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第1号 平成22年5月17日(月曜日)

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本分科会は平成二十二年五月十一日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      五十嵐文彦君    櫛渕 万里君

      城島 光力君    本多 平直君

      松本 大輔君    谷田川 元君

      柚木 道義君    木村 太郎君

      田中 和徳君    小泉 龍司君

五月十四日

 木村太郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年五月十七日(月曜日)

    午後二時開議

 出席分科員

   主査 木村 太郎君

      五十嵐文彦君    城井  崇君

      櫛渕 万里君    城島 光力君

      平  智之君    本多 平直君

      松本 大輔君    谷田川 元君

      柚木 道義君    田中 和徳君

      小泉 龍司君

   兼務 橘 慶一郎君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   総務大臣         原口 一博君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第四局長            金刺  保君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      西阪  昇君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           花岡 洋文君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    安居 祥策君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行代表取締役社長)    室伏  稔君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         新井  泉君

   参考人

   (地方公共団体金融機構理事長)          渡邉 雄司君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     城井  崇君

  城島 光力君     平  智之君

同日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     櫛渕 万里君

  平  智之君     城島 光力君

同日

 第四分科員橘慶一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫及び文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

木村主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました木村太郎でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫、文部科学省所管及び防衛省所管について審査を行います。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫、文部科学省所管、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 これより財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。菅財務大臣。

菅国務大臣 平成二十年度財務省主管一般会計歳入決算及び財務省所管の一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算並びに各政府関係機関決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入決算について申し上げます。

 収納済み歳入額は八十七兆六千七百四十四億円余となっております。

 このうち、租税等は四十四兆二千六百七十三億円余となっております。

 次に、一般会計歳出決算について申し上げます。

 歳出予算現額は二十二兆二千四百十三億円余でありまして、支出済み歳出額は二十一兆二千百四十三億円余、翌年度繰越額は百十一億円余でありまして、差し引き、不用額は一兆百五十八億円余となっております。

 歳出決算のうち、国債費は十九兆千六百六十四億円余であります。

 次に、各特別会計の歳入歳出決算の概要を申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきましては、収納済み歳入額は百九十四兆七千五百十六億円余、支出済み歳出額は百七十八兆二千八百四十一億円余であります。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出決算につきましては、決算書等によって御了承願いたいと存じます。

 最後に、各政府関係機関の収入支出決算の概要を申し上げます。

 平成二十年十月一日に解散した国民生活金融公庫の平成二十年九月三十日までの決算におきましては、収入済み額は八百六十八億円余、支出済み額は六百六十四億円余であります。

 なお、損益計算上の損益はありません。

 このほか、農林漁業金融公庫等の各政府関係機関の収入支出決算につきましては、決算書によって御了承願いたいと存じます。

 以上が、平成二十年度における財務省関係の決算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

木村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成二十年度財務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件、意見を表示しまたは処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二四号は、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものであります。

 同二五号は、給与計算に関する事務が適切に行われなかったため、源泉所得税が納付不足となり不納付加算税及び延滞税を支払う結果となっているものであります。

 同二六号は、所得税に係る課税額等の訂正に関する書類を作成せず、住民税の賦課徴収を行う地方公共団体に対する当該訂正の周知が遅延したため、当該地方公共団体に損害を与え賠償金を支払う結果となっているものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、賃貸マンション等の取得に係る消費税額の納付に関して意見を表示いたしましたもの、その二は、建設国債の発行により調達された資金に係る剰余金等の使途等に関して意見を表示いたしたもの、その三及びその四は、電子申請等関係システムの利用状況に関して意見を表示いたしたもの、その五は、還付金の支払い事務に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、事業用建物の譲渡がある場合の消費税の課税に関するもの、その二は、職員に支給する諸手当等の予算執行に当たっての会計処理に関するもの、その三は、埠頭監視カメラシステムの定期保守点検業務の積算に関するもの、その四は、物納財産として引き受けた土地に係る国有財産台帳の価格改定に関するもので、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 なお、以上のほか、平成十八年度決算検査報告に掲記いたしました独立行政法人国立印刷局における土地及び土地譲渡収入などによる資金について意見を表示した事項、並びに平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました公務員宿舎赤羽住宅(仮称)整備事業等契約における消費税の取り扱いについて処置を要求した事項及び自動車保有関係手続のワンストップサービスの実施状況等について意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって財務省の決算の検査についての概要の説明を終わります。

木村主査 次に、会計検査院真島第五局長。

真島会計検査院当局者 平成二十年度国民生活金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 次に、平成二十年度日本政策投資銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 次に、平成二十年度国際協力銀行の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 次に、平成二十年度株式会社日本政策金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

木村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。菅財務大臣。

菅国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、財務省のとった措置について御説明申し上げます。

 会計検査院の検査の結果、不当事項として、税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。これらにつきましては、徴収決定等適切な措置を講じる等の対応をしておりますが、今後一層の事務等の改善に努めたいと存じます。

木村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村主査 以上をもちまして財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐文彦君。

五十嵐分科員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 私は、この時間をちょうだいいたしまして、消費税の輸出免税そして戻し税について、少しじっくりとそもそも論から行ってみたいと思っております。

 まず最初に、御到着早々申しわけございませんけれども、消費税というのはそもそも、応能課税ですか、応益課税ですか。

古本大臣政務官 基本的には、その方々の消費した購買力に応じて納めていただく応能課税の一種だというふうに思っております。

五十嵐分科員 そのとおりだと思います。

 非課税措置が中にあるわけですけれども、この非課税措置というのはどうして非課税にするかというと、それは担税力を超えた課税をされると、例えば、最低限の生活をするのに困るとか、購買者、買った人の生活に非常に大きな打撃を与えるといったものについては、他国においても軽減税率を適用したり非課税にしたり、こういうことでいいんだと思いますが、それでいいですか。

古本大臣政務官 先生のおっしゃるとおりだと思います。

五十嵐分科員 それで、非課税の中には、例えばお医者さんの医療費等に非課税が適用されております。福祉関係ですね。それから、住宅の貸し付け、あるいは土地の譲渡や貸し付け、有価証券の譲渡、金融取引などについては非課税措置が行われていると思います。

 この非課税措置について、これらについては還付というものはございますか。

古本大臣政務官 今おっしゃった税目の中に、特別に還付という仕組みはないというふうに承知しております。

五十嵐分科員 つまり、非課税だから必ず還付をしなければならないと、要するに、これらのものでも、当然仕入れのものにはかなりの課税がされているわけですから、最終消費者にこれが転嫁されないということで、中間の業者の皆さんには消費税がかかって、それは価格、コストとしてのみ込んでいるということでよろしいわけですね。

古本大臣政務官 おっしゃるとおり、途中の、中間の仕入れコストについては、その次の仕入れ先である、次なる商社あるいは最終販売者に価格に転嫁をしていただく仕組みだと思っています。

五十嵐分科員 要するに、消費税の本質というのはそこなんです。結局は値決めの問題、価格、コストになってくるということが消費税の最大の問題なんだろうと思います。

 それで、輸出に関しては非課税だという理屈はどういうことかということから、まず簡単にちょっとお答えをいただきたいと思います。

古本大臣政務官 これは、最終的に消費される場所がどこであるかということだというふうに承知をいたしております。すなわち、輸出品につきましては、最終的に消費される国で、その国が定める消費税あるいは付加価値税が課税されるべきものであって、その分の税額については別途還付する仕組みにあるということだと思っております。

五十嵐分科員 基本的に、非課税にしないと最終消費国の消費者が二重の負担を強いられるということだと思うんですが、しかし、これはしょせん価格の問題でもある、一面があるということを御指摘させていただきたいんですが、例えば、消費税を取っていない国がありますね。ここに仕向けられた輸出品についても還付がされているのではありませんか。

古本大臣政務官 輸出される国が、いわゆる消費税あるいは付加価値税であるVATがあるなしにかかわらず、輸出品については還付するということでございます。

五十嵐分科員 そうすると、厳密に言うと、国内で消費される国内の最終消費者の方が、国内で生産されたものなのに消費税がかかって、そして、海外の消費税がない国の皆さんよりある意味で不利な扱いを受けているということは言えますね。

古本大臣政務官 当然、当該商品の国際競争力もあろうかと思いますし、それぞれ需給のバランスもあると思います。したがって、その商品がかの国でどのようなプライシングをしているかということの議論にまで税法の理念として立ち入っているわけではないと思います。

五十嵐分科員 そういうことなんですね。結局は値決めの問題であり、輸出競争力の問題になってくるんだと思います。

 そうすると、輸出をする国として、消費税をかけていった方が損だ、あるいは、輸出業者の皆さんに戻し税をしないと競争上損になるということになるんだと思いますけれども、果たしてそうなんだろうかということをもう一度考えてみたいと思うんですね。

 要するに、結局はコストの問題ですから、消費税の問題とは別にコストというのは決められますよね。それは決められるんだと思います。ですから、例えば日本のような、五%の消費税があるから大いにこれが損になるかというと、必ずしも一概には言えないということがある意味で言えると思うんですね。

 つまり、消費税がかかることによってコストが高くなる、日本全体にとっては輸出国としてマイナスになると思えば、為替は多分円安に振れるんだと思います。そういうことをもし決めたとすれば、その瞬間から円安に振れると思います。円安に振れれば逆に競争力は増すわけですから、消費税があること、非課税にしないことが必ずしも競争力にとってそのままマイナスになるというわけではない。結局は値決めの問題であり、政治的な判断の問題だ、こう思うわけですね。

 あるいは、戻し税についても同じだと思うんです。中小の業者さん、有力な輸出業者の下請になっている皆さんは、その材料には消費税がかかっておりますから、要するに途中段階の業者さん、これは製造業でいえばわかりやすいわけですけれども、消費税を応分の負担をいたしております。

 最終の輸出業者、例えば自動車産業であれば、大きな自動車産業は国内向けもつくれば海外向けもつくるということで、それをまとめて仮受けの消費税をいただいている、あるいは払っているわけでもありますけれども、その分を、仮受けと仮払いの消費税の差額を戻し税として戻されているということですけれども、それは全部、全額、輸出業者である、自動車産業なら自動車産業、電機産業なら家電メーカーに入るわけであって、さかのぼってもとの下請の業者さんには行かないわけですよね。

古本大臣政務官 これは消費税の仕組みの部分を先生から御指摘いただいていると思いますが、途中段階でどれだけの流通業者がいて、あるいは中間取引をしているかというその数にかかわらず、基本原則は、仕入れ値にかかった分を途中の中間業者に転嫁していく仕組みになっております。

 最終的には、輸出業者である最終輸出者が、メーカーの場合は最終輸出者がメーカーになっている場合が多いと思いますけれども、その者が最終的にその消費税をいわば負担するという形になっています。それを別途還付を受けるということでありますので、最終的に、ネットで見れば、だれも得をする人もいなければ損をする人もいない、こういう税制だと思っております。

五十嵐分科員 それはちょっと違うんではないでしょうか。実態とは合わない、理屈の問題で、理屈上もちょっといろいろ問題があるんですが、実態とは少なくとも合っていないと思います。

 まず、数字を確定しておきたいんですが、消費税の戻し税というのは総額で一体どのぐらいありますか。

古本大臣政務官 消費税の戻し税は年間で二兆五千億円、これは平成二十年度でございます。還付の申告件数全体は十六万件で、二兆五千億円の戻しということになります。なお、これは国税分のみでございます。

五十嵐分科員 そのうち大企業は、例えば資本金十億円以上というふうにした場合でも結構ですけれども、どのぐらいの割合になりますか。

古本大臣政務官 これは、税法上の大企業という概念というのは線が引きにくくて、事前に御通告いただいておりましたので少し調べてみましたけれども、委員御指摘の売り上げ十億円超というところで仮に線を引いてみますれば、売り上げが十億円を超えております法人の平成二十年度分の消費税の還付金額は、全体のうち二兆二千億円になるということでございます。

五十嵐分科員 最終消費者が払う一年間の消費税というのは大体二兆八千億円、そのうち政府が支払っているようなものを除くと正味二兆五千億円と言われていると思います。一%分が大体そういう計算になっていると思いますが、違いますか。

古本大臣政務官 いえ、先生のおっしゃるとおりだというふうに思います。

五十嵐分科員 ですから、庶民は一%分で二兆五千億円払っているという意識、まあ全体ですから庶民だけではないわけです。しかし、大企業に限って言えば、一%分に近いものが返ってきている、こういうことになる。これは一種の輸出奨励金、輸出補助金に近いようなものだ。

 そして、私が問題があると言ったのは、日本のようないわゆる大企業、その下に下請企業があり、さらに孫請企業があるようなピラミッド形の企業の構造になっている、こういうところでは、輸出をするような大企業、自動車産業のようなものはすそ野の広い産業と言われておりますけれども、これは価格決定力が大きな企業に偏在をするわけですね。価格決定は大企業がする。そうすると、我々の取引の中でもあるように、強いものが弱い方に向かって消費税分をまけてよという話が当然出てくる、出てきやすい。特に今のような時代では、コストカット、コストカットということで厳しく下請にコストカットを迫ってくる。消費税が悪いというわけではないかもしれないけれども、消費税分をまけろよという話は日常茶飯事のように出てくるんだと思います。これはそれに応じざるを得ない。

 場合によっては、もっとひどい話もあると思うんですね。直接、コスト、単価のカットになるならまだしも、例えば社内の行事の協賛金にお金を出してくれとか、あるいは政治家のパーティー券を分担して買ってくれというような形で、本来輸出企業が持つべきコストを別の形で負担させるということもあり得るわけです。これは消費税の世界とは別だとおっしゃるかもしれないけれども、企業経営は全体ですから、消費税のコストも含めてそういう分担をさせることができる。そうなると、戻し税で返ってくる分丸々、大企業にとってはこれはとりっぱぐれのないおいしい財源になってくるということが当然出てくると思うんですね。

 こういう問題を解決していかないと、五%のうちはまだそんなに問題がないかもしれないけれども、消費税は将来大きくなることが予想されていますけれども、例えばの話ですが、一〇%以上になった場合には、複数税率が導入されたり、さまざまな複雑なことが起きてくる。そのときは当然インボイスが入っていなければいけないと思いますけれども、こうした場合に、一方で下請の中小零細企業や一般の国民は、消費者は巨額の消費税負担に悩まされるけれども、大企業にとっては、輸出企業にとってはうれしいことになるということになるんではないかと思いますが、どうですか。

古本大臣政務官 まず、税の仕組みを申し上げる立場で参っておりますので税の仕組みで絞って申し上げれば、あくまでも中間消費に関する消費税分を、最終的な担税者である輸出者、これが最終的にどの業種にかかわらず、その方々が輸出の際に一度かぶった消費税を、本来、最終消費地である輸出先の国でVATなりが課税されることになればそれこそ二重課税になりますので、その分を還付するというのは国際的ないわば常識でもあり、その制度にのっとって還付しているものだと思います。

 次に、税以外の部分で仮に申し上げることをお許しいただけるならば、委員の御指摘の論理の大前提は、御指摘の大企業と呼ばれるセクターの方々が中小零細の仕入れ先の方々に消費税分を値引きせよということをいわゆる値決めの際に、価格交渉の際にそれぞれのバイヤーなりがそういったことを言っているという前提に恐らく立っている論理だと思いますので、そのことについて、恐らく中小企業庁ですとか公取だとか、そちらの分野に入ると思いますので、少しこの場面では立ち入って答弁することは控えておきたいと思います。

五十嵐分科員 私が申し上げているのは、消費税の制度に罪があるというよりは、消費税に絡んでこういうことが、これは下請法の問題だと思います、御指摘のとおりだと思いますが、下請法の問題だけれども、そもそも支配と被支配の関係があるんだから、下請法の世界で、公取の方で頑張ってくれといっても、一たんそれで逆らって、恐れながらと出ていけば、今度は取引を停止されるわけですから、死活問題になってくるのでできないわけですよ。ですから、消費税の制度そのものがこういう不公平や不公正を誘発する、しがちなものであれば、できるだけそれをさせないようにするというのが当然ではないかというのが一つの論点だと思います。

 そして、幾つか分けて話しますけれども、時間が余りないんですが、二重課税というのは果たして本当にそんなに問題なのかということなんですね。先ほど言いましたように、それも含めてコストだ、物の値段だ、例えば関税だってあるじゃないかということを考えれば、それもコストだと考えれば、特に国内の業者に還付、非課税はいいんですよ、非課税はいいけれども、還付してやる必要はないということもあるんじゃないですか。

 要するに、非課税の問題と戻し税の問題を一緒に考えているけれども、非課税だから還付しなければならないという理屈は、先ほど言いましたように、医療の世界やその他の世界でもそういう理屈になっていないんだから、貿易だけ、輸出だけ還付してやるという理屈はまず立たないということが一つはあると思います。

 それから、そもそも値決めの問題なんだから、海外に対しても値決めの問題じゃないか。タックス・オン・タックスの問題もありますよね。私どもは、たばこ税や酒税や何かのときに、あるいはガソリン税のときに、税金に税金がかかっている、タックス・オン・タックスだという説明をしたときに、それも含めて価格なんですよ、コストなんですよ、だから消費税はかけさせていただいて仕方がないんだという説明をさせていただきましたけれども、それとも同じなんですよ。それも含めて価格じゃないかということであれば、そしてましてや、先ほど最初に指摘しましたように、消費税が課税されていない国に対して輸出されるものについても還付される。これは、今言った二重課税の問題が生じないはずなんですけれども。

 つまり、いろいろな角度から観点を変えて見ると、理屈が通っているようで通っていないのがこの消費税の制度なんですね。要するに、政治の判断、政治の決め方、あるいはどこにそのコストを背負わせるかというだけの問題であって、特に担税力をオーバーするような過酷な課税を強いるわけではない。戻し税をしようがしまいが、あるいは非課税にしても、輸出だからといってそういうことになるわけではない。

 つまり、輸出非課税あるいは戻し税について僕は二種類のことを言っていますけれども、必ずしもそれが絶対ではないということを申し上げているんですが、もう一度御答弁いただきたいと思います。

古本大臣政務官 二重課税の話も申し上げました。さらには、日本のそういった企業の国際競争力という観点も恐らくあるんだろうと思います。最終的に、仮に、先生が御指摘のようないわゆる戻しを行わない、還付を行わないということになりますと、その分を企業努力で吸収すればいいという論理も恐らく他方で成り立つんだろうと思いますけれども、これは御案内のとおり、中国を初め、次はインドを初め、現在、多様な伸び盛りの国々と我が国の産業は競争にさらされているわけでありまして、恐らく、日本だけが、国際的ないわば常識である、いわゆる原産地課税ではなく、最終消費地である仕向け地課税であるというルールを曲げて、国内で輸出品についていわば課税をするということになると、率直に言って、これはいろいろな、多様ななりわいとする産業があろうかと存じますが、大変な大きな、国際競争力を引っ張る、足を引っ張ることになる。

