衆議院

メインへスキップ



第2号 平成16年5月18日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年五月十八日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 中野 正志君

      井上 信治君    後藤田正純君

      柴山 昌彦君    橋本龍太郎君

      宮澤 洋一君    谷津 義男君

      井上 和雄君    橋本 清仁君

      吉田  泉君    吉田  治君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  林   肇君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           糸川 昌志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           藤井 章治君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局観光部長)         金澤  悟君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省航空局管制保安部長)         岩崎 貞二君

   参考人

   (地域振興整備公団理事) 野見山恵弘君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  谷津 義男君     井上 信治君

  岡島 一正君     吉田  泉君

  小林 憲司君     井上 和雄君

  橋本 清仁君     吉田  治君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     谷津 義男君

  井上 和雄君     小林 憲司君

  吉田  泉君     岡島 一正君

  吉田  治君     橋本 清仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 〔国土交通省所管及び住宅金融公庫〕


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中野主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成十四年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 昨日に引き続き国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田泉君。

吉田(泉)分科員 おはようございます。民主党の吉田泉であります。どうぞよろしくお願いいたします。

 三週間になりますか、年金保険料未納の問題等で日々大きく揺れています政界でございますけれども、きょうは、私の方は、地域振興整備公団によるニュータウンづくり、この問題を取り上げたいと思います。官から民へという骨太の方針の本質にもかかわる部分があるというふうに思うからでございます。それから、ちょうど間もなく、七月一日から地域振興整備公団のニュータウン事業部門が都市公団と一緒になって、都市再生機構ということで新たに出発をする、そういうタイミングでもございます。

 さて、私、地元は福島県のいわき市というところでございます。昔、常磐炭鉱の町ということで名をはせたところでございます。御存じのように、昭和三十年代炭鉱が閉山という時代を迎えまして、そのときに、地振公団の前身であります産炭地域振興公団に実は大変お世話になりました。工業団地等の造成等で大変お世話になりまして、おかげさまで炭鉱の町から工業都市へという転身を図ることができました。現在も、実は工業出荷額では東北一という数字を維持しております。大きな工業都市になることができたという町でございます。

 さらに、昭和四十九年、産炭公団が地振公団となりましてからも、幾つか工業団地をつくっていただきました。それから、いわきニュータウン事業というのも実施していただきました。いわき市というのは、静岡市と並んで日本でも一番面積の広い町でございますが、その広大ないわき市のど真ん中に、忽然と新しい町がつくられました。大学が誘致され、公共施設も整備されまして、いわき市随一の、ある意味では高級住宅地ということになりました。

 全国的にはこの公団によるニュータウン事業、十九カ所あるそうでございますけれども、いわき市の場合は計画人口が二万五千ということで、実は最大でございます。おかげさまで、平成の初めのころ、平成一年から二年のころは、分譲の際の競争率も非常に高くて、二十倍と言われておりました。大変な人気を博していた住宅団地でございます。

 しかしながら、バブルの崩壊を境にしまして状況は一変しました。売れ行きが落ちまして、つい最近聞いたところによりますと、この数年は競争率が一倍に達しない、売りに出してもなかなか全部はけないという状態になってしまいました。この間、計画は二度にわたって延長されまして、いよいよ今年度、事業開始から数えますと三十年という長期事業になってしまいました。いわきの場合は、三十年たって売れた部分が大体四分の三だということでございます。四分の一、まだこれから売るという部分があるということでございます。

 恐らく、私、全国的にもこの十九カ所、同じような状況だろうと推測しておりますが、まず、現状の問題点について幾つかお伺いいたします。

 最初に、全国的な状況を知りたいと思うんですが、そもそも、全国十九カ所公団がやっておられるニュータウン事業の全体の規模はどのぐらいか、全分譲予定はどのぐらいあるか、そしてそのうち現時点でどのぐらい譲渡が済んだか、はけたかということでございます。そして、さらには売れ行きの問題です。ピーク時には年間どのぐらい売れていたのか、そして最近どのぐらいの状態になっているのかということを、まず教えていただきたいと思います。

野見山参考人 地域振興整備公団でございます。

 私どものニュータウン事業十九地区の平成十五年度末の全分譲予定面積は、約二千三百九十ヘクタールでございます。そのうち、定期借地を含めました譲渡済み面積が約千七百五十ヘクタールでございます。

 また、お尋ねのピーク時でございますけれども、昭和五十九年度に年間の譲渡面積が百七十四ヘクタールという年がございますが、この中には広島大学、宮崎大学の用地の一括譲渡がございましたので、百ヘクタールを超えたとなりますと、平成元年と平成二年でございます。

 直近年の平成十五年度の年間譲渡面積は、約三十二ヘクタールでございます。

吉田(泉)分科員 そうしますと、全体で二千三百九十ヘクタール、譲渡済みが千七百五十ですから、残りが六百四十ヘクタールということでございます。

 最近の売れ行きが年間三十二ヘクタールということですから、もし今のペースで売れていくとすると、残りを全部完了しようとすると大体二十年ぐらい見込まれる、単純な計算でありますが、そういうことでよろしいですか。

野見山参考人 特に近年は、委員御案内のとおり、私どもにとりましても厳しい状況が続いております。

 今後、先ほど委員の御指摘ございましたように、七月一日から都市再生機構に移ります。その中の地方都市部門といたしまして、いろいろな形で、定期借地も含めました事業の促進、販売促進に努めてまいりたいとも思っております。

吉田(泉)分科員 数字としては、単純にはあと二十年ぐらいかかるという認識でございます、私の方は。

 それで、一方今度は民間業者の問題であります。

 売れ行きが落ちているというのは、周囲の民間宅地造成業者も全く同じであります。例えば、いわき市の例でいきますと、いわきニュータウンの近所のある丘陵地帯につくった団地ですね、三百十余りの区画をつくって売り出したわけですが、売れたのは三十だけ、二百八十区画、つまり九割が売れ残ってしまったという状況であります。残念ながら、その会社は昨年、平成十五年に倒産しました。そういう多くのいわば不良在庫を抱える団地が、実はいわき市にはあと四つぐらいあります。

 業界団体、不動産関連の業界団体から、これは昨年、十五年の七月のことですが、ニュータウンの分譲事業は民業圧迫ではないか、ぜひこの景気の状況をかんがみて凍結をしてもらえないかという陳情が、これはいわき市長に出されました。

 私は、全国的にそういう状況になっているのではないかと思うんですが、民間業者からのこのニュータウンに関する陳情というのが全国的にどのような状況であるか、わかる範囲で教えてもらいたいと思います。

野見山参考人 私ども、事業を進めるに当たりましては、地元県、市の要請に基づきまして、地元と御相談しながら進めております。地元の民間事業者の方々からの要望としましては、地元のまちづくりへの振興及び地元業者の活用ということにつきましては、全国的にお聞きしております。

 委員御指摘の事業凍結ということにつきましては、平成九年、十年にかけまして、私どもの常磐支部に対しまして、いわきニュータウンにつきまして、民間業界を圧迫しないような事業展開をお願いしたいという要請がなされたと承知しております。また、平成十三年六月にも、同地区で同種の業界団体からも国土交通大臣への要請がなされ、また、委員御指摘のように、地元県、市にも御指摘がなされたということを承知しております。また、いわき市長さんからもお聞きはしております。

 以上でございます。

吉田(泉)分科員 それからもう一つの問題として、小中学校の問題があります。ニュータウンの中でも実は急速な少子化というのが進んでおります。当初、計画、例えば小学校を三つつくるということでつくられているケースで、せっかくつくってきた小学校の児童数が早くも減り始まっている。そういう状況で、計画どおり三つなら三つつくるということはいかがなものか、公共施設の効率が落ちているのではないかというような指摘も私の地元では出ているところでございます。

 以上、私は、現ニュータウン事業が抱える問題として、売れ行きの問題、それから民業との問題といいますか、共存共栄といいますか、官民の役割の分担といいますか、そういう問題、それから公共施設のあり方の問題、こういう問題が今出ているのではないかというふうに思っております。

 それで、次に進みますけれども、その一方で、平成十二年度、もう四年近くになりますが、地振公団の方でも、地方都市におけるニュータウン事業の方針といいますか、哲学が根本的に見直されました。パンフレットを拝見しますと、一言で言えば、郊外に大規模の独立した、しかも総合的なニュータウンを今までつくってきたわけですけれども、これはもうやめる。そして、今度はオールドタウンですね、既成市街地ないしはその近接地に、規模を小さくして、機能を特化して、例えば卸売団地とかですね、機能を特化してそういうタイプの事業をやる、それによって昔からある旧市街地、オールドタウンを再構築するんだということに切りかわったわけでございます。

 それで、なぜそういう政策転換がなされたのか、その背景ですね、歴史的な背景と言っていいと思うんですが、それを改めてお伺いします。

 それから、きょうせっかく大臣にもおいでいただいていますので、哲学的な部分で、できましたら、今、官から民へという流れがございますけれども、この中で公団の役割とは何ぞやと。特に、先ほど申し上げましたけれども、ニュータウン事業というのは、地方都市においては非常に高級住宅地になっております。普通、常識的には、官の役割というのは、低所得者向けの安い住宅を供給するというのが今までの官の役割だったんですが、この三十年のニュータウン事業は、実はまたそれとは別なこともやられております。もし、そういうことを踏まえて、公団の役割について御所見をお聞かせいただければと思います。

野見山参考人 私どものまちづくりに当たりましては、先ほど申し上げましたように、地元県、市の要請に基づき、県、市と御相談をしていただいております。いわきニュータウンにおきましても、一万二千人を超える方々が住んでおられます。先導的な町ではございますけれども、中堅勤労者の方々が多い町と承知いたしております。

 その中で、ただいま委員御指摘の十二年度の政策転換ということでございますけれども、背景といたしましては、当時の建設省の都市政策ビジョンにおきまして、都市構造の変化への対応が指摘されました。また、地方都市におきますニーズにつきましても、中心市街地の活性化を初めとする新しいニーズが出ております。また、私どもをめぐる状況もいろいろ厳しく変化しております。そのような中で、地方からのそういう要請にもこたえられるように、採択要件を変更したものでございます。

 今後とも、いわき市でも、市長さんからも、事業の凍結という要請はあるけれども着実に進めてもらいたいというお話も伺っておりますので、よく地元の方々と御相談しながら事業を進めてまいりたいと思っております。

石原国務大臣 吉田委員御指摘のいわき市の再開発、都市再生事業で公団がやったところは、たまたまこの間行ったときに通りがかりまして、外からですけれども見させていただきました。あれは、地方だけに限らず、東京でも公団等々が行っております。

