衆議院

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第2号 平成22年5月18日(火曜日)

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平成二十二年五月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 吉田  泉君

      緒方林太郎君    岡本 充功君

      金森  正君    菅川  洋君

      土肥 隆一君    宮崎 岳志君

      森山 浩行君    柳田 和己君

      吉田おさむ君    今村 雅弘君

      河野 太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   法務副大臣        加藤 公一君

   外務副大臣        武正 公一君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   最高裁判所事務総長    山崎 敏充君

   最高裁判所事務総局総務局長            戸倉 三郎君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           林  道晴君

   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

   法務委員会専門員     生駒  守君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     吉田おさむ君

  菅川  洋君     緒方林太郎君

  土肥 隆一君     森山 浩行君

  伊吹 文明君     河野 太郎君

  高木 陽介君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     菅川  洋君

  森山 浩行君     土肥 隆一君

  吉田おさむ君     金森  正君

  河野 太郎君     伊吹 文明君

  江田 康幸君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  稲津  久君     高木 陽介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔裁判所、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(金融庁)、外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門〕


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     ――――◇―――――

吉田主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、裁判所所管、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫、内閣府所管中金融庁、内閣所管について審査を行います。

 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。山崎最高裁判所事務総長。

山崎最高裁判所長官代理者 平成二十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百七十五億八千八十四万円余でありますが、これに平成十九年度からの繰越額二百三十二億九千五百八万円余、予算補正追加額四十五億八千八百十一万円余、予算補正修正減少額五十二億四千二百四十六万円余、差し引き二百二十六億四千七十三万円余が増加となり、歳出予算現額は三千五百二億二千百五十八万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千三百十七億四千三百三十五万円余であり、歳出予算現額との差額は百八十四億七千八百二十二万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百二十一億八千八百三十二万円余、不用額は六十二億八千九百九十万円余であります。不用額となった経費は、人件費三十一億五千十四万円余とその他の経費三十一億三千九百七十五万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百四億八千二百七十三万円であります。これに対しまして、収納済み歳入額は二百四十九億二千六百九十六万円余であり、歳入予算額に対し四十四億四千四百二十三万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金の増加等によるものであります。

 以上、平成二十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

吉田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成二十年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

吉田主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田おさむ君。

吉田(お)分科員 民主党の吉田おさむでございます。

 きょうは、決算で裁判所ということで、事務総長初め皆さんおいででございますので、まずは、裁判所というか、司法というもの、これは、三権分立という中で何事にもかえがたいものであるということは確かなことであります。

 そして、司法試験に合格するというのは、これは単なる資格試験ではない。ほかの士業という部分は、どちらかというと、すべて、行政の下請と言っては悪いですけれども、監督官庁というものがあって、極端な何かがあったら懲戒権、資格剥奪は主務大臣。しかしながら、例えば弁護士一つをとっても、懲戒権というのは弁護士会の自治権という形で、これは、行政は何ら手を入れることができない。もちろん、裁判所は弾劾裁判があり、検察も同じような形になっているという中で、司法というものの位置づけをもう一度しっかりと見直すことが必要であると私はずっと考えております。

 また、十七年前、初当選のときに法務委員会に所属して以来、弁護士でないのに何であんたはそれだけ頑張るんだというぐらい、おかげをもちまして、司法制度についてはいろいろきっしょきっしょで質問等をさせていただいた中で、きょうは事務総長も副大臣もおいでですので、私が、またいわゆる世の中一般の方々が考えている司法というものの問題点というんですか、課題というんですか、それぞれについて、きょうは事務総長もおいでですので、いわゆる民の声も聞いていただければというところでございます。

 まず最初は、司法修習生。これは、法科大学院が始まりまして、それ以降、法科大学院を卒業して修習生になっている、いわゆる司法修習六十期から六十三期という中で、今回、法改正がなされて、司法修習生のお金が給与から貸与になっていったというふうなことがございます。その法改正のときの附帯決議には、衆参それぞれで、この貸与制の導入によって、司法の概念であったり、それから、経済的事由から法曹への道を断念することがないようにというふうなことになっています。

 まず私は、では、現実に、この司法修習生の借金、これは昔で言ったら、司法試験というのは、ねじり鉢巻きをして家にこもって、予備校ができてきましたけれども、ロースクールというものを出なければならない、これは多額な費用がかかる、時間が何年もかかる、生活費もプラスアルファされていくという部分で、借金をされている方がたくさんおいでだと。

 たしか、司法制度改革法案の審議のときに、私もこのことはかつて指摘したと思います。アメリカでは、ロースクールに入るには多額の借金をして入る、だから、みんなスー族になって訴訟ばかりするようになってしまう、そういう嫌いが出てくるということです。

 それを、司法修習というものを所掌する最高裁判所として、では、実際の司法修習生の経済状況、借入金額等の調査などをしたことがあるのかどうか。いかがでしょうか。

大谷最高裁判所長官代理者 貸与制の問題についての関連での御質問かと思いますけれども、現実に今、司法修習生には給与が払われているところでありまして、その修習生が法科大学院当時にどの程度の借金、借入金を持っているかということについての特段の調査は、最高裁としていたしておりません。

吉田(お)分科員 手元に、日弁連さんが、自分たちがセミナーを開いたときに、全員、司法修習生を通っていただいた方々が参加された、そこでアンケートという形でとられています。借金されている方々の平均額、千五百人がアンケートに答えられて、教育ローン、奨学金を借りられた方は何と過半数を超えているんですね。最高の方で一千二百万、最低で五十万円、平均すると三百十八万八千円。要するに、司法試験に通っただけでこれだけの借金を抱えて入ってくるわけですよね。今だったら一年間貸与だと。そこにまたもう一度借金が覆いかぶさるわけです。

 借金まみれの人が、この国においてはこれから裁判官になる。きょうは法務副大臣がおいでになっています。検事さんになる、裁判官も検事補も、初任給全部合わせてもそれぞれ大体五百万強ですよね。だから、そういう借金まみれの人たちが入ってきたときに、本来の司法の独立というものやそういうようなものについて、どういう御所念、どういう感覚、どういうものをお持ちになるのか、その辺はいかがでしょうか。

 だから、もう一点でいうと、借入金額の調査の有無というのは、これからするのかしないのか。これは、大きな問題を抱えた人が、司法という場に、何事にもかえがたい場に、しかも裁判官、検事という世界に入ってくるという大きな危機意識を私は持っているんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

大谷最高裁判所長官代理者 この貸与制に関する法律の改正については、今、委員も十分お話しになられたとおりでありまして、この法律の改正、裁判所法の改正の際に、法科大学院の奨学金等でどの程度の借入金が考えられるか、それから、修習生としての借り入れということがあった場合にどれぐらいの借り入れになるか、この辺については、国会も含めて十分議論していただいたところであります。

 基本的には、今、それではその後、何か大きな状況の変化があったかどうかということについては、これは弁護士会の方の御意見も十分承っておりますけれども、特段そこのところについての変化はないということでありまして、私どもとしましては、この法律の枠内で施行が義務づけられておりますので、この点については遺漏のないようにということで作業を行っております。

 ただ、先ほど委員からの御指摘もありましたように、この附帯決議がついたということについては十分承知しておりますので、修習のレベルなどについて何か大きな影響が及ぶということが現実の施行を踏まえて起こるようになれば、それはゆゆしき事態であることは言うまでもありません。その点については十分気をつけなければならないと思っております。

吉田(お)分科員 いや、答弁をはぐらかしてもらっては困るんですよ。借金まみれの人がこれから皆さんの部下に入ってくるんですよ。人間、一番ひっかけられるのは金じゃないですか。皆さん、裁判の事例を見ていったら、ひっかけられるのは、男性だったら女性、そこから酒、女、金と。はなから金が足らない人たちが皆さんの部下にやってくる。そのことを、附帯決議があったからどうこうでなくて、では、これから実態調査をするのかしないのか、まずそこをお答えください。

大谷最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、法律の施行に当たって、その前の段階での特段の実態調査は行っておりません。その後、修習に入った、現実にこの法律が施行された段階で、先ほど言いましたように、何か、修習に修習資金の貸与制度の影響が、懸念が非常にあるというような場合には、その点について裁判所としても考えなければならない、こういうふうに思っております。

加藤副大臣 吉田先生、十分御理解のとおりでございますけれども、修習資金の給付あるいは貸与につきましては、その金額あるいは返済の方法、期限等につきまして、最高裁の規則で定めるということになってございます。その意味では、法務省として、何か踏み込んで修習生に対して調査を実施するということは今の段階でいたしておりませんし、きょう現在は予定をいたしておりません。

吉田(お)分科員 今私が申し上げたように、借金まみれの人が検事補になる、検事に任官されるということは、健全なことですか、適正なことですか。所轄する副大臣として、それはどう感じられますか。

加藤副大臣 実際に検察官になる方がどの程度の負債を負って任官するかということは、個人的に随分差があるのではなかろうかというふうには思いますが、その経済的事情が仕事や個人の生活に影響を及ぼさないように、奨学金の制度、あるいはこの修習資金の貸与につきましても、先ほど申し上げましたように、最高裁規則で、返済の方法、猶予期間であるとか期限であるとか、あるいは、これは無利息ということになっておりますから、その負担であるとか定められてございますので、一律に、貸与制になったからそれが検察官の職務に大きく影響するというところまでは考えておりません。

吉田(お)分科員 問題点だけ指摘をしておきたいと思います。

 そして、ぜひとも実態調査をしていただくのと同時に、この国会の附帯決議の中にある、ポイントの二点目として、現にもう今、法曹志願者の数は減っていっている。法科大学院に行って頑張ったらなれるかと思ったらなれない、合格者がゼロの法科大学院まである。時間と金とを返してくれという声は強いと思うんです。

 これは最高裁の皆さんに言うべきことではないと思います。これは極めて政治の世界の話で、給与を貸与に変えた、貸与を給与に変えるのも、これは裁判所法の改正ですから、政治の世界の話で、皆さん方にどうするんだといって詰め寄るのはいかがなことかと私は思います。しかし、さはさりながら、附帯決議で、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう関係機関と協議するということが最高裁に求められています。では、現実に協議をされているのか、今後の予定はどうなのか。まずこれが一点目。

 そして、二点目は、法曹志願者の現状の状況に対してどう感じているのか。これは、裁判所のお方、最高裁として、裁判官を任用する方からして、それから法務大臣として、検事を任用する方から、それぞれ一言ずつお答えいただきたいと思います。

大谷最高裁判所長官代理者 まず、これまでどうだったかという御質問でございますが、この点につきましては、規則制定の当時に、詳細は申し上げませんけれども、有識者あるいは法科大学院の先生、さらに弁護士の方々にも入っていただいた規則案についての委員会で検討していただいています。その際に、どういうあり方がいいのか、額あるいは据え置き期間などについては、委員から十分な意見をいただいているところであります。

 今後についてでございますけれども、もとより裁判所も、執行機関としての責任がございますので、今委員の御指摘のあったように、この貸与制によって、結局、司法試験を受けることを断念してしまうというような事態がどんどん起きてくるということは、有為の法曹を確保するという点で非常に問題でありますので、必要に応じて関係機関と十分な意見交換をしてまいりたい、このように考えております。

加藤副大臣 法曹志願者の数が減少しているという事態につきましては、私も大変憂慮するべきことだというふうに認識をいたしております。

 もちろん、志願者が減ったからといって、それが短絡的に質の低下を招くということを申し上げるつもりはありませんけれども、ただ、やはり法曹という職にふさわしい方、優秀な方にぜひ多く志していただきたいという思いでございます。

 これは、就職難の問題が報じられたり、あるいは、先生御指摘のロースクールの合格率の問題が指摘をされたりしてございますので、そこは既に、私とそれから鈴木文部科学副大臣共催の検討ワーキングチームなどもつくっておりますので、そこでもまた知恵を絞ってまいりたいと思っております。

吉田(お)分科員 引き続きお願いをして、このポイントについては引き続き機会があれば質問をしたいと思います。

 そして、今回の司法制度改革の大きなポイントの一つには、司法の民主化、裁判員制度等が含まれて行われていますけれども、それだけじゃなくて、やはり国民の裁判を受ける権利というもの、弁護士の方は、弁護士ゼロ地域という形で必死でしてまいりました。しかしながら、裁判官、検察官ゼロ地域というのが今非常にふえてきている。それは支部の統廃合ということがあるんだと私は思います。でも、結果として、支部が統廃合することによって、裁判員裁判も、例えば名古屋の東の端の人は真ん中の裁判所まで、地裁に行かなければいけない。目の前の裁判所に行けない。

 きょうは決算ですから、国のお金を使うということでいうならば、私は、裁判を受ける権利は、今までのような、何か交通の便がいいとかなんとかいうだけじゃなくて、これほど司法の民主化というものがあるのであれば、支部の統廃合というものをもう一度見直して、もう一度今度はふやしていく。ロースクール卒業生で法曹人口もふえてまいります。

 これは、単に支部という建物をふやすだけでなくて、そこで働く人の働き方も、常勤ということも必要でしょうし、場合によっては、今、警察等を含めるとOBの方々がパートタイムジョブで働いていらっしゃる。やはり、裁判官という方々が、人がいないんだったらそういう形で、国の費用が少ない中においてはいろいろな仕組みを考えて、これほど司法の法曹人口をふやすだけじゃなくて、その仕組み自身、特に国民全域が裁判を受ける権利という部分をしっかりと守っていく必要があると思うんです。

 まず一点は、支部の統廃合はこれからどうするのか。そして、ちょっと気になるのは、では、廃止された支部の土地、建物、財産は今どういうふうな形になったのか。何か妙に、どこかの、かんぽの宿じゃありませんけれども、近しい人たちが買ってマンションなんかを建てているというようなことがあってはならないと思いますけれども、まず一点目。

 そして二点目は、こういうことを続けていくと、裁判も東京一極集中になってしまう。私は経済産業委員会にずっと所属しておりますけれども、やはり公正取引委員会にかかわること、審判のことも、今回も東京地裁だけ。審判が終わって、終わったらその後は地裁でやれと。全国で九件しか事件がないのであるならば、それほど、人材養成に一年半も時間がかかるのはおかしいはずですし、人材養成ができたら地方に配置するということも、なぜ東京だけにしなければいけないのか。また、知的財産についても、これは国の成長戦略の中で大事なことですけれども、知財というものも、やらなければいけないのは東京高裁の知財部だけなんですね。

 もっと司法の民主化という部分に、単に裁判、刑事、民事だけではなくて、その周りの、独禁法のかかわり、知的財産のかかわり、裁判の範囲というんですか、守備範囲というものが非常に広くなっている中で、今のように、地域の支部の統廃合、それから大きな案件の東京一極集中というのは、ちょっといかがかと私は思うんですけれども、その辺の現状とこれからの対応方、どういうふうに考えているのか。最高裁のお考えをいただきたいと思います。

戸倉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、裁判所の支部の配置、統廃合の問題でございますが、裁判所は、これまで平成二年に支部の統廃合を行いまして、当時二百四十二庁ございました支部が二百一庁に減少しました。他方で、時期は若干後になりますが、事件動向の変化あるいは人口の変化等に伴いまして、支部の増設ということも二庁行っておりますので、現在のところ、支部は全国で二百三庁ということでございます。

 今後支部をどう考えるかということでございますが、これは、もとより、事件の背景にございます社会経済情勢の変化でございますとか、あるいは人口の変動でありますとか、あるいは交通事情の変化、こういった、先ほど委員の御指摘になりましたような諸事情を考慮した上で、一方で、裁判所を御利用になる国民の皆様のアクセスも確保するということで、いわば裁判を充実するという観点からまいりますと、やはり、裁判所の組織というものを非常に効率、充実していく必要があるという一方で、他方で、国民の皆様のアクセスを確保するということを考慮しながら検討してまいる必要があろうかと考えております。

 そのような中で、従来のような、建物を一つ置きまして、そこにフルの裁判所があるというような考えでまいりますと、非常に硬直的な問題も出てまいるかと思いますけれども、この点につきましては、特に国民の実質的なアクセスの確保ということからいたしますと、やはり今後は、この配置を考えるに当たりましては、例えばITの非常な発展であるといったことをどう活用するかとか、あるいは、もう少し柔軟な裁判所の運営のあり方ができないかといったことも総合的に検討してまいる必要があろうかというふうに考えておる次第でございます。

