衆議院

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第3号 平成22年5月20日(木曜日)

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平成二十二年五月二十日(木曜日)

    午後四時開議

 出席分科員

   主査 木村 太郎君

      五十嵐文彦君    櫛渕 万里君

      城島 光力君    本多 平直君

      松本 大輔君    谷田川 元君

      柚木 道義君    田中 和徳君

      松浪 健太君    小泉 龍司君

   兼務 坂本 哲志君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       藤田 英夫君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  松浪 健太君     田中 和徳君

同日

 第三分科員坂本哲志君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (総務省所管、公営企業金融公庫及び文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

木村主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、文部科学省所管、総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 引き続き文部科学省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本分科員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 文部科学委員会の理事をさせていただいておりますが、きょうは文部科学委員会ではありませんので北教組の問題等はお尋ねしませんので、どうか肩の力を抜いてお答えいただいたらと思います。

 二年前に、私たちは火山議員連盟というのをつくりました。これは、会長にもとの文部大臣の中山成彬先生、それから事務局長に萩生田先生、東京都でございますが、火山地域がある国会議員が集まって、二十何人ぐらいいたと思いますけれども、火山の状況あるいは予算、そういったものを含めてもう少し勉強しようじゃないかというような趣旨の議連でございました。

 しかし、会長もそれから事務局長も今いらっしゃらなくなりましたので開店休業状態でございますが、火山について世界的なニュース、最近はアイスランドの火山の爆発というのがありまして、世界全体に非常に大きな影響を与えております。それ以外にも、二〇〇六年には南米アンデスの爆発、あるいは二〇〇五年にはイタリアのエトナ火山の爆発、さらにはフィリピンのピナツボ、これは大変有名でございますけれども、一九九一年だったと思います。

 東大の元教授の藤井先生によりますと、マグマというのは、火山の爆発というのは二十年、三十年の周期ではないんだ、百年、二百年の周期なんだ、そういう意味でいえば二十世紀というのは火山は穏やかな時期だったんだ、二十一世紀にどういうふうになるかわからない、だから私たちはその備えをしておかなければいけないということを言われておりました。

 しかし、日本は、火山列島であるにもかかわらず、火山の研究、そういったものが非常に衰退しているというのが実情であります。iPS細胞とかあるいは介護用ロボットとか、こういったビジネスにつながる研究は国立大学が独法化したということで非常に盛んになりましたけれども、こういった基礎的分野の基礎学問、基礎研究については、その分だけおろそかになったと言うと語弊があるかもしれませんけれども、研究者が少なくなっているというのが実情であります。ポストドクターの問題もあると思います。

 火山の研究者について言いますと、平成十三年が百人だったのが、今は七十三人しかいないという状況になっておりますし、そして国立大学で火山の何らかの観測研究をする体制がある大学がわずか十四校、私立は二校であります。やはり火山国日本としては非常に心配なところであります。

 そこへいきますと、イタリアのボローニャ大学、こういったところには充実した火山研究が備えられておりまして、ヨーロッパのほとんどの学者がこのボローニャ大学の方に今研修に行くというようなことも言われているところであります。

 火山の研究、財源難ではございますけれども、非常に地道な研究でありますが、本当に、ともすれば国家の存亡にかかわるような研究でもありますので、今後の研究者の育成、これをどのようにしていかれるのか、まずお伺いをしたいと思います。

 それから、もう一点、一緒に聞きますけれども、火山の噴火予知でございます。

 この噴火予知につきましても、非常に、系統立った体制というのがとられていないというふうに思います。これも藤井先生でありますけれども、火山地質の調査、それから噴火歴、あるいは人材、こういったものも含めて、もう少し系統的な体制をとらなければだめだというふうに言われておりますし、現在、日本に百八の火山があるわけですけれども、その中で噴火の観測器が備えられているのがわずか三十ということであります。こういった、予知についても非常に貧弱であり、爆発したときだけ大騒ぎしてもしようがないわけであります。

 そこへいきますと、アメリカなどは地質調査所が一元的に火山の監視をしておりますけれども、日本の場合には、火山の予知については最終的には文科省が責任を持つ、しかし測候所は国交省でやる。非常に多岐にわたって、各省庁にまたがって、それが噴火の予知というものに対する敏捷性というものを、素早さというものを阻んでいるような気もいたしますので、この辺の体系立ったものがとれないのか、文科省中心にとれないのかということをお伺いいたしたいと思います。

川端国務大臣 御質問ありがとうございます。

 火山は、一度起こると、災害はもちろん、大変な、甚大な被害をもたらすと同時に、先般起こりましたようなアイスランドの場合ですと飛行機が飛ばないとか、国際的にも国際活動がとまってしまう、あるいは地球温暖化の問題に対しても非常に大きな影響を与えているということでありまして、この部分に関しての世界的な技術研究等々行われている中で、先生も熱心に取り組んでいただいて、日本が非常に脆弱な部分をしっかりしろということは、我々としては、こういうことを取り上げていただくことは大変ありがたく思います。

 御指摘のように、日本で活火山というのは、おおむね一万年以内に噴火した火山という定義でいうと百八火山ある。そして、一元化の問題をお触れいただきましたけれども、その百八火山の中で、災害を軽減する、要するに、ある種の予知という意味で監視を強化して、いつも監視を強化することによって、中長期的に噴火等が発生する可能性が高い火山、そのうちで無人島と北方領土と海底火山を除いたものということで、噴気活動、地熱活動が盛んな火山というのを監視を強化すべき火山ということで、これは気象庁の火山噴火予知連絡会火山活動評価検討会が四十七火山決めまして、やっているということでございます。これは監視でございます。一たんこういうことがあったらいけないということで、常に監視をしている。

 それから、観測研究ということで、いろいろな火山活動の前兆現象、特定の火山では、大体こういうことがあったら前兆現象だということが一部ではわかってきているんですが、トータルとして、系統的にはわかっていないという意味で、研究をする対象として、大学が重点的に観測研究を強化すべき研究価値の大きい火山ということで十六火山指定をいたしまして、活動度が高い火山、あるいは現時点では活動度が低いものの潜在的爆発活力が高いなど研究価値が大きい火山、これは文部科学省の測地学分科会火山部会が担当するということで、一応、分担をしているということで対応しております。

 そういう中で、文科省的にいいますと、そういう研究を十六火山に重点的に絞ることで中長期的な予知、時期、規模等々を解明することをやっているんですが、最近、これも先生お触れいただきましたように、例えばその地域の大学がこの火山ということで非常に長期にわたって地道に、熱心にやっていただいているんですが、やはり横の連携というんですか、いろいろな機器の進歩と同時に、データの蓄積を、共有していくということがどうしても必要だということで、大学の役割は大きいけれども、観測網が大規模化、高度化しているということで、この山はこの大学ということだけでは対応できないような状況が指摘をされております。

 そういう意味で、火山あるいは地震についての基盤的な観測網の整備と、その観測データを文科省が中心となって大学と共有するということと同時に、国の研究機関も文科省のかかわりでたくさんありますので、そういうものの中で、国の研究設備をこの研究に関しては大学にも開放するということも含めて、大学の研究活動と人材育成を、国の研究活動それから文科省がお世話をすること、リーダーシップを発揮することで応援しているというのが現状であります。

 世界の規模から見たときに、火山大国日本という状況の中では水準的にはまだまだ拡充しなければならないという意識の中で、より効果的に、火山予知の高度化、大学における火山、地震研究の発展のための人材育成を含めて努めてまいりたいと思っております。

坂本分科員 国の研究活動といえば、産総研、これは経産省なんですね。文科省が大学をやって、そして測候所の方は国交省がやる。しかも、今言われましたように、例えば九州でいきますと、阿蘇山は京都大学の火山研究所、霧島は東大ということで、その辺の連携、今言われましたように、やはり阿蘇は京都大学のものだみたいなのが昔からありまして、なかなかうまくいかない。これは、やはり最終的には文科省がしっかり音頭をとるべきではないだろうかなというふうに思います。

 次の質問も一緒です。

 ジオパークというのがあります。これは、世界の地質学会が貴重な地質を残そうということでユネスコを中心にして提唱しまして、二〇〇四年から始まりました。現在、世界で六十六地域がジオパークとして指定をされております。

 そのうち、中国が二十カ所、日本は世界のジオパークとして指定されたものは三カ所、これは二〇〇九年ですので昨年であります。洞爺湖有珠山、糸魚川、そして島原半島、この三つであります。あと、国内のジオパークというのは十一ありまして、これは私のところの阿蘇山を中心にしてあるわけです。

 やはり、これだけ地質豊富な我が国において、そしてジオパークというのは事実上世界遺産と同じようなステータスも持ってくると思っておりますので、私は、ジオパークにどんどん認定させること、これは大切なことだと思いますし、それは、日本の地質あるいは自分たちが住んでいるところがどういうふうなものになっているか、そして、それを公園化していくということで自治体と住民、そして学術的なものを結びつける大切なものであるというふうに思います。