 公団は、分譲事業から撤退をいたしまして、賃貸に特化していくというふうに特殊法人改革の中で役割を変えましたし、この七月からは独法に衣がえしていく。そんな中で、基本はやはり、委員御指摘のとおり、民間ができるところは民間に任せていくというのが基本だと思いますが、公団はまちづくり等々でかなりのノウハウを持っております。そういうものは、これまで培ってきたノウハウというものは十分にこれからも活用していく意義というものが私はあるものだと承知をしております。

吉田(泉)分科員 ありがとうございました。

 そうしますと、先ほど局長のお話ですと、都市政策ビジョンというものが出されて、それにのっとってということでございますが、パンフレットにあるように、基本的には、今までは人口、産業が都市に集中していた、都市化の社会だった、そのときに必要な住宅団地を官も公団もやるんだという時代だったわけですが、これからはもうその流れがとまった。都市化が落ちついて、成熟した社会になったんだ、それで都市の再構築というところに重点を置くんだというのがパンフレットの説明であります。歴史的な転換期だからそうしたんだということでございまして、私も認識はそれで大変結構だと思います。問題は、ビジョン、それから政策を転換したわけですが、これから実際にその転換した方向に向かって事業を変えていけるのかということだろうと思うんですよね。

 それで、話を進めますが、平成十三年、特殊法人等整理合理化計画というのが決められまして、いろいろな独立行政法人が誕生しました。もう最後の段階だと思いますが、この七月から都市再生機構というのが発足します。そして、ニュータウン事業、これは地方都市も、それから大都市圏も含めてですが、ニュータウン事業を継承するということになります。

 その根拠法、都市再生機構法というのを拝見しましたが、実はその目的、それから事業範囲というものに、もはや先ほどから申し上げている郊外型のニュータウン事業というのは含まれておりません。法律の中では附則によって、あくまで都市再生機構という組織の業務の特例として、当分の間、事業を継続するんだという位置づけになっております。これを素直に読みますと、いわば言葉は、表現はちょっと悪いかもしれませんが、残務整理としての位置づけになっているというふうに思います。

 そこで、これからそういう位置づけでなされていくニュータウン事業ですけれども、その実施方針、大きな大方針をお伺いいたします。問題は、要するに今までと同じペースでやっていくのか、もしくはスピードを上げて残りをやっちゃうのか、もしくはスピードを落としてじっくり対応していくのか、そういう問題に帰着するんじゃないかと思いますが、実施の大方針をお伺いします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 先ほどからお話に出ておりますように、大都市のみならず地方部でも郊外型の大規模ニュータウンの時代は終わるんだということで、今回法律改正をしていただきまして、都市再生機構に衣がえするということでございます。

 先ほど御指摘のございましたように、この地域公団の今やっている事業についてはどういうふうになっているかということでございますが、一つは、新規にはもうやらない。先生は今残務整理という言葉をお使いになりましたけれども、地方の要望を受けて進めている事業ですから、これはやはりきちっと完成させる必要があると思います。ただ、経済社会の状況が変わっておりますから、現在事業の実施中のプロジェクトについては見直しを実施し、早期の土地処分等を進めるべく、関係地方公共団体等と協議を行っていくということでございます。

 地方都市のニュータウン事業につきましては、今後とも地元の公共団体とよく連絡をとりながら、その事業目的等をきちっと実現して、早期の事業完了を目指していきたい、このように考えているわけでございます。

吉田(泉)分科員 きちっと完成させる、早期に完成させるということで、その方針は私も結構だと思います。

 問題は、その法律で言っている「当分の間、」というのをどのぐらいだと考えてやるのかということだと思いますが、改めて後ほどその問題には触れることにしまして、もう一つお聞きしたいのは、今度、独立行政法人というのは中期目標というものをつくることになっています。長期ではございません、中期でやるんだと。すなわち、五年程度目標を定めて、それを五年ごとに評価しながら事業を展開していくんだという仕組みになっております。

 そうしますと、七月にスタートするに当たって、今、最初の中期目標というのを策定中だと思いますけれども、その都市再生機構全体の中期目標の中に、今申し上げてきた地方都市のニュータウン継続事業、これがどのように織り込まれることになるのか、その辺をお聞かせください。

竹歳政府参考人 ことしの七月一日から初めての中期目標ということになりまして、これは年度の切れ目ということで平成二十一年の三月三十一日、一回目は四年九カ月、ほぼ五年ということを目標にして中期目標を定めるということでございます。

 この中期目標については、現在、独立法人評価委員会の意見を聞くということとされまして、先日も第一回が開かれまして、現在、具体的な作業を同委員会の意見も伺いながら決定するということにしておりますが、実施中のニュータウン事業をどうするかということでございます。

 これにつきましては、業務の執行管理を確実に行って、計画的な事業管理を目指すということといたしまして、同時に、中期目標期間中四年九カ月の間に何ヘクタール処分するということを具体的にお示ししたいと考えております。この具体的な数字については、先ほども申し上げました作業をしながら、この独立法人評価委員会の御意見を聞いて最終的に定めたい、このように考えております。

吉田(泉)分科員 ありがとうございました。具体的な数字も、当然ですけれども、中期目標に織り込まれるということでございます。

 それで、最後になりますけれども、日本全体としては景気は底を打ち始まったという数字はありますけれども、地方においてこの分譲の環境はまだまだ厳しいというのが現実でございます。十九カ所の公団の事業地の中には、まだ本当の初期段階だというのも三カ所程度ですか、含まれているということでございます。

 いわき市もそうなんですが、実は人口の自然減少がことしから始まりました。学者の意見もいろいろありますけれども、実はことしが日本の人口一億二千数百万で頭を打って、来年からは減ると。毎年六十万人ぐらいずつ減るという予測もございます。いよいよここ数年のうちには人口減少社会に入る、新しい歴史的な段階に入るということがほぼ決まっております。まだ国民の実感はないと思いますけれども、これがあと数年たちますと、じわじわと国民が歴史的な新しい段階に入ったということを実感して、新しい価値観を模索するというようなことになるだろうと私は思っております。

 そうしますと、新しい機構によるニュータウンのお仕事も目標どおりにいくのかという問題が、当然これはあります。勇気ある撤退という言葉もございますが、今度は独立行政法人ですので、今まで以上に独立採算、それを踏まえた経営責任というのが要求されるわけであります。先ほどのお話で、問題のあるプロジェクトについては見直しもするんだというような御答弁もございましたけれども、改めて、なかなか思ったように事業がいかない場合、当初の計画をどのように変更できるのか、どういう対処法があるのか、お聞かせ願います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 特殊法人等整理合理化計画におきまして、採算性に問題があるプロジェクトの見直しを行うということにされております。地域公団では、先ほどお話がございましたような事業初期段階の地区を中心にいたしまして、このニュータウン事業十八地区につきまして、公共団体と協議しながら事業の見直しを行っているというところでございます。

 具体的には、既に一地区、事業中止を行いましたが、さらに四地区について、事業の中止でございますとか事業の縮小、それから、細かい道路までは入れないで、とりあえず大きな枠組みだけつくっておこうというような仕事の仕方、いろいろな工夫をいたしまして、抜本的な見直しをしたいと考えております。

 また、地域公団におきましては、すべての事業地区につきまして、コスト縮減の方策でございますとか、先ほど民間との共同というお話がございましたが、ハウスメーカー等との共同分譲や一括卸、定期借地権方式の活用等、分譲促進のための方策もいろいろ工夫しながら実施しているところでございます。

 国土交通省としては、今後ともこのような地域公団の仕事につきまして、公共団体と連携し、適切な事業の見直しを行うよう指導してまいりたい、このように考えております。

吉田(泉)分科員 そうしますと、今のようなことも考慮に入れながら、早期にこのニュータウン継続事業をやり遂げるんだということだと思います。

 それで、改めて最後にお聞きしたいのは、実は三十年、地振公団としてこの事業をやってまいりました。ここで大きな政策転換がなされ、なおかつ組織も変わります。それで、この後、「当分の間、」という表現ですが、何とか仕上げるんだと、最後の仕上げの段階だと思います。常識的に考えますと、三十年やってきた、ここで時代が変わった、方針も変えた、当分の間ということでやり遂げるんだというときに、常識的に、私はやはり十年かなと思うんです、当分の間というのは。長くても十五年、つまり三十年の半分程度で何とか仕上げ、これが実は、何をやるにしてもこの一番最後の仕上げというのが一番大事だと思うんですが、そういうふうに思いますが、御見解を賜って質問を終わりにします。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、我々も十年程度をめどに頑張りたいと思います。

 ただ、経済社会情勢もあります。ただ、我々の行ってまいりました地域公団のプロジェクトは、先ほど高級住宅地というお話もございましたが、非常に、道路、公園等々、きちっとしたいい住環境のものを提供してきている、そこは自信を持っておりますので、経済社会変動、いろいろあると思いますけれども、目標に向かって努力してまいりたい、このように考えております。

中野主査 これにて吉田泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上信治君。

井上(信)分科員 自由民主党の井上信治でございます。

 私は東京の二十五区の選出でございまして、私の地元は東京の中でも最も西部地区、地方色の非常に濃いところでございます。美しい森や川、そして自然環境があり、かつ、長い歴史に培われた文化もある、大変すばらしいところでございます。ただ、他方で、非常に社会資本整備がおくれておりまして、そういう意味では、本当にこれが日本の首都東京の一部なのかというような状態も実はあるわけでございます。

 ですから、私はそうしたことに関して多大な問題意識を持っておりまして、また、地元の方々の要望も非常に多いということで、きょうは国土交通省さんを初めとした政府に対して、この地元の課題を中心に御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 地元の課題と申しましても、私も国会議員にならせていただきましたから、決して地元の本当にささいな問題まで政府の方にお願いしようということは考えてございません。むしろ、私の選挙区においてもこの日本の国益にかかわる重要な課題もございますから、そういったことについてお聞かせいただきたいと思っております。

 そういった意味では、最も代表的なものは米軍の横田基地の問題というのがございます。この横田基地、五市一町がその地域でありますけれども、その中の二市一町が私の選挙区、西多摩でございます。

 この米軍横田基地に関しましては、昨年の小泉総理、ブッシュ大統領との日米首脳会談の中でも、軍民共用という話が出てまいりました。そしてまた、石原東京都知事も大変御熱心で、この軍民共用というものを進めておられるところであります。

 しかし、私は、実はこの軍民共用という問題に関しては若干の疑問を持っておりまして、軍民共用の前にまずは返還といったことがあるべきではないかということを思っております。地元の方々の御要望というものも、返還というものが最もまずありきであるというようなことを常日ごろ伺っております。

 と申しますのは、そもそも、この首都東京の真ん中に、そして市街地がたくさんある中に外国の軍隊の基地があるということがいいかどうかといったことがあると思います。これはもちろん、日米安保、日米地位協定に基づいた施設でありますから、決してこれはないがしろにすることはできない。しかし、立地の問題として、本当に東京のど真ん中にある必要があるのかということでございます。

