衆議院

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第2号 平成18年6月6日(火曜日)

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平成十八年六月六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 松本  龍君

      今津  寛君    鈴木 馨祐君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      太田 和美君    岡本 充功君

      玄葉光一郎君    小宮山泰子君

      篠原  孝君    三日月大造君

      鈴木 宗男君

   兼務 冨岡  勉君 兼務 上田  勇君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   総務副大臣        山崎  力君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官     真島 審一君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       金刺  保君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   会計検査院事務総局第四局長            帆刈 信一君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        樽井 澄夫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松井 一實君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     長崎幸太郎君

  太田 和美君     三日月大造君

  玄葉光一郎君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     西本 勝子君

  小宮山泰子君     山井 和則君

  三日月大造君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     岡本 充功君

  山井 和則君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     太田 和美君

  篠原  孝君     玄葉光一郎君

同日

 第一分科員上田勇君及び第四分科員冨岡勉君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省所管、公営企業金融公庫及び文部科学省所管〕


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     ――――◇―――――

松本主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十六年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁、総務省所管、公営企業金融公庫及び文部科学省所管について審査を行います。

 昨日に引き続き、文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三日月大造君。

三日月分科員 おはようございます。民主党の三日月大造です。

 朝一番、文部科学行政、特に私は、今、教育基本法の全体的な、大きな歴史的な議論が行われておりますが、その議論は議論として今後参画をいたすことにいたしまして、きょうは学校図書館のあり方について、各論、一点に絞って議論をさせていただきたいと思います。学校図書館をより充実させていこう、応援団の立場で数点確認をしたいと思います。

 それに当たりまして、私はきのう、地元の選挙区の三つの市の六つの小中学校を回って、学校図書館を見てまいりました。大臣や行政当局の皆様方も、それぞれ現地視察等をされることがあると思うんですけれども、この間の行政当局及び地域、現場、学校当事者の関係者の皆様方の御尽力によって、かなり充実も図られ、法も制定され、いろいろな取り組みがなされていると思うんです。

 まず冒頭に、ぜひ大臣に確認をしたいと思うんですが、私自身も三人の子供がいて、今一人が小学校に通い、学校図書館や何かも利用させていただいているんですが、子供たちの発育、発達、児童生徒への教育、そういった観点から、読書活動の充実の必要性についてどのように認識をしていらっしゃるのか、また、その中において学校図書館の果たすべき役割をどのように位置づけていらっしゃるのか、まず大臣に御確認をいただきたいと思います。

小坂国務大臣 おはようございます。

 三日月委員におかれましては、地元の学校図書館等御視察をいただいたということでございます。またその感想も含めていろいろ教えていただければありがたいと思います。

 読書活動自体は、子供たちが言葉を学び、感性を磨く、また、表現力を高めて想像力を豊かなものにするという、人生をより深く、そして意義あるものとするために、学校教育の中でも、また、そういった読書習慣をしっかり身につけるということが人生の上でも私どもは大切だと考えておりまして、学習指導要領におきましても、小中高等学校それぞれにおいて、各学校における教育課程全体の配慮事項といたしまして、学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実するということを盛り込んでおるところでございます。

 このように、学校図書館は、児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場といたしましての読書センターとしての機能を持っておりますし、また、自発的、主体的な学習活動を支援し、教育課程の展開に寄与する学習情報センターとしての機能も果たすものでありまして、学校教育の中核的な役割を担うものと考えているところでございます。

三日月分科員 今、学校活動、教育活動の中核的役割というお話がありました。私も昨日回らせていただいて、こんなに充実してきたんだなと。もう取り戻せないんですけれども、私が学校にいた時分ももっと利用すればよかったな、また、自戒も込めて、自分たちの子供たちの教育も含めて、利用するように、親も含めて取り組んでいかなあかんなということを改めて感じたんですけれども、まず一点、冊数についてちょっと確認をしたいと思うんです。

 学校図書館図書は、これだけの冊数を整備しようということで学校図書標準というものを設けられて、また、そのための五カ年計画、図書整備五カ年計画や何かも定められて、この間取り組んできていらっしゃいますけれども、現時点で公立小中学校の図書標準の達成度合いはどの程度になっているのか、まず一点、そこから確認をさせてください。

銭谷政府参考人 義務教育諸学校の学校図書館の図書につきましては、図書整備を図る際の目標といたしまして、学校図書館図書標準というものを設定いたしております。

 それで、当該学校図書館図書標準に足りない分を整備するために、学校図書館図書整備五カ年計画というものを立てまして、平成十四年度から十八年度までの五年間で毎年約百三十億円、総額で約六百五十億円の地方財政措置を講じているところでございます。この地方財政措置を活用してどれだけ学校図書館の図書を購入するかということは、各自治体の判断によるところになっているわけでございます。

 学校図書館図書標準の達成のためには、図書標準に足りない分の図書に加えまして、本は古くなりますと廃棄ということが必要になるわけでございますが、廃棄をした冊数に見合う冊数を購入する必要がございます。

 平成十六年度末におきまして、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小学校で約三八%、中学校で約三二%という水準でございまして、やはりいまだに達成していない学校が多い状況がございます。

 以上でございます。

三日月分科員 そうなんですね。この間のいろいろな計画なり取り組み、地方財政措置もあるんですけれども、しかしながら、小学校で三八%、中学校で三二%という低率にとどまってしまっているんですね。その原因、背景等についてはどのようにお考えですか。

銭谷政府参考人 近年、各地方公共団体に大変御努力はいただいているわけでございますけれども、やはり各地方公共団体の財政事情などによりまして、図書の購入費が十分に措置をされていないということがあろうかと思います。

 一方、実は図書標準を随分達成している県とか地域もございます。したがいまして、財政事情に加えまして、やはり関係者の間で学校図書館の図書についての整備の意欲といいましょうか、そういったこともかなり影響はしているのではないかというふうに思う次第でございます。

三日月分科員 そうなんです。財政的なことも影響し、各自治体の意欲も影響しているんだと思うんです。

 ちょうど一年前のきょう、平成十七年の六月六日に「公立義務教育諸学校の学校図書館の図書の購入に要する経費の地方財政措置について」、要は、これだけお金を手当てしているからちゃんと地方自治体においても使ってくださいねと。ちなみに、これぐらいの学校規模だったら、小学校の十八学級だったら四十三万九千円、中学校の十五学級だったら七十四万四千円、これだけついているんですよ、ちゃんと使ってくださいね、その他のことに流用することなきようにということで、これは通達、通知ですか、課長名で出されているんですけれども、こういうものは今後どのような形で指導されていくおつもりですか。

 また、私、きのう伺って、先生方とお話をすると、いろいろなことがわかりました。一つは、一〇〇%にしようと思っても図書館のスペースがないんやと。要は、この標準に定められる学校図書を整備しようと思ったら、学校の図書館のスペースが非常にきつくなるというお話や、棚だとかそういうものの購入にもやはりいろいろな経費がかかってくるということ。

 そもそも、冊数のカウントの仕方についても、もちろんあることはあるんでしょうけれども、これはまた後ほど議論いたしますけれども、非常に人手がなくて、冊数の管理がままならないということ。そして、標準のあり方も、少人数学級だとか障害をお持ちのお子さんの学級のカウントの仕方だとか、いろいろと自治体によって少人数学級を導入していることもあって、国は学級数に応じた標準を定めていますけれども、各自治体ではそういうものと実態とが合っていないというような実態もあるんですね。

 その辺について、文部科学省はどのような現状認識をお持ちになり、そして取り組みをされておられますか。

銭谷政府参考人 ただいま昨年六月の図書整備に関する文科省の通知の御紹介をいただきましたけれども、本年度以降につきましても、通知等を通じまして、図書整備については各都道府県、市町村に対しまして指導を行っていきたいというふうに考えて、今準備をしているところでございます。

 それから、図書標準の考え方でございますけれども、図書標準は、学級数に見合いましたそれぞれの学校の冊数を定めているものでございます。その学級数は、それぞれの学校のいわゆる実学級数といいましょうか、少人数学級をやっている場合には、その少人数学級で実際に編成をしている学級というものをベースにカウントしていただくことになっているわけでございます。

 それから、学校の施設設備との関係で、図書を購入しても、例えば学校図書館のスペースが小さくて収納し切れないとか、そういう問題があるというのは、実はある意味では、それほど図書を購入していただいて、また活用していただければ非常にいい状況にはあるわけでございますけれども、施設設備も必要だということはお話しのとおりだと思っております。

 なお、学校によりましては、学校図書館という定められたスペースに加えまして、実際の本の活用の場合には、いろいろな教室に学校図書館の図書を配備いたしまして、日常の授業で使いやすいような、そういう図書環境の整備ということをやっている学校もあるわけでございまして、学校においていろいろ工夫をしながら、図書の整備、また活用を図っていっていただきたいというふうに思っている次第でございます。

三日月分科員 今お答えいただきました銭谷局長は、ミスター学校図書館と呼ばれてはるんですよ。大臣、御存じですか。非常に熱心に、学校図書館を充実させていこう、図書を整備していこうということで取り組んできていただいていることについて、私も存じ上げています。

 その中で、学校図書館図書整備五カ年計画というのがつくられて、今、十四年から十八年度の計画に基づく取り組みが実行されているんですけれども、今年度で終わるんですね。現時点で、さっきお答えいただいたように小学校で三八%、中学校で三二%という、蔵書の規模でいけば非常に低率にとどまってしまっている現状をかんがみて、この図書整備五カ年計画、今後どうされますか。私はやはり、より強力な形で計画を練り直し、引き続き策定をしていくべきだと考えているんですけれども、現時点での文部科学省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、現在の学校図書館図書整備五カ年計画は、今年度までの計画でございます。十八年度でこの計画が終了するわけでございますので、十九年度以降、学校図書館の図書整備につきましてどういうふうに取り組んでいくのかということは、私ども、大きな課題だと思っております。

 まだ、現在私どもの手元にあるデータが十六年度末までのデータでございますので、今、十七年度末のデータを急いで集めているところでございます。そういったデータを踏まえまして、関係省庁と調整をしつつ、来年度以降の整備計画について検討していかなければならないというふうに思っているところでございます。

 学校図書館の図書の充実の必要性は十八年度で終わるわけではございませんので、十九年度以降、これまでの整備計画の進捗状況を反省しつつ、学校図書館の図書の充実に向けた取り組みができますように、しっかりと計画について検討していきたいというふうに現時点では考えているところでございます。

三日月分科員 ぜひ取り組みをお願いしたいと思いますし、もし現時点でおわかりになれば、例えば財政措置の規模の見通しですとか、そして、大臣の方からはそういったことに取り組む決意や何かもぜひお聞かせいただけたらなと思います。

 私も、きのう回って、データ的なものも取り寄せて調べたところ、図書館の図書購入費、自治体によってこれぐらい差があるんです。例えば、市の規模にもよりますけれども、七百七十四万円、市として措置をしている、決算をしている市もあれば、百五十七万円と。率にしても、非常に標準に基づく冊数を整備できているところと、半分以下というようなところ。

 自治体によって教育や教育行政に対する取り組みの温度差がある程度あることは仕方ないとしても、しかし、容認せざる格差のようなものが学校図書館においても財政を理由に見られ始めているこの現状を打開するために、ぜひ、その前提となる図書整備の計画ぐらいはまずきっちり国として定めていくということが必要だと思うんですけれども、さらに踏み込んだ部分についての御答弁をいただけますでしょうか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、先ほど、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は全国平均で三〇%台だということを申し上げたわけでございますが、県によりましては、例えば小学校の場合、岐阜県では八一・五%の学校が達成をいたしております。山梨県で七〇%、沖縄県、群馬県では六八%といったような高い達成率の県もございます。一方、低い県は一〇%台という県もあるわけでございまして、都道府県間それから市町村間で非常に差が大きいというのが現在の状況でございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、図書整備につきまして、やはり各学校、市町村がぜひ積極的に取り組んでいただく、そしてまた、図書館の図書を整備いたしまして、それを教育活動に生かしているという事例なども紹介をしながら、市町村間、学校間の格差をなくしていくという努力が一つ必要だと思っております。

 それから、今回の十四年度から十八年度までの学校図書館図書整備五カ年計画は、五年間で毎年百三十億円、総額で六百五十億円の地方交付税措置を講じたわけでございます。

 これは、冊数でいきますと五年間で約四千万冊、そして毎年でいいますと八百万冊の本が増加をしていけば図書標準をおおむね達成できる、こういうことで計画を立てたわけでございますが、実績としては半分程度、増加冊数で見ますと半分程度という状況でございますので、十九年度以降の計画を立てる際に、やはりこれまでの図書整備計画、各学校もいろいろ努力をしていただいた中で、なかなか図書標準に達しないというその分析もしっかりした上で、これからの整備計画についてよく検討していきたいというふうに思っているところでございます。

三日月分科員 ぜひ、なぜふえなかったのか、四千万冊をふやそうとしたんだけれども半分ぐらいにとどまってしまっているということの背景、原因を分析していただいた上で、各自治体のそういう取り組みの温度差が過度に出ないように、自治体を巻き込んだ取り組み、指導をしていただきたいなと思うんです。

 そのときに、ぜひ、今までの計画は小中学校だけだったんですね、義務教育だということもあるんでしょうけれども、しかし、高校や何かも、読書活動、学校図書館の果たすべき役割を御認識いただいた上で、ぜひこの計画の中に高校の標準や何かも入れていただきますように、これは要望なんですけれどもしておきたいと思います。

 その際にぜひ見ていただきたいのは、冊数をそろえることも大事なんですけれども、要は、利活用されて何ぼなんですね。もう一つは、どんな図書をどの計画でふやそうかということについても、やはり専門の方の知識だとか取り組みが非常に大事だと思うんです。

 そういう意味で、司書教諭の配置、このことについて、この間、これまでの大臣の御答弁や、そして衆議院、参議院での附帯決議等々でも、やはり、司書教諭を他の教科や担任を持ちながら、ただ発令をされて他の仕事とかけ持ちでやるような先生ではなくて、図書館業務について、図書館整備について、子供たちへの読書指導について専門でできる先生を配置していこうという取り組みについて、進捗状況はいかがなっているでしょうか。

銭谷政府参考人 お話のように、学校図書館は、単に図書をたくさん整備しておけばいいというものではなくて、それが十分利活用されることが必要なわけでございます。その意味で、司書教諭は、学校図書館資料の選択、収集、提供、子供の読書活動に対する指導を行うなど、学校図書館の運営、活用について中心的な役割を担う職でございまして、司書教諭の人的体制の整備というのは重要な課題だと思っております。

 司書教諭につきましては、学校図書館法の規定によりまして、十二学級以上の学校には置かなければならないというふうにされているところでございまして、平成十七年におきましては、十二学級以上の学校で司書教諭を配置している学校の割合は、国公私立通じまして、小学校で九九・六%、中学校で九八・九%、高等学校で九五・一%となっておりまして、十二学級以上の学校における司書教諭の配置はおおむね進んでいるというふうに認識をいたしております。

 ただ、ごく一部でございますが、十二学級以上でも司書教諭を配置していない学校もあるという結果がございますので、その点についてはさらに指導してまいりたいと思っております。

 なお、司書教諭は、通常、他の授業等を持つ先生がいわば兼ねて司書教諭の発令を受けているということでございますので、司書教諭の定数措置ということは、これまでも課題であったわけでございます。

 実は、文部科学省は、平成十八年度からの教職員定数改善計画というのを昨年策定いたしまして、概算要求をしたのでございますけれども、これがいわゆる第八次の定数改善計画ということでございますが、その中には読書活動推進のための司書教諭の配置という内容も含んでおったのでございますが、総人件費改革という政府全体の方針のもと、また、厳しい人件費抑制という現時点での状況のもとで、この第八次の定数改善計画の策定は見送ったということがございます。

 今後、読書活動の推進などを図っていくためにも、司書教諭の配置の促進ということは、やはり私ども一つの課題だと思っておりますが、総人件費改革に取り組む中で教職員定数をどういうふうに考えていくのかということもあわせて考えなければなりませんので、平成十九年度以降の予算編成過程において、さらによくこの点は検討してまいりたいというふうに思っております。

三日月分科員 昨年度概算要求時に定数改善計画を出して司書教諭を専任配置するための要求をやったんだ、でも、あかんかったんや、見送ったんやというお話でした。今年度どうされるんですか。また、大臣、そういうことも含めた決意の一端を御披瀝いただければありがたいと思うんですが。

小坂国務大臣 最初に申し上げたように、学校教育において、子供たちに確かな学力をつけさせ、知識、技能、思考力、想像力などをはぐくむこと、そして豊かな心を身につけさせることは大変に重要でございます。

 その意味で、最初に申し上げた、図書館の学校に果たす機能というのは非常に重要なものでございますので、学校図書館がそのような役割を果たすためには、今御質問いただいた中でありましたように、図書が十分に配備をされ、そして、読書、学習のために子供たちが利用できる環境がまず整えられていること、そして、実際に子供たちが利用して利用率が上がること、また、司書教諭が中心となって、教職員、ボランティアなど、連携協力をする中で学校図書館を運営できる体制を整備し、そこにおける蔵書の数をしっかりと安定させることだと思っております。

 そのために、子供たちが進んで学校図書館を訪れて、読書活動を楽しみに学習活動を行えるように、学校図書館の機能の充実にこれからも取り組んでまいりたいと思います。

 また、ただいま御指摘の司書教諭の配置につきましても、各教育委員会においてその実情に応じた配置が行われることを期待するとともに、いろいろな機会を通じまして私どももそのように求め、また同時に、十九年度以降の予算編成過程においても、総人件費改革に取り組みながらも、教職員定数のあり方についてしっかり対応できるように、これまでの第八次というような定数改善計画そのものの策定も含めて、今後どうするかということについては、予算編成過程において検討してまいりたいと考えております。

三日月分科員 ぜひ、検討もしていただきたいですし、これまでの取り組み経過を踏まえて、充実するために取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、一点私は提案があるんですけれども、地域のボランティアの方々や、そしていろいろな先生方のそれこそ授業と学級担任とのかけ持ちの中で汗をかいて、夏休みも土日も含めて出てきていただいて御尽力いただいている先生方もたくさんいらっしゃることを知りましたし、学校図書館だけじゃなくて、公共の図書館、市立図書館や何かと連携しながら、足らざる部分を補っていこう、よりよいものにしていこうということを取り組まれていることを知りました。

 しかし、小学校は意外に、読み聞かせ、お話し会等々で地域のボランティアの方々が入られて、ボランティア登録の数も充実しているんですけれども、中学校ですね、大臣もごらんに行かれたことはありますか。学校図書館はかぎがかかっているんです。昼休みしかあけない。ちょっと休み時間に見に行こうとかいうことがなかなかできない状況になっています。

 小中学校一遍に司書教諭の専任配置ができないということであるならば、例えば中学校からでも、地域のそういうボランティアの方々がなかなか入りにくい、それでいて生徒指導的かつ学問的にも学習的にも専門的な知識が求められる中学校から司書教諭の専任配置をしていくということについても何か試行されていけばいいんじゃないかなと、私はきのう現場を回って思うんですけれども、感想も含めて、いかがでしょうか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、小学校では、特に低学年を中心にボランティアの方の読み聞かせ運動とかあるいは公共図書館とのネットワークとか、小学校における学校図書館活動というのはさまざまな工夫が見られる状況が最近あると思っております。

 一方、中学校になりますと、やはりどうしても小学校よりは地域社会との結びつきが弱いといった側面や、子供の発達段階から考えまして、いわゆる調べ学習とかそういうことが小学校に比べると少し活動が低調になると言うと言葉は悪いですけれども、小学校ほどではないといったような状況もございますが、一方で、青年前期ということで、読書ということに非常に目覚める時期でもございます。

 そういったいろいろな状況を考えたときに、例えば、その市町村の中で、学校図書館の中核的な図書館として中学校の図書館を考えるとか、公共図書館のネットワークも中学校に比重を置いてやってみるとか、あるいは、今お話がございましたように、司書教諭の専任化を中学校から図るとか、いろいろなアイデアあるいは発想というのはあると思いますので、私どもも、そういった小中学校のそれぞれの状況に応じた学校図書館の整備充実についてはよく検討してまいりたいと思っております。

三日月分科員 一つの案として申し上げました。きのう、限られた時間、限られた学校の中での視察だったんですけれども、やはりせっかくある図書館、冊数は整備しかけている図書館が、かぎが閉まっていて特定の時間しか利用できないというのはもったいないなというふうに思いました。ぜひ、今申し上げたことも含めて検討していただきたいと思います。

 ボランティアの方々と協力しようと思っても、公共図書館と連携しようと思っても、やはり、その核になる先生が時間としても精神的にも図書館業務に携われるという環境をつくっていくということが大事なんだろうと思いますので、ぜひこれまで以上の取り組みを求めて、私もこれから、この夏、小中学校を徹底的に回りながら、皆様方にまた現場の声を届けていきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子さん。

小宮山(泰)分科員 おはようございます。民主党の小宮山泰子でございます。

 今、教育基本法など本当に質疑が忙しい中、また連日、教育に関して、もしかすると教育というのはこれからは人生の中でずっと学び続けられる、そういった、本当にある意味、人生の高いところに向かっていく、追求をする、すばらしい一つの軸になっていく議論の中、この場に立たせていただきます。

 私、本日質問させていただきますのは、今経済環境が大変悪くなっている中、奨学金の問題や、そして生涯教育という中で、働きながら勉強し続けられる環境をつくっていかなければいけないのではないか、そういった思いから、私自身の経験も踏まえましての質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 奨学金、報道等でも、いろいろな新聞にも載っておりますけれども、現状といたしましては、近年急増して、本当に奨学金を受けなければ授業ができていかないというような現状がございます。特に、奨学金を大学生の四割を超す人たちが実際には受けながら、これは私立も含めてですけれども、今多くの人たちがその中で頑張って学ばれている。当然その中には、必ずしも全員が最後まで奨学金を受け卒業するに至らないということもありますけれども、それだけ今現状としては経済環境がよくない、しかし、しっかりと勉強していきたいという人が多いんだ、この点に関しては、後者の点に関しては非常に希望の持てる国ではあります。しかし、本当にそれだけでいいのかという思いがしてなりません。

