衆議院

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第1号 平成17年4月25日(月曜日)

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本分科会は平成十七年四月十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石田 真敏君    斉藤斗志二君

      津島 恭一君    橋本龍太郎君

      増田 敏男君    石田 勝之君

      加藤 尚彦君    樽床 伸二君

      松本  龍君    古屋 範子君

四月二十二日

 松本龍君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年四月二十五日(月曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 松本  龍君

      川上 義博君    斉藤斗志二君

      坂本 哲志君    津島 恭一君

      橋本龍太郎君    増田 敏男君

      石田 勝之君    岩國 哲人君

      加藤 尚彦君    小林千代美君

      島田  久君    高山 智司君

      長妻  昭君    三日月大造君

      赤羽 一嘉君    福島  豊君

      古屋 範子君

   兼務 井上 和雄君 兼務 黄川田 徹君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   文部科学副大臣      塩谷  立君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第四局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第五局長            船渡 享向君

   政府参考人

   (人事官)        谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            山野 岳義君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  武智 健二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            坂田 東一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (公営企業金融公庫総裁) 渡邉 雄司君

   参考人

   (核燃料サイクル開発機構理事長)         殿塚 猷一君

   参考人

   (核燃料サイクル開発機構理事)          石村  毅君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         松野  仁君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         田中 正章君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   衣奈 丈二君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     坂本 哲志君

  斉藤斗志二君     川上 義博君

  石田 勝之君     三日月大造君

  加藤 尚彦君     小林千代美君

  樽床 伸二君     島田  久君

  古屋 範子君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     斉藤斗志二君

  坂本 哲志君     石田 真敏君

  小林千代美君     高山 智司君

  島田  久君     岩國 哲人君

  三日月大造君     石田 勝之君

  赤羽 一嘉君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  岩國 哲人君     樽床 伸二君

  高山 智司君     長妻  昭君

  福島  豊君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     加藤 尚彦君

同日

 第三分科員井上和雄君及び第四分科員黄川田徹君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省所管、公営企業金融公庫及び文部科学省所管〕


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     ――――◇―――――

津島(恭)主査代理 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 本分科会は、内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁、総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行及び文部科学省所管について審査を行います。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十五年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁、文部科学省所管、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 これより内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。大野防衛庁長官。

大野国務大臣 平成十五年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は四兆三千七百十九億千六百万円余でありまして、これに平成十五年度総合防災訓練のため、内閣本府から移しがえを受けた額四百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、文部科学省所管文部科学本省から移しかえを受けた額二千五百万円余、南極地域観測事業のため、文部科学省所管文部科学本省から移しがえを受けた額二十九億六千九百万円余、前年度からの繰越額百二十九億六千七百万円余、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動等及びイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に必要な経費として予備費を使用した額三百六十二億七千八百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額五百九十四億六千万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆三千六百四十七億百万円余となります。

 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は四兆三千四百二十九億五千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は八十七億五千三百万円余でありまして、差し引き不用額は百二十九億八千九百万円余であります。

 次に、(組織)防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は五千八百七億四千六百万円余、うちSACO関係経費二百六十四億八千九百万円余でありまして、これにSACOの最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するために必要となる基地周辺対策及び提供施設の移設整備に必要な経費の予算補正追加額百三十一億九千九百万円余、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会の提言に基づき、沖縄県の米軍基地所在市町村が実施する地域経済活性化事業等に要する経費として内閣本府から移しがえを受けた額五十九億五千七百万円余、沖縄県の均衡ある発展を図る必要があることにかんがみ、北部地域の振興事業の着実な推進に要する経費として内閣本府から移しがえを受けた額六億八百万円余、前年度からの繰越額四百六十億九千八百万円余、うちSACO関係経費百四十九億二百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額三十六億二千三百万円余、うちSACO関係経費六千三百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しがえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ三億三千六百万円余、国土交通省所管国土交通本省へ十一億七千七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六千四百十四億七千三百万円余、うちSACO関係経費五百四十五億二千七百万円余となります。

 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千九百三十一億二千八百万円余、うちSACO関係経費三百八十九億七千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は四百五十二億五千五百万円余、うちSACO関係経費百四十九億一千万円余でありまして、差し引き不用額は三十億八千九百万円余、うちSACO関係経費六億三千八百万円余であります。

 なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

津島(恭)主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院増田第二局長。

増田会計検査院当局者 平成十五年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたもので、陸上自衛隊の自衛官が、国有財産の維持及び保存の事務に従事中、必要のない防火帯等の整備を民間業者に依頼し、その経費を捻出するため、権限がないのに立木を当該民間業者に伐採させ、国に損害を与えたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に係る残余資金に関するもので、合衆国政府は、我が国に対する装備品等の給付が完了した取引について、装備品等の購入業者との間で精算が完了していない債務の見積もりをして、我が国より支払いを受けた前払い金の額から業者への支払い済み額とこの債務の見積額を差し引いた余剰金を我が国に返済しておりますが、余剰金を返済した後に、債務の精算額が見積額を下回ったことにより残余資金が発生していたのに、残余資金が我が国に返還されておりませんでした。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、国際連合平和維持活動すなわちPKOに伴う国際連合からの償還金に関するもので、防衛庁では自衛隊を海外に派遣しPKOを実施していますが、PKOでは、派遣国が負担した費用について国連が派遣国に償還することになっております。我が国に対する国連償還金については、本院が確認できた国連償還金六十件のうち、国庫に収納されたものは二十八件にすぎず、残りの三十二件は国庫に収納されていませんで、この中には一年以上滞留しているものが十六件あり、国庫に収納された二十八件についても、収納まで一年以上滞留していたものが十四件あって、国連償還金を遅滞なく歳入として国庫に収納する体制が整備されていないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

津島(恭)主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。大野防衛庁長官。

大野国務大臣 平成十五年度決算検査報告に掲記されております事項について、防衛庁が講じた措置を御説明申し上げます。

 不当事項として指摘を受けましたものにつきましては、今後、このようなことのないよう綱紀粛正のより一層の徹底を図る等再発防止に万全を期する所存でございます。

 アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に係る残余資金につきましては、返還のための手続及び部局を定め、速やかに返還を請求し歳入として国庫に収納するための体制を整備する処置を講じたところであります。

 また、国際連合平和維持活動に伴う国際連合からの償還金につきましては、国庫への収納に係る事務を迅速に行えるよう、現地派遣部隊が国連の現地司令部に報告書を提出した際に、当該報告書と同様の実績報告書を各幕僚監部から徴することとし、国連償還金を遅滞なく歳入として国庫に収納する体制を整備する処置を講じたところであります。

 以上、これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう、より一層努力する所存でございます。

津島(恭)主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島(恭)主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島(恭)主査代理 以上をもちまして内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

津島(恭)主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本(哲)分科員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 質問の機会を与えていただきました委員長初め皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 防衛問題について質問をするわけですけれども、折しも昨日、元防衛庁長官の山崎拓先生が復権をされました。防衛関係、あるいは憲法改正も含めて、あるいは外交問題も含めて、さまざまな御示唆をいただくものだというふうに思っておりますので、今後、国民の皆さん方の理解を得るべく、さまざまな形での防衛対策を考えてまいりたいと思っているところでございます。

 本日は、国家機密情報の漏えい対策、加えて、海上自衛隊の今後のあり方というものにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 ことしの四月三日、潜水艦の製造技術を含む資料を防衛庁から持ち出した疑いがあるとして、元防衛庁の技官が任意で事情聴取をされました。この記事は非常に小さい取り扱いでございました。一番大きい新聞社で、読売新聞がこの程度のものであります。しかし、事この事件に関しましては、潜水艦の非常に貴重な技術あるいは材料、そういったものが外国、とりわけ中国に流れた疑いが強いというものでありまして、国防に係る大変重要な問題であるというふうに思います。

 事件のあらましは、防衛庁技術研究本部の元技官が、在職中に海上自衛隊の潜水艦に関する製造技術を含む資料を防衛庁から不正に持ち出した疑いがあるということで、警視庁公安部がこの元技官を任意で事情聴取し、そして、自宅などを家宅捜索したというものでございます。元技官は知人の食品輸入業者に持ち出した資料を渡して、さらにその知人は頻繁に中国に渡航をしていたということであります。

 中国は、今、海洋権益の拡大をめぐって、日本の領海内にさまざまな諜報活動も含めて軍事活動を展開しているところでございますので、私たちとしては非常に心配をするところでございます。日本の潜水艦という、何十年にもわたって蓄積した国家の防衛に係る貴重な技術資料がいとも簡単に、それも内部の者によって盗み出されるということは、我が国の情報セキュリティーの貧弱さを物語っているというふうにも思います。また、単なる窃盗その他では済まされない問題であるというふうに思います。

 そこで、まず、本事件の経過及び現状について、防衛庁としての御見解をお伺いいたしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 本年の三月五日に、報道されておりますような、元技官から防衛庁に対して連絡がございましたので、元技官が警視庁において任意で事情聴取されたことは防衛庁として承知しているところでございます。

 ただし、その連絡の際の具体的な内容及び現状につきましては、警察が現在捜査中でございます。捜査と関連する事項でございますので、防衛庁からお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

坂本(哲)分科員 警察の捜査の段階であるということであれば、ある程度仕方がない面もあると思いますけれども、状況のさまざまな把握、今後どういう展開になるかわかりませんけれども、しっかりとした確認をお願いいたしたいというふうに思います。

 そこで、私自身、海外の場合はどうなっているかということを少し調べてまいりました。機密漏えいに対して諸外国は非常に厳しい措置あるいは厳しい法体系を持っております。

 アメリカの例を挙げますと、軍事や外交に関する国家機密情報の保護について、一九一七年でございますのでもう九十年近くも前になりますけれども、防諜法というのができております。そして、戦後すぐ、一九四六年には原子力法、さらにその翌年の一九四七年には国家安全保障法というような法律が制定されておりまして、いずれも国家機密に対しまして非常にきめ細かな法体系ができているというのが現状であります。

 アメリカの防諜法の七百九十四条におきましては、特に次のような規定があります。合衆国を害し、また、外国を利する意図を認識しながら、書類、文書等の国防情報を収集し、外国へ通報、引き渡し、またはそれらの行為を企てた者は、死刑を含む厳罰を科している。また、原子力法につきましても、海外に遺漏する行為に及んだときは、最高無期懲役を科すというような厳しい法律でございます。

 翻って我が国に照らしてみますと、我が国における国家機密情報における規制法といたしましては、自衛隊法、そして日本とアメリカの間に取り交わされております日米相互防衛援助協定等に伴う機密保護法がございます。特に、日米相互防衛援助協定に伴う機密保護法は、アメリカから供与された装備品の秘密について、日本がその秘密を漏えいした場合には、両政府の間で合意し、秘密保持の措置をとるというものであります。秘密漏えい及び不当に秘密を探知したり収集した者は、最高で十年の懲役を科すというような規定をいたしております。

 そこで、質問でございますけれども、防衛庁におきましては、国家機密情報の漏えい対策といたしまして、どのように管理をされているのか、その対応をお伺いいたしたいというふうに思います。

 そして二番目に、どのような処罰規定が我が国に存在するのか、再度確認の意味も込めてお伺いをいたしたいと思います。

飯原政府参考人 それではまず、事実の点でございますが、私ども、御指摘もありましたとおり、三つの秘密の体系を持っております。

 一つは、先ほど御指摘ありました日米相互防衛援助協定等に基づく特別防衛秘密の制度、これは最高刑が十年以下の懲役でございます。

 それから、自衛隊法に基づくものとして二つございます。一つが防衛秘密の制度でございまして、これは我が国の防衛上特に秘匿することが必要であると防衛庁長官が指定したものでございまして、五年以下の懲役でございます。それから、同じく自衛隊法に基づきますが、一般的なその他の業務に関する秘密ということで庁秘というのがございます。これは一般の国家公務員法上の秘密と同じようなものでございますが、これについては一年以下の懲役といった処罰規定になっております。

 それから、これにつきまして、各種の秘密に応じまして、庁内で秘密の指定手続、秘密文書等の伝達手続、保管、廃棄等の取り扱い手続等を定めておりますが、これによりまして秘密文書等の保全を期しているといったところでございます。

坂本(哲)分科員 日米相互防衛援助協定に基づくものが最高十年、そして自衛隊法に関するものが五年、あるいは国家公務員法に類するものが一年。日米の協定に関するものが一番量刑が厳しくて、そしておひざ元の自衛隊法が五年あるいは一年というのは、何かしら心もとないような気もいたします。

 そこで、過去におきまして我が国で軍事秘密あるいは外交機密が漏えいした刑事事件について、どういうものがあるかというものを調べてみました。

 昭和二十八年に東京高裁判決の、これは有名でございますが、米ソ二重スパイ事件というのがございました。昭和三十五年に、これも最高裁判決のラストボロフ事件というのがございました。ロシアに関するものであります。

 そして、昭和四十三年に東京地裁判決の外務省スパイ事件というのがございまして、これは外交秘密を朝鮮半島の人物に渡したというようなものでございました。昭和四十六年、これは東京地裁の判決でございますが、防衛庁機密漏えい事件というのがありました。

 そして、昭和四十八年東京地裁判決の、いわゆるコノノフ事件と呼ばれる通信部品ブローカー事件、通信部品が流れたというような事件がございました。

 そして、私たちの記憶に新しいところでは、昭和五十三年に最高裁判決の、いわゆる西山毎日新聞記者の事件、西山記者事件と呼ばれる外務省の機密漏えい事件というようなのがございまして、ざっと十年に一度ぐらいはこういう事件が表面化しているというようなところであります。

 そして、昭和六十三年に東京地裁の判決がございました東芝機械ココム違反事件というのがございました。これは我が国の輸出産業界を大いに震撼させた事件でありまして、記憶に新しいところであります。大型工作機械の大手東芝機械が、いわゆるココム規制、すなわち対共産圏の輸出統制委員会の規制に違反して大型船舶用のプロペラ加工機の部分品及び技術をソ連に輸出、そして提供した行為でございまして、外為法、外国貿易管理法違反の罪が成立をしたところでございます。

 判決におきましては、次のようなことが述べられております。「自由主義諸国家なかんずくアメリカの我が国政府や企業に対する不信感を著しく増大させ、東西貿易に萎縮後退の傾向を生じさせるなどの重大な結果を招いたものであって、被告会社は厳しい非難を免れない。」として、また、「利益優先の余り国際社会のルール、モラルを無視するような企業活動は厳に慎まなければならない。」と厳しく裁判所の方で断じたところであります。

 その後、平成十二年でございますので最近でございますが、十二年九月には、海上自衛隊三等海佐が、在日ロシア大使館の駐在武官に内部情報を約一年にわたって漏らしていたという事件が起きました。この幹部自衛官は、自衛隊法や守秘義務違反、先ほど言われました五年、あるいは守秘義務違反の一年と判断されまして、平成十三年三月に東京地裁において判決が下されておりますが、これは懲役十カ月でございます。

 そこで、こういった事件を端緒といたしまして、平成十四年に自衛隊法が改正をされたところであります。新自衛隊法では、防衛庁の職員あるいは他省庁の職員、さらに防衛庁の契約業者にも守秘義務が課せられ、そして処罰の対象になり、今まで最高刑が一年以下の懲役というのが五年以下の懲役と、量刑が引き上げられたところであります。

 どんなに高級な装備あるいは重要な情報を蓄積いたしましても、それを取り扱う内部そのものがこういったモラルの低下があるとするならば、それは何にもならないわけであります。特に、今回の事件の場合に私が一番感じますのは、身内の行為ということで、何となく穏便に済まそうというような空気を感じるわけでございます。

 そういうことで、さきも指摘をしましたように、そしていろいろなこれまでの事件が示しますように、国家機密情報の漏えいは本当に後を絶ちません。国家の基盤も揺るがす国家機密の漏えいあるいは遺漏につきましては、さらに厳しく厳罰をもって対処すべきである。そして、厳罰だけではなくて、再度さまざまな法整備を考えるべきではないかというふうに思います。

 それから、情報管理の方法も、外部の事業者にもし一任をしているとするならば、それは改めなければならないというふうに思います。開発、研究、管理、保守、監督のチェック機能を国家がしっかりと保持する姿勢を崩してはならないというふうに思います。防衛庁におきましては、いま一度危機管理における一人一人の意識の向上に努めていただくとともに、機密情報の管理体制においてもいま一度点検をしてみる必要があるというふうに思います。

 ちょうどBMD、ミサイル防衛システムにつきましても、日米の間でさまざまな研究が進められておりまして、これは世界的な、あるいは日本の根幹をなす国防対策として最も重要なものであります。こういう時期だからこそこの機密漏えいに対するしっかりとした基盤、しっかりとした考え方が必要であるというふうに思います。

 そこで、かつて日本における国家機密情報をめぐる以上のような事件があったわけでありますが、防衛庁としてこのような事件をどういうふうに把握し、そうして一つ一つ改善をしてこられたのか、その取り組みについてお伺いをいたしたいと思いますし、スパイ活動防止法というようなこともございますけれども、朝鮮半島あるいは対中国問題、あるいは対ロシア問題、北東アジアを含めて、防衛問題が一番重要なときに、改めてこの機密漏えいに対する法的な整備、これが必要ではないかということも考えます。

 防衛庁の設置法あるいは有事関連法案、さまざまな関連法が今整備をされているところでございますので、この機密漏えいに対する法体系の整備も含めて、大野防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思います。

大野国務大臣 坂本委員まさにおっしゃったとおりでございます。国家機密の情報漏えいということは、まさに国の安全を根本から、根底から脅かすものでございます。

 そういう意味で、機密情報漏えい、絶対あってはならないこと、このように私は信じております。

 今、坂本委員、るる過去のケースもお触れになりましたけれども、その中でも、自衛隊の自衛隊員が関与したケースを振り返ってみますと、昭和四十年から翌年にかけまして、当時の一等空佐が外国民間会社の営業部員に秘密を漏えいしたゆゆしい事件がありました。また、昭和五十四年には、元陸将補並びに当時の二等陸尉及び准陸尉が在日ソ連大使館の武官に秘密を漏えいした。さらに平成十二年には、当時の三等海佐が在日ロシア大使館付武官に秘密を漏えいした、まさに坂本委員御指摘のとおりであります。

 こういうような事件を反省いたしまして、特に平成十二年以降でありますけれども、まず第一には自衛隊法を改正して、先ほど防衛局長が御説明申し上げましたとおり、防衛秘密そして特別防衛秘密、さらに庁秘、こういうような制度を確立したわけでございます。さらに、漏えいにつきましては罰則を強化いたしております。

 そして次に、防衛庁情報保全委員会というのをつくりました。この委員長は事務次官でございまして、官房長その他の局長、あるいは統幕議長、各幕僚長、そして委員長が指名する者、これらで構成されております。このことによりまして、絶対に漏れてはならない、そういう手だてをきちっとやっていこう。特に、いろいろな事件がありましたら、その情報をいち早く交換しまして、これをどういうふうに処理していけばいいのか、こういう議論もやっているわけでございます。

 さらに、情報保全隊というものを新設いたしております。これは、例えば外部からの不当な働きかけに対していち早く情報収集して本人に注意する、このようなシステムでございます。

 もう一つ申し上げたいのは、各国駐在武官との接触によりましてどういうことが起こり得るのか、一々各国の駐在武官との接触につきましては報告を聴取いたしまして、届け出をしてもらっておりまして、そういう場合、ここは注意したらいいんじゃないか、このような注意をいたしておるところでございます。

 このように、制度的にも運用面でもきちっとやり遂げておるところでございますけれども、なお先生御指摘のようなことにつきましても、今後検討させていただきたい、このように思っております。

坂本(哲)分科員 ぜひ今後の運用、それから全体の体系をしっかりしたものにしていただきたいというふうに思います。

 今いろいろ、るる述べてまいりましたけれども、特徴的なことは、海上自衛隊に関する漏えいが多いということでございます。これはなぜか。特に日本の海上自衛隊、とりわけ潜水艦に関する技術、こういったものが世界から高く評価されているからだろうというふうに思います。特に、日本という島国、海防を考えるのが第一でありまして、潜水艦あるいはイージス艦を初め各戦艦等の技術、これに対しての評価というものは非常に高いものがありますし、中国にしてもロシアにしても、あるいは朝鮮半島にいたしましても、やはりのどから手が出るほど欲しいようなものであるだろうというふうに思います。

 海上自衛隊の「おやしお」という極めて優秀なディーゼルエンジン電池潜水艦を保有しているわけでございますが、この「おやしお」につきましては、アメリカ海軍協会の雑誌でも極めて能力が高いというふうに評価をされております。この潜水艦の特徴は、ソナー、すなわち音波を発して、そして他の艦船や潜水艦から反射して、その反応が戻ってくるまでの時間と距離をはかり、反射音から目標の方位を探知するというものでございますが、要するにこの船体全体がソナーになっている。そして艦首の部分もソナーになっている。バウソナーというのを備えつけている。そして船尾には曳航式ソナーというものを備えつけている。こういった三つのセンサーによって非常にすぐれたソナーとなっている。それは諸外国からすれば、やはり大変な技術であるということでありますし、はるしお型でもVLF装置、超長波測定機を搭載し、潜航状態での受信を可能にしているというふうに聞いております。

 海上自衛隊の潜水艦は、水中運動性能またはそれ以外にも探知能力あるいは静粛性、この前、中国の潜水艦が発見されましたときに、非常に音が大きい。中国としては、スクリューの音をいかにして小さくするかというのが大きな課題でございますけれども、日本の場合は、その技術も先にクリアしているというような、非常に高い技術を保持しております。

 このように、世界のトップレベルの海上自衛隊潜水艦隊の情報を得るために、外国人が日本の輸入業者を通じて、技術研究本部の技官に接触し、そうして潜水艦資料を得ようとしたことは想像にかたくありません。逆に、日本からすれば、貴重な国家機密が漏えいしたことになり、今回の事件は非常にゆゆしき問題でございます。幾ら日本本土を守っていても、海上交通をひとたび遮断されれば、これは大変な問題になりますし、シーレーンを守るというような重要な任務も持っているところでございます。

 以上のことを踏まえながら、これは要望事項としておりましたけれども、お答えいただきたいなというふうに思いますが、我が国をめぐる周辺国の動向に注意をしながら、新たな脅威や多様な事態に実効性のある対応が望まれるわけですけれども、特に世界最高水準にございます海上自衛隊潜水艦の役割をさらに機能的にしていくためには、できれば海上自衛隊、そして沿岸警備でございます海上保安庁の役割分担と連携の緊密化、これが、また今一段と重要になってきているのではなかろうかというふうに考えます。海上自衛隊との連携のことも含めて、大野長官、一言御答弁をいただけたらというふうに思います。

大野国務大臣 坂本委員も御指摘のとおりでございます。

 日本というのは四囲を海に囲まれている、海岸線というのはものすごく長いですね。さらに島がたくさんあります。今回も、新しい防衛大綱の中で、島嶼防衛の重要性というのを指摘させていただいております。また、資源エネルギーはそのほとんどを海外に依存しているわけでありますから、例えばマラッカ海峡の海上交通安全なんかも本当に深刻な問題であります。その中で、海上交通、海上の安全と平和をいかに守っていくか。これは海上保安庁と海上自衛隊の二つで担っていくわけでありますが、委員御指摘のとおり、これは本当に緊密な連携関係が必要であります。

 一つは、情報の共有。縦割りをやっていてはいけません。お互いに同じような情報を持っていなければいけない。それからもう一つは、同じような訓練を共同でやっていかなければいけない。この二つが鉄則だと私は思っております。

 具体的には、不審船共同対処マニュアルというのを平成十一年十二月に策定いたしております。幾つかありますけれども、一例だけ申し上げますと、例えば不審船共同対処のための図上訓練とか実働訓練とか、こういうことを最近でいいますと、平成十一年十月、平成十二年九月、平成十一年十一月、平成十四年七月にやっておりますし、こういう意味では、いろいろな局面での訓練もやっているわけでございます。

 そういう意味で、一義的には海上保安庁の仕事ではございますけれども、本当にお互い一心同体ぐらいの気持ちになってこれに対処していくべき。その根本は、繰り返しになって恐縮でございますが、やはり情報の共有である、そして一層の連携強化のための共同訓練である、こういう精神で我が国の海上の平和と安全の確保のためにさらに万全を期していく覚悟でございますので、よろしくお願い申し上げます。

坂本(哲)分科員 特に今、領空、領海、領土を一番国民の皆様方に理解してもらわなければならない時期であります。ぜひ海上保安庁との連携もお願いいたしますし、おひざ元の自衛隊の中に、あるいは防衛庁の中におきまして、士気の低下あるいはこういった機密漏えいなるものが絶対起きないような対応策と、そして意識の向上を図ることをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

津島(恭)主査代理 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林千代美君。

小林(千)分科員 民主党の小林千代美です。

 本日は、三月の五日に起きました北海道大演習場島松地区におきます自走百二十ミリ迫撃砲砲弾の行方不明事件について御質問をしたいと思います。

 この演習場のある場所は私の選挙区でございまして、地元の方々もこの問題に対しまして大変大きな関心を持っているところです。この件につきましては、行方不明となっている砲弾はいまだに見つかっておりません。ほぼ破裂しただろうというふうに言われております。その砲弾のかけらも、四個ぐらい金属片が見つかったというふうに言われておりますけれども、それが本当にその百二十ミリ砲弾のものなのかどうなのかということもいまだ確定できていない状況になっているというふうに事後の報告を受けております。この件についてお伺いをしたいと思います。

 まず、現場の状況を大臣によくよくわかっていただきたいと思います。

 それで、きょうは資料を用意させていただきました。これは防衛庁の方からいただいた資料ですけれども、北海道のここが島松演習場というところです。これだけですとどういうところかわかりませんので、私、地元の自治体にも協力をいただきまして、地図をいただきました。

 私も、この事件が起こったちょうど一週間後の土曜日に現地を視察してまいりました。大臣、三月はまだ北海道は冬なんですけれども、この時期で不幸中の幸いだったといえば幸いだったんですよ。一枚目に写真を三枚添付してありますけれども、残雪がまだ二メーターぐらい当時残っている状態ですので、そんなに車通りも多くありません。また、山の中も雪だらけですから、雪の中に入るという人も多分いなかったでしょう。人的被害がなかったということは本当にもって不幸中の幸いでした。しかしながら、これが雪のないシーズンだったら、観光シーズンだったらどうだったんだろうということは本当に心配の大きいところです。

 一枚めくっていただきまして、地図がございます。これは、現地の恵庭市の基地・防災課から御協力をいただいた地図です。これが現地の着弾予想図です。

 右のところのオレンジ色のところが恵庭市の市街地でございまして、市役所のあるところです。そこからずっとオレンジ色の線が左に向かって走っていますけれども、これが道道です。この先には支笏湖という湖がありまして、ここは北海道の中でも一大観光地で、温泉のわいている有名なところでもございます。

 そして、この北海道大演習場というのが真ん中、緑色の線で囲まれていますけれども、その周辺をよく見ていただきたいんですけれども、ゴルフ場がたくさんあるんですね、周辺には。これはGというふうに書いて私は赤で四角く囲みましたけれども、これは全部ゴルフ場です。演習場のすぐ隣がゴルフ場。そして、えにわ湖という、これは三段の滝で観光でも有名なところなんですけれども、観光地の湖もありますし、その隣には市民スキー場もありますし、市営牧場もある、公園もある、こういったところなんです。また、この地域、札幌のベッドタウン、周辺市ということもありまして、今でも人口のふえているところで、町の開発も進んでいるところです。こういったところだということをぜひ覚えておいていただきたいです。

 それで、ここのところは実は陸上自衛隊の演習場でもあるんですけれども、同時に航空自衛隊の演習場にもなっております。島松射撃場というところも兼ねていまして、ここは平成十三年六月にF14型機のロケット弾の訓練で誤射事故が起きた地域でもあるんです。このときは、誤射された百八十八発の弾が民間施設にも被害を与えました。自家用車の後ろのガラスにも当たりまして破損をしました。幸いなことに人的被害はありませんでした。こういう地域なんです。

 大臣、ここのあたりで住んでいますと、ゴルフ場でもそうなんですけれども、ゴルフをやっていても、時々演習のドーンという音が聞こえるんですよ。それを聞きながら、皆さんはゴルフをしていたり、実際に住んでいるところだ。また、航空自衛隊の訓練の戦闘機が頭の上をキーンと走っているところ。ここの住民は、そのドーンとキーンの音を聞きながらここで生活をしているわけなんです。

 恵庭市にも陸上自衛隊の駐屯地があります。お隣のこの南側になります千歳市には第七師団がございまして、そこにも駐屯地がありますし、航空自衛隊の千歳基地もあります。千歳市と恵庭市と、人口のうちの約四分の一ぐらいを自衛官、御家族、OB、関係者が占めているという土地柄でございまして、私たちは自衛隊と共存をしていかなければいけない地域なんですよ。こういう地域だということをまず最初におわかりをいただきたいと思います。

 それで、まず、現在どうなっているんでしょうか。まだはっきりしたことが何もわかっていないようですけれども、現在のこの捜索状況、そして見つかったこの金属片の鑑定状況はどのようになっているでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 第七師団といたしましては、三月五日の事案発生以降、連日、おおむね三百名、飛行機については三機の態勢で捜索してきたところでございます。ただ、四月十一日以降からは、雪解けの状況に応じた捜索に移行しております。今は大体人員約七十名、飛行機については一機の態勢で捜索しているところでございます。

 他方、委員御指摘の破片の鑑定でございますが、三月二十一日以降、えにわ湖の上流の水精橋の東側におきまして、いろいろ樹木の中に破片が当たったと思われる比較的新しい傷がございました。それから、周辺の河川から数個の破片を発見いたしまして、この鉄片につきまして、砲弾の破片であるかどうかを鑑定調査中という状況でございます。

小林(千)分科員 いまだたって明確な結果も出ていないところなんですけれども、この事件が起きたのが三月五日の、時間は十三時三十分ぐらいというふうに聞いております。その後、関係自治体あるいは関係諸機関にこの連絡が入ったのが約十時間後の二十三時、夜中の十一時ぐらいだったというふうに伺っております。三月七日の朝刊でこの事件が一斉に北海道内で通報されました。それで、北海道新聞という地元の新聞なんですけれども、「通報 十時間後」ということで社会面に載っています。これだけ通報がおくれたということについては、現地の自治体の皆さんも不満を表明されていらっしゃいました。

 実は、新聞の報道の中にこのようなことが書かれております。三月六日の午後行われた記者会見におきまして、第七師団、これはだれが発言したか記事ではわからないのですけれども、十時間通報がおくれたということについて、「確認作業に手間取った。また、市民に無用な心配をかけてはならないと思い、その時間の連絡となった」というふうに載っているんですけれども、特に後段の部分、市民に無用な心配をかけてはならないと思って連絡が遅くなったというのは、一体どういうことなんでしょうか。無用な心配をかけてはいけないと思って黙っていたということは、その十時間の間にもし幸いなことに見つかっていたらそれは黙っていたという、市民には何も、自治体にも知らされずに黙っていたということになるんでしょうか。

 ちょっとこれは、住民の認識と大変差が大きいように感じますけれども、この記事の真意について、本当にこの発言がされたのか、されたとすれば、どなたがこの発言をされて、どのような真意でこのような言葉を言ったのか、聞きたいと思います。

大古政府参考人 御指摘の報道につきましては、三月六日に第七師団の幕僚長が報道関係者に対して行った説明に基づくものであると思われます。詳しい発言の記録があるわけではないんですが、報道関係者の質問に対し、部外への連絡がおくれた理由として、演習場内で破裂したはずとの認識があったとの趣旨を答える中で、いたずらに心配をかけてもと考えた旨言及したようでございます。

 ただ、この点につきましては、住民の生命、身体及び財産に危険を及ぼしかねない事故の可能性がある場合には、速やかに関係自治体等に連絡する必要はあると考えておりまして、防衛庁としては、このような事故の可能性がある事案の発生時の連絡体制を再点検しまして、その改善及び徹底を図りたいと考えている所存でございます。

小林(千)分科員 きょうの結論を先に申し上げたいんですけれども、共存していくためには、住民と自衛隊の間で信頼関係がなければいけないのは当然のことです。信頼関係はどのように発生するかといえば、やはり安全対策が十分にされていること、そして相互理解がされること。相互理解のためには、もちろん情報公開ということも必要です。

 そういった観点から考えてみますと、幕僚長の発言でしょうか、いたずらに心配をかけてもと言ったことは適切ではないというふうに考えます。ぜひここのところは、二度とこのような発言がされないように、マニュアルの見直しを含めて対応に当たっていただきたいと思います。

 そして、これは通報マニュアルなんですけれども、この島松地区で何かがあった場合のマニュアルというものは確かにございまして、これを見せていただきました。

 どのようなことがあったときにこのマニュアルが発動されるかというところの中に、例えば、死傷者が多数伴った事故が発生した場合、武器弾薬類の事故が起こった場合、その態様が特異重大だと認識される事故ですとか書いてあるんですけれども、そこの基準の中に一つ気になる項目がありました。「全国的に報道される取材等があり、社会的影響が特に重大であると認められる事故」というものがマニュアルの基準の中に含まれております。これは、報道されなければこのマニュアルは発動されないんでしょうか。

