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第4号 平成14年7月23日(火曜日)

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(注:この議事情報は、「決算行政監視委員会第四分科会議録第2号」のデータです。)
平成十四年七月二十三日(火曜日)
    午後一時三十分開議
 出席分科員
   主査 御法川英文君
      石田 真敏君    土屋 品子君
      武藤 嘉文君    森岡 正宏君
      大島  敦君    鎌田さゆり君
      津川 祥吾君    中川 正春君
      山田 敏雅君    山口わか子君
      中村喜四郎君
   兼務 樋高  剛君 兼務 塩川 鉄也君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   法務副大臣        横内 正明君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       千坂 正志君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局電
   気通信事業部長)     鈴木 康雄君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     高橋 恒一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           中村 秀一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           三沢  孝君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
七月二十三日
 辞任         補欠選任
  平野 博文君     中川 正春君
  山田 敏雅君     鎌田さゆり君
  山口わか子君     中川 智子君
同日
 辞任         補欠選任
  鎌田さゆり君     津川 祥吾君
  中川 正春君     大島  敦君
  中川 智子君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  大島  敦君     平野 博文君
  津川 祥吾君     山田 敏雅君
  東門美津子君     山内 惠子君
同日
 辞任         補欠選任
  山内 惠子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  保坂 展人君     北川れん子君
同日
 辞任         補欠選任
  北川れん子君     山口わか子君
同日
 第一分科員塩川鉄也君及び第二分科員樋高剛君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔内閣府(金融庁)、法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫〕


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     ――――◇―――――
御法川主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。
 平成十二年度決算外二件中、本日は、内閣府所管中金融庁、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。
 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。柳澤金融担当大臣。
柳澤国務大臣 平成十二年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。
 平成十二年度の当初予算額は、二十七億千六百十七万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額七千五百九十一万円、予算移しかえ増加額九十八億九百十七万円、前年度繰越額十一億二千四十八万円余を増減いたしますと、平成十二年度歳出予算現額は百三十五億六千九百九十一万円余でありまして、これを支出済み歳出額百二十三億四十八万円余に比較いたしますと、十二億六千九百四十三万円余の差額を生じます。
 この差額のうち翌年度へ繰り越した額は五億五千六百五十万円であります。これは有価証券報告書等電子開示システム整備経費でありまして、計画及び設計に関する諸条件の関係等により事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 また、不用となった額は七億千二百九十三万円余であります。これは、人件費を要することが少なかったこと等のためであります。
 以上をもちまして、平成十二年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
御法川主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院千坂審議官。
千坂会計検査院当局者 平成十二年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 以上でございます。
御法川主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁の説明は終わりました。
 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、内閣府所管中金融庁については終了いたしました。
    ―――――――――――――
御法川主査 これより法務省所管について昨日に引き続き審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
中川(正)分科員 民主党の中川正春でございます。
 きょうは、難民問題あるいは外国人労働者の問題、あるいはまた移民そのものという、この外国人の問題を国としてどのようにコントロールしていくのか、そんな観点からお話を聞いていきたいというふうに思います。
 まず最初に、北朝鮮の脱北者の問題なんですが、私も今、外務委員会を通じてさまざまにこの問題に取り組んでおりまして、情報を、特にNGO関係あるいは韓国の政府機関等々からそれぞれ聴取をしていきますと、かなり深刻な状況になってきている。それぞれもう数字もお持ちだろうと思いますが、例えば中国の国境付近には二十万人から三十万人、見方によっては四十万を超えていると言う人たちもいますけれども、恐らく、そうした脱北をしてくる、北を離れてくる人口というのは確実にふえているということはあると思いますね。
 同時に、北朝鮮の経済状況、それから今の金正日体制というのが追い詰められているということの中から、さらにその圧力がかかる。そしてまた、中国も、瀋陽の事件に象徴されるように、あれだけ国際世論を気にしなければならないということの中で、これは、管理というよりも取り締まりが非常に厳しい状況になってきておる。
 そんな中で、例えばNGOの人たちの中では、ある程度、シンジケートというか、さまざまにやっていた活動をトータルでネットワークを組みながらまとめて一つの波をつくろう、動きをつくろう、それによって世論を喚起しようという、その中に、日本に対して、ワールドカップの開催時期にもそんな話が具体的に出ていましたけれども、例えば船を一つしつらえて、大量にとまでもいかないまでも、世論に訴えられるような数字でこっちに向いて運搬をしていこう、運んでこよう、そんなことも具体的な計画としてあるということ、そういう情報が頻繁にもたらされてきております。
 そんな中で、できれば中国に対して、難民認定して難民キャンプをUNHCRと一緒につくっていったらどうかというようなそういう提案も、アメリカも既にしていますし、我々もすることもあるんでしょうけれども、それはそれとして、それでは、具体的に日本はどうなのかということは、必ずこれはあるわけですよね。他国に対して日本もネットワークを組んでひとつこの問題に対応していこうという流れ、これをつくっていくというのは、今外務省もその努力を始めていますけれども、私たちも努力していく。
 しかし、それをやるからには、では、日本としてどういう政策を持っているんだ、日本は何をやってくれるんだというときに、必ず問われるのが、これまでの日本の難民の受け入れ体制と、それから、北朝鮮のこれから起こってくるであろう――インドシナ難民みたいに、すべて事が起こって、周りにいろいろなことを言われて、日本は何にもしていないじゃないかというので枠をつくったというんじゃなくて、これから起こってくるであろうことのためにどのように議論を重ねて日本の国家としての政策をしっかり確定していくのか、これが問われているときだというふうに私は思っています。
 そういう意味で、これまで、北朝鮮の脱北者ということをどう見ていくか、この大枠に対して政府としてはどのような議論がされてきたのかということ、それから、今どのような体系でそれをまとめようとしているのか、また、方向性、まだ出ていないんだろうと思うんですが、それが、もし大臣そのものが、私はこう考えているんだというお話があってほしいと思うんですよね、あってほしいと思うんです。そこをひとつ、入り口の議論としてお聞かせいただけまいか。
森山国務大臣 我が国におきましては、難民の受け入れということは、国際的な取り決めである難民条約、あるいは国内法である出入国管理及び難民認定法にのっとりまして個別に審査をして、難民と認定するべき者は認定し、適正に処遇をしていくという方針でございます。
 しかし、今先生が特定されました、北朝鮮を出てきた人、逃げてきた人ということについてどうかというお話でございますと、これは、どこから出てきたということと関係なく、同じように難民認定の場合には個別に審査をいたしまして、先ほど申しましたような、難民に該当する者は難民と認定するということで、それはほかの出身者と少しも変わらないわけでございますが、今おっしゃいましたさまざまなことにつきましては、かなりの部分、推定とか多分こうではないかということに基づいて、そして、民間ではいろいろな動きがあるという情報を根拠とされてお話しされていらっしゃるんだと思いますが、今のところは、御存じのように、北朝鮮との関係は正式にはございませんし、また、個別の問題については先ほど申したとおりでございますので、おっしゃるようなことを想定してどうするかということを具体的に検討するということはいたしておりません。
 北朝鮮ではなく、全体として、日本の国が難民について今のままでいいのかという反省に基づいていろいろな検討をしてはおりますけれども、これは、必ずしも北朝鮮の人であるとかないとかということには関係がないというふうに私は承知しております。
 関係各省、関係するところも多うございますし、また、日本の国にとって、社会全体にとって大きな問題でもございますので、これは軽々に、あるいは私一人の考え等を申し上げるのは適当ではないと思います。
中川(正)分科員 この間の瀋陽の事件のときに、いろいろ外務省も問われたことがありましたけれども、ありましたけれどもというより、外務省もむちゃくちゃですけれども、情けないことなんですが。しかし、その情けない裏っ側にもう一つ、日本がこうした脱北者をどういう形で最終的に処理をするのかというところが定まっていなかったという問題があるんですよね。
 もっと具体的に言えば、例えば、さっきの難民条約の方で、政治難民、いわゆる条約難民として考えていった場合には、それは、ただ単に生活ができなくなった、あるいはより豊かな生活を求めて北朝鮮から出てきたという人たちは難民認定をしないということなんでしょうけれども、しかし、それが本国へ送還された時点で収容所に、いわゆる政治収容所に入れられて、さまざまな人権侵害というより、命の危険まであるような状況にさらされる、それがわかっていて、いや、これは何ともできないんですよという話ではないんじゃないか。だから、第三国へ出しましょうということを日本政府も言ったわけですよね。
 そういう問題が、これは、昔であればというか、一昔前の感覚であれば、さっきの大臣の答弁のようなことで、私たちは、民間が言っているような話、うわさ話で物事を動かすわけにはいきませんというふうなことなんでしょうけれども、それは古いですよ。
 今、もうせっぱ詰まって動き始めているのは、やはりNGOが先行して、民間のいろいろな資金の調達の中で、しかも、最近の情報では、それにアメリカの政策も巻き込んでというか、アメリカ自身もこのNGOを、政府では支えられないからNGOを通じてここを動かそうじゃないかという外交戦略を持ちながら、韓国のNGOに対して影響力を持って動かし始めているという、そんな国際情勢があって、そこから出てくる情報というのが今せっぱ詰まった形になってきていますよということでありますし、いろいろな現象で出てきている話というのは、そのせっぱ詰まったことというのが金正日体制の中でも出てきているし、具体的な難民という、難民の波という形でも出てきているし、彼らが出てきてからそれぞれ証言する内容を聞いていても、これはほうっておけない、うわさ話ではないというふうなことですね、こんなことははっきりしてきているわけです。
 それに対して、これは、大臣言われるように、法務省だけの問題じゃない。国家としてどうしていくかという、いわゆる内閣がそれに入ってきて調整をするということだろうと思うんですが、そういうイニシアチブというのをとっていくとすれば大臣だと思うんですよ。言い出しっぺは大臣ですよ、管轄なんだから、それを定義しなきゃいけないんだから。私どうしましょうということを言わないと、何ともないんですよ、何も起こっていませんよ、さっきの答弁はそういうことですよ。何も起こっていません、そんなばかな話ないでしょう。ということですね。
 そこを、具体的にトータルで議論する場をつくるような、そういう枠組みをつくりませんか、法務省の方から。これは、官僚がごしょごしょとやっていくんじゃないんだ、大臣のイニシアチブなんですよ、大臣がどういうふうに問題把握をしているかということなんです。どうですか。
森山国務大臣 これは、日本と北朝鮮の外交政策、あるいは北朝鮮に対して日本がどのような対応をするかという非常に大きな外交問題だと思います。ですから、法務省も全く関係がないわけではもちろんございませんけれども、あえて申せば、イニシアチブをとっていただくのは外務大臣あるいは官邸、内閣官房長官ではないかというふうに思いますので、私が御答弁申し上げるのは不適当ではないかと思います。
中川(正)分科員 たまたま外務省からも来ていただいていますが、外務大臣はどう言っているんですか、これについて。
佐藤(重)政府参考人 お答え申し上げます。
 北朝鮮からのいわゆる脱北者の問題でございますが、この問題についてまさに国際的な関心が高まっているということでございまして、そして、この問題が、北朝鮮の内部の事情あるいは食料難、経済の困難といったような背景もあるということで、いわばこの北東アジア地域全体にかかわる問題という意味でも、私ども、政府全体、外務省としても重大な関心を持って見ていかなければいけない問題だろうというふうに考えております。
 それから、先ほど委員からも御指摘がございましたとおり、まさに国際的な人道あるいは人権という観点からの関心というものも当然ながら高まっているということであるわけでございます。そういう点で、私ども外務省といたしましても、今回の瀋陽事件の反省というものも踏まえて、この問題に関してはいろいろ情報収集にも努めてまいりたいと思いますし、また関係国ともいろいろ意見交換を行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 この点に関しましては、関係国である北朝鮮あるいは中国との関係等で、なかなか話を進めるのに容易ではないという面もあるわけでございますが……(中川(正)分科員「国内の問題はどうするかという話なんです。長過ぎる、話が。国内の問題です」と呼ぶ)はい。
 まさにこれは、私が申し上げたかったのは、国際的にも関心が高まっている問題でございますので、例えば、先日外務大臣が韓国に参りまして、この問題について韓国側ともこれからも意見交換を行っていこうということを言っておるわけでございますが、そうした関係国とも意見交換を行いながら、国内的にも、関係省庁多数ございますので、どういうふうに対応していくかということについては、緊密に政府部内でも連絡をとって対応を考えていきたいと考えております。
中川(正)分科員 これ、さっき、両方聞いていると、外務省も法務省も、何といいますか、官僚答弁で終わっているということですよね。情けない話だと思うのです。
 問題意識はあるんですよ、外務省がさっき指摘したように、これはそのままほっておけない、日本として腹を固めなきゃいけないという問題意識ははっきりしているんですから、改めて、さっきのような官僚答弁で終わらないで、しっかりしてくださいということをお願いしておきたいんですが。
 その中で、一つ具体的に、さっき申し上げた、いわゆる条約難民だけの範疇ではなくて、経済難民をどうとらえていくのか、日本としてどうとらえていける可能性があるのかということですね。ここだけちょっと法務省の見解を聞いておきたいというふうに思うのです。
森山国務大臣 現在の法体系の中では、先ほど申し上げましたように、難民というのは政治的な迫害を受ける、あるいは人権を抑圧されるというようなことが明らかである人ということで、十分審査をした上で、そうであるということがはっきりした場合に難民と認定されるということになっておりますので、経済的な収入あるいは生活の向上ということを目的として、いわゆる経済難民というのは、日本の場合は、特にまた難民条約に基づく難民にはならないということでございますので、そのような人たちは難民と認定はされないというのが現在の状況でございます。
中川(正)分科員 だから、そこが話がかみ合ってないのです。それはわかっているのですよ。わかっているので、その上に立って、しかし、その人たちが本国へ帰されたときには政治的な迫害と命というのが問われますねと、こういうことなんですよ。それをどう解釈するのかということを聞いているのです。
