衆議院

メインへスキップ



第2号 平成17年4月26日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年四月二十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 菅  義偉君

      今村 雅弘君    坂本 哲志君

      柴山 昌彦君    西村 康稔君

      平沼 赳夫君    渡辺 博道君

      内山  晃君    河村たかし君

      近藤 洋介君    西村智奈美君

      馬淵 澄夫君    前田 雄吉君

   兼務 本多 平直君 兼務 井上 義久君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   厚生労働大臣政務官    藤井 基之君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第四局長            千坂 正志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  武智 健二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (林野庁長官)      前田 直登君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     西村 康稔君

  柴山 昌彦君     坂本 哲志君

  武藤 嘉文君     渡辺 博道君

  内山  晃君     馬淵 澄夫君

  河村たかし君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     柴山 昌彦君

  西村 康稔君     今村 雅弘君

  渡辺 博道君     武藤 嘉文君

  田島 一成君     近藤 洋介君

  馬淵 澄夫君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 洋介君     河村たかし君

  西村智奈美君     内山  晃君

同日

 第一分科員井上義久君及び第二分科員本多平直君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

菅主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 平成十五年度決算外二件中、本日は、厚生労働省所管、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 昨日に引き続き厚生労働省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵分科員 民主党の馬淵でございます。

 この決算行政監視委員会第三分科会におきまして質疑の機会をいただきました。きょうは私は、アトピー性皮膚炎、このことにつきましてお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 昨今、花粉症を初めとしますアレルギーに対して、さまざまな症例が報告をされております。現代人の生活習慣やあるいはストレス、こうしたものが要因となっているとも言われますが、このアレルギーというものに対するさまざまな取り組み、本当に重要であると思っております。その中でも、アトピー性皮膚炎、幼少期から、また成人においても大変皮膚疾患によって悩まれる方は多数いらっしゃいます。

 このアトピー性皮膚炎がさまざまな要因によって引き起こされるとは思いますが、こうした患者さんの実態というものについて厚生労働省、いかにこうした患者の実態、また状況というものを把握されているかということを、まず冒頭にお尋ねをさせていただきたいと思います。現行における患者数等の実態把握、これは一体どのような形になっておりますでしょうか。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 平成十五年の保健福祉動向調査によりますと、これは全年齢でございますけれども、皮膚のアレルギーであると医師の診断を受けた者、これは約五・七%という資料がございます。

馬淵分科員 今、全年齢でということでお話をいただきましたが、私も先日厚労省の関係部局の方にお話を伺いましたところ、アトピー症状というものに限って見れば、生後四カ月で一二・八%、一歳半で九・八%、これが多少上がったり下がったりしますが、小学校六年生一〇・六%、そして成人になれば八・二%というような形で、ほぼ一割近い数字の推移があるのではないか、このような把握をされているのではないかということで私も理解をしております。

 そうして、こうしたアトピー性皮膚炎、先ほども申し上げたように本当にさまざまな要因があるかとは思われますが、アトピー性皮膚炎に対して政府が行ってきた対策並びに予算措置というものはどのようなレベルになっているのでしょうか。これもお尋ねをいたします。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、アトピー性皮膚炎につきましては、総合的な取り組みが必要な重要な問題だというふうに私どもは考えておりまして、平成四年度から研究班を設置しまして、アトピー性皮膚炎の病因、病態の解明、あるいは治療法の開発の研究を推進しているところでございます。

 また、研究成果の一部としまして、アトピー性皮膚炎の診療にかかわります臨床医を広く対象としましたアトピー性皮膚炎治療ガイドライン、これを平成十一年に作成しまして、その後も改定を毎年のように重ねまして、適切な治療法の普及啓発に努めているところでございます。

 それから第三に、国民に対しまして正しい情報を適切に提供するということも、これも非常に重要であるというふうに私どもは考えておりまして、平成十三年度から、保健師等を対象としまして相談員養成研修会を実施することによりまして、アトピー性皮膚炎を初めとしましたアレルギー疾患の相談員を養成しまして、地域におきます相談体制の整備を図っているところでございます。また、これまでの研究成果等を取りまとめましたリウマチ・アレルギー研究白書、これを作成いたしまして、都道府県等へ配付することによりまして、正しい知識の普及啓発に努めているところでございます。

 予算の方でございますけれども、平成十七年度予算でございますけれども、引き続きアトピー性皮膚炎を含みます免疫アレルギー性疾患に対しまして、研究の推進、それから正しい情報の普及を図るということで、ほかの経費を含む予算の内数のため計上できない経費を除きまして総額で十一億二千百万円を計上しているところでございます。

馬淵分科員 研究の推進を行ってきた、そして国民に対して、広く患者さんに対しての相談等を受け付けるような窓口を設けている、あるいはガイドラインを作成した、このようなことの研究成果を今お話しをいただきました。また、予算に関しても、十一億ほどの予算措置があるということであります。

 今お答えいただいた中で、非常に重要なお答えをいただいたと思います。それは何かと申しますと、このアトピー性皮膚炎については、厚生労働省としても、これは重要な問題である、このように御認識をされているというお言葉をいただきました。

 さて、そこで、重要な課題であるという御認識の上で、先ほど御指摘がありました診療ガイドライン、これについて少し触れていきたいと思います。厚生労働省さんが、アトピー性皮膚炎に対して本当に重要な課題だという認識を持って、このアレルギー疾患に対しての取り組みをなされている中で、診療はさまざまな方法で行われていてはやはり問題がある。それぞれ専門医もいらっしゃるが、そこではある一定の医療行為の方向性というものを示すということでガイドラインを設けられたというふうに今御説明もありました。

 九九年からつくられて、そして平成十四年、二〇〇二年、第三版という形でガイドラインが出されているということであるかと思います。私もこのガイドラインをいただきまして、アトピー性皮膚炎の基本的な治療を示すものであるということでありますが、このガイドラインについて、厚生労働省としては、いわゆるプライマリーケアということをこの中にも書いておられますが、このガイドラインの位置づけというものを端的にお示しいただきたいというふうに思います。

田中政府参考人 先ほども少し触れましたけれども、平成四年度から私どもは研究班を設置しまして、アトピー性皮膚炎を含めました免疫アレルギー疾患の病因、病態の解明、治療法の開発等の研究を推進してきております。

 その成果を反映するという形で、厚生労働省研究班が作成いたしましたアトピー性皮膚炎治療ガイドライン、これは目的はアトピー性皮膚炎の適切な診療が確保されるということでございまして、内容としましては、正しい診断、皮膚症状の評価、それからそれに基づく治療、こういうようなことに触れまして、対象はプライマリーケアを担当する医師に対しまして基本的な治療の指針を示す、こういう位置づけで作成されたものでございます。

馬淵分科員 基本的な治療の指針ということでありました。こうしたものを厚労省さんが既に出されている。その一方で、実は同じように、医師の皆さん方の集まりでもあります日本皮膚科学会、こちらがアトピー性皮膚炎治療ガイドライン二〇〇四年改訂版というのをお出しなされております。このガイドライン、後ほどちょっとお話をさせていただきます。

 実は、一方で厚生労働省さんが出されたガイドラインがある、その一方で一般の民間の患者さんの中では、いわゆるステロイド剤の外用剤の利用によってアトピー性皮膚炎を抑えるというときに、リバウンドの心配であったり、あるいは余り使い過ぎはよくないといったことを医師からの注意として与えられる中で、ステロイドに対しては大変な危険性も一方であるのだという認識は、これはかなり広まっているのではないかというふうに思われます。さまざまな患者の団体の皆さん方が、ステロイド利用の注意を喚起したり、また一方で脱ステロイドといった療法のこともお話をされています。

 ところが、この日本皮膚科学会の治療ガイドライン、この中には明確にそのことに対してのアンチテーゼが盛り込まれております。少しここを読ませていただきますと、この皮膚科学会はアトピー性皮膚炎の治療に対してのステロイドの有用性ということについて強く主張をされておりまして、「アトピー性皮膚炎の治療に携わる皮膚科医が現在困惑しているのは、治療の大きな柱であるステロイド外用剤に対して患者さらには社会一般に根拠に乏しい不信感が生じ、ステロイド外用剤忌避の風潮が強まり、必要かつ適切な治療を施せないままに重症化した患者が増加し、結果的に患者に多大なる不利益が生じている事態に対して」、これを大変皮膚科学会としては憂慮されています。こうしたガイドラインが一方で、厚生労働省さんがプライマリーケアに関しては一般的な指針だと示しているのですが、専門医の方々はこうした憂慮を示されています。そして、ガイドラインの中では明確にこのように言い切っておられます。「現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を充分に鎮静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤はステロイド外用剤である。」このように明確に言い切られております。

 ところが、厚生労働省さんの治療ガイドライン、これは、先ほども一般的な指針ということでありましたが、「薬物療法」の中には、「炎症を抑制するためには適切な薬物療法が必要である。」として、ステロイドを含まない外用剤を使用するなど、非ステロイド剤の問題や、あるいはステロイド外用剤の使用量、副作用について等々の注意書きなどがなされています。

 さて、質問させていただきたいんですが、まず厚生労働省さんは、この皮膚科学会の認識に対してどのような御見解をお持ちでしょうか。そして、この皮膚科学会のガイドラインと、先ほどおっしゃった厚生労働省さんのガイドラインの位置づけというのはどういったことになるんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

田中政府参考人 まず、後者の方でございますけれども、厚生労働省の研究班のガイドライン、これは日本皮膚科学会のガイドラインと少し対象が異なりまして、私どものガイドラインは、プライマリーケアを担当する医師を対象にして作成されたものであるということでございます。当然のことながら、皮膚科学会のガイドラインは、皮膚科診療を専門とする医師を対象としたものであるということで、対象が違うということがまず一つでございます。

 それから、内容の面での違いというのは、皮膚科学会のガイドラインというのは、当然、皮膚科診療の専門の医師向けのものでございますので、より高い専門性を要求されるということで、もう少し細かく言いますと、個々の皮疹の重症度あるいはその推移でございますね、それに関します判断、診断と、それからそれに基づきます外用剤の選択等について詳細に記載しているということでございます。

馬淵分科員 厚生労働省さんとして、専門医が言っていることだ、片方は一般的だ、こういう位置づけだということを今御指摘いただきましたが、私は、皮膚科学会がステロイドに対してこれだけ明確にある意見を示している、これに対して厚生労働省さんが、所管官庁であるわけですから、より汎用性の高い一つの見解というのをお示しになるべきではないかと思うんですよ。

 というのは、患者さんというのは、お医者さんから指示をされれば、処方をされれば、これはもうそれこそ神様の言うことと一緒なんです。いわゆる患者にとっての情報の非対称性というものがるる言われております。やはりここでは、厚生労働省さんとしては汎用性のあるガイドライン、皮膚科学会の専門医はステロイドに対してこんな見解を持っているということ、これを言われてしまうと、患者さんはそうかなとなるんですよ。ところが、一方で厚労省さんの方は、一般的な話として、さまざまな使用方法もあるということで書かれている。

 私は、ここは一つ、厚生労働省としての汎用性のあるガイドラインの策定ということに対して責任を持っていただかねばならないと思うんですが、副大臣、ぜひそれについての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど来、局長の方から若干申し上げましたが、我が厚生労働省といたしましては、まず、プライマリーケアを担当する医師によるアトピー性皮膚炎の診療の質の確保を図るということが重要だというふうに考えておりまして、皮膚科のみならず、小児科にいらっしゃる方もいるし、また内科の方にいらっしゃる方もいる、こういうことで、このことに焦点を当てまして、研究班を設置して、そして指針をガイドラインという形でまとめていただいたということでございます。

 一方、より高い専門性を要求する診療分野、つまり皮膚科の皆さんについては、専門家としての科学的な知見に基づく治療がなされるべき、こういうふうに考えておりまして、アトピー性皮膚炎については、その専門医療の水準の確保の一環として、専門家から成る日本皮膚科学会で主体的にこのガイドラインがまとめられたということでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、プライマリーケアを担当する医師が適切なアトピー性皮膚炎の診療ができるように、関係学会と連携を図りながら、医学、医術の進歩を踏まえて、当省の研究班のガイドラインの改定を進めながら、適切な治療とその普及に努めてまいりたい、こう考えているところでございます。

馬淵分科員 副大臣から、今まさに私が申し上げているような汎用的なガイドラインの策定ということに対する意思をお聞かせいただけたかというふうに思います。

 今後の改定も踏まえてというお話をいただきました。やはり、皮膚科学会がこのようにステロイド剤に対して明確な指針といいますか、方向性を示している。私は、いかにその患者の状態をよくするかということを所管官庁と医師の方々が連携をして高めていただきたいという思いが第一でございますので、その方法論に関してはさまざまあるとは思いますが、今のお話の中で、連携をとって改定を進めていくというお話をいただきましたので、ぜひ汎用性のあるガイドラインで、患者が情報非対称性の中で困惑に陥ることのないような行政の取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 そこで、ではこのような形でガイドラインがありますが、今既にステロイド外用剤を塗ってリバウンド、いわゆるこれの使用を中止した後にリバウンドで大変、これは増悪というんですね、悪化してしまうという場合に、どのような対処方法があるのかということなんです。

 一つ、これは厚労省さんの方からお聞かせいただきまして調べましたが、医薬品副作用の被害救済制度というのがございました。この医薬品副作用被害救済制度というものが使えないものかどうか。これを患者さん、私も地元の中でいらっしゃる患者さんのお話の中で聞いたわけですが、これはどうも適用外である、その最大の理由としては、適正な使用という前提であると。

 この適正な使用というものがどこで担保されるのかということが一点。そしてもう一点は、この副作用の救済制度というところで、どの程度の被害において救済がなされるのか、この一点。二点をお答えいただけますでしょうか。

阿曽沼政府参考人 医薬品被害救済制度についてのお尋ねでございますけれども、この医薬品副作用被害救済制度は、サリドマイド、スモンといいました医薬品の副作用による重大な健康被害の発生を教訓といたしまして、現在の医薬品医療機器総合機構におきまして、昭和五十五年五月以降に使用された医薬品の副作用による健康被害について救済を実施しているというものでございます。

 二つお尋ねがございましたけれども、まず、適正使用ということについてのお尋ねでございます。

 適正な使用に該当するかどうかということでございますが、お薬でございますので、医薬品の容器あるいは添付文書に記載されております用法用量あるいは使用上の注意に従って使用されることが必要でございます。個別の事例に照らしましては、現在の医学、薬学の学問水準に照らして総合的な見地から判断をされるというふうに思っております。

 この制度におきましては、適正に使用されたかどうかということにつきましては、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構の申し出を受けまして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて判定を行うという仕組みになっております。その判定の結果を受けまして、機構の方が救済給付の決定を行っているということで、専門の先生方の意見を聞いて判断をしているということでございます。

 それから、後者のお尋ねでございますけれども、医薬品の副作用被害救済制度は、医薬品が適正な目的で使用されたにもかかわらず発生した副作用被害ということでございますので、現在の制度では、入院相当程度の治療が必要な場合、それから一、二級程度の障害の場合など、重い健康被害を対象にいたしております。

 したがいまして、ステロイド剤の副作用によって健康被害を受けられた方で、その使用が適正になされて、それによる副作用被害で入院相当程度の治療が必要な場合あるいは一定程度以上の障害、死亡の場合には救済の対象になるということでございます。

馬淵分科員 ありがとうございます。

 どのような疾患でも、適正な使用のもとに副作用で入院相当程度の状況になれば救済がされるということの今確認をさせていただいたわけでありますが、適正な使用というのも独立行政法人の機構の方で判定するということで、この辺は大変難しい問題ではあると思うんですが、こうした救済制度がアトピー性疾患にも当然ながら適用されていくものであるということを今確認させていただきました。

 さて、こうした制度があって、それでも現実には、実はこれはもう厚労省や所管の方々は御存じだと思いますが、一カ月以上の入院相当程度にまで悪くなる、悪化するという状況はなかなか生まれにくいものだと思います。それこそ、皮膚疾患ですから、夜も眠れない状態が続く、いわゆる社会生活がまともに営まれない状況には陥っても、入院相当というのはなかなかならない。そうした中で、そういった方々の救済というものはどういう方向になっていくのかということを少し私は残りの時間でお尋ねしていきたいんです。

 先ほどありましたガイドライン、確かに厚生労働省さんも、平成四年に入ってからこうした研究班を設置してガイドラインをつくっていただいた。また、皮膚科学会さん、これも専門医として独自に進めておられる。しかし、これは、こうしたガイドラインができるまでの間のステロイド外用剤の処方に対して、果たして十分な、適切な使用ということが医師からなされていたのかどうかということに少し私は目を向けたいと思います。

 かつて、いわゆるインフォームド・コンセントというものが一般的になり出したのは、九〇年代に入って急激に改善されてきたと言われています。すなわち、七〇年代、八〇年代といった時代には、逆に言えば、そのインフォームド・コンセントという医師と患者の情報の徹底的な開示、説明責任というものが果たされない中でステロイド外用剤というものが使用されていた可能性がある。そして、そのようなステロイド外用剤の使用によって、時にはリバウンド等によって大変なアトピー性皮膚炎の悪化という状況に陥っている可能性があります。

 こうした方々、ガイドラインができる以前の状況において処方を受けて、そして今日も苦しんでおられる方々の救済についてはどういった形が考えられるんでしょうか。これについては、私は、現行の中では、まさに谷間に陥ってしまっている方々と言わざるを得ないのではないか。今日においてはガイドラインがあるということが明確にお示しいただけるのかもしれませんが、そのなかった時代に、本当に重篤な状態、入院はないのかもしれません、しかし厳しい状態に陥ってしまった方々の救済はどうなされるのか、これについての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

西副大臣 確かに、アトピー性皮膚炎で随分苦しまれて夜も眠れないという方がたくさんいらっしゃるし、また、地下鉄なんかに乗っていても、多分そういう御苦労をされているなという方が間々見受けられることは事実でございます。依然として非常に完治することの難しい免疫性の病気だという認識は持っております。

 先ほど局長からも御答弁がありましたように、医薬品の副作用被害救済制度、これは民事的な責任とは切り離して、医薬品の製造販売業者、この人たちの社会的責任に基づく共同事業として出発をしておりまして、医薬品を使ったために生じる副作用の被害について、迅速にまた簡便に救済しようという趣旨のもとに運営されている制度でございます。その考え方は、先ほど二点にわたって御答弁申し上げたとおりでございます。

 そんなことでございますので、創設以来二十五年間にわたって一貫して基本的な考え方は変わっておりませんで、拠出していただく製造販売業者との合意に基づいて制度を運営してきているという意味から、この給付の対象を拡大するということについては、今かなり困難な状況であるということを申し上げざるを得ません。

 なお、平成十年度から二年間にわたって、私どもの方でも、科学研究費補助金の免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業において、ステロイド外用剤の使用状況についての調査研究の一部として副作用の調査もやっております。

 今後とも、必要に応じてアトピー性皮膚炎に関する研究調査、これを行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

馬淵分科員 今お答えの中の最後に、今後とも必要な研究調査を行っていくという強い意思を示していただけたことは本当にありがたい御答弁だと思いますが、実は、もう時間もありませんので、私、地元の患者の方々からいただいた手紙の一節をちょっと読ませていただきたいと思います。

 まさに、先ほど申し上げた昭和四十年―六十年の間に外用剤の処方をなされて、そして大変な重篤な状態になってしまった方々、こうした方々が、本当に夜も眠れない状態で、身もえぐるようなかゆみの中で青春時代を過ごした。それこそ長期の闘病生活というんですか、それは本当に想像を絶するものである。ここに一節あります。お母さんからなんですが、

  長期間の闘病生活は(並の闘病ではなく四、六時中に及ぶ激しい身を抉る程の痒さと激痛)本人並びに家族共々疲れ果てております。しかし死と隣合わせでない為、軽視されている様に思えます。かがやかしい希望に満ちた青春時代の経験は殆ど無く、楽しかった思い出も殆ど無いに等しく、今後、生涯背負ってゆかなければならない症状と、心の傷、将来に夢も希望も持てずただひたすら死を望む日々を送らざるを得ない現状です。

