衆議院

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第2号 平成21年4月21日(火曜日)

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平成二十一年四月二十一日(火曜日)

    午後二時開議

 出席分科員

   主査 山口 泰明君

      赤城 徳彦君    石原 宏高君

      薗浦健太郎君    冨岡  勉君

      宮下 一郎君    岡本 充功君

      川端 達夫君    武正 公一君

      津村 啓介君    平岡 秀夫君

   兼務 秋葉 賢也君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   会計検査院長       西村 正紀君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   最高裁判所事務総長    山崎 敏充君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  勝則君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石井 正文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         河村 潤子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      内藤 政彦君

   参考人

   (本州四国連絡高速道路株式会社代表取締役社長)  伊藤 周雄君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  赤城 徳彦君     石原 宏高君

  菅  義偉君     薗浦健太郎君

  津村 啓介君     武正 公一君

  漆原 良夫君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     赤城 徳彦君

  薗浦健太郎君     菅  義偉君

  武正 公一君     岡本 充功君

  赤羽 一嘉君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     津村 啓介君

  高木美智代君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  赤羽 一嘉君     漆原 良夫君

同日

 第三分科員秋葉賢也君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、裁判所、会計検査院、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁)及び外務省所管〕


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     ――――◇―――――

山口主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十九年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中警察庁、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、外務省所管、裁判所所管、会計検査院所管、皇室費について審査を行います。

 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。佐藤国家公安委員会委員長。

佐藤国務大臣 平成十九年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十九年度の歳出予算現額は二千八百九十三億六千八百十三万円余でありまして、支出済み歳出額は二千六百九十七億五千八百九十四万円余であります。

 この差額百九十六億九百十八万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は百四億四千六百八十五万円余であります。

 また、不用となった額は九十一億六千二百三十三万円余であります。

 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。

 これは、自動車保有関係手続のワンストップサービスの実施状況等に関するものであります。

 新車の新規登録を行う場合に、申請者等がパソコンを用いてインターネット上で一括して自動車保有関係手続を行うことのできるワンストップサービスが平成十七年十二月から開始されていますが、その開発費及び維持関係費用が多額に上っているにもかかわらず、利用率が低迷していてワンストップサービスの効果が十分発現していない事態は、改善の要があると認められましたので、自動車の購入者に十分周知を図り、利用者の意見等を的確にとらえた方策を講じ、また、システムの改善を図るなどして利便性を向上させるとともに、システムの機器等を的確な性能及び構成とするなどして維持管理費用の節減を図ることなどとするよう意見を表示いたしたものであります。

 以上、簡単でございますが、御説明を終わります。

山口主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。佐藤国家公安委員会委員長。

佐藤国務大臣 平成十九年度の決算検査報告において掲記されております意見を表示された事項につきましては、会計検査院の御指摘の趣旨を踏まえ、関係省庁等と連携し、利用率向上等に取り組んでいるところであり、引き続き適切な措置が講じられるよう指導してまいる所存であります。

 以上です。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)分科員 自由民主党の石原宏高でございます。

 本日は、決算行政監視委員会の第一分科会で質問の機会をいただきましたことを、心から感謝申し上げたいと思います。

 警察庁また佐藤大臣の方に御質問をさせていただきます。決算の内容とは直接は関係ないですけれども、きょうは、まさに警察庁が携わっていらっしゃる交通の問題について、お話を伺わせていただきたいと思います。

 まず初めに、きょうも実は傍聴をされておりますけれども、私の選挙区に住んでいらっしゃるSさんから私の方にお尋ねがありまして、実はSさんの方で吉村警察庁長官また金子国土交通大臣の方にも陳情をされているんですけれども、車両走行時における視界を妨げる窓ガラスのカーテン使用の禁止の徹底、もしくは同種の視界妨害となる装着物、設置物への罰則強化をSさんは求めていらっしゃるんですが、その関連について御質問をさせていただきたいと思います。

 Sさんがいらっしゃるところに大変恐縮なんですが、Sさんは、実は、平成十五年五月二十四日に、品川区の戸越三丁目の交差点で、違法のスモークフィルムをつけたトラックの事故でお子様を失われて、それ以来、交通の問題に対して、交通事故でお子さんを失った親御さんの会で交通事故撲滅のために活躍をされていらっしゃる方であります。

 まず、一点目の質問でありますけれども、車両にカーテンを装着すること自体を交通ルールで禁止することはできないのか、そのことをお伺いしたいと思います。

 カーテンを閉め切ったままの車による事故が発生、多発しております。名古屋で、カーテンを閉めたトラックによる事故で母子が死傷するというようなこともありますので、このことについて、視界妨害という意味では、例えばカーテンも装飾板と変わらないではないか。カーテンは開閉自在だから装着物には当たらないという形で、禁止はされていないわけですけれども。

 ちょうど委員長の御許可をいただいて資料を配らせていただいておりますけれども、このような形のカーテン、まさに視界の妨げになっているものが野方図に、規制されていない。そのことによって事故が起こってしまうということは、やはり規制を厳しくして、なくす必要があるのではないかと思うんですが、その点について、警察庁の御見解をお伺いいたします。

内藤政府参考人 道路運送車両法では、御案内のとおり、自動車の構造、装置が満たすべき安全上の基準を定めており、この中では、運転者が周囲の交通状況を確認できるよう、運転者の視界に係る要件を定めております。

 車両に装着されたカーテンなどにより保安基準で定められた運転者の視界に係る要件に適合しない場合には基準不適合となりますが、装着すること自体を禁止することは、その使用形態を踏まえ、慎重に検討すべき事項であると考えております。

 国土交通省といたしましては、交通事故低減のため、交通事故実態の的確な把握に努め、引き続き必要な車両安全対策を講じていきたいと考えております。

石原(宏)分科員 実際には、視界を妨げていれば取り締まりの中で罰することはできるということではないかと思うんですが、次に、装飾板やスモークフィルムの違反の罰則を強化することができないかということをお伺いさせていただきたいと思います。

 今、装飾板の使用は違反という形になっておりますし、スモークフィルムは、透過性七〇%以下の場合は違反になっています。しかし、罰則が、例えば、五万円以下の罰金もしくは三カ月以下の懲役、または七千円の反則金ということで、少し罰則が軽微ではないかというような意見があります。また、取り締まりも十分にされていないのではないかというような懸念もあります。

 装飾板やスモークフィルムの装着が故意に行われているわけでありますけれども、それが、被害が甚大な、死亡に結びつくような事故を誘発しているわけですけれども、もう少し罰則を厳しくすることはできないのでしょうか。その点、お伺いさせていただきます。

東川政府参考人 お答えいたします。

 道路交通法第六十二条の規定によりまして、車両等の運転者は、道路運送車両の保安基準に適合しないため交通の危険を生じさせるおそれがある車両等を運転してはならないというふうにされております。

 先生御指摘のように、その違反に対しては三月以下の懲役または五万円以下の罰金が科されますが、反則金については、普通車両の場合で七千円または九千円というふうに定めております。

 御指摘の装飾板やスモークフィルムの車両等の窓ガラスへの装着あるいは貼付は、道路運送車両の保安基準に違反するものでありまして、本来ならば罰則がかかりますけれども、これらの罰則は、例えば一方通行の交通規制を無視して逆行する行為、あるいは一時停止の交通規制に従わず交差点に漫然と進入する行為に適用される罰則と同等となっておりますので、その引き上げについては、事故の実態を見きわめながら慎重に検討すべきものと考えておりますが、いずれにいたしましても、現行の規定によりまして、指導、取り締まりを的確に実施し、この種の違法行為の抑止を図ってまいりたいというふうに考えております。

石原(宏)分科員 さっきのカーテンも含めて、平成十九年の四月以降、大阪府では結構取り締まりを厳しくやっているという話を聞いているんですが、全国で徹底して取り締まりをやるようなことを何か、振り込め詐欺の期間みたいなものを設けましたので、警察庁の方でやっていただくことができないかどうか。また、大阪府以外の都道府県でこの手の取り締まりを徹底してやっているようなところがあれば、お聞かせ願いたいと思います。

東川政府参考人 トラックの車室内にカーテンを取りつけ、運転者の視野を妨げる状態で車両を運転した運転者につきましては、先ほど申し上げました道路交通法六十二条に規定します整備不良運転ということではなくて、道交法の五十五条第二項に規定します積載方法違反、カーテンも積載物というふうに解して、その方向により取り締まっております。

 その結果、平成二十年中におきましては、大阪府警察を含む各県警において五百五十一件、これを検挙しているところでございますので、警察庁としても、その違反実態に応じて運転者の取り締まりを的確に行うよう都道府県警察を指導してまいりたいというふうに思います。

石原(宏)分科員 五百五十一件ということで、それなりに摘発をされているようなんですが、こういうことが原因でまだ引き続き事故が起こると思いますので、引き続き全国での取り締まりの徹底をお願いしたいと思います。

 次に、交通事故を減らすために警察庁でもすごく努力をされていると思うんですが、過去三年の交通事故の件数の推移、また、今回は特に視界妨害が原因の事故ということを取り上げているんですけれども、視界妨害が原因の事故の件数の推移、過去三年ぐらい、わかれば教えていただけますでしょうか。

東川政府参考人 交通事故の総件数でございますが、平成十八年が八十八万六千八百六十四件、平成十九年が八十三万二千四百五十四件、平成二十年は七十六万六千百四十七件と、非常に減少してございます。

 また、視界妨害が原因の事故件数といたしましては、着色フィルムが視界に影響した事故の件数につきましては、平成十八年が六件、平成十九年が五件、平成二十年が七件、それから、車室内の飾り物が視界に影響した事故の件数につきましては、平成十八年が十件、平成十九年が十一件、平成二十年が五件というふうになっております。

石原(宏)分科員 この件数を聞いて、全体の交通事故は減っているんですけれども、フィルムとか飾りの部分は余り変化がないというか、そもそも件数は少ないのかもしれませんが、横並びということで、先ほどのような取り締まりもしっかりと徹底をしていただければと思います。

 次に、こういう装飾板とか基準を下回るスモークフィルムを違反と知りながら装着する業者に対して、警察または国土交通省等々でどのような対応をとっていらっしゃるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 装飾板の装着や基準を満たさないスモークフィルムの貼付といった不正改造を行うことは、道路運送車両法において厳に禁止されております。

 国土交通省では、不正改造車を排除する運動に取り組んでおり、整備事業者などに不正改造車の排除について周知を行うとともに、不正改造車一一〇番を設置し、寄せられた情報に基づき、整備事業者への立入検査等を行っているところでございます。

 このような不正改造を整備事業者が行っていることが判明した場合には、処分基準に基づき、認証の停止など厳正な処分を行っているところでございます。

石原(宏)分科員 済みません、事前通知はしていないんですが、今の不正改造一一〇番というのは、年間大体何件ぐらい通報があるのでしょうか。また、それに基づいて何件ぐらい業者に対して指導監督を行っているのか、一年分でも、直近でも、もしわかれば、教えていただけますでしょうか。

内藤政府参考人 まず、今お問い合わせいただきました相談件数の方でございますが、六月に集中月間を行っております。このデータを今持っておりますが、平成十九年度六千四百五十三件、平成二十年度五千四百二十六件でございます。

 また、これに基づいて、先ほど御説明をいたしましたような立入調査その他を行っておりますが、最終的に、それ以外のものも合わせまして、処分件数といたしまして、着色フィルムに関するものは、平成二十年度に一件ございます。

 以上でございます。

石原(宏)分科員 わかりました。一件というのは、ちょっとあれですが。

 Sさんからいろいろと聞いてきょうはお話をしましたけれども、今のこのスモークフィルムとかカーテンの問題、実際の事故の件数は、大体、スモークフィルムが五から七件、飾りが五から十件ということで、フィルムの処分を受けた事業者は二十年では一件ということでありますけれども、まだまだこういうことが原因で事故になるのではないか、そういう心配があります。

 佐藤大臣に、この問題についての御感想、また、今後交通事故を減らしていくための大臣の御決意について、お聞かせをいただけますでしょうか。

佐藤国務大臣 今先生のお話をお伺いし、また質問の主意書を見ている中で、いろいろ説明をいただきました。

 先生からいただいたこの写真を見ても、確かにこれでは下が見えないのではないかなというふうな思いもございます。ただ、警察庁だけでできる部分とできない部分がございまして、関係省庁とよく連携を組んで、こういうことを含めて、事故が起きないような対策というのは当然とるべきであるというふうに思いますし、事故をなくすためにも、よく連携を組ませていただいて、検討してまいりたいというふうに思っております。

石原(宏)分科員 確かに、警察もいろいろな事件があって、人手も足りないという中で、警察官の増員なんかもしていますので、これだけの取り締まりを何度もというわけにはいかないと思いますけれども、例えばトラック協会とか、そういう関連団体の方も、国交省また警察庁関係から御指導をいただいて、こういうことがなくなるようにぜひとも進めていっていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと違う交通関係の質問をさせていただきたいと思います。

 今、六月から道路交通法の見直しなんかがあって自転車の三人乗りが地域によって容認されるというような話が出ておりますけれども、安全確保のための施策についてどういうことを検討されているのか、ぜひともお聞かせをいただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 自転車に幼児を二人乗せますいわゆる三人乗りにつきましては、現状では、道路交通法及び各都道府県の公安委員会規則により、認められておりません。

 しかし、幼児二人を同乗させるという社会ニーズにかんがみまして、昨年の四月、警察庁に幼児二人同乗用自転車に関する検討委員会を設置いたしまして、一年間にわたって、安全性に配慮した幼児二人同乗用の自転車に求められる要件、これについて検討を行ってきたところでございます。

 このたび、その検討の結果が取りまとめられまして、検討委員会が示した要件を満たす自転車については幼児二人同乗を認めるよう都道府県規則の改正を行うべしという結論が出されたものでございます。

 また、それを受けまして、自転車メーカーにおいては、要件を満たす自転車の開発が行われているものというふうに承知しておりますが、警察庁としては、この夏をめどに、各都道府県公安委員会規則の改正が適切に行われるよう指導する予定でございます。

 また、幼児二人同乗の安全確保のためには、第一に、利用者の交通ルール、マナーの遵守と、正しい乗り方の実践が重要であるということから、関係機関、団体とも連携した広報啓発に努めるとともに、同乗幼児へのヘルメットの着用の促進等の安全対策の推進にも努めていきたいと考えております。

 また、先ほど、要件が定められたと申しましたけれども、この要件を満たすべく開発された幼児二人同乗用自転車の普及に努めていくことも重要であるというふうに考えております。

石原(宏)分科員 自転車の素材とか形とか、そういうこともあると思うんですけれども、やはり交通が激しくてスーパーがあるようなところで都市部だと、自転車専用の道路というのはつくるのがなかなか難しいかもしれませんが、歩道が広ければ歩行者と一緒に自転車が兼用できるような形で、道路の整備とか標識とか、そういうところからもぜひ安全対策を、交通量が多くて人が頻繁に自転車で集まるようなところでは、徹底をお願いしたいというふうに思います。

 次に、追加経済対策でも、また平成二十一年度の税制改正でも、エコカー、いわゆるハイブリッド車等々にいろいろな購入のインセンティブを与えていこうということでありますけれども、一方で、ハイブリッド車というのは、電気を使ってやるところもありますので、エンジン音が余りしないために事故を誘発しやすいんじゃないか、また、将来的には、全部電気自動車になると、ほとんどエンジンの音がしなくて、そのために事故が発生するのではないか、そんな話も出てきているんです。

 今現状で、例えばエコカーとか、そういう音が低い自動車に対する交通安全のための対策というのは何かとられているのかどうか、お聞かせをいただけますでしょうか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、これまでのところ、ハイブリッド車の事故率が一般の車に比べて高い状況にあるという事実はないと認識をしております。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、エコカー、例えばハイブリッド車の中には、低速時には従来のエンジン音や排気騒音がほとんど発生しない構造等が採用されていることから、今後の増加に伴い、視覚障害者を初めとした歩行者の事故が増加することを懸念する声もございます。

 また、国際的にも問題が提起され始めておりまして、日本が積極的に参加し、自動車の安全環境基準の国際的な調和活動を行っております国連自動車基準調和世界フォーラムの専門家会合においても、具体的な議論が開始されたところでございます。

 国土交通省といたしましては、この国際的な動向も踏まえつつ、将来の規制のあり方について検討を行っていきたいと考えております。

 以上です。

石原(宏)分科員 どうもありがとうございます。

 十年から十五年ぐらいすると大半の車がハイブリッド車または電気自動車にかわっていくかと思いますので、やはりこういうことも将来的にしっかりと検討していく必要があるのではないかというふうに思います。

 次は、地元のトラック関係の会社の方からも苦情というか要望があるんですけれども、駐車禁止の取り締まりが強化される一方で、警察庁でも、各都道府県の公安委員会かもしれませんけれども、荷おろしスペースの確保等が進められています。