森山国務大臣 難民ということで正式に認定いたしませんでも、その人のいろいろな事情を考えて人道的に配慮をするということは時々ございまして、実際問題として、そのようなことで在留を許可するということはございます。
中川(正)分科員 そういうことがあって、例えばインドシナ難民についても、ボートピープルが大量に出てきたときに、そうした特別の枠組みというのを制度としてつくったということですね、制度として。だからそれを、北朝鮮についてもさまざまな要因の分析があると思うのです。日本からの北朝鮮への帰国者というのが九万五千人いたと言われていますが、それについて一緒に北朝鮮に渡ったいわゆる日本人妻と言われているのが三千人ほど存在をする。そういう人たちが日本へ帰ってきたいということも相当今出てきている。
 実は、衆議院の安全保障委員会で今回参考人として呼んできます人も、韓国へ戻って、いわゆる日本から出たんだけれども、韓国でとどまって、そこからそれなりの思いというのを今語ってもらうという、その一人なんですけれども、そういうような背景もこれありということで、それこそさまざまなケースを考えながら、今トータルで準備をしていくということですね。これを具体的に私たちもぜひ提言をしていきたい、新しい枠組みを提言していきたいというふうに思っているのですが、国際的におくれをとらないように、今からトータルで、ぜひイニシアチブをとっていただいて、官僚が言っているようなことをオウム返しに言わないで頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、外国人労働者の問題なんですが、私の地域にも、私は三重県の鈴鹿市なんですが、自動車産業が立地しているところというのは、非常に今たくさんの外国人労働者の人口を抱え始めてきました。そんな中で、さまざまな問題があるんですが、身近なところでひとつ整理をしていただきたいということで、これは厚生省を中心にちょっと聞いていきたいというふうに思うのです。
 不法労働者じゃなくて、不法じゃなくて正規に就労している人たち、これはある程度社会保険の中でカバーしながら、ちゃんとした、制度に乗った生活をしているんだろうというふうに思うのですね。ところが、不法になっている、あるいは滞在が延びている人たち、あるいはそこから出てきた子供たちがまた成長して、もう十年以上というようなことの中で社会人になってというふうなことで、そういう人たちが、実態としては正規で採用されないために、さまざまな派遣企業を通じて就労しているということから、社会保険もほとんど入っていない。
 この間、私、それぞれ実態をお医者さんに聞いたんですよ。どうするかといったら、だれか代表で一人だけ入っておいて、その保険証を持ってたらい回しにしながらやってきますよ、わかっているんだけれども、今どうにもならないですねということを、悩み悩みしながら医師のサイドでも対応している。
 もっと言えば、じゃ、そういう人たちが自治体の国民健康保険の方でどうかということになると、厚生省の指導は、聞いていくと、いや、それは原則社会保険で、雇用者もかんでやってもらうことですから、国民健康保険はだめですよという指導をしているようなんですね。ところが、これは実態と合わない。それをやればやるほど現場が非常にねじれてくるという状況が生まれている。
 これは、実は前回にもその話を持ち出して議論をしたことがあったのですけれども、それがなかなか改善されずに整理されないまま今日に至っていて、そのねじれと、それから矛盾というのが相当ひどくなってきているんですね。これをトータルでどう整理をしていくつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。
中村政府参考人 ただいまの、先生からお話のありました外国人労働者の方に対します医療保険制度の適用の問題についてお答えをさせていただきます。
 まず、我が国の医療保険制度では、被用者の方、具体的な制度としては健康保険法でございますけれども、健康保険法の適用事業者、これは法人の事業所それから従業員が五人以上の個人事業所、これは健康保険の適用事業所になっております。そこで、常時使用されている方については健康保険の被保険者になるということで、適用事業所に雇用されておられましたら、外国人の方もこれは適用されるということでございます。
 もし、この被用者保険に加入すべきでない、加入していない方、具体的には自営業の方、農業の方、あるいは適用事業所でも非常に短時間労働の方、こういった方については国民健康保険の適用の対象になるということでございます。
 先日も、先生とこの点について御議論あったということでございますけれども、私ども基本的な考え方は、今申し上げました、我が国の法律に基づきまして健康保険制度でカバーすべき方については健康保険法の被保険者として扱っていただきたいというふうに考えております。
 基本的には、健康保険法の被保険者の方の保険料を納付する義務は事業者の方にございますので、私ども、そういう事業者の方に対して、外国人の方であってもきちんと雇用している場合についてはその理解を求めるということで、事業主の方、または雇われている外国人の方に対しまして、パンフレットなどによりまして医療保険制度の仕組みについて周知徹底を図るということで、外国人労働者の方がきちんと我が国の社会保険制度を適用するように指導してまいりたいというふうに努力しているところでございます。
中川(正)分科員 これは議論にならないね、そんなふうに答えると。現実はどういうふうに把握していますか。それでうまくいっていると思っているのですか。
中村政府参考人 私ども、医療保険制度については、やはり医療保険制度としての悩みもございます。これは外国人の方に限らず、就業形態、先ほど派遣というお話もございましたけれども、非常に多様化しておりますので、ただいま申し上げました常時使用しているという健康保険法の概念に当てはまらない方も出てまいります。そういった方の場合については、ただいま申し上げましたように、我が国の制度では国民健康保険の方の対象になりますので、これは市町村に住所を有しているということになります。具体的には、外国人登録法に基づく登録をしていただきまして、一年以上日本に住んでおられる方については国民健康保険法の適用対象になるということでございます。
 なお、外国人の方で保険制度を持っておられない方については、受診されますと、医療機関の方は受診される方について医療を拒むことができませんので、外国人の医療について、確かに現場において、特に医療機関がその間に立って大変苦労されているという問題状況は私ども把握しているつもりでございます。
中川(正)分科員 大臣、一番しわ寄せが行っているのは、やはり不法に滞在している人たちですよね。これについてもどうするか整理ができていないんですね。モラトリアムをつくって、特に子供を中心に日本に帰化させるような方向で開いていくのか、それとも本国へ送還するのかというふうなことですね。これは、だんだんと年月がたっていけばいくほど子供も成長して、本国へも帰れないという状況がもう既に生まれてきていて、私たちのそれぞれの生活している現場では、それが目に見えて、この人たちは日本人になっていくだろうなという流れがずっとできているんですよね。
 すべてが万事といいますか、現状を把握していくことから始まって、やるべきことは整理をしていこうというときが日本も来ているんだ、そこをしっかり整理した上で、さっきの保険制度であるとか入国管理のポイントであるとかというのを決めていかないと、このままいけばまた混乱が起こる。外務省の混乱ももとは法務省だと思うんですよ、国の政策が決まっていないわけだから。
 それは、私も瀋陽へ行って現場の人たちに聞きましたよ。どうしたらいいのって聞いたら、総領事だとか阿南大使が何と言ったかというと、現状を維持しろと。現状を維持しろというのは、このままこうやって両手を開いて、出ていかないでくれって、このまま現状を維持して、いつまで維持しているんだってわからない。本当に情けない話ですね。ということを肝に銘じていただきたいと思います。
 もう時間が来てしまいましたので、最後にもう一度聞きます。
 こうして問題を把握していただいた上で、トータルで、もう一つ、移民の話は持ち上げなかったですけれども、移民政策というのと外国人労働者の問題、それから難民、これを一度トータルで議論する組織を政府の中でつくってください。それで一つの国家の意志というのを、外国人をどう国家としてコントロールしていくかというその意志をつくり上げていただきたいと思うんです。
 前に、実は同じような問題をこうして出したときにも、それぞれ各省の政務次官、今で言う副大臣レベルで一度それは集まってやりましょう、こういう話だったんですが、一回ぐらい集まったのかな、全然政策は出てこないで、そのままメンバーが全部変わって忘れ去られていたということがあるんですね。これはやはり副大臣レベルじゃない。内閣全体で一遍組織をつくるということだと思います。どうですか。
森山国務大臣 御指摘のような問題があるということは私どもも承知しております。特に、最近、この問題について何とかしなければいけないという気持ちから、官邸が中心となって関係省庁の専門家を集めて、今どういう状況であるか、中期的、長期的あるいは短期的な課題が何であるかというようなことをお互いに提示し合いまして、それはどうすればいいかというようなことを相談し合っているというふうに聞いております。
 短期的な問題は、そのうちの幾つかは既に手を打ち始めていると聞いておりますが、内容として非常に長期的な大きな問題もございますので、すべてが一度に片づくというわけにはまいりませんで、今鋭意勉強中であるという部分が多いというふうに承知しておりますが、御指摘の点は十分心得ていきたいと思っております。
中川(正)分科員 以上、終わります。
御法川主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。
 次に、鎌田さゆり君。
鎌田分科員 よろしくお願いします。
 自分が所属しております法務委員会で一度質問いたしましたが、今回も引き続いていわゆるピンクチラシ、ピンクビラ、その件につきまして質問を進めさせていただきたいと思います。
 まず初めに、四月三日に、私、法務委員会でこの問題を取り上げまして、大臣初め皆様のお考えを伺いました。その際、大臣は、このいわゆるピンクチラシの問題について、「非常に子供にとってよくない、子供の教育上よくないばかりではなくて、子供自身の人権の問題でもあるということを私は強く感じております。」というふうに御答弁をくださいました。
 私は、そのお考えは変わっていないというふうに信じながら、次のことをまずお伺いしたいと思うのですが、子供の人権にかかわるものとして、成人向けである性風俗特殊営業の広告宣伝、とりわけこのいわゆるピンクチラシに対する規制や処罰のあり方について、大臣の基本的なお考え方をお示しいただきたいと思います。
森山国務大臣 前回の御質問に対して私、お答えいたしましたとおり、これは随分前から大きな問題になっておりまして、たまたま平成十一年に私が児童買春・ポルノ禁止法を提案いたしましたときにも、話題の中の大きな部分を占めておりました。
 青少年の健全な育成を図って、ひいては児童の人権を擁護するという点でも非常に重大な問題だということを私は変わらず考えているところでございますが、その処罰とか規制の方法というのは非常に難しゅうございまして、同じピンクチラシといっても、いろいろな内容あるいはいろいろなやり方がございますので、一律に何かを一言言うとぱっと片づくというようなものは残念ながらないかと思います。
 いろいろなケースケースによって、必要な措置をみんなが根気よく続けていかなければいけない、そういう感じがいたしまして、政府が法律を、あるいは議員が法律を立案し、提案するということも重要かもしれませんけれども、それ以上に市民のそういう問題に対する活動といいましょうか、そういうものも裏づけにないと成果が上がらないのではないかなというふうに思っております。
鎌田分科員 前段の方で、何をもってピンクビラとするかというのは、私も本当に非常に難しい問題だなと思います。委員会でも申し上げましたように、東京で配られている、まかれているものと地域においてまかれているものとでは、温度差と表現していいのかどうかわかりませんけれども、直視できるものもあれば、とてもじゃないけれども直視できないものもあるということで、本当に難しい問題だと思うんです。
 後でもまた触れようと思いますが、例えば東京都では条例を設けて、いわゆる迷惑防止条例の中で、ピンクビラとは何ぞや、こういうものだということを定義をつけました。そして、そのピンクビラをこうこうこうしてはいけないのだ、そしてそれに基づく罰則はさらにこうだというふうに、厳しくというふうな表現が適切なのか、あるいは適正にという表現が正しいのか、私は後者の方だと思うんですけれども、これは難しいけれども、でも知恵を出して、そして実際にそれに取り組んだ地域もある、独自に取り組みを進めている地域もあるということで、難しいけれども、決して逃げてはいけない問題ではないかな。ましてや、子供の人権の問題あるいは女性の人権の問題にかかわるテーマですので、私は、それは難しいというところでとどまる必要はないというふうに思います。
 それから、処罰や規制というものも難しい、そしてさらに、地域の市民の方々の運動というものも根気よくというふうにおっしゃいました。全くおっしゃるとおりで、重ねてになりますけれども、地域によっては十年、十五年、この運動をずっと続けている地域が本当にあるんですね。そして、そこの地域が市民で独自に運動してきたからこそ言えることは、国として何らかの措置を設けなければ、法体制をつくらなければいけないのではないかと。市民で根気よくイタチごっこを続けていくのは本当に限界に近い、ぎりぎりのところまでやっていますというふうな悲鳴にも近いものがあるということをぜひ御理解いただきたいのです。
 前回の委員会の席で、法務省の政府参考人の方の御答弁で、刑事の分野で何ができるか、そういうことを考えてみたい、刑罰論全体として考えてみたいというような考えやあるいは答弁も示されました。
 それで、刑罰体系の見直しは考えてみたいというふうにおっしゃったわけですから、どのように進んでいるのでしょうか。それから、青少年の人権を保護するために刑罰の種類を見直すということは、どのように考えていらっしゃるのか。あるいは、性風俗特殊営業のために利用されている電話番号の番号変更、こういったような刑罰は検討していないか、あるいは設けることができないか。さらに、もし仮定した場合、それを設けることによってその実効性、有効性というものはどのように法務省として考えていらっしゃるか、お示しください。
古田政府参考人 多岐にわたるお尋ねでございますが、まず刑事法の分野でどういうことができるか、これにつきましては、第一次的には、現在既にたくさんの処罰法規があるわけでございまして、これを活用するということは当然のことでございます。
 その中で、私どもとして一つ重要な問題と考えておりますことは、いずれにいたしましても、このような行為につきましては、利益を上げるためにやっているものでございます。したがいまして、犯罪による利益を実はしっかりといわば取り上げる、こういうことが、こういうふうないわば利益目的の犯罪の場合には非常に重要な施策であろうと考えております。そういう観点から、この問題に限ったわけではございませんが、例えば薬物の密売事件でありますとかそういうものも含めまして、いろいろな犯罪による利益を剥奪するという制度をかなり整備してまいったわけでございまして、そういうことから、こういうふうな問題につきましても、それから生ずるいろいろな犯罪の利益、これを剥奪するということについて、重点的な施策の一つとして考えているということでございます。
 それから、刑罰法規そのものという問題でございますけれども、これは一つはピンクチラシのようなものについての直接の罰則というふうな問題もお尋ねのうちに含まれるかと思いますけれども、これは先ほど大臣からも申し上げましたとおり、その範囲をどういうふうにするか、なかなか難しい問題があるわけでございます。
 そういう観点から、先ほど御指摘のあった条例等におきましても、直接処罰をするという形ではなくて、そういうものが出てきた場合に、そういう行為をしている者について一定の措置命令を出して、それに違反した場合に処罰するという形式を現在のところとっているというふうに承知しております。そういうことから、直接これを処罰するということにつきましては、かなりいろいろな面からの検討が必要になっていくことと考えております。
 それから、電話加入権の問題でございますが、これは端的に申し上げまして、現在、電話加入権というのは必ずしも通常伴わなくなってきており、固定電話でも加入権が存在しないものもある。それから携帯電話等につきましては、もともとそういう加入権というのはございませんし、プリペイド携帯のようなものもあるわけでございます。
 そういたしますと、お尋ねのような件を考えるとするならば、私的に行われた契約、要するに電話会社と私人との間の契約を無効にするというふうな措置ということが法律的にはあり得るわけでございますが、これは電話会社に対して一定の義務を課すということになりますし、またそれを無効にしたという実質を担保するためにその電話番号を使わせない、こういうことを果たして電話会社に対してすることが可能であるかとか、これまた非常に大きな問題があるわけでございます。
 またその一方で、ある特定の電話番号を無効に、仮にそういう措置が何らかの形でとれるといたしましても、別な電話番号を使われるということになれば、結局、実際の問題としてはなかなか実効性を上げることは難しいという問題もやはり現実には考えなければならない。
 さらに、これはもうちょっと根本的な話になりますけれども、現在の刑罰の種類とは違った種類の刑罰ないし処分を導入するということでございますので、これは刑法全体の目で見ると、ほかの場面も考えますと相当慎重に検討しなければならない問題がある、こういうふうに現在のところ考えている状況でございます。
鎌田分科員 お聞きをした点で、そのとおりのお答えをいただいた点と、お聞きをしたのとちょっと違うことでお答えをいただいた点が、例えば、加入権という言葉が出てきたり、また別の電話番号を使えるので実効性が疑われるというふうなお話があったりしますが、まず加入権というのは私は触れていません。加入権を没収とか加入権を何かするということには、私は触れていません。
