衆議院

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第2号 平成20年4月22日(火曜日)

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平成二十年四月二十二日(火曜日)

    午前十時三十分開議

 出席分科員

   主査 横光 克彦君

      小野 次郎君    木原  稔君

      西銘恒三郎君    福井  照君

      石関 貴史君    岡本 充功君

      金田 誠一君    田嶋  要君

      寺田  学君    長島 昭久君

      松本  龍君    山井 和則君

      吉田  泉君    谷口 和史君

      福島  豊君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       斉藤 邦俊君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       金刺  保君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       塚原  正君

   会計検査院事務総局第四局長            鵜飼  誠君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須江 雅彦君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        樋口 修資君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 久保 成人君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     小野 次郎君

  金田 誠一君     長島 昭久君

  松本  龍君     吉田  泉君

  谷口 和史君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     西銘恒三郎君

  長島 昭久君     山井 和則君

  吉田  泉君     石関 貴史君

  福島  豊君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     松本  龍君

  山井 和則君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     金田 誠一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十八年度政府関係機関決算書

 平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (総務省所管、公営企業金融公庫及び文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

横光主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十八年度決算外二件中、本日は、文部科学省所管、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 昨日に引き続き、文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久です。

 きょうは渡海文部大臣と教育問題につきまして考えていきたいというふうに思っております。

 渡海大臣、御就任なさってから半年が過ぎたわけでありますが、教育は言うまでもなく国家百年の大計でありまして、資源の乏しい我が国のような国は、何と言っても人材の質がその国を支えていくすべてでございまして、そういう意味では、まさにイギリスのブレア前首相が言ったように、我が国にとっても政策の柱は三つ、一に教育、二に教育、三に教育だ、こういうふうに思わせていただいております。

 そういう中で、昨今、教育現場が大変な混乱を来しておりまして、私も地元でいろいろな方とお話をさせていただいておりますけれども、もちろん、年金を心配されている方、医療を心配されている方、いらっしゃいますけれども、何といっても教育の問題が多くの皆さんの関心の的になっている、こういうことであります。

 幾つか具体的に挙げますと、学力の低下、あるいは、昔もいじめというのはありましたけれども、最近はさらに陰湿化したいじめが蔓延をしている。それと同時に、家庭の教育力も落ちてきているんじゃないか、こういうことで、私は、公教育、義務教育に対する国民の期待、逆に言うと不安というものは非常に高まっている、こういうふうに思います。

 就任から六カ月を過ぎたわけでありますけれども、この間、教育の現場を大臣はどのくらいごらんになってこられたか、その教育の現場を歩かれて、どんな御感想、御所感をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 今長島委員が御指摘をいただきましたように、教育の問題というのはまさに本当に国家百年の大計でございまして、日本にある唯一の資源が人間でございますから、そういった意味で、毎日身の引き締まる思いで仕事をさせていただいておる、そういう状況でございます。

 現場というお話がございました。できるだけ現場に出向いていってということを、これは福田内閣共通の課題でございますが、総理みずからおっしゃっておりまして、我々も、国民対話そしてさまざまな現場の視察等を行っているところでございます。

 どれぐらいと言われますと、国会中は余り出られませんので、近場を何とかというふうな感じでございますが、これまで、例えばスーパーハイスクールをやっている郡山の高校、それからまた放課後子ども教室、これをやっている岡山県と香川県の現場とか、少しは出向いて現場も視察をさせていただきました。都内では、コミュニティースクールとはちょっと違うんですけれども、学校運営協議会、少し形は違うようですが、その現場にも出向いてまいりました。中高一貫校、これの現場も見てまいりました。それ以外にも、科学技術も担当いたしておりますから、そういった現場にも行ったわけでございます。

 やはり、私は、最近行っているのは、行く現場はみんなうまくいっているんですね。これじゃ正直余り参考にならないなという感じも持っております。ただ、うまくやれば非常に制度はうまく回るんだというのが実感でございまして、そういった現場の視察の体験をもとに、そういった制度はあるわけでございますから、制度がよりうまく回るためには一体何が必要なのかということをきっちりととらえて、そして、それが日本全国に広まっていくように頑張っていきたいというふうに思っております。これからも機会があれば、できるだけ現場主義、それも、問題があると言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、少しいろいろな話が聞ける、そういうところへ行きたいと思っています。

 一点感じましたのは、実は就任をする前は、学校の先生が忙しいという実感というものを正直私は余り持っておりませんでした。これは正直に申し上げます。ただ、実際の現場へ行って、主に父兄の皆さんとか、こういった先生以外から実はヒアリングすることによって、いや、先生は実にこういうことで忙しいんだよというふうな、そういうお話をいっぱい聞きまして、我々が日ごろから言っている子供と向き合う時間、これを確保するためにやはりこれからも頑張っていかなきゃいけないな、そんな思いで今仕事をやらせていただいております。

長島(昭)分科員 まさに今大臣がおっしゃった、行かれた学校は大体問題のない学校だった、こういうお話でありました。

 私も、去年の暮れからなんですけれども、実は、自分の選挙区でなるべく現場を歩くように努力をさせていただいております。そうしますと、やはり、語弊があるかもしれませんけれども、文部科学省の官僚の皆さんがおぜん立てをして、大臣がいらっしゃるのですべてを整えてからお迎えするというのではなくて、できれば大臣の感覚で抜き打ちで学校を訪問するというか、そういうこともしていただければなと思います。

 といいますのは、私も校長先生とお話をしたり一般の先生方とお話をさせていただいたり、あるいは保護者の皆さん、PTAの役員の方、あるいは最近は、後でも触れますけれども、放課後子どもプランを担っている地域の皆さん、そういう方々とお話をさせていただくにつけ、非常に現場の大変さ、そして、先ほど先生方が忙しいというお話が出ていましたけれども、その忙しい先生を、地域の有志の皆さんがそれぞれ生業がある中、あいた時間を使って何とかやりくりしながら、地域ぐるみで学校の子供たちを育てていこう、そういう試みが全国で広がっている、このように思います。

 教育政策というのは非常に難しいんですよね。今ここで議論していて、それじゃ実施に移そうとするのに、恐らく議論して実施までに数年かかる。そして実施してから現場で効果があらわれてくるのにまた数年かかる。小さい子供は成長が早いですから、その間に小学校に入学した子供はもう大学に行っちゃうというような、そういう時間軸というのが非常にありまして、その間に対策がなかなか打てずに後手後手に回ってしまうということが起きている。私は、そこを何とかスピーディーに、いい、先ほど大臣もおっしゃいました、すばらしい事例はどんどん全国に展開をしていって、なるべく全国が、画一化教育ではありません、成功している例を全国に示しながら、刺激をある意味与えて、心ある先生方が新しい教育の取り組みに着手できるような、そういう環境づくりをしていただきたいと思うんです。

 つたない経験ですけれども、私が自分の地域を回ってみて感ずるのは、一つは担い手としての人材ですよ。そういう地域ぐるみで子供たちを育てていこうという意識はかなり浸透していますけれども、そういうものを担っていく人材をどうやって確保していくか、あるいはどうやって養成していくか、それが一つ。それからもう一つは、やはり経済的な支援が欠かせないと思うんですけれども、この担い手としての人材をどう確保していくか。

 そして、それと同時に、そういう学校を運営する、先ほど学校運営協議会のお話が出ました。これからその話も深めていきたいと思いますけれども、学校運営協議会に携わる皆さんをサポートするような財政的な支援のあり方について、今大臣がどんな構想といいますか所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 運営協議会もそうでございますが、今年度から学校支援地域本部というものの新たなメニューを用意いたしました。初年度、全国千八百カ所ぐらい、これはすべての市町村にまず一つということを考えておるわけでございます。

 これにつきましては、コーディネーター、いろいろな、例えば学校の先生、そして学校の先生の要望を吸収して地域の方々を束ねていくといいますか、こういった方々をちゃんと用意するといったための謝金といいますか、そういったものが出るような仕組み、そしてまた、人材をどういうふうに供給していくかといったようなことにつきましては、やはり一つは、経験のある退職教員なのか、こういう方々が大きな役割を果たしていただけるんじゃないか。子供を扱った経験もあります。そして、地域の方々とのコミュニケーションも日ごろからよく図れるといった、こういう方々の登用というものも考えられる。

 それぞれの地域によって事情が違うと思いますが、いろいろなアイデアを出していただき、しかし、大事なことはやはり核となるコーディネーター、こういう方々がしっかりといていただく、その必要を我々は感じておりまして、そういう方々を配置していくための予算といいますか、そういうものを、ことし、全体で五十億だったと思いますけれども、用意をさせていただいて、これをスタートに全国の中学校区に、一万ぐらいになると思いますが、将来は展開をしていきたいというふうに今考えているところでございます。

 人材については、いろいろな形が考えられると思います。それは、今後の進捗状況を見ながら、また我々も、アイデアを出していただく、また情報もいただきながら、状況を見ながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。

長島(昭)分科員 確かに、退職されたまだ元気な先生方、まだまだ子供たちに対して愛情も、そして教育に対する情熱も持っている先生方を大いに活用していただきたい、こういうふうに思います。

 それから、私の地元で、青年会議所の諸君が随分頑張っていまして、シビック・ティーチャー・バンクというのを、市民の中で、社会人の経験も豊かでリタイアされたいわゆる団塊の世代の皆さんがたくさんいらっしゃいます。二〇〇七年からどんどん地域に出ていかれています。そういう方々を、ある種バンクのようにしてプールしておいて、登録して、そして学校に派遣してゲスト・ティーチャーズ・プログラムみたいなものを運営しているんですね。

 私も、校長先生の話を伺うにつけて、学校で、座学で、例えば若い先生が子供たちを前にして教えられる、知識はある程度教科書に沿って教えられるわけですけれども、社会経験とか人生経験とかというのはやはりなかなか限界がある。私、校長先生のこの言葉がすごく印象的なんですけれども、学校で子供たちを全部面倒を見る時代はもう終わりました、もっと地域でどんどんかかわってもらわないと子育て、教育なんてできませんよ、こういうお話をされました。

 これは別に、校長先生がギブアップしているという話ではなくて、やはりいろいろな角度から子供たちを刺激してあげて、そして無限の可能性を引き出していく、こういう現場づくりというのが私は必要だというふうに思います。

 先ほど、大臣も、これからそういう助成といいますか、財政的な支援に含みを持たせる御発言をいただいたんですけれども、ぜひ、地元の教育委員会とよく御相談をいただいて、こういう意欲的な取り組みをしているところに対する助成もあわせて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡海国務大臣 地域の力というのは大変必要だと思います。

 私も、実は、横浜の青葉台へ行きまして、地域のさまざまな校区から集まっておられる、学校を支援されている御父兄とお話を、座談会をさせていただいたことがございます。そのときに、やはり大事なことは、そういう情熱を持った人がいっぱいいるわけですから、そういう方々が活動できる基盤をつくっていくということだと感じました。

 これまではそういう仕組みがなかったわけでありますから、皆さん、いろいろなところへ寄附をお願いしたり、それから、みんなで会費を集めたりして自主的にやっていただいているんですね。そういう方々を支援できる仕組み、これは地域支援本部もその一つだと思いますが、今後、そういった今のような観点を常に念頭に置きながら、いろいろな支援策を考えて、地域が一体となった、よく学校、家庭、地域、この三つが核だと言われますが、そういった教育政策が展開できるように我々も努力をしていきたいというふうに考えます。

長島(昭)分科員 今大臣がおっしゃった学校、家庭、地域、私も全く賛成でありまして、その中でも、学校も家庭も地域の中にあるわけですから、そういう意味でいうと、やはり地域の力が非常に重要だ、その地域の力を引き出していくまさに本部が学校になっていくんだろうな、こういうふうに思うんですね。

 そういう意味でいうと、何となく、学校開放とかいって学校がもったいぶって校庭を開放することが美徳のような印象を今まで受けていましたけれども、しかし、学校も地域の持ち物の一つでありますから、学校を使って地域を活性化させていく、そういう一つのツールに学校がなっていったら、これはまた子供たちに対する教育にとっても非常に有意義だというふうに思います。

 先ほど大臣が、予算の話をしていただきました。コミュニティースクールに話を移したいと思いますけれども、コミュニティースクールというのは、必要条件として、学校運営協議会というものを設置するということになっています。

 先ほど大臣から、地域支援本部というまた先進的な取り組みのお話もございました。同時に、既に、これは平成十二年からですけれども学校評議員制度というのができておりますね。ちょっと現場に行くと、PTAもある、学校運営協議会もこれからつくろうという、学校評議員制度もある、今度は地域支援本部だ。何か組織ばかりつくって、どれがどういう絡みになっているのか、なかなか学校の中で整理がついていないところが地域によってあるんですね。

 これは事務方の方でも結構なんですが、それぞれの機能についてどういう仕分けを文部科学省としてされているのか。そして、これからの方向性として、これは大臣で結構なんですけれども、どういう部分を主に力を入れていこうとされているのか。少しその辺のところ、これはインターネットを通じて学校関係者もまた国民の皆さんも見ておりますので、整理をしていただければありがたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、学校評議員でございますけれども、学校評議員と申しますのは、校長の求めに応じて学校運営に関する意見を述べるものでございまして、校長や教育委員会の学校運営に関して直接関与したり拘束力のある決定を行ったりするものではなく、また、個人として意見を述べるものでございます。

 これに対しまして、学校運営協議会は、学校運営や教職員人事について関与する一定の権限を付与されているものでございまして、校長は学校運営協議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を実施することになるなど、校長の学校運営を一定程度拘束する決定を行うことができる合議制の機関でございます。

 このように、学校運営協議会は学校評議員をさらに発展させた仕組みととらえることができると考えております。

 なお、これらの制度を採用するか否かにつきましては、各学校の状況や地域の実情に応じて教育委員会が判断をすることになっております。

長島(昭)分科員 大臣、その後もう一つ質問を加えてお伺いしたいんですけれども、今おっしゃったように、学校運営協議会というのは今までにないタイプの組織なんですね。といいますのは、校長先生を初めとする学校側をある程度拘束する、教師の採用とかあるいは任用、こういうものに対して一定程度拘束力のある意見を述べることができる、学校側はそれをまた尊重する、こういう仕組みになっていますので、これは非常に今までとは次元の違う組織だというふうに思うんです。

 こういうものを備えた学校をいわゆるコミュニティースクールと呼ぼう、こういうことで、今全国展開が始まっております。平成十四年、学校運営協議会をある意味でバックアップするために、実践研究校といいますか、最初は七地域九校をピックアップして、そこからコミュニティースクールの試みを始めたというふうに私は認識しておりますけれども、最初の平成十四年度の実践研究に対する支援の予算額というのは三百二十八万四千円と、九校で三百万以上の予算をつけているんです。

 これがどんどん広がっていくわけですね。手元にある資料では、平成十七年の四月からでありますが、コミュニティースクール十七校、翌年十八年が五十一校、その翌年が百九十六校、そして、ことし二月一日現在で二百九十六校、そして、今後五百校を超えるコミュニティースクールを全国に展開していこう。私はこれは大変すばらしい試みだというふうに思いますし、私たち民主党も、地域再生、教育再生の切り札がこのコミュニティースクールだということで、数年前からこの推進をうたってまいりました。

 ところが、さっき大臣がお触れいただいた支援のための予算が、だんだんコミュニティースクールがふえていくにつれてふえていっているのかと思ったら、今申し上げたように十四年度で三百二十八万、十五年度が二百九十三万、十六年度が二百五十一万、そして十七年度が六十万、十八年度が三十万、そして十九年度が二十二万、ことしは予算ベースですけれども五十万。

 これは、大臣、促進しているのか、何かだんだん衰退していくのかよくわからないんですけれども、この辺の予算の使い方、どのようにお考えになっておるんでしょうか。

金森政府参考人 少し御説明をさせていただきたいと存じますが、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究事業、これは学校の管理運営の改善に資する実証的資料を得るとともに、中央教育審議会における新しいタイプの学校の検討に資するために、平成十四年度から三年間行ったものでございます。この事業におけます一校当たりの平均予算額は、今御指摘のあったとおりでございます。

 また、平成十六年九月に学校運営協議会制度が創設されましたことを受けて、平成十七年度からはこの制度が円滑かつ効果的に実施され、新しいタイプの学校運営が着実に推進されるように、コミュニティ・スクール推進事業を実施してきているところでございます。この事業における一校当たりの平均予算額、これも先ほど御指摘のあったとおりでございますが、この新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究の予算額と、それからコミュニティ・スクール推進事業の予算額が大きく異なっておりますのは、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究におきましては、協議会の運営にかかる経費のほかに、外部講師の招聘や教材の作成などの教育活動にかかる経費を盛り込んでいたためでございます。

 なお、委嘱を受けた学校の数で申しますと、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究におきましては、十四年度、十五年度、十六年度とも各九校委嘱を受けておりましたが、コミュニティ・スクール推進事業におきましては、十七年度七十校、十八年度百三十三校、十九年度は百七十一校というふうに、委嘱を受けている学校もふえているところでございます。

長島(昭)分科員 今の局長の御説明は、要するに、無から有を生じさせる最初の試みというのはいろいろな意味でエネルギーがかかるから、そこにはちょっと厚目に支援をしてあげよう、そして軌道に乗ったらそれはだんだんと削減していこう、こういう御趣旨のように承ったんですけれども、小学校区で二万あるわけですよね、今これはまだ五百校に満たない、こういうことでありますので、これからどんどんふやしていくのに、こういうインセンティブで本当に大丈夫なのかなという気がいたします、正直言って。

 大臣の構想としては、これは一部の地域、一部の学校にとどまらず、やはりこういういい試みというのは、これから何年かたって検証も必要だと思いますよ。いろいろな弊害も出てくるかもしれない。しかし、今のところ、これで地域も活性化されている。例えば三鷹市なんかはこれで何か犯罪率も下がったなんというデータもあるぐらいで、地域ぐるみで子供を育てていくコミュニティースクールの試みというのを、これから、大臣として、今二万ある小学校区の中でどのくらい数値目標として目指していこうとされているのか、全部に展開していこうとされているのか、その意気込みをぜひ伺いたいと思います。

渡海国務大臣 意気込みとしては、これはいい試みでございますから、全国展開をできるだけ促進したいという意気込みがございます。

 ただ、偉そうに言えないのは、私の地元の兵庫県はまだゼロなんですね。これは要因が違いますね。私は今、せめて自分の地元だけでも何とかということで推進はいたしておりますが、地域の実情によって随分差がある。例えば、私の記憶が正しければ、神奈川県あたりは随分今ふえてきている、それから、島根県はかなりこれは推進していただいているんじゃないかなというふうに思います。物すごく差があると思うんですね、都道府県で。ですから、これは都道府県教育委員会の意気込みというものもあるんでしょうし、兵庫県の実情というのを事細かにはここではお話しいたしませんが、単にお金だけの問題ではなくて、やはりさまざまな問題があるなと思っております。

 ですから、今の我々のやり方として、一番できることは、できるだけこういったいい制度があるんだからということをいろいろな機会を使ってやはり広報、発信をしていくということ、また、これは国会議員の先生方にもお力をおかりして、せめて自分の地元でできるだけこれを進めていただきたいということを呼びかけていくことかなと。

 ただ、その足元が、兵庫県がゼロでございますから、ちょっと言いにくいところもあるんですが、何がどう悪いのかということはしっかりと見きわめて、そして、やはりいい試みでございますから、できるだけ全国展開ということに向けて、数値目標を持つというのはなかなか難しいわけでありますけれども、そういった気持ちで展開を推し進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

長島(昭)分科員 実は、私の選挙区もまだゼロなんですよ。たしか、昭島、日野というところで、日野がこれから始まるところなんでありますけれども、大臣もぜひ地元で普及していただきたいと思います。

 私は、文部科学省のこのパンフレットを拝見しますと、やはり地域的な偏りがあるんですね。これはやはり地域の指導者、市長さんや首長さん、あるいは教育長さん、そういう方々の指導力だと思うんですけれども、京都、島根、東京は学校数が多いですからあれですけれども、そこが突出して多いんですね。

 これからやっていく上で、これは不公平になっちゃいけないんですね。いいところはどんどんよくなるけれども、しかしそういう意識が余りない、あるいは地域の人材も余り集まらない、こういうところがどんどんおくれていく。

 これからは学校選択制というものも恐らく普及していくことになると思いますので、やはり保護者の皆さんが学校間格差というものをかなり気にされてきているんです、最近は。そういう中で、こういうコミュニティースクールの要素をきちんと備えた学校とそうでない学校、もちろんそんなものを全部文部科学省が中央で縛りつけるというのは地域主権、地方分権の考え方に逆行しておりますので、そういうことはもちろん私はナンセンスだと思いますけれども、しかし、先ほどちょっと大臣もお触れになりました、いいところの実践というものを全国展開できるような工夫を、そういう環境整備にこそ、文部科学省が力を割いていっていただきたいというふうに思いますよ。

 そういう点で、さっきの助成、文部科学省による助成はだんだん下がってしまっているんですけれども、それ以外に、このコミュニティースクールを本気で全国展開していこう、学校間の格差をなくしていこう、そういうことを達成するために文部科学省としてどんな具体的な方策を考えておられるのか、あるいは既にもう実践しておられるのか、このことを最後に伺っておきたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 コミュニティースクールが着実に推進されるための施策といたしましては、先ほど御説明申し上げましたコミュニティ・スクール推進事業のほかに、例えばコミュニティ・スクール推進フォーラムというのを開催いたしております。

 これは、保護者や地域住民、学校、教育委員会関係者などを対象としたフォーラムを開催することによりまして、コミュニティースクール、学校運営協議会制度についての理解を促進いたしますとともに、研究協議を通じて、その効果的な運用に向けた取り組みを推進しようというものでございまして、昨年度全国三会場で開催いたしておりましたが、今年度は全国五会場で開催をいたしたいと思っております。

 また、コミュニティースクールについての実践的な事例集も発行をいたしているところでございます。

 さらに、成果につきまして、検証委員会というのも開催をいたしまして、コミュニティースクールで得られた成果について検証することを通じ、今後の推進方策につなげていきたいと考えているところでございます。

長島(昭)分科員 もう時間がなくなってしまいました。

 私は、きょうはコミュニティースクールの話にあわせて、NPO法人立の学校のあり方についても質疑をしようと思っていたんですけれども、これはぜひ次回、文部科学委員会で大臣に質疑をさせていただきたいと思います。

 質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

横光主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

横光主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前中に引き続き文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井分科員 本日は、三十分間の質問時間をいただきまして、ありがとうございます。半分ぐらいを文部科学省所管、そして少し、厚生労働省の後期高齢者医療制度、そして肝炎問題についても質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速、私の地元の課題についてお願いを申し上げたいと思いますが、私の地元は京都南部、宇治でありまして、お茶どころ宇治、また、世界遺産の平等院もございます。

 そこで、大臣、昨年、太閤堤というのが見つかりまして、これはこの写真を見ていただいたらわかるんですが、すぐ近所に有名な宇治橋がありまして、この川上の方には世界遺産の平等院や、あるいは風景が美しい塔の島もございますし、また、下流の方になりますと、豊臣秀吉の伏見桃山城もございます。そこに、ここの写真にございますような太閤堤というのが見つかったわけでございます。そして、地元のみならず全国の方が集まって、非常に具体的にだれがつくったかわかるという堤が見つかったということで、全国でもこれは一級品の史跡ではないかというふうに文化庁からも評価を受けているところでございます。

 そこで、まず最初に御質問とお願いを申し上げたいのが、この太閤堤、これについての文化庁そして文部科学省としての評価と、これを今後、お茶のこととも絡めて、まちづくりの核に私たちの地元宇治市としてはやっていきたいと思いますが、それについての国の御支援を要望したいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

渡海国務大臣 堤防跡というのは日本全国にいろいろあるわけでございますが、なかなか建造された年代や築造者というものが判明していないわけですね。ところが、今委員が御指摘の太閤堤というのは、安土桃山時代に豊臣秀吉が築造したということがはっきりしておりますし、非常に大規模な、立派な堤防でございます。そういった意味では、非常に歴史的な価値、また文化的な価値も高いというふうに判断をいたしております。

 昨年度から宇治市が発掘調査をしておりまして、国としても五割の補助ということで支援をいたしておるところでございますが、仮に史跡に指定された場合は、指定されると思いますが、国として、その公有化に対しては八割の補助、保存整備に対して五割の補助という仕組みがあって、積極的にこの支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山井分科員 今大臣からも、恐らく指定されると思うけれどもということをおっしゃっていただきましたが、まさに、ぜひとも一日も早く指定をしていただいて、それを核に、まちづくりにつなげて、本当に全国の方々に、この宇治に観光そして昔のロマンを求めてお越しいただきたいと思っております。

 それで、まさに今、国からの補助をいただきながら調査をしております。現在明らかになっているのがこの地域なんですが、これからもっと幅広く、八月ぐらいまでかけてこの史跡の全容を調査する予定になっております。

 今後のスケジュールについてお伺いと御相談をさせてもらいたいと思いますが、地元宇治市の計画では、八月ぐらいまでに調査を終える、それで十二月ぐらいには史跡指定の申請をしたいということを予定としております。