 これも、どこが中心になって世界に訴えるかというのは決まっておりません。産総研でいえばやはり経産省でありますし、公園でいいますならば環境省でありますし、それから地質学会でいいますと文科省でありますし、観光的な資源というようなことでいいますと国交省になってまいります。

 自治体も含めて今研修会その他やっておりますけれども、これは経産省の方でやられているんですか。ただ、どうも自治体の方ではしっくりこないというふうなことを言われておりまして、阿蘇あたりは特に、これから自治体と火山研究所と熊本県と一緒になって世界へ名乗りを上げようというところでありますので、総務省の方も含めて、地域づくりは総務省でありますので、これもぜひきちっとした体系的なものをつくり上げて、そして、中国が三分の一を占めるわけですので、やはり少なくとも日本も十パークぐらいは世界のジオパークとして認定されるように積極的に進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

川端国務大臣 御案内のように、今、世界遺産は非常な注目を浴びていると同時に、そういう自然、文化を含めた遺産としての価値と同時に、観光的にも経済的にも非常に大きな効果をもたらしていることは事実であります。

 その中で、ジオパークも、最近、日本でも三カ所が国際的に認定をされて、日本国内においては十一ということでありますが、ユネスコが支援をしてできて、本部もユネスコの本部にあるんですけれども、直接的にユネスコが関与している団体ではないんですが、そういう意味で、文科省的にダイレクトにお世話をするところになっていないのが現実であります。そういう中で、産総研を中心にして、一応、経産省がかかわる形で今までやっておられます。

 そういう中で、役所の仕切りだけでいいますと、そういう中に文化財あるいは史跡的なものが含まれていればお手伝いすることはありますというのがずっと今までのスタンスでございました。おっしゃるように、観光資源という意味では非常に広域なものになりますし、これは国交省、産総研を今お世話いただいているのは経産省、そして我々は、文化財的なもの、あるいは自然、史跡名勝ということでいうと文科省、環境的なものでいうと環境省ということになりますので、これは先生の御指摘も踏まえながら、私たちも成長戦略で、観光というのは非常に大きなこれからの成長戦略の柱の一つだという位置づけもありますので、またこういう御提言を踏まえながら、私の立場からも関係省庁ともいろいろ話をしてみたいというふうに思っております。

坂本分科員 それぞれの火山には火山研究所というのがありますけれども、やはり火山研究所の所長さんたちがじだんだを踏んでいるんですね。もう少し国の方でいろいろな、連携だけとっていただければ、自治体もやはりジオパークに指定されることは喜びでありましょうし、さまざまな説明書あるいはパンフレット、こういったものもやはり地元でつくれるでありましょうから。

 ジオパークそのものがまだ歴史はありませんけれども、これから大きく広がっていく問題でありますので、ぜひ早急に、産総研、経済産業省、あるいは国交省、総務省、あるいはそのほかの省庁とも連携して体制を整えていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 国立青少年教育振興機構というのがあります。各地に国立青少年交流の家というのがありますが、全国で二十八カ所あります。これが昨年の民主党の事業仕分けによって、民間委託もしくは自治体委託にしなさい、地方公共団体の委託にしなさいということになりました。

 これは、本部は独法の国立青少年教育振興機構というところで、そこには文部科学省からの天下りと言われる方々、こういった方々が来られて、一見それは無駄であるようでありますけれども、現場の方は、これほど活用されているところはないんです。

 阿蘇の方にも国立阿蘇青少年交流の家というのがありますけれども、これは平成十九年度でさえも十二万五千人が利用しております。二十年度で十三万五千人です。それから二十一年度で十四万四千人です。本当に利用客も多くて、そして宿泊の稼働率も五一%、あるいは五九%、五八%と六割台をキープしているんですね。

 しかも、これは、青少年、そして高校生、大学生が幅広く利用されておりまして、大変使い勝手があるというか教育的に非常に有効なものであります。しかも、旅館業法その他に抵触するおそれもありますので実費しか取っていないということで、本当に大学生、高校生にとってはありがたい施設であります。

 県立の少年の家というのがありますが、これは大体、義務教育が行っているんですね。高校生、大学生あるいはその他の青少年活動というのは、ほとんどこの国立青少年交流の家を利用しています。ですから、これは全国二十八カ所ありまして、その中での精査というのは必要でありますけれども、各ブロック単位にやはりナショナルセンターとして一つは確実に残さなければいけない。

 私も、地元ですので阿蘇の国立青少年に行きますけれども、本当に、あの大自然の中で二日、三日それぞれが学習活動をする、あるいは合宿をする、いろいろな討論会をやる。教育に対する大変な効用があると思いますので、私は、こういうものは、郵政は、ああいうのは事実上国営化しなくていいんですから、こういう教育の問題はやはり国がちゃんと、しっかりと教育の問題として、効率、非効率ということではなくて、青少年の交流の家として守るという姿勢が必要だと思いますし、加えて、地元の雇用とか、それから米とか野菜とかこういった地元の地産地消ということにも非常に貢献しておりますので、これはいま一度、ぜひ文科省の方でもお考え直しいただきたいというふうに思います。

川端国務大臣 先生御承知だと思いますけれども、事業仕分けの中で、こういう自然の家のいろいろな諸活動、自然と子供たちが触れ合って、その中で、泊まりがけで大地に囲まれていろいろな体験をして暮らすということは教育的なことを含めて、人間形成を含めて非常に意味があるということは、全くそのとおり認めていただいております。

 そういう中で、これも御指摘いただきましたけれども、中央の組織の運営のあり方はいかがなものかというメスは当然入れなければいけない。それと同時に、今も先生おっしゃいましたけれども、小中学生に関してが中心でありますが、現実に各地方自治体において類似の施設をたくさん持っておられるところもあるという中で、地方自治体にお任せしてやっていただけるところがあるのであれば、移していった方が効率的に動かせるのではないかというのが一つの論点。

 もう一つは、例えば阿蘇でありますと、いわゆる阿蘇山の懐で、日本じゅうで、そういう火山のふもとでという場所はそんなにたくさんというより、ほとんどありません。例えば、子供たちが交流するのに、九州や沖縄の子供たちは雪の中で暮らしたことがないというと、各都道府県、自治体に任せてしまえば、そういう自然環境に、自分の地元以外のところで自然に触れ合うことがなかなか難しくなるということでいうと、ある種のナショナルセンター的な機能も私は必要だと思っております。

 そういう意味で、環境が整う状況の中で、地域事情を含めて、地方の自治体に今お願いするといっても、財政上の問題でそんなの引き受けられないというところもたくさんあると思います。そういうふうなので、状況的に、高校生も小学生も中学生も合わせて一体的に、効率的に運営した方がいいというふうな状況が整えば、地方自治体に移管するということは検討してやっていったらいいと私は思います。

 一方で、ナショナルセンターとしての役割はどう果たすべきなのかということをしっかり精査する中では、残すものも当然あるべきだというふうに私は思っております。

 基本的には、青少年の体験活動がしっかり確保されるということが損なわれてはいけないということだけは大原則として、私はこの重要性は十分認識しているつもりでありますし、青少年の自然体験活動の議員連盟でも私も活動してまいりましたし、そういう意味でも、先生の思いは、そういうことを御指摘されているんだと思いますので、しっかり受けとめながら、仕分けの指摘は尊重しながら対応をしてまいりたいと思っております。

坂本分科員 これは自治体では絶対受け入れられません。受け入れられないというか不可能ですね。

 実費だけですので、五百六十円とか五百八十円とか、一日大体六百円以内で学習が行われるんですよ、宿泊費というのは余り取れませんので。ですから、これをもし自治体に移管してしまったら、当然、自治体としては財政が破綻してしまうわけですので、これはぜひ川端大臣に踏ん張っていただきたい。そして、ナショナルセンターとしての機能をやはりしっかりと保って、より国家が責任を持って青少年を育成する、あるいは高校生も大学生も育成する、そういう役割を果たしていただきたいというふうに思っております。

 先日、文化庁が主催をいたします平城京遷都千三百年、第一次大極殿の落成式に行きました。中川文部副大臣がお見えでございました。

 七一〇年にああいうものがつくられて、そして、国家というものをどうやって運営していくか、あるいは国家の権威をどう見せるか、そして中国のもの、中国の制度、こういったものを取り入れながらどういうふうにして今後の日本というのをつくり上げていくかという、そのものを目の当たりにしたときに、本当に、子供たちにこういったものを見せて、地域とは何か、そして国家とは何か、国家の中で国民と国家が一体になるということはどういうことかということをやはり学ばせなければいけないなということをつくづく感じました。こういった古代の歴史的な文化財というものは本当に大切だなというふうに思います。

