衆議院

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第1号 平成22年5月17日(月曜日)

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本分科会は平成二十二年五月十一日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      網屋 信介君    石田 芳弘君

      石津 政雄君    笹木 竜三君

      玉木 朝子君    中川  治君

      石原 伸晃君    中村喜四郎君

      東  順治君    鳩山 邦夫君

五月十四日

 中川治君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年五月十七日(月曜日)

    午前十一時開議

 出席分科員

   主査 中川  治君

      網屋 信介君    石津 政雄君

      玉木 朝子君    中根 康浩君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      東  順治君    鳩山 邦夫君

   兼務 菅川  洋君 兼務 宮崎 岳志君

   兼務 木村 太郎君 兼務 赤松 正雄君

    …………………………………

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   総務副大臣        渡辺  周君

   環境副大臣        田島 一成君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   参議院庶務部長      古賀 保之君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       平川 素行君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       榊  智隆君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       飯塚 正史君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第四局長            金刺  保君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  田内 正宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           杉浦 信平君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    安居 祥策君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役専務取締役) 坂野 雅敏君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  紀陸  孝君

   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  石田 芳弘君     中根 康浩君

  石原 伸晃君     小野寺五典君

  中村喜四郎君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中根 康浩君     石田 芳弘君

  小里 泰弘君     中村喜四郎君

  小野寺五典君     石原 伸晃君

同日

 第一分科員菅川洋君、宮崎岳志君、赤松正雄君及び第二分科員木村太郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (厚生労働省、農林水産省所管、農林漁業金融公庫、経済産業省所管及び中小企業金融公庫)


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     ――――◇―――――

中川主査 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました中川治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管、農林水産省所管、農林漁業金融公庫、経済産業省所管及び中小企業金融公庫についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、厚生労働省所管、農林水産省所管、農林漁業金融公庫、経済産業省所管及び中小企業金融公庫について審査を行います。

 これより厚生労働省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 おはようございます。

 平成二十年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計の決算の概要につきまして御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきましては、歳出予算現額が二十三兆二千九百五十六億円余に対して、支出済み歳出額が二十二兆九千二百四十六億円余、翌年度繰越額一千七百二十億円余、不用額一千九百九十億円余で決算をいたしました。

 次に、特別会計の決算につきまして申し上げます。

 第一に、国立高度専門医療センター特別会計につきましては、収納済み歳入額一千六百九十八億円余、支出済み歳出額一千五百二十四億円余であり、差し引き百七十四億円余を翌年度の歳入に繰り入れるなどとして、決算をいたしました。

 第二に、労働保険特別会計につきましては、収納済み歳入額七兆九千三百四十八億円余、支出済み歳出額六兆七千五百三十四億円余、翌年度繰越額二十七億円余、未経過保険料相当額二百億円余、支払備金相当額一千八百四十八億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差し引き八千四百七十七億円余をこの会計の積立金として積み立てるなどとして、決算をいたしました。

 第三に、船員保険特別会計につきましては、収納済み歳入額六百七十三億円余、支出済み歳出額六百三十三億円余であり、一般会計からの超過受入額を調整し、差し引き三十九億円余をこの会計の積立金として積み立てて、決算をいたしました。

 最後に、年金特別会計につきましては、収納済み歳入額七十二兆五千二百一億円余、支出済み歳出額七十兆三千五十二億円余、翌年度繰越額三千二百二十四万円余であり、差し引き二兆二千百四十八億円余を翌年度の歳入に繰り入れるなどとして、決算をいたしました。

 以上をもちまして、厚生労働省所管に属する平成二十年度の決算の説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

中川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院小武山第二局長。

小武山会計検査院当局者 平成二十年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三百十七件、意見を表示しまたは処置を要求した事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号四一号及び四二号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、同四三号から六四号までの二十二件は、会計経理が適正を欠いているもの、同六五号は、委託費の会計経理が適正を欠いているもの、同六六号は、委託費等の支払いが過大となっているもの、同六七号及び六八号は、契約額が割高となっているもの、同六九号から七二号までの四件は、保険の給付が適正でなかったもの、同七三号から七六号までの四件は、診療報酬の請求が適切でないもの、同七七号及び七八号は、医療費の支払いが過大となっているもの、同七九号から三五二号までの二百七十四件は、補助事業の実施及び経理が不当なもの、同三五三号及び三五四号は、職員の不正行為により現金が領得されたもの、同三五五号及び三五六号は、保険給付に係る費用の徴収が適切でなかったもの、同三五七号は、介護給付費の支払いが適切でないものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、労働保険料に係る延滞金の債権管理及び歳入徴収の事務に関して適宜の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、生活保護事業の実施における障害者自立支援法に基づく自立支援給付の活用に関して適宜の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたしたもの、その三は、電子申請等関係システムの利用状況に関して意見を表示したものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 これは、財政調整交付金の交付額の算定における退職被保険者等の遡及適用に伴う一般被保険者数の調整について指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 なお、以上のほか、平成十八年度決算検査報告に掲記いたしました国民健康保険広域化等支援事業費等補助金について意見を表示した事項並びに平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました生活保護事業の実施における詐取等の事態の防止及び介護保険における財政安定化基金の基金規模について、それぞれ処置を要求した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

中川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 平成二十年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾であります。

 指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。

中川主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中川主査 以上をもちまして厚生労働省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中川主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木朝子さん。

玉木(朝)分科員 民主党の玉木朝子でございます。本日は、こうした質問の機会を与えていただきまして、心より感謝申し上げます。

 私は、昭和四十三年、膠原病の一種でございます全身性エリテマトーデスと診断され、病とともに生きてまいりました。昭和四十七年に難病対策要綱が制定されましたときは、これで親に迷惑をかけずに病院にかかれるんだと子供心に大変安堵したことを鮮明に覚えております。

 現在、国が認定しております特定疾患治療研究対象疾患患者、平成二十一年度末で約六十五万名。平成二十一年の人口は一億二千七百万人でございますので、約二百人に一人の割合で難病患者がいるということになります。

 ただ、御承知のように、我が国の難病対策のスタートは、欧米諸国に比べましても決して引けをとるものではなかったと私は思っております。しかしながら、三十八年経過した現在、難病患者に対します国の政策は、決して患者が安心して療養できる状態とは言いがたく、課題は山積いたしております。

 本日は、当事者でもございます立場から、政府の難病施策につきまして、長妻厚生労働大臣にお尋ねいたします。

 まず、障がい者制度改革推進会議についてお尋ねいたします。

 大臣の御英断により、障害者自立支援法の廃止が明確になりました。一方で、内閣府に、障害者権利条約の締結に必要な国内法の整備を初めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行うために、障がい者制度改革推進本部が設置され、その下に障がい者制度改革推進会議が設けられました。この会議は、障害者の当事者によって構成されるという大変画期的な組織となっております。

 ただ、残念なのは、この中でも難病患者に対する位置づけは明確にされていなかったように思います。当事者の意見を尊重するとの考えから選出されました十一名の委員の中に、難病患者の代表は入れていただくことができませんでした。ただし、その後、総合福祉法を検討する総合福祉部会には参加させていただくことになっておりますが、難病対策の多様性、今後の課題等を考えますと、推進会議委員に難病患者の代表を入れるべきではなかったのかと思っております。

 難病と申し上げましても、相変わらず、谷間という言葉の中に、発達障害や高次脳機能障害の方々とともに入っているのが現状でございます。これから制定されようとしております仮称総合福祉法の中で障害者の定義などが議論されることになると思いますが、そもそも、難病問題について、難病対策についてどのように考えておられますでしょうか。推進本部のメンバーでもございます長妻大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

長妻国務大臣 まず、障害者自立支援法を廃止するということを申し上げまして、新しいそれにかわる制度については、制度の谷間がないという表現をさせていただきましたけれども、これは、難病の方が現在障害者自立支援法の対象となっていない、こういうことを申し上げたわけであります。

 それについて今度は、新たな制度を検討する会議体であります障がい者制度改革推進会議、その中の総合福祉部会というところで、難病関係団体の野原さんという日本難病・疾病団体協議会の副代表の方に御就任をいただいて、御意見を聞いて、きちっと伺いながら進めていきたいというふうに考えているところであります。

 玉木先生におかれましても、これまで、難病の御経験から、難病団体での取り組みをしていただいて、本当に私どももありがたく、感謝をしているところであります。

 その中で、新たな総合福祉、障害者自立支援法にかわる制度を、難病の方々の御意見も聞いて議論していくということと、そして、厚生労働省内でも、難病患者の皆さんに対する医療や研究事業、福祉サービス、就労・雇用支援などの横断的な課題に対応するために、新たな難治性疾患対策の在り方検討チームというのを厚生労働省内に設置いたしまして、長浜副大臣が座長として、今、会合して検討させていただいているということであります。

 いずれにしましても、難病の方々の医療や福祉等の充実に今後とも努めてまいりたいと考えております。

玉木(朝)分科員 ありがとうございます。

 ただいま大臣の方からお言葉の出ました、新たな難治性疾患対策の在り方検討チームでございますが、このたび、厚生労働省内に新たな難治性疾患対策の在り方検討チームが設置されましたことは、従来は、医療や福祉、雇用がそれぞればらばらに行われておりましたが、医療、研究、福祉、就労・雇用支援等の施策を横断的に検討する場が初めて設置されたことは、大変画期的なことだと私どもも考えております。構成メンバーも、省内の関係する部局を網羅いたしており、患者の立場からは心強い限りでございます。

 この検討チームが、形だけでなく、具体的に機能するように願うものでございますが、そこで、幾つかお尋ねしたいと思います。

 まず、医療費の助成についてお伺いいたします。

 医療費は、患者にとって生きるための命綱でございます。特に、公費対象疾患に認定されていない疾患の患者にとって、認定疾患として認められるかどうかでその患者及び家族の生活形態が決まってしまうと言っても過言ではありません。

 しかしながら、現在、特定疾患治療研究対象疾患として認定されている疾患数はわずか五十六疾患。現在、研究対象疾患として認められている小児慢性疾患も含めますと、約九百の疾患がございますが、こうした疾患の方々が公費対象疾患として認められるまでには、雲をつかむような年月が必要となってしまいます。

 そこで、お尋ねいたします。

 今後、対象疾患の拡大について、具体的にどのような方向性を考えておられますでしょうか。お願いいたします。

長妻国務大臣 これは、今御指摘いただきましたように、これまでの仕組みであると、非常に今多くの難病の関係団体からも御要望をいただいているところでございますが、今、医療費助成が受けられる方々というのは五十六疾患ということで、一つ一つ対象疾患をふやすというのは非常に、手続的にも、特定疾患対策懇談会の意見を聞いて決定をするという従来のスキームだと、なかなかそれをふやしていくというのは時間がかかるということであります。

 そのために、先ほど御紹介しました厚生労働省の中の、省の中にも縦割り行政というのがあるというのを私も痛感いたしまして、省の中の局の間も横断的にメンバーを出してもらって、副大臣が座長で、それを横ぐしを刺していく新たな難治性疾患のあり方検討チームで、難病の方の医療費助成の特定疾患治療研究事業の認定のあり方、手法、仕組みについても、従来の手法のままでいいのかどうかということも含めた検討をしようということで、各局横断的に今集まって検討を始めているところであります。

玉木(朝)分科員 私、かねてより、当面の対策は別といたしましても、将来的には、難病対策は難治性疾患克服研究事業ということに特化し、原因究明と治療法の確立に取り組むべきではないかというふうに考えております。

 医療費の負担につきましては、医療保険制度の中で、特に高額療養費制度の中に長期療養給付制度等を拡充するなどの措置を検討した方がよいのではないか、あるいは必要があるのではないかと思っております。

 今回の検討チームでも高額療養費制度の見直しの方向性が示されておりますが、これにどう取り組むか、どんなお考えかをお伺いしたいと思っております。

 医療制度改革の中で検討されることになろうと思いますし、財政状況等も勘案されることは承知しておりますが、単なる作文に終わらせないようにするためには、ある程度の目途を立てて取り組まなければ一歩も進まないというふうに考えておりますので、ぜひ大臣のお考えをお願いいたします。

長妻国務大臣 今、高額療養費制度の見直しの中で難病をどう位置づけるのかという趣旨だと思いますけれども、これについて、我々としては三つの論点で議論、検討をしていこうというふうに考えております。

 まず第一には、特定の疾病に着目した軽減策を講じるかどうなのか、あるいは疾病にかかわらず、所得に応じた自己負担限度額の水準を見直すのが適切なのかどうか。特定の疾病というのは難病ということでもございますが。第二に、仮に特定の疾病に着目した場合、公平公正な仕組みをどのように担保するのか。第三に、医療機関や保険者の実務運用面についてどのような改善が可能であるのか。

 こういう論点につきまして、全体の高額療養費制度の見直しの中で、今年度、患者さんや保険者、医療関係者が入った社会保障審議会のもとにあります医療保険部会というところで、今申し上げたような論点も含めた議論を開始していこうというふうに考えております。

玉木(朝)分科員 ありがとうございます。

 私自身の疾病は、確かにこの五十六疾患の中に入っております。ただ、患者会活動を長年続けておりますと、同じ難病でありながらこの認定患者の中に入らない疾病の団体等の方たちから、いろいろな要望を受けております。ちょっとした検査結果がもとで、こちらは認定患者、こちらは認定されない。しかし、同じような治療を受けなければならない。また、難病でなくても、長期慢性ということで死ぬまで療養を続けなければいけないというような患者がたくさんおります。

 その患者の中で、患者団体があって行政に対して要望できる、また、知り合いの国会議員等がいて要望できる、そうした声の強い人だけを取り上げるようなやり方は、私自身は絶対にいけないことだ、国民全体の医療が安心して受けられるような形にしなければいけない、基本的にそういう考えを持っておりますので、ぜひその辺のところをお酌み取りいただければありがたいと思います。

 続きまして、直面している問題といたしまして、認定申請手続の改善についてお尋ねいたします。

 現在、認定されている患者は、一年に一度非常に複雑な申請書類の提出が義務化されております。特に、平成二十一年度からは高額療養費の制度が変わりましたために、より複雑な事務手続となりました。そのため、申請者自身の負担、混乱にとどまらず、医師の負担、そして都道府県や保険者の膨大な事務量は大変なものでございます。

 個人調査票、住民票、所得調査票等々、毎年必ず提出しなければならない必要性はないと思われます。二年に一度あるいは三年に一度程度の申請で十分かと思われますが、いかがお考えでしょうか。お答えをお願いいたします。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど来玉木議員のお話を聞いておりまして、研究事業と医療費助成というのはやはり分けて考えなきゃいけないのではないかという大もとの考え方、私はそれは正しい方向性であろうというふうに思っております。

 そんな中で、では今その位置づけがどうなっているかということの整理がまず必要だろうと思います。

 御案内のように、これは難治性疾患克服研究事業というものの中で、研究奨励分野、重点研究分野、そして臨床調査研究分野というふうに、調査研究、臨床研究の研究事業なんです。それが、臨床調査研究分野が百三十疾患ありまして、その中で五十六疾患が特定疾患治療研究事業ということで医療費助成という形になっているわけです。

 ですから、この大もとの事業そのものは、やはり調査研究というものが基本にあるということで、調査票、調査個人票そのものを提出することは私は意義が高い、そのように思っておりますが、そんな中で、その調査票をもとに平成二十一年度も特定疾患の疫学に関する研究等が行われているところです。

 しかし、御案内のように、患者さんの方や医師の方から、記入や提出の負担が大きい、事務作業量の負担が大きい、研究目的で利用することを考慮すべきだ、さまざまな意見が出ていることはもう承知しております。

 そんな中で、私はやはり簡略化ということはぜひ必要なんだろうと。その中の一つの考え方として、今、電子カルテ等がこれから普及していくと思いますが、それの利用等を考え合わせると、簡略化できる部分は相当あると思います。必要性は認めながらも簡略化の方向で検討していきたい、そのように思っています。

玉木(朝)分科員 ありがとうございます。ぜひ、その簡略化、患者にとって楽な形で申請が進められるようお願いしたいと思います。

 その中の一つでございますが、収入基準というものがございます。収入基準は、世帯の生計中心者の収入が医療費を確定する基準となっております。これでございますが、せめて患者本人の収入に合わせて医療費を算定していただく方式はとれないものでしょうか。家族に世話になりながら病院通いをしなければならない患者にとりまして、治療費の毎月の支出は、家族の中で大変肩身の狭い思いであることを御理解いただいて、お答えをお願いいたします。

足立大臣政務官 これは結論から申しますと、先ほど大臣からお話のありました、新たな難治性疾患対策の在り方検討チームで検討する課題であることは間違いないです。その項目の一つだと思います。

 現実はどうなっているかということなんですが、今おっしゃったように、特定疾患や小慢については生計中心者の所得、自立支援医療につきましては世帯の所得、それから、一般的な医療保険や高額療養費制度は被保険者個人の所得状況というふうになっているわけです。このことが、自立支援法のときも、かえって世帯分離を招くのではないか、あるいは個人の就業にとってそのことがプラスに出るかマイナスに出るかで非常に難しい問題ではないか等の議論が確かにありました。

 ですから、結論に返りますけれども、今の検討チームでまさに検討すべき事柄だと私は思っております。

玉木(朝)分科員 どうかよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に入らせていただきます。就労問題についてお尋ねいたします。

 私ども、かねてより難病患者の就労は障害者の方々と同じ条件でと要望を続けてまいりました。昨年四月から、モデル事業ではございますが、難治性疾患患者雇用開発助成金制度がスタートいたしました。

 ただし、この一年間で給付されたものが十一件、現在申請中のものが七十六件でございます。わずか七十六件とも言えますが、実は、各県のハローワーク等で関係者への周知を一生懸命やっていただいた結果、やっと七十六件になったという結果だろうと思っております。関係者の努力には大変感謝いたしておりますが、七十六件では余りにも少な過ぎるというふうに私自身は考えております。

 そこで、御質問いたします。

 職業安定局がまとめられた二十一年度における障害者の職業紹介状況等によりますと、その他の求職者というものがありまして、その中に、発達障害者の皆さんや難病患者がカウントされております。その数は、平成十二年度がわずか二百七十三名でございましたが、その後毎年ふえ続け、二十一年度は十倍の二千四百三十五名となっております。

 十年以上前は、ハローワークの窓口で難病患者であることを前提に相談いたしますと、治ってから来てくださいなど心ないことを言われまして、悔しい思いをした患者が数多くありました。この増加傾向は、働かなければ生きていけないこともございますが、担当窓口を患者が信用するようになったあかしのようにも思えます。

 そこで、難病患者等の就労を拡充していただくためには、もう少し踏み込んだ改善施策が必要だと思います。

 二月ほど前に、私、地元で、ハローワークが開催しております障害者の就労相談会を見学させていただきました。参加企業は、法定雇用率を達成するために呼び集められておりました。

 そういう現実を見ますと、障害者雇用促進法における障害者の方々と同じ法の中で難病患者を扱うことが必要だと思いました。難病患者の就労につきましても、法定雇用率へのカウントを認めていただくことはできないものでしょうか。例えば、せっかく制度化していただいた難治性疾患患者雇用開発助成金を受けている企業には、何らかの形で雇用率に算定することはできるように考えますが、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 今御指摘の点は、難病の皆様方が就労をしていただいて、その支援をきちっとするというのは重要なことだというふうに考えております。

 昨年度創設された、今おっしゃっていただいた難治性疾患患者雇用開発助成金ということで、企業に対して、一定の難病の方を雇っていただいたところは助成を出すという制度が始まりまして、それとともに、ジョブコーチという名前がついておりますけれども、またはハローワークにいる職員が職場定着支援等の支援策も活用、支援をさせていただくという体制をとらせていただいております。

 そして、今お尋ねは、障害者雇用率制度の対象に難病の方も、あるいはこの助成金の支給を受けて雇用された方を対象にすべきではないかというお尋ねでありますけれども、これについては今も、難病の方でも障害者手帳をお持ちの方はもちろんその対象となっておりますけれども、それをお持ちでない方は対象となっていないわけであります。

 やはり、障害者手帳あるいは障害者雇用率というのは、難病の方の中でも実際に障害者手帳の認定をされるされない、そういう基準で決めさせていただいておりまして、ある意味では、難病が実際にどういう症状が表に出ているのかということにかんがみてこの制度というのが今あるということでありますので、これについて直ちに雇用率に含めるということは考えておりませんけれども、ただ、障害者の雇用のみならず、難病の方の雇用も企業にきちっとしていただくような、そういう支援策については、我々も今後とも怠りなきよう取り組みを続けていきたいというふうに考えております。

玉木(朝)分科員 ただいまの問題に関しましては、私ども、特定疾患の患者が大変死亡率が高かったころはそれほど問題にしておりませんでした。いろいろな治療研究が進みまして、治らないけれども生きられる、そういう状況の中で、患者といえども、病気を持っていても、どうしても働かなければ食べていけない、特に年金もございませんので。そういう状況の中で就職をしようとするときに、やはり相手方、雇用する方にもある程度の恩恵がないと、雇用する方も雇用していただけないというような状況がございます。

 いろいろな就職相談会等を見ておりましても、また各都道府県の対応を見ておりましても、法定雇用率がワーストファイブの中にどうしても入りたくない。ワーストファイブの中に入ってしまうと新聞等で、例えば私の地元は栃木県でございますが、栃木県もワーストファイブの中に入っております。それだけはやりたくないということで、障害者の方の特別の就職相談会を開く、そういう現実問題がございます。

 そういうことを考えますと、やはり難病患者の場合も、ある程度相手方に、雇用してもらう方に何らかのきちんとしたものがないとどうしてもだめだというのは、今まで何十年間の中で私どもが本当に切実に感じている問題でございますので、何度も何度も、ただいま大臣が言われました手帳の問題、それから障害者として認定されていない問題、これは、厚生省と労働省がまだ一緒にならない以前、労働省の方に陳情に参りましたときも何度も何度も言われていた問題でございますので、せっかくこうした検討チームができましたので、そうした垣根を取り払うような形でやっていただきたいと思いますが、もう一度御回答をお願い申し上げます。

長妻国務大臣 難病の方でももちろん、障害者手帳をお持ちになる、そういう要件の方については雇用率が適用されるということでありますけれども、では、難病の方でその手帳を持っておられない方ということでありますが、これについては我々も、先ほど申し上げました助成金の活用で一定の、今後とも就職件数についても増加する見込みだと思いますので、それをさらに周知して、難病の方々が就職できるように我々も支援をすると同時に、その助成金が具体的にどういう効果が上がって、あるいは、問題点があるとすればどういう問題なのかということについても現状把握をしていきたい。

 そして、ハローワークにおける職場定着支援等の支援策についても、現状把握をして、さらに不足する部分があれば、それを補う支援策をしていくということも我々実行していきたいと思っております。

玉木(朝)分科員 ありがとうございます。

 このたびはこうした機会を与えていただきまして、大変うれしく思います。本日は、患者団体の仲間の皆さんも傍聴に来ていただいておりますが、大臣に直接難病患者の実情をお話しできるのも、議員としての議席を与えていただいたおかげと考えております。

 ただ、最後に、私の基本的な考えを一つだけ述べさせてください。

 一般的に谷間という言葉が使われておりますが、私は、難病患者が谷間に置かれている人間だとは考えておりません。難病であれ障害を持った方であれ、生きていく上で治療が必要な道連れを持ってしまった、そのための方策を考えなければならないと思いながら患者会活動を続けてまいりました。これからもその考えのもとで医療制度の充実に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

 どうか今後の御指導をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて玉木朝子さんの質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)分科員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、国民生活に深いかかわりがあるといいますか、多くの国民の皆さんが悩んでおられる二つのテーマ、一つは、いわゆる骨粗鬆症、大腿骨を骨折するとか、そういったことで寝たきりを強いられて、大変に厳しい状況になって痴呆症を併発し、やがて亡くなってしまう、こういう骨粗鬆症に関する問題、もう一つは、それほど直接的死というものと関係しませんけれども、国民生活に深くかかわる腰痛に関する統合医療としての一つの分野といいますか、一翼を形成するカイロプラクティックについて、この二つについて、大臣また足立政務官と少しお話を交わしてみたい。

 まず一番最初に、大臣それから政務官、今申し上げた二つの、いわゆる骨粗鬆症、寝たきり、痴呆、こういうケースの人が、友人、知人、親戚、あるいはまた御自身とは言いませんけれども、御自身は腰痛の方ですね、御自身に経験がおありか、あるいは周辺にあったということはあるのか、このあたり、まず大臣、どうですか。

長妻国務大臣 まず骨粗鬆症については、私の周りにそういう方はいらっしゃいませんが、腰痛というのは私はないですけれども、肩凝りはあります。

赤松(正)分科員 大変に幸せな方だなと思いました。

 私の周辺には、骨粗鬆症で、あの人がという人が倒れて寝たきりになったというケースがあまたありますし、実は、腰痛については、私自身、大学を出て職場についた瞬間、机を持ち上げて、それでぎっくり腰になって以来、六十歳で厚生労働副大臣として仕事をさせていただくまで腰痛に悩みました、三十八年間。後で申し上げますけれども、それが物の見事に治ったという体験の持ち主でございますが、その辺は冒頭の少し気分を変えるためのお話にさせていただいて、以下、本題に入ります。

 前半は、骨粗鬆症に関する問題です。

 まず骨粗鬆症というものについて、いわば腰の部分に大きな原因を発するこの病気、その予兆、兆しというかシンボルが歯にあらわれるということで、いわゆるあごの骨の骨密度をはかるということは、これは何もきょう私が初めて取り上げる話ではなくて、歯科学会、あるいは医療、内科、そういう分野で、骨粗鬆症と歯のいわゆる骨密度との関連性というものは学会においても長く一つのテーマであった、こんなふうに認識をしております。

 きょう私が、大臣、政務官に申し上げたいのは、あごの骨密度をはかるボーンライト、ボーンは骨、ライトは明かりですけれども、ボーンライトというものの存在。これは実は、私の地元姫路に居を構えている高石佳知という歯学博士、日常的には歯科医を経営しておられますけれども、この人と、元大阪市立大学の名誉教授森井浩世先生、この人を中心として、大阪市立大学のチームが約十年ぐらいかけていろいろ研究、研さんを積み重ねてきた、その研究の所産が実はこのボーンライトというものであります。

 以前にも国際科学雑誌のオステオポロシスインターナショナルで紹介されたことがあるのですが、つい先日、この質問をする直前、週末に、この国際科学雑誌のオステオポロシスインターナショナルで、実は、今申し上げた高石氏そして大阪市立大学のメンバーによるこのボーンライトの存在というものが非常に高く評価をされる論文が発表されました。

 このあたりについて、今申し上げたことについて、大臣の認識はどの程度おありでしょうか。

長妻国務大臣 骨粗鬆症は女性に多くて、患者数が約七百八十万人から一千百万人ということで、一千百万人は推計値でありますけれども、本当に国民の十人に一人に近いという状況でございまして、予防対策というのは重要な課題であるというふうに考えております。