 地元といたしましては、当然、激甚な騒音被害にも遭っておる、あるいはいつ航空機が墜落するかもわからない、それから昨今は米軍を対象としたテロの危険性といったことも否定できない、そんな状況にあるわけでございます。

 聞くところによりますと、今米軍の方でも在外基地の再編ということでいろいろな検討を進めておられるということですから、まずは、政府としまして、軍民共用なのか、あるいは全面返還、あるいは一部縮小といったことも含めて、そういったことを念頭に日本国として米軍側に対して交渉を行っていくつもりなのか、その辺のところをぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

長嶺政府参考人 お答えいたします。

 ただいま井上委員から、さまざまな見地からこの横田飛行場の問題についてお触れになりましたので、そのうちの幾つかについてお答え申し上げたいと思います。

 まず初めに、アメリカが行っております全世界的な軍事体制の見直しの点にお触れになりましたので、その点から申し上げたいと思いますが、ただいま委員御指摘になりましたように、アメリカは、新たな安全保障環境における課題に対処するために、全世界的な軍事体制の見直し作業を行っております。

 このために、我が国を含めまして、同盟国、友好国等と緊密な協議を行うという方針でアメリカはおりまして、協議が行われてきておりますけれども、現時点におきまして、なお何らかの見通しがついているということではございません。

 日本との関係につきましては、日米外務、防衛当局間でさまざまなレベルの協議を行ってきておりますけれども、そういうことで、現時点におきましてまだ協議中でもございますし、また相手側である米国との関係もございますので、その詳細につきまして答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、政府といたしましては、在日米軍の軍事体制の見直しに関する協議におきまして、在日米軍が有している抑止力が効果的に維持されるということ、また、米軍の施設・区域が所在する地元の方々、そして地方自治体の負担が十分念頭に置かれるべきである、この二つのことを中心に考えております。

 こうした観点から、この協議は今後とも続けていきたいというふうに考えております。

 次に、横田飛行場につきまして、今、返還というお話がございましたけれども、横田飛行場が果たしております、在日米軍の中枢の施設・区域として日米安保条約の目的を達成するために果たしている役割、非常に重要な役割であるというふうに考えておりますので、政府として返還を求めるということは考えておりません。

井上(信)分科員 確かに、日米安保あるいはこの横田基地の米軍による対アジア戦略の中での重要性、これは非常に私も認識しておるところでありますが、これは当然のことながら、基地ということであれば、周辺住民、地域に与える影響というのは非常に多大ですから、そこの観点を念頭に置いた上で、今後の基地のあり方というものについて引き続き御検討をお願いいたしたいと思います。

 その関係で、四月十九日、東京都、国土交通省、外務省、防衛庁等関係省庁の中で横田基地に関する連絡会というのを今やられておられる。第三回会合ということで、これは新聞報道によりますと、一日十数便の民間機を運航させる、そういった日本側の計画案を提案した、こういった報道がございました。

 これは我々としてはなかなか外からうかがい知ることができないわけですけれども、この連絡会での検討状況、あるいはこの報道の真偽について、お聞かせいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、横田飛行場の軍民共用化につきましては、二〇〇三年の五月に行われました小泉総理とブッシュ米大統領の間で、その共用化の実現可能性につきまして日米間で共同で検討するということについて一致したものでございます。

 それを受けまして、昨年の十二月に、政府の関係省庁、内閣官房、外務省、私どもの国土交通省、防衛庁、防衛施設庁、それと東京都で局長クラスで連絡会議を設置し、協議を重ねてきたところでございます。

 これも先生御指摘のとおり、第三回の協議を四月に行ったところでございますが、横田飛行場の軍民共用化に関連するさまざまな事項につきまして意見交換をし、これらの省庁間で情報の共有化を図っているという現状でございます。

 具体的なやりとりにつきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

井上(信)分科員 確かに、これは相手がアメリカ、米軍ということであって、国家の外交、安全保障にかかわる大変重要な問題だということで、なかなか、内密にしなければいけない、これは私もある程度理解できるところではあるんですが、先ほど来申し上げているように、これは、基地という以上は、周辺住民、周辺地域に与える影響というものもございます。あるいは、周辺地域、周辺住民が反対運動などをしてしまうと、これはもうなかなか、政府の方針があってもこれがうまく機能しないということもありますから、決して地元というものをないがしろにしていただきたくないなということを私は非常に強く思っております。そういった意味では、この四月十九日の報道でございますけれども、これに対して私は大変遺憾であるというのが率直なところであります。

 私も、これは地元の問題でもありますから、従来から、この連絡会について、いろいろな内容、検討状況についてはきちんと説明してもらいたいということを申し上げてきたところであります。しかし、なかなか、保秘の観点から難しいと。そうおっしゃっていた割には、報道機関の方にはこういった情報が漏れている、あるいは説明しているのか私もよくわかりませんけれども、結果的には、地元ではこれを報道を見て知る。しかも、一日十数便というと大変な検討の進捗があったということに我々、とられますから、そういったことで本当にいいのかどうかと非常に遺憾であります。

 特に、歴史的にも、九六年に、関係六市町と東京都は、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会というものを設置いたしまして、政府や米軍にも働きかけを行ってきた、そういった経緯もあります。そうした中で、今後、きちんと地元に対して説明、あるいは理解をもらうような、そういった働きかけをぜひ行っていただきたいと思いますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。

佐藤大臣政務官 今、井上委員の、周辺自治体、住民に周知すべきではないのか、こういう御質問だと思うんですけれども、私ども国土交通省といたしましても、この横田飛行場の軍民共用化の問題、その検討の問題につきましては、地元の理解は当然のことながら重要である、そのように考えております。

 ただ、役割分担といたしまして、周辺自治体への周知については、第一義的には、基本的に東京都が対応する、そういう役割分担ということにしておりまして、私ども聞いている限りでは、東京都からもこの周辺自治体に適宜説明を行っておる、そのようにお聞きをしているところでございます。

 今後とも、この横田飛行場の共用化を検討するに当たりましては、東京都を通じて、あるいは、場合によっては必要に応じて政府の関係省庁を通じて、地元自治体への説明についてしっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。

井上(信)分科員 ただいまの御答弁を伺いまして、大変私も心強い気持ちがいたしました。ぜひとも、これは確かに第一義的には東京都の役割かもしれませんが、そういった意味では、政府の方でも直接の御説明あるいは東京都への働きかけというのを、きっちりと今後やっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 それから、私は、先ほどの御答弁にもかかわらず、やはり全面返還あるいは基地の縮小といったものを引き続き検討していただきたいとは思いますけれども、仮に軍民共用を行っていく場合として御質問をさせていただきたいと思いますけれども、仮に軍民共用を行うとしても、例えば、首都圏において、成田や羽田と比べて、道路や鉄道などのアクセスが非常にまだまだ横田基地というのは不便なところであります。

 これは、当然のことながら、そういった空港利用者の利便性を考えないと機能しないということでありますので、地元ではいろいろ、多摩都市モノレールの延伸であるとか、あるいはJR八高線の複線化、国道十六号線の整備、そういったことによってこのアクセス整備を対応していくというような話がされておるところでありますけれども、こういったアクセス整備についてどういったお考えをお持ちなのかについて、伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、一般的に申しまして、やはり空港、飛行場を整備する場合には、アクセスを整備していくということが極めて重要な課題だと我々も認識しております。

 これも先生御案内のとおり、横田飛行場周辺には既に青梅線あるいは国道十六号線等のアクセス手段がございますけれども、共用化が行われる場合には、これらにさらに加えてアクセス整備が必要かどうかということの検討が必要だろうと思っております。

 今後、関係省庁あるいは地元自治体等とも勉強していきたいと思っておるところでございます。

井上(信)分科員 大変ありがとうございました。本当に、このアクセス整備というのは、地元にとってもあるいは空港利用者にとっても必要不可欠ですから、ぜひとも今後の前向きな、積極的な検討をよろしくお願いいたしたいと思います。

 他方で、一般論としても、やはり私思いますのは、空港のアクセス整備、これはやってはいただきたいんですが、実は、推進すればするほど空港利用者にとっては利便性が向上するかもしれませんが、他方、地元住民、地域にとっては、向上すればするほど、地元を通り越して、空港からそして自分の住まいまで通ってしまうということであれば、地元に与える地域の活性化、そういったことに関してはむしろマイナス方向に働く、そんなおそれも抱いているところであります。

 やはり、地元としては、これは騒音被害を受忍しているという大変なデメリットをこうむっているわけですから、そういった観点からも、地域の活性化あるいは地元住民の利便性の向上といったことも考えて、きちんと地域振興としての施策もとっていただきたい、とるべきだというふうに考えておりますが、この点についての御見解をお願いいたします。

岩崎政府参考人 これも一般論で恐縮でございますけれども、私ども国土交通省といたしましても、空港、飛行場と地域が一体的に発展していくということが大変望ましいことだと考えております。

 横田の地域振興につきましては、まだこれからの段階だろうとは思いますけれども、基本的に、地元自治体が中心になって検討していただくことが必要ではないか、このように思っております。

井上(信)分科員 軍民共用というものが具体的な検討の段階に入った場合には、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 それから、軍民共用のそもそもの需要予測について若干疑問がございますので、それについてお答えをお願いいたしたいと思います。

 現在、首都圏の需要予測、空港に関しましては、今国会、三月に成立いたしました羽田の再拡張に関する特別措置法で、発着容量を二十八万回から四十一万回へと増加させる、あるいは成田においても、今の二千百八十メートルの暫定滑走路、これをさらに二千五百メートルに延ばそう、そういった計画がされている中で、本当に、横田の軍民共用をした場合にきちんとその需要があるのかどうかというのは、大変疑問に思うところであります。

 他方で、その場合の需要予測というのは、実際には、羽田、成田のさらにプラスアルファとしてこれだけ必要だから横田も使おうという話なのか、それとも、これは位置的な問題がありますから、東京、首都圏の西部地域、羽田や成田に遠い人たちのために、いわば羽田や成田の代替、補完としての軍民共用なのか、その辺の考え方、どちらなのかということについてお答えいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 二つのやはり需要があると思っております。

 横田周辺、具体的に言いますと、東京都西部、神奈川県北部さらには山梨県、このあたりの需要というのは、新たな需要が少々出てくることも予想されます。それから、先生御指摘のとおり、今、羽田空港を利用している、あるいは今後羽田空港が再拡張になりまして、それを利用する需要の一部も、特にその地域周辺の方々は横田に行くことが考えられます。

 私ども、羽田についての需要予測はやりましたので、今、東京都の方でそうした需要予測を踏まえながら作業をしておられるというふうに聞いております。その需要、東京都の作業を見守りながら私どもも適切に対応していきたい、このように思っております。

