衆議院

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第2号 平成15年5月20日(火曜日)

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平成十五年五月二十日(火曜日)
    午後五時開議
 出席分科員
   主査 宮路 和明君
      石田 真敏君    谷  洋一君
      津島 恭一君    今野  東君
      古川 元久君    前田 雄吉君
      松崎 公昭君    阿部 知子君
      山口わか子君    金子善次郎君
      保坂  武君
   兼務 山井 和則君 兼務 瀬古由起子君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   国土交通大臣       扇  千景君
   法務副大臣        増田 敏男君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   法務大臣政務官      中野  清君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第三局
   長            船渡 享向君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          山野 岳義君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (水産庁漁港漁場整備部長
   )            田中 潤兒君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            斉藤  浩君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 村岡 憲司君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
分科員の異動
五月二十日
 辞任         補欠選任
  古川 元久君     前田 雄吉君
  松崎 公昭君     今野  東君
  山口わか子君     阿部 知子君
  江崎洋一郎君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  今野  東君     松崎 公昭君
  前田 雄吉君     古川 元久君
  阿部 知子君     東門美津子君
  金子善次郎君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  東門美津子君     山口わか子君
同日
 辞任         補欠選任
  山口わか子君     今川 正美君
同日
 辞任         補欠選任
  今川 正美君     山口わか子君
同日
 第一分科員山井和則君及び第三分科員瀬古由起子君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十三年度一般会計歳入歳出決算
 平成十三年度特別会計歳入歳出決算
 平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十三年度政府関係機関決算書
 平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫〕


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     ――――◇―――――
宮路主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。
 平成十三年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。
 昨日に続き国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。金子善次郎君。
金子(善)分科員 保守新党の金子善次郎でございます。
 平成十三年の十二月二十二日、北朝鮮の工作船が我が国の領海を侵犯しました。海上保安庁の皆様方の御努力、活躍によりまして、我が国の主権を守ることができたわけであります。
 また、扇国土交通大臣の御英断によりまして、工作船の引き揚げが行われ、先週鹿児島で一般公開、今月末よりお台場の船の科学館で公開することになりました。こうした一般公開が実現いたしましたことは、日本の海を取り巻く安全保障の状況に対する国民の理解を深めるために大変意義のあることだと思います。
 そこでお伺いしてまいりますが、この工作船の引き揚げに五十四億円の費用がかかったと伺っております。この工作船との銃撃戦で負傷された方もおいででございました。そこで、この工作船に関連いたしまして我が国が受けた被害が幾らになっているのか、既に明らかになっている被害額は項目別に分けて幾らか、また、残りの金額について、いつごろまでに集計ができ、集計で明らかになる金額は幾らぐらいと予想されるか、まずお伺いしたいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 一昨年の十二月二十二日に発生いたしました九州南西海域におきます工作船の事件に対しましては、海上保安庁といたしましては、事件発生場所を管轄いたしておりますのは第十管区本部でございますが、それだけではなく、全国から当庁の持てる巡視船艇、航空機、これを全国運用いたしまして、事案発生から約十カ月にわたる間投入をして、諸般の対応をしてまいりました。
 先生御指摘の、これに要した費用につきましてはもろもろのものがございまして、事態への対処に要したもの、あるいは実態の解明に要した費用、大変多岐にわたっておりますが、具体的には、例えば内訳としては、被害を受けた巡視船の修繕費、あるいは、工作船を引き揚げるあるいは一時的に保管するそうした費用、それから人件費、それから船艇、航空機の運航費、こういったものなどがございます。
 そのうち、今申し上げた被害を受けた巡視船艇、これも修繕に費用がかかっているわけでございますが、これが約八千三百万円ほど要しております。それから、工作船の引き揚げ、一時的な保管、こういったことにつきましても費用はあるわけですが、今御指摘いただきましたように、これらにつきまして約五十四億円などの費用がかかっております。その他、先ほど申し上げましたいろいろなものがございますが、長期間にわたって全国の船艇、航空機、人員を投入いたしましたものですから、その結果の整理につきましては、現在、鋭意やっておるところでございます。
 私どもといたしましても、整理をなるべく早くしたいというふうには思っておりますが、現在整理中でございまして、全体の正確な額をまだ把握するというところには至っていないということで御理解いただきたいと思います。
金子(善)分科員 昨年九月十七日でございますが、日朝首脳会談が行われ、金正日総書記、これは謝罪をしたわけであります。工作船の活動について謝罪をした。そこで、これは当然北朝鮮に対して損害賠償の請求をすべきものと思いますけれども、国交がないとはいえ、国際法上に基づく何らかの請求というものがなされてしかるべきだ、このように考えますが、この辺、どのようになっているか、答弁をお願いしたいと思います。
深谷政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年の日朝首脳会談におきまして、金正日総書記の方から、先生御指摘の趣旨の発言があったわけでございます。
 私どもといたしましては、一般論として、まず、国際法上は、いわゆる国交のない国に対しましても損害賠償請求、こういうことをするということは可能であると考えておりまして、実際、国際的にも過去にそうした事例があるというふうに承知をしております。
 そういう一般論を踏まえまして、先生御指摘のこの事件、この件につきましては、ただいま先生からの御指摘、これを十分踏まえながら、今後も外務省を初めとする関係のところともよく協議の上、対処をきちっとしていきたい、かように考えております。
金子(善)分科員 次に、北朝鮮の座礁船について御質問をしたいと思います。
 北朝鮮の座礁船ですが、平成十三年の十月にチョンリュー二号、それから、昨年の十二月ですが、日立港東防波堤に座礁しましたチルソン号、記憶に新しいところでございますけれども、このチョンリュー二号、平成十三年の十月に座礁した北朝鮮籍の船ですが、これによる被害、この海域がアワビあるいはサザエの漁場であったことによりまして、漁業被害だけでも八千万円、それから座礁船の撤去に一億円以上、それから海底の整備にも三千万円程度必要ではないかというようなことが見通しとしてあるようでございます。
 そこで、座礁船の撤去でございますが、地元の豊北町が事業主体になりまして、農林水産省の漁場環境保全創造事業として、補助事業として国が二分の一補助することによって行われるというようなことがほぼ決定されているということを聞いているわけでございます。これは関係府省がそれぞれ知恵を絞っての結果であろうとは思いますけれども、いかにも便宜的な措置ではないかというふうに思います。
 座礁船の撤去は、もちろん座礁させた船主の責任で撤去すべきものが大原則であると思います。しかし、それが行われない場合、その地元自治体に多額の撤去費用を負担させるということは妥当とは思われないわけであります。そのような場合、国が責任を持って撤去させ、その後、相手方に対してきちっと先ほど申し上げたような撤去費用を含む損害賠償を請求する、こうした法的な仕組みが必要ではないかというふうに思いますが、この点についてお伺いするとともに、もう一点でございます。
 今回、このような補助事業として撤去した場合でございますけれども、既に補助事業として撤去したというようなことが加害者に損害賠償請求する上で支障となることはないのかどうか、これについてもお伺いしたいと思います。これは国交省さんとそれから水産庁さんに対する質問でございます。
鷲頭政府参考人 先生、今御指摘されましたとおり、船舶の座礁などによりまして被害が発生した場合には、もちろん、その賠償や船舶の撤去にかかわる費用というものは、船主の責任により処理されるというのが原則でございます。
 ところが、無責任な外国船主がいる、対応を行わないといったようなことで放置された船舶がその地域の港湾とか海岸の管理に支障を及ぼすというようなことがあるので、地元の地方自治体がやむを得ず座礁船を撤去したり、あるいはそのまま放置されているという例があるのが現状でございまして、先生おっしゃるとおりでございます。
 このため、こういう無責任な外国船主が座礁船の撤去を行わないということで地方自治体が船主にかわって座礁船の撤去などを行う場合につきましては、これまでも船主が費用の弁済などを行うように国として船主の旗国に対して働きかけをしてきておりまして、今後とも外交ルートなどを通じましたこういう働きかけを積極的にやっていくつもりではございますが、さらに、これに加えまして、先生今おっしゃいましたとおり、自治体が負担をするというだけではなんですので、地方自治体が負担する費用の一部について国がこれを支援することが適切ではないかという考え方に基づきまして、現在、こういう新たな制度を平成十六年度に立ち上げるべく検討を行っているところでございます。
 先生の二番目の御質問でございました、制度を立ち上げて仮に国が財政支援を行った場合においても、撤去費用や損害賠償などの請求に直ちに支障が生じるわけではないというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、先生の御指摘も十分に踏まえまして、船舶の座礁などによりまして生じた被害について船主が責任を負わないといった事態が生じたときに適切に対処するために、船主責任の原則というものを踏まえつつ、放置座礁船により生じた被害に関して国として財政支援を行うなど新たに講ずべき措置について総合的に検討を進めまして、できる限り早期に結論を得たいというふうに考えておるところでございます。
金子(善)分科員 北朝鮮に対しましては、拉致被害者の家族の会からも経済制裁が求められているというふうな状況でございますが、私はこれまでの経緯からすれば当然のことであると思っております。この経済制裁までもなく、それとは別に、やはり北朝鮮の行為によって、しかも違法な行為によって被害が発生したり国民の税金がむだに使われるというようなことは本来あってはならない、こういうことだというふうに思います。現在ある法律に基づく当然の請求を適正に行っていくということがぜひとも必要であると思っているところでございます。
 先ほど来からの御答弁を聞きまして、特に北朝鮮に対する請求については外務省当局ともよく相談した上で考えていきたいというようなお話でございましたが、これは当然そうあるべきだと私は思います。既に、米の支援におきましても、いわゆる完全に向こうに貸していると申しますか、ものまで請求をしている実績が農林水産省には当然あるわけでございまして、基本的にそうしたことを、きちっとした対応というか、常にやっていくことが求められているというふうに思います。
 そういうことで、御要望として聞いていただければ結構でございますので、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
宮路主査 これにて金子善次郎君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
宮路主査 これより法務省所管について審査を行います。
 それでは、まず、概要説明を聴取いたします。森山法務大臣。
森山国務大臣 平成十三年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の決算についてであります。
 歳入につきましては、歳入予算額は九百二十七億三万円余であります。
 これに対しまして、収納済み歳入額は九百一億二千四百六十万円余であり、歳入予算額に比べると二十五億七千五百四十二万円余の減少となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は六千五百十六億七千六百八十四万円余であります。
 これに対しまして、支出済み歳出額は六千百四十四億七千四百五十四万円余であり、翌年度へ繰り越した額は三百三十二億六千二百九万円余であり、不用額は三十九億四千十九万円余であります。
 次に、登記特別会計の決算についてであります。
 収納済み歳入額は千八百八十四億四千八百九十八万円余であり、支出済み歳出額は千七百五十九億五千四百二十二万円余で、差し引き百二十四億九千四百七十六万円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 次に、歳入につきましては、歳入予算額は千八百五十七億六千五百七万円余であります。
 これに対しまして、収納済み歳入額は千八百八十四億四千八百九十八万円余であり、歳入予算額に比べると二十六億八千三百九十一万円余の増加となっております。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千八百一億八千九十九万円余であります。
 これに対しまして、支出済み歳出額は千七百五十九億五千四百二十二万円余であり、翌年度へ繰り越した額は八億四千三百九十五万円余であり、不用額は三十三億八千二百八十一万円余であります。
 以上をもちまして、平成十三年度決算の概要説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
宮路主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。石野第一局長。
石野会計検査院当局者 平成十三年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 まず、不当事項について御説明いたします。
 これは、職員の不正行為による損害が生じたもので、松山地方法務局新居浜出張所ほか二部局において、法務事務官が、登記事務に従事中、申請人から登録免許税納付のための収入印紙代として預かった現金、収入印紙及び登記手数料納付のための登記印紙を領得したものであります。
 なお、本件損害額については、十四年四月までに全額が同人から返納されております。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
 これは、在留資格審査事務支援システムにおける業務委託契約の委託費の積算に関するものであります。仙台、名古屋、広島の三地方入国管理局では、在留資格審査事務支援システムの運用に当たり、申請書等に記載された情報を電子ファイル化するなどの入力等作業について、人材派遣会社と一件当たりの作業単価を定めた作業単価契約の契約方式により業務委託契約を締結しており、この委託費の積算に使用する予定作業単価については、一時間当たりの労務単価を派遣社員の入力等作業の実績に基づく一人当たりの一時間当たり処理件数で除して算出しておりました。
 しかし、三地方入国管理局では、一人当たりの一時間当たりの処理件数については、過去における他局の異なる契約方式の際の実績に基づき算出したり、過去における自局の異なる契約方式の際の派遣社員の人数に基づき算出したりするなど、一人当たりの一時間当たり処理件数が前年までの自局の入力等作業の実績を反映したものとなっておりませんでした。また、労務単価は、業務の実態に即した時間単価となっておりませんでした。