 先ほど十時間の空白があったというふうに申し上げましたけれども、報道されなければマニュアルは発生しない、ゆえに関係市町村にも公表しないということになるんでしょうか。だから、さっき申し上げたように、十時間空白が生まれたのではないか、黙っていて市民がわからなければ何をしてもいいのかというようなことになってしまいます。実際、この事故は、マスコミの報道がなければ、あるいは市からの連絡がなければ住民は知らされることはありませんでした。

 ここのところのマニュアルの基準はちょっと適切ではないと思うんですけれども、いかがですか。

大古政府参考人 御指摘のマニュアルの表現につきましては、さまざまな事故の重大性を判断する上でのあくまで一つの要素として記載しているものでございまして、報道されなければ部内外への報告はしないということではございません。

 ただし、委員御指摘のとおり、非常に誤解を招く表現でございますので、今後、このマニュアルを見直して、住民の生命、身体、財産に影響を及ぼす可能性のある事案が発生した場合には速やかに地元等に連絡するというふうに、適切にしていきたいと思っております。

小林(千)分科員 ぜひ、誤解がないように、マニュアル見直しをしていただきたいと思います。

 それから、このマニュアルについてもう一点質問をさせていただきます。

 今回のこの事故の場合、このマニュアルの中のどこに当てはまるかというふうに伺いましたら、「武器弾薬類の事故等」という基準の中に当てはまるというふうに伺いました。この武器弾薬の事故等というのはどういうことかというような例が挙げられています。その中に「火砲射撃時の場外着弾(そのおそれのある場合を含む。)」というふうに書かれておりまして、今回のこの事件の場合は、ここの部分が該当するというふうに説明をいただきました。

 ところが、このマニュアルの、そこに書いてある下のところに、「当分の間、」「おそれがある段階での報告を実施」するというふうに言っております。今回も、これはまだはっきりしていないんですよ、事実でもないですし、まだおそれのある段階でしかない。しかし、おそれがある段階がなぜ「当分の間、」というふうにマニュアルでは限定されているんでしょうか。もし、おそれじゃなくて、本当に一〇〇%事故が起こったと確定したときしかこのマニュアルは発動されないんでしょうか。「当分の間、」というものがついている理由をお伺いいたします。

大古政府参考人 委員御指摘のとおり、マニュアルにそのような表現があるのは事実でございます。ただ、実際のマニュアルの運用上は、これまで継続的に、いわゆるおそれがある段階での報告も実施してきたところでございます。

 ただ、これも委員御指摘のとおり、必ずしも適切な表現ではございませんので、今後、マニュアルについてもわかりやすい表現にしていきたいと思っております。

小林(千)分科員 マニュアルというものは当然わかりやすくなければいけない。だれがそのマニュアルを見て判断を下しても同じ結果にたどり着かないと、それはマニュアルの役目を果たさないわけです。

 もう一つ、気になるところがあります。

 今回の事件に対する中間報告というものが三月十六日に防衛庁から提出をいただきました。この中間報告の中で、「今後の方針」と書かれております。その中に「部内外への報告・連絡の改善」という項目があります。その中には、「マニュアル等の再点検等、重大な事故の可能性がある場合における連絡に関する事項」というふうに載っておりまして、「重大な事故の可能性がある場合における連絡」についてこれから具体的に検討し、実施するというようなことが書かれております。

 しかし、やはりここでもう一つ気になったのは「重大な」というふうに限定をされていることです。それは、先ほど言ったように恣意的に働いては、あるいは主観的に、その方の裁量で判断されるようなことがあってはマニュアルの意味をなさないわけでして、では何が重大か重大じゃないかという線を引くということは、そういうことがあってはいけないと思います。これは、「重大な」ということが書かれてしまうと、実際の今のマニュアルよりも後退するような内容になってしまうのではないかという危惧さえあるわけで、ぜひこの「重大な」というところを見直していただけないでしょうか。

大野国務大臣 まず冒頭、小林委員から北海道大演習場の雰囲気を本当にわかりやすく御説明いただきまして、ありがとうございます。私も恵庭には二度ばかり訪問したことはありますけれども、本当に、基地というのは地元の住民の皆様の御理解、御協力がなければ成り立っていかない、このことは肝に銘じております。

 それから、もう一つ申し上げたいのは、私は、この事件につきましては、確認中であるからという説明を受けておりました。無用な心配というのは、気持ちのことであろうとは思いますけれども、私はやはり無用な心配がかえって心配をかける可能性もある、このように理解しておりまして、この点は今後注意をしてまいります。

 さて、お尋ねの問題点でございますけれども、私はやはり、「重大な」というような抽象的な言い方ではなくて、本当に、住民皆様の命にかかわるような事件があれば、それがおそれであろうと具体的なものであろうと、その一点に絞ってもう少し具体的に書いていくのが本筋じゃなかろうか、このように思っているところでございます。

 そういうことで、私はやはりこのマニュアル、これは五月の末ぐらいにはつくるということでございますけれども、このマニュアルにつきましては、本当に住民の皆様の御協力、御理解のもとに成り立っているわけでありますから、おそれも何も含めて、こういう場合にはこういうおそれがありますからということを条件つけて、あるいは本当にそういうことになっていないかもしれない場合もあるわけですから、そういうおそれがありますけれどもお知らせしますと、こういうことが一つ。

 それから、もう一つは、命にかかわることはやはりやっていくべきだな、御連絡、御報告をすべきだな、このように思っておりますので、その方向でさらに詰めさせていただきたい、このように思っています。

小林(千)分科員 前向きな御発言、本当にありがとうございました。

 この件につきましては、現地の第七師団長も、私、申し入れに伺ったんですけれども、そのときにも、どこの時点でゴーサインを出すかというところが明確にされる必要があるだろうというふうに師団長もおっしゃっておりまして、そこのところを、どのレベルで連絡するのか、マニュアルが発動されるのかというところをやはり明確に、具体的な内容にしていただきたいというふうに思います。そうすれば市民の安全も確保されると思いますし、ぜひ長官、今度、千歳や恵庭にいらっしゃったときは、そのドーンとキーンを聞きながらゴルフも楽しんで、温泉も楽しんでいただければと思います。

 それで、この件につきまして、事故調査委員会というものが設立をされているというふうに伺いました。また、その見つかった金属片が本当にこの百二十ミリ迫撃砲の砲弾のものであるかどうかという同定検査というんですか、こういった金属片の調査も防衛庁内の施設の中で行っているということを伺いました。今、まだこのような確認中であって、結果が出ていない。伺いますと、見つかった破片が余りにも小さくて、数も四つぐらいしかないから検査もできない。強度検査しようと思ってつぶしたら、次の検査のときにもうサンプルがなくなってしまうというような状況になってしまっている。残りの砲弾のかけらもまだ見つかっていないという状況。このような状況の中ですと、そのような内部の調査だけでは、うがった見方をすれば、お手盛りの結果が出てくるのではないかなというような予感もいたします。

 事故調査委員会、あるいはこの最終報告書が出てくる間に、外部のチェックが入る、目が入るといった構造にはなっているんでしょうか。

大古政府参考人 今、事故調査につきましては、第七師団の方で委員会をつくって調査しているところでございます。

 ただ、再発防止につきましては、陸幕の方で副長が委員長になって再発防止の検討をしているところでございます。

 ただ、これらの委員会の結果につきましては、最終的には防衛庁長官まで報告し、公表することとしておりまして、その過程におきまして、陸幕だとか内局だとか、いろいろチェックさせていただきます。そういう意味で、調査に関する必要な公正性は確保されているというふうに考えております。

小林(千)分科員 このようなさまざまな問題が起こったときに、やはり現地と共通の認識を持つために、例えばこの事故調査委員会の中に住民代表あるいは自治体代表の方が入るというようなことも検討されていいのではないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

大古政府参考人 事故調査の原因につきましては、既に中間的な報告はしているところでございますが、現実に事故発生時の状況を最も的確に把握する現地の部隊において調査を実施することが、早急かつ正確な事故調査を行うという観点から適切ではないかと考えてございます。

 そういう意味で、再発防止につきましては、陸幕の方で責任を持ってまず一次的な委員会で結論を出したいと考えておりまして、事故調査そのものについて、部隊の内部の話でございまして、なかなかそれを外部の人のチェックというのは性格上なじまないのではないか、こう思ってございます。

小林(千)分科員 事故調査委員会の中が難しいとすれば、やはり何らかの形で外部のチェックが入るような組織形態というか形にしていったらというふうに思います。これは私の意見とさせていただきます。

 次、ここの演習場、先ほどの地図を見ていただければわかるとおりに、結構狭いんですよ。今回の百二十ミリ迫撃砲弾は最大射程距離が八・一キロというふうに伺いました。この地図に書いてあります、火薬をフルに装着いたしますと優にこれは演習場を超えてしまうわけなんです。そうすると、今回は人為的なミスで火薬が多く装着されたわけなんですけれども、もちろん安全対策はしなければいけない、確認はしなければいけないけれども、人為的ミスを一〇〇%防げるかといったら、それは人間のやることですのでなかなか難しい。

 そうすると、フルで一〇〇%火薬が装着されれば優にこの演習場を超えてしまうような実弾の訓練というものを、これだけ隣にゴルフ場があるようなところでやることが果たして正しいことなのかどうなのかということ、これはどのようにお考えでしょうか。将来的には見直しの方向で、できれば進んでいただきたいと思うんですけれども。

大野国務大臣 このたびの事件につきましては、委員御指摘のとおり、装薬の量の過ちであった、このように理解いたしております。

 ただし、いま一つ申し上げたいのは、この訓練は住宅地の方へ向かってやっているものではありませんし、通知もこれまではきちっとやっていたわけでございます。

 それともう一つ、原因究明がきちっとするまでは百二十ミリ迫撃砲の実弾訓練はやめている、こういうことであります。

 私はやはり、問題点として、委員十分御存じのとおり、今回の場合は恐らくこの演習地場内の高さ七メートルぐらいのところで爆発したものであろうと想定されておりますし、もう一つは、信管が、電池が切れますので、これはハンマーのようなものでごつんとたたいてようやく爆発するということでもあろう。しかし、そんなこと言っておられません。やはり安心が一番ですから、そこは、事件の原因をきちっと究明して、そしてその結果こういうことだった、これが一番の問題点じゃないかと思っております。

 したがいまして、御存じのとおり、今おおむね人員七十名程度で捜査をやっております。さらに、雪解けを待ちまして、二、三千名程度できちっと調査をいたします。その結果、どういう状態になるか、これはやがて判明してくると思いますので、これによりまして、私は結果を早急に取りまとめていきたい。

 まず、再発防止策。この一点だけだったんだろうかという問題であります。装薬の量を間違ったとすれば、装薬をする場合に、撃つ場合にマニュアルをきちっとやって、点検作業をきちっとやらす、これが部隊長に課せられた責務だと思っております。そういうことをきちっとやらす、これが私の長官としての使命、このように思っております。

小林(千)分科員 人間のやることは、一〇〇%というものはなかなか難しい。先ほど言いました航空自衛隊のミスもありました。また、この地域じゃありませんけれども、北海道の矢臼別ですとか、あるいは然別ですとか、さまざまなところの演習場で誤射事件というのもこの間実際起きているわけです。ぜひとも、周辺の住民等の安全を一番に確保する、そして信頼関係をつくり上げる、このような方向で今後の対策をとっていただきたいと思います。

 済みません、時間ないんですけれども、最後にもう一点。

 これから現地は観光シーズンを迎えます。ここの現場は山菜とりのいいところなんですよ。これから人々が山に入って山菜狩りをするところです。そこなんですけれども、今入山禁止のようになっているようですけれども、これはこの捜索範囲全体が入山禁止なんでしょうか。着弾予想地点だけなんでしょうか。それとも、破片が見つかったそこのポイントが入山禁止で、市民は山菜とりに入れなくなるんでしょうか。また、そこを禁止とするならば、ここは安全のために入ってはいけないよという措置がどのようにとられるのか、お伺いいたします。

大古政府参考人 捜索地域につきまして、その表示、それと注意を促すような看板を設置しているところでございます。

小林(千)分科員 捜索地域ということは、捜索地域全域が入山禁止になるということでよろしいですね。

大古政府参考人 基本的に破裂した可能性が極めて高いわけですけれども、不発となった場合でも、先ほど大臣が申し上げたとおり、人が歩いた程度では爆発することはあり得ませんけれども、念のために、捜索地域について看板を立てまして、できるだけ立ち入らないよう、林野庁とも調整の上、お願いしているところでございます。

小林(千)分科員 承知いたしました。この地域でのことしの山菜とりはあきらめます。ぜひとも、周辺住民の信頼を得られるための安全対策、そして情報提供というものをしっかりと確保していただきたくお願いを申し上げまして、質問を終了いたします。

津島(恭)主査代理 これにて小林千代美君の質疑は終了いたしました。

 次に、島田久君。

島田分科員 民主党の島田久であります。

 質問通告の前に、長官にちょっとお伺いをさせていただきたいんですけれども、小さな新聞記事だったんですけれども、ちょっと見落とすくらいの感じでしたが、十九日の朝刊で、防衛庁が、同庁記者会所属記者による復興支援活動を続けるイラク陸上自衛隊サマワ宿営地で四月二十五日から予定されていた取材について、出発五日前の十八日、突然中止を各社に申し入れたことが各紙で一斉に報じられておりました。計画では、クウェートから二泊三日の日程でサマワに入り、自衛隊の宿営地に泊まりながら現地で取材の活動をすることになっていたとのことで、十四社十六名が参加を決めていたそうであります。

 防衛庁は、出発直前になって中止を申し入れ、官邸、外務省などと協議した結果、不測の事態を完全に排除できないなどという理由だったそうでありますけれども、このようなことについての理解が、ちょっと私どもとしては苦しいな。

 それはどういうことか。自衛隊が安全確保しても、いつ不測の事態が起こるか予測できないと言いながら、そもそもその計画を始めて、本来、報道はされるべきでありますけれども、この時期に本当にこの計画がどうだったのかということについて、全体の状況判断なり、幾分状況判断に、間違いとは言わないけれども、的確な判断がなかったような気がしてならないのであります。特に、例えば、非戦闘区域である、あるいは非常事態宣言がイラク全体にされているというような状況の中で、本来、報道の自由というようなことで考えるならば、そういうことも実際上は国民の目に映るように報道はしていかなきゃならないとは思うんですけれども、現在の宿営地の状況というものの的確な判断。

 もう一つは、私は議員になる前、生徒と修学旅行にオーストラリアのダーウィンに行くんですけれども、この間新聞を見ていましたら、ハワード首相が出発式をあそこでやっていました。そういうような状況からも判断をすると、どうもこの時期というのが、何か防衛庁自身が的確な情勢というものを本当の意味で判断していただろうかということについて幾分疑問を持っておりますので、その点はどうお考えですか。御質問させていただきます。

大野国務大臣 まず、マスコミの方々に現地の状況を自分自身の目で見てもらって、そして国民の皆様に、どういう状況か、的確、正確に報道してもらいたい、私はそういう気持ちを従来から持っております。

 したがいまして、昨年十二月初旬に私がサマワへ参りましたときも、場合によってはマスコミの皆様と一緒に行ってもいいかなと思っておりましたけれども、私が最初に参るものですから、そのときは、次の機会にしましょう、ただ、そういうことは考えておいたらどうか、こういう指示を事務方にしておいたわけでございます。

 今回、出発間際になってこの件が延期されましたことにつきましては、皆様に御迷惑をおかけして大変申しわけなく思っておりますけれども、特に申し上げたいのは、今島田委員の方から、二つ理由ということをおっしゃっていらっしゃいました。一つは、地元サマワ、治安が安定しているのかどうか、こういう問題があるじゃないか。それからもう一つは、今オランダ軍が撤退して、その後、イギリス、オーストラリアと入っていっている最中じゃないか、こういう御指摘であろうかと思います。

 私は、実際、マスコミの皆様のサマワ訪問の具体的なスケジュールの報告を受けましたのがごく最近でございまして、延期を決定する前の週のたしか木曜日だと思います。それで、私は事務方に、ちょっと待てと。これは今、治安の方は私の知り得る限りにおきましては安定しておりますし、徐々によくなっていっている、このように判断されますけれども、今まさに治安維持の任務を負う現地の多国籍軍であるイギリスとかあるいはオーストラリア、これが入れかえの最中である。これは延期した方がいいよといって、事務方に考え直すように言ったわけでございます。その結果、各方面にもそんなことを申し上げて、たしか月曜日の段階でこれを延期するように決定させていただきました。

 問題は、タイミングとしてちょっとまずいかな。治安の問題とそれから編成がえの問題、二つありますけれども、編成がえの最中というときに行くのはどうかな、やはり通常の状態で見てもらうことが最高だな、さらに、相手方にもいろいろ御迷惑をかけたらいけないな、こういう私の思い、判断で延期を指示したわけでございますけれども、具体的な日程がもう少し早く入ってきておれば、もう少し私も指示ができたのじゃないかな。そういう意味で、大変御迷惑をおかけしましたことをこの席をおかりしましておわび申し上げる次第でございます。

島田分科員 これは幾分、本質的な問題があるないにかかわらず、きょうは討論する場所でもありませんので。

 ただ、もう一点お伺いをさせていただきたいんですけれども、重要なところをいつも閣議決定で、延期などされる。私は一年生なものですから、小泉総理大臣のイラクに対する自衛隊派遣について、基本的なことは党首討論などで聞いていますけれども、いつも国会の場できちっとした方針を聞いていないからということを言い続けているんですけれども、説明責任を果たしていないのではないかということを言い続けております。

 しかし、こういうことにおいても、シビリアンコントロールという側面から考えてみても、今度の場合の、長官と事務方との間の幾分の情勢分析の違いというものが、大きな全体の中で何かを基本的に判断したときに、やはり国会に対してきちっとした報告をする、そこにはシビリアンコントロールが作用している、そういう中で的確な判断をしていくという面から、小さいことのように見えるけれども、やはりそのあり方というものは私は大事ではないかなと思うんですね。

 ですから、ぜひ今度はまず国会の方で、重要な時期には、マスコミの方に国民に知らせていただく、これも大事ですけれども、やはり国会の責任において状況をきちっと判断して、そのことについてどういう判断をするかという責任を持った判断を国会としてもしなきゃいけない、そう思っておりますので、ぜひその辺の御配慮を含めて検討していただくように、心からお願いをしたいと思っております。

 続きまして、次に移らせていただきます。

 横田基地の問題についてこれから質問をさせていただきますけれども、横田基地の日米協議における現段階における到達点について、どんな到達点だということについてお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 トランスフォーメーションの一環として、在日米軍の再編が進む。そして、横田基地をめぐっては、基地内の第五空軍司令部も、グアムなり、あるいは統合される案が出たというようなお話も聞いているわけであります。

 日米安全保障委員会の中、2プラス2の中で現在まで合意していることについて、新聞等にはいろいろ報道されているんですけれども、私の地元でありますので、現状においてどれが一番的確な状況なんだろうかということについて、やはり知っておかなきゃならない重要な視点もありますので、その点はどうお考えでありますでしょうか。

大野国務大臣 トランスフォーメーションというふうに限定をいたしますと、横田基地につきまして、現在まで決定されたことは何もございません。

島田分科員 現段階における到達点、例えば、今のように縮小があるとか、そういうことについて協議をされている点があるのではないか。こういう問題点は議論をしていますよ、あるいは協議していますよというぐらいは明らかに、新聞にはどんどん進んでいく、国会の中では本当の本質的なものについて議論ができないような状況では、やはり横田基地というその位置における重要性から考えても、現在の段階での問題、こういう問題点は討議をしているんだというようなことについては公表できるのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

大野国務大臣 まず、トランスフォーメーションの仕切りからいいますと、どちらになろうかという問題が一つあります。

 これは何かといいますと、平成十五年にブッシュ大統領と小泉総理が会いましたときに、横田基地の軍民共用化の問題を議論しております。その会談を受けまして、東京都とそれから関係省庁との間で連絡会をつくっておりました。ここでそういう問題点をいろいろ議論しております、こういうことをまず御報告申し上げたいと思います。

 それから、全体の中でどういうことか。これはやや漠然とした話になって恐縮なんですが、去る二月十九日に日米の共通戦略目標というのを2プラス2で確認、決定いたしました。それで、今やっておりますことは、お互いの任務、役割分担、それから能力ということを議論しているわけでございますけれども、その背景にはやはり最終の着地点も、ないと言ったらうそになります。

 やはりそういうことを念頭に置きながら、どこの基地はどうする、どこの基地はどうするということを念頭に置きながらやっている、そういう協議を続けているわけでございまして、全体の協議をやはり数カ月内、年内にはぜひとも着地点に到達したいな、こういう気持ちでやるように、協議を続けるように私は事務方には言っておりますけれども、今の段階は役割分担等でございます。

 その中で、私の方から、やはり日本側からも問題を提起したらどうかということを申しまして、その中に、例えば基地の共同使用の問題が一つあります。それから、共同使用する場合の管理権をどうするんだ、ここもきちっと管理権を、なるべく日本側で管理するようにすれば、やはり米側の警護に携わる兵士の数も減ってくるじゃないか、こういうことも言えるわけでありますし、管理を日本側で担当すれば、地元の皆様との話し合いもスムーズに進んでいく可能性だってあるじゃないか、こういうことを申しておるところでございます。また、航空管制権といってもわずかしかございませんけれども、航空管制権の問題もどうするんだ、こういう切り口をきちっと考えながら協議をしてほしい、このように指示しているところでございます。

 ただ、具体的に横田基地についてどうのこうの、こういう議論は、今新聞が結論が出たように言っておる報道もありますけれども、まず第一に、何ら決定はいたしておりません。

 それから、今の段階ではそういうことも、そういうことというのは、今申し上げましたように、基地の共同使用とか管理権とか、あるいは航空管制権とか、こういうことを念頭に置きながらお互いにアイデアを交換している、こういう状況でございます。したがいまして、これを早目にやっていこう、これが現状でございます。

島田分科員 その管理権という場合に、一般的には、私ども地元では軍民共用という感じで、共用という考え方なんですけれども、管理権という場合には、自衛隊がその管理権の主体的な役割を果たすということだと思うんですけれども、その辺はそういう理解でよろしいんでしょうか。

大野国務大臣 共同使用した場合には自衛隊が管理権を取得する、管理権を持つ、こういうことで、こういう頭の整理で議論、協議を続けてきてくれ、こういうような話をしているわけでございます。繰り返して恐縮でございますが、まだ何ら決定はいたしておりません。

島田分科員 こういう大事な、ある一面では地元にとっては大事な一つのことなものですから、管理権で、自衛隊、航空の方が管理権を管理して、例えば、共同使用というよりも自衛隊の航空部隊が管理をして、それを米軍の方に使用させるのかどうかというようなことについても、これは議論のあるところだと思うんです。長官が考える、一応提案されるわけですから、その辺のところのお考えはどんなお考えでしょうか。

大野国務大臣 さまざまな態様があろうかと思います。そういうさまざまな態様のところまでは議論に入っておりません。

 私の思いはただ一つ、それは地元の負担を軽減する、そういう考えをきちっと頭に入れる。それからもう一つは、さはさりとて、米軍の有する抑止力をきちっと維持していく。まさに米軍がなぜ日本の基地を使用しているのか、これは、日米安保条約に基づくものであって、日本の安全のためであります。極東の平和と安全のためであります。したがって、やはりそこは、米軍の持つ抑止力というのは維持していかなきゃいけない。と同時に、やはりこれは負担の軽減ということを念頭に十分置きながら、そういう交渉、交渉というか協議をやっていかなきゃいけない。

 しかも、私は、今やっておりますトランスフォーメーションという協議は、まさに日米関係の、日米関係ということは日本の安全保障の将来を決定するようなものでありますから、やはり基本的に物事を考えていこう、こういう姿勢で取り組むように頑張っております。

島田分科員 そういう面では、今大事な点について長官が御発言になったと思うんですけれども、2プラス2の中でも、横田基地そのものというのが首都にあって、世界でも首都に米軍基地あるいは他の国の基地があるというのは横田基地以外ないと一般的に言われているんですね。そういう側面から考えてみて、重要な基地であるということは、今長官の言われるとおりよくわかるんですね。

 そういう点で、今言われた横田基地の重要性というものについて、首都東京にあって、そういうものに対しての基本的な、これは将来の日本の安全保障とのかかわりの中で、どういう法律的なものに基づくとか、そういう議論まで、例えば自衛隊、空軍が行くという場合には、何らかの法的な根拠は必要になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

大野国務大臣 法的な根拠というのは、どういう場合にということでございまして、私、今のところ、そういう問題点にまで到達しておりませんので、一概に言って、かえって誤解を生ずるようなことがあったらいけませんので、そこは答弁を差し控えさせていただきますけれども、やはり基本的に、日本の安全、極東の平和と安全を守るためにどうやったら一番いいんだろうか、そしてやはり地元の負担軽減をどのように考えていけばいいのか、この二つの観点から一つ一つ問題を解決していって、その結果出たものについてどういうふうに対応していくか、こういう考えで臨んでいきたいと思っております。

島田分科員 これは将来的な議論にも重要な発展をしていくのかなと思うんですけれども、今お話しのように、極東における全体の中で、2プラス2の中で再編を考え、日本の防衛のあり方というものを考えながら、そういう中で、この管理権を含めて、アメリカとの間に、日米安全保障条約のもとに伴って話し合いが進められていくということの理解でよろしいんでしょうか。

大野国務大臣 もう一つの負担の軽減という観点から申し上げたいと思います。

 例えば、共同使用する、そういう場合に、目で見える負担、例えば基地を少し合理化できないかなという問題がやはり一つ出てくるのではないかなと思います。それから、共同使用するといたしますと、その基地の管理権を日本に移すとすれば、基地を管理しているアメリカ側の警護隊の数は減らすことができるのではないか。これは負担の軽減につながるし、と同時に、アメリカ側もそれだけ効率化できるわけですから、アメリカ側にとってもいい効果をもたらすものだ、このように考えるわけでございます。

 したがいまして、いろいろな問題がありますけれども、繰り返して恐縮ですが、やはり一つは抑止力の維持、それからもう一つは沖縄を中心とする地元の負担を軽減していこう、こういう切り口でやっていって、そして、いろいろな問題が出てくると思いますが、それはそれでまた一つ一つ解決していかなきゃいけない。こういう大変、山上山あり、山幾層みたいなことになるかと思いますけれども、この点は、そんなに長く時間をかけないで、やはりことしじゅうぐらいには決着させたいな、こういうふうに思います。

島田分科員 少し議論を変えさせていただきたいんですけれども、横田基地に、二度ばかり現地を訪問させていただきましたときに、国連旗があったんです。国連旗というものがあって、横田基地は国連の指定基地だという現地の説明を聞いたんですけれども、その意味というものがよく私どもも理解できなくて、通常の国連の何か協定に基づいて、あそこが、横田基地が指定されているのかなと思ったんですけれども、その辺のことについての位置づけなどについて御説明願えますでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮国連軍というものが、一九五〇年の安保理決議において創設をされたわけで、これは朝鮮動乱に対応するために国連で創設をしたわけでございます。

 この部隊につきまして、一九五一年九月に、当時の吉田・アチソン交換公文というものが結ばれまして、これは、サンフランシスコ平和条約の発効後も我が国にこの朝鮮国連軍が滞在することを許可しますという約束をいたしました。

 一九五四年に、この合意に基づきまして、国連軍地位協定というのを我が国と国連軍加盟国との間で結びまして、そのもとで、今御指摘になった横田基地を含めまして七つの基地、これは現在すべて在日米軍基地でもあるわけでございますけれども、在日米軍基地のうちの七つの基地については国連軍も使っていいですという取り決めがなされております。それに基づきまして、今横田は朝鮮国連軍があわせて使っているという状況にあるわけでございます。

島田分科員 それと、もう時間がないので最後なんですけれども、2プラス2で、米軍の再編の問題と、それから石原知事がよく国はちっともやっていないとかと言うことと、どうも何かかみ合わないように地元では思うんですね。チャーター便がもう来年になったら飛びますよなんといって募集も始めているんですね。

 そうすると、多分あの2プラス2で現在詰めていることと、どうも何か、その辺の一貫性というのか、あるいは、どうも国の方がおくれているとか、知事の発言を聞いていますと、どうも2プラス2とは別なんだ、あれはあれで軍民共用という形で進むんだというようなこと。その上に、管理権という問題が今回は2プラス2の中から出てきた、そして、そういう中で自衛隊の空軍によって管理権というものが位置づけられていくんだというような、その辺の理解の仕方というものがどうもはっきりしないような気がするんですけれども、その辺はどういうふうに理解をしたらよろしいでしょうか。

大野国務大臣 まず、先ほど申し上げましたとおり、東京都の絡む問題というのは、平成十五年に小泉総理とブッシュ大統領の間で出た話でございます。これは、横田基地を米軍の使用と民間の使用をあわせて共用しようじゃないか、こういうことで、このことにつきましては、ただいま東京都並びに関係省庁の間で連絡会をつくっておりまして、いろいろなやりとりをやっております。そのやりとりの結果等につきましては、これは外交ルートで応酬しているわけでございます。

 それと同時に、トランスフォーメーションという協議の中で、横田なりなんなりという基地の問題は当然出てくる。そのことにつきましては先ほど御説明申し上げた次第でございますけれども、最終的に、それでは、この二つが同じ土俵に上がってくることは十分あるわけでございますから、そういう意味で大きな接点は出てくると思います。そのときの問題として、今委員が御指摘になったようないろいろな局面、いろいろな問題点が出てくるのは当然かと思いますけれども、まだそこまでいっておりません。何か決まったというようなことがあればこれは大間違いでありまして、何も決まっていない。しかし、そういう協議はいろいろなアイデアを交換しながらやっております。

 一方がちょっと早目に誕生した問題点であるし、トランスフォーメーションというのは最近になって鋭意協議を進めている問題だと。それは同じ接点は大いに出てくるし、同じ土俵で解決していかなきゃいけない、そういう問題になってこようかと思います。

島田分科員 意見だけ述べさせていただきます。

 管理権という場合、その管理権のあり方はどうあるのか。あるいは、例えば今現在あるような三沢基地における自衛隊の管理権の問題なのか。2プラス2という世界的な規模における中で横田基地が位置づけられて、その中におけるもう一つは自衛隊空軍における管理権という問題についても、私どもも真剣にこれから地元としても議論をしていきたいと思いますので、できるだけ的確な情報だけはその都度国会の中にも公表していただきますよう心からお願いをいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

津島(恭)主査代理 これにて島田久君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

津島(恭)主査代理 これより文部科学省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。中山文部科学大臣。

中山国務大臣 平成十五年度文部科学省所管一般会計、電源開発促進対策特別会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額百五十五億二千二百二十三万円余に対しまして、収納済み歳入額は二百六億七千三百五万円余であり、差し引き五十一億五千八十一万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出につきましては、歳出予算額六兆一千六百六十九億七千二百二十二万円余、前年度からの繰越額一千六百七十一億二千七百九十六万円余を合わせた歳出予算現額六兆三千三百四十一億十八万円余に対しまして、支出済み歳出額は六兆二千九百二十五億八千六百四十五万円余であり、その差額は四百十五億一千三百七十三万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二百五十四億九千八百五十九万円余で、不用額は百六十億一千五百十三万円余となっております。

 次に、電源開発促進対策特別会計のうち、文部科学省所掌分の歳出決算について御説明申し上げます。

 まず、電源立地勘定につきましては、歳出予算額三百九十六億三百十四万円余、前年度からの繰越額一億一千八百五十二万円余を合わせた歳出予算現額三百九十七億二千百六十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は三百四億五千六百十五万円余であり、その差額は九十二億六千五百五十一万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は千七百二十四万円余で、不用額は九十二億四千八百二十六万円余となっております。

 次に、電源利用勘定につきましては、歳出予算額千百十億千三百五十六万円余、前年度からの繰越額七十四億七百六十万円余を合わせた歳出予算現額千百八十四億二千百十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は千二十七億二千四百九万円余であり、その差額は百五十六億九千七百七万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は四十億八千八百八十三万円余で、不用額は百十六億八百二十三万円余となっております。

 次に、文部科学省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。

 国立学校特別会計の収納済み歳入額は三兆六十億三千三百九十三万円余、支出済み歳出額は二兆九千五百九十二億八千六百七十万円余であり、差し引き四百六十七億四千七百二十二万円余の剰余を生じました。

 歳入につきましては、歳入予算額二兆七千五百十二億七千九百三十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は三兆六十億三千三百九十三万円余であり、差し引き二千五百四十七億五千四百五十六万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算額二兆七千五百十二億七千九百三十六万円余、前年度からの繰越額二千七百五十六億九千六百七十七万円余を合わせた歳出予算現額三兆二百六十九億七千六百十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は二兆九千五百九十二億八千六百七十万円余であり、その差額はすべて不用額で六百七十六億八千九百四十二万円余となっております。

 なお、この会計は、平成十五年度限り廃止され、その際、この会計に属しておりました権利及び義務は、国立大学法人等が承継するものを除き、一般会計に帰属させることといたしました。

