衆議院

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第2号 平成17年4月26日(火曜日)

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平成十七年四月二十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 山名 靖英君

      遠藤 武彦君    城内  実君

      後藤 茂之君    谷川 弥一君

      福井  照君    山本  拓君

      荒井  聰君    泉  健太君

      岡島 一正君    城島 正光君

      末松 義規君    橋本 清仁君

      村井 宗明君    山内おさむ君

   兼務 石田 真敏君 兼務 中村 哲治君

   兼務 東  順治君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 加地 隆治君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小井沼紀芳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        近藤 誠一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           高橋 直人君

   政府参考人

   (林野庁次長)      黒木 幾雄君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  竹谷 廣之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           梶原 景博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           金澤  悟君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 山本 隆幸君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         松野  仁君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         岡田 隆臣君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  山本  拓君     城内  実君

  岡島 一正君     泉  健太君

  末松 義規君     村井 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     山本  拓君

  泉  健太君     荒井  聰君

  村井 宗明君     城島 正光君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     山内おさむ君

  城島 正光君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  山内おさむ君     岡島 一正君

同日

 第一分科員東順治君、第二分科員石田真敏君及び中村哲治君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十五年度政府関係機関決算書

 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (国土交通省所管及び住宅金融公庫)


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     ――――◇―――――

山名主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成十五年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 昨日に引き続き国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川分科員 長崎三区、自由民主党の谷川弥一です。

 質問に入ります前に、きのうの列車事故でお亡くなりになりました方々に深く御冥福をお祈りしますと同時に、おけがをなさっている方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 きょうは、離島振興法についてでありますが、離島振興法というものはどうしてできたのか、その結果、どういうことがうまくいって、どういうことがうまくいかずに残っているか、それについて、役所の考え方がどうも実態に即していないという部分についていろいろお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、日経新聞のきのうの記事ですが、京都大学教授吉田和男さん、「日本のかつての国家目標であった高度経済成長が達成された後、福祉国家建設が求められた。そして、医療、年金、介護など福祉制度が充実された。さらに、日本の特徴として、高度経済成長によって生じた職業や地域の格差是正を目指した制度が設けられた。」ということです。

 その一つに実は離島振興法があるわけでして、その目的は、まず改正前、「この法律は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担つている離島について、産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある状況を改善するとともに、離島の地理的及び自然的特性を生かした振興を図るため、地域における創意工夫を生かしつつ、その基礎条件の改善及び産業振興等に関する対策を樹立し、」云々、こう書いてある。

 本当によくやっていただいたと思っております。感謝もしております。ただ、ここに一つの数字があるんですが、ぜひこれを頭に入れて考えてみてください。私の郷里の五島列島で、五島市、昭和三十五年、対平成十五年、人口八万七千二百三十二人に対して四万七千五百八十人、十五歳以下の若年労働者、三万六千三百三十九人、総人口対比四一・七%に対して、平成十五年、六千六百十八人、総人口に対して一三・九%、高齢化率七・一%が二八・七%、就労者人口三万六千二百九十二人に対して一万九千四百七十六人。

 これを見て、本当に法の趣旨どおりうまくいっているのかどうか。まずこれを頭に入れていただいて、離島振興法のもとでさまざまな努力をしたにもかかわらず、結果として離島地域から若年労働者が流出し、雇用の場が失われている、この原因はどこにあると思っていらっしゃるのか。そのことからお聞きをしたいと思っております。

梶原政府参考人 離島の振興につきましては、これまで離島振興法に基づきまして、漁港、港湾、空港、道路などの施設整備を中心に取り組んでまいりました。生活環境や産業基盤などの整備につきましては、まだ十分ではございませんけれども、補助率のかさ上げなどによりまして一定の成果を上げてきたところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、島によって多少違いはありますけれども、総じて人口の減少、また、就業者の減少が見られるところでございます。離島地域全体といたしましても、昭和三十五年、九十二万人の人口がおったところが、十二年には四十七万人と大きく減少しているところでございます。直近の国勢調査によります平成七年と平成十二年を比べてみますと、離島地域の人口、同時期に七・二%減少する中で、就業者は九・〇%の減少となっております。この減少率は、全国の同時期の減少率である一・八%減と比較しても大幅な減少ということでございます。

 産業別にその特徴を見てみますと、農業では、全国が一六・八%減であるのに対して、離島地域では二二・七%減ということでございます。また製造業は、全国が九・八%減にとどまっているにもかかわらず、一九・四%減と大幅に減少をしているところでございます。この間、サービス業につきましては、わずかながら増加をしているということでございます。

 このような状況のもとで、若年労働者が離島地域から流出をいたしておりますが、いろいろな要因があると思いますけれども、本土と離れているなどの地理的な不利な条件の中で、産業構造の変化などが進み、その一方で、魅力ある雇用の場の開発がなかなか進んでこなかったことなどが主な原因と考えられます。

谷川分科員 新聞記事ばかり引用して申しわけないんですが、もう一つ。

 これは、ゼミナールという記事が日経にありまして、日本経済入門の、三菱総研が書いた記事なんですが、「失業問題は家計にとって大きな不安要因だ。それだけに雇用政策は国民生活に直結する重要な分野である。 雇用政策は、職業訓練や雇用創出などで失業者を減らす「積極型政策」と失業者の所得を保障する「消極型政策」に分かれる。日本では積極型が重要な役割を担ってきたが、その内容は独特だった。 柱の一つは、業績が悪化した業種に属する企業に賃金を助成する雇用調整助成金。もう一つは、公共投資による建設業を中心とした雇用創出だ。公共事業が結果的に雇用政策の役割を果たして」いるのである、これがまた経済構造を硬直化させてしまったことにもつながっている、こう書いているんです。そして、今ここの見直しが盛んになされているんですね。

 ところが、その雇用が、離島だけじゃなくて、田舎に行けば行くほど公共事業が雇用の中核になっているということをわかっていながら、何の変わった手当てもなしに、ばさばさばさばさ切っているんですね。ということは、雇用というものがいかに大事であるかということが役所はよくわかっていない。そうだと思うんですよ。

 なぜならば、前回の答弁、私の質問に対する離島関係者の答弁、こんなのんきなことを言っているんですよ。私が言ったことに対して、今、なぜ一律に首を絞めるのかというような点でございますが、政府全体の政策はございますが、離島については、公共事業費の補助率のかさ上げとか税制上とかいろいろな、できる限りの支援をしているんだ、こう言っている。それから、云々かんぬん、困った事情はようわかる、しかし、観光の問題とか、幾つか、地域は少ないが成功したところもあるんだ、農林水産業で雇用がふえているんだ、こう言っているんです。それで、屋久島の例を出して、ここでは二二%ふえたよ、こう言っているんです。

 何を考えているのかと僕は言っているんですよ。屋久島というのは、世界遺産で登録されているんですよ。ということは、特殊な島なんですよ。あの小さな島に千九百メーターという山があって、下から上までずっといろいろな自然がある。行ってみてください。三千年級の杉がある特殊な地域なんですよ。特殊な地域を求めて観光客は行っているんです。今、観光客がふえているのは沖縄であり、北海道なんです。九州じゃありません。私の長崎じゃありません。なぜならば、自分が住んでいる地域と明らかに違った環境の地を求めて行っているんですから。

 だから、そういう例を引いて、五島も壱岐も対馬も観光で頑張れやという答弁をするぐらいだったら、いかにこのことがわかっていないかということなんです。

 冒頭言ったように、失業問題が家計にとって非常に大事なことなんだということを頭に入れながら、離島地域で雇用の場を創出するためにどういうお考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

中野大臣政務官 谷川委員は、いつもながら、離島の生活を守るその原点でいろいろな御発言、御提案もいただいてまいりました。その情熱のほとばしりは、私たちもしっかり受けとめさせていただいておるつもりではございます。

 ただいま、離島地域における雇用の場を創出するための政府の考え方いかん、まだまだ生ぬるいという御指摘でもございます。本当に先生がおっしゃられるように、離島地域の雇用情勢が大変厳しいものだということは、私たちも十二分に認識をいたしておるところであります。

 第一問のときに先生からお話しされましたように、平成十五年四月に改正された離島振興法において、我が国の領域、排他的経済水域の保全等の国家的役割を持つ離島について、産業基盤及び生活環境の整備を進めるとともに、地域における創意工夫を生かしつつ、離島の自立的発展を促進し、島民の生活の安定及び福祉の向上を図っていく旨が規定されておりますことは、御指摘のとおりであります。この離島振興法の理念にのっとって、今後とも、政府として全力を上げて離島地域の振興と雇用の場の確保、これに取り組んでまいる所存でございます。

 長崎県は、私たち東北人からいたしますと、もともと文明開化の地であり、また、その志の人間だと承知をいたしております。地域には、長崎大学を初めとしてすばらしい頭脳研究グループ集団があるわけでございます。

 例えば、バイオということに限って申し上げますと、そういったすばらしい頭脳研究集団で生み出された成果を、あるいは研究所なり工場を、そういった離島で生産、製品化してよその地域に送るという、例えばそういった産業の振興ができないものか。花、花卉栽培など、今、いろいろな地域的な取り組み、とりわけ暖かい地域でそういった取り組みがされておりますケースなどもありますから、長崎県中心ということになるのかもしれませんけれども、私たち国土交通省も肝いりで、全省庁を挙げて、そういったアイデア、発想、具体の実践がありましたら、私たちはお手伝いをさせていただきたい。それが結果的に地域の雇用確保の一助にでもなれば大変幸いだという思いで頑張ってまいりたいと思います。御指摘はしっかり受けとめさせていただきます。

谷川分科員 離島に限らず、雇用問題は先進国が抱えた大問題の一つですね。例えば、旧東ドイツは二〇パーを超している。特に、日本の場合だって、全国的に若年労働者は九・八ぐらいの失業である。そういうことで、非常に難しい問題であることはよく承知しております。その理由は、人間の仕事をパソコンにとられた、もしくは冷戦構造が崩壊した後のグローバル化によって、いわば中進国、後進国にとられたという部分があります。

 それで、根本的解決には、私は、今の職業以外に新しい職場を、全く根本的に考え方を変えて開発する以外に解決しないと思っております。新しい職場とは、実は心を耕す仕事でありまして、例えば宗教の研究であり、日本の伝統、文化、芸術のいわば研究というか調査であり、そういうことだと思うんです。

 例えばこんなのがありますよね。「見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」「花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや」とかあるんです。どういうことかというと、心を耕す仕事なんですよ。要するに、花を求めて、もみじを求めて行くんじゃなくて、何もないよ、その浦の荒れ果てた漁師小屋のこの秋の風景の中のそれを見て、わあ、いいなというこの豊かな心、こういう実験道場を、全国展開が無理ならば私のところの五島でやりましょうよ。これは民間ではなかなかなじまない、NPOでもなじまない。そういうので役所が一つそういう仕掛けをつくっていこうよ、僕はこう言っているんです。これは、世界に日本人が先進国の一員としてやってみせる価値のある仕事だよと。

 よく考えてみたら、明治政府が、富国強兵、殖産興業、もう一つあったでしょう。それは忘れております、目標だけで。それは文芸復興でありまして、その明治政府がやり残した文芸復興を、今ここで離島を実験道場にしながらやって、それで世界に日本人の心意気を示そうよ、僕はこう言っているんです。まさにこれこそ方針なんですよ。でかいですよ、目標が。

 そういうことに関して、何とか担当者のコメントがあれば僕はありがたいと思っておるんですよ。わかってくださいよ。目線を大きくする、世界じゅうを見渡す、歴史の流れを見る、そしてたくましい、本当に二十一世紀に、日本の心意気、これを世界に向かって発信するんだと。どうですか、その実験道場を私の壱岐、対馬、五島に三つつくってもらうことはできませんか。

梶原政府参考人 先生御指摘のとおり、離島地域の雇用の場の確保は大変大切なことであると私どもも認識をしているところでございます。

 その際に、離島が有する豊かな自然環境とか固有の文化、伝統、こういうものを生かしながら、交流人口を増加させたり、あるいは現在も就労者のウエートが高い第一次産業、これを核とした地域経済の振興を図ることが重要であるというふうにも思っておるところでございます。

 私どもといたしましても、引き続いて産業基盤とか生活環境の整備を着実に進める一方で、先生がおっしゃったような、離島地域の創意工夫を生かした主体的な取り組みを支援するソフト政策、こういうものも強力に推進をしていきたいと思っているところでございます。

 私どもの施策の主なものとしては、離島地域における交流人口を増加させるための、交流施設の整備とその活用プログラムの作成を内容とする離島体験滞在交流促進事業などもございますし、あるいは、本年度新たに創設されました、漁村の多面的機能に着目し、離島の漁業集落に対して直接支払いを行う離島漁業再生支援交付金、この制度化については先生に大変御尽力いただいたところでございますけれども、こういうような支援措置なども用意をしているところでございます。

 交流促進事業などの取り組みにつきましては、一つ一つは大変地道なものではございますけれども、地域みずからの創意工夫によるものでございまして、こうした自主的、自立的な取り組みを国としても支援することによりまして、地域住民の雇用と活動の場が広がり、また、他の地域の取り組みのよい先進事例となることを期待しているところでございます。

 ただいま先生から、雇用の場を創出する施策につきまして、幾つかの貴重なヒントもいただいたところでございます。文化や教育といった人の心に訴える取り組み、これを進めることは大事な視点であると存じておりますので、各省とも連携をとって、また地元ともよく相談をしながら、さらに勉強してまいりたいと存じております。

谷川分科員 時間がなくなったので、あと二つお聞きしたいのですが、二つのうち一つが抜けたら困るので、一遍に質問します。

 一つは、ライブドアが、三十二歳でしょう。まあいいでしょう、新しい時代でしょうから。ネクタイもしないで堂々と日本の代表的企業と交渉してやり合って、何はともあれ、いい悪いは言いませんよ、四百何十億金を生んでいるんだよ。それも法律によってです。法律のすき間を縫ったと言う人もいますが。

 しかし、片や法律によって、四百四十億じゃありませんよ、一億の仕事をして利益が五百万か七百万しかない。これが公共事業の実態ですよ。我が長崎県は、諸般の事情によって二千三百億の工事費が千百億になりました。その結果として物すごいたたき合いになって、粗利益が出てもそのくらい。まして、今赤字が多いですよ。死人が出ているんです、首をくくって。

 提案ですが、離島だけ、国境の島だけでもいいです。暫定的に、こういう事情が解決するまで当分の間、話し合っても談合だと言うな、法を変えてください、運用を弾力化してください。だって、法によって四百四十億もうかる者もおるんだよ、兄ちゃんが。何も汗もかいていないよ。ただ、あの会社は価値がありそうだよと見つけて、アメリカの会社と話をつけて金を稼いできている。それだけの話なんだ、努力は。片や、親の代から汗水垂らして一生懸命真っ黒になって働いて、一億に対して五百万しかもうからないで、おまけに首をくくっている。手錠がかかってくるんだよ、下手したら。何とかしましょうよ。

 もう一つは林野ですが、五島が一番苦しんでいるのはこの数字なんですよ。第一次産業は、昭和三十五年に六五・三%でありました。二万三千七百人です。それが平成十五年には二千九百十三人、一次産業の比率は一五%になっているんです。

 その最大の理由は山なんです。山元価格が、昭和三十年、五十年前だよ、去年と同じ値段だよ。何かほかにありますか。五十年前と同じ値段というのが何かありますか。そういうことが自由化による結果だとするならば、まさに政治の、行政の怠慢じゃないか。

 この二点について僕はお聞きしたいんですが、一点はもう質問しましたから、二点についてはまとめて質問します。

 まず、このままで、林野庁の施策にかかわらずこうなっているけれども、どう思うか、見解。二番目は、これを普及させるために、内地材のよさというのが、消費者が離れるということはそれを買う意味がわからなくなっているんだから、ここはこうだよというPRをするつもりはないかということ。

 とにかく税源がないんだよ、大臣。もうこれが相場だと腹をくくってしまうならば、山はこれだけの値打ちしかないと腹をくくるならば、政府側で何らかの財源をつくって、環境税、どんどん国の力でもって手当てしないなら、山は日本じゅう大荒れですよ。

 変な質問になりましたけれども、以上、よろしくお願いします。

丸山政府参考人 先生からお尋ねのありました前段の、離島に限ってでも調整措置といいますか、高い不当な利益を上げないのであれば、建設業について受注を調整するようなことも考えるべきではないか、こういうお話でございます。

 離島に限らず、中小、中堅の建設業が非常に苦しいというのは、私どももよく承知しておるところでございます。そこはもう、先生と認識は全く同じでございます。

 基本的には、先生も御指摘になっておりましたが、長崎県で二千三百から千百に公共工事が大幅に減少しているということで、事業者の数が多過ぎる、供給過剰になっているという状況で、利益率が大幅に低下しているということであります。倒産で見ましても、全産業の三分の一は建設業が占めているというような非常に厳しい状況であります。

 そういう中で私どもは何をすべきかということでございまして、三つあると思います。一つは、ダンピングをいかに防止していくかということが一つでございます。二つ目は、中小企業の受注機会をいかに確保していくかということでございます。三つ目は、入札契約制度をいかに合理化して、価格だけでない入札契約制度をつくっていくか、こういうことでございます。

 まず、ダンピングでございますが、ダンピングということになりますと、安かろう悪かろうということにどうしてもつながりまして、それが下請へしわ寄せがいく、労働条件も悪化していく、それから安全対策がないがしろにされるということで、ひいては建設業自体に悪い影響を与えるということでございます。

 まず、ダンピングを排除するための対策でございますが、具体的に三つ申し上げたいと思います。

 一つは、低入札価格調査対象工事というものがございます。私ども、ダンピングの疑いのある工事は低入札価格調査対象工事ということで調査をしております。そこの中で、過去の工事で品質に問題があった会社が受注した場合には、受注者に技術者の増員を求めるということとしております。二つ目は、そういう場合には、履行保証というのは通常一割でございますが、これを三割に引き上げる。それから、前払い金は通常四割でございますが、これを二割に引き下げるというようなことで、ダンピング受注を排除するための対策をとっておるところでございます。

 二つ目は、中小企業の受注の確保ということで、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づきまして、中小建設業の受注機会の確保を図っているところでございます。

 それから、入札契約制度の改革でございますが、ダンピングを防止して建設業の健全な発展を図るという観点からいいますと、価格だけではなくて、品質ですとか技術、そういうものを適切な評価をした上で入札契約が行われるべきだという考え方でございまして、そういう観点から入札契約制度の改革に取り組んでおるところでございます。そのことによりまして、技術と経営にすぐれました企業が生き残ることができるような競争環境をつくっていきたいというふうに考えております。

 今申し上げました三つの観点から、離島も含めまして、中小、中堅の建設業が生きていけるような環境整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 先生から木材価格のお話がございました。山元立木価格ですが、確かに、昭和三十年のときの価格と十五年の価格がほとんど同じという状況でございまして、私どももそこは承知しております。

 林業が大変厳しい状況にある要因として、特に近年の価格の低迷がずっと続いている、このようなこともありましょうし、またそれは、過去をさかのぼりますと、木材輸入が自由化されて、円高のときもあったんですけれども、外材の輸入がどんどん増加してきた、こういう経緯もございます。

 そのほかにも、やはり日本の森林の所有の構造が非常に零細で、生産性を上げようとしてもなかなか難しい面があるというようなこともありますし、また、木材に対する需要者のニーズがいろいろ変化してきております。そういう変化に対して国産材の供給が十分に対応できていないのではなかったか、こういうような反省もあります。

 いずれにしましても、いろいろな要因がありますが、私どもとしては、その要因を分析しながらいろいろな取り組みをしていく必要があるだろう、こういうふうに考えているところでございます。

 森林・林業関係も、昭和十三年に森林・林業基本法になりました。森林・林業基本計画というのもつくったわけでございますので、それに基づきまして、川上から川下まで果敢な取り組みを総合的にやっていこう、こういうことで現在進めておるわけでございまして、これからも一生懸命やりたいと思っております。

 特に、先生からお話がありました、国民、消費者に対する普及啓発でございます。これも最近は力を入れております。間伐などの森林整備とあわせて、生産された木材が利用される、これは絶対必要でございまして、これがなければ循環する構図はつくれないわけですから、そこは本当に力を入れたいと思っております。私どもも、木のよさだとか、国産材を利用したらどういう意義があるかとか、そういうことを消費者に普及啓発をやっております。公共施設とか公共工事でも使うようにしております。

 十七年度からは、さらに、NGOとも連携したりしますし、国土交通省とも連携して、林業・木材産業と住宅産業の関係者が一体となって地域材を利用した住宅のPRをやろう、こういうような取り組みも始めようとしております。いろいろな取り組みをこれからも精いっぱいやっていきたい、こういうふうに思っております。

 ただ、先生が最後におっしゃいましたように、これで日本の山の森林が十分守れるか、ちゃんと整備できるか、こういうことになりますと、私ども、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策ということで、六%のうち三・九%を森林の吸収で賄うということになっているわけですが、これは率直に言って、今のままでは難しいです。これは難しいです。このためにはやはり、一般財源はもとよりでございますが、環境税などの安定的な財源がぜひとも必要だというふうに思って、私ども頑張っていきたいと思っております。ぜひ、先生の御支援もよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

谷川分科員 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて谷川弥一君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田真敏君。

石田(真)分科員 自由民主党の石田真敏と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、三点について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目ですけれども、私の地元和歌山県で紀伊丹生川ダムというダムの建設計画がございまして、その中止に伴う問題について質問をさせていただきたいと思います。

 この紀伊丹生川ダム建設計画というのは、実は、昭和五十四年の予備調査に始まるわけでございます。平成元年からは実施計画調査が継続して実施されてまいりまして、地元はそれに伴うさまざまな問題について協力もし、あるいは期待もし、やってきたわけですけれども、実は、平成十四年八月に国土交通省の方で中止を決定したということでございまして、予備調査からいいますと二十年を超えてさまざまな問題、地元を巻き込んでいろいろなことを議論してきたという事業でございますが、国交省の方の中止決定ということになったわけでございます。

 その後、この問題をどう後処理するかということで、近畿地方整備局が事務局になりまして、そして和歌山県、それから地元の関係市町が参加いたしまして、旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会というものを平成十四年の九月に設置をいただきまして、協議を進めているというふうになっております。

 そして私は、この問題、ちょうど当選してすぐのことであったわけですけれども、この問題で平成十五年二月の予算委員会の分科会で質問をさせていただきました。そして平成十五年五月のこの決算行政監視委員会の分科会で、二度にわたって質問をさせていただいてまいりました。そして、その質問の趣旨といいますか、それは二回とも変わっておりません。三点ございます。

 まず一点目は、やはり二十数年にわたって関係市町村が積極的にこの事業推進のために協力をしてきた、そのことにおいてさまざまな行政需要費というものを使ってきた、この問題についてどういうふうにすべきか、補償すべきでないかというのが一点目でございました。

 それから二点目は、ダムを進めるに当たっては、関係市町が地元住民に対しまして地域振興計画、これを提示してきて、夢あるバラ色の計画を示してきたわけでございます。しかし、国の方の一方的な決定でダムが中止になったからといって、その地域振興計画が御破算になりました、そうはいかないんじゃないか、国としてどう対応するのかという質問もさせていただきました。

 そしてまた三点目は、これは一番切実な問題ですけれども、水没予定地域の方々ですね。そこに生活されておられる方々、この方々に対して事業者としてどう対応していくのかという問題でございます。

 私も現地に行かせていただきましたけれども、もう水没するということになりますと、家屋に手を入れるようなことを、これは普通に考えてもしない。そして、ダムになるぐらいの田舎ですけれども、田畑あるいは山林、そういうものにもやはり一切手を入れない。当面のことだけでいいということになってくるわけでありまして、そういうようなことになってきている。

 それと、水没するということになると、子供さんもそこに一緒に生活しようということにはならないわけで、当然子供さんはほかの地域へ出て生活をしておられる、そういうことがあります。

 そして、もう一つの問題は、そこでもう二十数年ですから、その当時働き盛りであった四十歳、五十歳あるいは六十代、そのぐらいの方が、二十数年たったらもう七十歳、八十歳ですよ。その人たちが、ダムが中止になりましたと言われて、ではこれからどうしていけばいいのかという切実な問題もあるということで、私は質問をさせていただきました。

 そして、そういうことを私も思って、今後この経過についてお聞きしないといけないなと思ったら、実は平成十七年三月付で、新潟県の南魚沼郡の清津川ダムですか、そこの対策協議会というところから文書が送られてきました。それは、「清津川ダムの中止決定後二年半以上を経過した今でも、水没予定関係者の苦しみは変わりません。 それは、大型公共事業が途中で中止になることがこれまで無かったため、中止になった場合の補償について、まったく議論されてこなかったからです。」云々と書いているんです。