 そして、きょう質問をいただくに当たって、私自身も調べてみますと、例えば広島大学などでも、歯の治療のためのレントゲンでちょうどあごが写りますので、そのあごの線の濃淡を見て、一定の、それに加工した画像処理をするとある程度診断できるのではないかというような発想を持っておられるところもあると思いますので、そういう研究なども我々は注視していきたいと思います。

赤松(正)分科員 今、大臣は広島大の話をされましたけれども、もちろんそれがどうこうと言うつもりはありませんが、要するに、ボーンライトは御存じないわけですね。

 私も別に、大臣に私の少々の知識を偉そうに披瀝することは本意ではありませんけれども、この国際科学誌オステオポロシスで紹介をされたボーンライトというのは非常に大きな価値がある、そういうことをぜひ知っていただきたいという思いで言っているわけです。

 広島大を初めとして、今までにもそういう研究はあります。しかし、よもや歯医者さんで歯のレントゲンを撮ってもらったことがないとはおっしゃいませんよね、大臣。私たちは歯医者さんに行くとレントゲンを撮るわけです。普通見ると非常にぼうっとしていて、こんなものでわかるのかなという思いは私も持ちますが、実はこのボーンライト、私ここに今持ってきているんですが、お見せするいとまはないんですけれども、非常に鮮明に歯の中身がわかる、そういう仕組みを持ったシステムなわけですね。ソフトなんです。

 今大臣がおっしゃったように、日本社会における骨粗鬆症のもたらす大変な弊害というものは、改めてここで言うまでもなく、大変大きな問題です。ですから、これを事前に予防し、今歯科検診において、全国に六万五千ほどある歯科医院で、いわゆる一千二百万人近い骨粗鬆症の潜在患者がいるにもかかわらず、そうしたきちっと意図を持って受診をするという人は二〇%ぐらいにしか満たない。こういう状況をぜひとも変えるということが大変大きな医療の前進、また、言ってみれば、医療費や介護費の面からも、家計を圧迫するということからも、それを防ぐことの大きなよすがになり得る画期的なものだと、実は私は認識をいたしております。

 そういう点で、今まで、長妻大臣の段階だけではなくて、私が厚生労働副大臣をさせていただいた時期に、先ほど申し上げた人の要請を受けて、現場の厚生労働省のいわゆる医政局を初めとするこの問題にかかわる皆さんにも既にいろいろとプレゼンテーションをさせていただいておりますので、ぜひそのあたりを研究、研さん、比較検証されまして、ぜひとも何らかの形で、こうした今申し上げた骨粗鬆症の予兆が歯にあらわれる、その予兆をしっかりととらえて、歯科医から内科医、整形外科医、産婦人科医、こういったところに展開していく仕組みというものを、行政として、どこまで何がどうできるのかということをぜひとも研究していただきたい、こう思うんですけれども、今申し上げたことについての大臣の所見を聞かせていただきたいと思います。

長妻国務大臣 これだけ患者さんの数が多い疾病でございますので、この予兆をつかんで、あるいは予防したり早期発見というのは、これはもう重要なことだというふうに考えております。

 これについて、今も大学等でも研究がなされているというふうに聞いておりますので、まずその研究の内容を我々しっかり見て、現状は具体的にどこまで、どういう効果の証明がなされているのか、あるいは今後その研究がどういう形で進んでいくのかというのを見て判断していきたいというふうに考えております。

赤松(正)分科員 大臣、しつこいようですが、今おっしゃったことを、はいそうですかで引き下がりますと、大変たくさんのお仕事を抱えておられる、そういう現場の医学の世界における研究、研さんを待ってそれに対応するということでは、やはり私は先行きの見通しが非常に暗い、こんなふうに思います。

 そのようにおっしゃるなら、ある程度、どのあたりまで、どういう形で、この問題について、今、具体的な提起をいたしました、ボーンライトというものをどう見るのかということを言いましたので、そのあたりの具体的なスケジュールというものをぜひとも明らかにしていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

 大臣でなくて政務官、医学博士として、もし御見解があれば聞かせていただきたいと思います。

足立大臣政務官 今、予兆ということが、今までの切り口とは若干違うお話なのかなという気がします。

 骨粗鬆症、オステオポロシスは、骨密度の測定ということで確定診断に至っていくんだと思いますが、もともとは腰椎の骨密度、しかし今はかかとの骨を超音波で見るという極めて簡略な方法でやられているということでございます。

 今現在、健康診断の中で年齢を特定して調べるということはやっておりますけれども、それ以前に、予兆として使えるかどうかということは、保険診療のこれからの連動性、そこをきっかけとしてという話もあります。ということですので、健康診断の面、それから保険診療の面と相まって議論していかなければいけないのかなということを今感じました。

 しかし、予兆としてあるものを利用できない手はないというふうに思いますので、検討していきたいと思います。

赤松(正)分科員 ぜひとも、しっかりと腰を落として前向きの、前向きのという言葉は非常に通俗的ですけれども、しっかり具体化に向けての検討を進めていっていただきたいと思います。

 では次に、二つ目の課題といたしまして、カイロプラクティック療法。

 統合医療については、鳩山総理大臣が大変前向きの姿勢で予算化をされるということ。もちろんこれは漢方を中心とするもの、第一段階としてそういうふうな認識でおりますけれども、しかし、大きいすそ野を持った統合医療の問題に対する取り組みというのは極めて大事だと思います。

 その一つの代表としてのカイロプラクティックについて、私は先ほど、三十八年来の腰痛が治ったという話をいたしました。実はこれは、カイロプラクティックだけではなくて、私はありとあらゆる治療を試みました。もちろん鍼灸から始まって、柔道整復師とか、あるいはあんま、いわゆるすべてと言っていいぐらいのものを、三十八年ですから、その途上でやりましたが、まあ九割方、八割方治っても、あと残りがなかなかうまくいかないという経験の持ち主であります。

 そういう状況の中で、カイロプラクティックの問題と深くかかわるようになったときに、先ほども申し上げたように、今から約四年前、厚生労働省にいましたときにカイロプラクティック療法と深くつき合うようになって、朝起きても全く痛みを感じないという自分になったということが実はあります。

 時間が今から十五分しかありませんので、私がこの問題について厚生労働省、大臣また政務官の御意見をしっかり聞かせていただくにはうまく運ばなくちゃいけないと思うので、いろいろはしょりますが、まず第一点。

 かつて、この委員会、平成十七年ですから五年前の四月二十六日、決算行政監視委員会第三分科会で、厚生労働省が自由民主党の西村康稔委員の質問に答えて、彼がやはり私と同じような趣旨で取り上げたことに対して、厚生労働省側は、医学的な有効性が確立していないという現時点では慎重な検討が必要、こういうカイロプラクティック療法に対する認識を示しているわけです。

 腰痛という多くの人が悩んでいる痛みでさえ医学の分野では科学的にその有効性は証明されていない、つまり、要するに何をやってもなかなかよくわからない、こういうことが指摘をされているわけです。

 先ほど私が申し上げましたように、カイロプラクティック療法で痛みがなくなった、何か手前みそだと皆さん思われるかもしれませんけれども、そういう声は大変多いわけであります。

 平成十八年のときには、小泉さんが、自分もそれを愛用しているという答弁がありましたし、あるいはバラク・オバマ大統領もカイロプラクティックを愛用しているということもありますし、要するに、海外、アメリカとかあるいはオーストラリアだとかそういう欧米の国々の位置づけと日本の位置づけが激しく落差があり過ぎるということが私の問題意識にあるわけです。

 まず、先ほど言った慎重な検討が必要というこの基本的スタンスというのは、十七年のときから五年たっているんですけれども、変わらないんでしょうか。

足立大臣政務官 時間の関係上まとめて御質問ということでありましたので、その後のこともちょっと触れさせていただきます。

 結論からいいますと、慎重な検討が必要ということなんですが、今議員がお示しになった平成二年のものは、科学的な有効性が明らかではない、はっきりしないということもありましたけれども、もう一つ重要なことは、これはやってはいけないという禁忌症があるんだということがポイントだったと思います。

 そして、平成十六年から十八年にかけて、その間に議員は副大臣を務められておったんですが、やはり厚生労働の科研費の補助金で研究がなされております。これは三段階を設けてやっているわけですが、第一段階は外国の状況をまず調べる。それから第二段階は、日本においてアンケート調査をするということをやりました。そして第三段階として、ガイドラインを作成という形になりました。

 そのガイドラインが今ここにあるんですが、さまざまな疾患において、注意点といいますか、この部分はやってはいけない等々書かれておりまして、これをそのまま評価すると、やはり慎重な検討ということになるんだと思います。

 ちなみに私は、職業柄かもしれませんが、ずっと腰痛でございます。私の場合は今は疲労骨折というふうな位置づけになっているかと思いますが、脊椎分離というものがあります。ここに急激な刺激を加えるとかえって危険だ、私はそういう認識をしております。

赤松(正)分科員 後で質問しようと思ったことも今答えていただいたわけですが、要するに、今御自身が、ある意味で、私の腰の症状と足立さんの症状というのはかなりレベルが違うと。だから、自分の体にカイロプラクティックのような療法をやると非常にまずい結果になるということを端的に言われたわけですよね。そういうことはもちろん私も認めないわけではないんです。

 しかし、今おっしゃったようなこと、つまり、やってはいけないということがいろいろある、そういう背景、背景というか禁忌症の問題があって、現実の日本社会の中では、さまざまな、言ってみればカイロプラクティックに対する規制というか、何がよくて何がだめなんだという整理がなされないままいろいろなものが散在しているということから、結構マイナスの結果というものがあって、つまり、玉石混交になっている状況、いいものも悪いものも一緒になっちゃっていて、なかなか、いい、例えば私なんかのマッチングしたものがしっかりと社会的に認知されないという事態がある、こういうことが実はあると思うんですね。

 そこで、足立さんは大分県ですね、その大分県の議会で取り上げられたことは足立政務官と何か関係あるのかどうかわかりませんけれども、実はこのカイロプラクティックをめぐっての議論は、調べてみますと、唯一、大分県議会で取り上げられているわけですね。

 大分県議会で、世界で広く行われている国際的ヘルスケアであるカイロプラクティック療法を日本では資格制度も整備せず放置しているという質問をされた議員がいる。それに対して県の健康福祉部長は、全国衛生部長会を通じて国に要望している、全国的に統一した取り扱いが必要であることから、医業類似行為の明確な定義づけ等については今後も国に要望していきたいと答弁をしているわけです。

 こういった、いわば資格制度も整備せず、放置しているような状況、禁忌症という言葉の裏にこういう実態があるということ、それにまた、先ほど言った大分県の健康福祉部長は、大分県議会とそれから国とのはざまにあって大変に苦慮している、こういうことについて国はどういうふうに考えているんですか。

足立大臣政務官 実は私、国会議員になって最初の質問があはき師法等の医業類似行為に関することでございました。その少し後に県議会でこういうのが出たことは、私も問題を共有しておりまして、どういうことかといいますと、大分県は観光地が非常に多くございます。そこで、業務独占、名称独占を持っている、資格を持っている方々の施術と、そうではない方々が非常に多いということは、ある意味、観光で訪れた方々に対する健康被害ということがあるので、それは整理すべきであるという趣旨だったろうと思います。

 繰り返しになりますけれども、医業類似行為というのは、広義のものは、あんまマッサージ指圧師、あはき師と柔道整復、そしてその他があるわけです。狭義で言うと、あはき師と柔道整復を除いて、その他、つまりそこにカイロプラクティックが入ってくるんだと思いますが、この整理をしろということなんですけれども、これは業務独占ですから、その方々しかできないということにはなっているわけですが、では実際にどういうことをやっているかというのは、確認のしようが非常に難しいんですね。

 実際にその施術を受けて健康被害を生じた方々の訴えがあった場合に、例えばその調査という形で、実際に受けてみて、これはあんまであった、これはマッサージであったということであれば、業務独占ですからそれは外れるというように、施術される方とそれを受ける方の状態によって健康被害を及ぼす可能性があるかどうかの判断というのが個別になってくるので極めて難しいという問題が存在しているということなんですね。

 この点は、私もその当時調べましたけれども、昭和三十年代からかなり長い問題点になっております。アメリカは一九七〇年代にすべての州で法制化されたということでございますが、やはり歴史的な経緯から、医業類似行為でも業務独占があるもの、ないもの、そこに新しく出てきたものをどうとらえるかということが今課題である。ですから、個別具体的に、その人にとって健康被害を生じるかどうかはその内容によって全く変わってくるというものをどう文章で表現していくかというのが難しい問題点だなと私自身が今とらえているところです。

赤松(正)分科員 今、さすが御自身の御経験と、そしてまた医療の世界に携わってこられた人らしい答弁だったと思います。

 ただし、今、非常に難しいと言われた、私は、恐らくその難しいという御発言の流れの中で、やはりすべての医療類似行為についてしっかりと見られたわけではないと思うんですね。また、カイロプラクティックについても、確かにあまたある。そういうものについて、まさに、言ってみれば、いいものと悪いものを峻別するような見方というものを足立政務官はチェックされたわけではないし、また世の中的にもなかなかそういう角度でチェックしたケースはなかろうと思うんですね。

 そういう点で、ぜひとも、私の場合は物の見事に的中したケースだろうと思うんですけれども、そういう点で一つポイントになるというか、今、恐らく政務官が言われたようなことで、言ってみれば、先発のものは、鍼灸だとか柔道整復師だとかあんまとか、そういうものはある意味で囲われたところに入っているわけですね。そうではない、後発というか、世界的に見ると決して後発ではないんですけれども、日本における後発であるカイロプラクティックなんというのは、非常にやはり後ろに置かれてしまっている状態がある。

 それを乗り越えていくことが必要だ、しっかりと整理、基準をつくるということにぜひとも取り組んでほしいということで、私は次の問題を出すわけですけれども、いわゆる三浦レポートであります。

 この三浦レポートというのは平成三年、もう既に二十年近くたっている。厚生労働省の若手の皆さんとこの問題について議論すると、いつもこの三浦レポートというものが出てくるわけですけれども、これはもう二十年たっている。それをもとに説明されるというのは極めて説得力に欠ける、こういうふうに思います。

 三浦レポートは、当時の厚生省が選んだ八名の整形外科医でつくられて、実質的に内容としては古いと言わざるを得ない。こういう点で、統合医療推進に向けてプロジェクトチームがつくられたって、これは決してそういうカイロプラクティックにまで目が及んでいるものではないということは重々わかっていますけれども、しかし、その幅広い統合医療推進の中で、ぜひともこの三浦レポートの検証というものをなされるべきである。さっき、三年かけた海外調査の結果、段階に分けてやっているというお話もありました。

 そういうことも含めて、二十年前の三浦レポート、整形外科医という皆さん、私は整形外科医も大変大事な役割をされていると思いますが、私のようなこういう広範囲な国民の悩んでいる日常的な国民生活病としての腰痛に、言ってみれば、整形外科医はほとんど効力を発揮しない、大胆に言わせてもらうと私はそういう思いを持っています。

 だから、ぜひとも三浦レポートの見直しというのは非常に急を要する、こう思いますけれども、そのあたり、まず政務官、お願いをいたします。

足立大臣政務官 御指摘の趣旨はよくわかります。しかし、一般的に、専門家の研究に対して、それを省として検証を次はやるんだということはなかなか難しい部分があるんだろうと思いますが、結果的に、平成十六年から十八年の先ほどの研究、これは脊椎原性疾患に対する適正な施術の在り方に関する研究というもので、その中で、三年をかけてガイドラインをつくられた。このことは、ある意味、禁忌症というものに対して、ではどういう事柄について注意しなければいけないのかというガイドラインを作成されたということは、一歩進んだ研究がここでなされたんだろう、そう思います。

 そして、その膨大な疾患別に危険性があるということをとらえると、これを広くそのまま全国であまねく普遍的に流布した場合に危険な疾患というのは確かにあるなということも感じておりますので、お答えをストレートに言いますと、この三浦レポートに対する検証というとらえ方ではなくて、その後の十六年―十八年の研究もある、さらにそれを踏まえて、やはり国民の健康被害を起こしてはならないというのが厚生労働省の一つの立場でございますので、そこについては慎重に検討すべきであろうと私は思っております。

赤松(正)分科員 先ほどの確認でありますが、そういう意味で、こちらが申し上げたような、厚生労働省として、行政の一環として、今まで出た三浦レポートについて検証しろと言われても難しいというお答えだったわけです。

 ただ、三浦レポートなるものを採用されたのは厚生労働省ですよね。ですから、今二十年という歳月を経、そしてまたさまざまな意見も提起されている、そういう状況下にありまして、また一方で、WHOがカイロプラクティック教育に関するガイドラインも出しているということで、このあたりで、先ほど来申し上げていますけれども、このカイロプラクティックをめぐる問題について、きちっと今の時点で整理をするということは必要だろうと思うんですね。

 それで、大臣や政務官のお立場で見直しを一気にするというのはなかなか難しいということであるならば、次善の方策としてどのような形を、言ってみれば、私のような立場に立つ、玉石混交と言われるこのカイロプラクティックのいい部分をどう社会に根差していくかという観点に立てば、どういう行為をしていけばというか、どういうふうなことをすればいい、こういう観点からぜひアドバイスをいただきたいと思います。

足立大臣政務官 アドバイスというのはなかなか難しいところですが、やはり、安全性と有効性、これをどちらも検証していかなければならないんだろうと私は思います。

 有効性につきましては、議員の御意見もありますし、アメリカ等ではやはり有効性は認められている。そして、その教育プログラムをWHOの方で、今お話がありましたようなガイドラインができた。これは、有効性を認めてやっていこうということだと思います。

 では、安全性についてはどうなのかということに対しましては、先ほど十六年から十八年までの研究で、これはどういった場合にやってはいけないと判断するのか、つまり禁忌症ですね、それ以外にもリスクの高い患者と判断した場合にどのように対応するのかというようなガイドラインなんです。

 この両者を、やはりどちらも必要なものですから、その両者の共通項といいますか、必要な部分というものを抜き出した形でそこは検討すべきだと思うし、これはずっとほっておいてはいけない問題だ、私はそうとらえています。

赤松(正)分科員 時間が参りましたので、もうこれ以上、残念ながら続けられないんですが、きょうは第一段階として、第一段階のお話の締めくくりに、長妻厚生労働大臣、今の議論を聞いていて、御自身は御経験がないという幸せなお立場でありますが、このカイロプラクティックについて、ぜひ御見解を申し述べていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今御自身の体験からるる御説明をいただいたわけでございまして、その思いというのは、本当に多くの人に同じ体験をしてさしあげたいという思いはよくわかるわけでございまして、やはり、足立政務官が答弁申し上げましたように、有効性と安全性ということでございますので、例えば、アドバイスというおこがましいことではありませんけれども、その関係団体等において研究を自主的に進めていただくということも一つの手段ではないかというふうに今の段階では申し上げるということでございます。

赤松(正)分科員 終わります。ありがとうございました。

中川主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 午後二時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時一分開議

中川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。赤松農林水産大臣。

赤松国務大臣 平成二十年度における農林水産省の決算の概要を御説明申し上げます。

 最初に、一般会計について申し上げます。

 まず、一般会計の歳入につきましては、歳入予算額は四千九百九十一億四千二百六十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は六千七十四億四千三百六十五万円余であり、差し引きいたしますと、千八十三億九十九万円余の増加となっております。

 次に、一般会計の歳出につきましては、歳出予算現額は三兆三千八百四億三千六百四十九万円余に対しまして、支出済み歳出額は二兆八千四十五億八千二百二十八万円余、翌年度繰越額は四千四百六十六億六千三百九十八万円余、不用額は一千二百九十一億九千二十二万円余となっております。

 次に、各特別会計の決算について御説明申し上げます。

 まず、食料安定供給特別会計につきましては、農業経営基盤強化勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆七千三百九十二億九千四百二十三万円余、支出済み歳出額は二兆六千四百二十二億六千七万円余でありまして、歳入歳出差し引き九百七十億三千四百十六万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。また、食糧管理勘定の損益計算上の損失は千百六十二億八千七百十六万円余でありまして、この損失は、法律の定めるところにより調整勘定に移し、調整資金を減額して整理することといたしました。

 このほか、農業共済再保険特別会計、森林保険特別会計、国有林野事業特別会計及び漁船再保険及び漁業共済保険特別会計がございますが、これらの特別会計の概要につきましては、お手元の資料に掲載いたしましたとおりであります。

 以上をもちまして、平成二十年度における農林水産省の決算の概要に関する説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

中川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院金刺第四局長。

金刺会計検査院当局者 平成二十年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九十六件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項十五件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三五八号及び三五九号は、工事の施工が適切でないもの、同三六〇号から三六二号までの三件は、委託費の会計経理が適正を欠いているもの、同三六三号は、契約額が割高となっているもの、同三六四号から四五二号までの八十九件は、補助事業の実施及び経理が不当なもの、同四五三号は、貸付料等が低額となっているものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、貸し付けを行っている国有農地等の管理に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、電子申請等関係システムの利用状況に関して意見を表示いたしたもの、その三は、中山間地域総合整備事業により整備された活性化施設の有効利用に関して意見を表示いたしたもの、その四は、土地改良事業の受益農地の転用の許可に際しての取り扱いに関して意見を表示いたしたもの、その五は、水田・畑作経営所得安定対策の実施に関して意見を表示いたしたものであります。その六は、全国土地改良事業団体連合会が管理運営する土地改良施設維持管理適正化資金等の運用益に関して改善の処置を要求いたしたもので、本件につきましては、運用益残額のうち国庫補助金相当額を国庫に納付させるなどの処置をとっております。

 その七からその十三までの七件は、農林水産省が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させている資金等の有効活用等に関して改善の処置を要求いたしたもの、その十四は、国営土地改良事業等に係る国有財産の登記に関して改善の処置を要求いたしたもの、その十五は、国有林野事業特別会計に係る国有財産の登記に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 なお、以上のほか、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました林業・木材産業改善資金貸付事業の運営について意見を表示した事項並びに新農業水利システム保全対策事業における農業水利システム保全計画の策定について、及び農業集落排水事業の計画及び実施について、それぞれ処置を要求した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

中川主査 次に、会計検査院飯塚審議官。

飯塚会計検査院当局者 平成二十年度農林漁業金融公庫の決算について検査をいたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

中川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。赤松農林水産大臣。

赤松国務大臣 会計検査院から御報告のありました平成二十年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。

 予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、会計検査院の平成二十年度決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けるような事態が生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、すべての不当事項について、指摘に基づき直ちに是正や改善措置、補助金返還、手直し工事を実施するとともに、それ以外の処置要求事項等についても、指摘に基づき是正や再発防止のための改善措置を実施しているところです。

 今後、このような事例の発生を未然に防止するため、指導監督の強化を図り、事業等の厳正かつ効率的な実施に万全を期すとともに、予算の適切な執行をより一層徹底してまいる所存であります。

中川主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中川主査 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中川主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺分科員 自民党の小野寺五典です。

 きょうは、ことし二月に発生しましたチリ地震津波による漁業被害について質問しようと思っておりましたが、冒頭、どうしてもこの問題に触れざるを得ないということで、少しだけ触れさせていただきます。それは口蹄疫の問題です。

 宮崎で口蹄疫が発生し、今大変な大きな問題になっていますが、この問題、口蹄疫に対する担当大臣はどなたでしょうか。教えてください。

赤松国務大臣 私が所管だと思っております。

小野寺分科員 大変不思議なのは、私ども、きのうもずっとテレビを見ておりましたが、出てくる大臣は、実は平野官房長官。現地に入り、宮崎県知事からお話を聞き、なぜかその平野官房長官が前面に立ち、さまざまな発言をしている。どうして赤松農林水産大臣が出ないんだろう、私は不思議に思いましたし、恐らく全国の農家の方も、なぜこうなったんだろう、とても不思議に思っていると思うんです。

 大臣、きのうは何をされていましたか。

赤松国務大臣 私は、昨日は、夕方には東京に戻っておりましたけれども、昼間は名古屋におりました。

小野寺分科員 これだけ大きな問題になっていて、それはさまざまな御事情があるんですが、大臣は御地元に戻り、御自分の地元の仕事をされていた。そして、この口蹄疫の仕事というのは、平野官房長官が宮崎に訪れ、されている。何か私は、この問題に対して官邸として赤松大臣を外しているのではないか、そういうちょっと印象を持って、とても残念に思っています。

 というのは、実は大臣もごらんになったかと思いますが、今インターネット上では、大臣と我が党の江藤拓議員のやりとり、これはことしの五月十一日、ついこの間ですが、農水委員会のこの国会の模様が実はアップされまして、それが今二十万件を超える大変なヒット数になっています。

 私もきのう地元を回りましたら、地元の農家から、あれを見たかと。地元の運動会に出ている農家の方から、あの状況を見たか、私たちは涙をもってあれを見たと。特に一番皆さんの心を打ったのは、今回不幸にして口蹄疫にかかった牛に関して、最後に一番上等なえさを食べさせ、そして頭をなでてあげ、乳房をふいてあげ、そしてその目の前で殺処分を行う、こういうことを今農家の皆さんはされている。その思いを国にわかってほしい。

 そう思っていながら、これは江藤議員の質問をかりると、大臣は四月三十日から五月八日まで実は日本を離れて、メキシコ、キューバ、コロンビアに行っていられた。これは、EPAほかFTA、さまざまな話だと思うんですが、私は、実は外務副大臣のときにこの中南米地域を担当しまして、もちろんこのEPA、FTAの問題は役人側から説明を受けております。こんなに急に行く必要がない。特に、メキシコについては既に発効している。なぜこの厳しい時期に行ったのか。これは江藤議員の聞き方も、なるほどなと私はそう思っております。

 こういう一連の今ネット上も含めて盛んに実は赤松大臣が、それはいろいろな御答弁のことはあるんでしょうが、批判にさらされている。ですから、今、赤松大臣を表に出したくない、そのような官邸の意向があって今回このような、どうも平野官房長官に肩がわりをさせているのではないか、そのような印象を持つんですが、もう一度大臣にお伺いします。

 この口蹄疫については、やはり農林大臣が基本的に最前線でやっていただきたい。そして、現地に行かれていることも知っていますので、こういう平野官房長官みたいな、私はなぜ怒っているかというと、普天間の問題も同じなんです。普天間の問題も、これは外務大臣と北澤大臣がやるべき仕事なんです。ところが、なぜか今平野官房長官が出てきて話がぐじゅぐじゅにされてしまっている。この口蹄疫の問題も、また平野さんが出しゃばってきたらこれは大変なことになる、私はそう思っていますので、ぜひ大臣に、私の所管だ、そして私の責任でしっかりこれは対応するということを述べていただきたいと思います。