吉田(お)分科員 先ほど言いました知財だとかその辺の部分は、裁判の普通の刑事、民事以外の部分についてのこれからの広がりというのはどうですか。

林最高裁判所長官代理者 ただいま議員から御指摘いただきましたように、知的財産権、いわゆる特許権に関する訴えの管轄については、東京地裁と大阪地裁に管轄が専属されることになっております。また、その控訴審の管轄につきましても、知的財産高等裁判所に管轄が専属されている。

 いずれも、これはもう既に立法事項ということになりますので、司法府であります裁判所が意見を申し上げる立場にはありませんが、やはり、知的財産権、いわゆる、技術が高度化し、技術開発等の企業活動においては、この知的財産権の侵害の有無が問題になる。したがいまして、その知的財産権に係る訴えの帰趨というのが企業活動に大きな影響を与えることはありますので、その訴訟審理において特殊なノウハウが必要になってくる。

 そういたしますと、その審理の充実、迅速を図るために、専門的な処理体制が整っている東京地裁、あるいは大阪地裁、あるいは知的財産高等裁判所に管轄を専属させることによって処理を集中しているというふうに私どもは承っております。

 また一方、独禁法、公取の関係につきましては、今法案が議員御指摘のように提出されている状況であります。

 確かに、想定される件数というのは知的財産権に比べると少ない部分があるかと思いますが、やはり、事件の中身というのは高度の専門性が要求されます。また複雑な事案が多いという特色がありますので、判断の合理性を確保するとともに、裁判所の専門的知見の蓄積を図るためには、やはり東京地裁に専属、管轄を集中させる、そういう趣旨で法案が提出されているというふうに承知しているところであります。

吉田(お)分科員 今答弁の中でありましたように、建物、ITということを言われましたけれども、やはり、人を見て、背の高さだとかどういう体重でどんな声だというのは私は大事だと思うんですよ、いろいろなやりとりの中で。

 そういうふうなことでいうなら、私は、建物、支部の話じゃなくて、だったら巡回裁判。私は、かつて法学部で勉強したときに、アメリカの方では巡回裁判という形でやっていくと。そういうふうに、裁判所も出ていくんだ、出ていってやっていくんだと。それは、弁護士ゼロの地域がなくなっていっているように、そういうところにも、ゼロということはそこに事件があるということであるなら、そういうふうな発想というものをしていかなければならない。

 私、ちょっと聞きましたら、今、巡回裁判の検討というか調査に着手もしたと聞いておるんですけれども、その辺はいかがなのか、そういう発想については。

 それから、二点目。先ほどちょっと答弁漏れです。廃止支部の財産はどうなったのかということ。

 この二点、お願いいたします。

戸倉最高裁判所長官代理者 大変失礼いたしました。

 廃止支部の財産につきましては、そこには実は簡易裁判所が併置されておりまして、その廃止支部の庁舎等は、その簡易裁判所の庁舎として現在活用中でございます。

 ただし、その一部、庁舎を今度建てかえなどを行います際には、規模を少し縮小することが可能でございますので、その際には、一部土地を割譲して国にお返しする、財務省にお返しするということをしておる次第でございます。

 次に、巡回裁判の点でございますが、委員御指摘のように、裁判所支部の配置などを考えます際に、実質的な地域のニーズにおこたえする手法といたしまして、先ほど申し上げたITの活用ということもございますが、確かに、どうしてもこれは現地で当事者といろいろ対面して事件を処理する必要がある、こういった場面では、場合によっては、巡回裁判、裁判官がそこに出張して事件を処理するということも一つの選択肢として総合的に検討すべき問題であろうかというふうには考えております。

吉田(お)分科員 そういうふうな形で、できるだけ民主化ということは、やはり構えるんじゃなくて出ていくという方向で発想をお願いしたいと思います。

 そして、先ほど独禁法の話が出てきましたけれども、今回、独禁法の改正の中で、代理人、弁護人の選任、立ち会い、供述調書の写し等というふうな部分が盛り込まれていきます。いわゆる可視化という問題。

 私は、この可視化の問題について、きょうは副大臣がおいでですので、先ほどの検察官ゼロの話とあわせて御答弁いただきたいんですけれども、単に可視化だけの話じゃなくて、これは、例えば日米安全保障条約の中で日米地位協定というのがある。これは、米軍の方が事件を起こしたときに日本が逮捕できない部分というのがありますよね。けしからぬという人がいてるんですけれども、私は多分、アメリカの兵隊さんだったら、そんな日本の法律でぱくられたくないと。つまり、逮捕されたら代理人もつかない、どういう取り調べをしているか、可視化もしていない。

 御承知のとおり、欧米においては、可視化するのは当たり前で、可視化することによってかえって自白もとりたいと。日米地位協定、日米関係の中において、可視化というのは、単に国内の問題じゃなくて、大切な安全保障条約の中で、国民の多くの皆さんが怒りを持って対応する日米地位協定というものの中において、向こうの人間からしたら、言っちゃ悪いですけれども、日本の司法なんというのは未開の地司法だ、あんなところで逮捕されたら人権もへったくれもないと。米軍の兵士であり米軍の将官だったら、場合によってはそう思ってもいいような状況じゃないかなと私はふと思うんですね、この可視化の問題等を考えていくと。

 ですから、リーニエンシーという形でちょっと一部出ていますけれども、これはおいておいていただいていいと思うんですけれども、この部分については、先ほどの検察官ゼロ、これからこの問題については、そういう国内の広い概念でもあるということを含めて対応方をどうしていくのか、ちょっとお答えいただければと思っております。

加藤副大臣 まず、検察官のゼロ地域の御指摘がありましたけれども、実は、裁判所の支部とは違いまして、各地検の検事正の裁量で、事件等の繁忙によって検事あるいは副検事の配置というものを極めて流動的に実施いたしております。したがいまして、極端な話をすれば、きょうとあすでも実は配置が違うという現実があるところでございまして、一概に、きょう現在どれだけの箇所で検事が常駐していないかというのを申し上げるのは非常に困難な状況にございます。

 それから、可視化のお問い合わせがございました。

 これは、マニフェストにも書いてあることでございますし、私ども政務三役が就任をさせていただいて以来、その実施、実現に向けまして今前向きに検討させていただいております。

 一つには、省内で、大臣を筆頭に可視化の勉強会を設置し、また、そのもとで、私が座長を務めておりますワーキンググループも設けまして、おおむね週一回程度のハイペースで検討を続けてございます。その中で出てまいりました課題や論点なども含めまして、ことし一年間は国内あるいは海外も含めた調査をさせていただくということになってございます。

 これは、一次的な捜査機関であります警察とも大変密接に関連をするテーマでございまして、中井国家公安委員長のもとでも研究会が実施をされてございますので、本年七月以降、中井大臣と千葉大臣との間で、その後の進め方、進めぐあいについて協議をスタートするということもお約束をさせていただいているところでありますので、また御支援方いただければと思います。

吉田(お)分科員 検察官ゼロ支部が大体百十二ほどあるんですよね。臨機応変とはいいながら、やはりそこもいてもらわないと、司法警察職員と司法警察官は峻別されていますので、そこのところはぜひとも知っていただきたいのと同時に、今、可視化のお話がございましたけれども、独占禁止法の今後の法改正の法律案の中に先に入れているんです、一年以内に検討して出そうと。何か、気がついたら、独禁法の準司法機関と言われている公取の方が、どんどん、リーニエンシーだ、やれ何だといって、ずっと先に進んでいる。司法が後追いするというのではなくして、司法の方が先に行って、追いかけているんじゃなくて追いついて、追い越していただくようなこともお願いをしたいと思います。

 時間になってまいりまして、きょうはわざわざ事務総長においでいただいておりますので、こういうふうな民の声が、いろいろみんな思っているということで、最高裁のあの白亜の殿堂の中に日常おいでになられると、なかなかこういう話は聞けないかなと思いまして、わざわざきょう朝早くから最後まで残っていただいたんです。まあ、感想でも何でも。

 今申し上げたように、私は何を言いたいかというと、やはり司法は違うんだ、そこに生きている人たちは違う、ある意味で、その試験を通るということは、やはり、同じ士だけれども資格試験ではないんだと。なった人たちが、何か妙に、何かにまとわれたりなんなりして、司法の独立というもの、司法というもののあり方が何か傷つけられることに非常に危惧を持っておりますので、それでこういう質問をさせていただいたんです。

 最高裁事務総長として、全体を見渡しての感想なり、御意見なり、もしも所感、所見、決意がありましたら、一言いただければと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 吉田委員には、裁判所につきまして、平素から格別の御理解と御支援を賜っております。この場をおかりいたしまして、まず御礼申し上げたいと思います。

 委員のお言葉にありましたけれども、司法の独立、これは非常に重要な価値というふうに私ども思っておりますが、この点につきましても、委員は大変御理解いただいておりまして、御配慮いただいております。このことについても感謝申し上げたいと思います。

 ただいま幾つかの重要な問題について質問をちょうだいいたしました。我が国の社会において司法の役割というのが非常に重要である、そういう委員のお考えであろうというふうに受けとめております。そういう思いからいろいろ叱咤激励をいただいたというふうに受けとめております。

 私どもも全く同じ考えでございまして、司法の機能をますます充実させていかなきゃいけないというふうに思います。基本的人権ですとか正義とかいうものを直接扱っておりますものですから、なかなか効率化だけでは割り切れないところがもちろんございますが、同時に、国の予算をちょうだいして、国民の税金で賄われているものですから、私どもはできるだけそれをうまく使って、全体としての司法サービスを充実させていかなければならないというふうにも思っておりますので、引き続きまた御支援を賜ればと思います。

 ありがとうございます。

吉田(お)分科員 時間になりましたので終わりますけれども、本当に、最高裁事務総長が言われましたように、司法は法曹三者のものでは決してないということ、これを忘れてもらってはなりません。しかし、必要ならば、政治は、今副大臣もお話ししました、政治主導でしっかりと法律も変えるし予算もつけていくんだということ、ただ、その分責任は重たいですよということだけ最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

吉田主査 これにて吉田おさむ君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、岡本(充)主査代理着席〕

岡本(充)主査代理 以上をもちまして裁判所所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岡本(充)主査代理 昨日に引き続き外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方分科員 民主党、緒方林太郎でございます。

 本日、貴重な機会を賜りまして、決算委員会の委員長、そして主査、そして委員の各位の皆様方に御礼を申し上げるところでございます。

 その前に、まず一言、ちょっと最初に嫌ごとを言いますけれども、今回の決算委員会の質問に際して、私は質問要旨を木曜ぐらいに出したんだと思うんですね。資料請求もいたしました。その後、内閣府と経済産業省からは連絡がありました。この質問はどういう趣旨ですか、ちょっと調整させてください、皆さんやられたことはあると思います。外務省から一本も電話がかかってこないんですね。しかも、資料請求した資料も出てこない。ばかにしているのか、本当にそう思いました。

 そういうことで、きょう、武正副大臣にはガチンコで、少し厳しい質問もさせていただくということ、御理解をいただきたいというふうに思います。もう本当に一発で外務省を嫌いになりました。十一年勤めましたけれども、こんなに一瞬で人を嫌いにさせる能力、本当に大したものだと思います。

 まず、大塚副大臣に。

 昨日、我が町の市長、北橋健治さんとお会いになられたと思います、恐らく、たしか。(大塚副大臣「きのうではないです」と呼ぶ)昨日じゃない、先日ですね、済みません。先日お会いになっておられると思います。

 そのときに議題に出たかどうかわかりませんが、今、日中韓のEPAというものが構想としては進んでいて、ただ、なかなかそれが進まないということもあるので、地域レベルでそういうEPAの萌芽となるようなものを進めていこうということで、東アジア経済交流推進機構というものを、九州、山口、具体的には下関市、北九州市、福岡市と日本は三つの都市、その後、韓国と中国の都市、合わせて十個ぐらいで、将来のEPAの取っかかりになるようなものをつくっていこうじゃないかと。交渉のやり方については、リクエスト・アンド・オファー形式ということで、お互いが、例えば金融の規制緩和をしてくれ、入国管理の規制緩和をしてくれ、そういった規制緩和を進めていこうということなわけでございますが、これは私は非常にいいことだと思うんです。

 ただ、国内的にこれを実施しようとすると、恐らく特区的なものになっていくんだと思います。これを進めていこうとすると、相手と交渉しながら、そして、それと同時に特区申請していかなきゃいけないとか、タイミングが、機動的に動けないと、こっちもリクエストを出した、向こうからもリクエストが来た、こっちからオファーしたいんだけれども、オファーするためには、やはり国の方から特区なりなんなりというものをいただかないと当然それに対して応じることができないということを考えるときに、機動的に、内閣府の方にも御配慮賜る形で、そういった交渉の後支えというものをしていただければなというふうに思うんですが、大塚副大臣、いかがでございますでしょうか。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 北橋市長とは北九州市の環境総合特区の件で何度もお話をさせていただいておりまして、今御下問の件については直接はお伺いはしておりませんが、ただ、大変いいお話だと思いますので、今委員御指摘のように、仮にその方向で申請なり御相談があった場合には、できる限り速やかに対応させていただきたいと思っております。

 政権がかわりまして、特区のあり方、そして運用のあり方、さらには国が提案者に対してどういう姿勢で審査に臨むのかということを原点に返って今体制を立て直しているところでありますので、この三月末にいただいた臨時の申請も非常にスピーディーに今審査が行われておりますので、この件についてもしっかりと対応させていただくつもりでございます。

緒方分科員 ありがとうございました。

 本当に、我が町だけでなく、日本全体にかかわるいい話だと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。

 では、大塚副大臣、結構でございます。

 そして、もう一つ、今EPAの話を少しさせていただきましたが、WTOとかEPA、FTA、何でもいいんですけれども、国際的な通商交渉をやるときの体制ということで一つお話をさせていただければ、これはもうむちゃくちゃ縦割りなんですね。経済産業相がいて、農林水産相がいて、外務相がいて、財務相がいて、最近はサービスの関係も入ってくると厚生労働相、国土交通相と山のように役所が入ってきて、それぞれのフロントでそれぞれの交渉をやっているというのが現状です。

 これは、外国で見てみるとどうかというと、アメリカでは通商交渉代表がおられる、そしてEUも貿易担当の交渉委員がいる。一人に権限を集中して、そして交渉する体制がしっかりと整っているんですね。

 その一方で、日本は、では、向こうから一人だれか大臣が出てきました、こっちでだれか交渉しましょうというときに、こっちから四人も五人も人が出ていく。ところで、だれが調整しているんですか、あなた方、だれが責任者ですかと聞かれたときに、いや、私は鉱工業品の担当でして、私は農林水産で、私はサービスでと手を挙げる。これが著しく国益を損なっている、私はそう思います。

 そういった中、逆に相手の国からすると、個別に交渉していけば各個撃破が可能なわけですね。個別の利益を取引していけば、全体の利益の出し入れを見ることなく、そういったことが可能になっていく。日本のこれまでの歩みの中で、だからこそ負けてきたというのがあると思います。

 もっと卑近な例に行くと、こういったものの出張に行くと、これはひどいんですね。外務省がタコ部屋をつくって、経済産業省がタコ部屋をつくって、農林水産省がタコ部屋をつくって、これはお金だけでも、ほぼ同じ事務をやっているにもかかわらず、外国のホテルに行ってみると、何か三階が外務省、四階が経済産業省、五階が農林水産省みたいな感じで、お互いが情報を隠し合っている。いろいろな意味で国益を損ねる上に、お金の無駄なので、これを一元化する体制を整えるということは日本にとって喫緊の課題じゃないかなと思うんです。

 これは、質問要旨を出した際に各省合議をしてくださいというふうに言ったので、答弁としては恐らく、仙谷大臣のもとでしっかりと調整をした上で、一元的な体制を築くべく努力をいたしますというような答弁が返ってくるんじゃないかなと思うんですけれども、これも二十年、三十年聞いた答弁なんです。二十年、三十年同じ答弁を聞いているんです。

 私は、所掌事項の、つまり各省設置法の見直しも含めて、いろいろな形態があり得ると思います。内閣府に国務大臣を一人置く、そのもとに事務方を置いて、各省から、外務省の経済局、経済産業省の通商政策局、さらには農林水産省の国際部、その他、国際関係のところの権限を全部引っぱがして、そこにばっとくっつけて、一人の国務大臣、英語ができて、ばりばり外国へ出て交渉できる人、こういう人を置くというのがいいんじゃないかなと私はいつも思っているんです。どうでしょうか。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 緒方委員は、もう十一年もおられたということでございますから、多分裏まで御存じで質問をされているんだろうというふうに思いますが、私も政務官に就任をしてちょうど八カ月になりますが、おっしゃるような光景も感じました。