 このため、業務委託契約に係る予定作業単価の算出が業務の実態を反映した経済的なものとなるよう改善の要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、十四年十月に各地方入国管理局に対して通知を発し、業務委託契約に係る予定作業単価の算出に当たっては、自局における派遣社員の業務の実態を反映した経済的なものとなるよう周知するとともに、業務委託契約に係る予定作業単価の算出について見直しを行わせることとする処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
宮路主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。森山法務大臣。
森山国務大臣 平成十三年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置等について御説明申し上げます。
 まず、職員の不正行為の防止につきましては、機会あるごとに全職員に対して注意喚起してきたところでありますが、今回の御指摘のような不祥事が生じましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
 事件発生後は、改めまして全職員に国家公務員としての綱紀粛正の一層の徹底を図るとともに、内部監査の一層の充実及び強化等に努めまして、この種の不正行為の再発防止を期しているところであります。
 次に、在留資格審査事務支援システムにおける業務委託契約の予定作業単価の算出につきましては、平成十四年十月に、各地方入国管理局に対して通知を発し、業務委託契約に係る予定作業単価の算出に当たっては、自局における派遣社員の業務実態を反映した経済的なものとなるよう周知するとともに、業務委託契約に係る予定作業単価の算出について見直しを行わせることとしたところであります。
宮路主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
宮路主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
宮路主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
宮路主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。
阿部分科員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、私の質問、法務委員会を初めといたしまして皆さんが御尽力中の、刑務所内での主に医療問題について御質疑をさせていただこうと思います。
 まず、行刑運営の実情に関する中間報告というのが出されておりますが、過去十年間に行刑施設内で死亡した千五百六十六件についての調査内容が公表されており、例えばですが、いわゆる暴行とか、何らかの外から加わった外力、外因によらない形での疾病による死亡、いわゆる病死と純粋に思われるものも五百四十件あるという報告が出ております。
 私も、この千五百六十六件、全件を見たわけではございませんが、カルテを散見しながら感じましたことは、やはり刑務所内での医療体制が一般市中のものよりはかなり劣っておるのではないか。例えば名古屋の刑務所で、皆さん大変に今、冤罪ではないか、あるいは、本当は何が起こったのかわからないとされる平成十三年十二月の事例でも、発見が早くて医療行為がきちんとしていれば、もしかしてこの方は救命されたかもしれないと私自身は思っておるわけです。
 ここで、大林官房長に伺いたいんですが、果たして、基本的な御認識として、こういう拘束下にある、特に刑務所等での医療実態については、現状認識、どのようにお考えでしょうか。
大林政府参考人 刑務所の問題、今御指摘の件につきましては、今、法務省内でいろいろな調査をやらせていただいております。
 矯正の医療の問題につきましては、基本的には原局である矯正局の責任ではございますが、私ども、いろいろ死亡帳調査班の調査などを見ておりますと、医療の関係はやはり万全ではなかった、いろいろと反省すべき点、改善すべき点があるのではないか、このように考えております。
阿部分科員 同じ御質問を矯正局長にもお願いしたいんですが、私どもの党の保坂展人が取り上げました新潟の事例などを見ておりましても、当然必要な輸血とか酸素投入をすれば救命できたかと思うような事案も、亡くなっている。あるいは、二十一歳の青年の死亡などは、ぜんそくの発作による死亡かもしれませんが、当然今の医療レベルですと市中病院では助けられるような症例も、亡くなっているやに思います。
 矯正局長は、現在、御自分がお預かりになっている矯正施設内での医療の現状、この間さまざまに指摘されましたが、これについての御認識はいかがでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま委員が御指摘になりました事例につきましては、現在なお法務省において調査をしているところでございますので、個々の事例についての意見は差し控えさせていただきますけれども、一般的に言いまして、これまで矯正当局といたしましては、それぞれその置かれた条件、立場の中でベストを尽くしてきたというふうに認識をしております。
 しかしながら、これもまた御指摘のような、いわゆる名古屋刑務所における一連の事件等が大きな問題になりまして、そして、いろいろ調査も進む、あるいは国会での審議もされるという中で、やはりこの矯正医療につきましてはさまざまな問題があるという指摘がなされておりました。
 私どもは、このようないろいろな御指摘、御意見を真摯に、そして率直に受けとめまして、これまでの考え方というものにとらわれずに新しい矯正医療のあり方というものを考え、そして、そのためには具体的にどんなことをしたらいいかということを、これから、いろいろな方の御意見を伺うなどしながら、その改革に向かって具体的な検討を進めてまいるという所存でございます。
阿部分科員 ただいまの御答弁で、大林官房長も、また矯正局長も、医療の現状については必ずしも十分でないというお答えでありましたが、森山大臣にも同じことを伺いたいと思います。
 例えば、参議院で資料提供されました法務省矯正局からの「被収容者の死亡事例(二百三十八件)に係る異状の発見時刻等について」というこの厚い資料がございます。このうちに、所内で異状が発見されて病院に救急搬送されて亡くなるまでの経過が比較的、外部に搬送ケースというのが八十八例ございますけれども、もうはっきり言えば、発見されて運ばれて、すぐ死んじゃう。非常に短期間に症状が悪化するなり、救命できないような状態でしか発見されない。いわば発見が遅い状態だと私はこれを分析すると思うのです。
 全体として、先ほどほかのお二方に伺いました矯正施設内での医療ということについてはどうお考えでしょうか。
森山国務大臣 おっしゃるとおり、また今までの二人が申し上げましたように、矯正の関係の医療というのは、それぞれその場その場で一生懸命やったのだとは思いますけれども、よく考えてみますとまだまだ十分でないことがたくさんあるのではないかという感じがどうしてもぬぐい切れません。
 矯正施設における医療というのは、お医者様がいらして、それを助ける看護助手などがいて、一応整っているのではございますが、その肝心のお医者様が常時おいでいただくことがなかなかできないとか、そもそもお医者様を探すのが大変であるとかいうようなところにも深刻な問題がございまして、それらを含めて全部について基本的に見直すべきではないか。お医者様をどうやって来ていただくようにしたらいいか、また、その待遇をどうするべきかとか、その他さまざまな問題がたくさんございまして、これは勉強をすればするほど、非常に大変だなというふうに思いました。
 したがいまして、五月六日だったと思いますが、ほかの行刑に関する改革会議もございまして、やってはおりますが、特にこの医療問題についてはプロジェクトチームを私の指示によってスタートいたしまして、今鋭意、そもそもお医者様の来ていただけない理由は何か、来ていただけるにはどうしたらいいか、その他さまざま医療関係の問題を追及して、少しでも改善のためにできることを早速にでもやろうということで、今始めたところでございます。
阿部分科員 五月六日の日に矯正現場における医療の体制についてのプロジェクトチームの立ち上げがあったということで、私も資料をいただきまして、その問題点と認識されているところが、やはり根本がちょっと大きく欠落しているのではないかなと思いますので、幾つか指摘をさせていただこうと思います。
 このプロジェクトチームでの検討事項は、医師等の人材が確保されていないとか、医療機器等のインフラ整備が悪いとか、医務部と処遇部門の連携が問題があるとか、あるいは外の協力病院の確保が問題である等々は指摘されているのですけれども、私は、そもそもここの矯正施設内での医療というものが、実は矯正施設に被収容者が収容された段階で、いわゆる御本人が持っておられる健康保険について、例えば国保あるいは組合健保などについて、給付の停止状態に至るわけです。ある意味で無保険者になるわけです。以降の医療は、全体のその方を収容している中の、マルメと医学では言いますが、全体込み込みの費用の中で、国が全額費用支出はするが、なるべくコスト算段の上においても効率的に、逆に言えば、受診の機会は少ない方が当然ながら費用は安い。この構造的な問題を私はまずきちんと検証していただきたいと思うのです。
 きょうは、医政局並びに厚生省の方の医療局の保険課でしょうか、お二方に急に来ていただきましたが、まず社会保険関係で伺いますが、国民年金については、収容された段階で停止されるということではありませんよね。生命を支えるための国民皆保険制度というのは日本の極めてすぐれた制度であると思いますが、なぜ医療保険制度については停止状態になさるのか、そこのお考え、経緯についてお願いします。
真野政府参考人 国民健康保険なり健康保険の被保険者資格ということでございますが、国保につきましては、市町村の区域に住所を有するということが要件とされておりまして、刑務所内の受刑者でありましても、住所を有する市町村の国民健康保険の被保険者ということになっております。また、健康保険に関しましても、雇用されている事業所との雇用関係が続いておれば、被保険者であるという状況には変わりはございません。
 ただ、給付につきましては、刑務所内におきまして監獄法に基づく必要な医療が行われるということから、保険給付は行わないということになっているわけでございます。
阿部分科員 今の御答弁で、保険には加入はしているが給付はいただけない、逆に言うと、監獄法という別の法体系に基づいた形での医療が施行される、医療も含めて施行されると。
 私は、このあたりの問題を、本当にこういう形式がいいのか、あるいは、今これから、例えば刑務所も民営化なさろうかというお考えがある中で、一つのところにきちんと医師を確保するというのは、言うはやすく、現実には、収容施設にある数の医師なり看護婦を充実して確保するということはなかなか難しい。それでいて、被収容者には基本的人権に抵触しないきちんとした医療が提供されるべきと考えたときには、被収容者が収容の施設内にいても外にいても同じ資格で受診ができるような体制、すなわち、給付も含めて再検討ということも、私は当然課題に上ってくるかと思うのです。
 結論をきょう求めるものではございませんが、私は、この矯正施設内における医療プロジェクトというものが、こうやって、例えばらい予防法なり監獄法なり何とか法なりに基づいた体系で分断して医療を提供していく方式がいいのか、あるいは、みんな同じ土壌で、その中で医療が選べる、やはりいい医療をだれでも、それは被収容者でもそうです、選べるという状態に持っていくことが新しい人権思想の根幹になるのかという点に関して、これはぜひとも森山大臣に、これまでの御答弁を繰り返し読ませていただいて、恐らく大臣のお考えの中では、施設は施設内での医療の充実体系を図ろうというお考えにあるのは一部漏れうかがい知ることができます。
 私は、現実において、これから充実させていこうとするときに、先ほどおっしゃいました、なかなか医師の来手がない、そして、ふえていく収容者に対して果たして可能性が本当にあるのか。結局、表向きの能書きだけでは、医療というのは絶対に不可欠なものですから、提供できないと思うのです。
 その辺で、きょうの御答弁で明確にしていただきたいのは、このプロジェクトチームの中で、そもそも医療提供体制というそのものについても検討の課題にしていただくということをお考えいただきたいですが、いかがでしょうか。
森山国務大臣 御指摘の点も含めまして、せっかく医療プロジェクトチームをつくりましたものですから、いろいろな項目にわたって今までのやり方や考え方にとらわれずにしっかり検討してもらいたいと言ったところでございますので、おっしゃる問題についても検討の対象にしたいと考えております。
阿部分科員 私が今のような考えに至りましたのは、実は、平成二年でしょうか、行刑施設における医療体制充実計画案概要というのが出されておりまして、この概要、平成二年ですから、今から十三年、正確に言えば十二年ですか、たっておるわけですが、この概要で述べられたことが、残念ながら、ほとんどとは申しませんが、一、二割ほどしか到達していないわけです。
 例えば、この概要で計画されたことの一つに、精神疾患のおありの方を名古屋刑務所に集めて収容して、精神の専門の病床を五十六床つくり、お医者さまや看護婦さんを充実するという案でございましたが、実際には、私の資料が正しければ、その後、平成八年度に五床程度実際にその病床ができただけで、当初の計画は一割ということになるのかと思うのですが、この件の私の事実確認でよろしいかどうかの御答弁を原局からお願いいたします。
横田政府参考人 今委員がおっしゃった名古屋刑務所、精神病床が五床になったという点は、事実そのとおりでございます。
阿部分科員 そうしますと、先ほど申しましたが、計画を立てても十何年たっても一割しか実行できないことの間で、収容者は日々亡くなっていくわけです。
 名古屋の十二月の事案でも、この方は実は保護房に恐らく百二十日余り集計するとおられたのではないか。そして、この方の状態を見ますと、途中に拒食、お食事をとらなくなって鼻からチューブを入れるような状態。この患者さんというか、この方は男性ですから、女性の拒食症というのは比較的よく起こりますが、男性の拒食。そして、チューブを入れなくてはいけないような状態というのは、申しわけありませんが、明らかに精神疾患という範疇の方が最も考えられるわけです。
 ゆえに、精神疾患としての治療をなされば、この方は、例えば汚物まみれになって、暴れるから革手錠とかそれ以上のことを受けなくても済む。そして、情願も二度も出しておられるけれどもなかなか届かずに、結局は亡くなったというような悲惨な経過を踏まなくて済んだのではないかと思う気持ちが私は当初から非常に強いもので、何とか行刑施設内の医療を充実させようといったときに、やはり今までの発想だけでは絶対にカバーできないと本当に思うのです。
 きょうは医政局の篠崎局長にもおいでいただいているのですけれども、篠崎局長の御答弁の中で、この矯正医療問題対策プロジェクトチームに、法務省の方から御要望があれば自分たちも参加したいと。この医療の体制の充実ということについて、申しわけありませんが、法務省とそれから法務省関連の矯正施設のお医者様だけが論議していたのでは、なかなか標準的な医療との落差も埋められないし、医療としての充実ということの目が及ばないと私は思うのです。
 そこで、ぜひとも局長にも御尽力いただきたいし、もう一度確認ですが、要請があればという前提で、厚生労働省の医政局担当としても、この医療実態並びに充実の方向についての、ともにプロジェクトに加わるというお気持ちはおありかどうかの確認をお願いいたします。
篠崎政府参考人 前回御答弁申し上げましたのは、法務省の方のこの検討会で医療についてのまとめがあって、そして、具体的に法務省の方から御要望があれば積極的に御協力申し上げたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
 ただいまの先生の御質問は、プロジェクトチームの中に参加するかどうかということでございますが、これも、御要望があれば参加したいと思っておりますけれども、今のところ御要望がございませんので、情報はいただくようにしたいと思っております。
阿部分科員 では、篠崎さんの今のところ要望がないというお話でしたから、これは大臣から要望していただかなきゃいけませんので。
 私は、何度も申しますが、平成二年度に立てた計画が計画倒れであるという実態も踏まえて、医療の充実ということを他の部局もあわせて考えていただきたい。助力あるいは助言を仰ぐなり、なるべくプロジェクトチームの中に入れていただくという、省庁を超えたお取り組みをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
森山国務大臣 平成二年の計画がほとんど実現していないという御指摘でございますけれども、私の考えますのには、その当時は今ほど過剰収容ではなかったのでございまして、そのときから急速に収容するべき受刑者がふえてまいりまして、計画にのっけたようなゆとりがとれなかったのではないかというのが私の推察でございますが、そのような事態であったものですから、現在でも過剰収容が非常に進んでおりまして、収容施設のゆとりをもう少しつくらなければいけないというのが一番の先決問題だと思います。
