衆議院

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第1号 平成17年4月25日(月曜日)

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本分科会は平成十七年四月十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

四月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      遠藤 武彦君    後藤 茂之君

      谷川 弥一君    福井  照君

      山本  拓君    岡島 一正君

      末松 義規君    橋本 清仁君

      山名 靖英君

四月二十二日

 山名靖英君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年四月二十五日(月曜日)

    午前十一時開議

 出席分科員

   主査 山名 靖英君

      後藤 茂之君    谷川 弥一君

      福井  照君    山本  拓君

      稲見 哲男君    末松 義規君

      田村 謙治君    長島 昭久君

      山井 和則君    渡辺  周君

   兼務 田端 正広君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   法務副大臣        滝   実君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   鈴木 康雄君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  小西 秀宣君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小井沼紀芳君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 上野  宏君

   政府参考人

   (住宅金融公庫総裁)   望月 薫雄君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  岡島 一正君     稲見 哲男君

  末松 義規君     長島 昭久君

  橋本 清仁君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     岡島 一正君

  田村 謙治君     渡辺  周君

  長島 昭久君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  山井 和則君     黄川田 徹君

  渡辺  周君     橋本 清仁君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     末松 義規君

同日

 第一分科員田端正広君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫)


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     ――――◇―――――

山名主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十五年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 国土交通省所管の平成十五年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済み歳入額は四百六十億三百万円余、支出済み歳出額は八兆七百九十五億六千九百万円余。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車損害賠償保障事業特別会計でありますが、保障、自動車事故対策及び保険料等充当交付金の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は八千百八十五億二千万円余、支出済み歳出額は六千七百四十七億五千万円余。

 このほか、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計並びに財務省と共管の特定国有財産整備特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成十五年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山名主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院高山第三局長。

高山会計検査院当局者 平成十五年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一六四号は、公営住宅家賃対策補助金の経理において、入居者負担基準額の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているものであります。

 同一六五号は、道路改築事業におきまして、共通仮設費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。

 同一六六号は、道路改築事業におきまして、設計及び施工が適切でなかったため、ボックスカルバート上部に設置した地覆・壁高欄が工事の目的を達していないものであります。

 同一六七号は、公営住宅家賃対策補助金の経理において、近傍住宅家賃の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているものであります。

 同一六八号は、道路改築事業におきまして、高架橋の詳細設計業務費の積算を誤ったため、事業費が割高となっているものであります。

 同一六九号は、港湾環境整備事業におきまして、共通仮設費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。

 同一七〇号は、緊急地方道路整備事業におきまして、移転の対象となっていない店舗を含めて営業補償費を算定したため、補償費が過大となっているものであります。

 同一七一号は、緊急地方道路整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、パイプカルバート等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七二号は、公営住宅整備事業費補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。

 同一七三号は、空港整備事業におきまして、施工が設計と相違していたため、進入灯橋梁の橋脚等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七四号は、土地区画整理事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七五号は、公共下水道事業におきまして、設計が適切でなかったため、汚泥混合槽の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七六号は、公共下水道事業におきまして、設計が適切でなかったため、ポンプ室の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七七号は、河川改修事業におきまして、設計が適切でなかったため、樋門等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。

 同一七八号は、職員の不正行為による損害が生じたもので、国土交通省北海道開発局網走道路事務所の職員が、図面作成等業務の発注事務に従事中、架空の業務に係る代金を領得するなどしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、自動車損害賠償保障事業に係る定期分納者の債権管理に関するもので、この定期分納者とは、特約承認または即決和解により、本来一括弁済すべき債権を一定の履行期限内に限って定期分納を認めた者でありますが、これらの債権管理におきまして、適時適切に弁済状況を把握していなかったり、弁済が滞った期間等を考慮して督促等を行っていなかったりなどの不適切な事態が認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その二は、廃棄物埋立護岸の整備事業に関するもので、廃棄物埋立護岸の整備事業の実施に当たりまして、補助率の算定において、算定方法の変更が考慮されていなかったり、収益納付において、港湾管理者の関係書類の保存、整理が適切に行われていないため正確な収益計算ができなくなっていたりしていると認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 その三は、航空保安施設の予備品の積算に関するもので、航空保安施設の新設、更新等に伴い購入するレーダー装置等各種装置の予備品の積算に当たりまして、各種装置の製造実績単価を製造メーカーから提出させていなかったり、単価の比較検討が行われていなかったりしていたため、予備品の積算が各種装置の製造実績に基づいた適切なものとなっていないと認められました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。

 以上、国土交通省の検査の概要でございます。

 次に、平成十五年度住宅金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上をもちまして概要の説明を終わります。

山名主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 平成十五年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成十五年度の決算検査報告におきまして、工事の設計が適切でないものなど、御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業の目的を達成するよう手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであります。さらに、関係機関等に対しましては、法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督・検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。

 今後とも、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。

山名主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山名主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山名主査 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山名主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島分科員 おはようございます。民主党の長島昭久です。

 本日は、大臣、大変お忙しいところありがとうございます。

 けさ方、九時二十分でしょうか、尼崎で大惨事が起こりまして、列車の大事故が起こったということで、報道ですけれども、お亡くなりになられた方がお二人、そしてけがをされた方が百二十人に上る、しかもなお、電車の中に残されている方も多数おられるということで、お亡くなりになられた皆さんには心から御冥福をお祈りいたします。そして、おけがをされた方にはお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 同時に、大臣は、現地に対策本部が設置をされたということで、すぐにも立たなければならないということでございますので、冒頭に大臣から一言お言葉を賜りまして、そのままぜひ現地へ行っていただければというふうに思います。

北側国務大臣 今委員の方からお話ございましたように、本日午前九時二十分ころ、JR福知山線尼崎駅―塚口駅間の踏切におきまして、宝塚駅発同志社前駅行き快速列車が自動車と接触をしまして、脱線をいたしました。

 事故発生の情報を受けまして、近畿運輸局の方から職員が現地に赴き、今情報収集をしているところでございます。また、事故調査委員会の方も既に三名現地の方に行っております。本日午前九時五十分、私を長といたします福知山線踏切事故対策本部を国土交通省内に設置いたしました。また、官邸の方でも、危機管理室が情報収集に今努めておるところでございます。今後、全力を挙げまして情報収集に努めるとともに、適切な対応を図ってまいりたいと思っているところでございます。

 今お話ございましたように、既にお亡くなりになられた方々もいらっしゃいまして、心から御冥福を申し上げるとともに、ともかく今は被害者の方々の救援に全力を挙げて、省庁また地方自治体とも連携をとって、全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思っておるところでございます。

 私自身も、現地に対策本部もできましたし、今現場の方に行かせていただきたいというふうに思います。情報を収集いたしまして、また御報告をさせていただきたいと思っております。

長島分科員 ぜひ、大臣を先頭にしっかり対応していただきたいというふうに思います。では、大臣、どうぞ。

 それでは、副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、私の地元が立川、昭島、日野という、多摩のいわば中核にある場所なんですけれども、その中でもJRの立川駅というのはまさに三多摩の中核駅ということで、最近は乗降客数も、中央線の中では新宿に次ぐ、日中は三十万人を超えるような乗降客数を誇っておりまして、ちょうど中央線、青梅線が東西、それから南北が南武線そして多摩都市モノレール、こういう鉄道網の結節点になっております。

 同時に、今、国の機関も立川に続々と移転をしてまいっておりまして、と申しますのも、米軍の立川基地が返還をされて、今自衛隊の駐屯地があるわけですけれども、その横のかなり広いエリアが今開放されつつありまして、二〇〇八年までに八王子から地裁と地検の支部も移転してくる。あるいは、国の研究機関、自治大学校はもう既に開校しておりますが、国立の国語研究所、これは北区からこの四月に移転をしてまいりました。あるいは、統計数理研究所が今後移転が予定されている。あるいは、この秋には昭和天皇記念館というのが昭和記念公園の横にできる。

 そういう意味で、これからますます乗降客数あるいは利用者の方がふえ続けていくと思われるわけですけれども、しかし、この立川駅、数年前から既にキャパシティーオーバーになっているということがかなり危惧されておりまして、私も電車で通勤をしておりますけれども、特に朝夕のラッシュアワーでは、ホームから改札に向かう階段付近は乗降客であふれ返っておりまして、いつ乗客の方がホームからはじき出されてもおかしくないような、線路に転落してもおかしくないような、そんな状況がずっと続いております。

 夜遅く帰りますと、下り電車をおりて家路を急ぐ方の波がわっと階段に殺到するわけですけれども、今度は、もう本数が少なくなってきたその下り電車に飛び乗ろうという人たちが上からまたおりてきて、そこで随分衝突したり接触したり、最近はちょっとキレる若者がふえてまいりましたので、トラブルが相次いでおりまして、そういう意味でも、安全の確保というのは喫緊の課題になっているわけです。

 そういう状況に危機感を持った市民の皆さんが、JR立川駅の改築等に関する請願というのを平成十五年の三月、今から二年前でありますが、三月に立川市議会に提出をしまして、これは全会派一致、すべての会派が一致をして採択をされた、こういうことでございます。

 この請願に触発されたという面もあるんでしょう、ほぼ同時期にJR東日本も、適切な対応をしなければならない、この慢性的な混雑状況に何とか歯どめをかけ、解消していかなきゃならないということで、改札口の増設を柱とする独自の工事計画を発表いたしました。

 これは規模が相当なものになります。総工費が七十から八十億というものをかけて、新たに商業ビルやホテルも駅に増設をして、そして改札をふやしていこうと。この最終案が昨年の九月に立川市の方に報告をされ、そして大筋合意をし、現在の状況は、JR東日本の説明によりますと、恐らく六月ぐらいには着工できるのではないか、立川市の建設許可を待って直ちに着工、こういう運びであるということなんですね。

 ここまでは大変スムーズに来たとは思うんですけれども、それでも二年ぐらいかかってしまったんですが、しかし、計画の全容が明らかになってまいりまして、市民の間から、もう少し周辺のまちづくりとあわせて駅舎の改良というものを考えてもらえないだろうか、こういう話が巻き起こってまいりまして、市民の有志の方で、市民のためのJR立川駅を考える会というのが立ち上がって、平成十五年三月、先ほど私が申し上げた請願の線に沿った駅舎改良をしてほしい、単に改札の数をふやすというだけでは足りないのではないか、そういう声が上がってまいりました。

 私も、その有志の方とも何度もお話をさせていただいて、またJR東日本の皆さんともお話をさせていただいたんですが、この十五年三月の請願の第一項目にこう書かれているんですね。JR立川駅を東西に延長して、そして、今既存の地下道というのが東西にあるんですけれども、その地下道付近に改札を設けて、安全で収容力のある立川駅に改善してほしい、こういう要望がありまして、それが全会派一致で採択をされたわけです。その線に沿ってJRも計画をしていたんですが、なかなか、技術的な問題とかあるいは予算上の問題とか、こういうことがありましたので、最終的には、駅舎の中央部分をもう少し安全性を確保するような、そういうやり方で何とか工事を着工できないのかということで今日に至っているんです。

 市民の皆さんの要望は、私は非常に真っ当なものだというふうに思っているんです。というのは、市民の皆さんは、今のJRが打ち出した工事の計画、これはぜひ一日も早くやってほしいと。なぜならば、皆さん利用されて、もう一日一日が危険だということをよくわかっておられますから。しかし、ここで終わりにしないでほしい、できれば南北のまちづくりと関連をつけて、今改札口が駅ビルの中に集中していて、そこだけ改良するのではなくて、もっと回遊性を南北東西に広げるような、一極集中型ではなくて、もっと分散型のまちづくりをしてほしい、こういう要望なんですね。

 私もいろいろ、立川市の皆さんともお話をしたり、市民の皆さんともお話をしたんですが、先月の十五日に、そういった市民の皆さんが中心となって署名を集めまして、何と一万人の署名が一カ月余りで集まって、それを立川市の方に提出して、立川駅と市民との間で、駅とその周辺のまちづくりを考える新しい市民の協議会を立ち上げて、そして二年ぐらいかけてしっかり議論をして、JRあるいは国、行政、市を巻き込んで大きな新しい立川駅の改良計画を策定していこう、こういう今状況にあるんです。

 しかし、ないそでは振れないということわざがございますけれども、JRも既に独自の予算で七、八十億を投入して、今回の、市民の側からすると第一期の大改造工事をするわけですけれども、その二期に向けて、では、どこから財源を持ってくるか、こういう今状況にありまして、技術的には、JRの皆さんのお話を伺いますと、例えば、恵比寿にあります、ガーデンプレイスにつながるスカイウォークという、デッキのような形でホームの上空に人工地盤をつくっていくというような技術、こういうものを駆使して駅の二階部分を大きく広げていくという、技術的には可能なんですが、やはり財政支援がどこからか必要だ。

 こういうことで、私はきょう、まちづくりや都市鉄道にかかわる三つの法律、一部はまだ法案でありますけれども、この法律に基づく交付金や補助金の使い方、国交省の姿勢をぜひお伺いしたいというふうに思っております。

 一つは、昨年から施行されております都市再生特措法に基づくまちづくり交付金であります。それからもう一つは、もう既に衆議院は可決をしておりますが、公営住宅等整備特措法案ですね。これは、きょうからですか、参議院で審議入りをするということになっておりますが、それに基づく地域住宅交付金。そして最後は、まだこれから提出をされる予定だという法案ですけれども、都市鉄道等利便増進法案。この三つを少し詳しく内容をお伺いさせていただいて、この中から、できれば国の支援をして、これだけ重要性の高まったJRの立川駅、今後どうやって発展をさせていくかということをきょうはちょっとお伺いしたいというふうに思っております。

 まず第一に、まちづくり交付金についてでありますが、昨年から実施をされているというふうに伺っております。三年から五年の計画で、第一年目が三百五十五件、それから二年目、ことしが三百八十四件、もう既に事業が立ち上がっているということでありますが、予算の規模、あるいは交付金の交付をするための要件、あるいは交付対象など、少し概要を端的に御説明いただければありがたいというふうに思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、予算の規模でございますが、平成十七年度は千九百三十億円ということになっております。

 それから、その概要でございますが、今先生御指摘のとおり、市町村が作成しましたおおむね三年から五年の都市再生整備計画に基づき、これが市町村に交付されます。これは、従来型の公共施設の整備だけではなくて、市町村の提案に基づく事業も支援の対象となりますし、それから、各事業、年度間の国費の流用が自由でございます。それから、市町村は、まちづくりの目標と数値目標を設定して、交付期間終了時に達成状況を評価し、公表するということによりまして、住民にとってもわかりやすい評価をするということです。

 また、まちづくりの目標を達成する観点から、道路、公園等の公共施設の整備のほか、各種調査とか社会実験等のソフトの事業も、市町村の提案に基づく事業も交付対象となっております。

長島分科員 端的にお伺いしたいんですけれども、このまちづくり交付金というのは、駅舎の改良、例えば自由通路をつくっていくとかいうことに使えるのかどうか、これが一点。

 それからもう一つ、一千九百三十億円という大きな額なんですけれども、一例でいいですから、これまでの最大規模の事業がどのくらいの予算規模で、どんな事業か、あわせてお伺いできればと思います。

竹歳政府参考人 最初に、最大規模の事業を申し上げますと、埼玉県のさいたま市の浦和駅の周辺地区、五カ年の交付期間中の国費予定額は百三十四億余となっておりまして、これによりまして市街地再開発事業や道路整備等を行うことになっています。

 それから、駅舎の改良に使えるかというお尋ねでございますけれども、鉄道の駅というのは、まちづくりを進めるに当たり非常に重要な拠点でございまして、周辺のまちづくりとあわせて駅舎等の整備を行うことによって大変大きな相乗効果が期待されます。そこで、既に十六地区におきまして、周辺まちづくりと一体となったバリアフリー化、橋上駅化等、駅舎改築を行う事業を支援しているところでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、このまちづくり交付金では、道路、公園等の整備にあわせて、市町村の提案による事業としてそういう駅舎整備を行うということがございますので、交付のそういう駅舎整備に使える国費の割合というのは、一定の限度がございます。

長島分科員 ありがとうございました。市町村の提案となると非常に重要だということを承りました。

 次に、地域住宅交付金に移りたいと思うんです。

 これは、まちづくり交付金とターゲットとするのが多少異なるんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども、この創設の経緯をお伺いしたいのと、それから、公営住宅の関連という趣旨だと思うんですが、法案を見ると、四条の二項の二に「公的賃貸住宅等及び公共公益施設の整備」となっているんですが、これは公的賃貸住宅に限定されないという趣旨なのか、どんなイメージを持っておられるか。また、駅舎に絡めてこういう事業は策定することができるかどうか、ここの点を御説明いただければと思います。