 特に、いろいろな国々から、私の部屋にもいろいろな関係の大臣や副大臣やそういう方々が来られますけれども、びっくりしたのは、例えばオーストラリアからいろいろな方々が来られます、大変重要な国ですけれども。ところが、日本側から、ここ何年というか、もう十年以上、オーストラリアにだれも大臣が行っていなかったんですね。官邸が、だれがどこへ行っているのかも余り把握をしていなかったという事実がございました。

 そこで、新政権になりまして、私どもでは、先ほどの設置法の改正とかいう以前に、まず横の連携をとるべきだろう、だれがどの国に行って、どういう話をして、どういう交渉をしてきたのかとか、やはりその辺も官邸が把握をすべきだろうということで、今、それは新政権になりましてから随分よくなりました。

 きょうも国会の周辺に日章旗とカンボジアの国旗がかかっておりまして、カンボジアの王様が今来られておりますが、このゴールデンウイークのときに私もカンボジアへ行きまして、フン・セン首相と会わせていただきました。ちょうどその三十分前に榛葉防衛副大臣も行きまして、フン・センさんと会わせていただいて、連携をとりまして、防衛の話をするときにもそういう貿易の話をしていただいたり、私も、先ほど榛葉さんがお話をしていただいたと思いますけれどもというような連携もとる、そういう新しい形もできております。

 直嶋大臣も先日インドへ行かせていただいて、向こうの大臣と日印のEPAを今後も進めていこうというような約束もさせていただいておりますけれども、今後、横の連携をとりながら積極的にやっていきたいと思います。

 ただ、これは、先ほど設置法云々というお話がありましたけれども、私は、むしろそれ以前に、横の連携をきっちりとれるような、新政権の意欲の問題だというふうに思っておりまして、ぜひ、裏も御存じの緒方委員にこれからも御指導いただきたいと思います。

緒方分科員 情報をお互いに隠し合って、そして何となくぎこちない中で交渉をやっている。これは実は、恐らくほかの、この通商交渉の話だけじゃなくて、例えば気候変動枠組み条約の交渉なんかに行っても、恐らく環境省がいて、経済産業省がいて、外務省がいて、結構それぞれの思惑を持って別フロントで動いているケースなんというのがあるんじゃないかなというふうに思っていて、ともかく、日本の国内で縦割りがあるのも見苦しいんですけれども、外国に行くと、今度は国益を損なうということが大いにあるということですので、そこをぜひ御留意いただければと思います。

 政務官、結構でございます。ありがとうございました。

 そして、武正副大臣、テーマをかえまして経済協力の話ですが、決算委員会ということで、少しお金の使い道で、一般無償資金協力が一番典型的なケースだと思いますけれども、日本の経済協力というのは要請主義が大前提で、相手の国から、こんなものをつくりたい、こんなことをしてほしいというのが上がってくることが大前提だ。

 しかも、一般無償資金協力においては、タイドということで、その事業をとるのは日本の業者ということがもう明確になっている中で、さあ、ここまでであれば非常に美しい姿なんですけれども、相手が事実上要請を自分でつくる力がない、少なくとも日本として満足するような要請書のスタイル、見積もりもしっかりとる、こういったことをこういうふうにやっていく、全部プロジェクトとしてばちんと固めたものを要請として出してくることがなかなか難しい国というのがございます。

 私も、かつて途上国勤務がございます。アフリカの、それこそLLDCみたいな国に行くと、到底、日本のJICAや外務省が満足するような形で要請書を出してくることができない。

 では、そういったときにだれが書いているのか。実態として、日本の業者さんが書いていたりするケースが物すごく多いです。というか、大半がそうでしょう。そうでないことができる国というのは相当に力のある国です。例えば中国とか、途上国の中でもかなり能力の高い国だというふうに言っていいと思います。

 そういう中において、では、何が起こっているかというと、これはいびつなんですけれども、日本が援助を供与するにもかかわらず、日本の業者が相手国の大臣のところに行って、おたくの国のプロジェクトとしてこれを出してくださいとお願いに行く。あなたのサインをつけて、あなたのオーソライゼーションをもって、この書類をあなたの国の書類として日本の大使館に出してあげてくださいというようなことが行われています。行われていますと言うと怒られますけれども、行われているだろうというふうに巷間言われています。

 そうすると何が起こるかというと、相手の国のお偉い方からは、出してほしければちょっと勉強しろというようなことというのが、最近も業者の方からヒアリングをすると、いまだにそういうことがあるんです、何で日本が援助を供与しているのに、我々がそんな不正に巻き込まれなきゃいけないんですかというようなことがございます。

 これは、表向きに見るところでは、外務省が見るところというのは、そういう事前の、裏のところではなくて、要請書が出てきて、そこで判断するという、一番建前のところでいうとそうですね。

 ただ、その立場でいくと、それの前にある、今言ったような裏のごちゃごちゃした話というのは我関せずというような立場になるのかもしれませんけれども、これは日本の税金です。そういった業者が不正に巻き込まれて出ていくお金というのも、全部日本の税金が原資であります。

 こういったものを絶対に見直すべきだと私は思います。表面的な要請主義というのをやり続けると、日本のODAがどんどん不正の温床を招いていくことになりかねないというふうに思うわけですが、副大臣、いかがでしょうか。

武正副大臣 緒方委員から、巷間言われているということで御指摘がございました。

 そういった事実があるということを外務省として一々承知はしていないというのが回答でありますが、そういったことが言われているとすれば、やはりそういう可能性は未然に防がなければならないというふうに思っております。

 今、そうした途上国の要請という仕組み、これが一つあるにせよ、それぞれの途上国のそうした書類作成など、あるいは案件を要請するための能力、これは、日本のODAとして、それぞれの国のキャパシティービルディングということで、さまざま、国をガバナンスする能力の向上といったことにも相通ずるわけでありますから、日本が目指すものは、やはりみずからの国はみずからが統治するといったところにつながっていくというふうに思っております。

 また、やはり不正防止という観点からは、特にPCI事件などを契機として、ベトナムはみずから国際条約に加盟をしておりますが、過日、日本からのベトナムあるいはカンボジアへの投資協定には不正防止条項を設けております。

 こうして、やはり国際約束の中でもきちっと条項化していくということも必要だと思いますし、また、ENの署名時において、これまでは不正情報があれば提供してくれということを約束しておりましたが、今回は、情報提供について、その情報提供者を保護することを義務づけるということも昨年度から始めております。

 こうした点も踏まえて、今のようなことが巷間言われないように、未然に防止するように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

緒方分科員 外務省側から、事務方から、そういった事実はない、少なくとも聞いていないというお話でありましたが、余り私の例を言ってはいけませんけれども、私はセネガルにいたころに、すべての要請書を見て、ここは何々商事、ここは何々物産と、もう案件も全部知っていましたよ。事務方からそういう情報が上がってきているというのは、これは大きなうそですよ。絶対うそだと思います。事務方は絶対知っているんです。巷間こういうことが行われているという事実も、これは大使館の書記官を経験した人間であれば、途上国の大使館を経験した人間であれば、それは裏でいろいろ動いているというのは知っているんです。知っているんだけれども、なかなか国会答弁でそこまで、知っていますと言いにくいからということなんだと思います。

 けれども、そういう今のこの体制、今のこのやり方が、そういう私が言ったようなケースの不正を助長するような可能性があるというふうにお考えですか、副大臣。

武正副大臣 先ほどお答えしたのは、一々承知していない、一つ一つを承知していないということをお答えしたのと、それから、巷間言われるということがあるということであれば、やはりそれについて未然の防止措置を組むべきであるというふうにお答えをしたとおりでございます。

緒方分科員 それとあわせて、もう一つ、一般無償ではないんですけれども、文化無償という制度がございます。別に私はこの文化無償という制度が悪いとか役に立っていないとかそういうことを言うつもりは毛頭ないので、そこは御理解いただきたいんですけれども、ただ、この文化無償、要請書をつくるときにどういうものを要求しているかというと、日本の業者から見積もりをとって、日本円で見積もりをとってこいというようなことが、少なくとも私のころは行われていました。

 途上国に行って、日本の業者にアクセスをして、そこからばしっと要請書を日本円できちっと書いて持ってこいと。無理ですよ。絶対無理、これは。例えば、私はアフリカのセネガルというところにいましたけれども、セネガルの業者がどうやって日本のアディダスにアクセスするんですか。無理ですよ。この無理なことを要求しているのが文化無償。

 それで、この無理なことを要求している、その間をつなぐのはだれか。これは業者ですよ。業者が、自分で案件をつくって、例えばここに柔道場をつくりましょう、ここにサッカーボールを上げましょう、ここで博物館の修復事業をやりましょう、そういった案件をつくって、そして日本の業者からばっと見積もりをとって、それを集めてまた要請書としてばんと出すと。

 これは、一般無償よりもさらに、日本の業者が要請書をつくるときに当然のように介在することを前提としたシステムです。これはさすがにあり得ない。これは不正を助長する可能性が非常に高いし、もっと言えば、相手国が自分で要請書をつくるわけじゃないわけですから、結果として、文化無償にも、供与してしまったら余り使われずにほこりをかぶっていたみたいなケースが時々あるというふうに聞いていますけれども、そういうものの原点になりがちなんですね。

 文化無償について、どう思われますか。

武正副大臣 文化無償資金協力は、途上国における文化面の国づくり努力を支援するため、文化振興、文化遺産保存、日本語教育等の施設、機材整備を実施するものということは、もう委員御承知のとおりでございます。

 ただ、要求額については、今、円でというお話でしたけれども、要請書の提出については米ドルもしくは他の通貨で記入することとしております。

 他方、この文化無償制度は日本企業タイドでありますので、やはり先方政府が任意で日本の業者さんに見積もりの提出を依頼する場合もあるというふうに思われるわけです。

 我が国政府として、見積もりをとるときに日本の業者にとりなさいということを義務づけているものではありません。ただ、業者の選定に対して、どうしてもタイドということで、日本の業者さんとのそうした接触が委員の言うような不正の温床になるのではないのかという御懸念があろうかというふうに思います。

 一般競争入札によって業者を選定しておりまして、そうしたことが働く余地がないという制度設計にはなっておりますけれども、やはりこうした疑念が持たれないように、この点についても、去年の三月十八日には、我が国の政府開発援助の事業における不正腐敗に関する情報の窓口の設置もしておりますし、ことしの夏に向けて、外務省として、ODAの見直しについて、今外務省内で精力的に見直しに取り組んでおります。

 今の文化無償についての御懸念も踏まえて取り組んでいきたいというふうに思っております。

緒方分科員 この国会の場で議事録に残るときにはそういう答弁になるのかなというふうに思いますけれども、なかなかそういう調査は難しいんですけれども、恐らくこの業者がつくったと思われる要請書というのと、その業者が本当に落札したかどうかというのをちゃんと因果関係を追及していけば、多分一〇〇%だと思いますね。一般競争入札は、最近、仁義なき戦いがどうも行われているようでありまして、要請書をつくった業者でないところが落とすケースも時折見られるというふうに聞いておりますが、それでも恐らく、そんな五〇%、六〇%という数字ではなくて、多分要請書をつくったと思われる人たちが実際にとるケースというのは大半だと思います。

 その過程でいろいろな、営業費というふうに表現すればいいんでしょうか、そういったものが出ていっているということは、結果として、ENで決まっている額は決まっている額なんですけれども、その中で、そういうものがなければもっと額を抑えることができるんじゃないか、決算の観点からも、そして予算の適正な使用という観点からも、ぜひぜひ武正副大臣、国会答弁がそうなることはもうしようがないと私は思っています。ですが、今後ODAの見直しをやられていくということでありますので、中でぎりぎりやっていただければというふうに思います。意外なものがたくさん出てくると思います。

 もう一つ、時間もまだありますね。一般無償資金協力において、これは事前に外務省の方から、そんな事実はないと非常に否定するお話がありましたが、EN署名の後、日本のコントラクターが決まる、日本の業者が決まった後に、その後、現地の、外国のサブコンを選ぶ。そのときに、もちろん相手にお金が供与された後は、相手国の大臣の署名、サインとかでいろいろなものが動いていくわけですが、これは私は実際経験したことがあります。国の名前は出しません。

 実際に、相手の国の大臣が、この援助をこれから先に進めたければ、おれが指定するサブコンを使えというふうに日本のコントラクターに言ってくる。一般無償資金協力の事業を請け負った日本の業者に対して、相手国の大臣が、この援助を期限どおりにきちっと進めたければ、おれの指定するこの業者に下請、孫請を出せというようなこと、これは私は実際に経験をいたしました。相当ぶうぶう言われました。これもまた不正の温床なわけですね。そういったことを生じなくする。

 これは恐らく外務省の人に聞いてみると、いや、一度EN署名をしてしまうと、交換公文署名をしてしまうと、そのお金は相手の国の所有になるので、うちとしてはなかなか手が出しにくいんです、こんな役人答弁が返ってくるんです。そうじゃないんです。では、そうであれば、そうでなくなるような制度を考えてくださいよというのが率直な思いですが、武正副大臣、いかがでしょうか。

武正副大臣 今、コントラクターとサブコンということで、サブコンについては、コントラクターが選定するについて、受け入れ先政府からの圧力ということが実際あるんだよということが、今緒方委員から、そういうことの事実というか経験を述べていただいたわけでありますが、そうした不当な圧力がある場合には、コントラクターから相談を受け付けて問題解決を図るということを行っておりますし、昨年そうした窓口を設けました。実際に、その窓口には数件そうした連絡もいろいろと来ております。

 こういったことも踏まえて、今のようなことがないように、外務省としても毅然たる対応をとっていきたいというふうに思っております。

緒方分科員 数件来たというのが実は驚きだったんですけれども、それぞれの業者は、やはり長くその国とおつき合いしていこうとするときに、なかなか密告みたいなものが成立しにくいのかなと思っていたので、数件来たというのもびっくりしました。

 ただ、今、いろいろ対処します、そういうことがないようにいろいろな窓口を設けたり、いろいろな形で努力をしていきますということなんですが、これは、制度が結果としてそういうものを助長するようなものを含んでいるときには、法律を除外して考えれば、人間は一番合理的に動こうと思うと、どうしても、そでの下、賄賂、そういったものが一番合理的だと思えば、商売をやる方はそれで動くんですね。だから、システムとして、可能性としての不正というものをふさぐような、そういう制度の転換みたいなものというのが私は必要ではないかというふうに思っています。

 本当に、なかなか答弁をしにくいと思うので、よろしくお願いしますということを申し上げます。

 そして最後、これも私、実際に経験したことがあるんですが、閣議後、供与が決まった援助について、その後にクーデターとか、例えば選挙の不正とかなんとか、そういったことが起きて、その国から援助をしばらく引き揚げようじゃないかという国際的な協調体制がばっと整っているにもかかわらず、日本だけが非常に間が抜けたような形で、いや、日本は閣議で決まりましたからEN署名しますみたいな。

 これは、もう十年以上前なので、恐らく今武正副大臣の持っておられる資料にも載っていないんじゃないかと思いますけれども、一九九八年、九九年ぐらいだったと思いますが、トーゴという国で大統領選挙がありました。前の大統領、エヤデマ大統領という方が大規模な不正をやったと言われ、当選をした。

 国際的に、トーゴに対して制裁だ、やめよう、援助はみんな引き揚げるんだというような体制を整えたところで、日本だけが、いや、もうENしちゃったからと。交換公文署名だったか何かだったと思いますけれども、もしかしたら事業の引き渡し式だったかもしれませんけれども、ともかく何か援助の形で日本は、選挙で不正があった、EU、アメリカ、みんなで国際協調して、ちょっとお仕置きをしようという体制が整ったときに、日本だけがちょっとごめんなさいみたいな感じで。それは使われるんですね。国際的に制裁がかかっていると言いつつ、ほら、日本はおれたちのことを見捨てていないよというふうに国内で今度また使われるわけですよ。

 欧米の国からすると、日本は何だ、せっかく国際的にお仕置きしようというのに、日本はそういうのに閣議で署名したから、閣議があったから、そんな事情で国際的な協調を乱すのかということで、せっかく数億円出したにもかかわらず、決して日本が予定していた所期の目的を果たすことなく、もっと言えば、マイナスに働いたケースがある。日本の国民の税金を使ったにもかかわらず国際的な名声を落とし、さらに相手国から、我々が予定していない目的で、ほら、日本がやってくれたというふうに言ってもらえるような、そんな援助の体制というのは私は間違っていると思います。