ここまで実は皮膚疾患によって病まれている。

 私は、こうした方々に対して、先ほども副大臣御指摘のように、副作用の救済制度というものは、ある一定の要件、これを満たしていなければならないし、何でもかんでも公費で賄うべきであるというのは、私もそうではないと思っています。しかし、こうした方々、身体的、精神的に、あるいは就労もできない状況の中で本当に困ってしまった方々が、一般の方々と同様の窓口だけで本当にいいんだろうかということが私は一つの疑問としてぬぐえません。

 例えば、難病等、これは特定の疾患ということで大変明確な基準がありますが、難病等に関しては相談支援センターというものが、事業としてその拡充が図られています。ところが、先ほどの局長や副大臣のお話の中にもありましたが、アトピー性疾患に関しては、相談員、その研修という形で予算の費用措置がなされていますが、これも私から見れば、これは多いか少ないかという議論、また難しいのかもしれませんが、八百万という形で研修、相談の費用が充てられている。

 本当にこれでいわゆる保健所における相談窓口というものが充実しているんだろうか。ここにもありますように、御本人は大変な思いを持っていらっしゃる。ある意味ではうつ状態にまで陥られる方もいらっしゃるわけですね。そうした方々が、自分の特有の、固有の疾患によってこういった状況になったときに、本当に訪ねていけるところがない。ある意味では、ここにもありましたように、普通の窓口、一般の方々のところと同じような窓口に行くと、アトピー性皮膚炎でこういう状況に陥ったと言うと、そんな死にも至らぬ病で何を甘えておるんやというような厳しい言い方をされてしまう、こういうお悩みがあるんですね。

 私は、この相談窓口の相談員の方々の研修費用ですか、こうした予算措置もありますが、やはり、制度という中には入り切らないけれども、こうした悩まれる方々に対するより厚い支えとなるような窓口の設置というもの、相談あるいは実態調査というものが本当に今望まれているのではないかということを強く思っております。

 そこで、副大臣、もう時間も余りございませんが、重ねてお尋ねを申し上げますが、こうした本当に苦しんでおられる方々、私は、これは実態調査もまだまだ先ほどの話では足りないと思っているんです。本当に身体的にも精神的にもどんな状態に陥っているのか、青春を失ってしまったそんな方々の状態がどういう状況になっているのかまで含めた実態調査の実施と、そして、こうした方々を本当にケアする相談窓口、ここの充実というものを、副大臣、ぜひここで明確に、副大臣の御判断として国会のこの場ではっきりとお示しをいただけないか、お願いを申します。

西副大臣 患者の方からの実情をそのままお伝えいただきまして、私も、今まで以上に、本当に大変な御苦労があるんだなということを認識いたしました。

 私どもといたしましても、花粉症もそうなんですが、免疫性、アレルギー性の疾患の対策というのは大変重要なことだというふうに本当に考えておりまして、これから誠意を持って全力で取り組ませていただきたいと思います。相談体制についてもさらに充実するように努力をしてまいります。

馬淵分科員 副大臣から、本当にその実態を御理解いただいて、誠意あるお答えをいただけたと思います。私も、命にかかわることではない、そうしたことではなく、人の人生というものは、命だけじゃなくてそのクオリティー、いわゆるQOLが最も重視される。厚労省の所管の皆様方におかれましては、そのことを一に考えていただき、その対応を進めていただきますことを切にお願いして、私のこの分科会での質問とさせていただきます。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了しました。

 次に、井上義久君の質疑に入ります。

井上(義)分科員 公明党の井上義久でございます。

 私からは、きょうは、先天性の胆道閉鎖症に苦しんでおられる患者の方々に対する支援についてまずお伺いしたいと思います。

 まず、先天性の胆道閉鎖症患者の実態について、厚生労働省としてどのように把握をされているのかということについてお伺いしたいと思います。一九八三年に小児慢性特定疾患に指定されたわけでございますけれども、それ以降発症した患者の数、またその中で生存されている方の数、割合ですね、そのことについてお伺いしたいと思います。

 それから二点目は、現在、患者の中で、十八歳まで、これは今回、児童福祉法の改正によって二十まで支援されることになったわけですけれども、二十以降の方でこの病気で苦しみながら頑張っていらっしゃる、そういう患者さんはどのぐらいいらっしゃるのか、このことについてまずお伺いしたいと思います。

伍藤政府参考人 先天性胆道閉鎖症の実態でございますが、累計の数字を持ち合わせておりませんので、大変恐縮ですが、発生頻度は出生時九千人に一人ぐらいの割合だというふうに言われておりまして、私どもが実施をしております小児慢性特定疾患治療研究事業の対象として、平成十四年度で見ますと二千十九名がこの事業の対象になっております。

 原則として、昨年度までは十八歳まで対象にしておりましたので、それ以降、十八歳以降どのぐらいこういう患者さんがおられるかということは、統計上、私ども把握をしていないところでございます。

 参考までに、日本肝移植研究会というところが肝移植をどれぐらい実施したかという調査がございますが、同じ平成十四年度一年間で見ますと、これは大人から子供まで含めてすべてでありますが、四百三十三名ということになっておりまして、そのうち十八歳以上が二百九十名という調査結果になっておりますので、逆に言いますと、十八歳未満が百四十三名ということでございます。

 ただ、この百四十三名のうち、先天性胆道閉鎖症を直接のきっかけにして手術をした方が何名かということはちょっと統計上わからない、こういうことでございます。

井上(義)分科員 なぜこのことをお伺いしたかといいますと、先天性の胆道閉鎖症、小児慢性特定疾患ということで十八歳まで、法律改正で二十まではこの研究事業の対象になって、手厚いといいますか、一定の治療費を払えば治療を継続できるということになっておるわけですけれども、それ以降、この法律改正によって二十以降、この皆さんの実態がどうなっているかということが実は私は非常に大事だと思うわけでございまして、そういう方々からさまざまなお訴えがあるわけです。

 厚生労働省としても、小児慢性特定疾患研究事業の対象者、これでよしということじゃなくて、せっかく医学が進歩して生き延びられるようになったわけですから、やはりそういう人たちをどうやってフォローして継続的に手を差し伸べていくかということが非常に大事だというふうに思うわけで、そういう意味からいいますと、まずこの実態をきちっと掌握することが大事じゃないかということでこのことをお伺いしたわけでございます。

 小児慢性特定疾患事業の対象者は、これは予算を支出しているわけですから掌握はされているんだけれども、それ以外のことは正確に掌握していないということではやはりいけないんじゃないかなということで、そのことについてきちっと厚生労働省としても実態を把握していただきたいということをまずお願いしておきたいと思います。

 そこで、胆道閉鎖症の患者、家族の皆さんから、先天性の胆道閉鎖症をいわゆる難病、特定疾患治療研究費補助の対象疾患にしてもらいたい、こういう強い要望があるわけです。

 いわゆる小児慢性特定疾患研究事業の見直しがなされて、対象年齢は十八歳から二十までに引き上げられた、これはこれで大変結構なことだと思うんですけれども、要するに、疾患というのは継続しているわけで、二十になると、今度は医療費補助が打ち切られる。家族の皆さんとしては、本当に子供が延命してよかった、成人を迎えられた、そういう喜びと同時に、一方では、これからの医療費負担をどうするかという非常に大きな不安があるというのが現状だろうと思うわけです。

 そういう意味で、難病に指定するということは財政的には大変厳しい状況であるということは承知をしていますし、なかなか基準というものも、これは当然、たくさんの病気の中から特定しなければいけないわけであると思いますけれども、この先天性の胆道閉鎖症を特定疾患治療研究費補助、すなわち難病指定することができないのかどうかということについて、患者の皆さん、家族の皆さんの大変強い要望があるということを踏まえて、改めてこれをお伺いしておきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 難病対策におきます対象疾患の選定でございますけれども、委員御承知のとおり、原因不明、それから効果的な治療法が未確立、患者が少ない、さらに生活面で長期にわたる支障を来す、こういう四条件をすべて満たしまして、なおかつ全国規模で研究を行わなければ原因の究明あるいは治療法の開発等が進まないというものに関しまして難治性疾患克服研究事業の対象疾患としているところでございます。そして、その中からさらに、診断基準が定まっていること、治療が困難であること、そして研究の必要があること等を総合的に考慮しまして、いわゆる難病、特定疾患治療研究事業の対象とする疾患を決定しているところでございます。

 御要望に関しましては私ども承知しておりますが、こうした対象疾患の決定は、専門家で構成されます特定疾患対策懇談会、この意見を踏まえまして行うということになっておりまして、御指摘の先天性胆道閉鎖症につきましては、現時点においては対象疾患とはなっていないという状況でございます。

井上(義)分科員 患者の皆さん、家族の皆さんから、二十以降の問題ということも含めて、やはり一生というタイムスパンの中で支援をしてもらいたいという大変強い要望があるということを踏まえて、ぜひ今後検討課題としていただきたいということを改めて要望しておきます。

 そこで、具体的な、それじゃどうするかということになるわけですけれども、今指摘しましたように、胆道閉鎖症患者の皆さん、とりわけ二十以上の患者の皆さんというのは、いわゆる小児慢性特定疾患治療研究事業の対象からも外れている、それから難病の指定もされていない、しかも、これが非常に大きな問題だと思うんですけれども、障害者福祉の観点から、肝臓疾患というのが、私の聞いたところによりますと、継続的に医療が行われ、障害が永続し、固定しているという身体障害認定の要件から外れるというようなことで、障害者手帳も交付されていないということなんですね。

 生後間もないときから大変厳しい闘病生活を強いられて、幾多の困難を克服してようやく成人になった、そういう胆道閉鎖症の患者の方々が、二十になった途端に大きな経済的負担を強いられるというのは、患者、家族にとっては大きな精神的な負担でもあるわけでございます。

 厚生労働省が展開している一つ一つの事業、制度というのは、それぞれ政策目的とか政策範囲があるということは十分了解しているわけですけれども、現にこういう胆道閉鎖症成人患者の方々は、いずれの救済制度からも抜け落ちているわけですね。こうした制度のはざまに置かれた人々の切実な声に耳を傾けるというのが、私は国として非常に大事な責務じゃないかというふうに思うわけでございます。

 そこで、例えば医療という観点からは、せっかく、小児慢性特定疾患治療事業の一環として、これに指定されているわけですから、二十以上の患者の人たちの追跡調査を行って、成人患者の医療支援のあり方をどうするかということを検討するとか、あるいは障害者福祉の観点から、先天性胆道閉鎖症や肝臓疾患患者の身体障害者認定のあり方を検討するというようなことによって、そういう施策の手が伸びていない、そのために苦しんでいる患者の皆さんに対して具体的な取り組みでこたえることが、私は行政として非常に大事だというふうに思うわけでございますけれども、これらの点について御所見をお伺いしたいと思います。

西副大臣 井上先生御指摘のように、小児慢性特定疾患、ようやく、御尽力をいただきまして、二十歳までということになったんですが、その先はどうだと。先ほど答弁申し上げましたが、そこに限界がある、これは事実でございます。

 しからばそのほかの手はないかというお尋ねでございます。先ほどおっしゃられた二十歳以上、今医療が本当に進歩してきて、そう長くは生きられないだろうと思われていた患者さんも生きていけるようになった。そんなことで、それぞれの小児慢性特定疾患の皆さんが二十を過ぎても生きておられるということは、まことに医学の進歩というのはすばらしいんですが、その実態はどうなのかということをぜひとも調査しろということですが、私も今聞かせていただいて、そういう時代なんだろう。今までは本当に少ない皆さんしかいなかったんでしょうけれども、だんだんとそういう時代になってきたんだなというふうに思いますので、そこは十分省内でも検討させていただくべきことだというふうに考えております。

 その上で、厚生労働科学研究、子ども家庭総合研究事業、こういう事業を行っておりまして、先ほどお申し出のような疾患の病状それから生活実態等の把握に努めるとともに、病気の子供の将来的な社会的自立に関する効果的な支援のあり方、これの研究を開始しているなど、取り組みを今現在進めようとしているところでございます。

 また、御指摘の肝臓の疾患につきましては、障害という側面からとらえてはどうかというお話がありましたが、治療により症状が変化する可能性があるということから、一般的に、先ほどもお話がありました、障害が永続し、固定しているという今の身体障害の認定には残念ながら該当しないというふうに考えております。

 身体障害の範囲それから認定基準の見直しについては、これは非常に難しい問題があるんですが、この厚生労働科学研究において、現行の認定基準の問題点など総論的な整理、検討を行わせていただいております。その結果を踏まえて、今後、このことについても検討をしていきたい、このように考えているところでございます。

井上(義)分科員 要するに、お一人の患者をめぐって、それは医療の問題、それは障害者福祉の問題だと。そうすると、患者本人は、では私はどうすればいいのと。やはりそれにこたえるのが私は政治だと思うし、行政だと思うので、医療だ、障害者福祉だということじゃなくて、厚生労働省として、一人の人の人生に視点を当てて、その人が本当に安心して生きられるような仕組みというものを、ぜひこれを機会に考えていただきたいということを改めて要望しておきます。

 次に、高次脳機能障害の問題につきましてお伺いしたいと思います。

 平成十三年から、高次脳機能障害者のリハビリ、社会復帰等の支援施策の確立を目指した高次脳機能障害支援モデル事業が実施をされております。同事業は、国立の身体障害者リハビリテーションセンターを核として全国十二地域で実施されているわけですけれども、本年度が最終年に当たります。今後どうするかということは非常に大きな課題でございますので、まず、モデル事業の成果について、厚生労働省、どのように認識をされているか、お伺いしておきたいと思います。

西副大臣 高次脳機能障害につきましては、外見からはなかなかその障害の特性がわかりにくいということもあって、一般国民はもとより、医療や福祉の世界においても、なかなか十分今まで理解をされてこなかった。したがって、先ほど御指摘の十三年度からこういう研究が始まったということがそこにあらわれているんじゃないかと思うんですが、診断方法、それからリハビリをどうしたらいいのか、それから生活をどう支援していったらいいのか、こういう基本的なことすらなかなか確立をしていなかったというのが現状でございます。

 そのことをとらえて、先ほどの、十三年度から国立の身体障害者リハビリテーションセンター、これは埼玉にあるんですが、それから十二の地域の地方自治体に御協力をいただいて、高次脳機能障害の支援モデル事業に取り組んでまいりました。

 それで、これまでに一応、対象者を把握するための診断基準がまとまりました。それから、リハビリテーションの標準的な訓練のプログラム、それから社会復帰支援のためのプログラムという一連の社会復帰に向けての流れが基本的なところはでき上がったというふうに思っております。まだまだ開発していかなければいけない部分もあるんだと思うんですが、方向性は見えてきたというふうに理解しております。

 平成十六年度からは、地域のリハビリテーションセンターなどにおいて、高次脳機能障害を有する方に対して、具体的にケアマネジメントを行いまして、そして地域生活を支援するためのプログラムを具体的に試行を始めている、これが現状でございます。

井上(義)分科員 私がこの高次脳機能障害の問題を初めて取り上げたころから見ますと、モデル事業を実施したことによって社会的認知が飛躍的に高まったし、またその対応方法についてもモデル事業で相当な成果が得られたというふうに思います。

 大事なことはやはり、この成果を全国に普及させて、現実の場で患者、家族の方々に支援の手が伸べられるようにすることが大事じゃないか。そのためには厚生労働省のさらなる取り組みが求められているわけで、モデル事業後の厚生労働省の取り組み、特に、患者、家族の皆さんからは、支援センターの確保と支援コーディネーターの養成、確保、これが非常に強く求められています。この点も含めて、今後どのような取り組みを考えておられるか、お伺いしたいと思います。

西副大臣 御指摘のように、このモデル事業、一応、先ほど申し上げましたように、成果を得させていただくことができました。しかし、十二の自治体ということで、まだまだモデル事業の範囲では、都市部の皆さん、十二カ所に限られておりますので、この成果を全国に広げていくということは大変大事な課題だというふうに考えております。

 今後、人材育成において中核的な役割を果たす機関を活用することによって、まず、支援コーディネーターを含めて、専門的な人材を育成していく必要がある、こう考えております。

 具体的には、全国の都道府県、指定都市の行政担当者、それから医療等関係職種の人に対して、訓練プログラム、それから支援方法等の習得を目的にしまして、国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて専門家による研修を行っている、今後ともこの充実に努めていきたいと思っております。

 それから、自治体関係ですが、今後、自治体立のリハビリテーションセンターなど、高次脳機能障害について専門的な知見や人材を有する機関を活用した研修を通じて、高次脳機能障害を有する方について全国的な支援ができる体制を提供できるように努めてまいりたいと考えております。

井上(義)分科員 次に、この国会に障害者自立支援法が提出されて、きょうの衆議院本会議からその審議が開始されるわけですけれども、高次脳機能障害の方々の中には、現行の障害保健福祉制度の対象にならないケースが非常に多いんですね。一つは、モデル事業の結果からも指摘されていますけれども、障害者手帳の所持率が非常に低いという問題があります。それからもう一つは、高次脳機能障害の障害側面が非常に多様だということから、なかなか適切な支援が受けられない、こういう問題があるわけです。

 それで、障害者自立支援法に基づく新たな障害保健福祉制度では、障害認定の問題も含めて、高次脳機能障害の方々へ適切な支援がなされるべきだというふうに考えるわけでございますけれども、この障害者自立支援法に基づく新たな高次脳機能障害者の方々への支援ということについて、どのようになるのか、お伺いしておきたいと思います。

西副大臣 高次脳機能障害の方々への支援につきましては、委員御指摘のように、必ずしも従来の障害者支援という形に当てはまらない面が多々ございます。そのことが、結果的にはなかなか日本の国においてこの認識が広まらなかったということ、また、施策的にも手探り状態が続いたという原因にもなっているんだろうと思うんですが、身体障害者のリハビリの施設に行っていただきましても、必ずしも皆さんと同じような訓練で十分だというわけにはなかなかいかないということもございまして、そういうことは確かにございました。

 一方で、本日から国会で御審議をお願いしている障害者自立支援法、この法案による障害保健福祉施策の見直しでは、御存じのように、今まで障害種別の施策体系であったのを、これを三障害共通ということで、身体、知的、精神のいずれかに該当すれば必要な福祉サービスが受けられるという体系に大きく変えていくことになっております。

 この中で、高次脳機能障害を有する方につきましては、その障害の状況に応じて、身体障害者手帳、また一部精神障害者手帳を取得されている方もいらっしゃるんですが、その障害種別にかかわらず、支援の必要度に応じて、例えば精神障害者の手帳をお持ちの方も身体障害者のリハビリ施設を使えるというようなことができるということに今後なってまいります。生活訓練、それから職能訓練等、高次脳機能障害者の適性とニーズに応じた支援が幅広く提供できる可能性ができたというふうに思っております。

 ただ、御指摘のように、お一人お一人の事情がまた違うものですから、これは本当にきめ細かな対応が必要だろうなというふうに思っておりまして、まだまだ、私どもとしても研究し、これから努力をしていく余地のある課題であるというふうに認識しているところでございます。

井上(義)分科員 次に、医療福祉とあわせて、高次脳機能障害の方々の社会復帰、就労支援というのが大きな課題だと思うんです。この就労支援について、現在どのような施策がとられ、またどのような成果が上がっているのか、また、今後の就労支援の課題をどのように考えていらっしゃるのか、御報告いただきたいというふうに思います。

 その際、先日、高次脳機能障害の家族の方々との意見交換の中では、高次脳機能障害者は、いわゆる雇用率カウントの対象になっていないという旨の報告があったんですね、実際、障害者の一般企業への就労について、雇用率カウントの対象になっていないということが大きなハンディキャップになるんじゃないかというふうに皆さん懸念されているんですけれども、この件についてもあわせて見解を伺いたいと思います。

金子政府参考人 高次脳機能障害者の就労支援に関するお尋ねでございます。

 制度的なことを申し上げますと、高次脳機能障害者の方につきましても、他の障害者と同様に、障害者雇用促進法に基づきますいろいろな支援、例えば安定所や地域の障害者職業センターにおきます助言指導でありますとかジョブコーチによる職場適応支援、こういった就労支援の対象に制度的にはなっているところでございますが、今御紹介もございましたけれども、実績で申し上げれば、他の障害者に比べ、まことに少ないような現状にあるわけでございます。