 それからあと、ピンクチラシに関連するいろいろな犯罪だとか大変ゆゆしき事態についての現状認識が違うのかなと思ったのは、別の電話番号を使うと実効性が疑わしいとおっしゃったけれども、冒頭御答弁にありました、とにかく利益を上げるためにやっているから、その利益を剥奪するんだということをおっしゃいましたけれども、別な電話番号を使わされるということが業者にとってどれだけの手間がかかるか。その間、登録をしている電話番号は使えないわけですから、またピンクチラシを印刷し直さなきゃいけないとか、業者にとってはもうかる理由がそこで一つ減るわけですから、別な電話番号を使うと実効性が疑わしいというような見解は、必ずしもそれは当たらないのではないかなというふうに思いました。ただ、今それを一つ一つもう一回尋ね直す時間はないので、次に進めたいと思います。
 「風俗営業等の現況と平成十三年中の取締り状況」という資料の中に、「売春防止法違反の検挙状況の推移」というものがございますけれども、その中で、売春防止法違反の検挙のうち、周旋等で検挙されているのが全体の六〇・七%というふうに数字が出ていますけれども、これは最も高い数字になっております。この周旋の具体的な中身について、そこは通告しておらないんですが、今お答えいただける限りで結構ですから、特にピンクチラシ、ピンクビラとこの周旋とのかかわりにおいての現況を知りたいので、お知らせください。
御法川主査 警察庁黒澤生活安全局長。
 簡単にやってください、時間がないですから。
黒澤政府参考人 周旋、それはまさにあっせんをすることでございまして、周旋罪等で、委員御指摘のとおり、昨年検挙いたしました人員でいいますと、千四十七人中、周旋で百三十三人の検挙を見ておるところでございます。それから、周旋目的誘引罪というのがございまして、これをピンクチラシ等の関係では適用をする事例も多々ございまして、ちなみに、派遣型売春事犯の適用法令として周旋目的の誘引を申し上げますと、検挙人員で四百十五人になっておりまして、周旋よりもこちらの方が多い検挙人員ということになっておる状況でございます。
鎌田分科員 ピンクビラが周旋の道具として認められて検挙されるというケースが非常にあるんだということもわかるわけなんですけれども、例えば、例えばじゃない、現実なんですが、ピンクビラというものがもし今、定義はありませんが、町中でまかれている、そのピンクビラを手にして、拾った人というのは、それを何の目的で利用するでしょうか。
黒澤政府参考人 ちょっと質問の御趣旨がよくわからないのでございますが、見た方、それはいろいろな人が見るわけでございますので、人によっていろいろかと思いますが、例えば電話番号が書いてあって、売春ではないか、そういう目的のもとに拾った人、あるいは目に触れた、それを手に入れた、そうすればそういう人は電話をかける、そういうことになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、人によってそれはいろいろかと思います。
鎌田分科員 今、何のために利用するんでしょうかねというふうにお尋ねをしたら、人によってもちろん違う、私もそう思います。単に出会いの場を求めている人かもしれない、だけれども、売春という目的も持ちながらという人もいるかもしれない。そして、電話をかけるというふうにおっしゃいました。
 やはり、利用するときに必ずこの電話というものがなくてはならない存在になっておるというのは、これはだれもが認めるところで、ピンクビラのほとんどが目立つような状態で電話番号が書かれてあるわけですから、そこに電話をかけるということは、本当に単なる出会いを求めている人がいるかもしれないし、いや、もしかしたら初めから売春、そういう女性を派遣してほしいということで、売春目的でということかもしれない。でも、絶対にカツどんかざるそばを頼むためにそこに電話をするということはあり得ないわけで、これはまさしくこのピンクビラを何のために町にまき、何のために利用する人が電話をかけるかということになれば、今非常に広い解釈の中で人それぞれによって違うとおっしゃいましたけれども、おのずとそこに絞られてくると私は思います。これはだれしもが認めざるを得ない実態ではないかというふうに思うわけです。
 今、電話をかけるというふうにおっしゃいました。この無店舗型の風俗特殊営業の業者にとって、この電話というものは非常に重要な、商売を営む上で基本的な施設であるというふうに考えてよろしいですね。
黒澤政府参考人 店を構えない営業で派遣する、そういうケースを考えますと、利用する客は電話を利用して連絡するということになるわけでございますので、その点は委員がおっしゃられるとおりかと思います。
鎌田分科員 そうすると、売春の周旋容疑で検挙されて、そして判決が下されて、明らかにそれは司法の判断が下った、ピンクチラシが売春の周旋の道具だというふうな司法の判断が下った者、そういった業者は、現行法では、そういう判決が下ってもさらにその電話番号でもって営業を続けることは可能なわけでしょうか。
黒澤政府参考人 法律上可能ということかと存じますが、現実に、検挙された後も同じ番号を使用している事例も承知をいたしております。
鎌田分科員 今の御答弁のとおりだと、これ先ほどの答弁ともちょっと関連するんですが、結局、司法の判断が、判決が下って、あなたはいけないことをしましたね、売春の周旋容疑で、売春防止法で検挙されて、だから悪いことをしましたというふうにして判決が下って、罰が下っているけれども、その商売がよくないこととして認められたわけだけれども、その商売に最も重要な、基本的な施設である電話というものは、そのまま電話番号が使える。そして、お客さん、利用する客にとっては、その業者がどういう司法の判決が下ったか、判断が下されたかということは関係なく、またその番号を利用して、そこの商売は延々と続いていくということになるんですよね。
 だから、市民の方々が地道な運動をしている、それから、司法の方もあるいは警察の方もそれぞれにきちんと現実に対応した形で取り組みを進めているけれども、この電話番号がそのまま生かされ続けるということは、一方で、またその商売をずっと、それでもうけるということを認めているということに私はなると思うんですね。
 それで、今回も電話番号の変更ということについて先ほどちょっとお聞きをしたんですけれども、電話が重要かつ基本的施設であるということは今の御答弁で明らかになったと私は思います。
 この電話番号の変更のことについて、警察庁として、第一線でいろいろ取り締まりを行っている現場として、もし有罪が確定をし、司法の判断がきちんとクロだとおりた者、その業者の電話番号が、通信事業管理者のNTTなりがこの電話番号を、あなたのところは公序良俗に反する、明らかにクロだと司法判決がおりたので、今までこの商売の売春周旋で使っていたビラに書いてあるこの電話番号をこの際変えます、別に加入権を剥奪するんじゃなくて、電話はまた使っていいですよ、ただし、唯一アクセスできる番号を変えましょうという判断を、現行法ではできませんけれども、もしNTTがそういう措置がとれたとしたら、現場で、第一線で取り締まっている警察の立場からすると、その有効性はどのように考えていらっしゃいますか。
黒澤政府参考人 委員御指摘のピンクチラシの関係につきましては、委員は売春の周旋の関係をお話しされておりますが、私どもは事案に応じまして多角的に法令を活用いたして取り締まりを行っておるわけでございますが、売防法のほかに軽犯罪法、そういった法律、あるいは住居侵入罪、いろいろな罪名を使って検挙いたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、有罪になった者が同じ番号を使っているという事例を先ほど承知しておると申したわけでございますけれども、仮に無店舗営業の場合でありますと、電話が極めて大事な、営業を営む上で電話の利用というのが大事な手段になりますので、この電話番号を変える、そういうことになれば、その点は業者にとっては一つの障害になるのではなかろうか、こういうふうに考えます。
 しかしながら、現行法上、そのような措置をとることが可能かどうかにつきましては、電気通信関係法令等を所管する関係省庁等の御意見を伺ってまいりたいと考えておるところでございます。
鎌田分科員 少し御遠慮をなさりながらの御答弁だったと思うんですけれども、はっきり言えば、現場でこの問題に取り組んでいる、取り締まっている警察からすれば、また相変わらずその番号を使うということはいかがなものか。逆に、それが使えなくなるということはその業者にとってはっきりと障壁になるというふうに考えているというふうにおっしゃったので、その答弁をもとに総務省に伺っていきたいと思います。
 有罪確定の業者の電話番号を変えるという対応、現行法ではこれは難しいということは法務委員会等の質疑の中でも明らかにされておりますけれども、その際の通信の自由に反するという見解、その後、公序良俗に反する、司法の場できちっと有罪が確定された、シロ、グレーじゃない、クロだとはっきりしたものにも、これをどういうふうに考えていくかということをその後議論されたでしょうか。
鈴木(康)政府参考人 今先生からも御指摘のございましたように、通信というものは、基本的人権であります表現の自由を保障するために、通信の内容あるいは利用目的を問わずに自由に利用できるということが原則でございまして、したがいまして、仮に、その電話が犯罪やあるいは公序良俗に反する目的のために使用された、あるいはそのように使用される可能性が高いと……(鎌田分科員「議論されたかどうか」と呼ぶ)はい。
 過日、四月三日の衆議院法務委員会でも御答弁させていただきましたが、その後、私ども部内でもう一度議論いたしましたが、結論的には同じ答えでございます。
鎌田分科員 それでは、電気通信事業法の冒頭に書かれてある公序良俗に基づいてという考えとの矛盾についても、議論したけれども、その後も変わらないと。公序良俗に反している業者だけれども、司法の判決が下ったそういう業者であるけれども、そういうところでもうけを得ている業者だけれども、それも通信の自由があるんだと。内容のいかんにかかわらず、そこに通信の自由があるんだから、そことの通信契約は、事業の契約は何ら手を打つことができないというか、する考えがないというふうに、その後の議論でもそうなったというふうに理解をいたしますけれども。
 その際、通信の自由と一言で言うのはちょっと私は余りにも大きな枠組みかなと思うんですが、いわゆる基本的人権の中に精神的な自由と経済的な自由とあると思うんですね。
 今回、電話番号を変える、事業管理者が、例えばNTTがこういうのは変えますよと言ったとき、それは決して加入権を没収するわけじゃないですから、精神的な自由を没収するものではなくて、その人たちの経済的な自由、その経済行為によって悪事だと判断が下されて、悪意で利益を得ているわけですから、そこの自由に障害を与えるということが、いわゆる通信の自由、基本的な人権を侵害するおそれがあるというふうにはならないと私は思うんですが、そのことについてのお考えをお聞かせください。
鈴木(康)政府参考人 最初に先生が御指摘になりましたように、通信の自由という観念そのものは憲法上明確に規定されているわけではございませんが、基本的人権の一つでございます表現の自由の保障として、通信の内容あるいは利用目的を問わずに通信を行う自由が憲法上も保障されているということでございまして、表現の自由につきましては、一般的に精神的自由に属するものというふうに理解しておりますので、通信を行う自由についても、同様に精神的自由に分類されるものと考えております。
鎌田分科員 地域で、地域のNTT、地域住民と密接にそうやってかかわりのあるNTTが、地域住民からこういう売春の周旋の加担をしているのかと言われている実態を御存じですか。
鈴木(康)政府参考人 NTTからも、そういう声があるということは伺っております。
鎌田分科員 御存じだということなんですが、それについてどう思っていらっしゃいますか。
鈴木(康)政府参考人 いろいろな方からいろいろな御意見があるというのは重々承知しておりますが、NTT自身は電気通信サービスを提供している会社でございますので、それが何の目的に使われているかということまで関与することは、かえって憲法上許されないことだと考えております。
鎌田分科員 しかし、地域の実情がそれぞれに違って、地域のお客様を相手にして毎日のサービスを提供しているそのNTTが、地域の皆さんと一緒にピンクチラシの回収作業を行い、自腹を切って自分たちの電話ボックスをきれいに清掃し、毎日毎日、毎晩毎晩のそういう取り組みをしている中で、しかも地域では、あなたたちは売春の周旋の行為に加担をするのか、片棒を担ぐのかと、総務省が認可をしている地域のNTTが、認可事業として事業を行っているNTTが地域でそんなふうに言われている。
 そして、地域のNTTに耳を傾ければ、総務省が電気通信事業法の解釈の中で、あるいは契約約款というものの中で何らかの考え方を示すということがあれば、私たちはいつでもそういう用意があるというふうな考えを示している。だけれども、認可事業だからこそ、それがなかなか進まないという、重ねて、法務委員会でも言いましたけれども、本当にハムレットの状態で、一番苦しんでいるのは総務省さんが認可をおろしている事業管理者のNTTが一番苦しんでいるんです。
 地域の方の声をきちっと聞き入れてやらなくてはいけない、そう思っていても、これがあってできない。なぜ、裁判で判決が下されたもの、クロだとはっきりしたものにもできないか。加入権を没収する、基本的な人権を侵害するようなそういうことじゃないんだということで、非常に苦慮なさっているんです。
 ですから、どうぞきょうを機会にこの問題について、電気通信事業法の考え方あるいは契約約款の内容について、ぜひ検討をきちんと進めていくということをお約束いただきたいんですが、最後にそれを伺います。
鈴木(康)政府参考人 先ほどお話のございましたNTTの努力というのは、前にも政令都市十二市の市長さんの連名で、私どもの大臣あてに要望書をいただきまして、その後もNTTと相談をいたしまして、特定の地域、例えば仙台市であれば、従来週三日の回収をしていたものを毎日回収するというような極めて地道な努力をしているものと承知しております。
 今御指摘のございました契約約款につきましては、もう繰り返すことはいたしませんが、通信の自由を保障するということから、電気通信事業法上、通信の利用を制限できる場合というのが、設備の故障その他必要やむを得ない場合に限定されておりまして、その解釈についてはもう一度検討はいたしますが、これも前回法務委員会で御指摘をいただいた後検討した結果、従来の考え方でいきたいというふうに考えております。
鎌田分科員 ありがとうございました。
御法川主査 これにて鎌田さゆり君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。
 午後五時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後二時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時開議
御法川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について、昨日に引き続き審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。
大島(敦)分科員 まず、圏央道についてお伺いいたします。
 現時点では、埼玉県から成田空港方面あるいは横浜方面に車で行くには、どうしても東京都心部を通過するしかありません。埼玉から成田あるいは横浜方面へのアクセスは決してよいとは言えません。圏央道建設は、そうしたアクセスの向上に加えて、横浜、八王子、筑波研究学園都市、成田空港等の地域が直接道路で結ばれることで、産業クラスター、つまり産業集積の形成や、地域経済の活性化を促し、成長の甚だしい中国や韓国の経済に対抗できる力を生み出すといった効果をもたらすと私は考えております。
 具体的な例を挙げれば、例えば、先日、私の地元である鴻巣市で鴻巣フラワーセンターという花卉市場が完成いたしました。この花卉市場は、全国で五本の指に入る、非常に大きな市場でございまして、圏央道や併設される上尾道路等が完成すれば、この花卉市場はもとより、地域の花卉栽培がさらに発展することにもつながると考えております。
 この花卉市場の周りには、花卉園芸農家が多く集まっておりまして、その花卉園芸農家では、非農家の方の研修生も研修を受けていて、この花卉市場が、今回の圏央道そして上尾道路が完成しますと、ますます発展して、ほかの地域からの人口の流入、そして産業の発展が期待されますので、そのような例の一つとして挙げさせていただきました。
 そして、例えば、埼玉県の北部の本庄市では、早稲田リサーチパークの整備が今進められておりまして、こうした研究拠点が、各地域の産業クラスターや筑波研究学園都市といった他の研究拠点と、圏央道や上尾道路という高速道路で結ばれることも、日本の経済、産業の復活には欠かせないと考えております。
 そこで、お聞きしたいのですが、圏央道の整備の必要性やその整備の効果について、国土交通省としてはどのように考えていらっしゃるのか、扇大臣からお聞かせいただければ幸いでございます。
扇国務大臣 お待たせして失礼をいたしました。
 今大島議員がおっしゃったように、圏央道の必要性というのは、今さら私が説くまでもなく、何年も言い続けられ、また、公共工事のむだと言われながらも、必要なところには必要投資をし、そしてより二十一世紀型の環境整備を行っていくと。
 何が環境整備かといいますと、今東京の二十三区内は車がこれだけ混雑して通行しておりますけれども、二十三区内を通行している車の一四%は、ただ通過しているだけ、圏央道がないために東京を通過して抜けていくのが一四%。そして、東京の首都高速環状線を通行しております中の六〇%が、一たん東京に入ってきて、都心の環状線を通過して抜けていくという、こういうむだといいますか、燃料的にはむだであり、仕事をする人には時間もむだであり、東京の人たちにとってはCO2の排出だけでも大変になるし、料金所は渋滞する。私は、あらゆる意味でマイナス面が多過ぎると。そのために、圏央道はこれを円滑化するという意味で昭和六十年から事業に着手しているんですけれども、延々と今日まで、悲しいかな、まだ完成できておりません。
