間電気を消していただいたらどういうことになるかというと、これは一万五千トンのCO2の削減に当たり、そして百万世帯の一日分のCO2排出量に相当する、こういうことでありますから、ぜひことしも、去年に倍するキャンペーンを張ってやっていただく、実施していただくということが大事かと思いますが、今の時点で、七月七日、どういうふうにお考えになっているのか、御計画をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 ことしも七月七日のクールアース・デーに向けて、このライトダウン運動を企画し、今進めているところでございます。

 ことしのサミットが七月八日から、まさに七月七日の翌日からでございますので、私もあすからG8環境大臣会合に出てまいりますけれども、サミットに向けて、七月七日のクールアース運動、G8環境大臣会合でも訴えていきたい、このように思っています。

田端分科員 ぜひ、去年に倍するというか、三倍、四倍に値するキャンペーンをお願いしたいと思います。

 ただ、私がちょっと気になったのは、この間、三月の二十八日に、WWF、世界自然保護基金が主催して、シドニーが中心であったのかもわかりませんが、アース・アワー二〇〇九というのを実施されました。世界八十カ国、二千八百以上が参加したと言われていますが、シドニーのオペラハウス、パリのエッフェル塔、エジプトのピラミッド、ニューヨークのエンパイアステートビル、中国の国家体育館等々がこれに参加した。実は、このライトダウンキャンペーンに日本が参加していなかったのが、私は非常に寂しい思いがしました。

 どういうことで日本が参加していなかったのか。せっかくクールアース・デーを、昨年、サミットの初日、七月七日、北海道洞爺湖に世界の首脳が集まっているその日に主催し、そして、当時の福田総理がそこに列席する人たちに対して、その日の夕方、夕食のときに、きょう日本でこういうことをやっているんだ、こういうことまで言われていながら、今度、よそのグループが主催した場合に日本が参加しないというのは、どうも話が違うんじゃないか。そういう意味では、これは政府の機関でなかったから参加しないということかもわかりませんが、しかし、本当は、いいことにはもっと積極的にかかわるべきではないのかなと思います。

 あの去年の後、地球環境国際議員連盟、GLOBE総会が日本でありました。私、その席で二十分ほど時間をいただいてスピーチをさせていただきました。日本で、七月七日、クールアース・デーを実施して、こういうことをやったんだということをお話し申し上げました。

 そして、そのときに、つまり、七月七日というのは七夕で、天の川の伝説というのがあって、年に一回織り姫と彦星がデートする、そういうロマンチックなことを、電気を消して夜空を、みんなが外に出て天の川を眺めながら、そして地球環境にいい、こういうライトダウンをやるんだということをお話ししたら、天の川の伝説は、中国や韓国の方たちは即わかっていただいたようでありますし、ほかのヨーロッパの国の方々も非常に興味深く聞いていただきまして、大変な反響でありまして、大きな拍手をいただいたということでありました。そういう意味では、七月七日、この七夕の日をぜひ世界的にも実施できるように広げていただきたい、こう思うわけです。

 たまたま今大臣からお話があったように、あすから大臣はG8環境大臣会議に出発されるということでありますから、ぜひそこでもお訴えいただいて、そして、七月七日、おっしゃったように、ちょうど七月の八、九、十がサミットだと思いますが、それに合わせて行われるわけでありますので、去年は日本で行われた、だからこそ七月七日の意味があったわけでありますけれども、ぜひ、七夕というこの日を選んで世界でもやろうということをほかの国々にもお訴えいただいて、世界的な運動に何とかならないものだろうか。

 つまり、地球規模のCO2削減は、日本だけでは限界があるわけでありまして、それを大きく国民運動、世界運動として広げていっていただくようにぜひお願いしたいと思いますが、大臣の御決意をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 あすからG8環境大臣会合に行ってまいります。参加する国は、実質十六カ国以上の環境大臣が集まってまいります。その席で、昨年の洞爺湖サミットでのクールアース・デーの試み、そして、今、田端委員からお話がありましたその趣旨について、しっかりと話をしてきたいと思います。

田端分科員 実は、ここ一カ月、新聞に太陽光発電とか太陽光とかという言葉が載らない日がないぐらい連日いろいろなことで報道され、そしてまた、大きな動きといいますか、流れといいますか、太陽光発電の普及促進に一つの大きな今までと違った動きが出てきたなと非常に喜んでいる一人であります。

 実は、これは経済産業省とも大いにかかわる問題でありますが、一たんやめていた太陽光発電設置の補助金を復活させたことが一つの大きな引き金にはなっていると思います。

 簡単な試算をしますと、例えば、もし一戸当たり三キロワットした場合は、一キロについて七万円ですから二十一万円の補助になる。しかし、設置費用が、今はちょっと下がってきているかもわかりませんが、もし仮に二百万だとしますと、百八十万が自己負担ということになります。あと、地方自治体からの多少の補助もあるのかと思いますけれども。仮に百八十万の場合、これが、どういう形で投資した分が返ってくるのかというのが、庶民といいますか国民サイドにとれば大きなテーマになるわけですから、つまり、投資した分が何年で戻ってくるということをきちっと国民にお示しいただくと、国民の皆さんも参加しやすくなるのではないか。

 この前、予算委員会で二階大臣にそこのところを問いただしたところ、今は二十年かかっているけれども、今後、今の買い取り価格二十三円を固定にして五十円にする、だから、今後は固定買い取り価格が実施されれば十五年で元が取れるようになる、こういう答弁がありました。それで私は、いや、十二、三年まで縮められませんか、できたらドイツ並みの十年ということが一つの大きな目標ですから、そうなっていけば、十年で元が取れるとなれば、国民も、これはやろう、自分の子供や孫たちのためにもそういうことを試みよう、こういうふうになっていくのではないかということをお願いしたわけでありますけれども、実際問題、これがまだ、どうもそこまでいっていないのではないかという思いがします。

 今回、政府の方で新経済危機対策ということで発表された中に、総理からの御指示もあって、五本の大きな柱に総理も太陽光発電という言葉をわざわざ入れられて、そんなことから一気にこの動きが加速されたと思っています。

 民間住宅への設置、これはこれから一生懸命努力しなきゃなりませんが、その経済対策の中で、小中高、公立の学校への設置、それから公的機関に設置するということが大きな目玉になっていると思います。これは、そのとおりでありまして、国民の皆さんに理解いただくためには、公的機関が誘導するということが一番大事だと思いますから、そういう意味では大変いいと思います。

 この太陽光発電を今後どういうふうに設置していくべきか。これは、直接は経産省とのかかわりだから、環境大臣は直接言いづらい点もあるかもわかりません。しかし、環境大臣として、太陽光発電をどういうふうな位置づけにして、国としてどういう方向に持っていきたいんだというビジョンを明確にお示しいただければ、そうしたら国民もその線に沿ってまた参加する機運が出てくる、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 再生可能エネルギー、この再生可能エネルギーを、将来、一次エネルギー源の二〇%にするという目標がまずございます。それに向けて、その中心になるのが太陽光発電というふうに位置づけまして、今、いろいろな諸施策を経済産業大臣と協議をしながら進めているところです。

 先ほど、元を取るのに十五年、これでは長過ぎるということで、私も、せめて十年にならないか、そのためにはいろいろな諸施策が必要ですが、最も重要なのは、値段そのものを下げる。今、一キロワット大体七十万円と言われておりますけれども、これを半減させればかなり短くなるわけでございまして、そういう研究開発にも全力を挙げていきたいと思っております。

 また、太陽光発電のコストそのものも、一キロワット時当たり七円程度、いわゆる火力発電等と同じような発電コストにするということも一つの大きな目標でございまして、そのためにも研究開発等、頑張っていきたいと思っております。

田端分科員 きょうは経産省もお見えいただいているかと思いますが、経産省の方で、今、どういう試算で、今後こういうふうになっていくという、つまり、設置費用が安ければ安いほどいいし、そして、それを還元するといいますか、元を取れる期間が短ければ短いほどいいわけでありますが、現実はどういうふうになっているのか、ちょっとお話しいただきたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 太陽光発電システムでございますけれども、今委員が御指摘になり、そして環境大臣から御答弁がございましたように、現在、これまで私どもの把握をしておりますところでは、システムの価格は平均的に大体キロワット七十万円というふうな水準で、それを三キロあるいは三・五キロワットということで、どのようにその投資を回収していくのかという点につきましては、先ほど委員が御指摘ございましたように、まず国の補助金がございます。そして、今回の買い取り制度に伴います、いわば、従来の余剰電力の買い取りの措置からさらに高額な価格で買い取るというふうな措置と、それから、太陽光発電の導入に伴いまして電力の節約がございます。また、税制の支援、あるいは自治体の補助金、グリーン電力証書といったようなものの活用、こういうふうなものを全体的に、総合的に組み合わせることによって今後の回収が図られる。

 その場合に、現時点では二十年を超えてしまう、そういうふうな回収の期間でございますけれども、これを最長でも十五年、そして、これをおおむね十年程度から十五年程度の間というふうなことでの制度設計でただいま検討をしておるところでございます。

 何分、これは電力の需要家に広く薄く御負担をいただくということもあわせてお願いをさせていただくということでございますので、全体の負担をいかに効率的に抑えながら、そして、こういった太陽光発電の導入が加速的に進むようにということを心がけてまいりたいと考えておるわけでございますけれども、そのためには、環境大臣からも御答弁がございましたけれども、市場の価格が下がっていくということが非常に重要なポイントであろうというふうに思っております。

 現在、二十年度の補正予算の実績をかんがみますと、一月から三月までの実績では、キロワットの平均価格が六十万円というふうに下がっております。既に、今回の政府のアナウンスメント、それから経済危機対策による方向性というものを受ける形で、このような市場の方向性が着実に根づいていくものだろうというふうに思っておりますので、まずはこの市場価格の低減ということを目指しながら、関係省庁とよく連携をとりまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田端分科員 実は、ことしのたしか一月二十三日だったと思いますが、総理がダボスに出発されるということを聞いたものですから、我々、公明党としての考え方をまとめて、総理のところに行きまして、「「グリーン産業革命」への提言」というものをお出ししました。それは、つまり、その中の柱は、太陽光発電ということが大きな柱になっていまして、ぜひ日本の経済の活性化のてこに、太陽光発電とかエコ自動車、電気自動車の技術とか、そういったものをして、そして今のこの不況脱出へ向けての大きな流れをつくるべきだということで、数字を提示しながら申し上げたわけであります。

