衆議院

メインへスキップ



第3号 平成14年7月22日(月曜日)

会議録本文へ
(注:この議事情報は、「決算行政監視委員会第二分科会議録第1号」のデータです。)
本分科会は平成十四年七月十日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
七月十九日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      岩屋  毅君    中村正三郎君
      額賀福志郎君    金子善次郎君
      今野  東君    松崎 公昭君
      神崎 武法君    塩田  晋君
七月十九日
 松崎公昭君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年七月二十二日(月曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 松崎 公昭君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      伊藤信太郎君    岩屋  毅君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      家西  悟君    金子善次郎君
      今野  東君    中山 義活君
      松原  仁君    山井 和則君
      神崎 武法君    武山百合子君
   兼務 小西  理君 兼務 木下  厚君
   兼務 春名 直章君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   法務副大臣        横内 正明君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       漆舘日出明君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第四局
   長            重松 博之君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文化庁次長)      銭谷 眞美君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           中山 啓一君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           馬場 耕一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局次長) 梅田 春実君
   政府参考人
   (国民生活金融公庫総裁) 尾崎  護君
   政府参考人
   (公営企業金融公庫理事) 片木  淳君
   政府参考人
   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君
   政府参考人
   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
七月二十二日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     伊藤信太郎君
  金子善次郎君     家西  悟君
  今野  東君     山井 和則君
  神崎 武法君     東  順治君
  塩田  晋君     土田 龍司君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     相沢 英之君
  家西  悟君     松原  仁君
  山井 和則君     中山 義活君
  東  順治君     冬柴 鐵三君
  土田 龍司君     武山百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 義活君     今野  東君
  松原  仁君     金子善次郎君
  冬柴 鐵三君     上田  勇君
  武山百合子君     塩田  晋君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  勇君     神崎 武法君
同日
 第一分科員小西理君、木下厚君及び春名直章君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、国際協力銀行、日本政策投資銀行及び文部科学省所管〕

このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
松崎主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。
 本分科会の主査を務めることになりました松崎公昭でございます。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁、総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行及び文部科学省所管について審査を行います。
 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。
 平成十二年度決算外二件中、本日は、総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行及び文部科学省所管についての審査を行うことになっております。
 これより総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十二年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計について申し上げます。
 総務省主管の歳入につきましては、歳入予算額一兆四千二百六十一億三千三百四十万円余に対し、収納済み歳入額は一兆四千五十七億六百六十六万円余であり、差し引き二百四億二千六百七十四万円余の減少となっております。
 次に、総務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額十七兆八千五百二十六億五千九百八十四万円余に対し、支出済み歳出額は十七兆七千四百六十二億七千四百六十四万円余、翌年度繰越額は八百九十六億一千四百三十二万円余であり、不用額は百六十七億七千八十七万円余となっております。
 次に、総務省所管の特別会計について申し上げます。
 第一に、交付税及び譲与税配付金特別会計であります。
 この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。
 まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、収納済み歳入額は五十四兆九千百十二億五千三百六十三万円余、支出済み歳出額は五十三兆九千二百十三億三千三百二十七万円余であります。
 次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、収納済み歳入額は八百三十九億千六百六十九万円余、支出済み歳出額は七百七十八億九千百五十七万円余であります。
 第二に、郵政事業特別会計であります。
 郵政事業特別会計につきましては、徴収決定済み額は七兆一千六百九十五億六千九百二十万円余、支出決定済み歳出額は七兆一千七百十七億六千八百三十九万円余であります。
 第三に、郵便貯金特別会計であります。
 この特別会計には、一般勘定と金融自由化対策特別勘定を設けております。
 まず、一般勘定につきましては、収納済み歳入額は九兆七千三百四十九億八千九百六十二万円余、支出済み歳出額は九兆一千百五十九億四千七百四十五万円余であります。
 次に、金融自由化対策特別勘定につきましては、収納済み歳入額は七兆四千四百二十七億七千四百六十五万円余、支出済み歳出額は七兆三千九百二十八億六千二百五十六万円余であります。
 第四に、簡易生命保険特別会計であります。
 簡易生命保険特別会計につきましては、収納済み歳入額は十九兆二千四百七十億二千百九十九万円余、支出済み歳出額は十四兆二百十億四千五百二十万円余であります。
 以上が、平成十二年度総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
松崎主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院円谷第五局長。
円谷会計検査院当局者 平成十二年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十七件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項に対する処置状況一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号二号及び三号の二件は、郵便局において、収入印紙等の売り渡しに当たり、省令等に違反して支払い保証のない小切手を受け入れたため、売り渡し代金の回収が困難となっているものであります。
 収入印紙等の売り渡しについて、売り渡し郵便局が小切手により売り渡し代金を受け入れる場合、代金の確実な収納を期するため、省令等により、個人及び営利を目的とする法人の販売者が振り出した小切手については、一日の合計金額が三百万円以上となるときは、金融機関による支払い保証のある小切手でなければ受け入れできないこととしています。しかし、東海郵政局管内浜松神久呂郵便局及び近畿郵政局管内山城八幡郵便局では、省令等に違反して、金融機関による支払い保証のない販売者振り出しの小切手を受け入れ、このため一億一千百五十五万円が不渡りとなり、売り渡し代金全額の回収が困難となっているものであります。
 また、検査報告番号四号から四八号までの四十五件は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。
 これは、北海道郵政局管内様似郵便局ほか四十九郵便局におきまして、郵便貯金や簡易生命保険等の事務に従事している職員が、預金者に交付すべき郵便貯金の払戻金や契約者から受領した簡易生命保険の保険料等を領得したものであります。
 なお、このうち一九号から四八号までの三十件については、十三年十月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。
 なお、以上のほか、平成十一年度決算検査報告に掲記いたしましたように、郵便局における硬貨過超金の保管について意見を表示いたしましたが、これに対する総務省の処置状況についても掲記いたしました。
 以上をもって概要の説明を終わります。
松崎主査 次に、石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十二年度公営企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
松崎主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十二年度決算に関する会計検査院の指摘について講じた措置等につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 職員の不正行為による損害が生じたものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。
 今後とも、防犯施策のなお一層の徹底を図るとともに、業務考査及び会計監査を厳重に実施し、不正行為の根絶を図る所存であります。
 次に、収入印紙等の売り渡しに当たり、省令等に違反して支払い保証のない小切手を受け入れたため、売り渡し代金の回収が困難となっているものとして指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じます。
 今後、このようなことのないよう、小切手受け入れの適正な取り扱いについて、全国の郵便局に対し指導を徹底したところであります。
 なお、指摘のあった売り渡し代金の回収については、債権を管理し、徴収に努めているところであります。
 これをもちまして概要の説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
松崎主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松崎主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
松崎主査 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての説明は終わりました。
 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、総務省所管及び公営企業金融公庫については終了いたしました。
    ―――――――――――――
松崎主査 これより財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 平成十二年度財務省主管一般会計歳入決算並びに財務省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算につきまして、その概要を説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入決算について申し上げます。
 収納済み歳入額は九十一兆二千百四十三億二千二百九十四万円余となっております。
 このうち、租税等は四十九兆五千六百十六億八千五百四十八万円余となっております。
 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は二十三兆七千九百六十一億五千三十六万円余でありまして、支出済み歳出額は二十三兆六千七十二億五千四十五万円余、翌年度繰越額は二百四十九億一千二百十八万円余でありまして、差し引き、不用額は一千六百三十九億八千七百七十一万円余となっております。
 歳出決算のうち、国債費は二十一兆四千四百六十億八千二百三十万円余を支出いたしました。
 次に、各特別会計の歳入歳出決算の概要を申し上げます。
 造幣局特別会計におきまして、収納済み歳入額は二百五十五億百二十七万円余、支出済み歳出額は二百五十六億五千五百七十八万円余であり、また、損益計算上の利益は一千五十万円余でありまして、この利益金は、法律の定めるところに従い、翌年度に繰り越すことといたしました。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。
 最後に、各政府関係機関の収入支出決算の概要を申し上げます。
 国民生活金融公庫におきまして、収入済み額は三千三百二十億九千七百九十三万円余、支出済み額は三千六十億一千二百九十八万円余であります。
 なお、損益計算上の損益はありません。
 このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出決算につきましては、決算書によって御了承願いたいと存じます。
 以上が、平成十二年度における財務省関係の決算の概要であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。
松崎主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十二年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号六号は、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもので、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤るなどしているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりしていたため、誤ったままにしていたことなどにより生じていたものであります。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 これは、青色事業専従者給与を必要経費に算入する制度の運用に関するものであります。青色事業専従者給与の届け出書の管理が十分でなくその活用が図られていなかったこと、他に職業を有している青色事業専従者等に関する申告審理等において、専従の実態、業務に関する関与の度合いが的確に把握されないままになっていたことなどにより制度の運用が適切に行われていなかったと認められました。このため、当局の見解をただしましたところ、国税庁では、事務の処理手順及び処理方法を定めている個人課税事務提要を改正し、届け出書の管理・保管方法を改善し、その活用を図るとともに、申告審理等の際、専従の実態、業務に関する関与の度合いを的確に把握するなどとする処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
松崎主査 次に、円谷第五局長。
円谷会計検査院当局者 平成十二年度国民生活金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 また、平成十二年度日本政策投資銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
松崎主査 次に、石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十二年度国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
松崎主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして財務省のとった措置について御説明申し上げます。
 会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があった旨の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努力いたしたいと存じます。
 以上でございます。
松崎主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松崎主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
松崎主査 以上をもちまして財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
松崎主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。山井和則君。
山井分科員 民主党の山井和則です。きょうは三十分間、関西文化学術研究都市について質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、質問通告にないのですが、冒頭、塩川大臣にお伺いしたいと思います。
 今、日本は戦後最悪の不況にあえいでいますが、その一つの大きな原因が、東京一極集中にあります。関西がもっと元気にならないと、日本の復興はあり得ません。しかし、実際には大阪の失業率は沖縄に次いで二番目に高く、さらに三位が京都、四位が兵庫と続き、失業率の上位二、三、四位が関西です。
 私の地元であります京都府南部は、日産の工場の大幅な縮小、地元信用金庫の破綻などにより、京都府の中でも失業率が最も高く、経営難やリストラを苦にした自殺者も出ております。また、大阪のホームレスの人々も八千人を突破し、塩川大臣の地元である東大阪市も、日本有数の中小企業の集積地ですが、今中小企業も苦境に陥っております。
 このような関西の地盤沈下を、大臣はどう思っておられますか。関西人の政治家として御意見をお聞かせください。
塩川国務大臣 私は、関西地区の経済の推移を見てまいりますと、第一に指摘できることは、昭和四十五年、万博を千里丘で開催しました。あのとき、日本で一番経済の基盤のしっかりし、将来性のある地域として関西地区が指定されておりまして、関東は行政の中心として、学術の中心としてという方向づけでございました。
 ところが、それ以降、世界の経済界が、要するに情報化、通信機器を中心としたそういう産業構造に大きく転換してまいりましたが、関西がその間、依然として重厚長大型産業に依存しておった、そこが一つ構造的な問題があると思っております。
 それからもう一つ言えることは、関西に強力な行政的能力がなかったということでございまして、絶えず行政措置がおくれてきておったし、また、新しい方向性を見出さないまま今日までやってまいったというところが非常に残念なところであったと思っておりまして、これは私たちの、私も一住民でございますが、責任であったろうと思っております。
 そういうこと等を踏まえまして、これからの関西のあり方につきましては、そこの住民あるいは経済界の方々がやはりみずからの発想を展開するということが大事だろうと思っておりまして、官とかあるいは政に依存する体質じゃなくして、関西が持っておりますところの自主独立の精神、それをこの際に発揮していただきたいということを念願しておるものでありまして、感想を申し上げましたらそういうことであります。
山井分科員 まさに今塩川大臣の御答弁にもありましたように、重厚長大産業から情報通信やそういう新しい産業の方向に転換していかねばならない。そして、まさに大臣の地元であります東大阪市のような中小企業が関西で元気にならないと、関西の復権はあり得ないわけです。まさにそのような民間活力を生かした関西復権のかぎを握っているのが関西文化学術研究都市であります。
 今から十五年前の昭和六十二年六月九日、法律第七十二号として公布された関西文化学術研究都市建設促進法の第一条では、次のように書かれております。「文化、学術及び研究の中心となるべき都市を建設し、もつて我が国及び世界の文化等の発展並びに国民経済の発達に資することを目的とする。」と記されています。
 つまり、関西学研都市は、東の筑波研究学園都市と並び、日本の未来を担う崇高な理念を持った国家的プロジェクトであり、二十一世紀の関西復権の起爆剤であると同時に、産学官の協力のモデルケースです。今大臣がおっしゃいましたように、東の筑波が国立の研究施設が多いのに比べて、西の学研都市は民間活力を最大限に活用した二十一世紀のパイロットプロジェクトですが、しかし、長引く景気の低迷により、企業が設備投資や研究投資を控えているのが現状です。
 実際、学研都市への研究施設の進出の伸びが鈍っております。大臣、ちょっと資料を見ていただきたいんですが、お手元に資料をお配りさせていただいております。このパネルでありますが、実際、一番肝心となります文化学術研究施設用地面積ということ、計画では九百一ヘクタールなんですが、ことしの四月現在の整備済みが二百八十七ヘクタールで三一・九%、これに整備中というのを含めても四六%余りなんですね。人口も、計画では十九万三千人だったのが、今はまだ六万六千人と約三割。整備済みの文化学術研究施設面積も三割、入居も約三割ということになっております。このような発展にブレーキのかかった状態に対しまして、地元では、学研都市は本当にこのままで大丈夫なのかという強い危機感が起こっております。
 このように進捗状況がおくれていることの現状認識と、その原因はどこにあるのか、国土交通省にお伺いします。
馬場政府参考人 お答え申し上げます。
 関西文化学術研究都市の建設は、関西文化学術研究都市建設促進法に基づきまして、文化学術研究の中心となるべき都市を目指すものであり、新しい近畿の創成に貢献することはもとより、我が国及び世界の文化学術研究の発展並びに国民経済の発達に寄与する重要なプロジェクトであると認識しておりますが、このプロジェクトの進捗状況を本年の四月一日現在で申し上げますと、まず、人口につきましては、文化学術研究地区の計画人口約二十一万人に対し約六・七万人で、対計画比約三二%でございます。
 次に、基盤整備につきまして、文化学術研究地区の計画面積約三千六百ヘクタールに対しまして、土地区画整理事業等が終了した概成面積は約一千六百三十二ヘクタール、事業中の面積約六百六十九ヘクタールとなっておりまして、概成したものと事業中のものを合わせまして約二千三百一ヘクタール、約六一%でございます。
 そして、立地施設につきまして見てみますと、既に開設を見たものが七十四施設、建設が進められているものが五施設ございまして、合計七十九施設となっておりまして、着実に進展を見ているものと認識しております。また、地元の地方公共団体におかれましても、関西文化学術研究都市の建設は着実に進んでいるとの認識のもとに各方面へ要望活動をされておられるというふうなところでございます。
 以上でございます。
山井分科員 ここで一つ塩川大臣にお伺いしたいんですが、今答弁の中で、地元自治体も着実に建設が進んでいるという認識であるということなんですが、正直言って、地元の私にとりましては、ちょっとそこに認識の差があるんではないかと思うわけです。
 大臣、改めて見ていただきたいんですが、一番肝心となる文化学術研究施設用地の整備済みが三割なんですね。このことについて、着実に進んでいると言えるかどうか。大臣、一言コメントをお願いいたします。
塩川国務大臣 社会資本整備は、私は割と順調に進んでいるんではないかと思っております。先ほど国土交通省の方が言っておりますように、割と整備は進んでおるんですけれども、その比率を見ましたら非常におくれているように見えますけれども、それはいわゆるソフトの面がおくれているという、これが多い。
 例えば、そこにあると思いますが、平城宮の整備なんというのはおくれておりますが、これは文化の開発でございますので、なかなか考古学の関係等うまくいっていない。それがために比率全体が、たあんと落ちてしまっておる。木津地域がそこにございますけれども、木津地域は住宅開発地としておるんですけれども、これはバブルの後遺症を受けまして地価が高過ぎて、個人住宅としては高級過ぎてしまってなかなかその売れ口が悪いというようなことで進んでおらない。
 そういう意味においての整備計画の進みがおくれておりますけれども、社会資本の整備は、私はそこそこ追従してきておるように思うんです。問題はソフトの面でございまして、当初、この学術研究都市を構想いたしました昭和五十一、二年ごろのその理想的な形態が全く狂ってしまったような状態になって、現在、方向をどう定めるかというところに苦慮しておるように思うのでございまして、そこのコンセプトをしっかりしなければこの学研都市の将来に大きい影響を与えてくるんではないかと思っておりまして、関係者としてこの問題には非常な関心を持っておるというところであります。
山井分科員 そのようなハードとソフトの総合的な整備、発展が必要なわけですけれども、まさにここが関西復権のかぎ、また、二十一世紀の日本の研究開発のかぎを握っているわけであります。
 私は昨日も学研都市の現場に行きましたが、残念ながらもう撤退した研究施設が出てきております。空き家になっている建物もあります。大臣にもお伺いしたいんですが、例えば、一つ例を挙げますと、これは地元では学研都市の象徴と言われているピラミッド型の研究施設なんですね。残念ながらこれも事実上撤退が決まって、これから空き家になろうとしております。ぜひとも大臣も一度この学研都市の現場にもお越しいただきたいと思っておりますが、学研都市では、地元自治体が周辺整備、つまり下水道、道路、学校、駅などを、起債など膨大な借金をして既に先行投資を行っています。この学研関連の周辺整備のためにほかの事業が後回しになっているという批判が出るほど地元は頑張っているわけですね。学研都市は国家的プロジェクトなわけですから、地元がここまで頑張っている以上、国ももっと積極的に力を入れる必要があると思います。
 そこで、お伺いしたいのですが、研究施設や企業を誘致するときに、かぎとなるのは税であります。現在、学研都市法に基づく税制の特例措置がありますが、今政府方針として租税特別措置の全体の見直しが検討されています。しかし、ただでさえ進出する研究施設が伸び悩み、逆に撤退する施設もふえている中で、地元自治体はこの特例措置が打ち切られるのではないかと強い危機感を持っています。
 租税特別措置の全体の見直しについては、既に役割を終えた措置もあるので必要とは考えますが、日本の未来において研究開発は非常に重要であり、学研都市のような研究施設を地域集積することは時代の要請であるわけですから、法人税の優遇措置を残すことが必要だと私は考えます。塩川大臣の御見解をお伺いします。
塩川国務大臣 山井さんが非常に熱心に言っていただくもので私も非常に心強く思っておりまして、その点感謝しております。
 つきましては、租税特別措置を十分に講じてまいりましてその発展を期してきたのでございますけれども、平成七年、八年以降、その適用がだんだんと薄れてまいった、効能が薄れてまいりました。ということは、その適用を受けようとする研究所なり企業の進出が鈍ってきたということでございます。しかも、平成十年度以降になりましたら適用になる事業と活動が全然なくなってきたということでございまして、その点、もう適用期限が過ぎたから適用を受けないというのであるとするならばそれはまたそれでいいのでございますけれども、そうではなくして、そういう投資が行われなくなってきたというところに実は我々も非常な関心を持っておるのであります。
 せっかく誘致を中心とした都市づくりをしております関係上、誘致が可能なようにできるだけそういう措置は残して、温存していきたいと思っておりますけれども、しかし、税の原則からいいまして、政策的効果がなくなった場合には廃止するというのが特別措置法の精神でございますので、つきましては、学研都市当局の関係者の方々と一度よく相談した上で、廃止するかあるいは温存していくかという方向を決めたいと思っておりまして、財務省独断で、せっかくこうして誘致してきたものを独断で判断するということはしないように十分協議して決めるということにいたしたいと思っております。
山井分科員 大臣、まさにそのとおりでありまして、ぜひとも地元の自治体の方々と十分に議論をしていただきたいと思います。
 例えるならば、この関西学研都市はまだ離陸する前でありまして、これからもっと研究施設に出てきてもらって、これから離陸しようとする飛行機のようなものなんですね。その状態で離陸しようとするときに、研究施設の誘致の大きなインセンティブになっているこの特例措置をなくすというとやはり大変なことになりますので、まさにこれは国家的プロジェクトなわけですから、国が間違ってもはしごを外すようなことはしないようにしてほしいと思います。
 次に、総務省に同じく税のことでお伺いします。
 学研都市への優遇措置については、地方税の特例措置及び不均一課税に伴う減収補てん措置も今後も継続すべきだと考えます。答弁をお願いします。
瀧野政府参考人 地方税についてのお尋ねでございます。