 ああ、ほかの地域でもあるんだなということを私は思いまして、まず、とりあえず最初に、全国で建設中止になったダム建設予定地はどのぐらいあって、概略で結構ですけれども、各地で中止後の対応は一体どうなっているのか、解決のつかない問題はどういうことがあるのか、御答弁いただきたいと思います。

清治政府参考人 今お話がございましたダムの中止の関係でございますが、国土交通省の関係のダムにつきましては、平成十年度、これは建設省の時代でございますが、そのころから導入いたしました所管の公共事業を対象といたしまして再評価するシステムに基づきまして、第三者機関でございます事業評価監視委員会での審議等を経まして、事業の見直しを進めてきているところでございます。平成十六年度末までに九十九のダム事業を中止しているところでございます。

 これらのダムにつきましては、ダムごとの事情がいろいろ異なるということがございますし、また、中止された段階の進捗状況も異なるわけでございます。また、地元に対する影響というものもそれぞれ違うわけでございまして、それらを勘案いたしまして、地元自治体等と十分連携しながら個別に対応しているところでございます。

 なお、事業の中止後の、事業の目的としておりました例えば洪水調節等につきましても今後の対応が必要になりますので、そのような検討も引き続きやっているわけでございますが、各ダムごとに解決していかなければならない課題というものはそれぞれ違って、たくさん抱えておりますので、現在、誠心誠意これらに当たっているところでございます。

石田(真)分科員 お聞きしますと、九十九ダムが中止になって、それについて今、恐らくすべてのダム問題について協議が進んでいるということだというふうに思います。そのくらい、やはりダムの建設は二十数年かかりますから、地域に与える影響は大きいというふうに私は思うわけで、ぜひ、全国的な問題について、本当に親身になって、自分がその地域に本当に生活していたらそういうことでいいのかというぐらいのつもりで対応していただきたいと思います。

 ここで、前から質問をさせていただいておりました私の地元の旧紀伊丹生川ダムの問題について、地域振興協議会で今日までどういう協議状況になっているのか、そのあたりについて御報告をいただきたいと思います。

清治政府参考人 紀伊丹生川ダムにつきましては、先ほどから委員のお話にございますように、平成元年に実施計画調査に着手しましたが、その後事情がいろいろ変わってきたということがありまして、事業評価監視委員会の議を経まして、十四年八月に実施計画調査を中止するということに決したわけでございます。

 その後、今お話がございました旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会というものを平成十四年九月に設置いたしまして、その後、協議会を一回、幹事会を六回開催しておりまして、地域振興対策に関する検討、協議を進めてきているわけでありますが、具体に実施できるものにつきましては順次実施に移してきているところであります。国道三百七十一号でありますとかそれから県道の宿九度山線、町道の筒香線、それから宿青少年旅行村、こういうものにつきまして、現在、地域の振興につながる対策としてその後の事業を進めているところでございます。

石田(真)分科員 もう少し詳しく教えてください。

 というのは、私は三点の質問をしているということを申し上げました。一点目は行政需用費、私の方から申し上げますと、これについては協議会の場を通じて問題が解決したということを私は承知しておりますから、これは結構です。次の地域振興計画、これについては今お話がございましたけれども、私はお話のように簡単にはいっていないような感じがしますので、もう少し詳しくお聞かせをいただきたい。そして、三点目の水没予定地域の皆さんの対応についても詳しくお聞かせをいただきたいと思います。

清治政府参考人 三点のお話で、行政需要につきましては昨年の四月に解決いたしまして、関係の市と町に対しまして対応を終わったところでございます。

 それから、二点目の地域振興策でございますが、これらにつきましてはこれからもいろいろ話を進めていかなければならないと思っておりますが、具体的には、先ほど申し上げました道路の拡幅でありますとか、それから旅行村の設計、こういうことを進めているわけであります。道路の拡幅等につきましては、道路の補助事業あるいは交付金、こういうもので対応しているわけでありますが、事業主体がそれぞれ異なりますので、各事業主体ができる事業につきまして、それぞれの立場で努力しているという状況にございます。

 これらにつきましてはダムを進めていく場合にも同じでございまして、ダム事業主体がひとり対応するということでうまく進むものではございませんので、この点につきましても地方自治体、県、市町村等の協力を得ながら進めているわけでありまして、結果として総合的な取り組みでもって対応しているという状況にございます。ダムが中止になった後の対応もそのような対応が必要だということで、自治体とかそれから協議の場では地元の関係者の方々の御意向も十分お聞きいたしまして、それらに対してどのように対応していけるかということについて個別具体に、しかも丁寧に対応するよう、協議会として全力を尽くしているという状況にあるわけでございます。

石田(真)分科員 水没地域の問題についてはお話がなかったような、よくわからないような答弁だったと思いますが、それは続けて答えていただいていいですけれども。

 まず、地域振興策で個別具体的に拡幅、補助事業、交付金等の配付ということでやっていただいているということなんですが、これは、例えばダム中止に伴うということで、何か補助基準とかあるいは交付金等について配慮はあるんですか。通常の事業ベースでやっておられるのか、それと、今の水没地域に対する問題についてお答えをいただきたいと思います。

清治政府参考人 ダムが計画どおり進められることになった場合の地域の振興策という形のものをそのまま実施するということは困難になっておりますので、通常ベースで、例えば、ダムの計画がなかった場合にどうなっていただろうかということもあろうかと思いますが、これらについて、ダムが前提となっていて、地元で考えていらっしゃった振興計画、これも重要な判断要素というふうに考えておりますので、これらについても地域振興協議会の中でいろいろと議論をさせていただきまして、それらに対する対応を誠心誠意進めているという状況にあるわけでございます。

石田(真)分科員 どうしても水没地域の答弁をしていただけませんけれども。

 今の地域振興策、これはダムができたときの地域振興策どおりというのはいきませんよ、それは私もわかる。しかし、そのことによって、地域住民は二十数年にわたって夢を描いてきている、それについて、計画がなかった場合はどうかって、そんな議論を今になって国が言うのは私はおかしいと思いますよ、はっきり申し上げて。そうじゃないですか。自分の身に振り返ってみてくださいよ、二十年前に戻れないんですから。

 これは何遍御質問しても答弁をしていただけないようですけれども、さっきの清津川ダムもそうですけれども、ダムの中止によって、まあ、地域振興策はもっとやはりやってあげてくださいよ。私はそのことを要望として申し上げておきます。

 そしてもう一つ、大事なのは、水没予定地域の皆さんですよ。これは個人の問題ですよ。個人の生活を変えたんですよ。個人の生活を変えたんじゃないんだよ、個人の人生を変えたんですよ。国が個人の人生まで変えてしまったんですよ。そのことについて、ここで私が何遍質問しても答弁できないというのはおかしいんじゃないですか。

 前にも質問のときに申し上げたんですが、何百人とか何千人おるんだったら、それはなかなか対応できないでしょう。しかし、そうじゃないでしょう。さっき谷川先生が言っていたけれども、ほんの、そう大きくない金額なり対応で、その地域の人々は、今までの生活が変わった、人生が変わったことについて国は対応してくれたということになるんだと私は思いますよ。そういうこともしないというのはどういうことなんでしょうかね。

 実は、前に質問をしたときに、その当時の鈴木局長さん、私、新しいルールをつくってくれと言ったんですよ。そういうことも含めて協議会で協議をする、私はそのときにも、この水没地域の皆さんに対して今のままではだめですよということを申し上げました。それから一年以上、もう二年だ、二年たってまだ答弁できないというのはおかしいんじゃないですかね。

 この清津川ダムの皆さんからも、これは僕はどんな方か知りませんよ、電話したこともないし、お話ししたこともない。ペーパーを見てですけれども、ここにあるのは、「水没予定関係者の苦しみは変わりません。」これは紀伊丹生川ダムでも同じですよ。恐らく九十九のダムの皆さん、一緒じゃないですか。生活が変わったんですよ。人生が変わったんですよ。それは国が関与して変えたんですよ。

 だから、そのことについては、きちっとやはり国として対応しないと、今後、国の公共事業に対して信頼感がなくなると私は思いますよ。国が幾らこんなことを言ってくれても、本当にできるかどうかわからない、それだったら、まず自分の生活、人生を守るのが一番だということで、不必要な反対運動が起こったりするんじゃないですか。私は、やはりそういうことまで考えて、さすが国だ、きちっと対応してくれた、まあ不満はあるけれども、国のそこまでやってくれたことに対しては私は評価すると、地域の人がそのくらいの声が上がるところまでやるべきじゃないですか。

 私は、きょうは大臣はお見えでございません、副大臣ですけれども、副大臣に政治家として答弁をいただきたいと思います。

蓮実副大臣 今、先生言われる紀伊丹生川ダムを初めとして、ダム計画が中止になった地域の皆様には、ダム計画を前提に考えておられた将来の地域計画あるいは生活等についての見直しが必要になりまして、大変御心配や御苦労をおかけしたと思っております。

 それぞれの地域でのさまざまな課題につきましては、いろいろな意見あるいは議論もあって解決が難しい問題も数多くありますけれども、現実に問題を抱えた住民がおられる以上、地元自治体を含む関係者が一致協力をして、住民の立場に立って知恵を出し合いながら、まず早期にできることを精いっぱい実現していくことが先決だろうと思っております。

 私といたしましては、地方自治体と一体となって、できる限りのことに対応できるように督励をしてまいりたいと思っております。

石田(真)分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 時間の関係で、これでこの問題については終わらせていただきますけれども、中止からもう三年たっているんです。だから、早く対応してあげてくださいよ。先ほども言いましたように、二十数年前からかかわっている人は、もう本当に老齢ですよ。私も直接お聞きしましたけれども、最初、地域で大変だったんだと。反対も起こって、それを自分たちは毎晩のごとく会議を開いてまとめてきた、その結果がこうなんだという、本当におれらの二十何年は何だったんだという話を聞きましたよ。

 だから、そういうことを踏まえて、一刻も早く、私、この問題が起こってから局長さん三人目ですよ。それではだめなんですよ。局長さんがかわったらまた一からですではだめなんです。だから、ぜひひとつ、この問題を早期に解決していただくようにお願いをしておきます。

 次に、防災対策についてお伺いをしたいと思います。

 時間が迫ってきましたので簡単に申し上げますけれども、地震ですね、大変頻発をしておりまして不安があるわけですけれども、私の地元の和歌山県も過去の大きな地震あるいは津波の被害ということがございまして、非常に心配をしておるわけでございます。

 そんな中で、本年の三月に中央防災会議より地震防災戦略というのが出ました。そして、それによりますと、災害を減らす、減災目標をつくる、そしてそれを実行するための具体的な目標をつくってやっていくんだということが出ました。そして、その期間は十年間というふうにお聞きしておりまして、非常にありがたいなと。今後、関係の地方自治体の意見を聞いたり、あるいは連携をとりながら、そういう目標達成について頑張っていただくんだと思います。

 そんな中で、防災というとさまざまな問題があるわけですけれども、きょうは私、津波の問題について、津波の軽減策ということで質問をさせていただきたいと思います。

 港湾局の資料によりますと、津波被害軽減対策、まず一番といいますか、津波の防波堤、それから築山、それから津波ハザードマップ、津波防災ステーション、こういうことをやれば津波の被害軽減ができるんだというような資料をいただきました。そして、実際にそのことによってどのぐらいの効果があるかということ、これもお聞かせをいただいておりまして、ああ、なるほど、防波堤があることで随分大きな効果があるんだなということをこれで学ばせていただきましたし、さきのスマトラ島沖の地震でも、防波堤のあったところは背後の建物が被害を受けていないというような御報告もいただいたわけで、防波堤というのは大変効果があるなということを感じました。

 それで、実は私が生まれ育って、それで市長も務めさせていただいた海南市、ここが、国土省と県との協議で、津波の防災対策のシミュレーションをやっていただいたんですね。それで、これを見て非常にありがたいなと思いました。実は、対策を打つことによって、三メーター以上の被害想定があるものがほとんどゼロになるんですね。対策の場合によって、これはケース四まで、一、二、三、四ということで想定をいただいて、もう時間がないので詳しく申し上げませんけれども、例えば中型の水門をつくるとか、沖合に防波堤をつくるとか、そうやるとどんどん下がって、最終的にはゼロにできるというんですよ。

 私は、ぜひこういうことを、まだまだ技術的な検討が要ると思いますけれども、進めていただきたいなと。もう地域住民にとっては夢のような話です。今まで津波を本当にどこまで抑えられるかという心配をしていたのが、ゼロになる可能性があるわけですから。非常にありがたいので、ぜひ、この海南市のシミュレーション、せっかくしていただいたわけですから、今後もこれを進めて、具体的にどういう対策ができるのか、どういう対策をすればいいのか、そのあたりについて、ぜひ、要望として申し上げますから、進めていただけるようにお願いをしておきたいと思います。

 それで、質問なんですけれども、津波というのは広範囲になります。それから、防波堤とか水門をつくるというのは費用も大きくなるわけですね。そして、地震防災戦略では一応十年と言っています。そういうことをずっと勘案していくと、一体どういうふうに港湾局は対応するのかということです。それでは採択の基準はどうだとか、補助の基準はどうだとか、地元の市長さんがうんと言ったらそれでいいのか、シミュレーションをやらないとだめなのか、そういうあたりについて、どういうふうにこの問題を対応されていくのか、お聞かせいただきたい。

 津波は、特に港湾の対策によって大きく被害を軽減できると思うので、しっかりやっていただきたいという意味の中で、今どういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 津波の対策を立てる場合に、まず、津波が発生をしたときにどの程度の浸水域が区域として生ずるか、それによって被害がどう起こるかということをまず調べることが重要でございます。

 そういう意味で、その調べ方等について、昨年の三月に、国の方で、津波ハザードマップマニュアルというものをつくりました。それを、通常はハザードマップを作成される都道府県の方にお示しをして、説明をして、理解を深めるという努力をしてきております。

 さらに、そのシミュレーションを行うに当たって、私どもの研究機関においてシミュレーションの手法を開発してございます。その手法を具体的に当てはめまして、それぞれ……(石田(真)分科員「時間がないので簡単に、質問にだけ」と呼ぶ)はい。その技術の開発を提供することによって、そういうことにお役に立てたいというふうに思っています。基本的に、どの場所でどのような対策を立てるかというのは、そういう結果を見た上で、それぞれ地域の方々と相談をしながら進めていくということになろうかと思います。

    〔主査退席、後藤主査代理着席〕

石田(真)分科員 そうすると、シミュレーションができたところからは採択していくということですか。

鬼頭政府参考人 実際に、そういうシミュレーションの結果が出まして、その対策が非常に効果があるということであれば、その対策を我々として積極的に進めていくということでございます。

石田(真)分科員 ありがとうございました。それでは、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 時間がありませんが、最後の三点目の問題を簡単に御質問します。

 一般土木の発注標準の問題なんです。これは説明したらいいんですけれども、簡単に言いますと、実は、和歌山県で最高の業者さんのランク、その人らは五億円の工事に入札参加できるんです。和歌山県でいうと大体十社ぐらいあるんです。ところが、国の事業でやりますと、三億円しか入れてもらえないんですね、同じ企業が。

 それで、今和歌山県で京奈和自動車道という本当にありがたい工事をずっとやっていただいて、まだまだ続くんですが、実は平成十五年の受注額、これは正確かどうかわかりません。私が見た資料、それで見ますと、受注額合計六十二億二千二百六十万円、そのうち和歌山県内企業受注額十一億八千九十万円、一九%なんです。

 今さっきの谷川先生の話じゃないけれども、地域は不況ですよ。何とかして公共事業削減の中で工事をしたい、そういう中で、県だったら五億まで入れてくれる、和歌山県を引っ張っていく企業十社が、国でいうと三億しかもらえないんですよ、入れてくれないんですよ。頭から入札参加できない。これは、なぜそういうことになっているのか。そして、この改善について、少なくとも都道府県レベルと同じぐらいの金額の発注を国としてもすべきだ、工事実績が県ではあるわけですから。そういうことについてお答えをいただきたいと思います。

峰久政府参考人 先生、実務も非常にお詳しいので、簡単に申し上げます。

 発注標準とランクの違いでございますけれども、国土交通省は、Aランクが七億二千万以上、Bランクが三億から七億二千万、Cランクは六千万から三億円未満、それからDランクは六千万未満という形になっております。

 一方、近畿地方の府県の概略をいろいろ調べさせていただきますと、大阪府は基本的に国とよく似たような制度になっております。

 それで、和歌山県につきましては、先生おっしゃいましたように、五億円未満の工事については、各振興局で総合点数に基づいた県内業者に発注することを原則とされている。それで、特殊な工事などの場合には、施工業者がいない場合に限り県外業者もできるということを認識しております。また一方、五億円以上の工事は本庁契約という形で、県内と県外のJVで対応されていると認識しております。

 その他の県につきましては、地元の最上級等級の業者が数千万から一億円以上の金額の工事にも参加できるというふうに位置づけられておって、県外大手業者というのは大規模な工事等にのみできるということで、なかなかその他に参加するのは難しいという制度になっていると思っております。

 この違いの理由でございますけれども、基本的に、ランク制を含めまして、入札方法につきましては、やはり施工能力の問題と同時に公共事業の適正配分、あるいは中小業者の保護助長、そういう観点が重要だと思っております。そういう観点から各発注機関が定めておりまして、それが多少異なっているのが現実でございます。

 国土交通省の場合におきましては、工事でいいますと、大規模なダム、トンネル工事から小規模な工事まで多岐にわたること、あるいは大手ゼネコンから地元の業者さんまで、いろいろな規模あるいは地域活動にも大きな幅がある方を対象とされております。そういう中で、工事の分布あるいは建設業者の分布を勘案しまして、それぞれのランクの中で一定の競争性をやはり確保しなきゃいかぬということと、それから、過当競争にならないという、この両面を見ながら設定しているところでございます。

 公共団体は、もちろんこういう御配慮と同時に、地元の公共事業はできるだけ地元の建設業者にという趣旨を配慮するというのがより強いのかなというふうな形で思っております。こういう意味で差が生じております。

 それで、これを合わせられないかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、国と地方公共団体では発注される工事あるいは受注企業の分布が異なります。また、公共団体では地元の公共事業はなるべく地元の建設業者といった配慮がされておりますが、その状況、程度というのが各公共団体でいろいろ違っております。そういう面から、合わせることについてはなかなか難しい問題だというふうに考えております。

 ただ、御趣旨のとおり、地元建設業者の受注機会の確保というのは非常に重要な課題だと思っております。官公需法に基づきまして、毎年度、各省庁別の中小企業の契約の目標金額を定めて、それを達成するように努力しておりますが、その際の具体的な努力としましては、ランク制は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、コスト縮減の観点も見ながら、地元建設業者等にできるだけ分離分割発注をするとか、あるいは経常JVの活用によりまして上位ランクの工事に参入できる、こういうことについての努力をしております。そういうことで地元建設業者の受注機会の確保に努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

石田(真)分科員 もう時間がないので終わります。

 ただ、改善してください。これは数字を変えたらできるはずですから、お願いしておきます。

 ありがとうございました。

後藤主査代理 これにて石田真敏君の質疑は終了いたしました。

 次に、城内実君。

城内分科員 自由民主党の城内実でございます。

 本日は、私の地元の静岡県西部の社会資本整備の問題について質問させていただきたいと思います。

 私は、昨年来、累次にわたり静岡県西部の道路を中心とする社会資本整備の問題について質問をしてきたわけでございますが、平成十七年の予算におきまして、道路関係予算の伸び率が〇・九七という中にあって、県西部の道路関係予算が非常にふえたということに対しまして、蓮実副大臣、中野政務官を初め谷口道路局長、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。

 県西部の予算がふえたということは、やはり率直に言ってまだまだ整備が不十分であるということだと思いますが、繰り返し繰り返し私が質問をしているのは、やはり何といっても三遠南信自動車道、これに尽きるわけでございます。

 三遠南信自動車道は、静岡、愛知、長野と三県にまたがる非常に経済効果の高い重要な道路であるというふうに私は何回も申し上げてきているわけでございますが、前回、二月の予算委員会の第八分科会におきまして、中野正志政務官から本当にありがたいことに、引佐道路については平成十九年に供用開始すべく最大限努力するという、極めて前向きな御答弁をいただきました。

 そして、私は本当にそれは感謝申し上げるんですけれども、ただ、ほかにも、特に中山間地域における佐久間道路、そしてまた青崩峠道路、ここの部分については、佐久間町の方々あるいは水窪町の方々、本当に過疎で苦しんでいる住民の方々の悲願であるわけでございます。

 したがいまして、できるだけ早期に事業に着手していただいて、早期に供用開始をお願いしたいというふうに思いますけれども、その点についての見通しと、やはり副大臣から、この三遠南信自動車道というのは本当に経済効果のある重要な道路であるよ、そういう認識をぜひ示していただきたいと思います。

蓮実副大臣 三遠南信自動車道は、先生お話しのように、飯田市から引佐郡の三ケ日町に至る約百キロの高規格道路であります。中央道、第二東名を連絡し、地域間の連携強化、奥三河、北遠州及び南信州地域の秩序ある発展に大きく寄与する重要な路線だと思っております。

 このうち、平成七年度までに延長六十九・一キロを順次事業化しておりまして、現在までに延長七キロを供用しております。

 また、先生今もお話がありましたように、地元の要望を直接受けて、平成十七年度は、対前年比一・六倍、二百二十四億六千万の大幅な予算を確保いたしまして、事業を推進いたしております。

 三遠南信自動車道のうち、静岡県内では、三遠道路、延長二十一キロであります。佐久間道路六・九キロ及び青崩峠が十三・一キロの事業を推進しておりまして、特に三遠道路の鳳来から引佐については、平成十九年度の供用に向けて三遠トンネル工事なども推進をいたしております。

 今後とも、地元の皆さんの御理解と御協力をいただきながら、全力を挙げて事業を推進し、早期完成が図られるように努めてまいりたいと思っております。

城内分科員 副大臣、本当にありがとうございました。今の、全力を挙げて早期完成に向けてというお言葉、本当にありがとうございます。三遠南信自動車道については、引き続きまた、しつこいようでございますけれども、機会を得て質問をしていきたいというふうに思います。

 そして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 私の選挙区の静岡県西部、本当にまだまだ国道の改良整備が十分でない箇所が多々ございます。特に北遠、この北遠というのは遠州の北でございまして、天竜市よりも北の龍山村、佐久間町、水窪町といったところでございますけれども、この市町村がことし七月に大浜松市に合併するわけでございます。そして、二年後に政令指定都市になるんですが、その政令指定都市になったときに、本当にこんな国道でいいのかというような、非常に屈曲、蛇行、狭隘箇所がまだまだあるんです。私自身がその道路を月に何回か、場合によっては週何回も通ってみて、これはひどいなと思うことがあるんです。

 例えば、佐久間町大井から水窪町の池島に至るまでの十数キロの箇所については、一車線のところが多々あって、せめて一・五車線というか二車線ぐらいにしていただきたいんです。そうしないと、通行に支障を来すんです。

 そしてまた、ダムの問題がございます。これはまた後で質問をいたしますけれども、佐久間ダムあるいは龍山村に秋葉ダムというのがございます。その堆積した土砂をダンプが運ぶんですけれども、その行き交うダンプがすれ違うのが極めて困難な箇所があるんです。いつ事故が起きてもおかしくないと私は思います。私も走って思ったんですけれども、そういうダンプがびゅんびゅん通って、もう危なくてしようがない。すれ違うのも困難である。そういうことでございますので、国道という名前がつく以上は、せめてそういった不良箇所については、早期に改良整備を静岡県とともにやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、百五十二号につきましては、全体延長二百五十八キロメートル、静岡県内八十五キロメートルということでございますが、改良率は八三%というようなことになっておりまして、委員御指摘のとおり、大型車がすれ違えないような狭隘な区間、また天竜川の渡河地点の渋滞箇所といったようなことで、まだ課題が多い区間がございまして、そういった区間を解消するために事業を鋭意展開させていただいているところでございます。

 御質問の静岡県西部につきましては、水窪町―佐久間町間で、線形不良区間、狭隘区間の解消を目的とした半島拡幅といったようなものを平成十六年度に事業着手させていただいておりまして、今年度は用地買収の促進を図ってまいるところでございます。

 次に、磐田市の龍山村西川から天竜市横山町間で、狭隘区間の解消を目的とした西川―横山拡幅、延長四・四キロメートルでございますが、これをこれまでに三・八キロメートルを供用しているわけでございますが、今年度は、道路改良工事を促進し、残りの〇・六キロ、六百メーターを完成、供用させるというような予定でございます。

 さらに、天竜市船明―浜北市新原間で、渋滞解消及び第二東名の浜北インターチェンジのアクセスを目的とした浜北―天竜バイパス、延長七・九キロメートルでございますが、これを平成三年度に事業着手し、これまでに飛龍大橋を含む約二キロメートル区間を供用させていただいているところでございまして、今年度は、引き続き道路改良工事を促進し、浜北市中瀬地区の約一・二キロメートルを部分供用させる予定でございます。