 その大極殿をさかのぼること五十年ほどでありますけれども、九州の方でも、これは国家をつくるということではなくて、国家を守るということで、古代山城というのが四史跡あるいは五史跡残っております。

 白村江の戦い、六六三年、百済と日本の連合軍がとうとう新羅の連合軍に負けました。そして、当時、唐がまた攻めてくるのではないかということで、大宰府を中心に、長崎の金田城、佐賀の基肄城、そして福岡の大野城、熊本の鞠智城、こういったところに古代の山城をつくりました。本当に、皆さんたちがそこで訓練をし、常に緊張感があったということで、これはやはり元寇の前の国家の危機に備えたものだと思います。こういうものは、ぜひ特別史跡にして、やはり小学生、中学生あるいは高校生も含めて学習をさせなければいけないというふうに思います。

 その中で、これは要望、陳情になりますけれども、熊本の鞠智城だけは特別史跡というふうになっていません。かなり整備をされておりますし、ここは一番の兵たん分野そして後方基地ということで、百済の人たちと一緒になって生活した、あるいは訓練をした、そういったものが残っておりますし、百済系の菩薩像というものも出てまいりました。

 ですから、こういった貴重なものをやはりもう一度精査していただいて、平城京と同じように、九州の守りあるいは国家の守り、こういうふうにしてやったんだというようなことを子供たちに教えるためにも、ぜひ特別史跡というものにお願いをしたい。それは政府でできるようなものではありません、審議会の方を通していかなければなりませんが、その大切さというものはぜひ認識していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

    〔主査退席、柚木主査代理着席〕

川端国務大臣 白村江の戦いのときの天皇が、天智天皇、私の選挙区、私の住まいの大津市に大津宮、大津京をつくった、まさにそのときの時代であります。そういう意味で、私も、この時代の朝鮮半島のいわゆる新羅、高句麗、百済の歴史には非常に関心があります。その部分で、このいわゆる古代山城についても私は非常に関心を高く持っています。

 こういう中で、今の御要望は、確かに今まで、史跡と特別史跡というのは、国宝と重要文化財みたいなもので、余り細かく分けるのも技術的になかなか難しいことがありますが、この鞠智城に関しての評価も、学説的には、いろいろなことがだんだんわかってきている中の過程にまだあるのかなというふうに思いますし、先生の思いも含めてしっかりと審議がされるように私も見守ってまいりたいというふうに思っております。

坂本分科員 元が攻めてきたのが、あれは、文永の役、弘安の役、一二七三年ぐらいだったですかね。その前に日本の国家的な危機があった。それに対して、もう当時、政府として、国家として備えをしたというようなことそのものがやはり大変重要なことであるというふうに私は思いますので、ぜひその重要性を認識していただいて、これからの文化人の方々への訴えをよろしくお願い申し上げたいと思っております。

 最後に、地元の問題とは切り離しまして、ロースクールの問題を一つだけ質問させていただきます。

 平成十六年の四月に我が国にもロースクール、法科大学院が創設されました。私はそのときに質問をさせていただいて、こんなに数多くつくって大丈夫なんですか、先生たちの天下りをつくるだけではないですか、このことによってやはり質が非常に低下しはしないんですかというようなことを質問いたしまして、文部科学省の方からは、法務省からもそのときは来ていただいておりましたけれども、新たな制度としてそういうことは絶対ないんだというようなお答えでございました。しかし、今になってみると、私が指摘したことが本当に当たってしまったなという気がいたします。

 七割から八割ロースクールから合格させると言っていたものが、今、二割から三割であります。しかも、この数年間一人も司法試験の合格者を出していないというところが数多くございます。しかも、その中で、五年以内に三回までの受験の制約があって、そして合格しない場合にはもう資格はないんだというようなことになっているんですかね。

 そういうことをやれば、本当にこのロースクール制度そのもの、法科大学院そのものが意味をなさないと私は思うんですね。これはもう一度やはり考え直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

川端国務大臣 これは若干、鶏と卵みたいな話でもあるんですが、現実に先生御懸念であって、現実にも起こったことは、合格率は、スタートの四八・三%が二七・六%になっていた。

 そして、そういう意味で、やはりこれは定数の枠が大き過ぎるのではないかということで、五千七百六十五人の入学定員の枠は四千九百九人というふうに、八百五十六人、約一五%減らしてまいりました。それと、大学によっては、改善の努力の継続が必要であるというのが十二校、大幅な改善が必要が十四校、要するに合格者がほとんどいないとか、そういうことです。

 そして、現在、何とか実のある法科大学院制度が継続できるようにという手だてを打っておりますが、今御指摘の件は、五年以内に三回という制限は、新司法試験の受験資格は原則として法科大学院修了者に限って与えるとともに、五年以内に三回という回数制限を平成十三年六月の改革審議会の意見書を踏まえて現在やっております。

 そういう中で、せっかく入ったのに大学の教育の部分で合格しないということで定数を減らしてということは、今おられる人の話ですから、どうするんだというのは、現象として起こっていることは事実でございます。

 そういう意味も含めて、トータルとして、ことしの二月に法務省と合同で、法曹関係者も含めて、法曹養成に関する検討ワーキングチームというのをつくりました。法科大学院における教育や新司法試験等の検討を対象として、今、ワーキンググループをつくりました。その中で、この制度自体を所管しているのは法務省でございますので直接文科省が決める立場にはありませんが、このワーキンググループの場を通じても、我々としてもいろいろ議論をしてまいりたいというふうに思っております。

坂本分科員 そもそも、この制度が、司法試験だけではなくて、やはり幅広い人間性を持った法曹家を育てるんだというようなことからスタートしたわけでありますので、少なくとも、五年に三回というような、このことだけは撤廃をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

柚木主査代理 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村太郎君。

木村(太)分科員 遅い時間まで御苦労さまです。

 早速、質問させていただきます。

 川端文科大臣が、労組幹部宅や秘書宅を事務所として届け出をし、六千六百七十二万円もの事務所費を計上したという不祥事がありましたが、その後、完璧に対応されましたか。

川端国務大臣 二十二年間で合計すれば六千六百万円の事務所費を使った、達友会という、私を応援する政治団体があったことは事実でございます。そこの事務所が、応援する立場の労働組合の幹部が主だったんですが、その人の自宅を連絡場所として、事務所として登録をした。そして、そこの場所を借りての活動はありませんでしたので、そこでの家賃や水道光熱費等々の費用は発生しなかったけれども、電話代やコピー代等々の事務所費は発生したので、法に基づいて届け出をいたしたということであります。

 それが経過でございますが、一連の報道がありましたので、詳細に経常経費等々は精査をいたしまして、すべて実態があるものばかりであって、法的にも問題があるとは認識をいたしておりません。

 そして、政治資金規正法の精神は、例えばお金の入りとは、こういう人からはお金をもらっていい、もらってはいけない、額に制限もかけるという、寄附等々の入りの制限と、それから、使い道はしっかりと、例えば五万円以上の帳票を添付する等々のことで、しっかりと収支報告を決められたルールでしなさいということが制限をかけられる中で、一方で政治活動の自由を担保するということであります。

 その時々において、いろいろな問題が起こったときに国会での議論を踏まえて政治資金規正法の改正がその都度行われてきたということに、適切に対応してきたところでございます。

 二〇〇七年の国会で、事務所問題のいろいろな議論の中で、政治団体をより一層透明化を図るという意味で政治資金規正法が改正されまして、みずからの政治活動に係る資金収支の透明性を向上させるという意味で、いわゆる国会議員に関係する政治団体と、そうでない政治団体、そして資金管理団体という三つに分類するということになりましたので、これは報道される前の段階でありますけれども、この、問題として報道されました達友会は、このことから、法改正を受けまして、二〇〇八年の後半から事実上の活動を停止して、二〇〇九年十二月三十一日で解散をいたしました。

 いずれにしても、その折々に、政治資金規正法に基づいて、厳正、適切、正確にこれからもやってまいりたいと思っております。

 以上です。

木村(太)分科員 時間が限られておりますので、聞いたことにストレートにお答えしていただきたいとお願いしたい。

 安倍内閣のときに、今お話があったとおり、同じような事案が発生しまして、当時の野党は、すぐやめろ、こう言ったわけで、また、当時のその閣僚は潔く辞任したということがありました。

 何が違うんですか。

川端国務大臣 逆に、事務所費の問題ということで報じられましたけれども、ほかの案件は、私は詳しくはその事実を承知していない部分もありますけれども、国会の事務所だけが事務所として活動しているという御主張の中で、発生するはずのない水道光熱費が計上されていたり、あるいは、事実上、政治団体とその他の党の団体とで二重に同じものが、同じ経費を計上されていたりという、架空とか不正の問題があったということが問題になったと私は記憶をしております。

 私の関係においてはそれはございません。

木村(太)分科員 では、次に入ります。

 鳩山総理は、みずから、普天間の基地移転問題、五月中に決着させるという決意を何度も発言というか主張してきたわけでありますが、五月中に決着できない場合は、国務大臣として川端大臣は、鳩山大臣は辞任すべきだと思いませんか。