 ただいまも御指摘がございましたとおり、関西文化学術研究都市建設促進法は、近畿圏におきまして文化学術研究の中心となるべき都市の建設を目的といたしまして制定されたわけでございます。
 現在、同法の趣旨にかんがみまして、地方税法におきましては、固定資産税等の特例措置を講じておるところでございます。また、地方公共団体が不動産取得税などの不均一課税をした場合、一定の要件を満たす場合には普通交付税の算定に当たりまして減収補てん措置というものを講じております。
 これらの措置はこの平成十四年度をもって期限を迎えるわけでございますが、地方税法上の特例措置につきましても不断の見直しというものは当然必要であるわけでありまして、これらの措置の延長につきましても、これらの措置が設けられました趣旨を十分踏まえますとともに、建設計画なり、あるいは地元の皆様方の御意見を十分お伺いして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
山井分科員 次に、交通網の整備について、国土交通省にお伺いします。
 研究施設や住宅がふえない大きな理由の一つが交通のアクセスが悪いからでありまして、これは国の責任が大きいと思っております。
 以前、学研都市の地域は陸の孤島と言われておりました。JR学研都市線などの整備により多少アクセスはよくなりましたが、学研都市の発展にはさらなる交通網の整備が不可欠です。例えば、交通のアクセスの悪さのために、学研都市の研究施設に転勤が決まった研究者の方が転勤を嫌がって、転勤するんだったら交通の便が悪いから特別な手当が必要だと要求しているようなケースも現にあるほどです。
 私たち民主党は、むだな公共事業の削減を訴えていますが、それは川辺川ダムや諫早湾の干拓のような不要不急の公共事業でありまして、効果の高い必要な公共事業は当然急ぐべきだと考えております。
 特に、学研都市のような二十一世紀の日本の命運を握る、研究開発の核となる事業に関しては、税制の特例措置まで設けて誘致しているわけですから、全体が効率的に進むように交通網もきっちりセットしないと、逆にむだが起こると思います。
 そこで、これは国土交通省とJR西日本の協議の話にもなるかと思いますが、JRの高速化、複線化について、まとめて二点お伺いしたいと思います。
 まず一点目は、大阪からの重要な通勤路線であるJR学研都市線は、学研都市の中心部である精華町、木津町までの複線化がまだできていません。途中の松井山手駅でとまっております。早期実現が必要だと考えますが、JR木津駅までの高速化、複線化は今後どのような予定ですか。
 次に、京都、奈良の中心部からのアクセスも悪うございます。このアクセスや木津川の右岸と左岸の一体的な発展のためには、JR奈良線の全線複線化が欠かせません。この整備予定は今後どうなりますか。
 この二点について、国土交通省にお伺いします。
梅田政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のJR学研都市線及びJR奈良線でございますが、この輸送事情につきましては、近年横ばいないし微増の状態でございます。
 こういう状態の中でございますが、JR学研都市線につきましては、本年三月に、京田辺駅において折り返し設備の新設、あるいはJR三山木駅及び大住駅において行き違い設備の新設など、総事業費約七十八億円をかけて改善が行われました。この結果、朝の通勤時間帯におきましては、快速列車が六本増発されるとともに、京橋―京田辺駅間の快速列車の所要時分も、約四分でございますが短縮されたところでございます。
 また、JR奈良線におきましては、昨年三月に、京都駅―JR藤森駅間及び宇治駅―新田駅間の複線化、それから宇治駅及び山城多賀駅における行き違い設備の整備等が、総事業費百六十三億円をかけて行われました。この結果、列車本数が六十三本増発されるとともに、朝夕の通勤時間帯における京都―奈良の間の所要時分は、快速列車の運行によりまして約二十分短縮されたところでございます。
 御指摘の、JR学研都市線のさらなる高速化、複線化、あるいはJR奈良線の全面複線化につきましては、JR西日本におきまして、これらの設備整備に伴います需要の動向、あるいは沿線の開発状況、さらには事業採算性等を勘案して今後検討されるものと考えております。
 私どもといたしましても、このような状況を踏まえて、適切に対処してまいりたいと思っております。
山井分科員 地元としましても、利用促進のために精いっぱい努力をしておりますので、急いでいただきたいと思っております。
 続いて、道路整備に関してお伺いします。
 これに関しては、学研都市の周辺、さまざまな、多くの道路を整備推進しなければならない点がありますが、ここでは特に、大阪や滋賀とのアクセスに関して、国道百六十三号と三百七号についてお伺いします。
 まず一点、学研都市には大阪からのアクセスが最も重要ですが、国道百六十三号は交通渋滞が激しく、アクセスの大きなネックになっております。片側一車線の一般道で、学研都市と大阪を結ぶ道路がこれで本当に十分なのかという議論もあるわけであります。バイパス整備を含め、国道百六十三号の拡幅や整備の予定をお聞かせいただきたいと思います。
 二点目は、城陽、宇治田原を通じて滋賀とのアクセス道路になっている国道三百七号についても、宇治田原に工業団地ができたり、また新しい住宅地ができたということもございまして交通量が増加して朝夕の慢性的な交通渋滞が続き、またカーブも多く、トラックのすれ違いもできない狭い箇所もあり、例えば城陽市の青谷地域では、渋滞時にトラックが抜け道の生活道路に入ってくる、それによって子供の交通事故がふえたというような深刻な事態ともなっております。バイパスの整備も含めて整備、拡幅の予定を、国土交通省、お聞かせください。
佐藤政府参考人 先生御指摘の国道百六十三号と国道三百七号、大阪府の西部地域、京都府南部あるいは滋賀、奈良の北部を東西に連絡する幹線道路でありまして、関西文化学術研究都市へのアクセス道路としても重要な路線である、こういうふうに考えております。
 国道百六十三号につきましては、京都府の木津町から大阪府の四條畷市に至る区間、大変交通渋滞が厳しいということで、国の直轄事業といたしまして、清滝生駒道路と精華拡幅の整備を進めております。
 清滝生駒道路につきましては、延長が約十一キロ、合計の事業費が約一千億かかろうかという大きな事業でございますが、これまでに二・七キロを供用いたしまして、平成十四年度、新たに一キロを供用する、こういうことにしております。残ります七キロにつきましても整備の促進を図ってまいろう、こう考えております。
 それから、国道三百七号でございますが、京都府城陽市から大阪府の枚方市の間で交差点を中心に大変これも渋滞している、こういう状況でございまして、現在、枚方市におきまして、平成十四年度供用を目標に、国道三百七号に並行する市道の枚方藤阪線の整備を進めておりますが、さらに、三百七号の幅員狭小区間の拡幅と歩道整備等の交通安全対策事業を四カ所で実施しているところであります。
 できるだけ早く完成に持ち込みたい、こう思っておりますが、今後とも、厳しい予算状況の中で、これらの事業の早期完成と、第二京阪道路、京奈和自動車道などの関西文化学術研究都市に関連する幹線道路の骨組みのネットワークの整備を促進してまいりたい、こういうふうに考えております。
山井分科員 今、答弁の中でまさに厳しい財政状況ということをおっしゃいました。ただ、私が申し上げたいのは、やはり学研都市という大きなプロジェクトをやっているわけで、税の特例措置まで設けて、あるいはさまざまなインセンティブを与えているわけですから、そこに交通網の整備がおくれて十分にうまくいかないということでは、結局は税金のむだ遣いにもなりかねないというふうに思っておりますので、ソフト、ハード、交通網の周辺の整備、ぜひとも一体化して進めていただきたいと思います。
 次に、学研都市内の住宅地整備について国土交通省にお伺いします。
 都市基盤整備公団による大規模な住宅整備が行われることを前提として、下水道、駅、学校、公園などの周辺整備に、地元の自治体は膨大な借金をしながら、既に先行投資をして町づくりを進めております。ぜひ地元の自治体の意見を十分に聞きながら、調整して事業を進めていただきたいと思います。
 ここでは、一つ、京田辺市の南田辺地区の土地区画整理事業についてお伺いします。
 この事業は、先日ようやく認可にこぎつけました。二千五百戸の住宅整備が計画されていますが、それを前提に、地元では駅を高架にしたり、膨大な費用をかけて住宅基盤整備をしてきたわけで、その先行投資をむだにしないためにも速やかに整備を進めるべきと考えます。
 今後の整備予定をお聞かせください。
中山政府参考人 今お話がありました南田辺地区は全体約三百三十八ヘクタールという規模でございますが、そのうちの京奈和自動車道より北の部分につきまして、大体六十五ヘクタールの部分が今おっしゃられました住宅系の土地区画整理事業を行う予定のところでございます。都市計画決定が平成八年にされまして、それ以降、地元といろいろお話をさせていただきながら、先般、七月十二日に都市基盤整備公団が事業を行うということで大臣認可を行ったものでございます。
 今後は事業に着手するわけでございますけれども、用地につきましては都市基盤整備公団とあと民間の会社がかなり広い面積を所有しておりますので、用地買収についてはかなり順調にいくのではないかというふうに考えております。
 区画整理事業は非常に時間がかかるものでございますけれども、都市基盤整備公団、厳しい財政の中で頑張るということでございますので、国土交通省としてもできるだけの協力、指導をしてまいりたいと考えております。
山井分科員 まだまだ質問したい点はたくさんあるわけですが、時間も迫ってまいりましたので、最後に塩川大臣にお伺いしたいと思います。
 財政がこれだけ厳しい時代だからこそ、公共事業にもきっちりとめり張りをつけて進める必要があると思います。冒頭に大臣もおっしゃいましたように、やはり関西が力をつけていく、東京一極集中を是正し、関西が元気にならなければ日本の活性化はあり得ません。
 そういう意味では、官僚の方々の答弁は立場上どうしても慎重にならざるを得ませんが、塩川大臣、冒頭にも申し上げましたように、関西人として、これからの世界の流れ、国際的な流れに乗っていくためには、中小企業が元気にならないとだめだ。実際、東大阪市の中小企業でも、この学研都市の研究施設と連携してさまざまなプロジェクトをやっておられるところもございます。
 そういう意味では、この関西学研都市、関西の復権のかぎだけではなく、二十一世紀、日本が国際的に生き残っていくためには、研究施設の集積というのは日本のために必要不可欠なわけですから、この学研都市に対する大臣の御決意というものを語っていただきたいと思います。
塩川国務大臣 非常に心強い御質問でございます。私も、それは実際に、これはどうしようかという非常に大きいテーマになってまいりました。
 私は、願わくは、この際に、産学官協同と今やかましく言っておりますので、その一つの拠点として、このあり方、運用、そしてこれを地元の経済にどう結びつけていくかということを、関係者が一回真剣にやってもらいたいと思っておりまして、何か非常に管理が官僚的で、管理だけしておけばいいんだという空気がどうもございますし、また、大学側にとりまして、当初理想に燃えまして、筑波は実学的な研究だ、だから産学協同に向くようなスタイルにしよう、しかし、日本の学問の神髄をきわめる研究機関としての関西学研という理想を持っておりました。しかし、現実はそうなっていかないような状態でございますので、そうであるとするならば、関西学術都市をどのように活用していくか。せっかく優秀な研究機関もたくさん進出しておるのでございますから、そこら、産学協同の一つのプロジェクトを将来に向けて考えていくべきだ。その方向に向かって、やはりソフトの開発が一番大事だろうと思っております。
 仰せのアクセスの問題等も残っておりまして、私もよく知っておりますけれども、これらにつきましては、まず土地の買収が非常に困難であるということが、それがこの学研の整備をおくらせてきた状態なんでございますが、それがバブル経済からまた崩壊へといろいろな過程がございまして、そういうものの推進についての地方自治体の協力も本当に真剣にどこまでやっていくのかという問題等あわせて、一回関係者が集まってもらいたい。
 各国立大学がございますが、それぞれの国立大学が自分らの研究拠点を持とうとしておりますし、そうではなくして、やはり関西の国立、私立の大学が集まって、理想に燃えてつくったのでございますから、もう一度、初心を忘れることなくここに返ってもらいたいということが私の念願であります。
山井分科員 まさに今おっしゃいましたように、日本の国家の命運を握る国家的なプロジェクトであるわけであります。
 今、企業はリストラ、リストラで研究開発どころじゃないということになっておりますが、やはりここできっちりと、二十一世紀の初頭に研究開発の拠点を日本が関西でつくっていかないと、結局は日本に未来はないと思っております。
 筑波は国立で、今おっしゃいましたように官が出過ぎた。出過ぎたというか、官中心になっている。しかし、関西学研都市の方は民間活力で、民が中心にやっていくんだというのが一つの関西人の誇りでもあると思うのですね。
 しかし、その民間活力の導入をやっていく上でも、官がやはりその後押し、サポートをきっちりするということが重要だと思っております。そういう意味では、関西学研都市に投資するということは日本の未来に投資することであるということを切に訴えて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
松崎主査 以上をもちまして財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
松崎主査 これより文部科学省所管について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 平成十二年度文部科学省所管一般会計、電源開発促進対策特別会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、文部科学省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額六十二億五千百七十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は七十七億九千八百五十一万円余であり、差し引き十五億四千六百七十四万円余の増加となっております。
 次に、文部科学省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額六兆七千八百一億七千六百十六万円余、前年度からの繰越額千五百五十九億八千五百五十一万円余、予備費使用額二百八十九億百七十六万円余を合わせた歳出予算現額六兆九千六百五十億六千三百四十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は六兆八千五百五十一億六千四百八十八万円余であり、その差額は一千九十八億九千八百五十四万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は九百四十六億三千九百九十三万円余で、不用額は百五十二億五千八百六十一万円余となっております。
 次に、電源開発促進対策特別会計のうち、文部科学省所掌分の歳出決算について御説明申し上げます。
 まず、電源立地勘定につきましては、歳出予算額三百八十五億六千六百十七万円、前年度からの繰越額五十九億四千三百三十三万円余を合わせた歳出予算現額四百四十五億九百五十万円余に対しまして、支出済み歳出額は三百五億五千三百三十九万円余であり、その差額は百三十九億五千六百十万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は三十億五千二百三十四万円余で、不用額は百九億三百七十六万円余となっております。
 次に、電源多様化勘定につきましては、歳出予算額一千百三億六千二百五十六万円余、前年度からの繰越額九十億五千四百六十九万円余を合わせた歳出予算現額千百九十四億千七百二十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は一千八十七億二千六百六十四万円余であり、その差額は百六億九千六十一万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は三十五億六千七百四十三万円余で、不用額は七十一億二千三百十七万円余となっております。
 次に、文部科学省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。
 国立学校特別会計の収納済み歳入額は三兆一千五百七十億三千三百三十一万円余、支出済み歳出額は二兆八千七百二十三億一千百九十八万円余であり、差し引き二千八百四十七億二千百三十三万円余の剰余を生じました。
 この剰余金のうち、特別施設整備事業以外に係るものについては、国立学校特別会計法附則第十七項において読みかえられた同法第十二条第一項の規定により、二千八百六十九億一千五百四十九万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとし、特別施設整備事業に係るものについては、同法附則第十四項の規定により、不足額二十一億九千四百十六万円余を特別施設整備資金から補足することとし、決算を結了いたしました。
 次に、歳入につきましては、歳入予算額二兆八千六百二十八億二千七十万円余に対しまして、収納済み歳入額は三兆一千五百七十億三千三百三十一万円余であり、差し引き二千九百四十二億一千二百六十一万円余の増加となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆八千六百二十八億二千七十万円余、前年度からの繰越額二千五百五十三億四千九万円余、予算総則の規定による経費増額百九十六億八千二百六十八万円を合わせた歳出予算現額三兆一千三百七十八億四千三百四十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は二兆八千七百二十三億一千百九十八万円余であり、その差額は二千六百五十五億三千百四十八万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は二千三百四億千八百三十七万円余で、不用額は三百五十一億千三百十一万円余となっております。
 以上、平成十二年度の文部科学省所管一般会計、電源開発促進対策特別会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
松崎主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院重松第四局長。
重松会計検査院当局者 平成十二年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十七件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号五五号から六六号までの十二件は、国立大学附属病院における診療報酬の請求において、手術で使用した特定保険医療材料の費用を算定していなかったり、誤った費用で算定していたり、麻酔料に関する加算を行っていなかったりなどしたため、診療報酬請求額が不足していたものであります。
 同六七号から六九号までの三件は、義務教育費国庫負担金等の算定において、教職員の標準定数の算定を誤ったり、諸手当の額の算定を誤ったりなどしていたため、負担金が過大に交付されていたものであります。
 同七〇号及び七一号の二件は、職員の不正行為による損害の生じたもので、国立大学の職員が、物品購入を装って虚偽の支払い計算書を作成し、出納官吏名義の金融機関口座から代金相当額の払い出しを受けるなどして、委任経理金等を領得したり、現金を保管していた手提げ金庫から授業料収入金を領得したりしたものであります。
 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。
 その一は、国立大学附属病院における診療報酬請求に係る事務処理体制に関するものであります。診療部門から送付される伝票の記載内容、料金算定部門におけるコンピューターへの入力内容及び調達部門からのデータに基づく医事マスターの登録内容の審査体制並びに各部門間の連絡体制が十分でないと認められる事態が見受けられましたので、文部科学省に対して診療報酬請求に係る事務処理体制の整備が十分図られるよう、参考となる多様な事例を各大学病院に示すなどして、各大学病院において適切かつ有効な事務処理体制を検討させるため、より一層の指導を行い、もって診療報酬請求の適正を期する要がある旨、意見を表示いたしましたものであります。
 その二は、公立小中学校におけるコンピューター教室等の効果的な活用に関するものであります。公立小中学校において、国庫補助金等で整備されたコンピューター教室の利用時間数やコンピューターを利用した授業内容に大きな開きが生じていたり、コンピューター教室の利用計画等の内容に差異が生じていたりなどしている事態が見受けられましたので、文部科学省に対して、新学習指導要領の実施等を踏まえ、コンピューター教室等の効果的な活用が図られるよう、都道府県及び市町村に対し必要な指導助言を行う要がある旨、意見を表示いたしましたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
松崎主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 平成十二年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成十二年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。
 指摘を受けた事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。
松崎主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松崎主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
松崎主査 以上をもちまして文部科学省所管の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
松崎主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。
伊藤(信)分科員 自由民主党の伊藤信太郎です。
 私、文部科学省というのは、数ある行政官庁の中でも形而上学的な意味性というものを非常に重要に重んじる、そういう役所ではないかなと思うわけですね。文化とか教育とかを考えたときに、それを束ねる価値体系というのはどういうことを基軸にして考えるかというと、やはり文字であるとか言葉であるとか、あるいはもう一つのくくりでいくと情報というようなこともあるんだろうと思うんです。
 近年、学のパラダイムというものがいろいろな形でシフトしていますけれども、旧来の理系、文系というものをもう一度見直そうというのも一つのトレンドとして強く出てきているんだろうと思うんです。それから、二十一世紀に入りまして、社会のいろいろなあり方を考えるときに、やはり感性ということが一つのキーワードで出てきているのではないかなと思うんですね。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、感性というものをどのようにとらえるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
    〔主査退席、岩屋主査代理着席〕
遠山国務大臣 感性とは何かという大変、それこそ形而上学的な御質問でございますけれども、感性というのは、外の世界あるいは環境の刺激があったときに何を感じ取るか、どのように感受性を持つか、あるいは真善美といった心の問題、そういったことを直観的に感じる力ではないかと思われます。
 学校教育に照らして言いますと、こういう感性というものを豊かにしていくには、すばらしい音楽とか美術に触れたり、あるいは学問の深さに触れていくこと、あるいはすぐれた文化や伝統に親しんだり、自然に親しんだりということであろうかと思いますけれども、そのほかに、やはり他者に対する思いやりでありますとか、あるいは、他者がつくり出したいろいろな事象に対してどのようにそれを感じ、共感をしたり、あるいはともに悩んだり、やわらかな心で受けとめる、そういった感情といいますか、そういったこと全体を指して感性というのかなと思うわけでございますが、そのことについて完成した形でお答えできなくて申しわけございません。
伊藤(信)分科員 非常に哲学的思考に富む御回答をいただいてありがたいと思うんですけれども、一方に、情報という言葉もあるわけですね。現代は高度情報化社会なんということを言われて、文部科学省の方でもそれに応じたいろいろの行政手段をしているわけでございますけれども、私は、感性という言葉と情報という言葉は、割合別にとらえられているような気がするんですね。感性というと、どちらかというとさっきの文理融合の文の方に行って、情報というと、どちらかというと理の方に行くような、私はそういうとらえ方はしておりませんが、そういうとらえ方が割合とられていると思うんですけれども、大臣としては、情報ということをどのようにおとらえになっているか、お伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 情報という言葉は、非常に多義的だと思います。ある意味で考えれば、私どもの仕事、それから国会の代議士の方々の仕事を含めて、それらはもうすべて、情報をいかに収集し、整理し、そしてその中で問題点を発見して、どのようにそれを表現し、さらにそれを再構築して施策に結びつけていくか。そのようなことでいえば、私どももまさに情報を、巧みにといいますか、ある明確な理念、あるいは明晰な分析力とともに駆使していくべきものだと考えております。
 一般に言いましても、私は、これは歴史とともに、情報の量とその持っている社会における意味というものが随分変わってまいったと思っております。本当に、古代ではパピルスというようなものを用いてそこに書かれる人間の知を集約したものというのはほんのわずか、社会の一部であったかと思いますが、その他は口承とか伝承で伝わってまいったと思いますが、今日に至りますと、あらゆる場所で、何かが起きたときに、もうほとんど瞬時に世界の人々が知り得る。そのような意味では、大変情報というものが大事であり、かつまた、その情報に流されないで、いかにその中からみずから選んで、将来に対して建設的に役立つものを取り出していくかということが大変問われている、そういう時代かと思います。
伊藤(信)分科員 情報ということと感性ということがどう関係しているのかなと私も常に考えているんですけれども、例えばここに幾つかの肖像画がこの委員会室にありますけれども、これをどうとらえるかということと、ああ、この方、何代目の何とかということ、これは別のものかなと。あるいは、個人的に知っている、知っていないがありますけれども、ああ、この人はこういう人だったなという、このことは感性でもあるし、情報処理でもあるわけですね。
 今、ITリテラシーとかいうことがやはり重要になって、ITリテラシーというと、何かみんな直結的にコンピューターを使えることみたいなふうにとらえがちですけれども、私は、ITリテラシーというのはもう少し文理融合なアプローチが必要だし、それこそ形而上学的な思考が必要だと思うんですね。
 私どもが情報をどうとらえるかというと、まず一義的には、物理現象の差異を認識するわけですね。例えば視覚情報であれば、紙の上に何か反射率の違う、光の吸収率の違うような状況があって、それをまず字と認識するかどうかというのがあって、私は日本語教育を多少受けているのでこれが読めて、その意味性をとる。日本語教育を受けている人でも、やはり私と違う意味性をとる人もいるでしょうし、また、日本語教育を受けていなければ、これは紙の上に何らかの付着物が乗っかっているとしか見ないわけですね。この絵についても同じことで、この方があの党の何さんだと知っている人と知っていない人では、同じ物理現象でも違うわけです。
 そう考えてみますと、今、なるほど、インターネットの接続率が各大学や各小中学校で高まった、あるいは各家庭への普及率も非常に高まったということで、一見、情報というものが世界で十分流通して、そのことによって国際コミュニケーションというものが担保されているように見える。そして小学校、中学校にも、コンピューターの使い方を教えればこれで異文化コミュニケーションもできるんだというような錯覚があるように思うんですね。ところが、実際その画面に出てくるもの、今、マルチメディアの時代ですから、文字もありますし、映像もありますし、それから音もあると思うんですね。その物理現象をどうとらえて、それに対して意味性を付与したり、あるいはそこから感情や感覚を想起する、その部分もまた非常に感性に近いと思いますけれども、ということは、極めてその個人なりその文化領域にいる人の教育とか感性とか、そういったものとの密接な関連があるわけですね。
 ですから、今デジタルデバイドを解消しようということで、皆さんがコンピューターを使えるようにしようと。私もIT講習会の講師を務めた人間でもありますけれども、どうも単にコンピューターが、キーボードがたたければITリテラシーは解消できるというような短絡的な議論に陥っているのではないかなと私は思うんですね。
 それから、もう一つの議論を申しますと、今のコンピューターのコーディングというのは、マルチコードじゃなくてユニコード、単純なコードなんですね。そうすると、これから世界のコミュニケーションというものがインターネットを中心としたものになっていくとなると、どうしてもそのコミュニケーションのチャンネルに乗らない文化というものがだんだん消滅してしまうということが言われております。今、世界に言語が六千ぐらいあると言われていますけれども、大部分が口承といいますかオーラルのものですから、十年か二十年のうちにそれが三百ぐらいになってしまうという危険性もあるんですね。
 ですから、二つの矛盾したことを聞くようでありますけれども、そういう本当の意味のITリテラシーの解消のためのコミュニケーション技術の教育ということ、それから、その中において文化の多様性、言語の多様性というものを保持していくということを文部科学省としてはどのように進めるべきかとお考えになっているか、その辺をお聞きしたいと思います。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘のように、インターネットを初めとしたITは、時間的、地理的な制約を超えることができるコミュニケーションのツールとして大変有用であると認識をいたしております。