 残りの未改良区間につきましては、今副大臣が御答弁させていただきましたように、三遠南信自動車道との役割分担というようなことがあろうかと思いますが、そういった三遠南信自動車道の供用に合わせ、一体となった整備効果の早期発現を図るため、狭隘区間や屈曲、蛇行した線形不良改良箇所の解消など、優先度の高いところから順次事業に着手してまいりたいと考えているところでございます。

 厳しい予算の中でございますが、できるだけ早期効果が発現できるような工夫をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

城内分科員 ありがとうございます。

 改良整備が八三%ということでございますので、引き続きお願いしたいということと同時に、今局長から西川―横山間、そしてまた船明―新原間について進めているということでございますので、引き続きこういった事業を促進していただくと同時に、残りの未改良区間についてもお願いしたいというふうに思います。

 次に、今国道百五十二号線の話をいたしましたが、これはどちらかというと南北の線でございますが、もう一つ、東西の国道がございます。それが国道三百六十二号線なのであります。

 実は私も、毎週地元に帰りますとほぼ毎日通るんですけれども、宮口バイパスというのがございます。これは浜北市宮口区間と、あと浜北三ケ日線、熊小松天竜川線というところを含めた長い道路なんですけれども、延長三・七キロメートルということでございますが、まだ未供用部分があるというふうに伺っております。そして、この宮口バイパス以外にも、今言った三ケ日町と細江町の境、ここについても約八百十五メートルほど狭隘な部分があって、ここは実は交通事故多発部分であります。

 この三ケ日町境から細江町側のこの部分については、静岡県は事業化をいたしまして、これから事業が進むというふうに思っておりますけれども、宮口バイパス、そしてこの三ケ日町、細江町の町境の部分についても、予算配分において特段の御配慮をお願いするとともに、できるだけ一〇〇%早期供用開始すべくお願いしたいというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 一般国道三百六十二号は、全体延長百五十七キロメートルございますが、静岡県内が大半でございまして、約百四十四キロメートルとなっております。改良率は七三%ということでございまして、先ほどの百五十二号よりも少し改良率が悪いというようなことでございます。全体延長が長いということで、委員御指摘の区間を含めまして重点的に事業を実施させていただいているところでございます。

 静岡県西部に限りますと、都筑拡幅といったようなことを三ケ日町で実施させていただいておりまして、十一年度に事業着手しましたが、今年度に全区間供用させる予定でございます。

 また、今御指摘のございました宮口バイパスにつきましては、全体延長三・七キロメートルございますが、平成三年度に事業着手し、これまでに〇・二キロメートルを供用させていただいておりますが、十七年度は埋蔵文化財調査や道路改良工事を行い、終点側の〇・五キロメートルを供用させる予定でございます。

 残る未改良区間につきましては、交通量の推移等による緊急性を勘案して、事業効果を考えながら、事業を逐次考えながら着手を考えていきたいと考えておるところでございます。

 厳しい予算の中でございますので、先ほどの百五十二号等含めまして、静岡県の方からのお話を聞きながら、効果の上がる事業展開を考えていきたいと思っております。

城内分科員 ありがとうございました。引き続き百五十二号線、三百六十二号線、お願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 天竜川ダム再編事業についてでございますけれども、この問題についても私は累次にわたり質問してきたわけでございますが、五百万立米に及ぶ土砂がたまっている、これを何とか取っていかないといけないということでございますが、平成十六年度予算が一・二億円であって今年度の予算が四億円つけていただいたということは、本当にこれはもう、三倍以上ふえたわけでございますから、非常に感謝しております。

 ただ、この天竜川ダム再編事業、佐久間ダムを中心とするこの問題については、私としては、佐久間町の住民の方々等の声をよく反映した形で進めていただきたいというふうに思っております。ダムの町として何十年も佐久間町がいろいろな形で苦労してきたわけでありますから、佐久間町の代表の方々、それと国土交通省の代表、そしてまさに佐久間ダムを運営している電源開発、この三者が私としては定期的に意見交換の場を持って、そして一番適切な形でこの堆積した土砂を取る方法について、排砂バイパスとかいろいろありますけれども、あるいはトラックで運ぶ、そのために道路をよくしてくれというふうに地元の方々はおっしゃっているわけですけれども、こういったことについて、三者の協議の場を頻繁に行うべきだと思いますが、これについての御認識をただしたいと思います。

清治政府参考人 天竜川のダム再編事業のお尋ねでございます。

 これは委員からは何度も御意見をいただいておりますが、天竜川は、御承知のとおり、大変土砂の流出の多い河川でございます。また、河口付近では海岸の侵食が進んでおりまして、これらを解決するためにも、水系一貫の土砂管理というのが非常に重要な課題になっている川でございます。そういう中で、この事業を昨年度から立ち上げたわけでございます。

 それに当たりましては、事業に先立ちます対策委員会を設置いたしまして、その中で基本的な事項につきましては詰めてまいりました。それを受けまして、昨年は土砂移動特性だとかその影響につきまして基礎的な調査を実施したわけでありますが、これらの成果を踏まえまして、今年度は事業化に向けた検討が必要というふうに考えておりまして、洪水調節効果を早く上げていく、それから土砂の連続性を確保していくという観点から、今御指摘の、電力事業者それから河川管理者、それから地元の御意向もよくお聞きしたいというふうに思っておりますが、そういう話し合いを進めまして、水系一貫の土砂管理という重要テーマのモデルケースでございますし、また既存ストックを有効活用したいという意味では、二十一世紀型の事業ということが言えようかと思います。

 そういう意味で、早期に事業実施にかかれるような努力をこれからも継続してまいりたいと思います。

    〔後藤主査代理退席、主査着席〕

城内分科員 二十一世紀型の事業ということで、他のダムのモデルケースとなるような形でぜひ事業を進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、また次の質問に移らせていただきますが、県西部には浜名湖がございます。浜名湖というと、浜名湖産のアサリが有名でありますが、最近では北朝鮮産のアサリが話題になっておりますが、この浜名湖産のアサリの漁獲量が非常に減少しております。例えば一九八二年には約八千トンとれたアサリが、これでもいい方なんですけれども、昨年は四千トンと、半減している。そしてまた、アサリ以外の漁獲量についても、例えば一九八三年の数字を見ますと、約九百トン。では昨年はどうかというと、三百トンと、三分の一になっております。

 これはいろいろと説がございまして、もともと汽水湖でありまして、浜名湖は二級河川都田川でございますので、潮の流れとかいろいろありまして、そしてまた、都田ダムというものをつくってしまったために塩分がふえてしまったとか、いろいろな説がございます。

 私は、浜名湖というのは、もう本当に、かつては漁獲量が多かったところでございまして、漁業に携わっている方々は今でもいらっしゃいまして、非常に魚がとれなくて困っている、そういう声を聞いているわけでございますが、国土交通省におかれましても、ぜひ、環境アセスメントというか、この浜名湖の問題について国としてよく御認識いただいた上で、何とか水質の浄化の問題も含めて、静岡県あるいは地元の市町村に任せるのではなくて、大所高所からこの問題について取り組んでいただきたいというふうに思いますが、これについての御意見を伺いたいと思います。

清治政府参考人 浜名湖は、静岡で非常に重要な水域に位置づけられていると思います。これは申し上げるまでもないわけでありまして、漁業の資源としても重要でありますし、また観光の資源としても重要だというふうに認識してございます。

 そういう中で、現状の水質がどうかということでありますが、これにつきましては、湖内に、浜名湖とそれから猪鼻湖でありますが、八カ所の水質観測をする地点がございます。これらで観測を続けておりますが、CODの環境基準値はそれぞれ満足しているという状況にあるわけでございますが、なお流域内で企業の立地でありますとか宅地開発が進む状況にございますので、この水域の管理者であります静岡県が浜名湖の浄化技術発掘事業ということで、民間からいろいろな浄化技術を募集しまして、それを評価していくような取り組みを進めていらっしゃるわけでございます。そういう中で、浜名湖に合った対策、これを考えていくべきであろうと思っております。

 また、同じく県の方の単独の事業でありますが、浜名湖に入ってくる川の河口のしゅんせつした土砂で湖岸の自然を回復していくような、それがひいては水質浄化に結びつくということで、地元の高校生と一緒になってその効果を検討していくような取り組みもしているわけであります。

 そういう中で、流域の中に佐鳴湖というのがございまして、これは大変水質汚濁の著しい、これも都田川の支川の新川に相当するわけでありますが、これらについても、国土交通省としては浄化事業に御支援申し上げているわけでありますし、漁業資源の回復というような意味でも、浜名湖の浄化について、静岡県の方の検討状況も踏まえて支援をしてまいりたいというふうに考えております。

城内分科員 ぜひ、猪鼻湖を含む浜名湖、そしてまた佐鳴湖についても、静岡県と協力しながらこの水質の問題について取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 昨年、集中豪雨や台風によって、非常に日本全国被害があったわけでございます。静岡県西部については、他の地域に比べたらまだよい方でありました。しかし、それでも土砂崩れ、あるいは洪水初め災害が多発したわけでございます。本当に、その地域に住んでいる方々の生活の安全を考えると、もっともっと何とかして、社会資本整備を進めながら、こういった災害を最小限に食いとめるように進めていただきたいというふうに思います。

 具体的には、防災施設等の一層の整備、あるいは土地利用状況に応じた具体的な安全対策の推進等あると思いますけれども、こういった問題について、国土交通省がどのように取り組んでいるのかということについてお聞きしたいと思います。

清治政府参考人 昨年のたび重なる水害を受けまして、今までの水害の対策を総点検して抜本的に充実強化していきたいという趣旨で、委員会を発足させておりました。

 そういう中で、昨年の十二月に緊急提言をいただきまして、私どもそれを受けまして、早急に取りかかるべきもの、また早急に対策を実施することによって効果の上がるもの、例えばハザードマップの全国的な展開でありますとか防災情報の提供を充実させる、あるいは災害時の要援護者の避難誘導体制の充実というようなものにつきましては、十二月十日に緊急アクションプランを取りまとめまして、これらで取りまとめた内容を実行に移しているわけでございます。先週成立いたしました水防法の改正の中にその内容も生かすことができましたし、また十七年度の予算の中でも対応していける部分が出てきたわけでございます。

 それから、豪雨災害対策総合政策委員会に引き続き御検討をお願いしていたわけでございますが、この十八日に最終提言をいただきました。その中で、今委員からお話ありました、土地利用との調整でありますとか、防災施設等の的確な維持管理を行うための管理基準の検討、それから地域防災力を再構築していくためのさまざまな取り組み、こういうものにつきまして幅広く御提言をいただきました。

 私どもといたしましては、これらを受けまして、制度を改正しなければならないようなものもあろうかと思いますし、また予算の方で措置しなければならないようなもの、これらにつきましては、今後の制度改正あるいは今後の予算要求等の中にしっかりと反映させまして、個別の対策を総合的に講じていくことによって、減災という観点からこの水害の対策に取り組んでまいりたいと思います。

城内分科員 備えあれば憂いなしという言葉がございますけれども、ぜひとも昨年十二月の緊急アクションプランを踏まえて、防災というか、減災という言葉もございますけれども、災害を最小限に食いとめるという形で引き続き進めていただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。

山名主査 これにて城内実君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉(健)分科員 衆議院京都三区、民主党の泉健太でございます。

 きょうは、同じ京都の山名主査のもとでこうした分科会、質問させていただきますことを本当に光栄に思います。

 そして、私も、国会議員をさせていただきながら、大きな問題、例えば年金や介護の問題にも取り組ませていただく一方で、こうして分科会などでは地域の本当にきめ細やかなさまざまな御意見についてもお伺いをし、それを国政の質問にかえていける、そして、これがまた、その地域の問題だけではなくして全国に共通をする課題であるということをこの場で表明をできること、本当にありがたく、感謝を申し上げたいと思います。

 きょう私は、実は、ある意味非常にこれは、先ほど言いましたが、全国にかかわる問題について取り上げたいというふうに思っております。

 平成九年の河川法の改正があったかと思います。そして、それ以降さまざまな具体的な計画が進んでいく中で、例えば各地域地域における流域委員会というものが今発足をしているところです。そういった中で、各地域の流域委員会が、また個別に分科会などもつくり、そこで河川の利用、使用、保全についてさまざまな観点から、住民参加のもと御議論をされている。そういう取り組みは非常にすばらしいというふうに認識をしておるわけですけれども、その一方で、私の地元、大阪、京都、関西の地域の淀川水系のいわゆる流域委員会の流れについて、少し副大臣にもまず報告をさせていただきたいと思うわけです。

 この淀川水系の流域委員会というものを発足いたしまして、ちょうど私の地元、桂川、木津川、宇治川という大きな川が三つ合流をして淀川になっていくわけですけれども、その地域を私の選挙区とさせていただいているわけですけれども、その流域委員会の中で、実はこんな一節がございます。

 「淀川水系河川整備計画基礎案では、河川の利用は、自由使用の原則のもと、環境教育を推進する場という観点等も含めて、「川でなければできない利用、川に活かされた利用」を基本とする。」「また河川敷の利用については、グラウンド、ゴルフ場等のスポーツ施設のように、本来河川敷以外で利用する施設については、縮小していくことを基本とする。」というふうに書かれているわけなんですね。

 私は、この文章だけを見たときには非常に驚く思いでした。これまで、河川敷グラウンド、日本の都市公園の整備がおくれている、あるいは防災対策もある、そしてまた青少年の健全育成という問題もある、不足をしているという話は聞いていても、縮小するという方向というのは、私は初めてこの議論の中でお伺いをしたわけなんですね。

 実は、これも随分と議論が進んでおりまして、平成十五年の四月には提言というものが、その比較資料が出され、さらには昨年の六月にも基礎案のさらにたたき台の検討がなされているわけですが、その場でも、やはり国営淀川河川公園、年間約五百二十万人が利用しているけれども、やはりそこは基本的には見直し、縮小をしていくというような話が、この流域委員会、あるいは河川保全利用委員会というそのさらに下部組織の中で話し合いがなされています。

 確かに、環境に配慮をされるということは非常にすばらしいというふうに思いながら、今、少し調べてみました。文部科学省のホームページを見ますと、スポーツ少年団、これは全国で九十三万人の子供たちが参加をされているわけですね。指導者が十九万人。私も地元の、特に少年野球連盟というところの役員をさせていただいていますし、山名主査も地元の野球大会、いつも顔を出されて、子供たちの元気な顔を見られております。そういった子供たちがたくさんおる。そして軟式野球連盟、今所属は、社会人三万八千チーム、少年野球約二万チーム、合計百二十万人の競技人口です。そして日本サッカー協会、同じくチーム数が約二万九千、そして九十万人ほどの所属人口がいるということになっております。

 これだけの方々が、すべてが河川敷を使っているわけじゃありませんけれども、多くの方々がグラウンドが足りないと言い、そしてその利用を河川敷にさらに今要望として求めているという現状がある中で、これはどういったことだろうというような思いを持っております。

 まずお伺いをしたいんですが、河川法が改正をされた、そしてこの中に環境という趣旨が入ったことについては、私は大変同意をするんですが、この淀川流域委員会で議論をされている、グラウンドは基本的には縮小をしていくということは、これは国土交通省の方針と考えてよろしいのか、それともこの流域委員会の方針と考えてよろしいんでしょうか。お伺いいたします。

清治政府参考人 淀川につきましては、淀川の流域委員会の方で、今委員がおっしゃったような一つの提案をしてきたということでございまして、結論から申し上げますと、国土交通省の方針ということではございませんが、いろいろな利用者の御意見を聞きながら今後の河川敷の利用というものを考えていかなければならないという点では、一緒かと思います。

 例えば、グラウンドとか運動場とか公園とか、そういう形での利用というものも、こういう都市河川においては重要な人間とのかかわり合いにおいての環境だというふうに考えているわけでございます。

泉(健)分科員 国土交通省には、この流域委員会の流れ、審議、方向性、これは報告がなされていますか。

清治政府参考人 流域委員会の方でいろいろ御意見をちょうだいしております提言みたいなものと、それから、河川管理者として整備計画の基礎原案なりを出しているわけでありますが、その中で、いわゆる河川の整備と保全等の観点から河川の空間管理につきましても一つの案としてお示ししているものがあるわけでございます。

泉(健)分科員 都市公園に関して言えば、第六次の都市公園等整備七カ年計画、これはもう切れておる計画ですけれども、最近は社会資本整備重点計画の方に統合されたということでございますけれども、この社会資本整備重点計画と整合性がとれているというふうにお考えですか。

清治政府参考人 都市の中にいろいろな利用をしていただく自由な空間あるいは公園、こういうものを配置していくということは、都市全体の中で検討されているものでございますが、そういう中で、河川の空間というものは重要な空間だというふうに理解しておりますので、その都市の中での基本的な方針に沿った形で河川空間の利用もなされるべきだと考えております。

泉(健)分科員 抽象的な表現のように聞こえるんですが、実際いろいろな、きょうはちょっと幾つかの統計も持ってまいりました。例えば、私の地元京都市、一人当たりの公園面積というのは四・一、これが大阪市は三・五なわけですね。国土交通省さんが以前から目標にされていたのは、これは恐らく一人当たりでいうと二十平方メートルというものを目標とされていたと思うんですが、これはとてもまだまだ達成をしていないという状況だと思うんですね。

 そういう中で、さらに縮小していく方向ということなんですが、もう一回、じゃ、根本の部分を確認しますが、この流域委員会の方で議論をされているグラウンドの縮小ということは、これは、グラウンドを縮小しても公園ということの扱いは変わらないということにもなるのか、そもそも、今全く野ざらしになっている緑地をこれから公園というふうに指定をしていって面積をふやすおつもりがあるのか、その辺の具体的な何か計画はありますか。

清治政府参考人 まさに委員の御指摘のような話を、いろいろと御意見を拝聴して、これから検討していきたいということでありますが、一時期、都市に人が集中して、そして公園とか運動場とか、そういうものの確保がなかなか難しかった時代に、河川の高水敷の利用というのは非常に要望が強かったわけでございます。そういう中で利用を進めてきたわけでございますが、全体としての秩序という点では十分でない面もあると思います。

 例えば運動公園とか、そういう形で利用するのであれば、特に河川でなくてもいいわけでありますが、河川には河川としてのほかの地区で見られないような非常にいい面があるわけでございます。自然が豊かだというようなこともその一つであります。

 したがいまして、これからの利用の秩序を持たせていくためには、都市の中の自然という形で生かしていく空間も必要でありますし、また、例えば荒れたような土地になっている場合に、公園利用あるいは運動場として利用していくということも一方ではあろうかと思います。そういうことを幅広く御意見をちょうだいしながら、これからの時代に合った河川敷の利用というのが課題になっていると考えております。

泉(健)分科員 余りはっきりとしない答弁ですが、きょうは副大臣と政務官にもお越しをいただいておりますので、副大臣、政務官、改めてお伺いをしたいんですが、恐らく皆様もサッカー、スポーツ、子供たちの健全育成、非常に関心を持たれていると思うんですね。そういう中で、今さわりだけ話をしましたが、河川敷グラウンドが縮小していく方向にあるということで、やはり非常に私は問題だというふうに思っております。

 例えば、そのグラウンドをいろんな形で、そのグラウンドのへりを緑化するですとか、遊歩道で木を生やしたりですとか、何も外野を全部きれいな土の面にするだけじゃなくて、じゃ、外野は芝にしましょうですとか、いろんな方法がある。グラウンドそのものを減らす必要は私はないと思うんですね。

 そう思うわけですが、副大臣や政務官、御自身の経験の中やかかわり合いの中でも結構です、このグラウンドを減らしていくという方向性についていかがお考えですか。

蓮実副大臣 先生御承知のとおり、平成九年の河川法の改正では、河川の良好な環境を積極的に整備をし、保全するため、法律の目的として、それまでは治水と利水に重点がありましたが、これを、河川環境の整備と保全を位置づけるとともに、地域の実情に応じた河川の整備を推進するために、それまでの計画体系を改め、具体的な整備計画を定める際に、関係する地方自治体からの意見を聞いたり公聴会を開催するなどして、地域の意見を反映するような仕組みを導入する。こういうことでありますから、今先生言われるようなことは、私も実は栃木県でありまして、ソフトボールをやるんですよ。夏になりますと河川敷でやっています。ですから、そういうことを利用した河川敷でスポーツをやっているということであります。

中野大臣政務官 大変実生活に見合った御提案だと思います。私自身もソフトボール、野球、両方ともいたします。

 財政が許せばでございますけれども、もっと積極的に私たちの国土交通省も河川敷を買収してと考えるのでありますけれども、なかなか財政的に立ち行かないところがある。そんなところで、とりわけ政令都市、私は仙台でありますけれども、今そういったグラウンドの用地を新たに買収するとすればどういうところがあるか、もう田んぼしかない、あるいは河川敷しかない。そういう状況でありまして、かといって、田んぼでも、用地買収価格からすればなかなか高いという事情もこれあり、また当然、河川敷でありますと、民地であれば耕作者の問題があったりいろいろな問題があったりということで、なかなか簡単に用地買収もままならないということはあります。

 ただ、河川が、ただ単にスポーツのみならず、川の流れも含めて、多くの市民、県民、国民から愛されるということは大変大事なことでありまして、その一つに、例えば今出たような運動広場、これはやはり減らさないで、むしろふやす方向で行く方がいい、個人的には全くそのとおりに考えさせていただいております。

泉(健)分科員 ありがとうございます。

 いろんな皆様のかかわり合いの中で、この河川敷のスポーツ施設、グラウンドというのは、やはり縮小してはいけないと思うんですね。決して、そのグラウンドも、ほかの人が立入禁止というものではなくして、例えば私の地元の宇治川なんかでいいましても、ふだんは市民の皆さんが自由に利用できるということにもなっております。

 ただ、逆に言うと、軟式野球連盟やサッカー協会の皆さんが管理運営、維持保全をしてくださっているわけですね。地域に不法投棄のごみが捨てられた、そういうのも、全部ボランティアで見回って、一生懸命点検管理をされている。逆にこれは、言ってみれば表彰してあげてもいいぐらいの話でして、そういったボランティアに支えられて、今地域の保全をしている。

 そして、決して環境を壊そうということでやっている方々はほとんどいない。逆に言えば、もっといろんな提案があれば、緑地とうまく調和したスポーツ施設、グラウンド、サッカー場というのは、幾らでも私はできるんじゃないのかなというふうに思いますので、ぜひ、その方向性の中で、今は、これは淀川水系の流域委員会の中でのことではありますけれども、しかし、ここまで明確に、グラウンドについては縮小を基本としていくということで書かれてしまいますと、これはいかがなものかなというふうに私は思います。

 きょうは、実は内閣府と文部科学省にもお越しをいただいています。内閣府さんには、いわゆる広域避難場所の指定についてなんですね。

 防災ということで、私は河川敷の利用を調べてみました。そうしましたら、全国では、確かに面積は広域避難場所のうちの三・四四%ということなんです。しかし、いざ大都市を見てみますと、東京都は何と九・三六%、約一割が河川敷なんですね。そして、大阪は八・二三%、私の地元京都は五・四四%が河川敷を広域避難場所に利用している。これが緑化される、言ってみればもう一度完全な緑に戻ってしまったときに、これは避難場所として、内閣府さん、使えますでしょうか。

柴田政府参考人 地震の発生時におきます一時避難場所でございますが、これはあくまでも人の命にかかわる事柄でございますので、住民の生命の安全を第一に、地震による危険を一時的に回避するために、建物が倒壊したり、あるいは火災の危険性がない、あるいは地盤が安全だというような場所を適切に指定すべきものであるというぐあいに考えております。

泉(健)分科員 よくわからないんですね。それは、もう少し具体的に、今この河川敷の避難場所について話をしているわけですから。

 要は、今までグラウンドだった、そして広域避難場所に指定をされていたわけですね。それが、完全な川本来の環境に戻そうということは、言葉は悪いですが、いわゆる野ざらしに戻そうということも含む話なんですね。野ざらしに戻った場合、これは広域避難場所ということに適す、あるいはそのまま認められるものと考えてよろしいんでしょうか。

柴田政府参考人 地震、広域的な、我々首都直下地震等で大変心配しておりますし、また日本列島どこでも地震が起きてもおかしくないような状況になっておりまして、やはり人の命を一時的にどうしのぐかということでございますので、今草が生えているからどうだ、草が生えていないからどうだということではなくて、そこを一時的に避難するに足りる安全な場所であるかどうかということを基準に御指定をされるべきだろうというぐあいに考えております。