 そういうことで、私どもといたしましては、これらの措置に加えまして、専ら高次脳機能障害者を対象といたしました先駆的な取り組みといたしまして、平成十一年度から、千葉にございます障害者職業総合センターにおきまして、求職中の高次脳機能障害者の方の職場復帰を支援するプログラムを行っているというのが一点。それから、平成十四年度からは、所沢にございます国立職業リハビリテーションセンター等におきまして、求職者の方を対象にした職業訓練コースを設けておりますけれども、この中で、その障害特性にも配慮いたしまして、記憶障害を補うような方法、こういったものに対する指導というのもこの訓練コースの中であわせて実施をしているところでございます。

 こうした取り組みにおきまして、結果でございますけれども、支援プログラムあるいは職業訓練のコースの修了者のうち、大体八割ぐらいが就職または復職を遂げたというようなことで、限られた取り組みではございますが、一定の成果を上げているところでございます。

 今後の課題ということでございますが、今議員から御指摘がございましたように、現在、雇用率制度のカウントの対象になっていないわけでございます。これは、雇用率制度の対象にするということにつきましては、現在は、身体障害者及び知的障害者のみが対象になっているわけでございます。今国会に提出しております障害者雇用促進法の一部改正におきまして、今般新たに精神障害者の方についても対象にするということを提出させていただいているわけでございますが、いずれにいたしましても、障害者の支援技法でありますとか、実際に企業に雇っていただくわけでございますので、企業の雇用管理ノウハウというものがある程度蓄積されないと、なかなか雇用率制度の適用をしていくというのは難しい状況にあるわけでございます。

 そうしたことで、将来に向けまして、障害者の雇用率制度の対象としていきますためには、先ほど申し上げましたようないろいろな取り組みをさらに進めて、支援ノウハウの充実、蓄積、さらなる普及を図っていくことが特に重要だというふうに考えております。こうした方向で今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

井上(義)分科員 今、取り組みについてお話しいただきまして、部分的だけれども、かなり成果が出てきているということでございますので、雇用率カウントの対象にするということは、私は企業の姿勢を大きく変えていくという意味では非常に大事だと。

 ただ、その前提として、今おっしゃるように、いわゆる雇用管理のノウハウ、高次脳機能障害者の雇用管理システムというんでしょうか、そこがやはり確立されていかないと、雇用する企業の側もなかなか困るということになるわけでございますので、今行っておられる職場復帰支援プログラム等の施策の成果をきちっと積み上げて、できるだけこの雇用管理システムというものを確立してもらいたい。また、それがきちっとできるまでの間、独自の就労支援ということで、今お話があったような事業をぜひ拡大するというようなことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

前田主査代理 これにて井上義久君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村康稔君。

西村(康)分科員 自由民主党の西村康稔でございます。

 きょうは、決算行政監視委員会で質問の機会をいただきまして、本当に感謝をしております。時間もありませんので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、医薬品の承認関係なんですけれども、日本の医薬品メーカーというのは、世界の中で見ると非常に規模も小さくて、一番の武田ですら世界では十五、六番目ということでありますし、新薬をつくるベンチャーもなかなか育ってきていない。大学発ベンチャーが少しずつ数はふえておりますけれども、まだまだ育っていない中で、いろいろ新薬の開発の話を伺ってみますと、いろいろ課題はあるんだと思うんですけれども、一番よく耳にするのが、新薬の治験であるとか承認の審査、これが非常に停滞をしている。いわゆる機構の新薬承認に非常に時間がかかるというところが多くの方から指摘をされているところであります。

 アメリカ等と比べて、審査体制、人員体制も規模も非常に小さい、少ないという中で、いわゆる新薬をつくる出口のところで承認を早くしていくことが、これは日本の医療の発展にもつながりますし、医薬品産業の発展にもつながるということで、ぜひこの部分を改善していただければと思うのでありますけれども、審査担当者の人員拡充とか審査体制の充実について、これまでどのような改善をしてこられているのか、あるいは今後どのような対応をしようとしておられるのか、ぜひお聞きをしたいと思います。

阿曽沼政府参考人 審査についてのお尋ねでございますけれども、医薬品医療機器総合機構が承認審査を実施しておりますけれども、機構の方の中期計画におきましては、平成二十年度までに八〇%の医薬品について一年以内に審査を行うということを目標として掲げております。残念ながら、現在、平成十五年度、十六年度に承認した医薬品について見ますと、一年以内に処理できたものというのは、それぞれ六〇%、それから六五%ということになっております。

 また、治験相談でございますけれども、ことしの二月末現在で九月までの枠がいっぱいになりましたものですから、三月初めから治験相談の受け付けを一時停止している、そういう状況にございます。

 これらの要因は、委員から御指摘もございましたように、総合機構における審査担当職員の問題がございまして、設立当初の予定よりも少ない人数で発足いたしましたために、業務に必要な要員が十分に確保できなかったということも一因だというふうに思っております。

 そこで、私どもといたしましては、総合機構の方で、ことしの四月に審査部門の職員を二十六名増員する、それから進行管理の強化をする、あるいは外部研修を活用するなどの措置を講じまして、審査員の質の向上を図っているというところでございます。

 したがいまして、専門職員の採用でございますとか、あるいは業務の効率化のためのシステムの整備でございますとか、そういうことをこれから充実させまして、治験相談とか審査体制の充実に努めていきたいと考えております。

 なお、治験相談の受け付けの一時ストップの問題でございますけれども、これはできるだけ速やかに改善策を講じたいということで、受け付けを早急に再開するように指導しているところでございまして、機構からは、四月中にも改善策を公表するという形で準備を進めているというふうに聞いております。

西村(康)分科員 それなりに取り組んでいただいているようでありますけれども、二十六名ふやしたとしても、アメリカに比べるとまだ六分の一とか、そんな状況だろうと思いますし、治験自体が相談がストップしているということは新薬の開発がストップしているということでもありますし、四月中の公表も含めてということでお話がありましたんですけれども、ぜひ早急な対応をしていただいて、できれば大胆に人員の拡充を図るべく努力をしていただきたいと思うんです。

 もちろん、財源等の問題もあって、なかなか難しい面もあると思うんですけれども、これも両説あると思いますけれども、新薬を開発するベンチャーの方々からすると、その出口が、開発のところが行かないとなかなか投下した資本を回収できないわけでありまして、負担金のようなものを、今、手数料引き上げも多分しておられるんだと思いますが、さらに負担をしてでも人員を確保してほしいというような要望もあります。

 そのあたり、手数料引き上げ、一気にやるとなかなかこれも反対もあるかもしれませんけれども、財源措置も含めてどんなふうに考えておられるか、お聞かせいただければと思います。

阿曽沼政府参考人 御指摘いただきました財源問題でございますけれども、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構におきましては、承認審査の関連業務の運営につきましては、今御指摘ありましたように、承認申請を行います製薬企業からの審査手数料によって賄うということになっております。

 実は、昨年の四月、総合機構を設立するに当たりまして、業務に必要な手数料の額を設定いたしましたけれども、今回の改正薬事法の実施の業務量の増加も勘案いたしまして、本年四月にもまた手数料の額の見直しを行っているところでございまして、一定の水準まで達してきております。

 したがいまして、まず人員の拡充というのが大切でございますので、今後とも、総合機構の業務につきまして、一方では効率化を図りながら、迅速かつ適切な業務の遂行が図られるように適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。

西村(康)分科員 ぜひ、早急な人員の拡充を含めて、体制の整備をお願いしたいと思います。

 それで、今も出てきました治験の話ですけれども、日本ではなかなか、一般市民の方の理解もまだまだ不十分なのかもしれませんが、新薬開発のためにはこれは必要な過程でありまして、どうしてもこれが非常に費用がかかる、あるいは時間がかかる。あるいは、そもそも国内でやれないので海外でやるというようなこともあるようでありますけれども、この治験のあり方の改善、新薬開発を促進するためにはこの部分を避けて通れないわけでありまして、治験のあり方をぜひ見直していただければということを思うわけでありますけれども、この点、政務官にお伺いしたいと思います。

藤井大臣政務官 今委員から御指摘がありましたように、新薬研究開発の根幹的なプロセスが治験ということだと思います。

 これにつきましては、いわゆる国内での治験が空洞化しているという強い指摘を受けておりまして、我々もさまざまな対処をしておるわけですが、御指摘のように、なかなか国内の治験は進まない実態がございます。このことが続きますと、国内の患者さんにとりましては、有効で安全なお薬の提供が遅くなってしまうという心配がございます。また一方では、製薬企業にとりましては、国際的な研究開発力が低下するんじゃないか、こういった危惧もあるわけでございます。

 したがいまして、委員が御指摘されたとおり、この新薬研究開発の治験の体制というのは充実させなきゃいけないと我々も思っておるところでございまして、今までも、治験の活性化のための三カ年計画でありますとか、いわゆる企業だけが治験をやるわけじゃないわけでございますので、企業主体の治験以外の形態の治験の法制化等の取り組みをしてきたところでございます。

 ただ、まだ十分なものと考えておりません。一層この国内治験の活性化を進めなきゃいけないと思っておりまして、今、ちょうどことしの三月からでございますけれども、有識者にお集まりいただきまして、治験のあり方に関する検討会での検討を始めたところでございます。これによりまして、その指摘を受けまして、早急に必要な改正をしたいと思っておる。例えば、この治験の実施に関する基準、GCPと呼ばれている基準、これは国際的な整合性を踏まえて我が国でも実施基準をつくっているわけでございますが、これの円滑な実施に向けてどういった形を、修正が必要なら修正もしなきゃいけないと思っております。

 また、今先生からお話ありましたように、治験に係る企業等々における事務手続が非常に煩雑になって、そのことが結果としてコストアップ要因にもつながっているというふうにも言われているわけでございまして、こういった面についても、事務手続について、具体的な、より治験が円滑に実施されるための検討というものを進めて、我が国における新薬開発といいましょうか、その促進に努めてまいりたいと考えます。

西村(康)分科員 藤井政務官、御専門でもありますので、ぜひこの治験のあり方について、御検討いただいているということでありますけれども、引き続き改善に向けて御努力をいただければと思います。

 続きまして、生体肝移植についてお伺いをしたいと思うんです。

 日本の生体肝移植の水準は世界的に見ても非常にレベルが高いものでありますし、アジア、あるいはもう少し広げて中東あたりまで広げてみても、ニーズが高い中で、医療のメッカとして世界最高水準の医療水準を持っているこの日本として、あるいはアジアのリーダー、世界のリーダーとして、そういった患者さんを積極的に受け入れていく、あるいはそういったことを目指す人材をこの日本で育てていく。そんなような観点から、日本の水準の優位性を生かして移植医療センターのようなもの、研究センター、人材センター、そんな機能も含めて、そのような機能を有するセンターを整備する必要があるのではないかと思いますけれども、この点について厚生労働省はどんなふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 生体肝移植を含めました移植医療等につきましては、既に全国の医療機関において実施されております。御指摘のようなセンターの設置の必要性に関しましては、十分な検討が必要ではないかというふうに考えております。

 特に、ほかの施策と比較しまして、その意義がどうなのか、優先度がどうなのか、運営の効率性はどうなのか、さまざまな問題点があるのではないかというふうに考えております。

 私どもといたしましては、厚生労働科学研究におきまして、まず、移植医療等の先進医療研究拠点を整備する必要性があるかどうか、そして、整備する場合の規模、環境、財源、経営形態等に関する基本的な考え方はどうか等につきまして研究を行いました。

 現在のところ、この研究の結論の方向性といたしましては、新たに移植医療の拠点となるセンターを設置する必要性は見出しがたい、そして、むしろ既存の施設を活用することが現実ではないかというようなことであると伺っているところでございます。

 こうしたことからも、御指摘のようなセンターの設置に関しましては、どちらかというと慎重な対応が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

西村(康)分科員 御指摘のとおり、確かに、財政難の折でもあり、また生体肝移植も相当広がってきていることは事実でありますので、慎重な検討というお気持ちもよくわかるわけでありますけれども、例えば、今お話にありました既存の施設を活用してということでありますけれども、私の兵庫県神戸市の市立の中央市民病院が、自治体病院として初めて、先週、ちょうど四月二十二日の金曜日に生体部分肝移植を実施しまして、これは成功したということで、今のところ、患者さんもドナーの方も非常に安定した状態だというふうに伺っております。

 この神戸市立中央市民病院には、我が国生体肝移植の第一人者であります前京都大学の医学部附属病院長であります田中紘一先生が、今、神戸の市民病院の副院長として就任をしておられます。実は神戸は、先端医療産業都市ということで、各省さまざまな応援をいただいて、先端医療の研究あるいは再生医療の研究、それからバイオのいろいろなベンチャー数十社も立地をしておりますし、神戸市挙げて、医療産業都市、医療のメッカとして頑張っていこうということでいる中で、この田中先生にも副院長に就任していただいて、肝移植も含めてこれから推進していこうというところであります。

 例えば、この神戸市立中央市民病院も活用しながら、これは全部が全部自治体の負担でやるのはなかなかしんどい話ではありますけれども、活用しながら、例えばそういう研究、肝移植の限界的な事例についての研究を進めたり、あるいはそういった人材を育てていくというようなことで、医療産業都市のもとでそんな構想もあるわけであります。そのような構想について、これまでも厚生労働省、いろいろ御支援もいただいておりますが、ぜひ、このような自治体の取り組みに御支援もいただければと思うんですけれども、このあたりについて御見解をお伺いできればと思います。

田中政府参考人 御指摘の医療産業都市構想におきます移植医療への取り組みでございます。

 これは、現在、神戸市を初めとする関係者の間でいろいろと議論がされているということは承知しておりますけれども、今のところ具体的なセンターの計画というようなものにはまだ至っていないというふうに承知しております。

 今後、関係者の間で合意が得られまして、具体的な相談がなされました場合には、厚生労働省としても、必要に応じまして、関係部局間で検討して、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

西村(康)分科員 ありがとうございます。

 例えば、ちょっと例示を挙げましたけれども、限界的な事例におけるドナーの方の安全性の確保とか、これは研究課題もまだまだあると思いますし、地元の神戸の方でそのような構想をこれからまとめていろいろ相談に来ると思いますけれども、ぜひ適切な対応をお願いしたい、そのように思います。

 続いて、ちょっと多岐にわたる質問で申しわけないのですが、介護保険の改正につきまして御質問をさせていただきたいと思うんです。

 先般から介護保険の改正についていろいろ議論をしている中で、新しく予防給付をその中に位置づけていこう、これも過去数年間の介護についての支出の伸びを見てみますと、非常に軽い、介護度が低い要支援あるいは要介護一という軽い部分の方々の支出が相当ふえているということであります。

 確かに、お年寄りは、ちょっと転んで骨を折ったとか捻挫したというところから最初の介護が必要になってくるわけで、それを安易に考えていると、だんだんそれがひどくなって、そのまま寝たきりになってしまうというようなこともあります。まずは、その最初の転んだりけがをしたり骨を折ったりというところを防ぐという、これは非常に大事な観点だと思いますし、そのような予防給付も位置づけていただいて進めていただければと思います。

 そのときに、これまで一部医療保険の対象にもなっております、例えば鍼灸マッサージといったような方々も、お年寄りには非常にふだんから接しておられて、いろいろなノウハウも持っておられると思いますので、こういった方々もその中に位置づけていただいて、うまく活用していただけるとさらに効果が上がるんじゃないか、このように思うわけでありますけれども、この点について厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、今回の介護保険法の改正において、新予防給付という形で、特に運動器の向上、つまり筋肉それから関節等の動きをよくして、そしていつまでも元気な、活動的なお年寄りでいていただきたい。そのために、特に介護度の低い人を中心として、そういうことについても重点的に取り組んでいきたい。思想的には、もともとは五年前の法律の中にそういう趣旨がうたわれていたんですが、なかなかそこまで今まで具体的には必ずしも進んでいなかったという面で、そこに取り組みたいということで、今、衆議院の厚生労働委員会で熱心な議論をしていただいているところでございます。

 委員の御質問の御趣旨は、その中で鍼灸師、マッサージ師等の皆さんの活躍の場があるのではないか、こういう御趣旨だというふうに思っております。

 今回の新予防給付のサービスを効果的かつ安全に提供していくためには、まず、介護予防に関する知識を持っている、そういう人たちを有効に配置していくことが大事だ、また参加していただくことが大事だというふうに考えておりますが、それぞれの介護予防サービス、新予防給付で十二種類というふうに今予定しておりますが、具体的にどの内容にどういう人たちを配置していただくのかということにつきましては、今後、社会保障審議会の介護給付費の分科会において議論をしていただいて、検討をしてまいりたい。

 いずれにしても、来年の四月から具体的に施行されるわけですから、その日程に沿って着実に議論をお願いしていきたいというふうに思っているところでございます。

西村(康)分科員 御指摘のとおり、来年四月からでありますので、ぜひこの鍼灸マッサージのような方々を有効に活用していただいて、よりよい予防給付のあり方を考えていただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それからもう一点、鍼灸マッサージ、整体ほどはまだ成熟をしていないんだろうと思いますけれども、カイロプラクティックといわれるものでありますけれども、どうも、聞いてみますと、いろいろカイロプラクティックといわれるものも種類があったり、いいもの、悪いもの、いいかげんなものまで含めて玉石混交のようでありまして、まだまだ、鍼灸マッサージのように法律ができて、しっかりとした体制にはなっていないんだろうと思います。

 ただ、町中を歩いておりましても、カイロプラクティックの看板をよく目にいたしますし、まともにというかまじめに、非常にいい施術をやっておられる方々もあるんだと思うんですけれども、このカイロプラクティックの現状についてどのような認識をしておられるか、まずその点をお伺いしたいと思います。

岩尾政府参考人 いわゆるカイロプラクティック療法ですが、平成二年に有効性、危険性を明らかにする目的で研究会を設け、検討を行いました。その結果、この療法の医学的効果の科学的な評価というものはいまだ定まっていないとする一方で、この療法による事故を未然に防止することが必要という報告がなされております。

 この報告を踏まえまして、厚生労働省としては、カイロプラクティック療法による事故の未然防止の観点から、平成三年に、この療法が適当でない疾患や危険な手技の禁止、誇大広告の規制等について各都道府県に通知をしたところでございます。

 現在のところ、そのような状況でございます。

西村(康)分科員 今の話、平成二年の研究会でのお話でありますので、その後十数年たっているわけであります。確かに、誇大広告を含め、安全性の確かでないものもあるんだろうと思いますけれども、その後月日を経ておりますし、ぜひ改めて、いきなり保険の適用というところまではもちろんあれですけれども、資格制度とか、いいものは育てていく、悪いものはもちろんそういう形で規制をしていくという中で、将来、鍼灸マッサージのように保険の一部適用も、そんなことも視野に入れて、いいものを育てていくという観点、いいものと悪いものを分けるという視点で、資格制度のようなものも含めて今後考えていただければと思いますけれども、その点についてのお考えをお伺いできればと思います。

岩尾政府参考人 御指摘のカイロプラクティック療法に係る資格制度の創設でございますが、医学的な有効性が確立していないという現時点では、慎重な検討が必要であろうと思っています。

 ただ、昨年度、十六年度におきまして、諸外国でこのようなカイロプラクティックに係る法制度がどうなっているのかという研究をすることをやっておりまして、昨年度は、これは一応三年間の研究ということで、脊椎原性疾患に対する施術の在り方に関する研究班ということでございますが、初年度、カイロプラクティックが制度化されているカナダ、アメリカ等に研究員を派遣、調査していると聞いております。

 今後、こういう研究結果を踏まえまして、また適切に検討してまいりたいと考えております。

西村(康)分科員 そうした認定資格制度のあるような諸外国の制度もぜひ参考にしていただいて、今後、いいものと悪いものを峻別する、いいものはぜひ育てていくという視点から、ぜひ資格制度も含めて検討を進めていただければと思います。