山本政府参考人 まず、地域住宅交付金創設の趣旨でございますけれども、この制度は、これまで個別事業ごとに審査しまして補助金を交付しておりました制度にかえまして、公共団体が自主性、裁量性を発揮しながら策定いたします地域住宅計画に基づきまして、それぞれの地域のさまざまなニーズに応じた住宅政策を総合的に進めることができるように、これを支援するための制度でございます。十七年度は、地域住宅交付金として五百八十億円を計上しております。

 まず、昨年度創設されましたまちづくり交付金との違いでございますけれども、何よりも、中心となる基幹事業が違います。まちづくり交付金は、道路、公園などの都市施設の整備が中心になりますのに対しまして、地域住宅交付金は、公営住宅などの住宅整備が中心になります。

 それからもう一つは、事業主体でございますけれども、まちづくり交付金は市町村だけを事業主体としておりますけれども、地域住宅交付金は市町村と都道府県の両方を対象としております。

 それから、まちづくり交付金は、中心市街地など集中的にまちづくり投資が必要なエリアに区域を限定しまして仕事をしますけれども、地域住宅交付金は、原則として行政区域の全域を対象としております。

 駅舎の改築に適しているかどうかということでございますけれども、やはり中核となる事業に公営住宅の建てかえとか、そのほかの公的賃貸住宅の建てかえなんかが必要となりますので、駅を中心とする中心市街地にそういう中核事業があるかどうかというのがまずキーポイントになります。

 それから、関連して整備する公益施設とかのイメージですが、例えば、団地を建てかえますと、それに関連をして、福祉施設をつくってほしい、具体的には、子育てのための保育所を設置してほしいとか、老人の介護のためのセンターをつくってほしいとか、そういう要望が出てまいりますので、そういう事業も地域住宅計画に位置づけていただければ交付金の対象となるということでございます。

 そういう趣旨でございますので、個別の事情に応じて、中核事業があり、あわせてこういうことをやりたいということであれば、支援が可能になるという性格のものでございます。

長島分科員 私どもはこれまでも、悪い公共事業はだめなんだ、事業も時代に合わなくなったら見直していくんだ、こういうことで、これまでの事業ごとの補助金制度については大分厳しく見てまいりましたけれども、今の御説明によりますと、地域の自主性というか裁量性というのを高めていって、そこから計画を上げて、それを国が応援しよう、こういうことですので、やはり総合的な事業、駅舎ということだけではなくて、その周辺、行政区全域をカバーするような事業を、どれだけ納税者にあるいは国に説得力ある形で示せるかというのがポイントなんじゃないだろうか、こういうふうに思うんです。

 それでは、三つ目の都市鉄道等利便増進法案について。

 これは、今度は補助金ということになろうかと思いますけれども、この補助金の対象事業、これは法案によりますと、鉄道の交通結節機能の高度化、こういうことでありまして、立川駅というのは恐らくはこの対象になるような高度な結節機能を有する都市鉄道だというふうに思うんですけれども、その点、そうなのかどうなのかが一点と、それから、この事業の対象としているような具体的なアイデア、事例がもしあれば、そのイメージをお知らせいただければと思います。

大口政府参考人 まず、予定されておりました私ども鉄道局長、ただいま尼崎の駅の対応で行っておりますので、代理で答弁させていただきますことをお許しいただきまして、ありがとうございました。

 先生今御質問の都市利便増進法案による交通結節機能の高度化について、どのような具体的な事例あるいは事業があるのかということでございますけれども、法案におきます交通結節機能の高度化に係る事業としましては、具体的には神戸市の阪神電鉄の三宮駅、これにつきまして今年度の計画作成が見込まれているところでございます。

 具体的には、現在は駅の西側に改札口が一カ所しかございませんが、駅の東口にも改札口を新設するなど、バリアフリー化、あるいはこれに合わせたホームの拡幅、駅構内の配線変更などを、駅周辺の都市側事業と整合をとりながら実施することが想定されております。本法案に基づく協議会が立ち上がりますと、そこで詳細がさらに検討されることになっております。

 このほかにも、この法案に基づく交通結節機能の高度化に係る事業に該当するか否かは、その内容によりますけれども、三大都市圏あるいは政令指定都市において、地方公共団体あるいは鉄道事業者などの関係者によりまして、さまざまな提案あるいは構想が出されてくるものというふうに承知しております。

 したがいまして、立川もそのような流れの中でとらえるべきかと考えております。

長島分科員 今御説明がありました協議会、交通結節機能高度化構想を策定するのは協議会ということになっているわけですけれども、これは十三条、それから、その構想をまた市町村が提案できるような条文が二十二条にあるんですけれども、国の補助金がおりてくるこの支援決定のプロセス、協議会を中心とするプロセスの流れを御説明いただきたいのと、そこに、私ちょっと注目しているのは、いろいろ道路運送法に基づくバスやタクシーなどとか、あるいは交通環境の改善に資するNPOなども参加できるようになっているんですけれども、その他利用に関し利害関係を有する者というと一般の市民の皆さんの提案への参加も可能なのかどうか、ここもあわせてお伺いしたいと思います。

大口政府参考人 お答え申し上げます。

 交通結節機能高度化計画、これは法案にそういうような計画をつくるような規定がございます。これをつくるための協議会というのは都道府県が組織するものでございますけれども、そのメンバーとしては、駅施設の整備主体、営業主体、それから駅周辺施設の整備主体のほか市町村も参画することとなっております。また、都道府県が必要と認めるときは、交通結節施設の利用に関し利害関係を有する地元の商店街の代表者なども参画可能となっておりますので、地元市町村や市民の意見はここに十分に生かされるものというふうにとらえております。

 また、この協議会を立ち上げるためには、まずは都道府県において交通結節機能高度化構想を作成することが必要でございますが、市町村や利害関係者などは、都道府県に対して、この構想を作成することを提案することができることとされております。さらに、この提案を受けた都道府県は、これを受け入れるか否かを公表しなければならないこととされておりますので、地域のニーズを的確に把握した上で、ここに十分な説明責任が果たされるものというふうに私ども期待しております。

長島分科員 ありがとうございました。

 もう時間も大分迫っているんですけれども、最後に蓮実副大臣、御苦労さまでございます。できれば御決意も含めてお伺いを申し上げたいと思うんですが、今るるお伺いをしてまいりましたこの三つの法律あるいは法律案、これは、一つのエリアに組み合わせて持ってきて、そして総合的にまちづくりを進めていく、こういうことが可能じゃないだろうかというふうに私は解釈をするんです。

 例えば、単なるJRの立川駅の駅舎を改良するというだけではなくて、高齢者や子供たちに配慮した住環境を整備するとか、あるいは緑や災害ということに対する対策も含めて考えるとか、あるいはまちづくり交付金の中に、これは解説のパンフレットを見たんですけれども、地域資源を生かしたまちづくりなんという、こういう例もありまして、立川は昭和記念公園などを初め観光資源もかなりあるわけですけれども、こういうことも生かした総合的なまちづくりの一環で、少なくとも、ほかにもたくさんいろいろあるのかもしれませんが、この三つの交付金、補助金というものを組み合わせて、立川駅の改良とあわせて一つの事業にしていく可能性があるのかどうか、ここをぜひ副大臣の方から、姿勢、決意も含めてお伺いをしておきたいと思いますが、よろしくお願いします。

蓮実副大臣 一般論として申し上げますと、まちづくり交付金それから地域住宅交付金、都市鉄道利便増進事業費補助等により実施される事業につきましては、特定エリアの事業として組み合わせをし、適用することは可能であります。

 現在、地域住宅交付金及び都市部の大規模駅の改修等を目的とした都市鉄道利便増進事業費補助に係る法律案については、先生先ほどお話がありましたように、国会で御審議をいただいておるところでありまして、今後、両法案とも成立をいたしました後に、制度要綱等を整備いたしまして、その上で、これらの事業の活用について地元で検討し、御要望をいただくことになっております。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、地域のニーズを踏まえてまちづくりが促進されるように、これらの諸制度を活用し、地域の創意と工夫を生かしたまちづくりを積極的に推進してまいりたいと思っております。

長島分科員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、今、分権時代になりまして、自治体のマスタープランというのが、こういう事業の場合には一番のキーになるというふうに私は思っております。まさに、地域が主体、市民が主役になって、いいアイデアを国が適切に支援をしていただける、こういう体制が今整いつつあるということは大変すばらしいことだと思いますが、私も市民の皆さんにも働きかけて、いいアイデア、本当に将来性のあるマスタープランがつくられるように私も努力をしていきたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山名主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)分科員 民主党の田村謙治でございます。

 まず、私の質疑に入らせていただく前に、けさ、尼崎市で福知山線の列車の脱線があって、大勢の死亡者と負傷者が出たという話を伺っております。まず最初に、亡くなった方々への御冥福、そして負傷なさった方々の一日も早い回復をお祈りさせていただきます。

 そしてまた、大臣が早速御視察にいらっしゃるというお話で、国土交通省の方々、皆様大変だと思いますけれども、こういった場をいただきましたので、恐縮ではございますが、私もまだまだこの分野は不案内ではございますけれども、勉強させていただきながら建設的な議論をさせていただければと思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の活動しております選挙区は清水、富士宮を中心とする静岡四区というところですけれども、静岡県でございますので、やはり東海地震がいつ起きるかということにある意味で日々おびえながら生活をしている。そういった中で、もちろん国土交通省さんを初めとする政府の方々も全国的な対策をもろもろ講じていただきながら、そして静岡県の中でも、いかにいつ地震があってもおかしくないような体制にするか、災害は地震に限りませんけれども、そういったことで日々努力をしているという状況は、私もある程度認識をしている、そしてまた、ともに勉強させていただいているという状況にございます。

 本日は、その中で、関連するということで、まず一点目に、砂防の関係を取り上げさせていただければと思います。

 砂防指定地というものがあって、そのものに対して砂防事業を行う、それについてのさまざまな対策があるわけですけれども、順番に、基礎的なところからお伺いをさせていただければと思います。

 まず最初に、砂防指定地の、まさにその指定に至る流れ自体をわかりやすく御説明いただければと思います。

清治政府参考人 砂防指定地でございますが、この指定に当たりましては、砂防法の第二条、これが砂防指定地を規定しているものでございます。それから、砂防法の施行規程の第一条、これに基づきまして手続が行われます。関係都道府県が要望を出してくるわけでございますが、それを、国土交通省におきまして、この土地に砂防指定をかけることが必要かどうかということにつきまして検討を行いまして、当該土地の指定をするということに決定した場合には、官報告示をもちまして指定の事務手続を行っているところでございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 その指定の流れ、今簡単に御説明をいただきましたけれども、県の要望があって、その後、審査ですか、砂防部さんの方で審査をなさるということだと思いますが、そもそもどういったことを審査なさるのか、そしてまた、それにどの程度の期間を要するのかといったことを御説明ください。

清治政府参考人 都道府県の方から砂防指定地に関する要望が行われた場合には、今委員がお話しになりましたような審査を行います。提出書類のチェックがありましたり、それから照会事項、これらについて行いまして、その後、安全性等の技術的審査も並行して進めるわけでございます。その後、省内決裁手続、そして官報告示のための手続ということでございまして、これらを実施していくのに当たりましては、事務の効率化に努めているところでございますが、平成十五年度ころまでは、大体二カ月から三カ月を要する実態でございました。

 それに対しまして、全国知事会等から、事務の効率化、迅速化につきまして御要望いただいたところでございまして、十六年度以降、簡素化に取り組んだ結果でございますが、指定に要する期間は、通常大体一カ月半ぐらいでその事務処理がなされるという状態になっております。

 この事務処理が適切かつ迅速に進められますよう、今後ともなお努力してまいりたいと思います。

田村(謙)分科員 若干順序が前後してしまうかもしれませんけれども、そもそも砂防指定地の指定権限というものがだれにあるのかということを御説明ください。

清治政府参考人 砂防指定地の指定の権限は、砂防ということに限って申し上げますと、国土交通大臣にございます。

田村(謙)分科員 今、指定権限が大臣にあるというお話でありましたけれども、今回の砂防に限らず、今、さまざまな分野で地方分権、小泉首相は三位一体の改革という、いい名前なのかどうかわかりませんが、インパクトのあるネーミングをつけて分権を進めていらっしゃるという状況にあるわけです。当然、我々民主党も、とにかく地域ができるだけ権限を持って、自立をして、それぞれの地域の人たちが頑張っていく、それが日本の全体としても望ましいという方針のもとに、地方分権、地域分権、地域主権というものを主張しながら進めていきたいというふうに考えているわけです。

 例えば、今回の砂防指定地の指定に関しては、全国知事会で事務の効率化の要望があったというお話を今伺いましたけれども、この砂防指定地については全国知事会あるいは知事の方からどのような要望がなされているか、もしございましたら教えていただければと思います。

清治政府参考人 全国知事会の方からは、この砂防指定地の手続について、迅速化を図っていただきたいという内容だと思いますが、事務の迅速化、効率化につきまして要望があったわけでございます。例えば、権限を移譲することによって、その事務手続を都道府県知事が行うことができないかという要望かと思います。

 この要望に基づきまして、地方分権改革推進会議におきまして、平成十四年の十月でございますが、「事務・事業の在り方に関する意見」というものがまとめられております。その中でも、砂防指定地の指定権限の都道府県への移譲の検討が提言されたところでございます。

田村(謙)分科員 地方分権改革推進会議のそのような提言を受けて、国土交通省さんの方ではどのような対応をしていらっしゃるんでしょうか。

清治政府参考人 全国都道府県知事の要望それから地方分権改革推進会議の意見を踏まえまして、現在、検討、研究を進めているところでございますが、これらにつきましては、土砂災害を防止して国民の生命と財産を守るという観点から、この指定権限の移譲につきましては慎重な検討が必要と考えておりまして、現在、都道府県の実態の調査でありますとか、今後どのような責任分担で進めていくことが適当なのかということにつきまして、研究を進めているところでございます。

田村(謙)分科員 土砂災害について、まさにそれぞれ住んでいる人の生命財産に関係するというのは今お話を伺いましたけれども、それぞれの実態調査ですか、その実態調査というのは、具体的には例えばどういった形で調査をなさっているのか。

 そしてまた、地方分権改革推進会議の提言が平成十四年ということで、既に二年以上たっていると思います。正確な時期ではありませんが、二年前後たっていると思いますけれども、どういった調査を行っていて、そしてまた、その二年で、慎重にというのは当然それは十分理解できますけれども、二年間というのはまだ不十分なのか、もし不十分だとしたらそれはどうしてなのか、恐らく実態調査の内容によるんだと思いますけれども、そこを御説明ください。

清治政府参考人 まず、調査の内容としましては、都道府県に対する広い見地からのアンケート調査を行っております。

 そのアンケート調査の中身でございますが、指定が必要な箇所がどの程度把握されているかということ、これは、河床数でありますとか渓流数ということでございます。それから、指定をする意義をどのように認識しているのか。この認識というのは、砂防の施設を入れていくという観点と、それから、ある程度、一定の行為規制をかけなければならないという意味での砂防指定がございますが、そういう意義をどのように認識しているかということ。それから、水系全体への影響というものをどのように考えているかということ。それから、都道府県の体制はどうなっているか、あるいは財政部局の理解がどのようになっているのか。それから、指定地の管理が実際今どのように行われているのか。そういうようなことを、広い見地から実態の調査を行っているわけでございます。

 これらの結果を踏まえまして、砂防指定地本来の指定意義、それから事務手続としての量的なもの、それからそれに伴う責任、そういうものを広く研究しているところでございます。

田村(謙)分科員 今、アンケートということですと、そのアンケートというのはもう既に終了して、終了というのは、各都道府県にアンケートを出してその回答はもう既に来ているということですか。

清治政府参考人 データとしては集まってきておりますので、その内容につきまして検討を進めているという段階でございます。

田村(謙)分科員 そのアンケートというのは、すべてアンケートを回収し終わったのはいつごろですか。

清治政府参考人 アンケートを発出いたしましたのが平成十五年の三月でございまして、平成十六年の三月時点でこの実態調査の概要の内部取りまとめを行っているところでございます。

田村(謙)分科員 そうしますと、ちょうど一年前に回収が終わって、既に一年がたっているわけです。いろいろなポイントがあるというお話は先ほど御説明をいただきましたけれども、指定の意義と事務量、あと、その責任というふうにおっしゃっておられましたけれども、どういったところで御検討の時間がかかるのかというのはいかがでしょうか。

清治政府参考人 この砂防指定地の指定に当たりましては、山地荒廃を防止して国土の適切な保全を図るということで、これにつきましては、全国的な視野からの中身の分析がなされなければならないというふうに考えているわけでございます。

 また、それぞれの地域の安全性の話でありますとか、それから、それぞれの地域に砂防指定をかけますことによってかかってくる権利の制限、こういうものがありますが、これらに不当な差があってはいけないということで、国民間に不公平感を生じさせないような配慮が必要であるというふうに思っているわけでございます。