 総理も、今までの、環境と産業の対立という図式から、いや、まさに環境がビジネスになる時代に入ったんだという御認識をその場で示されて、ぜひやっていこう、こういうお答えでございまして、それが今日の大きな流れに、総理も積極的に支持していただいているんだなと思っております。

 それで、実は、つい一週間、二週間前でしたか、私、長野県の飯田市に行ってまいりました。ここは、長野県の本当に山の中といいますか、そこにある町ですから、そんな派手な町でも何でもない、本当の田舎の素朴な町でありますが、しかし、ここが太陽光発電を進んでやっている地域であって、太陽光発電の環境モデル都市にもなっているんだと思います。

 私も実際に行って驚きましたが、NPOで立ち上げたものが今は株式会社になっていますけれども、ファンドを募って、そしてそれを資金に、幼稚園とか保育所とか公民館とかというところに太陽光のパネルを設置していって、今、三十七カ所につくっている。それが評判になって、今度は周辺の市町村にも広がって、周辺の市町村からも依頼が来て、今、百六十一カ所で事業として行っている。そうすると、それが今度は市民に大きな影響をもたらして、特に子供たちが太陽光発電ということを言い出して、そして市民の中にも、どんどんこの太陽光を屋根に取りつけていく、こういう連鎖反応になって、今、市民の二・七%が参加している、こういうことでありました。これは、市の行政、市長さんとか、そしてまたNPOを立ち上げた方々とか、努力が相当あったと思います。

 しかし、そういうことが一つの町でもでき、その町が波及的に周辺を巻き込んで大きな影響をもたらしているということを考えますと、今政府がとろうとしている施策を、ぜひもっと大きなものにしていただく、そして国民運動的な流れに持っていっていただくことが非常に大切ではないかなと思っている次第であります。

 幸い、今回の新経済対策の中に、エコスクール改修というものに太陽光ということを言っていただいておりますので、文科省が率先してPRしていただいて、今度は小中高の学校に取りつけていただくような流れができていけば、今言うような、この飯田市のモデルのようなものが日本国じゅうに広がるのではないかなと期待しているわけであります。

 文科省の方で、今回のこの新経済対策の中にこういうふうに位置づけられて、そして今計画されていると思いますが、その辺の思いをひとつ文科省としてお話しいただきたいと思います。

岡政府参考人 文部科学省では、従前から、太陽光発電の導入など環境を考慮した学校施設、いわゆるエコスクールづくりを進めてきたところでございまして、その整備に対して国庫補助も行ってきたところでございます。

 先生からお話がありました経済危機対策におきましては、学校耐震化の早期推進、太陽光パネルを初めとしたエコ改修、ICT環境の整備等を一体的に実施するスクール・ニューディール構想が盛り込まれたところでございます。

 このうち、エコ改修につきましては、公立小中学校施設への太陽光パネルの設置について、早期に現在の十倍となる約一万二千校への設置を目指すことなどを考えておりまして、スクール・ニューディール構想の実現に向けて、平成二十一年度補正予算に所要の額を計上するよう、財務省と調整しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、太陽光パネルの導入につきまして、できる限り多くの学校で事業化の検討が進むよう、関係省庁と連携の上、さまざまな機会を通じて、設置者である地方公共団体に対し、導入の意義や効果について情報提供を行うとともに、実施面、技術面での相談への対応を行うなど、導入の促進について最大限努力してまいりたいと考えているところでございます。

田端分科員 ぜひ積極的に、よろしくお願いしたいと思います。

 実は、環境教育推進法というのがありますが、これが今、見直し時期で、改正すべきだということで我々も議論させていただいております。つまり、自然体験学習といいますか、そういったことがこれからもますます大事になっていく、こう思っております。

 今回の新しい経済対策の中にスクール・ニューディール構想というのがあって、エコ改修に対していろいろなことが、今おっしゃられたようなことがたくさんあるわけでありますが、その中に、一項目として、言葉としては入っていると思いますが、学校の芝生化とか、それから学校ビオトープを設置するとか、こういったことも項目に入れていただいているわけですが、ぜひ、そういう自然と接する機会をできるだけつくっていく。

 特に小学校なんかは、例えば二万四千校ですか二万五千校ですか、全小学校に二百万ぐらい投じて学校ビオトープをつくったとしても五百億円ぐらいでありますから、これはもう、もしそれだけの金があってつくれれば人間教育に物すごく大きな影響をもたらすことになるんだと思いますから、積極的にそういう学校ビオトープとか、芝生化するとか、あるいは樹木や生き物をその学校の中で育てていくとか、そういったことも検討いただくような、そういう流れを今回の経済対策とあわせてやっていただいて、それをもしやれば、それにかかわる造園業者とか建築業者とか、もう大変な数の大きな効果をもたらすわけでありますから、そういったことをぜひ積極的に文科省の方で推進してもらいたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 先生のお話にありましたように、学校におけるビオトープは、人と自然の共存などを体験的に学ぶだけではなく、健やかな心を育てる重要な空間であると考えております。また、芝生により校庭を緑化し、学校の屋外教育環境の充実を図ることは、児童生徒の教育活動や体験活動を活性化することなどの教育上の効果が大きいというふうに認識しているところでございます。

 先ほど先生からお話がありました、経済危機対策におけるスクール・ニューディール構想の中で、太陽光パネルや省エネ改修、学校の芝生化、ビオトープなど、エコ改修を行うことが盛り込まれたところであり、これを受けて、所要の額を計上するよう財務省と協議しているところでございます。

 今後とも、先生のお話にありましたビオトープでありますとか校庭の芝生化については、その意義、効果を、学校設置者である地方公共団体等にさまざまな機会を通じまして情報提供を行い、事業化についての積極的な検討がなされるよう促してまいりたいと考えているところでございます。

田端分科員 それから、環境大臣、来年の十月に、名古屋で生物多様性条約第十回締約国会議、COP10が日本で開催されるということで、これは私は大変大きな行事になる、こう認識しておりますが、そういうことをやる以上、この自然再生といいますか自然を保全するということに、国家として、国として、予算をばっととって大きくかかわっていくというその姿勢が大事だと思います。

 だから、例えば、国家予算の一%は自然保全のためにお金を投ずるんだ、何かそういう大きな目標を持つぐらいにしてこれは取り組んでいくべきことではないかな、そういうことがなければ、日本で、主体性ということと実際やっていることとがやはりそごを来してはならないと思いますので、この自然回復、生態系保全というそのことに対して、今後どう取り組まれるか、ちょっと大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 一%といいますと八千八百億です。ところが、現状は〇・三%ですので二千三百億しかない。だから、三倍以上ふやさなくてはいけないわけですけれども、今後、生物多様性、地球の命つないでいこう、これは、これからの自然共生社会、また循環型社会、そして低炭素社会を形成していく上の基本だと思います。

 きょうの夕刻、「緑の経済と社会の変革」という構想を環境省として発表させていただきますけれども、その中心にこの自然共生社会というものを据えております。そして、循環型、低炭素というのを三つの柱として据えているわけでございますけれども、予算の拡充も含めて、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

田端分科員 それからもう一つ、環境省の方で頑張っていただいて、我々が主張した、今回の経済危機対策の中にポイント制度を導入した。これは、私は画期的なことだと思います。

 今、私たちが、何か物を買っても、食べても、どこに行っても、ポイントカードをお持ちですかといつも聞かれて、そのぐらい、いろいろなところでポイント制というのが普及しているわけですが、それを今度は国がやろうというわけですから、これは画期的なことだと思っております。省エネ家電であるエアコン、テレビ、冷蔵庫ということに限定はあるようでありますけれども、これはぜひ、しっかりとお取り組みいただきたいと思います。

 今問題になっているのは、つまり、実施時期、それまで買い控えになってしまう、こういうことでありますから、遡及するといいますか、仮に六月とか七月実施の場合に、五月に買ったものも伝票、領収書を持っていれば後でできるとか、何かそういうことが技術的にできないんだろうか。そうでなければ、発表したために、では実施されるまでちょっと待つよという、これは人間の心理が働く、こう思います。

 この点について、ぜひ混乱のないように、しかも皆さんに喜んでいただけるように、また効果があるようにしなきゃなりませんので、ここは経産省、それから地デジの問題がありますから総務省も絡んでいると思いますけれども、ぜひその辺は、環境大臣、リーダーシップをとっていただいて、何かいい知恵を出していただいて混乱のないようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今回のエコポイント事業は、各家電メーカーや四万社に上る家電販売店を初めとする多くの関係者の理解と協力を得て、円滑で効果的なシステムを構築していく必要がございます。そのためには、一定の時間が必要でございまして、買い控えを防ぐためには可能な限り早期に実施することが必要であることについては、十分理解しているところでございます。

 先ほどお話のございました、さかのぼっての適用については、車検制度がありディーラーが販売する自動車と異なりまして、家電製品の場合は、購入した製品の内容、時期等を事後的に証明する仕組みが整っておりませんし、制度の開始以前にさかのぼってポイントを付与するという取り扱いについては、かなり技術的に難しいのではないかと考えております。

 しかし、今、田端委員の提示がありました問題意識については、我々も十分認識をいたしておりまして、今後、経産省、総務省、環境省、三省で一つの体制を組んで、今できるだけ早い実施を目指して頑張っているところでございますが、この買い控えの問題につきましても、的確な手が打てるよう全力を尽くしていきたいと思っております。

田端分科員 ありがとうございました。では、以上で終わります。

山口主査 これにて、田端正広君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井勇治君。

藤井(勇)分科員 私は、自民党の藤井勇治と申します。

 きょうは、環境問題について、大臣や環境省の皆さんにお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今は、百年に一度と言われる世界同時不況ということで、昨年の秋以来、国民生活を直撃するいろいろな不景気問題が我々の生活の中にも押し寄せてまいりました。我が国も、二〇〇八年十月から十二月期のGDPの成長比率が前年比マイナス三・二%、年率では一二・一%と、我々が経験したことのない数値が発表されておりまして、景気の急降下に直面して、国民生活に大変な影響を与えようとしております。