川端国務大臣 総理の御判断としての御発言として、五月末に決着をさせるという強い意志を持って取り組んでおられると承知をいたしております。そういう意味で、関係閣僚含めて全力でそういうことになるように、今もこれからも、末に向けて頑張っていただけると思っております。

木村(太)分科員 そうしますと、大臣の考え方も五月中というふうにありましたので、私も大臣と同じ考え方で、政府として、また閣僚一致して努力していただきたい。五月中という言葉が大臣からもありましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、次に入ります。

 政治主導ということで、文科省には、実態的に民主党の本部からの職員が働いているという実態がありますか。

川端国務大臣 鳩山内閣で、内閣官房専門調査員として民主党職員を採用しております。その中で、文部科学省への職員というのはおりませんが、文部科学省の仕事にアドバイスをするという立場の職務だと言われている人は二名おります。この二名は、政務官秘書官室に事務机がありまして、平均しますと週に一日ぐらいそこへ来て、いろいろな情報交換等々の仕事をしていると承知しております。

木村(太)分科員 そのお二人というのはどういう経歴を持っているのか。例えば、賞罰というようなことを考えますと罰というような経歴もあるのか、あるいは、労働組合の幹部等の経歴も有している人なのか、ちょっと確認だけさせてください。

川端国務大臣 内閣官房専門調査員という立場でございますので、内閣官房の職員として在籍しておりますので、文部科学省、私の立場では、その経歴について承知をする立場でございません。

木村(太)分科員 私、通告していました。

 経歴、わかるでしょう。答えてください。

川端国務大臣 その個々人の経歴を、採用する立場では文科省はありません、内閣官房専門調査員という形で内閣官房が採用しておりますので、その採用情報は内閣官房にありますので、その部分を私は承知する立場にございません。

木村(太)分科員 それは内閣官房から出向しているような形でしょうが、何も難しいことはないでしょう。事実関係を確認したいだけですから。きちっと通告しているわけですから。答えてください。

川端国務大臣 内閣官房職員として、仕事が文科省の部分の仕事も担当しているということでございます。どういう経歴であるということは個人情報にもかかわることでありますので、私の立場では承知しておりません。

木村(太)分科員 委員長、済みません、これはちょっと速記とめて、確認させてください。私、ちゃんと通告していますので。内閣官房の職員になる前の経歴を確認したいと言っているんですよ。通告しているんですから。ちょっととめて、調べさせてください。だめですよ。委員長、とめてください。

柚木主査代理 御答弁できますか。川端文科大臣。

川端国務大臣 それぞれの、私が所管していない職員の経歴をこの場で述べろと言われても、通告されているされていないにかかわらず、それを述べることはできません。

木村(太)分科員 この間直嶋経産大臣に同じようなことを聞いたら、ちゃんと答えてくれましたよ。なぜ文科省はだめなんですか。その違いを言ってください。直嶋大臣はちゃんと答えてくれましたよ、事実関係を。なぜここはだめなんですか。

川端国務大臣 私、その情報を持っておりませんので答えられません。

木村(太)分科員 委員長、お願いですからちょっととめてください。通告しているんですから。調べてください。議論できない、これでは。委員長、とめてください、まず。

川端国務大臣 立場上、調べる立場にございません、申しわけないですが。直嶋大臣がどうされたかというのは私は知りません。

 それで、この場で、この分科会のお立場で、川端文科大臣にそういうことを、各省、内閣の協力を得て調べて出せと言われたら、出します。

木村(太)分科員 そのようにしてください。

柚木主査代理 はい。ただいまの木村委員からの御提案に対しては、ではしかるべき対応措置を願います。よろしくお願いいたします。

木村(太)分科員 次にお伺いしますが、私、質問主意書で出しているんですが、答弁書は全く誠意のない答えばかりなんですね。ですので、何も難しい話ではありません、一回聞いていることですから。その幾つかを取り上げていきます。

 上海万博における日本人歌手のヒット曲盗作というような事案がありました。これは、上海万博の事務局はそれを認めたと思うんですね、貸してほしいということをその歌手の方、またその事務所の方にお願いしていますから。その後、その盗作したと思われる方が、盗作でないと開き直っている。

 こういう動きに対して、文科大臣として何らかのアクションを中国政府あるいは上海万博の事務局に対応されましたか。

川端国務大臣 そのような報道があることは承知をしておりますが、権利関係においては、私人間のことでありますので、これは答弁書でも書かせていただきましたけれども、文部科学省として案件の詳細を知る立場にはございません。

 一般的に、これは国際的な著作権の条約もございますので、その部分がしっかり守られるべきであるということで、関係法令に基づき当事者間で適切に対処されるべきであるということは一般論としてございます。

 中国に関しては、著作権の問題で、いろいろな形で問題が生じているというのは承知をしております。そういう意味では、これは旧政権でありますが、昨年の六月に日中ハイレベル経済対話の第二回会合、それからことしの三月に日中著作権協議、これはことしの三月で第六回会合等の、いわゆる日中間の経済会議あるいは著作権に絞り込んだ会議等々では、この個別の案件ということではなくて、全体的にいろいろな問題で、商標の問題も含めていろいろな問題が起こっております、この問題についてはしっかり国際条約を守ってやるようにということと、それから、より前向きに進めるための協議を進めておると承知しておりますが、この案件個別に関してどうこうということではございません。

木村(太)分科員 そういう答弁ですと、せっかく好意的に曲を使ってもいいですよとお答えになった歌手さんも、大臣の今の答弁を聞くとがっかりすると思いますよ。また、国民もそう思うと思いますよ。

 また、我々、政治的な考え方からいうと、例えば中国軍の、海軍のヘリコプターが近づいても何も抗議しなかった、そういうような、同じような弱腰外交、中国の属国に今の鳩山政権はなっているんじゃないかというふうに国民が思っている、そういうことにも私はつながっていくと思いますよ。

 むしろ、堂々と、こういうことがあったら抗議したらいいじゃないですか。どうですか。

川端国務大臣 個別のいろいろな問題に対して、政府が一つずつに対して、たとえ万博という非常に注目を浴びる案件とかはありましても、やはりこれは、先生もよく御存じだと思います、今までのことから見ても、一個一個の案件のことに関して政府が特にどうこうと言うことは、私人間の問題に関しては今までもそういう例はないというふうに思っております。

木村(太)分科員 次に入ります。

 先般、国立大学八十六法人の総合評価ランキング制度、また内閣府が行った経営効率化ランキング制度の発表というのがあったんですね。たまたま、私の選挙区にあります弘前大学というのが最下位になったんですよ。みんな、びっくりしましてね、憤りを感じていますよ、みんな。学長は、もう既に文科省等に抗議の意味を含めた意見書等を提出しているんですね。正しい調査というか、ルールに基づいているのか、そういうこと自体まず疑問を持っているんですね。

 例えば、こういう発表が本当にいいのかどうか。大学を志願する動向に影響を与えたり、あるいは就職活動に悪影響を与えたり、あるいはそこで頑張っている先生方、学生も、意識としてどうなのか、あるいはOBの皆さんも、ああ、あなた、最下位の大学を出た人なんですかと。こういうことがいいんですかね、本当の意味で。そういう影響があると思いませんか。

 それから、学長が記者会見でこういうことを言っているんですよ。質の向上度という採点で一つでも低い点があると数値全体が半減される、こういうルールになっている、納得いかない、こう言っているんですよ。こういうことをどう思われますか。

 それから、内閣府の政務官にも来ていただきましたけれども、例えば、民間企業活用度ランキングというので、複数年度契約の導入率の低さが問題視された。しかし、弘前大学は、むしろ、地元地域に貢献するために、地元企業をできる限り活用したいという趣旨で運営してきたというんですよ。国が、内閣府が定めたルールでやれば、複数年度契約すると、県外の企業が契約を結んでしまうと、それが続いて、地元企業が倒産し、雇用の悪化にもつながる、こういうこともきちっと覚悟した上でこういうルールづくりをやって評価しているのかと学長が記者会見で述べているんですよ。

 答えてください。まず文科省。

川端国務大臣 国立大学法人法に基づいて国立大学法人の評価を行っております。平成十六年度から十九年度における各国立大学法人の業務実績について、昨年三月に評価結果を公表しております。

 仕組みとして、この評価結果をもとに、平成二十二年度の各国立大学法人への運営費交付金、これを、こういう評価に基づいて一定の部分を傾斜配分するということで、反映させるために、一定の基準に基づいて数値化を行ったところでございます。数値化を行ったということで、私たちは、これは別に相対評価をしているものじゃなくて、こういう数値が出たことによって評価結果は既に出ているわけですから、それによって運営費交付金の一定のインセンティブをつけるというために発表をいたしました。