 さらには、鳩山内閣のもとでのさまざまな成長戦略を考えていく中で、当然に外需も大事であるというふうに総理もおっしゃっておられますので、率直に言って、委員の御指摘のような仕組みに仮に変えた場合には甚大な影響が発生するものと承知をいたしております。

五十嵐分科員 私は、五%程度の消費税で甚大なことにはならないとまず思っています。将来的には、そのときはインボイスを入れて軽減税率が入ったりするでしょうけれども、現時点でその五%の消費税で決定的な差になるとは思えない。それよりも、先ほど言いましたように、レートの問題の方が大きいし、その他の要素の方が大きいんだと思います。だって、それでいけば、国内の消費税が高い国というのは圧倒的に不利になるはずですけれども、そんなわけではないということですね。

 それから、先ほども申しましたけれども、還付をするかしないかというのはまた別の問題ということが出てくると思います。

 それから、中国について言えば、一度かなりの額の還付を減額するということをしたはずです。まだ確かめておりませんけれども、最大で半分近い還付率の引き下げが行われ、一部品目については今も中国はそのまま還付はしていないというふうに聞いていますが、どうでしょうか。

古本大臣政務官 諸外国におけます、いわゆる付加価値税の輸出免税制度におけます中国についてでありますが、輸出免税制度はございます。なお、実際の還付率につきましては、本則の税率より低く設定されておりまして、輸出免税が完全には実施されていない、こういうことだと思います。

五十嵐分科員 中国には中国の事情があるんでしょうけれども、日本でも財政状況がこんな状態だという財政上の事情があるわけですから、これは私はとり得る話だと思いますし、必ずしもそれは絶対に曲げられない話ではないし、あるいはEUのような、EUの拡大という状況が出てくると、本当に消費地課税でうまく国境調整ができるのか、国境税調整ができるのかという問題が出てくるんだと思います。

 原産地課税原則になる可能性もないわけではないなというふうに私は思っていますが、これは未来永劫、仕向け地原則というものが続くというふうに理解されているんでしょうか。

古本大臣政務官 御指摘のEUにつきましては、御案内のとおり、一九九三年の域内におけますEU成立に伴うボーダーレスになり、人、物が自由に移動することになりました。それに伴いまして、国境を越えた取引を把握することが困難になった事情がかの地にはあったというふうに承知をいたしております。そのために、加盟国間での取引にかかる付加価値税について、先生御指摘の、原産地国で徴収した税を仕向け地向けに別途配分するという協議を当時したそうですが、どの商品がどの国に、これは量も質もございますので、両方の面で把握をして、しかも最終的な配分表に基づき、その税を各国間で共有、シェアする、配分するということの不可能の壁に当たり、現在はその話が頓挫し、この話は現在立ち消えているというふうに承知をいたしております。

五十嵐分科員 日本でも、将来的には東アジアの共同体のようなものはできるかもしれない、各国それぞれ、いろいろな変化が生じてくると思います。そうした中で、これまでのような国境税調整がそのまま続くということは、私は、ちょっと固定的に考え過ぎているのではないかというふうに思います。

 とにかく、私が申し上げたいことは、消費税の今の日本の仕組みを乱用するのか悪用するのかわからないけれども、輸出大企業だけが得をする制度になっていて、還付をもっと公平にというか、下請企業にも恩恵がある意味で行き渡るように、下請をいじめればいじめるほど大企業は得をする、あるいは消費税が上がれば上がるほど輸出企業が得をするという制度は手直しが必要だ。

 少なくとも、これから消費税が上がるということを仮定すれば、インボイスをきちんと入れるということが、私は直接関係ないことはわかっていますけれども、これはそうした不正をしにくくする一つの歯どめになる、こう思っていますが、帳簿方式というのをずっと続けるかどうか、インボイスを導入するかどうかについても確かめておきたいと思います。

古本大臣政務官 税制全般につきましては、菅大臣が税制調査会長のお立場で政府の税調を全体につかさどっておられますけれども、今御指摘のインボイスにつきましては、仮に消費税を今後議論していくならば、一つの議論としてこれは当然に話題にはなる項目であろうかと思っております。

 ただ、その行方については、今のところ方向性は何も決まってございません。

五十嵐分科員 この問題については、引き続き議論をしていきたいと思います。

 きょうは終わります。

木村主査 これにて五十嵐文彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 民主党の城井崇でございます。

 本日は、数多い仲間の中から私に質問の機会をちょうだいいたしました。本当にありがたいことだというふうに思っております。特に、菅財務大臣を初めとした先輩方に対しましてこうして質問ができますことは、二〇〇三年当選させていただいて、四年浪人を経て、この場に立たせていただいている私からいたしますと、大変感慨深い思いに駆られておるところであります。

 きょうは、そうした先輩方に、主に特別会計に由来する政策財源の確保の可能性について、質問を通じて議論させていただきたいというふうに思っております。

 政策財源の確保は、多くの国民有権者から求められている、大変優先順位の高い要望だというふうに思っております。この要望にこたえるべく、今国会中、私ども民主党では、決算行政監視委員会と、そして財務金融委員会のメンバーを中心として、議員政策研究会において特別会計の検証チームを立ち上げ、これまで鋭意、検証作業を重ね、中間報告も出しているというところでございます。

 基本的な考え方はこうであります。特別会計は原則廃止、ゼロベースでの見直し、そして事務取扱費等も含めて、無駄遣いやあるいは不要不急のお金がないか、細かにチェックするというものであります。

 これまでにも民主党においては、特別会計改革ということで、かつては、直嶋プランあるいは、検討途中ということでありましたけれども、野田プランといった形で取り組みがあったということでも伺っております。私自身は、国債整理基金特別会計の担当主査ということで、四人の仲間の議員とともにこれまで検証と議論を重ねてきたところであります。

 そこで、まず、国債整理基金特別会計についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私の関心の一つは、特別会計の中に、ストックであれフローであれ、制度改正も視野に入れた上でということで、一般会計に寄与できる政策財源はないかということであります。この国債整理基金特別会計の中では、減債基金の活用可能性というものが再び議論の的となりました。現在、十兆円を超えてたまっているように見える、あの基金であります。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 国債整理基金特別会計の減債基金を一般会計に繰り入れるという選択肢について、まず御見解を伺いたいと思います。

 私自身は、減債基金を取り崩すことによって金利上昇の可能性があるというふうにも考えておりまして、見きわめは当然重要だというふうに思っています。しかし、この基金残高には基準はないというふうに聞いています。また、これまでも決算調整資金の仕組みで一時的な資金需要にも対応してきた経緯があるということですけれども、正直、ルールが厳しいので、手をつけようにもそうそう使えるわけじゃない。

 こういった点も含めて、減債基金の一般会計への繰り入れという手段を準備することも含めて、減債基金の一般会計への繰り入れの可能性についての見解をお聞かせいただければと思います。

野田副大臣 城井委員のお尋ねにお答えをさせていただきたいと思います。

 特別会計全般の見直しについては、ことしの一月に、菅大臣から他の閣僚の皆さんに、そのあり方を含めて根本的に見直すような御指示が出ました。加えて、枝野行政刷新担当大臣のもとで特別会計全体の見直しを今後していくことになっていますので、財務省としても全力で協力をしていきたいと思いますし、城井委員も含めて、党の中でも活発な御議論が今行われていることも承知をしていますので、ともどもこれは努力をしていきたいというふうに思います。

 その上で、減債基金を一般会計に繰り入れることについてなんですが、委員御承知のように、これはもう法律に基づいて定率で繰り入れることが決まっていて、六十年の償還ルールのもとで、我が国はそのルールに基づいて国債の償還を行っています。もしそのルールを変えるというような話をしたときに、委員ももう御指摘がありましたけれども、マーケットにどういう影響があるのかどうかということは、ギリシャの危機のさなかでもありますので、これは相当ナーバスにならなければいけないのではないかなというふうに思います。

 その上で、基金に今お金がたまっているというお話がございましたが、これは当然のことながら、繰り入れと償還の差額が出れば積み上がっていくという形になりますが、これもあくまで国債償還の財源である、国債償還のためのお金でありますので、それを取り崩して一般会計に使うことがどうかということも重要な判断材料だと思います。

 確かに、決算調整資金との関連で、これまでもいろいろな措置をとったことがございます。直近では、平成二十年度に決算の不足が生じて、この間通った今年度の、二十二年度の予算で約七千億円の措置をしていますけれども、これは一時的な緊急避難であって、一般歳出の財源としてお金を使っているわけではないですね。消費しているわけではなくて、あくまで緊急避難のときの決算調整との関連では使うことがありましたけれども、それが厳し過ぎるという御指摘なのかもしれませんが、いわゆる一般財源として使うことがどうかということは慎重な検討が必要だろうと思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 私も、先ほど申し上げましたように、理論的には可能だと思うわけでありますが、ただ、ほかの特別会計、事業系、保険系とありますが、優先順位を比べた場合には低いというふうにも思っています。

 先ほどの金利上昇の懸念しかり、マーケットのマイナス反応しかりというところ、リスクはやはり大きい。その上で、現在のこの厳しい状況でありますので、財政健全化へのメッセージが重要だというふうに思っています。ですので、とらの子のお金を切り崩すというところよりは、むしろほかの特別会計での改革を優先すべきかなというふうに思っております。

 その意味では、財政健全化のめどが立った後という形の部分になった場合には、またルール変更も含めた取り組みが必要かなというふうに思っておりまして、その点は提言として申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、次に、お伺いさせていただきたいと思います。

 かつて、国債整理基金特別会計において、一九九四年だったかと思いますが、国有財産でありましたNTT株の売却を財源にして、先ほど御指摘のあった定率繰り入れを停止したという事例がありました。

 国有財産という点で申したときに、今はもうほとんど、国債整理基金特別会計には、日本郵政の株と、あとは東京メトロの株が若干というのが精いっぱいで、東京メトロの株の売却は、ことしも計画的にということで、一応計画には上がっているようでありますが、というところであります。国有財産という点でも、ある意味で有効に活用していくということ、あるいは売却をして資するというところも含めた形で、一般会計を初めとした国の財政に寄与できる部分を最大限考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。

 国民からの厳しい目と見たときに、特に民間企業と照らした場合には、そうした、ある意味で、中に資産を抱えたままで国民に負担を強いていくのかという厳しい目が注がれているというところを考えましたときには、この国有財産という点でもやはり厳しい目を注がねばならぬ。

 これまでにもお取り組みをしていただいているというふうには聞いておりますけれども、そこを踏まえてお聞きいたしますが、制度上、現時点でいわゆる売却可能な国有財産というのは金額ベースでどれぐらいあるかということ、そして、その中で実際に売却等によって一般会計への寄与が可能なものがどれぐらいあるかというところについて、お聞かせいただきたいと思います。

野田副大臣 国債整理特別会計で株は確かに持っています。日本郵政が五兆二千億、東京メトロが〇・二兆ですが、そう簡単に売れないんですね。郵政の方は、御承知のとおり、株売却が凍結をされています。東京メトロの場合は東京都との調整でありますので、そう簡単にすぐ売れる話ではないというものが結構いろいろあります。

 その上で、お尋ねの件は、今どれぐらい未利用地があって、どれぐらい売却可能かというその数字のお話だと思いますけれども、財務省所管一般会計所属の未利用国有地は現在四千百五件、台帳価格で四千三十八億円でございます。ただし、この中には、区画整理事業の中に入っているものであるとか、あるいは境界係争中のものなど、売却不可能というところもございまして、直ちに売却できるものでもないというのもあります。というところで、現時点における売却対象財産というのは二千二百八十六件、千五百二十一億円という数値になりまして、これまでも、国有財産の売り払い収入については歳入予算として計上し、一般会計へ寄与してきたところでございます。

 ただ、一方で、これも菅大臣から御指示がございまして、昨年末に新成長戦略の基本方針をまとめ、この六月までにその肉づけ、具体化をすることになっていますけれども、財務省の中で成長戦略に寄与できる具体的な施策はないかということで、国有財産の有効活用という視点で今検討させていただいておりまして、この間も有識者のヒアリングを行わせていただきました。

 その中では、単に売却をするだけではなくて、これまで売却中心でしたけれども、貸し付けを通じて安定的な収入を得るという方法はないのか、例えば未利用の国有地あるいはスペースで保育所とか介護施設に使うようなニーズもあるのではないか、そういう検討も、売却だけではなくて貸し付けで有効な活用はないかという視点でも今取り組みをしているところでございます。

城井分科員 ありがとうございます。

 今の話に関連してもう一点だけお伺いしたいと思いますが、その上でということになります。

 かなり厳しい法律上の制約もあるわけでありますが、先ほどのいわゆる不動産の関係は横に置かせていただいて、いわゆる株式の部分、政府保有義務が課されつつというところ、そして政府出資で今出している部分もあるかと思うんですけれども、そうしたあたりをある意味で、先ほど申したように、法制度の改正も含めて考え直していくという立場に立った場合に、この見直しというものがどうかという点についてもう一度お伺いさせていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

野田副大臣 政府保有株式ですけれども、政府保有義務分等を除いた金額、いわゆる売却可能見込み額としては五千三百四十一億円でございます。このうち、一般会計分が三百九十億円ということになります。

 いずれにしても、政府保有株式の売却に当たっては、それぞれの会社の民営化の方針がどうなっていくのかとか、市況がどうなっているかとか、各会社の経営、財務状況等々、総合的に勘案をしながら、政府だけの都合で進められる話ではないということもあることは御理解いただきたいと思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、先ほどの有効活用といったところも含めて、前向きな取り組みをお願いできればというふうに思います。

 もう一点、少し別の観点からになりますが、国債整理基金についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 仲間の議員とともにこの国債整理基金特別会計を検証していて一つ論点になりましたのが、先ほどの厳しいルールの一つであります国債の償還ルールが、実態と見合わなくなっている部分が出てきているのではないかというところであります。

 特に六十年償還ルール、御説明はこれまでも幾度も聞いてまいりましたけれども、いわゆる建設国債の償還を念頭に置きながらということでもともと設定されたこのルールが、この形でいいかというところ。特に今、特例国債がかなり割合が大きくなっているという状況の中で、それを一律でやっていていいかというところ。ただ、一部の議員からは、例えば二百年国債でやったらどうかとか、随分と乱暴な話が出てくるところであります。

 ただ、先ほど最初に申し上げたように、やはり財政健全化に向けたメッセージを発し続けながら、最大限、工夫、努力をするというところが大変大事だというふうに私自身も思っておりますので、そうした意味では、そうした考え方に立った上で、この国債償還ルール、現在は不況のさなかで税収厳しき折、これが間違ったメッセージになってはいかぬというところは当然前提になるわけでありますが、将来に向けての償還ルール見直しという点、中長期的なところも含め、見解をお聞かせいただければと思います。

野田副大臣 特例公債を発行せざるを得ないときは、毎年そのたびに特例公債法を財務金融委員会等で御審議をいただいております。平成二十二年度もそういう状況でございましたが、その特例公債法の中に、早期に償還に努めるという努力規定が必ずずっと入っているんですね。

 入ってはいますけれども、現実に、では、六十年の償還ルールから外れることが今できるかどうかということなんですが、委員の御指摘のとおり、建設国債を昭和四十年に発行したときから六十年償還ルールになっていまして、特例公債を発行したのは昭和五十年の補正予算の段階だったと思います。そのときは、特例公債の発行ルールには、借りかえを禁止するという規定がございまして、要は、建設国債と同じルールではなかったんです。満期が来れば全額現金償還をするというルールのもとで最初はスタートいたしました。

 でも、現実に満期が来て償還しなければいけないというときに、その負担が余りにも大きいということで、昭和五十九年に財源確保法という法律をつくって、借りかえ禁止規定を除いたという措置があって、六十年償還ルールになったということです。

 昭和五十九年に比べると今はもっと厳しい財政状況で、特例公債を早期償還するということは国債償還費がよりかさむということでございますので、昭和五十九年に比べるともっと厳しい状況の中でそれが可能かというと、現実的には今大変厳しい状況だということは御理解をいただきたいというふうに思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、現在の税収厳しき折の部分ではなかなか大変だというふうに思うわけでありますが、ぜひ財政の健全化を目指してという点は外さずに取り組みをしていただければということをお願い申し上げる次第であります。

 次に移らせていただきたいと思います。

 続いては、国債整理基金から少し離れまして、特別会計全体の部分で少し議論をさせていただきたいというふうに思います。特別会計の中でもいわゆる剰余金、特に剰余金の中でも会計上、不用額というふうに分類している部分についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この不用額、活用可能性があるのではないかというふうに思っております。不用額とは、当年度中に支出に充てられるわけではなく、また翌年度に繰り越されるわけでもなく、未使用のまま終わっている会計上の額ということであります。一般会計の繰り入れに優先して使途不定のまま剰余金として特別会計が抱え込んでいる、つまり剰余金の一部となっているというふうに理解をしております。歳出予算現額から支出済みの歳出額を引いて歳出予算の翌年度の繰越額を引くと不用額が残るというのが、単純な計算式だと思っています。

 この不用額、直近の会計年度、明らかになっているところだと平成二十年度かと思いますが、平成二十年度ですべての特別会計を合計して不用額は幾らだったか、まずお聞きしたいと思います。

    〔主査退席、柚木主査代理着席〕

野田副大臣 平成二十年度決算における特別会計の不用額の合計は、十一兆八千億円でございます。

城井分科員 ありがとうございます。

 十一兆八千億円、かなり大きな金額というふうに見ております。

 この金額、直近十年ほど調べました。特別会計もある意味では統廃合がございましたので、それまでの前身となった特別会計も念頭に置きながらということで足し算をして、計算していきますと、大体八兆円から十一兆円、十二兆円あたりを推移するというのがこれまでの数字だというふうに理解をしております。

 そこで、お伺いするんですが、この不用額でありますが、一つ一つの特別会計で出てくる理由は異なる、ただ、毎年発生する不用額の中で、同じような金額で推移しているものというのが相当分あります。この同じように推移しているものというのはいわゆる減額補正をしてしかるべき、これがいわゆる財政規律なのではないかというふうに考えておるわけであります。

 この不用額に端を発する、起因する歳計剰余金の相当額だけ、例えば一般会計から減額補正をするなり、あるいは一般会計への繰り入れを行う、会計によってそのお金の置き方が違うので、少し方法は異なってくると思うんですが、そういったことが可能なのではないかというふうに思っています。少し言い方を変えると、未執行の歳出予算の翌年度の繰り越しは、翌年度において確実に支出が想定されるものだけに限定をして、歳計の剰余金から翌年度の歳入に繰り入れる金額も、こうして限定された歳出予算の翌年度繰り越しの見合い財源となる部分に限定して歳入への繰り入れを認めるという形であります。

