衆議院

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第2号 平成19年4月24日(火曜日)

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平成十九年四月二十四日(火曜日)

    午前十一時開議

 出席分科員

   主査 古屋 範子君

      佐田玄一郎君    柴山 昌彦君

      鈴木 馨祐君    西本 勝子君

      平口  洋君    古屋 圭司君

      安井潤一郎君    北神 圭朗君

      長島 昭久君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    鷲尾英一郎君

      鈴木 宗男君

   兼務 江藤  拓君 兼務 藤野真紀子君

   兼務 伊藤  渉君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   法務副大臣        水野 賢一君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐野  洋君

   会計検査院事務総局第三局長            高山 丈二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   池上 政幸君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 荒井 英夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           佐藤 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  冨士原康一君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事)            大庭 靖雄君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         尾見 博武君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     平口  洋君

  吉良 州司君     馬淵 澄夫君

  鉢呂 吉雄君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     鈴木 馨祐君

  仲野 博子君     三谷 光男君

  馬淵 澄夫君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 光男君     長島 昭久君

  鷲尾英一郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     吉良 州司君

  長島 昭久君     鉢呂 吉雄君

同日

 第一分科員藤野真紀子君、伊藤渉君及び第三分科員江藤拓君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十七年度政府関係機関決算書

 平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫)


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     ――――◇―――――

古屋主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成十七年度決算外二件中、本日は、法務省所管、国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。

 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。長勢法務大臣。

長勢国務大臣 平成十七年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は一千百三十一億八千八百九十二万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は一千八十六億八百四十一万円余であり、歳入予算額に比べますと四十五億八千五十一万円余の減少となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千三百九十六億九百四万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千七百二十二億三千三百八十八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は六百三十七億三千六百三十七万円余であり、不用額は三十六億三千八百七十八万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は一千九百七十一億三千七百六十四万円余であり、支出済み歳出額は一千七百億七千八百三十七万円余で、差し引き二百七十億五千九百二十七万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は一千八百二十二億四千六百九十六万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は一千九百七十一億三千七百六十四万円余であり、歳入予算額に比べますと百四十八億九千六十七万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は一千七百三十二億三千八百八万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は一千七百億七千八百三十七万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七億三千五十八万円余であり、不用額は二十四億二千九百十二万円余であります。

 以上をもちまして、平成十七年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

古屋主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院事務総局事務総長官房佐野審議官。

佐野会計検査院当局者 平成十七年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

古屋主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平口洋君。

平口分科員 自由民主党の平口洋でございます。

 私は、保護観察の分野、特に保護司の制度運営を中心に質問をさせていただきます。

 きょうは、長勢甚遠法務大臣、また水野副大臣初め、法務省の幹部の皆さん方に御出席いただき、ありがとうございます。

 今国会では、更生保護機能の強化という観点から、現在の犯罪者予防更生法、それと執行猶予者保護観察法、これを統合されて更生保護法案を準備され、現在国会に上程されているところでございますが、一日も早いこの法案の成立によって、制度の一層の充実というものが図られることをまず期待をいたすものでございます。

 さて、私がきょうここで保護観察や保護司の質問をするに至ったきっかけをちょっと申し上げたいと思います。

 実は、私、学生時代、法学部の学生でございましたものですから、刑事学とかあるいは刑事政策という分野で、プロべーションとかパロールというような、アメリカ合衆国あるいはイギリスの制度に倣って日本の保護観察もできたというような記憶があったのでございますけれども、それから長い間、こういったような仕組みあるいは保護司のことについては記憶から外れておったところでございます。

 ただ、今こういう仕事をするようになって、地域社会の細部にわたって密接なつき合いをし、地域の発展や安全といったようなことを考えるようになって、この分野で、特に民間の保護司の方々が、いかに地域の安全あるいは向上といったようなことを考えて、ボランティア精神で、保護司の本来の活動のみならず、それを超えた地域活動をしておられるということを発見し、また気づきまして、大変感銘をいたしているところでございます。

 もちろん、民間サイドでは、民生委員とかあるいは人権擁護委員というふうな方々も地域社会にはいらっしゃいまして、保護司の方々とともに、地域のいわば良識というものを形成されているわけでございます。

 こういったような点から、保護司についていろいろと調べさせていただいたりしたんですけれども、調べるにつれて、その価値というものが大変わかってまいりましたが、あわせて若干の問題があるようにも思っておりますので、そういったようなことを中心に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、歴史的な事柄について一つ二つお伺いしたいんです。

 物の本、あるいは文献によると、現在の我が国の更生保護の起源となったものは、明治時代に出獄人保護会社というものができたということでございます、静岡県でしょうか。

 この会社がなぜできたかというと、ある刑務所の所長さんがおられたんですが、この刑務所の所長さんの体験として、刑務所を出所した囚人が社会の中に戻る場所を見つけることができず、再び犯罪に手を染めるということを避けるためにみずから死を選んだといったようなこと、これにこの刑務所の所長が大変心を痛めて、出獄人保護会社という会社をつくった。そして、刑務所の出所者に衣食住を提供する、あわせて全県下に千七百人を超える保護委員を委嘱する、これが現在の保護司と類似したようなお仕事だったと思うんですけれども、この委嘱することにさかのぼって、これが今の制度の前身となったというふうに書かれたものを読んだことがありますが、これは事実でございましょうか。

藤田政府参考人 御指摘のとおりかと認識しております。

 我が国の保護制度の淵源というのは、今御指摘になりました、静岡県の出獄人保護会社というものが県下に配置した保護委員にあると認識をいたしておるところでございます。

 文献によりますと、今御指摘のとおりでございますけれども、ある男が、二度と過ちをしないようにしようということを誓って刑務所を出たんだけれども、家族に受け入れられない、また親族にも受け入れられないということで、出所時の誓いを守ることができないと絶望いたしまして池に身を投じてみずから命を絶ったという話を聞いた、静岡県の治山治水事業を行っておりました実業家である金原明善という人が、改心をして刑務所を出所した者を社会の中で保護していかなきゃいけないというふうに思い立ちまして、明治二十一年に、我が国の更生保護施設の原型ともいうべき静岡県出獄人保護会社を設立したというふうになっております。

 当時は法人格のない、団体でございますか、会社と呼んでおったようでございます。その後、民法が施行されて、そして明治三十三年に社団法人になったということでございます。この保護会社が静岡県下全域に保護委員約一千七百人を配置いたしましたけれども、これを皮切りにいたしまして、全国的に同様の事業が広まりました。

 昭和十二年に全日本司法保護事業連盟というものが結成されて、一万四千人に及ぶ民間篤志家たる司法保護委員が誕生いたしました。その後、昭和十四年に司法保護事業法の施行で、国の制度としてこれが組み込まれました。そして、昭和二十五年に司法保護委員制度を受け継いで保護司法が制定され、現在の保護司制度が形づくられたという経緯であると承知しております。

平口分科員 どうもありがとうございました。

 もう一つお伺いしたいんですが、太平洋戦争が終わって連合国の支配下に入って、この分野もいろいろと制度改正が行われたわけでございます。その一つに、昭和二十四年に犯罪者予防更生法というのが制定をされておりますが、聞くところによりますと、その法律を策定する過程で、現在の保護司の前身に当たります司法保護委員、もちろん民間の方でございますけれども、こういう方に保護観察を行わせようとする日本側の主張に対して、マッカーサーの連合国総司令部は、保護観察をボランティアにゆだねるべきじゃないというふうに主張したとされておりますけれども、これは事実でございましょうか。

 また、事実とすれば、マッカーサーの総司令部が保護観察をボランティアにゆだねるべきでないというふうに主張した理由というものは、どういったようなことが予測されるんでしょうか。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、当時の司法省事務担当者の回想録などによりますと、連合軍総司令部の担当部署から保護観察をボランティアに担当させてはいけないという指摘がされたという記述が見られるところでございます。その理由ですけれども、同じく回想録によりますと、ボランティアは無給で非常勤だから責任ある役目につけてはならない、保護観察は国の有給、常勤の職員に担わせるべきであるということであったとされておるところでございます。

 しかしながら、同じ回想録によりますと、当時の司法省の担当者が、総司令部に対しまして、保護司の前身に当たります司法保護委員というのは、単なるボランティアではなくて、国から特定の地位と役割を与えられ、無給ではあるけれども、奉仕の精神を持って公務に従事している、そして、その実績もあるし、地域の事情にも明るい、信望もあるというようなことなど、司法保護委員の活動の実情を説明いたしました結果、法律上、保護観察の実行機関として司法保護委員が残されたということになったということでございます。昭和二十五年に制定されました保護司法において、これが保護司とされたということでございます。

平口分科員 よくわかりました。

 無給で非常勤の方にやってもらうか、あるいはもう有給で常勤の方にやってもらうか、責任がどっちが持てるかみたいな議論もやはりあるかと思います。いろいろな面で、この問題点については、問題提起をしてくることじゃないかというふうに思います。

 感想を申し上げれば、総司令部が指摘したように、やはり無給でボランティアの点を逆手にとった制度運営がなされないように、やはりきちんと制度を仕組んで運営していくべきじゃないかというふうに思います。

 それでは、制度の中身にちょっと入らせていただきたいんですが、まず、昭和二十五年に保護司法という法律が制定されていまして、保護司の任務などが書いてあるわけでございますけれども、その中で、保護司の定数は五万二千五百人以内というふうにされているようでございますけれども、この数字はなぜこのようになったか、御説明いただきたいと思います。

藤田政府参考人 保護司の定数であります五万二千五百人につきましては、今御指摘になりました保護司法制定当時、昭和二十五年度におきまして、保護司の前身であります司法保護委員の予算上の定数が五万二千四百八十八人であったということから、保護司法制定の際に、これを参考にして五万二千五百人とされたものと承知をしております。

平口分科員 一応の説明はそういうことかもしれませんが、昭和二十五年から今に至るまで、ほぼ大体六十年近い年月がたっているわけでございます。それで、現在の法律も今なおこの五万二千五百という数字になっておりまして、この数字をもとに各県の定数も割り振られているわけで、私の出身である広島県なんかは千三百人ということでずっと来ているわけでございますが、常識的に考えると、五万二千五百で五十年も六十年も続くというのはちょっとおかしいんじゃないかというふうに感触を持つわけでございます。

 そこで、昭和二十五年当時の保護観察の案件、これが一体幾らぐらいであったか、それと、現在ではそれがどのぐらいになっているか、そういったようなことについて、ちょっとお聞きしたいと思います。

藤田政府参考人 保護司法制定当時の昭和二十五年の保護観察事件の数は、新規受理件数で見ますと五万九千七百三十九件でございます。これに対しまして、平成十七年の新規受理件数は六万二千五百六十二件と多くなっております。

平口分科員 今の点に関して、私としては、やはり時代の変化に沿った保護司の数の充足をしてもらいたいというふうに思うわけでございます。

 例えば人口は、現在の一億二千万人余りに対して当時は八千万人余りでしたから、一・五倍ぐらいになっているわけでございますし、先ほど調べましたら、刑法犯認知件数が、昭和二十五年当時は百四十六万余だったんですが、現在は二百二十六万余になっておりまして、国全体として治安の方で悪化する嫌いが見られるわけでございます。

 そういったようなことからすると、やはり五万二千五百人は少し少ない、少なくとも今よりも二割とか三割とか、そういう増加を図るべきじゃないかというふうに思うわけでございますが、これは大臣にお答えいただきたいと思います。

長勢国務大臣 保護司の皆さんには、大変な使命感を持って、奉仕の精神で御苦労いただいておりまして、敬意を表しております。おっしゃるとおり、保護司の業務量も増加をしておりますし、また、時代の変化に伴って内容も難しくなっておりますので、おっしゃるように、定数等も考えることが多いだろうと思ってはおります。

 また、現状を申し上げますと、平成十九年一月一日現在で、定数が五万二千五百人ですけれども、実数は四万八千五百六十四人、充足率九二・五%という状況でございます。定数増も考えなきゃならない問題かもしれませんが、まずもって充足率を高めるということが先決だろうと思っております。なかなか大変なお仕事でございますので、適切な方になっていただくということを、我々は、これから一生懸命やっていかなきゃいけない、いろいろな工夫も凝らして、そのことをまず全力を挙げて、保護司の方々がきちんとした役割を果たしていただけるように努力してまいりたいと思っておる次第であります。

平口分科員 わかりました。

 充足率が今は一〇〇%じゃないということでございますので、その面の御努力をいただきたいのと、あわせて、この保護司の定数についても、今後御検討いただければというふうに思うものでございます。

 次に、保護司の任務でございますけれども、保護司法の第一条に、保護司の使命という規定がございます。本来の業務は、仕事は、犯罪をした者の改善及び更生を助けるということ、これはだれしも理解できることでございますけれども、このほかに、犯罪の予防のために世論の啓発に努めるといったようなことも保護司の使命とされておるわけでございますが、これはどのようなことを想定し、またどのようなことが実際に実施をされてきたのか、伺いたいと思います。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、保護司法の一条におきまして、保護司の使命として、犯罪の予防のための世論の啓発に努めるということが規定されております。これは、一般社会を対象にしまして、犯罪の動向、犯罪をした者の改善、更生に関する知識等を普及し、犯罪の予防や更生保護についての一般の意識を向上させるということを想定したものであると考えております。

 現在、全国の保護司の方々には、いろいろな地域の実情に応じた啓発活動、一般にこれを我々は犯罪予防活動と呼んでおりますけれども、これを実施していただいております。

 例えば、更生保護についての理解を深めるためのシンポジウムの開催、あるいはテレビやラジオに出て広報活動をしていただく、あるいは毎年七月を強調月間として法務省が主唱しております全国運動であります社会を明るくする運動における講演会とか中学生等の意見発表会、あるいは保護司さんが中学校と連携をしながら行っております非行防止活動として、例えば薬物乱用防止教室であるとかあるいは教職員、PTAとの合同の研修会というようなものを開催していただいております。

    〔主査退席、柴山主査代理着席〕

平口分科員 次に、保護司の選任のことで御質問したいと思うんですけれども、言うまでもなく、保護司の方々は、犯罪を犯した人たちの相談に乗るといったような大変大切な仕事をしております。また、地域社会の世話役としても活躍している人が多い。法律上も、例えば、人格、行動について、社会的な信望を有することとか、職務の遂行に熱意を有することとか、あるいは健康で活動力を有することとか、そういったような条件を備えているという必要があるわけでございます。

 実際問題、こういう方々をどのようにして見つけるかということが大切でございますし、このところの作業を失敗すると、本当に更生保護の目的も達成されませんし、社会全体としても不安になるわけでございます。

 形式的には、保護観察所の所長が選考会の意見を聞いて、委員会の委員長に推薦をして、地方更生保護委員会の長が委嘱するというふうな手続をとっておられると思うんですけれども、この保護観察所の所長さんが推薦者をどのようにして見つけておられるのか、お伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 従来の一般的なやり方といたしましては、退任される保護司さんなどが個人的な人脈でもって後任者を探していただくということが多かったと思います。これはなかなか、地域の人間関係の希薄化等によりまして、うまくいかなくなっておるということは私ども認識しておりまして、一昨年から、法務省と全国保護司連盟が連携をいたしまして、保護司候補者内申委員会モデル地区事業というものをやっております。地域の町内会とか自治会とか教育関係者、民生委員等、いろいろな方々に委員になっていただいて推薦をいただくというやり方を始めておるところでございます。

平口分科員 よくわかりました。

 ボランティアという性格上、勢い定年退職後の方々を探すことになって、今、たしか保護司の方々の平均年齢も六十三歳というふうにやや高くなっていると思います。定年になられた方を定年になってから探すというのではなかなか追っつかないと思いますので、できれば、定年前から保護司の予備軍のような方々を養成して、そういったような方々を確保しておく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 特に、団塊の世代が退職を始めるこの数年間というのはちょっと勝負どきじゃないかというふうなことも思いますけれども、中長期的な観点に立って保護司の適格者を探すというふうな努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

 私どもとしては、当面、モデル地区事業を推進したり、あるいは保護司の活動内容の重要性等を地域の方々に理解してもらうという中で適任者の発掘に努めたいと思いますけれども、今御指摘のようなことも踏まえて、いろいろな方策を検討させていただきたいと思っております。

平口分科員 保護司との関連で、保護観察官という制度について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 マッカーサーの司令部も、多分想定したのは、保護観察官で一元的にやったらどうかというふうなことであろうと思いますし、実際、アメリカもイギリスもフランスもドイツもこういった保護観察官の制度でやっているわけで、民間の保護司という立場の方々に活躍してもらうのは日本だけの制度でございまして、よいといえばよいと思うんですけれども、保護司のまとめ役というんですかね、保護観察官と保護司の役割分担というのは現在どのようにされておられますか。

藤田政府参考人 我が国の保護観察は、常勤の国家公務員たる保護観察官とそれから民間の篤志家である保護司さんとの協働体制で実施をされておるところです。ただ、保護司さんは、非常勤の国家公務員という性格も帯びておるところでございます。

 実際の事件につきましては、犯罪者予防更生法の二十条によりまして、保護司は、保護観察官で十分でないところを補う旨規定されておるところでございますけれども、大方の事件のやり方を申し上げますと、まず、保護観察官が当初に対象者と面接をして、処遇計画を策定いたします。そうしますと、保護司さんがそれに従って自宅で対象者や家族等と面接をする、あるいは対象者宅や職場などを訪問していろいろな指導をする、その結果を毎月保護観察官に報告をする、保護観察官はそれを受けて、また保護司さんと協議をしながら必要な指導助言等を行うというのが一般的な保護観察事件の進め方でございます。

 ただ、当然のことながら、引致でございますとか仮釈放の取り消し等の権力的な業務は専ら保護観察官が行っておりますし、保護観察で行うべき処遇プログラムの実施なども保護観察官の仕事でございます。

 また、ごく少ない件数でございますけれども、保護司さんには脅迫的な態度をとる者がいたり、あるいは重大事犯で特段の配慮が要るというようなものもございますので、これは保護司さんにはやっていただけないので、保護観察官が行うということがございます。

平口分科員 今、数字でいいますと、保護観察官一人当たり保護司が大体四十七名ぐらいになりますけれども、分担関係を築くにしても、一人対四十七人ではなかなか難しいんじゃないかというふうに思います。

 諸外国の数字を見ましても、例えば、イギリスだと、人口は日本の半分ぐらいですけれども、八千名弱の保護観察官がおられますし、またアメリカの連邦だけの数字をとっても五千名弱の保護観察官がおられます。

 こういったようなことを見ると、やはり保護観察官の増員ですね。ここ十年をとると一割ぐらいふえている数字はいただいているんですけれども、千人ぐらいでは、日本の一億三千万人弱の人口の中では到底数字が少ないんじゃないかというふうに思いますが、保護観察官の増員の方をどのようにお考えでしょうか。

長勢国務大臣 保護観察官と保護司の比率は御指摘のとおりでございまして、ややもすると、保護司に任せっ放しになっているんじゃないかという御指摘もないわけではないわけでございます。

 今、再犯防止ということも大変大事な課題になっておりますし、保護観察体制がきちんといくというためにも観察官の増員ということが一つの課題でございまして、逐年この増員に努めてきているところでございます。

 同時に、定員の状況は先生御案内のとおりでございまして、やはりあわせて、この日本の、保護司の方々に大変御苦労いただいておる、この体制自体は、私はそれなりに日本の実情に合ったすばらしいものだと思います。

 むしろ、保護観察官と保護司との関係をきちんと連携がとれるようにどうやっていくか、難しい事件を直接保護観察官がやれるような仕組みをつくる、あるいはその研修体制をきちんとやるということにこれから全力を挙げていかなければならない、そういう観点も含めて、今回法案を出しておるところでございますので、何とぞよろしく御支援をお願い申し上げたいと思います。

平口分科員 こういう財政の状況ですから増員はなかなか難しいと思うんですけれども、一般職の国家公務員かあるいは全く無給のボランティアかということじゃなくて、もっと中間的な形態として、非常勤で、例えば時給のような方を考えて、保護観察官補のような制度を考えて、定年退職後のサラリーマンの方、公務員の方々にこういったことを委嘱するというふうな制度が考えられると思うんですけれども、いかがでしょうか。

長勢国務大臣 御提案でございますので、我々も検討してまいりたいと思いますが、お聞きするところによると、先生の奥さんも保護司として大変御苦労いただいていると聞いていまして、感謝にたえないところでございます。

 無給、無給といいますか、保護司の方々は、多くの方々は奉仕という形で仕事をやっていることに大変な誇りをお持ちで、それが活力になっているという部分もありまして、そういう大変ありがたいお志を無にしないような形で頑張っていただけるように、我々もいろいろなことを工夫していかなきゃいかぬと思っております。

平口分科員 あと、予算的なことをちょっとお伺いしたいんですが、もちろん、保護司は無給であることと法律上されておりますし、それが一つの制度の美徳でもあるようにも思うんですけれども、最低限、活動経費ぐらいは国家の方で支弁する、あるいは自治体の方で支弁するような制度にしていかなくちゃいけないというふうに思います。

 年々歳々、法務省さんの方の努力でこっちの方の予算がふえているということは存じ上げておりますけれども、ただ、まだ個々の保護司さんは毎年二万円ぐらい自腹を切って、研修費に充てたり、いろいろしておられる面があるわけでございまして、まあ、自腹を切ること自身はいいことかもしれませんけれども、研修をきちっとやっていって、保護司の資質を維持する、レベルを維持するということも大事だと思います。

 私もこの質問をすることを決めて、本を一冊買ったんですけれども、「矯正教育の方法と展開」という本なんです、これだって三千四百円ぐらいするんですよね。これをボランティアの方々が自費で買ったりして勉強するというふうなのも、やや無理なような面もあると思いますので、特に研修費なんかについて、保護司の団体の方にきちんと予算化をしていただくわけにはいかないでしょうか。

長勢国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、保護司の方々は、預かった方々のいろいろな世話をするだけでも大変な時間をかけ、また金銭的な御負担もいただいておるわけでございます。そういう方々がきちんとした能力を維持しつつ活動していただくためにも研修は大変大事でございまして、その部分もみんな自己負担をやらせるということはやはり考えていかなきゃならぬということで、平成十九年度予算におきまして、保護司会が自主的な研修会を開催したり機関誌を発行して広報活動を行うなどの組織活動のために要した費用は支給するということにして、保護司会活動援助費を新設することにいたしました。予算額は一億七千六百万、一保護区当たり約二十万ということで、まだまだ十分とは言えないと思いますが、今後ともこういう保護司の方々の活動が十全なものになるように、充実に向けて努力してまいりたいと思っております。

平口分科員 時間が参りましたので、最後に一問だけ、大臣の方にさせていただきたいと思います。

 保護司は、犯罪を犯した方々、そういった方々の相談相手としてスタートして、こういった方々の更生を助けるという役割を果たしてこられていますけれども、こういう分野には当たりませんが、その近辺にいるグレーゾーンの人たちも随分とたくさんいらっしゃるんじゃないかというふうに思います。こういった方々に対する改善更生の制度、これは警察庁なんかも関係するかもしれませんけれども、こういったような更生を図っていく制度を考えるべきじゃないかというふうに思います。

 また、特に最近、法令遵守、英語でコンプライアンスというんですけれども、これがよく言われておりまして、企業もこの法令遵守、コンプライアンスにきちんと沿った形でないと適切な企業の経営ができない、あるいは我々政治家もこういったことについて要求をされているわけでございます。ですから、罪を犯した後の方々をどうするかという視点も必要ですけれども、そもそも社会全般のルールをきちんと守っていく社会をつくっていくという旗振り役も大事な仕事じゃないかというふうに思います。

 特に、法務大臣は総理大臣に次ぐ格の高い大臣だというふうに言われているのを聞いたことがございます。多分これは、日本が法治国家であるため、法務大臣の格が高いんだろうというふうに思います。

 こういう意味で、事後的な犯罪者の救済というふうなことのほかに、もっと事前的な、守るべき人間世界のルール、そういったものをきちんと遵守していく社会をつくっていこう、そういう旗振り役を法務大臣や法務省に果たしていただきたいというふうに期待するものでございますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 保護司さんはいわゆる観察対象者の改善更生が主たる任務ではございますが、同時に、今御指摘のように、犯罪予防活動というものにも大変御努力をいただいておるわけであります。社会を明るくする運動というものを今進めておりまして、みんながルールを守る、遵法精神をきちんと持つということがこれから一番大事なことであります。

 そして、やはり保護司さんなりそういう方々が活動しやすくするためには行政的な支援の充実も大事でございますが、あわせて、町内会とか地域とかの中で、そういう活動をみんなで支えるという動きをつくっていくことがもっともっと必要であろうと私は思っております。