 異文化とのコミュニケーションのお話もございました。文部科学省でも国際理解教育というようなものを進めているわけでございますけれども、そういったITの活用、これはこれで一つの大きな利点があるわけでございますけれども、やはり、子供たちが広い視野を持ち、そういった異なる文化を理解し、これを尊重する態度を養成するということが一面大事であろうかと思っておりますし、やはり一方、我が国の歴史でありますとか伝統文化、こういったものについての理解を深め、国際社会の中で主体的に生きていくことができる、そういう資質の養成をあわせて学校教育等の場で培っていく、これが大事なことではないか、このように考えております。
伊藤(信)分科員 そういうことで、情報を受け取るときの感性ということがこれから非常に重要になってくると思うんですね。感性については大臣から当初、御回答なりお考えをお聞かせ願ったわけでございますけれども、感性というのは必ずしもセンシティビティーとかセンシビリティーとかそういうものじゃなくて、最近の学界ではむしろエモーショナルインテレクト、つまり感情的知性とも言われているわけですね。つまり、感性ということとその個人が持つ知性とか文化性というものは、密接不可分の関係があるということですね。
 私も多少研究しております感性情報学というのは、その部分に着目して研究しているわけですけれども、個人の感性の差異というものは、やはりその個人が持っているいろいろなパラメーターといいますか、属性によって影響されているんですね。例えば、母言語によっても違うし、それから教育程度とか職業経験とか、あるいはトラウマがあるかないかとか、あるいは家族関係とか住宅状況とか、あらゆるものがパラメーターとなってその人の感性の一つの特性というものをつくっているわけです。
 ですから、これから情報というものを世界発信したり、あるいは世界から受け取る場合、そういう多様性を保持するという意味も含めて、そういう感性の個体差というものをどうやって乗り越えるか、オーバーカムしてコミュニケーションを図っていくかという研究が私は必要だと思うし、また、一律に物理現象として同じものを世界へ出せばコミュニケーションできるわけではなくて、情報のカスタマイゼーションといいますか、受け取り手にとって最もわかりやすい、受け取りやすい形で情報を出すという技術が私は本当の情報技術だろうと思っているんですね。
 私たちはやはり、自分の心に考えているものとか感じているものというものを何らかの形で記号化して、そして記号化したものをさらに電子記号化してインターネット等で伝えて、またそれが一つの物理現象として情報表現されて、それが五感を通じてまた受け取り手の中で一つの情報処理なり、感性情報処理と我々は言っていますけれども、感性情報処理をして、それが感情を想起したり、あるメッセージが伝わるわけですね。その記号化、エンコーディングとディコーディングの過程なりあり方というのは個人によって違うわけですね。ですから、そこの部分に着目しないと、私が本当に伝えたいことが、インドのだれかさんに、あるいはアフリカのだれかさんに、あるいはフランスのだれかさんに、あるいは日本の中でももちろん感性差はたくさんありますから、千葉県のだれかさんには伝えられないわけですね。
 だから、そういうふうに感性情報学的なアプローチというものをこれからの情報教育なり情報通信におけるいろいろな工夫ということに役立てていくべきじゃないかというのが私の考えですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
遠山国務大臣 御質問者が感性情報学の研究者でおありになるということまで、私、情報がございませんでした。その意味では、感性とは何か、情報とは何かという御質問に答えてしまったのは大変じくじたるものがございます。
 さはさりながら、御質問でございますので、今おっしゃったことは大変重要な視点だと思います。ただ、教育の場面で子供たちにどういう形でそういう情報にかかわる豊かな感性を育てていくかということになりますと、なかなか難しい面はございますが、私は、学校教育、家庭教育を通じて、まず子供たちによいもの、美しいものに触れさせる、その中で、自分で、何がいいのか、人間というこういう存在の中で、よいもの、美しいものというものを見、あるいはそれに触れるという中で、選択し得る、そういう能力ができてくると思います。
 二番目には、やはり自分で何かをつくり出していく、そういうことの大事さというものを、子供にやらせてみる、あるいは若干導きながらつくらせてみて、それで達成感を持たせていく。それは考え方でもいいですし、物でもいいですし、あるいは何か自然に触れたり社会体験をしたり、体験というのはすごく大事だと思いますが、そういったものを通じて手ごたえあるものを自分なりに形成していく、そういった力をつけてもらいたいと思います。
 同時に、それらを言語による発信ということができるようにしていく、そのことが教育上とても大事ではないかと思います。受け取り、つくり出し、そして発信していく、そういったものが、どちらかというとこれまでの学校教育の中では受け身中心で、なかなかそういった総合的な能力が開発されてこなかったのではないかと思います。
 その意味では、これからの教育のあり方につきましては、もちろん基礎、基本についてはしっかり教え込む、訓練をするという場面も大事でございますが、それとともに、もう一つ今言ったようなことが付加されていくと、私は、日本の子供たちが将来自分の力で立って、自分のこれからのいろいろな課題に対して、それを乗り越える力というものが出てくるのではないかと思っておりまして、そういった視点というのは大変大事ではないかと考えるところでございます。
伊藤(信)分科員 日本は、戦後一貫して経済建設というものをしてきて、十年ぐらい前までは割合順調にいってきたわけですけれども、今、東西冷戦の終結とともに、いろいろな意味で世界の状況というものは変わって、日本をこれからどういう形で伸ばしていこうかということを考えた場合、やはり文化というものがその基軸にあるのではないかなと思うんですね。
 特に、文部科学省の所管でもありますけれども、文化創造立国というか、つまり、物的な価値というのは、物的な価値ですから物理的な限界があると思うんですね。ただ、非物的な価値というものは人間が創造する限りにおいて無限の可能性があると思うんです。そしてまた、日本の歴史を見ますと、文化というものを常に、外的な刺激もうまく取り入れながら、日本の中で応用したり、あるいは日本の中で新しいものを創造したりして今日までやってきたわけです。
 ですから、その文化創造立国ということに関して、やはり文部科学省、文化庁としてどのようなお考え、お取り組みをなさっているか、お伺いしたいと思います。
青山副大臣 社会が活力を持って創造的に国民が生活していく方向として、日本が文化創造立国を目指していくということは非常に意義があると私は考えております。
 御承知のように、文化芸術というのは人々に感動や生きる喜びを与えてくれるものでございまして、私は、感動を受けて涙を流すというような、そういう心豊かな社会をつくっていくことが必要ではないか。悲しみや苦しみで我々はつい涙を流しがちですが、喜びや感動で、あるいは生きる喜びを本当に感じるということは、涙が出るほどすばらしいことだと私は思います。
 この点はまさに小泉総理がよく言っておられることだと思いまして、そういう意味で、二十一世紀を迎えました今日、これまで培われてきた伝統的な文化を育てていく、継承していく、発展させていく、そしてまた同時に、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することが非常に重要だと考えております。
 このような認識のもとに、文部科学省といたしましては、重点支援によるトップレベルの文化芸術の創造を図っていく、そして文化のトップの高さを求めていくという考え方が今進めなければならないことの一つであろう。それから、地域における文化を振興して、すそ野を広げていくという考え方を進めていかなければいけないと考えております。もちろん、これまでも取り組んでまいりました文化遺産の保存であるとか活用であるとか文化の国際交流をさらに進めていくとか、あるいは劇場、博物館等の文化拠点の整備などを推進してまいらなければならないと考えております。それらを、総合的にバランスよく施策を進めることによって、我が国の文化の魅力を改めて発見して、これを広く世界に発信していくことが大切であると考えております。
伊藤(信)分科員 世界に発信するという意味では、やはり発信しやすいメディアというものもあると思うんですね。絵画とかあるいはいろいろな伝統文化というのはもちろん海外に出展したり、あるいは、海外からも来ていただいて日本に置いてあるものを見ていただくということもできると思います。
 一方、やはり今、国民一般が楽しめて、かつ海外に発信できる、そしてまたその中に多くの国民も参加できるという文化芸術も大事だと思うんですね。その一つの代表的なものに、私は映画というものがあると思うんです。
 翻って、映画界の現状を見ますと非常に厳しいものがあります。映画というのは、一方で芸術文化でもありますけれども、非常に費用がかかりますから、経済面というものも非常に見なきゃならないわけですね。文化庁の予算等を見ましても、伝統文化等に比べて映画に対する振興策というもの、予算というものが著しく貧弱であるというふうに私は思うわけですけれども、特に最近、黄金時代の映画が終わって、今ハリウッドの映画が世界の市場の八〇%を席巻して、かつて映画王国であったフランスでさえも厳しい状況になっている。どこの国も映画は文化だということでそれなりの国家的あるいは公的な支援策をしているわけですけれども、日本はそれが非常に貧弱だと思います。
 その中で、映画というのは撮影所があって撮れるわけですけれども、特に伝統文化の関係でいえば、時代劇を撮れるようなオープンセットのある撮影所というものが今後なくなってしまう可能性もあります。近年、伝統のある撮影所も相次いで閉鎖しておりますし、撮影所の建設というものが今、私企業といいますか一映画会社ではなかなかできなくなっているという現状もありますので、イタリアの例もありますし、やはり、国立あるいは公的な形で撮影所というものをつくるということは私は必要だと思うんですけれども、その件についてのお考えをお聞かせください。
銭谷政府参考人 先生お話ございましたように、映画芸術は、身近な娯楽として生活の中に定着をしておりますし、総合的な芸術として重要な位置を占めているものでございますので、その振興は文化庁としても重要なことと認識をいたしております。
 これまでも、映画振興に関する事業として、いわゆる映画の制作支援あるいは上演の支援、さらには優秀映画への顕彰、あるいはフィルムセンターにおける邦画の収集や紹介事業といったさまざまな事業を展開してきたわけでございますけれども、今後の映画振興のためにさらに幅広く施策を検討しようということで、ことしの五月に映画関係者及び有識者から成る映画振興に関する懇談会を文化庁に設置いたしまして、さらに御検討をいただいているところでございます。
 そこで、お尋ねの映画撮影所の問題でございますけれども、最近、例えば大船の撮影所に代表されるような伝統ある有名な映画撮影所がなくなりつつあるということで、映画を愛するファンの方から見れば寂しいではないかということがよく言われるわけでございます。
 映画撮影所の現状につきましては、企業の経営にかかわる問題でございますので詳細な把握に困難なところがあるわけでございますけれども、私ども、映画関係者の方々からいろいろお話を伺いますと、大変厳しい状況にあるという認識は持っているわけでございます。
 ただ、映画撮影所について、直ちに公的な支援ができるかどうかという問題につきましては、現下の財政状況あるいは官と民の役割分担のあり方なども踏まえまして、さらに諸外国の例も参考にしながら、先ほど申し上げました懇談会におきましても十分御議論をいただき、文化庁としてもよく研究をしてまいりたい、かように考えております。
伊藤(信)分科員 私は、文化というのは、つくられたものを保存するだけではなくて、やはりつくり続ける力を育てるということが大事だと思うんですね、文部科学省的に言っても。そして、映画人養成の場合は、これは必ずしも、ピュアリー・アカデミックといいますか、大学や大学院だけで教えられるとか養成できるものじゃないと思うんですね。
 私もアメリカのポスト・グラジュエート・フィルム・スクールに行きましたけれども、要するに、実際に映画をつくる場、あるいは実際に映画を現場でつくっている方が同時に養成に当たるということが大事なんですね。ところが、日本の場合、ここ数十年、助監督制度を中心として、いわゆる現場で育てる制度が崩壊していますので、映画人が養成されるというチャンネルが非常に脆弱化しているんですね。
 ですから、私は、もし撮影所ということに対して公的支援が得られるような方向が出るなら、ぜひこの養成機関、教育機関も併設すべきだというふうに考えておりますけれども、この件についての御所見をお伺いしたいと思います。
    〔岩屋主査代理退席、主査着席〕
銭谷政府参考人 映画人の養成の方策というのはさまざまあろうかと思っております。文化庁自身といたしましても、映画人養成に関する事業といたしましては、若手の映画人の海外留学あるいは国内研修への支援、さらには映画シナリオのコンクールへの支援とか若手映画人の顕彰といったような事業を行っておりますほか、国立近代美術館のフィルムセンターにおける映画製作専門家養成講座といったような事業も実施をしてきたところでございます。
 また、いわゆる制作現場における養成ではなく、大学レベルあるいは専門学校レベルで映画、映像を扱う教育機関が最近ふえておりまして、私どもが承知をしておりますだけで、大学関係で八校、それ以外の専門学校などを含めますと、映画、映像関係の教育機関は今日では三十以上あるというふうに承知をいたしております。
 ただ、お話にございましたように、映画人の養成の一つのすぐれたやり方といたしまして、制作現場における実務を通じた人材養成ということもあろうかと思っております。ただ、その状況が厳しいというお話も、先生のお話のように私ども承知をいたしておりますので、この点も含めまして、映画に係るさまざまな人材の養成の方策につきまして、先ほど来申し上げております懇談会の意見も聞きながら、文化庁としてもよく検討をしてまいりたいと思っております。
伊藤(信)分科員 時間が来ましたので最後の質問になると思いますけれども、やはり文化芸術というのは、つくる人間と、アプリシエートといいますか、それを感じ、すばらしいと思う人間が並行して育つことによって育っていくものだと思うのですね。そういう意味において、感性というのは割合小さいころの経験というものが非常に大きな影響を与えるわけです。
 文部科学省の行っています芸術文化総合体験事業というものがあると思いますけれども、これは主に舞台芸術を見せる、舞台芸術で芸術とその公演のバックグラウンドを見せるということをやっているようでありますけれども、ぜひこれにやはり映画とか映画の撮影所ということを入れていただきたいと思うのです。この私の提案に対するお考えを、最後の質問ですけれども、お聞かせ願いたいと思います。
青山副大臣 御指摘の芸術文化総合体験事業は、従来から舞台芸術を対象としてまいりましたし、新たに、本物の舞台芸術を子供たちに体験してもらいたい、見てもらいたいという考え方から、拠点を設けて、拠点も全国的な展開、巡業をしてもらって、子供たちにふだん見ることのできない本物の芸術文化に接してもらいたいと考えております。
 それから、今、子供や青少年にすぐれた映画の鑑賞の機会を与えることは、長い目で見て、映画に対するすぐれた鑑賞者を養成することになると考えております。また、これは日本映画の発展のために重要であると考えております。
 したがいまして、子供や青少年に映画制作の現場などを見学してもらうことは非常に意義深いものであると考えておりまして、子供や青少年に映画に対する関心をさらに持ってもらうためにも、御指摘の趣旨を踏まえて検討をしてまいりたいと考えております。
伊藤(信)分科員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
松崎主査 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、家西悟君。
家西分科員 民主党・無所属クラブの家西悟です。
 委員長、申しわけございませんけれども、私、足の調子が悪いので、座ったままで質問をさせていただけますようよろしくお願い申し上げます。
松崎主査 はい、結構です。
家西分科員 それでは、文部科学省の方に御質問したいと思いますけれども、本年三月に国立大学医学部附属病院長会議の常置委員会が、国立大学病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革を取りまとめられました。この提言について順次質問をしたいと思いますが、国立大学病院の独立法人化についてまずお伺いしたいと思います。
 事務的なことからお伺いいたしますが、独立行政法人にするということは、大学の附属病院についても、組織体制や人員配置は各大学の自由判断でできると考えてよろしいんでしょうか。
遠山国務大臣 国立大学の法人化では、大学の自主性、自律性を尊重いたしますとともに、各大学における運営上の裁量を拡大していくということが必要と考えているところであります。
 このため、組織につきましては、法令に特段の定めがあるもののほかは、各大学の自主的な判断で柔軟かつ機動的に編制されるものと想定いたしておりまして、大学の附属病院も大学の組織の一部でございますから、同様の扱いになるわけでございます。
家西分科員 では、提言の中に、人事交流システムや病院間の連携システムなどについて書かれていますが、これらは、独立法人になった後も文部科学省が附属病院の人事管理を行うというふうにも読み取れる部分もあろうかと思うんですけれども、しかしそうでないということは、文部科学省が附属病院の人事管理をするという意味ではないとおっしゃるのか、どちらが正しいんでしょうか。その辺についてお伺いしておきたいと思います。
工藤政府参考人 先生ごらんになりました提言につきましては、必ずしも法人化後のことを申しているわけではございませんで、現在の体制の中でも、附属病院の機能強化のためにいろいろ改善の余地があるという一環で御提言をまとめられたと私どもは承知してございます。
 その中で、病院長が病院のトップでございますから、病院長がしっかり人事にも目配りしてやるべきだということが述べられてございまして、必ずしも私ども、どう読んでも、文部科学省が人事を差配するという趣旨の提言、御提案はなされていないと承知しているわけでございまして、先ほど大臣が申し上げましたように、法人化後は、それぞれの大学で人事がなされるものでございます。
家西分科員 では、事務職員の天下りについてお伺いしたいと思います。
 中央公論の七月号で、ノンキャリアの文部科学省職員が全国の大学病院に天下って主要なポストを占めている、少なくとも二千名と推定されるローテーション組は常に本庁の顔色を見ながら仕事をしていると書かれていますが、この報道は事実でしょうか。
工藤政府参考人 私ども文部科学省の職員と国立大学との人事交流はかねがね進めてございまして、大学での御経験を生かして本省で勤務いただき、また本省でのそれらを含めた経験を生かして他の大学等に課長等で、管理職員で行っていただくという人事がございます。
 それは、全国九十九の国立大学がございますから、全部含めますと、課長以上の幹部職員の人事は約千六百名でございます。そのうち病院関係は約百七十名ぐらいでございますが、これは天下りということじゃございませんで、大学から本省へ行き、あるいは本省から大学へ行くということも含めた人事交流の一環で、適材適所での適正配置に努めているところでございます。
家西分科員 では、一千六百名がいることは事実であるというふうにとらえていいんですよね。それと、人事交流はして、行ったり来たりはしているけれども、天下っているわけではないということですよね。
 ということは、本庁との関係というのは非常に深い間柄であるというふうにとらえてもいいんですよね、これは。違うんでしょうか。
工藤政府参考人 国立大学については、国が設置者なものでございますから、大学との関係は折に触れ、いろいろ密接な連携あるいは意思疎通を図っているところでございます。
 ただ、あの記事で私どもどうも不本意なのは、人事をもって大学病院をコントロールしている、あるいは幹部職員が病院なり大学のことじゃなくて本省のことを見ているというのは、大変その職員にとっても不本意な話でございまして、それぞれの職員がそれぞれの勤務地においてその勤務大学のために全力を尽くすのは当然のことでございまして、そういう本省を見ての仕事じゃなくて、まさに、大学をどうよくするか、病院をどうよくするかという観点からの仕事の徹底をこちらとしてもお願いしているところでございます。
家西分科員 それでは、もう一点改めてお伺いします。
 その記事が不本意であるというふうにおっしゃるのならば、それを具体的に抗議するなり文科省としてされたんでしょうか。それとも、ある種既得権益を守るために、これは事実であるけれどもそういうふうに御答弁されているのか、いかがなんでしょうか。
工藤政府参考人 残念ながら、あの記事の著者の方につきましては、提言をまとめられた大学病院の関係の方々、それからお名前が挙げられております本省の職員も含めて、インタビューを特に受けてございませんで、今の点だけではなくて全体にわたりまして大変不本意に感じてございます。
 御本人に申し上げて角が立つということもあろうかと思いますが、私ども、本省の中に記者クラブもございますので、そちらの記者の方々には、実はこういうことですよということで御理解を賜っているところでございます。
家西分科員 いや、今の御答弁だったら、記者の方から取材を受けたわけではないとか言われていますけれども、取材も受けていないことを書かれて黙っているんですか。記者クラブの方だけに、いやあれは違うんだというふうなことを説明されるだけで、それで納得されているんですか。違うんなら違うんだと、記者を呼んで、この事実関係は間違っているんだということを正すのが筋じゃないんですか。どうなんですか。
遠山国務大臣 私も、あの総合雑誌、日本の言論界をリードする一つの総合雑誌を見まして、これはおかしいのではないかということで、私は、見たそのときに直ちに担当課に対しまして、反論があるならきちっと整理するようにと言いました。それぞれもう整理してあります。私としては、編集者及び著作者に直接それは反論すべしということで指導してまいっております。
 ただ、これは今申しましたように、私は、著者自身はいろいろな意味で非常に正義感の強い、ある意味で、あの問題についてはいささか一部の意見だけをベースにされた内容のように思っておりまして、誤解が非常に多いということでございますけれども、そういうことも配慮をして、担当課におきましては、自分たちの主張すべきことはきっちりと明確にして記者クラブに発表しますと同時に、その後、私の聞いたところでは、何か個人に対して言うよりはもっとオープンに、シンポジウムでも開いて大いに堂々とやった方がいいということで、今そういうことで検討しているはずでございます。
家西分科員 いや違うと否定されるのなら、やはりそういうふうにやるべきでしょうし、きっちりとしていかないと、ただ誤解だとか、そういうような話では済まない問題ではないのかというふうに私はとらえます。
 次の質問にさせていただきたいと思いますけれども、提言における合理化について。
 五月三十日、参議院の厚生労働委員会で、我が党の山本孝史議員が大学病院のあり方について質問されました。それについて清水政府参考人は、大学病院は教育、研究、診療の三位一体の役割を果たしていくという答弁をされていますが、提言では、薬剤部、検査部、輸血部、病理部、放射線部など、中央診療部門の合理化をしていくとされていますが、参議院での教育、研究、診療という答弁とは符合しないでしょうか。
工藤政府参考人 大学の附属病院は、大学におきます人材養成という教育機能、それから先端的な医療についての研究などを含めたそういう教育研究機能、それと地域の方々への質の高い医療の提供という機能があるわけでございます。
 この提言でも冒頭で明記してございますけれども、医療提供機能、教育研修機能、それから研究開発機能と、三つの機能が病院にありますよと。そういう前提で、これらの機能をより十全に果たすためには大学のマネジメントの改革が必要だという中で、特に三つのうち医療提供機能の強化に関しまして、言葉がいいかどうかでございますけれども、病院内の縦割りのセクショナリズムだとか、もう少し患者さんに安全な医療の提供、しかも限られた予算、人員での有効、効率的な運用ということについて御提言をまとめたものと理解してございまして、別にこの提言が教育研究機能を無視したり、あるいは軽視したりということではないと理解しているところでございます。
家西分科員 でも、この提言を読むと、今までは教育と研究に力を入れてきて診療はおろそかにしてきた、つまり、これから診療を重視し十分にもうけさせてもらいますよというふうにも私は読み取れるわけですけれども、もし違うというなれば、その根拠を明確に説明していただけますでしょうか。
工藤政府参考人 大学の場合に、病院に限らずそうなのでございますが、教育研究が中心ということは確かでございますけれども、特に附属病院について申しますと、地域の中核医療として大変大事な診療という機能があるわけでございます。それが、今おっしゃいましたような表現で申しますと、教育研究の名のもとに診療がおろそかになってはいけない。
 いろいろ御心配、御迷惑をおかけしていますように、残念ながら、いろいろ力を入れているのでございますけれども、医療事故というのが相次いでございます。そのためにも、患者さんに安全な医療を提供するために、教育研究はもちろん大事だという前提のもとで診療機能の充実を図る必要がある、そのためにマネジメントの改革を図る必要があるというのがこの病院長さんたちの会議での提言と受けとめてございます。
家西分科員 それでは、もう一点具体的にお伺いしたいと思います。
 提言では検査を外部委託するということも言われていますけれども、これは、教育研究機関である大学病院がそのようなことをするということは通常私は考えられない。本来、大学がそういうような検査を自主的にやって研究をしていったりとかするべきところが、外部委託しよう、民間のそういう検査機関に委託をしようということだろうと思うんですけれども、これでは全く個人病院とかのレベルに落ちていくんじゃないか。何のための大学病院なのかわからなくなるんじゃないんでしょうか、そういうことをやっていたら。
 そしてまた、専門教育を受けていない人たちが今後他の病院に人材として出ていかれたときに、今言われたような患者の安全や医療過誤がふえているからということとは、これもまた符合するんじゃないんですか。
 検査は外部委託でやっていくとか、患者のサービス向上とかいろいろうたわれていますよね、提言の中で。これは患者のサービスになるんですか。外部に委託するということは、例えば血液検査をするというふうに言われて、大臣、今でしたら、午前中血液検査をして、何時間後には大学の検査部の方からある程度の検査の結果が出てくる。しかし外部に委託するというふうになれば、何日か後でないとその検査の結果が出てこないということがありますね。
 それとか、腫瘍が悪性なのか良性なのかの検査を、こういうものも外部に委託しようというふうになったら、おなかをあけて腫瘍を摘出し、それを外部に委託していたら、こんなものは何時間もおなかをあけたまま待っているんですか。こんな非常識なことをやろうということにつながっていかないんですか。私は、これは非常におかしな問題だと思っています。
 この点についていかがお考えでしょうか。
工藤政府参考人 この提言では、検査業務を自動的にすべて、あるいはそのほとんどを外部委託すべしというふうな御提言ではございませんで、基本的に国立大学の附属病院でございますから、その多くを国民の税金に頼っているわけでございます。それから、大学の職員、教職員すべてそうでございますけれども、いわゆる総定員法という国家公務員の定員管理のもとにございます。
 したがって、限られた予算、人員の中で現場では大変一生懸命やっていただいているのでございますけれども、できるだけその限られたリソースを活用しながら十分機能を果たしていく必要があるというのが一般論としてございます。
 そういう中で、この提言でも、例えば今の外部委託についてでございますけれども、内部で行う項目と外部に委託する項目を常に見直し、経費節減と診療支援を念頭に置いて合理化を図る、外部委託が可能な業務については、患者サービスの向上、経費削減、業務の効率的実施の観点から考えていくというのが御提言でございまして、検査業務だけではなくて他の業務も含めていろいろ検討して、例示をしてございますけれども、検査業務についていいますと、先ほどおっしゃいました血液検査のような生理検査あるいは時間外検査及び緊急検査は、原則検査部で対応するという前提でございます。ただ、「人員の有効利用から外部委託も考慮する。」とございまして、今申し上げたようなことを外部委託すべきだと言っているわけでは決してないと理解してございます。
 それから、別のところで提言してございますのは、例えば、今、人も予算も限りがありますから、大学が法人化した場合は、一応国家公務員法の適用の対象から外れる前提で考えますと、病院の一部を外部の検査センターのような機関に場所をお貸しして、そこで迅速に検査を行っていただくという、それは費用対効果もございますけれども、しっかりした検査機関が低廉な料金でそういう貸与契約をやっていただく可能性があれば、そういうことも検討したらどうかということも含めて、検査は検査で大事だという前提に立っての御提言と受けとめてございます。
家西分科員 そうなりますと、外部でできるものは外部でということ、内部でできることは内部でしようという話でしょうけれども、これはだれがやるんですか。先ほど人的な問題等も含めてというふうにおっしゃいましたけれども、外科医が検査をやったりとか、兼ねようということじゃないんですか。専門技官というものをちゃんと育てるというふうに考えていいんですか。置いてやるということですよね。どうなるんですか。
工藤政府参考人 先ほど先生の御指摘がありましたように、病院での検査項目というのは大変複雑多項目にわたります。しかも高度医療……(家西分科員「だからこそ専門技官が必要じゃないですか」と呼ぶ)はい。その業務の充実というのは当然必要なことでございます。