 この不用額に起因する歳計剰余金相当額だけ一般会計を減額補正ないしは一般会計への繰り入れを行うという点について、見解をお伺いしたいと思います。

野田副大臣 ある程度、やはり経済情勢等の変動によって不用額が生じざるを得ないというところは、委員も御理解をいただけることだと思います。

 ただ、余りにも毎年同じような額が出るものについては、おっしゃるとおり、これは精査の必要があるだろうとは思いますけれども、やはりある程度不用が出るのはしようがないんですね。不用が出ることが、イコール必ずしも剰余金というわけではございません。

 さっき、平成二十年度の特別会計の不用額の総額を十一兆八千億と言いましたけれども、例えば国債の利払い費等で三兆円余りの不用が出ました。でも、それは不用が出たからといって剰余金になるわけではありません。あるいは、財投から思ったよりは貸し出しが出なかったことによっては、歳出削減ですが、その分、財投債も発行しなくてよかったわけですから、歳入も縮小するから、これは不用イコール剰余金になりません。保険の方で、例えば年金であるとか労働保険とかで不用が出たとしても、それは将来の保険給付に充てるということですから、これも剰余金には当たりません。だから、不用イコール必ずしも剰余金ではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、そうはいっても、各事業とか経費の執行をよく見た上で一般会計から特別会計へ減額をしたというケースは、修正をしたということはございまして、例えば平成二十年度補正予算では修正一・一兆円でございます。こういう努力は、常に議員の御指摘のとおりに対応していきたいと思います。

 また、不用イコール剰余金では必ずしもないですが、不用等により剰余金が発生した場合には、これを一般会計に特別会計から繰り入れるということは、平成二十一年度予算で二・五兆、今執行している二十二年度予算で二・七兆、これは外為特会中心でございましたけれども、そういう対応をさせていただいています。

 これからも注意深く見ていきながら対応していきたいと思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 平成二十年度の少し細かいところも含めて御説明いただきましたが、これまでも、いわゆる外為の特会を含めての部分はあると。

 ただ、もう一、二歩だけ踏み込んで考える場合に、どうだろうか。先ほどのいわゆる保険系に関しては、あるいは事業系に関してもそうですけれども、いわゆる不用額の発生についての一般的な説明としては今のお話でいいと思うんですけれども、では、今我々が立ち向かっているこの財政の厳しい状況が、その説明で本当に越えられるか。いわゆる計数の問題と申しますか計算式の、今までこうだったからというところだけを見ているのではないか。そこを政治家、政治の目から見たときに、ぎりぎりまで詰められるところは本当にないのかというところをやはりこのタイミングで作業するべきだというふうに思うわけです。

 そうした目でそれぞれの会計を見た場合に、捻出可能性というところ、先ほども、外為の部分に関してはこれまでの努力もあったわけですが、そのほかの会計も含めて捻出可能性があると見られるところ、ありやなしやという点の御見解を伺いたいと思います。

野田副大臣 私は、個別の会計ごとに今、ああした方がいい、こうした方がいいと言う立場ではございませんけれども、冒頭の御質問の中でお答えさせていただいたように、ことしの一月、菅大臣から各閣僚に、そのあり方を含めて特別会計の根本的な見直しのお願いをさせていただきまして、各省でお取り組みをいただいていると思いますし、行政刷新担当大臣のもとでも特会の見直しが行われていきます。党の中でも活発な御議論が行われています。そういう中で例外なくそれぞれを見直していくということは大変大事、総ざらいをしていく必要があるというふうに認識をしています。

城井分科員 ありがとうございます。

 今、総ざらいということでありましたが、ここは財務省としても、不用額の一つ一つの部分、もちろん、それぞれの各特別会計を所管している省庁での取り組みこれありというふうに思うわけでありますが、この不用額の発生するメカニズムというところについては、いま一度検証しておくべきというふうに考えるわけであります。この点、見解としていかがでしょうか。

野田副大臣 財務省としては、各省にお願いするだけではなくて、自分たちの所管の分からまず範を垂れるべく常に精査をしていくということを第一に、あわせて各省の動きも注意深く見守って、全体的な総ざらいがしっかりできるように対応していきたいと思います。

城井分科員 ありがとうございます。

 そうした形で、やはり国民に見える形でぎりぎりまで詰めて、無駄遣いあるいは不要不急のお金がないかというところを詰めていく姿勢を見せ続けることが国民の皆さんに対して確かなメッセージになっていくというふうに思うんです。現在の私どもの民主党政権の姿勢として言われがちでありますのが、いわゆる政策の優先順位、あるいはあれもこれもといった形で税金を使わせていただく話の方が、どうしても前に出がちだというふうに見えております。事業仕分けは例外だと思いますけれども、そうした部分をやはり事業仕分け以外のところでもしっかりやっていくことが国民に対して確かなメッセージになっていくというふうに思いますので、お願いできればと思います。

 特に、そうした税金の無駄遣い見直しの作業というのは大変終わりがない作業であるというふうに思いますけれども、我々も含めて、無駄遣い見直しの入り口は多く見つけております。そうした見つけた入り口を一つ一つしっかり掘り下げていくことで、国民の皆様にもしっかり見える形でこの無駄遣いを見直していけるものと思っています。

 特に、特別会計の中身の見直しにつきましては、政治家の決意次第、やれる部分が相当あるというふうに思っています。きょうは担当ではありませんので直接は触れませんが、外為の特会にしてもそうでありますし、財投の特会にしてもそうでありますけれども、ある意味で政治家と官僚が少し視点や利害がぶつかるところがあるというのが検証チームの議論でも出てきています。そうした部分を今回のこのタイミングでぎりぎりまで詰めるということはやっていくべきだというふうに思っています。

 我々からも、今後も建設的な見直し議論をぜひ行っていきたいというふうに思いますけれども、今後のそうした特別会計、税金の無駄遣い見直しに対しましての御決意を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

野田副大臣 特別会計もそうですけれども、財務副大臣というよりは、長い間野党を経験してきた立場で、特別会計とか、特殊法人とか、特区とか、特殊勤務手当とか、スペシャルがつくところはよく洗った方がいいなというのが私のこれまでの経験でございますので、そういうところにかなり精査すべきものがあって無駄遣いも出てくるのではないかと思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございました。

城井分科員 スペシャルなところにぜひスペシャルチームを編成してきていただきまして、しっかり切り込んで国民の期待にこたえていける我々であるように切にお願いし、また、そこに向けて我々からもしっかり御協力をすることも申し上げて、本日の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柚木主査代理 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 次に、小泉龍司君。

小泉(龍)分科員 国守の会の小泉龍司でございます。

 無所属の議員二人で構成する会派でありまして、なかなか質問時間がいただけません。本来であれば、きょうもこの三十分という時間はいただけないわけであります。各党の皆さんの温かい御配慮に、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 連休中、ギリシャの財政破綻問題がマスコミをにぎわわせました。連休明け、すかさず菅大臣は、十一日の記者会見だというふうに思いますけれども、来年度の新規国債発行額を今年度の発行額までに抑えます、四十四兆三千億以下に抑えるという目標を明示されました。参議院選挙のマニフェストが議論されている折でもあり、また、ギリシャの問題が飛び火することを懸念するべき状況でもあり、非常にタイムリーな御発言だったと思います。特に、事務方に諮らずにおっしゃったというところを評価しているわけでございまして、応援する人もいるわけですから、その方向に向けてきょうは御指導をいただきたい、議論させていただきたいと思います。

 それだけではなくて、三月には、大臣は財政健全化法の必要性に踏み込まれました。九七年に成立し、九八年に施行されました財政構造改革法、不幸にして、施行されたその年にアジア金融危機が起きまして、がたがたと日本の経済が後退する中で、凍結、廃止に至ったわけであります。振り返ってみますと、以後十三年間、どの総理大臣もどの財務大臣も、財政再建に向けて立法措置に踏み込むということはできなかったわけでありまして、よくぞまた言われた、言われただけでは困るのですけれども、でも、よくぞ言われた、このようにも思っているわけでございます。

 もちろん、前提条件はたくさんあります。さまざまな要件を満たしていかなければ財政再建には行き着かないわけでありますけれども、まず衝に当たられる大臣が選挙に不利を承知でそういう腹を見せられたということは、それだけで既に、ギリシャ問題が飛び火することに対する一つの防波堤になっているというふうにも思うわけであります。

 そこで、四十四兆という線を引かれた趣旨、これは独立した質問として通告はさせていただいていないんですけれども、せっかくの機会ですから、どういうお考えでこの数字を出されたのかということ。

 もう一つ、立法措置という点で伺いたいのは、麻生内閣も、不十分ではありますけれども、一歩とは言えませんが半歩、立法措置に踏み込んでいるわけです。御承知のように、二十一年度の所得税法を改正する法律の附則百四条で踏み込んでいます。景気の回復を前提とはしていますけれども、消費税を上げるんだということに踏み込んでいます。

 これをどうされるんだろうかなというふうに思っていましたら、臨時国会で、佐々木憲昭先生が、これをどうするんですか、前の藤井大臣が、これはない方がいいと思うんですけれどもと答弁されていたんですけれども、結局、残りました。不作為という形で意思決定されたわけです、これを内閣として残すと。

 そうすると、素朴な疑問が起こります。条件つきであれ消費税を上げると書いてある条文と、何であれかんであれ、景気回復しようがするまいが衆議院の任期中は消費税を上げないという鳩山内閣の方針とこれは矛盾する。二月の十六日の本会議で佐々木憲昭議員が菅大臣に伺いました、矛盾するのではないんですかと。矛盾しますとまたおっしゃったわけですね。矛盾する以上は、法律が優位でございますから、法律が勝っちゃうわけですから、では、鳩山内閣の公約は、その部分は自動的に変更されたのかどうか、整合的な説明がつくのかどうか。

 私の思いは、立法措置に踏み込まれた以上、この百四条の附則もその趣旨は生かす、公約の方が変わっていっているんだ、そういう御答弁をいただきたいと思うのでありますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私も、この一月に藤井前財務大臣からこの役割を引き継ぎまして、初めてG7とかG20という国際会議に出ました。特に、二月のカナダのイカルイットのG7の中でも、ヨーロッパの皆さんの議論のほとんどは実はギリシャの問題でした。そして、最近になってワシントンで行われたG7、G20でも、特にヨーロッパ勢はこのギリシャのことで、その後、何度も電話会談なども日本も交えてありました。

 そういう中で、もうよくよく御承知のように、報道でもギリシャのゼネストといったようなものがあって、私も改めて、ソブリンリスクとかいろいろな言葉は多少は知っておりましたが、本当に財政が破綻したときに何が起きるのか、つまりは、確かに予算が足らないとかいろいろな問題でも大変ではありますけれども、財政が本当に破綻したときにはまさに国そのものが大混乱に陥る、さらに言えば、増税とかという財政運営も、主権国家でありながらIMFとかそういった国際機関にある程度ゆだねざるを得なくなるという、ある意味で主権の制限にまで陥るということを目の当たりにいたしました。

 それに加えて、これも御承知のように、現在の単年度の財政赤字もかなり日本も高い水準でありますが、その残高は一八〇%以上ということで、ギリシャをさらに大きく超えて極めて高い水準にある。

 そういった幾つかのことを、知識としてだけでなくて、かなりリアルにこの間の経緯の中で見ておりまして、やはり、何とか日本のこの状況を、将来に向かって持続可能な形に持っていかなければならないということを強く感じました。

 余り答弁が長くなっても恐縮ですので、多少簡単にしますけれども、そのときに思ったのは、この二十年間の日本の財政運営、私も野党のときはかなり違うことを言っていたかもしれないので、余り言いにくいところもありますけれども、一言で言えば、減税はたくさんやったけれども増税は余りやってこなかった。二十年間を見ますと、大体四百兆ぐらい財政赤字が累積しておりますが、二百兆ぐらいは大体税収が下がっている、二百兆ぐらいが逆に社会保障費がふえている、それが全部赤字国債、建設国債という形でたまっている、こういう構造になっていて、このままの中でいえば、日本の財政が成り立たないだけではなくて、日本のこの今の閉塞状態を打ち破れないことになるのではないか、私はこのように考えているわけです。

 そういった意味で、四十四兆三千億、つまり、今年度の国債発行額を超えないで来年度の予算を、できるだけ超えないようにしたいということを申し上げたのは、実は、若干、一部誤解があるのは、それだけ財政を縮小しようということを必ずしも言っているわけではありません。今のデフレ状態の中では、やはりある程度財政が出動してお金を回さなければいけない。しかし、回すやり方として、国債で借りて回すのか、それとも税でいただいて回すのか。借りて回すことができれば、それはそれも一つの道で、これまでやってきたわけですが、これ以上借りるのを続けていると、先ほどのギリシャのような問題に立ち入らないとも限らないところまで来ている。そう考えれば、私は、税構造を根本的に考えなければならない時期に来ているのではないか。こういうこともあわせて、今、税調の専門家委員会の方では、専門家の中で御議論をいただいているところであります。

 その中で、附則百四条のことがありましたが、実は、同時に今、自民党は、財政健全化責任法という法律を参議院で提出されております。私も質疑の中でそういう議論をやりまして、つまりは、野党の皆さんも、かつて与党の皆さんでありますから、そういうことを非常に強く感じておられる方もあるわけであります。

 そこで、百四条については、確かに、ある時期、鳩山内閣の方針とは矛盾しますので、これは二十三年度末ですから、平成でいえば二十四年の三月末までに何らかの処理をするということを答弁しておりますし、今も公式的にはそういう答弁を続けなければならないと思っております。

 ただ、あえて言えば、二十三年度末というのはこれからもう一年少しありますので、その間に、この財政再建の道筋について、もちろん鳩山内閣としても中期財政フレーム等を六月に提出することにいたしておりますが、場合によっては与野党を含めた議論の中では、自民党が麻生政権時代に出されているこの予算総則の百四条も、現在参議院で出されている財政健全化責任法も、まだ出しておりませんが鳩山政権として多少準備をしているそういう健全化法についても、場合によっては国会の場で与野党を超えて広く議論をすることがあってもいいのではないか。

 実は、アメリカでは、オバマ大統領のもとに、共和党、民主党の間で共通の委員会ができているということを承知しておりますけれども、そういうことも考えながら、今お答えしましたように、附則百四条については、原則的には二十三年度末までには廃止するなりなんなりで処理をしなければならないけれども、場合によっては、それまでの間の議論の中に生かすことができれば、まさに小泉議員が言われたように、生かす場面もあり得るというふうに思っております。

 以上です。

小泉(龍)分科員 そうしますと、政府の方で今お考え、視野に入っている財政健全化のための立法措置、このタイミングはいかようになるか、またやり方はいかようになるかはまだわからないわけでありますけれども、それに含めていく、それに巻き込んでいく、それに包含していくという形を考えていらっしゃるということと、それから、二十四年の三月末までの間はこの法律の方が優先するというふうに聞こえましたけれども、そういうことでよろしいですか。

 ここで細かく詰める意味は余りないのですけれども、しかし、これは政府の法律と内閣の公約でありますから、国民にきちっとそこは寸分のすきなく説明できないと、これだけ大事な問題にすき間があると、やはり日本国自体が見くびられますので、それは国際投機資金の目から見たときアリの一穴になりかねませんから、そういうことも考えて、短く御答弁ください。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、ちょっと確定的なことは率直に言って申し上げるところまでいっておりません。

 ただ、私自身の考え方としては、そういう幅を持って総理とも御相談しているということが一点と、この附則については、「遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と法律上なっておりますので、確かに法律が一つの規範的力を持っているわけですが、しかし、「二十三年度までに」と書いてあるということは、それまでにはそれを変更することもできるわけですので、そういった意味で、先ほど申し上げたように、これを一〇〇%このまま生かすということまでお約束することはできませんが、二十三年度末までには、こういった議論が与野党を超えてできるようになるとすれば、そのときにあわせてこれも必要な形の処理をすることができるのではないか、このように考えております。

小泉(龍)分科員 わかりました。

 いずれにせよ、我々にあとどれぐらい時間が残されているのかということは不安です、確かに不安です。だけれども、マーケットに聞くわけにもいきません。

 そこで、二つの観点からマーケットをウオッチされていらっしゃると思いますけれども、財政当局としてぜひ、一つは、デリバティブの一種ですね、ソブリン物の国債のデフォルトリスクを肩がわりしましょう、そのかわり手数料を取りますよという、クレジット・デフォルト・スワップ、CDSというもののマーケットが、この一年間で見る限り、日本の国債のCDS市場が一・八倍に膨らんだ。絶対水準ではまだ大きなマーケットではありませんけれども、やはりそこに関心が集まっています。もちろん保有者は海外投資家であります。九五%を国内投資家が持っている日本の国債でありますから、まだ今のところ、このCDSマーケットの動きが国内の長期金利に直接は連動していませんけれども、最終的には、ギリシャの例を見ると、ギリシャ国債のCDSは暴騰しました。

 したがって、国際投機資金が揺さぶりをかけるときにはこのCDS市場の地合いを見ると思います。このCDS市場に火がつけられるかどうかという、燃え上がり方が、うまく燃えてくれそうなもぐさに見えたときには火をつけてきて、暴落を誘発する、しかけてきます。ですから、ぜひそういう観点で見ていただきたい、御答弁は結構です、そのようにお願いをしたいと思います。

 もう一点、図表の一でございます。細かい図表で申しわけありませんが、日本の国債はあとどれぐらい発行できるんだろうかという俗説がたくさん出てきております。個人金融資産千四百兆、国、地方の長期債務残高が八百六十二兆ですか、まだ差があるんじゃないか、まだ六百兆ぐらい出せるんじゃないかという議論がありましたので、日銀の資金循環表を十年刻みで並べてみたわけです。

 左側が家計でございまして、これは、ネットアウトした、ネットで見て資産超過が家計だけです。中ほどに、一般政府のマイナスが並んでいます。九〇年から二〇〇〇年までの間に二百五十兆、マネーフローベースで債務がふえました。二〇〇〇年から二〇〇九年まで二百五十兆ふえています。失われた二十年の前半の二百五十兆の政府のマイナスは、家計の資産の増加で賄ったわけであります。家計資産が三百兆ふえましたから。この家計資産を政府に突っ込めば、二百五十兆のマイナスはおつりが来ました。しかし、この十年、個人資産は百兆しかふえません。デフレ基調が続く限り、もうバケツの大きさは大きくならないわけでありまして、あとは入れかえです。民間の資金を食いつぶしながら、一般政府の借金がふえる、さらに海外にお金が流れている。