 今そういうことを、社会を明るくする運動という形でその充実を図っていきたいと思いますが、いろいろな事件が起きる、またそれにあわせて再犯の問題も起こるということで、法務省の責任は大変重いと思っておりますし、全力を挙げて取り組んでいかなければならないと思っておりますので、一層の御支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。

平口分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

柴山主査代理 これにて平口洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵分科員 民主党の馬淵でございます。

 本日の決算行政監視委員会第四分科会におきまして、法務部門につきまして質疑の機会をいただきました。昨年に引き続き、私は、法務省が進めておられますオンライン申請、この件につきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 去る四月の四日、日経新聞夕刊あるいは毎日新聞朝刊といった各紙が、オンライン申請がつながりにくくということでの法務省の対応につきまして、システムダウンということが報道に上がっております。

 四月の二日に、オンライン申請、新たなシステムの稼働が行われた、このことにおきまして、システムのダウンということのトラブルが報じられたわけでありますが、この四月の二日に何がスタートをしたのか、これは事務方で結構です、端的に御説明いただけますか。

池上政府参考人 四月二日に、法務省オンライン申請システムのアクセスが集中し、御指摘のようにつながりにくい状況が発生いたしました。

 この理由としましては、実は四月一日から、オンライン利用促進のためのインセンティブ措置として、手数料を一部減額するという措置を講じたというのが一つございます。また、電子公証など新しい申請手続も追加したということもございます。あわせて、新年度の当初でございまして、商業登記、法人登記等の関係の証明書等の申請が集中したことなどが影響したのではないかと考えているところでございます。

馬淵分科員 新年度から、不動産登記並びに商業登記の新システムを、新たなオンライン申請が可能な形にするもの、さらには値下げ等々を行われてきた、その中でのアクセスの集中があったためにシステムがダウンしたということでありますが、もう少し具体的にお話をさせていただきたいというふうに思います。

 委員長のお許しをいただきまして、このシステム障害の時系列表というのをこの分科会において配付させていただきました。

 ここに、お手元の資料の一枚目でございますが、三月一日、すなわち、今回、この四月一日以降申請手数料を千円から七百円に値下げする以前のオンラインシステムでのアクセスによるログイン要求件数というのが例として挙がっておりますが、これが千六百七十七件。すなわち、一カ月前はこの程度であったということですね。ウエブアクセス件数、とりあえずオンライン上でウエブにアクセスしてから来られる方、そこからログインを要求される方というのはまた違うということで、ここでは、ログイン要求数千六百七十七件に対して、三月段階ではその成功数千六百四十一件ということで、九七・九%が一日平均のいわゆる成功率である、このように事務方の方にまとめていただきました。

 すなわち、三月時点におきましては、オンライン上での、ログインをして登記申請等々を進められる、事務上の問題としては、ほぼ一〇〇%に近い九七・九%がオンライン上で仕事ができたというわけでありますが、四月二日、ここにおきましてシステムダウンが起きた。

 ここには、四月二日の状況ということで、「ログインができない状況である旨の問い合わせがヘルプデスクに相次ぐ」とあります。ヘルプデスクの苦情件数が、この日、これは一日だと思うんですが、二百二十一件、そしてウエブのアクセス件数が、午前中のみの数値でございますが、二万二千三百件、そしてログイン要求数が九千二百二十四件、これに対して成功率は四五・四%。すなわち、アクセスが殺到する中で、ログインを要求される方の半分しかログインができなかった。

 午前中のみの数字というのは、午後はもう動かなくなったんでしょうか。その辺は、事務方の方で結構です。端的で結構です。

池上政府参考人 四月二日はそのまま稼働しておりますが、ウエブアクセス件数が把握できていない状況ということでございます。

馬淵分科員 ウエブアクセス件数が把握できていない、ログインの要求数も午前中のみの数字となっておりますが、これを見ますと、ログイン要求数九千二百二十四件ということですが、午前中のみですから。

 これは、稼働時間は午前九時から午後は何時まででしょうか。端的にお答えください。

池上政府参考人 稼働時間は午前八時三十分から午後八時までとしておりまして、この日もそのように稼働しております。

馬淵分科員 失礼しました。その時間で、午前中のみの要求件数がここに挙がっているわけであります。午前中のみという数字ですから、仮にこれを倍にしますと一万八千件。値下げ前、新年度の前の要求件数から見ると、ざっと十倍近い件数が殺到したということであります。これによってシステムがダウンした。

 即座に対応をされたようであります。このシステムダウンの状況というのは、サーバーのCPUの増設、データベースの設定変更を実施され、そしてその後、翌日、四月の三日でございますが、さらにアクセス数がふえました。ログインの要求件数も三万件を超えました。この段階で成功件数は二千百四十六件ということで、成功率わずか六・九%、これは推計とありますが。こうした状況で、四月三日の段階で、法務省としてはホームページ上に緊急のメンテナンスの周知文を掲載ということであります。

 ほとんどもうつながらない状態になった。新年度において新たなシステムの稼働ということで、一斉に各関係の業界の方々がこれにアクセスしようとしたんですが、ログインができない状況、つながらない状況になったということでございます。

 ホームページでの周知ということでありましたが、その後の法務省の対応としては、さらに、四月三日の段階、データベースの設定変更、メモリーの増設を行われ、四月四日に記者発表をされた。その記者発表の結果が、この四日の各紙、日経や毎日やあるいは東京新聞等々、各紙の報道に上がったということだと思われます。

 さて、こうした状況を先ほどさらっと、単純に件数が多かったんだということの御説明がございましたが、法務省として、このシステムのダウンの発生原因並びに原因の究明ということ、今私がいただきました時系列のこのメモを見ますと、CPU増設やメモリー増設等々対応をなさっておられますが、原因の究明なくして対応はございません。いわゆるこう薬張りの対応では何にもならないということですので、ここにつきまして、原因の究明並びに対応ということを法務省としてはどのように考えて進められたのかということについて、これは大臣、お答えいただけますでしょうか。

長勢国務大臣 事実経過はおっしゃるとおりでございまして、まことに申しわけないことであると思っております。

 何でこんなことが起きたかということでございますが、端的に申し上げまして、想定を大きく上回るアクセスが集中した。つながらないものだからまたやるということですから、ますますシステムに大きな負荷がかかって、そのためにデータ処理ができなくなり、つながりにくい、こういうことが起きたものと思っております。

 具体的にどういうところに問題があったのか、また、直さなきゃならないのかということは、今その詳細を調査中という段階でございますので、できるだけそれを早く見つけて、早急に対応していかなきゃならぬというふうに思っております。

馬淵分科員 これはもう端的に言えば、予想を大きく上回ったということであるとお話しいただきましたが、予想はどうだったんでしょうか。事務方の方で結構です。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省のオンラインシステムは平成十五年から稼働しているものでございますが、一時間当たりのログイン数、七百件程度のログイン要求を処理できるものとして構築されておりました。

 また、本年三月までの、いわゆるインセンティブ措置等のとられる前の段階での一時間当たりのログイン要求数はおおむね二百件以下でございましたので、四月以降の利用件数が倍増したとしても安定的に処理することが可能だと、その段階で判断してしまっておりました。

 その結果、四月二日にはその想定を大きく上回り、一時間当たり三千件程度のログイン要求を受けてしまって、御指摘のような事態になってしまったものでございます。

 その事情の一つとしては、もちろん、実際の利用件数が私どもの見込みよりはるかに増加したことに加えて、御承知のとおり、つながりにくいために、ログインできなかった御利用者の方は、続けざまにといいますか、短時間に繰り返しログイン要求を試みた方が多かったというふうに推測されるところでございまして、そういうことも影響していると思われるところでございます。

 なお、詳細については、大臣からお答え申し上げたとおり、現在、鋭意調査検討中でございます。

馬淵分科員 今も、件数の想定というのは、私は大変少ないんじゃないかと。一時間当たり七百件。

 これは法務省の方からの御説明を私も事務所の方でお聞きしましたが、七百件、まあ二百件という数字も今ありましたが、仮に安全率を三倍として一時間当たり二千百件、それを十時間やれば二万一千等々、二万件というのが一つの目安であったというお話でもありました。

 しかし、従前の利用率というのは、例えば不動産登記の申請手続なんかでいえば、平成十八年度でいえば〇・〇三%ですよね。つまり、私は、昨年も質問をさせていただきました、極めて低い利用率の中でこのシステムをどのようにお考えなのかと。

 そして、私もシステムの関係の仕事をさせていただいておりましたので、システムというものは、ネットワーク上最も重要なことは即時性です。即時性があるから、この登記、特に、いずれが早く申請されたかということによる権利の保護ということで、法務省が大々的に取り組んでおられる。私はこのこと自体は否定はいたしません。しかし、権利を保護するがためにこの即時性を最も効果的に発揮できるオンラインシステムを使うということにおいては、当然ながらに、アクセスが何らかの形で、トラフィックなアクシデントでつながらなかった場合にもクリックが繰り返し行われるというのは、すぐに想定し得る範囲なんですよ。

 法務省の今年度の予算の中で行動計画が出されていますが、〇・〇三%が十八年度、十九年度においても〇・三七%、平成二十年度でも五%じゃないですか。もともと低い目標率というか利用率の中で、想定が甘く、しかも即時性が本来ならば求められるという仕組みであるにもかかわらず、それを法務省の方でお考えにならなかったというのは、いや、ちょっと考え違いでしたというのは、私は、これは筋が通らないのではないか。法務省が国家予算を使ってオンラインという仕組みを使って権利の保護を図ろうとするならば、まずは、これのはるかに、十倍あるいは二けたオーダー違うぐらいの仕組みを考慮すべきではなかったかと私は考えます。

 ITの専門家ではないという言葉がおありかもしれませんが、この事故の予見の可能性並びに法務省の責任というのは私は極めて重いと考えておりますが、大臣、この辺はいかがお考えでしょうか。

長勢国務大臣 結果として大変な御迷惑をかけたことは事実でございまして、想定は今官房長が御説明申し上げたとおりでございますが、結果としてそれが大きく外れたというか、御迷惑をかけたことは事実でございまして、まことに申しわけなく思っております。

 今、中身も含めて調査中でございますので、こういうことのないように、必要な処理能力の確保をできるように早急に対策を講じてまいりたいと思っております。

馬淵分科員 私が今申し上げたのは、法務省さんが、余りにも、こうしたシステムを本来の目的のように使おうとするならば、その考慮が浅いのではないかという指摘をさせていただいたわけでありますが、もう一つ、ユーザーに対する意識が余りにも低いのではないか。

 これは、今申し上げたように、四月の三日の段階でホームページに緊急メンテナンスの周知文を掲載したとあります。そして、私自身は、その後、四日、五日と対応されている、これは土日を挟んで、さらにディスクの不要領域を削除したりソフトウエアの調整をされたりということで、いわゆるトラブルシューティング、これを一生懸命されているということは十分理解はできますが、こうした事情を、それこそ、利用なさっている方々に十分な周知徹底がなされていたのか。

 実は、この時系列のメモも、私は、事務所で、会館でレクを受けた後に御提出をいただいて、慌ててつくったというふうにおっしゃっておられましたが、本来であれば、こうしたトラブルシューティングの状況、これは公表することに何も問題はないはずです。ユーザーに対してどういう状況かというのを周知徹底させることというのは、権利保護を命とする法務省とすれば当然のことじゃないんでしょうか。

 大臣、これは、私はユーザーに対する情報公開の仕方が非常にまずかったと思いますが、いかがですか。

長勢国務大臣 法務省といたしましても、先生御存じのとおりのようでございますが、問題が発生しました二日から、ホームページにおいてそれをお知らせする、また、時間を置いて再度アクセスしていただきたいというお願いをするなどの情報を掲載してきたというふうに承知をしております。また、十三日からは、ホームページ上で、お問い合わせに応じる電話回線の増設や運用時間の延長を御案内する、また、四月十六日からは、混雑状況を具体的な数字でお知らせするなど、利用者への情報提供に努めてまいったところでございます。

 ただ、先生御指摘のように、甘いというか足りないという点があったことなど、今後、適時に適切な情報提供ができるように、十分な検討を加え、努めてまいりたいと思います。

馬淵分科員 とにかく、情報公開並びに権利の保護というのは、これは私は行政の大命題だと思いますので、これをしっかりやっていただきたい。

 そして、これを見ますと、再度、そうした対応の後に、四月の十一日には、翌週なわけですが、九日、十日、十一日とログイン成功率が上がってきました。五〇パー、八六パー、七三パーと上がってきたわけですが、ようやく大丈夫だなと思われたのでしょうか、いろいろなまた全国からのアクセスが殺到した十二日に、二九・三%、ログイン成功率がまたここで急遽悪化するわけです。そして、翌十三日も二二・六%。

 その後は、対応としてサーバーの増設を図られたとありますが、これもトラブルシューティングとしては非常にまずいやり方だと思います。本来ならば、やはりお客様に、システムというのは信用性が重要です。信頼性がこれは非常に求められる。しかも、これは権利の保護を命とする法務省のその仕組みですから。こうした形で、一たん大丈夫だと思ったところがまたつながらなくなる。

 私は、これによって何か誤謬が起きたとかは、そのことについて指摘をしているわけでもありません。ただし、低い利用率の中で、何とかインセンティブの仕組みを設けて、これの周知徹底を図ろうという、一年前に私も指摘したことについて法務省が取り組んでこられた、にもかかわらずこのような対応というのは、やはり問題ではないかと思います。

 これはもう何度もおわびをいただいておりますが、おわびで済む問題ではないとおっしゃるユーザーもおられるということについて、一つだけ指摘をさせていただきます。

 法務省も、このオンラインシステム、とにかく、権利の保護ということに関してはその優先順位が重要なんだ、だから即時性の高いオンラインシステムというのは非常に有効だとおっしゃいました。

 しかし、今回、四月の二日の運用以降、成功できなかった。このログイン成功できなかった場合に、これは登記できなかったということですよね。その場合に、会社登記等は、これは大安であったり、あるいは誕生日であったりとか、縁起を担ぐではないですが、日にちの設定というのは非常に重要です。この辺は、非科学的な話かもしれませんが、人間、やはり、自分が新たに起業をしようとか新たに不動産を取得しようとしたときに、こうしたことに対して気持ちがいくというのは、私はこれは当然だと思います。これが現実的には実現できなかった。これは、損害が、実損が起きているんですね。

 こうしたことに対しての、法務省は損害に対するどのような対応をお考えでしょうか。いかがですか。

長勢国務大臣 利用者の方々に御迷惑をかけたことについては重ねておわびを申し上げる次第でございます。また、御指摘のように、つながらないことについての苦情も電話等でいただいておるわけでございます。今後、そういうことのないように全力を挙げてまいりたいと思います。

 ただ、今、損害についての考えを述べよということでございますので、事実だけを申し上げさせていただきますが、法務省オンライン申請システムを御利用いただくに際しては、ホームページ上に掲載をしておる使用許諾書に同意をしていただくということにしておりまして、本システムの障害等による損害等に関する免責条項を設けておりますので、法的な責任は負わないということに一応させていただいておるところでございます。

 具体的な、実害のような話まではまだ聞かされてはおりませんけれども、いずれにしても、大変申しわけないことであったとおわびを申し上げたいと思います。

馬淵分科員 法務省としては、これは免責条項があるんだというふうにおっしゃっていましたが、システムをつくる側が免責条項を求めるのは当然ですよ。法務省はベンダーじゃないんです。法務省はあくまで行政手続をつかさどっているわけですから、免責事項はベンダー側の言い分であって、法務省の言い分ではないと私は思いますよ。そういうお考えはやはりしっかり持っていただかないと、ベンダーと同じ立場で、いや、これは免責事項ですなんということをおっしゃられたら、行政の手続をつかさどる法務省の信頼を失いますよ、大臣。そこはしっかりと、ユーザーの方々に御迷惑をかけたんだということで、法的な何らかの措置はないけれども、これに対しては本当に申しわけないんだという先ほどのお言葉そのものをユーザーの方々に再度発信していただきたいというふうに思います。

 さて、こうした申請の中で、私は一つ疑問に思っておりますのは、オンライン請求、千円を七百円にすることにインセンティブが働いた、いいことじゃないですか。しかし、一方で、この受領に関して、登記証明等々を申請した場合に、窓口での受領というものが今回の仕組みには入っておりません。これは郵送なんですね。郵送でということになりますと、一日はかかります。翌日にはなるでしょう。当日には着かないですよ。しかし、現実には、法務局等々の近くに司法書士さん等は事務所を構えておられますよ。

 窓口の受領ということについてはどのようにお考えでしょうか。当然ながらに、窓口受領ということもこの仕組みの中には入っているのでしょうか。いかがでしょうか。事務方で、端的で結構です。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、司法書士、土地家屋調査士の皆さん等、この分野に非常によく御利用いただく方々を中心にいたしまして、登記事項証明書をオンラインでも窓口で交付してもらえないかという御要望がなされております。

 当初、オンラインを設計しましたときは、不動産登記法においてさまざまな御意見を伺ったわけでございますが、その際にはこういう意見が見られなかったわけでございますけれども、その後、今回の事件ももちろん一つの契機ではございましょうが、そういう意見も私どもに寄せられて、承知しているところでございます。

 そこで、この要望を踏まえまして、窓口交付ができるかどうかということを今後十分に検討してまいりたいと考えております。その際には、司法書士の皆さんのような資格者代理人の方々の御意見も十分に伺いたい、このように考えております。

馬淵分科員 当初なかったというお話でありますが、私は、それは十分なニーズ把握というのができていなかったんじゃないかと思いますよ。先ほどのように、そもそものアクセス件数の見込みも甘いという中でいうと、本当にニーズ把握はできたんでしょうか。聞こえていなかったということで、私は、単純にそのお話を、市場の声としてなかったんだということは、うのみにできない。

 逆に言えば、窓口受領というものは、郵送で発送するかわりに窓口で手渡すことについてどれほどの問題があるのかということを考えれば、これは即座に対応できるものではないかと思います。

 検討されているということでありますが、窓口受領について、どの程度早急に対応できるのかということについては御答弁いただけませんでしょうか。

寺田政府参考人 これは、もうおっしゃるとおり、検討が必要な事項ではございますが、そう長期の検討を要するという性格のものでもございません。早急に検討いたしたいと考えております。

馬淵分科員 いつまでですか。端的にお答えください。

寺田政府参考人 現在、この時点で具体的な日時を特定するという段階ではございませんけれども、できるだけ、御趣旨に沿って、早急に検討したいと思っております。

馬淵分科員 できるだけ早急にということで、今、いち早くという言葉をいただいたと信じておりますので、私はまた委員会等でも確認をさせていただきたいと思います。

 さて、こうした窓口受領等々、オンラインの仕組みというものは私はすばらしいと思う。そして、その中で、また、より利用率を高めていただくということも必要なわけであります。

 ただ、一方、今回のこの仕組みの中で、登記識別情報制度についてはさまざまな問題点があるのではないかということで、これについては、私自身は質問主意書においてもたださせていただきました。これは、登記識別情報の発行が不適切であったということの事例があった段階で、私は、この登記識別情報制度に関する見解というものを、平成十八年の十月二日に質問主意書として出させていただいております。

 その中で、回答をいただいております。内閣から送付の回答におきましては、この登記識別情報制度については、研究会を発足させて、研究会での結論を踏まえながら検討してまいりたいというお話でございました。

 そして、研究会の報告書が昨年の十二月に出されております。研究会の報告内容では、登記識別情報の是非については、もちろん、これを存続すべきもの、あるいは即時廃止をすべきものも両論を併記の流れの中で、いずれにしても、長期、中期、短期の対応策を考えて結論を出していきたいということであります。

 そこで、私はお尋ねをさせていただきたいわけでありますが、この長期、中期、短期も含めて対応を考えていく、即時撤廃という意見もあるが現状においては対応していく、その中で検討していきたいというこの研究会の報告でありました。さて、ならば、今後、いつまでに、どのような判断をされるんでしょうか。

 と申しますのは、この報告書の中にも、費用対効果の観点と制度の根本的な見直しということが言及されております。とりあえず即時撤廃はなく対応していこうという中で、長期、中期、短期の対応を繰り返し行っていく。結局は、これはいつまでも税金の無駄遣いになりかねない。公費の流出を招く可能性もある。

 したがいまして、こうした研究会の中で出したこの結論、とりあえずの対応をするんだという中で、いつまでに、どのように判断をするのか、これを端的にお答えいただきたい。

 そしてもう一点、利用率を五〇%以上という形で法務省さんは目標を掲げておられます。しかし、先ほど申し上げたように、昨年度でも〇・〇三%、平成十九年〇・三七、平成二十年においても不動産登記の申請手続においては五%。もちろん、それ以外の登記も含めて五〇という目標数値を設定されておられますが、本当にできるんでしょうか、これを。それをどのような形で実現していくという方法をお持ちなのか。

 この二点について、これは大臣、お答えいただけませんでしょうか。

長勢国務大臣 まず、登記識別情報制度についてでございますが、御指摘のとおり、研究会の報告が出ておるわけでありまして、そのうちのシステム改修が不要な提言については、既に一部につき実施しており、登記識別情報を提供しないで失効していることの証明の請求を可能としたところでございます。

 その他の短期、中期、長期の提言があるわけでございますが、その検討を今始めておるところでございまして、改善すべきものについてはできる限り速やかに実施できるように努力してまいりたいと考えております。

 また、利用率五〇%の目標についてのお尋ねでございます。

 オンラインによる登記申請等の手続の利用促進のために、本年四月から交付手数料を値下げする、あるいは平成二十年一月からはオンライン申請についての登録免許税の軽減措置を講ずるということにいたしたわけでございます。

 このほかにも、公的個人認証制度の普及を初め、各省所管の証明書等の電子化について協力を求めるとともに、オンラインで請求された登記事項証明書の窓口交付方式、添付情報の提供方法、公的個人認証に基づく電子証明書の提供が必要となる範囲等について、オンライン申請の利用促進という観点から検討を進めております。

 何とか目標達成に向けて効果的な措置を講ずるように、全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。

馬淵分科員 具体的な期限というのをお示しいただけませんが、昨年も私はこの決算行政監視委員会で質疑をさせていただきました。そのときには、もう御退任されましたが、河野副大臣から、このオンラインの仕組みについては大変るる御説明もいただきましたが、今のお話を伺っても、本当に、何となく取り繕った仕組みを何とか維持させようということではないかという懸念がございます。

 河野太郎副大臣が、もう副大臣をおりておられますが、担当だった方が、このオンラインの仕組みの今回のシステムダウンについては、「年度替わりだし、大安だし、手数料引き下げだし、電子公証のスタートだしという要素が全てからみあったのは、ぼろいシステムを考えると無理だったのかもしれない。」このようにおっしゃっていますよ。

 ぼろいシステムと前副大臣がおっしゃっておられますが、私は、ならば、抜本的な見直しもしっかりと大臣の命によって図っていただくことも御考慮いただきたいということを最後に申し上げて、この分科会での質疑とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

柴山主査代理 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

 午後三時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十分開議

古屋主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 昨日に引き続き国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤野真紀子君。

藤野分科員 自民党の藤野真紀子でございます。

 本日は、観光行政の中でも特に日本の食文化を中心に質問させていただきたいと思います。

 平成十八年の十二月に観光立国基本法が全会一致で可決をいたしました。長年御尽力された皆様におかれましては、その御努力が報われたさぞかし感慨深い一瞬であったことと御推察を申し上げるところでございます。夫もこの法律に関しましては大変仕事をしておりましたので、私も同じ思いを共有したところでございます。

 さて、日本経済も最大の危機を脱したということもあるのかもしれませんが、国内旅行を楽しむツアー客の方々の姿が目立つようになってまいりました。私の地元との行き来の中でしばしば目にいたしますのは、グリーン車がすべて団体のツアーの方で満席、そういったことでございます。余裕のある団塊の世代、そして高齢化社会にあって元気な高齢者の方々が、まさにそのツアーの中心的存在であることをまざまざと日々実感しているところでございます。

 今回の改正法の柱の一つでもある国民の国内観光の促進が、やはり少しずつ目に見える成果としてあらわれているのではないかと思われるところでございます。国が観光を国策ととらえ、大きくリーダーシップをとり、促進を図ることの意義を改めて思っているところでもございます。

 さて、国土交通省に質問させていただきたいと思いますが、現在、まさにこの六月をめどに観光立国推進基本計画の作案に着手されているところであると聞いておりますが、その進行状況、そして概要、それから特色などございましたら、現時点での状況をお聞かせ願いたいと思います。