 ただ、人員も限られている、あるいは時間も限られている。そうすると、緊急度の高いものからやって、ほかの部分がないがしろになってはいけないわけでございますから、そこの充実を図らなきゃいけないわけでございます。そのためにできるだけ人をたくさん雇い入れてという方法も一つございますし、人がそれだけ確保できなければ、場合によっては、急がなくても済む、あるいはもう少し軽微な定型的なものはすぐ検査結果が出るような体制を組めるということであれば、一部そういうことを検討することもあるかもしれない。いずれにしても、そういうことをしなさいということではございませんで、外部で行えるものがあるかどうか、それを点検しながらマネジメントを検討してはどうかということでございます。
家西分科員 それでは、そういうふうに局長に御答弁いただいているわけですけれども、四月の五日に閣議決定されまして、現在厚生労働委員会で審議されています薬事法の改正に伴う血液事業法、通称採供法とかいろいろ言われているわけですけれども、について、文部省はどう認識をされているのか、お伺いしたいと思います。
 この法律は、主要な目的は、血液、血液製剤の適正使用について定めている部分があります。既に四月の五日に閣議決定しておきながら、四月の十八日に、全くこれとは違う内容のマネジメント改革として通達が出されています。厚生労働省の言うこととは全く意味が違うというふうにとらえていいんでしょうか。
 ここにその通達がございます。大臣、これは読まれましたか、通称村田通達。
遠山国務大臣 御指摘の通知は、国立大学病院を所管いたします医学教育課長が各病院長あてに依頼したものでありまして、その趣旨は、病院長会議の提言を支持するとともに、提言の要請にこたえて平成十五年度概算要求で取り組んでいきたいとの趣旨を表明したものであります。
 病院長の提言では、輸血関係業務の改善の項目で、その業務の重要性の高まりとともに、治療と検査が混在している問題、あるいは小規模な組織であるがゆえに柔軟な対応が不足している問題などを指摘して、その改善策について例示しているものでございます。一部に、この提言は輸血部を廃止する趣旨との誤解があるようでございますけれども、提言の内容には全くそのような意図はないと私は考えております。提言では、輸血部が夜間に機能していなかったことなどが原因で重大な医療事故があったことなども踏まえまして、検査部との合同による当直体制の整備、あるいは臨床検査技師が必要に応じて診療支援部から配置されるようにするなど、むしろ輸血検査業務を強化する方向性を打ち出したものであるというふうに承知いたしております。
 したがいまして、病院長会議の提言は、四月五日に閣議決定されました、今御指摘の薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案における血液製剤の適正使用の考え方と同様な認識に立つものと考えておりまして、この提言を踏まえた担当課長依頼の通知もその法案の適正使用の考え方に矛盾するものではない、また、矛盾してはならないというふうに私は考えます。
家西分科員 ぜひともこれは矛盾してもらっては困ると思います。なぜならば、大臣も御存じかと思いますけれども、私自身が薬害エイズの被害者です。そして、HIV、エイズに感染し、今問題となってきていますC型肝炎のキャリアでもあります。これも血液製剤の使用によるためです。こういったことを教訓とし、今回薬事法の改正がされて、血液事業法の供血、献血のあっせん業の取締法の改正というものにこぎついたんだと思います。
 しかし、歴史から見て、約四十年間こういった法律ができてこなかったということがあって、今回政府として何としてでも今通常国会で通したい法律の一つだろうと私自身も思っていますし、また政府の方もそれで全力を挙げてこられたんだろうと思うわけですけれども、そこへ来て、こういうような水を差すような通達が出てくるということは、私は非常に最初は驚きでした。それとは意味が全く違うんだ、逆に機能を強化するんだというふうに今言われましたけれども、輸血部と、それともう一つ、夜間、二十四時間体制でやるんだということを言われましたけれども、本当にそれができるのかどうか。
 それと同時に、世界では、世界というか、メディカルディレクターということでアメリカなんかでは輸血部の存在というものは非常に重要である。そして、日本の歴史を振り返ったときに考えなきゃいけないのは、吸血鬼日本とまで言われた。それは、世界の三分の一の血液を日本一国で使ってきたという問題が長い間指摘されてきた。こういった問題を踏まえて、血液は適正に使用すること。しかも、年間六百五十万人程度の献血が今現在あります。しかし、本来、医療として必要なのは一千万人であるとか厚生労働省の方の試算ではあるわけですけれども、現実、一千万人からはほど遠い数字であり、適正使用を図ることが大事である。
 そして、先ほど申し上げましたC型肝炎の問題についてもそうです。産婦人科で出産時に止血剤として使われたフィブリノゲン製剤というものを、本当に必要だったのかどうかと言われるような患者さんにまで使った。それと同時に、アルブミンと言われる血液製剤を大量に日本一国で使用してきた。その結果が大きな被害をもたらしてきたんだということ、そういうことを考えたときには、適正使用というものは絶対に必要である。そして今後の医療として末梢幹血とかいろいろな問題があるわけですけれども、血液の重要性、血液部の重要性、必要性というものは年々高くなってきているわけですよね。
 にもかかわらず、この通達を読む限りでは、非常に私は最初は驚きを隠せなかった、何でこういうものがこの時期に出てくるんだと。一体、文部科学省は、独立法人化で赤字経営の大学病院をなくすためのリスクマネジメントしか考えてこない、自分たちの御都合主義でやっているのかと。大学病院というものは、そういったものを適正に使用さすための技師、技官、そういった者を育てるための教育をしていく、この出血では、こういった症状では輸血をするんだとか、これは使わないでおこうとかいうような指導をしていくための技師を育てていこうとするのが本来なのに、全く逆じゃないかと。お金お金お金の計算でやっているんじゃないかというふうに思えてならなかったということを御指摘しますけれども、それは絶対違うんだということを再度大臣の方からでも御答弁いただきたいと思います。
遠山国務大臣 血液の輸血の問題につきましては、私は非常に大事な人間の生命にかかわる問題だと思っております。
 直接詳しくお答えするのは私の任ではございませんけれども、しかし、国立大学附属病院における輸血部というものの重要性というのは言うまでもないわけでございまして、血液型の検査、輸血製剤の管理、自己血の採血、管理、造血幹細胞移植など、日々さまざまな業務を行っているところでございまして、特に、今日医療が高度化した中で輸血の問題というのは非常に重要だと思っております。
 もちろん、大学病院をこれから法人化いたしますとさらに自主的な運営というものが要求されてまいると思いますけれども、今、家西委員がおっしゃいましたように、血液につきましては適正使用、そのために教育、研究、そして、地域医療のすべてにわたって遺漏なく、むしろこの問題についてはしっかりとした対応をしていくことを前提の上で、これからのマネジメント改良というものに向けて力を注いでいく必要があると私は思います。
家西分科員 時間が来ましたので終わりたいと思いますけれども、最後に一言だけ申し上げたい。
 もし今言われたような内容で間違いないというふうにおっしゃるのならば、三月の提言、四月十八日の通達というものを白紙撤回すべきじゃないですか。そして、これはこういうことなんですよということを改めてお出し直しいただきたい。そうしないと、このままこの通達や提言が残っていくような形では、今国会で御答弁いただいている説明は無に等しいというか何の意味もなさないんじゃないですか。そこはどうなんでしょう。
遠山国務大臣 この問題につきましては、そういう誤解を与えているというのは私は行政にとっても大変問題だと思いますので、きちっと説明責任を果たしていくということが必要だと思います。(家西分科員「説明するだけなんですか。提言を取り消さないんですか」と呼ぶ)いえ、取り消すということは、それは間違っている場合ですが、お話ししましたように、これは誤解を生んでいるということでございまして、そのことについてしっかりと説明していく、誤解を解いていく、さらによい方向にそれを加速していく、そのことが大事だと思っておりまして、きょう委員から賜りましたいろいろな御指摘については、私ども十分参考にさせていただきたいと思います。
家西分科員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
松崎主査 これにて家西君の質疑は終了いたしました。
 次に、木下厚君。
木下分科員 民主党の木下厚でございます。
 さて、私はたびたび、帝京大学のさまざまな疑惑についてこれまで追及してまいりましたが、去る七月十五日、ようやく大学の特別調査委員会の調査結果が出ましたが、改めてこの調査結果をどう判断されているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 七月十五日の夕刻、帝京大学側から、その大学の一連の不正入試疑惑に関する調査報告書が提出されました。
 しかしながら、今回の報告書は、一言で言えば極めて不十分と私は考えております。入試や寄附金受け入れにかかわります疑惑についての調査結果の具体的記述あるいは裏づけとなる資料が不十分でありますなど、到底、社会が納得するような徹底した調査の報告書とは言えないと考えているところでございます。
 また、報告書を提出した後も大学としての記者会見も行わないなど、大学が公共性が高くかつ社会的な責任を有する存在であるという意味におきまして、その責務が十分に果たされているとは考えられず、極めて遺憾だというのが私の心情でございます。
木下分科員 私も、この中身を見まして実は愕然としたわけでございます。
 私自身がこれまで委員会等でも追及してきましたけれども、今回の学内の特別調査委員のメンバーを見ますと、これは私も再三指摘してきましたけれども、あくまでも学内のメンバーだけなんですね。いわば、身内のメンバーで構成されたものに期待しても無理だと私は言ってきました。ましてや、このメンバーはワンマンである冲永総長の意向に基づいて編成されたわけですから、冲永総長の考えと違う結論が出るはずがない。だから、私は、文部科学省が独自に第三者機関で調査をしてくれと再三お願いしてきました。しかし、それを結局やってもらえず、七カ月待ってやっとこんな程度の報告書が出てきた。
 これは、はっきり言って、大臣に対してあるいは文部科学省の対応の甘さ、もっと言葉をきつく言えば、ばかにされているんですよ。私もそうです。これまで、三回、四回追及してきました。そして、その結果こんな内容ということは、木下議員もまあ軽く見ておけばいい。ばかにしている、そう思いませんか、大臣。いかがですか。
遠山国務大臣 私も、この問題の重要性にかんがみまして一体何ができるかということで、常に省内でも議論をし、対応してまいりました。大学側に対しましては、十八回に及ぶこの調査報告書の提出の督促ないしさまざまな指導をしてまいったところでございます。
 私どもの私立大学に対する指導助言のスタンスといいますものは、大学が社会的な存在としてきっちり独立したみずからの考え方のもとに良識ある対応をするものということを前提にして、これは行政として大切に考えてまいっているスタンスでございまして、それを前提としながら、かつ、私どもが法令上許された方法というものを用いながら、再三にわたり、その調査報告のみずからによる調査というものをまず出してくれということで促してまいったところでございます。そして、その結果がそういうことで、今後は、そのことを前提として厳しく対応していきたいと思います。
木下分科員 今、社会的責任とか言いましたけれども、それに背いたわけですね。十八回いろいろ督促をさせたとかいうお話でしたが、それだけやっても結局こうした中身しか出なかった。厳しい対処法をとると。具体的にどういう対処をとりますか。
岸田副大臣 今大臣から申し上げましたように、これまで大学みずから社会的責任を果たすべく促してきたところでありますが、結果として社会の要請にこたえられるような報告書が出てこない。この状況に対しまして、文部科学省としましては、まず現地調査を行いまして、そのことによって、報告書の中身、さらには報告書に盛り込まれていない内容を検証するというところからまず調査を進めて、しかるべき厳しい対応をとりたいと考えております。
木下分科員 現地調査といっても、大学に行って恐らく帳簿類をさささっと見るだけ、これはただ世間に対する言いわけにすぎない。本格的にやりなさいよ。これだけひどいことをしているんですよ。しかも、人命を預かるお医者さんを養成する大学でこういうことがまかり通っている。しかも、所管庁の文部科学省で十八回も督促したのに、これだけの内容の結論しか出てこない。しかも、この中身を見れば、ひどいじゃないですか。これは前事務局長がやっていたことだ、大学は一切関係ない。では、なぜ入学できたんですか。
 この大学は、私は何回も言ってきています、総長の一族がすべて経営しているんですよ。総長の許可がなかったら入学できないんです。私も、内部の教授の方々から何人も意見を聞きました。最終的な決断は冲永総長がしないと入学できない、そこまで権限を持っているんです。ですから、前事務局長がやったとか、あるいは実弟の嘉計さんですか、やったことで、大学とは関係ない。入学しているんじゃないですか。なぜ、もっと徹底的にやらないんですか。
 大臣、どうですか、第三者機関をつくって文科省できちんと調査する、そのつもりはありませんか。
岸田副大臣 先生御指摘のように、報告書の中身、到底社会が納得できるような内容ではないと文部科学省も認識しております。
 ですから、まず、先ほど申しました現地調査にしましても、文部科学省の職員だけでは限界があると考えております。公認会計士を初めとし、外部の専門家の協力も得て現地調査をしなければいけないということで、外部の専門家とも、今、日程調整をしております。その上で現地調査に入りたいというふうに思っております。
 今、第三者調査機関についてどうかという御質問がありましたが、こうした現地調査を行うことによって、問題点をしっかりと把握したいと思っておりますし、外部の識者の意見ということにつきましては、学校法人運営調査委員会という委員会があります。三十名ほど、広い識見を持つ方々にお集まりいただいている委員会であります。この委員会を活用しながら、事実解明ですとか再発防止について検討を進めていくという方法をとっていきたいと考えております。
木下分科員 実は、私の委員会質問に基づいて、さまざまなマスコミが報道しています。報道したことについて、一々大学側は、要するに通知書を送っているんですよ。
 例えば、これはある雑誌に掲載されたものを、大学側が通知書で、いわばおどしですよ。私が、先般、医学部に事前寄附金を払って、二千五百万払って入学した、十三年在学したけれども結局卒業できなかった男性について紹介しました。これについて、大学側はこう言っているんです。この男性は、木下厚議員の前記質問前から各種のマスコミに積極的に接触し、一方的に虚偽の内容を説明した経緯があり、信用性に疑問を持ったマスコミは、その後の取材、掲載を中止したところもありますと。
 冗談じゃないですよ。この後、さらにいろいろマスコミが、次々と私の指摘した内部告発の人たちの報道をしているんです。これは人格攻撃ですよ、その彼に対する。せっかく内部告発して、大学を正そうといって私のところへ告発してくれた彼に対して、こういう言い方をしているんです。元医学生たるこの男性は、みずからの学業不振と怠慢を棚に上げ、本学を誹謗中傷するために、何ら根拠なく、自己に都合よく事実をねじ曲げているにすぎません、こうやって今度はいよいよ人格攻撃ですよ。こんなことが大学のあるべき姿ですか。
 私も言いました、大臣。この男性に会って、私は全部調べましたよ。彼の入学証明書から学業成績から、あるいは、二千五百万円を大学に事前寄附するに当たって、自宅を担保にして三千万借りていた、その担保物件まで見ました。そして、大学に持っていっているんです、二千五百万。領収書も見せました。領収書もあるんです。もし大学が言うんだったら、この領収書は何なんだ。そのことを明らかにしないで、これは私がこの前も提示をしました、これだけはっきりした領収書があるんです。学校法人帝京第一学園、学校法人愛媛冲永学園、二つ合わせて二千五百万円です。では、これは彼が偽造したものなのか。こんなことを偽造して、何の役に立つんですか。
 それだけ個人を誹謗中傷する。そして、委員会で質問する私に対しても、そういった人間から聞き取り調査しているからいいかげんだと。国会をばかにしている、私をばかにしている、そうじゃありませんか。大臣、答えてください。大学として、こんなことを一々全部のマスコミにやっているんですよ。彼はインチキだ、大学を誹謗中傷するためにやっているんだと。どうですか、大臣。
遠山国務大臣 今のお話を聞いておりますと、大学あるいは学校法人というもののあるべき姿としてどうなのかと思います。
 私どもといたしましては、やはり大学というものは教育研究という崇高な使命を果たすべきところでございまして、それにふさわしい経営者が、ふさわしい言動のもとに、ふさわしい経営のやり方をもって対処してもらいたいと思います。そのように考えます。
木下分科員 実は、私のところへ帝京大学OB、学生からさまざまなメールが来ています。全部読み上げたいのですが、幾つか紹介させていただきます。
 残念ながら、私は、せっせと高い授業料を払い、恥ずかしながら親ですが、冲永一族の金もうけを助けながらのほほんと学生生活を送ってきた典型的な帝京大OBです、そう書きながら、そして、どうか木下先生、スタッフの皆様、私の母校が普通の大学になれるように、胸を張って帝京大学卒だと言える大学になれるよう頑張ってください。
 みんな恥ずかしい思いをしているんです。幾つも来ています。みずから名乗れないんです、帝京大学卒業だと。大学をせっかく出て、しかも医学部生、何千万も、うわさによると一億円近くも払っているんです。そしてなおかつ、帝京大学卒と名乗れない。こんな不幸なことがありますか。大臣、こういったメール、もしよろしければ全部お見せします。真剣にやってください。
 大臣、学校教育法第十三条、御存じだと思いますが、それにはこうあります。法令の規定に故意に違反したとき、あるいは法令の規定によりその者がした命令に違反したときは、文部科学大臣は大学の閉鎖を命ずることができる。あるいは、この前も紹介しました、私立学校法の第六十二条一項、これは解散命令まで出せる。
 あるいは、そこまでいかなくても、帝京大学の最大の問題点は、冲永一族、ファミリーが全部を占めている経営です。ですから、少なくとも、経営刷新なり、あるいは冲永一族、とりわけ現総長の退任、これを強く迫っていただきたい。そうでない限り、この大学はよくならないんです。どうですか、大臣、そこまでやる覚悟はありますか。
遠山国務大臣 帝京大学の一連の問題につきましては、今、問題を明らかにしようということで、専門家を派遣してしっかりした調査をするという、その着手に入るところでございます。まずは事実を明らかにした上で厳正に対処するということで私どもは考えているところでございます。
木下分科員 実は、こういった事前寄附の問題あるいは関連財団の所得隠しが問題になりましたが、先般問題になった関連財団のうち、帝京育英財団、ここが六十五億円の所得隠しをしていて、約二十五億円の重加算税を含む追徴課税を受けた。そして、その財団は実に五十銘柄の株式を運用している、それが明らかになりました。
 ところが、今資料をお配りしました。資料一を見てください。大学本体がこれだけの株を持っているんです。帝京大学が五百八十銘柄、上位十銘柄を上から書いてあります。キリンビール、日立製作所、三菱電機。そして、実は私が以前指摘をしました日本テレビ放送網、これは八十八万株です。それから、朝日放送十三万株です。以上十件の構成比率が五五・三%。残り四四・七%です。
 例えば、上位の所有株数は記載してありませんが、山梨中央銀行、上位から七番目です、三百六十一万株。八番目の渋澤倉庫が二百万株。合わせると五百万株です。そうすると、上位六銘柄、これはすさまじい株を持っているんじゃないですか。七番目で三百五十万株ですから、上位六つの銘柄というのは、恐らく四百とか五百万株とか、それぞれが持っているんですよ。
 帝京大学でこれだけです。そして、帝京平成大学も同じです。九十八件それにプラス十件。合計百八銘柄持っている。帝京科学大学、これも合わせると五十一銘柄。合わせると、すさまじい株を保有しているわけです。
 私も、全部の株は出ていませんのでわかりませんが、概算しますと、この大学三校だけで七百四十九銘柄。ですから、これを合わせると、恐らく少なく見積もって数千万株、多ければ億単位の株を持っているんです。
 そして、さらに言えば、先般、帝京育英財団が五十銘柄持っていることが明らかになった。財団は十三あります。それぞれがもし五十銘柄持っていれば五百銘柄です。それに今回の大学の七百四十九銘柄を合わせると、千五百近くの銘柄を持って、そしてそれをすべて帝京大学が株式運用しているんです。数千万株ですよ。この原資は一体、株を購入した原資はどこから出ているんですか。報告を受けていますか。
工藤政府参考人 学校法人の収入につきましては、学生からの納付金のほかに、今、医学部附属病院のあるところは病院からの事業収入など、いろいろあるわけでございます。それぞれの学校法人、特にこの帝京大学も、どの資金を原資に株式を取得するかについては特定できないわけでございます。
 ただ、私ども、申請に基づきまして私学助成、いわば国費で差し上げてございますけれども、私学助成は、現に教育研究に使った経費の一部を補助してございますので、少なくとも国庫補助金から株式に回るということはないという仕組みになっているわけでございます。
木下分科員 私、そんなこと聞いているんじゃないですよ。当然ですよ、それは。私学助成金で株を買ってなんて、冗談じゃない。そんなことはあり得るはずないんです。
 しかし、数千万株あるいは一億株の株を買う、それだけの余裕があったら、何で授業料を下げてあげないんですか。医学部で、やれ五千万円、一億円寄附をしなきゃ入学できない。あるいは、最近では、医学部だけじゃなくて、経済学部、法学部まで寄附金を集めている。数千万株の株を買うというのは、これは大変な額ですよ。恐らく二百億あるいは三百億の金がかかっているはずです。それを、ほかに商売やっているわけじゃないでしょう、大学ですから。すべて、受験生の授業料であったり、あるいは寄附金であったり、そういうところから集めているんですよ。これは大学じゃないんじゃないですか。機関投資家ですよ。生保だってこれだけの株を扱っているところはないですよ。
 ほかの大学でこれだけの株式運用している大学ありますか。調べたことありますか。答えてください。
工藤政府参考人 すべての学校法人を調べているわけではございませんが、学校法人の資産運用で株式の保有を禁じられているわけではございませんので、他にも例がないわけじゃないというのは承知してございますが、ただ、御指摘のように、大変膨大な株式を保有しているというのには驚いております。
 それと、先生も御指摘ありますように、私どもも、こういう状況、全貌を含めて、大変不本意にあの報告書を受けとめてございまして、そのため、副大臣からも御答弁申しましたように、さらなる徹底的な調査を予定しているわけでございます。
 そのほかに、先ほど先生も御指摘ありますように、いろいろな御疑問に対して、ぜひ、大学当局が公の場で記者会見などして明らかにしてほしいというのを私ども再三にわたって申し上げてきてございます。ところが、どうも、先ほどのように、一部メール等で個別にお答えするだけというのは、社会的存在である公の法人のあり方としていかがなものであろうかということも含めて、大変残念に思っているところでございます。
木下分科員 私も、兜町の人間からいろいろ聞きました。帝京筋というのがあるんじゃないですか。帝京筋がこの株買っている、ちょうちん買い、大学のやることじゃないですよ。これを平然とやっている。
 しかも、すべてを帝京大学がやっているんです。各都道府県認可の財団も、実際は帝京大学が運営しているんです。ここには恐らく専門家が、証券アナリストか何かがいて、これだけの銘柄、毎日見て操っているわけですよ。大学教育じゃないですよ、証券会社じゃないですか。帝京証券会社に名前を変えたらどうですか。大臣、どう思いますか。これだけの株を持っていて、本当にまともな大学と言えますか。判断してください。資料をごらんになっているでしょう。
遠山国務大臣 大学、特に私立大学が、しっかりした資産を持って、いい教育研究をしていただくということは、まことに望ましいことでございます。
 今のお話を聞いておりますと、やや私どもの想像を超えたといいますか、良識を超えた額あるいはその運用という実態でございます。
 ただ、法令上の定めにおいて、学校法人の資産運用の形態として株式保有をするということについて制限はないわけでございますが、元本が保証されない株式保有に当たりましては、リスクを十分に考慮した上で、学校運営に支障を来すことがないよう、またその収支についても透明性を確保して、説明できるような内容で運用されるべきではないかなと私は思います。
木下分科員 私、そんな公式的な見解を聞いているんじゃないんです。そんなことは言わなくたってわかっているんです。現実にこれだけの株を運用しているんですよ。原資を含めて、徹底的に調査してください。もう答弁は要りません。やっていただけますね。
 さて、もう一つ、資料二を見てください。
 旧文部省から帝京大学に天下りしている人が何人かいるという指摘はこれまでも私、してきました。そして、それが大学の学科の新設に便宜を図っているんではないかという指摘をしてきました。学科新設申請からその許可がおりるまで、通常どのぐらい日数がかかりますか。
工藤政府参考人 これは、大学の学部・学科の設置認可の審査につきましては、専門の審議会で、しかも専門の分野ごとに外部のいろいろな方々が専門委員でお願いしてしっかり調査審議するという仕組みになってございまして、私どもが手心を加えたり便宜供与したりというような余地は全くないのでございます。
 それで、今御質問のどれぐらいかかるかということでございますが、最近はどんどん規制改革の折から審査期間の弾力化を図ってきてございまして、入学定員の増減がなくて内容的にほぼ同一性の確保されるものにつきましては、平成十一年度以降、簡素化いたしました関係で、通常、申請から認可まで二、三カ月で済むようにしてございます。それ以前は一年近く、八カ月から十カ月ぐらいかかっていたのが、そういう意味で弾力的な運用で、各大学が入試あるいは学生募集等含めて適切な対応ができるようにと努めているところでございます。
木下分科員 いや、それはおかしいんじゃないの。これは表を見てください、資料二を。従来、やはり六カ月かかっているんですよ。ところが、帝京大学の経済学部環境ビジネス学科、これは二カ月に満たない間に申請から認可がおりている。あるいは理工学部航空宇宙工学科、これも二カ月たたない間に認可がおりている。あるいは帝京科学大学の理工学部アニマルサイエンス学科、これも二カ月未満で認可がおりている。
 これは要するに、それなりのパイプがあり、そしてそれなりの便宜供与があったからこれだけスムーズに、帝京大学の環境ビジネスなんて今までなかった学科ですよ。そういうものに対してこれだけスムーズに認可がおりる、これは異常じゃありませんか。手心を加えているんじゃないですか。
工藤政府参考人 先ほども申しましたように、平成十一年に制度改正をいたしまして、同一の設置者内の大学、短大、全体の定員の増加を伴わない範囲での学科の設置等について、大幅に審査期間の弾力化、短縮化を図っているところでございます。それ以前は年に一回の申請でございましたが、これによりまして年四回、随時受付が可能となってございます。これに基づきまして、平成十二年度からそういう措置をしているわけでございますが、これまで総計百五十六学科、そういう短縮型の認可が行われてございます。
 その中で、今御指摘ありましたように、帝京大学については二件、帝京科学大学については一件、百五十六分の三なのでございます。帝京大学にそういう便宜を図るというのは全くございませんので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
木下分科員 時間が来ましたので終了させていただきますが、いずれにしても、帝京大学の問題は非常に根が深くて広い。徹底的に調査してください。私も徹底的に追及していきますので、ひとつ大臣よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
松崎主査 これにて木下厚君の質疑は終了いたしました。
 次に、中山義活君。
中山(義)分科員 大臣、いよいよ夏休みに入りまして、ラジオ体操に私、朝五時半に起きて行ったんですが、最近の子供は朝起きられなくて、だんだん参加が少なくなっているんですね。スポーツとか体を動かすという認識に、御家庭の方も学校の方もちょっと欠けているんじゃないでしょうか。私は、もう長い間議員をやっておりまして、区議会議員から都会議員、それで衆議院になったんですが、区会議員のころからずっとラジオ体操に出ているんですね、夏休みになると。お子さんが年々減っているんですよ。つまり、体を動かすということについての認識がやはりだんだんなくなってきているんですね。それがどれだけすばらしいことかという認識がなくなってきている、このように思うのです。
 そこで、やはり子供たちが運動するきっかけというのは、スポーツをテレビで見たり、自分にできないような技術を見たり、体力を見たり、これでびっくりするわけですよ。あ、自分もやってみようじゃないか。今回のワールドカップのサッカーはまさにそういうことで、ワールドカップをやって、日本で大きな試合をやって、そして多くの人がスポーツに目覚める、こういうきっかけにしよう、こういうことだと思うんですね。
 私は、そういう中でも、特に若い人が君が代を歌ったり日の丸を仰ぎ見て、非常に私どももその感動を見ているとうれしく思いましたよ。スポーツはそういうものです。過去に東京オリンピックがありましたね。これも国家的なイベントだった。ここで多くの競技で金メダルをとりましたね。そういう競技はやはり盛んになっていくんです。
 スポーツというのは、大きく底辺を広げるためには、基礎からいろいろやった方がいいのかというとそうでもないんですよ。やはり有名選手が出ることによって、それにあこがれてスポーツというのは広がっていくんです。
 野球なんか私も随分やりましたけれども、そのころは、やはり大下の青バットとか川上の赤バットとか、そこの委員長席にいる松崎さんと同じだと思うんですが、年からいうと我々は川上や大下にあこがれて野球をやった、そういう空気がありましたよ。私は今ラジオ体操をやっていますが、もともと器械体操の選手で、それも小野清子さんのだんなの小野喬さんなんかの体操を見てそういうスポーツに入ったわけです。ですから、金メダルをとらせるということは極めて大事なことなんですね。
