衆議院

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第1号 平成25年6月21日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年六月十八日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

六月二十日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋本 真利君    今村 雅弘君

      工藤 彰三君    坂本 剛二君

      瀬戸 隆一君    辻  清人君

      辻元 清美君    谷畑  孝君

      三宅  博君    長崎幸太郎君

六月二十日

 今村雅弘君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年六月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 今村 雅弘君

      秋本 真利君    工藤 彰三君

      坂本 剛二君    瀬戸 隆一君

      大西 健介君    辻元 清美君

      谷畑  孝君    三宅  博君

      長崎幸太郎君

   兼務 國場幸之助君 兼務 田畑  毅君

   兼務 福田 達夫君 兼務 林  宙紀君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   外務大臣         岸田 文雄君

   環境大臣         石原 伸晃君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (海洋政策・領土問題担当)            山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   衆議院事務総長      鬼塚  誠君

   参議院庶務部長      美濃部寿彦君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君

   裁判官訴追委員会事務局長 辻本 頼昭君

   国立国会図書館長     大滝 則忠君

   会計検査院長職務代行

   検査官          河戸 光彦君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       黒澤 正明君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴木 繁治君

   会計検査院事務総局第五局長            太田 雅都君

   最高裁判所事務総長    大谷 直人君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       芝田 政之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 南   博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    柄澤  彰君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    富田 健介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           渡延  忠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           橋本 公博君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    桝野 竜二君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          譜久山當則君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        田中 明彦君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  辻元 清美君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     辻元 清美君

同日

 第二分科員田畑毅君、福田達夫君、林宙紀君及び第四分科員國場幸之助君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十一年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十一年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十一年度政府関係機関決算書

 平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十二年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十二年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十二年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十二年度政府関係機関決算書

 平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十三年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十三年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十三年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十三年度政府関係機関決算書

 平成二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門及び環境省所管〕


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     ――――◇―――――

今村主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました今村雅弘でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省、環境省所管、沖縄振興開発金融公庫及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十一年度決算外二件、平成二十二年度決算外二件及び平成二十三年度決算外二件中、国会所管、環境省所管、復興庁所管、内閣所管、内閣府所管中消費者庁、内閣府所管中金融庁、外務省所管、独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門、皇室費、裁判所所管、会計検査院所管、内閣府所管中警察庁、内閣府所管中内閣本府、沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 これより国会所管について審査を行います。

 まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。鬼塚衆議院事務総長。

鬼塚事務総長 御説明いたします。

 平成二十一年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十六億八千百七十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は十六億二百六十九万円余でありまして、差し引き七千九百六万円余の減少となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百八十五億二百五十万円余でありまして、これに環境対策・省エネルギー対策の推進等のための予算補正追加額十億八千七百九十七万円余、前年度からの繰越額二千六百五十三万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額二十二億四千三百四十一万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百七十三億七千三百六十万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六百四十二億千四百十万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百三億九百六十七万円余、衆議院の運営に要した経費二百一億千五百七十八万円余、衆議院の施設整備に要した経費十七億五百八十四万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費二十億八千二百八十一万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、三十一億五千九百四十九万円余であります。

 以上が、平成二十一年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十二年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十六億四千六百十九万円余に対しまして、収納済み歳入額は十七億八千五百二十六万円余であり、差し引き一億三千九百七万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百八十九億四千五百九十九万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額一億二千四百二十六万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百八十八億二千百七十三万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は七百四十一億五千七百二十一万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二十億九千九百五十五万円余、衆議院の運営に要した経費二百億七千七百四十九万円余、衆議院の施設整備に要した経費十二億千三百三十五万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費百七億六千六百八十一万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は四十六億六千四百五十一万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額四億千四百四十三万円余、不用額四十二億五千八万円余であります。

 以上が、平成二十二年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十三年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 国会主管の歳入につきましては、予算額十五億五千十八万円余に対しまして、収納済み歳入額は十五億六千二百十万円余であり、差し引き千百九十一万円余の増加となっております。

 次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は七百四十二億七千百三十九万円余でありまして、これに東京電力福島原子力発電所事故調査委員会における調査等のための予算補正追加額十億八千四百六十五万円余、前年度からの繰越額四億千四百四十三万円余を加え、国会議員の歳費の月額の減額特例等による予算補正修正減少額十六億五千二百八十五万円余を差し引きますと、歳出予算現額は七百四十一億千七百六十二万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は七百二億六千八百二十六万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百十七億百十六万円余、衆議院の運営に要した経費百九十七億九百七十五万円余、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会に要した経費九千百三十六万円余、衆議院の施設整備に要した経費十一億二千二百六十七万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費七十六億四千三百三十万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は三十八億四千九百三十六万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額五億六百九万円余、不用額三十三億四千三百二十六万円余であります。

 以上が、平成二十三年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

今村主査 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。大滝国立国会図書館長。

大滝国立国会図書館長 平成二十一年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百十五億八千四百二十一万円余でありまして、これに所蔵資料のデジタルアーカイブ整備及び施設整備等のための予算補正追加額百五十六億三千八百三十五万円余、前年度からの繰越額三億三千百十二万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額一億九千四百二十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三百七十三億五千九百四十五万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二百三十五億四千六百二十二万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費八十九億九千四百六十二万円余、国立国会図書館の業務に要した経費百十億四百七十万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十一億七百九十四万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費二十四億三千八百九十五万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は百三十八億一千三百二十三万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額百三十二億九千四百四十三万円余、不用額五億一千八百八十万円余であります。

 以上が、平成二十一年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十二年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は二百十一億三千十三万円でありまして、これに所蔵資料のデジタルアーカイブ整備のための予算補正追加額九億九千九百五十一万円余、前年度からの繰越額百三十二億九千四百四十三万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額八百五十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三百五十四億一千五百五十五万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は三百十七億二千三百二十六万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十四億五百十八万円余、国立国会図書館の業務に要した経費百九十四億八百九十万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十一億二百九十三万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費十八億六百二十四万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は三十六億九千二百二十八万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額三十三億八千四百六十五万円余、不用額三億七百六十三万円余であります。

 以上が、平成二十二年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十三年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は百九十九億七千五十一万円余でありまして、これに東日本大震災アーカイブ構築等のための予算補正追加額九億六千三百九十九万円余、前年度からの繰越額三十三億八千四百六十五万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額八千百十五万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百四十二億三千八百一万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は二百二十三億一千二百一万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費八十九億六千二百二十万円余、国立国会図書館の業務に要した経費百十七億四千三百七十一万円余、東日本大震災復旧・復興に係る国立国会図書館の業務に要した経費四十七万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億九千三百二十九万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費五億一千二百三十一万円余であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は十九億二千五百九十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額三億九千二百四万円余、不用額十五億三千三百九十五万円余であります。

 以上が、平成二十三年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

今村主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。石川裁判官弾劾裁判所事務局長。

石川裁判官弾劾裁判所参事 平成二十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億一千七百九十四万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額一千四十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億七百四十六万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億四百三十八万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額三百八万円余が不用額となっております。

 以上が、平成二十一年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は一億一千二百三十八万円余でございまして、この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は九千八百六十三万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額一千三百七十四万円余が不用額となっております。

 以上が、平成二十二年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 引き続きまして、平成二十三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億七百四十六万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額二十五万円を差し引きますと、歳出予算現額は一億七百二十一万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は九千二十万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額一千七百一万円余が不用額となっております。

 以上が、平成二十三年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

今村主査 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。辻本裁判官訴追委員会事務局長。

辻本裁判官訴追委員会参事 平成二十一年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億三千七十六万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額千二百七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億一千八百六十九万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億七百九十八万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、一千七十万円余となっております。

 引き続きまして、平成二十二年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は一億二千七百二十二万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は一億一千百八万円余となりまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、一千六百十三万円余となっております。

 引き続きまして、平成二十三年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は一億二千四百三十九万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額十一万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千四百二十八万円余となります。

 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一億一千二百十四万円余となりまして、このうち主なものは職員の人件費であります。

 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は不用額でありまして、一千二百十三万円余となっております。

 以上が、平成二十一年度、平成二十二年度及び平成二十三年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、参議院の情報処理システム関係業務に係る請負契約において、契約相手方を決定する前に契約の対象となるべき業務の履行を開始させたり、契約の履行が完了する前に契約代金を支払ったりしていたものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。美濃部参議院庶務部長。

美濃部参議院参事 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、参議院が講じた措置について御説明いたします。

 情報処理システム関係業務に係る請負契約の経理につきましては、御指摘を踏まえ、検査体制の強化等を図るなど、適切な会計手続の実施に努めておりますが、引き続き、再発防止に万全を期す所存であります。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 私、実は、大学を卒業して参議院の事務局に入って、国会職員として、十年弱ですけれども、勤務をさせていただきました。その後、衆議院議員の政策秘書、現在議員として、国会とのかかわり、大体これでもうかれこれ二十年近くになるわけです。

 きょうは、せっかくの機会をいただきましたので、余りふだん議論にならない国会所管のいろいろな問題についてお聞きをしていきたいというふうに思うんです。

 平成十三年に設置された与党三党国会改革推進協議会の報告書というのがあります。この中には、「国会議員が率先して足元の国会改革を断行してこそ、政治がリードしていく様々な改革に対して国民が信頼を寄せる源泉となる」という一文があります。

 私も、全くそのとおりだと思います。行政改革だけではなくて、我々自身が国会改革をしっかりと進めていくということが必要ではないかというふうに思っております。

 そういうことから、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、議員定数の削減。

 我々は、昨年十一月の党首討論での約束、これをしっかり守っていただきたいということで、既に、選挙区三十、比例区五十の削減を内容とする法案を提出しております。しかし、昨日のニュースにもなっておりましたけれども、今国会はこれが見送りになるということで、私は、大変遺憾だというふうに思っております。

 ただ、いずれにしろ、大幅な定数削減、これが近い将来行われるだろうというところは、私は、大方の皆さんが一致できるところではないかというふうに思っております。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、定数が減れば、単純に、本会議場の議席も要らなくなります。あるいは、議員会館の部屋、これもあいてまいります。そういうときに一体どうするのか。

 過去にさかのぼってみますと、衆議院では、もちろん議員定数をふやしてきた時期もあるんですけれども、平成十二年、二十議席削減というのがありました。

 このときどうしたのかということを聞いてみますと、本会議場の議席については、二十議席を取り払って、使えるものについては倉庫にしまった、それから、議員会館の部屋については、会議室にしたりとか、あるいは会派に割り当てて特別室にしたということをお聞きしています。

 二十議席ならそれでいいんですけれども、仮に、八十議席ということになりますと、これは全然違ってくるんじゃないか。

 例えば、議員会館でいいますと、今の議員会館というのは、ワンフロアは二十四室あります。八十議席ということになると、これは三フロア以上あくということになってきますので、これはまた全然違うんじゃないか。

 あるいは、議員の数によって配置されている職員というのもあります。きょう後ほどお話をしたいと思いますが、例えば、自動車課の運転手、あるいは自動車の台数、これも変わってくるということになります。

 そういうことを考えたときに、事務局にぜひお聞きをしたいと思っているんですけれども、それは、例えば、新議員会館を建てるときに、その設計、構想段階で、議員が減ることだけじゃなくて、ふえることも含めて、議員の増減があり得るということを想定した、そういう設計とか構想というのをされたのかどうなのか。それから、先ほど来お話ししているように、大幅な議員定数の削減があった場合に必要になる対応であったりとか課題というのを、今まで、内部的にでも結構ですけれども、検討されたことがあるのかということを、ぜひお聞きしたいというふうに思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 御存じのとおり、衆議院は、第一議員会館、第二議員会館を含めまして、三階から十二階までは先生方のお部屋でございますが、全部で四百八十ございます。それ以外に、第二会館には、二階部分で、第一会館の常任委員長室に対応する部分が残っておりまして、それを含みますと五百近くの部屋はあろうかと思います。それを前提といたしましてお答えさせていただきます。

 議員事務室フロアにつきましては、フレキシビリティー確保のため、議員事務室内及び隣接する議員事務室間に、構造上必要な独立の柱や壁を設けてございません。これによりまして、議員事務室内の間仕切りを撤去し議員会議室のようにすることは可能であり、また、片側十二室全ての議員事務室を大部屋とすることは可能となってございます。

 ただし、これは、定数削減なり定数増を予定してやったということではございません。

大西(健)分科員 私が申し上げているのは、議員会館だけの話じゃないんです。先ほど来申し上げているように、大幅な議員定数の削減というのは、もはや、イフの話ではなくて、ホエンの話、いつかあり得る話なんです。

 ですから、仮定の話だからそのときになってから考えますという話じゃなくて、今の議員会館の部屋の話もそうです、片側十二室ぶち抜きにできるということであれば、それは使い方が全然変わってくるんじゃないか。あるいは、本会議場の議席についても、八十議席をもし取っ払えば、これはかなりのスペースが広がります。皆さんそう思っておられると思いますけれども、今は窮屈ですよね。予算委員会の座席配置を変えましたけれども、本会議場のレイアウトを変えることだってできるわけです。

 そういう可能性も含めて、あるいはいろいろな問題だとか課題を含めて、私は、今から洗い出しを事務局としてはされるべきではないかと思いますので、そのことをぜひお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、国会所管の国有財産の処分について、国有財産の問題についてお伺いしていきたいと思うんです。

 衆議院の事務総長公邸あるいは法制局長公邸、これについては処分を進めるということがもう既に決まっています。

 一方、行政府の方はどうかというと、九八年の十二月に、内閣の連絡会議で、総理、官房長官の公邸を除いた公邸については早期廃止をするんだということを決めて、三年のうちに大体全部処分が終わっているんです。

 ところが、では国会所管の分はどうかというと、これは二〇一一年の八月ですけれども、当時の岡田副総理が記者会見でこういうふうに申されています。国会が所有する資産のうち、かなり前に売却する方針が決まっているのに、いまだに手続が進んでいないケースが見られるとおっしゃっているんですね。これは二〇一一年八月です。

 しかし、きのうお聞きしますと、まだ法制局長公邸、そして事務総長公邸、処分が進んでいないということをお聞きしています。境界確定とかいろいろな問題があるということですけれども、ぜひこれは、改めて、できるだけ早く処分を進めていただきたいということをここでお願い申し上げたいと思います。このことは、もうあえて答弁を求めません。

 続けて、国有財産の問題についてお聞きをしたいんです。

 平成二十三年の十二月五日の予算委員会、我が党の村越議員が、自民党が衆議院の土地を無断で駐車場として使用してきた問題というのを取り上げました。

 御存じの方もいらっしゃると思いますし、御存じない方もいらっしゃると思いますので、皆さんのお手元に図面を資料としてお配りさせていただきました。印をつけてある三角形の部分の土地、これは衆議院の土地なんです。これを、今まで長年にわたって、使用許可がないままに、賃料も払わずにずっと使ってきたということが予算委員会で問題になりました。

 そのときに事務総長が御答弁をされているんですけれども、事務総長は、過去に自由民主党に対して本部用地として使用許可が行われた事実というのは確認できなかった、つまり、そういう許可をしたことは、調べたけれども、なかったということをおっしゃっています。あわせて、今後は、管理の適正化を図る観点から、どのような対応が可能か検討してまいりたいと思いますと述べているんです。

 きのう、お話を聞いたら、衆議院としては、無断駐車禁止という立て看板を立てました、それから、かつては自民党の街宣カーがとまっていたりしたので、そういうことがないように、適正管理の観点から見回りをしていますということなんですけれども、これが、総長の答弁の、管理の適正化を図ったということに本当になるのか、国民がそう思っているのかということを、きょう改めて私は問いかけたいんです。

 自民党さんは何と言っているかというと、衆参両院の国会議員とか官庁の車を駐車するんだから無償でも合理性があるんだとおっしゃっているんですけれども、それはとても納得できない。なぜなら、これは、実は、皆さん通ったことがあると思いますけれども、衆議院側にちゃんと入り口があるんです。でも、ここは、鍵がかかっていて、閉鎖されたままになっています。ですから、この三角の部分に入ろうと思ったら、自民党本部の正門を通っていかないと入れないんです。

 ここの財務省所管と書いてある土地と一緒に自民党本部の塀に囲まれて、これは一体として駐車場として利用されている。財務省所管の部分については、ちゃんと賃料が払われているんです。ところが、衆議院所管の部分については、賃料が払われていない。これはやはり、おかしいんじゃないか。

 適正化を図るということの意味というのは、普通の国民が考えれば、これは、この部分については、返してもらうのか、あるいは、改めて賃貸契約を結び直して賃料をいただくのか、それは過去にさかのぼってもですよ。ということが、私は、普通の国民が考えられる適正化ということではないのかというふうに思います。

 自民党さんも、政権に復帰して財政的にも回復していると思いますので、ぜひこれは、不偏不党の立場から、国民の側に立って、適正化とは何なのかと。

 それは、私が今申し上げたようなことだし、例えば、私から提案したいのは、だったら、財務省に所管がえをして、一体として財務省に賃料を取ってもらったらいいんじゃないか、財務省にお返しをして、今財務省が自民党さんへ貸して賃料を取っている部分と一体として財務省に賃料を取ってもらえばいいんじゃないかというふうに思いますが、このあたり、適正化が本当にこれで図られていると思っているのか、お答えをいただきたいと思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 まず、本件国有財産の経緯について御説明をさせていただきたいと思います。

 本地は、昭和二十五年三月に議員会館附属建物建設用地として文部省から所管がえを受けた土地でございますが、東京オリンピックに関連した道路を整備するための都市計画において従前の自民党本部が移転対象とされたため、昭和三十六年五月、議院運営委員会におきまして同党本部受け入れ用地等として決定されたもので、これを受け、昭和三十九年六月、自由民主党の党本部受け入れ用地及び都市計画道路用地として大蔵省へ引き継いだ後の土地の残地となったものでございます。

 このような経緯がございますので、本地は、自由民主党本部と参議院第二別館に挟まれた飛び地となっておりまして、衆議院といたしましては、かなり利用価値の低い土地となっております。

 衆議院といたしましては、未利用地という形で残すことよりも、土地の有効活用を図る観点からさまざまな検討をしてまいりましたが、結果として、現在のように、主に衆議院官用車の待機用駐車場として利用しているところでございます。

 いろいろと経緯につきまして先生がおっしゃいまして、いろいろな論点があろうかと思います。

 一つは、有償、無償の問題でございますが、これは、あくまでも衆議院が周辺の交通事情を見計らいまして駐車場として利用したという部分でございまして、確かに、利用されている方の多くは自由民主党本部を利用される方でございますので、実際上、この便益は自由民主党が得ているということは、そのとおりでございます。

 ただ、あくまでもそれは、言葉で言いますと、反射的利益でございまして、それを有償、無償でどうするかについては、いろいろな議論がございました。反射的利益であるがゆえに有償とするのは難しいんじゃないかというような意見で、現在に至ってございます。

 もう一つの論点は、今先生おっしゃったように、所管外というお話をされましたけれども、過去何回か自由民主党から衆議院に対しまして使用拡大を求めてまいったことはございますけれども、その際は、やはり、衆議院として長期の使用貸しをするということはできない立場でございますので、財務省に移管してどうするかという問題につながっていくんじゃないかと思います。

 その上で、管理上の問題としまして、今先生おっしゃったように、衆議院側の門扉があるということで、それをあけることについては、確かにいろいろな御指摘がございますし、私どもも、あけることも検討はしたんですが、ただ、その点につきましては、交通安全上の問題と、もう一つ、自民党の周辺の駐車場であるということで、治安上の問題がございまして、それについては警察当局からもいろいろな御指摘をいただいておりますので、やむを得ず、そのまま、あけない形で使っているということでございます。

 もう一つの問題は、衆議院の管理地と自民党が国有地として借りている部分との境目をきちっと仕分けた上で、衆議院管理地には官用車以外は入らないようにするということでございます。この点につきましても、衆議院といたしまして、過去何回か、障壁を設けて明確な管理地の差をつけようとしたことはございますが、その都度、軽微でございますが、交通事故がふえたというような事情がございまして、やはり一体としての利用が必要じゃないかというような要請でございました。

 それを踏まえまして、今のような、先ほど先生がおっしゃったような形式的な管理ということになっているわけでございますけれども、この点については、先生方を含めまして、いろいろな問題が整理された上で、きちっとした対応をさせていただきたいとは思っております。

大西(健)分科員 今の御答弁を聞いて、一つは、ここに境目、壁とかをつくって、あいていない門をあけるというやり方もあるんでしょうけれども、それは、今、難しいというお話だったと思います。

 そういう意味では、やはり所管がえをすればいいじゃないですか。そうしたら、財務省の今貸している土地と一体として、現実の利用も一体として利用されているわけですから、その場合、過去にさかのぼって賃料を取れるかどうかは別ですけれども、少なくともこれからは、その三角形の分も合わせて、国有財産を自民党さんは使用しているということにおいて、賃料は取れるわけですから。

 飛び地であって利用価値が低いということですから、これは、現状の利用に合わせて所管がえをするのが一番、これだったらすぐにでもできるんじゃないかと思いますので、再度御検討をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、国会職員とか事務局の組織改革についてお伺いしていきたいんです。

 衆議院には、公用車が百台以上あって、運転手さんも百人ぐらいいるということなんですけれども、私が参議院の事務局にいたころから、運転手は公務員じゃなくていいじゃないか、外部委託にできないのかという話が前からありました。ただ、それについては、車の中で重要な話をすることもある、あるいは、国会議員の場合は、行き先とかルートも機微な問題だから、守秘義務のある国家公務員じゃないとだめなんですと、ずっと言い張ってきたんですね。

 ところが、しばらく私がかかわっていない間に、見てみてびっくりしたのは、今もう外部委託が進んでいると。平成十八年に、衆議院の改革に関する小委員会の報告で、運転手の退職者の補充については、当面三十人程度に達するまでの間は外部委託を進めるという方針が決まっていて、これに沿って今外部委託を進められているということなんです。

 そこで、確認をしたいのは、当面は三十人ということですけれども、それをもう今ほぼ達成しようとしているわけですけれども、では、三十人の後はどうするんですかということと、先ほど申し上げたように、一部もう外部委託しちゃっているということは、今外部委託している分と残っている衆議院職員の自動車運転手は何が違うんだ、三十人外部委託できるんだったらほかもできるでしょうと言われた場合に何とお答えになるのかについてお聞きをしたいと思います。

鬼塚事務総長 国会改革ということで、アウトソーシングを進めるということが経費削減につながるということで、自動車運転手の外部委託を進めてまいりました。それは、三十人に向けて今やっていることで、ほとんど達成しております。

 その先のことにつきましては、利用される側の先生方の立場もございますので私どもの一存では決められませんが、理屈の上で、全部外部委託にする方がいいのか、あるいは、それを全部またもとに戻して官で抱えた方がいいのかというような、いろいろな論点を、やはり、先生方を含めまして、きちっと整理していただいた上でどうするかということではないかと思います。

 秘密保持につきましては、先生方の中にそういう御意見をおっしゃる方がいらっしゃいますので、その点については、契約の中で、外部委託の場合においても、秘密の保持については、もちろん、契約上の義務として負うということにしてございますので、御心配いただくことはないと思いますし、全体としての一々の利用につきましても、基本的に、予算の裏づけとかなんとか、そういうお金の問題は別にしまして、先生方に御不便をかけないような形で、両方相まった形で今使っていただいていると思っております。

 将来の問題につきましては、何度か繰り返しましたが、先生方の御意見を伺いながら、どちらへ向かっていくかを進めさせていただきたいと思っております。

大西(健)分科員 三十人以降をどうするかというのは議運や庶務小で最終的に決めていくことだとは思いますけれども、ただ、私も事務局にいましたけれども、そのときに感じたのは、大体、先生方が決めることですと。

 先生方が決めるまでは待ちの姿勢ですというんじゃなくて、今おっしゃったように、では、事務的にどういう問題があるのかとか、どういう方向性があるのか、選択肢があるのかというのは、私は、事務局としてしっかり詰められるべきだというふうに思っております。そのことを申し上げておきたいと思います。

 同じような話として、国会職員特有の職種として、速記職というのがあります。

 私、これも知らなかったんですけれども、速記者養成所というのは、知らない間に廃止が決まっている。つまり、新しい速記職というのは養成しないことになっているわけですね。そうすると、ずっと今の速記職が退職していくと、いつかは、この速記制度というのが、今のままいくと、なくなってしまう。

 ただ、私は、個人的には、自動車運転手さんには申しわけないですけれども、自動車運転手さんより、この速記職の廃止ということに関しては、もう少し慎重な検討というのも必要じゃないかというふうに思っています。

 この点、谷福丸元事務総長は、議会開設以来、しっかりとした技能を持った専門の職種の人が記録をとっている、それが綿々と議会開設以来残っているということが非常に大きな意味があるんだ、帝国議会を開設するときに諸外国並みの速記システムを整えることが一流国の仲間入りをすることである、まさに議会開設と速記システムを整えるということは連動したことなんだという話をされています。