 しかし、その上で、先生のおっしゃるような医療の体制の整備というのは、厚生労働省にも知恵をおかりしながらやらなければいけないことだと思っております。
阿部分科員 私が今のような御質問を申し上げましたのは、行刑施設における病態別患者数という、平成十四年十月一日の集計をいただきましたが、診断名がつく患者数、総計三万五千三百五十三人おられるわけです。受刑者の中の比率、私は詳細にはとっておりませんが、決して少なからぬ数で、そして、死亡帳を繰り返し見ても、肝がんによる死亡とか、循環器の、心筋梗塞を思わせるような突然死とか。
 さまざまにやはり現在の医療レベルの到達したものをこの人たちもまた享受する権利があると私は思いますので、実は、先ほど森山大臣がおっしゃった数の上での充足だけでなく、質、それから先ほど言った、外の施設ももっと利用できるようになるための連携のためにも、一たん外に出れば厚生労働省管轄の医療施設にやはり行かれるわけですから、この連携を当初から密にしておかないと、法務省内で話し合って、それからまた厚生労働省に投げてとやっているうちに、もう患者さんにとっては、要するに被収容者にとっては一刻一刻医療のアクセスが遠いということですので、大臣の御指摘の過剰収容、それから看守の数が少ない、これはもう当然改善されるべきですが、それ以外にもぜひとも医療面での厚生労働省との連携を早急にお願いしたいです。
 繰り返し恐縮ですが、御答弁をお願いします。
森山国務大臣 医療問題は、もうあくまでも厚生労働省の専門の分野でもございますし、矯正施設の内部であるということで、法務省が一応受け持って今やってはおりますが、厚生労働省のお力をおかりしなければ解決しないということはよくわかっております。今後、ぜひお力をおかりして解決するべく努力したいと思っております。
阿部分科員 それでは、今の御答弁に基づいて、矯正局長に少し具体的な事例でお伺いいたします。
 私も名古屋の刑務所は実は視察させていただきまして、そして同時に、カルテも拝見いたしました。また、他の委員も御指摘ですが、診療録というところに、医師以外の、保健助手と言われる方が記入されていて、通常であれば、看護記録という、別途に、医師の記載のところと看護記録、通常の医療の場合であれば別途にあるわけですが、それが全く混然一体となって、いわば責任の所在も観察のぐあいもはっきりしないような記録方法があると思います。この点について、部局内での御認識、あるいは改善点ということはどうお考えでしょう。
横田政府参考人 お答えいたします。
 現在、行刑施設におきましては、医療刑務所におきましては診療録とは別個に休養患者の病状等を記録する看護日誌というものを作成しておりますが、しかし、そのほかの行刑施設におきましては、医師が診療録を一読するだけで前回診療後の患者の看護に関する経緯を確実かつ効率的に把握できる利点があることなどから、診療録に医師による診療の記録と、それから看護師等によるバイタルチェックや患者の愁訴等に関する看護の記録をあわせて記載し、患者の医療上の記録を一元的に管理しております。
 しかしながら、ただいま委員の御指摘のような面もあるわけでございまして、今後、記載方法の工夫をするなどいたしまして、それぞれの記載者が明確になるように努めるなど事務的な面で改善できる点はないかどうかということで、ただいま委員もお話しになりました矯正医療問題対策プロジェクトチーム等におきまして、事細かに、具体的にその対応を検討するつもりでおります。
阿部分科員 今の御答弁は、八王子とか大阪にございますような医療刑務所では通常の医療と同じような形態をとり、医師が書き、看護婦が書きということがあるのですが、その他の受刑施設ではほとんどそこの区別はなく、逆に言うと、私が見たところ医師の記載は極めて少ないというのが現状で、そしてその観察にかかわるいわゆる保健助手の方々の育成のされ方も、これも伺いましたところでは、八王子にございます准看護師の養成施設から出た方を主には刑務所が採用なさる、ある種のクローズドな体制もあるかに伺っております。
 それではなかなか医療は標準化されないと思いますが、今後の人材育成という面においても、通常の看護業務をやっている方たちが多く入れば入るほどそれは充実というか、普通の目で物を見るようになりますので違ってまいりますが、今、保健助手の育成のされ方について矯正局長は御認識がおありでしょうか。
横田政府参考人 いわゆる保健助手という制度なんですが、その多くは准看護師の資格を持っている者で、これは刑務官の中から選んで、八王子医療刑務所に併設されております准看護師の養成学校において二年間の勉強をして資格を取るというやり方をしております。
 ただ、それでは余りにも閉鎖的ではないかということでございますけれども、外部からといいますと、医師あるいは看護師あるいはその他の医療技術者等、これはもともと刑務官でない者を採用するわけですので、やはり今後の医療体制の充実という点で、一方では刑務官以外の者の医療の関与がより充実されるような、そういう方策というか方途というものを求めていきたいと思っております。
阿部分科員 今のその育成方法も、ぜひ、このプロジェクトチームで検討していただきたいです。とにかく、世の中の普通の看護にかかわる人たちが持っている目を持っていないと、どう見ても、患者さんというか病態の悪化の発見が遅うございます。それは人的に足りないという要素もあるでしょうが、やはりその人たちの実力というか、トレーニングのされ方にも問題があると私は思います。
 最後に一つお伺いいたしますが、通常私どもが医療をいたしますときは、これこれの処置をした場合、保険診療が加わってきますので、レセプトというものに落としてその診療を行っていくわけです。でも、矯正施設内は保険診療の枠外ですから、どんな薬が使われて、医療費総体がどのくらいであったかということが検証できない。それから、大体、医療過誤とかあるいはいろいろな問題があったとき、レセプト開示というのはカルテ開示よりも今容易になりましたから使える手段となっておりますが、医療にかかった薬品とかそういうものを、レセプトに準じて医療行為のことをきちんと記載していくという習慣をぜひ採用していただきたいです。
 私は、本論は、給付も含めて医療保険にもう一度戻すべきだと思いますが、暫定措置として、今まで使われている薬品とか医療行為について、一度対象化してみるという作業をぜひしていただきたいですが、矯正局長の御答弁を伺います。
横田政府参考人 委員がおっしゃいますように、矯正医療の透明性を高めるといいますか、それは大変重要であるというふうに考えております。
 そのために、具体的にどういう方法がとり得るか、これはいろいろ限られた職員の中の事務量ということがございますので、その目的を達するために一番いい方法が何かということは、これから本当に考えなければならないことだと思っております。
 これにつきましても、先ほど来申し上げております矯正医療問題対策プロジェクトチームを中心に、さまざまな意見を伺いながら、一番いい方法を考えていきたいと思っております。
宮路主査 もう時間です。
阿部分科員 はい、終わります。
 理念とかそうしたことでは保障されないものですので、現実的な体制の充実をお願いいたします。
 ありがとうございました。
宮路主査 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
 次に、前田雄吉君。
前田分科員 民主党の前田雄吉でございます。
 私は、五月十二日に、名古屋刑務所放水事案、あえて事件ではなく事案と呼ばせていただきます、これに関して、検視医、そして起訴された看守家族の皆さん、あるいは看守OBの皆さんにヒアリングをしてまいりまして、それをもとに本日は質問をさせていただきます。
 まず初めに、幾つか確認と大臣の所感を伺いたいと思っております。
 初めに、この十二月の放水事案について確認しておきたいことがあります。
 この冤罪の可能性の高い十二月事案の捜査は、最高検の指揮のもとに名古屋特捜部が行ったことに間違いはありませんでしょうか。冤罪が立証された場合に、責任問題にもかかわりますので、しっかりとお答えいただきたいと思います、大臣。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 一般的に申し上げますれば、地方検察庁や高等検察庁などの下級庁は、事件の捜査処理等につきまして最高検察庁などの上級庁に協議を行うことがございまして、捜査処理等には通常、協議の結果が反映されることになりますが、最終的には、あくまでも下級庁の判断により行われるものと承知しております。
前田分科員 下級庁の判断といって、下級庁だけでそんなことができますか。やはりこれは最高検の指揮のもとに行われたものと私は考えますけれども、ということは検事総長が指揮をとられたのではないかというふうに思いますが、もう一度どうですか。
樋渡政府参考人 検察官は独任制の官庁でございまして、その処理に当たりましては、先ほど申し上げましたように、地方検察庁で処理する場合には高等検察庁あるいは最高検察庁に協議をすることがございます。
 このような世間、社会の耳目を集めている事件におきましては協議をすることが多いと思われますが、その協議の結果が捜査処理等に反映されることが通常あるわけでございますけれども、最終的な判断は、あくまでもその下級庁が判断することでございます。
前田分科員 先に進めますが、五月十四日に我が党、民主党の河村たかし議員が、冤罪の可能性があるんではという質問を委員会でした際に、小泉総理は、実は初めて聞きました、実際驚いているんですと答弁されておられます。これに対して、大臣はどんな御所感をお持ちでしょうか。
森山国務大臣 総理は初めてお聞きになったんで、びっくりなさったんだと思って、それを率直におっしゃったんだと思います。
前田分科員 では、その折に総理は、「法務省としても、この事件の対処に誤りなかったか、手落ちはなかったか、しっかり再調査する必要があると思っております。その上で、もし過ちがあれば、今後それを正していくというような対応を考えていかなきゃならないと思っておりまして、」と答弁されておられますが、大臣はどうお考えでしょうか。
 再調査はやはりやられるべきではないか。これは司法権の独立とか言われるかもしれませんけれども、自主的に法務省が調査をされる意思はおありでしょうか。
森山国務大臣 平成十三年十二月の事案につきましては、冒頭陳述に続きまして、間もなく具体的な証拠調べ手続が始まるということと聞いておりますので、国会での御議論も踏まえまして、公判の推移を見守り、必要な対応を図りたいと思っています。
前田分科員 では、必要な対応というのは調査をされるということですね。
森山国務大臣 どのような対応が必要かということは、裁判においてどのような事実が明らかになるかによって判断すべき事柄であると思われますので、現時点では、具体的にその内容を申し上げることは適当ではないと思います。
前田分科員 総理は再調査すべきじゃないかということを言われているわけですよ。法務大臣がいやそんな、裁判の推移を見据えてなんと言っていて、それで果たして内閣が一致してできるんですか。そんなことだったら、おやめになったらどうですか。
森山国務大臣 河村先生の御質問に対する総理の御答弁でございますが、これは、河村議員が質問の中で指摘された事項が仮に真実であるならばという前提のもとに所感を述べられたのだと理解しております。
 その趣旨を踏まえた対応を検討するためにも、公判の推移を慎重に見守ることがまずもって必要であると考えます。
前田分科員 外務省でもどこでも、例えばプール金で事件を起こせば内部調査をやりますよ。調査をやらないのは法務省だけじゃありませんか。どうですか。
森山国務大臣 この件は公判が既に始まっておりますので、その公判の推移を見ながらということであります。
前田分科員 私は、起訴されました看守の家族の皆さんのお話も伺ってまいりました。非常に家族の皆さんは悲惨であります。これは私は冤罪だと信じておりますが、例えば、七カ月の子供さんがおられる、小学生のお子さんがみえる。非常につらい思いをされている。では、裁判が決まるまでといったら、ずうっとこれはどうするんですか、そういう家族の皆さんは。
 これからちょっと先に進みますけれども、ちょうど二〇〇二年の五月と九月の事案について、現地の最高責任者、桜井智舟前所長の処遇はどうなっておられるのか。二月に退職していて、三月定年というふうに伺っておりますけれども、これは勧奨、つまり割り増し料金で退職金をもらってやめているんですか。
 退職金は一体幾らなんですか。起訴された刑務官の皆さんは、今現在、給与はゼロであります。その中で、のうのうとその最高責任者である前所長が退職金をもらって暮らしていたのでは、これは世の中間違っておりませんか。これはもちろん個人の情報で答弁ができないと言われるんでしたら、同年の勤続者の退職金を教えていただきたいと思います。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず初めに、前名古屋刑務所長の退職理由について申し上げたいのですが、前名古屋刑務所長は、本年三月三十一日限りで定年退職となる予定でございました。そういうところでありましたけれども、一連のいわゆる名古屋刑務所事案に重い責任と深い反省を感じまして、御自身の意思により退職の申し出がございまして、停職三月の懲戒処分を受けた翌日にこれが承認されたものというふうに承知いたしております。
 その退職金でございますが、今委員もおっしゃいますように、個別のことにつきましては、プライバシー保護の観点からこの答弁は差し控えさせていただきますけれども、一般的にどうかということでお答えいたしますと、刑務所長クラスの退職手当額につきましては、勤続年数や退職時の俸給等により退職手当額が異なりますために一概に申し上げることはできませんけれども、国家公務員退職手当法に基づいて所定の額を支給しているというふうに承知しております。
前田分科員 ですから、その所定の額というのは幾らですか。
横田政府参考人 ただいま申し上げましたように、これは勤続年数とか退職時の俸給によって異なりますので、一概に申し上げることは困難であると思います。
前田分科員 だから、桜井所長と勤続年数が同年の方の一般的な退職金ということで結構です。お答えください。
横田政府参考人 大変失礼でございますけれども、同年と言われましても、いろいろ条件が異なりますので、やはり一概には申し上げかねるということで御理解賜りたいと存じます。
前田分科員 でしたら、Aケース、Bケース、Cケースで結構ですよ。今度、しっかりと具体的に出して、私のもとに持ってきてくださいよ。いいですか。
 では、また先に進めさせていただきますが、先ほど申し上げたように、起訴された刑務官の休職給与について伺いたいと思います。
 ほかの組合のある国家公務員の省庁は、刑事休職でも六〇%出されている。具体的に私、伺いましたら、平成十四年七月一日現在の刑事休職中の者の状況ということで人事院に出していただきました。三十一名みえます。その人たちが全部、刑事休職中でも六〇%の給与が支給されておられます。
 どうして法務省だけこれはないんですか。これはおかしいじゃありませんか。もちろん国家公務員ですので兼職は禁止されております。ですから、給与が例えばゼロであって、ほかに仕事をするわけにいきません。これは、まさしく刑事休職者に対して、特に名古屋の事案について、兵糧攻めではありませんか。この点、いかがですか、法務大臣。
森山国務大臣 休職者は、職員としての身分を持ちますけれども職務には従事しないということから、休職者には給与を支給しないことが原則でございますが、一方、起訴休職中の者については、俸給等の百分の六十以内を支給はできるということになっておりまして、今先生がお挙げになった人々はそのような例なのではないかと思います。
 このたびの起訴休職とされた刑務官らにつきましては、その職務上の義務違反はほぼ明白であると考えられますし、本件各事案が、刑務官が受刑者を死傷させたという悪質かつ重大な事案であるということを考えますと、何ら職務に従事していないにもかかわらず給与を支給するということは到底国民の理解を得られるものではないと考えまして、給与を支給しないということになったと承知しております。
前田分科員 何か、法務大臣は刑が確定したような言い方をされますね。これはどうされるんですか、もし本当に冤罪だったら。
 この人事院事務総長通達ですか、これによると、一般職の職員の給与に関する法律の運用方針、第二十三条関係、第四項、つまり休職者の給与、払うか払わないかは、何割払うか、これはその省庁の、各庁の長が決めるということですけれども、そんな確定的なことを言って、ゼロというままでいいんですか。法務大臣、もう一度。
森山国務大臣 ただいまも申し上げましたように、一連の名古屋刑務所事件に関連して起訴された刑務官らにつきましては、その職務上の義務違反はほぼ明白であると考えられておりますし、本件各事案が、刑務官が受刑者を死傷させたという悪質かつ重大な事案であること等にかんがみますと、被処分者らの生活を保障する必要があることは最大限に考慮いたしましてもなお、これらの者に給与を支給することは国民の理解を得られるものではないと思いますし、関係法令の趣旨に照らしまして、給与を支給しないこととするのが相当であると判断したと承知しております。
前田分科員 何度も同じことをテープレコーダーのように言われますけれども、これは本当に冤罪だった場合にとんでもないことになりますよ。
