衆議院

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第2号 平成20年4月22日(火曜日)

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平成二十年四月二十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 上田  勇君

      浮島 敏男君    坂本 哲志君

      杉村 太蔵君    橋本  岳君

      林   潤君    藤田 幹雄君

      牧原 秀樹君    安井潤一郎君

      篠原  孝君    高山 智司君

      仲野 博子君    細野 豪志君

      横山 北斗君    鈴木 宗男君

   兼務 矢野 隆司君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   法務副大臣        河井 克行君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   国土交通大臣政務官    山本 順三君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       大濱 正俊君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       川滝  豊君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第三局長            真島 審一君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大内 秀彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須江 雅彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森山  寛君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         竹内 直文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)           榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    影山 幹雄君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     藤田 幹雄君

  杉村 太蔵君     牧原 秀樹君

  林   潤君     橋本  岳君

  高山 智司君     細野 豪志君

  松本 大輔君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     林   潤君

  藤田 幹雄君     浮島 敏男君

  牧原 秀樹君     杉村 太蔵君

  篠原  孝君     松本 大輔君

  細野 豪志君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  横山 北斗君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     高山 智司君

同日

 第三分科員矢野隆司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計歳入歳出決算

 平成十八年度特別会計歳入歳出決算

 平成十八年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十八年度政府関係機関決算書

 平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十八年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省、国土交通省所管及び住宅金融公庫)


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     ――――◇―――――

上田主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成十八年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管、住宅金融公庫及び法務省所管について審査を行います。

 昨日に引き続き国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。

 この際、会計検査院から発言を求められておりますので、これを許します。会計検査院真島第三局長。

真島会計検査院当局者 昨日、平成十八年度の住宅金融公庫につきましての発言を失念いたしまして、まことに失礼をいたしました。おわび申し上げますとともに、再度改めて発言をさせていただきたいと思います。

 平成十八年度住宅金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。

 よろしくお願いいたします。

上田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野分科員 おはようございます。分科会はこれからがスタートということでございますので、御答弁の方、よろしくお願いいたします。

 大臣に来ていただきたかったんですが、午後にはいらっしゃるということでございますので、まずは副大臣にお伺いしたいと思います。

 先週の金曜日に、道路関係の業務の執行のあり方に関する改革本部の最終報告書というのが出ました。マスコミなどで注目されているのが道路関係の公益法人についての改革ですが、中身についてはもう全部読んでおりますし、概略の説明も結構です。

 私が副大臣にまずちょっと確認をしたいのが、今回、道路予算がさまざま問題になっている中で、なぜ国土交通省の中でこういう支出を事前にチェックすることができなかったのか。

 さらにもう一歩踏み込んで言うと、平井副大臣は内閣の中に入っていらっしゃるわけですが、与党には事前審査という仕組みがあって、こういうさまざまな道路の無駄遣いについても十分チェックできる権限が、我々野党よりもはるかに強い権限を皆さんお持ちであるにもかかわらず、なぜこの時期にならないとこういうものが出てこないのか。

 私は、やはりこれは遅きに失したの一言に尽きると思うんですね。その辺を、与党にもいらして、そして今内閣にも入っていらして、どういうふうにお考えになるのか。

 繰り返しますが、これについて御説明は結構ですので、この部分についての御感想なり反省の弁なり、そこをまずいただきたいと思います。

平井副大臣 確かに、今回の道路特定財源の無駄な支出というようなものに関して言えば、我々もいろいろ驚くところもあり、いかに国土交通省の今までの感覚というか常識というものが世間の相場から大分大きく乖離したところにある、そのようなところがやはり国民の大きな不信を招いた原因だと思うので、国土交通省はこれをやはり反省しなきゃいけないし、今までの業務のやり方を根本的に見直さなきゃいけないし、物の考え方を変えていかなきゃいけないと思います。

 それはいろいろな倫理の面も含めて、法律的にそういうものがいかに今までは正しいとされていて、会計検査等々でもそういうものが問題なしと言われていたとしても、時代がやはり大きく変わったと思います。そういう意味で、今までの仕事のやり方を当たり前だと思ってそれをやっていたことがやはり大きな問題であって、自分たちで自分たちをチェックするという機能を実は持っていなかったと私は思っています。

 ですから、この改革案の中に入れさせていただいているんですが、それはやはり、自分たちで自分たちをチェックできないのであれば、外部有識者のいろいろな、民間企業が今そういうような経営者に対するアドバイザリーボード、厳しいチェック、監視をし、企業モラルであるとかそういうものも全部含めてチェックするような機構を入れていくというようなことにも今回はチャレンジしようと思います。

 何せ、私自身も、いろいろな支出に関して言えば、これはやはりおかしいという問題意識を持っているし、過去、いろいろな時期、経済的にも日本の置かれている立場は今まで変わってきていますけれども、こういうものは常に自分たちで自分たちをチェックしないと、やはり感覚というものは、ずれてしまったらこういう事態を招いてしまうのではないか、反省すべきだと思います。

細野分科員 平井副大臣、副大臣は国土交通省のある種のナンバーツーのポストにいらっしゃるわけなんで、驚きましたというコメントはちょっと、外部の人間が驚くのはわかるんですが、内部の人間というのは外部に対して驚きましたというお立場ではないと思うんですね。

 もう短くて結構ですが、副大臣をやられていて、また与党のいろいろな仕事もされてこられていて、なぜ与党の中でこういうものがチェックできないのか。私はそこは政権の緩みだと思いますよ、長く政権の中にいらして。繰り返しになりますが、我々野党よりもはるかに皆さんは情報をとりやすい立場にあるんですから。であるにもかかわらず、こういうものが与党の中でチェックできないということについてどのようにお考えになるか、これについても簡潔に御答弁いただきたいと思います。

平井副大臣 私自身は、この役職につくまでに、あらゆる面で無駄な支出というものを自民党の中で取り上げるタイプの議員として仕事をしてきました。ですから、特にコンピューターシステムの支出等々に関してとか、そういうのも同じ問題意識でずっと長年取り組んできていた中で、国土交通省に入ってみて、組織も大きいし扱う予算も大きいし、そういうチェックの機能というものが細部にわたって整備されていないという実態に非常に驚いたというところがあるんです。

 このことに関して言いますと、今回は役所の幹部の皆様方にも処分を大臣の方からしていただき、私自身も給与を自主返納させていただいて、さらに、これから厳しくそういう支出に対してチェックしていこうというふうに考えております。

細野分科員 少し中身に入りたいと思うんですが、まず副大臣にお伺いしたいんですが、今回、全部で五十以上ある公益法人、それが三つ廃止をされて、幾つかが統合されて、支出が取りやめられたものもあれば、存続をされているものもある。

 これはちょっと中身を読んでもよくわからないんですが、どういうものは要するに廃止、解散をされ、どういうものは要するに支出取りやめで、何をもって支出を存続するという峻別をされたのか、その考え方をまず、これは報告書を読んでもよくわからないということ自体問題だと思うんですが、平井副大臣にお伺いしたいと思います。

平井副大臣 報告書の文言というのは、わかりませんかね。私自身は、これは一生懸命二カ月かけて、ヒアリングをしながら、こういうものを見直すに当たっての物差しというものが、実は決まっているようで決まっていなかったんですよ、それを今回つくりたいというふうに考えて、ゼロベースでいろいろなものを検証しました。

 公益法人として行う必要性が低下した業務を実施する法人を解散、そして、業務をスリム化した上で統合を行う法人が四法人から二法人、業務の見直しにより道路特会からの支出を取りやめる法人が十五法人、株式会社化を視野に入れ非公益法人化する法人が十法人、一般法人化する法人が四法人。

 思想としては、要するに公益法人全体をまず小さくしていきたいということで、そのときに大臣の指導監督権限の範囲でできることはどこまでかというようなことも考えながら、まず公益法人に対する支出を減らすというのが一番我々が手をつけやすいところだったんですよ。支出を減らした上でなおかつ、公益法人がみずから、つまり評議委員会とか理事会を開いて、結局、解散にしても給与規程にしてもすべて自分で自分たちのことを決めていただかなきゃいけないので、そこは強い要請という形になるんです。

 法人の種別に関して言いますと、仕事を内製化して、つまり、公益法人全体の今までの過去の歴史を考えると、国がやっていた仕事を切り出して、場合によっては無理やりにでも外に切り出して、要するに定数削減というものを何とかクリアしてきたという事実もある以上、内製化できるようなものはできるだけ今度はまた戻す。そして同時に、現場に非常に近いような業務、これは、弘済会等々というのは、各地方整備局の仕事を切り出した、よく言えばアウトソーシングをかつてしてきたようないろいろな仕事、そういうものに関しては、ではどのような形がいいかということで、それは民間とイコールフッティングの競争の中に持っていこう、同じような調査、報告、委託調査みたいなものはできるだけまとめていこう、そういうような思想で、この五十法人に関しては特に厳しく、ほかの公益法人に対してのいろいろな今までの改革、指導監督基準みたいなのはありましたけれども、道路特会からの支出のある公益法人に対しては特に厳しくハードルを設定させていただいたと私は考えております。

細野分科員 平井副大臣もよくおわかりだと思うんですが、公益法人にもいろいろありまして、民間ベースで天下りを受け入れずに、独自にそれこそファンドを集めてやっている公益法人もたくさんあるわけですね。私は、そういう純粋に民間の非営利の公益法人と、天下りを受け入れていて補助金じゃぶじゃぶの公益法人は、しっかり分けて議論すべきだというふうに思うんですよ。

 その意味では、私は十分だとは必ずしも思いませんが、今度、道路関係に関して公益法人の改革、かなり踏み込んで出ている部分もあります。例えば、天下りの方の定年は六十五歳にする、給与水準は三割から五割抑える、さらには、内部留保についても、三〇%を超えるものに関しては国に寄附をすることを要請する。

 副大臣、もう一歩踏み込んで御答弁いただきたいんですが、同じようなことというのは、国土交通管轄だけでも、道路関係だけではなくて、相当数あるわけですよ。公益法人の改革というのが道路に関してこれだけ一歩前に踏み込めるのであれば、当然ほかの国土交通省の所管の公益法人についてもやれるし、当然そこはやるべきだと思います。それについて、やる覚悟はおありなのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

平井副大臣 これは、既に福田総理の方から、六月をめどに公益法人全体の改革について、特に行政と密接な関係にある法人に関して、そういう方向性を出してこいというような指示が出ております。

 我々もそれはそれで当然取り組んでいかなければならないというふうに考えていますが、今回は、道路特会に対して、十年間また暫定税率をお願いする、そういうような状況の中で、我々はやはり特に厳しい目で見させていただいて、これをまず我々が実行できるかどうか、絶対に実行しなきゃいかぬというふうに思っておりますので、この改革本部を残し、外部有識者に今後ともお手伝いをいただきながら、例えば内部留保の問題に関しても、国に返納させるというためには、この十二月から始まっている全体の公益法人の改革というものがあるんですよ。ですから、一般社団になるのか、公益性を残すものになるのか、今後五年間の中で、それぞれの法人がつくっていかなきゃいけないという大きな流れのある中で、先行して我々は、期限を切って、道路特会から支出のあるものに関しては特に厳しいハードルを設けてそれをやりたいという意思で取り組ませていただいております。

細野分科員 きょうは内閣官房からもちょっと政府委員の方に御答弁に来ていただいていますが、今の平井副大臣の答弁を受けて確認をします。

 総理は、確かに年度末に、公益法人に関しては集中点検をするんだという御答弁をされていますね。今回、国土交通省の道路関係の公益法人の基準を当てはめて、全体についても期限を切ってやるということなのかどうか、さらには、期限を切るのだとすればいつまでにやられるおつもりなのか、今の時点での内閣官房、内閣としての取り組み方をお伺いしたいと思います。

須江政府参考人 お答え申し上げます。

 公益法人は民間法人でございますので、各法人の業務運営のあり方や事業内容は種々さまざまでございます。また、国との関係についても濃淡さまざまですので、すべての公益法人に対して道路関係法人と同様の取り扱いをするということに関しては慎重に取り扱う必要があるものと考えておりますが、先般、福田内閣総理大臣並びに町村官房長官より、行政と密接な関係にある公益法人に関し集中点検を実施して支出の無駄ゼロを目指すよう各府省に対し指示が出されたところでございます。今後、御指摘のような内容も含め、各府省において問題点を徹底的に洗い出し、是正する取り組みが行われるものと考えております。