 こうした世界的な経済危機の中で、環境に対する大胆な取り組みや先行投資を景気対策の中核に据えるという、いわゆるグリーン・ニューディールと言われる仕組みが世界各国で始まっております。アメリカでは、新しく誕生したオバマ大統領が、景気回復の切り札の一つとして、景気そしてエネルギーに千五百億ドル、大変な投資をして五百万人の新規雇用を創出する、また、二〇一五年までには百万台のプラグインハイブリッド自動車を導入するという、大変大胆で具体的な目標を公表されております。

 もちろん、日本の国が米国におくれをとっているということではないわけでありますが、米国の環境・エネルギー分野での取り組みの多くは、既に日本が先行して進めてきた分野であることは明らかでございます。しかも、あの二度のオイルショックを乗り越えてきたのは、我が国の省エネや環境技術がトップ水準の位にあるということから乗り越えられてきたというふうに思います。

 先般、十日ですか、麻生総理は経済危機対策を発表されて、そして、未来に向けた三本の柱の一番手に低炭素革命を掲げられました。我が国がすぐれた技術を持つ環境やらエネルギー分野において、太陽光パネルの設置に対する支援、それから環境対応車の購入を支援するなど、抜本的な取り組みを講じておられます。この中期的な成長を図ろうという意思を総理は内外に公表されたわけでございます。

 斉藤大臣は、この総理の指示を受けて、環境分野での包括的な取りまとめをされる、そして、今夕、「緑の経済と社会の変革」ですか、このことを発表されると先ほどもおっしゃいましたが、この取りまとめに向けた大臣の御決意をまずお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 環境を切り口にして経済そして社会の構造を変えていく、変えていくだけではなくて、それが日本の競争力の源泉になって世界をリードしていく、そういう考え方に基づいて、「緑の経済と社会の変革」ということを総理の指示に基づいて取りまとめてきたところでございます。

 経済危機対策、また経済成長戦略、未来開拓戦略という名前でございましたけれども、等は、低炭素革命ということが中心になっております。

 低炭素革命というのは非常に重要なんですが、今回我々が取りまとめるのは、この低炭素革命も含めて、自然共生社会、そして循環型社会、そういう三つの柱のもとで、環境を切り口にして新しい社会経済の姿を示していくというものでございまして、短期ではなく、比較的中長期的な観点から取りまとめをさせていただいたところでございます。

 総理からの御指示の一番は、環境省だけでやるなよ、各省庁とよく連携してやりなさいということで、これまで、各省庁といろいろ連携をして、一緒にやっていこうというところで取りまとめたものでございまして、これからの日本経済の元気の根源にしていきたい、このように決意しております。

藤井(勇)分科員 今夕発表されるということでございますが、国民も注視をいたしておりますので、大臣のおっしゃいましたように、各省庁連携してこれらの対策に取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、太陽光発電についてお伺いしたいと思います。

 低炭素社会づくりのために、産業革命以来の、化石燃料に依存する社会から脱却をしまして、再生可能なエネルギーを大々的に導入していく必要がある。こういう考え方の中で、太陽光発電は、我が国が世界のトップレベルを走ってきた技術であるというふうに承知をしております。導入のポテンシャルも非常に大きいものがありますが、大きな期待を持っております。

 新築はもちろんなのでございますが、既存の住宅やビルにも設置をすることが大変容易であるとお聞きしておりまして、国民の皆さんや特に中小企業の事業者の皆さんが、身近なところで地球温暖化対策に取り組むことを可能とするというふうに思います。そして、環境に配慮しながら、快適なライフスタイルやらビジネススタイルを生み出していくということにもつながっていくと思います。

 この太陽光発電を積極的に普及させるためには、さきに経済産業省が発表されたのでございますが、固定価格買い取り制度、このような仕組みづくりが重要であることはもちろんだと思っておるんですが、これに加えて、先ほども出たのでございますが、国やら地方公共団体がまず範として示すということで、率先してこれらの公共の施設に太陽光発電を設置していく、そして新たな需要を生み出していくということも大事なんだろうと思います。

 全国にある国公立の学校が、数万あるようでございますが、子供たちに対する環境教育効果と申しますか、こういうふうなことの効果も相当見込めると思いますので、このような公の施設にまず率先して太陽光発電を普及さす、こういう取り組みが大事だと思うのでございますが、このことについて、この取り組みの方策といいますか、これをぜひ地球環境局長にお伺いしたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、低炭素社会を構築するため、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入は極めて重要なものと考えております。

 去る四月十日に公表されました経済危機対策におきましては、公共建築物や、スクール・ニューディール構想による学校への太陽光発電の導入促進が盛り込まれておるところでございます。また、こうした住宅等への取り組みとあわせまして、二〇二〇年ごろに現在の二十倍程度に導入量を拡大するという新しい目標も同時に掲げられたところでございます。

 庁舎や学校などの公共施設への太陽光発電の導入拡大は、地域に模範を示す率先的な地球温暖化対策といたしまして重要であることに加えて、地域経済の活性化、あるいは、御指摘がございました学校の場合は環境教育効果、こういう視点からも非常に重要な取り組みというふうに考えております。

 環境省といたしましては、これまでも、地方公共団体の建物への率先的な導入支援などを行ってまいっているところでございまして、今後とも、関係省庁と連携をいたしまして、導入量の一層の拡大に努めてまいりたいと考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございます。

 二〇二〇年に現在の二十倍という具体的な目標を掲げているということでございますが、ぜひ、それを実行して、検証して、実現を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、もう一点、次世代の車の普及促進ということで御質問をいたします。

 排出ガス性能や燃費性能にすぐれた自動車を普及させることは、環境の保全に役立つだけではありませんで、経済面でも、将来、我が国が世界をリードしていくというためにも大変重要な課題だというふうに思います。

 海外の主要国では、既にこうした動きが進みつつあります。先ほどお話ししましたアメリカのオバマ大統領は、二〇一五年までに百万台のプラグインハイブリッド自動車を生産、導入するという具体的な例を掲げておられます。また、ヨーロッパの一部の国でも、環境性能にすぐれた自動車の買いかえにインセンティブを与える、こういう施策の導入が始まっています。

 我が国でも、与党の平成二十一年度の税制改正大綱で、電気自動車について免税の対象とする、また、自動車取得税そして自動車重量税の思い切った軽減措置を盛り込んだ抜本的な取り組みを進めているところでございます。

 このような世界的な経済危機に直面する今こそ、環境と経済がしっかりと両立する新たなビジネスモデルの構築が必要不可欠なときに入ったんだろうと思います。次世代自動車の普及促進に向けて、具体的にどのように取り組んでおられるのか、水・大気環境局長にお伺いをいたします。

白石政府参考人 先生今お話ありましたように、排出ガス性能及び燃費性能のすぐれた環境負荷の小さい自動車の普及、これは、経済ということもございますし、また、都市の大気環境の改善あるいは地球温暖化対策ということからも重要と考えております。

 政府といたしましては、二〇二〇年までに新車販売のうち二台に一台を次世代自動車でという低炭素社会づくり行動計画を目標として打ち立てまして、その実現を目指しております。そのためにいろいろな、先ほど御指摘のありました税制であるとか、あるいは、今までも市場導入前の、電気自動車の普及のための実証事業ということをやっております。

 さらに、先ほど大臣の方からも御答弁ありましたように、「緑の経済と社会の変革」という中でも、こういった次世代自動車等の普及促進に向けた取り組みというものを強化してまいりたいと考えております。

 もちろん、こういったことは環境省だけではございません。ほかの関係省庁とも緊密に連絡して、施策の推進に当たってまいりたいと考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 二〇二〇年には二台に一台、かなりの確率になってまいりますので、ぜひ積極的な推進策を具体的に講じていっていただきたいと思います。

 それから次に、先ほども出ておりますが、グリーン家電の普及ということについて、私も一つ、最近の思いやらをお話しさせていただきます。

 先般、麻生総理が発表した経済危機対策の中に、グリーン家電の爆発的な普及を進めるという対策が盛り込まれました。これは、省エネ型のエアコン、冷蔵庫、テレビを購入した際に、購入価格の五%程度エコポイントを付与するということで、そのポイントを使って省エネ製品などの購入に役立ててもらおうという、大変すばらしいアイデアだと思います。テレビについては、さらに五%程度上乗せして、地デジの普及を加速することも目指しているというふうに報じられております。

 マスコミで既に、新聞、テレビで大きく、ワイドショーでも取り上げておられまして、家庭の主婦の皆さんの中でも、女性や奥さんの目線に立った効果的な政策だということで、国民の中からも非常に期待が高まっているというふうに思っております。私も、このエコポイント制に期待をしております。

 ちょうど今、定額給付金、これも国民の皆様に給付が始まっている最中でございます。タイミングも非常にいいと思いますので、消費者の皆さんにとって使い勝手のよい、環境に優しいグリーン家電の買いかえ意欲を刺激するような、身近なところで地球環境に貢献していく、そういう希望に沿えるようなスキームを早急につくっていただきたいということです。これは今政府の方で討議中ということでございますので、ぜひ使い勝手のよいものにしていただきたいということをお願いと御提案をしておきますので、よろしくお願いいたします。

 それから、地球温暖化についてもう一点お伺いをさせていただきます。

 ことしは、デンマークで、京都議定書に続く次期枠組みの合意を目指すCOP15、これが開催される極めて重要な年であるというふうに聞かされております。これから行われる国際交渉は、本当に各国が、恐らく大きな利害関係が絡み合いながら、非常に真剣でタフな国際交渉が行われるんだろうというふうに予想されます。そういう意味で、まさに我が国の外交力、そして環境力が問われる会議になるんだろうと思います。斉藤大臣、次期枠組みの締結に向けて、ぜひ強いリーダーシップを日本の代表として発揮していただきたいというふうに期待とお願いをしておきます。

 このCOP15において我が国がリーダーシップを発揮していくためにも、現在、政府部内で検討されています温室効果ガス削減の中期目標において、思い切った野心的な目標を打ち出すことが重要でないかと思っております。