 これを、先ほど大臣が言われたように、増税によって家計から法人企業に持ってくるという方法もあるかもしれません。しかし、やはりこれはなかなか簡単に答えが出る問題ではありません。財政規律の問題と同時に、成長戦略です。つまり、国の根幹が揺らぎ始めている、財政の問題だけではない、将来の担税力を食いつぶしながら国が借金を始めているという、財務省だけの問題ではない、そういう認識もぜひ持っていただければありがたいと思います。技術的な問題ですので、時間の関係もありまして、これも御答弁は結構でございます。

 そこで、とはいうものの、すぐ消費税の増税とはいかないわけです。やはりいろいろな、特別会計、あるいは事業仕分け、後ほど申し上げます我々議員の定数の問題、公務員給与の問題をならしていかなければ、増税が国民の理解に到達するということはなかなか難しい。半年では難しい。一年、二年の時間が必要であります。来年度、予算が組めるのかという問題にも、当然、日夜突き当たっていらっしゃるだろうと思います。

 先ほど城井議員からも特別会計のお話がありましたけれども、よく頑張って埋蔵金を出していただいている外為特会、今年度の剰余金も予定額をもう出してしまったよ、もう丸裸だよという御説明なんですけれども、やはり最後にこの二十兆ですね。全部出せとは言いませんけれども、また、これが全部出てくるとなると、歳出膨張圧力がえらく高くなって、マニフェストが膨らんでえらいことになるので、余り公に議論をするのはどうかと思いますが、しかし、大臣のポケットに入れていただける余地があるんじゃないかと私は思うんですね。

 というのは、財務省の説明によりますと、百二十三円だそうです、これまでドルを買ってきた、ドル買い介入してきたそのときの加重平均値は、一ドル百二十三円でドルを買いましたと。したがって、そこから先は、円高になれば目減りをします、九十七円を超えれば、今ある二十兆の積立金で埋め合わせることができなくなって、計算上、負債超過になります、既に負債超過です、二十兆を手放すわけにはいきません、こういう御説明です。

 しかし、普通のファンドではないのです。これは、普通のファンドじゃない。つまり、幾らでもと言っては語弊がありますが、借りかえができるんです。損を覚悟で売らなきゃいけないという場面はないんです。銀行から借金してそれに期限があるならば、損を覚悟で資産を売らなきゃいけない。でも、為券を出せば借りかえができるんです。わざわざ損を出すところで売る必要はないし、百二十三円から円高になったところで、円高介入するかと。

 日本の産業構造が変われば別ですよ。しかし、自動車産業が、百円を切れば、トヨタで三百億、日産で二百億、一円で為替差損が出ると言っている産業構造のもとで、どうしてドルを売るという介入が起こり得るんだろうか。事務当局に聞きますと、いや、それはありますよ、七十円からさらに円高にしたくなることが起こり得ますよと。それはない。産業構造が変わらない限りないわけですから、計算上の問題です。

 つまり、この外為特会やばいよという理解にならなければ、マーケットが理解すれば、これは大臣が、いざいざ。ただ、条件があります。これを最後に財政再建の道を進むということです、立法措置に入るということ。そのための十兆であれば、国民に理解が求められると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 外為特会については、今言われた積立金の二十兆の問題、さらには、外貨の金利差によって、フローとしての埋蔵金というのでしょうか、そういうものが生み出されてきて、それも毎年いわゆる税外収入という形で予算に組み入れてきて、ある意味ではかなりいろいろ活用させていただいてきたところであります。

 今おっしゃった意味は、私なりに理解はできるんですけれども、なかなか、おっしゃるように、確かに、一ドルが百二十二円なりあるいは二十三円でちょうどプラス・マイナス・ゼロですから、それよりも高い段階で売ることはないから、今の含み損は、ちょっと表現を変えれば、それよりも高い段階で売らない限りは確定はしないんだから、そこのところは余り気にしないでというのか、使うことも可能ではないかという、このことについては、ぎりぎりになったときには多分小泉先生が言われたことを頭の中で思い出すんじゃないかという、そういう意味で、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

小泉(龍)分科員 わかりました。

 大臣の腹が、立法措置だ、財政再建だと固まっているから申し上げられるわけで、腹が固まっていない財務大臣にこれを出すと、また使われてしまって終わりになるわけでありまして。菅大臣なら、これを有効活用、これを時間に変えていただく、その時間の余裕の中で特別会計をきちっと処理する、公務員給与もやる、最後に聞きますが、我々の歳費もやる。その条件つきならば、マーケットは理解する。マーケットも外為特会を見ていますから、ファンドとして。それが揺らぐということが起こらないように、まあ、そのとき財投債を出さなきゃいけなくなるとか、さまざまなテクニカルな問題はありますけれども、ぜひお心に置いていただければありがたいと思います。

 特会は、もうこれは主張だけします。母屋でおかゆ、離れですき焼き、この比喩が物すごくきいてしまっていまして、選挙区を回ると常にこの話が出ます。相当塩川大臣の比喩がしみ込んでいますので、よっぽどしっかり特会をやらないと、公益法人とか独法だけじゃ済まないです、もう一回、本家本元の特会の話に戻る必要がある。

 これも提言だけしておきますけれども、財政投融資、外国為替資金、地震再保険、エネルギー対策、労働保険の労災勘定の五つの会計だけは、適正な積立金規模が予算書に明示をされています。つまり、この金額が多い少ないを議論できるわけです。議論ができない残りの会計は、積立金があったとしても、多いか少ないか判断基準がない。

 それなりに財務省の法規課の説明は聞いていますけれども、国民の目があります。離れですき焼きは出ていないんだということを示すためには、剰余金がきちっと処理される前提として、この積立金の適正規模をぜひ財務省主導のもとで、テクニカルな問題は困難があると思いますけれども、根拠を示して明示をするという取り組みをしていただきたいと思いますが、一言、短く。

菅国務大臣 特別会計については、私からもですが、枝野行政刷新担当大臣が、次の大きな課題として取り組むという姿勢を明確にされております。

 今お話にありましたように、まずは、離れでこっそり何をやっているのかわからないということにならないように、御指摘のように、しっかりと、もう一度役所の中で、どこまできちんとオープンにできるのか、そのことをさらに検討してみたいと思います。

小泉(龍)分科員 よろしくお願いをいたします。いつの間にか事業仕分けの方に注目が移っていますけれども、国民は特会のことを忘れていませんので、ぜひ、しかとお願いしたいと思います。

 時間がありませんので、為替レートの、人民元の問題について簡単にお伺いしたいと思います。

 北京オリンピックが開かれて、人民元が安いという議論、あれだけの経済大国であるのに人民元が安いと。これはごく最近の問題だというふうにとらえられているわけですが、三十年前に、人民元、一ドル当たり一・七元。今、六・八。つまり、三十年間で四倍も人民元は安くなっているんですね。これが日本のデフレの隠された主因なんです。

 これは、購買力平価で計算してみますと、つまり、物の価値ではかってみますと、中国の国民が一年間に買うもの、コップとか服とかネクタイ、これを山積みにします、日本人が買うものを山積みにします、ドルに換算しないで購買力平価で換算しますと、中国の人が買う物質の山は、日本の山の二倍です。実質GDPは二倍なんです。つまり、それだけ過小評価されています。それが日本のサービス業あるいは製造業に影響を与えないはずはないわけでありまして、デフレの一番大きな原因は、この中国の通貨政策。

 大臣は、四月二十二日に、ガイトナー米財務長官と会談された際のインタビューで、これは新聞の限りですから不正確かもしれませんけれども、人民元の切り上げ問題はどちらかというと米中の問題だとおっしゃったんですけれども、塩川大臣のときにも私は申し上げたんです、これは日本の問題です、日本のマーケットの問題です。我々辺境民族は、為替レートは外から来ると思っているんです。アメリカにしても、中華思想を持っている中国は、為替レートは自分たちが操作すると思っているんです。そのギャップです。それをどうしても越えられないんです。

 ですから、政権がかわったこの際に、ぜひ、為替レートはマーケットが決めるというのはきれいごとですよ、マーケットは交渉で決めるんですよ。議会もしっかりまた反応しなければいけない。アメリカの議会は、為替操作国だといって中国を責めますよね。我々の議会も無力だと思いますけれども、為替レートに対してしかとやはり対峙する、特に人民元に対して対峙する、この点について大臣のスタンスを伺いたいと思います。

菅国務大臣 この人民元の議論は、もちろん中国自身も非常にぴりぴりしておりますし、アメリカも意外とこの問題では、議会筋はかなりはっきり言っていますけれども、ガイトナー長官などは、必ずしも、公の席では非常に慎重な言い回しをいたしております。

 それで、今、小泉議員の方からデフレの原因という御指摘があったので、私なりにもう一度改めて検討してみたいと思いますが、一般的に言えば、日本と中国の間の貿易のインバランスというのはそれほど大きくはないということを考えますと、いわゆるアメリカと中国の場合は、当然、アメリカが貿易収支が物すごく赤ですから、かつての日本に対して為替を変更しろということをプラザ合意のときに言ったように、そういうことが論理的にはわかりやすいんですけれども、日本の場合に、直接、日中の間でのそういう構造にはなっていない。

 これが、一般的には、私も、為替は余り大きく変動がないままで柔軟性がある形ということは、多少はじわじわと調整された方がいいとは思っておりますけれども、そういった状況があるものですから、余り日本がアメリカよりも前に立って、こうしろ、こうすべきだということは、率直なところ控えているというのが今の私の姿勢です。

小泉(龍)分科員 アメリカの前に出る必要はないかもしれませんが、アメリカと並んでぜひ押していただきたいと思います。

 時間がありませんから最後の質問になると思いますが、政治家としての菅大臣の直観力でお答えいただきたいのですが、財政再建を考えるときに、我々、ミニ集会、対話集会でいつも苦しい答弁に終始するのは、我々の給与を減らしていない、政党助成金を減らしていない、我々の歳費、政党助成金について事業仕分けがないと。タイミング悪いことに議員会館が建て直しになるわけです。この間、うちの地元からバスが来まして、えらく怒られたわけです、何で財政が大変なときにこんなものをつくるんだと。たじたじになりました。

 議員歳費の話は、これは議会の話ですから、政府の話ではありませんけれども、民主党を率いる政治家である菅大臣として、我々の給与も、期限つきでもいい、二割、三割カットするという覚悟を示す必要が、国を救うためにはあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先日、イギリスが新しい内閣ができて、報道によれば、最初に決めたことが、たしか五%でしたか何%かを歳費を五年間はカットするということを新しい内閣が決めたというふうに報道がありました。

 私たちも、ある段階で何かきちんとした方向性を出すときには、もちろんこれは国会の問題でありますから政府が一方的にということではありませんが、まさにおっしゃるように、私たち自身もしっかりとそういう姿勢を示すことが必要になるのではないか、私もそのように考えておりますが、それはそういう何かのときに、また御一緒に議論していきたいと思っております。

小泉(龍)分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 終わります。

柚木主査代理 これにて小泉龍司君の質疑は終了いたしました。

 次に、平智之君。

平(智)分科員 民主党・無所属クラブの平智之でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、質問を始めます前に、菅大臣初め財務省、政府関係者におかれましては、財政健全化法を初め財政規律の見直しと、そしてまた、次期予算、次年度予算に向けては、特別会計の大きな見直しに向けて取り組みいただいていますことを、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 本日、御質問いたします内容は、私自身が現在、特別会計の検証チームで、社会資本整備事業特別会計の中の業務勘定という部分で、若井主査そして黒岩宇洋議員とともに今仕事をしている、その中で、問題点、感じましたことをきょう質問させていただきたいという趣旨でございます。

 一番大きな問題は、今、私たちは業務勘定の中から特別会計の問題を見ているわけですけれども、お金を流すにしても仕事を外部委託するにしても、公の主体から民間の主体に行くまでの間に必ず公の主体が一枚かんでいる、そこに多くの無駄が存在する、そしてまた、そこに私たち民主党が一生懸命取り組んでいる天下りの問題が隠されているということであります。

 現在、事業仕分けにおいて、多くの基金なり、それから貸付金等々を返納いただいているわけですが、これはいわば草刈りといいますか、表に生えてきたぼうぼうの草を刈っている状況であるけれども、幾ら刈っても地面の中の根っこは取れないわけでありまして、その草むしりの作業というのは、まさに仕組みそのもの、土壌そのものを変えなければならない。このことを、この特別会計の本日の質問の中で少し御質問させていただきたいというふうに思っております。

 大きくは二つのポイントでお聞かせをいただきます。一つは投融資のこと、そしてもう一つは業務の外部委託のこと、お金と仕事の観点で、公と民の間に公が入っているという話をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、ポイント一。投融資のことでありますが、実は業務勘定の中から二十二年度の予算でも五十八億円が、民間都市開発推進機構、民都機構と言われる組織に予算が措置をされております。

 私が手元の資料でお配りしました一ページ目でありますけれども、民都機構という組織は、民間の都市開発の融資をしたり、あるいはメザニンと言われる、ややリスクの高い資産クラスのところに投資をしたり、あるいは当初事業の主体として出資をする、いろいろな形で公のお金を、民間の都市開発にお金を流していく仕組みであります。

 冒頭申しましたように、国のお金、国民のお金が民間の都市開発に渡っていくときに、間に存在する公の組織として長く機能してきた組織であります。この組織は、実は昨年に事業仕分け第一弾で既に仕分けをされまして、多くの貸付金や基金の返納が行われましたが、これも冒頭申し上げましたように、まだ事業はこれからも続いていくわけでありまして、国と民間の間の中間組織としてこれからも機能すると。

 この点について、投融資をする仕事と保証をする仕事を同時に行っておられますので、そのそれぞれについての金額を国交省の関係者からお伺いしたいと思います。

 まず、第一問目は、社会資本特別会計の業務勘定の都市開発資金から民都機構にこれまでどれぐらいの貸付金残高が現在あるか、お聞かせをいただきたいと思います。

花岡政府参考人 お答えいたします。

 民間都市開発推進機構の参加業務、出資、社債取得業務に関する都市開発資金からの貸付金の残高は、平成二十一年度末時点におきまして、参加業務で約五百五十四億円、出資、社債取得業務で約三百六十六億円、合計で約九百二十億円となっております。

 なお、こういった特会資金からの貸付金と民間金融機関からの貸付金を合わせました民都機構としての総支援額、同じく平成二十一年度末時点の残高ベースで申し上げますと、参加業務で約千五百三十七億円、出資、社債取得業務で約七百五十七億円、合計約二千二百九十四億円となっております。

平(智)分科員 民間の都市開発に向けて、民都機構を経由して民間のお金と国からのお金をブレンドして、民間都市開発にお金が行っている、全体で二千二百九十億で、うち国のお金が九百二十四億、三割以上が国から入っているということであります。結論から申しますと、私は、このお金はすべて民間から拠出されてもいいのではないか、民間のお金の流動性拡大につなげて、すべてが民間から行くべきではないかという考えを持っております。それは後ほどまたお話をします。

 次の質問ですが、今のは融資でございますが、次に債務保証。

 債務保証のために補助金が出て、基金を民都機構に積んでおられまして、そこから債務保証を行っていると思います。これは融資ではなくて債務保証。その基金の額と現在の債務保証の残債を教えてください。

花岡政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の債務保証業務の裏立てとなります民間都市再生基金の残高でございますけれども、平成二十一年度末時点で約九十八億円となっております。保証債務の総額でございますけれども、平成二十一年度末までの累積の契約額ベースで約百六十三億円、資金実行にあわせました保証の実額ベースで約四十三億円となっております。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 私が入手しました資料では、その九十八億円のうち約九十五億円が国庫から補助金で支出がされているというふうに聞いております。

 実は、お手持ちの資料にはお配りしませんでしたが、こちらに国交省からいただいた「「補助金等の交付により造成した基金等に関する基準」等に基づく公表資料」というのが私の手元にございまして、こちらを見ますと、債務保証の場合には基金の十二・五倍まで債務保証ができるというふうに基準化がなされておりまして、次回の見直しは二十三年、つまり、この十二・五倍は現在も生きております。

 先ほどおっしゃった約百億円の基金から見ますと、千二百五十億円まで債務保証ができる勘定でありますが、民都機構はこの仕組みを使わずに、つまり、債務保証は今百六十三億ということで、約八分の一程度の債務保証しかしておりません。むしろ融資に回っているということです。繰り返しますが、民都機構は、公のお金並びに信用を民間の都市開発に回していくときの中間組織ですが、債務保証よりは明らかに融資を優先しているということであります。

 続きまして、お手持ちの資料の二をごらんいただきたいんですが、先ほど少し申し上げましたけれども、果たして本当に融資がいいのか、あるいは債務保証がいいのか、どちらであるかということについて御質問を申し上げたいと思います。

 この資料の二ページ目にあります欧米諸国における有償資金の活用事例。有償資金というのは、租税で獲得したお金を回すのではなくて、貸し付けて金利をいただきながら公のお金で民間を応援する有償資金という形でありますが、日本の場合には財政投融資計画、括弧でくくっておりますけれども、二百十六兆円が残高であります。これらが公的部門、地方公共団体を含めて公的部門等、この民都もそうですが、一たん行ってそこから民間に流れていくという形、二百十六兆円のお金が流れている。これは主にはキャッシュで流れていく。

 一方で、アメリカですけれども、日本は財政投融資計画ですが、アメリカは連邦信用計画で、主として債務保証の形をとっていると言われています。このキャッシュと信用保証の比率は私もまだ調べておりませんが、信用保証が前提と言われているもので百九十一兆円、しかも相手は民間部門であります。アメリカは公の信用で直接民間を応援する、しかも債務保証の形です。

 そして、繰り返しますが、日本の場合は、公の組織に向けて公のお金を回して転貸していくという形をとっている。これが大枠でございますが、ここで非常にシンプルなことを考えると、一億円貸してくれと言われて、一億円を国民から預かったお金を融資するのか、あるいは、一億円貸してくれと言われて、公のお金を五百億から一千億、基金として、シードマネーとして積んでおいて、そして民間のお金がそれならば喜んで貸しますから、民間のお金を回した方がいいのか、どちらがいいか。これについては、明らかに債務保証の方が有益であるというふうに私は考えております。

 つまり、保証でありましたら、貸し倒れが生じたときでも、公のお金であれば、それはもうその場で埋没します。もし抵当一位でありましたら、それはすぐに回収に回る。しかし、それは保証でも同じでありまして、もし債務保証をしておれば、まず代位弁済をして、その後、求償権を得てまた取り返すわけですから、取り返すという行為は全く同じなんですが、何が違うかというと、瞬間に国民のお金が出ています。出ているから、大きなお金を投資、融資していくことになりますが、債務保証であれば、その十五分の一なり、さっき申し上げた基準の中の範囲でのみシードマネーで置いておいて、しかも国のお金は直接には出ていません。貸し倒れが起こったときの回収は同じ行為である、そこから考えて、アメリカ型の債務保証の方が私は合理的ではないのかということを考えるわけであります。

