衆議院

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第1号 平成18年6月5日(月曜日)

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本分科会は平成十八年四月十四日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

六月二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大野 松茂君    柴山 昌彦君

      冨岡  勉君    藤井 勇治君

      若宮 健嗣君    金田 誠一君

      福田 昭夫君    斉藤 鉄夫君

      保坂  武君

六月二日

 斉藤鉄夫君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年六月五日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 斉藤 鉄夫君

      上野賢一郎君    大野 松茂君

      金子善次郎君    柴山 昌彦君

      藤井 勇治君    若宮 健嗣君

      北神 圭朗君    仲野 博子君

      長島 昭久君    福田 昭夫君

      山口  壯君    保坂  武君

   兼務 土屋 正忠君 兼務 津村 啓介君

   兼務 森本 哲生君 兼務 漆原 良夫君

   兼務 糸川 正晃君

    …………………………………

   法務大臣         杉浦 正健君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   法務副大臣        河野 太郎君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            小神 正志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  星野 茂夫君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉山 篤史君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (住宅金融公庫総裁)   島田 精一君

   参考人

   (東日本高速道路株式会社常務取締役)       青野 捷人君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         尾見 博武君

   参考人

   (本州四国連絡高速道路株式会社代表取締役社長)  堀切 民喜君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     金子善次郎君

  若宮 健嗣君     上野賢一郎君

  金田 誠一君     北神 圭朗君

  福田 昭夫君     山口  壯君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     若宮 健嗣君

  金子善次郎君     冨岡  勉君

  北神 圭朗君     長島 昭久君

  山口  壯君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     金田 誠一君

同日

 第二分科員糸川正晃君、第三分科員土屋正忠君、津村啓介君、森本哲生君及び漆原良夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫)


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     ――――◇―――――

斉藤主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十六年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管、住宅金融公庫について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 国土交通省所管の平成十六年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済み歳入額は六百八十五億二千八百万円余であります。支出済み歳出額は七兆八千四百八億五千九百万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、自動車損害賠償保障事業特別会計でありますが、保障、自動車事故対策及び保険料等充当交付金の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千四百三十七億七千七百万円余であります。支出済み歳出額は四千七百三十九億二千五百万円余であります。

 このほか、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計並びに財務省と共管の特定国有財産整備特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成十六年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

斉藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院高山第三局長。

高山会計検査院当局者 平成十六年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項十件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号二三〇号は、委託費の積算が過大となっているものであります。

 同二三一号、二三八号及び二四四号の三件は、工事の設計及び施工が適切でないものであります。

 同二三二号、二三七号及び二四三号の三件は、工事の設計が適切でないものであります。

 同二三三号から二三六号、二四〇号及び二四一号の六件は、補助金の交付額の算定が適切でないものであります。

 同二三九号、二四二号及び二四六号の三件は、用地費及び補償費の算定が適切でないものであります。

 同二四五号は、工事費の積算が過大となっているものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、民間事業者等が事業主体として実施する補助事業における消費税の取り扱いに関するもの。

 その二は、船員労働委員会における委員手当の支給に係る委員の勤務日数の管理に関するもの。

 その三は、海上保安庁におけるプログラム改修に係る委託費の積算に関するもの。

 その四は、国庫補助事業で実施する鋼橋製作・架設工事の間接工事費の積算におけるゴム製支承の材料費の取り扱いに関するもの。

 その五は、国庫補助事業で実施する橋梁上部工工事において使用するゴム製支承の材料費の積算に関するもの。

 その六は、高精度の測位システムを利用することなどにより施工精度等が向上したしゅんせつ等工事における検測待ちの拘束費の積算に関するもの。

 その七は、港湾EDIシステム等の利活用の促進に関するもの。

 その八は、委託契約によって購入された研究用機器の研究終了後の管理に関するもの。

 その九は、独立行政法人水資源機構が建設したダム等を利用して流水をかんがいの用に供する者の受益者負担金の徴収に関するもの。

 その十は、延長工事等を行った滑走路に係る国有財産台帳の価格改定等に関するものであります。

 これら十件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 以上、国土交通省の検査の概要でございます。

 次に、平成十六年度住宅金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 以上をもちまして検査の概要の説明を終わります。

斉藤主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 平成十六年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成十六年度の決算検査報告におきまして、補助金を過大に交付しているものなど、御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業の目的を達成するよう手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであります。さらに、関係機関等に対しましては、法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督・検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。

 今後とも、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。

斉藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 以上をもちまして国土交通省所管、住宅金融公庫についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勇治君。

藤井分科員 おはようございます。

 自由民主党の藤井勇治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 道路関係四公団の民営化が去年の十月からスタートいたしました。既に七カ月経過いたしましたが、私は、本日は、このことにつきまして、国土交通大臣並びに道路局長に質問をさせていただきたいと思います。そして、一方の主役、当事者であります東日本高速道路株式会社様の代表取締役から、民営化後の会社としての御苦労やら成果、そして会社を担うという代表取締役の気概をこの国会の場で直接聞かせてほしかったのでありますが、これが実現をせず、まことに残念でございました。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 小泉内閣は、発足以来既に五年を経過いたしてまいりました。構造改革を掲げて行財政改革に邁進してきたわけでありますが、これまでだれもなし得なかった改革に着手し、また成果を上げてきたと思います。これらの改革の中で最もシンボル的なものが、道路関係四公団民営化だと思います。道路関係四公団は、平成十三年の特殊法人等整理合理化計画に始まり、道路関係四公団民営化推進委員会での議論、それから平成十六年の国会における民営化関係法の審議、そしてこの中を通じて、大きな三点の改革が柱であったと思います。その一番目は、四十兆円に上る有利子債務の確実な返済、そして二番目の柱に、真に必要な道路をできるだけ少ない国民負担で建設する、そして三番目に、民間のノウハウの発揮により多様なサービスの提供ができる、これが大きな三点の改革の柱であったと思います。

 そこでまず、北側大臣にお聞きしたいと思います。現在、道路関係四公団民営化について、大臣はどんな評価をされておられましょうか。お願いいたします。

北側国務大臣 昨年の十月一日から道路関係四公団については民営化をいたしました。旧日本道路公団につきましては三分割をいたしました。また、首都、阪神そして本四、この六つの新しい会社のトップにすべて民間人を起用したところでございます。

 ことしの三月の三十一日付で、各会社と独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構との間で協定も締結をいたしました。本格的な民営会社としての業務は、そういう意味ではこの四月から始まっているというふうに考えているところでございます。

 民営化の目的は、今委員のおっしゃったとおりでございます。民営化の目的として最も大事なことは、やはり、この大変な債務、約四十兆円に上る有利子債務を確実に償還していく、ここが私は最も大切なところであるというふうに思っているところでございます。そのために機構もあるわけでございまして、機構のチェックもあるわけでございます。

 民営化に向けて期待をされているところはたくさんあるわけでございますが、料金の問題につきましては、かねてから料金の引き下げができないかというお話がたくさんあったわけでございますけれども、これまで一度も値下げをしたことがなかった高速国道料金につきまして、ETCを活用した割引制度というものを実施させていただき、既に平均一割以上の引き下げを実現いたしました。

 それから、先ほども委員の方からおっしゃっていただきましたように、やはりこれからも真に必要な道路はしっかりとつくっていかなければならないわけでございますが、そのコストにつきまして、約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減するなど、徹底したコストの縮減を実施しているところでございます。管理コストにつきましても、平成十四年度と比べますと約三割縮減をしているというのが今の現状でございます。

 さらに、九千三百四十二キロの整備計画区間があるわけでございますが、そのうち未供用が約二千キロあるわけでございます。この二千キロにつきまして費用対便益分析を実施いたしまして、五区間の百四十三キロの抜本的見直し区間を設定し、大幅なコスト縮減とともに、当面、そのうちの約百キロにつきましては着工しないというふうな見直しも実施をしたところでございます。

 このように、民営化というものを決めてから、さまざまな取り組みをしてきて既に成果が出ているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、本格的な民営会社としての業務開始はこの四月からというふうに考えていいと思っておりまして、これから、民営化されたことによって、利用者にとって、また国民にとって、利益をさらにもたらしていただけるよう取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 道路関係の四公団の民営化につきましては、やはり小泉内閣の非常に最重要の改革課題でございまして、それが大きな前進を見ているというふうに評価をしておるところでございます。

藤井分科員 ありがとうございました。

 大臣からも、この改革は評価されているという御答弁をいただいていますが、我々国民としては、この改革がさらに着実に進むように期待したいと思います。

 道路公団時代のように、いつ債務返済が完了するのかわからないとか、あるいは高い料金水準のまま据え置かれるとか、あるいは国民の利益に反するような不祥事が二度と起こってはならないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そこで、六つの高速道路会社では、民間企業としてスタートしたわけであります。これからは国民の目でその事業や経過が評価されていかなければならないと思います。

 現在の六つの高速道路会社の株式は、国なりあるいは地方公共団体が保有しているわけでありますから、いわばこれは国民が株式を保有しているということと全く同じであると思います。このような観点から、会社はあらゆる情報を国民に開示していく必要があると思います。

 国会における民営化関連法の審議におきましても、衆議院では大変重い附帯決議がついております。すなわち、「新会社は、高い公共性を有する高速道路の建設・管理を行うことにかんがみ、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に準じ、国民に対して、その経営状況、財務状況等について積極的に情報の開示を行うとともに、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等の適切な運用を通じ、新会社の経営内容の透明性の確保に努めること。」という附帯決議が衆議院でなされております。

 そこで、もう一度大臣にお聞きいたしますが、高速会社、そろそろ平成十七年度の決算を発表されるのではないでしょうか。この決算時期に、会社の経営状況や事業の進捗状況等について、株主である国民に十分理解されるようにあらゆる情報を開示していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 大事な御指摘をいただいておると思います。

 高速道路というのは高い公共性を有する社会資本でございまして、民営化されたからといって、その本質は何ら変わっているものではないというふうに思っております。そういう意味で、国民の理解が得られるように、高速道路会社におきましては、積極的に説明責任を果たしていってもらいたいというふうに考えております。

 衆議院の方でも、今委員が述べていただきましたような附帯決議もちょうだいをしているところでございます。また、昨年の三月には、道路資産評価・会計基準検討会というのが開かれました。いわゆる黒川委員会という委員会でございますが、そこでも、これまで道路関係四公団が開示してきた内容以上の情報を積極的に開示すること、さらには、民営化することで現行のディスクロージャーが後退をしないこと等の報告書が取りまとめられているところでございます。新会社におきましても、これらの趣旨を十分踏まえて、適切に情報開示、説明責任を果たしていただきたいというふうに考えているところでございます。

 私どもも、しっかりその民営会社の対応は見守っていきたいと考えております。

藤井分科員 今大臣おっしゃったとおり、方針に基づいて、各会社は積極的に国民に情報を開示していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ここで、最近の事例を一つ取り上げたいと思いますが、交通渋滞の話でございます。

 ことしのゴールデンウイークも、天候にも恵まれましたし、曜日の関係もありましたが、相当な行楽客があちこちに出かけられました。昨年と比較して、全国的に高速道路を利用した交通量がふえたという報道でありました。一方で、この時期に、テレビ、新聞で高速道路の渋滞が報道されております。

 そこで、民営化した高速道路会社には、民間のノウハウを大いに発揮していただきたい、ぜひ高速道路の渋滞の解消を図っていただきたいというのが、国民の、民営化に対する大きな、一番期待するところではないかと思っております。

 そこで、東日本高速道路様にお聞きしたいと思うのですが、これまでの公団時代の交通渋滞対策から見て、民営化後の渋滞対策は、どこがどういうふうに変わったのか、また、どんな工夫をしておられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思いますし、そのことについて会社はどんな評価をされているのか、ぜひとも御答弁をお願いいたします。

青野参考人 ことしのゴールデンウイークは、天候にも恵まれまして、東日本高速道路株式会社の管内での利用台数は昨年に比べ約五%増加しましたが、大きな渋滞の発生回数は昨年とほぼ同じ状況でございました。

 当社では、四月二十六日から五月九日までの十四日間を交通混雑期間として、各種の渋滞対策や工事の抑制を行い、渋滞の緩和に努めたところでございます。

 特に最近ではきめ細やかな対策を強化しているところであり、次のような対策を実施いたしました。

 まず最初に、ETCの普及促進による料金所渋滞の緩和、それから、ETC時間帯割引の利用を促進し渋滞のない時間帯への交通の分散化、インターチェンジ、休憩施設への交通誘導員の配置や料金収受員の増員、渋滞情報や予測情報の提供による交通の分散化、また、渋滞箇所に簡易な電光情報板などを臨時に設置いたしまして渋滞状況や速度低下の回復を促す情報提供をいたしております。

 これらの対策の実施により、特に上り線において渋滞緩和の効果が見られ、三十キロ以上の長い渋滞は昨年より半減いたしました。

 今後も、これらのきめ細やかな対策を着実に実施していくとともに、磐越自動車道の四車化、また関越自動車道などの渋滞多発箇所での車線拡幅工事を進め、さらなる渋滞対策を推進していく所存でございます。

藤井分科員 いろいろ御努力をされておられるようでございますが、ぜひ御奮闘いただきたいと思います。

 ただ、国民の側から見ると、まだまだ渋滞対策はかなり不満がございます。高い高速料金を払っているのにこの渋滞は何だという声が一方で続いております。民営化したわけでございますから、ぜひとも国民に納得のいく渋滞対策を引き続いて講じていただきたいとお願いいたします。

 例えば、ゴールデンウイーク前一、二週間あるいはゴールデンウイーク後一、二週間、料金の割引制度を拡大してやるとか、交通量を分散するということでございますが、どうぞ民間企業ならではの施策を考えていただきたいと思います。

 間もなく夏休みにも入りますし、お盆のラッシュ、秋の行楽に入ります。年末年始にも入っていきます。さすが民間企業だ、こんなに違うんだ、なるほどといういいアイデア、工夫をしていただいて、国民のみんなが実感できる渋滞対策をぜひ引き続いてやっていただきたいとお願いいたします。

 次に、ETCでありますが、現在の高速道路の利用者にとって、本当にETCはもうなくてはならないものとなってまいりました。先ほどの渋滞対策の上でもETCは大変重要かと思います。また、今問題のCO2削減にも資しますし、あるいはカードによる電子決済が可能となりますし、より多くのサービスの提供が期待できると考えられます。

 このETC、しかしながら、最近のETCの普及状況を見ますと、この五月にようやく六〇%台になった。一月以降、足踏み状態が続いているように思えます。国土交通省は、十九年の春までに全国で七五%という目標を掲げておられましたが、実現できるのか、いささか疑問に思っております。

 このETC利用率の伸びが鈍化している中で、ETC利用率の目標を達成するために、国土交通省は今後どんな施策を講じられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、近々の六つの会社の利用台数をベースにしたETC利用率は、週間平均、五月十九日から二十五日の平均で六〇・九%ということに達しております。そのことによって、委員御指摘のとおり、料金所の渋滞が大幅に解消される等々の大きな効果があるわけでございます。

 これは、各高速道路会社が、公団時代の平成十六年度より、車載器購入支援や料金還元などによる約六百万台分の車載器購入費用の軽減策を実施したほか、ETC車を対象としたマイレージ割引や時間帯割引等の多様で弾力的な新たな割引制度を積極的に導入するとともに、ETC普及促進のためのキャンペーン割引を実施してきたものが功を奏しているということかと思っております。

 さらに、ワンストップサービスの継続実施、クレジット以外の決済方法として、ETCパーソナルカードの導入、首都、阪神会社による提携カードの発行、ETC専用レーンの増設など、さまざまな普及促進策を実施させていただいております。

 今後は、これらの積極的な取り組みに加えまして、ETC車載器リース制度の実施や二輪車ETCの本格的導入、官民一体となった戦略的な広報の実施等々をあわせて進めさせていただきまして、委員もお触れいただきましたが、平成十九年春の利用率七五%を目指して普及促進に全力で取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

藤井分科員 ありがとうございました。

 ぜひ目標達成に向けて努力をお願いしたいと思います。

 このETC普及策でございますが、会社の方はどんなお考えでございましょうか。ETCの普及に伴って、さらなるコスト削減が可能になると思います。その分、料金割引に還元するとか、あるいは先ほど申し上げましたが、CO2削減の国際公約や景観緑三法など、環境や緑化などの社会情勢に十分に配慮したものができるんじゃないかと思いますが、会社はどんなお考えでしょうか。

青野参考人 ETCの導入は、ノンストップ走行による料金所渋滞の解消やCO2削減による料金所周辺の環境改善、キャッシュレス化、弾力的な料金割引の導入など、お客様サービスの向上を目的とするものです。

 また、ETCの普及に伴い、料金収受員を減ずるなどのコスト削減も可能となり、ETCの普及促進及び料金収受体制の見直しなどを進め、平成十四年度に比べまして、平成十七年度で四三%の収受経費削減を行ってまいりました。

 今後とも、お客様サービスや安全に十分留意しつつ、これらの取り組みを進めてまいりたいと思っております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 ETCの普及は、高速道路の利用者にも大きなメリットをもたらします。ぜひ国土交通省それから会社も積極的にこれに取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ETCといえば、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにETC専用の出入り口を設けたスマートインターチェンジが幾つか設置されてまいりました。これは大変好評でございます。スマートインターは、料金所の渋滞緩和だけでなく、何よりもその地域の住民たちの皆さんの通勤に使われたり、あるいは災害や病人の緊急輸送に使われたり、地域の活性化などに大変役立っております。

 実は、私の地元には名神高速道路が走っておりまして、ここに秦荘パーキングエリアというのがございます。そこにスマートインターチェンジをぜひ設置してほしいという住民運動が盛り上がりまして、地元自治体も総力を挙げて取り組んでおられます。この秦荘パーキングエリアは、地元の彦根インターチェンジと八日市インターチェンジの間が二十キロありまして、ちょうどその中間地点でございます。高速道路の利便性の向上、地元の活性化ということにかんがみますと、ぜひこの秦荘パーキングエリアにスマートインターチェンジがあると大変すばらしい活性化につながると思います。

 スマートインターの整備については、国土交通省は近々本格導入するというふうに聞いておりますが、今後の整備方針についてどんなお考えを持っておられるのか。できましたら、秦荘のスマートインター設置についてもぜひ御答弁をいただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、スマートインターチェンジの導入に向けまして、平成十六年度から社会実験を実施させていただいておりまして、現在、全国三十二カ所で実験をさせていただいております。これらの検討結果を踏まえまして、今年度中には本格導入を行わせていただきたいと考えておるところであります。

 委員も御指摘いただきましたが、地域活力の向上や安全、安心な暮らしの向上を図る等々の大きな成果があるということでございまして、地元の要望が非常に高うございます。そうした認識でございます。

 また、委員お触れいただきました秦荘パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置につきましても、御要望は伺っております。平均的なインターチェンジ間隔よりも、二十キロということで、倍近く長いというようなことで問題意識は持たせていただいております。

 いずれにしましても、スマートインターチェンジは地方公共団体の発意により整備するインターチェンジということでございますので、地域において設置の検討が進められ、関係者間の協議が調った箇所につきましては、国土交通省としましても適切に対応し、地域の大きな期待にこたえてまいりたいと考えておるところでございます。

藤井分科員 お取り組み、どうもありがとうございます。地元の皆さんも大変喜びますし、活性化で頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほどから申していますように、地域活性化のために、スマートインターを起爆剤と考えている、まじめに取り組んでいる自治体が大変多うございまして、このような声をぜひ多く聞いていただき、地域の期待にぜひともこたえていただきたいと思います。

 それから、このスマートインターですが、先ほど申しました高速道路の渋滞にも相当効果が出ております。また、サービスエリアやパーキングエリアに設置することによって、会社の利益拡大に大きな効果を発揮するのではないかと思いますが、会社さんにおきましても、利益拡大にも資するこのスマートインターの整備、管理について、地元の地方公共団体への支援を含めて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。

青野参考人 現在、東日本高速道路株式会社の管内では、十八カ所において社会実験を実施しており、利用状況等の確認をしているところであります。

 また、国土交通省において、高速道路の利便性の向上、地域生活の充実、地域の活性化に寄与することを目的として、本格導入のスキームの検討がなされていると聞いており、今後とも、国土交通省、地方公共団体と十分連携をとって、会社としても積極的に取り組んでいく所存でございます。

藤井分科員 ぜひとも、スマートインターチェンジが全国に普及されますように、高速道路会社としても積極的に地元自治体に支援をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、最後になりますが、もう一点だけ質問させていただきたいと思います。

 大きな課題の一つが、ファミリー企業改革でございます。高速道路会社となりまして、ファミリー企業がどのように再編されていくのか。また、二、三年たって、同じように余剰金をため込む子会社ができたのでは、何のための改革であったのかということになります。この点はきちっとやっていただきたい、また情報開示もしっかりやっていただきたいという思いでございます。

 それからもう一つ。これまで、ファミリー企業と連結した財務諸表を作成し、公団からの天下り状況や取引状況等を公表してきました。公団時代の高コスト構造の象徴であったファミリー企業について、国民としては、公団時代同様、引き続き情報開示をしていただきたいと考えております。東日本高速道路株式会社さん、いかがでございましょうか。

青野参考人 私どもは、これまで外部委託をしている維持管理業務は、本来は当社が行うべき業務をアウトソーシングしているものであり、高速道路の現場において根幹となる重要な業務というふうに認識をしております。

 いわゆるファミリー企業の再編の基本方針としましては、当社が新たに出資、設立する専門子会社が行うことを基本とし、管理化し、企業信用に直結する業務及び経験、ノウハウ、技術の蓄積が必要な業務を内部化し、市場性を有し、一定規模で計画的に実施できる業務を市場競争化していくということを基本としております。

 また、子会社の設立は、支社局、事務所との一体的運営がより重要となってくることから、地域ごと、業務ごとに行う方向で考えており、平成十八年度上半期から子会社を設立してまいる所存でございます。

 次に、情報の開示についてですが、当社は、高速道路という高い公共性を有する社会資本の建設、管理を行う民間会社であること、また、民営化関係法採決に当たっての附帯決議において、情報公開法に準じ、その経営状況、財務状況等について積極的に情報開示を行うこととされていること、さらに、国土交通省に設置された道路資産評価・会計基準検討会、いわゆる黒川委員会において、これまで道路関係四公団が開示してきた内容以上の情報を積極的に開示すること、民営化することで現行のディスクロージャーが後退しないこととの報告書がまとめられたこと等から、今後とも、国民の理解が得られるよう、十分尊重して取り組んでまいりたいと考えております。

藤井分科員 ぜひとも国民の理解が得られる情報開示をお願いしたいと思います。

 このファミリー企業の再編について、国土交通省はどんなお考えでございましょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 三月の十七日に、高速道路会社・機構・国土交通省連絡協議会におきまして、各会社から再編の基本的な方針をお聞きいたしております。その方針に基づきまして、各会社が速やかにファミリー企業の再編に着手するとともに、その再編状況につきましても適時適切に公表するよう指導してまいりたいと考えておる次第でございます。

 また、経営状況、財務状況等につきましての情報開示につきましては、大臣の方から御答弁がございましたが、このファミリー企業の経営状況や財務状況等につきましても、民営化することで現行の情報開示が後退しないよう、会社の取り組みを促進してまいりたいと考えておるところでございます。

藤井分科員 ありがとうございました。

 この道路関係四公団民営化は、まさに小泉改革の大きな成果の一つであります。この改革の成果を今後も持続できるよう、会社の経営状況や事業の状況について、株主である国民にわかりやすくぜひとも開示をしていただきたいと思います。これは、会社に課せられた義務であるとも思います。一般の民間よりも踏み込んだ情報の開示をぜひお願いしたいと思います。

 私は、この決算行政監視委員会で引き続いてぜひとも監視をさせていただきたい、そして、高速道路会社さんからも逐次報告を求めていきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 次に、土屋正忠君。

土屋(正)分科員 決算行政監視委員会の委員として、大きく分けて三点について質問いたします。一つは、まちづくり交付金の活用について、二点目は、パーソントリップ調査の推進について、三点目としては、JR中央線の現状並びに計画線の事業についてであります。

 まず第一に、まちづくり交付金の活用についてお尋ねいたしたいと存じますが、まちづくり交付金制度というのは、平成十六年度から新しい制度として始まったわけでございますけれども、従来の補助金と違って、極めて特徴的なことがあるだろうと思っております。

 それは、一つは、町の都市再生整備計画をそれぞれの市町村ごとにつくる、事業主体の市町村ごとにつくり、その計画に従って、基幹事業として何点かを定め、それ以外にも提案事業という格好で、国土交通省、つまり霞が関だけでは気がつかない現地に合ったような新しい事業についても、提案があって、それがしかるべき方針に基づいたものであり、そしてまた結果が予測される、事後評価も含めて、こういう計画的な手法をとる限り、国費を投入しましょう、つまり、国費の所管であります国交省がメニューだけ決めて、そのとおりやりなさいというのではなくて、そこに市町村の工夫をつけ加えて、それぞれの地域に合ったようなまちづくりを進めようという画期的な交付金制度だろうと存じます。

 北側大臣が就任した前後からこの制度は始まったわけでありますけれども、私ども地方自治の現場にいた人間としては、非常に画期的な制度である、このように考えております。

 よく言われるように、日本じゅうどこの町へ行っても金太郎あめみたいで同じだ、言ってみれば、どこに行っても何とか銀座何とか銀座で銀座がある、こういう状態を長くつくってきたのは、例えば、再開発事業あるいは区画整理事業あるいは街路事業、こういう事業別の細かい縦割りの基準があり、道路の断面一つとってみてもがちがちの基準があって、これを動かしちゃいけませんよというのが従来の国の制度であったわけであります。

 そういう意味で、ある程度国が方針を定め、地方自治体はお金がない、お金がないから何としても国費のようなものを投入しなきゃならない、だけれども、しかし、それにとらわれずに、柔軟に、地域の特色を生かしたやり方をやろうという要望を持っていたわけでありますが、その要望にこたえたすばらしい制度である、このように考えております。

 そこで、この事業についてお尋ねしたいわけでありますが、まず第一点として、まちづくり交付金のこれまでの実績、当初の見込みに対して実績はどうであったのか、そのことをどう評価しているかについてお尋ねいたしたいと存じます。

柴田(高)政府参考人 土屋委員、地方自治が長く、リーダーとして市長さんとしてまちづくりに長く取り組まれまして非常にいろいろな御成果を上げてこられました委員より、ただいままちづくり交付金につきまして非常に評価をいただきまして大変ありがとうございます。

 まちづくり交付金は、御指摘のとおり、市町村の自主性、裁量性を高めた、従来の補助金と全く異なる財政支援措置といたしまして、平成十六年度に創設されております。

 具体的には、中心市街地の活性化、観光振興、防災など、地区の特性に応じましたまちづくりを総合的に支援しようということでございまして、御指摘のように、道路だとか公園だとか公営住宅等、従来型の事業だけではなく、空き家の店舗の活用事業だとか子育て支援施設の整備だとか地場産業の育成支援など、市町村の提案によります事業などを組み合わせて、一括して交付金の対象とすることができます。

 そういう意味で、大変市町村の方からの評判も高く、ニーズも高くて、平成十八年度予算につきましては、十七年度が千九百三十億円でございましたが、それを二千三百八十億円と大幅に増額いたしてございます。公共事業予算が減額されている中で非常に大幅に増額いたしておりまして、新たに今年度三百六十一地区を新規採択いたしまして、全国六百六十二市町村、千百地区におきまして活用されているという状況にございます。

土屋(正)分科員 大変急速に伸びている、倍近くに伸びているということを見ても、この事業はいかに市町村にとって待ち望んだ制度であったかということで、時代を見る目というものを感じているわけであります。

 国と地方の役割分担とか、国と地方が連携してということをよく言われますけれども、言ってみれば、このまちづくり交付金のような制度が、本当に、国の力と、そして市町村のそれぞれの草の根に根差した地域をよく見た計画ということで、これからもぜひこういう事業を推し進めていただきたいと思いますし、また、大臣におかれましては、他の方面にわたっても、このようなやわらかい仕組み、国の力と市町村の力をうまく融合して、力を合わせるような仕組みを、国政の中枢にあって、そのような角度からまた御指導をお願いいたしたいと存じます。

 具体の話で恐縮ですが、二つお聞きしたいんです。

 このまちづくり交付金対象事業に、東京都府中市の西府地区の新駅が入っております。区画整理は、駅前広場、駐車場、その他いろいろな総合的な取り組みをしているわけでございますが、これなどもいろいろ国交省に御相談申し上げ、やわらかい取り組み方をしていただいているわけでございますが、今後の見通しをお尋ねいたしたいと存じます。

 同様に、三鷹―立川間の連続立体交差事業、後に御質問申し上げますが、それに関連して小金井市で再開発事業を行っております。連続立体交差事業は莫大な国費を投入することでありまして、実はこの計画も、最初、平成元年に、都の事業でありますが、東京都とそれから国が調査研究に合意をした、このことがきっかけになったわけでございますが、そのときの条件として、何百億という国費を投入するんだから単なる踏切改修だけではだめだよ、連続立体交差したことによって、鉄道が支障となって町を分断している、こういう状態をなくすことが大事なんだから、それにあわせてまちづくりをやってほしい、こういうことが採択基準でありました。

 その採択基準どおりやっているのが小金井であります。小金井は、邪魔するグループがありまして、民主党なんかを応援したりする、きょうは民主党の人はいないですが、地元の民主党の代議士がこれに抵抗したりして、これは事実だから言っておきますよ、それでなかなか進まなかったんです。共産党も反対していましたけれども。これに対して、責任与党側が議会で少数だったけれども、市長が、これを何としても通すためにといって任期途中でみずからやめてまた再び選挙に出るという、こういうやり方をやったところであります。ですから、市長が政治生命をかけて頑張っているところだから、しかも、計画的な、本来の連立とはセットでやっているわけですから、こういうところはぜひ国も応援していただかないといけないわけで、現に応援していただいているんですが、これらの見通しについて、ぜひお尋ねいたしたいと存じます。

柴田(高)政府参考人 まず、第一点目の東京都府中市の西府地区でございますが、平成二十年度のJR南武線の新駅開業に向けました利便性豊かな新たな交通拠点、歴史、自然に触れ合える街中のオアシスづくりを目標といたしまして、まちづくり交付金によりまして事業を進めております。計画期間は平成十六年度から平成二十年度までの五カ年間でございまして、総事業費が七十二億一千万円でございます。平成十八年度、今年度には駅前駐輪場整備事業に着手するというぐあいに聞いてございます。

 それから、第二点目の小金井市の中央線沿線地区でございますが、これは御指摘のように、JR中央本線の立体交差化にあわせまして、安全で安心して集える町空間をつくるということを目標といたしまして、ここもまちづくりの交付金事業を進めております。計画期間は平成十八年度、今年度から平成二十二年度までの五カ年間でございまして、総事業費が五十八億八千八百万円を予定いたしてございます。平成十八年度には、公園や駐車場、駐輪場等の整備に着手するというぐあいに伺っております。