 科学者の集まりでありますIPCCは、二〇二〇年度までに先進国全体で温室効果ガスを一九九〇年に比べると二五から四〇%ぐらい削減することが必要だというふうに指摘されています。我々は、ノーベル平和賞を受賞した、科学者の集まりであるIPCCの警告を真剣に受けとめて、そして人類が本当に将来にわたって生存できるように、負担の公平性に配慮しながら、きちんとした科学的裏づけのある目標を掲げるべきだと思います。

 環境省として、この中期目標のあるべき姿はどういうふうに考えておられるのか、担当の局長にお伺いいたします。

    〔主査退席、宮下主査代理着席〕

寺田政府参考人 中期目標のあるべき姿についてのお尋ねでございます。

 主要な点、三点ほどあろうかと思っております。

 まず第一点は、委員もおっしゃられましたけれども、そもそも中期目標を何のためにつくるのかといえば、これは地球温暖化を防止するというためにつくるのであります。したがいまして、この中期目標におきましては、地球や人類にとって大変な危機でありますところの地球温暖化問題を解決に導くためには一体どのくらい温室効果ガスを削減しなければならないか、委員御指摘のIPCCを初めとする科学の要請にこたえなければならない、これがまず第一点であろうかと思います。これが最も基本であろうかと思っております。

 第二点でございます。

 中期目標は、すべての主要経済国が参加する実効的な枠組みづくりに貢献する必要がございます。我が国ただ一カ国で地球温暖化を防止するわけではございません。地球全体がそのために一致して、手をとり合って削減に進んでいく、そういった姿を導くためにどのような中期目標が必要か、特に中国、インドなど、途上国の積極的な行動を引き出すためには、我が国が野心的な目標を掲げる必要があろうかと考えております。

 第三点でございます。

 中期目標は、経済面でも実行可能なものでなければなりません。ただし、その際に、野心的な目標の設定が技術の開発を促しまして、そこで生まれた技術が経済活性化につながるというような点もあろうかと思います。そういった点に配慮した野心的な目標であるべきであろうと思っております。

 以上、三点申し上げましたけれども、中期目標につきましては、有識者を含め、オープンな場で、科学的、総合的な見地から選択肢の詳細な分析が行われてきておりまして、先日、四月十四日でございますけれども、六つの選択肢の分析結果が示されたところでございます。

 これらの選択肢について、現在、パブリックコメントの募集を行っているところでもございます。また、今後、国民的な議論が十分になされ、適切な中期目標が決定されるよう努めてまいりたいと考えております。

藤井(勇)分科員 ぜひ、野心的な目標、国際目標を設定して、そして実現可能な野心的目標、これを日本がリーダーシップをとってやっていかなければならないと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、少し私の地元の話で恐縮でございますが、私は滋賀県の出身でございまして、文字どおり、我々の命と財産であるのが琵琶湖でございます。この琵琶湖の問題について、今何点か大事な問題が発生しておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 琵琶湖は、もちろん滋賀県に位置するわけでございますが、まず何よりも近畿圏の一千四百万人の水がめである、そして近畿圏の命と暮らしと産業を支える貴重な水源であるという位置づけでございます。しかも、四百万年の歴史を持つという世界有数の古代湖でもありまして、琵琶湖は五十種以上の固有種を含む豊かな生態系を持つ。私は、そういう意味では国民の財産であって、日本のシンボルであるというふうに琵琶湖を自負しております。また、ラムサール条約の登録湿地にもなっておりまして、これまた世界共有の財産でもあるというふうに位置づけております。

 これまで、もちろん地元の滋賀県、そして国土交通省、農林水産省、環境省など、六省庁にまたがりまして、さまざまな分野から琵琶湖の環境改善に取り組んできました。残念ながら、いまだに根本的な問題が解決されていないということやら、また、最近は琵琶湖に新しい問題が出てきまして、水質の汚濁、そして湖の湖底近くの水の酸素濃度の低下、あるいは外来魚でありますブラックバスやブルーギルの大変な量のふえ方、またカワウによる生態系や漁業への影響、あるいは琵琶湖の南湖、南部の方でございますが、水草が異常に繁茂するということで、生活環境の悪化や漁業への影響など、大変深刻な問題が三点、四点と発生してまいりました。

 琵琶湖という貴重な財産を将来の世代に引き継いでいくためには、琵琶湖を健全で恵み豊かな湖として再生することが大事で、そのために総合的な対策が必要だと思っております。このため、現在、特に与党で琵琶湖の再生に関する法律なるものを取りまとめておりまして、ぜひ立法化をしようということで、今準備をしている最中でございます。

 環境省もいろいろリーダーシップを出していただいているわけでございますが、ぜひ琵琶湖の環境改善、この問題に対しまして、環境省が改めて先頭に立って琵琶湖の環境保全に取り組んでいただきたいという思いでございます。大臣の琵琶湖に対する見解をお伺いいたします。

斉藤国務大臣 琵琶湖は、今お話がございましたように多数の固有種を持っておりまして、貴重な自然環境の宝庫でございます。また、将来の世代にきちんと引き継がなければならない日本の財産、このように考えております。そして、与党を中心として琵琶湖再生のための法律が検討されている、このように承知しております。

 現行法制におきましては、琵琶湖の水質については湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼に琵琶湖を指定いたしまして、水質保全対策に取り組んでおりますし、また、オオクチバスなどの外来魚については効果的な防除手法や在来種の回復手法の実証調査を行ってきているところでございまして、近年増加したカワウについても広域的な連携のための協議会を設置するなどの取り組みを行って、環境省としても、現行法制に基づいて取り組んでいるところでございます。

 新しい立法ということでございますけれども、先ほど申し上げました貴重な財産を後世に残すということでございますので、環境省も一緒に議論をさせていただき、協力をさせていただきたいと思っております。

藤井(勇)分科員 大臣、どうもありがとうございます。

 琵琶湖に対して大変な認識をお持ちいただいているということに、我々も力強く感じております。この琵琶湖再生法に大臣の特段の御理解やらお力添えをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 我々滋賀県人は、琵琶湖のことを母なる湖琵琶湖と申しまして、本当に健全で恵み豊かな湖として再生をしていくということは今この地で生きているものの義務である、そういう熱い思いでおります。後代の国民に継承していかなければならないことは確かでございますので、どうか国を挙げての御支援をいただきたいというふうにお願いをいたします。

 最後にもう一点だけ、琵琶湖に隣接するもので、琵琶湖の北部なんでございますが、早崎内湖というのがございます。これは、国の施策によって、米をつくるという政策のもとに干拓されましたが、その用を終えたということで、現在、早崎内湖干拓地では、全体が八十九ヘクタールでございますが、十七ヘクタールを試験的に戻すということで、そういう意味では最先端の自然再生事業を行っております。

 早崎内湖は、かつては、琵琶湖の固有種でありますゲンゴロウブナあるいはニゴロブナなどの重要な産卵場でありまして、カイツブリなどの水鳥などの生息地としても重要な生態系をつくってまいりました。そういう意味では非常に貴重な場所なんでございます。

 これまでの試みで、早崎内湖には、約四百種の植物種、コハクチョウなど百種の鳥類、ニゴロブナなど二十種以上の魚類が確認されるなど、着実に成果を上げているというふうに聞いております。

 このような早崎内湖の再生は、実は琵琶湖の生態系を保全する取り組みとして非常に重要でございまして、我が国における湖沼保全のモデルにもなるのではないかというふうに考えております。

 早崎内湖の再生に対しましても、引き続き、政府の、環境省の積極的な支援をいただきたいと思っております。早崎内湖再生について、大臣の考えをぜひお聞かせいただけますか。

斉藤国務大臣 自然再生というのは非常に大事な事業でございます。

 御指摘の早崎内湖の自然再生は、干拓された内湖の生態系の回復を目的として滋賀県が実施している先駆的な取り組みで、環境省は、自然環境整備交付金によりましてこの取り組みを支援させていただいております。今お話がございましたニゴロブナとかカイツブリなどで着実に成果を上げているところでございます。

 現在、滋賀県では湛水範囲を拡大させるための調査や手法の検討を実施しているというところでございまして、環境省としても、引き続き事業主体である滋賀県に対して技術的、財政的な支援を続けてまいりたい、このように思っております。

藤井(勇)分科員 大変ありがとうございました。

 ぜひ、引き続き財政的、技術的支援、継続して御支援をいただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮下主査代理 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、斉藤環境大臣を初め環境省の皆様に何点かにわたりまして質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 初めに、ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCB廃棄物問題について何点か御質問させていただきます。

 PCBは、高圧トランス、コンデンサーなどの絶縁油などに広く使われてきまして、毒性が極めて強く、分解されにくいという性質を持っており、昭和四十九年以降は製造が禁止をされてまいりました。それまでに、国内ではおおむね五万四千トンのPCBが使用されてきたと言われております。

 その後、約三十年間にわたりましてPCB廃棄物は長期保管をされてきましたけれども、処理は行われずに、紛失や漏えいといったことも言われ、環境汚染が随分と指摘されてきました。そうした事態を受けて、平成十三年にPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が定められまして、事業者はPCB廃棄物を適正に保管、管理するとともに、平成二十八年までに適正処理することが義務づけられたところであります。

 現在、この特措法制定から目標年次までのおおよそ半分が経過いたしました。このPCB廃棄物の処理の進捗状況、また目標達成の見通しについて、環境省としての御見解を伺います。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 今PCBの処理を実際に行っております日本環境安全事業株式会社によりますと、平成二十年度末までにおけるPCB廃棄物の処理実績でございますが、高圧トランスが約千四百台、高圧コンデンサーが約三万台、その他機器が四千百台と報告を受けております。

 これらを同社の事業基本計画における全体の処理量と比較いたしますと、その割合は、高圧トランスが約一〇%、高圧コンデンサーが約一一%、その他機器が約八%となっておるわけでございます。

 高圧トランス等につきましては、施設整備も一巡をいたしまして、今後、その処理が本格化することとなっております。したがいまして、期限である平成二十八年七月までの処理完了を目指して、処理施設の稼働率の向上、迅速な処理が図られるように引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

上田分科員 今答弁にありましたけれども、おおよそ半分が経過した現状において、約一割の処理しか終わっていないということであります。

 残念ながら、ここまでは処理が余り順調に進んできていないというのが現状だと思います。保管、処理について、非常に毒性が強い、また住民の方々からも非常に懸念が強いということもあって、さまざまな処理についての課題があるということは十分承知をしておりますが、かなりおくれているのは現実として認めざるを得ないんだというふうに思います。