 従来から、国立大学法人評価の実施要領、評価結果本体、評価結果の記者発表資料、評価結果の公表に当たっての国立大学法人評価委員長の所見等で、これは相対評価とかランキングでは全くありませんということで、誤解のないようにしてきたところでありますが、数字が出たということで、メディアがその数字を並べかえると順位があったかのごとく報道されたということは承知をしております。

 趣旨としては、それぞれの項目においてこういう部分を頑張ってほしいということを書いて出して評価をしておりますので、それをめどにそれぞれの大学が改善に向けて努力していただく趣旨でございます。そういう意味での公表でございます。

 そして、今、ルールで、学長が、一個でもだめだったら半減されるということが具体的にどのルールを指しておられるのかが、私がちょっと調べたところではよくわかりませんでしたが、総合的に基準を明示して、こういう形で点数をつけますということを書いてあることでいうと、一定の公正性を持ってやったというふうに承知をしております。

 私の方からは以上でございます。

田村大臣政務官 内閣府の公共サービス改革という観点で、今回ランキングを発表させていただいたわけであります。

 当方の公共サービス改革、主な対象は、当然政府、中央省庁でございまして、施設管理に限らず幅広く公共サービスを、基本的には随意契約から競争入札へ、そしてその競争入札をさらに単年度から複数年度契約へといった形で、よりコストを削減するということをやってきているわけでございます。当然、各省庁に対しましては、それこそ場合によっては政務三役同士で相当やりとりをしながら、公共サービス改革法に基づくそういう入札改革を促すということを日々続けているところであります。

 そういった中で、国立大学法人というのは、もちろん自主的に経営改善をしている、そういう存在でありますので、ある意味で経営改善をより促すという立場にありまして、一つの参考資料として今回この順位を発表させていただいたということであります。

 ですので、先ほど申し上げましたように、随意契約ではなくて一般競争入札をどれだけ導入しているか、さらにそれを単年度ではなくて複数年度にというのがどれぐらい進んでいるかというのは、我々の観点からは非常に大きな視点でございまして、それとあと、あわせて随意契約の限度額、そこを三つの指標として今回順位づけをした。

 そこはどういう計算をしようかというのはいろいろ考えましたけれども、比重とかというのはまさにいろいろな考え方がありますので、ある意味単純に計算をして一つの目安としたということでありまして、それがまさにいろいろな意味での大学の順位だという位置づけでは決してないということは御理解をいただきたいと思います。

 あと、御質問いただいた複数年度契約、知事のおっしゃっておられたことでありますけれども、複数年度の競争入札におきましても、いろいろな条件をつけることは当然できますので、地元企業を優遇というか、より配慮して入札を行うということはできる仕組みになっております。決して、一般競争入札を導入すると県外の企業に席巻をされるというのは、知事の御懸念ではあると思いますけれども、そういった枠組みにはなっていないということは御理解いただきたいと思います。

木村(太)分科員 違うんですよ、実態的にはそうなるんですよ。だから心配して言っているし、学長も記者会見で言っているんですよ。

 例えば、地元の企業が契約を結んで、そこで働いてくる地元の方々、例えば時給八百円だ、しかし、今の政務官の答弁を重要視して、仮に大手の企業がとった場合に、そこから来て働いている人も地元なんですよ、しかし時給は七百円に下がるんですよ。そういうことになるのが見えているから、学長も記者会見で憤りをあらわしたんですよ。

 冷たいじゃないですか。地元の企業を優先したいということ、地元経済にも貢献したい、地元の大学だから。その考え方に何にもこたえていないじゃないですか。

 文科大臣、さっき相対評価と言いましたけれども、学長はこう言っているんですよ。評価は各大学を相対評価しないとしながら、評価結果を数値化し、それを運営費交付金に案分したので、結果として相対評価となりランキングされた、学長はこういう抗議をしているんですよ。全く認識が違うんですよ、大臣と。

 ですので、私はお願いなんですが、大臣、あと政務官、一位にランキングされた大学にも、また最下位になった私の地元の弘前大学にも、ぜひ、最下位の大学というのはどういう大学なのか、現場に来て視察してくださいよ、ぜひ。そして、現場の学長さんや先生方あるいは生徒、学生、あるいは地元の皆さんと意見交換してくださいよ。どうですか。

 というのは、旧帝国大学や、昔の国立大学というと一期校、二期校というのもありました。ある面では、歴史から背景から地理的なものから、最初から差があるのは当然じゃないですか。旧帝国大学だけでまずランキングする、旧一期校、一期大学でランキングする、それならまだわかりますよ、二期校で分けてランキングするとか。それを一緒にやってこんなことをされるといい迷惑なんですよ、地元は。

 ですので、一位になった大学にも行ってください、最下位になった大学にも来ていただいて、地元で実際見てもらって、これが最下位の大学かと、我々のつくったルールで最下位になった大学だとぜひ見ていただきたい。どうですか。

川端国務大臣 文科省としてランクづけしたことはございませんので、一位、最下位という表現を私たちは認識としては持っておりませんことはまず申し上げたいと思います。

 それと、現況分析でいいますと、例えば、いろいろな大学で申しましても、学部ごとにそれぞれの分で、教育実施体制、教育内容、教育方法、学業の成果、進路・就職の状況等々がどういう水準にあるのか、それから質の向上度ということで、目標に対してどうだったのかということを、各学科ごとに項目を分けて詳細に評価して、それぞれ伝えております。

 そういう意味では、そのことの評価で非常にいい評価を受けたところともう少し頑張ってほしいという評価を受けたという分を、それぞれが大学改革の方針として、これをそんたくしながら、ここを改善していこう、ここはもっと伸ばそうということをやっていただくという趣旨でやっておりますので、そういうランクづけをしたということではございません。

 一度現場を見ろということは、いろいろな大学を、実地を見ることは極めて職務柄重要であると思いますので、御意見として承っておきます。

田村大臣政務官 当府が発表いたしました順位というのは、国立大学法人の施設管理業務、図書館運営業務等への評価の総括というものの参考資料としてつけさせていただいているものでありますけれども、その本文の中にも、「地方では新たな管理手法を得る機会は一般には少なく、また、地域によっては、参入業者も限られており、一般競争入札と随意契約の区別の意味がなく、また、複数年度契約をする先例がない等の特殊事情があることに十分配慮する必要があるものと考えられる。」ということは書かれております。

 また、重ねて申し上げますけれども、これはあくまで施設管理業務という、かなり定型的な、大学の規模程度しか変わらないだろうという、ある意味で一番入札のしやすいものをということで、その業務だけを選んだものであることを申し上げさせていただきます。

木村(太)分科員 だから、そういう説明を、現場で、視察した上で説明されればいいじゃないですか。視察する考えはありませんか。それを聞いているんです。イエスかノーで答えなさい。

田村大臣政務官 事務方の方で、弘前大学への訪問を四月下旬に申し入れたようでございますけれども、副学長から時期をずらしてほしいというふうなお言葉をいただきまして、現在中断をしているということでございます。

木村(太)分科員 政務三役以上が行くかどうかを聞いているんですよ。あなた、行きますか。

田村大臣政務官 現時点ではその予定はございません。

木村(太)分科員 予定がないんじゃなくて、行く考えがあるかないかを聞いているんだ。ちゃんと答えなさい。だめだ。

田村大臣政務官 先ほどから申し上げましたように、これは、施設管理業務ではこのような数値になっている、三つの指標においての目安を示しただけでございます。あとは、先ほど申し上げたように、各省庁の関係においては、まさに各省とやりとりをしながらやっているわけでございます。基本的には、国立大学法人は自主的な経営改善を期待しているということでございます。あくまでこれは参考資料ですから、それ以上に、一つ一つの大学を視察して、それで彼らと話すということは、今のところ予定はありません。

木村(太)分科員 あくまでも参考という影響じゃなくなってきているから言っているんでしょう。あなた、そんな薄笑い、やめなさいよ。真剣に聞いているんだから。では、私もこのビデオを地元できちっと報告しますよ、笑って答えていたってね。

 次に行きます。

 文科省は経産省ともども原子力エネルギー政策の一翼を担っているわけですが、青森県連に所属する民主党の国会議員の一部が否定的な考え方をよく言うんですよ、脱原発、反核燃というような意味合いを。また、与党の一つであります社民党県連も、いつも反対反対、何かあると青森県に抗議活動をしているんですよ。おかしいと思いませんか。原子力エネルギー政策を国が青森県にお願いして、お願いされている方にいつも抗議が来るんですよ。おかしいと思いませんか。

 まず文科大臣、どう思いますか。

川端国務大臣 原子力政策については、我が国のエネルギーの根幹を支える主要なエネルギーであり、地域の皆さんの理解と協力を得て着実に推進をしているところでございまして、政府としては、この方針をしっかりと確認し、行っているところでございます。