柴田政府参考人 昨年十二月に、観光立国推進基本法を衆参両院で全会一致で成立させていただきました。この法律に基づきまして、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本的な方針や目標などを盛り込んだ観光立国推進基本計画を策定する必要がございます。

 これまで、三月十三日に東京で観光立国推進全国大会を開催したほか、全国十のブロックでの説明会など、さまざまな機会を通じまして、観光立国推進基本法の意義やその内容を周知してまいりました。三月末までに基本計画に盛り込むべき事項等につきまして地方公共団体や観光関係団体から意見を提出していただきまして、現在、それらを取りまとめる作業を進めているところでございます。

 基本計画には、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成や、観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成等、観光立国推進基本法で国が講ずべきとされた施策に沿って、六月中を目途に策定したいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、基本計画に基づきます施策を推進することによりまして、国、地域はもちろん、住民、事業者等広範な関係者によってさまざまな積極的な取り組みがなされ、観光立国の推進が図られるような内容としてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

藤野分科員 今回の基本法では、新たに立国という言葉が加えられたということで、観光をまさに二十一世紀における大きな経済の引き金となる産業と位置づけたことは、まことに意義深いものと高く評価をするところであります。この六月に観光立国推進基本計画が閣議決定されることにより、観光産業としての位置づけがさらに明確化され、施策は今までになく日本経済を支える産業として力強く進展するものと確信をするところでございます。さらなる観光立国への実現に向け、観光行政にかかわる皆様のお知恵を結集し、さまざまな戦略にあふれた基本計画を期待しております。

 さて、観光において大切なことの一つに、地域の魅力をいかに活発に確かな情報を発信するかということがあるかと思います。特に、日本の伝統食文化についてお尋ねをしていきたいと思います。

 今、海外では大変な日本食ブームと言われております。しかし、その一方で、伝統的な日本の食文化がややもすれば崩された形で伝わっているのではないかという御意見もあります。つい一昨日前のニュースでもございましたが、イタリア政府が、世界じゅうに広まったカプチーノが、どうも誤ったまま世界じゅうの人々に認識されていることを危惧いたしまして、カプチーノを法的に基準を定めたというふうに聞いております。

 ここで質問を、農水省でございますが、そんな中で、今、海外における日本食レストラン推進計画なるものが進められているということを聞いておりますが、これはどういったものなのか、お聞かせ願いたいと思います。

佐藤(和)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本食レストラン推奨計画というものを十九年度から農水省としてやりたいと思っております。これは海外の人々に、この日本食レストランであればおいしくて安全な日本食を楽しむことができますよ、そういう推奨をしたいというものでございまして、ただいま委員がまさに御指摘のとおり、現在、世界的に日本食がブームといいますか、日本食というのは健康的で理想的な食生活のスタイルなんだということで注目が集まっており、日本食レストランの数もどんどんふえている、今、世界で二万店から二万五千店あるという実態がございます。

 ただ一方で、日本食についての不十分な情報しかない、あるいは食材の提供が不十分だということで、そういったままレストランがふえていけば、日本料理のイメージが損なわれる、あるいは日本食というブランドが損なわれる、そういうおそれもあるということでこの計画を考えたものでございます。

 大きく目的は三点あると思っております。一つは、この推奨計画によりまして日本食のファンを世界に広げたい、日本食を普及させたいというのが一点でございます。二つ目として、できれば日本の農林水産物の輸出の促進につなげたい。また、三つ目として、海外に出ていきます日本の食品産業の活性化につなげたい。こういったことを目的として考えてございまして、現在、具体的にどうしていくか、有識者の方に集まっていただきまして、先月、具体的な提言をいただいたところでございます。

 ポイントだけ簡単に申し上げたいと思いますが、基本的には、民間が主体となってこの推奨計画を実施する。それから、参加を希望する日本食の店には幅広く門戸を開く。それから、日本国内に民間組織を立ち上げまして、そこで制度といいますか推奨計画全体の枠組みをつくるわけですが、では具体的にどういう基準で推奨するんだという基準は、各国、地域によっていろいろだと思いますので、それぞれ海外にそういった組織を設けまして、そこで現地の実情を踏まえて基準をつくっていく。さらには、推奨と並行いたしまして、鮮魚、生魚の管理とか日本食の調理技術といったことの講習会なども開いていく。こういったことを中心に考えているところでございます。

藤野分科員 非常に積極的な取り組みではないかと思っておりますので、しっかりとそれをまた進めていただきたいと思っております。

 私は、伝統的日本食文化に対しまして、日本人として誇りに思っているところでございます。当然、その国ごとに食材ですとか風土、気候、人々の好みというものがありますので、その国らしさが日本料理に、外国に渡ったときに加味されていくことは否めないだろう、それを決して否定するものではございませんけれども、とはいえ、どこまで容認するのかという線引きは日本としても考える必要があろうかと思っております。

 そのためにも、厳しい規定ではなく、むしろ、日本食文化を海外に広めた功労者に対して、日本からの感謝の意を表することこそ大切ではないかと思うところでございます。表彰された海外の方は、日本の政府から表彰されたということを誇りとして、自国、つまり日本から見ますと海外でございますが、海外でさらに正しい日本食文化を伝承していこう、そういった御尽力をしていかれるのではないかと思っております。

 時間の都合がございますので、一つ抜かしまして、再度農水省にお伺いをしたいと思います。

 海外での日本食を広めた方々、または日本食材、例えばソイソースとしてアメリカではかなり一般的な調味料として広まっておりますが、そういった日本食文化を普及している方々に対し、日本政府が表彰をしたという例、そして、そういった仕組み自体があるのでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、日本産農林水産物、食品の輸出促進の一環といたしまして、海外に在住し、日本食、日本食材の海外での紹介、普及などに多大な貢献をしてきた功労者に対しまして農林水産大臣賞を授与するという、いわゆる表彰事業を昨年度創設したところでございます。

 取り組みの初年度でございます昨年度は、イギリスの日本食料理学校講師でありますとかアメリカの日本食レストランの経営者など、三名が受賞しているところでございます。

 農林水産省といたしましては、今後とも、本表彰事業を初め、日本食、日本食材の海外発信を展開することによりまして、日本食文化の海外での普及を促進し、あわせて日本産農林水産物等の海外での一層の普及に努めてまいる所存でございます。

藤野分科員 本当にこれはすばらしい取り組みをやっていただいていると思います。これはまさに観光にも密接なかかわりがあるかと思います。

 実は私は、フランス・パリに三年、駐在員、主人とともに暮らした関係がございまして、フランス政府親善大使という役目を仰せつかっているところでございますが、ここにフランス政府観光局の資料がございます。

 フランスは、その食文化を世界に誇るものと位置づけておりまして、そしてまた、さらに観光の目玉とも位置づけております。その啓蒙のため、そして、活動の一環として、諸外国でフランスの食文化の普及に努めた人たちにさまざまな表彰をしております。フランス農事功労賞に関しましては、それこそ、さかのぼりますと一九七〇年代からスタートをいたしまして、私ども日本人が、現在に至るまで二百人の人たちがフランス政府から表彰を受けております。農事功労賞の中に、コマンドゥール、オフィシエ、よくお聞きになるシュバリエでございますが、ワインですとか、それからフランスのお菓子、そういったものの表彰をされて、私もその場に何度となく、私は表彰されていないんですけれども、表彰される場にお祝いに駆けつけたことが何度もございます。

 こういった場では、やはり皆様、外国の政府が自分を認めてくれたということに大変感謝をし、さらに、その国に対しての正しい見方と、自分の国へそれをいかにさらに普及していくか、そういった思いをまた新たにするところだと思いますので、ぜひともその計画を絶えることなくやっていただきたいなというふうに思っております。

 さらに、二〇〇七年よりフランスは、フランスの誇る食文化を前面に押し出した観光政策を打ち出しております。フード・フランス・キャンペーンの展開、「わたしにごほうびフレンチライフスタイル」というスローガンのもとに、フランス式ライフスタイル、アール・ド・ヴィーヴルというものを提案いたしまして、観光の目玉としたところでございます。まさに、年間を通しまして、フランスの地域料理というものを日本の国内何カ所かで展開して食べてもらう、そういったことをやっているところでございます。そして、ライフスタイルそのものをフランスで体感してもらいたい、そういった体験型のPR方法をとっている。これが大変活発な動きとして行われております。

 それから、これも既に行われていることでございますが、フランスではルポルタージュ大賞というものを毎年出しております。そういたしますと、NHKを初めいろいろなメディアそれから雑誌等、必死でフランスのことを取材しまして、そして、その取材されたものは、各メディアを通して、フランスのよいところを全部日本人向けにアピールをするわけでございます。そして、最終的には、その中で大賞をとるということで表彰を受けていくという仕組みがございますが、これも非常にうまく考えられた観光の仕組みではないかと思っております。

 こういった仕組みも、ぜひまた日本でも活発に、もっともっと速いテンポで展開していっていただきたいなと思っているところでございます。

 さて、話は少々かわりますが、今、日本人の小学生の子供たちが好きな食べ物ベストスリーといいますと何かとお思いでしょうか。これは、ラーメン、ハンバーガー、そしてピッツァ。辛うじておすしが入ります、これは店屋物でございますね。ハンバーガーといっても、我が家で食べるのはハンバーグでございますから、これもやはりファストフードではないかと思います。では、思い出す調味料は何かと子供たちに聞きますと、マヨネーズとケチャップと申します。時代が今はこういったことだということです。

 これがよい悪いということは別といたしまして、いずれも日本の食文化ではないというところが極めて問題ではないかと思っております。日本が観光客を受け入れる場合、日本の食そのものが我が国で崩れてしまっていては、一流の観光立国とは言えないのではないかと思います。

 そこで私、地元愛知で、シャッター通りの商店街を、町おこしということも含めまして、日本の調味料横町にしたらどうか、そういった地元の要望もあり、そんな動きが今あるということを一言お伝えしたいと思っております。

 熱田神宮という非常にすばらしいお宮がございますが、本当に美しい自然の熱田神宮の前に商店街がございます。それがシャッター通りになっておりまして、それも、中に風俗の店が一軒入っております。そんなところが、日本の伝統的文化、非常に美しい、それこそ身の引き締まるような熱田神宮のお参りの後、出たところに、子供にはとても通らせたくない風俗の店があるような商店街があるというのは、これは観光地としても極めて損失だというふうに思っております。

 今、町おこし、村おこしもございます。ニューツーリズムの一つとして、ジャパン・フードツーリズムと結びつけ、多くの海外からの人々に海外に誇れる美しい日本文化を体感してもらいたいと願っているところでございます。

 これは再度、国土交通省にお尋ねを申し上げたいと思います。

 観光立国基本法の附帯決議の中で観光庁の設置について挙げられておりますが、ぜひともその実現に向け、さらなる取り組みをしていただきたいと思っておりますけれども、これに関しましての現状についてお伺いをしたく存じます。

柴田政府参考人 国土交通省の観光部門の組織体制につきましては、これまでも、平成十六年七月に、観光部長以下の体制にかえまして、総合観光政策審議官を設置いたしまして、平成十八年七月には、観光経済課及び観光資源課を新設して、従来の四課体制から六課体制に拡充するなど、着実に充実強化を図ってきているところでございます。

 また、政府全体におきましても、国土交通大臣が観光立国担当大臣を拝命するとともに、総理が主宰し全閣僚を構成員とする観光立国関係閣僚会議や、私、総合観光政策審議官が主宰する観光対策関係省庁連絡会議を随時開催することによりまして、幅広い関係省庁の連携のもとで、観光政策の一体的な推進に努めてきております。

 このように、総合的な観光政策の推進に向けては、組織体制の充実を図ってきているところでございますが、観光立国推進基本法第二十六条で、「国及び地方公共団体は、観光立国の実現に関する施策を講ずるにつき、相協力するとともに、行政組織の整備及び行政運営の改善に努める」こととされております。

 また、観光立国推進基本法を成立させていただいた際にも、「行政改革の趣旨を踏まえて、観光庁等の設置の実現に努力すること。」との決議が衆参両院の委員会においてなされたところでございます。

 観光庁を設置すべきとの要望も引き続き出されておりまして、こうした決議を踏まえ、総合的な観光行政を進める観点から、さらに各方面の御意見を十分踏まえながら対応してまいりたいというふうに考えてございます。

藤野分科員 行革という面もございまして、これ以上省庁をふやすことに関しましてもなかなか難しいところだとは思いますが、ビジネスにおいて成功への道というのは、財源はバランスよく有効に、効果的に使うということにあるかと思います。この財源のスリム化の流れの中にありましても、生産性の高いもの、そして活性化をもたらすための観光庁の設置に関しましては、決してこれは財源の無駄遣いとはならず、むしろ今後の財源への投資となることを再確認すべきだと確信をしているところでございます。

 観光庁の一日も早い設置を実現いたしまして、日本は本気で観光に取り組んでいるんだという心意気をぜひとも国の内外に表明していただきたいと思っております。さらなる御尽力を期待するところでございます。

 あと五分でございますので、大臣もおいでのことでございますので、一言、観光に関しましての御所見等をお聞かせいただけたらと思います。

冬柴国務大臣 観光立国推進基本法という法律をつくっていただきました。衆参両院で満場一致で、議員立法でやっていただきました。

 立国という言葉は、経済立国、文化立国等々、いろいろなところで使われますが、法文でこのような言葉を使っていただいたのは初めてでございまして、まさに国の基本的な政策という意味で位置づけられていると思いまして、私も観光立国担当国務大臣を拝命いたしておりまして、一生懸命これを進めていかなきゃならない。

 具体的な目標としましては、二〇一〇年に一千万人の外国からの旅行者をお迎えしようという目標に向かって、ビジット・ジャパン・キャンペーンというものを進めているところでございます。おかげさまで、二〇〇三年では五百二十一万人だったものが、昨年は七百三十三万人をお迎えすることができたわけでございまして、引き続いて目標を達成するために頑張っていかなきゃならない。

 そのためには、地域地域に持つ歴史や伝統、文化あるいは雄大な自然、日本の国は四季折々に彩りを変えるすばらしい自然や景観があります。そういうものを我々は再発見をして、そしてその地域の人にみずから自信や誇りを持っていただき、また、外から来た人に本当に心地よいくつろぎと安らぎを与えるような観光資源の開発も我々の仕事だと思っております。

 これからも頑張ってまいります。

藤野分科員 本当にそのとおりだと私は共感をさせていただきました。

 観光というのは本物であるべきだと私は思っております。その場限りのものであっては、決して人様に感動を与えるものはありませんので。なぜ私たちが旅をしたいのか、そういうことをきっちりと考えて、観光行政を進めていただきたいと思っております。

 日々煩雑の中で流されている私たちの生活でございます。時には嫌なことも苦しいこともあります。そんな中で、旅に出ますと、本当に大きな感動に出会ったときに、その煩雑さですとか苦しみですとかというものを一瞬のうちに忘れることがございます。そして、極端に言えば、死んでしまいたいような気持ちが、生きたいという気持ちに切りかわっていくことも、旅行によって、旅によって可能になってくるような気もしております。

 そのためにも、今大臣がおっしゃいましたように、本当にすばらしい日本の心、ホスピタリティー、そして日本の美しい自然、何よりも人材育成というものを本気で取り組むということ、本物の美しい日本をつくってこそ超一流の観光立国が実現するものと思っております。

 今後とも、どうぞよろしく、取り組みにお願いをしたいと思っております。ありがとうございました。

古屋主査 これにて藤野真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾分科員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 きょうは、地元の予算の使い方について幾つか質問をさせていただきますのと、あと自動車検査独立行政法人が非公務員型になるということで、今国会で法案を審議いたしました過程におきまして、大臣の方から御答弁いただきましたところをさらに議論を深めさせていただけたらと思う次第でございます。

 早速でございますが、私の地元の方に巻土木事務所がございます。その巻土木事務所の管内におきまして、国道百十六号線の改良事業を今ずっと進めておるという最中でございます。

 この国道百十六号線の今の状況を、地元に私が帰っておりますと皆さんからお聞きいたしますのは、和島バイパスと巻バイパス、巻バイパスというのが実は平成十八年十二月二十六日に供用を開始しておるところなのでございますが、その和島バイパスと巻バイパスの間が燕という場所なんですけれども、ちょうど私が事務所を置いている地元なんですが、まだやはり渋滞がかなり解消されておらない。

 環境問題というほど大げさではないですけれども、やはり排ガスを含めて地元では問題になっておるというところでございまして、この巻バイパスが開通された後に、国道百十六号線和島バイパスまでの拡幅について今どのような状況なのか、そしてどのような展望をお持ちなのかということにつきまして、国交省さんにお聞きしたいと思います。

宮田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、燕市の旧吉田町地区、大変商店が立地をしている市街地でございます。大型車の交通量も多うございます。十分な幅員の歩道もございません。したがいまして、渋滞、騒音、それから交通事故、そういったさまざまな問題が発生をしております。

 今委員御指摘のように、隣接する巻バイパス、延長五キロでございますが、昨年の十二月には暫定二車線で全線供用しております。そこでとまっておるという状態でございます。したがいまして、この地区の対策の必要性は一層高まっているというふうに認識をしております。

 こういった状況を踏まえまして、平成十四年度から、今後のまちづくりを視野に入れつつ、幅広い市民の参画を得ながら道路整備計画を策定していくという方針のもとに、みちづくり・まちづくり検討委員会を国交省の方で設置をいたしました。いろいろな方々に入っていただいております。それを設置した以降、住民アンケート調査をやっております。そういった経過を踏まえまして、昨年の三月には、みちづくり・まちづくり提言書、こういうものが委員会で取りまとめられております。

 この提言書では、現道を拡幅する案、そういうものとも比較をしながら、諸問題の解決策として、現国道の東側を通過するルート帯、幅を持ったルートでございますが、バイパスを早急に整備すべきである、現道拡幅に加えて、東側を通るバイパスということを早急に整備すべきであるという結論をいただいております。

 本提言書を踏まえまして、今後、具体的なルート、道路構造について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

鷲尾分科員 ありがとうございます。

 たびたび地元の市長さんを含めて陳情に来られておりまして、これから具体的にいろいろと計画をお詰めになるというお話でありまして、また住民を含めた議論を鋭意進めておられるというところなのでございますが、もうちょっと、具体的にお進めになるその計画とか、どれぐらいをめどにとか、そういったものも御答弁いただけないでしょうか。

宮田政府参考人 先ほど、最後に、検討を進めてまいりますと申し上げました。もうちょっと具体的に申し上げますと、いずれにしろ、バイパスをつくるにしても都市計画決定が必要になります。都市計画決定をするということでありますと、環境アセス、そういうものもやる必要があるだろうと思います。そういうものを視野に入れて検討を進めてまいりたいと。ちょっと年限の方は、環境アセスとか都市計画がありますので、今申し上げる段階に至っておりません。

鷲尾分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、先ほど御答弁いただいた認識で今後も進めていただけたらというふうに思う次第でございます。

 今、地元の公共事業の進捗状況について御質問をさせていただきました。私の選挙区内には佐渡という離島も抱えておるわけでございますが、公共事業というのは、今地方、地域にとってはもろ刃の剣の部分があるのではないかと私は思う次第でございます。と申しますのは、やはり公共事業が雇用の受け皿になっておる。当然それは地元からの陳情、要望もございますでしょうし、それによって、予算の配分が決まっておるわけでございまして、単純な意味づけはできないんでしょうけれども、ただ、やはり、公共事業が雇用の受け皿となっておる中で、その他の産業が衰退してしまっておる現状も今大変地方では深刻な問題になっているのではないかと思うところです。

 国交省さんもまちづくりの制度の設計もされておるところでございますでしょうし、ことしも、つい先日、広域的地域活性化の審議もしたところでございます。そういう地域の活性化というのが日本において非常に今重要で、当然安倍内閣も地方の活性化なくして日本の元気はないという話をるるおっしゃっておるわけでございます。

 そうしますと、では、地方で産業興し、何が重要かという問題が一点あるにもかかわらず、公共事業投資がなされておる中で、やはり、公共事業産業といいましょうか、そういうものしか地域に残っていかなくなってしまっている、そういう状況もこれまたあるわけでございます。

 そういう中で佐渡の状況を考えてみますと、重要港湾、地方港湾合わせまして佐渡には四つ港湾がございまして、こういうところにも、当然港湾整備を含めまして公共事業投資がされておる。離島振興予算ということで大分毎年予算がつけられているようでありますが、島民の立場からいたしますと、当然、そういう公共事業というのは、一面地元の雇用の受け皿になりながら、佐渡の歴史、そして自然の景観というものに対してマイナスの影響もあるわけでございます。

 そういうことを考えますと、島民の皆さんは、産業がどんどん衰退してしまっている、自分たちの歴史的な遺産であります自然環境を含めてどんどんと壊されてしまっている、そしてまた少子高齢化、新潟県は高齢化が全国で十本の指に入るぐらい進んでおりますから、そういう状況もある。それを考えますと、公共事業という予算の使い方も含めまして、いろいろな方向性をやはり考えていかなきゃいけない、そういうふうに思うわけであります。

 むしろ、私が思いますのは、島民というのは、やはり生活の不便を非常に強く認識しておられる。雇用ということの吸収という意味におきましての公共事業が一方でありながらも、生活するに当たっては、当然本土と物価水準が全然違うとか、特にガソリン代を含めまして、ガソリンですと冬の時期は特に、去年で実質的に十円ぐらい本土と違ったわけであります。

 そういう意味におきましても、生活のしやすさという方向性におきまして、インフラ整備の予算の使い方ということをもう一度ちょっと考え直していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私考えておるんですが、大臣、この点はどのようにお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 沖縄とか奄美とか小笠原とか、そういう島それぞれに振興法というものが規定されております。そのほか、離島についても離島振興ということで今おっしゃったような公共事業の補助金の補助率を相当かさ上げするというような形で、本土と離島との差をつけながら、そういう公共事業というものを主として振興策に使ってきたことはもう言われるとおりでございます。

 私も、実は、奄美群島振興を担当させていただいているわけですけれども、奄美とか、あるいは甑島という島が鹿児島県にはありますけれども、そういうところからの移住者が私の選挙区にはたくさん来ていらっしゃるんですね。そういうことで、そういうところにもよくお伺いするんですけれども、考えることは、公共事業だけではなしに、そういう離島の中だけに閉じこもるのではなく、各地域と交流をする、たくさん島へも来ていただく、島には島のすばらしい観光資源があるわけです。

 そういう意味で、観光という意味でも、そういうところの歴史とか伝統あるいは伝統行事もありましょう、そういうものを生かしたソフト面に対しての、箱物づくりの補助ということじゃなしに、そういうものも必要です、必要ですけれども、私は、やはり離島振興策として、今後ソフトの面をもっともっと充実していくべきではないかと。

 今、佐渡のことをおっしゃいましたので、佐渡についてのそのようなことについて、例えば第二十回全国・離島交流ゲートボール親善大会というものを佐渡でやられることについて、補助事業として採択をいたしました。生涯スポーツの一つとしての愛好者が全国的に広く定着しているゲートボールを通じて、健康で明るく豊かな生活を目指すとともに、全国各地から参加者も集めて、交流人口の拡大を図って地域の活性化に寄与するという趣旨で、これを補助対象事業といたしまして、二年間にわたりまして合計で三千百三十五万円を、箱物じゃない、こういうソフトに対してやっております。それからもう一つは、アースセレブレーション二十周年記念イベント、太鼓と能楽の祭典「SADO二〇〇七」というものを銘打ちまして、若い人たちも参加して能楽を中心とした佐渡古来の伝統芸能を生かした体験型、滞在交流型イベント、そういう充実を図って、地域外からの参加者との交流を初めとした国際交流、文化交流を通じた地域の活性化に寄与するということで、十九年度は二つ合わせて千四百四十五万円、そういうことで出させていただいている。

 私は、こういうのは必要じゃないかと。道をつくって、あるいは港湾を整備する、これはもちろん大事です。そこに暮らす人たちも大事だし、外から来た人たちにもこれはいいんですけれども、しかし、外から来た人が、そこで楽しむ、もう一度来たいな、観光としてでも、そういうリピーターを呼び込んだり、あるいは初めてでも行きたいというために、何か離島はもっと力を尽くすべきじゃないか、そういうものに対して我々はもっと目を向けて補助をするべきではないか、こんな考えでおります。