 そうしたPCB廃棄物は、電力事業者などが保管、処理をしている分もありますけれども、その多くは現在も中小・小規模な電気工事事業者などが保管をしているのが現実であります。長期保管には相当な負担がかかっておりますし、また、残念ながら事業者の移転とか解散などによってPCB廃棄物が散逸してしまうという危険性も非常に高くなってきているというふうに思います。

 最近、地元の事業者からお話を伺っていますと、今の厳しい経済情勢の中で、事業をやめたいんだけれども、保管しているPCB廃棄物はどう処理したらいいのか非常に困っているというような相談も数件受けました。今お話にありましたJESCO、ここが実質的には唯一処理する能力を持っているわけでありますけれども、このJESCOに処理を申し込んでも、処理能力に限界があって、何年も先でなければ対応できないというような答えが返ってくるということであります。

 こういうふうに、今保管しているものをどうしようかというふうに少々困っているところはまだいいんだと思うんですね。ところが、この経済情勢ですから、こういう電気事業者、いつ倒産とか解散というようなことも起きるかわからない。そうしたときに、経営難から事業を休止するわけですから、このPCBの廃棄物がそのまま放置をされてしまう、そして散逸してしまう危険性が非常に高いのではないかと私は懸念をしております。

 環境省として、こうした現状をどのように認識されているのか、また、本当にこれは現実に非常に大きな危険性があるものだというふうに私は考えておりますが、それに対してどういう対策を講じられるつもりなのか、お考えを伺います。

谷津政府参考人 御指摘の、中小企業における長期間のPCB廃棄物の保管の問題でございますが、この保管というものがそれぞれの中小企業の皆様に大きな負担となっているということは、私ども環境省といたしましても十分認識しておるわけでございます。

 このため、PCB廃棄物が散逸することがないように、これまでも中小企業の破産等によって適正な保管場所の確保ができないような事例もございましたが、こうした場合に、関係の都道府県間で調整を行いまして、優先的にJESCOが破産に伴って保管場所が確保できなくなったPCB廃棄物を処理した実績もございます。

 こうした観点から、都道府県が実際の中小企業者の方々との連絡の窓口あるいはJESCOとの調整に当たるということではございますけれども、私どもといたしましても、PCBの処理が中小企業のそういったさまざまな困難な実情を反映した形で適切に行われますように、都道府県と連携をして、積極的な情報提供、また、いずれにいたしましても早期にこういったPCB廃棄物が登録をされ早期に処理が行われることが極めて重要でございますので、そうした方向で、引き続き関係機関と連絡調整、また指導を行ってまいりたいと思っております。

上田分科員 認識を持っていただいていることは大変ありがたく思います。ただ、今ずっと答弁を伺っていると、問題はわかるんだけれども、どう対処するかということになると、頑張るとしか言いようがないというのが現実なのかなというふうに受けとめました。

 今、現行制度では、自社で処理できる電力会社などを除いては、事実上JESCOにお願いをして処理をするしか方法がないわけでありますけれども、先ほど述べたように、JESCOの処理能力というのは現状では全く不十分であります。相当キャパシティーは整備をされてきたということでありますけれども、その処理を待っているストックが大変山積をしているという状況であります。

 もちろん、このスキームで処理を進めていくということも大切なんですけれども、私は、先ほど何とか目標達成のために頑張るという答弁ではありましたけれども、これでは当初の目標というのは到底達成できないというふうに考えるのが自然なんじゃないかというふうに感じました。

 新たな処理技術の開発を促進するとか、民間事業者を活用して処理の推進を図るとか、現状のスキーム、さまざまな課題があってなかなかうまくいかないというのは十分承知をしているわけでありますけれども、このままでもほとんど問題の解決にはならないわけでありますので、抜本的な見直しが必要な時期になっているのではないかというふうに思いますけれども、その辺、お伺いをしたいと思います。

谷津政府参考人 民間も含めた処理体制の整備、また技術開発の促進というようなお尋ねでございます。

 PCB廃棄物の処理につきましては、昭和五十一年に廃棄物処理法に基づく基準が決められまして、廃棄物処理法に基づく許可を受けることでJESCO以外の民間の事業者が処理を行うことが制度的には可能になってございます。しかしながら、周辺住民を初め地域の御理解が得られないというようなことから、長年にわたって民間事業者による処理がほとんど実現されなかった、一件例外がございますけれども、そういう状況にございます。このため、平成十三年にPCB特措法が制定された。こんな経緯があるわけでございます。

 したがいまして、先ほど来御指摘があって、なかなか進捗していないんじゃないかということでございますけれども、当面はこのJESCOによる、全国五カ所、昨年五月におおむね整備されたということでございますので、これまで初期トラブルはいろいろございました、そういう中で培った経験を生かしながら、早期に処理が本格化されるように万全を期してまいりたいと思っております。

上田分科員 今答弁にありましたとおり、制度的にはいろいろな体制が整っております。ただ、実質的には、計画に比べて非常におくれてきていて、目標達成もなかなか難しいというのが現状なんだというふうに思っております。

 そこで、すごく心配になるのが、先ほども申し上げましたとおり、たくさん中小・小規模の事業者が保管をしているわけでありますから、これがもう何年もたつとなかなか保管し切れない、また会社自体も、代がわりをしたり、こういう経済情勢ですからいつどういうようなことがあるともわからない。非常に毒性が強いと言われているこのPCBの廃棄物が散逸してしまわないように、やはり何らかの対策をぜひ検討していただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、全く今とは違った話でありますけれども、いわゆるペット動物の件についてお伺いをいたします。

 毎年、犬や猫などのペット動物が大量に殺処分されております。ペットを飼っている人にとっては犬や猫というのはまさに家族の一員みたいなものでありますから、こうした事実が報道されるたびに、大変多くの方々が心を痛められております。

 これまで、動物愛護管理法の制定、あるいは環境省、地方公共団体の努力、ペット関係事業者の取り組みもあって、かつては年間百万頭を超えていた殺処分の件数が近年は随分と減少いたしまして、年間三十万頭だというふうに言われておりますが、ただ、依然として三十万頭の犬や猫が毎年殺処分されているというのが現実であります。

 こうした現状をどのようにお考えなのか、また、この殺処分をなくしていく、極力減らしていくためにどのような施策を推進されているのか、お考えを伺います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県におきまして、動物愛護管理法の規定に基づきまして、所有者の判明しない犬、猫の引き取り等を行っているところでございますが、今委員からお話がありましたとおり、近年少しずつその数は減少してきておるところでございます。

 平成十九年度、ちょっと細かい数字ですが、年間約三十三万六千頭の犬、猫が引き取られておりますが、その八九%に当たります二十九万九千頭が殺処分、こういう状況でございまして、引き続き殺処分を減少させていく必要があるというふうに認識しておるところでございます。

 殺処分数の減少を進めるために、動物愛護管理法に基づきまして、平成十八年の十月に動物愛護管理基本指針を定めております。この中で、不妊去勢措置の推進、あるいは犬、猫を最後まで飼う、いわゆる終生飼養、この徹底を図ることによりまして、犬、猫の引き取り数を平成十六年度の約四十二万頭から平成二十九年度末までに半減させる、こういう目標を掲げました。また、引き取った犬、猫の返還、譲渡等を進めることなどによって殺処分率の減少を図るということもこの中に盛り込まれているところでございます。

 環境省では、こういうことを着実に進めていくために、終生飼養の徹底など適正飼養に関する普及啓発、また講習会の開催などを進める。さらに、譲渡を促進するため、引き取ったり保管されている動物に関する情報をインターネットなどを利用して広域的また迅速に伝えていく。さらには、今年度からでございますが、自治体が行います動物の収容、譲渡のための施設に関する改修などの整備に関して、国庫補助により支援をする。こういうことを実施することとしておりまして、今後とも、都道府県また関係する団体と連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

上田分科員 これまで環境省、それから地方公共団体が大変な御努力をいただいてここまで前進をしてきたことは、評価できるというふうに思っております。

 もちろん、この大量殺処分が行われている最大の原因というのは、無責任なペットの飼い主であったり一部の大変不届きな事業者によるものが大きいわけであります。環境省として、今、責任を持って飼育していくための啓発活動を行っているとか、捨て犬、捨て猫を新たな飼い主に渡す努力を行っている、そういったお話を伺えたところであります。引き続き、積極的な対応をぜひお願いしたいと思っております。

 この件に関して、私もよく伺うのは、こうした捨てられた犬や猫の保護とか、訓練をして飼いやすいようにする、あるいは一定の役割を担えるようにするとか、また、そうしたことを通じて飼い主を探す、そうした積極的な活動を行っている民間団体もたくさんございます。中には、捨てられた犬などを高齢者の方々に対していやしを与えるような犬として訓練するとか、そういった事業も行っているところもございます。

 環境省や地方公共団体、今一生懸命努力はしていただいているんですけれども、やはりどうしても限られた人員や予算の中で、対応には限界があるんじゃないかというふうに感じられます。そういう意味では、こうした民間団体との連携を強化していくことも重要だと考えております。

 また、こうした民間団体などからは、もちろんこうした活動はボランティアとして行ってはいるんだけれども、例えば施設の整備や活動の一環として行ういろいろな啓蒙普及活動などに対しては、公的な助成もあれば助かるなというようなお話も伺っておりますが、民間団体との連携や、それらに対する助成策などについてはどのようにお考えでしょうか。

黒田政府参考人 飼い主のいない犬、猫の収容とか譲渡とかを行うNPO法人というのが非常に、非常にというか、着実に、いろいろな活動というのが全国各地でふえてきているというふうに認識しています。

 こういう団体の中には、自治体が収容しました犬、猫を引き取って、さらに、少し時間をかけて譲渡先を探したりして行政と連携しているものもございまして、こういう活動は譲渡の機会をふやしていくために非常に重要というふうに考えておりまして、今後も自治体を通じての連携というものが深まっていくことが期待されているところでございます。