土屋(正)分科員 五カ年の計画事業でございますので、引き続きどうぞよろしくお願いをいたしたいと存じます。

 とりわけ、小金井市などの場合には、先ほど申し上げたような事情の中で、難しい政治状況を進退をかけてやってきたという強い意思の市長がいるわけであります。ちなみに申し上げますと、別に、任期途中でやめてまた一カ月後に受かっても任期は延びるわけじゃないんですね。また残りの残任期なんです。さらに、かてて加えて、月数が足りなくなっちゃうから年金の受給権がその分足らなくなっちゃうという非常に気の毒なケースなんですけれども、これは非常な決意でもって市民のためにやったあれですから、ぜひひとつ力強い御支援をお願いいたしたいと存じます。

 次に、二点目のパーソントリップ調査の推進についてお尋ねいたします。

 パーソントリップ調査はいろいろな規模でやられるわけでありまして、実は武蔵野市も吉祥寺の来街者調査でパーソントリップ調査をやったことがあります。つまり、人々に調査票を渡して、自分は一体どこから来ましたか、どういう経路を伝わってきましたか、そして、その結果、どういう状況がありましたかということを調べるので、人の動きを調べるために、町の将来推計とかあるいは現状分析、非常に大事な調査だ、このように考えております。

 国でやる場合には大都市圏を中心にして広域のパーソントリップをやるんだろうと思いますが、今準備中だと聞いております。こういうことによって科学的な行政を進める際の政策決定のもととなる基礎調査でありますので、ぜひひとつ、継続的、漸進的に取り組んでいただきたいと思っておりますし、また、その成果を政策に生かしてもらいたいと同時に、市町村や都道府県にも積極的に利用してもらう、こういうことが非常に大事だろうと思います。

 これらについての現状と展望についてお尋ねいたします。

柴田(高)政府参考人 パーソントリップ調査でございますが、これは都市交通の基礎データとして非常に重要なデータ、調査でございます。これは、調査自身は、都市圏内の一日の人の動きを対象といたしまして、アンケート調査によりまして、移動されます出発地、目的地、移動の目的、交通手段など交通実態を総合的に把握することが可能でございまして、その調査結果は、都市交通の将来計画を示します都市交通のマスタープランや交通施設の整備計画の策定に当たっての基礎データとなってございます。

 東京都市圏におきましては、昭和四十三年度に第一回のパーソントリップ調査が実施されて以来、平成十年度までに十年置きに四回実施されてきております。

 高齢化社会に適切に対応するための移動特性を踏まえました高齢者に利用しやすい交通施設の計画、あるいは地球環境の保全のためのよりエネルギー消費の少ない交通体系の検討など、今後の社会経済情勢の変化に応じました都市交通施策を展開するに当たりまして、交通の実態を的確に把握できますパーソントリップ調査は、非常に有効な調査手段であると認識いたしているところでございます。

 このため、地方公共団体でおやりになるものを国が助成しているものでございますので、地方公共団体におきましてパーソントリップ調査が的確に実施できますよう、積極的にその支援に努めてまいりたいというぐあいに考えております。

土屋(正)分科員 パーソントリップというのはえらく金がかかるんですよね。しようがないんですけれども、交通量調査なんかと違って、えらい金がかかるんですね。私、今ちょっと手元にあれですが、非常に印象に残っております。どうぞひとつ適切な御支援をお願いいたしたいと存じます。

 次に、大きな三点目として、JR中央線の三鷹―立川間の連続立体交差事業の現状並びに計画線についてお尋ねをいたしたいと存じます。

 三鷹―立川間の連続立体交差事業は、もう長い間、昭和四十四年に三鷹までの連続立体交差事業が終わったときから延々この問題がテーマになりまして、何といっても東京多摩は東西に長いわけですが、その脊梁みたいなところを中央線が走っておりまして、それがどんと万里の長城みたく南北交通を妨げているわけですから、これは長年の悲願であったわけであります。

 昭和五十七年ごろ、東京都は鈴木知事のもとに動き出したんですけれども、JRの分割・民営で一頓挫いたしました。いわゆる六二・四で一頓挫したわけであります。その後、また体勢を立て直して、平成元年からJRと東京都が調査費をつけ、その後でようやっと軌道に乗り、平成三年以降、JRの当時の住田社長と鈴木知事が、十一月だったと記憶しておりますが協定を結び、そして国が全面的にバックアップをする、こういう長い長い歴史があるわけであります。

 都市計画決定をされたのがたしか平成六年ですが、平成七年から事業認可して、平成十一年着工、こういうことになったわけであります。青島知事の任期の最後の二週間前に着工したんですけれども、それ以後、千八百億かかる事業費をもってやっており、着々と進行しております。

 その前に、この計画は当初平成十五年に完成する、こういう計画だったのが、これはだめだというので平成十八年に延びて、平成十八年もなかなか難しいですね、今年度中に完成するのは難しい。一体いつになったら完成するんだ、二十年とか言っているけれども本当に大丈夫かという気持ちもあるわけであります。

 このおくれた理由は、用地買収がおくれたということが一番大きいんですけれども、しかし、これは多摩の大動脈ですから、これをまず第一点目としてお尋ねいたしたいのは、この事業が計画どおり進むのかどうか、その見通し等についてお尋ねいたしたいと存じます。

柴田(高)政府参考人 JR中央線の三鷹から立川間の連続立体交差事業でございますが、平成七年度から、平成二十二年度完成、供用を目途に今進めているところでございます。約十三・一キロメートルにおきまして鉄道を高架化することになってございますが、一部掘り割り区間もございます。

 これによりまして、十五カ所のあかずの踏切を含む十八カ所の踏切を一挙に除却する事業でございまして、多摩の南北交通の円滑化が図られますとともに、鉄道によりまして南北に遮断されております地域の一体化が図られるものというぐあいに期待されておるところでございます。

 当該事業につきましては、二カ所二区間に分かれてございまして、東側区間、三鷹から国分寺間では平成二十年度中に、それから西側区間、西国分寺から立川間におきましては平成二十二年度中の高架切りかえを目指しておりまして、現在、東側区間におきましては高架橋工事を、西側区間におきましては仮線工事を実施いたしておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、この事業が円滑に進捗し、計画どおり推進できるよう積極的に支援をしてまいる所存でございます。

土屋(正)分科員 形の上ではこれは東京都の事業ということになるわけでございますけれども、国土交通省を経由して、たしか八百億近い国費が投入されるんだろうと思っております。これは、工事のやり方あるいは土地の値段等によって総額が変わってくるわけでありますが、それにしても大事業であります。恐らく、国交省が所管している連続立体交差事業としては一番長いのではないか。普通は連立というと駅の周辺で二キロとか三キロですから、十三キロというのは恐らく全国でも一番長いものだろうと思っております。長い経過があるものですから、最後の最後まで事故のないように、ひとつ監督官庁としても東京都を督励しまして、同時に、関係者を、JR関係を含めて、予定どおり、今御答弁いただいたとおりに完成できますように心からお願いを申し上げたいと存じます。

 さて、そこで大臣にお尋ねをいたしたいわけでありますが、大臣も御承知のとおり、東京都は東西に長い地形をとっております。面積的にいいますと、島を除きますと、大体二十三区が一とすると三多摩は二の割合の面積になっております。といっても、二千メーターの山もあるわけですから、そういう意味では、人が住める面積というのが大体東に一、西に一ぐらいの割合になっているんですが、東に八百万、西に四百万という人数が住んでおります。三多摩地域と言っているわけでございます。この三多摩地域は、今や静岡県に匹敵するような四百万という人口規模を持っているわけで、仮に県としてカウントしても全国で十番目ぐらいの県に当たるわけであります。

 しかし、首都圏の特徴としてにわかに膨張したことによって、道路づけを初め交通網が非常に整備をされていない、とりわけ二十三区と比べると極めて貧弱だ、こういうことになるわけであります。現に、まだ八王子その他青梅線を周辺として人口がふえている地域でもありますので、これらについて、輸送力強化のための、現在は計画線といっておりますけれども、複々線についてぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思ってこのような質問をするわけであります。

 首都圏全体を考えてみますと、かつて五方面作戦というのがあって、東北線、常磐線、房総、東海道線、それから中央線、こうあるわけですけれども、御承知のように、みんな複々線化されているわけであります。中央線だけが三鷹まででとまっていて西に延びていない、その西には、さっき申しましたように四百万の人口が住んでいる、こういう状況がございます。また、横田の官民共用といったようなテーマもあり、また圏央道が今着々とできておりますので、この圏央道に依拠してさまざまな事業者などが出ております。

 こういうことから、この計画線をぜひ事業化していただき、早い段階で交通の大動脈である中央線の円滑化を図る、こういうことをお願いしたいわけでありますが、大臣のお気持ちをぜひお聞かせいただければ、こんなふうに思っております。

北側国務大臣 私は、高校、大学と多摩に住んでおりましたので、多摩の状況はよく認識をしております。その中でも中央線につきましては、まさしく首都圏の西部地域における大動脈、一番の動脈でございまして、非常に大事な路線であるというふうに考えております。

 今委員の方からお話ございましたように、三鷹から西の区間についてはまだ複線の状況でございます。これにつきましては、平成十二年の運輸政策審議会の答申で、目標年次、これは平成二十七年でございますが、それまでに着手することが適当である路線というふうに位置づけをされているところでもございます。また、かねてからそうした課題があることについて十分認識をされていたところでございます。

 これはJRですので、基本的にはJRが主体的に判断をしていただく必要があるわけでございますが、輸送需要がどうなのか、さらに多額の事業費がかかります、これについてどう負担をしていくのか、負担していけるのか、その辺の見きわめが必要であると思っておりますが、現在JR東日本におきまして、先ほど話題になっておりました連続立体交差事業の進捗状況も勘案しつつ検討を行っているというふうに聞いているところでございます。

 国土交通省といたしましては、この複々線化の事業の重要性はよく認識をしておりますので、JR東日本の動きをしっかり見守っていきたいと考えておりますが、それだけではなくて、今後の需要動向等も踏まえながら、必要に応じ助言もさせていただきたいと考えております。

土屋(正)分科員 大変心強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 時間もありませんので、また、ここで決着する問題ではありませんので、お願いだけ申し上げておきたいと存じますが、大臣の青春の地であります三多摩も、御承知のような、大臣が勉学をしておられたころと比べるとはるかに、人口も当時から比較をすると百万人以上もふえているわけであります。恐らく全国の中でも一番人口が伸びた地域、首都圏周辺は大体みんなそうなんですけれども、それにしても伸びた地域だろうと思う。天下の首都でありながら、五方面のうち四方面はできているのに、西だけ何か冷たく扱われているという感覚をいつも西の四百万人の市町村は持っているわけでありますし、またその気持ちを大臣もおわかりいただけると存じます。

 そこで、連続立体交差事業をやるときに、三鷹までと同じように複々線も一緒にやったらどうかという意見が強かったわけでありますが、そのときの人口の将来予測が、多摩は三百五十万人という予測しかできませんでした。当時、一極集中バッシングがありまして、そういうこともあって、私などはその当時は現場にいて、いや、二十一世紀には四百万人になるよと言っておったのですが、なかなかそこまで書き込めないという事情がございました。

 それから、土地が上がって、複々線にしますとどうしても北側の日陰の環境側道の分を余計に買わなければなりませんので、これはなかなか進捗が難しいという要素もありました。そこで、現行は、大臣も御承知のとおり、計画線は地下に潜るやり方になっているわけであります。地下の推進工法が当時から比べると技術的に上がって安くなったということでありますが、それにしても、これから新線をやるとすると、あらあらで二千億近くかかるだろうと関係者の間では言われているようであります、まだ正確な積算ではありませんが。

 そうなりますと、これを運賃で全部持たせるというやり方だと、なかなか限界があるというふうに考えております。でありますから、新しい公共投資の仕組みのようなものをうまく考えることはできないでしょうかということをこれまたお願い申し上げ、その上で、一刻も早いこの運政審の、平成二十七年までに計画、着工ということについての御尽力方を切にお願い申し上げ、要望とさせていただきたいと存じます。

 時間が参りました。どうもありがとうございました。

斉藤主査 これにて土屋正忠君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川分科員 国民新党の糸川正晃でございます。

 先日、インドネシアで六千人を超える死者ですとか数万人の負傷者が発生している震災に対しまして、まず心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思います。また、報道によりますと、今回の震災によりまして、上下水道の復旧というものがおくれていることから、衛生の面におきまして疫病の蔓延が危惧されたりとか、そういうことも今起きているわけでございます。

 こういうことから、まず、本日は下水道の耐震化について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 下水道は、上水道とあわせまして、国民生活や社会経済活動に大変必要不可欠である、地震によって処理場の機能が停止してしまったり、それから道路陥没、こういうものが発生すると地域に重大な影響を与えることになるわけでございます。

 先般の国土交通委員会におきまして、下水道の地震対策の概況について私はお尋ねしたわけでございますが、今回は、この耐震化の具体的な進め方についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、この下水道施設の耐震化というものがどの程度進んでいるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、大地震によって下水道が被災した場合には、トイレが使用できない、あるいは雨水ポンプが機能停止をして浸水被害のおそれがあるとか、あるいは未処理の下水が流出することによって公衆衛生の問題が発生するなど、住民の生命財産にかかわる重大な事態が発生するおそれがありますことから、下水道の地震対策は極めて重要であると考えております。

 このため、国土交通省では、兵庫県南部地震での下水道施設の被害を踏まえまして、平成九年度に下水道施設の耐震対策指針を改定し、耐震対策の強化を図ってきたところであります。

 今委員の方からお尋ねがありました下水道施設の耐震化の状況でございますけれども、昨年全国の施設の状況について調査しましたところ、ただいま申しました指針改定以降に建設された施設につきましては、例えば水処理施設の耐震化率は約九割ということで、指針どおりに耐震化が進められております。

 その一方で、指針改定以前に建設された水処理施設につきましては、耐震診断をしますと耐震化率は約三割ということで、極めて低い状況でございます。

糸川分科員 そうすると、今のお話では、下水道の耐震化というものはおくれていて、特に指針が改定される以前の施設、こういうものに関しましては耐震化率が低いというふうに感じるわけでございます。では、今後どのように耐震化を図っていくのか。

 また、新潟県の中越地震におきましては、液状化によってマンホールが浮き上がって、大臣もよくごらんになられたと思うんですけれども、実際にはこういうふうに浮き上がるわけでございます。下水道の機能だけでなくて道路交通にも支障を与えてしまう、こういうふうになるわけでございます。この液状化対策についてはどういうふうにお考えなのか、あわせてお答えいただければと思います。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目でございますけれども、国土交通省では、新潟県中越地震におきます被災状況を踏まえまして、直ちに学識経験者から成ります下水道地震対策技術検討委員会というものを設置し、今後の下水道の地震対策のあり方について審議を進め、昨年の八月に提言をいただいたところであります。

 国土交通省では、この提言を受けまして、まず、耐震化のおくれております指針改定以前の施設の緊急的な耐震対策を実施するため、平成十八年度に下水道地震対策緊急整備事業を創設いたしました。

 この事業によりまして、地震防災対策強化地域などにおきまして、処理場の消毒施設の耐震化、防災拠点におけるトイレの確保、それから緊急輸送路の下にあります主要な管渠の耐震化などの緊急対策を実施し、震災時においても、被災地における公衆衛生の確保や地域住民のトイレの確保など、下水道が有すべき最低限の機能をおおむね五年以内に確保すべく緊急的な耐震対策を進めていきたいと考えております。

 また、中長期的には、その他の幹線管渠におきましても、下水の流下機能の確保や通常の水処理機能の確保など、都市における下水の排除及び処理という下水道の基本的な機能を確保するための耐震対策を着実に推進していきたいと考えております。

 それから、二点目のマンホールの液状化の問題でございますけれども、委員御指摘のとおり、新潟県中越地震では、マンホールが約千四百カ所ほど浮き上がっております。

 このマンホールを含む管渠の浮き上がりの問題につきまして、その原因と対策についても、先ほど申し上げました技術検討委員会で検討をいただきました。その結果、埋め戻し土の液状化が主な原因であるということがわかりまして、その液状化を防ぐためには、埋め戻し土の十分な締め固め、あるいはセメントによる固化、あるいは透水性の高い砕石による埋め戻しが有効であるという提言をいただきました。

 これを受けまして、昨年十月に下水道法施行令を改正し、この液状化対策を明確にするとともに、全国の公共団体に対しまして通知を発出し、耐震対策の促進に努めているところでございます。

糸川分科員 これはちょっと通告していないんですが、そうすると、全国的にどのあたりが液状化が起きそうなのか、こういう調査も検討会なりで進めていくのか、お聞かせいただければというふうに思うんですが。

江藤政府参考人 お答えします。

 それぞれの地域によりまして地盤の条件が相当違いますし、また、地下水が高いか低いかということによりましても、この液状化の問題というのはそういう複合的な中で発生してまいりますので、平成九年度の指針の中では、地盤そのものが液状化しやすいところについては一応基準を示し、検討していただくということになっていたわけです。

 今回のマンホールの問題は、地盤自体は液状化の問題はなかったんですけれども、埋め戻し土が山砂で埋め戻しをされて、雨が直前に降ったために液状化を起こしたという状況がございますので、その埋め戻しについても公共団体に十分検討いただくように周知をしたところでございます。

糸川分科員 ありがとうございます。

 この下水道を語る中で、どうしても震災というよりも浸水という方が被害としては身近に感じるわけでございまして、平成十六年の七月に、私の今の地元であります福井県で集中豪雨によりまして災害が起きたというのは記憶に残るところでございますが、昨年も九月に、東京都杉並区などで集中豪雨によりまして浸水被害が発生しておるわけでございます。

 このように、近年、集中豪雨によって都市部で重大な浸水被害が発生しておるわけでございますが、被害の解消のためには下水道による浸水対策というものが必要ではないのかなというふうに考えますが、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道は都市に降った雨を川や海に排水して浸水を防ぐという基本的な役割を担っております。このため、雨水を排水するための管渠やポンプ施設の整備であるとか、あるいは雨水を貯留浸透するための調整池とか浸透升というようなもの、さまざまな浸水対策をこれまで行ってきたところであります。

 ただいま委員御指摘ありましたように、近年はそういう下水道施設の能力を大幅に上回る集中豪雨が頻発しておりまして、地下街での死亡事故であるとか、あるいは道路冠水による都市機能の麻痺という都市部での浸水被害が非常に深刻化してきております。

 このような状況を踏まえまして、都市の浸水対策を担う下水道の役割はますます重要になってきているというふうに私ども認識いたしておりまして、下水道による浸水対策をより一層強化してまいりたいと考えております。

糸川分科員 これは今後の国土交通委員会でも継続して、例えばマンホールの対策ですとか、そういうことも含めて質問させていただきたいと思うんです。

 そうすると、都市部における重大な浸水被害に対応するために下水道整備というものはどのように展開されていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 都市における浸水対策を財政的な制約がある中で緊急かつ効率的に行いますために、管路やポンプ施設の増強などハード整備を着実に進める一方で、生命や財産を守るという観点からは、被害の最小化を目指すという減災の視点に立った取り組みが必要であろうというふうに考えております。

 具体的には、業務集積地区や地下街など重点的に対策を実施すべき地区におきまして、既存のストックの徹底活用を行うというような効率的なハード整備、あるいは止水板、土のう設置など、住民みずからが行う災害対応、いわゆる自助でございますけれども、さらにそれを支援するための地域住民の方への降雨情報の提供などのソフト施策、それらを総合的に組み合わせて対策を実施していくことによって、被害の最小化を図っていくことが重要であると考えております。

 このため国土交通省では、ただいま申しましたようなハード整備、ソフト対策、自助を組み合わせた総合的な取り組みを推進するために、平成十八年度に下水道総合浸水対策緊急事業を創設し、重点地区においておおむね五年以内に緊急的な浸水対策を実施することとしております。

 また、公共団体におけるこの事業への取り組みを支援しますために、その事業の計画策定のためのマニュアルを取りまとめまして、本年四月に公共団体に周知したところでありまして、そのような総合的な浸水対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

糸川分科員 今、部長が、浸水による被害を軽減するということで、例えば土のうを積んだりとかということを住民に周知徹底させていくというふうにおっしゃられたわけですが、そうすると、住民が、浸水の危険性、こういうものをよく理解した上で、住民自身、言われなくても何とかしていこう、こういうさまざまな取り組みを促していく、こういうことが必要になってくるわけですけれども、その辺に対して、国の見解というものは何かございますでしょうか。

江藤政府参考人 先ほども申しましたけれども、被害の最小化という観点で、住民みずからの災害に対する取り組みを促進していくことが極めて重要であると考えております。

 住民による取り組みとしましては、居住地域の浸水の危険性をまず認識していただいた上で、貯留施設であるとかあるいは浸水時の止水板の設置など、みずから災害対策を実施していただくこと、あるいは、非常に危険なときには的確に避難をしていただくことなどがあります。

 このような住民みずからの取り組みを促していくために、先ほど申しました緊急対策事業におきましては、その計画を公共団体と住民の方が一緒に策定していただくようにお願いしているところでございますし、また、住民が設置される貯留浸透施設や止水板などに対しましても財政的な支援を講じたところであります。

 また、住民みずからのそのような取り組みを促進しますためには、公共団体において、浸水が想定される区域あるいは避難場所などのハザードマップを作成し、公表することが必要であろうというふうに思っておりまして、本年四月に「内水ハザードマップの作成の手引き」というのを取りまとめ、これも公共団体に周知したところでございます。

 今後とも、住民みずからの取り組みを重要な施策の一つとして、積極的に促進していきたいと思っております。

糸川分科員 大臣、震災が一たび起きると、耐震化のおくれというのが露呈してくるわけでございます。

 先日私は厚生労働委員会でも、水道のことについてお尋ねしたときに非常に耐震化率が低いというのを感じたわけで、そういうときに、国というのは、今、本当に安全なまちづくり、国づくり、こういうものができているのかというのが判断されてくるわけです。日本は地震列島でございます。世界じゅうで起きている大地震の二割が日本で起きるというふうに言われているわけですから、ぜひしっかりとその辺をお取り組みいただきたいというふうに思います。

 続きまして、委員会でもよく議論されましたが、鉄道について御質問させていただきたいというふうに思います。

 先般国会に提出されました交通安全白書によりますと、平成十七年の鉄道の運転事故による死傷者数というものが前年と比べて大幅に増加しているということでございますが、その理由についてまずお聞かせいただければと思います。

石田大臣政務官 議員御指摘いただきましたように、十七年の鉄道運転事故によります死傷者数は一千三百五十八人、うち死亡者数は四百七十四名でございます。一方、十六年には、死傷者数が六百六十三名、うち死亡者数が二百九十九名ということでございまして、十七年には大幅に増加しているということでございます。

 これは、既に御承知かと思いますけれども、昨年四月に発生をいたしましたJR西日本福知山線における列車の脱線事故、あるいは、昨年の十二月に発生をいたしましたJR東日本の羽越線における列車脱線事故等があるわけでございますが、さらに踏切事故による増加というものもあるわけでございます。

 こういうことを考えていきますと、福知山線の事故のように、安全最優先の意識の形骸化、あるいは経営陣の安全確保に対する関与が不十分である、そういうことも課題であると考えておりまして、本年の三月に国土交通省において決定をいたしました交通安全基本計画におきましては、鉄道の乗客の死傷者数を何とかしてゼロにしたい、あるいは事故の件数の減少を目指したいということで、目標を掲げて今後取り組んでいくことにいたしておりますし、また、本年三月には、鉄道事業者において、経営トップ主導による輸送の安全を確保するための安全管理体制の確立を柱といたしました鉄道事業法の改正をお願いしたところでございます。この中では、踏切道についての改正もお願いしておるところでございます。

 今後とも、再発防止と安全確保のために一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

糸川分科員 鉄道というものは、大量高速の時代の現在でありますと、一たん重大な事故が発生すると被害が本当に甚大である、これは福知山線の事故などを見ればよくわかるわけでございます。こういうことからすると、安全の確保が極めて重要であるというふうに考えられるわけでございます。

 国として、抜本的な対策が必要とされている中で、福知山線の事故を受けまして鉄道事業者に緊急整備を指示した速度超過防止用ATSの整備について着実な進捗を図ることが必要である、こういうふうに考えておりますが、今現在のATSの整備の進捗状況についてお聞かせいただければというふうに思います。

梅田政府参考人 ATSにつきましては、昨年の四月二十五日の福知山の事故にかんがみまして、五月二十七日に、先生御指摘の、急カーブに進入する際の速度超過防止対策として、速度超過防止用のATSの整備につきまして鉄道事業者に指示をしておりまして、八月二日に各事業者において整備計画を公表いたしました。去る四月二十一日に、十七年度末の実施状況を取りまとめたところでございます。

 整備予定の箇所につきましては四十九事業者合わせて二千九百四十五カ所ございますけれども、十七年度末までに約六割の一千六百九十一カ所について整備が行われました。また、事業者数でいいますと、二十八事業者において整備が完了しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、このATSの整備につきましては、技術基準等の改正により義務づけているところでもございますが、着実に進むよう、引き続き指導してまいりたいと思っております。

糸川分科員 かなり前になるんですが、日比谷線の脱線事故を受けて車輪の浮き上がりをとめるためのガードをつけたりとか、事故があると、後から何か対策を打とうということになっているなというのを感じるわけで、ぜひ事前事前に、こういう現象が起きるんじゃないかなというものに関しましては対策を打っていただきたい。

 そういうことを考えますと、本年の三月、鉄道の技術基準の改正によりまして安全対策の強化というものが図られたということでございますが、その具体的な内容につきましてお聞かせいただければというふうに思います。

梅田政府参考人 昨年の四月二十五日の福知山事故を契機にいたしまして、安全性あるいは信頼性を一層高めるということから、学識経験者あるいは鉄道事業者等から成ります技術基準検討委員会を設置いたしまして、鉄道の技術基準で求めるべき安全水準のあり方について検討を行ってきております。

 昨年の十一月二十九日に、その委員会におきまして中間取りまとめを行いました。技術基準において対応すべき項目が示されておりまして、本年の三月に、これに基づきまして省令等の改正を行うということで措置を講じているところでございます。

 その具体的な中身でございますが、事故当時は急カーブだけでございましたATSにつきまして、分岐器あるいは線路の終端、それから、その他重大な事故を起こすおそれのある箇所につきましては速度制限のための装置を設置する、つまり、ATSをもう少し他の箇所にも設置するというようなことでございます。それからもう一つでございますが、運転士の異常時に列車を自動的に停車させる装置、これはデッドマンだとかエマージェンシーブレーキと言われるものでございますが、こういうものにつきましても設置をする。それから、事故時の速度あるいはブレーキの状況、こういう運転状況を記録する装置でございます、運行記録計みたいなものでございますけれども、こういう設置の義務づけなどを行っているところでございます。

 なお、この委員会につきましては中間取りまとめでございますので、今後、事故調等からの調査等の結果などを踏まえながら、必要な基準の改正等に取り組んでまいりたいと思っております。

糸川分科員 せっかくいい整備が行われそうでございますので、しっかりと指導監督をして整備に取り組んでいただければというふうに思います。

 続きまして、鉄道とあわせて、やはり一たび大きな事故が起きますと本当に一気に信頼を失墜してしまう航空について御質問させていただきたいんです。

 昨年三月に事業改善命令を受けた日本航空グループでは、その後も、航空機の主脚の検査の期限を超過した上、検査を適切に行わなかった、そういう事例など、トラブルが続いておるわけでございます。今現在、まだ事故の調査が行われていてわかりませんが、先日は神戸発那覇行きの飛行機もどうも片肺飛行で行ったというようなことで、実際、どういう整備状況だったのかというのはまだわかりません。

 また、スカイマークエアラインズにつきましても、本年の三月、修理期限を超過した航空機を運航する等の問題が明らかになっているわけでございますが、両社のその後の改善措置状況についてお聞かせをいただければというふうに思います。

岩崎政府参考人 まず、日本航空グループでございますけれども、先生御指摘のいろいろなトラブルがございましたので、ことしの四月に日本航空の方から、グループ全体として、改めて経営トップから現場に至るまで安全意識を徹底する、それから、役員と現業職場との直接対話の強化をする、組織長に対する定期安全教育の導入をするといった改善策をやっていきたいという報告がございました。その実施状況を我々は見守っているところでございます。

 また、スカイマークでございますけれども、これも先生御指摘のいろいろなトラブルがございまして、私ども、この三月十七日から特別監査というのをずっと実施しておるところでございます。四月十七日には業務改善勧告を発出し、それに対して四月二十四日にスカイマーク社から改善計画書が提出された、こういう状況でございます。

 特に、スカイマークにつきましては、整備、運航など、安全管理に従事する人員を今年度中に増員していく、それから、スカイマーク社の方でも安全推進委員会という組織がございますけれども、この組織、どうも本社の中だけでやっているところがございまして、パイロット等の現場の経験者が入っていないといったことがございましたので、そうした直接現場の意見を取り入れる、こうした改善策を実施するといった改善計画書が提出されているところでございます。

糸川分科員 乗客の安全を預かる立場にある航空会社というものを監督官庁がしっかり指導監督していくということが国土交通省の使命であるというふうに考えておりますので、しっかりとよろしくお願いします。

 最近におきましても、安全上のトラブルが引き続いて発生している状況にあるわけでございますが、航空会社に改善を求めるだけではなくて、監査体制を充実したり強化したり、それから機材トラブル等の安全情報というものを有効に活用するということで、これは国土交通省としても積極的に取り組むべきではないのかなというふうに考えます。

 今後、トラブルの低減というんでしょうか軽減のためにどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 今先生おっしゃいました、一つは監査体制をちゃんと強化していくというのが重要だろうと思っております。今年度から、十月からでございますけれども、定員がふえることになっておりまして、そのための監査定員をふやしまして、しっかりした監査をやっていきたい、これを一つ思っております。

 それから、先生二つ目に御指摘されました、いろいろなトラブルの情報などを共有して積極的な安全対策を打っていく、これも重要だろうと思っております。

 先般成立させていただきました運輸の安全に関する法律の中で航空法を一部改正いたしまして、報告の徴収の体制も強化しております。それに基づきまして、私ども、もらった報告を私どもの机で積み上げているだけではなくて、それをしっかり分析して必要な対策を打てるように、今後とも体制づくり、システムづくりを頑張っていきたい、このように思っているところでございます。

糸川分科員 先日、全日空の副社長さんが参考人としていらっしゃったときにも、同じ機材をJALもANAもスカイマークも使っている、そういうことからトラブルの情報を共有しようじゃないか、そういう提言がありました。

 私も先日JALに視察に行ってまいりまして、そのときにパイロットの方が、どんな軽微なことでも国土交通省に上げてその情報を共有したい、共有することによって自分たちも安全運航に努められるんだ、どんなことでも上げられる、だれでも見られるような状態にしてほしいということでございましたので、ぜひそれは取り組んでいただきたいというふうに思います。これは、大臣にもお願いをしたいと思います。

 そういうことを踏まえて、公共交通機関のトラブルが今現在頻発している中で、安全を確保して、航空ですとか鉄道ですとか、そういう乗り物に対しての国民の信頼を早急に回復する、こういうことが重要であるというふうに考えておりますが、大臣の御決意を最後にお伺いしたいというふうに思います。

北側国務大臣 公共交通にとりまして、安全確保というのが大前提、基本でございます。それなしに経営の安定もあり得ませんし、利便性の向上もありませんし、最も大事なことが安全に輸送するということだというふうに思っております。

