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第3号 平成14年7月22日(月曜日)

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(注:この議事情報は、「決算行政監視委員会第四分科会議録第1号」のデータです。)
本分科会は平成十四年七月十日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
七月十九日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      石田 真敏君    谷  洋一君
      土屋 品子君    御法川英文君
      武藤 嘉文君    森岡 正宏君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      山口わか子君    中村喜四郎君
七月十九日
 御法川英文君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年七月二十二日(月曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 御法川英文君
      石田 真敏君    土屋 品子君
      武藤 嘉文君    森岡 正宏君
      大谷 信盛君    長浜 博行君
      牧野 聖修君    山田 敏雅君
      日森 文尋君    山口わか子君
      中村喜四郎君
   兼務 東  順治君 兼務 冬柴 鐵三君
   兼務 土田 龍司君 兼務 中林よし子君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   最高裁判所事務総局民事局
   長
   兼最高裁判所事務総局行政
   局長           千葉 勝美君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 原田 晃治君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木谷 雅人君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (国土交通省国土計画局長
   )            薦田 隆成君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 窪野 鎮治君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       岩尾總一郎君
   政府参考人
   (住宅金融公庫総裁)   望月 薫雄君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
七月二十二日
 辞任         補欠選任
  平野 博文君     大谷 信盛君
  山田 敏雅君     長浜 博行君
  山口わか子君     金子 哲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  大谷 信盛君     牧野 聖修君
  長浜 博行君     山田 敏雅君
  金子 哲夫君     日森 文尋君
同日
 辞任         補欠選任
  牧野 聖修君     平野 博文君
  日森 文尋君     山口わか子君
同日
 第一分科員中林よし子君、第二分科員東順治君、冬柴鐵三君及び土田龍司君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫〕


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     ――――◇―――――
御法川主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、内閣府所管中金融庁、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。
 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。
 平成十二年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。
 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。扇国土交通大臣。
扇国務大臣 おはようございます。
 国土交通省所管の平成十二年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計につきまして申し上げます。
 収納済み歳入額は五百十二億三千百万円余、支出済み歳出額は十兆九百三十億一千五百万円余。
 次に、特別会計につきまして申し上げます。
 まず第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でございますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆八千六百十億六千三百万円余、支出済み歳出額は五千八百四十四億二百万円余。
 第二に、道路整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五兆七千七百八十三億五千七百万円余、支出済み歳出額は五兆一千四百五十七億百万円余。
 第三に、治水特別会計でありますが、治水及び特定多目的ダム建設工事の二勘定を合わせて申し上げます。収納済み歳入額は二兆二千四百八十三億九千三百万円余、支出済み歳出額は一兆九千四百七十六億百万円余。
 第四に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は六千四十五億五千二百万円余、支出済み歳出額は五千五百五十三億八千七百万円余。
 第五に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は六百四十九億三千万円余、支出済み歳出額は四百八十億七千九百万円余。
 第六に、都市開発資金融通特別会計でありますが、収納済み歳入額は千八百五十一億六千二百万円余、支出済み歳出額は千四百五億七千二百万円余。
 第七に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五千二百五十一億三百万円余、支出済み歳出額は四千七百五十一億八千万円余。
 第八に、財務省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち国土交通省所掌分でありますが、支出済み歳出額は六百七十四億二千万円余となっております。
 なお、詳細につきましては、お手元に配付してございます平成十二年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。
御法川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白石第三局長。
白石会計検査院当局者 平成十二年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 検査報告番号二〇五号は、共同溝附帯設備工事におきまして、ケーブルラックの材料費等の積算を誤ったため、契約高が割高になっているものであります。
 同二〇六号及び二〇七号の二件は、新産業都市等事業補助率差額の交付額の算定に当たり、市町村負担金の計上を誤ったため、補助率差額が過大に交付されているものであります。
 同二〇八号は、歩道橋整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋台の胸壁等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
 同二〇九号は、通常砂防事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋脚等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
 同二一〇号は、河川等関連公共施設整備促進事業におきまして、施工が設計と相違していたため、橋脚等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
 同二一一号は、交通安全施設交差点改良事業におきまして、残地補償費の算定を誤ったため、補償費が過大となっているものであります。
 同二一二号は、地すべり対策事業におきまして、アンカー工の施工が著しく粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。
 同二一三号は、公営住宅整備事業費補助金の交付申請を行うに当たって、補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大となっているものであります。
 同二一四号は、公営住宅家賃収入補助金の経理において、収入超過者入居戸数を誤ったため、補助金が過大に交付されているものであります。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 その一は、巡視船艇等に設置している衛星船舶電話の利用料金に関するもので、小型巡視艇等に設置している衛星船舶電話について、発信量が少ない場合に利用料金が割安となる料金種別を選択していたとすれば、電話料金を節減できたと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 その二は、国道下に整備されている光ファイバーケーブルの収容空間に関するもので、収容空間としての連続性を確保するという認識や、民間通信事業者に対する支援が十分でなかったため、事業目的が十分に達成されていないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 その三は、防波堤等の築造工事における鉄筋加工組み立て費の積算に関するもので、径三十二ミリメートルの鉄筋については工場加工を前提としていて、作業の難易度の高いつり鉄筋の加工組み立て歩掛かり等を準用しておりましたが、径三十二ミリメートル未満の鉄筋の市場単価を準用することが合理的であり、これにより算定すれば鉄筋加工組み立て費を低減できたと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 その四は、岸壁等の築造工事における基礎部の設計に関するもので、岸壁等は防波堤等により静穏度が確保された港内にあるため、捨て石が散乱するおそれがないことなどから、被覆石を設置しない経済的な設計とすれば、被覆石等の費用が節減できたと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
 引き続きまして、平成十二年度住宅金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 以上でございます。
御法川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。扇国土交通大臣。
扇国務大臣 平成十二年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。
 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るように常に努力しているところでありますが、平成十二年度の決算検査報告におきまして、補助金を過大に交付しているものなど、御指摘を受ける事態を生じましたことはまことに遺憾でございます。
 ただ、御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金を返還させ、または事業の目的を達成するように手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところでございます。さらに指摘に係る補助事業者等に対しましては、関係法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督・検査の実施等になお一層努めるように通達を発するなど、注意を喚起したところでございます。
 今後とも、このような御指摘を受けることのないように指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存でございます。
御法川主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御法川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
御法川主査 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
御法川主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口わか子君。
山口(わ)分科員 社会民主党、山口わか子でございます。
 二十二日、月曜日、しかも朝九時ということで、扇大臣におかれましては大変御苦労さまでございます。早いものですから委員もまだどなたもいらっしゃらないということで、しかも、私はいつも一番最後の質問なんですが、きょうは一番ということで、これも初めてという経験でどきどきしていますが、よろしくお願いいたします。
 まず、私は、交通政策についてお伺いしたいと思います。
 国鉄の民営化以来、新幹線など高速交通網が大変整備をされてまいりまして、規制緩和が進む中で、地方鉄道の廃止が最近進んでおります。一方、自動車の大幅な普及、それに伴う道路整備が進むことによりまして、交通政策にとって、今まで本当に地域の足を守ってきた在来線、これが廃止の方向に進んでいることにつきましては、今までの国土交通省の政策にとりましては計画どおりであったのか、どういうふうに総括をされていらっしゃるのか、最初に大臣にお伺いしたいと思います。
    〔主査退席、森岡主査代理着席〕
扇国務大臣 地方鉄道、今おっしゃったように、通勤、通学、通院、買い物、あらゆる点で、地域の足というものがいかに大事であるかということは、もうおっしゃるまでもない。また、特に、山口委員のように地方でいろいろな事例をごらんになった御経験の中からすれば、地域の足というものがどう変わってきたのか。また、御存じのとおり、本来あるべきものが縮小されて代替交通機関になっていく。しかも、その代替交通機関も減少ぎみである。赤字路線がるる発生している。そういう意味で、地方の皆さん方の生活というものの変化、またその変化の中でどのように交通機関を確保するか、それぞれ悩みも持ち、そして現実に直面していらっしゃることだろうと思います。
 二十一世紀になって、環境等々が論議されておりますときに、地域の足というものがいかに変わってきたか。しかも、CO2を排出するものではなくて、鉄道というものによって環境がどのように変わってくるか、そういうことを論議される中で私は大きな変化をしてきたと思いますし、また、その変化をとらえながら我々は対処していかなければならないと思っておりますけれども、往々にしてローカルは、資金の面、あるいは装置に不備がある。また、衝突事故等々も起こっておりますのも、お金のかかる防止施策を怠っているというようなことがなきにしもあらずということで、いろいろな事例が起こっておりますけれども、私は、そういう事故を防止し、なおかつ地方の皆さん方の足を確保するためにどのような施策を講じるか、また指導するか、そういうことも勘案しながら、皆さん方の御意見を聞き、そしてできる限りの手当てをしていくというのが基本であろうと思っております。
山口(わ)分科員 今、地方にとっては、一番弱者と言われる人が切り捨てられていく。特に乗り物については、そういう意味では、非常に深刻な事態を起こしているということになろうかというふうに思います。
 そして、こういう地方鉄道の廃止というのは全国的にはどんな状況になっているのか。例えば貨物も含めて、現状と今後の方向について御説明をいただきたいと思います。
石川政府参考人 地方鉄道の路線の廃止の状況でございますけれども、昭和六十二年の四月一日、国鉄が民営・分割された日でございますが、この日に現在の鉄道事業法が施行されてございます。それから十五年たちますけれども、その間、旅客鉄道の廃止というものにつきましては、二十六路線廃止してございます。
山口(わ)分科員 私は、たまたま長野県なものですから、長野県の実態をちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、長野県の場合には、長野新幹線の開業に伴いまして、軽井沢―篠ノ井間の信越本線が廃止という運命にあったわけです。地域の圧倒的な要望で、長野県が中心になりまして、平成九年十月に、全国初の第三セクターとして、しなの鉄道が出発をいたしました。しかし、開業以来あらゆる手を尽くして経営に努力をしてきたわけですけれども、毎年赤字がふえ続け、平成十三年度決算ではついに二十三億円の赤字となってしまったわけです。
 赤字となりました大きな原因は幾つかあろうかと思いますけれども、あの路線は途中で切れているわけです。軽井沢から篠ノ井までが第三セクター、篠ノ井から長野まではJRということで、軽井沢から長野まで第三セクターですと、本当はもう少し利用客もふえるかと思いますが、途中で切れているという、ちょっと変わった第三セクターのあり方になってしまったために一貫した経営ができないということ、そのために利用客が伸びないという、そういう理由も左右しているのではないかと思っています。
 そして、この第三セクターは今までにいろいろな努力をしてきました。もちろん値上げも考えておりますし、サービスも、ことしは一生懸命、ボランティアも入れながら、お客様たちにいい乗り心地を味わっていただこうというようなサービスも展開しているわけですし、今までトイレも使えなかったんですが、ことしは何とかトイレも使えるようにしよう、あるいはバリアフリーもこれから一生懸命努力していこうというふうに思って、地域では非常に頑張っておりますし、県でもかなり努力をしているわけですけれども、それでもやはりこの区間では赤字がどうしても出てしまう。
 こういう赤字路線の中で、でも、ここを通勤、通学あるいは通院している人たちは非常に多いわけです。利用客もそんなには減っていないという現状ですけれども、やはり運営していくには大変な赤字が出るということですが、こうした第三セクターに対しまして、国として、交通労働省として、どういうふうに、これから経営を維持していくために助成をするとか支援をするとか、そういうことを考えていらっしゃるのかどうか、そのことも含めて御答弁をいただきたいと思います。
石川政府参考人 ただいま先生の方からしなの鉄道のお話がございました。これにつきまして幾つか御議論があると思いますが、一つが、篠ノ井と長野の間は経営していないではないかというお話がございましたが、これにつきましては、長野新幹線が開業する前に、どのような形でその地域で第三セクターで経営をするかということでさまざまな議論があった中で、現在の形になっているわけでございます。
 それからもう一つは、この鉄道は、当然のことながら長野との間において相互乗り入れ等をやってございます。したがいまして、運行としては一体としてやっていると思っております。
 それからもう一つ、この会社は、おっしゃるように赤字が続いております。想定した以上のお客の減というのもありますし、従来、運賃値上げをしてこなかったというふうな問題もございます。さまざまな問題がございまして、現在、長野県においても、この第三セクターしなの鉄道に対してどうしたらいいかということを真剣に御議論いただいているわけでございますし、この会社の社長の交代というのもあったことも事実でございます。
 こういう会社に対してどうしたらいいかということにつきましては、さまざまな方法があると思いますが、現在、県の方においても真剣に御検討いただいておりますし、私どもとしてもこの会社の経営ということに対して基本的に、まずは地域でどう考えていただくかということを受けながら、私どもとしてもできることは対応してまいりたいというふうに考えてございます。
山口(わ)分科員 できることは考えていきたいという御答弁でしたけれども、具体的に、例えば補助金を出すとか、あるいは赤字について何らかの国の補てんをするとかというお考えはないのでしょうか。
石川政府参考人 この第三セクターでございますが、新幹線の開業に伴う並行在来線ということでございます。第一義的には、地域がこの鉄道をどう維持するかということが肝要だろうと思っております。
 それから、そういう観点で、ほかの地域においても、例えばさまざまな基金制度をつくるとかいうふうな形で協力をするというようなことがございます。国としては、設備の近代化、合理化という観点からの補助金は出してございますし、この鉄道についても出したはずでございます。
 あとは、経営に伴う赤字補助、欠損補助というお考えだと思いますが、欠損補助につきましては、従来から鉄道については欠損補助はしてございません。かつて、五年前まで欠損補助をやっていたことがございますけれども、鉄道について欠損補助をやった結果、それが経営の合理化あるいは推進ということに必ずしも十分資していないということで、五年前に、この鉄道ではございませんが、全国的に欠損補助を廃止してございます。その後、補助を廃止したからといって、それぞれの会社が経営難に陥って路線を廃止したということはございません。むしろ、地域がどういうふうに努力をするか、あるいは経営者がどういうふうに努力をするかということで、その路線の維持を図っていただいていると思っているところでございます。
山口(わ)分科員 この鉄道を廃止するということは、地域が決断をしたというよりは、むしろ、新幹線が発達し、あるいは自動車の増加などに伴って、鉄道自体が廃止というのを決断したわけですよね。それに伴って、地域では、困るから何とかこれを継続しようと思ったわけで、地方自治体にしてみれば、自分たちが選んだ道ではないわけです。むしろ、自治体にしては、もう困るからとにかく継続しようと思ってみんなが努力をして継続しているわけですね。ですから、地方自治体が財政負担だけを強いられるというのは、これは均衡ある国土の発展にとってはやはり問題があるのではないかというふうに思っています。
 これからこういう問題が全国各地で起こってくるだろうと思います。今、私どものところでも、北陸新幹線が通れば大糸線が廃止になるというような話も出ています。これは地方自治体が望んで廃止にするということではありませんので、地方の路線をどう住民に提供していくかということは、国にとっても大きな責任があるというふうに私は思っています。ですから、そのことについてはこれから真剣に考えていただきたいということを思っているわけです。
 実は、もう一つ、私のところに、木島線という、これは私鉄ですけれども、路線がございました。この路線もずっと地域の人たち、特にあそこはスキー場のあるところでして、観光ですとか、それから障害者の施設とか老健施設、あるいは学校もございますし病院もあるということで、今までずっと親しんできたわけですけれども、これも、私鉄で、赤字が続くということで、県もこの赤字を担い切れないということもありまして、廃止ということになってしまいました。そのかわりにバスで運行するということなんですけれども、実はこのバスも、私ども特に山間地を抱えているところでは、赤字が続く中で、ほとんど廃止という状況になっているわけです。恐らくこの木島線も、バスで運行するとはいいますが、採算がとれなければ廃止ということになってしまうのではないか。
 では、地域はどうやって足を守ろうかということで、地方自治体が独自でバスを運営する。百円バスというような形で地域の足を守っていくということになっているわけですけれども。
 こういうことから考えましても、先ほど私が申し上げましたように、地域の足を、国が、交通労働省としてどう考えていくのか。確かに高速交通も大事、あるいは自動車の発展も大事かと思いますが、その陰に取り残された高齢者や子供や、あるいは障害者の皆さんの足を、国としてどう守っていくかということは、非常に大事なことだと私は思っています。そして特にこういう地域で働いていた労働者の皆さんも、路線が廃止になることで失業の憂き目に遭うわけです。
 そんなことも考えます中で、やはり地域の足を守る、あるいは環境にも非常に配慮した鉄道を守っていくという意味で、大臣として、これから国としてどういうふうに責任を持って運営をされていくのか、お答えをいただきたいと思います。
扇国務大臣 お答えする前に、山口議員に一言申し上げておきます。交通労働省ではなくて国土交通省でございますので、労働がございませんので、御認識賜りたいと思います。
 どっちにいたしましても、先ほど私が申しましたように、地方鉄道の維持に関しましては、これは第一義的には地方鉄道事業者がさまざまな経営努力をされるというのは当然のことでございまして、鉄道事業者が地域と協力して鉄道利用の喚起を図っていくというのは、これはもう地域の努力でございます。
 また、御存じのとおり、私、少し事例を申し上げさせていただきたいと思いますけれども、第三セクターでも、全国で、いろいろ努力をしてうまくいっていらっしゃる、また大変な努力をしていらっしゃる事例もございます。
 例えば、岩手県三陸鉄道等々は、少なくとも児童生徒の遠足だとか自然観察会だとか、あるいは体験学習、そしてスポーツ大会、また老人のスポーツ交流でゲートボールの大会を運ぼうとか、そしていろいろなイベントをしようということで、それぞれ努力していらっしゃいます。また、三重県の方では、三岐鉄道というのが、駅の周辺に駐車場を整備して、自動車から鉄道へ乗りかえるようにしてくださいとかいって、いろいろ地方で工夫していらっしゃるんですね。
 やはり地方の時代なんですから、本来は、鉄道の利用というのは、地方の皆さん方でそれぞれ努力していただく。地方分権を主張する地方の皆さんにとっては、当然これは、すべて何でも国がというのより、国から地方へ、地方ができることは地方でということで、私たちも努力しておりますので、万やむを得ない場合は我々も指導もし、そして皆さん方に不便をかけないようにということをしております。
 先ほど私が申しましたように、鉄道というものは大きな力を持っておりますし、環境に対する負荷、CO2の排出量は、自家用車と鉄道と比べますと十分の一の排出量であるわけですから、それを指導していくというのは、地域としては当然お考えになろうと思います。
 分権分権とおっしゃるんですから、地域もやはり独立してできるというところの意地を見せていただいて、今事例を挙げましたけれども、他県でも第三セクターで努力していらっしゃる。そのように、やはり地方の皆さん方の努力にまちたいと思います。
 大都会から風光明媚、すばらしい環境のところへ行くためには、マイカーを規制して、そこからはバスでというような、さっき私が申しましたような地方の知恵というものも出していらっしゃいますので、ぜひ山口議員も、地方と連携して頑張って、それを存続するように新しいアイデアも出していただきたいと存じます。
山口(わ)分科員 私は、地方は全く努力していないとは言っていません。もちろんそれぞれの地域で努力はしています。地域の人たちの要望もきちっと受けとめながら、もちろん地方自治体もそれなりの努力をし、負担もし、そして鉄道を何とか存続させていきたいという努力はありますが、それだけでは、地方がこの財政難の折に、今のような財政状況の中で負担していくということは非常に困難だということで、国としてどういう位置づけでこの鉄道を考えていくのかということをお伺いしたかったわけです。
 もちろん、地方は、住民が目の前にいますから、それなりきに頑張って努力をしていますけれども、それだけではどうにもならない、財政負担が今地方にのしかかっているという、そのことは大臣も多分おわかりだと思っていますので、国として基本的な姿勢というものがやはり大事ではないかというふうに私は思っています。
 そこで、もう一つ。環境問題で鉄道をどう生かしていくかということ、これはやはり国も考え、地方も考えていく。国が基本的な姿勢を出すということは大変大事だというふうには思っています。
 ドイツの例ですけれども、ドイツでは自動車を計画的に削減していく方向だというふうに聞いています。私も、昨年この決算委員会でドイツを視察させていただきまして、非常に印象の深かったことは、できるだけ自動車を減らすということで、実は自転車の普及を図っているわけです。あそこは自転車ごと電車に乗せるスペースをつくっていまして、地下鉄でも路面電車でも、自宅から自転車で出ていきまして、途中から自転車ごと電車に乗って、そして目的地へ着いて学校なり事業所へ通うということが非常に盛んに行われていまして、道行くところに自転車が非常に多いのを見て、私も大変感銘を受けたわけです。
 鉄道路線が廃止になりますと、客車も廃車になる。客車も、要らなくなればごみになってしまうわけですから、ごみにしないで活用するということで、電車にもし自転車ごと乗せれば、自転車の不法投棄もなくなると私は思いますし、あれだけ広い場所に自転車の置き場をつくらなくても済むのではないかというふうに思っていますが、こういう提案なんかも、国として、一つの政策として、全国に流していくようなことを、もしお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
石川政府参考人 先ほど大臣が地方の例として御答弁された中の三岐鉄道でございますが、ここでは、まさに今先生御指摘のように、自転車の車内持ち込みというものがございます。いわゆるサイクルパスと称していますけれども、自転車そのものを鉄道の車両の中に入れて、お客とともに運ぶということをしてございます。
 ただ、基本的に鉄道のスペースというものが限られてございますので、この場合でもやはりある程度利用が限定されてしまうということになると思います。
 おっしゃるように、それでは全部鉄道の中も自転車でいっぱいにできればいいかというと、大都会の場合はそうもいきませんし、地方の場合でも、そういうスペースがあれば、そういうような形でのいろいろな工夫の中で自転車を車内に持ち込むということも現実にやってございますし、またそれが必要な地域であれば広めていけばいいと思っております。
山口(わ)分科員 最近、電車は連結が非常に少なくなっていまして、地方では、私の乗るところなんかは多くて二つぐらいしか客車がつながっていません。かつては六両ぐらいは平気であったわけですから、その客車をつなげれば自転車のスペースは幾らでもとれるというふうに思っていますので、やはり工夫次第で、とにかく自動車を減らす、そして鉄道を有効に利用するということも、これは考えていっていただきたい一つの政策として、私の方からお願いをしておきたいと思います。
 最後に。鉄道の中で、バリアフリーの問題はかなりやっていてくだすって、この点につきましては本当に感謝を申し上げているわけです。
 それと、実は最近非常に不登校がふえています。そして、不登校で悩んでいる子供さんたちのために、地域ではいろいろな学習の場を設定しながら、不登校で悩んでいる子供さんたちが違った形で学習ができるような、そんな取り組みもそれぞれの地域で進んでいるわけです。