 また、土砂の移動現象でありますとか土砂災害の発生原因につきましては、科学的にまだ十分解明されていない点がたくさんございます。そういう意味では、砂防につきましては自然科学の総合的判断が不可欠でございまして、全国的視野での技術、経験の蓄積に裏打ちされた高度な専門的な判断が必要であるというふうに考えておりまして、それらをもとにした個別指定でなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、現在、都道府県の実態を踏まえて、土砂災害防止あるいは国土保全という立場から国がどのような役割を果たしていくべきかというような視点で検討を進めているという状況であります。

田村(謙)分科員 私も役所に十年以上おりましたので、そもそも、アンケートの調査結果が来て一年以上たっていまだに慎重に検討というのは、非常に後ろ向きなんだなという印象を持つわけです。

 もう少し細かくお伺いいたしますが、私の主張というのは、とにかく、国の権限をできる限り、それは当然、支障がない範囲でですけれども、県の方に移譲できるものはするべきだという一般論の中で、今回の砂防指定地がどうかという観点からお伺いをしているわけです。

 例えば、県の要望が来ますよね。県の要望というのは、当然、県の中で、県の担当部署の方々が、それなりの、それなりのと言ったら失礼ですね、ちゃんと専門性を持って、自分たちの地域のこの部分についてはやはり危ないから砂防で指定して砂防事業をすべきだ、未然に防ぐべきだという、それこそ専門的な判断をした上で申請をなさっているんだと思います。

 そして、その上でさらに国土交通省さんの方でチェックをなさるということのようですけれども、例えばそれが、書類のチェックですとか照会事項、どういった照会事項か、余りに細かくお伺いすると私もわからない部分があるとは思いますけれども、例えばまさに専門性ですね。いろいろな切り口はありますが、その専門性ということにおいて、今局長に御説明いただいたのは、国土の適切な保全あるいは全国的な視野というふうにおっしゃっておられましたけれども、例えば国土の適切な保全ということに関しては、それぞれの県にとって、まさに自分たちの県の中の地域の話ですから、当然それは一生懸命保全したいというふうに考えていらっしゃると思うんですね。

 また、実際、県から要望があってそれをどういうふうに審査するかというのは、本当に個別に見ないと私もわからないと思いますけれども、ただ、県において、まさにその地域の人命や財産というものは当然真剣に考えて要望を出す。要望を出すというのは、すなわち、この地域については砂防地域に指定した方がいいというふうに判断をしている、そういう専門的な判断をしているはずだと思うんです。

 それで足りないというふうにお考えになっているように聞こえるんですが、それはなぜですか。

清治政府参考人 砂防指定地の指定につきましては、先ほど申し上げましたように、事業を実施する前段として、砂防施設を入れていくための渓流あるいは区域の指定ということもございますが、一方では、行為制限がかかるということがあるわけでございます。そのような両面からの実態につきまして、これは今委員からお話がありましたように、地域の実情とかそういうものについては地域の方が一番よくわかっているだろうというのは、御指摘のとおりだと思います。ただ、全国的な見地もその両面にわたりまして必要なわけでありまして、そのときには、申請なり要望を受けたときに、県の方からよく事情を聞いて、その範囲が適切なのかどうかというようなことをヒアリングをしながら決めていくということで、両方のよさというか、持っている情報を適切に反映した指定行為がなされていくように、お互いに調整しながら指定手続を進めていくということがやはり必要なのではないかというふうに考えております。

田村(謙)分科員 先ほどから局長さんは、全国的な視野というふうにおっしゃっておられました。それについては、先ほどの御答弁で、確かに権利の制限がある、それが、県ごとの不当な差、差が不当になってはいけない、あるいは不公平感が生じないようにというふうに御説明をいただきました。

 もちろん、砂防指定地、例えばそれこそ幾つかの県にまたがるような地域ですとか、そういったものについては当然国の方で調整をしなければいけない。あるいは、単独の県の中にあるものでも、例えば、指定した後の砂防事業について国が補助金を出すというような場合には、当然国の審査が要る。国税を使うわけですから、それは当然だと思います。それはまさに個別のケースによってくるとは思いますが、当然、県の方でも、それぞれの県の住民がほかの県を見て、不公平じゃないかというふうな声を上げるわけですよね。そういった不公平感が生じないように、いい意味で横並び、ほかの県も見ながら、そこは、砂防指定地にすべきだという判断は当然すると思うんです。

 それは、各県が、そういうまさにほかの県などを含めた横並びというか、不公平感が生じないような指定というのができないというふうにおっしゃっているんですか。

清治政府参考人 これは、一般論に及ぶ話もあろうかと思いますが、全国的な水準でありますとか制度の面で、地域だけの考え方で行われる方が適切な場合と、それから、行為制限等を伴うようなものにつきましてはやはりできるだけ必要最小限に抑えるべきだというところもあろうかと思います。そういう意味で、各都道府県におきましては、その都道府県の中の事情については、不公平感とかそういうことも含めて十分御検討されているんだと思いますが、指定そのものに当たりましては、やはり県間のバランスのようなものを国としては考えていかなければならないと思います。

 それから、委員最初に、他府県にまたがるようなところについてはということをお話しされましたが、砂防というものにつきましては土砂全般の配慮が必要なわけでありまして、こういう場合には、他府県にまたがる場合というものが多々出てくるわけでございます。そういうことも含めて、今後、どういうような形が一番都道府県のためにもなるのか、それから、国土保全、国民の安全、安心を与えていくための手続としてどういうものが適切なのかということについて研究してまいりたいと思います。

田村(謙)分科員 余りちゃんとお答えいただいていないと思うんですけれども、私は、まさに各県の知事のもとにいる部局がちゃんとそういう、繰り返しになっていますけれども、今御説明いただいたようなことを判断する能力がないのかとお伺いしているんですね。

 例えば今、全国的な水準、確かにそれは、全国的にできるだけ同じような水準でというのはそうだと思いますけれども、だから国が一律でやらなきゃいけないということには必ずしもならないというのは、ほかのケースでいろいろありますよね。

 繰り返しになりますけれども、まさに各県が、全国的な水準、それは、今までの過去の砂防指定地の例を見れば全国的な水準というのは専門家はわかるはずですから、各県のそれぞれの担当部局の専門家がそういう判断をできないというふうにおっしゃっているんですか。改めてお伺いします。

清治政府参考人 都道府県が砂防指定を行う際のいろいろな配慮が十分でないということを申し上げているわけではないわけでございまして、全国的な情報を持った上で判断できるかというところが、国と地方の事務処理に当たっての違いではないかというふうに思います。

 ただし、このことにつきまして、都道府県の事務に著しく支障があるというようなことでありましたら、そのことについては、都道府県の意見もよく聞きながら検討していかなければならないというふうに思っております。

田村(謙)分科員 私は、決して国土交通省さんの砂防部が要らないと言っているわけではありませんので、部分的にでも移譲できるんじゃないかということを申し上げているんですね。

 ですから、国が判断しなきゃいけないケースというのはこういうケースだ、それ以外については、そこら辺の細かい区切りについては私はわかりませんけれども、まさに、私も実際、静岡県しかちゃんと聞いてはおりませんが、県の方でも、自分たちで判断できるというふうに言っている県もあるわけですね。それは、当然、自分たちにその能力があるという理由で言っているわけです。結局、先ほどから、慎重に検討するというふうにおっしゃっていますけれども、ほとんど検討していないんじゃないかなと。既に一年たっているわけで、担当者の方が首をかしげていらっしゃるのは、検討していらっしゃるのかもしれませんけれども。

 そこは、とにかく私が強く申し上げたいのは、一般論でも通用しますけれども、自分たちの専門性が一番高いんだと。それは、まさに地方分権の話をするときに、私も、知り合いの中央省庁の人を含め、多くの方が、県の人は能力がまだまだない、やはりそこは、特に全国的に公平にとか全国一律でやる場合には、当然、中央省庁の人間の方がノウハウもあるし能力も高いんだという議論をよく聞きます。私はそれに関しては大いに反対をしている人間ですけれども、例えば、百歩譲って、各県の担当者が、能力がないとは局長はおっしゃっていません、ただ、結局はそれに近いようなことをおっしゃっていると思います。私が能力がないと思っているんですかとお聞きしたところ、能力がありますとおっしゃいませんでしたので、そこはまだまだ専門性が足りないというふうにお答えになっていると私は理解をしています。

 そこは、別に私も一遍に都道府県に全部移譲しろと言っているわけではありませんので、あくまで部分的に、都道府県で十分処理できるようなものも当然あるでしょう。あるいは、本当に、都道府県には今担当者が持っていないような専門性、高度な知識が必要だ、そういうような場合には、もちろんそれは国土交通省さんに相談をするということになるわけです。先ほどの御説明を裏返せば、国が日本人の生命財産を守らなきゃいけないというのは当然ですけれども、各県は、もちろんのこと県民の生命財産について責任感を持ってやっているわけですから、自分たちでは判断できないな、ちょっとこのケースについては自信がないなというときには、当然国に、まさに国土交通省さんに相談するわけですよ。それを、最初からとにかく、県がどこまでできるかわからない、だから自分たちが一手にやるんだ、実際、地方分権改革推進会議でもそういう話が出ても、慎重に検討すると。

 慎重というのは、今お話を伺っても、既にアンケートもとって、これ以上何を慎重に時間をかけるのかよくわかりませんけれども、結局は、やはり県だと無理だ、あらゆるケースについて無理だとお考えなんですか。

清治政府参考人 都道府県それぞれの事情が違うと思いますし、また、特性も違うと思いますが、特性というのは、土砂害に対する技術的な面での必要性というんですか、それが違ってくると思います。そういうものについてよくわかった上で事務処理がなされるということは当然必要でありまして、そのことについては、私は、都道府県の方々のローカルな知識もそうでありますし、今までの経験も十分踏まえて指定が行われなければならないと思っておりますが、国の方としてどのように関与するかということにつきまして、国が指定する責任を今持っているわけでありますから、そこのところで、両方のよさをこれから生かしていかなければならないと思います。

 それから、事務処理が滞ることによって問題があってはならないわけでありますし、適切な指定がなされない場合にいろいろな問題が生じてはならないわけであります。

 そういう意味では、委員御指摘のような問題点も含めまして今後の改善策が講じられていかなければならないと思いますので、検討をさらに、慎重にということだけではなくて、必要な見直しということにつきましてはしっかりと取り組んでいく必要があろうかと思います。

田村(謙)分科員 もう時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、繰り返しになりますけれども、地方分権の際というのは、結局、今局長おっしゃったように、両方のよさを生かす。それが、えてして中央省庁の人というのは、自分たちの権限を離したくない。それは、別に権限はそんなにこだわっていないよという場合でも、各都道府県の、まさに県庁というのは当てにならない、だから自分たちがやった方が国のためなんだという、結局最後はそこに行き着くというのが非常に多いというのは、私は、今までのさまざまな分野における規制緩和議論において痛感をしています。そこは、例えば県から見ると、県の方で、自分たちでもう指定はできるよと思っている部分について、さらにその申請を出して単なる余計な時間を浪費してしまう。当然、手続の件で、時間だけではなくて、県庁だってまたさまざまな仕事がふえるわけですので、まさに、国土交通省さん、国の力をかりたいと思うときには自分たちから言うわけですね。そこが、まさに国の審査というものがもう余計だと思っているからこそ、権限移譲の要望が出てくるんです。

 ですから、そこは、両方にいいというのは、お互いの考え方がかなり食い違っているということを強く御指摘させていただいた上で、やはりそこは、慎重にではなくて、官僚答弁の慎重にというのは単なる先延ばしですので、地方分権の流れはもうとめられませんから、幾ら中央省庁の役人が抵抗してもとめられないし、当然それはすべき話ですので、しっかりそこは、局長さんにしても、御自身の局長はあと一、二年でしょうから、もうちょっと先を見ていただいて、本当に国がやらなきゃいけない部分というのをちゃんと絞って考えていただいて、残りの権限は都道府県に任せるというお考えをぜひとも持った上で前向きに検討していただきたいというのを再度お願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

山名主査 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

山名主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管、住宅金融公庫について質疑を続行いたします。山井和則君。

山井分科員 民主党の山井和則でございます。

 これから三十分間、私、地元京都でありますので、京都へのサミットの誘致のこと、また京都南部の関西学術研究都市、あるいは京都南部の道路や雇用、あるいは情報通信インフラ整備について質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 さて、京都では、このたび京都迎賓館が完成をいたしまして、先週には、小泉総理や歴代の総理をお迎えしてオープニングも行いまして、私も出席してまいりました。京都御所の中にすばらしい施設が完成したわけであります。

 そこで、今京都としましては、京都を挙げて、二〇〇八年に関西で予定されているサミットを何としても京都に誘致したいという思いが高まっております。御存じのように、今、幾つかの都市が誘致をしているわけですけれども、やはりここは、歴史と伝統の都市京都がサミットを行うに最もふさわしい都市でないかと私は思っております。

 私も、幾つかの国にいろいろ調査など過去行ってまいりましたけれども、海外に行っても、日本でどの都市を知っているかというと、やはり東京、京都と。京都から来たと言うとそれだけで、海外の多くの方々も、自分も京都に一度は行きたい、そういう思いをおっしゃいます。そういう意味で、ぜひともサミットを二〇〇八年京都に誘致したいというふうに要望をさせていただきたいと思います。

 この迎賓館は二百億円ものお金がかかりまして、やはりこういうものをつくった以上は、ぜひともそこを有効活用したいというふうに思っておりますし、また、その折には、京都南部には宇治茶もありますし、また世界歴史遺産の平等院もありますし、そういうところにも世界の首脳にぜひとも足を延ばしていただきたいと思っております。

 そこで、京都サミット実現の要望への答弁とともに、サミットを京都に誘致する上で、その誘致に成功する条件、あるいはその決定までのスケジュールについて御答弁を願えればと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 主要国首脳会議、G8サミットは、G8諸国間の持ち回りで実施され、委員御指摘のとおり、現時点では、我が国での次回開催は二〇〇八年が予定されております。

 G8サミットの開催地選定については、必ずしも確立された手続というものはございません。現時点で具体的な検討、選定作業は行われておりませんが、ただ、御参考までに、前回我が国で実施されました九州・沖縄サミットについて申し上げたいと存じます。

 九州・沖縄サミットの例では、開催希望を表明されていた自治体の現地調査を開催年の二年前の九月より実施し、開催年の一年前の四月に開催地が発表された経緯がございます。

 お尋ねの条件も、以上のような次第でございますので、必ずしもかちっとしたものではございませんけれども、九州・沖縄サミットにおける開催地の選定に当たっての調査では、開催のための適切な会議場及び関連行事施設があること、各国代表団及び報道関係者の宿舎が質、量ともに十分であること、警備上問題が少ないこと、それから空港及び交通面でのいわゆるアクセスが容易であること等を総合的に勘案した経緯がございます。

山井分科員 もちろん、それぞれの都市が、日本の都市はすばらしい都市でありますから、どこがどうとは言いづらいわけですけれども、やはり歴史的な価値というかそういうものを考えても、ぜひとも京都にお越しいただきたい、まさに国際的な歴史都市、観光都市として有名な京都でサミットを開いていただきたいと、改めて強く要望をさせていただきたいと思います。

 次に、きょう資料も五枚お配りをさせていただきますが、関西学術研究都市の進捗状況について、質問と要望をさせていただきたいと思います。

 関西学研都市は、昨年秋に町開き十年を迎え、現在も産学官の連携の中、セカンドステージが展開されておりますが、しかし問題は、研究施設の整備が遅々として進んでおらず、整備用敷地の五三%しか埋まっていないということであります。

 私の自宅の近所にありますので、毎週末この学研都市のあたりに行っておりますが、やはり地元の自治体からもうずっと聞き続けておりますのは、学研都市が目指していたように順調に整備がいっていない。それどころか、これまで研究所を主体として都市形成を進めてきたわけですが、昨年はバイエルとキヤノンというまさに目玉であった研究施設が撤退を始めているわけなんですね。研究施設が集まらないだけじゃなくて、一たん進出した研究所が撤退をし始めている。

 きょう、少し写真も撮ってまいりましたが、七十五人の方が勤めておられたドイツ企業のバイエルの研究施設、これも今もう空き家になってしまいました。昨年四月に撤退。それともう一つ、この新聞報道にも出ておりますが、キヤノン・ショックと言われまして、昨年六月には百七人がお勤めになっておられましたキヤノンの研究所、これも撤退をしてしまったわけなんですね。関西復興の起爆剤、国家的プロジェクトと言われていた関西学研都市、本当にこれでいいのかという危機感、何とかしてほしい、そういう思いが地元からも高まっております。