鷲尾分科員 ありがとうございます。

 大臣、今ソフト面についてもいろいろと御援助いただいているという話をいただきまして、それ自身については心強い限りであるなというふうに思う一方で、事業をやるに当たって補助金をつける、そういう方式も一つ重要なんでしょうけれども、実は、民主党としては、島嶼部に係る揮発油税の減免をやらないかということで、前回か前々回の常会に提出させていただいておるところでございまして、先ほど私もるる述べました中に、やはり島民は交通手段について大変実感として高いものを感じておると。そういうハードだけじゃなくてソフトについても交付金を出す、そういうことについては私もすばらしいと思うのであります。

 一方で、そういう生活のコストを引き下げるような方向においての予算の使い方も今後オプションとして考えていくということが地元のニーズにより合ったお金の使い方ではないかと感じるところなんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

宮田政府参考人 税、揮発油税の話でありますので、本来は財務当局がお答えすべき話だろうと思いますが、税務当局からよく聞いている話で申し上げますと、離島におきます揮発油税の軽減を行うということにつきましては、消費に公平負担を求めて必要な道路整備費の財源に充てるという揮発油税の趣旨に反するというふうに考えられる、離島振興という政策のために特例を設けるというのは適当ではない、また、揮発油税が転々流通することによって離島以外の地域の揮発油税の消費にも軽減の効果が及ぶ、そういうおそれがあるということでございます。

 実は、もう委員御案内だと思いますが、離島振興に資する観点から、道路、港湾、空港、そういった整備に対しましては、国の補助率の割合が引き上げられております。そういった観点で、税を払っていただいている公平性を求めながら、離島地域に特に配慮しているという現象もございます。

冬柴国務大臣 島の中を走る車の揮発油税はどうか、私はわかりません。しかし、島へたどり着くためには飛行機か船で行かなきゃいけないわけで、そういうものについては、そこに住んでおられる方の福祉とか生活を補助するためにという趣旨以外に、そういうことじゃなしに、離島というのは、やはり排他的経済水域が広大な広がりを持つわけですね。小さな国日本と言われていたけれども、今や、排他的経済水域の広さを加えれば、アメリカが一位ですけれども、日本は世界第六位の広大な領域、領空を持っているわけでございまして、それを守ってくださっているという意味でも、私は、離島振興というのは非常に大事な、また海底資源とか漁業資源とかいうことを考えても、これは非常に大事なところだと思うんです。

 その振興策としていろいろなことが考えられるんですけれども、やはりそこへ行く飛行機の料金をどうするとか、あるいは着陸料をどうするとかいうことも非常に大事だろうというふうに思いますし、また、そのようにもいたしております。

 したがって、ガソリンのことは今局長が言ったことでありますけれども、私は本質的に、離島に対する振興策というのはきめ細かくそこに住む人のニーズに合うようなものを考えていくべきだというふうに思います。

鷲尾分科員 ありがとうございます。

 税の使い方については、税の取り方とかいろいろ実務上問題があるんでしょうけれども、一つ思いますのは、先ほど来申し上げました、公共事業という使い方ですとどこまで、例えば島民あるいは地方、地域の経済的な波及効果があるのか。従来、一般的に言われておりますのは、当然、土建業者さん、土木事業業者さん含めて、お金が入るとやはりかなり波及効果としてはいろいろな産業に広がっていくでしょう。だから、予算の使い方としては比較的よい使い方じゃないかということがあるわけで、正直私自身もそう思う部分はあるんです。

 では、島民に、例えば佐渡という地域、離島で、先ほど局長から御答弁いただきました、ちょっとこの場では無理な質問だったかもしれませんけれども、税の使い方を考えたときに、島の物価水準が下がるような、そういう税制のあり方を変えるということも、これは非常に、それこそすそ野が広いといいましょうか、そこに住まう人皆さんにとって役立つということだと思うんですね。政策としてはそういうこともやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思う次第でございます。

 冬柴大臣から、先ほど排他的経済水域のお話もいただきました。おっしゃるとおりだと思いますし、そういう観点からよりよい離島振興政策というのを今後も進めていけたらというふうに思う次第です。

 それでは、話をかえまして、前回といいましょうか先月、三月に、自動車検査独立行政法人の法案につきまして、法律を改正する、非公務員型にしますと。それは行革推進法にのっとっての改正ということで、内閣から提出をいただきまして、国土交通委員会の方で審議させていただきました。

 その中で、この法案に、自動車検査独立行政法人が検査手数料を直接受け取る、そういうふうに変更するというお話がございました。

 この直接納入するということに当たっては、前回私も質問させていただいたのでございますが、今まで国が窓口をつくって徴収していました。自動車検査独立行政法人というのは、運輸局の地方支局の敷地の中に工場がありますよ、その工場が自動車検査独立行政法人であって、その局舎の方を国が持っていて、その局舎の中に窓口が置いてありますよ。自動車検査独立行政法人の工場で検査を受けました、受けてオーケーだったので、では、検査料を含めて認証状をもらいに局舎の方に行って、国の窓口に提出して、それで検査おしまい、検査料の納付。そういう実務の流れであろうという話をさせていただきました。

 そんな中で、では、直接納入するとはどういうことなんですか。実務上どうなるんですか。納入するに当たって、当然、国ではなくて、これから自動車検査独立行政法人になるわけですから、その部分の変更に伴って、行政サービス、つまり、利用者側から不便が生じるような制度の改変は最低限あり得ないとして、行政の側も効率化するということが一つお題目になっているわけですから、どういう意味で効率化になっていくのか、実務上がどうなっていくのかということを質問させていただきましたら、局長の方から、これから工夫しますというお話をいただいたところでありました。

 では、その工夫はどのようなことになるのか。一カ月たったところで、改めまして国交省さんにお聞きしたいところでございます。

岩崎政府参考人 おおむね今先生のおっしゃったとおりのやり方でやっておるわけでございます。

 自動車の検査手数料、正確に言いますと、自動車検査登録印紙によって納付していただくということになっております。この印紙の販売につきましては、印紙売りさばき人にその業務を委託しております。通常ですと、運輸支局の中に印紙売りさばき人の窓口がございまして、そこで現金を出していただいて印紙を購入していただく、それを申請書に張っていただく、こういうやり方でやっておるわけでございます。

 今回、法律改正をいたしまして、一部は国に、一部は独立行政法人に、こういうことのシステムにさせていただいたわけでございますけれども、今考えておりますのは、印紙売りさばき人から利用者の方は印紙を購入していただくわけでございますので、そのときに、独立行政法人に支払う費用も合わせて払っていただく。

 そうすると、一括して払っていただいたものを、我々は、一部は印紙としてお渡しし、一部は独立行政法人に払うものを、印紙がわりのような証紙みたいなものをつくりまして、それで払っていただく、こんなことをして、二カ所で払っていただくような、こういう利用者に御迷惑をかけるようなことはしないようにやっていこうということで今検討を進めておるところでございます。

鷲尾分科員 では、窓口の方で自動車検査独立行政法人の分の手数料を受け取るというのは、これはどの職員がやるという話になるんでしょうか。例えば、窓口に一人座っていたとして、その方は国の業務も扱うし、自動車検査独立行政法人の業務も扱うしということになりやしませんか、ちょっと細かい話ですけれども。

岩崎政府参考人 今、自動車検査登録印紙について、印紙売りさばき人にお願いしておるところでございますけれども、その印紙売りさばき人の方が、国からは印紙売りさばきという業務の委託を受け、独立行政法人から印紙がわりの独立行政法人に対する手数料の納付手続の委託を受けて、同じ一人の方にその両方の業務をやってもらうということによって工夫できないか、このように思っておるところでございます。

鷲尾分科員 今話を聞いたところでは、かなり行政側としては複雑な、それこそいろいろな工夫をされなきゃいけないのかなと。この法案改正によりまして、逆に行政が複雑化しないかというところが一つの私の問題意識でございまして、ぜひともその点を勘案いただきまして、いろいろ工夫は大変でしょうけれども、それはもう複雑化しないような格好で、行革推進大綱の本文をぜひとも忘れずにやっていただけたらというふうに思います。

 最後の質問ですけれども、冬柴大臣にお聞きしたいというふうに思うんですが、自動車検査独立行政法人の業務というのは、民間の整備業者さんが車検を整備工場内でやりまして、やるということが、民間整備業者がやるという話もあるわけですけれども、民間の整備業者さんが車検の代行業務をやるに当たりまして、車検をするに当たってのチェック事項といたしまして実務上いろいろなものがあるという話がありました。

 前回これを質問させていただいたんですけれども、例えば、罰金をちゃんと払っているかとか、自動車重量税を含めていろいろな税金をちゃんと納めていますかとか、リサイクル法の関係はどうですかとか、そういうお話をユーザーさんと民間の整備業者がやるという話でございました。

 前回私が御質問申し上げましたのは、民間整備業者と国交省さんが、いろいろ実務上円滑に進めるように、話し合いの中で今まで関連としていろいろなチェックをやってきたという話でございます。当然、車検というものをやる中で、ユーザーさんに対して、そういうチェックをするのも決まりですからということで実務上はやられておるんでしょうけれども、これを立法として手当てしながら、要するに、罰金の徴収を含めて、個人情報保護法というものも最近重要な問題になってきているのではないか、民間整備事業者の方がやりやすいように、ある程度業務というのを立法化するということも考えられないかという御質問をしたところ、大臣の方から、調査しますというお答えをいただいたわけでございまして、その点、その後の経緯を御説明いただけたらと思います。

冬柴国務大臣 たしか三月二十日だったと思いますが、そのように相当詳しく、業者の負担になっているのではないか、その根拠は何か、法を整備する必要があるのではないかという、るる委員からのお話がありまして、私から、その点については一度きちっと調査をいたしますということを申し上げました。

 その後、そのように答弁した以上、やりなさいということで指示をいたしまして、現在、今やっているところでございまして、現状は調査票をどういうふうにするかという検討をいたしておりまして、六月には調査を実施できるように今準備を進めているところでございます。

 それは、例えば整備事業者が負担と感じているかどうかという具体的な問題ですね。今おっしゃいましたように、いろいろな費目のお金を納めたかどうかという確認について、負担なのか、それともそれについてクレームがついたりいろいろしたことがあるかどうかというような問題について、業態別、例えば専業なのかディーラーなのか、乗用車中心なのか大型車中心なのかというようなところ、あるいは都市部か地方部かというような別で、それぞれの業者さんも相当ありますので、広範な調査をした上で、委員のおっしゃったような負担とか不都合があるかどうかということを調査して、必要であればその後の手続に及びたいというふうに思っているところでございまして、それから直ちに調査に着手していることは事実でございますので、よろしくお願いします。

鷲尾分科員 了解いたしました。

 ありがとうございました。

古屋主査 これにて鷲尾英一郎君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、古屋(圭)主査代理着席〕

古屋(圭)主査代理 次に、三谷光男君。

三谷分科員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、決算行政監視委員会第四分科会で、冬柴国土交通大臣初め国土交通省の皆様に質問をさせていただきます。

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設支援機構が行います船舶の共有建造制度について、お尋ねをいたします。

 共有建造制度は、同機構と内航海運業者が費用を分担して、船舶を共有で建造する制度です。完成した船舶は、費用の分担割合に応じて、事業者と機構が一定期間共有をします。

 共有船は、事業者が使用、管理する。機構が行う資金措置に対しては、共有船の機構持ち分の使用料として、元金均等割賦弁済方法により計算した元金及び利息に相当する金額、船舶使用料ですが、これを共有期間を通じて事業者が払い、機構が分担した建造費用を弁済します。最終的に共有船は、共有期間満了時に機構持ち分の残存簿価を事業者が機構から買い取ることにより、一〇〇%事業者の所有船となります。

 船舶の建造資金を金融機関から借り入れる場合には担保が必要になりますが、原則として、この場合、担保は不要。事業者は自己資金分の担保で船舶が建造できるので、中小事業者が多い内航海運業者からすれば大変ありがたい制度になっています。

 内航海運の果たす役割は、私も大変重要だというふうに思っています。しかし、今でこそ少し業況も持ち直していますが、長い間、内航海運業者にとって厳しい経営環境が続いてきました。私の地元にも大変、海運業者、とりわけ内航海運業者は多いのです。

 そこで、まずお尋ねをいたします。

 きょうは、機構から大庭理事に来ていただいております。横浜からわざわざありがとうございます。

 この共有建造制度の利用におきまして、船舶使用料の未収金、払う側からすれば未払いということになりますが、未収金が発生するケースが多いというふうに聞いています。今まで建造された船の中で、未収金が発生するケースはどれぐらいあるのか。旅客船、貨物船、それぞれにお答えをいただきたいと思います。

大庭参考人 私どもが船舶共有制度に基づきまして共有建造いたしました船舶、共有事業者から使用料を回収して、私どもの支出した費用を回収する仕組みになっているわけでございますけれども、約定に定められました使用料がきちんとお支払いいただけていない、したがって未収金が発生しているという状況がございます。まことに残念なことではございますけれども、そういう状態がございます。

 これを金額ベースで見てみますと、機構が平成十七年度に本来支払いを受けるべきはずの額の総額は、旅客船で百三十九億円、貨物船で三百十八億円、合計四百五十七億円ということでございましたけれども、このうち、旅客船で三十一億円、貨物船で十五億円、合計で四十六億円の未収金が生じております。未収発生率は約一〇%ということでございます。

 なお、私ども、独立行政法人として、平成十五年十月にこの組織として発足をいたしておりますけれども、それ以降、建造いたしました共有船は十七年度末までの竣工分で合わせて六十二隻ございますけれども、これらの機構発足以後建造した船舶に関しましては、未収金は発生をいたしておりません。

三谷分科員 今のお話で、金額ベースでは双方合わせて一〇%程度。推移を見ましても、一四、五%になるところから、一〇%になるところから、ございますね。隻数でいえば、旅客船はわかりませんけれども、貨物船では約二百隻程度というふうに聞いております。もっと多いのではないかというふうに思っておりましたけれども、金額ベースで一〇%程度。まあまあ、なかなか、それほど多いわけではないということで、安心をいたしました。

 続いてお尋ねをいたします。

 この共有建造制度は、新しい船を持ちたいと考える、とりわけ中小の海運業者からすれば大変ありがたい制度でありますけれども、機構は、共有建造を採択するに当たりまして、事業者の将来の事業見通しでありますとか事業計画の内容、あるいは将来の経営環境の見通し、船舶使用料がきちんと払えるのかどうなのか、借金でいえば返済計画に相当するプランでありますけれども、こうしたことをきちんと吟味して決定がなされているのかどうか。共同建造の決定に際してどのような吟味がなされているのか、教えてください。

大庭参考人 共有建造制度に基づきます船舶の建造に際しての、審査に関してのお尋ねでございます。

 先生から先ほど御紹介がございましたように、私ども、船舶を共有いたしますと、その共有期間、すなわち支払い期間でございますけれども、船舶の法定耐用年数に合わせてありますから、通常、この支払い期間は十年ないし十五年という長期に及ぶものでございます。また、船舶の建造価格は相当なものでございますので、私ども、船舶建造の採択に当たりましては厳正に審査をしているというところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、その船舶が政策課題に適合したものであるかどうか。すなわち、物流効率化に資するものか、あるいは環境対策の施されている船であるかというような、政策課題に適合しているものであるかどうかという点の確認。また、実需に合致した船舶であるかという点も確認をいたしております。さらに、共有建造を希望いたします事業者の財務面、建造船舶の運航採算面などを総合的に審査して、共有建造するか否かを判断しているわけでございます。特に、貨物船におきましては、荷主さんあるいは用船者さんからの積み荷保証や用船保証が出ているのか、そういうものに基づいて建造船舶の必要性がきちんと確認できるのか。さらには、船舶の運航採算につきましては、共有期間を通じて建造船価の回収が可能であるかどうか、その点をしっかりと確認いたしております。

 こういう点を総合的に審査いたしまして、共有建造するか否かを判断しているところでございまして、必要がある場合には、債権保全策を講じるよう求めるというような場合もあるわけでございます。

三谷分科員 ありがとうございました。今の御説明の意味では、厳正にきちんと審査がなされている、とりわけ近年は厳正に審査がなされているんだろうというふうには推察をいたします。

 続いて、船舶使用料の支払い猶予について、引き続き、機構の大庭理事にお尋ねをいたします。

 支払い猶予の規定がございます。これは、機構がおつくりになられたものであります。不況の影響その他やむを得ない理由により資金繰りが極度に逼迫した事業者につき、支払い猶予を認めるとこの規定の中には定められています。

 多分、当初この規定をつくったときは、一時的な不況でありますとか、あるいは突発的な事故、船の事故等々を想定されたのだと思います。しかし、不況ということでいえば、先ほども申し上げましたように、長い低迷、そして厳しい経営環境は非常に恒常的なものになりました。支払いが猶予をされたケースというのは、今までの共同建造を行ったケースの中でかなり多いというふうに聞いております。

 また、支払い猶予限度額の規定もあります。これも、おつくりになられたものの中に入っています。減価償却費相当額については十二カ月分まで、特にやむを得ない事情と認められる者に対しては、船舶使用料の全部についても十二カ月分までと規定がなされていますが、規定で定められた分を超えるケースも多いはずですし、多いと聞いています。

 どういう場合に、やむを得ない場合と判断されて、また、規定で定められた分を超えるケースも多いと思うのですが、当面、使用料を払わなくてもいいという猶予の処置ということになるのか、教えていただきたいと思います。

大庭参考人 共有事業者が契約で合意いたしましたとおりの支払いを行うことができずに未収金が発生したような場合、機構は共有事業者と個別具体的にその事情を聴取いたします。その上で個別に、その事業者あるいは用船者、さらには取引先の金融機関、関係者と協議を行いまして、機構債権の全額が回収可能であると認めるときには支払いの猶予を認めるというようなことをいたしております。

 すなわち、支払いの猶予を行いますときには、機構と共有事業者との間でリスケジュール契約を締結いたします。その際、公正証書の作成をいたしましたり、用船者からの用船確約書の提出を求める、あるいは使用料を用船者から直接受領するというような措置などをあわせて講じているわけでございます。

 先ほど、特にやむを得ない事情のない限りという点についての言及がございました。機構の船舶使用料の支払い猶予制度に関する規定において、猶予額の支払い方法を定めておりますけれども、御指摘の、特にやむを得ない事情のない限りとしておりますのは、共有事業者が天災事変や海難などの影響を受けたときの場合を想定しておるものでございまして、この規定におきまして、一定期間猶予する場合の猶予期間の特例を定めるというようなことにいたしておるものでございます。

三谷分科員 今のお話では、リスケジュールが協議をされて、きちんと定められて、約定もちゃんと再度結ばれるんですね。

 先ほどお尋ねしたのは、やむを得ない場合とどういう場合に判断されて、今特例ということを最後に言われましたけれども、どういう場合が特例になるんでしょうか。多分、認められるのは、不況で払えない。規定とは本当は違うんですけれども、不況で払えない、こういう場合がやむを得ない場合というようにどうも想定されているように伺っておるんですが、どうでしょうか。

大庭参考人 特にやむを得ない事情のない限りというようにこの規定上定めておりますのは、共有事業者が天災事変あるいは海難事故などの影響をこうむった場合のことを想定して規定したものでございます。

三谷分科員 この規定は、だから私も先ほど申し上げましたけれども、多分、海難事故であるとか、今おっしゃられたようなことを想定してつくられたんです。だけれども、実際に猶予が行われているのはそればかりではないでしょう、きっと。もっと広範に猶予が行われていますよ、実際のところは。だから、それはどういう場合にその事情が、多分、この規定を超えて行われているんです。先ほど理事が言われたようなリスケジュールの協議に入る、それは猶予が認められてからの話です。どういう場合に認められているんでしょうか。

大庭参考人 共有事業者が共有契約に定めました使用料を支払うことができないような資金的な事情に陥った場合、その支払いが今後どのような状況で可能であるのか、用船者から支払われる用船料の水準あるいは取引金融機関との関係など諸事情を判断いたしまして、機構の債権が全額回収が可能であるというように見込めます場合には、その期間を延長して回収していくということを認める、そのようなリスケジュールを行っているというものでございます。

三谷分科員 今のお話のとおり、多分、ここに規定されていることよりもかなり拡大はされていると思います。それはそれでいいんです。大事なことは、長い不況が、低迷があったわけですから、支払い猶予があった、だけれども、払ってもらわなければいけないわけですから、支払い猶予があっても、リスケジュールを定められて、ちゃんと約定も結ばれて、最終的にその約定された船舶使用料をきちんと払ってもらえるかどうかというのが一番大事な問題であります。

 支払い猶予が認められたケースというのは、全体の建造数の中でどれぐらいあるのか。むしろ、こちらの方が大事です。支払い猶予がなされたケースで、支払い猶予がなされるわけですから、一回滞るといいますか難しい状況になった、それで最終的に約定上の船舶使用料を全部払ってもらえたようなケースはどれぐらいの割合になるんでしょうか。

大庭参考人 リスケジュール契約を締結いたしまして支払い猶予を行ったケースに関して、最終的に返済額を支払ってもらったケースということで、最近の、十七年度の時点での数字を確認いたしますと、十七年度末時点でのリスケジュール事業者が百五十三社、船舶の隻数は百九十隻でございます。これらの船舶に関しまして、翌年度、十八年度中に完済を終えた事業者が三十三社、三十七隻でございます。

 この完済した者以外のその他の事業者につきましても、リスケジュール契約を締結した者につきましては、この契約に基づき支払いを継続していただいているものがほとんどでございまして、リスケ事業者が最終的にこの契約上の船舶使用料を支払うケースは九割を超えているというように認識いたしております。

    〔古屋(圭)主査代理退席、主査着席〕

三谷分科員 リスケジュールが行われてきちんと約定が締結されたら、その約定どおりの返済方法がおおむねなされているということですね。それは安心をいたしました。

 そして、続いてお尋ねをいたします。

 共同建造をして、船が完成します。その船舶使用料の支払いについては、三年を限度というふうに聞いておりますけれども据え置きが認められていますね。据え置くのかどうかというのは、得か損かということもありますし、これは事業者の方の判断によるものですね。

 その船舶使用料について、据え置かれないものもあるかもしれませんが、据え置きの期間が終わって、支払いの第一回目から未払い、もちろん船は使用しているんだから収入はあると思います、収入があるはずなのに第一回目から未払いというような事業者はいますか。

大庭参考人 先生御指摘の共有船に関する支払いの据置期間の点でございますけれども、平成十二年度まで、共有期間のうち当初の三年間につきまして、金利相当分の支払いにとどめ元本部分の支払いを据え置く、四年目以降にあわせて回収することができるという制度を設けておりました。

 その当時、据置期間が経過いたしますと、使用料がアップいたしますので、未収金が発生するというようなケースがあったことは事実でございます。しかしながら、この据置制度は見直しを行いまして、現在では据置期間が一年未満ということになっております。

 先ほども申し上げましたけれども、平成十五年十月の機構発足以降、未収は発生しておりません。すなわち、据置期間終了の直後から未収が発生するというような事態はなくなったわけでございます。

三谷分科員 未収が発生しているのを私は聞いているわけではありません。船舶使用料として、据置期間が終わって第一回目から未払いがあるケースがありますかと聞いておるんです。お答えください。

大庭参考人 据置期間が経過いたしまして、その後使用料が上昇する、そのために未収金が発生するというケースがあったことは事実でございます。

三谷分科員 理事、よく調べていただきたい。第一回目から未払いのところがあるんです。私も知っているんです、これは。信じられないんです、こういうケースは。

 先ほどもお尋ねをいたしましたけれども、おおむね、特に今はかなり健全にやっておられると思います。今理事がお話しされたことも少し前の話、私が知っているのもそのケースでありますけれども、据置期間が終わって第一回目から、そうたくさんはないかもしれませんが、最初から未払いというようなケースがあるんです。なぜこんなことが許されるのか、認められるのか。ちょっと信じがたい行為だというふうに私は思っています。

 船舶使用料も最初から、船舶使用料元利の、いわばローンでいったら月々の返済金みたいなものです。一回目から未払いということは、借金に例えたら、もう最初から踏み倒しているものと同じです。それが許されているんですよね。許されているケースがある。

 まさに、共同建造制度は一種の、一種は要らないかもしれません、政策金融です。資金は財投資金です。低利の長期資金を安定的に供給している。これは、まさに機構の売り文句です。ホームページにも書かれています。低利で利用してもらうために、税金も使われているんです。そして、再三私も申し上げているように、中小の事業者からすると、確かにありがたい制度なんです。私も有効な制度だというふうに思っています。

 だけれども、今申し上げたケースは悪質と申しますか、また機構側にも、当時は十五年より前で、公団あるいは事業団だったかもしれませんが、私は信じられません、一回も船舶使用料を払っていないケースが存在するということが考えられないことだ。また、許すこと自体、信じられない行為だというふうに思います。