 公共交通につきましては、昨年来、事故やトラブルが続いておりまして、この輸送の安全に対する信頼が損なわれていることは極めて遺憾なことだというふうに思っております。

 先ほど、トラブル情報の共有のお話がございましたが、私も非常にそれは大事なことだと思います。どの交通事業者であれ、自分のところで起こったそうしたトラブルについて、本当はそういうのを外に出すことを必ずしもいいと思っていなかったかもしれませんが、むしろ、そうじゃなくて、そうしたトラブルがあったことを、これはやはり可能性はあるわけでございますので、お互いがしっかりとそうした情報を共有し合ってリスク管理をしていくということは、私は、非常に大事なことだ、しっかり取り組みはさせていただきたいというふうに思っております。

 この国会で、委員も御承知のとおり、運輸安全法について通していただきました。既に公布もさせていただいているところでございますけれども、ここにおきましては、まず、公共交通の事業者におきまして、トップから現場まで安全管理のための体制を構築していただく、そこをしっかりと国が監視をする、安全マネジメント評価をしていく、こうした新しい監視の手法について提案をさせていただき、成立を見たわけでございます。

 この法律に従いまして、しっかりと会社、事業者が、経営者から現場の方々まで本当に一体となってそうした安全確保のための体制をとっているのかどうか、そういうことをしっかり監視をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 鉄道であれ、航空であれ、それぞれ今、昨年の福知山線の事故がありましたし、航空についてはこれまた昨年来トラブルが引き続いている中で、さまざま個別の取り組みをしているところでございますが、今回、この法律を通していただきましたので、国民の公共交通機関に対する信頼回復に向けまして、総合的な安全対策の推進に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

糸川分科員 ありがとうございました。

 大臣、やはりどんな軽微なものでも、例えばキャビンアテンダントの使用しているものでも、ギャレーの中で使用しているものでも、何かトラブルがあったら、そういうヒヤリ・ハットですとか、そういうものもすべて国土交通省で管理ができるようにして、情報の共有化というものをぜひ図っていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。終わります。

斉藤主査 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、柴山主査代理着席〕

柴山主査代理 次に、金子善次郎君。

金子(善)分科員 自由民主党の金子善次郎でございます。

 私は、選挙区が埼玉一区でございますが、さいたま市でございます。地元で非常に熱望している一つの大きなプロジェクトがございますが、それは、いわゆる地下鉄七号線の延伸問題でございます。きょうは、時間をいただきまして、これに関連いたしまして御質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この地下鉄七号線の問題でございますが、東京七号線とも申しますけれども、これは長年地元の期待が非常に大きい事業でございます。昭和四十四年から関係市町の建設誘致期成同盟会というものがどんどん増強されまして、そういう動きの会がございまして、御承知のとおり、現在は浦和美園まで完成をして、平成十三年の三月二十八日に開業いたしております。運営の財政面ではなかなか大変な状況もあるようでございますが、着実に乗客もふえるなどいたしておりまして、私が御質問申し上げることと連動していけば、この地域のいろいろな課題に対応できることになるのではないかというふうに思っている次第でございます。そうした観点から御質問申し上げたいと思います。

 今、ちょうど地下鉄七号線が想定される路線でございますが、東北線、高崎線あるいは埼京線といった、京浜東北線もございますが、これまでの大宮―浦和を通る路線、それから東武鉄道でございますが、伊勢崎線の中間に位置するところでございまして、比較的鉄道の未整備と申しますか不便な地域であるというようなことから、この運動のそもそも発端を見たわけでございます。私も、今、ほとんど毎日でございますが、基本的には浦和から通勤させていただいております。朝の混雑の状況というのは大変なものでございまして、何とかこの中間に鉄道が通れば、いろいろな意味で問題点も解消されるのではないか。

 私は、やはり一般庶民と申しますか、鉄道を利用されている方々、東京に通勤する人あるいは通学する人、いろいろ見ておりますと、若い方、小さな子供まで満員電車の中にぎゅうぎゅう詰めで走っている。また、これからのことを考えますと、高齢者の方々も働いてもらわなきゃならない時代が来る、あるいは女性の方々に働いてもらわなきゃならない時代であるということ、あるいは京都議定書に見られるようにCO2を削減していかなきゃならない、そういうことを考えますと、どうしても自動車というものの量と申しますか、そういうものを少なくしていくためには、鉄道は本当に役に立つものであるというふうに思います。また、地域の発展にとっても、それは当然大きな貢献がなされることは言うまでもございません。

 そこで、まず冒頭でございますが、御質問申し上げたいと思います。

 今、大宮駅それから春日部駅、このあたりのいわゆる混雑率というのは、実際上、数字的に見ましてどの程度になっているものなのか、その辺をまず冒頭お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

梅田政府参考人 先生御指摘の、大宮駅に関係する混雑率の数値でございます。十六年度のものでございますけれども、最混雑時間帯の一時間における混雑率でございますが、JR東日本東北線の土呂―大宮間で一六七%、同じく高崎線の宮原―大宮間で一八二%となっております。また、東武鉄道の野田線、北大宮と大宮の間でございますけれども、これは一三四%となっております。

 それから、春日部駅に関係する混雑率の数値でございますが、同じく十六年度でございますけれども、春日部駅を有する東武鉄道の東武伊勢崎線小菅―北千住間で最混雑時間帯一時間における混雑率が一四二%となっております。

 なお、一日の乗降客数でございますが、大宮駅はいわばターミナルになっておりますから、JR東日本、東武鉄道、それから埼玉新都市交通、三社で六十一万五千人、それから東武の伊勢崎線、野田線のターミナルになっています春日部駅では六万八千人ということでございます。

金子(善)分科員 そこで、次にお伺いしたいと思います。

 実は、この路線につきましては、私から今さら申し上げるまでもないことでございますが、平成十二年の当時の運輸政策審議会におきまして、少なくとも浦和美園から岩槻までの延伸につきましては、いわゆるA1のランク、扱いでございまして、これは整備主体の見通し、整備ルートの検討の鉄道整備に係る条件がおおむね整っており、現時点において目標年次である平成二十七年までに開業することが適当であるというような路線として位置づけをいただいているところでございます。

 そうした中で、県あるいは市を初めといたしまして、いろいろな取り組みがなされているところでございますが、埼玉県、それからさいたま市、これが主体となりまして、地下鉄七号線延伸検討委員会というものが設けられておりまして、鋭意、さまざまな地下鉄七号線の建設、開業に係る問題点、整備すべきこと等につきまして検討が行われるというふうに承知しているわけでございます。

 この延伸検討委員会と国との、国土交通省と申し上げてもよろしいかと思いますが、指導的な立場という点から申し上げまして、どのようなかかわりを持っておられるのかを御質問申し上げたいと思います。

梅田政府参考人 地下鉄七号線の延伸、これは先生御指摘の運政審の答申でございますと、浦和美園から岩槻を通りまして蓮田まで十三キロでございますけれども、この延伸につきましては、目標年次、これは平成二十七年度までに開業することが適当である路線として位置づけられております。

 この延伸につきましては、埼玉県が埼玉高速鉄道検討委員会というのを平成十五年の十一月に設置いたしまして、先行区間、これは浦和美園と岩槻の間、約七キロでございますけれども、これに関する提言を平成十七年の二月に取りまとめたというふうに聞いております。この提言によりますと、この区間は概算の建設費が七百八十億、一日当たりの輸送人員は二万三千人から三万三千人、これは平成二十七年度時点というふうにされているところでございます。この委員会につきましては、関東運輸局の担当課長が委員として参画したところでございます。

 また、これは、その次の埼玉高速鉄道延伸検討委員会というのが、この提言を踏まえまして、平成十七年の九月に埼玉県とさいたま市で設置されているところでございます。この委員会につきましては、先ほど言いました先行区間につきまして、平成十七年度から十九年度の三年間で、事業手法、あるいは事業主体、あるいはまちづくり、こういうようなさまざまなテーマについて検討していくものと承知しているところでございます。

金子(善)分科員 そうしますと、私は、国土交通省としてどういうようなかかわりを今の段階で持っておられるのかなという観点から御質問させていただいた次第でございますが、恐らく事実上、いろいろ情報交換をされながら、指導的な立場で助言等を行っているものというふうに理解しておきたいと思います。

 そこで、昨年でございますが、都市鉄道等利便増進法という法律が制定されました。これは、昨年の八月から施行になっているわけでございますが、私も内容を詳しく、詳しくと申しますとちょっとあれでございますが、勉強もさせていただいている次第でございます。この法律の趣旨、そして、地下鉄七号線とのかかわりで考えた場合にいろいろな法律上の要件があるわけでございますが、この辺につきまして御説明願えればありがたいというふうに思います。

梅田政府参考人 昨年の通常国会で、先生御指摘の都市鉄道等利便増進法が成立いたしました。

 この趣旨でございますけれども、私ども、この法律を提案させていただいた時点での考え方といたしまして、都市鉄道のネットワークといいますのは、これまで新線の建設あるいは複々線化などの輸送力増強を進めてまいりました。これは、大都市におきましては、ついこの間まででございますけれども、混雑率が二〇〇%、ほとんど身動きができないというような区間が非常に多うございました。しかし、いわば景気の問題もございますけれども、先ほど言いましたような、輸送力の増強をしっかりやってまいりました。

 そういうことで、地下鉄、あるいは空港のアクセス鉄道、あるいはニュータウン鉄道、こういうようなものにつきましても、諸施策によりまして、その混雑率の緩和に十分努めてきたところでございます。ほぼ、私どもといたしましては、この都市鉄道のネットワークにつきましては概成しつつあるというふうに認識しているところでございます。幸いにして、混雑率につきましても、大阪圏とかあるいは名古屋圏では目標としていました一五〇%を切っておりますし、東京はいまいちでございますけれども、徐々にそれに近づいてきているという状況でございます。

 その反面、他の鉄道事業者の路線との接続が非常によくない、悪い。それから、混雑時間帯におきましては列車がだんご運転になってしまいます。極端な線区でいいますと、一時間で三十本入るような線区もございまして、これは速度が非常に低下して、昼ダイヤと朝ダイヤでは全然時間が違うというようなところもございます。それから、駅とその周辺でございますけれども、こういうところについても、駅をどんどん建て増ししてきたというようなところもございまして、その一体的な整備というものが欠けているようなところがございました。そういういわば輸送の質の面における問題が課題であるというふうに私ども思っておりまして、バリアフリーに見られるように、円滑に、動線が滑らかにある、つまり、移動に上下あるいは段差がないというようなことも重要な課題でございました。

 しかし、反面、近年、輸送需要が非常に頭打ちになってきております。そういうことから、事業者においては、設備投資、とりわけ新線の投資等につきましては非常に抑制ぎみでございますし、また、だんだん市街地ができてきておりますので、関係者間で何か工事をするにしても非常に利害調整に時間がかかるというようなことでございます。こういうことから、都市鉄道等の整備が自発的に行われにくくなっているという状況でございました。

 そこで、昨年この法案を提出いたしまして、こういった課題に対処するために、連絡線等の整備による速達性の向上、あるいは駅内外の一体的整備による交通結節機能の高度化、こういう計画をつくって、こういう措置に対しましては、私どもといたしましても、予算上、税制上の支援措置を講じまして、現在都市鉄道が抱えている問題の解決を図ろうというのがこの法案の趣旨でございます。

金子(善)分科員 今、御説明を鉄道局長さんからいただいたわけでございますが、いわゆる地下鉄七号線延伸につきまして、そのかかわり合いにおいて、法律の定めている要件、それとの関係から見て、つまり、この法律の適用上格別の問題があるのか、私は、その法律をよく読む限りは、まさにこの地下鉄七号線に該当する、本当にいい法律だなというふうに思っている次第でございますが、その辺のところにつきまして簡潔にお願い申し上げたいと思います。

梅田政府参考人 御指摘の地下鉄七号線の延伸でございますが、東武野田線それからJR東北線のいわば連絡線を整備するということになります。東京都心部とさいたま市とを直結いたしまして、首都圏における鉄道ネットワークの高質化に資するというふうに理解しております。

 したがいまして、この延伸につきましては、連絡線の整備等による速達性の向上という都市鉄道利便増進法の趣旨にかなうものというふうに考えているところでございます。

金子(善)分科員 非常にありがとうございました。

 この法律がまさに適用される一つの好例だというようなお話を賜りまして、心から安心した次第でございます。

 そこで、お伺いしたいわけでございます。

 私は、この問題は、地元の熱意と申しますか、この運用主体、この法律は上下分離方式で行われるわけでございますが、特に地元の県、市、その決断と申しますか、熱意というものがこの法律の適用を認めていただく上で非常に大切なところであろうかというふうに思っている次第でございます。

 私もこの問題については長年かかわりを実は持ってきた者でございまして、ちょうど現在の埼玉高速鉄道が第三セクターとして動きを見ると申しますか、そもそものスタート時点で私は埼玉県庁におきまして企画財政部長として担当をさせていただいていたわけでございます。それが、徐々にこういう形で、少なくとも美園までは実現した。これから、審議会の言うところによりまして蓮田まで行くというのは私にとっても本当に一つの大きな夢でございます。

 先般も、埼玉知事の上田知事さん、それからさいたま市長の相川市長さんにもお会いいたしまして話を聞いてまいりました。お二方とも、何とかこれは実現したい、自分たちの公約でもあるというような力強いお話をいただいてきたわけでございます。ただ、もちろん、これは国のいろいろな形での整備路線そのものとまた周辺整備の問題、さまざまございますので、国の指導また助成もなければ本当に大変だというようなお話もございました。

 いずれにいたしましても、埼玉県の県議会の中には議連が昨年できました。また、さいたま市の中にも市会議員による議連ができたわけでございます。また、地元岩槻におきましては、これは平成九年からできているわけでございますが、市民推進協議会というようなものもできまして、地元ではいろいろな意味での盛り上がりを今見ているところでございます。

 そこで、私の仄聞すると言うと大変失礼でございますが、今、こういう既存の都市鉄道ネットワークの改良による速達性向上施策に関する調査が行われる、予算計上されているというようなことを聞いているわけでございますが、基本的にどのような内容なのか。また、この地下鉄七号線に何とかこの調査費をかけて、促進のための一つの一里塚としてやっていただければ大変ありがたい、このように思っている次第でございますが、御答弁をよろしくお願いいたします。

梅田政府参考人 先生御指摘の、既存の都市鉄道ネットワークの改良による速達性向上施策に関する調査でございます。

 これは、十八年度の鉄道局の予算として、この調査を行うことにしております。この調査におきましては、都市鉄道等利便増進法が制定されたことを踏まえまして、大都市圏において、速達性向上施策が効果的と考えられる箇所を抽出いたします。それで、その効果の定量的、定性的な分析を行います。その上で、施策実現に向けての課題等を整理、調査するというものでございます。

 具体的には、施策の類型化、あるいは施策の評価項目の抽出、あるいは施策の検討に当たっての留意事項等の調査を行う予定でございます。その際に、抽象的にはできませんので、ケーススタディーを行うということにしておりまして、数カ所挙げますケーススタディーの一カ所といたしまして地下鉄七号線の延伸も取り上げまして、将来の需要予測、あるいは収支採算性、あるいは整備効果などについても基礎的な調査検討を行いたいと思っておるところでございます。

金子(善)分科員 鉄道局長さんの力強いお話をいただきまして、本当に安心したと申しますか、力強いものを感じた次第でございます。

 と申しますのは、少なくとも国費を使って、この路線につきまして、国土交通省という、言ってみれば国の最高機関がいわゆる公費を使ってこの調査に乗り出していただけるということは、大変うれしく思う次第でございます。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、大臣にちょっとお伺いさせていただきたいと思いますが、この地下鉄七号線の問題というのは、お金も大変かかる、大変なビッグプロジェクトでございまして、右から左に進むというようには到底考えておりませんが、やはり、関係者、あるいは地域の方々、そして国のいろいろな御協力をいただいて初めていろいろな意味での力が結集して、これが実現に向かうものだと私は考えている次第でございます。何よりも国土交通大臣の力強い指導と申しますか御協力があれば、恐らく地元も、また動きも一段と違ったものになってくるというふうに私は信じて疑わない次第でございます。

 そこで、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

北側国務大臣 今鉄道局長から答弁しましたように、平成十八年度の予算で、ケーススタディーの一つとしてこの地下鉄七号線延伸についても調査をさせていただいておるところから見ても、この事業の重要性についてはよく理解をしておるということで、ぜひ御理解いただきたいと思っているところでございます。

 いずれにしましても、この問題につきましては、地元において合意形成を図っていただく必要があります。事業手法をどうするのか、事業主体はどうするのか、また、関連して、沿線のまちづくりを進めていただく必要もあります。また、前提として、改めて、輸送需要の見通し、収支採算性等についても議論を深めていただく必要があるわけでございまして、そうしたことを踏まえた上で、地元で合意形成をすることがまず第一に必要というふうに考えておるところでございます。

 国土交通省といたしましても、その状況を踏まえつつ、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

金子(善)分科員 本当にありがとうございます。

 私も、地元さいたま市の選出の衆議院議員といたしまして、一生懸命この問題には取り組ませていただきたいと思いますので、北側大臣の御指導をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 大臣の御決意をいただいた流れの中で御質問をさせていただきたいと思いますが、これは直接的には地下鉄問題だけではなくて、私の一つのアイデアと申しますか、考え方と申しますか、国土交通省としての感想を述べていただければよろしいわけでございます。

 これから、恐らく地方公共団体の財政状態というのは大変な状況になってくるであろう。一方、国民生活、あるいは住民生活というものを考えた場合に、ますます環境のいい場所を求めてくるという要請もあろうかと思います。これから、地震対策、いろいろな点から、いわゆる都市公園の整備その他のものもあるわけでございますが、ますます必要になってくることはまず間違いない、要請がそれだけ大きくなるということを申し上げている次第でございます。

 そこで、今まででございますと、土地開発公社が土地を買う、あるいは市が直接土地を買う、県が直接土地を買うというようなことをやってきた。それで、借金が雪だるま式になってきたという現実がございます。そこで、いわゆる借地方式、今でも都市公園では、先般資料をいただいたところでは、都市公園に占める借地の割合というものは、全国で四%、それから埼玉県では三%程度の借地が公園になっているということでございますが、この方式を今後も進めていく必要があるのではないか。先ほどの都市鉄道等利便増進法の、これはいわゆるリースで、上下の下の方をリースで借りるという方式でございますから、公園なんかもそういうような方式が考えられないものだろうか。

 私も地元でいろいろな方々とお話しする中で、特に埼玉県の場合は、地方と違いまして土地の価格も比較的高い地域だというふうに思いますが、相続税がかかるために、余り貸したりなんかしたくないというような声が非常に強いと感じております。要は、いわゆる経済的な問題だけではなくて、手続とかいろいろ面倒くさくなってくる、貸すのはいいけれども、いざとなって本当にそれを取り戻すことができるのかとか、そういうようなことが非常に心配なので、市に貸す、県に貸すというのをちゅうちょしてしまうというような声を聞いているわけでございます。

 そこで、私は、公共に半ば未来永劫土地を提供するというようなケースはいわゆる相続税の対象にはしない、ただ、それが契約が切れて土地を返すというようなことになった場合は、改めてその時点にさかのぼって相続税をかけるというようなことも必要なのかもしれませんけれども、基本的には、公共の用に供している限りは相続税は免除しますというようなところまでいかないと、なかなかこれが促進されないのではないかというふうに思っているわけでございます。

 その点、直ちに、こうあるべきだと国土交通省としてもお答えにくいかもしれませんが、一つの考え方として、私は政治家の一人として思っている次第でございますが、その辺につきましてのコメントをいただければありがたいと思います。

柴田(高)政府参考人 公園の借地公園の関係でございますけれども、相続税との関係の御質問でございます。

 公園、あるいは個人がお持ちになっております緑、こういうものを公共的な利用に供するといった場合に、例えば公園法の借地もございますし、都市緑地法によります特別緑地保全地区、あるいは市民緑地、こういうものに指定されたケース等いろいろあるわけでございまして、相続税につきましても、一定の評価減等の措置を設けておるところでございます。

 借地公園の場合には、貸付期間が二十年以上等一定の要件を満たしている場合には、完全に無税ということではございませんが、相続税の四割評価減、また固定資産税、都市計画税につきましても無償貸し付けの場合には非課税などの税制上の措置が設けられております。また、整備推進の観点から、借地契約期間が十年以上の永続性が担保されている場合につきましては、その整備費につきまして通常の都市公園と同様に国庫補助を行っているところでございます。

 都市におきます公園の重要性というのは委員の御指摘のとおりでございまして、今後ともますますその重要性、有用性というのは高まってくると考えておるわけでございまして、公園の整備や貴重な緑の保全を効率的に推進していくためには、借地公園を初めといたしましてさまざまな施策を総合的に展開していく必要があると認識しております。

 引き続き、都市の緑を保全するための方策等につきまして幅広く検討してまいりたいというぐあいに考えております。

金子(善)分科員 どうもありがとうございました。大臣、地下鉄七号線につきましてはよろしくお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。

柴山主査代理 これにて金子善次郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 民主党の北神圭朗でございます。

 本日、この分科会におきまして質問の機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。

 きょうは、分科会ということでございまして、北側国土交通大臣及び国土交通省の皆様方に、地元のことでちょっとお尋ねしたいということでございます。

 大きく二点ございまして、まず最初に、これは京都府とか、大阪府もたしか共同で要望していると思うんですが、関西副首都構想の推進というものがございます。

 これについてはもう重々御承知だと思いますが、我が国においては、皇居を中心に大体三キロメートル範囲内に政府とか政治機能、行政機能、経済、金融機能、こういったものが非常に狭い範囲の中に集中をしている。こういった現状の中で、最近、ニュースとかでも、大地震の話とか大変な自然災害の話もございますが、そういった大地震などの大規模な災害、あるいは今の時代におきましてはテロの問題というものもあります。

 こういった事態が発生したときに、余りにも狭い範囲の中で日本の中枢機能というものが集中していると、場合によっては首都機能みたいなものが麻痺する事態も考えられるというふうに思います。一瞬にして、東京都内はもちろん、全国津々浦々への重要な情報の流れとかお金の流れ、あるいは政府の行政機能、警察機能なんかは特に大事だと思いますが、そういったことも含めまして、こういった事態について我々も備えていかないといけないというふうに思っているわけでございます。

 そこで、危機管理的な観点から、こうした場合に、首都機能を代替する副首都というものも考えていく必要があるのではないかということでございます。

 ほかの先進国などを見れば、国家戦略的にやっているかどうかは別として、政治首都と商業首都というものが分かれているということもよく見受けられるところでございます。国土狭き日本においてはなおさら副首都というものを、そういう国家危機管理的な観点から明確に位置づけて、準備していくことが必要ではないかというふうに私も思っているところでございます。

 そこで、では、どこがその地域にふさわしいのかという話でございます。

 これは、私も京都出身でありますし、大臣も大阪選出だということでございますが、余り利害関係者ばかりで議論していても偏った議論になるとは思いますが、そういったことだけではなくて、客観的に見ても、関西においては、国の出先機関、地方機関とか総領事館というものも集積している。そして交通基盤というものもある程度は整っている。私の地元、京都はとりわけ、迎賓館というものもついこの間できましたし、国会図書館の関西館などの施設も充実している。

 そういったことを考え合わせると、手前みそかもしれませんが、客観的に見て、私は、関西においてこそ低コストで副首都機能というものを整備することができるのではないかということでございます。そして、そういったことで、京都府も大阪府も、たしか兵庫県も参加していると思いますが、関西を副首都として位置づけること、さらには、既存施設や交通基盤等の必要最小限の整備というものも同時に推進することを訴えているところでございます。

 この質問については、この前、予算委員会の分科会で谷垣財務大臣にもお尋ねしたところで、谷垣さんも京都出身ということで割と前向きな答弁をいただいたんですが、そのときに、実際、内閣府の方にお尋ねしたら、中央防災会議というところで大体マグニチュード七・三の大地震というものを想定しなければならない、そういったことが起きると、壊滅状態になるわけではないけれども、やはり政府の重要な施設が被災に遭ったり、あるいは企業の事業の推進がままならないといった事態が容易に想定できるという答弁もございました。

 ですから、これは決してSF、ファンタジーの世界ではなくて、国のまじめな危機管理的な発想から大事だというふうに思うんです。これは国土交通大臣というよりは一政治家ということなのかもしれませんが、この点についてどのようにお考えかということをお聞きしたいというふうに思います。

北側国務大臣 私は首都機能移転も担当しておりまして、まさしくこの問題は、各省庁の中で国土交通省が一番深くかかわらないといけない問題であるというふうに認識をしております。

 実を言いますと、私、きのうも大阪であるシンポジウムがありまして、そのシンポジウムの中で、大阪の太田知事とも御一緒だったんですが、これは前々から聞いておりますけれども、昨日も大阪府の知事から同じく、このバックアップ機能について、やはり大阪が担うことがふさわしいのではないか、こういう御意見の開陳がシンポジウムでもあったところでございます。

 安全、安心な国土をつくっていくという観点からは、やはり首都圏に政治、行政、金融等々、国家の中枢機能が集中しております。ここが万一、例えば首都圏の直下型地震等でその機能が麻痺をしてしまうことになった場合に、これは日本の政治経済に大変な打撃を与えるだけではなくて、世界の経済にも大きな影響を与えてしまうと私は思います。

 そういう意味で、私は、この首都の中枢機能についてのバックアップ機能をきちんと確保しておくということは、これは国として当然やっておかなきゃいけない危機管理だというふうに思っているところでございまして、どこがふさわしいかというのはまさしくこれからの議論だと思うんですけれども、そうしたことをきちんと検討しておくことが大事だと思う。ちなみに、日本銀行はやはり大阪にバックアップ機能を持っております。

 委員のおっしゃったように、大阪には、関西にはと言った方がいいかもしれません、各省庁の出先機関がすべて集中をしておりますし、総領事館もございます。そういう意味では、非常に少ないコストでそうしたバックアップ機能について果たせるような地域ではないかという御指摘は十分傾聴に値するものだというふうに思っているところでございますが、まさしくこれはこれからの議論として進めていきたい。

 今、国土交通省では、昨年通していただいた法律、国土形成計画法に基づきまして、国土形成計画を策定する作業をやっております。全国計画につきましては、ことしじゅうには中間的な取りまとめもさせていただきますし、来年には閣議決定もしたい。そして、その上で広域の地方計画についても策定をしていく、こういう流れになるわけで、これからの我が国の国土形成のビジョンについて取りまとめ作業を今まさしくしているところでございます。

 きょう委員のおっしゃったこうしたバックアップ機能を、首都機能の一部を万が一のときにしっかり担っていくというふうな問題についても、これは非常に重要な課題として論議をさせていただきたいと思っているところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。大変力強い答弁をいただきました。

 お立場上なかなか難しいところもあると思いますが、まずは副首都機能というものが大事だという大方針の上で、どこの地域がふさわしいという中で大臣みずから主張することはなかなか難しいかもしれませんが、客観的にどこが一番ふさわしいかというのはおのずと議論の中で明確になっていくというふうに私は思いますので、本日は北側大臣からも積極的なお話もいただきましたし、この前、谷垣財務大臣にも非常に前向きの言葉もいただきました。私はそれほどの力がなくて微力でございますが、ぜひその議論にも参加していきたいというふうに思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それで、またこの副首都機能というのは、既存の施設とか交通基盤についても必要最小限と、この財政が厳しい状況の中で非常に控えめな文言となっておるわけでございます。私もそういう姿勢が非常にいいというふうに思うんですが、もう一つの次のテーマは、まさに私の地元の道路の話でございまして、これは京都中部阪神連絡道路というものでございます。

 これについてはもともと、亀岡市というのが私の選挙区にございまして、十万弱の地方都市でございますが、ここと北大阪が隣接をしている。今国道四百二十三号線というのがありますが、これが非常な山道でございまして、曲がりくねったりして、非常に狭い道であるということでございます。

 そして一方で、御存じのように、全国的な高速道路網の整備計画の中で京都縦貫自動車道の整備というものも今進められているわけでございますが、亀岡の市民あるいは口丹波地域、その北側の、綾部までは行かないんですが、園部町とか八木町とか丹波町とかそういった地域でございますが、そこから阪神地域の高速道路につながるためには二つしかルートがなくて、一つは綾部市までずっと北の方に上がっていって近畿自動車道というものを利用する、あるいはずっと南の方に行って、京都府の乙訓郡というところまで行って高速道路につながる、この二つのルートしかないという中で、もともと熱い要望が亀岡を中心に上がってきているわけでございます。

 これにつきましては、国土交通省さんの方から平成十年六月に、当時の建設省でございますが、いわゆる地域高規格道路の候補道路の指定を受けているところでございます。

 そういった中で、もともとの経緯はそういったことであるわけでございますが、本日は、私も冒頭申し上げた関西副首都構想の中で、この亀岡というのはまた京都市内の、これも私の選挙区なんですが、西の方の洛西地域の西京区、右京区、嵐山とか桂離宮とかそういったところがある地域なんですが、そこと隣接していまして、縦貫道というのも亀岡を抜けて西京区に入って、そこで今のところ終わっている。したがって、北大阪の方から、伊丹空港とかもあると思いますが、そこから亀岡、そして縦貫道で行けばもう物の十分ぐらいで京都の西の方に入れる。そういった状況の中で、亀岡の活性化だけではなくて、関西全体を副首都構想と考える中で、より緊密な連携というものが図れるのではないか、そういった観点でお話をできればというふうに思います。

 まず、先ほど申し上げたように、京都中部阪神連絡道路の候補路線というものの指定を受けまして、ちょうどことし、今六月ですから、八年の歳月が流れようとしているわけでございますが、調査等を初めとした本件の進捗状況についてお伺いしたいというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただきました京都中部阪神連絡道路は、第二名神自動車道と高規格幹線道路でございます京都縦貫自動車道を連絡する延長約三十キロメートルの道路の構想でございまして、委員も御指摘いただきましたが、平成十年六月に地域高規格道路の候補路線に指定をさせていただいております。現在、京都府と協力をさせていただきまして、基礎的な調査を実施させていただいているところでございます。

 具体的には、並行している国道四百二十三号ともう一つ四百七十七号があるということでございますが、それぞれ九千台、日交通量でございますが、一万台近い交通量があるということでございます。また、峠越えというようなことで、隘路になっている箇所等につきましての調査を進めさせていただいております。

 いずれにしましても、京阪神地域全体の道路ネットワークの観点から見た本路線の必要性等を検討させていただいているというところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。

 その基礎調査の中に、ルートの決定とか事業計画とか、そういった話というのはまだ当分出てこないような状況でしょうか。まだ基礎的なデータの収集とかそういった状況なのか。済みません、通告にはなかったんですが、そのことも答えられればお願いできればと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 地域高規格道路につきましては、候補路線といいますのは、先ほど必要性と申し上げましたが、整備を進めることの妥当性、緊急性等についての検討を進めさせていただいているということでございます。それから、整備の妥当性、緊急性が高いと認められたものを計画路線として指定をさせていただいているということでございまして、今現在まだ、計画路線にいつというようなところまでは至っておらないという状況でございます。