 今大島議員が地元のフラワーセンターの例をお挙げになりましたけれども、これができ上がることによって、首都圏の交通の円滑化、あるいは、横浜、厚木、そして八王子、川越、今議員がおっしゃった筑波学園都市、そして成田、木更津等の中核都市を連絡するということで、業務機能が上がるのはもとより、今も議員がおっしゃった花卉園芸農家の皆さん方のすばらしい作品も直行で都内に入ってくるとか、また、地域の開発を促進する、そういう意味でもはかり知れないほどの効果が上がってくる、私はそう思っております。
 ですから、先ほど申しましたように、平成十三年八月の二十八日でございますけれども、都市再生プロジェクトにもこれを位置づけてやっていこうということを決意し、私もそのつもりでおります。
 これまでのところ、延長約三百キロのうち二百六十六キロメートルが事業化されているわけでございますが、そのうちの約三十キロメートルが供用中であり、また百七十キロメートルの区間においては用地買収と工事を進めているという現状でございますが、二十一世紀までに本当は完成させたかったという願望を持ちながらも、圏央道のうちの東名高速道路と東北自動車道の結節は平成十九年度に完成させていく必要がある、またしなければならないという、私は国土交通省担当としての決意を持って臨んでいるのが現実でございます。
大島(敦)分科員 ただいま扇大臣の方から指摘いただいたとおり、非常に付加価値のある道路なんです。
 私の地元というのは、今、埼玉都民と言われている方が多く住んでいるところでございまして、高崎線で五十分から一時間半ぐらいかけて東京都内に通われているサラリーマンの多い地域なんです。あと十年たつと、今税金を支払っている人が昼間も地域に戻っていらっしゃって、年金生活に入る地域なんです。
 日本、中国、韓国、そして東南アジア。私たちの国というのは、どちらかというとアメリカと同じだとかヨーロッパと同じだとか、さもヨーロッパ、アメリカが近くにあるように勘違いしがちなんですけれども、今、中国はWTOに入りまして非常に競争力をつけてきている。韓国も、今、経済発展がまた再び伸びてきている。その韓国、中国に対して関東地域の付加価値を上げるためにも、この圏央道は非常に大切な道路。今扇大臣の指摘がありましたとおり、物流の面でも、むだが省けるとともに、いろいろな付加価値のある地域をこのように結ぶことによってさらに関東域内が付加価値を増して、今後二十一世紀の私たちの産業、そして私たちの地域の発展につながると考えているんです。
 そうしますと、この圏央道の埼玉県内区間の整備状況と今後の見通しについて教えていただければ幸いでございます。
佐藤(信)政府参考人 お答え申し上げます。
 圏央道の埼玉県の区間、全体延長で約五十八キロございます。このうち鶴ケ島インターから西二十キロは既に供用させていただいておる。
 鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジの間、延長約八キロございますが、平成四年度から順次用地買収に着手いたしまして、十一年度から一部工事に着手いたしております。現在、用地買収と工事を進めているところでございますが、用地買収につきましては、ことしの六月末現在で、面積ベースで九六%を完了したところであります。
 また、川島インターチェンジから埼玉茨城県境間の延長三十一キロについては、平成八年に都市計画決定がなされて、順次測量調査を進めて、平成十二年度から川島インターチェンジの部分、平成十三年度から東北道と接続する久喜白岡ジャンクション部分の用地買収に着手したところであります。
 今後とも、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジ間につきましては平成十六年度から十七年度ころ、川島インターチェンジから東北道間につきましては平成十九年度ごろの供用を目指して事業を促進してまいりたいと思っておりますが、何分にも残事業費が埼玉県内で六千億かかろうかという大事業でございますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
大島(敦)分科員 ただいま御指摘のありました埼玉県内の地域、あるいは、埼玉県内ではなくても建設予定地の近辺で、希少動物でありますオオタカが生息しているということが最近確認されております。
 これまでも地域によってはもう既に確認がされ、そして対策がとられている地域もあるかと思います。当然のことながら、この圏央道に限らず公共物の建設においては、野生動物や自然環境への配慮は十分になされなければならないのはもっともであります。圏央道の建設とオオタカ等の自然保護が両立できるようにしなければいけないと私は基本的には考えております。
 地元の方々の間では、オオタカの保護のために圏央道の整備がかなりおくれてしまうとか、あるいは整備そのものが中止になってしまうのではないかという不安が一方では今広がっているところでございます。
 オオタカの保護と圏央道の整備の進め方について、国土交通省ではどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただければ幸いでございます。
佐藤(信)政府参考人 圏央道の埼玉県区間につきましては、昭和五十九年に閣議決定されました環境影響評価実施要綱などに基づきまして環境影響評価手続が実施されて、東京都県境から川島インターチェンジ間につきましては昭和六十一年三月に、川島インターチェンジから茨城県境間につきましては平成八年四月に都市計画アセスメント手続が完了しているところであります。さらに、事業実施に当たりまして、継続して環境調査を進めてまいりましたが、その中で、計画路線周辺におきまして、絶滅のおそれのある野生動物種の種の保存に関する法律で国内希少野生動植物に指定されているオオタカの生息が確認されております。
 このオオタカの保護につきましては、平成八年八月に環境庁が策定しました「猛禽類保護の進め方」や、平成十一年三月に埼玉県が策定いたしました埼玉県オオタカ等保護指針におきまして、猛禽類の調査や保護対策の検討に当たっては、専門家の指導助言を仰ぐことが肝要である、こう示されております。
 したがいまして、このため、事業実施に当たりまして、オオタカの生息、繁殖に及ぼす影響とその保護対策について検討を行うことを目的として、平成十四年五月七日に、オオタカの生態や動植物の生態系、また地元の自然環境に精通した専門家から成る埼玉圏央道オオタカ保護対策検討委員会を設立いたしました。今後は、調査の進め方や保護対策、また公表の仕方などについて当委員会の指導助言をいただきながら、適切に事業を進めてまいる所存であります。
 なお、御指摘のように、地権者の方々の中にも、早くやってほしいというようなことで、用地の売却によって新たな生活再建といったことを模索されておられる方々もたくさんおられる、こう伺っておりますし、こうした用地の取得を進めながら、一方で、環境の保護、オオタカの保護という点についても全力を挙げて、早く、速やかに、円滑に事業が進むように、そのように努力してまいりたいと思っております。
大島(敦)分科員 今回の圏央道とそれに併設される上尾道路が通る荒川沿いの建設予定地付近は、地元でも非常に古いところなんです。高崎線は大宮台地の上を通っておりまして、大宮台地というのは台地ですから、荒川の付近が水辺で、非常に古くから発展した地域でございまして、この地域には何代も前から住まわれている方が多いんです。
 そこでは、洪水によって荒川の河川敷に堆積した肥料分の多く含まれる、ヤドロというんですけれども、ヤドロを台地の上の畑まで運んで、これは客土作業、地元ではドロヅケというんですけれども、非常に養分が含まれる土を本当に毎年毎年お百姓さんが自分の畑に持ってきて、それを肥料として、江戸時代の初めのころからこの地域では農作業を進めてきたんです。
 このヤドロがどのくらい積もっているかというと、この地域、川田谷では大体一メートルくらい積もっているんです。何百年にもわたって少しずつ積み重なった泥というのが一メートル積もっておりまして、地元の方はこの土地に対する思い入れというのが、これは当たり前なんですけれども、非常に強い地域でもございます。
 このように、先祖代々にわたる歴史のある地域なので、圏央道、上尾道路建設のための都市計画決定においては、時代の流れとしてやむを得ず決定し、そして立ち退きを受け入れた方が多いのも事実だと思うんです。
 先祖代々の自分の土地の上に道路をつくるといった場合には、最初はやはり皆さん否定的だと思うんです。これをやはり時代の要請ということで御自身が納得されて、立ち退きを受け入れようとしている方が多いんですけれども、今そうした方々の高齢化というのが、これは日本全国どこでもそうだと思うんですけれども、大分進んできておりまして、八十歳を超えた方も多いわけなんです。そして、都市計画決定のために、家が古くなっても増改築等ができないままじっと我慢している方が多いのもこれもまた現状でございまして、そうした地域の地権者の方にも十分配慮しながら今後の圏央道の整備を進めていただくことを切にお願いしたいと思います。
 ところで、圏央道と同様に、上尾道路についても、一日も早い完成を望む要望が地元から出されておりまして、上尾道路の整備の状況と今後の見通しはどうなっているのか、教えていただければ幸いでございます。
佐藤(信)政府参考人 お答え申し上げます。
 上尾道路は、埼玉県の中央地域における南北交通軸として沿線地域の発展に大きく寄与する路線であります。一般国道十七号の慢性的な交通混雑の緩和、交通安全の確保及び沿道環境の改善に資する延長約二十キロのバイパスでありますが、一般道路と自動車専用道路を併設する構造となっております。
 このうち、さいたま市の宮前町から桶川市の川田谷間の一般道路部、延長約十一キロございますが、これにつきましては、平成七年度までに事業化して、平成九年度から一部区間の用地買収に着手しているところでございます。
 事業化区間の延長約十一キロにつきましては、今後とも地元の皆様の御理解と御協力をいただきまして、圏央道の供用に合わせまして平成十九年度にともども供用を図るということで、事業の促進に努めてまいりたいと思っております。
大島(敦)分科員 圏央道というのは、横浜の方から、関東を広域に円周上に回って、成田空港、そして木更津の方につながる。上尾道路というのは縦に通っている道路なんです。
 上尾道路の前に、まず上尾バイパスという計画がありまして、この計画は今のところと同じなんですけれども、一番最初に計画が出されたのが昭和の四十四年ごろだと思うんです。ですから、圏央道よりも前に計画されて、そこに住まわれている方は、御自身が納得されても、今なかなか工事に着工できていないものですから、どうにかしてくれという声が高くなってきております。
 今、局長のお話は、圏央道があって、大宮から圏央道にぶつかるところまでは大体平成の十九年度ぐらいまでにはつくるということなんですけれども、ここから上の区間もあるんです。この上の区間がつながると、この上に本庄があり、そして北関東につながるものですから、これがつながらないとなかなか本来の上尾道路の意味をなさないわけでございます。
 この圏央道につながる部分までは、平成十九年度までに整備を完了させるのが目標とのことですけれども、圏央道より北側、上の区間の未事業化区間の整備についてはどうなっているのか。完成すれば、東京の都心からさいたま市を通って上尾、桶川、北本、鴻巣の各市、そして熊谷市等の埼玉県の北部、そして群馬県方面まで結ぶことになり、その効果は非常に大きいと考えております。地元からも、圏央道北側の未事業化区間についても早期に事業化して整備を進めてほしいとの要望が出されておりまして、国土交通省の見解をお聞かせ願いたいのです。
 ですから、東京から圏央道にぶつかるまでが平成十九年。ここから上の区間が完成すると、そのまま上武国道に抜けて北関東、あるいは本庄にある早稲田リサーチパーク。ですから、筑波研究学園都市、いろいろな関東にある頭脳が、やはり人間というのは一つの情報ですから、確かに今インターネットの時代で、回線があれば情報が交換できるといっても、本当の情報というのは人と人とが交わることによって新しい付加価値ができてくるものです。人をスムーズに動かすためにも、この圏央道とぶつかる上尾道路の上の部分がどうなっているかということについて、国土交通省の御意見を伺わせていただければ幸いでございます。
佐藤(信)政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今懇切御丁寧に手ぶりでお教えいただきましたが、現在の十七号が、新大宮バイパスで一たん旧道といいますか現在の道路、ようやく四車線があるかないかという形の道路に入って、さらに熊谷で二車と四車の熊谷バイパスと旧道に分かれる。この間が約二十キロで、これを上尾道路で整備する。こういう構想になっておりまして、先生御指摘のように、昭和四十四年に平面道路部分として都市計画決定していただいた、こういうことでございました。
 その後、高速道路時代、こういうことで、新大宮は真ん中を都市高速が走っていく、熊谷バイパスは自動車専用道路タイプでスピードも十分出し得るような形式でやっておる、上尾道路だけ平面道路ではおかしいではないか、こういう御議論も地元からいただきまして、これはごもっともなお話でございまして、大臣が常々おっしゃるグランドデザインがないんじゃないか、こういうようなケースに当たるような計画でございましたので、地元とも御相談させていただいて、平成元年の十二月に一般道路と自動車専用道路を併設するタイプの構造として都市計画の変更をさせていただいた、こういう経緯でございました。その二十キロのうちの十一キロにつきまして、圏央道と同時に供用を図ろうということで鋭意仕事を進めさせていただいている、こういう状況であります。
 残りました約十キロについて、都市計画決定は一緒にやっておるのにという観点から申し上げますと、確かにもう三十年もたっておるではないか、地元では早く事業化を進めるべしだ、こういう声が大変お強い、こういうふうに今承ったところでございますし、私どもといたしましても、できるだけ早く北側の未事業化区間につきましても具体的な調査を進めて早期に整備を図ることができるような環境づくりをしてまいりたい、そんなふうに思っておりますので、引き続き、地元と計画の具体的な調整に入ってまいりたい、そんなふうに思っておりますので、ひとつぜひ御支援のほどをよろしくお願い申し上げたいと思っております。
大島(敦)分科員 今の局長のお話というのは、まず一般道路があって、その真ん中を自動車専用道路が通るという話でして、一番最初の一般道路をつくるというのが昭和四十四年ですから、もう三十年ぐらい前に決定されておりまして、それから、真ん中を埋めるという計画が平成の元年にあったというお話ですから、地元の方は結構長い期間、どちらかといえば、悪い言い方をするとほったらかしにされてしまっているということでございまして、圏央道があって、上尾道路が圏央道にぶつかるところ、この上の区間ができませんと、車の行き場所がなくなってしまうんです。圏央道のジャンクションのちょっと上までが平成十九年ですから、ここで車がおりますと、十七号とかほかの地域に抜けるのがなかなか難しくて、今の計画、局長の御答弁がございましたが、平成十九年度までに上尾道路ができて、それから、スムーズに工事に取りかかった上に、周りに対するいろいろな配慮も必要ですから、そういうことをしてほしいなという点が一つ。
 もう一つは、最初からびしっとした道路も必要なんですけれども、まずはつなげることが大切ですから、そのつなげ方も、これは私の個人的な考えですけれども、例えば自動車専用道路とそのわきの道路を、一遍に整備するのもいいかもしれないんだけれども、わきの一般道路だけ整備していただければ、それだけでも相当交通量は緩和されて、扇大臣の御指摘がございましたとおり、予算の問題があるものですから、できるだけそうやってうまく予算を有効に消化していきながらつくってほしいとちょっと要望させてください。
 最後に、これは地元からの要望なんですけれども、地元からの要望への配慮をお願いしたい。
 本日質問させていただきました圏央道は、北本市内でも、市街化区域で周辺に中高層マンションや大規模店舗等が建ち並ぶ地域を通過する計画となっております。この区間は掘り割り構造となる予定ということで、北本市の方々は圏央道の利便性に大いに期待する反面、圏央道によって地域が分断されてしまうおそれがあることに不安を抱いております。
 そこで、地元の北本市は、防音対策や地域の分断を防ぐ施策として、国の負担でふたかけ構造として圏央道の整備を行うことを要望しております。長年圏央道の件についてかかわってきた市長によれば、ふたかけ構造とすることを前提に圏央道の都市計画決定を受け入れたという経緯がありますので、それもあって、国の負担でふたかけをしてほしいという要望を長年行ってきております。
 ぜひとも、この地元からの長年にわたる切実な要望が受け入れられることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
御法川主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩川鉄也君。
塩川(鉄)分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
 私は、国土交通省が茨城県を中心に計画をしております霞ケ浦導水事業について質問をさせていただきます。
 霞ケ浦導水事業というのは、那珂川の水と霞ケ浦の水と利根川の水、この三つの水を長い地下のトンネルでつないで水質の浄化あるいは水の需要不足にこたえる、こういう事業目的で行われて、今進行中の計画であります。そのトンネルの長さということでいえば、英仏海峡トンネルあるいは青函トンネルに次ぐような世界第三位の長さのトンネル、四十キロ以上にわたるという大土木工事です。
 この霞ケ浦導水事業について、三つの目的の第一に水質浄化というのが掲げられています。霞ケ浦の水質について多くの方が心配をされ、それをきれいにすることを願っておられるわけであります。国土交通省が発行しております「事業概要」、この冊子におきましても、この霞ケ浦導水による「浄化用水の導入は、水質保全対策の一つとして強く望まれています。」と述べておるわけです。
 しかしながら、旧建設省の時代にまとめられました「潤いの明日へつなぐ霞ケ浦導水」、この冊子で、いろいろ水質浄化のシミュレーションを行っているわけですけれども、ここでは、霞ケ浦への導水によりCOD、クロロフィルa、総燐の値は低下するとしている一方、総窒素の値は上昇するとしています。窒素も燐も引き下げることが水質浄化にもつながるわけですけれども、燐は下がるけれども窒素は上昇するとしているわけです。