細野分科員 御担当の方が行われるものと考えているという答弁は、よくわかりませんね。担当なんですか。総務省がやるんですか、内閣官房がやるんですか。行われるものと、答弁というのは、やる人に聞いているんですから、どうなんですかと聞いているんです。

須江政府参考人 お答えいたします。

 本件に関しては、内閣官房が進めておるということでございます。

細野分科員 わかりました。

 では、午後に内閣官房に、当事者、ちゃんとやる人に答えてもらわないと、総務省に客観的な分析を聞いているわけじゃないわけですから、そういう質問通告はしていないので、そこは内閣官房にお答えいただきたいと思います。では、この議論は午後に残したいと思います。

 平井副大臣に一つ、ちょっと数字を御紹介しておきます。

 天下りを役員に三分の一以上受け入れてはいかぬという規定があるんですね。ところが、ほとんどの団体は、非常勤の役員をどっさりふやして、そこに民間の人を名前だけ並べて、事実的には常勤の役員を三分の一以上としているところが数多いんですよ。

 それで、民主党でちょっと調べてみました。常勤の役員で三分の一以上が天下りの方、この団体が公益法人の中で千八百八十九あります。実質的に三分の一以上の常勤役員が天下っているというのは、官の相当強いコントロール下にあり、私は少なくとも民間とは言えないと思います。この団体に給付をされている資金の合計額は平成十八年度で五千三百三十六億円です、この団体だけで。

 ですから、さっき総務省の方が民間なんでという御答弁をされましたが、そういうことは通用しませんので。それを前提に国土交通省から始められるということであれば、まずその模範を示していただきたいと思います。その上で、内閣全体の取り組みについては、午後、内閣官房に聞きたいと思います。

 あと、もう時間も少なくなってまいりましたので、具体的な問題について幾つか指摘をして御答弁いただきたいと思うんです。

 今回出された改革案の中で、存続が前提とされているものに道路保全技術センターという財団法人があります。この団体は、私も予算委員会で何度も取り上げさせていただいて、毎年受けている公費の金額も非常に大きいし、天下りも非常に目に余るということで問題視をいたしました。今度合併をするということにもなったようです。

 私の方で答弁をいただいた中で納得がいっていない部分があるのが、この道路保全技術センターには大体八割ぐらい丸投げをしている業務があって、例えばバランスシートで見ると、受託事業分として未収金が七十七億円ある、そのうちの約六十億円は今度は委託調査研究費となっておって、他の事業者に丸投げをしている。丸投げ率約八割というデータを以前お示ししています。それに対しては、どこに丸投げをしているのか。

 ですから、この未払い金ですね。外部に委託調査を出している。税金をもらって道路保全センターが仕事を受けているのだけれども、その八割が違う事業者に丸投げをされているので、どこに投げられているのかというのをしっかり出してくださいということを予算委員会で質問させていただきました。

 それに対する冬柴大臣の答弁は、もちろんお示しをして御批判をいただいたらいいと思いますという御答弁も既に予算委員会の中でいただいているんですね。この数日、このやりとりをしているんですが、いや、それは出せませんと、いまだにおっしゃっています。大臣がここまで踏み込んで答弁をされているのに、この丸投げの実態についてしっかりと調べて公表しないというのは、私は納得ができません。

 平井副大臣、この調査を担当されているということでございますので、少なくとも大臣の答弁のとおり出していただきたいと思います。御答弁をお願いします。

平井副大臣 この再委託の問題に関しては、今度、我々は上限を三割、金額で設けて、それ以下にさせるという方向ですべてのものを見ています。

 今実態を出せというのは、結局、どういうものが、どのように、どのような金額で委託されているかという問題に関しては、それは既に資料等々でも出ていると思います。

 これは既に同僚議員の質問にもあって出されていると思うんですが、要するに、すべてを出せということになると、多分、企業名を全部出せということの御趣旨でお話しになっているんだと思うんですが、ここは民民の企業情報というところで、その保全センターの了解だけではなく、その先の企業の了解もなければ出せないということで、今、実は我々はそこの壁にぶつかっているところでありまして、もしそういう企業名のことではなくて業務の内容だということであれば、十分に我々の方でチェックできていると思っております。

細野分科員 民民だとおっしゃいましたね。副大臣、ここは矛盾しているんですよね。要するに、民間ではないと認定したからお取りつぶしにしたり、それこそ役員の給料を下げるなんというのは、副大臣、民間だったら言えるんですか。純粋に民間ではないというふうに考えたから、役員の給料まで下げろという指示を出されたんでしょう。その団体がどこに発注しているか、税金の流れなんですから、これは出すべきでしょう。それと矛盾するじゃないですか。

平井副大臣 いや、法律的にはあくまでも民間なんですよ。

 今回我々がまとめたいろいろなペーパーも、その支出を減らすことによって法人にそういう決断を迫っているんですよ。命令してやらせているわけではありません。あくまでも御理解をいただいて、正規の手続を踏んだ上で、法人がみずから自分たちの組織をスリム化していくという判断をしていただくということなんです。

 ですから、ある意味で、それが役所の一部だというようなことで、我々がすべて権限を持って指導できるわけではありません。

細野分科員 私は、それだけの指導権限を公益法人に対しては役所は持っていいと思いますよ、こういうものに関しては。

 では、確認をしますが、この予算委員会での大臣答弁、これは実はテレビ入りのときにやっているんですが、これは撤回をするということですか。

平井副大臣 済みません。すべてを明らかにして、そして御批判を賜ったらいいと思うというのは、どういうものが、どのような形で、幾らで委託されてということではないかと、今すぐ、ちょっと話の流れを、全体を理解しているわけではありませんが、そのように私は感じますが。

細野分科員 では、この件は大臣に御答弁いただいた件ですので、午後にやりたいと思います。

 副大臣、時間もなくなってきたので、もう一つお伺いしたいんですが、私の方で予算委員会の中で指摘したものの中で、国際建設技術協会の報告書が無駄遣いではないかということをやりました。平成十九年度の新しい報告書が出ているので、それも拝見しました。

 報告書の中身について今議論するのはやめますが、私がずっと疑問視をして、ぜひこれは少なくとも改めていただきたいと思っているのが、この調査委託の基準なんですね。この調査委託の基準が設計業務等積算基準ということになっていて、なぜ九千万とか五千万という調査報告がどんどん出てくるのかというのを見てみると、要するに、人件費のさらにその倍、一般管理費が積まれる、諸経費が倍積まれる、技術経費がさらに二〇%積み増されるということなんですね。

 これからも国土交通省がこういう調査について継続をして、この基準を適用し続ける限り、同じような例というのは恐らく後を絶たないと思います。この基準については少なくとも見直していただきたいと思いますし、その趣旨で御検討いただいていると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

平井副大臣 今回のケースは、どこに当てはめて諸経費率を見るかということで、一番近いところに当てはめるというふうに私は理解しているんですけれども、特に、このような種類の業務に特化した基準というのは今ないので、今後、類似業務の諸経費調査等によって企業の諸経費の実態調査に努めて、このような業務に特化した積算基準のあり方について検討して変えていこうということです。この調査に取りかかりたいということでございます。

細野分科員 会計検査院に確認したいんですが、会計検査院の方には、この基準を適用していること自体が、それこそ予算の執行状況としておかしいのではないかということについて確認を求めましたが、今の時点での判断はいかがでしょうか。会計検査院、来ていますでしょうか。

真島会計検査院当局者 会計検査院では、このような調査研究委託というものは契約額の妥当性の検証がなかなか難しいということもありまして、平成十六年に各府省横断的にサーベイを行ったことがございます。

 そのサーベイの結果でございますが、予定価格において算定される諸経費は、法人等を運営していくために必要な間接的経費である。その積算方法について見ると、対象経費に諸経費率を乗じて算定しているものがほとんどであり、この対象経費は、人件費のみのもの、人件費、業務費等の直接費全体であるものなど契約ごとに異なっていた。そこで、前記の契約の中で、諸経費を算定している契約のうち、算定方法が重複しているものなどを除いた八十二件について、算定方法別に諸経費率を見たところ、参考見積書による算定は積算基準による算定に比べてばらつきが大きいものの、平均では積算基準による算定が参考見積書による算定に比べて高くなっている。こういう状況を御報告申し上げまして、非常に悩ましい状況であるということから、引き続き検討を行っているところでございます。

 ちなみに、その報告書の中では、積算基準による算定は平均諸経費率が一二一・一%、参考見積書による算定は平均諸経費率が六〇・三%であるという計数を示しているところでございます。

細野分科員 ちょっと早口で何を言っているか全然わかりませんでしたが、結構です。

 会計検査院、もうちょっと常識的に判断してほしいんですよ。いいですか。報告書は、海外の事例をインターネットとかで引っ張って調査しているだけですよ。なぜそれに、土木事業にかかわる設計業務等に対する基準が適用されているんですか。おかしいじゃないですか。技術料もかからない。特段、事前に、それこそ土木にかかわるようなさまざまな物件費もかからないでしょう。

 私だって、ほかの省庁でどういう調査がやられているかぐらいは調べられます、会計検査院でなくても。経済産業省は、外部に委託調査をする場合の経費は、一般管理費全体で人件費の一〇%ですよ。道路特定財源のこの調査は一〇〇%、さらには二〇%上積みして一二〇%積んでいる。同様の調査をしている経済産業省の本省の予算は一〇%ですよ。こんなのを見過ごすんですか、会計検査院は。常識で判断したときにどうなんですか。ちゃんと見ましたか。では、もう一度御答弁をお願いします。

真島会計検査院当局者 先ほど御紹介いたしました平成十六年のレポートにおきましては、積算基準による算定が大きく二つに分かれている、その分布の状況をお示ししております。今御紹介がありましたように、省庁によって大きく二つになっておるという現状でございまして、非常に悩ましい状況であるとは思っております。

細野分科員 一つわかったことは、こういうことについて会計検査院は全く頼りにならないということがわかりました、今の答弁で。

 副大臣、もう時間もなくなっていますので最後に聞きますが、先ほど申しましたとおり、実は私、こういう調査をやっていたんですよ。いろいろな調査を経験していて、役所の本省の予算がどれぐらい厳しい予算査定をしているのかというのも知っているんですよ。その観点からすると、人件費の倍以上一般管理費で積めるなんて、こんなのはあり得ない世界なんですよ。

 ですから、ことしも調査を委託しますよね、平成二十年度も。調査委託をするときに、発注するときにこの基準に該当させたら、同じようなことがまた必ず起こりますよ。早急に基準を見直してください。これは、はっきりここで御答弁いただきたいと思います。

平井副大臣 積算基準というのは、どういうものを諸経費としていくかというようなことも見ていかないと、いろいろばらつきがあるのかなという気もします。

 私も、この問題に関して委員の言われていることは、感覚的にはよく理解をさせていただいておりまして、何せ特化した基準がなかったというのはやはり問題だと思います。

 今度、我々はこういう道路特会から支出する委託調査の成果物に対して、公益法人が発注したものに関しても成果物をチェックして、その成果をフィードバックして、さらに委託調査の今度は決定に結びつけていきたいという問題意識も持っています。そのようにしようと思っています。

 そういう意味で、言われたことに関しては、まず実態をきっちり調査させていただいた上で、適正に判断をさせていただきたいと思っております。

細野分科員 では、終わります。

上田主査 これにて細野豪志君の質疑は終了いたしました。

 次に、牧原秀樹君。

牧原分科員 おはようございます。

 きょうは決算行政監視委員会の質問の機会をいただきました。分科会でございますので、少し私は地元のことも踏み込んで御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に暫定税率のことについてお聞きしたいんですが、御承知のとおり三月三十一日をもってガソリン税などの暫定税率が失効し、約三週間と一日が経過をしたわけであります。

 その影響について、既にこんな影響が出ているということについて明らかなものがあれば教えていただきたいと思います。まず、全国的にこんなことがあるということもお聞きしたいですし、それから、私の地元でございますさいたま市や埼玉県についても、具体的にこんな影響が出ているんだということについてお聞きしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 全国で申し上げますと、十九年度に成立しなかったということで、揮発油税等の暫定税率分の税収が国、地方を合わせて四月分だけで千八百億円でございます。財源特例法も未成立でございますので、制度面でも臨交金、地方道路整備臨時交付金、約七千億でございますか、これが執行できなくなりました。