赤松国務大臣 所管は私であることに変わりはありません。

 ただ、私どもも、できるだけの措置をやろうということで、この間できるものはすべてやってきたつもりでございますけれども、地域的には一定のところに押しとどめてはいるんですけれども、残念ながら、その中からは数がどんどんと出ているということで、殺処分しなければいけない数も八万数千頭にも今及んでいる、百十一件になったということなものですから、今、自衛隊の応援も延べで千七百名ぐらい行っていただいたり、あるいは、今度は予算的にも、単に農水省の予算だけでは、いろいろ自民党の皆さん方からも、こんな措置もやってほしい、あんな支援もやってほしいということも聞いておりまして、そういう意味で言えば、鳩山内閣全体でこの問題をしっかりと支えていただくということは決して悪いことではないと私自身は思っております。

 ただ、だからといって、農水省の責任、私個人の責任を逃れようとかそういう意味ではなくて、とにかく、自衛隊の要請も今していますけれども、自衛隊の皆さんも本当によくやっていただいているんですけれども、まだまだそれでは埋却が追いつかないとかいろいろなこともあるものですから、きょう、山田副大臣も本当はこの委員会に出させていただかなければいけないんですけれども、きょうから常駐をさせて、あと農水省のスタッフ五人ぐらいと現地での常駐態勢に入るということで、そういう新しいいろいろな手だてもきょうも実はやっておりまして、この後もまた五時からいろいろな対策会議をやりますけれども、万全の態勢で取り組んでいきたい、こんなことも思っております。

小野寺分科員 遅いんですよ。もう既に発生して、しかももう宮崎県に関しては最後のエース級の六頭を残すのみで、あとはもうこれは厳しいという状況まで追い込まれてしまっている。これで現地に行っても、この先こんなことがないことを私どももぜひ対応していただきたいと思いますが、これが全国に蔓延したら、もう今さら、ここまで過ぎていて現地に対策本部をつくってももう遅い、一体何をしていたんだ、多分多くの皆さんはこう思っていると思います。

 そして、一番大切な大臣が、きのう官房長官が宮崎に入っているのに、地元の名古屋にいらした。そして、肝心の一番蔓延期であった連休中には、中南米に、しかも長期間行っていた。私は、この危機管理の問題というのは、簡単な一言、二言では済まない、大きな責任に今後発展するのではないかとそう思っております。

 それでは、チリ地震の津波について質問させていただきたいと思います。

 ことし二月に発生しましたこの地震津波、実は養殖被害に大きな影響が出まして、これは、政府も含めて多くの皆さんのお力をかりて、激甚災害の指定ということがいち早く成りました。

 具体的に、激甚災害の指定の現在の状況、そして、最終的にもしこれが閣議で各地域が指定されて決定された場合、養殖業者にどのような支援があるかを教えていただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 チリ沖地震の激甚災害に伴う復旧事業等に関してでございますが、関係法令によりますと、補助の上限は経費の十分の九、施設ごとの工事費は十三万円以上の養殖施設については補助対象ということになっており、これまでの事例では、被災した時点の残存価格を適用してきたところでございます。

 今回の津波災害に伴う災害復旧においては、補助率については、復旧事業に要する経費の九割、これは上限でありますけれども、上限の目いっぱいの九割。それから養殖施設については、残存価格などの復旧事業費の具体的な算定方式については、過去の事例も踏まえながら、今調整をさせていただいているところでございます。

小野寺分科員 今漁業者が一番心配しているのは、先ほど残存価格というお話がありました。残存価格というのは、もう一度漁業ができる、もとの養殖施設を復旧できる価格ではなくて、今現在把握している残存価格、残りの価値の値段と承りましたが、そのとおりでいいんでしょうか。

佐々木大臣政務官 そういうことでございます。

小野寺分科員 では、残りの価値というのは、一体どういう基準で養殖施設の価値を判断されるんでしょうか。

赤松国務大臣 これは、耐久年数が多分五年とか何年とか決まっておりまして、三年もう使った、だから残存期間は二年だということでそれを評価するという意味だと思います。

小野寺分科員 済みません、ここは委員会の場なので、多分とか、三年とか五年とかじゃなくて、今回は一体どのぐらいの……(赤松国務大臣「五年」と呼ぶ)五年。今回は五年ということなんですが、ではちょっとお伺いします。

 例えばカキの養殖施設、一つ三十万円かかるということで、施設になりますと、これは五年使いましたというと、今回、養殖施設に出るこの支援の金額というのは幾らぐらいになるんでしょうか。

 例えば三十万円のいかだを五年で見ると、一年間六万円。五年使うということは、残存価格は六万円。そしてその九割ということは、約五万ちょっと。五万円ちょっとしか出ない、そう考えていいんでしょうか。

佐々木大臣政務官 残存価格の九割ですから、そういうことになります。

小野寺分科員 大臣にお伺いしたいんですが、カキというのは何年で大きくなるか御存じですか。

赤松国務大臣 私も専門家じゃないのでちょっとわからないんですが、数年、多分三年、四年かかるんじゃないかと思っています。

小野寺分科員 ということは、今、実際出荷して使う、ようやく出荷できるカキというのは、養殖施設を垂下して、つるして三年から四年はかかるということですよね。

 そうすると、今回被害があって一番泣くに泣けない養殖業者の方は、既にいかだを設置して最低三年、四年はたっているということなんですよ。そうすると、これで見ると、残存価格というのは九割九割と言いながら、実際出るお金というのは五万円なのか十万円なのか、そんな程度しか出ないと思うんですが、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 そうなると思います。

小野寺分科員 あっさり答えられては困るんですが、ということは、実際今、多くの漁業者が一番悩んでいるのは、この被害を受けて何とか漁業を再開したい。沿岸漁業者は、実は若手の経営者も今は多いんです。ようやく若手が入ってきている中で、いや、ちょっと待ってくれ、何か国が九割出してくれると言っておいて、ではこれで復旧できるから頑張ろうかな、そう思っている中で五年の残存価格しか見ない。でも、実際、養殖業というのは、一回垂下したら三年から四年かかる。これは大臣もお認めになっています。

 そうすると、これから始めようと思ってせっかく始めた養殖施設が、ようやく出荷できるという時期になって被害があった場合、もう既に三年、四年たっていますから、残りの価値はこんなものだね、その九割だからほとんどできないよ。これで本当にもう一度漁業をやろうという気持ちになるかどうか。御答弁願います。

赤松国務大臣 災害に遭われた方が極めて厳しい経営環境、経済環境にあるのは、事実だと思います。

 そういう中で、私どもとしては、今回のこの措置については、委員も御承知だと思いますけれども、特に岩手、宮城に被害が集中していたものですから、そういう中で少しでもその対象になるようにということで、いろいろな条件の見直しもさせていただいて、旧来の基準でいえば多分七割か七割ちょっとぐらいしか対象にならなかったのを、ほぼ九割近く、あるいは九割を超えたかもしれません、今はちょっと具体的な数字を持っていないのであれですが、そのように対象範囲も広げたということでございます。

 あとは、本当は共済なんかでカバーできると一番いいんですが、必ずしも全員が共済に入っているとは限らない。しかも、水産関係については入っていない人の比率も高いというふうに聞いておりまして、そういう方については、できるだけ金融機関に、こうした今後の経営のための相談に乗るようにということでお願いをしているところでもございます。

小野寺分科員 ちょっと今のお話を聞いていると、何か養殖業者、例えば共済保険の問題でも、漁業者が入っていないのが多い、それが悪いんじゃないか、そういうちょっと雰囲気に聞かれるんですが、では大臣にちょっとお伺いします。

 今回、養殖共済のことについても触れられましたが、養殖共済はみんなが入れる共済だとお思いですか。

 大臣がおわかりにないと思うのでここでぜひ知っていただきたいんですが、例えば、ここの部屋に委員が皆さんいらっしゃいます。養殖共済は地域ごとで入ることになっています。ですから、ここの地域のここにいる全員がこの共済に入りますと言えば、きちっとした制度の中での共済保険に入れるんです。ですが、これだけいる中で、いや、私は入る必要はない、私はちょっと今回は入っても意味がない、一人でも入りたくない人がいたら、その地域全体では共済に入れない。こういう実態を御存じですか。

赤松国務大臣 恐縮ですが、存じ上げませんでした。

 ですから、そうだとすれば、今後、そういう加入の仕方とか仕組みについて検討していかなければいけないなというふうに思います。

小野寺分科員 このチリ地震津波の養殖被害対策については事前通知をしております。そして、大臣にお伺いしますと、どうも、今回のこの災害対策の問題に関してもほとんど御存じない。そして、例えばカキの養殖漁業に関しても御存じない。今驚いたのは、漁業共済についても実は初めて知った。一体この委員会を何だと思っているのか。これをもし見ている全国の漁業者、特に津波被害に遭われた方は、これは愕然とされるんじゃないかと思うんです。

 今、漁業者の皆さんは本当に涙を流しながら懸命にこの災害復旧に向けているわけです。そして、漁業者の皆さんが思っているのは、九割補てんしてくれるんだ、九割か、そういえばニュースで見た宮崎の口蹄疫は、どうも今回これだけ大きな問題になっているから、国が十割対応するぞということでしっかり大臣も官房長官もお話をされている。ああそうなのか、では私たちも何かあるんだな。特に、私たちの場合は天災です、津波です。

 そして、先ほど大臣が過去の例と言いましたが、過去の例というのは一体いつあるのか。私は同じ三陸で生まれ育っていますが、チリ地震津波は、私が生まれた昭和三十五年です。それ以来の五十年ぶりの津波。そうすると、五十年前の養殖業の実例を一生懸命引っ張ってきたのか、さっぱりこの過去の事例はあるわけないんです。

 ですから、今回は、やはりこの残存価格ということ、これではとても漁業者は復帰することができません。特に養殖業の実態を見れば、これは一年、二年で養殖施設が再開できる話じゃないんです。一度施設で養殖を始めたら、最低三年、四年はかかります。あるいは、マグロの養殖なんといったらもっとかかります。

 そうすると、これはちゃんとやればやるほど、実は、最低五年、六年、七年、八年、この養殖施設をずっと使い続け、メンテナンスをし続けてやってきているわけです。ということは、今回、五年以上たった養殖施設は残存価格ゼロですから、激甚災害指定になっても、これは一銭も国から出ない、そう理解していいんでしょうか。

佐々木大臣政務官 基本的には、耐用年数が五年ですから、五年で一割までしか残存価格残りませんが、その先のことについては、基本的にはゼロですが、それも先ほど大臣から答弁ありましたように、今回の災害が非常に大きいということで、適用範囲も広げたり、いろいろな努力を今させていただいているところでございます。

小野寺分科員 大臣、これはまだ最終決定していないんです。今からなんです。それで、きょう、こういう問題点を積み上げさせていただきました。

 そうやって考えていただきたいのは、例えば平均で見ますと、カキの養殖施設、いろいろな形がありますが、一台三十万、五十万、六十万ぐらいの施設です。またホタテ、一台四、五十万ぐらいの施設です。ワカメ、それからホヤ、昆布、これは十万とか二十万とかそういう養殖施設になるんです。そういうことで何とか頑張ってやっていらっしゃる方に対して、五年たったからゼロですよ、こういうことじゃなくて、私は、もう一度操業ができる、もう一度養殖業ができる、もう一度頑張っていこう、こういう気持ちが持てるぐらいの査定をしっかり踏み込んでしていただきたい。

 過去の事例と言いますけれども、津波でこういう養殖被害があった過去の事例なんて相当昔ですよ。しかも、大体、こういう地震とか津波が起きたときには義援金やらいろいろなことが入って、いろいろな施設に対してある程度十分な補てんがなされるはずなんです。ところが私は驚きました。今回、チリ地震、この津波の義援金を私も出しました。我が党でも出しました。どこに行くのかと見たら、チリの政府に行くんです。日本の養殖漁業者には一銭も来ないんですよ。おかしいでしょう。

 私はやはり、せっかくこうして政権もかわり、非常に頑張っていらっしゃる農水大臣、佐々木政務官、専門家でもいらっしゃいます、お願いしたいのは、まだ内容は決まっていないんだったら、財務省にここはしっかりかけ合っていただいて、総予算はそんなにかかりませんよ、再生産、もう一度漁業ができる、こういう気持ちになることをやっていただきたい。

 そして、私は今までこれは養殖施設のことだけをお話ししました。施設だけじゃないんです。施設に実はつるされているカキやワカメやホタテやホヤ、これが全部海の底に沈んでしまって、なくなっちゃったんですよ。施設はあくまでもその養殖施設の被害だけであって、そこでなくなってしまった漁業の被害、生産の被害というのは莫大なものです。そして、これをどうしたらいいんだと政府に聞くと、これは共済で対応だろう。ところが、今大臣にお伺いしましたが、共済で対応といっても、漁業共済の場合には、地域で入らないと入れなくなってしまう。そうすると、事実上は漁業者は入りたくても入れない。どうしたらいいんだ。

 さらにもう少しお話をしますと、今回、例えばカキのお話をしました。何年で大きくなるか。三年とか二年とか四年とかあります。ところが、今回、これが脱落して全部なくなってしまうと、もう一度出荷するまでに最低二年から三年かかるんです。そうすると、何年分かの生活をするための生産の糧が今回これで失われたんですよ。生産物が、そしてさらに、生産するためのその養殖施設が失われたんですよ。

 それに対して、残存価格を見ます、残存価格は五年の減価償却です、五年以降のものについては一銭も見ません。これで激甚災害指定とすごく何か大きな指定をしたような話をされていますが、余りに漁業者にとってはこれはむごい話じゃないか、私はそう思うんですが、大臣はどうお感じになりますか。

赤松国務大臣 そういう漁業者を思ってのいろいろな御意見、現状ということのお話を今しっかりと受けとめさせていただきました。

 私ども、佐々木政務官からも話をさせていただきましたように、まだ今後どうしていくかということについては詳細が残っておりますので、できるだけ漁業者の皆さん方に喜んでいただけるような結果が出るように努力をさせていただきたい、このように思います。

小野寺分科員 ぜひ、この制度をしっかりよく見直していただきたい。

 そして、今回、実は指定は各地域、各漁業種ごとになるということを多分ご存じだと思うんです。そうすると、同じ湾、同じところで養殖業をやっても、カキをやっていて、隣でホタテをやっていて、ホヤをやっていて、これは同じところで同じようにやっています、同じように津波の被害をだあんと受けています。ところが、ある湾ではカキしか今回の災害対策にならない。全部やられたのに、隣のホタテ、その隣のホヤの養殖業に対しては一銭もこれは対象にならない。そういう実態もあるんですよ。佐々木政務官、この実態は多分御存じだと思います。

 この制度の抜けているのは、同じ漁業者が同じ湾でやっているのに、自分のところの一つ一つのカキは認めるけれども、ホヤ、ホタテは認めない、そういう非常に無慈悲なやり方になっている。これは、漁業者にとってはかえってすごく不満が募る状況になります。

 それから、災害の査定で十三万という金額がありました。

 実は、養殖施設の簡便なものは、例えば一本のロープを浮きでつるしているだけというのもあります。そうすると、例えば養殖施設の中には十三万しない施設もあるんです。だけれども、一本だけ海でつるして養殖している養殖施設はいません。みんな、これを五本とか十本とか、一経営体は大体複数やらないと生産できませんから、十本とか二十本とかやっているわけです。ノリもそうなんです、ノリ養殖も。そうすると、ノリ養殖の一つ一つの養殖一つを見れば、十万、そんな程度で十三万以下かもしれませんが、経営というのは、それを何本も何セットでやるわけです。

 ですから、ぜひ、一つの養殖施設のセットということで見ていただいて、これ、一本の縄は十三万しないからだめだね、こうやって切るようなことがないように。

 そして私、この問題というのは、最終的に制度の問題もありますが、やはり現場の運用の問題。これは、査定をする県、あるいは漁協等あると思いますが、この皆さんがいかにきちっと漁業者の立場に立って査定をするか、これが大事だと思います。

 もう一つ、今お話しされたように、制度から漏れてくる部分があります。この漏れた部分は、当然、県とか市が、町が負担をする、こういうことになります。ぜひ農水省の方からしっかり総務省の方に、これをちゃんと交付税措置で対応するということ、このことについて答弁をお願いいたします。

佐々木大臣政務官 小野寺委員がこの問題に関してもいろいろ御提言をいただいているということも私も多少は承知をしているつもりでありますが、この制度、大臣から答弁あったように、できるだけ多くの漁業者の皆さんを救うという立場に変わりはないんですが、制度自体、全体にかかわる話ですから、しっかりとそういうことにもたえられるような制度をしっかり見直して、そして、できるだけ皆さん方が対象になるようにしていかなければならないというふうに思ってございますし、査定についても、できるだけ迅速に、しかも、これからの作業でなるべく早く交付もできるように、そうしたことについてもしっかりと対応していかなければならないというふうに思ってございます。

小野寺分科員 政権がかわって、恐らく、多くの漁業者の中にも民主党に期待をした方もいると思います。そこでは、農家、漁業者への戸別所得補償というお話をされました。所得補償です。所得補償をすると言って、逆に言えば、今回みたいな本当に不幸な事例、これすらもし対応ができないとすれば、私は、この漁業者の所得補償というのはこれはうそだと言わざるを得ない。こんな状況にすら対応できないのでは、政権交代した意味がない。もしかして、今の政権党が言っている話というのは、やはりほかの問題と同じようにうそだったのか、恐らく多くの漁業者がそう思うんじゃないか、そう思っております。

 さて、ちょっと時間もありませんので、二点、話を進めたいと思います。同じく水産資源の問題です。

 一つはカツオの問題。カツオが近年不漁になってきている。そして、去年は前年の六割に落ち込みました。日本の食べ物の中で、例えばうまみという成分、これはカツオから出るイノシン酸がそのうまみの成分と言われています。世界にもない、すばらしい実は日本の食文化、そのカツオが今非常な不漁で悩んでいる。魚も小さくなっている。どう見てもこれは乱獲ということが考えられると思うんですが、ではこれを水産庁に確認すると、いや、カツオの資源は十分だ、そうお話をされます。でも、三陸沿岸や日本近海へのカツオの資源は間違いなく今減ってきています。そして、小型化をしています。

 さて、その中で南の海を見ると、台湾や中国のまき網がどんどんふえ、大規模なまき網で実はこのカツオをどんどんとっている。この問題に関して今どのようにお考えなのか。カツオの資源はどうなのか。そして、この外国船の南方でのまき網についてどうこれから対処するのか。私はすぐ制限をかけていただきたい、そう思いますが、いかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 今、カツオについてのお話がございましたが、近年、漁獲が不振であるということについては承知をしてございますが、これは、中西部の太平洋まぐろ委員会というのがありますが……(小野寺分科員「わかりました、多分私の方が知っていると思うので、その答弁を聞いても」と呼ぶ)はい。

小野寺分科員 佐々木政務官、聞いていただきたい。実は、中部太平洋のいろいろな資源で管理をしていますが、そこでの評価というのは、カツオは資源としてはまだ十分あるという、そういう国際的な評価はあるんです。

 ところが、フィリピンとか、どうも日本の近海に遡上してくるカツオというのは、そことは違うところのカツオがどうも日本の近海に遡上してくるのではないか。それが最近どうも表に出てきて、まだ明確ではありませんが、可能性が高い。そして、また台湾、中国、フィリピン、ここが大型のまき網でとり始めている。どうも、日本につながってくる川下のところでがさっととっているような状況が最近明確になっている。

 ところが、まだ日本の水産庁は、試験研究の中でこれは十分に因果関係がないという形で言っているんですが、私たちどう考えても、今の三陸沿岸の漁場を見ると、この海域での外国船の大型まき網がこの資源に大きな影響を及ぼしているとしか考えられません。

 お願いしたいのは、ぜひ一日も早いこの解明と、そして、もし解明されたならば、この外国船の大型のまき網の資源管理の問題についてしっかり日本から提言していただきたい。そう思うんですが、いかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 今御提言をいただいたようなことについて今しっかりと解明をしなければならないというのは、そのとおりだというふうに思っています。

 フィリピン、沖縄のカツオだけが来ているのかどうかということについてもまだ十分な解明にはなってございませんので、今御指摘いただいたようなところについては、国内あるいは対外的な交渉も含めてしっかりとやっていくということの決意を持っているところでございます。

小野寺分科員 最後に鯨の問題です。

 IWC、ことしも年次総会が開かれますが、今、議長から私どもが大変驚く提案が出てきております。これは、現在の日本が長年続けてきました調査捕鯨の大幅な縮減、これをどうも求めてきているということになります。

 今回の提案の中で、例えば沿岸捕鯨の再開、日本がいろいろ訴えていることもございますし、環境保護団体への対応とかいろいろな問題あると思うんですが、この大枠ですね、調査捕鯨枠の大幅な縮減ということ、これが議長から提案されていると思うんですが、今回、まず大臣がIWCの年次総会に行かれるかどうかということ、巷間、行きたいというお話も伺っております。その話と、それから、日本政府としてもちろんこの議長提案については反対をする、そういう意向であることを改めて確認をしたいと思います。

赤松国務大臣 IWCの総会については、私の承知するところ、六月の二十一日から二十五日までモロッコで開かれるということで、国会の会期延長がなければ、わざわざ議会の了解をとることはないのでこれは必ず行きますが、延長になる場合もどうかわかりませんので、もしそういうことになれば、議会の御了解を得て、私自身は、ぜひ私が先頭で頑張りたいという意味で行かせていただきたい、このように思っております。

 ただ、少し誤解があると思うんですが、私どもの一番のねらいは、IWCが本当に機能をきちっと果たせるようにしていこう。という意味は、四分の三のことがあるものですから、何も決められない、何もできないというところからもう少し、これは反捕鯨国であれ捕鯨国であれ、ちゃんと話し合いで決めることのできるIWCをつくっていきたいということで、実は、アメリカとこの間ずっと水面下で交渉等もしてまいりました。

 アメリカは御存じのとおり反捕鯨の代表的な国ですけれども、私どもは捕鯨国のまた代表的な国ということで、お互いに歩み寄って、旧来の調査だ商業だというカテゴリーをなくして、資源管理ということと、それから私どもとしては、特に日本沿岸での捕鯨を再開したい、この思いが両方ともが実現できないかということでいろいろと今やっているということで、とりあえず、議長国は反捕鯨、副議長は捕鯨承認国、この議長、副議長が間をとってこの間が出たというのが一つの議長提案になっているわけで、これを頭から否定するのではなくて、我々は、四百が二百になっていく、では十年後、その先はゼロかということではこれは納得できないわけで、ですから、あとは交渉事ですから、私どもは、基本的な考えで言えば、トータルの数は若干減らしてでも、ちゃんとしたこうした商業捕鯨が再開できる、しかも、日本沿岸での捕鯨が堂々とできるということをぜひ実現したいと思っておりますので、これは、委員も外務省の副大臣をやったりその他やっておられて、外交交渉のこともよく御存じですのであれですが、これを一つのたたき台として、できるだけ日本の主張がきちっと取り入れられるように、これから、総会の場だけじゃなくて、そういう前段の、事前の段階からいろいろ今取り組みをやっているというところでございます。

中川主査 小野寺五典君、まとめてください。

小野寺分科員 今、歩み寄りというお話がございましたが、私は、反捕鯨国のところに日本が歩み寄る必要はないと思います。日本の主張は日本の主張として、今までも、現在の捕獲頭数は、最低限、資源管理のために必要だということでずっと言ってきた数字です。これが変わるということは、今まで言ってきたことは実はうそだということになってしまいます。相手に歩み寄るというそういう弱い姿勢ではなく、ぜひ強い姿勢で臨んでいただきたい。

 そして最後にお話ししたいのは、ぜひこの漁業、水産の問題についてもっと関心を持っていただきたい。農林水産ということで水産が一番最後になっていますが、実は、日本には多くの漁業者がおり、日本は世界一の漁業大国でもあります。この水産の問題について、大臣、政務官、いま一層ぜひ御理解をいただきたい。そう思いまして質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて小野寺五典君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎分科員 民主党の宮崎岳志でございます。

 本日は、農水省及び環境省の皆様にちょっとお話をお伺いいたしたいと思います。

 まず、林地残材の活用とバイオマスについて伺いたいと思います。

 二〇〇九年六月二十九日の読売新聞によりますと、同紙の調査で、全国でバイオマス発電機を持つ五十六の事業所のうち三割が、原料の木材不足で稼働を中止、縮小したというような報道がございます。CO2削減のために全国各地で木質バイオマス発電施設が続々と建設されたわけですが、同紙のその前後の報道によりますと、その結果として、木質チップが品薄になり、価格も暴騰したということでございます。

 一方で、森林を伐採した際、切った木をその場に放置する、いわゆる切り捨て伐採、そのほか主伐のものもいろいろあるのでしょうけれども、多くの木材が森林内に放置をされているというのが現実であります。これを活用できれば、木質バイオマスの発電はもっと普及をいたしますし、木質バイオマス燃料を使ったボイラー等も普及をする。そして、CO2削減の観点から、また木材自給率向上の観点からも林地残材の活用が求められているわけであります。

 さて、森林の間伐には、切った木をその場で放置する切り捨て間伐、それから、搬出して活用する搬出間伐、大体二種類があるということですが、この割合というのは、国有林、民有林、それぞれどの程度であるか、まずちょっと教えていただければと思います。

佐々木大臣政務官 林地残材についての御質問でございますが、現在、年間約二千万立方メートル残材が発生しているというふうに我々は承知をしてございます。

 今、委員からも御指摘がございましたが、路網の整備や森林施業の集約化というようなコストダウンを図らなければ、これらがそのまま放置されるということになるわけでございますので、今これを有効に利用していくためには、林内でのチップ化、これは新しく予算措置をさせていただきましたが、あるいはチップやペレットの製造施設への支援、それから、今お話がございましたが、石炭火力発電所への混合利用の促進、新しい木質バイオマス利用の促進など、これも新規事業でありますが、そうしたものの対策を今行って、できるだけ残材をなくすための努力をさせていただいているところであります。

 あわせて、路網の整備、あるいは森林施業の集約化なども含めて、川上の対策もあわせて実施をさせていただき、具体的には森林・林業再生プランの中で具体策を検討させていただいているところでございます。

宮崎分科員 今、年間二千万立米の残材が林内にあるというふうに伺いました。

 以前私は、多分、ことしの二月ごろに林野庁の方に伺ったときは、民有地で大体、切り捨て間伐が六四%で搬出間伐が三六%ぐらいではないかというようなお話、それから国有林の場合は、やはり搬出されるのは全体の二、三割ではないかという間伐についてのお話を伺っているところでありますが、今回、二千万立方メートル、年間、実際に利用される木材が二千万弱ぐらいかなと思うのですけれども、それと同程度が林内に残されているという現実があります。