 もっと機動的に、とめるときはとめる、だめなものはだめというふうなことが言えるような、日本は閣議で決まったら、非常に閣議決定というのが重いということがあるので、なかなか難しいことはよくわかります。わかりますけれども、もう少しフレキシビリティーがないと、これからも起こらないことを希望しますけれども、選挙の不正だ、クーデターだ何だ、そういったものが起こったときに、日本だけがあほ面してサインをしていくようなことが起こらないような機動的な体制を構築すべきだと思います。いかがでしょうか。

武正副大臣 今の点については、トーゴについては、結局二〇〇一年に停止をしたということでありまして、そのときは治安の悪化ということで事実上停止。治安の回復により再開をしていますが、今委員御指摘の九八年というタイミングは、多分ずれたんだろうということだと思います。

 ODA大綱の中でも、途上国における民主化の促進など、そうした保障に十分注意を払うというふうに規定をしているわけでありまして、原則、クーデターについては、当該国政府の状況、治安情勢などで、必要に応じて機動的に援助を停止しているということであります。

 二〇〇八年のギニア、二〇〇九年のマダガスカル、これがそれに当たるわけでありますが、今の、特に不正とかそうしたところも含めて、こうしたODAを機動的に使うということ、ODA大綱の見直しなども含めて、先ほど触れた、夏に見直しということでありますので、こうした点も委員の今の御意見も含めて対応、検討していきたいというふうに思っております。

緒方分科員 質問時間ももう終わりになりましたので、最後に一言だけ。

 最後、トーゴの例を挙げましたけれども、そのとき、たしか署名に行った臨時代理大使の方が、もうおれは恥ずかしいよ、こんなので出張に行って、外交団の手前、こんなので署名するのは物すごく嫌だ、日本の何の国益にも資さない、けれども、おれは本国の命令で行かなきゃいけないんだということで、すごい嫌そうにしながら出張に行った姿を私は忘れられません。

 数億円です。もう大きな大きなお金です。なので、その大きなお金を供与するときに、供与するその責任者の人が、もう行くのは嫌だ、こんなのもう嫌だという思いをするような援助の出し方というのは今後ないように、ぜひお願いしたいと思います。

 いろいろ失礼なことを申し上げました。本日は本当に貴重な答弁、ありがとうございました。

岡本(充)主査代理 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)分科員 森山浩行でございます。

 本日は、日本の国益にとって大変重要な政府開発援助、ODA、このあり方についてお伺いをしたいと思います。

 まずは、武正副大臣には、援助と国益の関係についてお伺いをしたいと思うんです。

 私、学生時代に、湾岸戦争の後、日本は血も汗も流さないんだと国際的に言われているのは不本意だ、少なくとも汗は流そうということで、昭和五年生まれの方々、佐々淳行、小山内美江子、二谷英明といった先輩方に機会をいただいて、カンボジア、ロシア、また当時の旧ユーゴスラビアなどの活動に参加をしてまいりました。

 その後、市議会議員の時代には、各地の議員後援会の皆さんに呼びかけて、ペルーの学校建設というNPOで、これは議員後援会でお金集めをしようというようなことで、ボランティアと経済、ボランティアと政治、この壁を崩していく、協力関係を広げていくのは大事だという活動をしてまいりました。

 日本人は、使い道のわかる援助であれば、一人一人参加しようという意識が高い国民であるというふうに確信しておりますし、また、多くの国々の人々から、政府の、あるいはNGOやNPOの開発援助というのは感謝されているという実感もしております。このことは日本にとって有形無形の財産であると私は考えております。

 九〇年代前半当時は、援助は日本が一番と言われておりました。名実ともにそうでありました。しかし、その後、急速に援助額の順位が下がっております。ここ数年は五位というようなことになっています。この理由と、また、そもそも援助と国益との関係、そして、順位の下がることにより国益にどんな悪影響を与えるのか、副大臣、お願いをいたします。

武正副大臣 森山委員にお答えいたします。

 OECD・DACの統計、今挙げていただいたように、九〇年代、そして二〇〇〇年まで第一位を日本は誇っていたわけでございますが、二〇〇九年においては、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスに次いで第五位ということでございます。これはネットということでありますので、グロスということでいうと、アメリカに次いで第二位ということになりますが、御承知のように日本は円借款が多いので、その借款の戻ってくる、そうした額を引きましたネットについては第五位ということであります。

 ODAは重要な外交手段でありまして、このODAを積極的かつ効果的に活用して、途上国の安定、発展、そしてまた今であれば地球規模課題、地球温暖化対策、具体的にはコペンハーゲン合意の賛同なども、当然こうしたことは日本自身の国益にもかなうわけでありまして、こういった観点から援助を有効に活用していく。そういった政策の実現にとっても、やはり、ODAの額が下がっていくことは日本の国益にとっても影響があるということは言わざるを得ないわけでございます。

 残念ながら、そうしたODAについての国民の共感が十分得られているかというと、特に昨今、大変厳しい経済状況の中、まず国内を先に優先すべきであって、国外への援助はやはり減らすべきではないのかというような意見が国内の世論にあるということは承知をしておりまして、国民の皆さんの理解を得る、そうしたODA援助というものがやはり必要であること、そういった観点から、この夏までにODAのあり方についての基本的見直しを行っていきたいというふうに考えております。

森山(浩)分科員 やはり国際社会の中での悪影響があると。

 ただ、今の時点でいいますと、これまでの名残というか、日本は一生懸命援助をやってくれているというような名残の部分でいけているところ、また、現場の人たちの努力によって補われている部分もあるかと思います。しかし、このままどんどんどんどん順位を下げていくというようなことになってくると、何ぼ中身一つ一つがいいものであっても、だんだんとプレゼンスが落ちてくるということは否めないというふうに考えます。

 これまでの事業仕分けでも、ODAまたJICAなどについて、援助自体が必要ないというような指摘はなかったと思います。有効に使うべしという指摘が多かったように感じていますが、今後ODAの見直しをされるということです。どのような条件があれば国民の理解を得られるというふうにお考えでしょうか。

武正副大臣 二十一年度については、第二次の補正予算で一千四百五十八億円ということで、二十二年度につきましては、円借款等を含めた事業予算は、先ほど触れましたように第二位でありますが、支出純額で一兆三千百億円程度ということであります。

 ODAの増額について、どういった観点で国民の理解が得られるかということでありますが、やはり、ODAの政策が、先ほど言ったような日本の国益につながること、あるいは地球規模課題の政策、解決につながることをわかりやすく国民の皆さんに知らしめること、そして、ちょうど先ほど緒方委員の方からも指摘がありましたが、ODAにまつわる不透明な契約関係などが言われるところ、それをしっかりと透明性を確保する、そんなことがまず国民の理解ということでは必要ではないかというふうに思っております。

 もちろん、成長戦略ということで、やはり日本の経済は展望の開けるものにしなければなりませんので、当然、ODAとそうした日本の成長戦略とのある意味での連携といったものも、やはり国民に対してはわかりやすい一つの説明になるのかなというふうに思っておりまして、こういったものを駆使しながら、ODAの増額に向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。

森山(浩)分科員 政権交代が成った理由、そして鳩山政権の一番重要な国民への訴え、政治への信頼の回復というのは、透明化というのが非常に大きなキーワードであると思いますので、この分野でもぜひ徹底した透明化をお願いしたいと思います。

 大きく分けて、援助には、相手国と直接やりとりをする二国間援助、それから国連機関などを通じて行う多国間援助というのがありますが、それぞれの特徴、長所を教えていただきたいと思います。

武正副大臣 バイとマルチの経済協力についての特徴ということでありますが、二国間経済協力については、二国間の関係の強化というようなことがまず第一。そしてまた、日本の知見、技術の伝達、それを二国間の間で直接行う。技術協力や無償、有償の資金協力を組み合わせたきめ細やかな支援がやはり二国間の援助の特徴、三点あろうかと思います。

 一方、マルチということで、国際機関を通じた経済協力は、国際機関の持つ中立性、専門的知見、現場での機動力などを活用して各種援助を効果的に、当然、日本からのお金だけじゃなくて諸外国からもそこに資金が集まるわけですから、資金の合計額も大きくなりますし、そういった専門性を持った職員もいる、その中で選択と集中で効果的にそうしたお金を使うことができる、そういった効果性が期待をされるわけであります。

 厳しい財政状況の中で、バイとマルチ、二国間と国際機関を通じた援助のそれぞれの特徴を生かして、相互補完的に、効率的な、効果的なODAの実施を図っていきたいというふうに考えております。

森山(浩)分科員 どうも、国連機関、マルチよりも二国間の方が効果があるんじゃないかというようなイメージが一般にもあるようでございまして、どうもバイを中心にした方がいいんじゃないかというような世論があるように思いますけれども、そのバランスについてはどのようにお考えですか。

武正副大臣 今言ったような国際機関について、日本が拠出金あるいはまた日本の人材を国際機関により多く送っていく、こういったことを通じて日本の国益に資するということも実はあるわけであります。ですから、二国間、そして国際機関とのバランスはやはりとっていくべきであろうというふうに思っております。

 また、お金を出すタイミングということでいうと、本予算、それから補正予算というのがこれまでありまして、そうしますと、当初から制度設計ができる、まあ本予算であればいろいろな二国間の協議が十分時間がとれるところもありますが、場合によって、三月末までにある面、予算を使うということを会計法上義務づけられている今の仕組みの中で、国際機関を通じてより効果的なお金の使い方が可能になるということもあろうかというふうに思います。

森山(浩)分科員 二国間の援助につきましては、私は今、経済産業委員会で成長戦略を担当しているという関係もありまして、西村政務官に先日、経済産業委員会にお越しいただいて、援助とビジネスとの関係、このつなぎ、日本が援助をやった、その基盤の上に他国がビジネスをとりに来たというような形で、ちぐはぐな形でのインフラの整備になってしまうなどということがないように、また、日本が一貫してやっていくという協力関係を、透明化はもちろん重要なんですが、その上でつないでいけるようにというお話をさせていただき、前向きな答弁をいただきました。

 そこで、きょうは、多国間の援助について、まずは国連機関に対する拠出金についてなんですけれども、去年の決算と比べましても、ことしの予算においては軒並み減少しているのではないかというような印象を受けるんですけれども、この数字について教えてください。

武正副大臣 日本のGDPの比率に応じて国連への拠出金の見直しを昨年末にかけて図る、こういった時期と、二十二年度の概算要求、当然タイミング的にちょうど重なっておりました。結果として、本年度まで一六%の国連への拠出金が一二%台へとこの夏以降下がるという決定になっております。そういったところも踏まえて、国連機関への拠出金について、新年度の概算要求を新政権として行うに当たって、やはり選択と集中ということで、大胆に見直しをしていこうということで臨んだわけでございます。

 そういった中で、限られた財政状況の中でめり張りをつけた予算化ということを、国連機関に対する拠出、義務的経費はなかなか、削減ということは難しいんですが、任意的な拠出金についてはそれが可能であるという中で、新年度予算編成では取り組んだところでございます。

森山(浩)分科員 これは、一律カットということではありませんよね。

武正副大臣 よくシーリングというやり方がありますが、まずは全体的に削減という方針を出して、その中でプラスアルファというようなやり方というのがよくとられるわけでありますが、そういう中で選択と集中ということを行ったところであります。

森山(浩)分科員 選択と集中ということでございます。では、何をもって選択をしていくのかというところに議論が行くわけなんです。

 国連機関、たくさん存在しているんですけれども、その中でも駐日事務所を持っているところ、また、その中で、日本以外も含めて世界やあるいはアジアの中心となっている事務所というのがあると思いますが、これの機関名と数をお知らせください。

武正副大臣 我が国には、十五、今、国連機関の事務所がございます。

 これを挙げますと、国連人道問題調整事務所が神戸に、それから、アジア太平洋統計研修所、国連人間居住計画アジア太平洋事務所が福岡に、国連地域開発センター、国連開発計画東京事務所、国連環境計画国際環境技術センター、国連環境計画北西太平洋地域海行動計画地域調整部富山事務所、国連人口基金東京事務所、国連難民高等弁務官駐日事務所、国連東京広報センター、国連児童基金東京事務所、国連訓練調査研究所広島事務所、国連大学本部、国連世界食糧計画日本事務所、国連国際防災戦略事務局兵庫事務所の十五が置かれております。

 こうした国際機関に対する拠出内容については、我が国の外交政策や当該機関との関係などを総合的に勘案して決定しているということでございます。

森山(浩)分科員 数ある国連機関の中で、十五が現在稼働している。

 それでは、国連機関の事務所が国内にあるということの意義についてお伺いをします。

武正副大臣 国連機関が我が国に置かれていることによって、我が国の拠出内容を直ちに左右するものではありませんが、この意義ということでありますと、まずは、国連機関が取り組む分野における日本の取り組み姿勢を示す上で効果的であるというのが一つ。それから、国連機関が地元の自治体あるいは地方経済と連携して事業実施を進めることによって、地方の国際化あるいは地域の振興につながるという効果が期待されること。それから、日本の意向が当該国連機関の活動に反映されやすくなるということなどの利点が考えられます。これが一つ、意義ということであります。

森山(浩)分科員 それでは、逆に、課題というか問題点というようなものはあるでしょうか。

武正副大臣 他方、国際機関の効率的、効果的な運営を確保することが大切であるということは、かねてより日本政府として、国連改革、あるいは国際機関それぞれについても、運営の効率化、そうしたことを求めてきたわけでありまして、同様に、国際機関の事務所が我が国の事務所として置かれることによって、どうしても維持費、人件費のコストが日本は相対的に高いということが指摘されておりまして、自治体を含む受け入れ体制の構築あるいは受け入れ側の費用負担など、種々の問題があるということにも留意が必要であると思います。

森山(浩)分科員 意義と問題と両面あるわけなんですが、それでは、国連機関については、これからもどんどん駐日事務所を誘致するんだというようなお考えはあるのでしょうか。

武正副大臣 やはり、その国際機関と日本国政府との関係とか、また、これまでの国連機関の事務所が、自治体が割にそうした誘致に積極的であったことなどは、地方分権の中で、自治体側の意向というものもあろうかというふうに思います。

 それと、先ほど触れましたように、国際機関が効率的な運営を行うについて、日本に事務所を設けることがそうしたことに資するというようなことがあればとか、あるいは、特に北東アジアあるいはアジアで地方事務所、地域の拠点が必要であるときに、どこを場所にといったときには、当然、日本のそうした立地というものがひいては日本の国益にも資する、日本政府との連携がしやすいということであれば、積極的にそうした取り組みが行われることもあろうかというふうに思いますが、それぞれのケースがあるのかなというふうに思います。

森山(浩)分科員 ケース・バイ・ケースということですね。

 その中で、十六番目の国連の駐日事務所として、堺市女性団体協議会、堺UNIFEM協会を初め関係者の皆様の御努力により、国際連合婦人開発基金、UNIFEMの駐日リエゾンオフィス、事務所が去年の秋にオープンをしました。オフィサーも着任する動きと聞いておりますけれども、この時期、UNIFEMのアジア・リエゾンオフィスが開設するということについての評価をお聞かせください。

武正副大臣 昨年十月に、UNIFEM、国連婦人開発基金駐日リエゾン事務所の開所式典が開催をされまして、岡田外務大臣からも祝辞を発出しております。今般、スタイヌン・グチ・オスドルッテさんが暫定リエゾンオフィサーとして着任をされ、所定の手続を経て正式に開所する予定というふうに聞いております。

 女性の能力向上を進め、ジェンダー平等社会の形成に尽力するUNIFEMの役割は重要と認識をしております。

 ただ、国連において、今、ジェンダー機関が四つあるんでしょうか。ジェンダー問題事務総長特別顧問室、女性の地位向上部、国連婦人開発基金、UNIFEM、それから国際婦人調査訓練研修所、四つありまして、今、これを新たな複合型機関に設立して統合する、その長を事務次長クラスとすることを支持する決議案がコンセンサスで採択をされているわけでありまして、こういった流れの中にこの事務所も、透明性を確保しつつ、効率的、効果的に運営されて、また、これまでのUNIFEMの活動を支援してきたユニフェム日本国内委員会とも、女性の権利の保護促進に貢献されることを期待しております。