 そういう意味においては、この速記職というのをどうしていくのか。これは、もう速記を廃止するということなのか。あわせて今新速記システムというのが運用されているそうですけれども、今後速記というものをどうしていくのかについてお答えをいただきたいと思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 大西先生は御存じかと思いますが、衆議院と参議院と別々の速記体系を使っておりました。その統合ということと、もう一つは、国有財産の処分といいますか、広大な養成所の用地を持っているということで、これはおかしいという先生方の御指摘をいただきまして、結局、最初やろうとしたことは、衆参で速記方式を統合して一つにできないかということでございました。

 しかしながら、これは、形は違いますが、まず参議院の方が機械化に向けて進まれましたので、衆議院として速記を残すかどうかについては非常に迷った時期がございましたけれども、河野議長の御判断ということになりますが、先ほど言いました平成十六年の議運の決定に基づきまして、速記を廃止していこうということに決定いたしました。

 私ども、中にいる者として、速記方式というのは日本人がつくった文化の一つであろうということで、これは大事にしなきゃいかぬという部分はございますが、といいながらも、一つの判断として、機械化に向けて音声入力という形で進んでいったその先行投資の部分を含めますと、いきなり速記方式に戻すということは非常に大変なことではないかと思います。

 したがいまして、今やっていることは、機械化といいましても、機械化は、当然、一〇〇%が機械でできるわけではございませんので、人力を使うという意味で速記の必要性というのはまだまだ残ってございますので、その部分で両方生かしながらやっているというのが現状でございます。

 将来につきまして、速記方式に戻せというような先生方の温かい御意見があるというのは、本当に感謝してございますけれども、これからについては、正確で迅速な会議録をつくるということは国会の要請でございますけれども、その手段としてどちらがいいかということについては、もう一度冷静に考える時期が必要じゃないのかと思っております。

 速記者の養成は、養成所を設置して新たに採用するということは実際上は無理じゃないかと思いますので、内部におきまして、入った職員を速記者に転ずるような研修が行えるかどうかということは、私どもは検討してございます。

大西(健)分科員 今、速記のお話について、衆参の速記を統合するというお話がありましたけれども、衆議院と参議院というのは、忙しい時期がずれるんですよね。ですから、そういう話がいろいろなところであります。

 平成十二年に、自民党の政治改革本部国会改革委員会は、「両院の独立性に十分に配意した上で、なお且つ統合した方が、より効率的に業務を遂行できると判断されるものは、統合することを基本方針とする」という答申を出されているんですね。

 私は、先ほど来申し上げているように、参議院にいましたので、院の独立性ということについて、一定のこだわりというか、思い入れもあります。ありますが、同時に、院の独立と事務局の独立というのが必ずしも同一ではないというふうにも思っています。ですから、その点においては、管理部門の統合というのも考えられると思いますし、例えば、衆参の調査室とか国会図書館のレファレンス部門を統合して国会シンクタンクにすればいいじゃないかみたいな案もあるわけですけれども、これは、私は、検討に値する案じゃないかと。

 本日の質問でも、私、事務局に対して厳しいことを言っているように思われるかもしれませんけれども、別に、バナナのたたき売りみたいに国会職員をどんどん削減して事務局をスリム化すればいいということを言っているつもりではないんです。そうではなくて、むしろ、そういうことをやると、立法補佐機能を弱めて、立法府の自殺行為につながるというふうにも思っています。

 ただ、一般には、一院制の議論まで今あるわけです。一院制の議論まである中で、両院の枠を超えて立法補佐機能を例えば整理統合する、そのことによって、スリム化するという意味だけじゃなくて、より充実強化するということもあるんじゃないか、無駄削減の声でどんどんじり貧になっていくよりかは、むしろ、攻めの姿勢で、立法機能の充実強化のために、ある部門は統合するんだということも、私は、ありじゃないかと思います。

 そこで、今の、自民党の政治改革本部国会改革委員会の答申を受けて、これまで、両院の業務統合について、どんな問題点があるのかとか、そういう問題点の洗い出しがあったりとか、これは参議院にもかかわることですから、参議院と、非公式で結構ですけれども、協議をしたということがあるのかどうなのかについて確認をさせていただきます。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 衆参事務局の業務の統合につきましては、その後、平成十三年四月に綿貫議長のもとに設置されました私的勉強会でございます衆議院改革に関する調査会におきましても、「両院の審議の独立性を阻害しない範囲で、すなわち、審議の機関に当然付置しなければならない部門は別にして、ことに国会全体の機能を一層充実強化させるために必要な部門、たとえば衆議院、参議院、国立国会図書館にある調査部門および立法補佐部門についてスケールメリットの観点から両院の協力において何らかの統合をすべきものと考える」との答申がなされてございます。

 非常にありがたい、貴重な御提言でございますけれども、衆参の間で統合の話を行いますと、やはり、先ほどおっしゃいました、一院制につながるような問題にどうもひっかかってまいります。非常に衆参ともに微妙な立場にございますので、個々の検討をやっていないということではございませんが、実際に両院間で協議するという段階には、まだ至ってございません。

大西(健)分科員 わかりました。

 時間がちょっとなくなってきたので、少しはしょって聞きたいと思うんですけれども、一つ、全然別の話を聞きます。

 三月十一日に、東日本大震災の追悼式が東京で行われました。一周年のときに、予算委員会でも、追悼式を被災地でやればいいじゃないかという話がありました。私も、議事堂ではなくて、多くの国民が犠牲になった被災地に行って、その方々の命に思いをはせながら国会議員が一堂に会するということは、これは意味があるなというふうに思いながら聞いていたんです。

 私、アメリカの大使館にいたときに、九・一一のテロがありました。そのときは、ニューヨークで実は特別合同本会議というのをやったんですね。それは、会場は、グラウンド・ゼロの近くの政府の建物が使用されています。

 では、我が国で、東京以外で国会召集ができるか。

 このことについては、先例等を見ると、帝国議会時代に、日清戦争中ですけれども、大本営を置いた広島の仮議事堂で国会をやったことがある。それから、第一回の帝国議会のときに、火事があって、これは議場の話ですけれども、議事堂以外、貴族院は帝国ホテルの食堂で本会議をやった、衆議院は旧工部大学を議場として使ってやったという例があるんですね。

 国会の召集詔書を見ると、○月○日に国会の常会を東京に召集するというふうに書いてありますけれども、東京以外での召集というのが理論上可能かどうかについて確認をさせてください。

鬼塚事務総長 帝国議会時代ではございますが、実例はございますし、東京を別の都道府県にかえるということは、当然、可能でございます。

 ただ、東京で開く場合におきましては、例えば立川で開くとか、そういうことについて検討の対象になるかと思いますが、国会議事堂という、議会として活動するための施設がございますので、東京で開くということにつきましては、当然、国会議事堂で開くということになるんじゃないかとは思います。

大西(健)分科員 わかりました。

 もう一つお聞きしたいんです。

 きょうは事務総長にわざわざお越しいただきましたけれども、事務総長は国会役員です。ですから、選挙で選ばれるんですね、実は。ただ、事務総長の選挙は、その手続を省略して、議長の指名によるというのが先例になっています。

 この点について、谷福丸元事務総長の回想録に、おもしろいくだりがあるんです。

 韓国では有力な落選議員が事務総長になるようなケースがあるということを紹介された上で、インタビューをした人の、日本も、次長とか職員をした人が事務総長にならないといけないわけではないですよね、建前上は、という問いかけに対して、谷福丸元事務総長の、「ない。だから、鈴木宗男さんが、私がなるときに飛んできて、「事務総長はだれが立候補してもいいんだってね」なんて。「おれ、落ちたら立候補するから」なんて言ってさ。」というくだりがあるんです、これは、もちろん冗談半分で言っているわけですけれども。

 立候補じゃないのかもしれませんが、選挙に出ることができるのか、その場合の手続というか、どういうふうになるのかということについてお聞きをしたいというふうに思います。

鬼塚事務総長 先生先ほどもおっしゃったように、選挙というのは、立候補という形でやることもございます。ただ、現在、実際上やっています衆議院の中における選挙は、あくまでも、全四百八十人の方々が、それぞれ、独自の立場かもしれませんが、推薦する方を選定していく、それを議長、副議長、常任委員長なり、あるいは事務総長にするということになってございますので、立候補制というのが実際上対応できるかどうかについては、ちょっと検討の余地があるんじゃないかとは思います。

大西(健)分科員 時間になりました。

 今お話しした谷福丸元事務総長のオーラルヒストリーというのがあります、ここに持ってきたんですけれども。「議会政治と五五年体制」、これは五千二百円もするので、私も買うのをどうしようかなと迷ったんですけれども、非常に興味深く読ませていただきました。

 議会というのは生き物です。ですから、先例が物を言うように、いろいろな先例に従ってやるわけですけれども、では、そのとき何でそういう判断をしたのかというのは、その人しかわからないことがたくさんあると思います。あるいは、そのときは言えなかったんだけれども……

今村主査 大西君、時間が来ております。

大西(健)分科員 十年たったら言えたというのもあると思いますので、こういうオーラルヒストリーというのは私は議会運営にとっては非常に有益だと思いますので、ぜひ衆議院においても組織的にオーラルヒストリーというのを考えていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

今村主査 これより環境省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。石原環境大臣。

石原国務大臣 平成二十一年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は五十二億三千百三十六万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は五十二億五千百九十四万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は二千五十七万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千百六十二億八千六百三十万円余でありましたが、これに予算補正追加額三千百五十三億四千二十万円余、予算補正修正減少額七十八億二千四百五十九万円余、予算移しかえ増加額百十五億七千三百三万円余、予算移しかえ減少額十四億九千四百八十五万円余、前年度からの繰越額四百九十八億六十三万円余、予算決定後移しかえ減少額一千四十六万円余を増減いたしますと、平成二十一年度歳出予算現額は五千八百三十六億七千二十六万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額五千十億九千八百三十万円余、翌年度への繰越額三百七十二億六千百五万円余、不用額四百五十三億一千九十万円余となっております。

 次に、環境省所管のエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の平成二十一年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 収納済み歳入額は九百七十一億三千六百四十三万円余、支出済み歳出額は八百三十九億六千三十一万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百三十一億七千六百十二万円余でありまして、翌年度への繰越額は六十二億一千九百三十六万円余、平成二十二年度予算に歳入計上した剰余金は三十二億一千六百万円余、これらを除いた純剰余金は三十七億四千七十六万円余となっております。

 以上が平成二十一年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、平成二十二年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は二十九億七千七百五万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は六十二億七千五百六十五万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は三十二億九千八百五十九万円余の増加となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千七十一億八千三百六十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額二百九十一億七千百三十三万円余、予算補正修正減少額十三億六千五百四十三万円余、予算移しかえ増加額八十四億五千九百九十万円余、予算移しかえ減少額十一億六千六百四十万円余、前年度からの繰越額三百七十二億六千百五万円余、予備費使用額一千百五十億四千九百七十万円余を増減いたしますと、平成二十二年度歳出予算現額は三千九百四十五億九千三百八十二万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額三千六百七十七億九千八百六十一万円余、翌年度への繰越額百六十七億四千二百十八万円余、不用額百億五千三百三万円余となっております。

 次に、環境省所管のエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の平成二十二年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 収納済み歳入額は四百八十七億九千五百四十五万円余、支出済み歳出額は三百八十億八千四百三十六万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百七億一千百八万円余でありまして、翌年度への繰越額は三十一億七千五百四十二万円余、平成二十三年度予算に歳入計上した剰余金は三十八億二千四十四万円余、これらを除いた純剰余金は三十七億一千五百二十一万円余となっております。

 以上が平成二十二年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 続きまして、平成二十三年度環境省主管一般会計歳入決算並びに環境省所管の一般会計歳出決算及び特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の歳入決算について申し上げます。

 歳入予算額は四十三億四百九十九万円余、これに対しまして、収納済み歳入額は三十八億九千二百二十四万円余、歳入予算額と収納済み歳入額との差は四億一千二百七十五万円余の減少となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 当初予算額は二千九億二千六百二十一万円余でありましたが、これに予算補正追加額一兆一千九百九十億五千二百五十二万円余、予算補正修正減少額三十億二千四百三十四万円余、予算移しかえ増加額八十六億九千七百十八万円余、予算移しかえ減少額六億三千二百九十二万円余、前年度からの繰越額百六十七億四千二百十八万円余、予備費使用額百五億四千五百三十万円余を増減いたしますと、平成二十三年度歳出予算現額は一兆四千三百二十三億六百十四万円余となります。この予算現額に対し、支出済み歳出額七千八百五十五億四千六百四十一万円余、翌年度への繰越額六千七十億二千三百五十八万円余、不用額三百九十七億三千六百十四万円余となっております。

 次に、環境省所管のエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の平成二十三年度歳入歳出決算について御説明いたします。

 収納済み歳入額は四百五十億四千八百五十九万円余、支出済み歳出額は二百六十三億七千四百四十四万円余であります。

 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は百八十六億七千四百十五万円余でありまして、翌年度への繰越額は四十五億八千九百三十六万円余、平成二十四年度予算に歳入計上した剰余金は三十九億四千五十三万円余、これらを除いた純剰余金は百一億四千四百二十四万円余となっております。

 以上が平成二十三年度における環境省の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

    〔主査退席、三宅主査代理着席〕

三宅主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院黒澤審議官。

黒澤会計検査院当局者 最初に、平成二十一年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、物品の購入等及び調査・研究等の請負または委託に当たり、事実と異なる内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って試験研究費、公害調査等委託費等を支払っていたもの、補助の対象とならないものなど計十三件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、国庫補助金により整備されたごみ固形燃料(RDF)化施設の運営に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続いて、平成二十二年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、補助金を過大に受給していたもの、事業を実施していなかったものなど計五件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、循環型社会形成推進交付金等による施設整備の交付対象となる経費に関するもの、二酸化炭素の排出抑制対策に係る補助事業の実施に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続いて、平成二十三年度環境省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、補助金で造成した基金の使用が適切でなかったもの、補助の対象とならないものなど計十六件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、浄化槽整備事業に係る浄化槽の規格に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

三宅主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。石原環境大臣。

石原国務大臣 平成二十一年度、平成二十二年度及び平成二十三年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。

三宅主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、環境省所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 これより復興庁所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。根本復興大臣。

根本国務大臣 平成二十三年度における復興庁所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 復興庁は平成二十四年二月に設置されました。

 歳入につきまして、歳入予算の計上はございません。

 これに対しまして、収納済み歳入額が百二十六万円余となっております。

 次に、復興庁所管の歳出につきまして、歳出予算現額は一兆三千百四十一億九千三百六十二万円でありまして、その内訳は、予算移しかえ増加額一兆五千六百六十六億八千四百九十八万円余、予算移しかえ減少額二千五百二十五億九千五百七十五万円、予算決定後移しかえ増加額一億四百三十八万円余となっております。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は二億七百八十万円余でありまして、一兆三千百三十九億八千五百八十一万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は一兆三千百一億七千三百三十六万円余であり、不用額は三十八億一千二百四十四万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

    〔三宅主査代理退席、主査着席〕

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十三年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

今村主査 以上をもちまして復興庁所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。林宙紀君。

林(宙)分科員 みんなの党の林宙紀でございます。

 今回、これが今国会では最後の質疑に立たせていただく機会かなというふうに思っております。根本大臣におかれましては、私も復興特別委員会の方で、恐らく五回ほど質疑をさせていただいております。本当に真摯な受け答えを毎回いただいておりまして、改めてそちらに感謝を申し上げたいなというふうに思います。

 大臣を初めといたしまして、復興庁の皆さん、そして政府あるいは関係省庁の皆様におかれましては、私は地元が宮城でございますが、東北の被災地におきまして本当に大変な御尽力をいただいていると、改めまして感謝を申し上げます。ぜひ、今後も引き続き、そのすばらしいチームワーク、そしてリーダーシップでもって被災地の復興を引っ張っていただきたいなというふうに思っております。

 また、本日は、厚生労働省、経済産業省、そして国土交通省からも審議官の皆様にお越しをいただいております。ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 さて、初めになんですが、現政権になりましてからいろいろなところで復興が加速したというような評価をいただいている、これは本当に事実でありまして、私たちみんなの党もここは率直に評価をさせていただいている。こんな上からのような言い方で失礼かもしれませんが、大変な感謝の気持ちを持っております。

 申しわけございません、これは通告には入れておりませんでしたが、復興大臣となられましてからここまで半年間、被災地の復興の状況に関して大変御苦労されたこともおありだと思いますし、一方で手応えを感じられたこともおありなんじゃないかなというふうに思っております。ぜひ、ここまでの御所見というか復興に対する御感想というか、そういったものをお聞かせいただけないでしょうか。

根本国務大臣 私も、復興大臣になってから心がけてきたこと、これは、現場主義に立って司令塔機能を強化する、各省庁の縦割りを排して横串を刺していく。

 私も、復興大臣になっていろいろ感じました。いろいろな問題、こういう課題があるという意見を聞きますが、そういう具体的な課題について、これは農林水産省でしょう、あるいはこれは国土交通省でしょう、そういうことをきちんと整理して、そして進めていく、実はこれが私は非常に大事だと思いました。

 復興大臣になってから、すぐに福島の体制強化で二本社体制もしきました。中期フレームも、十九兆円を二十五兆円に拡大しました。そして、具体的に復興加速策として、例えば、福島は福島特有の問題がありましたから、その特有問題に対応する復興加速策をまとめましたし、あるいは津波被災地での工場立地の補助金の拡大、さまざまな問題に取り組んでまいりました。

 林委員には、特別委員会でもいつも熱心な御議論、御提言をいただいて、私も感謝をしております。

 復興で大事なのは、各省庁にまたがりますから、当然、我々、復興交付金という自前の予算を持っていますが、やはり各省庁をいかに動かしていくか。

 例えば、住宅再建・まちづくりタスクフォース、先日もやりました。あるいは、今、例えば高台移転を加速するためには、用地取得から、文化財の問題、あるいは所有者不明の土地の問題、設計、施工と一連の事業が必要になってきますが、どこがネックになって、どこを短縮していけばいいか、それはやはり、タスクフォースで各省庁の局長を束ねて、みんなが同じ思いを共有して、一つ一つの制度改革、土地収用法の迅速化を含めてさまざまな制度を同じ思いで、意識で、具体的に解決してもらう、こういうことが復興庁としての司令塔強化ということだと私は思います。

 その意味では、被災地の皆さんに寄り添って、私も真心を原点に、丁寧に丁寧に、林委員と協力させていただいて、復興を加速化していきたいと思います。

林(宙)分科員 今大臣から真心というお言葉がございました。何より、心を通じさせることができるかというのが、実は、復興にかかわらず、行政をやっていく皆さんにとっては大変重要なことなんじゃないかなと思います。

 その意味で、詳しくは申し上げませんが、最近もいろいろと問題があって、大臣も御苦労されたんじゃないかなと思いますが、ほぼ全て、ほとんどの皆さんはそういった真心をお持ちになりながら取り組んでおられることだと思いますので、引き続き、ぜひそれをお願いしたいなというふうに思います。

 さて、きょうの最初の質問事項ということになるんですけれども、せんだって、三月十三日に衆議院の予算委員会で復興集中審議というものがございました。その当時、安倍総理大臣も含めまして御質問をさせていただいた内容に、いわゆる今唯一残っている避難所ということで、埼玉県加須市にあります旧騎西高校避難所、これは福島県双葉町の皆様が今入られているところだということで質問させていただいたと思います。

 あのときも申し上げましたが、避難所というのは、まさしく、災害が起こったときなどに、短期間の避難生活を余儀なくされたそのときに一定期間生活を行うための施設です。それについては大臣も、それはそのとおりですとおっしゃっていただいたんですが、今発災から二年三カ月、それを経ても避難所という形態で残っているのは、やはりいち早くこの解決に向かっていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに、いまだに私も思い続けているところです。

 三月十三日の根本大臣の御答弁のとおり、やはりさまざまな理由によって避難所を継続せざるを得ないというところは、もちろんそのとおりなんですね。あのとき、仮役場ですとか社会福祉協議会といったところがその避難所に隣接しているということもあって、役場との意思疎通が早い、あるいはさまざまな情報が入るというお話ですとか、唯一の避難所ということもあって、NPOさんなどによるイベントの開催など、いわゆる支援というのも大変充実している、そんなことも御答弁の中にあったと思います。

 これは先日、六月の十七日になると思いますが、双葉町の役場についてはいわき市に今度移転をされまして、一歩前進したのかなと私も感じております。

 一方で、御答弁にあったNPOによる被災者支援なども充実しているというのは、裏返すと、ほかに比較してそういう支援が必要な状態であるからという側面もやはり否めないんじゃないかなというふうに私は思っているんですね。

 その当時、私も議員になってからちょうど三カ月ぐらいのときだったので、いろいろ勉強させていただきつつ、率直に思っていることを、これはもう皆さん知っていることなのかもしれませんがということで改めてお伺いしたところもあるんですが、そのときに、国として何とか、地元だけではなくてリーダーシップを発揮していただけないものでしょうかということもお伺いしたときに、こういった趣旨の御答弁をいただきました。

 復興庁において、参事官の皆さんをヘッドといたしました連携チームがある、それを中心にして、町の意向もよく聞きつつ、さらには福島県ともよく相談をしながら、国として必要な支援に取り組んでいきたいと。

 あのときたしかテレビ中継が入っておりましたから、あれをごらんいただいた方々からも、非常に力強いお言葉をいただいたなという御感想をいただいております。

 それからここまで三カ月ほどが経過いたしまして、その後なんですけれども、この避難所に対して、福島県や埼玉県との協議などを含めて、国としてはどういった措置を講じられてきたのか、その経過をぜひお伺いしたいなというふうに思っております。お願いします。

根本国務大臣 林委員、あのときも問題点、論点を非常によく整理されて御質問をいただきました。私も、林委員の御指摘、そのとおりだなという思いで聞いておりました。

 避難所の取り扱い、これはやはり、双葉町が今回いわき市に移転をいたしますが、自治体の意向をよく聞いて対応することが重要と考えてまいりました。

 復興庁は、まあいろいろな省はありますけれども、復興庁の今回の取り組みの特徴は、参事官をヘッドとして関連するメンバーを連携チームにして、そして自治体担当の体制を整備しているんですね、市町村の担当制。これは、私は、現場に寄り添うという意味で非常にいい仕組みだと思いますが、その自治体担当の体制の連携チームのもとで双葉町とも今話をさせていただいておりまして、必要な協力を行いますと、町とよく話し合いをして、今そういうことも伝えております。

 双葉町においては、避難所の避難者に対して五月にアンケート調査を実施します、四月二十四日及び六月十一日に意見交換を行う、要は丁寧に避難者の意向の把握を進めておりますので、我々、福島県、埼玉県とも、双葉町、よく協議を進めておりまして、我々も十分に双葉町と協議、調整をしながら、必要な措置についてこれからもしっかり取り組んでいきたいと思います。

 大事なのは、双葉町の意向をよく確認する、そして福島県とも相談をしっかりして、国として必要な支援に積極的に取り組んでいきたいと思います。

林(宙)分科員 あの当時、たしか百三十名ほど、避難所には避難者がおられるというようなお話をさせていただいたと思います。今この避難所にどのぐらいおられるのかということで改めてお伺いしましたら、現在、大体百十名ほどということで、二十名ほどは外に、この避難所からまた別のところに、生活ができるようになったということだったので、このような形で少しずついい方向に進んできているかなというのは大変感じております。

 百十名と今申し上げましたが、そのうち、常時ここの避難所におられるというのは実は九十名ほどだそうで、そのほか二十名程度は、例えば、ここに荷物が今置いてある状況であり、ほかの、これから避難所を出て生活をする場所、あるいは知人のお宅といったところと行ったり来たりしている状態である。高齢者の方々あるいは介護が必要な方等もおられますので、そういった方々を行ったり来たりしながらサポートしたり、そういった方々も含まれるということではあるんだそうですね。

 こういった情報なども地元とお話をしていると細かく入ってきたりもしますので、ぜひ引き続き連携をとっていただきたいなというふうに思います。

 今申し上げたとおり、本当に高齢者の方々がほとんどでありまして、平均年齢にすると七十歳ほど、そこに近い年齢になられるということはいまだもって変わっていないということになります。

 今申し上げたとおり、要介護の方もいらっしゃいますので、三月の御質問のときは、根本大臣と同時に、田村厚生労働大臣にも、特に高齢者の方々あるいは介護が必要な方々に対してどのようなサポートができ得るだろうかというようなことを御質問申し上げました。

 これも非常に無理を申し上げたなと思うんですが、例えば、今までの制度設計の中には想定されていない、仮設住宅なんだけれども、そこに介護機能をつけたもの、そういったものがつくれないものでしょうかというような御相談も含めてさせていただきまして、さすがに田村大臣もお困りのところ、それでも御答弁の中で、できる範囲の中でどのようなお手伝いができるか、そういったことをこれから検討はしてまいりたいといった趣旨の御答弁をいただきました。本当に前向きだなというふうに私も感じながら、聞かせていただきました。