 では、この二千万をバイオマス発電等に全部活用したというふうに仮定いたしますと、石油あるいは原油換算でどの程度になるというふうに御承知されていますでしょうか。

佐々木大臣政務官 ちょっと数字的には手持ちがございません。

宮崎分科員 私の方で適当に計算した、適当に計算したと言ったら悪いのですが、過去の数字等で、大体八百五十立米であれば幾らなんという幾つか試算が出ております。そういうものでやると、四百万キロリットルぐらいなのかなと勝手に計算をしているわけでございます。そうすると、年間、やはり〇・五%内外とかCO2の排出削減効果があるんじゃないかというふうに、これは素人の推測でございますのでどこまで当たっているかわかりませんが、当たらずとも遠からず、それなりに信憑性ある数字かなというふうに思っておるんですけれども、そういったことを考えますと、やはりCO2削減のために、ぜひこの林地残材の活用をやっていただきたいというのが一点でございます。

 それから、観点を変えますが、木材自給率、現在二四%というふうに言われておりますが、この林地残材二千万立米、すべて運び出して、建材やら家具やら、あるいは割りばしやらバイオマス燃料やら、いろいろ使った場合に、自給率はどの程度上がるというふうに想定されていますでしょうか。

佐々木大臣政務官 先ほど、山に切り捨てられている割合の話が委員からございましたが、それからすると、おおむね倍ぐらいに自給率は上がるということになるのではないかというふうに思います。

宮崎分科員 まさに、もちろん総量がふえますから単純に倍とはならないんでしょうけれども、やはり五〇%近くに、ただ、これは今、山に放置されているものを運び出してくるだけで上がっていくというようなことにもなっているわけであります。現在、政府が自給率目標を五〇%ということで掲げているというふうに思いますから、全量というのはなかなか難しいとしても、やり方次第で大変大きな貢献ができるのではないかというふうに思っているわけであります。

 さて、先ほど申し上げましたとおり、CO2の削減、それから木材自給率の向上ということについて、これを、宝の山をほうっておくというのは非常にもったいない話でありまして、今後、この問題について、林地残材の活用等についてどういうふうに取り組んでいくかということ、決意表明も込めて、赤松農林水産大臣に伺えればと思います。

赤松国務大臣 先ほど少し政務官からも触れましたけれども、森林・林業再生プランの中で、私どもが自給率目標を五〇%ということにし、しかも、やはり今一番肝心なのは路網の整備と、そして、今までは切り捨て間伐でやってきたんですけれども、こうした切り捨ててそのままということではなくて、それを有効に使っていくために切り出す。切り捨てじゃなくて切り出しの間伐をやっていこうということで、この政権が、例の九〇年比で二五%CO2削減ということを掲げているわけでございますし、主なというか、ほとんどに近い形でCO2の吸収源は森林ですから、そのために、やはりここに大きな力を注いでいこうということで、農水省、林野庁に限らず、内閣全体で今この取り組みをしっかりしておるところでございます。

 委員御指摘のように、この木質バイオマスの利用、実際には、これを石炭火力でちゃんと受けてもらうように話をするとか、なかなか、木質チップでやる場合の利用というようなことも、しっかりと受け皿の方もつくっていきませんとこれはうまくいかないというふうに思っておりますので、ぜひ川上から川下までということで、きちっとこうした間伐材も利用ができるように努めていくことが、こうした木材自給率を上げていくということになると思っております。

 そんな関係で、今回も、公共建築物の木材利用という法案も出させていただいておりまして、あと参議院を通る段階ですけれども、ぜひ、そんな意味で、委員にも今後とも御協力をお願い申し上げたいというふうに思います。

宮崎分科員 ありがとうございました。

 それでは、今のことを踏まえまして、同様の観点から、林地残材の活用についてどのようにお考えか、環境省の立場から、田島環境副大臣にお伺いしたいと思います。

田島副大臣 環境省では、今委員が御指摘いただきましたように、温暖化対策は、ありとあらゆる政策を総動員して取り組むべきものというふうに考えております。御指摘をいただきました林地残材の利用でありますとか間伐の促進によりましてもCO2の削減また吸収に貢献するということから、企業活動でありますとか国民生活によって排出された温室効果ガス、この排出量の埋め合わせをするカーボンオフセットの取り組みを現在、普及促進しているところでございます。

 具体的には、国内の未利用材による燃料代替でありますとか森林整備によってのCO2削減や吸収量というものを認証いたしまして、市場流通できるようにするオフセットクレジット、J―VER制度というふうに申し上げておりますけれども、このJ―VER制度を平成二十年から実施しているところでございます。

 平成二十二年の五月現在の数字を簡単に御紹介申し上げたいと思いますが、現在、J―VER制度のプロジェクトとしては二十八件登録をさせていただいておりまして、このうちの約二十件で約一万八千七百CO2トンのクレジットが認証されているところでございます。

 こうした形で、今後、この本制度を活用いたしましたクレジットの創出を、設備投資でありますとかさまざまな形で補助を実施する事業も開始しておりますので、こうした温暖化対策という観点から、林地残材の利用また間伐等の促進に取り組んでいきたいと考えております。

宮崎分科員 大変いい取り組みだと思います。ただ、まだまだ総量は少ないということだと思いますので、ますますの活発な取り組みをお願いしたいと思います。

 さて、これに関連いたしまして、割りばしのお話をちょっとしたいと思うんです。

 割りばしといえば、昔は国産の間伐材等が利用されていて、林業振興に一役買っていたんだというふうに言われておりますが、近年では中国等からの輸入品がほとんどであるというふうに聞いております。その中で、二〇〇六年だと思うんですけれども、森林保護のために中国で割りばし税というのが導入されたというふうに伺いました。日本で言う昔の物品税というか、複数税率の消費税というか、そういった趣旨のものだと思いますけれども、環境への配慮をアピールするねらいがあるんだというふうに言われております。また、同じ年に割りばしの輸出についても中国は輸出関税をかけたというふうに伺っておるのであります。

 国内の林業振興、間伐材の有効利用、国土保全の観点からも、国産材を使った割りばしはふやすべきであるんだろうなというふうに思うんです。海外のものについては、これは森林破壊等につながるという批判もございまして、手放しで歓迎できないものかなと思っております。

 もしおわかりになれば、割りばしの国産と外国産のシェア等か価格差等、手元であれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 詳細についてはすべて申し上げられるかどうかわかりませんが、割りばしの年間使用量、おおむね百九十三億ぜんあるというふうに言われてございまして、一人当たりに換算した場合に年間百五十ぜん程度、そのうち、国産の割りばしについては約五億二千万ぜん、全使用量の三・二%というふうに押さえてございます。

 さらにまた、価格の点でありますが、国産材が一ぜん約三円程度であるのに対して、輸入の割りばしの大宗を占めております中国産、一ぜん一円程度と、約三倍の差がございます。

 シェアとしては、そういうところでございます。

宮崎分科員 既にほとんどが外国産である、九七%程度が外国産であるということだと思います。割りばしに国産品を使われるのであれば、これは非常にいいわけですけれども、なかなか外国産については、輸出国すら森林破壊につながるということで歓迎していないような状況にあるわけでございます。

 そういった中、割りばしを使わないでマイはしを持つとかということもありまして、私の地元、群馬県の県庁所在地、前橋でございますけれども、これにひっかけて、前橋のマイはしなんてやっているところもあります。これがすばらしいのかどうか、なかなか悩ましいところだとは思うんですけれども。

 このような状況を解決するために、私は、ちょっとアイデアで、とっぴな思いつきかもしれませんが、日本でも割りばし税というのを設けてみたらどうだろうかというのをちょっと思いました。

 本来であれば外国産のもののみに課税したいところでございますが、自由貿易の観点からいうと、なかなかそうもいかないところであろうというふうに思います。ですが、現実に全体の三%程度しか国産のものがないという現状の中でございますから、これは税金をかけてもそんなに国内産業に対して過大な影響もないのかなということを思いまして、例えば一ぜん一円程度の税金をかけると二百億円ぐらいの税収が入るわけであります。その二百億円を森林に投資するんだ、路網整備も含めて林業の振興や森林の保全に活用するということであれば、結果的に国産材の価格が下がるということにもなって、競争力を得るということにもなるのではないかということを思ったわけであります。

 この割りばし税について、突然で恐縮でございますけれども、赤松農水大臣、そして田島環境副大臣、ちょっとお考えはいかがでしょうか。

赤松国務大臣 趣旨はよくわかります。そして、中国でもやっているんだからということで、それが国産材の利用の促進にもなり、また、その税金が森林を育てることにつながっていくということになればいいんですけれども、価格がもしそれによって上がるということになれば、じゃ、プラスチックのはしでいくかとかいうふうになってしまったら余り意味がないことですし、それからまた、本当にそれが、今はしにだけそれをかけることがいかがなのかというようなことになると、せっかくの御提案でございますけれども、これは慎重にしっかりと検討する必要があるのではないかというふうに思います。

田島副大臣 今御指摘をいただきました割りばし税という課税目的、また税の使途につきましては、その考え方もあるのだなというふうに今実は聞かせていただいたところでございます。

 私も、今御紹介いただきましたように、御多分に漏れず、マイはしを持っている一人ではございますが、ただ、今大臣の方も御指摘をいただいたように、課税することによって使用が抑制をされる、また、そのことによって化石燃料由来の樹脂でつくられたはしがどんどん普及してしまうというようなことになりますならば、委員が御指摘いただいているような目的等々から大きく乖離してしまうことも当然考えられるだろうというふうにも思っております。

 今後、こうした温暖化対策、また木材の自給率向上といったような目的に税を組み合わせていくということは大変重要なことでございますので、森林保全の一つの手法としてどのようなことが考えられるのか、私どももまた今後精力的に検討はしていきたいと思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、森林保全はやはり環境保全の観点から大変重要な課題でございますので、農林水産省とも協力をしながら、このCO2抑制のために精いっぱいの努力を重ねていきたいと思っております。

宮崎分科員 日本の財政状況を考えれば、やはり新しい政策には新しい財源をつくらなければいけないという現状もございます。そして、今回提案をさせていただいた割りばし税のようなものにはシンボル的な意味もあるのかなというふうに思っておるので、必ずしも頭ごなしに否定することなく、検討ぐらいはしていただけると、真剣に検討していただけるとありがたいと思います。

 さて、続いて、口蹄疫について少々伺いたいと思います。

 宮崎で口蹄疫が猛威を振るっておりまして、昨日現在、発生件数百十一戸、殺処分対象の牛、豚は八万五千七百頭ということで伺っております。私の地元である群馬県も牛や豚の畜産の結構盛んなところでありまして、地元の畜産業者からも、しっかり対策を打ってくれ、特に感染拡大を防ぐことはもう絶対に頼むという痛切な願いが届いているわけであります。

 宮崎県から遠く離れた群馬でございますが、畜産業者は、実際に群馬の人でも、例えば養豚の方とか、ほかの農場にはもう行かないと。これは、お互いにもし会った場合に感染するかもしれないからお互いに出入りしないとかということを自主的にやっていて、生活にもそして農業にも非常に今困っているというような状況でございます。

 当然ながら、ぜひ果断な対応をお願いするということになりますし、きょう、鳩山総理を本部長とする対策本部、それから、現地に副大臣等をトップとする対策チームを派遣するというような意向も伺いました。

 そして、そういったことを踏まえて、現時点、できれば本日現在で、発生状況、何か昼のニュースでも新たにまた確認されたような話もちょっと出ているようでございますので、発生状況、被害状況、その他対策の進捗状況等、おわかりになりましたらお願いをいたします。

佐々木大臣政務官 口蹄疫の発生状況については、今委員が御指摘をいただいたのが最も新しい今の農水省も掌握をしているデータで、百十一例、約八万六千頭というのが今の状況でございます。

 いずれにしても、今委員もお話がございましたが、これは人による伝播が一番怖いところでございますので、幾つかある中でも、人には発症しない、しかし人が伝播をするというようなことがありますので、人の出入りというのは極めてやはり厳格でなければならないというようなことがあって、特に今、獣医師、あるいは各農政局や都道府県からも職員を派遣して、人的支援を中心に行っているところであります。

 その中で、まず厳格な消毒を徹底するということと、できるだけ早い殺処分をするというようなことを徹底的にやるということが何よりも大切だというふうに思ってございます。

 今、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたが、本日、政府全体としての取り組みとしてさらに強化をしたいということで、さらに強化をさせていただくところでございます。

 ただ、宮崎県以外のところの現在農水省で聞き取り調査をしたところにおいては、現時点では発生はないというふうに報告を受けているところでございます。

宮崎分科員 昨日現在で八万六千頭の殺処分ということでございますが、余りに大量で、埋める場所がもう足りないというのが現状ではないかというふうに思います。七万九千頭ぐらいの段階で埋めるのに十六ヘクタール必要ということでしたが、現在はそうすると十八ヘクタールとか、そういったところになっている。東京ドーム四つ分という広さでございますから、これはなかなか場所を見つけるだけでも大変。

 これはやはり、消毒と殺処分、そして埋却ということしか感染を防ぐ方法は今のところないということだと思うんですね。野鳥を介したり人を介したり車を介したり、いろいろな形で伝播をしていくものでございますので、これは宮崎県ももちろんですが、その外に感染が拡大するのを防ぐためにも、やはり一刻も早い処分が必要であります。しかし、鳥インフルエンザのときですらこれは埋めるのに苦労したわけでございまして、牛や豚ですから、その重量、質量ともに鶏の比ではございません。

 そういった中で、現在埋却がどの程度進行しているのか、そして場所の見通しはどうか、そして、場所が見つかったとして、すべて埋却できるまでに、今のところの見通し、どの程度かということについて伺えないでしょうか。

佐々木大臣政務官 埋却については、今のところ何とか確保されているわけでありますが、この先のことも含めて、大臣も何度も答弁をさせていただいておりますが、国有地などのことについても、県からの要請があれば、国としてそういったことにもしっかり対応していきたいというふうに思っているところでございます。

宮崎分科員 今のところ何とかということですが、農水省のホームページ等で掲載されているものを見ますと、まだ三分の一とか二分の一程度、結構古い時点で発生したものについても埋却が終わっていないというような部分もあるように見ておりますが、現実どこまで進んでいるというのは、実際いかがなんでしょうか。

赤松国務大臣 残念ながら、このところ急にどっとふえたものですから、まだ三万七千頭分が殺処分、埋却をしておりません。

 埋却場所が決まらないと殺処分できない。だけれども、今度は場所が決まっていないのかというとそうではなくて、場所はもう十分に確保できたというふうに聞いていますが、獣医さんも大分数をふやしたんですが、百二十名ぐらい、当初は国から二十五名、都道府県から二十五名ぐらい、そして宮崎県に二十名というぐらいだったんですが、これも倍以上にふやしまして、また、さらにきょうも全国にお願いをして数をふやしております。

 殺処分するのがだれでもやっていいということにならないものですから、必ず獣医でしか殺処分できない。豚や牛もそこへ連れていこうと思うと嫌がるものですから、三人がかりぐらいで連れていかなきゃいけない。そうすると、これもだれでも三人いればいいのかというとそうではなくて、やはりそういう豚、牛の取り扱いになれていないと、素人でだれでもできるということでもないということなものですから、その辺のところが非常に遅くなっている原因だというふうに現地からは報告を受けております。

 自衛隊の皆さんにもお願いをして延べで千七百人ぐらい、これは主に埋却をするところに力をかしていただいておりますけれども、農協の皆さん方もぜひボランティアで出たいということで四百名ぐらい今宮崎の方にも入っていただいておりますし、農水省の職員も約百六十名、本省及び各農政局から派遣をして、また、いろいろな畜産関係団体からもボランティアでこれまた多くの方に行っていただいていて、なるべく豚、牛の取り扱いになれた人が来てもらうのがやはり一番ありがたいというのが現地のことでございますので、大分人数もふやしましたので、何とかこの四、五日のうちに殺処分、埋却をやり切ってしまいたい、このように思っておるところでございます。

宮崎分科員 今お話を伺っておりますと、場所は確保できた、あとはマンパワーの問題であるというふうなことかと思います。全国各地の都道府県からも応援が出ているというふうに伺っておりまして、私の地元の方からも行っているという話も伺いますが、やはり埋却してしまわないと感染のおそれというのはいつまでも残るという現状がありますので、何とか迅速なる対処をお願いしたいと思います。

 それでは、時間もそろそろ参りましたので、この問題についてまとめに入りたいと思います。

 今回、農水省だけでなく政府全体として取り組むんだという姿勢が明確になったわけであります。しかし一方で、まだ拡大が抑え切ったということは言えないような状況にございます。周辺各県で全額国費による消毒薬の散布とか低利融資とか、さまざまな対策を行っており、また赤松大臣が疑似患畜の殺処分に要する費用について、農家の自己負担はゼロ、国と自治体で全額面倒を見るんだという発言をされております。

 これらの措置、これは考えたくないですけれども、今後さらに他県等も含めて拡大をしていった場合に、やはりこういう措置を適用していただけるのかどうか。そして、政府全体としての取り組み、農水以外にどんな取り組みが考えられるか、最後に教えていただけますでしょうか。

赤松国務大臣 きょう五時から正式に官邸で、鳩山総理を本部長といたします、私が副本部長、官房長官も副本部長になると思いますが、対策本部を設置いたしました。第一回の会議を五時からやるということになっております。

 そういう中で、さらに自衛隊等のより多い応援もお願いしなければいけませんし、国道十号線を初めとする幹線道路の消毒等についても、警察、県警の皆さん方の消毒に対する協力もまたいただかなければいけない。そのほかにも国交省、厚生労働省、あるいは総務省、特に関係する六省庁中心になりながら万全の体制で頑張ってやっていきたい、このように思っております。

 なお、山田副大臣には、きょうからそれぞれの農水省の担当課長四名とともに現地での常駐ということにさせていただきました。

宮崎分科員 ちょっと先ほどの質問の中で、仮に県外に波及しても全額の負担等は継続するのかということがあって、その点についてだけお答えをお願いします。

赤松国務大臣 当然、同様の対応になると思います。

中川主査 宮崎岳志君、もうまとめてください。

宮崎分科員 本当にありがとうございました。重要な問題でございますので、ぜひ今後とも、お体にお気をつけながら対策に尽力していただきたいと思います。なお、また転機みたいなことがあったら、やはり赤松大臣みずから迅速に現地に乗り込んでいただいて陣頭指揮を奮っていただければ幸いでございます。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

中川主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村太郎君。

木村(太)分科員 大臣、きょうは長時間ですので、まずはお疲れさまと敬意を表したいと思います。

 早速ですが、お伺いします。

 沖縄の普天間基地問題、鳩山総理は五月中の決着ということを何度も沖縄県民、名護市民、そして国民に披露してきたわけでありますが、もし決着できない場合は鳩山総理は辞任すべきだと私は思いますが、国務大臣としてどう思いますか。

赤松国務大臣 この問題につきましては、官房長官、外務大臣、防衛大臣等関係閣僚でそういう対策本部をつくりまして、今対応させていただいておるところでございます。

 日米関係も極めて重要ですし、あるいは沖縄の皆さん方の県民感情ということも大切でございます。そういうことをおもんぱかりながら、いい結論を出していただけるのではないかということで、私は直接の担当でございませんので、それがどうだこうだとか、あそこがいいとかここがいいとか、結論が出なかったら責任とれとかとらないとか、そういうことは私自身は発言を差し控えた方がいいのではないか、そういうふうに思います。

木村(太)分科員 次に入ります。

 政治主導と称して政府・与党はいろいろな動きをしているわけでありますが、民主党本部から農林水産省には、派遣されているというか、実際、農林水産省で仕事をしている人はいらっしゃるんですか。

赤松国務大臣 鳩山内閣におきまして、内閣官房専門調査員という形で、民主党の事務局の職員を採用いたしております。

 専門調査員は、官房長官の指示を受けて、各府省の大臣等政務三役に対し、専門的知見に基づいた情報の提供、助言等の業務を行っているところでございます。ですから、これら業務は内閣官房の職員として行っているものであり、各府省への併任はされていない、農水省の職員ではないということでございます。

 なお、当然のことながら、専門調査員は非常勤の一般職国家公務員、国からの給与は支給されておりません。

木村(太)分科員 内閣から派遣されているということですが、農林水産省の場所で働いている人はいるのかいないのかを聞いているんですよ。

赤松国務大臣 今申し上げましたように、大臣等政務三役に対し、専門的知見に基づいた情報の提供、助言等の業務を行うということで、秘書官室に机はございます。ただ、身分は、所属は内閣官房だということでございます。

木村(太)分科員 聞いていることに答えればいいんですよ。農林水産省で働いているかどうかを聞いているんです、場所を。

赤松国務大臣 働いているということは、どこで働いているかというと所属の問題になるんです。だから、どこで働いているんですかといったら、内閣官房で働いているんです。ただ、実際にいる机はどこにあるかということであれば、これは大臣秘書官室にあるということなんです。

木村(太)分科員 そういう答えを予測しているから、では、農林水産省に体はないのね。

赤松国務大臣 何回も申し上げますが、先ほど来言っているように、身分上の所属は内閣官房なんです。私のもとの部下ではないんです。

 しかし、実際にその役目は何かというと、専門調査員ですから、その専門的知見に基づいて情報の提供や助言等の業務を行うということで、これらの業務は内閣官房の職員として行っているということでございまして、ただ、その場所は、農水省担当であなたはやりなさいということで言われていますので、たまたま大臣秘書官室にいるということでございます。

木村(太)分科員 では、大臣の言葉をおかりして、たまたまいる方は何人いるんですか。

赤松国務大臣 一人でございます。

木村(太)分科員 顧問という方はいらっしゃいますか。

赤松国務大臣 顧問という意味が、僕を個人的に支えるというか、政党的な意味で言っているんだったら、ほかにはいません。

 ただ、この間のクロマグロのときのように、海外に、職員のかわりとして各国にいろいろなお願いに行ってもらうだとかいう方が、例えば元水産庁長官だった人がその期間だけ顧問となっていろいろな交渉事に行ってもらうだとかいう方は、多分三名だったと思いますが、元水産庁長官、そういう元専門職の人が、その期間を区切って顧問という形では何名かいると思います。それはみんな元職員です。

木村(太)分科員 それでは、たまたま一人いるという方は、大変恐縮ですが、どういう経歴をお持ちの方なんですか。例えば、いわゆる賞罰ということを考えますと、罰の部分が経歴としてある方ですか。

赤松国務大臣 罰を受けているようなことを私は承知しておりませんが。

木村(太)分科員 例えば、労働組合の幹部の経験があるというような方ではありませんか。事実関係だけ聞いているんです。

赤松国務大臣 全く違います。

木村(太)分科員 では、次に入ります。

 参議院の民主党輿石会長の農地法違反問題というのがありますが、これまでどう対応してまいりましたか。

佐々木大臣政務官 これまでの対応ということでありますから、事実関係の報告をさせていただきます。

 昨年の十月、十二月及び本年二月、相模原市の農業委員会が無断転用地の所有者に対して、その土地を原状回復するよう指導しました。三月十七日に、土地所有者が原状回復する意向であることを確認しております。

 土地所有者から相模原市農業委員会に対して、三月下旬、無断転用に係る是正計画書及び是正に向けた工程表が提出されましたが、提出された工程表では無断転用地内の撤去対象物が不明確であるため、四月一日、提出し直すように連絡をいたしました。

 五月十日、相模原市農業委員会が無断転用地域の現状を確認したところ、カーポート、植木及び庭石の大部分並びに農作業小屋などが撤去されていることが確認されたと聞いているところでございます。

 以上でございます。

木村(太)分科員 では、総務省に聞きます。

 本来、固定資産税として考えた場合に、農用地として多分これまでは課税されてきた。つまり、宅地と比べた場合、おおよそ百分の一程度と思われるわけですが、逆に、おおよそ百分の九十九は脱税を実質的にしてきたというふうに言わざるを得ない、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

渡辺副大臣 御指摘の件でございますが、これまでのこうした委員会での答弁の繰り返しになりますけれども、一般論として申し上げれば、土地に係る固定資産税については、その土地の現況に応じて課税されるということでございます。

 個別の事案については、私ども、徴税についての守秘義務がかかっております。これは、歴代自民党の閣僚も、参議院の予算委員会や総務委員会等で質問されたときにそのようにお答えをしております。私どもが個別の問題についてここでお答えをするわけにはまいりません。

 先ほどの答弁は一般論として申し上げましたけれども、そのような答弁とさせていただきます。

木村(太)分科員 先ほど政務官から答弁がありましたけれども、悪質なんですよ。

 現地の農業委員会が最初、昨年の十月二十日、是正指導しているんですよ。その後、十二月十五日にもしたんですよ。それでも動きがないものですから、二月二十四日、ことしに入ってからまた三回目の指導をしているんですよ。

 開き直りなんですよ。悪質なんですよ。幾ら指導してもそれに従おうとしない、教職の経験もある方が、与党の参議院の会長たるものが。総務副大臣の答弁、それを否定するものではありませんけれども、悪質なんですよ。悪質だから聞いているんですよ。

 では、参議院事務局、我々国会議員は、国会、それぞれの院に資産報告等をすることになっておりますが、その後、この輿石会長から訂正の報告、提出がありますか。

古賀参議院参事 お答えいたします。

 輿石議員の資産等報告書につきましては、平成十六年の任期開始時点で御提出いただいたもの以降、本年五月十七日現在において、訂正願は提出されていないと承知しております。

木村(太)分科員 そのとおりなんですよ。国権の最高機関である国会に訂正していない。悪質なんですよ。国会をばかにしているんですよ。国民をばかにしている。平成十六年以降、これだけ問題が大きくなっても行動しない。だから聞いているんですよ。

 ですので、総務副大臣、悪質きわまりないことだから、個別のこと、プライベート的なこと、その意味はわかりますよ。総務省、きちっと対応すべきだと思いませんか、国民に対して責任を果たすためにも、納税者の心にこたえるためにも。どうですか。

渡辺副大臣 委員が御指摘の点は、私も新聞報道等で読んでおりますし、また、この委員会の中でも何度か御質問をされました。

 あくまでも私どもは、質問の御趣旨の中で、この固定資産税についていかがなものかと言われれば、これは、個別の案件について、たとえ対象になっている方がどなたであっても、私どもは徴税の守秘義務において個々のことはお答えができないということでございます。

 委員の御指摘になっている御趣旨はこれまでも何度か拝聴しておりますけれども、総務省の立場としてはこれ以上お答えができないということで御理解をいただきたいというふうに思います。

木村(太)分科員 大臣、このように悪質なんです。ですので、事がこれだけ大きくなって、先ほど政務官の答弁の、農水省としての動きがあるんでしょう。

 しかし、今私が指摘したことを考えてみても、余りにもいいかげんで、開き直りで、悪質性がある。よって、今宮崎県が大変ですからこれに全力を傾けていただいて、できれば政務官でも、大臣のリーダーシップで相模原市に行っていただいてきちっと指導するように、そういう考えはありませんか。

赤松国務大臣 当省といたしましては、無断転用地を原状回復することが必要だと考えておりますので、本件が適切に処理されるよう、必要に応じ、神奈川県、相模原市及び同市の農業委員会に対し指導していく考え方でございます。