 今回のワールドカップを見てくださいよ。やはり、日本があそこまで活躍したから、うちの近所でも子供たちが何でもかんでもよく蹴っていますよ、ボールやなんかを。やはり、そういうきっかけを持たせるというのは、国がちゃんと全力を挙げてスポーツを振興していくということだと思うんですね。そのためには、オリンピックに対してもっと認識が深くないといけないですね。ワールドカップは、これはプロの方たちがやっているから、ある程度インセンティブというのはお金もうけなんかでやれるでしょう。アマチュアのスポーツは気の毒ですよ。私は器械体操をずっとやっていたけれども、なかなか、生活しながら、勤めながらできないですよ。
 そういう面で、この三回ぐらいのオリンピックの日本の金メダル数をちょっと言ってくれますか。
岸田副大臣 過去三回のオリンピックにおける金メダルの獲得数ですが、夏季大会については、平成四年、バルセロナ大会、三個、平成八年、アトランタ大会、三個、平成十二年、シドニー大会が五個です。そして、冬季大会につきましては、平成六年、リレハンメル大会、一個、平成十年、長野大会、五個、そしてソルトレークシティー大会、平成十四年ですが、ゼロであります。
中山(義)分科員 この長野でやはり五つとっています。これは一生懸命強化したんですよね。オリンピックは四年に一度ですよ。その年だけ補強したんじゃだめですよね。やはり四年間で選手を育てていく。ワールドカップはそうでしょう。やはり何年かかけて、今の日本の選手が育ったわけですね。
 大臣、芸術でもそうでしょう。大臣がお勤めになった西洋美術館で、いい美術を見せることがみんながやるきっかけになるんでしょう。スポーツも一緒なんですよ。
 私は、長野オリンピックの後に文教委員会、国の方で視察に行きました。そのときに、五個とったという、それがやはり一番大きな実績だと言っていましたよ。まずスケートから始まって、金メダルが一個とれた、そこからわあっと盛り上がってきたわけですね。だから、あのオリンピックを盛り上げたのはある意味では清水選手なんですよ。金メダルをとった選手があのオリンピックを、日本でやってもし盛り上がらなかったら恥ずかしいじゃないですか。スケートをやろう、子供たちはみんなそう思ったじゃないですか。
 もうちょっとスポーツに対して正確な、ちゃんとした予算をつけていかないとまずいと思うんですね。実は、あのtoto、サッカーくじで今度しっかりお金をつけますから、そういうばくちみたいなもので、もうかったら選手を育てるとかそんな発想じゃなくて、ちゃんとした予算で選手を育てなかったらやはり日本のスポーツというのは振興されませんよ。
 だんだんラジオ体操にも子供が行かなくなっちゃう、スポーツもやらない。だから国民の医療費だってふえていくんじゃないですか。病気にならないということが一番大事なんです、体力をつけるということですよ。その辺、どうでしょうか、大臣。
遠山国務大臣 やはりオリンピックでは金メダルをとってもらいたいですね、銀も銅もよろしいんですけれども。やはりあれは選手自身が、自分の体力、知力、精神力の限界まで出して、そして世界の中で戦ってトップに立つということですから、個人にとってすばらしいというだけではなくて、そういう国民を生み出した国も、これも誇りに思っていいと思うのです。
 同時に、子供たちやすべての国民があれを見ていて、やはりそこで大活躍してくれると大感動が巻き起こるわけですね。ということは、全体として国力が増すわけでございますし、そのことを考えれば、議員おっしゃいますように、国としても、単に名目的なことではなくて、しっかりと、オリンピックのような国際的な試合にも日本の選手が存分に活躍できるように、そういう条件を整えていくというのは、私は大変大事な国の責務であろうと思っております。
 じゃ、これまで何をやってきたかということでございますけれども、日本の国際的な競技力の向上を図って、優秀な成績をおさめることができるように、国費、スポーツ振興基金、それからスポーツ振興くじ、totoという、いろいろ議員の皆様にも御協力をいただいて、そういう財源を多様に使って活用して、支援をしているところでございます。
 具体的に申しますと、日本のナショナルチームなどの強化合宿、専任コーチの設置などの事業への国費、それからスポーツ振興基金による助成を行っております。また、オリンピック等において入賞が期待される選手や将来有望な若手選手の日常のスポーツ活動に対するスポーツ振興基金による助成、あるいはジュニア選手の発掘、それから強化練習へのスポーツ振興くじの収益による助成、そういった方途を用いてやっているわけでございますが、トータルの額が本当に十分なのかというふうに思わないでもございません。
 最近、一ついいニュースといたしましては、日本の国際競技力の向上のための中核機関としまして、昨年十月に国立スポーツ科学センターをつくりまして、ここでは、スポーツ医・科学を活用したトレーニング、あるいはメディカルチェックなどの医学的なサポートなどを実施しておりまして、今後は少し科学的な視点も加えながら効果的な訓練をしてもらって、競技水準の向上に努めたいと思っております。
 厳しい財政状況とはいいながら、委員御指摘のように、こういう分野についてもできるだけの努力を私どもとしてもしていかなくてはならないと考えております。
中山(義)分科員 今、いろいろ予算はつけているというお話でございますが、何を予算の財源にするかというと、大体がかけごとなんですよ、自転車とか競馬であるとか。地方なんかもそうですね。そういうものじゃなくて、ちゃんと予算を組んで日本のスポーツを育てていこうという気概がないと、やはりまずいと思うんですよ。
 今回のサッカーもそうでしょう。本当にそう思いませんでしたか。日の丸が上がったり君が代を歌っている。やはり国威というか、または国の力というのを感じませんか。
 仮に幾ら経済がどんどん発展したとしても、ジャパン・アズ・ナンバーワン、確かによかった、でも、ジャパン・アズ・オンリーワンの方が大事なんですよ。文化やスポーツを大事にする、そういうきらっと光る国じゃなきゃいけないんです。何だか知らないけれども、日本の場合は、経済は一生懸命やるけれどもスポーツやなんかは余り振興していない、予算を見たらこんなものだ、それじゃ、外国に文化国家としてばかにされちゃいますよ。
 やはり人間が生きていくために、体を動かすということがどれだけ必要か。それには、底辺をうんとつくるよりもトップをつくる方が大事なんだ。だから美術館をつくっているんじゃありませんか。これは、芸術を伸ばそうと思ったらいい美術を見せることがいいと思っているからやる。今まで大臣はそういうところへお勤めになって一生懸命やっていたわけでしょう。スポーツも同じ考え方を持ってくださいよ。
 ちょっと青山副大臣にもお聞きしますけれども、どうですか、今。やはり文化の中にスポーツがあって、恐らく今回のサッカーでも興奮されたでしょう。ボールを見ていたら急にけりたくなる、そういう気持ちになったんじゃないですか。
 やはりスポーツというのはそれだけ、国のためにも大きな、国威や愛国心を育てるにもいい。今回そういうことがあったじゃないですか。しかも、日韓でやった。お互いの国が仲よくなった。こういう大きな目的でやっているわけですから、その辺、いかがでしょうか。
青山副大臣 私も、サッカー観戦、実は生まれて初めてしたのですが、会場の雰囲気と一緒に非常に意識が高まるものを強く感じました。あのすばらしい試合は、やはり日本国民全体に非常に大きな感動を与えてくれました。
 感動というものが国づくりに非常に重要なことで、よく私が言うのですが、悲しみや苦しみや怒りの涙ではなくて、喜びや感動の涙を流せるような社会は、きっと創造的ないい社会になっていくことができる、豊かな心の社会になっていくことができる。
 その意味では、ワールドカップが日本で開催されましたことを、私はある意味で、ちょっと話が脱線してはいけませんけれども、副会長に一つは感謝を申し上げました。触れない方がよいかもしれませんが、そのときに触れたのは、実は大臣からもFIFAの会長に強く、例の空席の問題でしたね、触れたんですが、それはちょっと脱線ぎみの内容だと思って受けとめていただきたいんですが。
 あのサッカーの開催によって日本国民がサッカーについて新たな認識を深めて、そしてすばらしい選手たちの戦いぶりを見てどれだけ自分たちの気持ちが高ぶって、同じ民族として、そしてまた、特に韓国が勝ち抜いてきたときに日本人の多くが応援をした姿が韓国に伝わって、韓国にも非常に対日感情をよくしてきたという意味で、いろいろな意味で大きな効果を果たしてきたことを私は評価しております。
中山(義)分科員 今お話しのとおりなんですね。
 要するに、都議会なんかも、石原さんが都議会を休んでも行ってくれと言うような、それは国威を上げるためにも、純粋な愛国心もすばらしいというような意味合いがあったと思うんですね。そういう面でも、やはりこれから日の丸国旗法案とかそういうことで考えるならば、スポーツの世界でそれをやるのがある意味では一番健全じゃありませんか。
 そういうことを考えて、これからもちゃんとした予算をつけてもらわないと、選手は育ちません。サッカーだってそうでしょう。これだけ長い間ワールドカップだということでいろいろ選手やなんかにも便宜を図ってきた。東京オリンピックのときもそうですよ。あの当時はやはり日本の国が上昇で、どんどん経済も伸展した、あのオリンピックにも大変な予算を使ったわけですね。ハードはもちろん、選手にも強化費もすごく出ました。私もそのころ一緒にオリンピック選手なんかと参加して練習したことがあるんですが、こんなうまいものが食えるのかとか、こんないいものが。やはりそのくらいの配慮がなければ選手が強くならないんですよ、あの当時はまだまだそういう食生活でしたから。
 今は、やはり個人個人にもちゃんとしてあげないと、これから強い選手は絶対育ちません。特にプロのないアマチュアスポーツ、器械体操もそうですが、ほかにもありますね、これからは卓球だとかそういうものも、後、出てくるかもしれません。日本でプロのないスポーツは、やはり大変ですよ。そういう面では、しっかりしたインセンティブを引いてもらいたい、このように思うわけでございます。
 そういう面でも、これからもスポーツのことにつきまして、私も文科の方に今度来て、一生懸命スポーツの振興に努めるように御質問させていただきたい、このように思うわけでございます。
 次に、知的財産権の問題なんですが、発明、発見、これはやはり子供にとって大きな新しい世界を開いていくことなんですね。今一番日本が問われているのは技術力です。
 そこで、知的財産とは何であるか。こういうこともまだ子供たちはよくわからないんじゃないですか。日本はある時期に、一九七〇年代でしょうけれども、池田さんが総理大臣のころ、よく言われたのは、トランジスタのセールスマンだと言われたんです。あの当時は、外国の技術を日本が学んでそれを大量生産してどんどん外国に売った。今、そんなことできませんよ。勝手によその国の技術を盗んだりまねしたら大変ですよね。今日本が中国にそれをやられているでしょう。
 だから、知的財産とはどういうことなのか、子供たちがわかっていないと思うんですよ。一番ここが柔軟なのは小学生ぐらいだと思うんですね。そういう時期に発明や発見、新しいものを生み出す、そういう力をやはり教育でつけなきゃいけないんじゃないですか。
 知的財産に関する教育というのはどういうふうにやっているか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
岸田副大臣 今先生御指摘のように、国際的な社会の変化に伴いまして、知的財産権の重要性はますます高まっていると認識しております。そして、すぐれた知的財産を生み出す人材の育成、これは大変重要なポイントであります。七月三日に、知的財産戦略大綱においても、こうした知的財産に関する教育の重要性が指摘されたところであります。
 そういった中にあって、どんな教育が行われているかという質問ですが、著作権等の知的財産権については、現状、中学校の技術・家庭科あるいは高等学校の公民科等において取り上げるという形で、こうした知的財産に対する教育を行っているところであります。
 加えて、そもそもこういった人材の育成ということを考えますときに、今新しい学習指導要領がスタートいたしました。その趣旨は、みずから学び、みずから考える力をはぐくんでいくこと、あるいは個性、能力を最大限に伸ばしていくことも重視してこうした新しい制度をつくっているわけでありますが、そういった中にあって、体験的学習、習熟度別学習、選択学習、あるいは個に応じた学習、こうした少人数学習を重視するというような考え方も盛り込んでいるわけでありまして、そういった制度の中でこの創造的な人材、知的財産権を重視し、そして創造できるような人材、こういったものを育成していくことを考えていかなければいけないと思っております。
中山(義)分科員 今のハイテクでできたものというのは、どっちかといえばブラックボックス化して、子供たちは中を見ないわけですよ。なぜだろうという考え方がなかなか生まれてこないと思うんですね。エジソンであるとかいろいろな伝記を見てみますと、やはりなぜと思う気持ちがほかの人より強いと思うんですよ。だから、子供たちが単にハイテクの機械は使いこなせるというだけじゃなくて、もっと単純な技術の中に、やはり、なぜだろうとか新しいものを生み出すとか、そういう力が本当はあるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、私たちが子供のころは糸巻き戦車をつくったり、または竹トンボを飛ばしたり、なぜ竹トンボが飛ぶのか、そういうやはり基本的なところから新しいものが本当は生まれたんじゃないかと思うんですね。そういう面では、実際に物をつくったり、物づくりの世界の中で案外単純な作業の中から生まれてくるものだと思うんですが、最近の子供たちは相当ハイテクなものを使っていますね。しかし、それはブラックボックス化している。そういう面での、ちょっと、我々の頭の中で考える新しい知的財産というのは、単純に、こういう技術がある、ナノテクノロジーというのはこういうものだ、バイオとはこういうものだとか、そういうふうに言っているだけで、案外子供たちの発想とかそういうものに、この脳に刺激を与えていないんじゃありませんか。
 そういう面では教育のシステムや何かのあり方について、大臣の所見は何かありますでしょうか。
遠山国務大臣 子供たちが生き生きと新しい発想を持ってくれるようにするというのは大変大事だと思っております。
 その意味で、この四月から始まった新学習指導要領による教育というものは、学力低下ということがいろいろ懸念されておりますが、私はその方向に向かって大きく歩み出したと思っています。単に受け身で物を覚えるということではなくて、自分で考えるようにしよう、できれば自分で課題を見つけてそれに自分なりの回答を考えていく、そのようなことが非常に大事だと思います。
 物づくりというのは、やはり実際につくってみて、実感をして、そしてそういう創造をすることの楽しさ、あるいはそのことが人の役に立つことの楽しさなども非常に大事でございまして、物づくりでありますとか、あるいは今理科離れの大作戦といいますか、理科大好きプランというのもやっておりまして、さまざまに今やっております。
 ただ、私はむしろ、日本の経済あるいは産業界において物づくりについて余りにもこれを、何といいますか、その技術を伝えるあるいは伸ばすことにおいて手を抜き過ぎたのではないかなと思っております。社会全体がそういうことに向かって努力をしていかなくちゃならない非常に深刻な問題だと考えております。
中山(義)分科員 私は経済産業省の委員会にずっといましたので、既にそういうことを、いろいろ教育の場面で、例えば弁理士さんを行かせたらどうかとか、日本の発明協会の人を、土曜日行って子供たちにお話ししたらどうか、そういう提案もしているんですね。
 同時に、やはり一トンの鉄鉱石というのは、これは買ってくると五千円ぐらいです。これは鉄板になると五万円、車になれば百万円ですよ。そこに技術という付加価値が乗っていって、今の例えば車、こういうものがあるわけですね。だけれども、そこにはやはり技術というものがあるわけですよ。そういう技術とか新しいテクニックとかいろいろなものがあります。こういうことに子供たちはまだよくわかっていないんですね。例えば特許と実用新案、意匠登録、それからブランド、いろいろなものがあったとしても、何が特許だかよくわからない。だから、中国の製品が日本のまねしているとかいろいろ言われてもよくわからない、または、にせブランドの商品を買っても罪悪感がない、こういうことが出てきちゃうと思うんですね。
 だから、やはり、週に二回お休みがあったとしたら、物を発明する力を生み出すような教育をやってくださいよ。私は弁理士さんにもよく言っているんですよ。弁理士法改正になった、訴訟代理権もできた、しかし、弁理士さんがやるべきことはもう一つ、小学校へ行ってこの特許のすばらしさとか発明のすばらしさをもっと訴えてください。そうしたら、ちゃんと弁理士さんの協会の方で、最近は学校にも行っているんだそうですよ。
 我々もいろいろそういうことを通じて、違う世界から学校教育に入ってくる、そして、発明であるとか新しい発想を子供に教える、こういうことを考えていただきたいと思うんですが、大臣、もう一度答弁してください。
岸田副大臣 基本的には大臣が先ほど申し上げたとおりでありますが、先ほど先生、ブラックボックスの話をされておられました。従来の日本の教育における学力というのは、ややもしますと知識や技術の習得にとどまっていたという指摘があります。そのあたりがブラックボックスという指摘にもつながるというふうに思います。
 それで、その点、みずからなぜかと考えるようなところから学力を考え、そしてさらに、習得した知識、技能をどう活用するか、そこの部分まで含めて全体を学力ととらえる考え方、これは新しい学習指導要領の考え方でありますが、こういった考え方をより徹底すること、これが、御指摘になられましたような知的財産の活用につながるものだと考えております。そういった方向で努力したいと思っております。
中山(義)分科員 産学官と言われることは随分長い間言われてきて、いかに大学の研究室が、何らかのインセンティブで何かを発明して、それが、発明したその利益にもなっていく、または、その発明した利益がまたさらに大きな発明を生む。産官学、いわゆるTLOや何かやってきましたよね。しかし、もうちょっと下の子供たちがそういう気持ちを持たなきゃいけない、こういうことですよね。
 やはり、子供のうちからちょっとした技術を学んでいくということが大事で、どうも最近は見ますと、技術関係のオリンピックというのがありましたね。そういうことでも、全然日本がだめじゃないか、こう言われているんです。だから、子供たちがブラックボックス化したものをただ使うというだけじゃなくて、自分で物をつくるということを教えることによって、そこから発明や工夫が出てくるんですよ。
 だから、そういう面では、もっともっと物をつくる現場に子供たちを連れていく。先ほど言いましたように、週二日、この二日を徹底的に社会に順応させて、物をつくる現場がどういう現場か、最近「プロジェクトX」なんかを見ていても、これはNHKでやっていますね、大臣、ごらんになっているでしょう。物を生み出す、やはりすばらしいことですよ。私は涙して見ていますよ。
 そういう面では、やはりだれかが、物をつくっていく過程を子供たちにしっかり教えなきゃいけない。今の子供は、できたものをただ操作しているだけ。確かに操作はすぐれているし、すばらしい大きなテクノロジーを彼らが操っているわけです。だけれども、単純な、竹トンボであるとかまたは糸巻き戦車であるとか、こういう物をつくる技術をしっかり子供に与えることを、週二日のお休みの中でしっかりやっていただきたいと要望いたします。
 それと、もう一つだけちょっと質問させてもらいたいんですが、ジェンダーフリーということが最近よく言われておりまして、宇部市が男女共同参画社会の中で、本来のジェンダーフリー、つまり、先ほどちょっと岸田副大臣からも出たのは、個性や何か話がありましたね。男と女が違うということが一番の個性なんですよ。男が女っぽいとか女が男っぽい、そういうのは個性じゃないと思うんですね。やはり、まず男であること、女であること、これは現実でございますから、そういう面で、お互いに協力して何をやっていくかということが大事なので、お互いに、男は女になろう、女は男になろう、こういう考えがあるかと思うんですが、広島県で石橋県会議員が何か教育長に質問した、そんな話が出ている記事がありまして、これは先生のところの地元なので、このジェンダーフリーについて少しお考えがあったら。
岸田副大臣 まず、ジェンダーフリーという言葉自体は、これは男女共同参画社会基本法等の法律、あるいは男女共同参画基本計画等の計画等を通じましても、ジェンダーフリーという言葉は政府としては使っておりません。
 ジェンダーフリーという言葉は民間ではいろいろ使われておりまして、この定義はさまざまでありますので、この言葉自体を正確にコメントするのは難しいと思うんですが、ただ、御指摘の男らしさ、女らしさということに関して言うならば、そうした生き方とか特質、違い、これをしっかり理解して尊重すること、これは大切なことだと私も考えております。そうした認識のもとで、お互いに男女が責任を分かち合い、協力し、そしてそれぞれの個性をしっかり発揮できる社会をつくっていくこと、これがこの男女共同参画社会のあり方だというふうに思っておりますので、そういった考え方、男らしさ、女らしさという考え方、こうした違いを理解し尊重するということ、これは大切なことだと私も考えています。
中山(義)分科員 大臣、宇部市の新しい男女共同参画社会、これを何かで読みましたか。(遠山国務大臣「存じません」と呼ぶ)これは、やはり男は男らしく、女は女らしく、一つの今までの政府の考えている男女共同参画社会の、ちょっとそういうところから違っているんですね。
 しかし、いろいろな市が、男女共同参画社会とはこういうものである、男は男らしく父性を持って、女性は女性らしくお母さんの愛情を持って、お互いに協力して家庭をつくっていくんだとか、こういう考え方で、宇部市の場合はそれを提起したわけですね。しかし、どうも男女共同参画社会というのは違ったような行き方をしているようで、宇部市でもそれは大変大きな問題になったそうです。
 さっきの広島県のお話もそうなんですけれども、男女共同参画社会に対して、広島県はこうだと。宇部市の場合も、それぞれの市や県がいろいろなことを考え出して、国との考えとずれてきたときはどうしますか、大臣。
遠山国務大臣 ジェンダーの問題は、私は長い議論が、日本のみならず世界でも行われてきたと思います。
 必要なことは、一人一人の人間がそれぞれの個性を十分に伸ばして互いに尊敬し合う、その上に、それぞれの立場を十分に発揮し得るようにということでありまして、らしさ、らしさというだけを強調していくということが問題だという、そういう方向にあると思います。
 私は、一人一人がそれぞれの能力を発揮していく上で、いろいろなチャンスが与えられていくということは非常に大事だと思います。そうしたチャンスという角度から見ると、まだまだ日本の場合には努力すべき面があるのではないかとも思われます。でも、それぞれの個人がしっかりした生き方を可能とされる、そういう社会である上に、また本当の意味の、それぞれの持っている特性というものが発揮されていく、そのような成熟した社会になっていきたいと思いまして、右か左かという議論にとどまっている段階ではまだまだ成熟していないなという感想を持ちます。
中山(義)分科員 時間が来ましたので、この論議は、またどこかで大臣ともやりたいなという気持ちでいっぱいでございます。特に昨今は、性教育なんかでも非常に、ある意味で違った方向に行っているような気もいたしまして、大変心配な部分があります。そういう面でも、私どもはこれから、学校教育だけじゃなくて社会の良識とは何か、こういうこともしっかり考えていきたい、このように思っています。
 私どもは、国民の大体七割か八割が良識というものはある程度共有していかないと、日本というのは間違った方向に行っちゃうんじゃないか、こう思うんですね。そういう面でも、これからも、今度は経済産業委員会から、機会があったら大臣と副大臣のいる委員会に変わりましてしっかり論議をしていきたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 以上です。
松崎主査 これにて中山君の質疑は終了いたしました。
 次に、小西理君。
小西分科員 こんにちは。自由民主党の小西理でございます。
 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。
 教育という問題につきましては、今、日本の抱えるさまざまな問題、経済再生を初めいろいろございますけれども、その中で一番重要かつ根本的な課題であるというふうに私は考えております。きょうは、本当に取りとめもないといいますか、非常に基本的なことをお伺いしようと思いまして、幾つか質問をさせていただきたいというように思っております。
 三項目あるんですけれども、まず一点目に、ここの場でこういうことを聞くのが妥当かどうかという話はあるんですけれども、まず大臣にお伺いしたいんです。日本という国を一体どういうふうな国だというように考えておられるのか。
 例えば、我々、家族は家族の成員に対して教育というのをしますし、コミュニティーはコミュニティーとして、コミュニティーの成員に対して一定の方針に基づいて教育をしていく。その頂点として国というものがあるわけなんですけれども、例えば、いろいろ今まで議論が出てまいりました日本という国のアイデンティティー、日本という国がどういうベースに乗っているのか。言語だとか文化だとか、また宗教、それから地域的なもの、歴史、社会的なもの、いろいろなものがあると思うんですけれども、このあたりを踏まえて、どういうような国家像といいますか、こういう国だというものを考えておられるのか。一番根幹のところとして、ざっくばらんに、ありていに思うことをお話しいただければと思います。
遠山国務大臣 日本とはどういう国かということは、私がこの職にあって正式にお答えすることなのかなという気もいたしますけれども、国のアイデンティティーは何かという御質問であれば、私は、日本の場合には、いろいろな視点があろうかと思いますけれども、やはり、古来から日本の国民が形成してきた非常に豊かな感性でありますとか、あるいは美しい自然、それから四季折々の特色を持つ麗しい国土というようなものを前提としながら、人々が培ってきた非常に美しい伝統文化というものがあろうかと思っております。
 同時に、それにこだわることなく、時代とともに外からのいろいろな文化あるいは文明というものを受け入れてくる柔軟性も持ってまいったと思います。そして同時に、これは非常に特色があると思いますけれども、日本の場合には、時代とともに変化していく際に、前のものを消し去らないでその上に積み重ねていく、いわば年輪のように文化というものを蓄積してまいったという特色があろうかと思います。
 これは、私はたまたまトルコに大使としていたということで、外から見た日本というのは、やはり、科学技術がすぐれているというだけではなくて、文化の国であるというふうに、それは率直に外から見て言うことができるわけでございまして、日本人はそうして蓄えてきた文化力というものに大いに誇りを持っていくべきではないかと思います。
 同時に、今日の日本におけるアイデンティティーというのは、国際社会からも尊敬され、その経済力を駆使して、しかも他国に対して存立の基盤を揺るがすようなそういうことをしない、まことに平和を求めるすぐれた国家の運営をしている、そういう国であるということで、日本の国のアイデンティティーについて、私はもっと日本国民は自信を持ってこのことについて認識を持つべきだというふうに考えております。
小西分科員 大変すっきりとしたお答えをいただいたわけなんですけれども、もうちょっと突っ込んでお聞きしたいと思うんです。
 例えば、これは私見ですけれども、アメリカという国がありますけれども、アメリカという国は、やはり、自由主義、自由、公平ということを国のアイデンティティーとして非常に持っていまして、いろいろな社会の仕組みがそこの一点に集中してといいますか、いろいろなものができ上がっている。彼らの経済法としてはやはり独占禁止法というのがぎっちりありまして、けさも、インターネットの検索サイトのサービス、広告としてやるときに、お金を払った者が上になるような仕組みはだめだということで、明らかに、アメリカのこういう自由、公平というような国民の文化としてしみ込んだ感覚が即座に社会の仕組みに反映してきている、こういう事例ではないかと思うんですけれども、そういうような強い国の共通の基盤みたいなものを持っている。逆に、私も中近東におりましたけれども、例えばサウジアラビアへ行くと、ここはイスラム国家としてイスラムの文化というものがきっちり国の根幹として根づいているわけなんです。
 今日本でさまざまな問題、心の豊かさから始まって、理科離れから、教育の現場においていろいろな議論がされていますけれども、一番こういう議論が紛糾する大もとのところに、今いろいろ大臣おっしゃっていただきましたけれども、日本としてのアイデンティティー、根幹、国として共通の、みんなやはり、ワールドカップでサッカーをやれば国民は盛り上がるわけなんですね。ここの主義主張関係なく盛り上がる原点というのが一体どこにあるのか、これをちょっと見詰め直す必要があるんじゃないかというようなことを今お話を聞いていて思うんです。
 最後に大臣、アイデンティティーというふうにおっしゃいましたけれども、そのあたりをもう一度ちょっと詳しくお考えのところをお聞かせいただければうれしいんですけれども。
遠山国務大臣 アイデンティティーという言葉は、恐らくそれは辞書において定義されるものを読んだ方がいいと思いますけれども、私は、今のお話の文脈で申し上げれば、存立の基盤と思います。それは、物的なものであるよりは、むしろ精神的なものであり、あるいは感情といいますか感覚的なものも含めた感性といったようなものでもあろうかと思います。よって立つ、自分は一体何なのか、国とは何なのかということを常に問いながら、そしてしっかりと地歩を固めて歩んでいく、その基盤がアイデンティティーであろうかと思います。
 日本の国民にとってのアイデンティティー、さまざまな見方があろうかと思っておりますけれども、それは分解して言うと、さまざまな歴史であり、言語であり、伝統であり、地域の文化であり、あるいは国民性でありというようなものであろうかと思いますけれども、それらを総合した形で日本のよって立つ基盤というものは何らか形成されているわけでございまして、それゆえにこそ日本人としての自覚を持つことができると思います。