井上(信)分科員 この需要予測については、ぜひとも厳密に、厳格に精査していただきたいと思います。

 今、地方空港を中心として、政府の需要予測が外れたということで大変閑古鳥が鳴いている、これはむだな事業じゃないかといった批判が非常にあります。私もこれは大変ゆゆしき事態だと思っておりますし、仮に横田が軍民共用したとして、実際にはニーズがないということになれば、ますます地元住民に対する説明もつかないと思いますので、ここは慎重によろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、圏央道について質問をさせていただきたいと思います。

 この圏央道も、私の地元青梅、西多摩地区を縦貫している、あるいはその計画のある高速道路でございます。今、その高速道路に関しましても、衆議院を通過いたしました民営化の法案、この中で、民営化は民営化として、やはり一番重要なのは今後の道路整備のあり方ということで、これは大臣もよくおっしゃっておられますように、とにかくむだな道路はつくるべきではない、しかし、必要な道路はつくらなければいけないというふうに私は思っております。

 そういった意味では、この圏央道、東名や中央道という国家の本当に基幹の高速道路をつなぐという、あるいは、首都圏ですから、これは非常な経済効果、あるいは渋滞緩和による環境負荷の軽減ということで、本当に今の高速道路の中でも最も大事じゃないかと思うような道路であります。

 ですから、この圏央道について、政府として、この重要性というものについて力強い答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。

林副大臣 圏央道につきましては、先生御指摘のとおりでありまして、特に私も成田が絡んできておりまして、重要性は特に感じておるところでございます。

 知ってのとおり、延長約三百キロ、そして総事業費三兆円という事業でありまして、今御指摘の首都圏の交通混雑の解消、あるいは環境対策もありますし、都市構造の再編成を図る意味では大変重要な路線だというふうに思っております。

 外環、中央環状線と合わせて首都圏三環状道路の一つでございまして、完成すれば、この内側の主要渋滞ポイント約六百と言われていますけれども、この六百カ所がおおむね解消いたしますし、走行時間の短縮やら、あるいは燃料費の減少などによる効果は、年間約四兆円というふうに見積もっておるところでございます。

 そして、横浜、厚木、八王子、つくば、川越、成田、木更津といった業務核都市を結んで、都心に集中する業務機能を適切に分散させることによって、そしてまた地域の開発を促進するということで大変重要な役割を担っておるところでありますし、都市再生本部の都市再生プロジェクト、第二次でありますけれども、ここにも位置づけられたところでございます。

 今後とも、早期完成に向けまして、重点的に整備促進を図ってまいる所存でございます。

井上(信)分科員 副大臣の力強い御答弁、大変ありがとうございました。私も圏央道の同じ沿線の議員といたしまして、副大臣と一緒になってこの圏央道の推進をやらせていただきたいと思っております。

 そうは申しましても、非常に私が懸念しておりますのは、圏央道の進捗状況、今後の見込みということでございます。いろいろ、自然環境の問題あるいは個人の地権者の問題と、多くの問題があります。しかし、実際には、日の出―あきる野間においてもう既に三年も開通予定がおくれている、あるいは、圏央道全体でいえば三百キロのうちのまだ三十キロしかできていない、これに実は十五年もかかっている。では、単純計算すると全面開通するのに百五十年かかるんじゃないかといった話が地元ではまことしやかに言われておるところでありまして、これではもちろん非常に困るわけです。

 ですから、今後の進捗について、今後の具体的な見込み、できましたら、中央道あるいは東名にいつごろつなぐ御予定なのか、そしてまた、それを実現していくためにどういうような方策をとってやられるかということについて、御答弁をお願いいたしたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道は、御指摘のように、昭和六十年度から順次事業化を図っておりまして、現在、三百キロメートルのうち約二百六十六キロを事業化いたしております。

 供用区間は、先ほど御指摘がありましたように、日の出インターから鶴ケ島ジャンクションの間の二十八・五キロと、つくばジャンクションからつくば牛久インター間の約一・五キロということで、合計三十キロメートルでございます。

 事業区間二百六十六キロメートルございますので、順次供用を図りまして、早期にネットワーク効果を発現できるようにしていきたいというふうに思っております。

 特に、圏央道西側区間でございます横浜横須賀道路から東北道に至る区間、約百三十キロでございますけれども、これは都市再生プロジェクトで重点区間というふうに位置づけておりますので、平成十九年度までに供用を目指しまして鋭意事業の進捗を図っておるところでございます。特に、御指摘がありましたあきる野インター付近につきましては、今年度中に完成を図りたいというふうに思っておるところでございます。

 さらに、東側のつくば牛久インターから江戸崎インター間、千葉の木更津ジャンクションから茂原長南インター間、これも平成十九年度までの供用を目指して重点的に事業を実施したいというふうに思っております。

 今後とも、早期全線完成へ向けまして重点的に整備促進を図っていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

井上(信)分科員 この圏央道については、国家的な利益であるだけではなくて地元の悲願でもありますから、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。この完成の見込みがおくれることがないように、引き続きの努力をよろしくお願いいたします。

 それから、時間もなくなってまいりましたが、最後に、観光振興策について御質問させていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、私のところは非常に美しい自然と豊かな歴史、文化のある地域であります。ですから、我々、これをぜひとも地域の住民だけではなくて外の方々にもアピールしたい、そして、そういう方々がいらっしゃることによって、地元経済の活性化も図っていきたいというふうに考えております。

 政府全体としても、総理を筆頭として、観光立国あるいはビジット・ジャパン・キャンペーンということで積極的に推進しておられる、これは大変すばらしいことだと思います。ぜひ引き続きの御努力をお願いしたいんですが、私が多少気になっておりますのは、海外からの旅行者を倍増させるとか、やはりどうしても外国人の観光客といったことに焦点が当たっているような気がいたします。外国人だけではなくて、国内旅行者に関する国内旅行の振興策についてもぜひとも推進していただきたく思いますが、この点についての御見解をよろしくお願いいたします。

佐藤大臣政務官 今委員が申されましたように、観光立国の実現を目指して昨年の七月に観光立国行動計画というものが決定されまして、政府としても観光立国に向けて大きな政策を推進しようということなんですが、これは大きく五本柱があるんです。その二本目の柱が、日本の魅力、地域の魅力の確立、そういうことを掲げておりまして、その中でも特に、地域の観光振興を図る一地域一観光を重要な分野として位置づけているところでございます。

 そういう一地域一観光という観点から、国土交通省としても、まず昨年度から具体的に実施いたしましたものとして、複数の市町村であるとか、また地域の幅広い関係者が一体となった取り組みによりまして、地域全体としての魅力づくりを図る観光交流空間づくりモデル事業を昨年度、十五年度から実施をいたしておりまして、今のところ八地域がそういう地域になっておりまして、三年間で二十から三十、そういうモデルをつくろう。

 さらに、この平成十六年度から、例えば地域住民であるとかNPOなど、みずからの町を歩く活動へ参加することなどを通じて地域の魅力を発掘したり、あるいは課題点を発見してそれを改善していく活動を支援するため、観光プラスワン大作戦を展開することとしております。

 また、先進的な観光地づくりを各地域で参考にしてもらうために、観光による地域づくりを成功に導いた観光カリスマの活動であるとか、観光地づくりの取り組み事例、支援制度などを国土交通省、当省のホームページの中にも情報提供しております。そういうものを見ていただいて、また各地域の観光政策の促進に役立てていただこう、そういうようなこともしておりまして、委員御懸念の、海外だけのPRではなくて、国内のそういう各地域の観光の魅力づくりというものにも今力を入れておりまして、今後ともこれらの施策を通じまして地域の取り組みを支援してまいりたい、そのように考えております。

中野主査 おおむね持ち時間でございますので、簡略に願います。

井上(信)分科員 大変ありがとうございました。

 我が国の、日本の魅力というものも、大変私はすばらしい国家に生まれたと誇りに思っております。ですから、これを海外の方々にもPRしていただくとともに、日本国民自体が我が国の国家の魅力というものを再認識できるような、そんな観光振興策を引き続きよろしくお願いいたします。

 大変ありがとうございました。

中野主査 これにて井上信治君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上和雄君。

井上(和)分科員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。

 きょうは、国土交通省及び警察庁、法務省等に対して御質問をお伺いしますので、よろしくお願いいたします。

 まず、道路公団の問題に関してお伺いしたいと思います。

 今回、道路公団の問題、大変大きな問題になっております。その中の一つに首都高速道路公団というのがございます。今般、公団の問題に関しては、公団のファミリー企業がたくさんつくられているとか、関連の法人がいろいろあって、そこが天下り先になっている。そして、要するに、組織自体がどうも天下り先をつくるためにつくられている。そして、かなりの高給も払われたりしていて、全般的な組織の非効率化に非常につながっているということがたびたび指摘されております。

 そういった中で、首都高速道路公団の中にもさまざまなファミリー企業があります。そしてまた、関連の団体というものがあるわけでございます。本日は、その中でも、社団法人の首都高速サービス推進協会についてお伺いしたいと思います。

 私もこの社団法人首都高速サービス推進協会の事業内容、いろいろ拝見をいたしました。当然、公益法人ですから、公益目的のためにつくられていて、公益事業が中心でやっているというふうに思ってはいたんですけれども、一つ腑に落ちない点がありました。

 それは、何か事業内容に、料金所の収受員の方のユニホーム等の販売をしているわけですね。でも、これは相当な額なんですね。六千万ぐらいの販売をしていて、そして約一千万円の収益を受けている。当然、公益法人で、事業内容に関しては定款にすべて定められているわけですね。目的、事業、私も読んでみました。

 こういった、わざわざユニホームを販売する。どうも、お話を聞くと、かなりそれも高い値段で売っているんじゃないかというようなことも言われているものですから、このサービス推進協会のやっているユニホームの仕入れ価格と販売価格というのは一体どうなっているのか、ちょっと教えていただけますか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 夏服と冬服で違いますので、別々に申し上げますが、夏服一式、半袖シャツ、ズボン、ベスト、帽子等でございますが、仕入れ価格は三万六千三百五十円、販売価格は四万一千二百五十円です。

 冬服一式でございますが、長袖シャツ、ブレザー等がございまして、仕入れ価格は五万四百七十五円、販売価格は五万八千三百円です。

井上(和)分科員 長袖が約五万円ぐらいというお話でございました。

 私なんかは、よく洋服の青山とかそういうところで背広なんかもいつも買うんですけれども、そういうところの値段に比べれば相当高いなという印象を受けます。もっともっと、本当の民間会社がやれば、こんな、わざわざ高いユニホームを買う必要もないし、そして、結局どういう構造になっているかといいますと、それを要するに公団のファミリー企業である料金収受事業をやっている会社に高い価格で買わせるわけですね。それは、当然、料金収入等にはね返ってくるし、効率化という観点からもいろいろな問題がある。