木村(太)分科員 適切に指導しようとしても、こういう状況の流れで来ていますから、きちっと今後も注視しながらぜひ対応していただきたい。

 では、次に入ります。

 昨今、また油の値段が上がってきているわけですが、いわゆる第一次産業、農林水産業にかかわる油対策、特に重油の高騰対策はどのように今対応していますか。できれば、農業、水産業、林業、分けて答えていただければありがたい。

佐々木大臣政務官 重油の高騰対策についてでありますが、燃油の価格については、このところ上昇傾向にはありますが、平成二十年度のピーク時に比べれば約二分の一という状況の中で今推移してございます。

 このような中で、平成二十二年度においては、ヒートポンプ等施設園芸の省エネ設備、あるいはバイオマス利用加温機の導入などに対する対策や、あるいは土壌診断に基づく適正施肥、耕畜連携による堆肥などの有効利用の取り組みに対する支援を実施しているところでございます。

 漁業においてでありますが、漁業においては、燃油高騰が漁業経営に与える影響を緩和するということから、恒久的な取り組みとして、漁業経営セーフティーネット構築事業というものを設けさせていただいたところでございます。

 具体的には、将来の燃油価格の高騰に備えて、漁業者と国が一対一の負担割合で毎年積み立てを行うことにより基金を造成して、原油価格が一定の基準を超えて上昇した場合に補てん金を交付するということにして経営の安定を図る、そういう対策を始めたところでございます。

 以上でございます。

木村(太)分科員 政務官、自公政権時、世界的な油の高騰になりまして、緊急に農業も漁業もいろいろ対策をやったんです。それに比べて、中身が充実しているのか、金額的にどうなのか、お答えください。

佐々木大臣政務官 前政権時の事業と比べてどうなのかということでございます。

 農業分野について、平成二十年度において措置をされた高騰対策がございますが、これは急激な価格の上昇というものに対応したものでございまして、燃料あるいは肥料の使用を抑制するという対策ではなくて、緊急時の対応として実施をされたものでございます。

 それで、前事業ですが、漁業の場合の省燃油操業実証事業というのがございました。これについては、漁業者グループが一〇%以上の……(木村(太)分科員「そんなことは私知っていますから。その違いを僕は聞いているんでしょう」と呼ぶ)ですから、そういう事業の計画を出すこと、あるいは、その場合に九割の上限で国が支援していたわけですが、結果としてなかなか利用が難しかったというふうに聞いてございますので、今度のセーフティーネット事業については、将来に向けた恒久的な対策として組みかえたということでございます。

木村(太)分科員 恒久的な対策でよろしいんですね。これは意味合いは大きいですよ、恒久的対策と答えたことは。ぜひこれからも努力していただきたいと思います。

 では、赤松大臣、戸別所得補償制度について聞きます。

 四月一日から受け付けが始まりましたが、最新の申請状況はどうなっていますか。

赤松国務大臣 四月から始めまして、今、毎週というわけにいかないものですから、毎月一回ずつ、ちゃんと集約して発表していこうということにしております。

 四月の末現在の加入申請件数は、全国で約十五万件となっております。

木村(太)分科員 私、申請が始まって十日ほどたったときに、質問主意書を出したんですよ。その答弁書が余りにも不誠実。農政事務所や出先機関に聞けばわかることなんですから、そんなに難しいことを私は聞いているわけじゃないのに、いつか調べますが、その予定はありますがお答えしかねますということなんですよ。人をばかにしているでしょう。そういう答弁書なんですよ。

 こういうことが、ある面では農家に、地域によって申請状況、多分、皆さんが予想あるいは理想としているものからちょっと足りないと感じている人も、農協幹部なんかは結構あるみたいなんですね、農業者団体の幹部なんかは。

 都道府県によって差がありますか。

赤松国務大臣 これは、差がございます。

 例えば、東京はちょっと別の意味ですけれどもゼロ、福井がゼロ、群馬ゼロ、秋田一。こういうところは多分、農協なり、水田協議会と言った方がいいかもしれませんが、そういうところで一定の時期に取りまとめをして、まとめてどんと出されるものですから、個々にばらばらに出さないということなんだろうと。

 たしか静岡とか長野あたりは多いんですが、県によって取り扱いのところがいろいろ違ったり、直接農政事務所にお持ちになる方もあるものですから、そういうところと、比較的そういう農業組織がしっかりしているところは、そういう水田協議会単位でどんどんと出されたりするものですから、最終的には並ぶと思いますけれども、今時点では、都道府県ごとのばらつきは非常にあります。

 実は、誤解があるといけないのでちょっと先に言っておきますが、たしか、回答書を出すときには必ず私も見ますので、僕も見たんですけれども、始まってまだすぐだったものですから、ここでそれぞれの各事務所や水田協議会に、今全部数を出しなさいとやってもなかなか集約がし切れないし、まずは、このスタートでみんなてんやわんやだったものですから、別に隠すことでも何でもないので、ちゃんと定期ごとに、一月に一回ぐらいできちっと報告をしていったらいいのではないかという私の判断で、そういう扱いにさせていただいたんです。

 決して、木村委員個人がどうだとか云々じゃなくて、その時点で、ではこういう質問主意書が来たから、一斉に各事務所からまた水田協議会におろしてそれぞれ確認をとろうということは、ちょっと、具体的にやれる時期じゃなかったものですから、そういう扱いにさせていただいた。

 ばかにしてみたいなお話があったんですが、決してそういう意図ではないということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

木村(太)分科員 農地を貸与した農家が貸したものを返してくれとか、そういうトラブル的なものは全国的にありますか。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今、そうしたものを、情報はこれからも集めていこうということで調査をしようということにはしてございますが、現状、際立ったそうした報告を受けているところではございません。

木村(太)分科員 ないんですね。私の近くではたくさんありますよ。私の選挙区でも幾つかありますよ。でも、今の答弁は、ない、今のところね。しかし、私は、申請が始まって、もう五月の中旬になってきたわけですから、同時にそういうことにも目配りするのが当然じゃないですか。余り誠意がない対応ですね。

 では、次に参ります。果樹対策です。

 私の地元はリンゴが日本一、全国の半分をつくっています。選挙のとき、鳩山さんは青森県に入って、青森県といえばリンゴ、リンゴ農家もすべて戸別所得補償制度の対象にする、こう大衆の前で言ったんですよ。いつからやるんですか。

 これも質問主意書で聞きましたところ、恒常的に生産費を下回る作物でないので考えていない、こういう答弁でした。普天間と同じうそをつくんですか。

赤松国務大臣 僕はその場にいたわけじゃないのであれですけれども、多分、鳩山総理がどういう形で言われたかといえば、果樹というのは農業の中でも非常に重要だと。特に、青森に行かれたときのことでしょうから、リンゴについては。そういう評価の中で、しかし、リンゴ農家が経営上盤石かといえば、多分大変厳しい経営環境にある。これは今、リンゴ、ミカン、梅、みんなそうですけれども。

 ですから、そういう意味で何らかの手だてをしなきゃいけないという思いの中でそのように言われたんだと思いますけれども、基本的には、戸別所得補償制度、来年から本格実施になるわけでございますけれども、どこを入れるか、どういう作物を含めていくか、これはまだ決まっていません。

 ただ、旧来言われてきた基本は、常に構造的に販売価格と生産費が逆転している、そういうものはもう構造的に支えていかなければ成り立たないじゃないかというのが発想の基本にあるわけですから、そういう意味でいうと、かつてからの思いでいえば、果樹、野菜とかいうのは、お茶についてもそうですけれども、必ずしもそういうことになっていないのではないかという考えでしたけれども、しかし今、お茶についても果樹についても、非常にみんな経営が厳しいところにある。

 どういう支援の仕方がいいのか。それは戸別所得補償制度なのか、あるいはもっと別の支援政策なのか。これは引き続いて、委員等のまたいろいろな御意見もいただきながら検討してまいりたい、このように思っております。

木村(太)分科員 これまでの国会の議論で大臣が、与党の議員の同じ趣旨の質問に対して、果樹経営支援対策が間もなく切れるので、これを検討してと、それにこたえるような答弁をされているんですよね。

 果樹経営支援対策と果樹経営安定対策と戸別所得補償制度の違い、大臣、わかりますか。

赤松国務大臣 今、私どもが水田に着目してやろうとしている戸別所得補償制度というのは、これはもう言わずもがなでわかると思いますが、生産費と販売価格、これは、終わってみてから平均的な販売価格を出して、その差額でやる、これは何年間のあれをとって生産費を生み出す、そういうことだと思っています。

 あと、経営安定対策については、植栽をするとかいろいろなやり方があるんですけれども、今の制度が果たして使いやすいのかというような、別に全部悪いという意味じゃありませんけれども、もっと使いやすい形でのこうした果樹に対する支援の仕組みの方がいいのかなみたいな、私個人はそういう思いがあります。

 ただ、私個人の意見で何でもそれをやっていくということではありませんので、生産者の皆さんの声を聞きながら、そしていろいろな方たちの意見も聞く中で、一番その仕組みに合った支援策を考えていけばいい。私は、それは必ずしも戸別所得補償ではなくて、そういう果樹に合ったような仕組みがあるんじゃないのかなと思っておりまして、別に今、どっちにすると決めたわけでも何でもありません。まだこれからの検討事項です。

木村(太)分科員 経営支援対策というのは、いわゆる生産現場に思いをした制度だと私は理解している。経営安定対策は、農家の手を離れた収穫後の段階での一つの思いだと私は認識しているんですよ。つまり、危険の分散を図る意味では、支援対策と経営安定対策、二つが車の両輪のように存在した方がいいんですよ。

 今、果樹経営安定対策というのはないんですよ。しかし大臣は、支援対策が間もなく期限が切れるので、これを検討して取り組んでいきたいという趣旨の発言をしているんですよ。だから私は、はっきり、大臣が支援対策と経営安定対策の仕組みそのものもわからないんだなという印象を持ったんですよ。その上で、戸別所得補償制度も全く考え方が違うのに、何かしら頭の整理ができていない大臣なのかなと私は思っているんですよ。

 では大臣、果樹経営安定対策は復活させようと思いませんか。

赤松国務大臣 これはトータルに、今言われたような、農家の手を離れた場合、離れる前の場合、それから仕組みとしての所得政策、こういうようないろいろな制度をお示しになったわけですけれども、これは、だからさっきも言ったように、リンゴを初めとする果樹には一体どういう支援策が一番、それに携わる人たちにとってプラスなのか、いいのか、使いやすいのか、そういうことを、ちょうどことしはモデル事業ですから、これから半年ぐらいの中で決めていったらいいのではないかというふうに思っております。

 これは和歌山あたりからも今、梅やミカンについてもそういう御意見が来ていますし、静岡あたりからもお茶についてそういう話が来ていますから、これはいろいろなそれぞれのものについて総合的に一回研究をしてみたいと思っております。

木村(太)分科員 公務ではなく、大臣が私の選挙区に来てお話しされた中では、そのとき聞いた人の印象と、今の答弁を聞くと、多分がっかりすると思いますよ。

 時間がなくなりましたので、最後にお聞きします。漁業です。

 魚介類の資源の枯渇を防ぐためにも、沖合、沿岸漁業のあるべき姿をどう考えるのか。つまり、具体的に言うと、ライン引きなんか、明治の時代から設定されたのがそのままの状況がいっぱいある。

 鳩山内閣の農林水産大臣として、沖合、沿岸漁業のあるべき姿をどう考えますか。

赤松国務大臣 これはたしか青森にもお邪魔したときに、青森は非常にいい漁場を控えております。そういう中で、漁業協同組合の方から、ちょうど沖合と沿岸の線がずっと何かあるんですけれども、それをもう少し奥へ出してほしいとか、いやこっちだとか、いろいろな御意見をいただきました。

 僕は、どちらの肩を持つという意味じゃなくて、それぞれの歴史的経過の中でこういう線が引かれたんだろうから、これは、私のような政治家が間に入るんじゃなくて、むしろ水産庁が、両方の組合がより率直に意見を話し合えるように仲介の労をとって話した方がいいと。

 片方に言わせると、沖合でばかばかとっちゃうから、おれたちが頑張っているのにちっとも沿岸がとれないんだと言いますし、沖合は沖合で、いや、おれらが努力しているからこれだけとれるんだというようなことも言われますし、私は両方からも御意見を聞きました。

 だから、正直言って、どっちの肩を持つというわけにもいきませんので、これは水産庁が取り持って、きちっとお互いに納得できるように、その都度、これは何年かごとに話を決めて、もし線の見直しをする場合はやっているんですね。だから、そういうことの指導を今しているというところでございます。

木村(太)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 終わります。

中川主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、網屋信介君。

網屋分科員 民主党の網屋信介でございます。

 本日は、こういった質問の場をちょうだいして、本当にありがとうございます。

 農水省の政務三役を初め、省庁の皆様、口蹄疫の問題も含め、大変なところでございますが、本当に御苦労さまでございます。

 きょうは私、農業共済について少し御質問をさせていただきたいと思っております。

 その前に、きょうもいろいろなところでお話が出たと思いますが、口蹄疫の問題でございます。

 私も、実は先週の月曜日に、鹿児島県の幾つかの市役所、農政部長の方々、ずっとヒアリングをしてまいりまして、それに基づいて火曜日に、山田副大臣初め、幹事長室も含めて、いろいろな陳情もさせていただきました。

 二つございまして、一つは、やはり政府として、今後の口蹄疫の広がりを是が非でもちゃんととめていくんだということを、まず御決意として一言いただければなと思っております。

赤松国務大臣 四月の二十日に初めて、我が国における口蹄疫が十年ぶりに発生したということが出て以来、これは機関委任事務で、もともと地元の都道府県ということが建前なんですけれども、とてもこれはそんな、県の仕事だ、何の仕事だということではなくて、やはり国と県と市町村が一体になってやらないと抑え込めないということで、対策本部も立ち上げまして、私が対策本部長になって、発生農場に対する殺処分等について、それから、全額国費で消毒をしよう、それから、直ちに例の法に基づく五分の四、あと残りの五分の一についても、共済に入っていない人もいるので、これについては特交で処理をするというようなことも矢継ぎ早に決めて取り組んでまいりました。あとは、風評被害も大変心配していましたので、マスコミの皆さん方にもそれをお願いして、これについては、かつてのBSEと比べていただければわかりますが、非常に冷静に見ていただいておりまして、これはうまくいったと思うんです。

 ただ、残念ながら、地域的には押しとどめているんですけれども、その中で件数だけがどんどんとふえていくということで、きょう現在で百十一例ということで、殺処分をしなければならない牛、豚は八万数千頭に上るということで、これについては本当に残念です。しかしさらに、何が足りないのか、何をやったらいいのか、何として抑え込むのかということで、いろいろな対策を練りながら、もう一回り大きいところからの財政的な支援や人的応援もお願いをするために、きょう閣議決定をいたしまして、五時から第一回目の鳩山総理を本部長とする対策本部を設置する、そして現地にも山田副大臣以下を常駐させるということを決定して、今進めようとしておるところでございます。

網屋分科員 ありがとうございました。

 一つだけ私の方から申し上げたいのは、発生したところというのは確かに、殺処分、それから自衛隊の出動、いろいろな形でかなり、もちろん大事なことなので、いろいろなことが政府の御指導のもとに県と一緒になってやられているんですが、実は一番深刻なのは、その周辺の地域、実は発生はしていないんですが、風評被害も含めて、あそこから豚を買ってきたのじゃないかとか、いろいろな話が出ている。

 実は、地域の方々のヒアリングと農水省からいろいろ聞かされていた話とは、随分時間差、ギャップがございます。例えば道路の消毒液の地点についても、地域からは県の方に出しているけれども、それがまだ農水省に届いていない、実はその地図を見てみると随分違っていたりとか、それから、二十四時間やっているのに、実は夜までしかやっていなかったりとか。ですから、現実的には、そこは県でもなかなか把握できない部分がある。

 そういう意味からすると、市町村に少しその辺の裁量権といいますか、特に消毒については、与えていただいて、できるだけ、実は消毒液だけではなくて、一番困っているのは道路の消毒をする人。二十四時間態勢でやると、八時間交代でも三交代要る。一回に大体七人要るんですよね。そうすると、一日に三、七、二十一、延べ人数で二十一人が要る。役所の人が有休にかえて交代してもなかなか追いつかない。これからいつまで続くんだ、二カ月続くのか、三カ月続くのか、ではその予算はどうするんだとか、細かいところで実は物すごくいろいろな問題が出ている。それを一々県を通して、農水省からこれはお金が出るんですか、出ないんですかとやっていると、本当に後手に回ってしまう。

 本当に一刻一秒を争うような状況でございますので、周辺地域のそういった対策を万全にやることで、とにかく、出てしまったものは出てしまったものですから、そこから一歩も出さないということを政府としての御決意としてぜひとも発表していただいて、そういった支援をしていただく。

 密に担当の方と連絡をしていただいて、随分その辺は、私のところは鹿児島県で隣でございますので、毎日何十本と電話が私の携帯電話に来ていまして、半分ぐらいは、こんなうわさがある、あんなうわさがある、あそこから牛が来たらしい、あそこが出たらしいと、とんでもない話もいっぱいあるんですけれども、それぐらいに農家はパニクっている。しかも、市場が今とまっていますから、牛を売ることができない。ではその間お金をどうするんだということも含めて、いろいろな問題が出てきていますので、ぜひともそこはきめ細かな、周辺地域も含めた対策をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 それでは、農業共済についてでございます。

 実は、農業共済については私もいろいろ勉強させていただいて、一つは、機能についての確認なのでございますが、もちろん災害が出たときにということでございますが、今回、例えば一つの例で、口蹄疫の被害農家にどういうふうに支払われるのか。それから、この場合、例えば被害が物すごく大きくなってしまった場合に、一般会計からどういうふうにそれを手当てするのか。その辺について御説明をいただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 農業共済の補償についてでありますが、委員も御案内のとおりだというふうに思いますが、殺処分した疑似患畜については、家畜伝染予防法に基づいて、国が当該家畜の評価の五分の四を交付するということになってございます。

 農家が家畜共済に加入していた場合には、家畜共済の評価額と手当金の額の差額、評価額が同一であれば同じ五分の一ということになりますが、を共済金として支払うということになります。

 手当金の額が確定され次第、速やかに共済金が支払われるように今指導をしているところでございます。一週間程度で支払いができるようにというようなことで今指導をしているところでございます。

網屋分科員 今の一週間程度、それは家防法の方ですか、それとも共済の方ですか。共済。

 もう一つだけ質問しますと、例えば五頭、十頭、五十頭ならいいですが、今回例えば八万頭とかになってしまいますと、その評価額というのを、普通は評価員みたいな人が来て、これは幾らだ、幾らだとやるんでしょうけれども、八万頭をわあっと、現実問題としてどういうふうにやるんだろうというのが私の素朴な質問なんですが。

佐々木大臣政務官 今回の場合、そうしたようなことがあって、特に宮崎県では大量に発生をしているというようなことから、一頭一頭の評価がなかなか難しいというようなこと、しかも三人で評価をしますから、そんなことで、群ごとの評価ということも一部認めさせていただいて、そんな評価もさせていただいているところでございます。

網屋分科員 それでは、農業共済そのものについての質問でございます。

 実は、この農業共済というのは、制度そのものが三つの構造になっているわけですね。一番上がいわゆる特別会計のもとがあって、その下にいわゆる県単位の連合会、その下にいわゆる単組といいますか、農業共済組合というのがあって、その下にいろいろな、現実的に農家の方々とのコミュニケーションが行われている。

 昨今、幾つかの都道府県では、いわゆる単組と呼ばれる農業共済組合を廃止して、連合会を一つの組合として、一番上の方、再保険の部分とで直接つないでいるというところが四都道府県ぐらいあるというふうに聞いておりますが、基本的に、下に単組をたくさん持つところとそうじゃないところ、これはどういうところで違いが出てきているのか、なぜこういうことが起こっているのかということをちょっとお聞きしたいんです。

佐々木大臣政務官 共済事業の組織についてでありますけれども、基本的には、大災害ということも想定をしなければいけません。そういったことから、農業共済組合というのは連合会の保険に付して、さらに連合会は国の再保険に付すというようなことで、全国的に危険分散を図るということから、基本的には三段階が基本となってございます。

 しかし、二段階制というものもありまして、二段階制については、組織再編を進める中で、例えば一県一組合というようなところはそういう要望もありますので、そうしたところについては、平成十一年度の農業災害補償法の改正によって、そうしたことも実施可能としたところでございます。平成十二年に熊本県が移行したのを初めとして、現在、五つの都県で二段階制を実施しているところでございます。

 以上でございます。

網屋分科員 実は、ここにちょっと資料を一つお持ちしました。

 一つは、国立国会図書館からの資料でございますが、新聞記事の項目だけ、私のところには詳細が全部ございますけれども、これは、いわゆる共済組合の不祥事がずっと出ております。

 ちょっと新聞をよくお読みになっている方は皆さん御存じだと思いますが、共済組合の不祥事というのは本当にとどまることなく、毎年何件か必ず出てくるという状況にございます。最近でも、例えば新潟の共済連でいろいろな短期売買をやって大損したとか、栃木県では架空の事業をつくっていたとか、こんなのはもう本当に日常茶飯事のように出てくる。しかも、出てくるのが実はほとんど単組、いわゆる小さな組合であるというのがこれの特徴なんですね。

 つまり、私が申し上げたいのは、屋上屋を重ねるような組織というのは、これは逆にガバナンスが行き届かないんじゃないか。しかも、コスト的にも、当然組織をつくればそこにいろいろな役職の人が出てくる、いろいろな人が出てくる。一つ考えれば、考え方として、これは私の提案ですけれども、県を一つの組合として、そこが直接ガバナンスを握って、例えば支部をつくっちゃう。東京はもうそうなっていますけれども、北海道は広過ぎてどうかちょっとわかりませんが、例えば千葉なら千葉に一つつくって、木更津支部、銚子支部の形で、別の組合にしないで、一つの形にすることによって、コスト的にも、それから、そういったガバナンスを一体化して一つのルールをちゃんと通していくというためにも、この形の方がいろいろな意味で、効率も含めて、いいんじゃないか。別に人を減らせとかなんとかというわけじゃなくて、やはり支部の人たちが通常的に、日常的に農家の方とも話をしながら、それを県の一つの形としてまとめていく。この形の方がすっきりして、しかも、こういった不祥事がこんなに出る中で、ずっと毎回毎回、連合会の会長がごめんなさい、場合によっては農水大臣がごめんなさいと言いながら、二度と起こさないようにやりますと。二度と起こさないが毎年三回ぐらいあるわけで、こういった状況をやはり根本的に組織的に見直しをして変えることが必要ではないかと私は思うんですが、できれば、大臣のお考えがあれば聞かせていただければと思います。

赤松国務大臣 今御提案のように、県単位にして、あとは支部で、ちゃんとここがガバナンスを持って見た方がいいんじゃないかというお話がございました。私も、果たしてその方がいいのかどうなのか、これはちょっとわかりませんので、御提案は御提案として受け取らせていただいて、検討させていただきたい。

 ただ、お話のあるように、確かに農業共済のそれぞれの組織で余りにもそういうことが多過ぎるということで、これについては、ことし一月十五日に、私から経営局長にお願いをしまして、経営局長名でそういう通達を出して、もう少しきちっとやってくださいということでお願いをさせていただいたというところでございまして、今後、あるべき姿についていろいろと検討させていただきたいと思います。

網屋分科員 その一月十五日の大臣からのお話に基づいて、実は、農林水産省の経営局長の方から、これは通達というんですか、農業共済団体における幾つかの通達が出ております。

 ちょっとコピーがあるんですが、その中の一つをとってみると、「農業共済団体における政治的中立性の確保について」というのがあります。これはことしの一月十五日付に出ております。ちょっとだけ読みますけれども、その運営を行う農業共済組合及び農業共済組合連合会にその政治的中立の確保を求めることは当然であると。その中の詳細で、農業共済団体の役員等の執行体制について、議員等が兼職により就任するなど特定の組織、政党等の影響を受けているのではないかとの疑念を持たれることのないものとすることというふうに書いてございます。

 私がきょうお配りした資料がもう一つ、この次のページに実はあるんです。名前は伏してありますけれども、これは、我々がチームで四月九日現在に調べた、これはホームページから調べたものなので、実は名前を公開してもよかったんですけれども、これを見ていただくと、秋田から宮崎県まで、特定の議員とかなんとかを避けなさいという通達を一月十五日に出したにもかかわらず、四月九日現在でこれだけ残っている。中には、衆議院議員の方がそのまま連合会の会長になっていて、今回辞任された方もいらっしゃいます。見ていただくと、元県議、元何とか、いっぱい入っています。

 実は、お渡しはしておりませんけれども、私は、別に、私の地方の鹿児島のリストも、単組のものを持っています。これをごらんいただくと黄色いのが見えると思いますが、黄色いのは全部、県議、町議、市議、そういった方々です。これは全く作用していないんじゃないですか。

 しかも、私はきのう田舎で写真を撮ってきました。これは私の田舎の曽於市というところのある共済組合です。この横には、ちゃんと自民党のポスターが張ってあります。こうやって、参議院の方と二連ポスター。これは全く無視されているじゃないですか。もう少しちゃんと、こういうのが私はガバナンスだと思うんですね。

 ですから、そういった意味でも、これは私が何の回答を求めるというわけでもないですけれども、この辺について、どういうふうに御感想をお持ちかなということです。

赤松国務大臣 これは強制はできないんですね。あくまでも通知ということで、そういうふうにされた方がいいですよということでお流しをしたということで、当時、現職の衆議院議員の方が何人か、実は県の会長を務めておみえになりましたけれども、その方たちは、こうした通知に従って、自主的にこの三月末までで交代をされました。あと、現職の国会議員については、とりあえずはそういう方はいなくなった。

 ただ、現実問題として、元国会議員とか県会議員とかいう方は、それぞれ地方にもたくさん、ここにも表がございますが、おみえになる。無給の方もおられれば、有給で百万円ぐらいもらってやっていらっしゃる方もおられるということでございまして、これは自民党だからではなくて、私はもう持論で言っているんですが、もともと、民主党だろうが共産党だろうが、何党であれ、政治家がこういうものを兼務でやることはよろしくない、要らぬ誤解を招くことにもなるので、それは避けられた方がいいのではないですかということを申し上げているということでございまして、徐々にこれについては、あと、土地改良とかいうところについても同様に出しておりますし、そういうことをお願いを今させていただいているというところでございます。

網屋分科員 この共済というのは、現実問題としては、当然、その運営については、農家の皆様の保険料、それから国庫からの支出、いわゆる国からの公的な支援ということを受けているわけですから、私は、こういう状況というのは、まあ、おっしゃるように、こんなものお願いだからしようがないだろうと言ってしまえば、何のためにこれを出したのかという話になってしまうので、強制力のあり方、法的な部分があるのかもしれませんけれども、特にさっき言いました単組の場合は物すごい数ですよ、理事というのは。