 以上、平成十五年度の文部科学省所管一般会計、電源開発促進対策特別会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

津島(恭)主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院千坂第四局長。

千坂会計検査院当局者 平成十五年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件、意見を表示しまたは処置を要求した事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一〇号は、九州大学において、医薬品等の購入などに係る予算執行について、当該年度に行うべき会計事務処理を行わず、翌年度において事実と異なる不適正な会計経理を行って代金を支払っているものであります。

 同一一号は、職員の不正行為による損害が生じたもので、東京大学の職員が、物品の発注等の事務に従事中、正規の調達を装って物品等を発注し、国にその購入代金を支出させて損害を与え、受領した物品を転売して代金を受け取るなどしたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これら九件は、奨学を目的とする寄附金のうち教員等個人あて寄附金の経理に関するもので、国立大学法人化前の北海道大学ほか八国立大学では、所属する教員等個人がその職務上の教育、研究に対して寄附金を受けたときは、大学に寄附する必要があるのに、その手続をとっていないものがありました。そして、国立大学法人化後の北海道大学ほか八国立大学法人では、新たに寄附金の取り扱いを定めた学内規程等を整備するなどしていたものの、寄附金を受けたときに国立大学法人に寄附しなければならない旨を定めていなかったため、寄附金を受け入れて適切に経理することができないと認められましたことから、各国立大学法人に対して、改善の処置を要求したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、教育情報衛星通信ネットワークにおける送受信設備の有効活用等に関するもので、番組の送信設備が設置されている道府県等の教育センターにおいて国庫補助金の交付を受けて整備した番組制作設備及び送信設備が十分活用されていなかったり、番組の受信設備が設置されている公民館等の社会教育施設等において国庫補助金の交付を受けるなどして整備した受信設備が十分活用されていなかったりなどしていて、本件補助事業等の効果が十分に発現していなかったと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、廃校等施設及び僻地教員宿舎の有効活用等に関するもので、小中学校の学校施設や僻地教員宿舎を整備する市区町村など設置者に対し国庫補助金が交付されておりますが、国庫補助金の交付を受けて整備した廃校等の学校施設及び入居者のいない僻地教員宿舎について、施設が全く活用されていなかったり、転用に当たりその手続が適切にとられていなかったりしていたと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

津島(恭)主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。中山文部科学大臣。

中山国務大臣 平成十五年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成十五年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 指摘を受けた事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところであります。

津島(恭)主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島(恭)主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島(恭)主査代理 以上をもちまして文部科学省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

津島(恭)主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。井上和雄君。

井上(和)分科員 民主党の井上和雄でございます。

 きょうは、文部大臣に初めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、先週の四月二十一日木曜日に、全国の国公立の小中学校や高専、養護学校など三万校のうち五百八十九校でプールの排水口のふたが固定されていない、そして、このことによって児童や生徒がおぼれる可能性があるということが日本体育施設協会の調査でわかったという報道がございました。

 この記事によると、一九六六年以降、五十件以上子供が吸い込まれる事故が発生して、少なくとも五十人のお子さんが亡くなっている、こういう事実があるということですね。そして、昨年の七月にも、同じように小学校六年生の男の子が亡くなっている。これまで本当に多くの事故が起こっているのに、まだ五百校以上の学校でこういうことがきちっとされていない、私はこの記事を見て本当に驚きました。

 昨年でしたか、六本木ヒルズで、回転ドアによってお子さんが亡くなった事故がありました。しかし、その前には多くの同じような事故があったということがわかりましたよね。つまり、本当にもう事故が起こることが十分予測されているのに、管理責任者、この場合であれば当然国が私は責任があると思いますが、しっかりしていないから、もう既に五十人以上の子供が亡くなっているというわけですね。

 私は、もうとにかく、ことしの夏、プールが使用されるまでには、この小中高五百八十九校すべての学校がこの対策をしっかりとるべきだと思いますが、もしそれがとれないのであったら、この日本の国は、いや、少なくとも文科省は行政機関としてのていをなしていないと私は思うんですね。

 そこで、もう何も聞きませんが、ただ、大臣にこれはちゃんとやってくださいということをここでお願いして、やっていなくてもし何か起こったら、その責任は大臣がとられるということを、私、ここではっきりと言っていただきたいんですが。

中山国務大臣 私もこの記事を見てびっくりしたんですけれども、五百八十九校もプールの排水口のふたが固定されていないということ、びっくりしました。

 それで、文部科学省の方にどうなっているんだというふうに聞きましたら、御指摘のように今までいろいろ事件があったので、何度も何度も、徹底して、早く何とかしろということでやって、平成十二年度にはゼロになったということらしいんですけれども、また今回、調査結果で五百八十九校、まだされていないということでございまして、毎年水泳シーズンの前に文科省は、ちゃんと点検を行い必要な措置をとるようにということは言っているんですけれども、ことしもいよいよまたシーズンが始まりますので、これは一義的には設置管理者は市町村なものですから、そちらに対して文部科学省の方からまたもう一回改めて通知を発したい、このように考えております。

井上(和)分科員 何回も何回も言っても徹底しないという、本当にお粗末な行政機関だと私は思うんです。だから、これはもう絶対やっていただかないと、やはりまた事故が起こる可能性は十分あるわけですから。ぜひ大臣、大臣がきちっと命令すれば、それは徹底すると私は思いますよ。(発言する者あり)市町村ですけれども、市町村ですが、では市町村だから徹底しないのかということになるんですけれどもね。ぜひお願いします。それ以上は言いませんけれども。(発言する者あり)ちょっとうるさいな。やめてください、質問中なんだから。黙ってください。委員長、注意してくださいよ。

津島(恭)主査代理 静かにお願いします。

井上(和)分科員 では次に、英語教育に関してちょっとお伺いしたいんですね。

 実は私、個人的に外国に長く、十六年間住んでいたものですから、恐らく国会議員の中では最も外国経験の長い議員の一人だと思います。そういった意味で、日本の子供たちが今後世界の中で大きく羽ばたいて活躍していくのには、やはりかなりバイリンガルになる必要性があるというふうに思っています。

 私自身も、私は今もう五十を過ぎていますが、四十年前、小学校の高学年や中学のときに、今のようにあちこちしょっちゅう世界に行っていろいろな仕事をすることがあるとは予想もしなかったわけでございます。つまりは、四十年間のタイムスパンの間に世界が大きく変わってきて、本当に隣の国が近い状況になってきているわけです。そういった意味で、今の子供たちが、英語だけではなく、英語であれ中国語であれ韓国語であれ、かなり使いこなせて、気楽に隣国の人たちとかアジアの人、世界の人たちと話ができるということは、これは国家にとっても非常に大事なことだというふうに思っているわけです。

 そういった意味で、きょう、特に英語に例をとってお伺いしたいんですが、やはり日本人の英語力が比較的どうも弱いということはもう指摘されているわけでございます。そこでお伺いするんです。大臣御自身の英語教育を振り返ってみて、御自身の英語力とかそういうものに関してどういうふうに思っているか、ちょっとお伺いしたいと思います。

中山国務大臣 中学校、高校、大学と英語を勉強してきたわけですけれども、私も、三十歳のとき、アメリカ・ワシントンの世界銀行に出向いたしました。そのときに初めて現地の方々と話をして、ほとんど通じなかったといいますか、そういう経験がございまして、本当にもっと通用する英語というのを学ぶことの必要性をそのとき痛感したわけでございます。

 大分苦労しましたけれども、三年おりましたのでかなり使えるようになったんですけれども、また帰ってまいりまして選挙運動に明け暮れているうちに、もうしゃべる方はほとんどしゃべれなくなりましたけれども、まだ聞く方は大分残っているなと。そういう意味では、やはりネーティブスピーカーといいますか、そういった本当に英語を使う方々とおつき合いするのが英語の上達には一番だな、そういう感想を持っております。

井上(和)分科員 大臣が世界銀行に勤務されていたということで、私も以前国連に勤めておりました。恐らく同じような苦労をされたのかなというふうに思うんですけれども、特に不自由したという根本的な原因とか日本の教育の問題点、今ネーティブとのあれがとおっしゃいましたけれども、その辺をもうちょっとお話しいただければと思います。本当に貴重な御経験をされている文部大臣というのは今まで初めてじゃないかというふうに思うんですが、ぜひよろしくお願いいたします。

中山国務大臣 井上議員のように、長い間アメリカで暮らして、本当にもう現地の方と同じような英語がしゃべれる方と違いまして、私の場合には腰かけみたいな感じでございましたので、余り参考といいますかにはならないんですけれども、やはり、文法とかリーダーといいますか、読む方にすごく力が入っていたんですけれども、聞いたりしゃべったりすることが私たちは経験がなかったということが一番問題だな、せっかく長い間勉強してきたのにそれが使えないのでは、何のために勉強したんだ、そういう思いがあったことを思い出します。

井上(和)分科員 今大臣が本当に率直におっしゃっていただいたこと、私自身もそういうふうに感じましたし、恐らく外国に行かれたほとんどの日本人が多く感じていることだと思うんですね。大臣も今お話ありましたように、やはりネーティブの教師が本当に私はもっともっと必要じゃないかなというふうに思っております。

 私のちょっと個人的な話になるんですが、祖父が旧制一高を出ておりまして、私が子供のころ、たまたま来たドイツ人とドイツ語でぺらぺら話しているのを聞きまして、ドイツに留学したこともないのに何でそんなにうまいんだよと聞いたら、いや、昔の一高にはドイツ人の先生がいたから、しょっちゅう話していたからしゃべれたんだ、しゃべれるようになったんだということを言っておりました。

 そういった意味で、やはり日本の学校にもネーティブの先生をふやす必要があると思うんですね。日本の子供たちや日本人が英語がうまく話せないのは、基本的に教える人たちがしゃべれないからだというふうに私は思っておりますし、それが事実だと思うわけでございます。

 それで、今現在、正規の教師として外国人の方が外国語を教えているのは何人ぐらい、公立学校、中高、いるんでしょうか。

銭谷政府参考人 文部科学省が実施をしております英語教育改善実施状況調査によりますと、平成十六年度、公立中高等学校に二十二名のネーティブスピーカーが正規教員として在籍をしております。うち二十名は十六年度から新たに採用された方でございます。

井上(和)分科員 本当にびっくりしましたね、二十二名、そんなに少ないのかと。

 実は、きょうも傍聴に外国人の語学の先生の方がいらっしゃっているんですね。日本にずっと長く住んでいて、一生懸命子供たちに英語を教えたいという思いは持っているんですが、やはりなかなかきちっとした長期の仕事がない、短期で契約をずっとやらなきゃいけないということを言われているわけでございます。

 今の二十二人というお話で、平成十五年に文科省で、英語が使える日本人の育成のための行動計画というのを出していらっしゃるんですが、これに、すぐれたALT等の正規教員への採用促進、ALTというのは助手として日本に数年間来られている方ですが、そういう人たちをどんどん正規の教員に採用して、平成十五年から三年間で三百人、そして将来的には一千人の配置を目指しているということを書いているんですね。これを見ても、それはもうとてもとても、これに比べても、今二十二人じゃ全然少ないというふうに思うんですね。

 この目標自体も非常に少ない。つまり、中学校、高校、約一万七千校公立学校あるわけですが、それに対して千人ですよね。今大臣がおっしゃったように、子供たち、中学、高校生がネーティブの先生に触れ合って英語ができるようになるというには余りに私、少ないと思うんですよ。

 大臣、何とかこれをもっともっとふやせば、私は必ず日本人の英語力も向上するとは思うんですが、いかがでしょうか。大臣、御所見を。政府委員でもいいですよ。

銭谷政府参考人 今先生のお話の中にもございましたけれども、現在、JETプログラムによるALTとして日本に招致されている方が約五千五百人おります。それ以外に、各自治体が独自に採用しているといいますか、雇っている外国人の方が約三千人おります。全国の公立の中学校、高等学校で約八千五百人のネーティブの方に今お仕事をしていただいているという状況でございます。

 英語が使える日本人の育成のためのプログラムにおきまして、そういう方々を含めまして正規の教員として採用する数を今目標に千人ということで掲げてやっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十六年度二十人新たに正規の教員になったということで、今後とも、長く日本の学校で教えていただける方を厳選しながら、そういう数はふやしていきたいというふうに思っているところでございます。

井上(和)分科員 今、正規の教師として採用するというお話がありましたが、今はほとんどがALTという形ですよね。

 実は、私いろいろ調べてびっくりしたんですが、そのALTに関して、派遣法に違反して外国人の先生が教育委員会を通じて学校に派遣されている事実がある。つまりは、業務委託ということで先生が派遣される。ただ、業務委託というのは、あくまでも、学校で先生方の指導を受けないで、委託して独自にやるというわけですから、これはALTという趣旨と全く違ってしまうんですけれども、こういった派遣法違反の実態があるということを文科省は認識していますか。

銭谷政府参考人 先ほど来話題になっております外国人指導助手、いわゆるALTの採用形態としては、私どもが総務省、外務省と実施をいたしておりますJETプログラムのもとでは、地方公共団体がALTと直接雇用契約を結んでいるわけでございます。

 このほかに、今お話ございましたように、各地方公共団体が独自にALTを活用する際には、民間業者に対する業務委託という契約形態をとっている事例もあると承知をいたしております。

 ALTの業務については、業務委託契約で行われていることが労働関係法に違反するかどうかについては法制的な見解を述べる立場にはございませんけれども、一般的に、学校教育の場においては、ALTなどの指導助手を配置する場合には、学校側の適切な指揮監督のもとに実施されるべきものと考えております。

 文部科学省では、各都道府県、指定都市の教育委員会に対しまして、民間業者を通じてALTの確保をする場合に、都道府県労働局と適宜協議することなどによりまして適切な契約形態とすべき旨の指導を本年二月十七日付の通知により行ったところでございます。また、あわせて、すぐれたALTについては、先ほど申し上げました正規教員としての採用を図るなど、指導体制の充実に努めるよう通知をしたところでございます。

 引き続き、各地方公共団体において適正な契約のもとにALTの活用がなされますように、厚生労働省とも協力をしながら対処してまいりたいと考えております。

井上(和)分科員 正規の教員として採用すれば問題ないんですよね。それをアシスタントだということで採用するなら、これは当たり前の話で、その指揮監督下に入るわけですから、業務委託じゃないのは明白ですよね。ところが、もう完全に派遣法違反の実態があると私は思いますが、厚生労働省は、きょう来ていただいていますが、見解はいかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のALT、学校におきます外国語指導助手の業務でございますが、今お答えございましたとおり、直接雇用の契約以外に、業務請負契約あるいは業務委託契約という形で行われている事例もあるわけでございますが、これにつきましてどういうふうに判断をするかということにつきまして、就業先の学校におきまして、業務遂行上の指揮命令、これを受けているかどうかということを個別具体的に判断する必要があろうかと思います。

 仮に業務遂行の上で指揮命令を受けておるということでありますれば、契約上の形態のいかんにかかわらず労働者派遣に当たる、つまり労働者派遣法に違反をしている疑いがあるというふうに考えられるところでございます。

井上(和)分科員 本当に今まさしくおっしゃったように、私はやはり労働者派遣法違反だと思いますよ。これをきちっと直していく。その問題の根幹は、やはり正規の職員として採用しないからというふうに私は思います。

 外国人の先生、公立や私立の学校以外でも、語学の学校で働いている方も多いんですが、いろいろお話を聞くと、学校が実は社会保険に入っていないという方もどうも多いんですね。これだけ日本の社会を国際化しろ国際化しろと言われているにもかかわらず、いざ外国人の方の雇用になると、やはり日本人と違ったいろいろな雇用の実態があるわけです。それを本当にきちっとしていかなければ、日本の社会を本当に国際化することはできないし、優秀な外国人の方に日本で仕事をしてもらうということも難しいと思うんです。

 雇用保険の問題に関してちょっとお伺いしますが、語学の学校でどうも入っていない方が多い。勤務時間数にもよるんですけれども、私はやはりきちっと労働基準監督署が指導する必要があると思うんですが、その辺の実態はいかがでしょうか。

高橋政府参考人 今のお尋ねは労働保険にかかわる問題かと思いますが、このことにつきましてお答え申し上げます。

 労働保険、労災保険と雇用保険と二つあるわけでございますが、労働保険につきましては、原則、労働者を一人でも雇っておる事業所におきましては強制適用でございます。このことにつきましては国籍のいかんを問わず適用されておるわけでございまして、したがいまして、外国人の方を雇っておられる事業所におきましては、当然、労働保険の成立手続をとる必要がございます。

 このうち、労災保険につきましては、雇用形態のいかんにかかわらず、すべての労働者が適用されることになります。それから一方、雇用保険でございますが、雇用保険につきましては、おおむね一年程度の雇用継続が見込まれる方につきまして、労働時間の実態が、短時間労働者の場合、週二十時間以上の実態があれば被保険者資格を取得することになろうかというふうに考えております。

井上(和)分科員 もう一回確認なんですが、週二十時間以上あればですか。ちょっと確認をさせてください。

高橋政府参考人 御指摘のとおりでございます。

井上(和)分科員 はい、わかりました。

 それで、こういった問題が起こる根源は、先ほども申し上げたように、やはり正規の教師として採用されない。日本に十年近く住んでいる英語の先生もたくさんいらっしゃるわけですよね。優秀な人をどんどん正規の教員に採用すれば、やはりそれはもう日本の英語教育の改善につながるわけなので、ぜひこれはやる必要があると私は思うんですが、どうもいろいろ聞いていますと、いろいろなこういった英語教育に関して討論する場で発言力を持っているのが大学の先生であって、大学の先生で英語を教えている、将来英語の教師になろうという学生さんたちを教えている先生方だと。そうなりますと、そういった学生さんたちのための職場を確保しなきゃいけない。そういった職場を、英語の教員の新規採用の数が外国人にとられてしまっては困ると。

 どうもその辺の、要するに既得権益を守るという考えがあって、なかなか多くのネーティブスピーカーを英語教育の場に持っていくことが広がらないんだというふうに私は考えているんですね。しかし、英語教育のように、本当に我が国の将来の発展にとってこれは密接な関係がありますよね、そういったものが、そんな一部の、何か一つの権益を守るというようなことであっては、これはもう国家の将来を過つことになりますから、本当に困ると私は思います。

 そういった意味で、やはり各校一人ぐらいはネーティブスピーカーを置くようにすれば、私は日本人の英語力もどんどん将来的に向上してくると思うんですけれども、その辺、私は大臣がリーダーシップを発揮していただければ十分そういうことは可能じゃないかと思うんですが、世界銀行勤務経験の大臣として、いかがでしょうか。

中山国務大臣 御指摘のように、やはり各学校一人ぐらいはネーティブがいて、子供たちと日常接することによって、特に私は発音だと思うんですけれども、しっかりと発音を覚えるということは非常に大事なことだろう、そう思いまして、できるだけそういった先生方を広く採用するということに進めていかなければいかぬなと思っています。

 ただ、これは、英語を学んだ日本人の職場を狭めるからとか、そんな話じゃないと思うんですけれども、やはり先生というのも公務員でございますから、公務員は公務員として、そういった公権力の行使とかあるいは公の意思の形成に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする、こういうふうなこともあるわけでございまして、そういったことから、講師だとか非常勤講師だとかいろいろな形でそういった方々のお力をおかりすることもできるんじゃないか、私はこう思うわけでございまして、これからもぜひ、そういった本当にネーティブの方々がたくさん学校に入ってきていただくという方向で進めていきたいと考えております。

井上(和)分科員 ネーティブの方、特にいい方に入ってもらうには、これはやはりきちっとした雇用形態がなければ優秀な方に行っていただくことはなかなかできませんから、人材ももうグローバルコンペティションですから、いい人を確保するには、日本の給料はもうかなりのスタンダードですから、やはりきちっとした契約があれば本当に優秀な人に日本にいてもらうことができると思うので、きちっとしないといけないと思います。

 一つ、私の地元の東京の荒川区では、小学校の英語教育を昨年始めたんですね。要するに、小学校の先生に数日間英語のトレーニングをして教えるということを始めたんですが、私もちょっと本当に乱暴なやり方だなと思っていて、要するにパフォーマンス中心の区長だと思っていたら、その人は汚職で逮捕されましたけれども、本当にそんなことがまかり通っていたら、これは逆に子供たちが本当に気の毒だと思うんですね。

 まさしく今大臣がおっしゃったように、発音だとおっしゃっていますが、子供たちが、先生から習ってそれが英語だと思って外国人に話してみたら全然通じなかったといったら、これは本当にかわいそうですよ。だから、特に小さい子供はやはり発音が大事ですから、ネーティブの先生を使うことが本当に大事だと私は思うので、ぜひ本当に大臣に御尽力いただければなというふうに思います。

 あと、小学校の教育も、私は、やはり中学、高校の英語教育をまずしっかりするということが大事だと思います。小学校でやるのも発音面では当然いいと思うんですけれども、まずとにかく中学校、高校でしっかり英語の話せる先生を入れて、すそ野を上げていくということだろうと思います。そしてそれを、どれだけ実際の成果が出ているかを評価しなきゃいけないと思うんですが、そういう評価する方法というのをやっていますか。

 例えば、何かテストでTOEICを使っているとか、ちょっとそこだけ簡単に言ってください。

銭谷政府参考人 二点御説明をさせていただきたいと思います。

 一点は、日本にいる中学校、高等学校の英語の先生のスキルアップということが大事だと思っております。それで、英語が使える日本人の育成では、例えば英語の先生は英検の準一級以上を持ってもらうようにみんな努力してもらうとか、英語の先生の質を高めるということが一点必要だと思っております。

 それからもう一点は、子供たちが実際に英語の運用能力がどのぐらい身についているのかといったことをきちんと検証していくということも大事だと思っておりますので、文部科学省では教育課程の実施状況調査というものを実施しておりますが、その中で、英語のヒアリングの能力もはかるようにしているところでございます。

井上(和)分科員 まあ、今のお答えだと、英語が使える日本人じゃなくて、まず英語が使える先生と言っているわけでしょう。それから日本人ですよ。そんな悠長なことを言っていたらこれはいつになるかわからないので、やはりこれは、抜本的なネーティブスピーカーをきちっと各学校一人ぐらいは配置するようなつもりでやっていかないと、本当に、まず英語が使える先生の育成と書きかえて、それからですという話になっちゃうからね。

 それで、最後にお伺いしたいんですが、同じく今、日本に非常に外国人の子供さんたちがふえていて、やはり外国人の子供たちが学校に行かないとかいうと、例えばやることがなくて非行に走ったり、本当にそんなことがあっては逆に困るわけで、やはり日本に今本当にふえている在日外国人の子弟の方たちの教育をしっかりしなきゃいけないと思うんです。その外国人の学校というものがぼつぼつあちこちでできてきているんですが、それをやはりもっと本当に支援するようにしたらどうでしょうか。

銭谷政府参考人 まず、学校教育での外国人児童に対する対応でございますけれども、就学を希望する場合には、義務教育諸学校へ無償で受け入れて、日本人と同一の教育を受ける機会を保障しているわけでございます。

 今お話のございました、未就学、不就学の外国人の子供もいるのではないかという点につきましては、本年度から、教育委員会が地域の関係機関やNPOと連携しながら不就学の実態把握及びその要因を分析して、あわせて就学への支援について実践研究を行う不就学外国人児童生徒支援事業を新たに実施することといたしているところでございます。

玉井政府参考人 いわゆる外国人学校への御指摘だと思いますけれども、学校教育上は、いわゆる各種学校として多くのものが位置づけられているわけでございます。

 この外国人学校、各種学校につきまして、施設の問題がいろいろあるというふうにお聞きしておりますけれども、公立学校等の余裕教室を貸与するということは、これはおのおのの自治体の適切な判断によることが可能でございますけれども、その観点から、文部科学省としても、平成十一年に通知をもって外国人学校等の各種学校等に対して地方自治体が廃校の校舎等を無償貸与する一定の場合には補助金を国庫へ納付することは要さないという措置を講じたところでありますし、また、各種学校の設置認可の規制改革という観点から、昨年六月に設置基準を見直しいたしまして、当該教育施設がその校地、校舎のすべてについて一定の条件のもとに他の学校等の施設設備を使用することができるようにしたことによって、各種学校としての認可がしやすいという状況をつくってきたわけでございます。

井上(和)分科員 きょうは大臣、どうもありがとうございました。時間が来ましたので、これで私の質問を終わります。

津島(恭)主査代理 これにて井上和雄君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前中に引き続き文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川上義博君。

川上分科員 自民党の川上でございます。

 きょうは、大臣、そして理事長は本当にありがとうございます。

 実は、私どもの選挙区の鳥取県では、一つの大きな問題にウラン残土の処理の問題があるわけでありまして、これが長年、十五年、十六年にわたって放置をされている状況であります。司法の判決も出たわけでありますが、解決が長引いた原因は、私はやはりサイクル機構にあるというふうに思うわけであります。

 理事長、まず、約束を履行されていない、まだ今も実際されていないということについて、どのような御感想をお持ちでございますか。

殿塚参考人 核燃料サイクル開発機構理事長の殿塚でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ただいま先生の御質問について、経緯等につきましては先生よく御高承のことであるというふうに存じ上げておりますけれども、若干そのあたりから御説明もさせていただきたいと存じております。時間の都合で大変はしょった説明でございますけれども。

 今どう考えているかというその御質問に対して端的にまずお答え申し上げますと、この搬出問題は、もちろんのことでありますけれども、原子力事業を進めていくためには、関係自治体はもとより、関係する方々の広い御理解がどうしても必要なわけでございますが、残念ながら、長年にわたる当機構の努力にもかかわらず御理解を得るには至らず、今日に至っているわけであります。

 当機構としましては、禁止命令の取り消しを求める裁判を継続する一方で、今までも申しているとおりでございますけれども、現地措置の考え方を基本に置きつつも、あらゆる可能性を含めて搬出の道を探るなど、幅広く問題の解決に向けて鋭意努力をしている最中でございます。何とぞよろしく御理解のほどお願い申し上げます。

川上分科員 今、理事長が、幅広く搬出先を検討しているという話でありましたけれども、今の現地の処理というのは司法の判断上なかなか困難な状況にあると思うんですね。したがって、県内で処理するのも、今の情勢では鳥取県の知事以下必ず反対します。だから、本来であれば、主たる拠点の人形峠の施設の方に搬出すればいいと私は思うんですが、県外を含めて今模索をしておるんだということで理解してよろしいですか。

殿塚参考人 大変微妙な問題でございますけれども、私ども、関係先もあることでございますので、今申し上げましたとおり、現地措置の考え方を基本にしつつも、あらゆる可能性を含めて搬出の道を探るということで御勘弁を願いたい、こういうふうに思っております。

川上分科員 答えられにくいというのはわかりますけれども。

 では、控訴審で和解案を提示されたんですね。そうですね。一部撤去で残りは現地処理という和解案を提示されたことがありますが、当然、一部撤去というのは、相手先、搬入先が想定されるからそういうふうにおっしゃったんでしょう。どこへ撤去しようと思われたんですか。当然、具体的な場所、撤去先を想定しているからこそ一部撤去とおっしゃったわけですから、それはどちらなんですか。

殿塚参考人 かつて、そのような和解案の経緯の中におきまして、他県へというようないきさつが確かにございました。しかしながら、その和解案が出たときの岡山県の知事さんもおっしゃっているように、他県で危ないと思われているものについてはこちらで受け入れるわけにはいかないと。一つ、人形峠の環境センターが御承知のとおり想定された話であるということでありますけれども、そういうことで、いわゆる岡山県というものを念頭に置いた話が、その時点で難しくなったというふうに私は理解しております。

 その後、和解案をめぐる経緯が幾多あったわけでございますけれども、結局、その和解案は成立するに至らず訴訟に至ったということでございますので、過去の経緯は今先生の御質問のとおりあったということとして理解をしておるということでございます。

川上分科員 もっと歯切れよくおっしゃってもらわないと困るわけなんですよ。

 ですから、再度確認しますと、和解案の際は、レベルの高いものは一部撤去、サイクル機構の岡山の方で処理しようと思っていたということと同時に、今はそれはなかなか難しいから、さりとて県内で処理というのもなかなか現実的に対応が苦しい、したがって、幅広く考えているんだと。幅広く考えているということは、県外も想定しているということなんでしょう。それをはっきりおっしゃってもらわないと困るんですよ。

殿塚参考人 歯切れが悪いということでまことに申しわけないんですけれども、やはりお相手のあることでもありますので、ひとつ、先ほど申し上げましたとおりのことで御勘弁を願いたいというふうに思っております。

川上分科員 だから、相手があるということは、鳥取県内というのは相手にならないんだから。相手があるということは、それは配慮してくださいよという話はわかります。だから、相手があるということは県内ではないということなんでしょう。それと今鋭意交渉しているということなんでしょうということなんです。

殿塚参考人 あらゆる可能性を含めて検討しているということでございますので、あとは御賢察にゆだねたいというふうに存じております。

川上分科員 大臣、前に遠山大臣が、これは当事者間の問題であるので、現実的な対応を当事者間でやってもらいたいという発言があったんですけれども、ここまで司法の判断が出て、毎日七十五万ずつ今サイクル機構から現地の住民に支払っているんですよ、毎日七十五万円。今トータルで大体三千万円を突破しているんですね。その三千万円を突破して、今度は八十万になる。弁護士はもっと制裁金の増額を要求しようじゃないかという話になっているんです。あっという間に一億、二億いってしまいますよ。

 今のような答弁で私は納得いかないんですけれども、年間予算一千億円超補助金をお出しになっている監督官庁の大臣としては、この問題に取り組まれるどのような覚悟があるか、お伺いをしたいと思います。

中山国務大臣 撤去義務が履行できない以上、司法の判断に従って間接強制金の支払いを行わざるを得ない。決して望ましいことであるとは思っておりません。

 したがって、文部科学省としても、この問題が解決に至っていないということを大変憂慮しているわけでございまして、サイクル機構に対しましては、一日も早く撤去先を確保するように最大限の努力を促しているところでございます。

 今るる話がありましたように、大変長い経緯のある、複雑化した問題でございまして、文部科学省といたしましても、サイクル機構の検討状況等を踏まえつつ、何かよい解決策がないものかということで、省内でも鋭意検討を進めているところでございます。

川上分科員 もう一度大臣にお伺いしますけれども、やはり原子力行政というのは国民の信頼がベースになければだめなんですね、私が言うまでもないことなんですけれども。

 ところが、この対応を見てみますと、原子力行政に対する不信感というのは物すごく今蔓延しているんです。だから、原子力開発を国がいわばサイクル機構に担わせてきたわけでありますから、国の関与というのは物すごく深いものがあると思います。

 したがって、今負の遺産になっていますけれども、これを解決するためにはやはり国が積極的に直接関与するということが必要なことではないかなと思いますので、いま一度大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

中山国務大臣 サイクル機構としても、本当にいろいろ苦労しながらこれまで頑張ってきておるということはあるんですけれども、文部科学省としても、何とかこの問題は、本当に大きな問題でございますので、引き続きサイクル機構の努力を促しながら、今お話しありましたけれども、文部科学省としても何ができるのかということをもう一段踏み込んで検討していきたい、このように考えております。

川上分科員 大臣の答弁は大変前向きで、何ができるかもう一歩踏み込んで考えてみたいという話でありました。

 理事長、麻畑に処理をしようということで、隧道といいますかトンネルを掘ってやろうという話だったんですけれども、それは裁判所から、妥当性がない、禁止といいますか、要するに、裁判所は、麻畑以外に搬入し得る場所が存在しないと認めるに足る資料はないと言っているんです。だから、麻畑以外でやりなさいと言っているんですよね。

 ところが、私は、十数年前に、県議会のときに、出たところあるいはその近くに、鉱石が出たんだから、その処理した残土は埋め戻せばいいじゃないかと言ったんですよ、サイクル機構に。そのときにサイクル機構は、いや、技術的に難しい、地形がそんな岩盤があるとは思えないとか、軟弱だとか、あるいは費用がかさむというふうな理由で。それから、一番重要なのは、方面の近くですから、今問題が発生している住民の、二十戸ぐらいの集落なんですけれども、その近くだから必ず反対運動が起こると言ったんですよ、あのときに。いろいろな理由でそれは無理だとあのときに回答しているんですね。

 今こういうことになって、麻畑で処理するんだということは、合理性がないんですよ、当時の回答と今の回答が。麻畑というのは、裁判所もそういうのは認めがたいというふうに判断しているわけなんですね。

 難しい難しい、今言うのはなかなか、御理解くださいよということなんですが、県外も含めて、県外というのは広いですよ。関係者といって、特定する人はないでしょう、特定する場所もないでしょう。だから、県外も含めて今一生懸命検討していますということを答えられるのが誠意というものでしょう。それも答えられませんなんと言ったって、それは通る問題じゃないですよ。いま一度。

殿塚参考人 長い経緯のある問題でございます。ただいま先生おっしゃったような経緯もあったというふうに承知しております。

 今日この段階において、私どもは、その過去のいろいろな経緯というものを踏まえた上で、新たに前向きの考え方の中で、きちんとこの問題にけりをつけるという観点の中からは、やはりいろいろないきさつはあるにせよ、その現地の処理という考え方も踏まえつつも、ただそれだけですべてが解決できるのかということについてはいろいろ課題もございます。