 それに対して、またもう一つ私はお聞きしたいことがあります。
 人事院に対して、九月事案で拘禁中の渡邉貴志さんが給与審査申し立てというのを十一月に出されておられます。これに対して、七カ月放置されて何の返答もないということでございますけれども、いかがでしょうか。
横田政府参考人 返答がないということなので、ちょっと私の方が今先生の御質問の趣旨を誤解しているかもしれませんけれども、この一連の名古屋刑務所事案により起訴されて休職になりました刑務官八人のうち一部の者から、平成十五年一月中旬から二月にかけまして、給与の決定に関する審査の申し立て書が相次いで人事院に提出されたこと、そしてまた人事院の公平審査局首席審理官から、同年三月十九日付で休職処分の発令者である名古屋矯正管区長及び名古屋刑務所長あてに、さらに、同月二十八日付で同じく名古屋刑務所長あてに、それぞれ資料等の提出依頼がなされたことにつきましては報告を受けております。
 当該依頼につきましては、本年四月二十二日付で名古屋矯正管区長から人事院あてに資料の提出等がなされているものというふうに承知いたしております。
 以上でございます。
前田分科員 では、ちゃんと資料を提出されていて、それがストップしているわけですね。これはまた、そうした対応がきちっとあれば、それをまた見させていただきます。
 今、憲法上、例えば鈴木宗男さん、坂井衆議院議員、身分が保障されているといっても、これは国民は理解されませんよ。何で歳費が全部払われているんですか。なのに、先ほどの冤罪の可能性もあるかもしれない人たちが給与ゼロというのはやはりおかしい。私は、支給すべきではないかというふうに思います。
 さらに言いますと、ボーナスについても、十二月二日付休職になるといったものが、なぜ矯正局は急遽十一月二十九日付休職にしてボーナスを取り上げたんですか。十二月一日がボーナスの支給基準日というのはよくおわかりになっていると思いますが、二日だったらそれは払われますけれども、前に休職にしちゃえば払われない、こういうことだと思いますけれども、どうしてこういうことを矯正局はされたんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 平成十四年九月事案につきましては、十四年十一月二十七日に関係する刑務官五人が起訴されたことを受けまして、同月二十九日にその五人を起訴休職にする発令をしております。これにつきましては、当時全員が身柄拘束中であって、当然職務に従事できない状況にありましたことなどの事情を勘案いたしまして、速やかに休職発令の手続を進めた結果、その日にこの発令がなされたというように承知いたしております。
前田分科員 私が家族、元看守OBの皆さんにヒアリングした中で、十二月二日付休職ということが名古屋の拘置所等でもう既に言われていた。それにもかかわらず、いわば手続が早くなったから前に倒しただけだと言われてボーナスまで取り上げるというのはおかしくありませんか。矯正局長、だったらどうして十二月二日に休職という話が名古屋の拘置所の中で広まっていたのか、一回しっかりと調査してくださいよ。どうですか、矯正局長。
横田政府参考人 お尋ねの件につきましては、取り急ぎ調査いたしました結果、そのような事実はなかったものと承知しております。
前田分科員 だったら、どうしてこの話が出てくるんですか。看守のOBの皆さんや家族の皆さんが聞いたと言っているんですよ、名古屋拘置所でそういう話があったと。だったら、初めから十一月二十九日休職だったら休職で言われればいいんですけれども、どうしてそれを、今、いや、そんな事実はないなんて言われますけれども、どうしてそこからその話が出てきたかというのをしっかりと突きとめないと、これは家族にしても納得できませんよ。矯正局長、もう一度。
横田政府参考人 この件につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
前田分科員 その答え方、何ですか。火のないところに煙は立ちませんよ。本当にそうじゃありませんか。実際に私はこの耳で聞いてきたんですよ。河村議員も見えました、そして自民党の方では吉田議員も見えました、三人で話を聞きましたよ。だったら、これはやはり三人聞いたことが間違っているんですか。どこからこの話が出てきたか、しっかり突きとめておいてくださいよ。もう一度。
横田政府参考人 先生がそのようにおっしゃっていることを踏まえて、私どもは調査を取り急ぎでございますがいたしました。その結果が先ほど申し上げたとおりだということでございますので、何分御了承いただきたいと思います。
前田分科員 では、どういう調査をされましたか、具体的に言ってください。
横田政府参考人 私どもの方といたしましては、現地の幹部職員にその事実関係の有無を問いただしております。
前田分科員 では、幹部職員がもしうそを言ったらどうするんですか。両面の話をしっかり聞いてくださいよ。そうじゃありませんか。そんな片手落ちなことをやっていて、調査をやったといって胸を張って一言言うだけでは、それは調査をやったことになりません。どうですか、矯正局長。
横田政府参考人 この点につきましては、再度私どもの方でも確認をいたします。
前田分科員 しっかりもう一度確認していただきたいと思います。
 桜井智舟さん、先ほどの前所長のお話ですけれども、私からやりましたヒアリングの中で、現所長であります当時の官房の参事官中山さんと桜井所長が話をして、中山さんの言葉で、おまえは施設を守るのか、職員を守るのか、我慢してくれ、こう中山さんから桜井所長に話があり、我慢してくれという言葉は桜井所長が逮捕者家族に十一月九日に言った言葉であります。つまり、事件の隠ぺい工作をしている疑いがある。
 私は、桜井前所長は国会に参考人として招致してしっかりと事実関係を調べるべきではないかというふうに思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。
森山国務大臣 国会においてお決めになる参考人の人選について、私から意見を申し上げるのは適当じゃないと思います。
 ただ、桜井前名古屋刑務所長を参考人として招致なさるとすれば、現在公判継続中であるいわゆる名古屋刑務所事件に関し、それに対する名古屋刑務所関係者の対応状況等について陳述を求めることもあり得ると思いますが、同事件の現在の公判審理状況にかんがみますと、その陳述が被告人や公判に証人として出廷されることが予想される方々の供述に影響を与えかねないという問題がございますので、桜井前所長をお呼びになるということについては慎重な御配慮をお願いしたいと思います。
前田分科員 これは国会の方が決めることですので、法務大臣としてはそういう、慎重にあってほしいという御意見ですね。
 次に、刑務所の医療体制。やはり名古屋刑務所は医療についてはでたらめだったと言わざるを得ないのではないでしょうか。これは、放水事案で死亡者の手術日当日に夜間医師がいなかった、そういう疑いがあります。まことにお粗末な体制ではないでしょうか。
 名古屋刑務所常勤医十名、十二月の時点で、どういう勤務時間で、そういう方がどのぐらいいたのか、具体的な勤務の状況を説明いただきたいと思います。
横田政府参考人 まず、手術を実施したと言われている平成十三年十二月十四日でございますけれども、その日の医師の勤務、当日のその体制でございますけれども、その当時、十二月当時で申し上げますと、名古屋刑務所では、平日の昼間は通常三ないし八名の医師が勤務しておりました。そして、休日及び夜間は医師を一名ずつ順番に自宅で待機させ、急患の発生時等に対応する体制にあったと報告を受けております。
 その手術を実施した日の医師の勤務状況でございますけれども、この日は金曜日でございますけれども、当日の日中に勤務しておりました医師は七名ほどであったという報告を受けております。
 以上でございます。
前田分科員 私がちょっと調べましたけれども、十二月時点で、一週間、勤務時間二十一時間が七名、二十五時間が一名、十二時間が歯科医一名。四十時間の勤務時間で、一週間の話ですね、まあ一日の話は先ほど聞きましたので、わずか二日半ぐらいしか、しかも夜間はほとんどいない。歯の治療に至っては抜くだけというお粗末さだと言われておりますけれども、こうした医師たちに平均一千万円の年俸が行っている。刑務所の医療部は、三日間来てくれたら三日間バイトしてもいいなんということを言っているらしいですね。すごくもうかる仕事である、そう言われております。
 確かに、医師の皆さんが嫌われる仕事かもしれません。しかし、やはり何といっても受刑者にも人権があり、きちっとした医療体制があれば、これは亡くなる方も救われるかもしれない。やはり、名古屋刑務所も医療重点施設でありますので、これはまた、刑務所自体が収容所ではなくて教育施設で、社会復帰を目指す機関でありますので、全国で見るなら常勤医が二百十九名、週五日のうち二日間半しか勤務していないという状況ですので、ぜひしっかりとこうした刑務所の勤務医の状況を改善していただきたい。これは、改善されなければ、税のむだ遣いとしか言いようがありません。
 この点、法務大臣はどうお考えでございましょうか。
森山国務大臣 先ほど阿部委員にも御説明申し上げましたのですが、刑務所の中の医療体制というのは、残念ながら決して十全であるとは言い切れないのでございます。
 それには、お医者様を確保するということがまず非常に難しい、またそのお医者様に夜まで時々勤めていただくというようなことはもっと難しい。その他いろいろな問題がたくさんございまして、刑務所にかかわる医療の問題というのはほかにもたくさんございますから、この際、医療について特に検討して、できるならば抜本的に改善していきたいという考えでございまして、まだ十日ほど前ですが、五月の六日に医療プロジェクトチームというのをつくりまして、みんなで今までの固定観念を吹き払って、さらに広くいろいろな皆さんのお知恵をおかりしながら医療体制の整備に努めていこうではないかということに今なっておりますので、そのことを御報告させていただきます。
前田分科員 司法制度改革、大臣が取り組まれてこられましたけれども、司法の民主的コントロールが一つの大きなテーマになっております。国民に開かれた司法をこれからもつくっていただきたい。その場合に、放水前に既にパジャマに血がついていたという報告書は虚偽だという中間報告を出されたりしておりますので、こうした報告書に関しても慎重な対応をいただきたい、それを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
宮路主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
宮路主査 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。
 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。
今野分科員 民主党の今野東でございます。
 ちょうど去年の今ごろでございました。三月、四月、五月、六月と四回、私は、北海道の夕張シューパロダム建設に伴いまして移転補償交渉があって、その移転補償交渉先、被補償先の日北酸素という会社の補償について、鈴木宗男さんの何らかの関与があったのではないか、また過大なる補償、いわゆる補償し過ぎではないかということを四回にわたって質問をいたしました。
 その結果、晴れない疑義がたくさんありまして、扇大臣にもしつこいと言われたこともありましたけれども、会計検査院からその検査結果が出まして、そして、きょう質問をさせていただきます。多分、大臣も楽しみにしておいでいただいたのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、この日北酸素ですが、さまざまな疑惑がありましたけれども、この会計検査院の結果についてもおかしいなと思う点がたくさんあるんですが、きょうは大事なところだけ、限られた時間の中ですので、お尋ねいたします。
 北海道開発局と日北酸素の間で移転補償契約が締結されたのは、平成十二年度であります。既に平成十二年度には補償契約が締結されました。しかし、どういうわけか、その後、コンサルタント会社に補償額の算定をさらに十二年度以降に委託しております。補償契約は既にまとまったはずなのに、さらに二社にこの補償額の算定を委託している。これはどういうことなんでしょうか。局長にお尋ねします。
村岡政府参考人 御説明申し上げます。
 先般の会計検査によります指摘につきまして、今お話しの件は、業務を委託する必要がなく、何ら業務を実施していなかったのに、業務が完了したこととして実態と異なる関係書類を作成して会計処理を行い、委託費を支払っていたということで、不適切であるとの指摘を受けたところでございます。
 このような事態が生じた背景につきまして、北海道開発局からは、化学工場との交渉を再開するために、新たに確認されました仕様の建設設備についての見積もり徴取と再積算業務を補償コンサルタントに口頭で依頼をいたしました。その成果に基づいて補償契約を締結した経緯がございまして、その業務に対する費用を支払う必要があって契約したものでございます。個人または特定の会社の利益を図る等の不正な行為は認められなかったとの報告も受けてございます。
 しかしながら、背景の事情いかんを問わず、口頭で業務の実施を指示したこと及び実態と異なる関係書類を作成するなどして会計処理したことは、会計法令上不適切でございまして、まことに遺憾なことだと認識しておるわけです。
 これは、関係職員において、その業務の適正な実施に関する認識が不足をしている、また、その責任の自覚が欠けていたことでございました。本来、業務の適正な実施についての監督、チェックすべき立場の幹部職員も含めまして、関係職員の責任に応じて厳正に処分をさせていただきました。また、契約事務処理の適正化についての周知も徹底したところでございます。
 以上でございます。
今野分科員 今のお話を聞いていると、必要のないものを口頭で業務委託したということですか。
村岡政府参考人 失礼いたしました。
 新たに確認された仕様の建設機械についての見積もり徴取とその再積算ということが必要になりまして、そのことについて口頭で依頼し、成果に基づいて補償契約を締結したということでございます。
 したがいまして……(今野分科員「新たに何とおっしゃいましたか」と呼ぶ)新たに確認されました仕様の機械設備についての見積もり徴取と再積算業務というものを補償コンサルタントに口頭で依頼をいたしました。その成果に基づいて補償契約を締結した経緯がございます。その業務に対する費用を支払う必要があって契約したということでございます。
 しかし、先ほど、繰り返しになりますが、口頭でそもそも業務の実施を指示するということ自身が不適切なことでございますし、また、後から実態と異なる関係書類を作成するなどして会計処理しているということも、会計法上不適切なことでございます。ということで、大変遺憾なことだと認識しているところでございます。
今野分科員 新たに確認された補償をしなければいけないものというのは何ですか。
村岡政府参考人 失礼いたしました。
 補償交渉の中で、設備に対する相手側との認識の違い等もございまして、その中で、相手側との考え方に合致する機械があるということがわかったということが、先ほど申し上げました、確認された仕様の建設設備についてでございまして、それについての見積もり徴取と再積算業務をする必要があったということでございます。
今野分科員 怪しいな、これは。限りなく怪しいな。
 だって、これは相当やりとりをして、そして補償契約したんでしょう。その後に、補償交渉の後で補償する必要のものができてきたんですか。そして、それは何ですかといっても、明確に答えていないですよね。何なんですか、これは。何について補償しなければいけなかったんですか。
村岡政府参考人 繰り返し申し上げますが、多くの回数を重ねまして交渉をしてきたわけでございますが、特に、補償対象でございます、建設費の製造能力の諸元の考え方が一致していなかったということでございまして、その中で、それぞれの考え方が一致するという仕様の機械があるということが確認されたということでございまして、それについての、設備についてのこれまでにない見積もり依頼と再積算を依頼したということでございます。
今野分科員 製造能力ですか。だけれども、大臣も覚えていらっしゃると思いますけれども、これは、製造能力、新工場は酸素を六倍生産できるようになっているんですよ。窒素については十倍生産できるようになっている。アセチレンガスについては二倍製造できるようになっている。それだけの補償をしているんです。それでまだ足りなかったんですか、お答えください。おかしいよ、それは。
村岡政府参考人 特に酸素の製造プラントにつきましては、既設設備が酸素と窒素を同時に製造することができずに、いずれか一方を製造する方式でございましたが、新仕様の設備といいますのは、両者を同時に同量製造できる仕様となってございます。このため、一時間当たりの酸素及び窒素を合計した製造能力は、新仕様が既設設備の二倍となりますけれども、既設設備では一日の操業すべてを酸素の製造に充てていたこれまでの操業形態、これは過去の夕張工場が行っていた操業形態を考慮しますと、製品単品の製造能力を基準に製造能力を判断する必要があるということでございまして、このことから、新仕様の設備が同等の製造能力であるとして算定したところでございます。
今野分科員 それで、その結果、さらに補償金額加わったんですか。
