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第2号 平成18年6月6日(火曜日)

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平成十八年六月六日(火曜日)

    午後二時開議

 出席分科員

   主査 平田 耕一君

      浮島 敏男君    小川 友一君

      北村 誠吾君    土屋 正忠君

      広津 素子君    大串 博志君

      岡田 克也君    北神 圭朗君

      田名部匡代君    松本 剛明君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      田端 正広君    古屋 圭司君

   兼務 安井潤一郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   会計検査院事務総局第四局長            帆刈 信一君

   会計検査院事務総局第五局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  西川 孝一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  井出 道雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            山田 修路君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫総裁) 水口 弘一君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     小川 友一君

  岡田 克也君     柚木 道義君

  田名部匡代君     大串 博志君

  松本 剛明君     三谷 光男君

  東  順治君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     浮島 敏男君

  大串 博志君     北神 圭朗君

  三谷 光男君     松本 剛明君

  柚木 道義君     岡田 克也君

  伊藤  渉君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     田名部匡代君

  田端 正広君     東  順治君

同日

 第二分科員安井潤一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (農林水産省所管、農林漁業金融公庫、経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団)


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     ――――◇―――――

平田主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 平成十六年度決算外二件中、本日は、経済産業省所管、中小企業金融公庫、中小企業総合事業団、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 これより経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 平成十六年度経済産業省所管の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。

 経済産業省主管の歳入でありますが、歳入予算額百九十八億円余に対し、収納済み歳入額は三百二十八億円余であり、差し引き百二十九億円余の増加となっております。

 次に、経済産業省所管の歳出でありますが、歳出予算現額九千八百三十八億円余に対し、支出済み歳出額は九千六百四十七億円余でありまして、その差額百九十一億円余のうち、翌年度への繰越額は六十五億円余、不用額は百二十五億円余であります。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計でありますが、収納済み歳入額は二兆三千百十億円余、支出済み歳出額は一兆八千五十一億円余であり、その差額五千五十八億円余のうち、翌年度への繰越額は六百八十四億円余、十七年度予算に歳入計上した剰余金は三千三百一億円余、これらを除いた純剰余金は千七十三億円余であります。

 このほか、電源開発促進対策特別会計、貿易再保険特別会計及び特許特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載いたしたとおりであります。

 以上をもちまして、平成十六年度における経済産業省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要に関する御説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院増田第五局長。

増田会計検査院当局者 平成十六年度経済産業省の決算について検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十八件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二一二号は、経済協力の事前調査等に係る委託費の支払いに当たり、他の業務に従事していた日数等を含めていたため、支払い額が過大となっているものであります。

 同二一三号は、新事業支援施設整備事業の実施に当たり、補助金に係る消費税仕入れ控除税額を返還していなかったものであります。

 同二一四号から二二四号までの十一件は、地域新規産業創造技術開発費補助金、地域創造技術研究開発事業費補助金、中小企業経営革新等対策費補助金、中小企業経営資源強化対策費補助金、中小企業経営革新支援対策費補助金及び地域産業集積中小企業等活性化補助金の経理が不当と認められるものであります。

 同二二五号は、中心市街地等商店街・商業集積活性化施設整備事業の実施に当たり、補助金に係る消費税仕入れ控除税額の計算を誤り、返還額を過小にしていたものであります。

 同二二六号は、原子力災害対策施設整備事業の実施に当たり、設計及び施工が適切でなかったため、緊急事態応急対策拠点施設内に設置した無停電電源装置等の地震時の機能の維持が確保されていないものであります。

 同二二七号は、電源立地促進対策事業の実施に当たり、施工が設計と相違していたため、消防本部に設置した無停電電源装置の地震時の機能の維持が確保されていないものであります。

 同二二八号及び二二九号は、エネルギー使用合理化技術開発事業の実施に当たり、補助金に係る消費税仕入れ控除税額を返還していなかったものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、日本国際博覧会事業等における補助事業の実績報告に関するもので、経済産業省では、財団法人二〇〇五年日本国際博覧会協会が地方公共団体等に負担金を支払って実施する事業に対し、日本国際博覧会事業費補助金等を交付しております。

 この事業について検査いたしましたところ、同協会では、複数年度で施行される事業について各年度ごとに実際の事業費を確認していなかったり、負担金の支払いについて実際の事業費に基づいた精算をしていなかったりしていて、経済産業省に対する実績報告が適切に行われていない事態が見受けられました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、総合エネルギー展の開催経費の取り扱いに関するもので、資源エネルギー庁では、財団法人省エネルギーセンターが行う省エネルギー設備等導入促進情報公開対策等事業に対し、新エネルギー・省エネルギー設備導入促進指導事業費補助金を交付しております。

 この事業について検査いたしましたところ、総合エネルギー展の開催経費について、同センターが出展者から料金を徴収していて同センターには費用負担が生じていない出展者コーナーに係る会場設営費を補助対象経費としていて、補助金の交付額が過大となっている事態が認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 次に、平成十六年度中小企業金融公庫の決算について検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 続いて、平成十六年度中小企業総合事業団信用保険部門の決算について検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 平成十六年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 これらの指摘事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。

 ただ、私は、ただいまの決算報告の結果について委員長の御指名によりこのようにお答えをいたしましたが、こういうお答えをしばしば経済産業省がこういう席ですることのないように、きょうは省の幹部に厳重に申し渡してきましたから、その点、委員長に重ねて申し上げておきます。

平田主査 ありがとうございます。

 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平田主査 以上をもちまして経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井潤一郎君。

安井分科員 自由民主党の安井潤一郎でございます。

 まだやっているのかと先輩議員からは言われておりますが、まだ地元の早稲田商店会の会長を務めさせられております。いわば地域商業の活性化について、現職商店会長の立場として御質問をさせていただきたいと思います。

 実は、先般、四月二十八日から五月四日まで、幹事長のお供で、中国、モンゴル、視察へ行ってまいりました。大連では、二階大臣が客員教授をお務めになられている東北財経大学を拝見させていただきました。

 各国を回って、それほどいろいろなところを存じ上げているわけではないんですが、行って、見て、何がわかったかといいますと、実は商店会というのは日本独自のシステムなんですね。八百屋さんの組合とか本屋さんの組合、酒屋さんの組合、同業者、ギルド、そこで働いているいわばユニオンのような形はあるんですが、現実問題、地域の異業種交流の組織というのは、世界じゅう探しても、アメリカもイギリスもそして中国も、もちろんモンゴルもなかった。

 王府井だとかシャンゼリゼだとかフィフスアベニューのような、いわば表側に名店が並んでいる、ここの組織はあります。でも、ここのお店の経営者のただの一人も、ここで生まれても育ってもいないということであります。この地域の中の、生まれて育って、ここで住んで、ここで子供を育ててもらったという、我々こそが町づくりという言葉を言えるんだということを強く感じて帰ってきた次第であります。我々だからこそ、日本の商業者のこの集まりだからこそ町づくりが言えるんだというふうに思っております。

 そこで、五月の三十日に大臣が御発表になりました「がんばる商店街七十七選」、これをおつくりになられた作成の理由と、そしてこの冊子、この本をどのように使っていきたいのかという部分についてお話をいただきたいのです。

二階国務大臣 全国に商店街の登録をしていただいている方々の集まりが約一万三千ぐらいおありでありますが、その中でも、安井議員がリーダーとして御活躍をいただいております早稲田商店街は、そのリーダーの中でも最もすぐれたリーダーの一人であるというふうに我々感じており、敬意を払っておるわけであります。

 そのような元気旺盛な商店街、しかも、ただ鉢巻き締めて元気があるというだけではなくて、私は、安井会長の商店街はやはり知恵があると思います。そして、ひたすら努力を重ねておる、その結果がやはり買い物に来られるお客様たちの心に響くのだろう、そのように思う。だんだんとそうして定着してまいりますと、何となく時間があいたらそこへ買い物に行く。極端に言えば、要らないものでも買うというぐらいの気持ちにずっとなっていくわけなんですね。ですから、そういう意味では大変すぐれた商店街だと思っております。でき得れば、早稲田商店街のような商店街が、全国一万三千の商店街に、あまねくその気風が通ずることを願うものであります。

 先ほどまで中小企業金融公庫の総裁もおられましたが、そういう制度金融あるいはまたいろいろな補助金等を活用していただくことも大事ですが、ただいま委員からも御指摘のありましたとおり、そこに定住される商店の主が集まって、みんなの力を結集してそこに立派な商店街を築いていく、このことが大変大事であって、私たちは、チャレンジ精神の旺盛な商店主や商店街の方々、そのすばらしい特色、意欲ある商店街そのものをあまねく全国にアピールしていくということがこのねらいであります。

 本当は、百選びたいと思っておりました。しかし、選ぶのには、何でも百そろえるのには、一万三千もあるわけですからそれは問題のないことでありますが、やはり上のレベルでしっかり頑張っておる人たちとの間に少しごちゃまぜになるところがあるから、七十七ぐらいのところがちょうど区切りがいいということでありましたので、それじゃ七十七でもいいということで、選に漏れた県が幾つもあります。しかし、それはそれで次にチャレンジしてもらえばいいわけで、これから先は、これでおしまいというわけではなくて、この冊子を各地に配付した後、私の側から申し上げるのはいかがかと思いますが、非常に評判がよろしいです、率直に言って。

 先ほども、官邸で総理とAPECの報告をしておりまして、もろもろの話の中からこの七十七選の話になりました。総理も大変喜んでおられて、先ほど総理の側から、改革を続ける五十の市長さんたちが集まっている何か会があるそうです、その会が昼から行われるので、そのときにぜひ総理がこれを持っていって説明したい、何とか五十そろうかということで連絡がありまして、さっき取りそろえて中小企業庁から官邸へお届けしたわけであります。

 そういうことで、大変注目をいただいていること、結構でありますから、今度は、この七十七選に選ばれた皆さんに東京に集まってもらって、そしてみんなで展示して競争する。また、相手のいいところを見習う、そういうことをやってみたい、やっていただきたいと計画をしているところであります。

 やはりどこの地方にも商店街というのは、先ほど安井委員が言われたように日本独特のものであるかもしれませんが、存在するわけですが、そこがやはりみんなで知恵を出し合って、どうすればこの商店街が魅力あるものになるか。

 そして、やはり、よく昔から、これは安井議員の方が専門家でございますが、スズラン灯をつけたらどうだ、あるいはカラー舗装にしたらどうだ、それから、屋根にアーケードを張って雨のときにも困らないようにしようというんですが、それも私は一つの手だと思います、否定はいたしません。しかし、私も多少の経験に基づいて考えれば、ああいうことをやっただけで客は来ないんです。それは、専門家の安井さんの前でこんなことを言うのは恐縮ですが、やはり私が見たところでも、路面をカラーにしたからといって、一回は見に来てくれますが、そんなことだけで客が定着するわけではない。そういうことからいうと、本当にこれは難しい課題なんです。しかし、挑戦しがいのある課題なんです。

 ですから、安井議員が今全国で引っ張りだこで、私の前職の総務局長の立場からいうと、全国区でやっていただいた方がよかったんじゃないかと思うくらい、どこの町へ行っても、安井さんという今度当選された早稲田商店街の会長、一遍私たちのところへ来てもらうわけにいかぬでしょうかね、こういう声がかかること、私は、安井さんの身になっても大変なことだと思いますが、うれしく思っております。

 どうぞこれからも、私ども経済産業省、よく役人言葉で、指導するという言葉をついうっかり言われる人が多いんですが、私は、指導するなんという言葉を役人が使っちゃいけない、どこを指導できるんだ。生まれてこの方、前垂れを当てて、鉢巻き締めて、いらっしゃいと言ってお客に声をかけて、そしておつりを差し上げて、ありがとうございましたとおじぎをする、あのことをみずから体験したことのない者が、営々と努力をしてやっておられる商店主をつかまえて指導するという立場なんかに立てるわけがない。むしろこっちが指導してもらいなさい。

 それで、全国の出先の経済産業省の局がありますから、私はそういう人たちに、今度の法律の制定後、新たな観点から次のステップを展開していくためには、やはり勉強に行ってもらおう、現地に行ってもらおう、こういうことで、今度の七十七の皆さんにははっぴをつくって記念として差し上げたわけでありますが、経済産業省そのものがはっぴを着て町に出るぐらいの気概で取り組んでいきたいと思っております。

安井分科員 ありがとうございます。

 何か、質問に来たんだか褒められに来たんだかわからなくなってきたような状況ですが、私どもの町も選んでいただきました。できますれば、選んでいただいたことを各地域で、その地元、地元でお祝い会をやろうというふうに御指導いただきたいと思います。要するに、商店街は自分たちだけでやっているんではない、町ぐるみで動いているんだ、ですから、商店主が国からこんなに褒められたぞという形のお祝い会をぜひ御指導いただき、できれば二階特使のような形で、経済産業省、また喜んで私も、その七十七、いわゆる連携の中の一つのきっかけにさせていただければと思っております。

 次に、全国の市町村では、今、商業振興条例がつくられたり、つくろうとしております。ただ、現場の方から見ると、ここの中で一つの足りない部分があるように感じております。それは何かといいますと、商業振興条例で、今ある八百屋さんをどうしようとか、今ある肉屋さんを元気にさせようとかということばかりで、新しい血を入れるという観点がどうも現状の商業振興条例の中では足りないような気がいたします。やはり、新しいアイデアを持った人たちが、これから先、だったら八百屋になるよとか肉屋になるよと。

 では、具体的にどういうことかといいますと、八百屋さんが野菜と果物を売っている限りにおいては、保健所の営業許可は要りません。そこで野菜ジュースをつくって、フルーツジュースをつくると、飲食店営業という形の中で動かざるを得ません。そうなると、二槽のシンクが要って、手洗いが要ってということになってしまいます。

 肉屋でいいますと、ハム、ソーセージ、ベーコン、自分の店でつくれるのはソーセージだけであります。調理という観点の中からソーセージだけ。ハム、ベーコンは、製造業という形の中で、大変難しい四十日間の講習等々を受けなきゃならないというふうになっております。

 このあたりのところをいろいろな形の中でクリアしていただければ、だったら八百屋になるよとか、だったら肉屋になると。ヨーロッパの肉屋さんの売り上げの八割は自家製のハム、ソーセージ、ベーコンであります。一割が生肉で、一割がデリカテッセン。食文化が違いますから全く同じになるとは思えませんが、今の生鮮産品、いわば商店街の基幹産業と言われているこの生鮮産品が元気になるためにも、ぜひ、新しい血を入れるという商業振興条例をお考えいただくことにはならないでしょうか。御質問させていただきます。

望月政府参考人 先生の御提案に直接お答えすることになるかはちょっとよくわかりませんけれども、今、商店街の振興につきましては、現場の皆様方の頑張りに加えて、国も地方自治体も、何とか後押しができないかということで知恵を絞っている最中でございます。

 その中で、幾つかの自治体では商店街の振興を目的とした条例というものが策定されているわけでございまして、これは条例でございますので、支援策の精神を各地方自治体の中で表明しているということでございまして、具体的なことはなかなかそこには書けないわけでございますけれども、そういう自治体がございます。

 私どもは、こういう自治体の自主的な動きについては、商店街の政策の性格上、自治体の自主性でやっていただいていることについて本当にありがたいと思いますし、心から支援するわけでございますけれども、なかなか、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、ああせい、こうせいと国が指導するような時代でもございませんものですから、そういった自治体の判断で行われているいい話をほかの自治体にも情報としてお伝えをしながら、こういった動きが広がっていくことを、私どもとしては何か後押しができるかというようなことをやっているわけでございます。

 肉屋さんの話も、私どもとしては、それは先生の御知識の中からおっしゃったんだと思いますので、勉強しなきゃいけないし、それから、これは厚生労働省なり農林省のお考えもおありだと思いますので、お話もしていきたいとは思いますけれども、そういった、地域における商店街発展の知恵というものを何とか中小企業庁としても糾合しながら、商店街の将来に向けての発展の仕方というのを考えていきたいというのが基本的な姿勢でございます。

安井分科員 先ほど大臣から、日本じゅうの商店街、安井ちょっと来いと言っていただいているという、大変ありがたいと思うんですが、外の商店会に行きますと、よく、中心市街地活性化、まちづくり三法の見直しで、もうこれで郊外で一万平米以上の大きいものはできない、これで商店会は息ついたというような言い方をされることがあります。

 私がいつも申し上げているのは、そんな法律じゃないよと。やはり選択と集中、選択というのは選ぶということ。具体的にはどうやって選ぶのかといえば、具体的な数字があるかないか。いわば、来外者がふえたか、空き店舗が減ったか、そしてどことどれだけのネットワークをしているか、もっと言うと、商店主の平均年齢を下げることができたか等々の具体的な数字がないと選択されない。そのかわり、一度選択、選んでいただければ、徹底的に、いわゆる固定支援まで入ったサポートがあるんだというふうにお話をさせていただいていますが、そのあたりのところが、どうも末端の商店会のところまでなかなか意識として出ていない。このあたりのところをぜひ広く周知、啓蒙を徹底していただきたい、これは意見として申し上げさせていただきます。

 商店会がよくなると、実は次の問題が出てきます。具体的に言いますと、そこの商店主が全部貸して、自分は外へ出てしまうんですね。

 具体的な例でいいますと、私ども早稲田、一番近いJRの駅は高田馬場というところであります。今、高田馬場の駅の乗降客は一日九十万人と言われております。一つ先の新大久保、その先の新宿が三百三十万とか三百六十万と言われている。ただ、新宿駅はいろいろな出口がありますから、高田馬場は早稲田口と戸山口、ということは相当な混雑。その高田馬場の駅前は、実は今、坪二十万で家賃が動いております。十万だったらすぐにテナントさんが決まります。

 十坪の肉屋で一日十万は売れません。売れたとして二十五日で二百五十万。粗利三割とれない。でも、とれたとして、三割とったって七十五万。そこから電気、ガス、水道、それからパートさんにお給料を払ってということになったら残らない。ところが、十坪で坪二十万だったら二百万が手に入る。これは、自分の地域を利用するということだったら、商店会はやめろとは言えません。ところが、全部貸して、そこの御主人が外に住むんですね。外に住むと何が起こるかというと、地域に責任を持たなくなる。実は治安が崩れるという原因になっております。

 巣鴨のとげ抜き地蔵というのがあります。とげ抜き地蔵の商店街というのは、そこの商店主の九割が実は上に、二階に住んでおります。ですから、風俗は入らない、パチンコ屋さん、まあパチンコ屋さんを悪く言うつもりはないですが、要するに町づくりの中の必要でない業種は入れないというふうになっております。

 こういう形の中で、商業者を二階に住まわせる、いわば商業者が二階に住んだら固定資産税を安くする等々の何かインセンティブを与えて、町に責任を持たせる。だって、たった百五十年前、道路も消防も警察も全部町場の衆がやっていたんじゃないか。面倒くさいから役所に任せただけであって、もうそろそろ自分たちの町は自分たちで責任を持とうよという、そんな時代が来ているのではないか、そんな気がしますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 商店街が夜になりますと閑散としてにぎわいを失ったり、治安上も問題があるという議論は、私どももよく伺う話でございます。

 中心市街地の活性化のためには、居住者をふやすということは、にぎわいの回復のためにも非常に大事な要素であるというのが、今回の中心市街地活性化法の議論の際にも焦点の当てられたことでございます。したがって、今回改正する中心市街地活性化法におきましては、国土交通省と協力いたしまして、空き店舗対策に加えまして、町中居住の推進ということに向けた政策ということが一つの柱になっているわけでございます。

 ただ、先生御指摘の、一階で商売を行う事業者が二階に居住する場合に固定資産税をまけてみたらどうか、こういう減免するという案につきましては、これは固定資産税の性格上、市町村の権限、判断であろうかと思いますので、この場合、ただ一方的な税収減になるような仕組みになっている場合には、市町村においての政策判断はなかなか踏み切れないのではないか、そういうものが実態ではないかと思っているわけでございます。