 私自身も、これは後で質問いたしますけれども、これは本当に親に感謝をいたしますけれども、四年制の大学を出るまでは非常に親の応援をいただきました。そして、父がいなくなってから、通信制の大学やまた大学院と、さらに私自身働きながら学費を払い、大分時間は、ほかのことをしながらですので、ほかの人よりも余計に学費を払うことになってしまったところは本人としては経済的にも反省しなければいけないところではありますが、その中において、本当に個人に立脚をしているし、なかなか奨学金をもらえるといった環境にないということもありました。

 しかし、今現状を見てみますと、家計が厳しくなって、昔からそうですけれども、今本当に全体としては、やはり私立でしっかりとした、充実した教育を受けさせたい、そういう思いがあっても、親のことを考えたら私立はだめだから国立にといって頑張って受験をし、国立で安い授業料で授業を受けられて、そしてだれもがそういう意味では格差なく、努力をすれば立身出世の道を模索でき、挑戦できたという一面があったと思います。

 しかし、国立大学の入学金というのがもう私立とほぼ同じとなってきまして、授業料は三十年間で十五倍に引き上げになってしまっている。これで本当にいいのかなと。国として、いろいろな人、奨学金、いろいろなプログラムがあるかもしれませんけれども、国立大学、確かに独立行政法人化されていますが、これは民間ではありません。国として高等教育の機会の場というものをどうとらえているのか、まずその点に関しまして、大臣にお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 まずもって、委員には、ただいま国立大学法人のことに絞ってお尋ねをいただいておりますが、国公私立を通じまして大学は、学術の中心としての、広く知識を授け、深く専門の学芸を教授研究する、そういう位置づけ、また、すぐれた人材の養成や学術研究の発展といった役割を担うものとして、高等教育の中で公私を問わず重要なものとして、私どもも今日の体制の整備について特に留意をしているところでございますが、中でも国立大学は、今御指摘をいただきましたように、我が国の学術研究と研究者養成の中核を担う施設でありまして、全国的に均衡のとれた配置によりまして、地域の教育や文化、産業の基盤を支え、学生の経済的な状況に左右されない高等教育の機会を提供するなどの役割を果たしているわけでございます。

 こういった中で、国立大学の授業料という点でございますけれども、まずもってその授業料に関しましては、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令というのを十六年に発出しておりますけれども、経済的負担の軽減のための措置もとっているわけでございまして、授業料等の納付が経済的な理由により困難な者に対して、免除等経済的負担軽減のための措置を、すべての国立大学が減免制度というものを設けておるわけでございまして、運営費交付金の算定に当たっては、授業料減免についても、免除についても考慮をして行っているところでございます。

 また、国立大学につきましては、法人化後もその役割を一層積極的に果たすことが求められておりまして、高等教育の機会の提供という役割につきましては、授業料の標準額を適正な水準に維持するとともに、今御指摘のありました奨学金事業や、今また御案内を申し上げた授業料減免措置などによりまして、教育費の負担軽減に係る施策の充実に努めておりますし、今後とも、今の委員の御意見も踏まえまして、充実に努めてまいりたいと考えております。

小宮山(泰)分科員 私の手元に、本当に遅くまで調べていただいたんですけれども、日本学生支援機構奨学金事業、これは、いろいろな今までの奨学金等を出している、そういう関連団体の集合体のような独立行政法人であります。この中を見れば、人件費を大量に払っておりますし、微妙だなと思うところは、表現としては正しい日本語ではないんですけれども、その点は非常に感じるところではありますが、貸し付けをしているというか、奨学金を受けている生徒数でいっても、全体の七割というものが私立大学で、国立、公立大学というのが二七%、二八%ぐらいであります。それから見ても、これは、安いから、学費の負担が軽いからという形では必ずしもないのかなという気もします。

 去年ですか、「下流社会」という本が非常にはやりましたけれども、国立大に入っている方の親の収入というのが、そういう意味では代を重ねるごとにどんどん上がってきているというようなことを考えてみても、奨学金が必要ないのかなという思いもしてなりません。

 そして、実際に奨学金を受けられる人、要するに、よく言えば非常に学ぶチャンスは与えているということも言えるんでしょうが、この中において私が非常に不思議に思うのが、今、年金とかそういうのを見ても、特に介護や障害者福祉などを見ても、国のやっていることというのは、個人でベースを見ないで、家族が面倒を見る、そういった発想が非常に多いのかなと。

 貸与基準に関しましても、有利子の事業においては、年収が千三百四十三万円以下というふうになっています。これは国の平均でいえば大体六百万とかそのぐらい、官僚の方がつくられるいろいろな国の平均モデル世帯というと、なぜか大体七、八百万となるんですが、埼玉県あたりだと大体四百万ぐらいに落ち込むという非常に不思議な現象が起こるんですけれども、それから見ても、非常に裕福な家庭までもが入ってくる。

 そして、実際に返していく本人ということで考えてみれば、これは償還二十年ですから、この中で見ると、今、卒業生の中で、約二割ぐらいですか、返せない人が出てきている。親世帯と子世帯の収入が違うということもそうでしょうけれども、昔でいえば、そういった意味でも親がいろいろな意味で面倒を見ていたけれども、時代が変わりました、やはり自分のことは自分で返せと、当たり前かもしれません。しかし、その点に関して、非常に個人に立脚していないんだなという思いがしてならない点も、ちょっと一言つけ加えさせていただきたいと思います。

 そして、返せなくなっていくということを考えてみますと、十六年度事業内訳の概略で見て、事業報告書を見ても見当たらないんですが、有利子となった経緯とか、そういったものを考えても、大体年間三%の利率です。

 これは、今、銀行金利を見てみれば、三%も金利がついているところは借りたくないなというのが、ローンを組んだりとかしたことのある人たちは思うと思います。そして、今、村上ファンドの問題がありますけれども、三%の利益が保証されるような運用先というのは、実際にはそうそうあるものでもないなという思いがしております。

 この点に関して、返す側、返す直後というのは、当然、奨学金を受け就職をしてそして給与をもらう、まだ若い人が大半だと思いますので、そういったことを考えると、なかなか返すにも返せない、経済的にも厳しい。賃金に関して見れば、今、年々景気はよくなったと言われますけれども、個人の賃金は必ずしも上がっていないということを考えれば、こういった仕組みというものは当たり前なんじゃないか。

 そして、返してくれた方からの利息収入が、大体、年間百六億円取っていらっしゃるということであります。貸付回収金が二千三百三十七億円というふうになりますので、それから比べてみても、この数字というものが何を意味するのか、そして、返せない方々というものに対し、本当にこのやり方でいいのかということを疑問に思っております。

 この数字から見てどのようなことが言えるのか、この経済状況の中で、本当にまじめに勉強し、最後は返していかなければいけない立場の人のことを考え、ぜひこの点に関して御答弁いただきたいと思います。

石川政府参考人 奨学金事業についてのお尋ねでございます。

 さまざまな視点で御指摘をいただいたと思っておりますけれども、日本学生支援機構が実施しております奨学金事業につきましては、勉学の意欲のある方に対して、そういった経済的な観点からその機会が損なわれないようにということで、国として実施しておるものでございまして、長期で、そして低利の奨学の資金を提供するということで実施をしております。

 そういった意味で、その趣旨の中には、委員が御指摘ありましたように、ただ借り手というのではなくて、みずからの判断と責任でそれを借りて、そしてまたみずからの努力と判断と責任でそれを返していくといったような教育的な側面、こういったものも持ち合わせておるわけでございます。

 また、利息償還分が百億というようなお話もございましたけれども、これにつきましても、これは、大がかりに、大勢を対象にして大規模に実施しておる事業でございますので、そういったものを積み上げますと自然にその額になるわけでございます。

 いずれにいたしましても、経済的な側面から勉学の機会が奪われないようにということで、長期、低利ということでやっておる事業でございます。また、その返還につきましても、本当に経済的に困窮している場合には猶予等の制度もあるわけでございまして、それぞれの学生さんの事情を勘案しながら、その辺は柔軟な対応もしているところでございます。

小宮山(泰)分科員 至極ごもっともな御答弁ありがとうございます。

 この基金、そういう意味では非常に大きな額を実際扱われていらっしゃいますし、そういう中で、今、残念ながら、ともかく頑張った方で、優秀生の表彰みたいなものというのは今年度からやめられたと聞いております。そういう意味では、皆さんほとんど有利子が中心になっていくんだとは思うんですけれども。

 では、この使い道はどうなっているのかなと見ていきますと、全国、事業所という中で、国際交流会館というのが随分置いております。簡単に、パンフレットで見ると十四カ所。

 もちろん、これになっているのかわからないんですが、プラザ平成というのもございますよね。プラザ平成に至っては、どこかで別建てになっておりまして、どうなっているのかなと思う部分があるんですが、この交流会館の現状というのはどうなっているのか、御説明お願いします。

石川政府参考人 国際交流会館の現状についてのお尋ねでございます。

 国際交流会館は、もう先生御案内と存じますけれども、いわゆる留学生宿舎ということでございまして、我が国にすぐれた留学生を受け入れるための低廉で良質な宿舎を確保するために、管理運営に係る経費として平成十六年度決算では十六億円余りを支出しているところでございます。

 そして、それぞれ効率的な運営に努めているところでございますけれども、管理運営の一層の効率化を図るというような観点から、例えば、施設の警備あるいは清掃など、一部の事務を競争入札等により民間に委託しておったり、そういった努力もしておるところでございます。

 なお、これの収支につきましては、土地等の借料などの部分もちょっと大きな要素を占めておりまして、そういったものを除きますと、いわゆる一般管理運営という点でバランスを考えますと、これはまずまず、とんとんというような事業ができておるのではないかと私ども認識をしておるところでございます。

小宮山(泰)分科員 とんとんね。

 そうはいっても、この点に関して、全体としては結構経費はかかっているようでもありますので、いろいろな借り入れ等を見ても。やはりもうちょっと運営をきちんとされていく。確かに、諸外国から来た方に対して、余りみすぼらしいのもいけないという思いはするんですけれども、豪華な必要はないのではないかなという思いがします。

 この点に関しては、国際村ですか、本当に、私も前に別のところに行っているんですけれども、無駄に豪華、広いという印象も持ったことがございます、正直なところ。そういう意味では、これからもしっかりと経費の削減等見ていただきたいと思います。

 ちなみに、この日本学生支援機構さん、借入金償還ということで、財投の方からお借りしているんだと思うんですけれども、四百三十三億円、借入金利息償還が二百二億円。

 これはもっと財政をきちんとすれば、先ほど言った、やはり三%返していくのが本当に苦しくなって、どんどんそういう意味では不良債権化状態になってきているのもあるというのは決算書を見ればわかってくることでありますので、その点に関して、今後どういう対応をしていかれるのか、まず、ちょっとその点に関して伺いたいと思います。

石川政府参考人 学生支援機構の有利子奨学金についての償還利息の規模についてのお尋ねかと存じますけれども、有利子奨学金につきましては、学生の負担軽減を図るという観点から、低利の有利子という形で奨学金を貸与しているところでございまして、その財源につきましては、御案内のように、低利の財政融資資金それから財投機関債、そして学生からの返還金ということでやっておるわけでございます。

 利息の償還の額につきましては、当該年度におきます財政融資資金それから財投機関債への利息の償還額の合計額ということになっておりまして、日本学生支援機構の平成十六年度決算におきましては約百九十八億円、こういう状況でございました。

 これは、財政融資資金それから財投機関債の調達方法が、低利で安定的な調達方法であるということで私ども考えておりますし、実際もそうであると思っておりますが、これによる調達方法が最も適当であるということでこの方式をとっておりまして、さっき先生がおっしゃった二百億円という償還額につきましても、それの自然な結果といいますか、それの結果としてこの額になっておるということでございます。

小宮山(泰)分科員 低利、低利とおっしゃいますけれども、何%で回しているんですか。

石川政府参考人 現在、六月の時点での学生さんに対する貸付利率は一・五%でございます。(小宮山(泰)分科員「財投の方です」と呼ぶ)財投の方でございますか。失礼しました。

 財政融資資金の貸付利率は、平成十八年五月十七日現在で一・五%ということでございます。

小宮山(泰)分科員 これは額が大きいわけですし、もともとはもっと高い利率で借りたのがスタートだと思います。それは、レクに来た方が後ろでうなずいておりますけれども、七パーとかそういった額で来ている。だからこそこんなに、借りた額よりも、考えてみれば、半分ぐらいを利子を返すのに使っている。日本の経済を見ているようなところはあるんですが、この方法というのが本当にいいのか。

 この独立行政法人日本学生支援機構に、政府補給金では九十七億ぐらい、国庫補助金も十億とか運営費交付金が二百三十億とか、国から今も入っているわけですから、そうやって考えると、国から受けて、さらにまた国の方の関連のところに返していく、それでまたもらってという、非常にわかりづらいというか、どこが一番もうけているんだろうという、もうけていると言うときょうあたり余りよろしくないのかもしれないんですが、非常に不思議な仕組みになっているんだと思います。

 これは通告していないんですけれども、財務省の方に参考人で来ていただいておりますので、ちょっとお伺いしたいんですけれども、やはりこういった財投の仕組みというので、これだけ利子を払わなければいけない。いろいろな絡みはありますけれども、その部分において、契約であるから条件は変えられないんだと言いますが、今民間では、安い金利であったり、そういったところに借りかえ等、いろいろなものをしております。やはりこういった仕組みというのも考えていかなければいけないんだと思いますが、その点を考える余地はあるんでしょうか。

加藤政府参考人 本日、政府参考人でお呼びいただきましたが、私、税担当、主税局の担当審議官でございます。したがいまして、ちょっと今、財投の仕組みについて私から適切にお答えすることは不可能でございますので、御容赦いただきたいと思います。

小宮山(泰)分科員 これもある意味、最終的に税金が入って、それがまた融資というか返還に回っていくわけなんですから、全く切って切れないものではないはずです。

 財務省としては、その点は、こうやって雪だるま式に借金がふえる、これはサラ金とかで多重債務に苦しんでいる人の姿を見ているような、独立行政法人の各種法人や日本の借金を見ていると、やはりそういった共通のような問題だと思いますので、ぜひそれを省に持ち帰って検討していただきたいし、ここが、税金を出していい事業をしようとしても、結局のところ、利子補給とかそういったものでどんどん使わなければいけない。ある意味、最低限のコストというものはどんどんかかってしまうからこそ、ある意味無駄になってしまうということは、一つの仕組みの中だと思います。

 ましてや今、この学生、学ぼうとしている人たちは、これから日本にとって、将来的に納税者になり、日本の財政を支えてくれる基盤になる。今、教育基本法をやっておられる中において、全く、人づくりというものは国づくりだよという言葉のとおりなんだと思います。ぜひその点はしていただきたいと思います。

 それでは、これは私自身も通信制の大学院に行きまして、その中で、確定申告等をする中で、本当に働きながら学費を払うというのは大変だなと。私はまだいいです、ひとり者でございますので、自分のことだけ何とか食べられれば、それなりに何とかなるんです。しかし、家庭を持ち、三十代、通信制ですと、三十代の方、スキルアップや将来のことを考え、家族のことを考え、自分にしっかりと力をつけていこう、また、六十代の方は、今までの自分の社会人としての、会社とかいろいろなところでの経験を後世の次の代にちゃんと生かしてもらおう、そういった思いを持って皆さん学んでいらっしゃいました。

 三十代の方、子育てをしながらという方に関しては、非常につらい話なんですけれども、同期の方は、はっきり言って、子供に回す分を自分の学費に回し、そして、子供と、会社は忙しいんです、その人。朝から晩まで働いて、帰ってくればレポート提出や自分の研究、勉強に没頭する、そして睡眠時間を削り、スキルをアップしていく、そういった中で一生懸命勉強されていました。正直言って、家族には大変不評で、結果としても家族には不評な結果が出てしまったんですけれども、それでも、そういった中において、やはり経済的に子供にもっと回してほしいという奥さんの不満もあったんだと思います。私もそれは、まだ小さい子だったのを知っておりますので、本当に大変だなと思っております。

 そこで、確定申告など、そういったサラリーマンでももちろんできますので見ていくと、昔ながらなんですね、勤労学生の扱いが。所得が六十五万以下が対象、年収でいったら百三十万ぐらいになるんでしょうか、手取りで六十五万になりますので。そうやって考えていくと、なかなか、働きたくても、やはり家族にも、そういう意味では、もっともっと勉強したいんだと言っても、認めてもらえない、断念をしなければいけないということなんじゃないでしょうか。

 これは後ほど大臣にもちょっと一言伺いたいんですけれども、これから高齢社会の中において、働きながら、そして長期間、男性も女性も働かなければいけないということにおいて、所得控除というものを、昔のままの、本当に戦後間もないときの、この税制をつくったころのだと思いますので、勤労学生のとらえ方というものは変化をさせなければいけないんだと思いますが、その点の財務省のお考えはいかがでしょうか。

加藤政府参考人 今御指摘のございました勤労学生控除、確かに、これは終戦間もないころ、いわゆるみずから働きながら学ぶ学生、この事情を考慮して創設されたということで、非常に長い期間存続している制度でございます。

 私ども、この問題について税制面からどうしてもお答えせざるを得ないのは、やはり所得税の課税のベースをどういうふうに決めていくかという技術論から入る場合に、普通の一般的な方の所得を考えた場合に、なるべく広く薄く公平にという大きな哲学がございます。ですから、特殊な事情というものをなるべくそんたくしろという意見もございますが、一方で、そういうことをそんたくすればするほど個人間の差がついてくる。

 この勤労学生控除、先生のおっしゃっている趣旨は、むしろ古いタイプのこういう学生のことじゃなくて、今の、最近の新しい、学ぶ形が変わってきているというお話が背景にあると思います。そういう社会事情の変化については私どもも承知はしておるわけでございますが、ただ、それはやはり個人のいわゆる選択の問題に最後は行き着いていく。

 税制面では、どうしても支出を余儀なくされる、例えば医療費のように、御本人は本当は病気になりたくない、しかし病気になってしまったから医療費がかかる、こういうのはきちっと手当てをしておりますが、学ぶか学ばないか、学ぶこと以外の別のことに自分の生活を重点化するかということは、これはやはり個人の選択の問題ですので、そういうものまで含めた税制を考えていくというのはなかなか難しい。

 ですから、今の勤労学生控除というのは、必要最小限、いわゆる従来の形で働きながら、普通に学ぶ学生さんが経済的に恵まれないために働かざるを得ない、その人たちに若干の配慮をするという、この精神は引き続き従来と変わっていないと思っております。

小宮山(泰)分科員 これは大臣にぜひ伺いたいと思います。給与所得者が四千四百五十三万人いるわけですよ。この控除を受けられたのは、その中でもたった八万一千人ぐらいというふうに聞いております。よろしいんですよね。

 やはり、こういう意味ではもっと、今、親が払えなくなって、高校、私立学校とか、多分自民党の先生方は私立の方と大変つき合いが多いと、高校も親のことで退学をしなければいけないという話はずっとふえ続けて、聞き続けていることだと思います。その点に関しては、家族で面倒を見るのではなく、もう少し個人に立脚した教育、自分が受け、そして自分で働き学費を納める、そういったことがこれから先一般化してくるのではないかと思います。

 最後に大臣に伺いたいと思っておりますが、その前に、厚生労働省の方に来ていただいておりますけれども、雇用保険の中で、スキルアップということで、前は英会話とかパソコンスクールとか、現実社会には使わない方まで習ったのを大分きれいにされて人数は減りましたが、これは、雇用保険を払っている会社や個人たち、サービスを受けていない人にまで払っている、こういった、ある意味、必ずしも平等でないというのはあちこちにあるわけですよ。

 時間がないので、厚生労働省さん、三十秒ぐらいで、ちょっとこの点、本当にこれは必要なのか、簡単に話してください。

鈴木政府参考人 今の御指摘のお話は教育訓練給付のお話と思いますが、この教育訓練給付、個人の自発的、主体的な能力開発、これを促進するという意味で重要な制度だと思っております。

 時間の関係で簡単に申し上げますと、実際、この教育訓練給付、受講して給付を受けた者のアンケート調査を見ますと、在職者、離職者とも、役立った、それから職場定着、それから再就職の促進についても役立ったという結果が出ておりますので、これは適正に運営していきたいと考えております。

小宮山(泰)分科員 適正というのは、そうなんです、結局、雇用保険から、実際には受けている人、受けていない人というのも不合理がありますし、雇用保険の目的を考えれば、これは目的外だと私は思います。これに関してももっともっと検討していかなければいけないし、社会として、その職種にずっと必要ではないかもしれない。それなら、もっと社会でスキルアップや勉強なり、技術を身につけるということができるようにするべきだ。ある意味、今、国においての独立行政法人、学生支援というのもいろいろな団体があります。そこからいろいろなところへ行っています。もう少し整理をするべきなんじゃないかと思っております。

 大臣、最後に一言ぜひお伺いしたいんです。これから日本の国は高齢化社会になってまいります。そういった社会の中において、生涯の当然働かなければいけない年数というのも延びてくると思います。その中での教育というものに関して大臣の御見識を伺いたいと思います。

小坂国務大臣 これから長寿社会になって人生が延びる中で、教育をどのようにとらえるべきかという御指摘でございます。

 高等教育を受ける機会を増大させるとともに、ただいま委員が御指摘をされましたような通信教育、また放送大学、こういったものを通じて生涯学習の機会の拡大に努めますとともに、また、今質問の中で御指摘をいただきました勤労学生の控除等につきましても、財務当局の見解というのは確かにあるのでございます。

 ただ、私は、基本的には、今日の勤労学生の給与レベルというものを考えますと、もう少し何か考えることができないかなという気持ちは持っておることをお伝えしておきたいと思います。