 ちょっと時間を残しましたけれども、きょう用意した質問は以上でありますので、特に新薬の承認制度、それから今のカイロプラクティックの資格制度も含めて、ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

前田主査代理 これにて西村康稔君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして厚生労働省所管についての質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十四分開議

菅主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。島村農林水産大臣。

島村国務大臣 平成十五年度における農林水産省の決算の概要を御説明申し上げます。

 最初に、一般会計について申し上げます。

 まず、一般会計の歳入につきましては、歳入予算額四千百五億七千六百二十万円余に対しまして、収納済み歳入額は四千五億六千六百九十二万円余であり、差し引きいたしますと、百億九百二十七万円余の減少となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額三兆六千五百十一億二千四百十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆二千四百六十四億二千五百二十六万円余であり、この差額四千四十六億九千八百九十一万円余につきましては、三千六百四十四億五百八十四万円余が翌年度への繰り越した額であり、四百二億九千三百六万円余が不用となった額であります。

 なお、その詳細及びこれらの施策の内容はお手元の「平成十五年度農林水産省所管(一般会計及び特別会計)決算に関する概要説明」に記載いたしましたとおりであります。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、食糧管理特別会計につきましては、国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆五千九十億四千百六十六万円余、支出済み歳出額は三兆四千五百三十七億二千九百八十三万円余であり、差し引き五百五十三億千百八十二万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。

 このほか、農業共済再保険特別会計、森林保険特別会計、漁船再保険及漁業共済保険特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計、国有林野事業特別会計並びに国営土地改良事業特別会計がございますが、これら特別会計の概要につきましても、お手元の資料に掲載いたしましたとおりであります。

 以上をもちまして、平成十五年度における農林水産省の決算の概要に関する説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

菅主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院千坂第四局長。

千坂会計検査院当局者 平成十五年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十四件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項六件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項に対する処置状況二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一三六号は、復旧治山事業の実施に当たり、護岸工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。

 同一三七号は、経営構造整備事業の実施に当たり、事業主体でない者が取得したホイールローダーを事業主体みずからが取得したように装って補助の対象としていたものであります。

 同一三八号は、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、ブロック積み護岸の基礎として築造した底版等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一三九号は、中山間農地保全対策事業の実施に当たり、補助金の交付申請前に既に自力により導入を完了していて、補助の対象とならないコンバインを補助の対象としていたものであります。

 同一四〇号は、森林保全整備事業の実施に当たり、コンクリート吹きつけ工の施工が設計と著しく相違していたため、工事の目的を達していないものであります。

 同一四一号は、新山村振興等農林漁業特別対策事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、もたれ式コンクリート擁壁等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一四二号は、食品リサイクルモデル整備事業の実施に当たり、消費税の申告により補助金に係る消費税仕入れ控除税額が確定した場合、その金額を返還しなければならないのに返還していないものであります。

 同一四三号は、農業生産総合対策条件整備事業の実施に当たり、既に自力により導入を完了していて補助の対象にならない葉たばこ乾燥調製の作業用機器等を、補助の対象としていたものであります。

 同一四四号は、地域農業経営確立支援事業の実施に当たり、消費税の申告により補助金に係る消費税仕入れ控除税額が確定した場合、その金額を返還しなければならないのに返還していないものであります。

 同一四五号は、経営体質強化施設整備事業で実施した農家台帳データ入力業務において、主要な項目のデータが入力されていなかったため、農地等のデータを蓄積して担い手への土地の集積を図るという補助の目的を達していないものであります。

 同一四六号は、小規模零細地域営農確立促進対策事業の実施に当たり、導入する農業用機械施設を利用することについての十分な合意形成が得られないまま事業実施計画を策定したため、導入した機械施設の一部が利用されていないこととなるものであります。

 同一四七号は、地域用水環境整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、洪水吐け等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一四八号は、中山間総合整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋梁上部工等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一四九号は、小規模零細地域営農確立促進対策事業の実施に当たり、圃場の整備工事を実績報告書記載の事業費より低額で施行していたため、補助対象事業費が過大に精算されているものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、緊急食糧支援事業費補助金の経理に関するもので、農林水産省では、社団法人国際農業交流・食糧支援基金が緊急食糧支援事業として行う基金造成事業、運送等事業、差額補填資金造成事業、備蓄事業、管理運営事業の各事業の実施に必要な経費について、一般会計から緊急食糧支援事業費補助金を交付しているところですが、運送等事業及び管理運営事業に係る補助金について、実際に要した経費ではなく、交付決定額と同額で額の確定を行い、差額について精算する手続をとっていなかったり、差額補填資金造成事業に係る補助金について、対象国を特定せずに、実施されていない緊急食糧支援に備えて補助金が交付され、差額補填資金が造成されたりしている事態が見受けられました。これについて指摘しましたところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、生産振興総合対策事業等により設置した農作物被害防止施設に関するもので、農林水産省では、生産の組織化及び作付の団地化等を図るため、防霜ファンや防風網等の農作物被害防止施設の整備を行う農業協同組合等に対して補助金を交付しているところですが、これらの農作物被害防止施設を設置する農地は、まとまりのある団地となっていなければ効率的な設置効果が得られないとされているのに、施設を設置した農地が事業実施地区の市町村内に広範囲に点在し、まとまった団地とはなっていない状況が多数見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その三は、中山間ふるさと・水と土保全対策事業の実施に関するもので、農林水産省では、この保全対策事業を実施するため、五年度から九年度までの間に、基金を造成する道府県に対して補助金を交付しております。この基金を造成している道府県では、基本的対策等の作成及びこれに要する調査等を行う調査研究事業などを実施することとしているところですが、基本的対策等を作成している道県は二十四道県のうち十県にすぎないなど、保全対策事業に係る取り組みが十分でないなどの事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その四は、畜産環境総合整備事業等により整備した堆肥化施設に関するもので、農林水産省では、家畜排せつ物のリサイクルシステムを構築することなどのため、家畜排せつ物を発酵させ、堆肥化するなどの堆肥化施設を整備している都道府県、都道府県農業公社等の事業主体に対して補助金を交付しているところですが、畜産農家など施設運営主体において、家畜排せつ物が野積みされるなどしていて、補助事業の効果が十分発現していない事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その五は、漁業共済事業の運営に関するもので、水産庁では、漁業災害補償法に基づき、漁業災害補償制度を運営しております。

 この制度は、保険の仕組みによりその危険負担を分散することとして運営されており、漁業共済事業の実施主体となる漁業共済組合は、漁業者への共済金の交付等に係る事務の一部を漁業協同組合に委託し、事務委託手数料を支払っているところですが、漁協が共済金を交付する際、事業に係る事務に要する費用としたり、漁業者から受託している漁獲物の販売手数料の減収を補うなどの目的で漁業者から手数料を徴収している事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その六は、土地利用型酪農推進事業に関するもので、農林水産省では、土地利用型酪農推進事業を独立行政法人農畜産業振興機構に実施させており、酪農経営者に対し経産牛一頭当たりの飼料作物作付地の面積の水準に応じて奨励金を交付させております。そして、飼料作物の作付を実施していない酪農経営者に対しても、飼料生産のための土地の確保等への取り組みを誘導するため、奨励金を交付させているところですが、十五年度に作付を実施していない酪農経営者の大半が継続して飼料作物の作付を実施していないという状況が見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 引き続きまして、平成十五年度農林漁業金融公庫の決算について検査いたしました結果を御説明いたします。

 平成十五年度農林漁業金融公庫の決算について検査しました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上をもって概要の説明を終わります。

菅主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。島村農林水産大臣。

島村国務大臣 会計検査院から御報告のありました平成十五年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。

 予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、一部の事業について、御指摘を受けるような事態が生じましたことは、まことに遺憾であります。

 不当事項として指摘を受けたものにつきましては、既に補助金等の返還または手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであります。

 以上をもちまして、会計検査院の御指摘に対しまして農林水産省が講じた措置の説明を終わらせていただきますが、今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、より一層予算の適切な執行に努めてまいる所存であります。

菅主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

菅主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

菅主査 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

菅主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

    〔主査退席、前田主査代理着席〕

西村(智)分科員 民主党の西村智奈美でございます。きょうは、第三分科会でございますけれども、関連がございましたもので、総務省の政府参考人の方からもお越しをいただきました。ありがとうございます。

 実は新潟市、私は新潟一区の選出でございまして、三月二十一日に、この新潟市が十三の市町村と合併をいたしました。面積が六百五十平方キロメートル、人口はおよそ七十八万人、食料自給率は、カロリーベースですけれども、六一%という驚異的な都市になりまして、今後、できれば政令指定を受けたい、政令指定都市への移行を目指している、こういう町でございます。

 ただ、そもそも政令指定都市というのは、お伺いしますと、もともと大都市問題に対応するためにでき上がった制度だということだそうでございまして、昭和三十一年に政令指定都市という仕組みがスタートしてから、六大都市を皮切りといたしまして、次々と指定をされてきたということなんですけれども、現在は十三ですか、十四ですか。済みません、お願いいたします。

前田主査代理 挙手で発言を求めてください。

 総務省武智自治行政局長。

武智政府参考人 十七年四月一日、静岡市が移行をいたしまして、現在十四市になっております。

西村(智)分科員 ありがとうございます。十四市ということなんですね。

 平成十三年度に市町村合併支援プランが出されまして、実は、私、このころから政令指定都市に対する考え方というものは大胆に変わってきているのではないかというふうに思っています。地方自治法には、政令指定都市の要件としては人口五十万人、こういう要件しか書いていないわけでございますけれども、市町村合併支援プランにおきましては「指定の弾力化」という項目が入りまして、「大規模な市町村合併が行われ、かつ、合併関係市町村及び関係都道府県の要望がある場合には、政令指定都市の弾力的な指定を検討する。」というふうにありますが、この意味するところを教えていただきたいというふうに思います。

 つまり、私が推察しておりますとおり、政令指定都市の歴史的な意義ないしは目的が変化したということになるのかどうか。人口減少社会に転じつつありますので、政令指定都市は、人口が急激に増加する、そういう大都市問題に対応するためのものではなくなったのかどうか。あわせて、今後の政令指定都市のあり方について認識を伺います。

武智政府参考人 まず、指定都市制度の意義について御説明をさせていただきたいと思います。

 ただいま先生からも御指摘ございましたとおり、指定都市制度というものは、大都市特有の課題を一元的に処理することによりまして、大都市の行政運営の合理化を図ろうとするものであります。社会福祉でありますとか、保健衛生、都市計画、土木行政といった市民生活に直結した事務につきましては、その都市の規模、能力に応じて住民に身近なところで事務権限を行使できるようにするため、一定の都道府県の事務を指定都市に行わせるという事務配分の特例等を設けているところでございます。

 そして、指定都市の要件でございますけれども、これも先ほど御指摘がありましたとおり、法律上、地方自治法の二百五十二の十九でございますが、人口五十万以上の都市としか書いてございませんが、具体的な指定に当たりましては、立法の経緯でありますとか、ただいま申し上げました事務配分等の特例を設けている趣旨から、人口その他都市としての規模、また行財政能力等において、従来の指定都市と同様の実態を有すると見られる都市をこれまで指定してまいりまして、先ほど申しました十四市になっているということでございます。

 一方、市町村合併プランにおきまして、平成十三年の八月に決定されたものでございますが、先ほどお話のありましたような、大規模な合併が行われ、かつ、関係合併市町村及び関係都道府県の要望がある場合には、弾力的な指定を検討するとされておりますが、その意味するところは、市町村合併の推進という観点や地方分権の推進という時代の要請等にこたえるものということでございます。

 ということで、今回の新潟市につきましても、市町村合併支援プランの適用になるわけでございますが、市町村合併の進展によりまして確かに大都市の姿も多様化しているところでございまして、また、今後それが進むと予想されるところでございますが、指定都市の制度に対する考え方自体はこれまでどおり、変わっているものではございません。

西村(智)分科員 変わっていないということでよろしいですか。昭和三十一年と申しますと、非常に人口が急激に増加しているところで、政令市に移譲された権限を見ましても、そういった大都市問題に対応するということから生じた制度ではないかというふうに見ておりますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

武智政府参考人 先ほど要件について申し上げましたが、さらに具体的に申し述べさせていただきますと、指定都市の具体的な指定に当たりましては、人口で申し上げますと、これまで、人口が百万人程度、これは近い将来百万になる見込みの市も含むという理解であります。また、それ以外に、既存の指定都市と比べて遜色のない都市的形態及び行財政能力が備わっている、やや抽象的でございますが、二つ目にはこういう条件を考えております。また、指定都市への移行につきまして県と市の意見が一致しているというようなことも考えておりまして、これらの状況を具体的に勘案しながら個別の検討は行われてきたというところであります。

 具体的に人口について御指摘があったものですから、新潟市について述べますと、去る三月二十一日に十二市町村の広域合併が実施をされ、人口が約七十八万になったと承知をしているところでございますが、この点につきましても、先ほど申し上げました合併支援プランの適用対象となるわけでございますが、この点についても合併支援プランの考え方も踏まえながら、先ほども申し上げました人口の要件も加え考えていくということになると思います。

西村(智)分科員 それでは、これまで十四の政令市があるということなんですけれども、地図でポイントを打っていきますと、おおよそ太平洋側の都市だというふうに思うんです。これは全総の流れからいいましても、太平洋ベルトを中心に日本の経済成長を引っ張っていこうという当時の考え方からすると、政令指定都市が太平洋側にだけ存在するということはわからなくはないんですけれども、これから果たしてそういう状況でよいのだろうかと思うんです。

 つまり、端的に申し上げますと、これからは北東アジア、環日本海、こういった日本海の対岸地域にも目を向けた地域間交流、国際交流が非常に重要になってくる時代に入ってくると思いますし、そういった観点からも、ぜひ日本海側に政令市が存在すべきではないかと私は思うんですけれども、政府参考人の認識はいかがでしょうか。

武智政府参考人 ただいま先生からも御指摘のありましたとおり、戦後の我が国の発展形態におきまして、太平洋側が特に発展をしてきたということだろうと思います。そして、先ほど申し上げましたとおり、人口の点で申し上げれば百万というのが一つの具体的な基準になっておりまして、それを満たすものがこれまで太平洋側にしかなかったというのが実際の経緯だろうというふうに思います。

 そこで、御指摘のありました日本海側にどうかという点につきましては、これまでそういった観点から指定都市について検討したということはございませんけれども、先ほど来申し上げました指定要件にマッチするかどうかという観点から今後とも検討していきたいと思いますが、先生の御指摘の点も一つの視点ではなかろうかというふうに考えているところであります。

西村(智)分科員 分権ということは、そういうことにつながっていくというふうに思うんですね。つまり、国際的な位置づけの中での分権の進展というものも必要だと思っておりますので、ぜひ、検討をさらにお願いしたいというふうに思います。

 せっかくの機会ですので、新潟市が仮に政令市に指定されたときの地方選挙のことについてお伺いをしたいと思っています。

 次の統一自治体選挙が二年後ということになっておりまして、細かい話をして大変恐縮なんですけれども、四月の第二日曜日が四月の八日でしたか、これは政令市の日程、スケジュールとあわせて考えるとかなり難しい問題になってくるのではないかなというふうに思います。市議会議員の選挙のことなんですけれども、あわせて県議会議員選挙が同じ日に行われるとしますと、実は県議会の方では、特例で旧市町村の区割り、つまり現行の区割りで選挙をやるというふうな条例をつくったのですが、今、県議会の民主党関係会派を中心に、その条例を廃止しよう、それは有権者のわかりやすさ、利益につながらないというところから廃止しよう、そういう運動もしているのです。

 そういった非常に流動的な要素はたくさんありますけれども、こういったことについて、国として何らかの対策と申しますか対応を検討されているのかどうか、お聞かせください。

久保政府参考人 地方選挙につきましては、御承知のように、昭和二十二年の四月に統一して実施されて以来、四年おきに特例法を定めまして統一地方選挙という形で実施をしてまいっております。御指摘のございました新潟県につきましても、前回の平成十五年、実施いたしました統一地方選挙において、新潟県議会議員の選挙、そして新潟市議会議員の選挙、これが統一地方選挙として実施をされております。

 そこで、新潟市でございますけれども、平成十九年の四月に政令指定都市への移行ということを目指して今いろいろと運動をされているというふうにお伺いをしておりますが、仮にそれが実現をいたしましたとして、そしてまた統一地方選挙が平成十九年に、特例法をまた私どもが仮に出したとして、と申しますのも統一地方選挙の統一率自体が低下をしておるということもございまして、これはこれでまた御議論をいただきたいところでございます。

 いずれにいたしましても、新潟市が政令指定都市になったとして、平成十九年に特例法を出すということにいたしますと、御指摘がございましたように、選挙期日の告示、これが一般の市会議員でございますと七日前ということになっていますけれども、政令指定都市の議員になりますと九日前ということになってまいります。また、選挙区でございますけれども、一般的に市議会議員でありますと、これは全市が一つの選挙区になるというのが原則でございますが、政令指定都市になりますと、県議会議員の選挙区も政令指定都市の選挙区も行政区が単位となってくるということがございます。

 仮に前回の特例法でやりましたように第二、第四、第二は県知事、県議会議員、指定都市の市長、指定都市の市議会議員、第四が一般の市町村の市町村長と議員ということでやっておりますけれども、暦を見てみますと、告示が四月よりもさかのぼってしまう、政令指定都市になっていないときに告示をしてしまうとか、そういったことも起き得るわけでございまして、その点につきまして、私ども、何らかの調整を要する事態、これが生じたときにはまたそれなりの対応をしていかなければいけないと考えておりまして、繰り返しになりますけれども、統一地方選挙のあり方自体も含めまして選挙の執行に支障がないように対応をしてまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 今の御答弁ですとこれ以上何も申し上げることもできないのですけれども、あと二年というふうに非常に時間も迫ってきておりますし、何よりも有権者に選挙区の告知なども含めてかなり周知をする必要があるというふうに思いますので、できるだけ早目早目の検討をお願いできればというふうに思っています。

 さて、島村大臣、お待たせいたしました。先日の合併記念式典のときにはお出ましいただきまして、本当にありがとうございました。大臣にはまず、農林水産業分野における地方分権について、ざっくりとお考えをお聞きできればというふうに思います。

 今回、通常国会で特区の全国展開などもいろいろ検討されているようでございます。私たち民主党は、市民農園の開設主体の拡大ということについては賛成をさせていただきましたけれども、そういった国、農林水産省の特区についての取り組みを見ておりますと、民に対する信頼は農林水産省の中で少しずつ積み上がってきているのかなというふうに実は感じております。新食料・農業・農村基本法の中でも、そういった民間ですとか、地方自治体ですとか、関係団体、こういうところとの連携でこの基本計画を推進していくのだというふうに挙がってきております。

 民間の方は信頼は強まってきているというふうに見るのですけれども、一体、では地方自治体については農林水産省はどういう感想を持っておられるのだろうかということをちょっとお伺いできればと思っています。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 農林水産業は、地域のさまざまな自然的、社会的諸条件の中で営まれていることから、国と地方が適切な役割分担のもと、地域の自主性が十分に発揮されるよう相協力して施策を実施していくことが重要であります。

 農林水産省としては、このような考え方のもと、これまでも、地方分権の推進の観点から、権限の移譲や地方公共団体に対する関与の縮減などの取り組みを進めてきたところであります。その意味で、先般の三位一体改革の際にも、地方自治体の自由裁量の範囲が広がるようにかなりの部分を交付金化しまして、いわば結果において、結果においてというか内容において我々の姿勢を示したと自負しているところであります。

 今後とも、国と地方の適切な役割分担のもとで、農林水産行政の円滑な推進が図られるよう、地方分権の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 地方分権一括推進法のときにも随分いろいろな事務を見直していただいて、確かに地方への関与の縮減は一定度はあったんだろうというふうには思います。

 実は、今ほど総務省の政府参考人にお伺いをしてまいりました政令指定都市との関連なんですけれども、総務省のお考えと私の考えとぴったり一致しなかったのは残念ですけれども、地方の方から見ますと、政令指定都市を、やはり新たな地域づくりと申しますか、まちづくりと申しますか、そういう起爆剤にしたいという非常に強い思いがございます。