 そこで、財務大臣の御所見を伺いたいのですが、国の資金で民間の事業等を支援する場合は、今申し上げた趣旨により、融資よりも保証の方が国民の便益が高いのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

野田副大臣 国等が対象法人を支援するために融資をするケースと、そして保証をつけるというケースと、両方あります。どっちがいいのかというのは、これははっきり言って一概には言えないのではないかなというふうに思っていまして、保証を付す時点では、これは直接、実際の支出が不要であります。例えば財投で融資をするときには、財投債を発行して財源を調達しながら融資ですけれども、そうではなくて、保証を付す際はそういう支出はまず伴わないというところは、政府にとってはプラスかもしれません。だけれども、支援を受ける側にとっては、その分金利が高くなるということもあります。また、保証を付すということを余り乱発することによって、民間金融機関の審査能力とかを含めて問題が起こるというような懸念もいろいろあります。

 プラスかマイナスかというのはなかなか難しいところで、個別の案件ごとに、事業をよく見ながら、あるいは対象とする法人を見ながら、融資がいいのか、あるいは保証をつけることがいいのかということの判断をこれからは総合的にやっていくこと、今までもやってまいりましたが、そういうことになるのではないかなというふうに理解をしています。

平(智)分科員 トレードオフの問題になっているということはそのとおりでございますけれども、それが保証よりも、案件ごとに審査をした結果、保証ではなくて融資に偏っているのかどうかという問題がまず問題になるかと思いますし、あと、現在、資金需要が非常に厳しい、お金がたくさんあるんだけれども貸し先がないという、要するに預貸率の改善に向けては、公の債務保証さえあれば、その呼び水効果さえあれば、民間の資金が出動できるという効果はあるのではないか。

 これは我が国の成長戦略の一部としても、特に中小企業にお金が回らない、それはリスクマネーが潤沢に回らないということですけれども、公の資金がどんと出てしまいますと、民間のお金が出る余地はありませんし、それならば、どうせ出るならば、債務保証という形で、若干プレミアがふえますけれども、民間のお金が出ていく形を模索する方が、成長戦略上、有益であるというふうに私は考えますし、また中間組織も要らなくなります。

 この二点においても、やはり債務保証の方が有利ではないか、有益ではないかと思いますが、ちょっと御所見をいただきたいのですが、お願いします。

野田副大臣 おっしゃるとおり、融資と保証という意味では、民業圧迫があるかどうかということを含めての観点ももちろん必要だと思いますが、現時点では、やはり財投の場合だったら融資の方がメーンであって、どちらかというと保証は補完的ですよね。保証というのも、さっき言ったように、いろいろな審査が安易に流れて、最終的にはそれが国民負担につながるんじゃないかというリスクももちろんあるわけです。その辺をよく勘案しながらということが大事なことだろうと思います。いろいろな意味で検討材料ではあろうというふうに思います。

平(智)分科員 野田副大臣より、検討材料であろうというお言葉をいただきました。これも何とぞ御検討いただきたいというふうに思います。

 私は、民間事業の支援を目的とする、ここでひとつ公的債務保証を、余り多くの、所管省庁ごとにばらばらにつくるのではなくて、債務保証という行為自体をもう少し一元化して、一つの組織からきちんとできるようにするべきではないかと思います。

 それは、例えば、今課題にさせていただいた民都機構におきましても、基本的には、ディベロッパーやゼネコンや金融機関の出向している専門家たちの集団でできているわけです。しかし、そこには、元旧建設省の事務次官を含めて建設省のOBが五人も今天下っておられている。要するに、外郭団体というのは、本当の専門職で、本省の中でできない専門部隊で、特化しているべきであるというふうに私は思うのでありますが、そこに必ずしも金融や不動産のプロではない所管省庁のOBが行かれるというような形で、結局、多くの組織をつくるとすべてにそうなっていくわけであります。

 私は、債務保証という行為が民間のお金、預貸率改善のためにも非常に有効であるとするならば、そのための債務保証の機関を一つ、大きく一元化してつくる方法が検討の余地はあるのではないかというふうに考えておりまして、また、その財源は特別会計である必要がなくて、一般会計から必要に応じて措置していくという考え方が正しいというふうに思いますが、成長戦略との関係で大臣の御所見をいただきたいですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今、野田副大臣の方からも、保証と融資、それぞれメリット、デメリットがあるということで、私も、基本的にはそれぞれにメリット、デメリットがあろうかと思っております。

 それで、この資料を見ておりましても、アメリカのところにファニーメイとかフレディーマックとか、サブプライムのときによく名前の挙がった大きな機関がありまして、保証であっても、まさにそうしたしっかりした審査がなければ、あるいはこういうサブプライムのようなデリバティブになってくると、そういうものを仕分けがなかなかできにくくなるということなのかなと思っておりました。

 いずれにしましても、これから日本で成長戦略を考えるときに、どういう形で公的な金融なり保証をしていくのか。一時期は、例えば小泉内閣時代には、公的な機関はできるだけ一本化するということでやってきたわけですけれども、ちょっとこれとは分かれるかもしれませんが、最近、いわゆるもとの輸銀、JBICなどが、もうちょっとリスクがとれる形で海外のいろいろなインフラ整備に日本の企業が出るときの融資をやるべきじゃないかという議論もありまして、そういった意味では、まさに成長戦略を進めるに当たっての公的な金融機関の役割というものも、改めて、これまでのややシュリンクしているものを積極的に活用することを検討していきたいと、今、戦略室の方とも一緒に検討しているところです。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 金融の部門が成長戦略になるというのはもう言わずもがなでありますけれども、投資でいくか債務保証でいくかということが非常に大きく影響を与えるんだという点を何とか御認識をいただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、先ほどのその二ページ目の資料で、二百十六兆円という巨大なお金、民都機構一つとっても一千億円近いお金が残高で残っているわけですが、もし債務保証の形でその十五分の一程度のシードマネーで済ませれば、それ以外はすべて民間の融資につけかわりますから、単純に言えば全部返ってくることになります。それは、一たん返ってくるだけではなくて、その後も引き続き、国のお金が融資型であればどんどん毎年出ていくんですが、それが二度と出なくなります。

 ですから、より有益に国民のお金を活用していくんだという観点であれば、開発型の、成長型のものは民間の資金の流動性、預貸率改善にかけて行っていく。少々リスクが高くなるというプレミアムがあるとおっしゃいましたが、まさにリスクで闘いながら民間はその資金の供給を受けていくということが本来正しいわけでありますから、私は、今後の本当の特別会計の改革にこの点は大きく関係しているんだというふうに思っております。

 この問題についてはこのあたりで終わらせていただきます。

 次に、三ページ目の資料をごらんいただきたいんですけれども、ここまでは業務勘定から知り得た投融資の流れについてお話をしましたが、ここからは業務の流れについてお話をさせていただきます。

 ここにお示しをしていますように、実は、社会資本整備事業特別会計の業務勘定の多くが国交省の人件費となっております。ここに、私の事務所の方で作成をした資料でございますが、すべての国交省の職員は六万六百九十九名、一般会計から支出されている方が三万四千八百二十二人、特別会計から支出をされる方が二万五千八百七十七人で、それぞれこの図の中にありますとおりの金額が支出をされているということであります。これは二十二年度予算ベースでございますが、足しますと、六万人に六千億円。単純に割りますと、一人当たり一千万円。これは、退職金の引き当てに該当するものや共済の負担金も含まれておりますから、いわゆる賃金ではなく労務費という概念になりますけれども、これだけのお金が支出をされています。金額の多寡について本日は議論するわけではございませんで、なぜこのように二つに分かれているのか。

 今、国土交通の特別会計に関しましては、治水、道路、港湾、空整と四つの事業勘定があって、そのそれぞれの事業勘定の中に地方支分部局、工事事務所と言われるところの、工事の現場に関係する職員の方の人件費はすべてこの特別会計から出ているわけですが、この特別会計業務勘定まで特別会計である必要があるとは思えません。その理由がよくわかりません。

 道路についても治水についても、それぞれ翌年度どれぐらいの予算が必要かは、工事発注予定は年度初頭に出すわけですから、ほぼ見えているわけです。補正予算を今後大きく組まないとすれば、年度当初で発注予定は見えているわけですから、それぞれの事業勘定から所要の人件費のお金を繰り入れてくればいいわけで、なぜ特別会計である必要があるのかがわからないということがございます。

 実際、今回、業務勘定を、かなり詳細に出入りを見てみましたけれども、一般会計から繰り入れてまた一般会計に戻す、あるいは、昨年度からの繰越金が二百億円程度ある、結局、不用額が百億円以上出てくるというようなことが毎年再々行われております。それならむしろ必要な額を必要なだけ毎年所要に講じていく、年度をまたいだ工事については繰越金でやっていかれればいいわけで、特別会計で不明朗な会計をする理由はないということだと思っております。

 そこで、再び財務大臣の御所見を伺いたいですが、国交省の人件費が一般と特会の二会計から支出されている、この分かれるべき理由がないと思いますが、御所見はいかがでしょうか。

野田副大臣 御指摘のとおり、これは一般会計と特別会計から支出をされています。

 特別会計というのは、御案内のとおり、特定の事業を国が行う場合に、区分経理にした方が受益と負担の関係がわかりやすいという意味の中での経理をしているという措置でありますが、その中で、国交省の中でも、社会資本整備事業特別会計と自動車安全特別会計、これは二つの会計がありますけれども、それぞれの特別会計分で人件費を出しているという事実はあります。

 これは、基本的には区分経理の精神の中で対応をしているんだろうというふうに思いますが、これは、きょう何回か答弁をさせていただいたんですけれども、ことしの一月に、菅大臣からも、特別会計全体をやはり基本に立ち返って見直すように、各閣僚に御指示というか協力要請をさせていただきました。それから、枝野行政刷新担当大臣のもとでも特会の見直しをこれから行っていく。委員も含めて、今党の中でも活発な御議論と御検討をいただいていますので、そういう中で見直しをしていくものだろう。今、私が他省庁の関係の特会をああしろ、こうしろとは言えませんけれども、そういう中で議論をしていくことになるというふうに思います。

 ちなみに、もともと特別会計の見直しの検討チームが野党の時代にございまして、座長が私で事務局長が馬淵副大臣でございました。その原点に立ち返って検討させていただきたいと思います。

平(智)分科員 私は、昨年の八月末に国会議員になったばかりでございまして、その経緯を存じないままの御質問でありました。御無礼ありましたら御容赦ください。

 それでは、次の質問でございますけれども、この人件費について、ちょっと特別会計の議論から拡大をさせていただいて、多くの外注が伴っているという点に着目をさせていただきたいと思います。

 それは、今ごらんいただいたような六千億円という費用が六万人に対してかかるわけですけれども、それはその多寡を論じません、必要なものは必要であればいいんですが、実は、その国交省の内部の職員がおやりになればいいはずの業務が外部委託をされている。民間企業ですと、今、外部委託になるものが本当に自分の、内部の職員でやるべきであれば内部化しますし、外部であるならば業務ごとアウトソースするはずです、人件費ごとですね。その区分けがないままに、職員が内部にいたままで、外部にも人を持ってそこに業務をアウトソースするという極めて非合理的なことが行われているのではないかという可能性の指摘であります。

 それが四ページ目の資料でございまして、公益法人への業務外部化も、これは国交省の内部人件費と同様に扱うべきではないかということをお聞かせいただきたいと思います。

 今回、一万数千件の、国交省から外注される、工事以外の測量や設計や地質調査、積算等のすべてのコンサルタント委託業務について調べた結果、二十一年度実績ベースで二千六百三十億円程度の外部化がなされておりまして、そのうち六百億円超が公益法人に流れています。この公益法人に流れているうちのさらに四百二十四億円が、ここに列挙いたしました全国八つの建設弘済会並びに建設協会に流れているわけであります。この業務の実態を見ますと、次の五ページにその内容を書かせていただきましたが、積算支援業務、技術審査業務、工事監督支援業務で、本来、これは国交省の内部職員が行うべき仕事であります。

 これをなぜ外部化しているのかということについて、御所見をお伺いしたいと思います。馬淵副大臣、お願いします。

    〔柚木主査代理退席、主査着席〕

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、建設協会も含めまして建設弘済会等の業務、これは、工事発注及び監理、これの検査にかかわる発注者支援業務、そして、河川、道路等施設管理、公物管理業務、また、さらには事業用地内の権利者に対する用地交渉等を行う用地補償総合技術業務等の、いわゆる行政補助業務でございます。

 これらの業務は、定員削減の中、職員数が減少する一方で、公共事業費、これが増加する中で、限られた職員により的確かつ円滑な業務遂行を行うためのアウトソーシングとして、行政補助業務をしてきたものでございます。これらの業務は、行政が行う中で職員の数が制約される、あるいは外部に委託可能な範囲のものは委託してきたということで今日まで行われてきたものでございます。

 平成十九年以降は、民間でできることは民間委託する方向でこれらを見直すということで、入札も、競争入札、さらには総合評価方式等々に切りかえてまいるところでございまして、今、国交省が全国に一千九十二抱える公益法人の見直しの中でも、当然ながら事業仕分けの対象ともなっておりますし、また、私ども役所の中でも、みずからこれはしっかりと見直していく範囲として、抜本的な対応、改革を進めてまいりたいというふうに考えております。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 工事を進行するときの工事監督職員補助業務あるいは検査職員補助業務、これは会計法に位置づけられています。地方自治体であれば、地方発注者が発注する工事についても、監督職員、検査職員については補助ができるようになっていますが、その補助というのは内部ができない限りにおいてということであります。それが、補助自体が一つの産業になってしまったら、それなら民間にアウトソースするとはっきりお決めになる必要があると私は思います。

 内部に置くのか外部に置くのか、内部から外部に出すときに間にもう一つ公をかませるというのは、民間ではあり得ないことであります。ですから、ぜひともこの点は改正をいただいて、必要な業務は必要なんです、組織は要らないと思いませんが、必要な業務が適正に行われるように徹底して改善をお願いしたいと思います。

 ちなみに、建設弘済会並びに建設協会、全国八組織について、人数の合計は四千二百五十五人で、うち五百三十一人がOBというデータを国交省からいただいております。実に十人に一人以上がOBでできている。もともと互助組織のスタートですから、そういうことになると思います。

 一点。これは、私も長く建設の現場の皆さんの仕事にかかわってきた人間として、現場はもう紙が多過ぎて、土や石や水に触れる前に紙に触れるということになっています。それは補助業務の紙がふえているからです。紙をつくるために建設工事を受注しているようなものだという方もおられる。

 それともう一つは、現場管理をやったことのない人が監督職員補助、検査職員補助をやります。そうすると、チェックシートのチェックをするだけで、品質をつくり込む仕事にならないんですね。これは、非効率なアウトソースをやるからこういうことになって、補助自体が仕事になるからこういうことになるんだと私は思います。

 何とぞこの点は、もし本当に外部補助が要るなら、民間のコンサルタント、建設コンサルタントさんや地域の建設会社さんにさせていただきたい。その能力は彼ら側にあるんです。

 この点について、もう一度御所見をいただけないでしょうか。

馬淵副大臣 委員もよく御存じのとおり、私どもの大臣は、この建設弘済会については、野党時代も再三再四、予算委員会等でも取り上げて、抜本的な見直しということを常におっしゃっておられます。

 私どもとしては、当然、市場化に向け、市場化テストあるいは総合評価方式、さらには民間の応募可能な企業数増大ということを目指してまいりますが、まずそもそも、私ども、公の立場で行うべき業務なのかといった抜本的な見直しを、これは役所が率先して行う、こういった意思で改革を進めてまいりますので、御指摘の点、十分に踏まえながら、しっかりと取り組んでまいることをお誓い申し上げたいというふうに思います。

平(智)分科員 それでは、最後の質問になりますが、公から民間の応援のためにお金が出動することと業務アウトソースの仕事が出動すること、この二つの間に公が介在しているということを抜本的に改革する必要がある、そういうお話をきょうは業務勘定の観点から申し上げましたが、最後に、全体についての大臣の御所見をいただければと思います。お願いいたします。

菅国務大臣 この間、民主党として、野党の時代から、そしてまた政権担当をする中で、今、それぞれ馬淵副大臣の方からもお話ししましたように、かなり厳しく議論をしてまいりました。

 今おっしゃったように、役所と民間、もちろんそれは役割分担としてあっていいわけですけれども、ややもすれば、本来は役所でやっていたものを、定員を削減するという名目の中で外に出して、そして、いわゆる人件費の形式ではない、事業費の形で出すとか、そこにまた天下りが行くとか、さらには、今御指摘のように、いわゆる、その中でより不効率な仕組みが温存され、場合によったら拡大する。まさにそういうところこそ私たちの政権がしっかりと取り組んで、仕事をしている人にとっても合理的で、もちろん国民にとって合理的かつ効率的な仕事にならなければならないと思っております。

 そういう点で、もちろん内閣にいるメンバーも頑張りますけれども、ぜひ党の中でそれぞれ役割分担をしてこういう問題に取り組んで、今、平さんの経歴を見ましたら、こういう分野のシンクタンクを経営されていたということもありますので、ぜひそういう専門的な知識を大いに活用して、場合によれば内閣にいるメンバーに対してもどんどん提言をしていただきたいとお願いを申し上げて、答弁といたしたいと思います。

平(智)分科員 ありがとうございました。

 今後とも、この問題についてはしっかりと注視をしていきたいと思いますので、内閣に対しても御提案をさせていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木村主査 これにて平智之君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

木村主査 これより文部科学省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。川端文部科学大臣。

川端国務大臣 平成二十年度文部科学省主管の一般会計歳入決算並びに文部科学省所管の一般会計歳出決算及びエネルギー対策特別会計歳出決算の概要を御説明申し上げます。

 まず、文部科学省主管の一般会計の歳入決算につきましては、歳入予算額百六十億九千三百二十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は二百四十一億一千二百万円余であり、差し引き八十億一千八百七十三万円余の増加となっております。

 次に、文部科学省所管の一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算額五兆五千六百七十五億一千二百八十五万円余、前年度からの繰越額二千八百三十億八千七百二十万円余を合わせた歳出予算現額五兆八千五百六億六万円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆四千三百六十六億八千六十二万円余であり、その差額は四千百三十九億一千九百四十三万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は三千七百七十一億七千八百七十二万円余で、不用額は三百六十七億四千七十一万円余となっております。