 その後、政府におかれましては、今言った、特に高齢者の方々あるいは介護の必要な方々、いわゆる福祉といった観点で、この避難所に対してどのような御検討をされているのかというところをお聞かせいただきたいというふうに思います。お願いします。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど復興大臣からもお答えがございましたが、避難所の解消に向けた取り組みにつきましては、双葉町あるいは福島県において、避難所住民の御意向も確認しながら検討されているというふうに聞いておりますが、仮に施設を整備するということでございましたら、小規模の高齢者施設、例えば特養などに対する、施設の整備については、国からの補助で県に設置しました基金によりまして補助する制度がございますので、施設によってはこのような制度の活用も可能であろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、地元、それぞれ避難住民の方の御意向も踏まえた上で、双葉町あるいは福島県から御相談がございましたら、そのお考えもよくお聞きしながら、対応については検討させていただきたいというふうに思っております。

林(宙)分科員 ぜひ検討を、言葉だけではなく進めていっていただきたいなというふうに感じます。

 先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、五月には、実は双葉町が、避難所解消後についてということで、この避難所におられる皆様にアンケートを行っておるわけですが、これを見ていると、避難者の皆さんの御要望というのはかなり多種多様なものに分化してきているなというのが正直なところです。全員同一でどんといった対応というのがもうかなり難しいんじゃないかなと率直に感じております。

 例えば、このアンケートの中では、ほぼ八割近くが解消後の生活の場の見通しが立っていない、あるいは、半数については、むしろ福島に戻らずに、今いる埼玉県加須市付近で生活をしたいという御要望もある中で、その先どういったところで生活を望むかといった場合には、公営住宅があったり、借り上げの住宅がいいとか、いろいろな御要望があったわけですね。

 そうすると、三月十三日の大臣のお言葉の中に、避難所に入ってからもう既に一定期間が経過していて、既に良好なコミュニティーが形成されているということだったんですが、これは本当にそのとおりで、この避難所において避難者の皆様の間でのきずなというのが非常に強くなった。

 例えばこれが入ったばかりのときであれば、単独でいろいろなところに出ていくという選択肢もあったんでしょうけれども、そこででき上がったコミュニティーというのが非常に強固なものですから、むしろみんな一緒でなければ出ていきたくないというようなマインドももう既に形成されている。本当にそのとおりなんですよ。

 そうなると、余り細かいところまでは無理だと思いますが、例えば、今言ったような、加須市に暮らしたい方、戻りたい方、その中でも、復興住宅に入りたい方なのか、借り上げのところに何らかの形で入りたい方なのか、そういった要望を大まかにまとめて、個別対応みたいなものも考えていかなきゃいけないようなステージになってきたのではないかと個人的には感じているんです。

 こういった個別の要望に応じた対応が必要だというふうに政府の方でも思われているのか、あるいは、その場合に、今の段階で、具体的にこのような形でできないかと考えておられることがもし何かあれば、ぜひ教えていただきたいなと思います。

根本国務大臣 私も復興大臣になって、委員がお話しのように、やはり復興はある程度時間の要素というのが大事なんだと思うんですね。加須市の避難所でも良好なコミュニティーが形成されて、そうなると、やはり最初のときと今と状況が変わってくるんだろうと思います。その意味では、今後の対応については、委員のお話のように、可能な限り被災者それぞれの実情に応じて行っていくということが非常に重要だと私も思います。

 今お話がありましたように、双葉町においては、アンケート調査をやっておりますし、意見交換会も行って、避難者の意向を丁寧に聞き取りながら今後の対応、検討を進めているという状況にあります。

 引き続き、我々も、やはり地元の意向が第一ですから、双葉町の意向をよく聞いて、福島県ともよく相談しながら、国として必要な支援に取り組んでいきたいと思います。

林(宙)分科員 ぜひともお願いをしたいと思います。

 避難所の方々のお話を聞いていると、最近妙なうわさというか、そういうふうに思い込んでいるんじゃないかなと思うんですが、ほとんど高齢者ということで、恐らく年金を受給されている、これはそのとおりだと思うんですね。そうはいっても、避難所でも当然お金というのはいろいろかかるわけでございまして、例えば、食事は弁当が基本なわけです。一日三食で千百円だということなんですね。千百円、結構だなと思いますが、実は、これを、食費を削るために一食しか食べないという方々も結構な数おられるんですよ。

 思い起こせば、私も三十歳前後ぐらいのときは非常に収入の低い時代がございまして、そのときに何を削るかといったら、確かに食費を削りました。当時スポーツをやっておったので体ももうちょっと鍛えられていたんですけれども、一日二百円で済ませてみようということで過ごしたときには、一カ月で五キロほど筋肉が落ちまして、一年とか二年かけてつくった筋肉が一カ月で失われる、何か積み上げた財産を失ったような、そんな気分にはなったんですが。

 そんなわけで、やはり食費を削るというところになってきてしまいますと、当然、健康に物すごく影響してくるわけです。

 双葉町というのは、御存じのとおり、放射線の影響でまだ財物賠償の査定なども行われておりませんし、収入に関しては、当然、高齢者ですからなかなか働きに行ける場所もないんだということで、むしろ今の段階においては生活保護という形もあり得るんじゃないかなというふうに私は思っていたんですが、どうやら、聞いてみると、避難者の間で、生活保護を今受けてしまうと、後で財物賠償とかそういった災害補償があるときに受けられなくなると聞いているんだ、だから申請がしにくいんだというようなことをおっしゃっているわけです。

 私はそれは違うんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、生活保護と賠償、これは別次元のお話だと思いますが、そのとおりかどうか、改めて確認をさせてください。

西藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 生活保護につきましては、その利用し得る収入、資産、その他あらゆるものを活用することを前提としておりまして、生活保護受給者に収入があった場合には、原則として、その分、保護費と調整する仕組みとなってございます。

 したがいまして、生活保護の制度としては、災害の補償とか賠償などを受け取ってはならないというような制度設計にはなっていないところでございます。

林(宙)分科員 安心しました。私も議員になってからいろいろと勉強を重ねているつもりなんですが、現場でそうだと言われると、そうなのかと、ちょっと疑念を抱いてしまうところももちろんございまして。

 そのような形でしっかりと確認をさせていただきましたので、この避難所の方々には、思い込みだよ、違うよということはしっかり伝えたいなと思います。

 この避難所を見ていて個人的に一番気になるのが、避難所にとどまりたい、むしろ能動的にとどまりたいというお気持ちの方が非常に多くなっているということなんですね。それはコミュニティーが形成されているからという先ほどの御説明のとおりですが、私としては、避難所という形態で残っていること自体がまず問題であるということで、議員になってからの期間、ずっとやってまいりました。

 当然、町の方でも、あるいは県の方でも、そして国の方でもいろいろと努力をされてきているものだと思うんですが、高齢者の受け入れ先となり得る福祉施設は順番待ちであったり、福島県と埼玉県の間でなかなか避難所解消後の受け入れ先というのも決められない状況が続いており、いろいろな理由があって、まさしく双葉町役場の皆さんも大変御苦労なさっているなというのを正直に感じます。

 ただ、やはり、地元と国が一体となっている協議会などもあるということで、ずっとやってきておられるということなので、そこはぜひ大臣、避難所の解消といったところに向けて、引き続き一層お力添えをいただきたいなというふうに思います。

 話は少しかわりますが、最近報道でいろいろとにぎわっておりますのが、やはり福島第一原発の汚染水問題というところだと思うんですね。国としても、本当に最大限努力をされてきていると思うんです。

 私は、汚染水の報道に触れるたびに、地下水が原子炉建屋に流れ込んできてしまう、それをとめなきゃいけない、これは大前提だと思うんです。ただ、そこがなかなか、時間もかかるんですよというふうにお話を聞いていまして、たしかあと二年ぐらいかかるんでしょうか。そうなると汚染水はたまっていく一方だ。何がその次に問題なのかなというふうに考えますと、多分、その汚染水が漏れないようにする処置というのが結構大きな懸念事項だと思うんです。

 ただ、汚染水を貯蔵するタンクというのは、鋼鉄製という大変大きい、重い、そういうものであって、非常に扱いにくいんじゃないかなというのが正直な感想でして、この汚染水を漏らすことなく、かつ、もう少し保管しやすい形態というのはないのかなというふうに考えていったときに、たまたま思い浮かんだのが、高分子ポリマーという素材がございますね。いわゆる紙おむつなんかに使われているあれでございます。ああいったものに一時的に吸収させるというのはどうなんだろうかというふうに思いました。

 これは、例えば、鋼鉄タンクの周りに敷いて、何か漏れがあったときに吸水するという手も使えると思いますし、そもそも、今鋼鉄製のタンクに入れる水を全部そのポリマーに吸水させてしまって、そうすると何がいいかというと、今後鋼鉄製のタンクはつくらなくてよい、あいたそばから水をそこに入れていけばよい、そういうことになるわけです。

 当然そのポリマーというのも膨大な量になりますから、大変は大変なんですけれども、少なくともタンクよりは運びやすいですし、そういったものを保管する建物を一個つくっておけば何とかなるんじゃないかなと。後で加熱すると水が出てきますので、そういうことも使えるんじゃないかなと思うんです。

 いわゆる液体というのは大変扱いが難しいわけですよ、自由に動きますからね。こういった液体の状態で保管をしてきているのに合理的な理由というのがあるのかどうか、あるいは、私が今申し上げたような思想というのはこれまで議論の中に入っているのかどうか、そこをお伺いしたいです。お願いします。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃったように、福島第一原子力発電所の地下水問題というのは非常に大きな問題になっておりまして、これ自身の解決というのが、今後の廃炉に向けての作業にとって大変重要な位置を占めているというふうに認識してございます。

 現在、福島第一原子力発電所の汚染水につきましては、まずは、セシウム吸着装置というもの、それから淡水化処理設備等で処理をして、それで最後、タンクにためていくというような形をとってございます。

 今後、万が一の漏えいに備えまして、さらに、多核種除去装置でストロンチウム等の放射性廃棄物を除去した上で、最後、線量を低減させてタンクにためていくという形でためていくのが今後の予定となっております。

 そういう意味では、今申し上げた、多核種除去装置をもう一回通してやっていくというようなことがございますので、現段階では、やはり水の形態で保管をしないと難しいというふうに思ってございます。

 今御指摘いただきました吸水性ポリマーの活用ということにつきましては、汚染水を完全に吸収できるのかということ、それから、今お話がありましたように、吸収した後の廃棄物の処理をどう考えるのかということ、それから、最後、濃度が低減した場合、再度水に戻していきたいというときに、本当に容易に水に戻せるかとか、さまざまな検討課題があるというふうに思ってございまして、現段階では、高分子ポリマーの活用というのは検討の俎上には上っていないというふうに聞いてございます。

 ただ、汚染水の漏えいの影響というのはさまざまなところで報道され、御心配をかけているという状況でございますので、まずは、万が一の漏えいに備えて、タンクの下にはコンクリートの堰をつくるというようなこととか、それから、タンクが漏れるということでは、パネル溶接を活用したタンクを活用するなど、さまざまな対応策をとっていって、御地元の心配がないような形にさせていただきたいというふうに感じてございます。

林(宙)分科員 ありがとうございます。

 私も、本当にこれはジャストアイデアの部分ももちろんございますので。ただ、こういった形でいろいろなアイデアを組み入れながら、最大限の効果を発揮していただきたいなというふうに思っております。

 最後の質問になりますが、これは建築関係のお話になるんですけれども、実は、被災した東北の沿岸部のうち、結構沿岸部に近いにもかかわらず残っている建物というのが幾つかありまして、そのうち多いのが、一階部分がピロティー構造になっているもの。イメージでいうと、東京に多いと思うんですが、一階部分が駐車場になっている形がありますよね、要は、一階のところが柱だけで成立している建物ということになります。

 あれは、津波が来ても、津波が通り抜けていくということで、ほとんど衝撃がその部分には与えられないということで、実は、津波を受けたところでも、一階がこういった形でピロティーの構造になっている場所は翌日から普通に生活ができているというようなこともございます。

 ちょっと確認をさせていただきたかったのは、今後、沿岸部の建築物に関して、いわゆる津波対策という点からいって、このピロティー構造の効果を考慮した建築指針等はあるのでしょうか。お願いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、東日本大震災における津波による建築物の被害調査を踏まえて、津波に耐えられるような建築物の構造の基準、避難スペースの高さ等について技術的検討を行い、平成二十三年十一月十七日に、暫定指針等を取りまとめて、地方公共団体に通知をしております。

 この指針の中で、御指摘のピロティー部分には津波による力が加わらないことから、津波に対してより安全な構造であるということを評価できる基準としておるところでございます。

林(宙)分科員 もう各自治体で整備計画等も進んできておりますので、これをこれから計画の中に入れていこうというのは、これはこれでまた難しいかもしれませんが、こういったことも積極的に考えの中に入れていっていただくことでまた違った解決策も出てくるかもしれません。ぜひ、そういったところも含めまして、復興大臣、復興庁の皆様、それから政府、省庁の御関係の皆様に、引き続き東北の復興にお力添えをいただきたい。私も頑張ってまいりたいと思います。

 では、時間が来ましたので、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今村主査 これにて林宙紀君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして復興庁所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

今村主査 これより内閣所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十一年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十二億二百四万円余に対しまして、収納済み歳入額は十三億三千百六十万円余であり、一億二千九百五十六万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千四十三億七千百六十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は九百六十一億八千四百四万円余であり、八十一億八千七百六十二万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は五十九億五千三百五十六万円余であり、不用額は二十二億三千四百六万円余であります。

 次に、平成二十二年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十三億一千百二十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は七億一千九百五十四万円余であり、五億九千百六十九万円余の減少となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千二百八十五億七千七百十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は千八十四億九千五百二十一万円余であり、二百億八千百九十一万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は百三十九億六千五百三十七万円余であり、不用額は六十一億千六百五十三万円余であります。

 次に、平成二十三年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額十五億七千六百二万円余に対しまして、収納済み歳入額は十七億五千六百二十九万円余であり、一億八千二十七万円余の増加となっております。

 次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千三百五十三億七百七十八万円余に対しまして、支出済み歳出額は千二百七十二億百二十五万円余であり、八十一億六百五十二万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は三十億三千三百十五万円余であり、不用額は五十億七千三百三十六万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、府省共通業務・システムの最適化計画の実施状況等に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続いて、平成二十二年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、情報収集衛星の研究、開発等に関する委託契約等における契約金額を確定させるための調査等の実施状況等に関するもの、人事・給与等業務・システムの最適化の状況等に関するもの計三件につきまして検査報告に掲記しております。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。山本国務大臣。

山本国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項のうち、平成二十一年度決算の府省共通業務・システムに関するものにつきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、担当府省において、障害対策計画の策定や、システムの統合・集約化に向けた見直しなど所要の措置が講じられたところであります。

 今後は、費用対効果を踏まえた府省共通業務・システムの構築等を図ることができるよう、去る六月十四日に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言に基づき、システム構築の投資額や業務の外部委託費等も考慮したIT投資計画の策定などの所要の措置を講じてまいる所存でございます。

 また、平成二十三年度決算の人事・給与等業務・システムに関するものにつきましては、最適化効果の早期発現に向け、アプリケーションの品質確保及び円滑な移行作業に資するため、担当府省である人事院と参加府省との間において連絡会議を開催し、十分な協議、調整や情報共有が行われるよう必要な助言を行うなど所要の措置を講じているところでございます。

今村主査 次に、菅内閣官房長官。

菅国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣衛星情報センターにおいて、契約金額を確定させるための調査の実施要領及び実施体制を整備するなど、再発防止のための所要の措置を講じたところであります。

 今後、予算の執行のより一層の適正化を図ってまいる所存でございます。

 また、人事院においては、全府省等に人事・給与等業務・システムの早期の導入を図るため、システムの安定的な運用に取り組んでいるところであります。具体的には、参加府省等との調整を行いながら、アプリケーションの品質改善、移行作業のための情報共有等を行っているところであります。

 今後も、システムの安定的な運用などに、より一層取り組んでまいる所存でございます。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三宅博君。

三宅分科員 日本維新の会の三宅博でございます。

 今回もやはり、国政の最大課題である拉致問題について質問をしたいと存じます。

 我々の年代になってくると覚えている方がいらっしゃると思うんですけれども、一九六〇年代の当初といいますか、当時、大みそかのNHKの「ゆく年くる年」、これは今もやっているんですけれども、この「ゆく年くる年」の中で、日本海の海岸で家族がたたずんで朝鮮半島の方を向いた姿をテレビがずっと映しているんですね。そこでは、李承晩ラインといいますか、韓国に拿捕された漁船員の御家族が家族の帰りを待っている、そういう姿が例年、NHKの「ゆく年くる年」で放映されておりまして、子供であった私たちも、非常に理不尽な思いといいますか韓国に対する大きな憤りを感じておりました。

 ところが、先日、五月二十八日付の産経新聞で、北朝鮮も軍が組織的、計画的に日本の漁船員を海上において拉致してきた、しかも相当数被害者が出ているというふうなことが報道されまして、当時から、単に韓国のみならず、北朝鮮も日本海の海上等で、あるいは太平洋もあったかもわかりませんけれども、多くの漁船員を拿捕、拉致していったんだな、南北ともに日本人をそういうふうに連れ去っていったのかなというふうな思いを新たにして、非常に強い憤りをまた感じたりいたしました。

 それで、北朝鮮人民軍偵察局による海上日本人拉致についての新聞報道を受けて、我々は過去の認識を今言いましたように改めなくてはならない。拉致の主体は軍と党の二本立てであり、しかも、舞台は海と陸の両方がある。合計すると拉致被害者数や犠牲者数は大幅にふえると思いますけれども、そのあたりの大臣の認識をお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 今、御承知のように、政府が認定している拉致被害者は十七人でございますけれども、私どもも、それ以外にも拉致を否定できない事案というのはあるというふうに認識をいたしております。だからこそ我々が今度、安倍内閣のもとで、政府認定の有無にかかわらず全ての拉致被害者を取り戻す、実はこれを大方針にさせていただいているんですね。

 今その中では、委員の御指摘がありましたように、海難事故として処理、対処した中にも拉致の疑惑が払拭できないものもあるかもしれない。こういうようなことで、私も、過日記者発表させていただいたように、これは海上保安庁と警察との連携が極めて大切ですので、今連携をして再調査の徹底の指示をさせていただいて、海上保安庁とも緊密な連携をしてやっているところでございます。

 いずれにしても、我々は、政府の基本方針は、冒頭にも申し上げましたように、全ての拉致被害者を取り戻すということが私たちの目的であります。

三宅分科員 大臣、今その認定の有無にかかわらず我々は取り組むんだということなんですけれども、これは国民の側からしますと、認定がある十三件十七名、この方たちの印象と、認定のない、ほかの多くの特定失踪者と言われる方々と、やはり非常に濃淡が出てくるんですね。認定制度といいますか、こんな制度、これは公式のものかどうかわかりませんけれども、このことによって全体像が国民の目の前にかえってわかりにくくなっている部分もあるんじゃないかなというふうに思います。

 先日、大臣がテレビのインタビューでお答えになっていらっしゃったのを私ちらっと見たんですけれども、今回の産経新聞の報道に該当するであろう寺越さんの事件、これは昭和三十八年五月に日本海で起きた事件なんですけれども、大臣はそちらへ、現場視察へ一度行きたいというふうにおっしゃっていたんですけれども、それは実施されるのかどうか。

 それから、今の認定の話になってくるんですけれども、寺越さんの方は、昭二さんというのが当時の船長といいますか、おいごさんの武志さん、武志さんは、北朝鮮に連れていかれて、いや、嵐で事故に遭ったんだ、それを北朝鮮の船によって助けられて、今、共和国で私は幸せに暮らしている、だから、私は日本に帰りたくないし、これは拉致ではないんだということを言っている。お母さんはそれに乗って、これは拉致じゃない、だから拉致認定を望んでいないということで、たびたび北朝鮮へ、数十回から百回以上行っていらっしゃるのかわかりませんけれども、お母さんは友枝さんですかね、行っていらっしゃる。ただ、船長の昭二さんの御子息、この方は、テレビでもおっしゃっていたんですけれども、いや、これは北朝鮮の拉致だ、今度大臣がもしお越しになれば認定を強く求めたいということをおっしゃっていたんですけれども、これをどのようにお取り扱いになられるかどうか、この二点、ちょっとお聞かせください。

古屋国務大臣 寺越事案につきましては、あれは五月の末だったですか、ちょっと正式な日付は覚えていないんですが、御家族の方が大臣室にお見えになりまして、いろいろお話を承ったんですよ。そのときに、御家族の方から、ぜひ一度来てほしい、そういう要請書も実はいただいたんですね。そこで、今週末、私、出張させていただいて、拉致関係の大会等もございますので、お伺いをさせていただく予定にいたしております。

 私の考えは、全ての拉致事案については、できるだけ現場に足を運ぶということを徹底しております。過去にもしております。どうしてか。それは、昭和三十八年の事件ですから、あるいは、もっと前の事件の場合は現場の風景が変わっていたりしますけれども、しかし、現場を見ることによって当時の状況をしっかり自分の心の中に刻み込むというか、これはすごく大切なんですよね。私はそういう認識でおりますので、現場もしっかり行きたいと思っております。

 この寺越事案についても、拉致の疑いは払拭できない。しかし、では現実に政府認定なのかということになると、そこにまでは至っていない、こういうことでありますので、引き続きしっかりその検証は進めていく必要があるという認識を持っております。

 今御指摘があったように、御家族の方で少し考えが違うということも私どももよく認識しておりますが、しかし一方では、やはりこの寺越事件というのは、石川を初め、その地域で昔からある意味で大変象徴的な事案として取り扱われているという実態もございますので、私どもはしっかりその辺を認識しながら週末現地に足を運ばせていただきたい、こう思っております。

三宅分科員 同じ事件であって、家族によって思いが違うという部分で、非常に難しい部分もあると思いますけれども、この辺のところは、ちょっとでも事件の解決につながるような方向で御判断いただければというふうに思っております。

 それから、今大臣が、できる限り現場に足を運びたいと。私も、相当数現場をずうっと回っております。やはり現場へ行けばわかることというのは非常に多くあるんですね。現場が語るといいますか、そういうふうなことで、なるほどなというふうに、現場へ行ってすとんと落ちるというところがありますので、これはもうどんどん現場へ行っていただけたらというふうに心から願っております。

 次に、昭和四十二年の圭運丸事件。この間も国土交通委員会でこの件もお聞きしたんですけれども、沈没船の捜索について、海上保安庁の方は、どういう形でできるかどうかちょっと検討したいというふうにお答えいただいたんですね。これは当時、漁協あるいは海上保安庁が大捜査をしたんですけれども、その際に、御家族の方が聞いた海保の方の発言が非常に気になったんですね。それは、海保の方は、この沈み方を見ると、どうも作業中、漁をしているときの沈没ではないというふうに海保の職員さんがおっしゃった。穴があいて、横転せずに、転覆せずにそのままの形でずうっと沈んでいったということなんですけれども、この捜索についてどのようにされるのか、もう一度お尋ねしたいと思っております。

桝野政府参考人 せんだっての国土交通委員会でも長官の方から答弁させていただきましたが、私どもは、今回の報道等を受けまして、広く言えば、六万九千件の海難事故から濃淡をつけまして、めり張りをつけて調査をして、深掘りをしていきたい。そういう中で、委員御指摘のような案件も含まれてございます。

 これを引き揚げるか引き揚げないかにつきましては、いろいろな私どもの調査の仕方がございます。そういう意味では、総合的にいろいろな方から意見を聞いたり、警察との情報の交換をし、突合し、連携をし、そういう中で問題があるということについては深掘りしていきますので、今委員の御指摘のようなことも踏まえながらいろいろと対策をとってまいりたいと思っております。

三宅分科員 よろしくお願いいたします。

 圭運丸というのは、北海道の雄武町というところでのことなんですけれども、雄武町で住んでいらっしゃった、紙谷さん御一家は。お子さんが、男三人、女性四人。その男の子三人とお父さんと、一挙に家族から男性全てがいなくなったというふうなことで、非常に残酷な話だなというふうに思いますね。

 ところが、その同じ雄武町で、当時、「日の出」という割烹があって、紙谷さん、船長、お父さん、紙谷慶五郎さんですかね、しょっちゅうそこへ行っていた。ところが、そこに渡辺秀子さんという方が勤めていらっしゃって、この方は、その後、北朝鮮の高大基という工作員と結婚して、子供二人をもうけたということなんですね。

 北海道の雄武町でいなくなった紙谷さん、そのお父さんがたびたび行っていた割烹に勤めていらっしゃった渡辺秀子さんが工作員と結婚し、子供二人をもうけた。その子供も後に、警察庁が断定して、これは北朝鮮の拉致だというふうに言っているんです。そこに非常に不気味なものを感じるんですけれども、警察はそのあたりのことをどの程度把握されていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、今御指摘のありました渡辺秀子さんのお子様二人、高敬美さん、高剛さん拉致容疑事件に関する捜査の中で、渡辺秀子さんの所在を含め、関連情報の収集に努めているところでございます。また、警視庁におきましては、平成十五年の一月に渡辺秀子さんを殺人等の被害者とする告訴状を受理しておりまして、引き続き捜査を行っているところでございます。

 警察におきましては、委員お尋ねのように、紙谷慶五郎さんと渡辺秀子さんに接点があったとの情報があることは承知しておりまして、現在、あらゆる可能性を視野に入れ、所要の捜査、調査を行っているところでございます。