 これが具体的に埼玉県、さいたま市でどういう金額になるかということでございますが、さいたま市で見ますと、市税収が全体百四十億ございますが、暫定税率分の減収というのが年六十三億円でございます。臨時交付金の減収というのが四十八億円でございます。一カ月分の減収にこれを直しますと月九億三千万でございます。それから、埼玉県で見ますと、同じように、暫定税率の減収分が年で申し上げまして二百五十五億、臨時交付金の減収が年で申し上げて七十四億円でございます。この二つを月で換算いたしますと二十七億円ということになります。

 そのほか、当然、さいたま市を除く市町村分が、暫定税率減収分百三十八億、臨時交付金減収分が六十三億ということで、これも月に直しますと約十七億円ということでございます。

 こういうことで、全国を見ますと、埼玉県を含む四十七都道府県の三十六道府県におきまして、道路事業予算の執行を保留してございます。これは総務省の調査でございます。うち、十一府県におきましては道路関係事業以外の事業にまで影響が出ているということでございます。

 他方、建設業界の方でございますが、十七日に全国建設業協会が発表されました都道府県協会への調査結果によりますと、今後の見通しが不透明なために受注計画が立たず、雇用や人員配置、資金繰りなどに影響が出ているといった結果が出てございます。

 以上でございます。

牧原分科員 これは、下げろと言うのは非常に簡単であるわけですけれども、これだけ多くの影響が出ていて、私の地元でも住人の方が長年望んでいたいわゆる道路とかそうした事業が、現実に工事が全くとまっていて、いつまでも道路の真ん中に放置されたような状況になっているということが見受けられるわけであります。

 私も今まで地元を回っていまして、住民の方々はまちづくりの要望がありますし、また、障害をお持ちの方、御高齢の方、またベビーカーを利用されている方などについては、バリアフリーをやってもらわないと自分たちはこの一段でも前に進むことができないんだ、そういう悲痛な御要望をいただいております。

 そうしたことに基づいて、これまで私自身もいろいろなまちづくりや駅周辺整備、踏切対策等について応援をさせていただいておりまして、さいたま市の職員の皆様や、あるいは都市再生機構やJR東日本や自治会、また地元の議員などなどと協力して、本当に大変なお姿を見させていただいております。私が存じ上げている、市の職員になってからずっとやられているというある方は、本当に住民の方との大変な交渉で、涙を流しながら、でも、やらせてください、必要だと訴える姿なんかも見ているわけであります。

 私もこうしたお姿を見て、こんなことを未来に何が残せるかという視点で応援をさせていただきたい、そんな決意でいるわけでありますけれども、こうした国の支援の必要なプロジェクトについて、暫定税率失効によって今後影響が出てしまう、そうしたことがあるのか、この点についてお聞きしたいと思います。

宮田政府参考人 まさに影響が出ると思います。

 具体的には、さいたま市におきまして、既に暫定税率分を見込んだ予算を議決されておりますが、仮に暫定税率が廃止されますと、現在進められています通常の補助事業が二十二事業ございます。例えば南与野駅西口の土地区画整理事業でございますが、そういうものを含めて二十二事業ございます。

 それから、先ほど触れました地方道路整備臨時交付金、これは全部とまっておりますが、これはJR京浜東北線の浦和駅を中心といたしました鉄道の高架事業等もやってございます。それを含めて十三事業ございます。

 それから、まちづくり交付金事業でおやりになっています、まさに先生お触れになりました、例えば駅前広場でございますとか、駐輪場でありますとか、バリアフリーでありますとか、そういった事業を含んでおりますJR川越線日進―指扇間の新駅周辺地区の事業、こういうものに遅延、あるいは中止とか、そういう影響が出るだろうと懸念されているというふうに聞いてございます。

牧原分科員 具体的に私もそのまちづくりの事務所を昨日御訪問させていただきましたけれども、とにかくいつどうなるかわからない不安感ということで、例えば、住民の方にいついつまでにこうやると説明会をわざわざ開いて、住民の方も大変忙しい中集まっていただいて、そして説明したことが守れない。守れないということについては、この暫定税率失効が原因であるかどうかということは、住民の方は納得しないというような状況があります。何でおくれるんだ、おまえらのせいだというような追及が毎日行われている。

 国会でのこうした非常に身勝手なことによってこうした事態が生じたということについては、一人一人の関係者の皆様に大変申しわけないという思いがいたしております。国でもできることがあれば今後ともやっていきたいと思いますので、ぜひお願いしますし、私たちにもぜひおっしゃっていただきたいと思います。

 暫定税率のことについては、では、あと二つお聞きをします。一つは、圏央道という道路がございまして、これは先日、川島という町まで延びました。川島町におきましては、このインターチェンジの周りに新しい立地の要請がどんどん来ているというようなことがあって、非常にいい影響が出ているんですが、この圏央道の整備はまだまだ大きくしなければならないところであります。

 この圏央道、そして、私の地元では十七号バイパスというのが大変な渋滞で、人生の時間を大変浪費しているという状況にあって、上尾道路というものを今建設中であります。これができれば、かなり多くの方々の人生の無駄を省くことができるという期待もあるんですけれども、この二つの道路プロジェクトについて、暫定税率失効の影響をお聞きしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 圏央道の方でございますが、ことし三月に供用開始しました鶴ヶ島―川島間に引き続きまして、川島インターチェンジから上尾道路との接続であります桶川ジャンクション間五・七キロにつきましては、平成二十一年度を目標に整備をやってございます。圏央道全体の県内、平成二十四年度を目標に整備をやってございます。今、用地取得、工事、真っ盛りでございます。

 上尾道路の方は、これも先生御案内のように、桶川市内の二・一キロ区間につきましては平成二十一年度供用目標になってございますし、それから、少し離れております宮前インターチェンジから環状線までの四・二キロも鋭意、早期供用を目指して事業を進めてございます。

 暫定税率が失効になった場合でございますが、暫定税率が仮に廃止されまして、かつ地方への補助金等を確保するということになりますと、国直轄事業に使える予算というのは四千億になります。この額というのは、今国道でやっております維持管理の額がちょうど四千億でございますので、新規事業の凍結はもちろん、今申し上げました継続事業も休止をせざるを得ないということでございます。

 先生お触れになりましたように、道路整備がとまることによって、地域でいろいろな、都市開発とか物流拠点整備等のまちづくりが進んでおります。例えば、川島インターチェンジ近傍には、本年そういうものが供用するということを見込んで、大型ショッピングモールが開業しておりますが、こういった地域で進められておりますまちづくり、都市開発とか物流拠点整備といったまちづくりが大きな深刻な影響を受けるというふうに考えます。

牧原分科員 ありがとうございます。

 我々の世代が未来に何を残せるのかという視点でいうと、例えばこうしたインフラ、これは私は大変重要なことであろうというふうに思います。

 先日、新宿と池袋の間の中央環状線が開通をしまして、我々埼玉県の方からすると、従来は竹橋でもう本当に動かなくなっていたものが、かなり渋滞が緩和をされて、その時間、これは人に換算したり人生に換算したりすれば物すごい時間だと思いますが、余分にほかのことに使えるということになるわけであります。

 こうした道路についても、地元の皆様や、あるいは、先ほど局長おっしゃっていたように、関係者で見込んでいた方からすると大変な影響が出るということでありますから、そうしたこともきちんと考えてやらなければ非常に幼稚で情けない政治になるということを改めて私からも申し上げたいと思っております。

 それからもう一つ、先ほどちょっとお触れいただきましたが、大宮駅西口や与野駅西口、南与野駅西口、それから新駅周辺などの区画整理事業も進められておりますけれども、これの影響ももう一度お答えを願えればと思います。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 土地区画整理事業は、道路の基盤整備と宅地の整備を面的、一体的に行う事業でございますが、先生御承知のように、道路整備に要する費用の範囲内で道路特定財源が活用されてございます。

 全国で多くの箇所が実施中でございますが、先生御地元のさいたま市西区、北区、大宮区、中央区においては、現在五地区において土地区画整理事業を実施しておりまして、いずれの地区においても道路特定財源が活用されてございます。

 これらのうち、四地区においては、暫定税率の失効に伴いまして、今年度の事業執行を見合わせている状況でございます。この状況がさらに続きますと、事業が長期化し、まちづくりにおくれが生ずるのみならず、これは区画整理事業の特質でございますが、家屋の移転時期等がおくれることによりまして地権者の方々の生活設計にも多大な影響が生じるというふうに懸念してございます。

 また、組合区画整理事業というのがございまして、これは先生の御地元にはございませんけれども、地権者の方々が組織して進めている事業がございますが、こういうところでは地権者の方々が事業費の手当てを御自身で借入金等をなさっているケースがございまして、そうした場合、借入金の金利負担の増大等によりまして、組合経営そのものにも大きな影響が生じることになりまして、こうした組合区画整理事業についても大きな影響が生じることが懸念されております。

 以上でございます。

牧原分科員 ありがとうございました。

 私がこうして幾つかの事業を申し上げたのは、この道路特定財源が道路のみに使われているんだという誤解がかなりありまして、こうした区画整理事業やバリアフリーやまちづくりなどに影響があるんだということがほとんど知られていないということなんです。

 これは、いいか悪いかは別として、この暫定税率の延長に反対した人が出ている地元は全部停止をして、賛成をした人は続行すると、物すごくわかりやすい。ああ、こうしたこととこうしたことかとなるんですけれども、それがなかなか難しいわけで、こうしたところに影響が出るんだということがまだ知られていません。

 ですから、こうしたこともぜひ役所としても、道路だけじゃないんです、障害をお持ちの方や、住民で小学校の通行で、もう区画整理事業をやらないと危ないということになっている人や、そうした人にも影響があるんだということは丁寧に説明していただきたいと思っております。

 具体的なプロジェクトを二つ。一つは、今申し上げたバリアフリー化のうち、指扇駅という駅がありまして、これについて、具体的見通しを聞かれることが多いので、ちょっとお答えいただければと思います。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 鉄道駅のバリアフリー化につきましては、先生からいろいろお話がありましたけれども、平成の二十二年までに、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の駅については、原則としてすべて段差解消を図るということを私ども目標としております。この目標達成に向けて、現在、鉄道事業者あるいは地方公共団体等の関係者においてその取り組みが鋭意進められている、こういう状況でございます。

 先生御指摘のJR東日本川越線の指扇駅のバリアフリー化につきましては、駅舎の橋上化だとか自由通路の設置を含めまして、現在、地元のさいたま市さんにおいて整備計画を検討しているところでございます。

 JR東日本会社といたしましては、さいたま市さんから整備計画についての提案を受けて、具体的な検討をしていくことになるというふうに聞いております。具体的な計画につきましては今後定められると考えますけれども、実現に向けてそのような関係者でしっかりと対応していただきたいと私どもは考えております。

 以上です。

牧原分科員 ありがとうございます。

 私は駅立ちを当選以来毎日しているんですけれども、本当に、この駅は、何人か障害をお持ちの方が大変な思いをして通われているのを目にしていますので、ぜひともお願いをしたいと思います。

 それからもう一つ、先ほど来話が出ています、新しくできる駅、西大宮駅、仮称ですが、この周辺の道路整備について不安の声があります。特に駅の南側、あるいは、踏切が駅の両側にあるんですけれども、こうしたところの拡張について、見通しをお聞きしたいと思います。

竹内政府参考人 ただいま先生から御指摘ありました西大宮駅、仮称でございます。これは、平成二十一年度春に新設予定と聞いておりますが、その周辺の踏切のうち、特に新駅の東側に存する踏切につきまして、地元から拡幅等の要望があり、これにつきまして、現在、さいたま市とJRにおいて、拡幅に関する協議が進められているところと聞いてございます。

 今後、地元における協議状況を踏まえつつ、私どもとしても適切に対応してまいりたいと考えております。

牧原分科員 すべてのまちづくりについて言えることですが、後手後手に回って、例えば人が死んだから、事故があったからやるということでは、もう予想されている問題についてそうしたことはやはり許されないと思いますので、これはぜひ駅周辺へ行って見ていただければ、ここに駅ができたら難しいなというのはわかると思いますので、そうしたことを御要望として申し上げたいと思っています。

 大体、暫定税率については以上でございまして、次に、建築確認審査についてちょっとお伺いをします。

 きょう、ちょっとコースターを持ってきました。これは畳でできているコースターであります。きょう質問があるということで、地元の国交省関係のところを回らせていただいて、実は、この建築確認審査で、昨年の六月二十日以降、大きく件数が落ち込んでいろいろな影響が出ている。その影響については、建設業者、建築業者についてはよく語られるんですけれども、周辺の、こうした長年日本の文化である畳をつくられている方が、建築の確認審査数が激減したために影響を受けているという状況があるんです。