 新潟市もそうなんですけれども、静岡県の方が、政令指定都市と田園型という言葉をくっつけまして、田園型政令指定都市という言葉を打ち出しておるのです。新潟市も、政令市を目指す中の三本の柱のうち一つがこの田園型政令指定都市、全く一致をしておりまして、何かの偶然かと思ったんですけれども。そういったようなことで、都市が、政令指定都市に含ませたいと思うもののイメージというのは、この間やはりかなり膨らんできているのではないかというふうに思っています。

 大臣にお伺いしたいのは、こういった地方自治体の方から、田園型政令指定都市とか、あるいは都市と農村との共生、こういったキーワードが基本計画の中にどんどん入るようになってきておりますけれども、こういうことについてはどういう認識でいらっしゃいますか。

島村国務大臣 静岡市を初め政令指定都市の中には、管内にある広い農業地帯を生かし、都市と農村との交流を軸に地域づくりに取り組んでいるところがあると承知をいたしております。

 生産と消費の場が近いという利点を生かしたこのような取り組みは、農業、農村の振興とともに、食と農の距離を縮める観点からも重要と考えております。

 今回、新たにいわば大合併をなさった新潟市、まさに全国随一の農業都市になられたわけですし、先ほど委員も御指摘になったように自給率六一%、まさにいろいろな表現を使っても決してオーバーでない、実態を伴う新しいタイプの都市が誕生したという意味で私も心から歓迎しているところですし、昔大変お世話になった地域なものですから親しみを持って、いわば歓迎をしたところでございます。

 そういう意味で、新たな基本計画におきましては、地域の個性や多様性を重視しまして、都市住民を含めた国民共有の財産として農村の振興を図ることとしております。

 グリーンツーリズムや、あるいは直売所の設置推進など、さまざまな施策を通じてこれらの政令指定都市の取り組みを支援してまいる所存でありますが、何といっても新潟市は日本海沿岸随一の都市でもありますから、我々は、一つの牽引車的な存在としての新潟市に対して、我々のできる協力は前向きにやっていきたい、こう考えているところであります。

西村(智)分科員 それでは御質問させていただきますけれども、都道府県から政令指定都市に移譲される権限が、政令市になると幾つかそれぞれの分野ごとにございますが、農林水産分野においては皆無だというふうに承知をしております。

 今の段階で新潟県と市の政令市に移行する協議は順調に協力的に進んでおりますし、権限移譲についての協議もこれからということになりますけれども、現行の法律でいいますと政令指定都市に移される都道府県の権限は皆無であるということでございますが、一方で、都市計画の権限が政令市の方におりてくるわけでございますね。この農地転用を政令市におろしていただいて、一体的な土地利用、一体的な都市運営を行うために農地転用の権限も政令市におろすべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

 もう一点つけ加えてお伺いしたいのは、中核市連絡会の方から、中核市が農用地利用計画を変更する際に必要とされる都道府県知事の同意を廃止してほしい、こういう要望が出ております。これについてはどうされるのか。二点伺います。

川村政府参考人 二点、農地の関係でお尋ねがございました。お答え申し上げます。

 まず、農地の転用の関係でございます。

 農地は、改めて言うまでもないところでございますけれども、まさに農業生産、特に食料供給の基盤でございまして、そういった意味での非常に基幹的な部分でございます。先月閣議決定をいたしました食料・農業・農村基本計画、新たな基本計画でございますけれども、この中でも、農地の転用許可基準につきましては、一層明確化するなど、計画的な土地利用を推進し、優良農地の確保を図るということが明記をされております。

 また、政府全体の総合規制改革会議の関係でございますけれども、この第三次答申におきまして、転用の運用が地方行政にゆだねられるということが地権者の利益を反映することにつながっておりまして、転用の規制が厳格に運用されていない原因の一つになっているといったような指摘も受けておりまして、この農地転用許可権限のあり方は慎重に検討しなければならない課題というふうに考えております。

 ただ、農地転用の知事許可になっている部分がございますけれども、これにつきましては、地方自治法二百五十二条の第十七の二に基づきまして、都道府県の特例条例の規定によりまして、これは政令都市を含みます市町村への移譲は可能ということになっております。

 それから、二点目のお尋ねでございます。農用地利用計画の変更の際の都道府県知事の同意の問題でございます。

 農用地利用計画というのは、農業振興地域の整備に関する法律に基づきつくります農振整備計画があるわけでございますが、その中の一定部分でございます。農振整備計画でございますけれども、これは市町村が策定をいたします農業振興のための総合的な計画ということで、集団的に存在します農地あるいは基盤整備が行われました農地などの優良農地を農用地区域というふうにして定めまして、食料の安定供給の基盤でございます優良農地を確保、保全するための基本的な土地利用計画でございます。

 農振整備計画を変更する際の都道府県知事との協議、同意の手続は、市町村の計画と、国の指針に基づきます都道府県が策定しております農地の確保等の方針、あるいは広域的な農業振興施策との整合を図るという趣旨でございまして、都道府県にとりましては、都道府県内の農業の振興という都道府県全体の責務を確保するという観点、それからまた、国にとりましても、国民への食料安定供給のための優良農地の確保という国の責務を確保するといった観点から必要不可欠な手続でございまして、廃止を現時点でやることは困難ではないかというふうに考えているところでございます。

西村(智)分科員 三つ四つ申し上げたいと思います。

 まず、都道府県と市との協議で権限はおろせるんですよというお話でしたけれども、それだと、一体、国の分権に対する姿勢は疑われはしませんか、と私は思います。これは怠慢、あるいは権限を手放したくない官僚主義と見られてもいたし方ないのではないかということがまず第一点。

 二点目は、地権者の利益を守る、あるいは優良農地を確保する、そのために基本的な線は国の方でやるべきだというような、そういう内容の御答弁だったと思いますけれども、一つは、もう地方の方からは、そういったことについても画一的なガイドラインができているのであって、もはやそういったことは不要なんですよという声が実際に中核市連絡会あるいは地方六団体の方からも種々出ているかというふうに思いますけれども、これはどうなんでしょうか、地方と国との間で画一的なガイドラインが既にできているかどうかということについて認識は違うんでしょうか。

 最後に、国だったら優良農地あるいは地権者の利益を守れて、地方がそういった農用地ですとか転用の管理監督をするということになると守れないというふうに聞こえますけれども、そうなんでしょうか。

川村政府参考人 農地の問題は地域地域によって非常に実情が異なります。農業事情も地域によって異なりますので、画一的な移譲というのは現時点ではなかなか難しい面があるのではないかと思っております。

 ガイドラインの件につきましても、基準となるガイドラインは出しておりますが、やはりその運用を見ますと全国的にかなりばらつきもあるということで、そのことがまさに先ほども申し上げました総合規制改革会議の第三次答申の中にも反映されたのではないかというふうに思っておるところでございます。

 そういうことで、やはり農地というのは、単に、地域の振興にももちろんつながるわけでございますが、都道府県あるいは国全体の食料の安定供給の基盤という観点からも、その観点からのチェックといいますか調整は必要なものというふうに私どもは認識しているところでございます。

西村(智)分科員 食料の安定確保ということですと、つまり、市の方にそういった権限を移すと農用地が減っていくという前提でお話しになっていらっしゃるわけですか。

川村政府参考人 私どもは一律そう言っていることではございませんで、ただ、地域によって事情が違いますし、その一律的に権限を移譲することは現時点ではまだ適切ではないかと考えているところでございます。

西村(智)分科員 実際に今そういった権限は国ないし都道府県にあるわけですけれども、市におろさずとも農用地は減少傾向に歯どめがかからないのではないかというふうに私は思います。

 市におろしても私は大丈夫ではないかと思います。例えば、大型ショッピングセンターが出店をしたいといった地域で、市レベルでその出店計画をとめた、あるいはとめようとしているケース、これは数多くございますね。市にお任せになってもよろしいのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川村政府参考人 再三の繰り返しになって恐縮でございますが、確かにおっしゃるような事例もあるわけでございますが、全国的に見ますと、まだいろいろなばらつきもありますし、必ずしも適切でないという事例もあるわけでございまして、そういう点も勘案しますと、画一的に移譲することは現時点では適切ではない、それぞれの地域で判断をされて移譲されることはあり得るというふうに考えております。

西村(智)分科員 画一的にという言葉の中身については、また後ほど改めて議論をさせていただきたいと思います。

 総務省の政府参考人に最後にお伺いしたいんですけれども、やはり分権は、総論賛成、各論になりますとこういうふうにいろいろなかなか進んでこないという面がございますけれども、私は、今こそ、地方六団体ないしは地方の声、当事者の声がもっとこういった分権論議に反映されるべきではないかというふうに思います。幸い、全国知事会は最近闘う全国知事会に衣がえをしたそうでございますし、地方六団体の意見が例えば地方制度調査会ですとかそういった場でより反映されるような仕組み、これをぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 昨年夏の改革案にも随分、国と地方六団体との協議機関を設置してほしいとか、あるいは地方公共団体の意見を反映させる場を設けてほしいというようなことがございますけれども、これはどういうふうに具体化していただけるでしょうか。

前田主査代理 武智自治行政局長。

 時間が来ましたので、手短にお願いします。

武智政府参考人 これまでも、さまざまな場で地方六団体を初め地方公共団体側からの意見が開陳されまして、国の制度等に反映されてきたというふうに考えております。さらにこれを充実させる方策ということで、現在、二十八次地方制度調査会で、地方公共団体に関係のある国の制度等に対する地方公共団体の意見の反映の確保のあり方ということで審議が行われているところでございますので、これを見守ってまいりたい、かように考えているところであります。

西村(智)分科員 時間ですので、終わります。

前田主査代理 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂本哲志君。

坂本(哲)分科員 自由民主党の坂本哲志でございます。今回、質問の機会を与えていただきました。委員長以下各位に対しまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 私、きょうは、林業、そして農業、二点についてお伺いをいたしたいと思います。

 私の選挙区は海がない選挙区です。車を走らせますと、田んぼと畑しかありません。途中、少し市街地があります。そして、さらに走らせますと、あとは山林であります。宮崎県境の蘇陽町という林業地、あるいは大分県境の波野や小国町という林産地、さらに福岡県境の方に鹿北町、それぞれ林業が主たる産業でございますけれども、なかなかこの林業が活性化をいたしません。車を走らせまして山林に入ったりしますと、最近山が荒れているなというような気がつくづくします。

 一つは、やはり去年の台風で風倒木が出まして、その整理、その伐採というのがまだ終わっておりません。さらに、その前の前の年、平成十五年にも台風がありましたけれども、この風倒木の伐採も、処理も終わっていないところもかなりあります。台風の風向きによって被害を受ける山林はそれぞれ違いますので、徐々に徐々に荒れた山林の面積が広がっている。それが最近、特に目につくようになる。山はこうやって歴史とともに荒れていくのかなということを思いながら、山を守ることは国を守ることになるというような言葉を思い出すときに、危惧の念にたえません。

 それで、林業家の方々といろいろお話をしますと、やはり木材の使用、国産材つまり地域材、この使用、需要の拡大、この一言に尽きるというようなことを強く聞きます。いろいろなことで助成金あるいはさまざまな事業、これも大切だけれども、やはり林家そのものがエネルギーが出るように、木材の需要拡大、このことを進めていかなければ、どんなに助成金あるいはさまざまな諸事業でそれを手当てしようとしてももう追いつかないんだというようなことを、皆さん口をそろえて言われます。

 農産物の場合には、米、大豆、コンニャク、それぞれ三九〇%、九九〇%というような関税措置が課せられておりますけれども、事木材に関しましては、一部一〇%以下の関税がかけられている以外はゼロでございます。

 そういうことで、非常に国内の木材関係者は厳しいということでございますけれども、その一方で、消費者の方は、総理府のアンケート調査によりますと、木造で家を建てたいという方が八〇%いらっしゃいます。木造で家を建てたいという方が八割に及んでいるにもかかわらず、なかなか木造の家ができない。現に、国産材の自給率は一八%でございます。

 なぜできないか。木で家をつくりたい、和風の住宅をつくりたいといってもできない。それは、林業関係者あるいは建築関係者に聞きますと、法の規制によって使いたいものも使えないんだというようなことで、皆さん口をそろえられます。家屋への木材使用に対しまして、具体的に言いますならば、建築基準法にやや行き過ぎのところがありやしないか、非常に厳し過ぎるところがありやしないかというふうに思います。特に、建築基準法の場合には、防火あるいは耐震、そういうものにいかに耐え得るかということから組み立てられた法律でございますので、もちろん、防火や耐震のことをまず第一に考えなければならない、これは事実でございますけれども、それでも、余りにも行き過ぎる。

 これは近年、阪神・淡路大震災を初めとして、地震が頻発するようになりました。あるいは、大火こそありませんけれども、各市街地では相変わらず火災も多くなっておりまして、法で規制さえすれば、防火あるいは耐震、こういったものに対して責任が免れるんだというような風潮がややありはしないかなというふうに思います。結果としてそのことが、洋風住宅が主流になり、そして木材を使った和風住宅が年々衰退しているということにつながっているのだろうというふうに思います。あつものに懲りてなますを吹くといいますか、そういう面も見受けられるような気もいたします。

 私は建築の専門家ではございませんので、建築基準法、いろいろと事細かに論議することはできませんけれども、小さい家ですが、これまで二回、家を新築いたしました。その中で、私の経験に沿って言いますならば、自分がどんなに木材を使いたいと思っても、大工さんあるいは建築屋さんの方で、それは法で規制されていますからということで、どうしても自主規制して、やりやすい方に持っていかれます。そうすると、私たちは素人ですので、では建築屋さんの言うとおりにします、そのようにしてくださいということで、二回とも、十分な満足ある家はできておりません。三回目は、とてもじゃないけれども、資金の都合でできないだろうというふうに思います。

 例を幾つか挙げます。内装あるいは外壁に木を使いたいんですけれども、なかなか木を使うことができません。まきを使う暖炉をつくりたいんですけれども、その内装は木ではできないんです。それから、木造ならばすき間が多いはずですけれども、それでも、木造の場合に、部屋ごとに換気扇をつけなければならないという決まりがあります。どうせ換気扇をつけるならということで、木造じゃない方を選んだりいたします。

 それから、私の家ではありませんけれども、私の父母の方は昔ながらの農家住宅でございますけれども、こちらは昔風のかなり大きな住宅でございますが、これをもう一度改築したい、そして民家として再生させたいというふうに思いましても、排煙設備が必要になってまいります。そのためにかもいなどを外さなければなりません。民家のよさというのがなくなります。

 こういった問題というのは、これまでも建築士会の方からさまざまな形で国の方に要望があっているだろうというふうに思います。そして、これ以上、必要以上の規制はなくなっていくであろう、規制は徐々に緩和をされていくであろうと思いますけれども、特に、私は、建築基準法の二十二条、そして二十三条、これはもう少し緩和していく方向でしかるべきではないかなというふうに思います。

 二十二条といいますのは、防火地域と準防火地域以外の地域の建築物についても、屋根などについて規制をしているというようなものでございますし、二十三条については、内壁あるいは外壁、こういったものが基準どおりのものでなければならない。木造を使おうと思えばできないことはないんですけれども、検査とかそういうのが非常に厳しくなって、コスト高になるというようなことになっております。そういうことで、どうしても内壁、壁などは石こうボードを使わざるを得ない、石こうボード中心の住宅になってくるわけです。

 そういうことを考えますと、今、石こうボードは大変な量で使用されております。これがこのまま使用されて、そして、これは産業廃棄物になりますので、産業廃棄物として廃棄物の方に埋め立てられますと、二十年後、三十年後、これは石こうボード一つとりましても大変な社会問題を引き起こしてくるだろうというふうに思います。それよりも、かわって、やはり木材を使用しやすいようにする。その方が、これからの廃棄物の問題を考えた場合にも、それからシックハウス病あたりの問題を考えた場合にも、木材を使うのが本当に合理的であり、機能的であり、環境的にもいいんです。健康的にもいいんです。

 そういうことでお伺いをいたしたいと思いますが、まず、全体の木材の需要拡大、これに対してどういうような長期戦略あるいは短期の施策、そういったものをお持ちなのか、これは副大臣の方にお伺いをいたしたいと思います。

 それから、二十二条、二十三条の規制の緩和、これについてもどこまで今後できるであろうか、そのことも含めてお考えをお伺いいたしたいと思います。

 同時に、建築基準法の二十七条では、原則として、原則としてといいますか、木造は三階までしかできません。四階以上はできない。ツーバイフォーを使えばというようなことにはなっておりますけれども、四階以上は使えない。しかし、最近、建築の技術はかなり、接合部分なども含めて技術が向上してまいりまして、耐震性も本当に上がってまいりました。今後のモデルケースとしてでも、四階以上の木造の建物、こういったものが公共的な施設ででもできないものか。そのことによって、やはり木のよさ、あるいは木の強さ、木造の環境によるよさ、そういったものを国民の方々にアピールしていくべきだろうというふうに思います。

 この三点について、御答弁をお願いいたしたいと思います。

    〔前田主査代理退席、主査着席〕

岩永副大臣 坂本先生のただいまの御質問、私もまるっきり同感でございます。そして、今、本当に山は泣いております。そして、私は、山は悲鳴を上げている、こんな感じで、毎日田舎へ帰る道々、山を眺めております。

 かつては、太陽が、下刈りされ、そして枝打ちされたすき間で、本当にきれいな山並みを呈しておって、そしてそこで草を生やしながら防災の機能を持っていたのが、どんどん木材の価格が低迷して、そして林家がもう山で経済が成り立たなくなってしまう。そして、山守しようと思うと、働いているサラリーの中から二〇%の持ち分を出して、国や県、自治体の補助をもらって、そしてやらなきゃならない。しかし、その根本になる、自分が持ち出さなきゃならない金すら、七十年、八十年というサイクルの中で投資ができないということでございますので、本当に山の維持管理というのは私は大きな岐路に立ってきている、このように実は考えております。

 そこで、林野庁とよく話をするわけでございますが、何とか、国だとか自治体が山の管理すべてを持ち出していける、そういうような体系ができないか。そして、今一部には、町村とそれから林家とが契約をしますと、その二〇%の分を自治体が持ち出して、そして森林組合等に山の管理をさせていける、そういう方法がございます。その分を今度は自治体に総務省の特別交付金等で補てんをしていただくというようなことでございますので、この山の管理については、一にこれから抜本的な改革が必要ではないか。だから、京都議定書のCO2の削減の問題もあわせて、環境税だとか、なおかつ、国自身が年間二千億にわたるプラスアルファの予算を組んでもらってこういう対応が具体的にしていけるよう、夢見ているところでございます。

 次に、先生のおっしゃった木造住宅への利用増進、これも結局は国産材を使っていただかなきゃならぬ、こういうことでございますので、今、島村大臣を中心に、先般も、一条工務店だとか住友林業だとか積水ハウスだとかダイア建設だとか大和ハウスだとか中央住宅とか三井ホーム、日本の超一流住宅メーカーの社長、専務等に寄っていただきました。そして、我々、島村大臣を中心に、副大臣、政務官、全部寄りまして、あなた方、日本の山に対する責任をどう感じてくれているんだということ、そして、国産材を利用してくれなきゃ困るじゃないかということ、やはり住宅メーカーとしての国家的責任というものをきちっと感じてもらいたいということで、国産材利用増進のお願いをいたしました。

 それぞれの社長さんの御答弁の中では、国産材利用の重要性については理解をいただいたわけでございます。また、環境問題の観点から、国産材を使うことについて何らかのやはりインセンティブを設けてほしいというような話、それから、行政も国産材のよさを国民に積極的にPRすべきだというような話が出たわけです。ただ一つ、やはり品質、価格、安定供給、これがクリアできるのであれば国産材を積極的に使いたいというような前向きな答えが出てきました。そして、これは農水省とメーカーとが、やはり商品開発、マーケットへの提供をどのように行うかということで、今後も定期的に話をするようにしております。