 今後とも、御家族の御協力を得ながら、本件事案の解明のために海上保安庁とも連携しつつ、関連情報の収集あるいは証拠の積み上げに努めてまいりたいというふうに考えております。

三宅分科員 これは、前に予算委員会でもお示ししました特定失踪者問題調査会が作成しましたポスターですね。ここに今の寺越さんの三名の方々であるとか、あるいは高敬美、高剛、このお二人の写真等も掲示されているんですね。

 それとあと、これは、一九八三年、昭和五十八年に、京都の舞鶴でいなくなったといいますか、海上で、漁の中でいなくなった松本重行さんですね。それから、同じように、一九八八年の八月に、これは鳥取の方だったと思うんですけれども、矢倉富康さんも漁の最中にいなくなったんですね。

 ここでちょっと注意をして、続いてこの関連をお尋ねしたいんです。

 それは、今申しましたように、照和丸の松本重行さん、これは沖合数百メートルで海岸から見える、見えていたんですね、何かほかの船が近づいたというふうなことなんです。あるいは一九八八年の矢倉さん、一世丸事件ですね。この矢倉さんは、精密機械マシニングセンターといいますが、金属加工、これの高度技能保有者であった、非常に熟練した技術者であったんです。これらにかいま見る北朝鮮の拉致事件における計画性をどのように考えていらっしゃるか、お答えをいただきたいんですね。

 それは、松本さんの場合は漁師であって、海岸沿いの地形であるとか、あるいはどこに暗礁があるとか、そういったことに非常にたけている。北朝鮮からしますと、日本に対する潜入ポイント、どこからどういうふうなルートで入れば非常にいいか、安全か、入りやすいかということを漁師から聞くというのは一番合理的ですよね。矢倉さんは金属加工の非常に高度な技術を保有しておった。北朝鮮にとっては喉から手が出るほど欲しい技術者なんですね。

 ここに出ております多くの特定失踪者、これは公開の分の二百七十名ほどなんですけれども、ここで特徴的なのは、ある一定の職業であるとかこういった方々がグループとして分けられるんですね。

 では、その職業はどういったものかといいますと、一つは、男性の場合ですと、印刷関係、印刷工ですね、非常に高度な技術を持った印刷工。これは北朝鮮にとってはどのような活用方法といいますか利用方法があったのかといいますと、やはりスーパーK、にせ百ドル札の作製、印刷、これにかかわる北朝鮮にとっては非常に必要な人材をどうも計画的に拉致したのではないかなというふうにうかがわれるんですね。

 それから、女性の場合は看護師さんですね。これは佐渡の曽我ひとみさんもそうなんですけれども、あと何名か看護師さんの方もいらっしゃる。あるいは、女性でいいますと、編み物関係が非常に、何か編み物教室に通っていたとか、こういった方もいるんです。

 そこに北朝鮮の拉致における計画性というものがあるみたいに思うんですけれども、そのあたりはどのように考えていらっしゃるのか、これもお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の松本重行さんに係る事案につきましては、昭和五十八年、京都府舞鶴市で、漁船で出港して行方不明になった事案、それから、矢倉富康さんに係る事案につきましては、昭和六十三年八月、米子市で、漁船で出港して行方不明となった事案だというふうに承知しておりますけれども、この両事案につきまして、警察としましては、北朝鮮による拉致を含めたあらゆる可能性、あるいは計画性などを視野に入れまして、所要の捜査、調査を行っているところでございます。

 詳細につきましては、個別具体の捜査、調査に係る事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

三宅分科員 お答えにはならなかったけれども、当然、そのあたりの計画性、向こうの意向、こういった部分については十分に理解されていると私は考えておりまして、今そのような理由でお答えはできない、その辺のところも私も理解をしております。

 次に、市川修一、増元るみ子さん。これは昭和五十三年の八月十二日、鹿児島の吹上浜で拉致をされた。これは政府認定被害者の方々なんですけれども、この事件に関する新たな証言が入りまして、そのことについて、ちょっとまた警察の方の認識を問いたいんです。

 実は、特定失踪者問題調査会の主催によります現地調査というのが五月の十八、十九でしたか、九州の福岡県で行われました。そのときに、鹿児島からある方にお越しいただいて証言をしていただいたんです。

 これは吹上に住んでいらっしゃる方で、当日、吹上から鹿児島に用事で車で行った。そのときに、市川修一、増元るみ子さんが乗ったであろうと後刻わかったんですけれども、その車とすれ違ったんですね。市川修一さん、増元るみ子さんの車は暴走族のオートバイ十台ぐらいにずっとつきまとわれていた、それで非常に覚えていた。自分が鹿児島市内での用事を済ませて吹上浜へ帰ってきたら、まさにその車が海岸に放置されていて、中にはいなかったということだったんですね。

 その証言をされた方、Sさんというんですけれども、当時三十歳だったですから、今六十歳ぐらいになっていらっしゃるんですかね、この人が、あの二人の失踪は、失踪したことは当時もう有名だったので、あの失踪は暴走族のしわざだということをちょっとお話しされていた。それを聞いた警察関係、これはその証言者ともともとの知り合いの警察官だったんですけれども、そのSさんのところへ来られて、いろいろと事情聴取をされたんですね。

 そうしたら、そのときにSさんが、あれは暴走族にやられたんだということを言ったら、警察の方、現場の警察官が、いや、そうじゃないんだ、あれはもう調べがついている、暴走族のしわざじゃない。鹿児島弁で言うと、こいは北朝鮮のしわざじゃっとよ、こういうふうな言い方で、これは北朝鮮のしわざだということを現場の警察官が言明したということなんですけれども、これについて警察の方はいかがお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとまたお聞きしたい。

 それは、個別の事案についてとかいうふうなことをまたおっしゃるかもわかりませんけれども、できる限り誠意を持ってお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 昭和五十三年八月に鹿児島県で発生しました市川修一さん、増元るみ子さんを被害者とする拉致容疑事案につきましては、現在、事案の解明に向けて関連情報の収集と捜査に全力を挙げているところでございます。

 この事案に関し、鹿児島県警の警察官が、事案発生当時に北朝鮮の犯行であるとの認識を示したとの情報につきましては、我々としても承知しているところでありますけれども、個別具体の捜査にかかわる事柄につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

三宅分科員 わかりました。ないしょで聞かせていただける機会があれば、また聞かせてください。

 次に、各県警のホームページに特定失踪者情報を公開しようというふうなことで、警察庁の指示がされていると思うんですけれども、そのあたりの具体的な内容と現在の状況、これをちょっとお聞かせいただけますか。これは、こういう拉致事件の全容を多くの国民に知ってもらい、情報を得て、また解決につながる非常に重要なステップの一つであると思いますので、お聞かせください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、拉致の可能性を排除できない事案の解明のために国民の御協力を得ることが極めて重要であるというふうに認識しております。

 現在、委員お尋ねのホームページへの掲載を含めまして、どのような広報啓発が適切か検討しているところでありまして、都道府県警察とも連携しつつ、必要な準備を進めているところでございます。早期に具体的な措置の内容及びその状況について公表できるよう、速やかに準備を行ってまいりたいというふうに考えております。

三宅分科員 続きまして、特定失踪者問題調査会の方では、短波放送「しおかぜ」、ここにも下の方に「しおかぜ」と大きく載っておりますけれども、これは、北朝鮮に向けて、日本語、朝鮮語、英語等で家族の被害者に対する声を届けたり、あるいは事件の概要を放送したりというのをずっとやっているんですけれども、やはり、短波放送では短波の受信機でないとこれが聴取できないという限界みたいなものがあるんですね。

 この部分については、NHKが非常に調査会に対して協力的にやっていただいているそうなんです。短波もいいんですけれども、やはり中波の方、一般の電波を使って、この方が北朝鮮ではラジオを持っている人も多いと思うんですね。

 さっき短波というふうなことを申しましたけれども、特定失踪者で斉藤裕さんという方がいらっしゃるんです。実は私と同い年で、昭和二十五年生まれの方で、彼が十八歳のときに拉致されたであろうと思うんですけれども、北朝鮮で目撃証言もあります。こういう方が何人かいらっしゃるんです。私と同い年の男性、高校卒業時前後にいなくなったという方なんですね。

 この人は、どうも北朝鮮で短波放送を聞いていたみたいなんですね。その中で自分の名前が連呼されていたということを聞いた。それがどうも北朝鮮当局の方の耳に入って、彼が更迭、左遷といいますか、飛ばされたみたいなんです。

 そういうふうなこともあって、この短波放送も非常に有益なんですけれども、単に短波放送のみならず中波も使うことができればいいなと思うんです。NHKの第二放送、これも夜中に使っていない時間帯があるんですね。こういう部分を活用するということはできないのかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。

久保田参考人 お答えいたします。

 NHKのラジオ第二放送ですけれども、これは日本国内に向けて電波を送信しております。したがいまして、北朝鮮等の諸外国で当該電波をどの程度受信できるかについては、私どもは、現時点では不明ということでございます。

 また、ラジオ第二放送の送信設備でございますけれども、これは周波数を固定して設計、製造しております。現在の設備では、周波数を変更して運用するという形にはなっておりません。これを別の周波数で送信できるようにするためには、ほとんど新しい送信所をつくるのと同じくらい大規模な設備の改修が必要になってまいります。

 このため、NHKのラジオ第二放送の送信設備を利用する形態での実施はなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

三宅分科員 それはいろいろと難しい御事情はあるのはわかりますけれども、さっき言いましたように、この短波放送一つとっても、非常に有益であって結果につながっているであろうというふうに思われる部分がかなりありますので、中波の部分も、これは国政の最大課題であると安倍総理も古屋大臣もいつもおっしゃっているこの事件に鑑みて、その辺のところはやはり御協力をいただきたいというふうに思います。御検討くださいよ、本当に前向きにね。

 それから、最後に、拉致事件の全容解明と解決に向けての大臣の決意、もう一度ちょっとお聞かせいただきます。大臣自体は非常に強い思いを持っていらっしゃる、これはもう私もひしひしとわかっておりますけれども、お願いいたします。

古屋国務大臣 これは、委員からも以前も御質問いただいており、私もあらゆる機会を通じて、この内閣の最重要課題の一つはこの拉致問題の解決であると。総理自身も、自分の任期の間に必ずこの問題は解決をさせる、被害者の御家族と被害者が抱き合う日が来るまで私の任務は終わらない、ここまではっきり言った総理は多分いない、初めてだと思います。私もそれに呼応する形で、私が最後の拉致問題担当大臣になるんだ、その覚悟で頑張っております。

 具体的に、その活動も相当強化しています。対策本部の強化であるとか関係各国への働きかけ、あるいは、首脳会談をしたときに、総理も全てこの拉致問題に言及していますね。

 この前のサミット、G8のときにも、実際にその共同宣言の中にも北朝鮮の拉致問題も含まれましたし、また、それ以前に行われたV4プラス日本、ここでも、ポーランド等々、北朝鮮との国交がある国々でございますので、そういったところとの共同宣言でも拉致問題についても言及をしているということであります。

 我々の基本方針、八つ項目がありますけれども、その八番目に、これ以外にもありとあらゆる手段を講じていくんだ、こういうバスケットクローズもついておりまして、私どもは、その考え方にのっとって、今後ともこの拉致問題解決、被害者全員を取り戻す、実行犯の引き渡し、原因の究明、これに向けて全力で頑張っていく、政府を挙げて頑張っていく。それは、与党であろうが野党であろうが。例えばこの本部の中に与野党連絡協議会をつくった、初めてですよ、これは。こういうことをやっているということからしても、三宅委員も、拉致問題には大変御関心があって、なおかつ積極的な活動をいただいておりますので、ぜひ御協力をお願い申し上げたい。

三宅分科員 さっき、警察の方、現場の警察官が、これは北朝鮮のしわざじゃっとよと言明された、これは、単に鹿児島県警のみならず、多くの拉致事案について、現場の警察官は、どうも北朝鮮のしわざであるというところをかなり理解していた、知っていたと思われることがいろいろとやはり聞こえてくるんですね。

 それから、海上保安庁のこともそうなんですけれども、海上保安庁も、多く海上で日本人が拉致されているということを現場の最前線の人間はどうも知っていたんじゃないか。ただ、それにストップをかけてきたのが、政治の方、上層部といいますか、これは最終的には政治の判断で、現場の人たちが知っているにもかかわらず行動できない。現場の方々は長年相当悔しい思いをされてきたと思うんですね。

 拉致問題一つとってもそうなんです、あるいは外交、安全保障、そうなんです。やはり日本は、戦後日本という非常に、何といいますか瑕疵のある、そういうふうな形態から脱却して、一刻も早く主体的国家運営、日本のことは我々日本人が決めるんだ、いろいろな外国からの日本に対するいわれなき攻撃やら、あるいは容喙、こういったものは排除して、日本のことは我々日本人が決めるんだというふうな主体的国家運営が実現すれば、この拉致問題も一挙に私は解決に向けて動き出すのではないかなというふうに思っておりますので、大臣、またその辺のところをよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

今村主査 これにて三宅博君の質疑は終了いたしました。

 次に、國場幸之助君。

國場分科員 本日は、貴重な機会をありがとうございます。沖縄一区の國場幸之助です。

 私は、本日、海洋国家について質疑をしたいと思います。

 山本大臣には、沖縄担当としても大変お世話になっております。

 沖縄の振興ということと、また日本全体の国益ということを考えたときに、やはり沖縄の優位性というものを最大限に生かしていかなければいけないと考えております。その一つが、沖縄も、また日本も海洋国家であり、海洋大国であるということに尽きると思います。世界第六位の排他的経済水域を持ち、世界で唯一、海の日を祝日と定め、海の恵みに感謝をし、国の発展の礎としている。このことは、これからも変わらない日本の国是であると考えております。

 そこで、海洋基本計画の意義と課題についてお尋ねしたいと思います。

 平成十九年四月に海洋基本法が成立して、その翌年の平成二十年三月に海洋基本計画が閣議決定されました。基本法では、海洋基本計画を五年ごとに見直すとされております。平成二十五年度からの新たな海洋基本計画が策定されておりますが、海洋基本計画の意義と、平成十九年に策定された基本計画の総括をお尋ねしたいと思います。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 海洋政策の重要性については、海洋政策担当大臣として、國場委員と全く同じ問題意識を共有しているということをまず申し上げたいと思います。

 平成二十年に閣議決定した海洋基本計画に基づいて、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画や、あるいは海洋再生可能エネルギー利用促進に関する今後の取組方針の策定、実施、それから、海賊対処法及び低潮線保全法の制定、大陸棚限界の延長等に取り組んでまいりました。

 一方、計画策定後五年を経て、東日本大震災後のエネルギー政策の見直し、海洋権益保全をめぐる国際情勢など、我が国の海洋をめぐる環境は、御存じのとおり大きく変化をいたしました。これを踏まえて、さらなる海洋立国を目指すために、前計画の実施状況を十分に検証した上で、各施策のさらなる充実強化、重点化、効率化を図ることとしております。

 具体的に申し上げますと、正確に申し上げたいと思いますが、四月に閣議決定した海洋基本計画では、これまでの対応が十分でなかった施策や新たな課題に対応すべく、一、海洋再生エネルギーや資源開発関連産業などの海洋産業の振興、創出、二として、国境離島の保全、管理及び振興の推進、三として、排他的経済水域等における包括的な法体系の整備、こうした取り組みを行うことといたしました。さらには、海洋に関する人材育成も大事な側面だと思っております。この人材育成とか国民の理解の増進についても引き続き取り組むということにしております。

 海洋基本計画は海洋立国日本を実現していくための指針となるものだというふうに思っていますので、今後、海洋政策担当大臣として、これを一つ一つきちっと実現してまいりたいと思います。

國場分科員 ありがとうございます。

 山本大臣から御答弁がありましたが、やはり国境離島の保全というものが非常に大事だと考えております。

 その中で、次に日台漁業協定についてお尋ねしたいと思います。

 海洋国家日本にとって、海を守るということは、すなわち国境の海を守ることであると考えております。四方を海に囲まれた日本は、隣国と尖閣諸島や竹島、北方領土など、多くの侵犯の危機に見舞われていると言っても過言ではありません。沖縄の地元の漁民の話では、国境の海を守っているのは政府だけではなく我々なんだという声を多く聞きます。

 そこで、お尋ねします。

 五月の十日に発効した日台漁業協定について、台湾は友好の国でもありますので、日本と台湾が共同で操業するという信義のもとで締結された特別協力水域、二カ所ありますが、そこの現状と今の操業実態についてお尋ねをします。

    〔主査退席、三宅主査代理着席〕

柄澤政府参考人 お答え申し上げます。

 日台民間漁業取り決めの実施に必要な法的措置が講じられた本年五月十日以降の取り決め適用水域におきます我が国漁船の操業状況につきまして、関係団体に確認を行いましたところ、取り決め適用水域の北側の水域におきましては長崎県に根拠を置きます大中型まき網漁船六隻、また、取り決め適用水域の東側の水域におきましては宮崎県、高知県などに根拠を置きます近海マグロはえ縄漁船二十二隻が例年並みの操業を行ったということでございます。

 一方、沖縄県によりますと、沖縄県の沿岸マグロはえ縄漁船につきましては、五月十日以降、取り決め適用水域における操業は行っていないということでございました。

國場分科員 取り決めた水域で沖縄のはえ縄ができないというのは、台湾の船がルールを確立されていない段階で余りにも数多く入ってきて、近づくことができない、そういうような現状があると私は聞いております。

 日本と台湾が共通のルールのもとで、紳士的に、海の水産資源を確保していこうという本来の目的が達成されていない状況があります。ですから、その点はしっかりと台湾側との交渉を行いまして、ルールの確立と、日本と台湾が共同で海の資源を利用していくという方向性を確立してください。これは要望でございます。お願いします。

 そして、日台漁業協定の締結には、安倍総理も国会で、日本と台湾のとげになっている、アジアの安全保障環境の大きな前進となると答弁をされております。事実、そういう側面は大事だと考えております。

 その一方で、日台の漁業協定というものは中国と台湾との分断という側面もあると聞いております。しかし、今月、台湾の宜蘭県の蘇澳区漁会、これはいわゆる漁協であると聞いております、そこと中国の浙江省の温嶺の漁業団体が、民間レベルではあるんですけれども、尖閣諸島海域での操業トラブルや海難救助において覚書を交わしているとの報道がありました。

 これでは中台の分断ではなくて、中国と台湾が、日本とすら共通の操業ルールというものが確立されていない段階でどうしてこういう事態が起きているのか、この事実確認と政府の見解をお願いします。

下川政府参考人 ただいま御指摘のありました件でございますけれども、報道によりますれば、六月四日に中台双方の地方民間漁業団体間で、当事者間の漁業トラブルの処理及び海上事故等の救難援助に関する民間の覚書が結ばれたものと承知しております。

 他方で、日台民間漁業取り決めは、東シナ海における平和及び安定の維持、二番目に、友好及び互恵協力の促進、三番目に、海洋生物資源の保存及び合理的な利用、さらに四番目に、操業秩序の維持を図ることを目的として署名されたものでございます。

 このように、中台間で結ばれました民間団体間の覚書とこの日台民間漁業取り決めは、その性質、中身について相当相違があるというふうに認識しておりまして、必ずしもこれに対抗するようなものとか、関連づけて議論する必要はないのではないかというふうに考えております。

 なお、台湾は、日台民間漁業取り決め署名に先立つことし二月に、尖閣諸島をめぐって中国と連携しないという立場を表明しているということについても申し述べさせていただきたいと思います。

國場分科員 中国の船員が台湾のマグロ船に乗っているとか、沖縄の近海でマグロをとった台湾船が中国にマグロを売っているとか、経済面においてはさまざまな中台の連携というものが深まりつつあると沖縄の漁民の声があります。ですから、そのあたりはしっかりと情報収集していきながら、対応をよろしくお願いします。

 続きまして、日中の漁業協定なんですが、日本の排他的経済水域であり日中漁業協定の暫定措置水域内の海におきまして、中国のサンゴ船が違法操業を繰り返しております。本来、中国本国でもサンゴの採取というものは禁じられているにもかかわらず、これは沖縄の宮古島の近海なんですが、もちろん日本の排他的経済水域でもありますけれども、その水域内でサンゴ船の違法操業が続いております。

 年に一回開催される日中共同漁業委員会でその自粛や取り締まりというものを中国側に問題提起しているのか。そして、今の日中漁業協定の枠組みでは取り締まりができないとすれば、この協定のもととなっている平成九年の外務大臣書簡を破棄して日中漁業協定を見直しするしかないと考えておりますが、政府の見解をお願いします。

下川政府参考人 御指摘のありました点でございますが、先生おっしゃったとおり、日中漁業協定は、日中両国の排他的経済水域全体を対象として締結されまして、海洋生物資源の保存及び合理的な利用並びに海上における正常な操業の秩序を維持するために作成されております。そして、日中間の漁業に関する具体的な問題については、漁業協定に基づき設置されております日中漁業共同委員会等を通じて適切に協議するということになっております。

 御指摘の中国サンゴ船の操業につきましても、日中漁業共同委員会の協議のプロセスにおいて、これまで中国側に対して問題提起を行い、協議をしてきているところでございまして、引き続き、この枠組みの中で適切に取り組んでいくと同時に、必要に応じ、外交ルートを通じ通報、申し入れなどを行っていきたいというふうに考えております。

國場分科員 取り締まりはできない中身になっているわけですよね、違法のサンゴ船があっても。

 私は、この協定そのものに問題があると考えております。サンゴというものは、生態系、魚が産卵したり、非常に重要な資源なんです。それを、このサンゴ船という中国本国でも違法な操業で、環境破壊、海底を破壊しながら操業する事実を見過ごすことはできないと私は考えておりますので、協定の見直しも含めて、必ず実効あらしめるような対応を強く要請したいと思います。

 続きまして、海洋基本計画の諸外国の状況についてお尋ねをします。

 海洋基本法のような海洋全般を包括する法律は、諸外国でも最近になって制定され始めたと認識をしております。例えば、アメリカでは、二〇一〇年の大統領令で布告され、隣国の韓国では、二〇〇二年に海洋水産発展法が制定、ことしには、省庁再編により、海洋水産部という海洋行政を管轄する官庁まで発足しております。

 海洋行政に関する諸外国の状況についてお尋ねをします。

下川政府参考人 諸外国における例ということでございますが、二〇〇九年に中国が採択しました海島保護法というものがその一つに当たると思われます。

 他国の法律について政府として具体的にお答えする立場にはございませんが、当該法律は、無人島の国家への帰属、島への名称付与の方法、島に設置された軍事施設の保護といった事項に関する規定を置いているものと承知しております。

 なお、中国国内の個別の法律が我が国の領土についていかなる影響を持つものでもございません。

國場分科員 私が諸外国の状況をお尋ねしたのは、この海洋という概念、認識が新しい考え方であるため、世界的なコンセンサスが得られていない状況にあると思うからであります。

 今の答弁にもありましたように、隣国中国では、二〇一〇年の海島保護法で、離島の資源開発を管理し、その生態系を保護するという立法趣旨はありますが、住民のいない島の所有権は国家に、つまり中国に帰属し、国務院が国家を代表して島の所有権を行使する、そういう極めて一方的な主張を行っているわけでありまして、その中で、尖閣諸島も含む中国近海の無人島への一方的な領有権の主張を行っております。そして、最近では、尖閣諸島を核心的利益と明言したとか打ち消したとか、さまざまな報道が続いております。また、一九九二年にも、領海法で尖閣諸島の領有権を規定しております。

 それは中国本国の話であるという認識ではなくて、海というものは、国際ルールに基づいて、国際認識の中で、この海は日本であり、またこの海は中国であるという共通の価値のすり合わせというものが非常に重要であると考えておりますが、昨今のこのような状況に対して政府はどのような姿勢で臨んでいるのかをお尋ねします。

下川政府参考人 先ほどの海島保護法の関係でございますが、先生御指摘のありましたとおり、海島法の中には、無人島に対する国の所有権行使ですとか軍事施設の保護ですとか島への名称の付与の方法などについての規定がございます。

 この法律の中に具体的に尖閣諸島への直接の言及があったわけではございませんけれども、運用等につきましては一定の懸念がありましたため、同法の制定当時から外交ルートで申し入れを行っているところでございます。

 と同時に、個別の名称付与とか地名付与に際しましては、これまた外交ルートを通じて申し入れを行う等の措置はとっているところでございます。

國場分科員 次に、海洋国家日本にふさわしい外交力の強化という観点から、提言も含めて、お尋ねをしたいと思います。

 ただいまの質疑でも明らかなように、海洋という概念はまだ未成熟の分野であり、海洋基本計画のような海洋全般の計画を策定している国も多くはありません。そうであれば、私は、日本こそ海洋国家としての外交力を発揮すべきであると考えております。

 世界には、ロンドンに本部を置く国際海事機構や、国際水路機関など、船舶の航行などのルールを定める国際機関はありますが、公共財としての海や海の安全保障という観点から海を総合的に考える国際機関というものは今のところありません。