木村(太)分科員 辻元副大臣、分野は違いますけれども、社民党の国会議員として、鳩山内閣にいる立場として、社民党県連に、来るんだったら社民党本部に、民主党本部に、そして文科省に、経産省に来なさい、こう言ったらどうですか。

 今、参議院選挙も社民党県連が公認候補を決定しまして、決起大会での主張が、脱原発、反核燃で頑張りますと言っているんですよ。どう思いますか。

辻元副大臣 今、木村議員が冒頭、最初に、所管が違いますがということをおっしゃってくださったんですけれども、前提としてちょっと申し上げたいことがございます。

 それは、私は今、国土交通副大臣として働いています。大臣という立場は閣議などでそれぞれの政策について議論いたしますけれども、副大臣という立場は、私は今、前原大臣を支える立場で、それぞれ副大臣が所管外のことを、ごちゃごちゃ、あれはこうだ、あれはこうだ、これは自公政権も同じだったですし、自社さ政権も同じでした、所管を超えて、副大臣がそれぞれの分を乗り越えてほかの政策に口出しするというのは、内閣の体をなしていないと思います。ですから、私は今、国土交通副大臣に徹して仕事をしておりまして、その他の所管についてはお答えしかねるというふうに、その姿勢でやらせてもらってます。

 ただ、いろいろな政策で、これは連立政権の時代になりますと、自社さのときも同じような現象が起こっていて、困ったり、それからお互いに議論したりということは多々ございました。特に連立政権時代に入りますと、政策の開きがあるものと近いもの、いろいろあるわけですよ、各政党。原子力の問題は、自社さのときもそうでした、開きがある方の一つだったと思います。しかし、そこをお互いに、連立ですから、どこまでお互いの言い分を言いやる、ぶつかる、しかしどこは譲るということを整理しながら一つの方向性を目指していくという時代に入っているんですね。

 それと、これは各党同じだと思うんですが、各県連それぞれの立場も尊重しながら、地元の問題があります、こういう問題は地元も意見が真っ二つに分かれたりしているものだから、一つの政党の中でもそれぞれ濃淡がある、扱いが非常に難しいこと、御地元だから一番よくおわかりだと思うんですね。

 ですから、そういう意味で、私は一番最初に申し上げましたように、一つは、所管を超えては、それぞれ頑張っていらっしゃる各省の方にお任せするという立場ですので、しかし、今、いろいろと今までも一緒に安保政策を議論してきた木村先生の御質問でしたので、いろいろな実情を申し上げたということです。

木村(太)分科員 時間が来ましたので終わりますが。

 ですので、私が言いたいのは、青森県に抗議に行くのではなくて、今副大臣がおっしゃったように、国の方に来ていろいろ意見交換しましょうよ、そういう指導をしたらどうですかということを言っているんです、その中身がどうこうでない。そのこともぜひお願いして、終わります。

柚木主査代理 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして文部科学省所管についての質疑は終了いたしました。

    〔柚木主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

木村主査 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

木村主査 速記を起こしてください。

 引き続き総務省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。松浪健太君。

松浪分科員 自由民主党の松浪健太であります。

 大臣が総務委員会のためにわざわざ速記をとめていただきまして、主査、皆様にも感謝を申し上げます。

 本当に、大臣とこうやってゆっくりと話をさせていただくというのは久しぶりだなと。前にお会いしたのは、「たかじんのそこまで言って委員会」というテレビだったかなというぐらい久しぶりでありますね。

 総務大臣になられてからの御活躍をいろいろ見ておるわけでありますけれども、民主党が一丁目一番地とおっしゃってきた地域主権であります。

 私は、自民党で道州制推進本部の事務局長を務めております。政権交代に至る前の段階では、私が二期生のころですね、自民党では恐らく二百回を超える会議を道州制についてこなしてきたかと思います。それだけに、地域主権という言葉でこれが一丁目一番地というイメージは、ちょっと軽い雰囲気があるなというのが実際であります。

 主権という言葉も、本当に軽々しく使っていいのかどうか、これは違和感があるわけでありまして、国際的にもそうですけれども、主権の定義、実定法上、我が国においては主権という概念が割と頻出をして、異なる意味で混乱の原因になっているというのがよく指摘されるところであります。

 主権は、一つには対外的な独立性を指す、二つには対内的な統治権を指す、そして三つ目には、国家における最高権力、場合によっては憲法制定権力のようなものを指すわけであります。統治権というのは、これはまたすさまじいものでありまして、国家が、みずからの領土において、いかなる反対の意思を表示する個人、団体に対しても、最終的には物理的実力を用いて自己の意思を貫徹することができる、これが国家の統治権という非常に重いものであります。

 地域主権というのは、これに比べれば、地方分権に対してのある種の概念かなと。それに対するアンチテーゼのような意味で私もこれまでとらえてまいりました。

 私が内閣府の大臣政務官を務めておりますときに、私はそれこそ道州制を志願して内閣府の大臣政務官になり、そして道州制ビジョン懇で議論を重ねてまいりました。当時、今みんなの党に行かれましたけれども、PHPの社長であった江口先生が特に地域主権型道州制ということを言われたのが、地域主権という言葉がこの世の中に広がった最初だったかな、本当に大きく広がったきっかけになったんじゃないかと私は思っておりますが、この江口先生も、民主党の言っている地域主権は違うんだよな、わからないんだよなというようなことをよくおっしゃっていたわけであります。

 法的において、地域主権というのは、先ほど申し上げた三類型とは大きく異なるわけであります。ただでさえ異なる意味で実定法上使われているわけですけれども、今度は、一般に使われる分にはいいと思うんですが、法律にまで冠されたということでありまして、これは主権というものがまさに第四の用法ができたと考えていいんでしょうか。

原口国務大臣 松浪委員とは今まで、「そこまで言って委員会」や、いろいろなところで議論させていただいて、本当に、ある意味同志だと思っています。

 それで、この地域主権というのは何も民主党の造語ではないんですね。小泉政権時代、当時の政権が、日本二十一世紀ビジョン専門調査会という中で、これはなかなかいいことを言っているんですね。「地域主権を確立する」、これは自民党政権のペーパーの中に出てくるわけです。「地方分権を徹底し、地域住民が自らの判断で地域における最適な行政を選択できるようにする。」そこにはこう書かれています。そして、これは松浪委員も御指摘のように、「国と地方の関係を見直し道州制を実現する。」と。

 私も、師匠が松下幸之助ですから、地域から日本を変える、その究極の形として道州制。きのうも経団連と、来年の道州制基本法に向けた基本的な考え方、これを議論したわけです。

 そこで、お尋ねですけれども、地域主権というのはどういうことかというと、主権は、さっき三つのお話がありましたけれども、まさに国民主権、主権の存するもの、国政のあり方を最終的に決定する力、国民主権という言葉があります。主権者たる国民がみずからの責任においてみずからの地域をつくるということなくして国家をつくっていくことはできないわけです。地域と主権を分けて、地域に国家主権と同じような主権が来るという考え方ではないんです、むしろ、もっと国民主権という考え方を。

 そして、憲法には地方自治について四条ございます。いわゆる地方自治の本旨と言われるものですけれども、これは憲法の中には明定をされていません。住民自治、団体自治、そして補完性の原則であるというふうに今言われているわけです。その補完性の原則、みずからの地域についてみずからが、主権者が決定をする。そして、地域でできることは地域でやる、地域でできないことは広域行政でやる、広域行政でできないことは、今委員がおっしゃるような、道州もしくは国がやる。こういう補完性の原則に立った考え方でございます。

 委員、私は、地域を愛することなくして国を愛することはできないと思っています。地域をはぐくむ力を持たずして国をつくる力は持てないと思っておるわけでございまして、地域主権、この改革は、ただただ権限、財源を地方に移すということだけではありません。まさに民主主義そのものの改革であるというふうに御理解をいただいて、同じ方向で応援をしてくださればありがたいと思います。

松浪分科員 大変、目指す方向は私は大臣とはかなり近しいものがあるなと。

 今までの民主党の皆さんは、三百の自治体に、昔、私が大学生のころ、小沢さんの「日本改造計画」を読みましたけれども、三百の市に再編して日本の地方自治を強くするんだと。当時読んだときはすごい考えだなと思ったんですけれども、今になって考えてみると、三百の市町村と国があるだけであれば、結局、中央集権にならざるを得ないな、間にやはりある程度のブロック的な考え方が必要だなと。

 一時は民主党さんもそういう方に流れたのかなというイメージを持っておりましたので、明確に、大臣はそういう三百の市というのは否定をされるということと考えてよろしいんでしょうか。

原口国務大臣 今回のマニフェストからはその数字をのかせたわけです。

 これは道州制についても同じですけれども、やはり、原口プランというのを出させていただいていますけれども、このプランは、今おっしゃるような道州にしろ、それから基礎自治体にしろ、国で決めて地方に押しつけるものかと。一緒にトレーニング室で走っていましたけれども、あれは一緒にやるからいいんですよ。一緒にこの絵をかく。