 それから、木材住宅建設に対する助成制度については、今、低利融資制度が全国で十一都道府県、そして利子補給については十二都道府県、それから補助金等については二十七府県、地域材を使うことによって特典を与えようと。私の滋賀県の場合なんかは、国産材を使うと百本の柱はただで上げようというようなことを実は今やっているわけでございまして、先生のお気持ちもさることながら、私ども農水省として、林野庁として、積極的にこの問題については対応していきたいと思いますので、ひとつ、山の維持管理とあわせて、国産材の使用について力をおかしいただきたい、このように思います。

 最後に、先生がおっしゃられた内装、暖炉の問題、それから木造、換気扇の問題等、これはやはり住宅局に対して、具体的にきちっと国産材を使っていただける対応を、むやみやたらに規制を強くするということではなしに、そういう分野からの関係の対応をも要請していきたいし、二十二条、二十三条の屋根の部分だとか、内壁、外壁の部分についても、やはり防火地域の問題がございますけれども、それをどうしていくかというようなことを考えていきたい、このように思っております。

 二十七条の四階建て以上の問題については住宅局等にまた答弁をしていただきたい、このように思っておるわけでございますが、本当にまるっきり同感でございますので、積極的に対応してまいりたい、このように思っております。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、住宅のみならず建築物における木材の利用の拡大についての強い御要請が先生御指摘の建築士等からあることは事実でございます。

 私どもも、建築物の安全性の確保というようなことを前提に、技術開発や規制の合理化等を通じて、建築物における木材の利用の拡大に努めてまいりたい、その点については全く同感でございます。

 少し御説明させていただきますと、建築基準法では、まさに先生御指摘のように、過去の市街地大火や建築物火災の教訓を踏まえて、火災時の延焼の防止とか建築物内部の火災発生及び火災拡大の抑制という観点から、防火に関する最低の基準が定まっております。平成十二年以前は、これらの基準内容が、例えば、屋根に不燃材料を使用する、具体的には木材はだめだというような形で、具体的な仕様を定める仕様基準となっておったことから、木材を使用しにくい基準となっていたことは事実であると認識しております。

 木材を含む多様な材料や構造を選択可能とするために、平成十二年に建築基準法の性能規定化を行いまして、木材であっても一定の防耐火性能が確認されれば使用することができるよう制度の見直しを行ってきたところでございます。

 この結果、例えば、板張りやログハウスの壁でも、延焼を防止する性能が確認できたものや、外壁や軒裏の延焼のおそれのある部分に使用することができるようになりましたし、難燃処理を行った木材も、試験により性能が確認されれば、不燃材料として火気を使用する室にも使用することができるというような形で、少しずつではございますが、木材の使用範囲が拡大してきております。

 また、御指摘の四階建ての件につきましても、性能規定化以降、建築基準法上は、構造計算で安全性が確保されれば構造的にはできるということになっておりますので、そういった新しい試みがあれば、私どもも技術的な観点から御支援はしてまいりたい、こう考えております。

 いずれにしましても、国土交通省としましては、今後とも、林野庁とも十分連携をとりながら、木造に関する技術開発を推進するとともに、必要な性能を有する木材を適切に評価することによって、建築物における木材利用の拡大に努めてまいりたい、こう考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

坂本(哲)分科員 ありがとうございました。

 岩永副大臣、ぜひよろしくお願いいたしたいと思いますし、国交省の方とも常に連携をとりながら、木材の需要拡大ということを念頭に入れていただきたいというふうに思います。

 それから、今副大臣言われました、そうなった場合の安定供給というのがやはり一番生産者の側の問題かというふうに思います。これは市場の改革も絡んでくる問題ですので時間がかかることかもしれませんけれども、こちらの方も、安定供給のために、どういう流通過程、どういう市場でなければいけないかというような指導を林野庁の方でよろしくお願いいたしたいと思います。

 それから、林業関係、もう一つありますけれども、時間が足りなくなるといけませんので、農業関係の方から先に質問をさせていただきます。

 さっきの衆議院の本会議で農業経営基盤強化促進法の一部改正案が通過をいたしました。いよいよ、食料・農業・農村基本計画にのっとっての担い手の明確化あるいは集落営農、こういった新しい農業形態が始まるなというふうに実感したところでございます。

 この問題については、農林水産委員会等でも何度も何度もいろいろな方から疑問点が出ておりますので、もう食傷気味だと思いますけれども、とにかく、それだけ疑問点が出るということは、これから担い手をどう明確化していくんだ、集落営農をどうやって形成していくんだ、そしてどうやって法人化していくんだというところに、非常に問題といいますか、皆さん不安をお持ちなんだろうというふうに思います。

 それで、私の質問は二点でございますけれども、話を聞いた限りでは、認定農家があって、そして、それに漏れたといいますか、そこまでプロの農家でない方々が今度は集まって集落営農法人をつくってというような二本立てに見えますけれども、これだと、認定農家の方はどんどんプロの農家として育つかもしれませんけれども、兼業を中心とする、そういう集落営農で農業に携わる、こっちの法人というのはやはりだんだん衰退していくであろうというふうに思います。

 ですから、やはりプロの農家として限定するのではなくて、担い手を広い意味にとらえて、そして集落営農の中に認定農家、担い手農家を抱き込んでいく、そして認定農家も担い手も一緒になった形での集落営農の形態をつくり上げていく、法人化をつくり上げていく、このことの方がより大事なのではなかろうかなというふうに思いますので、その点を一点、お伺いしたいと思います。

 それから二点目は、私たちのところもそうですし、皆さんたちのところもそうだと思いますけれども、いわゆる認定農家というのは耕種農家が少ないんです、米、麦で飯が食えませんので、野菜で飯が食えませんので。専業農家、プロの農家といえば、やはり畜産であり、酪農であり、あるいは花であり、そういった特化された分野の農業でしかありません。そういう方々と集落営農、非常に今農業形態というのは分類化されておりますので、酪農経営の方に麦をつくってくれ、あるいは大豆も一緒に手伝ってくれ、まあ米ぐらいはできるかもしれませんけれども、しかし質のいい米をつくってくれ、その中で、集落の中で一つの中心になってくれといっても、これはなかなか無理な話であります。

 ですから、そういった耕種農家をいかにして育てていくか、あるいは拡大していくか、そしてどうやってその集落営農の中に耕種農家を誕生させていくか。これは収入の問題とも非常に関連しますので、耕種農家を育てるというのは難しいかもしれませんけれども、耕種農家の対策、そして担い手として育成していく方法、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

岩永副大臣 先生御承知のとおり、四〇%の自給率で、これから世界の人口が六十三億から九十億にふえていく、そんな状況の中で、我々の後輩が本当に食にありつけるかどうか、大変な問題だと私は思いますし、やはりそのことの対策を今から打たなきゃならぬというようなことで、今回の基本計画の見直しの中で大転換をし、そして大決断をしたところでございます。だから、かつての兼業農家の皆さん方が、専業農家中心施策をとることによるおののきはあろうと思います。

 しかし、農業を営んでもらう人が、他産業に勤めたらこれだけの大きな収入が当たるのに、大変厳しい作業の中で農業がもうからない、こういうことであってはならぬので、やはり土地もお金も集中して、他産業以上に生産者が大きな所得を得られるような対策をしようということで、今回の政策転向をしたわけでございます。

 だから、そういうことのために、担い手農家育成が眼目であるわけでございますが、ただ、それぞれ集落の中で、もうほとんど兼業農家でございます。日曜農家と言われる方でございますが、やはり、休耕田をつくったり、その土地が品目横断的につくられない。米だけつくっておいたらあとは遊ばせているんだというようなことで効率的な土地利用ができるかということになりますと、これはもったいない話でございますし、やはり自給率を上げるために最大の対策を講じていかなきゃならぬということの中から、集落営農をやろうと。

 確かに、最初の段階はもたもたするだろうと思います。しかし、土地が集約されると、おのずとその中で専業農家、担い手農家が育っていく、なおかつその土地を、では二回にも三回にも、麦をつくったり、大豆をつくったり、そして野菜をつくったり、いろいろな状況の中での品目横断的な対策ができるのではないかというようなことで、担い手が必然的にできてくる。土地があることによって、またその担い手も経済力が増していく。そして、地域の中でみんなが協力し合いながら農業が営める、コミュニケーションもできるというような部分で、集落営農を考えているところでございます。

 ただ、先生の地域のように、酪農だとか花づくりであるとかいう、現在担い手になっていただいている皆さん方はそれでいいわけですし、そこにどう所得を向上させていくかというのは、これは農水省のこれからの仕事だ、このように思います。

 それから、本当に集落営農が普及するのかと。実は今、八万集落にうちの統計部三千八百人が六月末までに全部出向いていって、そして意向調査をしたり、集落の実態調査をしながら今やっておりますし、我々、副大臣、政務官、八ブロックに分けて、実は今の日本農業のあるべき転換の必要性を説いて回っているところでございます。本当にありがたいことに、やはり県の段階、市町村の段階に、JAだとかそれから農業会議所だとか全体が今本当に大きな輪の中に入り込んでいただいて、これを推進しているような状況でございます。

 特化された農家がそういう中でますます大きな力を持つようにこれから頑張ってまいりたい、このように思っております。

須賀田政府参考人 集落営農の中で核となる主たる従事者をどういうふうに育成していくか。先生御指摘のように、確かに耕種農業、特に水田農業は、過去、他の農産物と違いまして、相対的に高価格政策がとられて、機械化も進展をいたしましたし、単収の向上、技術の向上もございましたし、いわゆる週末農業でも十分やっていけるということで、規模拡大が進みませんでした。そういうことで、この分野におきます認定農家は非常に少のうございます。

 私ども、集落営農を組織化するときに、その要件として、核となる主たる従事者はいてほしい、こういう要件を課しているわけでございますけれども、そういう事情でございますので、今すぐ特定できない場合があろうかと思います。私ども、したがって、候補者でもいい、将来、集落営農を組織化するに当たりまして、育成するに当たりまして、候補者たる従事者を目標を持って集落営農の発展とともに育成していく、こういう道でもいいということで取り組んでもらっておりまして、それはやはり地域の集落の話し合いの中でそのあるべき方途というのを見つけてほしい、このような運動をしておるところでございます。

坂本(哲)分科員 ありがとうございました。

 とにかく、これから集落営農あるいは担い手中心の農業に移っていくに当たって、やはり集落が自立する、自分たちで考えて、自分たちでつくって、自分たちで目標を決めて、これがまず一番大事であると思いますので、そういうような指導、そしてその柔軟性、裁量性、これを十分大事にしてやっていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

菅主査 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)分科員 民主党の近藤洋介でございます。

 農林水産行政に関する質問の機会をいただきましたことに感謝をしたいと思います。本日は、農、林、水、それぞれあるわけでございますが、私は林野行政を中心にお話を伺っていきたいと思っております。

 先ほどの坂本議員も山国ということでございましたけれども、私の選挙区も、名は体をあらわすではございませんが、山形県でございますから、山の形をしている県ですから、当然山国でございます。選挙区も、海がなく、やはり美しい山林、森林、田園に囲まれている地域でございますが、そういう中で、林野行政、大変大きな転機を迎えている部分もあるかなと思っているわけでございますけれども、お話を伺っていきたいと思っています。

 御存じのとおり、日本の国土面積の七割が森林でございますし、古来、日本は森の国というふうにも言えるのかなと思っておりますし、また日本人というのは森の国に住む森の民と言うこともできるのかなと思っております。

 また、ちょっと大きく地球全体のことを考えてみても、世界の人口がどんどんふえ続けて、二〇五〇年には、日本は減るわけですけれども地球全体では百億人にふえる。そういう中で、これからその人口の急増に対応してエネルギー消費もふえていく。ふえていく中で、地球温暖化等が言われているわけでございますし、その中での京都議定書の取り組みというのが各国で進められているわけでありますが、そういう中で、森林の役割というのもこれまでにない部分が大変求められているのかなというのは私も認識をしているところでございます。

 食糧危機、世界的な干ばつを防ぐという意味でも、温暖化に立ち向かわなければいけないわけでございますし、そういう中での森林の、まず最初に、ちょっと大きなテーマで恐縮なんですが、この森の国日本が森林をきちんと持つ意義、社会的な価値について、大臣の御見識を最初に伺いたいと思っております。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 近藤委員のお地元山形は、私はかつて集団疎開で子供のころお世話になって今日があるわけでございまして、大恩ある私の第二の故郷でございます。御指摘のとおり、大変に山の多い、ある意味ではまた非常にすばらしい景観を持った地域でございまして、それだけに、森林の問題を取り上げていただいたことは大変歓迎すべきことだと考えております。

 私自身、御紹介いただく場合に、農水大臣という紹介を受けることがあります。かつて二十二年前、政務次官のころから、私は、農水政務次官と言うと異議を申し立てまして、必ず林を加えていただきました。

 事ほどさように、森林のもたらす私たちに対する恩恵というのは大変大きなものがありまして、これを粗略に扱っていたのでは日本の将来はないし、健全な国土の発展やまた維持形成はできない、そう考えるがゆえに、この問題を取り上げていただいたことはまことに歓迎すべきことだと、まず敬意を表したいと思います。

 国土の約七割を占める森林、この森林の果たす役割は、一般的には国土の保全とか水源の涵養とかあるいは地球温暖化防止、こういうふうに言われますけれども、そのほか、取り上げれば幾らでも大きな貢献があるわけですね。

 例えば、我々都会に住む人間にとっては、単なる水源というよりは、渇水期など、まさに我々の生きるための水を確保し、かつその水が極めて清浄でありおいしい。同じように空気もそうですが、これはみんな森林のもたらす恩恵であります。

 また同時に、いわば災害その他の際にも、これを最小限に食いとめるという効果も大きいわけでありますし、また、最近京都議定書の問題で話題になっておりますCO2の吸収源としても大変に大きい。

 そういう事々をいろいろ考えますと、大変その恩恵が大きいんですが、最近の話題としては、御承知の、襟裳岬の漁師さんが山に入って手入れをしている。襟裳岬だけかと思ったら、全国いろいろな状況を調べてみたら、結構各地でやっているんですね。

 これは、漁師さんが仕事にあぶれて雇用機会を求めているのかと思ったらとんでもない話で、健全な森林があると、要は、日が差し風が通るところには、いわば表土の上に下草が生えて、その表土と下草の中にはぐくまれた栄養分が川や田畑を潤して、それが結果的には豊かな海づくりにつながっている。このことに気がついたことで、いわば漁師の方が山に入って山づくりにも励む、こういうことになっているわけでありますから、これからの国民生活をいろいろ考えますと、単に目先の経済の繁栄だけではなくて、やはり健全な国民生活の基礎となるという位置づけの中で、私は、この森林に対する取り組みというのは極めて重要な意味合いを持つ、そう考えているところです。

 このため、基本的には、平成十三年に制定されました森林・林業基本法に基づきまして、森林の有する多面的機能の持続的発揮、あるいは林業の持続的かつ健全な発展と林産物の供給及び利用の確保という基本理念のもとで、森林・林業政策を総合的に推進し、森林の適切な整備、保全に努めてまいりたい、こう考えているところであります。

近藤(洋)分科員 大臣のお話のとおり、大臣のお言葉をかりれば、健全な国民生活の基礎であるということでございました。

 森林のない国は、ある意味で、文明史的にも滅びるのではないかという識者の御意見、私もそのとおりかなと思っているわけでございます。その意味では、文明史的にも、この森林というのをきっちり、孫子の代によい国をという言葉がございますけれども、まさに孫子の代によい森林をという立場で、これは党派を超えて取り組まなければいけないなと思っているところでございます。

 そうした、大変ありがたいというか、守るべき、国民にとっての資産である森林、森なんですけれども、最近、違った意味で評判がちょっと悪くなってきているというか、話題になることがあります。これは花粉症でございます。杉花粉の問題が、特に春先の季節、お茶の間で話題になるのは、杉花粉が大変だというのが、これだけありがたい森林にもかかわらず、何か非常に目のかたきのように時としてされてしまう。私も実を言うと軽い花粉症なんですけれども、重症の方から見ると本当に大変な、この時期、思考停止するぐらい大変苦しまれる状況になっておるわけでございます。

 そこで、この問題、まず第一義的には厚生労働省かと思うわけでございますが、もはや私は、ことしのように広がると、国民病というとちょっと大げさか、でもそれぐらい、いっとき大変な、はやり病というか病気かなと思うわけでございますけれども、厚生省はこの花粉症に対してどのような対策を取り組んでいらっしゃるのか、現状も含めて簡単にお答えいただきたい。もっと強化するべきだと思うんです。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、数でございますけれども、平成十三年に実施されました日本アレルギー協会の全国調査によりますと、杉花粉症の有病率は全国平均で一二%程度というふうに報告されておりまして、大変重要な問題であるというふうに考えております。

 厚生労働省におきましては、花粉症対策としまして、病因、病態の解明、それから治療法の開発等の研究をまず推進しているところでございます。そして、その研究成果に基づきまして、適切な予防法、治療法の普及啓発を図るとともに、地域におきます相談体制を整備するため、都道府県職員を対象とした研修の充実にも努めているところでございます。

 特に、今春は観測史上一、二を争う多さの花粉が飛散すると予測されていましたので、昨年の十二月から緊急対策として、正しい情報に基づきます花粉症の予防、あるいは早期治療のさらなる徹底を進めてきたところでございます。

 予算でございますけれども、平成十七年度予算におきまして、花粉症を含みます免疫・アレルギー疾患に関しまして、おおむね十一億二千百万円を計上しているところでございます。

 また、厚生労働省としましては、今後とも、花粉症対策の重要性にかんがみまして、その必要な予算の確保に努め、各地方自治体それから関係省庁、関係団体とも連絡しつつ、花粉症の総合対策の充実に努めてまいりたいと考えております。

近藤(洋)分科員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 あえて言えば、局長、厚生労働省は、これまたお茶の間で今一番恐らく評判の悪い役所だと思うんですね。お茶の間でですよ。やはりいろいろな社会保険庁のむだ遣い、これは全然話は違いますけれども、社会保険庁の問題が連日ワイドショーに出てくる。これだけ特会の話も評判が悪い中で、私は、十一億円というのは、額が多いからどうのというわけじゃございませんけれども、もっとしっかりやるべきじゃないかなと。局長、もし厚生省がこれだけの花粉に応じて予算倍増とかいう話でも、これはワイドショーが取り上げるわけでして、お茶の間での評価も若干は高まるのではないか。

 冗談はさておきとも、やはりここは、これだけ多くの方が苦しまれていますし、しっかりとした、予算の額だけで言うつもりはございませんが、厚生省として対応を考えていただきたいと思うわけでございます。

 そして同時に、林野庁、花粉症の原因というのは、厚生省の方からも事前にお話を伺いましたが、しっかりとした解明というのはまだまだこれからの部分もあるということでございますけれども、基本的には杉花粉ということですから、木材の花粉ということでありますから、病原という言葉が正しいかどうか、これはまた違うと思いますけれども、いずれそれが原因となって花粉症ということでございますので、林野庁はこの花粉症に対してどのような対策に取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

前田政府参考人 林野庁の方におきましては、実は、平成八年度から、花粉の少ない杉品種の開発、これに努めてまいったところでございまして、これまでに、花粉の量が一%以下であります、いわゆる低花粉といいますか、そういった品種、百十二品種が開発されております。これにつきまして、平成十一年度から苗木の供給を始めまして、平成十五年度までに約二十四万本の苗木を供給したところでございます。今後五年間では、約六十万本を超える苗木の供給を見込んでいるところでございます。

 また、ことし一月でございますけれども、独立行政法人林木育種センターにおきまして、花粉が全くできない杉が開発されたところでございまして、花粉の少ない品種とあわせまして、これからの普及に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 さらに、平成十四年度からは、都市近郊におきまして、いわゆる雄花の量の多い杉を優先して抜き切りいたしまして、例えば二〇%切りますと全体としてはその林分で五〇%減るとか、そういった結果も出ているわけでありますが、そういった実証事業に取り組むと同時に、雄花の多い杉林分、これに重点を置いた間伐を進めるといったようなことで、取り組みの強化を図っているというような状況にございます。