 ただ、私も、日本のアイデンティティーという場合につくづく思いますことは、日本は余りにも恵まれ過ぎておりまして、四囲を海で囲まれておりまして、国境を接して現に人々が徒歩で流入してくるというような国でないんですね。ところが、中東の国々あるいはヨーロッパの国々のように、境を接して、八つとか十とか、そういった数の国々と隣接しているような国々にとって、まさにアイデンティティーといいますか、国家というものに対する意識というものは国民の間で非常に強いものがございます。その意味でいいますと、日本人は、恵まれているという環境の中でアイデンティティーについて余り問うこともせず、そして国家ということの意識においても、他の国々と比較いたしますと必ずしも強くない、そういった状況にある国であるというふうに私は思います。
 どうも、余り御質問に答えていないかもしれませんけれども。
小西分科員 ちゃんと質問に答えていただいたと思っています。
 最後におっしゃっていただいた点、まさに日本が海に囲まれていて、他の国境を接する国と違ってアイデンティティーとか国というものを考える機会が少なかったということで、私一番申し上げたいのは、この点をやはりもっと現実的な場で我々も議論していかなきゃいけないですし、教育の場でもしっかりとやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
 正直言いまして、海で囲まれているということは、日本というのはたまたま、同じ地域に住んでいるというのが僕は一番大きい要因だと思います。同じ地域に住んでいることによって、今言った言語であるとか文化という同一性を、幸運にも、大臣おっしゃっていたように恵まれた環境の中で共有できる、こういう環境にあるわけなんですけれども、今インターネットの世界になってグローバル化する中で、この状態がいつ崩れてくるかわからない。移民も大量に入ってくるかもしれません。そういう中でいま一度、本当に日本というものの教育の原点としてここのところというのを我々見詰め直す必要があるんじゃないかと思っておりますので、これからいろいろな機会がありましたらぜひとも取り上げていっていただければありがたいというように思っております。ありがとうございました。
 それから二点目に、これは今日本の抱える大変大きな問題なんですけれども、一体何のための教育をしているのか、教育は何のためにあるのかというようなことで、ちょっと意地悪なことをきょう考えてきたんです。きょうは文部科学省の方の初等教育の局長様、高等教育の局長の方、いらっしゃっておられますけれども、皆さん方が今の職にあるのは、皆さんは一体どういう能力に基づいて今の職についておられるのか、これを伺ってみたいんです。
 これは、何でこういうことを言うかというと、今、ホワイトカラーが例えばリストラされまして、企業に面接に行ってまず一番に聞かれることなんですね。本当に日本が強い国になっていくためには、必ず、我々国民が聞かれたときに、私は何ができますというのをきっちり、今の職分において答えられるということが僕は重要だと思いますので、ちょっと試しに、済みませんがお願いいたします。
矢野政府参考人 初中局長でございます。
 大変答えづらい御質問でございますが、一般に、あるポストにどういう能力が必要であるかということになりますと、これはどのポストにも、特に公務員の場合でございますが、ある程度共通していようかと思うわけでございますけれども、当たり前のことでございますけれども、担当する仕事についての知識、技術はもとよりのことでございますし、政策立案のための判断力や、あるいは見識ということも求められるでありましょうし、さらには、そうした政策を実現していくための意思力あるいは実行力ということも大事であるわけでございますし、そして、その結果についての責任感ということも大変大きな要素ではなかろうかと思うわけでございます。こうした能力は、ポストが重くなればなるほどより大きく、またより強く求められるというふうに思うわけでございます。
 こうしたことは、当然のことながら私のポストについても当てはまるわけでございまして、そこで、おまえさんはどうなんだねということをお聞きになりますと、私としてはいささか感じるところ、思うところもございますけれども、任命権者も今、後ろにおいでになりますから、そういうこともございますし、さようなことをこういう場で申し上げましても余り意味のないことではないかなという感じがいたしますので、それは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、みずからの能力がどうであれ、与えられた職責を果たすべく微力を尽くすということがこのポストにいる人間の務めではないかと思うわけでございます。
 お答えになっていない点、どうぞお許しいただきたく存じます。
小西分科員 今、矢野様、もう一方、高等教育局長様、同じ質問でちょっとお願いいたします。
工藤政府参考人 昨今の入社試験あるいは大学の入試でもAO入試などがありまして、自己を売り込むというのが若い世代に今求められているところでございますが、私は、ちょっと古い世代でもありますので、先生の御質問に直截にはなかなかお答えしにくいところがございます。
 私の好きな言葉で、なんじの道を行け、しこうして人の語るに任せよという言葉がございますが、評価というのは人様がされることというのが私の個人的な立場でございます。今のポストについておりますのは、私が旧文部省へ入りまして、比較的大学関係の仕事の職場が多かったことなどがありまして、任命権者の方が判断されたのだと思いますけれども、ただ、私ども行政というのは、個人が一人でやっているわけじゃございませんで、私の局にも、部長や審議官、課長から係長、一般職員に至るまで、みんな大変な折、一生懸命頑張ってくれております。それぞれがつかさつかさでいろいろなことをやって初めて行政という仕事ができるわけでございまして、私でねばならないということではさらさらないと思ってございます。
 そうはいいましても、今、先生御存じのように、大学改革といいますか、日本の大学にもっとよくなってもらうために大きな改革の仕事が進んでございます。そういう中で、微力でございますけれども、おのれの信ずるところに従ってその職責を果たしますように努めてまいりたいと思ってございます。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 生涯学習政策局と申しますのは、昨年の一月に省庁統合に伴いましてできた新しい局でございます。この局は、教育改革の推進、生涯学習の振興、二つの大きな柱で仕事をしているかと思っておりますが、私も、旧文部省に入りまして三十年余り、大臣官房でありますとか初等中等教育局、高等教育局の仕事、さらには二十年ほど前に、当時の臨時行政調査会、土光臨調と申しておりましたけれども、二年ほど出向もさせていただきました。他省庁の方々と二年余り、本当にいろいろな意味でこの国をどうするのかというような議論をしたことを今思い出すわけでございます。
 そういう意味で、昨年の一月からこのポストについておるわけでございますけれども、そういうある意味ではいろいろな経歴と申しましょうか、それを買っていただいてこの職についているのかな、こんなふうにも考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今、中央教育審議会でも、教育基本法の問題を初めとして大変大きな課題がございます。一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
小西分科員 大変答えにくい質問を、失礼しました。本当にありがとうございます。
 でも、今お答えになった中に、幾つかやはり問題の萌芽というのが僕はあるように思うんですね。一つは、大臣もお答えになりましたけれども、やはり自分で考えて課題を解決していくという、これからこういう日本を求めていくのですけれども、今お聞きになって、これは仕組みなんです、御本人の責任ではないのですけれども、上から割り振られてそれぞれの職分が与えられていく。自分で手を挙げて、この職がやりたい、局長やらせてくれといってごりごり言うような体質じゃそもそも日本はまだないと思うんですね。
 そういうところをきっちりやっていかなきゃいけないと思いますし、これまでの社会の中で、やはり終身雇用、年功序列、今のいわゆるキャリア制度というのは僕は機能してきたと思っています。理由は、私も考えてきましたけれども、いわゆるスタティックな成長する社会では、自分の組織のことをどれだけよく知っているか、組織の中の人材とかいろいろな人間関係だとか、自分のところの役割というものをきっちり知っているということが実はやはり物すごく大事だったし、それは機能してきたと思うんですね。
 今また新しい時代に入ってきて、こういうものを変えていかなきゃいけない。まさに、自分でみずから課題を見つけ、みずから切り開いていく、こういう能力を身につけていかなきゃいけない、そういった時代になったのではないかというふうに私は思っております。
 ちょっと意地悪な質問を申し上げて、申しわけございませんでした。
 それでは、本題に入りたいと思うんです。そういう中で、私の基本的な問題意識というものを今ちょっとお話しさせていただいたのですけれども、二十一世紀、具体的な中で、日本がやはり今言ったようなアイデンティティーを持って、国際社会で責任を持った国として、経済的にも豊かにやっていかなければならない。こういう中で、二十一世紀の日本のビジョン、総理の言葉をかりれば科学技術立国というような例があるかもしれませんけれども、根本的なここの理念、ビジョンというのをちょっと大臣にお答えいただければと思います。
 ちょっとお話しいただいたこと、共通になるかもしれませんけれども、もう少し具体的なレベルで、例えば文化というのはこういうレベルにしようとか、例えば全国民が日本の文化について外人に語れるようにしようとか、そういう具体性のあるレベルでお話しいただければうれしいのですけれども。
遠山国務大臣 二十一世紀についてわかっていることは、この先どうなるかわからないということだけがわかっていると思います。これは、ラテンの名言であると思いますが、二十一世紀について、日本のみならず世界について言えることではないかと思います。余りにもすべてが急速に、しかも一国だけのアイデンティティーとか一国だけのあり方だけを考えていては存立さえ危ういような事態も起きてまいっております。テロにしても、国境を越えてそういうことが発生しておりますし、その問題の解決にも一国だけでは何ともならない。そういう事態の中で、しかし、国民が所属しているのは、一国の日本という国であります。
 その国の中で、もちろんそのビジョンにおいて、科学技術創造立国、文化立国、人材立国、さまざまな立国の理念が語られます。いずれもそうでありたいと思います。しかし、大事なことは、一人一人の国民が、本当にその力を持って、その力という意味が、新たな変化に対応し得る、そういう力をしっかりと持った上で、しかも心情においても豊かさを失わない、そういった国民が育っていけば、私は、そのトータルとしての国力というのはすぐれたものになっていくと確信しております。
 したがいまして、今私どものやるべきことは、これから何もかも不透明、不確実に思えるこの世紀を生き抜いていく、それだけの力を持った子供たちをしっかりとつくっていきたい。そのことにおいて、それぞれが考える日本についてのアイデンティティー、また世界の中で生きていく力というものを養いながら一国の国民として自信を持って歩んでもらいたい、そのためにこそ私どもはいるわけでございます。
 先ほど、三人の局長が非常に控え目に申しておりましたけれども、彼らは一人一人が問題に果敢に挑んで、表現こそ穏やかでございますけれども、しっかりやってくれているわけでございます。それを支える人たちもみんなそうでございまして、私は、公務員がああいう倫理上の問題を犯しては絶対いけないわけですし、むしろ使命感、責任感というものを体現しながら生きていく、それぞれのポジションにおいてねらうべき生き方、あり方というのは違うと思いますけれども、大事なことは、国民の一人一人がそれぞれの役割においてしっかりとその責務を果たしていく、単に自己の利益だけではなくて公を考えながら生きていく、そのことが日本の存立に一番大事ではないかというふうに考えております。
小西分科員 どうもありがとうございました。
 本当に、大臣おっしゃるように、変化に対応する力というのが根本的で、そういうお答えを聞いて私も大変、生意気ですけれども、安心すると同時に、またいろいろな場面で議論させていただければというふうに思います。
 最後になりますけれども、今、時代的に変化に対応し得る力、心が豊かな子供たち、また人間をつくっていくということで大臣おっしゃっていただけましたけれども、これを具体的なそれぞれのレベルで、初等、高等、それから生涯教育、社会人に入ったというレベルでどういう手を今打っておられるのか、またこれから打とうとしておられるのか、今言った文脈の中でちょっとそれぞれ、各局長さんお見えになっておりますので、お聞かせいただければと思います。
矢野政府参考人 初等中等教育におきましてはさまざまな課題があるわけでございますけれども、その中で二つの課題、これは特に重要な課題と考えております。一つは確かな学力の育成と、それからもう一つは心の教育の充実を図ることでございますが、この二つが現在最も初等中等教育における重要な課題というふうに認識をいたしているところでございます。
 そこで、学力の問題についての取り組みでございますが、これにつきましては、児童生徒に基礎、基本をしっかり身につけさせ、そしてそれをもとにしてみずから学び、みずから考える力などの確かな学力をはぐくむために、私どもといたしましては、習熟の程度に応じた指導など、少人数によるきめ細かな指導を行うことができるよう、新しい教職員定数改善計画を現在進めているところでございますけれども、これを着実に進めたいと考えております。さらに、個に応じた指導の充実を図るための実践研究を行う事業でございますが、学力向上フロンティア事業というのがございますが、これをきちんと実施いたしますとともに、さらには、学校いきいきプランといったような広く人材を活用する事業でございますが、こうした事業を初めとして学力向上のための各般の施策に取り組んでいるところでございます。
 もう一つは、心の教育の問題でございますが、これにつきましては、子供たちに善悪の判断や社会のルールを守るなどの規範意識を身につけさせますとともに、他人を思いやる心をはぐくみ、さらには主体的に判断し行動できる力を備えさせることが大変重要であるわけでございまして、我が省におきましては、こうした心に響く道徳教育、心の教育の充実のために、子供たちが身につける道徳の内容をわかりやすく著した心のノートの作成、配付など、道徳教育の充実に努めているところでございますし、あわせて、社会奉仕体験活動や自然体験活動などの体験活動の推進にも努めているところでございます。さらに、スクールカウンセラーの配置などによりまして、子供たちの問題行動への対応にも取り組んでいるところでございます。
工藤政府参考人 高等教育、幅は広いのでございますが、焦点を絞って大学についてあえて申し上げますと、一言で申しますと、日本の大学、国公私、いろいろございますけれども、それぞれの大学が持ち味を生かして、個性輝く、もっときらりと光る大学になってほしいということなのでございます。それによって、大学の役割として教育、研究、社会貢献という三つの大きな側面がございますけれども、それぞれの機能、世界的にもあるいは国内的にも自信を持って果たしていただけるような、ひいては、学術研究面でいえば、それに基づいて、ノーベル賞受賞がすべてではないんでございますけれども、知的存在感のある国に日本がなれるような、そういう知的な貢献、知的拠点としての大学の貢献というのが求められていると認識しているところでございます。
 そのために、これまで十年ほど、高度化、個性化、活性化というキータームのもとにいろいろな改革を大学で行っていただき、私どもも支援してきておりますけれども、今さらに、新たなる大学の改革、例えば国立大学の法人化でございますとか、さらに、より一層パワーアップするための再編統合でございますとか、全体の制度改正を含めて大変大きなうねりの最中にあるというところでございます。
 ぜひそれぞれの大学が自信を持って、例えば、余り例に出してよろしくございませんけれども、歴史の長い、有名な大学だけがすべてじゃないわけでございまして、研究で名を売る大学もあれば、しっかりした教育で世に評価される大学もどんどんあって、それぞれの持ち味を生かしながら、大学がきら星のごとくあちらこちらで輝いてほしいというために、私どもも頑張っているつもりでございます。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 人々が生涯のいつでも自由に学ぶことができ、その学習の成果が適切に評価される、そういった社会を築いていくということは大変重要な課題であろうかと思っております。
 先ほど来御指摘ございますように、情報化、国際化ですとか産業構造の変化等に伴いまして、社会人も絶えず新しい知識あるいは技能の習得を迫られているわけでございますし、また、生涯学習の振興は、個人の生きがいですとか社会の活性化にも大きく寄与するものである、このように考えております。我が省におきましては、キャリアアップのための大学等への社会人のアクセスの拡大、例えば大学、大学院でも、夜間、昼夜開講制の大学、大学院をふやしていくとか、社会人のための特別選抜でありますとかサテライト教室の設置等、あるいは放送大学、これもまた今大変いろいろな方々が多く学んでいただいておりますけれども、放送大学のさらなる振興、地域における社会教育の推進でありますとか、IT社会ということでもございます、ITの活用など、多様な学習機会の提供に努める、こういったような施策を通じまして生涯学習の社会の構築に向けてさらに努力をしてまいりたい、このように考えております。
小西分科員 いろいろありがとうございます。
 それぞれ、現場におきまして真剣に取り組んでいただいておるということに関しましては、私も全然疑義を差し挟むものでないんですけれども、今ずっとお話を伺っている中から、ちょっと感じますことを最後に一言申し上げたいと思います。
 これは私の思い違いであれば聞き流していただければいいと思うんですけれども、ずっとこういう流れで質問を申し上げてきまして、今お伺いしたそれぞれやっておられる施策というのが、やはり一つ一つのテーマを取り上げて、それをどういうふうに解決していくのかというような形でテーマづけをされて取り上げられているというように私の耳にはちょっと聞こえてしまうんですね。
 今まさに、例えば、これは今後お考えいただければいいと思うんですけれども、大臣のおっしゃった根本的な変化に対応する心豊かな人間をつくるんだというんであれば、これを表面に据えて、これを実現するために次に何をしていくのか、いわば戦略的なブレークダウンをつくる、それが一個一個現場におりた段階ではそれぞれ施策として落ちるかもしれませんけれども、残念ながら、私が自分の経験、また自分の子供の教育を見る中で、そういうものというのはまだ十分感じてこられない、見えてこないというふうに感じておりますので、ぜひ、今まさに大臣おっしゃっていただけたような中で、戦略的に、また見えるような形でお示しいただければ大変うれしいかなというふうに思います。
 時間も来ましたので、終わります。大変ありがとうございました。
松崎主査 これにて小西君の質疑は終了いたしました。
 午後五時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十分開議
松崎主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中に引き続き文部科学省所管について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
松原分科員 民主党の松原仁であります。
 四月から新しい学習指導要領が実施されたわけでありますが、ちょうど、今七月半ばになりまして、約半年経過をしたわけであります。ゆとり教育というふうなことも言われておりまして、シンボリックによく言われるのは、円周率三・一四が三・〇等で、学力が低下するのではないかという懸念があったりしたわけでありますが、この半年間の新しい指導要領による教育の実践における反響、または反省、その辺について何か御意見がありましたら、大臣の御所見をいただきたいと思います。
遠山国務大臣 ことしの四月から新しい学習指導要領のもとに新教育課程の実施に移ったわけでございますが、大きなカリキュラムの変化というものがあったわけでございまして、それぞれの地域におきましていろいろな努力がなされていると思います。
 ちょうど二日前ですか、海の日に大体一学期が終わりまして子供たちは夏休みを迎えたわけでございますが、今回の新しい指導要領のもとに行われた教育の成果の実際につきましては、私どもとしてはしっかりとこれを検証していきたいと思っております。
 今、一学期たって思いますところでございますが、今回の改訂のねらいというものは非常に明確でございまして、二十一世紀を生き抜く力を与えるということでございます。基礎、基本はしっかりしながら、これまでになかったような、自分で考えたり、自分で行動をしたり、自分で課題を解決したりする、そういう新しい力をつけようということで、いろいろな工夫がなされているわけでございます。
 同時に、一人一人の能力に応じて教育をしていくというようなさまざまな工夫を盛り込んでおりまして、確かに、新しい制度に移りますときは若干の戸惑いや混乱というものもあるかもしれません。しかし、私は、それぞれの学校、それから地域、あるいは教員たちの努力によってこれは乗り越えなくてはならないと思いますし、いわんや学力低下なぞは絶対に起こしてはならないという信念で私どもはいろいろ仕事をしているところでございまして、特に学力の点につきましては、ことし一月に学びのすすめというものも出しました。これは、すべての学校において学力低下等を来さないように、こういう点に留意しながら新教育課程を実施してほしいということで、明示的にお示ししたりいたしたわけでございます。
 今後とも、これからの学校教育において学力低下などということは絶対に起こさないで、かつまた、新しい教育課程のねらいとするすぐれた目標が十分に達成できるように、私どもとしては力を尽くしていきたいという心境でございます。
松原分科員 今大臣が具体的検証をしていくということをおっしゃいましたが、何かその具体的検証、また具体的なビジョンとかがあったら、ちょっとだけ触れていただければと思います。
遠山国務大臣 例えば、五日制の過ごし方につきましてはどのような工夫がなされているかというような調査もやりたいと思っておりますし、それから学力の点につきましても、これはまだ始まったばかりですからすぐに調査というわけにもまいらないのでございますけれども、逐次行っていくということで、きちっとした検証を行っていく。さらに、習熟度別の授業の実施状況とか、幾つかの点があるわけでございますが、全国一斉にやるか、モデル的なところを拾うか、いろいろな方式があろうかと思いますが、私どもといたしましては、そういう面も十分に考えながらそういった意味で検証してまいりたいと思いますし、また、私としては、各地域で実際に教育に携わっておられる方々の意見もできるだけ聞くようにしたいというふうに思っているところでございます。
松原分科員 今大臣の御答弁にもあったわけでありますが、週五日制ということでありまして、土日はどういうふうに活動しているか、これからデータが集まってくるということであると、この質問はここまでで終わってしまうわけでありますが、この土曜日、日曜日の使われ方、実際にデータがすべて集まる前の段階でありますが、おおむねその使われ方としては、自分たちが想像した、先ほど大臣がおっしゃった二十一世紀を生き抜ける、自分で物を考える子供をつくるというふうなことにとっては意味のある土日の使い方が行われているというふうにお考えかどうか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
遠山国務大臣 まだ検証していないと申しましたことは、全国的な傾向としてはまだまだ、もちろんそういった悉皆調査というのはしていないわけでございますが、私どもはもちろん、さまざまな機会をとらえて、どんな工夫がなされているかということはきちんとフォローしているわけでございます。
 そんな中で、幾つかの例がございますけれども、週末を利用して、博物館、美術館を無料にしたようなところを利用して子供たちの見聞を広めたり、あるいは学校を開放してそこでスポーツを行ったり、そこに地域の人が来て子供たちを指導したり、さらには物づくり教室とか科学教室というようなものを開いてみたり、それから子供たちが、個々にではございましょうけれども、いろいろな習い事を始めてみたり、あるいはボーイスカウト、ガールスカウトのようなそういう組織の中に入っていったり、さまざまな取り組みがあろうかと思います。
 私どもは、突然この週五日制になったのではございませんで、御存じのように、平成四年に月一回休みにし、それから平成七年から月二回は休みにし、今回はそれの残っていた月二回を、すべての小中学校、高校におきましてこれを休みにするという方向でやってまいっております。その意味で、かなりの時間をかけて準備してきたこと、それから、今回週五日制完全実施ということを前提にいたしまして、何年かかけて、子供教育のプランでありますとか新子どもプランとかさまざまなものでいかに地域で受け皿をつくって、そしてこの新たな五日制ないし新学習指導要領のねらいを現実に移していくかということについて、十分準備をしてまいったところでございます。
 その意味では、うまくいっているところでは、子供たちがこれまでにない、学校で受け身的に授業を受けるだけではなくて、能動的に、積極的に自分で考えていろいろ行動していく、そういった面で非常にプラスになっている面も出てまいっております。私どもといたしましては、さまざまな戸惑いなどもあろうかと思いますけれども、ぜひともこれを子供たちにとってプラスにできるような、そういうチャンスにしたいと思っていまして、それぞれの地域、学校、それから保護者の方々が手を抜かずに、これは子供たちのためにしっかりと知恵を出し合い、協力をし合っていくべき問題であると考えております。
松原分科員 そうした中で、自分の祖国に愛情を持てるようにするということも大きな一因だろうというふうに思われているわけでありますが、自分の国、自分の郷土に対しての誇り、愛情を持つという部分に関して、週五日制というゆとりの時間がある中で、こういったところに対する取り組みの具体的な事例等があったら……。
 私は、週五日制になって、やはり自分の祖国に対する思い、自分の郷土に対する愛着、そういうものを持たないと、それは知識や経験だけがあるのでは不十分であるというふうに思っておりまして、この週五日制というのはそういう意味が極めてあるんだろうし、その中において、自分のふるさと、自分の祖国、自分の国に対する思いとともに、愛情とともに、ある種自分の自信や自分で考えるということが出てくると思うんですが、そういった部分にこの休みの日というか学校のない日が活用された、そういった事例があったら、またこれも御紹介いただきたいと思うわけであります。
遠山国務大臣 私も委員御指摘の点は非常に大事なポイントだと思っておりまして、子供たちがみずからの住んでいる地域への愛着を持つと同時に日本国民としての誇りを持ってもらいたい、これは私自身も大変重要なポイントとして考えているところでございます。
 学校五日制になって、週末の日々を活用しながら祖国愛、地域愛にどういうふうな取り組みをしているかということでございまして、すぐにこういうふうにというわけにはまいらないんでございますけれども、ただ、こういうことは言えると思います。
 最近、地域における伝統文化というものをしっかり子供たちに伝えていこうということで、カリキュラムの中でも随分改善をいたしております。道徳の時間の中でもそうでございますし、それから社会科とかその他の教科の中におきましても、できるだけ地元の伝統文化というものを学んだり、あるいは地域の特性を学んだりするようにいたしております。
 殊に、総合的な学習の時間というのが創設されまして、この時間を活用して、地元のいろいろな自然環境、あるいは地元における伝統的な祭りでありますとか、あるいは老人の方々の昔語りでありますとか、そういったことを聞いてみたり、要するに、自分たちの住んでいるところは一体どういうところなのかということについて調べるというような学習が結構行われております。
 それから、特にこれは音楽の時間でございますけれども、最近は和楽器を使わせるというふうなこともカリキュラムの中に取り込んでございまして、そういったものを通じながら、地域によっては津軽三味線とか沖縄の何とか、いろいろな方途があろうかと思いますが、きっかけはいろいろあろうかと思いますけれども、地域に対する理解、愛着、誇りといったものは非常に大事だと思います。その点が一点。
 それから、新しい学習指導要領におきましては、体験による学習というものを重視いたしております。この体験の中には、自然の中に出て体験をするということで理科的な興味を持たせるとか、あるいは人間の力を超えた崇高なものに感動するとか、あるいは生命の、生物の不可思議に興味を持つとか、そういうたぐいの体験。と同時に、社会体験というのも結構取り入れられておりまして、これは大人たちが職業生活を送っている、そういう実態に触れながら、地元の産業でありますとか働くことの意義というようなことも学んでもらっておりますし、さらにはボランティア活動などの奉仕活動というような体験もさせるということで、これは学校教育法あるいは社会教育法を改正いたしまして、明確に学校の教育の中にそういう体験活動というのを取り入れることにしております。同時に、それに伴って、学習指導要領の中でもそういうことができるようにいたしているわけでございます。
 要するに、観念的に地域を愛しましょうと言っているのではなくて、体を使って自分たちでいろいろな体験をしながらそういうことの大事さを学んで、そのこと自体が地域への愛着と同時に自分で達成できる喜びも感ずることができると思いますし、その意味で私は、新しい指導要領のねらいというものは、自分で考え、自分で行動しと空に言うだけではなくて、体験などを通じてそのことが本当に身につくようにしていくという意味では、これまでになかったような新たな教育の展開ができているものと考えております。
松原分科員 ここに今、産経新聞のデータでありますが、これは「日本の高校生、自己否定的?」というデータなんですよ。このアンケートですと、「自分は駄目な人間だと思うことがある」というのは、日本とアメリカと中国の比較でありますが、そこにもしかしたら資料があるかもしれませんが、日本は七三%、アメリカが四八%、中国が三七%。最もある意味で自信を持っていない、自分はだめな人間だと思うのが日本が多いんですね。七三%、大変な高い比率であります。「計画をやり遂げる自信がある」というのが、日本が三八%、アメリカが八六%、中国が七四%。これも日本が非常にネガティブであります。次に、「あまり誇りに思えるようなことはない」というのが、日本が五三%、アメリカが二四%、中国が二三%。