 ただ、ちょっと雨が降ったぐらいで、すぐそこが水につかるというような場所等はふさわしくないのではないかという感じはいたしております。

泉(健)分科員 確かに、総務省、消防庁の方にもお伺いをした方がよかったのかもしれないんですが、これは、現実に皆さん頭の中でイメージしていただくと、例えば草が一メートル以上生えてしまったら、とても避難なんかできないわけですね。それが大都市圏、この東京、京都、大阪に約一割、河川敷のグラウンドがあるということ、この現状をぜひお知りをいただいて、言葉はすばらしい、環境、私も環境を大切にすべきだと思います。だけれども、もう一回、川本来ということで、カエルが鳴き、鳥が飛び、すばらしいですけれども、これが避難場所じゃなくなった場合に、当然、代替場所が必要になってきますね。それを、では国土交通省としてどう考えるのか、この連携について今までとられてきたことはありますか。

清治政府参考人 河川敷地の有効利用の中に、災害時の一時避難、あるいは災害の後の救援物資の輸送だとか、それから復旧復興、こういうものに利用するということは一つの重要な目的だというふうに考えておりまして、今お話のございました避難場所につきましても、確かに、一般の方が集まるような広場とかグラウンドとか、そういうところの方が確実な、迅速な避難の場所になるというふうに思っております。

 河川の方としても、そういうものと、それから緊急用河川敷道路ということで、一般の道路がビル等の倒壊によりまして通行不能になるような、そういう現象のない空間であるという特性を生かしまして、道路の整備も進めておりますし、それから一部では船着き場みたいなものも整備しておりまして、川からの物資輸送あるいは避難に使うというようなことで、高水敷の広場、グラウンド等の利用と整合をとりながら河川敷の利用を検討しているわけでございまして、その地域の自治体の要望等とあわせて整備を進めているところでございます。

泉(健)分科員 ここはぜひとも、消防庁ももちろんですし、各自治体消防そして自治体機関、こことは必ず連携をとって、単純に、ただ河川敷だけが環境が変わって指定ができなくなる、指定をしても実際使用ができなくなる、そんなことがないように、これはお約束をいただきたいというふうに思います。うなずいていただいていますので、ぜひともお願いをしたいと思います。

 もう一つは、都市・地域整備局長の方にもきょうはお越しをいただいておりますけれども、この社会資本整備重点計画の中でも、都市域における水と緑の公的空間確保量ですとか、ほかの数値目標もあるわけですが、こういった数値目標の具体的な算定の中に河川敷の公園というのは含まれていますか、いませんか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました都市域における水と緑の公的空間確保量、これは平成十四年の一人当たり十二平米から、十九年には十三平米となっておりますが、これは港湾の区域も含みまして、自然的環境、水面等、樹林地、草地含んだ全体的な空間でございますから、河川の空間も入っていると思います。

泉(健)分科員 河川の空間も入っている。そして、先ほど申しましたが、一人当たりの公園面積は、今日本は、言ってみると先進国に比べると惨たんたるもので、整備局の皆さんは一生懸命取り組まれている一方で、まだまだこれは足らないという現状なんですね。足らないという現状で、この社会資本整備重点計画の中に河川敷の公園も含まれているという中で、同じ国土交通省の河川局の流域委員会の方は、グラウンドを減らしていくということを住民合意のもとで今やっていこうとしているわけです。このことについて、局長、どう思われますか。

竹歳政府参考人 御指摘のように、日本の公園の面積というのは、一人当たりで見ましても大変低くなっています。特に大都市は、例えば京都は、先ほどお話ございましたように、一人当たり四・一平米。ニューヨーク二十九平米、ロンドン二十七平米、パリ十二平米、大都市同士比べましても大変少ないということでございます。

 それで、どのようにこの問題に取り組んでいるかということを若干申し上げますと、例えば京都市では、長期的な目標というのを、緑の基本計画、これは各市町村がつくるわけでございますけれども、そういうところで、例えば一人当たり十平米を目指そうというようなことがございます。

 今御指摘ございましたように、確かに都市域の公園というのは、環境とか防災とかレクリエーションとか、いろいろな役割があるわけで、結局その中に、河川敷で公園をとる、そのかわりに河川敷以外で確保すると。多分、市町村がそれぞれの計画の中で、その目標を達成するためにどういうのが一番いい戦略なのか、今のところは河川敷に頼らざるを得ない、しかしながら河川敷以外に確保できればそっちにいこうか、そこら辺は市町村がそれぞれ判断していく問題ではないかと思います。したがいまして、一概に今この場で、都市・地域整備局として、市町村はこうすべきだというようなことは申し上げられないと思います。

 繰り返しになりますけれども、市町村ごとが長期目標の中で、どこの地点に緑を確保していくかということを考えて計画をつくるということになるんじゃないかと思います。

泉(健)分科員 ということは、今のお話をお伺いしていますと、市町村にゆだねていく、いわゆる地方分権の流れの方を尊重して、その地方が公園については、全国的な統計が、これは数値が上がらない結果になってもある程度仕方がないというような御認識になるんでしょうかね。これはちょっと、もう時間がないので答弁を求めませんが、もう少し強いお気持ちを持っていただきたいと思います。

 やはり全国、公園が足りない、特に都市部の公園が足りないというのは、本当に地域住民の皆さんの声です。そして今、治安、防犯ですらこれだけ危険な状況のときに、子供たちを町中で遊ばせられないわけです。そういう中で、唯一と言っていいぐらいに公園、グラウンドというものが貴重な存在だと思うんですね。その大きな役割を担っているのが、河川敷のグラウンドもその一つだということを、改めてどうか御認識をいただきたいと思うんです。

 それが、今は確かに地方分権、それぞれの水系で計画を決めたらいいでしょう、そして住民の意見も聞いたらいいでしょうという反面、その地域地域の水系によって全く違う計画が出されるというのは、これまた国としていかがなものかなというふうにも思いますし、特に、子供たちの遊ぶ施設、グラウンド、また大人の体力の維持。例えば介護保険だって、これから利用者をどんどん減らしていこうと思えば、やはりスポーツをもっともっとやっていただかなきゃならないという中で、スポーツそのものが介護を予防する役割だってあるにもかかわらず、もしこの河川敷グラウンドというものが、大阪のど真ん中、関西のど真ん中の淀川水系だけでも、これは大きな影響だと私は思うわけですね。

 ですから、こういった計画が進んでいるということをまずきょうはお知りをいただいて、そして、決して関西地域の中でこういったスポーツ施設が下火にならないように、ぜひそこは注視をしていただきたいというふうに思います。

 きょうは文部科学省の方にもお越しをいただいておるわけですけれども、先ほど言いました、全国でもう数百万人の競技人口のいるこのスポーツ少年団、そしてまたサッカー、野球、お互いに、同じく数百万人の人たちが参加をしているわけです。こういったスポーツ施設は、文部科学省としては足りているという認識ですか、足りていないという認識ですか。

西阪政府参考人 文部科学省におきまして、体育・スポーツ施設現況調査というのを行っております。一番最新のデータでございますと、平成十四年十月一日現在でございますが、全国で二十三万九千六百カ所のスポーツ施設がございます。

 これが足りているかどうかというのは、それぞれの地域の事情にもよろうかと思いますが、スポーツ活動を行う場であるスポーツ施設というのは、不可欠な要素であろうかと思っております。スポーツ振興を図っていくという観点からは、スポーツ施設を充実していくということが重要な課題であると考えております。

泉(健)分科員 私は、スポーツ施設は足らないと思っているわけですね。

 もう一度、冒頭に読ませていただいたわけですけれども、「また河川敷の利用については、グラウンド、ゴルフ場等のスポーツ施設のように、本来河川敷以外で利用する施設については、縮小していくことを基本とする。」これが先ほど言った委員会の中での基礎案というものですね。そして、「「川でなければできない利用、川に活かされた利用」を基本とする。」そうすると、確かに野球は川でなければできないわけじゃない、サッカーは川でなければできないわけじゃない。でも、やはり河川敷で野球やサッカーを楽しむ、公園をつくって散歩を楽しむ、それは私はすばらしいことだと思うんですね。

 ですから、今流域委員会で一生懸命議論されている皆様のその取り組みも、新規のものについては基本的に認めずに、そして現在あるものについても、環境に配慮したもののいろいろな提言、要望を出した上で実は今ずっと認めていっているんですね。すぐに縮小、廃止という流れではないものですから、非常にその辺は河川の保全利用委員会の皆さんにも御配慮をいただいて、地域住民の声を聞いていただいているわけですけれども、往々にしてこういった計画というのはひとり歩きをしかねないわけでして、実は、私は河川事務所の方も非常にすばらしい取り組みだなと思うのが、すべての議事録を公開し、すべての一般の皆さんからの意見も公開をされているわけですね。この姿勢は非常にすばらしいというふうに思います。

 そういった中で、民間の個々の皆さんからも御意見というのを募集されていまして、皆様から寄せられた御意見、実は百八十五あるうちの百四十ぐらいまでが、自然も大切ですが、健康なスポーツをしている子供たちのグラウンドがなくなるのはもっと残念に思います、グラウンドをなくすんだったらどこか別の場所に思い切りできるところをつくってください……

山名主査 泉君、時間ですので。

泉(健)分科員 野球のできるところを探してください、子供たちにその責任を負わせないでください、子供たちの希望をかなえるグラウンドをつくってほしいという提言が百四十件ぐらい寄せられているんですね。

 やはりこういった意見をぜひ皆さんの心にとめて、そして子供たちの健全育成を願うという立場から、ぜひとも、グラウンドのこれからの場所の確保、特に、もし河川敷を減らすのであれば、代替地の確保ということについては必ず国土交通省にお願いをしたいというふうに思います。

 最後、副大臣、このことについて答弁をお願いします。

山名主査 時間ですので、簡潔に一言。

蓮実副大臣 また私も同感であります。今後とも努力してまいりたいと思っております。

泉(健)分科員 主査、どうもありがとうございました。

山名主査 これにて泉健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、村井宗明君。

村井(宗)分科員 民主党の村井宗明です。

 私、本日は公共交通の推進ということのお願いをここでさせていただきたいと思うんです。

 ただ、この話をする前に、前もって言わなきゃならないことがあります。それは、やはりきのうの事故です。質疑の通告はしていませんでしたが、尼崎市で起こったあの大きな事故、これはやはり公共交通への信頼性、安全性を疑わざるを得ないものになってしまう可能性があります。この部分、しっかりと安全対策、そして事故の再発防止をお願いしたいんですが、副大臣、いかがでしょうか。

蓮実副大臣 昨日発生をしました西日本旅客鉄道福知山線における列車脱線事故に関しまして、まずは、事故にお遭いになって亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げるとともに、事故で負傷された方々の一刻も早い御回復を心からお祈り申し上げたいと思います。

 かねてより、安全は運輸サービスの基本であり、安全性の確保が利用者に対する最大のサービスとの認識のもとに、安全対策に全力を挙げて取り組んでまいりましたが、今回のような多数の死傷者が生じたことはまことに遺憾であります。

 国土交通省といたしましては、事故発生後直ちに北側国土交通大臣と鉄道局長が現場に急行いたしました。また、北側大臣を本部長とする福知山線事故対策本部を設置するとともに、近畿運輸局に運輸局長を本部長とする福知山線事故対策本部を設置し、事故の対応に全力を挙げておるところであります。

 また、公共交通機関に係る安全対策の徹底を図る観点から、昨日、国土交通大臣名で、公共交通事業者あて文書で、改めて安全対策の徹底を図ること、その際、本社の安全担当の責任者が直接現場に赴き確認することについて強く要請をいたしたところであります。

 事故原因については現在調査中でありますけれども、まずは被害を受けられた方々への対応を最優先すること、そして事故原因の徹底究明、さらには今後の事故再発の防止に全力を挙げて取り組む所存でございます。

村井(宗)分科員 何よりも今後、利益、それからいろいろなことよりも、まず安全面を最優先にするということをお願いしたいと思います。また後日、災害対策特別委員会の方でもやるかもしれませんが、何よりもやはり安全が大事、そうしなければ公共交通の推進ということ、そもそも信頼性が失われてしまうんじゃないかと思ってきのうの事件を見させていただきました。

 さて、通告してあった本題の方に入らせていただきます。

 今、地方の方では自動車社会になっています。どうしても自動車がないと生活できない、そういうふうになりつつあります。今まで歩いて行けるようなところに商店街があったんですが、その商店街がどんどんシャッター通り化している。そして、需要の多くは主に郊外で、でかい駐車場があるそういったショッピングセンターに行かないと買い物をできない。そして、そういったところが主にもうかっていくというふうになりつつあります。

 もちろん、それはそれでだめなことではない。いいことはいいんですけれども、ただその場合、車のない人にとって今非常に不都合が生じています。買い物に行こうと思っても、だれか若い人が車を運転して連れていってくれぬと買い物に行けぬだとか、そうやって車社会であることが必要になるようなまちづくりをやっていっては地球温暖化対策にもならないわけです。やはり地球温暖化、そしていろいろな面を見ながら、交通弱者の立場に立ちながら、公共交通をしっかり推進していくことが必要です。今いろいろなところで公共交通、バスや電車を廃止していきますが、私は、そうあってはならない、そういったところをしっかり支援していただきたいと思っています。

 私は富山市選出の衆議院議員です。富山市は四月一日から合併いたしました。四十二万人という大きな市が立ち上がりました。実はこの新富山市、全国で四番目に広い大きな市なんです。ところが、人口密度で考えると非常に拡散している。この広さゆえに、今後はやはり公共交通をしっかりしていかなければならない、そしてそれによって広さゆえの弱点を克服していかなければならないというふうに考えています。

 我々富山市は新しい試みをしました。全国で初めてLRTの推進を行うことになります。副大臣の地元もそれに次いで行うことになっていますが、まずこの富山市のLRTを成功させる、そして副大臣の地元でも成功させる、そして全国で新しい公共交通をしっかりと充実させていただきたい、そのように思い、きょうはその部分のお願いをさせていただきます。

 まず、富山の方では、事情を説明させていただきますと、富山港線が廃止されます。真ん中にある富山駅から北に八キロ、海のそばまで延びていきます。今までは三十分から六十分の運転間隔だったんですが、それは朝五時台の始発。ところが、夜は九時台が終電となってしまっている。そこで、飲んで帰るとかそういうのは非常に難しいような状況になっています。

 新しく挑戦するLRT、まだ余り普及している言葉じゃないんですが、いわゆる路面電車との大きな違いは超低床車両ということにあるわけです。言ってみれば、水平に動くエレベーターというような感覚だと思います。このLRT、ドイツ、フランス、アメリカなど海外ではいろいろ進んでいます。そして、都市構造が変化し、人口構成の変化、世帯数の変化、住宅立地の変化に対応して、従来からの自動車中心、自動車優先の都市交通のあり方が見直されると思います。

 そういった意味で、海外におけるLRTの先進的な取り組み事例とその実績について、まず国土交通省の方から御説明いただければと思います。

大口政府参考人 先生のただいまの御質問にお答えさせていただきます。

 LRT、先生がおっしゃったように、超低床式の路面電車でございますが、これは従来の路面電車の車両あるいは走行環境など、さまざまな知恵を組み合わせながら大幅な改善をしたものでございます。機能的で新しい都市の交通システムとして、現在世界各地でその導入が進んでおります。特に一九八〇年代後半から、世界の九十都市前後で路面電車が走っていたわけでございますが、急速にこのLRTが普及しまして、現在欧米を中心に世界で百五十都市においてその導入が広がっているわけでございます。現在欧米を中心にさらに新たな導入計画がメジロ押しになっているという状況でございます。

 次に、先生がおっしゃっていた導入効果についてでございますが、これはその事例を挙げながら御説明したいと思います。LRTを導入した都市の多くで、実は減り続けていた乗客がふえるというまさに起死回生の効果が出ております。

 例えば、ドイツのカールスルーエでございますけれども、一九九二年に市街地を走行する路面電車を郊外に向かう鉄道線に乗り入れ、あわせて鉄道区間における新駅の設置あるいはパーク・アンド・ライド、そうしたものを組み合わせるような整備を図ったことによりまして、当初一日当たり二千二百人ぐらいの利用客であったものが、これを導入して二〇〇三年には何と一万六千人にもなっております。そんなことから、町あるいは市民からも大変評価を受けている、こういう状況にございます。

 また、フランスのストラスブールでも、もともと自動車利用の多い都市でございましたけれども、一九九四年にLRTが導入されまして、市内がトランジットモール、いわゆる路面電車が人と一緒になって道路を通るということでございますが、そうしたトランジットモール化されたことによりまして、都市の中心部では自動車の分担率が、いわゆる輸送機関分担率でございますが、これが九%減りまして、そのかわりLRTなどの公共交通機関の分担率が六%増加するというような大きな効果が出ております。

村井(宗)分科員 次に、日本国内での部分もお伺いしたいと思います。

 今おっしゃられたように、世界はLRTが流れになっています。そして、余り人が乗らなかったようなところもだあっと乗客がふえてくる、そして新しい公共交通が確実に進んでいくわけです。LRTシステム全体としては富山が初めての挑戦となるわけですが、超低床車両ということだけだったら、今まで日本各地でもあったと思うんです。そういったところの実績、それから効果などについての御説明をお願いいたします。

大口政府参考人 低床式の車両導入につきましては、ホームから段差なしに直接車両に乗降が可能になるといういわゆるバリアフリーの観点から、我が国におきましても平成十年度から本格的に導入が図られてきております。

 現在、これは平成十六年度末でございますけれども、函館市交通局、それからこれは高岡でございますが万葉線、岡山電気軌道、広島の広島電鉄、土佐電気鉄道、伊予鉄道、長崎電気軌道、熊本市交通局、そして鹿児島市の交通局、計九事業者におきまして百六両の低床式車両が導入されております。これは、全国の車両数が現在九百強でございますので、約一二%の導入率になっておりますけれども、各都市におきまして、特に御高齢の方を中心に大変好評を博しております。

村井(宗)分科員 今おっしゃられたように、いろんな意味で効果があるわけです。副大臣、ぜひこの話、御協力をいただきたい、そして、国土交通省を挙げてこの新しい富山の挑戦、ひいては全国の新公共交通であるLRTの推進に御協力いただきたいというお願いをしたいと思います。

 富山の特徴として、人口が市の中心部に集中していないという点があります。広い富山平野にかなり分散して散らばって住んでいるわけなんですね。人口集中地区人口密度が全国四十七都道府県中四十六位なんです。これは、逆から見れば、暮らしの豊かさの証明でもあるんですね。

 富山県は持ち家率が全国何と一位、一戸当たりの住宅面積も全国一位なんです。そういう意味で住宅については広くて、そしてみんなもっともなんですけれども、逆に集中していない分だけ車なしでは生活できなくなってしまっているんですね。実際一世帯当たりの自動車保有台数は全国で二位なんです。これは非常に多いです。この結果、車を運転しないお年寄りや子供にとっては余り便利とは言えない町ができ上がってしまったということを我々は若干反省をしているわけです。大きな病院、大学などの公共施設も町の中心にはなくて、中心から少し離れた郊外に立地しています。大規模小売店、大型スーパーもみんな郊外にあります。そして、中心市街地、商店街では、今ではシャッター通りとなってしまい、歩いている人の姿さえまばらといった状況です。富山以外の地方都市でも多かれ少なかれ似たような状況があると思います。

 そこで、国交省にお聞きいたします。富山のLRT計画が、現行の都市計画法では全国で初めて路面電車道の軌道施設として都市計画決定されることについての意義をお伺いいたします。

竹歳政府参考人 御指摘のように、実は富山だけではなく全国各地の地方都市で車に過度に依存したまちづくりからの脱却、コンパクトシティー、こういうようなことが一つの大きなテーマになっております。

 このLRTは、今御指摘ございましたように、交通弱者に優しくてエネルギー効率にもすぐれている、都市内交通の円滑化に寄与する、環境と共生した持続可能な都市づくり、今後我々が目指すべき都市づくりに非常に役立つ都市の新たな装置だと我々は理解しておるわけでございます。

 今お話ございましたように、全国で初めて、都市計画道路の一つである路面電車道として昨年の十一月三十日に住民の皆様の合意も得て都市計画決定されたということでございます。この都市計画道路の決定がされますと、道路特定財源を活用して支援できるという大変大きなメリットもございまして、今後の全国のまちづくりにとって、この富山のLRTは大変大きな意味を持っていると思います。

村井(宗)分科員 富山の新しいこの都市計画、褒めていただいて本当にありがとうございます。

 トータルなシステムとしてLRTを行う、つまり、既存のところに超低床車両を通すというのは今までも例があったんですが、初めから、線路と言っていいんでしょうか、軌道のところからLRTのトータルシステムでやるということが今回の富山は画期的なわけなんです。そのメリットを国交省の方から一言おっしゃっていただければと思います。

大口政府参考人 先生おっしゃいますように、我が国においては、これまで低床式の路面電車の導入が中心ということで、トータルシステムとしてのLRT化が実現するのは、まさに富山のライトレール計画において初めてでございます。

 こうしたトータルとしてとらえることのメリットあるいは特徴でございますが、一つは全車両の低床化、これによりまして、だれでもが乗りやすくなる、おりやすくなる。それから、新駅の設置による駅間距離の短縮によりますと、これは地域住民の方々を初め利用者の方々にとってアクセスが飛躍的に向上する。それから三つ目、運行本数の大幅なアップによりまして、輸送力あるいはフリークエンシーが向上する、これも利便性が高まるわけでございます。そして四つ目には、ICカードの導入を組み合わせることによりまして、まさに一々買わなくても済む、それから乗りおりに時間がかからなくて済むということがございます。そして、さらに富山のライトレールの計画にもございますが、バスとの乗り継ぎ円滑化等、これは沿線のまちづくりと一体となった取り組み、まさにバスのターミナルと一体的に最終的には運営していく、そういうものを組み合わせることによりまして全体がトータルとして機能して、そして人や環境に優しい乗り物というだけではなくて、まさに人サイズ、人間サイズの機能的で動きやすい町、これが実現してくるというふうに考えております。

村井(宗)分科員 次の話に移りたいと思います。

 私が非常に力を入れている課題の一つとして、地球温暖化の問題があるわけです。

 午後からもう一回、環境委員会の方で、地球温暖化の問題について私は質問に立たせていただきますが、ここのところ、何回も地球温暖化問題について私は国会で発言させてもらってきました。私たちは、京都議定書という議定書を守らなければなりません。モントリオール議定書とか、いろんな各国の地名がついた国際条約はたくさんあったわけです。しかし、日本の地名がついたものというのは今までなかった。そういう意味で、京都議定書というのは、京都という日本の地名がついているわけです。私たちが議長国としてつくった以上、これを達成することが使命なわけなんです。

 京都議定書の内容は、もちろん皆さんも御存じのように、CO2を一九九〇年度から六%減らすということなんです。しかし、今現在どっとふえてしまっている。本当にこの目標を達成できるかどうかということは危ぶまれているわけです。いや、CO2、そこまで減らせぬよ、無理だよと言う前に、我々はそれを達成するための挑戦をしなければなりません。産業部門、横ばいが精いっぱいだというふうに、今、経団連なんかは言っています。民生部門も、これ以上豊かにするためだったらこれ以上減らせるかなみたいな話をしています。

 そんな中で、やはり交通部門でのCO2排出量を減らさにゃならぬのです。これまでの自動車中心、もちろん環境に優しい自動車とかも今出てきています。こういうのも重要なんですけれども、自動車以外の公共交通をしっかり充実させることによって、地球温暖化防止の対策にも役立つ。私たちは、そう信じて今このLRTの問題に取り組んでいるわけです。

 地球環境にも優しいというふうに主張させていただきたいんですが、その辺、国交省はどうお考えでしょうか。

大口政府参考人 先生おっしゃいますように、LRTシステムは、速達性にすぐれ、さらにバリアフリーにも効果がございます。さらに、環境にも優しい利用者本位の交通体系でございます。

 このうちLRT整備が環境面に与える効果としましては、例えば輸送人キロ当たりの二酸化炭素の排出量、これで比較しますと、LRTは、乗り合いバスの三分の一、マイカーの五分の一の排出量に抑制されます。地球温暖化対策には大変効果があるというふうに私どももとらえているところでございます。

 また、LRTシステムの構築に不可欠な施設の一つとして、騒音あるいは振動が少ないレール、こうしたものの導入も想定されていますので、周辺環境に与える環境面、あるいはさまざまな住環境等を含めまして効果は大変すぐれているというふうにとらえております。

村井(宗)分科員 もちろん環境面で非常に優しい、そして京都議定書を達成するために地球温暖化防止の対策に役立つということを御紹介いただいたんですが、次にもう一つ申し上げたいことがあるんです。それは、やはり交通弱者への優しさだと思うんですね。

 今まで普通の電車に車いすで入るというのはなかなか難しかったと思うわけです。また、お年寄りの場合、今ひとり暮らしとか老夫婦だけのお年寄りというのもこれからどっとふえてくるわけです。団塊の世代と言われるような人たちが定年を迎えたり、それから高齢化の比率がどんどんどんどん上がって、車を持っていない、もしくは持っていても運転しづらいという人たちがふえてくる。そういった人たちが便利になるための公共交通システムというものをしっかりつくっていかなきゃならない。