 私どもとしては、今回の中心市街地活性化法を含めましたまちづくり三法の改正の中で、町中居住の推進というのを国土交通省の施策とあわせまして大いに推進したいし、それと一体となった商業の活性化ということが基本であるということを十二分に認識しているところでございますので、私どもも、あるいは国土交通省の補助金なども含めて、町中居住のために必要な施設整備だとか、あるいはソフトの施策だとかいうものを集中していきたいと思いますし、制度上のそういう施策を用意しただけでは先ほど来の御議論のように解決しないわけでございますので、その中で地域の、市町村を含めた地元の皆様方が、こういう活動をやって町中居住をふやしていくんだということについて、こたえられる案については一生懸命おつき合いをしていきたいし、支援を後押ししていきたいというふうに考えておるところでございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 今、長官のお言葉の中にありました、空き店舗対策というのがあります。シャッター街になってしまった等々よく言われるんですが、実は、空き店舗は宝の山だというふうな発想もあります。

 なぜならば、今の町中居住のところでいえば、今、日本で一番アクセス数の多いホームページは子育て支援のホームページだというふうに言われております。日本で一番アクセス数が多いということは、一番困られている、一番悩まれている。ということは、地域の中でそういう子育て支援のいわばプラットホームのような形で出てくると、そこに人が住みやすくなる、ここなら安全、安心という部分体がありますので、ぜひそのあたりをお進めいただきたいんですが、実は、空き店舗の情報というのが、商工会議所、商工会そして商店会連合会と全部ばらばらになっております。大臣の御地元の和歌山で、和歌山から御出身になられた方が地元に戻って商売をしたいというふうに考えても、実はどこを見たらいいのかというのはわからないんですね。それは、宅建の問題がありますから、許認可の問題もあるのはわかるんですが、ここが今やめようとしているよとか、そういうのは、商工会議所さんの経営指導員さんは一番の、やめたいという話のところから出るわけであります。

 ぜひ、商工会、商工会議所、商店会連合会のホームページ情報の一本化ということについてはいかがでしょう。

望月政府参考人 御指摘のように、商店街で新たに商売を始めたいという事業者の方々が、どの町のどこに空き店舗があるかという情報を簡単に手に入れるということが、非常に重要な空き店舗対策の第一歩だろうと思います。今、御指摘になられましたように、幾つかの地域の商工会議所や商工会で空き店舗情報の無料サイトの取り組みがあることも事実でございます。

 先生御指摘にございましたように、ただ、それはそれぞれのホームページにアクセスをしないとうまくいかないというのが今の実態でございまして、私どもも、中でその議論をしたりいたしますときに、リンクの仕組みをつくればいいじゃないかということがございましたけれども、私は、きょう先生とこの御議論をさせていただくに当たりまして、そんなリンクなんというまどろっこしいことをしないで、一元的なポータルサイトをつくったらどうかということをぜひ検討すべきだという議論をいたしました。

 今回の中心市街地活性化法の改正で新たな道に進むわけでございますけれども、その中で、こういった全国の商店街空き店舗情報を一元的に閲覧することが可能なポータルサイトを整備するということを、さまざまな問題点もあろうかと思いますけれども、ぜひ早急に検討をし、関係業界団体とか市町村の皆様方との情報提供事業と連携しながら、一刻も早くそういうものをつくってやりたいというふうに思っているわけでございます。

 空き店舗を活用したいというのは、従来事業をやっておられた方だけじゃなくて、今、若者とかいう中で、サラリーマンよりも小売をやりたいという方が結構おられることも事実でございまして、私どもの中小企業基盤整備機構が支援をしながら商工会議所にお願いしたりしている、商人塾というのをやっておるわけでございますけれども、こういった中で、そういった経験のない若い人たちが小売をやりたいので勉強をしたいといって参加される方が数多くおられます。したがって、潜在的な需要は相当あると思いますので、その辺、ぜひ前向きに努力をしたいというふうに思っているわけでございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 ぜひそのような形で、あそこの町で商売したい、そういう人が入ってきてくれれば、町にとっては宝であります。

 宝でありますその人たちが、万々が一震災でもしものことがあったら、これは大変だ。今、切迫しているとまで言われている首都圏直下型地震。当然のように、自分たちの町は自分たちで守ろうというテーマですので、この商店会でも、今各地の商店会がネットワークを組みながら震災対策に走っております。

 それともう一点。実は、昨年七月の二十六日、中央防災会議で、私はまだもちろん議員になる前でしたが、小泉首相以下全閣僚の皆さんを前にして十分間、町での活動を報告させていただきました。

 その中で何を申し上げたのかといいますと、耐震補強工事、今、壊れるけれどもつぶれないということをテーマにすれば、百万円ぐらいでできる。昭和五十六年以前の木造建物、既存不適格建物が今一千百五十万戸ある。一千万戸で百万だったら十兆円。必ずあると言われる震災、だから、この国には十兆円のビジネスが内在している。昭和五十六年以前の木造建物だから、お住まいになっている方は高齢者だ。高齢者だから、もう車運転しないから、二階に上がるエレベーターをつけてくれ、バリアフリーにしてくれといったら四百万。ということは、四十兆円のビジネスがこの国には内在しているんだというところでいうと、この震災対策、防災への取り組み、耐震補強というのは、考えてみると、国交省の問題と言われるかもしれませんが、実は四十兆円のビジネスというふうに考えたときに、これは経済の活性化が大いにあるとすれば、経済産業省としては何かしらのお考えがあるかどうか、ちょっとお聞かせいただきたい。

望月政府参考人 済みません、中小企業庁を超えているかもしれませんけれども、今、大臣の御指導で、新成長戦略というのを私ども産業政策局が中心になっていろいろやっておるわけでございます。その中で、どこに経済の新しい需要が真に国民生活に深いところであるかということは当然前提として考えているわけでございまして、そんな中で、今、耐震補強の話を含めて、住宅に関する需要というのは大きな要素ではないかと思っております。

 具体的にどんな格好で進めていくのか。これは政策の立て方でございますし、当然、国土交通省を含めた本チャンのところが、おやりになるところがあると思いますけれども、経済の活性化のためにも非常に必要なことではないかと、ちょっと僣越ながら思っております。

安井分科員 ありがとうございました。

 実は、六月の十七日に都市センターホールをお借りして耐震補強フォーラムというのが開催されます。これは、今申し上げた耐震補強工事の最新の状況が、こんなのがあるよということであります。ぜひ経済産業省としてもごらんになっていただきながら、こんなような形で、町場の大工、工務店さん、いわば一人大工、一人親方がやはり食べていくのが大変な状況のときに、これがもし行政の信用が付与されるようならば、すばらしい活動になるのではないかというふうに思っております。

 それともう一点。皆さんのお手元にきょう配付させていただいた、震災疎開パッケージ。これは御報告なんでありますが、商店街がみんなで連携して、もし震災が起こったら、災害救助法の認定を受けたら、その人たちをお互いに受け入れようということで今商店街が動こうとして、そして農林水産省の、まちむら交流きこう、いわばそんなところでやっている。商店会は、徐々に徐々にですが、動こうとしている。この部分体を含めて、先般のまちづくり三法の見直し、中心市街地の活性化、あれを御英断いただいたということで、まるで底びき網のように全部持っていっちゃうというところから、ちゃんと一生懸命やれよという形にしていただいたということについては、大変感謝を申し上げます。

 実は、九月の五日、六日、全国リサイクル商店街サミットというのを愛知県の春日井市で開催いたします。いわゆる環境というのを切り口に、商店街の活性化ということで活動している日本じゅうのお仲間が集まります。

 今まで、こういう中で大臣がお見えになったことはありません。ただ、九月の五、六ですから、総裁選のときで、確実に二階大臣はキーパーソンにおなりになられているということでお忙しいと思いますが、もしできましたらおいでいただけたら、商店街のお仲間、みんな喜ぶのではないかと申し上げて、私の質問を終わりにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

平田主査 これにて安井潤一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 民主党の柚木道義でございます。

 本日は、大臣、副大臣、あるいは答弁者の皆さん、長時間御苦労さまでございます。多少他の質問者の方と重なる御質問等もあろうかと思いますが、御了承いただければと思います。

 さて、早速でございますが、質問に入ります。

 来月、七月にロシアで開かれる主要国の首脳会議、サンクトペテルブルク・サミットに先立ちまして、この九日よりのG8の外相会合がございまして、そこでは、原油高対策や、新エネ、省エネについても協議されるというふうに聞いております。また、経産省といたしましても、先月末に新・国家エネルギー戦略をまとめられ、二階経済産業大臣みずから経済財政諮問会議でも報告されたというふうに伺っております。

 御承知のように、資源のない我が国にとっては、まさにエネルギー外交による資源確保は大変重要であり、と同時に、我が国はその資源を最大限に有効活用し、加工貿易で製品輸出を行う、つまり、ものづくり立国でここまでの経済発展をなし遂げたわけでございます。

 そこで、本日は、このエネルギー外交及びものづくり立国の基盤・環境整備としての税制、新エネ、省エネ技術の開発支援などを中心に、具体事例といたしまして、私の地元に水島コンビナートがあるものでございますから、そちらの政策課題も幾つか取り上げさせていただきながら質問をさせていただきたいと思います。ぜひ、大臣初め答弁者の皆様の、ものづくり立国日本の未来に向けた前向きな御答弁をお願いするものでございます。

 まず、我が国のエネルギー外交に関してでございます。

 新聞報道等でも最近特集もされておりますが、ある新聞記事にはこのようにあります。欧米ではパイプラインを国が敷設したり、民間事業に利子補給したりするが、日本はエネルギー確保に向けた政府と民間の役割分担が不明確で、長期的、総合的戦略に欠けると言わざるを得ないと。イランへの原油依存リスク、天然ガス資源に関係するロシアとの協力関係の強化など、政府としての具体的な方策が求められております。政府としては、新・国家エネルギー戦略に基づき、今後さまざまな施策を行っていかれるものと思われますが、ここで一つ具体的にお尋ねしたいと思います。

 私の地元水島コンビナートには、大臣も御承知だと思われますが、西日本最大と言われる製鉄所がございます。原油価格が高騰するのと同様に、鉄鉱石なども資源インフレとなっており、鉄鋼各社は原材料の確保に大変苦慮している実情もございます。鉄は産業の米とも言われるわけですが、鉄鋼原材料の安定確保に向けても政府として働きかけをするなどの、原材料確保のための支援措置を今後拡大すべきだと考えますが、大臣の御見解、いかがでございましょうか。

西野副大臣 鉄鋼原材料の問題でございますが、これは我が国では、一義的には鉄鋼のメーカーがいわばその国と、供給国と長期契約を結んでおりまして、それに基づいて安定的に供給は確保されることが期待されておるところでございます。だからといって、政府は一体性がないではないかという趣旨のお話もあったようでございますが、実は政府としては、しっかりとしたこれらの民間交渉の中で後ろ盾をやっておりまして、その役割を存分に果たしておるつもりでございます。

 例えば、具体的に申し上げますならば、鉄鉱石等々、これは山でございまして、鉱山でございますから、鉱山の開発について、我が国の先進技術がございますので、そういうものに対する開発の支援。さらには、せっかく掘り出しましてもこれを港まで運ばなきゃなりませんから、それの途中におけるインフラでございますね、鉄道を含めたそういうものに対する投資、支援。あるいは、港に出てまいりましても、港から積み出しが、ここが例えば非常に用途的に限られているとかいうこともございますので、その積み出し港の開発、これも非常に大事なことでございまして、現にそういう要求も国々からあるわけでございます。

 さらに、民間が行います場合には、当然ながら、我が国としても国際協力銀行を通じて融資を行う。しかしながら、他国でございますので、必ずしもその国が安定的な国情でない場合がございますから、そういうことも含めて、いわゆる日本貿易保険というものについてもしっかり支援をして、いわばそのように総合的に推進を政府として行っておるところでございます。

 一例を挙げますならば、インドの例をとりたいと思いますが、インドの場合は比較的高品位の鉄鉱石の輸出等があるものですから、これに対しては、インド政府が逆に閣議決定を必要といたしておるわけでございます。したがって、我が国のメーカーにおきましても、とりあえず五カ年の長期契約というものを結んでおったんですが、これが切れることになったわけです。幸い、先般の会合によりまして、二階大臣を含めまして、二〇一〇年までの新たな長期契約を、政府が関与いたしまして、締結を実現いたしたところでございまして、このような問題があるわけであります。

 さらに、中国等におきましては非常に急激な経済成長がございまして、率直なところ、供給がちょっと間に合わない、こういう状況もございます。むしろ鉄鋼の過剰生産をしているのではないかという向きがございますので、したがいまして、それに対する改善を中国政府に対してむしろ働きかけている、そういう作業もやっておるところでございます。

 一方、国内におきましては、やはり品位の劣る石炭でありましても鉄鉱石でありましても、それをむしろ利用できるような、そういう国内の技術開発というものも当然必要だというふうに思っておりまして、それらにも取り組んでおるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後の石炭等々の安定供給がもたらされますように、いろいろな取り組みを推進してまいりたいと思います。

柚木分科員 御答弁ありがとうございます。

 さまざまな技術開発やインフラの整備等、一体として取り組んでいただいておるという御答弁でしたので、他国と比べた際に、そういった部分の、先ほどの質問の指摘があるということをお踏まえいただいた上で、今後とも一体的な施策の取り組みをお願いしたいと思います。

 そういった戦略的エネルギー外交においては、これは質問いたしませんが、御承知のとおり、いろいろな政治的あるいは歴史的課題と言ってもいいかもしれませんが、障壁となる場合もあると思うんですね。エネルギー外交というからには、ここはぜひ、今副大臣御答弁いただいたわけですが、大臣におかれましても、あらゆる意味で、さまざまな障壁を乗り越えていただいて、我が国のエネルギー外交、あるいは外交そのものにも御尽力をいただきたいと思います。

 そうしたエネルギー外交と同時に、我が国としましては、世界全体の持続可能な経済活動に主体的に取り組んでいかなくてはなりません。そこで、次に、地球規模の温暖化対策、そして途上国との共存についてお伺いをしたいと思います。

 世界のCO2排出量は、中国そしてアメリカで約四〇%というふうに聞いておりますが、御承知のとおり、アメリカは、京都議定書、これは署名をしているにもかかわらずいまだに批准をしていない、あるいは中国またインドについても未署名のままである。

 ところで、日中間には、日本国政府及び中華人民共和国政府による二十一世紀に向けた環境協力に関する共同発表というものがございます。その中に地球温暖化防止についても触れてございます。そこには、「双方は、一九九七年十二月に採択された「京都議定書」が、国際社会が手を携えて地球温暖化防止に向かって進む第一歩と認識する。双方は、「京都議定書」の早期発効、及び関係するプロジェクトレベルを含む協力の展開を推進することにつき意見の一致をみた。 双方は、両国政府の関係機関が外交ルートを通じて、上記の分野における協力に関し緊密に協議を行い、その実施の進展状況を検討することを確認した。」とあります。

 この後の両国の間に、CO2削減に関して大きな前進は認められないというふうに私は承知をしておりますが、今後の進展はどうなのか。これは、通告では外務省の方にお願いしておりますのでお答えもいただきたいんですが、その前に、ぜひ二階経済産業大臣にできればお答えいただきたいのですが。

 大臣は、先日、来日中の中国の商務大臣と京都迎賓館で会談をされておられますね。日中間の貿易と経済協力に関する中長期ビジョンを共同で策定することで合意をされておられます。そういった御努力をされておられまして、日中間、外交関係が冷え込んでいると言われる中でも、経済面からの両国の関係の維持あるいは改善を図る、そういう働きとして私は評価をできるものと考えております。

 こうした背景を考えた上で、大臣としてお答えいただける範囲で結構ですから、京都議定書に基づくCO2削減についての御見解をお答えいただければと思います。その後で外務省の方、お願いできればと思います。

二階国務大臣 まず、中国との間の関係でありますが、例えば、省エネルギーの問題あるいは環境問題等を考えてみましても、我々の隣国であります中国で、こうした問題について、世間で言われておるとおり、石油はがぶ飲みをしておるではないか、環境問題についてもまだまだ初歩的な段階といいますか、大変困難な局面にもしばしば遭遇しておられるような様子である。

 そこで、私は、これらの二つのプロジェクトにつきまして、今後とも日中が協力していくようなことでやっていこうと再三話をしまして、先般京都におきまして、これは薄熙来部長と、商務大臣ですね、バイの会談をやらせていただきましたが、後に東京で、中国側から約二百六十名ぐらい、日本側からは五百五十名ぐらいの、産業界あるいはまた学者、それに技術関係の役人の皆さん等が一堂に会して、日中エネルギー・環境フォーラムなるものを開催したわけでありまして、来年は中国で開催する、お互いに交互に、これらの問題について共通の課題として取り組んでいこうということを約束した次第であります。

 なお、京都議定書の問題でありますが、私は大変残念に思うことは、例えばアメリカであるとか、あるいは中国であるとかインドであるとか、さらにブラジルであるとか、この地球上の大部分を占めるような大国が京都議定書に参加をしていない。私は極めて残念だと思っております。

 先般も、私のアメリカのカウンターパートでありますポートマンという通商代表、今度予算局長にかわられるわけでありますが、そのために、大統領からの内示に従って私に電話をかけてこられて、今度こういうことにポジションがかわる、後任の者にはこういう人がなる、こんなごあいさつの後で、いろいろなやりとりをする中に、このときやはりちゃんと言っておかなきゃいけないと。ちょうどその日は国会でも環境問題についての質疑も行われたわけでありますので、私は、京都議定書の問題について、アメリカが参加されていないということは、やはり京都議定書の問題を進めていく上において大きなネックになっておると。

 そしてまた、中国やあるいはインド等、これは環境問題においては発展途上国のようなことを言われておりますが、私は、そうではなくて、あれだけの実力のある国が発展途上国の名を冠して環境問題には関与しない、こんなことを許しておいて地球的規模の環境政策なんかできるわけがない。今委員御指摘のとおり、ごく一部の人たちが地球規模の環境と言っておるにすぎないことになる。

 私は、そうした面について、あらゆる国際会議、あらゆるチャンスをとらえて、この問題に対してはやはり日本からもどんどんと発言していくべきだというふうに考えております。日米間、いろいろな交渉のルートがありますが、機会あるごとにアメリカに向かって、環境問題についてお互いに協力しようではないか、アメリカもリーダーシップをとってもらいたいということをやはりもっときちっとした形で述べるべきだ、私自身はそう思っております。

西野副大臣 若干補足をさせていただきたいと思いますが、とりわけ具体的に中国、アメリカの両国の名前が出てまいりました。確かに、鉄の例をとりますならば、中国の場合は我が国より約三倍の需要があります。しかしながら、そこで発します、同じ与えられたエネルギー効率というものは、数字の上では我が国と実質九倍の差があります。ロシアに至りましては十数倍の差があります。文字どおり、我が国は省エネルギーということについては先進国であるというふうにも自負をいたしておるわけでございます。

 一方、もう一つ、CO2の問題につきましても、この議定書の中には、排出大国であります米国を初め中国等が加盟をいたしておりません。できればこれを補完する意味合いにおきまして、この一月に、APP、アジア太平洋エネルギー環境閣僚会議というものがシドニーで開催をされました。この折に、二階大臣にかわりまして私も小池環境大臣とともに出席をしたわけでございます。このときに、我が国の省エネルギーの問題についてしっかりと提案をしてまいりました。

 しかし、これは単に政府間でなしに、実質的にやりますのは民間でございまして、重立った民間も我が国からも他国からも参加をいたしまして、文字どおり検討会をいたしました。通常、国際会議というのは、一過性のものでございまして、どちらかというと余り継続性がありません。しかし、これの特徴は、これを実現化していくためには、それぞれセクションを八つほど分けまして、我が国は、鉄等々の議長国として既にもう第二回の会合を実務的にも進めておるわけでございまして、いわゆる京都議定書に、枠組みに入らない大量の排出国を入れ、かつ民間も入れ、実際の効果の上がる方法はどうあるべきか、そういうものをそれぞれのセクションごとに詰めを今いたしておるわけでございます。

 文字どおりの地球温暖化防止のために、これらのものが一つの大きな今後の課題になってくるといいますか、期待されるものになってくるのではないか、今二階大臣から発言のありました、いろいろな会議を通じというのはそこにあったのではないかというふうに思っておるわけでございまして、精いっぱい経済産業省としても取り組んでまいります。