 私も知らなかったのですが、つい最近お母様たちからの訴えがありまして、地域の保護者や教師などでつくっているフリースクールという制度があるわけですが、このフリースクールに通っている子供さんたちは通学定期がきかないのだそうです。
 本来だったら、高校に通えればもちろん通学定期が使えるわけですけれども、実際には高校へも通えない、通いたくても通えない。そこで、フリースクールに通っている子供さんたちが、学校といいましても少し内容は違うかもしれませんが、勉強に励んでいることには変わりがないわけですから、このフリースクールに通っている子供さん、小中学校はいいんですが、高校になりますと通勤定期しか使えないという現状の中で、何とか通学定期が使えないかという保護者の皆様からの熱い要望が来てまいりました。そのことにつきましてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
石川政府参考人 ただいま御質問のフリースクールの学生に対する通学定期の割引でございますが、お話のありましたように、いわゆる義務教育段階、小学校、中学校、このフリースクールにつきましては、文教政策上、学校外施設がいわばきちっと位置づけられたという形でございまして、これは文部省の通知が平成四年九月に出されてございます。この通知がございまして、文教政策上いわばきちっと位置づけられているということを受けまして、現在、鉄道事業者において、この義務教育段階におけるフリースクールの生徒に対しては通学定期乗車券を発売してございます。
 高等部生といいますか、高校生にこれを拡大するかどうかという御質問でございますが、これにつきましては、私どもとしては、義務教育段階にある不登校児童生徒の取り扱いと同様の扱いをするかしないかということについて、文教政策上の位置づけを明確にしていただくということがまず第一だと考えてございます。
山口(わ)分科員 文部科学省の管轄でもあろうかと思いますけれども、国土交通省としても、こういう子供さんたちに何とか通学定期をというお気持ちをぜひ持っていただいて、両者で検討していただければ大変ありがたいというふうに思っています。年々こういう子供さんたちはふえていきますし、学校へ通えないということは本当につらいことだというふうに思っていますので、ぜひ両方の省でこういう方向で考えていただければ大変ありがたいと思っています。
 最後に、先ほど私がお話ししましたバリアフリー化の問題です。
 年々計画どおりに進めていただきまして、エスカレーターとかエレベーターとか、そういう改善がされてきておりますけれども、私、よく高齢者からの質問を受けるんですが、一番困るのは、高齢者になりますとトイレの場所が非常にわかりにくいということがありまして、大概、ホームに行きますと、無理もないんですが、トイレというのはいつも一番端なんですね。非常にホームが長いですから、その端までトイレを探すということは、高齢者にとっては物すごくつらいことだというふうに思っております。
 私は、隅にトイレをつくらなきゃいけないことはしようがないと思うんですけれども、例えばホームの下、あるいは上にですか、駅の施設内に、近くにトイレがある場合もあるわけですね。一たんホームからおりて改札を出たところにトイレがあるということもあるわけですが、そういう案内が非常に不足しているのではないかということ。
 お年寄りが一番困るのはトイレ、あるいはホームと電車の間のすき間があき過ぎてなかなか渡れないという、そういう高齢者に対する、バリアフリーまでいかないまでも、そこのサービスということについて、もう少し配慮があってもいいのではないかというふうに思っていますが、その点についてはいかがでしょうか。
石川政府参考人 御指摘の問題は、案内の問題であるとか場所の問題であるとか、いろいろな問題があると思いますが、私どもの認識として、鉄道事業の利用者は、基本的に利用者自体が高齢化してございます。したがいまして、鉄道事業者の方も、旅客の大半がこれからは高齢化していくんだという認識のもとで、高齢者というものが特別のものではなくて通常の旅客の一人であるという認識のもとに、高齢者に対するサービスの改善というものにつきまして、鉄道事業者も努力していると思いますけれども、私どもも引き続き指導してまいりたいと考えております。
山口(わ)分科員 これから超高齢社会が訪れるというふうに思っています。二〇二五年には四人に一人が六十五歳以上ということになるわけで、高齢者に対する交通政策というのは、もっときめ細かい、あるいは地方にも優しい交通機関をきちっと整備し、あるいは高齢者も利用できるような、そういう交通を考えていくということが非常にこれから大事だというふうに思っています。
 これからも、そういった意味で、高齢社会に対する交通政策ということを、やはり国としても真剣に考えていただいて、みんなが本当に安心してお医者様へ行ける、あるいは地方の交流ができる、そんなふうなことをぜひお考えいただきたい。先ほどの御答弁もございましたけれども、なお一層御努力をしていただきたいということを最後にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
森岡主査代理 これにて山口わか子君の質疑は終了いたしました。
 次に、大谷信盛君。
大谷分科員 おはようございます。大谷信盛でございます。
 きょうは、運輸政策審議会の、平成元年五月三十一日に出ました「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について 答申第十号」、こういう名前がついておりますが、これの総括をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初、大臣にぜひとも大きな意味での総括をお述べいただけたらと思います。
扇国務大臣 いつも大谷議員には、熱心に国土交通行政に対して関心をお持ちいただき、御質問いただいております。
 今御指摘ございましたように、大阪圏、大変難しいといいますか複雑といいますか、公的あるいは私的、あらゆる面が大阪では入り組んでおります。しかも、お互いに乗り入れております。そういう結節点、そういう意味では、大阪は、鉄道整備というものでは、平成元年の五月に、運輸政策審議会、御存じのとおり、今の交通政策審議会が答申をされましたけれども、この高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画につきましては、鉄道整備の目標年次を二〇〇五年とする答申がなされているのは、今大谷議員が御指摘のとおりでございます。
 新設路線二百十八・八キロ、そして複線化の路線百十四・〇キロを整備することとされておりますけれども、このうちの新設につきましては、大阪市七号線、御存じのとおりでございますが、それから大阪モノレール線、そして京都市東西線等の百八・四キロメートル、そして複線化につきましては、よく言われておりますけれども、JR西日本の奈良線それから京阪電鉄の交野線等々四十三キロが既に営業中でございます。これも議員が御存じのとおりだろうと思います。また、工事中の路線も、新設が三十七・三キロメートル、複線化が二十六・〇キロメートルと着実に整備が進んでおりますので、そういう意味では、この大阪圏の交通網というものは着実に前進し、なおかつ近代化されつつある、そういう認識を大谷議員もお持ちじゃないかと思います。
大谷分科員 着実に進んでいるという御答弁でございましたが、二〇〇五年、ことしが二〇〇二年でございますからあと三年ですけれども、私の一番よくわかるのは当然私の選挙区のことでございますので、例えば十三番に千里中央―箕面中部、北大阪急行南北線の延伸とかとあるんですけれども、これは全く進んでいないわけなんです。
 また、ほかのところでも、進んでいるところ、進んでいないところ、あるかと思うんですが、今後、これは、十四年の間に大分社会状況も変わりましたので、その社会状況を踏まえて、見直しだとか、それは、やめるやめないもあると思いますが、新しいものも必要になっていくんじゃないかとかというようなことも含めて、毎年なのか隔年ごとなのかわかりませんが、何かレビューをしているようなことはありましたか。また、しようとすることはありますか。
石川政府参考人 この答申につきましては今お話がございましたとおりでございますが、答申後、現在まで、大体計画の四分の三ぐらいは、でき上がった、ないし建設中でございます。
 それで、残ったところをどうするのかというお話でございますが、それぞれの線区によって事情が違いますし、今お話しのように、社会的な動向も変わっているところもございます。したがいまして、これをどうするかということでございますが、大分時間もたってまいりました。そういう意味で、今後、社会情勢等の変化も踏まえまして、これをどうするかということについて、これから考えていきたいと考えております。
大谷分科員 私は、むだな公共事業はなくすべきだというふうには思いますが、必要な社会資本整備は、ある意味、採算性がなくても、政府、国の責任、また自治体の責任でしっかりとやらなければいけないという考え方を持っております。多分、局長も同じ考えだというふうに思うんですが、いかがですか。
石川政府参考人 鉄道の整備は、このようにさまざまな方々の御意見を受けながら、一つの計画づくりで特に都市の場合はやっているわけでございます。したがいまして、必要な路線というものをある程度計画的につくってございますが、ただ、現実には、それがなかなかできないという状況もございます。
 そういう中で鉄道をどう整備したらいいかということでございますが、基本的にやはり、そうはいっても鉄道は、でき上がった後運営をしなければなりませんので、どうしても採算性ということは考えていかなければいけないということでございます。
 したがいまして、採算性がとれない、あるいは採算性に大変疑問があるという鉄道につきましては、採算性ができるようにするにはどうしたらいいか、そういう意味でどういうふうなバックアップをしたらいいかということまで含めまして広範囲な議論が必要であるわけでございまして、必要だからつくるというふうに単純に言うのではなくて、やはり採算性をどうするかということを十分考えた上で現実の建設に入るべきだと考えております。
大谷分科員 もう局長の方から基準についての議論に入ったので、それを深めていきたいと思うんですけれども。
 これは、本当に採算性だけが一番正しい尺度なんでしょうか、僕は、そのほかにもいろいろな尺度がこれから二十一世紀あってもいいのではないかというふうに思うんですが。今、広範囲にわたる議論というふうにおっしゃいましたが、その尺度について、例えば環境の視点、例えば交通渋滞、車が多い。JR貨物の法案のときには局長とモーダルシフトについて議論をさせていただきました。トラックで物を運ぶよりか、電車で運んで、公害、いわゆる環境の課題であったり交通渋滞をなくしていこうという議論でしたが、全く同じことがここでも言える状況があるというふうに思うんです。
 採算性が将来はとれるようにする、もちろん必要なことです。しかしながら、鶏が先か卵が先かの議論も出てくるというふうに思うんですよね。そういうのがあって町ができていって、そこで多くの方が車ではなくて鉄道を使うようになって採算性がとれるようになる、もしくは、反対に、町というものが開発で新しくできて、その後線路が引かれる、そしてここが採算性がとれる。どっちが先かわからないところがあると思うんですが、尺度、基準について広範な議論というのは多分されていると思うんですけれども、そういう観点というのは今までなかったのですか。必要だというふうに思うんですが、局長はどう思われますか。
石川政府参考人 鉄道をつくった場合に、いわゆる地域開発効果というのがございます。ところが、鉄道事業者の中にそれを内包化するシステムというものをどうするかということがポイントだと思います。鉄道が敷かれ、地域が開発され、それによって鉄道に収益が上がる。その間の時間の差というものがあります。鉄道はあくまでも事業として行いますものですから、その時間の差というかリスクというか、それをどのように鉄道に内部化するかということが大事だと思います。
 先生御案内のとおり、例えば外国であれば、それを開発利益の還元と称しまして、地域の沿線の固定資産税をその分上げて、それを例えば鉄道事業者に還元するとか、そういうふうなシステムがあって初めて鉄道事業者として安心して投資ができるということだと思います。
 残念ながら、現時点において、日本においては必ずしもそういう制度が制度化されておりません。そういうものにつきましては、やはり、鉄道事業者がリスクを負ってまで新しい鉄道をつくる時代というのがだんだん減ってまいりました。そういう中でどういうふうに国なり地域がそれをバックアップするかという議論だろうと思いますが、さまざまな観点での議論を深める必要があると思っております。
大谷分科員 提案しようと思ったのを先に言われたんですけれども、まさにいろいろなシステムを考えれば、鉄道が安全にその後も会社運営できる、要は鉄道輸送できるという仕組みがあると思うんですが、これは地域によっては個別に、固定資産税がいいのかどうなのかわかりませんが、何らかの形での財政的後押しがしっかりとできる、基盤が安定する方法というのはあると思うんです。
 例えば私の地域ですと、この北大阪急行の場合、いわゆる千里中央というところまで地下鉄御堂筋線が来ております。そして、それを二・五キロ延ばそうという計画なんですが、この千里中央周辺、朝のラッシュ時、とても車でいっぱいになります。いわゆるキス・アンド・ライドで、車で送っていただいて、おりて電車に乗って通勤に行く。いわゆる郊外の住宅地から大阪市内に通われている方が多いのですが、その周辺はやはり交通渋滞です。
 御堂筋四百二十三号線がございますが、ここも車で渋滞で、夜ですと二十分で着く大阪市内が一時間半もかかってしまうような状態です。ですから、本当は電車で行きたいんだけれども、私の地域の人たちにとっては、どうしても千里中央まで出ていかなければいけない。その分、車で送っていただく。そうすると、またこれは悪循環で渋滞がひどくなっていく。それなりに、もし、この二・五キロ延びて、もう少し箕面市の中に入って駅があったとするならば、その辺の地域はそんなに込んでいませんから、もっと円滑に通勤ができる。すなわち、渋滞がなくなるというようなことになるんです。
 その二・五キロで採算性、多分、五万人とか六万人とかという数字を、一日乗るか乗らないかという議論がずっとされたりするわけですけれども、これが、たとえ三万でも、そういう基盤が、会社側の経営が安定するような財政的支援のシステムをつくれば、ここのケースにおいては僕は十分延ばしていける価値があるというふうに思うんです。
 必ずしも先に採算性ありで考えなくてもいいんじゃないかというふうに思うんですが、個別のケースで考えていくと、その辺はどう考えますか。
石川政府参考人 ただいま御指摘の北大阪急行線の延伸約二・五キロでございますが、私どもの試算によりますと、この鉄道建設に当たって、約九百億から八百億円ぐらいかかる予定になっています。地下方式ですと約九百億円でございます。高架で約七百三十四億円という試算になってございます。需要予測でございますが、一日当たり四万人から五万人というふうなケースでございます。
 一つは、この場合にどういう運賃を取れるかということもあるわけですが、さまざまな運賃制度でありますが、やはり、そう高い運賃は取れないということだろうと思います。そういう中で、どのように事業採算性をとるかということになりますと、例えば、さまざまな補助金を入れ、さまざまな銀行の低利の融資を受けたとしても、現時点においては事業採算性が得られないというふうなことでございますので、したがいまして、今の制度を超えた、利子のつかないお金をどうやって確保するかということがやはり必要だろうと思っています。
 先生お話しのように、それは将来は採算がとれるかもしれませんが、当面の建設資金あるいは運営資金というものも当然必要なわけでございますし、そういうものを銀行が貸してくれるような採算性を整理しないと、やはり事業としては成り立たないということでございます。したがいまして、これについては、現在いろいろなところで研究もしてございますけれども、もう少し無償資金というものをどう入れるかということが一つのポイントだろうと思っております。
大谷分科員 それも確かにポイントだというふうに思います。しかしながら、ある意味、これはどの鉄道の許可もそうですが、許可したと同時に補助金というものが必ずつきます。その補助金の額というものも、個別にいろいろな算出方法があるんだというふうに思います。そこの環境だとか、繰り返しになりますが、例えば交通渋滞を緩和していくとかというような観点を入れて、補助金が多くなったり少なくなったりというようなことも一つ考えられるんではないかなというふうに思うんです。要するに、社会資本整備という観点から補助金が多くなったり少なくなったりするんですけれども、それはどうですか。
 簡単に言うと、例えば今まで、四分の一が国で、半分が会社で、そのまた四分の一が自治体、大阪の場合は、府、市ということになるんですが、大体こんな大きな振り分け方だというふうに言われてきているんですけれども、そこのところは個別の事業の目的によって変わってもいいんじゃないかというふうに思うんですが、それはどうですか。
石川政府参考人 現行の補助制度が十分であるかどうかという御議論はあると思います。ただ、この鉄道は環境に優しいから、この鉄道はどうだからということで、鉄道の間において格差をつけるということにつきましては、私は、どちらかと言えば、先生おっしゃるように、鉄道自体が基本的に環境にも優しいものでございますから、鉄道の中で差をつけるというよりは、鉄道に対する助成制度をどう拡充するかという観点の中で、例えば環境の問題であるとか、そういうことがどこまで主張できるかということだと思います。
 ただ、残念なことに、それは、いいものはいいのですけれども、やはり、環境にいいからといって赤字の鉄道をつくるというわけにはいかないということは御理解いただきたいと思います。
大谷分科員 それは理解いたします。わかりました。
 鉄道と鉄道で比べるわけにいかないというならば、例えば高速道路だとか国道だとかというところと比べたら、鉄道の方が環境に優しいわけですから、鉄道の方に予算を回そう、その分補助金がふえるとか。せっかく建設省と運輸省が一緒になった国土交通省でございますからという大臣のいつものすばらしい看板言葉があります。それに沿って考えるならば、私は、そうやって自動車の部分を減らしてとかというようなことは、省庁の中での予算の割り振りの中で十分考えられるというふうに思うんですが、いかがですか、局長。
石川政府参考人 担当の局長として、当然、予算の増額、予算の確保ということにつきましては、精いっぱい努力しているつもりでございます。
大谷分科員 済みません。テクニカルな話に戻りたいと思います。
 今、例えば、この個別のケースで局長の方から数値を出していただいたんですけれども、地下を掘ったら九百億円、高架だったら七百三十四億円というふうに聞いたんですけれども、これはどんなあれですか。僕は、もうちょっと安いんじゃないかなというふうに思うんですけれども。これは局長がわざわざ計算してくれたんですか、それはどこからか出していただいた数字ですか。
石川政府参考人 失礼しました。この数字は、箕面市の調査報告書でございます。
大谷分科員 わかりました。
 次に、私は、この審議会の中で、AランクとかBランクとか、言い方がちょっと違うんですけれども、ありますよね。これはどんな基準でお分けになっているのか、当時はそんな議論があったんでしょうが、もう一回ちょっと教えていただきたいんですが。
石川政府参考人 この答申を議論する場合に、やはりさまざまな要素がございますが、その中でも、非常に緊急性の高いもの、あるいは実現性の高いものにつきましては、いわばAランクという形でございます。
 ただ、繰り返しになりますが、さはさりとて、現実にできるかどうかということは必ずしも同じではございませんが、当時の議論としては、やはり実現性の高いもの、緊急性の高いものを優先してやっていこうという議論だと思います。
大谷分科員 さっき四分の三が完工もしくは工事に入っているというふうに言われましたが、これは、Aランク、Bランク、C、Dランクぐらいまであるんですか。四つぐらい、五つぐらいのカテゴリーに分かれていますよね。A、Bはよく聞くんですが、C、Dというランクの聞き方はしないんですけれども。二つ、A、Bだけですか。(石川政府参考人「はい」と呼ぶ)A、Bだけですね。Aは、すぐに着工すべき、Bが、いわゆる二〇〇五年、平成十七年までに着工すべきということですよね。
 これは、四分の三の中で、やはりAランクの方が先に終わったということなんですか。AとB、このときの分け方によって、着工、これは四分の三に、入っているものとまだできていないものが分かれているということなんですか。
石川政府参考人 今申し上げましたように、Aランクの方が優先的にやるわけでございますが、先ほど御報告申し上げた現在までの結果というものは、一部例外はございますけれども、基本的に、やはりAランクのものが実現化しているというふうに御理解いただけたらと思います。ただ、もちろん例外もございます。
大谷分科員 ということは、もちろんBであったとしても、さっき最初に僕は見直しとかあったんですかというふうに聞いたんですけれども、そのことについての答えは余りなかったんですけれども、国土交通省としては、この平成元年のときの方針に基づいてしっかりと二〇〇五年までにつくっていくということに変わりはないということですよね。
石川政府参考人 私ども、基本的に、現在の答申、この線に沿って整備を進めていくということには変わりはございません。
大谷分科員 わかりました。ぜひとも、社会状況が変わってきている中、新しい付加価値を考えた上で、なおかつ、新しいシステムを取り入れた上で、できるような努力を一緒にさせていただきたいなというふうに思っております。
 次に、この鉄道の、大阪全体の話に移りたいんですが、僕の地域でいうならば、モノレールがあったり等々するわけですけれども、今後、大阪の中で、もちろん府が考えることでもあるんですが、大阪の中でそれなりに交通渋滞を緩和していくときの鉄道網の役割というものは十分議論されてきたというふうに思います。その結果、これが平成元年のときに出てきたと思うんですが、これは、今後、今の社会状況を分析して、何か新しい鉄道網の役割について、この二〇〇五年以降に考えるような議論というのは今出てきつつあるんでしょうか。もしあるとしたら、どんな内容のものなのか、教えていただきたいなというふうに思います。先の先の話です。
石川政府参考人 大阪の交通につきましては、従来大きなポイントがあったと思いますが、一つが、関西空港へのアクセスをどうするか、それから、大阪の東西の交通をどういうふうにするか、あるいは南北のさまざまな道路の下をどうするかという幾つかの問題があったと思いますけれども、基本的に、今までのところ、関空のアクセスにつきましては一応鉄道整備ができてございます。それから、大阪の東西につきましても、片福連絡線その他ができて、一応できていると思います。
 さらに、もう一つのポイントは、大阪の都心についてどういうふうにするかということでございまして、これにつきましては、中之島新線でありますとか阪神西大阪線の延伸でありますとか、新しいプロジェクトにタッチしてございます。
 それから、大阪の東の方につきましては、大阪八号線あるいは大阪の貨物線の旅客線化というふうな形で、東の方の対応もしていると思います。
 そういう意味で、大阪については、現在、ある意味で全般的に整備を進めているというふうに私は認識してございますが、さらにこれ以上の先の問題が何かという御質問でございますが、現在そういう整備を進めていく中で、これから考えていきたいと思っております。よろしくお願いします。
大谷分科員 わかりました。その質問の答えも、裏返せば、今ここにある平成元年に決められた答申をしっかりと進めていくことが何よりも先決だというふうに受けとめさせていただきました。私もそのとおりだというふうに思うので、ぜひともともに頑張っていきたいというふうに思います。
 本当に新しい仕組みが二〇〇五年までに考えられるかどうかわかりませんが、採算性だけではなく、採算性がとれるようにするためにも、環境や交通渋滞ということの観点を入れて、ぜひとも、財政措置を含めた上での許可というものを考えていけるような、そんな方向性を見出していただけたらというふうに思います。
 これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
森岡主査代理 これにて大谷信盛君の質疑は終了いたしました。
 次に、長浜博行君。
長浜分科員 長浜博行でございます。きょうは、質問の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。地元の問題ということで、幾つかお尋ねをしたいことがございます。
 大臣の場合は、ほとんど車を使われますから、余り霞が関とか……(扇国務大臣「そんなことはありません、全国区ですから」と呼ぶ)そうですか。霞が関とか銀座とか日比谷に行かれるときに、千代田線というのに乗られる方も中にはいらっしゃるかもしれません。大体その千代田線の行き先を見ると、柏行きとか我孫子行きというふうになっているはずです。足立区の綾瀬でとまる場合もありますが、大体千葉の柏、我孫子あたりが終点。そういったところから選出をされておりますので、満員の通勤電車で通っている一人でもあります。一時間ぐらい、一時間から一時間十五分ぐらいで到着をしますから、平均的なサラリーマンの方と同じぐらいか、ひょっとしたらちょっと短いぐらいかもしれません。
 そういう状況の中で、常々環境委員会の方に身を置いているものですから、いつも環境委員会の場で、大臣がおかわりになったりするとこの質問から始めるわけでありますけれども、国土交通大臣、もちろんもとの建設大臣にはこういう質問をする機会がありませんでしたが、大臣は、統計をとり始めてですから、統計がないときから含めると一体何年になるのかわかりませんが、二十年から三十年にわたって日本で一番水質の悪い閉鎖的な水面といいますか、簡単に言えば湖沼ですけれども、それがどういったところか御存じでございましょうか。
扇国務大臣 きょう御質問に立たれて、私が車だけとおっしゃいましたけれども、私は全国区でございますので、選挙のときは必ず電車で行かなければ時間厳守ができない。それからまた、今回、ワールドカップサッカーというものを共催で韓国といたしました。おおむね終わりまして、世界じゅうからお客様をお迎えしました。思ったより数は少のうございましたけれども、あらゆる皆さんの声として、定時に出発するということで、交通機関が余りにも時間厳守にびっくりしたという評価をいただきました。うれしいびっくりでございまして、こういうびっくりはしょっちゅうしていただきたいと思います。
 今、議員の御質問の中で、交通の面と湖沼の面と両方またがっておりますので、どっちからお答えしていいかわからなくて困っておりますけれども、資源、水の、湖沼の面での確保ということは、今、長野県が大問題になっております。先ほど冒頭に長野選出の議員からの御質問もございましたけれども、ダムの問題であれだけ問題になっておりますけれども、湖沼という関係から考えますと、長野県、脱ダム宣言をなさいました。それも一つの御意見であろうと私は思います。
 けれども、現実的には、私のところに、下諏訪とか岡谷とか、皆さん方が、自分たちの飲んでいる水の安全性というものは那辺にあるのか、自分たちは地下水で飲料水をとっている、岡谷、下諏訪は。ところが、それを検査してみると、クロロエチレン等々発がん性の物質がその地下水の中にある、だから、我々は一日も早くダムをつくって安全な水の確保をしてほしいという陳情も私のところへ逆に来るわけですね。
 ですから、今おっしゃったように、交通機関と湖沼問題と両方おっしゃいますけれども、私は、これは双方関連はあるけれども、それぞれ違った対応の仕方をするべきであり、また、その箇所箇所によってはそれぞれの言い分がございます。うちのところは便利だけれども水が汚い、うちは不便だけれども水がきれい等々、日本の地域によって地域差がございますし、今おっしゃいましたように、私もある程度電車に乗って、千葉にも行きますし、松戸にも行きます。新橋から地下鉄に乗って、これが乗り入れておりますので行きますけれども、行くとやはり空気がきれいですね。東京と、あらゆるところで、あっ、空気がきれいだなという感じはいたします。この間も埼玉へ行きまして、そこに土屋議員がいらっしゃいますけれども、放水路へ行きまして、ああ、いい空気だなと思いました。いい空気のところは水がきれい、当然だろうと思います。
 そういう意味では、我々は、交通と湖沼関係というものは密接に関係があるなとは思いますけれども、すべからく満たすということは、今の日本の状況では大変難しい問題も抱えながら、我々はより安全でより安心した生活が一人一人ができるようにという、その基本に立って、交通と湖沼のあり方等々、両方相まって満足度に一歩でも近づけるように努力しているのが現在でございます。
長浜分科員 質問に入る前のまくらでありましたので、これが質問では全然ありませんが、むしろ今のお話でいえば、水質はよくないわけであります。そして、二番目に道路の質問もいたしますが、空気は大変よくないというところで生活をしている人間の一人でありまして、この手賀沼という日本一水質の悪い地域も、驚くべきことにこの国会議事堂からわずか一時間ぐらいのところにあるということを申し上げたいわけでありまして、それが我孫子、柏の地域にあるわけであります。
 芸術文化に大変造詣の深い大臣にお尋ねをさせていただくわけでありますが、我孫子というのは、白樺派、武者小路実篤とか、大正時代のときでありますが、北の鎌倉と呼ばれるほど文化の隆盛を誇ったところでございます。そういった中において、きれいな、当時はきれいだったんですね、何か潜れて、魚も随分いたというところでありますから、そういったところの水の周りに、まるで古代の文明ではありませんけれども、水の周りに文化がはぐくまれた。今は、夏のこの状況でありますと、アオコの腐ったにおい等々含めて、水質だけではなくてにおいの問題も含めて、とてもゆっくりと文学を考えておられるような状況ではないんですが、そこの手賀沼に行くところの最寄りの駅が、今申し上げました千代田線の終点の我孫子でございます。
 その我孫子を始発としてと言ったらいいのか、我孫子を終点としてつながっているのが、成田線という鉄道がございます。昨年、二〇〇一年でありますが、百周年を迎えまして、鉄道開通百周年ということで式典も持たれたわけであります。
 これは、成田といいますと、どうしても成田空港へのアプローチ、成田空港へのアクセスの拠点というふうに思われるかもしれませんが、確かにそれも一つあります。私なども、海外に行かせていただくときは、私の自宅からこの成田線を利用しまして、成田から乗りかえて成田空港へ行かせていただいておりますので、中にはこういう方もいると思いますが、そのもう一つは、周辺の地域での、これは民間ディベロッパー等々のさまざまな営業手法の一つかもしれませんけれども、この成田線を使えば東京まで一時間以内で行けますよ、いずれは、現在基本的に単線路線でありますが、複線化されることによって大変良好な住宅地にもなりますよと。しょっちゅう海外に行かれる方ばかりが住むわけではありませんので、見る方向としては東京の方を向いた形でのJR成田線の百年の歴史がここに積み重ねられているわけであります。