北神分科員 理解できました。

 そして、その中でまさに候補路線、計画路線に引き上げていただきたいというのが地元のまずの手順としての要望なんですが、先ほど必要性、緊急性という話があって、これはなかなか抽象的な言葉なので、そこを満たすのにはどうしたらいいのかという声もございまして、これもその具体的な基準というものを明確に答えるのはなかなか難しいかもしれませんが、ちょっとその辺、できる限りの範囲で結構なので、教えていただければというふうに思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 地域高規格道路というのは、高規格幹線道路網を補完するというような役割がございます。

 これまで、規格の高いというようなことで、自動車専用道路的なところをイメージしてきておりますが、この地域の周辺ネットワークといいますと、先ほど、亀岡から京都に抜けるというお話をいただきましたが、京都の南側、西側も含めて、京都第二外環状道路といったようなもの、京都縦貫自動車道とリンケージするわけでございますが、そうした道路も計画されているということでございますので、この地域にどうした規格の道路がいいというようなことを、原点に返って、京都府また大阪とも協力しながら詰めさせていただいているというところでございます。

 明確な基準とかいうような前提となって、その道路の性格等を今詰めさせていただいているということでございますので、その上で、熟度が高まってきた場合には、費用対効果とかそういったものをはじきながら、どう事業化していくかというようなことについて判断をさせていただければと思っておるところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。

 地元としては、亀岡の市民としては、ぜひとも、第二名神の計画もあると思いますが、そこを起点として、そして亀岡の中心を走っていく京都縦貫道、これを終点としてつなげてそういったルートをお願いしているところなんですが、なかなか財政の厳しい中、非常に難しい話かもしれません。

 先ほど申し上げたように、関西副首都構想の中で、阪神と京都のつながりとか、あるいは地元の、これは十万都市の亀岡なんですが、一方で田園地帯というか農村地帯というものもたくさんありまして、そもそもこの地域高規格道路の三つの求められている機能の中で、交流とか連携とか連結とかあると思うんですが、恐らく、中核都市と大都市をつなぐ連携の部分が非常に強いのではないか、そういった意義も私はあるというふうに思うんです。

 大臣にぜひお伺いしたいのは、今一連のお話を伺って、この京都中部阪神連絡道路についてどう見ているのか、どのような意義を感じられているのか、そこをお尋ねしたいというふうに思います。

北側国務大臣 先ほど道路局長から答弁しましたように、京都縦貫道と第二名神を連絡する道路、ですから、道路というのはネットワークでございますので、道路ネットワークの効率を高める効果だとか、また、事故や災害があった場合の代替路として意義があるというふうに私も思います。

 ただ、御承知のとおり、第二名神そのものも、今、当面着工しないという区間もあるぐらいでございまして、そういう意味では、ある意味ではこの第二名神をどうするんだということについて早く結論づけていかないといけないなとも思っているところでございます。

 いずれにしましても、京都縦貫道それから第二名神等の関連する道路の整備状況、交通状況等も踏まえつつ、京都、大阪の両府と国とが協力をして、この道路の必要性についてしっかりと検討を進めさせていただきたいと思います。

北神分科員 ありがとうございます。

 私もこの話をいろいろ勉強していて、やはり第二名神の話が一つの前提になるのではないか、同時進行的にやりたいというのは我々の要望なんですが、そういったところもなかなか難しいかというふうに思います。

 今大臣から、第二名神について結論を早く得られなければならないなという御感想がございましたが、まさに第二名神の、今計画中、進行中だと思うんですが、進捗状況というのはどうなっているのかというのを、事務局で結構ですが、お尋ねしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 今大臣の方から御答弁ございましたが、高槻から八幡ジャンクションにつきましては抜本見直しというようなことになっておりますが、高槻から西の方、神戸間につきましての整備状況をお話しさせていただきたいと思います。

 そもそも第二名神高速道路は、名古屋市と神戸市を起終点とする全体百七十四キロメートルの高速自動車国道であるということでございますので、第二東名高速道路と一体となって、三大都市圏を相互に結び、人の交流と物流を支える大動脈ということでございますので、新しい世紀の国土の軸となる重要な路線ということでございますし、また、今お話ございましたが、災害時などを含めても、代替路線として不可欠な路線であると考えておる次第でございます。

 高槻から神戸間、約四十キロメートルございますが、ことし二月に開催されました第二回国幹会議の議を経て、西日本高速道路株式会社が整備する区間として決定されております。現在、会社におきまして、用地買収に向けた測量、土質調査及び地元設計協議を行っているということでございます。

 当該区間につきましては、宝塚トンネルというようなところも大きな渋滞を起こす頻度が高いということでございますので、地元の御理解と御協力を得ながら西日本会社において事業が促進され、一日も早い供用を目指して私どもも全力を挙げて取り組ませていただきたいと考えておるところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。

 なかなかこの話も、道路整備全体が我が党を含めて大変厳しい目が向けられている中で、非常に決定が困難な部分もあるというふうに思うんですが、この話についてレクをしているときも、役所の方でも認識が余りなされていないなというふうにも見受けられましたし、ぜひ、亀岡市、京都府でこういった要望があるということを御認識いただきまして、厳しい状況の中でその実現に御努力いただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 最後に、こうした道路整備のお願いとか私もさせていただいているわけでございますが、一般論として、現実に、私は何度も申し上げたように、今財政状況が非常に厳しい。その中でもとりわけ公共事業、その中でも道路整備というものに対して非常に厳しい声がある中で、私は、もちろんいわゆる無駄なものというものは、これは当たり前の話で、減らさないといけないし、そういったものをつくってはいけないということだというふうに思います。

 しかし一方で、何が何でも一律に支出をカットして、公共事業はすべて悪いという話も全く、これはどこの国を見てもおかしな話であるというふうに思って、賛同しがたいものがあるというふうに思っております。さらに言えば、財政の引き締めだけで本当に国というものが発展するのか、栄えるのか、そういったことも私は極めて疑問に思っているわけでございます。

 もともと私も大蔵省の方で十年ぐらい勤めていましたが、やはり大蔵省のそういった視点だけで国を動かされると非常に縮小均衡の事態になってしまうなというのが私の率直な考えでございまして、活力のない経済社会の中で税収の自然増収とか考えると、財政再建でさえ本当に可能なのか。単に歳出をカットして歳入を引き上げるだけで財政再建ができるというのは、私が勉強したところでは、古今東西そんな例はない。やはり経済の活力というのは大事だし、その下支えになる公共事業、道路も含めて、そういったものも大変大事だというふうに思っております。

 そういった非常に難しい状況の中で私も本日こういった質問をさせていただいたわけでございますが、大臣におかれましては、無駄でない道路、そして無駄な道路、私は、この基準というものがはっきりできれば一番いいのではないか。そうしていかないと、一律全部だめだという話になってしまう。しかし、これはなかなか難しい質問だと思いますが、大臣の経験とかを踏まえまして、どのようにその基準というものをお考えになっているのかというのをお聞かせいただきたいというふうに思います。

北側国務大臣 与党の中でもいろいろな意見がありますけれども、民主党の中もいろいろな意見があるんだなということがきょうよくわかりました。

 私は、まず、無駄な道路という表現が実を言うと余り好きじゃないんですね。私も一昨年九月から国土交通大臣に就任してから、国土交通省というのは本当に幅の広い役所でございますが、私のところにあるさまざまな御要望、やはり圧倒的に道路が多いんですね。圧倒的です。それも、北海道から九州、沖縄まで、どの地域、私がいろいろな地域へ行っても、地元の知事さん、首長さん、経済界の方々、どこに行っても、この道路がというお話を必ずと言っていいほどお聞きするわけですね。そういう意味で、道路整備というのは、我が国においてはまだまだやらなきゃいけないところが多いと私は認識をしております。

 とともに、一方で財政の問題がございます。財政も危機的な状況の中で、やはりこれから、これは道路だけではなくて公共事業すべてそうだと思うんですが、優先順位というものを明確にしていく。必要性の程度、緊急性の程度等々、これは総合的に勘案をして、そこはきちんと数値で出していかないといけないと私は思いますが、総合的に勘案して、やはり優先順位、プライオリティーというものをつけていくことだというふうに思っているところでございます。

 御承知のとおり、今、道路特定財源の見直しの論議がこれから本格的に始まってまいります。もう一つは、この道路特定財源の問題と同じく、公共事業をこれからどうするのという議論もあるんですね。幾ら道路特定財源について確保しても、シーリング、委員は専門ですから、シーリングの方で毎年何%制約だというふうにキャップをかぶせられてしまいますと、幾ら道路特定財源があっても道路に使えないわけでございまして、この道路特定財源をどうしていくかという問題と、今後公共事業、道路投資をどうしていくんだという話と、二つはもちろん関連しておりますが、一応別の問題として議論がこれから進んでいくところだというふうに考えております。

 そういう中にあって、ぜひ、この道路特定財源の見直しの問題であれ、公共事業、特に道路投資の今後のあり方にせよ、やはり足が地についた議論をしていただく必要があると思っておりまして、そういう意味では、余り観念論、抽象論で議論するだけではなくて、例えば、これは私、去年お願いしたんですけれども、各整備局単位ぐらいで、関西なら関西で、整備目標についても具体的なイメージを出してもらいたい、そうした方が議論がしっかりできると。

 例えば、これから十年間で、仮に今までの予算というものをそのまま、同じような予算でどの程度の事業が、コスト縮減も加味してどの程度進んでいくのか、そういう絵をきちんとやはり示した方がいいですね、そうしないとなかなか地についた議論にならないので、それをぜひやりましょうと。

 それと、これからは、これも社会資本全体に言えることなんですが、維持管理コストがすごくかかってくるんですね。やはり、従来整備されてきた道路等につきまして維持管理を適切にやっていかないと、結果としてライフサイクルが短くなってしまって国民負担が大きくなってしまうという問題もありますし、あと、橋の問題なんかでいいますと、例えば昭和三十年代、四十年代につくった橋が、今やもう四十年以上たつのも出てきているわけですね。そうすると、いずれ近い将来更新をしなきゃいけません。その更新コストについてもきちんとこれからは念頭に置いていく必要がある。だから、新規の事業だけではなくて、維持管理コストが必要です、これからどんどんふえてきますよ、いずれ更新コストがふえてきますね、そういうこともある程度試算を出していただきたいなと。

 それとあと、優先順位の問題としていいますと、例えば、これは首都圏でも関西でもそうだと思いますが、日本の道路というのは環状が十分できていないんですね、環状道路が。都心に行く道路は割と比較的できているんですが、環状道路ができていない。これが非常に道路渋滞だとか環境の悪化につながっている。こういうのはやはり優先順位が高いねだとか、それから空港とか港湾とか、こういうところのアクセスになる道路というのも、これまた、これからの国際競争を維持向上させていくという観点からも非常に優先度が高いねというふうに、それぞれ、これから優先順位が高くなる考え方、手法としてどんなものがあるかということもぜひ議論をお願いしたいと。

 そういうことを、実を言うと、先般、国土交通省で、道路局を中心に取りまとめを案として、あくまでたたき台です、これは何か決めたということではありません、今後の議論の参考にぜひしていただきたいということで、道路整備の中期ビジョン案というのをつくらせていただいたところでございまして、こうしたものを参考にしていただいて今後の御議論を、政府・与党内でもしっかりやりたいですし、国会内でもぜひお願いをしたいというふうに思っているところでございますので、議員におかれましても、一度ぜひ話をお聞きいただければありがたいと思っているところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。

 もう時間が過ぎましたので終わりたいと思いますが、私も去年初当選をして初めてこういう道路の話とか多少勉強させてもらったんですが、最後の大臣の答弁、非常に勉強になりました。ぜひ、そういった方向で我々も議論に参加していって、ちゃんとした道路整備というものを戦略的に、そしてコストをできるだけ安くして進めていければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

柴山主査代理 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

斉藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管、住宅金融公庫について質疑を続行いたします。上野賢一郎君。

上野分科員 滋賀一区選出、新人の上野賢一郎でございます。

 きょう、初めて国土交通関係で質問をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速でございますが、限られておりますので質問に入らせていただきたいと考えております。

 最初は、水質の問題でございます。

 今、我が国で年間に使用されます水の量、これが約八百五十億立米と言われておりますけれども、このうちの約八八%、これは湖沼あるいは河川から取水されるものでございます。

 これまで国土交通省におかれましては、水質保全の先頭に立っていただきまして、生活排水対策等に一生懸命頑張っていただいておりますけれども、私の地元の琵琶湖、これは近畿一千四百万人の水がめでございまして、大勢の人の暮らしあるいは産業にかかわる大変重要な位置づけにあるものだろうと思っております。

 この琵琶湖を初めとする我が国の主要な河川につきましては、今、下水道の整備等の生活排水対策が進展をいたしまして、かつて問題になりました富栄養化の問題、こうした問題は現在では余り起こっておりませんけれども、今度、有機汚濁系を中心にして水質面での改善が進んでいないというような状況に差しかかっております。生態系も劣化をしているというようなこともございます。

 琵琶湖を例にとりますと、滋賀県では、マザーレイク21という計画をもとにしまして、農業集落排水対策、下水道整備あるいは事業場の排水規制、こうしたものを徹底して行っているわけでございますが、水質改善については顕著な効果は見られていないというようなことが実情として挙げられます。

 例えば、琵琶湖の南東部に赤野井湾という湾がございます。ここでは、国土交通省さんのいろいろな事業、下水道整備等を着実に進展していただいてその流入負荷量というのは毎年着実に減ってきているんですけれども、COD濃度に代表されるような環境指標については、改善が見られない、横ばいあるいは若干悪くなるというようなことが数値として挙がっております。

 こういった状況がどうして起こっているのか。これは、最近よく言われますが、面源負荷によるものなのか、あるいは、琵琶湖内のいろいろな蓄積、堆積あるいは生化学反応等によりましてこうした汚濁負荷が起こっているのか。こうしたことについて、その汚濁負荷のメカニズムをしっかりと明らかにしていくことがこれからの重要な課題だと考えています。

 そこで、お伺いをいたしますが、琵琶湖を初めとする湖沼の汚濁負荷のメカニズムの解明、これにつきましては今後どういった方針で取り組んでいかれるつもりなのか。さらにあわせて、水質浄化のためには、干潟ですとか内湖ですとか、そうした湿地の機能というものが大変大切になってくると思いますけれども、この湿地保全という観点からもどういう対策を講じていかれるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 私も、淀川の水を飲んでいる一人でございまして、琵琶湖の恩恵をこうむっておる人間でございます。

 今も委員の方からおっしゃいましたが、近畿圏の一千七百万人の水道水源であるのはもちろんのこと、この琵琶湖というのは、四百万年の歴史と五十種以上の固有種を有する貴重な国民共有の財産だというふうに考えているところでございます。

 生活排水の流入や流域の都市化等によりまして、湖の水質が悪化し、昭和五十年代から赤潮とかアオコの発生などの問題が顕著となったため、湖内や流入河川における水質調査や水質のモデル解析などを実施して、汚濁負荷メカニズムの解明に今取り組んでいるところでございます。

 あわせて、下水道の高度処理や湖底に堆積した汚泥の除去、さらには流入河川における水質浄化など、国と滋賀県が連携をとりまして、面源からの負荷対策を含む水質保全対策にも取り組んでいるところでございます。

 昨年六月の湖沼水質保全特別措置法の改正によりまして、面源負荷対策の強化等が盛り込まれたことを受けまして、関係省庁とも連携をとりまして、湖沼水質のさらなる改善のための検討を進めているところでございます。

 また、湖における湿地等は、魚や鳥類の生息また生育の空間であるとともに、汚濁物質の堆積や植物作用による水質浄化機能など多面的な機能を有していることから、これらの保全、再生は重要なものと認識をしているところでございます。

 滋賀県ともよく連携をとりまして、ヨシ原の再生、ビオトープの整備等々、積極的に取り組んでいるところでございまして、生態系や水質の状況についてもモニタリングをするなど、その効果の検証も進めているところでございます。

 琵琶湖は、冒頭申し上げましたように、単に近畿だけではなくて、日本の国土の非常に貴重な財産だという認識をしておりまして、その自然の保全に国土交通省もしっかり取り組みをさせていただきたいと考えているところでございます。

上野分科員 大変ありがとうございます。

 特に、先ほど申し上げましたメカニズム、これは滋賀県も、琵琶湖研究所というのがございまして、そこを中心にしてしっかりと解明をしていきたいと考えているわけですが、何分県だけの知見ではどうしようもないということがあります。これは琵琶湖のためだけではなくて、琵琶湖をフィールドワークとして使っていただいて、この結果を全国に使っていただけるわけですから、その点、国からの強力な支援をぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、治水ということに関連してお話をお伺いしたいと思いますが、この琵琶湖の治水、特に今、ダムの整備がいろいろな形で問題になっています。

 一つ例を挙げて質問をさせていただきたいと思いますが、琵琶湖南部、大津ですが、大戸川ダムというダムがございます。これは、凍結するあるいは見直し、いろいろなことが議論をされているわけでございまして、長い歴史の中で、地域住民が集団移転をされたり、そうした歴史もございます。そうしたことも踏まえながら、どういう対応をしていくかということが今後の課題になると思うんですが、どういう方針でこの大戸川ダムの整備についてお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 大戸川ダムの今後の進め方についてお尋ねがございました。

 昨年の七月に、淀川水系の五ダムにつきまして、近畿地方整備局が淀川水系五ダムについての方針ということで発表して、その中に大戸川ダムも含まれている、こういうことでございます。

 現在、淀川水系の河川整備基本方針につきまして、国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会で御審議をいただいているところでございますけれども、大戸川ダムにつきましては、この審議会で基本方針を策定後、淀川水系の河川整備計画というのをこれからつくっていくということになります。その過程におきまして、住民の方々または学識経験者の方々そして関係自治体の御意見をよく伺った上で、その進め方、対応方針というのを整備計画の中で決めていきたい、こう思っております。

上野分科員 ありがとうございます。

 その河川整備計画ですが、これはいつごろをめどに策定される予定でしょうか。

渡辺政府参考人 現在まだ整備基本方針を審議会で議論している最中でございますので、その整備基本方針が終わった後、地元で整備計画の議論を進める、こういうことでございます。今、いついつという格好で具体的には申し上げられませんけれども、できるだけ早くつくっていきたい、こう思っております。

上野分科員 徐々に検討を進められているということだと思いますけれども、できれば期限を明確にしていただいて議論をしていただければと思います。

 それでは次に、道路整備の関係につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、いわゆる第二名神でございますけれども、これも物流を支える大動脈として、全国的な見地からもその整備が非常に期待されているところでございます。その整備は着実に進められているわけですが、一方で、大津―城陽間につきましては、御案内のとおりでございますが、抜本的見直し区間というふうな位置づけをされております。これは昨年の国幹審等での議論を踏まえた形になっておりますけれども、今後どういう形でこの議論が進んでいくのか、整備の方針も含めてお示しをいただけるとありがたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 第二名神高速道路、正式名称は近畿自動車道名古屋神戸線というわけでございますが、名古屋市と神戸市を起終点とする、全体延長約百七十四キロございます。委員御指摘のとおり、第二東名高速道路と一体となって、三大都市圏を相互に結び、広域的な交流、連携を支える、文字どおり新しい世紀、新しい時代の国土の軸となる重要な路線と認識をしておるところでございます。また、災害時などの代替路線としても不可欠な路線ということであろうかと思います。

 第二名神の滋賀県内の整備の進捗状況につきましては、三重県の亀山ジャンクションから大津ジャンクションの間、四十一キロメートルございますが、この区間につきましては、用地買収がおおむね完了し、平成二十年度の供用に向けて工事を全面展開させていただいておるところでございます。

 大津ジャンクションから、京都府に入りますが城陽ジャンクション間二十五キロメートルにつきましては、八幡ジャンクションから高槻ジャンクションとともに抜本的見直し区間となっておりまして、ことしの二月七日の国幹会議にもお諮りさせていただいたところでございますが、主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況等を見て改めて事業の着工について判断することとなっているところでございますので、よろしくお願いします。

上野分科員 現状どうだと言うことはなかなか難しいと思いますけれども、引き続き、地域の声も十分反映していただく形で議論を進めていただければというふうに考えています。

 それでは、道路整備の関係ですが、私の地元、滋賀県大津市それから高島市でございますけれども、高島市内、国道三百六十七号線という国道がございます。これは古くから京都と若狭を結ぶ街道でございまして、昔、サバ街道というような形で呼ばれておりまして、物資を若狭から京都へ運ぶ道だったわけでございます。今でもこの地域の主要なというか唯一の幹線道路となっておりますけれども、これが、去る三月に土砂崩壊が起こりまして、道路が完全に寸断されてしまうという状況が発生をいたしました。

 私も早速現地を見させていただきましたけれども、地域住民の方、迂回するとすると、約六十キロぐらい迂回をして町の中心に行かなければいけないという状況だったんですが、近畿整備局の方で大変熱心に御尽力をいただきまして、バイパスの整備が完成をいたしました。本当にありがとうございました。おかげで、生活の便あるいは交通の便が非常によくなったわけでございます。

 問題は、今、土砂災害、まだ危険な状態が続いております。崩壊の可能性が非常に高いわけでございますが、これからこの抜本的な回復をしなければいけないだろう。そして、もとの形に道路をきちんと復旧していただくというようなことがこれから必要かなと思っております。もちろん、これは県事業が中心になりますので、県の方でもそうした方針で整備を進めていただくというふうに聞いておりますが、これから災害査定等が始まると思います。災害支援、あるいはその他の支援でも結構です。一定の支援措置をぜひ国として御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 内容は道路の御質問ですけれども、災害ということで、河川局長からお答えさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘にありましたように、国道三百六十七号の高島市の朽木村井という場所でございますけれども、三月八日に最初に土砂の崩壊が起きまして、その後三回にわたりまして、計四回土砂崩壊が起きました。その結果として、約二千立方メーターの土砂が落ちたという状況にあるかと思います。

 このため、滋賀県では、三月八日から三百六十七号の全面通行どめということで、安曇川がそこに流れておりますので、安曇川の対岸に渡りまして、堤防を使って迂回路の整備を進めてまいりました。四月二十四日に普通車を通行させた、次に大型車を通行させないかぬということで、近畿地方整備局の方から応急の組み立て橋を貸与いたしまして、六月二日に十七トンまでの大型車の通行が可能になった、こういう状況にございます。

 現在、滋賀県におきまして崩壊箇所のボーリング調査を実施しておりまして、今後、被災の原因それから影響範囲の特定、また復旧工法の選定ということが滋賀県で行われていきますので、私ども国土交通省といたしましても、できるだけ早期に本格復旧が図れるように、災害復旧も含めまして積極的に支援していきたい、こう思っております。

上野分科員 どうもありがとうございます。ぜひ支援の方をお願いしたいと思います。

 それから、同じく湖西地域、湖西地方の道路整備の状況でございますが、二つお伺いをしたいと思います。

 一つは、いわゆる湖西バイパス、湖西道路と言われているものでございまして、これは幾つか工区が分かれています。志賀工区、高島工区など幾つかの工区に分かれておりまして、それぞれの工区ごとにいろいろな事業が進捗をしているという状況だと思います。この進捗状況につきまして御説明をお願いしたいのが一つでございます。

 もう一つは、国道三百三号線というのがございまして、これは滋賀県北部と小浜、若狭湾の方を結ぶ道路でございまして、これも地域のいわゆる幹線道路となっているんですが、これがなかなか急峻な道路でございまして、事故が多発するというようなことも聞いております。そうした急峻な道で、しかもカーブが連続するというような非常に危ない状況、しかも大変積雪の多い場所でございまして、そういった面からも道路の使用の安全面での心配というのがあるわけでございますが、この三百三号線の整備につきまして、どのような整備状況なのか、あるいは今後どういう方針なのかにつきまして御説明をお願いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 まず、国道百六十一号につきましてでございますが、滋賀県内の百六十一号におきましては、高島市から大津市に至る約七十キロメートルにつきましては、大津市と湖西地域の各市町村との連携強化を図るための地域高規格道路、琵琶湖西縦貫道路として指定をさせていただいておるところでございます。

 委員御指摘いただきましたが、七つの事業区間で事業を実施させてきていただいておりまして、これまでに、大津市内の延長約三十一キロメートル、高島市内の約二十八キロメートルにつきましては、暫定二車線も含めてでございますが、供用を図らせていただいておるところでございます。現在、西大津バイパス、志賀バイパス、小松拡幅、湖北バイパスにおいて事業を展開させていただいているところでございます。

 このうち、志賀バイパスにつきましては、大津市内の交通渋滞の緩和、交通安全の確保を目的に進めております延長六・四キロメートルの道路でございますが、平成元年度に事業化させていただきまして、これまで、大津市の荒川から北比良までの約三キロメートルにつきましては暫定二車線で供用をさせていただいておるところでございます。

 残り三・四キロメートルあるわけでございますが、志賀バイパスに接続する有料道路の湖西道路が昨年の八月に無料化したということで交通量が非常にふえてきているということで、無料化前の約三倍というようなことになっておりますので、この残る三・四キロメートルの早期全線供用に向けて用地買収、工事等を推進させていただいておるところでございます。

 次に、国道三百三号線でございますが、滋賀県の管理する国道ということでございます。安全、安心が基本ということでございます。また、先ほどの三百六十七号のようにもろい国土、脆弱な国土ということでございますので、現在、斜面の落石対策や凍結防止施設の整備を行っていただいているところでございます。今後とも、滋賀県から要望がございましたら、必要な支援を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 今の湖西バイパスの関係でございますけれども、特に志賀工区というか志賀バイパスのところが今非常にネックになっていると思うんです。旧道と結ぶ道でありますけれども、交通量は三倍になっているんですね。それだけ、特に大型車の通行が大変ふえているというような状況でして、そこから旧道に入ってくると急に狭くなって非常に危ないというようなことが考えられます。

 今、三・四キロ、これから整備というお話でございましたが、これは時期的にはどんな感じで進められるんでしょうか。もしわかれば、ぜひお願いをしたいと思います。

谷口政府参考人 まだ用地買収が完全ということではございませんので、今この時点で何年というところまではございませんが、委員も御指摘いただきましたが、大型車が現道に戻るということでは、これまで供用しております湖西道路、またそれに接続する西大津バイパス等のバイパスの効果が半減するということかと思いますので、できるだけ早期供用に、地元の用地買収の協力を得ながら進めさせていただければと考えておるところでございます。

上野分科員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、今度は鉄道のバリアフリー化の関係について質問をさせていただきたいと思います。

 これもまた地元の話でございますけれども、JR湖西線というのがございまして、これは京都の山科から琵琶湖の西側を走っているJRでございますけれども、ここのバリアフリー化というのがまだ十分進んでいないという状況がございます。

 そうした中で、今度、快速の本数がふえたり、あるいは琵琶湖環状線として一周できたり、そういうふうに交通網のダイヤの整備というのは今着実に進めていただいているわけでございますけれども、それを利用される方の便利さというのがなかなか向上しないというのが実態としてございます。この湖西線を利用される方というのは、学生も多いんですけれども、高齢者の方、特に、この沿線上に中核病院がございまして、その病院に行かれる方の足としてこの路線が非常に利用されるというのが実態でございます。

 という観点から、JR湖西線のバリアフリー化、特に中心となる安曇川駅などのバリアフリー化につきましては今どういう形で進めていらっしゃるのか。これはJRとの兼ね合いもございますけれども、どういう形なのかということにつきまして御説明をお願いいたします。

梅田政府参考人 JR西日本の湖西線の安曇川駅のバリアフリー化につきましては、現在、地元の高島市が、交通バリアフリー法に基づく基本構想を策定中であります。本年二月以降、基本構想を策定するための協議会を開いておりまして、鉄道事業者でございますJR西日本も協議会の委員として参画していると聞いております。

 駅のバリアフリー化を進めるに当たりましては、まず、このように、地元の自治体と鉄道事業者等の関係者間で、どのような形でバリアフリー化を進めていくかにつきまして十分に協議していただくことが重要であるというふうに考えております。御指摘のこの安曇川駅につきましても、基本構想の策定等につきまして、まずJR西日本と地元自治体の間でよく協議していただきたいというふうに思っているところでございます。

 私どもといたしましては、地元の協議が調いまして、バリアフリー化についての御支援の要望がございましたら、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

上野分科員 地元の協議が大切というのはまさにそのとおりでございまして、今、地元の高島市も熱心にJRとの協議を進めている状況でございます。そうした過程の中で、もしいろいろな助言、アドバイスなどをいただければぜひいただいて、それを着実に協議の中に反映させていくということも考えられると思いますので、そうした面での御支援についても、ぜひ鉄道局の御支援の方をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは次に、少し話は変わりますけれども、今、ビジット・ジャパンということで、観光立国ということで、国を挙げてこれから観光産業の振興を図っていこうというような状況でございます。大勢の海外からの外国客受け入れ、そうしたものをこれからどんどん進めていくということでございますけれども、肝心の観光産業あるいは宿泊産業、これが今非常に厳しい状況にあるというふうに思います。なかなか入り込み数も伸びないという状況の中で、地域の観光産業がどうやって生き残っていくのかということも大変重要な課題だと思います。特に、いろいろな施設の不備ですとか、外国人を受け入れるに当たってのいろいろな施設整備がこれから必要になるなど、観光産業にとっての負担というものも一定程度発生するのかなという感じを持っています。

 そこで、ぜひお伺いをしたいのですが、今般、観光の基本法案につきましても国会に上程されているということもございまして、この中で、観光産業を後押ししていくような税制というものについてぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 今まで、どちらかといえば産業支援の税制というのは経済産業省が中心になってやっているという面があったわけですけれども、その役所の縦割りの中で、ひょっとすると観光産業の後押しというのがややはざまに陥っていたのかなという感じを持っています。

 そういう面からいいますと、支援をする税制ですとか、あるいは中小企業庁の方でいろいろな中小企業支援のメニューがございます。そのための特別の立法もございます。そうしたものをぜひ活用していただくように経済産業省に働きかけをしていただいて、こうした観光産業のしっかりとした地盤づくりに御尽力をお願いできればと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。

柴田(耕)政府参考人 先生御指摘のように、観光立国の推進のためには、その基盤となります宿泊産業でございますとかいわゆる観光産業に対する支援を強化して、適切な受け入れ環境の整備が整うということも極めて重要な課題というふうに考えてございます。

 現状におきましては、宿泊産業につきましては、国際観光ホテル整備法に基づきまして、この登録を受けたホテル、旅館につきまして、その建物に係る地方税の不均一課税だとか、それから一定の設備を取得した場合の特別償却といった制度もございますが、やはり宿泊産業とか観光産業、こういうものに対するものを進めていくことは、観光立国の実現を図る上で、受け入れ環境の整備という観点からも極めて重要な課題であるというふうに考えております。

 先生御指摘のような中小企業税制、こういったものを含めながら、今後の支援のための税制についてもしっかりと勉強していきたいというふうに考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 ぜひその結果というのを平成十九年の税制改正、あるいは中小企業立法の中でいろいろな業種指定があります。例えばメッキ産業とか、だんだんと落ちていると言ったらあれですけれども、力がなくなっているような産業について、特に中小企業を支援するようないろいろなメニューを中小企業庁の方で持っておりますので、そうしたところに対する国土交通省からの働きかけというのもぜひお願いをしたい、そのためにぜひ御尽力をお願いしたいと思っております。