 こうした確認審査につきまして、いろいろな対策をとっていただいてきていると思いますけれども、この現状と今後のさらなる改善の見込みについてちょっとお聞きしたいと思います。

山本(順)大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、今回の建築基準法の改正につきましては、今、牧原先生がおっしゃったとおり、さまざまな方面で混乱が起きました。経済的にも影響を与えたことにつきまして、心からおわびを申し上げたいと思います。

 まず、経緯でありますけれども、御案内のとおり、耐震偽装問題の再発を防止するために、新たに構造計算適合性判定制度を導入するなど建築確認手続の厳格化を柱とする改正を行ったわけでありますけれども、その改正内容の事前周知が必ずしも十分ではなかった、そういうことから建築確認手続が停滞して、建築着工がおっしゃったとおり大変大幅に減少いたしました。

 これまでの取り組みでありますけれども、この建築確認手続の円滑化に向けまして、国土交通省といたしましては、まず説明会の開催、それから質疑応答集の作成、これは三十万部つくりまして二度にわたって配布をいたしました。それから、電話相談窓口の設置、実務者向けのリーフレットの配布、加えまして、審査側及び設計側で構成される連絡協議会の各都道府県での設置等々、きめ細かな情報提供や技術的な支援等に取り組んできたところでございます。

 また、構造計算プログラムの大臣認定でありますけれども、このことに関しましては、NTTデータのプログラムを去る二月二十二日に認定いたしました。三月二十五日に正式に販売が開始をされたところでございます。現在、その他四社のプログラムについて、性能評価の審査が行われておるところでございます。

 今後でありますけれども、住宅着工については、直近二カ月の着工戸数が対前年同月比で一けた台の減少幅で推移しているなど、着実に回復はいたしてきております。引き続き、建築確認手続の円滑化に向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、中小企業庁におきましては、セーフティーネット貸し付けやセーフティーネット保証など、中小事業者向けの資金繰り対策を行っておりまして、国交省といたしましても、これらの措置について関係者への情報提供の徹底に努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

牧原分科員 この建築確認は、姉歯事件があって、私もその担当だったものですから責任を痛切に感じつつも、やはりああした被害を防ぐという体制はつくらなければいけなかったんだと思います。

 他方で、私が見ているところ、これは法律そのものというよりは、国交省と現場の窓口の意識のずれ、つまり、現場の方で、何かよくわからないのでとにかくけってしまえというようなことがあったりとか、あるいは、今のプログラムの問題です。これは、プログラムがあれば短縮できるわけですけれども、これがないままスタートしてしまった。そうした運用面での問題点が非常にありますので、これはまだまだ改善の余地は幾らでもあると思いますから、ぜひとも現場の方の大変な御意見に真摯に耳を傾けて、今後とも改善をしていただきたいと思います。

 それから、またちょっと個別の話になってしまって大変恐縮ですが、地元に一個だけある一級河川の鴻沼川という川がありまして、これがずっと昔からはんらんをし続けていて、大変な被害を及ぼしておりました。この鴻沼川のはんらん防止の対策についてお聞きしたいと思います。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 鴻沼川の改修状況と今後の見通しでございます。

 鴻沼川は、平成十年九月の台風五号によりまして、大きな浸水被害を受けました。平成十年度から、河川激甚災害対策特別緊急事業によりまして鴨川の合流点から約七キロ区間の河道改修を、さらに、平成十一年度からは、床上浸水対策特別緊急事業によりまして地下河川、川を地下につくる、さらには調節池の整備を重点的に実施しまして、それぞれ、平成十五年度、平成十六年度までに平成十年九月出水対応の河川整備が完了しているところでございます。

 現在行っておりますのは、その激特の上流区間の富士見工区の整備を重点的に進めておりますとともに、流域対策といたしまして、公園や学校のグラウンドで雨を一時的にためて浸透させる貯留浸透施設の整備を推進しているところでございます。

 この富士見工区完了後は、関係機関と連携を図りながら、引き続き川の上下流バランスを図りつつ、鴻沼川上流のさいたま市大宮区、北区の整備を進めていくと聞いております。国土交通省といたしましても、引き続き支援してまいりたいと考えております。

牧原分科員 ありがとうございました。

 これもやや個別の議論でありますが、やはり川のはんらんによる被害というのは日本特有のものでありますので、引き続き、こうした都市部においてもあるんだということを御認識賜った上で、お願いをしてまいりたいと思います。

 最後になりますけれども、これもやや個別なんですが、私たちの埼玉県では悲願であった高崎線、宇都宮線の延伸について、先日新聞記事も出ておりました。

 昨年も私は国会で質問させていただきましたけれども、これについて、一年たって状況の進展があったかどうか、私の質問も多少意味があったかどうかということも含めてお聞きしたいと思います。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 今、先生御指摘のありました、上野どまりとなっています高崎線、宇都宮線、また常磐線もそうですけれども、これを東京まで延伸して東海道線との直通化を可能とする、これはいわゆる東北縦貫線と言っておりますけれども、この東北縦貫線構想につきましては、平成十二年に、当時の運輸政策審議会の答申の第十八号で、平成二十七年度までに開業することが適当である路線、こういう位置づけがされておりました。

 この路線の整備によりまして、京浜東北線が大変込んでおりますけれども、その混雑の緩和、埼玉方面と神奈川方面などとを結んでいく広域高速ルートの形成、さらには東京、品川での新幹線アクセスの向上などの効果が期待されるものと私ども認識しております。

 この計画につきましては、JR東日本において、去年、平成十九年十月に東京都条例に基づきます環境影響評価手続が終了、さらに同年、昨年の十一月でございますけれども、鉄道事業法に基づく事業基本計画の変更、そしてことしの三月でございますけれども、鉄道施設の変更、工事計画に係る手続が終了いたしましたので、この五月に工事に着手し、平成二十五年度に工事を完了させることになっております。

 国土交通省といたしましても、利用者利便の観点から、この計画が円滑に促進されるよう、JR東日本を適切に指導してまいりたいと考えております。

牧原分科員 以上で質問は終わらせていただきます。

 きょうは分科会ということで、若干、私の方では、やや地元の個別にわたることまでお聞きをさせていただきました。

 国交省関連というのは、非常に今、ポピュリズム的なスローガンの攻撃の対象になりやすい分野である、それについては、私たち与党やあるいは業者やあるいは役所でも、もう本当に反省し、抜本的に変えなきゃいけないことはたくさんあるんだと思うんです。

 しかしながら、先ほど申し上げたとおり、仮に今私たちが利用しているインフラ、道路、鉄道も含めてですが、これをもし先輩たちの世代がつくっていなかったとしたら大変なことだったわけであります。私たちもやはり長い間の未来の子孫のことまで考えて、何を残してやれるかという観点で、しかも、国交省関連は本当に幅広いですから、現場の声というものにも常に耳を傾けつつ、やっていただきたいと思いますと最後に御要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて牧原秀樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 民主党の仲野博子でございます。おはようございます。

 本日は、地方の活性化や観光政策の観点から、地方空港のあり方に関して、航空行政について質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、昨年の六月二十一日に交通政策審議会から、今後の空港及び航空保安施設の整備及び運営に関する方策についてが答申をされているわけでございます。

 今後の一般空港の整備などはどのように進められていくのかどうなのか、鈴木航空局長にお尋ねをさせていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月の二十一日に交通政策審議会航空分科会答申が出されましたが、その中で、今後の一般空港の整備につきましては、これまでの空港整備により、我が国全人口の約九五%が二時間以内で最寄りの空港にアクセス可能となっておりまして、事業実施中の空港を加えますと、空港の配置的側面からの整備は概成しているものと考えております。

 このため、一般空港につきましては、離島を除いて新設を抑制するとともに、ソフト、ハードの組み合わせや既存空港の有効活用を中心とした質的充実に重点を移すこととしているところでございます。

 自立的で活力のある地域づくりや地域の国際化等のための社会基盤として、増大する維持更新需要に適切に対応しつつ、空港施設の耐震性の向上や就航率の改善、国際化への対応の強化等、その質的充実を図るとともに、観光振興のためにも利用促進を図り、既存ストックを最大限活用していくこととしております。

 また、離島空港につきましては、島民生活や離島振興などの観点から航空ネットワークの維持や活性化を図るため、就航率の向上施策等とともに、必要な施設整備を推進していくこととしております。

    〔主査退席、坂本(哲)主査代理着席〕

仲野分科員 今お答えいただきましたけれども、大変内容の濃い答申がなされているわけでございます。私は、諮問した以上、このように答申をされたら、それに基づいて航空行政を進めていくことが肝心で重要でないのかなと思うわけでございます。

 そのことを踏まえまして、改めて局長から、これからどのような展開をなされていこうとしているのか、再度お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 私ども、これまでいろいろ、地域の関係の方々とも協力し合いながら一般空港の整備を進めてまいったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、数的には大分配置が進んできたというような状況にありますので、これからは、整備から活用へと言っておりますが、そのせっかく苦労してつくった空港をどううまく活用していくかという点も大事なところであろうと思っております。

 そのために、今国会に空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案というのも出させていただいておりまして、整備だけではなく運営面にも力を入れたような法制度にいたしまして、それに沿ってしっかりと行政を進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

仲野分科員 空港の利用促進については、例えば、能登空港のように搭乗率保証制度で路線の維持を図ることも一つの方法と思います。私の選挙区であります中標津空港関係市町村も期成会をつくって、空港の利用促進に一生懸命取り組んでいるわけでございます。

 地方管理空港の利用促進というのは、地方であなた方で頑張れということなのか、それとも、国の何らかの指導、アドバイス等が行われていないのかどうなのか、全国的な路線網の維持についてどのような対策を行っているのか、局長からお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 国内航空の路線の設定については、航空会社がその路線の需要動向等を勘案して経営判断により決定するというのが原則でございますけれども、国土交通省としても、地方路線の航空サービスの維持、充実というのは非常に重要であると認識しておりまして、国管理空港や地方空港路線にかかわる羽田空港の着陸料引き下げとともに、関係自治体、経済界、観光団体、航空会社等の関係者から成る利用促進協議会等を設置いたしまして空港の利用促進に努めるなど、各種の支援措置を講じておるところでございます。

仲野分科員 羽田空港は、現在、二〇一〇年十月末の供用を目指して、精力的に四本目の滑走路などの整備が行われておりますけれども、現在の進捗状況はどのようになっておられますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港につきましては、首都圏の旺盛な航空需要のために発着能力が既に限界に達しておりまして、このため、現在、四本目の滑走路を沖合に整備する工事を最大限、急ピッチで進めております。当初は漁業補償等に多少難航いたしまして、スケジュールが少しおくれたわけでございますが、何とかこれも解決いたしまして、昨年の三月三十日に現地で着工いたしました。今、二十四時間三百六十五日の突貫工事を進めております。

 ただ、一番日本で混んでおる羽田空港を使いながらの工事であります。空港の運用とうまく調整を図りながら、安全を絶対確保しながら工事をしておりますので、大変な難工事でございます。

 沖合に新しい四本目の滑走路をつくるわけでありますが、多摩川の河口にかかる部分は、多摩川の流れをせきとめないように桟橋構造にいたしておりまして、多摩川の河口と余り関係のないところは埋め立て構造という組み合わせの工法になってございます。

 桟橋の方の部分につきましては、やはり急いでつくるために、ジャケットといいます最大千三百トンぐらいの大きな構造物を陸上で組み立てておいて、はしけで現地に運びまして、大きなクレーン船でつって、現地では、九十メーターぐらいの深いくいを地盤、地中深くまで打っておきまして、その上に設置をするという工事をやっております。それを二百三十八個設置するわけですが、今、二十四個設置をされております。一割ぐらいができておるという状況にございまして、大分もう上からもごらんいただけるような状況になってございます。

 それから、埋め立て部分につきましては、後でどんどん沈んでしまうといけませんので、まず地盤改良をやりまして、それが終わりまして、今、護岸といいまして、枠の工事に取りかかっておるというところでございます。二〇一〇年の十月末の供用開始に向けまして、鋭意工事を進めておるところでございます。

仲野分科員 今、四本目の滑走路を精力的に着実に工事をされているわけでありますけれども、結局、夏場になりますとどうしても、機材を、増便等を図っていることからも相当離着陸が殺到するというか、混雑するということで、大分待たされる状況になっているのも事実であるんです。