村岡政府参考人 これにつきまして補償交渉を行った結果、相手側との合意に達し、先ほど委員からお話のありましたように、平成十二年五月末に交渉が妥結をしたということでございます。
今野分科員 補償交渉した結果といったって、これは何もやっていないじゃないですか、委託しただけで。コンサルタント会社に委託して、実態と異なる関係書類を作成したんでしょう、開発建設部が、金を払うために。コンサルタント会社は何もやっていないじゃないですか。何に基づいてやらなかったの。おかしいじゃない、その説明。
村岡政府参考人 平成十一年に、当時積算をいたしまして、それについての価格も交渉の中で考え方を示してきたところでございますが、その後につきまして、今たびたび申し上げていますとおり、相手側との考え方、製造の考え方が一致する機械が出てきた、それについてのいわゆる積算業務等につきましては、いまだ実施をしていなかったということでございまして、確かに、御指摘のとおり、委託そのものを口頭でお願いし成果をいただいたということは、先ほど来申し上げますように、大変遺憾なことであったということでございますが、業務委託そのものは内容として全く新しいものでございまして、する必要があったということで判断をしたものでございます。
今野分科員 委託業務する必要があった、そのことについてコンサルタント会社に業務を委託した、その結果、何が出てきたの。何も出てこないでしょう。必要があったというなら、書類が出てきたんでしょう、何が出てきたんですか。何も出てこないでしょう。金だけ払っているじゃないですか。報告書は出てきたんですか、コンサルタント会社から、その結果の。
宮路主査 局長、きちっと答弁してください。
村岡政府参考人 口頭という手段の方は確かに問題があったわけでございますが、その後に新しい積算の中身と機械の考え方が出てまいりましたので、それに基づいて交渉が妥結し契約に至ったということでございますので、この業務は結果としてはやはり必要な業務であったという判断をいたしてございます。
今野分科員 いいかげんな答えばっかりするから空も怒っていますよ、ゴロゴロゴロゴロって。
 そんなのはないでしょう。口頭で契約が終わったものについて、しかも四十九億も過大な補償をしておいて、契約が終わった後で、契約書も交わさずに口頭で頼んで、そして実態と異なる関係書類を作成して、会計処理を行って。こんなめちゃくちゃなやり方ありますか。
 ここについて大臣に質問するつもりはありませんでしたけれども、大臣、これはどうお考えになりますか。必要のないものを発注して、ないんですよ、だって、コンサルタント会社からこうやって答え出てきていないんですから。そして、しかも、金を払うために書類を作成して、しかも会計処理をして。これはどう思いますか、こういうやり方。
扇国務大臣 だからこそ、今、今野議員がおっしゃったように、国会で議論をされ、会計検査院からも注意を受けたというのが、今の日北酸素、シューパロダムの問題だろうと。国会の中でもるる今野委員からおっしゃったように、私は、問題があるから議論されているんだということで、最初から問題がなければこんなに議論になるわけがありませんので、平成十一年からずっとこの問題に関して、私も知らなかったものですから、初めてこの国会の中で論議をされて、シューパロダムという、当時にしてはいいかげんな積算を、しかもコンサルタントに依頼した。
 コンサルタントに依頼したまでは私もよくあることだと思いました。けれども、コンサルタントに口頭で依頼して、何の書類もなくて、また、そのコンサルタントに口頭で依頼したんだからお金を払わなきゃいけないという、言ってみれば詐欺に遭ったような、正直申し上げればですよ、私がもし当事者であれば。何もしていないのにお金を払うというようなことをしなければならなかったということ自体が、国会で問題になるという、そんな問題意識が国会によって明快にされ、なおかつ、会計検査院の検査によって指摘されたというのはやむを得ないことだと私は思っていますし、これではっきりと物事が見えてきたというふうに思っています。
今野分科員 これは、詐欺に遭ったといかにも被害者のように言っているけれども、そうじゃないんですよ。お互いの話し合いでしょう。だって、ここのコンサルタント会社、ズコーシャ、ドボク管理、建基コンサルタント、この頼んでいるところは、全部北海道開発局に勤めた経験のある人でしょう。これは、みんなお互いにもうずるずるべったりなんですよ。同じ穴のムジナなんだから、詐欺でも何でもない、お互いに話し合ってやったの。そして、四百六十二万、四百四十一万、それぞれ払っているんですよ。
 こういうやり方をどうやって改めるんですか。大臣、余り時間はありませんけれども、ちょっと一言だけ。
扇国務大臣 だから、国会で問題になり、処分され、なおかつ、関係者はもともと、北海道開発庁というもの全体がずぶずぶの関係だということをおっしゃいました。私は、そういう意味で、北海道開発庁というものを北海道局に変えて、人事も、北海道で採用した人だけを北海道開発庁で回していたということ自体が疑義があるということで、全国ネットの人事に変えたというのも一つでございますし、そういうことが今回明らかになっただけでも大いなる成功であるし、また、皆さんに指摘されて改革しなければならなかったというのも、私は、北海道開発庁のその当時の事態が把握できなかったということも残念なことだと思いますけれども、そこに何らかのものが、今おっしゃったように、それぞれの職員がそれぞれのところへ行って、そしてそれぞれのところから政治献金をもらっていたというようなことが、このように明らかになるということ自体が遺憾であると思っています。
今野分科員 そうなんですよ。大臣がおっしゃるように、鈴木宗男さんが、丁寧にせよと指示をし、そして、コスト意識を考えてやれというような暗号のようなことを言って、補償額が高くなっていったわけですね。これは国民の税金ですから、北海道開発局がこうして、だから、被補償者のところだけじゃなくて、その間に立って補償額を算定するコンサルタント会社ですら、そういうずるずるべったりのところがあったわけです。これは、やはり抜本的に、組織そのもののあり方、それから仕事の仕方というものを考えていただかないと、こういうことはまた同じことが繰り返される。
 私、最初に質問をしたときに、大臣は、これは私は、私のところの職員を信じておりますからというようなことをおっしゃった。大臣はそうおっしゃったにもかかわらず、このようなことが行われていて、つまり大恥をかいたわけです。大臣に恥をかかせるようなこんな北海道開発局は、厳しくやってもらわないとだめですよ。
 さて、次の質問ですけれども、建物の補償額ですが、現在価格の算定にしても、耐用年数は五十年とされているところを六十年に補正しているんですね。なぜ五十年から六十年に補正したのかというふうにお尋ねしましたら、時間がないから答えを言っちゃいますけれども、専門家に頼んだと。専門家に頼んだのはどこですかと聞いたら、これもコンサルタント会社なんですよ。先ほどの名前を出した三社以外ではあるようですけれども。それで、その専門家、コンサルタント会社が、鉄骨について補強しているのを評価したということなんですね。
 ここで会計検査院にお尋ねしたいんですが、この専門家、コンサルタント会社というところに、会計検査院は、その評価で正しかったかどうかという確認をしましたか。
船渡会計検査院当局者 直接専門家の方にはお尋ねしておりません。
 と申しますのは、専門家と申しますのは民間の業者でございまして、本院の会計検査権限が及ばないということもございますし、また、あわせまして、本院の検査のやり方といたしましては官に直接お尋ねするということで、今回の場合も、官にいろいろお尋ねしまして、事情を聴取いたしまして、それで、民間業者から提出されました証拠書類、調査報告書等に基づいていろいろお聞きいたしまして、本院としては必要な判断ができるほどの検査ができたということでございますので、直接お尋ねはしておりません。
 しかし、今回の検査につきましては、いろいろ、建物の構造物が違う等々ございまして、従来の耐用年数がそのまま適用できるかどうかという点につきまして、会計検査院としては疑問がございましたけれども、相手方のおっしゃっていることが必ずしも間違いであるというところまでの確信は得られなかったことから、不当事項とはしていなかったものでございます。
今野分科員 これは、確信が得られなかったら専門家に、これでいいんだと、五十年から六十年にしたという専門家に聞かなきゃいけないんじゃないですか。これはチェックが不十分じゃないですか、会計検査院。だって、官に聞くしかなかったといったって、その官が、補償契約が終わったところに口頭で発注をして、しかも結果が出てこないものに四百万も五百万も払っている。そういうことをやっているところをチェックするんでしょう。チェックが不十分じゃないですか。どう考えますか。
船渡会計検査院当局者 お答えいたします。
 これは、我々としてできる限りのチェックをいたしておりまして、直接の相手方に聞いたからといってその成果が得られるかどうかということは別といたしまして、ほかのいろいろなデータ、それからほかのいろいろな専門家等にお聞きした上で、なおかつそれが不確実かどうかという点でやりましたものでございまして、必ずしも相手方に聞かなかったことによって不十分だという形では思ってございません。
 ただ、我々としては、国民の期待にこたえるべく、できる限りのことはやったというふうに思っているところでございます。
今野分科員 ほかの専門家に聞いたんですか。なぜ、実際に五十年から六十年にしたこの専門家に聞かないんですか。ほかの専門家に聞くのなら、やった専門家に聞けばいいじゃないですか。
船渡会計検査院当局者 本人、ここの専門家につきまして、これは官側の御意見を十分お聞きしまして、官側の方から実際の専門家がこういうふうに言っているということについて、これはもう十分お聞きしたものでございます。(今野分科員「会計検査院がほかの専門家に聞いたということじゃなくて」と呼ぶ)はい。そういうことでやらせていただいていますので、よろしくお願いいたします。
今野分科員 こういう耐用年数を五十年から六十年に補正して、したことによって計六千万円の開差、開きがあったとされているんですけれども、こういう金額については北海道局長はどういうふうに考えていますか。これはどうするんですか、この六千万円。つまり、国は余計に払ったわけですね、六千万円、払わなくてもいいものを、国民の税金を、ここの部分に関してだけ言っても。これはどう考えますか。
村岡政府参考人 お答えいたします。
 今会計検査院の方からのお話もございましたが、指摘は、過去の補償事例及び他の起業者の補償方法との整合性等を勘案するなどして、一つの考え方として仮に計算した開差額や、事態の程度を示す目安として試算した金額を示されたものだということでございまして、補償金額そのものの是非を示したものではないというふうに理解させていただいております。
 ただ、本件を含めまして、特定検査事項としての指摘につきましては、損失補償がより一層適切に行われるための措置を講ずるよう、今後の検討課題を指摘されたものというふうに認識してございまして、全体に、成果品の検収体制の強化あるいは特殊な物件等に対する損失補償のあり方や、その検証のための専門家を入れました検討委員会方式の導入等、やはり所要の措置を講ずることが必要だというふうに認識しているところでございます。
今野分科員 つまり、払っちゃったものはしようがないじゃないということなんですよね。こういうことでいいんですか、国民の皆さんの貴重な税金を。それは、全体から見れば六千万円というのは大した金額じゃないかもしれませんけれども、この四十九億という補償額から見れば。ですけれども、こういうことについても、きちんと補償交渉の中で、公正なコンサルタント会社を選び、そしてやっていかないからこういうことになるわけですよね。そこのところの大いなる反省をしてほしいと思いますけれども。
 さて、工作物の補償額ですけれども、建物の除却工法の算定方法に準じて、工作物の推定再建築費から減価控除額を減じて、取り壊し工事費を加えるなどして算定することとなっておりますね、工作物は。
 それで、開発建設部では、送電線設備の推定再建築費の算定に当たって、二社から見積もりをとって、安価な方の単価をもって補償額算定の基礎としてきたわけですけれども、そのうちの一社の見積もりは図面も仕様書もないまま作成されておりまして、事実上、見積書を一社からしかとらないと同じ結果になっております。これは、なぜ事実上一社のみの見積もりで補償額算定決めたんですか。
村岡政府参考人 検査院の指摘は、二社のうちの一社の見積もりが図面、仕様書等もないまま作成されたものでございまして、一社から徴したことと同様になっているために、見積もりに一定の補正が行われるべきであるということで、必ずしも妥当とは思料されないという指摘を受けたわけです。
 私どもの石狩川開発建設部は、コンサルタントからの業務報告書におきましては、見積もりに用いた図面等資料は同一でもございましたけれども、二社それぞれ積算も行っておりますし、見積書類が整っていたということで、適正な見積もりと判断したものでございます。その結果として、一社見積もりの場合に乗ずるような補正は用いていないということでございます。
今野分科員 今の、済みません、ちょっとよくわからないんで、もう一回説明してほしいんですけれども、一社の見積もりではない、片一方に図面等不備があったけれども、ということですか。
村岡政府参考人 不備ということではなくて、見積もりに用いた図面等資料は確かに同一ではございましたけれども、二社それぞれで積算も行っておりますし、見積書類も整っていたということで、二社の見積もりをいただいたと判断したものでございます。
今野分科員 時間がないからいいですけれども、こういうふうに、本当に嫌になるほど、会計検査、まだまだほかにも問題たくさん指摘されているんですけれども、会計検査院の検査方法ですね。私はさっきの、専門家、コンサルタントから民間だから聴取できないなどということを言っていますけれども、それならば、日北酸素に内々に聞いたのは何なのか。ちゃんとチェックしているじゃないですか、日北酸素には。それで、この専門家だけにはチェックできない、そんなおかしな話ありますか。
船渡会計検査院当局者 先ほども申し上げましたように、前提といたしましては、民間に対する検査権限がないというのは前提にございますけれども。それで、基本的には官側からいろいろお聞きした上でその是非を判断する。ただ、その場合でも、もしその官側の説明だけで十分事情が判明できないというときには、相手方にお願いした上で、いろいろ説明を聞かせてもらっているという形でやっているところでございます。
 したがいまして、そういうことで、事情が判明しないときには、必要に応じて相手方にお願いをする。今回の場合につきましては、官側の説明及び向こうから出されましたデータによりましてそれなりの心証を得られましたということから、直接には聞いていないということでございまして、決して我々としては不十分であったというふうには思っておらないところでございます。
今野分科員 これは事情が判明していないんだから、聞く必要があったんですよ。判明していないじゃないですか、だって。北海道開発局がああやってずるずるべったりでやったんですよ。それをまた北海道開発局に説明を聞いて、ああそうですかとそのまま帰ってくるんですか。不十分ですよ、こんな検査。
 何回も何回も北海道にいらして、随分時間もかけ、人手もかけておやりになったこの検査結果については尊重いたしますけれども、しかし、部署部署について、やはり甘いなと。会計検査院というのは、こういう委員会で決まってそして検査をするときですら、相手の言うことを、疑義のある相手の言うことを聞いて、そのまま報告書に書くんだなという結果が一つ出ている。これは信用なくしますよ、こんなことをやっていると。もっときちんと検査してほしいと思いますけれども、会計検査院の検査方法、これは私やはり問題だと思うんです。
 それで、こういう場合の被補償企業についても、私は、法律を改正してでも調査できるようにすべきだ、そう思ったんですが、私の考えですけれども、それについてどうお考えになりますかね、会計検査院としては。
宮路主査 時間が経過しておりますから、簡潔に。
船渡会計検査院当局者 先ほども申し上げましたように、必要があれば相手方の同意を得て検査しておりますので、特に不都合は感じておりませんけれども、それ以上に、一般的に民間企業に対する検査がどうかという話につきましては、これは立法政策上の問題でございますので、ちょっと御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
今野分科員 あればいいなぐらい言ってくれればいいのにな。
 時間が来ましたので質問やめますけれども、この会計検査院から出していただいた検査報告について、まだまだ疑義がありますので、機会を見まして質問をさせていただきたいと思います。
 大臣に御出席いただきまして、こういう実態なのだということがよくおわかりいただけたと思いますので、今後の仕事の進め方についても、より厳密な内部の、仕事をする段階でのチェックというのをしていただいて、二度とこのようなことがないようにしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
宮路主査 今野君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬古由起子君。