 これがなかなか、百年の歴史の中においても複線化が進んでいかない。いろいろお話を伺っておりますと、あるいは、今先に二人の議員が御質問に立たれましたので、幾つか示唆をいただいた部分も私ございますけれども、鶏が先か卵が先かというような問題で、特に乗降客がふえないと民間企業としてはペイしない。
 これは、先ほど局長の御答弁の中にもありましたように、この百年の歴史の中においての、国鉄からJRという民間企業への大転換がなされたわけでもありますけれども、その引き継がれたといいますか、一般財源の中で償却をもしている過去の国鉄清算事業団の問題等々も含めて発言をさせていただけるんだとしたら、このJR成田線の極めて歴史的な複線の問題に関して、特に、平成六年においては、JRの東日本から、増便、複線、こういった計画が発表されたりもしております。
 しかし、残念ながら、地元の人たちから見ると、現実にはこの問題も凍結状態のまま進んでいないんではないかな。このまま実はこの成田線という一つの大きな歴史を持つ線も、はっきりとこの鉄道がもうなくなってバス路線に転化するんですよという答えが出ているんならそれも一つではありますが、そういったことではまるでなくて、できれば一部複線化をしよう、将来的には完全複線化を目指そうという考え方の中で活動をされている方々も多いわけでありますので、この点について御所見を伺いたいと思います。
石川政府参考人 ただいま御質問のJR成田線でございますが、約三十二・九キロでございます。
 これは、今先生お話しのように、平成六年にJR東から、地元の協議会に対しまして、一部複線化というお話がされたと思います。ところが、実は、平成六年から今日に至るまでの間、年々成田線の輸送人員が減ってきておりまして、平成七年を一〇〇といたしますと、平成十三年は八九・六%ということで、約一割残念ながら旅客数が減ってきている段階でございます。したがいまして、そういう意味で、JR東は、平成九年の段階でこの計画の一時断念、中断ということになったわけでございます。
 今申し上げましたように、全体の旅客需要が一割減している中でどういうふうにするかということだと思います。今、地元の宅地開発その他のお話がございましたけれども、いずれにしても、旅客数がふえていくという方向にならないと、この問題を進めていくということはなかなか難しい。そういう意味で、沿線自治体においてさらに旅客の増加ということについて御努力いただくことが必要だろうと思っております。
長浜分科員 沿線では、この成田線を、百周年を記念して水空ライン成田線というか、水は今言った手賀沼、湖があるということで水を入れるんでしょう、空は成田空港があることで空を入れて、このネーミングがセンスがいいか悪いかどうかという議論は別にして、スポット対応でのある種の、さまざまな駅、ここには茨城県選出の議員の方もいらっしゃいますが、千葉県、茨城県を通って、そしてまた成田につながるという中においての行事はされているようであります。
 もちろん、経済の後退局面を迎える中において、この鉄道が単線のままであるのか、複線化を必ず、時期的にもおくれるけれどもされることが約束をされているかということによって、当然のことながら、その周辺で開発されるところの宅地、宅地供給、こういった問題での先ほど申し上げたどっちが先になるのかなという議論が常につきまとうわけであります。もうちょっと乗降客がふえれば、利用客がふえれば複線への道が開けていきますよと言いますけれども、複線への道が開けない限り、恒常的な今申し上げたような観光対応等、あるいは成田空港を時々利用する、こういった面での乗客数の増加にはなかなか正直言ってつながっていかないのではないかなというふうに私は思うわけであります。
 あえて申し上げますが、時々変わった外国人の方がいらっしゃって、東京までさっと行ける電車がこのごろありますけれども、JRもありますし私鉄もありますが、そういったものに乗らずに、成田から東京へ行く間に、窓のあく電車、つまり、いろいろな駅にとまりながら、日本というのがどういう国なのかなというのを見て行きたいというような方は大体私と同じようなルート、成田から我孫子に出て、我孫子から今度は常磐線という、ふるさとのなまりを聞く上野駅に着くわけでありますけれども、こういった電車を利用しながら日本という国を知ろうという方もいます。
 こういった中においては、今の状況の中でも、実はスピード的にいえば、特急で東京に入られる方と余り違わないと言ったら怒られるかもしれませんけれども、時間的にはそれほど大きなクレームの問題にはならない、むしろそれは楽しみの中に入る時間帯かなというふうに私は思うんですが、私が申し上げているのは、早朝の、あるいは夕刻の通勤時間帯における本数の少なさという問題なんであります。
 この問題を解決しないと、そこに住んでいる住民の方々の便益が、局長、御存じかとは思いますけれども、その減っている一つの要因というのが、バス便によって天王台というJRの常磐線の駅に、そちらに向かわれて、もう成田線を利用するのをやめようやというような状況になっていることも事実でありますから、方向性をきっちり打ち立てることによって、ある意味で、ただ一方的に複線化を要望しているんではなくて、方向性がはっきりすることによって、この地域の性格性、住宅地になるのか、あるいは緑豊かな、そのまま残したような、湿原とは言いませんが、草原のまま残るのか、こういったことも違ってまいりますので、ある程度の方針をお示しいただくということも大事なことと考えるのですが、いかがでしょうか。
石川政府参考人 先生、まさにお話がありましたように、その地域をどういうふうに開発するかということにつきましては、むしろ地方自治体がまずどう考えるかということが大事だろうと思います。それを鉄道事業者に求めるというのは、むしろ無理だろうというふうに私は考えます。そういう中で、鉄道事業者として、旅客をふやすことによってどうサービスを改善するかということを考えていくものだろうと思っております。
長浜分科員 ですから、先ほど来、時間が短い中で申し上げてまいりましたように、きのう、きょうできた鉄道ではございませんので、国鉄の時代から続いている鉄道で、そのときには、国鉄も含めて、この地域の住民の皆さんと一緒に、ある夢があって、東京隣接地域だということもあって語られたところもあるわけでありますから、今、六十二年ですか、JRに、民間企業になった後の段階でのところからの仕切りのお話ではないということだけは、私は申し上げておかなければならないんだというふうに思っております。
 もちろん、地域の自治体でも、当初、平成六年のお話でありますと、百億近い負担をしなければいけない。もちろん、当時は自治省でありますから、そのうちの七五%ぐらいまでは何とか地域自治体の中で考えたとしても、あとの二五%は民間から調達をしなければいけない。事実上不可能でありますから、そういった現実的な努力を積み重ねた上で、あえて、私だけではないと思いますが、関係議員が党派を超えてこの問題に関して御質問を続けているわけで、その点は十分御認識をいただきたいというふうに思っているわけであります。
 もちろん、民営企業になりましたが、これからもこの成田線の問題に関しまして、JR当局との話し合いといいますか、御指導にも力を入れていただきたいということを最後にお願いしますが、いかがですか。
石川政府参考人 今お話ありましたように、成田線、古い歴史を持ってございますが、ただ、具体的にこの設備投資をどうするかということにつきまして、今お話があったように、JR東、民営化されたこの会社に対してどういうふうに対応するかということ、大きな問題だろうと思っています。私どもとしては、やはり地域の実情に即した対応はしていく必要があると思っておりますが、ただ、繰り返しになりますけれども、鉄道事業としての採算性、これも大事、その両方をどういうふうに調整をとるかということについては、私どもも知恵を出さなければいけない面があると思いますけれども、特にその地元が、地域がそういう知恵を出していただきたいというふうに考えております。
長浜分科員 次に、道路の問題に移らせていただきたいと思います。
 これまた先ほどの、何か自分の地域の不名誉なといいますか、余り喜ばしくないことばかり申し上げるのもなんでありますけれども、国道六号線という東京から出ている国道と、それから東京を環状に取り巻いております十六号線という、そこのクロスがあるのが私の住まいのすぐ近くであります。
 これはほとんどの方が、多分職員の皆様も含めて、ドライブをされる方は、交通情報になりますと、柏の呼塚という名前が必ず出てくるんではないかなというふうに思います、渋滞何キロでと。単純な物すごい、流れでいえば、別にナンバリングがどうこうではありませんが、六号、十六号という二つの物すごい交通量を誇る道路が、これも後で御説明をいただこうと思いますが、大体五年ごとに昔の建設省も調査をされておりますので、たしか前回は九年度の調査でありますから、十四年度調査が五年後ですから、ひょっとしたら十四年度調査というよりは九年度調査しかまだ出ていないのかもしれませんけれども、大変交通量の多い地域。
 ここの、きょうは、先ほど申し上げましたように、環境委員会ではありませんので、環境の視点からは申し上げませんけれども、ディーゼル車によるところの浮遊性の微粒子とかNOx、それからCO2、先ほど大臣答弁にも、ほかの方のときにありましたけれども、鉄道は道路の十分の一ですか、これは代替ができないところなので、道路という問題に限定をして考えていかなければならないのですが、さすがにこの地域をバイパスを通そうという話になってまいってきたわけであります。
 大変私が注目をしたのが、この千葉柏道路と命名されているのかどうかわかりませんが、十六号のバイパス、六号の呼塚の交差点を避けてバイパスを通していこう、こういう道路の発想を、PI方式というのですか、パブリックインボルブメントという考え方で、ある程度の考え方をその地域の住民の皆さんに先に知らせる。そして、御意見をいただきながら、この道路の方法、どういうふうにしていったらいいか、コースはどうしようかというところまで含めて話し合いながら考えていこうという、なかなかユニークと言ってはなんですが、地域住民の意見を聞いてくださっている方法だなというふうに思っておりますが、そのPI方式並びに千葉の柏道路の今の現状について、ちょっと御説明をいただければと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘の国道十六号は、首都圏の大体三十キロ圏を結ぶ大きな環状道路でございまして、千葉県の中では、東葛地域と千葉市や東京の臨海部を結ぶ、こういうことで、大変重要な、社会経済活動に欠くことのできない重要な路線でありますけれども、御指摘のように、柏の呼塚交差点を初めとしまして、柏から野田の間で四カ所ほど重大な渋滞箇所がある、こういうような状況でございまして、こうした東葛地域の交通の円滑化、沿道環境の改善、これを目的としまして、千葉柏道路の調査を進めているところであります。
 この千葉柏道路協議会は、学識経験者の方と市民の代表の委員と関係機関、各市の助役さんでございますが、お入りいただきまして、千葉柏道路の計画づくりに当たりまして情報を共有し、意見を述べることによりまして、よりよい計画とするということを目指して、計画の基本的な考え方やコミュニケーション活動で得られた主な意見などについて検討して取りまとめを行っていただく、こういうことになっております。事業実施主体である国土交通省へ御提案をいただきまして、この千葉柏道路の計画づくりに反映させるということを目的として設立されたものでございます。
 平成十三年の七月二十四日に第一回の協議会を開いていただいて、さらにこれまでに六回協議会を開催しながら、地域の道路交通の現状と課題、あるいは地域の将来像、こうした検討を進めてきているところでありまして、今後、道路計画や沿道づくりのコンセプトあるいはまちづくり、環境面等配慮すべき点等について検討をいただきまして、方々一緒に、国土交通省、それから千葉県一緒になりましてこの検討を進めている、こういう状況でございます。
長浜分科員 もう少し詳細に、現時点での検討の状況と、それから、具体的には完成の目途はいつごろに置いておられるのか、その点について御答弁を願います。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 第一回の協議会では、協議会の進め方あるいはこの東葛地域の道路交通の現状と課題等を説明させていただきまして、さらに六回開いておるわけでございますが、現在は、第六回では一般公開もさせていただいて、これまでの検討経緯をまとめまして、道路のコンセプトをまとめて出させていただいている。さらに、考えられる対策案であるとか今後の進め方につきまして討議をさせていただいている、こういう状態でございます。
 多分、先生、ではいつごろまでにそれがまとまって、こういうことでございますが、第六回がこの七月の十九日に開かせていただいた、こういう状態でございまして、いつまでにはまとめていただくというふうにこちらの方で勝手に指定することもなんでございますが、できるだけ早急に、来年あるいはもっと早くというような形で御討議をお願いしている、こういう状態でございます。
 あわせまして、完成の目標、こういうお話がございましたが、先生御存じのような情勢の中で、まず計画づくりをきっちりと、まちづくりと一緒に、みんなで、住民の皆様と一緒に考えながらやっていこう、こうしたことで始めていただきました協議会でございますし、目標年次をいつごろにはという形で現時点で私どもが申し上げる、こういう形ではなくて、皆さんと御議論する中でできるだけ急ぐという、急ぐ状況で可能な範囲をお互いに協議し合って、認識し合いながら、同じような形の目標を一緒にさせていただいてという形が望ましかろうと思いますので、現時点でいつまでと明確に国土交通省としての目標を掲げているわけではございません。一緒に考えてまいりたいと思っております。
長浜分科員 今お話ありましたように、いわゆるコースの選定、あるいは地上を通すのか、空中を通すのか、地下を通すのか等々を含めて具体的な問題で、最初のお話し合いのころはよろしいんですが、こういった問題というのは必ず強い障害にぶち当たってまいりますので、今おっしゃられました、非常に地域の住民の意識を尊重すると、慎重に検討していただいているということは評価しつつも、しかし、その音頭をとっておられるところは国土交通省でございますので、そういったところでの強いリーダーシップがないとせっかくのお話が、今度はまとまるという時間的な経過の中においてどんどん問題が先送りにされる。
 別に先ほどの成田線の質問と絡めて言うつもりはありませんけれども、この問題も単に地域的な問題だけではなくて、今申し上げましたように、神奈川の方とかあるいは茨城の方、こういったところに住んでおられる方々の通過点としての問題でありますので、そこに住んでいる人間がある種の交通渋滞をこうむっているだけではなくて、ここを利用される、環状道路それから東京都の放射線道路とのクロスでありますので、そういった意味合いからも、全国民とは言いませんけれども、かなりの広い地域の皆様にわたりましてこの柏の呼塚問題というのは御理解をいただける点だというふうに思いますので、強いリーダーシップを発揮していただきたいということをお願い申し上げます。
 いかがでございますか、大臣。御所見でもいただければと思うんですが。
扇国務大臣 今の長浜議員の御質問に道路局長が答えましたとおりでございます。
 住民の皆さん方の、あらゆる検討委員会等々で御論議をいただいております。また、御存じのとおり、この論議がいろいろな環境問題それから用地買収等々、少なくとも環境の評価というのは、都市計画の手続に今まで、環境問題はおおむね二年から三年かかっております。果たしてそれでいいのかどうか。地元の皆さんの御意見を聞きながら、地元選出の議員として、環境の評価というものをなるべく前倒しにしなさいとか、多くの皆さんの環境評価というものがそれだけで二年、三年というのは、私は、おおむね春夏秋冬、四季を通じて環境の評価というものを出してもいいのではないかというふうにも考えています。
 それは地元の皆さんの御意見ですから、私が強要するつもりもありませんけれども、ぜひ長浜委員等々は地元で、環境評価はもう少し早く出しなさいとか、あるいは用地買収というのも、今まで用地買収するというとおおむね十年かかってしまうというのもざらにございます。私は、それではまたコストが高くなる、そういう意味で、どうかその辺も、せっかくインボルブメントの方式をとっているんですから、ぜひ地元の選出の皆さん方がこの協議会に多くの皆さんの御意見を早期に働きかけて、早期に結論を出し、また環境評価というものも一日も早く出すということの御努力を、ぜひ御指導も、そして啓蒙もしていただきたいなと。それが一番早い道ではないか。
 せっかく多くの皆さんに御論議いただくような協議会をつくっているんですから、ぜひその協議会をまとめるという、うちが指導をもって方向性を決めるということは、むしろ地元の皆さんにとっては反発が多くなると思いますから、環境の評価そして土地収用の問題等々、地元の御協力を、ぜひ声を大にしてあっせんしていただくなり誘導していただければありがたいと思い、それが一番の近道だと思っております。
長浜分科員 質問を終わります。ありがとうございました。
森岡主査代理 これにて長浜博行君の質疑は終了いたしました。
 次に、牧野聖修君。
牧野(聖)分科員 民主党の牧野聖修です。
 通告をさせていただきましたそれに従いまして、第一点目は木造住宅の振興について、第二点目は、それに関係しまして文化財の保護、振興、そして三点目は、大変恐縮でございますが、私の地元に関するところの道路問題、治山問題等々について若干質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、木造住宅の振興について質問をさせていただきますが、ここ近年、木造住宅の着工戸数がずっと減少してきている、その原因をどういうところに考え、その対策はどのように行っているのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 全体的な戸数の減少が、わずかながらではございますが、最近減っております。その中で、例えば戸建て住宅につきましては、やはり国民のかなりの、大多数の方が木造住宅で建てたいということでございます。若干減少傾向ではありますが、やはり木造住宅に対する根強いニーズがあると考えております。
 それから、先生今御指摘になりましたとおり、地域材等を活用しました良質な木造住宅の整備ということは大変重要な課題だと考えております。
 国土交通省におきましては、林野庁とも連携をしておりまして、地域材を活用した優良な木造住宅団地、これをフォレストタウンと言っておりますが、この整備の推進、あるいは木造公営住宅の整備を推進すること、それから地域特性を踏まえました良質な木造住宅に対する住宅金融公庫の融資額の割り増し、さらに木造住宅に関する技術者あるいは技能者の育成のための講習会開催に対する補助等々、施策を総合的に講じてきております。
 今後とも、各地におきます木造住宅振興施策あるいは中小工務店の体制整備に対する支援などを通じまして、良質な木造住宅の供給を推進してまいる所存でございます。
扇国務大臣 今、牧野議員から、木造住宅の建築量が減ってきたのではないかというお話がございました。全体に減っておりますけれども、需要、希望がまたふえております。これは復古調でございます。
 それは今、今まで考えられなかったシックハウス症候群という、原因ははっきりいたしません、けれども、今大体二種類の新建材の塗料でありますとかあるいはのりでありますとか、そういうところでシックハウス症候群が起きるのではないかと言われておりまして、少なくとも純粋の木造にした方がシックハウス症候群にならないというような傾向にもございます。今度の首相官邸の新官邸も、ほとんど木目を使い、木材を使うという手法をとっております。
 そういう意味で、今までになかったシックハウス症候群等々を避ける意味でも、純粋の木造家屋というものに、傾向的には復古状態にあるということで、私は、そういうことからも数はどんどんふえてくるのではないか、しかも、木造で、今までは二階建てでしたのが三階建てもオーケーだということになりましたので、建築上も木造の需要性というものは健康面においても大変ふえてくる、そういうふうに見ております。
牧野(聖)分科員 決算委員会で、いろいろと質問し論議したいことは本当に山ほどあるわけですけれども、私がこの木造住宅の問題を出して質問をさせていただくという気持ちを固めた一つの理由に、扇大臣とここでお会いすることができる、そういう一つの理由があります。
 今も力強い答弁をいただいて、大変うれしく思っているわけですが、大臣が言われましたとおり、復古調の一つの機運の中で木造住宅に対する見直しが高まっているのは事実で、私もこのことは大変いいことだ、こういうふうに思っております。
 そこで、さらに質問をしたいと思いますが、木造住宅が、ある程度のブームはありますけれども、その中を分析してみますと、国内材による木造建築、しかも伝統的な工法による木造建築というのが衰退の一途をたどっているわけです。その反対に伸びているのはどういうものかというと、外来材による木造住宅、しかもツーバイフォーとか輸入住宅とか、従来の日本建築、日本住宅では技術を生かすことのない、そういう新しい木造住宅が伸びているわけです。
 私はそれはそれでいいと思うのですけれども、果たして長い間培ってきた技術とかあるいは何代にもわたって守ってきた山が、今そのことによって大きく崩れようとしているわけです。大げさに言えば、日本は木の文化の国なんですよ。その木の文化が、在来工法の木造住宅が減ってくるということによって、音を立てて崩れ始めているというのも事実なんですね。そのことについて国土交通省はどういうふうに考えているのか、そのことを伺いたいわけです。
扇国務大臣 今牧野議員がおっしゃいましたように、あらゆる面で、日本の社会の構造変化等々によって、内材よりも外材の方が安く、なおかつ、今ツーバイフォーと、ある名前をお出しになりましたけれども、短期間で組み立ててしまう、そういう便利性というものを私は多く使っていらっしゃることもよく存じております。
 また、今は、住勤、少なくとも住まいと勤務を近くしようということで、都心回帰という傾向に走っておりますけれども、都心の狭いところに住まいを持てば持つほど週末は郊外に住みたいということで、セカンドハウスを我々は奨励しているわけですけれども、セカンドハウスも税制面で何とかならないかと。
 また、今おっしゃるように、技術という面から考えますと、一番困っておりますのは宮大工でございます。くぎを使わない木造建築というものはますます後継者がいなくなってきた。ですから、伊勢神宮の遷宮というものも、定時的に宮大工の技術を継承するという意味であれを時代的にも遷宮しているという一面があろうと私は思います。そういう意味では、我々の本来の日本建築というものがだんだんなくなってきている。
 また、日本建築というのは、普通のツーバイフォー等々に比べまして高価である、金額が高いという面も多々あろうと思いますけれども、そこに住んでいる人たち、鉄筋は六十年、あるいは鉄筋が六十年と言われたのがもう今三十年で新しい建て直しを許可しようという時代ですから、日本の建築は木材だけで百年もっているものもたくさんございます。
 また、この国会議事堂、全部これは内材でございます。国会議事堂の内材を使ったというこの持続性。木材の、日本の内材の五十年、百年もつという、わざがあればそれだけのものができるということに、我々はもう一度考え方を、針を戻すという意味ではなくて、見直すということに気がつくべきであろうと私は思いますし、住宅金融公庫等々も、木材で建築する場合の補助というものも見直しておりますので、あらゆる面でそういう機運が出てくるのではないかと思っております。
牧野(聖)分科員 私がこの決算委員会の質問で、木造を選んで扇大臣とここで話ができるというもくろみは、まさしく成功したなと今思っているのです。大臣は着物の似合う方で、日本文化のことについてはほかの皆さんよりもきっと造詣が深い、私はそういうふうに信じておりましたので、この場に立たせていただいたわけであります。
 さらに質問を進めさせていただきますけれども、大臣のその決意とか考え方は大変すばらしいと思いますし、評価させていただきますが、国土交通省からこの木造住宅振興施策というペーパーをいただいて、私、読ませていただきました。
 この中に、大変失礼な言い方ですけれども、伝統工法について触れられているところはたった一カ所ですよ。「木造住宅生産の活性化に関する事業」の中の四番ですね。「伝統的木造建築技法・技能の維持継承 ア 伝統的木造建築技法・技能の維持継承に係る講習会等の開催及びテキスト等の作成等」だけしか書いていないんです。大臣の意気込みと実際にやっておられることの間には大きな差があるということを私は指摘したい。
 それから、国土交通省は、木造住宅の振興についてはどういうスタンスなのかというのを聞きたいんですよ。在来型の日本住宅の振興を進めたいという立場なのか。いただいたペーパーを見ますと、この中にある諸施策の中からは、新しい合理的な住宅を推し進めようとしているというのが透けて見えてくる。私にはそう感じるんですよ。それとも、どういう住宅を好むかは消費者に任せる。その三つのうちのどちらなんですか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 先ほど局長が申し上げましたように、私は、牧野議員がある程度御理解いただいていると思いますけれども、少なくとも、育成というだけではなくて、あらゆる面で、先ほど局長が言いました、林野庁と連携によって、地域材を活用した優良な木造住宅団地、今までこんなものはなかったんです、それを整備し促進しよう、これは大きなことなんですね。
 それから木造公営住宅の整備の推進、木造住宅の公営住宅なんて今までございません、それも新たな発想ですから、そういうものも国土交通省としてやっておりますし、少なくとも、地域の特性を踏まえた良質な木造住宅に対する住宅金融公庫の融資額の割り増し、それは私はさっき申しました。
 それから、今までの技術者育成のための講習会に補助金を出すんです。こんなものは今まで、補助金として、正式に、育成ということでの補助、これも新たなことでございます。
 また、地域の住宅生産者と木材供給者との連携体制を整備する補助、これも、今おっしゃったような日本の木材を利用するものの見直しをしよう、こういう新たな、今までだったら新建築、新建築といって、新しい方に進むことばかりやっておりましたけれども、今申しましたようなことを一つずつとってみても、私は、今までなかったことですから、これ以上どうこうということができないくらい、今の苦しい財政事情の中で育成を図っていこうという姿勢だけは見えておりますので、ぜひその辺は御理解いただき、もっと新しいことで、こういうことをした方がいいよとおっしゃれば、御提案いただければ取り入れられると思います。
牧野(聖)分科員 その決意たるや、また新しい息吹には大変ありがたいと思っておりますが、実態はまだそこまで行っていないというか、一つの例を挙げますと、まず山林家、林業家、この皆さんは、もうきょうかあした死にますね。一年、二年先までもたない。それはもう、戦後、荒廃した山に林業振興のためにみんな手を入れて、今切り出す時期をずっと迎えているわけです。そのときに、外国産材の住宅の普及によって値崩れの上に、さらにパンチを食らっている状況ですね。これを何とか助けなきゃならない。
 山がつぶれれば、日本の木の文化は根本から崩れていく、こういうふうに思います。その素材等を生かすためには、従来の工法による伝統的な住宅を個人の住宅に普遍的に啓蒙、広げていくということが大切じゃないかなと思っておりますので、さらに力を入れていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 今、大臣からさらなる提案があれば検討したいといいますか、そういうお言葉をいただいたので、ちょっと言わせていただきますが、僕は大臣に検討してほしいのは、今、ダムとか港とか空港とか、いろいろな公共事業をやっていますが、かなり批判の出ているのも事実だと思うんですね。
 そこで、大臣にお願いを先にさせてもらいますが、木造の文化財の再建とか、そういったものに力を入れてほしいんですよ。
 例えば、全国に天守閣のないお城というのがたくさんまだありますね。福岡城とか、安土桃山城とか、あるいは金沢のお城も天守閣がない、福井のお城もない、私の住んでいるところの駿府城もないんです。それから、北海道の方では五稜郭もないですね。
 こういうところの再建を、文化庁にお願いしても予算規模も人員も小さいですから影響力を持ちませんけれども、そういうところの再建とか、あるいは神社仏閣等、自費ではできない、地方自治体ではできない、国の援助があればできるというところはいっぱいあるんですよ。
 そういうものを一挙に力を入れていくということは、新しい意味での公共事業にもなりますし、山を助けますし、あるいは木造建築に関する大勢の皆さんの仕事をつくるようになる、一挙三両得というんですかね、そういうことにもなると思いますので、この際、文化財の振興に、木造のですよ、文化財というのはほとんど木造ですからね、それに大臣も先頭を切って進めていくというのはどうでしょうか。
扇国務大臣 文化財を木造にというのは、私は領域を離れておりますので、私が文教委員長であれば別ですけれども、今文部科学省の文化庁に対して越権行為だと思いますので、それは私、気持ちでは同じでございます。
 それはあらゆる面で、私が伊勢神宮の話をしましたのもそのとおりでございまして、私は国有林というものを大事にしようというので、昔、随分前の話ですけれども、国有林がなぜだめになるかというのは、枝打ちをする職人がいないということなんです。ですから、私は枝打ちロボットを開発しようといって北海道でやったことがございます。それくらい、日本の国有林、まず日本材というものをどう育成するか。
 国有林が疲弊しているのはなぜかというのは、枝打ちする職人もいない、山に登るのに三時間、下ってくるのに二時間半、途中、午前十時に休み、午後三時に休み、労働時間、実際に木を、山を見る人が働く時間というのは、一日かけて行っても二時間半しかいないという現実、そういうところで私はロボットを開発しようといって、まず、国有林という国の林業のもとを、どう国有林を維持するかということを熱心に言ったことがございます。
 それくらい私どもは、まず文化財をどうこうというのは所管が違いますから、気持ちは同じですけれども、今口出しするわけにはいきませんから申しませんけれども、それよりも何よりも、国内の国有林のあり方自体が、これも越権行為ですけれども、農林水産省に怒られますけれども、まず見直していく、今の日本の国有林をどうするんだということに、私はしておりますし、また、全国植樹祭ということで、戦後荒廃した林をつくっていこうというのがやっと今日育ち始めました。