 今回、こうして四本目の滑走路を整備することによって、こういったことも解決できるのかどうなのか、そのことについても、ちょっと一点、確認しておきたいと思います。

鈴木政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、現在の羽田というのは発着枠が満杯でございまして、特に夏場の繁忙期などで、例えば臨時便ということで少し余計飛行機を飛ばしたりすると、委員御指摘のように、どうしてもダイヤが詰まってしまって、ある程度ディレーといいますか、おくれが生ずるというような状況もございます。

 したがいまして、この四本目の滑走路を整備する再拡張事業を一日も早く完成させて発着枠にゆとりを持たせて、そういう繁忙期の需要などにも十分対応できるような体制にしたいなと考えておる次第でございます。

仲野分科員 そこで、またお聞きしたいのでありますけれども、この再拡張工事が二〇一〇年に完成したら発着枠が十一万回増になると伺っているんですが、この増枠を今後どのように配分されようとしているのか。特に、羽田便が一便しかないような地方空港への配分をどのように今行われようとしているのか。多様な路線網を形成するための配分というのは大変重要だと思うんですね。現段階でお考えになっていることを局長の方からお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 首都圏にもう一つ、成田空港もございます。成田は国際線、羽田は国内線ということで分担をしておるわけでございますが、成田も今、二本目の暫定平行滑走路、二千百八十メーターの滑走路を二千五百メーターに延ばす工事をしてございます。これも、二〇一〇年の三月に完成いたします。

 こちらは二万回ほど発着回数がふえるわけでございますが、やはり国際線二万回ということでは全然足りないということで、一方で、羽田は大幅に発着枠がふえますので、四十・七万回になりますときに、近距離の国際線を羽田の方で三万回ほど成田をお手伝いするというようなことにしてございます。

 残りを国内線ということでございますが、この配分につきましては、年内にも有識者から構成される懇談会を立ち上げて検討を行っていくことといたしておりますけれども、委員御指摘の地方路線の充実というのも重要な課題であると考えておりますので、多様な路線網の形成という論点も含めまして、羽田と地方路線のネットワークのあり方についてもこの懇談会で十分議論をしていく所存でございます。

仲野分科員 年内にそういった有識者のお声を十分に聞いて対応してまいりたいということでありますけれども、どういった有識者の方々に委嘱されようとしているのか。きょう、もし知り得ていたら御報告いただきたいと思うんです。

鈴木政府参考人 まだ人選はこれからでございますが、交通関係の学者の先生を初めいろいろな分野の方々にお集まりいただいて、十分議論を深めたいと思っております。

仲野分科員 そのときに要望なんですけれども、学者先生だとかそういう御立派な方もよろしいんでございますけれども、実際地方で地方空港を持っている、例えば首長さんだとかも入れていただければ、地域の実態等を一番把握できて大変よろしいんじゃないのかなと思うんでありますけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 空港の関係の方々の御意見も十分聞けるような段取りにしたいと思っております。

仲野分科員 大臣がお見えになったので、次は、大臣の方に尋ねてまいりたいと思います。

 きょうは、航空行政について、地方空港の充実ということで質問させていただいております。

 私の選挙区であります釧路、根室は北海道の東端、この根室管内というところは知床世界自然遺産にも登録をされました。御案内のように、霧の摩周湖、あるいはまた「知床旅情」に出てまいります羅臼町、そして、とにかく多くの観光地に囲まれて、広大な大地と牧歌的な風景が広がって、これからすばらしい季節になるわけでございます。

 この地域では、これから観光を柱に大きく発展していくことが期待されています。札幌や東京への時間距離が長いこの地域において、最も速い交通手段として、航空の果たす役割は非常に大きなものとなっているわけでございます。

 しかし、中標津空港からの空の窓口が一つ、この四月から閉じられました。それは、中標津空港―新千歳空港でございます。現在、中標津空港からは、札幌・丘珠へ一日三便、そして羽田へ一日一便、運航されているという状況でございます。

 新千歳―中標津路線は、知床世界自然遺産への本州などからの観光客の重要なアクセスとなっておりました。今、国を挙げて推進している観光立国も、そのアクセスを確保することが大前提になるのではないのかな。

 こういった観点から、重要なアクセスである新千歳便の廃止について、大臣はどのようにお考えになっているのか、見解を求めたいと思います。

    〔坂本(哲)主査代理退席、主査着席〕

冬柴国務大臣 国内航空路線の設定とか廃止は、航空会社がその需要動向等を勘案して、経営判断によって決定するということにされております。

 新千歳―中標津路線につきましては、平成十九年度の実績でも搭乗率が三〇%にも達していないということから、航空会社としての路線の廃止の判断に至ったものと考えられております。

 なお、札幌地方と中標津地方との航空路線につきましては、新千歳―中標津路線廃止後も、丘珠―中標津路線が一日三便就航しておりまして、これにより利用者利便が確保されているものではないか、このように考えております。

 路線を設定するか廃止するかは、事業判断によって航空会社がするということにせざるを得ないわけでございます。したがいまして、これは中標津の地方、委員の選挙区もその搭乗率を上げる努力をされなければならないのではないか。

 国としても、航空燃料とかあるいは着陸料とか、そういうものについて十分な配慮をしていますけれども、ここを飛ばすとか飛ばさないとか、これは利益に直接関係することになりまして、損が出た場合に国がそれを補てんするということはできないわけでございますので、地方でそれを支えていただくような工夫をされることが必要であると思います。

 例えば、能登空港等につきましては、地域が何万回を保証するということをしていますよ。そして、それ以下であれば、各地方から持ち寄ったお金で基金がつくられておりまして、そこから航空会社にその足らざる部分を補てんする。ところが、それを超えた場合は、航空会社からそこへ入れてもらう。こういうことをしていられるところもあり、また、空港から各観光地に対して、地方で持ち寄ったバスを仕立てて旅客のサービスをするとか、あるいは、ここへは海外からのお客が非常に多いんですが、海外に出向いてPRするとか、大変な努力をしています。

 そういう地元の努力ということが私は大事だというふうに思います。

仲野分科員 先ほど、実際航空行政に当たっている局長からは、割と将来的に大丈夫なのかなみたいな、いや、決して大丈夫ですといったことは言っていませんけれども、随分大臣は、私はもっとお優しく御答弁いただけるかなと思ったら、かなり厳しい御答弁でした。

 確かに、航空会社も企業ですから、これは利益にならないと路線を廃止してしまう、このことはわからないわけでもないんです。しかし、先ほどの御答弁を聞いていますと、地元の努力が足りないのではないのかとか、あるいは搭乗率が三〇%に達していないからだとか今言われたのでありますけれども、大臣、中標津から新千歳空港の機材、何人乗りか御存じでしょうか。お答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 知りません。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 ことしの四月以降休止しておりますが、全日空がボーイング737で一便就航させておりました。(仲野分科員「何人乗り」と呼ぶ)737のタイプがいろいろありましてちょっとわからないのですが、百三十人前後の機材だろうと……(仲野分科員「百六十二人じゃなかったですか」と呼ぶ)737のタイプでいろいろございまして、百五、六十人乗りのと百二、三十人乗りとございます。

仲野分科員 機材が大きいんです。その中で、乗る方たちが大体平均五、六十人となれば、その計算でいくと、どうやっても搭乗率が上がっていかないというのはだれが考えてもわかりますよね。

 ということは、そこにやはりもうちょっと機材の工夫を、もうちょっと小型にして、びしっと乗っていただくという方法、工夫もあったのではないのかなと思うのであります。いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 そのとおりでございます。

 ただ、機材をどのように選定するかというのは大変難しくて、例のボンバルディア、そういうものであればもっと少なくて済むわけですし、YS11がなくなってしまいましたけれども、そういうプロペラ、でも、今はそれはもう就航しておりませんから。したがいまして、手持ちの機材の中でどうやりくりするかということも、これは航空会社の判断になるわけです。

 しかし、その点については私も、それはもう少しそういう意味で考える方法はないのかということは申し上げることができると思います。手持ちの機材の配分とか、日本の国内、約百近い地方空港がありますから、離島とか考えれば大変な数になるわけですけれども、その中で、そのやりくりはやはり航空会社が経営判断の中でやっているわけでございますから、そういう点をもう少し地元の首長さんと航空会社ともよく話し合うべきだと思いますね。

 それで、そういうところを飛ばなくなりますと、そこで営業している人もあるわけですから、そういう人たちといろいろな協議会をつくったり話し合ったり、要請したり、そういうことを通じて、こういうような問題は回避されていくのではないか。

 ほかにもたくさんありますよ。例えば長野県の松本から北海道札幌へ飛んでいるものがもう飛ばなくなるというような話になったときも、知事初め大変一生懸命やられました。それから、福岡から新潟のものもやめたいということについても、両者でいろいろと協議をされました。

 そういうことで、やはり地元が主体になって、そして相手が事業者で商売人なんだということも考えながら、そこはよく話し合って解決されるべきではないでしょうか。

仲野分科員 先ほどからお答えを聞いていますと、何か地元が手をこまねいているような認識にしか私には聞こえてこないんですね。地元も頑張っているんです。

 それで、今あちこちの地方空港の話もされておりましたけれども、多分大臣のところに多くの知事だとか地方空港が廃止になる首長さんたちから要望、要請等が行っていると思うんです。そういった、今地方空港がどんどんどんどん路線が減らされるということで困っているときにこそ、航空行政としてどうやっていくのかということを、地方任せにするのではなくて、では自分たちで、何か国としてできることはないのかと。

 国土交通省というのは常におっしゃいますよね、交通網の整備あるいは交通アクセス、ネットワーク。言葉はすごく美しいんです。それを実効あるものにするためにはどうやっていくのかということが航空行政に求められたことではないのでしょうか。改めて大臣にお尋ねしたいと思います。

冬柴国務大臣 やれることはすべてやっております。税金の問題あるいは着陸料の問題、国としてできることはすべてやっておりますし、それから、できるだけそういう地元の利便性、安全性はもちろんのことですけれども、本件は利便の問題でございますけれども、そういうものについては十分やらせていただいております。

 しかし、時間もありませんし、言葉を選ばずに言っているのかもわかりませんけれども、私は、本質は、そのように地元の御努力とかそういうものと、航空会社が何といっても事業判断でやる事項でありますから、そういうものの調整の中で解決をしていかざるを得ないわけでありまして、国が補助金を出して飛ばすということはできません。そういうことを考えましたときに、国としても、これは空港を国が経営することによって着陸料を減額するとかそういうことはできるとしても、それ以上のことは、今のところできないわけでございます。

 ただ、きょう、このような御質問があったことも踏まえて、事業者にはお伝えもし最大の配慮をすることは、それは申し上げますけれども、本質の問題を申し上げているわけでございますので、御了解を賜りたいと思います。

仲野分科員 結局、中標津から千歳空港の便というのは、千歳空港から今度は本州に行くための唯一のアクセスだったんです。それで今、中標津から羽田は一便あります。これとて、羽田便一便では不便をしているからもう一便増便をしていただきたいと。

 それにはきちんとそれなりのわけ、理由があるんです。北海道といえば食料基地として位置づけられております。そして根室管内も、本当に新鮮な農産物あるいは水産物が産出をされているわけであります。消費者にそういった安全、安心なものを届ける、空輸で一日も早く消費者のもとへ届けるために、飛行機というのはそういった意味では本当に重要な役割を果たしていると私は思うんです。

 そういったことも踏まえて、四月から実際はもう廃止されてしまいました。それで、可能性としては大臣、今、中標津空港から羽田便一便飛んでいるわけでございますけれども、これを何とか夏場のシーズンだけでも飛ばしていただけないのかどうなのか。これから航空会社と話し合う、協議のテーブルにのっかるようにしていただけないのかどうなのか、ここでお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 そのような審議の過程で熱心なお話があったことはお伝え申し上げます。

仲野分科員 今度、大臣とこうした機会をいただいたときに、その後どうなったのかということもまた質問させていただきたいと思っております。

 大臣、最後に、航空法第一条、航空行政の総則の目的をちょっとお読みになっていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 済みません、条文の読み上げでございますので、私がかわりにさせていただきます。

 航空法の第一条は、この法律の目的を定めておりますが、「この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用者の利便の増進を図ることにより、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。」

 以上でございます。

仲野分科員 その目的の中にもしっかりとうたわれていますよね、利用者の利便の増進を図る、福祉の目的、向上を図るということで。そういった立派な目的がうたわれている中で、利用者が地方にも多くいらっしゃる、これから地方を切り捨てるようなことをしていただきたくないということを大臣に申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