 お配りした資料にも、これは警察庁の方からいただいたんですけれども、例えば、七時から十時の貨物の集配中は駐車禁止除外ですよとか、パーキングメーターのところに貨物車用と書いてあって、専用に使えるような荷おろしスペースの確保を警察庁の方でもしていただいているんですが、例えば東京都だと、路上駐車スペースが実は専用ではなくて優先だということで、一般の乗用車が駐車していて利用できないというような苦情がトラック協会の方から私の方にあります。

 他の地方自治体では、荷おろし専用ということで、乗用車が駐車している場合は取り締まりを行っているケースもあるというふうにお伺いしているんですが、東京都もできれば優先ではなくて専用にしてもらいたいと思うんですが、これを地域として声を上げていくときに、どういう形の手続をしていくと優先ではなくて専用という形で、また取り締まりもしてもらえるように、そして荷おろしのトラック運送業者の方々が使えるようにできるのか、この手続についてお教えいただけますでしょうか。

東川政府参考人 先生御指摘のように、貨物車に限定したもの、あるいは車両を限定せずに貨物車用というのが書かれている優先の区間というのが混在しているのは事実でございまして、これは、その地域におきます駐車の需要、中身、一般が多いのか、貨物が多いのか、そういうものを含めた上で、各都道府県の公安委員会の方が判断した上で、そのような規制をしているものというふうに思っております。

 具体的交通規制に関する御要望は、警察署の方にお申し出いただくなり、ただ、それが実現するかどうかは別でございますけれども、我々としては、先ほど申し上げたような観点から、一般車あるいは貨物車、それらの度合い等を含めてやっておりますが、もしそういう御要望等があれば、警察署の方にとりあえずお申し出いただければというふうに思います。

石原(宏)分科員 その関連なんですけれども、違う地方自治体だと専用で取り締まりをしているみたいなんですけれども、東京は優先なんです。なぜ東京は優先なのか。東京都の公安委員会が決めたことだということかもしれませんが、何か特別に理由があるんでしょうか。

東川政府参考人 具体的なものについて東京の方には確認しておりませんので、具体的な理由はわかりませんけれども、一般的に申し上げれば、先ほど言いましたように、物流車両と一般車両の駐車需要、これらを踏まえながら、専用あるいは優先というふうに考えております。

 それからまた、先ほど先生のお話の中にもありましたけれども、そういうものでなくて、八時から十時まででしたか、そういう形で駐車需要の多いときは貨物車だけは駐車の除外をするというようなことで、荷さばきにも配意した交通規制も実施しております。

石原(宏)分科員 ありがとうございます。

 結構この問題はトラック関連の会社さんからよく苦情を言われますので、ぜひとも、引き続き荷おろしのスペースの確保に御尽力をいただければと思います。

 同じようなことなんですけれども、荷おろしの関係で、各警察署に許可の申請をして許可をとれば荷おろしができる仕組みをもう既に導入していただいているんですが、トラック協会の方々、トラック会社の方々と話をしていると、引っ越し以外は実際、許可がおりないといった不満の声が聞こえます。

 また、私は東京の選挙区なものですから東京のトラック会社の方々なんですけれども、東京都では各交番に申請書が置いてあるはずなのに置いていないところがあるといったような苦情をお聞きしたんですけれども、現状の取り組み状況についてお聞かせをいただきたいと思います。こういう不満に対しての弁明ではないですけれども、どう答えるか、お答えいただけますでしょうか。

東川政府参考人 駐車の許可につきましては、基本的に警察署長の許可ということで運用しておりますので、その場合に、その場所に駐車せざるを得ないという特別な事情への配慮の必要性、それと当該場所、時間に駐車した場合の交通に及ぼす影響、これを比較して、個別に判断して許可を出しているということでございまして、貨物の積みおろしについても同じような考え方でやっております。

 また、交番でも扱うかどうかということなんですけれども、これにつきましては、それぞれの都道府県警察において受け付け体制等の問題もありますので、そういうものを勘案して、やれるところはやっておるところもあると思いますし、あるいは署の方で受け付ける。ただ、その受け付けについても、電話等による照会にも十分に、相談にも応じられるようにというようなさまざまな形で、許可を利用される方の利便を図るような形で、それぞれできる限りの対応はしているというふうに思います。

石原(宏)分科員 どうも、引っ越し以外はだめだみたいな間違った認識が、間違っているのかわかりませんけれども、ありまして、例えば、実際に申請したんですけれども警察署でだめだというふうに言われたときに、何でだめなんだということを警察署に聞いてもらちが明かないようなときに、どこか相談するような窓口というのは、例えば警察庁のどこか相談窓口みたいなところで相談することはできるんでしょうか、苦情になっちゃうかもしれませんけれども。それとも、それは警察署に文句を言ってくれということなのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

東川政府参考人 警察に関するいろいろな苦情等は、それぞれの警察本部の方で苦情窓口といいますか、それぞれの業務に関するいろいろな苦情を受け付けておりますので、そこに連絡なり、その苦情の内容等を言っていただければ、各県警のホームページでも苦情の受け付けはしておりますので、そういうところを利用していただいて、多分、苦情の内容というのは個別具体的な話であると思いますので、それについては、そういうところを御利用いただければというふうに思います。

石原(宏)分科員 最後の質問になるんですけれども、これは個別具体的なんですが、実はこの前の土曜日にもそういう話が出たということで、今、環状六号線が、首都高速の中央環状品川線の建設準備のために車線規制を行っています。特に山手通りの五反田駅周辺なんですけれども、ユーティリティーの移設みたいな形で、車両が制限をされております。その結果として、路上駐車スペースがなくなってしまって荷おろしの車両が不便をしておりまして、地元の住民の方からも、例えば、わきに入った道のところに臨時の路上駐車スペースを設けることができないかというような声があります。

 私も地域の代表でありますから、できればその可能性を探っていきたいなと思っておりまして、工事は大体平成二十六年ぐらいに完成なので、結構長い期間、車両の規制というのがかかってしまうものですから、できれば何か努力をしたいなと思っているんです。

 こういう工事のために、本来あった路上駐車スペース、資料の下の写真みたいなものがあったときに、臨時の路上駐車スペースを設けるためには、どんなことをやれば実現可能か。もちろん、交通状況とか、わき道の広さなんかがあるんですけれども、その辺はちょっと私も警察の人間じゃないのでわからないので、可能かどうかを相談して、地域の人のためにもやりたいなと思うんですが、どんな形で相談をしていって、どういう手続をとれば実際に可能なのか、その点、お聞かせをいただきたいと思います。

東川政府参考人 先生おっしゃられました場所については、工事があるということで、当然幅員が狭くなりますので、駐車スペースがなくなるということで、そこにあったパーキングメーターの撤去が行われたものと思います。それにつきましては、周辺の方々からも御要望が警視庁の方に出されているというふうに承知しております。

 ただ、そこの道以外にそれなりのスペースがあるかどうか、それから駐車場とか他に与える影響とか、それを個別に判断しなければなりませんので、これは警視庁において適切に判断していただくということになろうかというふうに思います。

石原(宏)分科員 実際にできるできないにせよ、やはり行動をとるということが、地域の人たちも行動がとれればとりたいし、国会議員も、すべての議員はやはり地域の代表だと僕は思いますので、そういう声があれば、それが理にかなっていれば、やはり代表としてサポートしていくのは議員の役目だと思うんです。

 ですから、まずは所轄の警察の方に相談に行くことがまず第一歩みたいな形でよろしいでしょうか。最後にそのことだけお聞きして、質問を終わりたいと思います。

東川政府参考人 先ほどちょっと触れましたけれども、この件につきましては、品川線の建設事務所の所長さんが、地元の住民の方の御要望を受けまして、地元の大崎警察署の方に要望書は既に、要望は伝わっていると思いますので、それでこれから判断していくということになろうかと思います。

石原(宏)分科員 これで質問を終わります。

 実は、まさにその品川線をやっている東京都のところでも、先週の土曜日にも会議がありまして、そこでも、東京都の方に、第二建設事務所というのが品川区役所にあるんですけれども、住民の方から言われて、東京都の方でも対応してくださっているんだと思います。また、私の方からも警察の方に検討状況なんかを聞きたいと思います。

 きょうは、お時間をいただきましてありがとうございました。これで質問を終わります。ありがとうございます。

山口主査 これにて石原宏高君の質疑は終了いたしました。

 次に、秋葉賢也君。

秋葉分科員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、警察庁について何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 佐藤委員長にもお忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。

 本当に、全国約二十九万人の警察官の皆さんには、日夜、昼夜をたがわず御努力をいただいております。いっとき、認知件数もウナギ登りで、その処理が大変だったり、電話相談がふえたり、本当に大変な時期がありましたけれども、総務省も、国全体の定員管理の中でやはり治安や外交部門は別枠だろうということで、五%純減という目標の定員管理から警察や外交部門は外して、増員に努めていただいてきたところでございまして、これは本当にありがたいことだなと。

 全国的な数値を見ても、平成十二年の二十二万五千七百八十一の定員から、二十一年度は二十四万九千二百八人にまで増員をしていただいております。このことに改めて感謝を申し上げたいと思うわけでございますが、まず初めに取り上げたいのは、この増員の中身ですね。増員していただくのは、現場が忙しくて大変なわけですから、ありがたいことなんですが、四十七都道府県、それぞれ適正な増員が行われているのかということが問題だと私は思うんです。

 私も、三期十年間、宮城県の県議会議員をさせていただきました。私どもの宮城県警察で申しますと、もうずっと、二十年前から負担率がシングルなんですね。大体四位から、まあよくなっても八位ぐらいで、警察官一人当たり、高い負担率で推移してきたんです。

 手元に資料をちょっと用意したんですけれども、例えば平成二十年は、宮城県の人口負担割合、警察官一人当たりで見ますと、全国負担率は第四位なんですよね。これは人口だけではかれるものじゃありませんから、実際、事件の数はどうなんだということになるわけでありまして、刑法犯の認知件数で見ても、負担件数は、二十一年は十四位まで減りましたけれども、平成十二年は五位なんですね。

 ですから、刑法犯の認知件数で見た、つまり事件の取り扱いで見た負担件数はおかげさまで減少してきましたけれども、これは事件の増減に左右されるわけでありまして、大事な指標ではあるけれども、まずもって人口負担で見るというのが最もベーシックなやり方になるわけであります。

 この十年間の順位を出してくれと言っていたんですけれども、きょうの質問に間に合わなかったものですから、本当はきょうは委員長にも、ずっと宮城県がどういう推移で来ているのか、お聞きいただきたいところだったんですけれども、基本的には四位から五位ぐらいまでの推移で、ほぼずっと高負担なんですね。

 例えば、宮城県は、同じ政令指定都市を抱えている広島県と、人口の面でも共通することがあるということで、よく比較されるんですけれども、広島県は、十年前は負担率が、人口負担で第二十位、刑法犯の認知件数では六位という負担率でございましたけれども、直近の二十一年には、人口負担は相変わらず二十七位ということで、中位負担となっているんですね。刑法犯の認知件数の負担で見ると二十五位ということで、宮城県と同じ人口規模で、同じような百万都市を抱えているようなところで見ても、宮城県は高どまりしていて、広島県を名指しして攻撃するつもりはありませんけれども、要するに、そういう数値が変わっていないというのは、定数はふえているけれども、その適正な配分ということについて本当に本腰を入れてやっているのか、そういうことが問われているんだと私は思うんですね。

 ですから、型どおりの答弁があるのかもしれませんけれども、警察官の全体の増員というのを各県に割り振るときにどういうことを配慮してやっているのか、まず伺いたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県警察の警察官の定員につきましては、各都道府県警察間の治安体制の均衡と、我が国全体として必要な警察力の確保を図るという観点から、政令で基準を定めておりまして、これを踏まえて、各都道府県が条例で定めているところでございます。これは委員御承知のとおりだと思います。

 では、各都道府県警察ごとの定員の基準をどう定めるかということでございますが、一つには、委員御指摘のとおり、各都道府県の人口ということがございます。ただ、これだけではございませんで、そのほかに事件とか事故の発生状況とか、あと面積とか地形とかといった地理的事情だとか、その他、都道府県ごとに特殊な事情を抱えておりますので、こういった事情等を総合的に勘案して定めているというところでございます。

 ちなみに、宮城県の問題でございますけれども、平成十三年から二十一年までの間に四百三十人の増員をしておりまして、この間の全国の増員率が平均で一一・一%であったものが、宮城県は一三・四%でございまして、宮城県の事情を勘案して我々も定員の配分をしたというつもりでございます。

 また、これによって、警察官一人当たりの負担人口でございますが、平成十二年度が七百三十二人であったのに対しまして、二十一年度には六百四十八人ということで、マイナス八十四人と改善されているという状況でございます。

秋葉分科員 平均の増員率が一一%に対して、二%増での配慮をしていただいたということですので、警察庁も現状の認識についてはしっかりしていただいているんだなと、本当にありがたく、御礼を申し上げますとともに評価をしたいと思います。ただ、逆に言いますと、二%の増で定員増員をしていただいたにもかかわらず、相変わらず負担率が高どまりしているという現状は、むしろ二%の増加率よりももっと高い増加率が必要じゃないかなという証左にもなりますので、今後の見直しの中で本当によろしくお願いしたいと思います。

 参考までに、委員長の御地元の埼玉なんか、十年前は人口負担が一位で刑法犯の認知件数も二位なんですよね。これは直近のデータで見ましても五位と二位ということで、やはり高どまりしているところは基本的に高どまりの傾向にあるんですよ。これを抜本的に変えてこそ、我々も警察庁は例外だといって総務省で頑張ってきた意味がございませんので、ましてや、公安委員長は私の上司で、総務副大臣をお務めいただきまして、副大臣のときに決定したことでもございますので、本当によろしくお願いしたいと思います。

 最後に、この問題に関して、委員長の御決意を伺っておきたいと存じます。

佐藤国務大臣 最近の治安情勢は刑法犯認知件数が減少傾向にあるというのは先生のおっしゃるとおりでございまして、市民生活に大きな不安と脅威を与える事件が後を絶たないなど、依然として厳しい状況にあるというのはおっしゃるとおりだというふうに思っております。

 警察の体制のさらなる充実について国民の要望は非常に強いものがあるというふうに認識をしておりますし、都道府県警における警察官の定員の基準については、各都道府県の人口のほか、先ほど官房長が申し上げましたように、事件、事故の発生状況、面積、その他の特殊事情等を総合的に考慮して適切に定められたものというふうに承知をしております。

 先生おっしゃられるように、当然、地域地域での事件のあり方、特徴、いろいろ勘案をしてやっているつもりでございますけれども、いろいろな行革の中、警察官だけがふやしていただいているという状況もございまして、皆様方も各都道府県で、特に委員長の埼玉県なんかは非常に事件、事故がふえて大変な状況にある中で、なるべく公平、公正な負担というものを考えながらやらせていただいております。

 先生の御意思を踏まえながらしっかりと、宮城県においても、先生が御満足のいくような形を徐々にとっていきたいというふうに思っておりますので、御理解を賜りたいというふうに思います。

秋葉分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは、もう時間があっという間に過ぎちゃって、盛りだくさんで用意していましたので、急いで行きたいと思うんです。

 今は、警察庁が全国の定員配置をどうするかという問題でしたけれども、一方でやはり、それぞれの都道府県警察において適正な組織体制の見直しが行われているか。

 宮城県の場合には、何年か前に、私が文教警察委員長のときに抜本的な見直しをしたんですね。これは大変でしたよ。駐在所をなくして機動力を高める。最近の犯罪というのは、御案内のとおり、非常に広域化をし、多様化をしてきています。ですから、昔のような牧歌的な体制の中では即応できない、迅速性というものにやはり欠けてくるんですね。ですから、駐在所も大変喜ばれているわけですけれども、しかし、現実的には二十四時間での初動体制をどうとっていくかということが課題だと私は思うんですね。

 ですから、とりわけ駐在所の見直しを中心にしながら交番の機能強化をやるということが、まずは、各署から駆けつけるよりも、住民にとっては一番安心だし、機動力があるんです。

 警察庁からいただいた資料を見ますと、交番も駐在所もそれなりに統廃合が行われてきているということはわかるんですが、私が想像していたのは、駐在所が統廃合になって交番がふえているのかなという認識でいたんですが、この十年間に、平成十一年比で見るとマイナス千七十八件ということで、大幅に駐在所を見直してもらっている。だから、非常に私の問題意識に合致したとおりのことをやっていただいているんだなと。その分、交番が充実してきているのかなと思いきや、交番も平成十一年比で二百九十六件減っているんですね。

 交番の中には、至近距離にあるものであるとか、いろいろなケースがあるので、確かに一概には言えませんけれども、大事なのは、交番の設置建前というのは、六人体制で三交代の二十四時間勤務というのが建前で、このことが即応性につながるわけですから、やはり交番というのは、駐在所と違って、やみくもに統廃合するんじゃなくて、あくまでも住民サービスの中で、不安やそういった治安の懸念を解消するために、電話すれば夜中でもすぐ駆けつけてもらえる、その中核施設が交番だという観点からの見直しをすべきだと思うんです。