 そして、このキヤノンにしても、業績が悪くて研究所が撤退したわけではありませんで、撤退理由は、研究段階から生産への移行に伴い、研究施設を事業所のあるところに移転したわけであります。近年、研究施設と生産、本社機能との統合という経済界のニーズもあり、研究施設だけに頼ったまちづくりは曲がり角に来ました。地元京都府でも、学研都市にふさわしい生産施設を兼ねた企業進出に大きな期待を寄せているわけであります。

 こちらにも、地元京都新聞の十年の節目を迎えた学研都市、こういう記事が出ておりますが、その中でも書かれておりますし、二枚目にも「研究から産業機能視野」へという見出しで書いてありまして、京都府の山田知事も、「企業は研究開発と試作を一体化させている。試作工場などの産業機能も認めるべきだ」というふうな号令も出しておられます。

 このような現状を踏まえて、今後策定される学研都市のサードプランの方向性についてお考えをお聞きしたいと思います。

 また加えて、同時にお伺いします。

 学研都市けいはんなは複数の自治体にまたがって展開されておりますが、国立国会図書館関西館のある京都府側の精華町は人口三万五千人、お隣の木津町は三万八千人、比較的規模の大きい同志社大学のある京田辺市でも六万人として、自治体として規模はそれほど大きくなく、財政状況は非常に厳しいわけです。そのような中で、各自治体も精いっぱい学研都市にふさわしいまちづくりに取り組んでいるわけですが、財政的には厳しいのが現状で、今後、学研都市としてのまちづくりを進めていくには、さらなる国の財政支援が非常に重要になってまいりますが、この点についていかがでしょうか。

 そして加えて、三点目として地元の声も紹介したいと思います。

 けいはんな関西学研都市はよく東の筑波と比較をされますが、筑波は、御記憶にありますように、筑波博があったこともあり、知名度はかなり高いわけですね。しかし一方、学研都市けいはんなの知名度はまだまだ低いのが現状でありまして、今後、京都南部、さらには関西活性化の起爆剤として期待される学研都市の知名度をさらにアップさせる何か国家的なイベントのようなものが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 三つの質問になりますが、どうかよろしくお願い申し上げます。

蓮実副大臣 学研都市のこれからの展開につきましてでありますが、昨年の都市開き十周年を契機にいたしまして設置をした有識者による懇談会におきまして、学研都市の目指すべき方向について検討を重ね、学研都市全体の総合力の強化、新産業創出に向けた試作生産機能を有する研究開発型産業施設の立地促進などにつきまして、ことし三月に提言をいただいたところであります。

 今後、国土交通省といたしましては、この提言を踏まえまして、今年度には、関係する自治体、立地機関、経済界等から成る協議会を設置いたしまして、今後十年間を対象とした具体的な整備方針としてサードステージプランを策定した上で、都市の整備をさらに進めていくことにいたしておる次第であります。

山井分科員 ぜひともここは、せっかく国家的プロジェクトでここまで進めているわけですから、さらに力を入れていっていただきたいと思います。

 先ほども言いましたように、本当に空き地がまだまだいっぱいあるわけですね。やはりこれは、関西復権の起爆剤でありまして、その大きなかぎを握っているわけであります。国家的なプロジェクト、もちろんこのことに関しては、筑波は国家プロジェクトでかなり公が力を入れる、関西のこの学研都市は国家的プロジェクトだから民間主導でいくということはあったかとは思いますが、当時からかなり経済情勢も厳しくなっておりまして、なかなか民間だけの力では限界があるわけですので、ぜひとも国からの御支援をよろしくお願い申し上げます。

 そこで、それにも関連して、なぜ停滞したのかという理由の一つに、交通網の整備が急務ということが言われているわけです。この京都新聞の記事にも出ておりますし、次のページでも、動脈づくりの整備がおくれていると一体感を阻むということも書いてあります。これについては、電車と道路と両方言えると思います。

 一つは、京都―学研間の道路網の整備がおくれているわけです。ことし三月に提言がまとめられた関西学研都市の明日を考える懇談会、通称明日懇でも、一定の整備は整ったものの、さらなる交通基盤整備の促進が望まれるという意見が出されております。学研都市線の複線化、松井山手から木津までの複線化、またJR奈良線の複線化、京阪奈新線の延伸などいろいろ重要で、ここで要望したいと思います。

 それとともに、きょうは特に質問したいのが、道路網の整備であります。

 例えば、学研都市の中心を走る京奈自動車道は、国道二十四号線のバイパスとして建設されましたが、ちょっとローカルな話になりますが、城陽から木津までわずか十二キロで六百円、往復で千二百円という料金は高過ぎるわけですね。私はよく利用しているわけですけれども、なかなか一般の方々にとっては往復千二百円払えないということで、割とがらがらなわけです。こういう写真を見せるのは非常に申しわけないんですが、先週の週末も、確かに朝夕のラッシュのときぐらいは多少は込んでいるんですけれども、一般的なときには割とがらがらになってしまっている。

 私が申し上げたいのは、多大なお金をかけてこういうすばらしい道路を建設しても、結局がらがらであるということでは本当にもったいないという気がしますし、実際、高いという理由で今までどおり国道二十四号線を多くの方が利用されていて、そちらの渋滞緩和はまだまだなされていないということなわけですね。

 そこで、三枚目の記事にもありますが、地元からも、何とかこの京奈自動車道の料金を引き下げられないか。割とがらがらなわけですからもったいない、かつ、その横の国道二十四号線は大渋滞をしていると。それで、引き下げるか、あるいは、この京都新聞の記事にも出ておりますように、今こういう社会的実験というのを国土交通省さんも行っておられるわけですね。料金を下げてみて、それによって交通量が増大したらプラス・マイナス・ゼロではないかということで、こういうことも私はやってみる価値はあるのではないかと。

 やはりこれは、学研都市という国家的なプロジェクトなわけですから、先ほども言いましたように、そこから企業や研究所が撤退している。実際、撤退した企業の研究所の方から聞いてみても、やはり交通のアクセスが悪いという声が非常に強いわけなんですね。そういう意味で、この京奈自動車道について、料金引き下げ、あるいはそのための社会的実験を行っていただけないかということについて、御答弁をお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の京奈道路につきましては、償還主義のもと、借入金で道路を建設し、一定の料金徴収期間内の料金収入により当該道路の建設、管理等に要する費用を償還していくというような有料道路制度によってできておるものでございます。

 昨今の経済情勢等を考えまして、有料道路の有効利用が、一般道路の渋滞対策、沿道環境対策も含めまして有効な施策だというようなことで、非常に要望が多いことがございます。したがって、そういうような観点から、多様で弾力的な料金施策に関する取り組みといったようなものを推進させていただいておるところでございます。

 平成十六年度におきましては、地域における課題解決型社会実験というようなことで、施設整備と料金施策との間で有効性、効率性等の比較を行うため、全国で四十一件実施したところでございます。

 地域によって非常に差が大きく異なるというようなことでございまして、地域の特性を踏まえて実験を行い、より効果的な料金割引について検討していくことが重要と考えておるところでございます。

 今御指摘の京奈道路についての社会実験でございますが、並行する国道二十四号が渋滞が非常に多いというようなことでございますので、地元等からの要望がございましたら、適切に対応していきたいと思っております。いずれにしましても、社会実験の結果を踏まえて、今後の有料道路の弾力的な料金設定に生かしていければと考えておる次第でございます。

山井分科員 今の件は、国土交通省さんと二年ほど前からも多少話はさせてもらっているんですけれども、局長さんからも御答弁ありましたように、とにかくせっかくつくったわけですから、やはり地域全体を考えて、有効利用ということをぜひとも考えていただきたいと思っております。

 次に、この学研都市のことともやはり関連するんですが、すぐ横の第二名神のことについて御質問をさせていただきたいと思います。

 これは二つに分けて質問しますが、まず最初の方は、八幡東から城陽間の早期着工を要望したいと思います。

 この区間については、既に施行命令済みですが、いまだになかなか建設が進んでおりません。現在建設中の京都市南部を走る京都高速道路は平成十八年度末完成予定であり、この第二名神の八幡東から城陽間さえ開通すれば、先ほど質問しました京奈自動車道ともつながり、学研都市と京都市内が高速道路、有料道路でつながってくるわけであります。ここは、いわば学研都市の交通網のかぎであり、京都、奈良といった世界に誇る観光都市を結ぶ大動脈でもあり、当然地元でも大きな期待が寄せられております。この第二名神の八幡東―城陽間の早期着工について、今後の見通しはいかがでしょうか。

谷口政府参考人 第二名神は、非常に大規模な延長になっております。したがって、選択と集中の精神で、区間を限って、必要度の高いところから事業を実施しているということでございます。

 委員御指摘の、八幡ジャンクションから城陽ジャンクション間四キロメートルでございますが、用地買収に向けた地元設計協議を行うための準備として、現在、測量及び土質調査を実施させていただいておるところでございます。

 また、ジャンクション付近では、京滋自動車道、第二京阪というようなこともございまして、一部用地買収も行っているところもございます。

 当該区間につきましては、引き続き、地元の御理解をいただきながら、御協力をいただきながら、用地買収を含め事業の促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

山井分科員 この区間は抜本的見直し区間にもなっていないわけでありまして、地元の自治体からは本当に悲鳴が上がっておりますので、ぜひとも急いでいただきたいと思っております。

 京都南部の道路事情に関しては、谷口局長さんも以前近畿地方整備局長でいらっしゃったわけですから、まさによく御存じかと思いますが、問題になってくるのは、八幡―城陽間の両側が、御存じのように抜本的見直し区間というふうになっているわけであります。この四ページの資料に出ておりますように、大津―城陽間二十五キロ、そして八幡―高槻市間十キロ、この三十五キロが抜本的見直し区間となっておりまして、「構造・規格の大幅な見直しを行い、抜本的なコスト削減を図るとともに、整備手順についても検討する。」ということになっております。

 これについてもやはり、地元の八幡市、京田辺市、城陽市、宇治田原町では、何とか急いでほしいという声が高まっております。要は、第二名神を前提とした都市計画づくり、まちづくりを行っているわけでありまして、抜本的見直し区間と決まってから一年半がたとうとし、地元の自治体は、工業団地の整備が進まないとか都市計画の先が見えないとか、またこの道路は学研都市にとっても重要な道路でありますし、また例えば地元の城陽市では、山砂利採取跡地の整備に関しても、第二名神の着工ということを前提に考えているわけであります。そういう中で、今、抜本的見直し区間という形で宙ぶらりんになっておりまして、地元の自治体や経済界からは、これもまた悲鳴が起こっているわけであります。

 片や、地元の市民の方々からは、抜本的見直し区間ということは、要はコストを大幅に削減する、しかし、できてみたら、コストを大幅削減したから環境への配慮がおろそかになってしまうのではないかとかという点で、そういうまた違った面からの不安も出てきております。

 地元からは、十月に民営化会社に移行するわけですから、新会社が整備する区間としてきっちりと位置づけられるようにという要望も、京都府を含め地元自治体からも強く出ているわけでありまして、抜本的見直しの現状と今後のめどについてお答えをいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 第二名神高速道路は、名古屋市と神戸市を起終点とする全体延長約百七十四キロメートルの高速自動車国道でございます。このうち、現在供用しておりますのは、飛島インターチェンジ―四日市ジャンクション間約十九キロメートルが供用中ということでございます。集中的に工事をしておりますのは、亀山ジャンクションから大津間四十一キロメートルにつきまして、工事を全面展開中ということでございます。

 その他の区間につきましては、今御指摘の抜本見直し区間も含めまして、区間によって進捗状況に差はございますが、いろいろな観点で、つながらないと意味がないということでございまして、鋭意事業を進めさせていただいているところでございます。

 全体百七十四キロメートルということでございますが、第二東名高速自動車国道と一体となって三大都市圏をつなぐ、文字どおり二十一世紀の、新しい世紀の国土の基盤というような観点で、期待の大きい重要な路線と我々も認識をしておるところでございます。

 また、災害時を考えても、現在の名神高速道路が通行どめとなった場合にも、代替路線として不可欠な路線というようなことで認識をしておるわけでございますし、また委員御指摘のとおり、京都南部のこれからのまちづくり、地域づくりというような形で骨格となる道路というようなことも十分認識をしておるところでございます。

 御指摘の抜本見直し区間につきましては、現在、事業を一時中断し、構造、規格等の現行計画を文字どおり抜本的に見直すべく検討をさせていただいておるところでございます。

 具体的には、抜本見直し区間の有無による交通量推計とその他の幹線道路との機能分担による必要性、また費用対効果の分析、整備手順の検討、道路構造、規格の見直し等について検討を進めさせていただいておるところでございます。

 いずれにしましても、十月に民営化するということでございますので、できるだけ早期に取りまとめを行いたいというような考え方のもとに検討を鋭意進めておるところでございます。

山井分科員 十月の民営化の前に早期に取りまとめということですが、ちょっと一つ、ここは重要なことなので確認をさせてもらいたいんですが、ということは、十月までに、抜本的見直しとしてこういうふうな案をつくったということで国土交通省が地元自治体等へ提示をする、大体そういうふうなめどでよろしいでしょうか。

谷口政府参考人 検討状況にもよりますが、十月に民営化するというのは決まっておるスケジュールでございます。いろいろな手順がございますので、検討状況を踏まえて適切に対応させていただければと思っておる次第でございます。

山井分科員 それでは次に、京都南部の雇用機会増大促進地域の指定の延長について質問したいと思います。

 ちょっと時間が押してまいりましたので早口になるかもしれませんが、京都南部の宇治、城陽、久御山、宇治田原の四市町については、大規模工場の大幅縮小や地元信用金庫の破綻により、平成十三年十二月に地域雇用機会増大計画の地域に指定されたわけです。しかし、この指定が平成十八年三月に切れる予定であります。

 しかし、私の地元の地域の雇用情勢は、少しはましになったという声もありますが、まだまだ本格的には回復しておらず、加えて、昨今のアジア情勢や原油高による企業活動への不安も相まって、地元からは、ぜひとも継続もしくは違う施策をやってほしいという声も高まっています。京都府にも同時にこの延長を要望しておりますが、これは地元の市町村や都道府県が計画を策定し、国が同意する方式になっているわけですけれども、ぜひともこの雇用機会増大促進地域の延長をお願いしたいというふうに思います。いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の京都の山城中部の地域雇用機会増大計画にかかわる御質問でございますが、先生から今お話ございましたとおり、これは地域雇用開発促進法に基づきまして、多数の求職者に比して相当程度雇用機会が不足している地域ということで、京都府が十三年の十二月にこの計画を策定しまして厚生労働大臣が同意をいたしたものでございまして、御指摘のとおり、十八年の三月がこの計画の終了時期となっておるわけでございます。

 この更新の問題でございますが、基本的には、この仕組み、スキームにおきましては、都道府県がまず一義的に御判断をいただくべきものでございますが、京都府がこの地域の計画の更新を御希望するという場合につきましては、改めて計画を策定していただいて、厚生労働大臣あてに協議をいただくということになろうか、そういう手続を進めていただくことが必要であるわけでございます。

 私どもといたしましては、協議をいただいた段階で、地域雇用開発指針というものが既に定められ公表されておりますので、これに照らしまして、要件に該当するかどうかの判断、必要な検討を行わさせていただきたいと思っております。

山井分科員 京都府からは恐らくこの計画が出てくるというふうに思っておりますので、その際にはぜひとも同意して、また今後も御支援をいただければと思っております。

 最後、あと二問ありますが、一問にまとめて質問したいと思います。

 二〇一一年デジタル放送への全面移行を控えて、現在電波実験が行われていますが、京都南部の山間部、具体的にいいますと南山城村、笠置町、和束町などが受信不可能となる可能性が高く、大きな不安となっております。

 従来、この地域はアナログ放送も難視聴地域となっており、CATV、つまりケーブル放送にて解消を図っている地域であります。ところが、このケーブルはデジタル化によって使用不可能となり、今後施設の改修が迫られていますが、これらの三町村は、人口が二千人あるいは五千人であり、四億円から六億円かかる改修事業を自力でするだけの財源はありません。国策としてデジタル化を推進するわけですから、何としても国の支援をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、インターネットについても同様のことが言えます。

 一部では、最近やっと自治体の予算でADSLが可能となったところでありますが、いまだにADSLさえ不可能な地域が多くあり、情報格差は否めません。

 先日も地元の自治体の方々と話をしたら、企業誘致をしたいといっても、インターネットも不十分ということでは、本当に来る企業もほとんどないということを嘆いておられました。これらの地域は、農村教育に力を入れたり、温泉を使った観光に力を入れたり、さらには自然を生かした村おこし事業など、生き残りをかけた地域挙げての取り組みを行っております。

 情報通信インフラ整備は、人口の離散や企業の立地の不利になり過疎化に拍車をかけることを防ぐために、非常に必要であります。情報通信は、もともと交通が不便なところ、過疎地域にこそ先に必要で、整備しなければならないのに、逆に、財政力が弱くて過疎化が進んでいるところが、ますます情報通信やデジタル化の波にも取り残されてしまうのでは、これはあってはならないことだと思います。