 もちろん、史跡の指定に関しましては、地元の地権者の了解ということが前提でございまして、これは当然きっちりとやってまいりますが、その前提において、一般論で結構なんですが、お答えいただきたいんです。この十二月に申請をすると、その後、審議会とか答申とか決定、どのようなスケジュール化になっていくかということをお教えいただければと思います。

渡海国務大臣 一般論で申し上げれば、遺跡の内容、範囲、価値について学術的な発掘調査が今行われておりまして、八月に終了するということでございますが、十分な価値が評価される、これは多分評価される、予測でございます、個人的な私見でございますが、審議会の先生方の意見を聞かなきゃいけませんが、その上で、指定について地権者や関係者の同意を得た上で、地元市町村教育委員会から文部科学大臣に意見具申、その後、文部科学大臣から文化審議会に諮問した後で、文化審議会で調査審議がされて、国指定史跡としての価値があると判断された場合に、文部科学大臣に答申をされ、その後、官報の告示、所有者への通知、こういう順序が必要でございます。

 今のところ、手順を申し上げるという段階ではございませんが、十二月に宇治市から意見具申があった場合は、来年度中には手順が行われることになろうというふうに考えております。

 ちなみに、文化審議会への諮問、これは四月、十月に予定されておりますし、また文化審議会の答申というものも五月、十一月、これは通例でございますが、官報の告示が七月、二月。これが一つの値ごろ感といいますか、スケジュールでございます。

 ですから、十二月に出していただいたら、早ければ七月に官報告示ができるということになると思います。

山井分科員 地元としては首を長くして待っておりまして、まさにその指定を前提にまちづくりにつなげていきたいと思います。

 そうしたら、確認ですが、要は、今のお話を私なりにまとめさせていただきますと、十二月に申請をすれば、その審議会の四月と十月にあるうちの四月にかかって、それで、早ければ七月ぐらいに決定が出る、そういうことでよろしいですか。

渡海国務大臣 結構でございます。

山井分科員 それでは、続きまして、もう一つ、私の地元の木津川市の恭仁京の保存についてお伺いしたいと思います。

 平城京から現在の木津川市に移された、かつては幻の都と言われたこの恭仁京は、昭和三十二年に史跡指定以来、発掘が進み、平成十九年二月には恭仁宮と名称を変更されて、範囲も追加指定されております。それで、今は文化庁から補助金で民家の買い取りなども進められておりますが、私たちの要望としたら、二〇一〇年にお隣の平城遷都千三百年というのがございますが、地元では、この機会に史跡公園として、ぜひとも国の管理を望む声が多いわけでございます。

 写真を見せさせていただきますと、こういうふうなすばらしい恭仁宮の史跡でございます。ここについて、国の評価というものをまずお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 この遺跡は、奈良時代、天平十二年、聖武天皇が天平十六年に難波宮に移るまでの五年間、これは平城宮にかわる首都としての旧跡であり、我が国古代の政治権力及び宗教を知る上で大変重要な遺跡と、史跡に指定をされているというふうに承知をいたしております。国でも、従来から、京都府や木津川市が実施している発掘事業や土地公有化事業について国庫補助事業を行い、支援をいたしております。

 発掘でございますから、非常に、先ほども昭和三十二年とおっしゃっておりましたから、十九年まで、非常に時間がかかっているわけでございますけれども、国としても、今後ともしっかりと支援をしていきたい。

 また、こういう場合に私はいつも思いますが、やはり地域のかかわりというのは非常に大事でございますので、委員、御地元ということでございますから、しっかりと地域と連携をしていただいて、またこの促進にも御尽力をいただきたいというふうに思っております。

山井分科員 そこで、具体的な要望をさせていただきたいと思いますが、この史跡公園の整備という中で三点、具体的なことで恐縮なんですが、トイレの整備、また史跡内容が観覧できる施設の整備、そしてもう一つが駐車場の整備、この三つが喫緊の課題になっているわけですが、それらの整備の支援について御見解をお伺いしたいと思います。

高塩政府参考人 文化庁といたしましては、史跡につきましては、地方公共団体や所有者が行います整備に関する補助事業、これは原則二分の一の補助でございますけれども、その補助制度を設けておりまして、これまでに多くの史跡についての整備が図られておったところでございます。

 今先生から具体的な御質問がございましたけれども、この史跡、恭仁京跡につきましては、史跡公園としての総合的な整備を行うに当たりまして、地方公共団体におきまして整備計画というものを策定する必要があるわけでございますけれども、まだその段階には至っていないということでございまして、その整備計画の中で今先生からおっしゃられたトイレですとか駐車場ですとかガイダンス施設がどういう形で位置づけられてくるかによりまして、それぞれ個々に判断をしていくことになるのではないかというふうに考えているところでございます。

山井分科員 それでは、源氏物語千年紀事業について、また大臣に御要望させていただきたいと思いますが、宇治市では十五年前から、お茶とあわせて源氏物語のまちづくりということで古典文化の継承に努めております。源氏物語五十四帖のうち最後の十帖が宇治市に舞台が設置され、宇治十帖と呼ばれております。その中で、源氏物語ミュージアムというものも地元に設置しているわけでございます。

 そして、ことしは源氏物語千年紀事業を行っているんですが、一年間の一過性のもので終わらせるのはもったいないということで、そこで要望しているのが、資料にもありますように、十一月一日を古典の日と制定していただいて、こういう記念の日ができれば、これから毎年、その日にちなんでさまざまな事業を、地元として、京都としてこれからも継続的にやっていける。やはり、千年紀で一年で終わりというのは余りにももったいないというふうに思っております。

 そういう趣旨で、地元としては十一月一日を古典の日に制定していただきたいというふうに要望しておりますが、文科省の御見解はいかがでしょうか。

渡海国務大臣 この御質問をいただいたときに、なるほどなと正直思いました。けさ、家を出るときに家内に、日本の古典といったら何を想像すると聞いたら、やはり源氏物語と出てきました。ところが、実は、ある人に別に聞いてみたら、私は枕草子だと言うんですね。そういういろいろなことを考えますと、なかなか、まだ議論の要るところだなというふうに正直思います。

 そういった御提案も含めて、古典の日というものを制定すべきかどうか、また、するとしたら、それは何にちなんで何日にすべきかという議論は、やはりもう少し時間をいただかないとなかなか難しいかな。これは、委員の質問に対して率直に私の感想をお答えさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、地域において今までもいろいろやってこられた。やはりそういう活動をしていただくことは非常に有意義でございますし、また、法律には、十一月三日、これは文化の日でございまして、この文化の日を中心に十一月一日から七日を教育・文化週間、これは三十四年九月の閣議了解で一応こういう位置づけがされております。そういった意味では、これは国民の教育とか文化とかいうものの理解を深めるための大事な週間でございますので、それぞれの地域に根差した地域、公共団体における催し物、そういうものによって文化、芸術が一層図られるということは大変好ましいことだと考えております。

 その中の何らかのメニューを取り上げて、そういったものを適宜支援していくということは可能かもしれないなというのが率直な印象でございますが、今即座に十一月一日を源氏物語の日、古典の日とすることは、まだまだちょっと議論が要るかなというのが、今、私が感じている、精いっぱいできる御回答でございます。

山井分科員 ぜひ前向きに御検討いただければと思います。

 それでは、少し話題がかわって恐縮ですが、きょうは厚生労働省からもお越しをいただいております。まず、後期高齢者医療制度の人間ドックと脳ドックについてお伺いをしたいと思っております。

 きょうの資料の一番最後にもありますように、京都府下二十六市町村の中で、私が聞いておりますのは、京丹後市、笠置町、与謝野町の三つを除いた二十三の市町村が、ことしの三月三十一日までは人間ドック、脳ドックを国保、国民健康保険の補助事業として行っていた。しかし、四月一日から七十五歳以上の高齢者は後期高齢者医療制度に移って、京都府の後期高齢者広域連合では、この補助事業は脳ドック、人間ドックにおいては行っておりませんので、二十六のうち二十三の市町村では、四月一日から七十五歳以上の高齢者が脳ドック、人間ドックの補助を受けられなくなったというふうに聞いております。

 このことについて、事前通告で事実確認をお願いしましたが、厚生労働省、いかがでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、市町村国保での被保険者の方への健診事業でございますが、基本健康診査を超えまして人間ドックという形でやっておる、これは各保険者の方の独自の御判断でやってこられておるものがあろうかと承知しております。全国の把握をできておりました時点がちょっと古いんですが、十七年度では千二百余りの市町村国保におきまして人間ドックという形での助成制度を持っておったということのようでございますが、これがこの四月から、七十五歳以上の方について継続できているのか打ち切られているのか、これはまだ把握ができておるところにございません。

 それで、京都の方の状況でございますけれども、恐れ入ります、京都だけでもということで御指摘をいただきましたが、ちょっと時間が十分ございませんで、こちらの方も全部の市町村、二十六市町村ございますが、今確認を急いでおります。

 今現在で、お配りいただきました表の中で、ずっと我々の方からも確認をしておるんですけれども、十四の市町は、これまでやっておったんだけれども、七十五歳以上の方は国保から抜けられたということで、今後は人間ドックという形のものは継続をしないということで判断をされておるというふうに伺っております。

 なお実態把握に努めてまいりたいというふうに思っております。

山井分科員 そうしましたら、重ねてのお願いなんですが、これは電話を一本すればわかる話ですので、残り十二の市町村についても、きょうの夕方ぐらいまでにお電話をして、また御回答いただけますか。

木倉政府参考人 はい、急ぎ確認をするようにいたして、また御回答申し上げたいと思います。

山井分科員 余り詰めて聞いても恐縮なんですが、きょうの夕方ぐらいまでに御回答いただけますか。

木倉政府参考人 回答を得られる努力をいたします。

山井分科員 それで、もう一つ確認させていただきますと、これは全国で、平成十七年度、千二百の市町村がやっていたということですね。それで、私も幾つかの広域連合に電話をしてみました。でも、広域連合でこの人間ドック、脳ドックの補助事業をやっているところは、私は今のところ聞いておりません。

 木倉審議官にお伺いしますが、厚生労働省として、どこか広域連合で脳ドック、人間ドックの補助事業をやっているところは把握されておられますでしょうか。

木倉政府参考人 四十七の都道府県の市町村単位で市町村の連合を組んでいただいています広域連合でございますけれども、この広域連合として人間ドックということでの助成をやるということがあるということは聞いておりません。

山井分科員 ということは、平成十七年度現在で千二百市町村あった、もちろん最近はわかっておりませんが、もしこれぐらいの数であったとするならば、今回の後期高齢者医療制度への移行によって、千二百市町村ぐらいの居住の七十五歳以上の高齢者が、人間ドックと脳ドックを、全額自己負担になって、全額自己負担では恐らく受けられる人はごくわずかだと思いますが、受けられなくなった可能性が高いということでよろしいですか。

木倉政府参考人 人間ドックという形、いろいろメニューはおありになるので、そこと契約をされておったとは思うのでございますけれども、七十五歳以上の方でありましても、健診を努力義務としてお願いをしておりますので、基本的な項目につきましては我々も補助するようにいたしておりますので、基本的な項目につきましては健康診断ということが引き続き受けられるものというふうに承知しておりますが、人間ドックという形での継続というものは、市町村ごとのそういう実態があるのかどうか、今後、我々も把握には努めてまいりたいというふうに思っております。

山井分科員 後期高齢者医療制度で医療は抑制されないというようなことも政府・与党はおっしゃっておられますが、私の近所のお年寄りの方々は、やはり怒っておられるんですよね。昨年までは人間ドック、脳ドックが補助事業で受けられた、しかし、後期高齢者医療制度になったら人間ドックと脳ドックが受けられなくなった、何で人間ドックや脳ドックを受けさせてくれないんだ、早く死ねということかと。

 こういう批判が出ておるわけなんですが、厚生労働省としては、このような批判に関して、いかが思われますか。

木倉政府参考人 これは、人間ドック以前の基本的な健康診査についても同じような御指摘をいただいておるというふうに思っております。

 七十五歳以前の方については、特定健診というような形で健診を受けていただき、保健指導もさせていただくということ。七十五歳以上の方について健診を努力義務にとどめておるということにつきましては、七十五歳以上の方は、慢性疾患をお持ちの方も多いという中で、お医者さんとのつながりの中で医学的な指導管理ということを受けていただくことが多いんではないかというふうにも考えております。

 また、先ほど申し上げましたように、努力義務ではありましても、我々も全国でやっていただけるような補助事業は持っておりまして、基本的な健康診査についてはきちんと受けていただくことを我々も応援していきたいというふうに思っております。

山井分科員 もちろん、努力義務で健診が受けられるというのはわかりますけれども、やはり御高齢の方々が望んでおられるのは、何で七十五歳以上になったばっかりに今まで受けられていた脳ドックと人間ドックを受けられなくなったのか、これはやはり差別じゃないかという怒りがあるわけです。

 そこで、もう一つ要望を加えさせていただきますと、全国の後期高齢者医療制度の広域連合ですが、これは四十七お調べいただいて、この補助事業を継続しているところがあるかどうか、先ほど、把握はしていない、やっているところは聞いていないということですが、念のために四十七、確認をしていただけますか。

木倉政府参考人 広域連合単位でやるというところは聞いておりませんけれども、京都のように各市町村単位で引き続きの例があるかどうか、これはまた把握の努力をしてまいります。

山井分科員 そうしたら、四十七都道府県で、広域連合で人間ドックの補助事業をやっているところがあるかどうか、きょうじゅうに調べてお返事いただけますか。

木倉政府参考人 恐れ入ります、少しお時間をいただければと。各市町村、一生懸命、大変説明が不十分であったということは反省しておりますけれども、まずは今、円滑な施行に努力しておりますので、各市町村についての実態把握は少しお時間をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

山井分科員 大体いつぐらいまでにできますでしょうか。

木倉政府参考人 各種広域連合、市町村の御協力を得られるように努力をして、なるべく速やかにと思っております。

山井分科員 そうしたら、一週間以内ぐらいに御回答いただけますか。

木倉政府参考人 努力をいたします。

山井分科員 せめて、広域連合そのものですね、市町村じゃなくて、広域連合がこの四月一日から後期高齢者医療制度で人間ドックの補助事業をやっているかどうか、それはきょうじゅうにわかると思うんですが、きょうじゅうに御回答いただけますか。

木倉政府参考人 済みません、広域連合単位でやっておられるところはないと承知しております。

山井分科員 わかりました。

 それでは、平成十七年度ということですが、平成二十年、ことしの三月三十一日まで、どれだけの市町村が、要は人間ドック、脳ドックの国保の補助事業をやっていたか、そのことも、先ほど言いましたように一週間以内にお調べいただけますか。

木倉政府参考人 各市町村、人間ドックに対する助成があったかどうか、直近のところで、なるべく把握するように努めます。

山井分科員 厚生労働省も現場も大変今忙しい中で、本当に注文をいろいろして申しわけないんですが、しかし、残念ながら、この後期高齢者医療制度、一番大きな批判の一つが、よくわからないということがあるんですね。よくわからない中で、何か知らないけれども、市役所に行ったら人間ドックが受けられなくなった、脳ドックも受けられなくなった、一体どうなるんだという不安がやはりございますので、ここは正直に実態把握して御説明いただきたいと思います。

 それでは、黒川審議官にもお伺いしたいと思います。

 昨年来、薬害肝炎の問題が大きな問題になりまして、その中で、十一月の審議の中で、舛添大臣が、四一八リスト、薬害肝炎に感染されたと見られた四百十八人の感染者の方々に対して、リストが作成された二〇〇二年当時の病状を調査する、そして今と比較する、そういう実態調査をするということを答弁されまして、取りかかっておられると思います。

 その答弁から五カ月たったわけでして、もう実態調査を始めていられるそうですが、そこで、四百十八人中、何人が特定されて、何人から実態調査の返答があって、この結果をいつ公表するのか、また、特定された人に本当に調査票が届いているのかということが確認できたのか、このことについて答弁をお願いします。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、四百十八人リストにおける患者御本人または御遺族へのお知らせの進捗状況についてお答え申し上げます。これにつきましては、毎週、田辺三菱製薬から報告を受けておりまして、逐次公表をしております。直近の数字になりますが、平成二十年の四月十八日現在、お知らせを行った人数は百九十七人でございます。

 それから、調査票でございますが、これは、お知らせを行った方すべてにお渡しをすることとしておりまして、田辺三菱製薬から医療機関を通じまして御本人または御遺族にお渡しをしている、こういう状況でございます。

 その調査票でございますが、患者様にお願いをして、御記入になられた後は国に直接御返送いただくことになっておりまして、平成二十年四月二十一日現在、八十三通の回答があったところでございます。

 それから、調査票の集計ほかでございますけれども、今後、回収いたしました調査票を集計いたしまして、医学の専門家から成る検討会での議論を経て調査結果を取りまとめていくこととしております。

山井分科員 これは、残念ながら、必ずしもすぐに全員から返ってくるという性格のものではないと思うんですよね、相手もあることですから。ということは、ある程度のときに期限を区切って、そこまでに御回答いただいた方々の結果を公表するということにする必要があると思うんです。舛添大臣が答弁してから五カ月、六カ月がたとうとしているわけですから、やはりある程度の年限を区切って、いつまでに中間報告なりをするかということを決めないと、言ったらなんですけれども、これは隠ぺい、放置していることになりかねないわけなんで、では、いつごろ中間報告なりを公表されますか。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生まさに御指摘のとおり、種々事情がございまして、現在、いつ公表するかということについて決定的な予定を申し上げる段階ではない、それはちょっと難しい状況なのでございますが、現在、回収した調査票を集計中でございまして、この集計結果がまとまり次第検討会を開催して公表につなげてまいりたいと、懸命に努力をしている最中でございます。

山井分科員 ということは、四月中とは言いませんが、五月末ぐらいまでにはその結果が公表される、その時点で公表されると理解してよろしいですか。

黒川政府参考人 繰り返しの答弁になりまして恐縮でございますけれども、ただいま集計中でございまして、これを今懸命に進めております。何とぞ、いましばらく御猶予を。

山井分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

横光主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田泉君。

吉田(泉)分科員 民主党、吉田泉であります。

 私の方からは、学校における常勤講師、この問題について質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 今多くの若い先生方が、正規の教員ではなくて、臨時教員、正式には臨時的任用教員と言われていますが、そういう立場で教壇に立っております。そして、この臨時教員には常勤講師と非常勤講師と二つあるわけですが、きょうは主として常勤講師の問題について取り上げたいと思います。

 この常勤講師と言われる方は、契約期間は実質一年間であります。そして、それを数年間繰り返す。数年たって正規の教員になれる人もおりますが、十年以上にわたって臨時教員のまま常勤講師を続けるという方もいます。さらには、途中でもう常勤講師をやめて、教職をあきらめて、別な人生行路を歩む、そういう人もいるわけであります。要するに、一年の実質契約ですので、一年後の保証がありません。そういう意味では、いわゆる非正規の雇用と言えるんじゃないかなと思います。そういう常勤講師の方の数が、今全国で何と四万五千人、こういうことだそうであります。

 福田政権、教育再生をうたって、教員の質の向上に取り組むとしているわけでありますが、この制度をこのまま放置していいのかどうか、改善すべきではないのかという立場から、実態と今後の方向についてお伺いしたいと思います。

 まず最初に、幾つか数字を確認したいと思います。

 毎年、教員免許を取った大学卒業の若い方たちが教職につくわけですが、十九年三月の卒業生の場合、教員就職者は全体で何人いたでしょうか。そして、そのうち正規採用になった方、臨時採用になった方、その数字、それからその割合ですね、これはどうでしょうか。私としては、新卒者全体の数字を欲しかったんですが、適当な数字がないということですので、とりあえずその過半を占めると思われる国立教員養成大学、そこの養成課程を出た卒業生のベースでお答えをいただきたいと思います。

清水政府参考人 国立の教員養成大学・学部の平成十九年三月の卒業者は一万百三十一人であり、そのうち教員就職者は五千七百六十八人であります。また、就職者のうち、正規採用者は三千百八十二人、臨時的任用者は二千五百六十八人であり、教員就職者に占める割合は、それぞれ五五・二%、四四・八%となっておるところでございます。

吉田(泉)分科員 実に半分近くの方がこの不安定な臨時教員、つまり常勤講師としてスタートする、こういうことであります。

 今までの実績で見て、この臨時教員として採用された若い方々のその後、どういうふうに歩んでおられるのか、そういうことについてのデータはあるでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 常勤の臨時的任用教員が、どの程度の割合で、何年後に正規採用されているかにつきましては把握をいたしておりませんが、十九年度の任用で申しますと、公立学校教員の正式任用教員数二万二千六百四十七人のうち、採用前に教員であった者、これには非常勤講師を含みますが、採用前に教員であった者の数は一万三百七十一人でございまして、その割合は五〇・〇%であると承知をいたしているところでございます。

吉田(泉)分科員 その数字が意味するところがよくわかりませんが、私の方でも、私、地元は清水局長と同じ福島県なんですが、そこの県の教職員組合の方と、もう一年前ぐらいにお話ししたときにいただいた数字なんですが、こういう数字がありますので参考のために申し上げたいと思います。これは実態調査ですね。常勤講師に関する実態調査を組合の方でやりました。三百五十五人の方から返事が来たんですが、そのうち七五%の人が五年以内に正規職員になれると。七五%は五年以内、それから一五%の方が六年から十年以内に正規になる。残りの一〇%の方、この人たちは十一年以上臨時を続けている、こういうデータがあります。

 私は、結局、大半の方が、今の数字で申し上げますと七五%の方が、数年後には正規に採用されるというのが全体的な臨時教員のその後の歩みと言っていいんじゃないかなというふうに思います。そうすると、この、数年間だけ臨時にしておく、非正規にしておくという意味が、一体何なのかな、こういう問題意識を持つところでございます。

 そこで、三つ目の質問ですけれども、これは確認ですけれども、一体この常勤講師という方の仕事の内容、待遇、それから国庫負担、こういうものについて、正規の教員と常勤講師の間で何か差があるんでしょうか。基本的に同じだと考えていいんでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 講師の職務内容につきましては、学校教育法上「教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する。」とされておりまして、教諭と同様に児童生徒の教育指導に従事するわけでございますが、指導計画の策定や卒業認定の決定など、いわゆる校務の運営に参画する職ではございません。

 給与上の処遇につきましては、正式任用の教諭、また臨時的任用の常勤講師のいずれも、各都道府県の条例に基づいて教育職の俸給表が適用されます。なお、正式任用の教諭が二級格付なのに対しまして、臨時的任用の常勤講師は一級に格付をされているところでございます。

 また、義務教育費国庫負担金におきましては、正式任用の教諭、臨時的任用の常勤講師のいずれも、政令に基づき、その者の経験年数等に応じて算定された給与額を国庫負担の限度額とする仕組みになってございます。

吉田(泉)分科員 幾つかの差はあるようですが、基本的には同じだというふうに承りました。クラスの担任にもなるし、部活の担任にもなる、こういう現状を聞いております。

 一つ確認ですけれども、結局、仕事も給料も社会保険も正規の人とほとんど同じだということですが、一年の短期契約である、場合によっては一年後に解雇されてしまうということの可能性があるわけであります。そうしますと、雇用保険というものは、常勤講師の皆さん、つけられているんでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 雇用保険法におきましては、第六条に適用除外の規定がございまして、国や地方公共団体に雇用される者のうち、離職した場合に、退職手当条例などにより、受けるべき給付の内容が雇用保険法の求職者給付等の内容を超える者につきましては雇用保険法を適用しないこととされております。

 御質問の、臨時的任用の常勤講師に対する雇用保険法の適用の実情につきましては、地方公共団体により異なっておりまして、一概には言えない面がございますけれども、雇用保険法の規定を踏まえ、退職手当条例の適用のある場合には雇用保険法は適用されず、退職手当条例の適用のない場合には雇用保険法が適用されているものと認識をいたしております。

吉田(泉)分科員 よくわかりました。

 もう一つ確認ですが、常勤講師は最高一年といいますか、三百六十四日までの雇用は認められますが、継続雇用が禁止されているわけであります。そうしますと、多くの場合、例えば四月一日から始まって三月三十日まで契約になる。そうしますと、三月三十一日は失業状態ということであります。そうしますと、月末に失業状態になる三月については、それまでは厚生年金、それから政府管掌健康保険、こういうものに入っていたわけですが、その一日のために、三月は、今度は国民年金、さらに国民健保、こちらに入らなくてはいけないんだ、こういう話を聞くんですが、そういうことは実際あり得るんでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の社会保険制度におきましては、国民は、年金制度につきましては国民年金、厚生年金または共済組合制度のいずれかの制度に、また、医療保険制度につきましては国民健康保険、健康保険または共済組合制度のいずれかの制度にそれぞれ加入することになっております。

 臨時的任用の常勤講師につきましては、通常、厚生年金及び健康保険に加入することとされているわけでございますが、この常勤講師の任用期間が終了し、被用者でなくなった場合には、個人で国民年金及び国民健康保険に加入をする仕組みとなっております。このことは教員だけの取り扱いではなく、社会保険制度共通の取り扱いであると承知をいたしております。

吉田(泉)分科員 そうしますと、やはり制度上、そういう可能性が現実問題あるということだと思います。数年間同じ仕事をしているんですけれども、一年間のうちのたった一日のために年金制度、健康保険制度が変わる。非常に煩雑なことにならざるを得ないんですが、私はここに、この常勤講師の制度のいわば矛盾が何か出ているんじゃないかな、そんな気がしているところでございます。