 そういうことも含めて、まず原点の原点の国内林というものの育成をまず確保するということから私は思いをいたさなければならないと思う。文化財に対しては、思いは同じですけれども、その程度にとどめさせていただいて、まず基本を私は大事にしたいと思っております。
牧野(聖)分科員 この問題は文化庁、この問題は国土交通省、この問題はこっちということで解決する問題はいっぱいあります。でも、それだけでは解決できない問題が最近はふえています。総合的、横断的といいますか、全体的に考えていかないと解決しない問題というのは非常に多くなってきている。
 今私が問いかけているのは、まさしく横断的、総合的な課題の一つだろう、こういうふうに思っておりますので、大臣がそのような考え方でいらっしゃるということは大変ありがたいと思っておりますから、あなたのそのパワーで、他の閣僚や小泉総理大臣にも、そういう時代が来ているということをぜひともお話しいただきたい。
 僕は、フランスの国家機構を見てびっくりしたんですが、産業省に職員が五千九百人、それで文化省に九千九百人いたんですね。びっくりしましたよ。文化というものが新しい力になっているんですね。何か二千万人がパリへ一年間に来るということを聞いてびっくりしました。それだけの素材は、それに負けないものは日本にあると思うんですね。そういうものをぜひ内閣を挙げて力を入れてほしい。僕は野党の一人ですが、そういう考え方にはもろ手を挙げて協力したい、こういうふうに思います。
 関連して、文化財のことで若干質問させてもらいますが、もう時間がなくなってきましたから簡単にやりますけれども、先般も文部科学委員会で私質問したのです。
 木の文化、木造の文化というのは四百年周期で来ているんですよ。最初、第一回目、それこそ東大寺のできた八〇〇年ごろ、世界最古で最大の木造建築物を有する国に我が国はあった、あの奈良時代。その後、鎌倉時代、一二〇〇年に来た。その後の四百年、安土桃山時代にこれまた木造の、非常に木の文化が栄えた時代が来た。その四百年後が西暦二〇〇〇年の今なんですよ。だから、今この木の文化に力を入れずしていつ入れるんだ、そういう感じがしますので、ぜひ横断的に、大臣、応援してほしい。
 それで、文化庁、私はそういう考えを持っているんだけれども、大工さん、左官、畳職人、建具屋、みんな技術を持ちながらそれを生かせない、そういう現実で悩んでいるんですね。ですから、僕は、日本建築の木造を推進することによって、そういう人たちの生活も成り立つし、技術が継承されるということと、国内産材をやはり活用するという大きなことがありますので、先般も言いましたけれども、文化財の修理、改修、再建というのは大変なことだと思いますが、その点についてどのように考えておられるか、文化庁の考え方をお伺いしたい。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、我が国の国宝、重要文化財建造物の約九割は木造ということでございまして、こうした建造物を保存し、長く後世に伝えていくために、重要文化財等の指定を行うとともに、所有者が行う修理に対する国庫補助等を積極的に進めてまいりたいということで補助事業の充実に努めているところでございます。また、こうした文化財そのもののみならず、そうした保存、修理に必要になってまいります伝統的な修理技術者及び原材料である木材等の安定的な確保というものも極めて重要でございます。
 そこで、文化庁では、文化財保護法に基づきまして、木の文化財の保存のために欠くことのできない建造物修理でございますとか、あるいはひわだぶき、こけらぶき等の技術を選定保存技術として選定をいたしまして、その技術の体得者を保持者、保存技術を持つ関係団体を保存団体として認定をいたしまして、その技術の保存、伝承を図るとともに、後継者養成事業に対して補助金を交付して伝承者の養成支援に努めているところでございます。
 また、原材料の確保につきましても、平成十三年度からふるさと文化財の森構想を開始いたしまして、特に緊急性の高いひわだについて、長期にわたり安定的供給可能な森林の所在調査を実施するとか、あるいは研修、普及啓発施設を整備するというふうな施策を進めているところでございます。
 今後とも、このような施策の充実に積極的に努めてまいりたいと考えているところでございます。
牧野(聖)分科員 木造について最後に要望します。
 ぜひ力を入れてください。これは、日本文化の中心は木造住宅に住んでいるということだと私は思っているんです。そのことによって、あるいは衣の方も食の方もやはり大きな支えになっているわけですから、日本文化を守るという意味でも、木造の和風建築といいますか、こちらの振興にはぜひとも横断的に、総合的な立場から力を入れていただきたいということを最後に要望させていただいて、次の問題に移ります。
 大変地元の問題になって恐縮ですが、私も二十五歳から市会議員をやって、県会議員をやって、国会議員をやらせていただいて、三十年間この世界におります。その都度、当時の建設省にも来ましていろいろ陳情もさせてもらいました。
 地元の市会議員や県会議員や市長さんも率先して何度かお願いに来ている、そういうことでありますから、私がここで口角泡を飛ばしてさらなるお願いをしたり説明をするという必要もなかろうかと思いますけれども、先般台風等がありまして、非常にまた新たなる災害とか課題も出てきているときでもございますので、話の中身は承知しているわけでありますが、お許しをいただいて、質問にかえて要望的にさせていただきたい、こういうふうに思っております。
 最初に、静岡にあります国道三百六十二号線。このことについては、地元では大変早期に完成することを望んでおります。特に、安西橋が新しくつくられることについては非常に期待しておりますが、一工区が八年間の計画になっていて、三工区で、服織地域が完成していくということになりますと、二十数年間かかるというふうな話になるわけですね。決してそんなことではないと思いますが、これを、どういうふうな状況になって、どういうふうにされていこうとしているのか、この点について質問をしたいということ。
 それから、丸子池田線というのもありますが、全く同じ問題です。一工区が完了しなければ次の工区の用地買収に入れないということですと非常に完成がおくれてしまうわけですから、この点、もっと工夫をしていただきたい。そう言いつつも、皆さんの御努力については本当に感謝しているわけですが、そういう地元からの要望等もありますから、その点についてどういうふうに考えておられるか。
 そして三つ目は、県道南アルプス公園線。これも地元の皆さんから何回も何回も市長を先頭に要望に来ていることで、もう関係当局の皆さんは耳にたこができるほど承知していて、それに対して真剣に取り組んでおられるということは私も十分承知しておりますが、私のふるさとでありますので、その点について、ぜひ前向きなお話をいただければ大変ありがたい。
 それから、今度の台風等もありまして、急傾斜地の危険なところがまた相次いで出てきている感じがするわけです。急傾斜地の対策についても、市も県も一生懸命やっていますが、その裏では国が非常に力を入れてくれているということは承知しております。承知しておりますが、また、先般の台風等で新たなる心配が出てきておりますので、その辺についてどういうふうに考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 道路に関係する問題につきましてお答えさせていただきます。
 最初に、国道三百六十二号の安倍川の橋の話がありました。国道三百六十二号は、愛知県の豊川から静岡までの延長百六十キロ、その大部分が静岡県内を通過している重要な路線でありますが、服織地区につきまして、特に静岡市内の安倍川にかかる安西橋、これの周辺の渋滞が著しいということで、平成十四年度から羽鳥安西の拡幅に新しく着手させていただいている、こういう状態であります。
 調査、設計を進めておりますが、四車線化する、こういうことでございますので、総事業費で申し上げますと恐らく九十億円から百億円ぐらいはかかるかな、こういう状態でございます。できるだけ早く、先生のおっしゃいますように、三工区に分けたら、一つが八年で二十何年もかかる、そういう状態にならないように努力してまいりたいと思っております。
 さらに、大型車がすれ違えない区間も三百六十二号にはございます。本川根静岡バイパス、これは十キロにわたってバイパス工事を、二車線の、大型車がすれ違えるようにということで工事をやらせていただいておりますが、これも既に十キロのうち六キロを供用して、ことし、あと一キロを供用させていただく。
 これも全体としては二百億を超えようという大事業なものですから、厳しい予算状況の中でございますが、三百六十二号の整備について、事業主体である静岡県とよく御相談申し上げながら、できるだけ早期に整備の促進を図ってまいる、こんなふうに考えております。
 それから、南アルプスの公園線の事業でございます。
 これにつきましては、静岡の田代から国道三百六十二号の静岡の昼居渡を終点とする七十四キロの幹線道路でございますが、急峻な山間地を通過しておりまして、改良率がまだ三五%にとどまっている、こういう状態でございますので、幅員狭小や急カーブなど、危険性の高い箇所から順次、線形改良あるいは道路拡幅をやっております。
 現在、静岡県が、赤沢地区においてルート調査を、日向、鍵穴、坂ノ上地区で拡幅工事をやっております。このうち、例えば坂ノ上地区につきましては、今年度完了を目指して事業を進めておるところでございます。残ります三カ所についても、できるだけ早期の完了を目指してまいりたいと思っているところでございます。
澤井政府参考人 丸子池田線についてでございますが、これは静岡市の南部地域の東西交通を受け持つ主要幹線道路で、現在整備途上にある道路でございます。地域の大動脈であります国道一号線を補完して、都市内交通の円滑化に大きく資する道路だというふうに考えております。
 現在、静岡市の方で、事業を促進するために、先ほど一工区ごとにというお話もございましたが、七つの工区、延長で合計三・八キロについて現在並行整備をしております。その中には、交通の隘路となっておりますJR東海道本線との立体交差区間も含まれております。また、ことしからは、安倍川の橋梁区間にも新規に着手したと聞いております。
 国土交通省としても、さらに積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
鈴木政府参考人 急傾斜地崩壊対策事業の関係で、最後になりますが、御説明申し上げます。
 静岡市につきましては、全国平均の整備率が二八、静岡県全体が三〇に対して、静岡市は四六%を超えているというようなことで、大変熱心に取り組んでいただいております。そういった中、今御指摘のように、今回の台風六号においても静岡市内でがけ崩れが発生しております。
 いずれにしましても、静岡県とよく連携を図りながら、安全確保に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
牧野(聖)分科員 終わります。
森岡主査代理 これにて牧野聖修君の質疑は終了いたしました。
 次に、東順治君。
東(順)分科員 扇大臣、きょうは夜遅くまで御苦労さまでございます。
 私は、国土交通省所管と厚生労働省あるいは環境省、この三つにわたりまして質問をさせていただくわけでございます。
 再来年の三月に、奄美群島振興開発措置法、いわゆる奄振、あるいはこの法律に基づくところの第三次奄美群島振興開発計画というものが期限切れを迎える。そして、これから、さあこれを延長すべきかどうかということが大きな議論になるということから、奄美全体の御認識をいただいた上で、この延長の可否について御判断いただきたいという思いもございますものですから、いずれも奄美に関する事柄でございます、厚生労働省、環境省に伺うことは。したがいまして、大臣にも答弁のやりとりを伺っておいていただきたい、このように思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、最初に、国土交通省所管について伺います。
 一つは、奄美の航空路線における運賃の問題でございます。
 本土や沖縄での航空運賃に比べまして奄美関係の運賃が割高になっている、よく言われるところでございます。特に、奄美関係の場合は地理的にも沖縄に近い、あるいはまた観光産業に力を入れているというようなことで、沖縄と航空運賃面でよく比較されるわけでございます。
 一般的によく言われていることが、東京―奄美間は、東京―沖縄間よりも距離的に短いのに航空運賃が割高になっている、これはもうよく言われるところでございます。約五千円の片道割高。我々素朴に考えて、近いのにどうして航空運賃が高いのだろうか、これは何とか国として打つ手はないのだろうか、このように思うわけでございますが、まずこの点からお伺いいたします。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 奄美の関係の航空運賃についてのお尋ねがございました。
 先生御指摘のとおり、例えば東京路線、那覇との関係のお話もございましたけれども、羽田―那覇間でございますが、普通運賃三万四千五百円。一方で、普通運賃で比較しますと、奄美―羽田三万九千五百円と、御指摘のような差がございます。
 ただ、運賃につきましては、全体、平成十二年二月の航空法の抜本的改正によりまして、運賃も基本的には航空会社が自由に設定するという世界になっているのは先生も御案内のとおりかと思います。
 他方で、運賃体系全体を見ますと、東京―那覇間にはございません離島回数きっぷというふうなものがございまして、例えば奄美―東京間、そういうものをエアラインで出しているわけでございまして、これを利用していただきますと、例えば羽田―奄美間が片道二万七千四百円で移動できるということで、那覇と大分運賃の差も、違う部分もございますので、ぜひ運賃体系全体と制度論の中で一定の御理解を賜れればありがたいと思っています。
東(順)分科員 おっしゃるように、自由競争の世界であるということはよくわかる。しかし、平成十一年からですか、運航費の補助制度というものを創設されておりますね。つまり、運航費を国が補助いたしましょう、平成十一年から七千万ですか、この奄美に対して。あるいは平成十二年は六千万、平成十三年は五千五百万ですか。あるいはまた、航空燃料税を安くしましょう、軽減しましょうという措置も行っていただいていますね。本土に比べて四分の三軽減いたしましょう。あるいは着陸料の軽減、これも、私どもの調べによりますと、平成十一年で既に本土よりも五分の三、それをさらに六分の一というところまで軽減をしておられる。これは、離島という、人口十三万を抱える外海離島、こういう奄美に対して少しでも離島航空に資すればということでこういう手が打たれたんだと思います。
 確かに、運賃は民間が設定するものである、民間航空会社が設定するものである、自由競争の世界であるということはよくわかります。したがって、運賃そのものを下げろとか何だというのはなかなか言いづらい話であるでしょうが、だったらば、今私が申し上げました運航費の補助制度や燃料税の軽減、あるいは着陸料の軽減措置、これを例えば、沖縄と片道五千円の運賃の差というのが現実にあるわけですから、その分ぐらい、少なくとも均等か、より安くするためのインセンティブを与える措置として、この三つの制度をさらに厚くして奄美については適用をするというようなことができないものなのかどうなのかということでございます。
 今国会でも郵政事業で大変議論になりましたね。それは、民間業者が参入する際に、これまでずっと維持されてきたユニバーサルサービスというところが、民間業者が参入するにしても非常に重要な要件ですよということが議論の中で確認をされましたね。例えばこの航空、特に離島――私は、実は先週の土曜日、奄美大島に行っておったんですが、ちょうど台風に遭いまして、島を出られるか出られないかでもう大変だったんですよ。あの台風になってくると早々と船はとまっちゃう。あとはもう飛行機しかない。この飛行機がまた、おりられるか飛び立つか大変な騒ぎで、今回は台風がだあっとたくさん重なったものですから、奄美の中は大騒ぎでございました。したがって、離島における飛行機というのは、我々本土の中でイメージする航空路よりもはるかに重大な位置を占めている。
 そういうことから考えますと、やはり国のいわばユニバーサルサービスみたいなことをきちっと担保していく上で、せっかく導入した制度ですから、それをさらに厚くして、少なくとも、だれが考えたって、東京―沖縄よりも東京―奄美の方が高いなんというのは、これはとてもとても信じられない話ですから、そのことに国として手が打てないのか。
 何で沖縄だけがそうやって安くなっているんだろう。調べてみますと、米軍基地の問題等これありで、沖縄振興策の一環として、平成九年に東京―那覇間四千円の運賃を下げている。そしてまた、平成十一年にさらにそれを千円上乗せして、五千円の運賃を下げている。くしくもちょうど奄美と沖縄間の差額五千円分だけ沖縄が下がっちゃっているわけですね。それが下がっていなかったら大体とんとんだった。本当は、奄美の方が安くなきゃいけない。
 ということから考えますと、大臣、国の責任といたしまして、これはやはり、運賃に対して民間航空会社に直接言えないならば、民間航空会社が安くできるようなインセンティブを与えるという、これをひとつ国としてできないものだろうか、せっかくの制度を、三つの制度をやったんだったらば、それを少し厚くしてできないものだろうか、このように思いますが、大臣、いかがお考えでございますか。
扇国務大臣 今おっしゃったように、奄美の方が沖縄よりも高くなっているではないかと。ただ、先ほど局長が申しましたように、回数券というものがございまして、回数券を御利用になれば、これは沖縄よりもはるかに安くなる。金額を先ほど申しました。重ねては申しませんけれども、これが、回数券を利用すれば二万七千四百円という額になるということもございますので、私は、そういう意味では、奄美の皆さん方、少なくともこれを利用されているんだろうと思います。ただ、観光にいらっしゃる皆さん方は割高だなとお思いになると思いますけれども、便数が少ないですから、沖縄の便と奄美の便とを考えれば、便数が少ないから割高になっているということを単純明快に御理解いただけるんだろうと思いますけれども。
 離島振興策ということから考えますと、先ほど御自身がおっしゃいましたように、少なくとも、離島航空路線の航空費補助、あるいは機体購入時の補助等々、離島振興というものの大きな枠の中であらゆる面で援助をしておりますし、離島航空路線に就航する航空機に係る、おっしゃいましたとおり、航空機の燃料に対する燃料税あるいは固定資産税の軽減措置も図っております。また、三つ目には、離島航空路線に就航する航空機に係る着陸料の軽減措置、これも軽減しておりますし、離島振興上でき得るものは、今までも随時離島振興の法律が切れるたびにこれを延長し続け、しかも、国土交通省として新たな飛行場はつくらないけれども離島を除くという、わざわざ離島を除くということも国土交通省の政策の中で考慮しております。
 そういうことから考えていただきますと、私は、安ければ安いほどいいというのはだれしも思うことでございますけれども、量的なもの、そして地元の皆さんには回数券という特別な配慮等々で、現段階ではこれを施行しましてまだ三年でございますので、こういう離島の路線の維持を目的としました航空費の補助制度、ちょうど三年目になりますので、補助制度発足三年しか経過していなくて、これをこの間、離島路線等々の便宜を図るということに、なおかつ三年間の中で減少している路線もなきにしもあらずと苦しい中ではございますけれども、これを継続しているということで、今すぐ、三年たったから見直せということにまだ至らないのではないか。
 減少していることも我々は我慢しながら、離島だからということでこれを続けておりますので、着陸料等々、しかも機材の補充に関しましても補助制度を導入しておりますし、現在の大都市圏の空港プロジェクトというものの支出等々を考えますと、米国の同時多発テロ以来、少なくとも、保安対策費の増加、そして厳しい経済の収支状況となっているところでございますけれども、今これ以上の軽減措置をとるということは逆に致命的になるんじゃないかと思って、もう少し様子を見させていただきたいというのが現実の苦しい状況でございます。
東(順)分科員 おっしゃる意味合いはよくわかるのでございますが、今ございました回数券、二万七千四百円ですか、これは、例えば奄美に行ってみますとよくわかりますように、京阪神や東京へ、地元に仕事がないために若者たちがみんな仕事に出て行くんですね。この若い青年たちが、お盆帰りやあるいはお正月、こうやってどっと奄美に帰ってくるんですが、そのときにやはり、この航空料金の問題で、毎年帰りたいところが二年に一回になったりというようなことになる。あるいはまた、墓参りに帰りたいというような人たちも、なかなか思うに任せないというのが実情としてあるようでございます。
 何よりもやはり、奄美の人たちは大変な気概に燃えていまして、この奄美の自然の宝庫というものを世界の自然遺産にしたいというような大変な気概なんですよ。行ってみますと、自然の宝の島といいますか、実に豊かな自然がある。これは私は、誇張でも何でもなく、うまく事が運んでいけば二十一世紀の楽園になれるぐらいの大変な要素を持っていますよ。こういうところに観光客がどんどん来やすいインセンティブを与えていく、これは国としてもやられたら、大臣、すばらしいですよ、本当に。
 極論すれば、今は沖縄と本土の通過点みたいなことになっている。これもやはり航空運賃みたいなことになるんですね。奄美でおりるよりも沖縄に行く方が安い、だったらば沖縄に行こうということ。
 だから、沖縄も奄美もどちらも日本にとっては大変豊かな観光対象の地域である、特に奄美には大自然が本当に残っているということで、観光客的にも、やはり回数券というよりも航空運賃そのものが、沖縄よりも安いか、あるいは最低限沖縄と同じぐらいというところまで持っていければというふうに私は思ったものですからこの問題を取り上げさせていただいたわけでございます。大臣、答弁は結構です。――では、御答弁、一言簡単に。
扇国務大臣 今、議員がおっしゃった、どっと観光客が行ってほしいというので、これだけの大自然で、自然の宝庫であるところへ、どっと来ない方がむしろ環境保護的にはいいのではないかと。どっと来て環境破壊されるというところもたくさんございまして、これがよしあしで、どっと来ることが果たしていいのかどうかという。どっと客が来ると、ごみばかり置いていくという地域もございますし、どっと来ると、飲料水等々、あらゆる面で難しいということもございまして、私は、やはり秘境というものがあっていいのではないかという意味では、どっと来ない方がむしろ今の大自然を守り得るということも逆に言えるということで、難しいなあと思って今お話を伺っておりました。
 その辺のころ合いが、どの程度客が来るべきであるか、また奄美が、どの程度であれば収容可能であるか、処理等々、あらゆるものの処理ですね、水資源あるいはごみ処理等々の限度というものがどの辺にあるのか、これも両々相まって勘案していきたいと思っております。
東(順)分科員 大臣がおっしゃっていることは、私、当たり前だと思いますのでね。どっとといって、何か突然大量に人が来るというよりも、当然、自然破壊だとか生じますので、秩序ある増加ということで、やはり自然と共生をする観光の地という、そういう思いで私言っているわけでございますから、誤解のなきようにお願いします。
 それから、時間が随分経過いたしましたので、次の問題に移ります。
 今、この奄美で大問題になっている問題が一つあるんです。これは環境省に伺いたいんですが、ヤンバルトサカヤスデというのが実は昭和五十八年に沖縄県で異常発生をいたしまして、それが今、平成三年から奄美群島の徳之島町、天城町に発生し、今奄美全島に広がってきているんですね。
 これは、においがあって、夜間になると活動して、民家の中を自由奔放に群遊して、住民に非常な不快感と恐怖感を与えている。これを駆除するために疲労が重なって、睡眠不足になったり、精神的にも肉体的にも大きな影響を与えているというのが非常に厳しい現実として今ございます。
 市町村として、年々、その駆除に対策予算を組んで、奄美群島の財政も非常に厳しくなってきておりまして、このまま継続してずるずる予算を使うわけにいかない、悲鳴が上がっているわけでございます。
 ちなみに、私、その写真を持ってまいりました。ちょっとグロテスクなんですけれども、委員長、よろしいですか、大臣にちょっとお目を通していただければ。
森岡主査代理 はい、どうぞ。
東(順)分科員 いわゆる夜中に民家の中にこういう害虫が大量に入り込んでくる。
 そこで、今、緊急地域雇用創出特別交付金というのが交付されていますね。これが、この駆除のための人件費として充てられておるようでございますけれども、これも平成十六年度には期限切れとなります。この後、市町村に対する緊急雇用創出特別交付金、どうなさるのか、まずこれを伺いたい。
飯島政府参考人 委員御指摘の特別地方交付税措置でございますけれども、これは総務省が所管しておりまして、私ども、十六年度以降どうなるかということについては、御相談にまだあずかっておりませんので存じ上げておりませんけれども、平成八年度より御指摘の交付税の措置を行っているところという事実は承知しているところでございます。
    〔森岡主査代理退席、主査着席〕
東(順)分科員 総務省所管になるんですか、お金のことは、ここのところは。
飯島政府参考人 特別地方交付税は総務省の所管でございまして、環境省として補助をしているわけではございません。
東(順)分科員 それでは環境省に角度を変えて伺いたいんですが、この害虫駆除のために必要とされる薬剤費、あるいはさまざまな用具費、燃料費等々を含めますと、例えば奄美本島の中で一番大きな市である名瀬市というところを見ますと、平成十二年度のこの駆除費用、総額で二千二百万円が支出されている。このうち四百万円が、さっき私が言いました、人件費の一部としてこの交付金というのが使われているんですけれども、残り一千八百万円は薬剤費、用具費、燃料費等に支出されて、この負担が非常に大きい。
 今これは市町村が負っているんですけれども、これは、いつこの害虫がいなくなるかわからないものですから、毎年毎年大変な負担になっている。これについて、国として助成ができないかどうか、この辺はいかがですか。
飯島政府参考人 委員御指摘のヤスデの防止対策事業、市町村で行われているわけでございまして、国の支援策として、当時、厚生省でございますけれども、鹿児島県を通じまして厚生省に支援の御要請がございました。それに対しまして、平成八年度から、先ほど申し上げました特別地方交付税措置を行ったということでございまして、これに加えて、例えば環境省でさらなる予算措置を講じるということはなかなか難しいところでございます。
 しかしながら、私ども、これまでも行ってまいりましたが、鹿児島県と連絡をとりつつ、その調査研究、どういう薬剤を使ったらいいかとか、そういったものについては協力を引き続きしていきたいと思っております。
東(順)分科員 そうすると、今度は、お金の具体的な支出の問題は厚生省マターになる、こういう判断なんですね。
飯島政府参考人 先ほど申し上げましたのは、平成八年時点、当時の厚生省の環境整備課、これは廃棄物対策を所管するところでございまして、それが、昨年の省庁再編で環境省に参りました。
 環境省での所管は、清掃、廃棄物に関係するような衛生害虫問題については引き続き環境省が所管するという整理がされておりますので、引き続き私どもも、その調査研究等につきまして鹿児島県と連絡をとって技術的な助言をさせていただいているところでございます。
東(順)分科員 いや、だから、調査研究はわかるんだけれども、私が聞いているのは、いわゆる燃料費だとか薬剤費だとか、運用にかかわる人件費以外の部分のお金の話というのはあなたのところの省じゃないんですかどうですかと聞いているんですよ。明確に答えてくださいよ。
飯島政府参考人 先ほど来お答え申し上げていますように、環境省ではそういった措置を持っておりません。さらにそれを検討しろという御質問であれば、なかなか難しいというふうにお答え申し上げたところでございまして、現在の交付税措置を充実させろということであれば、これは総務省の所管になるということでございます。
東(順)分科員 総務省の所管ということですね、それは交付税措置でしょう。私は何度も言っておりますその他の薬剤費、用具費、燃料費等の負担の問題、お金の支出というのは、もう一回確認しますよ、これは厚生労働省の問題なんですね、あなたのところではなくて。そこをはっきりさせてください。だから、はっきり言ってくださいよ。あなたのところはどこまでの守備なのか。お金まで含めるのか、調査研究だけではなくて。
飯島政府参考人 省庁再編の関係で少し混乱している答えをしたかもしれませんが、従来厚生省で扱っていた役割は環境省に移管されております。この財政支援の措置につきましては、当時は、厚生省が直接支援する話と、それから今申し上げました特別地方交付税で措置する話と両方あったわけでございますが、特別地方交付税で措置をするということで、平成八年度、新たな措置ができたわけであります。
 ですから、特別地方交付税の措置という範囲内で考えたときに、人件費だけでなく、ほかの経費についても見るべきであるという御議論であれば、これは総務省の所管になると思われます。
東(順)分科員 わかりました。
 そこで、私が問題提起しておりますように、要するに、現実は市町村が、いつ果てるかもわからないこのヤンバルトサカヤスデとの戦い、これでずっと毎年毎年、疲弊した市町村の財源からずっと現実に何千万か支出を余儀なくされているわけですね。そこに対して国として助成の手を差し伸べるためにはどういうことができるのかねと、そこはどう思われますか。
飯島政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますが、一つは、現在の交付税措置をより充実できないかという観点からの検討が必要だと思いますし、先生の御質問が、環境省において直接の調整措置ができないかということであれば、それについても検討させていただきたいと思いますが、これはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
東(順)分科員 例えば時限立法で害虫駆除の法律みたいなことを私たちが議員立法の立場でつくったとする、法律ができるとする、そうすると、その法律に基づいた国の財政の支出ということはこれは可能と思われますか、どうですか。
飯島政府参考人 国会で法律でお決めになられたことについて従うというのが行政の役目だと思いますので、その中で財政支援をはっきりと明確にうたってあれば、それに従ってできるだけのことをさせていただきたいと思います。
東(順)分科員 はい、わかりました。
 もう時間が迫りましたので、最後に、僻地保育所の問題について伺いたいと思います。
 平成十三年四月現在、僻地保育所が全国で約一千百カ所ある。このうち六十一カ所が鹿児島県内にありまして、やはり離島なんですね、その八四%が奄美諸島に集中している。
 保育というものは、すべての人に平等に恩恵を与えなくてはならない、そう私は思います。したがって、僻地だからこそ、より一層に厚く補助を受けられるよう考えるべきだと思います。