森山(浩)分科員 もちろん、この四つの機関が統合するということについては、日本は後押しするということでよろしいんですね。

武正副大臣 そうしたコンセンサスが採択をされたわけでありまして、その新機関の具体的な内容に関する事務総長報告が提出されまして、同報告書に基づき、政府間の協議が続けられております。そうしたことについて、日本としてもしっかりとかかわっていきたいというふうに思っております。

森山(浩)分科員 女性問題というのは非常に古くて新しい問題、また、人口の半分が女性であるという中で、平等にみんなが生きていけるというのは世界共通の課題であります。

 これは、みんなが協力をしてやっていくという中でも非常に重要なことだと思いますけれども、今のお話の中で、単に事務所を置けばいいということではなくて、透明性、また効率的運営を確保しながら、また魅力的な事業展開をするということによって理解者をふやしていくことが必要であるというようなことだと思いますけれども、いわゆる事務費ではなくて、国連機関の事業に対する援助というような形、これに指定して出すというようなことは、これまでUNIFEMに対してはなされておりますでしょうか。

武正副大臣 七九年から継続的にUNIFEMに対しての任意拠出金を行っておりまして、我が国は拠出国中第十六位ということで行っております。

 今、特に事業を指定してというようなお話がありましたが、こうした任意の拠出金ということで行っているということだと思います。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 任意の拠出金として渡すんだということだけではなくて、こういう事業をやりますというようなことがあったときに、それを後押ししていくんだということが、日本の考え方、またそこの問題におけるプレゼンスというのを高めていくことになると思っております。

 政府の予算だけではなくて、民間からの寄附も含めてこれをふやしていくためには、日本の事務所というのは非常に大きな力を発揮する可能性のあるものだというふうに思うんですが、私も、カンボジアあるいはロシアでの学生時代の経験を踏まえて思ったのは、現地の人たちは一生懸命頑張っている、しかしながら、これを日本の社会につないでいく、一般に暮らしている人たちの思いにきちんと届けていくという、この間が日本では非常に弱いのではないか。あるいは、これが組織化されていないことによって、百円は募金するけれども、これ以上の援助というのにはなかなかかかわっていけないというような部分があるのではないかと思います。

 国民の理解とおっしゃいました。ODAの予算をふやすということも当然、政府としての役割ではありますけれども、寄附をふやす、あるいは、国民がみずから出したいなと思えるような形での情報提供を円滑に進めていくような、後押しであるとか、また提言であるとか、こういったものを国際機関に対してもやっていただくことが、ひいては、マルチの援助に対する非常に大きな力になると思います。

 二国間援助による信頼醸成に加え、専門性のある国連機関などによる多国間援助、この長所をバランスよく増額して、日本があってくれてよかったなと世界の国々の人々に思われるようになること、これが国益なんだと国民の皆さんにしっかり説明していただく中で意義をしっかり共有する、また、ビジネスと協力することで、税金を使って援助するだけではなくて現地のニーズにこたえていく、これを踏まえてODAの見直しをしっかりしていただきたいと思いますが、最後に、副大臣の御決意をいただきたいと思います。

武正副大臣 国連あるいは国連の機関の活動というものが日本の国民の皆さんにどこまで理解を得ているのかということについて、国連あるいは国連の機関、そしてまたその日本事務所、それぞれ努力をされているところでございます。また、日本の国内でも、そうした国連に関連する団体、先ほど日本委員会の話もありました、そういった団体の皆さんが相呼応して、日本の国民の皆さんにその理解を求めている。そういった活動がいかに大事であるかというふうに思います。

 国連の広報センターというものが東京にありますけれども、これについても、所長さんが長いこと不在ということもありましたが、このたび公募で新しい所長さんも決まっていくというふうに聞いておりますし、やはり、そうした国連の広報、国連の諸機関の横の方の連携、そしてそれを国民の皆さんによりわかりやすく伝える、こうしたことがもっともっと積極的に行われる中で、先ほどのODAに対する国民の皆さんの理解というものも深まる。そういう中では、日本事務所の、それぞれ国際機関の果たしている役割というものは、ODAに対する国民の皆さんの理解を深めるという意味からも大変大きいものがあるということも、改めて評価を申し上げたいというふうに思います。

 寄附については、もちろん、そうした寄附を積極的にやっている、非常にある面、国民の皆さんに対するアピールの強い国際機関と、そうでない国際機関との差がちょっと出てきてしまっているところを、うまく、先ほど言ったような広報センターなども利用してアピールをしていくということも必要かというふうに思っております。

森山(浩)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、ODAの見直し、政府できちんとやっていただいて、我々も、後押しをしながら、国民の皆さんに理解をしていただけるように頑張っていきたいと思います。

 以上で、終わります。

岡本(充)主査代理 これにて森山浩行君の質疑は終了いたしました。

 次に、河野太郎君。

河野分科員 自由民主党の河野太郎でございます。

 先般、パレスチナのヨルダン川西岸へ伺いました。その際、外務省本省の皆様、在イスラエル大使館の皆様、並びに在ヨルダン大使館の皆様、そして現地のJICA事務所の皆様に大変お世話になりました。この場をかりて厚く御礼を申し上げたいと思います。

 そのヨルダン川西岸にいるときに、ジェリコの町の南側で行われております日本のODA、アグロパークをつくって、そこで加工したものをヨルダンに出して、湾岸に販路を求めるというODAのプロジェクトでありますが、現地を見せていただきましたが、外務省の政務三役の中で、政権発足後、この現地をごらんになった方がいらっしゃるでしょうか。

武正副大臣 私も昨年十二月にはヨルダンまで行ったんですけれども、本当はイスラエルに入って現地をということがございました。あるいはパレスチナ自治区ということも考えましたが、どうしても国会の日程上、やむを得ず立ち寄れなかったということがありまして、まだ政務三役で、政権発足後はないということでございます。

 もちろん、政権発足前は、野党議員として、イスラエル、パレスチナ、それぞれ訪問しているところでございます。

河野分科員 現在このジェリコの南側で行われているアグロパークのODAのプロジェクトは、今どのような状況にあるのか、当初の目的と比べてどういう状況にあるのか、まず副大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

武正副大臣 これについては、小泉政権のときですか、現地で四者による署名ということも行われ、こうした平和と繁栄の回廊という構想がスタートしていると承知をしております。

 ことし六月には、この農産業団地予定地の開発に必要なアクセス道路の修復工事に着工し、完成予定ということでありまして、また同団地の土地造成も開始して、その一部サイトにヨルダン川西岸での初の試みとなる太陽光発電施設も設置をする予定であります。パレスチナ、イスラエル、ヨルダンの関係者間で、二〇一二年末までの立ち上げを目指して、それぞれ努力をしているということであります。

 また、ヨルダンを訪問した際も、ちょうど政権交代後というか、新しい政権、内閣が発足して五日目でありましたが、首相、外相とも意見交換をいたしましたが、この日本の平和と繁栄の回廊構想に対する謝意を示されましたし、やはり経済的にも、パレスチナに対する支援、そしてそれをヨルダンへの輸出というような形で行うことが必要であるということは、先方からも示されたところであります。

河野分科員 副大臣は、このプロジェクトに関するフィージビリティースタディーの内容について、外務省から内容の説明、あるいはJICAから内容の説明を受けたことがございますか。

武正副大臣 その概要については、また、そうしたフィージビリティースタディーの中での指摘などの概要については報告を受けております。

河野分科員 フィージビリティースタディーの内容について、どのような報告を受けていらっしゃるんでしょうか。

武正副大臣 フィージビリティースタディーの中で、民間の活用、民間セクターによる実施ということが、当初、農産団地の開発方式によって考えられているところでありますが、やはり、公的セクター方式との比較をした上では、団地開発の初期投資に対して、公的セクターによる実施方式が必要である、そういう提言がされているというふうに承知をしております。

河野分科員 それは、なぜでしょうか。

武正副大臣 やはり初期投資ということを考えますと、どうしても農産団地に適用する入居企業の土地リース料金を低減するために、あるいは、民間企業が農産団地に参入してくるためには、やはりリース料金の低減などの誘致促進のための措置が必要であるということから、そうした提言がされているのではないかと思います。

河野分科員 そのリース料金はだれが決めるんですか。

 委員長、時間をとめてください。

岡本(充)主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 武正副大臣。

武正副大臣 農産加工団地を開発するディベロッパーが決めるということになっております。

河野分科員 そのディベロッパーとは、具体的にだれですか。

武正副大臣 具体的にはまだ決まっておりません。

河野分科員 日本政府のODAで造成が行われておりますが、ディベロッパーというのは何をするんでしょうか。

武正副大臣 土地、電気、水等の開発の整備を行うということであります。

河野分科員 それは、ODAではやらずに、ディベロッパーが自分のお金でやるんでしょうか。

武正副大臣 パレスチナ側がやることになっております。

河野分科員 そうすると、日本政府のODAでやるのはどこまでですか。

武正副大臣 先ほど触れましたようなアクセス道路等、そうしたインフラ整備に関してのところを日本政府として取り組むということであります。

河野分科員 現状では、副大臣がおっしゃったように、フィージビリティースタディーの結果は極めて思わしくないというのが現状でございます。

 そうすると、日本がODAでアクセス道路をつくり土地の造成をやった、しかし、その後、ディベロッパーが出てこなければ、アクセス道路と平たい土地が残るだけで、これはパレスチナの経済にも何ら貢献をしないということになりますが、日本政府としては、そこから先はパレスチナ側の問題ですよということなんでしょうか。

武正副大臣 そのインフラ整備について、団地の初期のインフラ整備についてはパレスチナ自治政府側、PA側によって手当てされるものでありますが、団地予定地の土地造成等、PA側とも緊密に協議しつつ同団地設置の実現に向け努力しております。

 過日、アッバス議長来日の際にも、この平和と繁栄の回廊構想、農産団地について総理とも協議をしておりまして、やはりこの団地に対するパレスチナ側の高い期待というものが示されているわけでありますので、緊密な連携をとって実現に向け努力をするということかと思います。

河野分科員 大体、ほとんどのODAは、努力をするけれどもできない、開設をしたけれども使われない。これもそうなりかねないという危惧を副大臣は持っていらっしゃいませんか。

武正副大臣 先ほど触れましたように、ヨルダン政府も協力をしつつ、ヨルダンへのそうした農産品の輸出ということがもともとの制度設計でもあります。そうした周辺国の協力も得て実現にこぎつけていくということが必要であろうというふうに思います。

河野分科員 ヨルダン政府はどういう協力を、このアグロパークのコストの高いことについて協力をしていただけるんですか。

武正副大臣 具体的なものということは、まだ私も具体的には承知をしておりませんけれども、当然、そうした販路の開拓等が期待をされるのではないのかなというふうに思います。

河野分科員 水も高い、電気も高い、労賃も高い、進出する企業は今のところめどが全くない、造成が終わったら、あとはパレスチナ側。これでは、今のパレスチナ自治政府の財政状況を見る限り、物事は進まないというふうに思うのが常識的な判断と思いますが、副大臣はどうお考えなんでしょうか。

武正副大臣 であるからこそ、やはり日本政府として積極的なかかわりが求められると思いますし、ちょうど新政権になってからも、日本、イラク、ヨルダン、またパレスチナ、経済協力のそうした発表、あるいはそうした展示、これを東京で行いまして、積極的に企業の進出を求めるということを行っておりまして、こうした点についてやはり日本企業にも、また現地の企業にも関心を持ってもらうということが必要かというふうに思います。

河野分科員 日本政府がやるのは、関心を持ってもらうところまでですか。ディベロッパーが、あくまでもパレスチナ側だ、そこについては日本政府はこれからも方針を変えるつもりはない、そういうことでしょうか。

武正副大臣 このFSが出ておりますので、こうした点も踏まえつつ、実現に向けて努力をしていくということかと思います。

河野分科員 努力、努力とおっしゃいますけれども、具体的に何をやるのかが全く見えません。

 ヨルダン政府は、その造成、あるいはその後の工場の建屋を建てる、そうしたところにヨルダン政府が金を出すという話にはなっていないと思いますし、現地で、パレスチナ側の企業の中で進出をする予定の企業はまだないというふうに伺っております。

 とても、労働コストその他を考えたときに、そこで物をつくって出すのでは現状では太刀打ちができない。つまり、進出しようという企業が出てくる見込みも非常に薄いという中で、二〇一二年に本当にこれは物事がスタートできると副大臣はお考えですか。

武正副大臣 そのための努力と言うと怒られてしまいますが、そうしたことを続けていくと。

 それと、やはり、もともとのこのプロジェクトの発想は、パレスチナ自治政府におけるそうした産業振興、あるいはまた雇用の場の確保、こういったところにあったというふうに理解をしております。ですから、こうした事業、プロジェクトを施行する意義というものはあるというふうに思っております。それをどうやって採算性に乗せるのか、あるいは進出企業を促すのか、ここについてのインセンティブを与えられるような、そんな工夫をより積極的に進めていくということが必要であるということを思います。

河野分科員 電力については、太陽光発電を設置することによって少し電力料金の低減にはなるという話は伺っておりますし、恐らくそうなるんでしょう。

 そうすると、そこまでやるんだったら、例えば建屋を建てるとか、それを建てた上でお貸しをするとか、そうした本来ディベロッパーがやりますと副大臣がおっしゃっているようなところまで日本のODAでやった上でパレスチナ側に貸し出す、そうしたオーバーヘッドを低減しなければこれはとてもコストが合わないよと。しかし、コストが合わないよといって何も使われなければ、道路をつくって平たんな土地を残して終わりになって、雇用も生まれなければ、パレスチナ経済には何の影響も出ないということになります。

 ここまでお金を投資しているわけですから、単なる参加コストですというのではなくて、もう少しこのプロジェクトが採算ベースに乗るように、日本政府としてステップアップする必要があるというふうにはお考えになりませんか。

武正副大臣 日本政府として、これまでも中東和平実現に積極的に取り組んできたわけでありまして、その中で、具体的な援助、プロジェクトとしてこの平和と繁栄の回廊ということでの農産品団地ということがあるわけでありますから、やはりその意義がしっかりと実現するように、積極的な取り組みが必要であろうというふうに考えます。

河野分科員 副大臣のおっしゃる積極的な取り組みというのは、どこまでを指すんですか。

武正副大臣 今のそうしたFSを初めとして、委員のそうした御指摘ということも踏まえて、またパレスチナ自治政府の考え方というのも一部伺うところでありますが、そうした今の厳しい経済情勢の中でどのような形がとられるべきなのか、それを、これまでの決まった既定の路線にある面固執することなく、何ができるのかということはやはり積極的に考えていくべきであろうというふうに思います。

河野分科員 一二年の計画どおりの立ち上げを目指すならば、いつごろまでに日本政府はそうした判断を固めるんでしょうか。

武正副大臣 そうした点についても鋭意検討していきたいというふうに思っております。きょうの委員からの御指摘を踏まえて取り組んでいきたいというふうに思います。

河野分科員 もう一つ指摘されたことが、そこで仮に加工工場が立ち上がったとして、製品をアレンビー橋を通してヨルダン側に出す、しかし、そこが極めて不安定。要するに、イスラエル側がきちっとそれを出してくれるのかどうかということが極めて不安定だという指摘がされております。

 確かに、今回現場へ行きまして、パレスチナの西岸を見ますと、イスラエル側がかなり極端にグリーンラインを越えて分離壁を構築している。そこにチェックポイントを設けて、このチェックポイントの通過にどれだけ時間がかかるのか事前に読めない。あるいは、道路上に大きな石が置かれていて、大きく迂回をしなければならぬということを実際に我々は体験をしてまいりました。

 日本政府は、今のイスラエルの分離壁の問題、あるいはパレスチナの人権に対するイスラエル側の不当とも思えるような規制について、どういう立場を今の政権はとっていらっしゃいますか。

武正副大臣 占領地における分離壁建設については、これまで日本政府として、国際法規にも抵触する点なども含めて、何度にもわたってイスラエルに対して分離壁建設停止を申し入れてきた経緯がございます。

 この分離壁の問題も含めて、国境安全保障などの中核的な問題が、ちょうど今米国の仲介によっていわゆる間接交渉というものがスタートしております。これにおいて議論をされまして、和平プロセスが進展することを期待しております。

河野分科員 分離壁の問題について日本政府が申し入れたときのイスラエル政府のリアクションはいかがでしたか。

武正副大臣 日本政府からもこれについてはそれぞれ申し入れを、過去、外相間、あるいはまた、今外相である岡田外相も民主党代表のときに、イスラエル訪問のときに当時のオルメルト副首相に対しても働きかけをしております。