 例えば、今一つ起こっているのは、料金収受会社の働いている方の給料をとにかく下げろ、下げろという方向があるようです。ところが、よく見てみると、例えば、こういう高いものをわざわざ買っているのか買わされている、私は買わされているんじゃないかと思うんですね、そういう事態がある。

 それだけではありませんよ。例えば、ファミリー企業の役員、これは公団から天下りされている方ですね、その方の給料というのは非常に高い。そして、その方の給料を払うために、一般職員の給料が随分安いというような構図がだんだんあるようなんですね。

 まず、今回のこういったユニホームの販売をやっているということに関して、監督官庁はやはり責任があるんですね。

 例えば、私、インターネットで公益法人の監督に関する指針というのがありましたので、読んでみました。これは平成八年十二月十九日に出されていますね、「「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」について」というものが出ています。いろいろ書かれているんですよ。例えば、公益法人の収益事業を行う場合には、その規模も基本的には総支出の二分の一以下にとどめるとか、あと、例えば、民間の会社ができるようなことは当然、わざわざ公益法人がやる必要ないわけですから、民間会社にやらせるべきだというのも書いてありました。

 そういったことを考えると、どうでしょう、こんなことまでやっているサービス推進協会ということに関して、監督官庁はどういう監督をして、どういうふうに思いますか。

竹歳政府参考人 まず、一般的に申しまして、公益法人は、法人が健全な運営を維持し十分な公益活動を行うために、公益活動というのは必ずしももうからないものですから、そのために収入も確保する必要があることから、本来の公益事業とは別に、付随的に収益を目的として行う収益業務を行うことは認められております。

 今先生が御指摘になりました「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」の中にも、実は、今先生が御指摘になったように、そもそも、法人の目的以外の事業は行ってはならないとする考えもある。先生おっしゃったとおりの考えもあるんだけれども、昭和三十五年の法務省の有権解釈ということで、法人運営の実態から見て、あくまで付随的な活動ということであれば、今おっしゃったような民間会社でできることであっても、公益法人の活動の支えとなるためにやってもいいよというのがまず一点あります。ただ、今引用なさいましたように、そうはいっても、そういう仕事をたくさんやっては困るということで、全体の総支出額の二分の一以下にとどめなさいとなっています。

 今の具体のお話の、社団法人首都高速サービス推進協会という部分について見ますと、料金収受員用被服、確かに収益事業としてやっております。この売り上げは、事業費は五千二百六十万円でございまして、全体の総支出額は七億七千万ということで、七%弱、二分の一以下とする監督基準の運用指針を満足している、このように見ております。

井上(和)分科員 私は、こんなことやめさせるべきだと思いますよ。そういうのはへ理屈なんですよ。

 つまりは、どういう構造かということをぜひ御理解いただきたいんですよ。つまりは、推進協会にもうけさせるためにこういう事業をやらせているんでしょう、もうけさせるために。わざわざ高く売っていて、そこで約一千万の収益を上げさせている。何でそんなことをやっているかというと、これははっきりわかっているんですよ。会長が公団からの天下りなんですよ。給料が約千八百万、その千八百万を出してやらなきゃいけない。推進協会の会費収入なんというのは九千万ぐらいですか、その中で千八百万の会長の給料をどうやって出すか。だから、それは何か事業をさせてもうけさせてあげて、そして一千八百万の会長の給料を払えるようにしてあげているんでしょう。そういうことなんですよ。こんなのは、もう、すぐやめてください。

 それだけじゃないんですよ。公団が相当の広報事業を委託しています。私も内容を見てみたんですね。ネットウェイという雑誌を、これは季刊誌だそうです。季刊というのは、季節ごとに出しています。ところが、これ、首都高速の公団本体も広報誌を出しているんですよ。これは奇数月、つまり一月、三月、五月。だから、恐らく、同じように出しちゃまずいからというんで、季節ごとに出すと。つまり、重複していると私は思うんです。季刊誌だったら、もう公団が一つ出せばそれでいいじゃないですか、そういう公団関係の雑誌は。つまり、広報という名目で事業をつくり出して、それを社団法人にやらせて、そこでもうけを出させて、天下りの職員の給料を出しているわけでしょう。

 そして、もっとひどいのは、私もよくわからないんで、後でこれはちょっと資料を出してもらいたいんですけれども、このサービス推進協会の人件費というのが、これは収支報告書によると、総額で六千七百万ぐらいなんですね。そういった中で、理事長というか会長が一千八百万ぐらいでしょう。残りが四千万弱で、職員十五人いるんですよ。どうやってその職員の給料を払っているのか、ぜひ教えてもらいたいんですけれども、だから相当安くしているんじゃないですか。

 実は、ファミリー企業の構図もすべてそうなんですよ。一部は天下りしている職員、社長とか専務とか、給料は相当高い給料を払っている。ところが、高く払っているために、一般職員の給料というのは物すごく低く下げているんです。ぜひ推進協会の一般職員の給料を調べてくださいね。お願いします、この委員会の後ね。

 だから、つまりは、要するに、社団法人は何のためにあるかといったら、やっぱり天下り先のポストをつくるためにあるんだということはもう明らかなわけですよ。

 それで、この収支報告書を見ても、一般会計の収入が一億四千九百万でしょう。特別会計、事業収入と書いてあるんですね、これは公益事業ではない。それが約六億円ですよ。つまり、本来の公益事業が中心である社団法人が、公益事業の何倍もの収益事業をやっているということがこの収支報告書からわかるんですけれども、これはおかしいんじゃないですか。どうですか。

竹歳政府参考人 今先生が御指摘になられました、一般会計が一億四千九百万で、特別会計が六億二千百十一万。実は、この特別会計というのは、法人税法上の課税対象事業というのを区分経理して、税務上の処理のために特別会計として整理したものでございまして、今直ちに、先生がおっしゃいましたように、一般会計は公益事業で、特別会計は非公益事業、こう分けたものではない。

 さっきの、料金収受所の方のための被服を買う、その提供は収益事業でございますが、残りの印刷刊行事業、これは先ほど季刊のお話をされましたけれども、お客様に配布しております首都高速の道路網の地図とか、メンテナンス工事による一部通行どめの案内チラシとか、それから苦情問い合わせ、渋滞情報の提供とか、こういう広報事業を今おっしゃった六億二千百十一万の中でやっておりますから、税務処理上の収益事業というのと公益法人の収益というのが実は概念が違うもので非常にわかりにくくなっているのは事実でございますが、六億二千万全部そういう公益事業以外でやっているということではないということはぜひ御理解いただきたいと思います。

井上(和)分科員 では、公益事業は一体何をやっているかと私、見てみたんですね。そうすると、会員各社に対する研修。研修というのは何をやっているのかなと思ったら、健康管理、生活習慣病について講演会、お医者さんを呼んでやっていると。労務管理と労使団体のこと、税務についてやっていると。説明能力向上、話し方、職場での効果的なコミュニケーション、こういうのを公益事業やっているんですよ。要するに、やってもやらなくてもいいようなことで、これはどこでも習えるようなことじゃないですか。そう思いませんか。いや、いいですよ、それは聞いていないんだから。

 本当にやりたいのは、そうなんでしょう、広報事業なんでしょう。公団から委託を受けて、そこで事業を受託して、ある程度の人件費をひねり出す、そういう操作で、公団の天下り先として使っているということなんじゃないでしょうかね。時間がないんで、ほかの問題に移りますけれども。

 その次に、ETCの問題に関してちょっとお伺いいたします。

 最近、ETCがあちこちで大分普及してまいりました。ところが、いろいろ話に聞くと、ETCによる事故とか誤作動の問題があると。確かに、私も自分で車を運転して東北自動車道なんかに行ったことがありますけれども、それを見ると、ETCのところは相当のスピードで走っていきますよね。これは、誤作動したらもう本当にバーは吹っ飛んじゃうな、場合によっては人身事故になるんだなというふうなことをいつも思っているんですけれども、その事故及び誤作動に関して、現状、どういうふうに把握しているか、御説明ください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、このETCが普及すれば、高速道路における渋滞の三割が料金所で発生いたしておりますので、この利用率が五〇%を超えるということになると、全国の料金所の渋滞はおおむね解消されるということで、このETCの普及促進を一生懸命やりたい、こういうふうに思っているところでございます。

 御指摘の誤作動、事故の関係でございますけれども、この一カ月間でございますが、例えば道路公団でございますと七十四件ございまして、これは人身事故はゼロで、物損事故が七十四件。これは三月の実績でございます。率にいたしまして一万分の二・七でございます。首都高速は十二件、これは四月いっぱいでございますが、十二件ございまして、物損事故のみでございます。通行台数が二十三万四千台でございますので、事故率にいたしますと一万分の一・七。阪神、本四も、そのような感じで出しております。

 この原因でございますけれども、御指摘のように、例えば首都高速の十二件でございますが、中身を見てみますと、カードの未挿入、入れていないとか、こういうものが四件と、車載器が異常のもの四件、誤って進入したというものが一件、それから原因不明のものが三件、こういうふうになっております。

 それから、事故の関係でございますけれども、今月の七日でございますけれども、阪神高速の池田線で、ETCレーンを横断中の料金収受員の方が大型貨物車にはねられて亡くなるという人身事故が発生いたしております。

 このほか、ETCの誤作動は、先ほど物損事故が十二件というふうに申し上げましたが、誤作動自体がやはり四月で十二件発生いたしております。この原因は、車載器と料金所のETCアンテナの間の通信が確立できていなかったという原因でございます。

 利用状況から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一万分の幾つ、こういう数字でございますので、相当低くなってきたというふうに思っておりますが、さらなる信頼性の向上が必要だと思っておりまして、これをできるだけゼロに近づけるような努力をいたしたいというふうに思っているところでございます。

井上(和)分科員 ETCというのは、本来、渋滞を解消するためにやっているわけであって、故障が起こっちゃうと、逆に渋滞はふえちゃうということになるわけですよ。それは、機械だから、一〇〇%誤差をなくせといっても無理かもしれないけれども、やはり相当精度を高めていかないと役に立たないし、また機械自体も、アメリカの例えばイージーカードなんかと違って、自分でカードを入れておかないと機能しないという、ちょっと複雑ですよね。そういう問題を抱えている以上、まず万全ではないと私は思っています。

 そういった意味で、かなりETCの使用に関して、また、事故を避けるとかいう観点からもしっかりと監督していかなきゃいけないと私は思うんですけれども、どうでしょうかね。

林副大臣 ETCの運営、監督についてでありますけれども、今、各公団におきまして、ETCの事故の再発防止策といたしまして、まず一点は、カード未挿入、誤進入、速度超過などに対する注意喚起の横断幕を設置しております。二つ目として、カード未挿入者への警告情報を送信する予告アンテナを設置する。三つ目は、車載器のセットアップに際し、適切な取りつけについて取りつけ業者への要請をしております。四つ目として、接触時の衝撃緩和を図るため、ETC専用レーンの開閉棒の材質変更でございます。五つ目が、収受員の飛び出しを防止する安全防護さくの設置等々を実施しているところでございます。