 だから、最初から三百なんて決め打ちをして、あるいは八の道州とか十の道州とかして、今の中央集権のピラミッドを八つに分けたところで、それは改革だと言わないというのが私の基本的な考え方でございます。

松浪分科員 道州制の話にまた戻ろうと思います。

 ここで、地域主権の今回の改革でさまざまに論考が出ておりますけれども、これは元鳥取県知事の片山善博さん、地域主権改革の先行きも、ここはちょっと内容が余りにシャビーだなとか。特に、私もかつていろいろと議論させていただいたことがありますけれども、丹羽宇一郎元分権委委員長は、勧告の内容が非常に生かされておらぬ、地方が見直しを要望した百四項目の実行率は三四・六%、分権委が勧告した八百九十二項目も肝心なものはほとんど実行されていない、これでは骨抜きになっているのも同然で、相当不満だということをおっしゃっております。

 一丁目一番地と言われながら、評価は今のところはさんざんでありまして、六丁目五十三番地ぐらいでちょっと袋小路に入ったかなみたいなイメージがあるんですけれども、大臣、これについてはいかがですか。

原口国務大臣 やはり百点満点の教育を受けた人たちから見ると、ああ、おまえらはそのぐらいのことしかできないんだと。百点満点の教育を受けた人は答えが一つしかないんですよ。だから、その一つの答えでなければできないことを探すんです。

 私は大阪の橋下知事を親友だと思っていますけれども、去年の今ごろを考えてみてください。直轄事業負担金、ぼったくりバーだとこの辺でほえていましたよ。あのときに直轄事業負担金がなくなると思った人が、だれがいるでしょうか。

 また、松浪委員はわかってくださると思いますけれども、私たちは、この義務づけ、枠づけについて、もう八割、その論文は少し前の論文ですよね。私は、丹羽さんにしても片山さんにしても、叱咤激励、むちを与えていただいているんだと思って、もっとむちをくれと。マゾではないので、余りこれ以上むちは要りませんけれども。

 私は委員長とも同期で、かつて一緒の政党で頑張ってこさせていただきました。やはり地域がみずから判断をし、そして義務づけ、枠づけやそんなもので、大阪で決めることを東京で決める必要はないんですよ。それを今度の地域主権戦略大綱の中にばっちり入れ込んで、実行しますので、あとは実行力のある友人が必要なので、ぜひよろしくお願いいたします。

松浪分科員 こういうことを考えてまいりますと、道州制についての政府の見解というのは、今、激変しつつあると受けとめていいのかなと思いますけれども、私も少し前の大臣の本を読ませていただいて、残念ながら、たしか元横浜市長の中田市長なんかも、民主党政権は道州制への方向性がなかなか打ち出せていないななんということをおっしゃっていたんですけれども、それから随分たったわけでありまして、その点はちょっと安心をして見せていただけるのかなと思っております。

 これに加えまして、私も政務官時代、内閣府において、大臣も今、地域主権の担当をされておりますが、内閣府の問題点というのは、機構的に見て、庁舎が本当にばらばらであるというのに加えて、特に地方分権、地域主権、道州制、こういった分野の担当者がばらばらになっているというのは、私は、これを次は変えないといけないなというふうに非常に提言しておったわけでありますけれども、私もいろいろありまして内閣府の政務官を首になったので、その後はこれが進まなかったというような経緯がありました。

 ビジョン懇も途中で廃止をされてしまったわけでありますけれども、それは、恐らく政権交代があるのかなということで、私は、割と中間報告というのは本当は早くまとめるべきだということは申し上げていたんですが。

 ちょっと通告にはビジョン懇について書いていないんですけれども、このビジョン懇の位置づけはどうなったのかということと、それから、政府における道州制にかかわる組織の変化というものについて伺いたいと思います。

原口国務大臣 松浪委員が勇気を持って政府に言って、おやめになった。私はあのとき委員に賛辞を送ったと記憶を新たにしております。

 ビジョン懇、私は、自民党政権下あるいは自公政権下においても、いいものは積極的に取り入れる。ですから、丹羽会長のもとの地方分権改革推進委員会、四次にわたって、あれは三次でやめますかとか、あるいは、受けてもそれは横に置いておきますかという話がありましたけれども、私たちは、そのよきものは全部取り入れたいんです。ビジョン懇についても、江口さんがなさってきた御議論を中心に、そのいい部分は全部取り入れたいと考えています。

 道州制というのは、とりあえず一番その射程の中に入るのは、基礎自治体に権限を渡して、その基礎自治体がみずから道州を選択された場合に初めて私は機能すると思っているんです。ですから、全国一律にやるということではなくて、手挙げ方式。

 この間、和歌山へ行ってまいりましたけれども、関西が一体となって関西州をつくるということであれば、出先機関も、あるいは権限、財源もまとめてお渡しをするということができるわけで、特に道州で一番有利なところは経済政策ではないかと思っているわけです。

 松浪委員の御地元でいえば、関西という大きなポテンシャルを持ったところが、自分でみずからの経済政策を実行できる、あるいは規制改革を実行できるとしたら、もっとスピードのある、例えば私の九州でいうと、各県知事にどこに空港をつくったらいいですかと一々経済界が聞いて歩かなきゃいけないようでは、この激動する、速い競争世界での競争にはとても勝ち残れないと思うんですね。

 そういう中で、きのう私も記者会見を経団連の御手洗会長とさせていただきましたけれども、来年に向けた一定の結論、道州制基本法といったものについての射程をこの夏の大綱の中に入れ込みたい、こう考えているところでございます。

松浪分科員 私も、随分と積極的になっていただいたなと、それはありがたい思いなのでありますけれども、この手挙げ方式というものだけは非常に弱点があるんですね。

 弱点は何かというと、やはり地方支分部局を道州に渡そうとすると、これは一気に行わないと。結局、道州間でも、一気に権限、財源、人間までを与えるということになりますと、それから負債の問題が出てまいります。国に大きな負債を残して、そして地方は権限、財源、人間だけ与えるよということになると、結局、全体、トータルでの負債の返還というものをどういうふうにやるのかとか、手挙げということではなかなかうまくいかない。

 そしてまた、関西でも、和歌山だけが入りませんとか、奈良だけがぽっかり入りませんというようなことになると、地方支分部局の機能を中部から引っ張ってくるのかとか、結局、矛盾が生じざるを得ないわけであります。

 明治の時代に廃藩置県というものがありました。大臣もよく御存じだと思います。明治四年の話であります。明治四年の廃藩置県を断行するときに、藩主に、手挙げ方式で藩を合併してくださいとか、好きな人だけは東京に来てください、違う人はそのまま藩に残ってくださいと言って、果たしてこの廃藩置県が断行できたのかどうかということにかかっていると思います。

 私は、道州制は民主党にとっては大きなチャンスだと思いますよ。今、政治は国民の信頼を失い切っています。失い切っているときに政治家がどうやって信頼を取り戻すのか。これは血を流すしかないんですよ。政治家の首を大胆に切れるようにする。

 道州に、分権の割合に応じて国会議員の首を切りました、道州議会ができましたと。関西でも道州議会をつくれば、今、全部合わせれば恐らく四百人ぐらいの都道府県議会議員がおります、四百はやはり多い、百か百五十で十分じゃないか、政治家も随分と首を切ったなと。

 そしてまた、地方支分部局もばらばらで、これはどうするんでしょうか。三十三万人のうち二十二万人が地方におるわけですね、地方に二十二万人がおるわけです。この二十二万人を一気に道州に渡したとなれば、国家公務員が地方公務員になって、そして数も減らした、役人も涙を流してくれたなと。

 私は、政治家が血を流し、そして公務員が涙を流して初めて国民は汗を流してくれるものだと。これを、手挙げ方式だよ、どうぞ皆さん、好きな人だけやってくださいというふうにやって、結局、機能的には道州制はできない。この廃藩置県に見習って、やはり断行すべきところは断行する。

 ただし、一点、担保しないといけない。自民党の道州制、第三次中間報告まで出しております。ホームページで引っ張れますので、一度ごらんになっていただいたらありがたいかと思いますけれども、これは、はっきり言って私は大きな不満を持っている。なぜか。自民党の道州制も上からの道州制でありました。国と、それから道州と基礎自治体の役割をどういうふうにするのか議論をしてまいりました。

 しかし、中で、我々若手の道州制論は違います。我々は、お任せ道州制論と呼んでおります。どうするか。国と道州以下の役割分担は、それぞれ、それは当然、我々国会議員がそこの仕切りをすぱっと決めるべきであろうかと思いますけれども、基礎自治体と道州の関係というのは、大臣、どうでしょう、そこで自由に決められるようにする、これが本当の分権じゃないかなと私は思うわけであります。