 そういう意味で、私は、広くあらゆる可能性というものを踏まえた上で解決のための努力を現在しているということでございまして、どういう具体的な話を今方向性を持ってやっているのかということにつきましては、くどいようでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろなお相手がいることでございますので、それから、いろいろなまた反応があることでございます。

 ただ、私は、解決に結びつかなければならぬという思いで臨んでおりますので、ただいまのところはこういうことで御勘弁を賜りたいというふうに思っております。

川上分科員 会計検査院がいらっしゃっているんですけれども、実は今、制裁金が、先ほど言いましたとおり、毎日毎日七十五万円支払う義務があるわけなんです。今、三千万円を超えているらしいんですけれども、先日は、その一部である千五百万円超を支払った。

 そのときに、県もそうなんですけれども、住民の弁護士もこう言っておるんですね。何の痛痒もなく、痛みもなく支払ってきている。残土撤去に向けた具体的な行動が何らとられていなく、理事長、よく聞いてくださいよ、強制金が強制として働いていないと言っているんですよ。強制金が強制として働いていない。要するに、国のお金だから、自分のポケットから出るお金じゃないから、痛みも感じなく、唯々諾々とというか安易に支払っているということなんですよ。

 そういうことを、理事長、どのようにお考えになるんですか。国民の税金を使っているんです。サイクル機構も収入が一部あるかもしれませんが、一千百億円の補助金を国からもらって、それを充てている。これから一億、二億、三億いくかもしれませんよ。どういうふうにお感じになりますか。

 それと同時に、この制裁金の支払いということについて、会計検査院はどのように今後調査をして対応されるつもりなのか。まず理事長と、それからあと会計検査院にお伺いします。

殿塚参考人 今の御質問の中に、唯々諾々とというようなお話が引用という形でございましたけれども、私は、決して唯々諾々とは感じておりません。一日も早くこの問題を解決して、制裁金を少しでもなくなるような形に努力をしているところでございます。

 判決の結果、ただいまの段階では撤去先あるいは仮置き先が確定していないものですから、そのために、まことに遺憾ながら制裁金を払っているわけであります。改めて申し上げますけれども、この状態を解消するべく最大の努力を、また繰り返しになりますけれども、あらゆる可能性の中に追求していきたいというふうに考えております。

千坂会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 核燃料サイクル開発機構に対して方面捨て石堆積場敷地内のウラン残土約三千立方メートルの撤去を命ずる最高裁判決を受けて、核燃料サイクル機構では、ウラン残土の受け入れ先を探したものの、受け入れ先が見つからず、撤去期限を経過したため強制金を支払ったものと承知しているところでございます。

 会計検査院としては、できるだけ早く関係者の理解を得てウラン残土の受け入れ先が決まることが望ましいと考えております。現在、核燃料サイクル開発機構の取り組み状況を関心を持って見守っているところでありますが、このまま推移いたしますと強制金が増嵩するおそれがありますことから、今後、核燃料サイクル開発機構の対応が適切に行われているかを把握するなどして検査していきたいと考えております。

川上分科員 会計検査院、これから調査、検査をやっていくということでありましたけれども、それでよろしいですね。ちょっと答弁してください。

千坂会計検査院当局者 はい。今後、機構の対応状況について検査してまいりたいと思っております。

川上分科員 先ほど理事長が、あらゆる可能性を考えて積極的に対応したいと。それは当たり前なんです、努力をしなければいけない。

 実は、岡山県の方も同じような残土が出て、人形峠で処理したわけなんですね。岡山県から出たものは人形峠で処理した。鳥取県から出たものは、岡山の感情があるものですから、これは鳥取県で処理したらどうですかと言われて、なかなか進まない。ただ、第一義的には、やはりサイクル機構の主たる拠点の岡山県側で処理するのが一番いわば合理的だと思うんですね。

 ただ問題は、私はどうかわかりませんけれども、もし県外からウラン残土を搬入すれば、将来、高レベルの核廃棄物の処理施設をそこに設置するという道が開けるのではないかという危惧が、そのおそれがあってだめだと拒否している。

 だから、今お尋ねしたいのは、そういった高レベルというものの保管、計画が、多分ないと思いますけれども、明確にそういうものはないんだというふうにおっしゃっていただければ、岡山県の方も安堵すると思いますけれども、どうですか。

殿塚参考人 高レベル廃棄物の処理処分問題につきましては、先生御承知のとおり、現在、原子力環境整備機構、NUMOという機関がその立地等を行うということに決まっておりまして、私どもの分野のあれではございませんけれども、私が聞き及んでいるところは、今そのような話はない、そういうふうに承知しております。

川上分科員 時間が来ましたのでこれで終わりにしますけれども、この問題は、大臣と理事長、ぜひ積極的に、例えば民間の方で処理させるとか、例えば電力会社はもっと高レベルな廃棄物を処理しているんですよ。処理というか保管しているんですよ。そうでしょう。今の一ミリシーベルトクラスのものは、いわば高レベル核廃棄物から比べるとレベルがないに等しいみたいなものですから、電力会社に任せますよと言えば、当然処理してくれると思うんですよ、ある程度お金を払えば。

 だから、そういった民間のことも含めて、積極的に交渉されれば一日でも早く解決できると思いますので、そういった意味も含めて、最後に、しつこいようですけれども、大臣のもう二歩進んだ御答弁と理事長の最後の決意をお願いしたいと思います。

中山国務大臣 これは、川上委員御指摘のように、本当に一日も早く解決しなきゃいけない問題だと思うんです。そういう意味で、これまでももちろん努力を怠ってきたわけじゃないと思いますけれども、もう一度サイクル機構も、今言われました民間にお願いするということも含めまして、本当に早くけりをつけるという方向でやっていかないかぬ、このように思っております。

殿塚参考人 そのような方法については、私も先生の御意見として深く承っておきます。

 私は、いずれにしましても、撤去協定を締結してから今日で十五年になる問題でございますので、この問題がまだ解決に至っていないということはまことに遺憾であるというふうに考えております。

 私どもとしましては、鳥取県の禁止命令の取り消しを求める裁判を継続する一方で、現地措置の考え方を基本としつつも、あらゆる可能性を含めて搬出の道を探るなど、幅広く問題の解決に向けて鋭意努力をしてまいる所存でございます。御理解を賜りたいと思います。

川上分科員 これでやめようと思ったんですけれども、最後、やはり往生際が悪いと言われておるんですよ、サイクル機構は。また裁判に訴えて、禁止のそれをまた禁止する、おかしいというのでまた裁判を起こすというのは、本当におかしいですよ。

 理事長、理事長が在任中にこれを解決するという意欲はあるんですか。また裁判をやって延々と長引かせて、制裁金はどんどん支払われて。私の在任中は、もう裁判とかそういう手段じゃなくて現実的な処理をいたします、私の命をかけてやりますぐらいのことを言ったらどうですか。

 以上、終わります。どうぞ答弁していただきたい。

殿塚参考人 ちょっと誤解をされたことは残念でございますが、新たに裁判なんということは毛頭考えておりませんで、現在行っている話というものは話として、裁判として継続されなければならぬと考えているだけでございます。

 私は、在任中に、あらゆる方途をもって検討し、実行して、解決に取り組みたいというふうに思っておりますので、ぜひともこの気持ちを御理解賜りたいというふうに思っております。

松本主査 これにて川上義博君の質疑は終了いたしました。

 次に、高山智司君。

高山分科員 民主党の高山智司です。

 私はさいたま市の選出なんですけれども、きょうは、まず、決算ということで、お金の使い方、あとは国有財産の使い方がどうなっているのかということで伺いたいと思います。

 といいますのも、私の地元のさいたま市には、関東整備局だとか国土交通省の機関の一部、そういう国の機関がどんどん今新しい庁舎に移転してきているところでございます。また、行政改革や省庁再編というのがいろいろありまして、さぞかし霞が関の周辺は空室が目立つように、今どんどん行政がスリム化しているのかと思いきや、どうもそうでもないらしいということで、まず伺いたいのは、文部省の建物が、今パンフレットがありますけれども、今度虎ノ門の方で建てかえるということになりましたけれども、これはどういう経緯で建てかえることになったのか、いつ、どういう経緯で決まったかというのを教えてください。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省の建物を含めあの地域の建てかえが決まりましたのは、新都市再生プロジェクト、これは平成十三年六月十四日、都市再生本部でございますけれども、そこでPFIによって中央官庁施設を整備しようということになりまして、その中に、「文部科学省、会計検査院についてPFI手法による建替えと、これらの官庁施設を含む街区全体の再開発について、必要な調査を実施する。」ということになったわけでございまして、これに基づき調査を進めていったわけでございます。

 文部科学省としては、他省庁と一緒になってPFIの事業を検討するとともに、あわせて、やはりどこかに仮庁舎を確保する必要がございますので、その選定を並行して続けていったわけでございます。

高山分科員 PFI事業を使うというのは、国のお金を余り使わないで有効に建てていこうじゃないかということで、非常にいいと思うんですけれども、このPFIの中に、例えば引っ越しの費用とか内装を変えたりとか、そういう費用も含まれているんですか。

玉井政府参考人 PFI自体は、これは新しく建つ建物の整備費それからその維持管理費というところをPFIでやるわけでございまして、仮庁舎に移転すること自体は別途の予算措置ということになります。

高山分科員 そうしますと、では、その仮庁舎をどこに移転するですとか、引っ越しの間はどうするというのは、これはPFIの民間の事業者、不動産業者の判断ということではなくて、役所の判断ということになるんでしょうか。それはどちらになるんでしょうか。

玉井政府参考人 仮庁舎の選定につきましては、これは、文部科学省の関係でございますと文部科学省として、当然、いろいろと施設の整備等もございますので、鋭意関係省庁と協議しながら進めていくということになります。

高山分科員 それでは、文部科学省ですけれども、今このプロジェクトがどんどん進行していると思うんですけれども、では、現在は文部科学省はもう引っ越し済みなんでしょうか。それで、引っ越したとしたら、どこに今引っ越していますか。

玉井政府参考人 既に文部科学省は仮庁舎に移転をしておりまして、現在、丸の内でございまして、そこは三菱重工のもとのビルでございます。

高山分科員 今、三菱重工のビルということでしたけれども、では、具体的にこのビルに移転しようということを決めたのは、これはどういうプロセスで決めたのか、ちょっと詳細に教えていただけますか。

玉井政府参考人 仮庁舎をどこにするかにつきましていろいろ検討するに当たって、まずは合同庁舎が利用できないかどうかということも当然のことながら考えるわけでございまして、そのときに、平成十四年一月に関係省庁に相談をしたところ、合同庁舎の利用はできない、そこまではあいていないということでございましたので、民間のビルについて調査をすることにいたしました。

 そこで、このビルにつきましていろいろな観点から検討したわけでございますが、大体五つの観点から、民間ビルはどれが適当であるかを考えたわけでございます。

 一つは、文部科学省全体で入居可能なスペースがやはり必要でございます。二つ目に、ここで御議論いただいておりますが、国会や霞が関への時間などの利便性ということもやはり考える必要があるわけでございます。三つ目に、文部科学省全体での入居に当たって、ビルのほとんどが占有できることが、使い方であると同時に、四つ目のセキュリティーの確保ができるということにも関係してくるわけでございます。そして五番目として、最寄り駅からの時間など、来省者等の利便性が確保できることといったような条件を考えていたわけでございまして、あわせて、一体どれぐらいかかるのかという経費の面も十分勘案をさせていただいて、そして、関係する不動産等の民間事業者から今申し上げたような条件のことをずっとお出しいただいて、その中から比較考量をして決定していった、こういうものでございます。

高山分科員 今、経費の点もいろいろ御検討したということでしたけれども、これは私の方で、不動産白書ですとか、あるいは民間のこういう大きいビル貸しをしているところに、大体どの地区で賃料がどのぐらいかというのを調べました。例えば丸の内・大手町地区というのは、坪当たりで全部いきますけれども、坪当たり二万三千百八十円だそうです。内幸町・霞が関地区というのは一万六千六百四十円。でも、これは小さいビルなんかも入っているということなので、では三千坪以上のところはどうでしょうということで見てみますと、内幸町・霞が関地区なんかですと二万九千円というようなことが出ています。丸の内地区というのは非常に高くて、三万五千円ぐらいということになっているそうでございます。

 それで、そういうのを踏まえて、今、三菱重工のビルは大体坪幾らで借りているんですか。

玉井政府参考人 坪当たり三万三千三十円、これが賃料でございます。

高山分科員 これは、首都圏のいろいろな場所のオフィス事情、飯田橋地区ですとか霞が関、あと丸の内、いろいろなところを調べますと、丸の内・大手町地区というのは一番高いんですよ。その中で見れば平均的な家賃なのかな、当然そういうことになると思いますけれども、なぜわざわざこんな一番の一等地に移転する必要があったのかということで伺いたいんです。

 これは、実際移転するときに、本当に東京駅の目の前の丸ビルの横、それで、もう御存じだと思いますけれども、高級ブランドが建ち並ぶようなファッションストリートのところにちょうど建っているビルですよ。そうじゃなくて、例えば虎ノ門だとか内幸町、まだいっぱいオフィスはあいていると思うんですけれども、ほかに何かビルは比較検討されたんですか。

玉井政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、おおむね五つぐらいの条件の中で、全部が一〇〇%満たされるというわけではないでしょうけれども、できるだけそれらの条件が満たされる、同時に経費ができるだけ安価なものになるということで検討をさせていただいたわけでございまして、そのときに、三菱重工ビルが今の条件を整え、かつ比較的安価であったということになろうかと思います。

 特に、条件をぐっと絞り込んでまいりますと、ほかのところではやはり四万円を超える。今丸の内の御指摘がございましたけれども、少々古いビル、昭和五十三年とか四十六年、重工ビルは三十九年でございますから、これらの古いビルでも、平成十四年当時、大体坪当たりの賃料というのが四万円前後あったわけでございます。そういう中から私どもは、いろいろな条件を整える中で、一番いわば安価ということで三菱重工ビルの選定をいたしたわけでございます。

高山分科員 これはちょっと大臣にも伺いたいんですけれども、例えば、我々なんかが普通にマンションを買ったり借りたりとかいうときには、もちろん初めにいろいろ条件はつけると思うんです。安全なところがいい、あるいは学校が近い方がいい、図書館がいいとか駅が近いとか駐車場がとか、いろいろあるんだけれども、でも予算がこのぐらいだから、ここはちょっと駅から遠いけれども妥協しようじゃないかというふうに考えて決めていくのが普通だと思うんです。

 大臣、これはもともと予算が初めに決まっていて、その枠内でやろうという発想だったのか、それとも、とにかく合う条件を探していって、そこに合うところが坪三万三千円だからしようがないや、こういう決め方だったのか、これは伺っていますか。もし伺っていなければ、官房長の方でも結構ですけれども。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに予算ありきということではございません。今申し上げましたようなことをいろいろ勘案して、そして選定をして、そのことが果たして適当かどうかは当然予算査定を受けるわけでございますので、その中で今申し上げたところに決まっていったということでございます。

高山分科員 これはちょっと大臣に伺いたいんです。

 例えば、こういうふうに引っ越す場合に、建てかえで生ずるしようがない費用だとはいっても、本当に、建てかえている間の五年ぐらいの話ですね。だから、まず初めに予算を、虎ノ門のところを再開発する上で引っ越し費用も大体このぐらいにおさめたいね、こういうのがあって、それでその中に合う条件を決めていくべきなんじゃないんですか。いろいろこういう条件をばあばあ出してきて、だから幾ら下さいというのでは、ちょっと余りにも、自分の懐が痛まないからといって決め方の順序がおかしいと思うんですけれども、大臣はどのようにお感じになりましたか。いや、これは大臣に、どういうふうに感じたか。事実の問題は先ほど官房長から御答弁いただきました。

中山国務大臣 普通の民間と違いまして、先ほど話がありましたように、国会と近いこととか、あるいはやはり一緒にいなきゃいかぬとか、あるいはセキュリティーの問題とか、いろいろありますから、そういったことを総合的に考えて、またその中で一番安いところというふうに決めた。今質疑を聞いておりましてそういうことだったのかなと思うわけでございまして、初めに予算幾らありきというのは、これはなかなか今の予算の仕組み、会計上はそういうことはしていない。やはり、いろいろ考えた末に、これぐらいだけれどもどうでしょうかという話じゃないかと思いますね。

高山分科員 そうですかね。これから虎ノ門のこの地域を、こういう民間の活力も得て国有財産もどんどん有効活用していこうじゃないかという中で、そういう引っ越し費用で例えばむだが出てしまったら、元も子もないというわけではないですけれども、やはり、まずどれぐらいの予算内で引っ越し、例えば家賃は幾らぐらい以下にしなきゃいけないね、こういうので探すべきなんじゃないですか。そうしないと、これは要る費用ですから、これは要る費用ですからとなってきたら、国の予算なんか、みんな大体理由を聞いていけば要る費用なんですから、節約のしようがないと思いますよ。

 それともう一つ、さっきちょっと官房長の方からおっしゃらなかったけれども、僕は初めに、仮庁舎を選んだ理由、それでどこか比較対照しましたかというふうに事務方の方に聞きましたら、比較対照しました、そこに比べて安いんですということでいろいろ資料を、これは文部省の方からいただいた資料ですけれども、比べているのは、三菱重工ビルが坪当たり三万三千円だ、だけれども、六本木ヒルズが四万一千二百円だから安いじゃないですかということなんですよ。

 なので、私としては、いや、六本木ヒルズと比べられたら、それは大体のところは安いんじゃないんですかというふうに伺いましたら、ほかにも比較検討してきたということでいろいろビルの名前が挙がってきましたけれども、官房長、ほかにも具体的にどれか挙げたところはありますか。

玉井政府参考人 その当時、永田町のあたりだとか、あるいは場合によっては新橋の方はいかがであろうかとか、こういった見方はしております。そういうものも含めてずっと比較しながら、ただ、やはり面積がどれぐらいまとまってとれるか。先ほど、値段がもっと安いところがあるのではないかと。ですけれども、これはかなり規模によって値段も違ってきているわけでございますので、したがって、ある程度まとまったところということを前提としながら、また距離も考えながら、そしてその中で最も経費的に安価なものということで選んだわけでございます。

 したがって、先ほど丸の内ということも少しお答えいたしました。あの当時の、平成十四年、古い建物でも四万前後、新しいものになるともっと高くなってくるわけでございますけれども、その中でも重工ビルは三万三千円とかなり安いということもあって選ばせていただいたということでございます。

高山分科員 いや、これは大臣にも、感覚的なことで申しわけないのでちょっと聞きたいんです。

 私が初め文部省からいただいた資料ですと、参考見積もりもほかのところをとりましたと言って出してきたものなんですけれども、三菱重工ビルは確かに三万三千円で一番安いんですよ。次に出したのが、六本木ヒルズが四万一千円、アーク森ビルが三万六千円、これは全部坪ですけれども、六本木一丁目プロジェクトというあの新しいビルが建っているところ、あれは四万二千三百円だ、だから比較して三菱重工ビルが安いというような答えだったんです。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、それだったら、文部省が出張するときに、出張するときのホテル代は出しますよ、だけれども、それはみんなビジネスホテルか何かに行くと思いきや、例えば帝国ホテルとニューオータニとオークラとかで比較して、三万円だったからここは一番安いです、これは比較する場所が間違えているんじゃないんですか。もっと民間の家賃相場を見て、それで決める方がよかったんじゃないですか。だって、家賃の高い高級なビルばかり比較して、その中で、しかも家賃平均が非常に高い丸の内のところをまた選んでいっているというのは、大臣、これは決め方としてはどうですかね。

中山国務大臣 個人でいえば、それは一人二人ですからいいんですけれども、やはりまとまってこれだけの人間が何年間住むわけですから、そういうことを考えれば、非常に対象は狭まってくるんじゃないですかね。それがあって、こういうふうなことでいろいろ探してここに決まったものだと思いますよ。だから、一般の出張の話とは全く違う。これだけの人間が、二千人の人間が何年かいるわけですから、それはそんな簡単なはずはないんじゃないですか。

高山分科員 そうですかね。とにかく、この高いところを借りているということはちょっとおくとして、それではここに移る前に、ほかの国有財産のあいているところを探したのかどうか。それは、例えば私のさいたま市なんかにどんどん今移転しているわけですから、何かあいている土地なんかあるんじゃないかなというふうにも思ったんですけれども、その辺は検討はしたのかどうかを、まずもう一回確認で伺います。

玉井政府参考人 先ほど経緯のところで申し上げましたが、平成十三年に都市再生プロジェクトの決定においてPFIでやろう、そこから調査検討を始めたわけでございまして、建設期間中の仮庁舎をどこにどう確保するかということでございます。

 そのとき、一番冒頭、私もう既にお答えいたしましたけれども、仮庁舎の確保に当たって、まずは合同庁舎がいかがであろうかということは当然のことながら考えたわけでございます。そして、平成十四年一月に関係機関に問い合わせたわけでございますけれども、霞が関の中央官衙地区には空き庁舎はない、それから大手町の合同庁舎につきましては、既に売り払いの予定であって利用が困難であるということが確認されたわけでございます。

 そこで、私どもとしては、民間ビルを、条件のもとでできるだけ安価なものを得るということでの選定を行っていったわけでございます。

高山分科員 そうしますと、今、関係のところに問い合わせということでしたけれども、そもそも国有財産は一体だれが管理をしているんですか。一応私の理解では、国有財産はみんな財務省の理財局とかそういうところが一元的に管理をしているのかなと思っていたんです。

 これは財務省の方、たしかきょう来ていただいていると思うんですけれども、今、国有財産の、特にそういう役所の建物とかありますね、あの辺の管理というのは一体だれがやっているのか、また所有者がだれなのかということを伺いたいんです。

日野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の国有財産制度におきましては、国有財産法上、庁舎を含む国有財産は各省各庁が管理しなければならないこととされております。管理主体は各省各庁が行いますけれども、その所有者は国でございます。

高山分科員 それでは、ちょっと具体的に聞きたいんです。

 大手町の首都高の乗り口のところの合同庁舎があったと思うんですけれども、あそこは今現にあいているはあいていますね。今の状況がどうかは別として、あいているはあいている。ああいうようなところに、これは単純な考えですけれども、文部省とかが例えば移転すればよかったんじゃないのかなと思ったんですけれども、それはなぜできなかったんですか。これは財務省の方に伺いたいんです。

日野政府参考人 お尋ねの旧大手町合同庁舎一号館、二号館につきましては、入居しておりました官署が、さいたま広域合同庁舎や大手町合同庁舎三号館等に移転をしております。この一号館、二号館につきましては、さいたま広域合同庁舎の整備財源としてできるだけ早期に売却することにしておりましたし、また、これら庁舎は築後約四十年が経過しておりまして耐震性にも問題があった、このようなことから、文部科学省に提供することは不適当というふうに判断したものでございます。

高山分科員 あと、これはまた財務省の方に聞きたいんですけれども、そもそも今の虎ノ門の文科省の跡地の再開発なんですけれども、これは、この後に文科省とか、あるいはもともといた会計検査院が入るというような話ですけれども、別にほかの役所が入ってもいいんじゃないんですか、新しいビルを建てて。何でこれは文科省がここにまた再度入るということになるんですか。

玉井政府参考人 そもそも文部科学省の建物もかなり老朽化をしておりまして、また、あの地域のそれぞれの整備というのはそもそもが課題になってきたわけでございまして、その中で、先ほど申し上げたとおり、平成十三年にPFIによる決定がなされ、その中身は、「文部科学省、会計検査院についてPFI手法による建替えと、これらの官庁施設を含む街区全体の再開発について、必要な調査を実施する。」こういう構想のもとに進められてきたわけでございます。

 したがいまして、建てかえた後には文部科学省がその中に入らせていただく、こういう予定になっております。

高山分科員 あと、この建てかえ事業をやられている都市再生機構の方にも伺いたいんですけれども、この建てかえというのは、高層ビルを建てて、もともとの地権者の人と新たにお金を出した人とで、ここはこういう持ち分になるとかそういうことを決めるものだと思うんですけれども、もともとの地権者はだれになっているんですか。

松野参考人 もともとの所有者でございますが、従前の国有地の名義人は、文部科学省それから会計検査院でございます。

高山分科員 これは財務省の方にちょっと聞きたいんですけれども、そうすると、ここの土地というのは、今の都市再生機構の話ですと、財務省の理財局で管理しているというよりは、国有地といいながら、文部省が持っている土地なんだということなんですか。

 一応、私が聞きたいのは、例えばこういうビルを建てたというときに、文部省というのはたな子として、テナントとして入っている存在なのか、それとも分譲してこの建物を買っちゃっている人なのか、これはどういう扱いになっているんですか。

日野政府参考人 完成した後の状況について申し上げますと、これは、あくまでも所有者は国でございまして、先ほど申し上げましたとおり、こうした庁舎等の行政財産につきましては、法律上、各省各庁が管理しなければならないということになってございますので、完成後の庁舎につきまして、文部科学省はその管理機関という位置づけになります。

高山分科員 ちょっとこれは財務省の方にも聞きたいんですけれども、要するに、今までは土地そのものが余り資産価値がないというか、利用をどうするかとか、本社ビルなんかがどこにあるかというのは、そこからキャッシュフローが出てくるとかいう話ではなかったと思うんですけれども、そういう牧歌的な時代が去って、国有財産である土地なんかも有効利用しようじゃないかということで、こういうプロジェクトは非常にいいと思うんですよ。いいと思うんだけれども、ただ、ずっとそこに文部省が、これなんかを見ると、もともとは何々藩の屋敷でしたとか、その後に文部省ができましたと書いてあるんですけれども、これは何か、ただ占有していて時効取得しちゃったみたいじゃないですか、国の土地を。別にその後に文部省が入らないでも、今ちょうど行政改革だ何だとかやっていって将来的にどういう役所編成になるかもわからないし、どういう省庁が入ってもいいと思うんですよ。

 そういう意味で、公有財産だったり国のビルだったり土地だったり、そういうのは財務省の方で本当は一元管理した方がいいと私は思うんですよ。一元管理をしておけば、例えば移転するときに、大手町の、さっき説明がありましたけれども、うまく融通して、こういう順番で建てかえていけば順繰りにこうやって入れるじゃないかとか、そういうことを考えることができたんじゃないかなと思うんです。

 一応、現行法のことだけ聞いておきます。これは財務省に伺いたいんですけれども、例えば、民間の貸しビルであれば、登記をとれば、所有者がだれですとか、どういう権利がついていますとか全部なっていますね。現在の霞が関の役所の建物というのはどういうふうになっているんですか。権利関係がどういうふうに記載されていますか。

日野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、庁舎あるいはその敷地については国の所有となっておりますけれども、登記名義人は、管理機関を明らかにする意味で各省各庁と表記をされております。これは、国家行政組織法の規定にありますとおり、各省は「それぞれ行政事務を分担管理する。」ということになっておりますので、こうした考えに基づき、登記名義人は今申し上げたような記載となってございます。

高山分科員 では、そうしますと、例えば大手町の土地のように、今までは国土交通省やら国税庁で利用していたものが、今度民間に売られるわけですけれども、それは売り手はだれになるんですか。

日野政府参考人 売り手は財務省ということになります。

高山分科員 そうすると、今まで例えば国税庁なり国土交通省が管理者ということでいて、それは、国土交通省やら何やらが今度どういうふうにここを開発しようだなんということは選べないわけですか。それは財務省が、こういうところに売ろう、ここの土地はこう開発しようというふうに判断することなんですか。

日野政府参考人 行政財産は、そのものを売却するといった処分はできません。処分する場合には、用途廃止をして普通財産といたします。普通財産、これは財源にもなりますので、財務大臣の権限において売却することになります。

高山分科員 では、文部省の方の今の再開発に戻りますけれども、これは文部省に伺いたいんですけれども、この計画というのは、やはり文科省あるいは会計検査院、ここに国というところに書いてありますけれども、こういうところと民間の方とで折衝しながらやったんですか、それとも財務省が中心となって折衝されたんですか。

玉井政府参考人 これはPFI事業でございますので、文部科学省、かかわりがあります会計検査院、国土交通省、それから当然財務省、こういったところが協議しながら進めているところでございます。

高山分科員 そうですけれども、協議はしているけれども、ここはもともと管理者が文部科学省ということで、今度は継続して文部科学省がずっと管理者という地位に立つんですか。それとも、建てて何々している間はあるいは財務省の所有になっていて、またたな子として文科省が入るということなんですか。それはどちらですか。

玉井政府参考人 建てかえた後、これはまさに合同庁舎ということになりますので、いずれにしても省庁が管理をするということになります。先ほど来の御説明にありますように、所管する官庁が管理は行っていくということになりますので、それにつきましては今度は、合同庁舎になっておりますので、会計検査院等々がございますので、その段階で財務省から所管官庁を指定するという手続になってくるわけでございます。

高山分科員 済みません。今の説明、ちょっとよくわからなかったんですけれども、そうすると、では、建てかえている間は、一体国側はだれがここの土地あるいは建物を持っていることになるんですか。いや、これは途中で事故が起きたりなんなりしたときに所有者責任だなんだ問われますから、だれが所有者なのかというのははっきりさせておく必要があると思います。建てかえているときはだれで、建て終わってたな子として入ったらどうなんだということはどういうふうになっているんですか。虎ノ門のこのビルのことで結構です。

玉井政府参考人 今建てかえ中でございますけれども、管理はなお文部科学省、会計検査院もございますが、そこが管理をしている。ただし、実際の業務は、まさにPFI事業者が現に建てかえをやっているわけでございます。そこの事業者がそこの責任を負いながらやっている、こういう状況でございます。

高山分科員 私もこれは一回説明を聞いたんですけれども、なかなか複雑だし、あと、国有地の管理者というのが、これはまた財務省に聞きたいんですけれども、別に所有権者ということでもないわけですね、賃借り人でもないんですから、その管理者というのはどういう位置づけになっているんですか。

日野政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、法律上の位置づけとしては、所有権者ではなくて、あくまでも、当該行政財産を所管し、管理する者という位置づけでございます。

高山分科員 では、その管理者というのは、一体どういう権限があって、あるいはまたどういう責任を負う立場にあるんですか。

日野政府参考人 国有財産法上、行政財産は各省各庁が管理しなければならないとされておりまして、その各省庁はそれぞれ国有財産の事務を分担管理するという国家行政組織法に基づいた管理を行うということとされております。

高山分科員 時間が参りましたのであれですけれども、とにかく、今一番初めに聞きましたように、文科省を移転するときの引っ越し費用ですか、初めに予算ありきというのではなくて、こういう条件こういう条件、その条件というのもかなりいい条件なんですけれども、そういうのを出した上で、これだけ必要だから下さいと。あるいは、国の財産である、役所が建っている建物だから、これは中で融通しようとか、いいんですけれども、民間的感覚だったら、やはり、一等地に建っている土地をどうやって有効利用しようか、だからここにはこういう高いビルを建ててまとめて売っていこうだとか、そういう考えをするはずだと思うんですよね。

 ですから、これはまた、ほかの委員会になると思いますけれども、国有財産の管理のあり方ですとか、そういうのはこれからも厳しくやっていきたいと思います。

 では、終わります。

松本主査 これにて高山智司君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、限られた三十分間という時間でございますが、文部科学行政につきまして、何点かに関しましての御質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、本日の午前中に発生をいたしましたJR福知山線の脱線事故で亡くなられました数多くの皆様方にまず御冥福を申し上げさせていただきますとともに、御遺族の皆様方、また多数の負傷者の皆様方に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは質問に入らせていただきますが、ちょっと順番を変えさせていただきまして、邦楽、和楽器教育について、まず冒頭質問をさせていただきたいと思います。

 先日、読売新聞に、東京都の教育委員会が、二〇〇七年から、まず都立高校で、新教科として日本の伝統文化という教育を開始しようということが今検討されているといった報道がございました。そこのねらい、真の国際人たらん者は、自国の伝統文化、芸術ということをよく理解しなければいけない、こういった趣旨というふうに書かれております。私、全くそのとおりであるというふうに思っております。

 今、教育基本法の中で愛国心というような議論がございますが、私は、日本人である以上、自分の国に対して誇りを持つことは当然であると思います。しかし、国の権力を愛すということではなくて、日本の文化ですとか日本人という民族性であるとか伝統文化、芸術について理解し、そして誇りを持つ、こういうことが本当は大事なのではないか。そういった側面で、今の日本の教育が十分なされているのかどうかということが、ぜひ議論されなければいけない観点なのではないかというふうに私は思っています。

 私の体験なんですが、私はもう小学校を卒業して三十五年になるんですが、実は、私の小学校五年生のときに担当でついていただいた音楽の茅原先生という先生がいまして、変わった先生でして、小学校の音楽の時間にお琴の実践教育というのをしていただきました。

 当時、琴を弾くなんというのは、全くそんなことは考えていないというか、琴というのは見たこともないしさわったこともない。小学校五年生ぐらいの餓鬼大将連中ですと、ピアノなんかもう弾けない、何となく楽器に疎遠なときに、今さら琴なんてというふうに思いながらも、初めて見る琴、そして初めて聞く琴の本当の音色というものに多くの男友達も大変魅了されて、一時間や二時間習うと案外簡単に弾ける楽器でありまして、私も、「さくらさくら」とか「六段」とかを小学校六年生まで習いました。

