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第1号 平成16年5月17日(月曜日)

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本分科会は平成十六年四月二十八日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      後藤田正純君    柴山 昌彦君

      中野 正志君    橋本龍太郎君

      宮澤 洋一君    谷津 義男君

      岡島 一正君    小林 憲司君

      橋本 清仁君    徳田 虎雄君

五月十四日

 中野正志君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十六年五月十七日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 中野 正志君

      後藤田正純君    柴山 昌彦君

      中山 泰秀君    橋本龍太郎君

      谷津 義男君    岡島 一正君

      小林 憲司君    島田  久君

      田島 一成君    橋本 清仁君

      藤田 幸久君    古本伸一郎君

      村井 宗明君    村越 祐民君

   兼務 谷  公一君 兼務 早川 忠孝君

   兼務 大島  敦君 兼務 辻   惠君

   兼務 赤松 正雄君 兼務 上田  勇君

   兼務 白保 台一君

    …………………………………

   法務大臣         野沢 太三君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   法務大臣政務官      中野  清君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第三局長            船渡 享向君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 加地 隆治君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            薦田 隆成君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          伊藤 鎭樹君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君

   政府参考人

   (住宅金融公庫総裁)   望月 薫雄君

   参考人

   (首都高速道路公団理事) 大塚 昭夫君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  宮澤 洋一君     中山 泰秀君

  岡島 一正君     島田  久君

  小林 憲司君     藤田 幸久君

  橋本 清仁君     村越 祐民君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     宮澤 洋一君

  島田  久君     村井 宗明君

  藤田 幸久君     馬淵 澄夫君

  村越 祐民君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  田島 一成君     古本伸一郎君

  馬淵 澄夫君     小林 憲司君

  村井 宗明君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  中根 康浩君     城井  崇君

  古本伸一郎君     橋本 清仁君

同日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     岡島 一正君

同日

 第一分科員早川忠孝君、上田勇君、第二分科員谷公一君、大島敦君、赤松正雄君、白保台一君及び第三分科員辻惠君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫〕


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     ――――◇―――――

中野主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十四年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。石原国土交通大臣。

石原国務大臣 国土交通省所管の平成十四年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済み歳入額は四百六十三億八千百万円余、支出済み歳出額は七兆八千二百五十一億三百万円余。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず第一に、自動車損害賠償保障事業特別会計でありますが、保障、自動車事故対策及び保険料等充当交付金の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は八千六百八十二億五千二百万円余、支出済み歳出額は七千六百九億四百万円余。

 第二に、道路整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五兆六千四百二十二億三千九百万円余、支出済み歳出額は四兆八千四百八十八億八千二百万円余。

 第三に、治水特別会計でありますが、治水及び特定多目的ダム建設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆五百七十三億一千三百万円余、支出済み歳出額は一兆七千七百三十億一千五百万円余。

 第四に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千八十三億八千二百万円余、支出済み歳出額は四千八百十八億一千百万円余。

 第五に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は六百二十七億九千二百万円余、支出済み歳出額は四百八十五億一千九百万円余。

 第六に、都市開発資金融通特別会計でありますが、収納済み歳入額は一千百九十九億六百万円余、支出済み歳出額は九百五十億五千五百万円余。

 第七に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五千百六十三億五千六百万円余、支出済み歳出額は四千七百八十五億八千二百万円余。

 第八に、財務省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち国土交通省所掌分でありますけれども、支出済み歳出額は百三十一億八千七百万円余となっております。

 なお、詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成十四年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中野主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院船渡第三局長。

船渡会計検査院当局者 平成十四年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二四七号は、新世代下水道支援事業制度におけるリサイクル推進事業におきまして、管路工の施工が著しく粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。

 同二四八号は、特定環境保全公共下水道事業におきまして、施工が設計と相違していたため、反応タンクの所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二四九号は、急傾斜地崩壊対策事業におきまして、設計が適切でなかったため、現場吹きつけのり枠等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同二五〇号は、広域河川改修事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二五一号は、港湾改修事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートの所要の排水能力が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二五二号は、河川災害復旧助成事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋梁上部工の所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二五三号は、農業生産基盤整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、補強土壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二五四号は、道路改築事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルバート等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二五五号は、公営住宅家賃対策補助金の経理におきまして、建てかえ入居者の入居者負担基準額の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているものであります。

 同二五六号は、公共下水道事業におきまして、設計が適切でなかったため、通水管の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同二五七号は、特定交通安全施設等整備事業におきまして、損失の補償の対象とならない消費税相当額を補償費に計上していたため、補償費が過大となっているものであります。

 同二五八号は、緊急地方道路整備事業におきまして、仮設工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものでございます。

 同二五九号は、通常砂防事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋梁上部工等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものでございます。

 同二六〇号は、緊急地方道路整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、擁壁が機能しない状態になっているものでございます。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、自動車整備近代化資金の貸し付けにおきまして、貸し付け要件であります指定整備事業者との業務提携による発注実績が不明であったり、貸し付け後に事業計画が達成されていなかったりしていて、資金が有効に活用されていない事態が見受けられ、これらは、商工組合等におきまして事業計画の達成状況を適宜適切に把握できる体制としていなかったことなどによるものと認められましたので、これについて指摘いたしましたところ、改善の処置がとられたものでございます。

 その二は、国が設置した空港内駐車場の駐車料金の審査、承認に当たり、運営者の事業収支見積もりの活用が十分でなく、また、料金承認後の事業収支実績を把握していないなど、料金水準の妥当性を検証していなかったり、運営者を複数の事業者から選定する仕組みを導入しておらず、透明性、公平性及び競争性が確保されていなかったりした事態が見受けられ、利用者の利便の向上が図られていないと認められましたので、これについて指摘いたしましたところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって国土交通省の検査結果の概要の説明を終わります。

 引き続きまして、平成十四年度住宅金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。

中野主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。石原国土交通大臣。

石原国務大臣 平成十四年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところではございますが、平成十四年度の決算検査報告におきまして、工事の設計が適切でないものなど、御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾でございます。

 御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業の目的を達成するよう手直し工事を施工させる措置を講じたところでございます。さらに、指摘に係る補助事業者に対しましては、関係法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督・検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところでございます。

 今後とも、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存でございます。

中野主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野主査 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中野主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松正雄君。

赤松(正)分科員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 きょう、私は、国土交通省所管の問題のうち、交通事故に関連する対策についてのお話を中心に若干質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の交通事故の死者は七千七百二人、過去最悪だった一九七〇年、つまり約三十年前の半分以下であったものの、事故の件数は九十五万弱、負傷者数は百十万人と、過去最高を記録している、こういう事実がございます。

 こういった事実に対して、総理は昨年の施政方針演説におきまして、今後十年間で交通事故死者をさらに半減させ、道路交通に関して世界で一番安全な国とすることを目指す、こう述べられたり、あるいは、本年の施政方針演説におきましても、昨年の交通事故死者数は、四十六年ぶりに八千人を下回りました、今後十年間で五千人以下にすることを目指す、こんなふうなことを方針として掲げておられるわけです。

 かつて、国会には交通安全特別委員会が設置をされておりまして、その場で交通安全に関するさまざまな議論が行われていたわけですけれども、今、それがありません。そういう状況の中で、超党派の国会議員によります交通事故問題を考える国会議員の会という議連がございまして、そこでさまざまな問題をめぐっての現場からの陳情、あるいは交通事故で家族を亡くされた方々からの具体的な問題提起等をお聞きしながら、交通事故の悲劇をなくすためにさまざまな問題に鋭意取り組んでいるところでございます。

 そういった議連の中でのやりとりから、私自身非常に強い関心を持ちましたのが、車に搭載する監視カメラ、いわゆる車版フライトレコーダーというんでしょうか、あるいはドライブレコーダーというんでしょうか、そういう車に載せる監視カメラをすべての車に普及していくべきではないのかという要望を受けた次第でございます。

 事故をめぐりましては、ひき逃げはもちろん、加害者と被害者の間の食い違いが起きて、目撃者の証言は非常に貴重な役割を果たすということがあるわけですけれども、証人がめったにあらわれてこないといったことからさまざまな問題が起きてくるわけです。それに対して、車にビデオカメラを搭載し、運転者とその周辺を逐一記録する装置を導入すると、事故が起きた場合でも、あとう限りというか、できるだけの真実がはっきりしてくる、そういう主張があるわけでございます。

 交通事故調書の開示のおくれとか事故捜査の問題点を、かなりの部分これで解決する威力を発揮することができるという主張を、実際にビデオを見せていただきながら、私たちもそうした映像を見て、この威力というものを感じたわけでございます。

 同時に、カメラを搭載することによって、今申し上げた事故の際の科学的証拠になると同時に、一方で、運転者にとってもプレッシャーというものがあって、安全運転をさらに一層心がける要因になるのではないか、そういう一石二鳥の効果がある、こういう指摘があるわけでございます。

 最近の自動車につきましては、国土交通省が取り組む車両の安全対策の強化の結果、衝突をあらかじめ予知すると停止をする、そういうITを活用したシステムの導入といった、安全確保に向けての自動車の開発、普及というものも盛んであると聞いております。同時に、そうした対策の片方で、今申し上げたような心理面でも事故を抑制する、そういう働きを促す効果が期待できるこの車載監視カメラ、こういったものについて、自動車の安全対策、そして事故を起こさないという対策、もちろん今まで以上に必要でありますが、仮に起きてしまったときの、その悲劇を一つでも解決するためのもう一方の極めて重要な柱としての、今申し上げた車載監視カメラで事故の現場を正確に掌握する、そういったものを導入するということについて、国土交通省の現時点のお考えを聞かせていただきたい、そんなふうに思います。

峰久政府参考人 御指摘の車載監視カメラ、いわゆるドライブレコーダーでございますが、これは事故時の映像などをデータとして記録できる装置として開発されたものでありますが、このような装置は、今後新たな車両安全対策を実施していく上で、非常に注目すべき新しい技術だというふうに理解しております。

 これは、普通乗用車を含めまして一般的に普及するというためには、まだ、装置の信頼性でありますとか、映像を公的に利用するためのいろいろな課題があります。こういう検討すべき点がございますが、一方で、タクシー業界におきましては、既に、事故の現場あるいはひやり、はっと体験などを、このビデオを活用しまして運転者教育をしたり、あるいは事故の責任の明確化等の観点から、一部の事業者がこれを導入し始めております。

 国土交通省としましても、この有効性についても検証しつつ、今後の活用方策について、関係者を含めて十分に検討してまいりたいと思っております。

赤松(正)分科員 その装置の信頼性あるいはまたさまざまな効果等をめぐってこれから検討するというお話でございますが、今のお話では既に導入が始まっている、そういう動きもあるようでありますし、また先般、交通事故の遺族の会の皆さんに聞きますと、当然の話でありますが、たくさんの普及によって一台のカメラの価格も低くなるということで、今後大きく普及する、そういう可能性があろうかと思いますので、ぜひとも引き続き前向きの取り組みを要望しておきたいと思います。

 あわせて、内閣府の方にお伺いをしたいんですけれども、先ほど申し上げました総理の、この十年間で半減にする、五千人以下にするという目標、そういうことについての内閣府としての取り組みの決意が一点。

 それから、もう一点は、これはそちらの方としては言い分があろうかと思いますが、私はホームページで見たんですが、全国交通事故遺族の会の方が先般内閣府に伺って、ビデオを用いて車載監視カメラの説明をしに行った。しかし、その際に、交通安全対策の担当者の余りの、これはホームページに書いてあるくだりを引用しますと、担当者の余りの無関心さにはがっかりした、こういうふうに述べているわけです。また、説明後の感想や質問など一切なく、普及への尽力など論外と見受けられました、これが元総務庁の交通安全対策室の後継組織かと思うと、交通事故半減公約もかけ声だけに終わりそうです、こんなふうなかなり厳しい見解を述べております。

 今初めてお聞きになったかどうかわかりませんが、内閣府に、今のことを含めて決意をお伺いいたしたいと思います。

加地政府参考人 お答え申し上げます。

 道路交通事故による死者数を十年間で五千人以下にする、そのための取り組みでございますけれども、政府といたしましては、地方公共団体や関係団体と緊密に連携をいたしまして、道路交通環境の整備あるいは交通安全思想の普及徹底、さらに車両の安全性の確保、こういった施策を初めといたしました第七次の交通安全基本計画に基づきます交通事故防止対策を、今後とも強力に推進していくことといたしております。

 また、近年の道路交通事故の状況を見ますと、死者数全体に占める六十五歳以上の高齢者の方々の割合が大変高うございます。また、今後本格的な高齢社会が到来をするということなどを踏まえまして、昨年新たに取りまとめました総合的な高齢者交通安全対策を重点的に推進していくことといたしております。

 それから、二点目の御指摘につきましては、ちょっと私把握をしておりませんでしたけれども、また、そういう関係の団体の皆様とも交通安全のための検討をしっかりとしていきながら、今後の交通事故防止対策に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

赤松(正)分科員 今の車載監視カメラの説明に行ったときの対応については、しっかりと掌握をしていただきたいと思います。

 別に特定の事情があったかどうかはっきりしませんけれども、私たち日常的にこうした交通事故遺族の会の皆さんと接触しておりますと、本当に皆さん真剣に事態の問題をとらえておられて、あらゆるところで自分たちの主張というものを皆さんに聞いていただきたいという運動を展開しておられますので、肝心かなめの部局がそういうふうに受けとめられる、そういうことでは大変まずいと思いますので、しっかりと掌握をしていただきたいと思います。

 次に、バイパス、さまざまな地域における、これは私の地域、特定の地域の問題から発する話を今から申し上げますけれども、道路の、高速道路のさまざまな渋滞を知らせる表示板の設置という問題であります。

 具体的な問題として、私の住む地域、兵庫県姫路市でありますけれども、私の地域だけではなくてありとあらゆる日本の国の中で車の移動というものが非常に重要な役割を果たす地域が多いわけですけれども、車社会としてのそういう側面が強い地域が多いわけですけれども、慢性的に渋滞する幹線道路を避けて住宅地の中にある狭い道路に多くの自動車が行き交っている箇所が多い。そういったときに、さまざまな狭い道路に多くの自動車が行き交っている、逃げ道になっているその道路に歩道やガードレールがなくて歩行者が危険だ、そういう声も聞きます。また、傾斜があって車いすが自然になかなか動けない、車道に出てしまう、そういうケースもあるといった声も聞かれます。

 とりわけ私の地域で今危ないという指摘をされているのは姫路バイパスでありますけれども、この姫路バイパスは平成十二年の末に無料開放になりまして、このところその恩恵を受けて交通量が非常にふえているわけですが、渋滞とは知らないで一般道からバイパスに入ってきた車が本線の渋滞を見て引き返そうと入り口を逆走するケースもあったりして、極めて危険な状態があります。それを防ぐために、バイパスの渋滞状況を知らせる表示板をバイパスの入り口近くに設置してほしい、そういう声があるわけです。

 これは、一姫路のこの地域だけではなくて、こういうケースは間々全国的にあろうかと思いますけれども、そういった場合、あらかじめ渋滞の状況を知らせる表示板の設置というのは、どういう姿勢でそういうものに設置をしようとしておられるのか、具体的なケースとしての今挙げた姫路バイパスにおけるところの表示板の設置等について、全体とそして部分、その二つについて警察庁にお伺いをいたしたいと思います。

人見政府参考人 渋滞情報の提供についての一般的な考え方といたしまして、渋滞情報等の交通情報の提供、これは交通の流れを分散させて渋滞を緩和するという効果がありまして、交通の円滑化を図る上で非常に有益である、こう考えられますことから、警察としましては、従来から、交通情報板等による交通情報提供の充実に努めてきたところであります。

 先生御指摘の姫路バイパスにつきましては、兵庫県警察におきまして、日本道路交通情報センターによるラジオ放送などにより、姫路バイパスの渋滞情報の提供に努めているところでございます。

 今後でございますが、警察庁としましては、兵庫県警察に対しまして、姫路バイパス及びその周辺道路の交通情報提供のさらなる充実に努めますとともに、姫路バイパス及びその周辺道路において交通情報板や車両感知器の整備の必要性が認められる場合は、これらの施設の整備に必要な経費の確保に努めるよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。

赤松(正)分科員 ぜひその方向でよろしくお願いを申し上げます。

 次に、これは地域だけではなくて、これも日本全体における、最近さまざまな場面で指摘されている話でありますが、トラック業界における低公害車導入への補助の拡充という問題であります。交通事故を起こしまして重大事故になる確率の高いのはトラックということで、交通事故だけではなくて、トラックの自動車NOx・PM法にかかわる件ということでお伺いをいたします。

 私の住む兵庫では、最近、運送会社の営業所の架空移転が問題になっております。平成十四年に施行された自動車NOx・PM法施行の規則を逃れるためということであろうと思われます。先月も、近畿運輸局から架空移転していた県内三十四社に改善指導が出され、昨年末は、トラックの使用拠点を虚偽登録したということで、全国で初めて四社が摘発をされているということであります。

 兵庫は、大気汚染訴訟の舞台になりました尼崎があって、大気環境改善には特に力を入れているところでありますけれども、昨年十月には大型ディーゼル車の運行を規制する条例が成立をして、全国で初めてNOxを規制対象に盛り込んでいるということです。

 現在のディーゼル微粒子除去装置はPMにしか効果がなくて、県内の運送業者は莫大な負担がかかる買いかえしか選択肢がないという状況にあって、極めて苦悩、苦痛を訴える場面が多々あります。不況の中、業者を取り巻く状況は依然として厳しい状況に置かれており、生き延びるために、追い詰められた業者が、先ほど申し上げましたような架空営業所移転をしているのではないかとの声も聞かれます。県内の業界団体も、法の本格的な影響があらわれるここ一、二年で倒産がさらにふえるのじゃないかという危機感を持っておりまして、法の実効性を担保するためにも、さらに補助メニューを用意してほしいとの声が強くあるわけでございます。

 国におかれましても、低公害車普及促進についての補助等を行っていることももちろん承知しておりますけれども、さらに拡充をお願いしたい。こういう観点で、国土交通省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

峰久政府参考人 国土交通省におきましては、自動車NOx・PM法の施行に伴いまして、トラック事業者が車両代替をする場合の支援措置としまして、中小企業金融公庫等による融資の問題でありますとか、あるいは自動車取得税の軽減、あるいは補助制度を各種講じてきております。

 特に、先生おっしゃいましたように経営環境が非常に厳しい中で、中小企業者が多いということで、特に十六年度におきましては、公的融資制度といたしましては、担保の問題が非常に重要だろうということで、中小企業金融公庫におきまして、貸付額の五〇%を限度に担保を免除する新たな融資制度を設けるでありますとか、あるいは、購入車両、これは実際制度的には担保としていいことにはなっていたのですが、実際上運用されておりませんでしたので、購入車両を担保とすることを実際に行うようにしました。

 そういうことと同時に、全日本トラック協会におきましても、近代化基金融資制度、今まで融資制度は持っておりますが、この中で無担保の融資制度を創設して対応しようとしております。

 それから、税制におきましても、自動車取得税の軽減につきまして、今まではCNG車等の取得に対する軽減でございましたが、新しい、新長期規制車も対象とするなどの拡充を行っております。

 それから、中小企業事業者が車両を購入する場合の税額の控除でありますとか特別償却、こういうものについての中小企業投資促進税制が、期限が来ておりましたけれども、これの延長を行っているところでございます。

 それから、低公害車など環境に優しい車に対する車両の購入に対する補助についてでございますけれども、これも、CNG車等に加えまして新長期規制車を対象にするとか、あるいは使用過程のディーゼル車につきましてもCNG車への改造をする場合の補助をする、そういうことを追加すると同時に、DPFなどに対する装着についても、十五年度に引き続き継続して補助を行うことにしております。

 そういう意味で、経営環境が厳しい中でいろいろな措置は講じていきたいと思っております。

赤松(正)分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、自動車NOx・PM法に関連する話で、また極めて細かい話で恐縮でございますけれども、歴史的に、どこでもそうでしょうが、防災意識の高い地元住民、数多くいらっしゃるわけですけれども、私の地域でも地域住民の寄附金によって購入した消防車が、自動車NOx・PM法の車種規制によって使えなくなるという事態が起きているわけですが、車検証の有効期間が年内に迫っていて、早急にこの地域の適用除外をお願いしたい、こういう要望を聞くわけであります。

 その消防車は常時稼働ではなくて、非常時の出動、訓練時のみの稼働であって、出動範囲も当該地域内に限られている、そういうことがあります。仮に消防車が使えなくなるということになりますと、地域の火災に対する防災活動への十分な対応ができなくなるということで、極めて不安を自治会は持っているということであります。

 地域住民の生命と財産をみずからが守るという理念に基づいて長年そうした地元の防災活動に積極的に取り組んできている、この辺の地域住民のそうした消防活動への事情を十分考慮して検討いただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、環境省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

西尾政府参考人 御指摘の自動車NOx・PM法によります車種規制は、大都市地域におきます自動車の排出ガスに起因する厳しい大気汚染の状況を改善しまして国民の健康を守るということで制定されているものでございます。

 そういう面で、事業者の方々にやむにやまれぬ措置としてお願いをしているものでございまして、この規制は、平成十三年に法律が改正されましてから、事業者が対応していただくために、都合一年半から三年半にわたる準備期間等をまず設けました。その次に、対象となるトラック、バス等につきましては猶予期間九年でございますが、特殊な構造のものは十年といたしました。

 さらに、消防自動車につきましては、国民の生命、安全という公共目的、それから走行距離も短いという理由を考慮いたしまして、通常の特種自動車が十年のところを、ポンプ装置等有するものについては、通常の消防自動車だと思いますが、これは十五年、特別なはしご車などにつきましては二十年というような追加的な延伸措置を既に講じているところでございます。

 御事情につきまして、大変御苦心の御事情というのをお聞かせいただいたところでございますが、こういう猶予期間を設けましたほか、自動車取得税の軽減等も行っているところでございますので、さらに個別の事情に応じまして猶予期間の延伸を行うというのは、制度の設計上困難であると思っておりまして、その点は何とぞ御理解いただきたいというふうにお願いしている次第でございます。

赤松(正)分科員 今申し上げた、再度猶予期間を延伸してくれというのは無理だ、こういう話ですね、わかりましたと言わざるを得ないですね。

 次に、車いすマークの駐車スペースについての問題であります。

 これも極めて細かい話で恐縮なんですが、私の地域でしばしばこの問題を何とかしてほしい、こう要望を受けるんですが、要するに、高齢者や障害者、障害を持つ人たちが暮らしやすい社会をつくるために、バリアフリー化には、私どもも、また政府、国土交通省の方も全力を挙げて取り組んでおられることは、よく理解をいたしております。

 そういう中で、つまり、車いすマークのついた身障者のためのいわゆる駐車場における駐車スペースについて要望を受けたんですけれども、その前に、国土交通省に確認をしたいんですが、国土交通省が取り組むバリアフリー対策では、身障者用の駐車場について、障害を持つ方が利用しやすくするためにどのような取り組みをしているのか、まず簡単に全体の、身障者と駐車場との関係について若干お話しを願いたいと思います。

松野政府参考人 お答えいたします。

 高齢者、障害者の方々のためのバリアフリーの考え方でございますが、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律というのがございます。これはいわゆるハートビル法と呼ばれておりますが、この中で、延べ面積二千平方メートル以上で不特定多数が利用いたします建築物等に対しまして、バリアフリーに関する基準、これは利用円滑化基準というふうに呼ばれておりますが、この基準を満たすことを義務づけております。

 スーパーにつきましても、二千平方メートル以上のものはバリアフリーに関する基準への適合が義務づけられておりまして、駐車場につきましては、車いす使用者が円滑に利用することができる十分な幅員の駐車施設、駐車スペース、これを設けまして、車いす使用者用の駐車施設の表示をするということにしております。

 また、トイレにつきましても、車いすを使用している方が円滑に利用できるように十分な広さを持つものを設け、トイレの出入り口またはその付近にその旨を表示した標識を表示するということにしておるところでございます。

赤松(正)分科員 この問題については、特に今回質問するに当たって、あるいは質問する前からも、例えば具体的に起こる問題としては、車いすマークがついていてそのところを利用しようとする場合に、車いすを必要とする障害者とあるいはそれ以外のさまざまな、例えば心臓が悪くてペースメーカーをつけているとか、そういう一見車いすを使用していない、だから健常者だ、こういうふうに一般的に見られがちですけれども、そうじゃない、やはり障害を持っている方たちがそういうところを使いたいという場合に、それが何となくプレッシャーになってなかなか使えなかった、あるいは使った場合に現実に注意を受けたり、そういうふうなことがあって困るという話でございます。

 これは厚生労働省の所管なのかあるいは国土交通省の所管なのか、そういう車いすマークをめぐる問題についてはなかなかはっきりとし得ない、そういうこともあろうかというふうなことが指摘されます。この辺について国でルールをつくってもらえないかという要望も受けております。ぜひその辺の具体的な取り組みについてしっかりと検討を進めていただきたい、そんなふうに思う次第でございます。

 このことと関連しないで、今申し上げてきた交通事故全般の問題について、最後に国土交通大臣、石原大臣に全般的な、今申し上げたようなさまざまな問題についての大臣の決意というか受けとめ方を聞かせていただいて、終わりたいと思います。

石原国務大臣 赤松委員が交通事故をいかに減らしていくかというような観点から、新しい自動車のフライトレコーダーのようなものの導入、また、NOx・PM法等々の規制に関しましてのトラック事業者への配慮の問題、これは経過期間でありますので、これは当然だと私も思いました。また、後段お話がございました障害者の方々、私もやはり車いすの方しか利用してはいけないのかな、そういうようなイメージを、どうしてもあのマークが示しておりますので、体、表面的に見えない障害をお持ちの方々も御利用できるようなものを、所管しているところでできるように努力をさせていただきたいと考えております。

赤松(正)分科員 ありがとうございます。以上で終わります。

中野主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、島田久君。

島田分科員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。

 私が都議会時代に、石原東京都知事に、石原知事の書いた本を読んで代表質問しましたら、まだ理解が足りないから、おまえ、もう一回勉強してこいと言われまして、そんな課題を持ちながらも、きょうは質問できることに感謝をしながら質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、二〇〇一年七月、首都圏第三空港の暫定案として、首都圏の空港容量の拡大が急務である、そのために羽田空港の再拡張事業が決まり、具体的な方法としては、新滑走路島を建設するという手法を考えているということが報道されたわけであります。私は、特に、この問題と関連して、環境面から質問させていただきたいと思うんですけれども、この事業の今後のスケジュールはどんな形になっているか、お伺いをいたします。

石川政府参考人 羽田の再拡張事業でございますけれども、二〇〇九年末、平成二十一年末の完成を目指しておりまして、新しい第四滑走路、二千五百メートルを建設するということがメーンの事業でございます。

 この事業につきましては、十六年度予算には事業化予算が盛り込まれたところでございまして、したがいまして、十六年度においてこの新設の第四滑走路の入札契約手続あるいは環境影響評価手続等を実施することとしております。

島田分科員 この新しい空港の建設に当たって、今三つの工法を考えているとか新聞で発表されているんですけれども、これらの工法を選ぶ場合に、これだけの将来にわたっての大きな事業でありますので、一回建設すればフィードバックすることができない大事業でありますので、特に最大限環境に配慮した工法というものを考えてほしい。

 特に、多摩川の入り口の河口口のところをふさいでしまうというような形になっているようでありますけれども、その辺はどんなお考えでありましょうか。

石川政府参考人 第四滑走路の建設につきましては、三つの工法が言われております。一つが埋め立て工法であり、一つが浮体工法であり、もう一つがその両方をあわせ持ったものでございます。

 多摩川の河口につきましては、河川の流れを阻害してはいけませんから、多摩川の河口に位置する部分につきましては、桟橋工法といいますか、川の流れを妨げない構造にするということにはなっておると思います。

 いずれにしましても、これらの工法につきましては、今後行われます入札契約方式の中で決定をしていくものでございます。

島田分科員 今のお話のように、環境との関連からいいますと、新滑走路の建設の結果、藻場がなくなるのではないかという心配と、建設工事に伴い桟橋のところを埋める、あるいは桟橋を浮かした何か工法を考えている、その柱にイガイが付着して、これが死滅して酸素を消費して、いろいろな条件の中で環境に負荷を与えることが心配されているわけであります。

 環境基本法の第二十条は、国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他を行う場合には、事前に適正な調査、あるいは予測をして、評価をしなければならないというようなことがうたわれているわけでありますけれども、なるべく早い段階から環境に対する負荷調査を行うべきだと考えております。

 私は、先般環境委員会において、これらの問題についての事前の予測、あるいは今東京湾における生態系の状況などについての質問をさせていただきましたけれども、アセスの手続の前の段階で、環境省に対して、例えばこういう工法をとりたい、あるいは三つの工法があるというようなことについて、事前の何か話し合いなり、打ち合わせなり、あるいは配慮されていたんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。

石川政府参考人 新設滑走路が環境に与える影響につきましては、工法を検討した平成十四年度の羽田空港再拡張事業工法評価選定会議というのがございまして、ここにおきまして、先ほど申し上げたような候補となるようなそれぞれの工法について、予備的な検討を行っております。

 この際、環境省にも御相談をしながらやらせていただいておるわけでございますが、いずれの工法も、東京湾の潮流あるいは水質等への影響について致命的な悪影響を与えることはないとの結論を得ております。いずれにしても、今後、私どもとして環境影響評価手続を行うわけでございまして、そこで、各種の項目ごとに、環境に与える影響について詳細な検討を行うということにしたところでございます。

島田分科員 これは国家的な大事業でもありますし、それらのことを考えて、今財政状況の厳しい状況でもありますし、しかし、環境に与える影響というものも相当慎重に考えながらこの工事を促進すべきだと思うんです。それらのことについて、今環境省に事前の打ち合わせをしたということを言われましたけれども、環境という面から考えて三つの工法があるそうでありますけれども、環境に優しい工法を選ぶとか、そういう点についての選定についての考え方は、どんな考えで今現在おられるでしょうか。

石川政府参考人 先ほどもお話し申し上げましたように、十四年度の工法評価選定会議というところにおいて、いずれの工法についても、環境については致命的な悪影響を与えることはないということになっておりますが、私どもとしては、今後、入札手続において、応札者に対しまして事業の実施による環境影響の最小化に努めることということを求めてまいりたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、環境影響評価というものを実施してまいりたいと考えております。

島田分科員 この計画の再拡張事業は国家的な大事業でありますし、もう一つは、都市再生プロジェクトとしても海の再生が第三次決定ということで、その重要な一環である東京湾の再生も、それに劣らず重要な国家プロジェクトだと思うんです。東京湾の再生については、国土交通省と環境省の間に調査をされた報告書が出ているわけでありますけれども、それらの報告書を読んでみますと、「干潟ネットワークの再生に向けて」という生態系再生の重要性を述べて、その研究会の報告書が出ています。

 羽田沖の浅場もその調査地域に含まれており、今後解決すべき課題として、羽田沖浅場での河口部地域での干潟、浅場の拡大、アマモ場の創出なども具体的に提案されております。

 また、東京湾の干潟の保全、再生は、海の再生ばかりではなく、もう一つの国家課題でもある新生物多様性国家戦略にも深く絡んでいる問題でございます。羽田空港再拡張事業においても、それらの問題提起をしっかりと受けとめ、環境の二十一世紀、環境立国にふさわしい、自然環境と共生する空港建設への取り組みが私は必要だと考えております。石原国土交通大臣の所見をお伺いさせていただきます。

石原国務大臣 島田委員が、お地元の東京という立場から、都市再生上、羽田空港の四本目の滑走路の必要性というものをお述べになり、またさらにその中で、東京湾という極めて自然環境、魚巣等々の大変厚い地域においてのこの破壊というものがないようにという御意見を聞かせていただきまして、私も、やはりこの四本目の滑走路の建築に当たりましては、東京湾の水質や、あるいは水生動物への配慮というものも極めて重要であると認識をしているところでございます。

 政府参考人よりお話をさせていただきましたように、新滑走路が自然環境に与える影響については、平成十四年度から予備的な調査というものも、環境省にも入っていただいて行わせていただいておりますが、これからいよいよ応札をするわけでございます。

 三つの工法、どれをとりましても大きな悪影響を及ぼさないということになっておりますし、さらに、国土交通省としても、環境に負荷のかからないものをつくるようにということを申し述べさせていただきますが、さらにその後、現実的ないわゆるアセスの手続において、より詳細な、今表層化している問題のほかにも何か問題があるかもしれませんので、そういうものを十分に検討してまいりたいと考えております。

島田分科員 最近、「地球!ふしぎ大自然 大都会にアユ百万匹 多摩川 奇跡の復活!」という番組がありました。これはNHKの総合テレビで放送されたんでございますけれども、その番組によれば、東京都の水産試験場の調査によって、現在の羽田空港再拡張事業計画によれば、新滑走路島が、その近くに多摩川の河口口の部分があって、その水域に天然アユの稚魚、江戸前アユと呼ばれているんですけれども、そのナーサリーグラウンド、稚魚の保育所となっているという実態がその報道で判明したわけであります。その番組そのものが大きな反響があったと言われておりますけれども、これらの状況の中で、羽田空港の再拡張事業とその環境への影響という問題を考える上で大きな問題を投げかけられたような気もするんですけれども、どうお考えでしょうか。

石川政府参考人 アユのお話がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、私どもは今後、環境影響評価をやっていくわけでございますが、その中で詳細な検討をしていくこととしてございまして、羽田空港周辺で生息する水生動物というものにつきましても、環境影響評価の一項目として調査するわけでございます。