 ということで、質問が全部出そろってしまいまして、やや時間が余ってしまったんですが、最後に、もう一度だけ水質保全の関係で、今、自民党の近畿圏整備関係の議員の勉強会なんかで、水質保全のための総合的な枠組み支援ができないかというような議論があります。今まで、国のいろいろな法律あるいは国の特別な制度で琵琶湖についての整備というのを進めていただいていたわけでございますが、もう一回、水質保全という観点から、あるいは総合的な観点から支援するための法制度というのができないかというような議論がございまして、これからそうした議論、私もまた勉強して進めていきたいと思っております。

 こうした観点も含めて、最後に一つだけ、水質保全に関して、国の方からの支援措置、汚濁メカニズムの話は先ほどお話しをいただきましたが、総合的な対策を講じるに当たっての基本的な考え方につきまして少しお話をというか御意見をいただければ幸いだと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 琵琶湖の水質問題は、先ほど大臣の方からもお話しいただきましたように、地域からの流出、いわゆる面源といって、ノンポイントソースですね、それから点源含めまして、流域からの流出の問題が非常に大きいということでございますので、そういう流出が琵琶湖にどういう影響を与えるのか、また、その流出を抑えるためにどうしたらいいのかということが非常に大きな観点かというふうに思っております。

 今委員の御指摘のように、これをしっかりやるということは大変大事な観点かと思っておりますので、先生方の方もお勉強いただいているようでございますけれども、私どもも積極的に勉強していきたいと思いますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

上野分科員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

斉藤主査 これにて上野賢一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口壯君。

山口(壯)分科員 民主党の山口壯です。

 きょうは地元のことを中心にお聞きしますけれども、やはり、いろいろ個別のことを知っていただいた上で大きな国の方針をさらにこれから決めていただくということも大事だと思いますし、そういう意味では、よろしくお願いします。

 最初に、通告させていただいている順番で、私のところの地元に家島という地域があるんですね。お配りさせていただいているこの家島の周りですけれども、家島の産業の一つが漁業なものですから、漁業の関係者が底びき網を引いていたところ、建設廃材をどうも不法に投棄した人がいるようだ、網が引っかかってしまってどうにもならない、これは一体どうにかしてくれないのかということで、非常に困っているわけなんです。

 そういう意味で、こういう事件というのは、この島の周りの斜線部分、四カ所にわたってどうも不法投棄されたようですけれども、こんなことが果たして日本のほかのところでもあるのかどうか、ちょっとそこからまずお聞かせいただけますでしょうか。

石川政府参考人 今御指摘のように、家島諸島の南方海域を中心とする不法投棄事案が本年四月に発生したわけでございますが、過去の類似の例といたしましては、平成三年の十一月に、同じく家島諸島と淡路島周辺の海域において建設廃材が不法に投棄された事案がございます。さらに、平成十六年一月には、福山港沖で建設廃材約千二百三十トンが不法に投棄された事案がございます。さらに、瀬戸内海ということで申し上げますと、昭和五十五年ごろに、広島湾において建設廃材等四件の事案で合計約一万トンが不法に投棄された事案が発生してございます。

山口(壯)分科員 今、石川長官から一部分紹介いただいたと思うんですが、長官、こういうことについて、それぞれだれがやったかとかいうのはある程度把握できたんでしょうか。

石川政府参考人 これにつきましては、平成三年の事案につきましては残念ながら特定できておりません。平成十六年の福山港沖につきましては、これは被疑者一法人、三名を逮捕、送致してございます。

山口(壯)分科員 長官、その広島湾の四件、昭和五十五年ごろですか、こういう事案についてはいかがでしょうか。

石川政府参考人 昭和五十五年の広島湾につきましては、これについては被疑者六法人、十一名を送致してございます。

山口(壯)分科員 そうしたら、海保の方でも大分頑張ってやっていただいているわけですね。

 この平成三年の分、それから今回の分、どちらも家島の近辺なんですけれども、平成三年のものもちょっと見つからなかった、今回もまだもちろん見つかっていないわけですけれども、長官、これは防止という意味も含めて、特定の可能性というのはどういうふうに見ておられますか。

石川政府参考人 海に建設廃材を投棄するということにつきましては、海上なものですから、事実関係をなかなかはっきりと確認することが難しい点がございます。

 したがいまして、そういう中で、関係の漁連、漁組、それから地方自治体あるいは地域住民、こういう方々とよく連携をとりながら、まず情報収集に当たるということが第一だと思っております。

 それから、あとは、私ども、やはり通常の監視、取り締まり、あるいはこういう事案があったときにしっかりと捜査をして被疑者を検挙するということが、再発防止のために重要だと思っております。

山口(壯)分科員 長官、この平成三年の事案について、そのときにはある程度やっていただいたと思うんです。あれから十数年、どんな対策をその後にとっていただいていたんでしょうか。

石川政府参考人 こういうような事案が発生した後、今申し上げましたように、地元の漁協組合などと連携をとりまして情報収集に努めるということをやってまいりました。

 さらには、巡視船あるいは航空機、こういうものによって付近海域のいわば監視の強化ということをやってきているわけでございますが、何分海はかなり広うございまして、なおかつ夜間等になりますとなかなか現認するのが難しいということは事実だろうと思っております。

山口(壯)分科員 考えてみたら、これは本当にとんでもない話なんですね。網を引こうと思っても、確かに建設廃材があれば網もぐちゃぐちゃになるし、そもそも漁もできない。

 そんな中で、よくこんなものを捨てるやつがいるなという気がしますけれども、平成三年の分についていろいろ情報収集もお努めになられた。何らかの情報というのは蓄積されましたか。多分同じ人がやっているという可能性も強いですね。

石川政府参考人 ことし発生した事案について、まさに付近を航行する船舶であるとかさまざまな情報を含めて現在捜査中でございまして、今お話しのように、平成三年のときと今回のものが同一かどうかということについては、まだ捜査中でございます。確認はとれておりません。

山口(壯)分科員 今回のものについても、五月二十三日ですか、投棄された廃材や残土の引き揚げ作業をした。それを分析するんでしょうね、何か手がかりになるものがあるのかどうか。そういう意味で、今のところ、長官、何か手がかり的なものは見つかりましたでしょうか。

石川政府参考人 現在のところ、投棄海域付近の海底地形調査を実施いたしまして、どこに廃棄物があるかどうかということの確認、それから当該海域付近を航行した船舶、どういう船舶があるかどうかという確認、それから、今お話がありましたように、漁船が引き揚げた残土、粘土でございますが、これについて、どういう地質のものであるかなどなどについて現在調査をしておりますが、なおまだ被疑者の特定に至ったわけではございません。前回、福山沖につきましても、捜査に一年半以上かかりました。相当な緻密な準備が必要だろうと思っております。

山口(壯)分科員 一人でやっているわけじゃないかもしれないけれども、この海域を一定の間隔なりで海保の船が回っているぞと、ある意味で予防するために、そういうことはお考えになっておられますでしょうか。

石川政府参考人 御指摘のとおり、海上保安庁は、限られた船艇でございますけれども、このような事案が発生する地域につきましては、先ほど申し上げましたように、巡視船艇あるいは航空機というふうなものの監視あるいは査察ということについて、強化をしてまいりたいと思っております。

山口(壯)分科員 長官、前向きに答弁いただいていることを私は非常に感謝します。

 大臣、今この件について、海保の方で今までも大分頑張っていただいている、そしてまたこれからもきちっと対応していこうということを言っていただきました。大臣としても、その答弁を受けて一言お願いできますか。

北側国務大臣 とんでもないやつがいるなと、私もお話を聞きながら感じました。

 漁業者の方々に大変な御迷惑をかけているだけではなくて、海そのものを汚しているわけでございまして、私は、こうしたことについてはこれから、今海保が懸命に調査、捜査をしておりますけれども、やはり厳しく処置をしていかないといけない、一罰百戒じゃありませんが、やはり厳しく措置をしていく必要があるなということを、お話を聞きながら感じた次第でございます。

山口(壯)分科員 北側大臣、本当に心強いです。こういう我々海に囲まれた国で、海というのは宝の宝庫ですから、それをぜひとも守っていこう、こういう人がいたら我々は強い立場で対応しなきゃいかぬな、このメッセージが届けばと思います。

 順番は違いますけれども、今度は環境優良事業所表彰という件についてお聞かせください。

 この件は、実は、私の地元に佐用町というのがあるんですけれども、そこの佐用日産の小林さんというのが非常に頑張ってやっていまして、それで何回も表彰もいただいたわけなんです。自動車検査法人が主管されていて、二〇〇三年から環境に優しい事業所表彰、正式名称では国土交通省環境優良事業所表彰というのを始められたわけですね。毎年表彰があるそうなんですけれども、一年、二年というのが県レベルの表彰で、三年連続表彰になると近畿陸運局の表彰になるそうです。非常に励みに思っておられる、こういうことなんですけれども、どうも四年連続になるとまた県の表彰に戻るというようなことを思っておられるらしくて、どうせだったら、近畿まできたら国のレベルで表彰してあげると非常に励みにもなるんじゃないのかなというふうに感じます。

 そういう意味で、この件について、国土交通省、せっかくこういういいインセンティブでもってやっておられることですから、県、近畿ときたら今度は国のレベルで表彰いただくというのもぜひ考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 今おっしゃっているのは、環境に優しい自動車整備工場を表彰し公表する制度でございます。これは、平成十二年からやっているわけでございます。今の委員の御提言は、運輸支局長、さらに運輸局長、そして長年頑張っておるところについては大臣表彰も検討したらどうなんだということでございます。ぜひ一度検討させていただきたいと思います。

山口(壯)分科員 北側大臣、本当にぜひよろしくお願いします。こういうことを進めることによって、日本の自動車から出る排ガスも含めて、環境が非常によくなるということですし、それを励みに思っている人が現実にいるわけなので、ぜひよろしくお願いします。

 次に、例の道路特定財源の話についてちょっとお聞かせください。

 私のところはどちらかというと都会の方じゃないものですから、まだまだ道路の整備が望まれるという状況です。その中で、この件についてはいろいろ議論もありました。大臣は特に地方の声というものを既によく御承知の上でいろいろ対応してきていただいているわけなんですけれども、地方の道路整備がおくれている中で、これから、さらにどういうふうにこれに対応しようとしているのか。

 私が思うに、何かいろいろな極端な議論がありましたよね、タヌキしか通らない道路とか極端な議論があった。でも、現実に我々は、あって困る道路というものはほとんど私には思い当たらないわけなんです。今例えば交通量の少ないと言われている道路も、十年あるいは二十年のスパンで考えると、やはり大事だったんだなということはあろうかと思います。

 現実には、私のところにテクノという科学技術の関係の施設があるんですけれども、山陽バイパスというのがある中で、最近、テクノにすっと道を結んでもらったんですね。そこは交通量が少ないというわけなんですけれども、しかし、現実には非常に大事な意味を持っていて、今現実に交通量が少なくても、このテクノからくるいわゆるスピンオフの効果というものが地域に行き渡るためには、この道路というのは非常に大事な、長期的な意味を持っていると思うので、私は、無用な道路というのは正直ないとすら思っている次第です。

 そんな中で、郡部の中で道路整備というものができると、前だったら近くに役所があったのに、今度合併したから一時間かかるところまで行かないと役所がないという事態も出てきているわけです。雪が降ったら道が閉ざされるというところもいっぱいあります。それを考えると、どうしても地方の道路整備というものは従前にも増して本当はやっていかなきゃいかぬ部分があると思うんですけれども、北側大臣、この件に関してはいかがでしょうか。

北側国務大臣 地方に行けば行くほど車の必要性というのは高まるんですよね。都市部においては公共交通が発達をしておりますので、特に東京なんかは本当にそうですけれども、自動車に乗らなくても、鉄道がありバスがありということで移動が円滑にできるわけですが、地方に行くと、公共交通が余りない中で、やはり自動車に日常の生活が依存しているというのが実態であると思っております。

 調査によりましても、地方部においては人の移動の九割以上が自動車に依存している。そして、その道路というのはまさしく生活道路なわけでございますが、この整備水準というのは非常に低い水準にとどまっております。整備水準を示す一つの指標でございます改良率も、ほかの国道等に比べますと非常に低い五五%という状況でございます。

 この地方の道路整備につきましては、地方のニーズも踏まえまして、補助制度などを地方にとってより使いやすいものにさらに充実をしてまいりたい、そして必要な道路は着実に整備できるように努めてまいりたいと考えております。

山口(壯)分科員 私は、大臣から前向きな答弁をいただいていることを非常にありがたいと思っています。他方、全体の今の流れからいくと、どうも大臣のお考えというものが素直に全体の考えとして共有されるのかどうか、私も若干心配になるわけですね。確かに大臣は本当によく承知していただいています。電車とかが地方ではなかなかないし、そういう意味では、農家の方たちは二台、三台の車を持ってみんな移動しているという点では、道路が不可欠の状態です。

 そんな中で、道路特定財源の配分の割合みたいなものを、ある程度地域あるいは地方に重点を置いたような配分というものを考えていただくのが非常に大事なことかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

北側国務大臣 道路特定財源の見直しにつきましては、今まさしく論議をしている最中でございます。その中で、今委員のおっしゃった、地方道の整備がおくれているね、この道路の財源を地方道の方により使いやすいようにシフトすることも検討すべきではないかという御意見については、これは数多くちょうだいしているところでございます。まだ具体的にどうするかというのはお話しできる段階ではございませんけれども、地方の道路の整備をしっかり進めていくという観点から何ができるのか、よく検討させてもらいたいと思っています。

山口(壯)分科員 ぜひお願いします。特に、道路公団の民営化のときにも議論になりましたけれども、もうかる道路しかつくらないということになると、田舎に道路をつくってももうからないわけですから、どうしても都会へ都会へと流れる傾向が否めない。そういう意味で、これは長期的な、もうかるかどうかということも少し度外視しながら、ぜひ今大臣がおっしゃっていただいたことも踏まえて検討していただければと思います。

 そんな中で、特にちょっと状況は特殊なんですけれども、先ほど私が言及させていただいた家島ですね。

 家島に行ったら、大体オートバイというかバイクがびゅんびゅん通る、自動車も軽自動車しかほとんど通れないんですね。そんな中で、家島について、道路整備というものが私にとってはとても大事だなという感覚が強いものですから、こういう離島という特殊のケースについてはまた特殊の配慮があるかもしれない。

 そういう意味で、この家島の道路整備を何とかできないかなという観点から、大臣、こういう家島のような離島について何か前向きの考え方をいただけるかどうか、お願いできますか。

北側国務大臣 お聞きしているところによりますと、この家島内の道路というのは、幅員も狭くて線形も悪い、島内の安全で円滑な通行の支障となっているというふうに聞いているところでございます。

 これにつきましては、家島港と網手港とを結ぶ、島の幹線道路でございます県道の網手の浜加野線というのがございまして、こちらの早急な整備が望まれているところでございまして、県の方では、平成十八年度から地方道補助事業にてバイパス整備に着手したということでございます。

 国といたしましても、兵庫県等地元とよく連携をとらせていただいて、またその要望をよく聞かせていただいて、この家島の道路の整備もしっかりと支援をさせていただきたいと思います。

山口(壯)分科員 ぜひよろしくお願いをします。

 この家島については、さらに、いわゆる航路の話があるんです。今、汽船の会社が五つほどあります。家島にはどうしても船を使ってしか行けないわけですね。私もよく自転車で選挙区内を走り回っているんですけれども、家島に行くときはどうしても自転車では行けないものですから、船を使わなきゃ行けない。そういう意味で、家島の人にとっては、航路の整備状況あるいは航路を何とかして維持するということが生活の中では死活問題です。

 この家島の航路、決してどの会社もプラスではないわけなんですけれども、この航路の維持のためにぜひ支援の措置というものも充実していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 これは家島だけではなくて、日本列島は島の数がたしか約六千でしたか、あるんですね。本当に離島がたくさんあるわけでございまして、こうした離島においては、まさしく足となるのは、もちろん飛行場があるようなところもあれば、そういうのはごく少数でございまして、専ら船による航路がそこの島民の方々の生活の足、また、生活物資が運ばれてくるのもそれしかないわけでございまして、極めて重要な役割を果たしているというふうに考えております。

 この家島群島には、今委員のおっしゃったように、五つの事業者があるわけでございますけれども、経営環境が厳しい中、住民の利便性を図るために、充実した便数を確保し、高速船を導入するなど、高いサービスを維持するため、非常に努力をしていただいているというふうに承知をしているところでございます。

 国といたしましても、こうした航路の重要性にかんがみまして、例えば、離島航路事業の用に供する新造の船舶に対する固定資産税の軽減などの支援措置を講じているところでございます。

 今後とも、この離島航路の果たす役割にかんがみまして、航路の維持をしていくことが大事ですから、その支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

山口(壯)分科員 ぜひその点もよろしくお願いします。

 きょうは大臣にはいろいろ前向きな答弁をいっぱいいただいて、私はとても気を心強くしている次第です。

 これは、大臣、事前通告していないものですから、局長の方にでもお答えいただければと思いますけれども、内航二法、いわゆる船腹調整事業というものがあるわけですね。ややこしいシステムですね。これが、家島の方にとっては船の話というのが言ってみれば死活問題なわけですから、新しい船をつくるときに何か権利みたいなものとしてあったようですね。それを新しいシステムにさらに直そうというので、ちょっとみんな混乱しているようなんですけれども、その辺について、船腹調整事業が平成十年に廃止されたわけですね、そして今、暫定措置事業というのが行われているようですけれども、どうしてこういうのはずっと続けずにやめてしまったのか、その辺はいかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がございました船腹調整事業でございますが、これは、内航の世界は恒常的に船腹過剰状態がずっと続いておったものですから、新しく船をつくるのであれば古い船を一定量スクラップしてくださいということで、いわゆる内航海運組合総連合会という内航事業者の団体がございますけれども、ここの共同行為、独占禁止法上適用を一応外していただいている、主務官庁の承認のもとで実施している共同行為として船腹事業を実施してまいった経緯がございます。これは、たしか昭和四十一年からこの業界の事業として実施をいたしてまいったものでございます。

 この制度のもとでやっていきますと、御承知のとおり、新しい新規参入があるのであれば一定のスクラップが出てくるということで、全体の船腹需給について一定の調整機能は持つわけなんですけれども、ただ、船を新しくしたいという話になりますと一定のスクラップを確保しなければいけない。結局、その中で、新規の参入事業者とそれから既に船を持ってスクラップ財源を持っておられる方との間で一定の合意がないと、なかなかこの業界の中に入ってこれないという部分がございまして、基本的に船腹の自由な建造が阻害されているという指摘をいただきました。

 この阻害要因を一定の整理をするということで、一つの規制緩和の一環でございますけれども、平成十年五月にこの調整事業を廃止するという決定がなされたところでございます。

 ただ、先生お話しのように、かつての船腹調整事業の段階では、船をスクラップするに当たって、それがある意味で新しい船をつくる権利になっていた部分がございます。したがって、そのスクラップ部分が一定の相場で売買をされていた、一種の経済的価値を持っているというような事実関係が確立されておりましたので、この船腹調整事業自体を単に廃止するだけでは、やはり既存の船主さんにとって自分の持っている船の経済価値が一気になくなる、これはやはり経営上大問題だということで、一定のソフトランディング、経過期間を設けまして、その期間内にスクラップされる方については改めて一定の額の交付金をお支払いする、その交付金のお金については、新しく船をつくる方々から一定の納付金をいただいて、それを要するに回収していくというような仕組み、これが、今先生からお話がございました内航海運暫定措置事業というものでございまして、平成十年から同じく内航海運組合総連合会の共同事業としてスタートをいたしておるという状況でございます。

 これまで多くの方々にこの交付金のお支払いをさせていただきまして、納付金については随時新造船の方々からいただいていくということでありますけれども、当初の資金調達で銀行からお金を借り入れてお支払いしている部分がございますので、少し納付金のお支払いいただく期間が延びておるわけでございますが、一定の支払いが完了すればこの制度自体は廃止になるというものでございます。

山口(壯)分科員 局長から本当に親切に答えていただいているんですけれども、この件に関しては、例えば前、総連がやっていたときには、いわゆる権利金みたいなものですね、相当高いお金、億の単位なのか、その船のケースによるんでしょうけれども、今回は、例えば船を解体するといって入るお金、交付金、相当の開きがあるみたいですね。言ってみれば、それは当事者にしてみれば二束三文というような表現も出てくるような差があるようなんですけれども、さらにそれが、これは平成十五年でしょうかを目途に終了する、その制度ももうすべて終了するということを聞くわけですけれども、その後、今でも相当、二束三文みたいな話があるわけだけれども、さらに終了してしまったその後、これはどういう状況になるんでしょうか。

星野政府参考人 実際問題として、スクラップの価格が幾らになるのかというのは、実はその時々の船腹の需給状況に応じて、高い時期もあれば安い時期もあるというような状況であったと承知をいたしております。

 今回、暫定措置事業でいただく交付金の金額がそのスクラップ価格について高いか安いかという部分については、いろいろな御議論はあろうかと思いますが、いずれにせよ、内航海運組合の中で、共同行為として一定のスキームで設定をするということの中で決まった金額でございますので、私どもとして、やはりこの制度の中で何とか円滑に交付金の支払いがなされることが大事だというふうに考えておるところでございまして、そのため、必要な資金手当て等について、国からも一応対応はさせていただいたということでございます。

 そして、もう一つ、先ほど平成十五年とございましたけれども、実は平成十年に制度が廃止になりました。

 それから、交付金をいただく権利のある船というのがあるわけなんですけれども、これはやはり船齢十五年というのが一定の、言ってみれば船の資産の回収期間ですから、この船齢十五年を超えますと、資金調達上の手当てがある意味では解決している、いわゆる残存期間ですから、償却期間ですから。したがって、船齢十五年を超えた船については、実は交付金をもらう資格がなくなるという意味で、交付金の支払いについては一定の限度がある。それによって、支払いが終われば、後はその支払いに要した費用を回収していくという意味で納付金制度が少し続くということになりますけれども、これも返済が完了すれば制度自体としてはもうなくなる、自由に負担なく新しい船ができる世の中になる、こういうことでございます。

山口(壯)分科員 きょう、非常によくわかるように説明していただきました。大臣にも、建設廃材の不法投棄から始まって道路特定財源の話、あるいは航路の継続の話、また環境優良事業所の表彰についても、本当に前向きの答弁をいただいて非常に感謝します。また、海保の石川長官、あるいは星野局長からも本当に前向きの答弁をいただきました。重ねて感謝します。これからもよろしくお願いします。

 終わります。

斉藤主査 これにて山口壯君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久でございます。

 今伺っておりまして、非常に大臣、ポジティブな答弁をしていただいたようなので、ぜひ私の質問にも引き続き前向きな御答弁をいただければと思います。

 きょう、私どもの地元で大変深刻な問題になっている公団住宅の家賃問題が一つと、それから駅を中心としたまちづくりの問題、この二点について伺いたいというふうに思います。

 きょうは多摩地域の公団住宅にお住まいの自治協の皆さんも傍聴に多数駆けつけていただいておりまして、ぜひ政府の方から、また機構の皆さんからも、家賃問題について前向きの御答弁をいただきたいというふうに思っております。

 私が生まれた当時、昭和三十年代ごろからたくさんの公団ができまして、それが今かなり深刻な現状、問題を抱えていることは、もう既に大臣も御案内のとおりだというふうに思っております。長年住みなれた住居であり、御近所との関係も極めて良好で、しかも、安心、安全のそういう住環境。しかし、ある日突然、家賃の標準が原価家賃主義から市場家賃化という形で変えられてしまうということで値上げされる。これが今、住民の皆さんの家計を大変圧迫している。かといって、高齢になりますと、高齢の皆さんは引っ越すこともできない。そういう状況の中で、家賃がじりじり上がっていくのを今甘受されている、こんな状況があるわけです。

 私の地元の立川市に若葉町団地というのがあるんですが、そこで団地の暮らしアンケートというのをとりましたところ、世帯主の年齢が、六十歳以上の方々が五八・二%、六割にならんとしているんですね。しかも、世帯の収入はというと、年間の所得二百六十万未満の方が四〇・二%ということでありまして、居住者の皆さん方には、建物が古くなっているのに何で家賃をこんなに上げるんだ、納得できない、定年になってから今の家賃が払っていけるのか非常に不安だというような、切実な声が寄せられているんですね。

 東京多摩の公団住宅自治協の皆さんが三多摩全体の三十五団地でアンケートをとりまして、今の家賃負担が重いと思われますかという設問をしたところ、大変重いとやや重いを合わせて、実に七四%に達しているんですね。実際、私の手元にもたらされましたこの資料で見ると、同じ地域、例えば武蔵野市緑町二丁目の公営住宅に比べても、公団住宅の家賃が二、三万円程度高く設定をされているんですね。

 公団住宅の家賃改定については、御案内のとおり、平成十一年から近傍同種の住宅の家賃の額などを勘案して定められることになりました。しかし、まさしく近傍同種、同じような公営住宅が近くにあるわけですけれども、それよりも家賃が二、三万円高いというのは一体どういうことなんだろうか、こういう皆さんの不満の声が上がっているということは、もう既に機構の皆さんの耳にも届いているんだろうと思うんです。

 しかも、この今申し上げた物件は、旧武蔵野緑町団地の建てかえによって同じ敷地内に建設されているんです、公営住宅と公団が。そして、都営住宅の方が新しく、設備水準はほぼ同等、まさに近傍同種の最たるものなんですね。にもかかわらず、家賃が違う、家賃格差が生じている。このことについてどのように御説明なされるのか、お考えなのか、機構の理事に御説明いただきたいと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 私どもの家賃制度の根幹でございますが、今先生からお話がございましたように、基本的にそれまで原価家賃制度であったものが、平成十一年からいわゆる近傍同種の家賃をベースとした市場家賃制度に切りかわりました。

 市場家賃を具体的にどうやって決めているかということでありますが、近傍同種家賃のとらえ方は、まず、近隣地域に存在します民間の賃貸住宅事例をできるだけ数多く収集させていただきます。その中から、構造とか築年数とかグレードとか、もろもろの事情を勘案して、機構の賃貸住宅との比較に適切な事例の住宅を選びます。これと機構の住宅との比準というような比較考量を、立地条件とか構造とか建設年代の差とか、そういうものを比較しまして決めていくということになっております。

 先生お尋ねの公営住宅につきましては、確かに一種の上限としての近傍同種家賃という考え方があるのは承知しておりますが、そのほかにも応能的な要素というものを勘案して、どちらかといいますとセーフティーネットという観点からの家賃の考え方でつくられていると思いまして、基本的な役割分担が違っているのではないかというふうに承知しております。

長島(昭)分科員 今の御説明、前段はよくわかります。民間の物件と比べるんだということ、それから公営と公団とは役割が違うという話。

 今ちょっと説明がわかりにくかったんですけれども、国交省の住宅局長さんが去年の四月二十二日に国交委員会で答弁されていまして、公団住宅はそもそも中堅勤労者、ファミリー層を施策対象としている、それに対して、公営住宅は住宅に困窮する低額所得者を対象としていると。役割が違うというのはこのことでしょうか。もう一度、明確に御答弁ください。

尾見参考人 機構の賃貸住宅の歴史を考えてみますと、先生今御指摘のように、やはり、これまで主たる政策的な起点はどこにあったかというと、いわゆる標準世帯、所得分位でいきますと三分位の中間、そういうようなファミリー向けの賃貸住宅というものが民間の手ではなかなか供給をされないという実態がありまして、そういう階層に対して、政策的な原価というものを導入することによって、供給の促進を図って需要にこたえていくということが大きな役割であったことは事実だと思います。

 今の時点においても、一定の例えば誘導居住水準を満たした住宅が、必ずしもファミリー向けに多く供給されていないという実態はあると思います。そういうことにこたえていくというのは相変わらず機構の役割だと思いますが、最近は需要の面でもいろいろな変化を来しておりまして、例えば、単身の世帯がふえるとか、高齢者の方々がふえるとか、そういうこともありますので、そういう方々に対しても、今までのストックを有効に活用しながらその需要にこたえていくというのもまた使命かと思っております。

 以上です。

長島(昭)分科員 ありがとうございます。

 まさに最後におっしゃっていただいたとおりでありまして、実態は、最初の政策、制度目的は、確かに三分位の、まさに中間層のファミリーを対象としましたけれども、現在の実態がどうなっているかというと、五分位のうち第一分位、第二分位と言われている、世帯収入が五百八十九万円未満の御家庭が七六・六%に達しておりまして、高齢で所得がそれほど高くない立場の方々がどんどんどんどん増加しているというのが実態ですから、私は、居住者の実態に合わせて施策の対象を変えていく時期が来たのではないかと思うんですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

北側国務大臣 この問題は、先般も住生活基本法という法律を通していただいたんですが、衆議院でも参議院でもこの法案の審査の中で御議論があったところでございます。

 まず、公営住宅の方は、これはやはり、さまざまな事情、一番大きな理由は低所得等の理由で住宅の確保が容易じゃない、困難である、そういう方々に住宅を確保していこうということで、これもまさしく住宅のセーフティーネット、これは国の役割だと思います。それをしっかり確保していこうという役割でして、その意味で、公営住宅と機構住宅とは性格がやはり違うんだということは、まず大前提として御理解をお願いしたいと思うんです。

 ただ、その中で、今委員がおっしゃったように、機構住宅に入居されている方々の実態がやはり変わってきているのではないか。一つは高齢者が多くなってきている、さらには、当然、高齢者が多くなるということは定年退職した方も多くなるわけでございまして、収入も少なくなってきていらっしゃる方が多くなっているんではないか、そういう実態に対応して機構住宅の方のあり方についてもよく検討すべきでないか、こういう御意見だというふうに理解をしております。

 機構の方も、例えば、近傍同種家賃ということで上げなきゃいけないときも、激変緩和措置といいまして、一気にそんな上げられませんから当然激変緩和措置をとる。さらには、低所得、高齢者の世帯のおうちについてはさらに軽減をしていくというような取り組みはこれまでもしてきているところでございます。

 その上で、さらにどういうふうにしていくべきかということはよく検討をさせていただきたいと思います。

長島(昭)分科員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。確かにこれまでも、値上げの場合の抑制措置、特例措置、こういうことをしていただいていることは私たちも理解しておるところでありますので、格段のさらなる御努力をいただきたいというふうに申し上げておきます。

 やはり、今やりとりをさせていただいて、一番肝心なのは近傍同種というところの信頼性だと思うんですね。二つ、ちょっと私としては納得のいかない事例を挙げさせていただきたいんです。

 これは、機構がまさに独占的に委託をして、近傍同種家賃の評価を、算定といいますかをしてもらっている財団法人日本不動産研究所の調査報告書が私の手元に幾つかあるんですけれども、そこで比べている比較の対象を見てびっくりしたのが、これは語弊があるといけませんのである物件ということにします、これは多摩のある物件ですが、その公団住宅は築四十三年なんですね。それと比較している三つの物件を見ると、確かに位置関係はその周辺なんですけれども、一つは築二十六年、一つは築一年、一つは築五年なんですね。近傍であることは間違いないんですが、本当にこれが同種なんだろうかというのは、やはり住んでおられる方にとっては大変な問題だというふうに思うんですね。