 実は、その先生、それから三十数年間、私は音信不通だったんですが、茅原先生はいろいろな場で、学校でそういった和楽器教育を実践しながら、海外にも小学校の演奏団を率いて出ていたりとか、大変な活躍をされて、「教育流 邦楽狂師 一代記」という、教育流というのは、どこどこ流という流派じゃなくて、まさに教育流という流派に立った教育をしたいんだということで本を著されておりまして、去年実は私もいただいたんです。

 感動的に、七十ページに、私が小学校六年生のときに、東京都の連合合奏会で、六年生代表で、日比谷公会堂で、私はなぜかコントラバスを弾いて、余り記憶がないんですが、こういった写真なんかの記事も出ておりまして、昔のことを思い出しながら、今、この推進方に取り組みをさせていただいているわけです。

 私がこれを一生懸命やりたいと思ったのは、私は、大学を卒業いたしまして、三井物産という商社で勤務しまして海外に行きました。海外に出ると日本人としてのアイデンティティーというものをすごく考えさせられまして、まさに、自分が日本人でありながら日本のことがわからない、日本のことを知らないということを非常に恥じ入りながら、海外に出て改めて日本の歴史を勉強したりとか、いろいろなことがありました。

 ただ、本当に一点すごく救われたのは、小学校五年、六年のときに琴を習ったことで、お琴のまねごとができる。まねごとをするだけでも、海外で非常に日本の文化を伝える役に立つことができたし、自分としても日本人としての誇りというかアイデンティティーを持つことができた。

 こういったことを話しますと、ああ、いいな、琴も弾くことができるのか、もちろんそんなにうまくないんですが、そういうことを学ぶことができたのか、うらやましいな、こう言われる同僚議員もたくさんいます。

 日本の教育において邦楽教育というのはどうなのかなということをちょっと勉強させていただきますと、いろいろな方の働きかけで、実は、和楽器教育については学習指導要領に、三年前ですか、入っているんです。

 まず確認したいのは、小学校の学習指導要領じゃなくて中学校の学習指導要領に入っているんですね。楽器というのは、小学校からそして中学校という、順序というかステップアップすることの方が僕は普通なのではないかというふうにも思いますし、実は教育者の皆さんでも、小学校から教えさせていただきたい、こういったことがあるんですが、その点、なぜなのかということが一つ。

 もう一つ、学習指導要領というのは非常にシンプルでして、三年間で少なくとも一つ以上の楽器を用いること、こういう表記になっているんです。それだけなんです。中学校の三年間で少なくとも一つ以上の楽器を用いること、こういう学習指導要領になっていまして、これはどういう意味なのか。何を、どんなことをガイドしているのか。太鼓を一回たたけばこの指導要領を満たすのかというような話になりまして、常識的に考えると、一つ以上の楽器を、習得するとまではいかなくても、そこそこ学ぶことができる、こういった意味なのかなというふうにも思います。

 この現状の学習指導要領について今私が取り上げました二点、なぜ小学校に入っていないのかということと、もう一点は、中学校の学習指導要領の現状、三年間で少なくとも一つ以上の楽器を用いることというのはどんなことを求めている、その真意は何ぞや。この二点について御答弁をいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 先生、今お話がございましたように、平成十四年から実施をされております新しい学習指導要領では、中学校で、三学年間を通じて一種類以上の和楽器を用いるということになっております。

 これに対しまして、小学校では、まず、各学年を通じた指導というところで、打楽器につきましては、木琴とか我が国に伝わる楽器を用いなさいということで、通常、小学校では和太鼓を音楽の教育に用いる学校が多くなっているかと思います。それから旋律楽器につきましては、五年生、六年生のところで、いわゆるリコーダー、オルガンなどと並びまして、我が国に伝わる楽器の指導を取り入れるということになっております。

 したがって、小学校の場合は、和楽器については取り上げて指導できるわけでございますけれども、打楽器がどちらかというと中心になっているということでございます。

 中学校に入りまして、小学校で培いました楽器の教育を受けまして、さらに発展的にさまざまな楽器の学習をするわけでございます。今回、中学校については、もちろん従来から取り上げることは可能であったわけでございますけれども、これを三学年間を通じてとにかく一種類以上の和楽器を必ず体験できるように今回改めたところでございます。基本的には、小学校の学習の上に立って、中学校で和楽器を必ず一種類以上体験できるようにしたということでございます。

 それで、和楽器について、中学校で三学年間を通じて一種類以上の楽器を用いることの意味合いでございますけれども、これにつきましては、三学年を通じまして、どの学年でもいいわけですけれども、少なくとも一学年以上において授業の中で和楽器を用いた指導をする、和楽器を体験させるということでございます。

 実際の状況でございますけれども、大体二年生でやる学校が多いようでございます。二年生では、一ないし五時間ぐらい配当している学校が全体の七割程度といったような状況になってございます。

 また、楽器の種類でございますけれども、各学校で楽器指導において使用する和楽器、一番多い割合を占めているのは琴でございまして、和楽器指導の大体半分前後の学校で琴を使っているという状況がございます。引き続きまして、いわゆる太鼓などの打楽器、それから三味線、笛、尺八といったような楽器を用いている学校が多いというふうに承知いたしております。

赤羽分科員 三年間で少なくとも一つ以上の楽器を用いることというのは、授業の中で和楽器の指導を受ける、体験できる、体験できるというのはやはり非常にあいまいなんじゃないか、具体的な数字として出ていないことは少しあいまいなのではないかというふうに私は思うんです。

 今局長の御答弁ありましたが、私の手元の資料でも、導入された初年度は、今言われました中学校二年で一時間から五時間が六九・七%、多分同じ資料だと思いますが、そう言うと、何か、なかなかやっているんじゃないかと感じられるかもしれないが、ゼロ時間というのが二四%あるんですよ。逆に言うと、六時間以上やっているというのは六%なんですね。六時間以上やっているのは、一年生のときも六%、二学年でも六%、三学年ですと四%。

 ですから、今の御答弁とは裏腹に、僕は、実態としてはほとんど、まだ三年という状況であるかもしれませんが、なかなか言うほど進んでいないのではないかな、こういうふうに正直感じるわけです。

 琴についても、先日NPOで、NPOといいましても、学校の先生たち、そういう思いのある先生たちが集まっている邦楽教育振興会総会に出て、タウンミーティングで、私なんか余り詳しくないんですが、国会議員の端くれが来ているから精いっぱい現場のことを言おうということで二時間ぐらい御質問を受けて、ちょっと専門家に聞いてきますということだったんです。

 ある先生が一生懸命やって、小学校の予算で琴を十さお購入する。しかし、その先生が三年後に異動すると、学校の予算で買ったものですから琴は前の学校の所有物になる。そうすると、後から来た人が必ずしも教育できないので、そのまましまい込んでしまう。ですから、全国で現実に琴の教育をやっている場合は、ほとんど先生たちが自腹で買っているんですよ。

 NPOの人たちも東京都の中で細々とそういったことをやっているケースもあるけれども、一日二千二百円ぐらいの料金でやっているものですから、ほとんど自腹で、恐らく、必死になって何のためにやっているのかというと、それは日本の伝統文化を、わかりやすく言うと政府が何もやらないから自分たちでやっていくんだ、そうせざるを得ないんだという、本当に一生懸命やっているというのが現状だと思うんですよ。

 せっかく指導要領に書いているんですから、もうちょっと具体的な指導要領の書き込み方をして、少なくとも、全く予算もつけないで三年間で一つ以上の楽器を経験することなんというのは、私はこの指導要領というのは余りにも無責任過ぎるのではないかと言わざるを得ない、これが正直な実感なんですね。

 ですから、日本人のアイデンティティーとか日本の伝統文化をどう伝えていくのかという、今教育論というのはそういったことが議論されているときに、もう少し、文科省を挙げてこの支援体制をつくるということが私は大事なのではないかというふうに思うわけなんです。

 それで、ちょっと確認したいんですが、なかなか実施ができないというのは、お琴を弾ける先生というのも多分限られているのではないか。そういう具体的なノウハウがなかなかないというような側面とか、限られた予算ですから、お琴だけではなくて、和楽器というのは、恐らく、今、日本の学校には、ピアノはあるけれども、お琴があるというのは少ないはずなんですね。

 ですから、そういった予算面での制約とかハードとソフトの両面の制約が、なかなか学習指導要領どおりというか、学習指導要領自体が非常に心もとないんだけれども、少し踏み込めないのはそういった具体的な理由があるのかなと想像するんですけれども、現実にはどのように分析をされているのか、お答えいただけますでしょうか。

銭谷政府参考人 先生からお話がございましたように、私ども、平成十四年から中学校で和楽器指導ということを進めているわけでございますけれども、現実の状況を見ると、課題があるのは事実でございます。

 特に、一つは、音楽担当の教員の中にこれまで和楽器を指導した経験を持つ人が少ないということはあろうかと思います。それからもう一つは、従来から和楽器を保有している学校が少なくて、また、市町村の教育委員会等において計画的に楽器の購入は進めているわけでございますけれども、和楽器自体が必ずしも安価ではないということから、生徒一人一人が一台ずつ楽器を扱うなど、十分な楽器数を確保するということにやはり課題があるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、教員養成課程で、まず、音楽の先生になる方が和楽器を必ず扱うようにするといったようなことや、先生方の研修をしっかり取り進めていくということ、それから教材費につきましては、和楽器を含めまして地方交付税で現在措置しておりますけれども、こういう教材の整備について各教育委員会の方にお願いを申し上げているという状況でございます。

赤羽分科員 確かに、今私が想像したとおりのことが問題点として所在しているという御答弁だったと思いますし、予算も地方交付税に入っているという御答弁なんですけれども、いつ聞いてもそうなんですが、現場に行くと、どこに行っているのかわからない。地方交付税というのは別に名前がついているわけじゃありませんので、なかなか現場では十分な感じではないんだろうな、こう思うんです。

 平成十三年ですか、文化芸術振興基本法という法律ができたときに、実は参議院の文教科学委員会で、この法案採決の際に附帯決議がついております。そこの第六項に、「我が国独自の音楽である古典邦楽が、来年度から学校教育に取り入れられることにかんがみ、古典邦楽教育の充実について配慮すること。」こういう決議がされているんですね。

 この国会決議に対して、行政府としてどんな配慮をしているのか。なかなか短期間に、二、三年ですぐ何とかという話ではないんだろうけれども、こういった附帯決議というのは関係者にとっては物すごく大きな期待となっているのも事実ですし、こういった配慮というのはどこにされているのか、具体的なことをどうやっているのか。

 なかなか役所に聞いても御答弁がいただけないので、まず赤羽が国会でただしてくれ、こう言われておりますので、御答弁いただけますでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 文化芸術振興基本法の際の附帯決議についてのお尋ねでございます。

 この振興基本法の国会審議の際に、御指摘のような附帯決議が参議院であったのは事実でございます。基本法、附帯決議、さらにはこの基本法に基づきます閣議決定を踏まえまして、文化庁におきましては、文化振興の観点から、御指摘の古典邦楽教育の充実についても幾つかの施策を講じておるところでございます。

 二つ三つ御紹介をいたしますと、一つは、国立劇場におきましていわゆる鑑賞教室を開催しておるわけでございまして、ここでは、社会人でございますとか親子を対象とする、例えば歌舞伎、能楽の鑑賞教室が実施されておるわけでございます。

 また、本物の舞台芸術を子供たちが実際に鑑賞する機会というのを、学校でございますとか地域の公民館、文化センター等で実施しておりまして、この巡回公演等でも古典邦楽に触れる機会がございます。

 さらには、伝統文化子ども教室と申しておりますけれども、学校外で子供たちがさまざまな伝統文化、伝統音楽、例えば日本舞踊でございますとか、そういった事柄について継続的に体験、習得できる機会も確保してございまして、こういったことから、先生御指摘のさまざまな伝統古典芸能、音楽等に触れる機会を確保して、附帯決議の要請に努めておるところでございます。

赤羽分科員 音楽鑑賞教室とかお能とか、そういうのは私も中学校のときとか行った覚えがありますけれども、大半、失礼なんですけれども、よく寝るんですよね、なかなか理解ができなくて。ですから、ぜひ生の、実技というか、こちらの方が本当に、私が四十六年間生きてきた経験では、能とか歌舞伎とかを見に行ったことは、それは一つの経験として得がたい経験でありましたけれども、それよりも、ささやかながら琴を自分で弾いてみたということ、この方がよほど教育的な効果が大きいのではないか、こういうふうに私は思いますし、多分、費用なんかでもそちらの方が安くつくのではないか。費用対効果でも、実技指導ということに少し取り組んでいただいた方が何事も成果が大きいのではないかというふうに思っておるんです。

 さはさりながら、なかなか腰が上がらない。いろいろなところを聞いてみますと、東京都内で品川区は結構先進的な古典邦楽教育をやられていまして、いろいろなNPOの皆さんが協力しながら各学校をキャラバンして、一週間ずつとか二週間ずつそういった指導をしている。全中学校だったかな、全小学校を回られている。これは非常にいい事例なのではないかと思いますし、東京都で二〇〇七年とか八年から新教科をやるんだったら、その前段として、やはり文部科学省として、各区の教育委員会にそういったことを推進していくべきだといったことは絶対指導性を発揮していただきたいと思います。NPOの皆さん、元教員の皆さんたちは、そういうことをいつでもお手伝いすると物すごく待っているんですけれども、その舞台がなかなかない。舞台がなくて、自分たちももう高齢になってきたし、なかなかできないかなというような状況になってきているわけであります。

 ここをひとつ、真の国際人たらん日本人を育成するという観点から、そんな難しいことじゃないはずなので、ぜひ、この和楽器教育というものを和文化教育ということに広めてもいいと思うんですが、そこに大臣のリーダーシップを発揮していただきたい。さもなければ、役所は嫌がるかもしれないけれども、伝統文化教育振興法みたいな議員立法もやはり取りかからなければいけないんじゃないか、こんなことも考えているわけであります。

 いろいろなやり方というのはあるはずなんですが、重ねてになりますけれども、本当に日本の文化を学び、日本の文化に誇りを持てる日本人教育というか日本の教育ができるように、和楽器、邦楽楽器の実技というのをぜひ推進方をお願いしたいと思うのですが、大臣から御所見なり御決意をいただければと思います。

中山国務大臣 まず、赤羽委員がお琴を弾けるというのは新しい発見でございましたが、実は、私も今スクールミーティングで現場の学校を見て回っているんですけれども、この前、中央区の阪本小学校に行きましたら、総合的学習の時間に、まさに和楽器、三味線から琴から太鼓からそろえて、三十人ぐらいの子供たちが演奏をしてくれたんです。女の音楽の先生でございましたが、本当に私は驚きました。男の子が三味線を弾いたり、琴を鳴らしているわけですね。

 ああ、これはすばらしいなと思って、いろいろな話を聞きました。それこそ関心を持って話を聞きましたが、いろいろ今赤羽委員から話がありましたように、やはりそれを教える先生が確保できるかということなんです。これについては、まさに、地元の方々、そういった伝統的な和楽器がもう消えようとしているというので、非常に危機感を持って一生懸命応援していただいているということでございました。

 それから、楽器を買うお金、これについては区の方でいろいろ援助していただいたり、また地元の方でも援助していただいておるということでございまして、地域を挙げて、和楽器といいますか邦楽を保存していこう、そして子供たちに日本のよさというものを受け継いでいきたい、そういう地元の熱意が実は伝わってきたわけでございます。

 今話がありましたように、平成十四年から学習指導要領で和楽器に触れるということを文科省も入れたということは、そういう御指摘もあってのことだと思うわけでございまして、日本の伝統とか文化とか歴史、そういったものを本当に保存していきたい。

 昔は、田舎のおばあちゃんたちでもみんな三味線なんか弾けたわけですね。それがもうそうじゃなくなっているということは非常に寂しいわけでございます。もちろん新しいことにも取り組んでいかなければなりませんが、古きよきものもずっと伝えていくということ、これは特に、赤羽委員が言われましたが、外国に行ったときに、日本人だなということを本当に自覚するチャンスにもなるわけでございますから、法律をつくられる前に、まず文部科学省として一段とこのことについては力を入れていかなければならない、そのように考えているところでございます。

赤羽分科員 力強い御答弁ありがとうございます。そのときに、よく専門家の人たちに丸投げするケースがありまして、投げられる方がすごい苦労の連続みたいな形にならないように、ぜひ役所を挙げて、教育委員会とも連携をとりながら、具体的な事業の中で取り組んでいただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。

 もう時間があれなものですから、一点だけ。

 きょう幾つか出していました中で、小学校の防犯対策について一つだけ確認をさせていただきたいのですが、寝屋川市立の中央小学校で二月十四日にああいう痛ましい事件が起こり、そして各学校でいろいろな措置がとられております。神戸市内では、この四月から全八万人の小学生に防犯ブザーを貸与するということも早速始めさせていただきました。東京都では、渋谷区内では、民間事業者、警備会社を全校に、二十校に全部配置するというようなこともとられているというふうに聞いております。それなりに予算をやりくりしながら皆さん取り組んでいる。

 その中で、先日NHKで、横浜市の青葉区内の小学校、これはトライアルですけれども、見守りタグの実証実験。小学生にICタグをかばんにぶら下げてさせて、何かあればボタンを押す。そうすると、見守り人という登録をしている人たちがNTTのネットワークで集まる。NHKでやっていた特集番組をたまたま見ていたんですが、二、三分の間に十人ぐらいの大人が集まっている、そんなシステムがありまして、非常に先見的でいいんじゃないか。

 このことについて、文部科学省も、学校の安全、安心プロジェクトですか、正確な名前は違いますけれども、そういうことも立ち上げているし、我が党内でもそういったプロジェクトでいろいろやっているので、それを聞きたいということでレクチャーをお願いしたんですが、余りよく知られていないんですね。NTTの資料を持ってこられまして、もう少し、旧建設省とまでは言いませんけれども、事業官庁っぽく主体的にやらないと、防犯というのは人任せじゃできないんじゃないか。

 NTTのこういったシステムは、やはり役所を挙げて研究する価値は十分あるんじゃないか。なかなかこれだけじゃ安全は担保できないとかいろいろ懸念はありますが、相当抑止力にはなるのではないかというふうに思います。私は、地域が小学校、中学校の生徒たちの安全を守るというような、口ではよく言っているんですけれども、なかなか仕掛けとしては難しいんですけれども、こういったことというのは、本当に地域を挙げて自分たちの地域の子供たちを守るということですごくいいトライアルなのではないかと思いますので、ぜひ大臣、別に私はNTTから頼まれているわけでも何でもありませんが、この仕組みを大臣が一回視察するぐらいの行動をしていただいて、本当に小学生のお母さんたち、お父さんたちの一番の願いであります防犯の仕組みというんですか治安の仕組み、こういったことをぜひ確立していただきたい、こう思いますので、最後に御答弁を伺わせていただきたい。

塩谷副大臣 御指摘のとおり、最近、学校で大変痛ましい事件が続いておりますので、学校の安全、安心ということは最重要課題として取り組んでいるところでございます。学校関係者並びに地域の皆さん方が一体となってこれに取り組んでいかなきゃならぬと思っております。

 今御指摘のNTTデータの実証実験につきましては、赤羽委員御指摘のとおり、ICタグをつけて、例えば、居場所のせんさくとか通過の確認とか、あるいは駆けつけサービスということでいろいろな機能があるわけでございます。これについては、周辺の住民の皆さん方と協力して、警備員がすぐにそこへ駆けつけていただけるという大変すばらしいシステムだと思っております。

 文部科学省としてどれだけ把握しているかというと、私もつい最近聞いたばかりでございまして、ただ、これは今実験段階でございまして、費用負担の面とかあらゆる課題を今この実験段階において実証しながら、その結果についてしっかりとまた検討をしていきたいと思っておりますので、おっしゃるとおりの、安全、安心について最大限の努力をしてまいらなければならぬと思っております。

赤羽分科員 どうもありがとうございました。

 子供の安全を守るというのはだれも反対もしない、財務省も反対しないと思いますので、しっかりと予算を確保して体制をとっていただきたいと心からお願いを申し上げる次第です。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松本主査 これより総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 説明に先立ちまして、一言申し上げさせていただきます。

 御存じのように、けさ、兵庫県尼崎市におきまして、列車脱線事故が起こっております。事故原因と被害状況はいまだはっきりしておりませんが、多数の死者、負傷者が出ているとの報告を受けております。事故に遭われた方々に対して、心よりお見舞いを申し上げる次第です。

 現場におきまして、緊急消防援助隊等の支援を得まして救出作業に全力を挙げており、総務省消防庁といたしましても、直ちに現地に職員を派遣したところであります。引き続き、救助活動に全力を挙げてまいりたいと思っております。

 出身が西日本でしたので、お悔やみ申し上げます。

 平成十五年度総務省所管の決算につきまして、その概要を御説明させていただきます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管の歳入につきましては、歳入予算額五百六十七億九千四百九万円余に対し、収納済み歳入額は五百八十五億九千七百七十六万円余であり、差し引き十八億三百六十六万円余の対予算増加となっております。

 次に、総務省所管の歳出につきましては、歳出予算現額十九兆七百二十億一千九十七万円余に対し、支出済み歳出額は十八兆九千九百二十九億二千八百五十二万円余、翌年度繰越額は四百二十五億二千九百六十七万円余であり、不用額は三百六十五億五千二百七十六万円余となっております。

 次に、総務省所管の特別会計の決算について申し上げます。

 この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。

 まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、収納済み歳入額は六十七兆三千三百八十四億三千二百六十九万円余、支出済み歳出額は六十六兆五千九百九億二千三十七万円余であります。

 次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、収納済み歳入額は八百九十億三千六百万円余、支出済み歳出額は八百二十二億五百六万円余であります。

 以上が、平成十五年度総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

松本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院船渡第五局長。

船渡会計検査院当局者 平成十五年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件でございます。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二号から四号までの三件は、電気通信格差是正事業等の実施及び経理が不当と認められるものでございます。

 同二号は、広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備事業の実施に当たり、補助対象事業費に補助の対象とはならない設備の購入費等を含めていたため、これに係る国庫補助金が不当と認められるものであります。

 同三号は、地域イントラネット基盤施設整備事業の実施に当たり、光ファイバーケーブルの材料費等の負担額を適切に算定していなかったため、補助対象事業費が過大に算定されており、これに係る国庫補助金が不当と認められるものでございます。

 同四号は、地域インターネット導入促進基盤整備事業の実施に当たりまして、計画が適切でなかったため、集落センター等に設置した情報端末が機能しておらず、これに係る国庫補助金が不当と認められるものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、地上デジタルテレビジョン放送の開始に伴うアナログ周波数変更対策業務に関するもので、総務省では、社団法人電波産業会を指定周波数変更対策機関に指定して、アナログ周波数変更対策業務を行わせており、電波産業会では、放送機設備の改修等におきまして、放送機を転活用しているものがある一方で、放送機全体を新設しているものがあるなど、工事が必要最小限のものとなっているかの審査が十分に行われていないなど適切ではないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものでございます。

 その二は、物品の管理に関するもので、総務省では、機械等の重要物品の管理に当たり、物品管理法等の趣旨に沿った取得、処分等の手続が行われていなかったり、帳簿への記録等が物品の現況を反映した正確なものとなっていなかったりしていて、改善の要があると認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 引き続きまして、公営企業金融公庫について御説明いたします。

 平成十五年度公営企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

松本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対しまして、総務省のとった措置について御説明をさせていただきます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適切な執行を図るよう常に心がけているところではございますが、会計検査院の検査の結果、電気通信格差是正事業における補助対象事業費が過大に精算されていた等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 これらにつきましては、既に補助金等を返還させるなどの是正措置を講じたところではありますが、内容を真摯に受けとめ、今後なお一層事務の改善を求めるとともに、厳正な態度で事務の執行に努める所存でございます。

松本主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本主査 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松本主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 決算行政監視委員会分科会、総務省関連の質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、午前中、兵庫県尼崎市、JR福知山線で起こりました列車脱線衝突事故に際しまして、三十七名もの方がお亡くなりになられて、三百名近い方々が負傷された。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も電車の運転士でした。それだけに、事態の深刻さ、重大さというものに胸を痛めております。先ほど大臣から御報告がありましたけれども、総務省所管の消防庁の皆様方は、事故発生時から現場で救出活動をしていただいております。今なお車内に閉じ込められていらっしゃいます被害者の方々も大勢いらっしゃるやに聞いておりますので、引き続きの御尽力をお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、質問に入ります。三点にわたって、きょう、御確認なり御提言を申し上げたいと思います。

 まず初めに、NHKの改革、その後の進捗状況について確認をさせていただきます。

 昨年度、さまざまな不祥事が起こりまして、報道でも大きく取り上げられ、そして国会でもこの間審議を行ってまいりました。私の地元においても、多くの視聴者の方々、国民の皆様方から、お怒りの声や不満、不安の声もお寄せいただいております。日ごろよく見る、親しんでいるから、また、ニュースや天気予報、災害情報等を頼っていらっしゃるだけに、怒りも強いんだろうなということを感じております。

 かつ、一連の不祥事が昨年度明るみに出る前から未契約世帯がふえてきて、その解消に向けてこの間ずっと御尽力をされてきた中での不祥事でありますので、非常に事態は深刻だというふうに受けとめております。

 最近では、この事態を受けて、受信料の支払い拒否も多数発生していると聞いています。平成十七年度の予算の受信料収入六千四百七十八億円、これだけでも昨年度比七十二億円の減少となっておるんですけれども、この確保も困難ではないかというような予測もされております。

 これが大幅に減少すれば、極端なコスト削減や積立金の取り崩しというものもしなければなりませんし、近い将来に転換していかなければならないデジタル放送化に対する投資にも影響してくるものと考えられます。そういう意味でも、信頼回復というのは急務の課題だと思います。

 今年度に入りまして、受信料の支払い拒否、保留のお宅への訪問活動等々も、方針に基づいて行われているところであります。しかし、報道等によりますと、支払い拒否の世帯も、解消されるどころかむしろふえてきているという報告もあります。

 きょうは、NHKの役員の方、きょう付で新しい役員に就任をされて、また新たな気持ちで取り組まれていることと思うんですけれども、理事の方にもお越しを願っております。現状そして見通しについて、特に、今年度に入ってから現場では恐らく職員の方々が多大なる苦労で、一部幹部の方々のそういう不祥事に罵声を浴びせられながら取り組まれていることと思うんですけれども、そのあたりの現状そして今年度の見通し等について、まずお聞かせいただきたいと思います。

小林参考人 御質問の現状でありますけれども、既にこれは公表しているとおりでございますけれども、平成十六年度末の支払い拒否、保留件数が七十四万七千件という極めて大きな数になっております。この事態を極めて深刻に受けとめるというところでございます。

 それを受けまして、まさに今先生がおっしゃいましたように、支払い拒否あるいは保留の方々につきまして、受信者の皆さん方に職員あるいは地域スタッフ等々が、既に昨年来、相当な規模で信頼回復に向けての活動を、一軒一軒お訪ねしながら取り組んでいるところでございます。

 それで、ここのところで申しますと、そういった中で、ひところほどの厳しさというよりも、今、むしろ、特にこの四月に入りましてからですけれども、視聴者の皆様方からの御意見等をお聞きしておりますと、ある程度我々の取り組みについて御理解いただいているというところがございまして、そのお声をいただきまして、さらに意を強くしながら、さらに信頼回復に努めてまいりたいと思っています。

 以上でございます。

三日月分科員 具体的に、支払い拒否そして受信料収入の見通し等についてはいかがでございましょうか。

小林参考人 現在、先ほど申し上げました七十四万七千件に対しまして、できるだけこの方々についても、信頼回復活動によりまして、御理解いただいて支払いを再開していただく努力をしておりますけれども、さらに新たな支払い拒否、保留の方々がふえないようにできるだけの努力をしてまいりたいということで、放送を通じてのさまざまな、NHK、公共放送に関する御理解をいただくような番組でありますとか、いろいろな活動を通じまして、この抑制に全力を挙げて今取り組んでいるというところでございます。

三日月分科員 まだ今年度は始まったばかりですので、見通しも含めてなかなか予測が難しい面もあるでしょうけれども、ぜひ、国にとっても非常に重要な放送、NHKへの信頼回復に努めていただきたいと思います。きょうから新体制ということですので、気持ちも一新、体制も一新ということに御期待を申し上げたいと思います。

 この間、さんざん国会でも議論されて答弁等にも立たれております、業務報告書や事業計画にも意見を付されて、さんざん指導や期待も表明されているところではありますけれども、麻生大臣、ぜひ、新体制の役員、新しいNHKに対しての期待そして御所見等をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 受信料の不払いの数が増加したことの背景、やはり基本的には、NHKという放送に対して、今、三日月先生がおっしゃったように、NHKというと、何となく無条件に政治記事以外は信用することに私どももなっておるんですけれども、政治記事というのは、自分のことを書かれたら、違うんじゃないかなと思いますので、そこらは別にして、国民、視聴者の信頼というのは僕はやはり大きいんだと思いますね。

 そういった一連の話が、大きな組織ですからいろいろあるのはある程度避けがたいところだとは思いますけれども、いずれにしても、今回、役員、理事が一新されて、いろいろ改革が、今NHKからも御答弁があったとおり、進んでいるんだと思います。業務運営等々の改善が今なされているという話は、この間、橋本会長からの国会答弁でもありましたので、そういった意味では、この取り組みが着実に実現するというところが、みんなから見ていて、変わったなと思わせるということが一つなんだと思います。

 いずれにいたしましても、支払い拒否とか保留というものに関しましては、平成十七年度の予算に見込まれております部分につきましては、これは全力を挙げて取り組まないと、仮にも予算を立てて、これぐらいはいけるという前提になっておりますので、その予算の目標をきちんと達成するということは、これは努力する以外にほかに方法がありませんので、所期の成果を上げられるということを心から期待しておりますし、新しい体制ができまして、気分一新されて一層努力していただくということを、まずは、きょうから始まるばかりでございますので、基本的にはその点を期待したいと思っております。

三日月分科員 せっかくですので、たらればの話をしたらあれなんですけれども、私も、信頼回復や、そして受信料拒否、保留、これ以上進まないことを願う国民の一人なんですけれども、仮に、もし足らなくなった場合にどのような措置を総務省として講じていかれるのか。

麻生国務大臣 額にもよるんだと思います。誤差の範疇ぐらいなものですと、それは経費の節減もあるでしょうし、また、大きなものであれば、いわゆる内部留保の取り崩しなんてことも考えられるだろうとは思いますけれども、基本的には、その誤差がどれぐらいのものが出てくるかによって対応が随分違うと思いますので、この場でこれという答えを持っているわけではございません。

三日月分科員 ぜひ、のど元過ぎれば何とかということではなくて、引き続き国会としても、もちろん省庁としても、当然NHKの内部としても、信頼回復に向けた取り組みを注視、監視、見守り続けていかなければならないというふうに思います。

 NHKの皆様方、本当にありがとうございました、新しい体制の後、お忙しい中。

 次に御確認を申し上げたいのは、地方税の徴収率の問題です。

 これは、特に国から地方への権限移譲、当然のことながら税財源の移譲ということもあって、地方税のウエートをこれから高めていかなければならないという今この時期にあって、地方税の徴収率が思うように進んでいない。憲法第三十条に納税の義務があるにもかかわらず、この義務を果たせていない方がたくさんいらっしゃると聞いております。

 まず、地方税の滞納の実態、その額等についてお聞かせをいただきたいと思います。

板倉政府参考人 地方税の滞納の実態ということでございます。

 平成十五年度におきまして課税をされました地方税のうち、当該年度中に、九八・二%に当たる額が収納されております。残る一・八%につきましては、翌年度以降に滞納として引き継がれたということでございます。

 また、最近のデータ、過去十カ年の平均を使って試算してみますと、この滞納分のうち、大体六割強が翌年度以降に収納されているというふうに思っております。

 そういうことから、これを加えますと、最終的な徴収率というような形で考えられるのは、九九%強、九九・三%程度ではないかというふうに思っております。

 こういうような滞納が発生する原因でございますけれども、その詳細につきまして調査をいたしました統計というのはございません。しかしながら、想像を加えて申し上げますと、一つは、納税意欲はありますけれども、やはり経済的な事情によりまして実際の納税ができなくなってしまったというようなケースが一つあると思います。

 二つ目としましては、逆に、納税する資力があるにもかかわらず、何かの理由で納税を意図的に行わないというケースも当然あると思われる。

 また、自動車税等に見られますように、納税者が納期を余り意識しておりませんで、現実に督促されるまで滞納されてしまうようなケースもあろうかというふうに思っているところでございます。

三日月分科員 これはどんな事情があるにせよ、滞納が横行しているというのは、また、その整理回収が翌年度以降なかなか進んでいかないというのは、納税の義務に反する、また税の公平性に反する、税収の確保の面からも、いずれの観点からも看過できない、ゆゆしい事態だと思っています。