 具体的にどうするかにつきましては、現在準備を進めているところでございまして、できるだけ早く方法書の手続というものに入りたいと考えておりますが、水生動物への影響につきましては、羽田空港周辺、あるいは多摩川の河口域におきましても、現地調査などを行うというふうなこととか、既存の調査結果の情報収集などなどについても必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

島田分科員 今お話しのように、特に、多摩川の河口口周辺にアユの稚魚の入り口があって、そこに予定されている空港ができる。そして、そこから東京湾に入って、もう一度東京湾から多摩川に再遡上して、そこで初めてアユが多摩川に遡上して、ずっと上の多摩川の上まで、奥多摩の方まで上がっていく、そういう中では重要な地域の場所に当たるわけですね。

 この工法がその河口を完全に押さえたりしちゃうと、押さえるということのない工法を今考えるということを言われておりましたけれども、もし工法上、そういうことについて、調査の結果、いろいろな障害が多分出てくるかもしれないという調査結果などが出た場合に、これは財政上大きな問題もあるでありましょうけれども、やはりこれだけの東京湾を、今の調査のいろいろな報告書を見ますと、国土交通省と環境省と合同で調査をされている報告書が出ている。それらの状況についていろいろな関係者から事前にいろいろな意見を聞いたり、あるいは関係団体の中に、こういう工法上、アユの稚魚の保育できる地域というものについて、新たなる浅瀬などもつくってほしいとか、あるいはつくらなきゃならぬという結果については、そういう問題について積極的に努力をしていただきたいと思うんですけれども、その辺はどんなお考えでしょうか。

石川政府参考人 今お話がありましたが、私どもとしても、環境影響評価を進めていくわけでございますので、必要な検討をしてまいりたいと考えております。

 その結果、環境保全上問題がある、あるいは何か措置が必要だというふうなことがある場合には、程度に応じてということになるかと思いますけれども、その影響の度合いと措置の必要性ということも総合的に考えながら、必要な措置をとるということになろうかと思います。

島田分科員 通告はしていなかったんですけれども、私も環境委員会に所属したりしていたものですから、加藤副大臣に、今こういう計画があるんだけれども、環境省との事前のきちっとした打ち合わせをした上で、工法そのものを選ぶ場合でもそういうものに障害のないように、事前に相当、お互いの調査結果、工法の変更も含めて、さらなるアセスの、事前はさっき調整はされたと返答があったんですけれども、今環境省も来られておりますけれども、その辺はどうお考えでしょうか。

松本政府参考人 羽田空港の再拡張事業についてでございますけれども、現在の状況、国土交通省との関係を御説明申し上げますと、作業の状況とか環境影響評価の準備状況などにつきまして、随時担当レベルで情報提供をいただいております。今、国土交通省からお答えがありましたように、今後とも、適切な環境影響評価が行われるように、私どもとしても十分な連絡をとっていきたいと考えております。

 なお、建設のための工法の検討につきましては、もちろん具体的に、公式のあるいは文書によりますような協議というようなものは受けていないわけでございますけれども、私どもとしても、工法評価選定会議に担当者がオブザーバーとして出席をして、その内容、状況については承知をしておる、こういう状況でございます。今後とも、連携を密にして進めていきたいと考えております。

島田分科員 環境省としては、事前の段階で国土交通省と、事前の調査も東京湾全体の形で調査をされて、それとの整合性をどうとるかということの報告書も、必ずしも新しい空港をつくるための環境省との間の国土交通省としての調査ではないように、あの報告書を見ると見られますけれども、あの報告書を見ると、相当、例えばアユの稚魚の通る流れのところ、あるいは浅瀬のところ、あるいは保育所などは、どうも真正面でぶつかるような気がしてならないんですね。

 そういう場合に、環境省としてどんな形で、工法の変更というようなことについても、事前に何らかの方向性を定めるという形での調整などをするんでしょうか。

松本政府参考人 環境省といたしましては、当然のことではございますけれども、一般論として、生態系をしっかりと守っていく、これは極めて重要なことだと考えております。東京湾についてもいろいろな研究がなされているということも承知しておりますが、飛行場の設置など、個別具体的な事業の実施に当たりましては、まず事業者におきまして環境影響とそれに対する必要な対策についてきちっと検討していただくということが重要である、こういうことであります。

 今回の羽田空港の拡張事業につきましても、先ほどからお話ありますように、事業者によりましてまず環境影響評価がしっかりと進められるということが大変重要なことだと思っております。その中でいろいろな課題も検討がなされるというふうに考えております。

島田分科員 通告をしていなくてまことに申しわけないんですけれども、大臣、今聞かれて、私ども、特に西多摩から奥多摩の方とか、アユというものに対して、もう孫の何とか代から、何としても、アユを釣るという季節になると、アユがどうなったかというようなことを考えて、最近は、琵琶湖から持ってくるアユの稚魚を放すと、ウに全部何か集中して、川になじまないらしいんですね。集団的な行為を起こしちゃうものですから、すぐ、放した途端に、もう二、三日で全部何か食べられちゃうというような状況なんですね。

 ですから、やはり自然のアユとの一体化というものを何としてもここで、せっかくこれで百万匹というような形のものが自然に、これはもう皆さん方のいろいろな努力がされて、魚道を多摩川にずっとつくってこられたりして、それで初めてこういう状況が出てきたと思いますので、ぜひその辺について、大臣としてどんな御感想を持っておられるかを聞かせていただけないでしょうか。

石原国務大臣 島田先生のお地元は、東京でも渓流があったりして大変すばらしい地域でございまして、そこにアユがかつてはかなりの数生息していた。もちろん、多摩川を上っていくということだと思いますが、私も羽田をこの間見てきまして、羽田の河口のところがやはり砂が堆積しますので干潟状になって、そこに藻が生えることによって稚魚が生息しやすい環境というものがあるんだと思うのです。やはり産卵は秋でございますので、季節ごとにどういうふうになっているかということを、まだ時間がございますのでしっかりと見て、政府参考人の方からも御答弁させていただきましたけれども、環境保全上問題がある場合は必要な措置をとる、生態系の維持というものも都市再生とあわせて重要なポイントであると認識しております。

島田分科員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ちょっと問題が変わりますけれども、運輸審議会の中で議論されておりました、私、都議会時代の課題でもありましたけれども、地元の問題で五日市線の複線化ということについて、秋留台基本構想とか、首都圏における全体の構想の中では大きな重要な位置を占めておったわけでありますけれども、五日市線の複線化の問題についてお伺いをすると同時に、実はこの問題は、横沢入というところがありまして、JRが高級住宅をつくる、人口増を誘導する、そして複線化をしていく。そのために今JRが、大きなところの里地里山の中、この間、環境委員会で答弁もありましたように、国家戦略の中で重要な役割、里地里山として重要な位置づけをする、そして閣議決定によってこれも推進していくんだという答弁があったわけですね。そういう面ではJR東が持っている重要な地域との関連もあるものですから、五日市線の複線化についてどんなお考えでありますでしょうか。

丸山政府参考人 五日市線につきましては、今先生御指摘ございましたように、運輸政策審議会の中で、輸送力増強をする、こういうふうな位置づけをされておるところでございます。

 五日市線、最近の状況を見ますと、利用客はほぼ横ばい状況でございますけれども、ラッシュ時の混雑率は一九〇%ということで、非常に高い。したがって、JR東日本におきましても、輸送力の増強が必要だという認識は持っているところでございます。

 ただ、先生も御地元でよく御存じだと思いますが、拝島駅には青梅線、八高線が五日市線に加えて合流しておるというところでございまして、五日市線の混雑緩和を図るというためには、五日市線単独で考えるわけにはなかなかいかない。これらの合流するすべての路線、中央線も含めて検討を進める必要があるという状況でございます。

 こういう状況でございまして、今、東日本におきましては、五日市線を含めまして中央線沿線全体の輸送力増強について検討しておるというような状況でございます。

島田分科員 もう時間になりましたので、羽田の再拡張計画に伴いましては、ぜひ自然環境を、特に、アユと同時に江戸前ハゼも相当ふえてきているようでありますから、そういう面で全体の東京湾の再生ということを含めて御努力されますように心からお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中野主査 これにて島田久君の質疑は終了いたしました。

 次に、早川忠孝君。

早川分科員 自由民主党の早川忠孝でございます。決算行政監視委員会における質問というのが初めてでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、決算行政監視委員会の委員に就任をさせていただいて考えましたことは、まず、この委員会の役割はどうであるか、通常、決算の内容をいろいろチェックしてみて、それを予算編成に反映させることが必要である、こういうふうに考えているわけであります。しかしながら、会計検査院の検査ではあくまでも金銭管理上の問題が主となっていて、行政上の課題についての評価ということについては十分でない。そういう意味では、国会における決算行政監視委員会は、まさに行政の一つの方向を示すという意味で大事な役割を持っている、こういうふうな観点で国土交通省にお伺いをしていきたいと思います。

 特に、最近の報道等で国民年金問題等が出てきて、国民の関心というのがもうあっという間に変わってしまうんだ、移ろいやすいものだということで、いささか愕然としているわけでございますけれども、今月の七日でございますけれども、三菱ふそうトラックの前会長らが逮捕されたという事件がございました。三菱自動車製の大型車のタイヤが脱輪した、死傷者を発生したこの事件に関してでございます。

 二〇〇〇年の段階で、既に三菱自動車についてはリコール隠し事件でその企業倫理の欠如した行動が批判されたという事実がございます。それ以前にも同様のことがあったということでございまして、当時は国土交通省ではなく運輸省でございますけれども、これはいわゆる内部通報により発覚したということでございます。それ以外にも、最近は鳥インフルエンザ事件、あるいは雪印の事件等がございます。

 そういうことで、日本の社会全体について、いわゆる法令を遵守するという風土をどうしてもつくり上げていく必要があるだろう。いわゆるコンプライアンスの問題でございますけれども、まず、現在、公益通報者保護制度というのが内閣委員会等で審議をされているわけでございますけれども、私自身は、公益通報の一環として、当時の運輸省へ通報があったということは非常に重要視しなきゃいけないというふうに考えております。

 そこで、国土交通省にお伺いいたしますけれども、国土交通省にはどのような通報があり、それがどのように調査に結びついたのかについて、お伺いいたします。

峰久政府参考人 先生御指摘ありましたように、平成十二年の案件につきましては、当時の運輸省に情報提供がございまして、それで、その情報も活用しつつ調査を進めた結果、虚偽報告、いわゆるクレーム隠しでございますが、それと同時に、リコール届けをせずに内密に回収、修理を行っていたというリコール隠しが発覚しまして、それで罰則の適用を受けたところでございます。

 今回の件につきましては、内部からの情報提供というのは、今のところ承知しておりません。それで、我々、いわゆるユーザーの方でありますとかそういう関連の方々からの商品に対しますいろいろな情報提供がございますので、監査のときなどにそういうものももとにしながら、そういう状況も根拠にしながら監査などをしてやってきたところでございます。

早川分科員 念のためでありますけれども、今回の件について、三菱自動車に対して告発をされたということでございます。その他、どのような処分をなされているかについてお伺いいたします。

峰久政府参考人 御指摘のように、虚偽報告という形で告発をしましたが、それと同時に、いわゆる調達につきまして、車の、役所の方が買う場合の調達でございますが、これにつきましては十八カ月間、三菱自動車あるいは三菱ふそうトラック・バスの方からは買わないということでございます。

 あわせて、処分といいますか型式の審査といいますか、そういう車の新しいものについては、審査につきましては、当時の、今回の問題でFハブなんかにつきましての検証を今やっておりますので、そういうものが終わるまでは、当然Fハブを使っているものについての承認はできませんし、その他、いろいろな根拠等について十分聞けるような体制で審査を強めていくということにしております。

早川分科員 私自身は、公益通報者保護制度、いろいろ批判もございますけれども、しかし、現時点において、公益通報をされる方々を解雇あるいはその他不利益な処分から解放させるための法的な担保を明文化するということと、いま一つ重要なことは、企業内部においてまさに法令を遵守するような、そういう体制をつくること、さらに、こういったいわゆる公益通報がなされた場合に、関係の官公署において正しくそれに対応する姿勢、体制を整備していただく、そういう必要があるだろうと思う。そういう意味で、公益通報者保護法をぜひともこの国会で成立させなければならないというふうに考えております。

 そこで、国土交通省に対してお伺いいたしますけれども、法が成立をした場合に、今後公益通報がなされた場合に、国土交通省におけるその体制の整備についてはどのようにお考えでありましょうか。

峰久政府参考人 今回の件につきましても、内部からいろいろな通報があった場合には、やはりその内容によってはでございますけれども、もっと早くリコールになったということは、可能性はあると思います。そういう意味も含めまして、国土交通省の今後の体制の整備については、今非常に体制が、リコール案件がふえているにもかかわらず体制が非常に少ないというような点、あるいは、そういうような体制自体じゃなくて、そもそも情報提供があった場合に、それを、重要な案件についてはその情報を素早く我々で検査できるように、あるいは証明していけるような、そういう体制も整備していかなければいけないというふうに思っております。

早川分科員 私は自由民主党の独禁法調査会の審議に参加をしておりまして、先週の金曜日に独占禁止法の見直しに関する取りまとめ案が一応まとまりました。公正取引委員会でいわゆるコンプライアンス体制を確立するという趣旨で、大幅に公正取引委員会の権限の強化、あるいは違反した事業者等に対する課徴金の金額の引き上げその他の議論をしてまいりました。しかし、今国会では残念ながら審議期間が十分とれないということの中で、本年中に独占禁止法の改正を実現しようということで、その考え方の取りまとめをしたわけであります。

 これは昨年の十月十四日のいわゆる「小泉改革宣言」、「自民党政権公約二〇〇三」の中に「自由な経済活動を保証し、企業の国際競争力を強化する観点から、強制調査権限の付与等、公正取引委員会の権限強化や課徴金の大幅引き上げ等を行う独占禁止法改正案を二〇〇四年中に国会に提出するとともに、人員を大幅に増強する。」さらに、本年一月十九日の総理大臣の施政方針演説の中で、二十一世紀にふさわしい競争政策を確立するため、独禁法の見直しに取り組みます、こういう総理の強い方針のもとで進めているわけでございます。

 しかし、今のところまだいろいろ議論が残っていることは間違いないところで、そのうちの一つが、「公共調達において、価格だけでなく技術や品質を含めた評価の下で、健全な競争が行われるようにするため、入札・契約制度の一層の改革及び運用の適正化を進めるとともに、いわゆる「官製談合」の防止の実効性を確保するために入札談合等関与行為防止法の所要の見直しを行うこと」ということが取りまとめ案の中に入ってございます。

 さらにもう一点、「いわゆるダンピング受注は、工事の手抜き、下請へのしわ寄せ等につながりやすいことから、各発注官庁等においては、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用するなど、建設業におけるダンピング受注の問題に対して具体的かつ実効性のある措置を講ずること」、この二点が国土交通省に関係する部分だろうと思います。

 そこで、国土交通省にお伺いいたします。

 官製談合の防止に向けて、国土交通省はどのように取り組んでおられましょうか。

澤井政府参考人 発注者が入札談合に関与するいわゆる官製談合につきましては、発注者の優越的な地位の乱用という意味からも厳に戒めるべきものであり、その防止を図ることは極めて重要だと考えております。

 私どもでは、このような問題への対応を含めまして、入札契約適正化法によりまして、例えば指名基準、どのような業者を指名するかという基準、あるいは実際に選定された指名業者の選定理由、これをあらかじめ公表することによりまして恣意的な指名を困難とするというような取り組みを初めといたしまして、入札契約に係る情報の公表など、入札契約の透明化あるいは不正行為防止等のためにすべての発注者が共通して取り組むことが必要な措置が、この入札契約適正化法に基づいて定められております。

 国土交通省では、財務省あるいは総務省と連携いたしまして、これらの措置の実施状況につきまして、毎年、国、特殊法人、都道府県、市町村に至るまですべて調査をし、フォローアップをしております。このフォローアップ等によって、各発注者における適正化措置の実施を促進し、入札契約制度の適正化を推進することで、一般的にまず不正行為の排除を図ろうということをしております。

 また、こうした具体の入札におきます取り組みの適正化の推進とあわせまして、制度を運用する職員に対する教育研修などを実施しているところでありまして、今後ともその徹底を図ってまいる所存であります。

 さらに、平成十四年七月に成立しましたいわゆる官製談合防止法につきましても、発注職員に対してその遵守の徹底を図ってまいる考えであります。

早川分科員 本年の四月の二十八日に、公正取引委員会が「公共建設工事に係る低価格入札問題への取組について」というペーパーを出しております。

 それによりますと、

  最近、国や都道府県等が発注する公共建設工事に係る入札において、入札参加業者が、発注者の定める予定価格を大きく下回る価格で応札・落札する、いわゆるダンピング受注の問題が全国的に生じていると指摘されている。公共建設工事において、採算を度外視した極端な安値受注が繰り返され、他の事業者が受注の機会を得られないなどにより、競争事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には独占禁止法で禁止する不当廉売として問題となることから、公正取引委員会は、平成十五年十一月以降、国土交通省及び各都道府県に対し、低入札価格調査制度に基づく調査の対象となった公共建設工事等について情報提供を依頼している。

  現在までのところ、国土交通省及び各都道府県からは、約七百件の公共建設工事等について情報の提供があり、公正取引委員会は、そのうち、比較的早い時期に提供を受けた情報に基づき、発注者から複数回にわたって低入札価格調査制度に基づく調査を受けた事業者などのうち長野県所在の三社及び青森県所在の二社の合計五社を対象として、事情聴取を行うなど調査を行ってきた。

こういう報告がなされています。

 国土交通省にこういった調査依頼、情報提供の依頼があったということでございますけれども、現実にこの状況はいかがであるか、国土交通省からお答えをお願いいたします。

澤井政府参考人 いわゆるダンピング受注ということでございまして、直轄あるいは都道府県、市町村、それぞれについて数字が例えばどのぐらいあったかというあたりの数字を今手元に持っておりません。

 若干一般論になりますけれども、ダンピング受注につきましては、いわば安かろう、悪かろうということで、一つには公共工事の品質の確保に当然支障が行くことになります、及ぼしかねないと思います。さらに、加えまして、下請へのしわ寄せとかあるいは労働条件、賃金を初めとする労働条件の悪化ですとか、あるいは安全対策の不徹底ということにつながることも懸念しておりまして、その排除の徹底を図らなければいけないと我々は考えております。

 平成十三年三月に閣議決定されました入契法に基づく適正化指針、ガイドラインにおきましては、すべての公共工事の発注者が、低入札価格調査制度または最低制限価格制度を適切に活用して、ダンピング受注の排除を図るものとされております。

 先ほど申し上げましたが、このフォローアップの一環として、国土交通省では、その措置状況の実態調査を行うとともに、すべての発注者がこれらの制度を活用すること等により適切に対処するよう、総務省、財務省と連携して働きかけをしております。

 特に、直轄工事については、これをさらに実質的に担保するために、低入札価格調査対象工事につきましては、過去の工事で品質に問題があった企業が受注した場合に、手抜き工事等を防止するために受注者に技術者の増員を求めるという措置、あるいは、受注してから工事を完成することを保証してもらうために履行保証制度というのを使っておりますけれども、通常は履行保証の割合が請負金額の一割でありますけれども、こういった低入札価格調査については三割まで保証割合を引き上げる、あるいは通常は四割の前払い金を二割に縮減するというようなことで、ダンピング受注を防ぐための対策を実施しております。

 さらに、ダンピング受注の排除に加えまして、品質を確保するとともに、業の健全な発展を図るという観点から、いわゆる価格だけで競争するという方式を見直しまして、個々の企業の技術力あるいは仕事のできばえというものを適正に評価して、これを入札参加にも反映させていくということが重要だと思っておりまして、このため、例えば、一つには総合評価方式というものを積極的に今導入しております。

 例えば、工事に伴います騒音とかあるいは水質汚濁、そういったものを低減する工夫、あるいは全体としての工期を短縮する工夫などに関する企業からの提案をあわせまして、価格の要素とそうした提案要素を総合的に評価して落札者を決定する方式、総合評価方式でございます。

 あるいは、よく見かける工事ですけれども、道路の舗装、これなども、よく見ますと、敷きならしが均一にできているかどうかというあたりは、かなり仕事の丁寧さあるいは技術力によって違います。そういった施工のできばえをある工事が終わったときにきちんと検査、評定をしまして、いい成績をとった業者についてそのいい成績を次の入札参加に反映していく、これも基礎的な非常に重要な取り組みだと思っておりますけれども、そういった取り組みを直轄を先導役として広げていきたい、このようなことを考えております。

早川分科員 いずれにしましても、日本、我が社会はいわゆる談合社会だと言われておりまして、これを何とか法令遵守の法治社会に変えていかなきゃいけない、そういう大きな流れでございます。

 そういう状況の中で、しかし、いろいろな問題点もあるものは、やはり関係方面でしかるべき対処をしていかなきゃいけない。しかし、そうはいいましても、やはり一般の国民の要望するところに基づいての独占禁止法の改正は、何としても今年中に実現をしなければならないというふうに私は考えております。

 昨日、新河岸川流域総合治水対策事業の一環としての朝霞調節池の供用開始式に参加をしてまいりました。これは私の選挙区内であります朝霞市の中における事業でありますけれども、昭和五十五年から開始をして、ようやく平成十六年になって供用開始になった。

 その際、いろいろ御説明をいただいて、地域のいわゆる洪水被害等が実は国土のさまざまな利用形態の変化によって大きく変わってきた。上流地域において都市化が進行することによって、逆に保水力が落ちてきて、低地の方に今まで想定できなかったほどの雨水等が流入してくる、こういう関係にある。

 そうしますと、やはり国土交通省のなすべき課題、国土をどのように利用するか、あるいは保全するかということは、国としてどうしても責任を持ってやっていかなければならない。そういう意味で、国土交通省のなすべき事業というのは非常に大きいなというふうに改めて再確認をいたしました。

 そこで、きょうは道路の整備の関係についてお伺いいたします。

 たくさんの行政課題がある中で、どの地域のどういった事業を優先するかというのは非常に大きな困難を伴うところでございます。しかし、そういった場合に、いわゆる成果主義等を勘案して優先順位をつけていかなければならない。

 私の地元であります朝霞あるいは和光、志木の地域、さらには新座市には、その中央部分を国道二百五十四号線が通っております。これが、地域のいわゆる活性化というか、住民がふえていくという状況の中で、また、しかもモータリゼーションがどんどん進行する中で、非常に渋滞をしているという現状にございます。まして、陸上自衛隊の朝霞駐屯地があって、関東地域の、首都圏の防衛の非常に枢要な部分を担っているというところでございます。

 しかしながら、いわゆる川越街道が、国道二百五十四号線が混雑をするといって大事なときにその機能を果たせないということになりますと、大変なことになってしまうだろう。そういう意味で、まずいわゆる川越街道の現状についてどのように認識をされているか、国土交通省にお伺いいたします。

佐藤政府参考人 先生御指摘の川越街道、国道二百五十四号でございますが、まず現状について御説明申し上げたいと思います。

 二百五十四号は、東京の文京区が起点でございまして、長野県の松本市に至ります延長が二百八十四キロの幹線道路でありますが、埼玉県内の延長が約百十キロでございます。

 この百十キロのうち、四車線が四十六キロ、それから二車線が六十三キロ、こういう状態でございまして、最新の交通センサス、全国の交通量の調査、この結果で申し上げますと、和光市の中央では、四車線区間でございますが四万七千台、それから大井町の亀久保地区、ここは二車線でございますが約二万台、大変な交通量が通っておるわけでございまして、そういう意味で、特に和光市と新座市の間、ここが市街地を通過しておって慢性的な渋滞が生じている、こういう状況である。

 この和光と新座の間には四カ所の主要な渋滞ポイントがございまして、各箇所の最大の渋滞長が八百メートルから千二百五十メートル、最大の通過時間がそれぞれ八分から二十五分、こういうことでございまして、なかなか厳しい状況である、こういうふうに認識しております。

早川分科員 今のような道路渋滞の状況から、結果的にはトラック等が脇道に入ってくる、いわゆる生活道路を通行することによって、近隣の住民にとって非常に危ない状態、あるいは交通事故も発生するということになっています。

 そういう意味で、いわゆる二五四バイパス、国道二百五十四号線和光バイパスの整備事業が地元から熱望されているところでございますが、その進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。

佐藤政府参考人 そこで、和光富士見バイパスが計画事業を進めさせていただいているわけでございますが、この場合、このバイパス整備ができ上がりますと、現在の四カ所の渋滞ポイント、これが解消されて、和光から新座の間、先ほどの渋滞ポイントを通っていきますと、約七キロちょっとでございますが大体四十五分かかるという状況でございますが、これが大体三分の一ぐらいには短縮できるであろうということでございます。

 したがいまして、この和光富士見バイパス、これが東京の外郭環状道路から富士見川越道路まで有料道路で供用しておりますが、これを重点的に整備しようということで、全体が約七キロでございますが、一千億かかるという大事業でもございますので、このうち特に東京外郭環状道路から主要地方道の朝霞蕨線まで二・六キロを第一期の整備区間として選択的、重点的に集中して実施する、こういうことで整備を進めているところでございます。

 平成四年度に東京外郭環状道路の接続区間〇・六キロは既に供用させていただいているわけでございますが、残る二キロの区間につきまして用地買収と改良工事を推進中でございまして、用地の進捗率が約九六%となっている、こういう状態でございます。

 これは県の事業でやっておりますが、県といたしましても、先ほど先生が御指摘の現実を評価しながら、いろいろな整備区間を評価しながら重点整備区間を決めているということでございますが、重点整備箇所に位置づけまして、十六年度事業費は昨年度、十五年度の十一億円の四割増し、十五億円を投入して、重点的な整備に向かって努力している、こういう状況でございます。

 この第一期整備区間につきましては、平成十九年に供用しようということで、残る四・三キロにつきましては、この二・六キロの見通しを踏まえながら、引き続きの本格的な用地買収、こういった形の取り組みをやってまいりたい、こんなふうに今、重点的にやろうという体制を整えているところでございます。

早川分科員 本当に、地元関係市がそういう期成同盟を設けて、何としてもこれは早期に完成をしていただきたい。

 地域全体の福祉の向上のみならず、自衛隊等が南関東大地震というふうなこういう緊急事態に対処するときに、道路交通のアクセスが十分でないために活動ができなくて大変な被害の拡大をもたらすということがあってはならない。そういう意味では、この朝霞地区には荒川が流れておりまして、荒川の舟運等も当然活用する。広大なまだ開発されていない市街化調整区域も残されているという意味では、関東全域にとっても非常に重要な地域なのではないかというふうに考えています。

 今後もさらに事業の進展に御助力を賜りますようお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中野主査 これにて早川忠孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、村越祐民君。

村越分科員 民主党の村越祐民でございます。

 私は、千葉県選出の国会議員として、とりわけ浦安市、市川市選出ということもありまして、羽田空港の再拡張事業、中でも、新たに建設予定になっています四本目のD滑走路の建設に関して専ら質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、公共事業についての私の考え方を述べさせていただきたいと思います。

 公共事業による有効需要の拡大という景気刺激という面での有効性は、ここ最近の実績から見ましても非常に多くの疑問が残るところでありまして、今後行われる公共事業は、あくまでも社会厚生の面を重視して議論、検討がなされるべきだと私は考えております。

 そのような社会厚生の点でこの羽田空港拡張事業を考えていきますと、この事業による便益というのは、地域住民のみならず、内外から東京へやってくる旅行者や乗りかえの利用者などに広く享受される可能性は確かにあろうかと思います。しかし、その裏で、騒音に代表される多くの環境問題が発生する可能性も同時に多くあるわけでございます。

 私は、この環境と安全について、もちろんこれらは本来対立する概念ではないとは思いますが、今回の羽田問題については、環境と安全の二面から議論をする必要があると痛感をしております。

 私は、三月の二日に国土交通省の方にこの件でお話をお伺いしました。その際、その説明の中で、千葉県が要請しているいわゆるD滑走路の角度の変更については、安全の確保という点で難しいとのお話がございました。つまり、新滑走路を既存の滑走路に平行させて建設する計画になっているところを角度をずらしてしまうと、ハの字形にすると、航空機同士がぶつかるおそれが高まるということでした。

 万が一そのような事故が発生することになりましては大惨事になるわけですから、安全確保に国が最大限努力をするべきなのは確かだと思います。ただし、その陰で、環境が犠牲になってしまっていることを同時に考えなくてはいけないのではないでしょうか。

 このD滑走路の角度については、騒音防止という環境面を考慮しますと安全面を犠牲にすることになる、逆に、安全にだけこだわると環境を大きく犠牲にすることになります。飛行航路についても同じことが言えます。騒音防止のために高度の高いところから急角度で着陸をしたり、あるいは都市部を避けるために急旋回をすれば、安全面に不安が出てくることもあるんでしょう。

 このように考えますと、環境と安全はいわばトレードオフの関係と見ることもできるわけです。したがいまして、環境の犠牲と安全の犠牲とどちらが大きいのか、これを科学的にしっかりと研究調査することなしに、事業計画を実行することはあり得ないんだと思います。

 先ほど申し上げたとおり、およそ公共事業とは社会厚生を最大化するべく行われるべきでありまして、環境と安全のバランスを最適化するように、特に環境については、不利益をこうむるであろう地域住民の理解を得ることに最大限努力をして行われるべきだと考えます。その点から見まして、環境と安全、それぞれに対する国土交通省の研究調査を比較しますと、環境に対する取り組みがひどくおろそかになっている感が否めないのであります。以前いただいた説明の中には、環境基準が達成されているから問題ない、そういった旨のお話もありました。そうだとすれば、安全の方も、最低限の安全基準をクリアしていればよいということになるわけです。

 私の主張ないしは千葉県の主張は、次の二点であります。まず、環境に対する影響をもっと真摯に調査していただきたい、もう一点は、環境基準の達成ではなくて、安全面と同様に環境面にも最大限の配慮をしていただくこと、この二点であります。

 以下に、明快な御答弁をお願いした上で具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 まず、事実の確認も含めてお伺いをしたいのですが、二月の二十五日、千葉県議会全員協議会にて、この問題について国土交通省に対して質疑を行いました。それに引き続いて三月の四日、千葉県議会にて、「羽田空港再拡張後の飛行ルートに関する決議」並びに「羽田空港再拡張後の飛行ルートに係る国土交通省案に対する意見書」を全会一致で採決し、同日、県議会議長より林国土交通副大臣あてに意見書及び決議書を手渡ししていると承っておりますが、以上、間違いがないでしょうか。

石川政府参考人 羽田空港の再拡張後の飛行ルート案でございますが、これにつきましては、今御質問のあった前の二月九日に、羽田空港再拡張事業に関する協議会、千葉県知事、東京都知事、埼玉、神奈川県知事、それから関係の市長、さらには国土交通大臣が入った協議会でございますが、この協議会において、飛行ルート案について基本案と分散ケースというものを提示させていただいたわけでございます。

 これらの飛行ルート案を作成するに当たりまして、関係自治体と相談を行ってきたところでありますが、特に千葉県に対しましては、大臣みずからも千葉県に足を運んでいただきましたし、私自身も千葉県知事と十数回にわたってお話をさせていただきましたし、さらに部課長クラスになりますれば数十回にわたりまして千葉県と相談、意見交換を重ねてきたわけでございます。

 こういうことを行った上で、二月九日に分散案と基本案を提示させていただいたわけでございますが、さらには、その二月九日の前の二月二日には、千葉県知事と関係十四市の市長さん方に対しまして事前説明を行いました。

 二月九日以降でございますが、二月二十日に浦安市に個別の説明を行いました。さらには、今お話がありましたように、二月の二十五日に千葉県の議会の全員協議会という場に説明をさせていただいたところでございます。さらに、二月の二十六日、二十七日に千葉県の関係十四市への説明を行いました。さらには、三月の二十五日、二十六日には、それまでいただいた質問や御意見等を踏まえまして、さらに個別の具体的な説明をしたところでございます。

 そのような状況の中で、さらに三月四日には千葉県議会において意見書が可決され、同日、林副大臣に意見書が手渡されたということは御指摘のとおりでございます。

村越分科員 今、局長じきじきに長々と御説明いただいたわけですけれども、いろいろ役所の方から直接、県並びに浦安市に出向いていただいて、御説明いただいているということなんですが、残念ながら、千葉県の方では、説明責任が十分になされていないのではないかといって怒っている人がたくさんいるわけでして、それだけ足しげく通っていただいているのに住民が納得できないというのはどういうことなのかなと、私も首をかしげてしまうんです。

 いずれにしましても、大臣が直接千葉県にお出ましいただいて協議をしていただいているということですから、先ほど私が御説明させていただいたこの二つの県から出ている文書に対して、大臣は直接、これ全部ごらんになっているのでしょうか。もちろん、非常に重要な事業ですので、大臣が直接イニシアチブをとってなされているとは容易に想像がつくところですけれども、確認のため、お伺いしたいと思います。