 以上、いろいろな現状をお聞きしましたが、それを踏まえて、この常勤講師という制度の意義と、それから根拠についてお伺いしたいと思います。

 いろいろな常勤講師をやってこられた若い人たちの話を聞くと、いろいろ問題がある。例えば、教壇に立ちながら次の採用試験に備えなければいけない、子供たちに勉強を教えながら自分も勉強しなければならない、この負担が結構大きいんだという話があります。

 それから、何よりも身分が安定していないものですから、将来不安があります。一年後、どうなるかわからない。講師の間では、講師時代に結婚なし、こういうふうに言われているぐらい先行き不安がある、こういうことであります。

 しばらく前に出た本で、中教審の山崎正和会長の御本で、「文明としての教育」という新書が出ました。その中で山崎会長は、学校の先生というのは、やはり一番大事なのはノーブレスオブリージュだ、高貴な義務感というのですね。これが大事であって、自分はその文明の伝道者なんだ、そういう気概を持ってもらいたい、もしそれが持てなかったら、いかに制度を変えて経済的に支援をしたり予算をつけたりしても教育というのはよくなる公算はないんだということを書いておられます。

 つまり、学校の先生というのは、熱い積極性といいますか、何か精神的な迫力が一番基本なんだと。私もそうだろうと思うんです。そのためには、やはり先生というのは身分がはっきりして、極力、正規の教員として採用するというのが正しいんじゃないかなというふうに思うところでございます。

 一方で、先ほどの局長の答弁にもあったように、国や地方団体にとって財政負担というのはほとんど変わりません。そういうことを考えますと、これは長年続いているんですが、この常勤講師制度の意義というのは一体何なんでしょうか。もしこれをやめたらどういう支障が憂慮されるのか、お伺いいたします。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 臨時的任用による常勤講師制度の意義は何か、また、この常勤講師制度をやめた場合どのような支障が生じるのかということでございますけれども、臨時的任用による常勤講師制度は、例えば退職者数が予想を上回った場合、また、女子教職員の出産休暇や育児休業に伴う職員の欠員など、一時的な人員の増減に対して、正式任用の教員の増減を行わずに弾力的に対応するために行われるものでございます。

 この臨時的任用による常勤講師制度をやめた場合には、臨時的な人員の増減に対応することができなくなり、人事管理上に支障を来す可能性があると考えております。

吉田(泉)分科員 そういう可能性も確かにあると思うんですが、そのために新卒の人の半分をこういう臨時教員にしておくというほどの理由になるのかなと思うところでございます。

 もう一つ、今度は法的な根拠についてお伺いしたいと思います。

 常勤講師を採用するという法的な根拠は、地方公務員法の第二十二条二項、臨時的任用、この条項によるということであります。そこで、法律上は、どういうときに常勤講師、すなわち臨時的任用教員が認められているのか、確認をいたします。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 法律上、常勤講師制度はどのような場合に認められているのかというお尋ねでございますが、地方公務員法第二十二条に基づく臨時的任用による講師の採用は、地方公務員法第十七条の正式任用の特例でございまして、人事委員会または公平委員会を置く地方公共団体の場合は、緊急の場合、臨時の職に関する場合、任用候補者名簿がない場合とされているところでございます。そのほか、個別の法律に基づき、女子教職員の出産休暇や育児休業に伴う臨時的任用が認められているところでございます。

吉田(泉)分科員 主として三つの場合を今挙げていただきましたが、いかがでしょうか。現状、四万五千人の方がそういう常勤講師の立場に置かれているわけですが、現状は、この法律が予定していた状況を大きく逸脱しているんじゃないでしょうか。長年にわたってこの制度が続いているわけですが、緊急とか臨時とか名簿がないとか、そんな場合、そうだから続いているということはちょっと考えられないですよね。

 改めて、この法律に触れるような状態がこの常勤講師ではなかろうかと思うんですが、いかがですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもといたしましては、都道府県教育委員会は、先ほど申しました地方公務員法第二十二条に基づき、緊急の場合、または臨時の職に関する場合、または任用候補者名簿がない場合に該当するものとして臨時的任用の教員の採用を行っているものと考えているところでございます。

吉田(泉)分科員 そこですよね。国の方は、県はまさか逸脱してなかろう、法律どおりその三つの場合でやっているんだろうと思っておられるのかもしれませんけれども、実態は、法律が考えているようなこととはおおよそかけ離れた状態が続いていると私は思います。国としても実態をよく見ていただきたい。

 それからもう一つは、一番最初に数字をいただきました国立教員養成大学、そこの中の、しかも養成課程、これは計画養成というんですか、先生方を養成するためにやっている大学の課程でありますが、そこの定員数は、今のところ全国に約一万人ということであります。その中の大半の人が、教員免許を取って、卒業して教員試験を受ける。しかし、試験を受けて採用されたというか、試験を受けた方の半分近い人が臨時教員ということになっているわけであります。

 そうしますと、この一万人という定員自体に問題はないのか。そんなに正規は要らないんだということなら、もう少しこの一万人を縮める必要はないのか。この国立教員養成大学の養成課程、定員というのは一体何を根拠に決めておられるのかということをお伺いしておきます。

清水政府参考人 国立の教員養成大学の養成課程の定員は、全体として言えば、それぞれの置かれた県あるいは地域の状況等に応じて、正確に言えば定められている、こういうふうな状況でございます。

 全体のマクロの話で申し上げますと、養成課程の定員というのは、例えば、歴史的な経緯で申し上げますと、三十八年度あたりで申し上げますと、小学校教員の採用者の大多数、この場合は臨時教員も含みます、それから中学校の採用者の半数を供給するというような想定のもとに計画的に整備しよう、ちょうど第二次ベビーブームの直前でございました。その時点では、全体で一万五千人という定員でございました。四十一年から五十五年にかけての第二次ベビーブームに伴ういわゆる児童生徒急増に対応いたしまして、五千人の増員を、それぞれ地域によって増員の幅はございます、県によって幅はございます、五千人の増員を行って二万人。

 ピーク時、いわゆる全体の卒業者で教員に就職率は七八%、こんなふうな状況になっておりました。その後、ベビーブーム後に少子化が参ります。ということで、その地域によってばらつきはございますけれども、教員就職率の低下という現象が生じてまいりました。

 全体のマクロで申し上げますと、その間、二回に分けて五千人ずつの定員減を行ってきて現在の一万人になっている、こんなふうな状況でございます。その一万人になるまで、一万人削減してきた過程の中でのプロセスで申し上げますと、先ほど、ピーク時、昭和五十四年、七八%の就職率は、実に平成十一年には三二%に下がってきております。そういうふうなことを加味して削減を行ったということで、現在は、先ほど数字を申し上げましたが、卒業生のうちの就職者の割合は五六・九%というふうになっております。

 以上、経緯を申し上げさせていただいたわけでございますけれども、各地域、県における退職教員、これは教科のばらつきもございます、中高の場合には。それから、採用者数の動向、特に年齢構成の問題で、どのぐらいの需給のギャップが出るかという問題がございます。それから、他の大学、近年は、小学校教員についても、私立大学等で開放制によって小学校教員養成課程の進出というのも相次いでいる、こんなふうな現状を踏まえながら、それぞれの地域の状況、県の状況に即しながら適切に定めるということが基本的な考え方としております。

吉田(泉)分科員 そうしますと、そもそもは、小学校の教員の大半、中学校の教員の半分ぐらいはカバーするんだということで始まったこの定員数だそうですが、それならば、少なくともその人たちは正規で採用したって本来の趣旨に違わないんじゃないかというふうに思います。

 時間も限られておりますので、最後に大臣の方から、この制度に関するこれからの方向性についてお伺いしたいと思います。

 同じ仕事、同じ待遇なんだけれども、常勤講師の先生方は一年契約でしかない。そして、大半の方が数年で今度は正規に採用される。私は、そうならば、最初から正規で採ってやったらどうなんだというふうに思います。

 これは、最終的には各都道府県の教育委員会の問題だということでありますが、国としても、正規なのか臨時なのか、採用の基準についてある程度の考え方を示して指導したらいいのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

渡海国務大臣 ずっと議論を初めから聞かせていただきまして、先生が今御質問をされたこの内容の趣旨というのは理解したつもりでございます。

 法律がございまして、その運用ということで、都道府県が主体になって教職員を採用しているという制度でございますから、我々は、都道府県が地域の実情に応じてきっちりとその趣旨に沿ってやっていただいているというふうに一応期待はしておるわけでございますが、なお、やはり、先生が途中でおっしゃいました、教員が情熱を持って教育に取り組むということが大変大事でございます。そういったことにそごを来すようなことにならないように。

 ただ、全体として、将来をどう予測するかとか、あと数年たちますと、要は、ちょうど団塊の世代のジュニアの先生。我々と思っていたんです、違うんです。先生とか我々と思っていたら、そうじゃなくて、我々の子供たちの世代が実は一番先生が今多いんですね。ちょうど七、八年から十二、三年ぐらいのところだと思います。

 ですから、その辺がどかっと定年になってくれるということになりますと、またそういったことにも対処しなきゃいけないだろう、そういったこと全体を見渡しながら、適宜適切な形で採用がなされていくように。

 同時に、まさに先生、大事な御指摘をいただいた。情熱を持って現場で取り組んでいただける、そういった採用のあり方について、都道府県についても十分配慮をして計画を立ててやっていただきたいということは指導していきたいというふうに思っております。

吉田(泉)分科員 ぜひ、法律にのっとってと今大臣もおっしゃいましたけれども、法律の二十二条で決めているこの三つの場合、これはいいと思うんです、臨時とかいう場合は。それに限るようにひとつ国としても御指導いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

横光主査 これにて吉田泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋(要)分科員 民主党の田嶋要です。大臣、よろしくお願いいたします。

 きょうは、政府が一昨年度から取り組み始めた二十四時間いじめ相談ダイヤルを中心に、時間があれば学習指導要領に関しても質問させていただきます。

 冒頭まず、大臣、一つ大変残念なのは、この関係の質問、かつて二度質問させていただいておりまして、さきの国会で青少年の筆頭理事もやらせていただいたときに子供の問題ということで取り上げさせていただき、そして予算分科会でも一度、伊吹当時の文部科学大臣に質問させていただきました。しかし、質問するたびに大臣がいろいろかわりますので、前の大臣と話してわかったと言っていただいたものが、一般論ですけれども、省内できちっと引き継がれて、同じ問題意識を役所の中で受け継がれておるのかなというのが、この問題だけに限らず、やはりちょっと心もとない。

 残念ながら、今回はさてどうなっておるかなといろいろレクを受けましたところ、私の見た感じでは、余りにも現状把握の実態がないのではないかというふうな印象を受けたわけでございますので、ぜひとも大臣には、きょうで三度目になりますが、プロジェクトと呼ばせていただきますが、実際のプロジェクトが一年数カ月を経た後の、まさにきょうは決算でございますから、一つの実績を踏まえてもう一度質問させていただきますので、ぜひとも具体的な期限を切ったアクションに大臣から御指示をいただきたいというふうに思っております。

 それでは、最初の質問に入りますが、このプロジェクト、言うまでもなく、時の安倍総理が新宿の小学校か何かを視察されて、当時本当にいじめの問題が全国で深刻化していた、そこの場で記者会見か何かをされて、こういったものを始めたいということをおっしゃられたわけでございまして、その後、実にスピーディーに進められ、補正予算がつきました。

 そういうことでございますが、手元に私も数字がございますので、お伺いいたします。

 補正予算がついての十八年度、そして昨年度十九年度、予算額と実際の執行額ということがございますが、まず文部大臣、この予算の額そして実際の執行額、大変大きな乖離があるわけでございますが、この点に関してどのようにお考えになっているか。こういった乖離は最初から予想できていたのですか、普通こういうものなんだということなのか、どのようにこれをごらんになっておるか、御意見をいただきたいと思います。

渡海国務大臣 足りない点があれば、従来の経緯もありますから事務方から答えさせていただきますけれども、基本的に、この乖離については、やはりこれは歴史が浅いんだろうなという気がいたします、正直。その中で、実際やっていることがなかなか上がっていない。執行額が非常に低いわけですね、委員が御指摘をいただいたように。十九年度で予算額が九億三千万で執行額が二億ということでございますから、思ったほど使われていなかったという結果なんだろうというふうに思っております。

 一つの理由は、非常に緊急対応として補正予算で十八年はあったということで、なかなか臨床心理士などの確保ができなかったということが挙げられております。

 それから十九年度は、補助率三分の一の補助金として予算が計上をされたわけでございますけれども、三分の一でございますから、三分の二は地方になるわけですね。そういった意味から、いわゆる補助裏の予算の確保が、県の予算の執行状況で確保できなかったということが考えられておるわけでございます。

 そういった点を踏まえて、二十年度で、十九年度の執行状況を勘案した結果で、相談員の人数は減らして、それから相談員の謝金の単価減というものも行って、予算を適正化して二億五千万という予算になった。

 これは全体の分析と結果でございますが、そういうふうに報告を受けておるところでございます。

田嶋(要)分科員 もともと日本でもチャイルドラインという民間団体が類似の事業をされておって、日々、大変財源に苦しんでおられる状況を目の当たりにしておったものですから、まず私、安倍さんの一声で十億近くですかの大きな額のプロジェクトが始まるということに驚いたわけでございますが、二度目の驚きがこの乖離なわけでございます。

 これは、今のお話の中にもございました、特に、最初は立ち上がりが補正予算で急だったということもありますが、フルの一年間の昨年度に関しては補助三分の一だということでございまして、言ってみれば、やってはあげたいものの、財源が厳しい地域にとってはなかなか使いづらい仕組みに変わってしまったのではないかなという印象を持ちます。

 現に、補正のときにはお金を使っていたけれども、十九年度になると執行額がゼロになってしまったという県が八県、そして政令市では三市あるわけでございまして、最初の、これは本当に子供たちの命を救うために重要だという、その時点では国が主導してやるという感じだったわけでございますが、実態は、それぞれの財政事情でかなり取り組みの状況が違うという印象を受けます。

 それと、いただいた資料によりますと、鳥取県や山口県そして熊本県においては、補助金の交付を受けずに二十四時間対応している。どうやってやっているかというと、指導主事が携帯電話で輪番を組んでやっておるということ。そうすると、その地域の財政難から、三分の一の補助金をもらうことができない、三分の二を負担することがかなわない、そういうお金をもらわずに、しかし、安倍当時の総理がやれと言ったから、一回線は持たなきゃいけないということで、相当無理な体制で、まくら元に携帯を置いた状態でやっておられるのかなというような感じもするわけでございます。

 そこでお伺いしますけれども、それぞれの地域がこのプロジェクトをやっていくに際して一体どういうような困難があるか、どの辺を改善してもらいたいか、そういったことに関してしっかりとした意思疎通はこの間行われてきたんでしょうか。いかがでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 この二十四時間いじめ相談ダイヤルの実施につきましては、今御指摘がございましたような、いろいろな工夫をしている都道府県もあるわけでございます。私ども、この二十四時間いじめ相談ダイヤルの実施に当たりましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたようないろいろな、予算額と執行額との遊離の問題もあるわけでございますけれども、各都道府県の方でどういうふうに具体的に取り組んでおられるのか、また取り組もうとしておられるのか、そういった実情についてしっかりと把握をしながらこの事業を進めてきたつもりでございます。

田嶋(要)分科員 それでは、今日までの一年強の間、特にフルで行われた昨年度の一年間の実績に関して質問をさせていただきます。

 いただいた資料でございますが、きょうは配付しておりませんけれども、民間、チャイルドラインに比べて数々の強みを持ったサービスとしてスタートいたしました。幾つか挙げれば、二十四時間、三百六十五日ということを最初から決めて始めた、チャイルドラインよりも回線数も多く用意し、そして子供たちがかけてくる電話は無料である、それが大きいことですね。それと全国共通の電話番号。言ってみれば、チャイルドラインが本当に長年のどから手が出るほど欲しがっていたものが、もう最初の日から全部実現をしたサービスとしてスタートした。理由は、もちろんでございますが、潤沢な財源を用意されたということでございます。

 そして、その結果でございますが、私の計算したところで、まず、着信が実現した、通話ができたものでチャイルドライン比二二%、あるいは子供たちの発信をした相談件数に対しての比率としてはチャイルドラインの一二%しか実際には通話がないわけでございますね。

 その現状をどのように評価されているか、そして、その乖離、パフォーマンスが悪いと言ったらあれかもしれませんが、大きな違い、そこの理由はどのようにお考えになっておるか、大臣、御答弁いただきたいと思います。

渡海国務大臣 全体の把握として考えますと、やはり一つは、まだ歴史が浅いということで、確かにカードは配っているんですね、配っているんだけれども、それがうまく徹底していないという点があろうかと思います。

 チャイルドラインというのは、委員も御存じのように、ある程度歴史があって、しかもその地域また時間帯というのはかなり、行き渡っているという言い方が正しいかどうかは別といたしまして、そういう認知度が非常に高いんだろう。そこのギャップはこれからも埋めるように、単にカードを配っているというだけじゃ埋まらないわけですから、委員がおっしゃいましたように、時間がたっているんだから効果が出るように、これは工夫をしていかなきゃいけないんだろうというのが一点ございます。

 それからもう一点は、これは、レクを受けて、そういうことがあるのかなという意識を私も持ったんですが、非常に機微に触れるような状況、機微という表現、正しくないですね。要するに、もう私は今から死にますというような電話の場合に、相手を特定しなきゃいけない。そういうことをどう扱うかということについて、少なくとも二十四時間このダイヤルは、いじめ相談ダイヤルについていうならば、やはり相手を聞く。チャイルドラインというのは、一切名前は特定されません。これはケースが違うわけですから、やり方はいろいろあるのかなとは私は正直思っておりますけれども、その辺のところがまだ少しはっきりしていない部分がありまして、全体がなかなか上がらないんだろう。当然そこに安心できるチャンネルがあれば、当然それは上がっていくだろうと思うんですね。子供さんにとってみれば、別にどちらであっても変わらないわけでありますから。

 ですから、その辺のところは、より分析すべきところは、もう今までもやっていますが、時間がありますからもうやめますが、分析して上げていかなきゃいけないと思います。

田嶋(要)分科員 今大臣がおっしゃった、子供にとってはどちらも同じという、その点が本当にそうなのかというような疑問も私は持っております。

 始めるときの私の印象は、これはいわば逆市場化テストじゃないか、あるいは国営化テストと言ってもいいかと思うんですが。もともと、本当にこれは官がやらなきゃいけないのかということで、まさにこれもイギリスを倣って、市場化テストという法律ができ、流れが出てきたわけで、先行して、まさに同じ、イギリスの長い長い歴史のノウハウに裏打ちされたチャイルドラインが日本でもスタートをして、十万コール以上の大変な活動にまで発展をした。しかし、財源の問題で、二十四時間も実現できない、統一番号も実現できない、もちろん無料通話も実現できない中で、そういういろいろなハンディを背負いながらここまで広がってきた中で、なぜ同じような話をまた官が、総理大臣が言ったということで、お金をふんだんにつけて始めるというのは、私は大変違和感がありました。

 しかし、その時点ではあくまで推測の話でございますから、まあ少しやらせてみるのもいいかな、これはもう身をもって差を感じることだと私は予想しておったんですが、この結果を見ると、予想どおりということだと私は思うんですね。

 そこで、まさにこれからも検討しなきゃいけないということを来られたお役所の方もおっしゃっておりましたが、反応は大変遅いと私は思いますよ。

 要するに、普通の会社でいうならば、株主から何億円かお金を預かっているわけです。これは実際、執行ベースでも数億円のお金を使っておるわけですね。そういったお金を使ってやっているのが本当に税金の無駄遣いにならないのか。片一方にお金を投じるということは、同じ額のお金をよそへは回せないわけですから。私なんかは、チャイルドラインにもっと出してほしいという思いがあるわけですけれども。そういったことはやはりスタートと同時に、PDCAでいえば、プラン、ドゥーをしながら、やはり不断のチェックを始めていかなきゃいけない。

 お話によりますと、これから分析しますというようなことなんですが、それではやはり本当に甘いと思うんです。国民のお金をお預かりして、ベストな、最適なやり方で政策を実現していくというのが本当に問われるわけですから、そのところは、大臣、過ぎた時間は戻りませんけれども、本当に甘い。これは、二億円のプロジェクトも二千億円のプロジェクトも同じですよ。要するに、それは姿勢の問題であり、官の世界の文化の問題ですね。

 だから、今国民の税金の無駄遣い、一円たりとも無駄にさせないということで、やはりこういうところ、前回の大臣と違う大臣なんですが、初めてお願いするわけでございますけれども、ぜひこれは期限を決めて、今度の年度の予算のこともございますので、期限を決めて結論を出していただきたい。

 私は、これを全部やめろというふうには今言うつもりはございません。それだけのデータはいただけませんでした。だから、一日も早く分析をし、そしてそれぞれの教育委員会の現状を調べ、そして、ちょっと教育委員会方式はいろいろ難点があるなというのであれば、同じ、今でき上がった共通番号のようなインフラを使って、チャイルドラインを前面に立てて、財政的なバックアップに国は回るという形もあると思うのですね。融合型ですね。恐らくイギリスなどは、チャイルドラインに毎年三億円ほどイギリス政府がお金を補助金として出しています。そういったいろいろな形態があると思うんですね。

 それを、期限を切って結論を出していただく、そのことをお約束いただきたいと思います。

渡海国務大臣 今いつまでに何をするとお約束はできませんが、要するに、私の責任の持てる範囲で、今委員がおっしゃったようなことに対して、しっかりと結論を出すということはお約束できると思います。

 というのは、申しわけありませんけれども、私自身が、どの点に着目をして、何をどうすればどうなるかということについて少しまだ勉強が足りないと正直認めざるを得ないと思いますから、その点につきましては少し時間をいただきたい。自分の目で、自分の感覚でしっかりと見きわめて、そして委員に責任のあるお答えをさせていただきたいと思いますので、今いつまでと切るのは簡単でございますが、しばらく時間をいただいて、そしてきっちりと返事をお返しするということで今は了承いただきたいと思います。無責任なことをするつもりはありません。

田嶋(要)分科員 きのう、質問通告してお願いはしておったわけでございますが。

 世の中の普通の民間の仕事の常識でいえば、期限を切るからこそみんな頑張って、そこに向かってやるということですね。期限をオープンエンドにすると、これはずるずるいっちゃいますよ。それでまた、気づいたときには、失礼かもしれませんが、次に私が質問するときにはまた違う大臣ということもあるかもしれないですよ。

 もういつもいつも繰り返しで、ではこの間、何かやっていただきましたかと文部科学省に聞けば、何もやっておりませんということが繰り返されるのが私は嫌なんですね。

 あの時点では、私は推測で物を言っていましたから、ちょっと強くは言えなかったけれども、一年たって、もう一度お願いしているわけですから、やはりこれは逆市場化テストで、本当に税金の、額的には、国の予算からいえば小さいかもしれませんが、私は何とか、来年度の予算にまた同じような額が単に惰性で組み込まれるのはよくないと思います。撤退するなら撤退する、あるいはでき上がったこのインフラをチャイルドラインと融合して、最大に生かしていける方策を考え出していただけるのなら、それもまたよしです。私は結論を持っていません。それをぜひ短時間の間にやっていただきたい。一カ月とか二カ月あればできますよ、これは。

 もう一度御答弁をお願いします。

渡海国務大臣 少なくとも八月にはきっちりと概算要求をしていかなきゃいけないわけでございますから、それまでには結論を出す。

 一、二カ月でできるという委員の今おっしゃり方もわかります。ただ、自分自身が、私も民間にいた人間でございますから、特に私は役所に入りまして一番大事にしているのはスピード感でございますから、その範囲の中で、できる限り早いこと結論を出して、委員にお返事をさせていただきます。

田嶋(要)分科員 それと、前文部大臣にもお伺いして門前払いであったわけでございますが、チャイルドラインのような民間NPOになぜ積極的な経済支援、財政支援ができないか。これは、理屈は後からついてくると私は思うんですよ。それは、絶対これが正しいというのはない。現に、イギリスとは全然違うわけですからね。だから、NPOに国が支援するというのはちょっと筋が違うんじゃないでしょうかと前の大臣はおっしゃっておりましたが、例えば、イギリスなども八%ですよ。イギリスのチャイルドラインの財源のうちの八%が政府。おんぶにだっこでやっているわけじゃないんです。

 しかし、そうはいっても、極めて重要な公共サービスをやっていて、既に実績も十分ある、イギリスでも成功事例になっているというときに、手をこまねいていると、まさに今大臣おっしゃったスピードという意味で、子供を救えないじゃないかということにどういうふうにこたえていくんだろうかと私は思うんですね。

 チャイルドラインといじめ相談ダイヤルの一つの違いは、かかってきた電話のうち、どれだけ受けられているか。チャイルドラインのおよそ倍受けておるんですよ、教育委員会方式は。それだけ財源がないために見逃しちゃっているんですね、子供の悲痛な声を。

 だから、私は、期限を切ってという話以外にもう一つお伺いしたいのは、チャイルドラインをちゃんと財政的に支援したいということを、今までの大臣が言えなかったその一言を踏み込んで御答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。