 そしてもう一つ、船舶使用料が支払われなくなって、船を売却して清算するというケースは結構たくさんあると思います。私の身近でもたくさんございました。清算をして、船舶使用料の残額、事業者側からすれば残った負債になります、機構側からすれば未収の債権ということになります、幾らかを、無償償却して残った残債務のことですが、これについてはどのような返済方法ということになるんでしょうか、お答えください。

大庭参考人 船舶使用料を支払えなくなった事業者が船舶を売却処分するというようなケースでございますが、そのような場合には、まず事業者は機構の持っております持ち分を買い取りまして、同時に残債務を一括清算した上で売却するというのが通常の取り扱いでございます。

 仮に、船舶売却時において、事業者が残った債務全額を一括して弁済ができないような場合には、その後継続して支払うことができるのかどうかということを確認いたします。私どもと事業者との協議に基づきまして、機構の債権全額について毎月の支払いが可能であるということが確認できました場合には、債務確認弁済契約を締結いたしまして、その後の支払い額、弁済期間を定めて分割で返済ということになるものでございます。

三谷分科員 今のお話はわかりました。では、もちろん、約定はきちんと結ばれるわけですね。

 その残債の返済について、長期、それも超長期の、例えば八十年弁済にも等しいような、あるいは、同じことですけれども、一回の返済額が利子額にも満たないような、ただ払ってくれればいい、払えるだけ払えばいいというような弁済方法、こういう弁済方法はありますでしょうか。

大庭参考人 債務確認弁済契約に定めます返済期間に関しましては、共有事業者の経営状況や資金繰り、その他の債権者の債権残高あるいは担保措置、そのようなものを考慮いたしまして、事業者とよく協議をして、返済計画を定めて契約を締結するということになります。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、未収金を早期に回収するということを目指しているわけでございまして、共有期間満了後数年以内に支払いを終えるような取り扱いをすることが多うございます。長くても、共有期間満了後十二、三年程度となっているものでございます。

三谷分科員 理事、時間が限られておりますので、誠実にお答えください。

 私がお伺いをしましたのは、超長期のような、一回の返済額が利子分にも満たないような、払えればいいというような、そういう弁済方法があるんですかというふうに聞きました。お答えください。

大庭参考人 ただいまお答え申し上げましたように、八十年に及ぶような超長期というような、そういう支払い方法を認めたものはございません。

三谷分科員 きのう、機構の方々からの説明では、あるということを伺いましたよ。あるんですよ。それは私も知っています。

 ただ、バルーンと呼ばれるそうですけれども、ある時期には、先ほど十二、三年が最長だということを、まだ次に聞くことだったのですけれども理事がお答えになられました、そういう返済方法でもあるんです。

 実際のところ、これも私には信じられない。本当にそこの支払い能力がどれぐらいあるのかということをきちんと見て、今のような弁済方法をお決めになられているのか。だから、先ほど来のようなお尋ねをずっとしておるんです。

 もう一つの確認をいたします。全額返済するある時期までの期間、十二、三年が最長だと聞きました。そして、先ほどの理事のお話の中にもありました。本当に十二、三年が最長ですか。

 別の聞き方をいたします。清算をする、清算をして新たに約定を結ぶ。十二、三年が最長ということは、十二、三年で返済をしてもらうということですね。先ほど私が申し上げたような弁済方法で、十二、三年以上経過をしているのに返済がなされていない、そんなケースは本当にないんですね。お答えください。

大庭参考人 私ども、先ほど申し上げましたように、債務確認弁済契約を締結して、その後の分割弁済をしていただいておりますけれども、その期間は長いもので十二、三年ということでございます。

三谷分科員 時間がありませんが、残念なことだと思いますけれども、これは国会で質問をしておるんです。理事、議事録に残りますよ。私も、あることを知っています。十二、三年以上経過をしているのに残債が払われていないケースを知っています。それはよくお調べになられてください。

 最後にお伺いをします。国土交通大臣、そして海事局長にお尋ねをいたします。

 私は、この共有建造制度そのものが問題だというふうには思っていません。制度をやめろというようなつもりもありません。先ほども申し上げましたように、内航海運は重要ですし、また船を建造したい中小の海運事業者からすれば大変ありがたい有効な制度だと思っています。

 だけれども、悪用する事業者がごくわずかでもいるということが私は問題だというふうに思います。先ほど申し上げたような、船舶使用料を一回目から払わない、借金の踏み倒しと同じだというふうに思います。

 また、貸しはがしというようなことが独法化に伴ってあったということも地元の海運業者からも聞いています。中には、資金を返せと機構から迫られる、新造を認めることをにおわされて、あるいはにおわせて、船を売却、清算をされて、あるいはして、清算をしても、でも新造を認めない、こういう話もあったというふうに聞いています。

 今は内航業者も少し持ち直していますけれども、長い低迷の時期がありました。最後に言わせていただきたいのは、苦しいながらも、多くがそうだと思いますけれども、厳しい経営環境の中できちんと船舶使用料を払っている、あるいは払ってきた船主さんたちもたくさんいるんです。私の身近でもいますけれども、払えなくて廃業、倒産をした船主さんもいるんです。その方々は、家屋敷もとられています。

 その一方で、先ほどお尋ねしたような、収入があっても船舶使用料を、つまり借金を払わない事業者もいるんです。払っていない事業者もいるんです。家屋敷をとられていない。とられるわけじゃなく、のうのうと事業も会社も続いています。おかしいと思いませんか、大臣。私もおかしいと思うんですよ。

 海事局長と冬柴大臣に伺います。

 今指摘してきたような船舶使用料の未払い、債権の回収方法、全部じゃないでしょうけれども、どうしてこんな不条理、不公平な処理や措置がまかり通るんでしょうか。今後、どのように指導されるのか。まだ残っているものもあります。お考えを聞かせてください。

冨士原政府参考人 ただいま先生から非常に厳しい御指摘をいただきました。

 御承知のとおり、内航海運は、バブルの崩壊後、十年以上にわたる非常に深刻な長期的な不況に見舞われました。その中で、現在御指摘いただいております鉄道・運輸機構の、今は海事勘定と言っておりますが、船舶勘定の未収金問題というのが発生をいたしました。

 この勘定自体、ある意味、内航海運を維持していくために非常に重要な制度だということで、まず、この制度をどうやって立て直すかというのが私ども行政から見たときの非常に重要な課題でございました。その過程で、未収金の問題をどうするのか、新規の発生をとめなければならない、それから、払っておられない方からの回収をどうして、債権管理をどうするのか、非常に重要な課題でございました。

 そのために、一時期、先生御指摘がございましたように、貸しはがしでありますとか、さまざまな不平不満が当然出てまいります。そして一方で、支援機構の側から見れば、払っていない方から払っていただかなければ、現に払っていただいている方に対してどう御説明できるかという問題がございます。非常に厳しい状況の中で、この二、三年、経営をしてまいったというのが正直なところでございます。

 たまさか、最近、海運の状況が好転してまいりました。ここ二年で運賃、用船料も二割ぐらい上がっているという状況の中で、やっと内航海運業界も一息つき、次の世代の投資をこれからどうやっていこうかということを考えられるような状況になってまいりました。そのときに、鉄道・運輸機構には非常に大きな期待が今内航海運からかけられているというふうに承知をしております。

 内航海運業界の信頼を壊さないように、そういう意味では、いかに平等に、信頼を得られるような経営をやっていくかというのが大事でございます。したがって、過去の轍を踏まぬように、そういう意味では心して行政をやっていかなければなりませんし、鉄道・運輸機構にも、しかるべくそういうことで仕事をしていっていただかなければいけないというふうに考えているところでございます。

冬柴国務大臣 今局長からも答弁があり、また委員からも、この制度は私は否定するものでないとおっしゃるとおり、この船舶共有建造制度というものは、内航海運というものが物流の四割を担っている、そういう事実、それからまた、特に産業基礎物資、例えば金属、セメント、石油製品等、こういうものの八割を内航海運が輸送していただいている。内航海運というのは大変重要な産業であることは間違いないわけです。しかも、環境面から見ましても、自動車輸送から比べれば、CO2排出量は五分の一でございます。そういうことで、我々も、モーダルシフトということで、こういうところにシフトして物流をお願いしたい。

 そういう支えるものが、決して大企業がやっているわけじゃなしに、資金力の弱い中小企業がやっていらっしゃる、これはもとからそうです。そういう人たちが非常に高額な、何億というような船舶を建造するということは難しいわけですし、また、一般の金融機関に申しましても、特殊な産業だけに、そう容易ではありません。

 そういうところから、鉄道・運輸機構がこういう、いわば金融だと思います、建造費用の九割、九〇%まで出して、そして本人の拠出額というのは当初は一割程度でこういうものが建造できる。これは本当に、これを利用していただいて、先ほど言うように我々の基幹産業である内航海運というものを支えていただけるならば、非常に有益な金融だと僕は思います。

 ただ、長い、失われた十年という時期には、この内航海運だけではなしに、外航もそうですし、それから不動産業も、大変大きな資金を金融機関から借りて、そしてそれを踏み倒した住専という事件がありました。そういう時代もありましたけれども、我々は、今いろいろな努力によって経済が立ち直りつつあります。

 したがいまして、そういう過程において、いろいろ委員から、こういう事案はどうだと言われていますけれども、具体的に、もちろんそれはプライバシーの問題もあって、確証もお持ちでしょうけれども、この場では抽象的にしか述べていられないんだろうと思うんですが、希有な事例として、私はそういうものもあるんだろうと思いますが、しかしながら……

古屋主査 質疑時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

冬柴国務大臣 鉄道・運輸機構におきましては、ぜひ不公平だというふうに見られないように努力をしてほしい、そういうことを期待する、私はそのように思っております。

三谷分科員 超過をいたしました。申しわけありません。質問を終わります。

古屋主査 これにて三谷光男君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 民主党の北神圭朗でございます。

 お疲れさまでございます。きょうは、地元の案件について何問か質問をさせていただきたいんですが、まことに申しわけないんですけれども、国土交通大臣初め国土交通省の皆さんにはちょっと待っていただいて、後の方に回していただくということであります。

 まず、国税庁と公正取引委員会に御質問をさせていただいて、その後警察庁に御質問させていただいて、そして最後に国土交通省という順番で行きたいと思います。

 まず、地元の案件で、今、私の地元でいろいろ問題意識を持たれているのは酒の不当廉売の問題でして、小さな酒屋さんが大きな酒屋さんに非常にいじめられているというのが上がってきている声であります。

 これは要するに、例えば、自動車で一時間かそのぐらいかかるような遠いところにある大手の酒屋さんが、わざわざ御丁寧にうちの地域の方までビラをまいて、非常に安い値段でビールやお酒を売りますよというようなビラをまいている。そして、そういった中で、もちろん酒屋さんもそれぞれしっかりと経営努力をしていかないといけないというのは当然のことなんですが、不当廉売と思われるような事例がたくさん生じていて非常に困っている。これは多分、私の地域だけではなくて、もう全国、よく最近ある事例だというふうに思います。

 それで、もともと、これは公正取引委員会の所管だというふうに思うんですが、ただ、私の方は京都なんですが、京都の右京区というところにいますが、そこの右京小売酒販組合というところが具体的にいろいろな要望あるいは陳情を持ってきてくれる。彼らは、ある意味で誇りがありまして、自分たちは普通のその辺の組合じゃない、法的な根拠を持つ組合であって、国税庁さんには、やはりそこら辺、守ってほしいというすごい期待感があるんですね。

 ですから、皆さんにしてみれば、彼らもいろいろな陳情を上げてきて非常に困らせているような、そんな感情があるかもしれませんが、彼らは恐らく根底に、話を聞いていると、我々は、やはり公正取引委員会よりも国税庁さんに頼りたい、国税庁さんに守ってほしいということがあるんです。

 まずお聞きしたいのは、酒の不当廉売については、新指針という通達みたいなものを出されている。これが平成十八年八月三十一日、酒類に関する公正な取引のための指針というものであって、新指針と呼ばれているもので、これに基づいて実態調査を行って、もし公正な取引、公正な価格に違反しているような事例がある場合は、そういった業者に対して改善指導等を行うということが言われておりますが、この辺の改善指導命令の状況というのはどんな感じなのか、お聞きしたいと思います。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、国税庁では昨年の八月に酒類に関する公正な取引のための指針、いわゆる新指針というものを制定しまして、酒類に関する公正な取引のあり方を提示するとともに、効果的な取引状況等実態調査の実施及び公正取引委員会との連携等を明らかにすることによりまして、酒類業者による公正な取引の確保に向けた自主的な取り組みを促進しているところでございます。

 また、あわせまして、従来から、周囲の取引状況を調査しまして、合理的でない取引が認められた場合には、合理的な価格設定を行うよう改善指導等を行っているところでございます。平成十七事務年度におきましては、平成十七年の七月から十八年の六月でございますが、チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた酒類販売場等に対しまして、全国で千三百七十三場に対しまして取引状況等実態調査を実施しまして、その結果、総販売原価を下回る価格で販売するなど合理的な価格の設定ができていないといった問題が千二百八十六場において認められましたことから、合理的な価格設定を行うよう改善指導をしたところでございます。

 ちなみに、委員の地元でございます右京税務署管内におきましては、平成十七事務年度に十二件の調査を行っておりまして、そのすべてで総販売原価割れ販売等が認められたことから、合理的な価格設定を行うよう改善指導を行ったところでございます。

北神分科員 ありがとうございます。

 今、わざわざ私の地元の右京管内のお話もしていただきましたが、これはもともと右京とかそういう細かい区分で公表されているんですか。

荒井政府参考人 公表は全国ベースで行っております。ただ、御承知のように、税務署ごとの調査件数を積み上げて全国版をつくっておりますので、税務署ごとの数字というのは出せることは出せるものでございます。

北神分科員 ありがとうございます。わざわざ細かい区分も教えていただきまして、ありがとうございます。

 というのは、地元のその組合の皆さんも、これは多分、もともと不信感があるというふうに思うんですね。公正取引委員会だけじゃなくて国税庁さんも、あるいは、局、税務署がなかなか取り締まってくれていないんじゃないか。それは、これは根拠はわからないですけれども、彼らの実感としては、前からこういったことを訴えてきてもなかなか改善されるように思われない、だんだん商売が苦しくなってきている、そういった焦り、それと、ちゃんと当局は取り締まってくれているのかというような不信感が多分根底にあって、もう何度も、要するに、実態はどうなっているんだ、改善指導というのはちゃんと行われているのかどうか、そういったことを彼らも早く確認したいということで、情報公開の請求を税務署とか局とか庁の方にしているというふうに思います。

 先ほど件数の実態を右京管内は教えていただいたんですが、十二件ということで、やはり全部違反をしていたということで、非常に、これは全国ベースで見てもかなりの確率で、もう九割以上の確率でそういう合理的な価格に対して違反をしているような取引が行われているということであります。

 それで、もう一つ、彼らはいろいろな問題を、さっき申し上げたビラとかそういうものを材料に、こういう業者がこういうビラをまいているとかこういうことをしているとか、そういった情報があって、それを情報として国税庁さんあるいは公正取引委員会に上げているわけですが、そういった数字じゃなくて、実際の業者の情報を公開してほしい、そうじゃないと、自分たちが上げている情報が皆さんがちゃんと調査をして取り締まっているかどうかという確信を得られないというような気持ちがあると思うんですよ。

 それについて、情報公開をいろいろお願いしているんですが、やはり守秘義務、それを盾に取り合ってくれないということに対してまた非常にフラストレーションを感じている。そういうものが相まって、彼らもなかなか、非常に不満がうっせきしているような状況ですので、こういった具体的な業者名についての情報公開について、できるのかどうか、お聞きしたいというふうに思います。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、個々の調査の内容につきましては、守秘義務がございまして、その内容を公にすることができないということでございます。

 これは、なぜ我々としてそういうものが出せないのかといいますと、税務職員が職務上知り得た納税者等の秘密を他に漏らすということになりますと、納税者等と国税当局との信頼関係が損なわれまして、納税者等は安んじて税務職員に対しまして自己の秘密を開示しなくなる、そうなりますと税務行政の運営に重大な支障を来すことにもなりかねないということになりますので、個別の調査の結果については公表していないということでございますので、その点、御理解いただきたいと考えております。

北神分科員 これが徴税の話だったらまだ納税者との関係というのはわかるんですが、言ってみれば、国税庁さんの仕事もその辺は非常に複雑で、税金を徴収する仕事と、お酒の業界を持っておられる、そしてその業界の健全発展を目的としている行政というものもやはり行っていかないといけない、その辺はちょっと微妙な部分があるというふうに思うんです。

 私が申し上げたいのは、彼らもそういうことを言ってわざわざコピーを持ってきてくれたんですが、公正取引委員会の方は、同じように同じ案件で、申し立てをしたらちゃんと書面で通知書というものを送ってきた。つまり、具体名は言いませんが、どこどこの問題となっているお店、業者の名前を書いて、皆さんから、組合の方から報告を受けたその業者に対する件については、こうこうこういう方法で処理をした、それで、調査の結果、この場合は、独占禁止法上の措置はとりませんでしたが、独占禁止法違反につながるおそれのある行為が見られましたので、独占禁止法違反の未然防止を図る観点から関係人に注意をしました、こういう通知書をもらって、彼らはそこで、自分たちの声も取り上げられてちゃんと取り締まってくれているんだというような安心感みたいなものを得られる、ちゃんと仕事をやっているなと。

 ただ、彼らにしてみれば、同じような話である国税庁さんの仕事については、そういう守秘義務というものを盾にされて全然取り合ってくれないということについては、どうでしょうか、つまり公正取引委員会との違いですね。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法第四十五条は、独占禁止法の規定に違反する事実があると思料するときの公正取引委員会に対する報告についての規定を設けるとともに、同条第三項におきまして、報告に係る事件について、適当な措置をとり、またはとらないこととしたときは、公正取引委員会は、速やかに、その旨を当該報告をした者に通知しなければならない旨の規定を設けておりまして、これに基づいて手続が行われているものと承知しております。

 これに対しまして、国税局、税務署の取引状況等実態調査というものは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づいて実施しているものでございまして、同法には独占禁止法のような報告者に対する通知の規定が存在しないことから、個別の調査結果につきましては国家公務員法上の守秘義務が課せられていることになるというふうにして理解をしております。

北神分科員 公正取引委員会の方は法的な根拠があって、国税庁さんの方はないということだというふうに思います。

 これは、もともとこの案件というのは難しいところがあって、公正取引委員会の方は、不当廉売ということで、いわゆる公正な競争というものを確保するために取り締まっている。国税庁さんの方は、恐らくそこは非常に整理しないといけないと思うんですが、健全な業界の発展のために、やはり合理的な価格というものは消費者にとっても業者にとっても行わなければよくない、健全な発展が確保できない、そういう視点だと思いますので、そこのずれがあると思うんです。

 私が思うのは、健全な発展というものの中に、つまり国税庁さんの目指している業界に対する行政のあり方として、当然、その中に不当廉売というものは許せないというのは入ってもおかしくないというふうに思うんですよ、考え方として。

 つまり、皆さんにしてみれば、健全な業界の発展と公正な競争の確保というのは別々のものだというふうに思われるかもしれないんですが、やはり健全な業界の発展を考える上で公正な競争というものが確保されないといけないし、だからこそ、新指針の中に、公正取引委員会と不当廉売に関して非常に緊密な連携というものを図っていく、わざわざそういう規定を設けているわけですよね。

 ですから、法律上の関係は、要するに今の法律の状態では根拠がないので、当然、一般の守秘義務というものが公務員として課される、そういったことから業者の公開はできないということですが、今後、こういったことについてもう少し整理をして、行政の考え方、最終的には法律というものを改正するということは考えられるんでしょうか。

荒井政府参考人 委員御指摘のように、我々も、先ほど御説明しましたように、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の第一条に規定されました「酒税の確保及び酒類の取引の安定を図る」という目的を踏まえまして、すべての事業者が自主的に尊重すべき酒類取引のあり方についての国税庁の考え方を新指針ということで示しているところでございまして、酒類の取引のあり方については、我々自身も非常に関心を持って見ているということでございます。

 ただ、我々の行った調査の個々の結果について公表するということにつきましては、先ほど言いましたように、国家公務員法上の守秘義務が課せられているということで、その点はなかなか困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 ただ、我々としても、取引状況等実態調査の状況を年に一回取りまとめまして、従来以上に、守秘義務に留意しつつではございますが、把握した問題点とか指導の実績について具体的に公表していく、そういうことによって、他の事業者においても同様の取引が行われないよう啓発していこうという方向で今考えているところでございます。

北神分科員 なかなか今の現行の枠組みの中では余り踏み込んだ答えはできないというふうに思うんですが、今申し上げた国税庁さんの合理的な価格の話、合理的な取引を確保する話と、公正取引委員会の話というのは、私は、もう少し整理されていいんじゃないか、そういう考えを持っていますので、また今後とも議論をしていきたいというふうに思います。

 それで、この件について最後に公正取引委員会の方にお聞きしたいんですが、その場合問題になるのは、さっき審議官が言われたように、もともと国税庁と公正取引委員会が目指している部分にずれがあるからこそ、公正な価格の概念というものにも多少ずれがある。国税庁さんの方は、合理的な価格というのは仕入れ価格プラスいわゆる管理費、それに利潤を足したものだ。公正取引委員会の場合は利潤というものが入らない。

 これは、業界の思いとしては、利潤というものを乗せないと、当然商売というのは長続きしない。だから、そういった意味では、不当廉売の基準となる公正な価格というものも、本来利潤というものもつけるべきなんじゃないかというような意見がたくさん出ているんですが、それについてどうお考えでしょうか。

鵜瀞政府参考人 それぞれの商品にどのような利潤を設定し、どのような価格で販売するかは、各事業者の経営判断に基づき決定される事項であると考えます。原価に一定率や一定幅の利潤を加えて販売することを例えば義務づけるというようなことは、事業者の自由な価格設定を制限することとなりまして、適当ではないと考えております。

 独占禁止法の不当廉売規制がございますけれども、これは、事業者が効率性によって達成した低価格ではなく、採算を度外視した低価格によって商品を継続的に供給することにより、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合に、市場における公正な競争、秩序を阻害するおそれがあるものとして規制しているものでございます。

北神分科員 余り時間がないので、この価格の部分とか行政の目的の部分について、また今後とも議論をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それとともに、さっき申し上げたビラだけじゃなくて、最近は、ダイレクトメールとか、あるいは会員制みたいなものをつくって、なかなか発覚しにくいようにしているような動きも出てきておりますので、公正取引委員会はもとより、国税庁さんもしっかり連携をしていただいて、ぜひともこの辺を取り締まっていただきたいというふうに思います。

 今、規制緩和とか言われて、それはそれでいいんですが、その分やはり事後規制というものを充実していかないといけないし、この前も経済産業委員会で質問させていただいたように、到底今の公正取引委員会の人員では、これは近畿地方でたしか四人ぐらいしかいないんですよね、不当廉売を見ている人たちは。こんなものでは本当に取り締まれないんですよ。

 今、公務員に対するバッシングが強くて、ただただ減らせとか、そんなことを言っているけれども、やはり、事前規制というものを取り外すのであれば事後規制というものを充実していかないといけないし、それは公務員もある程度ふやさないといけない。それも私はずっと要望していくつもりですが、その間、やはり国税庁さんにもちょっと手伝ってもらわなければならないというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 皆さんにはもう質問がないので、帰られても結構です。

 あと、時間が余りないんですが、警察庁の方に地元のことでお聞きしたいと思います。

 これは交番の話でして、私の地元、右京区、西京区、亀岡というところがあるんですが、まず、亀岡の旭町という、本当に亀岡の中でも最も小さな集落の交番というものが平成十九年三月三十一日に廃止される予定だ。右京区の方に移りますと、これは京都市内ですね、御室と太秦安井というところの交番も同じく平成十九年三月三十一日廃止予定だ。さらには、右京区の西院春日そして釈迦堂前の交番というものがその翌年の平成二十年三月三十一日に廃止予定だ。

 当然、皆さんも大局の判断があると思います。要するに、どこに犯罪が発生しているのか、これは年月がたつとともに変わるものでありますから、そういったところに重点的に配置をしたり戦略的に配置をしたり、あるいは予算との関係もあるかと思います。しかし、実際見てみると、全国的に見ると警察の数はそんなに減らしていない、むしろふやしている部分もあるというふうに伺っております。