 このアンケートを見る限りは、これはほかも同じようなデータを私は見たことがありますので、おおむね日本の青少年は、先ほど大臣が御指摘いただいたように自信がない。自分で考えたり体験をしたりすることがないから自信がないということにつながるんではないかと思いますが、そういった意味では、この自信がない部分を払拭していかなければ二十一世紀の日本の活力も出てこないだろうというふうに思っているんです。
 私が思い起こすことは、そこにいる一人一人の青少年が自信がないということは、今言ったような体験の不足やそういったものの不足もありますが、プラトンという昔の哲学者が国家は大文字の個人であるというふうなことを言ったというふうに聞いております。国と個人というのはそれは違いますが、国家というよりは社会と言ってもいいかもしれない、国家もしくは社会は大文字の個人である。その国家や社会に自信がないからそこに住む子供に自信がなくなってしまうのか、そこに住む子供たちに自信がない、大人に自信がないから国家が自信がなくなるのか。これは因果関係は、どちらが卵でどちらが鶏かということになるわけでありますが、私は、そういった意味では、やはり自信のある子供をつくる、それは我々の社会が自信を持つ、国としてのプライドと名誉と自信を持つ、これは極めて相関性があると思うんです。大臣、この辺はいかがお考えでしょうか。
遠山国務大臣 私は、日本は大いに誇りを持ってしかるべき国だと思います。外から見たときに、日本は本当にすばらしい国に映っているんですね。これは外で働いておりましたときに実際に感じたわけでございます。
 日本は余りにも中で恵まれ過ぎているためか、やはりどうしても思考が内向きになります。周辺にある国々の状況、あるいは本当に貧困な国々、いろいろな政治問題、宗教問題を抱えている国々のことを考えれば、いかに日本が恵まれており、いかに日本人たちがこれまで努力をしてきたかということにおいて、私は自信を持つべき、持つことのできる国であると思います。
 先ほどの調査、私もこれを日本青少年研究所の方から送ってもらったときに愕然といたしましたが、実はこれは、これまでも国際比較の調査をいたしますと、常に日本の子供たちは自己否定的な数値を出していて、しかも、その子供たちが未来に対して希望を持っていないんですね。そして、自分が今楽しめばいいという価値観を持っているということにおいて慄然とするわけでございます。
 それは私は幾つかの理由があろうかと思いますが、やはり大人自身の生き方が、子供が鏡として映し出しているのではないかと思うわけでございます。いろいろ、経済停滞とかさまざまな問題がございます。でも、そういうものを乗り越えていくそういう力を、大人自体がそういうことの大事さを認識するとともに、子供に自信を与えるための積極的な努力をさまざまにするべきだと思っております。
 では学校で何をするかということでございますけれども、例えば先ほどの体験学習によって、子供たちが自分で実験をして、本当にこれはわかった、じゃ次の問題をやってみよう、そういう意欲をかき立てるような教育をしていくこと。と同時に、新しいこれからのカリキュラムの実施におきましては、これまで子供たちの知力を相対評価ではかっていたのでございますが、これを絶対評価に切りかえたということで、子供たちは自分で努力をすれば認めてもらえるという時代に入ると思うわけでございます。
 そのような幾つかのことを積み重ねながら、子供たちに自信を持たせ、また、そして頑張った者にはきちっと褒めていく、そういったような社会、学校、家庭のあり方でこの大きな問題を改善していくべきではないかと考えます。
松原分科員 私は、今国と個人というのの、大文字の個人だという話をいたしました。大人の姿も含め、そういうものの一つの集積としての社会、国がやはり権威を持つ、もしくは自信を持つということが大事だと思っているんです。
 そういった意味では、例えばその国の歌、国歌を歌う、もしくは国旗を仰ぎ見るとき、それは場所によっては日本の国の国旗を上げることに対して反発する学校があったり、まだ幾ばくか残っていると思うんですよ。
 例えば、横浜の市議会では国旗掲揚に反対してこれを妨害した市議会議員がいた、それは除名になったとかいう話が報道で伝わってきたわけでありますが、私は、そういうふうに国歌・国旗に対しての自信というのが、日本の社会としての、国旗を上げていいのか、国歌を歌っていいのか、そういった意味での自信がまだ中途半端で、本当に歌っていいのかな、歌っちゃいけないのかなと思いながら歌っていたりすれば、自信がないわけです。アメリカでも韓国でもどこでも、中国でもそうですが、国歌に対してはこれを歌い、国旗に対しては熱い情熱をたぎらせてこれを仰ぎ見る、これがそこに住む一人一人の青少年の自信にはね返ってくると思うんですよ。
 そういった意味で、横浜のああいう国旗掲揚に関して妨害した人間、議会というのは一つのシンボルですから、それは地方議会でありますけれども、そこでそういうことがあること自体が、私はある意味で、国旗・国歌に対しての自信をそれぞれの若い人たちが持つという意味において失わせしめることになるというふうに思っておりますが、これについての大臣の御所見をお伺いいたします。
遠山国務大臣 国旗・国歌の重要性といいますか、一国の国民としてこれを大切にするべき心情の重要さということは私は同感でございます。
 学校でどうなのかということについて申し上げますと、学校における国旗・国歌の指導は、これは、児童生徒に日本の国旗と国歌の意義を理解させてこれを尊重する態度を育てる。同時に、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるために非常に重要であるわけでございます。
 先般のワールドカップサッカー大会において、私も幾つかの試合に所管大臣として責任上出席したわけでございますけれども、国歌が流れると皆立ち上がって、ほうはいとして皆、六万人の人たちが国歌を歌い出す、そして国旗を振って自国のチームを応援する、あれは本当に涙の出るような感激する場面でございました。
 今、学校でも、公立学校の卒業式、入学式におきます国旗掲揚、国歌斉唱の実施率は小中高校ともにおおむね一〇〇%になってございます。この面ではきっちりと今後指導してまいりたいと思います。
 横浜市の市議会における、本会議での国旗掲揚に反対して議長席などを占拠されたという話は聞いておりますが、これは、文部科学省として議会のことについてコメントする立場ではなくて、横浜市において御判断いただく事項であると思います。ただ、私は、個人といたしまして、やはり国旗・国歌というものはあらゆる場面できちんと尊重していきたいものだという念願を持っているものでございます。
松原分科員 最後に簡潔にお答えいただきたいんですが、そういう意味において、権威、名誉、そういったものがやはり一定必要だろう。国に対しての自信と権威と名誉というのは、私は一つの同じカテゴリーに入ってくるんだと思うんです。
 ですから、そういった意味で私が最後に申し上げたいのは、やはり今、校長先生が前よりは権威を持ってきたかもしれない、しかしまだまだ校長先生の権威が足りないと思うんですね。そういった意味では、この新しい学習指導要領が施行されるのと同時に、校長先生が例えば人事権を持つぐらいの、それぐらいの権威を持つことが、私は日本の子どもたちが翻って自信を持つための大きな役割になると思うので、その点を一言御答弁いただきたいと思います。
遠山国務大臣 私は、校長先生というのは、権威といいますか、責任と、そしてしっかりした指導理念というものを持って、本当に自信を持ってやっていただきたいと思っております。
 その意味で、校長が人事権を持ってはどうかというお話でございますが、昨年の法改正によりまして、指導力が不適切な教員につきましては、これはいつまでも教員ということではなくて転職をしてもらうというようなことも可能にいたしましたし、あるいは、その教員の異動につきまして校長の意見が反映されるようにということで、教育委員会に対してもしっかりと校長が意見を言ってもらうようにというようなことのいろいろな制度の改正もいたしました。
 そのようなことで、校長先生というのは、その学校を率いているというリーダーシップに基づくしっかりした対応をしていただきたいと思いますし、そのこと自体を保護者も教育委員会も支えていく、そういう方向にこれからの学校というものはあってもらいたいというふうに思っているところでございます。
松原分科員 そういった意味で、新しいこの指導要領でせっかくのゆとりが出てくる中で、今言ったような知恵の部分、自信の部分、そういった部分をぜひとも高めていただきたいと思っております。
 続きまして、これは法務省的な内容になりますが、行革についてのことをお伺いしたいと思います。
 行革としての統廃合を推し進めるだけではなく、地方自治体への事務の移管を、私はいろいろな意味で行革の中で考えていくべきだと思うのですが、これにつきましての副大臣の御所見をお伺いいたします。
横内副大臣 一般論としまして、できるだけ地方公共団体に事務を移譲していくというのは、これは望ましいことでありますし、政府の方向でもあるわけでありますけれども、事務の内容によって、やはり国がきちっと全国一律の基準でやらなければいけないような事務、そういうものについては自治体への移譲というのは難しいのではないかというふうに思います。
松原分科員 今の御答弁でありますが、その中身の中で、単純な発行事務とかそういったものは移管できるのではないかというふうな気も私はいたしておりますが、時間がありませんので次に進みます。
 一つの事例として、法務局の品川出張所、これが城南出張所へ統合されるというふうな話になっておりますが、事件数、利便性などからそれが果たして適切なのかというふうな議論があるわけであります。
 実際に、利便性から考えれば、従来の品川出張所の方がはるかに交通の要衝にあるし、親しまれている。新しい場所というのはなかなかそういった意味では利便性もないし、地域が住宅地であります。駐車場も少ないとか交通渋滞が起こり始めるとか、さまざまなことが言われているわけであります。
 そういった意味で、なぜここで城南出張所への統廃合が決まったのか。不適切ではないかというふうに考えておりますが、決定に至る経過と理由を官房審議官にお伺いいたします。
房村政府参考人 局長の房村でございますが、私からお答えさせていただきます。
 現在、御承知のように、登記所は非常に数が多いものですから、全国的に基準を定めて、できるだけ統合して行政効率を上げるということをしているところでございます。
 その統合の基準といたしましては、事件数が非常に少ないところ。これは、単独で持っていると非常に非効率でありますので統合の対象としよう。それから、登記所同士が非常に近いところにある場合。これは、確かに統合いたしますと利用する方にとって御迷惑をおかけするわけですが、近いところであれば、新しいところに行くにしても余分にかかる時間というのはそう大きくないのでこれも統合の対象としよう。こういうことから、事件数が年間一万五千件未満の庁または受け入れ庁までの所要時間がおおむね三十分程度の庁を統合する、こういう基準を定めて統合を進めているところでございます。
 この基準につきましては、法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会が平成七年の七月に審議の結果答申をして、現在、その答申に基づいて民事局では計画を立てているというところでございます。
 お尋ねの品川と城南でございますが、距離的には約三十分程度ということでこの基準に合致する、そして受け入れるスペースを見ますと、城南の方にはスペースがありますが、品川の方はぎりぎりということから、品川を城南へ統合するということを計画したということでございます。
松原分科員 今、もっともらしい説明があったわけでありますが、実際問題として、城南に品川を全部統合するということによってさまざまな意味で本当に不便になるというのが実情ではないかというふうに思っているんですよ。
 私は、統合すると人員削減にもなる、これもわかります。しかしながら、行政サービスを低下させてしまってまで統合するというのは極めて遺憾でありまして、地元との協議というのはこの経過の中であったのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。
房村政府参考人 もちろん、登記所を統合する場合には、地元の御理解を得てできるだけ円満な形で統合するということで臨んでおりまして、今回の城南と品川の統合につきましても、地元にも御説明をしているところでございますし、また今後も、地元の御意見も十分伺いながら、その理解を得て進めていきたいというぐあいに考えているところでございます。
松原分科員 地元は理解して円満にそれを送り出すという姿勢になっているのかどうか、その辺の認識も、ひとつ局長、実務者側ですから言ってくださいよ。
房村政府参考人 御指摘のように、地元からいろいろ、非常に不便になる、あるいは城南出張所については駐車場も少ないのではないか、こういうような御指摘も受けているところでございます。
 そういうものについて、例えば駐車場の指摘については、駐車場用地を確保できるかというようなこともございますし、そういう意味でいろいろ御意見を承っておりますので、今後できるだけの努力をして御理解を得ていくということをしたいと思っているところでございます。
松原分科員 先日、副大臣は、来年二月の統合を中止、延期するというふうに決定されたと聞いております。延期幅の意味と、具体的な地元との協議は今後どんなふうに展開されるのか、副大臣、御所見をお伺いいたします。
横内副大臣 御指摘のように、当初の目標といたしまして、十五年の二月をめどとして統合したいという目標で進めてまいったわけであります。そこで、本年の四月から地元の皆さんに御説明を始めたわけでありますけれども、地元の方からは、いろいろな御意見、また反対の御要望も出ました。したがって、我々としては、これはちょっと強行することはできないなというふうに判断をいたしまして、この十五年二月というものは延期をするということにいたしました。
 しかしながら、やはり統合そのものは大きな意味の行政改革の一環でございまして、ぜひともこれは進めていかなければならないというふうに思っておりますので、関係者の理解をいただきながら、十五年度中には何とかひとつ統合を実現したいというふうに考えております。
 いずれにしましても、決して強行突破をするというようなことはございませんで、地元の皆さんの十分な御理解をいただけるように誠意を持って御説明をし、御理解をいただきながら進めていきたいというふうに考えております。
松原分科員 今の副大臣の御答弁で、地元の皆様の御理解、そして、本当にある意味で、これはどう考えても、客観的に、現地にいるとわかるんですが、なぜあそこからあそこかという議論があるわけですよ。そういうことを踏まえると、今とりあえず延期して検討する時間を出したというのは、私は評価したいと思うんです。とりあえず延期したと。
 しかし、私は、延期して、徹底議論をして、副大臣にも、また担当の局長さんにも、まさにその現場を見ていただいて、これはちょっと違うんじゃないかと思ったときには、思い切って、延期ではなく、この計画そのものを僕は見直すべきだと思うんですよね。そこを硬直的にやってはいけないというふうに思っておりまして、副大臣、もう一回その辺についての御所見をいただきたいと思います。
松崎主査 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
横内副大臣 十分に地元と御相談をし、御説明をしながらやっていきたいというふうに思っております。この点については、委員の御指摘のように、誠意を持って取り組んでいきたいというふうに思います。
松原分科員 時間ですから終わりますが、今の副大臣の答弁で、十五年度中という先ほどのお話がありましたが、基本的には、それにとらわれずにこれはやっていくんだという決意を私は感じましたので、局長もそのことを現場として踏まえて行動していただきたい、このように思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
松崎主査 これにて松原君の質疑は終了いたしました。
 次に、武山百合子君。
武山分科員 自由党の武山百合子でございます。
 早速、文科省に対して質問をしたいと思います。
 まず、現在、中央教育審議会で教育基本法の見直しに関して審議が進んでおると思います。そして、この教育基本法見直しの審議の際に一つ問題になっているのが、前文に「日本の伝統と文化を尊重する」という言葉をどう書き加えるかということだと思います。
 まず、教育基本法が制定された占領下の過程を見てみますと、日本側で用意した前文案では、「伝統を尊重し」の字句がありました。しかし、占領軍の指示によりこの言葉が削除された経緯があります。
 我が党は、他の国の歴史や文化を尊重するとともに、我が国の歴史や文化を大切にすることを方針としております。したがって、この前文に、例えば、「日本の伝統と文化を尊重する」、この言葉を書き加えるべきだと私は考えておりますけれども、文部科学大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
遠山国務大臣 新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方につきましては、中央教育審議会において、昨年十一月の諮問以来、審議を重ねていただいているところであります。審議会では、教育基本法の見直しの方向について、現行法で規定されている普遍的な理念は残しながら、新しい教育基本法はどうあるべきかという視点から見直すということとして、幅広く見直しの検討が行われているところでございます。
 我が国の伝統文化を尊重するということにつきましては、教育改革国民会議の報告におきましても、国際化が進展する中で、「日本人としての自覚、アイデンティティーを持ちつつ人類に貢献するということからも、我が国の伝統、文化など次代の日本人に継承すべきものを尊重し、発展させていく必要がある。」と提言しております。
 昨年の諮問におきましても、伝統文化の尊重など、国家、社会の形成者として必要な資質の育成という視点からの検討をお願いしたところでございます。中央教育審議会におきましては、こうした点も踏まえて新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方について御議論いただいておりまして、教育の目的や理念について、伝統文化の尊重といった点も含めて検討が進められているところでございます。
 文部科学省としましては、中央教育審議会における審議を中心に国民的な議論を深めて、教育基本法の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
武山分科員 今のお答えは、中央教育審議会の審議の過程で、そういう方向で話も出ているということだと思うんですよね。文部大臣自身はこれに対してどう思っているかということを私聞いておるのです。文部大臣としての考えを聞いておるわけです。それに対してお答えいただきたいと思います。
遠山国務大臣 教育基本法というのは、教育のあり方の基本を定めている法律でございます。その教育基本法にどのような文言がつけ加えられるのか、あるいは改正されるのか、その非常に大事な問題につきまして、今、諮問の機関でございます中央教育審議会において慎重な検討が行われているところでございます。私自身がこの場で自分の考えを述べることは差し控えさせていただきます。
武山分科員 自分の考えを持てない文部大臣が国民の文部大臣というのは非常に残念です。
 次に移ります。
 今日の日本の教育は、日本が戦争に負けて、アメリカの占領軍の指導を受けて行ったいわゆる占領教育改革が出発点となっており、その中で、教育基本法は比較的日本の自由な発意により制定されたものである、今日の日本の教育は、この教育基本法と占領下の教育改革が出発点となって進められていると思われます。しかし、それから約半世紀、そして二十一世紀に入った今日、この教育基本法と占領教育改革はいかなるメリットとデメリットがあったかということについて改めて考えて、新たな出発をしなければならなくなっていると思われます。
 そのことから、我が国の伝統や文化の一つの内容である古事記や日本書紀の神話や伝承について、この教育について質問したいと思います。
 海外に留学して勉強している日本の若者は大勢いますが、例えば韓国に留学した学生で、韓国の若者と日本と韓国それぞれの神話について話し合おうとすると、韓国の学生は韓国の神話についてほとんどの人が詳しく話せるのに、日本の学生は日本の神話についてはほとんど何も話せないのが実情のようです。これは、日本の小中学校で古事記や日本書紀にある神話や伝承を全く教えていないからです。日本の神話に関して日本の若者がこのように無知な状況になっているのは、占領期の教育改革に原因があると思われます。
 戦前の日本史は国史と称して、古事記や日本書紀にある神話をあたかも歴史事実かのように歴史の教科書に記してきました。それを占領軍の指導によって、考古学等の科学的成果に基づく科学的な歴史記述の歴史教科書に改められたわけです。神話をあたかも事実かのように教えるのはよいことではなく、日本史におけるこのような改訂は、やはりこれはこれとして認めるべきだと思います。
 しかし、こうして日本史の中から神話や伝承の記述が削除されただけで、それにかわって教える場が示されませんでした。そのため、古事記や日本書紀にある神話や伝承は貴重な文化遺産の一つであるにもかかわらず、今日の日本の学校においては、どの教科においても古事記や日本書紀の神話や伝承は取り上げられないまま終わっております。
 これも占領下の教育改革の限界と思われますが、特に国語の責任は大きいと思います。神話が歴史教育から除かれても、文化遺産としての価値は大きいものですから、文字で書き記された文化遺産として積極的に取り上げなければならないのに、今日の日本の学校の国語の教科書ではほとんど取り上げられておりません。この点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
遠山国務大臣 委員御存じのとおり、日本の教科書制度におきましては、教科書については、学習指導要領の範囲内で、具体的にどのような事項を取り上げるかは、民間の執筆者の判断にゆだねられているところであります。国語の教科書につきましては、学習指導要領上、教材を取り上げる際に配慮すべき観点として、例えば「我が国の文化と伝統に対する理解と愛情を育てるのに役立つこと。」などを示しているところでございますが、それを踏まえて具体的にどのような教材を教科書に取り上げるかは、民間の執筆者にゆだねられているところでございます。
 その他、より具体的なことにつきましては、副大臣からお答えを申し上げます。
岸田副大臣 御指摘の古事記、日本書紀の伝承あるいは神話についてですが、先生御指摘の国語科の教科書ということで見てみますと、今言った民間の執筆者の判断のもとで、小中学校の国語科の教科書において取り上げているものはございません。高校の古典の教科書において取り上げているというのが現状であります。
 ただ、国語科ということですと今申し上げたとおりですが、社会科ということを見てみますと、社会科の学習指導要領上、第六学年でありますけれども、神話、伝承について、「古事記、日本書紀、風土記などの中から適切なものを取り上げること。」としておりますし、また、学習指導要領上、中学校の社会科、歴史分野において、「神話・伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。」としておるため、社会科におきましては、すべての教科書でこれらの神話や伝承に関する記述が行われ、児童生徒は必ず学習するということになっております。
 ちなみに、国語科においても、副教材においては、古事記、日本書紀の学習をすることは可能だということ、これは当然のことであります。これが現状でございます。
武山分科員 ところで、教育基本法ですけれども、たまたま武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎さんが最近出版された「教育基本法」、この本によりますと、戦前の日本の道徳教育の教科は、修身ですね、これは占領教育改革を指導した占領軍の側にも民主主義教育と共存するすぐれた教科であるという認識が研究の中であった、この修身の廃止には占領軍として明瞭な意思はなかったとのことなんですね。そして、この「教育基本法」という本で杉原氏は、この修身の廃止ほど教育基本法の本来目指した教育に背くようなものはないとここでは述べておるのです。
 すなわち、占領軍の側には、修身は非民主主義的教科であるという明瞭な認識はなく、占領軍も必ずしも廃止する意思はなかったということなんです。それにもかかわらず、昭和二十年の十二月三十一日の「修身、日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件」なる指令以降は再開されることがなく、日本の戦後教育に当たっては非民主的であるゆえにということで占領軍によって廃止されたという誤解が行き渡って、例えば昭和三十三年の道徳の時間という、これを開設しました際の議論もその誤解のもとに行われ、この誤解が今日の道徳教育にも依然と前提になっていると思われるというこの点について、大臣の認識をお聞きしたいと思います。
    〔主査退席、岩屋主査代理着席〕
遠山国務大臣 終戦直後のGHQの指令の意味について答えろということでございますけれども、私は、これは相当しっかりと調べないと責任を持って答えられない問題だと思います。委員の御質問は、今からほぼ二時間余り前にいただいたばかりでございまして、私は責任を持ってお答えする立場にございません。
武山分科員 それでは、今まで述べてきたように、誤った前提のもとに今日の道徳教育が展開されているとすれば、今日の学校における道徳教育のあり方にはやはり一大刷新が必要であると思いますけれども、これに対してもきっとお答えがないんじゃないかなと思いますけれども、一応聞いておきたいと思います。
 二時間であろうと三時間であろうと、やはりそれは皆さんの方で何時ということを指定したものですから、それは時間に関係ないと思うんですよね。文部科学省の人員を、大勢の中で総力を傾けてすれば、ある程度はわかると思います。それはもう時間がどうのこうのなんという理由は当てはまらないと思います。これに対して見解を述べていただきたいと思います。
遠山国務大臣 終戦直後の問題について、そんなに短時間に答えられるものではございません。いろいろな学説もございます。答える場合には責任を持って答えたいと思います。
 さて、その日本の道徳教育についてのお尋ねでございますけれども、道徳教育といいますものは、やはり、ルールは守るというようなことはもう基本でございます。それと同時に、人間としてのあり方を子供たちが自覚をし、人生をよりよく生きるために、その基盤となる道徳性を育成するものでありまして、まさに人格形成の基本にかかわる大変重要なものと考えます。
 道徳教育につきましては、これまで四十年余の努力と実践が積み重ねられてきておりまして、すぐれた実践も見られる一方で、一部に、道徳の時間が必ずしも十分に確保されていないなど、総体として十分とは言えない状況にあります。道徳教育をより一層充実していきますためには、地域や家庭の協力を得たり、学校においては、体験活動を生かしたりするなど、指導の工夫を加えながら、児童生徒の心に響く道徳教育を展開することが求められるところであります。
 我が省としましては、児童生徒が身につける道徳の内容をわかりやすくあらわしました心のノートを作成いたしました。ことしの四月から、すべての児童生徒がこの心のノートを使うことができるように配付をいたしたところでございます。これは、学校の学年の段階によりまして、初等の段階、中等の段階、高学年、そして中学生ということで、四種類つくりまして、すべての子供たちに配付したところでございます。
 これはぜひ、道徳の時間、あるいは通常の学校の指導の合間にも使ってもらいたいと思いますし、子供たちがみずからの心の成長の記録をその中に書き込んでもらいたい、また、親もそれを見ながら子供たちとともに人の生き方について語り合い、あるいは指導するというようなことに使ってもらいたいと思っております。
 また、それだけではなくて、学校に、経験豊かな地域の人材、あるいは多様な分野の専門家を呼びまして、心の先生としていろいろなことを講義していただく、そういうようなことができるように、人材配置のための措置も進めているところでございまして、今後とも、道徳教育の推進など、心の教育の一層の充実に努めていきたいと考えております。
武山分科員 その占領軍の教育改革の件ですけれども、これは、やはり過去があって現在があり、現在があって未来があるわけですから、ましてや、子供の教育に対してGHQの行った教育改革の検証というものは当然行われるべきものであって、特に、遠山大臣はずっと文部省の役人であったわけですから、そういう過去の検証やら何やらをやっていないということ自体がおかしいと思います。これはやはり過去の歴史的な経緯、いろいろなことが証明されたのであれば当然、それはそれで、事実は事実として出すべきだと思うのです。そういう過去の歴史の検証をしないで、何とも言えないなんというのは、当然だと思いますね。それはもう行政として怠慢の一言に尽きると思います。やはり総力を挙げて検証というのは、事実は事実として出すべきものだと思います。
 それから、教育基本法の八条の政治教育に対してちょっと質問したいと思います。
 まず、戦後教育改革に基づいて、日本は、民主主義教育において、幅広い視野と多様な価値観で支えられた政治的教養を高める教育、すなわち公民教育が大切であると言われてきて、もちろん公民教育が行われてまいりました。そのためには、学校教育において、政治に最も関係の深い社会科学とは何かについて十分に教え、その手法たる議論の仕方について訓練することが必要であるにもかかわらず、日本の学校教育においては特にこの教育が欠如していると言っても過言でないと思います。特に議論の仕方については全く訓練されていないと思われます。議論は民主主義社会を支え、幅広い視野と多様な価値観を養成するために大変大切だと思われますが、大臣はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
    〔岩屋主査代理退席、主査着席〕
岸田副大臣 今先生御指摘のように、児童生徒が政治に関心を持ち、要するに、民主主義社会の一員としてふさわしい知識や判断力を身につける上で、自分なりの考えを持ち、それを論理展開し、さらに表現するという能力、これは大変重要な、大切な資質だと考えます。議論をすることを訓練するということもその大切な一つの資質だというふうに思っています。