 私は、このLRTというのは、普通の公共交通などに比べて高齢者、そして障害者に非常に優しいというふうに思っているんですが、その辺、どうお考えでしょうか。

大口政府参考人 LRTシステムでは、まさに先生おっしゃるように、低床式車両を不可欠な設備というふうにとらえております。これは、まさに高齢者あるいは障害者、さらには小さなお子様や乳飲み子を抱えておられる、買い物に出られるようなお母様方、こうした方々に大変有効的でございます。上下の移動抵抗がなく、まさに乗りおりが大変簡単になります。

 また、現在、国内車両メーカーでも国産式の超低床式車両の開発を進めてきておりましたが、この三月にようやくその第一号が完成しまして、広島で営業運転に入っております。その車両の中では、例えば、乗りおりが楽というばかりではなくて、実は車内に入った後に、買い物のいわゆる車あるいは車いす、そうしたものがスムーズに移動ができるように工夫されておりまして、こうしたすぐれた車両の導入が今後のLRTシステムの導入に拍車をかけてもらえるものというふうに期待しております。

村井(宗)分科員 福祉といった意味でも非常に優しいということを御説明いただきました。ありがとうございます。

 次に、まちづくりの関係についてお伺いしたいと思います。

 最近では、景観に配慮したまちづくり、いやしや潤いを考えた都市空間づくりが進んでいます。LRT構想は、単なるLRTの路線だけの問題でなく、LRTが走る町全体をどんな町に構想していくかという問題で考えなければならないと思います。LRTの駅までの歩く空間をどう整備していくか、自転車で来る人の駐輪場をどうするか、それから、特に中心市街地へ出かけるお客さんをふやすために魅力ある町並みをいかにつくっていくか、こういった問題も同時に取り組んでいく必要があると考えています。

 そこで、国交省にお伺いします。

 LRTの利用者拡大につながる沿線のまちづくりのあり方について、国交省の見解をお聞きいたします。

竹歳政府参考人 LRTの有するメリットを生かしましてLRT沿線の高度な土地利用や活発な都市活動を誘導することは、今御指摘のございました、環境に優しいまちづくりや中心市街地の活性化という意味でも非常に有効ですし、もちろんLRT利用者の拡大にとっても有益です。

 富山市におきましては、富山港線沿線地区というところに、まちづくり交付金を活用しまして、五年間でLRT沿線のまちづくりを進めようということをしております。今御指摘のように、LRTへのアクセスの道路でございますとか、それから自転車の駐輪場、こういうこともあわせて整備するというようなこと。それから、周りに住宅を供給していくというようなことで、日本全国で最初のLRTの活力を利用していい町をつくろう、景観また古い伝統的な町並みも残っているということで、そこら辺を一体的に進めようということでございますので、ぜひ私たちもこれを全国的にも応援していきたいと思っております。

村井(宗)分科員 この三十分の質問を通じて、まず環境に優しいという点、そして高齢者に優しい、障害者に優しい、そしてまちづくりにもいいというところをお話しさせていただきました。

 そういった意味で、ぜひ、LRTを全国に進めていく、そして、そのための第一弾として最初にスタートする富山のLRTなどを国交省として御協力いただきたいわけですが、国交省の見解、お願いいたします。

大口政府参考人 先生おっしゃるように、バリアフリー、環境、さらには市街地活性化、都市再生などなど、LRTには大変大きな効果がございます。このため、国土交通省としまして、LRTの整備推進のための総合的な支援措置としまして、平成十七年度、今年度からLRTプロジェクトを実施することにいたしております。

 具体的には、鉄軌道事業者あるいは地方自治体などの関係者から成るLRTプロジェクト推進協議会を設置していただきまして、その協議会において、関係者がまさに文殊の知恵を出し合いながらLRT整備計画を策定しますと、それに対しまして、私ども国交省の関係局の連携によりまして、LRT総合整備事業として、いろんな補助事業を一括採択するなどの支援ができることになっております。

 LRT総合整備事業の具体的支援策といたしましては、私ども鉄道局が新たに創設しましたLRTシステム整備費補助事業、あるいは都市整備局による都市再生交通拠点整備事業、さらには道路局による路面電車走行空間改築事業等、そういうような各種補助制度につきまして、同時採択を行うことで一体的な支援をし、スクラムを組んでいきたいと考えております。

村井(宗)分科員 最後に、副大臣、せっかくお見えなわけですから、お聞きしたいと思います。

 今、この流れで、ずっとこういう形でLRTプロジェクトの推進ということをお願いしてまいりました。まず富山が成功すれば、次は副大臣の地元でございます。そういった意味で、どんどんどんどん、まず富山、そして次栃木といったような形で、日本全国にLRTという新しい新公共交通をどんどん進めていってほしいと思うんです。大臣、何とぞよろしくお願いします。御見解をお願いします。

蓮実副大臣 村井先生のLRT促進に情熱を持った今のお話に心から敬意を表したいと思っております。

 LRTは、人や環境に優しく、また、今お話しのように、中心市街地の活性化にも大変役立っております。これからの交通システムとして大いにその整備が期待されております。私の地元、宇都宮も含めまして、全国各地で導入のための検討が進められておるのは先生御指摘のとおりだと思っております。

 しかしながら、関係者の合意形成、あるいは採算性の問題等々、さまざまな要因から事業がスムースに進んでいないのも事実であります。このために、国土交通省としましては、こういった事態を打開すべく、十七年度予算で、LRTの整備推進のため、総合的な支援策としてLRTプロジェクトを立ち上げたわけであります。これを一つの契機として、国土交通省の総力を結集いたしまして、地域におけるLRT導入に向けた取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。

村井(宗)分科員 副大臣の決意も聞かせていただきました。本当にありがとうございます。

 というわけで、国交省に改めてLRTの推進、まず富山、そして次の栃木と、どんどんどんどん日本全国へ広げていってほしいということで、私のお願いと質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山名主査 これにて村井宗明君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十一分開議

山名主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管、住宅金融公庫について質疑を続行いたします。荒井聰君。

荒井分科員 民主党の荒井でございます。

 国土交通大臣、御苦労さまでございます。冒頭に、JR西日本が尼崎で大変多くの犠牲者を出されたことにお悔やみ申し上げますとともに、関係者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 それに関しまして、先ほど本会議で大臣が、安全性の確保ということで、公共交通機関に文書で通達を流したというお話をされておりましたけれども、どうも最近、公共交通機関の安全性に関する事故があちこちで起きているんじゃないだろうかと。小さな事故で、人身事故までに至っていないものも含めますと、例えばJAL、日本航空の件でありますとか、あるいは各種の地方の鉄道でありますとか、そういうところも含めますと、安全性の問題に関して、少し事故が多過ぎるんじゃないかという印象を持ちます。

 先般、私、JR東日本の関係者と話し合う懇談の席を持ったんです。そのときに、新潟の地震で新幹線が脱線をしたわけですけれども、人身事故に至らなかったわけですけれども、本当に偶然だったと。その偶然の一番最大のものは、JR東日本が抱えているベテランの技術者の勘のようなものが影響したんだという話をされました。

 というのは、そのベテランの技術者が十年前の兵庫・神戸の地震の調査に行って、これは橋脚を補強しなきゃだめだということを痛切に感じて、それで戻ってきてすぐ、JR東日本所管の地域の地震地帯と言われる危険地帯についての橋脚の補強工事を積極的にやったんだそうです。関東周辺、それからそのときに仙台周辺ということも言っておりましたけれども、その方がどうしてもここだけはやらなきゃいかぬと言って強調したのがあの新潟のあそこの地域だったんだそうです。それは、ベテランの技術者が、ここの下に活断層がある、ここだけはどうしてもやらなきゃだめなんですと言って、社内の中で、多くの反対を押し切ってやった。しかも、まさしくそこだったというんですね。

 そういうのは偶然なのかもしれないんですけれども、私は、安全性の問題とかあるいは仕事の面で、直観みたいなものというのはベテランの職員の中にはやっぱりあるんじゃないかと。安全ということをいつでも頭の中に描いていると、そういうものというのは自然にわいてくるものがあるんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども、その点からいきますと、最近の公共交通機関に携わる職員の教育だとか、あるいは入ってくるまでのディシプリンといいますか、そういうものでありますとか、それが何となく緩んじゃっているんじゃないだろうか、そういう感じがするんですね。

 公共交通機関で働く人たちというのは、指示命令系統をしっかり守っていくとかマニュアルをしっかり記憶しておくとか、ある意味では一般の若い人たちとは少し離れた社会生活といいますか教育というのが必要なような気がするんですね。

 そういうものを含めて、今回の事故に対する大臣の、今後の処置も含めた御決意なりあるいは感想なりを聞かせていただければと思います。

北側国務大臣 昨日の福知山線での列車の脱線事故、甚大な被害が生じてしまいました。お亡くなりになられた方々に対しましては、心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。また、多くの方々が重傷等、負傷を負われておられます。心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 今は、現場では被害者の方々の救出、また救命活動、これを最優先でやらせていただいておりますが、昨日から事故調査委員会が入りまして、徹底した事故原因の究明に努めてまいりたいと思っております。事故原因をきちんと解明することが再発の防止にもつながってくると思っておるところでございまして、全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思っております。JR西日本に対しても、原因究明に全面的な協力をするように強く要請をしてあるところでございます。

 また、今委員がるるおっしゃいました、昨日の事故だけではございません、最近、幾つかの公共交通事業者の事故があります。また、事故には至っておりませんけれども、ちょっと間違うと大変な事故になりかねない、そうした事案もあります。この公共交通事業者に対しまして、安全確保が利用者、国民に対する最大のサービスであるということを改めて社を挙げて徹底をしてもらいたいと今強く思っているところでございますし、先般、鉄道事業者も含めまして、安全確保のための総点検の指示をした最中にこうした事故が起こってしまったわけでございますが、改めて昨日、通達をもって安全確保を徹底するように指示をいたしました。

 先ほど本会議場で申し上げましたように、国土交通省といたしましても、私を先頭に、公共交通事業者の主要なところには、現場に赴かせていただきたいと思っております。どのような安全総点検活動がなされているのか、どのような対策がとられているのか、きちんと事業者のところに出向きまして、報告を直接受けさせていただきたいと思っているところでございます。

 全力を挙げてこうした事故がないように取り組みをさせていただきたいと思っております。

荒井分科員 ぜひ、大臣を筆頭に、鉄道局も大変な時期だと思いますけれども、事故の再発を防ぐ万全の措置を講じていただきたいと思うんですね。

 七年前になりますでしょうか、八年前になりますでしょうか、私は、エア・ドゥという航空会社、北海道独自の航空会社なんですけれども、それを立ち上げるというときに、それの中心になった浜田さんという方がおられたんですが、お亡くなりになりましたけれども、その方がエア・ドゥを立ち上げようとして、当時の運輸省に相談に行きました。当時の航空局長、黒野さんという、今成田空港公団の総裁をやっておられますけれども、その方が、航空会社を設立するならば、ぜひ行ってみてほしいところがある、ぜひ行きなさいと言って教えてくれたところが御巣鷹山でありました。いかに公共交通機関が事故を起こすと甚大な被害と深刻な被害が出てくるのかということをまず基本に抱きながら事業を経営するものだということを教えたかったんだろうというふうに思います。

 最近、何でもコンピューターで制御できるというような感じになっていて、結果についての、犠牲者の痛ましさというのがどうもリアル感として事業者にも経営者にも職員にも少なくなってきているのかな、そんなところが心配に思う次第でございます。ぜひ頑張ってください。

 さて、きょうは、公共交通機関にかかわって、地方での公共交通機関、その問題について少し議論させてもらいたいと思っております。

 と申しますのは、北海道で代表的な地方公共交通機関であった銀河線、ちほく鉄道というのが今廃止をするかどうかという議論をされておりまして、私は、その議論というのは、今の世相上、一つの地方線の問題としてではなくて、国政全般としてこのような問題があちこちで起きているのではないか、それをどういうふうに国土交通省は考えておられるのかということを議論したいと思ってございます。

 まず、鉄道局や自動車交通局長に、現在における、地方公共団体が関与するような、地域の足として極めて重要であると思われるような地方鉄道や過疎バスというものの経営実態はどうなっているのか。恐らく相当な赤字をそれぞれ出しているんだと思うんですけれども、その経営実態はどうなっているのか。そして、赤字の中であえいでいる公共交通機関の今後の見通しというものをどういうふうに見ておられるのか、それをお聞かせください。

梅田政府参考人 鉄道でございますが、現在、御指摘のありました地方鉄道につきましては、沿線人口の減少あるいは少子高齢化、道路整備が進む中でマイカー利用者が非常にふえたというようなことで、輸送量は経年的に減少傾向にあります。平成五年度から十五年度の十年間で二割以上の減少が続いてきております。十五年度で見ますと、地方鉄道事業者九十四社の七割を超えます事業者におきまして、鉄軌道事業では赤字でございます。その赤字の営業損失の総額は約二十五億円ということになっております。

 今後につきましてでございますが、今後につきましても、沿線人口の減少とか少子高齢化、そういう点につきましては、これが好転するという見込みはないと思います。したがいまして、経営から見ますとなかなか厳しい状況が続くというふうに考えております。

金澤政府参考人 地方バスにつきましても、ただいま鉄道局長が御答弁申し上げましたような事情によりまして、輸送需要の減少傾向にまだ歯どめがかからないという状態にございます。

 三大都市圏以外の地方バスの十五年の経営を全体で申し上げますと、これは三十両以上の乗り合いバス事業者にとっての数字ですが、輸送人員は対前年比で二・二%減、そして全体の経常収支率は九一・五%、その赤字総額は四百三十八億円ということでございますが、その中でも、国が補助をしております、いわゆる地方生活交通路線の経常収支を見ますと、二百六事業者が行っております千八百六十系統の経常収支率は七二・八%ということで、これも前年よりも悪化しておるという極めて厳しい状況にございます。

 委員御質問の今後の見通しでございますが、やはりこれも当面そうした厳しい状況が続いていくんだろうというふうに私ども認識しております。

 しかしながら、地方の特にバスは、地域住民にとりましては、みずからの交通手段を持たない交通弱者にとりましては最後の公共交通機関でございまして、私どもといたしましては、高齢化の進展あるいは温暖化問題の深刻化等に伴いまして、地方バス路線の維持、確保は今後もますます重要なものとなっていく、そのように今認識をしております。

荒井分科員 地方鉄道についての助成制度というのは現在のところないんでしょうか。

梅田政府参考人 地方鉄道につきましては、かねてより近代化補助制度というのがございます。制度の中身は細かくなりますが、地方鉄道の一定の要件に該当します事業者に対しまして、設備の更新等につきまして一定の比率で補助を与えるものでございます。

 十七年度におきましては、そうした中で、地域と一緒になって再生計画をつくっていただく事業者につきましては、近代化補助の中で、補助の枠組みを少し変えまして、若干高目の補助率等を設定しております。また、地方におきまして最近LRT等について大変興味をお持ちの自治体も多うございますので、LRTのシステム整備費補助制度をつくりまして、これも私どもとしましては、関係の道路とか、あるいは都市とも連携しながら進めてまいりたいと思っております。

 全体として、十七年度は、地方関係の補助金でございますが、先ほど言ったものを合わせまして約三十二億円を準備しているところでございます。

荒井分科員 地方の足を確保するのに三十億円とか四十億円とかという数字は極めてシャビーというか、地方にとっては頼りないというふうに私は思っている次第です。

 ところで、地方鉄道を経営しているほとんどが多分第三セクターだと思うんですね。第三セクターというのは、今から二十年前でしょうか、当時、第三セクターを通じて補助金や補助事業ができるような仕組みを大蔵省が中心になってそのころ推進したものですから、あちこちで第三セクターができ上がっていったわけです。しかし、第三セクターが事業経営するというのは、結果的には、武士の商法といいますか、お役所仕事になっていて、どこもかしこも大体赤字。その赤字を一般会計で埋めていくというのが第三セクターの通常のやり方だったんだろうというふうに思われます。

 しかし、ここへ来て、三位一体改革などで地方財政の改革が極めて大胆に行われるようになった。それだけでなくて、地方財政の厳しさというものが出てきて、一般会計からの補てんというのが非常に厳しくなってきている、そういう状況にありますね。その結果、第三セクターで運営しているかつかつの事業体的な、企業体的なものというものは廃止の傾向にある。

 私は、これは、ある意味では必要なかったものを廃止するわけですからやむを得ないというか、財政を立て直すためにも、ある意味ではやむを得ないんだと思うんですけれども、しかし、地域の足にかかわるもの、あるいは地域の医療にかかわるもの、そういう生活に不可欠なものについて、これは赤字だから廃止すると簡単にやっていくというか、そういう運営方針というのは問題があるというふうに思うんですね。特に、こういう企業体的な第三セクターについては、どうして民間の知恵あるいは経営能力あるいは経営技術といったようなことをもっと利用しないのか、そういうものに関して、鉄道局なりあるいは自動車局というものが積極的に後押しをしないんだろうかというふうな疑問を持っているんですけれども、このあたり、鉄道局はどうお考えですか。

梅田政府参考人 地方鉄道事業者、これは先生御指摘のとおり、第三セクターもございますし、それから、昔から、いわゆる純粋の民間でやってきている中小の民鉄等もございます。いずれの事業者に対しましても、私ども本省もそうでございますが、地方運輸局を通じまして、常日ごろ、経営面あるいは技術面にわたって、いろいろ指導助言等を行っているところであります。

 例えば、最近のことでございますが、成功例というのでしょうか、こういう知恵があるよというようなものを集めましたベストプラクティスというものの収集をしたものがございまして、そういうような例をパンフレットにしまして頒布し、周知しているところもございますし、それから、公共交通活性化プログラムというのがございます。これは運輸局が中心になってやるプログラムでございますが、そういうようなものの中で鉄道をうまく生かすためにはどうしたらいいかということで、関係者が集まっていろいろ知恵を出し合うというようなこともやってきております。

 また、先ほどちょっと言いましたように、ことしからは地方鉄道再生計画というようなものも、これは協議会をつくります、民間も入っていただくような協議会でございます。そういう中で、また知恵を出し合うというようなことでございます。

 御指摘のように、そういう面についてはお互いに工夫をし合うというのが私ども大事だと思っておりますので、引き続き、こういう点でも、さらに我々としてもさまざまな助力をしていきたいというふうに思っております。

荒井分科員 きょうは国土交通省の北海道局長さんにも来ていただいたので、ちょっとお話を聞きたいんです。

 北海道のちほく、銀河線と言われる鉄道ですね、この廃線に至った経緯というのは、私、鉄道というのは、一回廃線にしてしまうと、線路の引き直しというのは非常に困難です。しかし、鉄道の持っているポテンシャリティーというのはかなりいろいろな、ロマンも含めて、特に観光資源として極めて有利なものを持っていると思うんですね。社長さんが近隣の市長さん、いわゆる典型的な第三セクターの典型的な赤字の出方、あるいは、経営を改善していくという民間的な努力が本当にベストでされたのかどうかということに関しても、私は大変疑わしく思っているんです。

 そういう中で、この銀河線というのを廃止するというのは大変もったいない気がするんですね。地域開発として、もっと可能性があるんではないか、もっとさまざまな可能性を追求してもよかったんではないかというふうに思うんですけれども、北海道局長はいかがでしょうか。

山本(隆)政府参考人 お答えいたします。

 北海道ちほく鉄道が運行されております、いわゆる北見あるいは十勝のこの地域、大変広大な地域であります。もちろん、一次産業を主体にして、自然環境を生かした観光等々、地域の活性化にいろいろな努力をしている地域であります。

 その中で、やはり非常に大事なのは、交通のネットワークをいかにつくっていくか、それも、鉄道なり道路なり、うまく連携をしながら、あらゆる努力をして地域の活性化へつなげていくということが一番肝要でなかろうかと思って、私ども、今まで仕事をしてまいっております。

荒井分科員 ぜひ、鉄道というものの持っている、バスとは違うそういう特性というものをもう一度議論していく、再検討していくということが必要なんではないかなというふうに思います。

 特に、この銀河線には数十億の基金がまだ残っている、あるいは、この廃線のために三十数億のお金を使う。鉄道の線路をはがすのに三十億円の費用がかかるんだということで、基金が残っているうちに廃線するんだというような説明をどうも地元でしているようですけれども、私自身とても納得できないですし、地方の人にもとても納得できないような説明をしているというふうで、大変不思議な事案だなというふうに思います。基本的には、地方自治体の財政難というものがこういうものを引き起こしているのかなというふうには思うわけでありまして、その意味では、この三位一体が引き起こした大きな影響がここにも出ているなというふうに思います。

 ところで、地域の公共交通機関という意味では、地下鉄もまた大きな公共交通機関で、地方自治体が絡む公共交通機関なわけですけれども、この地下鉄で黒字なのは、恐らく東京周辺の地下鉄だけだと思うんですね。全国的に見て、ほとんどの地域が赤字なんだろうと思うんです。これは、建設費にお金がかかるということもあるんでしょうけれども、どうも、低コストの地下鉄技術というものについて、鉄道局なりがもう少ししっかりとした指導をしていくべきだったんではないか、それが指導されていないんじゃないかという懸念を私は持っております。

 例えば、札幌の地下鉄は、全国でもたった一つだと思うんです、世界じゅうでもたった一つじゃないでしょうか、タイヤを使った地下鉄であります。タイヤを使った地下鉄というのは、恐らくその当時はその当時の意味があったんだろうというふうに思うんです。しかし、全国あるいは世界じゅうにもそれが広がらないというのは、やはり技術的にも問題があり、あるいはコスト的にも問題があったんだろうというふうに思うんですけれども、このあたり、鉄道局ではどんなふうにとらえられておりますか。

梅田政府参考人 現在、主として地下鉄整備事業費補助という、いわゆる地下鉄補助と我々は呼んでいますが、これによりまして整備、運営している地下鉄の事業者というのは、公営事業者が九事業者三十一路線、三セク等民間が三事業者十路線、合わせて十二事業者四十一路線、延長にして六百九十二キロ、一日当たり一千三百万人の乗客を輸送しています。

 十五年度の決算でいいますと、その中で、営業損益ベースでございますが、七事業者が黒字になっております。しかし、経常損益ベースで見ますともっと減りまして、大阪、福岡、現在の東京メトロ、この三事業者が黒字、残る九事業者は赤字ということになっております。東京メトロ以外は多額の欠損を抱えているというような状況でございます。

 これは、御指摘がございましたように、非常に多額のお金がかかります。あわせて、多額の借入金を必要とする、回収には非常に長期間かかります。そういう点で、収入面では、輸送量が下回ってみたり、当初どおりの運賃改定ができないというような事情で、経営改善がなかなか進まないというようなことがございます。

 札幌地下鉄につきましては、現在、十五年度決算でございますが、九十八億円の経常損失を計上するなど、厳しい状況でございます。(荒井分科員「幾らですか」と呼ぶ)十五年度決算で九十八億円の経常損失でございます。単年度の営業収支でまいりますと、十五年度には償却前に経常収支が黒字になるということで、やや経営改善の傾向にある状況でございます。

 御指摘のゴムタイヤのことでございますが、実はゴムタイヤというのは、御指摘のとおり、札幌しかございません。これは、当初、南北線をつくりましたときに、一部区間が急勾配である、あるいは環境面への配慮ということでゴムタイヤ方式をとりました。以後、路線を延ばすたびに統一するしかないものですから、ずっとゴムタイヤになったというのが結論でございます。

 ただ、ゴムタイヤの車両費の単価、基準単価は、実は決して高くはありません。これは、例えば全部の地下鉄の事業者の中で最も低いと思います、ゴムタイヤ自体は。具体的に、我々の基準単価を言いますと、札幌市のゴムタイヤの基準単価でございますが、これは一両当たりの単価と考えていただければいいんですが、五百九十三万というふうにはじいております。(荒井分科員「タイヤの値段ですか」と呼ぶ)タイヤではなくて車両費ですね。全体の車両費で、高いところは例えば八百七十六万というようなところもございますので、ゴムタイヤだけのおかげで経営コストが上がっているということではないと思います。

荒井分科員 私は、ゴムタイヤ方式の持っている欠陥というのは、普遍的な地下鉄のシステムではないんではないかと。つまり、ほかの路線に相互乗り入れをしていくとか、ネットワークで経営をしているというのが、これが経常利益を出していくための大きなポイントだと思うんですけれども、それができないというところに大きな欠点があるんだというふうに私自身は思っています。

 今、大臣、私と国土交通省の事務方といろいろ議論をしましたけれども、地域交通の重要性というのは極めて大事です。地域に住んでいる人たちにとっては、これはもう生命線であるというふうに言えると思うんですね。しかし、その生命線であるそこの地域交通の部分が徐々に徐々に、地方の財政困窮ということが大きな原因だと思うんですけれども、非常に厳しい経営状態に陥っている。それを改善するために、国土交通省として、もっとさらに積極的な支援策ということに取り組んでいくべきではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 今の地方の公共交通の話につきましては、これまでも他の委員会でも何度も取り上げられておりまして、全国で同じような事例がたくさんあると認識をしておるところでございます。