 これらのことに関して国の支援を切に要望しますが、いかがでしょうか。

小笠原政府参考人 まず、放送についてお答え申し上げますが、先生御心配のような、そうした難視聴地域がまず生じないようにということが大事でございますので、放送事業者において、今の放送局の出力の拡大あるいは中継局の設置というものをできる限り早期に進めていただきたいと思っております。

 私ども、従来より税制あるいは政策金融措置をやっておりますが、今後、地域の状況に応じまして、必要な場合にはこうした施策のあり方についても検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。

鈴木政府参考人 続きまして、情報通信関係の御答弁を申し上げます。

 我が国の情報通信インフラ整備は、e―Japan戦略その他によりまして、全体としては世界最先端のレベルにあるというのは御承知のとおりでございますが、今先生から御指摘ございましたように、一部の地域におきましてはブロードバンドサービスが提供されていないというのが事実でございまして、私どもにとりましても、デジタルデバイドといいますか、この是正は重要であり、かつまた迅速に対応しなきゃいけない問題だと考えております。

 そこで、二つございまして、一つは、まずは民間事業者でインフラ整備が進みますように、超低利融資や税制優遇の支援を行うということ。それでもできない場合は、市町村その他によりますインフラ整備に対しまして、国庫補助金でございますとか、あるいは過疎債のような地方財政措置を通じて支援をさせていただいております。

 今後、私どもといたしましては、ユビキタスネットワーク社会を実現して地理的な格差を克服するということが、先生御指摘のとおり、経済の活性化、安心、安全な社会ということの助けになるものでございますので、その実現に努力してまいりたいと思っております。

山井分科員 もう時間が来ましたので終わりますが、とにかく、こういう国が進める情報通信施策がかえって過疎化を後押しすることがないように、ぜひともきっちりと国の支援をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 公明党の田端でございます。

 けさ、JR西日本の方で大変大きな事故が起こりました。先ほど、一時のニュースだと、亡くなられた方が三十七名、けが人が二百三十九名という大変な大惨事に至っております。亡くなられた方に心からお悔やみ申し上げると同時に、けがをされた方、被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 この事故について現時点でわかっていることについて国交省の方で御報告があれば、特にまた、何でこんな事故が起こったのか、そこのところが大事だと思いますので、ちょっと質問にはありませんが、よろしくお願いしたいと思います。

蓮実副大臣 本日九時十八分ごろ、JR福知山線尼崎駅―塚口駅間の第一新横枕踏切道の手前付近におきまして、宝塚駅発同志社前駅行き快速列車が脱線をいたしました。昼のNHKの報道によりますと既に二十五名という報道ですが、今、先生の、三十七名という大勢の方々の死亡が確認され、負傷者も二百人を超えるという、大変痛ましいことで、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方々にお見舞いを申し上げたいと存じます。

 今、関係機関と連携をしながら救助活動に全力を挙げているところであります。事故発生の報告を受けまして、国土交通省といたしましては、現地運輸局から係官二名を直ちに派遣させていただきまして、本日午前九時四十分には、近畿運輸局長を本部長とする福知山線事故対策本部を設置いたしました。また、本日午前九時四十五分、本省に北側大臣を本部長とする福知山線事故対策本部を設置いたしました。本省から、北側大臣、鉄道局長及び係官二名がただいま現地に到着したと思っております。

 今後、全力を挙げて情報収集に努めるとともに、適切な対応を図ってまいる所存であります。

田端分科員 当初、大臣にこの委員会に出ていただくというお話でしたが、こういう突発事故が起こったから、それはもうぜひ現場に行っていただいて対応を適正にやっていただきたい、こう思います。大変御苦労をおかけすることになりますが、大変これはショッキングな事件でございますから、原因究明も含め、また、けがをされた方等々に対する救済をぜひ最優先してお願いしたいと思います。

 さて、質問に入りますが、北側大臣は、公明党の政調会長の時代から、交通のバリアフリー化については、大変積極的にいろいろな提案もされ、いろいろな主張もされてきました。そういう意味では、この五年間、バリアフリー法を制定して大変全国的に進んだというふうに思っておりますし、特に、私は大阪ですが、非常に大阪も頑張って、約五割前後の各交通関係の駅のところはその事実が積み重ねられている、こういうような意味で、喜んでいる次第であります。

 実は私、東京に、こちらのときには高田馬場に宿舎を持っております。高田馬場の駅というのは、JRと西武新宿線、それから地下鉄の東西線、三つがあって、乗降客が全国第八位とかという、すごい乗りおりの激しい、しかも早稲田大学等のある学生の町でもあって、こういう駅でありながらバリアフリーそのものは全くおくれているというのは、これは私、ぜひ国土交通省もそういう意味では細かいチェックをしていただいて、全体はレベルアップして進んできたかわからないけれども、そういうおくれているところも全国的には多数あるのではないか、こんな思いがいたします。

 そういう意味で、ちょっと二、三、大阪について申し上げますが、例えば、環状線の大きな駅で、京橋という駅があります。ここは、京阪も、それからJR環状線、それから東西線、きょう事故の起こったこれの延長する東西線との接点にもなっていますけれども、ここも進んでいない。それから、近鉄と交差している鶴橋駅というのが、四年前、私たち署名運動をやりまして、西日本にも懇願いたしまして、ようやくこの間、去年の暮れにエレベーターがつきました。そういう意味では、大変こういう旧の駅舎がおくれているという感じがいたします。

 実は、大正駅というのがありますけれども、ここは、大阪ドームがありまして、乗りおりが非常に多い。それから、下からホームまでが五十六段ありまして、五十六段というのは、これはもう大変な、三階か四階になるわけであります、一階平均大体十五、六段ですから。ここに、全く何もなかったのを、私、大分前にいろいろお願いしまして、平成九年ですか、大阪ドームの完成と、そこに地下鉄が延伸してきて鶴見緑地線が開通した、そこに合わせていただいて、上りだけですけれどもエスカレーターをつけていただきました。

 しかし、地元のお年寄りの皆さんは、下りが大変なんだ、下りが何もないというのは、五十六段、本当にしんどいということを言っているわけでありまして、こういうところも私はおくれていると思います。ぜひここは、エレベーターなりなんなりを御検討いただいて、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと固めて申し上げますが、大阪の市内にモノレールがありますけれども、住之江公園駅というのがあります。ここは地下鉄とモノレールとが接点になっている乗りかえの駅でありますが、ここにもエレベーターがない。それから、このモノレールの片っ方の、もう一つの終点になっているのが、南港のコスモスクエア駅という駅があります。このコスモスクエア駅が今度こちらの地下鉄とまたつながっているんですが、この駅も何もない。こういう意味では、車いすの方とかそういう方はもう大変苦労されているわけでありまして、せっかく交通システムといいますか、うまくつないでいただいているんですが、乗りかえ口のところが全然バリアフリーが進んでいないという意味では、これはぜひチェックしていただいて、大阪市とも協議していただいて、早期にこのバリアフリー化を進めていただきたい、こう思います。

 それから、このコスモスクエア駅というのは、ここには、ATCとかWTCとか、あるいはハイアット・リージェンシーというすごい大きなホテルとか、あるいは、ここでは国際見本市が開かれるとかいろいろな行事が行われ、外国人もたくさん来られるし、そしてまた、若い人たちも年末にはこのATCでカウントダウンするとか、そういう意味では人の出入りの大変大きいところでありますが、町のバリアフリーがまたできていない、こういうふうに思います。

 それで、私一つ提案したいのは、国交省が主導してやっていただいている中に、自律移動支援システムという、ユビキタス社会に向かって、携帯端末を使って、右に行ったらどこへ行きますとか、あるいは外国語で、英語で答えていただいたりハングル語で答えていただいたり、観光案内も兼ねてやっていただける、こういうシステムが、今、例えば神戸の町でも行われているし、浅草でこの間からテストをされていたようであります。こういうことをやられていますが、私は、この南港という町でぜひそれをモデル実験としてやっていただきたいなと。私も、昨年ずっと、坂村健東大教授と一緒になって、いろいろな意味でユビキタス社会に向けての動きをさせていただきましたが、そういう意味では、大阪の町の中では、ぜひこの南港でモデル実験をしていただきたい。そして、より実用化に向けたことを行っていただきたいということもあわせてお願いしたいと思います。

 それからもう一つは、阪和線の高架の問題でありますが、ようやく昨年十一月に上り線が高架になりまして、片っ方が高架になっただけで、東西を遮断されていたのが非常に交通渋滞が減りまして、非常に地元の皆さんに喜んでいただいて、来年三月には下り線も高架になりますから、これで完全に阪和線の高架ということで、非常に結構かと思います。

 そういう意味ではよかったんですが、当初、この阪和線は、阪神高速と一緒になって二階建てでずっと行くということで、杉本町の駅も高架になることになっていたのが、神戸の地震で見直されて、高速道路が神戸で崩壊したために切り離しになりまして、JRだけの高架、こういうことになりました。そのために、高架の終点といいますか、それが杉本町駅の手前で地面におりてくるために、杉本町の駅が旧駅舎のままで使われることになって、ここが、跨線橋で渡って行き来するという、これはもう本当に旧式の駅でありまして、そういう意味では、ちょうどこの駅前に大阪市立大学がありますから大変乗降客も多い、そういう駅でありながら、非常におくれた駅舎になってしまった。

 こういうことで、地元の人も大変困っておりますので、ぜひこれは御検討いただいて、駅改築という大げさなことにならないで、今の駅を生かしながら何らかの形でこれを、例えばエレベーターの設置とか何か知恵があるのではないかと思うんですけれども、こんなこともあわせてお願いしたいと思います。

 今、具体的な点を四つ五つお願い申し上げましたが、よろしく御答弁のほどお願いしたいと思います。

大口政府参考人 ただいま先生が御質問いただいた中の内容につきまして、一つは、JR西日本大阪環状線のバリアフリー化の整備状況がおくれているんじゃないかという御指摘、また、JR西日本大正駅それから杉本町駅のバリアフリー化整備についてもどうなっているんだろうかという点がまずございました。それからもう一つは、大阪市営地下鉄とニュートラムの乗りかえ駅である住之江公園駅、コスモスクエア駅、こうしたところの乗りかえ経路上のバリアフリー化がどうもおくれているんじゃないかという御指摘かと思います。

 まず、前半の部分につきましては、特に大阪環状線、大変利用人員の多い線でございます。私どもも、バリアフリー化につきましてはその都度JR西日本にお願いをしておるわけでありますけれども、JR西日本においてはかなり努力を傾注しているというふうに聞いております。バリアフリー法の基準に基づく、段差が解消された駅の割合も、平成十六年の三月末、これで全十九駅の中で十駅にまでなってきまして、全国の一日当たりの利用者数が五千人以上の駅ということで見ますと、全国平均は四四%ですから、パーセンテージがすべてではございませんけれども、環状線の段差解消は、平均を上回るスピードで一応は進んできているというところかと思います。

 しかしながら、御指摘のように整備がおくれている駅もありますので、バリアフリー法の目標年次でございます平成二十二年までにバリアフリー化が図られますよう、引き続きJR西日本に対して強く指導してまいりたいと考えております。

 それから、御指摘のございました大正駅、具体的に事例がございましたが、これは、JR西日本に確認しましたところ、構造的にエレベーターの設置が極めて困難であったため、現在は、車いす対応型のエスカレーターを一基設置しているとのことでございます。当該駅は、先生も御指摘のように、高架駅で下に店舗が展開されている、あるいは周辺部での導入空間の確保が極めて難しいというようなことから、新たにエレベーターを設置することは非常に困難ということでございますが、JR西日本において、大阪市、地元自治体とも連携しながら、どのような整備方法が可能か、現在鋭意検討を進めているということでございます。

 また、JR西日本阪和線の杉本町駅でございますが、ホーム幅あるいは階段幅が非常に狭く、安全上十分なスペースの確保ができないこと、そして円滑な旅客流動に支障が生じているというような問題があることから、エレベーターの設置について鋭意検討は進めておりますけれども、現状ではまだまだ検討の段階でございます。現在の駅の形状ではバリアフリー化は非常に難しいということでございますが、JR西日本では、杉本町駅につきましてどのような形でバリアフリー化ができるのか、引き続き詰めているというような状況でございます。

 私ども国土交通省としましては、少しでも早い時期にバリアフリー化が完成するように、引き続きJR西日本に対してその検討促進について強く働きかけていきたいと思っております。

 それからもう一点、後半の部分でございますけれども、ニュートラム、地下鉄のいわゆる乗りかえ駅のバリアフリー化の問題でございます。

 住之江公園駅の乗りかえ経路のバリアフリー化でございますけれども、現在は、地下鉄四つ橋線のホームから連絡通路まではエレベーターが整備されておりますけれども、連絡通路とニュートラムのホームまでの経路につきましては一般型のエスカレーターを経由する形になっておりまして、エレベーターのみによる段差の解消は、残念ながらなされておりません。こんなようなことから、車いす御利用の方々には大変御不便をかけている状況というふうに承知しております。

 御指摘のように、乗りかえ経路のバリアフリー化も重要な課題でございますが、当該駅につきましては、現在、大阪市交通局において、四つ橋線とニュートラムの乗りかえに際して、エレベーターのみで段差を解消した経路を設けるべく具体的に検討を進めているということでございますので、しばし御猶予をちょうだいしたいと思っております。

上野政府参考人 自律移動支援プロジェクトの部分につきまして、私の方からお答えをいたします。

 国土交通省では、ユニバーサル社会の実現に向けた取り組みの一環といたしまして、我が国の最先端のユビキタスネットワーク技術を活用し、移動に関する情報を、いつでも、どこでも、だれでもが利用できる環境づくりを目指しております。このための施策として、自律移動支援プロジェクトを省としての重点施策の一つに位置づけまして、昨年度から神戸を中心に実証実験に取り組んでいるところでございます。

 このシステムの構築に当たりましては、先生からも御指摘ございましたように、東大の坂村先生を委員長とする委員会を設置いたしまして、関係する省庁や民間企業六十社のほか、大阪府、大阪市を初めといたしました地方自治体にも既に検討に御参画いただいているところでございます。

 これからの予定でございますけれども、本年中に実証実験の結果を踏まえましてシステムの技術仕様を取りまとめることとしておりますが、今後、本プロジェクトを、地域の主体的取り組みによってさらに各地へ展開していきたいと考えております。

 御指摘のありました大阪南港地区でございますけれども、現在、エレベーターの設置、点字ブロックの設置など、各種バリアフリー化の施策が進められているところではございますけれども、これと一体の形で本プロジェクトに取り組んでいくためには、地域の意向、御要望をよくお聞きした上で、十分連携、調整を図っていくことが大切であると考えております。

 以上でございます。

田端分科員 南港コスモスクエア駅のバリアフリーについてはちょっと明確な御答弁がなかったので、よろしくひとつ御検討いただいて、例のユビキタスとセットした形で、検討はまた追ってよろしくどうぞお願いしたいと思います。

 少し話は変わりますが、私の選挙区と北側大臣の選挙区とがちょうど向かい合った形で、その真ん中に大和川という川がありますが、この大和川は、東の綾瀬川、西の大和川ということでワーストワンを競い合っているという意味では、非常に残念なことであります。

 しかし、この大和川をきれいにしようということで、北側大臣も、先般来、大和川サミットを開いていただいたり、この間、大阪府主催のクリーン作戦に一緒に出ていただいて子供たちと一緒にごみ拾いをしていただいたりとか、いろいろな意味で市民の意識も大分変わってまいりました。そして、少しずつやはりよくなってきたのではないかと思います。

 しかし、私は、いつも新幹線で多摩川の橋を渡るときに、けさも見ていましたら、ゴルフ場はあるわ、ゲートボール場はあるわ、テニスコートはある、ボートは浮かんでいる、ジョギングしている、散歩している、本当にいろいろな意味で市民に親しまれた多摩川というのが目の当たりに見られるわけでありまして、その意味では、この大和川はなかなかそこまでいっていない。だから、ぜひそういういろいろな施設を、市民に親しまれる施設をつくっていただきたい。

 かつてO157の事件がありまして、大和川が危ないというので、大和川に行ってはならないと、学校の先生が子供たちに、大和川で遊ぶな、遊んではならない、こういうことを言われるような大和川になってしまったために余計に、そういった意味で、一級河川でありながら非常に忌み嫌われるほどになってしまったと思いますので、ぜひ北側大臣の時代に、市民に親しまれる大和川に大きく改革を進めていただきたいと思うわけでございます。