小宮山(泰)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、多くの人が、日本の基礎となる人づくりの部分、その点では全省庁挙げて意見交流をしていただいて、いい方向に進んでいくことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松本主査 これにて小宮山泰子さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松本主査 これより内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 平成十六年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は四兆三千二百八十三億三千八百万円余でありまして、これに地震等による災害派遣活動等に備えるため緊急に対応すべきものとして行う通信機器、車両その他器材の購入等及び陸上自衛隊等の車両等に要する油購入費の増額等に必要な経費のための予算補正追加額二百二十億千万円余、平成十六年度総合防災訓練等のため、内閣本府から移しかえを受けた額六百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、文部科学省所管文部科学本省から移しかえを受けた額二千三百万円余、南極地域観測事業のため、文部科学省所管文部科学本省から移しかえを受けた額五十億五千百万円余、前年度からの繰越額八十七億五千三百万円余、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動等、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施並びにスマトラ沖大地震及びインド洋津波による被災国の救援等に必要な経費として予備費を使用した額二百六億五千九百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額二百二十一億四千九百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆三千六百二十六億九千四百万円余となります。

 この歳出予算現額に対しまして支出済み歳出額は四兆三千二百九十六億四千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は百四十三億二千七百万円余でありまして、差し引き不用額は百八十七億千八百万円余であります。

 次に、防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。

 当初の歳出予算額は五千七百四十二億七千九百万円余、うちSACO関係経費二百六十五億六千八百万円余でありまして、これにSACOの最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するために必要となる基地周辺対策に必要な経費の予算補正追加額百十三億四千八百万円余、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会の提言に基づき、沖縄県の米軍基地所在市町村が実施する地域経済活性化事業等に要する経費として内閣本府から移しかえを受けた額六十一億九千五百万円余、沖縄県の均衡ある発展を図る必要があることにかんがみ、北部地域の振興事業の着実な推進に要する経費として内閣本府から移しかえを受けた額二億三千四百万円余、前年度からの繰越額四百五十二億五千五百万円余、うちSACO関係経費百四十九億千万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額十一億三千百万円余、うちSACO関係経費六千五百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ二億九千三百万円余、国土交通省所管国土交通本省へ七億七千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六千三百五十一億千六百万円余、うちSACO関係経費五百二十七億六千二百万円余となります。

 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千七百八十二億四千四百万円余、うちSACO関係経費三百十七億七百万円余、翌年度へ繰り越した額は五百三十一億二千七百万円余、うちSACO関係経費二百五億五千七百万円余でありまして、差し引き不用額は三十七億四千三百万円余、うちSACO関係経費四億九千七百万円余であります。

 なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますけれども、委員各位のお許しを得まして御説明を省略させていただきたいと思います。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げる次第であります。

松本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院千坂第二局長。

千坂会計検査院当局者 平成十六年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一号は、陸上自衛隊特殊作戦群本部第四科の自衛官が、有料道路通行回数券の出納及び保管の事務に従事中、その保管に係る有料道路通行回数券を領得したものであります。

 同二号は、海上自衛隊横須賀地方隊第四一掃海隊所属の掃海艇「さくしま」補給科の自衛官が、物品の供用事務に従事中、同艇用として払い出しを受けたパーソナルコンピューター等を領得したものであります。

 同三号は、航空自衛隊航空支援集団特別航空輸送隊の自衛官が、政府専用機における客室業務訓練に使用する教材用機内食等の調達要求の事務や受領検査の事務に従事中、契約相手方である民間業者に教材用機内食の数量及び単価を水増しさせるとともに、みずからは虚偽の検査書を作成するなどして、水増し分を領得したものであります。

 同四号は、自衛隊神奈川地方連絡部総務課管理班の自衛官が、有料道路通行回数券等の出納及び保管の事務に従事中、その保管に係る有料道路通行回数券及びハイウエーカードを領得したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、公務災害補償に係る治癒の認定手続に関するもので、防衛庁の職員が公務上の災害または通勤による災害を受けた場合には、国家公務員災害補償法の規定を準用して、療養補償を実施することとしております。この療養補償においては、傷病が完全に治った場合だけではなく、症状が残っていても医学上一般に承認された治療方法によってはもはや医療効果が期待できず症状が固定した場合も、治癒として取り扱うこととされております。

 航空自衛隊が、二年以上の長期間にわたり療養補償を継続しているものについて、療養の現状報告書により、傷病の現状等を確認しましたところ、既に症状が固定するなどしていて治癒の認定手続を開始する必要があると認められるものが見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、護衛艦における主発電機用原動機のガスタービンパワーセクション予備機の調達に関するもので、海上幕僚監部では、十年度に護衛艦二隻を契約本部に調達要求し、契約本部では二つの造船会社と艦艇製造請負契約を締結しております。そして、これらの艦艇製造請負契約の予定価格の算定に当たりましては、材料費や労務費などの製造原価に総利益等を加算して計算した計算価格に基づいて算定しております。

 海上幕僚監部では、原動機のガスタービンパワーセクションの予備機について、これらの艦艇製造請負契約に含めて調達するように要求しておりましたことから、これらの予備機についても艦艇製造の製造原価に材料費として計上され、これに係る造船会社の総利益等が加算されておりました。

 しかし、これらの予備機につきましては、造船会社は特段の作業を行っておらず、また、その仕様は当時既に使用実績があり信頼性の確保されているものと同一のものでありますことから、製造メーカーから別途に調達することが可能で、これにより経済的な調達ができたと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その三は、駐留軍等労働者に対する定期健康診断の委託に関するもので、防衛施設庁では、駐留軍等労働者に対する定期健康診断を独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構に委託し、同機構では、これを健診機関等に再委託しております。機構では、この再委託に当たり、診療報酬点数表の点数により契約単価を設定しておりました。しかし、医療給付の対象とならない定期健康診断においてこの点数を適用している事態は適切でないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

松本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 平成十六年度決算検査報告に掲記されております事項について、防衛庁が講じた措置を御説明申し上げます。

 不当事項として指摘を受けましたものにつきましては、まことに遺憾であります。今後とも、このようなことのないよう綱紀粛正のより一層の徹底を図るとともに、全庁を挙げて必要な取り組みを行い、再発防止に万全を期する所存であります。

 次に、公務災害補償に係る治癒の認定手続につきましては、療養の現状報告書の内容確認等を十分に行い、必要があるものについては早急に認定手続を開始する処置を講じたところであります。

 また、護衛艦における主発電機用原動機のガスタービンパワーセクション予備機の調達につきましては、過去の使用実績等から当該予備機の信頼性が確保されている場合には、製造メーカーから別途に調達する処置を講じたところであります。

 さらに、駐留軍等労働者に対する定期健康診断の委託につきましては、契約締結の際は市場価格等を考慮することとする適切なものに改めるなどの処置を講じたところであります。

 以上、これらの指摘事項につきましては、処置を講じたところであり、今後はこのような御指摘を受けることのないよう、より一層努力する所存であります。

 以上です。

松本主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決まりました。

    ―――――――――――――

松本主査 以上をもちまして内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松本主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西本勝子さん。

西本分科員 自由民主党の西本勝子でございます。

 お許しをいただきましたので、平成十六年度の決算に関しまして、自衛隊の国際平和協力に関して幾つかの質問をさせていただきます。

 自衛隊は、発足以来、我が国の防衛と国土の保全という崇高な使命感を持ち、隊員は昼夜を分かたず任務を遂行してきたのであります。私も、そのような隊員の任務遂行に感銘を受け、地元の防衛協会に入会し、また、その御縁で、自衛隊募集相談員もさせていただきました。

 今回、この質問をするきっかけになりましたのは、自衛隊募集相談員として、ある御父兄の御相談を受けました。その御父兄のお子様が、自分から志願してイラクへ派兵するということを言ったそうです。お母様は、あんな危険な場所へわざわざ自分から志願して、うちの息子は本当にばかだと言っておりました。私も、お母様の心情を察して、何とか無事帰還することを願った次第でございます。

 話をもとに戻します。

 自衛隊の過去を振り返ってみますと、昭和三十年代の安保闘争や反戦運動など、学生や職域を巻き込んだ運動の中で、あたかも自衛隊が憲法違反の存在のように扱われたこともありました。その後も冷戦時代は続き、国家対国家の軍事対立の中で、自衛隊は純然たる国防を専らの任務としていたのですが、冷戦が終わり、大国対立のバランスによる抑止力はなくなり、新たな脅威として、民族、宗教、領土などが起因する対立から生じる地域紛争や、ならず者国家の台頭が大きく広がってきました。これらには、従来から国家が持っている抑止の概念が機能しなくて、新たな脅威への対応として、国連を中心とした国際任務が自衛隊に加わってきたと思います。

 こういう情勢にあって、日本は、平成四年に国際平和協力法、いわゆるPKO法を制定し、国際的な安全保障環境を改善するため、PKO活動として、カンボジア、モザンビーク、ゴラン高原、東ティモールに派遣し、平成十三年度制定のテロ対策特措法、平成十五年度制定のイラク人道復興特措法により、自衛隊員の派遣人員をさらに拡大し、国際社会の一員として積極的に取り組んできています。

 また、この間には、大規模な災害が発生したことから、国際緊急援助活動として各地の災害救助にも自衛隊を派遣してきており、日本の活躍が報道されるたびに、その奮闘をたたえ、隊員の安全を祈り、無事の帰国を祈っている私でありますが、ともあれ、国際的な貢献があらわれるようになり、多くの国民にも理解されてきていることは、大変喜ばしいことだと思っております。

 このような海外派遣の自衛隊の活動経費のうち、平成十六年度一般会計予備費で支出されたものについてお伺いいたします。

 当該年度予備費使用額一千百七億二千七百四十一万九千円のうち、国際協力支援に関するものが、外務省分五百三億二千四百万円分を含めて七百九億八千三百三十万円で、約六四%を占めております。

 これらは、当初予見し得なかった事態の発生に対する必要な経費であり、また、我が国の国益にかなうものとして異論はないのですが、ただ、平成二年の湾岸危機において、我が国が百三十億ドルに及ぶ財政支援をしたにもかかわらず、クウェート政府からの謝意もなく、国際的にも評価されなかった苦い経験もあることから、あえてお聞きいたします。

 防衛庁分二百六億五千九百万円でありますが、このうち、まず、国際的テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに寄与する自衛隊の活動費九十億七千二百八十一万九千円です。活動内容は、テロ対策特措法での基本計画では、協力支援活動と捜索救助活動、被災民救援活動となっていますが、実質のところ、インド洋上での米軍などの艦船への燃料提供ということは伝わっているのですが、他の捜索活動や被災民救援活動はどうなっているのでしょうか。お答えをお願いいたします。

    〔主査退席、今津主査代理着席〕

山崎政府参考人 お答えいたします。

 捜査救助活動というのは、先生御案内のように、自衛隊の部隊等が、遭難をした戦闘参加者等を発見し、かかる遭難者の捜査救助について他国から依頼があった場合に実施することとされておりますが、この場合の捜査救助活動の実績はございません。

 それからまた、被災民救援活動でございますが、これは、テロ支援の活動が始まりました初期、平成十三年十一月から十二月の間に、国連の難民高等弁務官事務所、UNHCRと称してございますが、ここからの要請に基づきまして、パキスタンの領域内に、被災民の救援のためのテント、毛布等、生活関連物資を、掃海母艦の「うらが」、護衛艦の「さわぎり」が随伴をいたしましたが、これが輸送してパキスタンまで運んだという実績がございます。

 それから、協力支援活動につきましては、先生十分御承知のように、インド洋において活動しております関係国に対して燃料の補給をしておりますが、累積で、艦船用の燃料は約四十四万キロリットル、約百八十五億円分を供与しております。

 以上でございます。

西本分科員 ありがとうございました。

 テロの海上防止活動を各国が行うことへの日本の支援活動は、私は大切な任務であると思います。先ほど御答弁いただきましたインド洋での日本の燃料補給技術も高く評価されているようですので、今後とも、気を緩めず任務を遂行してほしいと考えております。

 次の質問に移らせていただきます。

 次は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の経費九十八億九千八百五十八万四千円でございます。基本計画では、人道復興支援活動を、陸自が中心に、医療支援、給水、配水活動、学校、道路整備を行い、安全確保支援では、多国籍軍の治安維持活動の支援として輸送、補給を行うとあります。

 イラクでの人道復興支援活動状況は随時によく伝わってくるのでありますが、安全確保支援活動については情報が少ないと思います。どのような活動になっているのでしょうか。また、我々にとって何とも心配なのが、サマワ周辺の治安であります。隊員の安全はどのように確保されているのか、お伺いいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 人道復興支援活動については、先生よく御承知のように、陸上自衛隊が中心に、建物、道路の補修等あるいは医療支援等行っておりますが、安全確保支援活動は、主として航空自衛隊の航空輸送によりまして行われております。これは、安全確保を主任務としております関係各国あるいは関係機関の人員、物資の輸送を実施しているものでございます。

 具体的には、平成十六年三月以降、クウェート国内の飛行場からイラク国内の飛行場施設との間で、我が国からの人道復興関連支援物資、あるいは関係各国、関係機関等の物資、人員、陸自部隊の人員、生活関連物資その他の補給物資を輸送しておりまして、現在、計三百二十二回、輸送物資総量は約四百四十九・二トンでございます。

 そのほか、陸上自衛隊が、やはりこれも活動の初期でございますが、当時駐留をしておりましたサマワに、オランダ軍への給水、それから負傷をしました韓国軍兵士の輸送を実施したという実例がございます。

 以上でございます。

西本分科員 多国籍軍とのいろいろと協力もあるようでございますが、活動エリアが広くなりますと、どうしても警備面で心配な状況も発生しますので、特に他国との連携を密にして、十二分な安全を確保していただきたいと願うところであります。

 次の質問に移らせていただきます。

 次は、スマトラ沖大地震及びインド洋津波による被災国の救援の経費十六億八千七百六十六万二千円です。これは未曾有の津波大災害だったわけで、外務省の援助、協力金と合わせて五百二十億を超える額となっているのですが、自衛隊の主な活動はどのようなものであったのか、お尋ねいたします。

山崎政府参考人 失礼いたしました、先ほど答弁漏れがございましたので、簡単に補足をさせていただきたいと思います。

 サマワにおきます治安情勢等に関しまして、どのような安全確保を行っているかということでございますが、当然、安全確保に必要な装備を携行しておりますし、事前に十分な訓練を実施するほか、宿営地内外において各種安全確保施策を実施しております。例えば、耐弾性施設の整備でございます。

 これら等によりまして、自衛隊はみずからの安全を確保してきておりますが、そのほかに、さらに万全を期すために英豪軍等と緊密な意見交換や治安に関する情報収集を実施しておりまして、十分な安全確保を施しているというふうに考えております。

 それから、今先生御質問のスマトラ沖の地震の関係でございますが、平成十六年十二月の二十六日に発生をいたしまして、インドネシア共和国に対して、まず国際緊急援助活動を行いました。平成十七年一月六日以降、航空自衛隊の派遣部隊を筆頭に、陸海空自衛隊の派遣部隊約千人を派遣いたしまして、航空輸送、海上輸送、あるいは医療、防疫といった国際緊急援助を精力的に実施いたしました。

 その活動の実績は、物資等約四百トン、それから人員約二千百名の輸送、あるいは医療につきましては、診療数六千十三名等、それから防疫につきましては、東京ドームのグラウンド面積の約十倍に当たります十三万三千八百平方メートルを防疫いたしました。

 タイにおきます国際緊急援助につきましては、自衛艦三隻によりまして御遺体を五十七体収容するほか、本邦から派遣をされました国際緊急援助隊救助チーム、このチームと機材を搭載ヘリによりましてカオラックから被災地のピピ島まで空輸をした実績がございます。

 以上でございます。

西本分科員 自衛隊の海外の大規模な救助活動には、私は、どうしてもJICAなどの民間の助けが必要だと思っておりますので、民間の組織との連絡を密にし、そして、かつて非難されておりましたお金だけじゃなくて、災害救助として大きな成果が上がっている、国際緊急救助は人も出し、お金も出すという姿勢で今後ともお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 私は、平時以外の国際平和協力活動は、紛争時を自衛隊が受け持ち、紛争後の人道援助や復興支援は文民警察が中心となり、ODA予算のもと、JICAやNGOなど、相互の連携によって、平和が定着する国づくりを見守るという道筋がいいのではないかと思っております。

 現状では、イラク人道復興支援において、自衛隊とODAの連携はどうなっているのか、お伺いいたします。

山崎政府参考人 原則を申し上げますと、自衛隊とODAというのは、相互に補完をしつつ、現地の復興に貢献をしているというふうに考えてございます。

 具体的には、まず、我が国のODAによる資金協力等と連携をして、我が方自衛隊としては、医療あるいは公共施設の復興整備を中心に、事業活動を中心に実施をしているところでございます。

 さらに具体的に申し上げますと、ムサンナ県におきますODAの支援態勢でございますが、まず、外務省のサマワ事務所が自衛隊の宿営地に所在をしておりまして、これにつきまして、サマワ事務所が案件の形成や調整を実施するに当たりまして、陸上自衛隊の方は、そのための現地機関等からの支援要請とか復興支援に関する各種情報を伝達して、お役に立つような仕組みとなっております。

 そのほか、具体的には、例えば、一種の役割分担として、ODAが無償資金によりまして機材の供与を行いまして、それに基づきまして陸上自衛隊が事業を展開するという、大まかに言えば役割分担をしております。例を挙げますと、例えば、陸上自衛隊が改修した道路をODAによりましてアスファルト舗装するとか、あるいは、ODAにより供与された医療器材、この使用方法を陸上自衛隊の医官が現地のイラク人医師等に対して指導をする等、大まかに言えばそういう役割分担で、相ともにサマワにおける人道復興支援に役立っているのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

西本分科員 ありがとうございました。

 まずは、国の機関同士であります自衛隊の活動とODAの活動が一体となって人道救助や復興支援に当たっている状況をお聞きいたしまして、イラクではみんなが頑張っているんだなと感激をいたしております。

 次の質問に移らせていただきます。

 イラク人道復興支援、テロ対策活動、国際緊急援助隊と、三区分に分けて、平成十六年度予備費における予算執行の内容をお伺いしましたが、それぞれの支援活動の実施の効果と国際的な評価はどうであったかをお尋ねいたします。

山崎政府参考人 まず、イラクの人道復興支援活動でございます。

 これにつきましては、先生御案内のように、陸上自衛隊は、給水あるいは公共施設の復旧整備等を行っております。例えば、道路の補修は、現在二十七カ所の道路補修を実施しておりまして、二カ所の補修を実施中。あるいは、医療等につきましては、先ほど申し上げましたように、サマワの総合病院など大きな四病院につきまして、医療支援のための技術指導等を行っているところでございます。

 そういう結果として、一つ、一番顕著な例として私どもよく例を挙げておりますのは、二〇〇五年の上半期のサマワ母子病院におきます新生児の死亡率が、二〇〇二年上半期に比べまして約三分の一に減少するなど、相当顕著な改善が見られてきております。

 こういうイラクにおける活動につきましては、当然、イラクの方のみならず、米国、国連等からも高い評価を得ておりまして、例えば、イラク移行政府首相のジャファリ首相でございますが、この方は、サマワ訪問時に、日本は我々同様戦後復興の歴史を歩んでおり、その経験を踏まえて事業を行ってくれている、かかる日本の努力に深く感謝をするというふうに、日本について評価をしていただいております。

 また、テロ特措法に基づく協力支援活動につきましては、先ほど来申し上げているように、各国の海上阻止活動を行っております艦船に油等の補給支援を行っておりますが、この結果として、非常に海上阻止行動の効率的な実施を可能にしている。当然、単純な話でございますが、補給のために港に帰るという時間の省略ができるということでございますが、この結果、非常にテロ行為等を抑止しているという効果が出てきているものと考えております。

 抑止というのは、やはり活動自体を抑制するものですから、それを数字であらわすのはなかなか難しいのでございますけれども、海上におきましてそういう活動をしているということ自体が、テロリストあるいはテロ活動を抑止しているのではないかというふうに考えております。もう少し具体的には、例えば武器とか麻薬等の押収といった実績も挙げられております。

 これにつきましても、例えば、アフガニスタンのカルザイ大統領も、日本が行ってきたこの三年間の努力に感謝しておる、インド洋上での給油支援に大変感謝しているという言葉をいただいておりますし、米国のブッシュ大統領からも、イラク、アフガニスタンにおける日本の支援に深く感謝するという評価をいただいているところでございます。

 インドネシア・スマトラ島沖地震につきましては、先ほど実績を申し上げましたけれども、約千名から成る人員を派遣しまして、約三カ月間にわたり、輸送及び医療、防疫活動を実施して、やはりこれも、インドネシア側から感謝の言葉をいただいております。

 こういう活動によりまして、今後とも、防衛庁と自衛隊といたしましては、国際貢献を行っていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

西本分科員 ありがとうございました。

 やはり国連またはイラクから感謝されるということは本当にうれしい限りです。日本は軍事行動には参加できませんが、その他の支援活動はできますので、今後とも、海外でも日本の顔が見えるような支援活動をしていただきたいと思います。

 次に、戦後の日本には根強い平和主義が定着しています。それは、島国的平和と申しますか、日米安全保障のもとでの受け身的な平和を主張しているのであって、現下の情勢にあっては、平和の探求として不十分だと私は思います。

 自国の安全のためにも、世界的な平和協力活動に参加することは、国益であり、独立国家の責務と考えますが、PKO法により我が国が派遣している人数は、ここ五年の推移を見ましても、一番多い平成十五年が六百八十人、世界で十六番目であり、平成十七年、平成十八年度はゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊の三十人で、世界で七十七番目となっています。

 PKOに対する人員派遣が世界各国から著しく少ないその理由は何であり、この派遣状況を、国際貢献という視点からどうお考えになるでしょうか。お答えをお願いいたします。

樽井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成四年、国際平和協力法が制定されまして以降、延べでございますけれども、自衛官五千三百九十九名、それから、それを含みます要員五千六百四十人をPKOに派遣いたしております。

 ふなれな中で、我が国としても、先生御指摘のとおりでございまして、一生懸命努力してこれだけの人数を積み重ねてきたという状況がございますけれども、現在は、たまたま東ティモールが終わりましたものですから、ゴラン高原だけで四十五名という人数でございます。