 ETC誤作動の再発防止策といたしましては、まず、機器の巡視点検を実施することによる機器精度の維持でございます。二つ目が、誤作動と思われる事象に関しましては、料金所のETC機器が原因の場合と車載器が原因の場合が考えられるために、料金所のETC機器の調査を各公団において実施しているところでございます。

 さらに、さきの五月七日の事故を初め三件の事故を受けまして、事故の再発防止について、安全確保に係る措置の再徹底を指示いたしまして、安全対策に万全を図るよう指導しているところでございます。

 今後も、ETCの事故、誤作動の再発防止に向けて各公団を指導監督してまいる考えでございます。

井上(和)分科員 結局、収受員の方のお話を聞くと、ETCが誤作動をすると、例えばいろいろな問題がありますね、隣のブースから移って、それを見にいかなきゃいけないという状態になるわけですね。また、今かなりJHなんかでも起こっていますけれども、ETCのところはぱあっと行くけれどもそれ以外はすごい渋滞になっちゃっている。当然、何でおれたちのところはこんなに込んでいるんだというクレームが来る。そうすると、今度は、では、混在にしようかと。つまり、一般とETCと両方にしようというふうになると。その繰り返しがしょっちゅう起こっていると言っています。システムとしては非常にまだ完成していないというふうに私は思いますので、ぜひ、国交省としてきちっとこのETC問題に取り組んでいただきたいと思います。

 それでは次に、交通事故の問題に関してお伺いいたします。

 私は、たびたび国会でも交通事故の問題に関してお伺いしています。今回お伺いしたいのが、平成十三年の十二月三十一日に千葉県千葉市稲毛区で起きた死亡交通事故、被害者は影山修敬さん、二十三歳。この件に関してお伺いいたします。

 きょうも御遺族の方が傍聴にいらしています。

 私は、いろいろ御遺族からこの事故のことをお伺いして、どうも腑に落ちないんですよね。つまりは、この事故は、大学院生だった影山修敬さんとタンクローリーの交差点における事故だというふうに警察は言っているんですが、目撃者の証言を聞くと、どうもそうじゃない。そして、その目撃者自体が、とにかく御遺族が必死に探して、立て看板をかけたりして、やっと見つけた方が二人いらっしゃって、どうも全然違う。つまりは、警察は交差点で車がぶつかった交通事故だというふうに言っているんですけれども、目撃者の話によると、交差点外に車がとまっていて、そこにタンクローリーがぶつかったということを言われている。私も、幾ら考えても、どういう状況で起こったかというのがよくわからないんですね。だから、本当に警察はわかっているのかどうかということについて、きょうはお伺いしたいんですね。

 まずは、新たな目撃証言と当初の警察の事故に関する状況把握が非常に食い違っていたにもかかわらず、影山さんが一生懸命努力して見つけた目撃者の証言というものが相当期間放置されていた。実際には一年以上も放置されていたんですけれども、これは一体どういうことなのかなということに関して警察にお伺いしたいとともに、また警察の方では、これは千葉県警ですけれども、交差点内で出会い頭の交通事故であって、そしてまた事故車両、影山さんの乗っていた車が交差点内から三十五メートルも引きずられたという御説明なんですが、そういった引きずられた証拠が本当にあるのかどうかということに関して御説明ください。

人見政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の事故は、平成十三年十二月三十一日に千葉市稲毛区作草部の先の信号機のある交差点において、直進中のタンクローリー車と右方向から交差点に直進してきた普通乗用車が衝突し、普通乗用車の運転者が死亡したという大変痛ましい事故でありまして、平成十四年五月十日に千葉地方検察庁に送致したとの報告を受けております。

 送致後につきましては、千葉県警において、千葉地方検察庁と連絡をとりながら必要な捜査を行っているものと承知しております。

 なお、現在、地検において捜査中の事件でありますので、捜査内容の詳細については差し控えさせていただきますが、目撃者についての情報が寄せられるなどの経緯がありまして、千葉県警においては、検察庁と連絡をとりながら必要な捜査を行っているものと承知しております。

 なお、個別の証拠の有無についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

井上(和)分科員 この事件に関しては、何か現場検証が四回、実況見分が四回やられているということなんですよね。これは、私が昨年の委員会でも一度指摘した同じような交通事故のケースでも、現場検証を何回も何回も繰り返されていると。つまり、それだけ初動の捜査が非常にいいかげんにやられているというようなことだと思うんですね。

 やはり、交通事故で御遺族が願っているのは、本当に真相を知りたい、本当に何で自分の息子が死んだのかということをお知りになりたいんですよね。

 そこで、この件に関して、科捜研にやはり真相究明をしっかり依頼してやってもらうべきじゃないかと僕は思うんですが、それはやられていますか。

人見政府参考人 交通事故の捜査におきましては、事故の内容とか規模等を勘案しまして、必要に応じて、科学捜査研究所やあるいは部外の専門家の支援を得るなどして、的確な交通事故原因の究明を図っているものと承知しておりますが、今回の事故につきましても、科学捜査研究所におきまして所要の鑑定がなされたとの報告を受けております。

井上(和)分科員 どうも、ありがとうございました。

 それでは、国土交通省にお伺いしたいんですけれども、今回の死亡事故の加害者である北部運送が事故報告に関して虚偽のタコグラフを提出したということを御遺族の方が発見したんですけれども、この事実に関してどういうふうに把握しているのか。そして、こういった虚偽の報告をしているようなことは非常に大きく受けとめなきゃいけないし、何か罰則があるのかということ。そして、こういった会社に対してはきちっと監査を行うべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。

峰久政府参考人 御指摘の件につきましては、十三年十二月三十一日に事故が起きておりますが、それで、事故報告書は十四年の一月二十三日に最初提出されております。それで、昨年の十五年十一月二十日に国土交通大臣に影山さんの方からも文書をいただきまして、こういうものをもとに調査をしました結果、その事故報告書、提出されたものにおきましては、千葉支店から出向していたということになっていたわけでございますけれども、実際には、道路運送事業に係る事業計画にはない埼玉の支店から出向しているということになりました。そういう形で、それに関連した事故報告書の再提出があったところでございます。

 それで我々は、こういうことを受けまして、当該運送事業者に対しまして今後監査を行って、その結果を踏まえて適切に対処するということにしております。

井上(和)分科員 済みません。局長、もう一回お伺いしたいんです。監査は行ったんですか。

峰久政府参考人 調査を一度して、再提出がありましたから、監査は今からでございます。

井上(和)分科員 つまり、人一人が亡くなっているわけなんで、それに関して、これ、はっきり言って、うそでしょう、うその情報を出しているという、これはやはり真剣に国土交通省も受けとめていただきたいんですよ。そういうことをやっている会社というのは、やはりほかにも恐らくいろいろなことがあるんじゃないかというふうに思います。そういった意味で、ぜひ厳正にこの問題に関して対処していただきたいと思います。

 それで、最後に、法務省にお伺いしたいんですけれども、検察の方もいろいろ御努力していると思うんですが、現在、捜査の状況はどうなんでしょうか。

実川副大臣 お尋ねの事件でありますけれども、現在、警察から送致を受けまして、千葉地方検察庁におきまして捜査中でありますけれども、捜査の具体的な状況につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

 なお、検察当局におきましては、所要の捜査を尽くしまして事案の真相を解明いたしまして、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知いたしております。

井上(和)分科員 もうそろそろ時間でございますけれども、今回のこの事故に関しては、先ほども申し上げましたように、異例の四回目の実況見分がやられているということですよね。それだけやはり、本当に加害者の言い分が正しいのか、その目撃者の証言との食い違いに関してしっかりと捜査をされているかということが、まさしく警察も検察も問われているということだと思います。そういった面で、ぜひしっかりと捜査をやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中野主査 これにて井上和雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田治君。

吉田(治)分科員 民主党の吉田治でございます。

 きょうは、決算ということで、とりわけ道路行政について、いろいろ法案審議等もされておりますが、まず最初に、道路というんですか、地域経済活性化に資するアクションプログラムというのが出されておりまして、その中に移動、交通に関するものが、昨年の十月、社会資本整備計画というふうな中でも盛り込まれているんですけれども、その実際上の現状というんですか、どういうふうになっているんでしょうか。

藤井政府参考人 地域経済活性化に資する移動や交通に関するアクションプランについてのお尋ねでございますが、お話もございましたように、昨年十月に閣議決定いたしました平成十五年度から十九年度を計画期間といたします社会資本整備重点計画におきまして、「活力」という章を設けて、その中で、都市交通の快適性、利便性の向上、地域間交流、観光交流を通じた地域や経済の活性化といった重点目標などを定めまして、御指摘のような地域経済活性化に資する交通関連の社会資本の整備を現在とり行っているという状況でございます。

 また、あわせて、公共交通の分野におきましては、各地方運輸局などに設置されました地方交通審議会におきまして、地方ブロックごとの公共交通整備等に関する計画といたしまして、地方ブロック公共交通・地域交通環境計画について審議中でございまして、十六年度中に答申をいただき、具体化するということにいたしております。

吉田(治)分科員 都市交通という場合には、私の地元の大阪市なんというのは、交通局があって、しかしながら、バス事業等を含めて規制緩和、民営化の波も押し寄せてまいっているところでありますので、この議論についてはまた、きょうは時間が短うございますので、日を改めてゆっくりと議論をさせていただきたいなと思っているところであります。

 私は、初当選以来十数年たつんですけれども、平成九年の五月二十六日、私が国会議員をやっていて一つだけ自慢というか、地域で説明するときに言うのは、今、ITS、ETCというのがよく叫ばれておりますが、国会の議事録で一番最初この言葉を使ったのは、何を隠そう、私、吉田治でございまして、非常に、とりわけ思いが強うございます。

 あれから約七年がたち、新聞でもITS社会という形で非常に取り上げられ、またどうも、ETC、ITSという伸びが、少し踊り場がまたことしぐらいから伸びてきている、そういうことを感じておりますし、また、この秋には愛知・名古屋におきまして、このITSの世界大会というんですか、世界会議というんですか、そういうことも予定をされているという中で、このITS、とりわけETCの今後の普及というふうなもの、これは、私は、車の中にもう既にある一つのパソコンというんですか、コンピューターだ、知恵の固まりだというふうに考えております。