 ことし、四月の八日、九日、大阪も桜が満開になりましたが、六年前でしたか、関谷大臣のときに、私、この問題で、ここに桜並木をつくれとお願いして、二十本植えていただきました。(写真を示す)ことしはこんなに大きく育ちまして、皆さんもお弁当を持ってきてここで憩うという、わずか二十本ですけれども、こういうふうになったというので、これは、ちょうどこの近所の方が私のところへ、こういうふうに桜がことしは咲きましたよと、二、三日前に届けていただいたんです。そういう意味では、やはり市民の皆さんもこういう親しまれる大和川ということを望んでいるわけでございますので、どうぞ、きょうは大臣はいらっしゃいませんが、副大臣によろしくお願いしたいと思いますし、また、そういう意味で国交省の皆さんに御努力をお願いしたいと思います。

 それで、具体的に申し上げますが、今申し上げたようなテニスコートとか遊歩道とか、こういうことをぜひもっと大胆につくっていただきたいということ。もちろん、治水対策は根本ですよ。だけれども、そういうことをお願いしたい。

 それから、やはり川というのは、子供が遊べるという意味で、自然学習拠点になるような河川にしていただきたい。学校の先生が行ってはならないと言っている一級河川ではもうどうしようもないと思いますので、自然学習拠点、環境教育に役立つ大和川にぜひお願いしたい。私の後援会の中には、ことしもまた一万匹のアユの稚魚を放流するといって頑張ってくれて、毎年やってくれていますが、ぜひ、アユがすめる大和川ということで市民の皆さんも努力しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、河口部分で魚釣り大会をやりたいという意味で、川底が浅いからもっとしゅんせつして、砂利を取って深くして、そして川の水の流れをスムーズにして、魚釣り大会が開催できる大和川にしてもらいたい、こういうふうな意見もあります。

 この点について、親しまれる大和川という意味で、今現在の時点での国交省の御回答をお願いしたいと思います。

蓮実副大臣 大和川について、市民に親しまれる水辺を目指して取り組むべきだという先生のお考えであります。

 かつては劣悪であった大和川の水質は、大和川清流ルネッサンスIIによって、河川事業、下水道事業、その他の水環境改善に関する施策を一体として進めることによりまして、徐々に改善をしてまいっております。流域住民の大和川をよくしたいという機運が大変高まっている中で、先生のそういう御努力等もありまして、三月五日には、国土交通省と奈良県、大阪府、流域の市町村などが共同で大和川水環境サミットを開催いたしまして、大和川の再生に向けた宣言を行ったところであります。この宣言では、流域住民と行政のパートナーシップによりまして、生命財産を守る安全で安心な大和川、次世代に伝える美しい大和川、地域をはぐくむ豊かな大和川の実現を目指すこととしております。

 今後は、この宣言に基づきまして、市民に親しまれる水辺を目指して、国土交通省としても最大限の努力をしてまいる所存であります。

清治政府参考人 具体のことにつきまして、若干御説明申し上げたいと思います。

 まず、河川敷の占用の話でございますが、大和川も、いろいろなところでいろいろな利用がなされております。河川の敷地の約七割が既に利用されているということでありますが、今副大臣から話がありましたように、水質がかなりよくなってまいりましたので、これからは、お子様方も含めて川に親しんでいただけるような川づくりをしてまいりたいと思っています。

 それから、桜の話がございました。

 今、二十本ほどの桜がすばらしい状況になってきているということでありますが、これらは、高規格堤防の整備とあわせて、まちづくりの一環として桜を植えていくという要望が地元にございますので、そういう要望を踏まえながら、高規格堤防の進捗に合わせて対応してまいりたいと思っています。

 それから、河口近くの掘削、しゅんせつの話でございます。

 これも、アユが上りやすいように、魚釣りができるようにということもありますが、河川の流下能力をしっかり確保していくという意味からも重要な事業だと思っておりまして、現在継続して実施しておりますが、これからも継続的に、河川の状況を踏まえまして、これは、しゅんせつ土砂の処理の問題とか、それから漁業関係者との調整の話もございますが、こういうことをしっかりとしながら、河道の確保、それから環境の確保に努めてまいりたいと思います。

田端分科員 ぜひ積極的に、これは北側大臣の実績にもかかわる問題でございますので、どうぞ、国交省の皆さん、知恵を絞っていただきたい、こう思います。

 実は私、ことし、ちょうど桜が満開のときに神田川を歩きました。神田川がこんなすばらしいとは私思ってもみなかった。あそこの、中野から新宿、文京、豊島、こう行きますけれども、東京の真ん中を流れるこの神田川は、両側が桜並木がすばらしい。しかも、桜のトンネルになっていまして、そのトンネルの中を神田川が流れている。私、ここの神田川が一級河川であるという認識がなかったんですが、本当に桜の名所の穴場だなと思いました。たくさん御近所の方が桜の花見に来ておりましたけれども、橋の上に立って見ますと、両側、トンネルの中に川が流れているという意味では、ちょうど面影橋あたりのあそこら辺が、だあっと、本当に見事でございました。

 十五、六年前までは、ここはもうしょっちゅう水害で、ちょっと雨が降ればサイレンが鳴って、そういう意味では非常に浸水対策が大変だった。それが、国交省あるいは東京都が頑張って、環七の下にすごい貯水池をつくって、四・五キロですか、直径十二メートルのすごい貯水池をつくりました。それで、妙正寺川と神田川の水を一たん入れて、そして徐々に流していくから、神田川があふれなくなった。こういう意味では、すごいことをやったんだなと私は思います。

 そういう意味で、今もありました水辺を大切にするということは、これは、人類始まって以来、世界の四大文明、揚子江にしても、チグリス・ユーフラテスにしても、ガンジス川にしても、ナイル川にしても、みんなそうだと思いますから、やはり水辺を大事にしていくということは大変なことだと思いますので、ぜひ頑張っていただいて、そういう神田川のようないいモデルもあるわけですから、大和川もぜひ頑張っていただきたい。

 そして、私の大阪は、道頓堀川のところを、とんぼりウォークというので今整備していただいております。しかし、水質は変わらない。だから、大阪市内の水質も変わるように、何かもっと知恵がないのかなと。

 今、大川端の平成通り抜け桜並木ということで、この前、大臣や総理にも来ていただいて植樹祭をしてスタートいたしましたが、この大川端も桜並木で通り抜けにしようという流れで今進んでおりますし、大阪市も大阪府も頑張っております。

 国交省、そういった意味で、水の浄化といいますか、そこも大事ですし、水辺が国民、市民に親しまれるような施策を、ぜひ知恵を絞って頑張っていただいて、そして日本の国土がより豊かな国土になるようにお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山名主査 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。南野法務大臣。

南野国務大臣 平成十五年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は千百七十六億八千四百七十九万円余であり、これに対しまして、収納済み歳入額は千百八十億三千二百十四万円余であります。歳入予算額に比べますと三億四千七百三十五万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は六千七百二十七億五千四百九十七万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千二百七十三億一千四百二十九万円余であり、翌年度へ繰り越した額は四百二十二億六百五十二万円余であり、不用額は三十二億三千四百十五万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は千八百七十七億五千四百十七万円余であり、支出済み歳出額は千六百九十三億九千四百三万円余で、差し引き百八十三億六千十三万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は千八百五十億六千五百九十四万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千八百七十七億五千四百十七万円余であり、歳入予算額に比べますと二十六億八千八百二十二万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千七百五十億四千九百三十二万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は千六百九十三億九千四百三万円余であり、翌年度へ繰り越した額は二十五億五百九十九万円余であり、不用額は三十一億四千九百二十九万円余であります。

 以上をもちまして、平成十五年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山名主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院事務総局事務総長官房佐野審議官。

佐野会計検査院当局者 平成十五年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。

 これは、矯正施設の増改築工事に伴う建物及び工作物の国有財産台帳への価格登録に関するもので、法務省では、建物の増改築や工作物の設置などに要した費用を国有財産台帳の登録価格に計上するに当たり、費用の一部が計上漏れとなったり、計上過大となったりしておりました。

 このように、国有財産台帳の登録価格に計上することとなっている費用が適正に計上されないことは、国有財産増減及び現在額報告書等において、投下した費用が国有財産の価格に適切に反映されないことになり、改善の要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では、十六年十月に通知を発し、適正な国有財産台帳価格に改めるとともに、計上する費用の範囲を具体的に明示し、国有財産台帳に登録する価格の計上方法を周知徹底する処置を講じたものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

山名主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。南野法務大臣。

南野国務大臣 平成十五年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置について御説明申し上げます。

 国有財産台帳の価格登録が適正に行われていなかった件につきましては、平成十六年十月に各矯正施設に対し通知を発し、適正な国有財産台帳価格に改めるよう指示するとともに、台帳に計上する費用の範囲を具体的に明示した事務連絡を発し、適正な価格登録について周知徹底を図る処置を講じたところであります。

山名主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山名主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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山名主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

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山名主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)分科員 民主党の渡辺周でございます。

 きょうは、南野法務大臣初め法務省の皆様方に質問をさせていただきます。

 まず第一点目は、法務局統合の問題についてでございます。

 この問題につきましては、平成五年七月、当時の総務庁から、登記の行政監察に基づき、「統廃合基準の見直しを行うとともに、当該基準に基づき全国的な統廃合計画を策定し、その計画に従って統廃合を一層推進すること。」という勧告を受けました。その後、平成六年の十二月だったでしょうか、当時の前田法務大臣が民事行政審議会に諮問をされました。

 これまでも、法務局、私どもの私的な権益を守るために地域におきまして活動されてこられたこの法務局及び地方法務局並びにその支局、出張所のあり方については、何度となく答申をされてきているところでございます。

 平成六年の十二月十三日、総務庁からの勧告に基づきまして、当時の前田法務大臣が民事行政審議会に対しまして、法務局、地方法務局の支局または出張所の整理統合について、配置の適正化を図る必要があるので、新たなその適正配置の基準を示されたいというようなことで諮問されました。その諮問の結果が、平成七年七月四日、当時の民事行政審議会会長加藤一郎さんのお名前で答申が出されております。

 そこで、その点につきまして、私ども地元、特に静岡県伊豆半島にございます伊東の法務局のことについて質問させていただきたいんですけれども、法務局を統合するということの必要性について法務省としてどういうことを考えて進めているのかということにつきまして、まずは簡単で結構でございますので、あらあら御説明いただけますでしょうか。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 現在、法務局の本局、支局、出張所で登記事務をやっております。これらは総称して登記所と呼んでおりますが、この登記所は、おっしゃるとおり、国民の不動産に関する権利義務、あるいは会社に関する公示ということを中心といたしまして、明治中期に、当時の交通事情を前提といたしまして、利用者がおおむね一日で往復することができるようにと全国に数多く設置されたところでございます。その後、交通事情の改善等のさまざまな事情を踏まえまして、数次にわたる閣議決定等も行われ、これをもとに、法務省では、かねてより登記所の適正配置に取り組んできたところでございます。現在でも全国に登記所は六百三十四庁配置されておりまして、国の機関の地方出先組織としても、比較的小規模・多数分散型の組織で、なお数が多いという状況になっております。

 政府の大方針でございます行政改革、現下の厳しい財政事情等にかんがみますと、登記所を整理統合して事務の適正処理を図って、全体として効率的な行政サービスの提供を行っていくという必要性は一層高まっておりますので、昨年の十二月に閣議決定されました「今後の行政改革の方針」においても、「支局・出張所の統廃合の推進による定員の合理化を進める」こととされております。

 そこで、これらの状況にかんがみまして、法務省としては、引き続き登記所の適正配置を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

渡辺(周)分科員 厳しい国の財政事情をかんがみれば、我々も行政改革のあり方については決して異論を持っておりませんし、この統廃合というものは、今、全国で、これは法務省管轄の出先機関のみならず、例えば社会保険庁管轄の医療機関でありますとか、そうしたところでも大変な統廃合が今行われておりますし、また、検討されていることは重々承知をしております。まさにこの方針につきましては、私どもも、大前提としてはその方向で行くべきだろうという考え方は全く異論がないわけでありますが、ただ、問題は、そこにおける住民サービスのあり方についてです。

 この答申にもございますけれども、今お話がありましたように、地元においては、例えば法務局においては、登記を初めとして戸籍、国籍、供託等の民事行政事務等々、そうしたことが取り扱われたことによって、住んでいる住民のニーズ、それから、こうした事務の多くが地域住民と密接な関係を有するものであるということで、地域住民の利便に配慮するとともに、配置のあり方については検討していくべきだということは何度となく書かれているんですね。もちろん、数の上でばさばさっと切ってしまうのは簡単なことではございますけれども、ただ、そこには人が生活をしている、その地域にはそれぞれの地域の特性がございます。

 首都圏と違って、私ども、例えばこれから申し上げます伊豆半島などは、まだ残念ながらインフラの整備もすべてがすべてにおいて備わっているわけではございませんし、また、昨今流入してきた都市型住民の進出によって、例えば伊豆半島でも、従来型の農村社会を大事にしているところもあれば、新しく、ついの住みかとして東京や横浜や埼玉県の方から移り住んできた方々も大勢いらっしゃいます。最初は別荘族と言われた方が、今度は、別荘地から住民票も移して、温泉の出るところで相模湾の景色を見ながら第二の人生を楽しもうという方もいますし、あるいは、いやしの場として御商売を始めて、リゾートペンションを始めたり、ちょっとしたギャラリーを始められたり、レストランを始めたりして、いろいろな方がいるわけなんです。

 大臣もお見えになったことがあると思いますが、伊東市の伊豆高原なんというところは、伊豆の避暑地といいましょうか、軽井沢みたいなところで、ちょっとあか抜けた、従来の伊豆の町並みとは大分変わってきましたけれども、そこにございます伊東市が、今、法務省に対して、南野大臣のところにも秘書官のところに、何とか地元の法務局の存続を求めるということで陳情にも行かれているとは思いますけれども、伊東市にございます数少ない国の機関であります法務局が、今、熱海法務局との統合ということで議論の対象になっているわけでございます。

 そこで、具体的にちょっとお尋ねをしたいんですけれども、伊東市の場合は、年間取扱件数が、平成十三年が一万六千百八十五件、十四年が一万四千九百八十六件、平成十五年一万六千二十一件、平成十六年が一万四千三百五件、ちょっと細かい数字を挙げましたけれども、十四年から十六年、直近の三年間の平均を申しますと一万五千百四件あるんですね。今、統合の相手方と取りざたされております熱海の場合が、平成十四年から平成十六年まで、大体この三カ年の平均が一万一千件なんです。伊東市の方が実は登記事件数というのは大変多うございまして、熱海の方が少ないんですね。

 ところが、今、法務局伊東出張所を熱海出張所に統合するというようなことで、地元は静岡の法務局の局長さんのところに、商工会の会長等々が中心になりまして、実は先般、一週間ほど前に地元の鈴木さんという市長さんが亡くなられまして、商工会議所、あるいは行政、市長さんも挙げて、何とか法務局を存続してほしいということで、南野大臣のところあるいは滝副大臣のところにも、秘書官のところに陳情に行っていると思いますけれども、平成七年に答申をされたこの内容を見ますと、そもそもの統合の基準というものからいきますと、一万五千件に達しないものと書いてある。「一年間の登記申請事件数が一万五千件に達しないもの」、あるいは「登記所の管轄区域内の主要な市町村の中心的地区から受入庁までの公共交通機関又は自家用自動車による通常の片道所要時間がおおむね三十分以内であるもの」、いろいろ書いてございます。

 一つ大きいのはやはり一万五千件に達しないものは統合の対象なんだということですが、伊東の出張所は一万五千件を超えているんですね。ということは、これは統合の対象にならないんじゃないかというふうに私自身は思うんです。これは当然、平成七年の当時の答申の統合の基準にのっとったと考えれば、対象にならないんじゃないのかなと考えますけれども、その点はいかがなんでしょうか。このときの答申の大体の配置の基準というのはまだ生きていると考えてよろしいんですか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、平成七年に出されました民事行政審議会の答申によりますと、当時は、広域行政サービス圏に一つというようなことを基本的な考え方として基準を立てまして、具体的には、原則として一つの広域市町村圏に一つの登記所を設置することとするが、当面は、一年間の登記事件数が一万五千件に達しないもの、または受け入れ庁までの通常の片道所要時間がおおむね三十分以内であるもの、いずれかの基準を下回れば統合の対象になる、こういう基準が示されたわけでございます。

 伊東出張所の場合は、地元の方の先ほどの御意向というのも十分承知しておりまして、おっしゃるとおり、登記という地元の方々の身近な権利に直接結びついているものをそうたやすく地元から引き払ってサービスを低下させるということはもちろんあってはならないことでございますけれども、この基準から申しますと、申請事件数は確かに一万五千件を超えておりますが、公共交通機関または自家用車による所要時間がおおむね三十分以内という基準には当たりますので、私どもは、この民事行政審議会の答申基準には合致しているものというふうに考えております。

 なかなか、地元の方の御意向としていていただきたいというのは私どもある意味ではありがたいことでございまして、それについてこういうことでいろいろ検討させていただくのは心苦しいことでございますけれども、先ほどの御事情等御賢察いただいて、御理解をいただきたいところでございます。