柚木分科員 済みません、ちょっと質問通告の時間がありまして。ごめんなさい、外務省さん、次の質問でまとめてお答えいただきたいんですが、今お答えにありましたようなAPPを通じての取り組み等を含めて、ぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、中国の関係のお話もございましたが、ODAのあり方について、次に外務省の方、あわせて御答弁いただきたいと思います。

 先ほどの話の中にもございましたように、環境保全といいますか、あるいは技術開発というか支援というか、そういった本当の意味で日本として貢献をよりし得る分野に、ある意味では特化したODAのあり方、そういったものを中国を中心にさまざまな、開発途上国という言い方がどうなのか、あるいはもう既に中国のように大変に台頭をしている国も含めて、中心に、継続、重点化し、また当該国への広報、知らない方がほとんどなんということになるとこれは大変残念な状況でございまして、その効果検証を厳密に行うべきと考えますが、具体的にそれをどう行っていくのか、御答弁をいただけますでしょうか。

杉田政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国の対中ODAでございますけれども、我が国にも直接影響を及ぼすような中国の環境問題への対応というのが重点分野の一つとなっております。例えば、二〇〇四年度の円借款の約九四%というのが環境分野に支出されております。

 それからもう一点、中国に対する広報でございますけれども、対中国ODAに対しての中国国民の理解を深めるというのが非常に重要だということは、御指摘のとおりでございます。

 具体的には、中国語のホームページをつくりまして、それによって情報発信をする、あるいは現地メディアを対象とした経協プロジェクトの視察ツアーなどを実施するというようなことを行っております。また、中国のODAの関係機関に対しましても、我が国のODAについて国内広報を強化するように要請してきておりますし、中国側も我が国のODAについて広報を行ってきております。政府としては、今後ともこうした取り組みに力を入れていく考えでございます。

 また、効果の検証という面でございますけれども、外務省、国際協力機構、JICAでございますが、国際協力銀行、JBIC、それぞれ第三者評価の視点というものを入れた評価の充実ということをやっております。

 政府としましては、JICA及びJBICとも連携協力しながら、今後とも、評価実施体制の強化、それから評価結果の迅速な公表、あるいは第三者の視点のより一層の強化ということを通じまして、対中ODAを初めとするODAの効果的、効率的な実施に努めていくという考えでございます。

柚木分科員 今お答えをいただきました中身というのは当然進めていただかなくてはならないことではございますが、それとともに、これは政治的な課題によって両国の首脳が行き来をできるような、そういう状況にやはりしっかりと取り組んでいくことによって、さまざまな政策課題、これをお互いに意思疎通を深めていくということが大変重要だと思いますので、麻生大臣と、今、二階大臣、先ほど御見解を述べていただいたんですが、さまざまなお考えもあるとは思うんですが、ぜひそういった取り組みというのをお願いして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次に、私、先ほど水島コンビナートの事例を挙げさせていただいたんですが、次世代コンビナート形成プロジェクト、これについて、これは全国の中でも幾つかそういったプロジェクトが行われておるわけですが、お伺いをさせていただきたいと思います。

 石油化学製品をめぐる国際競争、これは大変激化しておりまして、特にアジア各国との競争が激しくなっておる状況の中で、何度も例に出して恐縮ですが、水島コンビナートもアジア各国の石油化学コンビナートと激しく競争を繰り広げている現状でございます。

 水島以外でも、我が国の石油化学コンビナートでは、これまで経済産業省を中心として進められてきたいわゆるRING計画、これがRING1、2とあって、徹底した効率化、コスト削減や環境負荷の低い生産体制づくりが進んでおります。

 ここで経産省にお尋ねしたいのは、今回、RING3が新たに実施に移されている段階でございますが、RING計画そのものが、省エネについてどれだけの効果が見られるのか。これは、これまでの効果の検証という視点と、そして今後、RING3以降、その検証、さらにはRINGプロジェクトそのものが今後どういった形で、異業種連携であったり、あるいは官民連携であったり、いろいろなスキームが考えられると思いますが、取り組みが行われるのかの見通し、それについてお答えをいただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま御指摘のありましたコンビナートの高度化プロジェクトは、コンビナートの競争力強化や環境負荷低減を目指し、石油精製と石油化学の連携を共同技術開発を通じて推進する取り組みであります。

 試算によりますと、全国のコンビナートにRING3の成果が普及した場合の省エネの効果は、年間十六万キロリットル程度と言われております。それだけの効果が期待されるであろうということであります。

 このような異業種連携を通じた競争力強化は今後も極めて重要であり、政府としましても、各企業や自治体の皆さんと連携を図りながら、この方向にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

柚木分科員 これは大変な効果だというふうに私は思いますので、先ほどCO2削減のお話もあったわけですが、今後、そういった省エネ効果の検証というものをより厳密に行っていただくこともお願いをさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 若干時間が押してまいりましたので、少しペースを上げていきたいと思います。ガソリン税制についてお伺いをいたします。

 これも石油化学に関連いたしますが、原油価格の高騰によってガソリンや軽油などの消費者価格も高騰し、これは交通業界、流通業界のみならず、さまざまな製造業、サービス業でのコストの高騰を招いておるわけでございます。しかしながら、ガソリン等のコストの高騰をそれぞれのサービス、商品の価格に転嫁させることが難しく、産業界各分野から、ガソリン、軽油などの減税を求める声が高まっています。

 もちろん、価格統制をしいたり、補助金を出したりして価格調整を行うことは国際的に見ても不適切かもしれませんが、例えば、ガソリン価格の約五割を占める税額を下げることは、政策としては、さまざまなこれまでの事例もございますから、私は検討に値するというふうに考えます。

 もちろん民主党としても、マニフェストでガソリン諸税等の税率の引き下げを訴えておりますが、石油石炭税の減税と、あるいは揮発油税、地方道路税及び軽油引取税の税率の暫定税率から本則税率への引き下げを図るというふうな方策を私はぜひ検討すべきだと考えるんですが、これについては財務省、総務省から御答弁をお願いさせていただくようになっていますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 石油石炭税や揮発油税等の引き下げの御質問でございますけれども、これらの石油関係諸税につきましては、石油対策あるいは道路整備といった財政需要の観点のほかに、従来から、消費抑制による資源節約であるとか、石油の消費がもたらす大気汚染などの社会的コストの観点、さらに諸外国と比較して税負担水準が低い状況にあること、また、地球温暖化対策が求められている中で税負担水準の引き下げには問題が多いということなどを考慮いたしますと、現行の税負担水準を引き下げるような状況にはないというふうに考えております。

岡崎政府参考人 軽油引取税についてお答えいたします。

 ただいま財務省からお答えがありました、資源節約、社会的コスト、あるいは外国との比較とかの視点等々は、すべて軽油引取税についても同じような状況でございまして、現行の税負担水準を引き下げる状況というのはやはり考えられないというふうに思っております。

柚木分科員 時間がございませんので、次の質問を二つまとめて最後御答弁いただきたいと思いますが、今のお話は、そうは申しましても、これまでさまざまな事例がございます。地方税の法人事業税の中で標準税率という例があった自治体もあると思いますし、湾岸戦争やバブルのときのさまざまな対応というのもあったと思いますので、今の御答弁を踏まえた上で、そうはいっても御検討いただける部分はぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、二個まとめてで大変申しわけありませんが、いずれも関連するものですから、まとめて御答弁いただきたいと思います。

 電気自動車、燃料電池車の普及が一点、次に、電気自動車等の税制、クリーンエネルギー車の普及促進について、大変申しわけありませんが、まとめて御質問させていただきます。

 先ほどの質問とも関連しますが、原油高で大変苦しんでいる状況にある中で、我が国としては、ガソリンを使わない電気自動車、燃料電池車の普及が求められております。国内自動車メーカー数社が電気自動車の開発に向け研究を進めておりますが、二〇一〇年までに電気自動車や燃料電池車をどれぐらいの数普及させようという政府の数値目標がございますでしょうか。

 そして、それがあるとした上で、その目標達成のためにも、今後の支援策の拡充に取り組む必要があると私は思います。具体的には、とりわけ電気自動車の普及には、水素の輸送や貯蔵に必須な材料についての知見が不可欠とされており、経産省としても、今後の新規事業として水素先端科学基礎研究事業に十七億円を本年度計上しているわけですが、今後もこうした支援策を継続、拡充していくことをぜひお願いしたいのですが、これについてはぜひ大臣から御答弁をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

二階国務大臣 ただいまのお尋ねの件は、私ども、先ほども中小企業庁長官からもお話し申し上げた新経済成長戦略の中で、やはり技術開発ということに重点を置いております。そのうちの一つに、電気自動車あるいは水素貯蔵タンクなどのさらに合理的な研究開発によって、世界最先端の技術開発をやろうという意気込みで取り組んでおります。

 既に、慶応大学を中心とした、産業界協力し合ってやっておりますエリーカという自動車は、時速三百七十キロを記録するようになっております。そこで、今実験でございますから一台二億円ぐらいかかるわけですが、これを百台ぐらいつくって一台三千万円ぐらいの自動車にしてはどうかという研究に取り組もうとしておられるようでありますが、私はむしろ、三百台ぐらいつくって一千万円ぐらいにならないか、その研究を一遍やってもらおうと。

 経済産業省としても、号令をかけるだけではなくて、私は、思い切って予算を投入していく。そのためには、今からいいますと、来年度の予算だ、こうなるわけでありますが、こういう技術開発で一刻も急ぐ、その効果は国全体に及ぶわけでありますし、ある意味では国際的にも大きな影響を及ぼすわけでありますから、私は、経済産業省の他の予算を削ってでもこのことに投入して前向きに取り組む、このように考えている次第であります。

 したがいまして、議員御指摘のようなことについて、経済産業省としては十分おこたえしていく、そういう決意でおりますことを申し述べておきたいと思います。

柚木分科員 どうもありがとうございました。

平田主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団についての質疑は終了いたしました。

 午後四時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後三時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

平田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。中川農林水産大臣。

中川国務大臣 平成十六年度における農林水産省の決算の概要を御説明申し上げます。

 最初に、一般会計について申し上げます。

 まず、一般会計の歳入につきましては、歳入予算額三千六百八十五億九十七万円余に対しまして、収納済み歳入額は三千七百四億三千九百二十万円余で、差し引きいたしますと、十九億三千八百二十二万円余の増加となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額三兆六千八百七十四億八百七十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆一千五百七十四億九千六百二万円余、翌年度への繰越額は四千六百三十六億七千百九万円余、不用額は六百六十二億四千百六十四万円余となっております。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、食糧管理特別会計につきましては、国内米管理勘定等の七勘定を合わせまして申し上げますと、収納済み歳入額は二兆四千九百四億二千六万円余、支出済み歳出額は二兆四千七百七十二億二百四十九万円余であり、差し引き百三十二億一千七百五十六万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。

 このほか、農業共済再保険特別会計、森林保険特別会計、漁船再保険及漁業共済保険特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計、国有林野事業特別会計及び国営土地改良事業特別会計がございますが、これらの特別会計の概要につきましては、お手元の資料に掲載いたしましたとおりでございます。

 以上をもちまして、平成十六年度における農林水産省の決算の概要に関する説明を終わらせていただきます。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

平田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院帆刈第四局長。

帆刈会計検査院当局者 平成十六年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項六件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項に対する処置状況二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二〇四号は、委託費の支払い額が過大となっているものであります。

 同二〇五号は、補助の対象とならないものであります。

 同二〇六号及び二〇八号は、補助の目的を達していないものであります。

 同二〇七号は、補助金を過大に受給しているものであります。

 同二〇九号から二一一号の三件は、工事の設計が適切でないものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、沖縄の復帰に伴う国有林野に係る国有財産台帳の整備に関するもので、林野庁では、国有財産である国有林野を適正に管理及び処分するため、各森林管理局に国有財産台帳を備えております。

 しかし、沖縄の国有林野については、沖縄が復帰してから現在に至るまで長期にわたり国有財産台帳が適正に整備されておりません。このため、毎年度作成される国有財産増減及び現在額報告書等が、現況を正しく反映したものとなっていなかったり、普通財産について、有効活用を十分に図ることができないこととなっていたり、適正な額による国有資産所在市町村交付金の交付ができないこととなっていたり、誤って国以外の者から第三者に売り払われているものがあったりなどしている事態が見受けられましたことから、林野庁に対して、是正改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、系統施行による施設の整備事業の実施に関するもの、その二は、新山村振興等農林漁業特別対策事業等の実施に関するもの、その三は、農業集落排水事業により整備した肥料化施設等の利用に関するもの、その四は、築いそ整備事業の計画策定における費用対効果分析に関するもの、その五は、配合飼料用米穀の販売における経費の算定等に関するもの、その六は、牛に係る家畜共済事業の運営に関するもの、これら六件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 なお、以上のほか、平成十四年度決算検査報告に掲記いたしましたように、一般国道の道路敷となっている国有林野の取り扱い及び卸売市場施設整備事業の実施について、それぞれ意見を表示しまたは処置を要求いたしましたが、これらに対する農林水産省の処置状況についても掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 続きまして、平成十六年度農林漁業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。

平田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。中川農林水産大臣。

中川国務大臣 会計検査院から御報告のありました平成十六年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。

 予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、一部の事業につきまして、御指摘を受けるような事態を生じましたことは、まことに遺憾でございます。

 不当事項として指摘を受けたものにつきましては、既に補助金等の返還または手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであります。

 沖縄の復帰に伴う国有林野に係る国有財産台帳の整備を早急に行うよう是正改善の処置を要求されたものにつきましては、関係機関と調整の上、沖縄の不要存置林野に係る台帳整備の処理方針を策定し、平成十七年十月三十一日付で九州森林管理局に対して同処理方針に基づき台帳を整備することを内容とする指導文書を発し、国有財産台帳が適正なものとなるよう所要の措置を講じているところでございます。

 以上をもちまして、会計検査院の御指摘に対しまして農林水産省が講じた措置の説明を終わらせていただきますが、今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、より一層予算の適正な執行に努めてまいる所存でございます。

平田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平田主査 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串分科員 委員長、ありがとうございます。

 ただいま大臣及び会計検査院の方から、農林水産省予算に関する決算内容、そして会計検査院の指摘事項、そしてそれに対する是正に対する御説明がありました。

 農林水産予算、年間三兆円近くございますけれども、私も去年の春まで財務省に勤めておって、予算を担当していたことがございます。補助金の予算を担当しておりましたけれども、各予算担当、農林水産予算の担当の方々ともいろいろ議論をさせていただく機会がございました。すべての農林水産業に関する予算、日本の非常に重要な産業たる農業、そして林業、水産業、これが経済的にも成り立ち、かつ社会的、文化的にも非常に重要なものとして、将来的にもしっかり成り立っていくようにという願いを込めて、その目的を持って措置され執行されているものでございますので、これが本当に生きた予算になるように、今後とも措置され使われていくことを切に願うものでございます。

 この農林水産業の重要な問題に関しまして、きょう、私は、特に農業の問題それと漁業の問題、二つ、最近の重要な政策に関してお問い合わせをさせていただければというふうに思います。

 私は、実は、佐賀県の白石町というところの出身でございまして、私の実家は農業をやっております。ちょうど二町歩ほどの米麦をやっておりまして、祖父の後、それをおじが継いでやっております。兄も佐賀市内で、これもちょうど二町歩ぐらいの米麦を、兼業ですけれどもやっておりまして、ちなみに姉は佐賀の農政事務所に勤めさせていただいておりますので、親戚も含めて、実は農業一家の出身でございます。

 そういう意味から、佐賀県において農業の占める割合は非常に高うございます。そのことも含め、かつ私の身に差し迫った問題、私は、自分のことを話すわけではございませんけれども、産業としても非常に重要であるということを、常日ごろから非常に思いをはせて仕事をしているところでございます。

 昨年四月に、役所勤めをやめて国に帰ったときに、それまで私自身の知識として、十九年度から品目横断的経営安定化策が入っていくというのは、私自身は熟知しておりました。農業をめぐる国際的な状況等も把握した上で、国に帰り、国で親戚を含めた、兄も含めた、農業の皆さんと意見交換を始めました。

 その中で思ったことが一つございます。

 私は、当然、東京で私が知っていた、十九年度から品目横断の経営安定化策が入る、規模を拡大して競争力のある農業をつくっていかなければならない、このことに関して、その理念、そして具体策も含めて、佐賀の農業を営む方々が相当な知識を持って、十九年というともう目の前ですから、実施に向けた取り組みを始めていらっしゃるんだろうというふうに思って、ずっと集会を始めていきました。

 非常に驚いたことに、かなりの知識の隔たりがあるということに私は気づいたわけでございます。担い手あるいは集落営農、それはどういうものですかという非常に初歩的な質問から、どんどん来るんです。

 そういう中で集会をどんどん重ねていって、私の知る限りにおいて、十九年度から、担い手、集落営農、こういう、規模を拡大しての、競争力をつくる上での農業というのが始まっていくんですと一生懸命説明していった記憶がございます。

 そして、去年の九月十一日の総選挙以降もその活動を続けておりまして、何が起ころうとしているのかということをできる限り具体的に知っていただいて、円滑に品目横断経営安定策が実施されていく、これを確保していきたいと思って日々活動しているわけでございます。

 十九年度から、少し時間があるようですけれども、実は、農家の実態からすると、麦でいえば十八年の秋まきからもう始めなきゃいかぬわけでございます。十八年の秋まきということだと、もう目の前。あと数カ月あるようでも、御案内のように、麦は注文をした上での生産が始まるわけですから、実は、集落営農なりをしていくのであれば、その話はもう始めて、もう決まっていなければならない、そういうふうなタイミング。すなわち、先のことでなくて、極めて近い、あるいは現実の今の問題というふうになっているわけでございます。

 すなわち、この品目横断経営安定策という、非常に農業のある意味大転換を行っていくのであれば、十分な期間をとって、農家の方々への理念の移転、知識の移転、周知徹底、これを図った上で、農家の方々が農家の方々の現実に沿って経営の転換ができていくように、円滑にやっていかなければならないというのを強く感じているわけでございます。

 この点に関して、農家の方々への周知徹底をこれまでどのような形で行ってきていらっしゃるか、この辺についてまずはお伺いさせていただきたいというふうに思います。

中川国務大臣 大串委員がまさに農業をなりわいとしてやってこられている、非常に貴重な、大事なことだと思っております。

 そういう中で、御指摘のように、十九年度、しかし、もう法案を衆議院で上げていただき、参議院で今審議をしていただいているところでございますけれども、委員会でいつも議論になるのは、本当に農家の皆さんにちゃんと理解してもらっているのかという御議論が非常に大きいわけでございまして、これはもう極めて大事な御視点でございます。

 農業の関係者に理解をしてもらわないと、この方策はうまくいきません。そういう意味で、ぜひとも、この新しい経営安定対策を関係者の皆さん方に理解してもらわなければいけない。

 しかも、今ちょっと言及されましたように、何も四ヘクタールだ十ヘクタールだ、規模で区切るんじゃなくて、佐賀においても、きちっとしたいい経営をやっている人に大いに頑張ってもらおうということを前提にしておりますので、佐賀県においてもあるいは都市近郊においても、ぜひ参加をしてもらいたい。

 いい経営をやっている、やる気と能力のある農業者に参加をしてもらって、しかも、それが消費者に買ってもらえる、売れる、こういう農業を目指したい、プロを目指したいというふうに思っております。

 そういう意味で、プロとしての一定の基準はございますけれども、しかし、それをクリアしたところは、規模だけではなくて、ぜひともそういうところに参加をしていただいて、日本の食料の自給率向上、プロの農家に対して、大いにやっていけるような、農業生産を果たしていけるように目指していきたいと思っておりますので、佐賀県におきましても、ぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。

大串分科員 ありがとうございます。

 今大臣からも、担い手、そして集落営農、規模拡大して競争力を強めていくという方向に関して、できるだけ多くの農家の方に参加していただきたいという御意見がございました。

 現場の声を聞くと、変わりゆく国際環境に向けて、できるだけ競争力を強めていきたい、規模を拡大することがその一つの策だというのは、皆さん、考え方としては理解していらっしゃる。そういうふうにやっていかなければならないというのは非常によく理解していらっしゃるんですけれども、それを農家の実態として行っていくために、ある一定のやはり手続なりルールなり時間なりをかけて行っていかなければならないという実態があるんだろうと思います。