 へき地保育所設置要綱によりますと、入所児童の定員はおおむね三十名程度としておりますが、保育所の運営費は、国が三分の一を援助して、残り三分の二を県と市町村とで半分ずつ負担することとなっているようでございます。しかし、要綱には定員がおおむね三十名程度となっているのに、実際は三十名ではなくて、厚生省母子福祉課長の通知で、現実は十名以上という配慮がなされておるようでございます。
 一口に僻地保育といいましても、地域の実情によってさまざまに差異があるんだろうと思います。中には、十名未満でも補助の対象にしてもらいたいというようなところもあるかと思いますが、この点は、私は、もっとフレキシブルに、いろいろな実情に合わせての僻地保育というものをやるべきではないかと思いますが、御答弁をお願いします。
岩田政府参考人 山間地ですとか離島などでの保育所は、通常の保育所ではなかなか対応できないということで、今委員がおっしゃいましたように、僻地保育所を設けていただいて、それに助成をするということをやっております。
 現在、その補助対象の規模として十人という基準を設けておりますが、これは、お子さんの数が少ない場合であっても、保育所を設置して運営するということになりますと、保育士さんが一人では危機管理もできないということで、保育士さんは二人以上配置するということになっております。そういうことで、二人配置をするということ等の兼ね合いから、十人という規模は最低の基準であって、これをさらに弾力化するというのは難しいのではないかというふうに思っております。
 しかしながら、今委員がおっしゃいましたようなニーズも地域によってございますので、僻地保育所以外にも保育のさまざまなメニューがございます。例えば、近くに保育所があれば保育所の分園という形で設置をする、これは人数は問いませんので、十人未満でも設置をすることができますし、また、保育士の資格のある方が自宅で、居宅で、少ない、五人未満ということを念頭に置いているのですが、お子さんを預かるような保育ママさんという制度もございます。
 こういったようなことも、それぞれ要件はありますけれども、地域の実情に応じて組み合わせていただいて、それぞれの地域の保育ニーズにこたえていただけるように私どもも努力してまいりたいと思っております。
東(順)分科員 終わります。ありがとうございました。
御法川主査 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。
 次に、土田龍司君。
土田分科員 自由党の土田龍司でございます。
 扇大臣と菅政務官におかれましては、長時間御苦労さまでございます。もうちょっとですので、頑張ってください。
 さて、私は、日本の国際競争力の強化に向けた構造改革のための施策や、都市住民の生活の質を改善するための都市再生関係のインフラ整備の状況等について、あるいはまた今後の展望について聞きたいと思います。また、時間がありましたらば、海上保安庁が今担当しておりますことについてもお尋ねをいたします。
 まず、港湾についてお尋ねします。
 菅政務官も私も横浜が選挙区でございますが、港湾につきましては、横浜も非常に経済的な割合が高い町でございまして、非常に関心を持っているところでございますが、国際競争力の観点などから、これまでの港湾の位置づけを一歩進めたスーパー中枢港湾を指定しようというふうな話を聞いておりますが、なぜスーパー中枢港湾という考え方を打ち出したのか、あるいはこれはどういうものなのか、御説明願いたいと思います。
扇国務大臣 土田議員から大変重要な御質問であろうと思いますし、また今日本の置かれております国際的な現状から見まして、私は大変重要視しなければならないと思っております。
 それはなぜかと申しますと、国際物流拠点というものにあらゆる点で日本が立ちおくれてきた、近隣のアジアを拝見しましても、とてもそれに太刀打ちできるような数字ではなくなった。時間的なものがございますから大変申しわけないんですけれども、アジアのあらゆる港に比べまして、日本の港湾事情というものが大変変わってきたというものをいつもお示ししておりますので、土田議員もお手元にこういう表が行っているかもしれません。
 これもいつも公開しておりますけれども、国際的な物流拠点という点から考えますと、東京、大阪、伊勢あるいは九州等々、中枢の国際港湾を中心に機能の向上を図ってきたところでございますけれども、冒頭に申しましたように、近隣のアジア地区の港湾等々、それが躍進してまいりまして、我が国のコンテナ港湾の相対的な地位が低下しているというのは、こういう表をごらんになると一目瞭然でございます。
 あらゆるアジアの主要港をしのぐコストあるいはサービスを提供するとともに、物流産業というものの集積を図るスーパー中枢港湾を育成するということが、今後二十一世紀の港湾のあり方にとっていかに大事であるか。
 しかも、港湾のコストの縮減、そして荷役の流通の早期対応、今船が着いても荷役をおろしますのに日本の平均は三日から四日かかっております。それを欧米先進国並みの二十四時間、一日で荷おろしができるような、そういうものも対応していこうということで、ハードとソフト両面でこれの世界的な競争に勝ち得る港をつくっていく、その対策が一番大事であろうと思って今対応しているところでございます。
土田分科員 さて、具体的な指定に向けた絞り込みでございますけれども、何カ所になるかわかりませんが、四つか五つぐらいかというふうに聞いたこともございます。この絞り込みがどのような基準で、あるいはどのくらい進んでいるのか、これについてお尋ねしたいと思います。特に気になるのが、さて横浜港は指定されるのだろうかということも気になりますので、あわせて御答弁願いたいと思います。
金澤政府参考人 スーパー中枢港湾の指定についてお尋ねでございます。お答え申し上げます。
 スーパー中枢港湾は、我が国の発着貨物の取り扱い上非常に重要な地域におきまして、国内的なあるいは国際的な中継コンテナ貨物の取り扱いの可能性なども勘案しつつ指定したいと今考えております。まず本年度は、スーパー中枢港湾の候補となる地域を選定いたしまして、平成十五年度以降、条件の整ったものから指定を行いたいと考えております。
 指定に際しましての具体的な基準でございますが、今後、早期に学識経験者などから成ります委員会を設置いたしまして、その具体的な基準について検討していただく予定にしております。
 お尋ねの横浜港の指定の件につきましても、その委員会での議論を踏まえまして十分検討してまいりたい、かように思っております。
土田分科員 具体的には幾つぐらい指定されるつもりなのか、あるいはいつごろまでに大体その指定が終わって効力を発揮していくのか、その辺についてはどうでしょうか。
金澤政府参考人 具体的に幾つ指定するか、いつごろまでかというお尋ねでございますが、現時点におきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、まず指定の条件につきましてどのような条件にするのか、ハード、ソフトあわせて世界のコスト、あるいは世界のリードタイムを凌駕するようなものにしたいというふうに考えております。
 その中身といたしましては、そういうための次世代の高規格ターミナルの概略の全体計画はどうなるべきかとか、そういうことを含めまして基準を指定いたしまして、その基準にかなうような条件をいろいろ検討していただきまして、その中から指定していきたい。
 数につきましては、今中枢港湾の数というのが全国に十幾つでございますが、もちろんそれをぐっと絞り込むという予定にしております。
 今ここで四つ、五つということについては、まだ委員会の結論を待たなければいけないと思っておりますので、その点については委員会の検討を待って順次指定してまいりたい、かように思っております。
土田分科員 先ほど扇大臣から、港湾の荷役等についても値段が高過ぎるというような御指摘もありました。あるいは港のタグボートやパイロットの料金も高いのではないか。横浜に関しましても、三千トン以上はパイロットをつけなさい、そういった指導もあるわけですが、こういった幾つも改善していく点があると思うんですけれども、これらについてはどのように考えておられますか。
金澤政府参考人 タグボートやパイロットの料金についてでございますけれども、我が国の港湾コストはアジアの主要港に比べまして依然として高い水準にございますが、その港湾コストのうち約八割は岸壁使用料などのターミナル費用や荷役料でございます。残り約二割がいわゆる入港料、それから御指摘のタグボートやパイロットなどの各種使用料、あるいは公租公課などの船舶関係費用でございます。
 このような費用につきまして、スーパー中枢港湾では三割削減を目指すということにしておりますが、御指摘のタグボートにつきましても、事業者や港湾管理者とその改善のあり方について検討してまいります。また、パイロットにつきましても、船舶交通の安全のため国際的に実施されております制度でございますが、これまで強制水先の対象船舶の基準緩和などを初めとする見直しを行ってまいりましたが、今後とも、料金体系の合理化を含めまして、適切な見直しに取り組んでまいりたい、かように思っております。
土田分科員 次に、首都圏の空港についてお尋ねするんですが、私が初当選しましたのが平成五年でございましたが、当時は首都圏の第三空港の話が非常に持ち切りでございましたし、非常に具体的に進んでいった時期があるのですが、それに比べますと、最近余り空港の話が聞かれなくなったなという感じがしております。羽田空港の拡張との問題も当然あるかとも思うんですけれども、空港の検討は今どのように行われているのかお尋ねしたいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 いわゆる首都圏の第三空港の問題につきましては、首都圏の羽田空港は容量限界に達してくるという状況を踏まえて、平成十二年の九月に、学識経験者あるいは関係する地方公共団体、そういったところの方々にお集まりいただきまして、首都圏第三空港調査検討会というものを航空局において開催いたしまして、種々の議論をさせていただきました。
 その結果、昨年の夏でございましたが、第六回の検討会におきまして、首都圏の空港容量拡大の議論の中で、羽田空港の再拡張をするという案が、他の新空港をつくるような候補地と比較しましても、既存ストックの有効活用でございますとかあるいはアクセス、こういったことからの旅客利便性の観点等々から、その場におきましても大変優位性が高いというふうな御結論をいただきました。その中で、羽田の再拡張についての案を優先して検討しよう、推進すべきである、こういうふうな御結論をいただきまして、現在、羽田の再拡張、四本目の滑走路をつくる案につきまして具体的に検討を進めさせていただいておるところでございます。
 一方で、先生御指摘の第三空港、新しい空港の候補地につきましては、その場におきまして、その検討の過程でいろいろな御提案もいただきました。現在、八つほどの候補地にそのプロセスの中で絞り込みはされておりますけれども、今後の首都圏の将来の国際あるいは国内の航空需要の伸び、こういったものを考えてまいりますと、羽田の再拡張が仮にできましても、いずれ首都圏の空港容量全体が不足するという可能性も十分考えられるということで、羽田の再拡張を具体的に進める一方で、長期的な視点に立って、引き続き並行的に、継続的に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
土田分科員 バブル経済で非常に航空貨物の需要が伸びてきた。そこで第三空港の必要性が論じられ、今局長から答弁がありましたような状況に今立ち至っている。最後の第三空港の必要性については、また経済状況がどう変わっていくかわからない。しかし、いずれにしても空の時代になってきている。これからまた需要がどういった変化をするかもわからないわけですから、どうしてもやはり第三空港の必要性というのはあると思うんですね。ですから、慌てふためかないように、ぜひ早目に進められた方がいいかなというふうに考えております。
 さて、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、都市の鉄道についてでございます。
 都市の再生が政府の重要課題に上がっているわけでございまして、その中でも、都市住民にとっては鉄道の整備というのは極めて重要だと思っているんです。これから高齢化社会、既に迎えておりますけれども、さらに高齢化社会が進んでいきますと、どうしても車やバスではなくて、鉄道の必要性というのは極めて重要になってくるのかなというふうに考えるわけですね。
 都市鉄道の予算が国費で六百億円でしたか、今計上されているわけでございますけれども、この年間予算でいきますと、どうでしょうか、大体一キロ地下鉄を掘るのに二百五十億から三百五十億かかるというふうに言われているわけでございますから、そういった観点から見ると、都市部で一年間にどのくらい地下鉄を掘れるかというと、八キロ程度ぐらいしか掘れない。これだけお金と時間がかかるわけです。
 となりますと、現在の不況下で、今政府が一般歳出を一〇%カットするというふうなことで、これに連動してきますと、当然、鉄道に対する予算も減ってくるわけでございます。こういったことをやらない、やはり非常に重要で、今言ったように時間と金がかかるわけですから、これについて国土交通省として、都市住民から歓迎されるような、期待されるような施策をするためにも、一〇%カットしないで行うべきだと私は思うわけですが、大臣は、今後予定される概算要求、これについてはどういった対応をされるのか、お尋ねしたいと思います。
扇国務大臣 大変力強いお言葉をいただいて、むしろ応援していただきたいとこちらからお願いしたいようなつもりでございますけれども、今、土田議員がおっしゃるように、都市鉄道、本当に今回の状況を見ましても、多くの皆さん方が首都圏に回帰する、今までの遠距離通勤で、いかに時間のむだと身体の労働の低下等々を考えますと、なるべく首都に回帰しよう、高くて不便でも職住近接ということが今傾向としてありますけれども、それだけに、大都市圏の鉄道網というものは余計混雑しますので、完備しなければいけないというふうに考えております。また、平成十四年度予算において、少なくとも成田新高速鉄道アクセスの整備に着手するということで、これも今まで五十数分かかっていたのを三十数分にしよう等々、私は大変英断であったと思います。
 また、今おっしゃるように十五年度の概算要求に関しましても、今後、概算要求の基準というものが決定されることになりますけれども、国土交通省としては、必要な都市鉄道の整備に配慮して適切に対処していこうということで、地下高速鉄道の整備事業費の補助というものも、これは地下鉄ですけれども、五百十二億、十四年度でもつけております。この五百十二億という地下高速鉄道の整備事業費の補助に関しましても、あらゆるところで有効に使われるものであるし、また、公共工事のむだとおっしゃいますけれども、むだを省いて必要なところへは集中的に投資することによって、コストダウンが図られる。
 ずっと長期に計画すれば、それだけコストアップになるということで、集中的に投資して利便性を図っていこうというのが、十五年度の予算に対しての集中投資、コストダウン、そして公共事業の有効性を活用していく、その基本姿勢に立って十五年度も考えていきたいと思っております。
土田分科員 さて、海上保安庁の長官にお見えいただいておりますので、幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず、不審船の引き揚げの件でございます。昨年の十二月にあの事件が発生して、船が沈んだ。沈められたか沈んだかは別にして、沈んだ。私は、この沈んだ時点で、まず海上保安庁なり政府は引き揚げを決断しなきゃならなかったと思っているんです。まず、引き揚げることを決める。ただ、その時期については、EEZ内でございますから中国の同意が、まあ必要ないんですが、問題があったり、あるいはお金の問題があったり、天候の問題があったりしますけれども、まず引き揚げる決意をしなきゃならない。
 この不審船がどういった目的の船であったのか、どういった装備を持っていたのか。当然、海の領域を守る海上保安庁の長官としましては、自分の部下がこれから同じような危機にさらされる可能性が出てくるわけでございますので、どういった装備を持っていたのか、非常に気になるといいましょうか、今後の海上保安庁業務を行う上で、まず引き揚げの決意をして、これをやることは極めて重要だったと私は思っているんです。
 この引き揚げる決定がなされたのが多分先月の六月だったと思うんですが、半年たってから引き揚げる決定がなされた。この間に、海上保安庁の長官としましては、いわゆる再発防止のための、あるいは部下を守るための引き揚げの催促といいますか、引き揚げるべきだという要求といいましょうか、それをすべきだったと思うんですが、こういった具体的な行動や発言はなされておりますか。
縄野政府参考人 今、先生から御指摘ございましたように、沈んだ船を実際に私どもが引き揚げてこれを検分するということは、事件の真相が何であったのか、どのような目的で航行していたのか、それから今おっしゃられましたようにどのような装備を実際使い、あるいは持っていたのかということを解明し、このような事件を抑止し、あるいは再発を防止するという観点から必要なことだというふうに私どもは思っておりましたし、機会あるごとに大臣の御指示のもと、私どもとしましては、捜査機関として、この引き揚げは必要であり、全力を尽くすということを繰り返し申し上げてきたというふうに思っております。
 具体的には、中国のEEZとして日本も扱っている海域でございますので、中国との適切な調整を経て、かつ天候、気象、海象の条件が許す時期にこれをやろうということで、今先月というお話がございましたが、中国といろいろな面での調整、私どもからの説明を経て、最終的にいついつから、六月二十五日から現場で作業を開始するということを正式に決めたというのが六月の二十五日でございます。
 以上のような経緯でございます。
土田分科員 大臣の許可を得て、事あるごとにそういった要求をしたというふうにおっしゃいましたけれども、私は聞いたことはないですね。海上保安庁からあるいは国土交通省から、早く引き揚げなさいよという話を再三にわたって要求したという話は聞いたことがないんですが、それはそれとしまして、今の引き揚げの状況ですが、台風シーズンになる前に引き揚げるんだという総理の話があったんですが、まさに今、台風シーズン真っただ中でございますが、今の状況と今後のスケジュールについて御説明ください。
扇国務大臣 海上保安庁長官が答弁します前に、今、土田議員からのそういう話を聞いたことがないというお話は、私は、聞き漏らされたんだと思います。
 私は、十二月に起こりましたこの不審船の最初の記者会見で、原因究明のために引き揚げるということを言明しておりますし、また、私は、そのために奄美まで行きまして、追跡しました「あまみ」の被弾状況もすぐ現地に飛んで見ております。百二、三十発の被害を受けております。また、三人のけが人の慰問もいたしましたし、そのときの追跡の船長を官邸に招きまして、総理から直接激励の言葉もいただきました。
 あらゆる面で国民の皆さんにそのことを公表しながら、あるいは記者の皆さんにも見ていただきながら、私たちは、海上保安庁とともに国民の生命財産を守る、海の警察であるというのが原点でございますから、これを解明しなくて、国民の生命財産を守る手法も見つからない。また、戦後今日まで、海上保安庁が攻撃をされたという前代未聞の事件でございましたから、このためには、最初から事件の解明をしていく、究明をするという意味で、不審船の引き揚げは、引き揚げなければ解明されないということを冒頭から言明しております。これは、私どもは何度も申し上げておりますことで、一貫した引き揚げというものの事態は申し上げてございますので、土田議員の残念ながらお耳に達しなかったのであれば、私は国民にとって不幸だと思いますので、絶えずこのことを申し上げていることだけは再認識していただきたいと思います。
土田分科員 その質問を続けてやるんですが、今、扇大臣が再三それをおっしゃってきたんだということについては、それはもうそれで結構だと思うんですが、外務省の答弁は一貫して、中国の了解が得られないんだと言っているんですね。
 この問題は、国際法的にも中国の同意を得る問題じゃございません。同意がなくても日本の判断でできる。しかし、外務省は、中国との摩擦を避けるために、どうしても中国の同意を得てからやりたいんだというふうに言ってきた。国土交通省は、今大臣がおっしゃったように、何回も何回も言っているんだと言うけれども、半年間もほうっておかれた。
 こういう事実について、これは国土交通省が悪くないんだ、外務省が悪いんだ、どこが悪いとは言っていませんけれども、政府全体としましては、この時間をとられたということは私はやはりまずかったと思いますよ。大臣のお立場あるいは国土交通省としての主張については聞き漏らした点もあるかもしれませんけれども、全体としてできていなかったというふうに思います。
 これは長官、今後のスケジュールとともに、もう時間がないのでもう一つ一緒に、こういった事件がまた再発する可能性もあるわけでございますが、今後の装備、高速船をもっとふやすとか巡視船に高性能の武器を積み込むとか、そういったことも必要だというふうに考えるんですが、これをさっきの質問とあわせて御答弁願いたいと思います。
縄野政府参考人 スケジュールの点は、先ほど申し上げましたように、私どもとしましては、中国との適切な調整と、気象、海象の条件を満たす時期ということで結果的にこうなったものでございます。
 今の作業の状況でございますけれども、残念ながら、例年にない台風の直接の襲来がございまして、六月二十五日以降作業ができた日は、二十七日と三十日と七月一日の三日間でございます。七月二日から七月の二十日まで中断をしておりまして、そういう意味では、全く中断がないという前提で想定したスケジュールからはその分おくれております。これから、安全にもちろん配慮しつつでありますけれども、早急に引き揚げられるように全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。
 それから、装備の点でございますが、これは大臣が繰り返し申し上げておりますけれども、向かい風二十メートル、それから波の高さ四、五メートルの中を、結果的に追いついたのが二百トン前後の非常に小さい船であったということで、私どもの職員は、ダウン寸前のところで銃撃戦をやらざるを得なかったような状況でございました。そういう点から、特に荒天下でも対応できるような千トンクラスの大型の高速巡視船の整備、それから、もちろん、まだ足りなかった防弾化あるいは武器の自動照準化というものを早急に進めてまいりたいというふうに思います。
 私どもの予算は、船の建造費が年間六十億余りという非常に厳しい予算事情のもとにございますけれども、そういう中で装備、人員とも御理解を得て、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
土田分科員 ということは、来年度予算で予算要求をされるというふうに理解しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと時間がありませんので、せっかく長官が見えていますので、これは質問要求しておりませんでしたけれども、一つだけお尋ねしたいと思います。
 それは、私が非常に気になっておりますのが、中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域の中で調査を行っているわけですが、そのときに、エアガンによる調査あるいはボーリング調査をまだやっているんでしょうか。もしもやっているんだったら、これはやめさせるべきだと思うんですが、どうですか。
縄野政府参考人 海洋調査船の活動につきましては、御承知のように昨年二月に日中の間で、私どもと事前通報制度、これは政府間で取り決めをしました。それに基づいて、通報のあった行動の範囲内で行動しているかどうかについて、一線でございます私どもが現場で監視をし、その通報のあったものでない場合には、私どもとして警告をし、中止、退去要求をしている。あわせて、外務省を通じて外交的にそれを通告しているという状況でございます。
土田分科員 いや、長官、それはいいんです。通報のあった分だけやっている分については問題ない。私が言っているのは、調査の仕方で、今言ったエアガンとかボーリング調査を認めるべきではないと言っているんです。これについてはどうですか。
縄野政府参考人 その点については、海洋法条約によって、私どもの同意、許可というものが必要な調査につきましては、そのとおりにしていただかねばならないというふうに思っております。
土田分科員 いやいや、もっとちゃんと答えてくださいよ。この二つの調査の仕方については、日本国政府の同意がなきゃだめでしょう。いわゆる日本でいうと、海上保安庁からの許可がないことにはやっちゃいけない行為なんですよ。これは日本は許可しているんです。だから中国はやっているんですよ、堂々と。許可すべきじゃないと言っているんです。どうですか。
縄野政府参考人 私どもとしましては、基本的には、日中のEEZにつきましての本当の意味での境界線というものが御承知のような状況でございまして、お互いにここが境界線であるということを前提に私ども仕事をしているわけでございます。
 そのような意味で、去年の二月に事前通報制度というものができたわけでございますので、日本近海において中国が通報してきたような活動内容におさまっているかどうかということを私どもがそれに従って監視をし、通報しているということでございます。
土田分科員 いやいや、答弁、だめですよ。長官、事前通報制度というのは、地域と期間でしょう。地域と期間についてはだめだと言える、注意できる。できるんですが、調査の仕方を言っているんです。エアガンとかボーリング調査をやめさせろと言っているんです。なぜやめさせないんですか。
御法川主査 縄野長官。
 はっきり答えてください。
縄野政府参考人 私どもが、許可を要する、海上保安庁ではありませんけれども、日本政府として許可が必要なものについては許可をとっていただくということでありますが、少なくとも、向こうが、中国側が通報してきた範囲内で私どもがその監視をしている、それに違反すれば退去、中止要求をするということでございます。
土田分科員 時間がないのでやめます。これは、また改めてやります。
 ありがとうございました。
御法川主査 これにて土田龍司君の質疑は終了いたしました。
 次に、中林よし子君。
中林分科員 日本共産党の中林よし子でございます。
 鉄道事業の廃止が許可制から届け制に変わってから、全国で初めてJR西日本が、先般五月に、可部線の一部、三段峡から可部間の廃止を打ち出しました。
 これは、そもそも四年前、一九九八年にJR西日本が廃止の意向を打ち出しましたけれども、地元の住民の皆さん方は足を奪わないでほしいということで、地元を挙げてといいましょうか、沿線住民あるいは自治体など、存続のための利用促進運動を展開してまいりました。ここに、その沿線自治体でつくっている可部線対策協議会の資料がございます。どのような利用促進をしていったかということがここにずうっと書いてあるんですが、大臣も、ちょっと小さいですから、持っていらっしゃるかもわかりませんけれども、可部線と地域の再生に向けた取り組みということで、百を超えるイベントを展開してまいりました。
 JR西日本は、乗客が一日八百人になればというような、全く根拠がないんですけれども、そういう指標を示して、JR西日本の調べで七百五十九人まで利用客を増大させるという、そういうところまで行きました。この中には非常にすばらしいものがありまして、三十三校、五千三百名の児童や生徒が参加をして、可部線に乗って自分たちの自然をしっかり見詰めていこうというような、そういう企画もありますし、あるいは田植え祭りだとか桜祭りだとか、四季折々に、至るところの自治体の努力が、本当に涙ぐましい形でやられております。
 それで、大臣にまずお伺いしたいんですけれども、こういう利用促進のための自治体や住民、利用者の御努力、そういうものに対してどのような御感想をお持ちでしょうか。
扇国務大臣 この可部線につきましては、私、何度も国会でもう既に論議をし、お答えもしてきたところでございます。これは、それぞれの地元の皆さん方が可部線の対策協議会、これをおつくりになって協議していらっしゃるのは私も何度も伺っておりますし、また協議会のメンバー、協議会の議事録等々私の手元にも届いております。
 この可部線、今中林議員がおっしゃいましたように、平成十年の新聞報道で、JR西日本によります同区間の廃止が報道されております。また、今おっしゃいましたように、平成十二年の十月に、沿線自治体が中心となって可部線の対策協議会を設置されました。また、平成十二年の十一月から平成十三年の二月まで、百四日間、増発等の試行運行を行って、利用者の動向を見定めようということもいたしました。また、その後、平成十三年の四月には、再度一年間の試行運行を行っていただきたいということで、これを実行しましたし、また利用者の動向を見きわめることとしたものと私は連絡を受けて承知しております。
 こうした動きは、沿線の住民とかあるいは地元の自治体の皆さん方の熱意、御努力によって、問題の意識が全くなくては成り立たないということで、皆さんの御努力があったということも承知しております。JR西日本も、地元の取り組みに対応して、再度の試行運行を行うなどの努力をしてきたことは私も可としております。
 そういう意味で、地域の鉄道について共同して検討を行うという事例の一つになったものと考えておりますけれども、今後、輸送の数字が十分にふえなかったということも現実として直視することは必要であろうと思っております。
 冒頭に申しましたように、地元の可部線の対策協議会において、可部線の新たな運営形態等の検討が行われておりますけれども、これらの取り組みを行っていることが協議会での検討に適切に対応されて生かされるものと私は思っておりますので、その協議を見守っているというのが現実でございます。
中林分科員 昨年ですけれども、JRの会社法改正の審議のときに指針というものが出されました。これには三つの問題があって、上記指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときは、JR会社に対して指導、助言を行って、さらに大臣は勧告、命令ができることになっている、こういう規定があるわけですけれども、この趣旨ですね、これはどういうものか説明していただきたいと思います。
石川政府参考人 JR会社法の改正の関係で、指針がございます、これにつきましての趣旨についての御質問だと思います。
 まず、基本的に、鉄道事業法におきましては、路線の廃止を行おうとする場合には、一年前に当該事業者が国土交通大臣に届け出をすることになってございます。これは、JRもほかの民間鉄道事業者も同様の手続であるわけでございます。しかしながら、JR各社につきましては、国鉄改革という経緯がございますことから、新たに指針制度を設けまして、その中で「路線の適切な維持に関する事項」というものを定めてございまして、路線の廃止に当たりましては、JRにおいて、関係地方公共団体及び利害関係人に対して、国鉄改革後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化について十分に説明をするよう求めているところでございます。JRと民間鉄道会社、それぞれ一年前に届け出をすればいいわけでございますが、JRにつきましては、そのような経緯を踏まえながら、十分な説明をすることを求めているものでございます。