 それから、犬、猫の不妊去勢に取り組む民間団体に対して、自治体によっては手術の際の助成というものを行っているケースもふえてきているところでございます。

 環境省では、平成二十年度から自治体の犬、猫の引き取りに係るえさ代であるとかワクチン代が地方交付税の対象となりましたが、このことを関係自治体に周知してきております。また、先ほど申し上げましたとおり犬、猫の収容施設につきまして施設整備の補助金を新たに設けたところでございますが、こういうことによって収容施設が譲渡の場として活用されることを期待しておるところでございます。さらに、捨て犬、捨て猫を減らすということが前提として非常に重要でございます。愛護団体などと協力しまして、動物愛護に関する行事の実施であるとか啓発用のパンフレットの作成などにも取り組んでおるところでございます。

 これからも、こうした民間団体、自治体と連携して、犬、猫の引き取りあるいは殺処分の削減にしっかり努めていきたいというふうに考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今、世の中はまさにペットブームと言われている中で、本当に家族の一員として大変かわいがっている方もいらっしゃいます。特に高齢者の方々などは、今、ペットがまさに自分の一部になっているような方々も多くいらっしゃるわけでありますが、その一方でこういった非常に悲惨な現実もあるということ。これからも、ぜひこの殺処分が削減されていくように、なくなるように努力を進めていっていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 最後になりますけれども、先般内閣・与党で決定いたしました経済危機対策の中に盛り込まれている事項について、質問させていただきます。

 まず、エコポイント制度についてであります。

 この制度は、エネルギー消費量の少ない家電製品への買いかえを促進することによりまして、今非常に停滞をしている家電製品の消費を喚起する効果が期待できます。また、当面の景気浮揚以外にも、中長期的には低炭素型社会への転換という、この両面の効果があるというふうに承知をしておりまして、この時期に実施をする経済対策として大変有効なものであると考えております。

 ただ、ここに来て、やはり地域の小規模な電気製品の販売店の皆さんからは、電器量販店がこのエコポイント制度が実施をされることを見込んでかなり積極的な営業戦略を展開している、その結果、お客さんが過度にそうした量販店に集中してしまうのではないかということに対する懸念が聞かれます。

 小規模な販売店では、もともと大変厳しい競争環境、経営環境の中にありまして、価格競争ではなかなか量販店にはかなわない、だからアフターサービスを提供するとか、そういう価格以外の付加価値の部分でこれまで何とか営業を続けてお客さんに販売をしてきたという面があります。ただ、ここに来て、エコポイントを活用することによって一気に電気製品の販売がふえると、そうした日常的な地道な営業努力というのが、効果がなくなってしまうんじゃないかというようなことが懸念をされております。

 今回の対策によりましてそうした地域における顧客との信頼関係に基づいた小規模な販売店の努力が失われることがないように、実施に当たりましては、ぜひ小規模な販売事業者の意見も十分聞いていただいて、そうした事業者の利益が不当に害されることがないように対応していっていただきたいというふうに考えますけれども、御見解を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 今御指摘の点は、非常に重要な点だと思っております。

 大手家電量販店、そして地域の電器屋さん、そしてスーパーなどでも売っております。それぞれの業態に差が出てくるようなことがあってはならない、公平な制度にしなくてはいけない、このように思っておりまして、環境省、経済産業省、総務省で三省連携してこれから具体的な施策の設計をする、今スタートしたところでございますが、その施策の具体的な制度を設計する中で、地域のそういう電器屋さんの御意見等もしっかりお伺いをしていきたいと思っております。

上田分科員 その点、ぜひお願いしたいと思います。

 もう既に大臣も御承知のとおりでありますが、家電量販店は、これまでも独禁法などに抵触するような商行為が行われるということもたびたび指摘をされてきておりますし、また、今はDMの送付などによります不正な事案などがあって、その商行為については、こうした個別の販売店からは常々大変厳しい目で見られております。

 今回、せっかくのこうした国の対策で、逆にそうした不当な不利益をこうむることになりますと、その評価に対する疑問が生じかねないところでありますので、ぜひその点はお願いしたいというふうに思っております。特に、そうした家電量販店の行為が法律の趣旨に触れることがないような監視体制なども、関係省庁でよく連携をとっていただいて、万全の対応をしていただきたいと思っております。

 本当は最後にもう一問お聞きしようと思ったんですけれども、時間になりましたので、ちょっと御要望だけさせていただきます。

 今回の経済危機対策の中では、低炭素革命ということでさまざまな対策が盛り込まれております。そして、国の施設においてもグリーン化を進めるための対策が盛り込まれております。環境省でも、所管する世界遺産センターや国立公園などの施設においても太陽光発電や燃料電池、ヒートポンプ、LED照明の設置などを推進していく計画というふうに伺っております。

 ほかの省庁でもいろいろと対策が盛り込まれているんですが、それぞれ余り整合性がとられず、どうもばらばらに行われているような嫌いもございます。ぜひ環境省にその辺のリーダーシップをとっていただきまして、国全体、いろいろな施設があります、各省にまたがる施設がありますけれども、グリーン化を進めるために整合性のある対応をしていただきますように要望いたしまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

宮下主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤宣彦君。

遠藤(宣)分科員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 きょうは、環境大臣に御質問する機会を得られまして大変感謝をしております。

 私は、委員会に割と多く入っておりまして、内閣委員会、総務委員会、国土交通委員会、厚生労働委員会に消費者特別委員会。ぜひともこちらで質問したいとずっと思っていたんですが、きょうやっと念願がかないました。

 斉藤大臣におかれましては、国土交通委員会のときに御一緒させていただいていろいろお話をさせていただいたということと、あるいは、私自身が郵政省のときに宇宙関係のセクションにいたものですから、斉藤大臣が宇宙の関係にお詳しい、まさに宇宙から地球を見てどう思うのか、そういった視点を持っている方が環境大臣になられたことを本当に私自身は個人的にうれしく思っております。

 そしてまた、今回、余計な話かもしれませんけれども、この環境問題でぜひとも質問したいと思った理由が二つございました。

 一つは、斉藤大臣は、我々の友党であります、連立のパートナー公明党に属していらっしゃる。特に、私は自民党研究会というのをやっていまして、政党のあり方、いろいろなものを研究しますけれども、公明党という政党は非常に環境問題に親和性があるというふうに思っているんですね。これはまた後で申し上げます。

 もう一つは、私自身が九州の福岡一区、博多区、東区を選挙区とする人間なんですけれども、九州の福岡というところは環境問題の本当に凝集した地域だというふうに思っております。これはるる申し上げたいと思います。

 日本の戦後史を見ていきますと、日本の場合、一九五五年からもはや戦後ではないという言葉から始まって、一九六〇年、池田内閣が成立し、高度経済成長、所得倍増政策を打ち出して本格的に日本は高度経済成長路線を突っ走ってきた。

 しかし、その際、日本の場合には、今回消費者庁が設立されたように、縦割りの産業別の組織で日本の社会というのは成り立ってきた。なぜそれが正当性を持ったかというと、東西冷戦の中ですべての人が就職できる完全雇用、だれもが最後まで働ける終身雇用、そして、その業界はすべて官庁に守られる護送船団方式という中で、組織を守れば個人が守られるという時代だったと思うんですね。

 ところが、これがだんだん高度成長の中でいろいろなほころびが出てきた。組織を通じて個人を守るのではなくて、個人そのものに対して保護をしなければいけないというものが出てきたと思うんですね。

 歴史をひもときますと、一九六〇年、池田内閣が成立すると同年に、今、創価学会の池田大作名誉会長がたしか三代目の会長に就任されたときだと思います。そして、公明党が結党したのが一九六四年ですね。公害対策基本法が一九六七年。ローマ・クラブの警告のローマ・クラブができたのは一九六八年。環境庁ができたのが一九七一年。今、消費者庁がやっとできます。

 つまり、個人そのものを守らなければならないという流れの中で、自民党の場合には組織からアプローチをした、公明党の場合には個人からアプローチをした。だから、今、親和性を持って連立を組んでいると私は思っているんですね。

 そして、環境問題というのは、組織の単位ではなかなか解決できない。つまり、個人を守るということの一番根幹は、消費者庁もそうですけれども、環境そのもの、つまり、今までの高度成長とか自民党のやってきたものの裏側をカバーしていく、その中の行政が私は環境政策であり、環境行政であり、そして、そこに非常に親和性のあるのが実は公明党という政党だなということがうちの自民党研究会の中で出てきた。

 そういう意味で、斉藤大臣が今就任されているということは、その御経歴とあわせて、大変恐れ多い言い方をすると適材適所だなということで、ぜひとも私はこの場で質問させていただきたいなという思いを持ってここに立っております。

 私自身は中学校のときに、一九七六年に中学校に上がったんですが、当時、先ほど触れたローマ・クラブの警告というのが教科書で使われました。これは今社会はすごい大変なことになっているんだな、世界は大変なことになっているんだなと。それからまた、だんだん公害問題とか環境問題が私が社会問題を意識するようになってますますクローズアップをされてきた。

 そんな中で、私自身は縁あって福岡の博多区、東区という福岡一区に行きましたけれども、この九州福岡は、先ほど申し上げたように環境問題が凝集されていると思うんですね。

 るる申し上げますけれども、まず、中国を初めとする大陸の変化に非常に大きく影響されます。例えば台風の進路や規模やコースが変わる。まさに一衣帯水と言われる海を挟んで、すごい影響がある。また、急速に都市化が進んでいます。

 今回、東京がオリンピックの招致で燃えていますけれども、実は東京に負けたのが私のいる福岡市でありますから、私は東京出身ではありますけれども、二つの祖国となって、福岡市が負けたのも残念だけれども東京も頑張ってもらいたい、こんな気持ちで見ています。

 急速に都市化が進んでいるため、ヒートアイランドなんかの問題も凝集しています。また、海に面していますので、博多港があります、水質汚濁の問題もある。また、従来の炭鉱を初めとする鉱工業がある。八幡製鉄所ができたのが一九〇一年。ですから、二十世紀というのは福岡から工業化が始まったと思うんですね。

 あるいは、台風が物すごく来る。さらに、温暖化が進んだときに新しい害虫やいろいろな疫病が発生するのは、多分九州からなんですね。鳥インフルエンザも含めた新しいウイルスが発生しやすい。また、港や空港がありますから、外から入ってきやすい。

 今までの環境問題にも気を配りながら、本当に環境問題の宝庫というか、凝集している場所ですから、ここを見ていると、大体これから問題になるものがわかるというふうに思います。