 農家の方々、今話を聞いていると、きっちりした情報が本当に伝わっているかどうかというのが非常に心配だなと思うところがあるわけでございます。

 例えば、まさに先週、農家の方が、どうなっているんですかと私に聞きにいらっしゃいました。何を質問されたかというと、皆さん驚かれるかもしれませんけれども、私はこのパンフレットを使っていつも説明するわけですけれども、先週聞かれたのなんかは、まさに基本中の基本。例えば、経営安定化対策ですと書かれているページが十一ページにございますけれども、この一番最後に、五年以内に農業生産法人となる計画を立ててくださいというふうなことがございますね。こういうふうにしていくというのが今のプランでございます。

 これも考え方としてわかるわけでございますけれども、農家の方々は、説明を受けられて、本当に法人化しなきゃならないんですかと、まだそこがぽとりと腑に落ちていらっしゃらない。

 その辺、確認されているんですか、いろいろな説明会がありますよね、そういうところできちんと尋ねられているんじゃないですかということを聞くと、いえ、そういう説明会の場で質問するんだけれども、肝心なところになると、いや、その辺がまだよくわからないんですという説明を受けたりもするんです、そういうしり抜けの説明会だったりするものですから、完全に、これから起ころうとしていることが本当に起こるんだろうかというふうに、理解の腑に落ちないで、まだ熱が入り切れていないという状況があるんだと思うんです。

 ですから、ひとつ具体的にお尋ねしたいと思うんですけれども、今、周知徹底の方策というのは、例えば国でやられているのか県でやられているのか、あるいは農協単位でやられているのか、どういうふうなルートでやられているのか、ちょっと具体的なところを教えていただきたいと思います。

井出政府参考人 私ども、昨年十月に、経営所得安定対策等大綱を決定いたしました。それ以来、国の出先機関、都道府県、市町村、JA等の関係機関など、あらゆる関係ルートを通じましてその周知徹底を図ってきているところでございます。

 十一月にはブロック単位とか県単位での説明会をしましたし、年末には意見交換会や集落座談会という形で地域の意向を踏まえることにも意を用いてまいりました。

 具体的には、我々農林水産本省も地方農政局も、都道府県ごとにこの担い手育成の責任者を決めまして、その責任者が担当の都道府県に直接足を運んで説明、指導を行う。あるいは、県や市町村におきましても、できる限り地域担当を決めていただいて、きめ細やかな対応に努めていただいているところでございます。

 また、農業団体につきましても、全国、都道府県、地域、それぞれの段階で担い手育成総合支援協議会というものをつくりまして、その協議会の活動として説明会、座談会をやっていただく、あるいは戸別訪問等もやっていただいております。

 今委員御指摘のように、そういう形で、実は、回数だけならもう五千回を超える説明会をやったというふうに言っておりますが、御指摘のように、やはりかなり濃密にやっていただいて、私どもも地方を回りまして、そのパンフレットも読んでいただいて非常に御理解が深まっている地域もあれば、まだこんな段階かということで若干心配をするというような地域もございまして、今、そういったことを仕分けながら重点地区を決めたりなんかいたしまして、さらに徹底をいたしているところでございます。

大串分科員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げた、農業生産法人となる計画、五年以内、これを本当につくらなければならないんですか、本当に法人化しなければならないんですか、こういう基本のところを私のところに聞いていらっしゃったのは、実は、今度四十町ぐらいの集落営農をやることを決めていらっしゃる、その集落営農の地域のリーダーの方なんです。そのリーダーの方ですら、本当かなと思いながらやられているという実態があるわけです。

 だから、もう五千回を超える活動をされたということですけれども、それは多といたしますけれども、農家の方々が投げかけられている質問というのは、現場ではやはり相当濃密なものが、具体的なものが、詳細なものがあるようでございます。そこをきっちり答え切って初めて、農家の方々が、ああ、なるほど、そうなっていくんだというところを認識されるんだと思うんです。そこがふわふわとしたままだと、本当かなというふうな思いが残るんだと思うので、ぜひ、説明会をなさる、先ほどリーダーの方をつくっていらっしゃるとおっしゃいましたけれども、リーダーの方の末端に至るまできちっとした共通理解と責任感を持っていただいて、農家の方々に本当に早くきちっと円滑に移行してもらえるような環境ができるようにしていただく必要があるんだと思うんですね。

 それと、農家の方々が集落営農を考える際には、必ず、自分たちは特例措置に当たり得るのかどうかというのをやはり考えられます。二十町がなかなか難しいのであれば特例措置をと考えられるようでございます。そのときに、例えば特例措置で、農地が少ない場合の特例、あるいは所得確保の場合の特例等々ありますけれども、その基準がやはりはっきりしなくて、他方、十八年の秋まきからもうやらなければならないというデッドラインが来ていて、どうしたものかというふうに非常に困っていらっしゃるケースもあるようでございます。

 この特例措置についても、ぜひきちっと早く的確な情報をおろしていただいて、これを考える方々がしっかり意思決定できるようにしていただきたいと思いますけれども、その辺に関して、策はいかがでしょうか。

井出政府参考人 お尋ねの物理的特例とか所得特例などの特例基準につきましては、これも御要請がございまして、昨年十一月にこの特例基準の具体的な計算方法をガイドライン案として公表をいたしました。そのガイドライン案に基づきまして、各都道府県で市町村等と相談をしていただきまして、例えば物理的特例ですと、市町村単位にするのか、旧市町村単位にするのか、集落単位にするのかということがございますので、どういうとり方をするのが地域の実態に合っているかということを検討していただく。そのために、かなり早い時期にガイドライン案を公表したわけでございます。

 その基本的な考え方に変更はございませんが、その過程で、私ども、従来は二〇〇〇年の世界農林業センサスしかデータがなかったわけでありますが、二〇〇五年の農林業センサスのデータが使えるようになりましたので、最終的には二〇〇五年センサスを使って技術的な修正をするということにいたしております。

 いずれにしましても、現在お諮りしております法律案が成立しますれば、その段階で速やかに正式にお示しするということにいたしておりますので、そういうラインで万全を期したいと思っております。

大串分科員 ありがとうございます。

 今法案審議中でございますけれども、できる限り早く具体的に、まず情報がおりるのにも非常に時間がかかるでしょうから、しっかりと迅速に情報をおろしていただいて、やはり特例を使いたいという声は非常にあります、特に中山間部に近いところはありますので、早く情報をおろしていただければというふうに思います。

 この品目横断経営安定化策がしっかり実施されていくかどうかというのは、農業の実態にいかにきっちり即していけるかというところがかぎなんだろうというふうに私は思います。いろいろ中央で議論させていただく中では、案をつくって、策をつくって、こうしていけば大規模化が図られていくんだという、何か、やはり机上の議論ではいろいろな策がつくれるわけでございますけれども、農業の実態を踏まえると、現実的にはなかなかうまくいかない面というのもあるんだろうと思います。

 いろいろ話を聞いていると、やはり難しそうなのは水でございます。水系の問題。水利権の問題は、どこの町に行っても、歴史を踏まえた、この川の支川のこの流れがこっちとこっちに来ていて、この流れはこの人が使っている、この流れはこの人が使っている、いろいろな権利関係が昔から複雑に絡み合っていて、それを分け合って使っている。そういう中で人の単位ができているわけです。集落の単位ができているわけですね。

 同じようなことは圃場整備でも言われています。圃場整備をやっていく、これまでいろいろ歴史的にやっていく中で、この人と組み圃場整備をやり、この人と組み圃場整備をやり、その中で歴史的に権利関係が複雑に絡み合って、いろいろな単位ができ上がっている。これをいきなり投網をかけて、こういう策をつくったから、はい、十九年度までに集落営農をしなさいといっても、なかなかすぐにはできないという農業の現実があるわけでございます。

 ですから、この策をやっていくのであれば、なおさら本当に早く具体策を示して、こうなっていかなきゃいけないんだ、こうなっていったときにはこういうふうなゴールがあるんだということをとにかく早く示して、農業の実態がそれについていけるようにしないと、やはり机上の空論というふうになってしまうんじゃないかと思うんです。

 ですから、ぜひぜひしっかり早目の周知徹底、そして、それを早く具体的に農家の方々にわかっていただくようにしていただくのが、本当に大変だと思うんですけれども、大臣のこの決意のところをもう一度聞かせていただいてよろしいでしょうか。

中川国務大臣 大串委員の先ほどからのお話を聞いていますと、まさに日本の農業をよくしたい、佐賀県、日本をよくしたい、その情熱をひしひしと感じるわけでございます。

 そういう中で、御指摘のように、やる気と能力のある農業に対しての施策を来年度から導入しよう、場合によってはことしから一部もう準備をしなければいけないということでございますので、それに対しての周知徹底、御理解をいただくというのは極めて大事なことでございます。

 そういう意味で、佐賀の農業、また私の地元の北海道、あるいは都市近郊、それぞれ日本の農業は大事でございますから、それぞれがそういう目標に向かってやっていけるように行政として周知徹底をする。これは極めて大事なことでございますので、いい法律をつくったぞだけではだめでございまして、御理解をいただかなければいけないわけでございますから、そこもきちっと行政責任を果たしていかなければいけないということで、御地元におきましてはまた大串さんのお力添えもいただきながら、全国で御理解いただくように、さらに頑張っていきたいというふうに思っております。

大串分科員 大臣のその御決意、ぜひよろしくお願いいたします。

 なぜこれを心配しているかといいますと、例えば私の兄、先ほど申しました、二町持っております。兼業という身軽さもあるんでしょうか、集落営農、この問題に関してどういうふうに取り組んでいくかという結論をなかなか出しづらい思いを持っているようでございます。そういう中で、言葉の端々で、もう農業をやめようかな、二町持っているけれどもやめようかなという声もやはり発します。そうなってくると、まさに、先祖代々持っているこの二町の田んぼですけれども、耕作放棄地となってしまう可能性が十分にあるわけでございます。

 ひとつ、今後、この担い手農家、集落営農の、農家による対応はどの程度まで広がっていくことを想定されるかというのを教えていただきたいのですけれども、そのお問い合わせする心は、今申し上げたように、これは本当に日本全国をきっちりカバーしていくようなものになるのかどうか、ここは非常に重要なんだと思います。

 後手後手の周知徹底等々の対応の中で、対応できない人がたくさん出てきて耕作放棄地があふれ返るというようなことにならないのか、見込みとして、どの程度までしっかり行こうとされているのか、どういうふうにして広げていこうとされているのか、その辺についてのお答えをいただきたいと思います。

井出政府参考人 この担い手づくりという点でございますが、先ほど申しました、昨年、基本計画をつくり、大綱をつくり、私どもも地方に走って説明に努めてまいりました。

 昨年、平成十七年度、いわゆる認定農業者、これの新規認定数が約一万九千人ふえておりまして、その総数が二十万人の大台に乗りました。また、集落営農につきましても、リーダーの活動を支援する国の事業を十八年度予算で構築いたしましたけれども、これに対しては全国から非常に期待が集まっておりまして、既に全国で三千を超える地区から取り組みの意向が寄せられているということでございます。

 ただ、目標といたします二十七年の「農業構造の展望」ということからしますと、これは、農業でちゃんと食べていける効率的かつ安定的な農業経営を、家族経営で三十三万から三十七万、集落営農で二万から四万、法人経営で一万というのをつくろうといたしておりますから、その取りかかりとしてはしっかり滑り出したとは認識しておりますが、目標値に向かう努力というのはこれから相当必要であると私どもも認識をいたしております。

 そのために、先ほど申しましたように、いろいろな方面で努力をいたしておりますし、先ほどお話のございました特例についてもかみ砕いて御説明をし、何もすぐ、米も含めて全面的に協業化、協同化がなされていなくても、佐賀のようなところでは麦や大豆の協業化というのは進んでおるはずでございますので、そういうことを核にして、もうワンステップアップしていただければ対象者になりますよというようなこともしっかりと御説明をする中で、この集落営農組織あるいは認定農業者の数をふやしていきたいと考えております。

大串分科員 ありがとうございます。

 ぜひぜひよろしくお願いします。日本の大事な農地が、間違っても手おくれのために耕作放棄地があふれ返るというふうにならないように、うまくいけばうまくいくはずだと私は思うんです。やる気のある農家の方はたくさんいらっしゃいます。ですから、そこにうまく落とし込んでいけるように、対応の方を漏れなくよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に移らせていただきますけれども、諫早湾干拓の問題に関してお問い合わせをさせていただきたいと思います。

 この件について、事業の現状、それから、公共事業ですから、事業の見直し、評価のタイミングがあろうかと思いますけれども、この点について教えていただければというふうに思います。

山田政府参考人 まず、諫早湾干拓事業の現状でございます。

 御案内のとおり、諫早湾干拓事業、優良農地の造成と防災対策を目的としまして、昭和六十一年に事業に着手をいたしております。平成十七年度までに、既に約九七%の進捗状況となっております。

 事業によります防災対策につきましては、平成十一年三月の潮受け堤防完成によりまして、台風や大雨の際に調整池周辺で防災効果が着実にあらわれております。昨年九月、台風十四号が直撃いたしましたけれども、高潮を防止する防災効果が発揮され、地元からも感謝をされているというようなところでございます。

 それから、干拓地でございますが、現在、農道や排水路等の整備を進めております。新たに造成する農地約六百八十ヘクタールの三倍を超える利用希望が寄せられておりまして、地元の期待も高くなっているところでございます。農林水産省といたしましては、平成十九年度の完成に向けて着実に事業を実施していきたいと考えております。

 それから、再評価のスケジュールについてお尋ねでございます。

 国営土地改良事業につきましては、事業の再評価は実施要領がございますが、それに基づいて、事業採択後五年ごとに行っております。諫早湾干拓事業につきましても、この要領に基づきまして、平成十八年度、今年度でございますが、再評価を行うこととしております。

 具体的には、九州農政局に設置されました国営事業管理委員会におきまして再評価がなされることとなります。現在の予定では、六月の八日に検討を開始いたしまして、現地調査等を行った後、概算要求前には結論を得ることといたしております。

大串分科員 ありがとうございます。

 この諫早湾干拓問題、九年に潮受け堤防の締め切り以降、漁民の方々が大きくその生計に影響を受け、ノリを初め、特に最近では漁船漁業の方々、タイラギ漁等々を初め、二枚貝を初め、非常に潮流の変化を受けて漁獲高が激減し、生活が非常に苦しくなっている方がたくさんいらっしゃるという状況になっております。

 そういう中で、事業の再評価、十八年度、それから、事業が終わった後は、当然、これは公共事業でございますから事後評価というのがあるのだろうというふうに思います。しっかりとした評価を行っていくためにも、きちっとした情報を集めた上で、この事業が果たして価値があったのか、成功だったのかということを見きわめていく必要があろうと思いますけれども、そのためには、この潮受け堤防があいていたとすれば、どういうふうな潮の流れになってどういう状況が生じたであろうかということを、やはり情報としては、データとしては集めていく必要があるのだろうと思います。

 そのためには、中長期開門を含めた調査を行っていく必要が何としてもあろうかと思いますけれども、この点に関して、大臣の御所見をよろしくお願いします。これは大臣にぜひよろしくお願いします。

中川国務大臣 今、農村振興局長から答弁いたしましたように、優良農地の確保あるいは防災、そして、漁業者の皆さん方に対する配慮というものも総合的に勘案をしてやっていくということで、御承知のとおり、いろいろな案が今出ている。第三案を今農水省としても提示をしているところでございまして、関係者の皆さん方にぜひとも御理解をいただきながら、トータルとしてプラスになるようにということで……。間違えました、川辺川の話と。ちょっと訂正いたしますけれども、諫早湾につきましても、御理解をいただくべく、さらに政府としても努力をしていくことが大事だというふうに考えております。

平田主査 質疑時間が終了しておりますので、手短に。

大串分科員 中長期開門調査をしないと、評価をこれからやっていくにしても十分なデータはないんだと思います。公害等調整委員会の裁定においても、データがないがゆえに有為なことは言えない、そういう結果になっております。ですから、何としても有為な評価をこれから事後評価で行っていくためには、中長期開門調査を含めた、開門を含めた調査を行っていくべきということを、再度、漁民の方々の声を代表して、生活をされている方々の声を代表して申し上げさせていただきました。

 私の質疑とさせていただきます。

平田主査 これにて大串博志君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷光男君。

三谷分科員 民主党の三谷光男でございます。

 きょうは、衆議院決算行政監視委員会第三分科会で、中川大臣や農林水産省の皆さんに質問をさせていただく機会を与えていただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。

 きょうは、農業経営基盤強化措置特別会計のことにつきまして、中川大臣あるいは農水省の皆さんにお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。

 この農業経営基盤強化措置特別会計ですけれども、これまで、会計検査院からあるいは財政制度等審議会から、毎年度発生しておりました多額の不用金、剰余金についてその見直しを指摘されてきました。

 行政改革の重要方針、昨年末に閣議決定をされておりますけれども、この行政改革の重要方針におきまして特別会計の徹底改革が盛り込まれております。積立金、剰余金等はもちろんのことですけれども、内容を精査して徹底したスリム化を行い、今後五年間で合計二十兆円の財政健全化への貢献を目指すというふうにされております。

 平成十八年度予算では、同特別会計から初めて一般会計に二百九十五億円の繰り入れが行われました。一般会計への繰り入れが行われたこと自体は大変評価をしております。何せ、今まで多額の剰余金が、再三検査院やあるいは財政審から指摘をされながら一度も繰り戻しがされなかったこの特別会計で、初めて繰り戻しが行われたからです。しかし、正直言って、この二百九十五億円という繰入額がまだ足りないんじゃないかというふうに思っています。

 まず、財務省主計局が出しております「特別会計の見直しについて」、一番一般的な説明の資料でございますが、平成十八年度予算における特別会計の積立金、剰余金の活用として、このように書かれています。一般会計繰り入れの停止等により剰余金の削減に努めてきたが、抜本的対応策として歳出を厳しく見直し、必要額を確保した上で、その余りは一般会計に繰り入れとして、二百九十五億円の繰り入れということになっています。

 必要額を確保した上でその余りを繰り入れということなんですが、その必要額というのは本当に必要な額なんでしょうか。決算剰余金の額は、全体で見ても平成十六年度で八百七億円。少しは減ってきましたけれども、十七年度の見込みでも六百三十七億円ございます。もっと繰り入れが一般会計にできるんじゃないでしょうか。

 繰入額が二百九十五億円にとどまった理由、すなわち、必要額を確保してその余りを繰り入れなんですから、その必要額の根拠、理由を、大ざっぱでも結構です、まず説明をお願いしたいと思います。

井出政府参考人 農業経営基盤強化措置特別会計についてのお尋ねでございますが、まず、御指摘のように、十七年度の決算見込みで六百三十七億円の剰余金を見込んでおります。

 この基盤特会と申しますものは、大きく三つの仕事をしておりますけれども、一つは、戦後の農地改革の際に強制買収した国有農地等の管理、処分でございます。二つ目が、農業経営の規模拡大、集団化を進めるための農地の買い入れ、売り渡し、これをやる農地保有合理化事業を支援する措置、これが二つ目でございます。三つ目が、農業改良資金や新規就農者の支援のための資金を都道府県が貸し付ける場合に、その貸付原資の一部を無利子で貸し付ける事業、この三つをやっているわけでございます。

 今回の二百九十五億の繰り入れの根拠でございますが、今申しました二つ目の農地保有合理化事業につきましては、農地の買い入れ資金あるいは農業用機械をリースするための資金を現在造成中でございまして、今後、造成が終了する平成二十三年までになお五百十七億円が必要とされております。

 一方、農業改良資金等の貸付事業につきましては、貸付金を償還金で賄うことができる、自転できるようになるまで、それが平成二十三年までに必要な額につきましては、貸付金の回転期間の短縮、事業規模の縮小に伴いまして百七十五億円の減少が見込まれている。このため、五百十七億円必要だというところから百七十五億円は差っ引きまして、三百四十二億円が今後必要な額というふうに見込んだわけでございます。

 これを、十七年度の決算剰余金見込み六百三十七億円から、今後活用が見込まれる分三百四十二億円を確保した上でこれを差し引きますと二百九十五億円ということで、これを一般会計に繰り入れたものでございます。