 地球の大半は海洋であります。

 そこで、日本が海洋国家として自認するならば、外交力を発揮し、世界の海洋政策をリードすべきであると考えております。まず、この部分。

 そしてまた、私は沖縄なので、沖縄は、四百五十年間、かつて琉球王国という独立国でありました。資源も国力も限られていたわけでありますが、その当時の琉球が国際的に海洋国家として生き残ってこられたのは、万国津梁という海洋思想が根底にあります。万国津梁とは、世界を結ぶかけ橋という意味で、そのかけ橋こそ海であると私は思っております。

 そこで、提案なんですけれども、日本には東京と京都の二カ所に海外からの賓客をお招きする迎賓館がありますが、ぜひとも、この沖縄に第三の迎賓館、海の迎賓館というものを建設していただき、万国津梁の思想のもとに、海洋が結ぶかけ橋として平和交流拠点を形成していただきたいが、政府の御見解をお願いします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今の最後の提案につきましては、しっかり受けとめさせていただきまして、私、岸田大臣に報告いたしまして、これからの対応ぶりについて考えさせていただきたいと思います。

 その前におっしゃいました、海洋につきまして外交力が重要というのは、まさにおっしゃるとおりでございます。日本は海に囲まれた国でございまして、海洋分野における各国との国際的連携を強化する、それから、国際海洋法条約を中心といたしますような関連国際法規を遵守して、法の支配に基づく国際海洋秩序の確立を目指す、この二つは非常に重要なことであろうと思います。

 さらに、このような理念の共有に向けて、主導的な役割を果たして各国に働きかけていくべきだというふうに思っております。

 こういう観点から、例えばでございますけれども、我が国としては、大陸棚限界委員会や、まさに今話題になっております国際海洋法裁判所など、こういう国際機関に人的貢献を行ってきておりまして、これは今後も引き続きやっていきたいと思っております。

 また、ASEAN地域フォーラム、それから東アジア・サミット、こういう場で、海洋協力や南シナ海をめぐる問題について種々議論をされております。今後も、そういう議論をリードするように引き続き努力していきたいと考えております。

國場分科員 よろしくお願いします。

 続きまして、海洋基本計画と地方自治体との連携についてお尋ねをします。

 海洋基本計画といいましても、多岐にわたるものでありまして、漁業資源や地下資源や環境保護、そしてまた陸域の保全というものがあります。

 私は、この海洋基本計画の理念を具現化するためには、地方自治体がどれだけ本気で、日本は海洋国家であり、その先駆けというものは海を抱える地域であり、市町村であり、自治体であるということの認識を持つかにかかっていると思っております。

 海洋基本法の第九条でも地方公共団体の責務が明記されております。地方の方も、市町村の方も、国に基づいた、海洋基本計画を制定することができるんですが、現実に制定している地域は、沖縄県の石垣市と竹富町と三重県の志摩市、この三つしかないと考えております。これでは、国と地方公共団体との連携は極めて弱いと考えております。

 国として、海洋基本計画を実効あらしめるための地方との連携というものをどのように考えているのか、この点の御答弁をよろしくお願いします。

山本国務大臣 今の國場委員の御指摘は大変重要な点だというふうに、海洋政策担当大臣としても考えております。

 海洋基本法において、地方公共団体は、自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有するというふうにされています。今委員御指摘になったとおり、この一文を受けて、これまで、沖縄県竹富町とか石垣市、それから三重県志摩市等において地方の海洋基本計画が策定されております。

 私、沖縄担当でもあるんですけれども、竹富町の基本計画は、たしか観光に非常に重点を置いていて、海洋保護区の制定等々をうたっていたというふうに思います。

 それから、石垣は、海洋生物資源の活用とか、あるいは海洋再生エネルギーの研究開発、これもたしか基本計画の中にあったと思いますけれども、この水域のハブ機能を果たすという話もあったように記憶をしています。

 三重県志摩市は、里海対策ということで有名です。

 地方の海洋基本計画、今おっしゃったように、こうやって策定しているところもあると思います。

 国においては、平成二十三年に、海洋における計画に係る先進的な取り組みの事例集を作成しました。これはホームページを通じて公表させていただいていますが、地方において計画を策定する際には、委員会等に参画をして、国としても助言を行ってまいりました。四月に閣議決定した海洋基本計画の中で、「地域の計画の構築に取り組む地方を支援する。」とはっきり書いてありますので、今後とも、委員の御指摘もしっかり踏まえて、委員会等への参画による助言などを通じて、地方の海洋基本計画の策定をしっかり支援してまいりたいと思っております。

國場分科員 山本大臣、ありがとうございます。私は、山本大臣が沖縄担当と海洋担当の大臣であるということが非常に大きいと思いますので、ぜひとも連携を引き続きよろしくお願いします。

 続きまして、離島の定住人口について、これは水問題に絡めて質問をしたいんです。

 やはり、排他的経済水域を持つということは、無人島をつくらない、つまり、離島の定住人口を、特に国境離島に関して重点的に守っていくということが大切であると考えております。

 尖閣諸島も一九四〇年までは日本人が二百数十名生活をしていたんですが、無人島化することにより、領土紛争の火種になっている。ですから、定住人口を守ることは非常に重要であります。

 その中でさまざまな生活環境の課題がありますが、その一つが水であると考えております。

 私の選挙区に座間味村という離島があるんですけれども、この座間味の宿のシャワー室には、夜の十時から朝の七時までは使用を控えてください、こういう節水の協力要請が掲げられております。

 また、海水淡水化をしている離島も多くありまして、そのうちの北大東村の水道料金は、十立方メートル当たり三千五百三十五円します。その一方で、沖縄本島の北部の東村というところは六百三十円と、五・六倍もの開きがあります。

 しかし、沖縄の離島だけではなく、南太平洋の島嶼国にも水に悩んでいる諸国は多く、離島の水問題の克服と、世界市場でのインフラも含めた水分野での貢献は非常に可能性が高いとも考えております。

 海水淡水化のみならず、シンガポール等では、一度使用した水を飲料水として再利用している例もあります。

 政府としても、特に今回は離島に限定してお尋ねしたいんですけれども、離島の水の確保について、さまざまな責務があると考えておりますが、どのように取り組んでいるでしょうか。また、財政的な支援というものはされているのかについてお尋ねをします。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 國場委員御指摘のとおり、水道は国民生活において欠かせないライフラインでありますし、特に離島におきましては、水道というのはとても重要でございまして、水の確保がとても大切である、安定した水源を確保するということが生活の基盤の上で非常に重要である、このように考えております。

 厚生労働省といたしましては、水道の水源として淡水の確保が困難な場合には、水道事業者が実施しております海水淡水化施設の整備に対して国庫補助を行っております。今厚労省がつかんでいる海水淡水化施設は五十四ありますが、このうちの十六が今沖縄の方にございます。国庫補助は今二分の一ということにさせていただいております。ただ、これはちょっと問題もありまして、初期投資の一番最初のところで二分の一補助させていただいておりますが、ランニングコストは補助させていただいていないという状況でございます。

 ということで、いろいろ問題もございますけれども、これらの状況を考えながら、給水の確保をしっかりとしていきたい、このように考えております。

國場分科員 とかしき政務官は同じウチナーンチュでもありますので、特に沖縄の離島は格段の御支援をよろしくお願いします。

 今答弁にもありましたように、この海水淡水化というのは非常にコストがかかるんですね。ですから、離島というものは人口も少ないですし、このあたりは、これからの厚生労働省の課題としても取り組みを要請したいと思います。

 最後に、海洋にかかわる人材育成と国民の理解についてお尋ねをします。

 海洋国家というものは、数多くの分野にまたがっておりますので、人材育成といっても多岐にわたるものでありますが、究極的には、日本国民一人一人が、日本は、我が国は海洋国である、こういう自覚を持つことにつながっていると考えております。

 七月の二十日は海の日です。これは日本だけが制定をしている祝日であります。海の日は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。」とされております。海洋基本法の第十三条でも、「海の日において、国民の間に広く海洋についての理解と関心を深めるような行事が実施されるよう努めなければならない。」とされております。

 海洋に関する国民への周知について、政府はどのような取り組みをしているのかを最後にお尋ねします。

山本国務大臣 海洋立国を実現していくためには、今委員のおっしゃったように、その前提として、海洋に関する国民の理解の増進、人材の育成、確保、これは極めて重要だと思います。

 新たな海洋基本計画でも、それらに関する施策を幅広く実施していこうということになっております。大事なことなので、少し丁寧にお答えしたいと思います。

 具体的に言うと、三つの取り組みを御紹介したいと思うんです。

 まず、国民の理解の増進について言うと、今おっしゃった、毎年七月の海の日、海の月間等において、体験乗船、海洋産業の施設見学会とか職場体験会など、さまざまな海洋関連行事を全国各地で行っております。そのことによって、海洋に関する国民の理解、関心を喚起しております。海の日は、先生御存じのとおり、平成八年には国民の祝日として制定されました。

 二つ目の取り組みですが、海洋立国推進功労者表彰、これは内閣総理大臣表彰なんですけれども、これによって、海洋に関する普及啓発、学術研究、産業振興等において顕著な功績を上げた個人、団体等を表彰しておりまして、これを広く紹介し、国民の海洋に関する理解とか関心を醸成しています。

 三つ目の取り組みとしては、海洋基本計画の策定を初め、政府及び関係機関が海洋に関して講じた施策に関する情報を速やかに公表する、こういうこともしっかり行っていきたいと思います。

 さらに、続けて言いますが、人材の育成、確保についても二つ取り組みを紹介したいんです。

 学習指導要領に基づき海洋に関する学校教育の充実を図るとともに、学校教育の総合的な支援体制を整備する観点から、民間団体との、水族館、科学館等との連携を図っておりまして、これで、いわゆる社会教育とかアウトリーチ活動を充実したいと思っております。

 二つ目の取り組みとして、海洋や水産に関する教育を行う高等学校、大学、大学校における専門的な人材の育成をしっかりと推進していく。同時に、海洋に関して幅広い知識を有する人材、地域の特色を生かした人材の育成についても推進をしていきたいと思っています。

 新たな海洋基本計画を踏まえて、関係府省、関係機関、地方自治体あるいは産業界の協力を得ながら、こうした施策を海洋政策大臣としても積極的に進めてまいりたいと思います。

國場分科員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

三宅主査代理 これにて國場幸之助君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 これより内閣府所管中消費者庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。森消費者及び食品安全担当大臣。

森国務大臣 平成二十一年度から二十三年度における消費者庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十一年度の歳出予算現額は四十三億四千六百六十一万円余でありまして、これを支出済み歳出額二十七億二千七百二十九万円余に比較いたしました差額十六億一千九百三十二万円余が不用額となっております。

 続きまして、平成二十二年度の歳出予算現額は八十八億九千九百六十二万円余でありまして、これを支出済み歳出額七十四億二千八百八十六万円余に比較いたしました差額十四億七千七十六万円余が不用額となっております。

 最後に、平成二十三年度の歳出予算現額は九十一億四千三百二十三万円余でありまして、これを支出済み歳出額七十六億九千六百六十三万円余に比較いたしますと、十四億四千六百五十九万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は一億八百五十二万円余であり、不用額は十三億三千八百七万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十一年度から二十三年度における消費者庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

三宅主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十二年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、資金前渡官吏が科目の更正処理を誤ったことにより生じた前渡資金の残額の不足を解消するため、所要額と異なる額の前渡資金を請求し、官署支出官が請求額どおりに支出決定を行ったことにより、非常勤職員手当が適正な科目から支出されていなかったものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十三年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

三宅主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。森消費者及び食品安全担当大臣。

森国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、まことに遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正の措置を講じたところであり、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

三宅主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中消費者庁については終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

今村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生金融担当大臣。

麻生国務大臣 平成二十一年度におきます金融庁歳出決算の概要を御説明させていただきます。

 平成二十一年度の当初予算額は、二百十六億六千七百十万円余でありましたが、これに予算補正追加額十九億九千六百四十五万円余、予算補正修正減少額九億三千三百八十八万円余、予算移しかえ増加額三百八十三万円余、予算移しかえ減少額三百八十三万円余を増減いたしますと、平成二十一年度歳出予算現額は二百二十七億二千九百六十七万円余でありまして、これを支出済み歳出額百八十九億八千四百八十四万円余に比較いたしますと、三十七億四千四百八十三万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度への繰越額は十五億九千五百一万円であります。これは、計画に関する諸条件の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。

 また、不用となった額は、二十一億四千九百八十二万円余であります。これは、情報処理業務庁費を要することが少なかったこと等のためであります。

 以上をもちまして、平成二十一年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 次に、平成二十二年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十二年度の当初予算額は、二百十九億三千五百七十六万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額三億六千四百九十八万円余、前年度繰越額十五億九千五百一万円を増減いたしますと、平成二十二年度歳出予算現額は二百三十一億六千五百七十八万円余でありまして、これを支出済み歳出額二百十二億九十三万円余に比較いたしますと、十九億六千四百八十四万円余の差額を生じます。この差額は、情報処理業務庁費を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。

 以上をもちまして、平成二十二年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 続いて、平成二十三年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年度の当初予算額は、二百二十一億八千百七十四万円余でありましたが、これに予算補正追加額一億六千九百六十三万円余、予算補正修正減少額一億八千二百八十四万円余、予備費使用額百九十七億四千七百四十六万円余を増減いたしますと、平成二十三年度歳出予算現額は四百十九億一千五百九十九万円余でありまして、これを支出済み歳出額三百九十四億五千五百十八万円余に比較いたしますと、二十四億六千八十万円余の差額を生じます。この差額は、個人債務者私的整理支援事業費補助金を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。

 以上をもちまして、平成二十三年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、株式会社整理回収機構が平成十一、十二両年度に行った整理回収業務による利益に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続いて、平成二十二年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。麻生金融担当大臣。

麻生国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました株式会社整理回収機構の資金につきましては、新たな財政措置を回避しつつ、住専債権の回収等の業務を円滑に終了するための措置等を講じた預金保険法の一部を改正する法律に基づき、当該資金の全額を住専二次損失の政府負担分の充当財源とすべく、同機構の協定後勘定から住専勘定に繰り入れたところであります。

 さらに、当該充当財源のうち、実際に住専二次損失の政府負担分に充当された後の残余の金額についても、預金保険機構を通じて、平成二十四年七月に国庫に納付されたところであります。

 今後とも、適正な事務の執行に努めてまいる所存であります。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田達夫君。

福田(達)分科員 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 どうしても、大臣というよりも総理と言ってしまう癖がついておりますけれども、言い間違えましたら失礼いたします。

 やっとこさ、昨年の十二月にこの席を得させていただきまして、半年がたちました。あっという間でございます。ただ、その前の約十年ほど、政治家の驥尾に付しまして、背中越しに政治というものを拝見しておりました。その中で、自分自身、こうなった後でも思いますけれども、素朴な感想として、政治というのは難しいな、そういうふうに思っております。

 正しい政策というものが、投げればそのまま通るわけでもないし、また、先ほど財務大臣としてもおっしゃっておりましたけれども、例えば、需要がない中でもってお金の供給をどんどんふやしてもどうしようもないよなということがわかっていながら、だけれども、時代の大きな流れでそういうことが政策として通っていく、そういうことも起き得る。正しい政策を出しても、例えば、国民の圧倒的な世論とか熱狂的な世論、そういうものが政策を曲げてしまうこともある。正しい球を投げても、その球が真っすぐ飛ぶわけではない。乱気流の中、球を真っすぐ通していく、このことは本当に難しい、そういうふうに思っております。

 であるからこそ、その熱狂的な乱気流や何かがとまった後に政策について評価をする、このことは大変に重要なことだと思いますし、この決算委員会の位置づけというものは大変に重い、そういうふうに思っております。

 その中で、お時間をいただきまして質問させていただきますことに、まずはお礼を申し上げたいと思います。

 政策をしっかりと見直すという中で、次の世代にしっかりつないでいかなければいけない、そういうことであるわけでありますけれども、今現在、アベノミクスということで、世界じゅうの日本を見る目が変わっている。特に、次元の違う金融政策、これがやはり今のところ一番大きな影響を与えているかと思います。

 やはり、株価、為替、それから金利、これが細かくは動くと思います。先ほど財務大臣としても御答弁されていました。そういうことはあったとしても、大きな方向性をどうやって打ち出すのか、これが政治としての一番のメッセージなんだとおっしゃっていましたし、私もそう思います。

 今、世界じゅうが、日本が違う方向に向かっている、違う次元に入ったということを、しっかりと地に足をつけるためには、第二の矢、第三の矢による、実際の実体経済につなげていく、その政策が重要であるわけでありますけれども、ちょっと視点を変えてみたいと思います。

 私は、もともと商社におりまして、調査部という仕事をしておりました。日本の国が成長している間も、一般の国民に景況感がなかなか得られなかった。日銀短観を見るまでもなく、大企業は好況感を得ている。だけれども、中小企業にはそれが行き届かなかった。しかし、この中小企業に六割から七割の国民の生活は依拠している。

 そのことを考えますと、大きなマクロの政策というものも大事だけれども、きめ細やかにこういう中小企業、なかんずく中小企業というのは地方経済を構成しているものでありますし、地方に住んでいらっしゃる方々の生活を支える中小企業に対しての目線というものが、今の日本にとって実は非常に重要ではないかというふうに私は考えております。

 その観点から、金融という関係に目を転じますと、やはり金融円滑化法、このことについて、ちょっと時がたった、この冷静な目でもう一遍見直してみる必要があるのではないか、そういうふうに思っております。

 リーマン・ショックという非常に大変な時代の中で、皆さんの国民的な要求もあった中で、当時の大臣の思いも大分あったとは思いますけれども、その中でこのことを議論されたわけではありますが、正直、私としては違和感が強うございました。

 と申しますのは、やはり政治というものが、自由な経済活動に対して、大きな力でもって過度に影響を及ぼすというのは、経済活動そのものの動きもゆがめるとともにモラルハザードも起こす。このことについては、当時の議論でもしっかり議論されておりましたけれども。

 歴史を考えてみますと、昭和恐慌で高橋是清がモラトリアムをやった、これが成功した上に国民の信頼を得たのは、やはり、すぐに手を打って、しかも非常に短い時期でモラトリアムを引き揚げた。このことによって、国民の信もしっかり得られたし、経済のファンダメンタルというか、経済活動をする方々の常識も変えずに効果を得たということであると思います。

 一方で、さらにさかのぼりました鎌倉、室町時代の徳政令であるとか、それから江戸時代の棄捐令、こういうものは、出口でどういうことを目指すのかということなしにモラトリアムを行ったことによって、一つには経済活動というものがゆがんでしまうし、また、本当に経済に対して政治が大きな力を振るってしまう、大なたを振るってしまうところまで政治が経済に対してもしくは国民の生活に対して無策であったということを通じて、国民の政治に対する信頼を損ねてしまう、この二つの意味で、実は、この法案というかモラトリアムに関するものは非常に大きな意味合いを持っているというふうに思っております。

 実は、この金融円滑化法案も、最初は二年という時限立法、正直、僕自身は二年というのもちょっと長いのかなという気はいたしましたけれども、二年が終わった後、一年ごとに延長がされて、二回延長されました。その中の議論もいろいろあったということは理解しておりますけれども、どうしても、商社の出身、しかも調査部というところにいた者としては、経済取引というものの根本をゆがめてしまう可能性がある非常に危険性が高い政策だったのではないかというふうに思いますし、もう一方で、モラトリアムがあるこちら側の中小企業政策が根本的に掘り下げてやられたかということについてもクエスチョンマーク、疑問符がつくのではないか、そういうふうに思っております。

 では、この施策というのが全く意味がなかったかというと、それはそうだとは思いません。もちろんある程度の成果はあったと思います。ただ、そのあったという成果、ある意味これはフローの成果だと思います、それと、金融円滑化法という法律が日本の経済実態というか経済の常識に与えた影響というもの、この二つを比べたネットでの金融円滑化法の成果というものを大臣がどう思っていらっしゃるのか、また、この大なたを振るうということについてどう思っていらっしゃるか、御意見を賜りたいと思います。(麻生国務大臣「どれ、最後のところ」と呼ぶ)

 大なたを振るってこの状況に対処した、この政治判断についてどう思われているか、御意見をいただければと思います。

麻生国務大臣 福田先生、これはすごく大事な観点だと思います。

 基本的に言って、経済政策というのはいろいろ、その国によって、そのときの政府だったり、そのときの政治家の判断によって違うと思います。

 一九三〇年の話をされましたけれども、一九二九年に、御存じのウォールストリートの株の大暴落に伴って、大デフレーションによる不況が世界じゅうに蔓延することになりました。日本もその被害を受けた国の例外ではありませんけれども、デフレーションによる不況というのは、多分、近年ではこれが最後。あとの不況はいずれもインフレーション下の不況です。

 そのときに、日本は犬養毅という方が内閣総理大臣だったので、たしかこの方は憲政会だと思いましたが、とにかくこの非常事態にあって、政友会の総裁だった、元日銀総裁、元内閣総理大臣だった高橋是清を引き抜いて、引き抜いてというのはちょっと聞こえが悪いね、頼んで大蔵大臣を引き受けてもらう。

 高橋是清がやった政策は、極めてはっきりしておりまして、とにかく、需要がない、需要を喚起するためには徹底して政府支出をふやす以外にほかに方法がないということで、この方は、インフラなんて言葉は当時ないでしょうけれども、主に、社会資本整備の充実、また雇用対策等々を徹底してやられて、財政出動と言えるものをほぼ二年間連続して大幅にふやしておられます。

 結果として、日本のいわゆるデフレ不況というものはとまっておりまして、世界の中にあって今次不況を日本は最初に脱出するに成功せりと、当時のファイナンシャル・タイムズかウォールストリートかどこかに出た。

 それを見て、これだと思ったのが、時のアメリカの民主党の大統領候補フランクリン・ルーズベルトという人で、この人はその案を丸々使って、ニューディールという名前の風呂敷紙に包んで丸々それを出して、そして圧勝して、一九三三年に当選しております。

 それ以降、この方はそれを徹底して実行して、結果として、アメリカは、半分まで落ちたGDPをほぼもとに戻し、失業率が二四・八%か九%まで行ったものを一二%まで落とすなどの大成功をしておられるんです。

 今言われましたように、高橋是清は、成功して二年でぱっとこの方法を基本的にとめております。したがって、効果があったというのは、その時点においては確かだったということは歴史の証明しているところであります。

 今回日本で起きた不況は、多分もうしばらくすると歴史家が言うんでしょうけれども、一九八九年十二月末の株価が三万八千九百十五円だったんですが、御存じのように、それが七千何百円までだんと落ちる。同じく、土地という名の不動産も、六大市街化地域で約一五%まで、つまり坪百万円が坪十五万円まで落ちる。

 簡単に言えば、日本というのは、資産のデフレによる不況というのを少なくともさきの戦争で負けてこの方初めて味わった。やはり日銀も財務省も、もちろん政治家も対応方法を、やったことがなかったものですから、インフレの不況対策でやって結果的に長引かせた。これは多分、歴史家が批判するところだろうと思っております。

 私どもは、これを何とかせないかぬということで、今回の三本の矢という、日銀の金融の緩和、財政の機動的出動、そして経済成長、この三つを同時にやるという政策をとらせていただいて、今日まで一応方向としては上がってくることに、この六カ月間では、株価とかGDPとかいずれも上ってきておりますので、少なくとも今までのところは当たってきております。これはもう間違いなくそう言えると思います。

 その間にあって、当時、資金繰りがうまくいかなくなったために多くの会社が資金繰りの対応に追われた中にあって、この金融円滑化法案というものがその一助になったことだけは間違いないと思いますが、今回、再々々延長というのに私どもが反対をした大きな理由は、これはどこかでやめないかぬということなのであって、そのどこかでやめるタイミングが今回と思っておりました。

 やめさせていただくことにしましたけれども、問題は、経済をやったら手形のジャンプはわかると思いますけれども、金融円滑化法によって手形のジャンプをずっとやり続けられるような形にしておったものを、中小の業者にあって中小の金融機関からお金を、資金を借りておられる方々に対して、基本的に、今後ともずっとこれがなきゃやっていけないというのはどう考えても無理です、したがって、おたくは会社の体質を変えるか会社の方向を変えるか何かすることを、金融業と話し合った上できちんとした対応をしていただかない限りはとてもできませんということを申し上げさせていただいて、急になってもなかなかうまくいきませんので、時間をかけて、双方で話し合っていただきたいということを、やくやく私どもは、副大臣やら政務官を全国に派遣し、地方の財務局を使い、商工会議所にお願いし、商工会等々、ありとあらゆるところにお願いをした。

 こういったことをやっていただくのに、本人のやる気のないところでただただ延命している会社は、済みません、とても無理ですということを申し上げなきゃいけませんし、これは税金を使っているんですからできませんよということを申し上げさせていただく。

 少なくとも、今までのところ、四月以降、五月、六月と急激に倒産件数が激増しているというようなことはないという状況にありますので、一応それなりに、なだらかに事は進みつつあると思っておりますけれども、いずれにしても、これは後世の歴史家の評価を待たねばならぬところだと思います。

 基本的なことを申し上げさせていただければ、一時期の延命策、役所用語でいえば激変緩和に功を奏したことは間違いないと思いますが、これは長く、どういうことを意味するかといえば、経営者の責任、経営者の経営能力にかかってくるところだと思っております。