 そういった意味できょうここに立たせていただいているんですけれども、改めて斉藤大臣の環境行政、環境政策に対しての思いと、今私が申し上げた、福岡を中心として、九州福岡においての環境問題の今後取り組むべき方向といいますか、概括的な質問でありますけれども、冒頭、それについてお伺いできればなというふうに思います。

斉藤国務大臣 遠藤委員とは国土交通委員会等いろいろなところで御一緒させていただいて、私もその御見識に深く敬服をしているところでございます。

 今も、環境政策、公明党と環境の親和性についてお話をいただきまして、高い評価をいただいて心から感謝をしております。環境問題はまさに公明党の立党の原点にかかわるものでございまして、私もその政党から今麻生内閣にいる者として全力を挙げて頑張っていきたい、このように決意しているところでございます。

 まさに命を守るための環境、この原点は変わっておりません。そこはこれからも最も軸に置いて頑張っていきたいと思っておりますが、今お話がありましたローマ・クラブの警鐘、ペッチェイさんの警鐘以来、環境と経済ということが大きく結びつけられました。

 昔は、環境というのは経済の足を引っ張るもの、制約要因。ところが、数年前から環境と経済は両立するという話。そして、今、世界がグリーン・ニューディールということを言っております。私は、これからはあるべき社会を目指していくために環境が経済を引っ張っていく時代になったのではないかな、命の大切さとこれからあるべき社会を論ずるとき、経済も含めて環境というのは最も大切な要素になったのではないかなと思っております。

 九州につきましては、私も、福岡ではないんですけれども、北九州市環境モデル都市、いろいろな試みを見せていただきまして、まさにこの北九州地域、福岡県が環境問題で大変な高い意識を持って頑張っていらっしゃるところを見せていただきました。先日も、環境委員会で、今地球温暖化で最も大きな影響を受けているのが九州で、米のいわゆるおいしさランキングがどんどん落ちてきている、こういう影響もあるんだという話を聞いたところでございます。海の問題等々、大変大きな環境の諸課題を抱えている地域だ、こういう認識を持っております。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございます。

 私の地元には神崎前代表もいらっしゃいますので、一層取り組んでいただければなと思います。

 よく言われますように、私は、環境問題というのは最大の福祉だと思うんですね。当たり前の話ですけれども、この地球がだめになれば生きているどころではありません。経済成長云々という話も全く意味をなさなくなってしまいますので、個人そのものを守るということは環境を守るということですから、この大事な原点というものを常に確認しながら進んでいくということが非常に重要だと思います。

 組織を守っても個人が守られない時代に入ってきた。終身雇用も崩れ、完全雇用も崩れ、護送船団方式も成り立たない。ですから、我々の政治的課題というのは個人にまつわる問題が非常に出てきたんですね、社会保障とか治安とか教育とか。そして、何よりも環境に対してこれだけ関心が高まっているというのは、環境省の皆さんも、本当に我々の時代と言ってもいいぐらいの時代に入ってきた。

 そういう意味で、まさに先ほど大臣がおっしゃられたように、オバマが大統領になった、グリーン・ニューディールという言葉が出てきた。今までは特に産業界と環境問題というのが対立をして二律背反の関係であったのが、むしろ環境が、日本の環境技術が経済を引っ張るんだという、そういう意味で環境の時代、ルネサンスが来たというふうに思いますので、ぜひともそういうマインドで邁進をしていただければなというふうに思います。

 さて、次の質問に参りたいと思います。

 幾つか環境省に質問を通告したんですけれども、まとめさせていただきました。

 まず国境を越えた問題についてお尋ねをしたいと思います。

 環境問題、本当に幅広くありますけれども、私はオーストラリアに一九九〇年から九一年に留学をしておりました。いろいろな意味でオーストラリアに関心があった。まあ、あそこはオゾンホールの問題があったものですから、オゾンホールの問題がその後に出てきました、そういう意味でオゾンホールの問題についても関心があるんですが、やはり何よりも地球の温暖化。

 九州にいると、温暖化の影響というのはここまで来たのかなということを感じます。この前、土曜日に、桜を見る会に総理が来られて、日本で一番初めに桜が咲いたのはどこだったか御存じですか、福岡ですと、こういうふうに言われます。三月の何日かですかね、本当に早かったんですね。ですから、私は地元でのお花見の行事がずれてずれて、本当はこの日は酒を飲む予定じゃなかったんですというところでもお花見がいっぱいあって大変な思いをしたんですが、この地球温暖化が本当に皮膚感覚でわかるところに私はおります。

 そんな中で、釈迦に説法ですけれども、地球温暖化が進むと幾つかの現象があります。一つは、降水量がふえる。私の福岡においては、平成十五年の七月に御笠川というところが大はんらんを起こしまして、水浸しになった。博多駅では一人亡くなられた。地下街は水浸しになっちゃったんですね。福岡市は非常に河川が多い都市ですから、河川がはんらんすると都市機能が麻痺してしまうんですね。

 私、国土交通委員会にも入っているんですが、ぜひとも環境省にお願いをしたいのは、国土交通省の今までの環境評価では予想を超えた災害が起きていると思うんですね。そういう意味で、国土交通省の方々が言っているんですけれども、従来のアセスメントではとてもとても追いつかないぐらいの規模のものが出ている。だからこそ、環境省が国土交通省とぜひとも連携をしてやっていただきたい、これが一つです。早目に、アセスメントの権限があるかどうかは別として、十分にデータを国交省に提供する、国交省の方からもどんどん求めるような形にしていただきたい。

 まずは規模が変わった。そして、時期が変わった。私の博多では山笠というのがあって、追い山という一番盛り上がるのが七月十五日なんですが、おととしでしょうか、二年か三年前、その日に台風が来て、ひょっとしたら中止になるかもしれないと地元の人が青くなったんですね。このように時期も進路も規模も変わっている。つまり、ユーラシア大陸に近くて、中国の開発を中心として非常に向こうの環境が変わったために、気候が物すごく変わった。それによって福岡を中心とする環境の条件が変わってきた、あるいは新しい害虫やウイルスが発生する、農作物に対して影響がある。

 さらにもう一つ言いたいのは、黄砂です。これは東京に住んでいると、こんなに黄砂はすごいのかと思うぐらい福岡はすごいんですね。車のところなんかびっしりで、何でこんなほこりがついているのかなと思ったら、これは黄砂なんですよと。中国の方はすごくばい煙を上げ、そこのところの有害物質が含まれる率が高くなっているというふうに言うわけですね。

 何を申し上げたいかというと、環境省の場合には、当たり前ですけれども、国境で区切れる話ではないものがいっぱいあります。そういう中で、国家を背負って、環境について外国に物を言う立場になっていただきたいんですね。私も役人出身ですから、省庁の壁がいろいろあるのはわかっています。だからこそ、政治家が大所高所に立って物を言って、環境省の後押しをしなきゃいけないと思います。環境省の場合には国際的に一番物を言っていただかなければならない役所だと思いますし、私のいる福岡にとっても、それが本当に運命を変えるぐらい重要な問題です。

 さらにもう一つだけつけ加えますけれども、水質汚濁の問題があります。黄河や揚子江が汚染をされる。ひょっとしたら、そこで水銀とか蓄積した魚がこっちに回遊してきたら、国境を越えた水俣病が起きてしまいますから、皆様方にぜひとも外国に対して物を言っていただきたい。

 この国境を越えた汚染問題、そして日本に対しての直接、間接の被害に対して、大臣は環境行政の責任者として外国に対してどういうふうに取り組んでいかれるのか、その御決意と具体的な施策を伺えればなと思います。

斉藤国務大臣 今、日中韓の三カ国大臣会合という、TEMMと呼んでおりますが、もう十年の歴史を持つ三カ国環境大臣会合がございます。私も大臣になりまして、昨年末に済州島でありまして、行ってまいりました。

 この三カ国大臣会合で、先ほどお話がございました酸性雨などの大気汚染越境の問題、黄砂の問題、海の漂流・漂着ごみの問題、そして中国の水質汚濁の問題。この中国の水質汚濁の問題は、まさに今遠藤委員がおっしゃいましたように、例えば魚の中に蓄積されて、それが日本に来るというようなことも考えられるわけで、中国の水質汚濁の問題を解決するのは日本の問題でもある。

 このような認識のもと、それらの諸課題につきまして、こちらから、向こうからは問題の提起はありませんので、日本から問題の提起をして、それぞれの課題について、例えばデータを一緒に集めましょうとか、研究を一緒にやりましょうとか、その問題についてはまず中国がデータを調査しましょうとか、それぞれの段階、レベルにまだ分かれておりますけれども、一つ一つ日本から問題提起をして解決に向けて頑張っているところでございます。

寺田政府参考人 御指摘ございました温暖化の影響に対する対策についての国土交通省等との連携の問題について、私の方からお答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、もう既に温暖化による影響があらわれ始めている。それは生態系などの自然環境でもございますし、あるいは農業、水産業、観光等の人間の社会生活というものにも影響が出ている。これはIPCCが二〇〇七年第四次アセスメントレポートで強く示唆したところでございます。こうした影響につきましては、具体的な防止対策と並びまして、まさにもう影響が始まっているので、適応対策、アダプテーションが非常に重要になってきている。これもまた昨今の状況でございます。

 これにつきましては、もちろん個別の対策、例えば防災対策であれば国土交通省で御所管になるということでございますが、環境省としては、気象庁あるいは文部科学省などと連携をとって、まずいわゆるアセスメント、温暖化がどういうふうに進行して、それによってどんな影響が出てくる可能性があるのかという情報を正確に関係省庁と共有するということが役割であろう、重要であろう、まさに委員御指摘のとおりに考えております。

 もちろん、こうした温暖化については全省挙げての取り組みが必要でございますので、内閣全体としては総理を本部長とする本部などもつくっておりますが、さらに実務的なレベルでは、例えば私どもの設けておりますものとしては地球温暖化影響への適応策に関する関係府省連絡会議という課長クラスの連絡会議で、これはただいま申し上げました影響予想の観点から文科省、環境省、あるいは気象庁も入っておりますけれども、同時に国土交通省、特に河川局や港湾局などの防災部門などもお入りいただきまして、こういうところを通じて連携を深めておるというところでございます。