 今、現年度分でいえば九八%ほど徴収されていますと言われましたけれども、しかし、平成十五年度の市町村税の徴収実績総括によれば、調定済み額で滞納繰越分、ずっと繰り越された額が一兆五千八百億円、徴収率は一七・五%と、これはずっと低迷しているんですね。割合の大きい市町村民税の滞納繰越分で五千六百三十九億円、固定資産税の滞納繰越分が八千二百二十億円、この額は極めて大きいと思うんです。

 また、滞納された地方税は、法に基づいて督促や差し押さえなど強制徴収も含めた滞納処分の手続が行われるんですが、それでも徴収できない、先ほどもおっしゃられました、経済的な理由や、資力があるにもかかわらず払わないという悪質なものも含めて、それでも徴収できない部分というのは、一定の条件のもとで滞納処分の停止というものが行われて、徴収金を納付し、納入する義務が消滅してしまうんですね。その時点で不納欠損額として計上されていく。つまり、取られなければならない税金が払えないから、納められないから、もう払わなくてもいいという状態にしてしまう処置があるんですけれども、この不納欠損額は、一体どれぐらいの規模あるんでしょうか。

板倉政府参考人 今御指摘ございましたように、地方税債権が収納以外の理由によって消滅をした額、これがいわゆる不納欠損の額ということになるわけでございますけれども、これにつきましても、正確なデータは実はございません。しかしながら、収納実績の統計などを見まして、各年度の収納未済額と翌年度へ繰り越した額、その間の差額が大体二千億円程度あるということでございますので、毎年度この程度の不納欠損の額が発生しているのではないかというふうに見ております。

三日月分科員 毎年二千億円の不納欠損額、これは推測ですがということなんですけれども、どうなんでしょう、払っていらっしゃる方と、どんな事情があるにしろ払わなくて済む方々と、これだけの額、基幹税である市町村税の不納欠損額が生じている事態をどのように受けとめていらっしゃるのか。徴収率がなかなか上がっていかないということに対しての、徴収制度や現行の体制にどういった問題点があると分析をされているんですか。

 私が聞く範囲内においては、市町村の税の当局の皆さん、徴収係の皆さん、夜討ち朝駆けも含めて非常に御尽力されていますし、さまざまな御苦労もされております。また後ほどそういう具体的な事例についても御報告したいと思うんですけれども、このあたり、総括的に、どの点に問題があるとお考えでしょうか。

板倉政府参考人 確かに、御指摘になりましたとおり、私どもといたしましても、課税された額が一〇〇%収納されるということが最も望ましい状況でございますし、そのために最大限の努力をしなきゃいけない、こういうふうに考えておるところでございます。

 近年の例で申しますと、やはり若干ずつ徴収率が下がってきているというのも実態でございます。これは、バブル崩壊以降の経済的な理由というのが一番大きいのではないかと思いますけれども、場合によったらそれ以外の理由もあるかもわからないということでございますので、機会をとらえまして、その辺の徴収率確保について地方団体の注意喚起をしておるところでございます。

 どういうところに原因があるんだろうかということに関して申しますと、地方税の場合には、固定資産税ですとか自動車税とか、課税客体が物すごくたくさんございまして、額はそんなに大きくないにもかかわらず、それを一つ一つやっていかなきゃいけないということで非常に手間がかかるというようなことが一つございます。

 それと、待っていれば納税者の方から申告していただける税金と、こちらの方から、これだけお払いくださいというふうな税金、これを賦課課税と言っておりますが、固定資産税ですとか今の自動車税なんかは賦課課税でございまして、こっちからそういうふうにやらなきゃいけない。こういうことで、非常に対象が多い上に手間がかかるというようなことが一つ大きくあろうかと思います。

 それと同時に、徴収体制の面で申しますと、これは団体が、従来は三千数百と言っておりましたが、合併で大分減ってまいりまして、二千弱になるわけでございますが、その団体がそれぞれの事務をやっておるわけでございまして、どうしても中小、弱小の団体になりますと高度な課税・徴収能力という点で問題が出てくるということでございますので、そういう職員をいかにして育成していくかがこれからの大きな課題になっていくというふうに思います。

 と同時に、いろいろ効率化を図りまして、できるだけ徴収コストを下げていくことも必要かというふうに思っております。

三日月分科員 ぜひこれは、市町村合併も含めて今さまざまな変革期にある中で、基本的な財源になる地方税の徴収の仕方、そして滞納された分の強制徴収の仕方も含めて、国としての対策を早急に行う必要があると私は考えています。

 といいますのが、結果、逃げ得、払い損といったようなモラルハザードになってしまっている部分も一部あります。もちろん、国民の良識に従って払っていらっしゃる方々が大多数なんですけれども、しかし、年間二千億もの不納欠損額が放置されてしまっているという事態、私は重く受けとめています。

 先ほども申し上げましたが、現場の税務当局の皆さん、非常に苦労されております。例えば、市町村がまとまって租税債権管理機構というようなものをつくられて、近くにいて知っている人だったら、職員同士も、あそこは生活に困っていらっしゃるからなといったようなことでなかなか強制的に徴収しにくかったりというような問題もある中で、そういったものからちょっと離れて、幾つかの市町村がまとまってそういう機構をつくられて、滞納整理、管理業務を行っていこうとされているところもありますし、東京都なんかに見られるように、取得をした物件のインターネット公売やなんかも進めることによって何とか金額を確保していこうということも行われております。

 この間、規制改革・民間開放推進会議において、官業民営化の切り口で検討されて、過日、三月二十五日に閣議決定されました規制改革・民間開放推進三カ年計画の中に、地方税の徴収に関する民間開放の一層の推進というものが盛り込まれましたね。板倉局長やなんかも、この間の検討段階において、かなり委員の皆さんとかんかんがくがくの議論もなさっていると思うんですけれども、その結果、四月一日の通知によって、公権力の行使に当たらない業務や補助的な業務に関しては、地方税の徴収に関して民間への業務委託の推進というのが一定できるようになりました。

 私は、これは一つ、補助的な業務を民間に任せて、情報もきっちりと確保しながら、守りながら、本来の徴収業務に当たる人員をふやすという意味においては有効な手だてだというふうに思っています。

 それに加えて、特に固定資産税などは、私債権、租税債権ではなくて私債権に対する優先徴収権を一定担保するだとか、また、高齢者で低所得者に対しては、資産売却、相続時まで長期の徴収を猶予する制度やなんかも設けることによって、払わなくてもいいよ、納めなくてもいいよという不納欠損額を減らす努力、工夫というものがもう一歩踏み込んで必要なんではないかと私は考えるんですけれども、そのあたり、今後の展望、決意も含めて御所見をお伺いしたいと思います。

板倉政府参考人 今御指摘がありましたような、いろいろな形でできるだけ不納欠損を出さないようにする、これは非常に大事なことでございます。

 そういうことで、私どもも考えられる手段はできるだけ尽くしていこうということで、先ほどおっしゃいましたような民間への委託につきましても、まさか差し押さえに行くのに委託というわけにはいかないだろうということで議論はいたしましたけれども、それ以外の業務でできることはできるだけ民間委託してもらおう。それで、おっしゃいましたように、できるだけ職員は徴収の本来の業務に当たるようにしてもらおう、こういうような趣旨もございまして通知も出しております。

 そういうことで、今後もいろいろ皆さん方のお知恵も拝借しながら、できるだけ、おっしゃいましたような徴収がしっかり確保できる方策を講じていかなきゃいけないというふうに思っております。

三日月分科員 大臣、いかがですか。この税の徴収、これから、税源移譲も含めて地方税で何とか賄っていこうじゃないか、自主財源、地域の住民の皆さん方で決められる財源をふやしていこうじゃないかという時代の流れの中にあって、とはいえ、さはさりながら、地方税の徴収になかなか踏み込めないでいる、取り組めないでいるという実態、きちんと取らなければいけないものが取りこぼされている状態を改善する御決意も含めて、お聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 地方税の徴収率の向上については、これは三日月先生、やはり手続が面倒くさいというのが物すごくあります。

 そういったところを考えて、平成十五年からスタートした、コンビニエンスストアでもいいですよというのは、あれはたしか五県、五団体で既に始まっております。政令都市を含めて二十市町村で既にスタートしておりますし、電子申告書の導入も平成十七年からスタートいたしておりますので、いろいろなものがスタートしておる。

 また、例のよく問題になりました軽油の引取税、あれについても夜間の立ち入りを認めるとか、いろいろな形のものもスタートしているんです。

 インターネットにおける公売の話が今出ていました。東京都で始めておられます。

 もう一個は、隣の人は顔見知りで何となく言いにくいというのは、人間としては、こういう村社会では絶対あると思うんですね。そういった意味では、今御指摘のありましたように、あれはたしか茨城県と三重県の例だと思うんですが、一つの連合体をつくって、別の人が、言いにくくない人がとかいう形で対応できるような広域連合というものが創設されたりしております。

 いろいろな意味で努力をして、先ほどの差し押さえはともかく、その他のものは非常勤の職員でもいいのではないか等々、税というものに対してきちんと対応していく。

 一つは意識がないというところも、自動車税を含めて意識がないという点も啓蒙していかないかぬところだとは思いますが、意図的に払っていない人がいることも確かですから、そういったところはきちんとやっていかないと、払わない人がいい思いをするというのでは、それはどう考えても公平感を欠きますし、この種の話では最も大事なところだと思います。

 私どもとしては、引き続き徴収率の向上を図っていくために、払いやすくする方法、啓蒙をすること、そして公平にきちんとすることというのが大事なところだと思って、その点は、職員のいわゆる能力の向上を含めて、できるところは民間に、非常に深く入らないかぬところをむしろ訓練する、そちらの方にきちんと対応するべきなのではないかという方向で、今そちらの方向へ進ませているというのが現状であります。

三日月分科員 強い御決意をいただきました。

 一義的には地方税務当局が主体的に取り組んだり工夫をしたりする分野だとは思うんですけれども、しかし、専門知識の問題や人員不足の問題もさまざまありますので、そうやって頑張って取り組む自治体に応援ができる国の体制をぜひとっていただきたいということを要請しておきたいと思います。

 最後に、三つ目に確認をしたいことがあるんですけれども、実は、消防防災設備整備費補助金、高機能情報通信対応防災無線通信設備の国庫補助採択について、我々のところにも地元滋賀県野洲市から要望が届きました。これは国庫補助採択でやられているんだな、国庫補助金でやられているんだなということを知り、私自身勉強させていただいたんですけれども、ぜひ防災の観点から、また、南海、東南海、そして琵琶湖西岸断層帯等々で、この数年、地震が起こる確率が非常に高いと想定されている地域での防災設備の整備でありますから、早期に採択をしていただきたいということも要望しながら、しかし、これはよくよく聞いてみると、三位一体改革の補助金改革の中で、消防防災設備整備費補助金のうち、常備消防関連が平成十七年度、今年度になくなって、高機能情報通信対応防災無線、消防団総合整備事業、自主防災組織活性化事業等々、地域防災をつくり出す上で非常に重要な事業に対する補助金が平成十八年度にそれぞれ廃止をされるという計画になっていると聞いています。今後の消防防災に関連する事業の財源確保にどのような措置を講じていかれるおつもりなのか。

 特に、地震防災対策特別措置法というものに基づいて、地震防災緊急事業五カ年計画ですか、これを作成して、計画に盛り込まれた施設設備の整備に関しては一定の補助のかさ上げが行われて、要は、地震が起こりやすいところだから、そのための防災設備についてはより手厚く支援しようじゃないかということが行われていたと思うんです。これが廃止をされて、税源移譲で財源が広く自治体に配られるということになれば、こういう、地震が起こりやすい地域だからという国としての重点的な防災設備の整備という措置がとられなくなるんじゃないかという不安があるんですが、このあたり、どのような形で補っていかれるおつもりなのか。あるべき防災施設設備のレベルについてもあわせてお伺いできれば幸いでございます。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、三位一体改革の一環として、今言われたような方向で抜本的な見直しを行うというのは事実であります。

 しかし、改革されました後におきましても、今言われた安心、安全の確保につきましては物すごく大事なところで、今国民の関心事の一番は多分、安心というか治安というか、そういうところが一番というのははっきりしておりますので、少なくとも緊急消防援助隊等々の補助金などにつきましては、義務的補助金としてこれは引き続き続行するということにいたしております。

 例えば、今例を引かれました尼崎に対して緊急消防援助隊、あれは大阪市の緊急消防援助隊が行っていると思いますが、あの分につきましては、これは国庫補助負担金という部分で対処するということで、尼崎市が全額大阪市に払うというような方法で対応するわけではございません。

 また、今、防災無線等の整備につきましては、いわゆる地域の単独事業ということにしておりますけれども、これは地方債とか地方交付税措置を行いますので、防災基盤整備事業によりまして財政措置を行うことにいたしておりますので、地方公共団体の事業を遂行するに当たって支障を来すというようなことのないようにいたしたいと思っております。

 引き続き、一般財源確保とあわせまして地方単独事業というものの活用によりまして、公共団体の事業の遂行ということに支障がないよう、これは消防防災力というと、何となく、今すぐ起きるわけじゃないから、ちょっと翌年にというようなことにどんどんなっていくと先ほど御指摘のようなことになりますので、この確保はきちんとさせておかねばならぬと思って、その方向で指導してまいりたいと思っております。

三日月分科員 ぜひ、この防災の設備整備、国としても引き続き重点化した取り組みを要請していきたいと思いますし、NHKの改革、地方税の徴収率の向上に向けた取り組みもまた見守っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 終わります。

松本主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、津島(恭)主査代理着席〕

津島(恭)主査代理 次に、岩國哲人君。

岩國分科員 民主党の岩國哲人でございます。

 総務大臣初め御担当の幹部の方に、寒冷地手当及びその他の公務員に対する手当を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、私が出雲市長をしておりましたときに、寒冷地手当を廃止すべきではないかという方向で、当時の自治大臣にお手紙を差し上げたことがあります。待てど暮らせど返事は来ませんでした。ついに退任の日まで来ることなしに、私が国会に入ってからも、まだいただいておりません。

 こういう地方の自治体の長からの手紙に対して、自治大臣、あるいは今は総務大臣、そういう地方自治団体の監督あるいは指導をされる立場の方というのは、返事というものは出されないのが通例なんですか。その点について、まず大臣にお伺いいたします。

麻生国務大臣 地方からの御意見というのは、正直申し上げて実にさまざま、直接に間接にいろいろ、それは税務であれば税務局長に、財政であれば財政局長に、いろいろ御意見をちょうだいするので中には大変参考になるお話もありますので、私どもの方からも手紙を差し上げますし、向こうからもちょうだいするというのはよくある話だと思っております。

 今御指摘のありました出雲市長のときというものの御質問があるということで調べてみましたけれども、十年ぐらい前の話でありまして、これは現在手元にはないんですけれども、担当に確認いたしましたら、当時、寒冷地手当が夏に支給されていたことへの不合理性の指摘だったというようなお話でありまして、それは廃止すべきだということで御意見があったというように承っております。

 御存じのように、平成九年以降になりますけれども、支給額の引き下げというものを実施させておりまして、地方公共団体、いろいろ御意見がありましたけれども、昨年、民間と同様、この寒冷地手当の幅が極めて、やたら大きいというか広いということでありましたので、民間の寒冷地手当の実態等々を比較し勘案して、支給地域また支給額の大幅な削減、縮減というものを国と同様に地方も見直しを行えという話で、着実に今進んでいると思っております。

 御質問等々のお手紙に対しましては、極めて今、即というわけではありませんけれども、かなり対応をいたしておる。十年前のことを知らずに恐縮ですけれども、今ではかなりその種の御質問に対しては対応していると思います。(岩國分科員「返事をするかしないかということについて」と呼ぶ)返事をいたしております。

岩國分科員 いつ付で返事を私に出していただいたんですか。大臣のときではもちろんありません。しかし、自治大臣という立場、今は総務大臣であれば、私は自治体の長にきちっと返事を出すべきじゃないかと思う。私は、単に意見の言いっ放しじゃなくて、大臣の意見を求めているんですから、これが我が国の中央官庁と自治体との関係とすれば、これは大変問題だと思うんですね、そういう姿勢は。しかも、当時、細川内閣、地方分権を大切にするとおっしゃった細川総理大臣のもとでの自治大臣であるがゆえに、私は余計びっくりしたんです。その気持ちはおわかりいただけるだろうと思います。いまだに返事は参りません。

 確かに、大臣のおっしゃるように、その後いろいろな行政改革、橋本内閣のときにも再編を中心としていろいろな行革が行われました。しかし、こうした自治体の長に対して、一生懸命勇気を奮って大臣あてに出している。私は、天皇陛下に手紙を出して、天皇陛下から返事が欲しいというのは、返事を期待する方がおかしいと思います。しかし、同じ行政の立場にいて、大臣だろうと局長だろうと、市長だろうと知事だろうと、出すべき返事は出す、これが行政の大原則じゃありませんか。今でもそういうことに対して返事を出さない大臣がおられるとすれば、それを問題にすべきだと思うんです。

 ということをまず最初に申し上げまして、寒冷地手当、これについては、民間企業ではこういう例は具体的にどの程度行われているのか。例えば、三菱東京の銀行員が北海道へ転勤した、そういうときにも寒冷地手当が支給されているのか。そして、それは東京から転勤した行員だけなのか、地元で採用され、地元で一生勤務する、そういうところも対象にされているのか。公務員の場合も全く同じルール、同じ考え方で行われているのか。この点について、どなたか、局長の方からでも御答弁いただきたいと思います。

山野政府参考人 今回の、昨年度の寒冷地手当の改正の際に、私どもでは、先生がおっしゃられるような点につきまして、全国で調査をいたしました。民間企業の実態調査をいたしました。その結果、北海道の企業では約八割の企業がそういった寒冷地手当というものを支給しております。ただ、本州になりますと若干数字は下がってまいりまして、青森県で二五%、その他の県では若干、二〇%を割るというのが実態でございます。

 それからまた、額につきましても、当時の、改正前の公務員の支給額よりも低い支給額というのが調査結果でございます。

岩國分科員 私が質問している、地元出身者にもすべて適用されて支給されているのかどうか。つまり、百人の勤務所、職場があった場合に、寒冷地でないところからそこへ来た人があれこれお金がかかる、これならわかります。地元で、親の時代からずっと何代もいて、いい就職先が見つかったというので役所へ勤める、あるいは銀行の支店に勤務する、そういう人にも、官の場合も民の場合にも両方支給されているのか。遠くからなれないところへおいでになった、そういう人に対してだけ寒冷地手当は支給すべきものなのか、どのように行われているのか。そのことについて端的にお答えください。

山野政府参考人 私どもでは従業員に対して支給しているかという問いをいたしましたものですから、特記事項があれば書いてくださいというふうな調査をいたしました。それで、私どもの調査では、従業員に対して支給しているということで、特段、今先生御指摘のように、東京から転勤した者に払う、そういうふうに特記事項を分けて実は聞いておりませんので、原則として従業員に支給しているというものの率を聞いたわけでございます。

岩國分科員 それでは、役所の場合はどうですか。地方公務員あるいは国家公務員の場合に、地元で採用され、地元でずっと勤務する人にも手当が支給されているのか、あるいは転勤者の転勤期間だけに限定して支給をされておるのか、どちらでしょうか。

山野政府参考人 役所の場合には、現地で働いている職員につきましては、現地で採用された者も、それから東京から行った者も支給しております。

岩國分科員 そうすると、北海道なら北海道でずっと一生勤務をする場合も寒冷地手当は支給されるわけですね。それは民間会社の場合も同じですか。

山野政府参考人 先ほど申し上げましたように、そこのところを意識的に調査はいたしませんでしたが、幾つか重立ったところを聞いてみますと、やはりそこは区別しないで支給しているという企業が、少なくとも私どもが幾つか聞いたところでは特に差はつけていないという企業が多いわけでございます。

岩國分科員 だから、私はそういう調査の仕方は甘いと思うんですね。国民の大切な汗の結晶の税金を使おうというときに、その辺は大した調査しておりませんとか、自分のお金で払う立場になって調べてみてください。世間一般で考えてもおかしいでしょう。

 そこでずっといて、家もあって、ちゃんと寒いところに適したような家がおじいさんの時代からあるような人が、そこの息子さんが、急に役所へ勤務したら寒冷地手当、そしてどこか民間の、日本通運とかそういうところに勤務したら、そんなものは何もない。こういうことではおかしいんじゃないでしょうか。公務員が寒いときは民間の人だって同じように寒いんですよ。

 私の島根県出雲市でも、私は、それを議会でも説明し、寒冷地手当は撤廃すべきだ、そういうふうに思いました。実態調査をしてみたら、出雲市の中で寒冷地手当なんという名前を知っている人さえもいなかった。私は民の世界から官の世界へ入って、そして市長になったのは四月。やって来た八月の初め、私のところに支給伝票が来ました。私は字が読めますから読みました。寒冷地手当、真夏の、扇風機が欲しいと言っているときに寒冷地手当。私は助役を呼びました。こういうミスプリをやっては恥ずかしいじゃないか、担当者を呼びなさい。いや、この寒冷地手当は間違いございません。真夏の盛りに寒冷地手当、別に雪が降っているわけでもないし、こういうことが平気で行われておったんですね。役所の中は寒くて、外はかんかん照りで、暑くて暑くて半そでで歩いている。こんなときに寒冷地手当を支給しているようでは、市民の怒りを買うばかり。

 情報公開したときも、役所の公務員がどういうものをいただいているかということを、あらゆる手当を全部出した。一つ一つに説明ができて、近所の人に恥ずかしくない、胸を張って大通りを歩けるようなものだけに限定すべき、寒冷地手当は私は返上したい。助役は言いました。市長さん、それはなりません。何とかという法律があって、私は返上することさえもできない。だから、私は言いました。雪が降るまで支給してはならない。出雲市は、それから雪が降るまで支給しないことにしました。

 本当は廃止したかったんです。そういう悩みを抱えて私は自治大臣に手紙を出したんです、全国的にやめたいところはやめられるように。やめることさえもできない、返上することさえもできない、いや応なしに真夏に寒冷地手当を支給する。そして、それをずっと何年もやっておって不思議とも何とも思わない、こういう官の体質を私はだめだと思うんです。

 そして、国会でも私は質問をしました、予算委員会で上杉自治大臣に。そのときに、上杉自治大臣の返答も本当に生ぬるいものでした。続けている方がいいぐらいの話で、世の中、行政改革、行政改革と言っているときに、依然として続けたいという大臣の答弁に私は失望を禁じ得ませんでした。

 今、民間の場合と官の場合と同じようにやるべきなんです。民間でできることは民間でと今の小泉総理大臣もおっしゃっているわけです。民間でできるなら、やはり説明できるようなものに限定し、説明できるような対象範囲に絞るべきではないかと私は思います。民間の調査についても、私は再度調査し直すべきだと思います。総務大臣、御意見いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありました点は、時代も随分いろいろ変わったんだと思います。当時のまきだ何だという時代と違って、今は冷暖房が一緒の機械で出てくるような時代にもなりましたので、いろいろな状況が違ってきていると思いますけれども、今御指摘の点は踏まえまして、これは組合との間で多分いろいろ話もでき上がっている経緯もあろうと思います、そちらの方がよく御存じのところだと思いますが。そういったところを含めて、これは検討をしてみる、行政改革の一端としてやってみる点は大事な点だ、私もそう思います。

岩國分科員 その調査の点で、民間企業だけではなくて官の世界でもちゃんと調べてください。

 今度、市町村合併で、今まで支給対象になっていない市と支給対象になっているところが合併した場合にはどういうふうになるのか。さらに、住居地基準で支給されているんですか、それとも勤務地の基準ですか。勤務しているところは寒冷地手当の支給になっていないところ、しかし、その公務員が住んでいるのは寒冷地手当の支給対象の村であるという場合には、本人の居住地を基準にしておるのか、あるいは勤務地を基準にしておるのか、あるいは両方ともが寒冷地手当に入っている場合にだけ限定して支給されるのか。

 平成の市町村大合併、どんどんがらがら行われて、恐らくこれは市町村の方でも、この解釈、対応に相当苦慮しているところもあるんじゃないかと思うんです。どういう指導をしておられるのか、お答えください。

山野政府参考人 国家公務員の場合について申し上げますと、今度の市町村の指定につきましては、昨年の、平成十六年の四月一日現在の市町村区画でやっておりますので、その後合併が行われたといたしましても、支給地域は旧市町村の区画、そこに限定されるということでございます。

 それから、官署なのか、それとも居住地なのかという御質問でございますが、これにつきましては官署の場所で指定しているということでございます。そういうことで、官署主義をとっているわけでございます。

岩國分科員 そうすると、住んでいるところは寒冷地だけれどももらえないという人もいるわけですね。それから、住んでいるところは寒冷地対象じゃないけれども、昼間、寒冷地と言われているところへ勤務しておるからその人はもらう、こういう理解、解釈でよろしいんですか。

山野政府参考人 やや細かい点にもなりますが、市町村ごとに指定いたしますが、今先生おっしゃられたように、官署がたまたま隣の市町村にあって、その市町村は寒冷地ではなかった。ところが、住んでいる方が、大半が寒冷地に指定された市町村に住んでおられるというような場合には、ごく例外的に官署指定ということはございますけれども、これはごく例外的でございまして、基本的には官署の所在市町村の指定によって決まるということでございます。

岩國分科員 今度出雲市が周囲と合併しています。そうするときに、島根県の頓原町というところは依然として十六年以降の改正で残っていますね。そこに住んでいる人が出雲市役所に勤務すると寒冷地手当はもらえない。そうですね。出雲市に住んでいる人が頓原町の役場に勤務していると、その人はもらえる。こういう理解でよろしいんですね。総務大臣、うなずいていらっしゃいますから、そのとおりでありますね、間違いないでしょう。

麻生国務大臣 細目がわかりませんので、今御質問の趣旨が、意味がなるほどなと思ってうなずいただけで、答えに対してうなずいたというように御理解していただくと困ります。

岩國分科員 では、改めて確認してください。

山野政府参考人 国家公務員の場合ですので、頓原に国家公務員の官署がございました場合には、出雲市から通っている場合でも寒冷地手当は支給されるということでございます。

岩國分科員 地方公務員に対する指導というのも、全国余りばらばらにならないように、とかくむだ遣いということは、役所に対する批判の目は厳しいわけですから。先ほど総務大臣もおっしゃいました、昔、まきを買わなきゃいかぬ、冬になるとまきの値段が上がるから夏の間に買いなさいという優しい気遣い、心遣い、こんなことで始まっておるわけでしょう。今、公務員でまきを買っている公務員が何%ありますか。調査はしなくても、それは大体おわかりでしょう。

 そういうことから始まって、時代はすっかり変わって、今、温暖化現象に、温暖化対策といってそっちの方に金を使おうと言っているときに、寒冷地の方に金を払うというのは、これは考え方が全く逆行していると思います。何でもかんでも理由をつけてお金を使う、そういう体質は、まさにまきどころか末期的症状ですよ。そういうことを根本的に、麻生大臣、私は改めていただきたい。今の住環境から何からしても、そんなに冬になったら寒いとか、だから寒冷地というのはほとんど、私は北海道、青森、住んだことはありませんけれども、行ってみてそのように思います。

 次に、その他の手当についても質問させていただきたいと思います。

 地方公務員について、各種手当というのはどれぐらい種類があるんですか。

須田政府参考人 手当でございますけれども、全体として二十六ございます。これは、具体的には地方自治法二百四条に限定列挙しているものでございます。

岩國分科員 いただいた資料の中に特殊勤務手当というのは、それも含めて今二十六とおっしゃいましたか。(須田政府参考人「はい、そのとおりでございます」と呼ぶ)

 二十六の中に特殊勤務手当がありますね。その特殊勤務手当というのは、一本じゃなくて、その中にまた細目がたくさんあるんでしょう。特殊勤務手当の中に幾つの項目に分かれているのか、それは一本だけなのか、お答えください。

須田政府参考人 特殊勤務手当は、その勤務あるいは職務が非常に特殊なものということで、そうした特殊な勤務、職務につく場合に特別に手当を設けるというものでございます。これは地方自治体の場合、二千を超えるような団体がございますが、それでまた、職務あるいは勤務の種類というのも非常に多様になってございます。そういう意味で、この特殊勤務手当の具体的な中身につきましては各団体におきまして条例で定めるという形になっているものでございます。

岩國分科員 各地方自治体ごとに条例で定められている。名前のつけ方もいろいろあるでしょう。それについて調査されたことはありますか。調査されると、類型で何項目ぐらい、何種類ぐらいのメニューがあるんですか。

須田政府参考人 特殊勤務手当は、そうした二千を超える団体のほとんどそれぞれが、何らかの形で条例で定めております。そうしたものにつきまして、さまざまな種類のものですから、それを全部で幾らとか、そういう形では集めたものはございません。

 ただ、御指摘のように、手当の問題ということで、非常にいろいろ各方面から御指摘を受けておりまして、しかも、この特殊勤務手当が地域地域によってさまざまなものを設けるということから、往々にして不適切な特殊勤務手当が設けられているのではないかというような御指摘がございますものですから、そういった意味で、昨年、私どもとしまして初めてでございますけれども、特殊勤務手当につきましての実態を調査したところでございます。そして、その結果につきましては昨年の十二月に公表いたしまして、中に不適切、こういった面でどうなのというようなものはある程度類型的にまとめまして公表し、その中身を踏まえまして、それぞれの地方公共団体におきまして点検をしていただき、あるいは見直しをしていただくように要請しているところでございます。

岩國分科員 去年初めて調査されたということにちょっとびっくりしましたけれども、それまで調査したことはなかったということですね。特殊勤務手当の実態調査というのは去年までは行われていなかったということでしょう。初めてとおっしゃるのは、そういうことじゃないんですか。

須田政府参考人 昨年行いましたような形での調査というのは初めてでございます。

 こうしたもの、特殊勤務手当等、個別にいろいろ御相談を受ける中で、これはおかしいではないかとかということはやっておりますし、また、特殊勤務手当というのは本来このような趣旨のものであって、そうした制度の趣旨に反するようなものについては適正にしていただきたいという要請等はかねがねやってきておりますけれども、先ほど申し上げましたような調査は昨年が初めてでございます。

岩國分科員 その昨年公表されたというものを、ぜひ私もいただきたいと思います。また、それに基づいてどういう指導、監督、勧告がなされたか、その結果はどうであったのか、それもあわせて教えていただきたいと思います。

 私が関係した出雲市の場合も、二十五の特殊勤務がありました。それを九つに整理しました。ほとんどなくして、中には少な過ぎるから私は上げたものもあります。とにかく、市民に説明可能な名目と手当の内容でなければ、恥ずかしくて私は市長なんかやっておるわけにいかないから、二十五を九つに減らしました。また、それ以後も恐らく減らす努力をしているだろうと思います。

 出雲市役所の場合には、土曜日も日曜日も、ジャスコというショッピングセンターの中で平成元年からずっと市役所をあけっ放し、休日も窓口をあけていますけれども、休日勤務手当は支給しておりません、交代でやるだけの話ですから。そういう合理的なやり方というのは幾つでも皆さんの方から指導されるべきではないか、そのように思います。

 最後に、もう時間がなくなりましたけれども、ごみ収集の民間委託ということについて、一〇〇%これを民間に委託している自治体は全体の中の幾つの自治体がやっているか、あるいは五〇%以上というのは幾つでやっているのか。ごみ収集の民間委託、五〇%以上を委託しているのはどれぐらいの数か、そのうち一〇〇%委託が終わっているというところは幾らか、それぞれの実数でお答えいただけませんか。

武智政府参考人 平成十五年四月一日現在で調査をした結果でございますけれども、そのときには、全団体、三千九十四ございました。その中で、全部ごみ収集の委託をしている団体は千九百四十九団体、率にして六三%でございます。それから、五〇%以上という分け方ではないんですが、一部委託というところは、この三千九十四団体中六百四十二団体、率にいたしまして二一%ということでございました。

岩國分科員 そうすると、合わせて八四%ということですか。そして、残り一六%の自治体はいまだにゼロ%の民間委託だ、こういうことですね。

武智政府参考人 合計と残りについてはさようでございますが、申し上げましたとおり、平成十五年四月一日現在の数字ということで御理解をいただきたいと思います。

 残りの部分は全く委託をしていない……(岩國分科員「一〇〇%官でやっている」と呼ぶ)ということになります。

岩國分科員 質問を終わります。どうもありがとうございました。

津島(恭)主査代理 これにて岩國哲人君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島豊君。

福島分科員 麻生大臣、大変に御苦労さまでございます。細かな話ばかりが続きますが、御容赦をいただきたいというふうに思っております。

 一つは、地域の振興にかかわる町会等の組織で尽力しておられるボランティアの方々の顕彰ということについてお聞きをいたしたいと思います。

 現在、厚生労働委員会では介護保険法の改正案について議論しておりますが、介護予防というようなことを考えるに当たりましても、地域のコミュニティーというものがいかに保たれているか、極めて大切な課題であります。私の地元におきましても、多くの自治会、また振興町会、ボランティアの方々が活動をしていただいております。

 ただ、こうした方々からお聞きする声は、一生懸命やって、持ち出しも大分多いんだけれども、なかなか国の方から褒めてもらえないというような要望があります。長い方になりますと十年を超えて、また二十年近くやっておられる方もあります。最近はなかなか後継者難でありまして、高齢化しながらも頑張っておられる方がたくさんいる。