渡辺(周)分科員 当然、ここに書いてある事件数が一万五千件未満だったら、これはしようがないんですね。ところが、一万五千件未満どころか一万五千件を超えているんですね。

 これは地域的に人口も、ちょっと申し上げますと、平成十六年九月一日、去年の九月一日現在で、伊東市の人口というのは管内が約七万二千人です。熱海市が四万一千人なんですね。人口でいくと三万人ぐらい伊東の方が多いわけでして、伊東市は人口がふえております。

 登記の事件数も、これは当然景気の動向もありますから、年々、先ほど申し上げたようにちょっとばらつきがございますけれども、地域の将来性を考えれば、熱海に将来がないというわけじゃなくて、伊東市の発展のポテンシャリティーを考えますと、熱海ももちろんこれからあるんですけれども、伊東市の場合はこれからも当然こうした登記事件数がふえてくるであろうというふうに私たちは判断しますし、また、当然地元のそうそうたる方々もその立場で、だからこそ性急な統廃合ということについては考慮してもらえないかということを、何度となく陳情を繰り返しているわけでございます。

 ですので、今の幾つかの条件の中で、所要時間がおおむね三十分と言いますけれども、これは、熱海駅から伊東駅まで伊豆急線に乗りますと、電車で確かに三十分あれば行けるんですよ。ただ、駅と駅の話でございまして、これは私も選挙区ですから何度も乗っていますけれども、この辺、非常にあいまいなんですね、この移動時間、所要時間がおおむね三十分というのは。

 まず、自家用自動車において片道おおむねと言いますけれども、御存じのとおり、伊豆に行っていただければわかりますが、いつも、まあ夜中の時間と昼間の渋滞している時間と、これは海岸線一本しかありませんから、当然そこは渋滞すれば例に漏れず大渋滞します。例えば、これからの時期になりますと、気候がよくなると、週末は法務局閉まっていますけれども、平日だって大勢の方が来られて大変に景勝地としてにぎわうところですから、この辺のおおむね三十分というのは非常にあいまいな概念なんですね。

 公共交通機関だって、電車を利用すればドア・ツー・ドアで、駅から駅は確かに三十分ですけれども、住んでいるところから熱海の新しい受け入れ庁まで行くと、これは本当にどれぐらいかかるかわからないんです。それは地域によってばらつきがありますから。それを考えれば、私は、地元の意向についてやはりもう少し丁寧に検討していただいてもいいんじゃないのかなというふうに思います。

 その点について、これは一体、この法務局の統廃合については法務省本庁の霞が関がその権限を負うのか、それとも、地元の例えば静岡地方法務局がある程度判断をするのか、その辺はどうなっているんですか。この基準というのはそんなに簡単に割り切って、定規で線を引いて、こっちからこうだからだめだとかいいとかというものじゃないと私は思うんですけれども、その諸事情を勘案すれば、あるいは住民の大変強い訴えを考えれば、これはどうなんでしょうか、もうちょっと本庁と地方の法務局とで話し合いをすることはできないんですか。

寺田政府参考人 先ほど申しましたように、全体といたしまして行政サービスをどうやって維持していくかという観点でございますから、これはやはり一地方のみならず国全体の法務局の庁舎事情、それから総合的な行政のいろいろなあり方を考えて決めていかなきゃならない問題でございます。

 もちろん、それぞれの地方にはそれぞれの御事情がございまして、それは地元のそれぞれの担当者の方が十分把握しているところではございまして、これは十分法務省ともまた協議をいたさなきゃならないことでございますが、最終的には、全体としての決定というのは、法務省が全体としての責任を負う立場から決めてまいりたい、このように考えております。

渡辺(周)分科員 これはやりとりしていてもそれぞれの立場がありまして、非常に、そういうよくわかったようなわからないような御答弁をいただくことは想定内ではあったわけでございますけれども。

 これだけ大勢の方が利用されているというところが、じゃ、少ない方に統合される、つまり、なぜ伊東の方が統合されるということにならざるを得ないのか、そこが納得いかないというのが、これは多分お手元に行っていると思いますけれども、地元の存続を求める会の方々、あるいは伊東市議会からもいろいろな意見が上がっていると思うんですが、なぜ伊東の出張所を統合する側にしなければいけないのか、その点につきまして、納得いかないということを非常に強く書いてあるんですね。

 中には、亡くなられた市長さんなんかは、これは法律上難しいのではないかということは私も承知の上で言うんですけれども、この土地を、今伊東市の上に建っている建物、上物、この伊東市の土地に対しては自分たちは、伊東市の考えとしては無償としてもいいんだというようなことは言っております。

 こういうことも踏まえて、これはなかなか財政法上難しいということは承知の上なんですけれども、ここまで何とかしてくれという住民の訴えに対しまして、でも、もうちょっとやはり話をする余地はあるんじゃないですか。

 つまり、地元の方々何度となく陳情に行かれても、静岡の法務局の方がなかなかしっくりと話できないというようなことが不満としてあるわけですね。議事録に載ってしまいますので書いてあることはそのままは言いませんけれども、地元の熱意に対して、非常に冷たいといいましょうか、かなり情の通わないような対応をされたというようなことがあるわけでございますけれども、その点についてはどうなんですか。まだこれから地元と話し合って何とか改善していただける余地というのはあるんでしょうか。

寺田政府参考人 まず、どちらをどちらに統合するかという問題でございますが、これは全国で見ますといろいろな統廃合のケースがあるわけでございますけれども、どれ一つとりましても、そう簡単な問題ではもちろんございません。ただ、このケースでいいますと、やはり国の多くの行政、司法機関が熱海市にあるというようなことが中心的な事情でございまして、あと、庁舎事情その他もございます。

 それで、庁舎事情については、おっしゃるようにお申し出をいただいているようにも伺っております。私どもとしては、そのような御協力のお申し出をいただくような熱意そのものは大変得がたいものだというふうに受けとめてはいるわけでございますが、国が地方公共団体から寄附を受けることは、地方財政法等の法令に照らしまして適当でないという法律上の枠組みがございますので、ここもなかなか難しい問題はございます。

 全般的に申し上げますと、これについての御説明がまだ十分でないという御指摘については、これはこちらとしても重く受けとめなければならないだろうというふうには思っておりますが、国全体のことでもございますので、なかなか法務省全体として、廃止するということについて、非常に、もうちょっと待ってもらいたいというお気持ちはどこもございまして、そういう事情を前提とした上でどこまで御理解をいただくかということで努力をこれまでも続けてきているわけでございます。もしそういう御理解をいただく上でまだまだ十分でない点がございましたら、私どもの方でも、今後も十分に対応させていただきたいというふうに考えております。

渡辺(周)分科員 余り言いたくないんですけれども、正直言って理解をいただく運動というのは余り法務省の方からされていないんですね。これは、だからこそ地元の市議会議長さんやら商工会議所の会頭さんやらがいろんな市民運動を起こして、この問題については大変大きな存続の運動になっているわけなんです。これは、どなたが言ったということを伏せて言えば、伊東市の誠意を無視する態度を法務局がとったではないだろうかということも実は言っていらっしゃいます。それから、公開質問状まで出されて、どうして伊東が統廃合の対象になるんだ、もっと小さいところが存続しているではないか、納得のいく説明がないではないかというようなことも言われているんです。だから、ここのことを考えれば、説明が納得いかないし、また、地元の住民を理解するような形で法務省の方から何らかの申し出だとか話し合いがあったと聞いていない。

 もともと最初は、何年か前から、実は今お話がありましたように、熱海にはたくさんの国の出先機関がある、伊東にはほとんどないわけですね。ですから、いずれは熱海の出張所が中心になるんではないか、そのためにも、熱海の出張所には何かコンピューターのケーブルをはなからもう改築したときから引いてあって、いずれ統廃合を想定していた。だからこそ地元の人たちは大変心配をして、もうこれは平成の十四年ぐらいから法務局に阻止陳情をしています。これまでもそれはないという話をずっと聞いてきたんだけれども、ここへ来て寝耳に水のような話で突然やりますという話になっちゃった。そこで、それはちょっと待ってくれ、当然自分たちも知らぬところでどんどん話を、お申し出が行われているではないかということについて、今ここに至っているわけでございます。

 ぜひ、この点につきましては、これは地元の方々と当然もっとちゃんと話をしていただいて、地元の出先機関から本省に上がっている話と地元の私たちが聞いている話と、少し時差といいましょうか、温度差があるかもしれません。それはお互いの立場で言っていますけれども。

 ただしかし、これについてはしかるべき公的な立場の方々がここまではっきりと文章にして関係各方面に陳情しているわけでございますので、もうその点についての、これはやはり法務省としてぜひ真摯に対応していただきたいし、何とか地元の方と話をちゃんとしていただきたいなと思うんですが、大臣あるいは副大臣、いかがですか。お二人のところにも地元から陳情が上がっていると思いますが、今のやりとりを聞いてどうですか。ぜひ地元選出の議員として同じ立場だったらどうなるかということも含めて。

南野国務大臣 本当にこういう問題点につきましては大変苦慮しているところでございますが、改革の一端ということで、分散していく場合にはある程度皆さん御納得いただくんですが、統合するということにつきましては大変厳しい我々の作業かなというふうにも思っております。

 登記所の統廃合が問題でございますが、行政改革の一環として行われている、また全体としての行政の効率化、また行政サービスの維持向上を目指している、これはもう当然御理解をいただいていると思うんですが、その場所についてという課題があろうかと思います。実際に登記所を統合しようとする際には、従来から地元の方々に、統合の趣旨、目的、また行政サービスの内容について十分地元の方等に御説明申し上げていると思うんですけれども、それが不足してあるということであれば、それはまた充実していかなければならないというふうに思っておりますが、登記所の統廃合が予算執行上または人員配置上の効率化を目指すもので、全体としての行政サービスを維持するという趣旨につきましてはこれまでも基本的に御理解を得て進めてきているというふうにも思っております。

 法務省といたしましては、これらの点につきまして関係の方々の御理解を得るように努めてまいりますが、最終的には、先生も御存じのように、諸般の事情を考慮させていただきまして、法務省側において決定させていただきたい、そのように願っているところでございます。

滝副大臣 今委員長から指名されましたので、あえて御答弁させていただきたいと思います。

 私の地元も軒並み全部出張所が統合されてまいりまして、自分のところにありました出張所は皆無になろう、こういうことでございます。私は大変に残念なのでございますけれども、ただ、委員が御指摘されておりますように、やはりこれは地元が法務局行政に今まで全く参加していないわけではない、無縁ではない、そういうような中で統廃合が行われているわけでございますので、私は、この民事局当局には、地元によく説明をし、地元の納得をしてもらうようなことをやってもらった方がいい、そして、この統合の一番の決め手は要するにコンピューター化でございますから、コンピューター化の実際の実務を見ていただくのが一番いいんじゃないだろうかな、こういうことを申しておりまして、さようなことで伊東市と熱海市の問題は件数が逆転するという全国にも例のない話でございますから、余計私はやはり地元として腑に落ちない点があるんだろうと思います。

 したがって、そこのところはなぜそうなるのか、将来の問題も含めてよく理解してもらう、そういう話し合いが一番大切だと思っておりますので、さようなことで進めさせていただいたらどうかなと思っております。

渡辺(周)分科員 時間がございません。政務官も。うなずいていらっしゃったので。

富田大臣政務官 今副大臣の方から例がないと言われましたけれども、同じように小が大をのむような例は当局の説明ではあるそうですので、私の地元の八千代も何か対象になっているということで、先生と同じように、やはり地元からいろいろ要請等があるときには、政治家としては本当に悩み多いところですけれども、行政効率のためにやむを得ないのかなというふうに感じております。

渡辺(周)分科員 時間もなくなりましたので、最後に申し上げたいと思いますが、まず、今までもさまざまな司法書士会の方々も含めまして、あるいは土地家屋調査士ですとかいろんな方々が地元の法務行政に協力されてきたんですね。当然行政も協力をしてきた。ここまで、今日までいろんな形で協力をしてきたにもかかわらず、地元に説明のないままある日突然何かばさっと統合の申し出があって、それで何かもう理解してくれなんという話になっているわけでございます。しかも、適正配置の基準を見たら該当していないじゃないか、それは確かに交通事情でいえば三十分で行けるとかなんとかという話だけれども、でも実際事件を取り扱った事件件数からいったら、実は未満じゃない、クリアしているにもかかわらず何で大がなくなるんだというようなことで、これは地元だからこそ理不尽な思いをしているわけでございます。

 ぜひこの点につきましては、地元の納得がいくまでは、とにかく今回のことはちょっと先延ばしをしていただいて、とにかく地元のまず理解を得るということを最優先に考えて将来の御決断をいただきますように、最後にお願いを申し上げまして、時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山名主査 これにて渡辺周君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲見哲男君。

稲見分科員 民主党・無所属クラブの稲見哲男でございます。きょうは、中国残留孤児の問題と難民の問題で御質問をさせていただきます。

 この問題につきましては、昨年の三月の二日に、予算委員会の分科会で私が、そして、ことし二月の二十五日に、同じく予算委員会の分科会で同僚の藤田一枝代議士が御質問をしております。特に藤田一枝議員は、熊本県在住の井上鶴嗣さんの二家族七人の裁判にかかわって南野大臣に質問をいたしました。その後、三月七日の福岡高裁の判決を受けて、南野法務大臣は上告を断念された、こういうことでございまして、改めて二月二十五日の議事録などを読ませていただきますと、大臣の決断を率直に評価したい、こういうふうに考えております。

 私は、この問題は、難民認定やその他の在留資格の審査と違って、戦後処理の大きな課題の一つだ、こういうふうに考えております。今回の判決を契機に、継子、養子問題について最終的な決着を図るべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 中国残留邦人の継子、養子に関する事案について、これは一般論として申し上げるわけでございますが、中国残留邦人の方々が中国に残留されることとなった歴史的経緯や事情など、これは福岡高裁判決の指摘する趣旨を踏まえまして、実子同然に育ったか否かなどの家族としての実態等、個別の事情も十分考慮しながら、今後とも適切に取り扱ってまいりたいと思います。

稲見分科員 今、大臣の方からも、判決の趣旨を踏まえて、こういうふうなことでございました。少し引用をしたいと思います。

 日本国自身の過去の施策にその遠因があることが留意されなければならない。当時の国策だった開拓民大量入植計画、日本の引き揚げ政策が奏功しなかったこと、終戦後三十六年でようやく中国残留孤児の集団訪日調査が行われ、九四年に至って円滑な帰国促進などを目的にした帰国者支援法が公布された。このような救済措置は、結果的に何とも遅きに失した感を否めない。外国人の連れ子を未成年者に限定をしている。中国残留邦人の場合、実子同然に育った者も、引き揚げ措置のおくれによって在留資格を取得できない不合理が生じ、支援法の趣旨が没却するおそれがある。

 こういうふうに指摘をいたしております。

 この内容は、私が昨年の予算委員会で申し上げたことと全く同趣旨でございまして、家族としての実態を考慮すべき、こういうふうに考えますと、これは継子、養子の区別なく在留特別許可を与えるべきと考えますけれども、その点、どうでしょうか。

南野国務大臣 この事案に関しましては、私も中国からの引揚者でございます。その当時を思い起こすと、本当に中国の方々にお世話になったことがある人たちもたくさんおられるかな、そのようにも思うわけでありますけれども、中国残留邦人の養子や継子の方につきましては、在留特別許可の判断に当たりまして、家族としての実態、ここに重きを置くわけでございますが、その他事案ごとの個別事情を十分に踏まえた上で、さらに人道的配慮をして、適切に措置していきたいというふうに思っております。

稲見分科員 では、今、御答弁いただきましたことを前提に、具体的にお聞きをいたします。

 現在、裁判係争中あるいは裁判にまで至っていないけれども違反審査中の同様のケースは、どれだけあるのか。件数、家族数、人数、こういうことでお答えいただければと思います。

南野国務大臣 中国残留邦人の実子であるとして我が国に入国後、継子であることが判明したことにより退去強制命令が発付された家族がその取り消しを求めた訴訟は、現在、二件、二家族六名が係属しております。

 違反の審査中など退去強制手続を受けている者の中で、中国残留邦人の実子でないいわゆる継子や養子に係る人数については、現在、入管当局が調査中でございます。同様の事案につきましては、家族としての実態その他個別の事情を踏まえて、適切に措置してまいりたいと考えております。

稲見分科員 今、裁判中のものが二件だけというふうにおっしゃいましたが、これは継子ということでありましたけれども、養子で裁判中のものはなかったですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 養子で裁判中の案件はございません。