 私どもも、やはり積極的にPKOには参加していくべきであろうというふうに考えておりますので、今後とも、先生方、それから国民の御理解と御支援をいただきながら、積極的に努力してまいりたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

西本分科員 ありがとうございました。

 ある方にお聞きしますと、いろいろなミッションに日本が割り込んでいくことは無理があると考えますとおっしゃっていました。やはり他国では外貨を稼ぐ意味もあるので、日本が割り込んでいけない理由もあると聞いておりますが、日本でしかできないミッションもあろうかと思いますので、どうか御検討いただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 PKO法につきましては、制定時において激しい議論を重ねましたが、憲法九条との関係で、我が国が武力行使をしないことに加え、他国の武力行使と一体化しない、つまり多国籍軍への協力をしないことを前提として参加五原則がありますが、PKO活動の中には、文民警察や文民の専門家で対応できる分野として、選挙監視や復興支援、医療支援、難民救援活動などがあります。

 日本が国際的責任を果たすためには、PKO活動の参加の規制を緩めた方がいいと私は思っておりますが、文民の派遣について、PKO参加五原則はどのように規制がかかっているとお考えでしょうか。お願いします。

樽井政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、国際平和協力法におきましては、人道的な国際救援活動、それから国際的な選挙監視活動、こういった協力のために文民が派遣されますけれども、いわゆる参加五原則が適用されております。

 この問題につきまして、実は、平成十四年、国際平和協力懇談会の提言にもございまして、やはり文民につきましては五原則の適用を除外すべきではないかという御提言もいただいておりますし、国会でもたびたび同様の御議論をいただいておりますので、今後の課題として積極的に検討させていただきたいと思います。

西本分科員 ありがとうございました。

 私は、文民の派遣には、時と場合によっては特例があってもいいのではないかと思っておりますが、今後の課題として取り上げていただくという御答弁がございましたので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、最後の質問になりますが、自衛隊派遣についてるるお伺いいたしましたが、御承知のとおり、各派遣とも、法律の定めに従って活動するわけですが、それぞれ、PKO、イラク、テロ、三法案とも、制定の経緯と目的、制定の時期、活動の制約が違っていますが、現在まで派遣活動を実施した中で、根拠法と現地活動の内容で支障が生じているのではないかと心配しております。

 派遣された場合は、もちろん法を遵守し、厳格な規律により活動していると思いますが、現行法の解釈で上官が判断に迷うこともあるのではないでしょうか。

 我が国の現行法上、国際平和協力について統制されているかという問題があります。大規模災害に対する国際緊急援助派遣法は、被災国の要請で派遣することから個別の一般法でいいのですが、国連決議による派遣について、PKO法、テロ対策特措法、イラク人道復興支援特措法の三法案は、派遣要件、活動内容などに違いがあり、かつ、テロ、イラクは特別措置法であることもあって、このままの法体系で、今後発生する国際的な諸問題に対応できるのか、心配でございます。

 我が国の平和と繁栄が国際社会の平和と安全に深くかかわっている現状からも、我が国の国益にとって、世界との相互依存関係を強めることが重要であるということは、言うまでもないことだと思っております。そのための国際平和協力活動への自衛隊の派遣について、一般法で整理することが必要と考えますが、防衛長官のお考えをお伺いいたします。

額賀国務大臣 西本委員が御指摘のとおり、日本の平和と安全というのは、地域の安全、安定あるいはまた世界の平和、そういうところに密接に関係をしているわけでございますから、日本の安全、平和を守っていくために、地域の安全あるいはまた平和、世界の安全、平和、繁栄に我々も貢献をしていくことが、みずからの平和を保っていくことになるというふうに思っております。

 その意味で、これまで、PKO法とかテロ特措法とかイラクの人道復興支援活動等々の法律がなされて、有効に自衛隊の活動を国益のために使わせていただいているというふうに思っておりますが、今後は、西本先生おっしゃるように、何かが起こったときに慌てて法律をつくって、それから対応するというのではなくて、ある程度、国際平和協力活動、人道復興支援活動を中心とする平和協力活動に臨機応変に対応できるような一般法をつくっておくことが必要になっているということで、今政府部内で、内閣でいろいろと検討をしているということだと私は思っております。

 国会だとか一定の抑制を施した上で、そういう国際平和協力活動がなされることが望ましいと思っておりますので、国民の間で、あるいはまた国会の場でしっかりと議論をしていただければありがたいというふうに思っております。

西本分科員 今長官のお考えをお聞きいたしまして、私も同じ考えでございます。どうか、日本の安全のために、そして世界の平和協力のために一生懸命御尽力していただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今津主査代理 これにて西本勝子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、私、地元の神奈川県は、沖縄を除きますと本土におきましては最も多くの米軍基地を提供している県でございまして、その意味では我が国の安全保障に大きな貢献を果たしているという観点から、そうした問題などにつきまして何点か御質問させていただきたいというふうに思います。

 こうした米軍施設が多数存在することによりまして、これまで地域の発展にもさまざまな障害となってきた、そういう歴史があるばかりか、現在でもなお、米軍関係者によります犯罪の多発、あるいは騒音問題、環境問題などさまざまな問題も抱えております。今般の米軍再編におきましても、一つは、県内最大かつ積年の課題でありました厚木基地の騒音問題解決の道筋が見えてきた、このことは大変評価できる面であると言える一方で、キャンプ座間の機能強化など、地元負担の増大が懸念される内容も多く含まれているわけでございます。

 こうした問題というのは、もちろんこれは神奈川県、関係地方公共団体だけでなくて、やはり国全体として対応していくべき課題であるというふうに考えておりますので、本日は、そうした問題につきまして何点か質問させていただきたいというふうに考えております。

 まず最初に、五月に2プラス2で合意をされました再編実施のための日米のロードマップにおきましては、これは長官も含まれて合意をした内容でございますが、キャンプ座間の米陸軍司令部の改編と陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転、並びに相模総合補給廠におきます米軍の支援施設の建設が盛り込まれております。

 これらの内容、これらの措置の目的とするところ、それから我が国の安全保障上の必要性につきまして、まずわかりやすく御説明をいただきたいというふうに思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 三点お尋ねがございましたけれども、まず一点目の、キャンプ座間の米陸軍司令部の改編の関係でございますが、これにつきましては、現在の在日米軍司令部が近代化されまして、機動性と即応性を有しまして、統合任務に対処可能な作戦司令部組織になるということで考えております。また、その中核的な任務は、我が国の防衛及び極東の平和と安全の維持となります。このような司令部の改編は、米軍の一層迅速かつ柔軟な対処を可能とするものでありまして、我が国の防衛や地域の平和と安定にとって重要であるというふうに考えてございます。

 続きまして、陸上自衛隊の中央即応集団司令部の関係でございますが、この部隊につきましては、新たな脅威や多様な事態に実効的に対処するとともに、国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組む態勢を強化するために新編するものでございます。今回、司令部を座間に将来置くことを考えておりますけれども、この司令部につきましては、中央即応集団が任務を遂行する際の指揮統制などを行う組織ということになります。

 この司令部のキャンプ座間への配置につきましては、キャンプ座間に所在する、先ほど申しました在日米軍司令部が改編されまして、高い機動性と即応性を有し、統合任務に対処可能な司令部となることを踏まえまして、この在日米陸軍司令部と陸上自衛隊の連携強化を図るために、中央即応集団司令部のキャンプ座間への配置を予定するものでございます。

 また、この司令部を置くことによりまして、平素から在日米軍司令部との交流を通じまして、中央即応集団司令部が得た米軍の運用等に関する知見を陸上自衛隊の運用等に活用することも可能になるというふうに考えております。

 それから最後でございますが、相模総合補給廠の関係でございますが、これにつきましては、緊急事態において必要な物資を集積し、活動する米軍部隊の補給等のための拠点などとして機能するということで聞いております。日米両政府としては、相模総合補給廠がこのような機能を果たす一方で、人口密集地に所在することを考慮いたしまして、地元負担軽減の観点から、この司令部の改編に関連して相模補給廠のより効果的かつ効率的な使用の可能性を探求することといたしまして、鋭意日米間で協議を行ってきたところでございます。

 この結果、相模総合補給廠に関しましては、この補給廠に所在する家族住宅を相模原住宅地区に移設した後に、JRの相模原駅前の補給廠の一部土地、約十五ヘクタールでございますが、これを返還するというのが一点目でございます。

 二点目に、米軍等の運用上の所要を損なわないとの条件のもとに、この補給廠の北西部の野積み場の特定の部分、約三十五ヘクタールになりますけれども、これについて共同使用とし、地元住民の利用に供するということでございます。

 三点目といたしまして、道路及び地下鉄道線路のための一部土地、約二ヘクタールでございますが、これを返還するということ。

 この三点につきまして日米間で合意したところでございます。

 以上で終わらせていただきます。

上田分科員 ありがとうございます。

 日米安保が我が国の防衛政策の大きな柱であって、在日米軍が非常に重要な役割を果たしている、そのことは共通の認識とした上で、やはりそれぞれの米軍の施設が、なぜそこにある必要があるのか、そしてそれが我が国の安全保障のためにどういう役割があって、どういう場合に、どういう任務を果たすのかということがわからないと、なかなか地元として、特に米軍施設をそこに置くことについて地域住民の理解を得るというのはなかなか難しいというのが現実でございます。

 今防衛庁から御説明があった、一般論としてはまさにそのとおりなんだというふうに思うんですけれども、なかなかそれでは、なぜそこにその施設があり、なおかつまた増強しなければいけないのかというと、なかなかそれでは説得力は足りないんではないかというふうに率直に言って感じられました。そういう意味で、これから、もっと地域の理解を得ていくためにはわかりやすく、やはりもっと説得力のある説明をすることに心がけていただく必要があるんではないかと思いますので、ぜひ、具体的な措置というのはこれからのことでありますので、そういった点に心がけていただきたいというふうに思います。

 今御答弁にもありましたように、非常に地元として要望の高かった一部の土地が返還をされるということ、これは非常に高く評価をいたします。一方で、機能の増強に伴いまして、具体的に米軍の人員や装備がどの程度増強されるのか、また、地元の自治体に対する影響についてどのようなことが想定をされるのか、その辺のお考えを伺いたいというふうに思います。

大古政府参考人 相模総合補給廠とキャンプ座間の関係でございますけれども、まず、人員については、先ほどの在日米陸軍司令部の改編に伴いまして、約三百名の増員が行われるということで米側から聞いております。

 それから施設の関係でございますが、相模総合補給廠に訓練センターその他の支援施設を整備するということで聞いております。それから、相模総合補給廠に約三百両から四百両の車両を配置する予定であるというふうに聞いておるところでございます。

北原政府参考人 上田先生に御答弁申し上げます。

 地元への影響等の点についてでございますけれども、改編がなされますことによりまして、在日米陸軍司令部の要員が約三百名ほど増加することになります。そして、地元の方々、やはり事件あるいは事故といったものにつきまして大変御心配をされているところでございます。

 政府としても、そういったことが絶対起きてはいけないということで、これまでもアメリカ側に対して、隊員の教育ですとか、あるいは綱紀粛正の徹底を図るなど、その防止につきまして実効性のある措置を講ずるよう、いろいろなレベルから申し入れているところでございますけれども、この点については、引き続きしっかりと申し入れをし、また、基地を提供している政府、その中にあって地元の皆さんとの接点にある防衛施設庁として、知恵を出しながら努力してまいりたいと思っております。

 それから今、もう一つの点で、改編に伴ってヘリコプターの騒音はどうなるのかといった御指摘もあるように聞いておりますけれども、まず、在日米陸軍司令部の改編に伴うところのヘリコプターの新たな配備はないものと承知をいたしております。それから、先ほど防衛局長がお答え申し上げましたが、二〇一二年度までに移転を予定しております陸上自衛隊中央即応集団司令部につきましては、キャンプ座間に現在ございますヘリポートを共同使用するということを考えておりまして、ヘリコプターの常駐といったことは考えておりません。したがいまして、周辺の皆様に対するヘリコプターによる騒音が今回の改編によりまして大きく変化するといったことはない、そのように承知をしているところでございます。

 さはさりながら、やはり今後とも、周辺の地域の皆様に対しまして、ヘリコプターの騒音による影響が本当に最小限となるよう、運用上の配慮に加えまして、飛行の安全といった点にも一層配慮していくとともに、米側に対しても同じ旨を申し入れてまいりたい、そのように考えております。

    〔今津主査代理退席、主査着席〕

上田分科員 ありがとうございます。

 このキャンプ座間にかかわる問題では、地元への影響について、幾分過剰に受けとめられている面もあるんではないかというふうに私も感じております。ただ、これからどういうふうになるのかわからないという中で、やはり地元としてはいろいろな懸念や不安があるのは当然のことだと思いますので、ぜひ、今いろいろと御答弁あったような形でわかりやすく、また引き続き説明をしていただきますようにお願いをしたいというふうに思います。

 今回、五月三十日に閣議決定が行われました。その閣議決定文書の中には、「地元地方公共団体において新たな負担を伴うものについては、かかる負担を担う地方公共団体の要望に配慮し、我が国の平和と安全への大きな貢献にこたえるよう、地域振興策等の措置を実施するものとする。」というふうに書かれております。

 神奈川県内の座間市、相模原市等につきましても、その要望をよく聴取し、可能な限りそれに対応していただきたいというふうに考えております。

 今、一部御答弁もありましたけれども、改めて御決意のほどを長官にお伺いしたいというふうに思います。

額賀国務大臣 上田委員には、先ほどおっしゃっておりましたが、神奈川県は日本の国内、本土では一番そういう基地が多いわけでございまして、日ごろから御理解をいただいておりまして、心からお礼を申し上げる次第であります。

 先般、閣議決定をいたしまして、五月一日にまとめられた日米合意が実施に移されるように段取りをつけさせていただいたわけでありますが、その際に、地元で基地を抱えている市町村、県の立場、そういうことをよく踏まえまして今後対応させていただきたいということで、地域振興について地元の要望をお聞きしながら、今後まとめてまいりたいと思っております。

 まだ、具体的にどういう形がという方向でまとまったわけではありませんが、今後、しっかりと誠実に、よく地方の皆さん方の御意見を伺って対応していきたい。負担が減る地域と、それから負担が若干ふえるところもあるわけでございますから、そういうことによく注意を払いながら、めり張りをつける形で、地元の皆さん方におこたえできるような姿勢で臨みたいというふうに思っております。

上田分科員 よろしくお願いいたします。

 今般の米軍再編とは直接関係ない事柄でありますが、現在、横浜市内では上瀬谷通信施設あるいは根岸住宅地区など六施設、約三百八十ヘクタールというふうに伺っておりますが、その返還につきまして日米間の協議が行われております。基本的にはこれが返還されるということで、もう既に合意がされているものであります。

 これらの施設は、これまで、横浜市の都市整備を進める上でさまざまな障害となってきたものでありまして、これが返還をされるということは大変歓迎すべきことだというふうに考えております。また特に、急速に市街地が拡大をしてきた結果、これらの施設の跡地をいかに利用していくかというのは今後の都市計画の上で非常に重要なファクターとなっておりまして、自治体も、また地域住民の関心も非常に高くなっております。

 そこで、現在、これらの施設の返還についての具体的な協議の進捗状況、それから今後の見通しにつきましてお伺いをいたします。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、神奈川県におきます在日米軍の施設・区域の整理等につきましては、平成十五年から日米間で協議を行ってまいりました。その結果、池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域における七百戸程度の米軍家族住宅等の建設、そして上瀬谷通信施設等、先生今御指摘の六つの施設・区域の返還につきまして日米間の認識が一致いたしまして、平成十六年の十月十八日、この協議結果が日米合同委員会で合意されているところでございます。

 それで、御指摘の中の六施設のうち、小柴の貯油施設についてでございますが、これは先生御承知のように、既に昨年の十二月に、当初は西側部分の約十ヘクタールを予定しておりましたが、地元の強い御要望も受けまして、全面返還ということで、陸地部分の全域、それから制限水域の一部について、これがもう既に返還をされたところでございます。

 そのほかの五つの施設・区域につきましては、先ほど申しました、現在行っております、池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域におきます米軍家族住宅等の建設に係ります基本構想の策定作業などの建設事業を進めながら、地元の御要望等も踏まえ、逐次、具体的な早期返還を米側に要請していきたいと思っております。

 私どもは、そうした動きとともに、各施設の返還を速やかに行うといった観点から、これまで、各施設・区域の境界を確定する必要がございますので、そういった確定するための測量等の業務も今並行して実施しているところでございます。

上田分科員 ありがとうございます。ぜひ今の作業を円滑に進めていただいて、作業が順調に進むことを期待するものでございます。

 先ほどからの御答弁で、相模総合補給廠の土地の一部が返還されることも合意をされております。今お話がありましたように、横浜市内の施設の返還の協議もかなり進んできているということであります。これらの施設の跡地というのは、周りが全部、かなり市街化が進んでいることもありまして、公園や緑地の確保、それから防災上の観点からも、それらの跡地をいかに有効に利用していくかというのは非常に重要な課題でございます。

 この跡地の大部分は、返還されると、現在国有地でありますので、今度は国としてこれらの土地を、地元の自治体が公共性の高い目的で跡地を利用する場合には、売却や貸し付けなどについて特別の配慮を何か考えていただく必要があるんじゃないかというふうに考えております。特に、これらの地元がこれまで長年にわたって我が国の安全保障に果たしている貢献のことを考えると、何らかのそうした配慮が必要ではないかというふうに思いますけれども、この点、国有地ということでございますので、財務省からお考えを伺いたいと思います。

日野政府参考人 お答え申し上げます。

 返還財産につきましては、地元地方公共団体が、公園など公共性の高い用途のために取得する場合、先生がおっしゃいましたような経緯等を考慮いたしまして、物納財産等の一般の国有財産を処分する場合に比べて有利な条件としているところでございます。

 ちょっと具体的に申し上げますと、返還財産ではない一般の国有財産であって、物納財産あるいは国が移転経費を要した財産につきましては、たとえ公園の用途といった公共性の高い用途のために取得する場合であっても、本年四月より、全面積時価売り払いとなっておりますが、御指摘のような返還財産につきましては、処分対象財産の面積の三分の二を無償貸し付け、三分の一を時価売り払い、つまり、地元地方公共団体の負担が三分の一になるということでございます。こうした相当有利な条件となってございます。

 そして、御指摘の財産が返還された場合でございますが、その際、私どもとしては、地元地方公共団体の利用要望を踏まえながら、今申し上げました有利な条件のもとでその利用促進に努めてまいりたいと考えております。

上田分科員 今、有利な条件でというお話があったんですが、相当な規模の土地でありまして、仮に今おっしゃっていただいたように三分の一の売却ということでも、これは、今のそれぞれの地方公共団体、財政的に非常に厳しい中では相当な負担になってくるわけであります。

 財務省としてはそういう答弁にならざるを得ないんだということはよく理解をいたしますけれども、これは、私たち地元の関係の議員も、このことについては引き続きまた働きかけをしていきたいと考えておりますし、また、長官におかれましても、これからそういった御配慮に向けて御努力いただけますことを、ぜひ御要望させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう一方、ほとんどの部分が国有地なんですけれども、ただ、返還が予定されている施設の中にはやはり民有地もまだ多く含まれております。これらの民有地は、実は、戦前から旧軍が利用しているというような土地も多く含まれているわけであります。返還自体は地元として大いに歓迎すべきことなんですけれども、今度は土地所有者の立場から見てみますと、すぐに地代収入が減るということになります。

 長年にわたって土地利用の制限を受けてきた、また周辺の市街化が進む中で、その処分についてもかなわなかったわけでありまして、そういったことを考えますと、これらの土地が有効利用できるような支援についてもやはり国として考えていかなければいけないだろうと思いますし、また、それまでの間、できるだけさまざまな形での配慮が必要なのではないかというふうに思いますが、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

北原政府参考人 先生御指摘のように、先ほど申し上げました、平成十六年の十月に日米間で返還が合意されている六施設のうち、民有地が所在しているものは、上瀬谷の通信施設、それから根岸の住宅地区、小柴の貯油施設、そして池子住宅地区及び海軍補助施設の飛び地部分になっております。

 先生、有効利用が極めて重要だという御指摘でございます。全く同じ考えでございますが、こうした中で、横浜市が返還施設跡地利用構想検討委員会というものを設置いたしまして、今私が述べました民有地が所在しております四つの施設・区域のうち、大変狭いといいますか、一ヘクタールくらいの面積でございますが、池子住宅地区及び海軍補助施設の飛び地の部分を除く、上瀬谷、根岸、小柴、この三カ所並びに、先ほど御議論ございました、専ら国有地だけでございますけれども、深谷の通信所と富岡の倉庫地区の五つを、施設・区域を含めまして、横浜市ではこの委員会の検討そして御提言を踏まえて、現在、跡地利用構想というものを策定している、そのように私どもは承知しております。

 こうした動きの中で、私どもといたしましては、今申しました民有地の返還に当たりましては、賃貸借契約に基づきます原状回復措置というものを私どもとしては適切に講じることになるわけでございますけれども、跡地の利用といった点につきましては、今申しました横浜市の跡地利用構想などを的確に踏まえまして、関係機関に当市の要望をお伝えするなど、私どもとしてできる限りの措置はとってまいりたい、そのように考えております。

上田分科員 よろしくお願いいたします。

 今ちょっとお話の中にありましたように、特に上瀬谷の通信基地それから根岸住宅地区、ここは民有地が多く含まれておりまして、いずれの地区も、周りはもうほとんど市街化されていて宅地になっている場所でありまして、地価としても相当な値段になっているんだろうというふうに思います。