中林分科員 今御説明があったように、その審議の過程の中の国の方の御答弁も見させていただきました。今ありましたように、廃止予定路線に係る経営内容、当該路線を廃止すること、これらの地域に対して十分な説明をしなければならない、こういうことになっているわけです。
 そこでお聞きするわけですけれども、JR西日本がなぜ廃止に至っているかというその最大の理由は、やはり乗客数が減っているということになっているわけですが、その基礎となるべきデータ、これをやはり国民に対して明らかにする必要がある。もちろん、対策協議会というところにも当然必要ではありますけれども、私はぜひそれを明らかにしていただきたいというふうに思います。民営になった以降の可部線の乗客数の推移、それから、今回問題になっている可部―三段峡間と可部―横川間、それぞれその人数がどうなっているのか。あるいは経営状態。赤字ということになっているわけですけれども、どういう経営状態になっているのか。区分することと、それからトータル的なもの、それぞれ乗客数並びに経営状況を明らかにしていただきたいと思います。
石川政府参考人 可部線でございますが、御案内のとおり、可部線というのは可部と三段峡の間と可部と横川の間とございますが、問題になっていますのは可部線の可部―三段峡でございます。
 これにつきましては、国鉄からJRへ移行した国鉄改革が行われた昭和六十二年、この時点では、一日八百六人キロでございます。これが、平成九年にはこの八百六人というのが四百九十二人、平成十年には四百五十六人、平成十一年には四百二十一人、平成十二年には四百七十九人、平成十三年には四百八十七人ということで、大幅に減少をしているところでございます。
 それからもう一つ、この区間の収支でございますが、平成九年の収支でございますが、年間六億円の赤字というデータでございます。
中林分科員 それぞれを区切ってといって私は今答弁を求めました。だから、可部―横川間の乗客数の推移、並びに経営状態の推移、それを明らかにしてください。
石川政府参考人 ただいま申し上げましたように、廃止を検討されているところは可部線の可部―三段峡でございます。これにつきまして、先ほど申し上げたとおりでございまして、繰り返しになりますけれども、昭和六十二年の段階で八百六人、以降は減少してございます。
 それから、可部線全体の輸送人員につきましては、昭和六十二年で、一年間の全体でございますが、八百九万人でございます。これは、可部線の根っこの部分の可部―横川間というところが、広島市内に近いところだと思いますが、ふえてございまして、全体につきましては、昭和六十二年で約八百九万人でございますが、平成十二年では約千三百六十七万人という数字でございます。
中林分科員 細かい経営状況については言っていただけなかった。ただ、今言われたように、可部線全体の人数の推移は明らかになりました。だから、今回廃止予定になるところは、民営化が始まった昭和六十二年には八百六人だったのだけれども、現在は四百八十七人と減っているんだよという話でございましたけれども、しかし、今全体のトータルからいうと、昭和六十二年には八百九万人、現在は千三百六十七万六千人というぐあいにふえているのですよ。要するに、可部―横川間、おっしゃったように、非常に人口の多い広島市内においては乗客数は物すごくふえている。だから、可部―三段峡間を差し引きしても相当数ふえているということなんですね。だから私は、路線というものを区切って、人数が減っているところだけを引き出して、減ったから廃止にするよという理由づけにはならないんじゃないか。なぜ一つの路線として考えられないのか、その理由はどういうことですか。
石川政府参考人 御説明申し上げます。
 JRの線名をどうつくるかということはなかなか難しい問題でございますが、この可部線につきましては、まさに広島市内の横川から可部、それから可部から先、三段峡というところまで延びているものでございますが、実は、横川から可部までは電化区間でございます。十四・〇キロでございまして、電化区間でございます。それから、可部から三段峡まででございますが、非電化でございまして、四十六・二キロでございます。したがいまして、もちろん非電化のディーゼルカーがそのまま可部から横川に入ってくるという運行もしてございますが、実際上の鉄道の運行という観点から見ますと、片方が電化区間であり、片方がディーゼル区間であるということで、可部線という同じ名前を付してございますが、かなり路線の実態は違うというふうに認識してございます。
中林分科員 それは全く理由にならないですよ。私は島根県に住んでおります。山陰線。出雲以西は、これはディーゼルですよ。出雲からこちらだけが、ほんのわずかな間が電化されているにすぎない。だけれども、山陰線ということになっているわけですよ。区切っていろいろやらないですよ。
 こういうローカル線と言われているところで、広島市内の一番乗客数の多い、会社にとってみればいい路線、そこだけはふえ続けている。そこから先が減り続けているから、そこを、今回は乗客数が減ったということで廃止の方向を打ち出したということは、私は、本来、鉄道が持っている意味合いからすれば、とても許されないことだというふうに思います。
 今、そこのところが六億円の赤字だとおっしゃったならば、それならば、その全体はどうなっているのか。それから、民営化後も横川―可部間はずっと人数はふえているのですから、そこの経営収支を明らかにしなかったらだめですよ。どうですか。
石川政府参考人 可部線のこういう問題につきましては、今後地元において、可部線を今後どうするかということについて検討が行われることになってございます。このために、可部線対策協議会というものに、JR西日本そのものもメンバーとして参画することになってございます。そういった検討の中でさまざまな検討が深められるというふうに認識してございまして、そこで必要なデータは提供が行われているものと考えております。
中林分科員 国会のこの審議の場に、そういう資料をあなた方は出さないのですか。出さなくていいということになっているわけですか。
 私どもは国民に選ばれた国会議員です。だから、沿線住民の皆さん、町長さん、議長さんともお話をしてまいりました。そこで、赤字だ赤字だと言われるのだけれども、どうも納得がいかないと。可部から三段峡まではみんな無人駅です。それから、ワンマンカーです。なぜそんなに金がかかるのだと。人件費の割り出しだとか、いろいろなことも全部ひっくるめて言われているんじゃないだろうか、そういう気がしてならない。
 チケットを売るのでも、役場の職員を派遣して売っているわけですよ。それから、トイレの掃除などその沿線の掃除も、そこの住民の皆さんがおやりになっているという状況です。にもかかわらず、六億円の赤字でございます、それだけは今おっしゃるのだけれども、どうして全部のトータル的な経営状況をつぶさに明らかにできないのですか。
石川政府参考人 路線別収支というのは、なかなか計算が難しいわけでございますけれども、いずれにしましても、JR西が現時点においてこの路線、可部―三段峡間において赤字であると、それは、旅客の数が極めて少ないという観点で六億円の赤字であるということを申し上げておるところでございます。
中林分科員 これは、一九九八年に廃止の方向が出されたときに、対策協議会の、どのような赤字の中身になっているかという質問に対して、JR西日本が答えているものです。これは国土交通省がJR西日本からおとりになった資料ですよ。あなた方が言えば出るじゃないですか。それを見ると、可部―三段峡間は、運輸収入が幾らで、それから経費は、主に人件費だとか物件費だとか、そういうものがかかっていて六億円の赤字ですよ。こういう収支を出しているんですよ。横川間と可部間だって同じようなことをやって出せるし、そのくらいのことは、国政調査権ということで、この委員会に明らかにするのは当然じゃないですか。経営の状況をちゃんと説明しなければならない、十分な説明責任を果たさなければならないということを昨年の委員会でちゃんと答弁されているわけですから。これはどうですか。
石川政府参考人 今まで、私どもとすれば、あるいはJR西にしても、既に必要なデータは公表させていただいていると思っております。今後は、現場で可部線対策協議会というのが行われて、そこでJR西日本もメンバーとして入り、そこでさらに検討を深めるというところでございます。そういう中で、JR西日本が必要なデータを提供するというふうに考えてございます。
中林分科員 政治的な判断が要ることだと思いますので、大臣に。
 昨年の審議の過程で、住民に対しては説明が必要だ、だから、ほかの民間の鉄道会社とは違いますよという話を随分されておりますよね。
 今言われたように、廃止のところは六億円の赤字ですと、その根拠もなかなか示さないでおっしゃる。地元の方々は、どうも納得がいかない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。可部線全体から見れば、乗客数もふえているわけですから、そういう意味では全体の、今回の廃止を打ち出しているところ、残るところ、ここの収支状況を明らかにするのは、昨年の法改正の趣旨からいっても当然必要なことではないんですか。
扇国務大臣 今の御議論を伺っておりまして、中林議員も御存じだと思いますけれども、この可部線対策協議会のメンバー、これは会長が広島市長です。そして副会長は戸河内町長。あるいは村長、町長が二名、そして広島県の地域振興部長、JR西日本の広島支社長、そして広島大学の教授、これがメンバー。また幹事には、広島市の都市交通の担当課長、そして各町の課長さん、湯来町の総務課長、加計町の総務課長、そしてオブザーバーで広島の地域振興交通室長、またオブザーバーでJR西日本の企画課長、またオブザーバーで広島大学大学院教授等々、これだけのメンバーがおそろいになって、今おっしゃったような資料というものは、御請求があって初めてこの可部線対策協議会が御審議なすっていると私は思っております。そのための協議会ですから。
 国としても、必要なデータの提供が行われるように見守っているところでございますし、この協議会が協議できるような資料請求があれば当然出ていると思いますから、何のための協議会であるかということを考えますれば、これだけのメンバーがそろっていてデータが出ていないというようなことではないと思います。私は、この協議会というものは、地域の皆さん、一番よくわかっているメンバーがそろっていると思っておりますから、データもそれぞれ要求があれば出されて協議されているものだと思っております。
中林分科員 私は国会の場にずっとこの資料を要求してまいりました。だけれども、きょうに至っても全く出てこなかった。乗客数の推移だけは出てまいりましたけれども、全く出なかったわけですよ。当然その協議会は、どうするかというので真剣な議論をやっていらっしゃるので、JRもオブザーバーとして入っていますから、それは出るんでしょうけれども。
 私は中国ブロックの選出でございますので、広島県生まれでもございますので、ずっとこの可部線を歩いてまいりました。そういう意味では、地域の皆さんが経営状況を知りたい、その根拠も知りたい、こうおっしゃっているにもかかわらず――今言われたのは、今度廃止予定のところの平成九年の赤字の数字だけお示しになりました。だから、全体の数字を当然示すべきだし、私は、住民の代表として国会議員が偉いなんと言っているわけじゃないんですよ。住民の代表として送られている以上、当然国政調査権としてそれは知る権利があるんだろうというふうに思いますが、重ねていかがでしょうか。
扇国務大臣 私は、故意に隠したりなんかする必要の全くないことですし、多くの皆さん方の、住民の皆さんの御意見を開示するということであれば、今まで可部線の話は何度も国会で論議されておりまして、資料を出さないなんと言われたのは初めてでございますし、この協議会にこれだけのメンバーがそろっていらっしゃるので、この協議会の協議というものがどの程度公表されているか、私、そこまではわかりませんけれども、地元でいらっしゃれば、この協議会の開示録といいますか協議方法というものもぜひお調べいただいて、私は、共通の認識をぜひ持っていただきたいと思いますから、故意に隠匿するというつもりも全くございませんし、そのための協議会だと思っておりますので、地元でぜひこの協議会の御指導も先生からなすっていただいたらありがたいと思っております。
中林分科員 協議会に出すのは当然なんですけれども、やはり国会論議でそういうものを必要としているので、私にも見せていただきたいということを申し上げているわけです。同意していただけると思いますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思うんです。
 乗客数はふえていると。減っているところだけ区切ると、やはり私は、JRのいいとこ取りと言われてしまうのではないかというふうに推測してしまうわけですよ。
 これは、国土交通省の方から資料をいただきました。地方線で一体どのぐらいの路線があるのかというふうにお伺いしたら、大体九十四路線、六千八百八十・五キロの路線があります。さらに、整備新幹線の着工でJRから分離されてしまうというところも六路線の六百三・〇キロメートル、こういうものがあるわけですね。
 大臣も御存じのように、国鉄改革の議論に立ち返ると、赤字路線も含めるんだということをずっと答弁してきているわけですよ。当時の橋本運輸大臣ですけれども、大臣も、地方交通線は生かしていくことができる、生き返らせることができるということまでおっしゃっているんです。
 確かにそこの区間だけは乗客数は減っている、だけれども、可部線全体はふえているということだし、それから地域の方々は大変御努力もされている。こういうときに、指針、そしてそれに基づく大臣の指導、助言、勧告、命令というものがあるわけです。しかも、JR西日本の経営実態は、ここのところいいんですよ。平成十三年五百四十億円の経常利益。平成十四年は、これは推測ですけれども、大体六百億円の経常利益が出るということになると、全体を見てそこを支えていくんだという国鉄改革当時のところにやはり戻る。しかも、今回JRにだけこういう指針を持たせたのは改革のときの経緯があるからだというふうに言っているわけですから、ぜひ大臣、この可部線、いいとこ取りということじゃなくて、この指針に基づく指導、助言を積極的にやって、住民の意向を酌み取るべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
扇国務大臣 けさほど冒頭に、山口議員とも地方線存続問題の論議をさせていただきました。今全国にどれだけあるかということで、私の手元に、これは北海道からずっと、延々と、A4判三枚に及びますか、これだけの路線がございます。全部これは存続したいという御希望があるのは、私も承知しております。
 けれども、現実に、それぞれの路線でそれぞれの努力をなすって、可部線のみならず、このA4判三枚に及ぶ全国の地方路線の存続というものを今後どうするか、また代替案はどうするべきなのかということも論議されていることでございますから、それぞれのところでそれぞれの努力をしながら、私もこれが全部存続できれば万々歳だと思っておりますけれども。
 地方の皆さん方に、それぞれの地域の苦しさ、またそれを経営する経営者の経営難ということも含めて、私は、JRの完全民営化のときにもJRの社長の皆さん方には、赤字路線をばっさり切るというようなことがないようにということも改めて申し上げております。
 内情を聞けば、それぞれの地方の努力と、その存続というものが、必ずしも両々相まっていかないという苦しさも私も見ておりますので、そういう意味では、この可部線の地域の皆さん方の御努力、地元の交通を確保するためにどうあるべきかという御検討をぜひ地域のこの協議会で結論を出されること、私は地域重視でございますから、ぜひその協議会の検討というものを重視していきたいと思っております。
中林分科員 国鉄改革のとき、JR西日本は優遇措置を受けてきました。固定資産税で千百三億円、自治体からの寄附で三百四十八億八千百八十三万円、整備新幹線の問題で三百四十八億七千万円、これだけの優遇措置を受けてきているということをぜひ考えていただきたいというふうに思います。
 時間が参りました。最後に一点だけ。
 ダムの問題なんですけれども、岡山県に大臣よく御存じの苫田ダムの問題がございます。岡山県の議会で知事が、今回六月の議会で柳井原堰それから大原川ダムの中止を表明いたしました。そういう意味では、岡山県の水需要のそもそもが破綻しているんじゃないかと言われているわけですね。
 この苫田ダムは、構想から四十年、それから計画から三十年、着工から二十年余りと、大変苦難の歴史を持っているダムですね。ここに至って、実は、百億円新たに追加が必要なんだという計画見直しの方向が打ち出されて、今協議中だとお聞きしているんですが、先般も私は現地に行って、どこがどういうふうにふえていくのかということを聞いたら、何ともう半分以上は既にやった工事についての話なんですよ。現地の説明者も、最初の現地調査が不十分と言われればそれまでだがとおっしゃるんですけれども、私は、やはり億のつく単位のものですから、それがやはり自治体にも負担を押しつけられるので、今岡山市や津山市から一万円でも少なく、こういう要望が出ているので、それについて、大臣、ぜひ一言だけお答えいただきたい。
御法川主査 鈴木河川局長、時間が過ぎておりますから、簡単に御答弁願います。
鈴木政府参考人 それでは簡単に。
 事業費の増額につきましては、最小限の必要額を計上したということでございますが、今後とも、引き続きコスト縮減に努めながらやってまいります。よって、関係者には十分御理解を得るよう努めてまいることとしております。
中林分科員 終わります。
御法川主査 これにて中林よし子君の質疑は終了いたしました。
 午後五時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十分開議
御法川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより法務省所管について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。森山法務大臣。
森山国務大臣 平成十二年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の決算についてであります。
 歳入につきましては、歳入予算額は九百六十一億一千六百七十二万円余であります。
 これに対しまして、収納済み歳入額は八百九十一億六千五百三十六万円余であり、歳入予算額に比べると六十九億五千百三十五万円余の減少となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は六千四百四十六億九千五百二十三万円余であります。
 これに対しまして、支出済み歳出額は六千二百五十八億五千百九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は百五十三億四千百二十七万円余であり、不用額は三十五億二百八十六万円余であります。
 次に、登記特別会計の決算についてであります。
 収納済み歳入額は千八百四十一億九千五百四十五万円余であり、支出済み歳出額は千七百四十二億四千六百万円余で、差し引き九十九億四千九百四十四万円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 次に、歳入につきましては、歳入予算額は千八百三十二億四百二十二万円であります。
 これに対しまして、収納済み歳入額は千八百四十一億九千五百四十五万円余であり、歳入予算額に比べると九億九千百二十三万円余の増加となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千七百九十三億八千百二十四万円余であります。
 これに対しまして、支出済み歳出額は千七百四十二億四千六百万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七億七千五百五十八万円余であり、不用額は四十三億五千九百六十五万円余であります。
 以上をもちまして、平成十二年度決算の概要説明を終わります。
 どうぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
御法川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十二年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 これは、職員の不正行為による損害が生じたもので、釧路地方検察庁及び標津区検察庁において、検察事務官が、罰金等の納付告知等の事務に従事中、納付義務者が罰金等の納付を申し出た際、現金を収納する権限がないのにこれを受領して領得したものであります。
 なお、本件損害額は、全額が補てんされております。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 これは、地図管理システムの賃借料等の予定価格の積算に関するものであります。各法務局では、地図管理システムの賃借料及び保守料の予定価格の積算について、一般に公表されている積算参考資料に基づいて、物件の標準価格に一定の料率を乗じるなどして算出しております。そして、システムが登記事務処理用の独自の仕様となっているため、それぞれ個別に開発会社等に依頼して機種ごとの価格証明書を入手し、その価格を採用するなどしていましたが、採用した価格は、各法務局で区々となっておりました。
 しかし、地図管理システムについては、本省で一括して購入していたり、また、すべて賃借していても、本省で見積価格を徴したりしており、これらの購入価格や見積価格は、いずれも各法務局が採用した価格よりも低額なものとなっておりました。このため、本省の購入価格等が、実態を反映した価格として当然参酌すべきであったと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、十三年十月に通知を発して、地図管理システムの賃借料及び保守料の予定価格に関する積算基準を定め、本省の購入価格等を随時各法務局へ連絡し、各法務局ではこれを参考とした上で適切な価格を把握し、これを同月以降積算する契約に反映させる処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
御法川主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。森山法務大臣。
森山国務大臣 平成十二年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置等について御説明申し上げます。
 まず、職員の不正行為の防止につきましては、従来から配慮してきたところでありますが、御指摘のような不祥事が生じましたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。
 事件発生後は、管理者及び一般職員に対し、あらゆる機会をとらえて綱紀保持の一層の徹底を図るとともに、内部監査の充実強化等により、この種の不正行為の再発防止に努めているところでございます。
 次に、地図管理システムの賃借料等の予定価格の積算につきましては、平成十三年十月に、各法務局に対し、地図管理システムについての賃借料等の予定価格の積算方法等について周知するとともに、本省の購入価格等を随時各法務局へ連絡することとし、各法務局においては、これを参考として適切な予定価格の積算を行うよう通知したところであります。
御法川主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御法川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
御法川主査 以上をもちまして法務省所管の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
御法川主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。冬柴鐵三君。
冬柴分科員 公明党の冬柴鐵三でございます。
 私は、昨年の五月十六日、委員会は法務委員会でございますが、マスメディアによる名誉毀損と損害賠償、とりわけ慰謝料の問題につきまして取り上げ、質疑をさせていただきました。
 これに対しましてマスメディアの方から、「週刊誌などによる名誉毀損の慰謝料が高騰」、いわゆる上がったと。「かつては百万円を超えることは珍しかったが、いまや三百万円、五百万円はざら、千万円の判決も出る。」というような書き出しで、「それらに続く高額判決のラッシュだ。」と。それに対して「「自由で多様な言論が封じられる」と“表現の自由の危機”を訴えるメディア」もあるというような御批判をちょうだいし、その中では、これは私の発言だと思うんですが、「「判決の認定が低すぎる」と詰め寄った。」というようなことが書かれてあります。それに対して最高裁の方は、下級審の裁判官に資料を提供していくというような答弁をしているけれども、これは引き上げへと誘導をするというふうに聞こえますというような辛口の批判があります。
 批判は批判としまして、私の問題意識は、間違いなく二十一世紀は人権の世紀であると思います。みだりに私生活を暴露されたり、あるいはみだりにプライバシーを暴かれたり、あるいは事によれば全く虚構の事実が写真入りで多くの読者が読むそのような媒体に掲載されるということは耐えがたいことでありまして、我々は、もちろん憲法には二十一条、表現の自由というものが保障されておりますけれども、我々国民一人一人にとっても、そのようなプライバシーを侵されないという自由があることは、もう憲法全体を読んでも明らかであると思います。
 そういう意味で、先ほど言いました、百万円ぐらいであったものが、近ごろは三百万、五百万はざらで、一千万も出るということにメディアの方で危機を募らせている、そういうことが書かれておりますけれども、例えば、週刊誌でゆえなく判決を命ぜられるような事例、虚構の事実等が報ぜられたその人にとっては大変なことでございまして、例えばそういうものを百万円で済ませてしまう、もちろん裁判をする場合には、弁護士に依頼をして着手金を払い、費用を負担し、そして裁判の過程では、二重被害、三重被害、自分の公表されたくないことを公開の法廷で主張しなきゃならないというようなことがあるわけでございまして、これは大変な勇気が要る作業だと思います。
 そういうものに対して裁判所が、事案によりますけれども、百万円ルールというものが巷間言われておりましたけれども、百万円というお金は見方によれば大きなお金ですけれども、しかし、弁護士に払う着手金、報酬の額等を考え、そしてまた自分が受けた損害というものを考えたときに、これでは勝っても百万円しか認容されないというようなことがあらかじめわかれば、もう泣き寝入りをしよう、もうややこしいからやめておこう、こういうふうなことになりかねないわけでございまして、私は、二十一世紀が人権の世紀と言われる以上、そういうことを許すわけにはまいらない、こんな気持ちでさきにも質問をさせていただきましたし、きょうもそのような問題意識のもとに質問をさせていただくつもりでございます。
 私は、前回にもこのように申しました。
 マスメディアの目覚ましい発達、こういうものは非常に国民にとっては有用な面があるけれども、しかし、そういうような、一つ間違えば名誉を毀損するという影の部分もあると。私は、最近マスメディアによる人権侵害というものを扱った判例が異常に多くなっている、そういうことに注目をしているわけでございます。もちろん、憲法で保障する表現の自由とこれとを調整しなければならないということは十分承知しているつもりでございますけれども、民事における名誉毀損というものが余りにも、社会通念に照らして、その認容額が低きに過ぎるということは放置できないという観点で私は質問をさせていただいたつもりでございます。
 そういう意味で、それに対して森山法務大臣からは、的確な問題点、問題意識の表明があり、そして、それに対する答弁もちょうだいをしたところでございます。
 復習をしてみますと、言論の自由あるいは報道の自由ということは、大変大事な人権でございます、これからも尊重していかなければならないと思います、そして、御指摘のように、最近、一部マスコミが非常に常軌を逸した刺激的な記事を書く傾向が大変目立っておりまして、その中には、個人のプライバシーあるいは名誉を著しく傷つけるというものがたびたび見られるようになりました、名誉毀損に関する損害の額につきましては、議員、すなわち冬柴でございますが、御指摘のとおり、今までのところ全体的には低過ぎるという印象が大変強うございます、深刻な被害を受けている者に対する救済手段としては不十分だというふうに率直に思う次第でございますと。これはもう私の真意と全く一致しているところでございます。
 その上で、政策として、このような点を踏まえて、法務省におきましても、本年、損害賠償制度を被害者の救済手段として有効に機能させる方法のあり方というものを含めまして、名誉、プライバシーの侵害に対する民事的救済に関して調査研究を行うということを予定しておりますということもおっしゃっていただきました。
 また、損害賠償制度のあり方に関する諸外国の実情の調査研究もしてみたい、また、プライバシーの侵害に関する金銭賠償以外の特定の救済の方法についてありやなしや、ありとすればどういうものが考えられるのかというようなことも研究してみたいというような、非常に私にとっては大賛成と申しますか、御答弁をちょうだいしたところであります。
 現在までに、そういうものについてある程度の成果があればお示しをいただき、あるいは、今後どういうふうにされるか、そういう決意があればお示しをいただきたいと思います。
森山国務大臣 法務省におきましては、最近、個人の名誉等の侵害が問題とされる場面が増加しておりますことから、名誉等の侵害に対する民事的救済のあり方に関する調査研究を行うことにいたしまして、平成十三年五月十六日の法務委員会におきましても、その旨を答弁させていただいたところでございます。
 名誉等の侵害に対する民事的救済のあり方に関しまして、金銭的賠償と差しとめ請求のそれぞれにつきまして、既に民法学者に調査研究を委託しておりまして、その調査結果の報告を受けておりますが、一部調査結果の検討取りまとめに時間を要している分野もございまして、現在、その分野を含めて、学者の方に最終的な報告をまとめていただいている段階でございます。
 法務省といたしましては、その最終的な報告書の内容を踏まえまして、今後、名誉等の侵害に対する民事的救済のあり方について検討してまいりたいと考えているところでございます。
冬柴分科員 それでは、その研究結果を待たせていただくということになると思いますが、諸外国の調査をされたというのは、また別なんでしょうか。それとも、同じ学者なんでしょうか。あるいは、差しとめ請求というふうなこともおっしゃいましたが、金銭賠償以外の特定の救済方法の一つとしての差しとめということなんでしょうか。そこら辺について、お答えをいただきたいと思います。