 ただ、イスラエル政府については、それを了とせず、引き続きこうした壁がさらに延長されているということでございます。

河野分科員 人権問題というのは、我々も北朝鮮の拉致問題を抱えている立場でございますから、これは国際的にも強く訴えていかなければならぬというふうに思っておりますが、パレスチナの現在の国内の状況の人権問題というのは、これはやはり著しく不当な扱いを受けていると言わざるを得ないと思いますが、副大臣はどうお考えですか。

武正副大臣 私もUNRWAのキャンプ、これはヨルダンでありますが、現場にも行きまして、やはり居住環境の劣悪さ、学校では本当に子供たちのつぶらなひとみというんですか、救われる思いをいたしますが、そうした国外への避難民、また国内での人権状況についてもあわせて、問題については十分な認識をいたしております。

河野分科員 そうすれば、そろそろ、単に申し入れをするだけでなくて、イスラエルに対して日本政府としても何らかの手段を講じるべきときが来ているのではないかと思いますが、副大臣はいかがお考えですか。

武正副大臣 その後、特にまた入植地への入植活動が加速化をしているというのは委員御承知のとおりでありまして、日本政府としては、あわせてまた今入植についての凍結ということを厳しくイスラエルに求めているわけであります。

 今委員の御指摘の分離壁の建設についても、あわせてイスラエル政府に対してしっかりと申し入れをしていくということかと思います。

河野分科員 申し入れをするというと、イスラエルはもう一つ、NPTの問題を抱えております。イスラエルが核兵器を持っているだろうということは、かなりの蓋然性を持っていることなんだろうと思いますが、依然としてNPTへの加入をしておりません。イスラエルに対して、このNPTに非核国として加盟をするということを日本は強く促さなければならぬというふうに思いますが、いかがでしょうか。

武正副大臣 過日、リーベルマン副首相また外相来日の際も、こうしたNPTに非核兵器国として加入するよう申し入れを行っております。

 ちょうど今NPTの検討会議が行われておりますが、未締約国の加盟ということが九五年の中東決議の中でも入っておりますので、やはりこのイスラエルの加盟というものが必要である。今度こそNPT運用検討会議での合意形成、これは日本もリーダーシップを発揮したいということで臨んでおりますので、そうした点も含めて、NPTへの加盟について引き続き強くイスラエルに対しては求めていきたいというふうに思います。

河野分科員 イランに対して経済制裁をするという考え方があると思いますが、北朝鮮を背中にしょっている我々とすると、やはり国際的に隠れた状況で核兵器の開発をやっている国に対しては、極めて強い態度で臨まなければならぬというふうに思います。

 そうすると、北朝鮮、イランあるいはインド、パキスタンとイスラエルというのは、横並びで取り扱わなければならない問題だと思いますが、いかがでしょうか。

武正副大臣 横並びというお話がありましたが、北朝鮮については、核開発がはっきりしている国、またミサイルの発射、そして拉致問題ということで、日本が六者協議への復帰を通じて厳しく対峙をしている国。

 イランについては、御承知のように、これまで日本とのある面友好関係の中、しかし、今回のイランの核開発疑惑に対しては、日本政府として毅然たる対応、そして国連安保理での制裁決議を求めているということ。

 そしてまた、イスラエルについては、今度はOECDにも正式加盟という中で、今の御指摘がありますけれども、いわゆる疑惑というところにあるわけであります。しかし、NPTに未加盟ということでありますので、日本とすればやはり引き続き強く加盟を求めていくということ。

 また、インド、パキスタンということで、横並びというような御指摘がありますが、やはり日本とそれぞれの国との関係というものはそれぞれありますので、それぞれに応じた対応ということになろうかと思います。

 ただ、核兵器をなくしていく、またオバマ演説ということも踏まえて、日本がここでそれぞれの国にそうした強い働きかけを行っていくということは変わらないということだと思います。

河野分科員 日本にとって北朝鮮というのは横並び以上の国ということであろうと思いますので、横並びというのは余り適切な表現ではないかもしれませんが、少なくとも、イランに対して経済制裁を求める、あるいはIAEAの場で協議をしようというのならば、当然イスラエルに対しても同じようなことを求めていかなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。

武正副大臣 イランに対して、核開発疑惑についてまず透明性を確保させる、IAEAの求めに応じてしっかりと情報提供させる、これに対して日本として毅然たる対応ということは御指摘のとおりでございます。

 ただ、イスラエルに対してどうかということについて申せば、先ほど来お話がありますが、核開発についてのイランのようなそうした明確に近い証左というものがはっきりと指摘をされているわけではないわけでありまして、そうした中、同様の経済制裁を求めていくべきというところはいかがなものかなというふうに思うわけであります。

河野分科員 イスラエルは既に開発を終わって核兵器を保有しているという話がございます。そういう中でNPTに未加入という国でありまして、これから開発しようという国に対しては強く出るけれども持ってしまった国に対して強く出ないというのは、矛盾していませんか。

武正副大臣 御指摘については傾聴するに値するところもあろうかと思いますが、ただ、先ほど来答弁しておりますように、イスラエルの核保有ということがはっきりとそうした形で明示をされているわけではありませんので、そうした国に対してまずやるべきことはNPTへの加盟ということ、そしてまた、何よりもNPTの運用検討会議で中東決議が合意形成の大変大事な要素になっておりますので、そういった意味では、加盟とともに、やはり中東和平に向けた努力といったものが日本として果たすべき役割なのではないかなというふうに思います。

河野分科員 NPTに加入をしない、あるいはIAEAの査察を受け入れないというなら、それをもって疑惑があるとするのが当然ではないですか。

武正副大臣 疑惑があるという御指摘でありますが、そうしたことをやはり引き続き働きかけていく、そして、繰り返しになりますけれども、先ほどの平和と繁栄の回廊も、より実効性のある形での対応ということを前提に、中東和平に向けた日本の積極的な努力と対応というものが日本としてまずやるべきことの一つではないかというふうに思っております。

 今の委員の御指摘についてもしっかりと踏まえて、まずはこのNPT検討会議の成功、合意形成に向け全力を挙げたいというふうに思っております。

河野分科員 ちょっと待ってください。

 副大臣は、イスラエルが核兵器を持っているという疑惑はないとおっしゃっているんですか。

武正副大臣 疑惑というか、そうした指摘があるということは承知をしております。

河野分科員 そうした指摘がされていて、IAEAの査察も受け入れずNPTへも加入しない、これは、そういう指摘があるという段階ではなくて、そういう疑惑を持たなければいけないのではないでしょうか。

武正副大臣 疑惑という言葉を持つべしということの御意見でありますが、そういう指摘を踏まえて、イスラエルに対しては、先ほどの繰り返しになりますが、NPTへの加盟、これをしっかりと求めている。そして何よりも、中東和平の実現のために、イスラエルとして、特に二国間解決に向けて入植の凍結、そして委員の御指摘の分離壁の建設の中止、こういったことを日本政府としてきちっと求めていく。そして中東和平に向けてさまざまな努力を、場所は遠いかもしれませんけれども、日本だからこそできることがある、そういったことをやっていくということだというふうに思います。

河野分科員 IAEAがイスラエルの核の問題を議題としようとした、しかし、それに対して欧米が反対をしている、そういう現実があると思いますが、少なくとも日本は、アメリカ、ヨーロッパに対して、こうした疑惑のあるイスラエルの核の問題をIAEAで取り上げるべきだということを積極的に働きかけるべきではないでしょうか。

武正副大臣 今IAEAは、天野さんが事務局長として、よりIAEAの実効性たらしめるための、そうしたある面の改革を行っているというふうに承知をしておりますし、日本政府としても、それに対する支援をしっかりやっていこう、拠出金の増額なども含め、そしてまた、特に核の平和利用ということに天野さんも非常に熱心であります、そういったところをしっかり応援していきたいというふうに思っておりますが、今委員御指摘の点については、御指摘を承るということにさせていただきたいというふうに思います。

河野分科員 イランになると、あるいは北朝鮮はもちろん積極的にこれはやっていかなきゃいかぬと思いますが、イランとイスラエルと、日本政府に温度差があるように思えるのはなぜでしょうか。

武正副大臣 温度差というか、それは先ほど言いました核開発、核保有というふうに言われましたが、その疑惑ということでありましたが、明らかにそうしたことが見受けられるイランとそういうことが不明であるイスラエルとは、当然温度差が出てくるというふうに思いますし、また当然、日本と両国との関係ということも考えながらも、しかし国際社会、とりわけ日本の同盟国であるアメリカ、あるいはまたEUとの関係、西側諸国との関係、そうしたことも踏まえて国際場裏での対応というものがおのずと日本の行動として決まってくる、そういうことも否めない事実だというふうに思います。

河野分科員 質問時間が終わりましたから、最後に、今の副大臣の最後の御発言は、アメリカがイスラエルをかばっているから日本も足並みをそろえるんだとおっしゃったように聞こえますが、それでいいんですか。

武正副大臣 決してそういうことではなく、先ほども申し上げましたように、日本は唯一の被爆国として核廃絶ということにリーダーシップを発揮していくこと、それをまたこのNPTの検討会議でも、特に合意形成に向け努力をすることを既にもう福山副大臣の演説でも発表しております。その観点から、また中東和平の実現、これに向けて日本として積極的に働きかけをするんだ、汗をかくんだ、こういったことも踏まえて取り組んでいること。そうした中で、このイスラエルについて御指摘はありますけれども、まずはイランの核開発の疑惑、これについて、何としてもそれをなくするための国際的な枠組みでの取り組み、それにまず積極的に取り組むということであって、今のような委員の御指摘は当たらないというふうに思います。

河野分科員 時間が参りましたから、これで終わります。ありがとうございました。

岡本(充)主査代理 これにて河野太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岡本(充)主査代理 昨日に引き続き、内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野太郎君。

河野分科員 自由民主党の河野太郎でございます。

 まず、沖縄の大学院大学についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この大学院大学でセクハラ事件がございました。概要について、まずお答えをいただきたいと思います。

大島副大臣 御質問いただきまして、まことにありがとうございます。

 沖縄科学技術研究基盤整備機構のパワーハラスメントがあったとされる件についての事実関係なんですけれども、昨年の七月の参議院の質疑の中で、機構の特定の部長職にある職員が部下に対してパワハラを行っているのではないかという指摘がございました。

河野分科員 国会の答弁ではなくて、事実関係をお伺いしているんです。

大島副大臣 これを受けまして機構が調査を行った結果、当該職員に管理者として適当でない面が見られたと結論づけられたことから、本年三月に、機構の職員就業規則に基づき懲戒処分が行われ、当該職員は部長職から外されたものと承知をしております。

河野分科員 済みません、セクハラと申しましたが、パワハラでございます。訂正いたします。

 機構はどのような調査を行ったんでしょうか。

大島副大臣 機構において、本問題が国会審議の中で指摘された事項でございまして、特に調査の客観性、中立性が重要であったことから、外部の法律事務所に依頼し、当該当事者や同僚等から幅広く聞き取り等を行ったと聞いております。

 この法律事務所からは、調査の結果、パワーハラスメントに該当する行為があったとの報告がなされたとのことでございまして、機構は、この調査結果を踏まえ、さらに第三者の専門家の意見も勘案した上で総合的に判断して、管理者として適当ではない面が見受けられたと結論づけまして、懲戒処分を行ったと承知をしております。

河野分科員 法律事務所の調査に幾らかかったのか、また、第三者の意見を聞いたといいますが、それに幾らかかったのか。この法律事務所はどこであって、また第三者というのはどこなのか、お答えいただきたいと思います。

大島副大臣 この調査費に五千万円かかっているということでございます。これは二つの法律事務所なんですけれども、大手の法律事務所と伺っております。

 まず最初に、この事実関係についての調査を行った上で、その調査報告を受け、さらにセカンドオピニオンとして外部のもう一つの法律事務所及び、大学の先生だと思うんですけれども、有識者と検討したと聞いておりまして、今回の調査というのは、先生御指摘のとおり、正確には五千二百四十八万円と伺っております。面接時の交通費等を含めると、総額は五千四百五十二万円と聞いております。

河野分科員 どこの法律事務所で、有識者はどなたですかと伺っております。

大島副大臣 これについては大手と伺っておるんですけれども、有識者については大学の教授と伺っております。

河野分科員 質問通告をしております。

 時計をとめてください。

岡本(充)主査代理 大島副大臣、質疑者の質問に沿ってお答えをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 大島内閣府副大臣。

大島副大臣 済みませんでした。

 アンダーソン・毛利・友常法律事務所が一番最初に調査をしていただいたと伺っておりまして、もう一つは大手の法律事務所と聞いておりまして、大手の法律事務所の弁護士さんにお願いしたということを伺っております。

河野分科員 質問通告しているじゃないですか。公金が支出されているんですから、相手がだれなのか、きちっと答えてください。

 委員長、とめてください、時計。

岡本(充)主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 大島内閣府副大臣。

大島副大臣 もう一つの法律事務所なんですけれども、これは長島・大野法律事務所の弁護士の方と伺っておりまして、本人の名前は今のところちょっと伺っておりません。

 もう一人は大学の法学部の教授であるということを伺っております。

河野分科員 質問通告しているんですから、きちっと答えてください。

 委員長、時計をとめてください。

大島副大臣 その大学の教授がだれであるかということについては伺っていないんですけれども、大学の法学部の教授であるということを伺っております。

河野分科員 質問通告しているわけですから。

岡本(充)主査代理 改めて河野太郎君にお願いをいたします。

 もう一度、質問を整理して発言をしていただけませんでしょうか。

河野分科員 この五千四百五十二万かけた調査、法律事務所並びにそれを見て意見を述べた有識者の氏名を教えてくださいというふうに申し上げております。

 速記をとめてください。時間が無駄です。

岡本(充)主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 大島副大臣。

大島副大臣 申しわけないんですけれども、総トータルですが、一番最初の法律事務所については、先ほど述べました大手の法律事務所でございまして、もう一つが長島・大野法律事務所でございます。最初がアンダーソン・毛利・友常法律事務所、これがメーンに調査をしていただいておりまして、先ほどの五千万円を超える金額が支払われたと伺っております。

 もう一つが長島・大野法律事務所の弁護士さんということは伺っておりまして、もう一人は大学の先生ということで、個人名でございますので、申しわけないんですけれども、ちょっと公表の方は差し控えたいなと考えております。

河野分科員 パワハラ事件があって、それを調査して、そこに公金が支払われているわけで、別にこの人がどうだこうだと言っているわけではないのに、なぜ名前を出せないんですか。

大島副大臣 法律事務所の方は、これは、組織というんですか、法律事務所でございますので、名前の公表の方はできるかと思うんですけれども、もうお一方の大学の教授については、お引き受けいただくときに名前の公表について了解を得られているかどうか確認しておりません。また、個人として、大学の先生として、多分お一人だと思うんですけれども、参加をしていただいているということで、個人名については公表の方は差し控えたいなと考えております。

河野分科員 確認をとればいいじゃないですか、公表できるかどうか。何でしないんですか。

大島副大臣 確認がとれるかどうかというよりも、個人の方でありますので、この件については、確認がとれるかどうかというのもあるんですけれども、公表についてどうするかは、今の段階ではなかなか答弁しかねるかなと思うんですけれども。

河野分科員 人一人処分しようというときの有識者の意見ですよ。だれの意見か名前は出せないけれども意見を言う、そんなあやふやなものに基づいて処分するんですか。

大島副大臣 河野先生のお気持ちはよくわかるんですけれども、機構において、今回の手順で処分された。まずは、御承知のとおり、大手の法律事務所に頼んで、関係者のヒアリングを行って、報告を受け、そしてその報告についてセカンドオピニオンの意見を聞くということで、さらに弁護士の方をお願いして意見を聞いた。その中で、弁護士とともに法律家の意見も必要だということで、大学の先生の意見を聞いたということを聞いておりまして、機構においてこういう手順で処分をしたということを聞いておりますので、その個人がだれであるかについては、今この場で私の方からは、個人でありますので、大学の法律の専門家ということを申し述べるにとどめさせていただきたいんですけれども。