 先ほども申し上げましたけれども、地方公共団体がこれを買い上げるとなると相当な財政負担になりますし、また、地主としてこれを、今まで周りが全部開発されている中で、今度そういう意味では貴重なオープンスペースでもあるので、それを地域全体で考えていくためには、やはり国、それから自治体もさまざまな形での協力が必要なんだろうと思っておりますので、これはもちろん地方自治体が主体的に取り組まなければいけないことではあろうかと思いますが、また、ぜひ防衛施設局の方でもしっかりと関与していただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 最後になりますが、冒頭も申し上げたんですけれども、今回の2プラス2の合意で、神奈川県にとりましてはまさに積年の課題でありました厚木飛行場からの空母艦載機の移駐が合意されたということは、これは大いに歓迎していることでございます。ここの騒音というのは本当に大変なものでございまして、これが最大の懸案でございました。ただ、どうも移駐予定先においては、まだ十分な地元の理解が得られていないというふうにも承知をしているところでございますけれども、今後の見通しについて、今のところの御見解をお伺いしたいというふうに思います。

北原政府参考人 空母艦載機の岩国飛行場への移駐等についてでございますが、この点につきましては、私ども、在日米軍の抑止力の維持、それから地元負担の軽減の面からぜひとも実現をしていかなければならない事案である、そのように考えているところでございまして、昨年の十月の共同文書が2プラス2で承認されて以降、私ども、防衛庁長官を先頭にいたしまして、山口県あるいは旧岩国市、旧由宇町等の関係自治体に対しまして累次御説明をし、御理解を求めてきたところでございます。

 またさらに、五月一日にロードマップが最終承認されましたので、その前後におきましても、それぞれその内容等について御説明をし、また御質問にお答えするということで今日来ているところでございます。

 私どもといたしましては、こうして累次の機会にこの岩国移駐の必要性につきまして御説明等をしているところでございます。

 そうした中で、岩国周辺の騒音の状況といったこと等につきましても御質問がございました。その点につきましては、一部につきましては増加することはございますけれども、ほとんどの区域におきまして軽減される旨を御説明して、御理解を求めてきたところでございます。

 この点は具体的にちょっと御説明をさせていただきますと、私ども、この厚木の空母艦載機の岩国への移設というのは、現在岩国で行われております沖合移設、これが完成した後に考えているものでございますけれども、空母艦載機が移設された後の騒音の状況を予測いたしました。

 それによりますと、陸上部におきまして、いわゆるうるささ指数が七五W、これは住宅防音工事の助成の対象区域でございますが、これは現行の区域と比べて、先ほど申しました、ごく一部は増加いたしますが、ほとんどの区域が減少する。具体的には、面積について申しますと、現在約千六百ヘクタールございますが、これが約三分の一の五百ヘクタールに減少するものと予測しております。

 さらに、この区域に所在いたします住宅防音工事の助成対象の世帯の数につきましても、現在は約一万七千世帯でございますが、これが約四千世帯に減少する、そのように予測をしているところでございます。

 そういった状況につきまして、データ等に基づきまして、丁寧に丁寧に御説明を今させていただいているところでございますが、先生御指摘のとおり、現時点では岩国市長さん等の御理解を得るに至ってはおりませんけれども、先ほども申しました、ぜひとも本件については実現しなければならない事案でございますので、引き続き、地元の御理解と御協力が得られるよう誠心誠意御説明し、御質問にお答えしてまいりたい、そのように考えております。

上田分科員 わかりました。

 いろいろと難しい課題は多いんだというふうに思いますが、ぜひ、鋭意御努力いただきますことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府所管中防衛庁・防衛施設庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松本主査 昨日に引き続き、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。長崎幸太郎君。

長崎分科員 自由民主党の長崎幸太郎です。よろしくお願いいたします。

 山崎副大臣を初め、総務省の皆様には、議席をいただく以前から大変お世話になっております。

 本日は、私の年来の関心事項でございます地財計画の計画と決算の乖離の問題、さらに、最近特に力を入れております道路について、若干質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、地財計画の計画と決算の乖離の問題についてであります。

 地財計画の決算乖離につきましては、地財計画の各項目にわたっておると思いますが、私が担当した十七年度編成におきましても、地方財政の大きな課題であったと記憶しております。

 もとより、地財計画の性質上、多少の誤差は仕方がないものだとは思いますが、そうはいっても、乖離額が無視できないほど巨額にわたっているものとして、一般行政経費、それから投資単独事業がございます。

 近年の財務省さんと総務省さんの努力によりまして、この乖離も相当程度解消してきているんだとは思いますが、なぜ、かくも大規模な乖離が発生したのか、あるいは、かつそれにどのように対処していくのか、これについては、依然として重要な課題であると思います。

 すなわち、交付税算定の基礎となります地方財政計画につきまして、いわゆるPDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションのマネジメントサイクルを確立していくことが、結果として、納税者たる国民あるいは地方の住民の皆様の相互理解を得ていく上でも重要なことだと思っております。

 そこでお伺いいたしますが、総務省さんからいただいた資料によりますと、一般行政経費単独事業の地財計画の計上方法、これにつきましては、国の予算の伸率等を勘案して枠計上しているとされているようですが、ここで勘案されるべき国の予算とは一体何を指しているのか、教えていただければと思います。

瀧野政府参考人 地方財政計画の一般行政経費単独分の計上方法についてのお尋ねでございます。

 単独事業につきましては、国の予算の伸び率などを勘案して計上しているわけでございますが、その場合に、社会保障関係とかあるいは教育関係あるいは環境など、地方行政と非常に関連の深い分野、こういった予算の動向を踏まえながら、地方団体の自主性を尊重して、全体としては枠として計上しているものでございます。

 この枠として計上しているという観点につきましては、要するに、地方団体がそれぞれ地方分権という立場から具体的に予算編成に臨むわけでございますので、地方財政計画はその指針となるというような面がございますので、国が過度に予算の中身に関与することはいかがかというようなこととか、あるいは、現在、地方団体、合併して二千弱団体になっておりますけれども、なお非常に多くの団体がございますので、個別をそれぞれ積み上げることはまた事実上も不可能であるというようなことの中で、枠として計上してきている。その場合に、先ほど申し上げましたような、国の予算の地方行政と関係の深い分野をにらみながら枠を決めている、こういうことでございます。

長崎分科員 社会保障、教育、環境その他、地方行政に関係の深い国の予算の伸率を勘案して、枠として計上しているということでございました。

 ところで、一般行政経費単独事業につきましては、決算額が計画額を近年大幅に上回っております。これにつきまして、総務省さんの説明によりますと、ハードからソフトへの政策転換が地財計画の想定以上に進んだという御説明をされておりますが、この場合、いかなる事業、具体的に言うとどのような事業への転換が進んでいるのか、教えていただければと思います。

瀧野政府参考人 御指摘のように、一般行政経費の単独分につきまして、決算額が計画額を上回る、その際、地方団体におきまして、ハードからソフトへのシフトが進んでいるのではないかというふうに我々も認識しておるわけでございます。

 その中身でございますけれども、例えば、介護保険制度が導入されておりますけれども、その認定事務に予想以上の経費がかかる。あるいは、ホームヘルパーの養成、在宅介護の支援あるいは介護予防等の経費の増、さらには、少子化対策として実施いたします単独の保育施設、こういったものがまず一つのグループであるかと思います。

 それから、環境的な面でいいますと、分別収集などリサイクル事務、こういったものに地方団体で前向きに取り組んでございますけれども、そういったリサイクル事業の増、それから、ごみ収集につきまして民間委託を進める方針を我々も地方団体にお願いしているわけでございますけれども、その関係での委託費の増加、こういった環境関係のものがございます。

 それから、IT関係といたしまして、国、地方を通じまして、全体としてそういうIT関係に取り組もうとしてございますので、そういった経費の増もございます。

 それから、四番目といたしましては、合併が近年進んでまいりましたけれども、どうしてもその場合には電算システムの統合というものが必要でございまして、それに一定の経費の増がある。

 こういうようなことがございまして、ハードからソフトというようなことで、どうしても、一般行政経費が地財計画の予想よりも膨らんできているというような中身でございます。

長崎分科員 ただいま、転換が進んだ先のソフト事業が増加した、その中身として、介護、ホームヘルパーなどの社会保障関係、あるいは環境、IT、合併、こういう項目にわたっているとの御答弁でしたが、今御説明いただいたような各事項につきまして、それぞれ幾らぐらいずつ決算額があるのか、こういう統計データというのは公表されているんでしょうか。

瀧野政府参考人 今申し上げましたようなことで、それぞれの中身が大きく出ているというふうに考えておりますけれども、それぞれ決算を見ながら、こういったところに従来よりはふえてきているんだなというような見方をしておりまして、決算の各年度の対比の中で、今申し上げましたような経費が膨らんできているのかなと考えているところでございます。

 例えば、大きなくくりでございますけれども、民生費のうちの老人福祉費を見ますと、一・七兆円程度の平成十四年度決算がある、こういったものがさらに直近の決算を見ますと膨らんできているとか、そういうような決算を見ながら、先ほども申し上げましたような分析をしているところでございます。

 地財計画そのものの中では、そういった個別の項目というのは、先ほど申しましたように枠的なものでございますので、直接はないわけでございますけれども、決算を見ながらそういう分析をし、それをさらに、今後の地財計画をつくるときに、財務省と相談しながら反映させてきている、こういう状況でございます。

長崎分科員 今の決算というのは、各自治体が出されている決算の大きな傾向を見ているという理解であって、地財計画の決算として出てくる決算ではないという理解でよろしいでしょうか。

瀧野政府参考人 そのとおりでございまして、地財計画は、あくまでも枠的なものでございます。それを踏まえて、地方団体がそれぞれ予算編成をし、毎年度決算を締めている。その決算につきまして、私どもの方で全国的な集計をいたしますので、地方団体が実際に決算をいたしました状況を把握しながら、それをさらに翌年度以降の地財計画に枠として反映させるようにフィードバックしている、こういう状況でございます。

長崎分科員 近年、一般行政経費につきましては、投資単独事業との同時一体的是正として計画額を増額しているところでありますが、一般行政経費の増額につきましては、いずれ将来的に地方財源不足の増加要因を構成するもので、したがって、交付税の特例加算の増額要因になるものだとは思いますが、そうである以上、いかなる要因で決算が増加しているのか、これを示すのは、やはり国民に対する説明責任から不可避であると思います。

 先ほど、各自治体の決算を集計して、それを地財計画の決算として反映するという話でありましたが、まさにその集計した構成要素の内訳についてお示しいただくことが必要ではないか。すなわち、総務省さんとして、国会が地方交付税を議論するために、集計したところの決算の増加要因の分析を示すように努力していただくことが必要ではないかと思いますが、御意見はいかがでしょうか。

瀧野政府参考人 御指摘のように、全体として地財計画の中身が決まり、それによって必要な地方財源の総枠を決め、それで必要な一般財源を計算するわけでございますので、きちんとした計画をつくっていかなければいけないということは、御指摘のとおりだと思います。

 そういう観点から、地方財政計画につきまして、決算を見ながら、全体として計画と決算が大きな乖離がないように努力をしてきておりまして、十七年度、十八年度で一兆三千五百億円程度の乖離是正をしたところでございます。

 今後もこういった努力をしていきたいというふうに考えておるところでございますけれども、ただ、その場合考えなければいけないのは、あくまでも、地方財政計画で確保しておりますのは地方税なり交付税の一般財源でございますので、そういった一般財源の使途を国が決めてしまうということにならないように、そこは慎重にやらなければいけない。やはりその使途は、それぞれの団体が地方団体の住民に対して説明責任を負っているんだというところは、きちんと押さえておかなきゃいけない第一点だと思います。

 第二点といたしましては、現在行っております一体的是正といいますのは、投資の単独事業と一般行政経費の単独事業の乖離の一体的な是正でございますので、全体として財源不足額を拡大するとか、何か必要な財源をほかから持ってこなければいけないとか、そういうことではなくて、全体としての構成の問題であって、全体の額そのものには直接影響がないだろうということがあろうかと思います。

 ただ、将来それが増加要因になるのではないかという御指摘でもございますので、単独事業の状況を、ともかくきちんと決算状況を把握するということが必要だと先ほど申し上げたことと軌を一にするわけでございますけれども、決算の把握ということが必要であろうかと思います。

 その場合に、多くの団体がございますので、従来は早期に把握するということがなかなか難しかったわけでございますけれども、IT関係も随分進んでまいりましたので、できるだけ早く把握しようという努力をしてございまして、昨年度より、決算統計につきまして、従来よりは四カ月ほど前倒しいたしまして、九月には速報値を公表するというような取り組みも進めておるところでございます。

 今後とも、この決算状況をきちんと分析し、国民なり国会に対してわかりやすい開示ということに心がけてまいりたいというふうに考えております。

長崎分科員 ぜひ、決算状況の分析、それを、できれば、我々国会として、地財計画に整合するような形で出していただけると、議論が進むかな。

 やはりこういう問題は、必要なところには、なぜそれが必要なんだというのをオープンにして、理解を得て堂々とつけていくべきであるとは思いますし、もしそれが要らないのであれば、それも堂々と削っていくべきだと思いますので、引き続きぜひ、決算状況がわかりやすい形で、地財計画の議論に資する形で公表していただけるようにお取り組みいただければと思います。

 次に、今度は歳入面についてですが、地財計画の歳入面での構成要素の一つに、使用料、手数料というものがございます。

 この使用料、手数料、いただいた資料を拝見いたしますと、平成六年以降を見ましても、毎年六千億から七千億の決算剰余というか、決算が計画を上回っている状態、すなわち、地財計画ではその分の過少計上状態になっております。これもまた、その結果、地方財源不足を拡大し、特例加算の拡大要素となるものですが、近年、歳出面の方は一体的是正その他で縮小しているにしても、今後は、歳入面にも目を配って、差額の圧縮、ひいては財源不足の圧縮に取り組むべきではないかと思います。

 そこでお伺いいたしますが、現在の地方財政計画上の使用料、手数料の積算方法はどのようになっているんでしょうか。これは積み上げになっているんでしょうか。

瀧野政府参考人 使手数料についてでございますが、御指摘のように、平成十五年度の乖離の状況を見ますと、計画額に対しまして決算の方が約六千億円程度上回っている、これは事実でございます。

 地財計画の使手数料の計上でございますけれども、基本的には、前年の計画額に近年の決算額の伸び率を乗ずる。そのほか、例えば高等学校の授業料、これは数年に一度見直しをかけますので、そういうふうに見直しがかかった場合にはその伸び率を入れていくというような個別の事由を勘案した上で、計上しておるわけでございまして、そういう意味では、やはりこれも一定の枠的な計上の方法をとっているわけでございます。

 それは、結局、使用料、手数料は非常に多くの種類がございまして、地方団体が独自で設定しているものもございますので、個別に積み上げを行うということはなかなか難しいという事務的な制約もあるということの中のものでございます。

 実際に決算額が計画額を上回っているので、もう少し計画額をふやしたらいいんじゃないかという御指摘かと思いますけれども、結局、地方団体がそれぞれ努力して使用料、手数料を徴収している分をどんどん計画の中へ取り込んでいくということが、いろいろな面で使手数料について努力をするというふうになっている地方団体との関係でいえば、インセンティブの面でいかがかなということもございます。

 あと、この使用料、手数料というのは、充当先は大体特定されているわけでございますけれども、それは結局、使手数料の歳入を計上するということは、歳出の方の見直しと一体的にやらなければいけないということでもあるわけですね。歳出の方が十分計上されているかどうか、使手数料が充てられるべき事業が、全体の地財計画の中で十分枠として計上されているかどうかということもございます。

 したがいまして、こういったもの全体を見直すとしますと、そういう地方団体が使手数料を独自の財源として確保するというインセンティブの面でどうかということと、歳出歳入を全体として見直すという両面からアプローチしながら、この乖離是正に取り組む必要があるのかなというふうに考えておるところでございます。

長崎分科員 そうはいっても、連年六千億という額ですから、特例加算の額に直すと約三千億の国費流失要因になっております。

 それから、地方のインセンティブという話でもありますが、それもやはり標準的な地方のやるべき努力という意味で、地方財政計画にしっかり計上することが必要ではないかと思います。

 また、地方財政計画の計上額が標準的な水準として上げられるわけですが、決算額につきましても、もっと実際の努力をして、地方自体が歳入をするべきではないかと思うところであります。

 すなわち、国におきましては、国有財産の有効活用というものに取り組んでおります。先般出されました行革の重要方針なんかにおきましてもその旨が書かれておりますが、地方自治体におきましては、ある地方自治体なんかでは、市街地にある公有地を極めて安い賃料、山林並みの賃料で貸し付けるなど、公有財産の有効活用がいまいち進んでいないのではないかと思われるような事例も時として耳にするわけです。

 総務省として、地方自治体の公有財産の有効活用、これによる歳入増加に取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山崎副大臣 今委員御指摘の点でございますけれども、昨年十二月の閣議決定で行政改革の重要方針というものが出されまして、これを受けまして、当省といたしましては、地方団体に対して、資産、債務の実態をまず把握して、その管理体制を総点検してもらいたい、そして、その中で未利用財産の売却促進等に取り組むように要請しているところでございます。

 地方団体におきましては、極めて厳しい財政状況にございますものですから、財源確保等の観点から、未利用財産の売却を推進する、あるいはリースバック、証券化、また公共施設の命名権を売却というようなことで、既に資産の有効活用の取り組みを行っている団体もございます。

 いずれにいたしましても、先ごろ成立いたしました法律、いわゆる行革の推進法でも、簡素で効率的な政府、こういうことの実現というものが一番うたわれているわけでございますので、債務の増大を圧縮する観点からも、御指摘の資産の有効活用の促進というのは極めて有効であろうということで、資産・債務改革に一層積極的に取り組む必要があるというふうに考えております。

 今後さらに、地方団体に対しまして、先ほど委員おっしゃられたような資産・債務改革に国が取り組んでいるわけでございますので、その工程表も参考にしながら取り組んでいくように、具体化していくようにということと、その推進に積極的に取り組むよう要請してまいりたいと考えております。

 あわせて、地方におきましては、資産、債務の適切な把握、その管理等に必要なバランスシートなどの財務書類の整備というものがいまだ十分でない、これからの重要な課題だというふうに認識しておりまして、本年四月に設置しました新地方公会計制度研究会におきましても、そのような観点から検討を行っていただいて、先般、報告書が取りまとめられております。

 今後、地方団体に対して、おおむね三年程度をめどに、バランスシートの財務書類を整備するように要請してまいりたいと考えております。

長崎分科員 ぜひ、地方公共団体の資産、債務の管理状況の総点検の中で、例えば適正な貸し付け賃料の徴収ですとか、要は住民の理解を得られるような形で、かつオープンな形で改革を進めていただければと思います。

 引き続きまして、地方に関する譲与税の配分についてお伺いしたいと思います。

 地方道路譲与税の配分につきましては、既存の道路延長あるいは道路面積を基準として配分がなされているところであります。このような配分方法の是非についてですが、これは、既に道路ストックが十分に蓄積された地域、これに対しては手厚い配分になる一方、今まで道路ストックが十分に蓄積していなくて、これから整備をしていくんだ、こういう地域については冷たい配分方法ではないか、ひいては、これが地域間格差をますます拡大させるおそれありや、こういう問題意識を持っております。

 そこで、現在、国土交通省さんにおいては、中期ビジョンと称しまして、今後、真に必要となる道路の整備のあり方についてビジョンを出されて検討中であると承知しておりますが、例えば、現在の道路譲与税の配分方法につきまして、これと連携をとるような配分をする工夫はできないのか。地域間格差を拡大させるような配分を見直して、今後、真に整備すべき道路に対して譲与税の配分も回るような工夫ができないのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

小室政府参考人 ただいま地方道路譲与税の関係についてお尋ねがございました。

 御案内のとおり、揮発油税とあわせてガソリンに課されている地方道路税、これのすべてを都道府県、市町村に対して譲与しているのが地方道路譲与税でございます。

 御案内のとおり、この譲与税というのは、課税上の便宜、そういったような理由で、国税として徴収した税を客観的な基準でもって地方公共団体に譲与するということでございます。その譲与基準についてまさにお尋ねがあったのですが、これは、それぞれ譲与税ごとに、創設の経緯ですとかあるいは目的などによって異なっております。

 その中で、地方道路譲与税ということで、道路の関連でのお尋ねということでございます。今、私どもが考えておりますのは、御案内のとおり、この譲与税自体が、道路に関する費用ということですので、その多寡について、客観的なわかりやすい指標、こういったものをやはり用いなければいけないということが一つあると思います。それともう一点、この譲与税について言いますと、自動車の運行といったような受益、あるいは燃料課税なり、自動車保有の関係ももちろん関連でありますけれども、この受益と負担との関係の結びつき、こういった指標ということで、今御指摘があったように、道路の延長、面積ということで譲与基準にしているところで、それはそれなりの経緯なりがあると思います。

 御提案がありましたのは、今、国土交通省の方で先日発表されました、真に必要となる道路の整備のあり方についての御議論が始まったんだろうと思います。そういった道路整備と連携した譲与方法ということなんですが、いろいろこれから議論があるかと思いますが、一つは、今申し上げましたように、譲与税の譲与基準となるべき客観性、これをどう担保するかとか、あるいは受益と負担の関係をどう考えるか、こういった課題はあると思います。

 ただ、そういった課題もありますけれども、今後、よく地方公共団体の意見を伺いながら、また道路特定財源の一般財源化という議論もありますから、そうした議論も含めた中で、いろいろと議論をしてまいりたい、このように考えております。

長崎分科員 ぜひ、地域間格差が拡大しないような方法で何とか工夫をして、御検討いただければと思います。その旨強くお願いをいたしまして、私の質問は終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて長崎幸太郎君の質疑は終了いたしました。

 午後五時二十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時二十分開議

松本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前中に引き続き総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。篠原孝君。

篠原分科員 民主党の篠原孝でございます。

 きょうは、公職選挙法についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 私、まだ選挙を二度しかやっておりませんでして、何をやっているんだかわからないうちにいつも選挙が終わっちゃって、後になって、これでよかったのかなと思うのがいっぱいあるんですが、なかなかわからないところも多いわけですよ。

 非常に基本的なことなんですが、まず、三カ月以上居住しなかったら投票権がないというのがあります。それから、居住地の方で見ますと、国会議員はどこに住んでいようとどこでも出られる、都道府県知事や市町村長もどこでも出られる。それに対して、都道府県議会議員はその県に住んでいないと被選挙権がない、市町村議会議員や区議会議員もその区に住んでいないと被選挙権がない、選挙に出られないというルールがあるんですが、都道府県知事と都道府県議会議員、市町村長と市議会議員でどうしてこういう区別があるのかというのを、理屈があるんだろうと思いますけれども、ちょっと教えていただけたらと思います。