 今後とも、関係省庁と十分連携を図りながら、花粉症対策の推進に努めていきたいというふうに考えている次第でございます。

近藤(洋)分科員 人工林の杉が花粉を発散する年齢になって、こういう形になったということも伺っておるわけでございます。もちろん、杉を植えてきたということは、木材生産のために過去、歴史的に必要があったことでありますから、それ自体をいけなかったと言うつもりはないわけでございますが、これだけ花粉が大量発生しているということは、半ば、ある程度人工林の問題でもあるわけでございますし、やはり林野庁としても、一定の役割というか、しっかりした役割を果たさなければいけないと思うわけであります。

 研究開発を進めてこられたという努力は多としたいと思うわけでございますが、いい品種を開発しても、それが実際植えられなければ意味がないわけでして、また現に既にある杉を間伐するなり、森を手入れしなければいけないわけでありまして、それはこれからまた伺ってまいりますが、まさに山の手入れという問題とこれは同じ問題なのかなと思っておりますので、改めて伺っていきたいと思うわけであります。

 続いて、花粉だけではございませんで、山の問題の一点、松くい虫の話を伺っていきたいと思っております。

 私の住んでいる地元の米沢周辺ないしは山形県内で、松くい虫というのは僕が子供のころはほとんどなかったわけであります。ところが、最近は大変な被害が広がっておりまして、どんどんこれは南の方から北に上がっているということでありますが、聞けば、いよいよ日本全土の北限地帯が、東北三県、秋田、山形までついに北上してしまった。

 これはやはり、既に松くい虫の被害を抑えるということは極めて大事でありますけれども、これ以上北限を防ぐということも極めて大切なことだと思うわけであります。

 そういうことから、林野庁の松くい虫対策、これまでやられていることは十分わかっておりますけれども、一つ北限対策として、とりわけ重点的に、ないしは機動的に進める必要があるかと思いますが、林野庁の対策を伺いたい。

前田政府参考人 ただいま先生からお話ございましたけれども、確かに松くい虫は、かつて昭和五十四年ごろ、全国で二百三十万立方ということで大変なる被害が出ておりました。その後、いろいろな対策を推進してまいりまして、現在約七十二万立方まで相当大幅に減らしてまいったわけでございますけれども、今先生お話ございましたように、一方では、東北地方、こちらの方におきましては、松くい虫がだんだん北上いたしておりまして、増加傾向にある。

 たまたま十五年度につきましては、被害量が二十万立方ということで対前年九六%ということで若干微減ではありますけれども、全国の被害量の中の三割を占めるというまでに至っておりまして、さらなる被害の拡大が懸念されているところでございます。

 このため、私どもも、被害の先端地域でございます東北地方、ここにおきまして、防除事業の重点的な実施あるいは監視体制の強化といったようなことで、被害状況に応じまして総合的な対策の推進を図ってまいっているところでございます。

 さらに、平成十七年度におきましては、さらなるこれ以上の被害の拡大を阻止したいということで、森林病害虫等防除法に基づきます農林水産大臣命令の発動によります重点的かつ徹底した防除、これは一〇〇%国費でありますが、本格的には恐らく十年近くぶりに発動したと思いますが、そういったことで、しっかりこれにつきましては取り組んでいきたいと思っている次第でございます。

 今後とも、防除対策のより一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

近藤(洋)分科員 やはり機動的な対応が必要だと思うんですね。そういう意味では、大臣命令ですか、指定といいますか、ということで対応するということでございますので、特に東北三県、私の地元もそうでございますが、そういうところでの要望があれば、ぜひ林野庁としては機動的に対応してもらいたいと思っているところであります。

 山の話を続けていきたいと思うんですが、先ほど来、森林の整備、間伐なりが重要だということも私は指摘をさせていただきました。その中で、ただ、実際に森林組合の方とか、また林家の方と話をさせていただきますと、山はあるけれども、木材価格の低迷で、とてもじゃないけれども山に入れないというのは、もう全国共通の問題になっているわけでありますね。

 そういう中で、林野庁の制度の中で、森林整備地域活動支援交付金制度ですか、私流に解釈すると、一種の山を守るということに重点を置いた直接支払い的な制度かなと思っているわけであります。

 これは非常に大事なことだと思うんですね。私もこの制度を実際に受けている方々の話を聞くと、これを受けて、今まで一度も自分の山に入ったことはなかったんだけれども、先祖代々山を持っていたけれども一度も入ったことはなかった、でも、施業計画を組んで、こういう制度があったので、実際自分の山に入ってみましたという方もいました。

 そういう意味では、改めて自分の山を見てみるという大変いい契機にもなっておるし、制度として僕は大事な、非常にいい制度だと思っているわけですが、これは平成十四年から五年間と聞いておりますけれども、ことしで四年目ということでありますが、この制度の実績をどう考えているか。さらには、ちょっと気が早いかもしれませんが、これは五年間の時限ということでありますけれども、今後も続けられるという方向で検討されているのかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。

前田政府参考人 先生今お話ございました交付金制度でございますけれども、これは、森林の現況調査といったことで、適切な森林施業に不可欠な地域活動の支援措置、そういったものとして、平成十四年度から十八年度までの五年間実施することにいたしております。

 この制度の平成十六年度の実施見込みでございますが、対象市町村で見ますと、八九%に当たります一千七百二十五市町村におきまして、また対象森林につきましては、七五%に当たります百六十二万ヘクタールにおいて実施されているところでございます。また、本制度につきまして、地域活動を促進するという直接的な効果に加えまして、今先生からお話ございましたけれども、森林所有者が森林整備に意欲的に取り組む契機となるといった事例も見られまして、森林整備の推進に役立っているのではないかなというように考えている次第でございます。

 そういう意味で、今後ともこの制度の一層の普及に努めてまいりたいというように思っているわけでございますが、お話ございましたように、この制度、十九年度以降につきましての継続でございますけれども、これにつきましては、それまでの事業の実施状況、こういったものを踏まえまして、改めて検討するということになるのではないかと考えている次第でございます。

近藤(洋)分科員 いい制度ですので、ぜひやりますと、これは予算の話ではあろうかと思いますけれども、言い切っていいと思うんです。

 ただ、一つ注文をつけるとすれば、これは補助金でありますから、地方自治体、県と市町村ということで残りを交付する、お金を出すということになるわけですが、なかなか三位一体の改革の中で地方財政が非常に厳しくなっている。そういう中で、やりたくてもやれない自治体というのもこれから出てくるのではないかと思われるわけですね。

 これは政府の中での話でありますから、総務省との話の中で交付税、交付金の中の議論に入ると思うんですけれども、ぜひそこは、これからだんだん自治体がやりたくてもできない、変な話ですけれども、山を守るというのはみんな理解はしているけれども、むしろ目に見えるすぐ先の道路を整備するとかにお金を回したいという自治体も出てくるとすると、今までは一〇〇%裏交付されていますけれども、なかなかできなくなる部分もあるのかなと思っておりますし、その辺の制度を、もう少し使いやすくといいますか、三位一体で地方自治財政が厳しくなる中での見直しも必要かなという点が一点。

 あともう一点は、対象の林齢を、若い三十五年生以上から四十五年生以下の人工林というものが対象になっておりますけれども、それよりも多少上の人工林というのもあるんでしょうか、対象の見直しも含めて拡大を図っていただきたいと思うんです。

 交付税の中についてだけ、補助金のあり方についてだけちょっと御見解を、政府内で少し調整をしてみたらいかがでしょうか、どうでしょうか。

前田政府参考人 大変悩ましい話なんでありますけれども、今の制度につきましては、先生御案内のように、国と地方でもって森林の取り組みを進めていこうということで、二分の一を国庫で、残りの二分の一につきましては県と市町村でというような分担にいたしておりまして、これ自体は、ある意味では制度の趣旨からいっては妥当なものではないかなというような思いをいたしているところでございます。

 これにつきましては、今先生からお話ございましたように、県、市町村の方につきましては、特別交付税や普通交付税、こういった中で地方自治体としての負担額の面倒を見るといいますか、負担するというふうな制度になっておりまして、そういう中で、ぜひ県あるいは市町村の中でも頑張ってしっかりと負担していっていただけないかなというような思いを持っている次第でございます。

 また、対象林齢を引き上げる話でございますけれども、実は、これ自体は、国土防災とか公益機能の発揮とかいろいろな観点の中から、間伐等が必要な林齢の三十五年生、あるいは長伐期でありますと四十五年とか、あるいは広葉樹でありますと若干六十年とか、そういう形で、どうしても防災上も必要というところを対象に実施していくというようなことになっておりまして、そういった趣旨から見ますと、なかなかこれを引き上げていくということにつきましては、その趣旨からいっても厳しい面があるかなというような思いもいたしてございます。

 今後とも、地方自治体とも十分連携をとりながら、現に、だんだんこの実施率につきましては相当上がってきておりますので、そういった普及も踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。

近藤(洋)分科員 ぜひ不断の見直しを引き続き政府内でしていただきたいと思うわけであります。

 時間も迫ってまいりましたが、最後の方で、国有林の話を伺っていきたいと思います。

 国有林野については、実は予算委員会の分科会の方でもしつこく伺っていったわけでありますが、重ねて伺っていきたいと思います。

 まず、基本的に国有林の役割をどのようにお考えなのか。保全と生産、わかりやすく言えば。保全なのか生産なのか、二者択一でいえばどちらをまず目的としているのかというのを簡単にまず最初にちょっと確認したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岩永副大臣 先生、当時の農水省の番記者をしておられて、このことについてはよく御理解されているというように思うんですが、ちょっともう一回おさらいの意味でお話しさせていただきます。

 ちょうど平成十年にこの法律を変えたわけですね。そして、今までの経済中心から公益中心にいたしまして、当時は公益林が四六%だったのが今では八八%に伸びています。それから、木材生産林についても、五四%だったのが一二%に落ちております。そして、独立採算制を前提とした企業特別会計制度を見直して、一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度に移行したということも事実でございます。だから、あれから保全の観点に転換したということです。

 それで、私、では国有林というのはどれだけの資産価値があるのか聞きましたら、七兆八百九十一億円あるわけですね。そして、そのうちの立ち木が六兆五千四百五十億円あると。だから、率直なことを申し上げまして、これを適齢期が来たら伐採して、国の財産にしない、そして国の財政支援をしない法はないわけでございますので、やはりある部分は両立していかなきゃならぬ、このように考えておるわけでございます。

 少々生かしていくことはやむを得ないんじゃないか、すべてというわけにはいかないだろう、このように思っておりますが、先生のおっしゃるとおり、公共性優先で、保全を優先で考えているということには間違いございません。

近藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 国有林野の性格は、やはりもう明らかに変わってきているわけですね。個人的なことで恐縮ですが、私の祖父は、昔、岩手県で営林署長をやっていたこともございますし、そういう意味では国有林への思いはあるわけでありますが、しかし、やはり役割が変わってきた以上、一般会計の繰り入れがこれだけ多い特別会計というのはないわけでありまして、そもそも論に立ち返りますと、特別会計である必要があるのだろうかと思うわけですね。

 私ども民主党の中では、特別会計について実はプロジェクトを組んで、すべての特会についてチェックをいたしました。国有林野についても、むだ遣いがゼロだというつもりはありません、それぞれ会計検査院からも指摘を受けているところでありますから。ただ、国有林野事業が重要であるということは我々も十分認識しているところであります。ただ、これを特別会計で五年間の集中改革期間を経て維持する必要があるのか。ここは一般会計化することの方が、整理上、私は、これだけ一般会計からの繰り入れがあるとすると、事業特別会計としての意義があるのかというのは、やはり疑問を呈さざるを得ないと思うんです。

 そこで、最後になりますが、二点伺いたいと思います。

 既に、平成十六年十一月の財政審の方で、治山事業の経理について指摘を受けているところであります。区分経理の必要性が乏しく、民有林は一般会計で、国有林は特別会計で経理することを基本に勘定の統合、せめて勘定は統合したらよいのではないかということで、早急に検討しなさいということを受けておりますので、この検討状況は、政府としてしっかりやっているのか、めどは立っているのかということと、重ねて伺いますが、特会制を廃止して一般会計化するという方向の検討を林野庁の中でもそろそろ進めてもよいのではないかと思うわけでありますが、この二点、最後に伺って質問を終わりたいと思います。

前田政府参考人 前段の治山勘定の関係でございます。

 先生御案内のように、治山勘定につきましては、もうほとんど一般会計から繰り入れ、具体的に、十五年度予算ベースですと九七%一般会計から入れまして、それで事業の執行をやっているというような状況でございました。

 そういったことで、昨年十一月、今お話ございましたように財政審の方から、民有林の方につきましては一般会計に、国有林でやっている分につきましては特会で経理ということを基本に勘定を統合すべきであるという報告がなされたわけでございまして、林野庁といたしましても、財政制度等審議会、これからの報告を受けまして、検討してまいりたいというように考えている次第でございます。そして、本年一月、林政審議会におきまして治山事業部会を設置いたしまして、同部会において今後の治山事業の経理のあり方等につきまして検討を行っているところでございます。

 それからもう一点、国有林事業特別会計につきまして一般会計に持っていくべきじゃないのか、この話につきましては、当時、先生もよく御案内のように、大きな議論がありまして、結果としてこういう状態になっているわけであります。

 一つには、これはいわゆる山の方にいろいろな投資をするわけであります。この投資につきましては、非常にその回収が五十年とか六十年といった長期にわたる。こういった森林整備の事業につきましては、やはりその成果を明らかにしつつ運営していくことが必要であるということで、それに対応した会計制度で行う必要があるのではないか。

 また、実は、先生もよく御案内の当時三兆八千億の累積債務、そのうちの二兆八千億を一般会計に移管し、一兆円をいわば国有林特会の方で残して、これを今後五十年かけて返済していくというスキームになったわけでございまして、そういう意味では、この累積債務につきまして、林産物収入、こういったものを充てながら、その剰余金をもって返済していくという必要があるわけでございまして、そういう面からも特別会計で経理していく必要があるのではないかというようなことで考えている次第でございます。

近藤(洋)分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

菅主査 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直君。

本多分科員 民主党の本多平直でございます。

 きょうは、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。私も、図らずもなんですが、近藤議員と同じく花粉症の問題について、農水大臣に主に御質問をさせていただきたいと思います。

 日ごろいろいろな問題に一緒に取り組んでいる近藤委員ではありますけれども、本当に、連続して相談せずにこういう質問が出てくるということが、大変それで困っている方が多いということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 まず最初に、この病気について、具体的な公式見解というより一般的な印象として、どれだけ多くの方がどれだけ苦しんでいるかということを、どれくらい大臣、御認識をいただいているか、一言お聞かせいただければと思います。

島村国務大臣 先ほど厚生労働省の方がある調査をもとに一二%、こう言われましたが、私は隣の岩永副大臣に、倍じゃないか、こう申したところですが、最低でも四分の一ぐらいの方はまず苦しんでおられるように思います。

 ただ、これもその話の中で出たんですが、これは花粉だけでもないらしい、いわば一般の大気汚染その他の影響とか食物とかいろいろな影響もやはりあるらしいぞという話をしたところですが、その一つの考え方の根拠は、専門的にもそういうふうに指摘されているところですけれども、必ずしも花粉の多いところの人が花粉症に苦しんでいるとは言い切れない。例えば、都会の人が殊さらに多く花粉症に苦しみ、むしろ杉花粉その他がたっぷりあるようなところの人が意外と平気でいる。これはなれとかいうことでなくて、免疫とかそういうものではなくて、多少何かいろいろな複合的な要素が基本になってはいないか、そんなふうには思っているところです。

 さはさりながら、その主犯は何かといえば、何といっても、杉であり、ヒノキであり、その他、稲にもあるそうですが、いろいろな花粉が一番のもとだ、こういうことですから、これらについては、これから十分に対応していかなきゃいけない、即席とはいきませんが、最善を尽くしてこれに努力する、現代病に対する対応の責任だ、こう考えています。

本多分科員 ありがとうございます。

 まず、ほかの要因との話、ほかの要因と連動している可能性はもちろんあると思います。しかし、これに関しても、実は各省庁いろいろ聞きますと、両説あるんですね。排気ガスとの関係があるのではないかという方とないのではないかという方と。

 しかし、このことは、既に大臣が一二%の二倍という非常に厳しい認識を示していただきました。それだけ多くの方が苦しんでいる。二カ月ぐらいにわたって、もっと長い方もいますが、苦しむことですから、まずは杉が主犯であることだけはきちっとお認めをいただいているわけですから、これはもちろん関係省庁の連絡も大事です。厚生労働省、文部科学省さんもいろいろ研究をしていただいて、治す方の努力をしていただいていることは努力を多としているんですが、実はやはり林野庁さんが一番ある意味での加害者であることが事実なわけでございまして、私は、ここはしっかりとその認識をお持ちをいただきたいときょうは思っています。

 それで、まず、林野庁さんがどんな対策をとられているか、私も勉強したんですけれども、一度お答えをいただければと思います。

大口大臣政務官 私も、実は軽い花粉症でございまして、本当に、皆さん大変苦しんでおられるということについては、これは政治がきちっとやっていかなきゃいけない、こういう認識でございます。

 そういう中で、農林水産省といたしましても、平成八年度から花粉の少ない杉の品種の開発に全力を挙げて、そして花粉の量が一%以下のそういうもの、百十二の品種を開発したところでございます。この花粉の少ない杉の品種については、平成十一年度から平成十五年度まで約二十四万本の苗木を供給してきたところでございます。また、今後もこれはしっかりやってまいりたい、こういうことで、今後の五年間で約六十万本を超える供給を見込んでおります。

 また、本年一月に開発されました無花粉杉につきまして、これは今後、供給体制の整備を今図っているところなのでございますが、平成二十三年ごろから苗木の供給が開始できる、そういう見込みでございます。

 今後、花粉の少ない杉の品種に加え、無花粉杉の品種の普及にも努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

本多分科員 私も、実は最初民主党の勉強会か何かでこのことを林野庁の方から御説明いただいたときに、ああ非常に頑張っていただいているんだな、いいことだなと最初は思ったんです。

 ところが、この二十四万本とか六十万本という数字を聞くと、頑張っていただいているんだなと最初思ったんですけれども、実は日本には杉が百億本あるそうでございまして……(発言する者あり)五十億ですか。そのうちの二十四万、六十万というのは、それも五年かけてと言われますと、やらないよりはもちろんましなんですが、果たしてそれで対策と言えるのか。

 これに関して、国有林はこの方針で植えかえる場合はやっていただくのが当然だと思うんですが、その確認をしたいのと、民有林の場合は、当然民間の方がどういう木を植えていくかという最終的な判断はある程度お持ちなわけで、なかなか強制力も持ちにくいんですね。

 ですから、こういう低花粉、無花粉ができたよということでぬか喜びを患者さんにさせるのは申しわけなくて、できたものをどう普及させていくのか、これについてちょっとお考えをお聞かせいただければと思います。

大口大臣政務官 今先生おっしゃいましたように、例えば平成十五年度における杉の苗木の全体の供給量というのは一千五百万本なんですね。そうしますと、花粉の少ない杉の品種の割合というのは〇・三%、こういうことでございます。それを今度は二・五倍にしていこうというレベルでございますので、大変そういう点では、それでやったと言えるのか、こういう御指摘もあるわけでございます。

 そういう点で、私ども、もちろんこれは時間がかかることでございますし、先生も御案内のように、まず林木育種センターというところで、花粉の少ない杉だとかあるいは無花粉杉の新品種を開発して、それを都道府県の採種園だとか採穂園での母樹とするための苗木を配付する。それで、都道府県でこの苗木を用いて種子や穂木を採取するための母樹を育てて、その母樹から種子や穂木を採取する。そして、その種苗生産業者は都道府県から種子や穂木の配付を受けて、これから山に植えつける、生育できるようになるまでの苗木を育てて、そして森林所有者にこの苗木を供給する。

 こういうことで、すぐできればいいんですけれども、こういう手順を踏んでいかなきゃいけない、こういうことがありまして、私ども、こんなのでは対策とは言えないんじゃないか、もっとスピーディーに、また量も多くして、こういうことで督励をしておるんですが、時間も相当かかるということで、さらにこの量を多く供給できるような研究開発に努めてまいりたい、試験研究の推進に努めてまいりたい、こういうことで督励していきたい、こういうように思っております。