 やはり警察庁としてそれぞれの都道府県にしっかりそうした指導をすべきだと思いますが、どんな状況で行われているのか、時間がないので簡潔にお答えいただきたいと思います。

巽政府参考人 お答えいたします。

 交番、駐在所は、昼夜の人口、世帯数、面積、行政区画、あるいは事件、事故の発生状況等の治安情勢に応じて設置されているところでございます。

 警察庁では、交番、駐在所の配置につきましては、全体として、治安情勢に応じて適正、合理的なものとなるように、絶えず見直しを行うように、都道府県警察を指導しているところでございます。

 ただいま御指摘のあった、例えば夜間とか休日における警戒力を高めるという観点から、幾つかの県におきましては、駐在所を交番に転換したという報告も受けております。また、駐在所につきましては、その管轄区域内における夜間の警戒力を確保するという観点では、隣接の交番とか警察署における小型警ら車の増強配置、あるいはパトロール活動の強化を行いまして、事件、事故の対応に間隙が生じないように努めているところでございます。

 警察庁といたしましては、今後とも、地域の治安情勢、住民の方々の意見等を十分踏まえた上で、交番、駐在所の配置、運営が適切に行われるように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

秋葉分科員 そういう方向でやってもらっているのは当然のことだと思いますけれども、大事なことは、警察庁として、四十七都道府県警察のいわゆる再編の状況、これはどんな警察だって当然毎年見直しはしているわけです、組織の見直しは。私が今ここで言っているのは、この時代に合った抜本的な改革をやっているのかということなんですよ。なかなか、対住民との関係があって、やはり毎年の小幅の見直しにとどまっているところがほとんどなんです。ですから、思い切ってこれはやるしかないので、警察庁として、全体をよくにらみながら、やっていないところは督励しなきゃだめだよということを申し上げたいので、総論の話じゃなくて各論で見て指導していってほしいな、こう思いますので、よろしくお願いします。

 また一方で、交番はこれだけ増員をしてきているんですけれども、残念ながら、やはり地元の県民の皆さんからは、交番にいつも人がいないじゃないか、こう言われる。いたらいたで、今度は、よっぽど暇なんじゃないか、いるぐらいだったら外を回って警ら活動しろ、こういう国民からのまさに二律背反の要求があるわけですよ。これは私どもからすれば両方大事なことなわけであります。ですから、この二律背反のジレンマをどう解決するのか、少ないマンパワーで、管理費でどう解決するのかという有効な手だての一つが交番相談員だと私は思うんですよ。

 御案内のように、警察のOBの人なんかに、ほぼボランティアですよね、わずかな日当で週何回か決めて来てもらっているわけです。これは、OBのノウハウを活用させていただくという意味でも大変効果があるわけですね。そして人件費も大した予算がかからない。ですから、これは非常に重要な政策だということで、国の方でも、例えば地財計画なんか見ても、平成二十年度、全体で一万一千百九十二人の予算を見ているんですね。

 ところが、実際に予算措置して配置されているのは六割の六千人だけなんです。これはあんまりじゃないかなと。達成率が五四%ですよ。恥ずかしながら、我が宮城県の達成率は一八%なものですから、これは本当に残念なことだなと思うんです。やはりもっと高い伸びでの増員が必要なのに一三%ふやしてもらった、そういったすき間を補う意味で、これは一〇〇%活用していかなきゃいけないと私は思うんですよ。そうすれば、国民の皆さんからの、いつもいないだとか、外へ出ろだとか、そういう相矛盾する要求に、大変費用対効果がよく対応できるということなのでよろしくお願いしたいと思いますが、一言だけ状況を伺っておきたいと思います。

巽政府参考人 交番相談員制度につきましては、先ほど委員御指摘のような住民からのいろいろな要望に対応する上で効果を上げているというふうに考えておりまして、警察庁におきましては、交番相談員の増員を図るべく、これまで地方財政計画において所要の財政措置がなされるように努めるということと、各都道府県警察に対しまして交番相談員の配置を積極的に行うように指導を強めているところでございます。その結果、交番相談員の数は年々増加しておりまして、平成二十年四月一日現在で全国約六千人の交番相談員ということでありまして、これは例えば五年前の平成十五年と比べますと約二・七倍になっているということでございます。

 警察庁といたしましては、今後とも、交番相談員の増員が図られるよう都道府県警察を適切に指導してまいりたいと考えております。

秋葉分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。大変効果的な制度だと思いますので、そういう不足分を補っていければと思います。

 次に伺いたいのは、いわゆる死因究明の解剖の実態について。

 これも、スウェーデンなんかは一〇〇%でやっていることからしますと、我が国は先進国の中でも非常に解剖件数が低調な状況にあります。その中で監察医制度があるところ、昔は七つだったか八つぐらいあったわけですけれども、今は財政難でどんどん減らされて五つですね。政令市を中心にあるわけでありますけれども、残念ながら、東北、北海道に一カ所もないんですね。

 ですから、基本データなんかを見てみますと、平成二十年中のデータで見ると、死体の取り扱い数が今は大体十六万以上に及んでいるんですけれども、監察医制度があるところについては、東京のように解剖率が、これは司法解剖、行政解剖、両方合わせた数字になりますけれども、一八・九%だったり、神奈川が突出して多いわけですね、約三割が解剖されている。そして、兵庫県や大阪にも監察医制度があります。ここも一五%、二一%ということで、大変高い数字になっているわけですね。

 これは、理想的には各都道府県にそういった制度があれば死因の究明に迅速性が保たれるんじゃないかなと思いますけれども、死因究明をしっかり実施していくために、私は、司法解剖はもちろんのことですけれども、行政解剖の実施件数も本当だったら上げていく必要があるんじゃないかなと思いますけれども、警察庁の見解を簡単に伺っておきたいと思います。

米田政府参考人 委員の御指摘のとおり、死因を究明するためには、外側から見る検視だけではなくて、解剖が有用であるというように警察庁としても思っております。ただ、解剖にはそれなりの法的根拠が必要でございまして、警察が行っておりますのは、まず検視によって犯罪性の疑いを確認し、そして捜査手続に入って司法解剖をするということでございます。それ以外に行政解剖が広範に行われるということは大変望ましいことであろうかと思っております。

秋葉分科員 そこで、都道府県の実態を見ると非常にばらつきがあるわけですね。

 もともと日本の解剖の歴史というのは、GHQが占領していた当時に、貧困街があったりして、野たれ死にする、何が死因で亡くなったのか究明しなきゃだめだというようなことで、どっちかというと衛生管理、民生の部門からスタートしたという歴史があるものですから、監察医の所管というのは厚労省になっているわけです。私は、警察とも密接に関連するわけですから、都道府県警察の一機能の部門に簡単な検視ができるような、解剖の前処理ができるような施設があるのが本来なら理想だと思うけれども、しかし、いろいろな捜査の中立性という観点から考えれば、やはり外部にあった方が望ましいのかなと。

 そこで、今は全国に五カ所しかないわけだけれども、全国展開というのはこの財政難に難しいと思うんだけれども、しかし、少なくとも東北ブロックに一つぐらいの受け皿がないことには、先ほど申し上げましたように、統計を見たら驚くじゃないですか。死体総数の五体のうち一体解剖している自治体があれば、神奈川のように三体に一体は解剖に回されているような高いところもある。その一方で、全国平均は一割、九・七%ですから、そういう意味では、解剖率が非常に高いところと低いところの都道府県格差が三倍以上離れているというのは看過すべき問題じゃないと私は思うんです。

 そこで、きょうは厚生労働省からも審議官に来ていただいております。基本的には、監察医制度となると現状では厚労省が所管ということになっています。警察庁ともいろいろ協議して関係会議を開いてやっているというんだけれども、一向にふやす議論がなくて、減らすことばかり考えているようなんだけれども、整備についてどう考えているのか、ちょっと考え方を伺っておきたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 監察医制度でございますけれども、この制度は、公衆衛生の向上を目的として、一部の地域における死亡動向を把握することで伝染病の発生といったような公衆衛生上必要な情報を把握する、そういう仕組みでございます。このため、政令で定めました東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市を所管する都府県知事が必要に応じて監察医を置き、遺族の承諾を得ず解剖ができるということとされているところでございます。

 こうした制度の趣旨を考えますと、監察医の設置を全都道府県に義務づける必要は必ずしもないと考えておりますが、死因究明制度の充実につきましては、厚生労働省だけでなく、他の関係省庁と連携して対応する必要があると考えておりまして、厚生労働省も内閣官房で行われている検討会に参加し、政府としての対策の検討に参加してまいりたいと考えております。

秋葉分科員 厚労省の立場からすれば、いきさつが、私自身も申し上げたように公衆衛生の歴史でスタートはしてきているんだけれども、近年の犯罪の高度化、多様化ということにかんがみれば、もう少し治安の面からの死体の取り扱いということの領域に踏み込んで厚労省も協力してもらわないと困ると私は思うんですね。

 この間、自民党の議連で、東京都監察医務院というのを視察してきたんです。東京都は五人に一人が解剖に回されていますから、やはりすごいなと思いますね。いただいた統計を見ますと、平成三年以降のデータを見たって、「検案」の中で「その他」というのがありますけれども、つまりこれは、行政解剖をされたうち、事件性はないと思って解剖に回されたんだけれども、例えば多い年は、平成七年のように千六百件解剖して四件は他殺だったということがわかったんですね。この東京都監察医務院のデータによれば、平成四年から、少なくとも毎年一件から、少ないときはゼロの年も確かにありますけれども、多い年は四件ですね。結局、心不全だったり何だりと事件性がないと判断された、つまりある意味では検視では見抜けなかった、それが他殺だったとわかったわけですよ。つまり、この監察医務院がなければ事件性なしとされていたわけだから、ある意味では表に出ることはなかったわけですね。

 私は、これは警察の調査官に手抜きがあったとかそういうことを言っているんじゃないですよ。現場では当然最善を尽くして全力でやってもらっているわけです。これはもう本当に腐乱死体だとか何とかと大変なことです。実は私の親戚もこの仕事をしておりましたので、本当に大変な仕事です。だから、そういう仕事の中で手抜きがあったということを申し上げるんじゃなくて、結果としてやはり検視ではわからないものがどうしても出てくるということなんですよ。だから、解剖の件数をふやしていく努力が必要だということを申し上げたいわけです。

 そういうことを熱弁しても、厚労省もなかなか建前の話にしかなりませんから、現実的な対応を考えれば、四十七都道府県にはすべて医学部があって、そこの法医学教室で司法解剖にしても協力してもらっているのが実態なわけですよ。ところが、残念ながら法医学教室が定員割れしたり、あるいは四国のある県のように、定員措置はしているんだけれどもたまたま先生が転任になって不在になったりとか、大変なわけです。ですから、自分の県で発生した死体の検案が自分のところで司法解剖できなくて隣の県に協力を仰いだり、そういう実態ですよ。

 宮城県も、法医学教室、舟山先生初め三人のスタッフが頑張っていただいております。この間も舟山先生にもいろいろなお話も伺ってまいりましたけれども、やはり基本的には法医学教室を充実していくことが、まずはそれぞれのブロックに監察医制度ができる前の、とりあえずは当面の応急手段として必要だと思うんだけれども、これまた、大学の法医学教室の話になると、警察庁の問題じゃなくて定員管理は文科省だなんということになるものですから、そういう縦割りもいかがなものかと思うんですよ。

 警察庁もしっかり頑張ってもらっているとは思うんだけれども、文科省として、特定の教室の定員だけに言及するというのは非常に難しい面もあるけれども、しかし、我々は、今この医師不足の中で、医師の定数増ということを見ているわけだから、その中で、法医学の協力者も何らかのインセンティブで誘導していくような措置があってもいいと思うんだけれども、文科省にも来ていただいておりますので、法医学教室の定員の充実ということについて、具体的な取り組みがあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘ございましたように、法医学関係の教育の中身につきましては、これは医学部の必修ということでございまして、国立大学に限らず、国公私立大学すべての医学部について法医学教室が置かれているということでございます。

 この法医学教室の現状でございますけれども、国立大学の教職員等につきましては二百八十五名、そのうち医師が九十一名ということになっております。

 それで、近年、私ども若干懸念いたしておりますのは、国立大学の法医学関係の大学院生でございますけれども、これが将来法医学を担っていくための後継者ということになるわけでございますけれども、現在、二十年度に国立大学の大学院で法医学関係に在籍している者が六十五名、このうち医師が十四名でございます。

 あと、これは国立大学に限らず、国公私立大学の医学部生全員に対しましてアンケート調査をいたしまして、将来法医学に従事したい者でございますけれども、回答者五千二百五十七名のうち八名という実情でございます。

 近年、先生御指摘のございましたように、医学部の定員につきましては、産科の問題等々もございまして、今ふやしておりますけれども、実際、医学部生がどこの科に行くかということにつきましてはなかなか限定しづらいということもございます。先ほど東北大学の舟山先生のお話も出されましたけれども、今私どもは、各大学の法医学の先生方とも少しお話をいたしまして、どういうぐあいにしたら、魅力あるという言い方もちょっとなかなか変な言い方でございますけれども、そういう学生さんたちも大学院生たちもちゃんと来られるような形になるのかどうか、その辺につきまして少し検討してまいりたいというふうに考えております。

秋葉分科員 本当に、文科省もよろしく御指導をお願いしたいと思うんですよ。

 これはやはり委員長、ある意味でそれぞれの、縦割りとはいいながらも問題意識は持っていただいているんですね。ところが、現実はどうかというと、なかなか具体的に進まないんですよ。そういうことを考えますと、これはまさに政治決断の状況、時期にもう来ているんじゃないかなと私は思うんです。ですから、ぜひ佐藤委員長には、事務レベルでは連絡会議はつくっているようでございますから、これまでのそういう取り組みを改めて精査した上で、委員長と塩谷大臣とそれから舛添厚労大臣と、三人がこのテーマで一度、大臣同士で会って、この問題について、やはり日本の死因究明の割合というのは極めて低調なわけですから、スウェーデンのように一〇〇%はいかないまでも、犯罪にとにかく若干のそごがあってもならないという強い決意のもとに、大臣レベルで、政治決断の中で、何とか充実するような、定員の増にしてもそうですし、監察医を全部につくれなくてもブロックごとには充実させようとか、そういった一歩を踏み出していただきたいと思うんですけれども、大臣会合していただけますでしょうか。

山口主査 質疑時間は終わっておりますけれども、大臣の決意。

佐藤国務大臣 警察の関係についてはもう先生がすべて言っていただいたというふうに理解をしておりまして、警察といたしましてできることはしっかりとやらせていただいている。

 今度の増員についても、検視官をふやしたりということは逐次やっておりますし、先ほど先生のお話にございましたように、お医者さんに対するインセンティブ等々についても、だれが考えてもこれは当たり前の話かなというふうに思います。

 そういうことを踏まえて、舛添大臣そして塩谷大臣とも、早急にお願いをして、何ができるかということを前提に、しっかりとした体制ができるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

秋葉分科員 時間も参りましたので、どうもありがとうございました。ぜひ期待しております。

山口主査 これにて秋葉賢也君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 昨日に引き続き内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。武正公一君。

武正分科員 民主党の武正公一でございます。

 官房長官そして政務官、お運びいただきましてありがとうございます。

 早速、官房長官には、昨年の十月八日ですか、予算委員会、このときに私、質疑に立ちまして、政府が、公益法人のいわゆる再就職規制、これを進めたんだというふうなお話なんですけれども、お手元の資料一ページにありますように、国所管法人、所管官庁出身常勤理事が常勤理事の三分の一を超える法人というのは千七百ある、そして、見直しで、常勤、非常勤含めて三分の一以下にしましたよ、このようにお話があったんですけれども、うち二百七十ですか、それが常勤理事で見れば三分の一以上ということもあって、やはり、常勤理事を念頭に、三分の一以下という、政府の閣議了解でしょうか閣議決定でしょうか、この指針に基づいた規制をすべきだ、こういうやりとりをさせていただきました。

 当時、麻生総理が「検討させていただきます。」と、こういう答弁をいただいたわけでありまして、それは非常に踏み込んだ発言だなということで、当時、予算委員会でも、同僚の予算委員もそういう認識があったんですが、その後、質問主意書でこの点についてどうなのかということでただしましたら、お手元の三ページにありますように、「常勤理事のうち所管官庁出身者の割合を三分の一以下とする基準を設けることは困難との結論に達した。」という答弁書をいただいたわけでありまして、総理の「検討させていただきます。」という予算委員会での答弁とそごがあるわけでありまして、なぜこういうことになったのか。