 私もちょっと聞いてみたんです、どれぐらいの給料をもらっているんですかと。たまたま私の田舎の方に行くと、大体、月に三万円ぐらいです、二、三万です、大したお金じゃありませんということで、そんなものなんですかと。ところが、よく調べてみたら、二年置きぐらいに何か慰労金みたいのが出て、また継続してやっている。実質はそんな安いものじゃないんですよ。毎回毎回ロールオーバーで、退職金みたいのをもらうんですよ。それでまた次に理事をやるんです、同じ人が。それをずっとやっているわけです。しかも、地方に行けば行くほど、現職の県会議員がそこの理事長とかいろいろな、理事長にならなくても、現実的には実権を持っている。

 こういう状況の単組なんて、やはり私は早くつぶして、県一つで、国がもうちょっとグリップを握って、これは国のお金なんですから。国のお金、かつまた農家の方々の、本当に苦しい中で何とか出してきているお金。特に畜産なんかは、七十代から八十代のおじいちゃんが五頭、十頭やっている小さいところ、そこから搾り出しているお金、こういったお金が使われているんだということをもう少し認識していただいて、厳正なる態度をぜひおとりいただきたいとお願いしたいんですが、御意見はいかがでしょう。

佐々木大臣政務官 今、委員から御指摘のあったような問題点があるということがあったからこそ大臣が通知を出されたわけでありまして、言われたように、公共性が非常に高い、あるいは、国からのお金も含めて多額の予算も使われているということでありますので、そういった意味でも一層公共性が求められるということはもう御指摘のとおりだというふうに思います。

 ただ、御提案いただいたように、一県一組織だけではなくて、少しそこは柔軟に対応しなければ、例えば私どもの北海道のようにうんと広くて、しかも、片方は畜産をやっている、片方は野菜だ、片方は稲だというようなところもあって、そんなところを全部一つにしてしまったときに、かえって機能的かということがあります。

 しかし、こうした不祥事が起きるということは非常に問題ですから、公共性が求められている組織でありますから、全体として組織のあり方というものは、この間の計画のときも御指摘もいただいてございますので、検討していかなければならないというふうに思ってございます。

網屋分科員 北海道はちょっと広過ぎて、一つというのはなかなか難しいかもしれませんが、それは都道府県というよりも、一つの大きなガバナンスのきくような形を幾つかつくっていく、屋上屋を重ねる形でお金を使うというよりも、やはり組織のあり方、それをぜひとも、私も今度仕分けでもあるときはやろうかなと思っていますけれども、見直していただきたいなというのが私の意見でございます。

 本当に、口蹄疫、いろいろ大変でございますけれども、我々、特に九州の、畜産が中心になっている地域というのはもう死活問題でございますので、政府の迅速な対応とコミットメントをぜひとも皆さんに伝わるようにしていただきたいなとお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 きょうは、どうもありがとうございました。

中川主査 これにて網屋信介君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、東(順)主査代理着席〕

東(順)主査代理 次に、小里泰弘君。

小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 きょうもまた、口蹄疫の対策についてお伺いをしてまいります。

 とにかく、この発生地域における感染を早急に封じ込めていく、これがまず求められるということは言うまでもありません。そのためには、発生箇所に対して事後的に対応するといういわゆるモグラたたき、そういった対応では限界があります。先回りした対応が今強く求められているところであります。特に今回の口蹄疫は、伝播力が強い。急速に感染が拡大をしていることから、症状が確認をされてからその後のPCR検査の結果を踏まえてからの殺処分ということでは、どうしてもこの感染拡大を防止できないということになっていくということを認識せざるを得ないわけであります。

 そのために、一定エリアを決めて家畜を全頭処分をすべきという現地からの、現場からの切なる声が上がってきていること、これは御案内のとおりであります。補償を含めた踏み込んだ対応をやってほしいという現場の要望でございます。先週末も、えびのの市長さん、あるいは地元の市長さん、町長さん、鹿児島側の知事さん、あるいはJA関係者の皆さんと打ち合わせをさせていただきましたが、まずはそこのところを強く求めておられました。

 再三お伺いするようで恐縮でございますが、大臣、御見解をお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 再三、これは与野党を問わず、いろいろな議員の方からそういう御意見もいただいております。

 ただ、法に従ってやるという大原則があるものですから、現地からもいろいろお話を聞いていますが、確かに、予防的に殺処分してくれという意見があると同時に、私のところは絶対殺してもらっちゃ困るという方もいるというんですね。そうすると、これは他人の財産ですから、それを御理解なく殺処分するというのは、なかなか正直言って難しい。

 しかし、お許しいただいた方だけやり、お許しいただかない人はもうしようがないなというのでは、これはやっても余り多分意味がないんでしょうから、今、総合的に、どういう方法があるのか、どういう意見があるのかということを相談しながら、もう少し、小里議員からもお話があったように、大きな予算をしっかり持ってあらゆる対策をやれということでございましたから、鳩山総理を本部長とする国全体の対策本部を立ち上げまして、そして、きょう五時から第一回目の会議をやるということになっております。

 私が副本部長ということでありますが、そういう中で、各省、特に関係する六省がございますので、そういう大臣の皆さん方からもいろいろな御意見を聞きながら、総合的な、今何を急いでやらなければいけないのか、どこに集中してやっていくのか、基本は変わらないと思いますが、これ以上とにかく広げさせないというところにやはり全力投球していくということだと思っておりますので、そんな視点で頑張ってやっていきたいと思っています。

 なお、現地からのいろいろな声でも、獣医さんはふやしてくれてありがとう、支援の人も多く来てくれた、自衛隊もいる、しかし、全体的に指揮をとってうまく回していくことが少し欠けているのではないかというお話も間々あるものですから、きょうから、山田副大臣、官邸の小川補佐官、そして、私ども事務方として畜産振興課長を初め数名の課長もつけて現地にきょうから常駐させる、それで現場で指揮をとるということにさせていただいたことも御報告申し上げたいと思います。

小里分科員 この全頭殺処分につきましては、川南町の方はもう手おくれだと思いますね。物理的に無理だと思います。ただ、えびの市の方は、今後の感染拡大を防ぐ上でのまさにポイントであります。今からでも間に合うと思うんですよ。そこはぜひ御検討をいただきたいと思います。

 大臣おっしゃるように、これを受ける人、あるいは拒否する人、それぞれ畜産農家においても意見がさまざまであると思います。だからこそ、国が主導をしてそこをやってほしいというのがえびの市長からの要望でもあるんです。

 そのえびの市は、区域として御案内のとおり三県にまたがっております。隣県への感染をいかに防いでいくか。まさに、このえびの市でしっかりといかに抑え込んでいくかにかかっているわけであります。

 えびのの畜産農家では今、いつ出るかわからないこの不安、そして、自分がまた新たな感染源になっていくんじゃないかという不安、そのストレスにまさにさいなまれております。とにかく国が主導して踏み込んだ対策をやってほしい、早く全頭の殺処分をしてほしい、そういった声は現地では日増しに高まっているわけであります。えびの市側からも、また鹿児島県側からも、この要望が強く上がってまいっております。

 これは本当に、先日来申し上げておりますように災害であります。この従来の想定を超える事態が起きてくるのが災害でありまして、教科書もない、従来の制度が通用しないのが今の事態でありますから、そこはぜひとも政治的な決断をもって、思い切った、踏み込んだ対応をやっていただきたいと思います。

 今、鹿児島では、種牛牛、大変な心配をしております。宮崎県の例につきましては報道があったとおりでありまして、鹿児島県におきましても何とかこの種牛牛を守らないといけない。そのために、島の方にこれを全部移してしまおうか、そういう話も出ているぐらいであります。まさに、隣県におきましては今必死の思いでこの侵入防止に臨んでいる、闘いをしているところでありまして、そういった切なる現地の気持ちをお酌み取りをいただいて、ぜひとも踏み込んだ対応をお願いしたい。重ねてお願いをしておきたいと思います。

 そのえびの市でありますが、国道四百四十七号線が隣の鹿児島県伊佐市とを結んでおります。また、国道二百六十八号線は鹿児島県湧水町とを結んでおります。そして、国道二百二十一号線が熊本県人吉市とを結んでおります。隣県への蔓延防止には、えびのと各県、各地域を結ぶこの国道の消毒ポイントをいかに有効に機能させていくか、そこにもまたかかってくるわけであります。特に、人吉とを結ぶこの国道二百二十一号線につきましては、最近、シカが異常発生をしているということでございまして、農家の菜園までシカがおりてきているそうであります。

 今、消毒ポイントにおきましては、業者の車から始まって一般車まで消毒が開始をされたところであります。加えて、やはり問題は人なんですね。人がその畜産農家の感染農家の近辺まで行って、それで車に乗り込んで消毒ポイントを通過していく。この人に対するチェックがない。ここが怖いんだ。特に、シカの異常発生等を見ましたときに、人からシカにうつってしまった場合、これは大変なことになる。そんなことをまたえびのの市長さんが、昨日でしたが、語っておられました。

 なかなかここは難しい課題でありますが、現時点においてどういう対策を考えておられるか、お伺いをしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、小里委員がそれぞれ指摘をされたところがそれぞれのポイントだというふうに我々も押さえてございます。

 何よりも、人による伝播というのをできるだけ抑えていかなければなりません。そういった意味では、業者だけではなくて、一般車両も含めたしっかりとした消毒体制というものをつくっていかなければならないというふうに思ってございます。

 人の消毒ですが、最終、私も再度確認をいたしますけれども、基本的には靴の消毒はやっているはずです、私の経験からしても。しかし、それが全身消毒をしているかというと、そこまでは徹底していないかもしれませんので、その点は再度チェックをしてみたいというふうに思います。

小里分科員 とにかく、これもまた先回りした対応の大事な要素であると思いますので、しっかり知恵を絞っていただきたい。我々も、しっかりまた現地の声を聞いて、できる情報提供はしてまいりたい、そんなふうに思うところでございます。

 清浄性確認検査というものがあります。潜伏期間にある牛、豚を見つけ出して早目にこれをつぶすという意味合いにおきましては、この清浄性確認検査、一定の効果があると思います。この清浄性確認検査についてどのようなスタンスでおられるか。

 特にえびのを考えた場合に、えびのが、申し上げたとおり区域が三県にまたがっておりまして、調整が困難であります。特に宮崎県は、川南町の方の対応に追われておりまして、この清浄性確認検査等の広域的な対策を打つための協議に加われないという状態でもあるようでございます。こういった場合は、とりわけ国が主導権を持って臨むべきであると思います。

 できるだけ早くこういった確認検査を実施して、第二の川南にならないようにしていかなければならない、そんなふうに思うところでございますが、お伺いをしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、宮崎県においては、都農町及び川南町周辺の地域と、今お話がございましたえびの市とその周辺の地域という二カ所が移動制限区域に設定をされているところでございます。

 えびの市でありますが、四月二十八日に発生が確認をされて以来、四例目が五月十三日に確認をされているところでございます。

 防疫指針では、この移動制限期間は、原則として、発生例の殺処分終了後二十一日間というふうになってございます。今、区域内の周辺の清浄性は、これはもちろんしっかりと確認をしなければいけませんが、発生例の殺処分終了後一週間程度が経過した後に、移動制限区域内の牛及び豚の農場全戸における臨床検査、それから、半径三キロ以内の農場の全戸を対象とした血清検査を実施するというふうにしているところでございます。

 えびの市の周辺地域の今後新たな発生が確認されなければ、最終発生の殺処分が終了した五月十四日から一週間程度たった五月二十一日以降、それから、宮崎県、熊本県、鹿児島県の制限区域内のすべての農場において清浄であるということを確認しなければ、解除というものはできないということになってございます。

小里分科員 ぜひとも、これもまた、先回りした対応としてしっかり適切に実施をいただきたいなと思っております。また、これが実施をできるようにするためには、その前段階での対策をしっかりやる必要があるわけでありまして、そこを重ねてお願いしておきたいと思います。

 情報提供でございますが、例えば鹿児島県では、隣接県として発生県の情報が欲しいところであります。ところが、全くと言っていいほど情報が来ないという話をきのう伺いました。聞いても正確な情報を出さない。国のプレス、宮崎のプレスを見て初めて情報を知る状況であるということでございました。

 正確な情報の速やかな提供がないと、迅速かつ的確な防疫措置というものを講じていくことができないのでありまして、そこをしっかり図っていただきたいと思いますが、今、どのような隣県への情報提供体制になっているのか、お伺いをいたします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 情報は、基本的には、迅速に、しかも正確な情報というものを伝えるというのが基本でございます。しかし、疑わしいという状況の中でどこまで情報を提供するかというのは、非常に実は難しい課題であります。無用な風評被害を招くというようなこともございますので、そういった場合には、基本的には、疑わしいという段階では情報提供しないということになってございますが、しかし、疑わしい事例であっても、疑わしい農場が隣接県に近い、移動制限区域や搬出制限が影響するような場合、それから、疑わしい農場と疫学的に関連する農場がある場合等には、鹿児島県等の関係県に対して情報を提供するというふうにしているところでございます。

 さらにまた、農水省のホームページについては、発生状況、それから措置の実施状況、経営の支援対策、あるいは口蹄疫が人に感染しないというような情報については、都度、ホームページを更新させていただいているところでございます。

小里分科員 風評被害ということでは、相手も行政ですから、そこはしっかりと遠慮なく緊密に連絡をとっていただきたいな、そんなふうにお願いをしておきたいと思います。

 これもえびの市からの話であります。十キロメートルラインから外に蔓延をさせないということについては国の指導がありますが、十キロメートルラインの中の対策については国の指導がほとんどない。早く穴を掘って埋めなさいと言っているだけのように聞こえるということでございます。国とか県は要望を出せば答えてはくれますが、やはり、おりてくるまでに時間がかかるという御指摘もいただいております。その前に積極的な指示をぜひ国からいただきたいということでございます。

 市の判断で散水車で消毒液を道路沿いにまいたり、あるいは無線のヘリで酢を散布したり、そういったことで、えびの市に確固たる防疫のノウハウがない中で、手探りの状態で市の判断としてやっておる、そういう状況でございます。終息の兆しが見えない中で、現場は心身ともに極限状態の域に達しておるわけであります。具体的で安心感を与える施策を早急に示してほしい、また、もっと権限を持った専門家を現地に派遣してほしい、これもまたえびの市からの要望でございます。

 先週の金曜日に私は、国が主導をしてしっかりと対策を打っていく、その姿勢を示す上では政府の現地対策本部を設置すべきであるということを御要望申し上げたわけであります。そして、大臣がおっしゃいましたように、今度現地対策本部を設置することになったということでございますが、これはいつからか、どういう体制で設置をされるのか、お聞かせをください。

赤松国務大臣 本日、持ち回り閣議で、これは閣議案件なものですから、設置は決めました。第一回目の対策本部、鳩山総理本部長のもとでの第一回の会議をきょうの五時からやらせていただきます、官邸で。

 それと同時並行で、午前中から山田副大臣が宮崎に飛んでおりますので、畜産振興課長以下それぞれの分野の担当課長もあわせてそちらの方に行っておりまして、そこが現地対策本部となるということで、今委員も御指摘がありましたけれども、人が要る、消毒はしなきゃいけない、しかし、そこで全体を仕切ってやれる機能がちょっと足りないのではないかという御意見も強いものですから、今度は責任ある立場で、現地では、山田副大臣とそれから官邸の小川補佐官、それから、そのもとに関係六省庁から、もちろん農水省、それから防衛省、国交省、厚労省、それから総務省、それから警察、防衛省は言いましたっけ、とにかく、関係六省庁と言っていますが、そこが集まって、それぞれ人を出して、各省から人を常駐させて現地対策本部をつくる。そこが、県の方あるいは市の皆さんに指示を出しながら回していくということになると思います。

小里分科員 山田副大臣、小川補佐官は常駐をされるということでよろしいんですね。(赤松国務大臣「そうです、はい」と呼ぶ)遅きに失したなという感がないわけではありません。しかしながら、ぜひしっかりした対応を図っていただきたいと思います。

 先週申し上げましたように、山田副大臣また小川補佐官が自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じていただきたい。そして、現場のニーズをしっかりと酌み取って、それを直に東京に、大臣にお伝えをいただきたい。

 そして、えてしてこういう災害のときには、東京で対策を決めてもなかなか現場に届かないものなんです。周知が徹底しない。そこのところもぜひ意識をして対応をいただいて、現地と東京との温度差というものを埋めていただきたい。そのようにお願いをしたいと思います。

 具体策についてお伺いをいたします。

 肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊というものがあります。個体登録の月齢要件を十四カ月から十六カ月に延ばしまして、この対象農家の拡大もなされたわけであります。

 そこで、生産者拠出金の免除につきましてもぜひこの対象を広げていただきたい。すなわち、自主的に家畜市場の開催の中止や延期をしている地域の農業者もぜひこの対象に含めていただきたいと思います。

 また、家畜市場再開後、集中開催になっていくと思います。相当な牛が出されてくる。そこで、買いたたかれる懸念が出てまいります。そして価格が低下をするということでありまして、ぜひこの差額を補償していただきたい。また、その際は、県の平均価格、これをぜひ発動基準としていただきたい。これも、現場からの、また区域内外を問わず、切なる要望であります。

 また、子牛の出荷の遅延によりまして、月齢が進んでしまう、あるいは体重がふえてしまう。そのためになかなか買い手がつかないということが出てくると思います。購買者、すなわち肥育農家に対しましても助成措置が望まれるところであります。

 あわせてお伺いをいたします。

佐々木大臣政務官 経営安定対策と滞留の家畜についての御質問をいただきました。

 当面の資金対策といたしましては、今委員からもお話がありましたが、枠の拡大などをさせていただいているところでございます。

 それから、家畜を出荷できない、滞留する子豚等の淘汰や、あるいは出荷時期を迎えた肉豚の出荷に対しても助成金を交付することにさせていただいているところでございます。

 宮崎県や隣接の大分、熊本、鹿児島等においては、肉用牛のいわゆる月齢の拡大、あるいは登録月齢についての要件緩和等々、それぞれ対策をさせていただいているところでございます。

 ただ、その際の県の価格ということの要望をいただきましたが、これは、今回、新マル緊ということでそこのところをいろいろ論議があって現在の状況になっておりますので、その点については、この中でやるのがいいのか別な対策が必要なのか、それについてはさらに検討をさせていただきたいというふうに思います。

 滞留家畜の件でありますが、滞留家畜については、滞留する子豚の淘汰や今申し上げました助成のほかに、畜産高度化支援リース、いわゆる簡易の畜舎やカーフハッチなどをこれに追加をいたしました。それから、農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する助成、それから、新マル緊の生産者の積立金の免除などについても対策措置をさせていただいているところでございます。

 子牛については、今委員からも御指摘がありましたように、自粛が続いてございます。肥育牛や肥育豚については出荷が可能でありますし、実際には多少動いているというふうに我々は聞いているところでありますが、いずれにしても、必要な対策をしっかりと講じていかなければならないというふうに思っているところでございます。

小里分科員 ちょっと今いろいろな課題が混合されて御答弁になったので、それぞれどういう結論になっていくのか、もう一回確認をさせていただきたいと思います。

 まず第一問目に申し上げたのは、新マル緊にかかる月齢要件の緩和、あるいは生産者拠出金の免除措置を、出荷の延期、競り市の延期、そういったものを自主的にやっている地域、要するに、移動制限区域あるいは搬出禁止区域、これに入っていなくても自主的にやっているところにもぜひこれを対象にしていただきたいということであります。

 それと、県の平均価格を要望申し上げたのは、子牛がどうしても集中開催で相当数出されてきますので、そこが買いたたかれるということでありますから、その場合に、宮崎とか鹿児島とか熊本、特定の地域が価格の値崩れを起こしていくわけでありますから、そこは全国平均とかいうことではなくて、やはり地域の平均価格を基準にとっていただきたい。そういうことでございます。

 もう一度答弁をお願いします。

佐々木大臣政務官 後の部分については、新しい基準をつくるということになりますので、検討課題にさせていただかなければならないというふうに思ってございます。

 それから、先のテーマについては、対策の実施状況をしっかり見きわめなければなりませんので、これについても、継続できるように考えていかなければならないというふうに思ってございます。

小里分科員 時間が参りましたので、具体的にはここでとどめておきたいと思います。

 実施状況を見ながらというお話でございました。今、鹿児島県にしましても熊本県にしましても、何とか未然に侵入を防止したいという思いにおきまして、自主的に、大変な思いの中に今対策を講じているところでございます。したがいまして、その区域内外を問わず、それぞれの対策をぜひ区域外の農業者に対しましても打っていただきますように切にお願いを申し上げたいと思います。

 残余の要望は、また別途の形でさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

東(順)主査代理 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。

    〔東(順)主査代理退席、主査着席〕

中川主査 次に、石津政雄君。

石津分科員 民主党の石津政雄でございます。

 きょうは、口蹄疫等々で大変公務御多端の折に質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 また、政務官におかれましては、宮崎を初めとするこの問題に日夜本当に果敢に取り組んでいただいております。心から御苦労を申し上げ、かつまた敬意を表したいと思います。

 きょうは私は、外国人研修・技能実習制度についてお尋ねをさせていただきます。

 私は、農水委員会の委員でもあり、かつまた、かつては純農村である旧大洋村の村長を務めさせていただいた、このような経緯から、農業分野における外国人研修・技能実習制度について、これに限って質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず、この外国人研修・技能実習制度の中核となっております財団法人国際研修協力機構、通称をJITCOと言っておりますが、この事業内容について、概略簡単に御説明をいただきたいと思います。

田内政府参考人 入国管理局でございます。

 御質問の財団法人国際研修協力機構のまず目的について申し上げますと、外国人研修生及び技能実習生の受け入れの拡大と円滑化を図り、我が国の技術、技能または知識を開発途上国に積極的に移転し、もってこれらの国の人材の育成と経済社会の発展に寄与することを目的としております。

 事業内容につきまして、三つございます。

 第一は、受け入れ機関等に対する支援、指導または助言を行う事業です。具体的には、セミナーを開催したり、あるいは申請手続必要書類について相談に応じたり、書類の点検、指導を行ったりしております。

 第二の類型は、研修生及び技能実習生に対し、悩みや相談にこたえる、あるいは、入管法令、労働法令などによる法的権利の保障に遺漏がないよう助言、援助するものです。

 第三の類型は、研修・技能実習制度がその本来の目的どおりの成果が上げられるようにするための事業でございます。具体的には、一定の要件を満たした監理団体が実施する日本語集合研修に対する助言をしたり、研修成果の評価、技能実習計画の評価をするなどの活動を行っております。

石津分科員 ありがとうございます。

 ただいま、その目的それから事業の三本柱について説明があったわけでございますが、そういうことにも関連してちょっとお伺いいたしますが、この制度は、それぞれの生産現場で研修生ないしは実習生をお願いするという場合に大変重要な任務を担っているということについては認識をしております。

 ただ、一方におきまして、このJITCOの人事体制ということを見てみますと、いわゆる天下り官僚と言われる人たちが天下っている。具体的に言いますと、法務省から二人、厚生労働省そして外務省、経産省からそれぞれ一名と、五名の官僚OBが天下っておりまして、この方々の一年間の収入を見ますと、安い方で一千五百万、そして高い方で一千七百万、こういうふうな数字でございます。これをトータルいたしますと、この団体が国から委託を受けているいわゆるODAの予算約八千万、これに相当するくらいの金額が給料として支払われている。ちょっと多過ぎるのではないのかな。本当にこういう方々を天下りさせてやらなければならないような団体であるかどうかちょっと疑問なんですが、その点についての御所見をお願いいたします。

田内政府参考人 国家公務員出身の常勤役員が五人おるという御指摘で、二人は法務省出身であると承知しております。

 それらの者につきましては、同法人の責任と判断において必要な人材とされて役員に登用されたものと認識しております。その報酬につきましても、能力活用ということで、その能力あるいは仕事の内容に応じて、同法人の責任と判断で決められているものと承知しております。

石津分科員 ただいまお答えをいただいたわけでありますが、もちろんあなたの立場ではそのようなことを言わなきゃならないでしょうし、かつまた、こういう機構等々についてもそういう趣旨だと、これはわかるんですが、今やはり世間で天下りあるいはわたりに対する非常に厳しい目というものがございます。でありますので、今後、この辺について、本当にこの陣容が必要なのかどうかということについてしっかりと御検討いただきたいということを御要望申し上げたいと思います。

 今度は、さらに突っ込んで農業分野についてお伺いいたしますが、JITCOが公表している都道府県別の統計を見ますと、全国に比較して、私の地元の茨城県がいわゆる農業に従事する外国人研修生や実習生の数が極めて多いということがうかがわれます。

 具体的に言いますと、研修生は全国で六千五百十一人のうち茨城県では二千三百三十九人、また、実習生については全国で四千九百八十一人のうち茨城県においては一千五百四十六人と、いずれも三割を超えるというような数字でございます。

 このように、私の地元である茨城県だけがこういうふうに農業の分野にわたる研修生、実習生の数が非常に多いというふうなことについて、JITCOとしてこの数字についてどのような御見解をお持ちか、お伺いいたしたいんですが。

田内政府参考人 法務省入国管理局といたしましては、こういう研修・技能実習制度というものをつくりまして、そこに公正な在留管理という立場からこういう制度をつくり、それに従って審査、運営しているというところでございますので、それぞれ受け入れ機関、そしてこれに研修生として参加しようとする方々、それぞれの御判断で受け入れ機関に行かれているものだと思っております。

石津分科員 これは通告がなかったかもわかりませんけれども、大変失礼をいたしました。

 この件について私なりに整理をしてみますと、茨城県では、米や大豆などと比較いたしまして、酪畜や施設園芸あるいは野菜、こういうような作物が非常に多いんですね。その結果、年間を通して人手が非常に必要な農業を行っているという農家が非常に多い、こういう実情ではないのかな、こういうふうに考えております。

 そこで、茨城県は北海道に次ぐ第二の農業産出額、すなわち四千二百八十四億円というものを誇っております。しかしながら、産出額はそうでありますけれども、実際には、資材、肥料などの生産コストの高騰によって、農家の可処分所得が非常に減っている。これは全国的な傾向でもありましょうけれども、特に茨城県においてはそのようなことが前々から指摘をされているわけでございます。

 これは、いわゆる農業に対する将来の不透明感、あるいは、若者が農業に魅力を感じなくなった、こういうふうな状況で、人手不足から外国人の研修生や実習生を受け入れざるを得ない、このような状況になっております。

 一方で、本制度は一九九〇年に始まって以降、外国人の研修生あるいは実習生に対する制度が始まったわけでございますが、この間、待遇面に関して非常に大きな問題がある、このように承っております。そして、それを受けて、ことしの七月一日から新しい制度がスタートする、こういうふうなことでございますが、この間の約十年間のこの制度の施行の問題の所在を受けて、どのように今度の新しい制度設計をされているのか、今までの分析も含めて、あわせてその方向性をお示し願いたいと思います。