久保政府参考人 初めに、委員御指摘のように、国政選挙の場合には、住所要件というのは選挙権には要求されていないということがございまして、一方、地方選挙の選挙権につきましては、三カ月以上の住所要件が設けられているということになっております。それは、地方公共団体の住民としての権利を行使する上で、ある程度その地域社会に居住し、地縁関係もできて、そしてその団体の事情に通じる必要があるといった観点から、昭和二十五年の公職選挙法制定以来、そういったことになってございます。

 そこで、今度は被選挙権の話になってまいりますけれども、都道府県議会議員及び市町村議会議員、地方議会の議員さんの被選挙権につきましては、その選挙権を有するといったことが要件とされておりますので、三カ月以上住所を有するということが必要になってまいりますけれども、これもやはり、当該地方公共団体におきます地縁関係といったことを重視したものであるというふうに解されております。

 一方で、都道府県知事や市町村長の場合の被選挙権につきましては住所要件が要求されておりませんけれども、それは、広く人材を求めるといった観点でそういうことになっているというふうに説明されております。

篠原分科員 これをちゃんとわかっている人がどれだけいるかなんですが、選挙にかかわった人でないとわからないんだろうと思います。

 それで、議員はそのところに住んでいなくちゃいけない、地縁がうんと必要とされる。市町村長、都道府県知事になると、どこに住んでいて、どこかのわからないへんちくりんな人でもすぐ知事になれる、別に長野県のことを言っているわけじゃないんですけれども、そういうふうになっているわけです。ふうん、なかなかいいあれでもあるかなと思うんです。

 例えば、具体的に田舎の市町村長さん、私の身近なところでもあるんですが、過疎地でいない。そうすると皆さんが考えることは、中央のお役人にこの地の出身の人はいないかとか、別に役人だけじゃなくてもいいんですが、考えて、そういうところに人材を求める。

 しかし、議員だったら、この辺に住んでいる人たちでもいいんじゃないか。議員でも、例えば典型的な例ですけれども、東京でずっとビジネスをやっていた、しかし地元に戻って、地元の振興に政治の立場から、政治の面で貢献しようということで都道府県議会議員に出たっていいと私は思うんです。なぜそこのところに差があるかというのは非常に疑問なんです。

 この疑問を提示しつつ、この私の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、一つ目の資料です。

 これは全部調べたわけじゃないんですが、結構これは時間がかかるんですけれども、「マドンナ議員」なんて言うと怒られるかもしれません、ここにもマドンナがおられますけれども、それと「その他」ということで、この間の選挙のときは、突然選挙区が決まって出られた方がいっぱいいるわけです。これだけおります。男性議員でもこれだけいて、これはちょっとほかの、自民党の議員にも直接聞いたりしてみましたら、おれもそうだ、おれもそうだと、まだ抜けている人がいるんです。

 それで、右側の民主党の方を見ていただきたいんです。今回は鷲尾さんしかおられませんでした。その前、私が初めて出たときです。

 私のことでちょっと言いますと、五十日しかなかったんです。五十日前に農林水産省をやめまして、住民票は移しました、本籍地ですけれども。投票をお願いしておきながら、僕は投票権がないんです。おかしいなと思う。

 三カ月というのは知っていました。おかしいんじゃないかと、そのときにもう疑問に感じて、総務省のもっと下の方ですが、ちょっと聞いたんです。そうしたら、非常に厳しい御指摘がありました。候補者ぐらい例外にして投票権を認めてくれてもいいんじゃないですか、人にお願いしていながら自分でできない、そういう意思を固めてそっちにもう住民票も移しているんだ、生まれ故郷だと。そうしたら、いや、お言葉ですが、篠原さんのように計画性がなく選挙に出られた方はそんなにおられませんでして、そういう例外的な人のために例外的な規定を設けるわけにはいきませんと。私はそのときに、何を言うかと思ったけれども、まあ、もっともかなという気もしたんです。

 ところが、この間の選挙のときは、公募というのが始まってからですけれども、これだけわんさか出てきたわけです。この人たちは、みんなほとんど、選挙のあれを見ていますと、この地の人になります、住民票は移しましたとか言って演説している人もいるわけです。

 ところが、これはいろいろな例外、これは何も国会議員なんかになったりする人の特権じゃないと思う。これはですから、区議会議員、市町村議会議員でも僕は例外的でいいんじゃないかというふうに、国会議員だけにということじゃないんですから、こういうのは認めていただいてもいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

竹中国務大臣 篠原委員おっしゃったように、選挙というのは、やってみて初めてわかることというのは本当にたくさんありますね。私も、恥ずかしながら、まだ一回しか選挙はさせていただいておりませんが、私もよくわからない無我夢中のうちに終わりました。本当にいろいろな制度があるものだな、複雑になっているものだなというふうに感じることが多うございます。

 委員御指摘のように、立候補することが決まって、住民票を移して立候補した者に限っては、例外的に三カ月居住していなくても投票に行かせてもらいたいな、これはもう、気持ちは大変よくわかるところがございます。

 御承知のように、投票権の行使に必要な選挙人名簿への登録については、三カ月の住所要件が課されているわけでございます。

 これは、地方選挙の選挙権には、今説明がありましたように住所要件、その住所要件は三カ月である。そして、多数の選挙人によって行われる各種の選挙を混乱なく適正に、そして能率的に執行するというのはなかなか大変でございます。そのためには、国政選挙、地方選挙を通じて地の一つの名簿とする、いわゆる永久選挙人名簿の制度をとることが、実務的なことも踏まえて、やはり適切であるというふうに考えているわけでございます。そしてまた、もう一つ要因を挙げれば、選挙人名簿の正確性を期すためには事実確認等にやはり一定の期間を要する、そういうところから、この三カ月の住所要件というのは出てくるわけでございます。

 これは、選挙権の付与、被選挙権、それぞれ選挙制度の基本にかかわる問題でもありますので、選挙人間の公平の視点も踏まえて、ここはやはり制度として全体が整合的になるように、実務上の問題も踏まえて、慎重に検討していかなければいけない問題であるというふうに思っております。

篠原分科員 わかりました。一つの疑問として提示させていただいたんです。

 この住所と選挙権の問題の延長線上に、いろいろなことがかかわってくるわけです。

 一つは、この選挙にかかわるんですけれども、具体的な例で申し上げますと、私は長野のワンルームマンションに住んでいます。ここはわびしいところなんですが、わびしいなりに、わびしい人たちが集まってにこやかにやっているんです。

 全国チェーンの大企業の長野支店長とか営業所長とかそういう人たちが、そこそこ高い、長野駅前から歩いて七分ぐらい、ですから私は金曜日の夜、最終で帰っても、歩いて七分で帰れて、ふろへ入って寝て、次の日、土曜日からいろいろなところに行くというのができるわけですけれども、この人たちが、選挙で、私がいるというのを知っていますから、篠原さん頑張ってください、残念ながら私は選挙権ありませんと。本当は支持していないのかもしれませんけれども、選挙権がないということで、篠原さんに投票できないというわけです。どうも、管理人の人に聞いたら、八、九割はそこに住民登録をしていないんだそうです。だけれども、ほとんどいて、それでもう一カ月に一回帰るか帰らないか、今月は考えてみたら一回も帰っていない、ほとんど長野のワンルームマンションに住んでいるわけです。

 では、この人たちが税金を、住民税をどこで納めているかといったら、東京や埼玉や千葉、圧倒的にそういう人が多いですよ。そこの、住民票を置いてあるところで納めているんじゃないかと思うんですが、こういう点については、私は是正すべきじゃないかと。

 なぜかというと、ますます東海のこの地域、太平洋ベルト地帯や首都圏のところにお金がたまって、長野の地は寂れていく。オリンピックの後はもう、がたがたなわけです。税収が少なくなっている。こういうことになると、もうちょっと選挙権よりも真剣に考えていただかなくちゃならないという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

小室政府参考人 税金のお話で、必ずしも実態を私は全部把握しているわけではございませんが、今お話しになったのは、異動等で、そちらの方に実際の住所の形態がありながら、住民基本台帳法に基づく登録がされていないという事態があるんじゃないかと。これは先生御案内のとおり、もちろん住民基本台帳法の中で、転出、転入の届けをするという義務があるわけでございます。その手続がきちんと行われていれば、税金の問題に影響がないという上でのお話だと思います。

 そこで、税の方でも、住民基本台帳に記録されている者に対して課税をするという形になっているんですが、その中で、住民基本台帳に記録されていない場合でも、個人が現に住所を、先生御指摘の場合は長野なら長野ですけれども、そこにある場合には、所在地、住所地の市町村が個人住民税を課することができるという規定がございます。

 ですから、それはそれで、実際にどういうふうにやってフォローしていくんだという点になろうかと思いますが、私どもがお願いしているのは、給与の支払い者が給与支払い報告書をその住所地に出すわけですね。したがって、そこのところをきちんと正しい住所で報告していただくように、この辺を要請して、そこから入っていくという形になろうかと思います。

篠原分科員 ああ、そうですか。これは御存じだと思いますけれども、田中康夫知事は、嫌いなというか、長野市に住民税を納める気がしないといって、気に入ったというか、非常に立派な村長がいる伊那谷の泰阜村の松島村長さんのところに住民税を納めたいといって、住民票を移してというので、すったもんだしましたよね。

 そういうことがあるんですが、田中知事は公人ですし、それはいけないということで裁判でも負けましたけれども、一般市民については、例えば長野市が私のマンションにちゃんと調査に来て、こんなに住んでいるじゃないか、ここで住民税を納めろという権利は、そういうことが長野市や長野県はいろいろできるんでしょうか。実際にやっておるんですか。

小室政府参考人 長野県知事田中康夫さんが泰阜村の方に住民票を移して、今お話があったように、実態として長野市に住んでいる形なので、長野市の方が課税をした。それはまさに、住民票自体は泰阜村の方ですけれども、長野市が今の条項に従って課税して、今委員御発言があったように、それは最終的に長野の方になったわけですから、その条文というのは、別に知事だけにきくものじゃなくて納税者みんなにききますから、法律の体系としては、それは長野市が、住民票がなくても実態としてそういうふうに住所があるという形になれば、課税をするということは可能でございます。

篠原分科員 だけれども、そうなってくると、僕なんかは一番どこに住んでいるかというと、どこになりますか、東京の九段宿舎ですかね。次に長野のワンルームマンション。だけれども、私は、長野県中野市、私の実家で弟が跡をとって農業をやっているんですけれども、そこに住民票を置いてあって、そこで中野市に納めている。だから実態と違うわけですよ。だけれども、これをあげつらう人はいない。国会議員はみんな自分の地元に住民票が置いてある。一票も大事だしというのは認められているわけです。

 そういうところをきちっとやっていくのは非常に大事じゃないかなと思うんですが、これを余りやっていると時間がなくなるのでお願いだけしておきますけれども、やはり地方分権と言われているわけです。ですから、これは、大臣にちょっとその辺を抽象的なので結構ですからお答えいただきたいんですが、こういうときは、東京じゃなくて地方になるべくお金が行くように制度設計をしていただきたいと思いますが、前向きな答弁をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 言うまでもなく、地方税というのは、その地域の住民サービスに対して支払う、まさに応益負担の考え方が基礎になければいけません。したがって、重要な点は、生活実態が一体どこにあるのかという実態把握なわけですよね。

 私自身も、実はデュアルライフで悩んだことがありまして、日本で単身赴任で四カ月間、私は慶応大学で集中講義をしておりました。一年の残り八カ月間はアメリカにいまして、家族もアメリカに住んでいて、コロンビア大学で研究をしておりました。

 このとき住民税をどこで払うべきか、これで私は雑誌にひどいことを書かれまして、それで訴えました。名誉毀損でやって、当然勝ちました。私はアメリカで生活実態があって、八カ月いて、家族がいて、向こうでローカルタックスを払っていたんです。それでいいんだということでありました。

 だから、基本的にはやはり実態判断だと。これはしかし、全員に対して実態判断することはできませんので、徴税コストも考えて、いわゆる台帳課税主義というか、一月一日に住民基本台帳があるところで課税をする。しかし、局長が申し上げたように、実態がわかっているときは台帳だけではなくて、それは実態で把握するんだと。それが原則なんだと思います。したがって、あくまでも実態だと。

 それともう一点、篠原委員がおっしゃったのは、要するに、そういうサービスを受けている人が、受けているところでちゃんと払えよということなわけですよね。そうするための仕組みというのは、これはやはり税目をどうするかとか、そういう問題になってくるんだと思います。例えばそこで消費生活をして、アメリカなんか典型ですけれども、売上税を払えばそこで、消費生活をしているところで地方税を払うことになりますので、それは非常にわかりやすい例だと存じます。

 日本の場合、税目がなかなかそういうふうに思うようにならないところはありますが、基本的な考え方としては、生活したところで、そこで納税が起きるような仕組みにならなければいけないと思います。

 実は、島田晴雄先生が中心になって、地域の活性化についてどうするかというプロジェクトを総務省でやってもらっています。その中で、島田研究会のレポートでは、やはり地方に対する消費税等々でちゃんと払えるような、そういうインセンティブを持つことが地域の経済の活性化にも必要だと。大変説得的な御議論であると私は思っております。

篠原分科員 学者の中でも、地方に軸足を置いて地方のことを考えている方は、そういうふうに言っていただけると思います。例えば島田晴雄さんもそうですし、川勝平太さんがそうですよね。長く長野県の軽井沢に住んでおられて、地方分権云々を言っておられて、都の西北云々と、あそこに住みついて地方から見ている。

 では、選挙に戻ります。また表をちょっと見ていただきたいので、表の説明をいたします。

 次は、長野一区の市町村別開票開始・終了時刻というのを見てください。

 長野市が、一番右側にありますけれども、六七%の大票田です。これが二十一時三十分に始めて、終わるのが二十五時なんです。それで、その前の須坂市が二十三時で、二番目に遅いところと一時間四十五分も差があって、一番早く終わっているところの栄村と比べると、三時間十八分もおくれている。

 この原因は何かというと、次の次のをめくっていただきまして、長野市の閉鎖時間繰り上げ投票所の数の方にちょっと移ってください。これの前に地図ですね、その後ろに長野県の地図があります。長野一区、上の方なんですが、ここは飛び地がありまして、長野市の上の方に小さく、ちょっと見にくいですけれども、豊野町とあるんです。左側に戸隠村。下の方には大岡村。これが合併されたんです。

 それで、その次のページを見てください。合併後の長野市なんですが、豊野、戸隠、鬼無里というのは、これは皆さん御存じだと思います。これの四とか十五とか書いてあるのが前のページにあるんですが、これだけ投票所がありまして、このところは早く、七時に終えるんです。なぜかというと、オリンピック会場の跡、そこじゃないと、でか過ぎちゃって開票できないんです。何とか体育館じゃ無理なんです。エムウエーブだか何だか忘れましたけれども、オリンピックの跡地のどでかいところに持ってくる。

 だからというので、前のページ、繰り上げ投票所の数というのを見てください。長野市全体に百十九投票所があり、九二%の人口のところに五十六カ所で、八%のところに六十三カ所あるということなんです。これは一時間早めても、開始時間がそもそも遅くなる。全部、長野一区の全有権者の六五%も占めるのを一挙にやるというので、開票時間は遅くなっているんですよ。

 それで、これは合併、合併していくと、その途中にまたへんちくりんなのがあって、開票区域が少数の選挙区一覧、これも私はしつこく調べたんです。一つだけのところがある。秋田一区とかは秋田市だけなんです。開票が一つしか出てこない。何とか町、何とか市、何とか村というのが出てこない、それが二十七。二区域のは三十六、三区域のが四十七、そして、だんだん合併でもって一区域だけのがふえている。そして、ばあんと一つだけしか結果が出ない。これはやはり、ちょっとおかしいんじゃないかと思う。

 開票を早めるためにも、その結果を、どこの地域が竹中平蔵さんが強くて、どの地域は篠原孝さんが強いかというのはある程度わかってもいいんじゃないかという気がするんですけれども、それが全然なしになってしまう。それから、一緒くたにしているから開票時間は遅くなる。こういうことを考えたら、人口が二十万人以上のところとかいうのは二つに分ける、三つに分けるというようなことをして開票を早めたり、あるいは結果がどうかというのも明らかにするように、情報公開、情報公開といっているわけですから、投票の結果もわかるようにしてもいいんじゃないかと思う。

 吉田六左エ門さんのところの新潟市も、一本でぱっと新潟市で出るだけです。全部強いから全然関心がなくてもいいのかもしれませんが、あっちは強くてこっちは弱いとかいうのはやはりあった方が、後々の政治活動にもずっと役立つんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょう。

久保政府参考人 委員御指摘の点は開票区のことだろうと思いますけれども、開票区、これは公職選挙法では、原則として市町村の区域というふうにされてございます。

 その理由は、みだりに開票区を増設するということは、秘密投票の趣旨からいって好ましいことではないといったようなこと、あるいは開票事務の公正とか、開票事務の能率的な処理に支障を来すおそれも出てくるといったようなことを考慮して、原則として市町村の区域というふうに定められております。

 ただ、衆議院の小選挙区選出議員の選挙あるいは都道府県議会議員の選挙におきまして、市町村が二以上の選挙区に分かれている場合とか、あるいは市町村議会議員の選挙において選挙区が設けられているといったような場合には、市町村の区域を分けて数開票区を設けるものとされております。

 また、都道府県の選挙管理委員会は、特別の事情があると認めるときに限り、市町村の区域を分けて数開票区を設け、または数町村の区域を合わせて一開票区を設けることができると定められております。

 御指摘にございますような、市町村合併によって市町村の区域が広大となり、投票箱を一カ所に取りまとめることが困難な場合でありますとか、有権者の数が多く、そのため開票事務に長時間を要するといったような場合など、特別な事情に該当すると都道府県の選挙管理委員会が判断する場合には、現行の制度におきましても複数の開票区を設けるといったことが可能であるというふうに考えております。

篠原分科員 わかりました。法律にはそう書いてあるんだろうと思いますね。

 長野市の例でいいますと、地図のところを見ていただくと、左側の山の方は遅いんですよ。これは平らみたいですけれども、山の中で、車で投票箱を運んでくるのも時間がかかるわけです。こういうところは、例えば簡単なことで、八時までちゃんとあけておく、置いておく、そのかわり、ちょっとおくれてもいいから、この人たちのところだけで開票するというふうにすればいいんだろうと思います。それを一カ所でやらなくちゃ、一カ所でやらなくちゃというのでやっているから、閉鎖時間を早めたりとかする。もっと柔軟にというのを総務省の方できちんと指導していただけたらと思う。

 それで、これをやっていたら、私は非常におもしろいことに気がついたんですけれども、今の、たった八%の人口のところに六十三投票所、これは非常に、投票機会については過疎地を超優遇しているんです。こんなに美しい制度というのは初めて見ました。過疎地を優遇している。人口の九二%に五十六投票所しかない。八%で六十三カ所。

 それから、地区別公営掲示場の配置数というのを見ていただければわかるんですが、私の選挙区ですけれども、栄村という陸の孤島、今度雪が四メートルも降って大変だったところですけれども、一掲示場当たりの有権者が四十一人で、長野市は四百八十九人で、十倍に優遇されている。

 僕はこれは美しいなと思う。さすが総務省、過疎地のことを考えている、地方のことを考えている。自分で思いどおりになる制度はきちんとやっておられる。しかし、携帯電話は通じない、テレビは映らない、病院はなくなる、学校は閉鎖される。僕は、投票の機会均等と同じように、ほかの生活水準や何かについても機会均等になるように注意を払っていただけたらありがたいんじゃないかと思う。

 特に、自治省と郵政省が合併しましたから、手始めに自分の省のことでいったら、電波、通信。僕なんか選挙区を回っていて困るんですよ。秘書が、済みません、ただいま現在地不明です、携帯が通じませんと。どこへ行っているのかわからなくなっちゃって困っているわけです。これはよくないので、こういうのをぜひ手厚くしていただかなくちゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 いろいろな呼び方がありますけれども、ユニバーサルサービスと呼ぶ場合もあるでしょうし、シビルミニマムという呼び方もあると思います。そういう本当に必要不可欠なものについて、それをきちっと整備するのはまさに国の役割だと思います。

 ユニバーサルサービスといって、やはり郵便のことをすぐ思い出しますが、まさにそうなっているわけですね。これは郵政民営化法案のときもさんざん御議論いただきましたが、過疎地にある郵便局のネットワークは維持するんだということを民営化法案の中でもきちっと位置づけて、そのユニバーサルサービスを確保している。

 シビルミニマム、ユニバーサルサービスという観点からしますと、まさに選挙というのはその根幹でありますので、そういう選挙について、投票について、しっかりとユニバーサルに全国一律で、同一条件でできるようにということを、これは選挙管理委員会の組織を通じてしっかりとやっているわけでございます。そこは社会全体のコストとの関係で、できるだけそういうシビルミニマムを満たしていこうということ、これは時代の流れとともになっていくんだと私は思います。

 実は、新しいIT戦略で、二〇一〇年までにブロードバンド・ゼロ地域を解消するということ、これは国家の目標として掲げました。これは実は、世界に先駆けて、大変大きな成果になるということを期待しております。どれもこれもということは、なかなかいきません。しかし、そういうことを実現するために過疎地域自立促進特別措置法があり、過疎対策事業債の制度があり、そして郵便局の設置基準があり、そういうことについて、我々としてはしっかりと目配りをしながら、必要なものを満たしていきたいというふうに考えております。

篠原分科員 ですから、総務省が率先垂範でこんなにやっていると言えば、文部科学省も厚生労働省も追随していくんだろう。この選挙制度の美しい優遇を、ほかの分野にもぜひ当てはめていっていただきたいと思います。