 それからもう一つ、近傍かどうかというのが疑わしいような事例がまたもう一つありまして、これは東中神公団住宅、私のやはり地元の昭島なんですが、このJRの路線の東中神の駅前にある公団住宅なんですが、それの家賃を算定する近傍同種の近傍が、この地図でいってももう何キロも離れた場所なんですね。三つも離れた駅の拝島駅から三百メートルのところ、あるいは全く別の場所のところで比較をされていると。

 この近傍ということと同種というところ、この二つについて、やはり住んでおられる方が、ああなるほど、こういう近傍なところと比較しているんだったら仕方がない、あるいはこういう同種、どこから見ても同じような種類の建物だから仕方がないと思っていただけるような、そういう、本当に家賃の算定をされているのかということ、そこが私、非常に疑問に思いました。

 そこで伺いたいんですが、聞くところによると、この日本不動産研究所に、たった一研究所にすべて全国の公団住宅の近傍同種家賃の算定をゆだねていると聞いておりますが、このところで算定をされた家賃というものを、機構は、まさに丸投げしてうのみにして、ちょっと言葉は悪いんですけれども、そのままで比較をして家賃を決めているのか、それとも機構が何らかの補正をしているのか、その点だけお伺いしたいと思います。

尾見参考人 最初の二点についてもちょっと考え方を申し上げたいと思います。

 まず、築年数のことでございますが、できれば、もちろん同じぐらいの築年数のものを引っ張ってくるというか、比準するというのが最も最適なことはもとよりでございますけれども、実際に民間で供給されている住宅は比較的短期間で更新されるものが多うございまして、なかなか四十年というような期間になるものはないという実態があります。その場合に、例えば二十年のものであっても四十一年のものであっても、築年数の経過による劣化についてはきちっと考慮することができます。私ども機構住宅については、やはり適切な管理、更新というものをきちっとやっておりますので、たとえ四十年たっていても、設備内容もリニューアルする、それから、壁とか防水加工とかそういうものをきちっとする、いろいろな点を改良してやっておりますから、そういう実際のレベルでもって比較をするということは十分に可能だというふうに思います。

 それから、近傍ということでありますが、これはお客様が来られる範囲というものがどうかということでありまして、なかなか近傍の概念を一律に決めることはできないわけでありますが、物件があるところ、ないところ、いろいろ多々ございますけれども、状況によっては少し範囲を広げて、そこからお客様が両方とも選択の対象になり得ると考えることはあながち無理ではないというふうに思っております。

 それから、単一の不動産鑑定機関に頼んでおり、それを前提にうのみにしているんではないか、こういう御指摘でございますが、まず、この近傍同種の事例の賃料の把握は、必ずしも専門の鑑定機関によらず機構みずからがすることもできるわけですが、やはりそこは専門家の目で見て、不動産鑑定というものに関して物すごい識見を持ったところにまずお願いするのが何よりだろうというふうに思っております。

 鑑定機関では、できるだけ広範囲なデータ、データをいかに数多く把握できるかということが客観的な事例に近づくための最大の事柄でありますので、そういう意味では、今お願いしていますところは、全国的な観点から相当長い期間そういうデータの収集についても知見を有しておりますので、そこにお願いするのが適当だという面があるんだと思います。

 そこで、鑑定機関の中で比準賃料というものをお示しいただきます。そこで、私どもの物件とそれから民間の物件とを比較した上での比準賃料をお示しいただいて、あとはその中で、私どもの団地の中の賃貸住宅についても、もちろん広さとか立地とかいろいろな条件が変わりますので、そこは私どもで補正をさせていただいて家賃を決めさせていただく、こういうふうになっているわけでございます。

長島(昭)分科員 補正をしているということでありますね。それは、不動産鑑定のされたものを機構側でより実態に合わせて補正されるというのは極めて合理的だと私は思います。ただ、ちょっと最初の政府の皆さんのレクと今の答弁と内容が違うので戸惑っておりますが。補正はしていないという話だったんですが、私はむしろした方がいいというふうに思っています。それは結構です。

 それで、きちっと補修、修理をしているというのは、もちろん機構側ではそうなんでしょうけれども、私、三鷹の前の団地を見てまいりまして、この写真を見ていただければわかるように、外壁がひびが入っていて、八王子の公団住宅では、今回耐震強度が足りないというような話もありました。ここは本当に住んでおられる方にとっては死活的だと思いますので、ぜひきちっとやっていただきたい、こういうふうに思っております。国交省の方からも、ぜひその辺の指導といいますか、適正な価格を設定していただきますように重ねてお願い申し上げたいと思います。

尾見参考人 私の言い方が悪かったかもしれませんが、補正というのは、鑑定事務所の方で出てきたものを補正するというのではなくて、それをベースに置いて、私どもの団地の中、住棟の中、いろいろなタイプの住宅があります、それを標準としてそこで押さえて、そこからまたいろいろな変化というか値段の差をつけている、こういうことを申し上げておるわけでございます。

長島(昭)分科員 ますますわかりにくい説明になってしまったんですが、またこれは改めて、引き続きやりたいというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたので、次の問題に行きたいと思いますが、北側大臣、先日立川駅を視察していただいたというふうに伺っております。

 立川駅は御承知のとおり日中の乗降客が三十万になんなんとしておりまして、今ようやく改修工事が始まりましたけれども、相当なラッシュで、大変な駅であります。同時に、鉄道の結節点としても極めて重要でありまして、JRだけでも中央線、青梅線、南武線、それにモノレールが乗り入れている。

 大臣も久しぶりに立川を訪れたのではないかと思うんですが、一言まず感想を伺えればと思います。

北側国務大臣 私、立川の町は、高校生のとき寮がすぐそばにありましたし、大学も三多摩でございましたので、よく立川に遊びに行っておったんですが、今からもう三十年以上前の話ですが、あのころと今と立川の変わりぶりというのはびっくりしますね。見事なまでに変わっているなというふうに思いました。

 一方で、急速に変化するのに対応できていないのがやはりある。その一つがやはり立川の駅の問題。おっしゃっているとおり、モノレールもできて、朝夕の乗降客の多さは、改札が一つしかないんですね、今は。こういう状況で、本当に安全面でも利便性の問題でも非常に問題があるわけでして、今この立川駅の改修を始めておりますが、やはり駅というのはまさしくその町の一大拠点でございまして、中心拠点でして、そこの利便性を高めていく、また安全性を確保していくというために、しっかり対策をとっていかねばならない。

 国交省といたしましても、JR等事業者ともよく連携をとって、また立川市とももちろんよく連携をとらせていただいて、立川の駅また駅周辺の整備にしっかり取り組みをさせていただきたいと考えているところでございます。

長島(昭)分科員 ありがとうございます。

 今、利便性、それから安全性というお話をいただきました。

 ただ、今、改修工事が進んでいて、改札が二つになって、それから、立川市は、西側に自由通路をつくってもっと駅の中を発展させるという計画はあるんです。それは確かに混雑を緩和するには大変有効な策だと思うんですけれども、今大臣が最後におっしゃった、まちづくりとの連帯という意味においては、まだ道半ばだというふうに思っています。

 北口の方は大体開発が終わったんですけれども、南口の方が今まさにこれからというところで、実は、市庁舎があと数年たちますと北側に移動しますので、その市庁舎の跡地の問題も含め、南側には三つの地点が、まだこれから有効活用できるような場所があって、それがそれぞれ徒歩十分圏内ということで、まさにあのまちづくり三法、議論しましたけれども、コンパクトシティーと言っていいような、まさに典型的なまちづくりができるのがこの立川駅の、特に南口周辺の状況だろうというふうに思っています。

 ただ、やはり財政的な部分、市としても、それからまちづくりを念願している市民の皆さん、あるいは商店街の皆さんにとっても非常にそこが実はネックになっております。

 一年前にやはり、ちょうど尼崎の事故の当日だったんですけれども、私、ここで質問させていただいたときに、まちづくり交付金とそれから都市鉄道利便増進法に基づく補助金、こういうものを組み合わせて、この立川駅という駅の重要性にかんがみて、新たなまちづくりと連動できるような、そういう国としての支援はできますか、こういう質問をさせていただきましたところ、当時の蓮実副大臣から極めて前向きな御答弁をいただき、それは、都市再生整備計画の立案など、国が財政支援するためには市の方からきちっとした計画や構想が出てくるのが前提ですよ、こういうお話をいただいたのです。

 そのときに、私も市の、行政の皆さんとお話をしていて、どうもそのまちづくり交付金の申請といいますか、それに対して多少誤解があるのかなと思ったのは、基幹事業と言われているものが複数ないとなかなかそういうものがおりてこないんだというような話を少し聞いたのであります。

 私、まちづくり交付金に関する国交省の非常にわかりやすい解説資料を読ませていただいたんですが、そこには別に基幹事業が複数必要であるとは書いてないんですね。かわりに提案事業とかソフト事業というような言葉が出ておりまして、これはまさに、まちづくりはただハードの部分を整備するだけではなくてソフトの部分を組み合わせてやるんだというような御趣旨だと思うんですけれども、このまちづくり交付金や都市鉄道増進法の補助金に対する市のあるいは自治体の申請について、基幹事業が複数なければならないのか、そういうようなことも含めて、どういうポイントがあるのか、簡潔に御説明いただければありがたいと思っています。

柴田(高)政府参考人 まちづくり交付金につきましては、いろいろな基幹事業等まとめて一括して申請していただくということになっておりまして、幾つかのもの、ある場合、ない場合あるのかもしれませんけれども、いずれにしましても、まちづくり交付金と都市鉄道の利便増進法に基づき実施される事業とそれぞれの役割分担が違いますので、それぞれの役割分担を組み合わせて、特定エリアの事業として組み合わせて適用すること、これは一般的に可能であるわけでございます。

 これらを組み合わせながらやっていくことにつきまして、地域の創意と工夫を生かしたまちづくり、こういうのがあれば国としても支援をしていきたいというふうに考えております。

長島(昭)分科員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それで、まちづくり三法の議論をしていたときに、中心市街地を活性化しよう、郊外に逃げていってしまったお客さんを中心市街地の方へ引き寄せていこう、こういう試みが主眼であったと思うんですけれども、いま一つ、中心の中心、駅ナカというのが非常に発展をしてきてしまって、むしろ発展し過ぎて、駅には三十万人乗降客があるんだけれども、駅ナカで全部用を足してしまって、肝心の市街地にまで人が流れて出てこないというような状況が、実は立川なんかでは顕著にあらわれております。

 東京都知事なんかが、駅ナカの固定資産税の評価を少し変えた方がいいんじゃないかというような意見も述べておられるようですが、国交省として、この中心市街地を活性化しようというときに、郊外の方を多少ブレーキをかけて中心市街地でアクセルを踏むというのはよくわかるんですが、この駅ナカというものの商業施設について、どんな取り組みの姿勢を持っておられるのか、一点だけ伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

梅田政府参考人 先生御指摘の件は、東京都が、いわゆる駅ナカの商業店舗の設置に伴いまして、従来の固定資産税評価基準を変えようということで、今年度から適用するよう準備中というお話だと思います。中のさまざまな店舗は、もともと駅の利便施設として設置された施設でございますが、私どもといたしましては、都において今回変えようとされる合理的、具体的な説明を負担者である鉄道事業者に十分行っていただいて、その理解を求めていただく必要があるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、これは都の課税権の問題でございますので、よくよく事業者の御納得の上、適用していただければというふうに考えているところでございます。

長島(昭)分科員 ぜひ、まちづくりと一体になって、まちづくり三法の趣旨も踏まえてこの問題に取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 それと、JRの立川の隣の隣の駅に豊田というのがあるんですが、この豊田駅の乗降客数は約六万三千人、例のバリアフリー法で、五千人以上の駅は整備をしなければいけない、こういうことになっておりますけれども、これも大臣御案内のとおりであります。豊田駅は、もう長年バリアフリー化が叫ばれていましたけれども、ようやく改札からホームまではエスカレーターができたんですけれども、肝心の出入り口から改札までの間に大きな段差がありまして、ここは階段になっていて、高齢者の方、あるいは赤ちゃんを連れて乳母車を押している方、あるいは障害をお持ちの方、非常な不便をかこっているんです。

 この豊田駅のバリアフリー化について、今の取り組み、そして今後、どんな姿勢で取り組まれるか、最後に伺っておきたいと思います。

梅田政府参考人 豊田駅につきましては、先生御指摘のとおり、エスカレーターはホームに設置されておりますけれども、これは改札内でございますが、エレベーターが設置されていないということで、御不便をかけているところでございます。現在、JR東日本と地元の日野市でこの設置に向けて協議を行っているところでございます。こういうバリアフリー化につきましては、自治体と事業者で十分よく相談をしていただいて、協議していただく必要がございます。現在、そういうことで協議中でございます。

 私ども、協議が調いましたら、バリアフリー化についてできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

長島(昭)分科員 今申し上げたように、立川とか豊田とか、多摩の地域というのは、三多摩格差というような言葉があるぐらいで、都心に比べてこういった利便とか安全という観点において整備が非常におくれている部分もありますので、ぜひ、北側大臣、先頭に立って、この部分、努力をしていただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

斉藤主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、柴山主査代理着席〕

柴山主査代理 次に、津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 きょうは、瀬戸大橋の通行料金引き下げ問題につきまして、北側国土交通大臣、そして、参考人としておいでいただいております本四高速の堀切社長に御質問をしてまいります。

 まず、瀬戸大橋の利用台数ですけれども、平成九年の一万六千百二十六台をピークにいたしまして、その後、伸び悩みが続いているということであります。しかしながら、昨年の十月、十一月、そしてことしの春と、二度にわたって行われました、与島という瀬戸大橋の真ん中にある島ですけれども、こちらへの往復割引が、本四高速の皆さんの御努力もありまして、大変な成果を上げて、通行料金を半額にしたら通行量が二・四倍ないし二・七倍に伸びた。結果として料金収入も、値下げにもかかわらず料金収入がふえたという、大変エポックメーキングな成果をつい最近上げられたということであります。

 そこで、何点かお伺いしていきますけれども、まず国土交通大臣に伺います。

 二〇〇五年、昨年ですが、瀬戸大橋における通行量はどのくらいあったか、そして、これは当初の予測や以前の料金改定時の予測とどのように異なって、それをどう評価されているのか、伺いたいと思います。

北側国務大臣 昨年の、平成十七年度の交通量は、一日平均一万四千百五十台でございます。平成九年の料金改定時の償還計画が一万七千九百四十台でございますので、七九%ということでございます。

 計画と実績が乖離している原因については、さまざま理由はあるというふうに思われますが、これにつきまして、その後の経済情勢の変化に応じて、平成十五年に債務の切り離しをやったんですが、その時点での計画交通量は一万四千三百五十台でございまして、それとほぼ同様の数字が昨年の交通量であったというふうに見ております。

津村分科員 続きまして、本四高速の堀切社長にお伺いいたします。御多忙の中お越しいただきまして、ありがとうございます。

 本四架橋の経済効果につきまして、当初どのように見込み、そしてまた、現在ではそれをどう評価しているのか、お伺いしたいと思います。

堀切参考人 本四高速社長、堀切でございます。よろしくお願いいたします。

 ただいま、本四架橋の経済効果についてどう見るのかという御質問でございます。実は、マクロモデルによる定量分析につきましては、平成十二年に一度行っておりまして、それ以後は行っていないんですけれども、平成十二年の段階では、経済効果としては、架橋による例えば雇用増が十二万人であるとか、あるいは、関係八府県ということでありますけれども、八府県で九千億円、これは県内総生産の約一%引き上げ、そういうふうなモデルが出ております。

 私は、モデルもそういうことで出ているわけでありますけれども、もう少し大きな立場で、あの本四三ルートがどういう意味を持っていたのかということについてごく簡単に申し上げさせていただきますと、御存じのように、本州と四国を結ぶ三つのルート、これで実は近畿、中国、四国の幹線道路が一体化する、その結果、広域の西日本経済圏を成り立たせている、いわば動脈のような役割を果たしていると思うわけです。

 また、逆に言えば、今、車社会と言われておりますけれども、仮にこの本四連絡橋がなければ、四国は車社会の中で取り残されていく可能性があった、危険があった。それが、こういうふうな段階で、経済発展の恩恵をともに受けるという大変幸せな状態になったのではないかというふうに思っております。

 具体的に申し上げますと、例えば、移動時間は海上交通移動に比べて三分の一。それから、何といっても、昔は気象条件で大変とまっていたわけでありますが、それによるトラブルがほとんどなくなってきた。関連地域での商圏も拡大するし、地域経済の活性化、住民生活の利便性向上ということであったと思うんです。具体的な数字でいえば、本州―四国間の一日当たり自動車交通量が、架橋前の昭和五十九年度に比べまして約二・五倍ということになっております。また、同じ期間に本州―四国の輸送人員は約一・七倍ということで、今、大体年間五千万を超える人がこれを渡っているわけでございます。

 また、産業の面では、瀬戸大橋の開通後、四国への新規工場立地、それから大規模小売店舗の新規出店がふえまして、その結果、従来、四国の一人当たり県民所得というのは、全国平均と比べて離れてきつつあったわけでありますけれども、それが縮小に転じる、そういう結果を得ておりまして、そういうところを効果があったのではないかというふうに見ております。

 以上でございます。

津村分科員 丁寧な御答弁をありがとうございます。

 今、後半で社長がおっしゃられたような架橋効果というものは大変大きいと私も思いますし、その効果をさらに大きくしていきたいという意味できょうも御質問をさせていただいているわけですけれども、そういう意味では、一方で借金の返済という重要な課題がありますので、そのこととの見合いで、数字に出るもの出ないもの、いかに効果が大きいのかということを、そうはいっても、できるだけ目に見える数字、形でPRされていくことが本四高速としても重要なのかなと。

 そういう意味では、これは今回初めて数字を出していただいたわけですけれども、前段お触れになった平成十二年時点での架橋効果、〇・九兆円、関係八府県でのということですけれども、GDPで引き直しても〇・一から〇・二%の経済効果が、平成十二年という、既に通行量が現時点とほぼ同じぐらいまで、多少頭打ちになった時点での効果として試算いただいているわけですから、もっともっと、その数字も含めて、きょう初めて出していただきましたけれども、これからさらに数字もリバイスしていただいてPRしていただければ、さらにこの問題への国民の関心は高まるのではないかなというふうに思います。

 そうした中で、そうはいっても、交通量をこれからふやしていこう、そのことでさらに効果を上げていこうという中で、実は少し驚いたんですけれども、昨年の十一月に、ある全国紙の地方版でのインタビューに社長がお答えになって、中長期の通行量ないし業務収入の数値目標がありませんというふうにお答えになったものを見ております。ただ、恐らく、これは民営化直後のことでして、突然だったのでそうお答えになったと思うんですが、一方で、私のいただいた資料では、機構の収支予算の明細ということで詳細な償還計画もお立てになっている。

 この前提となっている通行量の中長期見通し、少し時間が押しているので、簡潔にお答えいただけますか。

堀切参考人 それではお答えいたします。

 ただいま御指摘のとおり、昨年十一月の新聞のインタビューでは、まだ固まっていないということを申し上げました。それは、ちょうどその時点で、機構との間に協定を結ぶという準備の最中でございまして、間もなく、それができた段階ではお話しできるのではないか、そういうふうに思っていたわけでございます。

 三月三十一日に機構と協定を締結いたしました。その中の交通量の推計でございますけれども、国土交通省の推計、平成三十二年度、これはゾーン間の交通量の推計でございますけれども、それを使わせていただいて、平成三十二年度までに年〇・一五%の微増をする、それから三十三年度以降はわずかながら減少になる。

 その結果、収入はどうかということでありますけれども、計画収入は、ある時点で申し上げますと、平成十八年度で七百五十四億円のところが、今申し上げました三十二年度の段階では七百二十七億円、四十六年度で七百六億円、それから六十一年度で六百三十八億円、そういうふうに一応減少していくというふうに見込んでおります。

 それから、この収入によりまして、機構より借り受けました道路資産の維持修繕、あるいは災害復旧、その他の管理に充てるわけでありまして、差額を貸付料として機構の方にお払いする。機構では、この貸付料等によりまして有利子負債を平成六十二年三月までに償還して、その時点でゼロになる、そういう計算でございます。

 以上でございます。

津村分科員 大変詳細な計画を立てられているのを御説明いただきまして、ありがとうございます。いろいろと新しい数字をいただきました。

 そうした中で、今回、冒頭申し上げたように、与島のパーキングエリア、瀬戸大橋の四国と本州のちょうど真ん中にある島ですけれども、この両側からのUターン割引ということで期間限定で行われたわけですが、これが、料金を半額にしたら通行量が二・四倍あるいは二・七倍に伸びたということです。

 こう考えてくると、従来から周辺自治体その他では、一割や二割料金を引き下げても、価格弾力性が低いといいますか、なかなか収入は伸びないし、通行量はふえない。そうすると、まあ値下げは当分無理だよねということが、何となくあきらめムードといいますか雰囲気がありましたけれども、しかし、思い切って下げることによって、与える印象が違うというか、実際に二・何倍という結果になったわけで、こうした割引なり、私は恒常的な料金引き下げが最終目標と思いますけれども、進めていくことによって、これは償還計画自体がさらに早まるのではないか。これまで、料金引き下げよりも借金返済が優先とされてきたその前提が大きく変わる、発想の転換が生じるいい機会が、この四月末の結果を見て今こそいろいろ御判断できるのかなというふうに思うわけです。

 こうした例えば夜間割引とか通勤割引といったほかの高速国道で行われている時間帯割引、新たな割引制度、こういったものも瀬戸大橋では今後考えていけるのではないかなと思うわけですが、地元の要望も踏まえて、この点について社長のお考えを聞かせてください。

堀切参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のように、いわゆるUターン割引というものを平成十七年十月と十一月の二カ月間、それから本年の四月の計二回実施いたしました。これは、ちょうど瀬戸内海の真ん中にある与島というところに行って帰ってくるわけでありますけれども、ただいま先生のおっしゃいましたように、前年同期で二・四倍あるいは二・七倍という非常にいい数字を得たわけであります。ただ、実数から申し上げますと、昨年秋のUターン割引では一日当たり二百五台になった、それから、ことしの四月では一日当たり二百四十五台になった、こういうことでございます。

 問題は、こういった二・四倍、二・七倍というのが大きな規模でふえていただければ大変よろしいわけでありますが、この与島の場合は二つ理由がありまして、一つはもちろん半額にしたということであるんですけれども、ちょうどその期間に岡山県と香川県で共同で大変イベントをやっていただいた、結局そのイベントを見ようというふうなことで集まっていただいたわけでありまして、どうしても、ただ半分にするだけではなくて、何か魅力的なものを同時に用意できるかというのがポイントだろうと思っております。

 ただいま御指摘の、他の高速道路会社で実施しております夜間割引、通勤割引、いわゆる時間帯割引でございますけれども、この場合に、どの程度減収になるのかということを大変気にしておりまして、仮に減収ということになりますと、さっき申し上げました貸付料の確実な支払い、債務の返済というものに支障が生じるおそれなきにしもあらずだ。

 だけれども、そういったことを心配ばかりしていてもいけないわけでありまして、何とかこの問題に踏み込もうと思っているわけでありますけれども、差し当たりのところは、さっき申し上げました貸付料の支払いに支障のない範囲で、キャンペーン等を通じましてお客様に利用していただくような環境を整備して、それに伴う各種割引制度の供与ということによってお客様の満足にこたえてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

津村分科員 少し具体的に、もし決まっているもの、あるいは検討中のものがあれば、例えば、この半額制度を真ん中の与島でなくて全体で一カ月試してみるとか、あるいは祝日割引でも結構ですけれども、今検討中のもの、そして今後の検討の姿勢、前向きに考えていけるのか、それとも余り前向きでないのか、そういったこともちょっと教えていただけますか。

堀切参考人 先ほど申し上げましたようないわゆる夜間割引、通勤割引というタイプのものは、私どもとしてなかなかまだ踏み込めない分野であろうと思っているわけでありますけれども、さっき申し上げました観光の関連、与島の場合はイベントで来ていただいたというわけでありますけれども、今、旅行会社とタイアップいたしまして、我々の三つのルートを二つ使っていただく。例えば、四国から中国地方に行って観光を済ませて別の橋で戻ってもらう、逆に今度は、本州側から淡路島を通って四国に渡って、帰りは瀬戸大橋で帰ってもらう、そういうふうな場合に対して、通常ですと一万円ぐらいかかるのですけれども、二五%引きということでこの四月から開始いたしました。

 これは、とりあえずは九月末までということでありますが、場合によってはもう少し延長して、観光を対象としたそういった試みに対してお客様がどのように反応していただくかということを今実験中でございます。

津村分科員 また後ほどお伺いいたします。

 国土交通大臣に伺いますが、本四高速さんに対して関係自治体から出資金が出ております。今、大変厳しい地方財政の折から、出資金を出して、しかし県の要望がなかなか通らないという状況もあるわけですけれども、周辺自治体からは経営参画を求める要望が数多く出されております。

 民営化当初は、取締役をスリム化して、経営のスピード化ということもあったのでしょう、取締役には派遣はないわけですけれども、経営参画のあり方を今後どう考えていくべきなのか、大臣の所見をお伺いいたします。

北側国務大臣 本四連絡橋につきましては、先ほども少し触れましたが、一兆三千四百億円の債務を切り離しをするとともに、平成二十四年度から平成三十四年度までの地方公共団体の追加出資を前提といたしまして通行料金の引き下げを実施した上で、民営化後四十五年以内の有利子債務の返済を可能としたところでございます。こういう基本的な枠組みであるということをまず御理解をお願いしたいと思っております。

 その上で、出資金を負担するのは国及び十の府県市でございまして、当然、出資金を負担するわけでございますので、株式会社の株主総会に出席して議決権を行使するということになるわけでございます。また、本四道路連絡調整会議というのを平成十五年七月に設置いたしました。構成メンバーは、機構、さらには会社、そして国及び出資地方公共団体でございまして、この調整会議でさまざまな意見交換等を今行っているところでございます。

 いずれにしても、今後は会社の自主性、経営ノウハウを生かしながら効率的な経営に努めていただくとともに、地方公共団体の理解を得ながら調整を図ることが重要というふうに考えております。

津村分科員 また社長にお伺いしたいのですが、民営化になったということで半年近くたつわけですけれども、いろいろと懸命な取り組みをされているというふうに伺っております。

 そこで伺いたいのですが、計画交通量の達成に関して、民営化でどのような効果が出ているのかということをひとつアピールしていただきたいのと、それからもう一点は、関連事業のサービスエリアやパーキングエリアで収益が生じた場合、その努力もされていると思うのですけれども、こうしたことをぜひ償還の方に、返済に回して、少しでも早く償還を終える、あるいは少しでも料金を引き下げて先ほどの経済効果をさらに積み上げていく、こうした努力をしていただきたいと思うわけですけれども、会社としての見解をお願いします。

堀切参考人 お答えいたします。

 昨年十月に民営化されたわけでありますが、その後の交通量について御報告申し上げますと、平成十八年三月、つまりことしの三月までの六カ月間で、三つのルートを合計いたしまして、いわゆる県境をどのくらい横断したのかということで申し上げますと、前年同期を約一・五%上回っております。それから、十八年度に入りましても引き続き好調でございまして、五月末までの二カ月間の実績というのは前年同期を約四%上回る、そういうふうな状況になっておる次第でございます。

 民営化後、まだ期間も大変短いわけでありまして、また、この好調が民営化の効果であると特定できるものとは考えておりませんけれども、私どもといたしましては、民営化記念の企画割引であるとか、あるいはSA、PAのサービス施設のリニューアル、あるいは淡路サービスエリアへの観覧車の誘致など、休憩施設の集客力アップをいろいろ図ってまいりまして、利用交通量のアップに大変努めているところでございます。

 それから二番目の御指摘の点でありますけれども、SA、PA事業などの関連事業で大きな収益があった場合に債務の返済に充てることができないか、こういう御質問でございます。

 我が社の平成十八年度の事業計画の中で、関連事業の純利益は五千万ということでございます。ほかの道路公団系の新会社に比べて非常に規模が小さいという点が一つございます。

 それからまた、SA、PA事業では、さっきリニューアルと申し上げましたけれども、老朽化した施設を絶えず改修する必要があるとか、あるいはお客様のニーズの変化に合わせていろいろ対策を立てていくとか、そういうことが日常的な業務の中に入っているわけでありまして、これを通じてお客様や地域の皆様へのサービス向上を図っていく。サービス向上を図ることによって、お客様から非常に愛され親しまれ、非常に好意的にとらえられて、その結果が非常に回り回って交通量の増加に結びつく、こういうことも考えているような次第でございます。

 したがって、いろいろ申し上げましたけれども、SA、PA事業の収益につきましては、今申し上げましたような諸事業に一応充てさせていただいて、そういった形でお客様や地域の皆様への還元を図ってまいりたい。もちろん、債務の返済につきましては、さっき道路事業の方で多少増加してきたというふうに申し上げましたけれども、確実に収益を上げまして、機構に貸付料をできるだけ多く納付する、その結果、当初予定よりも早く債務を返済できたら、こういうことも考えているような次第でございます。

 以上でございます。

津村分科員 民営化されてから半年たって、ぜひどんどんアピールをしていただきたいのですけれども、なかなか国会に出てきていただくということにはなっていないと思いますので、お願いいたします。

 民営化によるコスト削減の効果、そして、最近話題ですけれども、いわゆる耐震補強、橋梁の道路部分、鉄道部分ともですが、今どういう状況になっているのか、簡潔に御答弁ください。

堀切参考人 それでは、耐震補強の方から申し上げたいと思います。

 本四道路は、代替性のない海上道路でございまして、かつまた容易にかけかえができない長大構造物の集合体でございますので、予防的な維持管理が必要である、この点については大臣にも十分御認識いただきまして、維持管理について万全を期すということで進んでおるわけでございます。

 ただいま御指摘の耐震補強も大変重要な問題でありまして、まず一つ、緊急輸送道路の橋梁耐震補強三カ年プログラム、これを平成十七年度から実施しているところでございます。これは、昭和五十五年より古い基準を適用した一般橋梁についてこれを補強するわけでありまして、今のところ、平成十九年度までに補強を終える予定でございます。

 それからもう一つ、瀬戸大橋などの長大橋梁、これの本体につきましては、いわゆる回復不可能な大きな損傷を起こさない、この点については既に確認しているところでありますけれども、部分的な損傷による通行どめ、あるいは早期に復旧できる程度の損傷にとどめるためのそういう対策工事、これは今後行う計画でございます。その一つの例といたしまして、例えば瀬戸大橋、トラス橋と言われる部分があるのでございますけれども、補強のための設計を実施して十九年度までに補強を完了するとか、そういうことで鋭意進めているわけでございます。

 また、ついでに申し上げるわけでありますけれども、鉄道部分につきましても、瀬戸大橋は上が道路、下が鉄道の併用橋でございまして、耐震補強につきましては、道路、鉄道一体的に行っている、こういう次第でございます。