 今後とも、そういった企業が、やる気を出して、新しい方向に、新しいやり方にということに会社の体質を変えていかれる、そういったところの一助になるのであれば、引き続き中小の金融機関も資金の援助をしてやってくれということをやってもいいが、全然当てがない、今までと同じ方法だったらそれはとてもということを話し合って決めてくれ、ある日ぱたっととめました、法律が変わったからやめましたというのだけはだめですよというお話をさせていただいておるというのが現状であります。

福田(達)分科員 ありがとうございます。

 まさに、激変緩和措置として四年は長かったなと正直言って思います。ただ一方で、中小企業に対しては、今までと違った、次元の違った手の差し伸べ方もしなければいけないと思っている立場からすると、やはりそこで何らかの役割を誰かがしていかなければいけないのかな。

 実は、私も自由経済を信じておりますけれども、それを信じ過ぎていたおかげで、この二十年間、多分地方経済というのは傷み続けてしまった。これはいろいろな意味があると思います。経済的じゃなくて社会的な側面まで踏み込まないと何ともならない、地元の人間関係やら何やら、いろいろなこともございます。そこまでやらなければいけないんですが、誰かがそこに踏み込まなければいけない、そういう時代がもう来てしまっているような気がいたしております。

 その中で、やはりどこの地方も一緒だと思います。基本的に、人材が集まるのは、大体県庁かもしくは地方の金融機関か。それ以外の本当にできる人たちというのは、東京に行ったり都会に行っちゃったりしますので、そういうところに多分人材が集まっている。また、経営の四要素と言われる人、金、物、情報のうちのお金も、基本的には、あるところというのは、金融機関かもしくは地公体であるということに鑑みますと、やはりこれまでのような激変緩和措置で、お金を出す側の方で何とか調整するのではなくて、受け手の側、お金を使う側、事業者側の方に対しても何らかの変化、二十一世紀型に合っているような変化をさせるためには、誰かが何かをしなければいけない。

 もちろん、国政というものもこれに対しまして役割があるわけでありますが、国政というのは、基本的には平均値の政策しか打てません。特に、今のように、地域ごとの強みを生かしていこう、その強みの量が日本の強みの厚みになっていくという時代にあっては、やはり地域においてそういうことを細かく目配りしたプレーヤーがもう一歩踏み込んだ仕事をしていかなければいけない。その中で、地方の金融機関の役割というのは非常に大きいものがあると私は思っています。

 もとの金融担当大臣であります亀井大臣がおやめになるときに、法律の趣旨を踏まえて進んで社会的責任を果たそうとする金融機関が相当出てきたというふうにこの円滑化法案について評価をされていらっしゃるわけであります。では、地方の金融機関さんが今現在どういうことをおっしゃるかというと、資金需要がないというふうにおっしゃる、貸し先がないと。

 私、商社に九〇年代頭から二〇〇〇年代頭におりました。御存じのことかと思いますけれども、商社というのは、十年に一遍冬の時代が参ります。仕事がなくなっていく。その中で、とにかく新しい仕事を探さなければいけないという中で、九〇年代後半に貿易業から投資業に転じます。

 何が起きたかというと、九七年の通貨危機で銀行が金を出せなくなった。そこで、非常に低金利で金を受け取りまして、それを何かに使おうとしたときに何をやったか。

 投資をしようということは基本的に決まっているわけですけれども、担保商売をしたのでは金融機関と一緒だし、先ほど御説明がありましたとおり、資産デフレの中で担保でもって貸し出しはできないし、エクイティーもとれない。

 では、どういうふうに考えるか。バリューチェーンで考えて、この商売の流れというものが今後も生き延びるのかどうか、その中でこの会社は使えるかどうか、生き延びるのかどうか、その観点の中で会社を買い、場合によってはバリューチェーンそのものも育てていってこの会社の資産価値を上げていこう。バリューチェーンそのものもつくっていく、商流を新たにつくるんだ、そういう形で始めたわけであります。

 もちろん、これは試行錯誤がありました。なかなか成功しない中で、やはりこういう仕事をするのに一番重要なのは人材であります。実際に自分でもって、商流が、どういうものが今後伸びていくのか、また、その稼ぐものに対して、リスクはどんなものであるか、そのリスクをどういうふうにヘッジするか、こういうことがトータルにわからなければ、お金というものの生かし方が、特にこのように何が勝ちパターンになるかわからない、世界じゅうで何がなるかわからない世の中では、なかなか稼ぐこともできないし、新しい資金需要はつくれない。金融機関さんがおっしゃる資金需要がないということは本当によくわかるんですけれども、そこの部分にもう一歩踏み込んでいただけないかな。

 ただ一方で、もちろん、金融機関がそんな商社のまねごととかもしくはコンサルティングのまねごとをする、これもちょっと難しいということもよくわかります。金融機関と商社という、リスクをとるという意味では、こことここにあるような業種で、全く一緒だとは思いません。

 ただ、金融機関のトップの方とお話をしていると、やはり目きき能力のある人材を育てていかなければいけないんだということをおっしゃいます。では、どうやって育てるんですかという質問をしますと、研修をしてとかいろいろおっしゃるんですが、そこでもって、なるほど、では金融機関さんと一緒に我々も仕事をしていってどんどん育てましょうというところになかなか踏み込み切れないというのが、実は私自身が感じているところでもあります。

 そこで、これはもちろん経産省、中企庁等の話でもありますけれども、この新たな試みというものを地方の金融機関さんに期待するというのができないのか、もしくは大臣所掌の金融庁の行政の方向性としてこれについて何か踏み込んだようなことができないだろうかということは、実はこの十年ほど、ずっと長く考えていることであります。

 それについて大臣のお考えを聞かせていただければというふうに思います。

麻生国務大臣 福田先生、やはり二十年間デフレーションによる不況というのがしみつきまして、金融機関は、じっと銭を持っておきさえすれば、間違いなく物価が下がって銭の値打ちは上がったんですよ。だから、何もしないでじっとしているというのは確実に利益が出た。金利はと言うけれども、実質金利は上がったわけですよね。実質金利と名目金利の意味はおわかりだと思いますが、実質金利は上がったわけですよ。

 そういった中においては、それは企業は需要がないところに設備投資なんかしませんよ。雇用を守らないかぬということになって、雇用を守る方を優先して、給与をそのままに置いておいても雇用の確保を優先した。多分組合側はそうです。そういった形によって、かなりデフレーションという縮小経済、縮小均衡の方にずっと走っていったのがこの十数年間のデフレ不況と言われるものの実態。もとのもとは、先ほど申し上げたように資産のデフレです。これがもとなんだと思います。

 いずれにしても、その期間、今言われたように、新しい企業を見つけてそれを育てるなんというような、目ききなんというものが役所に育つはずはありませんし、ましてや銀行にも育たないんですよ、そういったものは。だって、そんなリスクを負うようなことで金もうけしようなんて人は役所に来るべきじゃないし、また、銀行でも人様の預かった金を確実に運用していくわけですから、そういったものもなかなかできない。ここで活躍したのが商社金融だ、僕はそう思っています。

 したがって、今、目ききの話をみんなよくするから、目ききなんてどこにいると思っているんだ、商社に行って探すんだと。千三つというんだ、千三つ。千三つという意味は、千仕事をやって三つ当たれば元を引くという話ですよ。

 だから、千三つ、そういうものだといって、石油のボーリングなんか最たるものでしょうけれども、千三つもあったら立派なものと言われるんですが、こういったものを幾つもやって、結果として、今商社というものが、従来の、物をどこかから買ってきて売りますとかどこかへ輸出しますというのから、金融関係というものにその体質が物すごく変わっていったのが大きな商社の実態なんだ、私はそう思っています。

 したがって、今言われましたように、やはりある程度のリスクをとって金融というのをやりますということを、地方の金融業者に、おまえ、ある程度リスクをとっても大丈夫だと、それは人様の金を預かっている立場としてはなかなかやりにくいし、また、監督する官庁として、おまえ、もっと貸せとも言えませんから、私ども、監督をする立場の金融庁を預かる方としては、そこはなかなか言いにくいところなんですが、少なくとも、私が来て、この半年の間に言ったのは、とにかく金融処分庁と言われるような名前がつくのはやめろ、こういったあだ名はよろしくない、金融育成庁と言われるようにしない限りは、とても今後やっていけないということをずっと言っているんです。

 いずれにしても、知見、ノウハウとか、今新しいものがいっぱい出てきておりますので、そういったものの中でこれはと思ったもの、技術はいい、だけれども資金がない、技術はいい、だけれども営業する能力がない、技術はいい、だけれども売る能力がないというのがいっぱいあります。

 そういったものの中にしかるべきネットワークがありさえすれば、ここは総務関係が弱いなと思ったら、あの大会社をやめた人で、総務の偉い人がいた、あの人はやめたばっかりだから暇や、これをつかまえて、この会社の顧問をやってくれ。それから、金融、これは間違いなくいけるから、ある程度商社も、うちも出しますからそちらもちょっと出していただけませんかと言って、やる。営業、これは確実にこの種の部品、この技術ならあそこに売れますというものを売りに行く。そういったような、全部の人脈を広く持っているというのは、商社というのは物すごく大きいものなんだ、私はそう期待をしております。

 いずれにしても、そういった分野で、事実、いろいろな会社は既にやっておられますよ、まあ、特定の名前を挙げると問題が起きるから言わないけれども、結構いろいろな大商社でそういったことをやっておられますので、今後そういった方向に進んでいくようなことを応援するのが私どもの立場なんです。

 いろいろな意味で、ぜひ形として、今後とも今言われたような点を考えながらこれからの企業というものを育てていくという話になったときに、すぐ新しい分野という、ハイテクの話ばっかりにみんな、新聞もそうですし、その新聞を読んでその気になるのも問題なんですけれども、ローテクでも、それしかないからということで、ライターのジッポーの技術をずっと生かし続けた、淡路島の会社と墨田区のある小さな会社が、今の携帯電話の薄い電池、もとの技術はあのローテクだった深絞りの技術をずっと生かし続けた墨田区と淡路島のあの会社が世界を握ったというようなものを、ちゃんと育てた人がいるんですよ、あそこには。僕はそういったものを知らないわけじゃありませんので、ぜひ、そういったものをきちんとやっていけるような形にしていかないかぬのだと思っております。

 今後とも、どういうものがいろいろなところにあるかというのは、広く技術がありますので、今、インターネットとかクラウドとかいろいろなあれがあります。こういうアイデアがあると、それにずらっとしてきて、うちならこれができます、あれができますということができるような、そういったツール、道具がありますので、そういうものを使ってやっていくということ。

 日本の場合は、創造力とかイノベーションとかいろいろな言葉を使っていますけれども、もともとそういったものがある国民ですから、ソフトとかいろいろな表現がありますけれども、私どもは、そういった大事なものはきちんと育てる。

 しかも、それをつくり上げ続けるには技術力が要ります。アイデアだけで技術がなかったらできないんですよ。その技術も持っているわけですから、そういった意味で、日本という国は、そういった点を方向を間違えずに伸ばしていけば先は極めて明るいものだ、私はそう思っております。

福田(達)分科員 ありがとうございます。

 まさに、そういうつなげていく仕事というものは、例えば、我々のように選挙区持ちの政治家というものはあっちこっち行けるわけでありまして、何がどこにあるかよくわかっている。それをつなげていく、それによって新しい需要であるとかそういうものをつくっていく責務を我々は負っていると思います。

 そういうことを肝に銘じていらっしゃる方が金融担当大臣になられているということは本当に力強いと思っております。またいろいろと御相談いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 もう時間がなくなってまいりましたけれども、一点だけ、済みません。この分科会はほかにも何を聞いてもいいということだったんで、ちょっと外交に関して一つ御質問、これは、済みません、大臣を前に置きまして政府参考人の方にお聞きします。

 実は、日本という国が少子化になっていく中、しかし外交の中で日本が生きていかなければいけない、このことについてはこれからも変わらないことだと思います。ただ一方で、長期的に考えれば、人口が減る中で、マクロでいうと、やはり予測として考えると、相対的に日本の力が落ちていく可能性は高いというふうに思います。

 その中で一番重要になりますのは、日本の外で日本のことを考えてくれる人たちをどれだけつくれるか、そういうシンパシーを持っている人間をどういうふうにつくっていくかということも一つの大事な戦略だと思います。

 ただ、そういうふうに考えますと、もう答えの方を先に言っちゃいます。留学生、日本に来ていた元留学生という方々が、今、外務省が把握をしているだけで八万人ほどいらっしゃるという話でございます。ただ……(麻生国務大臣「JETプログラムの話」と呼ぶ)いや、JETじゃなくて、元留学生、日本に留学していらっしゃって国に帰られた方々で外務省が把握している方々が大体八万人いらっしゃるということであります。

 ただ、この八万人という方々も、別に我々のために働いてくれるわけではない。やはりこちらから何か働きかけをして、仲間だよねということをずっとフォローアップしていかなければ、なかなかそれについてやってくれるわけでもない。

 では、中国を見てみれば、当然、華僑ネットワークというのは今世界じゅうにあります。ASEANを中心にして、非常に濃いネットワークがあって、ついているのか離れているのかよくわからないところもありますけれども、やはり中国のためというところは一部に持っていらっしゃって、何かあったらワークする。

 アメリカにいらっしゃる在米韓国人の方が、今一生懸命議会に対してロビーイングをかけている。それについて、日本と韓国の関係についてもいろいろな影響があるという話もあると思います。

 そこまでの人材育成というものはしないまでも、せめて、日本の国策として、日本に来ていただいた留学生の方々、いい思い出を持っている方々をしっかりと自分たちのシンパに育て上げるというのは、一つやるべきことかなというふうに思っています。

 その中で思いますのが、これは、伺いましたらば、実は、そういう形でもって元留学生のフォローアップに年間ついている予算が千六百万円。八万人ですと、一人頭年間二百円でしかないということになっております。それにつきまして、やはりそういうことをやるにおいては、留学生の核になるような方をつくらなければいけないと思うんです。

 ここでちょっと質問なんですけれども、アスジャ・インターナショナルという機関がございます。まさに、ASEANから来ている留学生の中でそういう日本シンパをしっかり育てて、国に帰ったらば日本のためにやってねという方を育てる、そういう機関でありますが、これが文科省の国費留学生の施策と同一視されてしまって、それで仕分けに遭ってしまいました。これが来年でもって終わってしまうということではあるんですが、こういう日本シンパの核になるような人材をつくるということも、国策としてやはり力を入れていくべきではないかと思うんです。

 これについて政府の、外務省としての見解と、これからの方針についてお伺いしたいと思います。

芝田政府参考人 今、帰国留学生のケアという観点から、特に、東南アジアの帰国留学生の会と連携してその活動の支援を行ってきておりますアスジャ・インターナショナルについて御質問がございました。

 このアスジャ・インターナショナルにつきましては、奨学金事業というのを実施しておったところでございますけれども、これについて事業仕分けにおける廃止判定を受けたということでございます。したがいまして、これを受けて、外務省では、来年度以降、文部科学省の国費留学生制度と完全に統合するということで進めてきております。

 その一方で、各国の帰国留学生会からは、この機関、アスジャ・インターナショナルの事業活動の継続に対する大変強い要望が寄せられております。同機関は、現在三万二千人ほどの元日本留学生が所属しております。これは、ASEAN各国の元日本留学生会のネットワークにおいて今後も中核的な役割を果たしていくことが期待されているというふうに考えております。

 そこで、現在、政府として、奨学金事業以外の、日本との交流事業を通じまして、来年度以降も同機関を積極的に活用していくための方策について検討を行っているところでございます。

福田(達)分科員 ありがとうございました。

 とにかく、中から外から日本を強くするために一生懸命汗をかこうと思っています。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

今村主査 これにて福田達夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑毅君。

田畑(毅)分科員 自由民主党比例東京ブロック選出、一年生議員の田畑毅と申します。

 本日は、質問の機会を与えてくださり、まずもって、委員長を初め、政府の皆様に御礼を申し上げたい、このように思います。

 本日は、主に、去る六月十四日に閣議決定をされました日本再興戦略、いわゆるアベノミクスの三本目の矢でございます成長戦略につきまして、元日本銀行員として金融という切り口から質問させていただきたい、このように考えております。

 閣内でまさに成長戦略を策定し、そしてこれからこれを実施せんとされていらっしゃる麻生大臣、寺田副大臣、そして本日は経産省の方からも委員の方の御出席を賜りましたので、密度の濃い議論をさせていただければ望外の幸せだ、このように考えております。

 さて、この日本再興戦略、私もじっくりと読ませていただきましたけれども、非常に感銘を受けた箇所がございます。それは冒頭の文章なんですけれども、ちょっと省略してあれですけれども、「「失われた二十年」と言われているが、経済的なロスよりも、企業経営者が、そして国民個人もかつての自信を失い、将来への希望を持てなくなっていることの方がはるかに深刻である。」こういった記述がございます。

 もちろん、バブルが崩壊して、経済的ロスは発生したんだけれども、そうじゃなくて、個人が自信を失っちゃったよ、それプラス希望も失っちゃったよということの方が政府としては非常に深刻だと考えているということが冒頭高らかにうたってあるんですね。私は、ここに非常に感銘を受けまして、もうそのとおりだというふうに思っております。

 二十数年前ですけれども、日本というのはジャパン・アズ・ナンバーワンと世界から称賛をされまして、また個々の日本人も、大きな自信と、そして日本人としての強い矜持というものを持っていたというふうに私は思っておりますし、そのとおりだと思います。

 経済のバブル化に関しては、今あえてこの場でよかったとか悪かったとかという議論をするつもりは私はありません。それは横に置いておこうというふうに思っておりますが、しかしながら、あの二十数年前の時代、我々日本人はまさに世界一である自信と誇りに満ちあふれていたというふうに私は思うんです。そして、将来への希望というものをしっかりと持っていたと思うんですね。

 そうした中で、この二十年、随分といろいろなことがあって、時間が過ぎてしまったということが非常に私は残念だったんですけれども、今回の再興戦略には、そこは深刻だったということがしっかりと冒頭にうたってあるということで、非常に感銘を受けたところでございます。

 そういう意味で、自民党の今のキャッチフレーズといいますか、強い日本を取り戻すというところにもこれはつながってくるんだと思うんですけれども、私は、一自民党の議員でもございますし、一有権者でもあるということから、この施策をぜひ強く強く実行に移していっていただきたい、このように心底より思っているところでございます。

 ちょっと前置きが長くなってしまいましたけれども、具体的な質問に入らせていただきます。

 この成長戦略でございますけれども、我が国の経済成長を金融面から下支えするといった政策につきましては、主にどのようなものが盛り込まれているか、改めて確認の意味も込めまして教えてください。それからまた、この施策全体を通じた理念について、金融庁の御所見をお伺いできればと思います。

麻生国務大臣 今最初に言われたところはすごく大事でして、やはりこの二十年間ぐらい、デフレーションというけれども、これは日本だけの話でして、ほかの国はデフレーションじゃありませんから、そういった意味では世界で初めての経験を日本はした。

 少なくとも、戦争が終わって六十何年間で、デフレーションによる不況をやった国は世界百九十四カ国でゼロですから、その意味では日本は初めての経験をやっておりましたので、いろいろな意味で我々は無知だった、不勉強だった、いろいろな指摘は後世の歴史家の方がされるところだと思いますが、それを率直に認めた上で、やはり、この二十年間ぐらいを見れば、金、いわゆる市場経済の、金のあるアメリカ、また人のある中国、資源のある中近東、ブラジル、ロシア等々が伸びたというのは事実だと思うんです。

 これに特化したことは、間違いなくそういった傾向はありましたけれども、学校で習ったのは、人、資源、資金、そうやって学校でも習うんですけれども、やはりそれだけ、三つだけで世の中が動いているかというと、僕は、その三つプラス、それを動かす組織力という点は我々が一番忘れてはならぬことだと思っております。

 わかりやすい例を引きます。例えば、鉄道。鉄道は間違いなくイギリスが最初に開発しましたけれども、イギリスに鉄道網はできませんでした。それはもう、ただいま安城駅を三分おくれて通過いたしました、名古屋には何時何分に到着いたします、「こだま」へお乗りかえの方は、同じホームの右側の列に三分おくれで「こだま」何号が出ますからとかなんとか、こんなことをやっている国は、世界じゅうここだけです。ただいま横浜駅を二分おくれて通過しました、どうでもいいやと毎回通るときに私は思いますよ。ただいま時間どおりに定着、あれは運転手が偉いんじゃない、運転手も偉いかもしれないけれども、保線夫も偉い、車掌も偉い、切符から何から、全部の組織で、あれが動くというものができているのは世界じゅうでこの国だけですから。

 イギリスなんか全くありませんよ、どこのホームから出るかなんか、直前までわかりませんから。住んでいましたから、何という不愉快なところだと思って、大きな荷物を持ってあっちゃこっちゃあっちゃこっちゃ走って、これは赤帽に稼がせるためにこういうシステムになっているのかと思ったぐらい私は不愉快な思いをしたことがありますので、しかし、日本以外の国、随分、アフリカだ、あっちゃこっちゃ住んでいましたので、そこへ行きゃ、どこもないわけですよ、先進国。

 だから、やはり組織力というのはすごいんだと思うんですね。日本というのが、今後とも、いわゆる体格でいえば、優劣でいえば劣位であるにもかかわらず、劣位戦を組織力で補う。だから、なでしこの沢だけだったらワンバックに負けるんですけれども、十一対十一になると勝てるというのは、組織力がこの国の持っている最大の強みなんだ、僕はそう思っていますので、そこのところがいかにきちんとやっていけるかなんだと思っております。

 今言われましたように、成長戦略、再興戦略、いろいろな表現がありますけれども、あの中で今後とも私どもが自信を持っていかねばならぬところは、そこが一番大事なところなのであって、私どもとしては、こういった点を考えて、今、金融の面でいけば、先ほどの福田先生の御質問にもありましたけれども、少なくとも金融もきちんとした戦略を持って、どれを育て何をやっていくかというものを、きちんと絵を描いておかないと、ただ思いつきでその場で貸したり出したりするとか、さっきの、人の話でいけば、多くの人たちが来ているにもかかわらず、入ったり出たりする。

 そういった人たちを大事にしていくというのは、例えば、今のシカゴの穀物相場の委員長になったのは元国会議員ですけれども、これはもともと日本のYMCAの先生ですものね。だから、日本に対してえらく一生懸命になるというのが実はいっぱいいて、その人たちが、真実、隠れた日本の含み資産だと思ってやらないかぬところなんだと思っていますけれども、そういったような人たちの人脈を含めて、日本というのはそういった人たちのつき合いを結構大事にするところでもあります。

 私どもとしては、いろいろな意味で、そういったものを使わせていただいて、我々が今後復興をスタートさせていくに当たっては、そういったいろいろなものの総合力で、日本という国の持っている力、教育力であってみたり道徳であってみたり、いろいろなものというのは、我々にとっては、圧倒的にすぐれているものですから、少なくとも、アジアに限らず世界の中で、大都市で夜中女性が一人で歩ける町というのは、東京以外僕は知りませんから、そういった意味では、圧倒的に優位な条件を持っているということに、もう少し国際競争力の隠れた財源として我々は持っているんだということを意識して今後とも運営をされていかないと、妙な一点だけの話をとって、これで負けているからとかなんとか言ったって、それは全然違う話なんだと、私にはそう見えておりますので、今御指摘になりました点を踏まえて頑張っていかねばならぬと思っております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃる組織力ということを、私もかつて、高校生のころですが、短い期間、一年間ぐらいだったんですけれども、アメリカに留学をさせていただいていたという経験があって、外から日本を眺めてみると、やはりアメリカというのは組織がどうというよりは個人主義なところがあって、改めて、日本に帰ってきて、何てきめ細やかな国なんだということを実感したのを思い出します。

 そういう意味で、やはり、日本という国は組織力の非常に強い国ですし、私も、ことしで四十一歳になりまして、これから社会の中堅となっていくわけですけれども、しっかりと諸先輩方が築いてこられましたそういった伝統を引き継いで、しっかりと自分に課せられた使命に邁進してまいりたい、このように考えております。

 では、続きまして、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。ファイナンスに関する質問でございます。

 これは、成長戦略の中では、一定の条件を満たす場合には、経営者の個人保証というのをとらないで、個人保証を付さない融資についてもやります、それも検討をしまして、年末をめどにこれを実施するためのガイドラインをつくっていきましょうということも盛り込まれてございます。

 こうした新しいタイプの融資というんでしょうか、企業への融資のやり方がどんどん出てくる、そして企業の資金調達のパイプが複線化してくるということは私は非常にいいことだと思っていまして、水道管もそうですけれども、パイプが太くなれば水が出てくるのが多くなるのか、それとも、パイプの数が多くなれば、こっちが詰まってもこっちから水が出てくるということで、企業の資金調達のやり方というのが、手法がたくさん出てくるということは非常に好ましいことだなと思っておりますけれども、この制度の趣旨と目的について金融庁にお伺いしたいと思います。