 これからの時代を考えますと、ますます地球環境の保全ということが重視をされる。そういう中で、鉄道やバス等のこうした公共交通機関の重要性というのは増してくると私は思っておりますし、また、少子高齢化がますます進む中で、余り過度に車に依存するような社会にしてはならないわけでございまして、そういう観点からも、公共交通機関というのは重要であると思っております。特に地方において、そういう財政的に大変厳しい中であるということを前提にしまして、しっかり取り組みをしなければならないというふうに認識をしておるところでございます。

 先ほども鉄道局長、自動車交通局長の方から答弁をさせていただきましたが、十七年度予算では、わずかではございますけれども、さまざまな対策をとり、予算もふやしているところではございます。時間があったらいろいろお話もさせてもらいたいんですけれども、やはり一つは、地域経済の振興をどう図っていくか。例えば観光振興なんかも含めまして、そういうこともやはり並行して論決しないといけないなとも思いますし、また、地元にお住まいの方々の熱意といいますか、情熱というのも非常に私は大事な要素のような気がするんです。

 実を言うと、私の地元でも、日本で最初の民間鉄道機関がありまして、路面電車なんですけれども、日本で初めてなんです。路面電車が走っているんですが、もう長い間。それが全然利用者が少なくなってしまったもので、会社としてはやめたい。ところが、私の地元では、やはりこのチンチン電車というのは我が地元の名物だ、これは残さないとだめだということで、チンチン電車を愛する会というのを市民でつくりまして、それで、市民が切符をいっぱい、回数券をつけたものを買いまして、そして、経営的にも支援をしているような取り組みもしているんです。

 そういう意味で、地域経済の振興、そして地元の方々の熱意、そういうことも照らし合わせながら、一方で国交省としても地方交通の活性化に向けてしっかりと支援させていただきたいと思っております。

荒井分科員 これで終わります。

山名主査 これにて荒井聰君の質疑は終了いたしました。

 次に、城島正光君。

城島分科員 民主党の城島でございます。

 大臣、きのうからのJR事故で大変なところ、御苦労さまでございます。

 きょうは私、まず地元の、これも鉄道なんですけれども、踏切事故に関して、要望を含めてちょっと質疑をさせていただきたいと思います。

 三月十五日、大臣も御承知だと思いますけれども、夕方ごろ、午後四時過ぎでありますけれども、私の地元足立区の東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの踏切で、女性二人が、遮断機が上がりましたので踏切を渡ろうとして、上りの準急電車にはねられて死亡された。また、これもお二人の女性ですけれども、同じように渡ろうとして転倒した、これは軽傷でありましたけれども、そういう事故が起こりました。

 多くのその報道を聞いた人たちは、今どきまだ手動式の遮断機があるのかということに驚かれたところでありますけれども、遮断機が上がったので、死亡された方あるいはけがをされた方は渡ろうとしたわけであります。亡くなられた方の御冥福を祈るばかりでありますけれども、今どきこういうことでそういう事故が起こるということも、やはり少し改善する必要があるんじゃないかということを改めて痛感した不幸な事故であったわけであります。

 この竹ノ塚駅の踏切の保安係五十二歳、遮断機を上げた人ですけれども、業務上過失致死傷害容疑で逮捕されたわけであります。しかし、この事件はこの保安係一人の責任ということではないんじゃないかなというふうに思われるわけでありますけれども、まず、この事故について国土交通省としてはどういうような認識をされているのか、その辺からお尋ねをしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 三月十五日の事故につきましては、まことに遺憾な残念なことだと思っております。また、亡くなられた方に心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 事故直後から、東京都、地元自治体、鉄道事業者に私ども国土交通省も参加しまして検討会議を計八回開催しておりまして、先日、四月二十二日でございますが、その検討結果について、東京都等から公表されたところでございます。

 対策内容につきましては四点ございますが、一つは、赤山街道との踏切でございます伊勢崎線三十七号踏切の直近に、自転車対応の斜路・エレベーターつきの歩道橋を設置することが一点でございます。二点目は、この踏切のスムーズな通行を可能とするため、踏切内の自転車・歩行者通行帯を拡幅するというのが二点目でございます。三点目は、竹ノ塚駅にございます自由通路におきまして、現在はエレベーターが設置されておらない駅西口にエレベーターを設置するということでございます。四つ目は、駅北側区道との踏切であります伊勢崎線三十八号踏切のスムーズな通行を可能とするため、踏切道の幅員を拡幅することでございます。

 今後、国土交通省としましても、こうした検討結果を踏まえての速効対策と呼ばせていただいておりますが、実施につきまして、積極的に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

城島分科員 今、四点の対応策ということを早急に検討された、それは非常に時宜にかなっているし、ありがたいことだなと思うんですけれども、本質的な解決策というのは、やはり前々から地域住民も含めて要望している鉄道の高架化しかないと思うんですよね。

 ここは私もよく利用するところなんですけれども、大臣、この踏切は実は、ピーク時というかラッシュ時には、一時間のうちにあくのが何と一分なんですよ。もうすさまじいところなんですね。だから、できればもう通りたくないというのは当然なんですけれども、それでもどうしても通らざるを得ないというときは、私も、要するにピーク時じゃないなと思うときは車で通るんですけれども、何と一時間に一分しかあかないというその踏切で、しかも、周りは商店街ですし、通行人が非常に多いところなんですね。そうすると、ピークのときに一時間に一分しかあかない踏切というのがそのままあること自身が、やはりこれはどう考えても腑に落ちないというか、地域住民からしても、これは何とかならないかという声が出てくるのは当然だと思うんですね。

 この地域からのまとまったいろいろな要望、陳情書等を振り返ってみますと、組織立ってはもう既に二十五年以上前から区に対して、東京都に対して、そして国に対していろいろな要望が出されているんだけれども、依然としてそれが基本的に解決をされずにこういう不幸な事故になってしまった。地域住民からすると、何でこんなに不便なのがそのままになっているんだという素朴な疑問があるんですね。

 あえてまた国土交通省にお尋ねしますけれども、これだけ利用者が多くて、しかもラッシュ時には一分しかあかないというのが何でそのままになっているんでしょうか、解決されないで来たんでしょうか。その理由をちょっと教えていただきたいんです。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 この連続立体交差事業、地元からかねてから御要望があったわけでございますが、何よりもまず地元自治体それから鉄道事業者等の合意形成が重要であるということから、この立体交差化については、平成十三年度から、足立区が設置いたしました竹ノ塚駅周辺地域道路・鉄道立体化検討会において、東京都、東武鉄道の参加を得て検討が進められているということでございます。

 随分時間がかかっているわけでございますけれども、国土交通省といたしましては、まずやはり地元からきちっと合意形成をして出していただくことが前提となりますが、やはり事故も起きておりますので、相談に乗っていくとともに、ぜひこれを最大限支援していきたい、このように考えております。

城島分科員 鉄道の立体化、高架化について調べてみますと、どうもいろいろな条件があるようなんですけれども、この辺はどうなんでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 連続立体交差事業、国庫補助の採択基準というのがございまして、実は、この前後の区間については立体化が進んでおるのですが、この竹ノ塚駅の周辺だけできていないということでございます。

 それで、事故が発生しました伊勢崎線の第三十七号踏切がございます赤山街道というのは区道でございまして、今の基準からいきますと、幹線道路の要件を満たしておりません。幹線道路の要件というのは、都市計画決定をした街路、国道及び都道府県道でございまして、実はこの赤山街道は、都市計画決定がされていませんし、区道なので国道とか都道府県道に当たっておりません。

 ただ、区道も都市計画決定すれば国庫補助の採択基準になるわけでございますので、連続立体の補助採択基準に当たる工夫の余地は十分あると考えております。

城島分科員 どうもそうらしいんですね、私もこれで調べてわかったんですけれども。これだけ交通量が多いところで、それを利用している人は、これが区道なのか都道なのか国道なのかというのは全く認識してなくて利用しているわけですよね。そういう中で、この連続立体交差事業の採択要件というのは今御説明があったような条件がなきゃだめだと。緩和要件ということもできたようですけれども、いずれにしても、そういうのがないとなかなか鉄道の立体化は難しい。計画する方からすると話はわからないでもないんだけれども、でも、現実、今言ったようなその踏切の実態がこれだけになっているときに、あくまでもそういう要件だ、そこは例えば緩和要件も何とか満たさなきゃだめだというのもちょっとどうかなと思うんですね。

 今御説明があったように、ここを除けば全部高架化になっているわけですよ。ちょうど駅の中心部、この踏切のあたりだけが高架化になっていない。これは、そういう現実の実態と利用する側、そして踏切の遮断機がいまだにラッシュ時一時間のうちに一分しかあかないということからすると、どう考えても即高架化への具体的な検討と着手というのがされてもおかしくないと思うんです。利用側、地域住民から見るとそういうふうに思うんですけれども、どうですか。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、鉄道事業者、地元自治体も含めて、なかなか合意形成ができなかったのが今回の事態につながっているわけでございます。

 そこで、東京都では、昨年策定いたしました踏切対策基本方針におきまして、この竹ノ塚駅周辺を検討対象区間として位置づけました。加えて、私どもも東京都、足立区に対しまして、国土交通省もこの検討会に入って促進するぞということで参画いたしまして、今先生御指摘のように地元の要望も大変強いわけでございますから、東京都、足立区に対しこの立体交差に係る技術的助言をするなど積極的に支援していきたい、今までよりもさらに一歩踏み込んで、国土交通省も直接入って支援していこう、こういう構えになっております。

城島分科員 私、五年ぐらい前に実は予算委員会で、ここの踏切と、もう一つ足立区には北千住駅のところにも大踏切というのが実はあるんですね。ここも同じようになかなかあかずの踏切。このあかずの踏切が何カ所かあるので、これをやはり今と同じようなことで要望したんですよ。しかし、残念ながらこういう事故に結局なってしまった。そういうことも、私なりのじくじたる思いもあって、今度だけは、この不幸な事故を教訓にして、何とかこれを実現させないかぬなというふうに思うんですね。

 前よりも前向きだということであったんですが、これは、連続立体交差というか高架化ということで、ぜひその実現に向けてのリーダーシップを国としてとってほしいんですね。これはやはりお金が結構かかるものですから、しかも、今は区も、御承知のように東京都も財政的にきついということもあって、気持ちはわかるけれどもという話が多いわけですよ。したがって、ずるずるずるずる来ている部分もあるんだろうというふうに思います。そういう状況を超えて、高架化するということへの拍車をかけていただくには、やはり国がそのリーダーシップをぜひとっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 今竹歳局長の方から答弁させていただきましたが、こうした悲惨な事故もありました。この連続立体交差化事業というのが抜本的な対策であることは全くそのとおりでございまして、地元の都と区と鉄道事業者とでつくりました協議会に国交省も入らせていただきます。入らせていただいて、今委員の御指摘にもございましたとおり、国交省がしっかりリードして、立体交差化が進むようにしっかり取り組みをさせていただきたいと思っているところでございます。

 これは全国にもあちこちあるんですよね。今委員のおっしゃったように、なかなかこれは事業費がかかる、また工事期間が相当時間がかかるというふうなこともございます。

 まず、事業費の点については、都も区もしっかりとそこは、地元として負担することを避けてはならないと私は思います。国もしっかりと支援をしていきます。また鉄道事業者はもちろんでございます。それともう一つは、時間がかかります。平均しますと十年近くかかるんですね。ですから、その間、やはり速効的な対策、先ほど冒頭に道路局長が申し上げた対策も重要だと思います。しっかり取り組みをさせていただきたいと思います。

城島分科員 大臣の力強い御答弁をいただいて、少し展望は見えてきたなという感じでありまして、確かに時間がかかる事業だしお金もかかりますから、そういうことは我々もわかっているので、それを超えて、やはり今回のこの不幸な事故を教訓にしながら、実現に向けてぜひそのリーダーシップを発揮していっていただきたいな、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それではもう一つ、次の地元の要望に入らせていただきます。

 実は、今まで足立区に結構大きい工場が幾つもありました。それがこの十年来の中で、どんどん地方へ行ったり、場合によっては海外へ行ったりということで、大変大きな土地を有効利用せないかぬという状況が生まれてきていまして、例えば今そういう面で再開発されているのが、足立区の西新井駅前の、かつては日清紡という工場の跡地があります。その他幾つかこれからそういう計画があるわけでありまして、特にそういう大きなところになりますと、都市再生機構との連携ということがどうしても必要になってくるわけであります。そういう点で、この西新井の再開発のところも、都市再生機構と区との連携の中で、今着実にまちづくりというのが進められている状況であります。

 今触れましたように、あと幾つか同じようなところもあるものですから、こうした再生機構とタイアップした中でやるものについて、ぜひ要望させていただきたいと思うんです。

 それは、やはりまちづくりの中で、今再生機構のところもきちっと聞いてはもらっているんですけれども、地域住民の願いというのが単なる願いということじゃなくて、これからのまちづくりをするにおいて、ある面では戦略的なところも含めて、二十一世紀にふさわしいような、あるいはその地域の特性に応じたようなまちづくりにしていくために、地域からの要望というのはきちっとあるわけですね。それをしっかりと把握していただいて、それを十分踏まえた展開をぜひしていっていただきたいというふうに思うんです。

 今具体例を挙げました西新井地区でいいますと、お年寄りの単身独居老人という方が非常に多いところでありますし、前々から一番要望が強いのは、一般的に、地域住民の人たちの表現をかりればいわゆる総合病院だというのは、前からもう、例えばアンケートをとっても一番目に上がってくるのはそこですね。その中で、もう一つ言えば、二十四時間の小児科の救急医療体制を伴った総合医療体制がぜひ欲しいと。これは、どんなアンケートをとろうと聞こうと、一番目に上がってくるところであります。

 そういう点でいうと、今進められている西新井地区の再開発についても、いろいろな区画に分かれて再開発されていますが、その中の一つには、今申し上げたような地域住民の長年の要望であるいわゆる総合医療、しかも二十四時間の小児医療ができるような、そういうところをぜひ設けてほしいという要望が非常に強いわけでありまして、それに沿った対応をぜひ考えていただきたいと思っているんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

松野参考人 お答えいたします。

 都市再生機構は、現在、足立区内で、御指摘の西新井地区を初め数地区で事業を進めておりますが、委員御指摘のとおり、この事業の実施に当たりまして、まちづくりの主体でございます地元の地方公共団体等の意向を踏まえまして、十分に連携調整を図るということが大変重要だと考えております。

 今お話がございましたような西新井地区の西口で、地域医療体制の整備というような課題もございます。こういったことを踏まえまして、今後とも、引き続き足立区等とも十分に協議しながら事業を進めてまいりたいと考えております。

城島分科員 そういう方向で進めていただいていると思いますけれども、特にあえて言いますと、医療というところについて見ると、やはりそれなりにそういうことが成り立つようにするにはなかなか難しいところもあるんですね。

 それで、今再生機構におかれても、なかなか経営が厳しいというか、そういうことの中で、それと地域の要望のバランスというのが非常に難しいところだと思います。やはり都市再生機構が持つ本来の役割というのは、言うまでもなく、民間のディベロッパーなんかと違った役割がきちっとあるわけですし、そういうところで、現場段階でいうと、先ほどから言っているように、地域の要望の中でそういうことをぜひ進めていってほしいという中でいうと、この医療事業というのは非常に難しいところもありますから再生機構の中においても難しい点はあると思うんだけれども、ぜひそういう要望の中で再生機構としての役割を果たしてもらいたいというのが切なるお願いであります。

 ですから、その辺をしっかりと踏まえていただいて、医療体制が充実してこの地域においても安心して暮らせるということも含めて、また同時に、この西新井地区については、ほかの施設も含めてですけれども、できれば全国に誇れるような再開発地区にしよう、我々はそういう夢を持っているわけですね。ほかのところから見学に来るぐらいの、そういう体制になったということを誇りにしたいと思っているのでぜひお願いをしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

松野参考人 今お話がございましたように、地元の方々の夢を担った事業ということでございまして、都市再生機構としても、十分そのあたりのことを留意しながら事業を進めてまいりたいと考えております。

城島分科員 きょうは、地元の鉄道の踏切の問題、これはもう手動でやっているという時代じゃないと思うので、そのことも含めて、少なくともこれは世間並みにぐらいの話だと僕は思いますよ、高架というのはお金はかかりますけれども。もう一つは、我々が日本に誇れるような再開発地区をつくりたい、その願いを切に実現させていただきたいと思うので、大臣の両方におけるリーダーシップを期待しておきたいと思います。よろしくお願いします。

北側国務大臣 委員の御趣旨にのっとって、しっかり取り組みをさせていただきたいと思います。

城島分科員 ありがとうございました。

山名主査 これにて城島正光君の質疑は終了いたしました。

 次に、中村哲治君。

中村(哲)分科員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 京都議定書の批准を迎え、積極的な地球環境対策の政策が求められています。また、シックハウスなどの生活環境対策も求められております。

 本日は、そこで、マンションなどのコンクリート建造物における断熱のあり方、建築廃材をできるだけ出さないようにするための建造物の長寿命化、居住空間のいわゆるシックハウス対策など、集合住宅の環境対策において必要な政策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。もちろん、一戸建ての住宅も非常に重要なんですけれども、集合住宅というのは都市再生でも非常にたくさん今も建築がされておりますので、この点について、きょうは中心にお尋ねをしたいということでございます。

 まず、都市における、人口密集地における問題についてお尋ねをいたします。

 ヒートアイランド現象と言われている都市の高熱化について対策をする必要があると私は考えております。屋上緑化やマンションなどのコンクリート建造物の外断熱化、このような政策が必要なのではないかと考えますが、国土交通省はいかがお考えでしょうか。

中野大臣政務官 現場主義の中村委員らしい御質問でございますけれども、近年、御存じのとおり、大都市を中心にヒートアイランド現象が顕著なものになっている。その緩和のための取り組みは、私たち国土交通省としても、政府全体としても重要な取り組みだと考えております。

 今、私どもの国土交通省におきましては、都市緑地法に基づいて、緑化地域において大規模敷地の建築物を対象に敷地の一部の緑化を義務づけることができるようにするなど、都市における緑化対策に精力的に取り組んでおるところであります。また、風通しや日陰の確保、あるいは人工排熱の抑制など、建築物の設計に当たって配慮すべき事項を取りまとめたガイドライン、それを昨年の七月に策定をいたして公表したところであります。

 さらに、外断熱化も含めて建築物の断熱性能の向上を図ることは、冷房に必要なエネルギーを減少させ、大気への排熱量を低減することを通じてヒートアイランド現象の緩和に貢献するものであることから、マンションなどのコンクリート建造物について、断熱性能の向上にさらに努めてまいりたい、こう考えておるところであります。

中村(哲)分科員 今中野政務官がおっしゃったことを私なりに理解させていただきますと、今おっしゃったことというのは、どちらかというと建物以外の緑地、緑化などを中心におっしゃったと思います。

 また、今、マンションのガイ断熱とおっしゃったと思うんですけれども、ソト断熱と一般には言われておりまして、私がなぜ外断熱を普及する必要があるのではないかと申し上げているのは、コンクリートに熱をためない、そういったことの仕組みが必要なんじゃないか、そのように考えているからなんです。もちろん、中野政務官がおっしゃったように、緑化自体も必要なんですよ。だけれども、コンクリート自体に熱をためないようにするような、そういう仕組みとして外断熱のことを申し上げましたし、屋上緑化のことも申し上げたんです。その論点を考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

中野大臣政務官 失礼しました。

 もちろん御指摘のとおりでございまして、外断熱にすることでそういう形になる、まさに委員の御指摘のとおりでございます。そういう認識でやっております。

中村(哲)分科員 もちろん、先ほどおっしゃったように、内断熱でも外断熱でも断熱という意味では変わらないですし、変わらないといいますか、冷房効率がいいという意味では、断熱性能ではかられるわけですから、それは変わらないというのはもちろんそうなんです。しかし、コンクリート建造物だから、外断熱ということにするとコンクリートに熱がたまらない、そういったことを指摘させていただきたかったわけですね。それを中野政務官に認めていただきましたので、次の質問に移りたいと思います。

 マンションの外断熱化というのは、躯体を外気にさらさないために、マンションを高寿命化、長寿命にするということがあると思っているんですが、いかがでしょうか。建築廃材をこれから出していかない、そういったことをするためには、やはり躯体を長もちさせる。そのためにも、断熱材を外に出してくるんだ方が長寿命化するだろうということで、この政策を推し進めていく必要があるのではないかと思っているんですが、いかがなお考えでしょうか。

中野大臣政務官 御指摘のとおり、建築廃材をできるだけ出さないようにするためにも、マンションの長寿命化を図ることは重要なテーマだと思っております。

 一般的に、外断熱工法に関しては、施工が複雑であるとか、あるいは建築コストが割高であるという問題点も指摘されていますけれども、一方で、内断熱工法と比べて、躯体の外側に断熱材を施工するため、先ほどからお話がありましたように、外気の温度変化が躯体に伝わりにくい、それから劣化しにくいという特性がありますから、マンションの長寿命化を図るという点から評価できるものと考えております。まして環境その他の面からも、建築廃材の問題についてはいろいろ喧伝されるところでもありますから、なおさらそうだと私たちは受けとめております。

    〔主査退席、後藤主査代理着席〕

中村(哲)分科員 今中野政務官がおっしゃったとおり、外断熱のメリットとして、長寿命化というのがあるんですね。確かに今おっしゃったように、コストは少し高いんです。今でも全体で建築コストが一割程度は高いと言われているんですけれども、その分、一割どころではなくて長寿命化、内断熱の普通のコンクリート建造物に比べて五割とか十割分長ければ、コストがそれだけかかっても、実は社会的にはペイするわけですよね。

 今、特に関西なんかはまだまだつくられないんですけれども、何でつくられないのかというと資金繰りの問題で、当初からそういうふうなことをやっても、まあ、ちょっと最初のお金が高いからやめておこうか、そういうふうにどうしてもなってしまうんですね。ここは力を入れるというか、国として、こういう建物のロングライフ化をやっていくんだよ、そのために政策を徹底していく、外断熱はそこに位置づけられるよということを認識していただいて、また政策に生かしていただきたいと考えているんですけれども、その御認識はいただけますでしょうか。

中野大臣政務官 まさに初期投資が高いんでありますけれども、将来のランニングコスト、あるいは廃材という観点からする環境のことを考えても、社会的なコストはまごう方なく安く済むと思います。

 これからも、PRその他を含めて、せっかくの御提言でありますから、しっかり受けとめながら頑張りたいと思います。

中村(哲)分科員 ありがとうございます。

 それでは、次に、健康面について伺います。

 私は、昨年八月に、ドイツの研究所を視察してまいりました。フラウンホーファー研究所という研究所でございます。VOCなどで日本に先行して研究をしてきた研究所でありまして、日本のはやりというかそういう、いわゆるシックハウス対策の政策というのは、こういうドイツみたいな先進国を後追いしているという形になっていると私は認識しております。

 そこで、今フラウンホーファー研究所でやっている研究で、カビの研究があったんですね。日本はまだカビの研究をそんなにしていないということなんですけれども、どういった条件に置いたらカビが発生するのかということを、条件をいろいろ決めてやっているわけです。内断熱の場合だと、これぐらいカビがこういう条件で生えていくとか、そういうこともやっているわけですね。

 ドイツはほとんどもう、御存じのとおり外断熱の住宅ばかりなので、内断熱ということは健康に悪いから絶対させないということを言っているんですけれども、研究のために、内断熱はどれぐらい影響があるのかということもしているということなんですが、私は、日本でもこういったカビの研究をするべきだと考えております。カビの発生する構造的な条件などの研究について、これから日本はどのように取り組んでいくお考えでしょうか。

中野大臣政務官 お話しのとおり、私たちは、カビの発生に関して、使用材料とかあるいは居住者の住まい方の問題など検討すべき課題が多いことも理解はいたしております。

 ちなみに、平成十七年度予算で、住宅のカビやダニの発生要因にかかわる調査などに必要な経費を計上しているところでもありまして、関係省庁との連携を図りながら、カビの発生条件や、あるいはそれに対する必要な対策については検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、カビの発生の主要な要因の一つである結露、それを防止するためには、断熱性能を向上させる、あるいは適切に換気を行うことが非常に大切ですけれども、こうした建築物の構造の問題以外にも、先ほど申し上げましたように、使用材料や居住者の住まい方の問題など研究すべき課題も多いと認識もいたしておるところであります。