石原国務大臣 事務局より説明を受けております。

村越分科員 それでは、どういった指示を具体的に出されているのでしょうか。もし何かあれば、大臣からお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 先ほど村越委員が意見の御開陳の中でお示しされましたように、この羽田空港の四番目の滑走路というのはナショナルプロジェクトであります。まさに国益がかかっている。というのは、今度は、この四本目の滑走路を開設することによりまして、国内の需要に対応することはもとより、現在二十八万回の発着回数が四十一万回になり、このうちの三万回を国際線に割り当てる、そういう意味でアジアの国々の期待というものも高いわけですし、アジアの中の日本、東アジアの中の日本、中国と日本の関係、こういうものを考え合わせますと、この四本目の滑走路というものは、本当にできる限り早く開設していかなければならないと思っております。

 その一方で、先ほども島田委員との議論の中でなったんですけれども、やはりあそこには稚アユがいるわけですね。生態系を破壊してはならないといったような環境の問題、さらに、人的影響というものでは騒音の問題というものがあるわけでございます。

 これを委員はトレードオフとはっきりとおっしゃったわけですが、私はやはり、どちらかを優先してどちらかを切り離す問題ではないと思っております。両者が納得できる、もちろん、飛行場でありますので、安全というものが第一であることは間違いございませんけれども、さまざまな航空技術というもの、あるいは施工技術というものを使って、千葉県の方々が御納得できる案をつくれ、こういう指示を端的に申しますと出しているところでございます。

村越分科員 私も、もう今の御答弁から推察しているところですけれども、もちろん、すべての公共事業が悪だというわけではなくて、やはり国民の皆様の税金を投入するわけですから、二十年後、三十年後を見ても、ああ、この事業はよかったなと言われるところにやはり我々はお金を使うべきでありまして、そのお金の使い道に関しては、大臣のお考えからもよくわかりましたが、やはりきちっと検討してから決めるべきではないか、そういったスタンスで御質問をさせていただいているわけであります。

 以下、もうちょっと、その千葉から出されている意見書ないしは要請に関して、検討状況、進捗状況を確認の上でお伺いしたいと思います。

 この千葉県から出されている意見書の中には、要請が八項目ございます。これは当然、大臣もすべて御存じかと思いますが、この八項目について意見書が提出されてからおおむね二カ月がたっているわけですけれども、その後の検討、それから調査の進捗はどうなっているんでしょうか。それぞれの項目につきまして御説明をいただければ幸いでございます。

石川政府参考人 先ほどお話がありましたように、私どもとして二月九日に案を提示した以降、御意見がありました。私どもの提案した案は、今お話がございましたけれども、安全あるいは環境、双方に十分配慮して、最新の管制技術を駆使して案をつくっているというふうに考えておりますけれども、いただいた意見書の各項目につきまして、安全に運用可能であるかどうか、環境面で問題はないかどうか、管制運用上、あるいはさらに運航者の意見など、さまざまな観点から現在検討を行っているところでございまして、私どもとしても、できるだけ早く回答したいと考えております。――各項目についてでございますか。(村越分科員「はい」と呼ぶ)

 それでは、ちょっと長くなりますが、各項目について御説明させていただきます。

 一つが、最初に着陸ルートにおけるいわゆる神奈川ルートについてでございますが、これにつきましては、基本的に着陸ルートということについては二つございまして、一つが木更津を通過するルートの一部を海上を飛行するということを検討したわけでございますが、さらに神奈川県、都心部の北上ルートというものについて、限られた時間でありますけれども、提案をさせていただいているわけであります。

 これにつきましては、千葉県サイドからは終日運航というふうな御意見が出ているわけでございます。これにつきましても今検討しておりますけれども、この神奈川・都心北上ルートというものにつきましては、極めて限られた空間の上での運航という意味で、私ども、特定の時間に限って可能であるという形の案を提案させていただいているわけでございますが、これにつきましても、安全性ということ、制限的な運用ということになるのではないかと考えておりますが、さらに検討中でございます。

 それから、浦安の滑走路の話でございますが、これにつきましては、先ほどもお話がありましたけれども、私どもとすれば、原案は航空機騒音が環境基準を満足するということを確認した上で、先ほどの話ではありませんが、飛行機の安全運航の確保、それから港湾機能への影響、あるいは付近を航行する船舶との関係、さらには多摩川河口部との関係、現在のC滑走路の制限表面との関係、さらには空港の周辺施設との関係というふうなさまざまな角度から考慮をする必要があるわけでございまして、これらの多様な課題を検討する必要があるということでございまして、現在、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 それから、飛行機の高度上げの件でございますが、私ども、既に木更津上空等について高度を上げるという案を御提示しているわけでございますが、そういう意味で、現状よりも環境を悪化させないという工夫を最新の管制技術、飛行方法の中で御提案をしているところでありますが、さらに千葉県からは、あるいは千葉、市原、こういうふうなところの高度を上げる、あるいは木更津の、あるいは君津の上空通過を現在より増加させないというふうな御提案をいただいているわけであります。これにつきましても、安全の問題あるいは管制技術の問題等々を加味しながら検討をしているところでございます。

 それから、深夜、早朝の取り扱いについての御意見もございましたが、これにつきましては、私ども、基本案あるいは分散案をお示ししているものにつきましては、あくまでも一日の平均的な運用というものを取りまとめたものであるというふうに考えております。

 それから、再拡張後の飛行回数についてでございますが、これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、この羽田の第四滑走路の建設というものにつきましては、現在の羽田空港が非常に需給が切迫をしていて、地方からの増便要求でありますとかさらに利用者の利便性という観点、あるいは国際化という観点から見て、発着容量を拡大するということが全国的にも要請が極めて強いわけでございます。

 こういう中で、第四本目の滑走路を完成させようということで私ども努力しているわけでございまして、この滑走路が完成いたしますと、四十・七万回という発着回数ということにつきましては、私ども確保が必要であるというふうに考えております。

 それから、騒音の予測につきましては、検討状況いかんということでございますが、これにつきましても、私ども、騒音の予測というものは、御案内のとおり、航空機騒音に係る環境基準というものに基づきまして、俗に言うWECPNLというもので評価することでございまして、これに基づいて計算をし、やるものでございます。

 機種別の騒音レベルについて一部実測値が違うという御指摘もございましたが、私どももその辺につきまして県と意見交換をしているわけでございますが、さらにデータを収集して検証していくということは必要だろうと思っておりますし、環境影響評価というのは今後進めていくというふうに考えております。

 それから、情報公開ということにつきましては、私ども、先ほど申し上げましたように、以前から関係の自治体に対しまして、いろいろな機会を設けいろいろと御説明をし、必要な情報については提供しているというふうに考えておりますが、さらに必要があれば、わかりやすい情報提供ということについては心がけていきたいと考えております。

 それから、最後に入札の問題でございますが、現在、御案内のとおり、この第四滑走路につきましては、十六年度予算に事業化が認められております。したがいまして、私どもとしてできるだけ早期に入札契約手続に入りたいというふうに考えておりまして、現在、国土交通省内部においてそのための準備を行っているところでございます。

 以上でございます。

村越分科員 去る三月三十一日に、附帯決議がついた上で東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法が成立しているわけですけれども、この附帯決議の中に、まず一つ目に「緊急整備事業の円滑な推進を図るため、より一層のコスト削減と必要な資金の確保に努めることとし、地方公共団体の理解と協力を得つつ周辺地域との調和ある発展に努めること。」と、二つ目に「東京国際空港における飛行ルートの設定等については、航空機騒音等の影響を受ける関係地方公共団体と協議の上、その意見を十分に聴き、環境対策等に万全を期すること。」というふうに、二つあるわけですけれども、これは、関係地方公共団体の理解を得ることなしには本法の施行ができないという理解でよろしいのでしょうか。

石川政府参考人 私どもといたしましては、羽田空港の再拡張事業を円滑に推進するため、千葉県を初めとする関係自治体の理解と協力を得るように、引き続き最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

村越分科員 最大限の努力をしていただく、そして、先ほど八項目を具体的にお答えいただいたわけですけれども、四十万七千回というのは堅持する、こだわるというところはよくわかったんですけれども、それ以外はおおむね検討中だということでした。

 先ほどの質問に戻りますが、努力をしているというふうなことをおっしゃっていましたけれども、もう一度お伺いします。この事業が成功裏に行われるにはやはり地元の理解がどうしても必要だと考えるわけですけれども、改めてお伺いしますが、関係地方公共団体の理解を得ることなしには事業が遂行できないのかどうか。つまり、関係地方公共団体に今後も引き続き真摯な説得なり議論なり説明をしていく用意があるのかどうか、そういう点からお答えいただきたいと思います。

石川政府参考人 先ほどもお話ございましたが、千葉県サイドからの意見書が提出されてから二カ月たったわけでございますが、私ども、この間、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く回答したいということで検討をしているわけでございます。

 繰り返しになるかもしれませんが、案を提示する前にもかなり私どもとしては関係自治体等とも協議をしてきたつもりでございますし、これからこの意見書につきましても、時間は少しかかっているといえばいる、あるいは十分検討しているといえば、二カ月かかったといえばかかったかもしれませんが、いずれにしてもできるだけ早く回答して、なおかつ、先ほど申し上げましたように、事業の円滑な実施を図るためにも理解と協力を得るように最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

村越分科員 最大限の努力をしてくださることはよくわかったんですが、私が伺っているのはこの附帯決議の解釈のことであります。

 もう一度最後にお伺いしますけれども、この附帯決議をどういうふうにお考えになっておられるのか。地方公共団体が本当に納得いく形を皆さんが提示されてから、入札を進めるなり事業を開始するなりというプロセスをちゃんと踏むおつもりがあるのかどうか、附帯決議の解釈についてお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 附帯決議の解釈を私めが申し上げていいかどうかはわかりませんが、私どもとしては、地方自治体の理解と協力を得て事業を推進するように努力をしろという趣旨だと理解をしております。

村越分科員 この点に関してはそれぐらいでやめておきます。

 先ほど、できるだけ早期にこの事業化を進めるために入札の準備を行っているというふうにおっしゃっていましたが、具体的にはどのような準備を進めておられるのか、お伺いしたいと思います。

石川政府参考人 先ほど申し上げましたように、国土交通省の中で準備を進めているということでございまして、具体的には、入札契約手続につきまして、いわば入札公告のやり方、あるいは入札の仕方等々についての整理を中で準備しているわけでございます。

村越分科員 先ほど申し上げました意見書には、「千葉県及び関係市・住民の納得を得ない限り、十六年度における入札を行うべきでないことを強く求める。」というふうに書いてあるわけですけれども、この申し入れをどのようにとらえておられるのでしょうか。要するに、千葉県及び関係市の住民が納得する前に強行的に入札を行うことはないんだというふうに考えてもよろしいんでしょうか。

石川政府参考人 意見書に対する回答は、また改めて意見書に対する回答としてまとめてお答えをすることになると思いますが、先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、事業を円滑に推進するためには、関係自治体の理解と協力を得るように努力を重ねてまいりたいと考えております。

村越分科員 この意見書に対する回答をなさるということですが、先ほど来、もう二カ月たっているということを申し上げているわけですけれども、おおむねいつまでにこの回答をいただけるのか、お示しいただければと思います。

石川政府参考人 できるだけ早く回答したいと思います。

村越分科員 よくわからない御答弁です。

 そういった説明をされているから地域の住民が納得できないというふうに、皆さんそういうふうにおっしゃっているわけでして、やはりもう少し真摯に国土交通省は地元に対して説明なり調査なりをしていただきたい。そのことだけを強く申し上げまして、若干時間が余っているかもしれませんが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

中野主査 これにて村越祐民君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 民主党の大島敦でございます。

 きょうは、幾つかのテーマについて伺っていきたいと考えております。

 これまでも決算行政監視委員会、当分科会におきまして、圏央道とかあるいは上尾道路の問題につきまして何度か取り上げさせていただいております。昨年の十一月九日に選挙が終わりまして、もう一回仕切り直しなものですから、もう一度、上尾道路そして圏央道の国としての位置づけ、どういう重要性があるかについてお答えいただければ幸いでございます。

佐藤政府参考人 二点の御質問かと思います。

 圏央道と上尾道路、それぞれについて若干の御説明を申し上げさせていただきたいと思います。

 圏央道につきましては、これは全体の延長が三百キロという、首都圏を大きく回る大環状道路でございます。首都圏三環状道路の一つ、こういうふうに申し上げておるところでございまして、首都圏の交通混雑の解消と都市構造の再編成、これも大事な問題だと思っております。

 この圏央道とその他外環、それから首都高速の中央環状線、これの首都圏三環状道路の全線完成を見ました場合には、圏央道内側の主要な渋滞ポイント、約六百カ所ございますが、これがおおむね解消されまして、走行時間の短縮あるいは燃料費の減少、こうした効果で年間約四兆円ほどの効果が出てまいろうかという大事な道路でございます。

 圏央道そのものにつきまして申し上げますと、昭和六十年度から順次事業化を図っておりまして、現在、全体約三百キロのうちの二百六十六キロを事業化しているところでございます。

 また、上尾道路につきましては、延長二十キロで全体事業費が約三千億円というこれも大事な事業でございますが、国道十七号の上尾市から鴻巣市間、ここが今の十七号の中で、あえて申し上げれば、現道と交通量の関係からいくと一番渋滞が激しい、沿道環境の改善を急ぐ、こういう区間と認識しておりますし、また、さいたま新都心へのアクセス、これも大事な役割として上尾道路に期待されているところでございます。

 桶川市で圏央道と接続して、圏央道とともに広域的なネットワークを形成するということでございまして、これは必ずしも埼玉県あるいはさいたま新都心と限らずに、そういう意味で、圏央道と連携しながら、首都圏の都市構造の改編、改革、こういうものが大事な使命として両道路に期待されているところと認識しております。

大島(敦)分科員 ただいま局長から御答弁いただきました圏央道の問題、特に埼玉県ですと、南北につながる道路は幾つかあるんですけれども、東西の道路というのが非常に少ないんです。ですから、東西に埼玉県で移動しようと思いますと、なかなか時間がかかってしまう。そこで、圏央道というのは非常に有益な道路であると考えております。

 そしてもう一つは、上尾道路の問題、これも今局長から御答弁ございました。上尾道路に関しては、大宮までは一つ完成しておりまして、そして鴻巣の北、箕田以北、これは熊谷バイパスの方も完成しておりまして、北に向かって移動するに際しても時間的には大分短縮されているのかなと考えております。

 特に最近は、今の十七号国道あるいは旧中山道沿いに大型店舗が建っておりまして、その十七号そして旧中山道、その二つの交通渋滞というのが非常に激しくなっているところでございます。したがいまして、その緩和のためにも一定の施策が必要かなと考えておりまして、そうしますと、圏央道そして上尾道路というのは地域に必要な道路であると考えております。

 そして、その中で、これまでたびたび扇前大臣にこの場で御答弁していただきまして、上尾道路そして圏央道、その完成目途について、いつごろまでに完成していただくのかなという答えに関しては、平成の十九年度までには完成をするという力強い御答弁を何度もいただいております。このほど、石原伸晃大臣は、私、初めての質問になりますので、いつごろまでに完成するのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 圏央道と上尾道路の必要性につきましては、政府参考人の方から明確に御答弁をさせていただきましたが、これも従来からの方針どおり、平成十九年度の供用というものを目指している、こういうことに、大臣はかわりましたけれども、役所としては変更はございません。

大島(敦)分科員 力強い、平成十九年度ということでございまして、上尾道路なんですけれども、上尾道路というのは、これは南北に走っている道路でして、大宮から始まって上尾を通って桶川、北本、鴻巣、ちょうど今事業化されているのが桶川の川田谷地区までの、これが十一キロの区間だったかと思います。

 先日、この十一キロの区間につきまして、国土交通省の方にその進捗状況について御報告をいただきました。早いところですと、もう土地の買収が終わり、これは収用というんですか、土地の収用が終わり、そして工事に入っている区間もある。しかしながら、一部の区間についてはまだ手つかずというのですか、地元に対する説明とかこれから徐々に始まるという区間もございまして、本当に平成十九年度までに終わるかなという危惧もございますので、そこのところ、もう一度御答弁いただければ幸いでございます。

佐藤政府参考人 上尾道路の進捗状況のお尋ねでございました。

 上尾道路全体の延長といたしましては、二十キロが都市計画決定されているところでございます。そういう意味では、西大宮バイパスから鴻巣まで、こういう形になるわけでございますが、このうち、一期の事業化区間といたしまして、事業化区間十一キロ、これが圏央道と接続する、桶川のジャンクション、仮称で申し上げておりますが、ここまで接続する、これを十九年度を目標に整備を進めている、こういう状況であるわけでございます。

 この十一キロのうち、まず、第一期といいますか、主要地方道の川越上尾線を越える部分まで、ここをそういう意味では用地買収の推進、工事の推進、これを図ってきておるところでございまして、約三・二キロあるわけでございますが、ここまでは既に用地も大部分を買収し、そして十四年度から既に工事に着手してまいっておる、こういう状態でございます。

 十六年度は引き続き、この西大宮バイパスの起点から川越上尾線の間の残った用地の買収と工事を推進しているところでございますが、この川越上尾線から圏央道までの間、ここにつきましては調査設計、用地買収を推進するということで、平成十五年度当初、約五十億円の事業費でございましたが、全体、公共事業非常に厳しい中で、平成十六年度当初では二割増しの約六十億円を投入いたしまして、地元の理解をいただきながら大いに整備を進めている、こういう状況でございます。

大島(敦)分科員 特に、道路建設の場合ですと、やはり自然保護、環境整備の面からの調和というのが非常に大切になっております。

 特に、この上尾道路あるいは圏央道というところは、今、武蔵野の自然が残っているところでございまして、数多くの希少動物、数が少ない動植物がすんで、あるいは自生しているところでもございます。したがいまして、自然保護のことも十分に気を配りながら開発を推し進めなければいけないという、調和とバランス、調和が非常に大切な地域になっております。

 その中で、やはり今、埼玉県ですとオオタカ、特に埼玉圏央道オオタカ等保護対策検討委員会という委員会が設置されまして、丁寧な議論が行われているかと思います。

 その中で、これまで私も新聞等を読んでいますと、「上尾道路 共生を模索」というような記事も結構大きく取り上げられたりしていまして、その中でこの記事の中の記者さんが、「開発と自然保護の両立は、いかなる形になるのか。上尾道路建設は新たなモデルケースになるかもしれない。」というようなコメントもしておりまして、やはり新しいモデルケースとして国としては進めていらっしゃるのかなと思うんですけれども、その点に関しまして検討状況についてお答えいただければ幸いでございます。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、この圏央道と上尾道路の交差点付近周辺にオオタカ等がたくさん生息しているということが確認されまして、平成十四年の五月に、専門家から成る埼玉圏央道のオオタカ保護対策検討委員会、これを設立していただいて、そして、以来この三月まで、委員会を五回開催していただいて、営巣地周辺の緑の再生、それから緑の連続性の確保、こうした面からオオタカ保護対策等について議論をしていただいている、まさしくそういうさなかでございます。

 この第五回委員会までの検討状況につきまして中間報告として取りまとめていただいて、保護対策案について公表して、幅広く地域住民、国民の意見を聞く、こういう予定にしておりまして、これはできるだけ早く出させていただきたいというふうに思いますし、この意見を収集しましたら、また委員会でさらにそれらの意見を踏まえて保護対策を議論していただいて、早急に保護対策方針を決定できるように努力してまいりたいと思っております。

 この検討委員会におきまして、この三月に、一応これまでの検討の成果ということでまとめていただいておるわけでございますが、これにつきましては、例えばということで、緑の連続性の確保、あるいはまた、樹木の植栽に合わせまして、これを補完する機能として道路を覆う施設、シェルターのようなもの、緑のシェルター、こう申し上げればよろしいのかもしれませんが、これを設置する、こういったことも検討課題ではないかなというような御提案もいただいております。

 そういう面では、景観の面であるとか、あるいはまたコストをどういうふうに縮減しながら考えていくかといった課題がございますので、広く意見をいただきながらオオタカの保護と道路の整備の両立、これを図ってまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 自然保護の問題にも重々配慮しながら進めていただきたいと考えます。

 そしてもう一つは、やはり地元に住んでいる住民の感情というのもございます。

 これは、石原大臣に私の方から御説明しておきたいんですけれども、今、特に地権者の人たちは土地をもう売りたいんだというように皆さんおっしゃるんですけれども、そう短絡的に考えられる問題ではありません。特に、私もそうですけれども、皆さんも、住んでいるところで、そこのコミュニティーがあるところについて、立ち退けと言われたときには、一番最初は反対するのが人間の道理でして、これまで当委員会で一度御説明させていただいたんですけれども、特に川田谷地区というのは土地に対する思いが非常に重いところなんです。

 これは、今の荒川の沿岸部分というのは、江戸時代から続く農法でドロヅケという農法がございまして、昔ですとエジプト、肥沃な大地というのはナイル川のはんらんによってもたらされた、それと同じ農法でして、荒川の堆積した泥、土というのが非常に栄養分が高いものですから、それをもう何百年間にもわたって、荒川からちょうど上尾道路、今の建設される予定のところは、農業に携わっていらっしゃる方が毎年毎年土を持ってきているんです。その厚さというのが、厚いところですと一メートルぐらいあります。厚くないところでも三十センチぐらい、ちょっと内陸に入りますとございまして、そういう思いが非常に強い地域なんです。

 ですから、ただ単に、道路を建設するからどいてくれといったときの思いというのが、特に川田谷のジャンクションのところは古い家が多く、本当に、大分前から、伝統的というのか、残しておきたいような古い家屋が多い地域でして、その土地に対する思いというのを無視はできないと思っているんです。

 特に、今回の皆さんの御意見を伺うと、一たん売ると、しようがないな、国のために自分の家屋とかあるいは農地を手放すのは仕方がないなと決意してから今回の自然保護の問題があって、どうして、自分が手放すということをようやくのみ下して決めたのに、何年にもわたって今度はほっておかれている、そういう住民感情があるんです。素直に、一たん決めてから、すぐに買収とか工事にかかるというのでしたら、ある程度のみ下せるんですけれども、一たんそこでとまっているというところがございまして、その感情がなかなか地域住民の方には今のみ下せていないというところがございますので、その中でも、これまで国の方には、できるだけ前広に、土地のいろいろな、たびたびここの場でも説明してきましたけれども、相続の問題があったり、もう家も相当老朽化している問題とかあるものですから、そこのところの配慮というのをもう少し充実してほしいなと考えております。

 予算の問題もございますけれども、地域住民の気持ちを考えると、やはり用地の買収というのはある程度具体的に、私も何度か御説明していただいたんですけれども、用地の測量とか幅ぐいの設置とか設計協議とか設計説明とか、段階を踏まないと用地買収に取り組めないということもあるかと思うんですけれども、そこのところ、今の地域よりも、ほかにも徐々に声が出てきているものですから、それに対する対応というのをお答えいただければありがたいんです。

 特に、今、川田谷地域から始まって、JRの上越新幹線の区間までの間というのがこれからのところでございますから、今後の対応につきまして御答弁いただければ幸いでございます。

佐藤政府参考人 先生ただいま御指摘の区間、桶川のジャンクションから特にJR上越新幹線までの区間、この用地買収の今の状況と今後どういうふうに考えているか、こういう御指摘かと思います。

 先ほど申し上げましたように、オオタカ等の保護対策検討委員会におきまして、オオタカ保護対策を具体的にいろいろ御提案いただいてこれを固めてまいりたい、こう思っておりますが、現状で申し上げますと、平成十四年の九月に、桶川市と上尾市役所内に相談窓口を設置いたしまして、そして建物の老朽化あるいは相続の問題などで生活再建上困難な状況にある土地所有者に対して、一部の皆様から、早期用地買収に応じてほしい、こういうお申し出もあることでございますので、御相談に応じて、そしてやむを得ない事情によって早急な対応が必要な方につきましては、埼玉県や桶川市とも協議の上で買い取り請求に対応している、こういう状況でございます。

 先ほど御指摘の、桶川市の川田谷地先から上日出谷地先で申し上げますと、この四月一日現在で約三六%の用地買収をそうした形で進めさせていただいている、こういう状況でございます。この四月一日現在までに、そういう意味での買い取り請求への対応、こういう形で申し上げますと、約百件の買い取り要望のうち六十九件に既に対応してきている、こういう状況ではございます。

 引き続き、こうしたやむを得ない事情によりまして早急な対応が必要、こういう方々の買い取り請求に対応してまいりたいと思いますが、さらに、先ほど申し上げましたようなオオタカ保護対策、こうした面を十分に、できるだけ早く固めながら、計画的な用地買収を、そうした住民対策といいますかが十分な合意を得て進めることができる、こういう状況ができた地区につきましては用地買収を計画的に推進する、こうした準備を今進めているところでございますので、できるだけ地元の御理解をいただきながら整備を進めてまいりたいと思っております。

大島(敦)分科員 石原大臣、お聞きいただいたとおり、圏央道の問題というのは、国の施策として必要であるとともに、地元の住民にとってもなかなか大変なところがございまして、今後とも、大臣として、圏央道の問題について注意をしていただきながら促進していただける決意を述べていただければありがたいんですけれども。

石原国務大臣 大島委員の、荒川から土を運んでくるという話は初めて聞きまして、それはやはりかなり歴史的な、多分土地がやせていて、より肥沃にしてより生産性を上げるという先人たちの知恵、そういうものを代々引き継いできた子孫の方々の思いというものは、また我々が感じるよりもより強いということが非常によくわかりました。

 その一方で、生態系の維持、保護ということも、これからの公共事業の中で、私どもは過去に乱開発をして大きな過ちを繰り返しておりますので、やはり重要でございますが、政府参考人から御答弁をさせていただきましたように、そういうやむを得ない事情、またそういう用地買収に応じる決意をされた方々の意思、気持ちというものも十分しんしゃくして圏央道の建設に当たってまいりたいと考えております。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。

 やはり今時代は動いておりまして、非常に慎重に、一歩一歩進めながらやっていただきたい、一歩一歩皆さんの合意形成を図りながら事業を進めていってほしいと思います。

 続きまして、今度は河川の問題につきましてお伺いしたいと思います。

 当分科会でもたびたび河川の問題を質問させていただく中で、特にヒートアイランド現象につきまして、前回か前々回、ここで質問しております。

 特に、ヒートアイランドというのは、都心部もそうなんですけれども、都心部で上昇気流が、これがちょうど、ドーナツ現象で周辺の都市、周辺の地域で、集中豪雨というんですか、短時間に大量の雨が降るということが今非常に多発しておりまして、このヒートアイランド、これは、もちろん温暖化現象等の対策によってそれを全体的に静めていくということもあるんですけれども、そのような気候の変動に応じて、国の施策も徐々に変わってきているかなと思います。

 その点について、まず全体的にどのような施策が、恐らく昨年だったかと思います、もう近々それが施行されると思うんですけれども、そのことについてまず御答弁いただければ幸いでございます。

清治政府参考人 河川の機能といいますか、いろいろな、空間機能についてのヒートアイランドとの関係についてのお話でございますけれども、河川は、水と緑の空間と言われているわけでありますが、これの持っている気象の緩和作用というのはあるわけでございまして、それに加えて、都市の方のお話でいきますと、都市化が進展しましたことによりまして、アスファルトであるとかコンクリートであるとか、そういうもので被覆されてしまうというようなことが地面からの水蒸気の発散を抑えてしまう、あるいは、雨が降ったときに、そのもとになる降雨が浸透しないというようなことで影響を与えているわけであります。

 これらにつきましては、都市の中の水害対策もさることながら、都市内の環境をよくするというような意味も含めまして、浸透機能を確保していくような取り組みをしていくことが必要だろうということで考えておりまして、新しい法律の中でも、そういう浸透施設、貯留あるいは浸透させていくような施設、それから流域内の緑を残していこう、こういうような考えのもとに、総合的な施策を講じているところでございます。

大島(敦)分科員 国土交通省の河川関係の考え方というのも、自然再生事業等、これまでの国の施策とは大きく変えていらっしゃっているのかなと思っています。

 その中で、特定都市河川浸水被害対策法が多分近々施行されておりまして、その中で、私の住んでいる地域ですと、江川とか鴨川とかあるいは芝川、三つ川がありまして、多分、鴨川とか江川というのはこの対象になるのかなとは思っているんですけれども、芝川も含めて、この三つの河川の、同法律で指定されるのかどうか、あるいは、その要件について伺わせていただければ幸いでございます。

清治政府参考人 今お話のありました法律は、特定都市河川浸水被害対策法という法律でございまして、昨年の六月に通していただきましたが、これが、一昨日でございます、施行される運びになりました。五月の十五日からの施行ということでございます。

 その中で、特定都市河川に指定する手続がございまして、まずは河川の指定というところから入るわけでございます。

 これにはいろいろな要件がございますが、著しい浸水被害が生じている、あるいは生じるおそれがある、これは、流域が都市化していくとか、例えば水田、畑が変わっていくというようなことも含めて、それから流域内の下水道の整備状況、こういうようなものも含めてでございます。それから、それに伴って流量がふえてくることに対して対策を講じなければならないわけでありますが、下流が都市化してしまって河川を広げるようなことが非常に難しい、あるいは上流の方でダムとか調整池とか大きい調節する施設をつくることが困難だというような川につきましては、流域内でさまざまな対策を講じていきたいということでありまして、こういう川に対しましては、流域の水害対策計画というものを策定して対策を講じていこう、それから河川管理者がみずから雨水の貯留浸透施設を整備していこう、こういうようなことが行われようとしているわけでございます。

 今お話ありました江川それから鴨川、これらの川につきましては、非常に水害の多い川でございまして、対策を一生懸命講じているわけでありますが、流域内での対策がどの程度可能かというようなことも含めまして、これは荒川の支川でございますが、指定区間ということで埼玉県知事が管理しているところでございますので、埼玉県の方で従前から、洪水の経緯であるとか都市化の動向、こういうものを踏まえて今検討中でございますので、これらの河川について、特定河川にしていくかどうかということについてこれから協議があろうかと思います。それに対して同意という手続が必要になりますが、あくまでも指定は知事ということになりまして、県の方で現在一生懸命検討しているという現状にございます。

大島(敦)分科員 どうもありがとうございました。

中野主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 午後零時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

中野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管、住宅金融公庫について質疑を続行いたします。上田勇君。

上田分科員 石原大臣、また国土交通省の皆様、早朝より、きょう一日大変御苦労さまでございます。

 私の方から何点か質疑をさせていただきますが、最初に、最近、国土交通省が発注する工事を受注しております複数の中小の建設事業者から、着手後の設計変更にかかわる問題につきまして指摘を伺いました。

 内容は、設計変更によって追加された工事の金額とか条件が当初契約のものに比べて随分と不利になっているというような、そういう内容の苦情でございまして、着手後のそうした設計変更、これはもちろん、最初の段階で想定をしている社会的な条件とか自然的な条件、こうしたものがある程度変わるということはもう避けることができないことでありますので、必要なことは理解するものでございます。

 しかし、当初の契約の段階では、一応は、その契約金額やその他の条件につきまして、発注者と受注者の間で合意に基づいて行われているわけであります。着手後の変更ということになりますと、これは必ずしも同じような立場ではなかなか協議することができないということがあるわけでありまして、例えば、受注者が設計変更によります金額が納得がいかないというふうなことだったとしても、もう既に工事が進んでいるわけでありまして、途中でとめるわけにはいかないというような事情があります。

 そうしたことがあるから、そうした設計変更についてはなるべく少なくする必要があって、必要ではありますけれどもこれはなるべく少なくする、そして、特に当初の契約になかったような新しい工種の追加などについては極力抑えていくというような、そういうルールのもとで運用されているものと理解をいたしております。

 そこでまず、現在、こうした設計変更について、どのようなルールに基づいて運用されているのか、現状をお伺いしたいと思います。

安富政府参考人 今先生の方から御指摘いただきました、国土交通省の直轄工事にかかわりますいわゆる設計変更でございますが、当然、設計変更につきましては、現地の事情等によりまして、新しい工種の追加等も含めていろんな対策が必要になってまいりますので、行う場合が生ずるわけでございますが、これについては、いたずらに行うのではなくて、本当に必要なときに設計変更をするということが必要かと思っております。

 そういう意味で、設計変更の必要が生じた場合には、新工種の追加の場合も含めて行うわけですが、一つのルールとしましては、変更見込み金額が請負代金額の三〇%を超える工事、こういうときには、原則として、契約変更ということでなく、別途契約をするということになっておりまして、三〇%を超えない工事につきまして、やむを得ない場合には設計変更ということになるわけでございます。

上田分科員 わかりました。そういうルールで運用されているということであります。

 今は、公共工事のコスト縮減ということ、大変国土交通省の方も御努力をいただいておりまして、また受注者の方もいろんな工夫をしておるんですけれども、そうした環境の中で、どうしても利益率が、従来よりは随分と利幅が低くなっている。設計変更による工事金額が圧縮をされますと全体で赤字になってしまうというようなこともあって、特に中小業者の場合などは経営自体が危ぶまれることもあるというようなことも伺いました。

 当初契約の金額というのは、これはあらかじめ納得の上でありますので、多少安いといったこともこれはやむを得ないことだろうというふうに思いますが、着手後の変更で金額が十分見てもらえないということになりますと、これはもう泣き寝入りになってしまうこともあり得るわけでありますので、ぜひお願いをしたいことは、設計変更についても、必要な経費、これは適正に計上していただくということ、そして、やはりできる限りそうした部分の工事を着手する前に、受注者と金額、工期、その他いろんな条件について十分な協議を行って、そして合意の上で着手をするというようなことにするべきだというふうに考えておりますけれども、その辺の考え方を伺いたいと思います。

安富政府参考人 先生おっしゃるように、いわゆる設計変更に伴って工期あるいは金額を変更するという場合が生ずるわけでございますが、やはり発注者と受注者は、お互いに信頼関係を持ってこれはやっていく必要があると思っております。