寺田副大臣 今委員御指摘の個人保証の問題、これまではいわゆる担保融資といたしまして、物的保証あるいは人的保証、そうした保証をつけるから貸し出すというスタイルから、まさに事業の中身を見たプロジェクトファイナンス、とりわけ過度の個人保証に依拠しないような新たなそうしたファイナンスの普及拡大を今金融庁としても目指しているところであります。

 個人保証をつけることによって、もちろん、金融がつくという面では、個人保証が一つの資金調達の円滑化に寄与する面があります一方で、それが中小企業の活力を阻害したり、あるいはまた、個人保証の契約時やあるいは保証の履行時において、まさに身ぐるみ剥がれてしまって、再び再起動することがなかなか難しくなってしまうといったようなさまざまな問題も指摘をされていることは、委員御高承のとおりであります。

 このため、中小企業庁と我々金融庁と共同で、中小企業における個人保証等の在り方研究会を立ち上げまして、議論を重ね、先月、五月の二日に報告書を公表いたしました。その報告書のポイントといたしましては、中小企業の経営者による個人保証に関し、その契約時あるいは履行時などにおける課題について解決策の方向性が示されるとともに、その方向性を具体化したガイドラインの策定が適当である、すなわち、一定のガイドラインをつくることによって、一定の条件を満たせば個人保証を付さなくてもいいというふうなタイプの融資、また過度に個人保証に依存しないスタイルの確立を目指していこうということであります。

 したがって、この提言も踏まえまして、今般の日本再興戦略において、個人保証制度の見直しといたしまして、文言といたしましては、「法人の事業資産と経営者個人の資産が明確に分離されている場合等一定の条件を満たす場合には、経営者の保証を求めないこと等のガイドラインを策定する。」ということを盛り込んでおります。

 今後、この再興戦略の方針に即して、保証人の負担の軽減、また中小企業の円滑な資金調達の確保、このバランスなどにも留意をしながら、本年のできるだけ早い時期にそのガイドラインを策定し、公表すべく検討を進めてまいりたいと思っております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 寺田副大臣とは、四月の予算委員会の分科会でもこうした中小企業の資金調達の多様化に関するテーマで随分と御議論させていただきまして、また、ここで、六月になって、再興戦略でこうした新たな方策が出てきたなというところで、私も非常に感慨深いところがありますので、どうか個人保証に依存しない融資という形でぜひ進めていってくださいますようにお願いを申し上げます。

 続きまして、本日、経産省中小企業庁様の方からも御出席を賜っておりますので、御質問させていただきたいと思います。

 中小企業の資金調達の多様化という観点から考えますと、かつて、私が銀行員だった時代、ちょっと前になるんですけれども、その時代、信用保証協会の保証を活用しまして、いわゆるCLOと呼ばれる貸し出しの形態、資金調達の形態がありました。CLOというのは、コラテラライズド・ローン・オブリゲーションの略で、日本語にすると貸出資産担保証券とかというふうに訳されるんですけれども、要は、銀行が中小企業にたくさん小口の融資をしていますよ、それを、融資債権をSPCとかで束ねて、そこでそれを小口に証券化して一般の投資家に販売をして、一般投資家からお金を集めてそれを中小企業に回していくということで、肝は、信用力が弱い中小企業、小規模事業者であっても、直接金融のような形で、銀行からではなくて直接市場の投資家からお金を調達できる、そういうシステムだったわけでございます。

 例えば、東京都でございますと、当時は石原慎太郎知事でございましたけれども、そのもとで東京都債券市場構想というのがあったりですとか、あと、私が知る限りでは、中部CLOといいまして、愛知、岐阜、三重の三県で、中部経済産業局さんなんかが旗を振りましてそうした取り組みをしていたというふうに記憶をしております。

 このようなCLOなんですけれども、すなわち中小企業への直接金融という形なんですが、最近の組成実績はどのようになっているんでしょうか。もし余り活用されていないということであれば、その要因と評価、そして今後の対応策を経産省さんにお伺いをしたいと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたCLOでございますけれども、このスキームは、中小企業、小規模事業者の資金調達手段の多様化という観点で大変意義のあるものだと思っております。また、不動産担保とか個人保証、そういったものに過度に依存をしない融資という観点からも進めていくべき施策だというふうに認識をいたしております。

 実績でございますけれども、平成十二年の三月に東京都で初めてスキームが組成されて以降、平成二十二年三月末までの累積で、組成回数が四十四回、貸出件数は二万二千五百九件、金額では六千九百五十億円の実績を上げてきたところでございます。

 ただ、残念ながら、平成二十二年四月以降、実は組成実績がございませんで、その原因でございますけれども、私どもの認識といたしましては、一つには、長く続いた低金利のもとで、CLO組成に必要なコストの負担感というものが相対的に大きくなっているということが第一点。それからもう一つは、やはり、サブプライム問題以降、投資家の投資姿勢というものが大変消極化をしてきているというようなことが指摘されるのではないかと思っております。

 ただ、今後、景気の回復が目に見えて進んでまいるということになりますと、こういった事情が解消して、地域金融機関において再度CLOへの取り組みが再開をされるということも期待されるというふうに私ども思っておりまして、その場合におきましては、これまでの経験も踏まえて、信用保証協会においてしっかりとした対応がなされるように私どもとしてもしっかりと指導してまいりたい、このように考えているところでございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 最近は、いろいろな市場の環境の事情もございまして、なかなか実績が上がっていないというお話でございましたが、ただ、やはり重要なことは、政府としてしっかりと制度は残しておく、そして使いたいときに中小企業者がしっかりと使えるということが重要だと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 続きまして、金融庁さんの方にお話を戻しますけれども、成長戦略の中では、アジア諸国に対しまして金融インフラの整備支援を検討していくということでございます。その趣旨、目的について御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、アジア、ASEANに限らず、多くの国々に日本の企業が進出をしておりますが、基本的には、金融システムとか損保、損害保険等々のシステムがそこにない。最近の例でいけばミャンマーが一番いい例かもしれませんけれども、ミャンマーに工場進出をといっても、工場が出ていって、その工場に関する損害保険をといったって、そこに損害保険会社がない。また、現地通貨で金をといったって、いわゆる現地通貨が未発達。もちろんATMなんというものもありませんし、そういったところで、出てこいと言われても、金融機関は未発達、損害保険会社も未発達、通信機器もいまだ未発達。

 したがって、道路とか鉄道とか港とかそういう見えるものだけじゃなくて、いわゆる見えないそういうシステム、インフラというものが未発達のところに対して、日本としては、きちんとした対応をしていくのには、単に企業が出ていって何とかとする前にそういうところに出やすいようにするということをやらないかぬということで、今よく、JICAとかいろいろ、日本でもJBICとかございます。

 そういった中にあって、今、ミャンマーの金融やら何やらを担当している大臣を呼んで、よく見ろ、こうやってやるんだといって、中央銀行が地方の郵便局並みのシステムじゃ話にならぬ、中央銀行というのはスワップから何からみんなやるんだという説明をするのをきのうもやっていたんです。なかなかそういったものが発達していくまでの間は、こちらの方から向こうの人を呼んで、教育します、うちできっちり教えますということもやらせていただいたり、いろいろな、双方で、こっちも人を出しますというので、例えば、これは法務省で、カンボジアにやったと思いますが、カンボジアの民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、あれは全部、日本の法務省の三十代の人があそこに出ていって、少なくとも六年か七年かかったと思いますが、クメール語で法律を全部つくって、それで、今のあれは間違いなく日本の民法ですから、出ていくと、日本の民法と同じじゃないか、物すごくわかりやすいなということになる。これは外務省と法務省とで成功した例だと思います。

 金融というような話になりますと、今、アフリカなんかは、五年前のTICADと今回のTICADの一番の違いは、この前のときは間違いなく、融資を下さい、援助を下さいだったんですが、今回のTICADでは間違いなく、仕事の話、ビジネスの話をしてくるんだけれども、これは五年間で間違いなくあれが変わったことを意味しているんだと思います。

 ぜひ、そういった意味で、金融やら何やらの制度、システムというものができなくて、資源はあります、働く意欲もあります、民主主義です、何ですといっても、現実にそれを動かしていくのは、先ほど申し上げたように、いろいろなものが組織としてでき上がっていませんので、そこらのところをやっていくに当たって、やはり金融としては、金融庁を所管する立場なり財務省という立場でいえば、そういった、いわゆるインフラというか目に見えないシステムをきちんと整備させていくということをやらない限りは、今後ともお互いの信用が成り立たないことになると思っておりますので、今はJBICやらJICAやらいろいろなところがみんなそれぞれ負担してやってもらっている部分を、おたくの方できちんとこういったものを育ててくださいということを申し上げて、その方向で事が動きつつある、まだ動きつつあるところだと御理解いただければと存じます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 まさしく、最初に大臣からお話があったように、日本の組織力を、まずアジアのまだ進んでいない国に種をまいて、それから企業が出ていく、そしてお互いウイン・ウインとなるようなビジネスをやっていくんだ、こういうことだというふうに理解をしました。ぜひこの点についても、今後TPPの話もあろうと思いますので、しっかりと推進されていくことをお願いしたいと思います。

 さて、時間も迫ってまいりましたが、もう一問いけるでしょうか。

 お手元にこういった資料を配らせていただきました。これは何かといいますと、イギリス系のコンサルティンググループが発表している国際金融センター指数、GFCIというもので、要は何かというと、世界の各市場、マーケットの評価のランキングでございます。

 私は、この調査を見て非常にショックを受けてしまったんですけれども、ロンドン、ニューヨークが一位、二位にずっと来ているというのは、これは誰でもわかることでしょう。香港、シンガポールが三位、四位ぐらいに来るなというのは、これも何となく、金融をやっていると、最近はこんなものでしょうねという意識はあるんですけれども、例えば、二〇一一年の三月調査では、東京は上海のマーケットにも後塵を拝してしまっている。半年後の二〇一一年九月でも、上海にも後塵を拝している。直近の調査は二〇一二年九月ですけれども、ここになってくるとソウルにも負けてしまっている、こんな始末でございます。

 ただ、もちろん、これはいわゆるアンケート調査みたいなもので、このランキングが全てをあらわしているものではないというふうに御理解いただきたいんですが、ですのであくまで参考という位置づけではあるんですけれども、ただ、東京市場の国際的な地位の低下というのは否定できない事実ではないのかなというふうに私は思うわけでございます。

 成長戦略の中では、我が国のこういった金融資本市場を活性化するといった施策も盛り込まれているわけでございますけれども、東京市場がこのように地位が下がってきてしまったということの要因ですとか原因についてどうお考えか、金融庁の御見解をお聞かせください。

寺田副大臣 御指摘のとおり、我が国マーケットの状況、諸外国に比して後塵を拝しているという御指摘であります。

 スイスの研究所、IMDが毎年出しておりますいわゆる国際競争力ランキングによりますと、我が国は、過去は常にベストファイブ、一等国であったわけなのが、今、世界第二十四位と、まことにこれは日本経済そのものの、長期のデフレ不況、また経済力の低下等々あるわけであります。

 他方、金融資本市場の国際競争力については委員御指摘のとおりでありますが、最近、近時においては、さまざまな努力、ETFの多様化でありますとかさまざまな市場整備なども行いまして、委員が今お配りになられた表よりさらに直近の、ことしの三月、二〇一三年の三月の数字がつい先日公表になっておりまして、ソウルを抜いて第六位に一つ順位を上げているところであります。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、今後とも、我が国の市場がマネーセンターとして国際競争力が一層強化できますように引き続き市場の整備に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 やはり、お話ございましたけれども、一等国、二等国と余り順位をつけるのもどうかなとは思うんですけれども、一等国であるということは、やはりそれはそれでいいことだと思いますし、そのための、日本再興戦略で「ジャパン・イズ・バック」という副タイトルもついているわけですから、これでしっかりとやっていただきたいと思います。

 さて、時間の方もそろそろ来たようでございますので、ちょっともう一問いくのはきついと思いますので、私の方からの質問は以上というふうにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

今村主査 これにて田畑毅君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての質疑は終了いたしました。

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今村主査 これより外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。岸田外務大臣。

岸田国務大臣 平成二十一年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は一兆百三十三億二千四百七十万円余でありまして、支出済み歳出額は九千三百五十九億九千九百八十六万円余、翌年度繰越額は六百十億六千六百七十万円余、不用額は百六十二億五千八百十四万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額九千六百二十二億百二十一万円余、前年度繰越額五百十一億二千三百四十九万円余であります。

 以上、平成二十一年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 次に、平成二十二年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は九千百四十一億四千七百八十三万円余でありまして、支出済み歳出額は八千五百五十七億三千九百八十三万円余、翌年度繰越額は三百七十二億四千八百二十七万円余、不用額は二百十一億五千九百七十二万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千五百三十億八千百十三万円余、前年度繰越額六百十億六千六百七十万円余であります。

 以上、平成二十二年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、平成二十三年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳出予算現額は八千六百四十五億一千七万円余でありまして、支出済み歳出額は八千億三千四百三十万円余、翌年度繰越額は五百十二億七千四百七十二万円余、不用額は百三十二億百四万円余であります。

 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八千二百七十二億六千百七十九万円余、前年度繰越額三百七十二億四千八百二十七万円余であります。

 以上、平成二十三年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、職員の不正行為による損害が生じたものにつきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、政府開発援助の効果の発現に関するもの、在外公館が管理する国有財産等の処分に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、精算条項つき契約における人件費の算定に関するもの、財団法人交流協会の給与税金引当金に関するものなど計四件につきまして検査報告に掲記しております。

 引き続きまして、平成二十二年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、本来属すべき会計年度と異なる会計年度から支払いを行ったり、歳入徴収官、資金前渡官吏等がみずから行うべき事務が当該者により行われていなかったりするなどの不適正な会計経理を行うなどしていたもの、職員の不正行為による損害が生じたもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、在外公館の長に対する着後手当の支給に関するもの、政府開発援助の実施に関するものなど計三件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、在外公館に配備する医薬品の調達に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十三年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、日本NGO連携無償資金協力に係る返納金について、会計法令に基づく債権管理を適正に行っていなかったものにつきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、政府開発援助の実施に関するもの、技術協力に係る付加価値税等の免除状況に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、IC旅券用書き込み機の保守契約に関するもの、日本人学校等の教員等の給与に対する援助の実施に関するもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十一年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、政府開発援助の効果の発現に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。岸田外務大臣。

岸田国務大臣 平成二十一年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 在外公館における現地採用職員による不正行為について、不当事項との御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。職員に対する指導のより一層の徹底を図るなどの措置を講じたところであり、再発防止に努めてまいる所存であります。

 その他の指摘事項につきましても、所要の措置を講じたところであります。

 続きまして、平成二十二年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 在外公館における不適正な会計経理等について、不当事項との御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。これらにつきましては、会計事務処理の適正化について職員への周知徹底を図る等の措置を講じたところであり、再発防止に努めてまいる所存であります。

 その他の指摘事項につきましても、所要の措置を講じたところであります。

 続きまして、平成二十三年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、外務省が講じた措置を御説明申し上げます。

 会計法令に基づく債権管理が適正に行われていなかったことについて、不当事項との御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。今後は会計法令に基づき債権管理の事務を適切に行うことにより、再発防止に努めてまいる所存であります。

 その他の指摘事項につきましても、所要の措置を講じたところであります。

 以上です。

今村主査 次に、田中独立行政法人国際協力機構理事長。

田中参考人 平成二十一年度決算に関する会計検査院の御指摘につきまして、JICAが講じた措置を御説明申し上げます。

 メキシコ市大気汚染対策関連事業につきましては、援助効果が十分に発揮されるよう、事業完了後も稼働の状況や修理の方法等について、相手国事業実施機関等との間で協議、検討を行ってきております。

 以上でございます。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、外務省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより皇室費について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。

山本政府参考人 平成二十一年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十七億四百五十万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十一億三千九百六十一万円余と比較いたしますと、五億六千四百八十八万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は一億四千四百万円余でありまして、不用額は四億二千八十七万円余であります。

 翌年度繰越額は、皇居等施設整備に必要な経費でありまして、計画に関する諸条件の関係により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、皇居等施設整備に必要な経費等を要することが少なかったため生じたものであります。

 次に、平成二十二年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十四億六百四十万円余でありまして、これを支出済み歳出額五十四億九千二百七十二万円余と比較いたしますと、九億一千三百六十七万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は五億二千三百八十万円余でありまして、不用額は三億八千九百八十七万円余であります。

 翌年度繰越額は、皇居等施設整備に必要な経費等でありまして、東日本大震災の影響等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため生じたものであります。

 次に、平成二十三年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の歳出予算現額は六十八億一千九百八十一万円余でありまして、これを支出済み歳出額六十億二千七百九十二万円余と比較いたしますと、七億九千一百八十八万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は二億六千二百九十六万円余でありまして、不用額は五億二千八百九十二万円余であります。

 翌年度繰越額は、皇居等施設整備に必要な経費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。

 また、不用額は、国際親善に必要な経費等を要することが少なかったため生じたものであります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 よろしく御審議いただきますようお願いいたします。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、花園院宸記コロタイプ複製製造契約において、関係者との間の費用の負担割合を誤ったなどのため、予定価格が過大となり契約額が割高となっていたものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。

山本政府参考人 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、予定価格の積算内容についての確認体制を強化するなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより裁判所所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成二十一年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百四十七億三千二百七十万円余でありますが、これに平成二十年度からの繰越額百二十一億八千八百三十二万円余、予算補正追加額百七十六億二千七百七十六万円余、予算補正修正減少額百八十九億七千二百九十二万円余、差し引き百八億四千三百十六万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百五十五億七千五百八十七万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千百十五億一千九百四万円余であり、歳出予算現額との差額は二百四十億五千六百八十二万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百五十一億五千八百十三万円余、不用額は八十八億九千八百六十八万円余であります。不用額となった経費は、人件費十九億九千四百八十八万円余とその他の経費六十九億三百八十万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百三十三億七千百七十五万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は二百十三億七千六百三十三万円余であり、歳入予算額に対し十九億九千五百四十一万円余の減少となっております。

 この減少は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金が予定より少なかったこと等によるものであります。

 以上、平成二十一年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 次に、平成二十二年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百三十一億七千八百四十九万円余でありますが、これに財務省所管からの移しかえ額五千七百三十万円余、平成二十一年度からの繰越額百五十一億五千八百十三万円余、予算補正修正減少額十四億五千九百五十九万円余、差し引き百三十七億五千五百八十四万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百六十九億三千四百三十四万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千百二十六億九千四百七十三万円余であり、歳出予算現額との差額は二百四十二億三千九百六十万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は九十四億九百二十六万円余、不用額は百四十八億三千三十三万円余であります。不用額となった経費は、人件費七十一億四千三百二十六万円余とその他の経費七十六億八千七百七万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百五十二億六千九百四十二万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は二百九十三億二千六百五十万円余であり、歳入予算額に対し四十億五千七百七万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金が予定より多かったこと等によるものであります。

 以上、平成二十二年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明を申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 次に、平成二十三年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百億二千百九十九万円余でありますが、これに財務省所管からの移しかえ額九千六十六万円余、平成二十二年度からの繰越額九十四億九百二十六万円余、予算補正追加額八十四億二千六百六十万円余、予算補正修正減少額三十九億五千二百二十一万円余、差し引き百三十九億七千四百三十二万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百三十九億九千六百三十一万円余となっております。

 これに対しまして、支出済み歳出額は三千九十六億六千七百十五万円余であり、歳出予算現額との差額は二百四十三億二千九百十五万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百三十四億千八百八十七万円余、不用額は百九億千二十八万円余であります。不用額となった経費は、人件費五十二億八千三百六十五万円余とその他の経費五十六億二千六百六十三万円余であります。

 裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は二百十三億八百四十万円余であります。これに対しまして、収納済み歳入額は三百六十五億二千二百六十六万円余であり、歳入予算額に対し百五十二億千四百二十六万円余の増加となっております。

 この増加は、相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金が予定より多かったこと等によるものであります。

 以上、平成二十三年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、清掃業務請負契約において、清掃員の人工数を誤って算出したため、契約額が割高となっていたものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。大谷最高裁判所事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成二十一年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後より一層指導監督の徹底を図り、予算の適正な執行に努めてまいる所存であります。

 以上でございます。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより会計検査院所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。河戸会計検査院長職務代行検査官。

河戸検査官 平成二十一年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千六百七万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千四百七十四万円余であり、差し引き百三十二万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入二千百三十七万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百七十四億百四十四万円余でありますが、これに予算補正追加額一億一千六百二十四万円余、予算補正修正減少額六億一千六百五十一万円余、前年度繰越額四千六百二十一万円余を増減いたしますと、歳出予算現額は百六十九億四千七百三十九万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百六十三億四千四百三十二万円余でありますので、その差額六億三百六万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十二億八千七百七十二万円余、会計検査業務に要した経費として十八億六千五百四十九万円余となっております。

 以上、平成二十一年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 次に、平成二十二年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千四百九十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千百六十五万円余であり、差し引き三百二十八万円余の減少となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入千九百七万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百七十八億一千九百十八万円余でありますが、これに予算補正修正減少額一億九千百五十六万円余を差し引きますと、歳出予算現額は百七十六億二千七百六十一万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百六十六億八千九百七十七万円余、翌年度繰越額は二千十八万円余でありますので、その差額九億一千七百六十六万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十九億三千百八万円余、会計検査業務に要した経費として十七億六百八十二万円余となっております。

 以上、平成二十二年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 次に、平成二十三年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額二千二百三十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千三百六十八万円余であり、差し引き百三十二万円余の増加となっております。

 収納済み歳入額の主なものは、国有財産貸付収入千九百三十五万円余であります。

 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額は百七十億四千九百九十一万円余でありますが、これに予算補正追加額三億五千七百三万円余、予算補正修正減少額一億一千百四十七万円余、前年度繰越額二千十八万円余を増減いたしますと、歳出予算現額は百七十三億千五百六十五万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百六十三億三千九百十五万円余、翌年度繰越額は三億七百三十三万円でありますので、その差額六億六千九百十七万円余を不用額といたしました。

 支出済み歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十六億三千百五十五万円余、会計検査業務に要した経費として十七億四百九十六万円余となっております。

 以上、平成二十三年度における会計検査院関係の決算の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十二年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続きまして、平成二十三年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

今村主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

今村主査 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。古屋国家公安委員会委員長。

古屋国務大臣 平成二十一年度、平成二十二年度及び平成二十三年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十一年度の当初予算額は二千六百七十二億五千二百六十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額千八百三十四億七千二百四十三万円余、予算補正修正減少額四百四十五億七千百三十八万円余、予算移しかえ増加額二千二十七万円余、予算移しかえ減少額三百八十三万円余、前年度繰越額六十八億六千三百九十二万円余を増減いたしますと、平成二十一年度歳出予算現額は四千百三十億三千四百九万円余でありまして、これを支出済み歳出額三千二百九十三億九十万円余に比較いたしますと、八百三十七億三千三百十九万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越しした額は五百二十三億三千九百六十九万円余であります。これは、設計及び計画に関する諸条件により工事等が遅延したため、年度内支出を完了することができなかったものであります。

 また、不用となった額は三百十三億九千三百四十九万円余であります。これは、契約価格が予定を下回ったので、警察通信機器整備費を要することが少なかったこと等のためであります。

 以上をもちまして、平成二十一年度警察庁関係歳出決算の概要の説明を終わります。

 次に、平成二十二年度における警察庁関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十二年度の当初予算額は二千七百五億四千三百二十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額六十九億三千七百五十万円余、予算補正修正減少額三十一億百十七万円余、予算移しかえ増加額六千三百二十五万円余、前年度繰越額五百二十三億三千九百六十九万円余、予備費使用額九億九千八百五十八万円余を増減いたしますと、平成二十二年度歳出予算現額は三千二百七十七億八千百十二万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千七百五十億九千八百八十八万円余に比較いたしますと、五百二十六億八千二百二十四万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越しした額は二百五十六億六千三百三十一万円余であります。

 また、不用となった額は二百七十億一千八百九十二万円余であります。繰り越し及び不用の理由は、平成二十一年度と同様であります。

 以上をもちまして、平成二十二年度警察庁関係歳出決算の概要の説明を終わります。

 次に、平成二十三年度における警察庁関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年度の当初予算額は二千四百五十一億三百七十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額七百億六千二百五十一万円余、予算補正修正減少額二十九億七千三百八十五万円余、予算移しかえ増加額三十九億六百九十二万円余、前年度繰越額二百五十六億六千三百三十一万円余を増減いたしますと、平成二十三年度歳出予算現額は三千四百十七億六千二百六十三万円余でありまして、これを支出済み歳出額二千八百四十五億八百九十七万円余に比較いたしますと、五百七十二億五千三百六十六万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は三百四十四億五千百八万円余であります。

 また、不用となった額は二百二十八億二百五十七万円余であります。繰り越し及び不用の理由は、平成二十一年度と同様であります。

 以上をもちまして、平成二十三年度警察庁関係歳出決算の概要説明を終わります。

 以上、警察庁関係の歳出決算につきまして御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

今村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って警察装備費、需用費等を支払っていたもの計十二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、小型回転翼航空機の購入の際にあわせて必要とされる部品に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十三年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

今村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。古屋国家公安委員会委員長。

古屋国務大臣 平成二十一年度及び平成二十二年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、まことに遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正の措置を講じたところであり、再発防止に万全を期してまいる所存であります。