中村(哲)分科員 住まい方という話もあるんですけれども、やはり構造上の問題というのがかなりあると思うんですね。北海道の方の体験談で、外断熱のマンションに入った瞬間に、今まで内断熱のマンションだったらすぐ出ていたアレルギー反応が全く出なくなったと。そういった人にとっては外断熱住宅というのは命にかえがたいものだから、そういったマンションを北海道の方が選んだりされておるんですけれども。そういったところで、このカビ、特に、何で自分がアレルギーなんだろうとわからない人もいらっしゃるんですね、本当はカビが原因で。

 カビが与える健康に対する影響というのは国土交通省の研究される領域ではないということは存じ上げていますけれども、どういったところではカビが生える可能性があって、アレルギー反応が出たときに、ああ、こういった場合には実は結露が起こっていて、カビが原因なんじゃないか、そういうこともわかるような、そういう社会的な認識というのも必要なんじゃないかなと考えているところでございますので、そこはしっかりとやっていただくということで、関係省庁と連携していただくということでよろしいですね。(中野大臣政務官「問題ないです、はい」と呼ぶ)当然だと言っていただきましたので、次に移ります。

 この三月に、私は長野県の飯田市に行ってまいりました。何をしに行ったかといいますと、特別養護老人ホームが外断熱でつくられたということで、それを視察してまいりました。

 小雪が舞うときに、建物の中に入ると非常に暖かいんです。部屋一つ一つに温度計がついておりまして、大体十六度ぐらいを示しておりました。つまり、暖房を全く入れなくても、人が入ったりすることによってということもあるんでしょうけれども、それだけ暖かい温度を保っている。実際、話を聞きますと、施工している、内装をされている業者の皆さんが、これは本当に暖かいなということをおっしゃっていたというふうに聞いております。

 私は、お年寄りが入られる住宅をこういった暖かい住宅にすることはとてもいいことだなと思っております。そして、外断熱住宅というのはコンクリートの建物全体を断熱材で囲いますから、居室から廊下に出ても、またトイレに行っても、ほとんど温度差がないというメリットがあるわけですね。こういった、いわゆるお年寄りが受けるヒートショック、温度差が生じることで心臓発作などいろいろな悪いことが起きるわけですけれども、その対策になるのではないかと考えております。この点についていかがお考えでしょうか。

中野大臣政務官 御指摘のとおり、急激な温度変化が体に影響を与えるヒートショックを防ぐためには、住まいの中の温度差を少なくする必要があり、そのためには住宅の断熱性能を向上させて、外気温の影響を受けにくくすることが有効な対策の一つだと思います。

 こうした観点からは、外断熱工法及び内断熱工法のいずれも住宅全体を断熱構造化するものであり、ヒートショック対策にも資するものであることは間違いありません。

 今後とも、いずれにしても、外断熱工法も含め住宅の断熱性能の向上に努めてまいりたい。それは考えて、しっかり頑張ります。

中村(哲)分科員 中野政務官おっしゃったこと、内断熱でも外断熱でも断熱性能を高めていく、そこは私は何も反対しないですし、そのとおりだと思っているんです。

 ただ、例えばトイレを内断熱でやろうと思ってもなかなか難しい。トイレに入った瞬間に、ああ、寒いなと思ってしまう住宅が、じゃ、内断熱化によって本当にしっかりできるのかといったときに、外断熱の方がしやすいのじゃないかなと考えているんですよ。そこを質問させていただいたわけなんです。

 その点について、もし答えられたらお答えください。

中野大臣政務官 外断熱の方がいいというイメージは私も理解はしておりますけれども、専門的な形で、例えば、住まいの内側何度、廊下何度、トイレ何度、そういう専門的なことだと参考人から答弁させた方がいいかと思いますけれども、基本的にはそう理解をいたしておるところです。

山本(繁)政府参考人 断熱水準ごとに住戸内の温度差がどういうふうにあるかというのを国土交通省でシミュレーションしたものがございます。五十五年基準、四年基準、それから十一年基準、こうありますけれども、一番直近の十一年基準ですと、暖房時の暖房をした部屋と暖房していない部屋の差が四度C程度におさまるようにということでございます。それから、外気温と非暖房室、今例に出ました外気温とトイレならトイレの室温の差、六度C前後というふうに設定しております。

 それで、断熱性能が高いかどうかによって、暖房した部屋、暖房していない部屋、外気、どういうふうな差があるかといいますと、もちろん、断熱性能が低いと、暖房室と外気は同じところなんですけれども、非暖房室の温度が下がってしまう。それで、断熱性能が高ければ非暖房室と外気の差は非常に大きい。逆に言いますと、暖房しているところと暖房していないところの差はそんなに大きくないということになっておりまして、私どもがそのシミュレーションで整理しております限りでは、そういう意味の、おうちの中の暖房室と非暖房室の温度の差は、外暖房であるか内暖房であるかによって有意な差はないというふうに理解しているところでございます。

中村(哲)分科員 最後、外暖房か内暖房かとおっしゃったのは、多分言い間違いをされたんだと思います。外断熱と内断熱ですね。(山本(繁)政府参考人「はい」と呼ぶ)

 施工をきっちりやっていれば同じ性能が出るように基準がつくられているわけですが、それは当たり前のことで、それは私、わかっているんです。ただ、おふろやトイレを内断熱化でしっかり断熱するというのは本当にしやすいのかなと。結局なかなかできないんじゃないかなということがありますので、違って考える必要があるんじゃないかということをお聞きしたんですね。恐らくそれは納得していただけると思うんです。今おっしゃったことは、きちっと同じように断熱したらという話ですから。

 私は、内断熱の場合だったら、トイレとかおふろとかはしにくいんじゃないですかということを申し上げたわけです。そこは納得していただけますよね。

中野大臣政務官 そういった水回りのところなどなおさら御指摘のとおりかなと、個人的には納得しております。

中村(哲)分科員 だから、建物全体をくるんだ方が暖かくなるんじゃないですかということを申し上げているわけですね。これは戸建て住宅の充てん工法での断熱材でも同じことが言えるんですけれども、その点について納得していただいたということで、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 こういったことで、外断熱住宅、コンクリート建造物のという前提はつけますけれども、コンクリート建造物に対して外断熱化していくということは非常にいろいろなメリットがあるということが今までの議論でわかったと思います。しかし、実際には余り普及をしておりません。公営住宅で、和歌山県高野町、また兵庫県豊岡市というような先進事例はありますが、余り広まっているわけではありません。

 こういった先進的な事例に関してはきちんと評価をしていく必要があるのではないかと思っております。もちろん、国土交通省がパイロット事業という形でされて評価する形もあると思います。また、議員会館の建て直し、これからされるというふうに聞いておりますけれども、こういったことについても私は外断熱でやる方がいいのではないかなとは思っております。

 また、住宅ということになると、災害時の避難場所、学校や体育館、また仮設住宅、官舎、そういったものがあると思います。そういったいろいろなものに対してどういう形で外断熱が行われているのか、それはどういうふうに評価できるのか、こういった情報を広めていく必要があると考えておりますが、これに対して国土交通省はいかに取り組んでいかれるおつもりなのでしょうか。

中野大臣政務官 ずっとお話をいただくとおり、住宅の断熱性能の向上を図るためには、断熱の意義あるいは効果、施工方法などについて、消費者でありますとか住宅供給者等、広く社会に普及させていくことは非常に重要だと思います。やはり住宅の断熱構造化を進める観点から、私たちもパンフレットの作成あるいは配布、省エネ住宅の設計・施工技術講習の開催などを進めてきているところではあります。

 また、これまで、住宅金融公庫融資における優遇措置などによって住宅の省エネ化の促進化に取り組んできたところであり、さらに、一定規模以上の住宅について省エネ措置の届け出を義務づけるなどの対策の強化を図るため、省エネ法の一部改正法案を経済産業省と連携して本通常国会に提出をいたしております。

 今後とも、こういった施策に取り組みながら、先進的な取り組みの把握にさらに努めて、広く情報提供などもいたしまして、住宅の断熱性能の向上、その推進ということについて意を用いてまいりたいと思います。

    〔後藤主査代理退席、主査着席〕

中村(哲)分科員 今のお話は、特に外断熱ということではないけれども、先進的な事例についてはきちんと広めていくというお話でしたので、それは受けとめさせていただきます。

 一つ政務官にも大臣にも知っておいていただきたいのは、新聞記事の御紹介をさせていただきたいんです。和歌山県の高野町の公営住宅の件なんですけれども、外断熱で補修をしたんですね。住んでいる状態で、結露もひどかったし寒い、そこを外断熱の素材でぐるっと囲んで補修をしたんです。そうすると、住んでいる人がのかなくていいわけですね、それできちっとできた。その後、ただの外壁の塗りかえだと思っていたら、あったかくなったしうれしいな、そういう話があるんです。でも、恐らく、きょうここにいらっしゃる皆さんはほとんど、ああ、そんなことが公営住宅の補修でされていたのかということで、御存じでない方がたくさんいらっしゃると思うんですよ。そういった意味で、ああ、こういうふうな施工の方法があって、公営住宅がまた快適に過ごせるような住宅になる、そういったこともきちんと広めていただくということが必要なんじゃないかと考えておるわけでございます。

 いかがですか。

中野大臣政務官 今、和歌山県の事例を挙げていただきましたけれども、コストといいますか、施工費の対比とかは書いていなかったんですか。施工の経費とかそういう紹介まではありませんでしたか。内断熱にすれば幾らとか、この工法でやったらこれぐらいだとかという紹介もありませんでしたか。(中村(哲)分科員「ありません、新聞記事では」と呼ぶ)

 どうあれ、住まいをされる方の結局は快適性が基本でありますから、今までと違って、全くわからない、恐らく塗装工事程度に思っていた案件がそういう形で、外断熱で大変に今までと比べて快適性を増してきた、そういった生活者の御意見というのは、やはり管理者といいますか、住宅供給者側はしっかり受けとめるべきだと思います。

 ありがとうございます。

中村(哲)分科員 時間が少なくなってまいりましたので、最後に大臣にお聞かせいただきたいと思いますけれども、こういった、今まで検討してきたように、コンクリート建造物における断熱方法に焦点を当てて考えてみた場合に、外断熱工法は内断熱工法と比べてさまざまな、少しずつですけれどもメリットがあるというふうに言えると思います。

 しかし、大臣が御存じのとおり、内断熱と外断熱、九九対一ぐらいの割合でしかない。そこは、私は、外断熱がすべての面においてすぐれていると言うつもりはないんですが、少なくとも半々ぐらいはつくられてもいいんじゃないかなということを考えておるんですけれども、そういった御認識をお持ちなのかどうか、最後にお尋ねしたいと思います。

北側国務大臣 正直申し上げまして、外断熱のメリットというのは、きょうの委員の御質問、また質疑を通しながら私も勉強させていただきました。まずは断熱性のある建物をつくることが大事である、そのことが地球の温暖化防止にも資していくことだというふうに考えているところでございます。

 ただ、今委員のおっしゃったように、外断熱の方が建物の劣化がしにくいだとか、一たん暖まると冷めにくいだとか、そうした非常にすぐれたメリットがあるということはよくわかりました。やはりそういうところをしっかり消費者の方々にPR、宣伝をしていくことは非常に重要であると思います。

 また一面、私が聞いたところでは、二、三割ぐらいコストが高いというふうにも聞いておりまして、このコストをもう少し抑制することができないのかどうか、そうした研究も必要だろうなというふうに思った感想を持ちました。

山名主査 中村哲治君、時間ですので簡潔に。

中村(哲)分科員 はい、時間が参りましたので終わりますが、コストの面に関しては今も日々進んでおりまして、一割程度、それも乾式なのか湿式なのかというのでも変わってくるんですが、時間がないので終わります。こんな結露が起こってカビがいっぱい生えている住宅を出さないためにも、御検討くださいますようよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

山名主査 これにて中村哲治君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東分科員 公明党の東順治でございます。

 北側大臣、まことに御苦労さまでございます。

 昨日は大惨事勃発の尼崎に真っ先にすっ飛んで行かれまして、大臣陣頭指揮で次々と手を打っておられる、そしてまた関係者の皆様も、我々はテレビで報道を見るしかないんですが、不眠不休で、もう大変な救助活動、汗を流しておられる、そういうお疲れの中で本日はこの分科会の答弁席に座っておられます。本当にありがとうございます。御苦労さまでございます。

 またあわせて、この前代未聞ともいうべき大惨事で、とうといとうといお命を落とされた犠牲者の皆様方、御冥福を祈りたいと思います。そしてまた、悲しみに暮れる御遺族の皆様、哀悼の誠を心からの痛みの思いをお贈りしたいと思います。そしてまた、不幸中の幸いと言ったら申しわけないんですけれども、負傷された皆様方の一日も早い御回復を祈らずにはおれません。

 冒頭に、まずこのことを申し上げなきゃいけないと思いながら、私はきょうこの席に立ちました。

 そこで、質問でございますが、最初はトレーラーのことでございます。大臣、最後に所感を伺いたいので、よく聞いておいていただきたいと思います。

 私も専門家じゃありませんので詳しいことはわかりませんが、トレーラーで物を運ぶ場合に、単体、一つの物しか運んじゃいけない、大きなクレーンだとか機械だとか、あるいはばら荷、複数の物が運べる、重量によって法律で定められている、こういうふうに知りました。

 そうした中で、つまり重量によって分けられているということは、その法を遵守して、ばら荷ならばら荷を運んでいるトラック、トレーラーがいる傍ら、いわば法を無視して、本来、単体、一個の物しか運んじゃいけないトレーラーがばら荷を積んで、まさに、無法と言ったら余りにも言葉が大げさかもしれませんが、平然と荷を運んでいる。こういう実態が北九州市であるということを私は、複数の人から実は切なる訴えを受けました。

 よく聞いてみますと、まさにそうで、これが道交法違反の対象ではない。であるがゆえに、いわば大手を振って我が物顔にそういう法を犯している。そうすると、法のもとで仕事をしなきゃいけないということで、わざわざ何百万円もお金を出して、その制限重量以内のトラック、トレーラーに買いかえてやっているのにもかかわらず、法を犯して片方で無法のトレーラーがどんどん走っているというような実態があるようでございまして、その人たちいわく、まじめな者がばかを見る、こういう世の中というのは本当にどうしたらいいんだ、生活も脅かされるし首をくくらなきゃいけない。本当にそういう切実な訴えも私は伺ったことがございました。

 そこで、法的に単体しか運べない車、つまり四十四トン以上のトレーラーが実は積んではいけないばら荷を積んで走っている、こういうことに対して、ようやく昨年十二月、国土交通省、警察、そして北九州市当局で、これはようやく初めてなんです、こんなことはけしからぬ、こういう動きを起こして初めてこの取り締まりを実施したということでございますが、まず一点、その取り締まりの結果というのはどういうものだったか、伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 道路法では、道路の構造を保全し、交通の危険を防止することを目的に車両の大きさや重さの最高限度を定め、これを超える車両の通行は制限させていただいているということでございます。この最高限度を超える車両を通行させようとするときには、道路管理者に特殊車両通行許可の申請を行い、許可を得ることが必要ということでございます。

 委員御指摘の北九州市日明地区、小倉北区ということでございますが、関門海峡フェリー乗り場がある西港町に隣接していること、近くに製鉄工場があること等から、セミトレーラーなどの大型車両の通行が多い状況でございます。

 委員御指摘の違反が懸念されるということで、昨年の平成十六年十二月九日には、国道百九十九号沿いのトラックステーションにおきまして、北九州市が運転手に対する指導を行うとともに、国土交通省のパトロールカーにて日明地区周辺の巡回を行いました。また、十二月二十七日には、北九州市が同地区周辺三カ所に啓蒙のための横断幕を設置したところでございます。さらに、年明けてことし一月三十一日には、国道百九十九号の西港町におきまして、国土交通省が可搬式重量計を貸し出すなどの協力のもと、北九州市が、委員御指摘のとおり初めてでございますが、大型車両の指導取り締まりを行ったという状況でございます。その結果、八台の違反車両に指導警告などを行ったという状況でございます。

東分科員 御苦労さまでございます。

 そこで、これは、要するに道路交通法違反の対象ではないがゆえに、運転免許証にきずがつくとか罰金を科せられる、そういう種類のものではない。であるがゆえに、今、効果が出た、こういうことでございましたけれども、であるがゆえに、のど元過ぎればまたまたこういうものが横行すると私は思いますよ。

 だから、問題は、道交法違反対象でないであるがゆえに、やはりこの取り締まりの継続性、続けてやる。いつもいつもしかられる、それでも言うことを聞かない悪質の違反者については裁判に持っていかれる。これは大変だという効果をあらしめるために、やはり継続性が大事だと僕は思いますね。

 したがって、まじめな者が、まじめな人たちが報われる社会、不届きな者が何となく法の網の目をくぐって得をするような社会、風潮というのは絶対排さなきゃいかぬ。こういう意味で、継続的にずうっと続けて取り締まりをやる、この指導性を国交省として、局長、どうですか、ぜひ発揮してもらいたい。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、取り締まりの継続性、また、それをもとに運用を的確、厳正に行っていくということが肝要かと思っております。

 今現在、問題になっております日明地区周辺の道路は北九州市の管理の道路でございまして、北九州市からは、本年の一月三十一日に、先ほど答弁させていただきましたが、初めて行った取り締まりを契機として、違反車両の状況などを勘案しつつ今後も取り締まりを継続して行いたいと聞いております。我々国土交通省といたしましても、取り締まりに際して必要な可搬式重量計の貸し出しなど積極的に協力をしてまいりたいと思っております。

 また、もう少し広範なことになりますが、国土交通省としましても、平成十六年度から、全国四十八カ所でございますが、車両重量自動計測装置の設置などというようなことを推進させていただいておりまして、そうしたことも活用しながら、特殊車両通行許可制度の厳格な運用というようなことの精神で、的確に運用をしてまいりたいと考えておるところでございます。

東分科員 ただいまの局長答弁で尽きるかと思いますけれども、北側大臣、御所見をぜひ伺いたいと思います。

北側国務大臣 先ほど道路局長から答弁させていただきました取り締まりの際、これはことしの一月の話でございますが、取り締まった実績の対象車両台数二十六台、うち違反車両が八台ということでございまして、そういう意味では、非常に高い率の違反車両が走行している実態がうかがわれるというふうに思います。

 法令遵守ということが極めて大事でございまして、今後ともしっかり取り締まりの強化をさせていただきたいと思っております。

東分科員 よろしくお願い申し上げます。

 次に、チャイルドシートについて、関係各省庁にお伺いしたいと思います。

 私は、チャイルドシートということを考えたときに、今、日本が置かれている社会の状況、それからこれからということを考えたときに、いわゆるチャイルドファーストとでもいいましょうか、つまり、少子高齢化の壁に大きく悩み苦しんでいる我が国が、今、生まれてきた、そして育とうとしている子供さんたちをいかにつまらない事故から守るか、その命を大切にするかというのは、そういういわゆるチャイルドファースト、これからの日本の将来にとって非常に大事なんだ。子供を産んでいただくことも大事なんだけれども、同時に、事故なく大人へと育ってもらうことも大事なんだという政策的視点、これが非常に私は大事だと思います。

 であるがゆえに、あえてこのチャイルドシートの問題というのを私きょうここで取り上げたいというふうに思った次第でございます。

 我が国のチャイルドシートの実態ですけれども、警察庁の交通局が発表した平成十五年度の六歳未満の乳幼児の自動車同乗者のチャイルドシートの使用有無別死傷者数のデータというものがある。つまり、チャイルドシートを使っている場合と使っていない場合、死傷者にどのぐらいの差があるかということでございますが、これによりますと、使っている場合は、全死傷者に占める致死率、死亡に至る率が〇・一一%。ところが、これを使っていない場合は〇・四一%ということで、数字的にも三・七倍という数字が出ているわけでございます。それから、平成十二年度から十五年度の四年間の平均データを見ても、やはり使っている場合と使っていない場合は三・八倍、こういう歴然たる数字が出てきているということでございます。

 また、JAFがチャイルドシートの着用率というものを調べてみますと、チャイルドシートを着用しなければならないという法が制定される前年、一九九九年で着用率は一五・一%。今度は、法が制定されて、法制化された二〇〇〇年、これで一気に三九・九%、こう着用率が上がってきている。法制化二年後、二〇〇二年度、これでは五二・四%、こう上がってきた。ああ、これはなかなかいいな、やはりこういう法律は大事だったんだなということを裏づけるように数字が上がってきておる。ところが、上がってきたんだけれども、今、下がり始めているんですね、これは。二〇〇四年度は四七・四%と下がっている。

 つまり、ここで問題なのは、この法律制定も非常に重要だったんだが、法律制定をしてチャイルドシートを使用するという数字が上がってきたにもかかわらず、また下がり始めている。何で下がり始めているのかということが非常に重要なんですね。これは私は大問題だと思いますよ。

 したがって、私、これは五つの角度からこれから伺いたいと思うんですが、まず道路交通法の角度で警察に伺いたいんです。

 端的に言って、取り締まりが弱いんじゃないかというふうに疑問を抱かざるを得ない。例えば、シートベルトをつけていないときの、あるいはチャイルドシートをつけていないときの運転免許証の減点は、一点ですね。ところが、シートベルト、チャイルドシートというのは減点一点なんだけれども、罰金というのは科せられていない。他方、携帯電話、これは軽い場合で減点一、罰金六千円、危険な場合は減点二、反則金九千円、こうなっている。

 なかなか難しい問題がいろいろあると思うんですが、例えば携帯電話と同じような罰金というものを導入できないものかどうなのか、そうした場合に、着用率というのはぐっとまた上がってくるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。

矢代政府参考人 御指摘のように、平成十一年の道交法改正によりまして、チャイルドシートの着用、使用が義務化されまして、そのときに基礎点数が一点付されました。

 それで、現在、使用率はおおむね五割程度。実際に交通事故に遭った場合のケースで見ましても、六割弱程度でございます。義務化以降、使用率は上昇したものの、今御指摘のように、やや頭打ち状況でございます。

 そこで、罰則及び取り締まりの件ですが、確かにペナルティーは必要であろうと思っております。ペナルティーは、やはり一つに重さと、それから取り締まりの量と両方考える必要があると思っていまして、このところ取り締まりの量の方につきまして、いまだ少し不足であったのかなという印象を持っております。

 この進め方ですが、ただ取り締まりだけを先行するということではなくて、これまでの経験則からいたしますと、まずチャイルドシートの有用性につきまして十分に理解を深める意味で広報啓発をやり、あわせて指導取り締まりをやる、さらにまた広報啓発活動をやる、また取り締まりをやるということで、これを組み合わせて推進することによりましてチャイルドシートの着用率がさらに上がっていくであろう、こう考えております。

 したがいまして、取り締まりの方につきましても、いま少し力を入れて着用率が上がるようにしていく必要があると考えております。したがいまして、その罰則の方につきまして、必要性については今後のチャイルドシートの使用状況の推移を見ながら検討すべきものか、こういうふうに考えております。

東分科員 罰金は今考えていないということですね。しかし、その今後の推移を見て検討の対象ではある、こういうことでいいんですか、もう一回答弁。

矢代政府参考人 そのように御理解いただきたいと思います。

東分科員 わかりました。ぜひその取り締まりの状況を強めてもらいまして、その状況でそういうことも必要であればぜひ導入する、こういうことでお願いしたい。

 続いて、自動車教習所のあり方、これを伺いたいと思うんです。

 免許を取るための自動車教習所での授業等々で、チャイルドシートの必要性というのはどういう形で教えられているのか。これはどなたがお答えになりますか。

矢代政府参考人 御説明申し上げます。

 自動車教習所、ここで大方のドライバーは免許を取るための教習を受けるわけでございますが、チャイルドシートの使用につきましては、そこの学科教習と技能教習、その中でその必要性及び効果についての指導を実施しているところでございます。

東分科員 要するに、多分話として指導しているんですね。

 問題は、現物を使うんですよ。現物を使ってチャイルドシートのセットの仕方から、要するに、もう実地でそこでやってもらって、そこでやはり子供を持った場合はきちんとチャイルドシートをやっていかなきゃいけない、そういう必要性ということを痛切にやはり実感してもらわなきゃいけない。現物を使っての指導。たとえ独身の人だって、結婚をすれば子供が生まれるんですから、やはりだれもが子供の命というのは大事だな、車を持ったらチャイルドシートだなというような意識を持てるように、ぜひ現物を使っての授業というものを指導性としてきちんと徹底できませんか。どうですか。

矢代政府参考人 御指摘のように、現在の自動車教習所におきましては、チャイルドシートに関する理解、必要性及び効果についての理解を深めるために、現物を示して教育を行っているところもございますが、多くの教習所は写真等を用いて教育を行っているところでございます。

 自動車教習所におきます教習は、安全意識の高い運転者を育てるという重要な役割を担っているところでございますので、チャイルドシートに対する理解を深めることが重要であります。御提案の現物を使用した教習も含め、効果的な教習が行われるよう、今後とも教習所に対する指導に努めてまいりたいと考えております。