渡海国務大臣 今委員は、私は結論を持っていませんとおっしゃいました。そのことも含めて、チャイルドラインの支援がどういう形でできるかということも含めて結論を出して、お答えをさせていただきます。

 NPOの仕組みというものの中でどういうふうにやれるかということは、知恵が要ると思います。これは一般のNPO全部にかかわりますから。そうでしょう。これは委員もおわかりいただけるかと思います。

 ですから、今でも少しはやっているんですよね。でも、これでは不十分だとおっしゃるなら、どういう知恵を出せばやれるのかということも責任を持って考えないと、それはやりますとかそういう話ではないと思いますので、そのことも含めて検討させていただきます。

田嶋(要)分科員 前大臣より少し前向きのような感じもいたしますけれども。

 いずれにしても、おっしゃるとおりです、すべてのNPOに共通の課題です。これは要するに、公共サービスを、担い手にかかわらず、どうやって支援していい社会をつくっていくかということで、ちょっと二重投資になっている嫌いがあるという懸念を私は持っていますから、ベストな仕組みをつくっていただきたい。二十四時間、共通番号というのは、もうインフラができ上がっているといえばでき上がっていますから、それをチャイルドラインと融合していただくというようなことをぜひ考えていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、学習指導要領に関してお伺いします。

 これは大臣も記者会見等もされておるということでございましょうが、私は新聞等で拝見をしておったわけでございますが、実は、たまたま私自身も小学校の学習指導要領の案を見せていただいて、文部省の方に意見を申し上げたんですね。しかし、もちろんそれは、もちろんというか、最終の告示には反映されていないわけですが、私の感覚的には、やはり中教審の案というのは、てにをはの間違いが明確にあれば修正されるけれども、そうでなければ基本的には直らないものなんだろうなと。現に、十年前の場合にはそんなような状況だったということでございました。

 実際に告示されたときの新聞記事各紙、割とやはり批判的な書き方で、驚きを持って受けとめ、私自身も驚きました。私は、最終的な告示の内容に問題があるという主張は強くは持っておりません。そうではなくして、こんな不透明な手続でいいんだろうかということに関して問題意識を持っておるわけでございます。

 そこで、最初にお伺いいたしますけれども、これはもちろん行政手続法にのっとった制度でございますが、大臣は記者会見等で十分御答弁されたかどうかわかりませんので、今回のこの手続、これは学習指導要領がパブコメに付されなきゃいけないものだという前提に立っておるわけですが、手続全体を振り返って、ちょっとこの辺はまずかったかなとか、そういう何か御反省点とかはございますか。

渡海国務大臣 手続上何かそごがあったとは正直思っておりません。

 ただ、一見不透明に行われたというふうな印象を持たれたということについては、何か我々自身も考えなきゃいけないところがあったかなという意味での反省は持っております。私は常にそういう反省はすることにしております。

田嶋(要)分科員 どうして不透明という印象を持たれたと思いますか。

渡海国務大臣 それは、例えばパブリックコメントというのが事実ありますね。それで、通常、パブコメでそんなに直すものじゃないというふうに言われますが、前回の改訂というのはパブコメという制度はなかったんですね。それで、通常のパブコメというのは、実はせいぜい十か二十か、多くても五十ぐらいしか来ないんですよ。今回は六千件近く来ているんですね。それ以外にもいろいろな意見が寄せられて、委員の意見も一つですよ。

 そういったものをすべて総合した上でやったわけでございますけれども、それが何かまるで一部の意見によってやられたように受けとめられたというふうな点があったとしたら、それはどういう点がまずかったのかなと。そういう意味で、私は何かやり方がまずかったのかなという反省はしたということです。

田嶋(要)分科員 だから、そのまずかった点は何か御認識があるんですかという質問です。

渡海国務大臣 ですから、先ほどから申し上げているように、そんなに手続は間違っていなかったはずだけれどもというふうには思っております。

田嶋(要)分科員 だから、私も違法な手続だったとは思いませんよ。今の行政手続法の仕組みの中でやられたとは思うんですよ。だから、それは行政手続法の改正も含めて、私は課題が残ったと思うんですね。しかし、やはり、いろいろな、国民がそういうふうに感じた、私も含めて感じたということは、何といってもやはり情報公開、透明性が十分ではないということです。

 きのう、全文公開されましたね。それは、以前に質問された方に対する御答弁のお約束を果たしていただいたということで、やらないよりはもちろん、遅きに失しましたけれども、パブコメ全文公開は結構でございます。

 そこで、お伺いするんですけれども、私を含めた政治家、国会議員、国会議員ももちろん国民ですから、パブコメで意見することはできるんですが、実際、今回の告示に至るまでのプロセス、パブコメ期間、そしてパブコメを終了した日からおよそ二週間ありました。その間に国会議員からいろいろな意見が出ているのではないかと思うわけですが、それは情報公開はしないんですか。

渡海国務大臣 委員もおっしゃったように、いろいろな意見は寄せられていますよ、それは。だけれども、別に、情報公開は初めから考えていたことでありますし、それから、パブコメについてはちゃんと整理をして、そしてインターネットでも公開をいたしております。少し全体が時間がかかったのは、これはやはり個人情報でございますから、そういった意味では、全部名前を消して、その作業に時間がかかったわけで、これは委員会の質問以前からちゃんと考えていたことでございます。

 それで、国会議員はという質問でございますが、国会議員も国民の一人でありますし、それから、国会議員はいろいろなところで実際意見を出されているわけでありますから、そのことで我々はすべて変えたわけではありません。記者会見でもそのようにお答えをさせていただいております。

田嶋(要)分科員 今回初めてパブコメが制度化された後の改訂だったわけでございますが、あえて言うならば、それによって透明性が下がった可能性もあると思うんですね。

 国民に関しても、全意見を今回公開された。どこそこのだれべえさんが意見をしたということは恐らく国民は余り関心はないと思いますので、もちろん、個人情報の関係で、そこは公開する必要はありません。

 しかし、国会議員が、学習指導要領は法律の議論をするわけじゃございませんので、これを法律として国会で民主主義の手続を踏むのならいいですよ。しかし、今そうなっていないのであれば、やはりこれは公人ですから、公人の何々党のだれべえのこういう意見があった、それで、これが改正の最終的な告示に影響したと。別にこれは悪いことじゃないんですよ。悪いことじゃない。最終判断は文部大臣ですよね。それは我々も認めているわけですから。しかし、その手続が、パブコメで同じような意見が二十人あったからという理由だけでそうなったのか、いや、その二十人に加えてどこそこ党のだれそれがこれも言っていましたということは、やはり、これは一般の意見以上に、同等、あるいはその個人名も含めて、これは個人情報には私は当たらないと思うんですよ、もともと公人の意見ですから。国会でしゃべっているのが全部記録に残っているのと同じ話ですよ。

 だから、それは今回やっておられないと私は思いますが、やるべきだと思いますけれども、大臣、もう一度お願いします。

渡海国務大臣 国会でも議論はされておりますし、皆さん意見は言われておりますし、また、それに至る過程でも、例えば最初に出された場合、中間報告の場合でも、いろいろと意見はされるわけですよ。十八日に出た段階で、ある程度出されているわけですよね。国会でずっと質問も受けてきたわけでございますから、そのことについて、一々、国会議員だから公開をするとかしないとかいうことじゃなくて、もう既に公開された情報と私は何も変わらないと思いますし、そのことで何をやったということではありませんから、先ほどのようなお答えをさせていただいたということでございます。

田嶋(要)分科員 現に教育現場に多大なる影響を与えるこの学習指導要領が、三年の年月、専門家の方々の真摯な議論の結果として案として出されたにもかかわらず、その後のパブコメと最後の二週間で、あれっというふうに首をかしげた人は多いんですよ。原因はよくわからないとおっしゃいますが、もうそれは明確ですよ。

 だから、それは、私は変更内容に異議を唱えているのではなくて、手続として、どんな方から見たって透明性が高まった方がいいに決まっているわけですから、大臣はそうはおっしゃっても、私はこれは不透明感は残りますよ。

 だから、何々町のだれだれさんまでは必要はないけれども、公人の情報は、だって、現に、国会とか質問主意書で言っている場合だけじゃないでしょう。例えば、私が、部屋に来ていただきましたよ、私は読書週間のことを言いましたけれども、そんなのどこにも残っていないじゃないですか、情報。国民は知っていますか。衆議院議員の田嶋要がこういう指摘をした、でも却下されたみたいな話は残っていないでしょう。これも含めて、やはりきちんと言うべきですよ、それは。そう思いませんか。

 だって、隠しているわけじゃないとおっしゃると思うけれども、見せない理由はないじゃないですか。国民の意見も全部公開したんだから、全文。

渡海国務大臣 それは私の責任で出させていただくものですから、だれの意見だった、あれの意見だった、では結果がこうなりましたということになれば、ではその人の意見でこうしたのかということになるから、それは違いますと。すべてそういうものを考慮した上で、私自身が、今回は、教育基本法、これが制定をされて初めての指導要領でございますから、その枠の中で実はやれるところは私はやった、いろいろな意見も含めて。ということで御理解をいただきたいと思います。

 それから、透明性という意味では、従来はパブコメというような手続はとらなかったわけですよね。そういうことから考えれば、今後もやはりパブリックコメントにかけるといったような手続はきっちりと残した方がいいだろう、こういうふうに思います。

田嶋(要)分科員 ちょっと超えちゃいましたけれども、パブコメをなくせとは申しておりませんけれども、私は、今回、いろいろ問題、課題が残ったというふうに考えておりますので、また今度総務委員会でも質問させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

横光主査 これにて田嶋要君の質疑は終了いたしました。

 次に、石関貴史君。

石関分科員 民主党の石関貴史です。

 大臣に初めて質問の機会をいただきまして、楽しみにやってまいりました。大きく分けて六点について御質問をさせていただきたいと思っております。

 一点目は、いわゆるゆとり教育ということについてですが、この功罪、いろいろ議論されておりますし、学習指導要領見直しということもありますが、そもそも大臣の御認識で、いわゆるゆとり教育というものはどういったものを指すのかということを、いろいろな教育界の識者の方もこういうものだとか論じられておりますが、大臣の御認識としてはゆとり教育とはこういうものだという御認識をお尋ねいたします。

    〔主査退席、福井主査代理着席〕

渡海国務大臣 ゆとり教育というのは、十年前の指導要領の改訂で、できるだけ詰め込みではなくて、もっと自分で考える力をつくろう、理念は当時も生きる力とおっしゃっていたと思いますが、そういう議論がされまして、そのことで授業数を少し減らして、自分で考えられるような、総合学習のような、こういう授業を取り入れた。そのことから、主にメディアが使ったと言われておりますが、これはゆとりなんだ、もっと余裕を持って考えられるようにしようといったようなことから、ゆとり教育ということが言われたというふうに承知をいたしております。

 しかし、その趣旨は、今も私が申し上げましたように、自分の力で考える、いわゆる生きる力ですね、単に知識を詰め込むのではなくて、考える力、そういったものをはぐくむ、総合力を身につける、そういったことがゆとり教育の趣旨であったというふうに考えておるところでございます。

石関分科員 これは、ゆとり教育という言葉自体、そう使われたかどうかわからないんですけれども、日本教職員組合の元委員長の方が二〇〇七年七月一日のテレビ番組において、ゆとり教育というのは日本教職員組合が七二年にそもそも提起をしたものだ、こういう発言をされているんですが、ゆとり教育的なものには、やはりこの七二年の発言というのも反映をされてこういう制度ができたんでしょうか。

金森政府参考人 現行の学習指導要領のもとになりましたのは、平成八年の中央教育審議会の答申、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」という答申でございます。

 この中で、子供と社会全体のゆとりの確保ということが必要だということでございまして、そこで意味するゆとりというのは、もちろん時間的なゆとりを確保することも重要であるが、心のゆとりや考えるゆとり、これを確保することがさらに重要である、こういった中央教育審議会の答申に基づいて、学習指導要領におきましても、先ほど大臣が御答弁申し上げましたような対応をいたしたところでございます。

石関分科員 それは承知しているんですが、それに、私がお尋ねした、大臣はここまでということでないと思いますし、事前に大臣にお尋ねすると申し上げていないんですけれども、テレビで、槙枝さんというんですか、元委員長の方が、七二年にゆとり教育とともに学校五日制も提起をしたんだと、これは日教組が提起したんだということをおっしゃっているんですが、こういう御意見も取り入れられてやったのか、この日教組の意見を反映した改訂であったのか。いかがですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございました日教組の主張は主張として当時あったんだろうと存じますけれども、私どもといたしましては、これは実はゆとりという言葉は昭和五十二年の改訂でも使っておりまして、当時は、ゆとりある充実した学校生活の実現ということで、昭和五十二年の学習指導要領の改訂を行ったところでございます。

 ですから、ゆとりをめぐりましてはいろいろな御意見があるとは存じますが、私どもは、そういった中央教育審議会での議論を踏まえ、いろいろな施策を講じているところでございます。

石関分科員 余りしつこくやってもあれですけれども、一点だけ明確にしておきたいんですが、こういう御意見があったことは承知をしているということでありましたが、この意見も取り入れて改訂を行ったのかどうか。多くある意見の一つとしてしっかり御意見として承った上で改訂をしたのか、それは一般的な意見であって、これとは別に御判断をされたのか。これだけ、はっきりお答えください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 ゆとりということをめぐりましてはいろいろな御意見が当時からあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、どの意見を取り入れてこうしたということではなくて、当時、子供たちにもっとゆとりを持たせるべきだ、こういう考え方がございましたので、それに基づいてこのような措置をとったということでございます。

石関分科員 ちょっとはっきりしないので、これは余りやるつもりなかったんですけれども、例えば、審議の過程で日教組からこういう御意見が出ているとか、例えば議事録に載っているとか、そういう明確な形で御意見を反映したり意見として承知をしていたかどうか、このことをお尋ねしているので、広範な意見からこういった改訂が行われたことは私も承知をしておりますが、日教組の元の委員長の方がはっきりこういうふうにテレビでおっしゃっているので、これを明示的に承知していたかどうかということをお尋ねしているんです。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 当時のことでございますけれども、そういった御議論があったということは当時承知をしていたと思いますけれども、それをもってゆとり教育云々ということに踏み切ったということではございません。

石関分科員 はっきりお答えになられてはおりませんけれども、これぐらいにしておきたいと思います。

 次、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 大臣の発言についてでございますが、これは大臣の不祥事ではありませんよ。ただ、私、愛読している「公務員の不祥事」というブログがあって、非常にこれは有用なんですね。これは、大臣、不祥事ではありませんので、お断りをしておきますが、このブログ、だれでも検索ができるブログでございます。大変充実をしていて、間違っていたらすぐ改定がされるという内容の濃いものであるんですが、これはことしの成人の日の後、大臣が十五日、閣議後の会見で、ゆとり世代がインターネット上の掲示板などで低学力の代名詞として扱われていることをめぐって、大臣は反論されていらっしゃいますね。そう見る必要は全然ない、一つの世代を一元的にとらえることはなかなかできないんだ、こういうふうにおっしゃっている。私もこのことはそうだなというふうに納得がいくところでございます。

 それから、この続きで、ゆとり世代について、最近の若い子はと言われるが、世代が変わると文化、価値観、興味も変わる、一概に今の若い人の行動をわれわれがどうこう言うのは適当ではない。これからは若い人が活躍する世代になる、彼らの未来に期待したい。現在の思いを忘れないでほしい。これは失敬な言いぶりですけれども、ここにあるものをそのまま読むと、「と中身の無いエールを送ったという。」。

 私、大臣のおっしゃることは確かにそうだなと思うんですが、現に今、文部科学大臣でいらっしゃって、ゆとり教育の問題がこういう問題になっている中で、まさにこの、当たりさわりのないというか、中身のないと言うと無礼に聞こえるかもしれませんが、確かに、いつどこで言ってもいいような内容を大臣としておっしゃるというのは、少し味気ないな、つまらないなと。せっかく若い世代に、ゆとり教育のもとで育った皆さんに、もう少し味のある大臣の御意見をお聞かせいただきたいなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

渡海国務大臣 弁解ではありませんが、当時の私の意識としては、ゆとり世代ということが少しマイナーというかマイナス面でとらえられていたような印象がそのやりとりであったと思うんですね。だから、私はこういうメッセージを送ったんです。それぞれの世代にはそれぞれの世代の文化があり、価値観がある、だから、そういう人たちが大人になれば、その主役になった彼らが文化をつくっていくんだし、担っていくんだ、だから期待している、その新しい文化をつくってくれという意味で私はエールを送ったつもりでございます。

 事実、その後の記者会見で、これも取り寄せたらそんなこと言ったかと正直に思ったんですが、私の青春時代はバリケードの中でしたから。そういう世代でありますから、団塊の世代というのは。でも、だからといって、社会へ出てみんな石をぶつけて暴れているかというと、そうではないわけですよね。ですから、そういう意味でこれは使わせていただいた。

 今の若い人を見るとき、私はいつもそうなんです。我々も父親の世代から見ると、例えば、長くはしゃべりませんが、ビートルズ世代でして、今は大分薄くなりましたが、こんな髪の毛にして、そして汚い格好をして歩いていたわけですよ。議員会館を出入りしていたら、私は二世ですが、支持者にしかられましたよ、子供を、あんな格好で出入りするなと。そういう世代ですよね。でも、我々の世代も我々の世代なりに頑張って、そしてもう定年を迎えているという世代なんですね。時代には常にそういう背景がある。

 文科大臣としてと言われましたから、もう少し教育的なメッセージを送った方がよかったのかもしれません。しかし、私はいつも若者に言いたいのは、いつか君たちが主役になるんだよ、そのことを考えて頑張ってほしいというのが率直なメッセージでございまして、そういうふうに御理解をいただければ幸いであるというふうに思っております。

石関分科員 大臣の意図というか発言の意味についてはわかりましたけれども、私も成人式等に出席させていただいて、よく、立派な大人になってくださいとか、責任感を持ってくださいというあいさつをされる方がいっぱいいるんですね、いわゆる来賓で。ただ、立派な大人って何なんだとか、責任感を持ってくれって何なんだと、わからないですよね。私はそういうごあいさつはしないようにしているんですが。

 せっかく大臣が今おっしゃったような御自身の経験があり、やられてきたわけですから、やはり大臣としてもう少しメッセージ性の強いものを、私も長髪だったけれども今こうだとか入れてくれると、確かに中身のないというとられ方はしないでしょうし、せっかくの大臣の豊富な経験を、今後、若い世代また文部科学行政に生かしていっていただきたいなというふうに思います。

 この問題については、あとPISA、いわゆるOECDのPISAの調査でずっと学力が低下しているということがございますので、このことに対して具体的にどんな手段をということもお尋ねしようと思っておりましたが、ちょっと時間もありますので、次に移らせていただいて、時間があったらまたお尋ねをしたいと思います。

 二番目に、私の選挙区の地元にある大学なんですが、東京福祉大学という大学がございまして、ここの総長の方が逮捕されておりますが、この事件の経緯について、文部科学省が把握している経緯を簡潔に教えてください。

磯田政府参考人 東京福祉大学の学長並びに同大学を設置する学校法人の理事長であった者が、平成十七年五月から平成十九年五月までの間に起こしたとされる五件の強制わいせつ容疑により、ことし一月から四月にかけて合計四回にわたって逮捕され、同氏は、最初の逮捕の時点から今日まで継続して身体を拘束されているものと承知しております。

石関分科員 私は、当時の地元の伊勢崎市議会に所属をしているときにこの大学を誘致いたしまして、当時あいていた中学の跡地を提供してこの大学が入ったということで、よく私も覚えているんです。

 この大学は大丈夫ですかと当時の市の執行部の方に私も特に興味を持ってお尋ねしましたら、大学の内容はよくわからないけれども、つづめて言うと、財政基盤がしっかりしているので市としてはいいという判断をしたんだ、こういうことでございました。

 ただ、その後、開学式や何かに私も出席をいたしまして、いろいろ疑問に思うことがありました。大学の校章にも船のマークがついているんですけれども、このやめられた前総長は、茶屋四郎次郎さん、源氏の末裔だという商人の末裔だ、立派な家系ですよということを売り物にして、まさに校章にも使っているわけですから。それで、そのことが校歌の中にもうたわれ、御本人の名前も校歌の中に出てくるんです。

 これは大学の設置のときに、文部科学省が認めて大学になったわけですけれども、こういったことを承知していたのか。

 また、この総長が、茶屋四郎次郎さんという、家系図もしっかりある、歴史にも出てくる人の本当の末裔であったかどうか、このことについてもどのように把握をされていたか教えてください。これは大学の設置に大きくかかわる問題であると思いますので、このことを教えてください。

清水政府参考人 大学の設置認可のお尋ねでございますが、東京福祉大学は、十一年度に設置認可、平成十二年度開設となっていることは先生御承知のところでございます。

 今回逮捕されました中島恒雄氏が学長に就任したのは平成十五年四月ということでございまして、その際、十五年の段階で学長変更に伴う届け出がなされております。

 大学の設置認可については、基本的には、設置計画に対して、設置基準に基づき、教育課程、教員組織、施設設備などの審査を行って、その設置計画が確実に履行されるかどうか、されるということを条件として認可する、こういうことでございます。

 具体的には、もう御承知のとおり、申請書類のいわゆる設置の趣旨、目的の妥当性、体系的な教育課程、専任教員の配置、施設設備等についての書面審査、あるいは実地調査等を内容として審査を行う、こういうふうなことでございます。

 さきに申し上げましたように、中島恒雄氏自体は、設置認可、開設時点においては学長ではございませんでした。したがいまして、その内容については承知していないということでございます。

石関分科員 実地調査等もやってということでありましたが、実地調査等ではこういうことは判断されないんですか。

 例えば、立派な家だから、こういう名門がやっている大学だからこれはいいじゃないかということで入学をされた方はいらっしゃると私は思いますよ。現に、伊勢崎キャンパスの中にも博物館みたいなのがあって、茶屋四郎次郎記念館というものがあるんですよ。こういうものを全然判断されないんですか。

 もしこれは真っ赤なうそで、こんな家系でも何でもない、それは家系によって差別や区別ということはいけません。しかし、これを売り物にしている部分が確かにあるわけですから、これに全く関知をせずに大学を認めていいんですか。

磯田政府参考人 東京福祉大学の学長が、ホームページ等におきまして、みずから、清和天皇の末流小笠原源氏の流れをくむ茶屋四郎次郎清延第十七代直孫と称しておりますことは承知しておりますが、それが事実であるかどうかは現在のところ不明でございます。

 一般論といたしましては、各大学のホームページ等におきまして、学生が進学先を選択するに当たっての重要な判断材料となるような情報に虚偽があってはならず、虚偽であることが判明すれば、文部科学省としては是正を指導すべきと考えております。

石関分科員 私は虚偽ではないかという疑念を持ってお尋ねしているので、このことについてお調べをするとかいうことは考えていらっしゃるんですか。例えば、信頼に足るものかどうかは別にして、インターネットで茶屋四郎次郎と引くと、ウィキペディアという、いろいろ話題になる、ここにも書いてありますよ。「その他 東京福祉大学・理事長の中島恒雄はこの茶屋家の分家・尾張茶屋家の末裔と自称しているとされる。」と。

 この学長はやめましたけれども、でも、ずっとこの人はワンマンでやってきたので、こういう事件の温床にもなっているわけですよね。これはいいんですか、文部科学省、こういうのを野放しにしておいて。

磯田政府参考人 今御指摘の学生への広報活動でございますが、説明全体を拝見いたしますと、茶屋四郎次郎を初めとする茶屋家の人々が、多くの危険を克服して朱印船貿易を行ったということを踏まえて、同法人としては、今日の教育現場における困難な課題に取り組む決意、こういうものを表しているものと理解しております。

 もちろん、今回の事件にかんがみまして、私どもの方では、逮捕の翌日、直ちに学校法人から事情を聞くとともに、その後、継続して事情聴取を行い、事実関係の把握、再発防止策の策定、在学生の不安解消や良好な教育環境の維持等について速やかな措置を講ずるよう指導しているところでございます。

 現在、学校法人では、新理事長、新学長のもとで再発防止策などの検討を進めている状況でございますので、その検討状況の中で、引き続き適切な指導助言を行ってまいりたいと考えております。

石関分科員 では、私が今申し上げた茶屋四郎次郎の末裔かどうか、これは天皇家の末裔というのは大変なことですよ。これを売り物にしているわけですから、校章にも入れて、校歌にも入っているということですので、私は、重大な学校の売り物というかセールスポイントだと思いますけれども、では、これについてもちゃんと調べますね、今の調査の中で。

磯田政府参考人 先ほど申し上げましたように、学生が進路先を選択するに当たっての判断材料として、虚偽である、あるいは不適切であるということであれば、その判断を踏まえて是正をしていくように指導してまいりたいと思います。

石関分科員 だから、虚偽があるかどうかは調べなきゃわからないわけなので、今御承知でないということですから、私が聞いているのは、調べますねということを聞いているんですよ。だから、あればという他人事じゃなくて、文部科学省が設置を認めているから立派な大学になっているわけですよ。

 私は、ここに聴講というか視察に行って、クラスも一時間ぐらいいましたよ。これは大学という名前はついていますけれども、学長が指して、生徒をあなた、あなたといって、三ページずつぐらいみんな教科書を読む。私の感覚では、これが大学かなという感覚がありましたが、それは文部科学省の立派な基準を満たして大学になっているということだと思いますけれども。