三谷分科員 今幾つか数字が挙がりました。また、その中身のこともあると思うんですが、この農業基盤特会、農業改良資金、今のお話の中にも出てまいりました。もちろん、今のお話は平成十七年度のお話が入っておるのだと思いますが、平成十六年度、会計検査院の特定検査対象になっております。非常に詳細な報告書も出ております。その報告書の中でさまざまな指摘がされている一つに、この農業改良資金がございます。

 ちょっとこのことについてお尋ねをするのですが、農業者における農業経営の改善に必要な資金の貸し付けを行う都道府県に対して、必要な資金の三分の二を助成するというものです。

 この原資は、まさに検査院の指摘です、昭和五十九年度までに補助金として交付された計六百九十八億九百五十二万円及び昭和六十年度から平成十二年度までに一般会計から基盤特会に繰り入れられた計五百二十九億四千九百六十一万円並びに昭和六十一年、二年度に中央競馬会から納付を受けた三百億円の計千五百二十七億五千九百十三万円をその貸付財源としている。そして、平成十六年度末の政府貸付金の貸付残高、これは一番単純な話ですけれども、三百三十三億四百三十六万円。

 貸付資金に対する貸付残高の割合は二一・八%にすぎません。十七年度は飛躍的に向上しているんですか。二百九十五億円差っ引いて、この数字は飛躍的に向上しているんでしょうか。これは都道府県が政府貸付金の繰り上げ償還やあるいは国庫補助金の自主納付を行ったことにもよることはわかっています。このことはよくわかります。しかし、貸付実績そのものはもう著しくひどく低調だと、この数字を見る限り断じざるを得ません。まさに会計検査院の指摘どおり、このことが決算剰余金を大幅に押し上げる要因になっているというふうに指摘をされています。私も全くそのとおりだと思うんです。

 まさに、この貸し付け状況を考えれば、資金が遊んでいる。保有する資金、これは補助金ですから、もとは税金です。そして、その保有する資金に対して、借りたいというニーズが圧倒的に少ないということではないんですか。少ないということなんでしょう。原資は、申しましたとおり補助金、税金なんです。ならば、必要のない資金。十七年度で、今のお話からすると幾らか改善があるんですか、この農業改良資金につきまして。それも含めて教えてください。

井出政府参考人 今、農業改良資金について特にお尋ねがございましたが、委員御指摘のとおり、会計検査院が指摘しているとおり、農業改良資金につきましては、基盤特会にいろいろな原資がございましたけれども、総額一千五百二十七億余のお金が投じられまして、十六年度末の貸付残高は三百三十億余でございますから、貸付比率が二一・八%ということでございます。

 改良資金については、その貸し付けが最近不調であるということが続いております。このため、貸し付けが行われなかった資金の一部につきましては、財政資金の有効活用を図る観点から、平成十四年度から、従来から農地保有合理化事業等については一般会計から基盤特会への受け入れを行っておりましたけれども、これを取りやめまして、改良資金の余っている分を農地保有合理化事業等に充てるということで、財政資金の有効活用を図ってきたところでございます。そういう中で、平成十七年度の決算見込みが六百三十七億円の決算剰余金を見込んでいるわけでございます。

 改良資金の貸し付け低迷でございますが、これによる剰余金の発生を防止するということで、十八年度予算におきましては、活用が見込まれないものについては一般会計に繰り入れたわけでございますが、さらに、貸付規模についても、従来八十億円という枠を設定しておりましたけれども、これは見込みがないということで十億円に減じております。

 また、一方では、農政の課題を克服するために、先ほど御質問がございましたけれども、農政の大転換ということで、品目横断的な経営安定対策の対象者に集落営農組織を位置づけましたので、こういった方々にも改良資金が借りられるようにするというような措置も講じてきております。

 ただし、改良資金の貸付額そのものは、現在も好転する兆しはございません。

三谷分科員 今御説明をいただきました。

 一般会計からの受け入れが平成十四年からなくなっています。それは私もよく存じ上げております。そして、農地保有合理化事業、このことにもあともう一回触れることになりますが、しかし、問題は、だとしても、もともとあった、先ほど申し上げたのは十六年度の末のお話、そして、今局長も御説明されましたように、十七年度でも基本的に貸付実績は変わっていない。資金が、でもそこにあるんですよ。

 一つお聞きしたいんですけれども、先ほど申し上げましたように、このお金はもともとは税金であり、補助金です。これは、一般会計にこの貸付資金、原資の部分ですけれども、余った資金を差し戻す、繰り戻すことはできますよね。そして、もう一度申し上げますけれども、そこに使われていない資金が、今の御説明があったとしても、まだあることだけは間違いないんですよ。その意味で説明になっていないと思うんですけれども、どうでしょうか。

井出政府参考人 農業改良資金につきましては、先ほど私も御説明し、委員からも御指摘がございましたように、都道府県の段階でまた基金を設けまして、これを融資いたしております。この基盤特会からは、所要額を県の基金に融通し、あるいは県ごとに融資希望額に出っ張り、へこみがあるわけでございまして、そういうものを調整する機能を持っているわけでございます。

 そういうものとして、所要額については、先ほど申しましたように、八十億円から十億円ということで厳しく見直しまして、それでも必要な額、あるいは改良資金は長期でございますので、一たん貸し付けた後、返ってくるのに時間がかかります、そういったものを見通した上で必要額を計算いたしまして、その上で、改良資金の方からは一定額は不要であるということで、これはお返しをするという計算をしたところでございます。

三谷分科員 もう一度お尋ねをいたしますけれども、局長が一番最後に言われた部分、新たな話として、品目横断的な改良資金の方にも充てていくと。だけれども、その資金需要がどのように見込まれているんですか。もともと十六年度末の段階で八〇%弱、その状況は基本的に変わっていないわけでしょう。それだけのニーズが、また新たなニーズが出てくるんでしょうか。でなければ、必要額を確保確保というふうにおっしゃっておられますけれども、必要額の中身をお尋ねしているんです。納得のいく中身の説明を求めておるんです。お願いします、もう一度。

井出政府参考人 ですから、単年度の融資枠としては八十億は幾ら何でも過大であるということでございまして、これを十億円というふうに圧縮をしまして、それに対して必要な額というのを計算しておるわけでございます。

 その十億円そのものにつきましては、先ほど御説明いたしておりますように、新たな農政の展開によりまして、集落営農組織、先ほど大串委員の御質問にもお答えしましたけれども、既に三千を超えるところから手が挙がっているというような状況でございますから、従来、こういった組織についてはなかなか融資の対象たり得ないとされてきたもので、先行している集落営農組織についても御苦労があったわけでありますから、こういったものができ上がっていく過程で少なくともその十億の融資枠は確保し得るのではないか、こういうふうに考えております。

三谷分科員 なかなか納得のいく説明を聞くことができないのですが、質問を移します。

 続いて、これも会計検査院からの指摘がございます。十六年度の特定検査対象の報告内容の中に、まさに先ほども申し上げました決算剰余金の状況というくだりがございます。内容の概略を申し上げます。

 決算剰余金は、平成十三年度から十六年度までに計四百二十三億九千八百八十八万円減少している。確かに減少をしております。平成十三年度千二百三十一億円だったものが、平成十六年度に八百七億、先ほど申し上げましたように、十七年度見込みで六百三十七億、確かに減少をしております。しかし、その主な原因は、この間に社団法人全国農地保有合理化協会、まさに法律上のこの特会の指定法人でございますが、この全国協会に交付された、先ほども局長の御説明の中にも出てまいりました農地保有合理化促進対策費補助金、この額が、十三年度の五十二億七千五百四十二万円から、十六年度二百三十八億二千七百六十四万円へと大幅に増加をしています。会計検査院の回答そのものですが、交付先である全国協会において多額の資金を保有している事態となっていて、預金及び債券の保有額は十六年度末で四百九十四億七千八百七十七万円となっている。

 つまり、減少しているけれども、その減少の主な原因は、社団法人全国農地保有合理化協会に交付されたこの農地保有合理化促進対策費補助金の額、都道府県と全国協会と両方ありますけれども、全国協会の方への補助金額が大幅に増加をしている。その分だけ、交付先である全国協会において多額の資金、具体的には預金及び債券の保有額がふえ続けて、十六年度末では四百九十四億七千八百七十七万円となっている、こういう報告でありました。

 この話、そのまま読めば、決算剰余金をこの特別会計の指定団体である全国協会に移しかえたんじゃないかと言わんばかりの報告内容だというふうに思います。

 お聞きしますけれども、全国協会のこれだけ増加した補助金、さっきもお話の中にも出てまいりましたけれども、本当にこれだけの必要があったんでしょうか、これをまず御説明いただきたいと思います。

井出政府参考人 農地保有合理化事業でございますが、最近では、担い手への農地の利用集積面積の約半分、一万八千ヘクタールが農地保有合理化事業により移動しております。

 全国農地保有合理化協会では、この農地保有合理化事業の支援業務としまして、都道府県、市町村、農協とがやっております農地保有合理化法人が、認定農業者等に対しまして一定期間、これは十年以内でございますが、貸し付けた後に売り渡すための農地の買い入れに必要な資金を貸し付ける、つまり、一たん農地を買いましても、一番長い場合は十年間は貸し付けという形でお金は返ってまいりませんので、その間の資金が寝るわけでございます。

 それから、さらに、農地保有合理化法人が、農地価格がどんどん下がっていく中で安心して農地保有合理化事業に取り組めるように、売買価格の差損を補てんするための資金を助成するといったような事業をやっているわけでございます。

 このような全国協会の事業に対する経費につきましては、農業経営基盤特会から補助しているところでございますが、今般、需要の低い資金については徹底した資金規模の精査をし、不要なものは返還するということといたしましたけれども、なお必要な土地の買い入れ資金につきましては、合理化法人の償還金をもって新たに貸付金として回転させる方式で造成をしておりますので、いまだ本格的償還がない状況のもとでは、今後においても、一定程度資金が回転するまでの間は造成を行う必要がございます。そういったことを踏まえまして、返還額も決めておるわけでございます。

三谷分科員 今の局長の御説明の中にあった、寝る資金が幾らか生じてくる、これはわかるんですよ。だけれども、まず一つ、これは補助金ですから、その補助金の必要額の査定、これもお聞きしたいと思いますけれども、何を基準に必要額を、その数字をはじかれているのか。普通ならば、そこにこれだけの見込みのニーズがある、もっと言えば、具体的な何か要請、要求があって、それに対して予算化が行われる、これが当たり前の姿です。そういう、これだけのものがある、あるいはこういう基準がある、だからこれだけの必要額、補助金が、数字がはじかれる、これをきちんと説明していただきたいと思います。

 それから、寝る資金があるというのはわからない話ではありません。だけれども、少し時間がありません、ちょっとあわせてお答えをいただきたいと思いますけれども、今のお話の中にも出てまいりました農地保有合理化促進対策費補助金ですけれども、もちろん、今のお話の中にもありました、都道府県に向けてのものと全国協会に向けてのものがあります。都道府県分は年々減少しているのに対して、全国協会分はふえているんです。これは会計検査院の指摘のとおりです。これは、農地保有化法人が農用地を取得する際の助成手段として、金融機関からの借入金に対する助成を都道府県を通して行っていたものを、あるところから、全国協会が資金を一元的に管理、調達することになったためなんです。このことはわかるんです、これはわかります。

 しかし、次の指摘のくだりです。しかし、全国協会に対する補助金の支出額が、全国協会から都道府県に対する貸付金の純増額及び助成金額を、毎年度継続して上回っているんですよ。毎年度継続して上回り、全国協会の保有する預金及び債券の金額が毎年増加している状況は、資金の効率的活用及び補助金としての効率的使用の観点からは問題だというふうに、この検査対象報告書の中で会計検査院は指摘しています。

 問題だと思います、この話そのものをそのまま受け取れば。全国協会に対する補助金の支出額が、全国協会から都道府県に対する貸付金の純増額、助成金額を毎年継続して上回って、保有する預金及び債券の金額が毎年増加し、そのあげくで、十六年度で四百九十四億円、さっき申し上げた預金、債券の保有額と一緒です。

 寝る資金があると局長がおっしゃいましたけれども、その基金の合計ですが、十六年度末で基金総額七百七十一億円、貸付残高二百七十七億円、現有基金四百九十四億円、これがまさに保有する預金、債券ですけれども、七百七十一億円に対して二百七十七億円ですよ。寝る資金が一体どれぐらいあるんですか。

 だから、先ほども申し上げましたように、本当にどれだけ必要だったのか、どういう基準で必要額をはじかれているのか、それも含めて教えてください。

井出政府参考人 先ほど、現在の農地保有合理化事業の実績は大体毎年一万八千ヘクタールであるというお話をいたしました。この合理化事業によります集積面積を全体として二万ヘクタールというふうに置いておりまして、毎年二万ヘクタールがこの合理化事業によって集積されるのに必要な額というものをベースにして算出をいたしております。

 それから、先ほど申し上げましたように、古くからスタートしまして既に目的を達成したような事業については今般廃止をする、あるいは、そのことによって不要額はお返しをするということにいたしておりますが、最近、平成十四年とか十三年ごろにスタートした事業につきましては、先ほど申し上げましたように、五年から十年間は貸したものは戻ってまいりませんので、我々は、平成二十三年においてそのピークがやってくる、それ以降は制度として自転をするので、新規の、追加のそこに投入する財政資金は不要になる、こういう設計をいたしているところでございます。

三谷分科員 時間がなくなってまいりましたので、もうこれ以上は突っ込みませんが、今のお話で、先ほど申し上げました基金総額が七百七十一億円で、貸付残高が二百七十七億円、平成二十三年にピークになるからと。ピークになる。このようにこうなっていって、七百七十一億円がほぼ有効に使われるという説明にはなっていないと思うんですよ。今、現段階で、七百七十一億円に対して貸付残高は二百七十七億円なんです。その間を埋める説明は今の話の中ではありません。

 もっと細かく言いますと、その中の一つですけれども、同じように、担い手育成貸付原資基金、規模が縮小しただけです、基金総額が三百五十七億、貸付残高は百二十八億、現有基金は、いわば遊んでいるお金は二百二十八億、全体よりももっとひどい。取り崩し基金、費消的基金、これも本当は説明をしてもらいたかったんですけれども、三項目あって、七億、七十五億、五十億、費消的基金です、合わせて百三十二億もあるんです、これだけで。

 今の説明で、この四百九十四億円の全国協会が保有する預金、債券、これだけの遊んでいるお金が滞留している、だけれども、これは必要なんですよという説明にはなっていないんじゃないかというふうに私は思います。確かに、十八年度予算で一般会計に全国協会からも七十二億円分繰り入れが行われました。どう考えても七十二億では足りないんですよ。もっととっていただく努力をしてもらいたい。

 大臣、最後のお尋ねをします。

 まさに、今回の特別会計の改革、小泉首相の肝いり、あるいは、私も代表質問でこのことをお尋ねさせていただきましたけれども、谷垣財務大臣も、徹底した見直しをしていく、設立当初に戻って本当に必要なものだけを精査していく、それをゼロベースの見直しという言葉で言いあらわされております。ゼロベースの見直し、大臣はどういう理解をされているか。

 そして、今まで指摘をしてまいりましたこの農業基盤特会、あるいは全国協会に滞留されたお金、不用な資金については、きちんと必要額を精査していただいて、基準もつくってもらって、合理的な説明を加えていただいて、今後徹底的に精査していただきたい。そして、余ったものは一般会計にぜひとも繰り入れ、返していただきたいということをお約束いただきたいと思います。御見解を最後に伺わせていただきたいと思います。

中川国務大臣 三谷さんのおっしゃっていること、よくわかりますよ。公的なお金、これが特会に入って、いわゆる特殊法人に入って、これが寝ている、あるいはたまっている。だから戻したわけでありますけれども。これはもっと、一部特会から一般会計に戻してやっておりますけれども、もっとやらなきゃだめですね。

 役所は役所で、農地保有合理化という大事な目的があります。だけれども、結果的に余っちゃっているから戻さなきゃいけないわけですから、そういう意味で、もっとチェックをしてきちっと、まあ農地ですから、十年、二十年、三十年というタームで考えなければいけないという特殊性もございますけれども、しかし、ずっとそこにたまっているということは、きちっとなくさなきゃいけないので、農地であろうと機動的にきちっと運用していかなければいけないということで、御趣旨はよくわかりますので、これからも、会計検査院の御指摘を受けるまでもなく、みずからきちっと、そこにたまっている部分は、余っているお金は、片っ方ではきついわけですから、足りないわけですから、そういう意味で、全国協会あるいは特会に寝て遊んでいるお金があるということは徹底して排除しなければいけないというふうに思います。

三谷分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

平田主査 これにて三谷光男君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川友一君。

小川(友)分科員 きょうは、決算行政監視委員会の場をおかりいたしまして、近郊都市農業の行く末を今後国としてどういうふうにとらえていくのか、そしてまた、どんどんどんどん宅地化が進んで、近郊の農地が減少の一途をたどっているこの実態の中で、国として今後近郊都市農政の推進をどのように図っていくのかの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 特段、きょうは、中山間地の農地とは分けて、基本的に近郊都市の農政の分野だけ争点にして質問をさせていただきたいなというふうに思います。

 私の選挙区は、この首都から三十キロ西へ行きました、いわゆる三多摩という、立川、日野、昭島というところが私の選挙区であります。そして、私の生まれた日野市というところは、田園地帯が、しっかりと緑と清流があって、すばらしい素材を持った町でありました。そしてまた、一昨年の大河ドラマ「新選組!」の三多摩壮士、土方歳三の生誕の地でもあります。

 そういうふうな観点の中で、昭和三十九年、四十年代の経済成長に相まって、都市化の波が押し寄せ、いわゆる農地が、農地法三条、四条の届け出だけで宅地化がどんどん進んで、農地が非常に少なくなってしまいました。

 私は、昭和六十二年に日野市議会に参画し、地方自治の現場で十六年間働いてまいりました。昨年の八月まで市長と一緒に近郊都市農政を、どういうふうに自分たちの町で農業を育成していくかということで、全国で初めて自治体独自で農業基本条例を策定して、農地を守り地場の農業振興に全力で取り組んできた、こんな経過があるわけであります。

 そしてまた、今農業を取り巻く環境というものは、農業従事者の高齢化とか後継者が不足しているとか、そしてまた、農の多面的な機能を保たせるために、いろいろ、生産、環境、そしてまた防災の観点、そして今言われている食育、いわゆる農業に関連した教育の分野でも、農地の必要性というものが叫ばれているのではないかなというふうに考えます。

 そしてまた、きょうは特に中川大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、いわゆる地方自治の現場で生の声として、国民的、市民的な目線で、今我々が、近郊都市が抱えている問題を真っ向から率直にお話をさせていただいて、十分その辺の状況を把握していただきながら、国としてやれることをしっかりと支援していただければありがたいなというふうに思います。

 そこで大臣にお伺いしたいんですが、近郊都市農政というものは、都市農業というものが、食料・農業・農村基本法の制定に伴って、平成十一年にやっと認知がされたというふうに承知をしております。私たちの日野の町は平成十年にもう農業基本条例をつくって、自治、いわゆる農業を守るために活動してまいりました。

 そういった観点から、農水省として、近郊都市農業、そしてまた近郊都市の農地をどのようにこれから存続させていくのか、農地を残していく施策を国としてお考えいただけるのか、大臣より、まずそれを一点お聞かせいただきたいのと、もう一点だけ。

 この分科会とは直接関係ありませんけれども、いわゆる今の小泉改革の中で、地方に権限を与え、地方が努力している尺度を国でしっかり持ってもらいたい、このことを、視点は変わりますけれども、あわせてお答えをいただければありがたいと思います。

 それは、行財政改革大綱を策定し、六年間で交付団体から不交付団体に再建をしました。しかしながら、やった結果、努力をして再建団体になって交付税をいただかなくなった自治体に対して、国のある程度の支援もなければ、何もないわけでありまして、努力した自治体、努力が報われないということになれば、分権を進めても、権限を移譲しても、そのまま自治体は努力をしないと思います。やはり権限と財源を移譲し自治体に任せた以上、自治体がどういうふうに努力をしているのかの尺度を国としてしっかりと持っていただけないか。あわせて答弁をいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