 そういう意味で、そういう場合にはできる限り早く変更の手続ということも行う必要がございますし、それから、先生おっしゃるように、受注者と十分協議して、いろんな問題についてお互い合意の上で行っていくということが必要かと思っております。そういう意味で、今後ともそういう指導をしていきたいというふうに考えております。

上田分科員 どうかよろしくお願いしたいというふうに思います。

 中小建設業者、依然として大変厳しい経営環境の中にありまして、こうした問題というのは本当に死活問題でございます。今おっしゃっていただいたような趣旨、これはぜひまた、契約行為を担当しております地方部局とか工事事務所の担当者の方にも念のため徹底をしていただきたいというふうにお願いをいたします。今うなずいていただいているようでございますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、今度は、ちょっとまた次の問題に移らせていただきますが、公団賃貸住宅にかかわる問題につきまして何点か質問させていただきます。

 この七月から独立行政法人都市再生機構がスタートすることになっております。私の地元にもいわゆる公団住宅、賃貸住宅がたくさんありまして、そこに居住をされている方々は、この独立行政法人に移行することによって住宅の管理のあり方とか運営のあり方、どうなっていくんだろうというようなことをとても不安に感じております。

 これも非常に短期間の間に、今まで公団もいろいろとその内容が変わってきたというようなこれまでの経緯もあり、今回は公団というものから独立行政法人、全く今までとはちょっと経営の形態が違うものに移行するわけでありますので、そうした先行きに対して不安を覚えるというのは無理からぬことではないかというふうに思います。

 この賃貸住宅にかかわる問題については、昨年の通常国会でこの独法化の法案が審議された際にも、各会派からこの問題、指摘がありまして、五月の十四日の衆議院国土交通委員会でこの法案が可決をされた際に、十一項目から成る附帯決議がつけられました。当時の扇国土交通大臣は、その趣旨を十分尊重してまいる所存であるというふうに答弁もいただいておりますが、この十一項目ある附帯決議のうち、実に六項目が賃貸住宅にかかわる内容となっておりまして、いかにこうしたことに対する懸念が心配されるかということのあらわれではないかというふうに思います。

 この附帯決議の内容について、これは衆議院の委員会で議決したものでございますので、独立行政法人移行後、これらの附帯決議の内容にどのように対応していただくのか。特に、その中でも賃貸住宅の居住者が今高齢化が進んでおります。そういう意味で、安心して住み続けられるような、そうした管理運営が必要と考えておりますけれども、御見解、伺いたいと思います。

松野政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、独立行政法人都市再生機構法案の可決の際に附帯決議がつけられまして、都市基盤整備公団から承継する既存の賃貸住宅団地につきまして、居住者の居住の安定を図ることを政策目標として明確に定めること、それから住宅や利便施設等の適切な維持管理を行い、快適な生活環境の確保に努めること、低所得の高齢者等に対する家賃の減免等に十分に配慮することなどが指摘されたところでございます。

 都市基盤整備公団は、これまでも、バリアフリー化あるいは社会福祉施設との併設など、高齢者が暮らしやすいような居住環境の整備を促進しますとともに、家賃の減額措置等、高齢者を初めとする居住者の居住の安定に対するさまざまな措置を講じてきたところでございます。

 現在、七月一日に都市再生機構が設立されるという予定でございますが、国土交通省、都市基盤整備公団等におきまして中期目標あるいは中期計画の作成作業を行っているところでございます。それらの中でも、高齢化を踏まえた居住環境の向上、居住者の居住の安定に関する事項を明確に位置づけたいと考えております。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、附帯決議を十分に踏まえまして、居住者との信頼関係を尊重しつつ、十分な意思疎通を図りながら、居住者が安定して住み続けられる生活拠点づくりに努めてまいりたいと考えております。

上田分科員 ありがとうございます。ぜひ、そういう点にしっかりと心がけていただきたいというふうに思うんです。

 また、附帯決議の中の八点目に、これは、「国土交通省の独立行政法人評価委員会には、機構の賃貸住宅の居住者の意見が参酌されるよう配慮すること。」となっております。これは、もちろん、生活の場としている居住者の人たち、その意見が反映をするということの必要性はここに書いてあるとおりなんですけれども、具体的に、このことについてはどのように対応されるお考えか、伺いたいと思います。

松野政府参考人 独立行政法人評価委員会は、独立行政法人の業務に関する評価を、第三者により、専門性及び実践的な知見を踏まえて、客観的かつ中立公正に行われるようにするという、そのために設置される機関でございまして、利害関係のない学識経験者で構成されるということでございます。

 都市再生機構に係ります評価委員会は、本年四月二十一日に第一回目の分科会を開催いたしまして、中期目標等の審議を開始したところでございます。同分科会の審議に当たっては、都市基盤整備公団等が日常把握しております賃貸住宅居住者の意見を十分に反映した中期目標等の原案を作成して提示しているところでございます。

 それから、都市再生機構の中期目標等の原案は、インターネットにより公開されております。これらについての居住者の意見につきましても、都市基盤整備公団等を通じまして随時把握しておりまして、必要に応じて分科会にもその意見を紹介するということにより、今後の審議においても十分参酌されるよう配慮してまいりたいと考えております。

上田分科員 ぜひ、その点、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 特に、いわゆる公団住宅、今度は独立行政法人の賃貸住宅ということになるわけでありますけれども、これは、独立行政法人の業務の中では、若干、やはりその性格が異なっている部分ではないかというふうに思っております。

 それはなぜかといえば、これまで公団が、住宅公団、そしていろいろと名前が変わってきましたけれども、その公団が、居住者の、特に高齢の居住者などに対してさまざまな福祉的な要素を持った対策もやってまいりまして、そうした非常に公共性の強い施策を推進してきたものでありまして、そういう意味では、独立行政法人に移行した後も、そうした性格というのはぜひ維持をしていただかなければいけないというふうに思うからでございます。

 我が党でも、今、政調の国土交通部会の中で公共住宅問題小委員会というのを設置いたしまして、いわゆる公団住宅の今後のあり方につきましていろいろな検討をさせていただいております。また、伺うところでは、自民党さんでも、公団住宅問題に関する議員連盟もつくっているというふうに聞いております。

 いわゆる公団住宅というのは、そういう意味では、国民の貴重な住宅資産であると同時に、今まで、極めて高い公共性を持った、そういった役割を果たしてきているわけでありますので、今後とも、そうした公共性を十分配慮して、そして特に、高齢の居住者の居住の安定といったことについては十分な配慮をしていただくように、重ねて御要望をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、近年、いわゆるシックハウス問題、建物から発生するホルムアルデヒドだとか、いろいろな化学物質から来る健康被害というのが非常に大きな関心を集めております。報道などでは、非常に深刻な健康被害についてのこともよく目にするわけでございます。

 国土交通省としても、これまで、関係省庁と連携してさまざまな対策に取り組んできたものだというふうに承知をいたしておりますけれども、これまで、建築基準法の改正を初めといたしまして、いろいろな制度的な面での取り組みも、成果もあるわけでありますが、特にこのシックハウス問題について、現状それから対策、今後の方針などについてお伺いしたいというふうに思います。

松野政府参考人 シックハウス問題につきましては、化学物質によります室内空気汚染ということでございまして、目や鼻、のどの痛み、あるいは頭痛等の健康被害があるということで、平成八年ごろから社会問題となってまいりました。ただし、症状が多様でございまして、発症の仕組みあるいは化学物質の発生メカニズムなど、未解明な部分が多い状況でございました。

 このため、学識経験者、関係省庁及び関連団体と連携をいたしまして、平成八年に健康住宅研究会というものを設置いたしまして、調査研究を開始いたしました。さらに、平成十二年からは室内空気対策研究会を設置いたしまして、全国の三千軒から四千五百軒ほどの住宅について、室内空気中の化学物質濃度の実態調査などを実施してきております。

 これらの調査研究結果を踏まえまして、国土交通省といたしましては、まず、平成十二年に、住宅品質確保法に基づきまして、住宅性能表示制度というのがございますが、この中で、内装材のホルムアルデヒドの発散に係る等級表示などを制度化いたしました。これは、消費者の方々に、どういう住宅であるかという情報提供するというものでございます。平成十五年七月からは、改正建築基準法施行をいたしまして、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用制限あるいは換気設備の設置の義務づけ等の建築規制を導入いたしました。また、住宅に関する相談業務あるいは紛争処理業務の支援を実施しております住宅紛争処理支援センターにおきましてシックハウス相談の業務を開始するというような、さまざまな施策を講じてきているところでございます。

 こうした取り組みの結果として、近年の室内空気中の化学物質濃度の実態調査によりますと、厚生労働省の濃度指針値を超えた住宅の割合が年々減少してきて、着々と効果を上げております。

 それから、シックハウスの対策につきましては、今後とも、従来と同様に、関係省庁と深く連携を図りまして、さらなる調査研究を実施し、必要な対策を図ってまいりたいと考えております。

上田分科員 ありがとうございます。

 シックハウスというのは、今非常に密閉性が高い建物が多いですし、新しい建材、工法を使うと、今まで予期しなかったような化学物質、それの健康被害が起きるということは、ある意味で、現代においては非常に避けるのが難しい問題なのかもしれません。

 ただ、やはり、一番生活の安定の場であります住宅、そこで安心して暮らせないということになりますと大変なことでありますので、今後とも、今までの成果も踏まえていただいた上で、ぜひ対策を強力に推進していっていただきたいことをお願い申し上げまして、少々時間早目ですが、これで終わらせていただきます。

中野主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田幸久君。

藤田(幸)分科員 民主党の藤田幸久でございます。

 きょうは、首都高速中央環状王子線に関して、大臣ほかに質問させていただきたいと思います。資料をお配りしておりますが、主要な点だけ大臣に、あとは政府参考人の方にお伺いしたいと思います。

 今、資料をお配りしておりますが、その地図を、大臣、ちょっとごらんいただきたいのでございます。一番上の地図でございますが、これは首都高王子線、昨年四月に完成をいたしましたけれども、飛鳥山トンネルというところをくぐり抜けた後、西巣鴨に向かう部分が、これは勾配が六%、六%が五百メートル続くというのはほかに類を得ない場所でございます。したがいまして、この環境、大気汚染対策ということが非常に大きな問題である、そういった背景の中から質問させていただきたいと思います。

 昨年開通してから一年以上たったわけでございますが、このいわゆる飛鳥山トンネルを出た直近の地域で、浮遊粒子状物質、SPMの年間測定調査が本年三月に完了したわけですけれども、その調査結果、これも資料に出しておりますけれども、一番右側でございますが、四カ所の用途地域すべてにおいて環境基準不適合、バツという結果が出ているんです。

 まず、この環境基準不適合という結果をどういうふうに認識しているのか、首都高速道路公団の方からお伺いをしたいと思います。

大塚参考人 首都高速道路公団の大塚でございます。

 ただいまの御質問でございます。資料がお配りされているということでございますので、それに沿ってお話ししたいと思います。

 今御指摘のとおり、環境基準不適合ということは私どもも認識しております。ただ、この環境基準というのが、長期的な日平均値で評価する指標、それからもう一点、所定の数値を二日間続けない、こういう短期的な指標と二通りになってございます。

 この表をごらんになっていただきますと、特にSPMにつきましては、日平均値の平均値というのが、それぞれ四つの監視局で大差ないかと思いますけれども、〇・〇八三とか〇・〇七八、こういう数値を示しております。したがいまして、私どもの設置いたしました滝野川局、これはモニタリングポストでございますが、そのほかにも北区役所、北区で管理されております。それから、巣鴨の豊島区の監視局、東京都さんの方でも行っております明治通りの西巣鴨局、この四つの局で行っておるわけですが、この一覧表をごらんになっていただきますと、その数値等につきましては、すべて長期的にはクリアしております。

 それから、二日以上ということでバツということが出ておりますが、私ども首都高速道路公団といたしましては、滝野川の私どもの高速の影響を監視している局とほぼ数値に差がないということから、この環境不適合というのが、直接、直ちに王子線の開通によるものというふうに判断するのは非常に厳しいのではないかというふうに認識している次第でございます。

 それから、この二日間というのは、たまたま四つの監視局とも昨年の十一月の二日、三日でございました。こういったことからも、バックグラウンドそのものがこういった数値を示しているというふうに私どもは認識しております。

 以上でございます。

藤田(幸)分科員 短期だからいいということじゃなくて、SPMというのは、まさに石原都知事がこのあれを振ってやったものでございますけれども、短期であっても環境被害というのは起こるんですね。長期だから起こって短期で起こらないというわけじゃありませんので、短期であっても、この環境基準不適合ということは対応が必要だろうということをまず申し上げておきたい、大臣もそれを聞いていただきたいと思います。

 それから、十一月ばかりじゃなくて八月の方も、連続に近いような形で、実は、この不適合の数字に近いようなものが出たという資料も私は見ております。したがいまして、環境というのはやはり予防外交の必要性があるんだろうと思っておりますので、そういった観点からしますと、これは不適合という実際にバツが出ているわけですから、時間的に、高速道路ができてからの理由ではないとしても、高速道路ができたのでそうなった可能性もあり得るという前提から対応していただかなければ対応にならないと思うわけでございます。

 それで、一方、これはもともとこの高速道路を準備したときには、石原都知事のいわゆるディーゼル車走行規制、十月からでございますが、これがない段階から準備が進んできたわけです。ところが、実際に昨年十月からはその走行規制が行われたわけですから、ある意味では、交通量の排気量は恐らく昨年の十月以前よりは減っているんだろうと思うんです。にもかかわらず、不適合という数字が出たということは、これはやはり対応が不十分であったという前提で対応が必要ではないかというふうに思いますけれども、この点については、大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

石原国務大臣 首都高の方からお話がございましたけれども、多分言いたかったことは、その一つの要素かもしれないけれども、このSPMというものは、車に起因するものとしての割合が低いから、それだけじゃないんじゃないかということがきっと言いたかったのだと思うんですけれども、やはり数値としては明らかにペケというものが出ておりますので、近々の重大な課題としてこれに取り組んでいかなきゃいけないと私は思っております。

 では、対策をどうするのかというんですけれども、対策というのは、主因が三つあるわけですね。一つは、車単体の排出量を抑える。そして、交通量が減ればその絶対値は下がる。さらにもう一つは、それをどう調整するか。違うところにバイパスを通すとか、この王子線以外にも近隣道路はあるわけですから、そういう対策をやっていかないと、現実問題としてはこの問題をクリアできない。そして、基準値を上回っているという事実は厳粛に受けとめて、どこに主原因があるのかということも調べていく必要がある問題だと認識しております。

藤田(幸)分科員 今、三つの理由のうちの二つ目に交通量の問題を指摘していただいたんですが、実は、この王子線というのは、もちろん東北自動車道等から入ってくるわけですが、一番王子線に近い王子第一入り口というのがあるんですが、まだ完成していないんです。それから、扇大橋というやはりもう一つ直近の入り口があるんですが、二つとも完成しておりませんで、一番、この地域の二つのインターから都心に向かうことが実はできないんですね。

 したがって、これは完成した後、実は思ったよりは交通量がなかったと思っておるんですが、これはやがてこの地域から最も直近の二つのインターから都心に向かう交通量がふえるということが予想されます。そういう点から関しましても、いわゆる単体の問題と交通量の問題、もうこれ以上調整ということはあり得ないんだろうと思いますから、そうしますと、この単体の問題と交通量の問題、交通量はふえることが確実に予想されると思いますので、その点も含めた対応を、ぜひ大臣の方にも、具体的な対応策、その点に留意した対応をお願いしたいと思いますが、大臣、もう一言、その点も踏まえて答弁をいただければ幸いです。

石原国務大臣 浮遊粒子物質ですか、これは明らかに、私のところの井荻トンネルというところで計測しましたら、委員御指摘のとおり、規制以前と規制後では四割程度改善されているんですね。

 そういうことを考え合わせますと、先ほど委員がおっしゃられたように、そのままの車、要するに単体の方に規制をしなくて交通量がふえたら間違いなく上がるということは事実だと思いますので、沿道の大気環境の改善というものを重要な課題と位置づけて、先ほども言いましたけれども、要因が三つぐらいあって、その二つの要因は悪い方になる可能性が高いという今の委員の御指摘でございますので、それに対応してどういうことが可能なのか。これはいろいろな方法があると思うんですね。需要抑制には逆にロードプライシングをかけるとか、そういう方法も総合的に勘案して、SPMの削減に向けた実施策というものをまとめていかなければならないということをこのペケ四つは示しているんじゃないかと思っております。

藤田(幸)分科員 ありがとうございます。

 ぜひそういった大きな対策の方は大臣中心にお願いをしたいと思いますが、直近のことについて公団の方にお伺いしたいと思います。

 私は、実は昨日も現場へ行ってまいりました。そうしましたら、滝野川二丁目というところに横断歩道があるんです。これは上から、上り線と下り線の間に体をかがめて横断するような横断歩道なんですが、そこにアクリル板がありまして、実は下り線の方から直接煙が上がってくるんですが、上をふさいでありませんから、そこのアクリル板に黒煙、粉じんなど随分厚く残っておりました。それから、やはりにおいもいっぱいでございました。

 それで、多分、この地域を除きますと、今度中央環状線の方は地下化しますから、六%勾配五百メートルというような意味では、ここの対応が終われば首都高の関係ではこういったケースはなくなると思うんですけれども、ここの部分に関しましては、私、数年前、中山建設大臣に、この上を、トンネルから出てきた部分を、その五百メートルの部分、シェルターをかけたらいいんじゃないかと申し上げたんですね。

 それに対して、シェルターでなくても遮音壁で十分だと。遮音壁というのはどういうことかというと、要するに、トンネルになっていますから上から煙が出るわけですね。どうも、きのう私が参りました部分は先ほどのペケの部分と一致するわけですけれども、トンネルの中はいわゆる電気集じん機で解決されているわけですから、その出た部分の、百メートルないし二百メートルの部分ですけれども、そこをとりあえずシェルターのように上をふさいでいただいて、あとはそのふさいだ排気をどういうふうにするのか。

 つまり、電気集じん機の扱えるものの容量をふやすのか、あるいは反対側から排気の対策ができれば、いわゆる煙突式じゃなくて、上をふさいだシェルターのような形で当面対応ができるのではないかと思うんですけれども、この対応策の可能性、効果について公団の方からお答えいただきたいと思います。

大塚参考人 先ほどちょっと舌足らずだったところがあるのかもしれませんが、大臣も今お答えされましたように、バツ印がついているということは私どもも十分認識しているつもりでございます。ただ、私どもは、そのために、今後の環境状況がどう変化してくるかということを監視するために滝野川というところに監視局を設けさせていただいております。

 そういうことから考えてみましても、このままでいいということではないのかもしれませんけれども、先ほど言葉足らずと言ったのは、高速道路王子線の開通によって数値が変化したというふうに私どもは認識していない、こういうふうにお答えさせていただいたつもりなんです。というのは、ほかの北区役所の数値あるいは巣鴨の数値を見てもいずれもバツと丸がございますけれども、私どもは、王子線の開通によって大変な数値の増加を得たということではないだろうというふうに意識しているものですから、先ほどのような答え方になったということでございます。

 したがいまして……(藤田(幸)分科員「今の質問について答えて」と呼ぶ)はい。

 今の質問に対しましては、私ども、これから、滝野川のモニタリングポストを設けておりますので、こういった数値を十分集積しながら今後の対応の仕方を考えてまいりたいというふうに考えております。

藤田(幸)分科員 答えてください。要するに、筒のように煙突にしているんじゃなくて、ふさいでシェルターのようにすれば、あとはその排気ガスの対応策がうまくいけば、それで対応策に当面なるんじゃないかという具体的な質問です。前の質問の答えじゃなく、今の質問に対して答えてください。

大塚参考人 四年前でしょうか、六%の話が出たときに、今後の対応策としていろいろな対応ができるような構造に変更もさせていただきました。そういうことでございますので、現時点ではあくまでもその諸数値を監視しながら方策を考えていきたい、こういうことでございます。

藤田(幸)分科員 ですから、四年前の対策をとったけれどもこうなっているから、したがって新たな提案をしているわけで、それに対してどうかと聞いているわけですから、そのことについて答えてください。

大塚参考人 私の先ほどからのお答えは、あくまでも、測定値を検討する段階では王子線の開通に伴って悪化したとは思えない、こういう回答でございます。

藤田(幸)分科員 今委員長も首をかしげておられましたけれども、実際、私、現場に行って、かなり都知事が振られたようなああいう黒いものが実際にあるんですね、そのアクリルのところに。ですから、それを見て、それから実際においもひどいという地元の皆さんのお話があるわけですし、それから先週、地元の区議会の皆さんへの説明会でも、煙突のようになった中から煙が出ているというような地元の方の証言もあるわけですね。

 ですから、具体的にそういうことがあるので、例えばそこをふさいだ場合非常に効果があるのではないかと思う、実際に排気ガスそのものが出てこないわけですからね。トンネルの中は電気集じん機でうまくいっているわけですから、したがって、新たなこういう状況にかんがみて、そういった対応が効果があるのかどうなのか、その場合のフィージビリティーについて答えてくださいという具体的な質問をしておりますので、具体的に答えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 数値的なものを少し、ばたばたしている中で大変恐縮でございますが、まず申し上げるべきかという点が一つあろうかと思います。

 先生御指摘いただきました四つの測定点について、滝野川局以外は……

藤田(幸)分科員 済みません、ちょっと質問に答えてください。現象的に、実際に私は現場に行って見ているわけですから、それで、そういったものの対応策として、つまり煙突式に排気ガスが出てくるんじゃなくて、百メートルないし二百メートル煙突をふさぐことによって、そういった対策についての可能性と効果について答えてください。数値の問題は大臣の方からお答えいただいているわけです、その中身については。

 委員長、ちょっと答えさせてください。

中野主査 その部分だけ、とりあえずまず答えてください。簡略にお願いします。

佐藤政府参考人 数値を一点だけ申し上げます。

 北区役所以下の従前からある測定局につきましては、例えば平成十四年度、〇・〇九四であるとか〇・〇九五であるとか、こういうデータの中で、経年的にSPMの日平均値の二%除外値が下がっている、これはデータとしては一点御説明を申し上げたいと思います。

 そして、そういう状況の中で、先ほど大臣が申し上げましたように、いろいろな対策として、発生源対策であるとか需要調整であるとかあるいは容量の拡大、こうしたことを実行しながら良好な環境の改善を目指す、こういうことかと思っております。そういう意味では、昨年十月のディーゼル車の走行規制、まだまだこれから実効を上げていく、こういう問題かとも思いますし、十七年よりは世界で一番きつい基準、こういうものも適用する。

 そういう中で、ただいま先生の御指摘の、出口をふさぐ、明かりの部分にシェルターをしろというのが先生の御指摘かと思いますが、その場合にまた、その集中する排気を電気集じん機のような形でどうやったら取り得るかとか、あるいはまた経費的にどうかとか、いろいろな総合的な検討が必要だ、こういうことは事実だろうと思っております。

藤田(幸)分科員 そういうふうに答えていただければ時間がむだにならなかったのですが、ぜひ検討をしていただきたいと思います。これは道路公団にとってもいい検討課題だろうと思っております、そういった意味から質問しておりますので。

 それから、時間がなくなってまいりましたので、あと、この関連で二つほどお伺いしたいと思います。

 一つは、堀船地区でいわゆるジョイント部分の騒音、振動が相当行われているという地元からの要請がございまして、公団の方では、本格的な対策ということで、騒音、振動の原因調査をした、それで、端横げたの振動というのが原因であるということで、コンクリートで巻き立てる対策をとったということですが、その対策をとってもまだ実際に振動、騒音が起こるという状況がございます。

 これは恐らくほかの部分でも同じような問題があるんだろうと思いますけれども、ということは、構造上の問題、設計上の問題、それから施工上の問題、両方あるんだろうと思いますが、なぜ本格的な対策をしようとしたけれどもまだ対応ができていないのか、それから、今度はどんな対応が可能なのかということについて、今まで時間をむだに使った部分を勘案して、簡潔に答えていただきたい。

大塚参考人 エクスパンションといいますか、ジョイント部の騒音の問題だろうと思います。

 どうしても私どもの橋げたというのは温度によって伸び縮みをするものですから、この間にジョイントという異物といいましょうか別なものを挟まなくてはなりません。そういった意味で、そこの設計、施工上、特に入念な設計あるいは施工をして平たん性を保つというのが、目下、ジョイント部分の一番重要な点ではないかと思っています。そういう意味で、平たん性が保たれていないと、どうしても大型車等が通るたびにがたんがたんという音がしてしまうことは、残念ながら事実でございます。

 今回、堀船一丁目の場合につきましては、その原因がやはり衝撃音ではないかということで、路面の修復、あるいは局所的な、応急的な防音ネットの設置、こういったものをさせていただきました。それでももう少し本格的な対策をということでございますので、その後、いろいろ構造の特性がございますので、その辺、音がどう伝わっているのかということを調査した結果、先ほど先生の方からお話がございました、ジョイントの下部に橋げたを直角方向につないでおります横げたというのがございますが、これが大型車が通るたびに結構たわむわけでございまして、これによって振動が伝わってしまっているのではないか、こういうことで、コンクリートを巻いてたわみにくくしたらどうであろうかというのが、私どもにとってみましては本格的な対策ということで行ってみました。

 その結果、騒音の測定値をしましたところ、最大で四デシベル程度の減少が確認できたということでございますが、どうも地元の方々のお話を伺うと、結構減ったという声も聞かれますし、まだ余り変わっていないという意見もございます。

 私どもも、これからさらに調査といいましょうか点検を続けてその対策は講じてまいりたいと思いますが、何せ、音とか振動というものは非常に対策が技術的には難しい範疇でございますので、現在のコンクリートの巻き立てという本格的な対策でしばらく様子を見させていただきたい、こういうふうに考えております。

藤田(幸)分科員 高速道路というのは世界じゅうにあるんだろうと思います。それから、大型車という話がありましたが、大臣なんかもいろいろな国に行かれて、私もいろいろな国に行っておりますが、大型車の大型度というのはやはり日本と比べ物にならない。それから、日本の大型車と違って、向こうの大型車というのは相当スピードを出すんです。

 ですから、恐らくそういった対応が、今のお話ですと、何か、たわみをコンクリートで巻き立てることによって当面様子見というようなことですが、これは、本格的なといいますか、現象対応、対症療法的なことで、私はやはり、今後の道路行政においてそれでは済まない話ではないかと思います。いわゆる現象後追い、対症療法的でない、もっと抜本的な対策が必要ではないかと思いますので、そのことを、大臣もお聞きになっていただいたと思いますが、ぜひそういう抜本的な対策を指示していただきたいということを一言、大臣に申し上げて、コメントをいただきたいと思います。

石原国務大臣 委員の御指摘は、対症療法ではなくて、欧米の高速道路でも同じような問題が聞かれない以上は構造上の問題であるという御指摘だと思いますので、振動、騒音等々があるという事実がありますので、今後の高速道路の建設に当たってそういうものが発生しないようなことができるのかどうか、研究をするように指示をさせていただきたいと思います。

藤田(幸)分科員 もう一つ、環境関係で、やはり堀船三丁目というところにマンションが一つございます。これは、マンションから二十メートルぐらいのところを実は高速道路が通ることになっておりまして、一応、二月末に住民説明会によって、その騒音、振動を調査していただいた結果、環境基準以下という説明があったんですが、区議会の方から、私、取り寄せまして、その資料を見てみますと、環境基準ぎりぎりなんですね。

 例えば、環境基準が六十に対して六十とか五十九とか五十八とか混在しているところが、このマンションの南棟あるいは東棟の南端の屋上とかございます。先ほどの話に戻りますが、これから交通量がふえることが予想されるわけですから、この辺の環境基準ぎりぎりの、まさにすれすれですので、以下の、「下」じゃなくて「以」の部分だろうと思いますのでぜひもう少し、二十メートルの距離のところですから、実際に振動が相当すごいということでございますので、そこに遮音壁をつけるとか、そういう具体的な対応が必要な状況ではないかと思いますが、そのことについて公団から簡潔にお答えいただきたいと思います。

大塚参考人 ただいまの御質問ですが、確かに環境基準ぎりぎりの数値だということでございます。

 ただ、先ほど来、皆さんから御回答がございましたとおり、これから交通量がふえることは多分確実だろうと思いますが、総量規制等、やはり環境に与える影響もそれなりに低減されてくるのではないかというような期待もございまして、現時点で私ども、環境基準値に曲がりなりにも入っているところについては、この際、設置は見合わせたい、こういうふうに考えております。

藤田(幸)分科員 曲がりなりにもということは、やがて交通量がふえて、またこれは調査をされると思いますので、ぎりぎりという場合には、やはり実際に被害をこうむる方がいらっしゃるわけでございます。これはやはり、環境問題というのは、大臣、多分、予防外交、予防措置が必要だろうと思います。これは別にイラクに対する、あるいは先制攻撃と比較するわけにはまいりませんが、この程度はやはり予防措置の領域に完全に入っていると思いますので、ぜひ対策をお願いしたいということを大臣にお願い申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、時間の関係で、最後に、大臣、今のことを含めて、首都高速道路の渋滞対策に関してなんですが、やはりこれは出口をふやしたらどうかと前から思っています。

 出入り口をふやすということになりますと、これは入り口でしたら、人をふやすか、あるいは券売機をふやさなきゃいけないのですが、出口でございましたら、建設費だけで済みますし、スペースもとらないと思います。出口をふやすことによっていわゆる乗り勝手もよくなりますし、渋滞になってここで出たいなと思っても出られないというのが、私も実は車で毎日国会に通ってきておりますが、実感しておることでございます。

 いろいろな対策がありますが、一つの方法として出口をふやすということが費用対効果の面でもいいということと、それから、ETCが宝の持ちぐされといいますか、もうちょっと利用ができれば、例えば安く貸すとか、無料で貸すとかいうことであれば……

中野主査 簡略にお願いいたします。

藤田(幸)分科員 交通渋滞対策になるかと思いますので、渋滞対策についての試案でございますが、それに対する見解を最後にお伺いをいたしたいと思います。お願いいたします。

中野主査 石原国交大臣、制限時間でございますので、簡略にお願いします。

石原国務大臣 委員御指摘の出口のランプをふやすということは、渋滞対策として極めて有効だと思いますし、現にそういう試みをできるように今検討させておりますので、どこかで、首都高で具体化してまいると思います。賛成でございます。

 それと、ETCについてもまさに委員の御指摘のとおりで、一千五百億の投資をしているわけですから、無料貸与等々助成措置も、四月からまた新たに二十万台分やらせていただくことを考えて、六月ぐらいからできるように今いろいろ仕組みを考えさせていただいております。

 この間、新潟の市長さんがおいでになりまして、新潟市では、市としても三千円助成しよう、すると、国の方の五千円の助成とで八千円ですから、最小価格のものが今九千八百円で出ていますので、工賃は別として千円ちょっとでETCが利用できる。

 いろいろな仕組みを、これからもいろいろな委員会で委員とも御協議させていただいて、考えさせていただきたいと思っております。

藤田(幸)分科員 ありがとうございました。

中野主査 これにて藤田幸久君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 民主党の田島一成でございます。

 本日、質問の機会をちょうだいいたしました。心より感謝を申し上げ、当該事案につきましての質問をさせていただきたいと思います。

 私、地元は滋賀県の琵琶湖の東北部でございます。彦根といいますよりも、JRで申しますと北陸線の起点であります米原、米原駅に関してなんですが、本日は、この米原駅の区画整理事業に関して、大臣以下関係の皆さんに質問をさせていただきます。

 米原駅と申しますと、先ほども申し上げたとおり北陸線の起点でもございます。古くは東海道、そして中山道の交通の要衝として発展を遂げてまいりましたが、今回、私の地元でもあります米原が非常に大規模な事業計画を持ち上げていただいております。大臣の方は、もう米原駅は何度も通っていらっしゃいますから御存じだと思いますけれども、国内最大規模の物流基地をつくろうということでございます。東海、北陸、そして関西それぞれを結ぶ要衝として、鉄道はもちろん、道路の結束点でもあるわけですけれども、地域の発展ばかりか、内陸部の拠点として、今後大きく日本経済に寄与してくれるものと期待を寄せているところであります。

 このJR米原駅の東口周辺に行われている事業、これは平成十三年度より実施されております米原駅東部土地区画整理事業というのがございます。今さら申し上げるまでもないかもしれませんが、施行面積は約三十八・六ヘクタール、総事業費、区画整理事業だけでは八十三億円の事業なんですけれども、そのほか、まちづくり総合支援事業でありますとか道路交通改善促進事業等を合わせると、約百五十六億円という非常に大きな事業でございます。

 冒頭、この事業につきましての御認識につきまして、お伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、米原駅は広域的交通の要衝でございまして、その周辺につきましては、今お話がございましたように、滋賀県の玄関口にふさわしい商業・業務、観光・交流機能を集積する拠点地区の形成を図るために、米原駅東部土地区画整理事業等により整備が進められております。

 面積は今おっしゃったとおりでございまして、旧国鉄清算事業団用地を中心とする約三十九ヘクタールについて、駅前広場、幹線道路、公園等の基盤を整備して、新しい玄関口にふさわしい良好な市街地の形成を図ろうとするもので、平成十三年度より事業着手をしており、国庫補助により支援しております。