 次に、文部科学省所管のエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定の歳出決算につきましては、歳出予算額一千四百七十四億六百六十九万円余、前年度からの繰越額四億一千七百五十万円余を合わせた歳出予算現額一千四百七十八億二千四百十九万円余に対しまして、支出済み歳出額は一千四百五十四億七千八百四十六万円余であり、その差額は二十三億四千五百七十三万円余となっております。

 このうち、翌年度へ繰り越した額は二億三百三十二万円余で、不用額は二十一億四千二百四十万円余となっております。

 以上、平成二十年度の文部科学省所管の一般会計及びエネルギー対策特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

木村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院金刺第四局長。

金刺会計検査院当局者 平成二十年度文部科学省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十四件であります。

 検査報告番号二七号は、指定統計調査等に係る事務の委託費の執行に当たり、委託先において、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って物品の購入等に係る需用費を支払っていて、委託費の支払い額が過大となっているものであります。

 同二八号は、科学技術試験研究業務に係る委託費の経理が不当と認められるものであります。

 同二九号は、芸術創造活動重点支援事業等に係る請負代金の支払いに当たり、実績報告書等に記載した経費が事実と相違するなどしていたため、支払い額が過大となっているものであります。

 同三〇号から四〇号までの十一件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。このうち三〇号は、国際文化交流促進費補助金(沖縄県の国際化に対応できる人材育成事業補助)が過大に交付されているもの、三一号は公立学校施設整備費国庫負担金が過大に交付されているもの、三二号から三四号までの三件は公立学校等施設整備費補助金が過大に交付されているもの、三五号は国立大学法人施設整備費補助金が過大に交付されているもの、三六号及び三七号の二件は私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)が過大に交付されているもの、三八号及び三九号の二件は私立学校施設整備費補助金が過大に交付されているもの、四〇号は民間スポーツ振興費等補助金(日本学校保健会補助)が過大に交付されているものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

木村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。川端文部科学大臣。

川端国務大臣 平成二十年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したところでありますが、平成二十年度決算検査報告において会計検査院から御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 御指摘を受けました事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ったところでございます。

木村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村主査 以上をもちまして文部科学省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木村主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川分科員 こんにちは。民主党の谷田川元でございます。

 きょうは、民主党が選挙中に掲げましたマニフェストの内容を中心に、文部科学省にかかわる問題について御質問させていただきたいと思います。できるだけわかりやすく質問したいと思いますので、ぜひ、大臣、副大臣からは簡明な御答弁をいただければありがたく存じます。

 まず、医学部の定員について質問させていただきます。

 私の選挙区は千葉県十区というところでして、西は成田、東は銚子。銚子と聞きますと、昔は、銚子商業、野球が強かったとか、あるいは漁業の町だとか、そういういい意味での知名度があったんですが、最近は、銚子と聞くと、ああ、あの病院がつぶれたところねと。それが、本当に悪名をとどろかせてしまったという感じがあります。

 一昨年の九月に、残念ながら、銚子市立病院が閉鎖に追い込まれてしまいました。この一番の大きな理由は、何といってもお医者さん不足なんですね。人口十万人当たり何人のお医者さんがいるかという数字を見てみますと、先進各国、OECDの平均が大体十万人当たり三百人以上いる。それに対して、我が国日本、二百人ちょっとしかいない。そういう中で、今、全国的にお医者さん不足が叫ばれております。

 銚子市の場合、リコール問題がございまして、市長がリコールされて、そして昨年の五月に当選された野平市長が奮闘されまして、ようやくこの五月の六日に銚子市立病院が再開されました。ただ、残念ながら、まだ常勤のお医者さん一人、非常勤九人ということで、将来的には二次救急を担うような病院にするということで今一生懸命やっておりますけれども、しかし、何といっても、やはり最大の問題はお医者さん不足なんですね。お医者さんをいかに確保していくか。

 そういった中、民主党は、さきの衆議院選挙で、マニフェストの中におきまして「医学部学生を一・五倍」ということになっています。医師養成数の増加について文部科学省としてどのように取り組んでいらっしゃるか、まず見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 御質問ありがとうございます。

 マニフェストで一・五倍にというふうに書かせていただきましたが、全国各地で医師不足が深刻であることはもう御案内のとおりでございます。過去の閣議決定、それから厚生労働省の需給見通し等を踏まえて、ずっと抑制政策がとられてきました。そして、昭和五十六年から五十九年の定員というのが八千二百八十、これが過去最大でございます。それが、抑制ということで、平成十九年の定数が七千六百二十五というふうに大幅に減りました。そして、各地でいろいろな医師不足が叫ばれてまいりました。

 深刻な医師不足に対応するということで、政府の医師確保対策ということに国家政策転換をされたということで、これは旧政権でございますが、平成二十一年度の入学定員については、閣議決定、経済財政改革の基本方針二〇〇八において、早急に過去最大程度、先ほど申し上げました八千二百八十程度まで増員するということを踏まえて、平成二十一年度では六百九十三人の増員、平成二十二年、今年度の私たちの予算のときの定数では、地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議を経て、さらに三百六十人の増員ということで、八千八百四十六名という、過去最大からすると相当数の大きな定数に現在しております。

 さらなる増員につきましては、医師養成というのは、定員をふやしましても、本当のお医者さんにできるまで十年ぐらいかかる仕事でございます。そういう意味での医師需給の見通し。それから、医師が足りないと申しましても、地域によって違うということと、診療科目で違うというのはもう御案内のとおりでございます。そういうことで、医師の需給の状況を踏まえて検討する必要があると同時に、十二月に決定しました新成長戦略(基本方針)の中でも「医師養成数の増加」というのを明記されております。それを踏まえて、一応六月をめどに成長戦略を書くことになっておりますので、これに向けて、関係各省と連携をしながら、今どういう数字にするのか検討してまいりたいと思っております。

 以上です。

谷田川分科員 そうすると、六月をめどにということは、大体、六月ごろには定員を何人にするかというのはわかるという理解でよろしいんでしょうか。確認をお願いします。

川端国務大臣 はっきりと定数を、数字まで書くかどうかはあれですが、いずれにしましても、八月の概算要求のときには数字が出ますので、それも含めて新成長戦略の中で項目として基本戦略を書きましたので、これに合わせてトータルとして姿が見えるようにはしてまいりたいというふうに思っております。

谷田川分科員 ありがとうございました。はっきりお医者さんをふやすという方向で、八月の概算要求をしていただきたいと思います。

 それで、先ほど大臣からも話がございましたが、昭和五十七年九月の閣議決定で、もうこれ以上医学部はふやさないと。もう今から二十七、八年前に、ずっとその方針が貫かれてきたんですね。ですから、それがある以上、今は医学部の新設は認められないということでございますけれども、一方で、医師不足の問題にしっかり対応するためには新たな医学部をつくるべきじゃないかという声もあります。

 新設について文部科学省の見解はいかがか、お伺いしたいと思います。

鈴木副大臣 増員については先ほど大臣からお話を申し上げたとおりでございますが、新設についてのお尋ねでございます。

 委員御指摘のとおり、抑制方針に基づいて、この三十年前から新設というのは認められておりません。したがいまして、さまざまな医療界あるいは大学関係者の御意見を聞いて判断をしていきたい。もちろん、成長戦略あるいはマニフェストといったものも参考にしてまいりたいと思いますが。

 ただ、いずれにしても、具体的な設置基準というものを決めていかなければいけないわけでありまして、これを、大学設置・学校法人審議会の議論を経て、設置認可に必要な基本的な考え方、あるいはその基準といったものをまとめていく必要があるというふうに考えております。

 いずれにしましても、今、厚生労働省におきまして、地域医療圏ごとの、そして診療科ごとの、年齢であるとか、男性医師、女性医師の比率、そういったことをもきちっと踏まえた医師の需給見通しを立てていただいておりますので、その充足状況が、かなり地域ごとの状況が明らかになってまいりますので、その検討結果を踏まえてきちっと検討をしていきたいというふうに思っております。

谷田川分科員 確かに、今、お医者さんというのは地域によって偏在しております。特に、私の千葉県は、人口十万人当たり何人のお医者さんがいるかといいますと、百五十人ちょっとなんですね。四十七都道府県ありますけれども、埼玉県、茨城県に次いでワースト三位なんですよ。

 ですから、やはり、新しい医学部をつくる場合、そういったところにしっかりお医者さんが行けるんだというようなことも大事な要素だと思いますので、ぜひ、設置基準といいますか、新しい医学部をつくる際には、その辺の要素も十分加味して考慮いただければありがたいというふうに思います。

 それでは次に、義務教育の国庫負担金について伺いたいと思います。

 私は、小泉総理大臣というのは非常にすばらしいテレポリティクスの才能のある政治家だなと思っています。一番最初に米百俵の話を所信表明演説でおやりになった。恐らく、米百俵の話をあの小泉さんが演説で触れたことによって、初めて知った日本人も多かったんじゃないかというふうに思います。

 この話は、言うまでもありませんが、戊辰戦争で負けた長岡藩が財政的に窮乏しまして、三根山藩が見るに見かねて米百俵を長岡藩のために贈った。そうすると、藩士たちはこれはもういっときの生活が楽になるなと喜んだんだけれども、長岡藩の大参事の小林虎三郎が、今米を食べたらもうそれで終わっちゃうけれども、それを将来の教育のために投資すれば、つまり新しい学校をつくるためにその金を使えば、将来の一万俵、百万俵になるんだと言って、学校をつくったんですね。ですから、小泉さんの話を聞いたときに、これはもう小泉内閣は間違いなく教育に力を入れるんだ、私はそう思って、私も喝采を浴びせた一人です。

 しかし、その後、何と、義務教育の国庫負担金を二分の一だったのが三分の一に削減された。これは非常に大きな矛盾じゃないかと私は思っているんですが、いかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 私も、米百俵の話は非常にすばらしい話だと、その本会議場で聞いていたのを覚えております。

 そして、教育は大事であるというときに、当時で言われると三位一体改革、地方にお任せすることはできるだけ地方の裁量で政策判断をしてやっていただく。そのために財源も移譲するということの精神は、私たちが今地域主権ということで一括交付金化等々申しているのと同じような精神で仕組みを理念として行われたということまでは一定の評価をするんですけれども、その中身として義務教育の国庫負担金を入れたことがどうかと、そして三分の一に下げたことはどうかと言われると、この法律に関しては、当時野党であった民主党は私も含めて反対いたしましたから、基本的にはそうあるべきではないというふうに思っています。

 これの趣旨としては、地域でできることはできるだけ裁量を地域に任せて判断していただいて、そのための財源の手当ては税源で移譲する、こういうことだったはずなんですが、実は、公共事業とかは地方の裁量が多いんですけれども、これは移譲されずに、義務的経費、義務教育の国庫負担金がトータルの税源移譲の三兆円のうちの約一兆三千億、四三%は義務的経費、それ以外にも国保の負担金とか、児童扶養手当の負担金、公立保育所の運営費、児童手当国庫負担金、介護給付費負担金等々、義務的経費でほとんどを占めるみたいな税源移譲でしたから、趣旨としても、結果としても、これは掲げていた理念の仕組みとしては違う結果であったのではないかと私は思っております。

谷田川分科員 義務教育の国庫負担金が二分の一から三分の一に削減されたことによって、財政力の豊かでない地域と豊かなところでは、やはり教員給与に十分な予算措置ができるかどうかで格差が生じたと思うんですよ。そういった地域間格差がかなり生じたと私は認識しているんですが、そのような認識はお持ちでしょうか。

川端国務大臣 平成十八年度からは、言われるように、二分の一から三分の一に引き下げられました。

 そのため、それぞれの、地域間格差というのの現象としてどういう面をとらえるかはいろいろな見方があると思うんですが、間違いなく地方財政がまた一方で非常に厳しくなってきているということがありますので、そういう意味で、例えば、現象的には国が定める基準での教員の定数というのがあります、そして給与もあります。国の基準は定数としては各都道府県満たしていただいているんですが、それに必要な給与額というものも基準として示しています。

 したがいまして、これはある種の都道府県の裁量として、思いとしては、いろいろな臨時的な教員とかいうことの採用の工夫をするならば、一定の定数を確保しつつ、労務費の工夫をすることによって、人件費が所定の手当てをすれば余る。その余った分を余分に教員が雇えるというふうに創意工夫をしてくださいという精神だったんですが、定数は確保したけれども、そのことで人件費が節約されたら、それは手当てをしないというところが出ております、正直申し上げて。

 ということは、教員の増員が行いにくくなっている。これは、要するに、いろいろな意味での、こういう費用に使うべしという財源手当てに対して、そこが未達になるということが起こっているということは、ある意味での財政力による差がいろいろな施策に生じていることは間違いないというふうに認識しております。

谷田川分科員 教員の採用だけじゃなくて、施設整備の面でも、財政力があるところとないところではかなり違いがあるなということを感じたのが一つあるんです。

 といいますのは、私ごとになって恐縮なんですが、実は私、二月に子供二人を赤坂の議員宿舎に呼び寄せました。赤坂小学校に通わせているんですが、何と、赤坂小学校には温水プールがあるんですよ。びっくりしました。地元の方の学校ではなかなか、水道料も高いから、プールのやっている日数も少なくしたりとか、あるいは耐震化の学校設備もなかなか整わないとか、非常に財政厳しい中、やはりそれを、まさに地方と都会の格差を本当に見たような感じがいたしました。

 それはともかくとしまして、やはり、財政力による地域間格差を生じることのないように、将来的には、というか、すぐにでも、私は、この義務教育の国庫負担金は、三分の一から二分の一にまず戻して、将来的には全額国庫で補助すべきじゃないかという考えを持っているんですが、そういったお考えをお持ちかどうか、よろしくお願いします。

川端国務大臣 赤坂小学校に温水プールがあるのは、私も隣に住んでいたことがありますので、よく知っております。ただ一方で、土のグラウンドがほとんどないという、いろいろな都市なりのお悩みもあるのかなというふうには思いますが。

 それはさておきまして、地方の財政力によって教育の質的な部分の差が大きく生じてはいけないという認識は、私もそう思います。そういう中で、もとの水準に最低限戻すという方向を持つべきというのは、十分に検討に値する案であることは間違いないと思います。

 先般の一回目のあの事業仕分けでも、義務教育国庫負担金に関しては見直しを行う、国と地方のあり方の抜本的整理ということで、その中の御意見として、一〇〇%国の負担にしなさいという意見が三名とか、全額交付金化一名とか、いろいろな意見があった中で、やはり一回メスを入れなさいという仕分けでもありました。

 ただ、国庫負担率の復元化あるいは全額国庫負担というのは、結局、トータルとして、この切り口だけではない財源論の問題というのに当然リンクしてきますし、今民主党は、いわゆる一括交付金化という国と地方のあり方の仕組みを大きく変えよう、こういう中で教育というものを、これでいえば、一括交付金というのは、全部渡してしまうと、どこまで枠を決めるのか決めないのかという議論もありますので、総合的な部分でしっかり議論をする中に、この三分の一のままでいいのかどうかという議論はしっかりと前向きに取り組むべき課題だと私は思っております。

谷田川分科員 前向きに取り組むという御答弁をいただきましたので、期待をいたしたいと思います。

 次に移りたいと思いますが、一般に教育は、家庭、学校、地域社会が三位一体になって行っていくことが重要だと言われています。間違いなく言えることは、家庭の教育力それから地域の教育力、これが昔と比べて低下しているというのは事実だと思うんです。

 せんだって、私は地元に帰って、同級生で小学校の教員をやっている人間と何人かで話したんですが、最近は、やはり親の教育が相当おかしくなってしまったということをいろいろ聞かされました。

 例えば、授業参観へ行きますと、子供たちは静かにしているのに、親の私語がうるさいんですと。それで、子供がしまいには後ろを向いて、お母さん、静かにしてと言うんですと。そんな話を聞いてびっくりしました。親の再教育というのも考えなきゃいけないなと思ったんです。

 それとともに、地域においても、昔はよくしかってくれる大人がたくさんいました。例えば、電車なんかに乗っても、悪ふざけしていると、静かにしろとかそういうことを言ってくれる大人がいたんですが、最近は何か、ちょっと注意すると暴力を振るわれるということで敬遠する人もいるなんという話も聞きます。

 学校のやるべきことがふえてしまった。つまり、地域と家庭の教育力が落ちた分、学校の方にしわ寄せが来てしまった、そういう実情があると思います。そういう意味からも、一人一人の子供に対して教員がしっかりケアしていく、そういった体制が必要だと思います。

 その意味で、国として少人数学級に向けた取り組みを積極的に進める必要があろうかと思いますが、どのような御見解か、お伺いしたいと存じます。

鈴木副大臣 委員今おっしゃられましたように、家庭と地域の分も今学校が負わなきゃいけない、おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 やはり少人数学級あるいは少人数教育というのは極めて有効だというふうに思っておりまして、もちろん学力がすべてではありませんけれども、全国学力・学習状況調査で過去三年上位となっています秋田県は、財政力が厳しいんですけれども、前の寺田知事のリーダーシップで全国に先駆けて少人数学級を導入されました。その結果、小学校では七〇%、中学校では四五%、それぞれ全国平均の一・五倍とか二倍ぐらいの水準なんですけれども、こういった事例もありまして、やはり少人数学級の有効性というのは非常にあらわれているなというふうに思います。

 しかしながら、昭和五十五年の第五次定数改善計画で四十人以下ということを決めてから、ずっと変わっていないわけであります。もちろん、四十六道府県ではそれぞれに独自の取り組みが行われておりますけれども、これではいけないと。やはり教育というのは教員の質と数だ、こういう認識をいたしておりますので、まず、平成二十二年度予算で四千二百人、一挙に定数改善をいたしましたが、やはり定数改善というのは計画的に進めていかなければいけないという観点で、平成二十三年度以降の学級編制、そして教職員定数改善のあり方について、今本格的な検討を行っておりまして、既に二十四の教育関係団体、有識者の方々、そして地方三団体からのヒアリングも終わっておりますし、国民の皆様方からの意見募集も実施をいたしましたところ、多数寄せていただきました。

 ほとんどの御意見が、現行の四十人という学級編制標準を引き下げていくべきだ、こういう御意見でございまして、こうした御意見を踏まえて中教審でも審議をしていきたいというふうに思っておりまして、八月の概算要求までに文部科学省として結論を取りまとめていきたいというふうに考えております。

谷田川分科員 かなり前向きな御答弁ありがとうございました。

 次に、教員の資質向上に関して伺います。

 マニフェストには、「教員の養成課程は六年制(修士)」と書いてあるんですね。結構、これは学校現場では反対意見が強うございます。実は私も、選挙期間中、マニフェストにそういうのが書いてあるのを知らなかった。選挙運動期間中で、学校の先生から、そういうことが書いてあるんですけれども、どういうことですかと言われまして、それについて私も、では、議員になったらよく精査させていただきますということを言わせていただいたんですが。