中川国務大臣 日本は、小川委員御承知のとおり、人口は世界の中で二%、しかし国土は〇・〇何%、そういう中で、食料は世界一外国から買っている、カロリーベースでも、あるいは金額ベースでも。そういう中で、しかし、今小川委員が御指摘になったように、食育あるいは地産地消、もっと言えば国内の農業が大事だということを消費者の皆さんがわかっていらっしゃるわけでありますから、だから生産サイドも頑張らなければいけないということで、私の地元のような土地利用型の大規模な農村地帯も、あるいは中山間地帯も、そして小川委員の御地元のような都市的な農業も、みんな大事なんです。

 ですから、面積でいうと二五%、しかし産出額でいうと二九%、都市的な農業が占めていらっしゃる。つまり、野菜とか果物とか、いわゆる付加価値が高いものを、まさに小川委員の御地元が中心になってつくっていらっしゃるわけでありますから、大事なんです。守っていかなければいけないんです。もっともっと新鮮な、顔の見える農業を小川さんの御地元で頑張ってもらいたいというふうに思っておりますので、そういう農業も一生懸命、これから農林水産省として後押しをさせていただきたいというふうに思っております。

 御地元で頑張っているところが報われるような農政にしていこうと。先ほどからお話ありますように、何か規模で切って、北海道のように十ヘクタールで、あとはおしまい、そうじゃないんですよね。一生懸命頑張っている都市的な農業、中山間、こういうところを一生懸命支援させていただこう、やる気と能力のある農業を支援させていただこう、それは農業だけじゃなくて自治体も含めてやっていこうということでございますので、まさに地方自治体においても、権限と財源とそしてノウハウ、知恵、これを大いに頑張ってもらう農政を、まさに農林水産省は、サッカーでいいますならば、後ろから後押しをさせていただく。日本が、日本の農業が、食料が先頭になって、さあ、都市的農業ついてこい、中山間農業ついてこいじゃなくて、まさに御地元のようなところが頑張ることを後押しをさせていただく農政をこれから推し進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

小川(友)分科員 思いは同じで安心をしました。

 ことしの二月に、ここにデータがあるんですが、農水省の関東農政局のアンケート結果が出ています。消費者の東京農業等に関する意向ということで、これから東京の農業や農地についてどうお考えですかというアンケートで、現状を維持してほしい、なるべく農地は残していただきたいというのが全体の九二%、あわせまして、農業や農地を残すために何が必要かというアンケートに対しては、地元産の野菜などを買える場がふえていただきたい、もっと地元産の野菜などを買えるような状況を、環境をつくっていただきたい、こういうふうな声が圧倒的でありました。そして、今この首都の近郊都市の農業を営んでいる大半の人が、農業だけでは生計が営めない状況になっていることは御案内のとおりだと思います。

 今の税制も含めながら、農家の人たちが農業だけで、今の現行法の中で農業を続けていくということが難しい環境になっていることを踏まえながら、制度設計を多少いじることによって、修正することによってそれが維持できるのであれば、国の施策として何らかの方策が私は求められるのではないかなというふうに思っています。

 そこで、一点ちょっと質問をさせていただきますが、国の制度として、貸付制度や年金制度の減額等、さまざまな形で支援策がとられていることは理解をしています。そして、さきに、都市農業支援事業の概要という形で、国の方で補助対象にしながら、都市農業、東京の農業を、整備事業に対して補助金を出そうということで、生産緑地の保全を図り、農業生産性の向上、農作物の省力化による農業経営の安定化を図るための基盤整備、こういうふうなものの補助対象を打ち出していただいたように、今資料としていただきました。

 この中で、いわゆる三農家が集まらないと対象にならないということが明記されているんです。一般的に、地方ですとたくさんの農家がいらっしゃるから、三つの農家ぐらいでどうにかなるのかなと思いますが、近郊都市農政といいますと、認定事業者は全体の一五%ぐらいです。この中で三軒が一緒にならなければ補助が出せないというふうな仕組みでありますと、ほとんど実効性がないわけでありまして、なぜこれは三農家が一つにならないと補助対象にならないのか、その辺の御説明をいただけたらありがたいなというふうに思います。

山田政府参考人 ただいま補助事業につきましての要件の関係で御質問がございました。

 一般に補助事業につきましては、やはり共同で使っていくということで補助対象にしているという基本的な考え方がございますので、何軒かの農家が集まっていただいて実施をするということでございます。

 融資制度などにつきましては、もちろん個々の農家ということになっております。

小川(友)分科員 その辺が、せっかく国の方で支援事業として打ち出していただいても、ほとんど実効性がないという実態をもう一度把握していただければありがたいな、まずお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 あわせまして、ちょっとお伺いしたいんですが、近郊都市の場合、農地が減っていると。認定農業者に対して、いわゆるその土地を市民の皆さんに開放して、体験農園として区部の方で賃料を取って貸し付けをしている。その認定農業者が、そのことによって広く農業に親しんでいただきながら農業を理解していただきたいという大きい観点にも立っているのかもしれませんけれども、基本的に、この制度はあくまでも生産緑地の土地に関してだけだというふうに私は認識しているんですが、それで間違いないのか。それと、あわせて、どういうふうな方策で区部ではそのようなことが実施されているのか、お答えをいただければありがたいと思います。

山田政府参考人 ただいまの御質問ですが、ちょっと聞き取りにくかったので適当な答えではないかもしれませんけれども、体験農園の設置でしょうか。これについては、個々の農家の方が体験農園を設置しているというような形になっておりまして、その場合に、一般的に言いますと、生産緑地でなくても体験農園の設置については実施ができるというふうに思いますけれども、例えば、助成事業の対象として、そういったものの整備について助成がなされるという場合に、生産緑地であるということが要件になっているような事業があるということはあり得ようかと思っております。

小川(友)分科員 一般的に、今御答弁いただきましたとおり、今まで宅地並み課税を受けた市街化農地であっても、体験農園としては結構ですよということで理解をいたします。

 今、いわゆる宅地並み課税を受けるのか、生産緑地として残していくのか、近郊都市の農家の皆さんは非常に迷っているんです。それは、やはり今の、現行法の生産緑地法は、要するに制約が余りにもあり過ぎて、もし何かあったときに、その土地を処分しなければ、今の現行法で相続税だとか固定資産税が払えなくなるのではないかということで、多分宅地並み課税を選択して、市街化の農地を存続させていく。

 それで、お伺いをしたいんですけれども、私の経験ですと、自治体ではそのような、要するに市街化区域内の農地を市民に市民農園として貸与しているんです。それで、その農家の皆さんには、固定資産税分を使用料として支払っている。それで、なるべく市民の皆さんに農業にいそしんでいただいて、なるべく農地を残そうと。しかしながら、最終的に、その農家の方が、不慮の事故があって相続が発生したときには、明らかにその市街化の農地は宅地化になるわけです。宅地化になることによって、その近隣にある農地は必ず建物が建つ。そうすると、その農家の方は多くの土地を持っておりますから、一部として建物が建つことによって、それに続く土地は日陰になったりなんかして、農業を存続するのに非常に不都合が生じてくる、非常に悪循環になっているのが実態なんです。

 それで、質問させていただきたいんですが、生産緑地として指定しておいて、それを自治体がすべて管理する、要するに、農業者としての教育もしましょう、農業に従事するにふさわしい状況をつくり出して、農地としてしっかりと自治体が管理していくから、生産緑地としても、生産緑地の農地にしても、現行と同じような形で存続ができないかということになれば、それを認めてくれるということであれば、農家の皆さんは宅地並み課税の市街化農地を選択しないで、いわゆる生産緑地を選択して、継続的に農地が残る可能性は生まれてくるのではないかなというふうに思うんですけれども。その辺は大変法整備が必要ということで、笑っていますけれども、難しいなというような顔をしていますけれども、そういうふうな方策でもとらない限り、近郊都市の農地は守れないというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 ただいまの質問、なかなか難しくて、国土交通省さんの方とちょっと、どうなのかとお話をしていたところなんですけれども。

 先生おっしゃいますように、生産緑地制度のそれ自体の問題と、それから農業としてそれをどういうふうに理解をするかという問題と、両方ありましてあれなんですけれども、私どもの農林水産省の観点からいいますと、生産緑地に指定していただいて、そこで農業を継続していただくということがあれば、それはそれで、こちらとしては、農業継続をしていただいている状況ですから、そういったものは大変結構でございますし、さらに推進をしていきたいと思いますけれども、自分で農業をやらない状態になるということになりますと、これはなかなかやはりいろいろな問題が生じてくるのではないかというふうに思っております。

小川(友)分科員 現行法ではそのとおりなんです。今、国交省の所管だということなもので、国交省にちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、今の相続の猶予制度の中で、いわゆる生産緑地、改正の生産緑地法の概要で、農業を継続することができなくなった、当面できなくなって、死亡が発生しました、その農地は生産緑地としてもう機能しなくなった、そのときには、地方自治体にまず買い取り請求を申し出るということになっていると思うんですね、現行法で。現実的に、私は過去十数年、二十年近くいましたけれども、改正があった後、地方自治体で、買い取り請求があって、買い取り請求に応じたことは一回もないですね。

 国として、この法律をつくって、どのぐらいの実績があったんでしょうか、お答えをいただきたい。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 実際の買い取り実績がどの程度あったのかということでございますが、生産緑地地区制度は、平成十七年三月末の現在で全国で六万四千カ所、約一万四千七百ヘクタールの生産緑地が指定されております。このうち、例えば東京都では、平成十七年一月から十二月までの一年間に三百三十四件、約四十六ヘクタールでございますが、これらについて買い取りの申し出がなされております。このうち八件、一・一ヘクタールについて、市区町村が公園等として買い取るということとされております。

 御指摘のように、買い取りの申し出件数に対して実際の買い取り件数が少ないわけでございますが、これは、買い取り申し出がなされた土地が不整形であったりして、その買い取り申し出に係る部分だけでは公共施設等として利用が困難な場合ですとか、あるいは、一定期間内に買い取りの意思決定を行うことが、受けとめる市町村のサイドと財政上の問題があってなかなか難しいというような事情も想定されるところでございます。

 一方、買い取りの申し出のあった三百三十四件、これも東京都の例でございますが、先ほど申し上げた三百三十四件のうち六十三件についてはあっせんが行われております。これは、あっせんを行うことによって、都市計画的に見ますと、これまで生産緑地で、貴重な都市内の緑を営農を継続していただくことによって確保しておりましたが、それを引き続きぜひお願いしたいというのが都市計画上の考え方でございまして、そういった観点からあっせんの努力を行っているところでございます。

 今後とも、生産緑地の適正な保全を図るために、生産緑地制度の適切な運用の助言などを通じて市町村の取り組みを支援していきたい、このように考えております。

小川(友)分科員 なかなかうまい答弁をしているんですけれども、現行法に即応していないと思うんですね。いわゆる買い取り請求が出て、自治体がそれを求めるときには、多分国の補助金か何かなければ、自主財源でその土地を買えるような状況に至っていないし、もし今みたいに地方自治体が公園緑地か何かで取得する場合であれば、中央、要するに上位からの補助金があるから、行政財産として取得するということは物理的には可能かもしれない。しかしながら、今のこの現行法は、でき得ることであれば、農地として存続させるべきではないかなという観点に立って私は発言をしているつもりなんです。

 もう一点、ちょっと国交省にお伺いしたいんですけれども、いわゆる緑地保全というのがあると思います。緑地保全は、都市計画法上、一定の規制をかけて、網かけをして、余り変えないようにしておいて、要するに緑地を残そうということで、国や都の補助金を受けながら緑地を保全していっているということがあると思うんですね。

 同じように、もうこれだけ近郊の農地がなくなった、それでこれから食育基本法もできて、要するに、教育の分野でもやっていこう、災害のときはその農地を使おう、こういうふうな国の方針が出ている以上、やはり国の施策として、政策として、制度設計を見直してもこの農地というものは存続をさせる、確保していくんだと。そして、自治体、現場でどのような感覚、感性を持っているのか、自治体でどういうふうな思いがあるのかしっかりと聞き取って、それを要するに国として担保していくような方策というものがとれないのかどうか。

 それは、国交省だけでは難しい、総務省も必要だ、財務省も必要だ、農水省だけではどうにもならない。これは国の非常に悪いところですけれども、どこかが、所管がリーダーシップをとって、包括的に、縦ぐしを、しっかりと横ぐしを刺して、問題として議論をしていただければありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、生産緑地地区制度自体は都市計画制度で構成をさせていただいておりまして、それは都市計画で、先ほども申し上げましたが、市街化区域内の貴重な緑を都市計画上評価いたしました。その評価をするにふさわしいといいましょうか、永続的な緑を確保するという前提で、生産緑地では農業をするという前提になっていますから、農業を継続していただくということがまず前提になっておるわけです。

 しかも、都市内の緑地として評価をできるということになりますと、都市計画的な位置づけからいうと、これは恐縮でございますが、ある程度、極端なことを言えば一平米でも評価できるかというと、なかなかこれは難しい問題でございます。したがいまして、この間の、平成三年だったと思うんですが、その改正の折に、当時の生産緑地地区制度を見直しまして、できるだけ、しかし、さはさりながら、都市内の貴重な緑を確保しよう、守っていこうということで、面積要件も思い切ってぎりぎりのところまで、五百平米まで下げたのが実情でございます。

 したがって、私ども都市計画サイドとしても、営農をずっと継続していただけるような条件が整って、都市内の緑をずっと継続的に提供していただけるということは非常に重要なことだというふうに考えております。そういう面からしますと、確かに、途中で亡くなられたりして都市内の貴重な緑が生産緑地制度から脱落をして緑がなくなるということは、非常に私どもとしても残念なことだと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、あっせんとかいうことを努めて行っているところでございます。

 そこででございますけれども、先生御指摘のように、生産緑地地区制度は、税制措置と相まっていろいろ効果を持っているという御指摘でございますが、これの見直しについてはどう考えるかということでございます。それにつきましては、私どもとしては、先ほど来申し上げていますように、都市環境としての機能を発揮し得る規模の農地の確保が必要であるということに加えまして、緑をずっと提供していただく、すなわち継続的な営農状況の整備ですとか、あるいは農地としての永続性の確保、あるいは農地所有者と周辺の宅地所有者との税負担の公平性などの観点から、関係省庁含めて慎重な検討が必要ではないかなというふうに考えておるところでございます。

小川(友)分科員 時間がなくなってまいりましたので、簡潔に一点だけお伺いします。

 いわゆる相続税の納税の猶予制度の中で、現行法の改正生産緑地法の概要は、いわゆる規模で一団地で五百平米、そしてまた、買い取り請求が三十年以降または主たる事業者が入院とか死亡した場合のみということになっているんですが、この要件を少し緩和することによって、多少は、近郊都市農政で生産緑地に指定し農業で頑張ろうという人たちがふえると思うんですが、この数字は、法律に書いてあるからということではなくて、少しでも改正をしていっていただけないかとお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 大変恐縮ですが、先ほど御答弁させていただきましたが、税制の関係につきましては、先ほど申し上げましたが、生産緑地地区制度の持つ都市計画上の意味合い、それと、先ほど申し上げました周辺の宅地所有者と農地所有者との税負担の公平性などの観点から、関係省庁を含めて慎重に検討がなされる必要があるというふうに考えております。

小川(友)分科員 最後にいたします。認定農業者の率は全体の一五%です。残る八五%が、これからの農業、農地を存続できるかの大きな問題だと思います。そこによって、農地はもうなくなっていくのか、少しでも存続できるかの大きい岐路だというふうに私は思います。

 今までのやりとりを聞いていて、中川大臣より、一言で結構です、お答えをいただければありがたいなというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

中川国務大臣 小川委員は都市近郊農業を中心に御議論されているわけで、先ほど申し上げましたように、都市近郊の高付加価値農業、これも日本の食料を支えているわけでありますから、そういう意味で、これからも大事だと思います。

 ただ、今の、五百平米とか生産緑地とか、いろいろな御議論がありましたが、やはりプロとして頑張ってもらいたい、やる気と能力のある都市近郊農業にこれからも頑張ってもらいたい。そのためにいろいろな施策を、農林水産省としても、また国交省初め政府としても一生懸命やっていきたいというふうに思っておりますので。先ほどの、二五%の面積で二九%の産出額となっており、つまり効率がいい、もうかる農業をやっている都市近郊農業がさらに頑張っていくような農政を、これからも進めていきたいというふうに思っております。

小川(友)分科員 大変ありがとうございました。質問を終わります。

平田主査 これにて小川友一君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 大臣、遅くまで御苦労さまでございます。

 きょう私はカネミ油症の問題についてお伺いしたいと思います。

 昭和四十三年ですから、この事件が起こってからもう三十八年経過いたしました。当時三十歳であったとしても、もう七十近い、ほとんどの患者の方は七十、八十、大変高齢になっておりますし、いまだにまだ、がんだとか、甲状腺の障害だとか、いろいろ病気をお持ちでありまして、亡くなった方もたくさんいます。当時、一万四千人が被害を受けたと言われていますが、このカネミ油症事件というのは、いまだにまだ何の決着も解決もついていない、これは本当に大変お気の毒なことだ、こう思います。

 それが、今から五年前、坂口厚生労働大臣のときに、当時はPCBによる被害と言われていたのが、PCBだけじゃなくてPCDFというダイオキシンによる複合した汚染だ、こういうことで、初めて厚生省がPCDF、ダイオキシン類による被害という位置づけをされたわけであります。そういうことになれば、一企業が起こした食品公害という事件とは話が大分変わってきたんではないかと思うんですが、しかし、法律的にはいまだに何の措置も、また行政的にもそういった措置はありません。

 それで、この問題には二つ要素がありまして、被害者の救済、健康障害ということと、もう一つは、裁判の一審段階といいますか、最初に国が負けて、農水省の方で仮払金として、一人三百万ぐらいだと思いますが、お支払いになった。ところが、途中で和解をしたために、そういう仮払金の返済という新たなことが起こりました。この二つがいまだに解決していないという。

 しかも、ダイオキシン類の治療、あるいは健康を回復させる、こういった医学的な知見も、まだ、全く世界的にもそういうものは新たなものが出ていないという意味で、患者の皆さんが困っているわけであります。だから、病気に苦しみ、経済的にも苦しんでいる、こういう二重になっているわけであります。

 私も、この五年間、例えば歴代農水大臣に陳情させていただきました。武部さんの時代から、その後、大島大臣のときにも、また患者の皆さんを連れていったり、質問もさせていただいたり、その後、島村さんのときにも質問させていただいたり、いろいろ一生懸命やっていますし、それから、歴代厚生大臣、あるいは環境大臣にも、いろいろな形でお願いし、また陳情もしているわけですが、これがなかなか進んでいないというので、きょうはぜひ中川大臣に、実態を知っていただいて、何か一歩踏み込んだ、風穴をあけられるような、そういう措置ができないものか、こういう思いでございます。

 それで、実は、そういうことから徐々に盛り上がってきまして、ことしの三月に自民党と公明党で、与党の間で、カネミ油症問題を検討する議員の会というのが立ち上がりました。そして、ずっとやってきました。そして、今日に至るまで、先般、今度は与党政策責任者会議でもこの問題が議論になりまして、与党PTとして与党カネミ油症問題対策プロジェクトチームがこの前から発足して、きょうも実はさっきあったんですが、そんなことで、だんだんと理解が進んできたと思います。

 大臣、まず与党PTがこういう形で進んでいるということについて、何か御感想があればお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今、田端委員がおっしゃるとおり、カネミ油症問題、私も正直言って、子供のころからよくニュースで聞いておりましたけれども、いまだにこの問題が解決していないのか、本年の予算委員会の質疑を通じて改めて、まことに申しわけないんですけれども、率直に言って、知ったわけでございます。

 そういう中で、公明党さん、あるいは各党が一生懸命この問題に取り組んでおられる。私も、この問題を何とか、農林水産省としても鶏の関係でかかわっておりますので、先ほどの仮払金の問題等々につきまして、何か対応ができないのかということを事務当局に言っているところでございます。

 御指摘のように、三十年、四十年、この問題が未解決のままという問題を、一刻も早く、まず時間という一つのペナルティーを解決しなければいけないというふうに思っておりますので、これはまさに法律、行政を超えた政治の判断だと思いますので、田端委員が御指摘のような、人間としてきちっとこの問題を解決していかなければならないなということで、今事務当局にも対応をとらせて、知恵を絞るようにということで、今取り組ませているところでございます。