 いわゆる公益法人改革と逆行するのではないのか、あるいは天下り規制の動きと逆行するのではないのかなというふうに思うんですが、まず官房長官に、この間の経緯についてお答えをいただければと思います。

河村国務大臣 確かに、十月八日に予算委員会で武正議員の方から質問があり、私がお答えした後、総理の方で「検討させていただきます。」と答弁をいたしました。

 私どもも、これを受けまして政府部内で検討させていただいたわけで、結論から言うと、答弁書にも差し上げたような形になっておりますが、常勤理事のうちの所管官庁出身者の割合を三分の一にするということは、基準を設けることが難しいんだという結論に達したわけであります。

 総理が検討しろということで我々が検討した結果、現時点でこういう結論に至ったものでありますから、申し上げたような形で答弁書を差し上げておるということでございます。

武正分科員 お手元には質問主意書の方はお配りしておらないんですが、今、総理の指示を受けて検討したと官房長官は明言をされたんですが、私は一問目で、「総理から見直しの指示を官房長官が受けて具体的に関係省庁などを集め会議を行ったのはいつで、呼ばれたのはどこの省庁のどの部署か。」こういうようなことをお聞きいたしましたが、この三ページにお答えがあるように「政府としては、お尋ねのような会議は開催していないが、」ということなので、今の官房長官のお話とまたここがちょっと食い違うんです。

 官房長官も御出席のもと、この総理の指示については検討したということでよろしいでしょうか。

河村国務大臣 もちろん、前回答弁を申し上げたのと結果的に同じようなお答えをしたような格好になったのでありますが、今後公務員改革の中で新しい制度を設けていく、このことは決まっておるわけでございまして、こうした中で、いわゆる常勤理事に限定した基準を置くということが一体どういう意味を持つんだということで検討をしたわけであります。

 確かに、法令上は常勤理事も非常勤理事も、団体はまちまちですから、いろいろな団体は今御指摘あります。理事長が非常勤のところもある、常勤のところもある。理事長は非常勤でありますけれども、理事長としての権限を持っている。だから、法令上は皆同じ資格になっておりますから、確かに、常勤理事というのは常勤していますから、そこはいろいろなことをよく承知をしていますので、その指導力的なものがあればそこの働きは大きいということはある。それが出身官庁であれば、いろいろ御指摘のあるようなことが懸念をされるという御指摘はわからぬことはないのでありますけれども、しかし、法令的に権限は同一であるということから考えると、これを実際に制限するということは、常勤理事に限定しておくということは困難である。

 今後の新しい制度において所管官庁を皆外した形になっていきますので、それぞれの理事のあり方についてはそれぞれの団体がまさに決めるといいますか、法人自治の原則はある、これでやるべきではないかという形になって、一律のそうしたやり方は困難であるという結論に達したわけであります。

武正分科員 まず確認したいんですが、私は質問主意書で、総理から見直しの指示を官房長官が受けて具体的に関係省庁などを集め会議を行ったのはいつで、呼ばれたのはどこの省庁のどの部署かと。そのときの会議としての結論はどうなったのか。その結論は、いつだれから総理に報告されたのか。その結論に達した理由はなぜかということで、「一から四までについて」ということでありますが、結論はここで「困難」ということでお書きをいただいたんですが、一から三については「お尋ねのような会議は開催していないが、」ということなんですが、私が尋ねたこういう会議は開催していたということでよろしいですか。

河村国務大臣 見直しについて、ああいう、総理が検討すると言われたわけでありますから、今申し上げたように、一律に常勤理事を限定したやり方ができるのかどうかについては内部で我々は検討させていただいた。しかし、おっしゃるように、それぞれ役所を呼んで全体の会議をやるということはやっておりません。

 そういう指示の仕方を受けたわけではなくて、この問題は具体的にそれが可能かどうかという見地から我々としては検討した。もちろん、いろいろな担当、こういうことをやってきた人たちの意見も聞きながら、政府としてどうするかという検討はしたわけであります。

武正分科員 会議はやった、しかも、その席には官房長官も出られたということでよろしいでしょうか。

河村国務大臣 会議といいますか、私の方で関係者といいますか、あるいはこの法令の関係者とかそういう人たちを呼んで、法令上権限はどうなっているんだとか、こういう議論をしながら、結論的に今回は難しいという結論に達した、こういうことであります。

武正分科員 そうしましたら、それは総理の方に報告をされましたでしょうか。というのは、総理はここで、検討するというふうに予算委員会で明言をされたので、当然指示がおりて、それについて今のように官房長官も出席のもとで会議をやって、そこで困難だということであれば、それをまた総理の方に報告されたのではないかというふうに思うんですが、されたのか、されたとすればそれはだれからで、いつなのか。お答えいただけますでしょうか。

河村国務大臣 いつやったかというと今ちょっとあれですが、主意書については閣議にかけますから、当然報告をして、この問題はこういうことで検討した結果困難だという結論に達した、今後の課題は新しい制度のもとできちっと対応していかなきゃいけない課題ではありますという報告は、私の方からさせていただいたということです。

武正分科員 いつかもぜひお調べいただいて、お答えをいただきたいと思います。

 ただ、そうしますと、今のようなやりとりでようやくわかってはきたんですが、この閣議決定をした質問主意書に、政府としてはお尋ねのような会議は開催していないというふうにお答えをいただいた答弁書と、今の御答弁は、そごを来すのではないでしょうか。

河村国務大臣 御質問のように各役所を呼んで会議をやったか、こういう質問だったと思いますので、そういう形のセットをして、会議の招集をかけて、そして主宰をしてやったということではないものでありますから、そういうような形の会議をやったわけではないんだがという答弁になったんだ、そう思います。

武正分科員 ただ、今、関係法令の担当者も呼んだというわけですから、私の趣旨はそういったことで書いてあるわけです。具体的には総務省ということだと思うんですけれどもね。

 ですから、これはここでもう終えますが、やはり質問主意書に対して内閣として誠実に御答弁をいただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 そこで、今度の新法人では、これまでの閣議決定の、三分の一以下にしなさいという指導方針が外れているということに関して、私は、やはり今まで以上に再就職が抜け穴になってしまうのではないか、前よりも規制が緩くなってしまうというふうに、要は、所管官庁がなくなるわけですからね。主務官庁というのがなくなって内閣府だけになってしまう。そうすると、旧所管官庁から三分の一以下にしなさいよというそのたがも外れて、フリーで再就職できる。

 これはかえって天下りが緩くなるということだと思うんですが、この点については官房長官としてどのように担保をされているか、あるいはそれは問題ないんだという御認識か。この答弁書ではそうしたこれまでの閣議決定、指導方針は新法人には適用せずという御答弁なんですが、いかがでしょうか。

河村国務大臣 新制度においては、今おっしゃったように、主務官庁の設立許可あるいは指導監督の権限が排除をされるということになっていきます。それに加えて、ここで民間有識者で第三者委員会をつくります。ここで、国にあっては公益認定委員会と言っておりますが、公益性の判断とか監督を行う、こういうことになっていきますから、恣意的ないろいろなことが行われないようにということは、これは厳しく第三者委員会でも見るわけでございますので、そういう視点において、私はこれまでとは違った形で行われるのではないかと思います。

 特に、OBの就職が問題になるわけであります。一たん、組織の支配下に一律にあるとは言えない方々になっていきますので、御懸念のようなことというのは、一面の見方をすれば、その懸念がないと一〇〇%言えるかというと、そういう目で見ればそういう御指摘というのは私は考えられないことはないと思いますけれども、しかし、新しい制度において当然そういうことが厳しく見られるんだ、第三者委員会においても見られるんだという形で今後再就職の問題についてはやっていくわけでありますし、特に押しつけ的な再就職あっせんというものは禁止をして、官民人材交流センターへの一元化という方向もとられるわけでありますから、そういう恣意的なあり方というのはなくなる、このように考えておるわけであります。

武正分科員 今回の新法案は、それまでのこうした閣議決定の指針というものではなくて、はっきりと法律に公益認定の基準を明記しようということで、第五条にそれが各号で明記をされているわけですが、その中には、出身官庁、旧所管官庁というような言い方でもいいのかもしれませんが、再就職を三分の一以下にしなさい、これが抜け落ちているわけですね。つまり、法律にも明記されていない、閣議決定も、もうない。

 そこで、今、第三者委員会がそのことをちゃんとガバナンスするんだよというお話でしたが、第三者委員会も、それぞれの公益認定で、ではきちっと旧所管省庁を三分の一以下にする、こういったことで、認定基準に据えて第三者委員会がやるということでよろしいですか。

河村国務大臣 今の時点では、認定基準といいますか、法的には書き込んでありません。しかし、当然、三分の一の規定があったんだということは、これは厳然たる事実でありますから、そういうことも含めて第三者委員会は考えていかなきゃいけないのではないか、私はそう思います。

武正分科員 ただ、この答弁書では、「指導監督基準及び「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」については、公益社団法人及び公益財団法人並びに一般社団法人及び一般財団法人に適用されない。」こういうふうに書いてあるわけですけれども、今のお答えとこの答弁書、またそごを来すんですが、第三者委員会はこれまでと同様に、旧所管官庁からの再就職三分の一以下というこの運用指針をきちっと適用する、それによって公益認定などを行うということでよろしいですか。

河村国務大臣 答弁書では、御指摘のような措置を講じることはないというふうになっておると思います。法的には基準を書いておりません。しかし、御指摘のような、御指摘といいますか、そういう基準でこれまであったんだということ、これは、各法人が理事を選ぶときなんかには一つのあり方としてそういうものがあったんだということ、そういう視点があるんだということは、やはり一つの考え方の中として持つべきであろう、私はそういうふうに思います。

武正分科員 官房長官はそういうふうにおっしゃられても、内閣の答弁書には適用されないというふうに書いてありますし、総理が、常勤について三分の一以下も検討しようと言ったんですが、官房長官出席の会議をやったところ、困難だということで答弁書が出てきているということでありますので、私はやはり、公益法人のこれまでの閣議決定、旧所管官庁からの再就職規制、これがきちっと新法人でどのように規定をされるのか。

 これはやはり、どうもこの質問主意書に対する答弁が、先ほどの会議の開催も含めて、今のお答えで非常にあいまいということがわかってまいりましたので、改めて政府見解を求めたいというふうに思いますので、御対応をお願いしたいと思います。

河村国務大臣 今私が申し上げたことも含めて、改めて見解を出したいというふうに思います。

武正分科員 文書での御提出をお願いしたいと思います。

 委員長、いかがでしょうか。

山口主査 よろしいですか、官房長官。

河村国務大臣 委員会に対してですか。どこに出すんですか。

武正分科員 私に対して文書でいただければいいんですけれども、それが手続的に委員会にということであれば委員会にということでありますが、もし直接いただければ直接いただいて結構です。

河村国務大臣 ちょっと検討させていただけますか。私どもで改めて出すということをお約束いたします。

武正分科員 そこで政務官、全国食糧保管協会それから検定協会、これについて、昨年十月六日に、やはり同じく予算委員会で、大臣が、まずは食糧保管協会のあり方についての質疑の中で、大変不可解だった例のMA米の保管料、保管協会を一時的に中抜きして、そして倉庫の方に渡すと。そのときに、何と各倉庫の会費を天引きしている。しかも、私も見たら、財務諸表には、年間百億を超える保管料の記載が一切ない。

 そういうようなやりとりの中で、大臣は、全国食糧保管協会を通じたいわゆる預託はやめるということだったんですけれども、私は、やめるというやりとりを聞いて、ちょうど常勤理事三名が、ある面、養うためにそういうことをやっているんだろうという大臣のやりとりの後だったものですから、農水省のOB三名をやめさせるんだな、大臣は大したものだなというふうに思ったんですが、今回改めて議事録を見たら、預託をやめさせるということでありまして、今お手元の資料のように、全国食糧保管協会役員一覧が六ページに出ておりますけれども、今もって、専務理事、常務理事、常勤の二名、それから、八ページにある、下から六人目になります理事、いずれも農水省のOB、これを見ていただくと、常勤はこの三名だけで、あと七十一名は非常勤なんですよね。

 この三名の方は依然として今も理事をされているということでよろしいのかどうか、お答えいただきたいと思います。

江藤大臣政務官 委員の御指摘のとおり、現段階におきましても、理事は七十一名おりますが、常勤は三名、三名は農林水産省のOBで間違いございません。

武正分科員 同じく、大臣は、穀物検定協会についてもOBの数を減らしたい、在職期間が長い方がいて報酬が当然高くなっている、特に常勤理事の改善が必要だというふうに言っておられるんです。

 その後にある九ページ、これも資料をホームページから取り寄せました。日本穀物検定協会の理事。今、理事は数えると十一名、非常勤の理事が二十名。常勤の理事の会長、理事長、理事、三名が、ここに書いてありますような農水省のOBということなんですが、今もこの三名の方は現職の常勤理事ということでよろしいでしょうか。

江藤大臣政務官 平成二十年度、十月一日現在でございますが、理事の数が三十一名、常勤は十一名、そのうちの農水省のOBは四名、常勤は三名でございます。

武正分科員 ということは、予算委員会で、大臣は、大変なんだけれども何とか改善をしたいというふうに述べていたんですけれども、結局、農水省OBの常勤を減らすとか、あるいは農水省OBじゃない別な方にかえるとか、そういったことはこの間できなかったということでよろしいでしょうか。

江藤大臣政務官 委員の御指摘のとおり、数字だけ見ればこのようになってはおりますが、ただ、職員の数それから理事の数、これにつきましては、例えば、日本穀物検定協会の役員、こういったものも、平成十五年の十月には八名だったものが二十年には四名、そしてまた、職員につきましても百三十四人いたものが百十四名、漸減する方向での努力はしているというふうに認識をしております。

武正分科員 ただ、常勤理事という、実際的に公益法人の中心で運営をされている方について、旧所管省庁とのそうした再就職については手がつけられなかったということだと理解をいたします。

 官房長官、十月八日のときも、常勤理事と非常勤理事は実は変わらないんだということを官房長官も述べておられるんですが、こうやって見ていただいても、やはり常勤理事の持つ意味というものは極めて重いものがあるというのが、この両協会でもおわかりいただけると思うんです。

 いわゆる旧所管官庁、あるいは現所管官庁と公益法人との関係、会計検査院が二〇〇七年に指摘したように、随意契約を国と交わしている公益法人の八割がいわゆる再就職を受け入れている、こういう、ある面の随意契約と、旧所管官庁からの再就職との強い関係ということも会計検査院も指摘しておりますので、私はやはり、まずは先ほどのように、新法人でもこれまでの指針は堅持をすべきであるという点と、あわせて、特に常勤理事、こういったところに厳しい目で政府として見ていかないと、いわゆる税金の無駄遣いというところを、再就職との連携でメスを入れられないのではないかと思うんですが、常勤、非常勤の認識について、改めて官房長官の御認識を伺いたいと思います。

河村国務大臣 常勤理事というのは、常勤して、その会のいろいろなことをつかさどっていく責任ある立場だということは間違いない。しかし、理事会においては、やはり議決というものが最終的に決まっていくわけであります。定款等もありましょうが、ほとんどそれによって議決をしていく。それでは常勤理事はほかの理事に比べて何倍も権限を持っているかというと、そういうことじゃないわけであります。同じ立場で対等にやらなきゃいかぬ。もちろん、常勤理事がいろいろな議案や何かに対しての説明をしたり、そういうことは行わなきゃいけない、そういう役職であります。だから、団体によっていろいろな考え方があると私は思います。そういう経験が豊かな人がそこへなっていかなきゃいかぬし、あるいはその団体によっては、新しい視点で理事を入れていく、いろいろな考え方がある。

 そして、今後の新しい制度においては、そういうことを解き放って、所管官庁という考え方をもうやめる、厳しい指摘もある、そういう新しい視点に立ってやっていくわけでありますから、それぞれの団体のそうした自治といいますか、そういうものを重んじながら、しかし、国民の目はそういう厳しい目があるよということはやはり意識をしてもらわなきゃいかぬ。

 おっしゃるように、それが恣意的なものであったり、押しつけ的なものであったりとか、こういうことは完全に排除されなきゃいかぬ。そういう視点で、これから新しいやり方でやっていこう、こういうときでありますから、法的には違わないということだけは、これはやはりきちっと担保しませんと、それぞれの団体の自治というものは成り立っていきませんので、そういう視点に立っておるということも御理解をいただきたいというふうに思います。

武正分科員 今度、いわゆる漢検の件が今非常にクローズアップされておりますが、文科大臣がこう言っておりますね。一般法人は縛りがないということで懸念を示しております。

 ですから、今までの新法人制度が、今のような自治ということで言っておりますけれども、いわゆる公益性を持っている、あるいは一般社団、一般財団でも、大変国民に対する影響が大きい中で、どうやってガバナンスをきちっとかけていくのかということで、今、常勤について言うと、今度の新法人では、いわゆる代理出席は不可であるということをきちっとかけているということは、イコール、多分非常勤の理事というものは減っていくんだろうというふうに想像するわけで、やはり常勤と非常勤は違うということを改めて政府も御認識の上、新法を施行されているということだと思います。