 ただ、この普及について、いろいろな観点、便利さであるとか割引であるとか、いろいろありますけれども、私はまず、地球温暖化の観点というもの、渋滞がなくなるということ、スムーズに走るということ、そして事故も減っていくんではないかという中で、地球温暖化の目標達成というのが非常に厳しくなってきているという中で、ETCの料金所におけるノンストップでの自動収受を実現しますと、利用者の利便性を向上するだけでなく、交通を円滑化することで環境面においても非常に効果がある。そのためには、やはり国民の皆さんが理解していくために、どう効果があるのか、そういうふうなデータはとっているのか。あるのであれば、私は、こういうところで公表すべきだと思うんですけれども、いかがなんでしょう。

榊政府参考人 先生御指摘のように、高速道路における渋滞の約三割が料金所ということでございますので、ETCの利用率が五〇%に達しますと、全国の料金所渋滞がおおむね解消されるということでございまして、これによりまして、年間三千億円の経済効果、料金所の周辺ではCO2の排出量が約二割削減されるというふうに言われております。

 これを前提にいたしまして、平成十四年の三月に地球温暖化対策推進大綱というのをつくっておりますが、そこでも、ETC利用推進がCO2の削減に資することだということで、そういう取り組みとして位置づけられているところでございます。

 このETCの利用促進によりまして、料金所のノンストップ化、料金所の渋滞解消というのが図られまして、二〇一〇年度でございますが、私どもの見込みでは、CO2が約十万トン削減されるというふうに見込んでおります。現状、二〇〇二年度の数字で恐縮でございますけれども、CO2の削減量は〇・五万トンというふうに試算をいたしているところでございまして、これらのデータにつきまして、先ほど、社会資本整備審議会の第二回環境部会というのが開かれておりまして、そこで効果の報告もさせていただいているところでございます。

 委員御指摘のように、ETC、いろいろなところに有効に利用されるというふうに思っておりますので、今後も積極的にETCの効果等について広く公表をしてまいりたいというふうに思っております。

吉田(治)分科員 環境に熱心な方はまず御自身がETCを取りつける、そういうキャンペーンも私はすべきだと思っております。また、その一方で、夜間割引と渋滞緩和ということで、ロードプライシングというのがされております。

 これはいろいろあるんですよね、よしあし。また、マスコミ報道的に言うと、ネガティブな部分もあるんですけれども、こういうものを一層私は推進すべきだと思うんですけれども、それと同時に、これは、割引といいますと、私どもの阪神高速でいいますと、非常に回数券の割引率が高いんですよ。前回、何年か前にもこの委員会で、いや、当時の建設委員会で質問したんですけれども、やはり使用者からすると、ETCにすることによって回数券を買うよりも割引率が低くなる、損をする、それじゃ困るということで当時質問をさせていただいたんですけれども、一方では、推進すべき夜間割引という部分、そして、今現実に割引をしているこの回数券の問題、利用者にとってプラスになるようにするにはどうするのか、この辺、二点、いかがなんでしょうか。

榊政府参考人 実は、首都高も阪高もそうなんですけれども、割引券というのは本来二百枚単位で出すことになっているのですが、商品券屋さんを通じて今広く流布されていることもありまして、約一割程度の割引になっているかと思いますが、ETCを活用していただきますと、現在ですと夜間割引の社会実験を実施中でございますので、間違いなくそちらの方が安くなるかというふうに思っておるところでございます。

 ただ、今後のことを考えますと、回数券をどうするかという点につきましては、ちょっと真摯な議論を我々としてやっていかないかぬかなというふうに思っているところでございます。

吉田(治)分科員 やはり、それは物すごく大きな問題だと思うんですね。

 非常に価格に敏感なのがよく大阪の人だと、政務官いてはるから一番よく知ってはるでしょうけれども。まさに、そこの部分で何%違うのか。話ずれますけれども、大阪なんというのは、タクシーの料金メーター何種類あるか御存じですか、四十も五十もあるんですよ。それほどみんな、消費者は手を挙げるときにどの車が一番安いのかと常日ごろ勉強している市民なんですから。

 今、真摯な議論をというのは、どう真摯にするのか、どれほど真摯にしていただけるのか、もう一歩踏み込んでお答えいただけますでしょうか。

榊政府参考人 今回、民営化法案を提出させていただいておりますが、民営化に先立ちまして料金を、高速自動車国道については約一割割り引いてやっていけというお話がございます。それと同様に、首都高、阪高につきましても、どういった料金単位が適正かということも含めまして、この一年ぐらいの間にいろいろな議論をしていきたいというふうに思っております。

 その中では、いわば夜間の割引料金とか通勤、通学帯の割引とか、そういったような事柄も視野に入れながら議論をいたしたいと思っておりまして、その際に、回数券につきましてもどのような取り組みをするかという点を、実は私どもも、先生の御指摘のように結構シビアな議論じゃないかというふうに思っておりますので、その点も十分踏まえながら検討してまいりたいと思っております。

吉田(治)分科員 余り質問時間をとりたくないんですけれども、今言われたように、ETCを入れることによって時間帯による割引の変更、シンガポールでしたら例えば何時以降は何人乗っていなければいけないとか、何時以降は高くなるとか安くなるとか、しやすくなると思うんですけれども、その辺のバリエーションというのですか、柔軟性というのは、これはやはりETCを導入していくことによってどんどんふえていく、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。

榊政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 現在やっております社会実験も、実は、高速自動車国道の方でございますけれども、夜間の長距離割引の実験をいたしておりまして、これも二百キロメートルを超える利用で割引率を拡大させるということですが、基本的には、夜間の四時間なら四時間の中に入っている部分をどの区間からどの区間というのを、ETCだから把握できる面がございます。

 それから、首都高の夜間割引の社会実験も実はこの四月二十七日から十一月までやっておりまして、これは夜の二十二時から翌朝の六時まで二段階の料金割引をしております。例えば東京線ですと、十時から十二時までは一〇%、一時までだったかな、一〇%、それ以降は二〇%とかという、そういうようなきめ細かな割引をさせていただいているということでございまして、それはETCだからできる割引形態かなというふうに思っております。

吉田(治)分科員 そういう形で進めていく中で、先ほどの公共交通機関のあり方の中で、地方はどんどん赤字鉄道の廃止なんかされていきますと、ITというのですか、ETCじゃなくて、ITを利用したバス・ロケーション・システムというのは、利用者の利便というものを向上させるというだけじゃなくてバス会社の経営効率にも寄与していくという中で、公共交通の維持それから地域活性化にも有効という部分で、国の展望というのが一つ。

 それから、例えば都バスでしたら、近くを通ると信号をどんどん変えていくというシステムを非常に活用されて、大阪市内もそうなんですけれども、やはりこのごろバスに対する評価というのですか、時間どおり来る。それで、お年寄りにとったら地下鉄の駅をいつも、私も委員会で質問していたんですけれども、あの長い階段を上りおりしなくても済む。バスのリバイバルというのですか、そういうのを私、問題意識等を持っているんですけれども、この辺は、バス・ロケーション・システムというのはどういうふうに展望されていくのでしょうか。

峰久政府参考人 おっしゃいましたように、バス・ロケーション・システムは、利用者の利便性を向上させるということと、それから事業者の運行管理の効率化、こういうことを含めまして非常に有効なシステムだと思っております。

 最近では、バス停留所における発車時刻や接近情報の提供だけじゃなくて、目的地までの所要時間情報の提供をする、あるいはそれを携帯電話への接近情報等でやる、こういう形でいろいろ進んできておりまして、バスの利用者の利便性の向上もだんだん進んできているところでございます。

 こういう中で、国土交通省では、公共団体と協調の補助をやりながら、補助制度がございますが、その中で、バス・ロケーション・システムについても促進を図っているところでございます。

 おっしゃいましたように、このバス・ロケーション・システムの促進と同時に、PTPSといいますか、信号を変えていく、あるいは優先レーンをつくるとか、こういうことと相まって公共交通機関たるバスの利用が促進できるように、特に時間に対する信頼性を得ながら、バスの公共交通機関としての利用が促進されるように我々も努力していって、そういう意味で大いに有効だと思っております。

吉田(治)分科員 随分前の、あれは運輸委員会ですか、ブラジルの方にこのバスシステム、非常に先進的なところがあるという質問をしたときに、当時のバスを担当している局長さんは、そんなのもありますなと。どちらかというと鉄道の方に目を向けられていたのが、こうしてバスに戻ってきたのは非常にいいことだなと私は思っております。

 そういうふうな中で、ETCの活用の中、情報化という中で、このごろスマートインターチェンジという言葉がよく聞かれています。高速道路のサービスエリア、パーキングエリアから直接一般道――サービスエリアとかに行きますと、すぐ目の前に、裏を見ると門があって、そこから先が一般道に続いて、ここからごまかして行ったらただかいなと思ってみたりもしますけれども、やはりそれを活用できる。

 大体、今、お聞きしますと、インターチェンジの間隔が十キロ間隔。欧米は、無料というところになりますと絶えずインターチェンジがある。私もアメリカ、ヨーロッパ等に行って自分で車を運転しますと、人の家に行くときに、ここでおりてよというともう家のすぐ近くにインターチェンジがあるということは、本当にこれは地域の交流を活発にすると同時に、近郊の交通流というものを改善して、私の大阪市内というのはこれは大体無理でしょうけれども、私は、地域の方々から要請が大きいと聞いております。また、平成十六年から実験も開始されていると聞いているんですけれども、現状の方はどういうふうな形になっているのでしょうか。

榊政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国のインターチェンジの間隔は平均約十キロで、欧米諸国はやはり四、五キロでございまして、料金を取っているということもございましてアクセスコントロールしておるものですから、約二倍というふうに長い。現状を見ますと、高速国道の通過する市町村のうち四割の市町村は実はインターチェンジが設置されていないということもございまして、こういったような仕組みを活用して平均五キロに近づける努力をすると、実は四割の市町村が大体みんな市町村にインターができちゃう、こういうことかというふうに思っております。

 ところが、そのインターチェンジをつくろうということになりますと多大の建設、維持管理コストがかかるということで、なかなか追加インターチェンジができないというのも事実でございます。

 それで、私ども今考えておりましたのは、ETC専用のスマートインターチェンジということであれば維持管理コストもかからないだろうということでございました。先ほど委員の御指摘のように、SA、PAですとそういう施設がございまして、その裏側には、大体側道を通じて一般道路がアクセスをしている、こういうことでございますので建設費も余りかからないのではないかということで、まず社会実験的にやろうじゃないかということで、今年度から都道府県に対して、手を挙げるところはありますかと。もちろん市町村から挙がってきているところもございます。

 これで応募を受け付けますよというふうに申し上げたところ、約三十数カ所が応募されておる状況でございまして、今後、関係機関との調整を行いまして実験内容の確認も行いまして、準備が整い次第、公共団体と協力しながら実験を実施していきたいというふうに思っておるところでございます。

吉田(治)分科員 本当にETCの利用の車を見ていきますと、率がだんだん、今はもう二割を超えたんですかね、ようやく。ちょっと大阪は遅いと聞いておりますけれども。家電製品も、二割を超えると爆発的に普及をするとよく言われています。