 水質浄化を掲げるこの導水事業で、窒素濃度が上昇することになっているわけです。これではかえって霞ケ浦の汚濁を進めることになってしまうのではないか。この点をまず最初にお聞きします。
鈴木(藤)政府参考人 御説明申し上げます。
 霞ケ浦導水は、先ほども御質問ありましたように、流域対策、底泥しゅんせつ等々、霞ケ浦ではさまざまな、下水道から始まって市民レベルの取り組みまで含めて、浄化のための取り組みがなされておりますが、そういったものと相まって、霞ケ浦の浄化に効果を発揮するものでございます。
 ただいま御指摘のございました「潤いの明日へつなぐ霞ケ浦導水」、これは平成七年十月に示したものでございますが、この中では、霞ケ浦導水事業の水質浄化効果を、各種の水質に係る流域対策などによる負荷削減等の効果量、そういったものを想定いたしまして、昭和五十六年から平成二年の十カ年の流況をもとに試算した結果が、そのお手元の資料にあるわけでございます。
 御指摘のように、総窒素については十カ年の平均値で〇・一六ミリグラムパーリットル上昇する、このようなことになってございますが、今ございましたように、十カ年の平均で、CODで〇・七ミリグラム、クロロフィル、これは植物プランクトンの量を把握するための代表的な指標の一つでございますが、クロロフィルaで八・二マイクログラムパーリットル下がり、さらに総燐で〇・〇一八ミリグラムパーリットル低下ということでございまして、霞ケ浦の水質改善に有効と考えております。
塩川(鉄)分科員 普通、CODのような、クロロフィルa、代表的な汚染の指標ですけれども、窒素と燐がいわゆる制限因子として、これを引き下げることがクロロフィルa、CODを引き下げることになるんだということですから、今の御説明もちょっと中途な説明ですけれども。
 窒素がふえてもCODがふえないというのは、要するに、水質汚濁の制限因子が燐となっている。窒素がふえてもCODがふえないというのは、燐が制限因子だということですよね。
 しかしながら、茨城県の生活環境部霞ケ浦対策課がまとめました「霞ケ浦学入門」、この中では、窒素、燐の比率が一〇以下の場合は窒素が制限因子になる、こういうことの説明の上に、これまで一五とか二〇という高い範囲を変動していたのが、平成四年度以降は再び低下傾向を示して、平成十年には再び一〇未満となり、制限因子が窒素に移行している状況を指摘しているんですよ。今までの説明では、燐が制限因子と言っていたのが、県のこの本の中では、制限因子が窒素に移行している状況を指摘しているわけです。
 窒素濃度の高い那珂川の水が導水された場合には、植物プランクトンの増殖が現在よりも活発になって、CODが結果として上昇するんじゃないですか。その点はいかがでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 ただいま御指摘のように、霞ケ浦の水質をずっと過去のデータをとってまいりますと、十年以上前には、これは明確に、今御指摘のいわゆる燐制限という状況だったと私どもも認識しております。それがだんだん、ここ十年ぐらいの間にややあいまいになってきて、その比率が、今おっしゃったようなことで、燐制限から窒素制限に移行しつつあるのではないか、このような指摘があることは私どもも承知しております。
 ただ、いずれにしましても、これは大量の水を那珂川あるいは利根川から持ってきて希釈する、そういった大変大きな効果があるわけでございまして、そういった実例としましては、例えば近くでは手賀沼というのがございますが、ここでは、北千葉導水事業というものが完成することによって大変大きな水質改善効果が出ております。
 私どもは、そういったことで、植物プランクトンの燐制限か窒素制限かという問題については、種がまた変わるというような可能性もあるわけでございまして、大変難しい問題がございます。これについては、私たちは、やはりいろいろな研究機関等々、私どもの機関も含めて、きちっと今後とも解明していく必要があろうかとは考えております。
塩川(鉄)分科員 昨年九月の茨城県の環境商工常任委員会の参考人の意見陳述の中でも、茨城県の環境審議会霞ケ浦専門部会の部会長の田渕参考人からも、霞ケ浦の水質については、窒素は悪くもよくもなっていないけれども、燐については年々上昇してきている、こういう指摘があるわけですね。
 燐が増加している霞ケ浦に、窒素分をふやすことになる那珂川からの導水を行えば、さらに汚濁が進むことになるんじゃないか。今お話しになったように、制限因子が燐から窒素に移行している、こう言われている状況を踏まえたきちんとした調査なりを行うべきじゃないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 先ほども御説明申し上げましたように、湖沼の水質という問題は大変難しい問題を含んでおりまして、御指摘のように、私たちは、この事業が完成するまではまだたくさんの時間があるわけでございまして、それまでの間にさらに調査を進めまして、もし問題があるならば、さまざまな対策を講じる。
 何も、この事業だけでもって霞ケ浦の水質を改善するというようなことを考えているわけではございませんで、委員よく御存じのとおりだと思いますが、霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画というものの中には、それはもういろいろな意味で、各省にわたる、あるいは各自治体にわたる、あるいは市民レベルまで含めたさまざまな取り組みによって、そして、しかも霞ケ浦導水による浄化効果というものをきちんと期待しながら水質保全計画ができているということでございまして、私たちは、その効果がきちんと発揮されるように、さらに調査を進めながら事業の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
塩川(鉄)分科員 指摘されましたように、湖沼法に基づく保全計画の中にも、引き下げるとはっきりうたっているわけですよね。そういうときに、引き上げる要因となるような、こういった導水事業の妥当性そのものも問われてくるんだと思うんです。制限因子が変わっているという事態を踏まえたきちんとした調査を、ぜひともお願いしたいと思います。
 その上で、環境省にお聞きします。
 導水事業で窒素がふえるということは、窒素、燐濃度の削減を目指す湖沼水質保全特別措置法、湖沼法の目的にも逆行するんじゃないか。この湖沼法の趣旨に立って、この導水事業の影響について事実関係を確認、調査をし、国土交通省や茨城県など関係機関と連絡調整を図るべきではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
石原政府参考人 霞ケ浦の水質の改善につきましては、大変重要なことと考えております。
 霞ケ浦の水質の改善につきましては、現在、平成十三年度から十七年度までの五カ年に基づきます第四期の湖沼水質保全計画に基づきまして、排水規制の上乗せ、あるいは生活排水対策、それから流入河川の浄化対策等の推進を図っているところでございます。
 直接、燐あるいは窒素の濃度の関係と富栄養化というのはなかなか難しい問題がございます。ただ、いずれにしましても、霞ケ浦の水質の改善を図るという観点で、関係省庁と協力しながら、第四期水質保全計画の諸対策の推進に努めまして、霞ケ浦の水質の保全が図られるように努めてまいりたいというふうに考えております。
塩川(鉄)分科員 本来は、那珂川の水を持ってきて薄めて改善を図るんだという趣旨ですけれども、那珂川の水を持ってくるとかえって窒素濃度が上がるというんですから、私は、こういった計画の妥当性そのものが問われている、このことをやはり水質浄化の問題で第一に言っておきたいと思います。
 次に、この霞ケ浦導水事業の事業費の問題ですけれども、昨年九月に国土交通省は、霞ケ浦導水事業について、事業費は全体で千九百億円のまま変わらないけれども、工事期間を十年間延長してほしい、こういったことを提案して、関係機関の了解の上、昨年の九月にそのことが決定をされました。十年間延長だけという事業計画の変更を行ったばかりです。
 これに先立つ昨年六月十二日の茨城県議会で、橋本知事が、水資源開発見直しの一つとして導水事業の見直しを要望したわけです。直径四・五メートルのトンネルの口径を小さなものにしてくれと。茨城県の利水量を毎秒三・五立方メートル削減するよう国土交通省へ要望していきたいとして、事業計画の変更を国土交通省に要望しました。これを受けて、国土交通省も、今現在、事業規模縮小に向けて新たな事業計画の変更を進めています。
 今回の事業規模の縮小で、千九百億円の事業費は減るんでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 御指摘のように、パイプの径を県の要望に従って小さくするという要素がございます。そういった要素だけを取り上げますと、これは事業費が減る要素になります。それ以外にも、事業費が減る要素としては、これは私どもも大臣からいつも言われていることでございますが、コスト縮減ということについてさまざまな努力をしておりますが、そういったものも事業費が減るという要素になります。
 ただ、それ以外に、逆に、いろいろな意味で技術的に、これは説明するとまたいろいろあるんですが、今とりあえずは簡単に申し上げておきますが、技術的にいろいろな調査をした結果、事業費がふえる要因がございまして、現段階では差し引きプラス・マイナス・ゼロということで千九百億円ということで何とかできるだろう、そういったことで事業費がふえないようにやっていかなきゃいけない、このように考えているわけでございます。
塩川(鉄)分科員 昨年九月の時点で事業費は変わらないと言っていた。その後、わずかの期間で事業規模縮小という方向を出したんですから、これは事業費が減るのが当然じゃないか。なぜ同じ規模なのか不思議でならないわけです。
 その点で、関係機関に国土交通省の方で、ことしの二月十五日、説明会を行いました。この「導水事業計画(第三回)変更について」という資料に事業費の増加要因、減少要因がそれぞれ示されていますが、その内容について説明していただきたいと思います。
鈴木(藤)政府参考人 今、私の説明がちょっと悪かったかもしれませんが、パイプの径が小さくなるという要素も織り込んで、そして別の要因でふえるという要素も織り込んで、そういったものを全部踏まえた上で、事業費は変更にならないという見通しを述べたものと承知しております。
 ただいまの御質問で、事業費の増加要因等々を説明しろということでございますので、御説明申し上げます。
 まず、増加要因といたしましては、物価増。これは、今はデフレでもって下がっておりますが、それ以前で上がっていた部分がございます。トータルとしては、物価増の要因、消費税率の変更の要因、こんなものがございます。それから、地質をいろいろ調査した結果、これも増加の要因となっております。
 事業費の減少の要因といたしましては、先ほどから申しておりますように、既に施工済みの箇所がございまして、これのコスト縮減ということと、先ほどから御説明しております規模の縮小による減、こういったものでございます。
 もう少し具体的に詳しく説明いたしますと、地質精査による増ということについては、一番大きいのは、地下水位が当初の想定より全般に低かった。ということは、これはパイプを、水を圧送するわけでございまして、地下水位とバランスするようなことで考えていたのが、そうではなくて、地下水位が減少するということは、逆に設計上大きな荷重を予定しなきゃいけないということで、そういったことで工法を見直した結果ふえるというようなものがございます。
 その他の要因で代表的なものを御紹介いたしますと、水質浄化施設を設置するというようなことで、例えば具体的に申し上げますと、先ほど世界で三位というお話がございましたが、長い水路で水を持ってまいりますと、中の酸素が奪われてというようなことも起こるわけでございます。そういったものに対して、そういう酸素の少ないものを、少な過ぎても多過ぎてもいけないんですが、適正なものにするために、例えばそういうことでございますが、そういったものをもろもろまとめまして、環境対策による増等々ございます。
 減少要因といたしまして、もう少し具体的に説明いたしますと、例えば施工済み箇所のコスト削減では、シールドトンネルを一気に長距離やれるような工法を導入することによって、シールドを掘る場合に立て坑というものも要るんですが、これが本数が減ってくるということでコスト縮減を図っておりますし、立て坑自体の施工方法についても、これは委員会をつくって大変検討しました結果、機械化施工等による事業費の減というものが期待できるということになったわけでございます。
塩川(鉄)分科員 不思議でならないのは、物価増ですとか消費税率の変更ですとか地質精査というのは、これは去年だって当然見込めた話じゃないんですか。去年の九月に事業計画を変更しているときに何でこういった事業費の見直しを行わなかったのか。工期十年の延長だけ諮って、事業費は千九百億円のまま。そのときにきちんと盛り込めばよかったんじゃないんですか。
鈴木(藤)政府参考人 事業をやっていく場合に、事業費がふえていくということになりますが、それを一つ一つ実際に設計をして発注する、その際にはさまざまな調査を実施いたしますから、当初予定していなかった事態が、いろいろなことが起こるわけでございまして、そういったことを、コスト縮減にしてもあるいは増加要因にしても、事業の中で進めていくわけです。
 それで、事業の全体の増になるか減になるかということを考えるのは、いつもそういったことを変更しながら一々県議会に諮ってということをやったのでは、これはまた大変な手続でして、それだけで事業がどんどんおくれて、マイナスになるわけでございます。
 ちょっとだけ御説明させていただきたいのですが、説明の仕方として、例えば、これだけの事業が終わってしまうと、あと残っていますから、あと何億円要りますから事業費がさらに膨らみますと。これでは説明にならないわけでして、過去にさかのぼって事業費のプラス要因、マイナス要因というものを全体として検討することになりますので、御指摘のような疑問の点が出てまいりますが、これは全体の事業の進捗上やむを得ないものと考えております。
塩川(鉄)分科員 事業計画変更は、過去、事業費そのものだって見直したことがあるじゃないですか。千六百億を千九百億にしたわけでしょう。であるのだったら、去年のときに、申しわけない、これだけふえるんだということをはっきり提起してこそ事業者としての責任じゃないですか。何で去年のとき、そういう説明しなかったのか。去年は事業費のこういった見積もり変更について、増の要因あるいは減少の要因については検討しなかったということですか。
鈴木(藤)政府参考人 去年のときにそういった検討をしておりましたので、そういう説明をして、現在下協議中でございますが、御了解を得るべく努力しているということでございます。
塩川(鉄)分科員 去年九月の事業計画変更に向けて、事業費の増加要因、減少要因というのは検討しなかったんですかということなんですが。
 去年九月に変更しましたよね、十年延長するというだけの。そのときに、事業費、今言った消費税なんて、このときにやればいいじゃないですか、関係者に説明するのであれば。事業者として当然の責任でしょう。
鈴木(藤)政府参考人 ですから、そういった要因を踏まえまして、御説明中ということでございます。
塩川(鉄)分科員 では、その結果、千九百億円の事業費が変わらなかったという説明ということですね、去年の九月の時点で。
鈴木(藤)政府参考人 千九百億円でできるということでございます。
塩川(鉄)分科員 ということは、去年九月の時点では、千九百億円でできると明言していた。それにもかかわらず、この七月の、今の時点では、いや、事業規模縮小を織り込んだにもかかわらず事業費が変わらないというのでは、何の説明なんですか。結局は、物価増とか消費税だとか地質精査の増の要因だとか、規模縮小がなければ、千九百億円の事業費で、そもそも去年の段階でおさまらなかったということなんじゃないんですか。
鈴木(藤)政府参考人 先ほどから御説明しておりますように、事業費の増加要因、減少要因、そういったものを相殺して私は千九百億円と申し上げております。その減少要因の中には規模の縮小というものが入っているわけでございますので、御指摘のとおりでございます。
塩川(鉄)分科員 昨年九月の事業計画変更時にも、事業規模縮小という事業費減の要因も入っているということなんですか。昨年九月の見直しのときにも事業規模縮小というのが入っているということですか。
鈴木(藤)政府参考人 時期的な問題については、ちょっと私も自信がなくなってきているような状況でございますが、恐らくそういうことだと思っておりますが、これは、少なくとも現時点で申し上げれば、先ほどから何回も申し上げておりますように、これはプラス要因、マイナス要因、全部キャンセルして千九百億円でできる。その減少要因の中には、事業費の縮小によるものも含んでおります。
扇国務大臣 弁護するわけではありません。河川局長がかわったところなんです。人事異動でかわったところですから、説明方で御納得のいただくように説明が行き届かなかったんだろうと思います。
 本年の二月十五日ですけれども、関東整備局の皆さん方が説明をいたしました。そのときに、知事さんから御要望があって、事業の縮小等ということもあり、そのときに説明した中では、今の局長は新任ですから、そのときに答えた者と本人とが違うものですから、あえて私が出てきたわけですけれども、今塩川議員がおっしゃっていますように、地質の調査による増、そして環境対策による増、ふえたもの、そして、減ったものは何かといいますと、これはまた施工済みの箇所のコストの削減、そして規模の縮小による減、両方が減でございますけれども、先ほど申しましたようなふえた要因と減った要因とで千九百億という金額には差異はなかったけれども、なおコストの削減を図りながら事業の促進をするということが彼が言いたかったことであろうと思いますし、国土交通省としては、この二月に申し上げました説明会のときにも、増がこれこれ、減がこれこれという説明をいたしておりますので、そういう意味で、塩川議員の御理解がいただけるものだと思っております。