 それで、問題は、小泉さんのときに空き交番をなくすというような方針を立てて、たしか平成十九年度末までにそれを達成しないといけないということになっているんですが、この空き交番というのは、当然、分母が交番の数、それで分子が空き交番の数だというふうに計算すると思うんです。普通だったら、空き交番の数を減らすために人員をふやしたり、あるいは人員をもう少し再分配したりするのが一番いいと思うんですが、どうも安易に、分母の方の交番の数を減らして空き交番の率を下げるというような動きがあるんじゃないか、これも、そういう意見があるということでありますが、これではやはり本末転倒だ。

 やはり、地元の人たちにとっては、例えば御室の交番なんかは、確かに近くに大きな交番があるというのは聞いておりますが、それでも、御室というのはいわゆる仁和寺ですよね、ですから観光客が非常に多い。多分、昔そこに設置されたのは、そういった観光客が、道を、次は嵐山に行きたいんだけれどもどのバスに乗ったらいいのかとか、そういったものを聞くためにあるようなものだったのが、今それがなくなってしまったら、子供に聞かれたり、いろいろな、あるいは夜おばあちゃんに聞かれたり、それが必ずしも犯罪等に結びつくわけではないんですが、やはり地域の人にとっては非常に不安が生じる。

 そういった中で、私は決して、すべて今の交番を残せと言うつもりはないんですが、やはり安易に、空き交番の率を下げるために分母を減らすということだけはちょっと勘弁してほしいな、そういうことをぜひ警察庁の方から下にも徹底していただきたいなということでありますので、それについてのお考えを伺えますか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 交番は地域住民にとって安全、安心のよりどころでございまして、ただ、他方で、最近犯罪や事故が大変増加をしておりまして、これに伴って交番勤務員の不在が常態化します。今御指摘のあったいわゆる空き交番が増加しております。そういったことから、この解消を求める声が国民の間で高まっているという実態にあるわけでございます。

 こうしたことから、警察庁では、平成十六年度から三カ年度で空き交番の解消を進めることといたしまして、各都道府県警察では、交番勤務員の増配置、増員等も行っておりますけれども、増配置を行う。また、これは主に警察OBでございますけれども、交番相談員を活用するとか、また交番の配置の見直しを行う等によって、その解消に努めてきたところでございます。

 ただ、交番の配置見直しと申しますのは、地域の治安情勢とか人口動態等に応じた適正な警戒力の配置という観点から、これは常々行っておかなければいけないものでございますけれども、この際、各県の実情に応じて、改めてこの見直しを図るように指示したものでございまして、決して頭から交番の削減を前提としたものではございません。その点、御理解いただきたいと存じます。

 その結果、存続の必要性の乏しい交番につきましては統廃合が行われたのでございますけれども、その際、交番を廃止する場合には、地域住民の理解を得るべく説明に努めるとか、また、廃止された地域のパトロールを強化するとか、また、廃止された交番は警察官の立ち寄り場所とか地域の防犯ボランティアの活動拠点として活用するとかといった形で、住民の不安感を解消するようにしてほしいというふうに各県には指示をしたところでございます。

 この結果、平成十六年四月には全国で約六千五百の交番がございましたけれども、これがことしの春には約三百余り減少することになると思います。しかしながら、他方で、平成十六年四月に千九百二十五ありました空き交番は、すべて解消をされているというふうに考えております。

 今後とも、住民が不安を抱くことのないように、各都道府県警察に対して指導してまいりたいと考えております。

北神分科員 ありがとうございます。

 要するに、その交番の配置のことは内規でもう決まっているということですよね、人口とか犯罪の状況とか。ですから、安易に空き交番の率を下げるために交番を廃止しているわけではない、それを聞いて安心をしました。

 ぜひ、そういう考えでやっていただきたい、それを地方の方にも徹底していただきたいということを申し上げて、ちょっと時間がないんですが、最後にちょっと大臣に御質問させていただきたいのは、交通の件なんですが、一つは、私の地元に京都縦貫道というのがあります。これは市内の西京区から亀岡とか丹波町まで走っていますね。それが名神とつながるという予定があるんですが、なかなか用地取得が進んでいない。これをぜひ早くやっていただきたいということが一点。

 もう一つは鉄道の件で、JRの山陰線の複線化の問題がまだ残っている。特に亀岡以北、亀岡から、馬堀駅というところから園部町まで、ここがまだ進んでいなくて、これは特に亀岡の地元の皆さんからも非常に強い要望として上がっておりますので、財政事情が大変厳しい中でありますが、何とか大臣の決意を聞かせていただきたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 道路整備計画につきましては、昨年の十二月に、道路特定財源に関する政府・与党間の申し合わせを踏まえまして閣議決定がされたところでございまして、その中には、真に必要な道路は引き続き整備を進める、そして具体的には、平成十九年、ことしじゅうに中期計画としてその姿を示すということになっているわけでございまして、これは今、国土交通省におきましてその作業を、各いろいろな自治体とか関係者から意見を聞きながら進めようということで、進めているところでございます。

 ただ、お示しの道路というのは、京都において基幹的な道路でございまして、こういうものにつきましては、もう昭和六十二年ころからどの道路をしたらいいかというようなことは、全国一万四千キロにわたっていろいろ特定された経過があります。したがいまして、そういうものの中から当面整備すべきものというのは特定されると思います。

 それから二番目に、山陰線の話でございますが、これはJR西日本のことでありまして、これはもう独立した法人でございます。ただ、我々は、運輸事業者に対する監督官庁としていろいろな意見を申し述べることはできますけれども、これを我々の方で早く進めろとかどうとか言うことはできませんけれども、この山陰線というのも非常に重要な、山陰線、山陽線、東海道線等々重要なものでございますから、そういう意味で、JR西日本も一生懸命頑張ってやってくれるものであろうと期待をいたしております。

北神分科員 もう時間が来ましたので終わりたいと思いますが、ぜひ、特に縦貫道の方は中期計画の方にのせていただきたい、そういう検討をしていただきたいということをお願い申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久です。

 大臣におかれましては、長時間御苦労さまでございます。

 きょうは、公団住宅についてお尋ねをしたいと思っております。

 昨年の六月に、私はこの決算行政監視委員会で、公団住宅にお住まいの皆さんの居住の安定、そういう観点から、家賃決定の透明性という問題について質疑をさせていただきました。

 今回はそれに加えて、公団住宅制度そのものの存続が危ういのではないかという、これもまた居住者の皆さんのさまざまな御心配を背景に、きょうは大臣に、また機構の皆さん、あるいは国交省の住宅局の皆さんに質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、多摩の公団自治協の皆様方も多数傍聴にお見えでおられますので、ぜひ大臣から、この質疑を通じて居住者の皆様に、居住の安定という観点では御心配ないよ、そういう力強い明快なメッセージを発していただければありがたいな、こう思っております。

 まず議論の大前提として、公団住宅という制度を大臣がどのように考えておられるのか、その基本的な認識をお尋ねしたいんですが、私が認識をしているところによると、公団住宅というのは、基本的には、所得分位でいうと大体標準的な三分位の中間、すなわちミドルクラスのファミリー層向けの賃貸住宅、これがなかなか民間の手で供給し切れないという実態があったので、そういう人々に対して住宅の供給促進を図っていこうということで、四十数年ぐらい前から、そういう需要にこたえていく施策だった、そういうふうに認識をしております。

 ただ、最近は、いわゆる高齢化の進展によって、その五分位のうちの下の方、つまり第一分位、第二分位と言われている、具体的に言うと収入が五百八十九万円未満の世帯とか、そういう世帯が実に八割近く、七六・六%という数字が手元にありますけれども、こういう八割の人たちがそういう公団住宅に住まわれている。高齢で将来にわたって所得が必ずしも上がっていかない、そういう皆さんがどんどんふえておられる。こういう点では、低所得者層に向けての施策である公営住宅と実態的には余り実は変わらなくなってきているんだ、こういうふうに思っています。

 そういう中で、市場家賃化という方向性が打ち出されて、大体、普通、老朽化していけば家賃が下がっていかなきゃいけないのが、市場家賃ということで、近傍同種の市場家賃と合わせるということで、じりじり上がっていってしまっている。こういう状況の中で、高齢の御家庭の場合は、もう長年住みなれているし、安心して隣近所ともいろいろなおつき合いができて、家賃が払えなくなってきたから、では安いところに引っ越そう、そういうわけにもいかない。

 したがって、じりじり上がっていく家賃に耐えていかなければならない、今そういう状況にあるんだろうというふうに思うんですが、大臣の御認識も大体この辺で間違いがないかどうか、最初に、冒頭に承りたいと思います。

冬柴国務大臣 余り変わりはありません。余りというよりも、変わりはありません。

 認識としてはそうですが、ただ、規制改革・民間開放推進会議というものの答申がありまして、これは後に閣議決定までされていますが、現在七十七万戸の賃貸住宅を今の独立行政法人都市再生機構が管理をしているけれども、その削減の目標を設定せよ、あるいは地方公共団体へ譲渡すべきである。平成二十年といったらもうすぐですけれども、それまでに検討を行って結論を出し、結論が得られたものから措置をすべきである、そういうことが示されまして、閣議決定までされているわけです。

 しかしながら、一方、独立行政法人都市再生機構法案が可決されるときに、附帯決議が衆議院と参議院でそれぞれ行われておりまして、我々国土交通省としましても、その趣旨を十分尊重してまいりますという約束をしています。

 その中にはこういうことが書かれているんです。居住者の居住の安定を図ることを政策目標として明確に定め、居住者との信頼関係を尊重し、十分な意思の疎通と連携のもとに住宅や利便施設等の適切な維持管理を行い、快適な生活環境の確保に努めなさいという決議を衆参でされまして、その趣旨でございます、そして、それを我々も尊重しますということを申し上げたことも事実でございます。

 したがいまして、このような閣議決定したことにつきましては、国土交通省及び都市再生機構におきまして必要な検討はもちろん行わなければなりませんけれども、その検討に当たりましては、機構賃貸住宅の居住者が年々高齢化していらっしゃる、平均が五十四・三歳にまでなっているということ、それから、世帯の収入も第一分位の世帯が約半数を占めているということの現状を踏まえて、このようなことが検討され、そしてそのような立案をされなければならない、そのような認識を私は持っております。

長島(昭)分科員 順番に聞いていこうかと思っていたんですが、今大臣に総括的なお話を大分していただいたので、これから少し詳しくお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 今の大臣の御答弁、大変心強く私は承りました。といいますのは、先ほど現状認識を申し上げましたけれども、その現状認識に加えて、今度は規制改革の、言ってみれば荒波が押し寄せてくる、こういう状況の中で、やはり居住者の皆さんが非常に新しい不安を抱えておられる。こういう状況でございますので、きょうはその点に的を絞って質疑をさせていただきたいと思っているんです。

 今、大臣からるる御紹介ありましたように、去年の十二月二十五日に規制改革・民間開放推進会議の第三次答申が発表されまして、翌日に閣議決定がなされ、しかも、ことしの一月三十一日にはその会議が総理直轄の規制改革会議という形で格上げをされて、これは観測ですけれども、ことしの五月か六月には、もう一度その新しい具体的な方向性を決めて、それを改めて閣議決定するんじゃないか、こういう観測が実はあります。

 それに対して、全国の公団住宅自治会協議会の皆さんが、ことしの三月の九日に国会で集会をなさいまして、そこには、私ども民主党はもちろんですが、自民党、公明党、各党の皆さん、代表が参加しながら、「異議あり・規制改革会議の答申」こういうタイトルで、国会要請集会というのを開催いたしました。ここで要請書が採択をされたんですけれども、そのタイトルが、まさに今大臣のおっしゃっていただいた「公団住宅居住者の居住の安定に関する要請書」こういうものを採択したんです。

 これは通告しておりませんが、大臣、この要請書はごらんになられたことはございますでしょうか。

冬柴国務大臣 国土交通省にも届けられております。

長島(昭)分科員 そこに要請項目が二つございまして、一つは、「政府は、公的賃貸住宅の計画的整備、高齢者向け賃貸住宅の供給促進」「家賃が居住者にとって過大な負担にならないよう十分な配慮」という、今まさに大臣がお読みいただいた都市再生機構法の附帯決議、これを全面的に実現していただきたい、これが第一点。第二点目は、「私たち公団住宅居住者だれもが、今後とも安心して住みつづけられる保証を示してください。」こういう形の要請文、要請書が採択をされたわけであります。

 この後、私は、その附帯決議について大臣に御認識を伺おうと思ったんですが、十分御認識をいただいておりますので、しかも、この附帯決議にのっとってこれから規制改革会議の方向性について二年間検討される、こういうことでございますので、この附帯決議は今も有効ですね、こういうお尋ねをしようと思ったのでありますが、これも大臣よく御認識をいただいているので、次に進んでいきたいと思います。

 住宅局長、きょうお見えだと思いますが、こうした自治協の皆さんの緊急集会が開かれ、あるいは要請書を提出される、こういうことになった原因となったのがこの規制改革会議の答申だというふうに思うんですけれども、その答申内容、ポイント、これを国土交通省としてどのように認識をされているのか。また、機構側の見解とか、あるいはそれを受けての国土交通省の見解については、また個別に具体的に伺おうと思っていますけれども、規制改革会議が打ち出したその方向性、スタンス、基本的な認識、考え方、これをどのように国土交通省として把握をされているか。少しポイントを絞って御答弁いただければと思います。

榊政府参考人 都市再生機構のいわば賃貸住宅でございますけれども、現在、七十七万戸ございますけれども、これをすべて完全な形でそのまま継続するというのは、私どもとしても難しかろうというところは思っております。ただ、それがどこまで、七十七万戸なのか、幾らなのかというところがございまして、それについてもいろいろな議論があるだろうと思っております。

 それから、いわば団地の建てかえというのがございますので、団地を建てかえる際には、今ある賃貸住宅の戸数はきちっと確保してほしいなというのは基本に思っておりますけれども、その他の分につきましても、先ほど大臣が申し上げましたように、現在の機構賃貸住宅の居住者の方々が大変高齢化しているということと、平均の収入分位についての状況ということも十分踏まえながら結論を出していく必要があるのではないかというふうに思っておるところでございます。

長島(昭)分科員 今、ちょっと一点触れていただきましたけれども、この答申の内容は非常に刺激的な言葉が並んでいるんですね。これがやはり居住者の皆さんにとっては非常に不安になってしまうポイントだと思うんです。

 例えば、機構の保有する物件、これを地方公共団体に譲渡するなどして機構の業務から切り離すために、当該団体、つまり地方自治体と協議すべきである、こう言っている。それから、家賃減額についても縮小の方向で見直すべきだ、こう言っている。あるいは、資産の圧縮に努めるべきだ。つまり、七十七万戸を資産と見ているわけですから、これを圧縮していこう、こういう話。それから、今ある七十七万戸の賃貸住宅について、今後の削減目標をきちんと明確にすべきだ、こう言っている。それから、もう一つ気になるのは、定期借家契約を幅広く導入すべきだ。それはまたお答えいただきたいと思いますが、これもちょっと気になるポイント。それから、管理業務においては、これからだんだん民間委託の範囲を拡大していこう。

 こういうことで、これから三点に絞ってお伺いをしていきたいと思っているんですが、私の直観的な、それから皆さんが非常に不安に感じておられるのは、どうも規制改革会議の先生方の考え方というのは、資産というのは収益を上げるべきものである、ですから、収益が上がらなくなった資産というのはどんどん圧縮しなさい、何か不採算の資産はどんどん圧縮しなさい、こういう方向性のようだ。しかし、それに対して、さっき大臣からも御答弁があったように、機構や国土交通省の立場としては、現に生活しておられる皆さんの居住の安定というのはやはり損ねてはいけないんだ、そこには生活や人生がかかっているんだ、こういうお考えですから、何となく基本的な認識でぶつかり合うような関係になるんじゃないかな、こういうふうに思っているので、きょうはあえて質問させていただいているんです。

 そこで、私の質問のポイントを一言で言うとすると、規制改革会議の基本的なスタンスと、それから、先ほど来お話をしていただいている、現に公団住宅に居住しておられる皆さんの居住の安定、これをどのように調和させて新しい方向性を見出していくかということ、これをきょうぜひ明らかにしていただきたい。これが私の質疑のポイントです。

 そこで、第一点。これは、機構の保有する物件を地方公共団体へ譲渡していく、そういう方向性を答申の方が打ち出しているんですが、この点について、例えば、多摩の公団住宅の自治協の皆さんの間で多摩の各自治体にヒアリングをかけた、そういう結果があるんです。相談される自治体あるいは譲渡を引き受けさせられる自治体側としては、住宅行政についてはノウハウが余りない、それから財政が非常に厳しい、こういうことで非常に戸惑っている自治体が多い、こういうふうに承っているんですが、それでも都市機構としては、規制改革会議の答申に基づいて地方自治体への譲渡を進めていこうとされるのか、あるいは、地方自治体が受け入れられないという場合においては、どのような方向性を探っておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げたいと思いますが、その前に、先ほど来お話がございますように、十二月の規制改革答申につきましては、先ほど先生は六月ごろというふうなお話がありました、我々は確認しておりませんが、今後一定の期間内に閣議決定がされていくというふうに承知しておりますが、現時点では十分に検討を私どもとしてもさせていただいているわけではございませんので、お答えそのものが十分に今の時点ではできないということは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 今後、閣議決定までには、具体的な取りまとめに向けて、関係機関、例えば規制改革会議とか、あるいは内閣府、国土交通省、あるいは国会などにおいてもさまざまな議論がされていくというふうに承知をしておるところでございます。

 答申の内容は、私どもの賃貸住宅のありように関して、基本的な事柄に関することばかりでございました。そういうことですので、機構としても、これからいろいろな議論を十分踏まえさせていただいて、いろいろな角度から検討を行って、御懸念の、居住者の賃貸住宅の居住の安定の確保という問題も含めて、適切に対処していくという考え方を持っているということを最初に申し上げたいと思います。

 具体的に、今お話しの、公共団体へ機構住宅を譲渡したらどうか、こういう御提案についてのお話でございますが、先ほど来お話がございますように、機構の賃貸住宅の居住者の方々は、高齢化をし、収入も少なくなっているというのはそのとおりであります。

 そこで、私どもとしては、答申が出て、今お話しのように、一切何もしないというわけにはいかないと思います。現実に、例えば家賃の問題一つとりましても、市場家賃のもとで、実際に収入が少なくなった方が多くなったときに家賃の問題をどう考えるか、非常に厳しい局面に立たされているというのは前回の先生の御質問のときにもあったとおりでございます。したがいまして、これらの問題について、やはり、よりよい方向とか具体的な解決策というようなものが私どもとしては必要だと思っております。御指摘のような住宅については、そういうことも含めまして、政策的な位置づけ、そういうものについて地方公共団体と幅広く協議を行うということが必要だというふうに考えております。

 それから、その際ですが、公営住宅として、私ども、譲渡する以外にも、例えば賃貸をさせていただくとか、あるいは、建てかえ事業なんかに伴いまして、公営住宅用地として整備敷地を活用するというようなことで、それができればそちらに移っていただく、そういう道もございますので、そういうことも含めた協議を行っていきたいと思っております。

 なお、UR賃貸住宅の譲渡につきましては、平成十三年の十二月十九日の閣議決定におきまして、「居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で、」云々と書かれておりまして、入居者の同意なくしてこれを譲渡するということはできない仕組みになっておりますので、そういうことを大前提として考えていきたいと思っております。

長島(昭)分科員 前段の方は非常にわかりにくい答弁だったんですが、最後の、入居者の同意ということをはっきりおっしゃっていただいたのは心強い限りであります。

 二点目は、さっきちょっと触れましたが、管理業務の民間委託をどんどん進めていきなさい、こういう答申ですが、これも、実は今まで機構も、いろいろな機構改革で、これまでもいろいろ名前が変わってきたんですけれども、ついに民営化されてしまうんじゃないか、こういう御心配も居住者の皆さんは持っておられるんですが、これは、答申の内容から見て必ずしもそこに直結していくものなのかどうか、この点もお答えいただければと思います。

尾見参考人 賃貸住宅の管理につきましては、既に、平成十三年の特殊法人等整理合理化計画の閣議決定におきまして、「可能な限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図る。」ということとされております。

 これを受けまして、私ども、例えば大規模、中規模の修繕工事を民間に開放するとか、あるいは植栽管理業務とか現地管理業務だとか、そういうようなものについて、民間への開放、民間の委託を推進するということを今までしております。

 機構におきまして、考え方といたしましては、賃貸住宅の所有者としてみずからの責任において居住者と対応すべき業務、こういうものは今後も引き続きしっかりと私ども自身で、あるいは代行者であります住宅管理協会等を通じてきちっと行っていきたいと思いますが、例えば居住者からの届け出等、いわゆる単純作業や事務行為の実施等の業務につきましては段階的に開放していく、こういうことでございます。もちろん、民間委託に当たって居住者のサービスが低下するというようなことは万が一にもあってはならないわけでございますので、そのことについては十分意を用いていきたいと思っております。

長島(昭)分科員 今の御答弁は大変頼もしい御答弁だというふうに承りましたが、そうはいっても、機構というのは四年ごとに評価委員会が開かれる仕組みになっておりまして、今、平成三十年までの中期計画はあるんですけれども、そこから先の長期計画がないものですから、将来本当に大丈夫なのかね、こういう不安がどうしてもつきまといまして、特に財政基盤の問題が非常に深刻だと思うんですが、これまで、ニュータウンを初めとして累積債務があると思うんですが、これを今後どのように返済していく御計画なのか。それは結局、ひいては、もしなかなか返済計画がうまくいかなければ家賃にはね返ってくる可能性があるわけですから、この辺もぜひ明快な御答弁をいただきたいと思います。

尾見参考人 御指摘のように、機構移行時におきましては、多額の繰越欠損金が生じたわけでございます。そういうことで、具体的に申し上げますと、平成十六年十一月に作成したバランスシートにおいては、約七千三百億円の繰越欠損金が生じたということがございました。

 これをどうするかということに関しては、今御懸念の点につきましては、機構法の改正のときに、賃貸住宅の業務を行う都市再生勘定というのを一つつくりました、ニュータウン事業等を行う宅地造成等経過勘定というのを一方でつくりました。今回の繰越欠損金が生じた原因の多くはそのニュータウン部門にあったものですから、こういう区分けをして、まず、都市勘定の収益が経過勘定に使われることがない仕組みにいたしました。

 それから、機構法におきましては、都市勘定で得た利益の一定の額を経過勘定に繰り入れることができるというふうには書いてございますけれども、その場合でも、国土交通大臣が、賃貸住宅事業も含めた都市再生業務に支障のない範囲として承認する金額でなければならないとされております。あわせて、独立行政法人評価委員会の意見を聞くということにもされておりますし、財務大臣にも協議しなければならないということが義務づけられているわけであります。

 また、機構法のときの附帯決議におきましても、賃貸業務に係る収益につきましては、当該業務に支障が生じないよう、当該業務へ優先的に充当するということがうたわれておりますので、こういうことに従って、御懸念の点は払拭できるものと考えております。

長島(昭)分科員 ありがとうございます。

 最後に、この点についてもう一度大臣のコミットメントをはっきり明確にしていただきたい、こう思うんです。

 今の御説明ですと、今回の規制改革会議の答申は答申として、しかし一方で、居住者の居住の安定というものを図っていくという使命をきちんと完遂していくんだ。この調和を図っていく際に、どういう点に特に大臣が意を用いてこれからいかれようとされるか、この点だけ、一言お願いします。

冬柴国務大臣 住宅につきましては、終戦後、多くの都市が戦災に遭って灰じんに帰しまして、そこへ復員の人あるいは引揚者の人がたくさん帰ってこられまして、住宅は著しく払底をいたしました。したがいまして、量をまずつくろうということで、五年計画で八回改定しながら量をふやしてきましたが、現状におきましては住宅は余ることになりました。

 そこから住生活基本法というものが制定されまして、今までの量をふやそう、そういうものから、質を考えていこう、その質の中に、やはりバリアフリーとか高齢者に対する配慮とかあるいは子育て支援とか、弱者といったら失礼ですけれども、そういう方々の住生活を豊かなものにしなければならない、そういう思想がそこにあります。

 私どもは、そういうものを踏まえながら、しかし、規制改革の委員会の取りまとめというものについても、先ほど私言いましたように、その翌日には閣議決定でこれを最大限尊重していくということも言っているわけで、そういう流れがあることも十分踏まえていただきたいけれども、国土交通省としましては、そのような弱い立場にある人たちの生活を脅かすようなことのないように、いろいろ配慮しながら、今後どういうふうにこれを進めていくのかということを、具体的にこれは進めていかなければならないというふうに考えております。