 確かに、教育に関する専門知識を取得することは重要だと思います。しかし、より重要なのは、やはり子供の気持ちがわかって、子供たちに信頼の得られる人間性だと思うんですね。これは、あと二年大学院に行けば得られるというものじゃないと思うんですよ。単なる頭でっかちの教員を養成するように思われてはだめだと思うんです。

 川端大臣は、高校無償化実施に当たりまして、当初は、民主党のマニフェストは、直接家庭に支給するということだったんですが、関係者の意見を聞いて、これは、本当の目的のためにはやはり直接学校に渡した方がいいなということで、英断を下されました。

 それと同じように、この六年制についても柔軟な対応をしていただければありがたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 無償化は、子供に渡すのは変えていないんですけれども、学校がまとめて代理で受け取れるという、学校に支給することではないということですから、多少の事務的な手続を簡単にするという知恵は出させていただきました。

 まず、六年制にするということを書いた部分が、若干の書き方の、言葉足らずで、修士という意味は、医学部のように六年間続けてやるということを固定して言っているのではないということだけは、ひとつ御理解いただきたい。

 それと、目的は、先生も御指摘のように、要するに、やはりいい先生をつくらないといけない。いい先生というのは、今言われたように、もちろん、人間的に豊かな感性を持ち、子供に信頼されるということは大前提ですけれども、学習指導要領でも教える科目もいっぱいふえました。そして、子供たちも、いろいろな環境、社会の変化によっていろいろ、子供に一人一人接するのもなかなか難しい要素もいっぱいある。先ほどまたお触れになりました、親御さんもいろいろおられる、地域もいっぱいいろいろあるということで、先生に求められる資質が非常に多様化してきたというときに、そういうものに対応するために、一つは、先ほど鈴木副大臣が言いましたように、数をふやすということでの対応と同時に質を上げたい。

 このためには、今、学校で免許を取るために大学で勉強される中身、それから採用するときに判断する評価、それから実際の現場の先生になっていただいてからの研修、この三つをどう充実したらいいのかというのが目的であります。その中の一つとして修士を置くということを考えていますが、その二年というものと修士というのに非常にこだわってやるということではなく、目的はそういうことだということでやっていきたいというふうに思っております。

 そういう意味では、今、例えば小中学校の先生になろうとすると、大学で実習期間というのはわずか四週間なんですね。それから、高等学校では約二週間。それで、大学で教員免許を取って採用試験に受かると、いきなり現場に出て、担任の先生になって、四週間だけの勉強でどうなんだろうというのが現実にやはりあると思うんですね、正直申し上げて。

 それから同時に、現場では、例えばそんなにたくさんの人を教育実習で受け入れろと言われたら、今でも大変なのにどうするんだというふうに、こういうことをやろうとすると、いろいろな方面のいろいろな意見が出ていることは事実であります。

 そういう意味で、目的を間違えずにその効果が発揮できるために、あらゆる方面の意見を聞きながら、より質の高い先生を養成していくあり方を構築していきたいというのが趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。

谷田川分科員 もう一つ、教員免許更新制が始まって一年が経過しました。更新に必要な講習を実施する大学や法人が、四月現在三百二十九で、昨年同期より百二十七も減りました。これは政権交代で制度の見直しが打ち出されたことが影響をしているようでありますけれども、この免許更新制は成果があったとお考えか、そしてそれを踏まえて更新制は今後どうされていくか、御答弁お願いいたします。

鈴木副大臣 まず、今後でありますけれども、今大臣も御答弁申し上げましたけれども、教員養成、採用、研修、この一連の議論の中で更新研修もきちっと位置づけてまいりたいというふうに思っておりますが、講習自体、十年たったところで少し体系的な、そして最新の学問、知識、そうしたことを大学に久しぶりに帰って学ぶということは意義がある。いろいろ調査をしておりますけれども、約九割の受講者が、よい、大体よいという回答をしていただいているのもそういうことではないかな。特に、選択と必修で分けますと、選択の評価は高い。ですから、必修科目についてはまだ改善の余地があると思いますが。

 一方で、これは経済的負担を受講する側に負わせておりますので、そこは何とかしてほしいという声もありまして、それもおっしゃるとおりだなというふうに思っております。

 いずれにしましても、今の現行制度の効果をそういった多角的観点から実証的に検討するための調査をこの六、七月に本格的に実施する予定といたしておりまして、それらも踏まえまして、全体の教員資質向上をどうしていくかという議論の中で検討をしていきたいというふうに考えております。

谷田川分科員 それでは、時間がなくなりましたので最後の質問にしたいと思うんですが、日本という国はやはり資源もない国ですから、人材をいかに育成するかがこれは重要な戦略だと思うんです。

 よく教育費が対GDP比で日本はまだまだ少ないんだという表を、先進国の中で、OECDの中でのものなんですが、それを見ますと、例えば二〇〇六年の数字ですが、教育機関への公財政支出の対GDP比、OECDの平均が四・九%、それに対して日本は三・三%、アメリカは五・〇%、ヨーロッパはもっと高い数字があります。韓国も四・六%。非常に日本は低いんですね。

 この間、高校の授業料無償化が今年度から実現しましたので、かなりこれは数字が上がったと思いますけれども、何にしてもまだまだ少ないと思うんです。特に最近は、アジアの国、韓国や中国がすごい勢いで、日本を追いつけ追い越せということで、かなり教育に投資しているということがあらわれていると思うんです。

 この間、ノーベル経済学賞の受賞者のシカゴ大学のロバート・フォーゲル教授のインタビュー記事を読んだんですが、今、中国は猛烈な速さで高等教育を普及させまして、次世代は何と一〇〇%近くが高校に行くんじゃないかという想定がされているそうです。そうなりますと、これは中国の経済力はすごいんですね。中国の予算というのはなかなか明らかになっていない面がありますが、恐らくかなりの教育投資をしているんじゃないかと想像されるんです。文科省の方に、その辺、中国をどう見ているんだということを問い合わせましたら、ちょっとよくわからないと。

 ただ、これは、日本の防衛費を見てみますと、例えば冷戦終結時のときは約四兆一千億円ぐらいだったのが、それがふえているんですね。なぜ冷戦終結以降もふえたかというと、中国や北朝鮮やそういったところでかなり軍事費をふやしているから危ないんだ、そういうことを宣伝して国民世論の共感を得たんですね。

 それに対して、中国と韓国がこれだけ教育に使っているんだから日本はこのままいったら大変だというような意識をもっと世論に喚起すれば、よし、教育はもっと金を使うべきだという話になるんじゃないか、私はそう思うんです。

 ぜひ、大臣、副大臣、日本にとって教育が大事なんだ、教育予算をふやさないと日本の発展はないんだということをこれから声高に宣伝していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 応援ありがとうございます。気が弱いもので声が小さかったのかもしれませんが、おっしゃるとおりだと思います。

 そして、イギリスで政権交代がまた起こりましたけれども、前の政権交代したときの、二回目の選挙ですかね、ブレア当時の首相が、私の政策公約は三つだと。一番、エデュケーション、エデュケーション、エデュケーションと言ったのは、これはもうやはり世界の常識であり、経済成長戦略においては、教育投資をしっかりやると経済は成長する、そして教育投資を怠ると経済は減速するというのももう明らかでありまして、そういう部分で、まして日本は資源のない国ですから、しっかりとこの部分が確保されるようにいろいろな場面で主張をしてまいりたいというふうに思います。御支援をよろしくお願いします。

谷田川分科員 軍拡競争はけしからないことだと思いますが、教育予算の獲得競争はいいことだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

木村主査 これにて谷田川元君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 きょうは、文部科学分科会での質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 小中学校教育の充実について、そしてまた地域活性化に大学が果たす役割について、さらに宇宙開発の現状と課題ということで、三項目にわたりまして順次御質問させていただきたいと思います。

 国の構造改革特区の認定を受けまして、それぞれの地域で独自に授業科目を設定して、英語教育でありますとか、さまざまなその地域地域の考え方に基づいて人材づくりを進めておられる、このようなことがここ数年行われていると思います。

 この後もゆとり教育からの転換ということで、また時間数の配当、いろいろなことがあるわけですが、まずは、全国においてこういった授業科目、どのように展開されているか、現状をお願いいたします。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の構造改革特区制度の一環として平成十五年度から始まりました構造改革特別区域研究開発学校につきましては、平成二十年四月から内閣総理大臣の認定を経なくても文部科学大臣の指定で実施できますよう手続を簡素化いたしまして、教育課程特例校制度として実施をしているところでございます。

 この制度を活用いたしますと、各学校は、地域の実態に照らし、より効果的な教育を実施するため特別の教育課程を実施することができるわけでございます。

 平成二十二年四月一日現在、この教育課程特例校は二千四百七十校となっておりまして、例えば東京都の世田谷区では、日本語科、ここでは、小学校で週一時間、短歌や俳句、古文、漢詩、論語、近代詩などを音読したり暗唱したりする活動を通して日本語の美しい響きやリズムを楽しむ学習などが行われております。

 また、先生の御地元、富山県の高岡市でも、小学校第五、六学年では総合的な学習の時間と図画工作を、また中学校第一学年では総合的な学習の時間を再編成することにより、ものづくり・デザイン科を設置するなどの取り組みが行われているところでございます。

 文部科学省といたしましては、この教育課程特例校制度の周知に努めますとともに、各学校が学校や地域、児童生徒の実態に応じ、創意工夫を生かした教育活動をより一層展開できますよう取り組んでまいりたいと考えております。

橘(慶)分科員 私の地元の事例も挙げていただきまして、ありがとうございます。ちょっとどうかなと思って、よその事例で結構ですと申し上げていたんですが、ありがとうございます。

 それも触れていただいたのであれば特にそうなんですが、今、ゆとり教育を少し見直していこうということで、この間から見ておりますと、教科書の厚さもふえてくる、やはり基本的な教育、人間力をつけていくといいますか、知力をつけていくというのは大事なことだと思います。しかし、その中で、今お話のあったような、それぞれの地域の独自の取り組みということが、時には地域の、私の町でいいますと、せっかく職人さんなどにも頑張っていただいてつくり上げてきた、そういったものがまたしわ寄せを受けるということでも困ると思います。

 今ほどは、これからも大事にしていくという局長さんのお話でありましたが、今後ともこういうことは大事だと思うんですけれども、今後の御方針についてお伺いいたします。

鈴木副大臣 新しい学習指導要領の実施によって、こうした取り組みがしわ寄せをこうむるということは一切ございません。この教育課程特例校がやっておられるのは、まさに大変大事な活動だと思っておりまして、引き続き、適切な授業時数なども確保しながら、地域特色を生かした効果的な教育を実施していきたいというふうに思っているところでございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 もちろん、国語も算数もみんな大事なわけですけれども、そうやって、物づくりであったり、あるいは書道であったり、いろいろなもの、いろいろな文化に触れるということは、やはり人材づくりとして大変大事ではないかと思います。

 そういう観点で、観点がちょっと変わるんですけれども、私どもの地域はまた一面、万葉集の故地とも言われております。編集をしたと言われる大伴家持卿が越中の国司として五年間滞在をしたということもありまして、非常に多くの歌が残されているわけであります。万葉集というものは国民的にも非常に親しまれている、それこそ一千二百年から三百年前のそういった日本の歌がしっかり残る、世界的にも古い歌集であると思います。文学的にも非常に価値があると思います。

 私なりに自分の受けた教育を思い出してみますと、中学校の二、三年のころに国語の教科書で最初に出会ったな、そういうことを思い出すわけでありますが、現状において、中学校、高校の教科書でどのように扱われているかということ、そしてまた、こういった日本最古の歌集ということで、これから国としてどういうふうに取り扱われるかという御質問をしたいと思います。

 まあ、質問だけだとちょっと余りにも色のないお話になりますので、私、よその内閣委員会、総務委員会でいつもそうするんですが、一首御披露してお答えをいただきたいと思います。

 私の地域にある歌でありまして、万葉集は全部で二十巻あるわけですが、十七巻目、巻の十七、四千二十一番の歌を贈らせていただいて、御答弁をいただきたいと思います。これは私どもの地域の歌であります。「雄神川くれなゐにほふ娘子らし葦附採ると瀬に立たすらし」。川でアシツキという川の藻をとっておられる女性の方々、今の季節の歌でございます。

  雄神川くれなゐにほふ娘子らし葦附採ると瀬に立たすらし

 別に、この歌を載せてくれという意味ではなくて、一般論としてどのようにということでお願いいたします。

金森政府参考人 万葉集につきましては、現在使用されております中学校や高等学校のほとんどの国語の教科書で取り上げられているところでございます。

 例えば、中学校の国語、第三学年の教科書におきましては、和歌に込められた古人の人間や自然に対する思いに触れるとともに、言葉の響きを味わい、伝統文化に親しむ題材として、例えば、持統天皇の「春過ぎて夏来たるらし白たへの衣ほしたり天の香具山」などの万葉集の和歌が取り上げられているところでございます。また、高等学校の古典の教科書におきましても、和歌を朗読し、和歌に詠まれた心情を味わう題材として万葉集が取り上げられているところでございます。

 今後とも、こうした古典指導を充実した、新しい学習指導要領の円滑な実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。

橘(慶)分科員 こちらの求めに応じていただいて、歌も披露いただいてありがとうございます。おかげさまで、国会の議事録にどんどん万葉集が載っていくというのはいいことだなと思っております。

 少し話題をかえます。小中学校教育の現状、先ほど谷田川委員もいろいろな御質問をなさっておられました。私からは、これもどちらかというと私の地域にもあることなのですけれども、外国人の子弟の方々も、お子さん方も、今や随分小中学校へ通っておられるという現状、その中で、それにどう対応していくかという問題であります。

 既に、文部科学省さんから私の質問主意書にデータでお示しいただいておるんですが、日系ブラジル人、中国人など、外国人子弟は非常に義務教育現場にふえております。公立小学校で四万五千人、公立中学校に二万二千人近く在籍をされております。いろいろな事情で日本にいらっしゃるという、お父さん、お母さんが来られるということで、ついてこられるわけでありまして、日本語指導が必要な生徒数、これは平成二十年九月のデータでありますけれども、公立小学校一万九千五百人、公立中学校七千五百七十六人、こういうデータを既に御回答いただいておるわけであります。

 そしてまた、国におかれても、今審査されている決算も含めて、これまでにも外国人児童生徒教育の推進ということを図ってこられたと思います。せっかくこの方々も、ある意味で日本の大事な人材、日本のこれからを担っていただく人材、そのためにはやはり、コミュニケーション能力としての日本語、あるいは一緒に頑張っていただく、そういう素地をつくっていかなければいけない、このように思います。

 外国人児童生徒教育の成果と今後の課題についてお伺いいたします。

鈴木副大臣 文部科学省におきましては、これまで外国人児童生徒教育を推進するために、帰国・外国人児童生徒受入促進事業というものを中心に取り組んできたところでございます。この事業の実施後、就学、教育相談窓口の設置でありますとか、児童生徒の母語を話せる相談員の派遣を行っている、そういう市町村教育委員会がふえてきておりまして、外国人児童生徒の就学のための取り組みが充実をしているところでございます。

 しかしながら、今委員も御紹介いただきましたように、日本語指導が必要な外国人生徒数の増加というのは非常に著しいわけでございます。それから、そうした児童生徒が在籍する市町村の割合というものも今は急速にふえておりまして、全市町村の半分ぐらいにまで至っております。

 そうしたことから、より一層外国人児童生徒の受け入れ体制を整備、充実させていくことが非常に重要だというふうに考えております。

橘(慶)分科員 実際、外国人のお父さん、お母さん、外国人の方々と、私も市長をしておりましたので、いろいろなミーティングなどをしますと、やはり意外と子供さんの将来、そして教育ということに対する思いが深いということを身にしみて感じておるところであります。

 そして、いろいろ今対策を打たれておるわけですが、おっしゃったように、大変広くいろいろな自治体に、だんだんそれこそあまねくそういう児童さんがいらっしゃる、生徒さんがいらっしゃるということになってまいりました。かなり先進的に進んでいるところもあるわけですが、ほんのまばらでもいらっしゃるというところでも、やはり自治体、教育委員会等で取り組まなければいけない、そういったことも非常に大事になってきていると思います。

 この点、余りまだなれていない地域に対する国の対処方針をここでお伺いしておきたいと思います。

鈴木副大臣 おっしゃるとおり、外国人集住地域への対応というものは、ある程度体制ができているわけでありますが、むしろ散在地域における公立学校の受け入れ体制の整備ということが政策課題としては非常に重要になってきております。そうした児童生徒数が五人未満の市町村が非常に多くなっておりまして、五割を超えております。四百五十三市町村ぐらいございます。

 そのために、平成二十二年度におきましては、帰国・外国人児童生徒受け入れ体制の整備事業におきまして、外国人の集住地域と散在地域、これをともに有する都道府県の教育委員会に委託をいたしまして、集住地域の受け入れ体制モデルを都道府県等と連携して散在地域にも広めていただくということを目指しているところでございます。

 こうした取り組み成果を全国的に普及させることにより、外国人児童生徒の公立学校への受け入れ体制を一層充実させ、就学促進方策を推進していきたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 対象となる児童さん、生徒さんは少ないかもしれませんが、そのお子さん方がコミュニケーションできることで、またそのクラス全体の和もなおよくなってくる。そうなれば、いわゆる日本で生まれ育った方にもやはりいい影響が出るということだと思いますので、こういったソフト施策もぜひ御努力いただきたいと思うわけであります。

 そして、この項の最後の方の質問になりますが、ソフト面のみならず、当然ハード面でも学校に求められているニーズというのはいろいろあると思います。とりわけ学校耐震化の問題につきましては、この二十年度、二十一年度と力強く進めてきていただいておりまして、二十二年度予算については、いろいろ予算委員会等いろいろな議論があった中で、鳩山総理からも過日、予算の追加について指示があったという報道を見ておるわけであります。

 現状において、当然、そういうことに対して自治体等もまた備えをしなければなりませんので、どのような指示に基づく取り組み、検討がなされているか、この現状をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 四月十六日の閣僚懇談会において、総理の方から、地方公共団体のニーズや検討状況を踏まえて早急に対応できるよう、予備費の活用も視野に入れた検討を始めていただきたいという趣旨の御指示がございました。もとより、学校の耐震化、老朽化対策は、子供の安全だけではなくて、地域社会にとっても大変大事な拠点でございますので、そういう中で、通常の予算の場合は箇所づけということで、この学校とこの学校にこの予算をつけますということなんですが、総理の御発言は、予備費の活用も視野に入れた検討を始めていただきたいと。

 予備費というのは、今までの閣議決定を踏まえて、憲法解釈で、国会開会中は予備費は使わない、これは国会開会中は予算を補正も含めて出しなさいということでございます。そういう意味で、今箇所づけ的な予算の使い方を言及することができない。