上田主査 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。鳩山法務大臣。

鳩山国務大臣 平成十八年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は一千九十九億六千四百七十二万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は一千七十八億七千九百九十九万円余であり、歳入予算額に比べますと二十億八千四百七十三万円余の減少となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千三百九十七億三千百二十六万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千六百三十三億五千六百六十七万円余であり、翌年度へ繰り越した額は七百六億四千七百二十万円余であり、不用額は五十七億二千七百三十八万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は一千九百九十四億三千百九十二万円余であり、支出済み歳出額は一千六百二十一億三千三百八十八万円余で、差し引き三百七十二億九千八百四万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、特別会計に関する法律附則第二百五十九条の規定により、平成十九年度特別会計予算予算総則第十三条に定める金額三十八億円を平成十九年度の一般会計の歳入に繰り入れることとし、残額三百三十四億九千八百四万円余は、この会計が同法附則第六十六条第三十二号の規定により平成十八年度限り廃止されたので、同法附則第二百五十七条第一項の規定により、同法附則第六十七条第一項第十四号の規定により設置された登記特別会計の平成十九年度の歳入に繰り入れることとし、廃止の際この会計に所属していた権利義務は、同法附則第二百五十七条第三項の規定により新登記特別会計に帰属させることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は一千八百二十一億九千九百二十九万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は一千九百九十四億三千百九十二万円余であり、歳入予算額に比べますと百七十二億三千二百六十三万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は一千六百九十二億百二万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は一千六百二十一億三千三百八十八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は十五億八千九百三十七万円余であり、不用額は五十四億七千七百七十六万円余であります。

 以上をもちまして、平成十八年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

上田主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸澤第一局長。

諸澤会計検査院当局者 平成十八年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。

 これは、職員の不正行為による損害が生じたもので、職員が、資金前渡官吏の補助者等として支払い等の事務に従事中、正規の国庫金振り込み明細票を、自己等の名義の預金口座を振り込み先とした虚偽のものに差しかえるなどして、前渡資金を領得したものであります。

 以上、簡単でございますが、説明を終わります。

上田主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。鳩山法務大臣。

鳩山国務大臣 平成十八年度に関し、ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、法務省のとった措置等について御説明申し上げます。

 職員の不正行為の防止につきましては、機会あるごとに全職員に対して注意喚起してきたところでありますが、今回の御指摘のような不祥事が生じましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。

 事件発生後は、改めまして全職員に国家公務員としての綱紀粛正の一層の徹底を図るとともに、内部牽制等の一層の充実を図りまして、この種の不正行為の再発防止を期しているところであります。

上田主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢野隆司君。

矢野分科員 自由民主党の矢野隆司でございます。

 きょうは、鳩山大臣、河井副大臣、そして政府参考人の皆さん、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、三つの点についてお伺いをしたいと思います。一つは、勾留の執行停止者の逃走問題について、そして二つ目は、刑事施設等において作成される身分帳の問題、そして最後に、近時、拘置所等における接見交通権の問題、この三つについてそれぞれお伺いをしたいと思います。

 まず最近、病気治療等で勾留の執行停止を受けた被告が入院先から逃走した事案があったと思いますが、その経緯、概要を伺いたいと思います。

大野政府参考人 お尋ねの事案は、覚せい剤の大量密輸に係る覚せい剤取締法違反事件の被告人が、東京高裁において公判中であったわけでありますけれども、入院治療のためということで裁判所の勾留執行停止決定を受けました。そして、ことしの二月十八日に身柄の拘束を解かれて入院をしたわけでありますが、その後、二月二十四日に入院先の病院から逃亡いたしまして、東京高裁は勾留執行停止の取り消し決定をしたわけであります。しかし、この被告人の身柄を拘束することができないまま、三月十五日、別の病院で死亡したことが判明した、こういう事案でございます。

矢野分科員 病院から逃走した時点で執行停止を取り消したという御説明まではわかりました。

 では、その後、その人の身柄を確保する等々に向けてのそもそもの行政的な手続の流れといいますか、そういったものがあるならば教えてください。

大野政府参考人 一般論でお答えさせていただきたいと思いますけれども、被告人が逃亡して勾留執行停止の取り消し決定が行われた場合には、検察官は、警察庁の逃亡被告人手配登録を行いまして、所在捜査を実施するわけでございます。そして、被告人を発見した場合には、刑事訴訟法の規定に基づきまして、検察事務官あるいは司法警察職員を指揮して、被告人に勾留状それから勾留執行停止取り消し決定の謄本を示して刑事施設に収容する、こういう手続になるわけであります。

 先ほど御指摘の事例につきましては、結局、被告人を発見するには至らなかったということでございます。

矢野分科員 今、大野局長のおっしゃった、検察庁において逃亡被告人手配登録をするんだということですが、これはいわゆる警察の指名手配とはまた異なるという理解でいいんでしょうか。

大野政府参考人 警察の指名手配のシステムに乗せるということでございます。

矢野分科員 今回、この質疑に当たりまして、実は最高裁判所、法務省、警察庁各当局から説明を受けました。要は、執行停止後の人間は、推定無罪の原則に立ってその人権に十分な配慮が必要である、こういうことから、入院した先での警察官等による行動把握、あるいは逃走後も、逃走したという事実だけでは指名手配という形で警察は捜せないんだというような御説明をいただきました。今の大野局長のお話とちょっと違うような気もしますけれども、指名手配ができないというようなことを伺いました。

 もちろん、逃走した時点で、先ほど来御説明のある、裁判所から執行停止取り消しの許可、処分、それから検察庁からも収容指揮書なるものが出されるというふうに聞いておりますけれども、現実には警察の協力なくしては捜索できない、こういう法の仕組みだと理解をしております。

 以上のことを承知の上で、現実に逃走事案が発生しております。例えば、二〇〇八年二月の千葉で起きて福岡で死亡した事件、これは先ほど大野局長の御説明のあった分ですね。それから、二〇〇六年八月姫路。さかのぼっていきますが、同じ年五月京都。この場合は、病気が治って刑事施設に戻そうというときに逃げられておる。それから、同じ年の同じ月、五月北海道。さらに、二〇〇二年の一月には、執行停止処分を受けて、病院から逃亡して、その後一年四カ月逃げ回って、その間に五千万円もの窃盗を働いておった、こういう事案がございます。

 これは新聞に載っておるだけですので、まだまだほかにもあるのかもわかりませんが、こういう事案が続発しておる中で、こういう執行停止処分というか許可を下す最高裁判所はどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げますと、勾留執行停止中の被告人が逃亡する事件が起きましたこのことにつきましては、遺憾と言わざるを得ません。

 刑訴法九十五条では、裁判所は、適当と認めるときは、勾留されている被告人について、一定の条件を付した上で勾留の執行停止をすることができる、このように規定されております。

 裁判所といたしましては、勾留執行停止の判断をするに当たりましては、さまざまな事情を十分に考慮した上で、被告人が病気で勾留に耐えられないかどうかなどを慎重に判断しているものと承知しております。人命、健康といった人道上の要請から執行停止をせざるを得ない事案もございますことにつきましては、御理解をいただきたいと思います。

矢野分科員 そもそも、推定無罪の原則というものが最初にあるというふうに聞いておりますけれども、逮捕の時点から刑の確定まで一貫してそういう推定無罪ということは、理論上一本通っておるわけですから、それは理解できるんです。しかしながら、勾留を行うというのは、例えば逃走を防止するとか、あるいは自傷事故、簡単に言えば自殺とか、そういったものを防止する観点から身柄を勾留するということであろうと私は思っております。

 ならば、執行を停止しているとはいえ、その病気なりが回復すればまた同じ施設なりに収容をするわけですから、病院にいても逃走を防止するような手だて、あるいは逃げない措置を担保されている施設かどうかというようなことを確認した上で、最高裁判所は許可判断をすべきじゃないのかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所は、勾留執行停止の適否につきまして、さまざまな事情を十分考慮した上で慎重に判断しているところでございまして、その判断に当たっては、病院の設備状況等も考慮しているものと承知しております。

 結果として、勾留執行停止中の被告人が逃亡する事件が起きたことは御指摘のとおりでございますが、例えば病院で治療を受けなければ命にかかわるような場合など人道上の要請から、先ほど申し上げましたように、執行停止をせざるを得ない場合があることにつきまして御理解いただきたいと思います。

矢野分科員 そういう病気の拘置者といいますか被告とか、そういった方の人道上の配慮はもちろん大切だと私も思いますが、例えばきょう、今まさに、広島高裁でしたか、例の光市の母子殺害事件の差し戻し審の判決、主文後回しということで今理由を朗読されている最中だと思いますけれども、こういった逃走犯がもし逃走中にそれこそ殺人事件でも起こした場合、一体だれが責任をとるのかということを私は訴えたいと思います。

 あるいは、例えば捕まったときの事件の関係者にお礼参りに行くとか、あるいは逆恨みによってそういうところへ出向いて何か犯罪を犯す、それに加えて一般市民が巻き込まれる可能性だって十分あると私は思うんですけれども、そういったことを考える上で、実際にこういう逃走事案が発生したときの最高裁判所の現在の対応というものを教えてください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 最高裁自体が何か対応するということではございませんが、御指摘の事案につきましては、東京高裁におきまして、被告人が入院先の病院から逃走したという情報を得た後に速やかに、指定条件違反を理由として勾留執行停止を取り消し、捜査機関に対し被告人の身柄確保を依頼するとともに、記者発表を行いまして、被告人の氏名、入院していた病院及び二月二十四日夜から所在不明になっていることなどを公表したものと承知しております。

矢野分科員 今の法の仕組みの中ではそういったことが精いっぱいなのかなと思いますが、これは、もし逃走中に何か大きな事件でも起きたら大変なことになると思います。この点は、今後、何らかの法的な手当ても含めて、ひとつ法務省には十分に御検討いただきたい、こう思っております。

 続いて、身分帳の関係に移りたいと思いますが、被疑者あるいは被告となって法務省所管の刑事施設に身柄拘束をされますと、身分帳という、言葉は悪いですが一種の囚人ファイル、そういったものが作成されると聞いております。

 一般的に作成される身分帳とは、だれが、どの時点で、どのような目的で、どういった内容を記したものなのか、簡潔に教えてください。

梶木政府参考人 今お尋ねの身分帳は、大臣訓令に基づきまして、各刑事施設に収容された個々の人ごとに作成されるものであります。

 その作成の目的というのは、被収容者に関する処遇情報を適正に管理しようというものでございます。

 これを作成し始める時期は、今委員がおっしゃったとおり、当該被収容者が刑事施設に入所したときからその作成が開始されるわけでございます。

 そして、その身分帳の内容でございますけれども、まず氏名、生年月日等の身上に関するデータ、それから入所に係る勾留または刑の期間等の状況、指紋、身体的特徴、入所後の面会の状況、信書の発受の状況等さまざまな文書がまとめられて、身分帳簿というふうに一冊に編綴されておるわけでございます。

矢野分科員 では、例えばAという受刑者がいて、その人が満期出所あるいは仮釈放されて刑事施設から出たというときに、まずAさんの身分帳というものはそこで一たん終結する、こういう意味で、専門用語では終結身分帳と言うそうですが、この終結身分帳の管理体制、どの施設でどのように保管されているのか教えてください。

梶木政府参考人 今委員が御指摘になりましたように、釈放した際に、当該出所者に係る身分帳は、終結身分帳として、当該被収容者を釈放した刑事施設で保管するということとされております。

矢野分科員 一点、これは通告がありませんが、これは行政文書だと思うので、保存期間というものがあるならば教えてください。

梶木政府参考人 この身分帳は、先ほど申しましたように、編綴されている中身にはさまざまな情報がございます。強いて申しますと、その表紙部分の非常に根幹となる情報、この部分については三十年保管しております。そして、その中の細々した情報については、保管期間を十年としておるところでございます。

矢野分科員 その終結身分帳ですが、例えば何度も何度も犯罪を犯して、刑務所や拘置所に出たり入ったりするような人ですね。要するに、一番最後に出所した刑務所が終結身分帳を保管しておるんですけれども、次に犯罪を犯すと、次の刑事施設、新しいところに入る。そのときには、例えば前の刑務所なりから新しく入った施設に終結身分帳が送られて、そしてそれが、犯罪を犯すたびに順送りにずっと同じファイルが送られて、結果として一くくりのファイルとして残っていく、こういう理解でよろしいですか。