 それで、次の表を見ていただきたいんです。

 これは、長野市選挙管理委員会と長野県選挙管理委員会とを見たときに、長野市における投票率の推移、これは意味はおわかりだろうと思う。長野市より北に豊野町というのがあるんです。これを線引きしたときに、平成五年の七月の選挙と平成八年の選挙を見てください。豊野町は八〇・三六%から五九・一一%に、何と二一%もダウンしているわけです。長野一区の方は五%か六%。戸隠村は一九%。

 次に、最近のを見てください。右側、長野市は、小泉劇場か何か知りませんけれども、非常に投票率が上がりました。六〇・四一%から六九・一九と九ポイントも上がっている。ほかのところの一区は全部上がっているのに、旧の豊野町、戸隠村、鬼無里村は、長野市に合併して、この人たちは一区に戻れると思っていたんです。ところが戻れなかったもので、がっくりして一%しかふえていない。

 これを見ていただきたいんですが、機会均等ということは、有権者の皆さんはいろいろ考えておられるんですよ。例えば、この竹中平蔵という政治家は私が育てた、それが突然どこかの国に行ってしまった、投票できない、だれがそんなところへ行って投票できるか、こういう人たちがいっぱいいるわけです。そして待ちに待って、今度投票できると思ったら、またできない、早く何とかしてくれという声が強いわけです。

 ぜひこのことを、全国各地からこういう声が寄せられているんじゃないかと思いますけれども、この数字を見ていただいたら選挙民の気持ちがひしひしと伝わってくるんじゃないかと思います。この点、ぜひ早く改善していただきたいんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今御紹介いただいた長野の選挙区の区割りの個別事情は、ちょっと詳細には存じ上げませんが、基本的には、区割りの見直しというのはきちっと行っていかなければいけないものであるというふうに思います。そして、その際、地域の実情をきちっと踏まえなければいけないというふうに思っています。

 今、衆議院議員の選挙区画定審議会設置法の第四条一項におきまして、十年ごとの大規模な国勢調査でやるというふうになっているわけでございます。これは要するに、区割り審、審議会で御議論いただいて、我々はその決定を尊重すべき立場にあります。個別の事情があると認められるときは、その十年ごとの大きな国勢調査ではなくて、簡易な調査についてもそれを議論することができるわけですけれども、今回はそれが見送られまして、次の大規模な国勢調査にゆだねられております。

 我々としては、その審議会の議論をしっかりと尊重して対応してまいりたい。審議会におかれては、今委員御指摘のような点も踏まえて、しっかりとした御議論をいただきたいと思っております。

篠原分科員 質疑時間がもう来てしまいましたので、ちょっと短くさせていただいて、要望だけさせていただきます。

 今の選挙の例ですけれども、非常にそこの地域を大事にしているわけですね、特に田舎に行くと。グローバライゼーションというのを竹中大臣はお好きでしょうけれども、ローカライゼーションとか、地域にこだわって生きている人たちがいっぱいいるわけでして、そこが今、がたがたになってきている。さっきとちょっと矛盾するので、政治家の皆さんも、落下傘で行って、ばあっと来る人たちが平然と国会議員になっている。僕は、余り好ましい方向じゃないんだと思うんです。地域社会のたがが緩む方向に行っているのが日本社会の乱れの原因だと思います。

 今、格差が生じている地方の方に手厚い行政をしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松本主査 午前中に引き続き文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡分科員 長崎の冨岡勉でございます。

 きょうは、少し遅くなっておりますけれども、馳文部科学副大臣初め各担当、省庁にまたがりますけれども、質問をさせていただきます。よろしく御答弁をお願い申し上げます。

 きょうは、主に二点についてお尋ねしたいと思います。一つは死因究明制度につきまして、またもう一つは、二十一世紀COEプログラムについてでございます。お手元に、この二点についての参考資料を添付いたしておりますので、それを見ながら質問をやっていきたいと思います。

 まず、第一点目の死因究明制度についてお尋ねを申し上げます。

 よく行き倒れや身元不明死体があるわけなんですけれども、その死体は、年間約十三万例、変死体という言葉でくくれば十三万体ぐらいございます。しかしながら、この変死体につきまして、我が国において法医解剖、そこの参考資料でちょっと説明しておりますけれども、まず、解剖には、病理解剖や系統解剖、それから法医解剖がございますけれども、この法医解剖に当たる司法解剖が、全体に十三万体ある変死体の中で約五千体、この五千体が多い数字か少ない数字かというのは、今から申すのですけれども、全体の約三・八%にすぎない現状でございます。

 また、この法医解剖を行う法医の先生は、全国に約百五十人しかいません。百五十人の方で五千体ほどさばいておられるんですけれども、ちなみに、解剖をできる人は、病理解剖、それから系統解剖の先生を含めて七千七百三十三名登録、現在おられます。ただ、その中で法医解剖ができる方は百五十名ということでございます。

 人数の国際比較になるんですけれども、この法医解剖というのが、なかなか制度が各国で一致していないわけなので、アメリカのメディカルエグザミナー制度あるいはイギリスのコロナー制度というのがありますけれども、制度が若干違うので、数値自体を比較するのは少し難しい面があります。

 ちなみに、我が国で五千という数字を、例えばフィンランドで当てはめたりイギリスで当てはめると、例えばイギリスの例で当てはめると、イギリスでは全死亡の約二二%で解剖し、異状死はそのうちの六八%、つまり、日本で十三万例あるとすると、全死亡の二二%ですから、二万八千ぐらいですので、二万八千の六八%、一万九千ぐらいの件数で、人口当たりをちょっと比較しなくちゃいけませんけれども、イギリスでは十二万例ぐらいの解剖をされているはずだということになります。それに比較しまして、我が国の人口当たりでいくと、率からいくと、今申しましたように、五千例、三・八%ということでございます。

 まず、この点につきまして、数値を比較するのがなかなか制度的に難しい点はございますが、現況をかんがみて、今私が申し上げました数値からどのようなことを考えられますか。まず、副大臣の御所見を伺いたいと思います。

馳副大臣 数字だけで、平成十七年度で四千九百四十二体が司法解剖されている。数字を見た瞬間に、うわあ、こんなにたくさんと思いましたが、今ほど冨岡委員の御指摘、またイギリスとの比較からしますと、この程度でもよいのかなという印象を受けました。

 基準ということを考えますと、一概には比べることはできないかもしれませんが、まさしく司法解剖が求められている社会的な役割を考えると、それに対応すべき大学病院、医科大の役割というものは当然あるのだろうな、こういう印象を持ちました。

冨岡分科員 まず最初に五千という数字を聞くと、五千で多いなという印象を持つんですが、その頻度、それから各国の比較からすると、とてもこれじゃどうかなというふうになるんですね。

 それで、過去に、どのようなこういう制度の不備というんでしょうか、もし解剖が少し盛んにというんでしょうか、行われていたらという案件を少し拾ってみたわけでございます。

 資料の四ページ目をごらんください。

 トリカブト殺人事件、これは皆さん、記憶に新しくはなくても、忘れていない事件だと思います。この概略は、ある男が、当時三十三歳になった、結婚したばかりの自分の妻になりますけれども、多額の保険金を掛けて殺害を試みたわけでございます。たまたまそれを検視された方が、これは後で読んでいただければ、おもしろい事件でございますので。

 要するに、検視をされたお医者さんが、警察官を含めて、たまたま、植物からとるトリカブトという毒を知っていた。それがために、調べていくと、この犯人は三度、奥さんを心筋梗塞で亡くしている。その死因も、みんな心筋梗塞。この三例目も心筋梗塞ということで処理されそうになったんですが、後で発覚して、慌てて解剖をした。三例目は、どうもおかしいからということで解剖されて、たまたま、その解剖した人が血液と胃の内容物をとっておられたんですね。それで、トリカブトということで足がついた。そして、それもいろいろ手口があるんですけれども、フグの毒とかというのをまぜたり、巧妙な手口を使って逃れる、そういう手口でございました。

 そこで、考えてみると、二例目も保険金が掛かっていたわけなんですね。どういう心理状態だったかわかりませんけれども、二例目で保険金は一千万、三例目は億という金が掛かっていた。そこで、おかしいということに初めて気づくわけなんです。

 そういった場合に、二例目でもし解剖がされていたら、あるいは、最低、不審、変死というんでしょうか、解剖が面倒だからどうしようかな、まあいいや、多分、先生も心筋梗塞と言ってくれているからそんなものだろう、前例は奥さんも心筋梗塞で亡くなっておるけれども、まあいいかというようなことがあったかもしれません。

 ただ、申し上げたいのは、少なくとも、解剖が行われなくてもそれをカバーできる、例えば血清の保存、胃内容物あるいは尿、そういったサンプルが多くの変死体で、全例というわけにはいきませんが、そういう保存がなされていたならば、あるいはそういう制度があればと思うわけなんですが、その点につきましてはいかがお考えでしょうか。

馳副大臣 死体は雄弁に犯罪を物語るという言葉をどこかで聞いたことがあるんですが、今、冨岡委員の御指摘等々から、改めてそうだろうなというふうに思わされました。

 実際に司法解剖がなされる場合というのはあるのでしょうが、そういう体制が十分でない。しかしながら、不審死や変死についての究明をしなければならないという事態はあろうというふうに私は思っております。そうなったときに、尿であるとか血清であるとかそういったものの保存をしておいて、いついかなるときでも警察や検察の要請に応じて対応できる体制というものがあれば、より一層犯罪の抑止力になるでしょうし、当然、被害者家族にとって、なぜこのようなことが起きてこういう結果になったのかということについて、やはり被害者の心情にも十分こたえることができるような体制になるのではないか、このように思います。

冨岡分科員 普通、そういう答弁になるし、みんなそう思うわけでございます。

 もう一つ、切り口をちょっと違って見ると、この参考資料、ちょっと生々しい写真が載っているので、亡くなられた遺体が書いてある、これは何ページになりますかね、「検案で不審点を発見できず、後に放置死として立件された事例」という事件がございます。

 ちょっと見て、まあ、余り見たくないような写真なんですが、この話のポイントは実の母親になります。これは、警察が来て、娘が自分で発見して、お母さんが亡くなっているというふうに警察に言って、何でかなと。死体を見ると、こういうあざがたくさんあるんですね。あざは陳旧化したものもあるし、いろいろ多彩な像でございます。ただ、これは、母は少しぼけて、階段からよく転んでいたんですよというようなことで逃れようとしたわけなんですが、それを警察あるいは検視のお医者さんが、そうかと。これも、こういう案件でくくっちゃったというんでしょうかね。

 この際に、医療では一応、解剖はできなくても、レントゲンを撮ったり、CT検査あるいはエコー検査といって、体表面から、メスを入れることなくいろいろな検査ができる手段がございます。したがって、そういう手段を、これは生きていれば簡単に保険で通って、脳出血で亡くなったんだとか、転がり落ちて、脳出血で頭の中がぐちゃぐちゃだったとか、それがわかるわけなんですが、この例はそのままになってしまった。

 そして、後日、この娘が保険金詐欺をたくらみます。そして放火をして御用になるわけですが、よくよく話を聞いてみると、母親を、家庭内暴力というんでしょうか、要するに暴力で殺したような格好になっている、それが判明したわけでございます。

 何が申し上げたいかというと、こういった案件を、今の現行制度ではそういった、オートプシーイメージングといいます、オートプシーというのは死体解剖という意味なんですが、それを、亡くなった遺体を国民健康保険でカバーするわけにはいかぬわけで、なかなかそこの部分がやりにくい面があるんですけれども、亡くなった状態ですぐぽっと連れていけば、そういうふうにまだ死亡確定しないという状態で検査をすることができますが、明らかに、死斑というんですか、死んだ後にできるような反応が出ていた場合には、どうしても死体として処理しなくてはいけない状態になるわけで、こういった画像診断や血液の検査、そういう検査は保険ではもちろん取り扱いません。

 この点、私自身、非常に問題じゃないか、何とかしなくちゃいけないなというふうに思いますけれども、もう一度馳副大臣の、こういった画像診断を含めた、解剖をしなくても、つまり、それに近似するような結果やあるいは情報が得られる手段を駆使するためには、どのような対策あるいはどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

馳副大臣 私も、昨年、高齢者虐待防止及び支援法の立案に当たりましたときに、当然、関係する医療福祉関係者、警察関係者等が十分な、虐待が行われた場合の対応という中で、発見し得る者はそれについてのやはり理解を深めなければならない、こういう項目を立てたところでありまして、そのことを今実は思い出しておりました。

 つまり、恐らくこれは、検視に当たったお医者さんの真っさらな認識の中で、供述はあろうとも、まさしく死体の状況に応じて、ではこれは、供述はそうかもしれないが、いわゆる先ほど先生が申されたように、レントゲンを撮ったり、CT、エコーをかけたりという必要性があるならばそちらに回すという仕組みがあれば、供述と照らし合わせて犯罪性を見抜くことができるのではないか。保険の話をされましたけれども、保険がかからないものを、お金がかかることを死んでしまったんだからしなくてもいいんじゃないかなという認識があるとすれば、それはとんでもないことだと思います。

 そういうことから考えると、今後のこういう変死体、不審死に対する検視のあり方について、ちょっと検討する必要があるということを私は思いました。

冨岡分科員 ありがとうございます。前向きな御回答というふうに感じます。

 そういうことなんですけれども、死体検視、検案ということに関してはいろいろな問題点が指摘できるんじゃないかと思います。制度上の問題、今申しましたように人的な問題、いずれも予算を伴うものでございます。

 ただ、やはりここで話を整理して物を考えないと、急にはできないということは私も十分承知しております。つまり、短期的に物を解決できる点、あるいは中長期的に解決しなくてはいけない点に話を分けて物を考えるべきだと思います。今お尋ねしていましたのは、割合短期的にできる面、予算づけというのが必要ではありますけれども、やろうと思えば来年にも、すぐにもできる話でございます。

 ただ、スタッフの養成、今申しましたように、幾ら予算づけして、今まで五千体しか解剖できなかったものを、ある法医の先生に言わせれば、一万ぐらい解剖させてくれたらこんな事件というんですか、見過ごすと言ったらしかられますけれども、要は、不都合というんでしょうか、そういうのはかなり改善するぞ、そういう御意見もございました。しかしながら、五千例を一万例にたとえ解剖しようとして予算づけしても、スタッフがいません。

 これは、解剖というのはいろいろ、臓器をとって、それを切り出して、ホルマリンにつけて、ミクロというので顕微鏡で調べたり、あるいはヒストケミーといって免疫組織学的な検索をしないとわからない。あるいは、毒物の検出に対しても血清が二十cc以上要りますから、なかなか、ディープフリーザーで非常に低温で保存しておかないと腐ってしまう、いろいろな問題がございます。

 ただ、そういう問題をおきましても、スタッフがいないとどうにもならないわけなので、だから、この点に関しまして文部科学省として、百五十人体制が果たして適当かどうか、あるいは先ほど御回答ありましたけれども、長期的にはどのようにこういうスタッフの充実をお考えなのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

石川政府参考人 司法解剖に当たるスタッフの充実についてのお尋ねでございます。

 大学の法医学関係者からは、通常の教育研究に加えて鑑定業務を嘱託されるといった場合には、最近の司法解剖数、先ほど五千件というふうなお話がございました。こういったことの増加ですとか後継者の減少等に伴って大変厳しい勤務実態であるという話を私どもも聞いておるところでございます。

 現状の状況であれば、辛うじてといいますか、何とか対応できているという状況であるということでございますけれども、先ほど来お話がありますように、今後、なお綿密にそういった司法解剖に取り組むというようなことでありますと、スタッフの充実ということがどうしても必要になろうか、こんなふうに考えております。

 先生御案内と思いますが、大学の医学教育におきましては、医学生が卒業までに最低限履修すべき学習内容を定めました医学教育モデル・コア・カリキュラムの中で、法医学関係の内容が目標として設置をされておりまして、各大学におきましても、このモデル・コア・カリキュラムを踏まえた教育の改善充実に取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、法医学の分野の重要性を踏まえまして、多くの学生にその重要性を理解し、興味、関心を持ってもらえますように、そして各大学医学部における法医学分野の教育研究の充実が図られるということが大切であると考えておりまして、例えば、今私どもの方で医学教育改善のための調査研究協力者会議を立ち上げておりますけれども、ここでモデル・コア・カリキュラムの改定なども議論しております。こういった法医学の重要性を今後ともしっかり頭に置いて、各大学の取り組みといったものを促してまいりたい、このように考えております。

冨岡分科員 ありがとうございます。

 本当に、解剖ということですべてが解決できるわけではないんですけれども、犯罪を見つける、見過ごさない、見逃さない。ただ、解剖にも地域差が相当あります。トップの解剖率は、都道府県別で言うと、神奈川県が一番ですね。二九%ぐらいあります。ただし、鹿児島では一・九八、二%に行かない。格差がよく問題になりますけれども、何と十五倍の解剖率の差がございます。文部科学省がこういった予算をつけているトータルが、十八年度になりますが、八億九千二百万円でございます。それでも相当ふやしていただいております。

 ただ、先ほど申しましたように、都道府県別の解剖率の差が犯罪者をどうも喜ばせているような、犯罪自体も週刊誌なんかによると、死体を捨てるのは千葉にしろとか鹿児島にしろとか、トリカブト事件が起こった沖縄は、ちなみに第五位ですね、二〇%ぐらいの解剖率。犯罪を起こす場所は、犯人が間違ったんじゃないか、鹿児島の方をねらったんじゃないか、それほど勘ぐるぐらいの差がございます。

 したがって、我々は、法治国家として、犯罪は一例でも見過ごしたらいけないんだぞ、そういう強い姿勢をやはり示すべき必要があるのではないか。ぜひこの点を勘案されまして、前向きなお取り組みをお願い申し上げまして、第一点目の質問とさせていただきます。

 ちょっと時間が押してきましたけれども、第二点目の質問を行いたいと思います。

 二十一世紀COEプログラムについて、聞きなれない分野では、文科省以外の方にはなかなか、センター・オブ・エクセレンス、要するに、大学がたくさんある中で国内で突出した大学をまずつくろう、これはそういう趣旨だと私は思います。

 今、航空産業が二社、寡占体制に入っていくし、原子力発電、いろいろな産業の分野で、世界で一番、二番、三番手ぐらいまでしかどうも生き残れないのじゃないかという非常な競争の世界が始まっております。そういった意味で、この文部科学領域も例外ではないと思う。そういった趣旨でこのセンター・オブ・エクセレンスというのが試行されて、平成十四年から行われたというふうに聞いております。十四年が百十三件、十五年が百三十三件、十六年が二十八件、トータル二百七十四件、案件でございますから、いろいろな大学が、二つとれたり五つとれたりしたことでございます。

 その中間発表が昨年でしたか、行われましたけれども、最終年度になってきたわけでございますが、このプログラムの全体の評価という点について、まず総論的にお答え願いたいと思います。

石川政府参考人 二十一世紀COEプログラムについてのお尋ねでございます。

 このプログラムは、ただいま先生からもお話がございましたように、国公私立大学を通じて世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進するということを目的としております。

 平成十四年度から開始をしておりますので、支援期間が五年ということで、十四年度に採択された拠点への支援は本年度で終了ということでございますが、昨年十二月に、すべての大学長を対象とした本事業のアンケート調査を私どもの方で行いました。そして、本年三月には、専門家、有識者等から成る二十一世紀COEプログラム委員会、これが拠点リーダーあるいは審査員に対してアンケート調査を行っております。

 これらの調査の結果、本事業によりまして、学長を中心とした全学的観点からの大学づくりなど、大学改革が非常に推進をしている、そして、すぐれた研究者養成機能が活性化をされている、また、独創的、先端的研究の水準が向上している、こういったことが明らかとなっておりまして、文部科学省といたしましても、本事業は各大学の国際競争力の強化に大きく貢献しているもの、このように評価しているところでございます。

冨岡分科員 私もその考えで結構だというか、同じような考えでございます。

 ただ、先般の新聞報道で、このプログラムを、拠点を半数ぐらいに減少させるというような報道がなされておりますし、それに伴って、本来の一校というか、一プロジェクト当たりの金額を倍加させるというような報道がなされました。その点につきましては、その真意というんでしょうか、それでよろしいんでしょうか。

石川政府参考人 先ほども御紹介いたしましたように、平成十四年度からの事業が五年間で一区切りつくということで、二十一世紀COEプログラムにつきましては、その成果を踏まえまして、その後継事業につきまして、現在、中央教育審議会等の意見も伺いながら検討を行っているところでございます。

 具体的には、現行の事業の基本的な考え方を継承しつつ、ただいま先生からもお話がございましたように、本事業の目的が世界水準の教育研究拠点の形成である、こういった点を踏まえまして、支援の一層の重点化を図る、そしてまた、国際的にも広く認知され、高い評価を受けるということができる拠点を形成するということでございますので、外国人研究者を審査委員に加える、審査、評価の国際化を図る、そしてまた、国際的な場でリーダーシップをとれる研究者の育成機能の強化を図るという観点から、大学院学生等、若手研究者の教育環境の整備などの点についてもさらに強化充実を図っていきたい、このように考えているところでございます。

 今後、各方面の皆様方の御意見も伺いながら、さらにこのアイデアを詰めてまいりたい、このように考えております。

冨岡分科員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりで、これは国内の拠点であるということじゃないんですね。海外に対抗し得る国内拠点、いわゆるインターナショナルなエリア、そういう意味では、海外拠点との連携をとるような大学とか研究所をやはり中心的に選んでいくべきじゃないかというふうに私自身は思います。

 例えば、新興・再興感染症とか、東大とか大阪大学、東京大学が北京、大阪大学がバンコク、長崎がハノイとか、そういった連携をとりながら、やはり国内だけの拠点だけじゃなくて海外を意識したような、海外の諸外国に対してアピールするような、そういうインターナショナルなセンター・オブ・エクセレンスという観点からこのプロジェクトをお進め願いたいということを申し添えて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて冨岡勉君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、去る三月一日に行われました予算委員会分科会での私の質疑に対して、大臣、副大臣初め文部科学省当局の皆さんにお答えをいただきましたことのフォローアップを一つ、それに関連して、同じく文部科学省関連でも、私として大変気になる雇用条件にあるんじゃないかと思われる非常勤教員の問題、さらには、大学の今後の耐震化を含めた構造の問題等についての質問をさせていただきたいと思います。