稲見分科員 違反審査中の部分が定かでない、こういうことなわけですが、これは、対応を大臣がおっしゃっているような形で変更するということであれば、各入管、各現場に周知をする必要もあるというふうに思いますし、後日でも結構ですから、まず、その違反審査中の事案、分母を明確にして、その上で、在留特別許可を与えているというふうな分子、これはすぐにはわからないでしょうけれども、分母、分子の問題については、後日でも結構ですから、御報告をいただきたいと思います。よろしいですか。

 それでは次に、現在、中国で五百五十人ほど残留孤児の方がおられる、こういうふうにお聞きをしております。それぞれの事情があるわけでありますけれども、継子、養子の家族がいるために帰国を断念あるいは逡巡しておられるという家族がないとも限らない、こういうふうに思います。

 昨年の答弁では、把握しておられないということでありましたけれども、これからの帰国あるいは呼び寄せについて、継子、養子についても、家族としての実態があればこれは認めますよ、こういうことを中国の側で、中国の方で周知徹底すべきだというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。これは厚生労働省ですか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、高齢となりました中国残留邦人の帰国の不安を取り除き、その円滑な帰国を促進する観点から、御指摘のように、継子、養子も含む子供等の家族が中国残留邦人の扶養や介助を行うなど、生活をともにすることを目的として本人に同行帰国される場合には、成年の子一世帯を帰国援護の対象としておるところでございます。現に、本人に同行して継子、養子世帯も帰国をされておるところでございます。

 今後とも、厚生労働省といたしましては、いわゆる自立支援法に基づきまして、永住帰国する際に継子、養子を含む親族が帰国援護の対象となり得ることにつきまして、現地におきましても周知徹底を行いまして、円滑な帰国の促進を図ってまいりたいと考えております。

稲見分科員 同じことを、大使館、総領事館、たくさんありますので、外務省、きょうは来ていただいておりますよね、外務省、いかがでしょうか。

小井沼政府参考人 法務省の行っております在留資格審査と大使館、在外公館の行っております査証の発給というのは、表裏一体をなしているものでございます。外務省といたしましても、中国残留邦人の継子、養子からの査証申請につきましては、法務省等の関係省庁と密接に連絡をとりつつ、適切に対処することといたしたいと存じます。

稲見分科員 よろしくお願いします。

 それで次に、残念ながら、裁判があって、そういう中で、例えば子供が勉強をしているので何とか留学生のビザだけいただけないか、そのかわり親としては帰ります、こういうふうなことで、退去強制令書あるいは自主的に帰国をされた方なんかも現実におられます。

 そういう意味では、こういうふうに法務省として人道的な対応をしていただくということになりますと、既に退去強制処分あるいは自分の意思で帰国した者について、再入国なり原状復帰を考えるべきだというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

南野国務大臣 お尋ねのような方が再び我が国に入国を希望する場合には、個々の事案ごとに、退去強制時の経緯のほか、入国を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸情勢その他諸般の事情等を総合的に考慮させていただきまして、上陸特別許可の可否について検討することとなります。

 なお、実子同然に本国で生活をしていた養子、継子の方につきましては、このような家族としての実態は、上陸特別許可の判断に当たって考慮すべき事情の一つであろうと思っております。

稲見分科員 ぜひ、今非常に不安定な形で生活をしておられる方につきましては、できるだけ早急に、今法務省の方でお答えいただいたような在留特別許可について御検討いただきたい、こういうふうに思っております。

 加えて、この問題を抜本的に解決することを考える場合、先ほど述べた判決理由を尊重しますと、制度的な保障、いわゆる定住者告示の改定が必要ではないか、こういうふうに考えております。先年申し上げましたが、インドシナ難民の場合には、国際的な責務ということもあり、養子、継子問題、これは外しております。

 そういう意味では、一般的にすべて定住者の告示のところで一般の分まで外すかどうかということは、これは議論がありましょうけれども、例えば、特別、中国残留日本人の帰国問題については継子、養子問題をもう外してしまうというふうなことで改正をしていくべきではないかというふうに思っておりますが、その点、法務大臣、いかがでしょうか。

南野国務大臣 中国残留邦人につきましては、一般の方の対応とは異なった温かい配慮が必要であるということは認識いたしておりますが、このような特別な御事情については、基本的には個々の事情に応じて適切に対応していくのが最もよいと認識いたしております。

 しかしながら、判決があったことを踏まえまして、取り扱いを明確にすべく、幼少時、具体的には六歳未満から実子と同様に育てられ、家族として生活をしてきた方については、その入国を一律に認めるための告示の改正も検討してまいりたいと考えております。

 なお、告示によりまして一律に認めることとならない方につきましても、個々に、実子と同様に育ったか否か、また育ったとすれば、その経緯や現在の家族状況、生活状況等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

稲見分科員 定住者告示の改正についても言及をいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、これは六歳というふうに切りますと、現実問題として、例えば、成年になって、年老いていく日本人残留孤児についてお世話をしながら、そういう中で生活をともにし、養子縁組をしたという方も、現実にこの問題なんかはあるわけですよね。ちょっと六歳で切るというのは、せっかくそこまで言っていただいて申しわけないんですが、もう少し、今の帰ってこられている方の実態なんかも見ていただいて検討をいただければというふうに思っております。

 その上で、今おっしゃいました個々のケースとしての在留特別許可については、人道的な立場、歴史性を含めて、これでもう決着をしていくんだという気持ちで、ぜひ法務省としての早急なお取り組み、御判断をいただきたい、このことを重ねてお願いをしておきたいと思います。

 残留孤児の点は非常に前向きの答弁をいただいたので、これで気持ちよくやめたらいいんですが、そうはいきませんので、難民認定の問題に入らせていただきます。

 UNHCRの駐日地域事務所首席法務官ナタリー・カーセンティさんと私もお話をさせていただきました。そして、カーセンティさんから、現在の日本政府の難民認定政策に対して三点を申し入れている、こういうふうなお話がございました。

 一つは、不認定でも強制送還せず、自主帰還を原則とすること、二つ目に、収容しないこと、三つ目に、国際的に保護の必要な人は存在をしており、不認定でも補完的保護の形態を人道的に検討すること、こういうふうに申し入れて、日本政府からはまだ御返答はいただいておらない、こういうふうなお話でございました。

 一方で、法務省は、マンデート難民にかかわりまして、「マンデート難民にかかる対応について」という方針といいますか、まとめをしておられます。口頭で恐縮ですが、三点、私の方から御紹介をいたします。

 一 UNHCRは、第三国定住先の斡旋を行う。

   法務省は、司法の判断において国側勝訴の判決のあった事案について、優先的に第三国定住先の斡旋を行うよう要請している。

 二 法務省は、UNHCRにマンデートした理由・根拠の説明を依頼し、同説明及び処分後の事情の変更の有無等を踏まえて、人道的配慮の可能な事案があれば、在留特別許可の可能性も検討する。

 三 法務省は、既にマンデートされている方については、UNHCRとの協議の状況等を踏まえ、個別の事情によっては、当分の間、収容しないこととしたうえで、解決を図る。

こういうふうな三点がお示しされております。

 したがいまして、まずこのマンデートの問題について、一について、国勝訴の確定判決、あるいは上級審における訴訟係属中は何件あるのか。また、訴訟中に不認定を取り消すか、あるいは退去強制を取り消したケースは何件あるのか。二について、在留特別許可の可能性を検討する件数は何件か。既に裁判中あるいは裁判確定後に在留特別許可を出したケースは何件あるのか。三について、マンデートされている方々のうち、仮放免されている方、収容されている方、それぞれ何人おられるのか、この点、まずお聞きをしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目でございますが、マンデート難民のうち、訴訟で確定判決があったもの等が何件あるか、こういう御質問でございますけれども、委員御指摘のようなケースは確かに存在するわけでございますけれども、個々のケースについての件数につきましては、実は現在、UNHCRといろいろ協議を重ねておりまして、しかるべく解決ができるようにということで今双方努力しておるところでございますが、その中の申し合わせで、件数については公表を当面見合わせるということになっておりますので、申しわけございませんが、この趣旨を御理解いただければと存じます。

 それから、二点目の、法務省が人道的配慮から在留を特別に許可した件数でございますが、これも、事案としては存在するわけでございますが、先ほど申し上げましたような同様の趣旨で、件数についてはここでお答えするのは御容赦願いたいというふうに思っております。

 三点目の、マンデートされた方で現在収容されている方がいるかということでございますが、全員が現在収容されていない状態でございます。最後に仮放免になったケースは、本年の三月十一日に仮放免になっております。

稲見分科員 UNHCRといろいろ協議中ということで数字が出せないということであれば仕方ないわけですが、であれば、特にこの一、第三国定住先のあっせんの部分と、二の在留特別許可、この方々については、三で言っている「個別の事情」であるとか「当分の間」であるとかという条件をつけずに、ぜひ仮放免を続けることを要請しておきたいというふうに思います。

 その上で、このマンデート難民というのは、やはり国際的な難民認定基準に熟知をした国連機関であるUNHCRが庇護の必要性を認めたケースでありまして、前回も申し上げましたが、他の条約締結国ではない特異なケースと言えます。この際、自主帰還あるいは自主的な第三国定住のケースを除いて、UNHCRが政府に申し入れている補完的保護の形態として在留特別許可を全員に与える、このことによって一たんマンデート難民の問題は決着をつけるべきではないか、こういうふうに思っております。

 一と二について、数は求めませんけれども、むしろこれは在留特別許可で決着をつける、当然自分で出ていくという方は別にして、そういうふうな姿勢を持っていただけるのかどうか、この点は法務大臣にお聞きをしたいと思います。

南野国務大臣 一般論といたしましては、退去強制手続は被退去強制者を収容した上で進めるべきことが法律上定められております。この原則に従いまして手続を進めることとなるわけであります。なお、人道的に配慮を要する場合には、仮放免を弾力的に運用いたしております。また、難民条約上の難民としては認められない者も、諸般の事情を考慮して、保護が必要であると認められます方につきましては、在留特別許可を認める措置をしているところでございます。

 お尋ねのマンデート難民につきましては、UNHCRと法務省が緊密な協力関係のもとに解決に向けた努力を行っているところでございまして、これらの方々についての解決策につきましては、UNHCRとの協議の状況等を踏まえまして、これまた人道上の観点に配慮した適切な運用に努めてまいりたいと思っております。

稲見分科員 法務大臣、一般的なということを前提にしておっしゃいましたけれども、私は、マンデート難民というのは日本の国益を非常に損なっている、こういうふうに前から申し上げています。日本が国際的に到達をしている難民認定基準に至っていないがゆえに、UNHCRが庇護の必要性のある人あるいは後発難民として迫害のおそれのある人をマンデートしてきたという経過があるわけですから、これから外務省、法務省、そしてUNHCR、三者で難民認定基準についていろいろすり合わせをして、ぜひ国際的な基準に私は到達していただきたい、こういうふうに思います。

 その間に残ってしまったマンデート難民については、むしろ、やはり国際的な基準に熟知したUNHCRがその必要があるというふうに認めた方ですから、しかも、全体として二十七人ぐらいというふうにお聞きをしております。そこを一たん決着をつける、つまり在留特別許可で決着をつけるということが、諸外国からのこの間のいろいろな批判に対して、少しは日本としての国益を守るといいますか回復するといいますか、そういうことになるのではないかというふうに思っております。

 この後でより厳しい一般の難民の問題を質問しますけれども、マンデート難民についてはぜひ在留特別許可という形で、それは、UNHCRが言っている内容からいきますと補助的な救済といいますか支援といいますか、そういう形で位置づけていただいてもいいのではないか、こういうふうに思います。今それ以上のお答えは無理だと思いますので、私としては、マンデート難民については、やはりここで決着をつけていくためには、在留特別許可という形で法務大臣の決断というものを強くお願いしたい、こういうことを申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、次に、先ほど申し上げましたけれども、マンデートされているといかんにかかわらず、日本における難民認定基準を国際的な基準に改善をしていく、こういうことが求められているというふうに考えております。そういう意味では、今「マンデート難民にかかる対応について」ということで少し法務省としての考え方が出されているわけですから、それとの整合性からいいますと、その他の難民認定にかかわっても人道的な配慮、見地というものが必要ではないか、こういうふうに考えております。

 その一点は、一審の判決で国勝訴が出ますと、仮放免が取り消されて収容され、そして強制退去の手続に入るというのが非常に多い、頻発をしているということであります。これまではそうでもありませんでした。つまり、裁判の確定、上級審の確定まで長くかかるから、退去強制令書が出ているけれども仮放免状態を継続するということがあったわけですが、この間でいいますと、クルド人のDさん、Hさん、これは横浜ですが、スリランカ人のPさん、いずれも一審判決本人敗訴の後収容されている、こういうふうなことになっております。

 これも国際的基準と違うんですが、庇護を必要とする者かどうかの結論というのが、日本の場合は、難民申請却下、異議申請却下というところで切れているわけです。諸外国の場合は、この行政処分が終わっても、その後司法の段階で、不認定の取り消し訴訟であるとか強制退去の令書の取り消し訴訟であるとかいうものが一審、二審というふうに続いていく、司法の処分が終わるまでを庇護の対象、庇護を希望する者、こういうふうに位置づけている。したがって、こういう、途中で収容というふうなことは行われていないわけです。

 そういう意味では、先ほど、UNHCRが収容しないことというふうに言ったことからも、この庇護を必要とする者かどうかの結論を、裁判でひっくり返ることもあり得るわけですから、司法処分の上級審における、あるいは一審でも本人が控訴しない場合はあり得ますが、裁判における確定というところをもって判断をしていく、こういうふうにしていただけないかなという感じがしております。

 技術的にはどうなるのかよくわかりませんが、そうしないと、例えば今、きょうも外務省に来ていただいていますが、難民認定、難民申請中、そして異議申請中であれば生活保障、支援をしていく、しかし、行政処分が済めば外務省としての生活支援もしない。一方で、仮放免を延長していても就労禁止をするというのでは、全く生活が成り立たないような状況になってきます。この仮放免の問題と生活の問題についても、司法処分が終わるまで、庇護を必要としている者かどうかという議論中だ、こういう判断をしていただければ、その矛盾が少しは解消するのではないかというふうに考えております。

 具体的には、例えば自首といいますか、みずからオーバーステイでもう母国に帰りますというふうに出頭された方については、退去強制処分の令書を発付して、その日のうちに仮放免をして、準備をして出国をする、こういうふうなこともされておるようです。そういう意味では、行政処分と司法処分の間にある溝といいますか、これを埋めるために法務省としてぜひ努力をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

南野国務大臣 先ほど、最初にお話しになられました、難民不認定処分を受けた方が処分の取り消しを求めて訴訟を提起したといたしましても、入管法上、そのことのみをもって退去強制手続を停止させるという規定はございません。退去強制手続は被退去強制者を収容した上で進めるべきであるということが、これは法律上定められております。特に、訴訟におきまして国側勝訴の判決がなされたような事案、これも先生すぐおわかりになると思いますが、そういう事案につきましては、この原則に従って手続を進めることとなります。

 ただし、人道的に配慮を要する場合には、仮放免を弾力的に運用しているものと承知いたしており、今後とも人道上の観点に配慮した適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

 さらに、お尋ねの就労の件でございますけれども、退去強制命令が発付された方については、そもそも我が国で継続的に生活をされるための就労は認められないものでございます。また、仮放免に際しましても、身元保証人による生活支援等が確実に行われることを前提にこれは認めているところでございますので、御了解いただきたいと思っております。

稲見分科員 外務省に来ていただいていますが、しかしながら、裁判で逆転をする可能性があるという場合を含めて、では、外務省として生活支援を判決確定まで続ける、こういうふうな変更は可能でしょうか。

小井沼政府参考人 その辺の生活保障の件につきましても、難民認定制度全般につきましては、法務省が第一義的にはやっているわけでございます。

 ただ、外務省も密接に協議をして進めておりますので、今後とも法務省と緊密に協議の上、検討してまいりたいと思います。

稲見分科員 時間が参りましたので終了しますが、やはり紋切り型で、いや、それは、就労はできません、当たり前ですということですが、実際に難民認定を求めてきておられる方ですから、やはり、裁判で決着がつき、本人も了解、納得をするというところまで生活支援を続けていただくか、あるいは就労のところ、わざわざ仮放免の裏側に、このごろとみに判こを押してまで就労するなというようなことを強調するようなことはぜひ配慮をいただけたらというふうに思います。

 それから、特に補完的保護の形態、これについては、裁判あるいは行政処分としての難民認定、不認定という結果があっても、ぜひ幅広く、諸外国が、日本はようこそと言える国になった、外国人の方にようこそと言える国になったというふうな形で評価をされるように、今後ともぜひ努力をお願いしたいと思います。

 このごろ、一週間に二遍も東京入管に仮放免をもう一回してくれというお願いに行っているんです。ぜひ、一審は敗訴したけれども控訴して、既にまた長期の裁判になるということが明確になっているようなケースは、できるだけ早く仮放免をお願いして、御質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて稲見哲男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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