田内政府参考人 この制度は、もともと開発途上国等に対する人づくりに寄与するということで創設されたものでありますが、この間、研修生や技能実習生の受け入れ機関の一部におきまして、制度本来の趣旨に反し、不適正な受け入れが行われるということがありまして、研修生や技能実習生が実質的に低賃金労働者として扱われるなどの問題がある事例が増加していると承知しております。

 そのために、昨年、入管法を改正いたしまして、新たな研修・技能実習制度を導入いたしました。ことしの七月一日から施行する予定でございます。

 まず第一には、実務研修を行う場合には、今まで労働関係法令の適用がなかった研修につきましても、これを雇用契約に基づき技能等修得活動を行うということにいたしました。そして、労働基準法、最低賃金法等の労働関係法上の保護が受けられるよう、それによりまして、今まで研修生と呼ばれていた方々、これからは技能実習生になりますが、その保護をさらに十全なものにしようというものであります。

 また、研修が技能実習という名前になりますけれども、初めには専門的な知識を有する者による講習の実施をいたしまして、技能実習生の法的保護に必要な情報を講習するということを義務づけております。

 さらに、団体監理型の受け入れにつきまして、これは農協のような団体という意味でありますが、そういう団体監理型の受け入れにつきましては、新たな研修・技能実習制度では、従来は一年目の研修についてのみその団体が監理をしておりましたが、二年目以降もその団体の責任と監理のもとに行うということにしております。

 さらに、この指導、監理を強化するために、一月に一回以上、監理団体の職員が指導、確認に参るということであります。また、三月に一回、監査を実施して、結果を地方入管へ報告することにされております。また、監理団体が相談窓口を設けまして、技能実習生からの相談に対応するということなどを決めております。

 このようにいたしまして、技能実習生の保護というものを一層十全のものにしたいということでございます。

石津分科員 ありがとうございます。

 新制度においては、研修生を廃止して、いわゆる技能未熟である現行制度上の研修生に対しても労働関係法令が適用される、こういうことでございますね。

 そうしますと、現在の研修生は実習生よりも非常に技能に対する習熟度が低い、こういうような研修生に対して、今度は今まで以上に農家が細かな指導を行っていかなければならない、こういうような実態があるわけでございます。

 そうしますと、農家が研修生に対しての指導料といいましょうか、その指導に対する貢献度といいましょうか、こういうことについては今度の新しい制度では余りしんしゃくがないのではないかというような感じがいたしますけれども、その辺、いかがでしょうか。

田内政府参考人 これにつきましては、第二次受け入れ機関であります農家の皆さんも、第一次受け入れ機関の農協の皆さんも、あるいはJITCO、地方入管、それぞれが国際貢献というこの制度の目的を果たすためにそれぞれこれに尽力して、貢献していくべきものであろうと思っております。

 今の御指摘につきまして、一年目から、未熟なといいますか来たばかりの技能実習生の面倒を見る、そういうことで、今までは研修手当というものを払っておりましたが、今度は報酬を支払うということになります。

 ただこれも、先ほど申し上げましたようなことで研修・技能実習制度が悪用される事例があったということから、研修生の保護を万全なものにしたいということで、労働関係法令の適用を受けるようにいたしまして、最低賃金法の適用もされ、報酬を支払うということにしたものであります。

石津分科員 ありがとうございます。

 その趣旨はよくわかるんですけれども、私が、いわゆる現行の制度のもとで農家がどのぐらいの負担をしているかということをちょっと調べてみました。

 これは、いわゆる農業協同組合あるいは任意組合等々、人を派遣している組織それぞれでありまして、組合に対する一般賦課金等々について、多少の高低はありますけれども、茨城県内ではやや賦課金が低いというようなところを低目にとってみましても、いわゆる組合からJITCOに対する賛助会費、一年間の五万円を先頭にいたしましてずっと経費を見てみますと、年間で研修生で約六十六万円何がし。そこに月六万円の何がしかが入りますので、一年間で、ざくっという数字で約百三十八万円くらいを支払っている。ところが、今度は実習生になりますと、多少の項目の出入りはありますけれども、農家からの支払いは全体として約二百万になる。非常に農家にとっては高額な負担になってくる、こういうようなことが実情でございます。

 先ほど申し上げましたように、非常に可処分所得が減っている。しかも、農家そのものの方々の人件費もままならない。こういうような状況の中で、海外に対するいわゆるサービスなんだ、貢献なんだというようなことはわかりますけれども、農家の実情からすると非常に重い負担になってきている。こういうような状況の中から、もしそういうようなことを国として標榜するのであれば、やはりいわゆる研修生から実習生に移行する、この数十万という金目の問題でありますが、こういう方面について、農水省もODAというような立場から農家の負担、こういったようなものを軽減するというような支援策があってもいいのではないのかな、このようなことを考えておりますが、御見解をお伺いいたします。

佐々木大臣政務官 外国人の研修生、実習生に対する新たな支援ということでございます。

 今ほど、前段の議論がいろいろございましたが、研修制度が今回改正をされて、新しい制度でスタートをしているわけでありますが、農家との契約もふえてきているわけでありますけれども、基本的に大変難しいのは、民民契約でありますから、そこにどうやって支援をするのかということについてはなかなか難しいところはあります。

 しかし、外国人研修受入れ適正化支援事業というものを農水省では実施をしてございまして、受け入れ体制の整備、研修、それから外国人の研修生の受け入れを行っている個々の農家への研修等の支援を行っているんですが、先ほど申し上げましたように民民契約でありますから、個々の農家への直接的な経費の支援というのはなかなか難しいというところでございます。

 農業分野のみならず、いずれの分野においても、そこの点は同じような感じだろうというふうに存じているところでございます。

石津分科員 確かに政務官おっしゃるとおり、民民の対応でありますから、確かに難しいということは私も理解をしております。

 ただしかし、先ほど申し上げておりますように、農家現場サイドからしますと、今度の制度改正で非常に大きな負担を強いられる、こういうような実情でありますので、こういう問題が現場で起きているというようなことについても、ひとつ農水の幹部として心に置いていただければ大変ありがたい、このように思います。

 それから、JITCOそのものに対する質問をちょっとさせていただきたいと思うんです。

 農家はいわゆるJITCOに対して賛助会費として各農家から年間五万円、これは任意とはいいつつもほとんど入っているという実情だそうでございます。これは、規則上二名の研修生しか受け入れることができないという農家も、あるいはそれ以上の実習生を受け入れている企業や団体等々も、並べて年間同じ五万円である、こういうような状況でございます。

 この積算の根拠は何であるのか。さらには、こういうふうに受け入れの頭数が大分違うのにすべて並べて五万円というのは非常に整合性に欠けるのではないか、このように私は認識をしております。でありますから、いわゆる農家側から見たときに、どちらかというとほかの製造部門よりも農家の方が割高な会費あるいは賛助会費を負担している、こういうふうに考えている農家が大変多うございます。そういうような観点で、御所見ありましたらお伺いいたしたいと思います。

田内政府参考人 賛助会費の仕組みにつきましては今お話にございましたので繰り返す必要はないかと思いますが、農家あるいは資本金三千万未満の企業につきましては年間五万円の会費を負担していただいているということと承知しております。これは、同機構の約定に基づいて、企業等の規模に応じまして年間の会費を決めて、賛助会費を支払ってもらっているということでございます。

 不公平ではないかという点でございますけれども、賛助会費は、繰り返しにはなりますが、外国人研修生の受け入れ拡大、円滑化、あるいは開発途上国の人材育成、発展に寄与するという国際研修協力機構の活動の目的がございます。これに賛同して、これを支援しようとされる個人や企業から任意に御負担いただいているものと承知しております。したがいまして、受け入れる外国人研修生の数等と必ずしも比例すべきものとは思われません。

 いずれにいたしましても、国際研修協力機構において一定の約定のもとで賛助会員を募り、任意にこれに応じられた企業、個人に御負担をいただいて、公益目的のために活用しておられるものでありまして、所管局長といたしまして、特段不公平な内容になっているとは考えていないところでございます。

石津分科員 局長の立場では、そういう約定に基づいてやっているので不公平感は感じていない、こういうことでありましょうけれども、それはまさに官の考え方でございまして、農家の実態からすればそれは私は通用しない。それはどうして通用しないかは、先ほど申し上げたように、やはり、実習生の受け入れの数というものがこれだけ違うのに、そのすべてを頭ならしでやるというのは余りにも乱暴ではないか。これは農家の生の声でございますので、今後、私ここでそれ以上は申し上げませんけれども、こういうような問題、あるいは農家がそういう不公平感を非常に持っておる、こういうことでありますので、この辺についてはひとつ研究をしていただければありがたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。

 それから、これはそれほど多い事例ではないんですが、直接あった事例ということでお伺いしたいんです。

 これは必ずしもJITCOに賛助会費を払って入会しなければならないということではないんですよね、たしか。それはそうですね。ただ、実は、入管の手続をするときに、非常に組合等々が戸惑っていることがございます。その戸惑いが、後で申し上げますが、それが結果としてJITCOに賛助会費を払わなければならないというふうに結果としてなっている。

 どういうことかといいますと、いわゆる受け入れ団体が入国管理局に申請書類を直接持っていった場合、間々、組合がやることですから書類に不備がある、こういうようなことがあるようでございますが、その際どこが問題なのか、不備がどこなのかということを一切言わないで、すべてを突き返す。そして、この内容についてJITCOとちゃんと相談をして、それから出直せ、こういうようなことを言っているというのが実情なんだそうでございます。

 これは私はあってはならないことだろう。まさに、JITCO以上に入国管理局は一〇〇%税金でやっている話でございますから、この辺についての実態があるという前提に基づいたときに、国として管理局にどのような指導をしていくか、これについてお伺いしたいと思います。

田内政府参考人 JITCOの賛助会員に入っている方と入らない方と、これは両方ございまして、JITCOに入らないでも審査を受けられるということは当然あるわけでございます。

 実際のところ、先生御指摘のように、JITCOを通さずに審査の申請をするということもございます。そのときに、JITCOを通している場合には、JITCOが専門的見地から中身を見ているという点で、その分既に一定の検討がされているということはあろうかと思いますので、その分、事実上、若干の時間の差があることはあると思います。

 ただ、御指摘のような、何も、どこが正すべきか、間違っているか、そういうことも言わずにただ突き返すということはすべきではないことだと思っております。できる限り、入国管理局といたしましても、助言、指導、こういうものに努めたいというふうに思っております。

石津分科員 ありがとうございます。

 この制度は、十年、そしてまだこれから続く制度ではございますけれども、そういうような意味では、まだまだ日が浅いということで、現場でのトラブル、あるいはJITCOと組合との関係等々、まだまだいろいろな問題があろうかと思います。

 最後に私、一つお願い申し上げたいことは、あくまでも農家あるいは事業者の方々の立場に立って制度というものをつくり、かつまた運用していただきたい、このようなことを御要望申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて石津政雄君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中川主査 次に、厚生労働省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。中根康浩君。

中根分科員 民主党の中根康浩です。

 本日、決算委員会におきまして、厚生労働部門について三十分やりとりをさせていただきたいと思います。

 やりとりというのは、実は年金のことで民主党の党内に、年金といいますか特別会計の検証チームというのがありまして、そのメンバーといたしましては、ただいまお見えの櫛渕議員もそうなんですけれども、長尾議員、宮崎議員、大泉議員、長島議員、勝又議員、こんなメンバーで年金特別会計の検証をゴールデンウイーク前から行わせていただいております。

 まだまだ中間的な段階ではありますけれども、各議員それぞれ担当を持っておりまして、それぞれの議員から中間報告を受けたことをもとに、きょうは、年金特別会計のごく一部につきまして質疑をさせていただきたいというふうに思っております。私は、その八人ですかのチームの主査という立場であったものですから、そういった議員を代表してやらせていただくということになります。

 まず、内閣支持率というものが続落をしている。これは、誤解を含めて、何となく、理由もなく続落をしているというような感じがしないでもないんですけれども、これを回復していくには、ここは奇策はないということで、愚直に政策を一つ一つ実現していく、マニフェストを一つ一つ着実に前進させていく以外にはないというふうに思っているんです。

 例えばこの週末でも、障害者団体とかあるいは学童保育の団体の会合に参加をさせていただきましたが、そういったところからは、民主党さん、よく頑張っているね、この調子で頑張ってほしい、さらに一層前進させてほしいという前向きなエールを承っておるわけです。

 毎日新聞なんかのマニフェストの検証の記事なんかを見ても、一つ一つの政策をとっていけば民主党政権はかなり頑張っているなという御評価を正当にいただけるものというふうに思っておりまして、このマニフェストの実現に向けてやはり政府・与党一体となって取り組んでいかなければならない、そんな思いで、きょうは年金のことについて取り上げていくんです。

 業務勘定から日本年金機構に運営費として三千五十八億円、うち一千百八十億円が保険料から出ている。選挙前から、私ども民主党は、年金の掛金は年金の支給以外には使わない、使わせない、このことをずっと訴えてきたんですけれども、改めて、このことについて政府がどのように考えているか、お尋ねをしたいと思います。

山井大臣政務官 中根議員、御質問ありがとうございます。

 中根議員には、四年ぶりに国会に復帰をしていただいて、まさに当時の社会保険庁の無駄遣いの問題を中根議員と一緒に追及していた、また、障害者虐待防止法の原案を一緒に四年前につくった、そういう中で四年ぶりに帰ってきていただいて、またこうやって、ある意味で厳しい、年金の無駄遣いや年金保険料の問題やまた障害者福祉について建設的なリーダーシップをとっていただいていることに非常に期待をしております。

 そして、この年金保険料の流用禁止の問題でありますが、政権交代前に法案も参議院で提出をいたしまして、マニフェストの中でも、年金の保険料は流用しないということをマニフェストに入れております。

 ただ、今年度におきましては、今御指摘のように、千百八十億円、まだ保険料により充当をしているところであります。

 これについては、工程表の中で「財源を確保しつつ、順次実施」というところに入っておりまして、この部分につきましては、平成二十五年度までに実現していくということになっておりますので、一期四年の中で実現に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、その中でまず第一歩として、平成二十二年度の予算においては、現下の厳しい財政状況も踏まえ、保険事業運営に直接かかわる経費や年金相談事業等の経費について保険料財源で負担することとなっておりますが、年金保険料により賄われている社会保険事業運営費について、年金教育、一般の方向けの広報経費を廃止するとともに、システム経費の削減やねんきん定期便の通知内容の変更による削減を行ってまいりました。

中根分科員 御丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 そうなんですよね。目指しているところはこの保険料の流用をとめるということなんですけれども、現時点においては、厚生労働委員会でも野党議員からマニフェスト違反ではないかというふうに御指摘をいただく。まさに、四年間でとはいうものの、今の時点では、マニフェスト違反だと言われてもなかなか抗しがたい実情があるということなんです。

 四年間かけて、あるいは一刻も早くその解消に向けて取り組んでいきたいということなんですけれども、例えば、ここに朝日新聞の記事があって、トヨタのことが書いてあるんですね。赤字に転落したトヨタが二期ぶりに黒字に転換した、徹底した原価低減やコスト削減の取り組みがあった、例えば、トイレの温風乾燥機をとめ、コピーや印刷の回数を減らして節約、軍手やオイルなどの消耗品は、一括発注したり交換回数を減らしたりして費用を削った、巨額の費用がかかるF1からは撤退した、期間従業員数は二千二百人減らした。

 まさに、よく言われるように、乾いたタオルを絞るような形で、これがすべていいというわけではないと思いますけれども、民間ならとよく言われるんですけども、民間ならこういう努力をしているということ。

 翻って、日本年金機構は、厚生労働省はどうかということを、私ども、やはり国民からよく指摘をされてしまうんですね。

 それで、ここに、これは長尾議員が調べている分野のことなんですけれども、あえて配付はしなかったんですが、余りにも枚数が多いものですから配付をしなかったんですけれども、日本年金機構の外部契約委託一覧表というのがあって、こんなに、こんなにといっても議事録には載りませんけれども、こんなにあるんですね。

 ここなんですけれども、まず、外部委託というものの見直しをぜひ行ってほしいということをこれから申し上げるんですけれども、きょうは日本年金機構の紀陸理事長にお越しをいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。

 紀陸理事長と山井政務官がここにお見えなんですけれども、現場の、例えばこういう契約のあり方の見直し、年金局でやっているのか、あるいは理事長がこういう見直しを行う権限があるのかどうか。もし権限があるということであれば、山井政務官にはもうここのあたりでお帰りをいただいてもいいと思っているんですけれども、まず、そういう契約のあり方の見直し、理事長にどのぐらい権限があるかどうか、教えていただけますか。

紀陸参考人 先生にはいつも御支援をいただきまして、ありがとうございます。

 ただいまの件でございますけれども、機構の組織立て、先生御承知のとおりでございますけれども、財政の責任とか管理上の責任は基本的には厚労大臣の管轄下にあるという位置づけでございます。ただし、年金に関する一連の運営の業務につきましては機構の方にゆだねられております。したがいまして、どういう契約をやるか、しかもその契約の内容をどういう形で行うか、それは私どもの権限の中にあると思っております。

中根分科員 それでは、例えば日本年金機構の契約のあり方を見ると、ある意味でスーパーゼネコン並みだというふうにも思えるんです。相談から、発送から、封入れから、清掃から、雪かきから、何から何まですべて外部委託しているように見えるんですね。これを見直すということは理事長はできるんですね。改めて確認します。

紀陸参考人 基本的に、今先生のお手持ちの資料でもって、機構が一月から三月まで独自に契約したものは百五件ほどでございます。そのほかの、千二百ぐらいあるかと思いますが、それは、前の社保庁時代に行った契約を引き継いで、引き継ぎ契約の形になっている、そういうような中身になっております。

 これから外部委託をどういうふうに進めるかということなんでございますが、これは基本的に、まさに先生御承知のとおりでございましょうけれども、機構の基本計画、二十年の七月にできた閣議決定でございます。この中で、機構の中にいろいろな仕事がございますけれども、業務の効率を図るものですとか、あるいはコストの節減、さらには国民の皆様に対するサービスの向上、こういう観点から、必要なものについてはできるだけ積極的に外部委託を進めようというような組み立てになっております。

 したがいまして、私どもは、そういう観点から、機構の独自でやるものと、それから外部に委託をするものと、どういう組み合わせであったらば、全体的に、先ほど申し上げた三つの観点が実現できるか考えていきたいと思っております。

 かつ、加えさせていただきますと、今三千五十八億ですか、機構の予算なんでございますけれども、その中で、これは二十二年度の予算でこれからでございますけれども、外部委託に使われる費用が恐らく三割弱ぐらいであろう。これは、これから執行する段階でございますので、確たることはあれですけれども、今の形ですとそのくらいになるのではないかというような見込みをしております。

中根分科員 ちょっとはっきり、権限があるかどうか、見直しは理事長だけの判断で、年金局に問い合わせなくてもできるかどうか、問い合わせるというか、当然相談はしなきゃいけないでしょうけれども、年金局の許可がなければできないのか、できるのかというところがはっきりしなかったんですけれども、この辺は、そこがはっきりしないと政務官にお帰りいただくかどうかも判断できませんので、契約というのはだれの名前で、理事長の名前なんですか、それとも大臣。

紀陸参考人 機構にゆだねられた部分については、機構の中で調達委員会を行いまして、そこで機構独自のものは私の名前でやる。それから、システム関係でもっと大きな、これから刷新等を行うものがございますけれども、そこは、厚労省所管のものがあれば厚労省の中の調達委員会で仕分けをする。そういうような振り分けが二つございまして、機構の中の執行だというものについては、当然ながら私の名前で契約をするという形でございます。

中根分科員 そうしますと、今会議中だそうなものですから、政務官に早くお帰りをいただこうと思っているんですけれども、それでは、厚労省の方、年金局の方にかかわることをまず質問させていただきます。

 これは勝又議員が調べて、結論としてこういうふうに言っているんですね。勝又議員は、社会保険オンラインシステムのことにつきまして、これは平成十七年から平成二十二年の合計で千百五十億円かけて社会保険のオンラインシステムの見直しを行うということのようですけれども、既に発注済みの分を除いて、今年度以降九百五十億円の分が残っているということらしいんですけれども、この九百五十億円については、将来的に年金制度の抜本改革ということやあるいは歳入庁構想ということがあるわけだから、一たん凍結をして、年金の制度設計をしっかり固めた上で、もう一度改めて適正な発注を行うべきだということを勝又議員は指摘しているんです。

 このあたりの、一たん凍結をして見直して、将来の年金制度の抜本改正やあるいは歳入庁というものを見据えて契約の発注をし直すというようなことについてはお考えにはなりませんか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険オンラインシステムの見直しの関係でございます。

 まず簡単に、現状、これまでの大きな動きということで御報告申し上げたいと思います。

 オンラインシステムの効率化ということを重要な課題と認識して取り組んできておるんですが、新システムへの切りかえ、この切りかえによりましてシステム運用経費の削減を目指そうという一つの大きな柱がございます。今申し上げました刷新システムに関しましては、まず十八年度に基本設計書を作成いたしました。

 ただ、その後、御案内のとおり、年金記録問題が大きな課題として出てまいりまして、これを検証する、また、その検証結果を踏まえて再発防止をきちっと講じるといったことが新たな事情として出てまいりましたので、二十年度に、こうした再発防止などを視野に入れた業務プロセスの見直し、これを反映させようということで、先ほど申し上げました十八年度に作成いたしました基本設計書の修正準備に着手いたしまして、今年度から基本設計の修正を行うというのがこれまでの大きな動きでございます。

 先ほど御指摘ございましたように、新たな年金制度の検討が今後進められるということでございますので、そうしたことも十分視野に入れながら、なおかつ、今申し上げましたこれまでの大きな動きというものを踏まえまして適切に行ってまいりたいと思いますが、一点補足いたしますと、先ほど申し上げました基本設計の修正、今年度行おうとしておりますものは、新しい年金制度の内容いかんにかかわらず、共通的な課題というのがございますから、そうしたものについてきっちり詰めておこう、こういう観点から、今年度、基本設計の修正作業を行うということで考えておるところでございます。

中根分科員 民主党政権、永続的に続くというわけではないかもしれませんけれども、どの政党がやっても、やはり年金制度というのは安心できるものに改めていかなきゃいけないということでありますので、このコンピューターオンラインシステム経費が数年後に二重投資になってしまった、あのときのお金は無駄になってしまったということがないように、これは慎重に執行していってもらいたいと思います。

 山井政務官、もうここで結構でございます。

 引き続き、理事長にお尋ねをいたします。

 日本年金機構には、パートさんなんかも含めて約二万二千人の職員さんがいらっしゃるということなんですけれども、先ほどの外部契約の一覧表の中に雪かき、清掃というようなものも入っているというふうに申し上げましたけれども、もともとといいますか、二万二千人の職員さん方が、自分たちの職場ですから、これはまさに、繰り返しになって恐縮ですけれども、民間であるならば、自分のところの、会社の玄関前の雪ぐらいは自分たちで雪かきぐらいするだろう。あるいは、自分のところの職場のトイレや階段ぐらいは自分たちで清掃するだろう、掃除するだろうと。

 そのことが、もちろん本来業務の支障になるかもしれませんけれども、しかし、そのことがコスト削減、会社の存続につながるということであれば、これは嫌々ながらであっても喜んでであってもやらざるを得ないだろうということになるんだろうと思いますけれども、日本年金機構さんが、例えば年金事務所あるいは事務センターなんかで行っている外部委託、全部今までどおりでいいんでしょうか。理事長、見直す余地はないというふうにお考えでしょうか。いかがでしょうか。

紀陸参考人 先ほど申し上げましたように、コストの削減、業務効率の向上、さらに国民の皆様に対するサービスの質の向上、この三つの組み合わせで外部委託を積極的に行えというのが基本計画の骨子なんでございますね。それをもとにして私ども動いておりますけれども、先行き、業務量が変わってくる、あるいは組織の構成員が変わってくる、そういう中で、先ほど申し上げた三つの観点からの目標が実現できるかどうか、それを見きわめながら運営していかなければいけない問題だと思っております。

 特に、コストの削減という点につきまして、お金の面だけ下げればいいということではなくて、質の面でも勘案しなければいけませんから、その両々が相まって、今先生のお話の庁舎の管理にかかわる問題とか、あるいはさまざまな年金のインプット、アウトプットにかかわる部分の外部委託がございます。そういうのをひっくるめて、個別個別に判断しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。

中根分科員 詳しい経歴は存じておりませんけれども、理事長は経団連の御出身ということで、さっき御紹介を申し上げましたトヨタのコスト削減努力というようなことについても恐らく身近に感じておられるし、その重要性といいますか必要性というようなことも十分御理解されておられる。ある意味、そういう立場、そういう御経歴だからこそ、国民から厳しい目が向けられていた社会保険庁、あるいはそれを引き継いだ日本年金機構の最高責任者に抜てきをされたということだろうと思うんですね。

 むしろ、コストの削減のために外部委託をされておられる、これも一つ考え方ではあろうと思いますけれども、契約一覧表を拝見いたしますと、では一体年金機構の職員さんは何をやっているんだろうかと思えるほど外部委託が多いんですよ。

 それこそ、相談業務であるとか、あるいはねんきん特別便の発送であるとか、そういうだれが考えても年金機構の仕事だろうというふうに思うことも外部委託している。それから、先ほど申し上げましたように、清掃業務や雪かきなど、あるいは蛍光灯の交換作業とか害虫駆除、こういったものも外部委託されておられるんですね。

 もちろん、そういうことが本来業務に支障を来すからやむなく外部委託ということであれば別なんですけれども、本来業務のようなものまでも外部委託している。その上、周辺業務も委託している。つまりは、全部外部委託しているように見えるんですけれども、経団連御出身の、民間から抜てきをされた理事長として、これはあくまでもこのままでいい、適切な判断のもとにこういう契約のあり方になっているんだというふうにおっしゃられますか。改めてお尋ねいたします。

紀陸参考人 今の先生の御指摘の中で、特に機構の基幹的な業務、年金の定期便ですとか特別便ですとか、さらにはさまざま、厚生年金だとか国民年金の適用、徴収の業務がございます。それは機構の基幹的な業務でありまして、その核になる部分は基本的には機構の職員が担当している。本当に、入り口の部分だとかあるいは出口の部分で非常に件数が多いものですから、膨大な手間暇がかかる部分については外部委託をさせていただいている、そういう仕事の流れでございます。大きく見ても、機構の職員が、自分たちの仕事をできるだけ縮めるために外部の委託を活用している、そういう行動ではないと私は思っています。

 かつ、先生御指摘のように、部分的に、例えば本当に、庁舎の維持管理あるいは周辺施設のメンテナンスのために、職員でもやるようなことまでやっているということがもしあれば、それは確かに是正をしていかなければいけないと思っていますけれども、先ほど申し上げたように、コストの面と人員の面で基本的に、スタートのときから機構の継続というのは決まっておりましたけれども、これも先行き削っていくというのが一つの大きな目標になっております。