原田政府参考人 諸外国の民事的救済のあり方につきましては、今大臣の方からお答え申し上げました民法学者に対する委託研究の中で取り上げていただいております。
 特に、金銭的賠償に対する調査研究の際に、責任の正否及び賠償金額が問題になりまして、賠償金額に関して、特にドイツにおいて、例えば懲罰的な損害賠償についてどういう態度をとっているか、こういうことも研究の中で触れられております。
 例えば、ドイツの連邦通常司法裁判所におきましては、我が国の最高裁判所と同様に、懲罰的損害賠償に対しては、これを認めた外国判決の執行が求められた事件におきまして、どうも明示的にこれを避ける判断をしているというような報告がされております。
 一方、慰謝料に関しましては、事実上、制裁的な機能を盛り込む方向性が打ち出されている、このような報告がされているところでございます。
 それから、もう一つの、金銭賠償以外の特定の救済方法につきましては、委託調査研究の検討結果の取りまとめに少し時間を要しておりまして、現在最終的な報告をまとめていただいている段階でございますので、またこの最終的な報告を受けた段階で改めて御報告をさせていただきたい、このように考えております。
冬柴分科員 ちょっと追加して聞かせていただきますが、ドイツでは、我が国のように懲罰的損害賠償というものは認めないけれども、しかし、慰謝料算定の際には、懲罰的意味合いも含めた認定が可能だというふうに理解していいのですか、そういうことだということですか。
原田政府参考人 内容的に多方面にわたっておりますが、例えば名誉毀損行為によって利益を得た場合に、その得た利益を損害額とみなすというような、こういう形の判断がされるというようなことがございまして、そういうものは、事実上、制裁的な機能を果たしているということではないかという報告でございます。
冬柴分科員 それでは、法務省には、その研究の成果が出れば、早い時期に一般にわかるようにしていただきたいというふうに思います。
 それでは、最高裁判所の方にお尋ねをいたしますけれども、同じ質疑の中で、司法研修所においてもそういう問題については研究をしていただいた方がいいのじゃないかということを申し上げたところ、実務における損害賠償のあり方について検討をなされるというようなことが答弁されたと思うんですが、その後、それはどうなったでしょうか。
千葉最高裁判所長官代理者 昨年の五月に司法研修所におきまして損害賠償実務研究会が開催されました。東京、大阪それから名古屋の裁判官によって、損害賠償請求訴訟における損害額の算定について議論をされております。
 その結果は法律雑誌に掲載されておりますけれども、その概要をかいつまんで御紹介いたしますと、名誉毀損による損害額につきましては、近時におけるメディアの影響力の大きさ、それから人格的な価値に対する社会一般の評価の高まり、こういった点を考慮すると、百万円程度の損害額では低過ぎる場合も少なくない、五百万円程度を平均基準額とするということも一つの考え方であるということ。それから、適切な名誉毀損の損害額の算定を行っていくために、事案に応じてめり張りのある損害額を導き出す適切な算定基準を設ける、こういう必要があるということ。それから、判決書におきましても認容額の考慮要素を具体的に記載する必要があるということ。それからもう一つは、謝罪広告などの名誉回復措置のあり方につきましても検討する必要がある。こういった意見が出されております。
 それから、これとは別に、この司法研修所の研究を契機といたしまして、東京地裁と大阪地裁でそれぞれ有志の裁判官が既に終わった事件を対象とする調査とその結果の検討をされておりますが、具体的な内容としましては、著名人に対する全国的な伝播性のある名誉毀損行為、これに基づく損害賠償の額については、とりあえずの基本額、これは四百万から五百万円程度を一つの目安として、名誉毀損行為の伝播性の大小、加害者側の事情など諸般の事情を考慮して適正な損害額を算定することが相当である、こんなふうな話がありまして、先ほどの司法研修所における研究結果とおおむね同様の指摘がされている、こういう状況でございます。
冬柴分科員 その際、そのようなものが出た場合には、下級審に情報として提供していくということも述べられたと思います。もちろん、裁判官は法律とみずからの良心に従って判決するわけでございますから、そういう影響を及ぼすという趣旨ではなしに、こういうような研究があるということを情報提供としてされる必要はあろうかと思います。そういう点にはどういう御配慮をされるんでしょうか。
千葉最高裁判所長官代理者 この司法研修所における損害賠償実務研究会につきましては法律雑誌に掲載されておりますが、そのほかに、この研究結果というのは実務に役立つものでございますので、研修所から全国の下級裁判所に対してその結果を送付されたというふうに聞いております。
 それから、東京地裁と大阪地裁の研究結果につきましても、裁判官がよく目を通す法律雑誌に掲載されております。
冬柴分科員 そのような雑誌に掲載されたもの、あるいは東京、大阪、名古屋でございましょうか、主要な地方裁判所の裁判官による研究というものの中で結構でございますが、現実に、この過去一年といいますか、その間に、百万円を超えるような、あるいは三百万円でも結構ですが、五百万でも結構ですが、そういうものはどのような割合であるのか、そういうことを、その雑誌なり研究の範囲で結構ですが、お示しをいただきたいと思います。
千葉最高裁判所長官代理者 東京地裁の有志の裁判官による研究結果でございますと、平成十一年の三月から約二年三カ月の間に、マスメディアによる名誉毀損を原因とする訴訟についての判決が三十件言い渡しがされております。そのうち、請求を認容したものが二十九件でございますが、百万円を超える認容額はそのうち十七件、約六割ということでございます。
 それから、大阪地裁の研究結果によりますと、これは名誉毀損を請求原因とする訴訟については、平成十年一月から約三年九カ月の間に十九件の判決がございますが、十九件全部が認容でございまして、そのうち十五件が百万円を超えた認容額、約八割が百万を超えた認容額を出している、こういうことでございます。
冬柴分科員 百万円を超えたということは、そうすると、ほとんどが超えたということになりますが、では、五百万とかいうものはどうでしょうか。
千葉最高裁判所長官代理者 東京と大阪の研究結果によりますと、五百万円を超えたのはごく少数ということでございます。
冬柴分科員 何件かを、その範囲で結構ですが。
千葉最高裁判所長官代理者 東京、大阪で一件ないし二件、そんな程度であろうというように思っております。
冬柴分科員 そのような中で、事情によりますけれども、もちろん棄却されても仕方がない事情もありますけれども、認容されて、百万円ルール、そういうものは低過ぎるという認識は先ほどの研究でもあるわけでございますけれども、では、四百万から五百万というところがという、いわば、以前は百万円ルールと言われていたものが、今回五百万円ルールということにされてしまえば、これも私は大変な問題だと思うんです。請求額は、恐らく総額は五千万とか一億という事件は少なくないと思うんですね。原告になった人、すなわち名誉毀損された人にとってみれば、この毀損された名誉を回復するのは五千万もらっても到底納得できないという人だってあるわけで、そういうひどい事例もあります。
 私は、前回の質問のときに紹介をした週刊誌の記事、全く事実無根、訴訟を起こしても、激白をしたという本人が証人として全く出てこられないというような事案、こういうものが出たときに、今言われたような五百万円ルールというようなものがもし定着したら、これは大変なことだと思うんですが、その点についてどう感じますか。法務省と裁判所からお聞きしたいと思います。感想で結構です。
原田政府参考人 各裁判所が個別な事案に応じて判断される事項であろうと思っております。
 ただ、今後、いろいろな事案に応じて各裁判官が、これまでのあり方について先ほどの研究報告等を受けてお考えになる。後は、事案に応じて、それぞれ事案に適した損害額が認定されていくのではないか。感想ということでございますので、こういうことでよろしゅうございますか。
千葉最高裁判所長官代理者 損害額につきましては、これは個々の事件の判断の内容でございますので、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますが、ただ、先ほど御紹介いたしましたように、裁判官の研究会、有志の人たちの検討結果の中でも、今委員がおっしゃられたような問題意識と同じような基盤に立った研究がされている。この辺は注目すべきかというふうに考えております。
冬柴分科員 慰謝料の定型化というのが進んでいる場面があります。それは交通事故でございます。
 交通事故は年間百万件近く問題になるわけですけれども、これは一々裁判をやっておったんではとても処理ができません。そういう意味で、自賠責ですね、自動車損害賠償保障法に基づきまして補償がなされる。もちろん、それに納得できない人は訴訟を起こしてそれ以上のてん補を求めるということで、ほとんどが自賠責で解決をされるわけです。
 そういうものについて一つの定型的な、例えば平均余命がどれぐらいだとか、あるいはこのような人にはどれぐらいの将来所得が見込まれるとか、それに対して中間利息を一定の方式で考慮するとかいうような、そういうことを通じて損害賠償を計算し、また、あわせてそれに対する慰謝料というものも定型化をする努力がなされていると承知しているわけですが、そのような事情について御説明いただきたいのと、死亡事故というのは別としましても、一定の、例えば六カ月入院してそして治癒をしたという人に対する慰謝料額というものはどう定型化されているのか、その要素なりあるいは金額なりがわかれば、お示しをいただきたいと思います。
原田政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、自動車損害賠償保障法に基づき、自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払い基準が定められております。これは、死亡、後遺障害、それから障害の別に従って慰謝料等の額が定額化されているというふうに承知しております。
 それからもう一つ、弁護士会におきましても、例えば東京に三弁護士会ございますが、そこに交通事故処理委員会というのがございまして、ここが作成しております民事交通事故訴訟における損害賠償額算定基準という、いわゆる赤い本がございます。これにおきましても、交通事故における被害者の慰謝料につきまして、被害の種類、例えば、これは死亡であるとか障害による入通院であるとか後遺症ごとに目安となる金額を提示するなど、慰謝料算定の具体的な基準が提示されております。また、これは毎年改定が加えられておりまして、交通事故による死亡、障害等に伴う慰謝料額が事実上定額されているということだと思います。
 それで、具体的な金額、いわゆる赤本と呼ばれるもの、少しコピーを持ってきたんですが、例えば慰謝料につきましては、死亡につきまして、一家の主柱であると二千八百万円であるとか、母親、配偶者であると二千四百万円、その他であると二千万円から二千二百万円、こういうような具体的な基準が定められております。
 それから、障害につきましては、これは障害慰謝料につきまして、原則として入通院の期間を基礎として、別表方式で具体的な金額が示されている、このように承知しております。
冬柴分科員 慰謝料というのは、無形の損害でございますから、人の心の問題でございますから、計算するのは非常に難しいわけですけれども、そういうものについて、多くの事件が生ずるということに照らしこれを定型化されるということは、その努力は当然の話だと思いますし、また、今審議官から御紹介ありましたように、毎年改定されているというところが重要だと思うわけでございます。
 慰謝料というのは、その時代時代における、もちろん所得とかあるいは余命年数とか、死亡事故の場合はそうでございますけれども、それ以上に重要なのは、人のそういうものに対する、無形の損害に対する一般国民の評価、認識というものが時々刻々と変わっているということ、こういうことが非常に重要な要素だと私は認識しているわけでございます。
 そうであるならば、このマスメディアによる名誉毀損というものも、十年一日のごとく百万円ルールが通用したということは驚くべきことであり、そして、そういう、人の名誉に対する国民の評価というのは非常に変わっていると思うんですね。そういう意味で、裁判所だけがそういうものに無関心であったということは非常に残念だと思うわけですが、やはりこのような、今説明されたような流れの中で、正当な、国民が納得する、あるいは社会通念上、これはそうだというようなものが言い渡されて初めて、人権の世紀にふさわしい判決だ、私は、そのように思うわけでございます。
 これは答弁を求めましても答えようがないと思いますので、私の意見の表明だけにとどめさせていただきます。
 ただ、裁判官が、一件書類によればとか、弁論の全趣旨に照らし一千万円を相当とするというようなことでは、これは違法ではないんです。しかし、やはり心証形成過程と申しますか、裁判官がなぜ五百万を選択したか、なぜ一千万を選択したかということがある程度わかるような判決文の書き方という方が、すべての人に納得を求めることができるのではないかというふうに私は思います。
 そのような意味で、どういうことを考慮したかということは、例えば加害者側の事情について、故意でそのような記事を書いたかどうか、あるいは記事の内容が全く事実無根であったか、あるいは真実を含んでいたかとか、あるいは真実であったとしても表現が不適切であったとか、あるいは必要でないのに顔写真がでかでかと載ったとか、こういうような問題。もちろん公共利害に反したか、公共目的があったかということは当然の話ですけれども、そういうようなものをもう少し判決に書いてもらったらどうだろう。あるいは配布の方法。どれぐらい売れている雑誌なのか。あるいは配布によって利益がどれぐらいあったのか。先ほど審議官がドイツの話でちょっと紹介されましたけれども、このような刺激的な記事を連続して書くことによって、週刊誌なりが非常に売り上げが伸びたという場合だってあるわけでして、そういうものも考慮されてしかるべきじゃないか。また、被害者側の実情として、それによって社会的評価が非常に下がって、表にも出られない、それは、本人だけじゃなしに、家族全員がそのような被害を受けているという場合だってあるわけです。それから、営業上大変な不利益を受けた、社会生活上大変な不利益を受けた、こういうようなことがメルクマールとしてあると思うんですね、判断資料として。そういうことはやはり判決の中に判断をした理由としてある程度書かれることが必要なように私は考えるんですが、その点についてのお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
森山国務大臣 判決書の理由につきましては、当事者の主張した事実が認められるかどうか、及び、認められた事実に対して法律を適用した結果がどうなるかを示すこととされておりますが、特に名誉毀損を理由とする慰謝料請求事件についてのみ、慰謝料額の算定に当たり考慮すべき事項を、例えば民事訴訟法で規定するということは困難ではないかというふうに思います。
 なお、今後、名誉毀損を理由とする損害賠償請求事件における慰謝料額を算定する際の考慮事情につきまして判例等が積み重ねられていけば、そのことが判決書の理由の記載に反映されていくのではないかと考えます。
冬柴分科員 終わります。ありがとうございました。
御法川主査 これにて冬柴鐵三君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
御法川主査 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日森文尋君。
日森分科員 社民党の日森文尋でございます。
 きょうは、大きく二点について国土交通省にお伺いをいたしたいと思います。
 一つは、地下鉄七号線の延伸関係についてお伺いをしたいと思います。これは昨年の予算委員会の分科会でもお尋ねをしたのですが、大変重要な路線であるし、国土交通省としても積極的な御支援をいただきたいという意味も込めて、お伺いをしたいと思っています。
 幸か不幸か、この地下鉄七号線が通過をするところは、先ごろ成立をしました五増五減案で私の選挙区と別のところになってしまいました。非常に残念なんですが、しかし、そうはいっても埼玉県民の重要な足ですから、ぜひ十分な配慮をいただきたい、そう思っています。
 特に位置の関係でいいますと、今回ワールドカップ準決勝が行われた埼玉スタジアムというのがございますけれども、そこの最寄り駅である浦和美園から、平成二十七年、大分先の話なんですが、岩槻というところを経由して蓮田に至る区間、これを開業することが適当である、そういう路線として運輸政策審議会から平成十二年に答申をされました。
 最初にお伺いしたいのは、埼玉県や岩槻市初め関係自治体は、交通の利便性向上や混雑解消、地域発展への住民の期待が大変大きい。これで基本計画策定に向けた調査などを今県が中心になって行っていますし、これについて、各沿線市町村もこれを受け入れて準備を開始しているところなんです。
 ちなみに、県は、今年度、平成十四年から十六年まで、浦和美園から岩槻間約七・二キロ、この基本計画の調査を開始いたしました。調査項目は、測量、地質の調査、埋設物の調査、それから運行計画、建設計画の検討、主要構造物の概略設計、事業手法等の検討、これらを中心に基本調査を行うことになっています。
 恐らく国土交通省にも届いていると思いますが、県から、具体的に早期にこの計画を実施するし、建設も着手をしたいという要望が届いていると思うんですが、政府としても、この要望をしっかりと受けとめていただいて、ぜひ促進をいただきたいと思いますが、まず最初に、この点について国土交通省の御見解をお伺いしたいと思います。
石川政府参考人 地下鉄七号線の延伸につきましては、今先生お話がありましたように、平成十二年の一月に運輸政策審議会において答申された東京圏における鉄道整備計画において、二〇一五年までに開業することが適当である路線だというふうに位置づけられてございます。今先生がお話しのように、現在埼玉県を中心としてさまざまな検討が行われているという段階でございまして、私どももその内容については伺っているところでございます。
 この当該路線でございますけれども、十二・九キロ、膨大な費用がかかります。地上方式で千五百九十五億円というふうなことでございます。それから、関係事業者の間の調整というふうなこともあると思います。
 そういう意味で、事業化に当たりまして解決すべき基本的な課題というものがあるわけでございまして、現在埼玉県がそのような調査をされているということで、私どもとしては、埼玉県の調査動向を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
日森分科員 ぜひ積極的に県の方の支援もお願いをしたいと思います。
 この件の二つ目なんですが、浦和美園と岩槻間については、運政審答申の開業目標年度を前倒しして整備をするということも考えられているようなんですが、それについては「先行整備の検討」というところで、これも県の要望が出ていると思いますが、厳しい財政状況下で七号線延伸を進め、浦和東部、岩槻南部地域の地域整備と鉄道整備を一体的に進めるため、早期に整備効果が上がり、全線整備に比べ年度ごとの財政負担の平準化が図れる、そう予想される浦和美園と岩槻間、これについてあわせて検討しているということが、恐らく国土交通省も御存じのことと思います。
 これでいいますと、例えば沿線三市で、ルート、駅の位置等がほぼ確定的というか、おおむね合意がされている。それから、先ほど申し上げましたワールドカップの準決勝が行われた埼玉スタジアムですが、北側からの鉄道アクセスを確保するとともに、先行する沿線の都市整備事業との整合性を図るため、鉄道整備の早期着手が必要であるということを言われています。
 この沿線整備というのは、都市基盤整備公団の恐らく二十一世紀、いや都市基盤整備公団最後の大仕事だろうというふうに言われているような、そういう開発計画が近所で行われているわけですが、これらの関係も含めて、早期に鉄道を整備することが必要ではないのか。
 それから、浦和美園から岩槻までの間を先行整備する場合、費用対効果を高め、県及び市の財政負担の平準化が図れるということも県の方で指摘をしています。
 その他幾つかありますけれども、先行して整備をしていくことによってこういう大きな利点があるのではないかということを県の方で要望されていると思うんですが、これについて御見解をお伺いしたいと思います。
石川政府参考人 浦和美園―岩槻間の先行整備ということにつきまして、今先生お話がありましたように、現在埼玉県において、七・二キロでございますが、ここの浦和美園―岩槻間の基本計画策定に向けて必要な調査を平成十四年から三カ年にわたって実施をするというふうに伺っております。
 それで、鉄道整備をどのような形で進めていくかということにつきましては、その鉄道事業を行おうとする整備主体がどう考えるかということが第一だと思いますし、今お話のありましたように、そういうことがいろいろな意味で平準化をするということであれば、それも一つの考え方だろうと思います。
 ただ、実際に鉄道というのはある程度のスパン、長さがないと、お客様の利便であるとかそういうこともあります、あるいは運行計画上どうしたらいいかという点もあろうかと思います。現在、埼玉高速のところは、残念ながら、輸送需要が当初予定したよりも少ないという状況もございます。そういうことも幅広く考えながら、県の方でこれから三カ年にわたって調査をされるということでございますので、私どもとしては、その調査が行われる結果を待ちたいというふうに考えております。
日森分科員 それと加えて、問題は、昨年申し上げたんですが、今局長からもお話ありました事業費用なんです。全区間、蓮田まで延伸するとなると約千六百億、千五百九十何億が見込まれているわけです。仮に先ほど申し上げました先行整備する岩槻まででもほぼ半分の約七百七十億円が必要だ、こういうふうに言われているわけです。
 巨額の費用を要するわけですから、これもどういう整備手法でやるかということによっていろいろ支援のあり方が違うと思うんです。例えば上下分離でやるんですとか、さまざまな手法があると思うんです。それによって変わると思いますが、首都圏の三セクの鉄道、いつか国土交通委員会でも質問したことがあると思うんですが、かなりあるんですが、ほとんど赤字になっている。
 これはもう首都圏だけではなくて、地方に行ったら特にそうなんですが、これから整備新幹線がつくられて、かわりに三セクになる東北本線、いわて銀河鉄道、それから青森の青い森鉄道、これも最初から、厳しい、こう言われているわけですし、それから、しなの鉄道などについても、当初は比較的順調に出発したけれども、しかし今は二十数億の累積赤字を抱えているということになってくると、建設のために巨額の費用が必要で、しかも、これから運営していくにも莫大な費用が必要である。
 しかし、今の制度でいうと、なかなか運営まで立ち入って支援することはできないという制度になっていまして、そうすると、本来の意味で必要なところに鉄道をつくって利便性を確保しよう、通勤の足を確保しようということが想定されたとしても、みんなしり込みしてなかなかできなくなっちゃうんじゃないかという心配もあるんです。
 ここも、実はこの間株主総会がございまして、御存じのとおり、八十八億円の赤字ということがありました。当初の予定人員から四割程度しか利用者がいないということがありまして、大変厳しい状況に追い込まれているわけなんです。
 そういう意味で考えますと、今の制度の中ではわかりますけれども、改めて、全国の三セクだとか、これから新たに第三セクターになっていくところもたくさん出てくると思うんです、整備新幹線なんかの関係で。ひっくるめてその支援の方法ということについてきちんと考えていかなきゃいけないと思うんですが、整備手法とあわせて、まずその辺について局長のお考えをお聞きしたいと思います。
石川政府参考人 今後の鉄道整備を進めるに当たりまして、今先生からもお話がございましたように、鉄道設備の投資額そのものがかなり巨額になってまいります。特に、都市部においては、キロ当たり二百億円とか三百億円と言われるぐらいの投資規模になっていくわけでございます。
 一方、今後少子高齢化ということになりますと、今後の旅客輸送需要というものを右肩上がりで考えるというわけにはなかなかいかないという中で、鉄道をどうしたらいいかということでございます。
 そういう意味で、鉄道自体の整備の必要性を本当にどう考えるかということと、それから国や地方の財政状況というものをどう考えるかというさまざまなことを考えていかなければいけないというふうに考えております。
 ただし、そうは申し上げましても、都市鉄道というのは、御案内のとおり、大都市圏における通勤通学輸送の重要な役割を持っているわけでございますし、ある意味では都市機能の一つの装置として維持増進を図るべきものだとも考えているわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしてもさまざまな工夫を今やってきているわけでございまして、御案内のように、都市鉄道の整備に関しましては、例えば償還型上下分離方式の導入ということで、大阪の方で始めたわけでございます。中之島新線あるいは阪神西大阪線の延伸というものにつきましては、大阪府、大阪市の協力も得まして、償還型上下分離方式ということで着工いたしました。
 それから、今度、千葉のBルートにつきましては、補助率の拡大というようなことを行ったり、あるいは、これは空港公団が受益するわけでございますので、空港公団でありますとか地元千葉県、市に対して出資金を募るというふうな形で、できるだけ無償資金を多くする、有償資金を少なくする工夫というものをやってきたわけでございまして、今後ともさまざまな形で努力をしてまいりたいと考えております。
日森分科員 ぜひそういう努力も続けていただきたいと思うんですが、一つは、抜本的に都市鉄道、地方もそうなんですが、そういう公共交通に対する支援のあり方を変える。すぐにはできない話なんですが、そういう発想も必要なのではないかというふうに思っているんです。
 ちょっと私も勉強不足なんですが、例えばヨーロッパなど、フランスとかいうところの例で言いますと、フランスは余り分権が進んでいるとは言えないんですが、地方分権がかなり進んでいる、そういう国で、地方というか自治体がその都市だとかあるいは地域の公共交通に全面的な権限と財源もしっかり確保する。もちろん、それは国や州も助成をしていく。そこが責任を持ってその地域の公共交通を確保していくという制度が意外と定着しつつある。
 今局長がおっしゃられた例で言うと、どうも一つの線路についてどうしようかという話になるけれども、エリアとして、面として公共交通をどう確保していくかという意味で考えていくと、分権の推進、しかも、権限もしっかりと、鉄道に対して、この鉄道をきちんとつくりなさいとか運営しなさいとかいうことがきちんと言えるような地方の権限であるとか、それに付随した財源は州、国もきちんと保障していくとかいうところを少し考えていかないと、このままいったら、かなりきつい状況が全国各地にどんどん出てきて、それこそ大変な話になるのではないかという気がしているんです。
 これは質問にないんですが、局長の個人的な感想、意見で結構なんですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
石川政府参考人 従来、鉄道整備は鉄道事業者という形で進めてきたわけでございます。
 それで、一番極端な場合は、日本国有鉄道という形で鉄道の整備を進めてきたわけでございますが、むしろ今国鉄は民営・分割をされたという形で、できるだけ地域に根差した形でそれぞれの鉄道を維持する、あるいは整備するということが大事だろうと思っています。
 そういう意味で、今まではまさに第三セクターという形でその地域の県あるいは市町村が参画をしていただいているわけでございまして、この地下鉄七号線につきましても、御案内のとおり、埼玉県が参画していただいて、埼玉高速という形で進めているわけでございます。
 そういう意味で、やはり鉄道の整備あるいは鉄道の維持というものにつきまして、まず地元がどのようにしたらいいかということについてお考えいただくということは、方向の流れとしては大事なことだろうと思っております。
日森分科員 実は、民主党さんと一緒に交通基本法という法律を出して、つるされっ放しになっているんですが、これはまた臨時国会以後でも議論していただいたらいいと思うんですが、やはり公共交通に対する基本的な考え方とか理念みたいなものをきちんと明らかにして、その上で、どういう格好で、まさに大臣がおっしゃっているグランドデザインの一部にも入ると思うんですが、そういうことで、都市鉄道や地域の鉄道について、それぞれ支援の仕方は違っても総合的に考えられるような、総合交通体系の中で考えていけるような、そういう政策をぜひ考えていただきたいと思いますし、その意味では、基本法についても、ぜひごらんいただいて、いいところがありましたら受けとめていただきたい、こんなふうに思っています。
 ちょっと二つ目の質問で、これは実に簡単に質問したいと思うんですが、これは私の選挙区で、後ろにいらっしゃる土屋先生の選挙区でもあるお話なんですが、実は私どもの、私どものと言うと怒られちゃいますが、選挙区でございます春日部駅というのがございまして、そこは東武伊勢崎線というのが通ってございます。先へ行って、日光に行ったり伊勢崎に行ったり、栃木と分かれていくんですが、そこが今、連続立体交差、これを調査してやろうということになっているわけです。
 最初に、立体交差化で春日部駅周辺のボトルネック、これは踏切については改善するための法律なんかがいろいろ改善されましたけれども、しかし、それだけでは十分ではないわけで、私も実際住んでいて、年がら年じゅうあかずの踏切というのがあって、物すごい苦労させられている市民の方々もたくさんいらっしゃるわけです。そういうボトルネック踏切二カ所を含む十三カ所の踏切を立体交差化して、渋滞解消であるとか交通安全の確保ということをやろうというふうになっているわけです。この立体交差化が進めば、それにあわせて周辺のまちづくりということについてもいろいろ考え方が出てくるだろうと思うんです。
 そこで、調査事業などを含めた現在の進捗状況について御説明をいただきたいと思います。
澤井政府参考人 ただいまの伊勢崎線の連続立体交差事業の件でございますが、一般的に連続立体交差事業は、その整備の仕方いかんが都市の健全な発展に及ぼす影響というのが非常に大きい事業と考えております。
 そのため、事業の実施の前に調査をするということで、その調査の中では、市街地の分断を初めとする市街地の現況のいろいろな課題をきちんと把握する、それから、連続立体交差事業の必要性をその上で明らかにした上で、先生も御指摘の関連する市街地整備の事業計画、あるいは高架した場合にその高架の下をどういうふうに利用するかという計画、それと一体的に鉄道や関連する道路の設計を行っていく、さらに計画の投資効果や環境面の影響などを総合的に調査するということで進めております。