塩川(鉄)分科員 余り御理解いただけないのですけれども。要するに、去年九月の事業計画変更というのは、去年の一月ぐらいからずっと議論を重ねて九月になっているんですよ。それに対して、この事業規模縮小というのは、去年六月の県議会で橋本知事が提起をして、その後検討を始めたんですよ。だから、去年九月の事業計画変更に事業規模縮小の減の要因が入っているというのはおかしいじゃないですか。その点を言っているんですよ。
 茨城県議会の総務企画委員会で、我が党の塚越県議の質問に水・土地計画課長が答弁していますけれども、二月十五日の利水者の説明会の内容について、削減をしてトンネルを少し小さくしたのに、それでもなおかつ千九百億円という事業費が変わらないのはなぜかというと、千九百億円を今までの計画で進めば千九百億円では済まなかったということのあらわれでございまして、このまま進めば二千億円は超えてしまったのではないか、そういうものと比較をすると百億円を超える実質的なメリットがあったという説明だったと。
 説明会でこういうふうに説明していると県の課長が県議会で答弁しているんですよ。どうなんですか、この二月十五日、国土交通省の説明会でこういう説明があったというのは事実ですか。
鈴木(藤)政府参考人 その今御指摘の事実につきましては、突然でございますので、私も承知しておりません。
 ただ、いずれにしましても、何回も先ほどから御説明していますように、事業費の減要因もあるわけでございます。増要因もあるわけでございます。そういったものを、時点の問題について私の説明がちょっと不十分な点があったかもしれませんが、いずれにしても、最終的には減要因と増要因、そういったものを全体として、結果として千九百億円ということでございます。それは、物の言い方を変えますと、減要因がなければ、事業費の計を縮小するという要因がなければ千九百億円以上かかっていたという説明ももちろんできるわけでございます。一つの事実の説明の仕方としていろいろな形があろうかと存じます。
塩川(鉄)分科員 では、もう一回確認しますけれども、去年九月の事業計画変更時には、この事業規模縮小の事業費減の要因も含んでいるということはどうなんですか。その一点。
鈴木(藤)政府参考人 先ほどから説明しているのは、私は、その点が自分の頭の中で、きちんと頭の中に入っておりませんので、そこの点については正確な説明をすることは今できませんが、トータルとして、先ほどから説明している事業費について増要因、減要因があって、トータルとして千九百億円ということについては、これは間違いないことでございます。
塩川(鉄)分科員 こういうでたらめな答弁じゃ納得できないですよ。担当者の人もいるじゃないですか。局長はかわったかもしれないけれども、それぞれの局、課の方はそれぞれ仕事を継続してやっているわけでしょう。そういうときに、過去の経過についてまともな説明もできないというのでは、国会での議論の前提がそもそもない。そういう点でも、今の国土交通省の説明というのは納得いかない。そういう点でも、きちんと経過について、その部分について、改めて後日、きちんと回答願いたいというふうに思います。委員長、よろしくお願いします。
 それで、先ほども言いましたように、本当は二千億円かかったんだという県議会における答弁というものの重みというのがあると思うのですよね。私、去年、こういった事業費の規模について、二千億円はかかったかもしれないと、そう言ったのは、去年の九月のときそんなことは言ってなかったわけですから、これほどいいかげんな話はない。国土交通省のそういう点での姿勢があると思います。
 事業費の見積もりそのものについても、そういう点でのまともな根拠を示すことができないようなこういったやり方というのでは、全国の同じような事業についても問題が起こるということを率直に言わざるを得ない。そういう点でも、こういった事業が、水質浄化の問題も含めておかしいと、地元がこういうようなものに対してやめてもらいたいという声を上げているにもかかわらず、とまらないところに、やはり今自民党が、企業献金、この導水事業受注企業から十年間で三十一億円ももらっている、私はそこにやはり大きな要因がある、その点を率直に指摘して終わりにしたいと思います。
扇国務大臣 私は自民党でないので答弁するのには適当ではないかもしれませんけれども、今、塩川議員が、こじつけのような、何か献金をもらっているから事業を縮小できないと。私は、そうではないと思うのです。
 それは、国土交通省は自民党でもなければ共産党でもありませんし、どの政党にも属さない国土交通省としての姿勢というものを持っておりますから、その点は、私が自民党員じゃなくても、堂々と、国土交通省の姿勢というものは、献金によって曲げられているというのは、国土交通省の担当としては、塩川議員には、ぜひその点は正確な目で見ていただきたいと私は思っておりますし、そのことによって国政が曲げられるということはあってはならないというのは現に私は申し上げております。皆さん方に御賛同いただいた一昨年の公共工事の入札の適正化法というのも、そのために、皆さんが全党一致でこの法案を通していただいたのも、そういうことが基本にあるということですから、その点はぜひ塩川議員にも御理解をいただき、今の、献金があるからやめられないと言うことだけは厳に慎んでいただきたいと思います。
御法川主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。
 次に、樋高剛君。
樋高分科員 自由党の樋高剛でございます。きょうは質疑の時間をいただきまして、どうもありがとうございました。
 まず、きょうは特区の制度化というところからスタートしたいというふうに思います。
 私、自分個人の政策といたしまして、地域に限定された一つのエリアに対して大幅に規制を緩和する政策を主張いたしてまいりましたけれども、それは、地方に限らず都市部に限っても、ひとつ規制を撤廃、緩和することによって地域の活力を生かしていくべきだというふうな主張をいたしてまいりました。
 国では、構造改革特区の導入に向けましてやっと動き始めたというようでありますけれども、内閣官房に構造改革特区推進室を設置なさったということであります。私の出身地であります横浜市におきましても、地域の活性化を進めるために、特性を生かした特区を構想中であります。例えば、環境特区であるとか、交流特区であるとか、国際物流特区などであります。
 やはり今後多岐にわたる特区の早期実現に向けまして推進体制を一層強化して、そして特区に関する法制化が必要であるというふうに考えますけれども、いかがお考えでありますでしょうか。
安倍内閣官房副長官 ただいま委員が御指摘されましたように、六月の二十五日に閣議決定をいたしました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」を受けまして、七月の五日に内閣官房に構造改革特区推進室を設置したところでございます。
 この特区につきましては、これからダイナミックに小泉改革を推進していくため、また今停滞をしている景気を回復するための活性化を求めるために、それぞれの市町村が個性を生かして、その地域を発展させるために創意工夫と意欲を持って取り組んでいただいて、いろいろな発案をしていただく、こういう規制を外していただければこのように発展していく、こういう事業もできるということを政府に対して提案をしていただきまして、その提案を受ける形で私どもがいろいろな特区について定めていくという仕組みを私ども考えているところでございます。
 構造改革特区は地域の自発性を最大限尊重する形で進めることが必要であることから、地方公共団体等の提案も踏まえてその具体化を図る必要があるわけでありますが、法律の特例が必要なものについては法案を準備することを検討するなど、今後鋭意その推進に努めていきたい、こういうふうに思っております。
 また、推進室には民間や地方公共団体からも人材を受け入れて体制を強化するとともに、七月の二十六日に、全都道府県、政令市を対象に説明会を開催し、地方公共団体等から幅広く提案を受け付けることとしたい、このように思っております。
樋高分科員 本来は、いわゆる特区に限らず、全国的に規制を撤廃あるいは緩和して地方の活力を生かすべきでありますけれども、まずは方向性につきましては評価をいたしたいと思います。しかしながら、問題は中身であって、いかに実効性を上げることができるかということが大切であるというふうに思います。地域のオリジナリティーをいかに生かすことが本当にできるのかどうかということを今後注視してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
 きょうは、国土交通行政につきまして、環境の側面から議論をしてまいりたいというふうに思います。若干細かい部分もありますけれども、まずはディーゼル車排出ガス対策の推進につきまして議論をしたいと思います。
 自動車の排出ガスによりまして大気汚染の改善が進まないということから、改正された自動車NOx・PM法が施行されつつあるわけでありますけれども、そのような中で、浮遊粒子状物質に係る環境状況の早期改善を進めようということで、首都圏の東京都、埼玉県、千葉県がディーゼル車の運行を規制する条例を制定し、私の地元であります神奈川県においても、同様の条例改正案が現在審議をされているというところであります。このような自治体の独自の取り組みが進められる中で、国における自動車公害対策に係る民間事業者などに対する経済的支援措置について伺いたいというふうに思います。
 自動車NOx・PM法の使用過程車に対する規制、いわゆる車種規制が十月から施行されることになりますけれども、この規制に伴って国としてはどのような経済的支援措置を用意しているのか、伺いたいと思います。
扇国務大臣 久しぶりに樋高議員にお目にかかることができまして、お元気に質問をしていただきまして、ありがとうございます。
 今の二十一世紀、環境問題が最重要視されるということで、いかにこの環境保全のために我々は努力しなきゃいけないか、そういう意味の中で今自動車を集中的に取り上げてくださるということで、我々も、自動車のCO2の排出量、粒子状物質等々の大気汚染に与える影響というものをいかに今後排除していくか、それが我々の二十一世紀の子供や孫に対する空気の浄化ということに対して大変重要な意味を持つというふうに基本的に考えております。
 国土交通省としては、少なくとも、我々がこの二十一世紀を生きるために、京都議定書の批准もこれあり、世界的な環境問題というものに対して、車両の代替の際の使用者の負担を軽減しよう、そういうことで、営業用自動車の自動車取得税の税率の三%を二・三%軽減しよう、そしてそれを〇・七%にするなどの税制の優遇措置というものを行っていきたい。また、中小企業金融公庫あるいは日本政策投資銀行等の低利の融資制度というものの各種の経済的支援措置を講じたいというふうに考えております。
樋高分科員 では、具体的に伺いますけれども、首都圏におきます自動車NOx・PM法の車種規制の対象となりますバス、トラックはどのくらいあるんでしょうか。
佐藤副大臣 首都圏におきます自動車NOx・PM法の車種規制の対象となるトラックの保有台数は百四十五万台でありまして、そのうち、基準に適合せず代替の必要な台数は百二十万台であります。
 また、バスの保有台数については三万八千台でありまして、そのうち、基準に適合せず代替の必要な台数は二万九千台であります。
樋高分科員 首都圏の自治体では、ディーゼル車の運行規制を条例で行うということとして、これにあわせて、いわゆるDPF、これは私、環境委員会の方、理事を務めておりますので、実際に視察にも行ってまいったのでありますけれども、DPFや、また酸化触媒などの粒子状物質減少装置の装着に係る補助を行っていますけれども、今年度、国土交通省においては、予算措置されているDPF等の粒子状物質減少装置の補助対象台数はどれくらいか、また、それで十分というふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
扇国務大臣 樋高議員が実際にDPFも見に行ってくだすったということで、大変心強いと思っておりますし、私たちも、粒子状物質減少のための取り組みとしては、少なくとも国土交通省では、平成十三年度から、バス、トラックの事業者が粒子状物質の減少装置を導入する際には補助を実施しようということにしておりまして、十三年度、既に樋高議員御存じかもわかりませんけれども、十七事業者からの申請がございました。そして、そのすべての十七業者、三百一台の粒子状物質の減少装置の導入に関しまして、六千六百万円の補助金を交付いたしております。
 平成十四年度の予算では、この粒子状物質の低減装置の導入に関しましての補助に加えて、天然ガス自動車等の低公害バス、トラックの普及を促進するために、全体で対前年度比二十七倍の二十七億円の予算額に大幅に拡充したというところでございます。十四年度は、粒子状物質の低減化装置と、そして天然ガス自動車、補助の対象として、一と二の合計では二十七億円に及んでおります。
 ですから、十四年度の粒子状物質の装置の補助につきましては、関係業界からの申請状況を見ながら対応することにいたしておりますけれども、予算総額二十七億円の中で、少なくとも十分な補助台数を確保できると現段階では考えております。
樋高分科員 それでは、また具体的に伺いますけれども、補助対象、どのような車に対して、どのような内容の補助をしようとなさっているのでしょうか。
佐藤副大臣 粒子状物質の減少装置の補助制度は、自動車NOx・PM法の対策地域内に営業所があるバス、トラックの事業者を対象にして補助を行っているところであります。
 具体的には、粒子状物質減少装置を装着した場合に効果が大きく、装置装着後一定期間以上の使用が、一定期間ということは三年以上でありますけれども、想定されるものを対象といたしております。バスについては、平成元年から七年までに生産されたいわゆる平成元年規制車、平成六年から十一年までに生産されたいわゆる短期規制車及び平成十年以降生産されているいわゆる長期規制車を補助対象といたしまして、トラックについては総重量八トン以上のものを補助対象といたしております。
 補助の内容につきましては、地方公共団体が補助する場合に、例えば八十万円のDPFであれば二十万円、四十万円の酸化触媒であれば十万円、すなわち粒子状物質減少装置の購入費の四分の一を国費として補助することといたしております。
樋高分科員 補助対象として、トラックに関しては車両総重量が八トンを超える短期規制車で営業用の車両に限られている、限定されているようでありますけれども、これ以外の車両についても、自治体が単独で補助をしている現状からすると、補助対象を拡大もしくは中小企業に対する配慮も必要であると思いますけれども、どのような御所見でしょうか。
扇国務大臣 今副大臣からも御報告ございましたけれども、国としては、自動車NOx・PM法によりまして、今、現に使用されておりますディーゼル車の排気ガスの規制の強化ということで本年十月から実施していくのは、樋高議員も御存じであろうと思います。
 限られた財源の中ではございますけれども、環境改善の効果というものを勘案して、そして長距離を走行し、なおかつ排出ガス量も多い車両総重量が八トン超の短期規制車、これが平成六年から十一年までで生産されたディーゼル車ということになるのですけれども、これで営業用の車両を中心として、粒子状物質の減少装置の補助対象を限定しているというところで、これを設定しております。
 また一方、東京都などの首都圏の自治体におきましては、他の地域と比較して大気汚染状況が大変悪いというのはもう現状御存じのとおりでございますけれども、粒子状物質でありますとかあるいはいわゆるPMについて、独自の規制を国の規制に加えて行う予定であるというのを私たちも拝察しております。そして、これらの規制に対しまして、粒子状物質減少装置の補助につきましては、一義的には条例を定めた地方公共団体において措置されることが適当であると考えておりますけれども、国土交通省としましても、今後とも、環境改善のために、次世代の低公害車の開発でありますとか、あるいは天然ガス自動車等の低公害車の普及、そして粒子状物質の排出量が極めて少ない低PM車の普及促進等を進めてまいるようにしたいと思っております。
樋高分科員 私、今、当選をさせていただきましてから二年間、環境の側面から物事をいろいろ考えて取り組んでいこうじゃないか、二十一世紀は環境の世紀だということで、やはり環境問題を抜きにして企業活動も、またふだんの生活も、また教育の分野も、何も議論が先に進んでいかないんじゃないかということで、環境の問題に取り組んでおりますけれども、まずこういった身近なところから、例えばDPF装着などにもありますように、補助制度をしっかりと拡充していただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 続きまして、都市部におきます緑地の保全につきましてであります。
 国民の生活に潤いや豊かさを演出しております緑地につきましては、国民共通の財産であるというふうに私は認識をしております。特に都市部においては、急速な減少を今実態として続けておりまして、限りある財産をいかに後世に受け継いでいくかが非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。究極的には現存する緑地をすべて公有地化することが最善の手段でありますけれども、実態として、買い取りに頼ることは財政的にも不可能である、また法制度による利用規制を行うことも、私有権の侵害になるため現実的ではないというふうに考えます。
 緑地保全の第一線にあります地方公共団体におきましては、独自の取り組みや国の補助を得たいわゆる買い取りなどによる緑地の確保を行っておりますけれども、依然として都市部では開発に対する圧力が強くて、また土地所有者の相続発生などによりまして、緑地がなくなってきている、喪失してしまっている現状が続いております。行政の対応が緑地の減少速度に追いつかない状況というふうに伺っております。
 そこで、国土交通省さんの今後の緑地保全の取り組みについて伺いたいのでありますけれども、地方公共団体が、法律や独自の条例などで指定した緑地の買い入れを土地所有者から求められ、対応に困っているようでありますけれども、現在の緑地取得にかかわる国の補助枠の拡大と、現在三分の一でありますけれども、補助率の拡大も考えられないのか、伺いたいと思います。
佐藤副大臣 先生おっしゃったように、今緑地をつくるということは非常に重要な私たちの課題です。非常に予算が厳しい中でありますけれども、緑地保全地区の土地の買い入れ等に関する緑地保全事業予算は、平成十三年度は対前年比一・四二倍に、その中においても頑張って伸ばしてきております。平成十四年度には一・〇八倍と、補助予算額の拡大を図ってきております。それだけ私どもも非常に重要なものと考えてやってきております。