田端分科員 何としても知恵を出さなきゃならない、これは政治の責務だ、こう感じます。

 それで、一番の問題である八百二十九人、二十七億円の仮払金の問題でございますが、債権管理法の三十二条の、大臣も御答弁でこの前もおっしゃっていただいていますが、債務者が無資力またはこれに近い状態、この場合は履行延期をやる、十年たって、なお債務者が無資力またはこれに近い状態であるならば、将来も弁済する見込みがないと認められる場合は、債権の免除を行うことができるというこの規定、これをぜひ、弾力的にといいますか、大きくこれで運用していただいて、仮に生活保護を受けていなくても、こういう生計に大変な圧迫を受けている無資力に近い方々、こういった方々をぜひ救っていただくといいますか、そして、ちょうどことしが、平成八年から平成十八年にかけての十年、調停で十年を迎える人がこの秋から出てきます。そういう意味で、一人一人実情を聞いていただいてやるんだと思いますが、丁寧に、誠実に対応していただいて、できる限りの弾力的な運用ということをお願いしたいと思います。

 十年履行の方は二百二十一人、そして、五年延期でまた五年という十年目に当たる人が七、八十人いると聞いていまして、トータルで約三百名ぐらいの方が救われる対象になるのではないか、こう思いますが、ぜひ心のこもった対応をお願いしたい、こう思います。

中川国務大臣 言うまでもなく法律に基づいてということでございますので、この法律がなかなか、政治の世界あるいは被害者の皆さん方に対しての実態とずれている。ですから、法律をきちっと変えるということで、田端委員中心になって、今そういう制度の見直しの作業をやっているわけでございます。まさしく政治の判断を我々は重く受けとめて、気持ちはもう一緒でございますので、まさにこれは議員立法あるいは政治として主導権をとっていただいて、それを我々がきちっと対応させていただくということでございますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

田端分科員 それで、実は今までの経過の中にいろいろと問題はあろうかと思います。私は、これは一企業の食品公害事件ではありますが、これだけの多くの方が被害に遭っているわけでありまして、今だったらもう大変なことだと思いますが、しかし、三十年前、四十年前であろうとこれは大変なことなんですから、まず企業責任、企業の社会的責任、ここは一回もっときちっと行政の側も点検していただく必要がある、こう思います。

 それで、第一義的責任があるこのカネミ倉庫株式会社が、三つの裁判で和解して四つの裁判で負けているわけですが、この昭和六十二年の和解条項の条文を見ますと、七項目になっておりますが、一項目めに、カネミ倉庫株式会社は原告らに対し、各五百万円及びこれに対する昭和四十三年十一月から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払うと。金利も含めて五百万円払え、こうなっているんですね。

 ところが、現実は二十二万しか患者の皆さんはもらっていない。これはいかにもひど過ぎると思うんです。だから、これは、その後のところに、強制手続による履行を求めないという一項目は入っているんですが、強制手続でないにしても、強制執行でないにしても、五百万と約束しておいて二十二万じゃ、これはもし五百万払っていただいていればこの仮払金だって解決しているわけでありまして、私は企業の社会的責任というものは大変重いものがあると思いますが、大臣、これはどういうふうにお考えでしょうか。

岡島(正)政府参考人 まさに裁判としては決着している、あるいは和解されたりと、法的には確定している話でありますけれども、いずれにいたしましても、債務の履行には原因企業の経営の維持が前提となるということでございます。

 農林水産省としても、三省の合意であります、政府米の寄託でありますとか、あるいはJAS認定工場としての事業の継続、米油製造業における米ぬかの円滑な調達とかそういったこと、厚生労働省とも連携しながら、精いっぱい対応してまいりたいというふうに考えております。

中川国務大臣 法律的にはそういうことなんでしょうけれども、政治的にはおかしいですね。

田端分科員 これはぜひ行政指導をしっかりやっていただきたい。大臣、これは責任ありますよ。

 それで、今先に答弁されたんですけれども、昭和六十年の二月に裁判で国が負けたときに、厚生省と農水省と法務省の三大臣の確認事項というのがあります。ここでは、さらに上級審で判断を求めるけれども、行政としてとり得る次の措置を行う、こういうふうになっています。

 それで、三つありまして、一つは、厚生省と農林水産省は、密接な連携のもとに被害者に対して必要な措置を行う、これが一つです。二つ目は、油症治療研究と油症患者追跡検診の有機的連携を図る等研究体制を整備、強化する、これが二つ目です。三つ目は、カネミ倉庫に対して、今もあった米油製造業における米ぬかの円滑な調達のための協力要請、そして同社所有の倉庫、カネミの倉庫について米の需給操作上可能な範囲内での有効活用の配慮を行うと。つまり、政府の備蓄米をカネミ倉庫の倉庫に保管してもらう、保管料を払ってあげる、それで、さっきあったようにカネミ倉庫が経営上成り立つように農水省としてもサポートしましょう、こういうようなことだと思うんです。

 これは、三大臣確認事項になっているんです。確認事項になっていて、厚生省の対応と、これは被害者に対する対応、調査研究、それから農水省が保存米の保管料を払う、こういうようなことになっているんですが、それで、ちょっと厚生省に先に聞きましょう。患者の治療等に、平均的でいいですから、このカネミ倉庫が年間どのぐらい治療費等を負担していただいているんでしょうか。

松本政府参考人 カネミ倉庫によります医療費の支払い、自己負担分の負担ということですけれども、カネミ倉庫と被害者の方との間で成立した和解に基づいて実施されているものでございまして、厚生労働省としては正式に報告を受ける立場にないわけですけれども、実際どの程度払っているかということを、やはり指導する必要もありますので、御指摘の医療費の負担としてどれくらい払っているかということを、先般、カネミ倉庫を呼んで問いただしたところでございます。

 平成十六年に支出した額は、同社によれば約四千二百万円であるというぐあいに聞いておりまして、ただ、毎年ほぼ同額な、同じぐらいの程度は払っているというぐあいに聞いております。

田端分科員 それでは、農水省が平成十六年にカネミ倉庫へ保管料として支払った金額は幾らですか。

岡島(正)政府参考人 十六年度において、カネミ倉庫への保管料の支払い実績としては二億八百万円でございます。

田端分科員 つまり、大臣、平成十六年だけ限定して比較しますと、二億八百万円農水省からカネミ倉庫に保管料を支払っている。そして、そのお金が回って患者の治療費に充てられたのが四千二百万。そうすると、一億六千万という金が、これはどうなっているんですか。全額利益じゃないでしょうけれども、これはいかにもおかしいと思うんです。

 そして、農水省の方からちょっとデータをいただきましたら、平成六年から平成十七年までの保管料のトータルが、毎年一億、二億ずっと来ているんですが、ずっとふえてきていますけれども、二十億四千五百万です、平成六年から。それで、それ以前の分はデータがないというんです、昭和六十年ごろから平成五年までの間が。この十年ほどの間を一億ずつぐらいとして想定して、推定、今日まで、カネミ倉庫に対して、保管料として約三十億払っているんですよ。それはもちろんお米を保存してもらっているんですけれども、それだけカネミ倉庫に対してサポートしているわけですね。ところが、今言ったように、ずっといくと、年間で一億五千万から六千万ぐらいのものが還元されていないといいますか、数字の上でですよ、これは、患者の皆さんから見たら、本当に悔しい思いをしているんじゃないか。

 私、このデータを今回初めて出していただいて、毎年のトン数も全部出ていますけれども、これはいかにも、こういう約束事をして、これは行政として三大臣がきちっと決めて、そして、カネミ倉庫をつぶしてはならない、だからこういうふうにサポートしましょう、だから、患者の皆さんも、カネミの方はちゃんとやってくださいね、こういう約束事なのに、それが全然できていないということについては、これは大変なことだ、こう思います。

 大臣、ぜひ、これは緊急に、カネミ倉庫に対して行政指導をお願いしたいと思います。

中川国務大臣 まさに、仮払金の問題にしても、今の御指摘のような問題にしても、法律とかそういうもの以前に、やはり長い間被害に苦しんでいる皆さん方のことを考えて、何をしていったらいいのか、田端委員を初め、公明党、自民党あるいは各党が、いろいろな御意見を提案されているわけでございますので、そういう意味で、我々としても、正直言って、我々にはやれる限界があるわけでございますので、まさに政治がこの問題を動かして、そして、御指摘のような被害者の皆さん、もう時間がたっていること自体、大変申しわけない、気の毒だというふうに思っておりますので、ぜひ、田端委員を中心にして、いろいろな案を出していただいて、行政を動かしていただきたい、我々も、動く用意があるということを、改めてこの場で申し上げさせていただきたいと思います。

田端分科員 いや、大臣、法律は法律なんですが、しかし、行政として、こういうことをやりますということを約束して、これが今日まで続いているということは、この約束事は生きているということなんですよ。

 そうしますと、年間二億、その二億が、仮に、例えば、もっとふやせばいいんですよ、頑張って十億とか二十億に。そして、患者の抜本的な救済に向けるという発想だって出てくるんです。これは、与党で我々がやるということもありますけれども、大臣の権限でだってできる問題じゃないかと思う。

 逆に、カネミ倉庫が二億を受け取りながら、四千万しか治療費に使っていないということについては、例えば、もっと厳重に注意するなり、約束事と反しているんじゃないかということを大臣の口から言っていただいて、企業の社会的責任として責任をとってもらわなければ、これは一企業の事件ですと言いながら、その企業に対してサポートしている、サポートしていて物を言わないというんじゃ、やはりおかしいんじゃないか、こう思うんですが、どうでしょうか。

中川国務大臣 ですから、個別具体的なことは別にして、やると申し上げているわけでございまして、それをぶつけていただきたい。

 まさに田端委員や政治の力で、私、参議院の予算委員会で、正直言って、恥ずかしいんですけれども、初めてこの問題を知りまして、これはひどい、気の毒だということで、事務当局に対して強く言ったわけでありますけれども、それをまさに、これは政治の力ですから、ぜひ、田端委員が中心になって、政治がまさに現行の法制度を動かしてやっていただく。まさに、言葉は悪いですけれども、手柄は、政治がやっていただきたい、そのために我々は動く用意がありますということを先ほどから申し上げているわけで、ぜひともそういう厳しい御指摘をいただいて、我々も対応していきたいというふうに思っております。

田端分科員 カネミ倉庫への寄託事業を始めているということは、これは、農水省として、国として、やはり、被害者を守るためには、そういう迂回策をとって企業にサポートして、そして、カネミ倉庫から被害者に、いろいろな形で、治療費なりそういうことで返っていくようにという恩情からやっていることだと思うんですね。だから、我々与党PTで、法律をつくるとかなんとかということは、これはこれでやりますが、これは大臣の御判断でもっともっとできることでもありますので、それを申し上げているわけで、そこは誤解のないように、農水省としていろいろな形をとっていただくことによって、それが患者の皆さんに対しての医療費とかその他のところに大きく影響するんだ、ぜひそういうことを知っていただきたい、こう思うことで、きょうはこの問題を出したわけでございます。

 それで、大臣、そういう意味では大分世論が盛り上がってきました。期待も高まってきました。私が五年前に五島列島へ行ったときというのは、患者の皆さんは、自分が油症患者であることを告白することすら周りを見ながら言うぐらいの、そういう状況であったのが、今は本当に、そういう意味では、いろいろな意味で皆さんの認識も変わり、国民の理解も、そしてまた、何とかしなきゃならないという我々政治家の思いも出てきたと思うんですね。だから、そういう意味では、本当はこの国会で何とかと思ったんですが、会期ももういよいよということになってきましたのでもうちょっと時間がかかるかと思いますが、いろいろな意味で手を打たなきゃならない、その手を打つ方法はいっぱいあると思うんですが、どういう手を打ったとしても、お金がかかるわけです。

 そういう意味では、患者を救済するという一点にかけて、これは、国民の理解がだんだんと得られている、されていると思いますが、大臣もそういった意味で御認識は一緒だと思いますけれども、まず、仮払金の免除ということについて我々考えますけれども、この点、重ねて、大臣の思いを語っていただければと思います。

中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、国会に患者さんが傍聴をされているところで、私、答弁をしまして、これはとても他人事ではないというふうに思いまして、農林水産省としても、ある意味では訴えられていたわけでありますから、そういう意味で、できるだけ対応しなければいけないというふうに指示をしたところでございまして、そういう意味で、仮払金免除の問題等々についても、被害者の皆さん方の要望をできるだけかなえるように、農林水産省としても対応していかなければならない、そのためにも、田端委員を初め、政治の力の後押しが必要だなと。

 我々、やれるところはやりますよ。だけれども、それよりも、もう少し政治の力が必要だな、それだけでは多分だめなんじゃないかと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いします。

田端分科員 今大臣おっしゃったように、これは、もともとは、この油症事件が起こる数カ月前に、数万羽のブロイラーがへい死するという事件があった。その時点でもし発覚していれば食いとめられた事件であったわけで、農水省が問われているのは、そこがあるからであります。しかし、これは裁判で和解ということになっていますから、今さらそういうことは言いませんが、しかし、そういった意味で、行政がかかわってきたことであることは間違いないし、申し上げたような確認事項もあるわけですから、これは何としても、農水省としても、今後しっかりと、また、個々のいろいろな状況を配慮していただいてお願いしたい。

 そして、厚生省、さっきも申し上げたとおり、今後は、いろいろな意味で今までも調査研究をやっていただいていますが、しかし、まだ研究、調査の、あるいは治療の根本的なことまでいっていないわけでありますから、ぜひこれはしっかりとお願いしたいと思います。

 患者の皆さんに対しては今、治療費を払っていただいている、油症治療券というんですか、カネミが発行している油症治療券でやっている。こういうことではなくて、全国共通するような、原爆手帳のような、ぜひこういうふうなものに何か発展させることはできないのか。まあ、九州近辺ではそういうことは可能かもわかりませんが、関東やこっちに来た人がそんな指定の病院を探すといったって、大変なことだと私は思うわけであります。

 世界最悪のダイオキシンによる被害、PCBの五千倍もあるという猛毒なダイオキシンによる被害、そういうことから考えたら、患者の皆さんの苦しみ、負担を少しでも少なくするための努力というものをぜひお考えいただきたい。それは、やはり一にかかって治療費負担ということと病気を軽くするという、そこにかかっていくんだと思いますが、このことについて最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

松本政府参考人 油症券を全国で使えるようにしたらどうかということでありますけれども、この油症患者受療券による支払いが可能な医療機関につきましては、患者の多い地域につきましては地域の病院協会や医師会の、また、患者の少ない地域におきましては患者さんからの申し出によって、カネミ倉庫が個別に医療機関と契約を結んでおって、現在二百五十三医療機関が対象となっているというぐあいに聞いております。

 先般、聞きましたときに、契約したところだけではなくて、それ以外のところに患者さんが行ったときどうなるのかといったときに、立てかえ払いで、その請求書を送っていただければちゃんとお支払いしていますということでありますので、このような、全国共通ということでなくても、実際は、医療機関にかかって、その医療機関の領収書をカネミ倉庫に送っていただければ、そのように支払われるということでございます。

 被爆者手帳のような形で、全国共通ということについてどうかということでございますけれども、これはあくまでもカネミ倉庫と被害者との、当事者の和解の結果できているものでございまして、法律に基づいて発行されている被爆者手帳のようなものと同列に論ずることは困難な点があるかと思いますけれども、カネミ倉庫に対しましては、今まで契約していないところに患者さんがかかられて、かかったものについてもちゃんと払うようにということで、指導はしていきたいと思っております。

田端分科員 そういう答弁をされると、ちょっとまたむかっとくるんですけれども。

 例えば、五島列島の患者さんが長崎大学に治療に行く、一日がかりですよ、これは。一日がかりで、船に乗って、行って帰ってきてというので、しかも、何時間かかって行って何分診療か知りませんが、根本的な治療にならないんです。対症療法で、ここが痛い、ああそうかというので、薬とかなんとかで。だから、患者の皆さんは、五島列島の人なんか、はっきり言って、もう病院に行ったって意味がないと。ここまで来ているんですよ。

 だから、そういう全国に二百五十ぐらい認めているから、そんなことじゃないんです。要するに、そういう人が全国に散らばっているわけですから、そういう意味で、患者の皆さんに対する、どこでもいいけれども、東京で、カネミ発行のカネミ油症券を、私は患者ですと、そんなもの持っていって、病院の人がわかりますか。大臣だって最近まで知らなかったと言っているんじゃないですか。そんなことが、お医者さんがわかるわけないでしょう。

 だから、そういう機械的な答弁をしているところに私は問題があると思うので、厚生省だって、三大臣確認事項で、我々も責任を持っているということを、被害者に対してはきちっとやりますということを言っているんだから、だからお願いしているわけであって、ぜひそういったことで、猛省を促したい、こう思います。

 我々もしっかり頑張りますが、ぜひ各役所も力をかしていただいて、患者救済に頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

平田主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 民主党の北神圭朗でございます。遅くまで御苦労さまでございます。

 きょうは、地元の農業関連の要望事項を中心に、大臣を初め皆さん方に質問をしたいと思います。

 まず、お米の検査制度についてお尋ねしたいと思います。

 これは、地元のお米の生産農家から切実なる訴えがございましたので取り上げさせていただきたいと思いますが、御案内のとおり、今、現体制のもとで、米の産地とか銘柄とかあるいは産年については、直接市場に出す場合、それをはっきりと表示させたい場合は、国の指定の登録検査機関による検査が不可欠となっている。これは昔、役所、つまり食糧事務所がやっていたというふうに聞いておりますが、最近は官から民と、行革の流れの中で、民間による検査というものが可能になっている。基本的に我々の地域では、京都でございますが、JAさんが中心にこの検査をやっているというふうに聞いております。これはこれで別に異論はないんです。

 ところが、冒頭申し上げた私の地元の農家の方が言うには、どうも今の検査の実効性が非常に疑わしいと。それはどういうことかといいますと、例えば、産地なんかについて、どこの地域の田んぼでとれたということが、JAさんの検査官に本当に見抜かれているのか、よくわかっているのかということが疑わしいと。なぜなら、その方に言わせると、あらかじめ、米を入れる袋に産地とか銘柄とか産年というものを書くことを要求されて、それを持っていくと、検査官はそれを見て、手に何かとって見るみたいですけれども、それで、ああ、いいよということで、何も別に科学的な検査もしないし、本当にこれは意味があるのかということが非常に疑わしいということでございます。

 それで、要するに、そこで検査料を払ったり、結局、売りに出す米を全部持っていかないといけない。三十キロぐらい持っていって、そしてまた持って帰らないといけない。そういったいろいろな御苦労があるということなんですが、極端なことを言えば、大阪でとれた米を京都のコシヒカリだというふうに書いて持っていったらそのまま通るんじゃないかとその人は思うというふうに言っています。

 これは、私も実際体験したこともないし、実際現場を見たこともないので、真相は正直わかりませんが、こういった指摘がありまして、言うまでもなく、こういったことであるならば、この検査というものはほとんど形骸化しているんではないかというふうに思われます。こうしたケースについて、検査官の質の問題なのか、あるいは検査制度そのものの実効性の問題なのかわかりませんが、こういった指摘についてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

岡島(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 農産物検査における米の産地、品種の証明につきましては、農産物検査員が把握しております個別生産者ごとの品種別作付面積情報をもとにするということでございまして、今委員御指摘のケースでございますと、JAの方々が検査員になられておりますから、まさにJAの方々、それぞれの各農家の方々がどれだけの作付面積を持っておるかというのは当然承知されている。それをもとにいたして、検査の際に、玄米の目視鑑定によって異品種の混入が認められないこと、あるいは、産地ごとの品種の特性でありますとか特徴でございますとかが明確であること、あるいは、生産者から請求があった品種別受検予定数量と矛盾しない、そういったことを確認した場合のみ証明を行うこととしております。

 また、産年につきましては、経年変化によって肌ずれとかいろいろな形状変化も出てきますので、玄米の目視鑑定あるいは生産者別の作付情報によるほか、必要に応じましては、試薬を用いた新鮮度判定により証明を行うこととしております。