 この根幹にかかわるような、天皇陛下の末裔だ、これについて事実かどうかというのは調べなきゃおかしいと思いますよ。今のは全く答えになっていないけれども、調べますね。

磯田政府参考人 まず、大学の改善につきましては、それぞれの各大学において自主的な努力をしていただくということで考えておりまして、この点につきましても、学校法人にまず第一には説明責任があると理解をしておりまして、その学校法人の対応を踏まえて、今委員の御指摘のことも十分考えて対応を考えたい、決めたいということでございます。

石関分科員 いや、だから、対応というのは、あなた、これについてはどうしますかといって対応するのであって、茶屋四郎次郎の末裔は本当ですねというようなことを聞くということですね、という理解をまずしていいかということが一つ。

 それからもう一つ、この不祥事を受けて経営主体が変わっているんですよ。まさに茶屋四郎次郎記念何とかというところへ法人の経営主体が変わっていますから、これも含めて大変大きな問題だと思いますので、今の対応を求めるということについては、このことについてもお尋ねをして対応を見た上で御判断をする、こういう理解でいいですか。私が言っているのは、茶屋四郎次郎云々ということについてですよ。

磯田政府参考人 学校法人側からは、同氏が茶屋四郎次郎清延の十七代直孫にあることを示すという家系図の提出がありました。かつ、これまでに、愛知県にございます関連の茶屋四郎次郎記念学園につきましても、所轄庁である愛知県に、名称に起因する問題がなかったかどうか、この点も確認しているところでございまして、これまでそういう努力はしておりますが、今委員が御指摘の点も十分踏まえて、さらに学校法人に、中身について議論をするということになろうと思います。

石関分科員 家系図というのは、御承知だと思いますけれども、大臣も、黒沢明の「七人の侍」をごらんになったことがあると思いますけれども、あの中に出てくるけれども、売り買いされていたものもあるんですよ、全然関係ない人が。

 この末裔だということも過去に歴史上あり、しっかり調べて、結果については公表されるんですか、今私がお尋ねしたことは。

磯田政府参考人 本学校法人に対しましては、全体的な改善につきまして、改善方針を定め、それを社会に説明責任を果たして具体的に対応を進めていく、それを我々としては見守ってまいりたい、かつ必要があれば、適切な指導助言をしてまいりたいと考えているところでございます。

石関分科員 これはしっかりした証拠なり判断基準があって指導できることですから、しっかり調べてください。これは大変なことですよ。こんないいかげんで、これがもしうそだとすれば、では、文部科学省の審査というのは何なんだ、文部行政は何なんだということになりますので。国の信用ですよ。しっかりやっていただきたいと思います。また、この結果については折を見てお尋ねをしたいと思います。

 もう一点、大学について、やはり群馬県ですが、高崎経済大学、この大学で女子学生が自殺をされました。指導教官がちょっと度を超えた指導をしたということで自殺をしたというふうに報道されておりますが、この指導をしたのは准教授であって、この方は反論の機会もなく一方的に大学に処分をされたということをおっしゃっていて、これは公立ですので高崎市が設置者であり、高崎の市議会で、設置者の市長に対して、この処分等について文部科学省に問い合わせをしたかというふうに質問を市議会議員の方がされました。しかし、市長は、大学の自治というややこしい問題もありお答えできないということでありましたが、実際、文部科学省に高崎経済大学からこの処分についての問い合わせや指導を求められた、こういう事実はございましたか。

清水政府参考人 ございません。

石関分科員 わかりました。

 では、簡潔に、そもそも大学の自治というのはどういうことを指すんですか。市長は、大学の自治ということもあり答えられないというふうに言っているんですが、大学の自治というのはそもそも、文言は私も承知していますけれども、簡潔に言うとどういうことですか。

清水政府参考人 大学の自治というのは、憲法二十三条の学問の自由に由来するとして、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行ということでございます。

 そこで、高崎経済大学に即して申し上げますと、これは公立大学でございますので、地方公務員法及び教育公務員特例法の適用がございます。教育公務員特例法におきましては、教員の懲戒処分については、評議会の審査の結果によるのでなければ、懲戒処分を受けることはない、そして、その場合に、基本的に、また懲戒処分は、学長の申し出に基づいて任命権者が行うというふうなことでございます。

石関分科員 大学の自治というのはそういうことだということでございます。しかし、それは自治をする能力のある大学だったら、しっかりお任せをして自治をやってもらうということでありますが、まさに大学の自治に値する大学として文部科学省が認めているかどうかということも大きく問われるところでございますので、今のことも踏まえて、先ほどの東京福祉大学の問題についてもしっかり文部科学省の対応をお願いいたします。

 それで、時間がなくなりました、簡潔に。

 小中学校へコンピューター、校内のLANというものの導入を進められていると思いますが、諸外国、先進国と比べると、日本は随分この普及がまだ低いのではないかということでございますが、現状と、今後どういう計画で設置を進めていかれるのか、このことについて簡潔にお答えください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 校内LANやコンピューターの整備状況でございますけれども、校内LANの整備率につきましては、我が国では、平成十九年三月現在、小学校五〇・四%、中学校五二・八%でございますが、米国や英国などでは、各国の調査によりますと、米国では、小学校九三%、中等学校九五%、また、英国では、小学校八〇%、中等学校八八%となってございます。

 また、コンピューター一台当たりの児童生徒数につきましては、我が国では小学校八・九人、中学校六・七人でございますが、米国や英国では、各国の調査によりますと、米国は小学校四・一人、中等学校三・三人、英国では小学校五・二人、中等学校三・六人となっておりまして、我が国における学校のICT環境の整備は先進諸国と比べますとおくれている状況にございます。

 私ども文部科学省といたしましては、これまで学校のICT環境整備について地方自治体の取り組みを促進してきたところでございます。また、校内LAN整備につきましては、総務省とも連携いたしまして、各普通教室等をつなぐ校内LAN整備を重点的に支援することとしたところでございまして、今後ともICT環境整備に向けて必要な施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

石関分科員 ICTの環境整備と、それからいわゆるPISA的な学力とか、学力の尺度もいろいろとありますが、これの相関についてはちょっとまだはっきりした研究もないんだろうと思います。お尋ねしようと思いましたが、また別の機会にこれはお願いをしたいと思います。

 最後に、大臣にもう一点。

 就学援助というものが大変増加をしている、数ももちろん額も、というのがあって、これはいわゆる格差社会になって、教育というか、親御さんたちの格差も広がっているということも反映されているんだろうというふうに思います。ただ、これが続いていくと、ますます教育格差が広がるということでもありますし、一方、給食費の未納という問題がございまして、戦後、どうしても物資がないとか、非常に欠乏している時代だと、御飯がないとか、こういうこともよく私も聞いておりますけれども、今の所得が低いという方もいらっしゃる。ただ、規範意識も低下をして、給食費を未納する人もふえている。それぞれ事情はあると思いますが、文部科学省の調査でも、もう既に十万人、総額が二十億を超える額が未納になっているということでございます。

 各教育委員会において、いろいろな確約書をとるとか、申し込みをさせてから給食をとか、契約にするんだとか、あるいは出さないとか、強制執行して給料からそれを取ってしまう、いろいろ、それぞれの教育委員会で苦慮されているところでありますが、文部科学大臣として、やはり教育の元締め、国のリーダーでありますので、こういった問題に対する認識、それから対応としてどういった対応をとるべきなのか、このことについて最後、大臣にお尋ねをしたいと思います。

    〔福井主査代理退席、主査着席〕

渡海国務大臣 今、規範意識ということがありました。保護者が規範意識に欠けるというのは大変問題だというふうに思います。

 ただ、そういったことが、給食費の未納ということが先生の負担になったり、また、経済的に先生が肩がわりしているというような例もあるわけでございますから、やはりこれは一義的には教育委員会がしっかりとこの問題に向き合っていただいて、地域においてきっちりとやはり解決策を見出していただきたい。我々も都道府県に対してそういう指示を出しておるところでございます。

 なお、制度上、今の制度、就学援助とかさまざまな制度がございますが、そういったことにおいても対応すべきことがあるのかないのかということについては、なお検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、特に義務教育というのは格差があってはいけないわけでございますから、そういう視点に立ってしっかりと対応していきたいというふうに考えます。

石関分科員 今の大臣の発言、中身がないとは全く申しませんけれども、やはり教育委員会の現状を考えると、大臣がおっしゃるような自主性に任せるだけではなかなか対応が困難な現実もございますので、文部科学大臣としても、長としても、やはりこういった対応がいいのではないかと、何らかのもう少しメッセージを出していただけると各自治体も助かるかなというふうに思います。

 このことをお願いいたしまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

横光主査 これにて石関貴史君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 民主党の寺田と申します。

 きょうは、三十分という時間を使いまして、高卒認定試験の採点ミス、昨年の末に発覚をして、その後、文科省として対応されていることですが、このことについてちょっと質疑をさせていただきたいと思っています。

 こういう問題が発覚した当初から、非常に重大な事件と申しますか、事故というものが起きたなというふうに見ておりました。こういう機会がありますから、ぜひともこれの進捗状況、そして問題の所在点等も含めて質疑をしたいということで御省の方からレクを受けさせていただいたんですが、非常に主観的で申しわけないんですが、そこに来ていただいた担当課長の方の話し方も含めて、正直、非常に私は、これは誠意ある対応が行われるのかなということを不安に思いました。

 本来であれば、政府参考人の方も含めて御答弁いただきたいと思うんですが、きょうは大臣に、この問題の重大さを改めて知っていただく意味も含めて、御答弁いただきたいと思っています。

 まず、そもそもですけれども、この問題がなぜ起きたかというのは、いろいろ伺っておりますが、この問題の責任の所在はどこにあると大臣自身はお考えになられているでしょうか。

渡海国務大臣 一義的には、これはプログラムミスでございますから、そこの部分でしっかりとそれが発見できなかったところに問題もあるわけでございますが、これは民間企業に委託をいたしておりますので、そういった意味では、まず一義的な責任というのは、しっかりとしたプログラムになっていなかったというところだと思っております。我々も、そういった観点から、民間企業との間でも話はしております。

 ただし、途中でそれが発見できなかったかなという意味で、なお反省すべき点がなかったかなという点についても我々なりには検証はいたしておりますけれども、やはり、なかなかこれはわかりにくかったことなんだろうなというのが正直な実感でございます。

寺田(学)分科員 問題の所在がさまざまあるということは今の御答弁の中でわかりましたけれども、最終的な責任というのはどちらにあるのかということをお伺いしたいと思います。どちらにあるんでしょうか。

渡海国務大臣 これは企業の側にあると我々は考えておりますが、しかし、我々は窓口でございますし、これは国が行っているテストでございますから、試験を受けた方に対しての責任は我々も背負っている、こういう認識でいいというふうに思っております。

寺田(学)分科員 今の御答弁ですと、最終的にはプログラム会社にあるんだということであれば、今文科省がそういうのを設置したということをもって、さまざまな和解金等の提示があるんですが、ある程度文科省の責任は終わったと思ったときには、もう受験者の方には、いや、どうぞ、最終的に責任は企業にあるんだから企業にやってくれということの運びになっていくということなんでしょうか。大臣、いかがですか。

渡海国務大臣 それは違います。

 責任と原因とはちょっと違うかもしれません。そういう意味では、受験者に対しては我々はしっかり責任を果たしていかなきゃいけないというふうに思っております。

寺田(学)分科員 確認しますけれども、受験生にとってみて、最終的な責任はどこにあるかということを考えた場合においては、文科省にあるということでよろしいですね。

渡海国務大臣 それは国がしっかりと責任を背負わなきゃいけないと考えております。

寺田(学)分科員 質疑の中では、これからどうするんだということを主に聞いていきたいんですが、一つ、文科省として責任のとり方というのを考えられたと思います。

 以前、山形大学でしたか、学長がやめられたりということも、こういう責任のとり方があったみたいですが、文科省として、今回のことに関しては、聞くところによると、一律、上の方々も含めて、大臣も含めて一〇%の減給等々というような話がありましたけれども、ちょっとこれは通告していませんけれども、これは、大臣がみずからこういう形でいいんじゃないかというふうにお決めになられたことですか。

渡海国務大臣 ここのところは、けじめでございますから、私はちょっと違うことも考えておりましたが、これは、私自身が勝手に決めるということではなしに、やはり、こういうことが起こったときに、通常、政府としてのけじめのつけ方というものを一つの基準にして、今回こういう責任を我々はけじめとして出させていただいたということでございます。

寺田(学)分科員 なるほど、大臣としては違うけじめのとり方を考えていたけれども、さまざまな、大臣以外の方の御指摘等々を含めてこのような形になったという御答弁だったと思うんですが、私は、責任のとり方は、してしまったことの態様によってさまざまだと思います。まさか厚生労働省で高認試験のミスというものは起きませんし、文科省でしか起きないミスでありますから、他と比べること自体、さまざま参考にすることはあるでしょうけれども、責任のとり方自体を制限するようなことは私はないと思うんですよね。

 今大臣が、まさしく、自分では違うことを考えていたと。それをひっくり返したのはどこなのかなということを考えれば、それはまさしく、大臣の下で働かれている役所の方々がさまざまなバランスをとられたのだとすれば、私は非常に残念なことだと思いますし、そういうことに関しては、私がレクの中で感じた事なかれ主義というか、できる限り問題を小さくとらえようというようなところにつながりかねないなと思うんですが、大臣、何か御答弁があれば。

渡海国務大臣 それは違いますね、最終的にはこれでいいと判断したのは私ですから。いろいろなケースを聞きまして、こういうことがあると。いろいろなケースというのは、閣僚としての責任のとり方ですよ。それを聞いた上で私が、ではこれでいくということを判断したということでございます。

 当初違うことを考えていたのは、私は単細胞ですから、事件が起こったときにすぐ、しばらく大臣の手当を返納するというようなことを考えていた。ただ、それは単なるパフォーマンスにしかならないという判断を私がしたということであります。

 ですから、きっちりと、事が終わった段階で、そして、自分としての責任のとり方ということで決めさせていただいたということであって、いわゆる文科省の、例えば私の部下がどう言ったからとか、こう言ったからとかいうことで決めたということではないということだけはちゃんと申し上げたい。これが低いと言われればそれはそうかもしれませんが、そういうことで決めさせていただいたということであります。

寺田(学)分科員 私は、最初に大臣が思われた発想というのが大臣としての責任のとり方だと思います。

 何度も申し上げるとおり、ほかに、他の省とか他の大臣がこのようなミスの責任をとることはないわけですから、これは文科省独特のミスですから、そういう意味においては、私は、素直に従われた方がよかったのかなということは所感としてお話しさせていただきたいと思います。

 それで、これからのことに移りたいと思います。

 まさしく、合格していたはずなのに合格をしていなかったということが今回のミスの一つの柱ではあるんですが、それが約二千人弱いたということです。今、その方々に対して、和解金に、和解に乗らないのであれば損害賠償を請求してくださいというような紙を送付して返信を待たれている状態だと思いますが、まず、事実として、現時点で、何人から返信があり、その中の何割ぐらいの方から、できるだけ細かい数字でお話しいただきたいですが、和解というような御返答があったか。いかがですか。

渡海国務大臣 これはレクでもお話をしたことですが、千八百二十三人の受験生に通知を発送いたしまして、四月二十一日現在、九百六十三人から返信をいただいております。そのうち、九百十一人、約九五%から和解に合意をいただいておるところでございます。

寺田(学)分科員 半分しか返ってきてないわけですよね。締め切りが四月二十五日だということですから、まだ猶予として数日間あるわけですが、およそ残りの三日ですべてが返ってくるわけは現実的にはないと私は思っています。それは大臣もおわかりになられていると思います。

 どうなんでしょう、この返信してこない方に対してどのような対応を今後文科省としてとられるんでしょうか。

渡海国務大臣 もちろん、二十五日を過ぎてもきっちりと対応する。一つの目安として、できるだけ早くいろいろな方々に処理をしたいということからこの日を切っているだけでございまして、この日でもう後はないということは考えておりません。

 同時に、返ってくるのが遅いということももちろんありますが、なかなか届かなかったりするんですね。当初、私が一番急がせたのは、実は、八十人の試験を受けられるチャンスのある人、この人をどうしてでも捜せということで、正月を徹していろいろな方法をとってやったんですね。今回も、そのことも考えたいと思っておりますが、届いてない人もいるということでございます。

寺田(学)分科員 届いてない方は千八百二十三人には含まれていませんので、今の話とはまた別の話だと思っています。

 それで、返信してこなかったことに関して、これは四月二十五日で締め切りではないというお話だったんですけれども、私がお伺いしたいのは、それでは、届かなかった場合において、文科省として、再び郵送するのか、住所を調べてお電話するのか、どういう形で返信をされてこなかった方に対応されるんでしょうかということです。

渡海国務大臣 もちろん、返事がなかった方々に対して、郵便とか電話連絡、そういうことによって再度連絡をとらせていただくという対応をするつもりでございます。

寺田(学)分科員 どうなんでしょう、これに期限というものを、ある程度めどとしてお持ちでしょうか。この問題、もう一回郵送したけれどもまた返ってこなかった、それで打ち切るんだとお考えになられているのか、いや、もう本当に一人一人、最後の最後まで頑張っていくというお考えなのか、どうなんでしょうか。

渡海国務大臣 最後の一人までという話はほかでもありましたが、我々としては、最後の一人まで丁寧にやらせていただくというふうに考えております。

寺田(学)分科員 なるほど、非常に力強いお言葉だと思います。最後の一人までその方の意思を確認するということを今御表明されたんだと思います。

 そういう意味では、届いてない方、この間の時点で二百名ぐらいいらっしゃるみたいですから、その方の住所を捜していくことも必要だと思いますので、それはあわせてやっていただきたいと思います。

 それで、このミスによって本当に非常に貴重な時間というものを失った方々に対して、文科省としてどのような対応をとったか。もう重々御承知だと思いますが、一言で言えば、和解金二十万円をもらってもうこれはなかったことにしてくれるのか、それとも、損害賠償を自分のところでできれば領収書までつけて請求してこいと言ってくるのか、あとは、そもそも和解金も何も要らねえといってあきらめてもらえるのか、どれかを選んでくださいということで文科省は郵送していると思います。

 二十万どうこうの話は後々させていただきますけれども、そもそも大臣として、このような、一番長い方で二年間も大学を受けるチャンスがあったけれども受けられなかった、しかも、それはすべて文科省、それは日立にもあるでしょうけれども、そのミスによって受けられなかった損害というのはいろいろあると思いますが、大臣自身は、そのような受験生は何を損害した、失ったということを考えられているでしょうか。

渡海国務大臣 これは、さまざまなケースがありますね。

 一つは、試験をまた再度受け直して、その受験料、これはもうわかりやすいですね。それから、採点ミスというのが六回にわたっておりますが、最後の分については、十九年度の二回目については、間に合う分については連絡をしたということで受験に間に合ったわけでございますけれども、余分に、例えば資格が得られなかったために受験できなかった、予備校へ行ったとか、そういった実損が出ている場合。それから、逆に、そのために実は受験機会がおくれて、そのこと自身が被害につながった場合。実損がはっきりしたものとそうでないもの。それから、これは寺田委員も指摘をされたようでございますけれども、それを精神的にどう感じられるか。

 こう分けていきますと、非常にさまざまなケースが考えられます。ですから、それは丁寧に対応していきたいということであります。

寺田(学)分科員 さまざまな損失を与えたということなんだと思います。

 ある程度いろいろな整理がありますけれども、時間を大きく失った方、いらっしゃいますよね。それで、本当は合格していたのに合格できないということで、ずっと受けた精神的な苦痛もあると思います。やはり、早く社会に出られなかったとか、高卒の資格を得てないものですから給与が低かったとか、そもそも就業の機会を失ったとか、そういうことによる経済的な損失もあると思います。

 今、具体的列挙を三つぐらいしましたけれども、補償どうこうは別ですよ、まず、そういう損失は受けたということは、大臣、御認識されていますか。

渡海国務大臣 それは認識をいたしております。

寺田(学)分科員 大臣がお認めになっているその損失というものをいかに補てんしていくかというときに、とりあえず和解金として二十万という話を提示されているんです。それが不服、それにはやはり賛同できないという方は、では、具体的にその損失というものを文科省に提示してくださいということを文科省さんはされているわけです。

 素朴なこととして思うんですが、大きな機会を損失したわけですよね、時間であるとか。その受験生は、そういうものをどうやって証明したらよろしいんでしょうか。大臣、いかがですか。

渡海国務大臣 これは反論じゃないんですが、ただ、先生もこれは御理解いただけると思うんですが、相手がどういう損失を受けたかということは、出していただかないと我々もつかみようがないんですね。これを全部つかんでから処理をするということになりますと、いつまでたったって、それは、時間がたてばいつかはわかるんでしょうが、私は、とにかく年度末までに第一報が出せるように最大限やれということでやらせたんですね。

 それはなぜかというと、一度はこういうやり方をやって、この二十万が高いか安いかというのはいろいろあるでしょう、でも、やって、そこで言ってもらわないと、そこまで追っかけてなかなかつかめないという実態があります。そのことは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、結局、申し出があれば、そのことについて我々は丁寧に対応していくというふうにさせていただいている。年金でも同じような話がありましたから、おっしゃりたい気持ちはわかりますが、そこは御理解をいただきたいと思います。

寺田(学)分科員 大臣、受験生の方々から出していただかないとどのような損失があるのかということがわからない、その損失がどれぐらいであったか把握できないという御答弁だったと思います。

 だとしたら、最初からその二千人に対して、どのような損失があったんですかと聞いた上で、それをさまざま精査した段階で和解金はこれぐらいですと提示するのが順番だと思うんです。今御答弁されたとおりに従うと、この二十万という額は、一人たりとも受験生から実際どれぐらいの被害額があったかということを聞かずに出した額だということを御証明されているに等しいんですよ。

 実際、その二十万というのは、受験生の実態としての被害額を把握していない数字だということですね。大臣、いかがですか。

渡海国務大臣 基本的に、いろいろなパターンは考えております。それは、どの時点のミスであったかということによって時間的な軸がまず変わりますね、一々説明しなくても委員はよくおわかりだと思いますが。そういった基準を決めた上で、上限として二十万。ただし、精神的苦痛ということはなかなかお金でははかれないわけでございます。現に、返ってきている中で、九五%の方はこれで結構だという回答も得ているわけです。ですから、それ以外の方については、当然お話をお聞きして、その中でやっていくということで、一つ一つ丁寧に解決をしていきたいというふうに思っております。

 なお、額は、弁護士とかいろいろ相談をしまして決めた額でございます。

寺田(学)分科員 だから、弁護士さんと相談して決めた二十万とはいえ、大臣がみずから言われたとおり、どのような被害があったか言ってもらわなければわからない。その前に、弁護士さんなのかだれなのか、前例なのか知らないですけれども、調べて二十万と決めただけであって、ある意味、本当にその人たちの損害を把握した上で出した数字じゃないんですよ。

 もし本当にその損害をしっかりと調べた上でやるのであったら、最初から、損害額をぜひ教えてください、そのとおり払えるかどうかわかりませんけれども、文科省としても被害の実態を知りたいんです、慰謝料の額の相場を知りたいんですと真摯に皆さんに伺うのが最初でしょう。私は、それをやっていないのがいけないと思います。

 今回、九五%の方が和解を送付してきたといいますが、私も、その送った書類を見ましたよ。それこそ、大臣の言われているとおり、自分が失ったこの二年間の時間、一年間の時間、精神的な苦痛、どうやって計算したらいいんだろうと普通の受験生は思いますよ。だとしたら、二十万に頼るしかないんですよ。この九五%の、和解金二十万でいいというのは、やった、二十万円だと喜んで飛びついている人なんてほとんどいないはずですよ。自分自身として損害額をはっきり、しかも、国ですよ、国に対して証明しろと言われたときに、証明することができない、煩雑だ、煩わしいということも含めて、和解するしかないねというものなんです。

 大臣、どうでしょう、これからでも遅くないですよ。一回皆さんに、もう一回二千人に、どのような被害があるか、もちろん、その被害どおりの額はお渡しできません、ただ、皆さんが本当にどれぐらい被害に遭われたのか、精神的な苦痛はどれほどなのかを知りたいのでということで、もう一回出されたらどうですか。大臣、いかがですか。

渡海国務大臣 寺田委員からお話を聞いていまして、私は、どっちの道を上っても基本的には同じだと思うんですよ。要は、国としてはこういうことを考えましたがということを申し上げているわけですね。そして、異議があったらそれは言っていただいたら結構ですということで出しているわけですから。それは、聞いて出すか、出した上で聞くかという違いはあります。

 それで、要するに、国から言われたら、委員がおっしゃっているように、例えば、国に対してそんなことはできませんということは、それはあるかもしれません。だけれども、何も押しつけているわけじゃないんですから、ちゃんと謝罪もして、それで、これこれこういうことがありました、ついてはということでお出しをしておるわけでありまして、もちろん、それに対して異議があればちゃんと受け付けますということを申し上げているわけでありますから、私は、そんなにこの手続で間違っているというふうには思っておりません。