梶木政府参考人 おおむね御指摘のとおりでございます。

矢野分科員 そこで、私がきょう一番伺いたいところでございます。

 服役した後に冤罪が確定した人、あるいは無罪が最終審で確定した人に関する身分帳、具体的に言えば、個別具体なことはお答えできないとおっしゃるかもしれませんが、あの富山の冤罪事件、ああいった方の身分帳はどのような取り扱いになるのか教えてください。

梶木政府参考人 今御指摘のあったような事例につきましても、原則として、先ほど御説明したとおりの保管方法で身分帳を保管しているということでございます。

矢野分科員 では、例えば身柄拘束をされたものの不起訴処分であるとか、あるいは嫌疑不十分で釈放された結果、罪を問われなかった人というのは、ごまんといると思うんです。

 例えば、この近くでしたら、丸の内警察とか麹町警察署の留置場がたまさか満杯で、しようがないので法務省所管の東京拘置所、あるいは近くのそういう刑事施設に勾留された。そうすると、法務省所管の刑事施設であるから、そこでは、捕まった時点で身分帳が作成されて残っているという理解でよろしいですか。

梶木政府参考人 今御指摘のあった、不起訴処分となったような場合について御説明をいたしますが、身分帳は、先ほど言ったような時系列で作成をされて、そして御本人が施設から出るときには、終結身分帳としてその施設で保管をするわけでございます。

 しかし、未決拘禁者として釈放された、例えば執行猶予でありますとか起訴猶予でありますとかいろいろあろうかと思いますが、そういう場合には、釈放された刑事施設におきましてこれをずっと保管しておりまして、先ほど言われた受刑者のように、新たに受刑した施設にこれが引き継がれるということではございません。その点が異なっているということでございます。

矢野分科員 一つ前の質問に戻りますが、例えば冤罪で、本当にお気の毒に刑に服された後、無実がわかったような方の身分帳も含めて、お答えにくいかもしれませんが、なぜ残すのか。これは、通告にない質問で局長には申しわけないんですが、身分帳の存在理由といいますか、そういったものがお答えできれば教えてください。

梶木政府参考人 委員がお考えなのは恐らく、身分帳の中に編綴をされている個人情報というのは、非常に機微にわたるものがあるということであろうかと思います。我々も同様に考えておりまして、この身分帳の保管については厳重に、さまざまな工夫を凝らしてやっておるところでございますが、なぜこういうものをとっておかなければならないかと申しますと、結果が、つまり結果といいますのは、その刑事事件の最終的な判断がどうなろうとも、御本人が一定期間特定の刑事施設にお入りになったという事実は消えないわけでございます。

 そして、そのことによりまして、例えば免許証が失効したりということで、さまざまな証明書を我々の方で発行しなければならない、そういう場合が出てまいります。それからまた、中に入っておられた一定の事柄が訴訟の対象になるという場合がございます。そういうこともありまして、我々が軽々にそういった客観的な資料を捨てられないで、きちっと管理して持っていなければならない、そういう考えで現在やっておるところでございます。

矢野分科員 ボールを打ち返すようで本当に申しわけないですけれども、冤罪で服役をしたような人たちというのは、はっきり言って、先ほど局長は、刑事施設に入った事実は消えないとおっしゃいましたけれども、やはり事実を消したいんだと思うんですね。

 それと、免許の更新で証明書等々の根拠になるんだ、こういうことですが、それだって、はっきり申し上げて、法務大臣なり矯正局長なり、そういったちゃんとお立場のある方が何か特別な証明書みたいなものをお出しになれば、別にこんな身分帳なんて残さなくても十分対応できるんじゃないかと私は思います。

 私は身分帳自体を否定するものでは全くございませんけれども、やはり犯罪事実のないことが証明された無実の人、冤罪事件では、やはりその犯人とされた人の名誉を損なわないためにも、身分帳の記録消去、あるいは極端な話、本人に返すとか、あるいは行政文書というのであれば、官報において抹消の告知をするとか、いろいろな手だてはあると僕は思うんですね。

 というのも、鳩山大臣はもうこの件は御存じかもわかりませんが、この身分帳というのは、例えば受刑者の言語は早口か吃音か、何とかなまりか等簡潔に記載することとか、表情及び態度の欄では、例えば表情ですと陰険、あるいは態度ですと反抗的とか、そういうことを記載する。それから、皮膚の色、歯の特徴。それから、入れ墨があるかないか、右上腕に上り竜、背中に金太郎。陰部は、これはこんなこと言っちゃいけませんね、陰部に玉が四個なんて言っちゃいかぬのですけれども、そういうような体の中の特徴。それから、平成何年何月、右下腹に虫垂炎の手術跡三センチとか、こんなことまで全部書いてあるような身分帳を、全く犯罪を犯していないのにそういったものをつくられるというものが、行政文書だということで表紙が三十年、中身が十年残されるということは、冤罪事件の被害者の方にとっては苦痛以外の何物でもないと私は思います。

 やはり、捕まる前の状態、状況に戻してさしあげるという視点が欠けているんだと私は思うんですね。無実の人の名誉回復、冤罪事件の被害救済の最後に残された、私どもといいますか、政府、行政側の手続が、この身分帳の扱いをどうするかということだと私は思います。

 最後にもう一点、拘置所の接見交通権もありますので、この件と接見交通権の問題、あわせてまた法務大臣から、所見というか、何かこのやりとりを聞いた御感想があれば伺いますので、よろしくお願いします。では、今の身分帳は、とりあえずこれであれします。

 それで、接見交通権ですが、最近過剰収容で、収容者の接見交通権が、例えばこれまで一日おおむね三十分程度確保されていた接見の時間が約半分の十五分に減らされておる、そういうふうなことを聞くんですけれども、現状を教えてください。

梶木政府参考人 面会の時間につきまして、具体的な統計資料というのも持ち合わせておらないんですが、今委員が御指摘になりましたように、多くの施設で面会の件数が急増しております。その結果、三十分以内に制限せざるを得ない事例が多々生じておるというふうに承知しております。

矢野分科員 すごいうがった見方をしますが、それは原因としては、例えば接見をする部屋が足りないとかいう物理的なものか、あるいは、局長の口から言いにくいかもわかりませんが、端的に職員がやはり足らなくて、面会時間を割いてあげたくてもできないんだ、その辺、どうなんでしょうか。

梶木政府参考人 原因は複数あろうかと思います。

 御承知のように、過剰収容が平成十三年以降急激に進んで、被収容者がふえてきた。そういう中で、法改正が行われて、面会の相手方が少し明確に広く書かれたり、あるいは面会の回数が権利としてふえてきた。ということで、より大勢の被収容者の人たちがよりたくさんの面会の権利といいますか、それを行使しようとしたということで、全体数がふえてきていることは事実でございます。

 一方で、新しい施設をつくっていただきましたり、あるいは増員をいただきましたりして、施設あるいは職員数について手当てをさせてきていただいておるわけですが、やはり急激な過剰収容との追っかけっこというのがございます。

 あるいは、施設とか職員の配置の問題もありまして、御説明したような面会の時間制限、つまり、おいでになった方にその日のうちに面会をしていただきたいということで、結局それぞれの面会時間を短目にして皆さんに会っていただく、そんなようなやりとりをさせていただいていると承知しております。

矢野分科員 例えば、小菅の拘置所なんかに入っておられる方に面会に行く。中には、二時間も三時間もかけて面会に行っておられる方がおられて、行ったら、これまで三十分会えたのが十五分しか会えない。あるいはそれこそ、十分ということはないのかもしれませんが、一応省令か何かでは五分以上を担保しろということらしいですけれども、二時間、三時間かけて五分しか会えないというのもいかがなものかと思いますし、やはり職員の数が足りないのかなということも私は思います。

 余談ですが、先週の土曜日ですか、どこかの刑務所の職員の方ですけれども、ギョーザの出し方が悪いといって中華料理店のおやじさんをどつき上げたというのもありました。それだって、そういう過剰収容の関係からくるストレスとかそういったものがあるのかもわかりません。それは、私、想像で物を言っていますから、いけないことかもしれませんが。

 そういうことで、梶木局長の肩を持つわけじゃありませんが、こういう職員の増強問題、ひいては受刑者の接見交通、人権の問題にもつながってきますので、ぜひこのことは、鳩山大臣、よろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、今私が伺っておりました身分帳の問題あるいは接見交通の問題、特に身分帳のことに関して、大臣から御感想があればお聞かせください。

鳩山国務大臣 身分帳というものが作成されて、矢野先生おっしゃるように、無罪になった場合、冤罪論議というのは余りしたくはありませんが、全く人違いであったということが後からわかった富山の事件のような場合、私は、先生がおっしゃっておられる意味はよくわかります。そもそもが、刑事施設に収容されていたという事実自体を消したい、そんなものはなかったことにしたいという思いがありますから、今後の身分帳の扱いというものについては、検討の余地はあるなと正直言って思いました。

 ただ、矯正局長から御答弁申し上げましたように、その身分帳が逆に、無罪になられた方にとって有利に働く要素もあるだろう。あるいは、刑事補償は自動的に出ましても、国家賠償というような形で、無罪だった、冤罪であったということで国家賠償の訴訟などが起きますと、身分帳の記録を精査するということもあり得るかと思うわけですが、ただ、全くのプライバシーについて書かれている部分もあるわけですよね、言葉がどうというようなこと。その辺は考慮の余地があるなというのが、正直言って、質疑を聞いて思った感想でございます。

 それから、接見交通の話なんですが、これはもともと、面会を求めた場合は三十分未満に制限してはいけない、つまり原則は、三十分以上会えるという大原則がある。ただ、事情がある場合は五分以上三十分未満に縮めることができるということですから、原則は、あくまでも三十分の権利がある。

 ところが実際、過剰収容の問題。矯正局長が答弁いたしましたように、面会申し出の数というものがふえている傾向にある。それで、物理的な制限、あるいは立ち会う、面倒を見る職員の数の問題等もあって、残念ながら十分だとか十五分だというケースが出てきているということなんでありましょう。

 ですから、これはスペースの問題あるいは人的拡充の問題で、ぜひ解決の方向に向かっていきたい、こう思います。

 ただ、よく過剰収容問題というと、余計なことかもしれませんが、過剰収容問題を議論するときに、入れ過ぎているんだから、入れないで社会奉仕命令でというような意見が時々寄せられますが、それは私はおかしいと思うので、実際実刑を受けるべき人間が社会奉仕をするということでかえるというのは、私はいいことではないと思うわけです。

 結局、この過剰収容問題やそれに付随する、先生おっしゃる接見交通が、例えば面会が十五分になってしまっているという問題等を考えれば、この問題の解決は、施設をいっぱいつくるか犯罪を減らすか、結局どっちかしかない、こう思っております。

矢野分科員 大臣、どうもありがとうございました。

 恐らく、被告になったような多くの人は、そういう身分帳というものがつくられて、それが表紙で三十年、中身で十年、法務省が保存しておるということすら余りよく存じてはおられないと思います。わけて、そういう全く罪のない人の身分帳が法務省に残されておるという点については、法務大臣のお言葉を返すようですけれども、やはり今後一定の検討をぜひ重ねていただいて、大げさに人権問題という言葉を振りかざすつもりは全くありませんけれども、罪のなかったというか、もとの形に戻すということであれば、そういう身分帳というものの作成がそもそもない状態なわけですから、そういうこともぜひお考えをいただきたいなと思って、私の質疑を終わります。

 きょうはどうもありがとうございました。

上田主査 これにて矢野隆司君の質疑は終了いたしました。

 次に、横山北斗君。

横山分科員 よろしくお願いいたします。

 きょう私がお尋ねしたいことは、これまでにも法務委員会や、あるいはそのほかの委員会でも数多く取り扱われてきたテーマだろうと思いますけれども、いまだに週刊誌であるとか、あるいはこの問題を題材としたドラマがドラマ化されるとか、さまざまに問題になっていることだと思いますので、私の方で知りたいことを、全く内容が違うことを二つ、三十分という時間の中でお尋ねさせていただきたいと思います。

 まず一つは、法科大学院に関しますことです。

 法科大学院は、法曹人口をふやす、現行の司法試験制度に問題がある、そういうようなことからスタートして、法科大学院修了後に修了生の中から七、八割合格者を出していくんだというようなことが、少なくとも法科大学院に進学した人たち、関係者の間では広く、そういった七、八割の合格というようなことが知れ渡ることとなったと思います。

 ですから、私の知っている人の中にも、高校の先生であったのをやめて、それも五十過ぎてからやめて、第二の人生といって法科大学院に入学したり、もともと弁護士を目指していたんだけれども、理数系の方が科目的に得意だったので現在歯科医師になっている人が、改めて、大学法学部でなくてもいいということで法科大学院に進学しと。そのお二人ともいまだ合格できていないわけですけれども、ずっと勉強してきた人は七、八割から自分が漏れるとはなかなか思わないと思うんですね。