長島(昭)分科員 ありがとうございます。

 量から質へ、そういう住生活基本法の精神を述べていただきました。

 そこで、最後に、これはいわゆる高優賃住宅と言われている高齢者向けの優良賃貸住宅について二点お伺いしたいと思いますが、一つはその供給です。

 先ほど来話が出ております二〇〇三年の機構法に対する附帯決議には、政府は、公的賃貸住宅の計画的整備、高齢者向け賃貸住宅の供給促進に努める、こういう附帯決議が明記されているわけですけれども、特に三多摩地域はそうですが、いわゆる高優賃住宅というものは圧倒的に不足をしています。もっともっとふやしてほしい、これは当然のニーズでありますけれども、今後の供給計画というか供給増計画を承りたいのが一点。

 それから、時間がないのでもう一点伺いたいのですが、今回、平成十九年度予算の中で、新たに地域優良賃貸住宅制度というものが創設をされるということになったんですが、これが、逆にこっちばかり一生懸命やって、従来の高優賃の方が圧迫を受けておろそかになりはしないか、この点も居住者の皆さん随分御心配をなさっております。特に、これまでの補助スキーム、国が五〇%、都市再生機構五〇%、この補助スキームに変更はないのかどうか、それをちゃんと担保するだけの財源は十分確保されているのかどうか、この点について、二点、お答えをいただきたいと思います。

榊政府参考人 従来の高齢者向け優良賃貸住宅制度というものと特定優良住宅制度とあわせまして、実は本年度から、子育て世帯や高齢者世帯といったような地域におきます居住の安定に特に配慮が必要な世帯に施策対象を重点化いたしまして、地域優良賃貸住宅制度という形で再編しようと思っているところでございます。

 一方、都市再生機構の方は、これまで国の高齢者向け優良賃貸住宅制度というのを活用していただきまして、高齢者向けの良質な賃貸住宅の供給をやってきていただいておるところでございます。これに対する国の支援でございますけれども、いわゆる予算制度的には、地域優良賃貸住宅制度というような形で統合をいたしたいと思っておりますが、額的に申し上げますと、実は、従前と同様に別枠で措置をいたそうと思っておりまして、そういう意味で、こういう地域優良住宅制度ができたからといって、都市再生機構による高齢者向けの賃貸住宅の供給に悪影響を与えるということはないというふうに私ども考えております。

 ちょっと詳しく申し上げますと、都市再生機構による高齢者向けの優良な賃貸住宅を支援するための国の予算でございますけれども、平成十九年度は、住宅市街地総合整備促進事業費というのがございまして、その七百三十二億円の内枠から支出をするということにしておりますし、家賃低廉化の助成費につきましても、公的賃貸住宅家賃対策補助、百五十八億円あるわけですが、その内数として確保しているということでございまして、そういった意味で別枠で措置をしているということを申し上げたわけでございます。

 今後とも、これらを活用いたしまして、都市再生機構による高齢者向けの優良賃貸住宅の供給を支援していきたいというふうに考えているところでございます。

長島(昭)分科員 従来どおりの財源を確保していただける、こういう御答弁だったというふうに思います。

 きょうは、公団住宅についてお尋ねをいたしました。大臣の方から、規制改革会議との調和を図りながら、しかし、量から質への転換をきちんと図って、そして住環境の安定というものを確保していただける、こういう御答弁をいただいたことを本当に感謝しまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の伊藤渉です。

 大臣を初め政府委員の皆様、大変遅くまでお疲れさまでございます。いましばらく質疑におつき合いをいただきたいと思います。

 私の方からは、まず、三月の二十五日に発生をした能登半島沖の地震、また、四月に入ってからは三重県で中規模の地震が発生をしました。被災者の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、復興に向けて最善の努力をしていかなければならない、そのように思っております。

 そんな中、この能登半島地震については、四月二十日、激甚指定を非常にスピーディーに政府としてしていただきましたこと、まずもって御礼を申し上げます。

 この点については、我が党も、地震発生の当日、三月二十五日から救援活動に当たりまして、二十六日には代表の太田昭宏衆議院議員が現地を視察し、その結果を踏まえて、二十七日にもう一度、代表と、対策本部長になりました国対委員長の漆原衆議院議員が、首相に対して、能登半島地震への復旧復興支援に対する緊急の申し入れを行ったところでございます。それを受けて、阪神大震災に次いで非常にスピーディーに激甚指定をしていただいたこと、大変ありがたいと思います。

 地震対策ということで、建築物のストックの耐震化、第百六十三回特別国会で耐震改修促進法の改正をして、これを順次進めているところでございますけれども、まず、現在の進捗状況、これがどうなっているのか。また、特に地震時の避難場所となるような建築物、例えば学校の体育館、こういった多数の方が利用する建築物について耐震化の一層の促進が必要と考えるけれども、現状の取り組みについて御答弁をいただきたいと思います。

榊政府参考人 地震時の避難場所となります学校、体育館を初め、百貨店、ホテルといったような多数の方が利用する特定建築物の耐震化というものが非常に重要だというふうに考えておりまして、委員御指摘の昨年一月に施行されました改正耐震改修促進法でも、多数の方が利用する特定建築物の総数というものを何とか早くやっていこうというふうに考えております。現在、推計をいたしますと、平成十五年現在で約三十六万棟ございまして、そのうち耐震性のある建築物が約二十七万棟ということで、耐震化率七五%というような形で推計をいたしております。

 この耐震改修促進法に基づきまして国土交通省で基本方針を示しておりますが、この耐震化率を、平成二十七年までに少なくとも九割を上回ることという目標を定めて、取り組みの強化を図っているところでございます。

 実は、耐震改修促進計画というのを公共団体でつくっていただかないと、耐震化の目標なり耐震診断とか耐震の改修に対する助成ができないというようなこともございまして、この改修促進計画を十八年度内につくっていただこう、こういうことでいろいろお願いをしておりまして、三十八都道府県でことしの三月末までに策定をされまして、残りの九県につきましても本年の七月までには策定を完了するというふうになっておるところでございます。

 取り組みの方でございますけれども、補助事業につきましては、平成十七年度、二十億円といったような事業費でございますけれども、平成十八年度には百三十億円に増額を図り、十九年度は百三十六億円余に増額をいたしました。

 税制につきましても、事業用建築物の耐震改修工事につきまして一〇%の特別償却を内容とします耐震改修促進税制を創設いたしまして、拡充を図っているところでございます。

 ただ、耐震改修法は昨年の一月にできたばかりということで、平成十八年もしくは平成十八年度が耐震改修促進のための元年だったということもあって、まだ全国的にきちっとした取り組みでどんどん進んでいるといった状況には実はないわけでございます。したがいまして、この改修促進計画に基づいた取り組みの強化を今後公共団体に要請をしていくと同時に、耐震診断なり改修についての助成制度の創設とか地震防災マップの整備とか、それから、むしろ町内会、各種メディアを活用したような啓発といったようなことをやっていきまして、地域住民なり関係者と一丸となりまして、目標としての平成二十七年の、少なくとも九割を上回るという目標を達成するために努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

伊藤(渉)分科員 特に、多数の方が利用する建物、災害が起こった場合にそこに避難をするような建物、これの耐震化というのは非常に急がなければならないと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。

 今、助成措置の点についても御答弁の中で若干触れていただきましたけれども、国としての取り組みの中で予算措置を行っている助成制度、これの自治体の利用状況、これについて次にお伺いをいたします。

 助成制度、先ほども住宅局長の方から答弁いただいたように、十九年度では百三十六億という予算措置をしているわけですけれども、これの自治体の利用状況はどうか。また、国土交通省として、今も答弁が重なるかもしれませんが、自治体に一層のこうした助成措置の働きかけをしていくべきだと考えますけれども、この点についても御答弁をいただきたいと思います。

榊政府参考人 先ほども申し上げましたが、平成十八年度が耐震改修促進の元年だったということもございまして、実は、ことしの一月一日現在の状況を申し上げますと、戸建て住宅については千の市町村が助成制度、耐震診断なり耐震改修についての補助制度を持っている。市町村ベースでいうと六割近い。ところが、マンションで申し上げますと、マンションが建っている市町村数が少ないということもございますが、二百市町村にとどまっておりますし、耐震改修につきましては、戸建てで五百五十市町村ですから約三割、マンションでは八十市町村というような状況にとどまっております。

 住宅以外の建築物で申し上げますと、耐震診断につきましては百四十市町村、耐震改修については三十市町村といったような状態でございますので、補助の実績につきましても、十七年度が耐震診断三百棟というような状況でございました。十八年度はこれを相当上回っているとは思いますが、実はこういったような状況でございますので、まだまだ、制度はつくったものの全国展開をするに至っていないというふうに私ども認識をしております。

 したがいまして、委員御指摘のように、耐震診断、耐震改修に対する助成制度の創設が今後とも不可欠でございますので、そういった助成制度がない公共団体に対し、速やかに制度の創設を強くお願いしたいというのと同時に、制度をつくっても動いていないということでは意味がありませんので、制度をぜひ動かしていただくように、住民の啓発なりいろいろな形でお願いをしていきたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(渉)分科員 この助成制度ですけれども、例えば耐震改修でいきますと、国が七・六、地方が七・六という数字をお伺いいたしました。

 限られた予算の中でこういう財政面の対応というのはなかなか難しいと思いますけれども、このお話を聞いている中で、私が一言、頭の片隅にでも置いておいていただきたいなと思ったのは、やはり日本という国は地震国でございます。地震が起こるたびに設計基準が変わります。特に、私は土木をやっていたので、土木なんかもそうです。地震が起こるたびに基準が変わるんですね。

 基準が変わったら、基準が変わる前にできた建物は基準を満たさない、要するにこういうことになる。それを改修をしなきゃいけないといったときに、今の財政面の措置というのは、あくまでそれは個人資産だという前提で助成措置の仕組みが組まれているというふうにお聞きをしました。

 果たしてそうなのかな、私はそう思います。日本独特のこの地震国という環境を考えたときに、地震が起こって基準を国として変えたのであれば、それに合わせるために行わなければならない措置について、どこまでも建物等が個人資産という位置づけで財政措置をしているのではなかなか難しいんじゃないか。これは、むしろ国交省よりも財務省の方に申し上げた方がいいのかなと思いましたけれども、きょうは決算の分科なので、国土交通省の方に、ぜひとも頭の片隅にでも置いておいていただければなと思いまして申し上げました。

 次に、マンションの話を少しさせていただきます。

 平成十二年に、マンション管理適正化法という法律を公明党が中心になってつくらせていただいたと先輩の議員より聞いております。マンションの人気は今も衰えることはありませんで、ついの住みかとして多くの方が住まわれておられます。

 まず初めに、全国のマンションの戸数及び全住宅の戸数に占めるマンションの戸数、この割合がどうなっているのか。また、マンションというものが世の中に登場してしばらく時間が経過してきましたけれども、今後十年間で築三十年以上を経過するマンションの戸数がどの程度になるのか、まず御答弁をお願いします。

榊政府参考人 全国のマンションストックの数でございますけれども、平成十八年末現在で約五百五万戸というふうに推計をいたしております。

 全住宅戸数に占めますマンションの戸数の割合は約一割程度ではないかというふうに推計されます。

 今、いわゆる築年数のことのお尋ねがございましたけれども、築三十年以上のマンションストックということになりますと、昨年末、平成十八年末現在で約五十六万戸ございます。二十年前に建てられたようなストックがある程度推計されますので、十年後にどのぐらいになるかといいますと、五十六万戸が約百六十二万戸の三倍になるというふうに推計をいたしておるところでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 築三十年がこの十年で約三倍の百六十万戸程度になるということを教えていただきました。

 また、このマンションという代物は、実は、新しく建てられてからいわば老朽化をして取り壊しをするという一つのサイクルをまだ経過していない、経過していても極めてレアケースであるというふうに私は認識をしております。特に、昭和四十三年に新都市計画法ができて容積率ということが決められて、それ以前に建てられたマンションが特にいわゆる既存不適格という状況を抱えていると私は承知をしております。

 既存不適格ということは、つまり、現行の都市計画法では今の容積がカバーできない。つまり、建てかえると、今例えば五十戸のマンションだったとしたら、同じ規模でつくろうと思うと、その戸数が確保できないことになるということだと私は理解しております。

 そうすると、果たして将来、そう遠くない将来、マンションの建てかえをしなきゃいけないとき等にさまざまな問題になってくるんじゃないかというふうに心配をしているわけですけれども、まず、これも数値をちょっとお伺いをいたします。

 既存不適格に該当するマンションの戸数、現状についてどのように把握をされているか、答弁をお願いします。

榊政府参考人 正確なところはあれでございますけれども、昭和四十八年以前ということで、昭和四十五年に改正されました建築基準法、都市計画法が、大体四十九年一月一日までに各都市において導入をされているということでございますので、四十八年以前に着工されたマンションについては、容積率について不適格の可能性があるということで、四十八年以前に着工されたマンションを全国で見ますと約三十万戸というふうに推計されております。

 それから、ちょっと古うございますが、国土交通省の方で平成十三年に、東京都内のマンションについて昭和五十年以前に竣工したというようなものにつきまして既存不適格になっているというふうに見られるものがどのぐらいあるのかという推計をいたしましたところ、約六割というような推計が出ておるところでございます。

伊藤(渉)分科員 五十年以前に竣工した建物のうち容積超過が約六割ということは、相当な数字であると私は思います。

 今、質問の前にるる申し上げたとおり、近い将来マンションを建て直さなければならないとなったときに、例えばマンションに住んでいる方、またそういったものを管理している方の立場からすると、ただでさえ建てかえるために持ち出しが発生をします。むしろ容積率を緩和していただいて、戸数をふやして、そのふえた戸数の売却益で個人の建てかえ費用を若干軽減をするというぐらいにしたいというのが、住んでいる人だったり、それを管理している人の立場の御意見だったりするわけですけれども、なかなかこれもそう簡単にはいかないだろうなと思います。

 そこで、きょうは、現時点で結構ですので、既存不適格のマンションの建てかえを円滑に進めるために、どのような対策を考えておられるか、また将来に向けても何かお考えがあれば、ぜひとも答弁をいただきたいと思います。

榊政府参考人 実は、容積率制限の導入当時に比べまして、平成に入りましてからいろいろな規制緩和をやっております。例えば、共同住宅の共用廊下というようなものについては、エレベーターの容積も含めて容積率制限から外すとか、地下の居室についても容積率制限を緩和するとか、そういったようないわば容積率制限の一部合理化がなされておりまして、そういった意味でいえば、かつてと比べれば建てかえの条件は改善されてきているというふうに思います。

 ただ、そうはいっても、多くの場合、なお床面積の確保が課題となっているというふうに思っておりまして、そういった意味では、まず、いわゆる容積率緩和ができます総合設計制度を活用することが一つとして考えられます。

 それから、平成十五年の区分所有法の改正によりまして、建てかえする場合には、マンションの隣の敷地を含めて建てかえ決議を行うことができるというふうに改正をいたしましたので、この制度を活用いたしまして、周辺の土地も含めて建てかえを行うことによりまして床面積の増大をすることも考えられるということでございますので、個別のマンションの状況に応じまして、今申し上げたような手法を活用するのが有効かなというふうに考えておるところでございます。

 こういったような手法を活用しても、実は、一定割合の居住者がマンションからの転出を余儀なくされる場合も想定されますが、その際に重要なのは、これらの者に対する権利保護と居住の安定の確保ということが重要でございまして、マンション建替え円滑化法でも、転出する区分所有者の権利につきまして時価で買い取るといったような規定を設けておりまして、従前の権利に見合った対価が支払われるということをちゃんと確保しておかなきゃいけないだろうと思っております。

 それから、非常に老朽化して、保安上危険ですとか衛生上有害な状況にあって、どうしても建てかえが必要なマンションというような場合につきましては、マンション建替え円滑化法におきまして、市町村長が建てかえを勧告するということになるわけでございますけれども、この場合は、転出する区分所有者なり賃借人を公共賃貸住宅へ特定入居していただくとか、賃借人に対する移転費の支払いなどの措置を講じることによって居住の安定を図っていけるのではないか、かように考えているところでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 今御説明していただいたとおり、一応今も一定のスキームはあるというふうに私も理解をしております。

 今住宅局長からも答弁いただいたように、区分所有法等においては、転出をする区分所有者の区分所有権等は時価で買い取られることになっている。従前の権利に見合った対価が支払われることになる。これは、きょうは特に質問という形にしておりませんけれども、対価というのは、実は土地から除却費を除いたものという考え方もこれありで、マンションの場合は、例えば買うときは、とても高いタワーマンションとかになると、一戸当たりの所有している土地面積というのは物すごく小さいわけで、土地から除却費を引いたらむしろマイナスなんじゃないかとちょっと私は危惧をしてしまうんですね。

 だから、果たして本当にマンションを買った人がそこまで理解をして当初手に入れているかとか、実はそういう問題もこれは内在をしていると思いますので、今後、私もしっかりこの辺は検証、勉強も進めていきたいと思いますけれども、また国交省においても検討を重ねていただければなと思います。

 次に、また話題をかえまして、バリアフリーのことについてお伺いをいたします。

 まず、公共交通機関のバリアフリーの現状について、私、何度も確認をさせていただいて恐縮ですけれども、通告の段階では旅客施設及び車両等ということでお願いしておりましたが、時間の関係もありますので、旅客施設に限定をして、このバリアフリー化の現状について総合政策局長にお伺いいたします。

宿利政府参考人 お答えいたします。

 一日当たりの平均的な利用者の人数が五千人以上である鉄軌道駅の旅客施設のバリアフリー化の現状でございますが、平成十七年度末時点で、段差の解消率が五六・五%、視覚障害者誘導用ブロックの設置率が八二・八%、障害者用トイレの設置率が四二・九%ということでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 平成十二年に交通バリアフリー法、この中で、国におけるバリアフリー化の目標として、例えば今御答弁いただいた旅客施設は、二〇一〇年までに、一日当たり平均的な利用者数が五千人以上の鉄軌道駅等はバリアフリー化を図るというふうに目標が法律の中で明定をされていると承知をしております。

 では次に、この目標の達成の見通しについて、今、例えば段差解消ですと五六%、十七年度末時点というふうにありましたけれども、あと約五年でこれがどの程度までいくというふうな見通しを持っておられるか、御答弁をお願いいたします。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答え申し上げましたように、五六・五%でありますが、平成二十二年度までにすべてをバリアフリー化するということでございますから、当然、その目標達成に向けまして着実に取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 そのために、私どもとしては、各種の補助制度や低利融資制度、また税制の特例措置などを用意しておりますので、これを活用していただいて目標を達成していただきたい、このように考えております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 御存じのとおりといいますか、私ももともと事業者におりましたので、いよいよこのラスト五年ぐらいになってきてもバリアフリー化ができていない案件というのは、何か非常にややこしい問題を抱えている案件ばかりだろうと思います。

 結論的に言えば、お金を無尽蔵に使っていいなら何とでもなります。お金に糸目をつけなければバリアフリー化は何とでもなりますが、なかなかそうはいかない。例えば、国の負担がついてきても自治体の負担がついてこないだとか、鉄道事業者の負担がついてこないだとか、その原因はさまざまあろうかと思いますけれども、この残っている案件というのは、要するにいろいろな問題を抱えているだろう。

 あと五年ということになると、そろそろ当事者間の協議もある程度目鼻が立ってきて、ぼちぼち設計に入らないと、施工を終えて完成ということにならないだろうなというふうにも思うわけでございますが、この辺の具体的な課題等を掌握されていらっしゃるかどうか。また、それに対してどのようなお考えをお持ちかどうか、御答弁をお願いします。

平田政府参考人 お答えいたします。

 鉄道駅のバリアフリー化につきましては、鉄道事業者や地方公共団体などの関係者におきましてその取り組みが進められてきておるわけでございまして、平成二十二年度の目標達成に向けて、バリアフリー化の一層の促進を図る必要があるということで、鉄道事業者に対しても、取り組みの加速化を求めているところでございます。

 一方、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、今後、駅のバリアフリー化を推進するに当たりましては、幾つかの課題を乗り越えていかなければいけないと考えております。

 例えば、第一番目に、駅構内などが非常に狭いため橋上駅舎化などの大規模な改良工事が必要となる駅でありますとか、二つ目には、エレベーターなどの導入空間の確保のために人工地盤の構築をしていく必要があるとか、地下通路の掘削などの複雑な工法が必要となる駅でございますとか、三つ目には、地上への出入り口となります用地が確保できないような地下駅がございます。こういった駅の物理的な形状から鉄道事業者だけでは対応の難しい事例が顕在化してくると考えておりまして、このような駅の整備をいかに進めていくかということが課題であると認識しております。

 このような駅のバリアフリー化につきましては、まずは、鉄道事業者において、さまざまな事例でありますとか最新の技術などの研究を深め、工法を工夫することが肝要と考えますが、またあわせて、できる限りのコスト縮減に努めていただくということも必要であろうと思っています。

 さらに、こうした駅の場合につきましては、地元自治体などの協力が大変重要となってくると考えます。例えば、駅周辺地区の開発と一体となりました駅の整備を検討するなど、バリアフリー化だけにとどまらず、より幅広い視点から、駅及びその周辺地域の機能でありますとか利便性の向上を図る取り組みの中で方策を探っていくことも重要なことではないかと考えております。

 昨年十二月に施行されましたバリアフリー新法におきまして、基本構想作成に際しての地元の関係者からの提案制度なるものができましたし、市町村、事業者、利用者団体などの関係者で構成されます協議会の設置の仕組みが設けられております。したがいまして、従来以上に鉄道事業者、地方自治体の関係者の緊密な連携のもとでのバリアフリー化の推進が可能となったと考えております。

 こうした仕組みを活用しながら、整備が困難な駅についても、バリアフリー化に向けて関係者が一体となった取り組みが進められまして、平成二十二年の目標が達成されるよう、引き続き努力していきたいと考えているところでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 このバリアフリーは住民の方の期待も大きい政策の一つでもございますので、また我々も、いろいろな現場の状況等も御報告させていただきながら、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 残り時間が少なくなってまいりましたので、ちょっと次の一問、通告を飛ばさせていただいて、最後の質問に入らせていただきたいと思います。もう一度鉄道局の方にお伺いをします。

 踏切の除却の問題で、昨年の通常国会で踏切道改良促進法が改正をされました。速効対策、抜本対策等が行われていく運びになるわけですけれども、全国約三万六千カ所ある踏切の中で、速効対策を千百カ所、抜本対策を千四百カ所、両方にかぶってくる中にあかずの踏切というのがあって、両方足すと千八百というものをどんどんやっていくというふうに承知をしております。これは、事故防止の観点からも、また地域の皆さんの足ということを考えても、踏切をなくして利便性を向上させていくということは非常に大きな政策であると思います。

 一方で、本来であれば、その抜本対策、連立だったり立体交差であったり、踏切そのものをなくすということが事故防止という点からも重要な課題であると私は思いますけれども、なかなかそうもいかない案件もたくさんある。

 地元でよく耳にするのが、とりあえず、踏切が狭い、車が往来をすると、例えばそこを人が歩いていると、もう人が線路の上に落ちそうだみたいな踏切も結構あるというふうに聞いていて、踏切の歩道だけでも拡幅をできないかというような御相談を実はよく受けます。

 御相談が我々のところに来るということは、当事者間でなかなかうまく協議が進んでいなくて、前に進まないそうです。その辺の利害関係がどういうふうに交錯しているのか、ちょっと、一件一件個別の状況だとは思いますけれども、そういう事態が数ある中でございます。

 そういう意味で、抜本対策が本来であるけれども、こうした踏切の歩道の拡幅のような当面の対策ということについて、国土交通省としてどのような対応をされているのか、これを最後にお伺いして質問を終わります。

平田政府参考人 踏切道の対策につきましては、踏切の事故の防止、それと道路交通の円滑化という観点に立ちまして、その立体交差化、踏切の統廃合に努めてきたところでございます。

 そのうち、踏切の幅員が、接続する道路の幅員に比べて狭いような踏切につきましては、歩行者や自動車が、より安全に踏切を横断できるようにするというような観点から、実は、平成十三年の十月に改定されました踏切道の拡幅に係る指針というものがございます。これに基づきまして、踏切の拡幅が促進されるよう、鉄道事業者及び道路管理者を指導しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、この指針の中におきましては、委員御指摘の、歩道がない踏切でありますとか歩道が狭い踏切におきます歩道の整備、それから車道の部分が狭い踏切につきましての二車線分の幅員を確保するための拡幅、こういうことを行うという方針を示した上で、同時に各地方運輸局と地方整備局が共同いたしまして、都道府県単位によります踏切道調整連絡会議を開催し、鉄道事業者と道路管理者などの参画を得た上で、踏切の拡幅に係る協議の促進など、踏切に係ります諸課題について緊密に連絡調整を図ることとしております。