 私、三年前、ちょうど賞勲制度の見直しということが俎上にのっておりましたので、時の田端副大臣に、ぜひこうした方々を顕彰するよう総務省としても意見を出していただきたいという要望をさせていただきました。総務大臣の表彰が始まったところで、この推移を見てというようなお話だったかと思います。着実に総務大臣表彰をしていただいておりまして、昨年も大阪市の代表の方が表彰していただきました。感謝を申し上げたいというように思っておりますが、現在の状況についてお聞かせいただきたいと思います。

荒木政府参考人 町会役員などのボランティアで地域の振興に尽力をされている方々につきましては、今お話ございましたように、総務省ではこれまでも地縁による団体功労者としまして総務大臣表彰を実施してきているところでございます。この中で特に顕著な功績があると認められる方につきましては、国の栄典の対象とされるように内閣府賞勲局に対して推薦をしているところでございます。

麻生国務大臣 今の福島先生のあれで、やはり高齢化しておりますものですから、九十歳の人を七十歳の人が介護しているというような実態になっておりましょう。おたくの門真市は知りませんけれども、私どもの地方ではそういうことになっております。

 そういった意味で、別に親戚でも何でもないんですが、昔から近所だから、同じ部落だから、村だからというのでやっておられる方というのは実は結構多いので、その人たちによって、国としては結果としていわゆる福祉関係、社会保障費の歳出全体が減るわけですから、そういった意味においては、これは物すごく大きな功労をしていることになりはせぬかという気が私自身もいたします。

 そういった意味では、そういった方の中で、ぬきんでていろいろやっておられる方というのがいらっしゃるのは事実でありますので、そういった方々は総務大臣の表彰というよりはやはり国からきちんとということになると、賞勲局の対象とすることによってその人も何となく意欲がわく。そういった意味では、私は非常に大きな意味があるんだと思いますので、先ほど答弁がありましたように、賞勲局に対しましても、これは別に考えても、民間とはいえやっていることは国にかわってやっているのと同じではないかということを申し上げて、今、その点に関しては推薦方をいろいろ言っているところでもあります。

福島分科員 大臣からも力強いお話をいただきまして、本当にありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

 次は、成年後見制度に関係しての公職選挙法の問題を取り上げたいと思います。

 先日、私は東京在住のある方からお手紙をちょうだいしました。その方は、子供さんが知的障害がありまして、みずから小規模作業所を創設し、親子ともども頑張ってこられた方であります。

 その方から、知的障害者の権利擁護の仕組みとして存在する成年後見制度を利用したときに選挙権を失うという問題についてお手紙がありました。簡単に紹介をさせていただきたいと思います。

 平成十七年後見人の事業部を立ち上げ八王子裁判所より認定を受け四月から利用者二名と契約します。契約制度の世の中で後見人制度は必要不可欠になります。被後見人になると禁治産者、または準禁治産者になります。そうすると結婚は認められるのに選挙権は無くなります。私達の作業所では約七〇パーセントの障害者の方たちが投票に行きます。作業所に通所の五十六歳の彼は母親と二人暮らしです。母親が八十六歳で介護保険を利用しています。彼は後見人が必要な状況ですが、投票をすることを何よりも大切にしている彼は被後見人になることを拒んでいます。知的障害者であるということで選挙権が無くなるという現実に私達は怒りを覚えています。

というお便りをいただきました。

 成年後見制度は、平成十二年の四月一日から開始をされたものであります。そもそも成年後見制度が導入された理由というのは、もともと民法におきまして禁治産、準禁治産という制度があったわけでありますけれども、いろいろと問題がある。例えば、人権という観点から考えたときに名称が不適切なのではないか、また、こうした制度の利用についても戸籍が汚れるということでなかなか利用が進まない、判断能力の判定が困難であるというようなことを踏まえて成年後見制度を導入するということに至ったわけであります。

 これは、司法書士会のホームページから調べた説明では、保護を要する成年者に対して新しい理念を持った援助の制度である、一つはノーマライゼーションの確立である、そしてもう一つは自己決定権の尊重である、このように言われているわけであります。

 そして、成年後見制度、ただいまも「五十六歳の彼」というふうにありましたけれども、一つは財産の管理ということが一番の目的なんです。高齢化して母親もいつ亡くなるかわからない、そういったときに、財産の処分に関して本人の意にそぐわない、また利益に反するようなことがあってはいけない、ですからこそ成年後見制度というものが禁治産、準禁治産というようなものと違った形で導入された。そういう趣旨をよく踏まえるべきではないかというふうに私は思っております。

 現に、代理権というものは、財産に関するすべての法律行為ということになっているわけであります。私は、この成年後見制度を導入するに当たって関連諸法においても見直しが行われたと思いますけれども、公職選挙法においては、禁治産と同じ扱いになりまして、投票権、選挙権がなくなるというような規定になったことに大いに疑問を感じざるを得ないわけであります。

 この点について、総務省の、その当時の経緯もいろいろとあるのかもしれませんけれども、どのような検討がなされたのか、御説明いただきたいと思います。

久保政府参考人 御指摘のように、公職選挙法の第十一条の第一項で、成年被後見人の方々に対しまして、「選挙権及び被選挙権を有しない。」というふうに定めております。これも御指摘にございましたが、平成十一年の民法改正に伴って改正されたものでございまして、従前の禁治産者が成年被後見人の制度に変更されましたものの、その対象は一致をするということになっておりまして、また、現実の問題といたしまして、選挙時、投票時に事理を弁識する能力を有しておられるのかどうなのかということを審査、判断するということは実務上も極めて困難であるということから、従前の禁治産者と同様、選挙権及び被選挙権を有さないという扱いにされたと承知しております。

    〔津島(恭)主査代理退席、主査着席〕

福島分科員 事理を弁別する能力があるのかないのか審査をするのはなかなか大変だ、こういうことでありますけれども、この成年後見制度を利用するに当たって、確かに事理を弁別する能力を欠く常況にある者と規定にあります。ただ、今、先ほどのお手紙にありましたように、財産の管理ということが一番の目的であります。成年後見制度を使いたい、使った方が財産の管理には便利だ、確実である、そういう場合に、一律、事理を弁別する能力がなくなるという判定になってしまうということにも問題があるというふうに私は思います。むしろ、選挙権というのは、これは基本的に国民に与えられているものであるということではないんでしょうか。

 そして、知的障害者に関して、ノーマライゼーション、社会参加ということが言われているわけであります。自立と社会参加ということが言われているわけであります。その中にあって、選挙権というものを、あなたは知的障害があるからない、こういうふうに決めつけるということは、私は甚だ遺憾なことではないかというふうに思いますけれども、その点について、再度御答弁いただきたいと思います。

久保政府参考人 選挙権及び被選挙権を有する方々の範囲をどのように定めるかということにつきましては、さまざまな角度から検討すべき課題であるというふうに考えておりますが、事理を弁識する能力を欠く常況にある者につきまして、我が国だけではなくて多くの諸外国においても同様に選挙権の欠格事由とされているというふうに承知をしております。

 また、これは繰り返しになりますけれども、現実の問題として、選挙実務上、選挙時、投票時に審査、判断をするということは極めて困難な側面を有しておるものですから、私どもといたしましては、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

福島分科員 例えば、IQは幾らだと事理を弁識する能力はないんですか。

久保政府参考人 ちょっと、私、存じ上げておりません。申しわけございません。

福島分科員 事理を弁識するという、これは法務省に聞かなきゃいかぬというふうに総務省さんはおっしゃられるのかもしれませんけれども、財産の管理をするという細かい話と、例えば幾つか、何人か候補者がいて、私はこっちの言っている人の方が好きだ、こっちの方が好きだということを判断するということの間には、私は大きな差があるんじゃないかという気がします。そして、そういう意味で、知的障害者の方々が成年後見制度を財産の管理から利用したときに、その方々を一律、これはだめだ、こういうふうな話にするということの方が、私は話としては無理があるんじゃないかというような気がします。

 むしろ、選挙権というものは基本的な国民の権利でありますから、いかにしてそれを守るのかという姿勢に立つのが総務省の立場じゃありませんか。お考えをお聞きしたいと思います。

久保政府参考人 選挙権及び被選挙権を有する方々の範囲をどのように定めるか、これは、御指摘にもございましたが、参政権というまさに基本的人権にかかわる問題であると承知をしております。選挙制度の根幹にかかわる問題でもございますので、各党各会派において十分御議論をいただきたいと考えております。

福島分科員 成年後見制度についてもっと言えば、代理権については財産に関するすべての法律行為でありますけれども、同意権とか取り消し権、これは日常生活に関する行為以外の行為ということでありますけれども、そういったことに対して、取り消し権者というのは本人も含まれているんですよ、実は。財産ということだけ特出しになった制度だと私は理解をいたしております。

 そういうことを考えたときに、法務省がこういう制度をつくったときに、国民の基本的な権利を守るという観点からどのように対応すべきか、そういうことについては、私はより検討していただく必要があったのではないかというふうに思います。これは、押し問答になるような気がいたします。これは公職選挙法の改正のときにも質疑がされておりますけれども、引き続き取り上げさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、時間も余りありませんので、次は第二東京タワーの話についてお聞きをいたしたいと思っております。

 三月二十八日に、新タワーに関する検討状況についてという発表がNHK等放送六社からありました。その発表では、墨田・台東エリアを候補地として協議するとされておりまして、東京の震災等のバックアップ機能等を考え、さいたま新都心についてももう一つの候補地として協議することが報告されています。

 第二東京タワーは、デジタル時代の放送を支える大切な施設である。その建設に当たっては、一たんつくってしまうとなかなか動かすというわけにはいきませんので、慎重を期する必要がある、また万全を期する必要があると思います。そして、東京における都市基盤の整備ということについては、やはり大震災ということを当然想定しなければいけない。大震災が起こったときに大切なことは、こうした放送が適切に確保できるということであろうというふうに思っております。

 そういう意味では、大震災に対してのバックアップ機能をどうするのかということは、さまざまな視点の中でも極めて大切な視点の一つではないかというふうに考えておりますが、総務省の御見解をお聞きいたしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時におきまして放送は極めて重要な役割を担っておるものでございまして、放送関係施設の整備を図るに当たりましては、災害時における放送機能の確保ということは極めて重要なことであるというぐあいに考えております。

 現在のアナログ放送におきましても、放送事業者が災害時における放送を確保するために、種々のバックアップ機能を設けております。仮に東京タワーが被害を受けたという場合における予備送信所の確保であるとか、あるいは非常用電源装置による電源供給機能等の確保であるとか、必要な措置を講じているところでございますけれども、デジタル放送時代におきましても、このようなバックアップ機能について引き続き確保されるものというぐあいに考えております。

 先生が先ほど引用されましたいわゆる第二東京タワーにつきましては、NHKと在京のキー局五社、合わせて六放送事業者が検討されているものでございますけれども、仮に地上デジタル放送の送信場所を第二東京タワーとする場合でもこのような事情は同様でございまして、今後、在京放送事業者等の関係者においてこのような観点も含めて検討されるということを期待しておるわけでございます。

福島分科員 基本的には放送六社の検討ということだと思いますけれども、いろいろとまた総務省にも御相談があろうと思いますので、適切に御指導いただければというふうに思います。

 次は、先ほど岩國委員からも御指摘のありました地方公務員の厚遇問題であります。

 私の地元の大阪が発端になっているわけでありまして、この際、徹底して調査をしていただきたいし、適切な見直しというものを自治体に求めていただきたいというふうに思っております。全国自治体の総点検を行うべきである。先ほど、特殊勤務手当実態調査についても政府の方から答弁がありましたけれども、一連の取り組みについて御説明いただきたいと思います。

須田政府参考人 総務省におきましては、これまでも、不適正な給与、手当の是正等につきまして、各地方公共団体に対して助言してきたところでございますが、具体的には、毎年夏の給与改定のときにおきましては具体的な改定内容等にあわせましてさまざまな助言をその中でお願いしていったり、あるいはいろいろな機会をとらえまして個別に適正化のための助言等を行っているところでございます。

 お話のございました特殊勤務手当につきましては、繰り返しになりますけれども昨年十二月に公表いたしまして、それぞれの団体に点検及び早期の見直しについて要請したところでございます。また、先週でございますけれども、いわゆる歩行者手当というふうに報道等で取り上げられてございましたけれども、通勤手当の運用につきましていかがかと思うような事例というのも指摘されておりましたものですから、その点につきまして調査を行いまして、現状等につきましてまとめまして発表したところでございます。そうしたものを参考にしていただきまして、団体において適正化の取り組みをしていただければと思っているところでございます。

 さらに、三月二十九日付ですが、新しい地方行革指針というのを通知してございます。この中におきましては、地方公務員給与についての適正化を強力に推進するよう全体として要請してございますけれども、特に、先ほどの特殊勤務手当あるいは退職手当などにつきましても重点的に見直しに取り組むようお願いしているところでございます。

 また、大阪の事例では、あわせまして福利厚生事業等につきましてもいろいろ御指摘いただいておりますので、住民の理解が得られるものとなるよう点検、見直しを行って、適正に事業を実施すること、あるいは福利厚生事業の実施状況等を公表することをお願いしているところでございます。

 総務省といたしましては、本指針に基づきまして必要な助言などを行うとともに、地方公共団体の取り組み状況を適切に把握し、フォローアップなどを行いながら、さらなる地方公務員給与の適正化に取り組んでまいりたいと思っております。

福島分科員 ですから、特殊勤務手当、手当の問題、そしてまた福利厚生事業、共済組合に対しての補助金、幾つかの側面があるのだというふうに思います。もちろん、団体自治でありますから団体の判断だ、こういうこともあるわけでありますけれども、いずこの地方自治体も大変財政が厳しい、そしてまた国の財政が厳しい中で、地方交付税の措置をどうするのか、こういう議論になっているわけでありますから、この際、徹底したシステムとしての見直しというものが必要だろうというふうに私は思います。

 ただ、ぱらぱらといろいろなことが出てきまして、全体として一体これは幾らぐらいになるんだ、地方自治体を全部足し算してみたらどの程度の規模になるんだ、どの程度のマグニチュードの問題なんだ、このあたりがなかなかよく見えてこないわけであります。

 地方公務員の人件費、こうしたものに対してどういうふうな推計ができ得るのだろうか、このあたりについて御説明いただけますでしょうか。

瀧野政府参考人 実際、ただいま問題になっておりますいろいろな人件費の問題が、全体の状況を把握できていない中でございますので、先生の問題意識に的確にお答えできるかどうかわかりませんけれども、現在、十五年度決算で見ますと、地方公務員の給与、手当、そういった人件費の総額は、約二十五兆九千億、こういうオーダーでございます。

 また、互助会等への補助金というものが問題になっておるわけでございますが、これは人件費の中の職員互助会補助金という項目で一応私どもも調べておるわけでございますが、十五年度におきます決算額を見ますと、約六百三十二億円、こういうオーダーでございます。

福島分科員 なかなか、こうしてお尋ねしても端々のことしかよくわかりませんで、大阪市の問題も、そしてまた全国に飛び火しておりますけれども、のど元を過ぎれば何とやらで、一体どうなったのかと。先ほどの政府参考人の答弁にありましたけれども、住民に手当についても説明できるように、こういう話もありましたけれども、やはり透明性を確保するというのはなかなか大変なことであります。

 私はむしろ、さらに進んで、例えば期末・勤勉手当が過大な水準になっている場合には、交付税の算定にそれを反映させるというような仕組みがあるわけであります。全体のシステムとして、こうした過剰な処遇というものに対して、過剰な福利厚生措置に対して、これを一定程度反映させて地方自治体の改革を促すような仕組みを考えるということが必要なのではないかというような思いがいたしますけれども、総務省の考えをお聞きしたいと思います。

瀧野政府参考人 御指摘のように、期末・勤勉手当につきまして、国家公務員をオーバーするような場合には特別交付税で措置するということを省令で明らかにしておるわけでございます。それに対しまして、現在いろいろ問題となっております部分というものにつきましては、基本的には、地方財政計画上は国家公務員に準じた形の部分を計算上計上しているということでございまして、現在のそれぞれの団体で過剰と思われるような部分というのは地方財政計画の外の問題ということになろうかなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、そういった問題が国民、住民の方々の理解を得られないということは事実でございますので、それはやはりそれぞれの団体の議会におきまして、住民の方々にそれを公表する中で十分議論していただくという問題なのではないかなというふうに我々は考えておりますけれども、全体として地方財政に対する信頼が損なわれないように、我々も十分に配慮してまいりたいというふうに思っております。

福島分科員 ただいま政府参考人が、地方財政計画の外の問題だ、こうお話しになったわけでありますけれども、ですから、そうしたこと自体がとらえられるような仕組みには基本的になっていないわけですね。そして、そのことが、例えば地方交付税についても、一般行政経費と投資的経費といろいろと使い回しをしているじゃないか、もちろんそこに大きな原因があるというふうに私は認識をしませんけれども、しかし、一部関連しているということは否定ができないわけであります。

 ですから、当初予算と地財計画とどう違うのかというようなことについても、決算ということを待たずに適切にフィードバックできるような仕組みが必要だと思いますし、外の話でございますということだけで済ませないような仕組みを考えるということが、将来にわたって地方の財政の健全化にどう資するのかという仕組みをつくる上においては大変大切だと私は思いますけれども、ぜひ御努力をいただきたいと思っております。

 次に、地方自治体の土地開発公社の塩漬け土地の問題、塩漬けにされた資産の処分の問題でありますが、これも私の地元の自治体でも、簿価と時価が全然乖離をして、これを処分しようと思ったらもう大変だと。そしてまた、それを処分するだけの財源も、市の財政には余裕がないということで、例えば駅前の土地なんかが何も活用されずにそのままに放置されているというような状況があります。

 かつて野田先生が自治大臣のときに、この問題、どうするんでしょうかというふうにお尋ねをいたしました。それからしばらく時間がたつわけでありますけれども、総務省としてどのような取り組みを進めてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。

荒木政府参考人 土地開発公社の保有土地の問題につきましては、平成十一年五月の当委員会におきまして福島先生から御質問をいただいたと承知をしておりますが、それ以後、総務省としまして、当時、旧自治省でございますが、保有土地の処分の促進に取り組んできたところでございます。

 まず、平成十二年四月には、保有期間が十年を超える土地につきまして地方団体において土地の用途及び処分方針を再度検討すること、情報を積極的に公開することなどを内容といたします土地開発公社の運営改善に関する通知を発出したところでございます。

 また、平成十二年七月には、土地開発公社の土地の保有額が標準財政規模に比べて特に大きい地方団体を対象に、地方団体における経営健全化計画を策定し、計画的に土地開発公社の抜本的な経営健全化に取り組む場合には、その推進を支援する上からの地方財政措置を講ずることとしたところでございます。

 この第一次の経営健全化対策によりまして健全化計画を策定した団体が七十二団体ございますが、これらの団体におきましては、計画策定後の四年間で保有土地を着実に減少させているところでございます。しかし、依然として公社の経営状況は厳しくて、保有土地が十分には減少していない公社も一部見られるところでございまして、平成十六年十二月、昨年の十二月には新たな経営健全化対策を策定し、計画的に保有土地の処分を推進する地方団体を幅広く対象とすることとしたところでございます。

福島分科員 処分がある程度進んでいるというお話でありますけれども、長期保有土地の総額は金額ベースで、平成十四年度末には十年以上保有で一兆九千九百三十七億円であったものが、平成十五年度には二兆三千五百七十億円と逆に拡大している。こういった土地は、多分バブルのときの非常に高い値段で買ってしまったので、処分するにし切れない、そういう固まりがあるんだろうというふうに思います。

 土地開発公社のあり方といいますか、いろいろと支援措置が講じられているわけであります。地方自治体による土地開発公社からの買い入れを促進するための地方債の発行の問題で見直しをするとか、いろいろとありますけれども、私は、また一方で、土地開発公社が持っている土地をそのままにしておくのではなくて、民間事業者に対しても賃貸をする、多分これから将来にわたって事業をするという話にはなかなかならないところが多々あるんだろうというふうに思いますから、むしろ柔軟な活用をさらに促進するということも一つの考え方ではないかというような思いがいたしますけれども、今後の取り組みについてお考えをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 もっともな御指摘だと思いますが、土地開発公社が持っています土地というのは、基本的に二種類、一つは自分で開発をして民間に売る予定の土地と、将来地方公共団体が買うから先に公社で先行取得、後で買い戻すからというのと二種類あるんだと思うんです。今申し上げました最初の分につきましては、昨年度あれを改正いたしましたので、全国的にこれはもう積極的にやれという話で、全国展開という方向でスタートさせていただいております。

 問題は後の方なんですが、将来買うという約束でやらせておるわけですから、基本的には、これは民間に長期の賃貸借をやるにしても、一回はやはり、買うのが約束になっておるわけですから、地方で買っておいてそれでというような形にしないとちょっとぐあいが悪いんじゃないかなという感じがいたします。再取得して賃貸借を行うということが適当ということなんだと思います。

 いずれにしても、これは有効利用というのをやらないと、当時考えたときと今とは経済状況というか社会環境も大きく変わっておりますので、今申し上げたように、そこのところは柔軟にやらせていただいて、少なくとも、塩漬けになったままで何もされないでペンペン草というのはとても今の時代には合わぬという感じがいたしますので、どのような方法がいいか。それから、これは意図的に妙なことになってもぐあいが悪いので、仮にもきちんと地方公共団体が購入した上での話にした方が適切ではないかという感じがいたしております。

福島分科員 以上で、時間が終わりましたので終わりますが、適切に対応をよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

松本主査 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。

 質問の前に、JR福知山線の脱線事故で四十九人の方の死亡が現在時点で確認をされております。心よりお悔やみを申し上げ、そして、多くの負傷者の方がおられまして、お見舞いを申し上げると同時に、政府におかれましては、原因と再発防止にぜひ取り組んでいただきたいということを強く要望申し上げます。

 本日は、総務省が管轄しております平和祈念事業特別基金というのがございまして、戦後の懸案と言われております三つの補償問題等に総務省が今取り組んでおられるわけですけれども、その中でも、戦後六十年、シベリアの強制抑留者の皆様方の補償に関して質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、実際に酷寒の地のシベリアで長きにわたって強制労働に従事をされた六人の方が今傍聴席に来られておられます。

 まず、麻生大臣に、きょうは本当に政治家同士のお話をさせていただければと思うのでございますが、このシベリア抑留ということに関して、どういうような感想といいますか、認識といいますか、そういうものを持たれておられるのか、お話しいただければと思います。

麻生国務大臣 基本的に、私ども自由民主党は、このシベリアの問題に関しては、これまで相沢英之先生、東家嘉幸先生のお二方が主にこれを担当してこられたんだと存じます。たまたま同じところ、同じ村にもおりましたので、私ども、よく存じ上げているところではあるんですけれども、少なくとも戦争が終わった後に一方的に抑留というような状況になって、極めて悲惨な状況になったということはもう間違いない事実であります。

 いわゆるほかのところの、シベリア以外のところでも、南の方でも同じような例というのは幾つかないわけではありませんけれども、少なくともこの状況は最もひどかったということは客観的事実として言えるのではないかと思っておりますので、政府として、この基金をつくる、いろいろな形でこれまで六十年、敗戦後六十年になりますけれども、その間いろいろなことをさせてきていただいておるのは、このシベリア抑留は特にそういった点が勘案されていることだ、私どもはそう理解をいたしております。

長妻分科員 南方のお話が今ありましたけれども、南方で捕虜になって強制労働の方には補償が出ているということもございまして、シベリアはかなり人数も上回るし酷寒の地だということで、補償がないということでございますけれども、これは日本の国として、基金の事業をやっているのはわかりますけれども、こういう皆様方に対して国としてどういうような誠の心をささげるべきか。

 国を守るというのは、これは本当に重要なことでございますけれども、やはり国を守るために戦った方々、いろいろな日本の反省もございますけれども、そういう方々に国としてどういうような補償なり誠の心をささげるのかというのは、私は今の若い方もじっと見ていると思います。

 そういう意味では、国として、やはり信頼をなくさない、国のために戦うという名前のもと戦った方々に対してはきちっと措置をする。そうすると、それはみんな見ていますので、ああ、こういうやはりきちっとした日本なんだということで、国を守るとか、そういうような意識というのもさらに強まっていくと私は思っておりますので、大臣として、シベリア強制抑留者の皆様方に対して、日本として戦後六十年の節目で、どういうような措置をしたらよいのかという御認識をお聞かせ願えればと思います。

麻生国務大臣 少なくとも、国家のためにとうとい命を犠牲にされた英霊というものに対して、国家として最高の栄誉をもって祭るというのを国家が禁止しているという国はありません。少なくともそういう状況下の中にあって、やはり日本という国は、敗戦、占領期間中の間のこととはいえ、いろいろな形での多くの問題を後に残したということは事実だと思っております。

 独立した昭和二十七年四月の二十八日、講和条約が正式に発布したのはこの日からなんですが、私ども、少なくともいろいろな意味で、いろいろな形でこの問題に関して取り組むべく、これは主に総務省というか当時の総務庁等々で、引き揚げの問題、恩欠の問題はもちろんのこと、いわゆるシベリア抑留の話等々、大勢の方々がまだ御存命でもありましたし、関係者も多く、満蒙開拓団初め、いろいろ国会議員の中でもいらっしゃいましたので、そういった方々の御努力のおかげもあって、御存じのようにいろいろ法律ができて、それに伴いましていろいろないわゆる基金というのがつくられたりしてきたというのがこれまでの事実だと思っております。

 今、ことし八月十五日をもって敗戦後六十年ということになろうと思いますので、そういった意味で、存命をしておられる方々の数も、御存じのように少なくなってきておるというのも実態でもあります。そういった状況にもありますので、自由民主党の方からは、党から正式に私ども総務省に対して、六十年という一つの節目でもあるので何らかの形での決着をしないといかぬのではないかということを一昨年の十二月に申し込みを受けたところでもありますので、今この基金及び基金事業についてのあり方について検討しているというのが今の実情でございます。

長妻分科員 そうしますと、麻生大臣の御認識としては、シベリア抑留者の方、御存命の方も今もいらっしゃいますけれども、に対する今までの政府の措置というのは不十分だった、まだまだ誠の心をささげるということで日本国政府としてやるべきことがある、こういうような御認識でございますか。

麻生国務大臣 これはシベリア抑留に限らず、サイパン、硫黄島、レイテ島、いずれもまだ遺骨の収集が終わっていないというところもありますので、シベリアだけの話とは存じません。英霊で散っていかれた方々というのはシベリアだけに限った話ではありませんけれども、いろいろな問題で、遺骨収集含めて、まだ政府としてもっとやらなければならぬことが残っているということも事実ですが、では、全く何もしてこなかったかというような認識ではないということも確かであります。

長妻分科員 実際シベリア等に強制抑留された方々で今、日本国内で御存命の方が何人ぐらいいらっしゃるのかと、今御存命の方の大体の平均年齢というのをわかれば教えていただければと思うんです。

麻生国務大臣 平均年齢八十一歳、引揚者二百五万、戦後強制抑留者三十二万人でありまして、今存命者の数というのが十二万五千人だと存じます。

長妻分科員 私、資料をきょうお配り申し上げましたけれども、私がいろいろなところからお伺いした数字とほぼ同じでございますけれども、帰国された方が、シベリア、モンゴルに抑留された方を入れると、四十七万三千人の方でございます。今大臣おっしゃられたように、四十七万三千人が日本に生きて帰ってこられまして、その中で現在生存されている方が十二万五千人ということで、御病気や寿命というのもありましょう、平均年齢が今大臣のお話だと八十一歳ということで、これはもう、やはり今御存命の方に対する、労苦に報いる、誠の心を国としてささげる最後のチャンスが、私は、この戦後六十年の節目だというふうに強く思っております。

 現地で亡くなられた方、確認された方だけでも五万五千人の方が亡くなられておられる。そのうち、旧ソ連側から四万人程度の方の名簿が日本に来た。そのうち、約三万人は遺族がわかり、遺族の方に告知をしておりますけれども、まだ多くの亡くなった方々が、御遺族はどこで亡くなったのか、行方不明というような状況に今なっております。

 そして、この新しい動きといたしましては、今月の十二日に新たに名簿が、厚生労働省、初めての名簿ですか、入手されたと思うんですが、どんな名簿でございますか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の名簿でございますけれども、旧ソ連から北朝鮮に移送をされました約二万七千人の方々の名簿でございます。先生お話しのように、四月十二日に外務省から引き渡しを受けたところでございます。

長妻分科員 今まで北朝鮮に移送されたということは言われておりましたけれども、こういう名簿というのは今まで全く見たことも聞いたこともというか、実物として初めてでございますか。

大槻政府参考人 そのような事実があるということにつきましては承知をいたしておりましたけれども、その上で、そういった名簿につきましてロシア側に情報提供を、資料の提供をたびたび要請しておったわけでございます。今回初めてそれが参ったということでございます。

長妻分科員 一部、この二ページ目、三ページ目に、三ページ目は翻訳でございますけれども、二万七千人の方の名簿がある。そして、実は北朝鮮に二万七千人の方が移送されて、そこから日本に帰られ、当然途中で亡くなった方もおられますけれども、そういう事実がまさに具体的に今月明らかになったわけです。

 実は、きょう傍聴していただいている野口さんという方もそのお一人でございます。

 このシベリアの酷寒の地で労働をする。大体全員が二カ月に一度ぐらい医務室に呼ばれて、軍医に素っ裸にされて、おしりの肉をつままれて、どれだけ肉がついているか、極端にやせている人は病弱ということで送られる。

 その中で、船に乗って、ああ、日本に帰れると思ったけれども、大体一そう二千人の捕虜が詰め込まれて、船で長時間運ばれ、そして着いた港は日本かと思いきや、北朝鮮の清津というところだった。

 そして、そこから貨車に揺られて古茂山というところに着いて、そこで病院に入るわけでもなく、ざんごうのような、さすがに屋根はあって野ざらしではありませんけれども、そこで薬もなく三カ月とめ置かれ、シベリアよりも食事は当然悪い、一日二食程度のというか定期的じゃない食事で、そして薬だということで、木を燃すと灰になる前の炭みたいなものを下痢どめということで飲まされたりするという大変な経験の、その途中でも何人もの方が亡くなった。そして、その後、興南という港に運ばれて、命からがら日本に帰ってこられた。

 一九四六年七月から十二月までの長い旅であったわけで、それが二万七千人もの方が、この方もソ連、シベリアから出た方の名簿でありますので、この方が何人生きて日本に帰れたかというのは、これはまた今後の調査だと思います。

 そういう大変な思いをした実態も明らかになっておりまして、その中で、海外の事例も申し上げますと、ドイツが最もシベリアに捕虜が抑留され、二百万人以上のドイツ人捕虜の方がシベリアの酷寒の地で強制労働させられた。二番目は日本でございまして、ここにございますように六十万人近くの方、そして三番目がハンガリーで五十万人、ルーマニア二十万人、オーストリア十五万人程度の捕虜の方が、当時のスターリン、ソ連邦のシベリアの労働力として駆り出されたわけでございます。

 そして、基金の解散ということがございまして、その意味では四百億の資本金、基金というのをやはり有効に使う必要があるというふうに思っております。

 私は、誠の心をささげるためにも、抑留された方に対して、その抑留期間に見合った、大臣も先ほど戦後の話だというお話もありましたけれども、まさに戦後こういう強制労働がなされたわけでございまして、その期間に見合った、労働賃金というのはなかなか、労働債権というのは法律上の規定等々がいろいろ厳格でできませんので、労働債権見合いの慰労金のような、期間に応じたお金をお支払いする、こういうような措置が必要ではないかと思うんでございますけれども、この基金のお金をそのようなことにお使いになるということを要望したいと思うんですが、大臣、いかがでございますか。

麻生国務大臣 今御提案のありました四百億というのは、目下基金としていろいろな形で運用され、新宿にあります抑留者の生活実態等々をいろいろな形で展示されているのも御存じのとおりであります。そういったものにも使われておりますが、加えて恩給欠格者、またいろいろな形の団体にもそういった形の部分が出されております。このシベリア抑留は中でも条件が最も過酷であったということに関しては、これは他の団体もそれなりの認識はしておられる、私どもが接触した範囲ではそのように認識をいたしております。

 少なくとも、今言われましたように、この基金をどのような形でということにつきましては、目下いろいろ検討をされておるところでもありますので、ここでどういうような方法がというのであれば、むしろ長妻先生がこういうのはどうだというのがあれば、私どもが気がつかない点もあろうかと思いますので、御提案をいただければ、参考にさせていただいて、検討させていただきたいと存じます。

長妻分科員 そうすると、今何か抑留者の方に十万円の旅行券などをお支払いするというようなことも言われております。そして、今国会に解散の法案が出るようなことも言われておりますけれども、そのようなことはあるのでございますか。

麻生国務大臣 これは、自由民主党の方で今いろいろ検討されておるというところまでしか存じませんので、その内容がどのような形か、細目を承知しているわけではありません。