本多分科員 大口政務官も花粉症の軽いものをお持ちだということで、こういう質問をしているから想像はつくと思いますが、私もそうでございます。しかし、もちろん自分がというだけではなくて、多くの国民の皆さんを代表しているつもりで質問させていただいております。

 今のお答えも、まあ私も一たんわかっちゃうんですよ。林野庁の方から時間がかかるんですよ、この世界はと言われると、いかにもそういう感じはするんです。確かに、ほかのものよりいろいろ政策の転換に時間がかかる分野ではあると思うんですが、だからこそ今やれることをマックスやったって成果が出るのが十年後と言ったら、これでも困っている方は怒るんですよ。

 ところが、私は今の林野庁さんの感覚だと、これは四十年後に解決しますよというような程度の話なんですよ。やはり例えば六十万本というのも、とりあえずこのぐらいやってみましょうという本数ではないかと私は推測するんですよ。つまり、いろいろ種をつくるところ、苗木をつくる能力というのもこれはマックスなんですかね。

島村国務大臣 ことしの初めごろですかね、去年の秋ごろからこれはわかるわけですが、ことしは大変ひどい杉花粉だろう、こんな予測が出ました。私は、すぐまた従前のものより念を押して勉強しました。

 その際に、やはり、にわかにできないということは、今言ったように四百五十万ヘクタールだし、五十億本だし、これに対していわば杉花粉を出さない杉を開発したということですが、一%未満の百十二種類ですか、さらには無花粉杉まで出した、すごいことだと思いますし、またもう一つは花粉退治のために、何か雄花の集中したものが遠くから見るとわかるそうです、その部分を重点的に排除してしまうという方法も考えられた。

 実はそれだけにとどまりませんで、今度は食べ物の分野からこれを打破しようというようなことから、農林水産省の研究プロジェクトとして平成十二年度から本格的に着手しているわけですが、遺伝子の組み換えによりまして、いわばその技術で、杉花粉症の原因物質の一つであります米、これに導入をしまして、何をするかといったら、杉花粉を外敵とするのではなくて食物と認識するように、むしろアレルギー反応を抑えることが期待できるように、これを一定期間食べるんだそうです。そうすると、いわばアレルギー反応を起こさなくなるという効果もあるんだそうで、結局は、食べるものあるいは経口的な何かのものによってこれに対する人間の適応力といいますか、そういうものを強くするという面も当然に研究しているところです。

 現に、この組み換えの稲はもう作出済みで政策ができています。問題は、あとは、いわば生物多様性への悪影響がありやしないかとか、あるいは食品として安全性をやはり確認する必要がありますから、こういう点の検討も今しているところだそうであります。

 あらゆる面からいわば花粉に対する対策を練っている。実は私も花粉でやられているわけなんであります。

本多分科員 大臣もということ、聞こうと思ったんですけれども、人に病気を聞くのもまあどうかと思いまして、大臣からおっしゃっていただいて、それは本当に気持ちがわかっていただけると思います。

 私も米の話も聞いておりまして、それはそれで頑張っていただきたいと思います。ですから、先ほども言ったとおり、厚生労働省も薬の方もやって頑張っているんですね。もちろんそうなんですが、しかし、いい米で体質改善をしようが、いい薬ができようが、やはり今ちょっと極端に杉とヒノキという品種に偏って、そのときはそのときの事情があったでしょうし、こうなることがわからなかったので、もちろん直接に損害賠償請求をされるような話ではないことを祈りたいんですけれども、しかし、特定の品種に偏っているというこの現状を変えていくことも、幾らいいお米ができようが、幾らいい薬ができようが、必要なことで、今やり始めても何十年、短くしても十何年かかることです。

 ですから、それはほかの対策をやっているからということとは関係なく、木の話はぜひやっていただきたい。

 マックスかどうかというお答えはいただけなかった気がするんですが、例えばこれは都道府県がやること、民有林でやることもあるわけです。できるだけ督促しています、都道府県にもできるだけこの苗を使うように通知をしていますというのはわかるんですけれども、ある程度数値目標のようなものを、これだけ多くの方が困っていることですから、どうでしょう、何年後にはどれぐらい、ある意味二十四万本、六十万本というのは最初の段階でございます、どれぐらいの割合にいって、いずれは何十%は無花粉にするんだよというような目標というのは示していただけないんでしょうか。

大口大臣政務官 六十万本ということでございますけれども、これは今後五年間において花粉の少ない杉の品種の供給量というのは、原母樹からの穂木の配付量をもとに採種園そして採穂園の造成を最大限見込んでおるわけでございまして、これまでの五年間の供給量の二・五倍を見込んでおるということでございます。

 それと、今大臣も御答弁されましたが、雄花の多い杉の森林を重点的に間伐するということは、これは二〇%を抜くと五〇%ぐらいの花粉の減少になるということでもございますので、雄花の多い杉の森林を重点的に間伐する、これもしっかり進めていきたいと思います。

本多分科員 今の状況ではマックスということなんですけれども、私もそこをもうちょっと勉強したいと思いますし、せっかく同じ症状をお持ちの大臣、政務官がいらっしゃるうちに、役所の方々はできない理由を言うことが多いということはお二人もよく御存じのとおりだと思います。ですから、それをもう一歩アクセルをかけるのが政治家の仕事でございますから、お二人の支持者の方にも多くの患者の方がいると思いますので、ぜひ、この数字が本当にマックスなのかどうか、予算が足りないんだったら、ここの部分を財務省からとってくることに文句を言う政治家はいないのではないかとも私は思いますし、予算がネックであるならばそういう方法もあります。ですから、政治的な意思でできる部分では、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そして、新しい品種の話と同時に、今もう既に政務官の方からもお話をいただきましたように、別な手段ですね、雄花の多い木を抜き切りする、間伐する、枝打ちする。私も初めて林野行政を勉強したんですが、こういう通常の森林の管理でもやるようなことというのも、ある程度花粉症の対策にもなるということなんです。

 私はこれを勉強してみて、実は今林野行政というのが大変な危機に陥っていて、つまり、人手が足りない、お金が足りない、それから、木を切っても結局安い値段でしか売れないから切らないでほうっておいた方がいい、こういういろいろな要素が重なって、通常行われる間伐でさえ放置をされている例がある。そうなると、ましてや花粉症対策のための間伐をやれと言ったって、なかなかそう林業を普通に経営されている皆さんがすぐに動いていただけるとは私は思えないのでございます。

 それで、こういうことに関して、つまり、花粉症対策としての間伐もそうです、絞ってもいいんですけれども、間伐とかそういう抜き切りのようなものをしっかり進めていくために今林野庁さんとしてはどんな対策をとられているんでしょうか。

大口大臣政務官 間伐をしっかりやっていこうということで、今現在は我が国の人工林はいまだ七割以上が育成途上の段階にありまして、花粉の発生を少しでも抑制するとともに、健全な森林の育成を図っていくという上でも、間伐の適切な推進というのは重要、こう考えております。

 それで、農水省といたしましても、本年度から、団地化による効率的な間伐の推進や間伐材の利用の促進などに総合的に取り組む間伐等推進総合対策に取り組むことにしております。それと、先ほども御答弁させていただきましたように、雄花の多い杉の森林に重点を置いた間伐を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

本多分科員 多分やられることはやっているんだと思います。ただ、今私が言った、間伐が行われていないという、林野行政を本当に初めて勉強した人間の認識というのは当たっているんでしょうか、今の日本の山というのは。

大口大臣政務官 とにかく価格が低いということで、要するに、森林を経営しても経済的に成り立たないといいますか、赤字だということを聞くわけです。さらに、間伐までするというよりも、それを放置した状況になっているというのが今の現状なわけでございます。そういう点で、もちろん間伐について国が五割、地方で二割と七割の補助をしたり、いろいろそういうことについてのことはやっておるということ。

 それから林道なんかも、一番作業しやすい、作業の役に立つような林道というものの整備もしてほしいという要望もありまして、そういうことも考えていかなきゃいけないと思いますし、いろいろやっていかなきゃいけないことがある。

 それから、今、森林組合法の一部改正法がこれから、提案させていただいておるわけでございますけれども、森林組合を活用して、団地化などによって林業の経営対策を進めてまいる、こういうこともやっていきたい。

 それから、住宅の供給会社、大手の供給会社と大臣、副大臣、政務官でこの前懇談しました。林野庁とそれから国土交通省住宅局にもアドバイザーとして入ってもらってやったわけです。そしてその中で、我々としても、やはり大手の住宅メーカーに国産材をしっかり使ってもらいたい、こういう要望もしました。住友林業では、あそこは国土の千分の一ぐらい持っているそうです。あそこは四割ぐらい国産材を使っているそうです。自分のところの木を使う。ただ、森林経営においてはまだ赤字だ、こういうお話でございました。

 それで、その住宅メーカーに対して国産材を使ってほしい、こういうふうに申し入れをしたんですが、それに対して、一つは品質、ある一定の量、それから価格、こういう面においてやはり生産者の方もそういう供給体制というのをきちっとやってもらいたい、こういう要望もありましたものですから、さらに今後もこういう国産材を使ってもらうような体制ということをやっていきたい、こういうふうに思っております。

本多分科員 間伐とか枝打ちという森林の管理の面も、花粉症対策としてもですけれども、当然これから日本の、近藤委員からも指摘があったように森林は大切な財産だと私は思っておりますから、そのためにもしっかり予算をかけても、林道とか余計な一言がなければ大変いい答弁だったと思うんですけれども、政務官も御存じのように必要な林道もありますけれども、明らかに必要ではないような林道をたくさんつくってきた、スーパー林道と呼ばれるような林道をつくってきたという過去も林野庁にはあるわけですから、予算の使い方をしっかりと監視していただきたい、本当に必要なところに予算を使っていただきたいと思います。

 それで、いろいろ新しい品種、そして間伐という管理、両面あるんですけれども、私がちょっとびっくりしてしまったのを教えていただきたいんですが、実はまだ杉を植えているんですよね。白書を見てびっくりしたんですけれども、これはどういう理由でこの時期に、つまり新しく植えるということは、低花粉、無花粉は間に合わないわけですから、花粉の出る杉を今かなり植えている。これは別な品種に変えるとか、もう杉林を全部燃やしてくれという世論がある中、杉を植えているというのはどういうことなんでしょうか。

大口大臣政務官 杉は、とにかく我が国を代表する造林の樹種であるということはそうで、そしてまた造林の技術も確立をしている、それから木材利用上も重要な役割を果たしているということはそうなんですね。

 ただ、いずれにしましても、適地適木の観点から杉を植えられているというふうに考えられるわけでございますけれども、例えば、昭和四十五年に、人工の造林面積というのは三十六万ヘクタールなんですね。このときに、杉の植樹というのは十二万七千ヘクタールで、人工造林面積のうち杉の植林面積は三五%だったんですね。それが、今平成十五年はどうかといいますと、二万五千ヘクタールなんですね、人工造林の面積が。ですから、七%ぐらいになっているんですね。かなり植える面積自体が少なくなっている。九三%ダウンして七%。そして、杉の植栽自体は六千ヘクタールということで、昭和四十五年からしますと大体五%弱になっているんですね。それで、この場合の割合は二四%。ですから、人工造林の面積における割合もかなり狭まっているということでございます。

 ですから、全く杉を一切植えてはならぬということまでは、これはやはりそれを強制するということはできないわけでございます。

本多分科員 だから、その辺がもう一息踏み込んでいただきたいところなんです。つまり、もちろん、民間への強制とか自治体への強制というのはなかなか難しいと思いますけれども、国としてなかなか減らしていく、切っていくというのは、ばあっと全部切れという世論、一般の方の気持ちもあるんですよ。しかし、それが難しいのは私も勉強してわかってきたんですが、さらに、植えている量が、もちろん前から減っているのは政務官の御説明でわかりました。

 しかし、今この時点で花粉の出る杉を植えていることには、さすがに私は、世論の理解はほとんど得られない、特に花粉症の被害に遭われている方の理解は得られないと思います。

 そして、私は、杉の割合的にも、やはりこの何年間の政策で、偏って杉が多くなってしまっている。つまり、花粉症の問題がなくてもこういうものは、もちろん適地適木というんですか、それは必要だと思います。しかし、バランスをとるという観点からも、今新たにわざわざ杉を植えていく必要というのは極めて例外的なケースに限るように、検討をちょっと事務方に指示していただくお考えは、大臣どうですか。

島村国務大臣 杉花粉に苦しんでいるのにまた杉を植えている、理屈としてはそう出がちなんですけれども、実は、木もある程度の年限がたちますと、これは使用に供することができる。これを切った後ほっておきますと、災害につながります。だから、これはやはり手を入れざるを得ない。とりあえず今は、花粉をほとんど出さない、あるいは無花粉というものを鋭意やっていますが、とてもとても数量的にまだ間に合いません。したがって、大きな木を切って小さい木を植えるということにおいてはやむを得ない、経過的な措置ということであります。しかし、数字の面積も大きく減っておりますから、その意味では、こちらも野方図にこれを植えて場つなぎをしているという意味とは全く違います。

 先ほどちょっと御指摘があったんですが、林道に対する理解というのが、一方的に悪であるというふうに、こう言われがちなんですが、実は、林道と一般の道路とを、お互いが連携もなしにそれぞれがそれぞれの立場でつくった、あのいわばバブルの時代にはお互いに予算がたっぷりあり過ぎましたから、政治的にもいろいろ使われた面がある。今、そういうことはもうまるっきりありません。むしろ、林道があることによって間伐がしやすくなって、いろいろな意味であります。

 ついでに、一つ御参考までに申し上げますが、私も驚いたんですが、五十年物の杉が一本立ち木で幾らするか調べてみたんです。初め信じがたかったんですが、三千円なんだそうです。ヒノキで四千二百円なんです、立ったままですと。要するに、これを切って運んで製材するからめちゃくちゃ高くなりますが、日本の材木はなぜ高いのか、しかしもともとはめちゃくちゃに安い、ここに不採算な面が具体的に出ているように思いますので、念のため申し添えます。

本多分科員 その辺もまたしっかり勉強して、機会があれば御質問したいと思います。

 しかし、時間がなくなってきましたので、ぜひお願いなんですが、私もはげ山にしようと言っているわけじゃございません。別な品種、広葉樹もありますし、もうちょっと品種を散らす研究をぜひしていただきたいと思います。

 そして、これは実は林業政策全体にもかかわることなんですけれども、先ほど近藤委員の話の中にも、直接支払い的なものが補助金でやられているといいます。私も、実はもう林業の世界、皆さんの方針も転換をしてきていると思いますけれども、やはりこれが国際貿易のルールから阻害はしないようにしなきゃいけないんですけれども、国土の保全なんだ、そういう観点で、直接支払い的な、ある種国策としての、お金を使って保全をしていくという方向に転換をしていく。

 そういった中で、民有林だから自治体にお願いするという意味じゃなくて、ある程度、まさに花粉症の健康被害など、県境を越えて飛んでいる話でございまして、一生懸命やっている県、違う県とあったって、隣の県から西風で花粉は飛んでくるわけでございますから、僕は、これは国策でしっかりとやっていただく。

 民主党も、これからどんどん地方分権を進めるべきだと考えていますけれども、ある種しっかり国策でやるべき分野なんじゃないかと思っておりますので、この二点、直接支払い的な林業というもの、それから、ある種の中央でしっかりやっていくべき分野ではないかという指摘に関しては、いかがお考えでしょうか。

大口大臣政務官 その前に、杉につきましては、木材の利用上重要な役割も果たしているということも御理解いただければ。

 それと、林業への直接所得補償の導入につきましては、収入を林業に依存している森林所有者というのはごく一部でございまして、これは、家計充足率六割以上の方が〇・二四%なんですね。百二万戸のうち二千五百戸ということでございます。そういうことで、また林業は、生育期間がもう御案内のように長期にわたっておりまして、生産活動に伴う所得も必ずしも毎年発生するとは限らない。こういうことから、直接所得補償というものになじみにくい、こういうふうに考えております。

 また、木材価格の低迷などで、林業経営は非常に今厳しい状況にあるわけでございまして、伐採だとか造林について、それぞれの森林の所有者が、需要動向だとか立地条件だとかの経営判断に基づいて実施しているところであって、これを国が一律に推し進めるということは適当ではない、今こういうふうに考えておるところでございます。

 いずれにしても、生産性の向上とか担い手の育成だとか、今回提出させていただいている森林組合法の一部改正法案によって、施業の団地化など林業経営の対策を進めつつ、花粉の少ない杉や無花粉杉の普及など、花粉対策に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

本多分科員 まだまだ聞きたいことがありましたが、時間が来ましたので、最後に大臣の方から、今後も、もちろん当然のこと、こういう健康被害にかかわる問題ですから、党派を超えて、たまたまこの時期に農水大臣をされているわけですから、ぜひしっかりと、よく省庁連携でという話がありますが、これは林野庁だけでできることがたくさんありますから、もちろん連携しても結構ですけれども、林野庁だけの対策もしっかりと全力でやっていただきたいということの決意をお聞かせいただきたい。

 もう一点、済みません、最後に、実はサマータイム法案という法案が出てきそうでございます。私は、いろいろな点から問題がある法案になるのではないかと思っております。もちろん、議員立法ですから、大臣のお立場では今の段階で言いにくいこともあると思いますが、私は、朝の時間、日が明けてから、兼業農家の方なんか、会社に行くまでの時間が短くなってしまったり、いろいろな問題点が羅列すると二十も三十もあるんですが、農業というのは、これは実は仕事にかかわる大切な論点の一つとして、兼業農家の方に影響が出かねないと思っております。

 結論、もし、何か問題点があるという答えをいただければ、私はサマータイムに懐疑的なのでありがたいんですけれども、しっかりと、議員立法とはいえ、農業に携わって、兼業農家で頑張っている方の生活や経営を脅かしたら大変ですから、農水省としても、議員立法でも答弁に呼ばれるかもしれません、しっかり勉強していただくことだけはお約束をいただきたいので、花粉症の点と二点、最後に大臣に御答弁いただければと思います。

島村国務大臣 花粉症問題は、私、自分が担当した段階ではもう既に話が進んでいて、大変なことになっていたんです。しかし、そういうことを言っていたのではいけないので、やはりこれは将来的にも抜本的改革をしなきゃいけない。当然、省庁連携しなきゃいけません。我々はもちろん主体的にこれに対する対応をしよう、これはもう当然のことであります。だからこそ、ほとんど原稿なしに御答弁申し上げている、こういうことでございます。

 それから、サマータイムにつきましては、かつてこれが導入されたときは占領軍の押しつけだったんですね。これに対する反発が非常に強くありました。それからもう一つは、組合関係の方の、労働強化につながりやしないか、当時のことですから、これに対する批判が非常に強かったことを覚えております。もう一つは、料飲関係の人たちが、夜のとばりが落ちるのがなかなか時間がかかって、みんな健全に、スポーツに疲れるとうちに帰ってしまう、これは商売の邪魔だ、妨害だというので、大分批判がありました。

 しかし、もう時代は変わったと思います。むしろ、レクリエーションその他に時間をつくって、少し運動不足の日本人が体を鍛える機会、これは特に子供さんに言えることですが、そういう教育面を考えても、こういうサマータイムの導入というのは極めて大事なんじゃないか。特にエネルギーの消費、非常に節約につながる、ひいては、これは京都議定書の、例のCO2その他の防除にもある意味ではつながる、そういう効果が非常に大きいわけですね。

 ですから、農繁期はそれこそ期間が長いわけですから、十分、朝もう一時間早く起きてもできますし、私も農家の知り合いがたくさんいるわけで、サマータイムに対する御批判は余り聞かないように思いますので、この上ともに注意深く耳を傾けていきたい、こう思っております。

本多分科員 大臣のサマータイムに対するお立場をわかってから聞けばよかったんですが、そういういろいろな面で論争があるんですが、農水行政という立場から、しっかりと検討はしていただきたいと私も思います。

 以上で終わります。

菅主査 これにて本多平直君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科会御関係皆様方の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.