 あわせて、鉄道により分断されている米原駅の東西を連絡する自由通路について、米原町が平成十五年度に事業着手しており、国庫補助により支援しているところでございます。

 これらの事業は、地域の活性化と発展を図る上で重要なプロジェクトであると認識しているところでございまして、今後とも国として積極的に支援してまいりたいと考えております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 この先平成二十二年度まで、一応、事業計画が細かく区切られて計画されているところでありますけれども、今後、事業の進捗等によりましては、今し方も積極的な御支援をというお話をいただきましたけれども、当然国の支援等をやはり基盤としてやっていかなければ、小さな自治体でもありますので、非常に、負担等々を考えますと、北陸、東海、関西の結束点にありながら十分な事業展開ができないというふうに思いますが、今後の補助を踏まえた国としての支援策につきまして、お考え、どのように御認識をされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 今御指摘ございましたように、施行期間は二十二年度ということで、補助の期間は二十一年度ということになっております。これだけの大きな事業を長期間にわたってやるということになれば、いろいろな問題も生じてくると思いますが、きちっと的確に対応してまいりたいと考えています。

田島(一)分科員 もうこれにつきましてはそう突っ込みませんので、どうぞひとつ十分な支援を心よりお願いを申し上げたいと思います。

 さて、この事業の中心となります用地につきましてなんですが、最近、将来にわたって非常に危惧しなければならない、そんな問題点が発生をしております。

 当該用地の土の中から、大量の石炭殻の埋設が発見されました。現在、滋賀県の方で調査中というふうに承っておりますが、事と次第によってはこの事業の進捗に大きな影響を及ぼすのではないかというふうに私も認識をしております。

 この用地と申しますのは、実は米原町が、平成十年、そして十二年、十三年、十四年と四年度にわたりまして、旧の日本鉄道建設公団、今で言う鉄道建設・運輸施設整備支援機構から買い受けたものであります。その用地から、雨水整備工事の作業中、大量の石炭殻が出てまいりました。そのことによって、地元の米原町、滋賀県もなんですけれども、産業廃棄物としてのこの石炭殻を適正に処理しなければならないという問題を新たに抱えることになりました。

 大臣、御理解いただいていらっしゃいますでしょうか。鉄道建設公団、そして整備支援機構といえば、旧国鉄の清算事業にかかわるところでございますよね。そこから買い受けた土地に問題が発生しているということを、今回質問させていただきたいと思っておるんです。

 恐らく、旧の国鉄時代には、鉄道運営等においてごみとして発生したものを地中に埋めたり、ごく普通に多分敷地内で埋設等をされていた石炭殻であるとか枕木といったものが、時代の流れによりまして、今では産業廃棄物として出てきたわけであります。

 当然、今の段階では、法に基づいてきちんと処分をしていかなければならないのですが、これは地元で調べた数字だと思うんですけれども、約八万立米にわたる石炭がらをいかにして適正に処理していくのかということを考えますと、ある民間の数字をお聞かせいただきますと、費用として一立米当たり約三万六千円からかかるようでありまして、単純計算いたしますと、土地取得価格を大幅に超える約三十三億円もの費用がかかるということなんですね。

 現在、滋賀県の方が調査中で、この数字につきましては恐らく根拠というものがあいまいかもしれませんけれども、いずれにせよ、これに近い数字の石炭殻を処分しなければならないという課題に、それこそ土地取得費はおろか、国からの費用支援をもししていただいたとしても、相当なウエートを占める処分費がかかってくるわけでありまして、地元の米原町も含め、関係者が随分頭を痛めているというところなんです。

 こうした問題が突如発生したことによりまして、地元の米原町がこの整備支援機構に対して、当該用地の売買に際して隠れた瑕疵があるとして損害賠償を請求したんですけれども、整備支援機構の回答、抜粋いたしますと、「仮に上記土地中に鉛及び石炭殻が存在し、それが隠れた瑕疵に該当するとしても、当機構と貴町」米原町ですね、「との売買契約には、「隠れた瑕疵のあることを発見しても、売買代金の減免若しくは損害賠償又は契約の解除を請求することはできない。」とのいわゆる瑕疵担保責任免責特約がなされておりますので、当機構は瑕疵担保責任を負わないと思料致します。」とうたわれております。

 大臣、いかがでしょうか、これ。「隠れた瑕疵のあることを発見しても、」云々という、この言葉を土地の売買契約書の中に入れているということ自体、整備支援機構の何らか意図をお感じになられませんでしょうか。当初石炭殻が当該用地中に埋設されている事実を知っていたのに、それを隠して売買契約を結んだと邪推されても仕方がないように思えるのですが、この余りにも誠意のない回答につきましてどのようにお考えか、お答えください。

丸山政府参考人 旧国鉄清算事業団、現鉄道・運輸機構清算事業本部は、旧国鉄から承継いたしました土地を、長期債務ですとか年金の負担に充てるために積極的に売却をしてまいったところでございまして、本件土地もその一つでございます。

 本用地につきましては、鉄道・運輸機構は、契約当時、石炭殻があったということを知らずに契約を行ったというふうに私どもは聞いております。基本的に、清算事業団の土地につきましては、規模が大きいあるいは公益性を優先するという観点から、随意契約等によりまして関係地方公共団体に売却したものが多いわけでございますけれども、その際、機構としては、今先生がおっしゃったように、だますとかそういう意図はなくて、誠実に対応してきたというふうに私ども認識をしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、機構は法令や契約に基づきまして対応しているものと認識しておりますけれども、現在、先生からも御指摘がございましたけれども、滋賀県の方が当該用地についていろいろ調査を行っております。国土交通省といたしましては、その調査の状況なども踏まえまして、適切な解決が当事者間で図られるということを期待しておるところでございます。

田島(一)分科員 適切な対応が当事者間でというふうにおっしゃっていただいたわけなんですけれども、そもそも現実、石炭殻というのは旧国鉄時代の遺物でありますから、それらの処分に関してはこの支援機構が一定の責任を負うというのはもう大前提だというふうに私は考えます。

 実は、これに非常に似たような事例がわかりました。二〇〇三年の九月十九日と二〇〇四年の二月二十二日の毎日新聞の記事だったんですけれども、場所は変わりまして、福島県の福島市で、地元の福島市とNHKが、JR福島駅の空き地に子どもの夢を育む施設とNHKの福島新放送会館を建設しようと計画されており、その工事現場の中から同様に大量の産業廃棄物が見つかったという問題であります。その産業廃棄物とは、やはり米原町と同様に、石炭殻やまくら木、線路といった、だれが見ても明らかに旧国鉄時代のものであったわけであります。

 この土地は、福島市とNHKが九四年に当時の国鉄清算事業団の方から購入されたもので、事業団を引き継いだ公団の方に撤去費用の支払いを求めていらっしゃいまして、この事例を見る限りでは公団の方は非常に誠実に対応していただいたようでして、記事によりますと、実際にかかった一億四千六百九十三万円ほどの撤去費用の全額を公団の方が負担されていたというふうに聞いております。

 これは間違いはございませんか。まず確認だけさせてください。

丸山政府参考人 間違いございません。

 処理費用が二億一千万円だと私どもは聞いております。

田島(一)分科員 先ほど、米原町のケース、約三十三億円という数字を申し上げましたけれども、そこと比べても全然規模が違うということが御理解いただけるかというふうに思います。

 二億円そこそこだったら出しますが、三十三億という非常に大規模ですからこれは出せないよというような話にもしなろうものなら、これはちょっと、誠意を尽くす対応策がなされるのかどうかという点、地元ももちろんですけれども、不安を随分抱えておりますが、この先、この福島の事例と同じように、石炭殻の処分につきまして、やはり適切な処理の方法について協議の場を設けるであるとか、対応する責任というものを一定御認識いただかなければならないと思うんですけれども、大臣、そのあたり、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 福島では機構が負担をしておるわけでございますが、まず、米原との違いを申し上げたいと思います。二つございます。

 一つは、NHKとの契約上、瑕疵が発見された場合には双方協議して決定するという条項がございまして、免責条項がある米原のものと契約上違っていたというのが一点でございます。それからもう一点は、石炭殻を取り除くことにつきまして、全部取り除くのではなくて建物をつくるその一部分だけで結構ですという合理的な提案が相手の方からなされたということで石炭殻を撤去したということで、米原とは必ずしも事情は同じではないのかなという気がいたしております。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたが、今、県の方で調査をしておられるということでございますので、その調査結果も踏まえまして、双方満足のいくといいますか、適切な解決が図られるように期待しておるところでございます。

田島(一)分科員 ケースが違うとおっしゃいましたし、当然規模も面積も違うわけですから、その負担に関しての思い入れというのも当然変わってくるのだろうなというふうには理解いたします。

 ただ、当然福島県の対応策というのが一つの事例として、先例として踏まえるべき事例でありましたから、場合が違う、内容が違うということで全くそれを否定してしまう、これはちょっと乱暴過ぎるかなという思いがいたします。

 米原町の場合の区画整理事業につきましても、福島市やNHKのケースのように事業計画自体がまだスケッチの段階でもありますから、当然話の内容いかんによってはそういった対応策、また妥協策という点もまだまだこれから見出せるかなというふうには私思っております。

 そういう意味では、最初から非常に水臭いこういった損害賠償だとか、やり方にも若干の問題点はあったのかもしれませんけれども、ある意味ではやはり自分のところの地域が、地元が抱えなきゃいけないという不安感からの行為であったというふうに私は理解をしておりますので、非常に乱暴なやり方だったかもしれませんが、そういう意味では本当に誠意を尽くしていただきたい。

 どちらかというと、質問というよりもお願いに近いところがありますけれども、どのようにこれからお考えになられようと考えているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

丸山政府参考人 福島県との違いを申し上げたので、木で鼻をくくったようなふうにおとりいただいたと思うんですけれども、いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、今、滋賀県が当該用地について調査を行っておられるところでございます。その調査結果も踏まえまして、法令でございますとかこれまでの経緯も踏まえまして、機構の方が誠実に対応するように私どもも期待しておるところでございます。

田島(一)分科員 まだこれから先、随分長い道のりになろうかと思いますので、ぜひ適切な対応をお願いしたいと思います。

 何か、聞くところによりますと、この石炭殻というのも、ほじくり出せば産業廃棄物だが、事と次第によっては土壌の改良材等にも応用できるというような、そんな話も聞いております。捨てればごみ、使えば資源、そういう意味では、そういった新たな石炭殻の利用価値というものも、できる限り地元に対して適切な指導といいますか助言をしていただきまして、双方にとって負担ができる限り少ない形でお進めをいただきたいというふうにも思います。

 ただ、全国見渡しますと、私どもの地元の米原町だけではなく、全国各地にこのJRの駅、また旧国鉄清算事業団の方が抱えていた用地がまだございます。これから先地元と機構との間でこうしたトラブルが発生しないような対策を未然にきちっとしておかなければ、また同じような、第二の福島、第二の米原のような事例がこれからないとも限りません。

 そういうことを考えますと、省として、これから先どのような対応策をしていこうというふうにお考えなのか、お答えをいただけませんでしょうか。大臣、いかがでしょう。

丸山政府参考人 米原の土地を売却いたしました当時は、まだ土壌汚染対策法などが施行しておりませんでした。したがいまして、当時は法令がないということもございまして、石炭殻を事前に、売却する前に見るとか、そういう土地全体について調査をするというような慣行がなかったわけでございます。

 平成十四年の法施行以降は、機構が売却前に土地の有害物質の調査などを行って、その際に石炭殻が見つかる、その場合にはもう事前にいろいろなことができるようになっているということでございます。

 これは法律施行前の話でございまして、なおかつ、また契約のことを申し上げると先生におしかりを受けるんですが、そういう免責特約があったというようなことで若干事情は違うんでございますけれども、いずれにいたしましても、福島のケースでも、すべての石炭殻を除去するんじゃなくて、建物のところだけ除去すればいいという形で双方折り合ったというふうに聞いております。

 先ほど先生言われましたように、この石炭殻自体も必ずしも全部悪者ということではございませんで、例えば、水はけがいいということで、道路の下地ですとか公園敷地などには使える。ただ、建物をつくるとなりますと、弱いものですからなかなか、そこはどけなきゃいけない。そういう、福島の場合は、必要最小限の部分は撤去するけれどもそのほかのものはそのままにしたというような形で折り合いをつけたということでございます。

 いずれにいたしましても、過去の契約の経緯、それから法令などを踏まえまして、県の方でもいろいろ調査も進められておるようでございますので、その調査の結果も踏まえて、機構の方で誠実に対応するということを期待しておるところでございます。

田島(一)分科員 じゃ、もう時間もあれですので、最後に申し上げたいと思います。

 今後このような事案がやはり出てくることが予想されるとした場合、ある意味では、とにかく売買契約書に瑕疵責任云々の問題を書けば何かそれでもう事足りてしまうんだという非常にしゃくし定規なやり方というのは、地元も当然知らない、しかしながら、本当に機構側は埋まっているのかどうか知らないとおっしゃっても、それに対する担保というのは何一つないんですね。当然、だからそういう疑わしきことにまで発展していって、地元といわゆる売り主である機構との間に非常に大きな溝ができてしまうという問題になろうかというふうに思います。

 ある意味では、こうした売買契約の段階できちっとした、もともとから誠意を持った形での契約書の作成であるとか、そういったものをやはりつくっていただく必要があろうかと思いますし、この先こうした事例をもとに一定の対策というものを事前につくらなきゃいけないというふうに思うんですが、将来にわたってどのように、米原だけではなく、ほかの地域に対してどのようにお進めをされようと考えているか、お願いできますか。

丸山政府参考人 先ほども申し上げましたが、平成十四年に土壌汚染対策法が施行された。したがいまして、十四年以降につきましては、必要な物件につきましては機構があらかじめ有害物質がないかどうか調査を行っておるところでございまして、少なくとも十四年以降は、米原のような事例は法制度の枠組み上で起こらなくなっているということでございます。

 ただ、不幸にしまして、米原の土地を売却いたしましたときにはそういうものがございませんでした。それから、福島とも事情が多少違っておるというところもございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、今県の方で進められております調査でございますとかこれまでの経緯、法令を踏まえまして、誠実に機構の方で対応していただくということを私ども期待しておるところでございます。

田島(一)分科員 ぜひとも、今回のこの事業というのは今世紀最大の事業だという覚悟で地元も対応しております。こうした過去の遺物をもとに事業がとんざする、そんなことがあってはならないというふうにも考えておりますので、できるだけといいますよりも、本当に地元のためだけではなく、今後の日本の交通軸の中心をなす地域であるだけに、特段の御配慮と御支援をしていただきたいと考えております。

 この先、こうした過去の遺物で揺れ動くことが往々にしてあろうかと思います。他山の石として今後のさまざまな施策にぜひ生かしていただきたい、そんなふうに思いますので、要望とさせていただき、これで質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中野主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、村井宗明君。

村井(宗)分科員 民主党の村井宗明です。よろしくお願いします。

 本日は、この決算行政監視委員会の第四分科会で国土交通省に質問する機会をいただきましたので、整備新幹線の問題を取り上げたいと思います。

 私の地元は富山県です。北陸新幹線の沿線に当たります。地元では、北陸新幹線の建設に関して非常に関心が高く、地元の新聞には頻繁に取り上げられております。また、地元の自治体からの陳情活動、要望活動も非常に活発です。

 長引く景気の低迷の中、地方の経済は非常に厳しい状況が続いており、なかなか光が見えてきません。そんな中で、整備新幹線の話題がただ一つの明るい話題、希望の持てる話題になっているのが実態ではないでしょうか。特に、冬の積雪に悩まされている北陸地方におきましては、新幹線が通るということが、太平洋側の雪の降らない地域とはまたひとつ違った期待感と明るさを持って語られているように感じます。

 新幹線の建設は、その建設工事による経済効果はもちろん重要で、地域にとっても大きなものとして期待されています。しかし、私はそれだけではないと思います。それに加えて、新幹線の開業によって地域の経済がどのように活性化していけるかが大切だと思います。新幹線の開通をばねにして沿線の地域がどのように活性化していけるかがかぎになるのではないでしょうか。

 新幹線が通ったものの、人も金もみんな出ていってしまったということでは、その地域にとってはマイナスになってしまいます。新幹線を活用して沿線地域のプラスに結びつけていく知恵と工夫が必要だろうと思います。

 本日は、このような問題意識に基づきまして、国土交通省の考え方や蓄積されているさまざまな実績など、この質疑を通じていろいろ教えていただければと思います。

 それでは、まず最初に基本的なことからお聞きいたします。

 当然といえば当然かもしれませんが、政府は、与党のプロジェクトチームと物すごく頻繁に会合され、その都度すり合わせをされていると思います。そこで、整備新幹線全体の今後の取り組みについて、その基本方針あるいは基本的な考え方をまずお示しいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

石原国務大臣 ただいま村井委員が御指摘されましたように、整備新幹線は大量高速交通機関で、地域で、その地元経済が大きく発展するという事例にはいとまがないんだと思っております。

 私も、三月の十三日でございますか、九州新幹線の開業式に出席してまいって、実際に九州新幹線に乗ってきたんですけれども、これまで二時間ぐらいかかっておりました新八代―鹿児島間が三十四分、その結果、福岡から新八代までは在来でございますけれども、同じホームで新幹線に乗り継ぐということで、二時間ぐらい短縮されたことによりまして、一カ月の利用者数で見ても三十万人、対前年比、日豊本線で比べて二三七%とかなりの開業効果があらわれております。鹿児島で聞いたお話では、明治維新以来だと、そこまで多くの方々が言うぐらいのお祭になっておりますし、経済波及効果もあるし、観光を売り出す上でも非常にプラスになっているということでございます。

 これからの御質問は整備新幹線の整備についてということでございます。やはり従来より言っておりますように、当然投資するわけですから、収支採算性あるいは投資効果、着工の際の基本条件、こういうものを検証した上で、新たな区間についての着工をしてきております。委員御指摘の北陸新幹線につきましても、そういう整理がなされてきております。

 こういう基本条件の検証をしっかりした上で、限られた財源ではございますが、その整備に邁進してまいりたい、こんなふうに考えております。

村井(宗)分科員 北陸新幹線の建設に邁進していくという御返事、ありがとうございます。

 冒頭で申し上げましたように、建設予定の地域は非常に期待が膨らむわけです。また、数年先を見越して、開業時期をにらんださまざまな受け皿づくりも始まります。やはり基本方針はぶれないようにしていただきたいわけです。

 その時々の政治判断がむやみやたらに乱発、乱用されますと、地元経済はそれに振り回されて一喜一憂してしまいます。せっかく積み上げてきている地元の活性化へ向けた受け皿づくりにも、水を差すようなことになってしまいます。例えば、今回も、北陸には十二年強後という「強」という一文字が入っていたために、東北と九州とは差別されてしまうかのような報道がなされていました。

 そこで、次にお伺いいたします。

 既に着工した区間の工期短縮の問題、特に北陸では、長野―富山間の工期短縮についてのその見通しをお伺いいたします。また、工事実施計画の認可申請がなされている区間における新たな着工区間について、その見通しをお答えください。北陸では、富山―南越間はいかがでしょうか。

丸山政府参考人 整備新幹線に関しましては、現在、平成十二年十二月にできました政府・与党申し合わせに基づきまして建設をしておるところでございます。御指摘のとおり、北陸につきましては十二年強、十二年十二月から十二年強後ということになっておるわけでございます。

 それで、現在、この政府・与党の申し合わせの見直しについていろいろ議論がされておるわけでございますが、昨年末に与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームが取りまとめを行いまして、内閣官房長官、財務大臣、国土交通大臣、それから与党の政調会長によって合意がされたところでございます。

 この合意の中身でございますけれども、プロジェクトチームにおきまして、まず既着工区間の前倒しでございますとか、あるいは未着工区間の着工などについて、まず結論を得てください、その結論を得た上で、政府・与党から成る検討委員会において、既着工区間の前倒し、未着工区間の着工などについて検討を行う、こういう段取りになっております。

 したがいまして、今お尋ねの長野―富山間がどのくらい工事短縮になるのかとか、あるいは富山―南越の着工はどうなるのかということにつきましては、現在、与党のプロジェクトチームで精力的に検討がなされておるところでございます。また、そのプロジェクトチームの結論を得た上で、政府・与党から成る検討委員会において、今お尋ねのございましたことにつきまして検討がなされるという予定となっております。

村井(宗)分科員 どこまでをいつ着工するのか、どこまでをいつまでに開業するかという問題は、決して政治の駆け引きに使ってはいけないと思います。与党のプロジェクトチームという密室での密談ではなくて、きちんと国会で、いつまで着工していくかをオープンに議論していくべきではないかというふうに御意見を申し上げさせていただきます。

 さて、どこに新駅をつくるかとか、どのルートを通すとかいった問題も、政治のおもちゃにしてはならないと考えています。それよりも、決定したルート、決定した駅、決定した時期に向かって、地域、地域でどのように戦略を立てていくか、この問題が将来に向かって大切だと考えます。

 新幹線は地域振興の必要条件になり得ると思いますが、必ずしも十分条件になり得ないと思います。沿線地域が明確なビジョンを持って受け皿準備をしていかないと、地域発展にはつながらないと思います。そういった意味からも、合理的に、公正に決定された計画を政治のおもちゃにしてはならないと思います。

 そこで、次の質問です。

 これまでの実績などから見て、新幹線の地域経済への波及効果というものをどのように分析されていますか。具体的な数字もお示しいただきたいと思います。

丸山政府参考人 先生の御地元の北陸の高崎―長野間が平成九年十月一日に開業したわけでございますが、これにつきましては、開業直後に二五%利用者が増加いたしました。それから、開業後四年たちました平成十三年度の利用者を見てみますと、さらにそのときより一〇%増加しているということで、開業効果が一過性のものではなくて、継続的に発揮されているというふうに考えております。

 それから、先ほど大臣の方からもお話し申し上げましたが、最近開業いたしました九州新幹線につきましても、一カ月間の利用者が三十万人、対前年比二三七%ということになっております。そういうことで、開業の波及効果というのは非常に大きくて、なおかつ、一過性のものではなくて、永続的に続くのではないかというふうに認識いたしております。

村井(宗)分科員 新幹線の開通に合わせて、その地域、その地域で実にさまざまな振興策が打ち出されていると思います。例えば、JRと地元と旅行会社が連携した観光分野での新しい商品開発と売り込み、これは上越新幹線、佐渡島の日本海冬紀行パックなどでやられておられます。また、食べ物に集中した地元特産品のイメージに特化したセールスポイントづくり、これは東北新幹線で、八戸の屋台村とか八戸ラーメンなどが行われています。駅ビルの建てかえに合わせた温泉などのユニークな複合施設、これは山形新幹線。そして、新駅に連動した大学や教育機関の誘致、上越新幹線の浦佐駅、これは国際大学などの誘致で行われています。新駅に連動した世界的コンサートホールの建設、東北新幹線古川駅、バッハホール、こういったところで行われています。などなど、すばらしい成功例が各地にあるわけです。

 新幹線が開通する何年も前から、地域が検討に検討を重ね、いろいろな立場から意見を出し合い、準備してきたものばかりです。そして、必ずしも地域内に最寄りの駅を持つ市町村が成功しているとは限りません。むしろ、最寄り駅までのアクセス対策がポイントになっています。

 そこで、お伺いいたしますが、国は、整備新幹線と沿線地域の振興対策について、JR各社を初め地元自治体などとの連携をどのように図っておられるのか、その取り組みをお尋ねいたします。

丸山政府参考人 現在整備中の北陸新幹線の長野―富山間におきましては、全駅におきまして、地元を中心に駅周辺開発を検討する委員会などが設立されておりまして、駅周辺の整備構想、地域の振興方策などについて鋭意検討が進められておるところでございます。これはもう早いところは平成九年ぐらいから、新幹線が来ることを見越してそういうものをやっておるところでございます。

 また、この委員会などに対しましては、新幹線の建設主体の鉄道・運輸機構が参画しておりまして、相互に協力をしながら検討を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、新幹線の開業による効果は、先ほど先生が御指摘になりましたような地元におけるさまざまな取り組みと相まって、より大きくなるというものでございますので、今後とも、地元と鉄道・運輸機構が相互に密接に連絡いたしまして事業を進めていきたいというふうに考えております。

村井(宗)分科員 次に移ります。

 整備新幹線と密接に関係してくる重要な分野の一つに、観光部門があります。政府は、小泉総理を先頭に、国全体としても観光立国を打ち出しておられます。新幹線の開通に合わせて、地域の観光資源を新しく発掘したり、既存の観光スポットを整備したり、特産品を目玉にしたキャンペーンを展開したり、各地域でいろいろ工夫した取り組みがされていると思います。上手にPRして成功しているところもありますが、反対に、余りいい結果を出していないところもあります。新幹線ができたために、観光客が宿泊しないで日帰りしてしまうため、ホテル、旅館の売り上げがかえって減少してしまったところもあります。同じように、出張するビジネスマンが宿泊なしで日帰りしてしまう現象も起きています。

 そこでお伺いいたします。国は、観光分野の振興策について、地方自治体やJRなどとの連携、推進をどのように進めていますでしょうか、その取り組みについてお伺いいたします。

澤井政府参考人 御指摘の観光立国行動計画の中におきましても、観光振興の観点からも、観光地等の地域間の交流、連携を支える高速交通体系の整備が重要であるということが位置づけられております。

 新幹線を初めとする高速交通機関の整備を観光振興の観点からより効果の高いものとするためには、御指摘のように、その効果を生かした周遊ルート、新しい周遊ルートを開拓したり、それを可能とするためのソフト、ハードのいろいろな取り組みが必要だと思っております。

 既に先生も御指摘でありますけれども、一つの例を挙げますと、東北新幹線の盛岡から八戸への延伸開業、十四年十二月でありますが、これを契機にいたしまして、地元ではさまざまな取り組みがなされました。例えば、インターネットによる新幹線の駅から近傍の数多くの観光地への一覧性のある交通情報を提供する、あるいは八戸市内の循環バスを運行する、また、御指摘にありましたような八戸市内の空き店舗とか空き地を活用した屋台村を開く。また、十和田湖畔につきましては、従来と違いまして、ホテルを冬季にも積極的に営業するという取り組みもされました。

 こうした取り組みは、バス会社、宿泊機関、飲食店など、さまざまな主体が連携して、しかも集中的に行ったということで、こうした効果もありまして、開業前に比べまして、ホテルの宿泊者数で見ますと、八戸市内で一四%程度ふえております。また十和田湖畔で二〇%以上ふえております。また、少し離れていると思いますけれども、三内丸山遺跡においては、観光客が三倍になったという実績もあります。

 それから、もう一つだけ申しますと、新幹線だけでなく、高速交通機関、いろいろございますが、北陸で申しますと、十五年七月、去年七月には石川県の能登空港が開業いたしました。これを契機に、観光客が空港から各観光地に行くために利用しやすい内容を含んだ総合交通マップをつくる、あるいは空港から各観光地へ格安の乗り合いタクシーを運行する、そういうことを新たに始めております。また、航空会社側におきましても、能登でおりて周遊した上で小松から帰るという場合にも、割引運賃を適用するという特別な取り組みもされております。こうした取り組みの効果もありまして、能登―東京便の三月末までの累積搭乗率が八割を超えるという好調な利用が、現在までのところ続いております。

 こうしたことで、地域の観光振興に高速交通機関の整備効果を最大限に生かす地域の取り組み、またそれに対する国の的確な支援というものが大事だと思っております。

村井(宗)分科員 新幹線の建設に伴って、従来の駅舎を建てかえたり、新しい駅舎を建設したりする事業が発生します。この駅舎の更新や新設は、地域の振興にとっても非常に重要なポイントだと思います。まず、建設する場所の立地の問題があります。地域交通とのアクセスの問題、駐車場の問題、利用者の利便性の問題など、いろいろ複雑だと思います。また、新たに新設する場合には、立地場所に加えて、駅舎にどのような機能をプラスしていくかも問題になっていきます。

 例えば、新しい駅を広々とした郊外に建設し、広大な敷地を確保して、駅前に無料の公共駐車場を大規模に用意したケースがあると思います。この駅は、最初のうちは本当にへんぴなところで、利用客から不便であると不評でしたが、やがて無料駐車場の効果で乗降客が大幅に拡大していったと聞いています。この新駅の周辺の開発の問題も極めて重要であります。新幹線の開通と駅舎の整備に合わせて、同時並行で総合的に計画していく必要があるものだと考えます。

 この整備新幹線の駅舎整備についてはどのような取り組みをされていますでしょうか、お考えをお伺いいたします。また、この整備新幹線の新駅のアクセス問題についてはどのような考え方を持っておられますか、新駅の周辺の開発の問題とあわせてお伺いいたします。

丸山政府参考人 先生御指摘のように、新幹線の駅の開業と合わせまして駅周辺をいかに整備、開発していくかということは、非常に重要な問題でございます。

 平成九年十月一日に開業いたしました北陸新幹線の軽井沢駅などにおきましても、在来線の駅を橋上化するとか、あるいは自由通路をつくるとかいうようなことが行われているわけでございます。また、佐久平駅におきましては、JR小海線と新幹線が交差するわけでございますが、交差するところに小海線の新しい駅をつくって、新幹線とその駅で乗りかえられるようにした。それから、連絡通路をつくったというようなこともあわせてやっておりまして、地元におきましてもその重要性を認識しておりまして、新幹線整備に合わせた取り組みがなされてきております。

 また、佐久平駅におきましては、駅周辺におきまして土地区画整理事業を行いまして、新幹線を開業した後に新規の企業立地が六十件以上に上るということで、非常に大きな効果があらわれておるところでございます。

 これは過去のものでございますが、現在工事が行われております長野―富山間におきましても、飯山駅でございますとか上越駅、これにつきましては、在来線駅を新幹線駅に隣接するような形で移転する、それから、駅の周辺におきまして、駐車場でございますとか、アクセス道路もあわせて整備するというふうに構想中でございます。

 先生の御地元も、富山でも、在来線の駅を新幹線が来るのに合わせて立体交差化して、駅前広場をつくる、それから富山港線を分離して、路面電車化して、都市交通の活性化みたいなものも図るというようなことが行われているわけでございます。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたこと、新幹線の駅ができるということに合わせまして、いろいろな駅前のソフト、ハードの周辺整備を行うということによりまして、新幹線の整備効果がより広範に及んでいくというふうに期待しておるところでございます。

村井(宗)分科員 次に、地方の在来線の存続の問題を取り上げたいと思います。

 新幹線の開業に伴い、地域の足である在来線の廃止、存続の問題が発生いたします。車を使えないお年寄りや通学する青少年の足を確保する問題は深刻です。他方において、経営の収支の問題も考えなければなりません。今、長野県の第三セクターしなの鉄道が全国から注目されているのもうなずける話です。

 この在来線の存続問題については、どのようにお考えでしょうか。その取り組み方、地方自治体との協議など、お答えいただければと思います。

丸山政府参考人 整備新幹線をつくりますと、必ず並行在来線の問題が発生するわけでございますが、これまでの基本的な考え方は、まず、JRに経営への過重の負担をかけてはいけないということ、それから第二の国鉄をつくらないということで、新幹線開業時にJRから経営を分離するということが、これまで累次の政府・与党合意の中で書かれてきたわけでございます。

 したがいまして、新幹線を着工する前に、並行在来線の経営の分離につきましては、沿線地方公共団体の同意が得られているということを確認した上で行う。先ほど大臣の方から基本条件というお話を申し上げましたが、この並行在来線の経営分離について合意が得られているということも基本条件の一つでございます。経営分離後の並行在来線の経営をどうするかということは、地元の判断による、こういうことになっているわけでございます。

 北陸新幹線長野―富山間の並行在来線について申し上げますと、JRから並行在来線の部分につきまして経営分離をするということにつきましては、既に沿線地方公共団体の同意を得ておるところでございます。今後の問題といたしましては、沿線地方公共団体が、その存続を前提として、どういうふうな経営をしていくかという検討を今行っているところだというふうに承知しておるところでございます。

 ただ、国としても、単に分離してしまって地方が引き受けてくれればそれでいいということではございませんで、JRから分離されます鉄道資産につきまして税制上の優遇措置でございますとか、あるいはJRに対しまして要員の派遣でございますとか運行面などの協力について指導をしてまいりたいというふうに思っております。

村井(宗)分科員 ここまで、いろいろな課題を取り上げてまいりました。やはり財政面、経営収支の問題を考えれば、開業を一年でも早くすること、その開業区間も営業上の効果を十分に発揮できる区間を一年でも早く達成すること、これは、新幹線に限らず、鉄道全般や地下鉄、高速道路にも言われている鉄則だと思います。

 そこで、最後に副大臣にお聞きいたします。北陸新幹線を初めとする整備新幹線の早期着工について、その御決意をお聞かせください。

林副大臣 北陸新幹線の着工区間の工期短縮と新たな区間の早期着工に関して、地元の期待が高まっているということは、聞いております。

 いずれにしても、整備新幹線の取り扱いに関しましては、先ほど鉄道局長が答弁したように、現在、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームで精力的に検討しているところだというふうに承知しております。この検討結果を踏まえた上に、さらに政府・与党検討委員会において検討されるということで、検討が行われるものだというふうに考えているところでございます。

村井(宗)分科員 最後に大臣に、これは御要望として申し上げたいと思います。

 今言っておられます与党のプロジェクトチームという密室で議論するのではなく、やはり国民の目にも映る国会で、オープンな形で新幹線の問題を議論し、進めていかなければならない、私はそのように考えております。