 このため、新しい学習指導要領を見てみますと、政治に関しましては、民主政治の本質などについて社会科学の知見に基づいて学ぶということになっているわけですが、その指導方法の一つとしてディベートなどの学習活動を行うことについても、各学校において創意工夫がなされることが大切であるという考えに立っているわけであります。
 御指摘の点、大変重要なポイントだということで、新しい学習指導要領の中でもその工夫をするということが求められているというふうに考えております。
武山分科員 委員長、私は大臣に尋ねたものですから、委員長の方で副大臣というふうに言わないでいただきたいと思います。私が大臣と言ったら、委員長は大臣と言うべきだと思うんですよね。それを勝手に副大臣なんて、委員長が打ち合わせしたようにやらないでいただきたいと思います。
 最後に、教育基本法第九条の宗教教育に関して質問したいと思います。
 現行の教育基本法では、宗教教育に関して、宗教的情操の涵養ということは直接にはうたわれていませんけれども、教育基本法の制定過程を検討してみる限りでは、宗教教育を重視しようとする意図があったことは明らかなんですね。
 現在の日本の公立学校では、憲法二十条の政教分離の規定の影響を受けて、宗教教育に関してはいかなるものも教えないというようになっています。しかし、憲法は他方で教育の重視をうたっており、教育を重視するということは、言うまでもなく子供の心の教育を重視するということであり、心の教育、すなわち、何らかの意味において宗教教育を行わなければならないということであると思います。このように考えますと、今日の日本の公立学校であらゆる意味での宗教教育を排除しているのは、明らかに行き過ぎと言えるのではないでしょうか。
 公共放送たるNHKのいわゆる放送、この中で、公共放送であるがゆえに宗教的中立を保たなければならないとされていますけれども、しかし、NHKはふんだんに宗教にかかわる放送をしています。また、そのように宗教にかかわる放送をしなければ、逆に公共放送としての使命を果たすことはできません。とすれば、それよりもっと重要な心の教育を課題としている子供の教育の場たる日本の学校で、何らかの方法、内容において宗教についてもっと積極的に教えるべきではないでしょうか。憲法二十条にかかわる信仰を強制することは許されませんけれども、宗教にかかわる物の見方や事象について子供たちに触れさせるのは、むしろ子供の教育を扱う公教育の使命ではないでしょうか。
 ちなみに、現在の韓国の道徳教育の例を取り上げておきたいと思います。まず、韓国では、公立学校では日本と同様に宗教的中立が保たれていますが、日本の戦前の修身に相当するものというべき道徳という教科が現在あります。そこで、小学校六年生の道徳という教科書では、釈迦やキリストの生涯を感動深く紹介しております。
 日本の学校でも、日本のすぐれた宗教文化を前提に、やはり国語あるいは音楽、美術などいろいろな教科を通じて宗教にかかわる接触を十分させたらよいのではないかと思いますけれども、これは大臣にお聞きしたいと思います。
遠山国務大臣 日本の私立学校においては、その建学の精神に基づいて宗教的な教育ももちろんあるわけでございますが、国公立の学校におきましては、憲法及び教育基本法によって、特定の宗教のための宗教教育その他宗教活動を行うことを禁止しているところでございます。
 その一方で、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めるということは人間として極めて重要なことでございますし、人生における宗教の持つ意義のようなものを理解することも大事でございまして、そういったことを通じて宗教的な情操を培うことは大切であると考えます。このことは、人間としての生き方を深く理解したり、豊かな心をはぐくむために重要なものと考えられます。
 学習指導要領におきましては、小中学校の道徳において、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めるとともに、高等学校の倫理におきまして、人生における宗教の持つ意義を理解することといたしております。これらの指導を通じて宗教的な情操を培うこととしております。また、高等学校の地理歴史科におきましては、宗教などに着目させながら我が国や世界の文化に対する理解を深めさせることとしているところでございます。
 我が省といたしましては、今後とも、教育基本法等の関係法令あるいは学習指導要領を踏まえて、児童生徒の発達段階に応じて、宗教的情操の涵養あるいは宗教に関する正しい理解のための指導が適切に行われるように努めてまいりたいと考えます。
武山分科員 私の質問は、これで以上です。
松崎主査 これにて武山君の質疑は終了いたしました。
 次に、春名直章君。
春名分科員 日本共産党の春名直章でございます。遠山文部大臣とはきょう初めて議論させていただきます。よろしくお願いします。
 国立大学の教育学部と附属学校の統廃合問題について、私、実は高知大学の教育学部出身でして、この教育学部も大変揺れております、これを例に挙げて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 六月の二十五日に、橋本大二郎高知県知事と、高知大学教育学部と附属校園を残す会の皆さんが遠山文部大臣あてに要請を行いました。その中身は、「高知県の実情を十分に理解していただき、高知県にとって必要な高知大学教育学部と、これまで大学や学部と連帯・協力してきた教育界の課題の研究と実践の場の附属学校園を残すことを要望いたします」、この二つの願いでありますけれども、この願いを託した署名が二カ月の間で九万三百十二名分集められたんですね。これをお届けした。九万名といいましても、高知県民は八十万県民でございますので、実に一一%に当たるもので、その後も約三千名以上の署名が寄せられるということになっています。それから、遠山文部大臣には、二月の二十六日の日に橋本高知県知事自身が直接その存続を要請していると思います。そのときにも受け答えをいろいろしていただいております。
 こうした県民、父母の願い、地元挙げての思いを、まず文部科学大臣、遠山大臣はどう受けとめていらっしゃるのか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
遠山国務大臣 各地域の教員養成学部がこれまで、地元の皆さんの支援を受けながら非常に大事な役割を果たしてきたというふうに考えておりまして、その教員養成学部の帰趨について地域の皆様が大変関心が高いということは、もとよりよく理解できるところであります。高知県知事あるいはPTAの方々の御要請は、日本の教育を担うすぐれた教員の養成などについて大きな役割を担っている教育学部への強い期待のあらわれであるというふうに私も考えます。
 今回の教員養成大学・学部の再編統合は、個別の話とはちょっと違いますけれども、教員養成大学・学部について、まさにそういう国民の大きな期待にこたえられるように本当にすぐれた教員を養成するというためにはどうあったらいいか、そのためのパワーアップというのはどうあったらいいかという角度から今検討が行われているところでございます。そのためには、低い教員就職率しかないところ、あるいは小規模、弱体な教員養成学部といったような現状があるとすれば、それは改善をする必要があるわけでございます。その場合に、都道府県という枠に必ずしもとらわれずに、その枠を超えて、より広域的な取り組みによって教員養成機能を充実していくということも大事ではないか。これは専門家による検討会議でそういう提言もなされたところでございます。
 私どもは、今、大きな教育改革を展開いたしておりますけれども、今回の大きな教育改革、殊に小中学校にかかわることにつきましては、それぞれの学校、それぞれの教員が力をつけてもらわないと新たな世紀を生き抜く子供たちを育てることができないということで、かなり大幅にいろいろなことを決める権限を学校ないし教員に託しているわけでございます。その意味で、私は、これからの教員の能力というものは、日本の子供たちの将来を決めるだけではなくて、日本の将来を左右する大変重要な意味を持っていると思っているわけでございます。
 その意味で、教員養成というものは、これまでのような行き方だけでは十分でなくて、よりすぐれた教育というものが、あるいは訓練というものがなされなくてはならないと思うわけでございます。それは、単に教科について知識を深めていただくというだけではなくて、指導のあり方、あるいは子供たちへの接し方、それから学校管理への協力の仕方等々さまざまなことを学んでいただく必要があるわけでございます。そのためには、広い教養も前提としながら、専門を深めていただく。そういう中で、これまでの教員養成学部でいいのかということも考えながら、新たな統合再編ということも考えていこうとしているわけでございます。
 ただ、地元の中での歴史を持っている教員養成学部につきましては、どういう形で持っていったら、大きな理想とそれから各地域の中での御期待との最適な調和がとれるかということで、よほど知恵を働かせながら今後十分に考えていきたい。余り時間はないのですけれども、これはまさに知恵を絞って、地元の関係者の声もお聞きしながら、しかし高い理想というものも考えつつ対処していきたいという考えで今取り組んでいるところでございます。
春名分科員 教員養成機能を一層強化するということは、私も当然だと思いますし、賛成です。ただ、その手法をめぐって、どういうふうなやり方をするのかがこれから問われるんだと思うんですね。
 そこで、今大臣が最後におっしゃったんですが、二月の二十六日の橋本知事の要請の際にも、大臣自身は、最終的な判断までの過程で各大学や地域の意向を酌み取ってやっていきたい、こういうふうにお答えいただいております。私、これは非常に大事だと思っております。地域の意向と言う場合には、単に大学の当局の案ということにとどまらないで、県の行政や県議会、あるいは、何よりも住民や附属学校園のPTAの皆さん、そういう方々の声もそこに含まれる、地域の意向というのはそこを酌み取るという意味合いだと私解したいと思いますが、その点、よろしいですね。
遠山国務大臣 各大学におきます検討に当たりましては、学内はもとより、県、市、あるいは地元の教育委員会、PTAなど、広く意向を聞いて検討をしてもらいたいというふうに考えているところでございます。
春名分科員 地元の意向を大体網羅しているつもりの私の話を今から聞いていただきたいと思うんですが、知事や県議会それから県民、大体共通して合意していることは、一つは、高知大学の教育学部をそのまま存続してもらいたいということ、二つは、附属校園をしっかり存続してほしいということ、その中で一層教員養成機能を充実する方策を探りたいということであります。それほどかけがえのない役割を果たしているということが特徴です。
 そこで、少し個別の話で恐縮なんですが、例えば高知県の場合は、五年前から、土佐の教育改革というのに取り組んでまいりました。この改革は全国的に大変注目されていまして、子供を中心に据えて、行政、教師、地域、父母が一体になって、学力の向上、開かれた学校づくり、教員の質の向上などに総合的に取り組んでいこうというものです。そのために、研修制度を見直したり、教員採用の客観性や透明性を高めるための公立学校教員採用等検討委員会を設置する、複式学級の大幅な改善とか、これが特徴的なんですけれども、学校単位で子供の代表も参加する開かれた学校づくり委員会というのを設置する、こういうのに五年前からずっと取り組んできまして、なかなか努力をしています。
 もちろん、教育というのは百年の計ですので、すぐにその効果があらわれると単純にはいきませんが、大変努力を始めていて、こういう改革を進めるための核になる教員を県単独で九七年度から三百名余り増員する、こういう努力を始めております。これらの改革は全国的に非常に注目を集めていまして、各県からの視察も少なくありません。
 その点についての御感想をお聞かせいただきたいのと、もう一つお聞きしたいのは、文部科学省の教育学部統廃合の理由は、今も大臣御説明ありましたけれども、教員採用数が減少している、そして、教員養成課程の卒業者の採用率が減少している、これは事実だと思います。そして、教育学部の定員が減少していく、学部の機能が低下していっているという要因があるということだと思うんですね。
 確かにそういう面はありまして、高知県でも児童生徒数が減少しまして、教員採用数は減少しています。ただ、教育長等のお話を聞いてみますと、県は、教員定数改善計画を実施する、それから、今後退職者が大幅に増加するということも見越して、長期の採用計画を立てて安定した採用を進めるという姿勢をはっきり打ち出して、その上でも、高知大学教育学部の役割はいよいよ大事だという認識を持っているということなんですね。
 こういう面も、地元の意向と言ったときにはしっかり考慮に入れて議論をすることが大事になっていると私は考えております。その点について、この土佐の教育改革の取り組みへの感想も含めて、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
遠山国務大臣 高知県では、郷土を愛し世界に羽ばたく、心豊かでたくましく想像力に満ちた子供たちの育成のためには、学校、家庭、地域が一体となって教育に取り組む必要があるとのお考えから、平成八年度に県の各層から参加する土佐の教育改革を考える会を発足せられて、そして議論を深められたと聞いております。
 その中身が、教員の資質、指導力の向上、あるいは子供たちの基礎学力の定着と学力の向上、学校、家庭、地域の連携による教育力の向上を柱とする教育改革と伺っておりまして、これはまさに、私どもが今進めている大きな教育改革の内容とぴったり一致するものでございます。そのことは大いに評価させていただきたいと思いますし、私も、これからは、国は教育についての標準的なことあるいは最低限のことをサポートするのと同時に、各地において、それぞれの必要とする力点をあるいは重点を定められて、しっかりとこうした取り組みをされるということは大変すばらしいことだと思っております。
 教員に関しましても採用計画をおつくりになってとか、今お話を聞きましたが、私はそのことについてはまだ初耳でございまして、そういったことも含めて、先ほど申しましたように、地元の意見あるいは県の取り組み、そういったことも十分に聞きながら、先ほど申しましたような大きな理念のことも前提にしてこれから検討していくということが、私どもにとりまして大変難しい課題ではございますけれども、これからそういう姿勢でこういう問題に取り組んでまいりたいと思います。
 余り個別のことについて私から感想を申し上げることもできませんので、そういうことでお許し願えればと思います。
春名分科員 確かに、それはあると思います。
 それで、もう一つだけお伝えしておきたいと思うんですが、附属学校のPTAの方々が一番心配していまして、学校がなくなってしまうんじゃないか、そのことだけが先に走るわけですね。そういうふうになっているんです、実態としては。それは非常に心配しております。それは、裏返しで言えば、附属学校が単なる教育実習のための機能を持っている学校というにとどまらないで、長い歴史を持って、地域の教育の中で決定的な役割を果たしてきているということと、それを住民の人たちがよく知っているから、そういう声が上がってくるということだと思うんですよ。
 例えば、高知大学の附属小学校、中学校では、二〇〇一年度から、教育学部の教授と附属学校の先生、公立、私立の先生交えて、二十一世紀の教育を開くための教育実践共同研究体制、これを発足させました。これは全国的にも非常に進んだ取り組みの一つだと評価をされています。附属学校は、文部科学省の開発学校にも指定されています。
 それから、高知県の場合は、障害児教育それから幼児教育、情報教育、総合的学習などで、先進的な教育実践や教育研究を実施しています。県内外の教育関係者から大変評価されています。
 もちろん教育実習もきちっとやっていまして、二年の後期で教育実習観察参加、三年生で教育実習。熱心な指導体制で、実習期間も多くとってやっている。それから、四年生のときには応用実習もやる。
 こういうことになっていて、ですから、附属学校を残してほしいという父母の切実な声は、今、はっきり言って爆発しているんですね、高知県下で。なくなることは本当に大変なことだという思いを私自身も持っていますし、そういう役割から見ても、本当に大事なことになっております。こういうことをぜひ受けとめて、これからの議論をしていただきたいと思っています。
 そこで、個別の話だけではなくて、少し一般的な話でお聞きしておきたいんですが、あくまで自主的な話し合いで進めることが、この統廃合、再編の前提のはずだと思うんですが、とりわけ四国の場合は、まことしやかに、四県で教員養成学部は一つにすると往々にして言われています。それから、文部科学省がそのようなことを言ったり指示したりしているというようなことは私はないと思っておりますけれども、その点、どうか。
 それから、高知大学教育学部を愛媛大学へ、香川大学教育学部を鳴門教育大学へということもしきりにうわさをされています。こういうことを文部科学省としてプランを持って指示をするということは、よもや私はないと思っていますが、その点について、ちょっと確認をしておきたいと思います。
工藤政府参考人 今、大学改革の一環で、教育学部だけではなくて、その他の学部等も含めた大学全体の再編統合について各大学で御検討いただいてございます。それは、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、それぞれの大学で予算や定員、ある程度限りがあるわけでございますから、限られた資源を活用してどうパワーアップするかという観点からのものでございます。
 その一環で、各地域でいろいろな御検討をいただいてございますが、四国は、四県、ああいう島でいらっしゃいますから、もちろん橋などで中国地域あるいは近畿圏とも近いわけでございますけれども、学長さんたちの会議というのが、四国域内で七つの国立大学があるわけでございますけれども、定期的にこれまでも御協議いただく場があるそうでございます。そこの場で、この七大学全体でどういうことをどうしていくかというお話し合いがされているということは聞いてございます。
 その中で、教育学部問題につきましても、一時、全部一緒になるかという案などもあったようでございますけれども、それも、ただ一つの案として、いろいろまだ御検討中である、それで固まったというわけでも、今お話があった二つずつになるというふうに固まったわけでもない、いろいろなパワーアップの方法として御協議の最中であると聞いてございます。
 四国の各地域内では、教育学部だけではございませんで、例えば農学部の関係は、連合農学研究科という形で、大学院レベルでは一緒にタッグマッチを組んで教育研究をしていらっしゃるわけですが、では、そういう農学部をどうするかとか、あるいは病院も少し連携を深めた方がいいんじゃないかとかということも含めて、幅広くいろいろな御議論をされている最中であると承ってございまして、私どもが格別プランを持って、それを押しつけたり、指示したりということでは決してございません。
春名分科員 もう一つ、局長にお聞きしておきます。
 地元の皆さんの大きな心配事は、先ほど大臣にお伝えしたように、附属学校が廃止されるんじゃないかということが大きいわけですね。仮に教育学部がもし廃止した場合であっても、附属学校は必ず廃止しなきゃならない、そうなるのかどうか。そうは私はならないと思いますし、そこが、住民の合意というのが非常に大事なところでして、その点について、御見解を聞いておきたいと思います。
工藤政府参考人 去年の十一月に出ましたこの懇談会のレポートでもいろいろ言われているところでございますが、今回の問題は、もともとは、少子化の影響で教育学部のサイズが小さくなってきた、就職率が残念ながら伸び悩んでおるという中で、元気が出ないんですね。それぞれの大学がもっと元気を出して、教員養成は大事な機能でございますから、もっとパワーアップしてほしいという趣旨でございます。
 そういう中で、この報告書の中で例にも言っておりますけれども、仮に、A県のA教育学部とB県のB教育学部が一緒になって、B県の方にその教員養成機能が統合されたといたしましても、自動的に附属学校をなくすべきだとか、どこか県内から隣の県に持っていくべきだというのは一言も言ってございません。先ほどお話ありましたように、附属学校というのは、学部と協力しての実践的な研究でございますとか教育実習という機能もあるわけでございますし、それから、よく聞きますのは、それぞれの地域あるいは県内でのモデル校的という言葉がいいかどうかですけれども、割と公立高校などの関係で先端的な役割を担っているという部分も聞いてございます。
 したがいまして、仮に教育学部が一緒になりましても、隣の県に統合された教育学部の附属学校としてA県にそのまま残るという場合もありましょうし、あるいは、A県の大学が、教員養成機能はなくなったけれども、大学として実践的な研究教育をするために附属学校が必要だ、あるいは高大連携とか、いろいろな需要がありますので、そういう必要性から、A県の教員養成機能のない学部が附属学校をそのまま存置するという場合もあろうかとは思います。
 したがいまして、今おっしゃいましたように、教育学部の統合いかんで附属学校がなくなるというのは、言葉がいいかどうかですが、杞憂といいますか、そこだけで不安に思っていらっしゃるのはちょっと私どもは心外でございますので、まず、何しろ、教育学部の機能をどうするかというのをお決めいただいてから御検討いただく話かと思っております。
春名分科員 この問題の最後に、大臣にあと一点だけ。
 大臣は、二月二十七日の我が党の石井郁子議員の質問に答えて、各大学の取り組み、またそのプランがいいものであれば、それを最大限尊重していきたい、こういうふうにおっしゃっておられます。
 それで、今お話が出たように、この統廃合は、決してそれ自身が目的ではなくて、教員養成機能の充実のためにやる対策であるというふうに私も理解しております。そういう点でいいますと、今、高知県の場合でいいますと、冒頭に申しましたように、大学と県と住民とPTAの皆さんが、ようやく話し合いが始まった段階なんですね。最初は住民の人にはほとんど知らされなくて、えらいこっちゃということになって、それで署名が九万集まっちゃう、こういう話になっているわけですね。
 ようやく話し合いが始まった。これでいこう、これこそが大事なんだという最善の案が今検討されているわけですね。今までの連携の不十分さなんかもそこでは真剣に吟味をしながら、一層機能を充実させようという議論もしている。非常に私は大事だと思っております。その上に責任ある提案がなされた場合には、ぜひ大臣の言明どおり最大限尊重していただくという姿勢で臨んでいただきたいと考えます。その点について答弁をお願いします。
遠山国務大臣 再三お答えしておりますように、今回の大きな大学改革のねらい、特に教員養成にかかわる大きな理想といいますか理念というものがもちろん前提にあって、それと、各地におけるこれまでのいろいろな実績、あるいは各地における住民の方々等、支援するいろいろな組織ないし県の担当、そういった地元の意見といいましょうか、そういったものも十分勘案しながらやっていくということは、そういう方向で考えていくということでございます。
春名分科員 それじゃ、残りの時間で水産実習の問題についてお聞かせいただきたいと思います。
 昨年の二月の九日に、米原潜グリーンビルの緊急浮上によって実習船えひめ丸が沈没させられました。将来ある高校生ら九名が帰らぬ人となりました。心から哀悼の意を表したいと思います。米軍の行動は憎みて余りあるものがありますけれども、今は、原因、真相の徹底究明、被害者への十分な補償、再発防止が強く求められております。
 それで、文部科学省にかかわる問題で、これは水産実習中に起こった事故だということですね。この点について、私は大きな問題を投げかけたと思っております。えひめ丸事件から見えてくる生徒の安全を最優先させた教育を保障する水産実習への改善という点で、何点か伺っておきたいと思います。
 一つは、生徒の安全が二の次となった漁獲優先の船、この問題です。
 例えば、えひめ丸の場合は一層甲板船といいまして、高さが短いわけですね、一層甲板で。それで、日々生徒が集まる生徒食堂が水面の下にあったんですね。海上まで、上まで逃げようと思ったら、これぐらい大変長い距離を行かなきゃいけない、こういう構造になっておりました。
 それはなぜそうなっていたかといいますと、魚の取り入れ口、舷門というんですが、そこを低くして魚の釣り落としを少なくする、通常の漁船並みの巨大な魚倉をつくって多くのマグロを保管する、避難路も複雑にするというような状況になっていた。実習船というよりも漁船に近いというようになっていたわけです。生徒の安全は二の次で、いかに漁獲高を上げるのか、ここに重点が置かれる船になっていました。
 えひめ丸の教訓から、今、六百五十トン級の大型船にしよう、一層製ではなくて二層製にして、生徒食堂などの実習生が日常生活を送る場所は当然水面の上に来るようにしよう、漁獲優先から安全性を優先した船にしよう、こういう改善がどうしても必要になっていると私は考えます。
 全国的にはそういう流れに今なりつつあるとお聞きをしております。文部科学省として、全国の水産実習船の形がどうなっているのかもぜひ調査もいただいて、安全な実習船を建造させるという指導をぜひやっていただきたいなと、えひめ丸の痛苦の教訓から私は実感しております。この点いかがでしょうか。
矢野政府参考人 水産高校の実習船も含めまして、海上を航行する船舶は、安全確保のための船体の構造などにかかわります国際的なルールがございまして、このルールに基づく規則に従って建造されることになっておるわけでございまして、建造に当たってはこれを遵守することがまず必要であるわけでございます。
 お尋ねのえひめ丸のケースでございますけれども、えひめ丸の船型は、これは代表的な漁船船型の一つでございまして、特にマグロのはえ縄漁業に携わります民間の漁船のほとんどすべてがこの船型を採用しているところでございます。
 この船型は、先ほどお話がございましたように、船体構造が二層構造になっている船と比べまして、上層部分の船室空間が少し狭くなるという面があるわけでございますが、反面、漁獲物を引き上げる上で安全性が高い、そういう面ではすぐれた船型とされているところでございます。
 もちろん、一層構造あるいは二層構造、どの船型でございましても、安全確保のための船体の構造に関する、先ほど申し上げましたような国際的ルールあるいは関連する法令、規則等に基づいた構造となっておりまして、総合的な安全性が確保されているというふうに私どもは考えているわけでございます。
 私どもといたしましては、各水産高校がこれらの規則等を踏まえて、より一層の安全性の確保に努めていただいているものと考えているところでございますけれども、私どもといたしましても、引き続き、さまざまな機会をとらえまして、このような安全管理に関する指導の徹底に努めてまいりたいと考えるものでございます。
春名分科員 一層製は魚を釣り上げていくのに安全な仕組みなんだと言われましたが、それは漁獲を上げるためが最優先されているということで、生徒二の次の証明でもあるんですね。だから、安全な船をつくっていくという努力を、今おっしゃっていただきましたけれども、改めて要請しておきます。
 時間がありませんので、あと二点まとめて質問して、御答弁いただきたい。
 二つ目に、乗組員の身分保障の問題です。
 愛媛県は全国でもまれな日々雇いで、臨時雇用が船員の半数を占めていました。これが漁獲優先、教育二の次の要因となっていました。これは、ことしの四月で、先生方などの粘り強い努力でようやく改められるということになりましたが、引き続き、船員の給料の低さを漁獲高に合わせて手当を出して補う、大体水揚げ高の一六%から一八%が漁労手当として船員に支払われる仕組みというのは全国的特徴です、今でも。これが漁獲優先の教育実習になっているという大きな指摘があります。
 それからもう一点は、こういうことが行われている根幹の問題として、実習費用の会計制度。
 実習費用の会計制度というのは主に三つありまして、例えば、実習に基づく収入によってのみ予算を組んで、その範囲で実習を行っている、これは少ない県ですが。それからもう一つは、一部が一般会計から支出をされる、あとは実習によって収入をもらうという県。それから、全体として全額一般会計から支出している県。三種類ある。
 愛媛県の場合は、一番目の、実習の収入によってのみ予算を組んで、その範囲で実習するという会計制度になっている。これはもうごくわずかです。こういう仕組みがあるから、漁獲優先、子供たちの人命、安全軽視という形に私はなっていると思うんですよ。
 この二点、漁獲手当という問題、それから水産実習の実習制度の改善という点を、私は、えひめ丸の教訓からも、ぜひ全国的にもどんな状況になっているか調べていただいて、改善の余地があればすぐ改善していただくという努力を要請したいと思っております。ぜひ御答弁をお願いします。
松崎主査 時間ですので、簡潔にお願いいたします。
矢野政府参考人 簡単に、簡潔にお答えいたします。
 まず、乗組員の給与や各種手当でございますが、これは各県の規定に基づいて支給されているものでございます。したがいまして、漁獲高に応じた手当を含め、乗船実習に当たっている職員の手当につきましては、これは各都道府県が、乗組員が意欲的に漁労作業に取り組める工夫を含めまして、地域の実情等を踏まえて実施しているものでございまして、この取り扱いは、私どもは、それぞれの県の御判断だというふうに考えているものでございます。
 また、会計システムについてのお尋ねがございましたけれども、水産高校の運営費につきましては、そのための歳出予算のほかに実習による収入も含まれているのが通例と承知しておりますけれども、この歳入予算はあくまでも一定の収益の見積もりとして計上されているものでございまして、したがいまして、実習に必要な経費が収入のいかんにかかわらず、つまり見積もりの、見込みどおりの収入が得られなかった場合におきましても、それぞれの都道府県において必要な予算は支出されているというふうに私どもとしては承知をいたしているところでございます。
 このように、水産高校における実習につきましては、その教育効果が高められますように、地域の実情や教育活動の形態にふさわしい取り扱いがなされているものと私どもは考えているものでございます。
春名分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
松崎主査 これにて春名君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十三日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時散会

このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.