 また、国といたしましては、登録検査機関に対して適切な農産物検査が実施されるよう、農産物検査員が品種の特性、特徴の把握や鑑定訓練の反復実施などを行うよう指導しているところでございます。

北神分科員 これはなかなか、どこまで実効性が担保されるのか難しいところだと思いますし、私も専門家でもないのでよくわからないんですが、よく役所の方と話していると、農協の人というのは地元に根差して、よくよくわかっているんだ、圃場整備の段階から、作付からずっと見ているから、その人が持ってきているものだったら、大体現場感覚を知っているという話なんです。

 それはそれでわかるんですけれども、逆に言うと、その程度の検査なのかなということもありまして、それで、何でこういうことを申し上げるのかといいますと、別に検査することが悪いとかそういう考えはないんですが、一方で、野菜とかについて、これも同じように銘柄とか、産年というのかどうかわかりませんが、品種とか、そういったものについて表示をして売りに出している場合もあるんですが、野菜については検査は義務づけられていないというふうに聞いておりまして、例えば、京都のコシヒカリはちゃんと検査を通さないと表示できない。でも、京野菜という名前をつけたら、別にそれは検査を通さなくていいと。この米と野菜のバランスもよくわからないなということでありますが、その点、いかがでしょうか。

中川政府参考人 食品の品質表示のお尋ねでございますけれども、食品の品質表示、これはJAS法に基づきます、それぞれの品質表示基準に定められております。

 野菜などの一般的な生鮮食品につきましては、これは通常、市場を通じまして現物の取引が行われておりまして、その際の伝票などを見ますと、産地ですとか、あるいは品種というものが、名称でございますが、わかります。これを確認して、それを根拠として表示するということになっているわけでございます。品種名や産年なども、それがきちっと確認できる場合には表示をすることができる、そういう決まりになってございます。

 一方、米でございますけれども、日本人の主食としての重要性を踏まえまして、産地それから品種、産年あるいは等級といったものにつきまして、現物を見なくても全国広く取引ができるような仕組みがつくられておりまして、その基準として農産物検査によります証明が活用されてきた、そういうこれまでの経緯がございます。

 こうした米の商品特性に加えまして、近年、特に消費者の方々がお米を購入される際に、これはどこの産地で、どういう品種で、何年産のものかといった、そういう高い関心も有しておられますので、そういった点を踏まえまして、米の表示につきましては玄米及び精米の品質表示基準というのが別途定められております、これは平成十二年からでございますけれども。そういう米の品質表示基準に従って、その場合の根拠としまして、農産物検査による証明を表示の根拠というふうにしているわけでございます。

北神分科員 つまり、野菜はJAS法に基づいてやっている、米の方は別途その平成十二年の法改正によって新たに検査体制というのを設けられたのか、そういうことですか。

中川政府参考人 少し言葉が足りませんでした。米については、従来は食糧法という法律に基づいて品質表示がされておりました。それを、JAS法の体系の中に平成十二年に取り込んだということでございます。

北神分科員 私も不勉強なのでよくわからないんですけれども、米は特別扱いだということだと思います。野菜の方は、野菜も全国で現物を見なくても取引できるようになっているというふうに思いますが、主力商品だということで、趣旨はよくわかりました。

 次にお尋ねしたいのは、今度はJAの検査の検査料についてです。

 これは、普通考えると、検査したい場合は、お米をJAに持っていって検査していただいて、それに応じて正規の検査料を払うということなんですが、どうも、その私の地元の人に言わすと、そうでもないと。実際には、検査を受けるに当たって、わざわざJAさんから検査の対象となる米を買い取ってもらって、それで一応検査をして、それでまた売り渡すというような手続を経ている。それで、これは資料をお渡ししているかもしれませんが、契約外流通米の売渡申込書兼誓約書というものに署名しろと。それによって、一たんJAさんが買い取って、それで検査して、また売る。

 それだけだったらまだ、まあ余り被害はないのかもしれませんが、そのよくわからない回りくどい手順によって、検査料だけじゃなくて、それに伴う何か諸経費みたいなものがついてくる。それは、さっき申し上げた売渡申込書兼誓約書に書いてあるんですけれども、米六十キロにつき九百円払わないといけない。そして、その方は、三十キロだから大体四百五十円、毎回検査するたびに余計に払っていると。

 これも本当だとするならば、よくわからない話でありまして、行政改革で役所からJAさんに移した、民間に移したのはいいのかもしれないんですが、逆に、少なくとも農家の人にとってはコストが高くなっているということですが、この点についてどうでしょうか。

岡島(正)政府参考人 まず、検査手数料そのものにつきましては、登録検査機関の検査手数料について、これは農産物検査法第二十一条第一項に基づいて登録検査機関が業務規程に定めて、農林水産大臣に届け出ることとされております。

 登録検査機関が届け出る検査手数料につきましては、同法第二十一条第二項において、農産物検査に係る必要な経費を適切に反映したものであり、かつ特定の者に差別的な取り扱いをするものでないこととしており、届け出に係る業務規程が農産物検査の適正かつ確実な実施上不適当と認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができるとされております。

 それから、先ほど委員が例で挙げておられましたけれども、労力を提供するとか、そういったことも間々あるかと思いますけれども、業務規程において、農産物検査を円滑かつ効率的に行う観点から、検査を請求している請求者に対して、受検準備など検査に必要な荷役労働力の提供などを求めることができるとされているところでございます。

 この場合にあっても、登録検査機関の業務規程の届け出に際して、農林水産省としては、登録検査機関の請求者に対する要求が、検査を円滑かつ効率的に行う観点から妥当なものであるかなどを審査することとしております。これが検査手数料でございます。

 それから、委員から事前にいただきました、ここにあります、平成十六年産契約外流通米の売渡申込書兼誓約書というもの、内容を拝見させていただきました。

 ここの部分と、受検、検査を受けるということの関連というのは、この誓約書上は出てまいらないということでございまして、私ども、検査は検査として、もちろん、検査を受けたいということであれば登録検査機関は断れないということになっております。それと、この売渡申込書との、ちょっと因果関係はわかりませんので。この誓約書を、この字面だけ拝見させていただくと、これはこれで一つの民間間の契約であるというふうに考えております。

北神分科員 まさに、多分そこにこの問題の核心があるというふうに思っておりまして、確かにこの申込書兼誓約書というものは全く別のものであるというふうに思うんですが、その方に言わすと、やはり検査を受ける際に同意を求められる、それは多分何も法律で決まっている話でもないし、JAさんが、これはそうだとするならば、勝手にやっているということなんですが。

 申し上げたいのは、その方は結局、米を自分でつくって、それでなかなか、JAさんに別に何も敵対心もない人で、一部はJAさんを通じて市場に流通させているみたいですけれども、やはりJAさんの買い取り価格、米価が非常に安い、だからそこにずっと頼っていたら到底生活ができないと。趣味でやっている人とか、兼業農家で土日だけやっている方とか、そういった方は別に問題ないかもしれないけれども、それを自分の生活の糧にしている人は、やはりこれでは到底自分の生活がもたないというところで、やむを得ず直売の方でやっていると。

 これは、JAさんも別に悪意があるかどうかわかりませんが、一方でJAさんも非常に経営が厳しいし、これから生き延びていかないといけない。そして、本来だったら自分たちを通してやってほしい、買い上げて、そしてまた市場で自分たちで売って、その差額を利益として欲しいという、その経営的な配慮もある、配慮というか経営的な考えもあると思いますが、やはりそういったことを不当に要求するというのは非常に問題だというふうに思っておりまして、これは、私、数人から聞いておりまして、そんな多い数ではないんですが、やはりこういうことをしていることも何か推測ができるかなと。最近、メール問題で余りはっきりと言っちゃうとあれですけれども、いろいろな話を聞いていると、そういった感じを受ける。

 皆さんに申し上げたいのは、皆さんもなかなか実態がわからないというふうに思いますが、こういった声がある中で、やはり、特別な監査なのかどうかわかりませんが、一遍そういう実態を、うちの地元だけじゃなくて、全国的にどういうことが行われているのか、ある意味ではJAさんの優越的な立場を濫用している、そういったことが行われていないかをチェックすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岡島(正)政府参考人 まず、法律上の規定でございますけれども、登録検査機関に対しましては、農産物検査法第二十条第一項の規定に基づいて、「登録検査機関は、農産物検査を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、農産物検査を行わなければならない。」ということになっております。

 まさに今御指摘のような点につきまして、登録検査機関、これは全国ベースで見ますと、検査機関数だけで申し上げますと、JAが約半分ぐらいで、残りはいわゆる集荷業者の方々も結構登録検査機関になっておられるということでございまして、その方々が適切に検査をしていただくように、私どもとしても、例えば研修の場でございますとかいろいろな機会に指導もしております。そういった機会も通じながら、今御指摘の点についても考えてまいりたいというふうに思っています。

北神分科員 ぜひそうしていただきたい。私も、別にJAさんに対して何も異論はなくて、これから地域に根差した機関としていろいろな役割があると思いますが、まさにそうだからこそ、そういった不当なことが行われていたら、きちっとそれをチェックしていただきたいというふうに思いますので、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次のテーマに移りたいと思いますが、鳥インフルエンザの問題でございまして、私の選挙区がたまたま丹波町、今は京丹波町という町に合併をしておりますが、二年前に、一昨年前に起きたそこの鳥インフルエンザの事件の後処理、そして今後の課題について、若干御質問したいと思います。

 まず、これは地元の自治体の要望でございますが、問題が発生した元浅田農産船井農場の土地がある、そこをいろいろな対応をされたということでございますが、そこの土地が、今一応京丹波町の役場の方に所有権が移っております。ところが、そこにはいまだに鶏舎が十棟ぐらい残っていますし、堆肥舎が三棟、そして倉庫等が三棟あって、また多くの機械設備器具等が残っているという状態でございます。

 これについて、周辺の住民からすれば、私も現場へ何度も行かせていただいておりますが、だだっ広いところに鶏舎があったりする、それが環境面とかあるいは防犯面、例えば火をつけたり、そういった人が出てきたり、そういった面において、住民の気持ちからしてみれば、ちょっと気持ちが悪い、もう二年たちますので、早く撤去してほしいと。

 しかしながら、この撤去費用、本来だったらこれは京丹波町がやる話かもしれませんが、その撤去費用が数億円にも及ぶ莫大な経費を要するということでございまして、今の自治体の厳しい財政を踏まえたら、この撤去については、やはり国に頼らざるを得ないという状況でございます。

 そこで、これは鳥インフルエンザの話とはある意味では別だという皆さんの立場もよくよく私もわかった上で、お願いとして聞きたいんですが、ぜひ大臣にお聞きしたいんですが、そういった法的な仕組みがない、鳥インフルエンザとまた別の話で、この残された建物とか器具とか、そういったものを撤去するのは自分たちでやれという話かもしれませんが、こういった状況の中で、ぜひ何らかの国の対応策というものが考えられないか、そこを検討していただけないか、そういった点についてお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 事実関係を含めて、私の方からまずお答え申し上げたいというふうに思います。

 今先生おっしゃいましたように、浅田農産の土地建物は、破産管財人の方から京丹波町の方に寄附をされたというふうに理解をしております。

 家畜伝染病、そういう防疫上の対応からいたしますと、既に平成十六年の四月にかけまして現場での対応が終わっているわけでございますから、そういう視点からいたしますと、その建物なりそれから土地についていろいろ必要な措置が仮にあったとしても、それはやはり地元の京丹波町の方でお考えをいただくということが基本で、私ども、今ある制度からいたしますと、農林水産省として具体的に何か援助ができるということにはなっておりません。

 ただ、発生農場の跡地利用につきまして、京都府や京丹波町を初めとする地元の皆様方の考えが、今これは現地で検討されていると承知しておりますけれども、そういったお考えがまとまった段階で、何か農林水産省の行政の目的とそこが合致をするということで、そういうものができる、そういう状態であれば、私どもとしてもできるだけ知恵は出したいというふうに思っているところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。今の制度上はなかなか難しいという話だと思いますが、これも考えようによっては自然災害みたいなものだと思うんですよ、住民にとっては。別に自分たちが何か悪いことをしてそういうふうになったわけではなくて、鳥インフルエンザという外的な要因で、浅田農産が届け出を怠ったとかそういう瑕疵はあったと思いますが、住民にしてみれば、これはある意味では降ってきた話だと。

 これは結局、鳥インフルエンザで、もう全国的に何カ所もこういうことが起きて、同じような事態で、鶏舎が残っていたり器具が残っていたり堆肥舎が残っている、そうしたら多分国として制度をつくって対応すると思うんですが、残念ながらというか、今の状態ではそれが数少ないからなかなかそういう話にはなっていないというのが現実で、本質的には私は国が力をかしていただいて十分正当性のある話だというふうに思いますので、先ほど地元の要望がまとまったらいろいろ考えていただけるという言葉がありましたので、ぜひその点、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、事件の発生した浅田農産船井農場の方で、鶏の死体とか鶏ふんというものが、一応応急的な措置として埋却されたり消毒されたりしておりますが、これについては、地元住民の不安を完全に払拭するためには最終的な処理が必要だというふうに思います。

 これは今、京都府の山田知事を初め京都府がいろいろ取り組んでいるというふうに思いますが、これも本当に毎回恐縮な話でございますが、やはり府の方も財政が非常に厳しい、この点についても国に頼らざるを得ない状況にあるということが実情でございます。

 この最終処理に当たっての費用負担について、国としてどこまで負担できるのか、できるだけしてほしいというのが本音でございますが、その点についてどういう状況か、お尋ねしたいと思います。

中川政府参考人 これは、平成十六年の二月に鳥インフルエンザが発生しました際に、地元の方々との了解のもとに、とりあえず隣接地に埋却をしたという経緯がございます。そういうこれまでの経緯を踏まえますと、最終処分につきましては、京都府と連携をいたしまして、家畜伝染病予防法に基づきます防疫措置の一環として適切に実施をしていく必要があるというふうに思っております。

 三年間は埋却をするということになりますけれども、一定の期間が経過した後につきまして、最終的な処分をする際の費用につきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、国がその必要な費用の二分の一を京都府の方に支援をする、国としても二分の一は負担をする、そう考えております。

北神分科員 ありがとうございます。ぜひその方向で進めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 あともう一つは、今、後処理の話をさせていただきましたが、今後の対策についてお尋ねしたいというふうに思います。

 今までの、うちの地元も含めて、割とメーンとして問題になったのは、鳥と鳥の間の感染の話であります。これについては、もうかなり自治体も国も危機意識というものを持っているし、予防対策とか危機管理対策というものも相当考えておられるというふうに思います。

 ところが、今後は、御存じのように、人と人との間の感染をするウイルスというものがこれからの課題だということだというふうに思いますが、これはある試算によれば、全世界的にもしこういう事態が発生すれば、最大一億何千万人亡くなる、スペイン風邪とかそういうどころの騒ぎではないという話も聞くわけでございますから、非常に欧米の方でも大変な危機感があるというふうに聞いております。

 この人―人のウイルスがどのように発生するかというのはまだまだ科学的な解明を待つところだというふうに思いますが、私が聞いている感じでは、豚の中に人に関する感染ウイルスと鳥のウイルスというものが入って併存して、そこで人と人の間にうつるようなウイルスの変異というものが起きる説が有力ではないかと。あとは、人と鳥の間を行ったり来たりして、それがまた突然変異で人―人のウイルスに変わるという話も聞いておりますが、その辺については割と消毒とかそういった対策ができているというふうに思いますが、豚の部分がまだできていないような気がいたします。

 そういったことを考えますと、今、養鶏場については防護ネットみたいなものを張って施設外からの動物の侵入というものを防ぐ、そういった対策がとられているというふうに思いますが、これも素人考えで恐縮ですが、そうであるならば、今後、人―人のウイルスというものが重大な課題となるのであれば、豚のいる養豚場とかそういったところにもそういう防護ネットというものを張るというのも、一つの予防策として考えられるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 確かに、豚は、人インフルエンザウイルスにも、それから鳥インフルエンザウイルスにも、両方のウイルスに対して感受性を持っているということが知られております。

 しかし、日本の豚からこれまでに鳥インフルエンザウイルスが分離をされたということは、まだ知見としてありません。そういうことは確認をされておりません。しかしながら、養豚は養豚としてやはり衛生的な飼養管理をしていくというのは当然のことでございますし、家畜伝染病予防法に基づきます飼養衛生管理基準、これは飼養者の方が当然守っていただくべき基準ですけれども、その中にも、窓や出入り口等の開口部にネットその他の設備を設けるということで、ネズミですとかいろいろな害虫が豚舎内に入らないように、そういうことをきちっと心がけていただくというのは飼養者の義務としてあるわけでございます。

 農林水産省といたしましては、豚に鳥インフルエンザが感染するということを防ぐというだけではなくて、全体として衛生的な豚の飼養が行われるようにということがまず第一だというふうに思っておりますし、また鳥インフルエンザの防疫の観点からいたしますと、豚にかかるというその前に、早く、日本に鳥インフルエンザが侵入したら、それを見つけて、そして摘発、淘汰をするということが、まず防疫対応上の第一の取り組みではないかというふうに思っているところでございます。

北神分科員 鳥インフルエンザが入ってきて、それを見つけて退治するというのはなかなか難しいというふうに思うんですが、むしろ、そういう感染する場である養豚場とかそういったところを守ったらいいというふうに思いますので、これはもう追及しませんが、そういったことを含めてひとつ検討いただければというふうに思います。

 もう時間がございませんので、せっかく厚生労働省さんにも来ていただいておりますので、最後に、実際、人―人のウイルスというものが発生して、できればその予防対策として今申し上げたようなことが大事だというふうに思いますが、それが功を奏せず実際に広がってしまうというときに、私もテレビでしかわからないんですが、タミフルという薬というものが一時期話題になった。そういった、一〇〇%効くかどうかというのはわからないらしいですが、今のところそれが一番効くのではないかということですので、ただ、その当時、ことしの初めぐらいですかね、その問題がテレビや新聞とかで話題になったときには、日本は絶対量が少ないという問題があったというふうに思います。

 もうせっかく、今余り騒がれなくなったわけでございますが、まさにこういった機会にぜひ備蓄の方を進めていかなければならないというふうに思うんですが、その辺の状況はどうでしょうか。

岡島(敦)政府参考人 昨年十一月に、新型インフルエンザ対策行動計画というものを策定いたしました。その中で、抗インフルエンザウイルス薬タミフルを二千五百万人分備蓄するということを決めております。

 その内容としましては、政府と都道府県でそれぞれ一千五十万人分ずつ備蓄するということになっておりまして、これまでのところ、既に政府備蓄としまして二百五十万人分を備蓄しております。そして、十八年度内には七百五十万人分を備蓄する予定でございます。

 それから、都道府県備蓄量の千五十万人分につきましては、十八、十九年度に備蓄をすることとしておりまして、各都道府県におきまして備蓄計画が策定されております。

 これらのほかに、国内流通量を含めまして、十九年度中には二千五百万人分の備蓄が完了する予定でございます。

北神分科員 基本的にそれでもう大体、問題が発生したときに対応できる数だということでしょうか。

岡島(敦)政府参考人 実際に発生した場合に、新型インフルエンザの効果といいますか、強さというのはどの程度あるかということは、発生してみないとわからないわけでございますけれども、アメリカの一定の試算に基づきまして、発生するであろう量ということを前提といたしまして、人口の約二〇%分の備蓄量ということで対応します。

 そして、さらに言いますと、我が国はタミフルを普通のインフルエンザにこれまでも使ってきている、ほとんど世界で一番使っている国でございまして、例えば十一月ごろのインフルエンザの流行期に入る前の段階で見ますと、タミフルの国内流通量は千二百万人分ございます。それと合わせまして、備蓄も完了いたしますと二千五百万人分もふえることになりますので、必ず、絶対とは申し上げられませんけれども、必要量は確保できるものというふうに考えております。

北神分科員 もう時間でございます。最後にもう一度、JAの米の検査の体制をちょっと実態調査をしていただきたいということと、もう一つは、京丹波町の鶏舎とか機械設備、堆肥舎、その辺の撤去費用について、ひとつ国のお力添えをいただきたいということをお願い申し上げまして、終わりといたします。

 ありがとうございました。

平田主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後六時四十七分散会


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