長妻分科員 大臣からいろいろな提案があればというお話がございましたので、この資料の十四ページにございますけれども、これは我々民主党として議員立法として国会に、総務委員会の方に提出させていただいた法案でございますけれども、残念ながら審議未了、廃案ということになってしまいました。

 この十五ページをごらんいただきますと、当然、誠の心を政府としてきちっとささげた上で、この抑留の期間を五つに分けて、その五つに特別給付金ということで、御労苦の度合いに応じてこういうお金をお支払いする。そして、全体の金額でございますけれども、仮にこういうような形で誠の心をささげた場合、厳密にはいろいろな帰国の数字等がありますけれども、五百億円前後、トータルの金額というような試算もございます。

 その意味では、この四百億の基金にプラス政府としてそこに資金を上積みして、そして本当に皆様方に対して誠の心を政府としてささげていく、こういうことは最低限、政府としてもこれはもちろんできる余力は私はあると思いますので、大臣、ぜひ御検討なりの前向きなお話をいただければ幸いでございます。

麻生国務大臣 これは、今初めてこの細目、総額五百億というお話を伺いましたので、ちょっとこの場で即答は直ちにいたしかねる、立場にありませんけれども、御提案として預からせていただきます。

長妻分科員 ぜひ、新しい事実がここに来て続々とわかってきているのでございます。

 この五ページ目から九ページ目に資料がございますけれども、これはことしの三月に出てきた調査原本でございますが、四十一項目ございますけれども、一人一人の日本の捕虜の方が詳細にここに聞き取りで書き込んだ、こういうものが三万七千五百人分、日本に参りました。この三万七千五百人はすべて現地で亡くなった方でございますけれども、そういう新たな事実も来ております。

 先進各国はこのシベリア問題に国内で決着をつけたと言われておりまして、聞くところによると、ドイツは最高で数千万の補償を国として捕虜の方にしたというようなこともございますので、ぜひ大臣、もう少し踏み込んだ御検討なりの、私どもの提案に対して御発言をいただければありがたいと思うのでございますが、いかがでございますか。

麻生国務大臣 今御答弁を申し上げたとおりなんですが、少なくとも、この新しい事実が出てきたということも一つの参考にはなると存じますけれども、基本的には、長い間にわたっての話でもございますし、今新たに御提案をいただいたところでもありますので、この種の問題、節目の年でもありますので、検討はきちんと前向きにさせていただきたいと存じます。

長妻分科員 ぜひ、本当にぜひ、もう平均年齢八十一歳でございますので、最後のチャンスでございます。よろしくお願いします。

 そして、この資料の九ページ目には、日本に来た三万七千五百人分の、この資料では直筆で、その日本の捕虜の人が本人がサインした欄もございます。

 これは厚生労働省にお伺いしますけれども、これらの分析と、先ほどの北朝鮮の名簿の分析、来たばかりでございますけれども、いつごろ終わって御遺族の方に新たな情報を提供できる、大体、期間的にはどうですか。

大槻政府参考人 北朝鮮の関係の移送された方の名簿でございますけれども、これにつきましては、引き渡しを受けまして、早速これから翻訳作業にかかるところでございます。その上で、既存の私どもの承継しております陸海軍関係の資料等と突き合わせを行いまして、できる限り名前を特定するように努めたいと考えておるところでございます。

 今回の北朝鮮の名簿につきましては、資料内容が、氏名と生年、そして階級という三項目だけということでございます。そういったことで、なかなか難しいものがあろうかと思いますけれども、既存の資料との突合によりまして、できる限り特定に努めていきたいと……(長妻分科員「年内ぐらい」と呼ぶ)なかなか、そのめどはやってみないとわからないところもございまして、まずは翻訳した上で、早急に処理をしたいと考えております。(長妻分科員「こっちの方は、四十一項目のもの」と呼ぶ)

 御指摘の約三万七千名の資料でございますけれども、これは御指摘のように、以前私ども、四十一項目にわたる資料の提供を受けたわけでございますけれども、これにつきましての原本資料といいますか、そういったものでございます。

 これにつきましては、画像入力などをし、また、索引をつけまして、その内容につきまして、御希望の方々に提供できるように努めていきたいと考えております。時期についてはなかなか申し上げられません。

長妻分科員 ぜひ年内には全部の分析を終えていただきたいと思うのでございます。

 そして、この基金ですね。シベリア抑留の皆様とか恩給欠格者の皆様、引揚者の皆様に対して、誠の心をささげる基金がまた官僚の人によって食い荒らされている、私は、こういうことも本当に、何というか憂うつになるわけでございます。

 この基金に十九人職員がおられて、十七人がお役所からの出向、出向といえども基金が給料を払っています。そしてお二人は天下りの方。そして、常任の理事の方が二人おられますけれども、一人は内閣府の天下りの方、理事のお一人は年収一千五百万もらっておられるということでありますけれども、この職員の十九人の方の平均の年収というのは幾らぐらいでございますか。

麻生国務大臣 平成十五年度におきまして平和祈念事業特別基金が公表している資料によりますれば、常勤職員の平均年齢四十五・五歳、年間給与額八百五十万七千円ということが示されております。

長妻分科員 年収八百五十万、そんなに、もうちょっと若い人も事務でいっぱい雇うなり、あるいは引揚者の方とかシベリア抑留の方にお願いして、賃金をお支払いしてやっていただくなり、こういう高給を取って本当に十九人もの人が必要なのか。理事の一人は一千五百万のお給料ももらっている、こういうことでございますので、ぜひ、そういう引揚者やシベリア抑留の方々にも手伝ってもらって、もっとコストを安くするというようなことがあってしかるべきだというふうに思います。

 そしてもう一つは、十ページ目にございますけれども、日本の遺骨収集でございますが、これは今、日本の遺骨というのは一万六千百二十六柱、日本に移送されて、十一ページでございますが、遺族に引き渡されたのが二百十六ということで、ほとんどが不明となっております。

 厚生労働省にお伺いしますが、大体、このお墓、埋められている場所というのが実際何カ所ぐらいあって、そして、その埋められたお墓の場所、実際に現地に行って確認したのが何カ所かというのをお答え願えればと思います。

大槻政府参考人 ソビエト抑留中死亡者の遺骨収集につきましては、平成三年の日ソ協定に基づきまして平成四年度から本格的に収集をいたしております。

 この実施をする場合、旧ソ連、ロシア側から提供されました埋葬地情報に基づきましてやるわけでございますが、提供されました埋葬地の総数が五百八十八でございます。そのうち、すべてについて調査いたしましたけれども、収集可能なところというのが百九十カ所でございました。それらすべてについて収集をいたしております。

長妻分科員 五百八十八あるんだけれども、いろいろな問題があって、確認できたのは百九十ということで、ロシアが遺骨収集に協力的ではない、そういうお話も実は内々に私は聞いておるんです。

 これは外務省にお尋ねしますけれども、いろいろなレベルの外交交渉がございますけれども、このシベリア抑留、かつては謝罪もロシア大統領からありました。これの遺骨収集をぜひ協力的にやってほしい、こういう申し入れを外務省からしていただければと思うんですが、いかがでございますか。

小野寺大臣政務官 このシベリア抑留の問題は、本当に同情すべき大変大きな問題だと思っております。

 外務省としましても、現在、九一年に締結されました政府間協定におきまして、遺骨収集、また、資料の収集等を積極的にやっていまして、ことし二月にはシベリア抑留問題に関する日ロ協議を開催しました。

 今後、プーチン大統領の訪日というのが予定されております。ぜひ、これに向けて、今委員がお話しされたような内容については首脳間の話し合いの中でも一つの方向が出るように努力していきたいと思っております。

長妻分科員 そして、最後に遺留品の問題なんですが、シベリア抑留をされた方々のお墓の中に日本人のものである遺留品があるけれども、所有者がわからない場合、それを現地にほっぽっておく、こういうようなケースもあるやに聞いております。そうすると、遺留品で不明なものの遺留品を何か日本の中で博物館というか展示のところできちっとまとめて、どこかの段ボールに突っ込んでおくというんじゃなくて、そういうようなことがきちっとなされているのかどうか。それをぜひしていただきたいと思うんですが、厚生労働省、いかがですか。

大槻政府参考人 遺骨収集の際におきます遺留品の取り扱いでございますけれども、この点につきましては、一つは遺骨の身元特定のために使用する、また、二つ目としましてはその遺留品を御遺族にお返しする、こういうことを目的といたしまして持ち帰っているところでございます。

 ただ、所有者を特定する手がかりとなる氏名などが記されていない、所有者の特定等に資さない資料、遺留品につきましては、原則として日本に持ち帰ってはいないところでございます。

長妻分科員 それはおかしいですよね。日本のものとわかっていながら、やはり持って帰ってどこかに展示して、そして遺族の方が来て、もしかしたらうちのお父さんのものかもしれないとか、そういう思いやりというか気配り、何でこれは持って帰らないんですか。ぜひ持って帰っていただきたいと思うんです。そして、どこかに展示していただきたいと思うんです。

大槻政府参考人 所有者と申しますかを特定する手がかりとなる、そういった可能性があるものにつきましては、先ほど原則的なことを申し上げたわけでございますけれども、その埋葬地の状況、その遺留品の置かれた状況等々を判断いたしまして、慎重に、持ち帰るべきものは持ち帰るということで対処しているところでございます。

 ただ、全く持ち帰りましても身元の特定等に使うことはできないというものにつきましては、現状では持ち帰っていないものが多いわけでございます。

長妻分科員 ちょっと、時間ですけれども、最後に一点だけ。

 本当にぜひ持って帰ってください。日本のものだとわかるものは一〇〇%持って帰ってください、日本のものですから。そして、どこか展示してください、これはお約束いただければと思うんですが。

大槻政府参考人 遺留品の取り扱いにつきましては、今後、これまでのことも分析し、よく検討させていただきたいと思います。

長妻分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田徹君。

黄川田分科員 民主党の黄川田徹であります。

 大きく三つ通告しておりますけれども、二番目と三番目、順序を変えて質問していきたいと思います。最初は自治体の監査について、次に公営ギャンブル、公営競技について、最後に第三セクターについてお聞きしたいと思います。

 まず、地方公共団体の監査機能と評価機能についてお尋ねいたしたいと思います。

 まず、外部監査制度でありますけれども、これは、従来の監査委員制度に加えまして、地方公共団体が外部の専門家と個々に契約して監査を受ける制度であります。

 地方分権改革が実行の段階を迎えまして、そしてまた従前にも増して、公共団体の自己決定あるいはまた自己責任の原則、これを踏まえて自律した自治体経営をしなきゃいけないのでありますけれども、こういうときにはやはり自治体のチェック機能を十分に発揮させる、これが大事だと思っております。

 これは平成九年に自治法の改正によって創設されたところでありますが、最初に、制度の導入から六年たっておりますけれども、この外部監査制度の実施状況についてお尋ねいたします。特に、包括外部監査においては、どのようなテーマをもってして監査されているか、これをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 平成十四年度におきまして、法律に基づいて実際に包括外部監査が行われましたのは、都道府県は全県、四十七都道府県ということになります。それから、指定都市及び中核市四十二団体であります。また、条例に基づいて実施されましたのは、東京都の港区等々十一団体。合計百団体において実施されておるというのが現状であります。

 テーマにつきましては、補助金とか特別会計などの予算執行に関するものが五十五団体、そして土地開発公社等々のいわゆる事務に関するもの五十四団体、病院を含めまして公営企業等々に関するもの三十六団体が主なものというような形になっております。

黄川田分科員 従来から監査委員制度はあるわけなんでありますけれども、身内の中の監査ということで、厳しいところにはなかなか切り口が出せないというような状況もありまして、新しく外からしっかりと見てもらうといいますか、そういうことでできたわけであります。

 これは契約を結ぶわけなんですが、その費用たるや、ならして見ますと、都道府県だと大体二千万ぐらいの金額だというふうな形になっていると思うのであります。始まって六年ということで、それぞれいろいろな分野の監査が行われているわけなんでありますけれども、監査のための監査にならないようにやってもらわなきゃいけないのであります。

 自治体が導入してから、これに対する評価といいますか、導入してよかったとか、あるいはまたまだまだこれについては課題があるとか、ちょっとこの点、通告していなかったわけでありますけれども、自治体の評価はどうなっておるでしょうか。

麻生国務大臣 これはスタートしたばかりでもあります。

 黄川田先生御指摘のように、監査のための監査というのはまことに言い得て妙な表現だと思いますけれども、やはり外部の目から見たらちょっとこれはおかしいんじゃないかというような御指摘を、役所の世界では常識であっても外部から見るとこれはおかしいんじゃないかというような点が普通あり得るものだと思いますので、そういった目から見てどうだという点が今回のこの外部監査を入れる大きなところだと思います。

 いろいろまだ始まったばかりではありますけれども、少なくとも、徐々にこの種のものを利用して、こういう御意見があるからとかいう意味で、首長さんとして、助役から上がったんじゃなくて外から来られた首長さんがおれはこれをやりたいということを言われたときに、その道具として、ほら見ろ、こういう指摘もあるというような形で、実態を役所とまた別のペースで、自分の資料として、道具として使われる。いろいろな形の使い方があろうと思いますので、この外部監査というものの利用度というのは、これから理解されていくともっと普及していくということを私どもは期待いたしております。

黄川田分科員 外部監査制度は、都道府県、指定都市であるとか、あるいはまた中核市となっているわけなんですが、また一方、個別外部監査法人によります監査、これの利用実績が何か芳しくないような感じがするのでありますけれども、この取り組み、普及について、総務省、どう考えておりますでしょうか。

麻生国務大臣 個別外部監査の条例実態というのは先ほどとほぼ同じであります。先ほど百団体と申し上げましたけれども、函館市など個別のところのもの、さらにふえまして個別の方は合計百二十七団体ということで、平成十三年度より七団体ふえておりますが、御指摘のありましたように、利用実績につきましては、これは平成十三年度で五件、平成十四年度で三件ということであります。

 これは、問題は、やはり請求をされて初めてということになりますので、個別外部審査のときはちょっとほかと状況は違っておりますので、請求自体が少なかったというのが非常に大きな理由だとも思っております。

 いずれにいたしましても、ことしの三月二十九日になりますけれども、私どもとしては、地方行革の新しい方針として指針を示しておりますけれども、外部監査の有効利用というものについて助言を行っております。今後とも外部監査制度についての周知をさせていかなきゃならないと思って、いろいろ地方団体に、これは大いに利用すべきものなんだという点を私ども助言してまいりたいと思っております。

黄川田分科員 地方が求めた合併じゃなくて、総務省主導の合併といいますか、そういう中でも、自律していかなきゃいけないという市町村の命題もありまして、さまざまなんでありますけれども、来年の四月あたりには大体千八百から千九百の市町村になるということで、市町村合併に伴ってやはり足腰の強い自治体をつくっていかなきゃいけない。そういう中にあって、この外部監査制度、ますますニーズが高まってくると思っております。合併特例債のような甘い仕組みというよりは、もっと実質的に自律できるような、そういうものをしっかりと奨励していっていただきたいと思っております。

 それからもう一つは、監査を受ける前にやはり、自治体、しっかりと政策を評価しなきゃいけないというところがあると思っております。

 財政状況は厳しいですから、本当に限られた資源の中で、そして住民にしっかりと説明責任をしていくということが大事だと思っておるのでありますけれども、行政評価については各省庁、総務省がやれということで、国の方でも、平成十四年四月施行でしたか、行政機関が行う政策評価に関する法律、これが行われておるわけでありますけれども、むしろ行政評価については自治体が結構進んでいるんじゃないかと思っておるわけであります。

 それで、最近では、この評価の関係で、より客観性を高めるためにさまざまな工夫を凝らしながら行っていこうという団体も聞いておりますけれども、改めて、地方公共団体の行政評価の導入状況、また今後の課題についてお尋ねいたしたいと思います。

麻生国務大臣 行政評価につきましては、これはやはり役所が役所を見ただけの評価という点も、確かにほかの役所から見させるというのも大変大事なところだとも思いますけれども、いずれにいたしましても、今、特例市、政令都市等々各種大きな自治体の方でむしろこれは進んでおる、私どももそういうぐあいに理解をしております。

 やはり第三者を入れた外部からの意見というものを入れて、工夫をいろいろ凝らしておられるというところも見受けるようになっておりますけれども、何となく、評価のための評価と先ほど言われましたけれども、一応ちゃんとやっているんだという話だけで、これを見ても余りようわからぬというものも多いような気がします。ホームページに仮に載っけた、他の市と比べてみて、おまえのところは全然これは何のことかようわからぬというようなものもいっぱいありますので、少なくともわかりやすく比較ができるような形に、ちゃんとその結果を出して、公開するのなら、情報を開示するのならきちんとしてくれということで、これは改善すべきこともかなりあるのではないかと私どもはそのように思っております。少なくとも、いろいろな形でこれは大いに有効に利用すべきものなんだという点を今後とも助言してまいりたいと思っております。

黄川田分科員 自治体の方でも試行錯誤しながら一生懸命やっているのでありますけれども、他方、国はどうかといいますと、総務省、各省庁、行政監察の延長線なんですかね、それぞれ省庁の評価をやっているんですが、どうも小さいところに目が行ってしまって、木を見て森を見ずといいますか、地方が元気でやっているんだから、各省庁への政策評価、もっと総務省は自信を持ってしっかりやっていただきたいと逆に思っているわけであります。

 それから次に、先ほど言いましたように、順序を変えまして、公営競技の採算悪化の現状についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 御案内のとおり、公営競技には競馬、競輪、オートレース、競艇の四つの競技があるわけであります。その中にあって、畜産を初めとする関連産業の振興とか、あるいはまた体育事業などの公益事業の振興に寄与する、さらには地方財政の健全化を図るために行うもの、そういうふうにされておるわけなのでありますけれども、昨今の厳しい経済状況のもとで、特にこの四、五年の動きというのが大変なことになっているんじゃないかと思っております。

 この公営競技の経営でありますけれども、地方自治体の中ではこの厳しさに耐えかねて撤退している団体もあると伺っておりますが、そうはいってもこれまで果たした役割というのがあると思いますので、この四つの分野の公営競技、これまで自治体に財政上の中でどのように貢献してきたか、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。

瀧野政府参考人 地方公営競技につきましては、ただいまも御指摘がありましたように、関連産業の振興あるいは公益事業の振興、さらには地方財政への寄与ということで実施されてきたわけでございます。

 公営競技から施行団体の普通会計等へ繰り出した額でございますが、平成三年度がピークでございまして、三千六百五十一億円という非常な多額になっていたわけでございまして、その後減少を続けます。それでも、直近十年間で見ますと、平成六年度から平成十五年度でございますけれども、約一兆百億円、競馬で四百億円、競輪で三千五百億円、オートレースで約五百億円、競艇で約五千七百億円ということでございまして、社会福祉あるいは医療、教育文化、スポーツ、いろいろな分野に充当されてきているという状況にあるわけでございます。

 また、公営競技の収益金の一部につきましては、昭和四十五年以来収益を全国に均てん化していこうということで、公営企業金融公庫が地方公共団体に貸し付けます地方債資金の利率の引き下げに活用してきておるわけでございまして、地方団体の方でも低い利率のものを利用してきたということがございまして、施行団体のみならず、地方財政全体にとりましても寄与をしてきたというふうに我々は考えております。

黄川田分科員 バブルの時期あたりはかなりの財政寄与をしたと思うのでありますが、先ほど申し上げましたとおり、最近の四、五年の環境といいますか、本当に大変な状況になっております。

 これはどうなんですか、総務省に、公営競技の状況、最近の現状認識、そしてまたどんな形で助言等を行っていくのか。もちろん本質は自治体の自主財源の確保とかさまざまあるのでありますが、こういう状況の中で、先を見通して、もう撤退した方がいいよであるとか、あるいはまた過去の寄与も含めながら、将来的には安定的な財政が貢献されるような形になるのであればどうだとか、いろいろなことがあると思うんですが、今の現状と、改めてその助言、何か総務省があるのかどうか、お願いいたします。

瀧野政府参考人 御指摘のように、公営競技につきましては、近年、非常に景気の低迷がございます。あるいは国民のレジャーも多様化してまいっておりまして、経営が著しく悪化しておるわけでございまして、公営競技の売上高、先ほど申し上げましたように平成三年をピークに減少を続けておりまして、極めて厳しい状況にあるものと認識しております。

 売上高を見ますと、平成三年度五兆五千億円余という売り上げがあったわけでございますが、平成十五年度には二兆六千八百億円余ということで、ほぼ半減しているという状況にあるわけでございます。

 総務省といたしましては、従来から、公営競技を実施いたします地方公共団体に対しまして、経営改善計画の策定をしていただきまして、施設の改善あるいはファンサービスの向上などによりまして売り上げの増加を図りますとともに、開催経費の節減などによりまして経営の合理化努力を行うように要請をしてきたところでございます。

 また、地方公共団体が経営改善計画を策定いたしまして、自主的に改善に取り組もうという場合には、その計画に基づいて行います人員の削減あるいは機械の導入等に伴いまして一時的に経費が増加をいたしますので、その部分に対しましては特別に地方債の発行を認めまして財源措置もしてまいりました。

 今後とも関係各省とも十分連携を図りまして、一層の経営改善が図られまして、地方財政への貢献という本来の目的が達成できますように支援してまいりたいというふうに考えております。

黄川田分科員 特に公営競技の中で一番落ち込みの激しい競馬について重ねて御質問させていただきたいと思います。

 私の地元、岩手でも岩手競馬というのがありまして、盛岡と水沢で開催されておるわけなのでありますけれども、かつて地方競馬の優等生と言われたときもあるわけであります。しかしながら、この岩手競馬でさえも、近年、収支が悪化の一途をたどっております。県議会でもいろいろな議論がされましたけれども、幸い、本年度も競馬事業を継続するということで進んでおるわけなのでありますけれども、根本的な問題解決をしたというわけではないわけであります。

 うちの岩手競馬に限ったことではなく、昨年度は高崎競馬それから宇都宮競馬ですか、撤退しているという状況にあるわけであります。

 昨年、農林水産委員会の方で競馬法の改正をしまして、ことしの一月施行であります。そういう中で、この競馬が生き残っていくために、法が施行されたばかりでありますので、その状況といいますか、法の改正によって講じる対策、あるいはまた法が施行されてどんな効果があったのかということなんですが、まだ出ていないかもしれませんが、状況を踏まえてお答えいただけますか。

町田政府参考人 お話がありましたような近年の競馬の売上額の減少に伴います競馬主催者の厳しい事業収支の状況を踏まえまして、昨年六月に競馬法を改正いたしまして、本年一月から施行されたところでございます。

 この改正の内容でございますが、勝馬投票券の発売、また、払い戻しの事務などに対して、私人に対して委託を可能といたしましたほか、地方競馬への支援策といたしまして、他の競馬主催者と連携して収支計画を図ろうとする主催者に対しましては、共同で作成いたしました競馬連携計画、これに基づく事業につきまして地方競馬全国協会からの補助を行うということ、また、単独で収支改善を図ろうといたします主催者に対しましては、地方競馬全国協会への交付金の一部を猶予する、こういった措置を講じたところでございます。

 これらの効果でございますが、まず私人への委託を行うということによりまして、コストの削減とともに民間のノウハウの活用、そういったことによって競馬ファンへのサービスの向上が図れるのではないかというふうに考えております。

 また、主催者間の連携によりまして、競馬関連施設の共同化といったことによりますコストの削減ですとか、人馬の交流によりますレースのおもしろさの向上、また、勝馬投票券の相互発売によります売り上げの拡大、こういったことに資するのではないかというふうに思っております。

 さらに、交付金の猶予措置を受ける主催者、これにつきましては、猶予期間内に事業収支の改善を図るための取り組みの確実な実施によりまして、収支の改善、こういったことを期待いたしているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、今後とも、地方競馬の支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

黄川田分科員 昨年の競馬法の改正は、たしか十三年ぶりでありますか、中身は規制の緩和と地方支援という形でありまして、特に地方競馬の場合は地方財政への支援といいますか、その辺が一番大事だと思うわけであります。将来的に、国の経済活力を戻す仕事、それが大前提なんでしょうけれども、大変厳しい中でありまして、今お答えいただきましたけれども、ちょっと加えて質問なんですが、先ほどの交付金の関係も出ましたが、猶予の関係も出ました。

 昨年の競馬法改正で、各地方競馬から地方競馬全国協会への交付金、上納金の一部、これの交付を猶予する措置が今お話しのとおり講じられたわけであります。しかしながら、競馬の現状、大変厳しさを増しておりますので、最大三年間の猶予、これについては、例えば猶予のさらなる延長であるとか、加えて、たしか経営をやめた場合には清算の資金に使ってもいいよというような話になっていると思うのでありますけれども、継続した場合であっても、猶予措置ではなく、例えば免除措置とか、そういうもの等々ができればいいなと私は思っておるのであります。ただ、もちろん、各自治体、競馬を主催しているところの自己改革、やはりそれが一番大事でありますし、自助努力が最も大事なのでありますけれども、免除措置とかそういうものの考え方は農水にはあるのでしょうか。

町田政府参考人 まず、猶予期間についてのお尋ねでございます。

 今回の交付金の一部の猶予措置でございますが、事業収支が悪化している主催者の経営改善を図るということでございますが、このためには、やはり一定の期限を定めて取り組むことが必要ではないかという観点から、他の公営競技、これは競輪、オートレースでございますが、と同様に猶予期間は三年以内というふうにしたところでございまして、この期間内に収支改善が図られることを期待いたしているところでございます。

 また、免除措置についてでございます。

 この猶予措置でございますが、畜産振興に充てるための交付金を対象に猶予をするというふうにいたしておるものでございます。地方競馬を初めといたします公営競技につきましては、こうした交付金の納付を通じまして、関連産業の振興といった公益的な役割を担いながら、刑法の特例であります事業、公営競技を実施しているところでございます。

 したがいまして、地方競馬を実施する、経営を継続するということでございますが、こういう場合におきましても、先ほどお話がありましたように、事業から撤退する場合と同様に交付金を免除するということについては、なかなか困難ではないかというふうに考えているところでございます。

 なお、この考え方については、他の公営競技も同様の取り扱いとなっているところでございます。

黄川田分科員 各自治体主催の経営改善計画とか、まだ始まったばかりでありますので、できるだけそういうことはしないでも順調に地方財政への寄与ができる仕組みになればということでありますけれども、まだ始まったばかりでありますから、答弁する方もなかなか大変でしょうけれども、しっかりと見守っていただきたいと思っております。

 最後に、ちょっと時間がもうないのでありますけれども、第三セクターの収支状況についてお尋ねいたしたいと思っております。

 私も、国政に一市役所職員から参画したら、すぐに宮崎のシーガイアとか第三セクターの清算とかいろいろな動きがありまして、さまざま課題になったのでありますけれども、また改めて、昨年来の市町村合併の中でも、それぞれの市町村が合併する中で第三セクターの経営状況等々をいろいろ議論されるというような状況でありました。

 その第三セクター、地方公社について、いまだになかなか厳しい状況があると聞いておりますけれども、私の県内でも、残念ながら、経営が厳しい中にあって、市町村合併、上手にできなかったというところもあるのも事実であります。

 そこで、第三セクターの経営状況、全国的にどうなっているか、まずお伺いいたしたいと思いますし、そしてまた、当時、宮崎のシーガイアのころには、指針とか方向性とかということで、総務省も余り手を入れるまではいかなかったわけでありますけれども、最近は、第三セクターの清算の進め方とか統廃合とか、あるいはまた民事再生、会社更生というようないろいろな法的手続も動いてきているんじゃないかと思っておりますが、その辺の状況をお尋ねいたします。

瀧野政府参考人 第三セクターの経営状況でございますが、総務省といたしましては、地方団体の出資割合が二五%以上の商法法人、民法法人、あるいは出資割合が二五%未満でありましても貸付金や損失補償といった財政的な支援をしております商法・民法法人、さらには地方三公社というようなものを対象といたしまして、経営状況の調査を実施しておるわけでございます。

 十五年度末時点の調査によりますと、赤字を計上している法人は、第三セクターで六千九百四十九法人中、約三分の一になります二千三百三十八法人、それから地方公社では、千五百九十法人中八百一法人で、五〇・四%というような状況になってございます。

 また、負債が資産を上回っております債務超過の状態にある法人は、第三セクターで四百十七法人、五・九%、それから三公社では六十六法人で四・二%という状況でございます。

 また、法的整理の関係でございますけれども、この十七年三月に調査したものでございますが、十五年中に法人を廃止した件数、これが百四十五件ということで、前年の百七件に比べまして相当ふえてございます。また、統合した件数が四十一件、法人数にいたしますと五十一法人の減でございます。それから、出資の引き揚げ等、これが十四件ということでございまして、全体として見ますと、廃止した件数が非常にふえてきているという状況でございます。

 また、十五年度中に法的整理を申し立てた法人でございますが、二十六法人でございまして、前年、十四年度中の十八法人に比べましても、これもふえてきております。

 また、こういった数字にはのってございませんけれども、最近マスコミで報じられたものとして、私どもの方も概要を聞いておりますけれども、今年三月三十一日に東京都の第三セクターでございます東京ファッションタウン株式会社ほか一社が民事再生手続の開始申し立てをしたとか、あるいは、四月一日には大阪府の方で、第三セクターでございますりんくうゲートタワービル株式会社が更生法の開始申し立てを行ったというふうなことを聞いているところでございます。

 いずれにいたしましても、それぞれの団体におきまして、その第三セクター等の状況に応じまして、廃止等も含めて対応してきているという状況にございます。

黄川田分科員 自治体にとっては、手塩に育ててきた第三セクターということで、断末魔に来てもなかなか手を加えられないという状況があったりしておりますけれども、市町村あたりだと、ちょうど合併という形の中で、英断を下すときというのは、大きな変革の節目とか何かじゃないと、なかなかできないものです。

 しっかりと、国も自治体も財政状況は厳しい、国税にも大きなメスを入れなきゃいけないというのがまた来年の予算編成の中で出てくると思いますので、重ねての質問でありますが、最後の質問になりますけれども、こういう深刻な第三セクターに、もし具体の助言等が総務省として提示してあるのであれば伺って、終わりにしたいと思います。

瀧野政府参考人 ただいま申し上げましたように、第三セクターの経営状況は、非常に経営環境も変化いたしまして厳しい状況にあるわけでございます。

 総務省といたしましても、第三セクターの経営の悪化は設立団体の財政運営に大きな影響を及ぼすケースもあり得るわけでございますので、地方団体の方で関係する第三セクターの健全な運営に万全を期すべきだというふうに考えておるわけでございます。

 経営状況が深刻であると判断されるような場合には、問題を先送りすることなく、抜本的な経営改善の検討を行う、極めて困難と判断される場合には、法的整理も視野に入れるべきだというふうに考えております。

 この四月二十日にも次官通知で、十七年度の地方財政の運営についてというのを地方団体に発したところでございますけれども、重ねて、今申し上げましたような趣旨に言及しておるところでございます。今後とも、あらゆる機会を通じまして、地方公共団体に要請してまいりたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 黄川田先生、今の点は、確かにこれは非常に大きな問題で、地方の中で見えないような形になっている部分ではあるんですよ。地方の公共団体、第三セクターを含めて、いろいろ、何々法人というのはあるんですが、やはり今しんどいのは組合です。これは、やめるということになると一挙に失業という問題になりますでしょう。そこのところが地方に与える影響というのは、それに頼っているところというのは物すごく大きいものですから、そういったところを考えると、やはり小さな公共団体ほどなかなかいきにくいというところが大きい。

 競馬なんか、いつかしたらまた競馬ブームが来るんじゃないかとか、いろいろ考えることもありますものですから、地方を経営するという観念に立って首長さんがそこでやり切るかというと、これはなかなか、御指摘のように、手塩に育ててきたこれまでの経緯これありで、やはり合併を境に、群馬県の太田の話やらいろいろありますけれども、これを境に事務組合として競艇から撤退しますとか、いろいろなものが実は地方でも幾つか出てきているというのは事実なんです。

 そういった意味で、私どもとして先行き、この種の経営の話を、大体、役人に経営の話を聞く方があほですから、そんなこと聞いたって全然無理ですから、そういった意味では、これは、ちょっとどこかでいいタイミングというものを決断しないと、ずるずるといくと、かなり傷が大きくなってからというのはやめた方がいいなという感じが率直なところでもあります。

 どこかで踏ん切りをつけるというときには、町村合併という三位一体は非常にいいタイミングにはなるのではないか、私自身はそういう感じがしますけれども、雇用の問題というところがちょっと正直、今この景気の悪いときにやるべきかねというのが経営感覚のある首長さん方はいずれも悩んでおられるところですし、御相談を受けます私どもも、今かねというのは、ちょっと正直悩むところです。

 いずれにいたしましても、傷口がさらに大きくなると、後で降りかかってくることにもなりますので、ここらのところはよくよく自治財政局等々と詰めさせなければいかぬところだ、私どももそう思っております。

黄川田分科員 雇用の場の確保の関係では、私も大臣と同じ認識であります。しかしながら、やらなければいけないこともやらなきゃいけないということです。

 時間になりましたので、続きはまた機会を見つけて質問したいと思います。終わります。ありがとうございました。

松本主査 これにて黄川田徹君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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