瀬古分科員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、NOx・PM法のディーゼル車対策について質問をいたします。
 ディーゼル車では二百九十万台、ガソリン車を含めると三百二十万台、十月一日から自動車NOx・PM法で車種によって使用が禁止されることになります。ことしから年度別に、不適合となる車は総台数でどれだけでしょうか。また、地域指定された八都府県別にはどれだけの台数でしょうか。
西尾政府参考人 お答え申し上げます。
 自動車NOx・PM法に基づく車種規制によりまして使用できなくなります自動車の台数のお尋ねでございます。
 この主力でありますトラックについて申し上げますと、平成十四年十月の時点の数字でございますが、対象地域の総台数が三百十万台ございますうち、基準適合を除きます二百二十万台がいずれその買いかえ等の対応を求められる、こういうことになります。このほかにバス、ディーゼル乗用車等がございますので、都合、総計三百二十万台程度の車が買いかえ等の対象になると思っております。
 それで、向こう五年間程度がどういう足取りで対応が求められるかというお尋ねでございます。
 二〇〇三年度が約六万五千台、二〇〇四年度が約六十四万台、二〇〇五年度が約百十七万台、二〇〇六年度が約八十万台、二〇〇七年度が約二十一万台というようなことで、各年、対応が求められる、こういうような規制になっております。(瀬古分科員「都道府県別」と呼ぶ)失礼しました。
 都道府県別に申し上げますと、八都道府県がこの法律の対象地域でございます。対応を求められる車の総台数のうち、埼玉県が約四十三万台、千葉県が約二十四万台、東京都が約五十八万台、神奈川県が約四十四万台、愛知県が約六十八万台、三重県が約七万台、大阪府が約五十三万台、兵庫県が約二十四万台と見積もられています。この合計が三百二十万台程度ということでございます。
瀬古分科員 大変な台数の車が不適合になってしまうわけです。
 それで、社団法人の東京都トラック協会の環境対策に関する調査結果報告書概要版というのがございまして、これを見てみますと、平成十四年八月二日から二十一日の調査で、対策を予定している車両数は一万八千六百二十九台、検討中が八千三百八十九台となっております。ところが、この八千三百八十九台のうち、資金調達ができないとする事業者が八百六十一社、六八・六%と最も多く、また、車両割合でも五千三百六十九台、六四%と大きな比率を占めているわけです。とりわけ、この不況のもとで多数の資金調達が不可能な事業者が存在いたします。何としてもNOx、PMの両方の規制基準をクリアできる後処理装置の開発をというのが、私は業者の皆さんの大変切実な願いだと思うんです。
 一方、大企業の場合はどうかといいますと、これはメールマガジンで見たわけですが、例えばヤマト運輸の例を見てみますと、ここは逆に、例えばこの会社は、三万三千五百十一台持っているわけですが、四年前に低公害車を毎年二百台ずつ導入して、二〇一〇年には二千四百台にする計画だったのが、ディーゼル車規制法が施行されるので、低公害車の導入にも拍車をかけて、頑張って、そして二〇〇二年三月には千九百五十一台に達して、二〇〇二年度中には前倒しで目標を達成する、こういうふうに、大企業は大企業なりに、それなりに努力していただいていると思うんですね。
 明確に困難なのは、やはり中小業者をどうするかという問題だと思います。
 それで、平沼経済産業大臣が、二月二十七日の衆議院の予算委員会の分科会でこのように言っておられます。問題は後づけの問題だ、国土交通省とも連携をとって、知恵を絞る、そういうふうに述べられて、一方、環境を守るための法実施をして、政府として過渡的な段階ではきめ細かい対応が必要だ、このように答弁なさっています。
 後処理装置については、経済産業省は、このように、大臣があそこまで言われたんですが、その後、国土交通省と相談されているでしょうか。どのような対策をその後講じていらっしゃいますでしょうか。
高市副大臣 二月二十七日に平沼大臣の方からそのような答弁を申し上げております。
 従来から、経済産業省と環境省と国土交通省は、このNOx・PM法の施行に関連しまして共同で税制改正要望をするなど、連携をとりながら施策を講じてきたところなんですが、この御指摘の後づけ装置の課題につきましても、ことしの三月から四月にかけまして、三省共同で自動車NOx・PM法と関連する自動車環境対策に関する共通のホームページを立ち上げまして、関連の事業者に対しまして、国土交通省で実施されている後づけ装置への普及支援ですとか、それから中小企業に対する金融措置、こういった各種の支援措置ですとか相談の窓口につきまして、きめ細かな情報提供を行うことにいたしました。
 それから、経済産業省と環境省から、日本自動車工業会に対しまして、後づけ装置に関してユーザーへの情報提供を要請しました結果、この工業会のホームページにおきまして情報提供が始まっておりますし、また、メーカー各社に相談窓口が設置されたところでございます。
 今後も、それぞれ持ち場を踏まえながら、適切な連携を行ってまいりたいと考えております。
瀬古分科員 ホームページを立ち上げていただいたり窓口をつくっていただくということは、それは大変大事なことだと思います。
 同時に、もう十月に迫ってきていまして、一方では、NOx、PM、両方クリアできる、そういう後づけの処理装置がないという問題で、深刻な事態もあります。車を買いかえるといっても、かなり金額がのすということもありまして、ほとんどこの十月で中小業者の皆さんはもう、このまま仕事をやれるかどうか、こういうところまでかなり追いつめられている状態なんですね。
 そこで、大臣にぜひお伺いしたいと思うんですが、連携をとって、環境省、経済産業省そして国土交通省という形で知恵を出していただいて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
 とりわけ、PMの除去装置については、大臣も御存じだと思うんですが、助成策も特定財源で一定措置されております。NOx、PM、両方の解決ができる後処理装置の開発というのは、特別な援助というのがやはり必要だと思うんですね。財政的にも必要ですし、文字どおりいろいろな技術的な援助も必要になってくると思います。
 それから、もし何とか買いかえる場合だとかそういう場合に、特別な融資とか助成策というのをやはり緊急にこの情勢に絡んでやらなきゃならないんじゃないかというふうに思うんですが、その点、ぜひ、国土交通省としても、大臣が文字どおりイニシアチブを握っていただいて、連携してやっていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
扇国務大臣 この低公害車の関係に関しては、いつも言っておりますように、二十一世紀の最大の課題である。しかも、京都議定書に関しましても、まずこれの対策をとらなければならない。
 先ほどからお話がございましたように、これだけの台数が、そして東京都におきましても、既に五十八万台というすごい数字になっております。そのために、先ほども副大臣がお話しになりましたけれども、経済産業省、環境省、ともに手を携えてこれを開発していこう。特に自動車排ガスのうちのNOxとPM、今おっしゃったように肺とか気管支等々に影響を与えるということで、今まで、人体に有害であるということはもう立証されておりますので、このことに関して、少なくともPMについては、御存じのとおり粒子状の物質を捕集する装置というものを着装するということで、国土交通省の玄関でその装置を着装しましたものを皆さんに展示いたしまして、私も見ましたけれども、なかなかトラックに関しましては金額が張るということで、そういう意味でも、私は、今後、開発に一層の努力をしていきたいと思っております。
 また、努力するだけではなくて、この装置をつけるという新たな開発費というものもとっておりますので、これも平成十五年度の低公害車促進ということで、対策費の補助制度について、予算額の六十五億円のうち、車両の購入関係が二十五億円、ディーゼル車の微粒子の除去装置の関係が四十億円となっております。
 まあ、この金額だけで何台できるかというのはクエスチョンマークですけれども、せめてこういうことで三省手を合わせて、なおかつ、二十一世紀型の空気の清浄化のために我々は努力していきたいと思って、みんなで手を携えているというのが現状でございます。
瀬古分科員 今大臣が言われましたように、十五年度の予算でいうと全体で六十五億円ですから、例えば買いかえ補助でいうと約二千八百台、それから装着補助でいいますと三万基ぐらいで、もう全然、焼け石に水という状態でございます。そういう意味では、思い切った予算措置が必要だと思うんです。
 例えば埼玉県なんですけれども、これは十五年度の補助を五月に受け付けを開始いたしまして、一週間で予定したら、もうたちどころに枠がいっぱいになって、これはホームページにも出ておりますけれども、見ていただくと、「重要」と書いて、五月十四日で十五年度の概算予定額に達しましたと、わざわざこれが出ているほどなんですね。それで、もう埼玉は慌てて、あと四日間、特別の受け付けをやると。しかし、これはまだ県議会に予算も組んでいないけれども、ともかく切実なんでという、こういう実態がございます。
 何でこんなことが起きるかというと、埼玉では、規制対象になる車両数というのは十万台ぐらいなんですが、実際に県が予定していたのは九千台ぐらいで、もうとても追いつかないんですね。
 国の場合も、この予算ですとやはりまだまだ枠が少ないということで、私は、補助を希望する人たちが全員漏れなく受けられるように財政的な措置もぜひ検討していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 補助も大事ですけれども、一番大事なことは、NOxとPMの両方を低減させるという装置を開発する、これが私は早急に迫られている大事なことだと思います。補助するといっても、そのつける機械がPMとNOxと両方にきくんだということで一挙解決できる機械を開発するということがまず大事だと思いますので、私たちは優良な後づけ装置を評価して、それを公表していこうという措置もとっておりますので、なるべく早くその研究ができて、そしてそれをつけるのに補助をということで、二段階なんですけれども、私は第一段階に特に力を入れたいと思っております。
瀬古分科員 これからの開発という問題については後で少し触れたいと思いますが、いろいろな補助制度があるものですから、到底間に合わないという方には、その補助制度で当面しのげるという場合はぜひそれでお願いしたいと思うんです。
 とりわけ、県によってはことしだけにしますという県もあるんですね。しかし、先ほど数で言いましたけれども、ことしはまだ少なくて、来年からどっとふえていくわけですね。そういう意味では、国はことしで打ち切るなどということがないというふうに御確約をいただけますでしょうか。うんと充実していただくということ、いかがでしょうか。
丸山政府参考人 地方自治体の中で補助をことしだけに限って、国はどうするのかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、今年度、去年低公害車の導入の補助とそれから後づけ装置を含めまして二十七億円の予算を、六十五億円に大幅に拡充したところでございます。
 また、補助対象地域も従来NOx・PM法の対象地域だけでございましたけれども、ことしにつきましては、流入車対策ということで、それ以外の地域にも拡張したということでございます。
 来年度以降、本補助制度をどうするかということでございますけれども、今年度の補助制度の執行状況、それからどの程度の効果かということを踏まえまして、来年度予算要求に向けて必要な検討を行っていきたいというふうに思っております。
瀬古分科員 ぜひ充実する方向でお願いしたいと思います。
 しかし、実際には融資を受けるという現場ではいろいろな問題が起きてまいります。とりわけ、審査が、普通の事業資金の借り入れと同じようなやり方で審査されていて、成績が悪いとか、いろいろな借りかえの条件変更をやったという場合には、クレームがついてしまうわけですね。特に、県の保証協会の保証が断られるというケースが大変多いわけでございます。
 特に、保証協会は、トラック事業の場合に、いわゆる青ナンバー以外は保証しない、こういうケースもたくさんあるわけです。今回、白ナンバーだということで窓口で受け付けが、申し込みが断られる。これは、一人親方というダンプの事業者などは融資を受けることはできない。
 今回は、事業資金という形じゃなくて、やはり環境をどう改善するかというところに協力をしていただくという面がすごく強いものですから、事業の成績がどうのこうのといって結局借りられないなんという、そういうやり方や、白ナンバーだからだめだというようにならないように、希望する人がすべて受けられるように私はぜひ実行すべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
丸山政府参考人 先ほど金額の話で二十七億円を六十五億円に大幅に拡張したと申し上げましたけれども、対象につきましても十五年度予算は大幅に拡張しております。
 例えば、地域で申し上げますと、従来はNOx、PMの対象地域にございますいわゆる青ナンバー、営業車だけでございましたが、流入車対策ということで、NOx・PM法の対象地域だけではなくて、その地域外にも拡張するとともに、青ナンバーだけでなく白ナンバーも含めまして、すべて流入車について後づけ装置の補助をするというふうに制度改正をしたところでございます。
瀬古分科員 これは、具体的な事例で、兵庫県の高砂市の業者からの訴えなんですけれども、結局、県の方に言いますと、制度としては別に白ナンバーや緑のナンバーでも借りられる、そういう決め方はしていない、ただ、保証協会の保証つきということで、最終的には協会の判断になっている、県がそういう回答をしているんですね。それで保証協会に行くと、白ナンバーではお貸しできませんとはっきり言われて断られた例が、これは幾つか出てきているんです。
 この点は、ぜひ御指導を徹底していただいて、白ナンバー、青ナンバーによって保証をつけるつけないということはないということをぜひ確認していただいて、この兵庫についてもぜひ御指導いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
斉藤政府参考人 個別の事案につきまして、十分事実関係を把握した上できちんと御説明をいたしたいと思います。
 ただ、今先生の御指摘のありました点、一般論で申し上げますと、実は保証協会、従来から、審査の対象になります事業を営むために法令に基づきまして許認可を必要といたします業種につきましては、その保証の対象は当然そうした許認可を有しているということを前提といたしております。
 御指摘の案件につきましても、仮に申し込みをされました中小企業の方が貨物自動車運送事業法等の許認可を必要とする運送事業者であったという場合につきましては、信用保証協会の保証の対象になりますのは、これらの関係法令に基づきまして必要な許認可を受けた者であるということが当然前提になるわけでございます。
 いずれにいたしましても、御指摘の点につきましては、事実関係を十分確認いたしまして、制度の趣旨に反するような運用がなされていないかどうか、十分調査の上対応いたしたいと思います。
瀬古分科員 先ほど扇大臣が言われましたように、NOx、PMを両方クリアできる技術をどう開発するかという問題なんですね。
 実は、きょう私ここで持ってまいりましたのは、日本自動車工業会のパンフレットなんですが、これを見させていただきますと、QアンドAというのがいろいろありまして、NOx・PM法適合車とするためのいろいろな後づけ装置を用意しているのかというように聞いた質問でも、やはりそれに「適合するための確立された技術はありません。」ということが幾つか書かれているんですね。
 これは日本自動車工業会ですから、今の日本の自動車でいうと最高水準の技術を持っているところだと思うんです。実際に私調査をしてみますと、例えば具体的に言うと、トヨタが開発した車の中では、NOxとPM、両方同時に解決して、アメリカの保護局では世界で初めて新しい技術が開発されたという報道もされていて、なかなか日本の技術の水準、高いなと思うんですね。
 私は、技術というのはやはり日進月歩だと思うので、今できなくても、ある意味では今後やれるということは十分可能ですし、それを工業会が、ありませんと、こういうふうに言っちゃうと、何だか、おまえ、自動車工業会のメンバーは開発やったらだめだぞと言われているような、そういう疑いといいますか、やはり今でもトヨタはそういう技術を持っているのに、それを後処理装置で私は適用して研究するということは十分可能だと思うのですね。
 そういう努力も私は工業会にしてほしいと思うし、わざわざ、技術はありませんというのが出てくるのは、これはちょっと不適切だと思うんです。
 それぞれきちんと、その技術の水準に見合った競争もしていただいて、一刻も早く、競って中小業者の皆さんにも適用できる、そういう装置をぜひ開発していただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
丸山政府参考人 技術的な話でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 NOx、PMを両方低減できる車を、最初からつけている車を開発するという話と後づけ装置をどう開発するかという話は、少し違うところがございます。