 まずは三月一日のおさらいをしておきたいと思いますが、大学病院における大学院生、研究生の診療の実態、そしてまた大学病院における静脈注射の実施の状況、こういったことについてそれぞれ調査をされると前回お約束をいただいて、四月二十五日にその御報告をいただいたところであります。

 もう先般の委員会でも指摘をさせていただいているとおり、厚生労働省医政局長の名により、各都道府県知事あてに、平成十四年九月三十日に、看護師等による静脈注射の実施が、保健師助産師看護師法第五条に規定する診療の補助行為の範疇として取り扱えるんだ、こういうような通達が出る中で、大学病院においては一向に、今でも静脈注射が医師によって行われ、そしてまた大学院生が実際に勤務に従事をする、そういう環境が続いているということを指摘させていただき、その改善を求めてまいったわけでございます。

 まず、そういった中で、一点目の大学病院における、静脈注射のみならずですけれども、さまざまな医療関連の行為、また処置、準備等を医師が行っている状況、調査等で大分把握できてきたんだと思います。

 そういった中で、今回の調査結果、例えば留置針におけるルート確保は、原則医師が実施しているのが国立大学病院八二・二%、公立だと八八・九%、私立は九三%が医師が実際に点滴の針を刺すことをやっているんです。普通の病院に行けば、考えていただければわかるように、看護師さんが注射の針を刺すことはよくあることでありまして、看護師が原則実施しているのは、私立大学に限っては〇・八%という極めて少ない数字であるわけであります。

 こういう結果をもとにして考えると、大学病院の裁量の範囲だというにしても、余りにも医師にその負担が来ているのではないか。もっと言えば、大学病院の医師は無給の医師も多い。看護師の給与よりも安い賃金で働いている、もしくは賃金のない医師もたくさんいる中で、こういう業務、特に危険を伴う業務を行わせているのは問題ではないかという指摘をしたわけです。

 今後、この大学病院における静脈注射の実施、どのように取り組んでいかれるのか。改善をしていかれるのか、もしくは現状のままでいいと思われているか。まず、その点についてお答えをいただきたいと思います。

馳副大臣 今回の調査は、委員の御指摘を踏まえまして、一つ、大学病院における静脈注射の実施状況、一つ、大学病院において診療に従事する大学院生等の状況、一つ、大学院生等の保険加入状況について国公私立大学病院を対象に調査を行ったものであります。

 調査結果は平成十八年四月に取りまとめ、これまで、国立大学医学部長会議や、国公私立大学の医学部長及び病院長で組織する全国医学部長病院長会議定例総会など、医学部や大学病院関係者が出席する会議等において周知し、適切な対応を要請してきたところでございます。

 これらの会議においては、静脈注射については、大学院生等を含む医師がその業務を担っていることが多いが、だれが静脈注射を実施するかは、大学院生等の負担などの観点も含め、大学病院の診療体制や業務の実態等に応じて適切に判断されるものであること。雇用関係がなく診療に従事する大学院生等が相当数いることから、大学院生等の診療の目的や診療行為の実態を勘案し、その実態によっては雇用契約による対応も検討する必要があること。診療に従事する大学院生等に対する安全管理、確保が必ずしも十分ではない実態が見受けられることから、大学院生等が保険に加入していないような場合には何らかの保険に加入させるなどの適切な対応を行う必要があることなどについて説明をし、要請をしているところであります。

 文部科学省としては、今後とも、各大学において適切な対応がなされるように促してまいりたいと考えております。

岡本(充)分科員 副大臣、前回は私の目を見てお答えいただけたんですが、きょうはペーパーで大変残念でありますが、冷静に考えていただいて、やはり診療行為の中でも特に危険を伴う行為を、雇用関係のない、しかも学生にやらせているということはどう考えてもおかしいというのは、だれが考えてもそう思うはずです。副大臣も心の中ではそう思ってみえるはず。それを適切にという言葉で、場合によっては、対処をとらなくても、これで適切なんだと言われればそれで終わりという対応では不十分だと私は思う。副大臣の言葉でお答えをいただきたい。

馳副大臣 まず、実態を、委員の求めに応じてどういう対応をとったかということを遺漏のないように申し上げたんですが、やはり最近、医療過誤という問題、医療事故という問題が社会的な問題になってきて、報道にもよくありますけれども、産婦人科医にはなり手が少なくなってきたなどとも言われております。

 それを考えると、大学病院において、院生が適切に教授の指導に従って医療の業務にかかわることが求められていると私は思いますし、そういう体制にしてあげないと、安心して院生も学ぶことはできないし、研修を積んでいくこともできないし、研究をすることもできないと思います。もちろん、医療行為にかかわる頻度の問題もあると思いますから、その実態についてはやはり適切にと文部科学省としては言わざるを得ないんですが、一件でもそういう事故があってはいけないわけですから、何かあったときに安心して、安心という言葉はあれですけれども、医学生に負担を負わせないような、そういう体制を大学病院の病院長が率先して取り組んでいく必要があるというふうに私は考えております。

岡本(充)分科員 ちょっとここで観点を変えまして、きょうは医政局長にもお越しいただいておりますが、そもそもどういった医療行為、侵襲を伴う医療行為の中で、保健師助産師看護師法第五条の規定する診療補助行為の範疇、どういう医療行為をその範疇に入れているのか、解釈が非常にあいまいだと思うんですね。

 そういった中で、厚生労働省として、ここまでは看護師がやってもいいのではないか、ここは医師が原則やらなければいけないんだ、こういう線引きはどのように決めておられるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。

松谷政府参考人 一般に看護師が行うことができる診療の補助の範疇を超える行為といいますものは、身体への影響が大きく、高度な医学的知識や技能を有する医師がみずから行うのでなければ危険な行為などのことをいいます。絶対的な医行為というふうによく言われております。

 ただし、どういう行為がそうなのかといいますと、これは、患者さんの状態というのは千差万別でございまして、同じ行為であっても、それに伴う危険性は個々の患者によって変わり得るものでございます。また、同じ患者さんであっても、時によって、その時々の状態によって危険性が変わり得るということでございまして、具体的にどのような行為が診療の補助に含まれるかということは個別具体的な状況に即して判断すべきものであるということで、あらかじめこの行為はこう、この行為はこうということを作成してこれをお示しすることはなかなか難しいのではないかと考えております。

 もちろん、明らかなものはございます。例えば、手術をするというようなこと、これはもう絶対的な医行為で、診療の補助には当たらない、これは医師でなければならない。それから、静脈から採血をするというようなこと、これはかねてから診療の補助行為となってございます。

 今話題となってございます静脈注射については、昭和二十六年当時の解釈で、これは看護師が行う補助行為ではないということになっていたわけでございますけれども、これも、時代の変遷、医療の状況等の進歩、あるいは材料の進歩、看護教育水準の向上といったようなことを踏まえまして、平成十四年に変えたところでございます。

岡本(充)分科員 副大臣、お聞きいただいたとおり、いろいろな医療がある中で、線引きは難しいと言っていても、明らかに絶対的医行為だ、手術、どんな状況の人であれ、看護師さんがするのは、やはりそれは範疇を超えている、こういう話を今言われた。その一方で、静脈採血は看護師さんに行っていただける補助行為だと明確に今医政局長は答えていただいた。その中の一つにこの静脈注射も入っている、こう言っている。

 であれば、当然、文部科学省所管の大学病院においても、静脈注射を看護師さんが行うのが妥当であろうと考えるのは必然であります。そういう意味で、適宜適切な判断ではなくて、きちっとその職能に応じた仕事をしていただくという意味合いにおいても、医師の負担を軽減するという意味においても、より高度な医療を進められるという意味においても、看護師さんの補助を求めるということは何らちゅうちょする必要はないと私は思います。

 そういった私の話を聞いていただいた上で、もう一度自分のお考えを御答弁いただきたい。

馳副大臣 もちはもち屋ですから、やはり職能に応じた対応をするのが自然な話なんだろうなと。医政局長の話を伺っておっても、なぜ、看護師さんが静脈注射をするということについて、大学病院の現場において十分な体制になっていないのか。岡本委員はこれまで現場におられましたので、そこに「白い巨塔」のように何かあるのかというふうな、私はむしろ勘ぐってしまうんですね。

 そういうことから考えると、基本的に言えば、看護師さんができることであるならば、やっていただければ医師の負担も軽くなりますし、教育研究を同時にする場所でもありますから、そういう体制を整えてあげる方が自然ではないかな、こういうふうに思います。

岡本(充)分科員 明確な御答弁、ありがとうございました。

 それでは、大学院生に診療をさせることがそもそも適切なのかどうかということで、きょうは厚生労働省の労働関係についての解釈もまた伺いながら話を進めていきたいと思います。

 そもそも、教官と学生、特に大学院生の場合は指導教官が明確であります。その指導教官と学生という関係の中で、その指導教官が大学病院に行けば診療科の部長、科長としているわけで、この者が、自分の直接指導をする立場の者に自分の仕事の補助を無償でさせる。それも、診療従事許可願ですか、そういう名前の許可願を出させる。大体、それを自発的に書いているかということ自体が、そもそも大変怪しいと私は思っているんですね。

 主と従、教官と学生という関係にあって、しかも自分の学位の権限を握っている教官が、片一方で行っている自分の仕事、それで金銭を得る労働、その補助を無償で、補助ないしは、場合によっては主でやっていることかもしれない、これを学生にやらせることは、そもそも労働基準法の中の強制労働という構成要件に合致するのではないかという疑いすらあるのではないかと私は思うわけなんですが、ここはちょっと厚生労働省の方に見解を伺いたいと思いますが、私の見解をどのように解されるでしょうか。

松井政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の点につきましては、まず、労働関係ということでありますので、大学院生とか研究生が、主従じゃなくて、労働契約関係にあるという場合ということでお聞きいただきたいと思います。

 その上で、強制労働に当たるか否かというのは、実は個別に研究生や大学院生の実情を十分見た上でないとなかなか判断できないということを申し上げざるを得ないということであります。

 これはなぜかと申しますと、答えられないという意味じゃなくて、非常にケース・バイ・ケースで、判断が分かれるということを御了解いただきたいと思うんですね。

 少し時間をいただければ、判例などでどういう扱いになっているかということを聞いていただければわかると思うんですけれども、雇用契約がある中で、一度労働者の方が職場を逃げた、帰ってきた。そして使用者は、君は、黙って出ていかれたのでは世間体も悪い、行くなら行くと断って行け、こういったことで、使用者の意思に従わないことをされるといかなることもやるかもわかりませんよということで、畏怖をさせた。そうしますと、これが精神的圧迫であって、強制労働に当たる、こういった判例が一つございます。

 一方、これと似たようなものなんですけれども、労働者の方がミシンの見習い工として雇われておった。そこで、その労働者の希望に反して家事労働、雑務をやらせた。これは全然違う職種なんですね。ところが、これをしっかりやらないので労働者は叱責されて、解雇されるかもわからぬということで、不本意ながら仕方なしに家事労働に従事していた。これについては、労働者がどうしても家事労働をやりたくなければその工場もやめることもできたし、やめてもその労働者の家族とか生活に差し迫った苦痛がなかったんだから、精神、身体の自由を不当に拘束したとは言えない、この場合は強制労働ではない、こう言っているんです。

 そういう意味で、使用者側の働きかけと労働者側の事情というものを総合勘案するということが要る、その辺のことは申せますけれども、個別具体的に直ちにここでというのはなかなか申せないということで御了解いただきたいと思います。

岡本(充)分科員 そうなんですよ。はっきり言えないような状況なんですよ。

 今、労働契約がある前提で話をされた。そうじゃない、教官と学生ですからね。学位の認定の権限を持っている、これが一つ。全然労働契約があるわけじゃない。それと労働は全く違うんです。さっき言われた、ミシン工と家事をやりなさい。皆さんの中にも、秘書さんでいろいろな仕事をやっていただいている方がみえると思います。秘書さんだと思って来たら車の掃除だった、これは強制労働なのか、こういう話になってくるのと一緒で、ある労働契約を結んでいる中で、さまざまな職種があることが想定されているという範囲内であればいい。全然違うんです、学生と労働ですから。そういう意味で、答えられないような範疇にあるということです。

 私は、別にやらせるなと言っているわけじゃない。ただ、昨年の九月ですか、中教審も答申を出している。学会認定資格の取得のための講習や研修と、院における教育とは、本来、趣旨、目的を異にするが、資格取得のための本人の負担等を考慮すると、院の教育課程の中にも当該資格取得に必要な教育内容を取り込む工夫も適当と考えられる、こう言っていて、結局、カリキュラムがあって、その学生にとって本当に医療技術の向上ないしはその学生にとってためになるようなカリキュラムを組んでやっているなら別ですけれども、そうではなくて、単に労働として医療行為をさせているということが一つ問題なんじゃないかという観点で私はお話をしていて、何も全くさせるなと言っているわけではないということは御理解をいただきたい。

 ただ、何もそういうカリキュラムもない中で、この仕事をやりなさいと言われるのは、まさに仕事であって、教育とは離れてしまう。そういう観点で考えたら、であれば、カリキュラムをきちっと組んでやるべきだ、こういうふうに私はお話をしているわけです。この点について、もし率直な御意見があればお答えをいただきたい。

馳副大臣 これはやはり、基本的には教授と学生の信頼関係があると思いますけれども、最初に、年間を通じてこういうこともカリキュラムの中で起こり得ると、よく四月にはガイダンスというのがありますよね、そんな中で、起こり得る可能性としてそういった労働行為に匹敵するようなこともあると示した上で、また、雇用契約を結んで、その病院と契約を結んで、保険にも入っていただいて、医療行為にも従事していただくという合意がある上でなされているのならまだしも、雑用なのか、学生にとってはでっち奉公のようなことなのか、そういうことを次から次へとさせられるような現場であったり、教授の態度であれば、私は非常に大きな問題になると思いますし、これは教授自身の人間性の問題にかかわってくることでもあろうというふうに思います。

 そんな中で、あいまいな形で医療行為に従事させられているような実態があるならば、原則として雇用契約を結ぶ方向とか、また、雇用契約を結ぶ場合には必ず保険に入らせるとか、そういうふうな姿勢を持って臨むのが教育現場の、まさしく師匠と弟子ですか、教授と学生のやはり望ましい関係であろうな、こういうふうに私は思います。

岡本(充)分科員 今まさにその改善に向けての道半ばだと私は聞いています。大いに期待をしていますし、皆様方のきちっとした結論を出していただきたいと思っています。

 最後にもう一つ、この関連について指摘をさせていただくと、科学技術政策研究所などが二〇〇五年三月に報告をした、主要ジャーナルにおける日本のシェアの推移というのが出ました。

 この中で指摘をされている、日本の研究者による論文、ネイチャー、サイエンス、セルといった科学系の論文、基礎系を含む論文の数は年々ふえてきています。そのパーセンテージは五%台から七、八%に迫るようなものまである。片やその一方で、ランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンといったような臨床的な側面を持つ研究成果は、残念ながらその論文の発表数、シェアはふえてきていない。

 これをどうとらえるかというと、先ほどお話をさせていただいたことともリンクするんですが、結局、大学における基礎研究をやるのか、臨床研究をやるのか、それとも診療手技を学ぶのか、どういうような目的で大学院を構成していくのか、その研究者、大学院生がどういうふうな将来ビジョンを持つのかということがきちっとできていない。さっき副大臣が言われたあやふやという言葉がまさに当てはまるんですが、そういう医学系の大学院のあり方ということも今後ともまたちょっと皆さんにぜひ検討をしていただきたいというふうに思っています。

 さて、ここで話をがらっと変えまして、同じように労働関係の話ですが、公立高等学校の先生で非常勤の先生というのがかなり多数みえることが、お示しいただいたデータでわかりました。

 この高等学校の先生、人によっては正規の教諭のいわゆる受け持ちの時間数よりも、実態として、より多くの時間教えているということがあるようです。

 そういった中で、残念ながら、彼らは、例えば週二十こまというこま数を持っていたとする。週二十こまということは、一日当たり四時間です。一時間目、三時間目、五時間目、六時間目と持っていたら、二時間目と四時間目は空き時間だからあなたには給料を払いませんといっても、これは実質的に一時間目から六時間目まで拘束をされているわけですね。

 ところが、解釈によると、規定の時間数に足りないから、例えば健康保険それから年金といった社会保険が付与されないという話を聞いております。厚生年金それからそれぞれの健康保険、国民健康保険ではない健康保険ですね、付与されないというふうに聞いておりますが、これは、実態から考えると、平均的な教諭の指導時間の四分の三以上教えていれば、同様に本来は社会保険をつけるべきだと私は考えるんですが、この点について、文部科学省の見解を伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 非常勤職員の勤務時間が、常勤の職員の勤務時間、大体四十時間でございますけれども、これのおおむね四分の三、三十時間以上であれば、健康保険及び厚生年金の適用になる。

 それから、常勤職員の勤務時間の四分の三未満の場合は、例えば、週の勤務時間が二十時間といったような場合は、国民健康保険及び国民年金の適用となるということでございます。

岡本(充)分科員 いや、大臣、聞いてくださいよ。週三十時間教えようと思ったらどういうことか、わかりますか。一日六時間で、掛ける五日間で、毎日毎時間教えている人なんかおるわけないんですよ、そんな人は。

 大臣、お答えいただけるそうですから、時間がありませんので、明確な答弁をいただきたい。

小坂国務大臣 基本的には、非常勤の講師の勤務形態というのは高校と非常勤講師の間で取り決められると思いますけれども、その勤務形態が週三十時間あるいは二十時間であっても、いずれも、通常の場合は月給制で契約されることが多いと思うわけでございます。したがって、月給制であれば、その間の時間は、間が飛んでいても、勤務形態によりましても、その枠内で計算をされるということになるわけでしょうけれども、時間数のみをもって常勤の教員と非常勤の教員の待遇を一概に判断することはできないというのは、常勤の場合には、それ以外の、教室以外のいろいろな職務を役職等で担当しているケースもございます、外部のこともございますので。

 そういった意味で、委員の御指摘の意味合いはよくわかるわけでございます。職務内容としての授業のほかに何を行わせ、そのためにどの程度の勤務時間が必要になるかについて、都道府県の権限と責任において適切に判断すべきもの、こう思うわけでして、この実態について、今回の調査も踏まえて、私としてももう少し実態を把握したいと思っております。

岡本(充)分科員 時間がありませんので、その実態が把握できましたら、また教えていただきたいと思います。

 非常勤講師でも、テストの問題作成、採点、成績づけまでやっています。黒板の前で立っている時間だけが働いている時間じゃない、同じなんです。

 したがって、もう一つ言わせていただくと、基本的に月給制でも、教えているこま数で月給が決まってくるという部分もありますから、そういう意味で考えると、決して非常勤講師と常勤講師との間に職務上の性質の差が、そんなに大きな差があるとは思えない。であれば、非常勤の講師を常勤にした方がいいのかどうかも踏まえて、それは都道府県の裁量ということになってきましょうが、少なくとも社会保障はつけるべきじゃないかという指摘をしているわけです。

 最後に、ちょっと我田引水的な話になって恐縮でございますが、私の、今もそれこそ客員研究者という立場で所属し、在籍をしております名古屋大学の耐震工事について、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 先般、新中央診療棟が完成をし、名古屋大学のさまざまな設備についても関係各位に大変お世話になっているところなんですが、そういった中でも、病院と違う医学部の方は、残念ながら耐震工事が十分できていません。特に、基礎研究棟と言われる北部にある建物は、Is値が〇・二七で、大規模地震で倒壊のおそれがあると言われている〇・三をも下回るところです。

 ここにはたくさんの研究者が日夜来ています。大学の中で優先順位を大学が決めるという説明を聞きましたけれども、残念ながら、常時人がいる建物と常時人がいない建物、大学の中にもあります。同じ耐震係数でも、そういう観点もありましょうし、そしてまたこの名古屋は、政府が閣議決定もしているような大規模地震、東海地震、東南海地震、こういった地震の発生のリスクも言われている中で、次の基礎研究棟が三年、四年先にできるから、それまでの間待っていてくださいねなどということではなく、耐震工事を早急にやるべきだと私は考えるわけなんです。

 この耐震工事をするべきだという考え方に対してのお答えと、そして、なおかつ早期に新基礎研究棟をつくることで、国としても、さらに地震対策、また研究環境を整えるという意味でも進めていくべきだと考えるわけなんですが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘ございましたように、名古屋大学医学部施設整備につきましては、これまでも、先ほどお話にもありましたような、いわゆる附属病院の再開発整備、こういったものをまず軸に据えつつ、病棟、中央診療棟、臨床研究棟、こういったものの整備を行ってきています。さらに、総合研究棟の改修工事、こういったものを順次やってきたところであります。

 今御指摘のございました医学部の基礎研究棟、これにつきましては、名古屋大学からは、老朽化が深刻化いたしまして耐震性が低い状況にあることから、新しい施設を整備する、建てかえたい、こういうような計画があるということを聞いておりますし、私どももその必要性について異論があるものではございません。

 それにつきまして、一方、名古屋大学におきましては、今先生も御指摘のありましたような緊急性、即応するということの観点からも、同時に、当該建物についてどのような補強工事が可能か、あるいは、ほかの建物を活用して、それらによる対応も可能か、こういったことも含めて総合的な検討を今進めていると聞いているところでございます。

 私どもといたしましては、現在、第三期の科学技術基本計画を受けた第二次の国立大学等施設緊急整備五カ年計画を進めているところでありまして、この中では、耐震性の劣る施設を中心とした老朽施設の再生、これを最重要課題ととらえているところであります。

 したがいまして、現在の名古屋大学の当該施設につきましては、先ほどのような大学の検討状況を踏まえて、私どもといたしましても、名大さん、名古屋大学さんと協議の上で適切な対策を講じてまいりたい、かように存じております。

岡本(充)分科員 ぜひ、大変危険性が高いと思いますので、早急な対応をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本主査 これにて岡本充功君の質疑は終わり、文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。

 同時に、本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 各位の御協力に厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後六時五十七分散会


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