河野分科員 それでは決算委員会をやっている意味がないじゃないですか。

 委員会をとめてください。

岡本(充)主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 大島副大臣。

大島副大臣 決して隠しているわけではなくて、個人の方で参加をされておりますので、本当に個人の方の名前を特定していいかどうかについて悩むところでございます。

 先ほどの法律事務所については、公の法律事務所で検討をされているということで、名前の方は今確認してお伝えさせていただきました。

 個人名について確認できるかどうかについては、先ほど申し上げましたとおり、先生、ちょっと機構の方にもう一度確認をさせてください。

河野分科員 確認してください。

 この長島・大野事務所と無名の大学教授に幾ら報酬が支払われたんですか。

大島副大臣 二百万円ぐらいだと伺っております。(河野分科員「一人ずつですか」と呼ぶ)合計で二百万円ということを伺っております。

河野分科員 副大臣、この一つのパワハラの事件に公金が合わせて五千六百五十万使われていることについて、どうお考えですか。

岡本(充)主査代理 大島副大臣、答弁をお願いします。

大島副大臣 正直申し上げまして、私も、この五千万円を超える弁護士費用についてお伺いをしたときに、びっくりしたというのが正直なところでございまして、その五千万円の金額はどういうような根拠に基づいて支出が行われているのか等々については、要は、事務局の方には、独立行政法人の方に確認をさせていただきました。

 どう思われるかと河野先生から言われれば、私の感覚でも、高過ぎるなというのが正直なところでございます。

河野分科員 この五千万かけた、正確には五千四百五十二万円かけたパワハラの調査というのは、当然公開していただけるんですね。

大島副大臣 私も、できるだけ資料の方は公開したいという思いはあるんですよ。しかしながら、このパワハラの資料、私も見たことはございません。その内容については、恐らく関係者の皆さんのヒアリングがベースになっているかと思います。そうすると、個人のプライバシーに関することが多く含まれているなと思います。

 それで確認をさせていただきまして、独立行政法人の保有する情報の公開についてどういうふうに考えているかといろいろと確認したところ、独立行政法人の法律の中で、「開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。」という文言がありまして、不開示情報というんですけれども、その中に、「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」があるものと定められております。

 個人のプライバシー情報でありますので、先生のおっしゃることはよく、五千万円を超える調査のレポートなので、公開すべきだというお考えも御理解はさせていただくんですけれども、私としては、個人情報に関するものでございますので、公開の方は、多分、独立行政法人としてもできないのかなと考えております。

河野分科員 ヒアリングした部分を抜けばいいじゃないですか。

大島副大臣 私も、独立行政法人から沖縄の部局の皆さんが伺っている情報に基づいて答弁させていただいております。

 ですから、先生のおっしゃっている、ヒアリングしたところを除いて公開できるかどうかというのは、この場ではなかなか、ちょっと答弁しづらいなと考えております。

河野分科員 これは全部質問通告しているんですよ。委員会の体をなしていないじゃないですか。

 委員長、これはきちっと確認させて、公開できる範囲を公開させてください。

大島副大臣 独立行政法人の報告書であるということと、先ほどの、要は、独法の情報公開に関する法律があるということ、そして、聞くところによりますと、その報告書は、特定個人の言動とか、職員とか元職員の供述とかメールの内容により構成されておりまして、多くの個人情報が含まれているということ、あと、調査対象者はみずから供述が外部に開示されることを想定していないと考えていることから、なかなか困難なのかなと考えております。

河野分科員 少なくとも、これは結論部分は出せるでしょうが。

岡本(充)主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岡本(充)主査代理 速記を起こしてください。

 内閣府副大臣大島敦君。

大島副大臣 いろいろと足らなくて。

 まずは先ほどの報告書なんですけれども、懲戒処分の基礎となったものでありまして、御答弁したとおり、慎重を期すべきものと考えております。

 ただ、その内容について独法から報告を受けたところは次のとおりと伺っております。

 ある行為がパワハラに該当するか否かは、判例、学説上明確な基準は存在しないが、その中心的な要素は、職場の地位や権限などの力関係を背景とするものであること、労働者の人権や人格の尊厳を損なう行為であること、行為が反復される職場環境が放置されていることである。そして、機構の前事業推進部長については、部下とのコミュニケーションのとり方や部下に対する指示の仕方等から、当該前部長によるパワーハラスメントがあったと結論づけていると伺っております。

 こういう内容で報告を受けております。

河野分科員 決算行政監視委員会の理事会できちっと御審議をいただいて、これは政府に対して委員会から内容の公開を求めていただきたいと思います。これは何時間やってもらちが明きません。

 もう一つ問題がありますのは、この大学院大学の研究棟を建てられましたけれども、予算がオーバーしております。

 これは、どの段階で内閣府に予算がオーバーするということが知らされて、内閣府はそれをどのように許可したんでしょうか。

大島副大臣 先ほどの独法の情報公開、理事会の方でも御協議していただくという委員の御発言があったんですけれども、機構が行った調査について、開示規定もございますので、先ほど申し上げた法律がありますので、どのような形で報告し、概要をお伝えできるかどうかについても検討させてください。これはこちらの方でも検討させていただきます。

 私も、本当に、今回の五千万円を超える弁護士費用と、この四十億円も、頭を抱えてしまった問題でございまして、私が知ったのが多分一月中だと思います。

 事務方からの報告によれば、昨年の末に機構担当者から口頭により一報があったということであり、それを受けて、本年一月にかけて、機構からの聞き取り等により、事実関係の把握とか整理を行ったと伺っております。

 以上でよろしいですか。

河野分科員 予算を超えて、しかもこれは入札が行われて工事がスタートしているわけでありまして、普通は、その段階でこんな四十億予算を超えるようなことというのは行えないはずだと思いますし、当然、機構には、我が国の予算のことを知っている人間が行っているはずであります。にもかかわらずなぜこんなことになったのか、また、にもかかわらずなぜ内閣府はそれを許可したのかということを御説明ください。

大島副大臣 私も全く驚きまして、今の御発言は本当によくわかります。

 どうしてこういうことが起きたのかということについて、まず、第三者機関による客観的な検証とか検討が必要だと判断をいたしました。

 それで、二月十六日に前原大臣が、内閣府の独法評価委員会分科会に対して、原因と対処方策について審議し見解を取りまとめるように要請をいたしました。これについても、要はこの分科会に対して、前原大臣から強く、このような事態を招いた原因や再発防止を含めた今後の対応について、御審議の上、見解をまとめていただきたいということで、この分科会に政務官も行って、前原大臣の意向をお伝えさせていただきました。

 分科会は、二回にわたって審議を行って、原因や改革の方向性について見解を取りまとめ、前原大臣に御報告をしております。これを受けて大臣からは、機構に対して、責任の所在を明確にするとともに、提言に沿って早急に管理運営体制の抜本的強化を図るよう指示がなされております。

 機構は、前原大臣の指示を受け、こうした事態が二度と生じないように、機構の管理運営体制の抜本的強化に取り組むこととしており、内閣府としても厳格にフォローアップを実施していきたいと考えております。

河野分科員 何でこの四十億を内閣府は認めたんですか。まずそこからの問題じゃないですか。

 それから、理事長、理事、いずれも責任をとっていませんけれども、どういう責任のとり方をだれがしたんですか。

大島副大臣 もっと早く気づけなかったかという点なんですけれども、私も、四十億円と聞いたときに頭を抱えたことも事実でございまして、どうして気づかなかったのかということについては、本事業は、国の直轄事業とは異なりまして、独立行政法人が実施するものであったために、個別の契約や詳細な工事内容について逐一報告を受けることにはなっていなかったということ、またもう一つは、四半期ごとの遂行状況報告などの書面は受けていたが、それはあくまでも工事の進捗割合を把握するものであったということで、執行額が予算額を大幅に超えて対応が困難になっていることを早急に発見することはなかなか難しかったと聞いております。

 しかし、今回の事態を真摯に受けとめ、今後は、独自の取り組みとしてより詳細の報告を求めるなど、適切に対応していきたいと考えております。

河野分科員 少なくとも当時機構に、四十億オーバーすることはできないということを知っていた人間がいるはずであります。にもかかわらずそれをやらせた人間が機構の中にいるはずであります。それは一体だれですか。

大島副大臣 今回の機構はそんなに大きくない組織なんですけれども、研究部門の研究者と管理部門との連携が多分とれていなかったことが基本的な原因、こういう事態を招いたことなのかなと考えております。

 ですから、この連携をしっかりしていただくことが必要だと私は考えております。

河野分科員 質問にちゃんと答えてください。既に工事が始まっているわけですから、研究部門は関係ないじゃないですか。これは、金を払う人間が機構の中にいて、少なくともその人間は四十億の予算を、工事の仕様を変更したら、つまり、もう入札は終わっているわけですから、それが終わった後でこんな変更はできるはずがないというのを知っている人間がいるはずです。にもかかわらずそれをやらせたのはだれだと聞いているんです。答えてください。

大島副大臣 河野先生のおっしゃっていること、御質問にお答えしますと、要は、もともとの工事が百三十億円だったわけですよ。ですから、四十億円もふえるということは、これは、普通に仕事をすればわかってもいいことなのかなと私も思ったわけです。それで、先ほど申し上げましたとおり、独法の評価委員会の分科会で調査をして、これはすべて、マスコミにもフルオープンにさせていただいて、すべての情報を開示して行っていたわけなんです。

 それで、その四十億円ふえたということについては、本体工事の部分とそれに付随する工事の部分がうまく管理できなかったということを聞いておりまして、この四十億円の、こんなふえることというのは、今後は本当にあってはいけないし、もう百三十億円から四十億円ふえてしまったわけですから、これについては管理体制を厳重にしていきたいと考えております。

河野分科員 質問に答えないで、答弁を引き延ばしているだけじゃないですか。

 百三十億円に入札しているわけですから、業者はそれ以上の工事をするはずがないですよね。つまり、四十億円分の工事を足したんですよ。そんなことをやったら百三十億から足が出るというのは、当然機構の中でわかっている人間がいますし、既に入札が終わっているわけですから、それはできないということがわかっている人間がいるわけです。それをだれかがオーバーライドしてやらせろと言ったわけで、そのやらせろと言ったのはだれかと聞いているんです。端的に答えてください。

岡本(充)主査代理 簡潔な答弁をお願いいたします。大島副大臣、簡潔にお願いいたします。

大島副大臣 先ほど述べましたとおり、百三十億円の本体部分とそれに付随する工事が要は管理できなかったということが最大の問題だと考えておりまして、だれに責任があるかとすれば、要はマネジメントをされている独法のマネジメント層に責任があると考えております。

河野分科員 では、独法のマネジメント層の理事長、理事は責任をとったんですか。

岡本(充)主査代理 大島副大臣、申し合わせの時間を過ぎております。簡潔にお願いします。

大島副大臣 理事長及び理事は、報酬月額の一〇%相当額を二カ月分、自主返納しているということを伺っております。

河野分科員 幾らになるんですか、その二カ月分を合計して。四十億になるんですか。

岡本(充)主査代理 申し合わせの時間は既に経過しておりますので、簡潔にお願いをいたしますし、河野太郎君にも御協力をお願いいたします。

大島副大臣 今回は責任の所在を明確化することが大切だと考えました。もちろん四十億円というのは非常に大きい金額で、これは独法全体としてさらに予算がふえることがあってはいけないというふうに私は考えております。本当にこの四十億円というのは、独法のマネジメントがしっかりしていなかったことだということで、今後こういうことがないようにしっかりとしていきたいということで、強く管理監督をさせていただくようにしていきます。

岡本(充)主査代理 申し合わせの時間が既に経過しておりますので、河野太郎君におかれましては、御協力をよろしくお願いいたします。

河野分科員 最後にしますが、管理監督をきちっとするというならば、この理事長さん、沖縄に年間十七日しかいないんですよ。そんな人間が管理監督できるわけないじゃないですか。なぜこれだけのことを引き起こした理事長、理事がそのまま居直って、しかも、給料の一〇%を二カ月分で責任をとりましたということになっているというのは、明らかにおかしいですよね。

 先ほどのパワハラ事件でも、五千万円も使って調査をして、内容は一切出しません。それを許してきた内閣府の問題じゃないですか。少なくとも、その時点からこの機構、この独法のマネジメントには大きな問題があるというのがわかっていたはずです。しかも、この四十億の話は、機構の中の人間が、これは内閣府の局長さんまで知っていて、内々にオーケーを出していた、これは本当かどうかわかりませんから調べていただかなければいけませんが、という話も中の方からは出ているありさまであります。

 そうすると、この年間十七日しかいない理事長で、本当にこの機構が管理監督できると副大臣は思っていらっしゃるんですか。これで最後にします。

大島副大臣 管理監督することと、あとマネジメント体制をしっかり整備することが必要だと思っておりまして、これは先ほどの評価委員会の分科会の御指摘にもあるんですけれども、しっかりとした事務局長なりに仕事をさせて、管理をすることが必要だと私は考えております。

 以上です。

河野分科員 終わります。

岡本(充)主査代理 これにて河野太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岡本(充)主査代理 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。亀井金融担当大臣。

亀井国務大臣 平成二十年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十年度の当初予算額は、百九十四億二千六百十四万円余でありましたが、これに予算補正追加額二億八千六百六十五万円、予算補正修正減少額七千六十三万円余を増減いたしますと、平成二十年度歳出予算現額は百九十六億四千二百十五万円余でありまして、これを支出済み歳出額百八十五億三千五百八十七万円余に比較いたしますと、十一億六百二十八万円余の差額を生じます。この差額は、諸謝金を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。

 以上をもちまして、平成二十年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 以上です。

岡本(充)主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成二十年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

岡本(充)主査代理 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

岡本(充)主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。柳田和己君。

柳田分科員 民主党の柳田和己です。

 質問の機会をいただき、決算行政監視委員会の委員長初め皆様に厚く御礼申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

 私は茨城の農家の長男に生まれました。私は二十で両親を亡くし、そしてその後、大学に行き、富士銀行という、今はなくなり、みずほ銀行になりましたが、大手町を中心に、新橋、日本橋、日本の経済の、まさに江戸時代から、徳川家康が四百年前、駿府から江戸に持っていき、そして、日本橋小舟町に私は副支店長で四年間おりましたが、そのときにバブルが発生しました。その中で、まさに日本の成長を見てき、そして昭和の終わりから、私は新橋におりましたが、そのころからバブルが出てき、崩壊し、そして失われた十年、二十年という中で、私は非常にいろいろなことを学んでまいりました。

 私がちょうど文京区の白山の支店長をやっていたときに、バブルがはじけ、山一証券や北拓もつぶれました。私がたまたま九州に家内と旅行したときなんですが、あした山一を、つぶすと言ってはあれですけれども、するから、支店長は現場にすぐ戻れということでしたが、九州におりましたので、お昼ごろ戻ってきました、副支店長にそれをやるように言いましたが。いろいろな中で、私は本部に戻り、不良債権の処理を二年間やってまいりました。

 私は、この国が、本当に政治がやっていたのかなと。それで、非常に後追いなんですね。やることが遅いんですよ。私は非常にじくじたる思いを今持っております。

 そして、昨年の八月、嫌と言われた女房を説き伏せ、死に物狂いでこの国会に上がってまいりました。しかし、国会議員はかわっても、ここにいる頭がいい方、官僚の皆さんはかわっておりません。これが問題だと思います。

 そんな中で、例えばバブルのときを思い出しますと、よく言われました。要は、GDP以上に貸し出したために、これが今まで六〇%だったのを、GDPのそれよりも多く貸し出した。五百五十兆ぐらい。それで、その分がバブルがはじけたと言われております。そして、まさに私もそうでしたが、上へ下への大変な阿波踊り状態だったんです。国もそうだったんです。

 例えば、一つの例が、ゴルフ会員権があります。ゴルフ会員権は経済産業省の管轄だと思いますが、あるAというゴルフ会員権を募集するのに、本来なら、このゴルフ場の開発だけに募集した人のお金を使えばいいのに、AからB、BからC、CからD、最後にはロックフェラーまで買っちゃった。ジャパン・アズ・ナンバーワン。今は何ですか、この国は。

 そして、昭和四十一年、建設国債を出した佐藤総理。時の大蔵大臣が福田赳夫さん。今、国債は幾らですか。九百兆近くになっちゃったんじゃないですか。私が思うには、やはり成長して安定したときに、国は借金を抑える。亀井大臣、今民主党にいろいろなものを任されても本当に大変だと思います。