 また制度的には、緑地保全等統合補助事業を創設します。要するにひもつきでない、自由な裁量の中から自分たちが自由にできる、地方自治体が取り組める、そういう使いやすい制度もつくっております。
 さらに、緑地保全地区等として都市計画決定されていない緑地についても、相続や宅地開発等による転用のおそれが発生した場合、予防的あるいは緊急的に地方公共団体が買い取る際、買い入れ後に都市計画決定してくれればいい、そういうようなことで前提といたしまして補助を行う、そういう制度もつくっております。
 補助率の拡大につきましては、現在のところは非常に困難でありますけれども、良好な緑地の保全が図られるように、補助予算額の確保に努めるとともに、これらの制度の有効な活用をいたしまして、全力を挙げて取り組みたい、そう考えております。
樋高分科員 法による緑地の指定を所有者に受け入れてもらう際の優遇策として、譲渡所得のいわゆる特別控除が、ちょっと細かい議論になりますけれども、現在二千万円となっておりますけれども、指定を推進するために、都市公園並みの五千万円控除とする考えはありませんでしょうか。
佐藤副大臣 都市緑地保全法等に規定する買い取りの請求に基づきまして、緑地保全地区等の土地を地方公共団体に譲渡した場合については、行為制限の内容や緑地保全の重要性にかんがみまして、二千万円の特別控除が認められております。おっしゃったとおりです。
 一方、都市公園の用地といたしましては、土地を譲渡した場合には五千万円の特別控除が認められているわけでありますけれども、これは土地収用法の規定によりまして、買い取りの申し出を拒みますと収用される、そういうようなものに限って五千万ということにしておるわけであります。
 このように、土地を譲渡するか否かについて、制度上、土地所有者の任意にゆだねられるか、または制度上、最終的には強制されるか、それによって控除額に差がついているのでありまして、都市における緑化の保全は、ヒートアイランドの対策や生物多様性の確保等の観点から、ますます重要性を増すものであります。それだけに、先生今おっしゃったように、できるだけ支援策の充実を図ってまいりたい、そう考えております。
樋高分科員 大臣に伺いますけれども、買収、いわゆる買い取りということではやはりどうしても限度がある。所有者の長期にわたる保有を促す方策、誘導策を考える必要があると思います。新しい制度の創設は何か考えておられるんでしょうか。
扇国務大臣 大変大事なことでございますし、私が先ほどから言っております二十一世紀は環境の世紀というのも、樋高議員と共通の認識であろうと思っております。
 そういう意味で、都市に残された緑地の保全、これがいかに大事であるか、またその持続性がいかに難しいか。それは、それを持っている人たちが老齢化し、そして都市における現状というものは、相続税等々考えますと、少ない緑地を保全していくというのが今大変難しい現状になっているのは事実でございます。
 また、樋高議員は横浜でいらっしゃいますから、横浜の現状を私も調べてみましたけれども、横浜の現状では、少なくとも、樹林地、いわゆる木のある土地が、昭和六十年から平成六年までの十年間で千二百六十一ヘクタール緑地が減少しているというのが横浜の現状でございます。
 そういうことで、都市における緑地の保全というものがいかに難しいか。またこれが、何が弊害となってこれを解除していくか、あるいは善処していくかということが問題になっていると思いますけれども、少なくとも私たちは、このための相続税の軽減措置が講ぜられる緑地保全地区の指定の促進、そしてまた、土地の買い取りの請求に対応するための予算の拡充というものがどうしても必要になってくる。
 また、昨年の都市緑地保全法の改正によりまして、土地の所有者にかわって地方公共団体自体が緑地の保全とかあるいは管理、そして、その土地の所有者の負担の軽減を図るために管理協定制度というものを新たに昨年制度化したところでございますので、私は、この制度の積極的な活用というもので、緑の都市の保全というものをより図っていくために活用したいと思っております。
樋高分科員 大臣に重ねて伺いますけれども、やはり都市の景観を構成しているいわゆる貴重な斜面、斜めの土地でありますけれども、その緑地が、今マンションがどんどん建っておりまして、マンション建設が可能になった結果、都市部では住民とのトラブルが多発をいたしております。
 やはり斜面の緑地を守るという観点も一方で私は必要なんではないかと思うのでありますが、関係法令の見直しも私は必要ではないかというふうに思いますけれども、どのようにお考えでありますか。
扇国務大臣 日本の地形から考えますと、この狭い国土、しかも山が七割というところで、三割の居住ですから、どうしても斜面が多くなるというのは当然のことでございます。特に横浜もそうでしょう。私は神戸生まれですけれども、神戸も斜面の多い土地柄でございます。
 そこで、いかにこの斜面の緑地、都市の緑地というものを考えるかということで、住民の生活に四季折々の季節感や潤いを与えるということで、この斜面の緑地というのは、私たちも国土交通委員会でよく言われます、ヒートアイランド現象がある、このヒートアイランド現象を緩和するために、何とかビルの屋上にも緑地を、また、景観を確保するためにも、少なくともこの斜面の緑地の生息というものを何とか生かしていこう、これを全部壊してしまってマンションにするというようなことは何とか避けようではないかというようなこともよく話題になり、皆さんの御要望もあるところでございます。
 少なくとも、都市における斜面緑地を保全するために、市町村が定めます緑の基本計画というものがございますので、これに基づいて建築や木竹等々の伐採の制限をすることによって緑地を保全することができるのではないか。また、緑地保全地区の指定、そして建築物と緑の調和した住宅地の形成というものも図っていかなければいけませんし、風致地区の指定、都市公園の整備、さらには地区計画の活用とか、各地方公共団体の条例による保全というものの施策がとられるように私たちも指導し、なおかつ地方自治体の条例も見守っていきたいと思っております。
樋高分科員 地方自治体と連携をとりながら、都市部の緑地保全をしっかりとお願いいたしたいと思います。
 続きまして、通勤通学時の混雑緩和ということでお尋ねをしたいのでありますけれども、住みよい国づくりに向けまして、地方分権を推進して、地域が個性ある自立的発展をなし遂げる基盤を整備するためには、やはり基幹的交通網は国の責任において総合的、計画的に整備する必要があると思いますけれども、そんな中にありまして、大都市圏における通勤通学時の混雑緩和は重要なテーマの一つであるというふうに考えます。
 私は、もともと小沢一郎党首の秘書になる前は、サラリーマン出身でありまして、会社勤めをして、満員電車に乗って勤めておりましたけれども、本当に、もちろん国土交通省さんだけで解決する問題ではないというふうにも認識をしておりますけれども、やはりサラリーマンの方々が会社に着くころにはもう体力を消耗してしまっている状態というのは、国家の損失であるというふうに私は考えているわけでありまして、国として、混雑緩和につきましてどのような取り組みを行ってきたのか、また、いかなる成果を上げてきたというふうに考えていらっしゃるでしょうか。
扇国務大臣 一時は、都市の住みにくさ、あるいは土地の高騰等々で、都市近郊に多くの皆さん方が移られました。そして、都市のドーナツ現象が起こり、そして通勤通学が遠くなり、会社に着いたころには疲れ果てた。マイカーの人たちは、駐車場確保のために、朝食とお昼と両方二つお弁当を持って、夜の明ける前に都心に来て駐車をし、そこで休憩して奥様のつくった朝食弁当を食べて通勤する、そういう情けない状況が続いたことも樋高議員は御存じであろうと思っております。
 けれども、それがいかにむだであるかという、何とか職住近接ということで狭くても都市に住んで、親子の会話、仕事が済んで帰っても子供が起きている間に帰りたいということで、狭くても我慢しようということで、都市回帰ということで、今は狭くても東京都に、あるいは職の近い都市に戻ろう、こういう回帰現象が起こっていることは御存じのとおりでございます。
 そういう意味で、今の御質問にありました通勤通学、この労力、そしてこの間に失われます時間の経費、計算しますと、人生の三分の一をむだにしてしまうというような数字も、あるサラリーマンの調査で出ております。
 そういうことで、少なくとも私は、この通勤通学の交通緩和、車で通っている皆さん方の緩和等々も必要であろうと思っておりますし、また、通勤通学の、このごろは時差出勤ということも自主性として企業で実施しているところもあると聞いておりますけれども、少なくとも私たちは、都市の鉄道の整備と道路の整備と、これは両々相まって初めて勤勉な勤労意欲というものがわいてくると思っておりますので、そういう意味では、ハード面とソフト面と両々相まって、都市の交通網の緩和と、そして快適な交通網と。
 ただ、一点言えますことは、先日のワールドカップサッカーで、世界じゅうからお客様が日本の十会場に来ていただきました。その皆さんが異口同音におっしゃったことは、こんなに定時に電車とバスが出るというのは初めて経験したと。外国の皆さんからはそういう全く違った評価もいただくような交通状況ではございますけれども、それが私たちは習い性として当たり前のことだと思っておりますけれども、少なくとも、その中に快適さを導入しようということで、ある私鉄では、女子だけの車両もつけるという、快適な通勤通学ができるようにということで、女子車両をラッシュアワーにつけるということも実行しておりますので、そういう意味では、都市の通勤通学の混雑緩和ということと含めて、私は、勤労意欲、通学意欲、学習意欲がなえないような交通体系にしていかなければいけないと思っております。
樋高分科員 時間ですので終わりますけれども、交通渋滞だけじゃなくて、やはり通勤通学の混雑緩和はしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、あと、お尋ねはいたしませんけれども、電柱の地中化の問題、このこともまた引き続き、機会がありましたらぜひ大臣と議論させていただきたいというふうに思います。きょうはありがとうございました。
御法川主査 これにて樋高剛君の質疑は終了いたしました。
 次に、津川祥吾君。
津川分科員 大臣、民主党の津川祥吾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私、きょう八時からちょっと会合がございまして、その中で議論したのが、党内の議論ですが、環境税の話でございます。環境税、いろいろ、どういう形にしていくか、どういった形で導入をしていくか、どういった役割にするかというような議論、まだまだ始まったところでありますが、党内でもいろいろと議論がございます。
 いろいろと頭を悩ませている中で、ある方が、例えばそういったものから道路整備に使ったり、社会福祉の部分に使ったり、環境に使ったり、いろいろなことが考えられるんじゃないかという話がある中で、では、ところで、道路はあとどのくらい必要なんだろうかという質問をされまして、なかなか難しい質問をされる方だなと思いました。ただ、確かに重要なところでもあります。道路が一体どのくらいの距離必要なのかということであります。
 日本は予算に占める公共事業費の割合が非常に多いということがよく言われます。それがゆえに土建国家という言われ方もされます。土建出身の私としては大変心苦しい呼び方でありますが。とりわけ道路に関しては年間十一兆円もかけてつくり続けている。その額の巨大さゆえに、道路を必要以上につくり過ぎているのではないかというような指摘がなされているというのも事実であろうかと思います。
 しかし、一方で、先進各国と比べれば、日本の社会資本の整備はスタートそのものが遅い。であるから、今一生懸命それを追いかけているんだということであって、必ずしも国際比較の中で多過ぎるというわけではないのではないかということがあります。
 そこで、費用の額というものから離れて、冒頭申し上げましたが、本当の必要性というところから質問をさせていただきますが、個々の路線の必要性に関してはちょっと今おいておきまして、全体として、その必要性をはかるのに、ある程度数値化した目標というのも一つあり得るかと思います。
 そんな中で、例えば私が今指摘をしたいのが面積当たりの道路の総延長でございますが、国土の総面積から森林、原野、水面、河川などの面積を引いた可住面積、住むことの可能な面積という考え方でいくと、実は相当、日本はヨーロッパ先進諸国と比べても随分距離が長いということがあります。
 自分でつくった表でもありますが、国土面積当たりの道路総延長というのは三千七十キロメートル・パー・千キロ平米であります。アメリカを除けば、他の先進諸国が千から千八百とほぼ一定しているのに比べると、日本が一・五倍から二倍という形で、若干長いかなという印象を受けます。
 さらに、今申し上げましたが、可住面積、住むことのできる面積に限って比較したらどうだろうか、こういった数字を出しますと、日本が一万四千三百四十四キロメートル・パー・千キロ平米であります。アメリカを除けば、他の先進諸国、私が数字を出したのがフランス、イタリア、ドイツ、イギリスでありますが、そういった諸国と比べると、そういった諸国は二千五百から三千であります。日本が一万四千三百四十四。単純に比較をすると四倍から五倍という形で、数字だけ見ると非常に長く、もう随分つくってしまったんじゃないかなという感じもするわけであります。
 これは何かしら日本の特殊な事情というものもあろうかと思いますが、それにしても、こういう数字の出し方をすれば、非常に極端な部分がございます。日本には、道路をもうつくったんじゃないか、ある程度、もう相当のストックがあるんじゃないかという批判、批判というか御指摘もあろうところだと思います。
 そこで、国土交通省さんの道路局長にお見えいただいておりますので、局長に質問させていただきます。
 こういった、日本には、高速道路だけじゃなくて一般道路も含めてでありますが、国際比較の中で、他の先進諸国等の中で道路がもう随分できたんじゃないか、こういった批判がございますが、国土交通省としてどのような認識を持たれているか、お伺いいたします。
佐藤(信)政府参考人 お答え申し上げます。
 先生、ただいまの御数字、先生御自身がいろいろ御検討いただいてというふうに伺いました。そういう出し方もあろうかとは思います。
 三つの点で、私どもの考えを申し上げたいと思います。
 一つは、道路全体の中で高速道路がどのぐらいでき上がっているか。これは全国のネットワークでございますので、今先生のお話の可住地というような形ではなくて、面積でいえば、全国土の面積に対してというのが一つあるだろう。それから、経済活動の量というような面から申し上げますと、人口であるとかあるいは自動車の保有台数であるとか、そうしたのも一つの指標かなと思っております。
 そういう面で申し上げますと、高速道路、ただいまでき上がっている延長、こういう形で申し上げますと、国土面積当たりでは、日本の場合には千平方キロ当たりにおおむね十八キロでございまして、ドイツが三十二キロ、フランスが二十一キロ、イタリアが二十二キロ。こうした状況から申し上げますと、一つのデータとしてはまだまだかな、こんなふうに思っております。
 いつも申し上げるのでございますが、北海道あるいは九州、この辺が諸外国と比較する限り非常にわかりやすいところがありまして、例えば北海道はデンマークと、人口、面積、経済力、おおむね等しい。それから九州はオランダと、人口、経済力、面積、おおむね等しい。
 それぞれの高速道路の延長をデンマーク、オランダと比べますと、現時点では二、三分の一になっておる、こういう状態でもございますので、そういう意味では、私ども、日ごろ申し上げておりますが、おおむねようやく諸外国の、先進国の半分程度のレベルに高速道路の場合にはなってきたのかな、そんなふうに思ったりしているところでございます。これが一つ、高速道路という面で見ましたときでございます。
 それから、一般の道路、こういう関係で申し上げますと、日本の道路の場合の、私どもの統計のデータのとり方の問題もございますが、全道路延長百十六万キロと申し上げております。このうち大部分が市町村道、約九十万キロ強あるわけでございますが、日本の場合には、先生御存じのように、住宅の、家の前の道路を町や市に寄附して管理していただく、これも市町村道、こういう形になるものですから、諸外国に比べたデータの、延長ベースで申し上げますと、かなりここの部分はデータのふつり合いがあるかな。
 それにしましてもとなるわけでございますが、一応百十六万キロあるうちの整備率、認定した延長ではなくて、どれだけ整備されているか、こういう面から申し上げると、五割強、五二%程度、こういう形でございますので、そういう意味では、全国土面積当たりというような形で申し上げますと、諸外国よりやはり多少落ちぎみかな、そんな感じがしておりますが、いずれにしましても、そうした比較からいけば、まだまだという感じが多少あるかな。
 それから三つ目に、都市の中の道路、こういうふうな観点で申し上げますと、この部分は、実は、私ども時々御説明させていただいておるのでありますが、区画整理とかニュータウンとか、道路の面積率が大体二四、五%と出る。県庁所在地なんかで二〇%を超えているところはごくわずかで、残念ながら、東京の二十三区でも一五、六%程度である。
 御存じのように、大変密集地域で、地震の被害であるとか、大震火災でどうだろうかとか、救急活動がどうかとか、こういう面から申し上げますと、そういう意味では、都市の中のそうした劣悪なインフラの状況というものが面積率等から考えると言えるのかな。
 そんなふうにも思いまして、私どもといたしましては、ヨーロッパ、先進諸国に比べてもということでもございますし、また、私どもがそういう意味で目標としようとする日本の道路整備あるいは市街地の整備、こうした目標のおおむね半分をようやく超えたレベルにあるかな、そんなふうに評価しておるところでございます。
津川分科員 つまり、私が、フランス、イタリア、ドイツ、イギリスと、可住面積当たりの道路総延長、それから高速道路も出しますと、実はそう劣った数字ではないどころか何倍もあるという数字が出てしまうんです。日本の総延長は市町村道の小さな道も入っていて、フランス、イタリア、ドイツ、イギリスは入っていないかもしれません。一応入っていることにはなっていますけれども。