寺田(学)分科員 送付する段階において和解金二十万円、それに不服だったら自分で損害の額を証明して出してこいと言われたケースと、最初から、幾らぐらいかかりましたか御意見を伺いますというのであれば、そもそも結論は違いますよ。その上で、いただいた皆さんからの情報をもって、それは二十万なのか五十万なのか、ある程度合理的な理由をもって、文科省が再度、五十万円の和解金にしますか、はたまた、それでも不服だったら損害賠償のものを出しますかと言ったら、またこれは違うでしょうね。

 だから、この二十万自体が何の根拠もないんですよ。大臣自身が認められたじゃないですか、これ自身は実態を把握していないものだと。聞いていないんですからね。だから、最初に実態をお伺いするべきだと言うんです。

 考えてみてくださいよ。この高認試験を受けている方は若い方が多いんですよ。大臣も若かったときもあるでしょう。そのときに、文科省に対して、自分の損害額がどれぐらいだった、しかも、領収書があるものだったらいいですよ、心に受けたダメージを数字に直して出せというのは無理ですよ。弁護士と相談しろと言われたって、こんな若いときに、弁護士さんに相談するにもお金がかかるだろうし、そもそも機会がないですよ。

 本当に誠心誠意皆さんに対しておわびをしたいというのであれば、もう一度出すべきだと私は思いますし、和解をされて受理しましたというはがきに対して、返信があった方々に対してでもいいですよ、本当にどのようなものがあるか参考にもしたいし、事によっては二十万を上げるかもしれないから、ぜひ教えてくれというようなお手紙を出されたらどうでしょうか。

 大臣、これ、お願いします。

渡海国務大臣 証明書といいましても、これはできるだけ領収書とあわせて御提出願いますということでございますから、若い人が言われたらという寺田委員の意見、わかった上で私は言っているつもりなんですけれども、そのことによって、例えばこれが面倒くさいからということになるかといえば、とにかく精神的な苦痛をこうやって受けたんだからというふうなことであれば、第一、まだ返ってきていない分があるわけですから、そういうことがあれば、我々は非常に丁寧に対応していくつもりでございますので……(寺田(学)分科員「もう一回、どういう被害があったかというのを該当の方に聞いた方がいいですよ」と呼ぶ)そのことについてはちょっと検討させてください、今は、まず残っているのをやるのが先ですから。

寺田(学)分科員 後ろから渡されている紙を見ながらというより、大臣の本当に素朴な責任感でぜひとも御答弁いただきたいと思います。

 大臣がまさしく言われたとおり、被害の実態が把握できていないから教えてほしいというその真摯な態度は、必ずや今回不幸な目に遭った方々の心をとらえると思うんです。まず教えてくれと。そこで出された額というものが、それは賛否両論あると思いますよ、そのときに初めて、それで不服だったら個別にやってくださいと。慰謝料みたいな、若い人にとってはどうやって計算していいかわからないようなことも、ぜひとも、それでもいいからどんどん言ってくれ、できる限り誠意ある対応をするということでいいと思うんです。ぜひとも御検討いただきたいと思います。

 残りがもう三、四分しかないので、もう一つの方なんですが、合格したかしないかということのみならず、この高認試験というのは、ABCという成績評価があって、高認試験を受けた方々は、大学に行くにせよ、専門学校に行くにせよ、もしかしたら就職するにせよ、大学と専門学校はほぼ必須らしいですけれども、この成績証明を出してくれというんです。

 理事会というものにどうやって諮っていいかわからなかったものですから、ちょっとこの場に提示させていただきますけれども、よろしいですか。

横光主査 提示するその資料、どこから出ていますか。

寺田(学)分科員 私自身が手配した合格成績証明書のコピーです。もしだめだというのであれば……

横光主査 出所はどこですか。

寺田(学)分科員 出所は、その個人です、個人の証明書しかないわけですから。黒塗りにしていますけれども、提示だけ、ちょっと許してください。

横光主査 はい、結構です。

寺田(学)分科員 まず、そもそもですけれども、これが実物です。大臣、見てください。曲がっているんですよ。この紙自体に曲がって印刷されているんです。これは、一言で言うと、ばかにしていますよ。文科省の判こまで立派に押したものが、この紙っぺらで曲がって印刷されているんです。こんなものを公文書としてもらって、ありがたいとは思いませんよ。まあ、ありがたいと思う方は別ですけれども。正直、ばかにされていると思う人も多いと思うんですよ。

 まず、こんなところから是正してください。これは大丈夫ですね、大臣。曲がっているんです。これは直してください。

渡海国務大臣 今後、そういうことがないように気をつけさせます。

寺田(学)分科員 高認試験を受ける方というのは、さまざまなところがあると思うんですよ。お気持ちがセンシティブな方も多いと私は思います。そういう意味で、さまざま、いろいろ気にしながらやるべきだと思います。

 それで、この問題点というのが、特にこの高認試験を受けてAO入試であるとか自己推薦をやる方にとって、この成績証明書というのは重大なんです、それが一つの評価ですから。というか、言い方を変えれば、それがその人の成績のすべてなんです。

 今回、六点から十二点の採点ミスがあって、本当は六点アップ、十二点アップなのに、十二点、六点下げられた点数でつけられて、このABC評価が、Aだった人間がBになり、Bだった人間がCになっている可能性があるんです。Cだった人間が落ちたら、今回の場合は、その二千人の中に含まれる不合格者に入るわけです。

 ABCの評価というものがAO入試、自己推薦、あとは専門学校の入学試験のときの非常に大きな参考になるわけですけれども、この人たちは不利益をこうむっているんじゃないでしょうか。ですので、その所感と、実際、Aだった人がBになっている、Bだった人がCになっているというケースがどれぐらいあるのか、把握されている範囲でお話しください。

渡海国務大臣 大学等でこれをどの程度採用しているかというのは、委員よく御指摘のように、AO入試なんかの場合に使われているというケースがあると聞いておりますが、ほとんどの大学では、一応これは受験資格があるかないかの採点というふうに、今のところ、調べたところ、なっています。

 それで、変わったものでしょう、今聞かれたのは。(寺田(学)分科員「評価がミスによってAからB、BからCになった人はどれぐらいいるんですか」と呼ぶ)認定合格者のうち四千八百八十四人の成績に影響があったという報告を受けています。

寺田(学)分科員 この成績証明書は、合格したかどうか、マルかバツかのものなんだといったら、最初からABCなんという成績評価つけなきゃいいでしょう。つけている時点で、この人の成績をあらわしているんですよ。その人が優なのか可なのか、一番いいのか。

 AO入試を受けられる方々は、本当にこの部分が評価の対象になるのは当然のことだと思います。被害を受けているんですよ。実際、どれぐらいの人が被害に遭ったかは、またそれぞれあるんでしょうけれども、この方々に対しても御迷惑がかかっているんです。おわびをしないんですか。補償しないんですか。いかがですか。

渡海国務大臣 今、実態調査をしております。全部は終わっていません。ただ、現在まで、我々が調べているところでは、被害は出ておりません。ですから、言われるように、被害があれば、相手は特定できるわけですから、きっちり特定をして、それでその受験大学等がわかれば調査ができるわけですから、そのことは、もし被害があるようであれば、当然対処しなければいけないことだと思っております。

寺田(学)分科員 時間になりましたけれども、被害に遭ったかどうかというのは、その成績変更があった方がいるわけですから、それが実際的にどのような被害に遭ったかというのは、それは大学がどうしんしゃくしたかという難しい部分になるはずです。ですので、これは正直おわびする範囲だと思います。それは、ぜひとも御検討ください。

 それとともに、大臣が言われたとおり、本当の被害額を調べるために、まずはその二千人の方々、私は、この成績評価が変わった方々も含めてお伺いするべきだと思います。ぜひとも御検討ください。御答弁をいただいて、終わりたいと思います。

渡海国務大臣 何ができるかということについては、無責任なことは言えませんから、検討してお返事をさせていただきます。

寺田(学)分科員 終わります。ありがとうございました。

横光主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島豊君。

福島分科員 大臣、大変御苦労さまでございます。

 本日は、自閉症に関しましていろいろとお尋ねをしたいと思います。

 四月二日、これは世界自閉症啓発デーとして国連が定めまして、第一回目の開催が行われました。この世界自閉症啓発デー、英語でいいますと、ワールド・オーティズム・アウェアネス・デー、こういうことになりますけれども、カタールのシェイカ・モーザ・ビント・ナサ・アル・ミスネッド首長妃殿下がリーダーシップを発揮して、国連で決定をされた。特定の疾患に対して国連がこうした日を決めるというのは三つ目だそうであります。

 これに関連して、世界各地でもイベントが行われております。

 また、国連事務総長は次のようなメッセージを送っております。一部紹介をいたしますと、

  国連はこの日、障害を持つ人々の権利と福祉を守るという決意を再確認します。この決意は、万人の普遍的人権という国連の基本理念に根ざすものです。国連ファミリーはその創設以来、発育障害を持つ子どもを含む障害者の権利と福祉を推進してきました。世界人権宣言が採択六十周年を迎え、しかも二〇〇六年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」

これは我が国でもいろいろと検討がなされておりますけれども、

 発効が期待される二〇〇八年に、「世界自閉症啓発デー」が発足したことは、特に意義深いといえます。

そしてまた、

 決意や創造性、そして希望を持って毎日、自閉症に立ち向かい続けている子どもたちとその家族の勇気に、敬意を払おうではありませんか。そして、そのエンパワーメントとニーズへの対応に今すぐ取り組むことで、将来の子どもたち全員がより広く参加し、能力を発揮し、権利を行使できるような社会を作っていこうではありませんか。

こういったメッセージが寄せられております。

 注目すべきは、アラブ地域のカタールの首長の妃殿下が提唱されて、そして全世界に自閉症ということについて認識を深めよう、こういう動きがなされたということだと思います。

 私も、日本におりまして、CNNがこの世界自閉症啓発デーについてはしばらく前から随時報道いたしておりました。当日は、もちろんさまざまな形の特集の報道がなされておりました。そういう意味では、日本においてもCNNを視聴する人はふえていると思いますので、かなり多くの方がこういう日が決まったんだなということを認識されたのではないかと思います。

 また、ニューヨークの証券取引所では鐘を鳴らす、こういったイベントが行われたりとか、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンではサーカスのパフォーマンスが行われたりとか、そしてまた、カナダにおいては、連邦政府と地方議会でパズルのピースの形をしたピン、これはオーティズムスピークスのシンボルマークのようでありますけれども、つけて登院をすることを奨励したりとか、こういった全国的な、全世界的な動きがあったわけであります。

 また、我が国におきましても、舛添厚生労働大臣からメッセージが寄せられております。簡単に御紹介いたしますと、

  国連で制定された「世界自閉症啓発デー」が、本日その第一回を迎えたことは、まことに喜ばしいことと考えています。

  我が国においては、平成十七年四月から発達障害者支援法が施行され、本年三月二十八日には発達障害者情報センターが発足するなど、自閉症を始めとする発達障害者施策は年々進みつつあります。

  本日の「世界自閉症啓発デー」を契機として、国民の皆さん一人一人の自閉症などへの理解が進み、我が国において発達障害者の方々がそれぞれの能力を発揮していくことができるよう、厚生労働省としても一層努力していきたいと考えています。

こういうメッセージが送られています。

 ただ、残念なことは、この自閉症の問題というのは、障害者福祉の領域でどのように障害者福祉サービスを提供するかということにとどまらず、より大きな課題として存在しているのは教育の領域であります。教育の分野において、自閉症によってさまざまな困難に直面している児童をどのように教育していくのか。我が国において改めて自閉症教育ということをしっかりと進めていかなきゃいかぬ、私はそのように思っております。

 残念なことに、政府内のさまざまな情報伝達のこともあるんでありましょうけれども、渡海大臣からメッセージが今回はちょうだいできなかった、こういう話であります。ぜひとも、来年の四月二日、二回目の世界自閉症啓発デーには文科省としてしっかりとメッセージを発信していただきたい、このように思っておりますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。

渡海国務大臣 ことしはちょっとぼんやりしておりまして。確かに政府部内の連絡もあったわけでございますが、我々も常にそういう意識を持っておらなきゃいけない。委員はCNNで見たということでございますけれども、私も正直、余り意識がなかったなと反省をいたしております。

 来年以降、来年のこの日に私は多分ここには、このポストにはいないと思いますが、ただ、そういうことは別として、しっかりと教育という観点から我々もメッセージを発信していく、どういうアイテムということはそのときにまた考えたらいいと思いますけれども、そういう必要があろうかと思っております。

 御指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。

福島分科員 ぜひ、来年もしっかりと大臣で指揮をとっていただければというふうに思います。

 続いて、日本の教育、特に障害児の教育の中において自閉症というものがどういうふうに位置づけられているのか、これは長年の課題であるというふうに私は思っております。法律上の位置づけ、そしてまた特別支援教育上の位置づけ。自閉症というものが必ずしも真正面から教育の分野において対象としてしっかり定立されていない、ここのところに自閉症に対しての教育上の支援の大きな課題があるというふうに私は思います。

 例えば、特別支援教育のスタートということもありまして、学校教育法の施行規則の一部が平成十八年に改正をされました。これによりまして、通級の対象となる方々、通級による指導の対象となる障害に関して初めて、自閉症者であるとか学習障害者であるとか注意欠陥多動性障害者であるとか、発達障害という範疇で包括されるような障害について具体的な記載がなされました。それまでは情緒障害者という範疇に含まれていた。これは、世界的に見ても極めてまれな話であって、逆に日本の場合は一般的ではない。

 現行の体制におきましても、今申し上げましたように、通級による指導の中では、自閉症であるとか情緒障害であるとか学習障害、注意欠陥多動性障害、こういうことが並べられています。ただしかし、それは特別支援学級に入りますと、自閉症というものは抜け落ちます。まして特別支援学校になりますと、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、こういったことが対象の障害として掲げられている。

 本来は、実態としてはどうなっているかというと、知的障害といいましても、今、特別支援学校、養護学校に在籍している者のうち四割程度は自閉症を合併している。逆に言うと、知的障害を合併した自閉症と言った方がいいというのが実際だろうと私は思います。というのは、単に知的障害ということだけで支援のあり方が決まるのではなくて、自閉症であるということが支援の枠組みの根っこにあって、そこに知的障害がある、こういうとらえ方をしませんと適切な支援ができない、こういうふうに私は思っております。

 日本の教育の分野においては、さまざまな学説でありますとかいろいろな経緯が学問の世界であったんだと私は思います。そういったことが、ひいてはこうした形で、世界的に見ると極めて異例と言っていいと私は思いますけれども、こういう形の体制になっている、このように私は認識しておりますが、現状について、政府としてはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 高機能自閉症やアスペルガー症候群も含めました自閉症は、学校教育法上、特別支援学校や特別支援学級の対象としては位置づけられておりませんが、御指摘がございましたように、学校教育法の施行規則の改正によりまして、平成十八年度から新たに通級指導の対象と位置づけているところでございます。

 また、その障害の程度の重い者につきましては、多くの場合、知的障害をあわせ有しておりますことから、知的障害の特別支援学校において、また、その一部は情緒障害の特別支援学級において教育が行われているものでございます。

 文部科学省におきましては、自閉症の児童生徒等に対する指導の充実を図りますため、筑波大学附属久里浜特別支援学校を研究開発学校に指定し、指導内容や方法の開発をいたしましたり、国立特別支援教育総合研究所における自閉症に係る実践的な研究の実施や手引書、事例集の作成などに取り組んできているところでございます。

 自閉症の特性に応じた指導方法などが徐々に集積されてきているところでございまして、これらの研究開発の成果などを踏まえつつ、今後、自閉症児の特性に応じた教育が全国的になされますよう、特別支援教育における自閉症の取り扱いについて検討してまいりたいと考えております。

福島分科員 今、御説明いただきました。

 私の意見は、根っこの部分で、きちっと法律上また規則上の整理の中で明確にすべきではないかということがまず一つあると思います。

 また、いろいろと教育の方法についての開発も必要であることは当然であります。そしてまた、既にアメリカも含めまして、どのような形で教育していくのかということについては、非常にいろいろと経験が実は積まれてきている世界でありまして、改めて一から研究するという話もあるかもしれませんけれども、より大切なことは、スタンダードなといいますか、標準的な手法といいますか、こういうものをやはりきちっと現場に導入していくということが必要なんだろうと私は思っています。

 例えば、東京の都立中野養護学校でありますとか、自閉症ということを真正面から視野に入れた養護学校の運営、こういうことが行われております。また、すばらしいマニュアルもできているというのが実態。ただ、それは、全国的に見ると、どこまでできているんですか、こういう話になる。

 今いろいろとお取り組みをいただいておりますけれども、自閉症児の増加というか、非常に数がふえてきていると私は思います。専門家もそう言っております。その中にあって、適切な教育的な対応ができるような取り組みというのを、これは研究レベルということではなくて、実施レベルの、実践レベルの話で、ぜひ力を入れてやっていただきたい、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十六年の国立特別支援教育総合研究所の調査によりますと、自閉症児は知的障害特別支援学校に多く在籍しております。知的障害特別支援学校における自閉症またはその疑いがある児童生徒の割合は約三五%となっておりまして、ほぼすべての知的障害特別支援学校において自閉症の児童生徒が在籍している状況にございます。

 自閉症の児童生徒は、対人関係の困難でございますとか、言語発達のおくれ、また、興味や関心が限定されているなどの障害特性がございます。このため、一人一人の障害の状態に応じて、例えば人とのかかわりや集団活動に関すること、視覚的な情報を活用したコミュニケーションに関すること、生活技能を獲得するための体験をふやすことなどを重視した指導が行われているところでございます。

 また、周囲から刺激の少ない学習環境をつくったり、小集団による指導や個別指導を実施するなど、学校や児童生徒の実態によって取り組む状況は異なりますものの、いずれの学校におきましても、自閉症の特性に応じた指導の工夫や必要な配慮を行っているところでございます。

 自閉症の児童生徒に対する適切な教育の一層の充実を図ることは重要な課題でございまして、今後とも、自閉症の特性に応じた適切な指導の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

福島分科員 先ほど御説明ありましたように、通常の学級にも自閉症のお子さんは在籍をするようになっています。現場ではなかなか保護者の方々は御苦労しているというのが実態だろうと私は思います。教師の方々と、こういうアプローチをしてほしいとか、いろいろと要望を現にいたします。ただ、そういったことが必ずしも十分に受けとめられていないケースも多々ある。

 ここでお尋ねしたいことは、教員の養成課程において、幅広く言うと発達障害ということになりますけれども、こうした自閉症の特性についてどの程度教えていただいているのか。そしてまた、教職員の方々も生涯教育ということが非常に大事だろうというふうに思いますけれども、その中で、現に教師として働いている方々に対しての卒後の研修といいますか、さまざまな研修の中で、どのようにお教えいただいているのか。このあたりについて教えてください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 自閉症を初め障害のある児童生徒が自立し、社会参加していきますためには、学校において、御指摘ございましたように、まずは教員が自閉症などの障害特性を理解し、適切な指導を行うことが重要でございます。

 このため、教員が養成課程において自閉症に関する理解を深めた上で教壇に立つことは重要でございまして、文部科学省といたしましては、教員養成課程において自閉症を含めた発達障害に関する内容の充実に努めるよう通知をいたしているところでございます。

 具体的に申しますと、教員養成課程の中で、障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程について学ぶこととされておりまして、自閉症に関する内容につきましても適切に取り扱われていると考えているところでございます。

 また、教員の研修につきましては、国立特別支援教育総合研究所におきまして、各都道府県の指導的立場にある者を対象といたしまして、自閉症教育推進指導者研修や、LD・ADHD・高機能自閉症指導者研修等の研修の実施や、教師用の手引書、事例集の作成などを行いますとともに、発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業におきまして、校長や特別支援教育コーディネーター、また一般の教員などを対象とした研修を推進しているところでございます。

 今後とも、自閉症の特性に応じた適切な指導が行われますよう、これらの施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

福島分科員 国として一つの方向性をお示しいただいて、さまざまな事業をお進めいただいている、大変感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 ただ、現に、各都道府県ごとの差でありますとか、各自治体ごとの差でありますとか、もっと細かく言うと各学校ごとの差でありますとか、さまざまな形でいろいろと御意見は寄せられております。一つの方向を示された後、それが現にどのような前進をしているのか、どのような水準にあるのか、こうしたことについてしっかりとフォローしていただきたいということが一つは要請であります。

 また、高等教育においても、自閉症、特に高機能自閉症、アスペルガー、こういった問題は非常に大きな問題としてあります。

 それは、非常に成績は優秀なんであるけれども、社会性といったようなことから、なかなか社会人として自立していくということが困難である。さまざまな資格を取得する、試験に合格することはできるんだけれども、仕事を継続していくことができないとか、また、せっかく入社してもそういった社会性の問題からすぐやめてしまうとか、こういうこともあるわけであります。それは、本当に一流大学と言われるところを卒業したとしても、こういう困難がある。

 ただ、残念なことに、なかなかそういったことについては、大学在籍中に気づかれることもない。そしてまた、大学当局からの支援もなかなか受けにくい。最近は、状況は多少よくなっているかもしれません。

 これは、本来は大学卒業前に、個々の特性に応じてしっかりとした支援、そしてまた社会人として自立していくためにどのようなことを身につける必要があるのか、こういったことについてのアドバイスも重要だろうと思いますけれども、まだまだこの点は不十分であるというふうに私は実感をいたしております。この点についての政府の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

清水政府参考人 現在、全国の大学、短大、高等専門学校における障害のある学生数、十八年度の調査で、全体で四千九百三十七名、うち発達障害を有する者百二十七名、こういう現状にございます。

 御指摘のように、文部科学省では、特に発達障害のある学生の学生生活や進路等についての相談に適切に対応する配慮を、大学、高専に、平成十七年に発達障害のある児童生徒等への支援についてということで指導を行ったところでございます。

 そういうものも踏まえつつ、例えば障害学生修学支援セミナーということで、大学、短大、高専の教職員を対象としてセミナーをやっているわけでございますけれども、いわゆる先進的な事例を紹介しながら、それについてどういうふうに各大学等で取り組んでいただくかということでございます。平成十九年度には、発達障害をテーマとして実施しました。これは非常に好評だったようでございます。なかなか、さまざまな情報とか方向性とか、そういうものについて有効だったという反応もあるようでございます。

 さらに、生涯学生修学支援セミナーということで、障害者を受け入れる場合、あるいはその就職支援等に乗る場合に、どういう支援内容が必要になるかというようなものを、そういうメニューを作成し、ホームページで、これは学生支援機構でございますけれども、そういうものを作成し、普及啓発に努めるということでございます。

 なおまた、先ほど申し上げましたように、今、全国の大学等でそういう意味でいろいろな修学支援のためのネットワーク、つまり、それぞれのいわゆるブロックごとに、ある程度拠点的にそういうものについて相談に乗れる体制をつくっていこうということで、今、十一ブロックのうち八拠点ができ上がって、地域別にそういう先進的な取り組みを行っている拠点校を中心とした相談に対応できる体制を整えつつある、このような状況でございます。

福島分科員 引き続き御努力をよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、幼児期の対策、これは幼稚園、そしてまた厚労省の所管になりますけれども保育所における対応、近年、拡大をしてきているということは事実でありますし、また、幼稚園においても特別支援教育ということで光が当てられつつある。

 ただ、例えば自閉症に対しての支援の先進国のアメリカから比べれば、やはり彼我の格差というものは相当あるなというのが実感ではないかというふうに私は思っております。

 その幼児期における幼児教育の中での、特に小さいときにしっかりと例えば構造化、TEACCHでありますとか、コミュニケーションについて、さまざまな形で支援がなされているということが、その後の学校教育、初等教育に入っていく段階においても非常に重要になってくる。

 この点からも幼児期の取り組みというのをさらに強化する必要があるというふうに私は思っておりますが、この点についての政府のお考えをお聞きしたいと思います。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 自閉症を含めた発達障害につきまして、早期発見、早期支援など、総合的な取り組みを行いますことは重要でございます。

 そのため、地方自治体によりましては、例えば教育、福祉、保健など関係部局の連携組織をつくりましたり、相談支援ファイルを活用して関係機関の情報共有を図るなど、先進的な取り組みが行われつつあるところでございます。

 文部科学省といたしましては、平成十九年度より、発達障害早期総合支援モデル事業を行っておりまして、早期発見、早期支援に関してモデルとなる取り組みを促し、その成果を全国に普及することといたしております。

 また、今年度からは、発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業におきまして、乳幼児期から成人期に至るまで一貫した支援方策について、特に重点的に推進するグランドモデル地域を全都道府県において指定いたしまして、厚生労働省の事業との連携や、関係機関が情報共有を図るための相談支援ファイルを活用した支援を実施しているところでございます。これらの取り組みを通じて、各地方自治体における早期総合支援体制の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。

福島分科員 時間が残り六分となりましたので、若干、質問を省略させていただきまして、児童精神医学の問題について取り上げたいというふうに思っております。

 我が国の発達障害、さまざまな医療機関が対応いただいておりますけれども、私の住む大阪でもそうでありますが、こうした医療機関における待ち時間、なかなか診てもらえない、一年、二年たたないと診てもらえない、こういうことが全国各地で実は起こっております。これは、昨今話題になっております医療崩壊、医師不足の問題とはちょっと違いまして、そもそも最初から少ないというのが現実でありまして、長年にわたってこういう状況が実は放置をされてきている。そして、近年言われておりますように、発達障害、自閉症児の数はふえていると私は思いますが、これは専門家も言っておりますけれども、そういう中でなかなか対応ができないというのが現状である。