 そんな中で、金融機関も半分ぐらい減りました。都市銀行も十二行あったのが今は五行。そして、今一番減っているのが、信用金庫や信用組合。地方ですよ、地方。

 また、ここへ持ってきて、まさに経済至上主義、そしてブッシュからオバマまで八年間。イギリスも戦後初めて連立するということですが、あの揺りかごから墓場まで、非常に悩める英国病を、鉄の女、保守党のサッチャーさんが出てきて、しっかりと改革して、労働党のブレアさん、ブラウンさん、そしてまた保守党へ戻った。日本は、残念ながら、小沢先生も言っていますが、万年与党の自民党、万年野党の社会党、これではだめですよ。切磋琢磨して、しっかりと政権公約を実行する。それが、まさにこれから日本が歩む道じゃないかと思っております。

 そんな中で、亀井大臣にお尋ねいたします。

 そういうような大きな日本の中で、まさに金融円滑化法は発動され、私も注意深く見守っております。

 ところが、私の耳に入ってくるのは、要は、バブルの前のときの都市銀行やいろいろな銀行の数や店舗数が減ってしまったために、本当に借りたい人に、中小企業の社長さんや個人事業主や個人の方が借りられない。僕は本当に心配なんですよ。

 そして、不良債権のときは、ちゃんと債務者区分というのがありました。今はどうなっているか、当時と変わっているか、これもお答えいただきたいんです。

 要は、金融庁の皆さんが銀行に行ってがらがらやるものだから、私も、いたときは大変ですよ。金融庁が入ってきて、上を下への大騒ぎなんですよ。そして、金融庁はみんな東大出ですから、大体うちの同期も東大のやつを、MOF担というんですけれども、入れておくんですよ。やりましたよ、私は日大ですけれども。

 そんな中で、金融安定化法について心配しておりますし、そういう資金を借りたい人は本当に借りられているかどうか、そこら辺の御所見を大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

亀井国務大臣 今、柳田委員から、御自身の体験を踏まえて、日本経済はどうなっていくのか、日本の金融機関が、過去やった間違いを乗り越えて、きちっと社会的責任も果たしながらやっていけるのかどうか、大変御心配されている状況を、本当に御自身の実感を持って、私に対しいろいろとお話をされましたけれども、我が国の金融機関が、過去のいろいろな大きな試練、またその中での、残念ながら、大変な間違いをやってきた。そのことをきっちりと総括して、そうして、あるべき姿をやはりやっていただきたい、私はそのように念願をしながら今の仕事をやっておるわけでありまして、おっしゃるように、特に中小零細企業、あるいは商店、農家を含めて、そういうところが、本当に必要な金をちゃんと手に入れることができておるのかという大きな深刻な問題があります。

 また、返せない状況の中で、金融機関がちゃんとそれをきっちり猶予するという、いわばコンサルタント的な役割を金融機関が果たしながら、借り手の企業を育てるという観点から対応してくれているかということについて、私なりにちょっと疑念がありましたものですから、ああいういわゆるモラトリアム法案は本来はつくる必要はないんです。ないにもかかわらず、あえてああいう法律をつくって、金融界にあるべき姿を私なりに求めたわけであります。

 今、中間的にその状況をとっておりますけれども、当初懸念をしておったのに比べれば、金繰りについては金融機関も相当前向きに対応をしてくれているということを、数字だけで判断するわけにいきませんが、相談を受けて、この返済猶予等については大体九割以上がこれに応じてもらっているというような状況もありますし、新しい融資もそうだからといって控えるということもしないでやっていただいている面もありますが、一つ大きな、深刻な問題は、そういう中で、むしろ信金、信組の預貸率が、残念ながら四割、五割という状況にあって、新しく資金を借りたい、そして新しい事業転換をしていきたいというような意欲が非常に落ちてしまっていることが日本経済における大きな問題だ、私はこのように思っておるわけであります。

 とにかく、金融機関がコンサルタント的機能、また、金融庁の検査が、従来のように、いわゆる金融機関としての財務的な狭い健全化だけを求めての検査ではなくて、そうした社会的責任を果たしておるかどうか、そのことを検査しろ、ある意味では百八十度方向転換をしたわけでありまして、また一方では、だから、検査官自身が金融機関の逆にまたコンサルタント的な役割を果たしていけということもやらせておるわけであります。

 今後とも、議員の大変切実な、御経験を踏まえていろいろな御指摘されましたことを拳々服膺しながら、頑張っていきたいと思っております。

柳田分科員 ありがとうございます。

 まさに亀井大臣と私は、心は一つ、日本人です。相手の痛みを本当にわかる、そういう気持ちが大事です。

 私は銀行の副支店長をやったとき、大体みんなは頭がいい、東大とか九州大学です。上から下への目線なんです。君たちはほかの銀行に行ってお金を借りたことがあるのか、ありません。それでは本当に気持ちはわからないですよ。目線を同じにして、ちゃんとやらなくちゃだめです。

 僕が不良債権の部長をやっていたときもそうです。ある都内の支店に行きました。本部の部長が来る。若い課長が社長さんをつかまえて、社長、うそつき、金返せと。僕は、君は引っ込んでいなさい、社長、申しわけありませんでした、謝りました、無礼なことを言いましたと。社長、私たち銀行は、御融資したということは結婚したのと一緒なんです。ところが、いろいろな社会の変化、会社の御事情があってこういう状況と、そういうふうにるる説明して、そして納得した。これが大事だと思うんです。何事もこれができない。できないんです。申しわけない。

 実際、今でも、大臣、国会議員で秋田出身の、名前を言っちゃうとあれですから、秋田の金融機関の方が実は会社をつぶしに来ている。単年度決算では黒字なんだけれども、何か会社をつぶしに来ているんだという話を聞いて、私は内容をまだよく聞いていないんですけれども、そういうのが見える。あるいは、茨城の銀行でも、ある程度大きくなっていくたびに、本当にかゆいところに手が届かないようなことが見受けられるので、ここは徹底的にお願いしたいと思います。

 そして、今四カ月が過ぎたわけでございますが、これの現時点で把握している状況を教えていただければと思っております。

大塚副大臣 数字の御質問ですので、私からお答えをさせていただきます。

 三月末までの実績が、全国の主要九行と、全金融機関で申し上げますと六百六十の金融機関から報告が上がりました。

 その中で、主要九行と地域金融機関百七行、主なところの数字で恐縮でございますが、中小企業者向けには、件数でいうと二十六万七千九百七十九件、金額で申し上げますと八兆九千四百億円の申し込みがありまして、そのうち実行されたものが二十万百七十五件、七兆九百一億円、審査中のものを除いた実行率は九七・七%になっております。

 また、住宅ローンをお借り入れになっている個人の方からの返済猶予、条件変更の申し込みは三万七千八百五十五件、金額で五千八百六十億円、実行が一万八千八十五件、金額で二千八百三十二億円、同様の基準で実行率は九三%となっております。

柳田分科員 ありがとうございます。

 今のところは順調にされていると思います。

 私もサラリーマン生活を二十八年やっていました。結局はしっかりと国や銀行が、頭取、そういう役員の方が、いわば普通のサラリーマンはしっかりやるんです。ところが、幾ら下がやろうとしたって、上に稟議を上げたら、おまえは何をやっているんだと。これは無理です。やはり我々がしっかりと、まさに政治主導でやっていきたいと思っております。

 そしてまた、その円滑化法の中で、信用保証をつけるということはありますが、今件数は余り多くないということを聞いておりますが、経済産業省、ひとつその辺の数字の把握をよろしくお願いします。

高橋大臣政務官 柳田委員にお答えをしたいと思います。

 柳田さんの言っておられるのは、原則として保証協会などの公的金融の利用がない中小企業を対象にした条件変更対応保証というものを多分おっしゃっておられるんだろうと思うんですが、これにつきましては、中小企業金融円滑化法の施行でも、民間金融機関による条件変更が進まない場合に備えて、いわゆる旧債振りかえを例外的に認めた特別の措置でございまして、確かに少なくて、現時点で実績は二件でございます。

 ただ、民間金融機関による条件変更が進んでいるということであれば、問題はないというふうに認識をしておりまして、公的金融の利用があって、かつ、条件変更を受けた中小企業者への新規保証につきましては、保証協会が通常の保証で対応しておりまして、こちらは平成二十年、一昨年の十一月からことし二月までで二万二千件、六千九百億円の保証を承諾しております。

 この保証の審査は、多分、先ほどからいろいろ話をされておられますけれども、形式的な事象だけで判断してはだめだということで、今後の業績回復の見通しとか成長性、それから本人のこれまでの信用実績などなどを踏まえて、きめ細かく経営の実態を見ていくことが大変重要だと思っております。

 これにつきましても、直嶋大臣の方から繰り返し直接保証協会の代表の方に要請をしておりまして、引き続き、徹底をしていきたいというふうに考えております。

柳田分科員 ありがとうございます。

 ちょっと円滑化法からそれますが、二〇〇六年には三大メガバンクの公的資金が返済されたというふうに聞いていますが、各行の公的資金注入とその状況について、ちょっと教えていただければと思っております。

大塚副大臣 これは、過去、幾つかの法律に基づいて公的資金が投入をされております。これまでに、四十八先に対して合計十二・七兆円の資本増強を実施しております。このうち九兆五千億円が返済されております。まだ未返済の先は二十二先の三・二兆円となっております。

柳田分科員 ありがとうございます。

 次に、改正貸金業法についてなんです。

 私もちょうど銀行員時代を思い起こすと、本当にグレーゾーン金利があって、なかなかあれが進まなかったとじくじたる思いがあります。そして、私は余り言いたくないんですが、テレビを見ていましたら、ある金融機関の顧問か何かに、前の政権のお人ですが、法務大臣をやった人が顧問に就任されている。テレビに出てきました。残念で残念で、大臣をやった方がこういうような社会的にちょっと非難されているようなところの顧問になっている。全く、この国はこんな国になってしまいました。私たちは本当に死に物狂いでやりたく思っているんです。

 そして、二〇〇六年十二月に公布されましたが、これの状況について、また教えていただければと思っております。

大塚副大臣 御質問は、改正貸金業法が今日に至るまでの経緯ということだと思います。

 これは、平成十八年の十二月に、当時の国会において全会一致で成立をいたしました。その後、段階的に施行するということで、第一段階は平成十九年の一月二十日、これは罰則の引き上げを行いました。第二段階は同年十二月十九日、これは新しい貸金業協会の設立と取り立て規制の強化。そして、第三段階が昨年の六月の十八日、これは財産的基礎の条件の引き上げ等を行いまして、そして来月、六月の十八日に、今度は上限金利の引き下げ、総量規制の導入等の完全実施に向けて、今準備をしている最中でございます。

 現在、その細則にわたる府令等のパブリックコメントをかけさせていただいている最中でございます。

柳田分科員 ありがとうございます。

 貸金業者に対するいろいろなことはございますが、消費者向けに、個人事業主を含め事業者への貸し付けもあると聞いていますが、このうち事業者向け貸し付けの市場規模や、また、今回完全実施に向けて懸念されている点など、あるいは対策等あれば教えていただきたいと思っています。

大塚副大臣 実務的なことですので、引き続き私からお答えをさせていただきます。

 昨年の三月末が最新のデータでございますが、貸金業者の貸付残高は三十七・八兆円でございまして、このうち事業者向け貸付残高は二十二・一兆円、比率にして五八・五%でございます。

 これが、先生御指摘のとおり、今回の六月十八日の完全施行になりますと、個人事業者等の皆さんが大変その借り入れが厳しくなるのではないかという御懸念がございましたので、これは既に施行規則等で、事業計画をちゃんとお出しいただければ事業向け貸し出しはできるということになっておりました。その事業計画というものが過度に煩瑣なものにならないように、極めて簡素な事業計画をお出しいただければ、事業者の皆さんは問題なく借り入れができるような対応をして、現在、その準備を続けているところでございます。

柳田分科員 ありがとうございます。

 この総量規制を導入することによって専業主婦が借りられるのが非常に狭まれる、いろいろこれは悩ましい問題もあります。

 そのような中で、想像するのに、政治家は想像することが大事なんですね。例えば、私の女房がクレジットを借りていた。そうすると、保証人を持ってくるとき、おまえ何で借りているんだと。そうしたら、あなたの給料が低いからよと絶対言いますね。大体そこでもめますので、多分、業者さんはなかなかここには手を入れたくないのかなと、そんな感じもしますが、これはおいておいて。

 時間もあれですから、最後ではないんですが、今国会で審議されている、五月十二日に成立しました改正金融商品取引法、商取法、これですね。店頭デリバティブ取引の安定性と透明性、このことについて、我が国の店頭デリバティブの清算機関の設立に向けた取り組み状況等、簡潔に教えていただければと思っております。

大塚副大臣 今御披露いただきましたように、今国会において、先生方の御協力をもって改正金商法を成立させていただきました。

 この法律によりまして、御指摘のありました店頭デリバティブの清算機関等を行うことのできる法的根拠が整いましたので、現在、東京証券取引所や東京金融取引所が、この法律に基づいた清算機関を立ち上げることを検討中でございます。

柳田分科員 ありがとうございます。

 最後なんですが、そもそも論でいきます。

 私も決算行政監視委員会を選ばせていただきまして、昨年ですか、あれは会計検査院の方が私たちに今までのいろいろな不正事項を説明いただきましたが、そもそも論で、この監視院の、例えば公正取引委員会あるいは金融庁、この監視しているメンバーの構成はどんなふうになっているでしょうか。

大塚副大臣 証券取引等監視委員会ですか。(柳田分科員「違います」と呼ぶ)

岡本(充)主査代理 ちょっと待って。指名をしてから発言をしてください。

 柳田和己君。

柳田分科員 会計検査をするメンバーです。会計検査院です。

大塚副大臣 会計検査院は所管ではございませんので、私がお答えすることはちょっと難しいんですが、その会計検査の職責に足る有識者の皆さんが任命をされているというふうに理解をしております。

柳田分科員 それだったらいいんですけれども、私が何を言いたいかといいましたら、要は各省から、身内が検査されているというふうにちょっと聞いているんですが、そこら辺はどうなんですか。

大塚副大臣 その問題意識は、野党時代の民主党から、多くの議員が共有をさせていただいている点でございます。会計検査は、いわば行政府の中のもたれ合いの検査をするようでは困るという認識については、全く一緒でございます。

柳田分科員 私も銀行にいまして、本店の検査部というのがありまして、以前は内々にあした入るよなんてささやいてくれていた。それもなくなりました。

 ですから、やはりしっかりと、サドンリー、突然にきちっと見るということでやらないと、何年か前の農林水産のような、九十何回行って全然汚染米が見つからなかった。そうでしたね、大臣。例えば、泥棒をしている、そこへ今から行くよと言ったら、泥棒が逃げるのは当たり前ですよ。

 ですから、しっかりとこの辺は、まさに国の税金でやっているわけですから、これは透明性や公正や、もっともっといろいろなことを考えていきたいと思っています。

 私が思うのは、歴史に学ぶ、そしてまた時代の変化に適応できるような、我々政治家、まさにその一点でございます。

 私は一年生議員ではございますが、この国を思う気持ちは大臣と同じぐらいあります。負けません。私は死ぬ覚悟で入ってきましたから、まあ、死んでいませんからいいんですけれども。本当にそういう気持ちで、この国を何とかしたい。にっちもさっちも、ちょっと余談になりますが、私は逆に、今、鳩山総理は歴史に名を残した。なぜならば、あの沖縄の普天間の基地が、全国民が、一億二千七百万の人が、そんなに大変なのかとみんながわかってくれた。これはすごいことです。さきの大戦で何十万と死んでいる。そして、地理的な条件とはいえ、あそこに国防の、七五%の基地がある。だれが見たって、まさに鳩山総理は友愛ですよ。

 日本人は、思いやりや他人に対する自己犠牲なんです。大臣、それを我々は教えてもらった。両親やおじいちゃん、おばあちゃんから教えてもらった。

 余談になりますが、うちの父も昭和十九年四月一日、志願兵として、この国を救う。そして、私の家には軍隊手帳があります。涙が出てきます。門司港から朝鮮半島・釜山に行って、それからフィリピン・ルソン島に渡りました。そして、十九年十二月二十四日、クリスマスイブ、アメリカ軍が休戦状態のときに島から島へ逃げたと聞いております。そして、台湾に行き、マラリアにかかり、治療を受け、終戦後の二十一年の、そこは日にちも港も書いてありませんが、みんな水際で全部没収された軍隊手帳をうちの父は軍足に入れて隠して持ってきた。私は今それを見るたびに、御先祖やこの国を、本当にそういう気持ちでやっています。

 本日は、ありがとうございました。

岡本(充)主査代理 これにて柳田和己君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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