 最後は、時間も限りがありますが、尖閣諸島課税評価上陸調査、三月二十五日に外務委員会で官房副長官が、直接石垣市から要請があれば、政府内、関係省庁は検討するという答弁がありまして、お手元の十ページ、河野外務委員長から石垣市長あての文書、それから十一ページ、石垣市長から外務委員長あての文書ということで、上陸実地調査をしたいんだという意向の明示がありました。これは同じく、外務大臣の方にも出されたという報道がありますけれども、既に記者会見で、政府内の検討を官房長官は明言されたというふうに私も拝見をいたしました。

 実際のところ、どのような政府内の調整が行われたのか、お答えをいただきたいと思います。

河村国務大臣 石垣市長から外務大臣あてに、固定資産税課税のための実地調査を行うために尖閣諸島に上陸を要請する書簡が四月三日付で来ております。そこで、この三島であります、魚釣島、北小島、南小島、もともとこれは私有地でありますけれども、平成十四年四月から政府は、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を図る、こういう目的で賃借を開始しておりまして、この賃借の目的に照らして、原則として何人も尖閣諸島への上陸を認めないという方針をとってまいりました。

 したがいまして、固定資産課税のための上陸を認めるかどうかということがございますが、この政府の賃借目的を十分に踏まえて検討しなきゃいかぬ、こういうことでございまして、現時点では、関係省庁と連携をして対応を検討している、こういう段階でございます。

山口主査 武正公一君、質疑時間が終わっております。

武正分科員 海上保安庁は灯台の保守のため、年に一回上陸していることをお伝えした上で、最後、ちょっと時間もあれですが、検討は今どういう状況にあるのか、あるいはどういう省庁が検討に加わっているのか、お答えいただければと思います。

山口主査 質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお願いいたします。

河村国務大臣 今、こういう要望が出ておりますので、これはやはり慎重に検討しなきゃいかぬということで、早期に結論を出すように、この努力を今求めている段階であります。

武正分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

山口主査 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 昨日に引き続き外務省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。薗浦健太郎君。

薗浦分科員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 きょうは副大臣にお越しをいただきまして、北朝鮮のミサイル発射後の外務省の対応等々についていろいろお伺いをしたいと思っております。お時間をいただきまして、委員長ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 それで、ミサイルが発射されてから、総理がタイに行かれて、ASEANは結局できなかったんですけれども、日中のバイ、日韓のバイ、それから日中韓のトライアングルをやって、あの場で結局、最初の日中はなかなか着地点が見出せなかったけれども、最後、日本側が中国を押し切って、非常に強い声明を出せることになった。これは巷間伝え聞いております。

 一方で、中曽根外務大臣は、朝から晩まで大変御苦労なさって電話会談をなさった、これも伝わってきております。

 一方で、副大臣は、ニューヨークに渡られて、現地で大変苦労されたというふうに伺っておりますけれども、実際にニューヨークの現場で、どういう国に対して働きかけをし、どういう内容のメッセージを政府として各国に対して送られたのか。中身はもちろん総理や外務大臣と一緒でしょうけれども、ニューヨークの現場での副大臣の活動というか、その状況をまずお聞かせ願えればと思うんですけれども、いかがでしょうか。

伊藤副大臣 委員御指摘のとおり、今回の北朝鮮ミサイル発射に対して、まさに日本政府一丸となって適切な、また敏速な対応をすべく日夜努力をしてきたわけでございます。

 その中におきましても、特に今御指摘があったように、中曽根外務大臣が累次にわたり、米国、韓国、中国、ロシア等の外相等と何度も電話会談を通じて協議を行っておりましたし、私も、九日からニューヨークに赴きまして、米中ロはもとより、議長国メキシコを初めとする安保理非常任理事国のすべての常駐代表等に対して直接働きかけを行いました。

 どういう働きかけを行ったかということでございますけれども、まず第一に、今回の発射は、北朝鮮が先に人工衛星があると言っているようですけれども、どのようなものがあると言われても、少なくともその運搬手段、デリバリーシステムはミサイルそのものであり、また、ミサイル関連技術あるいはミサイルの部品を使わずにデリバリーシステムをつくったりあるいは発射そのものを行うことは、科学的に考えて全く不可能であります。

 したがいまして、二年半前に、私も当時、外務大臣政務官として国連決議一六九五の採択に直接かかわりましたし、それから、その後、核実験を北朝鮮が行った後に国連決議一七一八を採択したわけでありますけれども、両方の決議において、北朝鮮が弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止するということを要求されているわけです。

 したがって、どのような角度から見ても今回の発射は国連決議一六九五そして一七一八の明確な違反であるということをまず強くすべての安全保障理事国に、常任理事国に論理的に訴えた。このことに関しては一定の理解を、中国を含め、得たと思います。

 それと同時に私が訴えたのは、安保理決議がそのような形で違反されたというなら、そのことに対して国連の安全保障理事会が何にもしないということであれば、安全保障理事会の存在理由、また決議の重要性あるいは効果というものが失われるんだ、したがって、これは安全保障理事会として迅速かつ強いメッセージを出す必要がある、そして日本としてはそのメッセージは決議というものが一番いいというふうに考えているということを申し上げたわけであります。

 もちろん、いろいろな考え方がそれぞれの安全保障理事国の中でありましたけれども、私は一定の理解を得られたんだろうと思います。

 そういう非常に激しい、また日本の主張を強く訴える、そういう現場での協議も通じて、そしてまた総理を初め、外務大臣を初め、国際場裏のそれぞれの場あるいは電話会談を通じて各国との間での大変緊張感に富んだ協議が進んでいたわけであります。

 いずれの国も地域の平和と安全の重要性といった認識については共有しまして、それぞれ、細かい文言や対応の仕方についての意見の隔たりは若干ありましたけれども、最終的に、今御指摘があったように、中国との間では、タイのパタヤにおいて中曽根外務大臣からヨウケツチ外交部長に、そしてまた麻生総理からはみずから直接温家宝総理との間で力強い、日本の考え、立場を主張する協議を行った結果、ぎりぎりの調整を行ったわけですけれども、その結果を受けて、ニューヨークにおいて主要関係国間で最終的には議長声明案というものがまとまって、日本時間の十四日の発出に至ったわけであります。

 本議長声明は、十分に強い内容のものであると思いますし、また具体的な手段というものも日時を区切って書いてあるということで、また、これがコンセンサスでありますので、ベトナムやリビアやウガンダも含め、十五カ国全部のコンセンサスを得て発出したものでありますから、北朝鮮に対する国際社会の一致した強いメッセージを発出できたというふうに考えております。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 そこに至るまでの過程は、議長声明という形でまとまったものが出てきたので、過程を問われて詳しく答えられるかどうかというのはこれはまた別の話だと思うんですが、我々がうかがい知るところ、例えば米国、それから英国、韓国というのは非常に日本と立場を一にしたというふうなイメージというか、報道がなされていた。

 一方で、中国、ロシアというのは決議に対して非常に慎重派であるというような報道がなされて、その五カ国については私ども大変な知識を持っておるんですが、今副大臣がおっしゃられた、すべての理事国、非常任含めて交渉なされた中で、いわゆる今我々がよく知っているその五カ国以外の国の対応というか反応というものは、今、地域の平和と安全の意識は共有された、結果的にこれが出てきたというものはもちろん共有としてあるんでしょうけれども、ぶっちゃけ、日本側に近い方が多かったのか、もしくは、決議には慎重で、中国にちょっと近いなという方が多かったのかというのは、感触としてはそれはいかがでしたか。今後のあれにちょっとお聞かせ願いたいと思います。

伊藤副大臣 委員が御指摘のように、国際場裏での協議の詳細を相手国名を挙げてつまびらかにすることは逆に今後の外交交渉の中で多少障害になる部分もあるので、可能な範囲でお答えしたいと思いますけれども、やはり十五カ国のうち大半は日本の主張、日本の考え方に同調したといいますか、少なくとも一定の理解を示したものだというふうに私は考えております。

薗浦分科員 十五カ国の大半が我が国寄りであるというのは非常に大事なことだと僕は思っていまして、要するに、国際世論というものがなかなか国内にいるとわからないけれども、あそこに行くと日本寄りの方が圧倒的に多いんだよということをもっとこれからいろいろな場面で僕も言っていきたいなと思いますし、外務省もその努力をしていただきたいと思っています。

 それで、非常に強い内容の議長声明が出た、ただ拘束力はない、ないけれども、この議長声明というものをきちっと国連が出した以上、我々はこれを具体化し、実現をする努力をこれからせにゃならぬということになろうかと思うんですけれども、一七一八に関して、団体及び品目の指定を通じて云々ということがあって、それが四月二十四日という期限が区切られて出ました。日本政府として、新しく団体とか企業、それから品目等々をこれから指定するおつもりはございますか。

伊藤副大臣 御案内のように、今回のミサイル発射に関して発出された国連安保理の議長声明を受けて、現在、北朝鮮制裁委員会、これはトルコが議長ですけれども、において大量破壊兵器関連品目や資産凍結対象団体についての議論が行われております。

 現在、関係国間で議論が行われているところでありますので、日本の対応を含め、詳細について述べることは差し控えさせていただきますけれども、資産凍結対象団体に関しては、我が国は既に安保理決議第一六九五号に基づき十五団体を指定しておりまして、それも踏まえつつ、制裁委員会における議論に積極的に参加しているところでございます。

 我が国としても、国連安保理決議一七一八の厳格な実施につながるような結論が早期に得られるように、引き続き努力を傾注していくところでございます。

薗浦分科員 指定は、私の理解だと、全く日本に関係のない例えば団体、いわゆるアフリカに、アフリカと言ったら、名指ししちゃ悪いですけれども、外国にあるような団体とかも指定できるというふうに理解をしておるんですけれども、政府として、日本に全然関係のないそういう団体でも、ここは明らかだ、外国にあるんだけれどもここは名指しでやらぬといかぬというものがあった、見つかった、出てきたとなると、それを指定するという御決意はございますか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま副大臣の方から申し上げましたとおり、現在、制裁委員会において議論が進んでおりまして、これは議長声明で言及されております決議の一七一八号ということで、日本政府の場合には既にさきの決議で、一六九五でございますが、十五団体を日本政府として指定して、これを独自に日本として措置をとっておるわけでございますが、現在、制裁委員会で議論が行われております中で、我々としましては、そうしたこれまでの指定しました十五団体、これも踏まえつつ議論を進めておるところでございます。

 今御質問の、北朝鮮以外あるいはこの十五団体以外にもというようなことで御質問ございましたが、現在、我が国としましては、この決議あるいは閣議了解に基づきまして、この十五団体、一個人に対しまして資金の移転防止措置を講じているわけでございまして、これ以外のものを資金移転防止措置の対象とするためには、一つは我が国が独自に追加する場合、もう一つは新たな国連安保理決議に基づく場合において対象者を指定することによりましていわゆる外為法の資金移転防止措置の対象とすることになるわけでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますが、今行われている安保理での議論につきましては、我々がこれまでとってきた十五団体というものを踏まえまして議論をしているところでございますが、これ以外ということであれば、今言ったような方針のもとで検討するということになろうかと思います。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 今の話だとこれ以上突っ込んでもなかなか出てこなさそうなので、ほかに移ります。

 議長声明の発出を受けて北朝鮮が反応をしました。六者協議からの離脱、それから核開発の再開、また再び例の恫喝外交を始めたわけです。さすが北朝鮮と言ったら怒られちゃいますけれども、予定されていたというか、ある程度予想された事態であろうかと思うんですけれども、改めて外務省の認識をお伺いできますか。

伊藤副大臣 今回、安保理における議長声明の発出を受けて北朝鮮外務省が、北朝鮮は六者会合に参加しない、あるいは使用済み燃料棒を再処理するといった立場を表明したことは認識しております。

 北朝鮮の意図について、我が国の政府としてせんさくしたり評価するということは適切でないので差し控えますけれども、国際社会の声は、今回の安保理議長声明に明記されているとおりです。要するに、北朝鮮がこの議長声明を重く受けとめて、六者会合に復帰して、安保理決議一七一八号を完全履行するということが大事ですので、我が国政府としてはこれを北朝鮮に強く求めたいと思います。

 ここで大事なことは、国際社会がこの議長声明の発出に見られるように一致してこのことに対応する、そして毅然として対応するということは、特に我が国の政府として大事だろうと思います。

 政府としては、引き続き、米国、韓国、中国を初めとする関係国と緊密に連携して、六者会合プロセスの前進のために精力的に取り組んでいくという考えでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 では、もう一回確認ですけれども、あくまで我が国政府は北朝鮮の六者会合への復帰を求めていくという立場でよろしいわけですね。

伊藤副大臣 そのとおりでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 我々が常々北朝鮮に対して問題だと言うのは、拉致、核、ミサイルという三点セットを言っておるわけですけれども、今回のミサイル発射と北朝鮮のこの一連の対応で、拉致問題に対して与える影響というものが、いい面、悪い面も含めて予想されるかと思うんです。現段階で、ミサイル発射とその後のこれまでの経過が拉致問題に対してどのような影響を与えているのかという認識をまずお伺いしたいと思います。

伊藤副大臣 今回、我が国を初めとする関係国の働きかけにもかかわらず北朝鮮がミサイル発射を強行したことは、まさに私が主張したように、関連の安保理決議、そしてまた日朝平壌宣言に違反するものでございます。また、地域の平和と安定に対する脅威であると同時に、我が国の安全保障に直接かかわる重大なことでございます。

 五日、今回の発射を受けて、北朝鮮に対し我が国として抗議を行いました。その際、改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け北朝鮮が具体的な行動をとるように求めたところでございます。

 我が国としては、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を図るとの基本方針には変更ありません。また、昨年八月の日朝合意に従って我が国も行動する考えであることにも変わりありません。

 このような考え方に基づいて、麻生内閣発足後、これまで北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に対してもその旨を伝達して、権限が与えられた調査委員会の早期立ち上げ、これは拉致問題に対する調査委員会ですが、立ち上げ及び全面的な調査の開始を求めてきております。また、今月十日の官房長官発表においても、改めて我が国の考えに変わりはないことを明らかにした上で、北朝鮮に対して具体的な行動をとることを求めております。

 いずれにいたしましても、我が国としては、北朝鮮による調査のやり直しが早期に開始され、拉致被害者の方々の一刻も早い帰国につながるような成果が早期に得られるように、引き続き北朝鮮側に強く求めていくという考えでございます。

薗浦分科員 拉致問題というのは日々残された時間が少なくなっていくというのは、これは当たり前のことで、もう皆さんわかっていることですけれども、今回の件で、もちろん北朝鮮の暴挙というものがあって、国際社会が反応し、それにまた北朝鮮が反応した、ならず者国家がそこにあるという事実は厳然としてあるわけですけれども、御家族の方々にとって見れば、またこれで延びるのではないか、北朝鮮が何もしなくなるんじゃないかという懸念があるのではないか。その御懸念を少しでも払拭するような努力を政府としてこれからやっていかにゃならぬ。

 これまでの対応は、今お伺いをしました。基本方針が変わらないということも、厳然として一本筋の通った外交ということでいえば、これは当たり前だと思います。これにプラスアルファをして、今回の事態を受けてプラスアルファで何かやられるということは考えていらっしゃるのか、もしくは、今までどおりということでいいと考えていらっしゃるのか。

 これはなかなか答弁は難しいかもしれませんけれども、ぜひとも新しい、今回のものを受けてさらなる、対話と圧力じゃなくて、あの国は圧力と対話じゃなきゃ動かぬというのは歴史が証明していますから、いろいろな手段を考えていらっしゃるのであれば、余り手のうちを明かすとよろしくないでしょうけれども、今お答えいただける範囲内で今後の方針というものをお答えいただければと思います。

伊藤副大臣 北朝鮮は、昨年十一月二十一日に、国連総会の第三委員会における北朝鮮人権状況決議の採択後のステートメントで、我々は、これは北朝鮮のことですが、日本人の拉致問題に関し、あらゆることを行っていく用意があり、再調査も行う用意があると述べております。

 いずれにいたしましても、麻生政権としては、昨年八月の日朝実務者協議の合意内容を実施する方針に何ら変更がない旨、改めて明確に申し上げたいと考えております。

 また、北朝鮮には、八月に合意したとおり、拉致問題に関する全面的な調査を早期に開始することをさらに求めたいと考えております。我が国としても、行動対行動、同時行動、こういった原則に基づいて、約束した措置、人的往来の規制解除あるいは航空チャーター便の規制解除を実施する考えです。