 また、整備新幹線の建設工事におきましては、中央の業者だけではなく、極力地元の業者にも配慮をしていただきたいと思っています。そもそも、新幹線は地域経済の活性化のためにやっているわけです。それなのに、中央のでかい政治献金している業者だけが受け取れるというのではなくて、それぞれの地域の事業者が受け取ることによって本当に地域経済が活性化していく、私はそのように考えております。

 その御要望を申し上げ、本日の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中野主査 これにて村井宗明君の質疑は終了いたしました。

 次に、白保台一君。

白保分科員 大変御苦労さまでございます。公明党の白保でございます。

 私は、観光立国の問題について若干の質問をしたい、このように思います。

 我が国の観光については、国際観光の中ではもう我が国は観光後進国、こういうふうに言われるような状況が続いてきたわけですが、そういった中で、総理が施政方針の中で、二〇一〇年までに倍増計画というようなお話があって、官邸の中にも関係閣僚会議がスタートをしたり、そしてまた観光立国担当大臣ができたり、そして行動計画等もできて着々と今進められている、このように私自身は認識をしておるわけでございます。そういった中で、まず大臣に、我が国の観光の意義、そしてまたその課題について、初めにお伺いしておきたいと思います。

石原国務大臣 観光というものは、外国との観光というものを考えますと、相互の国を理解するという上で非常に重要なものでございます。

 そんな中、今、白保委員が御指摘のとおり、日本を訪れる観光客の方の数というものは、昨年、過去最高の五百三十四万人を記録いたしましたけれども、世界的に見ると三十三番目。一番はフランスの七千万人、続きましてスペインの五千万人、アメリカ、イタリア等々がおよそ四千万人。これに比べてもかなり数が少ないと思っております。

 その一方で、地域の魅力を高めていくためには、一地域一観光、委員の御出身の沖縄はもうまさに観光の宝庫であると私も認識しておりますし、年に一度は訪ねさせていただいているところでございます。

 沖縄について若干触れさせていただきますと、ビジット・ジャパン・キャンペーンの地方連携事業として、沖縄出身の歌手の皆さんによる歌謡コンサートを台湾で開催させていただいたり、韓国からのハネムーンツアーの推進事業などを行っております。また、世界最大のアクリル水槽を持つ沖縄美ら海水族館でございますか、また、日本最南端のモノレールであります、ゆいレールなど、新たな基盤整備というものも着々と行われていると思っております。

 こういう各地域の取り組みというものを総合的に統合して、観光立国としての取り組みというものを政府を挙げて支持していく、こういうことに仕事をさせていただいているところでもございます。

白保分科員 後ほどお伺いしようかなと思ったお話も大分出てまいりましたので、その辺はそれとして、先ほども、一地域一観光、こういう話がございました。

 そこで、私がここにいる間は荻窪の方で子供たちと一緒にいるんですが、子供たちが最近よく韓国の映画を見たりなどしているんですね。そうすると、そこに出てくるのが、韓国観光公社というコマーシャルの中に出てくるんですが、非常に韓国を一生懸命売り込んでいる。そういった面で我が国が、おっしゃるように、言われたように大分おくれているそういう状況の中で、これから、北京のオリンピックがあったり、あるいはまた上海ですか、大きなイベントが、万博があったり、こういったことでもって、恐らくアジアも観光の大競争時代に入ってくるのかな、こういうような感じがするわけです。日本として、そういう時代の中で、ビジット・ジャパンもありますし、どういうふうにしてこの競争の中でやっていくのかという選択的なもの、こういったものはいかがでしょうか。

澤井政府参考人 戦略という意味で三点ほど申し上げたいと思います。

 まず、いずれも観光立国行動計画というものに基づいてしっかりやっていくということになりますけれども、一つには、各地域におきます公共団体、住民の皆さん、NPO、あるいは民間企業などの幅広い連携のもとでの意欲的な取り組みというものがまずベースにありまして、それを関係省庁が連携して応援していく、そういうことによって地域の魅力を高め、あるいは外国への発信力を高めていくということが一つだと思います。

 二つ目に、外国人旅行者の方々の受け入れ体制の整備ということが大事だと思います。外国人が入国しやすいこと、また入国した上で国内を周遊しやすくすること、こういった条件や環境を思い切って整えていくことも大事だと思います。

 また、国内、国外を通じましてお客様のニーズというものをしっかりとらえて、それに合った地域整備なりキャンペーンをしていくということだと思います。国内でいえば高齢者の方の旅行がふえるだろう。また、外国につきましても、ビジット・ジャパン・キャンペーンの開始の前に、重点市場につきましていろいろなニーズ調査をいたしました。国によって日本のどこに魅力を感じるかというのは、国それぞれ違います。そういったところに焦点を当てて、特定の国、一般的に外国人ということではなくて特定の国にねらいを絞って有効なキャンペーンを打っていく、そのようなことも大事だと思っております。

白保分科員 観光はつくづく、すそ野の広い総合的な産業だな、こんなようなことを常々思うわけですね。

 というのは、九・一一の同時多発テロがあったとき、私ども沖縄で、米軍基地があるからということで、一気に観光客が激減をいたしました。私の友人なども大きなホテルを経営しているのもおりますが、もう関係する業者、業種というのはいっぱいあります。そういった人たちが、観光客が入ってこないということで大きな経済的な打撃を受けて、しばらくの間立ち直れない状況というものがあるわけですね。昨年などもまたSARSが発生したときにも、台湾が非常に一番近いところにあって、日常的に台湾との行き来がよくありますから、そういった面で、SARSを入れないためにどうするかということになってまいりますと、勢い、来ていただかないような方法を考えなきゃいけないというので、県知事や県の当局の皆さん方も大変苦労なさる。

 そういうことで、非常に地理的条件で、我が沖縄県はアジアに近くて、非常に交流も今までもあって、非常によかった。ところが、今度は一つ問題が起きてくると、基地問題だとかあるいはまたSARSの問題だとか、そういったことでもって極めて厳しい状況にもなってくる。

 そういうこともありまして、国の大きな観光の計画の戦略の中で、位置づけをどうするのか、どのように考えているのか。そしてまた、同時に、基盤整備をどういうふうに考えておられるのか。そのこともあわせてお伺いしておきたいと思います。

澤井政府参考人 沖縄県にとりまして、観光、リゾート産業が非常に大きな基幹産業であるということは、もう十分御承知のことと思います。

 位置づけという御指摘でございますけれども、沖縄の魅力をどのように発信していくかということだと思います。もちろん、豊かな自然ということもありますし、それから独特の歴史、文化ということもあります。そういったことを生かして、既に、例えば定住型リゾート、リタイア後の人々のための定住型リゾートということでまちづくりをして成功した名護市の白石さんとか、あるいは離島の大自然や文化を生かした島づくりに成功された竹富島の竹盛さん、こういう二人の方がいわゆる観光カリスマにも選定されております。

 沖縄県への観光客を見ますと、平成十五年に初めて外からの観光客が五百万を超えたと聞いておりますが、しかしながら、そのほとんどが国内の旅行者である。海外からの旅行者は十万人程度で、これは、ピークのときと比べると半分ぐらいになっているというふうに聞いております。先生も御指摘のように、東アジア地域はビジット・ジャパン・キャンペーンの中でも重点市場でありまして、今後大変大きな増加が見込まれます。特に、台湾、中国といったあたりに近いという特性を生かすということは、やはり沖縄にとっても必須のことだと思います。

 私どもでは、例えばということで一、二申しますと、十五年八月に開業しましたモノレールの駅舎とかモノレール周辺の主要観光施設につきまして、韓国語、中国語、英語、日本語、四カ国語によります観光案内板の整備というもののお手伝いをいたしました。また、先ほども出ましたけれども、沖縄県に国際観光振興機構が協力いたしまして、韓国のハネムーン客をターゲットにしたプロモーションをして、かなり多くの誘致に成功したという事例もございます。地域の取り組み、いろいろな工夫にこれからもいろいろな支援をしていきたいと思っております。

白保分科員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、九・一一で大変な打撃を受けました。その際に、国を初め全国の皆さん方の御心配をいただいて、先ほども答弁にございましたように、昨年は初めて五百万を突破する、そういう結果になりまして、これはもう本当に国民全体、皆さんに対して感謝をしているところであります。

 さて、そういった中で、私の出身地であります八重山諸島の新石垣空港の問題について触れたいと思います。

 実は、この問題は、私がここで衆議院の秘書をやっている時代ですから、もう二十数年前にもさかのぼるわけですが、当時の南西航空がジェット化をするということでもって、宮古島と石垣島の空港を拡張していこうということで、宮古島の方は拡張ができたんですが、石垣島はいつまでも拡張ができないということがあって、今日まで二転三転して、もう二十数年もたっておるというような状況です。

 概要を申し上げてみたいと思いますが、今の空港の利用率の問題について申し上げると、これは年間の乗降客数が百四十三万人。そういう意味では、今の石垣空港は千五百メートルしかありませんが、第三種空港の中で、二千五百メートルの青森空港に次いで全国第二位。それを千五百メートルの滑走路の中におろすということですから、極めて危ない状況の中で、しかも、これはもう暫定的ということで国の許可をいただいてやっておるわけです。貨物量についても、平成十三年度は一万二十八トンで、第三種空港の中では第一位です。貨物も物すごく運んでいます。そういうことで、十年後には恐らく百八十八万人になるだろうな、こういうことで、沖縄観光にとっても非常に大きな位置づけになるだろう、こういうふうに考えております。

 同時に、最近では非常に農林水産物の振興が進んでおりまして、マンゴーだとかトロピカルフルーツだとか、魚介類も含めて多くのコンテナ輸送をしていかなきゃなりませんが、これが千五百メートルですから、コンテナを載っけて飛んでくるということがなかなか難しい。そういうことで、那覇空港で積みかえをやって持ってこなきゃならないということですから、農林水産物というのは、これは生鮮食料品ですから時間の競争がありますので、そういう面でも非常に大きなマイナス面が出ておる、こういう状況にあります。

 そういう意味では、同時に、今の空港自体が、だんだん周辺が住宅化が進んでいって非常に騒音で悩まされているということもありますから、乗降客の問題やあるいは貨物の問題、そしてまた環境の問題を含めて、これは非常に大きな意義がある、早く進めなきゃならないな、こういうふうに思っておるところでございますけれども、まず、国交省としてどのような位置づけをなされているのか、認識を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。

石川政府参考人 新石垣空港の問題でございますが、先生今現在の石垣空港についての数字の御披露がございましたが、先生おっしゃるとおり、平成十三年度では年間の利用客が百四十万人ほどでございますが、実は平成十五年度の速報値を申し上げますと、これが年間百八十万人とふえております。そういう意味で、先生おっしゃるように、第三種空港では全国一の旅客取扱実績がある。にもかかわらず、滑走路の延長が千五百メートルと短いことから、さまざまないわば制約の中で小型ジェット機が就航しているということでございます。

 したがいまして、旅客、貨物ともどもに、多需要期においては十分な輸送力を供給できない、先生御指摘のとおりでございますし、さらに、石垣空港から羽田空港への出発便は、重量制限がありまして燃料を十分に積めないために、一たん宮古空港に着陸して燃料を補給しなければならないというふうな問題等々がありまして、そのような課題があるということにつきましては、航空局としても十分認識をしているところでございます。

白保分科員 振り返ってといいますか、旅客の問題も当然ありますが、同時に、貨物の問題等も含めて今地域住民が一番望んでいるのは何かというと、もう一日も早くつくってもらいたいというのが一番大きな希望なんですね。

 これは、先ほど申し上げましたように、二十数年前に初めてこのことが始まりました。私はその後県会議員になりまして、沖縄県議でもこの問題と取り組んでまいりましたが、一番最初に石垣島の白保海域、ここでスタートしました。私は立場として、環境問題を取り上げる皆さん方と一緒になってやってもいいんですけれども、そういう意味ではなくして、やはり地元の人たちがこの地域がいいというふうに決めたものであるならば、未来永劫に環境問題についても責任を持つのは地元の人だろうということもあって、地元の人たちと歩調を合わせてまいりました。

 ところが、白保はもうだめだということで、次に今度はカラ岳東、カラ岳の海岸の方に持っていく。それをやっている最中に、今度はまた基盤整備の完全にできているようなところの宮良牧中というところに持っていって、そこがまただめだということでもって二転三転をしてまいりました。

 最近では、稲嶺知事と石垣市の市長の大浜市長、この人たちは政治的には二人とも立場は違う人たちですけれども、何が大事かといえば、一番大事なことは、地域住民の生活が大事だなと。千五百メートルの滑走路の中にこれだけ多くの人たちがおりて、こんな危険なことはないし、早くこれができることが一番肝心だということで、お二人が立場を超えて協議会をつくって、そしてその場でもって皆さんが議論をして、ずっと議論の結果として、今カラ岳の陸上案というふうに方向性として決まってまいりました。

 私は、この過程の中にあって、今までと違って、みんながテーブルに着いてしっかりとした議論をした上で、一部議論があるもののほとんどの人たちが賛成をしているという現在の場所、そこを早く決定していかなきゃならない。こういうことで、私自身は、このことについては大いにこれを進めていかなきゃならないという立場でおります。

 そういう面で、今後のスケジュールとして、やはり地域住民が二十数年も待ち望んできたことでございますし、また、これを完成させることは喫緊の課題ですから、こういう面でスケジュールの問題としてどのようなことになるのか、考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

石川政府参考人 新石垣空港でございますが、先生今お話しのように、地元に早期着工への強い要望がございます。

 沖縄県が早期事業着手を目指して環境アセスメントあるいは地権者の同意取得ということに努力をされていると私ども承知しておりまして、私どもといたしましては、沖縄県から環境アセスメント及び地権者の同意取得の進捗状況というものや建設スケジュールなどの事業内容に関する説明というものを十分伺った上で、検討してまいりたいと考えております。

白保分科員 こういった非常に大事な時期に、先般、私はびっくりしたんですが、朝日新聞の夕刊に、「新石垣空港の建設予定地 希少コウモリ生息」ということで、こういうでかいのが一面にどんと出てきたものですから、ほとんどいろいろなことがもうクリアされて、いよいよ申請に至ろうかな、こういう状況の中でまたこういったことでもって騒ぎになって、白保海岸ではサンゴの問題で没になりましたから、こういうことであってはちょっと困るなということで私自身も非常に心配をして、地元の人たちにいろいろと聞いてまいりました。

 聞いておる中で、恐らく、環境は非常に大事です。しかし、また同時に、守れるものはしっかり守りながら、やはり住民生活をどうするかという問題もこれまた非常に重要な問題ですし、先ほど申し上げましたように、危険な空港でいつまでもいつまでもこれを使っているという状態こそがまた大変なこと、人間の命ももっと大事ですから。

 そういう面で、この希少コウモリ生息の問題についての御報告を受けていらっしゃるでしょうか。

石川政府参考人 現在、環境影響評価を沖縄県がやっているわけでございますが、私どもも、そういう環境影響評価の作業、現在やっておるわけでございますが、今のお話の事案につきましても、事務的に報告は受けております。

白保分科員 私に与えられた時間はまだあります。ありますが、非常に、新石垣空港の問題といい、観光の問題といい、議論がかみ合ったんじゃないかな、こう思っておりますので、私は、時間を残してこれで終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中野主査 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

中野主査 速記を起こしてください。

 次に、谷公一君。

谷分科員 兵庫五区選出の谷公一でございます。

 初めて石原大臣に質問をさせていただきます。最初にお尋ねしたいと思います。

 やや抽象的な質問になるかと思いますけれども、人とか物、情報などが広域的に大きな範囲で流れ、流動化する今日の時代にあって、我が国自身が面積が大変狭い、そして平野部、可住地も少ない、土地の所有も細分化している、なおかつ、地震、台風、津波、それから土砂崩れなどの災害も多い、そういう大きなハンディキャップの国土条件もある。

 しかし、そうはいいながら、我が国は世界でもまれな、地域差を極小化することに成功した希有な国ではないかということが、よくといいますか、時々言われております。

 しかし、そうはいっても、そういう我が国の国土の持っているポテンシャルを今十分に引き出しているんだろうか、あるいは均衡ある国土発展の分散化ということに成功しているんだろうか、また、魅力ある地域づくりの創出を生み出すための有効な国土の使い方というのになっているのかな、そういうふうにいろいろ考えを深めるとき、やはり私は疑問に思わざるを得ないところであります。現実には東京への一極集中に拍車がかかっているのではないか。そう考えると、社会資本整備の哲学というのをやはりきちんと持たなければだめじゃないかと思うわけであります。

 その視点として、私は、国民の安全、安心への強い思い、やはり不安に思う、そういう安全で安心ということへのこだわり、そういう思いを踏まえた視点ということが一つ。また二つ目に、今の世代だけではなくて、我々の次の世代、あるいは次の次の世代を考えた国土の使い方を考えた視点というのが二つ目。あるいは三つ目に、中国を初めとするアジアの台頭、そういったこれからぐんぐん伸びるであろう、そういう諸外国との厳しい競争に負けないという視点。

 そういう視点を持った、経営論あるいは効率論だけではない骨太の考え方、あるべき姿、あるいはあるべき整備水準、そういったものをきちんと持っていく、あるいは模索していかなければならない、やや舌足らずなところもございますけれども、そういうふうに考えるわけでございますけれども、石原大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの谷委員の御指摘はもっともだと思っております。

 社会資本の整備を進めていく中でのポイントとして、一に安全、安心、二に国際競争力、そして三に長期的視野に立ってということでございますが、昨年十月に策定いたしました社会資本整備重点計画では、長期的に達成されるべき国民生活や地域社会の姿を見据えまして、今後五年間のインフラ整備の目標と、そのための取り組みをまとめさせていただいたところでございます。

 この中で重要なファクターとなっておりますのが、委員御指摘の安全、活力といったような柱、さらには長いスパンでということでございますが、少子高齢化社会が進む中でのバリアフリー社会の形成、そして安心ということでは災害に強い国土づくり、さらには、中国との競争が激しくなるということがもう現に起こっている中での国際競争力の向上を、重点的に取り組む課題として位置づけさせていただいたわけでございます。

 道路の民営化の議論の中でもあったわけですけれども、やはり代替道路がない災害に弱い地域というものには代替道路としての高速道路が必要であるといったような意見、あるいは、都市部においては国際競争に勝っていく上での環状道路の整備というものを早急に行う必要があるといったような意見、こういうものが出されたのも、今委員の御指摘のとおり、我が国のこれからのインフラ整備における基本的な位置づけ、戦略的な位置づけというものを思って多くの方々が意見を出され、また私もまさにそのとおりだと思っておりますし、限られた財政事情の中で、選択と集中ということで本当に必要な事業を重点化していく、こういうことが必要なのではないかと考えております。

谷分科員 大臣の総括的な基本的な考え方をお聞かせ願いまして安心いたしました。では、大臣も次の御予定があるというふうに聞いておりますので……。

 では、今の大臣の答弁を受けまして、やや具体的に論を進めてまいりたいというふうに思います。

 現在、国土審議会では、昨年の六月に中村英夫先生を部会長とする調査改革部会を設置いたしまして、将来の国の形を国民、地方公共団体、国などと共有しつつ、二十一世紀にふさわしい国土づくりを進めるため、調査審議を実施しているというふうに聞いているところでございます。

 まず、それの関係で、スケジュールなど総論的に何問かお尋ねをしたいと思います。では、その総合的点検というのはいつぐらいに出るんでしょうか、方向性が。

薦田政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃられましたように、国土審議会におきましては、二十一世紀の国土づくり、地域づくりにふさわしい国土計画への改革ということを目指しまして、昨年六月から調査審議をしていただいております。総合的点検では、我が国の国土の現状と課題を検討し、長期的な視点に立った国土政策の課題を示すということで始まっております。

 審議の今後の段取りでございますが、部会で今御審議をいただいておりまして、近々開催予定の国土審議会、親審議会に当たりますが、そこに部会から報告をされて審議をされる予定でございます。

 私どもとしては、今後の我が国の目指すべき国土のあり方について、いろいろな国民、地方公共団体、国その他国土づくりに携わる多様な主体が共有できる国土の将来像の確立に向けて、国民各層における議論を深めていただくための材料となることを期待しておるところでございます。

谷分科員 そうしたら、近々調査改革部会から国土審議会に報告はされると。では、報告がされて、もう一つきちんと私自身が理解できていないのは、それはどういうふうに生かされると考えればよろしいんでしょうか。何か、往々にしてと言っては失礼かもわかりませんが、まあまあ報告が出たということだけで何か満足しているのは意味がないことであって、具体的にどういうふうに生かされていくかということをお聞かせ願いたいと思います。

薦田政府参考人 お答え申し上げます。

 調査改革部会での検討というのは、むしろ検討の材料を抽出して議論に供するということでございますので、先ほど申し上げましたとおり、国民とか地方公共団体、国等の多様な主体が国土の将来像を共有できるためには、やはりいろいろ将来のあり方について議論をしていただかなくちゃいけない、その材料としてということを申し上げました。

 審議会といたしまして、もちろん今度の審議会でどういう議論になるかということでございますけれども、事務局といたしましては、今回総合的点検で課題をいろいろ抽出して提示をするということでございますので、それをより深めた検討というのを国土審議会においてやっていただければなというふうに思っております。ただ、現実にその報告を審議会にした上で、そういうことになればというふうに思っておるところでございます。

谷分科員 では、また調査改革部会から国土審議会に出されて、これから議論も深められるかもわかりませんが、今の調査改革部会のいろいろな議論の中で、平成十年に閣議決定されました第五次全国総合開発計画、二十一世紀の国土のグランドデザイン、それとの関係といいますか、関係といったら少し言い方がおかしいんですけれども、平成十年に、九八年に決定されたものと今回の関係は、その後の点検ですからもちろん関係あるんですけれども、方向性とかそういうのはどうなんでしょうか。

薦田政府参考人 平成十年三月に、二十一世紀の国土のグランドデザインというのが閣議決定されております。

 今般の国土の総合的点検ということをやるようになりましたのは、人口減少とか少子高齢化、もちろん当時も言われておったわけでございますが、その問題が極めて差し迫った問題として国民に認識されるようになったということ、あるいは、国境を越えた地域間競争というものが急激に進展してきたとか、あるいは環境問題が顕在化した、あるいは財政制約がより一層厳しくなってきた、あるいは地方分権に対してのいろいろな議論、期待が高まっているというようなことで、現在、平成十年の国土のグランドデザインの策定後の新しい潮流を踏まえた検討というものを国土審議会で行っていただいているところでございます。

 この御審議の中では、やはり地域の自立性を高める、そして地域主体の計画づくりを推進するようなこと、あるいは国土の利用、開発、保全というものを一体的に進めることによって国土構造の転換を確固たる流れにするというような課題を取り上げて、御審議をいただいておるところでございます。

 現行の計画というのは、名前のとおり、全国総合開発計画というふうになって、もちろんいろいろな広い分野のものを取り上げてはおりますが、どうしても開発にウエートを置いた計画という面がございます。そういう意味では、新しい時代にふさわしい計画はどうあるべきなのかというような方向に向けての御審議を、現在いただいておるというところでございます。

谷分科員 その審議のされている中で、今後の国土づくりの基本方向ということで二つのことが言われております。最終版ではないかと思いますが、そのうち一つは、二層の広域圏を念頭に置いた対応、二層の広域圏という概念というか、考え方を提示されております。

 一層というのが生活圏域で、資料によりますと、生活圏域というのは、人口規模が三十万人前後、時間距離一時間前後の地域的まとまりのことをいうと。二層というのは、もっと大きくて、地域ブロック。地域ブロックというのは、ほぼ一国に相当する諸資源や機能、施設を有し、国際社会の中で伍する競争力を有し、先進国として相ふさわしい水準を維持できるまとまり、こういう考え方を今提示しているわけであります。

 行政区でいいますと、生活圏域というのは複数の市町村から成る、それで地域ブロックというのは都道府県を超えて、こういう二層の広域圏でございますが、現在、承知のように市町合併が本格的に進んでおります。実は、昨日も、私も兵庫県で、法律、合併特例法で初めて養父市というのがこの春に誕生したんですが、その投票日だったんです。兵庫県、近畿で初めてです。それで、そういう新しい市というのはこれからどんどん、来年の春に向かってたくさん出てくる。そういう市町村合併、さらには、その次には道州制というような議論にも進んでこようかと思いますが、そういう自治体間の再編ということと、この二層の広域圏の関係といいますか、それはどういうふうに考えられておられるのか、お尋ねしたいと思います。

薦田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、審議会の方で御議論をいただいておりますのは、あるいは今後の人口が減少すること、あるいは人間の活動が広域化していく、国際化していくという中で、自立し、また安定した地域社会を形成していくためには、既存の行政区域を超えた広域レベルの対応が重要だ。そういうことで、今先生もおっしゃられましたように、一つは、生活の面におきましては、人口減少下におきまして、生活の利便性のための各種の都市的サービス、総合病院とか百貨店といったそういう都市的サービスを提供する都市というものが、一つだけの都市でできているところもありますけれども、できていないところもある、また、できているところも、全体の人口減少の中でそういうことが困難になる可能性がある。そういう状況に対しまして、複数の市町村が機能分担と相互補完を行うことによって都市的サービスを維持していくということが重要となると考えております。これが生活圏域の考え方でございます。

 それから、一方、経済の面では、国境を越えた地域間競争が激化すること、あるいは人口減少に伴う地域活力の低下というのも見込まれる中で、都道府県を超える地域的まとまりによってスケールメリットを発揮するというようなことによって、地域の魅力や競争力を高めるということが求められると考えております。

 そういう意味で、二層の広域圏を提案しております。これが、いわゆる行政の合併とかあるいは道州制云々との関係という点でございます。

 生活圏域につきましては、そういう意味で、都市的サービスを圏域内での機能分担、相互補完によって維持していくということに着目をしております。したがいまして、基礎的自治体の形成というものを目的とする市町村合併とは異なるものでございます。現実に、そういう意味で、圏域の大きさというふうに考えた場合には、もちろんいろいろの例外もありますけれども、今の市町村合併が相当程度進んだ後でも、やはりその新しい市町村域を若干超えるものが多いのかなというふうに考えておるところでございます。

 それから、道州制につきましても、議論されておりますのが、行政単位の話でございます。総合的点検の中では、まさに先生もおっしゃられましたように、複数の都道府県がうまく連携をすることによって、例えばEUの中規模国と言ったら向こうに怒られるかもしれませんが、そういう国並みの経済力を持っている、ですから、そういうものを維持しながら国際的な地域間競争に対応していく、都道府県を超えたまとまりという意味でございまして、これまた行政の範囲というのとは観点が違うというふうに考えておる次第でございます。

谷分科員 今の御答弁の中で、二層の広域圏で、生活圏域というのがおおむね三十万人前後で、市町村合併が進んだとしても、それを超える複数の市町村が想定というのはわかりましたが、都道府県の方であれば、地域ブロックは、まあ、道州制の議論がどういうふうに展開していくかわかりませんが、道州制であれば、いわゆるブロック、九州とか関西とかそういうブロックは、ヨーロッパでいうと一国に匹敵するようないろいろな力があるとかよく言われますね。そうすると、まさに地域ブロックに、道州制でいうそれと相当重なる部分があるというふうに考えておられるのかどうかというのをもう一度お願いしたいと思います。

薦田政府参考人 審議会の議論で、先生方の御意見も実は、おっしゃられた点が若干、全員一致というわけにまいらないような状況になってございます。ただ、一つの目安として、人口規模で六百万とか一千万とかという、それが最低限度なのかなというふうなところの大まかな目安につきましては、比較的共通の認識でございます。ただ、これでいくと、全国でどのぐらいになるかというところにつきまして、あるいは、おっしゃられましたように、中国地方とか近畿とかという境目と同じで考えるかどうかというようなことにつきましては、議論がなお分かれております。

 ただ、先ほど、繰り返しになりますけれども、経済あるいはこれから国境を越える地域間競争に対応していくというためには、やはり一つの、まあ、東京は別といたしまして、ほかの、大阪なんかでも十分じゃないんじゃないかというようなのがあります。そういう意味で、道府県を超えるようなまとまりというもので対応していかなければいけないんじゃないかというところは一致しておりますが、道州制、どういうことに道州制そのものがなるかわかりませんけれども、そういう行政的な仕切りと微妙に違ってくるのではないかというような御議論を現在いただいておるところでございます。

    〔主査退席、後藤田主査代理着席〕

谷分科員 なかなか、道州制の議論はデリケートなところがありますから、局長も大変慎重に言葉を選んでされているようなあれで、わかりました。

 今後の国土づくりの基本方向で、今議論もさせていただきました二層の広域圏を念頭に置いた対応というのが一つと、もう一つは、コンパクトな都市構造への転換ということがあります。

 持続可能な美しい国土を目指し、都市郊外部などにおける拡大、拡散した都市的土地利用の秩序ある集約化とともに、集約に伴い生じた余裕空間を生かして美しさ、ゆとりなどの向上を図るということが今後の国土づくりの基本方向にあるわけでございますけれども、もう一つよくわからないんです、イメージが。どういう考え方、発想でこういうことが出るのかなと。ちょっと私もかたいというか、それかもわかりませんが。

 先ほどの二層の広域圏というのは、我々の通常の生活のパターンで、身近と、それからやや広域ということで、いろいろな意味で確かにそういう視点が必要だなということはわかるんですが、二つ目が、何か言葉では、言葉がわからないというよりも、こういうような方向が出た根底となる発想、これからの時代の見方、そういったものがもう一つよく私自身理解できないんですけれども、お願いいたします。

薦田政府参考人 これまで、都心と住民への都市的サービスの供給でありますとか、あるいは地域社会の維持に中心的な役割を果たしてきた都市、とりわけ地方都市におきまして、もうほとんどの地方都市におきまして人口や機能の立地というのが中心部から周辺部に拡散するという傾向が進んでおります。そういう一方で、中心市街地の衰退が深刻化しておるわけでございます。

 こういう中で、全国人口が減っていく、あるいは、その意味では、全国一律に減るわけではありませんので、地方の必ずしも大きくない都市におきましてはむしろ人口の低密度化ということが進行することが予想されます。また、急速な高齢化が進む。周辺部に拡散するということは、逆にモータリゼーションのおかげで環境の制約が強まるというようなことがございます。また、人口が減少することによりまして、地域の財政というものも、一人当たり払う税金ということを考えていきますと、投資制約の強まりなどが予想される。

 そういう中で、将来に向けてこういう課題に対応するというためには、やはり都市周辺部への拡散というものをこのままにするのではなくて、抑制する。そういうこととともに、いろいろな機能を中心部へ誘導していくということによって、中心のにぎわいを取り戻して、求心力のあるコンパクトな都市構造、コンパクトシティーという言葉が欧米で使われておりますが、それに転換を図っていく、そういうことが必要ではないか。あるいはまた、地域が責任を持って自主的に賢明な選択をして、安定的でかつ持続的な成長、スマートグロースという議論を審議会ではされております。

 若干仮置きの面もあるのでございますが、そういうようなスマートグロースを目指すことが極めて重要ではないかというような議論を現在行っていただいてきたところでございます。

谷分科員 もう少しわかりやすく、言わんとしていることは今の御説明でわかりましたけれども、今後ずっと議論を深めるときに、一般の国民の方にもわかりやすい言い方でということを希望いたしまして、次の問題に移らせていただきます。

 後藤田先生のところもそうですが、私のところも道路が大変大きな願いでございます。道路整備についての願いでございます。

 先ほどの石原大臣への質問とも関連するんですけれども、国土のポテンシャルを考えるならば、今後どれぐらいの道路の整備が必要なのかということは、経営議論を先行させるのではなくて、きちんと議論をして進めていかなければならないというふうに思っております。

 そういう思いの中で、我がふるさとの関西では、神戸、大阪、京都、これは効率的な交通体系ができているのではないか、昔から相当いろいろな発達をしておりましたし。そういう半面、私の選挙区であります兵庫県の北の方、いわゆる但馬の方とかあるいは和歌山の南、南紀の方では、そういう周辺部では、極端にサービスの悪い空白部、あるいはネットワークが極めて貧弱だ、そういう地域が残されているのではないかというふうに常日ごろ認識しているわけですけれども、まず、佐藤局長、その辺の認識からお願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 関西地域の中でも、北但馬あるいは南紀等においては、高速道路のネットワークの形成が不十分過ぎるということではないかという御指摘かと思います。

 そういう意味では、先ほど来御議論いただいております国土のグランドデザイン、こういうものに基づいてこれからまたいかなる方向をどのぐらいきちっとしていくか、大いに御議論をいただき、そういう中で、国土形成をどうするかという前提の中で、高速道路、あるいはまたそれにつながる国道等のネットワークの整備もあり方を考えていくべきか、こういうふうには思っております。

 現状の事実だけを申し上げますと、今の第五次の国土のグランドデザインと申し上げればよろしいんでしょうか、国土を、高速道路で申し上げれば、インターチェンジ一時間圏を形成し、全国の一日交通圏、こういうことで寄与していくべきではないか、こういう御指摘をいただいておるところであります。そういう意味で、一時間の面積カバー率、こういうふうに見てみますと、関西地域全体で申し上げますと大体九割ぐらいということになるわけでございますが、北但馬で申し上げますと四三%、南紀の方でありますと、まだまだ行く手段がなかなかない、ゼロ%、こういうことでございますので、今後のといいますか、現在も含めて有機的な道路ネットワークをいかに早く形成するか、これがまた現在もこれからも大事な課題だというふうに考えております。