 この東武鉄道伊勢崎線、それから野田線が結節するということで、春日部駅の周辺では鉄道が市街地を東西南北に分断しているというふうに認識しております。また、この二路線が結節いたしますので、踏切遮断時間も長い、踏切での慢性的な交通渋滞が発生しているという状況だというふうに私どもも承知しております。
 この地区につきましては、こうした状況を踏まえて、平成十四年度、今年度と来年度、十五年度の二カ年で補助調査を行う予定でありまして、埼玉県で現在今年度の調査の準備を進めております。今年度の調査では、周辺市街地の土地利用、街路の整備状況、踏切の交通量、鉄道の状況等の詳細な調査を行いまして、問題点それから事業の必要性を整理し、都市整備の基本構想を策定する、さらに測量調査、土質調査、鉄道、側道などの基本設計などを行うというふうに承知しております。
日森分科員 ちょっと質問にないんですが、関連して、ちょっと心配が今出たものですから。
 これは道路特定財源を使いますよね。今はその一般財源化というような話がございまして、聞くところによると、例えば中央線をずっと立川まで立体交差にするという話もありますね。よくわかりませんが、あれは総額で二千億とか、それくらいなお金がかかるんだということも聞いていますし、それから、ここもこれからどれくらいかかるかというのが出てくるんでしょうけれども、やはり連続立体交差となると相当なお金がかかる。事業者は一割負担だということになっているわけです。
 私は、その一般財源化には必ずしも賛成する側ではなくて、社民党の守旧派と言われていますが、しかし、それは環境まではいいでしょう、それを福祉に回さないでくれよという、大臣も一緒かもしれませんが、そこはともかくとして、これは心配ないんでしょうかね、全部これで使うわけじゃないんだけれども。
澤井政府参考人 この事業につきましては、ほかにも連続立体交差事業を全国で数十カ所進めております。市街地全体を改善し、特に、当該必要な地域に交通が集中し、あるいは通過交通も通っているといった事態を改善する上で非常に重要な事業だと考えておりますので、きちんとやっていきたいと思っております。
日森分科員 ぜひお願いしたいと思います。
 それで、その周辺の立体交差というのは、計画もそうなんですが、非常に市民の要望も強いということですから、積極的な御支援をいただきたいと同時に、十五年度以降の見通しについてお伺いをしておきたいと思います。
澤井政府参考人 この調査を、まず県の御要請に基づきまして、十四年度、十五年度、二カ年で実施いたします。
 若干先ほどと重複いたしますけれども、この事業全体が市街地整備も含めまして大変大きな事業費を要する、町の今後の方向を決めるものということで、例えば、この地域に集中する交通あるいはこの地域を通る交通、こういったものをどう円滑に処理するか、適切なコストで高い効果が発揮でき、業務、商業、居住等の都市機能増進に資する計画にするためにはどうしたらいいか、例えば鉄道線路の線形をどうするか、交差道路をどう配置するか、周辺の市街地整備をどのような範囲でどういうふうに行うか、そういったあたりの検討が十分行われる必要があると思っております。
 現在、全国で六十二カ所の連続立体交差事業を行っておりますけれども、各箇所とも事業効果、周辺のまちづくり等について十分な検討を行った上で、また、地元の地権者、鉄道会社等関連する主体の調整状況を十分見きわめた上で次に進むというやり方をとっています。
 本地区につきましても、よりよいまちづくりに資する事業となるように、ことし、来年、二カ年で行われる補助調査の結果を十分見きわめた上で、的確に対応してまいりたいと思っております。
日森分科員 議事進行のため、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
御法川主査 これにて日森文尋君の質疑は終了いたしました。
 次に、石田真敏君。
石田分科員 自由民主党の石田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、関西国際空港と国会等の移転という、もう既に長く長く議論されてきたテーマでございますけれども、あえて質問をさせていただきたいと思います。といいますのは、これらの問題について、私、地方から見ておりまして、どうも長い議論の中で原点が忘れられているのではないかという危惧をいたしたからでございます。
 今日の日本というのは、財政状況からもむだを省く、そのことは当然でございますけれども、余りにも、何につけても、経済性、効率性が異常なほど叫ばれるばかりで、十年先あるいは二十年先を見越した国策というような国土計画が見当たらないのが現実ではないかなというふうに思っているわけでございます。大きな計画のないところに語るべき目標とか夢はないわけでありまして、まことに寂しい限りであります。
 そういう意味で、次の世代あるいは次の次の世代に、時間をかけ、お金をかけてでもやらなければいけないことはあるはずだというふうに私は思います。将来に大きな禍根を残さないように着実に進めていただきたい、そういう期待を込めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、関西空港の建設の原点は何であったかということであります。
 これは、私は二つあったというふうに考えておりまして、一つは、まず伊丹空港、大阪国際空港の騒音問題です。これはもう大変な騒ぎになりました。周辺自治体の十一市協、十一市協と言いましたけれども、この正式名称は大阪国際空港騒音対策協議会でございます。それで、住民からも訴訟が起こるとか、空港廃止の調停申請が出たり、そういうような大変な騒ぎになったわけでございます。
 ちなみに、その当時、関西国際空港の位置と規模を航空審議会で審議していたころですが、大阪府下では、大阪府議会を初めとして、泉州地域の七市五町の議会で反対決議が採択されていました。また、兵庫県下でも、八市一町の議会で新空港などに対する反対決議があった。そして、私の地元の和歌山市議会も後に反対請願を採択する。つまり、空港反対ムード一色であった。それが現実の姿でございました。
 そして、もう一つは、そういう中で、例えば夜間の飛行ができない、そういう問題が起こってまいりました。しかし、一方、国際化というのが進展をしてきました。どうしてもやはり二十四時間運用可能な空港が必要だ、それは成田の問題も大変滞っておった、そういう中で起こってきた問題でございまして、それを解決するために、航空審議会の答申文では、伊丹空港の廃止を前提としてという言葉が明確に記されているわけです。そして同時に、航空騒音に配慮して、工費は高いけれども海上空港が望ましいということが運輸省の説明できちっと説明をされております。
 昭和四十六年の第一回関西国際空港部会、ここで運輸省は、調査に当たっての基本的態度として、騒音問題を最重要事項として考え、騒音公害を市街地等に及ぼさないことを第一の条件とした。
 そのためには、工費は高いが海上空港が最も望ましく、海上の七カ所の候補地のうちで、泉州沖、神戸沖、播磨灘、淡路島の四候補地から建設場所を選定するのが望ましい、海上七カ所からまた四カ所を選んで、そのうちでつくる方が望ましい、そういうことをこの空港部会ではっきりと明言をされているわけでありまして、これが関西空港の私は原点だと思うのです。
 伊丹空港は騒音であった、そしてまた国際化の中で二十四時間空港がどうしても必要であった、その中であえて工費の高くつく海上に空港をつくろうとしたということで始まってきたわけでございます。
 ところが最近、国土交通省では上下分離案とかいろいろ御努力をいただいておりますけれども、新聞論調なんかを見ましても、特に、先日、日経新聞ですか、出ておりましたけれども、「関空の経営実態を覆い隠さず、まず単独での再建案を練るべきではないか。」こういう論調が出ております。
 それで、いかにも関空株式会社の経営が悪いように主張されているわけでありますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、この関空建設の原点というものを考えたときには、そんな今日までの経過から見れば、単独での再建策を練るべき、そういうような簡単なことは言えないんではないかなというのが、私のこの関空の問題に対する基本的な認識でございます。その上に立ってお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 それは、先ほども申し上げましたけれども、審議会の答申で、伊丹空港の廃止を前提としてと述べられているわけです。にもかかわらず、伊丹空港は航空機の騒音問題を抱えたままで、平成二年に存続が決定をいたしました。
 そして、平成十二年度の決算を見たらわかると思いますが、平成十二年度には百五十億円余りの騒音対策費を使っているんです。昭和四十二年から平成十三年度までのトータルということでいきますと七千七百億円近いお金をつぎ込んでいる、騒音対策費にですよ。そうしながら存続をしてきているわけです。
 毎年百数十億円、ほかに空港対策として振り向けたら随分と有効なことができるのではないかなというふうに私は思いますけれども、そういう状況の中で伊丹が存続されている。
 そこで質問なんですけれども、この伊丹空港の存続が関西空港の経営問題に与えた影響について、当局はどのように具体的に考えておられるのか、お答えをいただきたいなというふうに思います。
 また、工費が高くなるということを承知の上で海上空港をつくられたわけでありまして、そこには騒音という問題がありました。それからもう一つは二十四時間空港という問題があったわけなんですけれども、このことについてどのように考えておられるのか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
扇国務大臣 石田議員から、大阪国際空港、いわゆる旧伊丹、そして今の関西国際空港の建設に至った当時のことを改めて提起していただいて、私は大事なことだろうと思っております。
 それは、私は、兵庫県選出ですけれども、兵庫県で選ばれたわけじゃなくて、兵庫県で生まれ育ったということで、その方が正しい、私は全国区でございますから。そういう意味では、関空のありよう、伊丹からは今まで何度も、空港出ていけ、空港は要らないと伊丹の皆さん方は叫び、そして補償金が足りないと言い続けられました。そして、いざ関空ができて、関空に全部移りますよと言ったら、出ていかないでくださいと言う。こういうことも私は、今石田議員がはっきりおっしゃいませんでしたけれども、私はその事実はずっと見ております。
 そして、今おっしゃったように、伊丹空港というのは、伊丹と言う方がわかりいいですから、同じ国際空港と言っているとややこしいですから、伊丹とあえて発言しますけれども、今おっしゃったように、騒音問題等々周辺対策事業費、これは今まで累計で六千二百三十一億円というお金を空港周辺整備に使ってきました。
 そして、伊丹空港自体は、昭和三十三年、米軍からこれは返還されたわけですけれども、それ以後、空港の調整費というのは千百十五億円しかかかっておりません。それは、三十三年以降、主として滑走路の追加整備費用にかかったわけでございます。
 今まで、返還されたとはいいながら、伊丹空港に、整備費が千百十五億円、周辺の対策事業費が六千二百三十一億円、これだけかかったということを見れば、私は、伊丹から出ていけと言ったものを存続しろと言う、こういうことは、少なくとも民主主義の中で、その経緯というもの、まして関西国際空港を開港しますときには、今おっしゃったように、航空審議会、昭和四十九年ですけれども、審議会答申では、伊丹空港の廃止を前提としてというふうに明記されたわけです。けれども、ああだこうだといって、いまだにそれができない。
 そして、取ってかわるものはないかといったら、今の伊丹の年間の着陸回数、これに取ってかわる空港がない。今の関空だけでもさばき切れない。なれば、新しい神戸空港で年間の十万回以上のものがさばけるかといったら、これもできない。ではどうすればいいんだということになるので、私は、今おっしゃったように、少なくとも国土交通省としての長期ビジョンというものがなければ、そして長期ビジョンを発表されても、関空のように去年の九月の十一日の同時多発テロ以来その数字が減少しているという現実もございます。
 けれども私は、関空というものを、今石田議員がおっしゃったように、二十四時間オープンといいながらも、二十四時間オープンにして大阪府がどの程度旅館なりあるいは食堂なり二十四時間オープンできているかといったら全然できていない。二十四時間オープンというのがうたい文句であったけれども、大阪府自体もその受け入れ体制がどの程度できているかということは、今もクエスチョンマークでございます。
 そのように、私は空港というものを、建設したときの周辺の状況そしてその対応策、両方を勘案するときに、あるいは欠落した部分がなかったか、その反省を含めて空港のあり方というものを、基本的に二十一世紀型をどうするかということを考えなければいけないと思っています。
 先ほども私、予算委員会に呼ばれましたけれども、少なくとも成田空港、御存じのとおり国際空港という看板を上げながら、一九七八年に開港以来二十五年かかってやっと二本目の滑走路、これだけコストアップになる理由はありません。関空もそうです。今、二期工事目、やらなくていいという人もありますけれども、これだけ年数かかったらコストアップになるのは当たり前の話なんです。ですから、そういう意味で、私は長期的なビジョンというものが国土交通省としてあるいはなければコストアップにつながる。
 果たして国際的に太刀打ちができるか。あっという間に韓国では四千メートル級が二本できてしまった、仁川の国際空港、やがて二〇〇五年には四本になります。そういうことに日本がどこまで対抗できるのか。国際的にどうあるべきかという基本理念が欠落し、またそういう住民の反対運動に押されてきたという現実も改めて国土交通省としては点検し、なおかつ二十一世紀のビジョンを改めて示唆する大きな曲がり角に来ていると私は認識しております。
石田分科員 後で質問させていただこうということまでお答えいただいたのであれなんですけれども、もう一つだけ、この関空の経営を悪くする問題について、大臣からは関西空港あるいは伊丹空港を補完するものとしてという位置づけをなされましたけれども、私は神戸空港については本当に理解に苦しむ一人でございまして、これをあの狭いエリアの中で、一つは採算面から見て、経営面から見て共倒れになるのではないかという懸念はやはり抱いております。
 それから同時に、管制上の、空域の管制からいっても、この間からニアミスとか、現実に空中衝突がありましたけれども、私も毎週のごとくあの上を飛びますけれども、本当にこの地域で大丈夫なのかなというような気がいたします。
 また、当局のこの三空港のすみ分けについての議論も読ませていただきましたけれども、ちょっと無理があるのではないかな。神戸市周辺と言いますけれども、播磨地域というのはやはり岡山というような感じがありますし、あるいは、東側はどうしても伊丹エリアに入ってくるのではないかな。そういう中で、すみ分けというのは非常に苦しい議論ではないかなというふうに思います。
 後でこれは少し触れていただいたら結構です。時間の問題もあるので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 実は、大臣のお話にもございましたけれども、これからの二十一世紀の空港をどうしていくのかということも、私は、第一種空港にかかわっては大きな課題だというふうに思います。
 そんな中で、先日、七月十七日の日本経済新聞にこういう記事がございました。
  国交省は二〇〇三年度から始まる次期空港整備長期計画から、旅客の乗り継ぎや貨物の積み替え拠点である国際ハブ空港を造るという目標を外すことを検討中。「ハブ空港の育成には財政負担が重すぎる」という説明だが、疑問視する声も多い。
という記事がございました。真偽のほどはわかりませんけれども、恐らく、もう少し前の新聞にもこういう報道がなされておりましたので、国交省の中での議論の対象になっているのだろうというふうに思います。
 大臣のお話を聞かせていただいて多少安心はいたしておりますけれども、私が一番最初に申し上げましたように、将来を見越して、日本が今何をやっていかなければならないのかというようなことを考えていく中では、やはり私は、日本として、国際ハブ空港という位置づけで成田あるいは関西空港をやっていくということが本当に大事なんではないかなというふうに思っているわけでございます。
 先ほども御紹介がございましたけれども、アジア各国が本当に厳しい経済状況の中でも一生懸命取り組んでおられる中で、世界第二の経済大国の日本がそんな後ろ向きの議論をしていていいのかなというふうに思うわけでございます。
 当局の空港に対する政策、一体どのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
 そしてまた、もう一つ、今新聞で報道されているような方向で検討されているということであれば、一体日本の将来にどんな悪影響を及ぼすのか、どんな影響を及ぼすのか、国交省としてはどう考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 大事なことですので、局長もおりますけれども、少なくとも、我々は、二十一世紀の国土づくりをどうするべきかという原点、冒頭に石田議員がおっしゃったグランドデザインというものが必要だと絶えず、先ほど日森先生からも言われましたけれども、国土交通委員会でいつも私言っております。
 まして、ことしは、私は、昨年の一月の六日に国土交通省、四省庁統合して、一年たって初めて、先日、六月ですけれども、省全体の中から、若手に、国づくり百年のデザインというものをつくろうと。今まで霞が関で百年というデザインを出したことはありませんけれども、あえてそれを募集いたしました。
 そして、百四十四名の職員が応募してくれました。その中から精鋭三十二名、現職の局に属したまま、時間外でもやってもらいたいということで、この三十二名に四人の主査をつけて出発をいたしました。そして、本年度じゅうにこのグランドデザイン、百年の国づくりデザインというタスクフォースを立ち上げたわけでございます。
 今おっしゃったように、昔は一県一空港というのを聞かれたことがあるだろうと思います。一県一空港と言った時代もあるんです。一県一医大と言ったこともあります。けれども、私は、二十一世紀の現在、一県一空港で、果たしてどこへだれをどう運ぶのですかと。
 そして、石田議員御存じだと思いますけれども、私のところにいろいろな要望があります。空港つくってください、新幹線よこしてください、高速道路つくってください、そして、国際港湾つくってください、一般道路拡幅してください。全部できるわけないんです。
 そして、高速道路をつくってしばらくすると、新幹線ができると高速道路の利用率が下がってきた、空港つくると新幹線の利用率が下がってきた。どこかにひずみが来るんですね。輸送量というのは大体予測できるのですけれども、そのとり合いが始まるんです。
 これが国際的になるともっとすごいんですね。御存じのとおり、今もおっしゃったとおり、韓国、中国の上海等々、あっという間にハブ空港たる資格を持ったものがオープンしました。日本は、二十五年かかって、先ほど言ったように、二千五百に足りない二千百八十という、ジェット機が飛ばない二本目の供用滑走路がやっとオープンした。
 では関空もハブ空港たり得るかといったら、二本目の滑走路ができなければ、少なくともハブ空港たり得ない。滑走路が一本で国際空港という名前をつけるのもおこがましいと私は思います。世界じゅうへいらして、国際空港で一本しか滑走路がないというのは、ほとんど、途上国にも見られないくらいなお粗末さです。
 ですから、私は、関空も、国際空港と言う限りは、無理があるかもしれないけれども、財政的には難しいかもしれないけれども、きちんと玄関口を立ち上げて、さあ、お客様いらしてくださいというのでなければ、国際という名に恥じると思っておりますので、本来は、そういう国際的な、国のスタンスというものを皆さんからいただいた税金で賄っていくというのが公共事業であろうと思います。民間で黒字になるのであれば、黙っていても民間がやります。
 私は、そういう意味で、公共事業というもののスタンスのとり方、これも大きな問題があろうと思いますけれども、今の日本の財政事情の中で、大変苦しい税収の中で、なるべくむだを省こうという、むだを省くのはいいです、どこに集中投資するか、どれを完成させていくかというのが二十一世紀の大きな課題だろうと私は思っています。
 公共事業をただのんべんだらりとやるというのではなくて、今国際的に恥ずかしいところに集中投資をして、集中投資をすることによってコストダウンを図って完成させて、ハブ空港たり得る資格を持つ、私は、その観点でもう一度、十五年度予算に向けてもそういうスタンスというものは持っていきたいと思っております。
石田分科員 ありがとうございました。もう力強い答弁をいただきました。
 確認をさせていただきたいのですが、空港予算に一般財源というのは今日まで本当に少ししか投入されておりません。いつでしたか、きのうかきょうの新聞にもそういうことが書かれておりましたけれども、そういう意味で、少なくとも第一種空港については一般財源をもっと投入するんだということで理解してよろしゅうございますか。
扇国務大臣 本来は、私も全額、公共という名のもとに、国際的に恥ずかしくないものをしたいと思っております。けれども、財源的に総理から縮減しろという御下命が出ておりますので、どこまで縮減して、どこまで国際的に恥ずかしくないものができるか、それは技術的なことでもございますので、専門家の意見を聞きながら、まず安全、安心を確保できるということから入っていかなければならないと思っておりますので、財源の前に空港として、安全、安心を確保できる空港をつくるということの基本に立ち返って配分をしていきたいと思っております。
石田分科員 それでは、時間がございませんので次へ進ませていただきますが、ぜひ、恥ずかしくない国際空港をつくるように御努力をいただきたいと思います。
 次は、国会等の移転についてでございます。
 もう経過については省かせていただきますけれども、先日の特別委員会で、二年後にということで結論が出るのかと楽しみにいたしておりましたが、少し延期になったようでございます。
 そのときの議論の中に、やはり世論の盛り上がりが欠けているというような指摘があったと思いますけれども、世論の盛り上がり等につきまして、当局として、今日までの活動における反省点あるいは今後どうしていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。簡単にお願いします。
佐藤副大臣 先生おっしゃるように、国会等の移転は我が国全体の問題です。また、国民一人一人にかかわる問題であります。それだけに、国会で活発に議論をしていただいておりますけれども、やはり国民の中に多くの議論が巻き起こることが非常に大切です。
 ですから、政府といたしましては、シンポジウムの開催ですとか、各種のいろいろな報道もしておりますけれども、新都市のイメージ像を内容とするCD―ROMの作成、配布をしたり、インターネットのホームページで知らせたり、さまざまな広報活動を行っておりますけれども、なお一層、国民の議論が巻き起こるように努力をしてまいりたいと考えております。
石田分科員 ぜひ世論の盛り上げのために御努力をいただきたいと思います。
 それで、次にお伺いしたいのは、この国会等の移転ということにつきましては、その原点ともいうべき課題があったというふうに思います。
 簡単に申し上げますと、東京一極集中の排除、それから多極分散型国土の形成、そして大規模災害に対する脆弱性の克服、そして世界都市としての東京の整備ということが法の前文に書かれておるわけでございますけれども、これらの問題について、今現在変化が起こっているのかいないのか、課題としてまだ今も有効なのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
佐藤副大臣 先生もおっしゃったような課題は今でも続いております。
 東京圏の人口集中は依然として続いておりますし、通勤の混雑ですとか交通渋滞ですとか、いろいろな弊害が起きていることは事実であります。さらに、東京というのはいろいろな情報も集中してくる、さらに金融等も東京に集中いたしております。そういうことを考えますと、さらに地震等大規模災害が起きる可能性もある。そうすると、東京圏におけるそういう中枢機能というものをこのままにしてよいのかという問題も起きてまいります。
 そのようないろいろな可能性を考えたときに、国会等の移転というのは、今後とも検討すべき重大な課題であると認識をいたしております。
石田分科員 御答弁をいただきました。状況については、悪化こそすれ改善はされていないということで理解をさせていただきたいと思います。
 また、東海地震の問題とか、あるいは、最近では富士山の噴火というようなことも言われておりまして、特に大規模災害の発生ということを考えたときには、私は一刻も早い結論が必要なのではないかなというふうに思っておるところでございます。
 また、今、日本というのは大変な閉塞感が覆っております。その原因はいろいろな問題があると思うわけでございますけれども、実は私は、やはり東京というのが余りにも過密化している、そのことが特に大きな問題としてあるのではないかなというふうに思っております。
 今、副大臣もお答えいただいたように、東京に政治も経済も文化も、そして今日では情報も、ありとあらゆるものが集まった。その結果として、都会に住む人は都会に住むことの不満というものを持っておられる、あるいは、地方に住む人は地方に住むことの不安というものを今度持っておられる。その両方が相まって、将来、日本の二十一世紀に明るい展望を抱けないというのが今の日本の状況ではないかなというふうに思うわけでございます。
 そんな中で、先日、小泉総理が、年金などの社会保障の見通しを見て、急速な少子化の進行に大変な危惧を示されたわけでございます。
 お手元に、委員長の御理解をいただいて配付させていただいた資料、これは、もう説明の時間もございませんけれども、いかに東京では子供が産めないかということを端的にあらわしている資料ではないかなというふうに思います。
 三井物産の研究所の寺島さんは、住民は東京に住むしかないという現実を生きていると言うんです。東京に住むしかない現実を生きているということは、私は重いと思います。これを改善できるのは政治なんだと私は思うのです。そして、そのきっかけは国会等の移転、このことによって今の閉塞感に風穴をあけていく。こういうふうに日本は変わっていくんだぞというような、そういう将来に対する展望を開かせる。
 そういう意味では、私は国会等の移転というのが非常に大事だというふうに思うわけでございまして、東京都内の人がなかなか子供を産める状況にない。そういうことを考えますときに、一体今の東京というのは、住民の立場から見たときに、都市としてのキャパシティー、どういう状態にあるのか。国土計画をつかさどる当局としては、今の東京をどう見ておられるのか、ぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。
扇国務大臣 局長が来ていますけれども、基本的な考え方ですから、あえて私からお答えしておきたいと思います。
 それは、総理直轄で都市再生本部というのをつくりました。なぜ都市再生本部が必要であったかというのは、今の東京が国際都市として立ちおくれているという現状を、私たちは国民の皆さんとともに明示しなければならない。
 そして、国際都市というものはどういうものを備えていなければいけないかということになりますと、今東京一極集中とおっしゃいましたけれども、東京自身がもう、国際都市という国際の看板を果たしてなし得るかどうかという疑問点も私はなきにしもあらず。
 それは、これだけ情報化時代になりまして、今ビルが乱立しておりますけれども、あの多くのビルの中に光ファイバーが果たして通っているかどうか。でなければ、外資系の会社は一切入りません。どんなに新築のビルができても、光ファイバーを導入していなければ、今国際的には立ちおくれている、そういう情報化時代でございますから、東京のこれだけビルが乱立しておりましても、情報化が完備しているビルというのは数限られております。
 それと、今おっしゃったように、都市計画というものが戦後早々に立ち上げられたにもかかわらず、その戦後すぐできた都市計画も、今達成率は五五%です。今日までこれだけたっても、まだ四五%が都市計画一つ完成できていないというのが今の東京都の現状でございます。
 ですから、私どもも、都市再生本部というものを総理直轄でつくり、今の混雑化した東京都のエリアを指定して、そこの混雑しているところに空中権というものを利用して、建ぺい率あるいは高さ制限も排除して、空中権を利用し整備して、その下の、空中権で活用したところには緑をつくり、そして老齢社会に対応して、そこに保育所も、そして老人の保護施設も養護施設もそこに完備しようというふうに、今回の都市再生本部というものは、改めて東京の国際的な都市のあり方のモデルをつくろうというのが大きな原点でございますので、私は、首都機能移転というのは、気が遠くなるような年数と、最初に試算された十二兆と言われたり十四兆と言われた金を、だれが、どこで、どう使うのか。そして、その年数を待てるのか。
 そして、災害とおっしゃいましたけれども、日本は地震列島でございます。どこが安全であるということも言えないような状況の中で、私はますます、空港と同じように、世界じゅうの中から国際都市という看板が外れてしまう。
 一つでもいいから国際都市が、日本じゅうに幾つ必要か。東京もそうでしょう、名古屋もそうでしょう、大阪もそうでしょう、福岡もそうでしょう。あらゆるところで拠点が、先ほど私が言った五つの、空港、港湾、高速道路、新幹線、そして普通の一般道路、物流コストとしてそれを備えた都市が幾つ必要か。
 それが国際都市と言われる条件であろうと思いますので、それを整備していくということがまず大事であるということで、東京都が国際都市という名にふさわしくなくなってきているということもぜひ私は認識していただいて、今言ったグランドデザインの中で、国際都市が幾つ必要かということも含めて、国土交通省としては、国民の皆さんに明示していく必要がある、また、そうしなければ国土交通省の役目が果たせないと私は思っております。
御法川主査 石田君、時間ですから。
石田分科員 もう最後に一言だけ。
 今の問題については、大臣と少し意見を異にいたします。ぜひ都市再生のきっかけになるような形で事業を進めていただきたいというふうに思います。
 こう申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
御法川主査 これにて石田真敏君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十三日午後一時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時九分散会


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