 最初からNOx・PM法に合致するようにNOxを低減するような装置ができているというのは、先生のおっしゃるとおりでございます。NOxとPMのうち、PMにつきましては、すすでございますので、これは後から捕捉して燃やすということで割合処理がしやすいわけでございます。ところが、NOxにつきましては、できてしまったNOxを事後的に処理するということは、技術的に非常に難しゅうございます。
 したがって、最初からNOxが発生しないような燃焼方法ですとかエンジンを開発した上でNOxを低減させる、そういう意味で、最初からそういうエンジンであればNOx、PM、両方一緒に低減できる、こういうことになるわけでございます。
 したがいまして、エンジン自体は今のままで、後づけ装置でNOxを低減するということは、燃焼自体を変えなきゃいけないということで、技術的に非常に難しいところがございます。
 ただ、さはさりながら、トヨタは、あるのにつくっていないと今おっしゃいましたけれども、関係メーカーなどにおきまして、両方低減できる後づけ装置はないかということで、必死に今研究しておるところでございます。
 冒頭、大臣の方からもそういうお話がございましたけれども、私どもも、優良な後づけ装置を評価するという制度をつくって、その開発を促進しておるところでございます。今後とも、メーカーを督励いたしまして、一層開発努力をするように、経済産業省、環境省などとも連携しつつ行っていきたいというふうに思っております。
瀬古分科員 そうすれば、少なくともこのようなパンフレットはちょっと不適切だと思うんですね。技術はないというふうに初めから言い切るなんというのは、私はやはり、何とか今までの技術を駆使して社会的に貢献しようというメーカーの姿勢がこの中に見られない。もし前もってメーカー同士が打ち合わせして、開発があってもお互いに出さないようにしよう、そして、そんな後づけ装置よりも新車をじゃんじゃん売った方がもうかるわけですから、そういうことにもなりかねないと思うんですね。
 そういう点で、私、きょう公正取引委員会に来ていただいていますけれども、こういうパンフレットは、事前に、お互いの技術があるなしにかかわらず、出さないようにしましょうというか、技術はないですよなんて確認して、そして、なるべく後づけ装置を研究しないようにする、こういうやり方で新車だけを売り込む、こういうやり方は独禁法違反にはならないでしょうか。
鈴木政府参考人 個別具体的な事案でございますので、お尋ねにつきまして確定したお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますれば、技術面や採算面の問題の現状につきまして、事業者団体が単に集約いたしまして事実関係としてパンフレットに記載していること自体は、独占禁止法上、問題にならないものでございます。
 しかし、ただいま先生がおっしゃいましたように、仮に、技術面や採算面から後づけ装置の開発が可能であるにもかかわらず、後づけ装置を開発しないことを各社が事業者団体の会合の場などにおきまして決定する行為に至るようなことになりますと、技術あるいは新製品の開発競争を制限するという独禁法上の問題が生じてくるものでございます。
 ただ、パンフレットの記載だけでは、そこまでは至らないかと存じます。
瀬古分科員 公正な、社会的な責任をメーカーに果たさせるための調査もぜひやっていただきたいと思います。
 時間がございませんので少し飛ばしまして、最後のところで、とりわけ、中小事業者支援とあわせて、一刻も早く救済が求められているということで大気汚染の被害者の救済問題があると思います。きょうも、実はたくさんの公害被害者の方がいらっしゃって、本当に一刻も早く救済してほしいという切実な声を聞かせていただいて、私も胸が痛くなりました。
 この問題では、今回、裁判では賠償責任というのはメーカーには求められませんでしたけれども、しかし、排ガスを低減する社会的責務があるんだ、このようにメーカーにも判決が下っているわけです。
 この問題では、昨年の東京の大気汚染公害裁判の後、トヨタ自動車など自動車メーカーは原告団との話し合いで、行政が新たな救済制度を制定する場合は、社会的要請も踏まえて総合的に対応を判断します、こういう確認書を交わしております。要するに、国が救済制度を制定すれば、前向きに考えるというふうに言っているわけなんですね。
 環境省は、いろいろな調査をやっていただいて、この窓口にもなっていただいているんですが、大変時間がかかる。もちろん時間をかけて研究していただくのはいいんですが、本当に患者さんたちは、あすを待てないという事態になっています。
 そういう意味で、私は、環境省や国土交通省の決断というのはやはり必要じゃないかと思うんです。もちろん、裁判をやっているのもありますし、今まででも、特に国土交通省は、この間、五回、加害者という断定がされている。そういう裁判の実例が出ているわけで、やはり何らかの対応をする必要があるんじゃないかというように思います。
 そういう意味では、ぜひ、メーカーも国がその気になれば一定の責任を果たすと言っているものですから、何とか国土交通省と環境省などが話し合って、こういう公害患者さんの救済制度という形ができないか。
 きょうも担当者の方が出ていただいて、環境省が制度をつくれば、財政的な問題は国土交通省で、道路財源も含めて積極的に検討するというか参加していきたい、こういうようにお答えをいただいたんです。しかし、一刻も早い対策を求められているという点で、ぜひ大臣にも、この解決を一刻も早くしていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
南川政府参考人 環境省でございます。
 被害者救済の方途につきましては、御指摘のとおり、大気汚染とぜんそくの因果関係をきちんと裏づけたいと考えておりまして、まずは幹線道路沿道の局地汚染につきまして、健康影響に関する調査を急ぎたいと思っております。
 ただ、先ほどのメーカーの確認書につきましては、よく子細を承知しておりません。ただ、私どもとしましては、できるだけ早期に結果が得られるような努力をしてまいりますし、その結果、大気汚染とぜんそくの因果関係を裏づける知見が得られますれば、その費用負担の問題も含め、関係者と被害者救済の方途を検討していきたいと考えております。
扇国務大臣 国土交通省としましては、訴訟のいかんにかかわらず、私は、先ほども申しましたように、二十一世紀の我々の環境というものを整備するためには、道路の交通環境の改善、そういうものは大変必要です。もう喫緊の課題である、重要課題であると認識しております。また、このために、道路整備緊急措置法の道路財源の使途の規定、いつも瀬古議員と委員会で御一緒ですから、御存じのとおり、これは五十年ぶりに改正したということもその一環でございます。
 我々は、少なくとも、ディーゼルの粒子取りのDPFの装置をつけるということで、三万台の助成もする、とりあえずはそういう措置をとって、なおかつ、今後、導入の支援をしていこうということで、これも四十億円の予算を上げております。それで済むということではありませんけれども、少なくとも、DPFの装置の着装ということにぜひしていただきたいということで、これを助成するということも決めております。
 少なくとも、基本的な自動車の交通行政、これを私たちは考えていかなきゃいけないということで、道路行政との一体性、そして今後の対応、そして皆さん方に、環状道路の整備と、バイパス等の道路のネットワークの整備を含めて、私たちは一緒にやっていこうと思っています。
 被害者救済も、窓口が環境省と両方でございますけれども、私たちはその意見を聞きながら、ただ、この間の東京裁判のときには、医学的な見地からの問題ではなくて、あのとおりにすると、日本全国に少なくとも被害者予備軍が百二十万人になるということもありますので、私たちは、それよりも基本的な、今言った道路の整備等々で皆さん方の二十一世紀型をつくるという基本政策をまずしなければ、私は、全国の百二十万と言われる、道路の沿道に住んでいる人たちすべての健康の大事な責務を持っているということで考えていきたいと思っております。
瀬古分科員 ありがとうございました。
 被害者の場合は、本当に一刻も待てないという状況がございますので、ぜひ環境省、国土交通省と検討いただいて、新たな救済制度を立ち上げていただきますように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
宮路主査 瀬古君の質疑は終了いたしました。
 次に、山井和則君。
山井分科員 民主党の山井和則です。
 三十分間、扇大臣、よろしくお願いいたします。
 関西では、関西新空港や伊丹空港の問題など、空の問題が議論されがちでありましたが、今回は、関西復権のかぎを握る関西文化学術研究都市周辺や、また、京都南部の地域の鉄道や道路について、地域の個別課題が多うございますが、質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 まず最初に、関西学研都市のことについて扇大臣にお伺いしたいと思います。
 私の家から近いところにあるんですが、この関西学研都市の中で、研究施設というのが一つの目玉の施設であったんですね。ところが、この研究施設も、昨年、閉鎖ということに早々となってしまいました。研究施設の整備の伸びというのが非常に鈍っているのが現状であります。肝心の研究施設用地面積が、整備済みが三一・九%、整備中を含めても四七%という現状であります。
 また、つい先日の日本経済新聞を見ていただきましても、「学研都市 事業化初の中止 都市公団 木津の宅地二地区」ということで、ここを見てみますと、「研究所を誘致し、住宅地を造成する計画だったが、今後さらに開発を進めて造成工事費を投入しても、分譲できないおそれがあると判断。」というふうにこの中止の理由が書いてあります。
 やはり、関西復権の起爆剤、そして国家的なプロジェクトであるわけですから、もっとベンチャー企業の育成などにも力を入れるということも含めて、推進にもっと国土交通省に力を入れていただきたいと思います。この件に関して、扇大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
扇国務大臣 私は、この計画当初に現地に行きまして、ジープに乗せてもらって全部見て回りました。本当に今おっしゃったように、関西復権の目玉といいますか、そういう意味で、日本の中で一番おくれております文化、学術、研究等々の一つの一番いい場所として選んだつもりですし、また、その当時は、今おっしゃったように、あらゆる面で成功すると思っておりました。
 ところが、本年の四月一日の時点で進捗状況、これをちょっと言わせていただきますけれども、立地施設につきましては、十四年度に、国立国会図書館の関西館をつくるということで、それから私のしごと館、民間研究所を合わせまして四施設が本来は開設されるということで、厳しい経済状況は今御本人おっしゃったとおりでございますけれども、民間の四施設が閉鎖されたんです。ですから、そういう意味では、開設七十四施設、建設中のものが二施設でございます。
 なお、開設された施設の敷地面積は、文化研究都市の予定面積のおおむね三割しかまだ満たしていないということで、七割が未着工ということになっております。
 まだまだこの基礎整備については、計画の面積の三千六百ヘクタール、そのことが、事業終了、事業中の面積が全体のまだ六五%ということは私は悲しい限りで、何か、経済でよく言われますけれども、本当にスパイラルに陥っているんじゃないかと思うぐらい、デフレとは言いませんけれども、この開発が、そういう意味では、開館する、閉鎖する、開館する、閉鎖するというんじゃ本当に情けないと思います。
 私は、あそこの交通システム、アクセス、これも、まだバスでとろとろということで不便だなということで、本来なら、あんなところに自転車を置いてぱあっと行けば、あれだけの道ができているんですから、いいななんて個人的には思っておりますけれども、そういう意味では、民間の企業の立地促進のために、我々はもっとこの文化学研都市というものの宣伝と、そして関西の復権のために関西の財界にももっと働きかけて、完成さすまでの努力というものが今後必要であるという実感を持っております。
山井分科員 今、扇大臣が、まさに私が言いたかったことを言ってくださいましたが、何よりも不便なんですね。国会図書館もできて、私のしごと館もできて、すばらしい施設ができているわけですけれども、扇大臣も御出身が神戸と聞いておりますが、例えば神戸から行くとしても、なかなか、どう行ったらいいのかぴんとこない。
 そこで、二点御質問させてもらいたいんですが、一つは、神戸から行く場合は、JRの片町線、これは愛称JR学研都市線と呼ばれているんですけれども、これについても、その手前の京田辺の松井山手駅のところで複線がストップしておりまして、ぜひともこれをJR木津駅まで延ばしていかないと、やはり研究施設に勤める人が非常に不便で、私が聞いたある研究者の方は、ここに転勤になると研究者の人が嫌がってしまった、交通の便が悪いというケースもあるわけです。
 それともう一つは、京都からのアクセス、また京都と奈良の幹線ということで、JR奈良線の複線化、これもやはり非常に重要になってくると思います。
 せっかくこれだけいい関西復権の起爆剤の研究都市をつくっているわけですから、やはりそこにきっちりとアクセスできるということにしないと、国家的プロジェクトとして、ある意味で、トータルで見ると財政のむだ遣いにも逆になりかねないのではないかと思います。その意味で、JR片町線またJR奈良線の完全複線化ということは早急に必要だと考えますが、いかがでしょうか。
石川政府参考人 JR学研都市線でございますけれども、御承知のとおり、平成十四年三月に、京田辺駅で折り返し施設の整備、新設を行いました。それから、JR三山木駅及び大住駅において、行き違い設備の新設などを行いました。こういうことを行った結果、列車本数を二十五本増発することができました。なおかつ、京橋駅から京田辺駅間の快速列車の所要時間を約四分短縮することができました。
 それから、JR奈良線でございますけれども、これにつきましては、平成十三年三月に、京都駅とJR藤森駅間及び宇治駅と新田駅間の複線化、それから宇治駅と山城多賀駅における行き違い設備の整備というふうなものも行いまして、この結果、平成十三年三月時点で六十三本、その後さらに十本、計七十三本増発をされておりますし、所要時間におきましては、京都―奈良間の快速列車の運行ということができまして、約二十分短縮できたということでございます。
 したがいまして、こういう中で、今後の路線の整備につきましては、今後の施設整備に伴う需要の動向でありますとか沿線の開発状況、それから事業採算性などを考慮してJR西日本が検討するものと考えております。
山井分科員 今答弁ございましたように、JR片町線もJR奈良線も一歩一歩複線化に向かって進んできているわけですけれども、先ほども言いましたように、また扇大臣からも答弁がありましたように、残念ながら、今のままでは、一歩間違うと陸の孤島ということになりかねない。そういう意味では、やはり急いで交通のアクセスをアップしてもらう必要があると思います。
 また、扇大臣におかれましても、ぜひ再び学研都市を見に来ていただいて、思ったよりはちょっと整備がおくれているなということを実感していただければと思います。
 次に、駅のバリアフリーの問題について質問をしたいと思います。
 これは京阪八幡市駅の駅舎なわけですが、ここは一日一万五千人が利用している。それで、京阪沿線で、急行が停車して、一万五千人も利用しているにもかかわらず、唯一エレベーターもエスカレーターもないということなわけです。
 近所には岩清水八幡宮もあって、歴史、文化あふれる八幡市でありますけれども、その表玄関、しかし、二十八段の階段がありまして、お年寄りの方々とかを見ていると何か痛々しいわけですね。それで、おりるときも後ろ向きでないとおりられない。また、車いすの場合は、人手が足りないから隣の駅からも手伝いに来てもらって、そこでひじを痛めてしまった駅員さんもおられるということであります。
 このことに関しては、当然八幡市と京阪電鉄が今協議をしているわけなんですけれども、なかなか、財政的な制約もあって十分に進まないということであります。
 そこで、この京阪八幡市駅のバリアフリー化についてとともに、あと二点。
 バリアフリー法というのが二〇〇〇年にできたわけですから、国の財政負担をもうちょっとアップさせるとか、あるいは国がもうちょっと強力に指導するということで駅のバリアフリー化を進めていただきたい。そういう必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
石川政府参考人 京阪電鉄の八幡市駅について御質問がございましたが、今お話しのように、この鉄道駅は一万三千人から一万五千人ぐらい利用しております。したがいまして、私どもの交通バリアフリー法に基づく一日当たりの平均利用者が五千人以上である鉄道駅、これについては原則としてすべてバリアフリー化するという目標がございまして、それに該当する駅でございます。
 したがいまして、これはできることならバリアフリー化したいということだと思います。今先生お話しのように、地元から鉄道事業者に対して要望もなされているというお話も伺っております。