 もう一つは、予備費というのは、性格上、こういう予算があるからここへという箇所づけという執行の方法ではなくて、こういう事態が生じたので使わせていただきたいというニーズに応じて財政手当てをするという仕組みですので、現在、そういう趣旨であることを各都道府県の教育委員会を通じて四月三十日付で発受いたしました。

 それで、各都道府県教育委員会を通じて、市町村のニーズとして、公立学校の施設整備費負担金と安全・安心な学校づくり交付金の費目としての地震補強、地震改築、危険改築、不適格改築等々の項目に当てはまるものについては、夏休みを中心に実施予定の下記事業、今申し上げた事業については支障なく当初計画どおり着手される必要があります、このため、事業内定前ではありますが、契約準備行為等所定の手続を進めてください、なお、域内市区町村に対して周知徹底いただきますようにということを書状で発受すると同時に、市長会、町村会に対してもこの趣旨を徹底してくださいということで、しっかりと耐震危険対策、老朽対策ができるように今進めているところでございます。

橘(慶)分科員 予備費という性格上いろいろと難しいということは理解をいたします。そして、やはり、それをされないよりもされたということについては、大変いいことといいますか、そういうふうに取り組んでいただけるのは地域あるいは小中学校にありがたいことだと思います。

 望むらくは当初予算の中で、そうであれば、まだ当初予算が始まって二カ月しかたっていないわけですから、もう少し先にそういうことも、二十二年度、二十三年度ということもありますが、よくお考えをいただきたい。この辺はちょっと苦言も呈させていただきたいとも思いますが、ぜひ学校現場が混乱しないようにまた適切に指導いただいて、そしていい結果が出るようにお願いしたいと思います。

 さて、もう一つ、学校耐震化の問題につきまして、実は、予算規模がここ数年非常に大きくなったわけですが、過去非常に絞られていた時期、今ほどまでに重視されていなかった時期には、補助単価が非常に厳しい、実勢の契約で出す単価、契約でいう単価となかなか補助が合わない、そういう苦情めいたこともあったように聞いております。今はまた少しそういうことは改善されつつあるんだと思うんですが、そういうことについての現状についてお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 今お問いの部分は担当から答えさせますが、予備費を使わずにという部分でいうと補正予算の仕組みになります。それで、昨年と比べてことしも当初予算でいうとほとんど同額なんですね。そして、その後補正で上乗せした。この部分では基本的には夏休みにはほとんど間に合わない工事としてやっていましたので、そういうことも勘案をして、補正をやるかどうかは全く別の政策判断ですが、そういう事情もあったことだけは御理解いただきたいと思います。

西阪政府参考人 公立学校施設の補助単価の件でございますが、先生御指摘のような状況が以前はあったように聞いておりますけれども、近年は補助単価と市町村の実勢の単価に大きな差は生じていない状況でございます。また、平成二十二年度の予算におきましては、この補助単価につきまして、近年の物価上昇分の単価増を図っているところでございます。二十二年度の執行に当たりましては、できるだけ市町村の事業計画に配慮をして執行していきたいと思っております。

橘(慶)分科員 この学校耐震化事業につきましては、今よくコンクリートから人へということをおっしゃいますけれども、中身的には設備であったり、電気設備であったり、非常にそういう意味ではすそ野の広い、いわゆる箱物の整備であり、かつ、その箱物をふやすのではなくて既存の箱物をブラッシュアップするという意味においては管理経費もふえない、そんな意味では、いわゆる地域経済に波及効果をもたらす公共投資としては非常に有効だと思います。ぜひそういう御主張をしていただいて、予算を獲得いただきたいと思います。

 さて、大学のお話に移ります。

 地方圏におきまして、やはり大学は知の拠点、いろいろな頭脳の拠点でもあり、またもう一つ、一面に、そこに学生さんがいてくれるということだけで、少子高齢化が進む地域においては学生さんの存在自体が地域を明るくする元気の源という状況でもあると思います。地域活性化の面で重要な役割を果たしている、こういう大学というものについての国としての認識をお伺いしたいと思います。

鈴木副大臣 大学が地域活性化の本当に重要なかぎを握っていると私も思っております。まず、地域社会の発展を担う人材を養成しているということでありますし、それから昨今は、富山県もそうだと思いますが、産学官の連携を通じてさまざまな地域経済への還元、産業振興に大変大きな役割を果たしているというふうに思います。加えまして、今委員も御指摘のとおり、若者が集うということ自体が、学生がそこで生活をし学んでいるということで、また地域の活動にも参加をしてくれるということで大変大きく貢献をしていると思っております。

 大学一つありますと、そこに多数の教職員も雇用をされ、学生も消費をする、生活をするということで、例えば、群馬大学の立地が地域に及ぼす経済効果というのが五百九十七億円で雇用創造が九千百十四人という試算であるとか、山口大学の立地が経済効果が六百六十七億円で雇用創出効果が九千七人、こういう試算も出ておりまして、そうした意味で、やはり大学の持つ総合力といったものを重視しながら、これから地方大学の振興も図ってまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 ぜひそういう試算も生かしていただいて、運営費交付金をしっかり守っていただきたいという気がいたします。

 こういった地域における役割ということについて、大学法人は今それぞれ個別に評価をされておるわけでありますけれども、例えばそういう評価の中で、どのように地域貢献といいますか、地域との連携、産学連携や地域の文化創造といった分野をどのように反映させておられるのか、あるいは、国として、そういう部分はこういうところは頑張りなさいよということで、評価の中で重視しておられる分野というものがあるのであれば、それをここでお示しいただきたいと思います。

徳永政府参考人 国立大学法人につきましては、それぞれの大学が中期目標、中期計画期間中に定めた目標をどれだけ達成したのかということが評価の仕組みの基本でございます。そういういわば各大学が記載すべき中期目標、計画の内容に、今先生御指摘の地域活性化ということも含めた形で社会との連携や社会貢献に関する目標ということがございます。すべての大学がこの目標を掲げ、そしてそれについて今達成の取り組みを行っております。そういったそれぞれの地域貢献に向けての取り組みを中期目標期間中を通じて評価するという仕組み、それをさらに全体的に、総合的に評価するという仕組みをとっております。

 そういった中で、具体的には、例えば福島大学におきましても、地域企業との連携により視覚障害者を補助する超音波センサー装置等を開発した、こういったことを国立大学評価委員会における評価として取り上げております。

橘(慶)分科員 ぜひそういった面を大事にしていただきたいわけですが、ここから後、一、二点、今後の取り組みといいますか、今後のあり方ということで、もう少し大きな観点での質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、今お話ありましたように、大学が地域で大変大事なものであるということにつきまして、海外での大学の配置ということを考えますと、必ずしもその国の首都にすべて大学がたくさん集中しているとか、あるいは優秀な研究者が集まっているということがどこの国でも同じということではないと思います。結構分散をして、例えばアメリカであってもドイツであってもそういったものは分散をしている、それは不可能ではないということが国際的にはわかると思います。

 日本の中でも、例えば農業を学ぶなら北海道だとか、あるいは医学を学ぶならば長崎だとか、別にそれがそうであれという意味じゃありません、例えば事例として申し上げると、必ずしもすべてのトップクラスのものが首都圏に集中していなくても、それぞれの学部がそれぞれにいいものがあって、この先生に習うのならここへ行こう、そのために四年間そこへ留学するんだということになると、非常に国土全体が活性化してくるんじゃないか。

 先ほどたまたま経済効果と雇用創出効果もお話がありました。ぜひこの国全体を生き生きと生かしていくために、これはやはり文部科学省さんの施策だと思います。大学のそういったいろいろな研究教育機能の言ってみれば特色のある配置ということについて、どういうお考えがあるかということをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 先生おっしゃるように、世界で、ある分野に非常に有名な大学が必ずしも首都では全くなくて、エディンバラ大学がロンドンから五百キロ、スコットランドですから当然かもしれませんが、あるいはマンチェスター大学がロンドンから三百キロとか、それぞれ非常にユニークな大学が分散していることは事実だと思います。

 そういう中で、私たち文科省としても、地方の、基本はそれぞれの大学の取り組みでありますから文科省がこうしろああしろではないですが、独立と自主性においていろいろな工夫をして、地域の特色だけではなくて、その大学の特色というのを生かすということで頑張るところはいろいろな形で応援をしたい。

 例えば大学でも、今北海道という例が出されましたが、帯広畜産大学はBSEのときに日本で唯一その検査のできる大学でありました。長崎大学は、いろいろな歴史的な経過も含めて、検疫に関して非常にすぐれているので、特にアジアにおけるいろいろな感染症の問題などではやはり大活躍をしていただいている。

 そういうところと、それから大学同士が連携をして、地域で連携する。例えば先生の御地元の富山でも、富山大学が富山県立大学と高岡法科大学と共同で経済界と連携したキャリア教育をする、こういう部分は文部科学省は戦略的大学連携支援事業ということで応援をしよう。あるいは富山大学の場合は、これは富山大学、富山医科薬科大学、高岡短期大学が合併をされて、より特色を生かそう、富山のお薬の世界も含めて生かそうと、いろいろな例があります。

 そういう意味で、支援する立場で、連携してコンソーシアムを形成するということの、知の拠点としての人材育成を図る取り組みに関しては、先ほど申し上げました戦略的大学連携支援事業、教育研究施設の共同利用、教育課程の共同実施を推進する制度等で独自に頑張っていただいて、やる気のあるところをできるだけ応援しようという立場でこれからも取り組んでまいりたいと思っています。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 あと二つお伺いしていきたいと思います。

 まず一つ目、今の大学のことでもう一つ、先ほど谷田川委員からも大学の医学部の学生さんのお話がございました。厚生労働省さんと文部科学省さん、両方でやはり連携して地域医療というものを盛り上げていくということを努力いただくことが大事だと思いますが、私はお金のかかる話をここでしたいと思いません。

 それぞれの地方圏に医学部がございます。その学生たちに、大学側から一言でもいいから、地域で頑張れ、この地域でせっかく学んだんだからここで二、三年頑張ってくれよ、そういうことを言うのはお金のかからない話であります。例えばそういう形ででも先生から言っていただく、もちろん大学の自治はわかります、しかし、そういうことがそれぞれの地域であってもいいんじゃないか。ぜひ、このことについていかがでしょうかと提案をしながら、御回答をいただきたいと思います。

鈴木副大臣 基本的にはいいことだと思います。既に地方大学の医学部長は熱心にそうしたことを言っていただいていると思いますし、それから、地方自治体の市長さんも知事さんもそういうことのメッセージは言っていただいていると思いますが、いずれにいたしましても、みずからの意思で地域医療で活躍してやろう、こういう医師をこれからぜひ育てていきたいというふうに思っております。

 現在のところは、医学教育のモデル・コア・カリキュラムというのがありまして、その中に地域医療に関する項目を設けて、各大学における取り組みを促してきたわけでありますが、さらに今後は、まさに地域医療機関において学生が多様な現場に触れ、患者や地域の人々と接する機会を設けていただくようなカリキュラムの改定に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それから、平成二十二年度予算から入学定員を三百六十人ふやしました。そのときに教員もふやさなきゃいかぬ。そのときに、私ども今回は、地域医療教育の講座あるいは医療ガバナンスの講座、こうした講座をふやしていただきたい、その分についてはおおむね各大学二人程度の人件費もふやして、そして地域医療に関する取り組みをやっていただきたいということも、大学に予算も少しつけて応援もさせていただいているところでございまして、こういう取り組みをさらに進めてまいりたいと思っております。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 今の医学部の方は本当にありがとうございます。ぜひ、そういうことで。

 うまく連係プレーで間に合いました。ありがとうございます。最後の質問であります。これはぜひしておきたかった。宇宙開発について一問だけ聞かせてください。

 我が国最初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられて四十年目の節目のことしであります。我が国の宇宙への取り組みが目覚ましく進歩してきていると思いますが、総括と今後重点的に取り組もうとする課題について、どうやら金星探査の話も近いようでございます、このことを最後にお伺いして、終わらせていただきたいと思います。

中川副大臣 ちょうどあすの朝なんですが、「あかつき」が金星探査で打ち上げられることになりました。そういうタイミングでこの質問をしていただいたこと、非常に感謝申し上げたいと思います。

 御指摘のように、昭和三十年にペンシルロケットを初めて発射して、それから私たちのこの国の事業が始まったわけですけれども、そのころは既に米国では月面有人着陸に成功しておりますし、我が国の宇宙開発はその時点で大きくおくれて出発をしたということであります。

 しかし、その後しっかりと努力をしてきたということでありますが、一つは、世界最高水準の成功率を達成したロケット技術を実現したということ、二番目は、国際宇宙ステーション計画において欠かせない国際パートナーの一員となりまして、日本人の宇宙飛行士の長期滞在、それから世界最高水準の評価を受けた無人宇宙貨物船による物資補給を実現してきたということ、さらに、アポロ計画以来の本格的かつ総合的な月探査を行った「かぐや」、あるいは世界で初めて小惑星への離着陸を成功させた「はやぶさ」など、宇宙科学の分野での世界からの高い評価を獲得してきましたが、今、我が国は宇宙先進国の重要な一員となっているということだと思っております。

 そのほか、いわゆる衛星通信、衛星放送、気象観測など、多面的な宇宙利用産業の発展の土台となっていくとともに、災害監視や地球環境観測を繰り広げて安全、安心な社会の構築に貢献しているということ、また一方で、通信・放送、気象観測、測位分野以外ではいまだ宇宙利用が社会に十分定着するに至っていないということであるとか、あるいは宇宙外交への取り組みや宇宙産業の発展が不十分なところもある、そういう課題もあるということも認識をしております。

 今後、これらの課題を克服すべく、いわゆるロボット技術あるいは小型化技術など、我が国が強みのある技術、進んでいる技術を生かしてロケット、衛星のさらなる信頼性の向上を目指していくということと同時に、宇宙からのグリーンイノベーションであるとか、あるいはアジアの発展への貢献、新たな宇宙産業の展開、宇宙科学の推進等に重点的に取り組んでいきたいというふうに思っています。

 ちなみに、これまで打ち上げた衛星というのは百四十基ありまして、そのうち運用中のものが四十八基、今、日本のコントロールの中で運用されているということであります。これからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 少し時間が延びましたけれども、いい御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 万葉集から宇宙まで駆け抜けましたけれども、どうか、いろいろな分野、大事な分野を伸ばしていただいて、また、宇宙は事業仕分けに負けずに頑張ってください。よろしくお願いします。

木村主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

木村主査 これより総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。原口総務大臣。

原口国務大臣 平成二十年度総務省所管の決算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 総務省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額三千七百八億九千八百八十六万円余に対し、収納済み歳入額は三千七百九十三億六千百三十八万円余であり、差し引き八十四億六千二百五十二万円余の増加となっております。

 次に、総務省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額十九兆五千二百二億八千六百五十四万円余に対し、支出済み歳出額は十七兆二千六百六十六億二千三百九十三万円余、翌年度繰越額は二兆二千三百八十二億一千三百六十三万円余であり、不用額は百五十四億四千八百九十七万円余となっております。

 次に、総務省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計の決算について申し上げます。

 この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。

 まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、収納済み歳入額は五十一兆一千二百七十億四千六百五十八万円余、支出済み歳出額は五十兆五千二十九億一千八百四万円余であります。

 次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、収納済み歳入額は八百二億六千五百七十八万円余、支出済み歳出額は七百四十二億七千七百九十三万円余であります。

 以上が、平成二十年度総務省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

木村主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成二十年度総務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十二件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一一号は、指定統計調査等に係る事務の委託費の執行に当たり、委託先において、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って物品の購入等に係る需用費を支払っていて、委託費の支払い額が過大となっているものであります。

 同一二号から二二号までの十一件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。

 このうち一二号から一八号までの七件は市町村合併推進体制整備費補助金が過大に交付されているもの、一九号から二二号までの四件は電気通信格差是正事業費補助金等で整備した設備が補助の目的を達していないものなどであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、委託事業において調達する機器類のリース料について委託対象経費を算定する際のリース期間の設定に関するものであります。

 総務省は、情報通信技術を利活用して各種課題を解決するため、地域児童見守りシステムモデル事業及び地域ICT利活用モデル構築事業の実施を地方公共団体等の受託者に委託しております。そして、これらの委託事業においては、委託事業の終了後に受託者はみずからの負担でみずからの事業用として継続してシステムを使用し、また、事業に必要な機器類は原則としてリース等により調達することとしております。

 しかし、総務省は、委託事業に必要な機器類をリースにより調達する場合の委託対象経費とするリース料について、委託対象経費の算定の対象となるリース期間を具体的に定めておりませんでしたことなどから、受託者は委託期間をそのままリース期間としておりまして、機器類のリース料の全額を委託費で負担している事態が見受けられました。したがいまして、総務省において、今後、同種の委託事業を実施するに当たりまして、当該事業に必要な機器類のリース料を委託対象経費とする場合は、原則として、リース期間を法定耐用年数のような合理的な期間に基づいて設定することを実施要領等に明記するなど、委託対象経費とする機器類のリース料が適切に算定されるよう、是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 その二は、電子申請等関係システムの利用状況に関するものであります。

 総務省は、国民が国の行政機関とこれまで書面を用いてやりとりしてきた申請、届け出等について、インターネット等を経由した電子的な申請等を行うための電子申請等関係システムを整備、運用してきておりますが、電子申請率が一〇%以下と低迷しているシステムが見受けられ、システムの整備、運用等に係る経費に対してその効果が十分発現していない事態は、改善の要があると認められましたので、システムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置をとるよう意見を表示いたしたものであります。

 なお、以上のほか、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました地域イントラネット基盤施設整備事業等により整備したテレビ会議装置の利用状況及び市町村合併に係る特別交付税の額の算定について、それぞれ処置を要求した事項、並びに自動車保有関係手続のワンストップサービスの実施状況等及び独立行政法人情報通信研究機構通信・放送承継勘定における産業投資特別会計からの出資金の規模等について、それぞれ意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 引き続きまして、公営企業金融公庫についての検査の概要でございますが、平成二十年度公営企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上です。

木村主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。原口総務大臣。

原口国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、総務省のとった措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、会計検査院の検査の結果、市町村合併推進体制整備費補助金が過大に交付されていた等の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。

 これらにつきましては、既に地方自治体から補助金を返還させるなどの是正措置を講じたところです。

 総務省では、無駄な予算執行を排除する観点から、本年一月に予算執行監視チームを立ち上げ、政治主導でPDCAサイクルを回しており、今後は、国民目線で予算の効率的、効果的な執行に努める所存でございます。

木村主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村主査 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての説明は終わりました。

 次回は、明十八日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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