 その根っこにある問題というのは、我が国の大学医学部におきましては児童精神医学の講座がありません。私の出身の母校におきましても、四十年ほど前にこのことが問題になりましたけれども、結局、設置をするということが見送られて今日に至っております。そうした児童精神の専門家を育てる機能が十分ない、それがひいては今の専門家の不足、そしてそのことは、また診療報酬等々の評価においても低い評価にまだとどまる、こういう事態を生み出してきている。これは、先進国では非常に珍しい。先ほどの教育の話で、自閉症の位置づけの話もしましたけれども、珍しいという現実だと思います。

 我が国におけるこういった状況は一日も早く解消されるべきである、私はこのように思いますけれども、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。

清水政府参考人 大学における講座と申しますか、教員組織の整備につきまして、各大学の主体的な判断というのが現実としてあるわけでございます。ただ、最近、子供の心の診療を専門的に行う医師は限られているという現状は確かにあるわけでありますけれども、近年、そのための診療部門の設置というのが進んできております。

 大学病院で申し上げますと、十三大学で、近年、診療部門あるいは診療科という形で、子供の心に関する専門のそういうものを設けるようになってきている。さらには、専門医研修コースの設定等も進んできている、こんな状況がございまして、私ども、卒業までに最低限履修すべき学習内容をモデル・コア・カリキュラムという形で示して、そこの中では、自閉症とかADHD等の障害を含めた児童精神医学に関する事項が盛り込まれ、そういう意味での教育が行われているわけでありますが、実態として言えば、大学によってばらつきはございますが、その授業時間がどのぐらい充てられるか等々で言えば、必ずしも平均的に言えば、そう多いとは言えない、こんな現状がございます。

 私どもとしては、こういうモデル・コア・カリキュラム、あるいは診療部門の整備、大学院における専門医研修コース等の整備等々も踏まえまして、昨年三月の、「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会、この報告も踏まえて本年行われた医学部長会議、国公私でございますけれども、そういう意味での子供の心の診療部門とか講座の設置など、各大学の取り組みをもう少し積極的に取り組んでいただきたいということを促したところでございます。

 今後とも、その充実のために努力していきたい、このように思っております。

福島分科員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 法人の体系が変わって、それぞれの大学の判断である、こういうことはあろうかと思います。診療科が置かれるようになってきたというのは、やはり従来の精神科の体制だけでは十分対応できない、こういう社会のニーズが高まってきたことの裏返しだというふうに私は思います。

 しかしながら、そこで大事なことは、専門的な人材を育成するためには、臨床と研究を続けている、このためのポジションがなければ途中で皆やめるんですね、ずっとそこのポジションにとどまれない。ですから、診療の窓口を開設するというだけでは、やはり人材をふやしていくには足りないというのが実際だろうと私は思います。

 そしてまた、そういう意味では、日本のオリジナルの自閉症に関しての教育成果、研究成果というのは、それほど多くありません。やはりアメリカ、イギリスが中心でこれは行われてきた。なぜかといえば、児童精神の講座というものがしっかりとないというところにその根っこがある。そして、ひいては、専門家がすそ野を広く養成されていない。幅広く子供の心を診る医者をつくるという考え方は、考え方としてあると思います。しかし、頂が高くなければすそ野も広がらないというのが、人材づくり、人づくり、専門家づくりの要諦だろうというふうに私は思います。

 そういう意味から、ぜひとも今後その取り組みについて抜本的な前進があるように頑張っていただきたい。大臣にも、御答弁は求めませんけれども、ぜひ御配慮いただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

横光主査 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

横光主査 昨日に引き続き、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野次郎君。

小野(次)分科員 大臣、ありがとうございます。こういう機会を与えていただきましたので、一度お伺いしたいと思っていたことについて一生懸命質問しますので、ぜひ誠実にお答えいただければありがたいなと思います。

 まず最初に、きょうは携帯電話の話を私は聞くわけでございますけれども、何か携帯電話というと、特定の人と、要するに電話だから話をする、あるいは友達とメールで交信するというぐらいの感覚で考えておられる方が多いわけですけれども、実際、私たちの生活の中ではもっともっと深い存在、大きな存在に今なっているような気がします。

 例えば、私たちがどこかへ移動する、だれか初めての人と会うときには、どんな人だろうとインターネットでその人の名前を入れれば、だあっとプロフィールが出てくる。自分がだれと会うのかというのを知るのも、携帯電話で知ることが多いです。移動中であれば、行ってどこで飯を食おうか、これは具体的に名前を出してもいいと思いますけれども、ぐるなびで調べればお店が出てくる。食べるところもわかる、自分はどこに向かっているか、自分はどこに何時に着くかも全部、ほとんど携帯で私たちは知っているということだと思うんです。

 この意味で、もちろん、いろいろなニュースをメールで見るということも、皆さん、多くの人が今使っているわけですから、人間にとって一つ耳の役割をしているわけであります。また、目の役割もしている。今、画像も見られますから。そして何よりも、今申し上げたとおり、わからないことや知りたいことを移動途中でも知ることができるという意味では、ある意味では人間の脳というんですか、脳みその一部を構成していると言ってもいいぐらい、携帯というのは体、生活の部分で大変大きな存在になっていると思います。

 その意味で、ユビキタスネットの構築というのは大変重要な概念だと私は思います。その中でも、携帯電話、だれでも、いつでも、どこでも使えるようにするということがユビキタスネット社会をつくるために大変重要な部分だと思うんですけれども、まず、最近の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、福井主査代理着席〕

寺崎政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、携帯電話は国民生活に不可欠のサービスとなりつつありまして、その利用を確保することは国としても積極的に取り組んでいく課題と認識しております。そのため、総務省といたしましても、民間事業者による自主的なエリア整備に加えまして、国庫補助事業による支援に取り組んできたところでございます。

 具体的には、過疎地域等の採算的に整備が難しい地域におけるエリア整備や、高速道路や新幹線のトンネル等を対象に電波遮へい対策にも取り組んできているところでございます。

 政府といたしましては、二〇〇六年度から二〇〇八年度末までの間に過疎地域等の条件不利地域におきまして新たに二十万人以上が携帯電話を利用可能な状況にするとの目標を掲げておりまして、目標の達成に向けまして官民一体となって取り組んでいるところでございます。

小野(次)分科員 鉄道のトンネルの中でも携帯電話が利用できるような不感対策を進めているようでございますけれども、昨年度はどういうところでそういう措置をしたのか、その取り組みの状況を伺いたいと思います。

寺崎政府参考人 総務省では、人工的な構造物により電波が遮へいされ携帯電話が利用できない地域におきまして、電波中継施設等の設置によりまして携帯電話を利用可能とするための電波遮へい対策事業を実施しております。

 平成十九年度におきましては、約二十九億円の国の予算によりまして、高速道路等トンネルを五十一カ所、それから東北新幹線トンネルを二十八カ所実施してきているところでございます。

小野(次)分科員 私は昨年、総務委員会で、中央線の鉄道トンネルの中の不感対策について伺いました。昨年質問した際には、特急列車「あずさ」と「かいじ」だけで年間八百八十万人がこの中央線を使っているということを明らかにしていただいたわけでございますけれども、この中央線で、実に十一のトンネルで携帯電話が使えないままになっているということも御説明いただいたわけでございます。

 実際は、トンネルとトンネルの間に使える部分があっても、それは歩いているとかとまっているなら使えるわけですけれども、実際やってみればわかりますけれども、三十秒や一分だけ使えるところがあったって、それは、あっ、トンネル出たなと思って電話をかけている、動かしていれば、またトンネルに入ってしまうというのは使えないのと同じですから、結局、一時間二十分ぐらいの新宿―甲府移動間に、三十分以上が使えない状態になっているというのが現実、実感でございます。

 それは、JRの車掌さんに聞いてみればわかりますけれども、塩山という駅を出るとそういう放送をしますから、高尾に近づくまで使えませんと。高尾を出ると逆のことも言っていますので。これは私個人が言っているんじゃなくて、三十分以上使えない状態になっている、実感としてあるわけですね。

 そのことを指摘させていただいたわけですが、中央線における不感地帯の解消については、どんな対策を今後実施するおつもりがあるのかないのか、その辺をお伺いしたいと思います。

寺崎政府参考人 携帯電話事業者に確認したところ、JR中央線の東京―甲府間におきまして、上下線で六十六の鉄道トンネルがあり、そのうち十一トンネルにおきまして携帯電話が利用できない状況となっています。

 そのうち、現在、御所トンネルにつきましては、移動通信基盤整備協会とJR東日本との間で遮へい対策の実施に向けた調整が進められている状況でございます。

小野(次)分科員 御所トンネルというのは、四ツ谷と信濃町の間のトンネルのことですか。(寺崎政府参考人「そうです」と呼ぶ)ありがとうございます。

 普通、我々、中央線といえば新宿から先のことを言うんですけれども、逆に言えば、本当に御所というお名前を使うぐらい、そんな日本のど真ん中でも使えないところがあるということですよね。

 僕は八百八十万人と言ったのは、「あずさ」と「かいじ」の特急列車だけのことですから、あんな、信濃町と四ツ谷の間は快速電車が通っているところですから、私はプロじゃないですけれども、五分に一本ずつ電車が通っている、いや二分か三分に一本ずつ通っていれば、年間数千万人ですよ。数千万人が利用している交通機関のトンネルで、御所という名前がついているようなところで使えないのを改善する、それはしないよりはした方がいいんですけれども。

 もう一遍聞きますけれども、それ以外の、いわゆる本来の中央線と通常言っている部分についてはどうなんですか。

寺崎政府参考人 その他の十トンネルにつきましては、現時点ではまだ具体的な動きはないというふうに聞いております。

小野(次)分科員 社団法人の移動通信基盤整備協会というのがございますね。これは不感対策事業を実施しているということですけれども、その構成員とか目的とか事業の内容について御説明いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 移動通信基盤整備協会は、高速道路等トンネルにおける携帯電話サービスの利用に必要な中継施設の整備等を目的といたしまして、携帯電話事業者を中心に平成六年に設立されました社団法人でございます。

 平成十九年度におきましては、同協会の自主的な事業として、高速道路等の道路トンネルにおける遮へい対策事業を約二百カ所実施するとともに、国庫補助事業といたしましては、高速道路や東北新幹線のトンネルにおける遮へい対策事業七十九カ所、それから、過疎地域等の条件不利地域における伝送路整備事業、これを九十六カ所実施しておりまして、携帯電話の不感地区解消対策に向け懸命な取り組みを行っていると聞いております。

小野(次)分科員 この協会については昨年からちょっと勉強させていただいていますけれども、やはり自動車電話の時代から始まった、そういう色彩が強いようでございまして、今も自主的事業で行っているのは道路の方のトンネルということで、新幹線など鉄道のトンネルについても補助事業でやっているというような、そういうことがメーンのようでございます。

 そこで伺いますけれども、政府では、そういうトンネルの部分の不感対策以外にも、国民生活における携帯電話の利用の確保に向けて補助事業、事業の補助を行って促進しているようですけれども、補助事業の概要及び実績について伺いたいと思います。

寺崎政府参考人 総務省では、過疎地域等の条件不利地域における携帯電話の利用の確保を図る観点から、平成三年度から、基地局整備にかかわる移動通信用鉄塔施設整備事業を実施いたしておりまして、平成十七年度からは、伝送路の整備にかかわる無線システム普及支援事業に取り組んできております。

 これまで、予算ベースで、基地局整備につきましては、七百三十七カ所、総事業費約七百八十三億円で、補助金額約三百五億円でございます。それから、伝送路設備につきましては、二百七十一カ所、総事業費約百六十三億円、補助金額約九十七億円といったようなものを実施してきたところでございます。

 また、平成二十年度事業からは、過疎地域等における整備促進を図る観点から、百世帯未満地域における基地局整備に係る国庫補助率を二分の一から三分の二に引き上げるということで、これから実施していきたいと考えております。

小野(次)分科員 過疎地域等についてそういった補助の制度があり、またそれをさらに充実させるということですから、これは一歩前進ということでいいことだと思いますけれども、今まで伺ってみて、新幹線については補助事業でやっています、それから過疎地域等については、補助事業でやっていて、さらにそれを充実させつつありますということでございまして、新幹線でない鉄道のトンネルについては後回しになっているという実態が変わらないわけでございます。

 他方で、そういった補助事業の話を今聞きましたけれども、それ以外に、各民間事業者、通信事業者だと思いますが、これがいわゆる自前で整備をしている基地局というのも、年間物すごく、私たちの目で見ていてもどんどんふえているわけですけれども、各事業者が自分の負担で基地局整備をしている。それは、最近の実績でいうと年間どれぐらいの規模になるんでしょうか、伺いたいと思います。

寺崎政府参考人 携帯電話につきまして、平成十九年度に事業者が建設した基地局数は、携帯電話事業者三社合計で約二万四千局というふうに聞いております。

 そのうち、これまで携帯電話が利用不可能な地域において新たに建設した基地局数は、おおよそ二千局程度と事業者からは聞いております。残る二万二千局は、携帯電話の世代で、デジタルの新しい方式ですけれども、第二世代から第三世代への切りかえや、エリアのサービス品質改善のための建設と聞いております。

小野(次)分科員 参考に伺いますけれども、補助金が出せるものと出せない事業というのは、どこに限界、どんなところに差があるんですか。

寺崎政府参考人 基本的には、民間に任せておいてもなかなかエリア整備が進まない地域というふうなことで、採算性が非常に悪いとか、そういういわゆる条件不利地域、そういったところに補助事業を入れております。

 それからまた、補助事業を実施する場合、当然、携帯電話事業者もそれを運用することになりますので、そういった点では、携帯事業者と私どもで打ち合わせをしながら、各地域の要望を聞きながらやっている、そういう状況でございます。

小野(次)分科員 去年、鉄道のトンネル、在来線はどうして後回しなんですかと言ったら、採算がとれないからだと事業者が言っていると言っていましたけれども、それだったら最も補助金を出すのに適している部分なんじゃないですか。

寺崎政府参考人 どういうところからやっていくべきかという論議だとは思いますけれども、現時点では、政府全体としても、人口カバー率をまずきちっとしようというようなことで、そういった点で今具体的な補助事業を促進しております。

 先ほど、冒頭申し上げましたけれども、二〇〇六年度から二〇〇八年度末までにさらに二十万人が住んでいるところをカバーしていこうということを一義的に政府の目標として掲げてありますので、今それを一生懸命取り組んでおります。

小野(次)分科員 大変まじめにお答えいただいているのでちょっと攻めにくいですけれども、補助金を出せるかどうかというのは、公益性とか公共性が高いところというのがやはり一番一般的基準になるんだと思うんですね。わかりやすく言えば、多くの人が使っているところが整備されないままというのはやはりまずいから、行政としても補助を出してでも整備させようというインセンティブ、モチベーションになるんだと思うんですけれども、それがやはり国民から見たって一番わかりやすい基準だと思うんです。

 そのどちらか、公益性、公共性から見ても、採算がとれない、事業者任せにできないという面から見ても、なぜこの八百八十万、あるいはさっきの御所トンネルに至っては数千万の人が利用している部分が公からも事業者からもほったらかされたままになっていたのかというのは、私は非常に理解しがたい部分でございます。

 さっき局長が、政府参考人がカバーエリアの話をされました。総務省の資料によりますと、カバーエリア人口率が九九・七%と言っていますけれども、このカバーエリアという概念が私はよく理解できないんですが、教えていただきたいと思います。

寺崎政府参考人 平成十八年度末における携帯電話の人口カバー率は、先生今おっしゃったとおり、約九九・七%と推計されています。

 人口カバー率という定義ですけれども、国勢調査の結果に基づく地域メッシュ統計地図を活用いたしまして、一平方キロメートルのメッシュごとに携帯電話のエリアであるかどうかを判断いたしまして、エリアとされたメッシュ内の居住人口を合計してエリア内人口とし、総人口に占める割合を算出したものでございます。

小野(次)分科員 一言で言うと、それはねぐらというか寝起きする場所の概念ですよね。今、私たちは移動通信の話をしているときに、ねぐらの話でその率を計算するというのは、そもそもやはりおかしいんじゃないかなと私は思うわけでございます。具体的に言えば、どんなに人がたくさん使っていても、地下街とかトンネルとか橋とかというのはこのカバーエリアに入らないということじゃないですか。

寺崎政府参考人 現在の考え方の主目的に、人口カバー率をまずカバーしていこうという観点からやっておりますけれども、ただ、先生おっしゃったように、人口の移動するところ、通過するところというのは非常に重要だという観点、そういったところでは、逆に言いますと、事業者の方でもクレームとかそういったようなものが多いエリアがありますので、そういうところにつきましては、要望に応じて、措置しているというところがございます。ですから、一番残ってしまうのは、行きどまりとかそういうところはなかなか進んでいないというような状況がございます。

小野(次)分科員 この資料も総務省からいただいた資料で、私、それなりに常識的に文章を理解するレベル、力はあると思っていますけれども、これだって、携帯カバーエリア人口比九九・七%、残り〇・三%余りの整備が急務と言っていますけれども、この〇・三が整備されたら、一〇〇になったら、だれが考えたって、ああ、日本じゅうどこでも使えるようになったんだなと思いますよね。

 ところが、何千万人が使っている御所トンネルが使えないままでも一〇〇%になるということだから、それはちょっと、これは何のための数字なんだといったら、やはり行政の目標、あるいは国民から見ても、どれぐらい行政が成果を上げてくれているかなという目安じゃないですか。その目安として、移動通信について、固定しているものじゃなくて移動の通信について、普及している、あるいは成果がどれぐらいか見るときに、何か寝起きしている場所で統計をとっていると一〇〇になったって実際には使えないところは幾らでもあるというのでは、指標としても適切ではないんじゃないかなと私は思うわけでございます。

 家にいれば、さっき申し上げた、変な言い方ですけれども、携帯こそ社会の窓と私は思いますけれども、まず電話で情報を出したりとったりします。テレビで今ほとんどのニュースを見ることができます。パソコンで、これは有線の場合を想定していますけれども、とにかく線のつながったパソコンでいろいろな情報を得たり発信したりするわけですけれども、そのすべてを移動中には携帯あるいは携帯型のパソコンから発信したり受信したりする形で私たちは実際生活しているわけですよね。その生活圏というものを実際には行政目標の対象にしなければ、どれだけやったかの目安にならないような気がするんですけれども、もう一遍伺いたいと思います。

    〔福井主査代理退席、主査着席〕

寺崎政府参考人 人口カバー率は、国勢調査の結果をもとに居住地域を対象に推計したものでございます。委員御指摘の点につきましては推計に含まれていないのが今は実態でございます。

 ただ、御指摘のような空間に対する取り組みの必要性は認識しておりまして、電波遮へい対策事業の実施によりまして高速道路や鉄道のトンネル内での不感解消にも取り組んでいるところでございます。

 ですから、現状では、まずは相当の需要が見込まれ、かつ利用者からの要望が強いところを優先して実施しているという状況かと思います。

小野(次)分科員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども、この質問をつくる過程で、デジタル・ディバイド解消戦略会議第一次報告書というのを教えていただいたわけですが、このデジタルデバイドというのも、私も英語が余り得意じゃないのでよくわからなかったんですが、どうも格差をなくすようにしようという会議のようでございまして、通信の分野についてそういう格差をなくそうということだと思うんです。

 このいただいた資料を見ると、第一次報告書が三月にできて、六月までに最終取りまとめをするというようなことがあるんですが、この内容をちょっとお聞かせいただければと思います。

寺崎政府参考人 地方再生は政府全体として取り組みを進めている最重要課題の一つでありまして、情報通信分野におきましても、ブロードバンド・ゼロ地域や携帯電話の不感地帯の解消に向けまして、有識者で構成するデジタル・ディバイド解消戦略会議を昨年の十月から開催いたしまして、具体的な施策展開のあり方につきまして議論をいただき、三月二十六日、先月の第四回会議におきまして第一次報告書を取りまとめたところでございます。

 第一次報告書におきましては、ブロードバンド基盤の整備につきまして、遠隔医療等の地方のニーズを創出しつつ、これに対応した基盤整備を図っていくという観点から、ブロードバンド基盤整備、携帯電話エリア整備、防災情報基盤、地上デジタル放送等の一体的整備、それから、光ファイバー網の整備等、WiMAXという新しい無線方式なんですけれども、そのWiMAX等の無線技術を組み合わせた基盤整備などを推進していくとともに、携帯電話の不感地帯の解消につきましては、補助事業の拡充、新技術の開発の推進等の方向性を明確化したところでございます。

 この戦略会議ではことしの六月を目途に最終目標を取りまとめる予定でございまして、総務省といたしましては、最終報告書を踏まえ、デジタルデバイド解消に資する関連施策につきまして一層積極的な展開を図ってまいりたいと考えています。

小野(次)分科員 さっきも触れましたけれども、そのカバーエリア人口率というのでは、考慮される対象というのはどうしても寝起きする場所、あるいは面と言ったらいいか、地面というのか、そういうものを対象に整備を進めてきたような感じがするわけですけれども、実際の私たちの生活空間で不感地帯をゼロにしていこうという考え方の方が、実感に合ったというか、国民のニーズに合ったものになるんだと思うんです。

 その意味で、そういう面的なものあるいは寝起きするところでの、家の中での不感地帯の解消に対する力の入れぐあいと比べて、実際に私たちが起きている間に動いたりする、まあ、寝て動くこともありますけれども、生活している中での時間を過ごすことの多い交通機関、特に鉄道トンネルでの不感対策というのは総量として余り進んでいない。もっとこの不感対策の取り組みを強化すべきだと私は思いますけれども、何かそういう取り組みの方針がおありになるかどうか、お聞きしたいと思います。

寺崎政府参考人 携帯電話は国民生活のさまざまな場面で活用されており、居住地域のみならず、委員御指摘のような鉄道トンネルなど居住地域でないもの、そういったような人の活動する空間におきましてもその利用を確保することは、政府としても積極的に取り組むべき課題と考えております。

 このため、民間事業者による自主的な整備に加えまして、政府としても、これまで高速道路や新幹線のトンネル内等を対象に補助事業を行ってきております。これまで全体としては着実に整備が進んできているものの、鉄道トンネルなど人の活動する空間の一部におきましてはいまだ利用できない場所があるのも事実でございます。

 そういった点から、先ほど申し上げましたデジタル・ディバイド解消戦略会議を今開催しておりますけれども、民間有識者や地方公共団体の参加を得て、今後の携帯電話のエリア整備のあり方等について御議論いただいているところでありますが、委員の御指摘も踏まえまして、人の活動する空間における利用の確保につきましても今後十分な検討を行い、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

小野(次)分科員 局長から前向きのお話をいただいたわけですけれども、本当に、今までの統計の中に、そういう移動中の状態というのを想定していないということが、やはり官においても民においてもインセンティブになっていなかったんだと思うんですね。寝ているところで通じればそれで成果が上がったという考え方で進めてきたわけですから。

 この報告書を見ても、三月から六月、あと二カ月しかありませんけれども、めどにして、携帯電話については新たな整備目標を策定しなきゃいけないというくだりもありますね。この新たな整備目標を策定する際には、移動中の不感ゼロを目指すという方針を、もっと早く取り入れるべきだったと思いますけれども、これからぜひ取り入れていただきたいと思うんですが、こういう私の認識について、何か感想があればお話しいただきたいと思います。

寺崎政府参考人 私も携帯電話のユーザーでありまして、出かけたときにぶちっと切れますとむかっとするケースが多いですので、委員御指摘の点はよく理解しております。

小野(次)分科員 きょうは、鉄道局次長もお越しですか、済みません、どうも。

 鉄道トンネルの不感対策については、鉄道事業者としても協力できることがあるんじゃないかと思うんです。スイスなんかでもそういう例があると聞いていますし、つくばエクスプレスなんかでも、あれは新線をつくるときからそういう形で協力を得ているというようなことも聞いていますので、ちょっとその辺について、可能性についてお話しいただきたいと思います。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 携帯電話のサービスの提供、これは本来的には携帯電話事業者さんによる事業ということでございますので、関係者の御努力で通話可能エリアも順次拡大されていると承知しています。これにつきましては、鉄道事業者も、必要の際にはその実施に協力してきたというふうに承知しています。

 先生御指摘の、鉄道路線のトンネルにおける携帯電話アンテナの整備等につきましては、事業者さんが計画し、総務省さん、協会さんが電波遮へい対策事業を実施されていると承知していますけれども、鉄道事業者におきましても、これまで、鉄道トンネル内の電波遮へい対策事業の実施に対しまして、トンネルの位置におけるアンテナ設置場所の提供、あるいは、種々の工事を伴いますので、その工事を行うための時間の調整等の整備環境の提供、そして、先生からまさしく御指摘のありましたつくばエクスプレスでございますけれども、鉄道運行用に敷設した光ファイバーケーブルについて、容量に余裕がある場合にはその利用を認めるなどの協力が可能ではないかなと承知しています。

 いずれにしましても、鉄道トンネル内の携帯電話の利用環境の改善に当たりましては、必要の際には、国土交通省といたしましても、鉄道事業者に対しこのような可能な協力を求めることは当然やぶさかではございません。