 もう一つ、一般的な経費の問題でございますけれども、これは合理化ということを一つのスローガンに掲げまして、例えば、民営化を視野に入れて、従来ですと本社と現場の六事務所の間に三つの管理局が介在していたわけでありますけれども、去年の七月に、民営化に先立ちまして、中間の局を廃止して、従来の三層構造を二層構造に変えました。それによる組織の簡素化で例えば二億三千万であるとか、あるいは本社、今は三宮にありまして、従来はフロアを四つ借りていたわけでありますけれども、それを合理化によって三つのフロアに縮小してワンフロアを返す、あるいは東京事務所を少し家賃の安いところに移すとか、そういったことで経費の節減に努めているところでございます。

 以上でございます。

津村分科員 多少時間が押してきました。あと二つ、三つお伺いしたいので、やや簡潔にポイントをぜひお答えいただきたいんですけれども、料金引き下げそのものに対する哲学といいますか、基本的な考え方をただしたいと思います。

 瀬戸大橋の近くですが、岡山県のブルーラインという有料道路がございます。こちらは昨年の春、四月に無料化されまして、無料化ですから料金収入はゼロになりますけれども、しかし通行量が飛躍的に、三倍でしたでしょうか、大きく拡大をいたしまして、その結果、大変利便性が向上した、すなわち経済効果が高まったということがございます。

 そういう意味では、瀬戸大橋についても、これまでの料金引き下げが必ずしも通行量拡大につながっていない一面がございますが、今後通行量を拡大していくことが、冒頭社長がおっしゃられたような社会的、経済的な効果が大変大きいというふうに考えるわけです。

 そういう意味では、社会への貢献という意味でも、また先ほど申し上げた二・何倍になるというようなことも、ぜひ周辺自治体の観光面も含めてアピールしていただいて実現していただきたいと思うわけですが、そもそも、料金引き下げをできるだけ早く実現すべきであると考えているのか、そういう目標をきちんと持っているのかどうかということと、それに至るためのプロセスとして、例えばいわゆる社会実験ではありませんが料金引き下げを一時的に試してみるとか、こうこうこういうステップをもって料金引き下げにつなげていきたい、そのビジョンを、考え方をぜひ簡潔にお願いします。

堀切参考人 料金引き下げというのは、結局お客様に喜んでいただくわけでありますので、ぜひやりたいというふうに思っているんですけれども、先ほどから申し上げておりますように、引き下げの結果減収になるかどうかというのがポイントでございます。

 弾性値というふうな考え方が一つあるわけでありますけれども、実は、平成十五年七月一日からの新特別料金、その段階で一割引いたわけでありますけれども、一〇%ですね、それに対して一年間の交通量の増加は三・八%ということでございました。つまり、料金の一割下げによる交通量増加の率が三・八ということでございまして、これが、もし同じ一〇%を引き下げれば一〇%交通量がふえるということであればとんとんになるわけでありますが、その辺のところが非常に悩ましいところでございます。

 先ほど先生の方から社会実験というふうなお話がございました。私は、実はそれにはある程度期待をかけております。つまり、やることによって実際にどの程度走っていただけるのか、それが具体的に収入にどういうふうに影響を及ぼすのか、それを見きわめるということが経営上非常に大事でございまして、それを見きわめた上で次の判断に臨みたい。そういうことでございますので、社会実験については今後もぜひ協力してまいりたい、こういうふうに思っております。

津村分科員 関連して大臣にお伺いいたします。

 これは、今大変前向きな、社会実験という次のステップに期待をかけていくというお話をいただいたわけですが、やはり、協力してまいりたいというお答えにも象徴されているように、国土交通省もそうですし、周辺の関係自治体の協力も大変重要になってくると思います。

 そうした意味で、今、いわゆる道路特定財源の問題が国会でしばしば議論になるわけですけれども、瀬戸大橋の料金が依然として高い一方、道路特定財源は余剰金が出るとも言われているわけであります。こうした状況も踏まえて、社会実験の活用も含めて、料金を引き下げた場合の減収を国費で何らかの形で負担して、本州四国高速道路株式会社に料金値下げを働きかける、あるいは側面支援するということについてどのようにお考えでしょうか。

北側国務大臣 余剰が出るという言い方は、私、少しひっかかるんですね。道路特定財源があり、一方で、シーリングで道路の歳出そのものが制約をされているわけですね。そういう中で、道路特定財源における歳入と差が出てくる。特に、本四の債務償還を国費でずっと行っていたのが、ことしで、十八年度分で終わりますので、その分またあくということでございます。

 道路特定財源につきましては、今まさしく見直しの論議をしている中にありまして、さまざまな御意見をちょうだいしております。今委員の方からお話があったことも一つあるかなというふうに思っておりますが、ただ、この道路特定財源の問題、やはり自動車利用者の方が負担をしていただいている税金でございますので、その方々の御理解を得るということが大前提の見直しでなきゃいけないということでございます。その観点に立ってどうなのか、よく議論をさせていただきたいと考えているところでございます。

 それとともに、より根本的に大事なことは、やはり利用促進をいかに図っていくのか。

 それは、先ほど観光の話を堀切社長おっしゃっておられましたが、今まで本当に景気、経済が非常に悪い、低迷しているのが続いておりました。ようやく少しよくなってきた状況の中で、例えば関西、北部九州、こういうところが、むしろ瀬戸内海の沿岸の各県、各地域をどう活性化していくのかというふうな観点で、さまざま知恵、工夫を発揮していかなければならないのではないかということを私は感じております。

 特に関西ですね。関西は、余り東の方を向いているんじゃなくて西の方を向いて、少し西日本の雄として、特にこの中国、四国の活性化をどうしていくのかということをやはり考えていかないといけないのではないかというような議論も実を言うとしているところでございまして、そういう利用促進をしっかり図れる対策をしっかりとらせていただきたいと考えております。

津村分科員 関西御出身の大臣からのお言葉ですので大変説得力があると思うんですが、今のお話の中で一つだけ確認させてください。

 社会実験のことについて、委員御指摘のことも一点あるかなというふうな言い方をされましたけれども、具体的に、社会実験に関する国土交通大臣としての考えを最後にお聞きします。

北側国務大臣 社会実験をやるやらないというのは、これは基本的にまず会社の御判断でございます。私は、そういう判断も十分尊重しなきゃならないのではないかというふうに思っております。

津村分科員 時間が参りましたので、終わります。

柴山主査代理 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 民主党の仲野博子でございます。

 大臣とは本日で二回目、こうしてお会いさせていただきますけれども、きょうは、北海道地域における観光振興策及び地方空港の活性化、そしてまた、JR北海道で開発いたしましたデュアルモードビークルの考え方についてお尋ねしてまいりたいと思います。

 まず冒頭、大臣は観光政策を大変熱心に取り組んでおられますが、来月初頭に、我が地元北海道の阿寒において、日本、中国、韓国の三カ国観光担当大臣会合が開催されることとなっております。地元挙げて大臣のお越しを大変歓迎いたしておりますので、お気をつけていらしていただきたい、そのように思います。六月一日からクールビズということで、皆さん軽装スタイルでありますけれども、まだまだ北海道は朝夕非常に寒いので、ちょっと一枚何か上着を持って来られたらよろしいか、一応そのようにお伝えさせていただきたいと思います。

 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。

 平成十七年七月十四日に知床半島が我が国三番目の世界自然遺産に認定され、地元としては大変光栄に思っているところであります。これまで以上に知床の持つ雄大な自然を大事にするとともに、その活用を図っていく必要があると考えております。

 そこで、自然に恵まれた我が地元をぜひとも観光振興の観点からも発展させていかねばならないと考えているわけでございます。ビジット・ジャパン・キャンペーンが推進をされ、北海道においても海外からの観光客が増加しているというところでもありますが、国際観光のみならず、日本国内の観光を推進することもやはり重要であると考えております。

 世界自然遺産となった知床のような場所について、国際観光、国内観光、双方の面でどのような観光振興策を政府として講じているのか。まず初めに南川自然環境局長にお尋ねをし、そして北側大臣の方にお聞きしてまいりたいと思います。

南川政府参考人 御指摘の知床でございます。去年の夏に世界遺産に登録されましてからこれまででございますけれども、約一割ほど観光客が増加しているところでございます。これは、利用シーズンが早く終わったにもかかわらず、これだけ増加したというふうに認識をいたしております。

 私ども、お客さんがふえることはいいことでございますけれども、その反面、世界遺産でございますと厳正な管理が求められます。したがって、野生生物への影響の軽減、登山道の維持管理、ごみ処理といったことを適切に行ってまいりたいと考えております。

 そして、私どもが事務局になりまして、地元の関係者から成ります知床の利用適正化検討会議というものをつくっておりまして、その中で、先端部あるいは知床五湖といった地域ごとに具体的なルールづくりを今始めております。去年の九月に、全体をとりあえず適正化基本計画ということでまとめておるところでございます。

 ぜひ、国交省を初めとした関係省庁あるいは地元の自治体と連携しながら、また、知床については学識経験者も大変多うございます、そういった方と協力しながら、世界遺産にふさわしい自然環境保全と適正な利用ということに努めてまいりたいと思います。

北側国務大臣 七月の一日から開かれます日中韓の大臣会合では、地元の皆様に大変今御協力を賜っております。感謝申し上げたいと思っております。

 私は、かねてから申し上げておったんですが、北海道がこれから自立的に経済を発展させていく一つの柱として、やはり観光があるのではないですかということをこれまで何度も北海道の皆様に申してまいりました。それぐらい北海道というのは観光資源が豊かでございますし、実際、私が海外の方から日本のことをお聞きしたときに、やはり北海道がすばらしいというお話をよく聞かせていただきます。そういう意味で、ぜひ北海道の魅力を発揮していただいて、観光による地域振興をぜひ図っていただきたいと思います。

 そういう観点もあって、北海道で日中韓の大臣会合を開かせていただくということを決めさせていただいたところでございます。

 今お話がありましたように、昨年七月に世界自然遺産に登録をされました知床地域というのは、美しい自然景観と多様性に富んだ動植物の生態系を持つ地域でございまして、こうした豊かな自然環境の保全と調和した形で観光振興を進めていくことが重要と考えております。

 そういう観点から、今、国土交通省では、シーニックバイウェイという取り組みをしているんですが、シーニックバイウェイ北海道のルートに知床周辺地域でございます東オホーツクルートを指定させていただきまして、地元住民と行政が連携して、美しい沿道景観整備と魅力ある観光空間づくりの取り組みを進めているところでございます。

 また、これまでも北海道観光ビジネス・フォーラムを開催していただいたり、また、十八年度から、観光ルネサンス事業ということで、地元釧路と富良野、二地域を、民間による観光振興の取り組みを支援するということで指定させていただいているところでございます。

 いずれにしましても、北海道は日本の中でも観光資源の非常にすぐれた地域でございまして、これをぜひ生かして、地域振興、また国内、国外の交流にぜひこの北海道を活用できるような、そういうふうな地域振興をぜひお願いしたいと考えておるところでございます。

仲野分科員 さすが国土交通大臣、非常に観光に対して前向きに、そして、日本列島の中でも北海道の観光資源の豊かさについて触れていただき、私、大変感謝をいたしております。

 そして、そういったことの観点から我が阿寒に来ていただけるということで、これまた本当にありがたい、そのように思っておりますので、粗相のないように地元といたしましてもしっかりと協力させていただきますので、安心していらっしゃっていただければなと思っております。

 そこで、大臣も、国内外、観光振興ということで非常に前向きにお答えをいただきました。一番大事なことは、やはりそういった国内、国外から、観光を堪能していただける、楽しんでいただけるための受け入れが非常に大事だと私は思っております。そうなれば、おのずと交通アクセスが非常に求められるところであります。

 そこで、尋ねてまいりたいのでありますけれども、まず、世界自然遺産である知床に向けた空の足として、女満別空港と中標津空港がございます。女満別空港には羽田便が一日六便あるにもかかわらず、同じく知床観光の拠点となり得る中標津空港については、何と残念なことに羽田便は一便しかありません。

 しかしながら、中標津空港は、知床観光の拠点として今後重要性を増すものと考えられます。平成十七年度における羽田―中標津の搭乗率は、年平均六八・五%、特に夏の期間、八月、九月には八〇%を超えているという状況であります。

 このようなデータから見ても、また、世界自然遺産である知床への観光客誘致を積極的に行うためにも、羽田―中標津線を増便することは考えられないでしょうか。特に夏場のピークシーズンは便数をふやし、利用者利便の向上を図る必要があると思いますけれども、大臣、いかがでございますでしょうか。

北側国務大臣 委員も御承知のとおり、航空路線の設定、また増便をするかしないか、これは航空会社が経営判断で決定をするものでございます。

 したがって、国として個別路線の便数について指導する立場ではないわけでございますが、ただ、地方路線の充実というのは非常に大事な課題と認識をしておりまして、特に羽田空港の地方路線に係る着陸料の引き下げ等の施策を通じて、地方路線が充実するような対策をとらせていただいているところでございます。

 また、この地方路線の充実のためには、地元の取り組みも非常に重要だと考えております。

 一つ例を申し上げますと、能登空港というのが先般できましたけれども、これも県管理空港ですね。この能登空港では、一定の搭乗率を下回った場合の助成制度、補助制度をやりまして、利用促進を図っているというふうにも聞いております。また、その他さまざま利用促進方策をとっておりまして、こうした空港利用をいかに促進するかというふうな対策をぜひ地元の皆様で知恵、工夫を発揮していただいて、それが結果として増便につながっていくのではないかというふうに考えております。

仲野分科員 地元も、中標津空港利用促進期成会というものを組織いたしまして、取り組んでいるんですよね。例えば、中標津空港を利用する団体ツアー二十人以上の方たちに対しましては、バス運行経費の一部を助成する、あるいはまた、中標津空港を利用する旅行商品を旅行会社で協力して制作するだとか、開港記念日等には地元特産品や旅行商品を搭乗者にプレゼントしたり、そしてまた、今年度、六月九日、株主総会で中標津空港ターミナルビルの増築をほぼ決定されたとも伺っているわけであります。こういったことを考えたときに、本当に地元の取り組みとして利用促進の検討を前向きに行っているのであります。

 例えば、旅行会社のツアー料金価格が、一便では、その販売数量が少量のためにほかの路線より割高となっている、そういう状況であります。国の航空行政が、こうした既存の施設に対してのアフターケアとして、やはり何といっても、地域産業の活性化に地方空港の重要性を強調し、施策としても挙げられているわけであります。そういったことを考えたときに、飛行機を飛ばすのは航空会社だ、そしてまた、地元の取り組みも必要であると大臣から今お話しいただいたんですけれども、私は、やはり航空行政としてそういったことをしっかりと受けとめていただいて、地元も一生懸命取り組んでいるんだと。

 そして先般も、一市四町の期成会の方たちが、何とか、夏場だけでもいいから中標津―羽田便の増便ができないものかと、再三私のところにも要請、要望に参っております。航空局長の方にも多分来られていると思うんであります。そういったことから、せっかく世界自然遺産に昨年七月に登録決定をいたしました。世界遺産に向けて、政府を挙げてあの登録決定に至りました。ということで、もうそれで終わりよじゃなくて、これからスタートするという思いに立って、観光そして地方の活性化ということについてしっかりと、また、その意を受けてどのように取り組んでいくのか、もう一度お答えいただければなと思っております。

北側国務大臣 地元の方々の御意向といいますか、それはよく私も理解ができます。

 ただ、何度も申し上げますが、路線決定自体は、全くの完全民間企業でございますので、これはその経営判断で決定をされることでございまして、例えばその他の路線にも関して、国の方から、この路線を増便しなさいよとかということが言えるような立場じゃないんだということはぜひ御理解をお願いしたいと思っております。

 ただ、地方空港路線というのが非常に大事であるというのは全くそのとおりでございますので、羽田空港における着陸料の軽減措置をとるだとか、それから、皆さんどの航空会社も羽田空港発着分が欲しいんですね。その羽田空港発着枠に係る取り扱いについて、おたくの航空会社は地方路線の形成や充実に貢献していますと、そういう実績も羽田空港の発着枠に係る配分の際にはきちんと評価をしていく、こうしたことも考えていきたいと思っておるところでございます。

仲野分科員 大臣、くどいようですけれども、私は、通年飛行機を飛ばしていただきたいという質疑をさせていただいているんじゃなくて、先ほど大臣から、北海道の観光は非常に脚光を浴びている地域であると御認識いただいているわけであります。そういったときに、この交通アクセスがなければ、北海道の観光を、大自然を本当に楽しみたいと思っていても、受け入れの環境整備をしていただかなければ、せっかく北海道に観光で訪れたくても、そういった意味で、なかなか訪れられないような状況にもなると言っても私は過言でないと思っているんです。

 夏場の、例えば八月、九月、二カ月だけでも飛ばしていただけるというふうに言っていただければありがたいんですけれども、いかがですか。

北側国務大臣 私がそういう発言をしましたら、これは航空会社の経営判断に国が介入することになってしまいますので。ただ、きょうこういう御質問があったことは、委員の方からそういう御要請があったことは航空会社の方には伝えたいというふうに思います。

仲野分科員 伝えていただけるということなんですけれども、地方空港の見直しが二〇〇九年に何かあるようでございますね。要は、今この羽田空港は飽和状態と聞いておりますけれども、今後、羽田の地方路線の拡大をどのように考えているのか。滑走路を多くするということで、二十一年の新滑走路供用段階に、何とかこの中標津空港の増便を航空行政として頭の中に入れていただきたいなと。

 これは、大臣、地方空港を持っている多くの自民党の議員の皆さん方も恐らく同じように思っているんじゃないでしょうか。そういった意味では、民主党だけじゃなくて、これは与野党を問わず、ぜひ、そういった地方空港を持っている多くの方たちの意をしっかり受けて考えていただきたいなと思っておりますけれども、その二〇〇九年の地方空港の見直しのことがちょっとあるものですから、どのように中標津空港について考えているのか、言っていただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員がおっしゃっているのは、羽田空港の再拡張のお話をされているんだと思います。

 今、羽田空港はもう満杯でございまして、年間二十九万六千回の発着容量が限界に達しております。もう一本、四本目の滑走路を今整備を始めまして、二〇〇九年中の供用開始ができるように、今全力を挙げて取り組みをしているところでございます。

 これができますと、一遍にふえるわけじゃないんですが、段階的に発着容量が三十万回弱から四十万回強にふえます。約十万回から十一万回発着容量がふえてまいりますので、ここで国内航空ネットワークのさらなる充実をぜひ図らせていただきたい。とともに、羽田は一部国際化も進まさせてもらいますので、近郊の国際線については羽田から飛ばす、また羽田に着陸するというふうなことも考えているところでございます。

 このことにつきましては、今委員のおっしゃったように、各地方空港をお持ちの方々からは、ぜひ羽田をふやすべしという御意見がもう本当に強いですし、また逆に、国際線をしっかり充実すべきだという御意見もあるんですね。いろいろな御意見がありましてなかなか調整が大変ではございますけれども、ただ、その発着枠の配分に当たりましては、十万回余り発着枠がふえてきますので、先ほど申し上げましたが、航空会社の地方路線の形成、充実への貢献度をしっかり評価の基準の一つとして考えていきたい、その中で、地方路線の充実、国内航空ネットワークの形成にしっかり貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

仲野分科員 どうしても夏場というのは観光のシーズンに入って、羽田空港が非常にラッシュとなって厳しい状況にあるというのは私もよくわかっているんですけれども、知床の世界自然遺産が昨年七月に登録いたしまして、やはり中標津空港、羅臼がその中に入っているわけですよ。多くの方たちは、知床世界自然遺産と聞いたときに、どうしても羅臼の方が非常に強烈に頭にあるんですね。それはやはり、森繁久彌さんがつくった「知床旅情」の歌詞もあると思うんですよ。「別れの日は来た 羅臼の村にも」、こういった歌詞があるわけです。

 そういった意味では、まあ女満別空港の便を減らせというふうには私は言いません。何とか、本当に中標津空港の増便をぜひともお願いしたいなと思っております。

 それで、もう一点お聞きしておきたいことは、羽田―釧路線について、今、釧路から東京に日帰りするには不便であって、第一便が十時十分、これは日本航空、JALですね。次が、十一時二十五分に全日空が出発することになっております。それより早い時間帯に出発することができない状況になっております。何とか朝八時台に飛ばせるようなことができないのかなと思っているんですけれども、その辺の考え方についてお聞きしたい。

 それと、やはり何とか日帰りでビジネスができるように、そういった意味で利便性をぜひとも図っていただけないのかどうなのか、改善すべく検討を行うことは今後できるのかどうなのかということを大臣にお尋ねしたいと思います。

北側国務大臣 航空ダイヤの設定につきましても、どの時間帯に飛ばすことが一番需要があるのか、そういう路線の需要の動向を航空会社みずからが判断をして決定するということになっているわけでございます。

 ちなみに、例えば釧路空港から羽田の便を、早朝の便をつくるためには、釧路の空港に前日から航空機を駐機させる必要があるわけでございます。そうしますと、航空会社は、このようなダイヤ設定を行いますと当然コスト等にも反映してくるわけですね。そういうことも含めて、このようなダイヤ設定を行うか否かについては、需要動向、機材や乗員繰り等を踏まえた上で総合的に判断をされるというふうになると思っております。

 これはナイトステイというふうに言うわけでございますが、羽田空港の発着枠の配分に当たりましては、ナイトステイの実施状況についても評価を行っていきたいと考えております。

仲野分科員 確かに、ナイトステイとなれば航空会社がコストがかかるということで、今のこの御時世を考えたときになかなか難しいのかなと思うんですけれども、ただ、飛行機の路線を開くことは空の道をつくることでありまして、北海道は空の道がないと開けない地域が多い。そのあたりを配慮していただきたいなと思うのであります。

 そこで、航空局長、あなたの方から航空法第一条をちょっとお読みになっていただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 航空法の第一条でございますけれども、法律の目的が書かれております。「この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保してその利用者の利便の増進を図ることにより、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。」

 以上でございます。

仲野分科員 そういった第一条の、利用者の利便の増進を図ることによって、航空の発達を図り、そして公共の福祉を増進することを目的とする、ここが一番大事なところなんですよ。ですから、この目的に沿って、航空行政としてあるわけですから、やはりそういった地方空港の充実を本当に今後しっかりと取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 次に、大臣、デュアルモードビークル、JR北海道が開発いたしました。大臣、ことし試乗されたそうで、いかがでしたでしょうか。このことについて、今後どのようにこのデュアルモードビークルについて行政として考えていくのか、前向きにお答えをいただきたいと思います。

北側国務大臣 私もことしの一月、寒いときだったんですけれども、DMVに乗らせていただきました。大変感銘を受けました。

 このデュアルモードビークルというのは、JR北海道が独自に開発を進めているわけですが、道路と鉄道を両用できる車両でございます。これは、地域の鉄道やバスの交通ネットワークの維持、特に過疎の地域においてはそうだと思います。地域の鉄道、バスの交通ネットワークの維持や、また公共交通の活性化にも資する新たな地域の足として期待されると考えております。

 この取り組みについてはほかの県からも非常に注目をされておりまして、多くの方々が視察に行かれている。静岡県の富士市なんかも、ぜひうちでもやりたいと手を挙げていらっしゃるというふうにも聞いているところでございます。

 大事なことは、やはり安全の確保、これは軌道上と道路上と両方走るわけですので、この安全の確保を図っていくことが非常に大事であると考えております。JR北海道の方は、今年度中に開発を終えたいというふうに言っておられまして、国交省といたしましても、可能な限り早期に実現できるように、安全面からの技術的な課題、制度面の課題などにつきまして、JR北海道ともよく検討をさせていただきたいと考えております。

仲野分科員 今、このデュアルモードビークル、外国からも非常に注目をされていると伺っているわけであります。ぜひ、大臣がいるときにしっかりと前向きに取り組んでいただき、本当に世界に先駆けてやっていただければな、そのように思っております。

 いずれにいたしましても、今回、地方空港の充実ということを言わせていただきましたので、あわせて、本当に多くの観光客、経済界の方たちのためにも、利便性を図っていく、福祉の増進を図っていくと航空法の第一条にうたわれているわけですので、ぜひそのことをしっかりと受けとめていただいて、航空行政としてそのことをしっかりと取り組んでいただければなと思っております。

 大臣、七月一日、お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。

柴山主査代理 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

    〔柴山主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

斉藤主査 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。杉浦法務大臣。

杉浦国務大臣 平成十六年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 お手元に資料が行っていると思います。

 まず、一般会計の決算についてでございます。

 歳入につきましては、歳入予算額は千百五十三億四千六百四十一万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千百十九億三千二百二十三万円余であり、歳入予算額に比べますと三十四億一千四百十七万円余の減少となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千百十六億九千三百三十六万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千三百五十九億六千十八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七百四十億一千六百八十三万円余であり、不用額は十七億千六百三十五万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてでございます。

 収納済み歳入額は千九百五億四千四百三十七万円余であり、支出済み歳出額は千六百八十六億一千八百五十四万円余で、差し引き二百十九億二千五百八十二万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は千七百九十八億八千百万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千九百五億四千四百三十七万円余であり、歳入予算額に比べますと百六億六千三百三十七万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千七百四十七億九百五十八万円余でございます。

 これに対しまして、支出済み歳出額は千六百八十六億一千八百五十四万円余であり、翌年度へ繰り越した額は二十一億六千四百二十八万円余であり、不用額は三十九億二千六百七十四万円余でございます。

 以上をもちまして、平成十六年度決算の概要説明を終わらせていただきます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 以上です。

斉藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院事務総局事務総長官房佐野審議官。

佐野会計検査院当局者 平成十六年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

斉藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。

漆原分科員 公明党の漆原でございます。

 きょうは可視化についてお聞きしたいと思うんですが、取り調べの可視化については、私は今国会で三度目の質問を法務大臣にさせていただきます。

 可視化は、これまで、刑事被告人の権利保護、冤罪の防止、あるいは刑事裁判手続における真実性の担保、裁判員制度の導入との関係など、さまざまな観点からその必要性を述べてまいりました。殊に、我が党はマニフェストにも「二〇〇九年の裁判員制度実施までに、ビデオ録画等による取り調べ過程の可視化を検討・策定します。」と具体的に公約しているところでございます。

 今般、検察庁において取り調べの可視化を一部導入することを決定されたと聞いておりますが、弁護士出身であられる杉浦法務大臣が、日本の刑事捜査のあり方に大きな決断をされたと心より敬意を表するものであります。

 そこで、以下、具体的に質問をさせていただきます。

 まず、今般、検察庁において取り調べの可視化を一部導入することとした趣旨について御説明を願いたいと思います。

杉浦国務大臣 取り調べの可視化につきましては、これは漆原委員が国会議員になられたころからの持論であることはよく承知しております。私が法務委員長のときに通信傍受法を含む組織犯罪対策三法を制定したわけですが、その際、先生も委員でいらっしゃったわけですけれども、このような捜査手法を導入する以上、この可視化はセットで導入すべきだという御主張をされたことをきのうのように記憶いたしております。

 公明党がマニフェストにもうたわれまして検討を求めておられたことは私もよく承知しておりますが、自民党の中には議論はあるわけですが、そこまで踏み込んだ、自民党の場合にはマニフェストには載っていないわけでありますけれども、友党である公明党は、党の選挙公約、マニフェストに掲げられたということは大変意義深いものだと思っておりまして、先生の弁護士としての長い御経験、経綸から出たのが大きな力になっていると思いますが、心から敬意を表する次第でございます。

 今度の裁判員制度導入を控えての可視化の試行というものを検察庁がやることになったわけでありますが、それによりまして、公明党がマニフェストに掲げられたことが実現に向かうというふうに私は理解しておりまして、そういう意味では、先生に対して心から祝意を表する次第でございます。

 先生御指摘の、検察庁における取り調べの録音、録画、いわゆる可視化の試行でございますが、検察官は犯罪について立証責任を負っております。その責任を全うする見地から、特に裁判員制度が導入された、素人の裁判員の方が裁判に参加されるという事態を三年後に控えまして、その裁判でわかりやすく迅速に主張を立証する、そういうあり方を検討してこられたと承知しております。

 その一環として、自白の任意性が争われた場合、調書が出てまいりますが、それが裁判上争われた場合に、その任意性を立証するものとして録音、録画、これは目に見え、耳に聞こえますから、裁判員の方が、それを見ることによって、任意に行われたものかどうかというのは非常に判断しやすい。

 調書が出てきて、言ったとか言わないとか、おどしたとかおどさないとか、そういうやりとり、プロの裁判官だとか検察官、弁護士の間ならともかく、素人の裁判員の方にはそういう状況では判断しにくいと思うんですね。そういう場合に、効果的、効率的な立証を遂げる方策としてぜひ検討すべきことだと私も思っておったわけでございまして、そのために検察庁が決断をして試行が行われることになったというふうに承知しております。

漆原分科員 どうも大臣、いろいろありがとうございました。

 自白の任意性が争われた事件数は一体どのくらいあるのか、警面調書あるいは検察官調書、それぞれについて数の説明を求めたいと思いますが、あわせて、それらの事件の任意性立証にかかわる審理状況の実態はどうなっているのか、お尋ねいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 自白の任意性が争われた事件の総数や、その警察官調書と検察官調書の別についての内訳は承知しておりませんが、最高検察庁の調査によれば、平成十四年四月から平成十七年三月までの三年間に第一審判決が言い渡された裁判員裁判対象事件の総数は八千七百十六件であるところ、そのうち被告人の捜査段階の供述の任意性が争われた事件は二百七十五件であり、その比率は三・二%であること、任意性に疑いがあるなどとして供述調書等の採用が却下された事例はごく少数の六件にとどまっていることが判明したと承知しております。

 もう一つの御質問でございますが、審理状況の実態については、最高検察庁により行われた調査結果によりますと、調査対象となった裁判員裁判対象事件のうち、自白の任意性が争われた三・二%の事件につきましては、任意性に関する審理状況を見ますと、被告人質問の期日数につきゼロないし二回の事件が二百二十四件、八一・五%であり、検察側証人の尋問の期日数につきゼロないし二回の事件が二百五十六件、九三・一%であったものと承知しております。

 被告人側と取り調べ官との間で不当な取り調べ等をした、しないの水かけ論になりがちで、これが審理を長期化させる要因の一つになるとの指摘もございますが、このような結果から見ますと、必ずしも任意性の争いが直ちに水かけ論をもたらして公判を長期化させる大きな要因となっているというわけではない、こう考えております。

漆原分科員 諸外国における取り調べの可視化の状況はどうなっているのか、当局にお尋ねします。

大林政府参考人 被疑者の取り調べ状況の録音、録画につきましては、例えばイギリス、オーストラリアやアメリカの一部の州等において実施されていると承知しております。

 これらの国においては、例えばイギリスのように極めて短期間の取り調べが行われるにすぎないなど、捜査における取り調べの役割等が我が国と大きく異なる国が少なくないと思われます。