 今後、適正な事務処理について、さらに指導の徹底を図ってまいる所存であります。

 以上です。

今村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村主査 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中警察庁については終了いたしました。

    ―――――――――――――

今村主査 これより内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十一年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額百三十億八千四百七十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は五百六十六億五千三百六十二万円余であり、四百三十五億六千八百八十八万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額七千七百八十二億四千四百二十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は六千二百一億六千九百四十二万円余であり、千五百八十億七千四百七十九万円余の差額を生じております。

 この差額のうち翌年度繰越額は七百三十二億二千六百八十万円余であり、不用額は八百四十八億四千七百九十八万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額三千三百八十一億三千三百八十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は二千六百九十一億五千六百三十九万円余であり、六百八十九億七千七百四十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は百九十二億九千二百十万円余であり、不用額は四百九十六億八千五百三十四万円余であります。

 次に、平成二十二年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額二百八十一億千六百九十四万円余に対しまして、収納済み歳入額は七百五十三億三千七百四十八万円余であり、四百七十二億二千五十四万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額六千二百八十九億九千十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は四千九百十三億二百九十二万円余であり、千三百七十六億八千七百二十三万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は五百六十億千六百四十九万円余であり、不用額は八百十六億七千七十四万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額二千六百九十一億四千三百六十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は千八百七十五億七千四百二十四万円余であり、八百十五億六千九百三十八万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は三百三億五千三百十七万円余であり、不用額は五百十二億千六百二十万円余であります。

 次に、平成二十三年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額三百八十五億二千五百五十三万円余に対して、収納済み歳入額は五百五十七億二千六百四十万円余であり、百七十二億八十六万円余の増加となっております。

 次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額一兆二千六百七十九億七千八百五十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は九千五百三十億八百二十六万円余であり、三千百四十九億七千二十四万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二千五百七十五億千三百四十二万円余であり、不用額は五百七十四億五千六百八十一万円余であります。

 内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額八千七百五十一億五千六百六十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は六千二百十三億四千七百四十五万円余であり、二千五百三十八億九百十七万円余の差額を生じます。

 この差額のうち翌年度繰越額は二千二百二十九億五千三百八十一万円余であり、不用額は三百八億五千五百三十五万円余であります。

 以上をもちまして決算の概要説明を終わります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願いをいたします。

    〔主査退席、三宅主査代理着席〕

三宅主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鈴木第一局長。

鈴木会計検査院当局者 平成二十一年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 不当事項でございますが、大型電子計算機システムの賃貸借等に当たり、支出負担行為等の契約手続を経ることなく前年度中にハードウエア等の移行作業を実施させ、当年度に契約を締結して、これに係る経費を含む契約金額を当年度の歳出予算で支払っていたもの、中央防災無線網の整備に当たり、耐震施工が適切でなかったため、地震時における多重無線通信設備等の機能の維持が確保されていない状態となっていると認められたもの計二件につきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十二年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、情報システム関係業務に係る請負契約において、計上の必要がない人件費に係る管理費等を計上していたため、予定価格が過大となり契約額が割高となっていたものにつきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益の管理に関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十三年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁及び公正取引委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、沖縄振興開発金融公庫による省エネルギーの促進に係る貸し付けに関するものにつきまして検査報告に掲記しております。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

三宅主査代理 次に、会計検査院太田第五局長。

太田会計検査院当局者 平成二十一年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 次に、平成二十二年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 次に、平成二十三年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。

三宅主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

甘利国務大臣 ただいま会計検査院から大型電子計算機システムの賃貸借等に関しまして御指摘のありました事項につきましては、まことに遺憾に存じております。

 御指摘を受けた事項につきましては、既に再発防止の取り組みを進めており、今後も再発防止に万全を期してまいる所存であります。

三宅主査代理 次に、古屋国務大臣。

古屋国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました中央防災無線網の整備につきましては、請負者による耐震計算書の提出の義務づけや、国による耐震計算書の記載内容の確認を仕様書に定めるなど、監督検査の厳格化を図ったところであります。

 なお、実際には十分強度を有するアンカーボルトを使用しているため、耐震性については計算上も実際上も問題はなく、中央防災無線網の機能の維持は十分に確保されています。

 今後とも、耐震施工の十分な監督及び検査に万全を期する所存であります。

三宅主査代理 次に、山本国務大臣。

山本国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、情報システム関係業務について、積算内容の確認及び審査の体制を強化するなど、所要の措置を講じたところであります。

 国営公園維持管理推進費補助金により造成された基本財産から生じた運用益につきましては、使途を明確に定めることなどにより、その管理が適切に行われるよう所要の措置を講じたところであります。

 沖縄振興開発金融公庫による省エネルギーの促進に係る貸し付けにつきましては、貸し付けに際して対象施設等の省エネルギー効果を確認することとするなど、所要の措置を講じたところであります。

 今後、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。

三宅主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております会計検査院の検査概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

三宅主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。長崎幸太郎君。

長崎分科員 金曜日の遅い時間、最後まで、大臣には大変お疲れさまでございます。

 きょうは、火山の噴火対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本件に関して、去る四月十五日、衆議院の予算委員会分科会で、自民党の堀内詔子議員と大臣との間で大変有意義な議論が交わされたというふうに承知しておりますけれども、今回は、その議論も踏まえて、富士山、もしくは富士山のみならずその他の火山についても、大規模噴火災害対策について質問を申し上げたいと思います。

 平成二十三年の十二月八日、衆議院災害特で藤井参考人から、二十世紀以降で、全てのマグニチュード九を超える地震の後には火山噴火が起こっている、こういうような発言、参考人の意見陳述がありました。御承知のように、二〇一一年の三月十一日、東北の大震災はマグニチュード九を超えておりまして、噴火問題に対する対応の必要性というのは近年ますます高まっていると私は思っております。

 そういう意味で、先般、これは、自民党の国土強靱化総合調査会の二階会長の呼びかけに応じまして、火山災害に対する勉強会というものを立ち上げさせていただきましたが、立法府と行政府との間で今後課題解決に向けて問題意識をぜひ共有したい、こういうことで本日の議論を結びつけていきたいと思っております。

 まず最初に、去る五月の七日に諮問会議に大臣が提出された「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)について」という資料でございますが、ここで記載されております中身の中で、まさに大変時宜を得たお考えだと思います。それは、「(これまで「想定外」だったような)低頻度大規模災害にいかに備えるか」、これについて、被害を受ける側の構造改革、あるいは平時からの有事に向けた取り組みが必要、こういう考え方を私は高く評価する者の一人であります。

 そこでお伺いをいたしますけれども、これまで想定外だったような低頻度大規模災害には、私は、まさに火山の大規模噴火災害が該当すると思われますが、この際、この被害を受ける側の構造改革を火山噴火災害対策について当てはめるとどのようなものになるのか、お聞かせいただきたいと思います。

古屋国務大臣 委員は、御地元で富士山の問題がありますので、熱心に取り組まれているとよく承知をいたしております。

 その上で、今、五月七日の経済財政諮問会議で私が提案をした内容についての御質問ですけれども、被害を受ける側の構造改革、こういうことで言いましたけれども、これは、一定規模の災害を想定して、それによる被害を軽減するという今までのアプローチから、被害を受ける社会などの側で、平時から、経済システムであるとかあるいは国土利用など、強くしなやかなものに取り組んでいくべきである、そういった取り組みを推進しようという考えであります。

 具体的には、病院とか福祉施設などを安全な場所に集約するコンパクトな町づくりを進めるということは、平時には高齢社会にも適した暮らしやすい町になりますし、同時に、例えば津波等々の災害があったときには、人の命を守って、重要な機能が致命傷を負わないようにする、こういう社会の構築につながるということになるというふうに思います。

 今御指摘の火山の噴火対策についても、考え方は同様だと思います。噴火による直接の被害を防ぐための対策だけではなくて、例えば、一つの例ですけれども、ハザードマップなんかも完備をして、土地利用のあり方をあらかじめぴしっと視野に入れた強くしなやかな町づくり、こういったものを検討していく必要があるというふうに考えております。

長崎分科員 平時から取り組みをしていくということでありますけれども、まさに病院ですとか老健の施設なんかは、要は、噴火災害エリアにある場合は、それを事前に避難していただく場合には、どこか別の拠点を確保していかないといけないという問題も出てくるので、そういうのは、今後まさにこの強靱化の、被害を受ける側の構造改革の一環ではないかと思います。

 そこで、もう一つお伺いしたいのは、五月二十八日にナショナル・レジリエンスに関しまして、関係府省庁の連絡会議で「当面の対応」というものを出されております。この中で、プログラムの重点化、優先順位づけの考え方として、国の役割の大きさ、それから影響の大きさ、緊急度を挙げておられます。

 火山災害については、まさに、先ほど言及しました四月十五日の御議論の中でも、国の支援が必要というふうにされておりますし、また、影響の大きさという観点でも、「当面の対応」の附属資料「脆弱性評価の結果概要」、これには記載されていないんですけれども、例えば、火山なんかが噴火いたしますと、火山灰が飛んで、この火山灰が火力発電所のタービンをとめる可能性もゼロではない、そうなると、最悪の場合、首都圏全体がブラックアウトするようなことも起こり得る。こういうことを考えますと、大変社会的な影響が大きいものだと思います。

 したがいまして、いずれにしても、火山災害に関しましては、災害による被害が広域にも及びますし、また、専門的知見が限られた市町村長のみでは対応が極めて困難、こういうものでありますから、まさに国の役割が大きくて、かつ影響も大きなものであり、優先順位というものは極めて高いものになるのではないかと思いますが、この点に関しまして大臣のお考えを伺いたいと思います。

    〔三宅主査代理退席、主査着席〕

古屋国務大臣 今委員御指摘の、我々、各省庁のいわゆる連絡協議会をつくっていまして、そこで連絡会議をずっと開いております。五月二十八日にもここで関係省庁の連絡会議をして、「国土強靱化推進に向けた当面の対応」を決定いたしました。

 この中身は、四十五の起こってはいけない事態というのを想定して脆弱性評価を行っているんですが、その中には、例えば、大規模な火山噴火、土砂災害などによる多数の死傷者のみならず後年度にわたり国土の脆弱性が高まる事態、これは起こってはならない事態ですよね、こういったものを規定しています。

 この事態を回避するためにはどういったプログラム、政策群と我々は言っているんですが、全部省庁を横串にして、全省庁の取り組むべき中身をプログラムでつくっていくということなんですけれども、このプログラムの作成に当たっては、やはり優先順位をつけて、効果的、効率的に実施をしていくということが極めて重要であるというふうに考えております。

 そのため、まずは、「当面の対応」というものを踏まえまして、今委員御指摘がありました、国の役割の大きさ、それから影響の大きさと緊急度、こういった尺度からプログラムの優先順位づけに向けた作業を現在精力的に行っております。

 この優先順位づけに当たっては、今、ナショナル・レジリエンス懇談会という有識者懇談会、危機管理の専門家、土木の専門家等々、幅広い有識者のメンバーを集めてその意見を聞いておりますので、今後は、私、国土強靱化担当大臣として、いかに優先順位をつけていくかというようなことは、具体的な判断をこれから行っていくということになると思います。

長崎分科員 まさにその優先順位づけのところは、政治判断が必要というふうにまたこの五月七日の資料にも書かれておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 これまでどうも、地震ですとか津波ですとか、そういうものについては、実際、三・一一でもその悲惨な状態というものは目の当たりにしているわけですけれども、なかなか火山噴火というのは、地元に住んでいる我々でも想定できない、余りイメージできないようなところがありまして、どうしても光が当たりにくいところなのかもしれませんが、まさにこのナショナル・レジリエンスの一丁目一番地の一つであろうかと私は思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それで、そういう意味で国土強靱化の観点から極めて重要なものだと思いますが、また改めまして、四月十日の「推進に向けた考え方」、この中で国土強靱化の基本理念が書かれております。いかなる大規模災害が発生しようとも、人命は何としても守り抜く。こういう観点に立ちますと、火山で申し上げますれば、要は、被災地対策としては避難対策を考えるしかないということであることは論をまたないと思います。

 先ほど大臣がおっしゃいましたように、ハザードマップの整備ですとか避難計画ですとか、現状、さまざまな努力が積み重ねられている途中だとは思いますけれども、しかしながら、火山災害からの避難対策を万全なものにするためには、今の法律では必ずしも十分ではないのではないか。

 もちろん、事前の監視観測体制の整備が必要だったり噴火発生前からの対応、あるいは、先ほども少し申し上げましたが、極めて大規模な避難が長期間にわたって発生し得ることが想定できるんだとすれば、病院ですとか老健ですとか、こういうものに入っている方々の受け入れ先もどういうふうに考えていくのかというのも極めて大切な問題になろうかと思います。

 これに対して、現状、火山に関しましては、災害対策基本法を中心として、あとは活火山法というのがありますけれども、これは万全な法的スキームとは言えないんじゃないか。

 例えば、一つあるのは避難指示の発令。これなんかは、災害対策法上は最終的に市町村長の権限とされていますけれども、では、いつ火山が噴火するんだということは、大変専門的な見地で発令をしないといけない。要は、これが、誰かの知識をもって、それを踏まえて市町村長が発令することになるわけですけれども、それが例えば大きな経済的な影響を及ぼす場合があり得る。

 例えば、富士山でいえば、年間何万人と登る中で、危ないですよ、だからもう入山しないでくださいと言うのは、それに対するいろいろな影響を考えれば、市町村長にとってはなかなか大きな決断だと思います。そうだとすると、そしてそれが結果的に空振りになった場合、ではどうするんだ、国賠法ですとか、いろいろな補償のリスクというのは出てこないのだろうか、こんなことを考えると、ちゅうちょし得る可能性がある。

 または、政府の非常災害対策本部、これも災害が発生した場合にのみ設置できることになっていますけれども、これはもう少し前段階で、各市町村長に法的な指示を出す権限をあらかじめ与えていてもいいのではないか、そういうのが必要になる場面があるのではないか。

 こんなようなことを考えたりいたしますと、万全の避難対策を検討するに当たりましては、火山噴火災害に対して、現在の法体系をベースにして、あるいはそれを基本として、火山災害の特色に合うような補強といいますか、改正といいますか、特例法の制定といいますか、そういう法的手当てというものが今後検討すべき課題になってくるのではないかと思うんですが、この点に関しまして大臣の御見解をいただきたいと思います。

古屋国務大臣 やはり火山災害から住民の生命を守るには、まず事前に、避難が間違いなくできる、こういう体制をしっかりつくっておく必要がありますよね。

 幾つかそのための手当てもしていまして、先日成立をいたしました災対基本法の改正では、例えば具体的には、避難勧告とか指示について、市町村は国または都道府県に対して助言を求めることができ、助言を求められた国または都道府県に対して応答義務を課すということが規定されましたね。それから、市町村に、住民等の円滑な避難に資するように防災マップ作成の努力義務を課しています。こういった避難体制の充実というものを改正の中には盛り込みました。

 一方では、大規模火山災害対策への提言、これは有識者が先日取りまとめましたよね。ここで、例えば、関係機関が連携して避難計画の策定など噴火時の対応について検討を行う火山防災協議会の位置づけ、それから、大規模火山災害の発生が懸念をされる時点で、国が現地対策本部を設置して、関係機関と連携をして災害の応急対策を行うことなどなどにつきまして必要な法的位置づけとか枠組みを構築しなさい、こういう提言がなされているんですね。

 こういった提言とかも踏まえまして、我々としては、やはり、火山災害対策を進めていく中で、今委員が御指摘のように、もし今後新たな法的枠組みが必要であるというようなことが認められる場合は、既存の法律の改正も含めて対応していかなくてはならない、そういった検討もしていく必要があるなというふうに考えています。

長崎分科員 ありがとうございます。

 まさに法的整備、いろいろな場面で、火山に関しては、予知連絡会も私的諮問機関であったり、あるいは現地連絡室というのも法的な根拠がない、さらに言えば、火山防災協議会、今大臣がおっしゃいましたものについても、全国に対する、富士山はたまたまありますけれども、ほかの山に関しても必ずしもその設置義務がない、そういうような問題がありますので、法的整備というものは、行政府のみならず、立法府としてもぜひとも真剣に取り組んでいかなければいけない課題だと考えております。

 これに関しまして、一つ御意見をお伺いしたいことがあります。

 先ほど、強靱化の取り組みの日常化という観点が大臣の提出された資料に書かれておりますが、これは、今、一番最初に御説明ありましたように、平時において有事を想定しながら行動をする、考える、そういう発想であると理解いたしますが、逆に、有事の際の行動に日常からなれておくこと、有事の行動の日常化というものは考えられないんだろうか。

 例えばなんですが、先日の四月の答弁でも、火山灰によって車の移動というものが極めて困難になるという御認識を答弁でなされていましたが、そのために、避難の初期段階では避難路に降り積もった灰を除去する必要があります。この灰の除去というものは、例えば、基本的には道路に雪が降った場合の除雪と同じような行動、行為になって、重機を使って道路に降り積もった灰をどけていくわけですけれども、これが、本格的な火山噴火の際には、やはり自衛隊の出動というものも当然視野に入れないといけないことになろうかと思います。

 この点ちょっと、実は通告をしていないんですけれども、ぜひこれはお考え、御感想をお伺いしたいと思いますが、例えば、年に一回でも二回でも、大雪が降り積もったときに、自衛隊が現地の自治体と連携をとる中で除雪を、要は、除灰の訓練として、火山灰の除去の訓練とかシミュレーションの一環として除雪に対して自衛隊が出動する、そんなようなことで日ごろからなれておくことも考えられるんじゃないかなと思うんですけれども、ここはどうでしょうか、御感想をお伺いさせていただければそれで結構なんですが。

古屋国務大臣 委員の御指摘は、まず基本にあるものは、やはり非常時の行動について日ごろからしっかりトレーニングというか準備しておく必要があるよ、強靱化の取り組みの日常化というんですか、そういう視点からの御質問だと思いますけれども、それは非常に重要ですね。

 それで、雪を除雪するような形で火山灰も除去するわけだから、自衛隊を使ってそういったシミュレーション、訓練はできないだろうかということなんですけれども、私も、ちょっと今詳しくは、専門的には、事前に通告をいただいていないので、雪の除雪と火山灰の除去とどれだけ親和性があるのかとか、そういったことは検討をしっかりしていかなきゃいけないと思いますけれども、ある意味で、そうやって日常から備えておくという意味では非常に貴重な提案の一つだと思いますので、引き取らせていただいて検討させてください。

長崎分科員 ありがとうございます。

 通告がない中でぶしつけだとは思いましたが、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 住民の避難の話にもう一回入りますけれども、今、この避難というものを万全にするためには、ハードウエア、いろいろな土木施設、そういうものについてもやはり考えざるを得ない。要は、ハードの整備状況というものが避難時間に直結するものだと私は思います。もちろん、一本道よりは四本道の方が早く避難できると思います。

 例えば、こういう問題がございます。真冬に、山に雪が積もっている中で噴火が行われる。この場合、融雪型火山泥流というのが起こるわけですが、これが大体時速六十キロのスピードで山から下の町におりてくる可能性があるというふうに言われております。

 噴火の予知というものは、先ほど申し上げた災害特における藤井先生の話によれば、最短で数時間前からでしか予見できない。一九八三年の三宅島のケースでいきますと、約一時間半前の前兆現象しか捉えられなかった。

 こんなようなことがあると、では、実際、二、三時間前に予知をして、これは危ない、火山泥流が起こる、皆さん避難してくださいと言っても、実際、そこから一時間、二時間で噴火が行われて、そこで雪が解けて、火山泥流となって時速六十キロのスピードでおりてくるような場合は、これは事実上、何もしていなければ避難すらすることができない状態だと思います。

 したがって、こういうものに対しては、最低限、あらかじめ導流堤の措置ですとか、あるいは貯水池を活用してそこに流れ込むようなハード整備をするとか、こういうようなことを考えなければ避難すらできないことが起こり得る。

 こういう意味では、火山災害からの避難時間の確保のためのハード整備は、先ほどのナショナル・レジリエンスの上からも、高い優先順位というものが政治判断として付される必要があろうかと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

古屋国務大臣 そういった大規模な火山噴火があった場合、御指摘のようなハードの整備は必要だと思うんですけれども、それだけではなくて、やはりソフト、ハード両方の政策の組み合わせなんですよね。

 やはり、できるだけ早く逃げるということも必要で、では、そのためどういうシミュレーションをしておくかということも非常に重要ですよね。一方では、じゃ、ソフトだけで十分かというと、やはりそうではない。今御指摘のように、ハードの面も必要だというふうに思います。

 いずれにしても、それをどういう判断でプログラムとして考えて、そしてその優先順位をどうやってつけていくかということは、これからの客観的な指標が出てきたときに政治判断をしていくべきものだというふうに思いますけれども、改めて申し上げますが、やはりソフト、ハード両方の対策の組み合わせというのが極めて重要だということだけは指摘させてください。

長崎分科員 ありがとうございます。

 そこはぜひ、さまざまな、予断を含めない形でリアルに事実に即したシミュレーションをすれば多分結論は明らかになってくると思うんですが、そういうシミュレーションをしていただいて、その上で御判断をいただきたいと思います。

 もう時間も差し迫りました、最後ですけれども、火山の問題というものは、単に火山噴火の周辺地域だけの問題ではなくて、かなり広域に及ぶ可能性があるものだと思っております。その対策の必要性について指摘を申し上げたいと思います。

 特に、例えば、富士山は首都圏の西側に位置するものですから、火山が噴火した場合は、その灰というものが偏西風に乗って首都圏におりることが十分起こり得る。宝永の大噴火の際も、東京、横浜に五センチから十センチぐらい、そもそも火山灰が降り積もっています。

 特に、火山灰自体は軽いものほど遠くに飛ぶということになるでしょうから、そうしますと、富士山で小規模噴火があったとしても、その灰というものが東京湾岸あるいは関東、首都圏にある火力発電所に降り積もることがある。現状においては相当程度、フィルターというものがあって短期間はまだもつそうですけれども、噴火自体、どれだけ長く続くかはわからない。

 そういう中で、火力発電所のタービンが火山灰を吸い込んだら、それが吐き出す際に急速冷却されて、タービン自体がとまる可能性というのがあり得ます。そうなると、火山が噴火をして、では、実際、中央省庁全体で何とか対応をしようとしても、首都圏全体がブラックアウトして、電力が途絶してしまったらどうにもしようがない。

 しかも、その際、病院ですとか施設、これは現状、どういう状態になっているのかはまだ調査はないようですけれども、建屋の中ではなくて屋外に非常用電源が置いてあるような場合は、火力発電所がブラックアウトしたから、では今度は非常用電源だといっても、その非常用電源自体が動かなくなる可能性もある。

 こんなようなことを考えますと、まさに火山灰に対する対策というものは極めて真剣に取り組んでおかなければ、首都圏自体、あるいはそれに伴って国自体の機能が停止する可能性がある、極めて恐ろしいことだと私は思います。

 したがいまして、火山の周辺地域にとどまらず、国全体の問題として、降灰対策を中心とした火山対策をどうするかを考えることは大変重要であると思いますけれども、ぜひ御意見を賜りたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、三百年前の宝永の噴火、あれは山麓では数十センチ。

 今先生が御指摘の、火山防災対策検討会の藤井座長が、やはり東京あるいは横浜でも十センチあるいは五センチという降灰がある、現実にもしそういう噴火があれば、それぐらいの堆積の可能性があるという指摘をしていますね。実際に、専門家によると、数センチ積もるだけで都市機能は麻痺する可能性がある、こういう指摘も受けているんですね。

 では、本当に降灰対策をどうするかということについて、実は今、ここのところ、百年の単位で、いわゆる大都会に直撃をした、そういう大規模な噴火の事例というのが、日本だけではなくて世界でないんですね。だから、結果としてそういった検討が進んでいないというところがあると思うんですけれども、しかし、想定外をなくしていくという視点からは、やはり降灰対策に関する幅広い研究というものをしっかりやっていく必要性は極めて重要だというふうに思っておりまして、そのために関係機関が連携していかないといけないですね。

 そういう形でしっかり検討も進めていくような体制ができ上がるように取り組んでいければな、こんなふうに思っております。

長崎分科員 ありがとうございました。

 私の質問は以上で終わりますけれども、火山に関しては、繰り返しになりますが、これまでなかなか、風評被害の問題ですとかいろいろなことで、以前私が自民党に属していたときも、議論することすら許されなかったような状態でもありますし、また、その規模が大き過ぎて、どうしようということで、では何もしないという思考停止にある意味陥っていたところじゃないかなと思います。

 まさにそういうことで、いろいろな防災施策のエアポケットに、御担当の方は一生懸命されているのは重々、本当に承知しているんですけれども、国、立法府としてエアポケットにあったことも事実だと思っております。

 そういう意味で、今大臣が大変強い御関心、深い御見識を示していただいたことは非常に心強い話ですし、ぜひ、これを国民的な運動として広げていくためにも努力を、私自身もしてまいりたいと思いますし、その上で政府との協力もより密接にさせていただければと思います。

 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。

今村主査 これにて長崎幸太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時三十一分散会


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