 そういった意味で、私は、きょうは本当は大臣に、地方支分部局の全廃ということを民主党はおっしゃっていたと。はっきり言って、三百の基礎自治体にするのであれば、全廃なんかできるわけがないわけでありますね。それは全く無理な話だ、都道府県がなくなるだけだ。ただ、道州制にすれば、これは全廃することは本当に可能だ。今四層になっているこの国を三層につくりかえるということは、非常に合理的にできるわけであります。

 大臣、この地方支分部局全廃の全容、イメージについて伺いたいと思います。

原口国務大臣 極めて大事な御議論だと思います。上からの道州制じゃなくて、さっきおっしゃったような、まさに大きく効率化する中の道州制。

 地方支分部局については、出先については、あしたと二十四日、権限仕分けを行います。今おっしゃるように、二十二万の地方支分部局、これにはたくさんの重複があるわけです、それを国でやっている必要があるかどうか。これは全部公開でやります。ぜひごらんになっていただきたいと思います。

 そして一方で、今委員がおっしゃったように、原則なくすと言っているところの採用を去年と同じにやる人なんかいませんよね。ですから、大変厳しゅうございますけれども、出先については、今回、新採を八割減にする、八割分減らす、つまり二割しか採らないという方針を決めました。そうしないと、丸々地方に渡してくださいと言ったって、地方はそんなキャパはないです。

 仕事を仕分けして、そして来年、電子政府基本法というのをつくって、地方電子政府標準化法というのを新たにつくります。普通の企業だったら、旅費の精算システムなんというのは大体どんなでかい企業だって一人か二人でやっていますよ。霞が関、何人でやっていらっしゃるか。各局十人ぐらいでやっているという話なんです。合わせれば千人単位ですよ。

 そういった仕事をしっかり仕分けをする中で、権限、財源を地方に移す、こういう中で究極の道州制を実現していきたいというふうに考えています。

松浪分科員 今、大臣がおっしゃったこと、非常に明快でありますけれども、それであれば手挙げ方式というのはやはりちょっと無理があるんじゃないですか。

原口国務大臣 いや、手挙げ方式ということは、かつて、お任せ民主主義というか、強大な中央のピラミッドがあった時代と今はやはり違うんですよ。地方にも非常にすばらしいリーダーがいる。ある意味、この時期は、強いリーダー、果敢なリーダーを持った地域がさらによくなるということがなければ、私は、悪かろう、ひどかろう、等しかろうという今までのような状況では地域は再生しないと思っているんです。

 みずからが学び、みずからの地域のリーダーをしっかりみずからの責任で選んだ地域が先に行くのは当たり前ですね。そのためにも国が余計なことをせずに、まずはリーダー出てきてくれと呼びかけているというふうに考えていただければ結構かと思います。

松浪分科員 地域地域でいいリーダーが出るのは当然必要なことであろうと思います。

 しかしながら、地方支分部局をなくすというのは大変なことでありまして、例外が残ればそこに地方支分部局をそれだけのために残さざるを得ないというようなことがあってはならぬと私は思います。我が国にそれほどの時間は既に残されていないと私は思いますけれども、もう一度伺います。地方支分部局全廃はどういうふうにやればできるんですか。

原口国務大臣 これはもう、権限の仕分け、あしたやるのをぜひごらんいただきたいんですけれども、どういう仕事をどういう権限に基づいてやっているかというのを全部解体します。

 そして、国でやるべきこともあるでしょう。確かに、安全保障や、今回の食の安全や、あるいは危機管理のフェーズ、これは私は国がしっかりとやるべきだと思っています。しかし、中にはもう、これは大阪の橋下知事とも申し上げていますけれども、地方が地域でやった方がいいものが山ほどあるわけです。それを一つ一つ国民の皆さんに御理解いただいて、そして、そこで忘れちゃいけないのは、そこで働く人たちが不安を持ってもらっては困ります。生首を切るなんということはできませんから。だから、私たちは今回、新しい採用を思い切って削減する。これもつらいことです。しかし、民間企業であれば当たり前のことを当たり前にやっていく。

 これは、地方支分部局というか出先についての工程表をつくっていきますので、それに従って、大きな、原則廃止、この方針を貫いてまいりたいと思っています。

松浪分科員 仕分けは大変大事だと思います。私は、丹羽先生の地方分権推進委員会がやったことも、ある種の仕分けであったなというふうに認識をしております。一万以上にわたる事業を精査して、これを行ってきたということであります。

 ただ、これを仕分けした後は、やはり、例えば一級河川があります。私らは大阪ですから、淀川が大阪を流れて京都を過ぎて滋賀まで行っているという中で、幾ら一級河川にかかわる権限、財源を都道府県に渡したって、それは細切れになるわけであります。

 もっと広く言えば、医療行政もそうでありますし、教育、そして広く見れば文化も、もし道州に強力な地方政府ができれば、私も新聞記者時代、青森支局なんかで勤めていたものでよく思うんですけれども、今、地デジで、地方のメディアが根こそぎやられてしまう中で、もし地方政府があれば、そこにある種の大きな核ができる。であれば、そこに政治部ができ、経済部ができ、そしてメディアももっと多様な、十分な情報を出すだろうと。

 それは、やはり今のマスコミを一つ見ても、中央に全部ニュースが集中しているじゃないか。私らなんかでいえば、ああ、居酒屋タクシー、悪い悪いと。見ていたら、居酒屋タクシーで、一本幾らと計算したら数百万円だったと思います、缶ビールですから。一本何ぼ何ぼと言って、わあ、これは国交省けしからぬと言っていて、私ら地元へ行くと、大阪市の労働組合が裏金三億円みたいなのがちょろっと出て、それがその後流れないとか。

 地方のこうしたメディアの力というのは、もっと追及力とか、これを抑える力というのがやはり必要だなと思いますので、道州制というときに、大臣先ほどから、仕分けとか手挙げ方式とか、下から下からおっしゃるわけですけれども、それは当然なんです。その上に大きなビジョンをかぶせていただくのが、私は、総務大臣、そしてまた地域主権担当大臣、そしてひいては政府の責任であると思うわけであります。

 来年の道州制推進法ですか、私もちょっと苦い経験がありまして、道州制特区推進法という、名前がついただけで非常にシャビーな法律があったわけですけれども、これについては本当に来年、民主党内で意見集約というのはできるんでしょうか。

原口国務大臣 これはぜひやらせていただきたいと思っています。

 と申しますのも、今、委員がおっしゃるように、地方のメディアも含めて、やはり疲弊しています。今、私が非常に危惧をしているのは、三千六百の自治体が千七百になりました。千七百になって、そのときに、では公文書はどうなったんだろう、歴史や文化。それは散逸の危機に、もし私たちの時代にそんなものが散逸していったら、次の時代の人たちはもう過去を検証できない、歴史を検証できなくなるわけです。

 委員は早稲田大学の御卒業ですけれども、この間、私の地元、早稲田の創業者の大隈重信公は私の前の佐賀市選出の、まあ百四十年ぶりの大臣らしいんですけれども、この間、顕彰祭がございました。そこのところが、まずは、大隈さんに学ぶというのは何かというと、すべてが教育なんです、すべてが学び。

 ですから、さっきビジョンを出せとおっしゃいましたけれども、ビジョンをつくる、絵をつくるのは、国、地方の協議の場で実際に話し合ってからやろうと思っているんです。私だったらこうやりたいというのはあります。だけれども、それを私が言ってしまっちゃおしまいよと。そこは実際の協議の場でつくりながら。

 そして、御質問にお答えをするとすると、道州を選択しない地域主権というのは私はあり得ないと思っているわけです。つまり、産業政策をあるところで一体的にやれないということになれば、きのう、アジアの国父と言われるシンガポールのリーダーとお話をしましたけれども、四百万の都市国家が世界を動かしているわけです。日本は一億数千万で、右へ倣えをする必要は全くない。まさに、そこのところをまとめ上げるのがリーダーの務めだと思いますし、きょう、ここに私たちの同志がたくさんいらっしゃいますけれども、その皆さんと心を合わせて前に進めていきたいと考えております。

松浪分科員 百四十年ぶりと言われて非常に驚くやら、地元の皆さんも、それは百四十年ぶりというと喜んでいらっしゃるかと思いますけれども、実は、都道府県も誕生してそれぐらいになるんですね。

 明治二十一年に都道府県がおおよそ固まった。三百二から七十五とずっと小さくなって、明治二十一年に今の形ができた。車も、そして鉄道もない時代のこの経済圏、まさに我々では考えつかない。これを長く使っている。戦前も、道州制への改革等、田中義一内閣とかそういったときに出たというような話も私は聞いたことがありますし、戦後も第四次地方制度調査会でこうした問題が取り上げられたという経緯もあるかと聞いております。

 こうしたことも踏まえて、まさに百四十年ぶりに出た大臣が、百四十年近く変わっていないこの枠組みを変えていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村主査 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管及び公営企業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時四十分散会


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