 また、録音、録画の具体的な実施方法等はそれぞれの国や地域ごとに異なっており、例えば、オーストラリアでは、捜査官が被疑者に対し録音、録画することなどをあらかじめ告知し、かつその告知も録音、録画しなければならないのに対し、アメリカのイリノイ州では、そのような告知をすることなく、四十八時間継続して被疑者の在室する取り調べ室を録音、録画することとなっているものと承知しております。さらに、韓国においては、一部の検察庁において、主として自白事件を対象として、取り調べ状況の録音、録画を試行しているところ、録音、録画が義務づけられているわけではなく、対象事件の選択や、いつ録音、録画を実施するかどうかなどについては、検察官の裁量が広く認められていると聞いております。

漆原分科員 私は、かつて弁護士時代に殺人事件で殺意を争ったことがあります。被告人は捜査段階で殺意を認めておりまして、自白調書の任意性を争う、こういうことになりました。結果的には、これは高裁で殺意が否定されて傷害致死というふうになったわけでありましたけれども、一たん自白調書ができますと、その任意性を争うというのは非常に難しい、時間と労力が必要となりました。

 法務大臣、長い間弁護士経験がおありになるわけでございますけれども、法務大臣の御経験の中で、こういう自白の任意性を争ったケースがあるのかないのか、あればどんな御感想をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

杉浦国務大臣 私も一件、明白に覚えていますのは、やはり殺人事件でしたけれども、これは、任意性というよりも信用性を争ったのではないかと、昔のことですから余り明瞭には覚えていませんが、ございます。そのほかにもあったかもしれません。

 これは、調書のとり方によって、やはり裁判官とか、今度裁判員制度が導入されるわけですが、日本の司法制度の中ではかなり影響がございますから、やはりあの事件なんかは、もし取り調べ段階でとっておられたら違った結論が出たかなという感じがしないでもありません。僕は、無罪になるかと思ったんです、正当防衛で。仮に無罪でないとしても、殺人ではなくてもっと別の、例えば傷害致死だとか執行猶予がつくんじゃないかと思ったら、三年の実刑でしたけれども、執行猶予をつけるかどうか裁判官も悩まれた事件じゃないかと思います。そのまま控訴せずに刑に服されましたけれども、あの事件なんかは、もし、可視化といいますか、録画されてそれを法廷に出されたら違った結果になったんじゃないかな、こう今でも思っておりますけれども。

漆原分科員 ありがとうございました。

 日本の捜査は弁護人の立ち会いもなく、あるいは取り調べの可視化もありません。日本の捜査が密室性が高いと言われるゆえんでございますけれども、外国で導入されているこの取り調べの可視化が日本では導入されない、この理由は一体どこにあると大臣はお考えでしょうか。

杉浦国務大臣 いろいろこの手法、捜査のやり方は、刑事司法はもう各国それぞれでございます。取り調べ以外の、要するに捜査手段、それが、先進国を見ますと、日本よりはるかにさまざまな手法を導入しているんですね。

 例えば、通信傍受にいたしましても、日本の場合、先生一緒に制定した、非常に厳しい、適用範囲も非常に限られたものしかないわけですが、アメリカ、イギリス等、かなり広範に通信傍受をやっておりますね。おとり捜査、潜入捜査なんというのも認めておりますが、日本の刑事司法の場合は極めて限られた捜査手段しかないということが一方の事情としてあるんじゃないかと思います。ですから、そういう国では、余り本人を調べる必要がない、もう通信傍受で証拠がそろっているから、別に本人の取り調べなんかも必要ないとは言いませんが、形式的でいいというような実情があるんじゃないかと思うんです。

 ですから、日本の場合、我が国の刑事司法では、したがって、被疑者を取り調べるというのは、事案の解明をするのに不可欠だという点では、諸外国と比べるのは難しいぐらい重要な手段になっていると思います。したがって、この可視化を進めていく、刑事司法手続を透明なものにしていく、わかりやすくするということを、これは裁判員制度を導入するために最低限必要だと思っておりますが、一般化していくとなりましたら捜査手段をもう少し司法当局に与えないと、客観的な証拠、例えば、今の通信傍受法ですと振り込め詐欺だとかリフォーム詐欺会社にはできませんよね。そういう手段を司法当局に与えないと、こっちの可視化だけを先行させるというのはなかなか難しいのではないかと個人的には私は思っております。

 したがって、今後の刑事司法手続の検討の中で、もちろん検討してまいらなければいけないわけですけれども、そういう刑事司法手続全体の中で、どの範囲でやっていくかは慎重に検討していく必要があると思います。

 とりあえず、裁判員制度対象事件については、試みにやってみるわけですが、私は導入するのは不可欠だというふうに思っております。

漆原分科員 今回の可視化の試行は検察官による被疑者の取り調べということで、警察官に対しては、従来どおりということになるわけですが、そのお答えも今大臣がお述べになった中に含まれているなというふうに思います。捜査方法全体のあり方から考えていかなきゃならない、そうおっしゃっておられます。

 警察庁は、これまで法務委員会で何回かこの可視化に消極的な態度を示してきて、理由として、テレビなどで録画されると被疑者が緊張して本当のことを言えないんだ、あるいは捜査官と被疑者の信頼関係が保ちにくくなるというふうに説明されているんですが、私はそれを聞いていて、どうも余り積極的な理由ではないなというふうにいつも思っておりますが、今回の検察庁の決断が風穴になって、捜査全体、余り通信傍受が広がるのも好ましくありません、また、おとり捜査がアメリカのように行われるのも日本としていかがなものかと思うのですが、密室性をなるたけ少なくするという意味で、この検察庁の今回の決断が大きな風穴となって、捜査の公開性というんでしょうか、そういうものが広がっていくことを期待しております。

 具体的にお聞きしたいと思うのですが、今回の決定に基づいて、どのような場面で録音、録画が実施されるのか、お尋ねしたいと思います。

杉浦国務大臣 裁判員裁判対象事件におきまして、立証責任を有する検察官の判断と責任におきまして、被告人の自白の任意性を効果的、効率的に立証するのに必要性が認められる事件につきまして、取り調べの機能を損なわない範囲内で、検察官の被疑者の取り調べのうち相当と判断された部分の録音、録画を実施することになるものと承知しております。

漆原分科員 お読みいただいたということでございますけれども、なかなかわかりにくいですね。多分、これから具体的なことは御検討されるんだろうというふうに思いますが、要は、検察官の判断で取り調べの一部の録音、録画を実施するということになると思うんですけれども、これで任意性の立証手段としては十分なのかどうか、その辺のお考えはいかがでしょうか。

杉浦国務大臣 試みにやってみて、試行錯誤を繰り返しながら、裁判員制度がスタートするまでに、どの範囲で録音、録画するかということを検討されることになると思っております。

 取り調べの全過程を録音、録画といったら膨大な時間数になります。しないでいいのかといったら、都合のいいところだけを録音、録画して出しても、それは一部じゃないかという批判も当然起こるでしょうし、非常に難しいところだと思いますが、そのあたりは、まず試みにやってみて、その結果を見ながら検察が検討を進められるのではないかというふうに思っております。

漆原分科員 今回試みに実施された、録画された記録、これはどのようにして裁判で任意性の立証に用いられることになるのか、その辺のやり方をお聞きしたいと思います。

杉浦国務大臣 それぞれの審理状況によると思うんですけれども、これは捜査官と被疑者のやりとりを機械的に録音、録画したものですから、取り調べの状況を示す証拠として採用されるということになりますから、一般的には、記録媒体そのものを公判廷に提出する、公判廷で見ていただくということになるのではないかと思っております。

漆原分科員 わかりました。

 この試行の期間はどのくらいの時間を考えておられるのか、またあわせて、どの庁で試行されるのか、お尋ねしたいと思います。

杉浦国務大臣 ことしの七月から一年半程度を当面の予定としておりまして、試行庁は東京地方検察庁とのことでございますが、他の地検におきましても、最高検察庁が事件を選び、個別に実施することもあり得るというふうに伺っております。

漆原分科員 一年半試行されると。その場合に、その試行の結果は、今後どのように生かされていくんでしょうか。

杉浦国務大臣 試行した結果を、当然のことながら、検察庁において分析、検討されることになると思います。裁判員制度における効果的、効率的な任意性についての立証という見地から分析されることになると思います。それを繰り返しながら、個々の事案における適切な録音、録画の範囲や方法等についてさらに検討を深めていかれる。実施は三年後でございます。裁判員制度の実施までにそういう試行を繰り返されていかれるというふうに思っております。

漆原分科員 初めてのことですのでいろいろ困難を伴うと思いますけれども、ここのところはしっかりしたものをつくり上げていただいて、今後の大きなルールをつくり上げていただければありがたいというふうに希望したいと思います。

 最後になりますが、裁判員制度を円滑に実施するためには、任意性の立証に限りません、わかりやすく迅速な立証が求められるものと考えますが、この点について法務省はどのように取り組んでいかれるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

杉浦国務大臣 申し上げるまでもなく、裁判員制度は一般の市民の方に、素人に参加していただくという制度でございますから、先生御指摘のとおり、円滑に実施するためにはわかりやすい裁判でなきゃいけない。それから、裁判所があるいは検察官が丁寧に説明していかなきゃならない。しかも、裁判員を長く拘束、拘束といいますか、時間を拘束できませんから、迅速でなきゃいけないということは当然のことでございます。

 ですから、今先生御案内のとおり、法曹三者がそれぞれ研究されております。三者協議会というのも立ち上がっておりまして、そこで検討されております。あちこちで裁判の迅速化について試みも、集中審理とかなされておるところでございます。

 検察庁におきましては、スローガンとして、見て聞いてわかる立証を実現しようということで、冒頭陳述等においても平易で聞き取りやすい言葉を用いるように心がけたり、あるいは絵とか図を活用するというようなことを試みられるとか、一部で始めておられますけれども、そういう試みをしていかれると承知しております。

 最近でございますが、最高検においては、裁判員裁判における捜査及び公判遂行のあり方等について徹底的な見直しを行うという観点から、裁判員裁判の下における捜査・公判遂行の在り方に関する試案を作成して、全国の検察官に送付されたというふうに承知をしております。

 このような法曹三者、弁護士会は弁護士会でなさっていますし、裁判所もなさっていますが、そういう真摯な取り組みによって、裁判員制度の実施までにはより一層わかりやすく迅速な審理が実現しているものと思います。

漆原分科員 今大臣おっしゃったように、裁判員制度はまさに国民の皆様に大変な精神的な、時間的な負担を願うわけでございますので、できるだけわかりやすくて、速く。長いというのが一番つらいというふうに思います。また、難解な法律用語がたくさん出てくるのも、これまた、皆さんがわからないということで、二の足を踏む大きな原因だと思います。

 そういう意味では、速く、わかりやすく、そして、裁判員になってよかったという、一つの仕事をなし遂げたという充実感のあるものにぜひともしていきたいと思いますし、また、法務省にもその旨御努力を願いたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて漆原良夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、森本哲生君。

森本分科員 民主党・無所属クラブの森本哲生でございます。本日の分科会でございますが、私の質疑で締めということになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は法務委員会の所属でもございませんし、法案審議に限らず、法務行政の大局的な議論はそちらの議論にゆだねたいというふうに思っております。決算行政監視委員会でありますので、各論事項について有意義な議論ができればというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、債権法の改正にかかわる問題でございます。

 あえて確認をいたしますが、今債権法という名前の法律があるわけでもなく、民法第三編のことを一般にこう呼んでおるわけでございます。

 一部報道によれば、これはことし一月四日付の日経新聞でございますが、インターネット取引、フランチャイズ契約、知的財産権に係るライセンスの契約等々、多様化した契約形態を法定化する趣旨で改正が検討されるということでございます。

 二〇〇四年民法改正の際には、書面によらない贈与の取り消しが、従来からの解釈に従い、撤回の二文字に改められておりまして、確かにこのようなマイナー改正はしばしば行われてきたところでありますが、恐らく債権法の抜本改正という新聞記事のタイトルから一般の方が得る印象は、先月施行された会社法のような大改正であろうかと思っておるわけでございます。

 そもそも、民法は、私法の根本規範として非常に重要であるということは言うまでもありませんし、典型契約は、売買など、私たちの日常生活上、常に発生している法律関係を規律するものです。また、商法、会社法に対しては一般法という位置づけになるわけですから、企業法務への影響が大きいかと考えます。

 大げさな言い方でございますが、現行民法は百十年の歴史がありますし、戦前の大審院判例を含めて、判例、実務の蓄積、学説の積み重ねは大変重いものがあると受けとめさせていただいております。

 きょうは、個別の論点について議論を進めるとそれだけで時間が過ぎてしまいますので、法案提出に向けたスケジュール、現時点における省内の検討状況について、大臣からまずお答えをいただければと思います。

杉浦国務大臣 委員でない先生が、法務行政のこれは非常に根本的な問題ですが、御質問していただきまして、大変感謝しております。

 債権法見直しの作業はまだ準備段階でございます。先生御指摘のとおり、明治二十九年の制定以来、先生のおっしゃる表現をそのまま使わせていただけば、マイナーな改正はたびたびございました。一番新しいのは、平成十六年、保証制度について根保証を中心に見直しが行われ、その際、この条文の表記については平仮名、口語体に改めましたが、中身については変わっておりません。といったようなことで今日に至っておるわけでございます。

 その間における社会経済情勢の変化とか判例、学説動向、大変な変化を遂げております。先生御指摘の、新聞にも出ておりましたけれども、契約でも、ネット取引とかフランチャイズチェーン契約、ライセンス契約、ファクタリング等々、経済社会の変化とともに新しい契約形態も出てきておるというようなことで、そういう動向を踏まえまして抜本的な見直しを行う必要があるということは認識しております。

 ただ、作業はまだ準備段階でございまして、これは、民法、もしやるとすれば基本法ですから法制審にかけなきゃいけませんが、現時点においてまだ法制審にいつかけるかということも決まっておりません。少なくとも年内はとても無理だということははっきりしておりますが。したがって、法案提出までの具体的なスケジュールも今後検討するということになると思いますが、内々と申しますか、法務省内で準備をしていることは間違いございません。

 新聞報道は若干間違ったところがございまして、私がこの民法改正委員会の設置を指示したというような記事がございましたが、これは民間の学者の先生がつくっておられる研究会でして、法務省、私どもで指示してできた委員会ではございませんが、学者の先生方の内部においてもさまざまな検討が行われているというふうに承知しております。私どももできるだけ早期に国会に提出すべく、できるだけ早期にというのは、気持ちの上ではあれですが、まだ具体的にいつどうこうというのは決まっておりませんけれども、努力してまいりたいというふうに思っております。

森本分科員 御丁寧に答弁をいただきましてありがとうございます。私もこうした法務については本当に素人でございますが、しかし、やはり、この日本という国がそういった法律で動いておる以上、これからもしっかり政治家として勉強させていただかないかぬというような、そんな思いでございますので、どうぞ今後ともいろいろな面で御指導いただきますようにお願いを申し上げます。

 あえて要望として申し上げますが、また御意見がございましたらちょうだいをさせていただきたいのでございますが、今の御答弁でほとんど言い尽くされておることでもありますが、それだけ国民一人一人にとっては重大なこれは利害関係があるわけでございますので、できるだけオープンな形で議論をしていただきたいということ、そしてさらに、この国会の場でも、試案、草案の段階で中間的な位置づけの議論をぜひともお願いさせていただきたいのでございますが、そのことにつきましても御答弁をよろしくお願いします。

杉浦国務大臣 最近、法改正につきましては、パブリックコメントを求めるというのが内閣の方針として法案改正以外でも行われております。当然各界の方々の御意向をお伺いすることになると思います。また、法制審に諮りました場合には、法制審におかれましても各界の御意向を十分にお聞きいただけるものと承知しております。

森本分科員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移ります。

 会社法が先月施行されました。最低資本金制度がなくなっていわゆる一円起業が盛んに宣伝をされましたけれども、経済産業省などが公表しているデータを見ておりますと、少しずつではありますが、そのメリットが功を奏してきたという認識を持っております。

 さて、会社設立の際には設立登記を行いますが、その登録免許税について確認をさせていただきたいと存じます。

 現在、最低でも十五万円という定めがありますが、起業家にとっては負担が重いという声も私のもとに実は届いております。中には登録免許税が幾らかかるかという事前の見積もりをしていなかった人もいるようでございますが、この登録免許税が幾らかかるということが国民の皆さんに知られたのはいつごろでございましょうか。よろしくお願いします。

寺田政府参考人 この会社法のねらいが起業の促進にあるということは御指摘のとおりでございまして、この会社法の検討のあり方は、先ほど大臣からも答弁がありましたとおり、基本的には、法制審の議論がされ、それが中間試案の形でオープンにされ、その上で国会の審議がなされて、それで国会の議決を経て法案になりましてからオープンになるわけでございますが、その過程で、私ども、さまざまな形でこの点についての内容についても国民の方々に周知徹底を図るという措置をとっているわけでございます。

 先年の国会で成立いたしましてから直ちにこの点については、いろいろな御議論もございましたけれども、私どもの方でも最低資本金についての広報は十分に図っているところでございます。

森本分科員 これは、国会で通過した日にちはいつと言われたんでございましょうか、大体。

寺田政府参考人 この会社法が成立いたしましたのは昨年の六月の二十九日だったと思います。

森本分科員 国民に周知をされたのはいつでございますか。

寺田政府参考人 ちょっと手元に具体的な資料がございませんが、私ども、法律が成立いたしましてから、秋以降に、ポスターを含めましてさまざまな周知徹底を図りましたけれども、最も御関心がおありになる会社関係の方々には、夏休み以後、具体的な説明会等を開くなどして周知徹底を図っているところでございます。

森本分科員 この周知期間が長い短いということは別にして、非常にこれは時期的には余りなかったという、局長はもう十分あったという解釈でよろしいんですか、周知徹底は。

寺田政府参考人 この点は大変評価が、恐らくいろいろな評価をなされると思います。と申しますのは、何といいましても全文で九百七十八条の大改正でございまして、他方、そのほかにも整備法等関連、非常に大きな法律だったと思います。

 他方、ことしの株主総会の時期が六月の末にあるわけでございますけれども、その時期で、企業が具体的にいろいろなことを総会で決定できる余裕を持った時期に法改正の、新しい法律の施行をしてほしいという経済界の要望も他方非常に強かったわけでございます。私どもとしては十分な周知期間ということで必ずしも御納得いただけなかったかもしれませんが、そういう他方の要望も勘案して決められました施行時期の割には早くから周知徹底を図れる体制にはあったというようには考えているわけでございます。

 ただ、何分にも非常に細かい点もございますし、特に、具体的な登記の手続について変わった点もございます。そういった点で、なお、必ずしも御納得いただけるような内容の周知が図れたかと申しますと、私どもにも若干反省点があろうかとは認識をいたしております。

森本分科員 そのお言葉をいただけたら納得でございますので、これ以上余り議論を続けるということは避けさせていただきます。

 ただ、本論に入りますが、この登録免許税を軽減するというような具体的な話を詰めていくべきではないかと思うんですけれども、国税当局の、国税局等の見解もあるんでしょうけれども、その辺についてはいかがですか。

寺田政府参考人 これは、先ほども申し上げましたとおり、この会社法のねらいの一つが起業の促進にあったことはそのとおりでございますので、この点について皆様の御関心が非常に強い。殊に最低資本金が非常な制約であったわけでございますけれども、その点が撤廃されました関係でこの登録免許税が非常にクローズアップされてきたという認識は、私どもも共通に持っているところでございます。

 ただ、登録免許税はやはり税制の一部でございまして、まさに今御指摘のとおり、財務当局、税制を所管される当局がお考えになることであるということでございまして、私どもも、非常に関連の深い登記を預かっている立場から、これについて非常に関心を持ち、今後ともかかわりを持ってまいりたいとは考えておりますけれども、基本的にはそういう仕組みで、財政当局にこの点についての所管があるわけでございます。

森本分科員 それ以上のお答えは無理だというふうに思っておりますので、どうぞ、そういった考え方はしっかり持って次に進んでいただきますようにお願いをいたしておきます。

 それでは、登記の識別情報に関する質問でございます。

 きょうは大臣も在席いただいておりますので直接にやりとりをさせていただきたいことがあるわけでございますが、四月二十五日の決算行政監視委員会で法テラスの問題を取り上げさせていただきました。そのとき、私は法律資格専門職の活用ということを申し上げたわけでございますが、法務省を初め、政府文書の中では、よく隣接法律専門職という表現が出てまいります。弁護士法七十二条が改正される前からずっと使用されてきたという経緯は理解はしておりますが、訴訟代理権の付与とADRでの活用ということが言われている今日では、ただただ排他的かつ差別的な表現に聞こえるのでございます。

 これは政府で一般に通用している表現なのでございましょうか。正式に認知されている表現なのでしょうか。そのことについて答弁をいただきたいと存じます。

 例えば、Aさん家の隣にBさんが住んでいると仮定します。Aさんから見ればBさんがお隣さんでございますし、またそれは、Bさんから見れば当然Aさんは同じく隣人でありますので、そう呼んで差し支えがないはずでございますが、Bさんが逆にAさんのことを隣人と呼ぶのはけしからぬという話、極端な話なんですけれども。

 結論を申しますと、このような誤解を招く表現は今後使用すべきではないと考えているわけでございますが、法務省の意識が変わらなければ他の省庁も変わらないと思いますので、あえて申し上げた次第でございます。

 他の専門職業を指して隣接などと総称する業界はほかにないのではないかというふうに思っておりますので、ここで大臣、弁護士出身というようなことで、明快な答弁を期待させていただきます。

杉浦国務大臣 正直申して余り明快な答弁はできないと思いますが。

 ここに柴山先生いらっしゃいますが、いわゆる法曹三者といいますけれども、裁判所、検察庁、弁護士会、司法を担っている法曹界と。法曹というのは、ブロードキャスティングじゃなくて法律の曹ですね、法曹界と言っております。

 その世界では、法曹三者ではないけれども法律の実務の面を担っていただいている、例えば、登記等については司法書士でいらっしゃいますし、税務の方で税理士がいらっしゃる、弁理士は特許等の事件にかかわっておられるわけで、それぞれ司法の一翼を担っていただいておるわけでございますが、主要なプレーヤーは三者だと。そして、それと一緒になって機能を担っていただいているという意味で隣接という言葉を使って、それが適切か否かは、また先方から、私は弁護士なんですが、弁理士さんからすると弁護士が隣接だなんておっしゃるかもしれませんが、そのあたりは、そんなに抵抗感なく皆さん理解しておられるのではないかというふうに思っております。

 司法改革の中でも、それぞれの士業の中の壁を取り払おうという努力を随分いたしました。議論もございました。監督官庁も違うんですね。司法書士会は法務省ですか、税理士会は財務省です。土地家屋調査士はこちらですか、行政書士は違いましたね、総務省ですね。なかなか所管する役所も違いましてあれですが、例えばADRでしたら、かなり広範囲に士のついた方々に御参加願うようになりました。

 例えば法廷の事件についても、司法書士の方に簡裁の事件を御担当いただける、一定の条件つきですが。なかなか議論がありましたけれども、弁護士会も了承した。例えば弁理士の方は、特許権等の知的財産権についての訴訟、補助者じゃなくなったですね、共同になりましたし、税理士の先生方は意見陳述権が与えられた等々、かなり今までの士の間の壁を低くしたり取り除いたりすることは今度できたと思っておりますが、これも、お互いに議論しながら、どういうやり方がいいか、相当激しい議論もありましたが、やはり全体として、司法が国民のためにどうあるべきかという見地から、かなり進んだと思っております。

 ちょっと長くなって恐縮ですが、余り明快ではございませんが、そういう先生のような御意見はあるだろうというふうには思っております。

森本分科員 ありがとうございます。

 私もいろいろこれまで勉強させていただいておるんですけれども、今前段でお話をされておった裁判の陪審員の関係、民間が入られる。この隣接法律専門職、これを法律資格の専門職と言っていただいたら、ああこの方が入るんだなとわかるんですけれども、隣接法律専門職、これは言葉から、素人の場合は覚えて入っていかないところに、入る前からすごく抵抗感が出てくると思うんですよ、大臣。

 ですから、専門の方はある程度暗号のような、今私も、若い人たちの言葉で超急カーブ、何でもないカーブを超急カーブと言った方が事故が少なくなる、いろいろな若い人の専門用語の中で楽しむ。しかし、そうなると、法律界の方がある面では疎外されていく。本当に民間に入ってほしいと言いながら、あえてこういう言葉遣いは、いろいろな面で修正を図っていただくことを、ちょっと私、素人の考えで申しわけないんですけれども、お願いしたいなというふうに思わせていただいております。しかし、きょうはいろいろ勉強させていただくところも多うございますし、大変感謝をいたしております。

 それでは本題に入っていきますが、昨年の不動産登記法の改正は、登記実務オンライン化に向けた登記識別情報制度の導入が大きな柱であったわけでございます。

 ところで、制度改正前は、御承知のとおり、登記済み証で運用されておりましたので、現物を有資格者の方が確認することができたわけでございます。しかし、現行制度は、結果として、確認業務が余り合理的でないという意味を含めて、厳格になっていることから、実務に負担がかかっているということを認識しているのでしょうか。

 例えば、現在では、わざわざ登記所で確認する必要があります。この有効証明請求をする場合、実印を押印した委任状と印鑑証明が要求されますが、そこには有資格者の能力に対する信頼、信用が入る余地がないというふうに私は思っております。不便な面が露呈していることをはっきりと認識をしていただくべきではないでしょうか。

 有資格者ですら確認できないような状況をつくってしまっては何の意味もないのではないかというふうに私は考えます。不動産の権利の得喪は、資本主義社会の根源でありまして、礎でありますので、改善すべき点は直ちに改革に着手すべきというふうに考えます。

 この論点を思い返してみますと、当時私はまだ議員ではありませんでしたが、法改正が行われたときの衆議院附帯決議の内容を再認識、再確認する必要があると思います。

 現状認識について簡単な答弁で結構でございますので、制度改革をどう進めていくかという中身の伴った具体論について答弁をお願いいたします。

寺田政府参考人 まず附帯決議の点で、御指摘もありましたとおり、一般論で申し上げますと、私どもといたしましても、この新しい不動産登記法は、いろいろと従来とは異なる試みをしているわけでございます。

 とりわけ、オンライン申請等、全く新しい手続があるわけでございまして、そこには、従来と比べて便利になる面もございますし、また従来から比べて便利になる分、必ずしも便利さが伴ってこない部分もあるわけでございます。

 したがいまして、実際にこの登記を運用していった後にさまざまな面で見直しの部分が出てくることは当然あり得ることだろうというように考えているわけでございまして、それは、しかるべき時期になりましたら、また私どもとしても必要な見直しというのはするというスタンスでいるわけでございます。

 今お尋ねのありました登記識別情報でございますが、これは、本人を確認するのに従来のような書面でない方法であり得るものとして、さまざまな御意見もあった中で、最もこれからの社会にマッチするだろうということで考えられたわけでございます。

 司法書士さん初めこの手続の専門家の中には、これによりまして、登記識別情報の有効性の確認をするのに、そういう手続があるわけでございますけれども、その手続をするのに、必ずしも思ったほど便利にはならないという側面があるという指摘がある、これは私どもも十分認識をしているわけでございます。

 ただ、これはやはり本人確認ということをどこまで重大なものと考えるかでございまして、登記の対象になっております不動産というのは、やはり国民の財産の非常に重要な部分でございます。それが手続としては軽くなるということは、それだけ何らかの形で損害が生じる余地も出てくるわけでございまして、そういう面で、私どもも、ある程度は御不便はおかけしつつも、なお慎重にこの点は考えているところでございます。

 ただ、おっしゃいましたように、いろいろな工夫があり得るかもしれない、そこは私ども十分認識しているわけでございまして、今おっしゃった司法書士会あるいは土地家屋調査士会の皆さんを初め関係者の方々と、また十分にいろいろな面で御協議をさせていただきたいというように考えております。

森本分科員 ありがとうございます。

 認識は十分されているというふうに理解をさせていただきましたので、いろいろな方々の意見を参考によろしくお願いをいたします。

 登記原因証明情報につき、オンライン申請の際は、申請人の電子署名が必要であるということに今なっておるわけでございますね。しかし、もともとは代理権限情報に署名してあるわけでございますから、明らかに重複しているのではないかというふうに思います。

 むしろ、発想を変えて、資格者に登記原因証明情報の作成権限、認証権限を与える方が取引の実態に沿うと考えますが、この点についていかがですか。

寺田政府参考人 この点につきましても、おっしゃるとおり、従来ですと、契約書に相当するような登記原因を証する書面を一体だれが作成するのかということがございましたので、そういうこととパラレルに考えれば、登記の原因を証するその情報を登記所に提出する場合に、どこまでの確かさを要求するかという問題でございます。

 実態は、今申し上げたとおりであることが多いとは思いますけれども、しかし、それをどこまで確実に登記所の方で把握するかということになりますと、やはり新しい登記法のスタート時点では従来と基本的に同一の発想に立つ必要がある、慎重な手続が必要であると私どもは考えているわけでございます。

 ただ、この点も、現実にどういうことが起こるかということをもう少し十分に見きわめる必要があろうかとは思いまして、そういった点で、なお改善の余地がないということを断言しているつもりはございません。私どもも、なおいろいろな方の御意見は伺うつもりではおります。

森本分科員 時間がなくなってきたようでございます。一つ飛ばさせていただいて、最後の質問。

 司法書士に対して簡裁代理権が付与されましたが、研修を受講後、修了考査に合格した司法書士が、認定司法書士として、訴額の範囲内で訴訟の代理などの権限を行使できるというスキームがだんだん定着してきたのではないかというふうに思っております。

 司法書士の将来像をどう見定めるかということにつながりますが、訴訟代理権があるというのを一般的な姿として、試験制度あるいは養成制度を見直していくべきではないかということを提言として申し上げたいわけでございますが、直ちに改革に着手するという話にはならないでしょうが、将来ビジョンについて認識をお伺いさせていただきます。

寺田政府参考人 今御指摘のありましたとおり、司法書士の皆さんに簡易裁判所の代理権が与えられまして、もう数回、この認定のための手続をとっております。現在、全体の約半分の方がこの資格をお持ちになっておられます。

 それを、もともと司法書士の皆さん全員にそういう資格を与え、かつそのための能力のテストをしたらどうかというような御提言が一部であることは私どもも承知しているわけでございますけれども、現実は、私どもは、まだ登記を中心にして法務局の手続の代理をなさっている司法書士の皆さんが、簡裁の代理権を現に行使されている割合というのはそんなに多くないかなというように認識をいたしております。

 反面、そのために必要な能力というのは、これは法廷技術でございますとか、あるいは、証明責任を勘案した上での、訴訟で主張すべき事実はどういうものであろうかというような非常に特殊な分野に当たり、余り従来の大学等では教えていない分野でございますので、そういうことの知識を得るという道も必ずしも広いわけではございません。

 そういうことを勘案いたしますと、現在直ちにこの資格を一本化して吸収して、そもそも司法書士になるにはそういう能力も必要だということとするにはやや時期尚早ではないかなと考えているわけでございます。今後もなお十分に慎重な検討を必要とするわけでございます。

 いずれにいたしましても、もう少し全体の動向を十分に把握した上で、この点については検討してまいりたいと思っております。

森本分科員 ありがとうございました。

 これからの養成制度というようなことで御理解いただけたらというふうに思っておりますので。

 少し時間がオーバーしました。お許しください。

 終わります。

斉藤主査 これにて森本哲生君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明六日午後三時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


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