 これから、委員おっしゃるとおりに、交渉するのが大変難しい相手ですけれども、拉致問題を一日も早く解決するために、政府として、あらゆる知恵や努力を結集して、早期解決するための努力、行動を続けてまいりたいと考えております。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 その難しい交渉相手の話ですけれども、健康不安説というものがずっと流れていて、脳梗塞じゃないかとか、医者が入ったんじゃないかとか、いろいろな話がありました。一時期、いろいろな意味で、映像にも、それから動静も伝えられないという時期が金正日にありまして、最近になっていきなり急に、やせた姿が映像として流されるようになった。いろいろな分析がなされたり、何なんだという話があったり、にせもの説があったり、諸説入り乱れております。

 金正日の健康状態等々に関して、言える面、言えない面がもちろんあるんでしょうけれども、ある程度外務省として独自情報を含めて把握しているのかどうかということと、それからもう一つは、最近になって急に出始めてきた、報道、放映されるようになってきた、これの背景をどうやって分析されているのか。お答えできる範囲で結構でございますので、お聞かせをいただきたいと思います。

伊藤副大臣 委員御指摘の映像あるいは健康問題がございますけれども、正直言って、最近そのような映像が頻繁に流されるということに関しての北朝鮮側の意図というのは、必ずしも明確ではありません。

 政府としては、北朝鮮の情勢に対し、金正日国防委員長の健康状態を含め、米国、韓国を初めとする関係国といろいろと緊密に情報交換をしておりますけれども、委員も今御指摘いただいたように、現在政府が得ている情報の詳細について具体的にここで述べることは、事柄の性質上いろいろ差し支える面もございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き北朝鮮情勢について非常に強い関心を持って各種いろいろな情報の収集、分析を行っておりますし、これからも鋭意その収集、分析を行って、的確な判断をするべく努力を傾注していくということでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 民主主義国家ならいざ知らず、あのお方がすべての権限を握っていると言っても過言でない国家ですから、その動向には大変注意を払う必要があると私も思っていますし、何らかの意図があって最近出てくるようになったことは間違いないと僕は思っているので、その辺をきちっと分析をこれからしていただければなというふうに思っています。

 それで、北のミサイル、二段ロケットだか三段ロケットだかいろいろあって、それで二段目、三段目はどこに行っちゃったのかというのはよくわかっていませんけれども、一段目のロケット、あれはほぼ通告どおりの地点に落下をしたということは、ほぼ北朝鮮がもくろんだとおりの性能を発揮したというふうに考えて間違いないと思います。逆に言えば、あれを引き揚げて分析をすれば、今北朝鮮が持っているであろうミサイルの能力がほぼわかるんじゃないかと僕は思っているんです。

 これは確認なんですけれども、あのミサイルの一段目が落ちた水域というのは日本のEEZの中で間違いないということでよろしいですか。

    〔主査退席、冨岡主査代理着席〕

小原政府参考人 事実関係でございますので、私の方からお答え申し上げます。

 四月五日の北朝鮮による発射に伴う落下物のうち、今委員の方から御指摘がございました最初の落下物でございますが、これは秋田県西方約二百八十キロメートルの日本海上に落下したと推定されておりまして、我が国の排他的経済水域内に落下したものと考えております。

薗浦分科員 日本の排他的経済水域内に落下したものを我が国政府が引き揚げるということは、法律上何か問題はございますか。

伊藤副大臣 一般論として申し上げれば、日本の排他的経済水域、いわゆるEEZに落下物があって、当該物体が漁業資源、環境等に影響を与える可能性がある、そういう場合には、沿岸国である我が国の権利の侵害を防ぐために、我が国が当該物体を引き揚げることも認められると考えられます。

 他方、その場合であっても、引き揚げた物体の所有権が引き揚げを行った国に帰属するとまでは必ずしも言えないというふうにも考えられております。

薗浦分科員 そうすると、今回のロケットで、北朝鮮のロケット燃料というのは非常に環境への害が大きいものが使われているというのは、これは事実でございますから、海への影響もある程度はあるんでしょうけれども、これを引き揚げた場合、所有権は我が国政府というか、主張できるんですか。

伊藤副大臣 海上に落ちた落下物については、一般的には回収が困難であることもあり、実はまだ御指摘の回収作業の法的性格をめぐる確立した国際法上の解釈はありませんが、実際の回収に当たっては、法的側面も考慮する必要があると考えております。

薗浦分科員 これで最後にしますけれども、僕は二段目、三段目というのは失敗したと思っているんです、三段目があったかどうかは別にして。一段目は予定どおりいって、つまり成功した。もう一回言いますけれども、北朝鮮のミサイル技術はあそこに集約されていると僕は思っているんです。逆に言えば、あれを引き揚げるというのは、我が国の安全保障上すごく大事なことであって、それを引き揚げたときに我が国が子細に分析できるような法律の理論武装というか、そういう外交上の努力をするというのもこれまた外務省の仕事だと思うんですが、これは答えられますでしょうか。副大臣の御決意というか御見解を聞かせていただければと思いますけれども、いかがですか。

伊藤副大臣 議員の御指摘、御意見、まさに傾聴に値するものだと私は個人的に考えております。

 他方、回収の是非について、今私が申し上げた以上に外務省としてお答えできる立場にないということも御理解いただきたいと思います。

薗浦分科員 ありがとうございました。ほかでやります。

 ありがとうございました。

冨岡主査代理 これにて薗浦健太郎君の質疑は終了いたしました。

    〔冨岡主査代理退席、主査着席〕

山口主査 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。山崎最高裁判所事務総長。

山崎最高裁判所長官代理者 平成十九年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千三百三億九千四百十二万円余でありますが、これに平成十八年度からの繰越額百十七億七千七百十万円余、予算補正追加額八十六億七千三百四十五万円余、予算補正修正減少額三十二億二百六十万円余、差し引き百七十二億四千七百九十五万円余が増加となり、歳出予算現額は三千四百七十六億四千二百七万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千百八十二億九千七百十一万円余であり、歳出予算現額との差額は二百九十三億四千四百九十五万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は二百三十二億九千五百八万円余、不用額は六十億四千九百八十六万円余であります。不用額となった経費は、人件費四十三億一千六百九十九万円余とその他の経費十七億三千二百八十七万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は百七十六億九千九百七万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は二百五十六億六千七十万円余であり、歳入予算額に対し七十九億六千百六十二万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金の増加等によるものであります。

 以上、平成十九年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

山口主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席ください。

    ―――――――――――――

山口主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。西村会計検査院長。

西村会計検査院長 平成十九年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額三千四百二十二万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千六百四十二万円余であり、差し引き七百八十万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入二千四百九十五万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は二百十五億九百七十九万円余でありますが、これに予算補正修正減少額四億三百十万円余、前年度繰越額千八百四十八万円を増減いたしますと、歳出予算現額は二百十一億二千五百十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は二百億八千七十五万円余、翌年度繰越額は一億一千六百三十九万円余でありますので、その差額九億二千八百二万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、人件費として百三十七億七千九百十一万円余、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として二十八億一千七百八十万円余、中央合同庁舎第七号館への移転経費として十二億千三百三万円余となっております。

 以上、平成十九年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

山口主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席して結構です。

    ―――――――――――――

山口主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十九年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十八億二千四百二十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十五億七千七十九万円余と比較いたしますと、二億五千三百四十七万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は四千二百四十一万円余でありまして、不用額は二億一千百六万円余であります。

 翌年度繰越額は、皇居等施設整備に必要な経費でありまして、計画に関する諸条件の関係により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため生じたものであります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

山口主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

山口主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。

岡本(充)分科員 きょうは、宮内庁に関する質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 決算それから行政監視ということの観点からすると、まず冒頭、そもそも各宮家に渡し切りで渡されております皇族費のあり方について少しお伺いをしたいと思います。

 皇族費について、その算出の根拠、現在、三千五十万円という金額が法で定められておるようでありますが、この金額に至った経緯、昭和二十二年ですか、二十万円からスタートをしたというふうに聞いておりますが、その算定の経緯、そしてその後の経過を含めどのような形で今現在三千五十万円になっているか、お答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 お答えいたします。

 皇族費の算出の基礎となる定額は、先生御指摘がございましたように、皇室経済法施行法八条によりまして、現在、三千五十万円となっております。皇族費の定額は、昭和二十二年当初は二十万円ということでありましたが、その後、物価の趨勢、職員給与の改善等経済情勢の推移その他の要素を勘案して、その都度改定されてきたところであります。

 また、その後、国会審議等におきまして、定額に関する基準を定めるべきという御意見がありました。それを受けて昭和四十三年十二月に皇室経済に関する懇談会を開催いたしまして、御審議をいただき、基準をつくっていただいたところであります。その内容としましては、物価上昇及び公務員給与の改善に基づいて算出される増加見込み額が定額の一割を超える場合に実施するという方針が了承され、自来、この方式により改定が行われてきているところであります。

 現在の定額は、平成八年度に改定されたものであります。具体的には、最後に改定が行われました平成二年度以降、定額増加率が皇族費で一二・五%となり、平成七年十二月十八日に開催されました皇室経済会議において改正が必要と認められ、皇室経済法施行法が改正され、今日に至っているところでございます。

岡本(充)分科員 まず、昭和二十二年八月に皇族費が二十万円と決められた経緯、その根拠についてお答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 定額の二十万の根拠というお尋ねでございます。

 これは、当時の皇族の御生活に要する経費というものがもとになっておるわけでございまして、親王と親王妃のお二方の御一家が皇族として相当の品位を保ちながら御生活になる経費、これを四十万というように当時見込みました。そのうち、国として皇族の品位保持のために支給する額というのはその七五%というふうに想定をしまして、三十万というようにしたわけでございます。さらに、その三十万は親王と親王妃お二方及びその共通経費ということでありますので、親王の定額につきましては二十万というように定められたと承知しております。

岡本(充)分科員 そもそも、親王と親王妃のお二方の御一家が皇族として相当の品位を保ちながら御生活になる経費が四十万円になった根拠をお答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 数字につきましては詳しい積算の根拠を持っているわけではございませんけれども、その当時の生活の実態というものを踏まえて決められたものというように承知をしております。

岡本(充)分科員 私、先ほどちょっと伺いましたら、使用人に対する給与が十五から十六万、御生活費、交際費、用度費、旅行費、営繕費が二十四から二十五万、こういうふうに説明を受けているんですが、これは宮内庁からの説明ではないんですか。

風岡政府参考人 失礼しました。四十万の内訳ということで御説明をすべきでありましたので、説明をさせていただきます。

 御生活に必要になる経費四十万の内訳としましては、先生から御指摘がありましたように、使用人に対する給与として大体十五、六万というように想定をし、また、その他の御生活費、交際費、用度費等々で二十四、五万というように想定をして、全体として四十万ということでございます。

岡本(充)分科員 それで、ここでちょっと、きょう午後になって改めて質問をしたので、この場でお答えいただかなくても結構ですけれども、二十二年八月以前の皇族費との比較を含め、それ以前の皇族費のあり方、それからこの四十万円の根拠について、もう少し精緻な情報を今後いただきたいと思うんですけれども、お答えいただけますか。

風岡政府参考人 先生が御指摘いただきましたように、二十二年以降は今のようなやり方でやってきておりますけれども、それ以前につきましては今の方式ではなくて別途の方式で支給をされているということでありますので、その辺の状況につきまして、また四十万についてどういう状況で決まったのかということについてさらに調べまして、別途御報告をさせていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 それから、同じく、法の第六条第三項第五号に載っている独立の生計を営まない女王等、こういった方のいわゆる皇族費の積算、また、先ほどは成年ですが、独立生計を営まない未成年の女王についても同様にその額が定められています。

 定額の十分の三掛ける十分の七が成年、それから定額の十分の一掛ける十分の七が未成年ということになっていますが、それぞれの根拠についてもお答えいただきたいと思いますが、もしこの場でお答えいただけないのであれば後刻御説明をいただきたいと思います。

風岡政府参考人 成年皇族の乗率十分の三、それから未成年皇族につきましては十分の一という乗率になっておりますけれども、これを区分しましたのが昭和四十年でございまして、そのときの国会での審議で私どもが説明をさせていただいたものということで御報告をさせていただきたいと思います。

 まず、未成年の皇族につきましては、基本となります宮家の御当主に対しまして、その十分の一程度の経費を見込めば必要な限度の経費が一応賄い得るのではないかという説明をさせていただいております。また、未成年ではなくて成年ということになりますと、さらに未成年の方よりもいろいろな経費がかかるということで、実態等を見まして、これを十分の一ではなくて十分の三というふうに見込んだという説明をさせていただいているところであります。

 また一方、成年、未成年の場合のその乗率でございますけれども、十分の七というのを使っておりますけれども、これは、親王、内親王に対しまして、王、女王の場合には十分の七を乗じた額ということになっております。これは、それぞれの御身位とか御活動の実態というものに着目をして十分の七ということになったというように考えております。

 七割にした具体的な根拠までは、実は私どもとしても調べた範囲では十分な説明はできませんが、いずれにしましても、御活動の実態を踏まえた数字ということであり、すなわち七割を掛けた金額が御活動に必要な経費というふうに見込まれるということで、十分の七というふうにさせていただいたわけでございます。

岡本(充)分科員 今の説明では、どうしてこの十分の七が掛かったのか、それから、なぜ成年と比べ未成年の皇族方が十分の一で済むのかという根拠、さらに、成年になるとそれが三倍になるという根拠に乏しいと思います。

 改めて御調査いただいて、後刻で結構ですからお答えをいただきたいと思いますが、お答えください。

風岡政府参考人 先生から御質問をいただくということで、私どももそれなりに調べてきまして御報告をさせていただいたわけでございますが、限られた時間でありましたので、なお調べまして、状況がわかりましたら御報告をさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)分科員 そんな中、私としましては、皇族費の支出の根拠となっている品位の保持に充てるためという観点で、本当に品位の保持に寄与する支出をしていただいているのかどうかもやはり関心があるわけでありますが、まず、きょうは高円宮家について少しお話を伺いたいと思っています。

 昨今、週刊誌報道等でいろいろ出てまいりまして、その品位の保持に大変不都合な話も出ているのではないかと思っておりますが、宮内庁として二〇〇七年二月の週刊文春の報道に対して抗議をこれまでなされたことはあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

風岡政府参考人 御指摘がありました承子女王殿下に関する週刊誌の報道ということだと思いますが、当時、憶測を含めました多くの報道がなされていたところでありまして、私どもの立場として、個々の事柄について、私的な側面ということもありますので、一つ一つの事実確認まではしていないところであります。

 しかしながら、その内容を見ますと、あたかも女王殿下がお書きになったのではないかとの誤解を読者に生じさせかねず、それによって女王殿下の名誉を著しく傷つけるとともに、女王殿下あるいは母君である高円宮妃殿下のお心を痛めるものについては、宮内庁として抗議を行ったところであります。

 いずれにしましても、皇族のお立場を踏まえて行動されることは当然必要なことでありまして、当時、長官会見においても、皇室の方々の御活動が皇室としてふさわしいものであっていただきたいというような旨も述べているところでございます。

岡本(充)分科員 したがいまして、宮内庁としては、二〇〇七年二月の週刊文春の承子女王殿下が書いたと指摘をされたブログについては、本人が書いたものではないとここで断言をされるということですね。

風岡政府参考人 先ほども申し上げましたように、記事の一つ一つの事柄については、これは私的な領域の事柄でありますので、私どもとしても、個別個別にまで事実関係の確認をしておりませんが、特に誤解を与えるようなところとか女王殿下あるいは母君を傷つけるような部分については抗議を行ったということでございます。

岡本(充)分科員 私の質問に答えていただきたいんですけれども、あの記事の内容が事実か事実でないか、その詳細な一言一句の話をしているわけではなくて、ああいうブログをお書きになられたことがあるというふうに承知をしているのか。

 それは私的なことだと言われますけれども、大変にその品位保持に問題のある内容であったわけでありますから、ああいう文章を、もし事実でないことを書いているのなら週刊文春に対して厳しく抗議をするべきでありますし、傷つけた文章の内容についてのみ抗議をしたのではなくて、事実関係がどうなのかということをお答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 重ねてのお答えになりますけれども、ブログ云々というようなことにつきましては多分に私的な事柄でありますので、私どもの立場から私的な領域の事柄について個別個別の事実関係まで確認をするということは差し控えておりますけれども、しかしながら、状況についてお話をお聞きして、宮家の方で明らかにこの部分は違いますというようなことのお話があったようなものについて、しかもそれは重要なものについて私どもとして抗議を行う、そういう姿勢で取り組んだところであります。

岡本(充)分科員 私は本当に真実でないのであればきちっと抗議をするべきだと思いますし、国民の皆さんの中で、あれは承子女王殿下がお書きになられたのではないかという話がまだ残っているわけですから、そういう意味で、違うのであれば明確に抗議をしなければいけない、そういうことを私は指摘しているわけですね。

 したがって、その中の文言の一つ一つの話ではなく、もしそういうブログを女王殿下が本当に書いていたというのであれば、これはこれでまた品位の問題として大変問題だと思うし、そこは宮内庁としてもきちっと事実関係を明らかにされるべきだと私は指摘をしておきたいと思います。