遠藤(宣)分科員 今まで比較的産業界を考えながらやらなきゃいけなかった時代が終わりつつありますので、ぜひとも攻めの環境行政、そして物を言う環境行政になっていく今一番の環境に入ってきていると思います。

 おわかりだと思いますけれども、麻生総理も福岡でございますので、ちょっととっぴな提案かもしれませんけれども、環日本海の周辺あるいは東シナ海の周辺でミニ環境サミットを定期的にやるぐらいのことを提案されてもいいんじゃないかなと私なんかは個人的に思っています。

 風の向き、あるいは潮の流れ、いろいろな部分でお互いが本当に近いところにいますので、言うまでもなく、私の選挙区の志賀島というところは向こうから漂流物が届きます、西戸崎とか。志賀島は金印が発見されたところですから、今から二千年ぐらい前に船で当時の技術で渡ってこられるようなところですので、いかに近いところか。こんなところにいますので、ぜひとも外国に対してもしっかりと物を言っていただく、そして、むしろほかの省庁に対してしりをたたいていくぐらいの感覚で言っていただいてちょうどいいんじゃないかなと思います。

 さて今度は、国境を越えた問題の次が、国内である程度完結する問題であります。

 一つは環境ホルモン、化学物質の問題。これはごみに関係するので、ちょっと後で触れると思います。もう一つは森林保護の問題。これは花粉症の話ももちろんありますけれども、林野庁は立場が弱いのか、あそこだけの主張ではどうしても限界がある。環境の観点からどんどん森林保護について言っていただかなければいけないというふうに私自身は思っています。こんな中で日本の国土自体をどう保全していくか、これは国土交通省とも関係をするんですけれども、森林保護の話、ダイオキシンとかの土壌汚染をどう防ぐかという話、この問題が一つ。

 もう一つは、今度は逆の話になります。国定公園とかいろいろな形で自然保護区に指定をされることによって動きがとれないという事例が時々あります。私が今申し上げた志賀島とか玄海国定公園。この開発と自然保護のバランス。余り外すといろいろ汚染をされる、余りぎちぎちしてしまうと先に進まない。こういったジレンマがあるんですけれども、このあたりのバランスについてどのようにお考えになるか、ちょっとだけ触れていただければなと思います。

黒田政府参考人 私の方から、志賀島の具体的な御指摘がありましたので、そのことについてお話をさせていただきます。

 志賀島は、年間約十六万人ぐらいの利用者があるということで、玄海国定公園の中でも非常に風光明媚な重要な景勝地である、こういうふうに認識しております。国定公園は、あるいは自然公園と呼んでおりますが、自然公園法に基づきまして、すぐれた自然の風景地を守りながら、自然との触れ合いの場として国民に提供していくことを目的としておりまして、自然の保護とそれをうまく使っていくというバランスが非常に重要でございます。

 こうしたことから、志賀島のように重要な地区につきましては、国定公園の中でも特別地域に指定をしておりまして、例えば工作物の新築であるとか木竹の伐採、造成などの土地の形状変更、こういった行為を許可制としておりまして、風景や自然環境の保護を図ることとしておりますが、地域の生活など、それぞれの地域の実情にも一定の配慮を払っておりまして、規制内容に強弱をつけて運用しているところでございます。

 また、国定公園の快適な利用、そして自然との触れ合いを促進する、こういうことから福岡県が志賀島の公園整備を行っておりまして、環境省は自然環境整備交付金によりこれを支援してきております。

 国定公園の規制であるとか公的な整備、こういうものは自然公園法に基づきまして都道府県が行うというふうにされております。志賀島につきましても、福岡県において、自然の保護と利用のバランスを踏まえて、また地元の生活にも考慮して適切に対応がなされていくというふうに考えておりますが、環境省でも、福岡県から相談があればこれに応ずるというような形で助言あるいは支援、協力を今後とも行っていきたいというふうに考えております。

遠藤(宣)分科員 そのあたりのバランスをうまくとっていただけると思っておりますが、おとといも志賀島でちょっと飲んでいたんですけれども、離島振興法も適用されない、過疎法も適用されない、本当に自然が財産で、それがいい形でうまく回るように、そういう意味では、環境省、環境行政はすごく広い視野でやらなければならない時代に入ってきて、御苦労だと思いますけれども何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、都市に特有の環境問題について触れたいと思います。

 先ほどダイオキシンの話もありましたけれども、ごみ問題、本当に不法投棄とか罰則規定を強化しないと産業廃棄物なんかは大変だなというふうに私は思います。とかく省庁が規制を強化しようとすると、いろいろなところから反対が巻き起こりますので、こういう部分においてやはり政治の方が言っていかなきゃいけないというふうに思います。福岡の場合は、周りに山もありますからうまく処理されちゃう可能性があるので、目を光らせていかなければならない。

 さらに、リサイクルの問題。日本の場合、大量に使って、大量に捨てる。これは農水省の所管の食べ物もそうですけれども、自給率三九%で千九百万トン捨てている。日本の場合、資源の依存率がすごい高いのに物を捨てている。これは外国から見ると、日本人というのは何て不合理なことをやっているのかなと。食料でやっているのと同じようなことが、リサイクルにおいてはもっともっとうまくやってもらいたいというのがあると思います。

 そして、三番目に出てくるのがヒートアイランド現象。この前、空港問題がうちの方であったんですが、福岡の場合には飛行場が町のど真ん中にあるものですから、沿岸部に高い建物が建てられない。東京の場合には風が遮られているものですから、福岡は海のところに高い建物が今建てられていないのでまだそこまでひどいヒートアイランドになっていないんですけれども、これから都市計画をやるときにヒートアイランドの話というのはすごく重要だと思うんですね。どの段階でどういうふうに物を言っていくかというのは、すごく重要だと思うんです。

 ここでも私はむしろ環境省を応援しているんですよ。もっとどんどん物を言う、委員会でこんなことを言う議員がいた、こういうことを言っているから今言っているんだと。そういうふうに言ってもらいたいと思うんです。

 福岡はまだそこまでいっていませんけれども、ヒートアイランド現象、これは省エネの観点からも、温度が上がったら大変で、悪循環に入ってしまう。急に暑くなって土砂降りになることが昨今すごく目立っています。こんな中で、このヒートアイランド現象とか都市部においての環境問題にどんどん積極的に口を出していっていただきたいというふうに私は思っているんですが、そのあたりの御決意を言っていただければと思います。

谷津政府参考人 先生から三点御指摘をちょうだいいたしました。

 まず一点目の不法投棄の問題、二点目のリサイクルの問題につきまして、お答えをさせていただきます。

 不法投棄対策でございますけれども、福岡を初め全国で大規模事案が随分多く発生した経緯がございます。このため、廃棄物処理法を累次改正いたしまして、平成十五年には不法投棄の未遂罪、平成十六年には不法投棄目的の収集運搬罪、こういった新たな措置を講じまして罰則を強化する、また、排出事業者に一義的な責任があるわけですので、排出事業者責任の強化などの規制強化を行ってきているわけでございます。

 しかしながら、まだこういった不法投棄案件は根絶には至っていないということで、現在、中央環境審議会に設置しております廃棄物処理制度専門委員会におきまして、罰則規定の強化も含めて不法投棄対策について改めて御検討を賜っているところでございます。そうした成果を受けて、必要な措置を講じてまいりたいと思います。

 二点目のリサイクルでございます。

 我が国は資源が乏しいという中で、我が国に存在している廃棄物も含めた資源をどう利用していくのかというのは非常に大きな課題でございます。このため、容器包装を初め、食品、建設廃棄物、さまざまな個別のリサイクル制度を整備して、順次対策も強化しているところでございますが、今般、補正予算もちょうだいいたしまして、小型家電の中のレアメタルあるいは貴重金属、こういったものをいかに効率よく回収して、また廃棄物として無害化処理していくかという意味での都市鉱山としての認識をいかに具体的な政策に結びつけていくのか、こういった観点からも施策を強化しているところでございます。

白石政府参考人 ヒートアイランドの御指摘がございました。

 先生おっしゃいますように、東京ほどではないのですが、しかし、気象庁のデータによりますと、この百年で福岡でも約二・五度気温が上昇しているということがございます。御指摘にありましたように、関係府省の連携は大変大事でございます。環境省も一生懸命頑張ってまいりますので、またよろしく御指導ください。

遠藤(宣)分科員 時間が来たので、これで最後にしたいと思います。

 ぜひとも、例えば花で地域を埋めるとか、緑を植えるとか、花を植えるとか、いろいろな部分で都市の計画、都市の景観、あるいは都市の機能に合わせて環境省はどんどん口を出していっていただきたいなというふうに思います。

 最後になりましたけれども、今、麻生内閣は、経済対策の中にも相当環境に力を入れて構成されています。今、日本は、経済においても大きな曲がり角、環境においても大きな曲がり角であります。

 私が昔見た映画、多分この中にいらっしゃる方々も見たことがあると思いますけれども、アニメで「宇宙戦艦ヤマト」というのがあります。大臣はごらんになったことがありますか。この質問をつくっていたときに、ああ、そういえば宇宙戦艦ヤマトというのがあったなと。斉藤大臣は宇宙から地球を考えていらっしゃるから。あの中で、沖田艦長というのがいるんですが、最後のときに何と言うか。地球を見て、ああ、地球か、何もかもが美しいという言葉を言う。私が中学校三年生のときに見た映画ですけれども、いまだにファンが多いのは、どこかやはり地球を大事にしたいという気持ちが日本人の中にあるからだと思います。

 その重要な人類、そして、今、組織でなくて個人そのものが生きやすい社会を求められているこのときにあって、環境省、環境行政、環境大臣、非常に重責を担っていると思います。麻生内閣もそういった観点でやられていると思いますけれども、最後にそのあたりを踏まえて大臣の御決意をお伺いできればなというふうに思います。

斉藤国務大臣 きょうは環境行政に対しての御激励、本当にありがとうございました。

 きょうも夕刻、「緑の経済と社会の変革」、環境省として、低炭素社会、自然共生社会、循環型社会、それらを三本柱としたこれからの施策を発表する予定でございます。しっかり御指導いただきながら頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございました。ぜひとも頑張ってください。

 以上です。

宮下主査代理 これにて遠藤宣彦君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日午後二時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.