谷分科員 残念ながら時間が終了いたしましたので、最後に要望だけをお話しさせていただきたいと思います。

 北近畿豊岡自動車道の整備が現在進められておりまして、平成十八年度までに但馬の南の和田山までは整備ということがはっきりしておりますが、和田山からその北側、八鹿というところまでぜひ今年度中に本工事に着手していただきたいということが一つと、もう一つは、八鹿からさらに北の豊岡南に至るまで現在都市計画の手続を進めているわけですが、今年度は無理でしょうけれども、来年ぐらいには都市計画を終えるようなスピードでもって対応していただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤田主査代理 これにて谷公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、中山泰秀君。

中山(泰)分科員 衆議院議員の中山泰秀と申します。

 本日は、尊敬する後藤田先生のもとで決算行政監視委員会で御質問をさせていただくことを、本当に光栄に存ずる次第でございます。

 今、国会の議論を見ておりますと、そしてまた各メディアの報道等を見ておりますと、年金問題、その他イラクの問題、たくさんの問題が国民の中でいわゆる政治課題として議論を醸し出しているわけでございます。

 政治というもの自体が一体何のためにあるのか。私は、政治家として、これは紛れもなく国民の皆様方の支えとなる床、目に見えない床が政治だ、そのように考えております。特に年金問題に関して申し上げれば、いわゆる賦課方式。最近、政治家の未納問題や未加入問題、そういったものがたくさん議論されている中で、若い方々がその政治家の姿を見て、政治家が払わないんだったらおれたちが払わなくていいというような誤った考えを抱かないように、逆に、その原因が政治家本人の政治不信を国民の皆様方に呼び起こしているんだという原点に立ち返って私どもも同時に反省をし、そして逆に、国民の皆様方の不信をいち早く、できるだけ早いうちに回復をさせること、それが非常に必要なことだと思っております。

 私がなぜ今ここで年金問題を冒頭に申し上げたかといいますと、いわゆる賦課方式というのは、私どもの父母の世代、そしておじいさま、おばあさまの世代、そういった私どもの日本人の先人たちが今まで一生懸命、この国に育っていく若い人たちが将来困らないように、そしてまたその一つの支えとなるように、年金の問題、そういったものを賦課方式として考えていく、そういった制度をつくろうとしたことに原点があるんじゃないでしょうか。そのように考えております。

 そういった意味では、先ほどの谷先生の御質問にもございました、例えば道路整備におきましても、今道路の予算をしっかりと確保し、道路行政を拡充し、そして充実をさせていく。それはもちろん、今の時代に生きる日本の人たちのためでもございますけれども、それと同時に、国家のインフラ整備というものは、将来この国に生きる子供たち、その子たちがしっかりと、日本の安心と安全の国づくりのもとで、例えば道路整備もしくは土砂災害地域におきますいろいろな建設投資、そういったものをしっかりと充実させていく議論を私たちが今この決算行政監視委員会で行う、それが本当の意味をなすと思います。

 今から三十年後にできる事業、二十年後に完成するであろう道路、十年後に修復されるであろう下水道、そういったものを今私たちが議論していても、私がことし三十四になりますので、十年でも四十四、二十年たてばもう五十歳という、いわゆる若手とは言われない政治家になっていくわけでございますので、ぜひとも、政治家としての将来に対する想像力をたくましくしながら、今から私の質問に慎重に注目をし、そしてお答えをいただければありがたい、かように思う次第でございます。

 それでは、まず私自身、せんだって予算委員会の分科会で、国土交通関係、特に日本の港という観点において危機管理に対する対策、どういったことが行われているのかという御質問をさせていただきました。

 日本の港には、当然、海の港もございますれば、空の港、水際対策、同時に、造語でございますけれども、空際対策というものをしっかりと行っていかなければいけないんだということを申し上げました。そして鬼頭局長より、特にスーパー中枢港湾、これに対してのお答えをいただきましたけれども、どうやら各メディアも、いろいろな報告、そういったものを見ておりますと、いよいよ大阪港そして神戸港にまつわるいわゆる阪神港にスーパー中枢港湾の御指定をいただけるように聞いております。

 そういったことに対して、これから将来的にそのスーパー中枢港湾を指定することによって、どういった経済的な効果、その地域に、もしくは、ひいて言えば私どものこの日本にどういった効果があるのかということを、期待をしております国民の皆様方にわかりやすく御説明を賜ればありがたいと思います。

鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員お話のありましたスーパー中枢港湾につきましては、去る五月の六日にスーパー中枢港湾選定委員会が開催をされまして、お地元の阪神港についても、京浜港、伊勢湾とともに、一定の条件がクリアされるということを前提に指定すべきであるという結論をいただいたところでございます。

 スーパー中枢港湾におきましては、御承知のとおり、アジア主要港をしのぐコスト、サービス水準の実現を目指して、コスト面では約三割の低減、あるいはリードタイムという関係では、現行の三日ないし四日からそれを一日程度に縮めようということを目標に、大規模ターミナルの一体的、効率的な運営を実現するためのターミナルシステムの統合あるいは大規模化、あるいはIT化等にかかわる諸施策を展開していきたいというふうに考えてございます。

 その結果、例えば、背後圏に立地をして当該港湾を利用する製造業など輸出型の産業におきましては、輸出品の製品価格を低下させることができるということによってその企業の国際競争力が強化をされるという効果がございますし、輸入貨物につきましても、調達コストでありますとかあるいは在庫コストの低減が図られることによりまして、その地域に根差している地場産業の活性化、あるいは豊かで安定した市民生活の確保ということができるようになるなど、地域の社会あるいは経済の発展に大きく寄与するものと考えてございます。

 なお、このような効果が早くあらわれますためには、例えば阪神港でありますれば、神戸港と大阪港の連携はもとより、瀬戸内海の各港も含めた広域的な連携を含めて、これまで各地域で御検討をいただいておりました育成プログラムの内容をしっかりと、それもできるだけ早く実現をしていただくことが大変重要であるというふうに私どもは思っておりまして、私どもも、そういった地域の取り組みについて、これからもしっかりとバックアップをしていきたいというふうに考えてございます。

中山(泰)分科員 局長、ありがとうございます。

 日本は島国でございますので、日本の港湾行政というものをしっかりと守り、そして発展をさせ、一九八〇年当時、例えば今局長からも御答弁ございました神戸港は、この北東アジア、そして世界規模で見ても、総体的な主要港の地位としては四位に位置づけられていた、それが二〇〇三年には残念なことに二十九位になってしまっている。それをぜひとも一刻でも早く上位に上げていただき、そして効率化を図っていただき、特に関西地域の経済界、そして御商売を営む皆様方というのは非常に、江戸時代からヘッジファンドをしていたぐらいの、商売人の浪速のあきんどの知恵がある方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々の知恵もぜひともおかりをいただき、そして一緒になって地域の港というものの発展をなし遂げていただきたい。御期待を申し上げて、お願いを申し上げておきたい、かように思う次第でございます。

 そしてまた同時に、今回のいわゆる九・一一テロ事件、いろいろなそういった事案をもとに、世界各国の港、世界基準で非常に警戒態勢に入っているということが今現状ではないかと思います。特に港湾におきましては、SOLAS条約に基づいて、いろいろな港湾の安全基準の見直し、それと同時に、そういった意味でしっかりと設備というものを整えていくことになっております。

 先般、実は私、地元に国会の本会議が終わった後に帰ろうと思いましたら、羽田空港で足どめを食らってしまいました。何があったんですかと言うと同時に、昔、羽田の国際線の乗り場があった、今でもあると思うんですけれども、その部分にパトカーがいっぱい来て、マスコミの車両がいっぱいとまっていた。空港に着きまして説明を聞いたら、テロの警戒が厳重態勢にあったにもかかわらず、不審者が空港の中に侵入をし、そして空港のいわゆる治安体制の不安を非常に増幅させるような、そういった事案が起こっておりました。

 それに対して、どういったことが今現状でわかっていらっしゃるのかということを、簡単で結構でございますので、ぜひとも御説明いただければと思います。

石川政府参考人 御指摘のように、現在、空港において保安体制の強化が求められている中で、四月の二十八日のような事案が、不審者が羽田空港に侵入したという事案が発生したことにつきまして、まことに遺憾でございまして、私どもとして事態を重く受けとめております。

 事案の概要でございますが、私どもとしては基本的に、空港においては、周囲に強固なさくを設けて、さくの上部には有刺鉄線等を配置する、あるいはセンサーをつける等をやっております。さらには、ゲートにおいても、モニターカメラあるいは赤外線センサー等によって不法侵入を即時に把握できるようにしているというふうなことをやってございます。

 実は、今回の事件の発生したところは仮設ゲートでございました。これは本来、第七ゲートというのがございまして、これが、国際ターミナルのところにある第七ゲートが本来のゲートでございます。ところが、この国際ターミナルの増設工事というのをやることになっておりまして、その本来の第七ゲートに代替するものとして仮設ゲートが設けられたものでございます。なおかつ、これは五月七日から、つまり事件のあった後から、連休の後から使用するということであったわけでございまして、そういう意味で実は警備員も配置されていなかった、あるいはモニターカメラあるいはセンサーも配置されていなかったというところでございまして、結果的に自動車の侵入を許すことになってしまったということでございます。

 私どもとしては、今回の事案の発生を踏まえて、再発防止策を講じていきたいと考えております。

中山(泰)分科員 あれは何年前になりますか、ちょっと何年前かはっきり覚えておりませんけれども、以前に、国内線のチケットを二枚持った犯人が、空港の荷物の中にナイフを隠しておいて、いわゆる荷物をとるところでナイフをとり、そしてまた出発の入り口に戻って全日空のパイロットの方ののどをかき切って、非常に痛ましい事件を私も記憶に覚えておる次第でございます。ああいった事件があって、その後に警備員を今現在はしっかりと配備をし、そして、一度いわゆる荷物のバゲッジクレームのところに、手荷物の引き揚げ所というか手荷物受け渡し所に行った人が逆戻りをしないような対策というのがなされております。

 今回の事例も同じようなもので、その事件が起きたからこそ逆にこういった対策を今後講じ、そして二度と発生しないような体制づくりというものを努力なさって行政として頑張っていらっしゃるというお姿は、本当に私どもとしてもありがたいことではございますけれども、いかんせん、テロを一〇〇%防ぐというのは非常に難しいことであるのは、同時に国民の皆様方も納得がいくところだと思いますが、できるだけ想像力を皆様方の間でもたくましくしていただいて、今後このようなことが二度と起きないように、もしくは新たな、新種のケースが起きないように頑張って対策を講じていただければありがたいと思います。

 そしてまた、ちょうど委員長のお顔を見ておりますと、後藤田正晴先生のお姿を同時に思い浮かべるんでございますけれども、警察庁とも一生懸命、国交省とで話し合いをしながらしっかりとした対策を同時にやっていかれるということをお聞き及びいたしておりますので、今後、その点に関してもぜひとも頑張って取り組んでいただければありがたいというふうに思います。

 それでは、また別の観点からちょっと御質問をさせていただけたらありがたいと思いますが、私はかねてより、この日本というのは世界に誇るべき平和国家であるというふうに考えております。

 ときに、今、国民の約七割の方々が憲法改正論議に対し、憲法を改正して見直すべきではないのかという世論調査の結果も出ておりますけれども、私は今、自分自身も憲法改正推進派という立場におきまして、この中で質問に交えて御意見を申し上げさせていただきますと、今までのような文章に書くだけの憲法もしくは文章に書くだけの法律では、ある意味、紙に書いて、紙を破ってしまえば逆に約束は守らないというようないいかげんな人間が将来出てくるかもわからない。もしくは、紙に書いたものの信用、信頼というものがどこまで担保できるのかということも考えた場合に、紙に書いた憲法をアクションプランとしてしっかりと行動に移すということも一つ大切なことではないかと思います。特に、人間というのは、目に見えるもの、耳に聞こえるものというものを信頼する、信用する、そういった本能がございます。

 私は、世界で唯一の被爆国としての我が国日本、特に、広島そして長崎という二つの町にそういった悲惨な思い出を抱えている我が国の国民として、広島と長崎に国連の機関、もしくは国連の機関のためのビル、もしくは国際会議場、そういったものをぜひとも整備をし、招致をし、そして設備を今こそするべきではないか、私はそのように思います。

 今我が国は、国連の分担金一九・四六八%、約二割を私どもの国民の税金から出しているにもかかわらず、残念ながら、青山に国連大学、その他、各諸機関がテナントビルに入っているような様子では、私はとても一国民として納得いくわけにはいきません。ぜひともこれは、そういった国際会議場を設けて、そして平和の国日本で世界じゅうの人たちが集まって平和に対しての考え方を討議し、そしてそれに対するアクションプランを新しい世代のために議論をする場というものを我が平和の国日本として設けるべきではないか、そのように思うのですが、国土交通省の御見解をお伺いさせていただきたい、かように思います。

澤井政府参考人 今の御指摘は、国連機関等々を一定の地域に誘致すべきではないかということについては、私ども必ずしも直接的に言及する立場にはありませんけれども、そういった国連機関などが立地して人々が行き交う、さらに広く言えば、観光ということで日本の人が外国に行く、あるいは外国の方が日本に来るということが、先生御指摘の相互理解なり世界の平和と我が国の安全ということに大変大きな意義があるという御趣旨であるとすれば、私どももそれは全く同感でございます。

 ちょっと御指摘とは趣旨がずれるかもしれませんが、一例御報告したいと思うんです。今、観光立国行動計画のもとでビジット・ジャパン・キャンペーンというのをやっています。そのキャンペーンの事業の中で、韓国の高校生を日本にお招きするという事業をやりまして、日本にお招きした結果としてどうだったかというアンケートをとりました。

 例えば、韓国の高校生の方の印象の一つとして、日本に来る前は日本を余り好きな方ではなかったと言いながら、訪日した後は、そのようなことは自分の偏見だというふうにおっしゃって、その偏見は忘れ、日本のことがとても好きになり、今度は日本語を習ってまた訪日したいという、日本に対する印象がかなり改善したという回答がございました。

 先ほど、アクションプランという仰せであります。きちんとルールを決めていろいろなことを実行するという中で、やはり人と人が触れ合うということがいろいろなことに比べても特段に効果の高いことだと思うんです。これは、日本人が外国に行っても、いろいろな親切な対応をしてもらったということで一遍にその国に対する印象がよくなるということを、しばしば私ども含めて経験しております。そういったもろもろの意味を含めまして、人的な交流ということが世界平和の最もベースにあるのではないかということは、私どもも全く同感でございます。

中山(泰)分科員 今の局長の御答弁を聞いて、本当に安心をいたしております。

 といいますのは、やはり局長のおっしゃるとおりで、人と人との交流というものがしっかりとした平和の礎になることは間違いないわけでございまして、私も実は、せんだってタイの方に行ってまいりまして、WYPS、ワールド・ユース・ピース・サミットというところで、世界じゅうから三十五歳以下の政治家の方々、行政の方々がお集まりになられまして、そして将来的な、今までは平和というものに対していろいろ論議をしてきた。しかし、宗教戦争、中東でも今起きておりますし、それ以外のテロ事案もたくさんあります。

 その中で、人間は同じ過ちを同じ人生の中でおのおの繰り返すといいますけれども、いい歴史は繰り返すべきかもわかりません。しかし、悪い歴史を繰り返さないためにも、ぜひともそういったリーダーシップをこの日本がとるべき立場にあるということを、しっかりと国土交通省とされましても御認識を新たにしていただいて、今後ともぜひ国際交流という立場から局長のおっしゃられたことをなし遂げていただけたらありがたい、かように思う次第でございます。

 それと同時に、やはりなぜ私がそういう目に見える会館をつくってくださいというお願いをさせていただいたか。これは、前段申し上げましたように、賦課方式という年金の考え方と同じで、やはり後世のこの日本に育ち行く子供たちの将来のためにも、そういった子供たちから、そして高校生でも大学生でもいいから、そういった会議場で会議をしてほしいということが一つ。

 それと、やはり今いろいろな構造改革の中で、いい方向に、できるだけ経済的に、悪い部分は削って、むだな部分は廃して、そしていい部分を残していこうという改革の中で、しかしながら、やはり将来のこの国に育っていく子供たちに対して有効な、利益のある意味での建設投資というのが余りにも削られ過ぎている部分も、正直あると思うんです。その中で、そういった建設投資、意味のあるものに関しては、ぜひとも国民の理解を得た上で行うべきじゃないか。

 そういった意味では、私が御提案させていただいております、広島と長崎に国連の機関を誘致、招致し、そして新たな国際会議場を必要に応じて建設をするということも、また一つ経済効果が大きくあらわれるところではないかと思いますので、あえて御意見としてお聞きいただければありがたい、かように思います。

 それではもう一つ、最後の質問をさせていただけたらありがたいと思うんです。

 実は、私の地元は大阪市内のちょうど北半分でございまして、北区というところが中心地。特に、大阪の市役所がございましたり中之島公園、きれいな公園がございましたり、あとは、繁華街でいえば北新地という飲み屋街があったり、本当に町の方が一生懸命つくり上げている、歴史の深い、すばらしい町に私の選挙区はございます。

 その中で、今回、大阪梅田の北ヤード、いわゆるJRの引き込み線の跡地の開発計画が進められておりますけれども、私どもの地元で、特に商店街の方々、そして地域にお住まいの方々から、いろいろな心配の声を同時にいただいております。

 例えば、日本国を見た場合に、東京都に対する一極集中というものが、各政令指定都市の間でもいろいろと騒がれております。東京ばかりが伸びていって、どうして地方都市が疲弊してしまうのか。私たち、大阪におりましても、もっと私たちが国に上げた税金をもっと予算として私どもの町に戻していただきたい、これが本当の真意でございます。

 その中で、今回、大阪梅田の北ヤード、北区だけを見た場合でも、北ヤードだけに予算が集中をして、そして開発計画が集中をすると一体どういうことになるのか。

 例えば、ほかの商店街、ほかの地域、そしてまた特に申し上げたいのは、大阪の駅前、第一、第二、第三、第四ビルというところが、昔再開発になって、ビルがございますけれども、そこが今、大阪駅前ビルという名前が駅裏ビルになってしまうんじゃないかと。JRの大阪駅を中心に、北側がちょうど梅田北ヤードが存在するところでございます。南側が、今デパート等がございますけれども、どうも人の動線がそこまで行き及ばないんじゃないか。そうでなくても、大阪は今非常に景気が悪うございまして、大阪に限ったことではないのかもわかりませんけれども、それを町のお住まいの先ほど申し上げたような方々が、一生懸命経済活性化を図り、いろいろな地域のアイデアを出し、そしてできるだけお客さんを呼び込もうとしている中で、梅田北ヤードだけが北区内の一極集中で発展を遂げてしまうというのもこれは問題があるところだと思いますので、ぜひとも、大阪市北区、もしくはそれ以外の近隣の各区を、いかに人の動線をつけていくのか。もしくは、いかにほかの商店街やそれ以外の部分と効率化を図って、融和できる地域のまちづくり、都市づくり、そういった計画をどのように国土交通省がお考えになっていらっしゃるのか、その点をお聞かせいただければありがたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 梅田貨物駅跡地二十ヘクタール強を中心といたします大阪駅の北地区は、大阪都心に残された最後の一等地の種地でございまして、今後関西の再生をリードする新しい拠点を形成することが期待されているところでございます。大阪市では、平成十五年の十月に基本構想をまとめまして、現在都市計画決定に向けた検討を進めております。

 一方、今お話がございました大阪駅の南側におきましては、駅前の地下街ディアモール、平成七年に完成、また梅田のDTタワー、平成十五年完成、西梅田地区、毎日新聞ビルほか平成四年以降順次完成等の整備も、順次いろいろ行われているようでございます。さらに、サンケイビルや阪急百貨店の建てかえの構想も発表されておりまして、南側におきましても引き続き開発の進展が見込まれているところでございます。

 政府としましては、この地域、平成十四年の七月に、大阪駅の周辺、中之島、御堂筋周辺地域を都市再生緊急整備地域ということに指定しておりまして、駅の北側と南側の開発、一体となって相乗効果を発揮して、大阪駅周辺地域全体について、国際的な中枢業務機能等々、商業機能等の集積地として発展することが期待されておる、このように我々も認識しております。

中山(泰)分科員 もう本当に今竹歳局長がおっしゃっていただいたとおりに、大阪のちょうど中心部の開発でございます。本当に地域の皆様方は、私がきょうここで北区のこと、北ヤードのことを質問させていただきますと言ったら、本当に頑張って言ってくれ、商店街の活性化、人の動線をつけて、ぜひとも、今よりも景気が足を引っ張らないように、逆に追い風を吹かせてほしいという御意見がほとんどでございましたので、国土交通省としても、大阪の梅田北ヤード、それ以外の部分に関しても、ぜひとも整備の予算、そして整備を総合的に考えていただければありがたい、かように思う次第でございます。

 私も、昨年の十一月以来半年間、政治家として、そして大阪、そして日本の代表として、国民の皆様方の御意見を、お心をしっかりと集約する、それをモットーに頑張っております。行政は肉体、その肉体にしっかりとした国民の心を私ども政治家が入れていく、入魂をする、それが私どもの役目と信じております。ぜひとも、私どもの今ここで発言をしていることが、私が個人として、政治家個人として発言していることとおとりになられるのも結構ですし、それと同時に、私どもの有権者の皆様方の声を一つにまとめて、今魂の叫びとしてお聞き及びいただいていることということをしっかりと行政マンとして御理解を賜り、これからの国土交通省の皆様方の御活躍も同時にお祈りを申し上げさせていただきたい、かように思う次第でございます。

 特に、私も、今回の国会の質問は実は三回目でございまして、まだふなれでございまして、ちょうど元総理大臣橋本龍太郎大先輩がいらっしゃいまして、元総理も二十六歳で初当選をされまして、私も今自由民主党新人最年少、三十三歳という立場で、しっかりとした若手からの視点、そういったもの、そして国民の視点からずれないように、そういった形でこれからも政治活動に邁進をして頑張っていきたい、かように考えておりますので、これからもいろいろ御指導、御鞭撻賜りますようにお願いを申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

後藤田主査代理 これにて中山泰秀君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

後藤田主査代理 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。野沢法務大臣。

野沢国務大臣 平成十四年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百九十八億五千六百五十六万円であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千百十八億九千七百七十二万円余であり、歳入予算額に比べると百二十億四千百十六万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は六千六百十五億八百七十九万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千百八十八億九千六百六十万円余であり、翌年度へ繰り越した額は三百九十七億七千九百三十二万円余であり、不用額は二十八億三千二百八十六万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は千八百七十三億二千四百七十万円余であり、支出済み歳出額は千七百四十億四千八百八万円余で、差し引き百三十二億七千六百六十二万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は千八百七十一億千二百六十五万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千八百七十三億二千四百七十万円余であり、歳入予算額に比べると二億一千二百五万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千七百九十四億二千五百三十六万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は千七百四十億四千八百八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七億六千五百九十七万円余であり、不用額は四十六億千百三十万円余であります。

 以上をもちまして、平成十四年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

後藤田主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院事務総局事務総長官房諸澤審議官。

諸澤会計検査院当局者 平成十四年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 その一は、通信ネットワーク等に使用する通信回線における各種の割引制度の適用に関するものであります。

 法務省では、NTT各社と通信ネットワーク等の通信回線の使用契約を締結し、利用に応じた通信料を支払っております。そして、通信回線に係る通信料を節減するため、十三年四月から、NTT各社に対して、原則として専用回線を除くすべての通信回線を法務省名義でグループ登録して、各種の割引制度の適用を受けております。また、通信回線を増設する場合には、各地方支分部局が、追加使用契約の申し込みを行うとともに、その際あわせてグループへの追加登録の手続をとることにしております。

 しかし、横浜地方検察庁ほか二十地方検察庁において検査いたしましたところ、各地方検察庁において十三年度末に通信回線を追加契約する際、グループに追加登録する手続がとられていなかったなどのため、十四年度末現在において割引制度の適用を受けていなかった回線が見受けられました。

 このため、グループに追加登録する手続をとって割引制度の適用を受け、通信料の節減を図る要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、十五年十月に各地方検察庁に対して通知を発するなどして、今後の通信回線の使用契約に当たっては、割引制度やその手続等を十分に理解して割引制度の適用を受けるよう周知徹底を図るとともに、本件割引制度の適用を受けていなかった通信回線について、同月までに割引制度の適用を受けさせることとする処置を講じたものであります。

 その二は、登記情報システム用空気調和機に係る点検保守費の積算に関するものであります。

 法務局では、それぞれの管内の登記所等に、ホストコンピューターの安定した運用を図るため、専用の空気調和機を設置しておりまして、その点検保守を製造会社に請け負わせ、定期的に点検、調整等を行う定期点検、緊急の場合などに行う緊急点検などの業務を行わせております。

 そして、この点検保守費の積算に当たりましては、システム用空調機の特殊性及び作業の重要性を考慮し、緊急点検が定期点検と同様に相当程度発生するものと見込むなどして、建築保全業務積算基準を準用して算定していたり、システム用空調機の価格に一定の保守費率を乗じて算定していたり、会社から見積もりを徴して、これをそのまま予定価格としていたりしておりました。

 しかし、業務の実態を調査いたしましたところ、緊急点検は登記所等ごとにその発生状況が異なっており、その実績は定期点検の一割程度しかなかったりなどしていて、当局の点検保守費の積算額はいずれの場合も過大なものとなっておりました。

 このため、点検保守費の積算が業務の実態を反映した経済的なものとなるよう改善の要があると認められましたので、当局に見解をただしましたところ、法務省では、十五年四月に各法務局に対して事務連絡を発し、システム用空調機の点検保守契約に当たり、定期点検の予定価格の積算については、積算基準を準用した具体的な指針を作成して周知するとともに、あらかじめ実施回数等を確定することが困難な緊急点検に要する費用については、実施の都度別途に算定して支払うこととするよう指導する処置を講じたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

後藤田主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。野沢法務大臣。

野沢国務大臣 平成十四年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置について御説明申し上げます。

 まず、通信ネットワーク等に使用する通信回線の使用契約につきましては、平成十五年十月に各検察庁に対し通知を発し、今後の通信回線の使用契約に当たっては、割引制度やその手続等を十分に理解して割引制度の適用を受けるよう周知するとともに、本件割引制度の適用を受けていなかった通信回線については、同月までに割引制度の適用を受けさせることとしたところであります。

 次に、登記情報システム用空調機の点検保守契約の予定価格の算出につきましては、平成十五年四月に各法務局に対して具体的な指針を作成して周知するとともに、システム用空調機の点検保守契約の見直しを行わせることとしたところであります。

後藤田主査代理 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田主査代理 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田主査代理 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

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後藤田主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本分科員 ありがとうございます。民主党の古本伸一郎です。きょうはよろしくお願いいたします。

 決算行政監視委員会ということでありますので、ただいま議題となっております事案の細部につきまして本来であれば議論をすべきかとは存じますが、個別のテーマを取り上げながら、行政のコスト意識あるいは行政の今後の、いかにして国民の皆様に支援される、支持される法務行政になっていくかという、そういった、少しミドルも交えた観点から御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、法務省所管の中で、民事局、わけても登記業務について少し議論を深めさせていただきたいというふうに思っております。

 御案内のとおり、e―Japanで現在政府が進めておられますさまざまな行政手続の電子化の一つとして、登記申請の電子化というものがあるというふうに思っています。

 登記は、国民の皆様個々人の持ついろいろな財産を保全したり、あるいはそれを表示したりする上で、国がつかさどる大変重要な業務の一つだというふうに認識しています。その中にあって、実は、国民本位に考えますと、登記が抱える業務が、今なぜE化しなきゃいけないか、電子化しなきゃいけないかということを考えますと、一つに、煩雑である、あるいは、登記所といいますか法務局に出向くという作業が、司法書士という資格者にゆだねている部分がありまして、個々人がその申請をするとなると、なかなか法律的な知識も要る。あるいは、御案内のとおり、登記の際にはさまざまな事故が起こる可能性もあります。したがって、そういった登記事故を未然に防ぐ等々の意味から、この電子化は大変意味のあることだというふうに思っています。

 そこで、登記申請を電子化することによるメリットにつきまして、ユーザー、言うならば、不動産の登記あるいは商業登記それぞれ登記の実需のある方々と、それをある意味で仲介をしている司法書士、家屋調査士でも結構ですが、それぞれの立場から、どういうメリットがあるのか、まずお伺いしたいと思います。

房村政府参考人 登記事務のコンピューター化のメリットということでございますが、これは、何といっても事務処理を迅速に行えるようになるという点でございます。

 その実情を若干御説明させていただきますと、登記事件は、特に高度成長期に非常にふえました。件数的に申し上げますと、最盛期には二千万件を超す登記申請事件がございます。土地建物の筆個数が合わせて約二億七千万筆個ありますが、そういうものについて、それだけの数の登記申請がなされる。また、登記簿の謄抄本、これについては、億単位の申請があるわけでございます。

 当時は、登記は登記簿、紙の簿冊で処理をいたしておりました。そうなりますと、例えば、ある登記簿についての謄本の請求がございますと、それのつづられております登記簿を持ち出して、そのコピーをとる。そうしますと、それをとっている間は、同じ簿冊の中の別のものについての謄本の請求が来てもそれは処理できない。また、登記申請がありましても、登記申請があればそれは最優先でその登記簿を使わなければならないわけですが、現に謄本等に出ておりますと、その登記の申請の処理がおくれてしまう、登記の処理をしている間は謄本も出せない、こういうことが生ずるわけでございます。

 非常に事件数が多いものですから、どうしてもそういうことが頻繁に起こる。これは職員数を増員しても解消できないわけでございます。そういうことが非常に重なりましたので、これを抜本的に対策を講ずる必要がある。そういうことから、登記の登記簿に記載されております膨大な情報をコンピューターに移しかえることによりまして、コンピューターで処理をする、コンピューターでデータを持ってそれを処理するということであれば、別々のものについての証明書の請求が来ましてもそれは直ちに処理できますし、また、登記申請があれば、それはロックをいたしまして、その間証明書ができないようにする。ほかの謄抄本の請求とかかわらず、最優先で登記申請事件の処理も可能になりますので、そのロックをされている期間も短縮する。

 こういうことで、非常に多くの登記の申請事件あるいは謄抄本の請求事件、これを迅速に、しかも正確に処理しようと思えば、もうコンピューターは避けて通れない、そういうことからコンピューター化に着手をいたしまして、大分時間はかかっておりますが、現在までその努力を続けてきております。その結果、かつては、午前中に謄抄本の請求をしてもその当日にもらえないというような登記所もかなり忙しいところではありましたけれども、現在では、どこの登記所でも証明書はほとんど二、三十分内にはとれるというところまで来ておりますし、また、登記の申請事件につきましても、即日処理が多くの庁で可能になっております。

 そういう意味で、やはり多くの事件を迅速、適正に処理することができる、これがまず何よりも利用者にとってのメリットではないか、こう思っております。

古本分科員 登記の実務といいますか、登記所での現場を思い浮かべますと多分そういうことでしょうし、何よりも、スピードアップされるということは、不動産を流通させていくという意味においてもそれぞれ意味があることだと思います。

 今お話の中で、登記の件数やらもふえているというお話があったんですが、実は、登記件数、平成九年度、全部の登記件数です、ですからいろいろな、土地建物以外の商業登記等々も含めまして、延べで年約二千二百万件処理しておられます。約七年前ですか、九七年。一方で、今、ホームページを拝見しますと、法務省のホームページに出ております、平成十四年度実績で一千九百万件なんですね。ですから、この定点だけで見れば、少なくとも登記件数は減っているわけでありまして、登記件数が減っている中で、今政府参考人がお話しいただいたようなその効率化を今本当にしなければいけないニーズがあるのかどうかであります。

 そこで、続いて伺いたいのは、この一連の、登記特別会計を組んでから以降、電子化するためにさまざまなお取り組みを昭和六十年代の前半より取り組んでおられるというふうに伺っておりますが、今回の登記申請電子化による費用は幾らかかるんでしょうか。

房村政府参考人 御指摘のように、昭和六十三年に法律改正をいたしましてコンピューター化を可能にして、それ以後、コンピューター化の努力をしておりますが、現在まで登記簿のデータを電子化するために要した経費、これは紙に書かれておる情報を電子的なものに移行する作業でございますが、これが平成十五年度までに累計で約二千五百億円となっております。その移行したデータを、コンピュータを整備し、これを運用していくわけでございます。その運用経費の累計が、同じく十五年度までに約三千八百億円、こうなっております。

古本分科員 ありがとうございます。

 それでは、この登記申請の電子化だけに限って言えば幾らになるんでしょうか、累計ではなくて。

房村政府参考人 毎年のという……

古本分科員 昭和六十三年からの電子化に要した累計、イニシアルが二千五百億、そしてランニングが三千八百億とありました。そして、今ちょうど今国会で審議中の新たにさらに、言うならば登記を申請するというのは、皆さん方、不動産はお持ちの方が多いとお見受けいたしますが、大変なセレモニーなわけですね。もう一家の一大事です。その一家の一大事を電子化しなきゃいけないほど登記の実需が今ふえているんだろうか。しかも、率直に言いまして、その受け皿となる司法書士事務所がさまざまな負担もしなきゃならないでしょうし、もっと言うならば、既存の、床の間か仏壇か知りませんが、しまい込んでいる権利書を持っているお年寄りもたくさんいらっしゃるわけでして、そういう方々に何でもかんでもE化すればいい、電子化すればいいという話じゃないと思うんですね、少なくとも登記件数は減っているわけですから。そんな中で御説明はふえていますと。相矛盾するわけですね。