 同じところが集計したわけじゃないからわかりませんし、そういった誤差があるかもしれませんが、今局長がおっしゃったのは、日本はまだ半分だと言われましたね。やはり、この数字から見ると全く整合性がない。整合性がないというのは変ですが、私が素人ながら集めてきた数字とは全く正反対の数字が出るわけです。
 何を申し上げたいかといいますと、例えば、自動車の保有台数の話をされました。自動車の保有台数あるいは人口比でいくと、道路の総延長はそう長くはないということも確かに言えると思いますが、でも、では果たして本当にそこまで合わせるのが適当なのか、それを目標とすべきなのかどうなのかということもあろうかと思います。
 これまでは、そういったものをある程度指標にして目標にされてきたことと思います。ただ、ヨーロッパの諸国と比べても、これはまさに、全く違う環境でもありますし、他の交通機関がどうあるかということもありますから、必ずしもそういった国際比較だけで日本はまだまだ足りないんだということは言えない。逆に、私が今出したように、こういう数字があるからもう十分だというのも大変ナンセンスな話だと思います。
 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、高速道路の議論がよく最近ありますが、のみならず、道路は大体どのくらい必要かということは、実は、まさに大臣が何度もおっしゃっているグランドデザインの中に描かれるべきものだと思うんです。こういった、国際比較をしてまだ必要だとかなんとかというのは、私は余り意味を感じないんです。そうではなくて、日本がどういう国になりたいのか、どういう国にしたいのか、その中で道路がどういう役割を果たすかということであろうかと思います。
 先日の国土交通委員会では、大臣は、高速道路も新幹線も空港も港も全部つくってくれと言われても、全部つくればそれは理想だけれども、全部つくれば利用率が下がるという話をされていました。利用率を上げるというのは、まさに民間が得意とする部分で、逆に言えば行政の不得手とする部分かもしれませんが。
 それ以前に、何のためにつくるのかという議論が当然最初にあるべきで、これは当然今まではしてきたはずの議論であります。ただ、今までの議論の根底にあったのは、国土の均衡ある発展。ただ、国土の均衡ある発展というものに関しては、大臣は相当これを否定されてきていらっしゃると思います。
 では、大臣、グランドデザインの中で、道路の役割として、これは高速道路に限らずです、何を目標としてどのくらいつくるべきだというふうにお考えか。グランドデザインは、たしか以前お伺いしたときには、もう頭の中には二、三あるというようなお話でありましたので、どういった位置づけになっているか、それをお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 先ほども、私は共産党の塩川議員に津川議員と言って、いつも国土交通委員会で津川議員と相対していますので、共産党の方に民主党の津川議員の名前を言って失礼をいたしました。
 それはさておきまして、少なくとも私たちは、今日、日本の国の物流コストの高さというのは原因が何なのか、なぜ諸外国に比べて日本は物流コストが高いのか。それは、先ほど、津川議員にいつも私が国土交通委員会で言っておりますように、港と空港と道路と新幹線と、結節が悪いんですね。それが、私がいつも言っている、グランドデザインがなかったから、港がぽつんとあって、港から道路に来るのに、諸外国、欧米先進国は十分で高速道路に入れたり、結節点と合流できたり。ところが、日本はそれがまだできていなくて物流コストが高いというのがあるわけです。
 それと、高速道路の料金が高いから、いつも私が言いますように、百キロのものを岩手から横浜、横須賀に運び、横浜でもいいです、岩手から横浜に百キロのものを運ぶのに千四百八十円かかる。同じ百キロ。そして、横浜から船にとって北米にこの百キロを送ったら、これが千百円だったと。こういう物流コストの高さというものから考えれば、日本が商業的にも、産業的にも、経済的にも、あるいは諸外国に立ち行かなくなる。
 だから、少なくとも欧米先進国に半分まで追いつくぐらいの社会資本整備を、グランドデザインをつくってむだのないようにして、港はつくり、空港はつくり、ばらばらでは、これはコストの削減にはならない、物流コストも今のままであるということで、私は、グランドデザインをつくって、効率的に、効果が上がるような道路も、あるいは飛行場も国際港湾もつくっていかなければならないというのが基本でございます。
 まして今日のように、あらゆる面で、インターネットで産地直送ということも、我々主婦は新鮮なものをより安く、中間の業者の手を煩わさないで、産地直送というものもインターネットで注文できるようになった。そうすれば、今インターネットで注文すれば、翌日、地酒も来るし、新鮮な野菜も来るしということもあるわけですね。そうすれば、日本の高速道路というものも、私は意義があろうと思います。
 ですから、ただ、コストが高いからできないということではなくて、いかにそのコストを安くすることに、我々が豊かな生活を享受することができるというふうにつなげられるか、そこが私は問題であろうと思っております。
 今るる津川議員から、あなたは専門家でございますから、日本国土開発という、私がグランドデザインをつくりたいという基本的なところにお勤めだったので、知恵もかりたいところですけれども、私は、そういう意味では、日本の高速道路等々、まだまだ社会資本整備は欧米先進国にはおくれているという現状はあろうと思いますけれども、より限られた予算の中で、より効率を生かして、日本の物流コストの削減と、あるいは経済、産業に与える大きなインパクトになるような政策というものが私は必要であると考えております。
津川分科員 ありがとうございます。
 物流コストを下げるとか、あるいは時間コストを下げるという言い方もできるかもしれませんし、あるいはその結節点を非常にスムーズにする。いずれにしろ、物流に関しては、必要性の高いものに対してそれに対応できる道路が必要であるということかと思います。
 局長にまたお伺いいたしますが、道路関係四公団の民営化、検討されておりますが、日本道路公団が管理する有料道路のうち、高規格幹線道路に含まれないものがございます。これは本来国が直轄で整備、管理をして、当然のことでありますが、通行料無料、通行料を取らないという形の道路のはずであります。
 それで、公団の民営化の議論が進展する前に、その前提として、こういった有料道路、一般国道の有料道路の部分と、高規格幹線道路、高速自動車国道と一般国道自動車専用道路、この違いをしっかり切り離すべきだと思うのですが、こういったことを民営化推進委員会の方に対してちゃんと情報を提供されているのかどうか、ちょっとお伺いしたいのですが。
佐藤(信)政府参考人 先生御指摘のように、日本道路公団が管理いたしております、既に供用しております一般有料道路の中では、現在、合計六十一道路、八百七十九キロメートルございますが、このうち、高規格幹線道路であります一般国道の自動車専用道路及び高速自動車国道に並行する自動車専用道路、これが合計三十六道路、四百五十七キロございます。
 国土交通省といたしましては、民営化推進委員会から要請のあった資料などの提出について、全面的に協力を行っているところでございまして、日本道路公団からこのデータにつきましても提出させていただいている、こういう状況でございます。
津川分科員 今、局長がはっきりおっしゃらなかったから大丈夫かなと思うのですが、高規格幹線道路以外の道路ですよ。それをちゃんと認識していただきたいのです。
 これは、委員会は委員会で、そちらでしっかりやっていただければいい話で、ここでの話ではありませんが、高規格幹線道路に含まれない道路のうち採算性の悪いものというのが確かに相当ございます。そこが償還期限までに償還準備金を積めなかった場合どうするのか。これは損失補てん引当金で処理するということだと思いますが、最終的にはそれもできなかった場合はどうなるかということをお伺いしたいのですが、基本的には国の税金をつぎ込まなければいけないのかなと思います。
 この間あった新聞報道によりますと、そういったものは買い取るんだという話がありました。本当かどうかわかりません、新聞報道ですから。それをどういうふうに買い取るおつもりなのか、バイパスの関係ですけれども、それを御説明いただけますでしょうか。
佐藤(信)政府参考人 ただいま逆にお答え申し上げまして、失礼いたしました。
 八百七十九キロのうち四百五十七キロが、高規格幹線道路に並行する、あるいは高規格幹線道路である、こういう形でございますから、残りの四百二十二キロでございますか、これが一般国道のバイパスとして、有料道路として供用されている、こういう状態である、こういうことであります。
 それで、先生の御質問は、その中で、損失補てん引当金等で最終的にみずからが償還する、あるいは損失補てん引当金で処理できるか、そこに入り切らないものについてどうするのか、こういうお尋ねであろうかと思います。
 これにつきましては、ただいま、道路公団の全体の高規格幹線道路とそれから一般の有料道路、先ほどのお話の一般の有料道路を含めて、今後どういうふうに整理していくか、民営化推進委員会でそれも含めて御検討いただいているところでございます。そういう意味では、その御検討を踏まえながら、私どもなりにも考える、こういうことだとは思います。
 一点申し上げますと、従来は、いろいろな工夫をしながら、一般の有料道路についても損失補てん引当金だけではなくて何とかその採算の向上なりを図っていこう、これは例えば、前後がつながっていないがゆえに交通量がなかなか乗らない、こういうバイパス等の有料道路もございますから、そういうところは、前後に迎えのアクセス道路の整備を進めて、より乗っていただけるようにするとか、いろいろな工夫をしようということで検討を進めてまいったところでございます。
 そうしたことも含めて、今後いろいろな検討をしてまいりたい、そんなふうに思っております。
津川分科員 両端ができていないからなかなか収益が上がらないという例もわかりますが、実際、そうじゃないものも多いわけですよ。
 今、具体的に挙げますが、国道一号線のバイパスで、東海四バイパスとよく言われる藤枝バイパス、掛川バイパス、磐田バイパス、浜名バイパス。両方が国道ですよ、まあバイパスですけれども、無料ですよね、無料でできていますけれども、そこだけ有料なんですよ。それでも収益が上がっていないんですよ。今の予定では、償還期限までに準備金が積めないんです。最終的には、何十年後かに何とかしなきゃいけないんですよ。
 何とかしなきゃいけないというところで、今民営化の議論がなって、もし間違って、いや、ここは民間企業がやるから有料でございますとなったらどうなるか。一般国道からずっと行って、ここは有料、無料、有料、無料、有料、無料となるんですよ。そんなばかな話はないですよ。ここをずっと走ったら、東名より高いんですよ。これは一般の地域の方々が使う生活道路ですから、本当に無料にしていただきたい。
 早目につくるために、需要があるから早目につくって何とかしたいということで有料道路制度を使ったんでしょうけれども、そういかないわけですから、うまくいっていないんですから。それはもう明らかなんですから、これは早いうちに処理をしていただきたい。
 それは、今でも例えば藤枝バイパスは夜間無料にしています。ほかに、県の公社がやっているようなところも夜間無料にするなんということが随分あります。これは料金設定から見ればわかりますけれども、高速道路と違って、これは必ずしも償還主義でやっているわけじゃないですよね、料金設定は。もちろん、償還主義で、これが償還できそうにない場合は無料にするわけですけれども、そうじゃないものに関してだけ有料にしたはずですが、それがうまくいかないことが明らかであれば、これは早いうちに無料化していただきたい。
 それで、今大臣から物流コストの話がありました。確かにそのとおりでありまして、高速道路の通行料金が高い。確かにそうですが、実は、それ以外の有料道路も非常に高いです。実は本四なんかもそうでありますけれども、本四連絡橋も、これは高速道路ではなくて高規格幹線道路ですね。だけれども、実際うまくいかないんですから。高規格幹線道路だって、無料のなんてあるじゃないですか、国土交通省が管理している。
 そういったことから考えれば、これはなかなかうまくいかないということになれば、どんどん赤字ができて、いつかどうなるかわからないというやり方をするのではなくて、早い段階で、これは無料化をするなり、あるいは橋みたいな特別のものは特殊な料金だけお支払いいただくというやり方はあると思いますけれども、私はそちらの方が物流コストを下げるには非常に有効だと思います。
 そういった意味で、その辺の見直しをまずしていただきたい。まあ議論はどうなるかわかりません、民営化推進委員会では。でも、民営化推進委員会ですから、民営化しないという結論は多分ないと思いますから、民営化する以上は、無料道路というのは多分持たないんだと思います。
 それで、無料にすることを考えるのであるならば、これは国土交通省さんが管理する以外ないわけですから、そうなるのであるならば、これは早いうちにこういったものはやらせていただきますと。これは整備に関する話じゃなくて、維持管理の話でありますから、これを早くやっていただきたいということであります。
 済みません、ちょっと時間がないので飛ばさせていただきますが、もう一点、ちょっと地元の話で恐縮でございますが、質問させていただきます。地方空港について質問させていただきます。
 地方空港も、過剰投資にならないように、需要に見合った整備が必要であるということは、総務省さんの指摘もありましたし、以前にも大臣にお話をしましたが、会計検査院さんの方からも需要予測はしっかりやるべきだというような話がありました。
 そこで、静岡空港というものがございますが、これも今県が需要予測に対して見直しを行っている状況でありますが、それが終わった段階で国としてはどういう対応をする予定なのかということをお伺いしたい。これは局長、来ていただいていますよね。
 それからもう一つ、時間がないからついでに大臣にお伺いをいたしますが、本四、本州四国連絡橋は三本つくる必要がなかったかもしれないということを何度も大臣はおっしゃいます。結果的にはそうだったのかなと思います。
 例えば、空港の話も、近畿にどうかと。関西国際空港というものに集約しようという議論で始まったものが、いや、でもやはり伊丹にも残そう、神戸もつくろうかなと。それでは関空の立場はどうなるんだろうと私は思います。
 確かにそれは、神戸の方にとっては神戸空港の方が近いかもしれないし、伊丹はそれはそれで使いやすいかもしれませんが……(発言する者あり)今、違う違うとおっしゃっていますが、やはりそこは、その中の一つに絞って収れんをしていく、神戸の地域あるいは伊丹の地域の方々にも利用していただきやすいようにする方が国土政策としては正しいのではないか。
 静岡につきましても、空港が必要であるという意見もあります。地元からも、ぜひつくってほしい、ぜひどんどん推進してほしいという声もあります。ただ、本当にこの地域にこういったものが必要なのかどうなのか。需要予測をしっかりやった上で、多少赤字になっても、それは県がやることであるから県民が最終的には決断をすることかもしれませんが、そういった需要予測等々につきましては、国も相当責任を持って指導をしていただきたい。この二点、お願いいたします。
深谷政府参考人 静岡空港についてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましても、昨年の十二月、国内の航空需要予測のガイドライン、これをつくりまして、このガイドラインに基づいて需要予測をやっていただけるよう、地方公共団体等に通知をさせていただいたところでございます。
 これを受けた形で、ことしの六月、静岡空港の設置管理者でございます静岡県におかれましても、需要予測の見直しに着手するという旨の方針を表明されております。これは先生今御指摘のとおりでございます。
 国土交通省といたしましても、この県の需要予測が適切に行われるよう指導をしたいと思いますけれども、その需要予測の結果によりましては、これはまた補助金等の取り扱いも含めまして、県ともよく相談していく必要があるかもしれないというふうには考えております。
扇国務大臣 今の需要予測は局長が答えましたとおりですけれども、私は、ぜひ津川議員に、あなたのような若い人たちは、日本の今後はどうあるべきかを考えていただきたいと思います。
 それは、ある時期、一県一空港という要望もありました。一県一医大という要望もありました。私は、日本国土の中で、一県一空港が果たしてできるのかどうか。
 そういうことから考えますと、今の津川議員が例を挙げられました関空、伊丹、神戸、安全性から考えても、関西国際空港の管制空域、伊丹の管制空域、両方からの空域があって、その谷間を神戸空港から飛び上がろうという、パイロットにとってもこんな危険なことはありません。
 では、静岡はどうなのか。羽田、横田、それから中部国際空港、静岡。そして空域圏の地図を見ていただいたらわかりますけれども、米軍と自衛隊の空域、そこに日本の民間空港の空域、どれだけ米軍と自衛隊に大きな空域をとられているか。果たしてそれで国民の、乗客の安全性、パイロットの精神的な重圧、そういうものを取り除くことができるのか。
 まず、私たちは、利便性も必要ですけれども、何よりも安全性というものを国土交通省としては図っていかなければいけない。いささかもパイロットに、この空港は危険だなと思われるような空港をなるべくはつくりたくない。
 そういう意味で、今後大きな、今の局長が見直しますと言ったことプラスアルファ、私は、国土交通省として、国民の要望はわかりますけれども、果たして安全性が保たれるかどうかという基本理念に基づいて、私たちが安全、安心な空港づくりをするということが将来のためになると思っています。
津川分科員 終わります。ありがとうございました。
御法川主査 これにて津川祥吾君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後七時六分散会


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