 その上で、もう一点、最近話題になりました同じく高円宮家における女王殿下の進学の話でありますが、そもそも宮内庁としては、こういった皇族方の進学についてはどのように相談を受け、また把握をされているのか、お答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 皇族の方々の大学等の進学先につきましては、御本人の進路の御希望や各宮家の御教育の方針というものがありますので、それに従って私どもとしても対応しているというところであります。宮家の方でお考えいただくということがまず先決というふうに考えております。

岡本(充)分科員 先ほど皇族の品位の話がありましたけれども、品位の保持に関して問題があると思われる進学先が候補として挙がってきた場合に、宮内庁としてはそれに対して何らか意見を言われるのか、それとも宮家がお決めになられたらそのとおり御進学をいただくのか、そこのところをはっきりお答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 基本的には、どこでどういう教育を受けるかということについては、やはり宮家で御判断をしていただく事柄だと思いますけれども、特に私どもとしてアドバイスをしなければならないというような事柄があれば、当然、宮家のお世話をする立場としてお話をすることもしなければならない、このように思っております。

岡本(充)分科員 今回のこれまた新聞等でも報道された案件についてちょっとお伺いをしたいわけですけれども、そもそも、城西国際大学という大学については、宮内庁としてはその進学を決定する前に高円宮家から相談を受けておられたんでしょうか。

風岡政府参考人 進学先をどこに選ぶかということについては宮家の方でまず判断をするという事柄でありますので、私どもは、その後、決まりましてから承知をしたということであります。

岡本(充)分科員 さっきの答弁と違いますよね。さっきの答弁は、しかるべきアドバイスが必要であればアドバイスをすると言っておきながら、今回は、そういう意味では進学が決まってから宮内庁としては承知をした、そういうことですね。それだけ端的にお願いします。

風岡政府参考人 一言だけ追加をさせていただきたいと思いますが、私ども、福祉の関係の事柄について勉強したいということで、そういうようなところの大学に行きたいという話は承知をしておりましたけれども、具体的にどの大学ということについてはお決めいただいてからお話をお伺いした、こういうことであります。

岡本(充)分科員 だから、それは先ほどの答弁と違うわけですよね。必要なアドバイスがあればアドバイスをすると言っておきながら、大学が決まってからこれを聞いて、事後承諾というような形で宮内庁は後から追っかけているという話です。

 城西国際大学、別にこの大学がどうこうと言うつもりは僕は正直、最初なかったんですが、いろいろ調べると、何か問題が過去にあったというような話がるる出てくるわけですね。

 きょうは法務省にも来ていただいておりますが、城西国際大学の留学生の不正就労問題についてはどのような問題があり、その後、現在どういうふうな状況になっているか、お答えいただけますか。

高宅政府参考人 お尋ねの城西国際大学につきましては、個別の事案に関する事柄でございますので、その詳細については答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、同大学におきましては、過去に外国人留学生の退学者が多くいた、そして、その中で不法残留となるケースが相当数あったということは承知しております。

 ただ、こうした事態に対しまして、当時、東京入国管理局において、留学生の募集や選考の方法、あるいは在籍管理、生活指導等について改善の指導を行いまして、現在においてはそのような状況は改善しているものと承知しております。

岡本(充)分科員 昨年は在学生五人が集団強盗を繰り返していたということで、これは検挙をされているというふうにも報道をされております。

 きょうは私学部長もおいででありますけれども、こういった事実は文科省としては把握をされているんですか。

河村政府参考人 私学経営上の問題としては、このことについて逐一報告を受けたということはございません。

岡本(充)分科員 きょうは私学部長にもお越しいただいていますけれども、城西国際大学の福祉総合学部入学状況というのを調べさせていただきました。定員が、平成十八年以降、三百五十、三百五十、三百、ことし三百六十です。合格者数が、平成十八年が三百四十二、平成十九年が三百二十七、ところが、平成二十年が百七十四、そしてことしは百十二人なんですね。募集定員が三百六十人のところに百十二人のみの合格者、こういう状況の大学です。

 一般的に定員が五〇%割れになるとかなり経営が厳しくなるかと思うんですが、文部科学省として、定員が五〇%を割れている、こういった大学にはどういう措置をとられていますか。

河村政府参考人 今御指摘がありましたのは、城西国際大学の福祉総合学部の定員に関する問題でございます。

 学校法人の経営に関しましては、その設置する学校全体の状況を踏まえて考える必要があるというふうに認識をしておりますので、すべてのケースで、一定の学部の定員未充足の状況があるということが直ちに経営状況全体に大きな影響を与えるというわけではございません。

 ただ、各学部の定員の充足状況に応じまして、五〇%を割っている場合には補助金が不交付になるケースはございます。ただ、これもやはり学校全体で見てのまた判断をいたしますので、五〇%の現員を持っていない場合に直ちに不交付というふうになるわけでもございません。

岡本(充)分科員 私は質問通告していたはずなので、では、城西国際大学は、現状、経常費補助金はどのように支給をされているんですか。

河村政府参考人 城西国際大学を含む私学助成の全体の考え方でございますけれども……(岡本(充)分科員「全体じゃないです。城西国際大学が幾らもらっているのかという話をしているんです」と呼ぶ)金額でございますか。ちょっとお待ちください。(岡本(充)分科員「通告していますよ。とめてください、時計を」と呼ぶ)済みません、ちょっと今調べます。

山口主査 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

山口主査 速記を起こしてください。

 河村私学部長。

河村政府参考人 失礼いたしました。

 城西国際大学に対しましては、平成二十年度の私立大学等経常費補助金といたしまして三億四千五百万円余りが交付をされております。(岡本(充)分科員「二十一年度は」と呼ぶ)二十一年度はまだ交付決定いたしておりません。

岡本(充)分科員 経常費補助金の取り扱いというのは、私が調べましたところ、在籍学生数の収容定員に対する割合が五〇%以下である学部等に対する経常費補助金を不交付にする、こういうふうなことが決められているんだろうと私は承知をしています。

 先ほどもお話をしましたけれども、この大学の福祉総合学部、ことしの入試の結果というのをホームページで公表されていますが、三百六十人の入学定員に対して、AO方式入試が受験者数が三十八人で二十九人合格、推薦入試が受験者数が五十二人で五十一人合格、一般入試が受験者数が二十六人で十六人合格、一般入試(センター利用)が受験者数が十六人で合格が十六人ということで、これを足し合わせていくと、先ほどお話ししました百十二人の合格者ということになるんだろうと思いますが、かなり少ない状況になっている。

 こういう状況にある大学が、文部科学省としては、これは問題がないというふうにお考えなのか、何らかやはり措置をとる必要があるとお考えなのか、そこはいかがですか。

河村政府参考人 学校法人の経営については、先ほども少し申し上げたところでございますけれども、その設置する学校全体の状況を踏まえて考える必要がございます。

 学校法人城西大学は、城西国際大学のほかに城西大学など、二つの大学、短大を持っております。ですので、その設置する学校全体の状況を踏まえて考える必要がございますから、すべてのケースで、一つの学部の定員未充足の状況が直ちに全体の経営状況に大きな影響を与えるわけではないというふうに認識をしております。

 ただ、一般論として申し上げれば、個々の学校法人の収入の大部分は入学納付金、学生からの納付金が占めておりますために、定員未充足の状態が継続する場合には改善に向けた取り組みを講ずる必要が出てくる場合がございます。

岡本(充)分科員 したがって、きょうは宮内庁の方にお越しいただいていますけれども、本当にそれが進学先として、宮内庁は後から知ったと先ほど言われましたけれども、皇族の皆様が品位を持って、ああ、さすがだなと国民の皆さんに思っていただける大学なのかどうかということもあわせて、やはり事前に検討していただかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。

 それぞれ進みたい学部がある、それは結構なことだと思いますが、何もこの大学だけにしかないわけでもありませんし、もっと言えば、おひとり住まいをされるということであれば、警備をするために警備費も別途かかってくるわけでありまして、それ相応の合理的理由をやはりつくっていただかないといけないんじゃないかということを重ねて指摘させていただきたいと思いますが、今の答弁を聞いてどのようにお感じになられたか、次長からお願いします。

風岡政府参考人 今回、進学先を決定するに当たりましては、学習院の方とも相談をしまして、学習院の薦めで城西国際大学の福祉総合学部の方を選ばれたというように承知をしております。

 いずれにしましても、今のようなお話の事情は私も御指摘を受けて承知したわけでございますけれども、女王殿下には当然お立場を自覚した大学生活というものを送っていただけるよう願っているところであります。

岡本(充)分科員 官房長官にお越しいただけましたので、ここでちょっと一つだけ御質問させていただきたいと思います。

 いわゆる皇室典範に関する有識者会議、これが昨年末で解散をしたというふうに私は伺いましたが、今後、いわゆる女性もしくは女系天皇の是非についての議論はどのように進められるのか、もしくはしばらく進められないお考えなのか、その辺、政府としてはどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

河村国務大臣 安定的な皇位の継承を維持するということは、これは国家の基本に関する大事な課題であるというふうに思います。我が国にとりましても極めて重要な問題であるという認識のもとに立って、政府としても、国民各層のさまざまな議論を十分踏まえながら対応していかなきゃいかぬ、こう思っております。

 皇室典範の改正を含めて検討するということで、有識者懇においての報告もいただいておるところでございます。そこにおいては、象徴天皇にふさわしい継承制度のあり方について、国民の理解と支持を得られるものであること、伝統を踏まえたものであること、制度として安定したものである、こういう視点から検討をされております。そういうことも含めて私どもとしても慎重に検討をする必要がある、また国民の皆さんのいろいろな御理解を得ながらやっていく課題であろう、こう思っておるところでございます。

 ただ、今の時点において、具体的にいつどのようにこれを検討する、そうした時期について申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)分科員 また、そういう意味では、唐突に降ってわくような話では困るわけで、現時点では、秋篠宮殿下よりお若い男性皇族はお一方しかいないという状況であるわけでありますから、当然のこととして、今の皇室典範が続く限りは、皇族の方がこれからそういう意味ではふえられることを祈りたいですけれども、ふえられるとも限らない。そういう中で、では、この状況をこのまましばらく様子を見させてくださいといって、また急に降ってわくような話はやめていただきたいと思います。

 それと、もう一点確認なんですが、後から私の同僚の津村委員からもしかしたら指摘があるかもしれませんが、天皇陛下の公務の軽減についての検討ということも恐らくなされていると思いますが、昭和天皇の御病状が悪化されたときに摂政を置かなかったのはどういった理由だったのかということをお答えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 昭和天皇の当時の御容体について、冒頭説明をさせていただきたいと思います。

 昭和六十二年八月に御発病になりまして、九月に手術を受けられ、その後、実は回復をされまして十月に御退院というふうにされております。さらに、その後の状況ですけれども、翌年の昭和六十三年の九月に吐血をされましてから幾度も危機的な状況があったわけですけれども、それを乗り越えられまして昭和六十四年をお迎えになられたわけでございます。しかし、同年の一月七日の午前四時過ぎに御容体が急変をいたしまして、同日午前六時三十三分に崩御あそばされたという状況がございます。

 そういう状況でございますので、御病状の経過から見ますと、御容体が急変をいたしまして崩御までの間が非常に短かったということでありまして、内閣の助言と承認により皇室会議の議を経ての摂政を置くということには至らなかったというように承知をしております。

山口主査 岡本充功君、質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお願いします。

岡本(充)分科員 はい。

 今の陛下におかれましても大変な御公務と聞いておりますし、そこはどういうふうなあり方がいいのか、ぜひ政府の中でも改めて検討していただきたいとお願いして、私の質問を終わります。

山口主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村分科員 民主党の津村啓介でございます。

 質問通告どおり河村長官に御質問したいところなんですが、その前に、私、今の岡本委員の質問と重なるところもあるものですから、宮内庁の方に確認をさせていただきたいんです。

 今回、先ほど岡本委員は直接は触れられませんでしたが、昨年の秋に天皇陛下の御不例ということがありました。体調を崩されたということだと思いますが、その際に羽毛田宮内庁長官が、十二月の十一日だと思いますけれども、記者会見の中で、天皇陛下には、将来にわたる皇統の問題を初め、皇室にかかわるもろもろの問題を御憂慮の御様子を拝してまいりましたと述べられて、さらに直截に、皇統の問題については決して問題状況が解決しているわけではないとも御発言になっています。

 これは大変重い発言でして、閉ざされた記者会見の場だったのかもしれませんが、この意味するところは非常に重大でありまして、これは政府に対しても、国家にとってもあるいは天皇陛下の御心痛という意味でも決して快適な状況に今ありませんよという、そういう問題提起だと思うんですが、これはそう読めばよろしいですか。

風岡政府参考人 陛下の御不例の状況の背景にあるものはどういうことかということで、長官としての認識というものを述べられたというふうに理解をしております。

津村分科員 この長官発言を河村長官はどうお受けとめになりますか。

河村国務大臣 これは、長官が長官なりにお考えになった、そばにおられての思いを述べられたものだと思います。

 皇統の問題というのは、絶えずそういうことが続いておりまして、今の時点で即問題が解決しているというふうな状況ではない、こういうことで、もろもろの課題があるという思いを長官が述べられたというふうに私は理解をしております。

津村分科員 それでは、河村長官御自身の御認識をお伺いしたいと思います。

 もろもろの問題とか、非常に抽象的に今おっしゃいましたけれども、前侍従長の渡辺允さん、現在も侍従職御用掛をされていますけれども、ある雑誌のインタビューで、悠仁親王御誕生の後も、現在の典範では女性皇族は結婚すると皇室を離れてしまうので、やがて悠仁親王以外には皇族がだれもいなくなってしまいかねないこと、これが問題の本質であるということをお述べになっています。

 長官としては、今おっしゃった問題というのはこういう理解でよろしいですか。どういう皇統の問題があるんですか。

河村国務大臣 現在、皇位継承のことを考えますと、皇太子殿下、それから秋篠宮殿下、それから次の世代の資格者は悠仁親王殿下お一人、こういう状況に今あるわけでございます。

 そこで、安定的な皇位継承を確保するという意味では、将来の不安が解消されたということにはならないと思います。まして、愛子様という問題が出れば、皇室典範の改正、こういう問題も出てくるわけでございます。

 そういうことも踏まえながら安定的な皇位の継承を維持するには、やはりこれは国家の基本に係る大事な問題でありますから、政府としても、国民各層、いろいろな方々の意見も十分踏まえて、皇室典範の改正も含めて慎重に検討していく課題であろう、私はそのように考えております。

津村分科員 今長官は非常に重要なことを二つおっしゃいまして、一つは、皇統の安定という面では将来の不安も残っていないわけではないという言い方と、もう一つは、愛子様のこともあるから皇室典範の改正という議論もあるかもしれないとおっしゃいましたけれども、愛子様の女性・女系天皇の話も一つはもちろんあります。しかし、それと同時に、先ほど岡本委員も指摘しましたが、皇族というものが少なくなってしまうということももう一つ。仮に男系男子をこれからも維持したとしてもやはり別の課題としてあるわけで、そこのところが今抜けていたように思うんです。

 長官、もう一度、皇統の安定性ということの問題の認識をお答えください。

河村国務大臣 今、宮家というものが移っていかれる、このままいけば宮家を外れる方々もふえてくるということ、今の皇室典範のままでいけばそういう問題もあります。そういうこともあって、愛子様の問題等々も、これまでの有識者懇でいろいろな形で議論をされております。

 そういうことを踏まえて申し上げたつもりでございますが、いずれにしてもこれは大事な問題でありますから、先ほども一部触れさせていただきましたけれども、国民の理解と支持が得られるものでなければいかぬという指摘、それから伝統も踏まえなきゃならぬ、あわせて制度として安定したものでなければならぬという有識者会議の報告、これも受けとめて、これからの大事な課題として考えていかなければいけないのではないか、私はそのように考えております。

津村分科員 いろいろな留保がつくのはわかりますが、そうしますと、皇室典範改正の問題については、将来の課題ではあるけれども、その必要性については麻生現内閣としても認めるということですね。

河村国務大臣 この問題は、先ほど来申し上げましたように、皇室典範の改正という問題にも係ってまいりますので、国民各層から賛同を得られるようにしっかり議論を重ねていく必要がある、このように考えております。

津村分科員 議論は重ねればいいんですけれども、これはやはり時間の制約もある課題だと思うんです。

 といいますのは、天皇陛下のお孫様世代の最年長でいらっしゃる眞子内親王は、平成三年のお生まれですけれども、現在十七歳でいらっしゃいます。眞子様世代がこれからいわゆる世間で言う適齢期を迎えられるわけで、そういうことを考えますと、麻生当時の外務大臣、現総理は、悠仁親王が生まれた直後に、これで三、四十年は議論しなくていいというふうにも聞こえかねない御発言をされていますけれども、第三世代という言い方が適切かどうかわかりませんが、この眞子様世代の皆様が健やかに成長なさっている現状を考えれば、議論するための時間というのはそれほど長くない。逆に言えば、先延ばしにすればするほど議論の選択肢自体が狭まってくる、そういうパラドックスがあると思うんですけれども、長官はこの時間軸ということについてどういう御認識をお持ちですか。