 ですから、今回の法案で上がっている電子化につきましては、恐らく我が党もこれは賛成の立場で進めていますので、その部分は了としますが、かかる費用についてお伺いをしたいと思います。

房村政府参考人 失礼いたしました。

 オンライン化の関係では、まず、オンラインの申請システム、この開発費用が平成十四年度から十六年度にかけて約八億円でございます。それから、これが仮に法改正が成立した後の運用経費といたしまして、平成十六年度には約二億円を計上しております。

古本分科員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたのは、法務省といいますか、国の負担分ですね。要は、例えば、これを導入することによる司法書士事務所なり、あるいは、今、個人の登記申請というのは、土地取引をして個人で登記所へ行って申請するという人は大体五%だというふうに伺っています。本来であれば、個々人の資産を、そういう法律のプロにお願いをすることなく、個人でやれるということも今回の目的の一つに入ってもいいのではないかというふうには思うんですが、等々考えますと、言うならば国民、登記という行政サービスを受ける国民本人、そしてそれを仲介している司法書士なり等々への負担というのは、新たにどんな負担が発生するんでしょうか。

房村政府参考人 今回のオンライン申請を利用するためには、もちろんのこと、まず手元にパソコンが必要となります。それから、そのパソコンをインターネットに接続する、ですから、通常はプロバイダーとインターネットの利用契約を結ぶ、この二つが必要となります。

 したがいまして、既にそういう、パソコンで事務を処理し、インターネットに加入している方々にとっては、新たな費用は別に不要ということになります。利用するときのソフトウエアにつきましては、法務省の方で用意をいたしまして、これを無料でダウンロードしていただく、こういうことを考えておりますので、既に設備のある方にとっては不要でございますし、ない方にとっては、それぞれが必要になってくる。ですから、パソコンはあるけれどもインターネットを利用していないという方は、新たにプロバイダーと契約をしてインターネットを利用していただく必要がありますし、パソコンもないという方であれば、そこまで用意をしていただく。そうすれば、あとは特に利用関係での経費はございません。

古本分科員 負担はそうないといいますか、今どきの話ですからインターネットを持っておられる御家庭も多いでしょうから、その部分は了とするわけですが、それでは一方で、登記という場面だけに限ってみれば、なるほどそういう話かもしれませんが、お手元に資料をお配りしている一枚目の「決算行政監視委員会(省庁横断取り組み)」というチャートをごらんいただければありがたく存じます。

 ここで少し表現しておりますのは、要は、今我が国の土地行政にかかわる省庁というのは、私の理解では、大きくこの三つになると思っています。御省御局が所管されます権利保存やら、あるいは表示していくということであります。

 一方で、登記の際に何が発生するかといいますと、確かに、司法書士手数料等々もありますけれども、ユーザー側である国民が、何千万かのマンションを大変な思いでローンを組んで買った際についてくる、あれ、買った値段よりもうちょっと何かふえちゃったなと。これは何かというと、登録免許税なんですね。これは、過去の法改正で免許税の税率が下がってきた変遷を踏まえたとしても、本当に、我が国における土地行政を、今、バブルがはじけた後、土地の値段は大変冷え切っていますし、都市圏の一部が底値を打ったということは例外として、一方で、国土交通省が所管をされております土地取引の監督といいますか、所管でいえば、では、どうやって我が国の土地を流動化させようかと。不動産がフローすれば、必ず上物がついてきます。上物がついてくれば、それに附帯する、家を新しくすれば、電化製品も新しくしよう、あるいはカーテンもつけかえようと。その経済効果たるや、もう想像にかたくないわけであります。

 そういったことを考えますと、せっかく御省御局が、登記手続の非常な簡便化、あるいは国民サービスにフィットしたものにしていこうとなさっている中で、私は、この三つの省庁が、国土とかけて何と解くか、ここら辺を、ぜひ、本来であれば議論をしていただきたいと思っているんですね。ところが、きょうはこういう法務省所管の限りでありますが、登録免許税を引き続き、今後とも取っていくのかどうか。

 一方で、登記業務に関していえば、登記特別会計という会計で個別に運用しているわけでありますから、少しこの辺を、タスクフォースというと大げさかもしれませんが、そういう議論のきっかけになって初めて、政府が進めておられるe―Japanが非常に省庁横断的に、実利のあるものにつながっていくんじゃないかと私は思うんですね。かけ声高く、何でもかんでも電子化すればいいというものじゃないと私は思うんですね。その辺から少し、御局といいますか、御省に聞くのは少し酷なものがあるかもしれませんが、きょうは国交省の方も来ていただいているようですので、あわせてお答えいただきたいと思います。

房村政府参考人 おっしゃるように、土地関係につきましては、ここに表示されました各省が関係をしてくる。そういう意味で、土地の取引の円滑化、こういうことは国民経済にとっても非常に大きな事柄でありますので、そういうことについて、関係する各省庁が協力をしながら取り組む必要があるというのは、全く御指摘のとおりだろうと思っています。

 登録免許税の関係でございますが、これはもう、額そのものは私どもが決めるわけではないものですからあれですか、一応、御指摘のように、土地取引のときには登録免許税が発生いたしますし、これは、登記申請に当たって、申請書に印紙を貼付する形で納入をしていただく、こういうことになっております。これは、電子化の場合にも、利用者からすれば、申請と登録免許税の納付を一体的に処理できる、こういうメリットは維持したいということで、財務省と協議をいたしまして、財務省の方で用意をしております電子的な税の納付システムを利用していただく。こういう形で、一連の流れの中で、電子的に登録免許税の納付から登記の申請までが可能なシステムにするというような形で、国民から見て、従来より不便になることのないような対応はいたしておるつもりでございます。

 また、そのほか、国土交通省の方で取引に関していろいろな施策を講じることついては、両省間で協議をして、できるだけの協力をしてまいっておりますし、これからもしていきたい、こう思っております。

伊藤政府参考人 私の方から、少し、土地取引の活性化といいますか、土地政策につきまして、委員御案内のとおり、旧国土庁が、土地政策の総合調整の機能を持っておりました。これが省庁再編後は国土交通省に引き継がれてございまして、土地政策について、私どもは、総合調整措置並びに施策を企画立案、推進ということの政府としての取りまとめの立場も持っておりますので、その観点からちょっとお答えさせていただきたいと思います。

 土地取引でございますけれども、委員御案内のとおり、もう先ほどからも出ておりますけれども、全国の売買による土地取引件数というのは、平成元年を一〇〇といたしますと、指数で見まして、平成十五年が七一ということになってございます。しかしながら、いわゆる下げどまり傾向を示してきております都心部等では、例えば東京の都心五区について見ますと、平成元年を一〇〇といたしますと、指数で十五年は一六五という形で、むしろ活発化してきております。

 そのように、土地取引の活性化と地価というのは表裏の関係も持っておりますので、私どもとしては、今、大都市部等で変化の兆しが出ておりますそういう動きを全国的なものに広げていくためにも、土地取引の活性化ということは非常に重要な課題だというふうに考えているわけでございます。

 そういう中で、私ども、大きく分けて二つの観点から対策を進めてまいりましたし、これからも取り組んでいきたいと思っております。

 一つは、やはり、なぜ土地取引をするかということになりますと、土地を利用するということが実需中心の市場になってきておりますので、やはり、土地の利用ということを、価値を高めていくということが必要でございまして、これは、都市再生とかそういうことで、私ども取り組んでいることの一つでございます。

 そして、二点目でございますが、国民の多様なニーズとか、それからライフステージ、そういうものに対応して土地利用や土地取引というものが動いていく、そういう市場に変わってきたということで、ここを円滑に促進していくためには、やはり土地市場の条件整備ということが必要だと思っております。

 それで、第一の点でございます、いわゆる土地の利用価値を高めていくということにつきましては、北は稚内から南は石垣までということで、今回、まちづくり交付金の制度も、都市再生特別措置法の改正で措置していただいたところでございますし、また、都市再生を円滑に進めるために不可欠な不動産の証券化にも、鋭意取り組んでいるところでございます。

 それとあわせまして、第二点目の土地市場の条件整備、これに向けた取り組みでございますが、一つには、既に、先ほど来議論になっております土地税制でございますが、十五年度改正におきまして、土地建物にかかわる流通課税、登録免許税等も含むわけでございますが、そういうものについて、税率の引き下げなどの軽減措置がとられたところでございます。また、今年度におきましては、かねてからの懸案でございました個人の土地譲渡益課税の税率を、いわゆる土地が他の資産に比べて有利であるという一つのそういう状況において設定されていた税率を、株式など他の資産とのバランスを勘案しまして、二六%から二〇%に引き下げて、しかも恒久措置としてやるとか、こういう形で土地市場の条件整備というものにも取り組んでおるわけでございます。

 それとあわせまして、やはり、土地取引というのは一生にそんなに何回も、そんなにたくさん一人の個人の方にとってはないという側面もあるわけでございますが、そういう中で、ソフトインフラという面で、先ほど来議論されております不動産の登記の電子化とかインターネットによる申請とか、そういうこともあると思いますが、それとあわせまして、やはり、土地の境界とかそういうものが未確定な場合に、土地取引や都市開発に付加的なコストがかかるというような問題もございますので、この点につきましても、地籍調査の推進等につきまして、今鋭意進めておるところでございます。

 これらに関連する問題につきましては、今、法務省の民事局長さんの方からも御答弁ございましたが、私どもも、法務省とは非常に緊密な連携をとって、局長同士で時々もお会いして、いろいろな考え方についてもすり合わせさせていただきながら、取り組んでいるところでございます。

 以上でございます。

古本分科員 それはぜひ、省庁横断的にやっていただきたい部分でありますし、何より、一生のうちめったにないことだという話がありましたが、実は、おもしろいことに、私に事前にそういう質問取りに来てくださる御省御局の御担当の方に、土地建物を買ったことがありますかと聞いたら、ないと言いますね。いやいや、それは給料を上げましょうなんということを言っているわけじゃありませんよ。要するに、現場をわかっていないと登録免許税の痛みがわからないんですよ。

 あるいは、どうして今、国が地価公示を引き続きやっていく必要性があるんだろうかとか、あるいは、八億もの金を使って、一生に一度のことなら、それぐらい法務局に行ってやればいいじゃないですか、それをパソコンでなぜE申請しなきゃいけないんですかということになったときに、私は、行政の効率化ということが、ぜひ、省庁の皆さんも、官僚の方々も我が身で現場を体験していただいてという中で、どこに問題が内在しているかというのをぜひ省庁横断的に議論を進めていただきたい。

 きょうは、そういう意味じゃ、法務省が所管なさっている中で、私は、キーワードを、次の二枚目の理念に、コピーをとっていただいている部分ですが、「リソーセスの重点投入」ということが大変大事だと思っています。今、法務省が所管なさっている業務の中で、少なくとも、登記は、先ほど申し上げたとおり、九七年は、登記官、登記所の職員、いわゆる法務局の職員一人頭年間で二千百九十五件処理していたのが、少なくとも平成十四年で計算すれば、一人頭千九百八十一件処理に減っているんですよ。そんな中で八億も使って電子化していかなきゃいけないという、今そのニーズが本当にあるのか。

 一方で、出入国管理の部分で少し申し上げたいと思うんですが、実は、六四年、四十年前にさかのぼって、当時の入国審査官は一人頭入国処理件数は年間七百八十三人でした。ところが、〇三年の実績で見れば、審査官の年間処理件数は四千五百二人です。さらに、あのSARSで体温をはかったり何だでもう大変ですよ。当時の入国といったら、私は当時知りませんが、想像するに、今の方がより高度な、かつ、いろいろな国からの言語に対応したり、大変なことを非常に効率的に対応しているんです、こう言われるのか、なけなしの中で大変な苦労をしながらやっているととらえるか、これは私は分かれるところだと思いますね。

 一方、外国人犯罪と思われる犯罪も今ふえています。ですから、入国審査官そして警備官の一人頭処理件数、単純にパー割りできるものじゃないかもしれませんが、世の中の国民の不安等々、ピッキング等々、車上荒らし等々、どれをとっても、私は、今、国民のニーズがどこにあるかというと、登記を電子化したいというニーズよりも、よっぽどそういうことに対してお金、人、物を投入してほしいというニーズがあるんじゃないですか。

 であれば、このイメージ図を見ていただきますと、既存業務で新たなニーズがふえたところに、単純にふえますと、それに要するコストというのは、これは単純にふえちゃいます。ここで、まさしく電子化したり、あるいは人手を省いていく中で、この「効率化シロ」をもってして新たなニーズに対応していけば、法務省、よくやった、こういう話になるわけです。私は、こういう中で、リソーセス、人、物、金を重点投入していく範囲の対象の一つに、大きくは、この出入国管理業務というのは私は大きいと思っています。

 加えて、青少年の法律知識の欠落による事件、事故が多いと思っています。いわゆるクレジットカード系あるいはQ2系、いろいろな問題があると思っています。

 聞けば、司法書士連盟の方々が、無償で、十八歳、要するに、成人になっちゃうと法的責任を負わなきゃいけなくなりますから、成人になるのを待たずに、未成年のうちに何とかそういう教育をしていこうということで、無償で、まさにボランティアで、各高校を回ってそういう教育をしているという話も聞いています。

 これは、業界団体である司法書士連盟さんが、ある意味、御努力なさってやるというよりも、むしろ、法務省として、未然防止ですよ。犯罪なり事件なりに巻き込まれて、その後の更生のためにお金を使っていくという、そのための保護観察官を構えていく、それは大事です。未然に防止していくというのが、子供たちに、高校生たちに、いかに社会に出る前にそういう方々に事前の教育をしていくかというようなことも含めまして、少しきょうは大臣のお考えを伺いたいと思いますが、くれぐれも、議論の、これは最後残り少なくなってきましたので、もう一度私が申し上げたいことをおさらいをしておきます。

 今、世の中で国民は何に怒っているかというと、行政の無理、むだ、むだ遣いと思われることに怒っているんですよ。それは、自分たちのかゆいところに手の届く行政をしてもらえれば、多少税金が上がったって多分怒らないと思います、多少の範囲は別としまして。要したコストが本当にいいことに使われているということであれば、何も文句は出ないと思うんですね。

 その意味では、私は、新たな守備範囲がふえる入国審査官をふやすにはまたお金がかかりますし、そういうプラスアルファの思考ではなくて、ニーズが減っているところをいかにそうやっていくかということが私は大事だと思っていますので、ぜひそういった観点から大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 委員御指摘のように、行政の効率化、合理化につきましては、不断の努力を継続しまして、人員の効率的活用に努めてまいる所存でございます。

 不法滞在外国人の問題につきましては、我が国社会の治安対策上、喫緊の課題となっておるところでありまして、かねてから、出入国管理につきましては、体制整備を含めて、その強化に取り組んできております。

 昨年末に取り決めました関係閣僚会議におきます犯罪対策防止の行動計画の中でも、非常にここは重点を置いて指摘をしてあるところでございますが、今後とも、関係当局の御理解を得ながら、総合的な体制の整備に努めて、所与の目的を達成してまいりたいと思います。

古本分科員 終わります。ありがとうございました。

後藤田主査代理 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻惠君。

辻分科員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 私、本日午後一時に、東京拘置所に参って、死刑確定囚である袴田巌さんの面会を申し込んでまいりました。

 残念ながら、本人の方が会いたくないということで会うことができませんでしたが、東京拘置所の責任者の方々から事情を伺ったところ、健康診断についても、それを受けることを拒否しているという現状であります。非常に精神的に障害のある状態に受刑者が現状としてあるという事実を、改めて認識した次第であります。

 健康診断も受けられないような、それを拒否しているような、そういう受刑者に対して、しかるべき適切な対策が果たして本当に行われているんだろうか。これは受刑者全般、とりわけ死刑確定者に対する処遇の問題として、私は、やはり今後、適正な処遇に向けて法務当局にも御努力いただきたい、このように考えます。

 この場ではこの点について御質問は申し上げませんけれども、機会を改めましてこの点については質疑をさせていただきたい、このように申し入れておきます。

 本日は、この第百五十九回通常国会で民主党が提案をいたしました刑事訴訟法の一部改正案に関連して、改めて、法務当局に御意見等を伺いたいというふうに思います。

 残念ながら、この民主党の刑事訴訟法一部改正案は法務委員会で否決されたわけであります。その内容というのは、現在の刑事捜査のあり方、刑事のシステムのあり方を改善することを提案したものでありまして、四点にわたっております。

 一点は、身柄の拘束に関連して、保釈制度が余りにも厳格で、なかなか保釈が認められないような現状であることについて、これをもっと適切に運用すべきではないかという指摘。そして二点目は、捜査のありようとして、取り調べ時における弁護人の立ち会い権を保障すべきではないかという点。三点目は、捜査の取り調べ時に録音とか録画とか、いわゆる捜査の可視化と言われるこのようなシステムを導入すべきではないかという点であります。民主党としては、そのような主要な、また、違法収集証拠においては証拠としては排除されるべきだという点もあわせてうたっておるわけであります。

 この民主党の捜査の適正化に向けた提案について、その方向性について大臣はどのようにお考えですか。

樋渡政府参考人 今突然にまとめて御質問をされたところでございますけれども、民主党の方で提案されたことが国会の質疑を経て、その結果否決されたということであろうというふうに思っておりまして、我々法務当局といたしましては、一つのその中の可視化の問題につきまして、司法制度改革審議会におきましても、刑事手続全体の中で将来的な検討課題として考えるべきだというふうに主張されておりますので、慎重に検討しているところでございます。

辻分科員 確かに議論の中でも、最終的には、これは与謝野委員も御指摘になっておられたというふうに思いますけれども、法曹三者の協議会の中で、刑事手続、捜査手法全体を法曹三者で検討しようということになっているんだ、だから民主党の提案についてもそういう中でもう少し慎重に検討した方がいいというような御意見を、与謝野委員も述べておられたと思います。

 私は、慎重に検討することは十分必要なことでありますし、結論を必ずしもいついつまでにという期限を切って求めなければいけないということではないと思います。しかし、刑事捜査をめぐり、また刑事裁判をめぐっていろいろな問題点が指摘されているのも現実でありますから、捜査当局、そして法務省の側も虚心坦懐に、制度全体を本当にきちっと議論をする誠実な姿勢で臨んでいただいて、日本の刑事裁判、刑事捜査の来るべき未来像はどうあるべきなのかということを、やはりきちっと議論していく必要がある。そのような姿勢は当然お持ちだとは思いますが、そのことをあえて期待を込めて申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、法曹三者協議会、来年一年間ということで今持たれ始めているというふうに思いますが、余り細かくお伺いするつもりはありませんけれども、大体どういう構成で、どういう日程で、どういう議題を扱うということで法曹三者協議会を予定されているんでしょうか、その点についてお答えいただけますでしょうか。

樋渡政府参考人 まず、委員御指摘の法曹三者の協議検討会でございますが、メンバーは、最高裁、日弁連、法務省・最高検から各六、七名程度ということで、当面一年間、二カ月に一回程度開催するということで始めておりまして、その下に幹事会を設けまして、最高裁、日弁連、法務省・最高検の数名程度で、月一回程度幹事会を開催するということを決めております。

 この課題につきましては、まず、新しい裁判員制度が導入されることを前提といたしまして、裁判員制度のもとにおける刑事手続のあり方、要は、新しい裁判員制度というのができるわけでありますから、我々にとりましても初めてのことでありますので、どういうふうに刑事手続を進めていけばいいのか、そういうあり方等を検討したいということでございます。同時に、充実、迅速化のための刑事手続のあり方も検討するということが、今度決まりました暁におきましての新しい制度に向けましての運用面での充実を図っていこうということでございます。

 それに加えまして、司法制度改革審議会が将来の検討課題として我々に、法曹三者に提示いたしました問題につきましても同時にこの協議会で検討していこうということでございまして、その一つが新たな時代に対応し得る捜査・公判手続のあり方、もう一つは被疑者、被告人の身柄拘束に関連する問題、もう一つが捜査・公判手続の合理化、効率化ないし重点化のために考えられる方策ということ、三つをあわせて検討していこうということでございまして、最初委員が御指摘なさいましたように、我々もこれらの問題に対しまして虚心坦懐に、何も初めから結論ありきということではなしに、みんなと議論しながらいい方向に考えていきたいというふうに思っております。

辻分科員 当面、法曹三者の協議会の場で議論を深めていくということは重要なことであると思います。その場だけにとどまらず、また新たな提案をして法務委員会の場で御審議いただくこと等々を含めて、議論をもっと深く掘り下げていきたいというふうに思う次第であります。

 そこで、民主党が問題意識として持っております取り調べ時の弁護人の立ち会い権の問題、そして捜査の可視化と言われる録音、録画の問題、これについても検討課題ということで取り上げられる予定になっているというふうに伺いますが、これをめぐっては、法務委員会の審議の中でも、そういうことを今、日本の制度の中に導入することについてのメリットは何なのか、デメリットは何なのかということで、議論がいろいろありました。

 そのメリット、デメリットを詰めていろいろ議論するというのはまた別の場に譲りたいというふうに思いますが、少なくとも、では、どういう制度をいろいろ考えて、どういう広がりの中でこの問題をとらえればいいのかということについて、いろいろ検討しなければならない諸制度、諸要素、諸課題というものはどういうことなのかということについて共通の認識をお互い持って、その上でそれぞれの内容を検討していくということが生産的な議論につながるのではないかというふうに私は考えます。

 そういう観点で、現時点で法務当局とされては、どのような制度なり、考え方なり、そして広がりの中でこの問題をとらえる必要があるとお考えなのか、その点についてお考えの概要を伺わせていただきたいと思います。

樋渡政府参考人 おっしゃるとおり、法曹三者の協議会の中で議論を建設的に進めていくためには、お互いが共通の認識といいますか、どういうことが必要なのか、どういう場合が想定されるのかというようなことを議論しなきゃならないことは当然でございまして、この協議会の幹事会の方でも詰めているところでございます。協議会自体におきましても議論を大いにしていこうということを考えているところでございますが、我々といたしまして、我が国において、被疑者の取り調べは事案の真相を解明する上で重要な役割を果たしており、取り調べ状況の録音、録画の問題は、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割にどのような影響を与えるかについて検討が必要であるというふうに考えております。

 また、諸外国の捜査に関する法制はさまざまでございますが、各制度は、その前提となる刑事実体法や刑事手続法などの刑事司法制度全体のあり方や社会的背景、国民性とも深く関連しているものと思われますので、これらの諸要素を含め、多角的な見地から検討することが必要であるというふうに考えております。

 こういうある意味で抽象的なことしか今の段階では申し上げにくいのでありますが、協議会ではそれを具体的に詰めていきたいというふうに考えております。

    〔後藤田主査代理退席、主査着席〕

辻分科員 抽象的におっしゃられたことは、それとしてわかりますが、やはり、協議会にも検察庁、法務省は出席されるわけでありますから、しかも、この四月以降、協議会は現に開かれているわけですね。ですから、当然、法務当局として具体的にどのような課題としていろいろ検討していくのかということは、それなりのお考えはあって、結論的にこれとこれとこれだと、何か決定事項で決まり切っているわけではないと思いますけれども、やはり、こういう点は考慮をする必要があるんだなという点はそれなりにお考えだと思うんですね。

 私が思いますに、やはり例えば自白調書の証拠が排除される判決というのが、これはやはり現に下級審では少なからず見受けられている。その理由として、強制による自白であるということでその証拠能力が排除されている、そのような例がある。ですから、一つとしては、そういう取り調べの違法性によって自白調書の証拠能力が排除されている事案として、現在、どのような数のものがあり、どういう実情なのか、こういう点もやはり考慮すべき一つの要素だと思いますが、この点、いかがですか。

樋渡政府参考人 委員御指摘のような判決で挙げられたものが少なからずという評価でありましょうか、あるいはそういうものがあったということでありましょうか、そういうことが具体的に摘示されている例があることは事実でございます。

 それに対しましては、検察、警察を含めた捜査機関というのは、その実態をよく検討しながら、反省すべき点は反省し、改めるべき点は改めると同時に、そういう内容のものであったかどうかということを検討する必要があることもまた事実でございまして、そういうふうに一つ一つの具体例につきましては、いろいろと反省を込めながら検討をしております。

 そして、そういうような例も踏まえながらこの協議会で検討すべきだとおっしゃりますことにつきましては、別に異を唱えるわけではございませんけれども、そういうような例があったということは、事実は事実として受けとめながら、今後、日本の刑事司法全体がますますいい方向に向かうように、積極的な議論を進めていきたいというふうに考えております。

辻分科員 言葉じりをとらえて申し上げるわけではないんですけれども、取り調べの違法によって自白調書の証拠能力が排除されたという例をちゃんと統計をとって分析するということに、そういうことに取り扱うのに異を唱えるものではありませんがというおっしゃり方は、それはやはりちょっとまずいんではなかろうか。

 やはり、現にその取り調べのあり方が問題な面もあるんだということの指摘があって、現実に司法裁判の中でそういう結果が出ているわけでありますから、捜査の可視化や取り調べ時の弁護人の立ち会い権を認めるべきだという主張は、そういう現実的な事実についてそれをもとに主張されているわけでありますから、それを取り上げるのに異を唱えるつもりはないがと言うのじゃなくて、積極的にそれも取り上げて、それのやはり強制にわたる自白というのは、法務当局だってそういうことは根絶したいという思いを持っておられるのは当然のことだと私は思います。それは、単に弁護人側の利害のみから言うのではなくて、法務当局の側からしてもそういうのは根絶したいという要請は当然あるわけですから、もっと率直に、それこそ虚心坦懐にいろいろな制度、いろいろな事実を集めて検討をすべきだろう、協議すべきだろうというふうに思います。

 あえてこのことを申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、これも法務委員会の二月二十五日の質問の中で私も指摘させていただいたところでありますが、例えば外国人が被告の場合に、これは千葉県の例で、通訳がついているんですが、その通訳がつかないで、ないしは、そこに意思疎通に非常にそごがあって、現実に、その調書の信用性なり証拠能力をめぐって問題があって現に争われている事例があると。つまり、そういう例を取り上げたときに、取り調べ時に第三者の立ち会い権を認める要請があるというのは、いろいろな意味で出てきているんではないかと。

 今、申し上げた通訳の立ち会いの問題も一つでありますし、それから、これは日米合同委員会の中で一応解決を見たというふうにされておりますけれども、アメリカ兵の刑事裁判権に当たって第三者の立ち会いを、アメリカ当局は、当初、弁護人の立ち会い権を要求をしていた、四月の段階で決着をして、必ずしもそういう形にならなかったということでありますが、やはりそういう、今申し上げた二つの事例も含めて、弁護人の立ち会い権をめぐったいろいろな議論を、これはいろいろ掘り下げて検討する必要があるというふうに思いますが、この点はいかがですか。

樋渡政府参考人 今、私としては、突然に千葉の事件のことでございますが、そういうこと、要は、通訳はあったようでありますけれども、その通訳との意思疎通がもしうまくいかないというのであれば、それはやはりその被疑者、被告人の権利という点からは問題であろうというふうに思うわけでありまして、そういうことが仮にあったとすれば、それは改めさせるといいますか、そういうことがないように注意を払っていくべきことだろうと思います。

 日米協定のことでございますけれども、今回の合意は、捜査協力の強化及び一九九五年十月二十五日の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意の円滑な運用の促進のための措置に関する日米合同委員会合意という表題の合意でございまして、要は、日米間の、日本国の捜査機関と米軍の捜査機関との間の捜査協力を強化すること、それによりまして、平成七年の合意が円滑に運用できるように促進しようとするものでございます。

 日本側は、米軍の捜査に協力する意味で米軍の捜査官を立ち会わせる、それによりまして米軍の捜査に協力できることによって、身柄の引き渡しを要求した場合に向こうが速やかに判断できるという利点を持った合意でございまして、今、法曹三者の協議の間で詰めようとしております可視化等とか、そういう弁護人の立ち会いとか、そういうものとは全く関係のないことでございます。

辻分科員 お立場からはそうお答えになるということは、前回のお答えからしても当然予想されることでありますけれども。

 これは、外務省の方からヒアリングいたしましたけれども、捜査官として、捜査に協力する立場でアメリカ側は立ち会うということであります。しかし、多くの場合は弁護士資格を持っている、そして、ともに捜査を行うという名目ではあるけれども、みずからは取り調べの発問はしないんだということであります。これは、ある種政治的な妥協であって、もともとアメリカ側は、刑事弁護人の日本の取り調べ時への立ち会い権の主張を要求していたわけでありますから、弁護士資格を持った者が第三者として立ち会う、それは捜査に協力するという名目であるけれども、実質は別に捜査を行うわけではないということから見ても、私は、それは玉虫色のお互いの歩み寄りの決着であろうというふうに想像するわけであります。

 これは、あくまでも想像ですから、余り論議をしても仕方のないことでありますけれども、事ほどさように、例えばアメリカの側の制度から見れば、日本の取り調べ時の弁護人の立ち会い権が認められないということについては非常にいかがなものなのかというような指摘があります。これは、二月二十五日の時点でも御紹介させていただきましたけれども、国際人権規約委員会が、日本の捜査のありようについて、やはり同じように自白偏重主義ではないかということを指摘しているわけであります。そういう意味で、海外からの批判についても率直に耳を傾けて、そこで指摘している問題点は何なのかということを協議の課題にすべきであろうというふうに私は思うわけであります。

 そこで、もちろん制度が違いますし、国民性も違うし、いろいろな今までの運用の実態ということも違うわけでありますけれども、海外における弁護人の立ち会い権、そして捜査の可視化ということがどうなっているのかということを、これはこれとして、事実として調査する必要があると思いますが、法務省としては、これまでそういう調査をされてこられたのか、そして、法曹三者の協議会の中でそういう問題について積極的にいろいろ議論をしていく姿勢をお持ちなのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

樋渡政府参考人 外国の法制の中で、委員が御指摘のように、弁護人が立ち会いをできる権限を持った制度もございますし、またビデオ等の可視化を図っているところもあることは承知しておりまして、それらのいろいろな国の制度を今までも調べてきましたし、これからも詳しく調べようというふうに思っております。

 ただ、私たちが思いますに、各国の制度は、そのよって立つところの、先ほども申し上げましたが、国民性とか刑事裁判に対する考え方とか、それから、その他の捜査手法がどのようになっているかというようなこととも密接に関連しておりますので、そういうような観点を踏まえまして、法曹三者の協議会の中では、当然に各国の制度も参考にしながら検討は進めていきたいと思っております。

辻分科員 アメリカの制度との比較ということは今までもある程度論じられておりまして、アメリカが弁護人の立ち会い権を認めているのは、一方で司法取引があるとか、それから捜査の手法として通信の傍受がかなり緩やかにできるとか、いろいろなそういう制度との比較の中で弁護人の立ち会い権が認められているんだという法務当局の御主張は御主張として出ている。ですから、それはそれでもう少し、実態を事実として明らかにしながら、お互い意見を出し合っていくということが必要だというふうに私は思います。

 さらに、イギリスなりフランスに関しては、先般、民主党の法案の審議の中で、与謝野委員から、イギリスの制度なりフランスの制度に言及するような形で、民主党の提案者、私を含めた提案者に質問がありました。ですから、ヨーロッパのそういう諸制度についても、やはりきちっと調査をして検討していく必要があるだろう、これもこのように思います。

 同じ東アジアにおきまして、韓国、台湾においては、やはり弁護人の立ち会い権を双方とも認めており、台湾については捜査の可視化についてもこれは認められている。これはどうしてなのか、そして、現状それでうまくいっているのか、制度は日本とどこがどう違うのかというようなことを、より身近な国でありますから、もっと詳細に事実を調査して、それをぜひとも法曹三者の協議会の中で議論していっていただきたいと思います。そのような議論をする姿勢、意思がおありなのか否かという点が一点。

 そして、できましたら、台湾、韓国について、何でその弁護人の立ち会い権が認められているのか、その点についてはどのように評価、お考えなのか。これは、調査不足であればそれはそれでやむを得ませんけれども、おわかりになっている範囲でお答えいただきたいと思います。いかがでしょうか。

中野主査 法務省樋渡刑事局長。制限時間が近づきつつありますので、長い答弁は要りません。

樋渡政府参考人 第一点につきましては、委員御指摘のとおり、いろいろな各国の制度も検討しながら進めていきたいというふうに思っております。

 第二点につきましては、一言で言いますれば、やはり各国の制度、東アジアにおきましても我が国と全く同一ではございませんので、そういう中での一つのあり方だというふうに受けとめておりますので、これも詳しく調べて、また検討の課題にしたいというふうに思っております。

辻分科員 本日は、法務当局の立場から、また被疑者、被告人の立場、弁護人の立場から、捜査の可視化、そして弁護人の立ち会い権を、やはり共通の土俵に立って論議することが重要である。これは、被疑者、被告人の人権をきちっと守るということと、それから、実体的真実の発見なり適正な処罰がなされること、それがひいては秩序の安定に資するんだという意味において、共通の基盤に立って議論をする土俵づくりにお互い努力していこうということで、幾つか御質問させていただきました。

 もちろん、そういう共通の土俵の中にあって、何を矛盾として感じるのか、そしてそれをどのような方向で、今後、未来の司法像、刑事裁判像を、何が正しいのかという議論は、立場の違いがありますが、そういう議論の前提として、共通の土俵に立って事実を煮詰めていきたい。民主党もそのような立場に立って、今後、生産的な議論をさせていただくつもりであるということを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野主査 これにて辻惠君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十八日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十八分散会


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