東分科員 ぜひ徹底をしてくれませんかね、本当に、徹底を。まだら模様で、やっているところ、やっていないところというのではなくて、教習所に行けば必ずチャイルドシートの現物指導があるんだ、実地指導があるんだということで徹底をしてくれませんか、まだら模様ではなくて。これは非常に大事だと思います。

矢代政府参考人 このチャイルドシートの問題、大変重要な問題であると思います。したがいまして、自動車教習所はかなり広くさまざまな教習内容を抱えておりますので、その中でチャイルドシートの取りつけ方自体を習熟させるというようなことになりますと、なかなかその全体の中でのバランスが難しいかとは思いますが、ただ、その必要性、効果、このようなものを十分に理解してもらう必要がございますので、そのような観点から、チャイルドシートの現物も示して理解を深めることも含めて、効果的な教習が行われるよう指導してまいりたいと考えております。

東分科員 次に、保育園、幼稚園でございます。厚生労働省、西副大臣、よろしくお願いします。

 ここでも、幼子を預かっているわけですから、父兄に対するチャイルドシートの必要性、重要性ということを、やはりここは現物を使ってよく理解いただくということが非常に大事だと思います。それから、幼児たち自身に対しても、自分たちの命を守るためにはチャイルドシートというのは必要なんだよ、お父さん、お母さんにちゃんとそのことをお願いしてという、親と子両面にわたってきちんと教育というのか知っていただくということを、幼稚園や保育園を預かる人たちはそういう意識をしっかり持たないかぬと思います。意識を持っておられる方はしっかりやっておられる。これもまたまだら模様なんですね。この辺についてはいかがでしょうか。

西副大臣 チャイルドシートのことについてでございます。

 個人的なことですが、うちの家内は小さいときから子供を、ゼロ歳のときから隣に乗せておりまして、そのときはチャイルドシートがなかったものですから、ついついブレーキを踏むと手が出る。いまだにブレーキを踏むと助手席に手が出る、こういう習慣がございます。そんな意味で、やはりチャイルドシートをきちっと着用するということは大変大事なことだというふうに思っております。

 子供の死因の第一位は事故、特に一歳から九歳までの若い、小さな子供、大切にしていかなければいけない子供の死因の第一位が事故ということで、必ずしもチャイルドシートに起因するものではないんですが、先生の交通安全などの事故防止の視点、大変大事なことだというふうに思っております。

 保育所においては、交通安全教室を開催して、そしてチャイルドシートの着用意識を高めたり、また保育所便りでそのことに注意を喚起したりということの取り組みは現在行われているわけですが、御指摘のように、もう少し具体的なことで、子供も含めてというお話です、多分そこまで徹底している幼稚園、保育所があるかどうか、私も今現在確認しておりませんけれども、御指摘も含めて、私どもも実効の上がるような形の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

東分科員 現物を使っての教育というのが一番やはり聞けるんですね。ひとつよろしく。

 それで、これは、僕はちょっと厚生労働省の方からお借りしたんですが、「ほしのこだより」という保育園の紙ですね。この中に、確かにチャイルドシート着用についてと一カ所あるんですよ。こういうものを各保育園がつくるときに、チャイルドシートというのをもっと強調されて、例えばチャイルドシート用に一枚の紙を出すとか。非常に大事ですよ、これ。

 それから、これは厚労省が、健やか親子21推進協議会、こうやって、母子保健を推進する国民運動計画、こういうのをつくっておられる、非常にわかりやすく。しかし、このさまざまな欄を見てみますと、残念ながらこの欄の中にチャイルドシートという欄がないんですよ。その中に一つ設けるとかですね。

 こういうものは、毛細血管に入り込むようにきめ細かなことをずっと繰り返して、自然に国民に定着していくんですね。だから、もっと一段と、具体的かつ細やかな施策というものを、厚生労働省の指導性として、例えば、今言ったように現物を使って啓発をするだとか、こういう教宣物なんかについては常にチャイルドファースト、子供の命イコールチャイルドシートということで、少し御努力をいただきたいと思います。

 もう簡単に、はいで結構でございます。よろしくお願いします。

西副大臣 そのように厚生労働省としても努力をしてまいります。

東分科員 ありがとうございます。ちょっと時間がなくなっちゃいまして、済みません。

 最後に、政府に伺いたい。

 要するに、テレビコマーシャルです、端的に言って、テレビコマーシャル。この間、小泉総理がシートベルトのテレビコマーシャルに出ておられて、これは非常に印象深い。ところが、チャイルドシートというテレビコマーシャルは、僕はお目にかかったことがないんですね。

 これは、もう時間がないんで、内閣府そして政府広報室、両方に伺いたかったんですが、政府広報室に伺います。

 つまり、一般大衆向けのテレビコマーシャルで、政府広報室として、やはりチャイルドシートということを意識してしっかり流していく。それで、僕らが何げなく見ていてもばあんと網膜に残るように、例えば小泉総理がシートベルトでがっとなったときに、残っています、私の網膜に。ああいうように意識的に、戦略的にやっていただけませんか。

 というのは、最初に申し上げたように、少子高齢化社会なんだから、子供の命は特に大事なんだから、これからの日本を考えていったときに、チャイルドファーストなんだから、そういう戦略性、思想性、政策性を持って、政府広報室、優先的にチャイルドシートのCM、これを買って流してもらえませんか。いかがですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 チャイルドシートの着用につきましては、政府広報としては、新聞広告、雑誌広告、テレビ番組、それから今御指摘のテレビコマーシャルなどを通じて広報してまいりました実績がございます。

 今後も、関係省庁と連携を図りながら、御指摘のテレビを活用した、テレビコマーシャルを含めましてテレビを活用した広報、そういうことで、チャイルドシートの着用につきまして必要な政府広報は行っていくということで考えております。

東分科員 内閣府が要請をして、そして政府広報がそれを受けてやる、こういうシステムだと伺いました。どうぞひとつ積極的にお願いをしたいと思います。

 質疑時間が終わりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

山名主査 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内おさむ君。

山内分科員 民主党の山内おさむでございます。

 昨日起きました福知山の列車脱線事故につきましては、死者の数も七十数名と大変多く、負傷された方も数百人単位でおられまして、心を痛めております。私の父親も鉄道のOBでございまして、列車の事故というのは本当に今でもこんなに多数の方が犠牲になる事故が起きるんだなと、改めてその危険性も含めて感慨に浸っております。

 大惨事ということでは、私の地元の境港の第十八光洋丸というまき網漁船が、二〇〇三年の七月二日に玄界灘でパナマ船籍のコンテナ船に衝突されて、一人が死亡、六人が行方不明、現在もまだ行方不明なんですが、そういう事故が起きました。

 人身の損害、それから漁船も沈没いたしましたし、捜索費用もかなりの額に上ったわけですけれども、損害賠償として入金できた金額はごくごくわずかでございまして、この点も、昨年の油濁防止法改正により我が国に入港する一般船舶について強制保険が導入されましたけれども、その保険金額が責任限度額によるとされておりまして、被害者を十分に救済するには責任限度額を引き上げる必要があると思っております。

 まず、我が国の海洋国家としての位置づけからしても、この点については国際的なリーダーシップをとるべきではないかと思うのですが、政府の見解を伺いたいと思います。

深山政府参考人 今御指摘のありました船主責任制度でございますけれども、これは世界の主要海運国の多くが国際条約に準拠した法制を有しております。我が国の船主責任制限法も、最も多くの国が締結しております千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する国際条約というものに準拠をしてできている法制でございます。したがいまして、今御指摘の、限度額の引き上げを含む責任制限制度の見直しあるいは改善ということにつきましては、国際条約の改正を促していくという形で行っていくことが我が国あるいは多くの国の立場ということになると思います。

 この七六年条約に基づく現行法につきましては、既に一九九六年に、限度額を二倍から三倍におおむね引き上げる一九九六年の議定書というものが国際的にできておりまして、今国会でこの議定書を我が国も締結承認していこうということで、その締結承認案件とこの国内担保法である船主責任制限法の一部改正法案を今国会に提出しているところでございます。この九六年議定書は、おおむね責任限度額を二倍から三倍に引き上げて保護を厚くするとともに、締約国の選択によって旅客の人身損害についてはもう責任制限をしないという選択もできるように改めようということにしておりますが、この部分は、実はこの議定書をつくる段階での我が国の主張が国際的に取り入れられて、保護をより厚くする選択肢をふやしたということでございます。

 このように、我が国は主要な海運国として船主責任制限制度についての被害者の保護、とりわけ人身損害についての保護の充実については、これまでも国際的な議論をリードしておりますし、今の御指摘も踏まえて、今後も国際会議等の場において人身損害の保護の強化を主張してまいりたいと思っております。

山内分科員 大臣には昨日の事故で対策等大変お忙しいところ、大臣からも答弁をいただきたいことがあると希望しましたところ、こうやって委員会に来ていただいたことを感謝いたしております。

 今のお話で、三月一日から改正油濁法が施行されたわけですけれども、そのおかげでといいますか、境港への北朝鮮の入港がめっきりと減ってしまいました。北朝鮮やロシアの保険の加入状況はこれから先どのように推移していくと予想されているのか、また、加入が促進されていくよう何か手だてのようなものはないのか、お聞きしたいと思います。

中野大臣政務官 山内委員御指摘のように、三月一日に施行されております船舶油濁損害賠償保障法の施行、今お話しのように、境港も激減をされたということなんですが、数字でいいますと、船舶入港回数を見ると、この施行後一カ月間でありますが、北朝鮮船舶は二回でございます。ちなみに、前の年の三十八回に比べ大幅に減少ということであります。

 きのうまでに国土交通省が保障契約の締結を確認し一般船舶保障契約契約証明書を交付した件数ですが、ロシア籍船舶が二百十四隻です、北朝鮮籍船舶が十七隻であります。

 お尋ねのロシア籍船舶及び北朝鮮籍船舶の今後の保険加入の見通し、こうお尋ねいただいたのでありますけれども、船舶所有者の意向などによるものと思われますし、また、言っていいかどうかわかりませんが、北朝鮮はあのとおりのお国柄なものでありますから、予測するというのは、正直、なかなか困難だなと思っております。

 しかし、三月一日以降はこの法律により無保険船舶の入港が禁止されておりますので、その点はしっかりロシアも北朝鮮も承知をされておりますので、百トン以上の船舶はすべて保険に加入した上で入港するもの、こういうふうに思っておるところであります。

山内分科員 保険に加入することがその国の自己責任であるということはよくわかるんですけれども、百トンを下回る船で、例えば同じ量のカニとかアサリとかを何回も無保険船が入港するということによって、それだけ購入コストもかかるわけでございますので、地元としても相当悩んでおられます。

 この改正油濁防止法によりまして、例えば北朝鮮産のカニとかアサリなどが一たん中国とか韓国とかに行きましてそれがまた日本に来るということになると、今よく叫ばれておりますけれども、原産地表示というのが、一体どこがとれた国なのかなということも出てくるでしょうし、それからカニも、日本の国内でゆでれば日本のあのカニということになるということでございますので、原産地表示義務を徹底するということは、一定程度難しい面もあるかもしれませんけれども、政府としてはその辺の徹底ということについての考えはどの辺に持っておられるのか、お聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 私どもが所管しておりますのはいわゆるJAS法でございますけれども、飲食料品のそれぞれの原産地の表示について所掌しているところでございます。

 例えば、今、北朝鮮からダイレクトに入ってくる場合には、当然、生のものであれば北朝鮮産ということの表示を求めておりますし、それから、先生今お話しのように、仮に北朝鮮船が中国なりに迂回して、そういったところから逆に入ってくるというようなケースもあるかもしれませんが、あくまでもJAS法は、入ってくる製品がどこの地域で最も長く育てられたか、飼養されたかということを中心にしてその産地を考えるということが基本的な考えとなっておりまして、一番長い期間、半分以上の生育の場所の期間を原産地として表示するということは基本的な方針として確立をしているところでございます。

 それから、加工した場合には、逆に製品として付加価値を消費者の目から見てどこに求めるかということでございまして、やはり加工したものというのは加工した次の段階に付加価値を置くものでございますから、その場合、もとのものが外国のものであっても加工地が日本であれば、現在のところは、原産としては日本、国産のものというような取り扱いをしているところでございます。

山内分科員 水産資源ということでお聞きしますと、資源管理ということもこれから大切な論点だろうと思っています。

 韓国との関係でいえば、日韓暫定水域が設定されておりますけれども、日本の領海内、あるいは公海上はもちろんですけれども、日韓暫定水域内での乱獲などによる水産資源の減少ということも心配をされております。特にベニズワイガニが深刻な問題なんですけれども、水産資源管理を前向きに行うためには、今まで民間ベースで行っていた韓国との協議について今後どのような状況になるのか、方針も含めてお聞かせいただきたいと思います。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の、日韓漁業協定に基づきます北部暫定水域、日本海におきます暫定水域におきましては、現在、日本漁船といたしましてはイカ釣り漁業あるいはベニズワイガニ漁業ということで約三百隻ほど操業をいたしておりまして、六千八百トンほどの水揚げがございます。その中で、今御指摘のベニズワイガニの関係につきましては、ベニズワイガニの大臣許可操業船が十六隻ありますが、そのうち三分の一程度の六隻ほどがこの地域に入漁をいたしておりまして、二千二百トンの水揚げを上げているところでございます。

 これに対しまして、韓国漁船の方におきましては、刺し網でありますとかカニかごでありますとかといった漁具を多く設置いたしておりまして、その漁具設置の関係がございまして、日本の漁船の操業が思うに任せない部分もございますし、また資源の悪化も、御指摘のように懸念されているところでございます。

 そうしたことから、現在、両国間の漁業者の間で民間協議という形で、資源管理の問題あるいは操業秩序の問題につきまして話し合いを進めておられまして、一定の成果は上げておりますけれども、しかし、これに加えまして、政府間での協議も進めていこうということで、そういった形で、資源管理の問題また操業秩序の確立の問題につきましての政府間協議を現在働きかけているところでございます。

 民間協議、政府間協議あわせまして、これらを通じまして、しっかりとした資源管理の問題に取り組める体制を整えていきたいというふうに考えている次第でございます。

山内分科員 それはよろしくお願いいたします。

 観光の面について、これから少しお話をお伺いしたいと思います。

 韓国との間で飛行機を飛ばしております航空会社の話によりますと、韓国は竹島問題が今最大の問題で、特に距離が近いといいますか、日本海を間に置いて近い位置にある山陰の学校の幾つかが毎年韓国に修学旅行に行っています。大体年間三、四千人ぐらいの生徒が修学旅行に行っているんですけれども、その中の何校かの高校が韓国に姉妹校を提携しているんですけれども、ことしは修学旅行を遠慮してほしいという申し出があっているようです。

 竹島のほかにも、尖閣諸島、教科書、靖国問題などで、東アジア方面の領土や歴史認識にいろいろ難しい問題があるわけですけれども、五月から夏にかけて、中国、韓国、台湾などへの航空便の予約状況といいますか、これは各航空会社の話なんでしょうけれども、政府が考え、また、心配されているようなことがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 各エアラインにヒアリングをいたしました。

 一番影響が出ているのはやはり中国路線でございまして、反日デモが行われた都市への路線を中心に、全体として数%から一割程度キャンセルが出ている、こういうことでございますので、私どももそれなりに少々心配をしているところでございます。

 韓国路線につきましては、日本人の韓国旅行についてはほとんど影響がない。ただ、韓国から日本に来られる方が、旅行客中心に少々減少している、このような報告を受けております。ただ、全体としては、韓国とのパイの大きな中では特に大きな影響はない、このように聞いているところでございます。

 なお、台湾路線については、特に、この問題における影響というのはほとんどない、このように聞いているところでございます。

山内分科員 大臣、これは通告していないことなんですが、今、三月に島根県議会で竹島問題で大きな騒ぎになりました。四月が教科書。それで、八月に靖国神社に総理が参拝すると、多分、五月、六月辛抱すれば、みんながまた静かになってくれるんじゃないかと期待している地元の人たちや航空会社、船舶会社の人たちも、これは生の声として私たちに、八月に靖国に行かれると、また困るなという声があるんですけれども、例えば、閣議かどこかの場で、靖国参拝については慎重に考えるようにというような進言は、総理に対してされるおつもりはありませんか。

北側国務大臣 その件に関しては、総理が、私は適切に御判断をされるというふうに思っております。総理も、日韓関係も、そしてまた、私は総理の口から直接何度もお聞きしているんですけれども、日中関係も極めて重要な二国間関係であるということをこれまで何度もおっしゃっておられます。

 私は、この日韓関係、日中関係、隣国でございます。経済的にも、また安全保障のことを考えましても、またこれまでの長い歴史の文化交流等を考えましても、極めて重要な二国間関係でございまして、これは双方ともにこの良好な関係をつくれるように、特に私は政治家が努力をしないといけないなというふうに思っているところでございまして、しっかりと、私自身も、日韓関係、日中関係、いい関係になれるように努めたいと思っておりますし、今のこうした関係がいつまでも続くとは私は全然思っておりません。またそれは、韓国側も中国側もそういうふうには思っていないと私は確信をしております。

 ぜひいい関係にするために、またこうした今の状況が早く脱却できるように努めてまいりたいと思っております。

山内分科員 どうもありがとうございました。

 先ほどの航空局長の話ですと、やっぱり航空便等に影響が出ているというお話だったんですが、今の大臣のお話で、事態の鎮静化も必ず来るというお話だったんですが、ほかに積極的な手だてはないものかと。テレビで騒がれるだけで全然心配ないという声をかけてくれる方々もおられますけれども、やはり少なくとも旅行者の安全のために、対策というものはとっていくべきではないかと思うんですが、外務省の見解を伺いたいと思います。

小井沼政府参考人 外務省といたしましても、旅行者、渡航者の安全を確保するという観点から、日本におきまして、スポット情報と称しましていろいろな現地の情報をEメール等で流しているところでございます。また、現地におきましても、旅行業者もしくは日本の商工会等を通じまして、事細かに、例えばデモの情報ですとか治安の情報ですとか、そういったものを積極的に流して、渡航者の周知を図っているところでございます。

山内分科員 竹島が山陰地区にあるということで、先ほども述べましたようないろんな問題が出てきております。

 国交省としても、山陰地区の観光振興のためにより一層取り組んでいただきたいと希望するのですが、御検討をいただけるものなんでしょうか。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 観光立国の実現を目指して観光関係閣僚会議というのがございまして、そこで観光立国行動計画が決定されておりますが、その中で、各地域がそれぞれ持つ魅力を自主的に発見し高めるという、一地域一観光というのを重要な分野として位置づけております。

 ということで、日本の各地には、たぐいまれな手腕を発揮して、地域の特色ある観光資源を生かして、観光振興を成功に導いた方々がたくさんいらっしゃいます。そういう方々を政府の方では観光カリスマとして選定させていただいて、これまで百名の方を選定しているところでございまして、御地元の鳥取県境港市にも、黒目友則さんという方が、妖怪をテーマにしたまちづくりということで選定をさせていただいております。

 また、鳥取県は、皆生温泉を初めとする多くの温泉資源とか、鳥取砂丘や大山を初めとする自然環境、マツバガニなど水産資源の豊富な観光資源に恵まれていると認識をしております。

 国土交通省としましては、観光振興の観点からも、このように地域みずからが地域の特色を生かした形で、現場の視点から自発的に立案し、自立的に取り組む意欲のある地域を支援していきたいと考えております。

 具体的には、ハードとソフト、あるいは異なる地域の連携というものを組み合わせた地域の取り組みを後押しする事業として、観光交流空間づくりモデル事業というものを実施してまいりました。十七年度からはこれをさらに発展させまして、観光地づくりに関する基礎調査、地域ブランドの構築、人材育成、情報発信など、民間組織による地域観光振興の取り組みに対する支援などを内容といたします観光ルネサンス事業というものを創設することとしておりまして、市町村によるまちづくり交付金を活用した町並みの整備事業などとも連携しつつ、地域の官民が一体となり、地域の特色を生かした形での魅力ある観光地づくりの取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

山内分科員 今、日本の漫画とかアニメーションが世界的に評価を受けていると思っています。「名探偵コナン」の作者の出身地でもございますし、先ほど妖怪のお話も出ましたけれども、「ゲゲゲの鬼太郎」という漫画をかいておられます水木しげるさんも境港に住んでおられた方でございまして、何か妖怪の映画も封切られて随分入場者数もおられるそうでございますけれども、今おっしゃった中で、一つ、そういう政策と反しているんじゃないかなというようなことがございます。

 鬼太郎とか妖怪の着ぐるみを着て観光客にサービスをする、そういうような人たちを雇っていたのですが、緊急雇用創出特別交付金というものが絞られまして、こういう基金が使えなくなって大変困っているということも聞いています。政府の観光振興をしていこうという方向性と少し矛盾しているような部分もあるんじゃないかと思うんですが、このあたりはどう考えておられるんでしょうか。

大槻政府参考人 議員御指摘の境港市観光PR事業でございますけれども、お話のように、観光振興のための事業として境港市におきまして昨年度も実施をされたというふうに聞いておるところでございます。その財源といたしまして、緊急地域雇用創出特別交付金事業を活用されているというふうに聞いておるところでございます。

 この事業でございますけれども、この事業につきましては、平成十六年度末までの構造改革の集中調整期間中におけます緊急かつ臨時的な雇用就業機会の創出を図る事業といたしまして、地方公共団体において実施をされてきたものでございます。厳しさは残りますものの、全国的に改善をしておる雇用失業情勢を踏まえまして、予定どおり、十七年三月末をもって終了したところでございます。

 今日、雇用失業情勢には地域差が見られるところでございまして、今後の問題といたしましては、各地域がそれぞれの地域の実情を踏まえました雇用創造の取り組みを推進されることが重要であると考えておるところでございます。

 このたび、厚生労働省といたしましては、これまでの都道府県と連携して実施をしてきました施策に加えまして、地域の特性を生かし創意工夫を凝らした雇用創造の取り組みを主体的に行われます市町村等に対する総合的な支援といたしまして、本年度から地域による雇用創造のための構想の策定に対する専門家の助言等の支援の事業、また、雇用創造に自発的に取り組まれます市町村、地域の経済団体などが提案をされました雇用機会の創出、能力開発等の事業の中からコンテスト方式によりまして雇用創造効果が高いものを選抜いたし、当該市町村に対しましてその事業を委託する事業、さらには、地域におけます創業を支援するために、サービス分野に加えまして、市町村等がみずから選択された重点産業、観光産業もあり得ると思いますけれども、そこにおいて創業をされる者に対しまして新規創業及び雇い入れにつきましての助成措置、こういった施策を実施しておるところでございます。

 こうした施策を通じまして、地域の雇用創造に取り組む市町村に対して応援をしてまいりたい、かように考えております。

山内分科員 そういう応援をしていただいて観光地として発展していくにしても、やはり人が来てくれないと困りますので、人口集積地との間でどういうアクセスが整っているかがやはり重要な問題だと思います。

 山陰地区でいえば、大阪とそれから広島がやはり近くでは大都市でございますので、山陰自動車道の整備、それから江府三次線の整備状況などについて、できれば年度を追った見通しを伺えればと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の道路につきましては、鳥取県を初めとする山陰地方の、先ほど来御議論のございます漁業、観光といった産業面のみならず、県民の安全、安心な生活を保障するために必要不可欠な道路だと認識をしておるところでございます。

 三つの道路の御指摘があったかと思いますが、中国横断道姫路鳥取線につきましては八十六キロメートルございますが、鳥取市から中国縦貫道と接続する佐用ジャンクション間約六十一キロメートルにつきましては、約十キロメートルについて一般国道の自動車専用道路として供用済みでございます。残る五十一キロメートルにつきましては、今回新しく編み出されました新直轄方式と従前の一般国道の自動車専用道路として、早期完成に努めてまいる所存でございます。

 山陰道につきましては、延長が全体三百九十八キロメートルということになっておりますが、鳥取県内は約八十八キロメートルございます。これまでに二十七キロメートルが供用済みということになっておりまして、残りの区間のうちでございますが、約四十キロメートルにつきまして四区間、四つの道路というようなことで、一般国道の自動車専用道路として早期整備に努めているところでございます。特に、近々供用を予定しておりますのは、名和淀江道路につきましては、平成十九年度内の供用というような目標を掲げさせていただいておるところでございます。

 三点目の江府三次道路につきましては、全体約九十キロメートルの地域高規格道路というような道路でございます。鳥取県内は約四十キロメートルございますが、十七年度は国及び鳥取県において十三キロメートルを事業中ということでございまして、このうち生山道路、約四キロメートルにつきましては、ことしの夏に供用できるように事業を推進していきたいということでございます。

 いずれにつきましても、こうした三つの道路をネットワークとして早くつなげるというようなことが肝要かと思っておりまして、選択と集中の精神で、区間を限って、できるだけ早い機会に効果の早期実現のために事業を進めていくという考え方が重要かと思っておる次第でございます。

山内分科員 より積極的な施策の推進をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

山名主査 これにて山内おさむ君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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