 私は、このスマートインターチェンジを含めてITSというふうなものを強力に推進していく、これは、もう新聞報道でも出ておりますように、すそ野が広い。私も、自動車の整備工場の方々、若手の方が応援していただいていて、その人たちが何をお客さんに勧めるかというと、やはりこのETCというものを勧めていくと。あと、いろんなものでバリエーションがふえて、クレジットカードの部分もふえてくるし、その機器、周辺機器というんですか、そういうようなものもふえてくるという形で、非常に将来に向かってのマーケットといっていいのかどうかわかりませんが、可能性の広いものだということがある。

 私は、とりわけ、本年の十月から愛知で開かれるITS世界会議、これはもう日本が主催国になって、たしかトヨタさんが議長か何かやられるんですよね。私は、こういうふうなことも含めて、全面的に推進をしていくべきだと考えているんですけれども、この辺の見解というのはいかがなんでしょう。

榊政府参考人 全く委員御指摘のとおりのスタンスで私ども臨みたいと思っております。

 ITS自体は、最先端のITを用いまして、人と道路と車両を一体として構築して、道路資産を有効に活用する。その結果として、渋滞、事故、環境の悪化といったようなものが解決ができるという新しい交通システムでございまして、御存じのようにVICSだとかAHSとかいろんな内容がございますが、その一環としてございますのは、VICSのサービスエリアの拡大ですとか、提供内容の充実ですとか、御指摘のETCの普及促進ですとか、先ほどございましたスマートインターチェンジの取り組みを推進するといったようなことを通じまして、ITSが生活や社会に浸透し始めたというふうに認識いたしております。

 それで、このような施策を展開していくためには、私どもスマートウエーというふうに呼んでございますけれども、先進的なITS技術を統合いたしまして、それを組み込んだ道路交通の受け皿としてのスマートウエー、こういうものを実現していきたいというふうに思っているところでございます。

 ことしの秋には、御指摘のとおり、名古屋でITS世界会議というものが開かれますので、そこでは、例えば、キャッシュレス駐車場などのITS技術の組み合わせだとか、安全、快適な移動が可能となるような将来の町の姿を示す。こういったことを通じまして、この世界会議を一つの契機といたしまして、ITS自体を社会的なツールとして一層強力に推進していきたいというふうに思っておるところでございます。

吉田(治)分科員 そういう中で、今の高速道路の使い方とプラスアルファで、私は、ドイツなどが先行して、ドイツ版JAFというんですか、これがドクターヘリというのを飛ばしているとよく目にするんです。

 交通事故というのは起こさないというのが一番基本なんですけれども、例えば渋滞の問題もありますし、また、今救急医療措置というふうなもの、これは非常に人間の命を救う、本当に、一分一秒によって、昔では考えられないようなけがが治るようになるということになっていく中で、私は、このドクターヘリの効果というのは、例えばNPO法人の救急ヘリ病院ネットワークというふうなものの報告からも明らかであると思うんですけれども、聞く限りでは、現在では、これは七カ所しかその基地というんですか、そういうふうなものが設置をされていない。私自身は、これは全国の都道府県での全面展開というものが必要だと思っています。

 とりわけ、大阪は、阪神大震災のときに、大阪市の消防局のヘリがたまたま、救急車が神戸に行った、病院で実はこうこう救急車が来ないんだというのを無線連絡を受けて、ヘリコプターが飛んでいった、そして、私の地元にあります大阪市の総合医療センターにそのヘリコプターがピストンでやってきたというふうなこと。

 やはり、このヘリの持つ意味というふうなもの、ドクターヘリの持つ意味が大変私は大きいと思うんですけれども、まず、厚生労働省の所轄だと聞いております、今後の展望というものはいかがなんでしょう。

岩尾政府参考人 救急専用の医療機器を装備したヘリコプターを病院に常駐させまして、救急医療の専門医、看護師が同乗し、いざというときに現場に向かうというのがドクターヘリでございます。現在までに、先生御指摘のように、千葉県、神奈川県、それから静岡県、愛知県、和歌山県、岡山県、福岡県という七県で常備しております。

 今年度の予算では九カ所ということで、あと二カ所補助できる体制にしておりますが、補助の基準額が年間で一億七千万、そのうちの二分の一の国庫負担ということで、自治体にも負担をお願いしているものでございます。私ども、この予算の確保ということと、全国会議の場を通じて、都道府県に活用を働きかけているところです。

 そういう予算的なものもございますが、基本的には救急搬送の実態というのもございます。複数の県で現在運航している和歌山県の事例などもございます。このような広域運航などの方策も含めて、幾つかの好事例を紹介し、助言をしながら、この当該事業の普及には努めてまいりたいというように考えております。

吉田(治)分科員 大体五十カ所百基地が目標だとかいって聞いているんですが、何か課題的なのも、やはりはっきり言ってお金の問題なんですか。

岩尾政府参考人 この導入促進事業ということでは、民間のヘリコプターの活用と、その委託によって専用のヘリコプターを救命救急センターに常置するということになっております。

 したがいまして、まず、ヘリコプターを置く病院、病院の敷地の問題、それから、民間委託ということですから、整備その他に関する費用等々で予算の問題、幾つか問題がございます。

 今年度も幾つかの県からまた手を挙げていただいているということですので、私どももこの制度の周知は徹底したいというふうに思っております。

吉田(治)分科員 そういうドクターヘリというのが、じゃ、高速道路の上に緊急におりた事例、私の聞いている話では三例、阪神道路公団管轄内では一例。

 そのなかなかおろしづらいという理由として、着陸時のローターの横風響きというんですか、それから急減速などによる二次災害の懸念というものを挙げられて、そのために、サービスエリアやパーキングエリアに救命活動支援の場外離着陸場の整備を進めているというふうに聞いているんですけれども、それでは必ずしも事故現場に近いというわけではありませんし、実際、ちょっと余り役に立たないんじゃないかな。もっと柔軟にこの運用というものを私はすべきではないかと思います。

 それと、もう一点、安全保障という観点からいたしますと、例えばスイスですとかお隣の韓国というのは、この高速道路というのは完全に安全保障、国を守る防衛という観点から環境整備をされている。よく言われているように、そこには軍用ヘリであるとか軍用の戦闘機が滑走路のごとくおりることもできると聞いておりますけれども、私は、これから先、日本の国の高速道路も外国並みの環境、安全保障の観点からの整備をしていくという必要があると思うんですけれども、この二点、いかがなんでしょう。

榊政府参考人 ドクターヘリの関連でございますけれども、御指摘のように、私どもの方としては、とりあえずは救命活動のヘリポートをSA、PAにつくろうということで、現在全国で十九カ所が運用中でございまして、施設をつくった上で運用の協議中というものがプラス十二カ所ございます。検討中のものがあと六カ所ぐらいというふうになっておりまして、それが全部でき上がれば三十八ぐらいになるかなというふうに思っております。

 本線上の着陸でございますけれども、これはどの程度車が渋滞しているか、本線上にいるかどうかによって着陸できるかできないかが決まってしまうということで、最終的にはヘリコプターの機長が判断をして着陸をしていただくということになるのではないか。ただ、高速道路でございますので、照明灯とか標識等といったような障害物がございますし、反対車線も含めまして車両がある程度排除されていないとなかなかおりるのも難しいところがあろうかというふうに思っておりますので、これはまあ、ヘリコプターの機長の御判断に任せていきたいというふうに思っております。

 今後は、警察庁、消防庁、厚生労働省とも連携を図りながら、ドクターヘリの利活用が促進されるように考えてまいりたいというふうに思っております。

 それから、安全保障の観点からの諸外国並みの環境整備ということでございますが、委員は、多分、高速道路の本線自体をジェット機の着陸に使えないか、こういう御指摘かと思います。

 この点につきまして言うと、例えば、隣国の韓国でございますと、高速道路自体を非常用滑走路として活用することが可能な区間が五カ所ございまして、その五カ所につきましては、中央分離帯が取り外し可能な形態になっておりまして、そこで、それを取り外して航空機が離着陸をするというふうになっております。

 当該箇所は、当然のことながら直線区間とある一定の幅員がないとだめだということで、韓国に関して申し上げますと、約二・五キロメートル程度の直線区間と幅員三十五メートル程度の車幅が要るよということでございまして、我が国で高速国道を見ますと、この三十五メートルの幅員と延長二・五キロを前提にいたしますと、全国に二カ所ぐらいございまして、関越道の花園インター付近と名神高速の大山崎ジャンクション、こういうことになっております。

 ただ、このところの部分は、どちらかといいますと中央分離帯が撤去できるような構造で実は私どもの高速道はつくっておりません。そういうふうなこととか、通常の市町村道が横断してきますので、オーバーブリッジが入っている、こういうことでございまして、こういったオーバーブリッジとか、そのほか照明柱だとか遮音壁がございます。こういったような課題を解決しないと、そのままには使えないということでございまして、基本的には、非常用の滑走路と言いながら、一種の基地になるわけですので、そういう国としての安全保障の観点からこういうことをやるんだというふうにお決めいただければ、それを前提にしてきちっとしたことを考えないかぬだろうというふうに思っておるところでございます。

吉田(治)分科員 国としてはっきり決めてやるということなんですから、国として決めていただくということが私は大事だと思うんですね。過去の話じゃなくて、これから整備していくということで。

 それから、機長の判断という形で、やはり役所の方がもっと柔軟にやっていいよと言うと、機長の判断でもっとおりると思うんですよね。

 私は、強くこの二点望むと同時に、最後、交通事故、いろいろドクターヘリ使わなくていいように、今でも交通事故死が交通戦争と言われながら七千人を超えている、総理自身も交通事故半減を宣言いたしましたが、事故防止というとすぐ警察庁というふうに頭に浮かぶんですけれども、私は、国土交通省としてやるべきことはたくさんあると思うんです。この辺のアクションプログラムというのは、最後、どうなっているのかお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

藤井政府参考人 国土交通省といたしましても、内閣府、警察庁、文部科学省等の関係省庁と緊密な連携のもとで、平成十三年度から十七年度の第七次交通安全基本計画に基づきまして、毎年度、国土交通省の交通安全業務計画を作成しておるところでございます。

 これに基づきまして、例えば具体的には、道路の交通安全対策につきまして、道路交通環境の整備あるいは交通安全施設等の整備を推進しております。また、車両の安全基準の拡充強化、先進安全自動車の開発普及など、車両の安全対策の強化も図っております。また、あわせまして、自動車運送事業者に対する諸般の指導監督の強化、こういう面から積極的にこの対策に向けて取り組んでおるところでございます。

吉田(治)分科員 以上で終わります。

中野主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 最後まで、橋本龍太郎先生、谷津義男先生初め分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.