小野(次)分科員 基本的には、鉄道事業者と通信事業者、民と民の関係なのかもしれませんけれども、私が聞くと、やはり鉄道敷地内は勝手に下見に入ることもできないような場所だと。下見というのは変な、素人っぽい言い方ですけれども。

 とにかく、やはり両方が協力しないとできないことだし、今おっしゃった可能性についても、もっとお互いが知らせ合う、知り合う努力が必要だと思うんです。だから、鉄道事業者にはそういう可能性があると言っているんだけれども、今まで余り、使われた例が一、二しかないというのは、お互いが余り検討が進んでいないということの証左ではないかと思うわけです。

 大臣、ちょっとお伺いいたしますが、民と民の関係なのかもしれませんけれども、特に携帯電話の方の事業者の問題だというふうに押しやってしまうと、いつまでもこの事態が変わらないような気がいたしますので、総務省としても、この不感対策に向けて、国交省、鉄道の関係とか、あるいは便利になる、利益を受ける可能性のある地方自治体などともあらかじめ連携しながらこういう取り組みをしていくべきじゃないかなと思うんですが、御見解を賜りたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございました中央線の不感地帯、委員が御指摘いただいた路線をつい先日私も通ったばかりでございまして、御指摘自体が、通常生活していく上で本当に不便なことで、もっともな御指摘だなということを私も実感いたしたところでございます。

 今お話ございましたとおり、国土交通省さん、あるいはそこを通じて鉄道事業者さんといろいろとこの関係について努力し合う、それから、利益を受けることとなる地方自治体、ここといろいろ連携をし合う、そういうことは総務省としてもやはり大事なことだというふうに思います。

 先ほどちょっと局長の方から御紹介いたしました戦略会議でございますが、そこには自治体の関係者が入っておりまして、そして、実は今までは、そういう鉄道トンネル、まさに先生がお話しになったような、人の活動する空間に対しての意識というのがまだまだ低くて、あの戦略会議の中でのテーマになっていなかったんですが、六月までにまだ時間がございますので、活動する空間、そしてその代表としての鉄道トンネルのようなものをどのようにこれから携帯が通じる、そして生活する上で支障がないような形にしていくのか、この点について、戦略会議の中でも議論の俎上にのせて、そして知恵を出して、できるだけ早くこういったものを解消するための方策を検討したい。

 そして、私どもも、総務省として、やはり国民の皆さん方あるいは大事なユーザーの皆さん方の期待にこたえられるように努力をしてきたい、このように考えております。

小野(次)分科員 時間が参りました。総務省、総務大臣は、通信分野もそうですけれども、地方の問題、地域の活性化についても所管されておられるわけで、やはり、このユビキタスの通信、ユビキタス社会の実現というのは、物理的な距離、人が移動するのにかかる時間というのを超えて、通信のサービスによって、都市と地方、あるいは地方間の格差を是正したり、地域の活性化にも不可欠なインフラなんだと思います。

 その点で、大臣の所管は大変お広いわけですが、今いただいた前向きの答弁で私も大変感謝していますけれども、ぜひこれからもリーダーシップを発揮していただきまして、早く実現できるようにお力をいただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

横光主査 これにて小野次郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 民主党の岡本でございます。

 本日は、まず、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律、これは略して認定法と呼ばせていただきますが、平成十八年五月の成立をもって、新しい公益法人のあり方について、今まさに、それぞれの、これまでも公益法人であった皆さんがその移行を準備してみえるところでございます。

 法案審議の中でも議論になったところでありますけれども、今回の公益法人改革によってどのような部分が変わってきたのか、これまでの公益法人のあり方と比べて、どのような点で、今回のこの認定法に伴って公益法人のあり方が変わっていくというふうにお考えなのか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。

戸塚政府参考人 それではお答えいたします。

 今回の公益法人改革におきましては、今までの民法法人によるいわゆる主務官庁制、許可制というのが各主務官庁の裁量によって行われてきたというような弊害がございまして、これを今回改めまして、国の所管の法人でございますと、内閣府に公益認定等委員会という委員会、これは民間有識者による委員会でございますが、こういう委員会を設けまして、ここで一元的に明確な法律等の基準に基づきまして審査を行っていく。その考え方の基本にありますのは、民による公益の増進を図っていくという観点から、こういう制度改革が行われたというふうに理解しております。

岡本(充)分科員 その中で、認定の基準の明確化ということでありますが、公益目的事業比率が費用ではかって百分の五十以上というのが一つの条件になっていると承知をしております。これは、いわゆる費用ではかってというのは、具体的にはどういう費用ではかってということでよろしいんでしょうか。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、財務諸表のうちのPL上の各事業、それは公益事業、収益事業等、それから管理費に当たりますが、それぞれの費用が出てまいりますが、それを全体を分母にいたしまして、そのうちの公益事業分というのが五〇%以上であることが必要だ、そういうことでございます。

岡本(充)分科員 それは、何年分がそうである必要があるのか。逆に言えば、認定を受けた後に、五〇以上であった、五一であったものが、一年たつと四九になり、二年たつと四八になり、また五一に戻りとか、こういうぎりぎりのところでやっている事業体についてはどのように評価をされるというふうに考えればよろしいんでしょうか。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました公益事業比率で五〇%を超えていただくというのは認定の申請の際の認定基準でございますが、認定されました法人につきましては、引き続きその基準を遵守する必要があるということになります。認定された法人につきましては、毎年報告をちょうだいいたしまして、その中で五〇%を超えているかどうかの確認をさせていただくということになります。

岡本(充)分科員 ということは、五〇%を割ると即公益法人失格ということになるんでしょうか。その点について明確にお答えいただきたいと思います。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 今の点も含めまして、公益認定基準の法定の遵守事項につきまして守られていない場合につきましては、必要に応じまして、当該法人に対する報告の徴収、臨時の立入検査を行うほか、勧告や命令を行ったり、その命令を行っても従わない場合には公益認定の取り消しというようないろいろな措置が法定されてございます。

 今御指摘のような、五〇%を仮にある年に満たさないような場合につきましては、直ちに認定の取り消しということは一般的にはないものと考えております。このような措置につきましては、事案の内容、例えば、悪質であるかどうかといったこととか、緊急に措置する必要性等々を勘案しまして、今申し上げたような具体的措置につきまして適切に対応していきたいというふうに考えております。

岡本(充)分科員 直ちに取り消しにはならないというお答えでありました。そこを確認させていただきましたので、もう一つは事業の数とのかかわりであります。

 公益事業と思われる事業、公益事業だとされる事業を年に一回やっていて、しかし、それ以外の例えば事業数、ほかの事業、まあ管理費に含まれるのかもしれませんが、例えば理事会等の会議の費用、こういったもの、費用で見ると百分の五十を確かに公益事業が上回ってはおるものの、件数でいうと公益事業でないものが多い場合、これでも、件数ではなくて費用でありますから、当然公益法人と認定されるということでよろしいのか、まずそこを確認したいと思います。

戸塚政府参考人 まず、一点目の、公益事業比率の五〇%超の基準につきましては、それは法律では費用で換算してということでございますから、全体の年間の費用額のうち、公益事業に当たる部分の費用が五〇%を超えていれば……(岡本(充)分科員「件数ではないということですね」と呼ぶ)はい。

 それと、ただ、もう一点確認でございますが、公益認定の基準というのは、公益事業比率以外にも、例えば経理的基礎とか技術的能力とかそういうのもございますが、それをすべて満たしていただく必要がございます。

岡本(充)分科員 法人の関係者に特別の利益を与えるものでないことなど、いろいろあるということは承知をしております。ただ、この百分の五十の評価について確認をしておきたかったということであります。

 もう一つは、公益事業だと思われる事業を企画するものの、残念ながら参加を、例えば地域でお祭りをやろうと思ったら、来た人間が関係者のみであったとか、例えば何らかの文化事業をやろうと思ったけれども、集まった者は関係者の子供さんたちだけであったとか、必ずしも、地域の広く不特定多数の多くの皆様方の公益性にかなうように企画はしたものの、結果としてそうならない事業となってしまった場合のいわゆる事業費について、この費用について、先ほどお話をしました公益目的事業比率のうちの公益目的費用というふうに見ていただけるのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。

戸塚政府参考人 まず、委員御案内のこととは思いますが、公益目的事業と申しますのは、公益法人認定法の別表に定める目的に合致し、かつ、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものというふうに法律上定義してございます。

 御質問のケースでございますが、この認定の審査におきましては、基本的に事業の計画をもとに判断をいたします。したがいまして、過去の実績を基本的に問うものではございませんが、事業の計画とか予算において、その事業の実現可能性、今申し上げたような意味での不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するということについての事業の実現の可能性につきまして、必要に応じて十分御説明いただくということはあろうかと思います。

岡本(充)分科員 では、結果は問わないということでよろしいんでしょうか。

戸塚政府参考人 認定審査の段階におきましては、基本的に計画に基づいて審査をいたします。ただ、仮に認定された後につきましては、これは今申し上げたように、この認定の基準というのは認定後も引き続き遵守していただくということが必要になってまいります。したがいまして、認定後、毎年事業報告等々いただきますけれども、その報告を見て、あるいは必要に応じて、定期的な立入検査もございますが、その中で、目的としたような、意図したような事業が行われているかどうかというような観点からもチェックをいたしますので、その事業の結果が不特定多数の利益の増進に寄与するというふうになっていないとするならば、それは場合によれば当該事業が公益事業ではないと認定される場合もあり得るかと思いますので、これは事後的なチェックの問題として個別にまたチェックしていくということになろうかと思います。

岡本(充)分科員 その際でも、ある程度猶予というか、改善の猶予というものはいただけるということでよろしいんですか。即取り消しということにはならないということを確認したいということです。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、基本的には、認定基準を満たさない場合でも直ちに取り消しということは一般的にはあり得ないかと思います。ただ、その当該事案の内容、先ほど申し上げた悪質性だとか改善を図っていく緊急性とか等々を勘案して適切に対応していきたいというふうに考えております。

岡本(充)分科員 この点につきましてはここまでにしまして、今度は公立病院改革について少しお話をしたいと思います。

 大臣御出身の岩手県は、拝見しますと、県立病院が大変多数あって、二十ぐらいの病院と五つぐらいのいわゆる地域診療センターがあって、市立病院は比較的少ないのかなというふうに拝見をしておったんですけれども、愛知県においては市立病院がたくさんありまして、それぞれの市立病院がさまざま工夫をして頑張っています。

 きょうお手元にお配りをしました津島市民病院、稲沢市民病院、尾陽病院、そして一宮市立尾西市民病院、それぞれの収益の概況を総務省さんからいただきました。それで、決算統計を今皆様にお示しする中で、一つ目の津島市民病院、そして稲沢市民病院と尾陽病院、そして尾西市民病院、それぞれの病院、抱えている問題が違うわけでありますが、何分、愛知県の場合は、国全体からいっても医師の数が平均より少ないということもあり、医師不足が深刻なわけであります。

 まず、この津島市民病院に関して言いますと、何よりも大きいのがこの減価償却費であります。新しい病院に建てかえて極めて厳しい減価償却をしている。今回の公立病院ガイドラインの中にも、例えばこの減価償却に対してもう少し援助をするとか、例えば、いわゆる経営指標の水準をどのように見ていくかですけれども、ガイドラインの中の、例えば、公立病院の財務内容の改善にかかわる数値目標設定の考え方の中でも、(2)の3のところに書いてありますけれども、いわゆる経営指標の水準でありますが、こういった指標の水準を立てるときに、地域の病院の立地条件、医療の機能等により大きく左右される場合も多く、こうした事情をしんしゃくしていくんだという話でありますが、建てかえをすると急激に病院が苦しくなる、その一例がこの津島市民病院じゃないかというふうに思っています。

 こういった建てかえをした病院に対して何らかの、総務省としても、今回の公立病院ガイドライン等でも、いわゆる支援ができないのか。また、実は、残りの三病院は、この津島市民病院の例を見て建てかえを逡巡する、残念ながら、建てかえをすると経営が厳しくなるのではないかということで、建てかえをするということを決断しておりません。

 そういう意味で、建てかえをした公立病院に対する支援というものをもう少し総務省で検討していただけないかなと思っているわけですが、いかがでございましょうか。

久保(信)政府参考人 これはもう委員御案内のとおりのことになりますけれども、病院も地方公営企業でございますので、本来は独立採算だということになりますけれども、病院は、収入の方も社会保険診療報酬がほとんどであるとかいうこともございまして、地方公営企業法の経費の負担区分の原則、十七条の二がございまして、収支を償わせることが適当でないとか、あるいは客観的に困難だという場合には、地方公営企業法の施行令で定める事業については一般会計から繰り出しを行うということがルール化されております。

 今御指摘がございました建設改良、この建設改良と企業債元利償還金、これにつきましては、地方公営企業法の施行令の附則の十四項がございまして、当分の間は繰り出しをするということになっております。私ども、その施行令等に基づきまして、繰り出し基準を設けておりまして、病院の建設改良に要するために起こした病院事業債の元利償還金につきましては、その二分の一につきまして一般会計から繰り出すということにいたしております。

岡本(充)分科員 既存の話をしているんじゃないんですね。

 では、この残りの三つの病院の耐震化の状況について調べるようにお願いしていますけれども、一番耐震強度の弱いポイントで見た場合、それぞれどのくらいの数字になっていますか。

久保(信)政府参考人 事前にそういうお話がございまして調べてみましたが、数値というのはちょっと把握をしておりませんけれども、稲沢市民病院、これにつきましては平成十四年に耐震診断を実施されております。そして、尾西市民病院でございますか、これは平成十九年に実施をされたというふうにお聞きをしておりますけれども、公立尾陽病院につきましてはまだ実施をされていないというふうにお聞きしています。

岡本(充)分科員 数値を把握するように、きのう私はお願いしておいたんですけれども。数値がないと、これは、残念ながら、どれだけ耐震基準が満たされていないのかということがわからないですね。議論にならないんですけれども。

久保(信)政府参考人 私も先ほど事務方の方から聞いたんでございますけれども、図面等によって数値のとり方というのもいろいろあって、そのうちどれをとったらいいのかというのが、ちょっと私どもなかなか把握ができなかったというふうに私は報告を受けました。

岡本(充)分科員 大臣、報告をさせるように、ちょっと指示してもらえませんか。

増田国務大臣 後で事務方の方に、御質問の御趣旨の数字を、何かいろいろと作業をして、できるだけ誠実にお答えするように指示をしておきたいと思います。

岡本(充)分科員 耐震基準に満たない場所があるんじゃないかと私は思っているし、一部の病院は、廊下の幅も旧基準で大変狭い。こういう病院を公立病院としてずっと維持していくのは、このガイドライン以前の問題として、さまざまな問題を抱えている。特に、東海地震、東南海地震が危惧される地域にあって、こういう病院で本当にいいのかということも含めて、これはもっと考えていかなきゃいけない。だからこそ、建てかえに向けて、総務省として何らかの支援をしていくべきだと。この公立病院ガイドラインには書いていない。

 そもそも、私、指摘をしたいのは、改革プランをつくれと書いてあるのは結構ですが、今局長が言われた、独立採算を原則とするというけれども、民間病院でできない地域だということをここに書いてある、そういうところもしんしゃくすると書いてある。にもかかわらず、原則とはいえ、独立採算だというのはなかなか無理がありますよ。無理がある。

 前回、厚生労働委員会でも私は指摘をしました。島のただ一つの病院だとか、二次医療圏でただ一つ、残念ながら収益性が乏しいものですから民間病院がないとか、こういうところはしっかりと財政的措置をしなきゃいけない。そのとき、何を選ぶかは難しいと答弁されています。「その地域に本当に必要なところというのはどういう指標でとっていくのか、実は悩んでおるところでもございまして、今後、ただいまの御指摘なんかも含めまして、どういうふうにすればいいかというのを十分考えていきたいと思っておるところでございます。」と答弁をしていただいているわけです。

 その後どうなんですか、その議論は進んだんですか。

久保(信)政府参考人 これは委員御案内のように、私どもの十二月二十四日につくりましたガイドラインの一番最後のところで、まさに今御議論していただいています、「公立病院に関する既存の地方財政措置の見直し」という一項目を立てまして、そこの中で、「公立病院に関する地方財政措置の重点化」という項目も設けております。

 その中では、例えば、公立病院に関する地方財政措置のうち、建設改良費、これにつきまして、建築の単価が一定水準を上回るといったようなものについてどう考えるのかとか、あるいは、病床数に応じた普通交付税措置を行っておりますけれども、この普通交付税措置につきましても、病床の利用率といったものを反映すべきか、すべきでないのか、そういったことも検討するということとあわせて、「過疎地等」と書いておりますから、これは過疎地と限りませんけれども、過疎地のほかにも、何か私どもがもう少し応援できないかといったような、そういったところにおける病院とか診療所、これに係る地方交付税措置の充実といったこともあわせて議論していきたい、こう思っておりまして、具体的にはまだそういう議論に着手しておりません。できるだけ早急に議論する場を設けて検討していきたいと考えております。

岡本(充)分科員 ただ、その前提は、少なくとも、地域の二次医療圏で一つの公立病院、それから、民間病院があったとしても、地域的にその民間病院が偏っている場合、私が指摘をしている海部津島医療圏については具体的名称も挙げて、質問取りに来られましたから、そういう点も踏まえて考えると、この津島市民病院は残さざるを得ないんじゃないかと思うんですけれども、それはどのようにお考えですか。

久保(信)政府参考人 個別の話になりますので、私ども、今、それが必要であるとかないとか、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

岡本(充)分科員 それは、だって、通告してあるんです。通告してあるのでしっかり答えてください。

久保(信)政府参考人 改革プランをおつくりになる際も、これは、そこの地域の方々に集まっていただいて議論をして、ことしつくっていただこうと思っておりますし、今御指摘があったようなことも含めて、やはり地域で議論をしていただく、そして私どもがまた、その改革プランを見て、何ができるのかということを考えていきたいと考えております。

岡本(充)分科員 大臣、質問通告していることに答えてもらえないんですね。

 それで、私は、具体的な名称も挙げて、その評価についても評価をしてくださいということをお願いしています。そういう意味で、地域性も、どこにどういう病院があるかというお話もしました。この二次医療圏を指定してお話をしています。そういう意味で、答弁をきちっとした公式な形でいただけるように御配慮いただきたいんですが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 これは、私も、岩手県で随分多くの県立病院を抱えておりましたんですが、その病院をどういうふうに今後のあり方を考えていくかということは、最終的にはやはり開設者が責任を持って判断していかなければならないということであります。

 今回の、今委員から御指摘いただきましたこの点につきましても、当然、開設者、それから周辺の、恐らくいろいろな民間病院もあると思いますし、それから、あと、こういった場合には、県との中でよく二次医療圏ごとにいろいろお話を十分していただくということが必要でございますので、まず、そうした中で御判断をいただくということが適当ではないかというふうに考えております。

岡本(充)分科員 いや、答弁を私は求めていて、それで今その答弁を回避されているから、それについてきちっと公式な形でお答えをいただきたい、文書なり、それを求めているわけで、この病院についてどうするということを、大臣みずからこの場でお答えいただくということを求めているわけではありませんから、きちっと答弁を用意させるよう御指示をいただきたいということです。

増田国務大臣 委員の質問に対してきちんと担当者が答えるということは、これは大変必要なことでありますが、そこは私の方からも事務方に指示しておきたい。

 それで、内容につきましては、いろいろと我々として答弁できること、それから、我々として、やはりどうしても総務省としての判断ができかねるものもございます。そこはいろいろ精査をさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)分科員 その上で、これは病院のネットワークの話が公立病院のガイドラインに出ているんですけれども、これは逆に市町村のネットワークみたいなものはつくれないのかと。要するに、公立病院、市立病院があるところは大変だけれども、その隣の病院は患者さんだけがそこに受診をして、お金を負担しなくていいというのはどうかというのが正直私が見ていて思うところです。

 大臣のみえた岩手県は、そういう意味では、県立病院ですから、人の差配も申しわけないけれどもやりやすい。雇用をしていて、A先生ここへ行って、B先生あそこへ行ってというのも比較的言いやすい、開設者がそういう意味では一人でありますから。ところが、市立病院はそうもいかない。こういうときに、やはり周辺の市町村ともう少し議論を重ねるように、これは総務省から、もしくは愛知の場合だったら愛知県から、それぞれの都道府県から、もう少しこういった意味でのネットワークの協議に入るように一回考慮してみられたらどうかなと思うんですね。

 それについてお答えいただけますか。

久保(信)政府参考人 先ほど申し上げましたように、繰り出し基準を設けて、それについて地方交付税措置を講じているということを私ども行っております。そして、その地方交付税措置は、公立病院を開設した当事者である地方公共団体に対して措置をしているということでございまして、委員が御指摘になっておられること、よくわかります。

 最初に公立病院を開設するときにそういう事情があれば、十分に協議を周辺として、そして、今委員の御指摘になった四病院のうちの一つに組合立の病院がございますけれども、それも一つの手法でございましょうし、そういったことを十分協議して開設をしていただきたいな、こう思っております。

 私ども、今回ガイドラインをつくりました際に、経営の効率化、そしてネットワーク化、そしてもう一つは病院の経営の形態、こういったものについても改革プランをつくる際に十分議論してほしい、こう申し上げておりますけれども、その際、例えば独立行政法人にしていこうとか、そういう話がありましたら、御指摘がありました愛知県のお力もかりながら、独立行政法人に仮にしたときにはどういう形での法人の運営を行っていくかとか、それも周辺の市町村と協議をするとか、そういったことも考えられるのじゃないかというふうに思っております。

岡本(充)分科員 ぜひ、もう一度改めて検討いただきたいと思いますし、もう一つ言いますと、このガイドラインの十四ページに載っていますが、「公立病院特例債の創設」ですけれども、「平成十五年度以降の医師不足の深刻化等により発生した不良債務等を長期債務に振り替える「公立病院特例債」を発行できることとし、」と書いていますが、まさにこの医師不足による収益の悪化がこの稲沢市民病院で起こっております。

 平成二十年度と言わずに、これも医師不足が解消するまでの間というふうにできていかないかどうかも、ぜひ検討だけはしていただきたい。それも検討ぐらいはしていただけますでしょうか。

久保(信)政府参考人 私ども、今回、まさに医師不足というのが全国的に相当大きな問題になっておって、そのことによって不良債務が、実質赤字がふえている、そういうことに着目をいたしまして、御指摘がございましたように、平成十五年度から十九年度までに増加した不良債務、この分について、平成二十年度でまず六百億円の枠をつくって、そして公立病院特例債、一時的な借入金の増加額を長期債に振りかえるという、これをまずやってみよう、こう思っております。

 その後につきましては、またその結果を見て判断をしたいと考えております。

岡本(充)分科員 医師不足は今年度で解消するわけではありません。したがいまして、これが二十年度で終わることのないように要望をしておきたいと思います。

 それから、病床利用率の話です。これもガイドラインの八ページのところに載っておりましたけれども、「過去三年間連続して七〇%未満となっている病院については、本改革プランにおいて、病床数の削減、診療所化等の抜本的な見直しを行うことが適当である。」それは適当かもしれないですけれども、地域によってはできないところもある。

 前回も私は質問しました。看護師不足で病床を一時閉鎖している、こういうところの密度補正を、ある意味、これまでの基準を見直して、いわゆる交付税で措置している部分を減らすことのないように明確にお願いをしたところでございますけれども、この点についても、このガイドラインによって最後の方に書いてありますけれども、財政支援の話についても、病床を削減したとしても、「削減後五年間は削減病床数を有するものとして、普通交付税措置を講じる。」と書いています。しかし、病院にとっては本当に、五十床、百床の病院、もっと言えば二百床、三百床でも同じだと思います、交付税で措置されている部分が命綱のところもあるわけです、その数百万、数千万が。

 そういう意味では、地域で、先ほどもくどいように申し上げましたけれども、病床利用率を、一概に、医師不足もあってこれは病床稼働できないんですよ。同じ規模の民間病院、これは都市部というのはどこを定義しているのか知りませんけれどもね、このガイドラインで。しかし、都市部がこうだから、全国平均がこうだから、そういう基準で一律に見られると大変困る病院が出てくる。本当に地域で必要な病院というのは私はあると信じているし、そこは、同じように独立採算で黒字になってもらわなければ困るという一律の切り方では困るわけです。

 局長に、明確にこの点を賛同いただけるかどうかお答えいただき、なお、この病床削減率の件に関して、削減をした、もしくは閉鎖をしたから交付税を、単価を見直す可能性があるという話はこれまで審議官から聞きました、一床当たりの単価を見直すにせよ、その病院に行っているまさに命綱とも言えるこの交付税を細らせることはないということをお答えいただいて、私の質疑を終わりたいと思います。

久保(信)政府参考人 これも先ほど御答弁申し上げましたけれども、まさにガイドラインの一番最後のところに、今後検討していくべき課題ということで触れさせておりますけれども、やはり交付税がどんどんふえていくという状況にあればまた違いますけれども、交付税も限られておりますし、その中でどういうふうに必要なところに重点化していくかということについて今後慎重に検討していきたいと考えております。

岡本(充)分科員 私の考えた、必要なところがあるというのは賛同していただけるんですか。

久保(信)政府参考人 あり得ると思います。

岡本(充)分科員 終わります。

横光主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十九分散会


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