 そうすると、仕事の増減、特に今記録問題に大分ウエートを割かざるを得ないという状況になっておりまして、通常業務と記録の問題。あと数年、国家プロジェクトと位置づけられる期間は、両方の業務が並行して遂行されなければいけない状況でございますので、その中で、人員の問題とコストの問題とサービスの質の問題、この組み合わせを考えながら、外部委託と正規の職員の担当の組み合わせを適切に行えるように考えてまいりたいというふうに存じます。

中根分科員 わからないわけでもないんですけれども、しかし、理事長、あくまでもそういうふうな言い方をされると、では、さっき山井政務官がおっしゃった、我々民主党としても目指している、年金の掛金は年金の支給以外には使わない、年金の流用はもうやめるんだということは永遠にできなくなってしまう。どこかで削っていかないとだめなんだと思うんですね。

 これは全部適切な、適正な契約である、今の年金機構の仕事ぶり、二万二千人の職員さんの仕事ぶりが今のままでいいんだということであれば、これは永遠に年金の流用は続いていってしまうということになって、どこかで無理をしてでも頑張っていかなきゃいけないわけです。

 そのどこかで無理をして頑張っていくところが、さっきから申し上げているように、本当に瑣末な話です、何を言っているんだというふうに理事長は思っておられるかもしれませんけれども、例えば、ぱっと目についたところで言うと、年金事務所の除排雪業務委託、旭川地区、株式会社高組というんですかね、これは国庫ですけれども、調達見込み総額四十五万七千四百九十円、こういったお金の使い方。四十五万円ぐらいですけれども、旭川を今申し上げましたが、これは全国で、東北地方から北海道までの年金事務所なんかは全部やっているんですね。こういうところから、一つ一つ削っていくところから始まるんじゃないでしょうか。

 雪かき、年金事務所の職員さんはできませんか、できますか。お尋ねします。

紀陸参考人 冒頭に申し上げました、今の機構が持っている契約、その中で引き継ぎのものが多うございます。もし、そういうものについて、本当の意味で非効率な部分があるとかいうのがあれば、これは契約の期間が過ぎた段階で、改めて機構が、引き継ぎじゃなくて、そういうものを結び直すような段階が来た場合に、先ほど申し上げたような観点から、まさに人員の面から見ても、サービスの面から見ても、コストの面から見ても、これはおかしいな、そういうものがあれば、それは逐次見直していくべきが筋だと思っております。

 いかに、積極的に外部委託を使えといっても、これはどういう範囲で、どういう要件のもとにというのが決まっております。その枠の中で、これはおかしいんじゃないかというものがあれば、それはまさに機構の独自判断で決断ができる問題でございますので、そういうものがあれば、これは見直していくべきが筋だというふうに考えます。

中根分科員 理事長に権限がある、理事長の判断で見直すことができるというふうにおっしゃったから山井さんには帰っていただいたわけですので、今わかりやすい例として雪かきということをさっきから申し上げております。あるいは害虫の駆除。もちろん害虫だって、危ないものであれば、それは専門家に任せなきゃいけないかもしれませんが、害虫の駆除。あるいは清掃業務、それから蛍光灯の取りかえ。そういうところから始めていくということを、直嶋大臣も来ておられますが、トヨタはそういうところからやっているんですよ。

 そういうところを、経団連という民間から、民間の感覚をお持ちの理事長がここに就任をされたから私どもは期待して、そこができれば、そこから始めれば、やはりいつかは、民主党のマニフェストである年金の流用はもうとめるというところの実現に結びつく。また、そこから始めなければ第一歩を踏み出すことができない。難しいところからやろうと思ったってそれは無理なんですから。年金記録の問題なんかは、やはりこれは大切な問題ですから、そこはしっかりと経費をかけなきゃいけない。でも、限られた財源、限られた年金掛金、大切な年金掛金ですから、そういったところから始めていく。

 理事長の御判断でできるという御答弁をきょうはいただいたし、御判断をお示しいただいたわけですから、ぜひ理事長、理事長なんですから、やはりここはしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、もう少し、仲間の議員が取り組んで調べて、御提言を申し上げたいことが数々あったんですけれども、ここで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中川主査 これにて中根康浩君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中川主査 これより経済産業省所管及び中小企業金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。直嶋経済産業大臣。

直嶋国務大臣 平成二十年度経済産業省所管の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について御説明いたします。

 歳入でありますが、歳入予算額八百三十億円余に対し、収納済み歳入額は八百十七億円余であり、差し引き十三億円余の減少となっております。

 次に、歳出でありますが、歳出予算現額一兆一千九百二十三億円余に対し、支出済み歳出額は一兆一千三百六十七億円余であり、その差額五百五十五億円余のうち、翌年度への繰越額は四百五億円余、不用額は百四十九億円余であります。

 次に、特別会計について御説明いたします。

 まず、エネルギー対策特別会計でありますが、収納済み歳入額は二兆六千七百二十八億円余、支出済み歳出額は二兆三千八百十九億円余であり、その差額二千九百八億円余のうち、翌年度への繰越額は九百四十一億円余、周辺地域整備資金に組み入れた額は三十三億円余、二十一年度予算に歳入計上した剰余金は九百九十七億円余、これらを除いた純剰余金は九百三十六億円余であります。

 このほか、貿易再保険特別会計及び特許特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要につきましては、お手元の資料に掲載したとおりであります。

 以上をもちまして、平成二十年度における経済産業省所管の一般会計及び特別会計の決算の概要に関する御説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院真島第五局長。

真島会計検査院当局者 平成二十年度経済産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十三件、意見を表示しまたは処置を要求した事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号四五四号及び四五五号は、会計経理が適正を欠いているもの、同四五六号及び四五七号は、委託費等の支払いが過大となっているもの、同四五八号は、委託費の会計経理が適正を欠いているもの、同四五九号から四六六号までの八件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、エネルギー使用合理化事業者支援補助金の交付に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、電子申請等関係システムの利用状況に関して意見を表示いたしたもの、その三は、独立行政法人日本貿易振興機構が保有する保証金に関して意見を表示いたしたもの、その四は、中小企業金融安定化特別基金の活用に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、ガスエンジン給湯器補助事業における交付対象の範囲に関するもの、その二は、電源立地地域対策交付金事業における交付対象事業に関するもので、これら二件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 なお、以上のほか、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構鉱工業承継勘定における産業投資特別会計からの出資金の規模等及びエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定における剰余金について、それぞれ意見を表示した事項、並びにエネルギー対策のための地域新生コンソーシアム研究開発委託事業で取得した物品の管理について処置を要求した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

 次に、平成二十年度中小企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

中川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。直嶋経済産業大臣。

直嶋国務大臣 平成二十年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。

 不当事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、また、意見を表示されまたは処置を要求された事項につきましては、所要の措置を講じてまいる所存であります。

 今後このような御指摘を受けることのないよう、一層努力をいたしたいと存じます。

中川主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中川主査 以上をもちまして経済産業省所管及び中小企業金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中川主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。菅川洋君。

菅川分科員 民主党の菅川洋です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 まず最初に、事業仕分けの件からお伺いさせていただきたいと思っております。

 昨年の秋に、それこそ政権交代した後、事業仕分け第一弾というものが予算について行われました。そして現在は、第二弾として、独立行政法人、公益法人の事業仕分けが行われております。これからまた二十日以降に公益法人の事業仕分けを行っていくということを伺っておりますけれども、この事業仕分け、私は、非常に必要な、重要なものであると思っております。

 政策というものは時代に応じて変わっていくものだと思っております。その時代に応じて変わっていくもの、その事業の必要性というものを常に見直しを行っていくのが本来の筋ではありますけれども、進行中でありますと、なかなかこの見直しというものができていない部分があると思います。その手段として、見直しを行うそのきっかけとして、事業仕分けというものは非常に有効なものだと思っております。

 ただ、きょうはエネルギー関係についてお伺いをしたいと思っているんですけれども、事エネルギー政策につきましては、非常にいろいろ難しい判断もあろうかと思います。例えば、資源の確保。この資源の確保につきましては、それこそ石油その他、だんだんと時代が変わる中で技術も進歩し、必要なものも変わってくる、しかし取り組む内容は長期間にまたがってくる、そういったものや、省エネ技術といったような、日々技術革新が行われるようなものがあると思っております。

 そんな中で、昨年の予算のときの事業仕分けについて、事業仕分けの指摘があったと思っております。その指摘があった件について、類似の事業というものをどのように経済産業省の中で調査をし、特にエネルギーという分野、非常に判断が難しいところではあると思いますけれども、行った結果、どういった類似の事業が出てきたのかを御説明いただきたいと思います。

直嶋国務大臣 菅川議員にお答えさせていただきます。

 先ほど菅川議員のお話にあったように、私も事業仕分けは必要なものだというふうに思っております。やはりその時代時代の状況に合った事業を政府がきちっとやっていくということは重要でありまして、そういう目線で国民の皆さんからチェックを受けるということは大変大事なことだというふうに思っております。

 昨秋のエネルギー関連の事業仕分けの対象とその類似の事業への反映の御質問でございますが、事業仕分け対象事業は、内閣府の行政刷新会議事務局が財務省とも相談しつつ選定したものであるというふうに聞いております。その際、当省に対し、類似の事業についても、仕分け会場で使用する事業シートに記載するよう御指示がございました。当然、類似の事業も調べた上で対象事業を選定したものと受けとめております。

 事業仕分け結果の類似事業への反映については、例えば、今回、高効率給湯器、エコキュートの導入促進補助金が廃止という仕分け結果となりましたことを踏まえまして、類似する他の給湯器、エコジョーズやエコウィル等や、空調機の導入促進補助金についても、同様に廃止することといたしました。

 また、途上国に我が国のすぐれた省エネ技術を普及させることを目的とした国際エネルギー消費効率化等モデル事業については、類似する他の二つの事業と統合することにより、制度全体としての合理化、効率化を図ったところでございます。

 私ども経済産業省としては、来週の二十六日から、各省に先駆けて行政事業レビューの公開プロセスを実施することといたしておりまして、事業の目的や必要性はもとよりでありますが、それらを実現する手段やお金の使われ方等についても、国民目線から厳しく見直しまして、平成二十三年度予算に反映させてまいりたい、そのように考えているところでございます。

菅川分科員 今の行政事業レビュー、そういった国民目線でどんどんと仕分けをしていっていただきたいのと同時に、先ほど中根議員がほかの質問でおっしゃられておりましたけれども、まさにトヨタのカイゼン活動というものが日々省庁の中でも必要なんだと私は思っております。そういったカイゼン活動をよく御存じの直嶋大臣にもぜひとも経済産業省の中で常に見直しを行う体制というものをつくっていただき、そして今度は事業仕分けというものが不必要になるぐらいの、見直しというものを常に行える体制というものをつくっていただきたいと思っております。

 その結果を受けて、事業仕分けの中でも、廃止や予算の縮減といった評決結果が出ているものがあると思います。例えば、国家備蓄石油管理等委託費のように、備蓄日数の縮減、タンク点検期間の緩和の検討という見直しが出ているわけでありますけれども、こういったものにつきましては、すぐ結論が出るものではないと思っております。日本の国としてどうするのか、こういったことをきちっと考えていく、特にエネルギーに関するリスクというものも考えなければいけないと思っておりますけれども、この反映状況が、慎重に検討、また今後調整するといったものにつきまして、すぐ反映できないものの、現在の検討状況並びに今後の方向というか見通しを教えていただければと思います。

近藤大臣政務官 菅川委員にお答えをいたします。

 御指摘いただいた、エネルギー関連で検討するようにというふうになっておりますのは、国家備蓄石油等管理委託費及び電源立地地域対策交付金の二つでございます。また、備蓄につきましては二点ございまして、備蓄日数の縮減を検討する、二つ目は、タンクの点検期間の緩和を検討するという評決結果でございました。

 そこで、備蓄日数のあり方でございますが、先月、総合エネルギー調査会の分科会を開催し、仕分け結果について明確に御説明をした上で御審議をいただいたところであります。

 結論的に申し上げますと、現状を維持すべきとの考え方が示されました。

 と申しますのも、先生も先ほど御質問の中で御指摘をいただきましたが、まさにエネルギーというのは国家のセキュリティーと十分かかわる問題でございます。その中で、国際エネルギー機関、IEAから加盟国に対して九十日分の緊急備蓄を義務づけられておるところであり、また、この九十日分については公的備蓄、我が国においては国家備蓄で保有することを原則として求められているところでございます。こうした中で、事業仕分けについて、IEA事務局からは、日本側に対して、こうした備蓄の日数の縮減をした場合、深刻な懸念が表明されているところでもございました。

 こうしたIEAの考え方を受けまして、事業の効率化は当然徹底しつつ、我が国のエネルギーセキュリティーを確保するのに見合った備蓄量、すなわち現状を維持すべきとの結論が得られたところでございます。

 一方、タンクの点検期間の緩和については、現在、担当の消防庁と議論を行っているところでございます。行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会でも議論がなされているところと聞いておりまして、経済産業省としては、ぜひ前向きな結論が出ることを期待しているところであります。

 また、電源立地地域対策交付金については、使途の裁量拡大を検討する、二つ目は、火力発電の算定について交付の比率を見直す方向で検討するという評決結果でございました。

 この評決結果を受けまして、経済産業省といたしましては、使途の裁量拡大については、電源立地地域において意見交換会を二回開催いたしました。自治体がより自由に使えるよう検討を進めておりまして、本年四月から予算補助の裏負担への充当について要件を緩和したところであります。また、火力発電の交付比率の算定の見直しにつきましても引き続き検討をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

菅川分科員 ありがとうございます。

 前向きな検討がされているということは非常に安心をしているところでありますが、ただ、国民から見ますと、国家備蓄の先ほどの日数について、九十日分というのは変わらないというのはなかなか理解が難しいかもしれません。ただ、これはエネルギーセキュリティー上、私も必要なことだと思いますし、こういったことについては丹念に、事業仕分けから後退したわけではなくて、これは必要に応じてやっているんだということをしっかりと説明していっていただきたいところではないかと思っております。

 また、それ以外の件につきましても前向きに検討していただけるということ、ぜひとも速やかな検討をお願いさせていただければと思っております。

 また、事業仕分けにつきましては、昨今、独立行政法人の事業仕分けも行われておりました。この中でいろいろと指摘が出ていると思います。例えば、管理費が高過ぎるとか、二つの法人が必要なのかというようなことがあると思っております。

 これにつきましては、多分、事業仕分けしたばかりのところでありまして、まだ検討というところまで行っていないのかもしれませんが、今後どのような形で経済産業省の中で検討を重ねていかれるのか、もし方向が決まっているようでしたら、お聞かせをいただければと思います。

直嶋国務大臣 御指摘の独立行政法人の事業仕分けでございますが、私どもとしては、行政刷新会議から御指定のあった独立行政法人だけではなくて、十一ございますすべての独法について、省内におきまして、有識者も交えた上で、我々なりに事業の内容について吟味をさせていただきました。

 そして、それらについては、刷新会議の事業仕分けが開始をされる前に、経済産業省として独立行政法人の内容を吟味した結果、こういう方向にしたいということで具体的に整理をいたしまして、既にその前に発表させていただいたところでございます。

 やはり独立行政法人も、その設立の趣旨、つまりみずからのミッションを明確にして、そのミッションに沿った事業をきちっとやるべきである。それから、もちろん無駄な事業、それからお金の使途については透明化をする、明瞭にするというようなことを含めて、直嶋三原則というのをつくりまして、それに基づいて整理をさせていただきました。その後、刷新会議の事業仕分けの方でさらに幾つか御指摘もちょうだいしております。

 したがいまして、御指摘をいただいたことも含めて、事業仕分けが終了後、具体的にどうするかという方向をきちっと詰めて、そして明らかにした上で、二十三年度の予算編成に臨みたい、このように考えているところでございます。

菅川分科員 ちょっと不勉強で大変申しわけないんですが、参考までに、よろしければ直嶋三原則というのを教えていただければと思います。

直嶋国務大臣 また御入り用でしたら、御参考までに後ほどお渡ししたいと思います。

 基本は、先ほどお話ししたとおり、独立行政法人、公益法人に事業を行わせる際は、ミッションを明確にした上で、事業の目標達成度合いを検証しつつ、必要最小限の費用で十分な成果を上げることを基本とする。

 この基本にのっとりまして、三原則のその一は、事業の大胆な整理でございます。真に果たすべき事業に特化させるため、法人間で重複している事業やその法人で実施する必要のない事業は大胆に整理をする。

 二点目が、金の流れの明瞭化であります。既得権益を打破して競争原理を働かせ、国からの金の流れを、国民の理解を得られるように明瞭化する。

 三点目が、経営資源のスリム化でございます。法人の不要な経営資源をスリム化し、業務運営の効率性を徹底的に向上させる。

 この三原則に沿って、公益法人についても省内で吟味をいたしまして、実は先ほど記者会見をいたしまして、経済産業省所管の公益法人の改革の方向について発表させていただいたところでございます。

菅川分科員 どうもありがとうございます。

 記者会見につきましては、また後ほど確認をさせていただきたいと思います。

 まさに今お話があったとおり、事業の大胆な整理、金の流れの明瞭化、また経営資源のスリム化、こういったことも非常に必要なことだと思っております。

 特にエネルギー関係におきますと、エネルギー対策特別会計という特別会計になっておりまして、お金の流れというものが一般的にはなかなかはっきりわかりにくい部分があるのではないかと思っております。ですから、特にこのお金の流れがはっきりすることによって、国の税金が無駄に使われているわけではなく、きちっとエネルギーの対策のために役に立っているというところを明瞭にしていっていただきたいと思っております。

 そんな中で、次はエネルギー特別会計についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 このエネルギー特別会計なんですが、会計検査院が、平成十四年度決算、そして平成十九年度決算について検査を行われております。その両方の検査におきまして、多額の剰余金が生じているというようなことが指摘をされております。

 この剰余金につきまして少し、発生の原因と、これについての対策、特に平成十四年の指摘を受けてからの対策、対応のあり方というものを教えていただきたいと思います。

直嶋国務大臣 エネルギー特別会計につきましては、御指摘の平成十四年ころはそうでございますが、税収を直接、特会に歳入として入れまして、そしてその特会の中で必要な経費を使っていく、こういうやり方をとっておりました。今議員御指摘のように、その特会に剰余金とか資金が、かなり多額のものが積み上がってくる、こういう構造になっておりました。

 それを、特別会計のさまざまな議論の中で、一つは、税収そのものはまず一般会計に入れさせていただく、そして、一般会計は財務省の所管になりますから、我々の方は今度は特別会計で必要な予算をきちっと見積もって、それに必要なものを特別会計に繰り入れていただく、そういうやり方に変更いたしました。その結果として、いわゆる無駄な資金が特会に積み上がるという基本的な構造は解消できたのではないかと思っております。

 ただ、そうはいいながら、やはり幾らかの形で、例えば平成二十年度はエネルギー需給勘定における剰余金は約二千五百三十億円ございます。内訳を申し上げますと、これは二十一年度への事業を繰り越したものが九百二十六億円、それから歳出が不用になった不用額が五百六十五億円、歳入の増加が三百四億円、そして前年度剰余金受け入れの増加額が七百三十三億円、こういう構造になっております。

 つまり、需給勘定の剰余金のうちのほとんどのものは、年度内に執行が終了しなかったため翌年度に繰り越して執行するもの、つまり支出先が決まっているもの、それから、予算の効率的な執行などにより支出額が減少した場合により発生する不用額、こういうものが大半になっております。

 翌年度繰り越しが発生した主たる原因としまして申し上げますと、非化石エネルギー等の導入促進対策費の補助金について、風力発電設備整備事業の実施に当たり、地元住民との調整に時間を要しまして、事業を年度内に終了できなくなったこと、それから、認証排出削減量等、これはいわゆる国連のクレジットの取得でございますが、この委託費について、相手国との交渉に時間を要したため年度内に事業を終了できなくなったもの、こういったものがございます。

 それから、先ほど申し上げた四つの中での不用額が発生した主なものとしては、国家備蓄石油管理等の事業において、備蓄基地の修繕保全工事の規模、内容の変更がございまして、競争入札の実施によりコストを削減したことにより百一億円が不用となっております。

 それから、国内石油天然ガス基礎調査におきまして、石油価格の高騰の影響により採掘用船舶の手配が難航いたしまして、その結果として六十二億円が不用になった、こういうことでございます。

 できるだけ予算どおり、きちっと事業を遂行するということ、それから、今申し上げたようなさまざまな要因がございますが、そんな中でも予算の的確な執行に努力したいと思いますし、できるだけ効率よく使うということに心がけてまいりたいというふうに思っております。

菅川分科員 御説明ありがとうございます。

 確かに、地元との調整がなかなかつかないこと、もしくは相手国との話し合いの中で翌年度にずれ込むこと、そういったこともあると思います。

 今、多分、御説明があった中にもあると思うんですが、二十年の決算を見ている中でも、私の見た資料では、エネルギー需給勘定の中に不用額が千七百五十四億あって、電源開発促進勘定で不用額が二百五十九億生じているとなっておりました。

 また、その中でも、事項別で見たときに、エネルギー源多様化等経費という項目があるんですけれども、この経費、当初の歳出予算額が八百九十六億という予算額になっているんですけれども、実際、予算の消化が四百二十六億と、四七%しか予算を消化していないというものがありまして、翌年に繰り越しがそのうち三百七十六億、不用額が九十二億というふうになっております。

 こういったものや、もう一つ、エネルギー需給勘定で言いますと、温暖化対策経費というものが、歳出予算が六百七十六億で、支出済み歳出額が三百十一億と、実際には四六%の支出にとどまっておりまして、翌年の繰り越しが三百三十一億、不用額が三十三億となっております。

 これは、この項目を見る限り、エネルギー源の多様化もしくは温暖化対策というと、今一番重要なところではないかと思っております。いずれもこの重要なところで、どうしてこんなに支出が低くなったのか。もちろん、効率よく経費を削ったということであれば、それにこしたことはありませんけれども、そうではなくて何かしら大きな原因があったのかどうか。また、不用額もかなり大きな金額ではないか、割合的には大きなものではないかと思っておりますので、その点につきまして御説明をいただければと思います。

近藤大臣政務官 菅川先生にお答えいたします。

 菅川先生は税理士の事務所を開設されていて、その意味では、こうしたお金の問題についても大変きちっと分析をされて、その上での御指摘かな、こう思うわけであります。

 御指摘のとおり、エネルギー源多様化等経費については、歳出予算現額が八百九十六億円に対して、支出の部分が四百二十六億円、すなわち執行率については四七%となっている、余りに低いのではないか、こういう御指摘でございます。

 大臣が先ほど御答弁をさせていただいたとおり、なぜこのようなことが起きるかと申し上げれば、基本的には、翌年度に繰り越して執行する額が三百七十六億円ございます。不用額が九十二億円となっております。こういうことでございます。すなわち、翌年度の繰越額がかなりの部分を占めている、こういうことであります。

 その要因は、繰り返しになって恐縮でございますが、風力発電事業における地元住民との調整に時間を要したこと、また、建築基準法等の改正による建設工事の遅延等により事業を年度内に終了できなかったことによる繰り越しが二百七十九億円。また、住宅用太陽光発電の導入支援補助金について、平成二十年度補正予算で九十億円を計上したものの、世界的に太陽光の発電システムというのが広がっているものですから、その資材が不足したこと等により設置工事が年度内に終了しなかったことによる繰り越し八十三億円等が挙げられているわけでございます。ですから、大宗は翌年度繰り越しで、一つ一つ考えれば理由があるということでございます。

 ただ、御指摘の、不用額が九十二億円だよ、これもどうなっているんだという御指摘かと思います。この点については、やはりきちっと見定めなければいけない、このように思いますし、御指摘を踏まえて効率的な改善をしなければならない、このように考えるところでございます。

 また、次に、温暖化対策経費でございますけれども、歳出予算額六百七十六億円に対して、支出済み歳出額が三百十一億円となり、この割合、すなわち執行率は四六%でございます。この場合の翌年度繰越額が三百三十一億円、全く使わなくなった不用額が三十三億円となっております。

 こちらのケースも、先ほど御説明させていただきましたが、排出量取引の認証委託費について相手国との交渉に時間を要したこと等により、年度内に終了できなかったことによる繰り越しが二百五十八億円と大変大きな割合を占めている、こういうことでございます。ただ、こちらの方も、三十三億円が不用額、こういうことでございます。

 九十億円と三十三億円の不用額があるわけでございますから、こちらの歳出予算の見積もりに適正に反映させるため、発生要因を十分に見きわめ、引き続き改善の努力を行い、執行率の向上に努めてまいりたい、このように考えております。

菅川分科員 済みません。再度の説明をいただきまして、ありがとうございました。

 もろもろの原因というのがあると思いますけれども、やはりこれだけ繰り越しがあるとなると、当初の予算の見積もりのあり方そのものがどうであったのかということ、また、不用額も九十二億、三十三億という金額になってまいりますと、国民から見ますと、例えば、特別会計だから少し予算の見方が甘かったんじゃないかとか、そういった疑念を持たれることがないようにしていただければと思っております。相手の必要なものもありますので、なかなか難しい点もあろうかと思いますけれども、やはり予算の中身というもの、これをもう少し国民にとってわかりやすい内容にしていくことが必要なのではないかと思っております。

 また、電源開発促進勘定の方でも同じような内容のものがあると思っております。こちらの方は五〇%を切るような支出済み歳出額の割合というものはないのですけれども、ただ、八四%、八二%という電源立地地域原子力防災体制整備等経費とか原子力安全規制整備実施等経費、これはいずれも額はそんなに大きな予算ではないのですけれども、例えば防災体制整備となると、やはり必要な整備ではないかと思われますし、また、原子力安全規制という問題は、これは原子力に関しましては特に安全性というものが叫ばれているところでございますので、こういったところで特に不用額がどちらかというと大きな割合を占めているといったことに関しまして、この原因というものをちょっと教えていただければと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の電源立地地域原子力防災体制整備経費でございますが、不用額は十億円、こうなっております。また、原子力安全規制整備実施等経費については、この場合、不用額が二億円、このようになっております。

 こちらでございますが、執行率が前者の方は八四%ということでございますが、この原因でございますけれども、基本的には競争入札の結果、契約金額が予定額を下回ったものである。したがいまして、予算の効率的な執行という観点からは大きな問題のある不用とは考えておりません。むしろ、競争入札によって当初の見積もりよりも低くおさまった、こういうことだろうと思っております。

 また、安全規制整備実施等経費につきましても、同様に競争入札の結果による契約金額の減でございまして、こちらの方も特段大きな問題になる不用とは考えておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、こちらの方は大きな問題はございませんが、先生御指摘のように、やはり大きな不用額というのは国民の皆様から見ていかがかというのはそのとおりでございまして、こうした競争入札による効率化というのは正しいことであろうかと思いますが、御指摘のように、特別会計だから甘いのではないかという御指摘を受けないように効率的な執行に努めていかなければならない、このように考えております。

菅川分科員 以上で質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

中川主査 これにて菅川洋君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管及び中小企業金融公庫についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明十八日午前十時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十分散会


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