 国交省といたしましては、今後とも、この踏切道調整連絡会議を活用するなどいたしまして、踏切の拡幅に係ります協議の円滑化、拡幅工事の着実な実施を図ることによって、踏切の安全対策の一層の促進に努めていきたいと考えております。

榊政府参考人 先ほど私、答弁で、エレベーターの部分について容積率が緩和されて外せるというお話を申し上げましたが、実はエレベーターホールの間違いでございましたので、大変恐縮でございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございました。

 最後に鉄道局から御答弁いただいた踏切の問題も、たくさんの踏切が日本全国にありますので、一つ一つ国が乗り出して仲裁役をするというのはなかなか難しいと思いますけれども、極力御相談に乗っていただいて、早期の解決ができるようにお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

古屋主査 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、江藤拓君。

江藤分科員 きょうは分科会の方で質問させていただきます。宮崎県の江藤拓でございます。

 冬柴大臣におかれましては、先日の決算行政委員会総括質疑で大変元気をいただくような御答弁をいただきまして、ありがとうございました。私の地元では、この間申し上げましたように、地方道も国道も高速道路もまだまだこれからで、非常に県民の間に不安が広がっておりますけれども、大臣の御答弁をいただいて非常に元気づけられました。この場をかりまして、心からお礼を申し上げます。

 きょうは、先日質問をさせていただきたいと考えておりましたが、時間の関係で足りなかった部分を補足させていただくために、分科会に手を挙げさせていただきました。

 では、早速、まずは高千穂鉄道について質問をさせていただきます。

 高千穂鉄道は、平成十七年九月の台風十四号におきまして大変な被害を受けました。残念なことに、高千穂から槇峰の間は今は休止区間、そして槇峰から延岡までは廃止予定区間ということで、もう既に前町長の方から廃止をする区間ということで申請がされまして、十九年の九月六日には廃止が決定される運びになっております。

 しかし、それでは、これを沿線住民、宮崎県民が受け入れているのか、そして日本全国の高千穂鉄道を愛してやまない方々がこれを認めているのか。決してそうではございません。我々は、まだ全然あきらめておりません。

 約二週間ほど前ですが、東国原知事のもとに、宮崎県民を中心としまして約三万名の署名を代表の方々が届けました。知事も、このことについては一生懸命国とも協議をしたい、そういう意欲を示していただいております。

 そしてまた、ペーパーをお渡ししましたけれども、このようにたくさんの方々がいろいろなグループをつくって、何とかこの高千穂鉄道を再生させたい、そのために自分たちでできることは自分たちでやろう、決して地方自治体や国に頼るばかりじゃなくて、自分たちの力を集めて何とかこの再生を図ろうということで、一生懸命努力をしています。

 私の青年部も、過去に一回、そしてことし六月にまた清掃活動をやります。ただし、線路に草がぼうぼうに生えて朽ち果てていく、そういう姿を見ると、やはりもうだめなんだと気持ちがなえてしまうんですね。ですから、鉄道が走らない路線であっても我々の手でちゃんと守っていこうということで、これは決して私が発案したことではありません、地域の住民が、私の青年部が、自分たちから、清掃活動をやろうじゃないかと、みんなの意思でこういうことを始めております。

 こういう気持ちがあるということを、まず御当局、そして大臣、副大臣にはしっかりと受けとめていただいて、今後、高千穂鉄道に対してどのようなお考えを国として持っていらっしゃるのか、まず概略的なお考えを御答弁いただきたいと思います。

平田政府参考人 お答えいたします。

 まず、高千穂鉄道の現状につきまして申し上げさせていただきたいと思います。

 委員の方から御指摘ございましたように、平成十七年九月の台風十四号によりまして、第一及び第二五ケ瀬川橋梁の流失などの大きな被害を受けて、全線で運行が不能となりました。

 これを受けまして、平成十七年十二月、高千穂鉄道は、鉄道事業の存続を断念し、その後、平成十八年九月五日でありますが、橋梁の流失など被害が大きく復旧のめどが立たない延岡―槇峰間につきましては、廃止の届け出が出てございます。同区間につきましては、平成十九年九月六日付で廃止の予定になっているのは委員御指摘のとおりでございます。

 この延岡―槇峰間につきましては、既に、並行する路線バスの運行本数の調整などによりまして代替輸送を確保済みでありまして、沿線自治体としても廃止はやむを得ないと考えておられるようでございます。

 一方、比較的被害が小さかった槇峰―高千穂間につきましては、地元におきまして新しい事業主体による運行再開に向けた動きが出てきてございます。こういったことを受けまして、高千穂鉄道は、平成十八年九月五日に休止の届け出を行い、現在休止中でございます。その後も、基本的に災害発生時のまま施設が維持されているものと承知しております。

 現在、この槇峰―高千穂間につきましては、地元において、高千穂鉄道から平成十八年三月に設立された新しい会社であります神話高千穂トロッコ鉄道株式会社に経営を移行いたしまして、運行を再開する方向で検討が進められているところと承知しております。同区間の運行再開に向けましては、少なくとも、日之影温泉駅の浸水により壊れました電気設備でありますとか、吾味―日之影温泉間の築堤が崩れた箇所についての復旧工事を行った上で、まずは安全を確認することが必要であると考えております。

 運行再開に向けた地元の動きに対しましては、既に私どもの九州運輸局が関係者の相談に乗っているところでございますが、国土交通省といたしましては、今後とも必要な助言、指導を行っていきたいと考えております。

江藤分科員 局長、おっしゃっていることは全くごもっともなんですよ。別にかみつくつもりはございません。しかし、代替交通は完全に確保されて、地域住民もそれについて納得をしているというのは認識違いですよ。それはやはり高いところから物を見ていると私は思う、悪いけれども。

 実際に何が起こっているかというと、学校に通う例えば北方とかこの沿線の子供たち、もう親が送っていますよ。今までこの高千穂鉄道で学校に通っていた子供たちを親が車に乗せて学校に送らなきゃならない、帰りも迎えに行かなきゃいけない。そのために、お母さんは今まで勤めていたパートをやめなければならない。ガソリン代だって今上がっています。家計を圧迫しています。パートにも出られない。

 これは、届け出としてはいたし方ないんですよ。確かに、二つの橋梁が流れて、これを復旧することはとんでもない金がかかる。これが難しいことはみんな了解しています。しかし、政治は夢じゃないですか。役所の方々が、どう受けとめるかという私の質問に対して、地域住民の方々は代替交通機関が十分確保されていたし方ないと受けとめているはずだ、そう答弁されると、私は納得がいきません。そんなものじゃない。それでは私は納得がいきません。

 最初に申し上げましたように、私たちは全くあきらめておりません。ですから、やっと衆議院を通って、参議院で今審議が始まったばかりで通っている法案じゃありませんけれども、地域公共交通活性化法案、私も自民党に戻って国土交通部会の副部会長にしてもらいました。この法案が出たときに非常にうれしかったですよ。これだと。何と書いてあるか。この法案が目指すものは再生であると。再生するべきものはどこにあるか。高千穂鉄道ですよ。私は、高千穂鉄道のためにつくった法律ではないかと思いました。

 ですから、最初この法案を見たときは、流失したこういう橋梁もかけてくれるのかなと思いましたけれども、今回の法律ではそこまではカバーしていないということです。それは仕方がない。

 しかし、その中で、DMVであるとか、デュアルモードビークル、こういったものにはやはり地元の期待が集まっています。もう北海道では四月から運行が始まりました。乗れる人数が十六人ということで非常に少ない。夢はちょっと小さくなりますけれども、とりあえず、地域の方々と話しましたけれども、槇峰まで何とか線路を走らせて、そこから下はこのデュアルモードビークルで行けるということになれば、先ほど申し上げました子供たちの通学、それから通勤の足、これはもとに戻るわけですよ。

 ですから、まだ通っていない法案ではありますけれども、役所として、この法案が、この高千穂鉄道の再生、半分再生ですけれども、それに資するものになるものであるかどうか、御答弁をお願いします。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論を申し上げますと、この地域公共交通活性化法案でございますが、鉄道を含みます地域の公共交通のあり方につきまして、地元の自治体、交通事業者、住民などのすべての関係者が協議会において一堂に会していただいて議論を行って、その中で鉄道を残していこうというような合意が得られた場合には、地域公共交通総合連携計画というものがございます、こういった計画を作成し、これに基づいて関係者がそれぞれの役割を果たしていただくということがフレームでございます。

 高千穂鉄道について申し上げますと、運行再開に当たって、高千穂鉄道株式会社でありますとか運行再開を計画している新会社に加えて、沿線の市町村、県、それから地域の観光関係者などにおきまして、委員御指摘のように、鉄道の再生に関する合意を形成していただくということが何よりも肝要ではないかと考えております。

 この合意形成を実現するための手段として、地域公共交通活性化法案に基づく協議制度でございますとか、今冒頭申し上げました地域公共交通総合連携計画の制度を活用していただければ極めて有効ではないかと考えることから、私ども国土交通省といたしましても、地元からの御要望がございますれば、法律案の施行のタイミングなども考慮しながら、適切に支援や助言を行わせていただきたいと考えております。

江藤分科員 ありがとうございました。

 地元には、どうしても全線完全復旧でなければ嫌だという意見もあるんですよ。しかし、私は政治家ですから、やはりできるところからやっていきたい。それを待って、では十年、二十年、三十年待つのかということではなくて、今、せっかくこういう法律ができますから、ぜひ私は、地域の合意形成に向けても私なりに努力をしていきたいと思いますので、その節はどうぞ、大臣、副大臣、あわせてよろしくお願いいたします。

 それでは、高千穂にもちょっと絡みますけれども、さらに今、これは衆議院でもまだ通っていない法案なんですが、広域的地域活性化法について、あした衆議院で、委員会で採決というふうに聞いておりますけれども、この法律について若干お伺いを、済みません、これはちょっと後に回します。

 国際観光都市の方を先にやります、高千穂鉄道に絡みますから。

 これはこの間通りました。これを見たときも、十年間再延長だ、これはいい法律だ、ぜひとも賛成ですということで、いろいろ案件を私なりに読ませていただきました。

 どういう都市がこれに当てはまるのか、いろいろ要件がございます。適用都市、法律都市と政令都市、この政令都市に何とか宮崎の、宮崎県というよりも、宮崎の中で観光に特に力を入れている串間であるとか日南であるとか高千穂であるとか、そういったところを当てはめられないか。

 書いてあることはすばらしいんですよ。国際観光文化都市が国民生活、文化及び国際親善に果たす役割にかんがみ、これらの都市において特に必要な施設の整備を促進するとともに、国際観光文化都市にふさわしい良好な都市環境の形成を図り、国際文化の交流に寄与する。ぜひ宮崎もこれに一役買いたい。

 宮崎県は、特に高千穂なんかは天孫降臨の土地でございまして、日本という国が、日本国が始まった場所ではないかと言われるところでもあります。そういうところは国際交流にはぴったりだということで、当てはまらないかなと思って私なりに研究をしてみたんです、宿泊者比率の問題、それから財政力指数の問題。

 高千穂町を例にとってみますと、法律上は完全に当てはまっております。高千穂の場合は、人口が約一万四千五百人。そうしますと、大体指数が八・五になります。五・五以上であればいいということでありますけれども、大体十二万三千人が宿泊しております。そういう計算になっております。そして、財政力指数は非常に低い、〇・二六しかございません。

 ですから、法律に当てはめれば当然これは認めていただけるはずだというふうに思うわけでありますけれども、どうもそうではないような、そうではあるような、非常に微妙な御当局からの答弁が部会ではありました。

 せっかくこういう場をいただきましたから、高千穂鉄道をさっきの法律を使って何とかとにかく走れるようにする。そして、国際交流の一翼を担うような都市としてさらに再スタートを切らせる。私は、それがすばらしいことだと思っておりますので、高千穂には県を通じて手を挙げさせようと思っています。

 そうなった場合、なかなかここでイエスかノーか言えないかもしれませんけれども、どのようなお考えをお持ちか、御答弁を御当局からお願いします。

中島政府参考人 今御指摘ございましたように、対象都市を法律で九都市指定してあって、政令の定める基準で政令で指定したものということで三都市ございます。

 政令の基準に当てはまれば追加の指定が可能かということなんですけれども、政令に基準が書いてございますが、法律にもちょっと柱書きに基準が出てくるんですが、一番調子が悪いのは、政令の基準の数値が、昭和四十八年から五十年までの三カ年の数字がこれこれ以上と書いてある。法律の制定は五十二年でございますので、現時点でそれを適用して、四十八年―五十年の数字を昔にさかのぼって調べてみて、それで指定するというのはいかにも不適当だろうということで、従来、私どもの考えは、この基準で新しい指定を行うのは困難であるというふうに思っている、そういうことをお答え申し上げました。

 それで、法案提出過程でも、先生からも御意見をいただきましたし、国会でも御議論ございまして、三月の法律延長の際に両院で、基準を見直すようにという決議をいただきました。したがいまして、見直すことが宿題になっておりますので、基準を見直した上で新たな指定を考える、こういう段取りを今頭に置いております。

江藤分科員 そこら辺のお話は部会でもお聞きをいたしました。そのように、決議がされたとおりに直りました暁には、ぜひ宮崎県にも国際交流都市の一翼を担わせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、決算でありますから、入札制度について、今度は副大臣の方にお尋ねをいたします。

 この間も北海道のダムが異常に安い価格で落札をされたであるとか、これだけ談合問題が世間の批判を浴びても、地下鉄等で談合事件が相次ぐ。談合をやるのは、非常に大手の企業さんが行われている。特A、いわゆるゼネコンさんがやる。非常に世間の批判も集まっているわけでありますけれども、私は、やはりこの制度はちょっと問題があるだろうというふうに思っています。

 平成十七年度の国土交通省の直轄工事の契約金額ベースでも、国が一兆七千五十三億円という巨費を投じております。私は、このお金がなるべく有効に使われて、まずきちっと品質が確保される。品質が確保された上で、なるべく多くの案件が解決された方がいい。五件解決されるよりも十件、十件よりも二十カ所工事ができた方がいい。それには、やはり適正な価格で受注をさせるということがまず何よりも大切だろうと思います。

 ところが、私に言わせれば、非常に国の直轄事業というものはおかしな事業になっておりまして、入札資格というものが非常に固定的である。若干の流動性があることはもう説明を受けて知っておりますけれども、非常に固定的。

 例えば、宮崎県でいいますと、A、B、C、D、四ランクありますけれども、Aランクの企業はあるはずがありません。ゼロです。金額ベースでいくと、七億二千万円以上という条件になっているそうであります。そしてBランクは、これまた宮崎県は一社もありません。これは三億円以上七億二千万円未満。そしてC、Dになると、少しずつ、業者がぱらぱらと出てくる。

 小泉内閣から安倍内閣になって、非常に頑張る者が報われる、頑張った者が報われる、格差社会はよくないけれども、頑張った者が報われる社会にならなきゃならない。宮崎でも、入札制度改革が行われまして、一般競争入札になりました。そうなりますと、業者さんはやはり厳しいですよ。

 土建屋さんの肩を持つと、おまえは政治献金をもらっているから土建屋の肩を持つんじゃないかとすぐ言われますけれども、そんなことじゃないですよ。田舎の建設業というのはどういう役割を果たしているのか。

 田舎の建設業では、例えば七十のばあちゃんが土運びをしているんですよ。何でだと思いますか。地元の業者も本当はそういうお年寄りは使いたくないんですよ。労働力としては弱いですよ。だけれども、そういうお年寄りは、自分の家の前の小さな畑を耕しながら、自分が食べる分はそこでつくる。現金収入は、土木建設業の日雇いに出てささやかな収入を得る。地元の建設業の社長さんは、あのばあちゃんを雇ってやらにゃかわいそうじゃ、飯が食えぬとやからと。

 ある意味では、そうやって本当に地域を守っているんですよ。間接的に集落が守られ、山が守られているんですね。ですから、私は、国も彼らにもっと受注のチャンスをふやすべきだと思う。私はそう考えます。

 例えば、Dの業者がたくさんいます。では、Dの業者というのは実力がないのか、仕事をやるだけの能力がないのか、経験がないのか。決してそんなことはありませんよ。例えば、宮崎県で特Aの指定を受けている業者、トンネルを掘れば橋もかける、何でもできますよ。技術者もたくさんいる、経験もいっぱいある。だけれども、国発注事業の実績がないから、未来永劫Dランクなんですよ。

 それで、Dランクの工事はどんなのがあるかというと、保守管理であるとか営繕工事、そういうものは全く土木の実績としてカウントされないから、幾ら頑張っても上に上がれない。これでは、もうA、B、Cにいる人たちにとっては、これを既得権と言わずして何だろうと私は思いますよ。もっと広く開かれるべきだと思う。

 だれに受注させろとか、そんな話をしているんじゃないんですよ。実力のある人間にはさせたらいいじゃないですか。例えばトンネル工事でも、宮崎では掘れる業者はいっぱいいますよ。でも、国が発注するトンネル工事を掘れる業者は一社もいません。例えば、こっちの山は県発注だからやれる、隣の山は国発注だからできない、これはやはり私は古い古い体制だと思うんです。

 ですから、副大臣、これはやはり政治的に判断すべき問題だと思います。やはり適切な資格を持った人間をきちっとしたランクづけをして、技術力もなければ資格者もいないような業者はだめですよ、そんなところにやらせちゃだめです。でも、そういうことができる人たちにはもっと門戸を広く開いて、そして競争させて、技術的にも価格的にも競争させて、いい仕事をしてもらう。そして、この一兆七千億のお金がもっと有効に使われる。ゼネコンがとって、その下請にとらせて、孫請にとらせて、孫々請が地元の業者で、実際には地元の業者がとんでもない値段で受注をさせられている。これでは私は、国から出たお金が有効に使われているとは思えません。

 副大臣、このような私の考えに対してどのような御感想をお持ちか、御答弁をお願いします。

望月副大臣 江藤先生の気持ちはよくわかります。私も地元へ帰りますと、必ずそういうような話を聞いております。

 ただ、こういう工事というのは、安全、安心な国づくりのために、その工事をやっていただく方も事故の起こらないようなことをしていただかなくてはならないということで、やはりある程度のランクづけはどうしても必要なことでございます。

 ランクづけにつきましては、二年ごとに見直しを行って、直近の各企業の経営状況とか、それから技術力の向上等を反映させて動かしているわけでありますけれども、江藤先生がおっしゃるように、比較的少ないじゃないかというような話も、我々もそういうふうに思っております。

 九州には一般土木関係で大体六千社あって、AとBを見ますと、Aが二十六社、Bが四十五社、そういう状況でありまして、Dランクが四千八百十九社。これは、こういう人たちにどういう仕事を与えているんだというような話になるのではないかなというふうに思いますし、今先生がおっしゃったように、宮崎は大体A、Bがございません。ですから、地元の人が手を出せないという気持ちは非常によくわかります。

 それから、宮崎県全体では合計三百八十七社がございます。そういう皆さんが、では仕事を一体どういうふうにとれるかというと、実際の一般土木工事の発注に当たっては、Bランクの工事であっても、予定価格が比較的小さく技術的難度が比較的低いものについてはCランクの企業が参入できたりする、あるいはまた、逆に、Cランクの工事であっても、予定価格が比較的大きく技術的難度が比較的高いものについてはBランクの企業が参入できるように、いろいろな工夫を現在しているところでございます。

 規模と難易度に合わせ、弾力的な運用をこれからもしっかりと図っていきたいと思います。

 最後になりましたけれども、これはやはり、新規参入を可能としやすくする工夫や、競争性をより高められる、こういう工夫を行って、工事の発注に当たっては、経営と技術力にすぐれた企業を選定して幅広く工事ができるように、そしてまた、国民のために品質を確保していかなきゃならないということでございます。

 先生の熱い思いをしっかりと国土交通省に反映していきたい、このように思います。

江藤分科員 副大臣、ありがとうございました。

 これは、頑張る意欲を持っている人間が上を目指す、Dの人はCに、Cの人は頑張ればBになれる、これがやはり企業のインセンティブを高めますし、ひいては工事の品質も高まっていくことだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは最後に、地域の活性化法。これはまだでき上がっていない法案ではありますけれども、これについて最後に質問をさせていただきたいと思います。

 非常にいい法律が国会に提出されたと私も思っております。このまちづくり交付金は非常に好評でした。今までは、国が細かく補助金で細部にわたってまで口を出してそれにお金をつけていく、こういうやり方じゃなくて、町でマスタープランをつくって、どかんと渡して自由にやりなさい。これは非常に有効な法律で、まさに地方の自立を促すいい法律だったと思います。

 宮崎でも、随分たくさんのところがこれを利用してまちづくりをやりました。議会も市町村長も非常に喜んでおります。そして、これをまた大きな意味で補足するというか、補助するような立場で、今度はこの広域的地域活性化法、これができ上がっていくんだと思いますが、これをつくるに当たっては、私は、逆に非常に注意が必要だなと思います。

 なるべく工事というのは、東京の道でもそうですけれども、工事が終わったと思ったらまた掘り返す、こういうことではよくないんですよね。やはりどんなことも一遍にやった方がいい。まちづくり交付金は市町村単位でいただく、そして今度は広域的地域活性化法による地域自立・活性化交付金、これは県がいただく。これはぜひ、私は一遍にやった方がいいと思うんですね。県道周辺の県でしかやれない事業も、こっちの交付金でやりながら、まちづくりの交付金も一緒に使っていく、そして、なるべく完成時期は一緒にしていくということがベストだと思います。

 しかし、現実には、このまちづくり交付金でスタートしてしまっているところもある。もしかしたら、今度は、県の方の活性化交付金だけいただいて、それを見て、今度は地域の市町村が、ではまちづくり交付金を後づけで使っていこうという考えを持つところも出てくると思うんです。

 ですから、この法案が成立した暁には、市町村、それから各都道府県に対して、やはり利用の仕方というもの、使い方というものをかなり注意深く当局として指導する必要がある。この指導なくして、てんでんばらばらにやると、非常に混乱を逆に招くと私は思います。人によっては、もしかしたら、もうまちづくり交付金をもらっちゃったから、こっちはだめなんじゃないかとか、逆に、県の方の広いやつをやっちゃったから、まちづくり交付金はだめなんじゃないかな、そういう誤解も生みます。

 皆様方が東京で考えていらっしゃる以上に、地方では法律の有効性というものが理解されていません。委員会とか、こういう国会の場ですばらしい法律をつくっても、それが知られていない、知られていない上に利用されない、知ったときにはもう遅い、そういうことが非常に間々あるんですよ。ですから、そこら辺の十分な御配慮をいただいた上で、この法案が果たす役割、いろいろな面について御当局の御答弁をお願いします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域自立・活性化交付金による都道府県事業と、まちづくり交付金による市町村事業が相互に関連する場合には、同一事業に対する二重の補助にならない限り、同じ地域で適用が可能でございます。

 また、委員御指摘のとおり、この制度におきましては、都道府県と市町村が連携をとるということが非常に大事だというように考えておりまして、このため、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案、御審議いただいているところでございますが、国、地方公共団体等の努力義務としまして、「広域的地域活性化のための基盤整備を重点的、効果的かつ効率的に推進するため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。」という規定を設けてございます。また、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成しようとするときは、あらかじめ関係市町村の意見を聞かなければならないということを定めておるところでございます。

 国といたしましても、都道府県と市町村が連携することによりまして、本交付金とまちづくり交付金による事業が一体的に推進されまして、その相乗効果が高まるように支援してまいりたいというように考えております。また、この制度につきまして十分御理解いただくように、きめ細かく御相談に応じていきたいというように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

江藤分科員 大変ありがとうございました。

 大臣におかれましては、御答弁いただく機会がきょうはございませんでしたけれども、わざわざ御出席を賜りましてありがとうございました。副大臣も本当にありがとうございました。

 今は、民間活力を使わなければならない、民間の力で何とかしろという言葉がよく聞かれますけれども、民間の力ではどうにもならないところがございます。そういうところに私たち政治家はやはり目を向けていかなければならない。今回国交省から出された法律は、非常に地方に目を向けたいい法律がたくさんあります。これからも、東京ばかりが日本ではありませんので、地域に目を向けた行政を行っていただきたい、そのことを最後にお願いしまして、終わります。

 ありがとうございました。

古屋主査 これにて江藤拓君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管及び住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後七時十分散会


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