 今写真がございましたけれども、まさにこの駅は構造的にいわゆる盛り土構造ということでございます。土を盛った上に駅があるということでございまして、なおかつ、この入り口でございますが、さらに入り口を入った後に地下道があって、それからホームへ上がっていくというふうな形になってございまして、実際上、エレベーターなりエスカレーターを設置する場合に、どこに設置したらいいかというふうな問題がございます。
 具体的に、例えばホームと地下道を結ぶ階段のうち一カ所をつぶしてエレベーターをつくった方がいいのかどうか。それも、人がたくさんいますからなかなかつぶせないな、こういうふうな問題もございます。それから、新たに連絡通路等を整備するということもどうかなというふうな問題もございます。もともと、この八幡市駅はホーム幅が狭くて、エレベーター、エスカレーター等に必要なホーム幅が必ずしも広くないというふうな問題がございます。それから、この駅は昭和三年に構築されたので、全体かなり古いという問題がございます。
 したがって、では具体的にどうしたらいいんだということになるわけでございまして、現在、地元の八幡市において、実はこの駅周辺の開発整備というふうなことも検討されている。そういう中で、場合によっては駅舎自体の橋上化ということも考えられるだろう。ただし、それについては相当なお金がかかるというふうなことがあろうかと思います。
 問題点ばかり申し上げて申しわけないんですが、そういうことで、基本的に、町当局と鉄道事業者が、この駅とその周辺もあわせた全体の開発計画というものをまず協議していただく。そういうものを協議して、具体的にどうつくったらいいかということが決まりますれば、私どもはそれに対して対応していきたいというふうに考えております。
山井分科員 ぜひとも、もう年々お年寄りの方々もふえているわけでありますから、せっかく二〇〇〇年に交通バリアフリー法ができたわけですから、急いでいただく必要があると思います。
 続きまして、それと似たような、駅の話なんですが、先ほど申し上げましたJR片町線、学研都市線の中にJR同志社前駅というのがあります。この写真を見てもらったらわかりますように、ここもある意味でホームが非常に狭い駅です。
 平成八年には一日の利用者が平均二千八百人だったのが、平成十三年には七千七百人と二・七倍にふえまして、私も時々行くんですが、朝の通学のとき、本当にこれは危なくて仕方ないんですね。一気におりるとホームからあふれてしまう。それで、この写真を見てもらったらわかりますように、雨のときは非常に、ホームとの間に落ちるんじゃないかと危険ですし、とにかくこういう通学の時間帯は、お年寄りや体の不自由な方は絶対利用ができないというようなことになっているわけです。もちろん、駅や鉄道の利便性も重要でありますけれども、近いうちにいつ事故が起こるかわからないというせっぱ詰まった状況であります。
 こういうことについてもいろいろ地元と協議を今している最中かと思いますが、やはり事故が起こってからでは遅いわけで、一日も早い駅舎の改修というのが必要だと思います。この点についていかがでしょうか。
石川政府参考人 JR学研都市線の同志社前駅でございます。
 今先生、写真がありましたように、これは四両編成の列車に対応するホームでございますが、ホームが二つございまして、ホーム幅が二メートルでございます、もう一つのホームは、ホーム中央部の幅員が三メートルで両端が二メートルということで、ホーム幅が非常に狭いということは事実だろうと思います。
 それで、同志社大学の学生の数がどんどんふえております。そういう意味で、ホームが混雑しているということについては鉄道事業者も十分認識をしているところでございまして、早期に解消すべき課題だと考えているところでございます。
 では具体的にどうするかということになりますと、二つあるホームのうちの一つの改札口のある方について、ホームを最大五メートルに拡幅するということを検討しているわけでありますが、その際には、民有地の買収というようなこともあります、それから関係者の費用負担というのもございまして、まさに先生御指摘のように、現在、JR西日本それから同志社大学、京田辺市の三者で協議が進められているところでございまして、私どもとしても、できるだけこういう協議が進んで、ホーム幅員の拡幅など必要な施策が図られるように鉄道事業者を指導してまいりたいと考えております。
山井分科員 やはり今、財政的にも非常に地方自治体も厳しくなっております。そういう中で、国のリーダーシップというのがますます求められると思います。今の京阪八幡市駅のこと、またJR同志社前駅のことについて、一言、ぜひとも扇大臣からも前向きな決意のほどをお聞かせいただければと思います。
扇国務大臣 これは大事なことだとは思いますけれども、何よりも地方自治体が動いてくれなければならないことであります。地方自治体が話し合っていただいて、駅の場合は同志社大学も入っておりますけれども、地方自治体の皆さんと、ぜひ御要望に即したように、そして、これは費用が三分の一ずつですから、そのときに地方自治体がどう判断するかということですけれども、危険が起こってからでは間に合わないということだけは、国会で取り上げていただくよりも地方自治体にぜひ言っていただいて、地方自治体から国を、もうおしりをひっぱたいていただくというぐらい地方自治体が熱を入れてくださると、今局長が答えましたように、必ず我々はそれに対して対応するということだけは、もう法律が通っているんですから、ぜひバリアフリー法を活用しながら今の話も対応すべきだと私は思っています。
山井分科員 ぜひとも早急にこういう問題は私自身も取り組んでまいりたいと思います。
 次に、過疎地の足ということについてお伺いしたいと思います。
 JR関西線、大阪から三重に向かってですが、その中で、一つ写真をお見せしますと、学研都市からさらに東の方に、三重の方面に行くと非常に過疎地域になってくるわけですね、木津川流域で。
 そこで、一例なんですが、笠置駅というところ、こういう本当に、観光地で温泉もあるところなんですが、そこで今問題になっているのは、一つは、まだまだ依然として単線、非電化であって、これについては電化促進、そういう取り組みもなされているわけです。
 ただ、電化とか複線化以前の問題として、ちょっと見えにくいかと思うんですが、写真を説明しますと、十一時から三時までが赤く縁で囲ってあるんですけれども、毎月第四土曜は電車がストップしてしまうんですね、月一回なんですけれども。せめて一時間に一本は通らないと、ただでさえ過疎化が進んでいるのに、本当に厳しくなってしまう。この駅も、利用者の三割がお年寄り、お子さん、そして体の不自由な方ということで、なかなか代替ができないわけです。だから、こういう過疎地の足をしっかりと確保していただきたいということが一点。
 それともう一点は、これでは仕方がないから町営バスを和束町が走らせたり、また、奈良交通に委託するバスを笠置町や南山城村は走らせているわけなんですけれども、その委託したバスも、例えば来年の三月には十の路線が廃止されて、町の直営にせねばならない。そうすると、想像にもかたくないように、高齢化は進む、足はなくなる、地方交付税は減らされて財政は厳しい、働く人はいない、新しい住民はふえてこないという中で、本当にこれは大変に切実な問題になっているわけです。そういう意味では、町営バスを鉄道の代替にする場合にも、もっと今まで以上に国の補助というのが必要ではないか。そうしないと、本当にこの地域というのがますます寂れていってしまうと思うわけです。
 このようなJR関西線の本数の増便ということと町営バスへの補助ということについて御見解をお伺いしたいと思います。
石川政府参考人 それでは、私、鉄道の方について御答弁させていただきます。
 御指摘のJR関西線の加茂と伊賀上野間でございます。先生御指摘のとおり、残念ながら、利用者が減少傾向にございます。そういう中で、加茂―亀山間の全体の保守点検を効率的に行うために、週休二日制によって学校が休みであります、なおかつ利用者が少ない第四土曜日、この日中の時間帯、先生御指摘のように、五本列車が運休をしてございます。その間、実は集中的に保守作業をやっているわけでございます。
 そういう意味で、保守点検作業は、鉄道の安全を確保するためにどうしても必要な作業でございます。一方で、利用者の利便を確保するということもまた鉄道事業者の責務だろうと考えているわけであります。
 この二点をどう調和させるかということになるわけでございますが、私どもとしては、関係地方公共団体等の意見を尊重して、利用者利便をできるだけ確保するようにというふうに鉄道事業者を指導してきたわけでございます。
 そういう中で、今御指摘のJR関西本線でございますが、毎第四土曜日の日中の運休ということでございます。先ほど申し上げましたように、学校が休みでありますが、これから夏休みにもなります。そういう意味で、この六月から、六月、七月、八月につきましては第四土曜日についても列車を運行するということにしたところでございます。
丸山政府参考人 過疎地におきますバスの補助についてお尋ねがございました。
 国土交通省といたしましては、平成十三年から、過疎地のバスの制度を大幅に新しい枠組みにしたところでございます。
 具体的に申し上げますと、地方のうち広域的、幹線的なバス路線につきましては、都道府県と協調しまして国が補助をする、こういう制度にいたしました。その他の路線、多分この町営バスもそれに当たると思うんですけれども、その他の路線につきましては、地方公共団体がどう判断してこれを維持していくかということを決めるということでございます。ただ、財政的な措置が必要でございますので、それにつきましては地方財政措置を充実するという形で制度を新しく構築いたしました。
 御指摘の路線につきましては、この判断基準からいたしますと、地域の実情に応じまして、地域で都道府県あるいは市町村が主体的に判断して維持確保を図るべき路線ということになるわけでございます。
 ただ、私どもとしましても、市町村に任せておけばいいということではございませんで、国といたしましても、都道府県、市町村との密接な連絡をとりまして、地域が必要といたします生活路線の確保に努めていく所存でございます。
山井分科員 今、線路の保守という話がありましたが、地元でもその話は出ております。ただし、地元の方が心配しているのは、線路の保守という名目で、結局、どんどん便数を減らしていくんじゃないかというような心配があります。
 さらに、この笠置や南山城村というのは観光地でもありまして、土曜日の午後、観光地であるのに列車が走らないというのは、もう観光地として存続し得ないわけですね。温泉に入ろうと思って行ったら、第四土曜だったから電車がなかったといったら、やはり話にならないわけであります。
 国土交通省さんの大きな目的は、国土の均衡ある発展ということだと思います。そういう意味では、きょうも成田空港の開港二十五周年でありましたけれども、国際線のこととかそういう面とともに、やはりこういう過疎地の足をどう確保していくのか。足がなかったら、もう過疎地はどんどん衰退せざるを得ないわけです。このようなことに関して、扇大臣、一言また御見解をお聞かせ願えればと思います。
扇国務大臣 今お話しになりました区間でございますけれども、加茂と伊賀上野、この区間のみならず、全国に過疎と言われるところで、地方自治体に、私たちはJR等々を民営化いたしますときに、民営化すればするほど過疎を切り捨てるのではないか、採算のとれないところは切っていくんじゃないか、そういうことを大変心配いたしました。また、そのことも、地方自治体の皆さん方で、この加茂と伊賀上野の区間のみならず、全国にそういうところがいっぱいございまして、何度も私、委員会で言われております。
 ある地方では、町じゅうが全部総力を挙げて、何回も乗ってみようなんといって、乗車数の水増しですか、それまでやってでも存続を図ろうという運動をしているところもあります。ですから、そういう意味では、今おっしゃったように、年寄りになる、就職は来ない、若者は出ていく、そういうところで、ただ、温泉があって個性がある。そういうところは、私は、均衡ある国土の発展ではなくて個性ある地域の発展というのに変えたのもそこなんです。ですから、本来なれば町で考えていただいて、本当に電車の率が悪いのであれば、いっそバスに変えてしまうとか、やはり町としての存続と、そして自分たちの個性をどうするか。温泉バスを走らすのも私はいいと思うんですよ。
 そういう将来に向けた、今あるものをいかに存続するかという財政的な維持ができなければ、発想の転換をして、そして、ある駅から温泉バスを運行しようではないかというような、新たな二十一世紀型というのに変えれば、地域のお年寄りも、バスによって自分も温泉に入れるというようなこともまたあるやもしれません。これはもう、それぞれの町の発想によって変えていくべきである。しがみついていて、ただ過疎だ過疎だというのではなくて、その過疎を逆手にとって発展している町がたくさんございます。例を挙げれば切りがありませんけれども、それを私は国土交通大臣賞というので表彰しているんです、全国。
 ですから、そういう意味では、ぜひ、過疎だ過疎だと言わないで、新たな町の発展のために発想の転換をしていただいて、より特性のあるまちづくりというものに私は挑戦していただきたい。そして、特に山井先生など、お若いんですから、先頭に立って、新しい発想をしようじゃないかということを町の皆さん方等御指導していただければ明るさが出てくるのではないか。土曜日は電車がとまっていれば、逆に、土曜日は温泉バスにしようなんという発想も私はいいと思いますので、ぜひそのように、地元と協力して新たな第一歩を踏み出す、また、新たな発想をするということをぜひ頑張っていただきたいと思います。
山井分科員 本当に、そういうアドバイスも受けながら、財政が非常に弱いですので、国からの個性ある発展への御支援もぜひともお願いしたいと思います。
 最後の質問になりますが、そういうことで鉄道も非常に本数も減ってきているということで、そこで国道の話になるわけですけれども、時間がないですので、二つの質問をまとめて行います。
 木津町というところに、国道二十四号と百六十三号の併用区間というのがあるわけですね。そこをきっちりと解消して、渋滞を解消する必要があると考えます。
 この地域は、全国的にも珍しい国道二十四号線と百六十三号線の併用区間で、渋滞が激しいもので倒産街道とさえ言われて、渋滞が慢性化しておりまして、その周りの商店もかなりシャッターが閉まっているという部分があります。これについて、バイパス整備、そして木津川新橋の架橋をつくるということも含めて、急ぐ必要があるのではないかと思います。
 もう一点は、まさに今のJR関西本線の横を走っております国道百六十三号線、これは近畿と中部を結ぶ幹線でありまして、ダンプなどの大型車両が非常に多く通行しております。路面の傷みも非常に激しいですし、交通事故も多発している。全国的にもこういうところはほかにももちろんあるかとは思いますが、通学路であるにもかかわらずダンプカーがびゅんびゅん通って、歩道もない、そういう危険な箇所、狭隘な箇所も非常に多いわけです。それについて、拡幅工事、そしてまたバイパスというものも含めて早急に整備をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 二点のお尋ねがございました。
 最初に、国道二十四号と百六十三号の重複区間、これにつきまして申し上げます。
 ここは二車線でございますが、一日当たり二万二千台走っている、大変交通渋滞が発生しているということでございます。
 そこで、三カ所で右折レーンの設置あるいは交差点の緊急改良という形で拡幅などをやっておるところでございますが、大事なことは、さらに、そうした緊急措置とともに、実は平成十三年の三月に、学識経験者と関係行政機関から成ります京都府南部地域道路網検討委員会を立ち上げまして、二十四号、百六十三号、こうした幹線道路のネットワークとしての整備のあり方、地域高規格道路等としての役割とか、そうしたことを実は整理し始めているところでございまして、ネットワークとしてのきっちりとした計画を立てながら整備の推進を図ってまいりたい、そういうふうに思っております。
 それから、百六十三号でございます。
 ここは、山城町と南山城村が、大変狭隘な道路で、また線形も悪い。それから、歩道の未設置区間が残っている。しかしながら、そこで一万七千台から一万一千台、これも交通量としては大変多い交通が走っております。
 そこで、現在、この幅員の狭小という問題をバイパスしようということで、平成十四年度から、加茂町の井平尾から銭司間、短いバイパスでございますが、〇・九キロの事業に着手しまして、今年度は用地買収と工事を行う予定であります。
 さらに、このほか、南山城村の今山地区、北大河原地区、それから笠置町切山地区、これらについて、約一キロずつ歩道の設置を今整備を進めているところでございまして、厳しい予算の状況ではございますが、府とも一緒になって路線全体の整備を進めてまいりたい、そんなふうに思っております。
山井分科員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
宮路主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 各分科員の各位の御協力に対しまして、心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 これにて散会いたします。
    午後八時一分散会


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