河村国務大臣 確かに、御指摘のように、皇室典範の改正問題に絡むとなりますと、これは国民各層いろいろな意見があることも、さきの有識者懇以降の世論調査等々にも出ておるわけでございます。そういうことを踏まえていかなきゃなりませんので、どうしても国民各層のいろいろな意見を踏まえなきゃいかぬ。だから、確かに、御指摘のような時間的な問題は、これはどうとらえるか考え方はいろいろあろうと思いますが、では、今のままで未来永劫に安心かと言われると、それは懸念があることは申し上げたとおりであります。

 ただ、現段階において、今麻生内閣において具体的に皇室典範の改正の具体的なスケジュールを持っているというものでもありませんし、そういうことについてお示しすることは、今の時点では差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

津村分科員 確定的なことを現段階でお話しになれないのはわかりました。

 先ほどの質問にもう一回立ち返りたいんですけれども、しかし、問題をどういうふうに認識しているかというのは、解決策を示すか示さないかということとは別にまた重要なことであって、時間の問題もあるんですよということはやはりきちんと認めていただきたいんです。

 私たちの世代、この数十年、あるいは私はもう十年単位の世界だと思いますが、現在世代が必ず解決しなければいけない、答えを出していかなければいけない問題だということは、これはもう問題意識を共有していると考えてよろしいですか。

河村国務大臣 津村議員と同じ考え方を共有していると私も思います。

津村分科員 わかりました。

 それでは、これからの議論をしていく中で国民各層の意見を吸い上げていくということをおっしゃいました。それは時間もかかることなんでしょうが、方法として、先ほどの有識者会議はもう廃止されているわけですけれども、新たにそうした会議体をつくっていく形になるのか、あるいは民間のさまざまな世論調査を含めて活用していく形になるのか。どういう形で国民の意見というものを政府としてはとらえていこうと考えているんですか。

河村国務大臣 現時点において、小泉内閣のような有識者懇を持つ予定は今のところ持っておりませんが、ただ、国民各層の幅広い賛同を得られることが必要だという観点に立ちますと、報道各社のアンケート調査等の活用も含めて、国民各層の意見にしっかり耳を傾けていくということは大事だ、このように思っております。

津村分科員 それでは、宮内庁の方に質問を移していきたいと思います。

 まず、風岡次長にお伺いいたしますが、本日の閣議におきましてある大使人事が決定されているわけです。末綱隆前東宮侍従長が駐ルクセンブルク大使に転出をするということが本日の閣議で決定をした、そして本日付で発令をされたということであります。

 末綱前東宮侍従長が、三年七カ月前ですかね、巷間非常に期待を持って迎えられたという経緯もあって、在任四年足らずで退任をされたのは早過ぎるのではないかという指摘もあったようですが、今回の人事異動の理由についてお伺いいたします。

風岡政府参考人 前東宮侍従長でありました末綱隆氏は、平成十七年の九月から、今御指摘のように三年七カ月その職を務められまして、このたび、三月末に警察庁に復帰された上、定年退職ということになったわけでございます。

 これまでの東宮侍従長の在職期間についてはいろいろなケースがありますが、末綱前東宮侍従長には、在籍期間中、皇太子同妃両殿下のおそばにあって誠心誠意その職責を果たしていただいたと考えております。

 個別人事についてそれ以上の御説明をするということは一般的に控えさせていただいておりますので、御了解いただきたいと思います。

津村分科員 次長に申し上げたいんですけれども、皇太子殿下のいわゆる人格否定発言というのがありました。あれ以来、宮内本庁千代田と東宮職赤坂のコミュニケーション不足とか、あるいは東宮職のサポート体制の弱さというようなことを、私自身は見たわけじゃないですからわかりませんけれども、指摘する声があるやに聞いております。

 そうした中、職員一人一人の皆さんはもちろん優秀で熱意のある方ばかりだと思うんですけれども、だとしても、宮内庁人事のローテーションが以前に比べると早くて、両陛下、両殿下それぞれ、当たり前のことですけれども、皇室にもう何十年もいらっしゃるわけですよね。そういう経験やあるいはお考えをお持ちの両陛下、両殿下の信任を得るにしてはちょっと短い、期間が足りないんじゃないか。そういうエキスパートが、もちろん短い方もいていいと思うんですが、バランスが必要だと思うんですね。

 そういう意味で、個別の人事とおっしゃるんですけれども、非常に重要人事でして、東宮侍従長、まさに人格否定発言の直後だったと思いますが、前後に着任をされた。大きな期待を担われた東宮侍従長が、今回定年ということもあったそうですけれども、東宮侍従長職には定年の規定は実はないということも伺っておりまして、そういう意味ではまさに人事ローテーションが短い、サポート体制がなかなか整っていないことの象徴とも言えるんではないか、そういうふうに思うわけですけれども、そのことについて次長はどうお考えですか。

風岡政府参考人 一般的に人事のローテーションが短過ぎるんじゃないかという意味でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、私どもの仕事は、これは皇室関係の国家事務あるいは陛下の国事に関する事務等のお世話をするということで、仕事の領域というのはかなり広い仕事をしております。その意味から、こういった事務を的確に進めていくためには、いろいろな経験を持っている方、知識を持っている方、そういうようなこととして、例えば他省庁の出向者に出向をお願いするというケースもあるわけでございます。

 出向者の場合には、親元に帰るケースもありますし、また、出向のまま宮内庁で退職するケースもありますけれども、いずれにしましても、出向者の選定に当たっては、全部が全部というわけではありませんけれども、今までの宮内庁の勤務の経験とか、あるいは宮内庁とのかかわりがどうだというようなことも判断の一つにしながら、できるだけ円滑に宮内庁の仕事に入ってこられるようにということで、私どもとしてもそういうような人事上の運用に努力をしているところでありますし、また、来ました職員については、当然職員全体が一体となって取り組む必要がありますので、日ごろからそういう気持ちでやるようにということでやっているところであります。

 したがいまして、先ほど先生お話がありました、千代田とか赤坂とかいう話がありますけれども、私ども宮内庁の中では定期的に宮内庁本庁と東宮職も含めて会議を持って、意見交換をし情報交換をするというようなことをやっておりますので、そういう意味では一体として、両陛下また東宮両殿下、そのほかの宮家の方々をお支えするということでやっているつもりであります。

津村分科員 それでは、ちょっと数字的なことを伺いたいと思います。その次に、官房長官への質問、その数字への感想みたいなことをお伺いします。

 天皇陛下と皇太子殿下のおそば近くにおいて勤務されている幹部職員につきまして、その平均在職年数と他省庁からの出向者の占める割合というのを、これはお願いしているので数字があると思うんですが、お答えください。そして、これらの状況が一世代前、例えば三十年前と比較してどういうふうに変遷しているのかをお答えください。

風岡政府参考人 両陛下また皇太子両殿下に側近として勤務する幹部職員ということで調べさせていただきました。

 まず、平均在職年数ということでありますけれども、現在は約六年ということであります。ただ、この方々は側近以外の勤務もされておりましたので、そういったものを含めますと約十年ということになります。また、三十年前と比較するようにということでありますが、三十年前の数字を調べてみますと、平均在職年数は約十四年、側近業務以外の期間を含めた平均をとると約十五年ということであります。

 また、出向者についてというお尋ねでございますけれども、ことしの四月現在で、そういった関係者、十六人在職をしておりますけれども、そのうち他省庁からの出向者は十人でありますので、割合的には約六割ということであります。なお、三十年前はどうなのかということでありますが、在職者の数は十七人でありまして、うち出向者は二名ということでありました。この数字は、他省庁から出向してまいりまして宮内庁で退職をしたという人につきましては、出向者というカウントではなくて計算をしたというものであります。

津村分科員 今のは両方、千代田と赤坂が合算されていますけれども、千代田と赤坂のそれぞれについて、今のだけでいいですから、数字をお答えください。

風岡政府参考人 まず、出向者でございますけれども、現時点、千代田と赤坂と分けてということでよろしいでしょうか。(津村分科員「はい」と呼ぶ)

 まず、本庁の方でございますけれども、現時点では、職員九人に対して出向者は五人ということであります。それから、赤坂の方でございますけれども、七人おりまして、うち出向者は五人。トータルは、先ほど言いましたように十六人おり、出向者十人、こういうことであります。

津村分科員 在職年数等ももっと手際よく全部をお答えいただきたかったんですけれども、ちょっと時間もないので端的に申しますと、例えば宮内本庁の方ですと、三十年前は、入江侍従長以下、徳川侍従次長、八人いらっしゃった中で、出向者はだれもいない。そして、入江さん、徳川さんという私でも知っていた大変有名な方ですけれども、四十年以上のキャリアをお持ちだった。

 現在、千代田の方ですか、こちらの方は比較的長いキャリアの方もいらっしゃるようです。その平均をとられて先ほど六年とか十年とかということをおっしゃっていましたけれども、実は、現在の東宮職についていえば、これは七人中五人が出向者ということも一つありますし、最長の方が、八年の方が一人いらっしゃるだけで、あとは皆さん三年三カ月以下なんですね。

 現在の東宮職の平均在職年数、もう一回教えていただけませんか。千代田と比較して教えてください。

風岡政府参考人 千代田と赤坂、それぞれごとに在職者の平均年数を計算しておりませんで、先ほどまとめたような資料しか今手持ちにありませんので、後刻御報告させていただきたいと思います。

津村分科員 事前にいただいた資料に書いてあるので、では、後で資料を下さい。それは公表していい数字だと思いますので、そういうふうに扱わせていただきます。

 今の話を官房長官は聞かれて、きょうの閣議決定でまさに末綱東宮侍従長がルクセンブルクに転出されるんですけれども、明らかに最近の宮内庁の人事というのは、もちろん短い方もいてもいいんです、さっきもおっしゃったようにいろいろな方が、バラエティーがあっていいと思うんですけれども、そういう方ばかりになっていて、非常に中長期の人材育成がなされていないのではないか、とりわけ東宮職においてはその傾向が顕著なのではないかというふうに思うわけですが、まさに閣議の中核にいらっしゃる官房長官の御感想をお聞かせください。

河村国務大臣 津村議員御指摘のように、今の天皇家、皇太子も含めてであります、開かれた皇室というあり方からすると、いろいろな方々が皇室の勤務をされるということは、ある面ではいい面もありましょう。しかし、皇室という世界というのはまた我々がはかり知れない苦労も多い。そういうことをしっかりそばで十分見て、それに対して適切な助言のできる方、相談になれる方、そういう人材をプロパーとして充実させるということも一つの大事な課題ではないか、このように思います。

 どういう人材がこれから集められるかという問題もありましょうが、御指摘のようにどんどんかわっていくだけでは、それがいいかと言われると、やはりそうした人材も養成する必要があるのではないか、私は率直にそのように思います。

津村分科員 長官、もう結構です。ありがとうございました。

 宮内庁の方にお伺いをいたします。

 関連したような質問なんですけれども、現在、雅子様の治療に当たられている方で大野さんという慶応大学の先生がいらっしゃると思いますが、この方の役割、それから宮内庁における職制上の位置づけについて、そして給与の出どころも含めて教えてください。

風岡政府参考人 大野医師につきましては、皇太子妃殿下の担当医師として、二〇〇四年六月から、東宮側が委託をするという形で、東宮職の他の医師とともに治療に当たっているところであります。特に公的な肩書を持ってということではありません。必要な経費については公費をもって負担をしている、こういうところであります。

津村分科員 わかりました。時間もないので、今後の質問にゆだねていきたいと思います。

 もう一つ、一昨年の陛下の御発言を受けて以降も愛子様の参内回数が必ずしもふえていないのではないかという指摘があります。これはふえているんですか、それともふえていないんでしょうか。

風岡政府参考人 この一年間の愛子内親王殿下の御参内の回数につきましては、内々の御参内というようなものもありますので、具体的な回数については、私どもとしても数字を必ずしも十分につかんでいるところではありません。しかしながら、少なくとも前の一年間と同程度の回数ぐらいは御参内をされているというように理解をしております。

津村分科員 宮内庁のよくないところだと私は思うんですが、さっきの皇統の問題にしてもこの問題にしても、問題があるということだけ言っておいて、その後それをどう対応したのかということを言わない、あるいは問題が解決されましたよということで国民を安心させない、さんざん不安材料だけは出てきているわけですよ。

 ですから、ここは、ふえたのかふえていないのか。あの御発言があって、普通に考えれば、ではこれからふやしていきましょうという話になるわけですけれども、そうなったのか、なっていないのかをお聞きしています。同じだったということであれば、何にも変わっていないということですね。

風岡政府参考人 御発言がありました以降、愛子内親王殿下の御参内というものも、いろいろな機会があったと思いますが、数字自身は正確な数字を把握しているわけではありませんけれども、昨年の一年間ということで見ると、それと同程度の御参内があったというふうに私どもとしては承知をしているところであります。

津村分科員 御発言後ふえたかどうかを端的に聞いているんです。

風岡政府参考人 先ほども申し上げましたように、御参内については、内々の御参内、そういうものもありますので、私どもが必ずしも……(津村分科員「時間がないので、イエスかノーかで聞いているんです」と呼ぶ)済みません。そういうことがありますので、数字自身を正確に把握しているわけではありませんので、昨年程度のものがあったということで御理解いただきたいと思います。

津村分科員 余り誠実に答えていただけないので、また次回以降の質問で考えさせていただきます。宮内庁はもう結構です。ありがとうございました。

 それでは、伊藤社長にお伺いをいたします。瀬戸大橋の架橋問題をかねてから伺っています。

 瀬戸大橋の架橋効果を費用便益分析のスキームで試算した、いわゆるBバイCの結果がこのほどまとまったわけですけれども、その中で、算定の前提となる本四架橋の将来交通量予測が前回の試算に比べて半減をしております。その理由について教えてください。

伊藤参考人 お答えいたします。

 今回、本四架橋のBバイCの算定に使用しました交通量は、最新、平成十七年度の道路交通センサスに基づいて国土交通省から出されました、道路の将来交通需要推計の平成四十二年度の将来交通量をもとに、本四会社が路線別に配分推計したものを使用しております。

 前回、平成十二年度評価時は、平成六年度の道路交通センサスに基づいた道路の将来交通需要推計をもとに、学識者をメンバーとする本州四国連絡橋公団事業評価監視委員会において、当時の経済状況、交通量実績などを勘案して算出しております。

 前回評価時は、当時の経済動向より将来の経済成長率を現在より高く見込んで将来交通量の推計をしているようですので、恐らくそのような差が主な要因と思われます。

 以上でございます。

津村分科員 交通量の現状について伺います。

 瀬戸大橋を初めとする本四三ルートですけれども、他の高速道路に先駆けまして三月の二十日から大幅な料金引き下げを行っています。以来、ちょうど一カ月がたったわけですけれども、交通量はどのように変化いたしましたでしょうか。

伊藤参考人 お答えいたします。

 三月二十日から四月十九日までの休日における交通量の状況につきまして御報告申し上げます。

 交通流測定器により小型車として区分された普通車及び軽自動車等について、本四三ルートの県境断面の一日当たりの交通量は七万四千七百台でありまして、割引前の直前一カ月、二月の二十一日の土曜日から三月十五日日曜日の休日日平均との対比で約二・一倍、対前年同期比では約二・〇倍でありました。

 次に、平日における交通量の状況につきまして御報告申し上げます。

 交通流測定器による本四三ルートの全車種の県境断面の一日当たりの交通量は約三万七千台であり、割引前の直前一カ月、二月の二十三日月曜日から三月十九日木曜日の平日の日平均との対比で約一・一倍、対前年同期比で約一・〇倍でありました。

 以上でございます。

山口主査 津村啓介君、質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお願いします。

津村分科員 はい。最後の質問にいたします。

 料金の引き下げによりまして、実際の本四道路の交通量は今おっしゃられたように伸びているわけです。そうしたわけで、先ほどの試算の前提が揺らいでいることになると思うんですが、仮に交通量が一・五倍または二倍になった場合、本四架橋のBバイCは幾らになるのか、試算結果を数値で示してください。

山口主査 伊藤社長、簡潔にお願いします。

伊藤参考人 お答えいたします。

 交通量の仮定につきましては、平成二十年度までは実績ですのでそのまま使用しまして、それ以降は、今回BバイC算定に用いた交通量を単純に一・五倍または二・〇倍にしまして、その他の条件を変えずBバイCを計算いたしますと、一・五倍のケースでは一・三、二・〇倍のケースでは一・五となります。

 以上でございます。

山口主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして皇室費についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会


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