 そういうことはどうかわかりませんけれども、現実に七、八割の学生が合格するというようなことが広く知れ渡り、そして実際どの程度の合格だったのかということをまずお尋ねしたいと思います。

深山政府参考人 ただいまお尋ねのありました新司法試験の合格率に関連しましては、委員の御指摘にもあったと思うんですけれども、司法制度改革審議会の意見書が、「法曹となるべき資質・意欲を持つ者が入学し、厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で、法科大学院では、その課程を終了した者のうち相当程度(例えば約七〜八割)の者が」「新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。」こういうふうにされておりました。

 これは、今読み上げたとおりなんですけれども、法科大学院における教育内容に関する記述で、新司法試験において法科大学院修了者の七、八割が合格するということ自体を記述したものではないと理解しております。

 そして、新司法試験の合格率については、厳格な修了認定に基づいて法科大学院生がどれくらい修了してくるのかという数や、実際に司法試験を行った結果に基づいて決定されますので、あらかじめ七、八割というようなことが予測できる性質のものではないというふうに思っております。

 ところで、現実の新司法試験の実績でございますけれども、平成十八年の新司法試験の受験者数は二千九十一人でございまして、合格者数が千九人でございましたので、合格率は四八・三%ということになりました。また翌年、平成十九年の新司法試験の受験者数は四千六百七人でございまして、合格者数が千八百五十一人でございましたので、実際の合格率は四〇・二%ということになっております。

横山分科員 法科大学院の初年度、今受験生が二千何人だったんですけれども、法科大学院が全国幾つぐらいの大学でつくられて、その定員というのはどれぐらいだったんでしょうか。

久保(公)政府参考人 法科大学院、国公、私立合わせまして、現在全国で七十四大学に設置されておりまして、入学定員は五千八百二十五人ということになっております。

横山分科員 単純に考えて、初年度千人合格ならば、千二百五十人とか千四百人ぐらいの定員であったならば七、八割という数になろうかと思うんですけれども、結局、定員の多さと合格者の数からすれば、その段階で法科大学院をつくった大学、あるいは帝京大学とかつくらなかった大学もありますけれども、法学部の先生たちにしてみれば、つくっても地獄だしつくらなくても地獄だというようなことが当時から言われました。

 法科大学院をつくる能力がなければ研究者として認められない業績であったというような評価がされてしまうし、かといって、つくっても七、八割合格というようなことが、相当いろいろなところで数字がひとり歩きしていたと思いますから、合格者の数と絶対にこれは合わないというようなことが言われたわけです。

 最終的に三千人合格といっても、今の段階でもう六千定員があるわけでしょう。そうすると、どう考えてもやはり七、八割はいかないですよね。その点について、これはうそだ、裏切りだというふうに世間では言われていると思うんです。今、決して七、八割の合格を確約したものではないという趣旨の発言をされたんですけれども、これだけ言葉がひとり歩きしてきた中で、現実に定員と合格者の数、どう考えても五〇%切るぐらいになるという点については、今後、対応、対策を含めてどのようにお考えでしょうか。

久保(公)政府参考人 この問題につきましては、制度設計時からどうするかというのは、やはりいろいろ意見があったわけでございます。

 基本的に、法科大学院の設置時におきましては、この意見書にございますように、「関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」ということを受けまして、いろいろな大学が法科大学院を設置されたという状況がございます。現在七十四大学でございますけれども、今後につきましては、質を高めると同時に第三者評価をしっかりやって、その情報を公開して、その結果を受験生なりユーザーがしっかりと見て判断していく。そして、おのずから適正な数になっていくというのが一つ骨子としてございました。

 これを受けまして、文部省といたしましては、スタート時におきまして設置に必要な最低限の基準を定めまして、これを満たしたものについて設立を認めたということにしたわけでございまして、学生定員につきましては、社会や地域におけるニーズ、みずからの教育体制を踏まえて、一応各法科大学院で決定されて、そしてスタートして、今、一生懸命質の向上に向けて努力されておられるところでございます。

 法科大学院につきましては、その修了者について、これはまだ、ようやく出だしたばかりでございますけれども、法曹資格の有無にかかわりませず、例えば企業や行政機関でその能力を生かした職につくなど、多様で幅広い進路も期待されております。

 したがいまして、現時点で法科大学院の定員が適正であるかどうかというのを申し上げるのはなかなか難しいところであるというのは御理解いただきたいと思うわけでございますが、文部科学省といたしましても、そのあたりの学生の将来も考えながら、法科大学院の関係者、法曹三者とも連携しながら、今後ともそのあたりは十分いろいろな面で気を配っていく必要があると考えているところでございます。

横山分科員 法科大学院をつくるときに却下された学校が幾つかあったと思うんですけれども、そのすべてではなくて結構ですので、その理由についても少し聞かせていただけないでしょうか。

久保(公)政府参考人 法科大学院の設置時におきましては、四大学が不認可となりました。

 法科大学院の設置認可におきましては、文部科学省では文部科学大臣が大学設置・学校法人審議会に諮問を行うこととなっておりまして、その審議会におきまして、学校教育法や専門職大学院の設置基準に基づきまして、基本的に、教育理念、法科大学院の目的が大丈夫か、それから教育内容、これはカリキュラムや教育方法が適正かどうか、それから教員の資格、教員組織がきちんとされているかどうか、そして施設設備が確保されているかといった観点から審査を行っております。

 その結果、それぞれの点についていろいろ問題があるということで、その設置基準に沿っていないということで不認可となった例がございます。四大学でございますけれども、必修であるべき重要科目が必修でなくなっているですとか、あるいは教員組織が不十分、それから教育課程が受験対応に偏っている、それから予備校との業務委託関係の内容、程度が不明確で法科大学院教育を主体的に実施する体制になっているとは言えないなどの理由で不認可となった状況がございます。

横山分科員 今回、大学評価・学位授与機構の定める法科大学院の評価基準に適合されていないところとして、例えば一橋大学が挙げられました。一橋は、初年度五十三人中四十四人合格。一人受けて一人合格というところは別とすれば、最高の合格率を誇ったわけですね。ほかにも幾つか大学があったと思うんですが、例えば、今述べたような設置を認められなかった四大学と同じような理由で不適格、適合していないというものがこの中に含まれていたとすれば、この合格者を出したということ自体一体何なんだということになろうかと思うんです。

 その点について、同じような理由で不適合と今回されたようなところがあるのか、あった場合、では、そもそも法科大学院をつくること自体を認められなかった学校との間でどうバランスを図るのか、お答え願えますでしょうか。

久保(公)政府参考人 今回行われました法科大学院の認証評価というのは、大体、事後評価である第三者評価でございまして、これにつきましては、設置のときに認可した際の基準であります大学設置基準を踏まえた上で、各評価機関がそれに上乗せして基準を決めておりまして、その基準に照らしてどうかという観点で審査をしております。

 かつ、設置審査のときには、幾つか項目があった場合に、それを改善する余地を与えたりするケースもございますけれども、この第三者評価というのは事後評価でございますので、詳しく事業の実態も踏まえて調査した上で、評価機関におきましては、一カ所でもその評価機関の決めた基準に合わなければ適合としないという判断をしたり、そういう意味で厳しくやっているわけでございます。

 したがいまして、今回、評価機関の評価基準に適合していないとされている中には、設置基準に違反しているのもあれば、そうでないのもあるかもしれませんので、これにつきましては、文部科学省として、その適合していないとされた大学から早速報告を求めまして、大学設置基準に合っているかどうかをこれから調査しようと思っているところでございます。

 ちなみに、一橋大学の法科大学院につきましては、一部の授業科目について、同時に授業を行う学生数が適切な規模に維持されていない、少人数による授業をこの法科大学院にはベースとしておりますが、学生をたくさん入れて、一クラスの学生規模を多く入れて授業していたという、その点が問われたわけでございます。

 したがいまして、これは設置基準違反となるかどうかというと、そこは、直接すぐに設置基準違反にはならないんじゃないかと思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回適格認定を受けられなかった大学につきましては、文部科学大臣の方で報告を求めまして、その内容が評価基準だけに違反するものなのか、それから設置基準にまで違反しているのかどうかを調べまして、その結果、一部設置基準に違反するなどの事実が明らかになりますれば、学校教育法に基づきまして、改善勧告、変更命令といった是正措置のプロセスを講じていくということにするつもりでございます。

鳩山国務大臣 今、一橋の件、私も第三者評価というか外部評価の話は資料を見ておりますけれども、外部評価は何カ所もあって、大学が選べるんですか、ここに評価してもらおうと。それも何か変な仕組みだなと実は思うんですが。

 一橋が、要するに、少人数でなくて、昔でいえばすし詰めというのか、一どきに大勢集めて教えたことでアウトだという。ところが、別の評価機関は、同じようなケースで、問題はあるがこれはセーフであるというふうに判定しているのがあるので、この外部評価のありようというのもこれから変えていく必要があるのではないかという問題意識を持っております。

横山分科員 ありがとうございました。

 外部評価については大学の側も言いたいことがいっぱいあるわけで、あえてそっちの方を責めるつもりはありませんが、今大臣が言われたとおり、より公平な判断基準でということと思います。

 それよりも、私は、ここで問題なのは、やはり七割から八割という数が、発表が随分ひとり歩きして、それにつられて入学していった人たちが夢破れた人が随分います。やはり大学の定員と合格者の数からすれば、おのずと大体合格率というのは四〇%ぐらいだということがわかるわけですから、そのあたりは今後きちんと文部科学省の方として責任を持ってやっていただきたいなというふうに思っております。

 その上で、違う質問をさせていただきます。

 今度は、これも週刊誌とかよくドラマ化されることなんですけれども、ある人が犯罪者に仕立てられて、仕立てられてというか犯罪者というふうに扱われ、その人が無罪をかち取るまでに一定の時間を要したときに、その人を勤め先がさまざまな理由から解雇するというようなことはよくあります。特に、それを、会社自身が面倒な社員を首にしようと思って痴漢とか犯罪者に仕立てるようなことも起こり得るかもしれません。

 そういった場合、現在、どういう救済方法があるのか、お尋ねしたいと思います。そんな専門的なことを言われなくて結構ですので、お願いいたします。

倉吉政府参考人 ただいま委員の御指摘のケースで、解雇は無効であると主張して争う場合でございますが、そのような従業員は、自分が雇われていたその企業を相手方といたしまして、雇用契約上の地位の確認を求める仮処分、あるいは給料を仮に支払うよう命ずることを求める賃金仮払いの仮処分、こういった仮処分を申し立てることになると考えられます。

横山分科員 その地位保全の仮処分とか賃金仮払い請求というのは、無罪をかち取るまでにだれにでもしっかりと保障された制度なんでしょうか。お答えください。

倉吉政府参考人 一応、賃金仮払いの仮処分は、民事保全法上、仮の地位を定める仮処分として規定されておりまして、この仮の地位を定める仮処分は、争いのある権利関係について債権者である従業員に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるために必要となると一応認められる場合に発令される、こうされております。

 したがいまして、解雇された従業員が申し立てた賃金仮払いの仮処分が認められるかどうか、委員の御指摘は、そんなのが認められるのかという御指摘だと思いますが、これは、個別具体的な事案において、ただいま申し上げたような要件が一応認められるかどうかによる、こういうことになります。

横山分科員 結局、それぞれの裁判長がその時々に判断するか否かということですよね。

 そうすると、今、犯罪者に仕立て上げられて、無実の罪で痴漢だと言われて、それで首になりかかっている人にしてみたら非常に心もとないと思うんです。

 では、お尋ねしますけれども、例えば、裁判をやりました、一審は無罪になりました、二審で有罪になりました、有罪判決が出た途端に会社が首にしたというような場合、そういう会社のやり方というのは、一言で言って、正当性があるものなんですかね。つまり、まだ裁判は続いているわけですよね、三審制ですから。二審で有罪と出た瞬間に、ぱっと首にしてもいいものですか。

倉吉政府参考人 大変お答えしにくい問題でございますが、ただいまのケースで、従業員は上告審で争おうとしている、勤め先の企業は控訴審の有罪判決を根拠として解雇した、こういうケースであろうと思いますが、その解雇が正当なものとして効力を有するかどうかといいますのは、労働契約法に基づきまして個別具体的に判断される、最終的には裁判所によって判断される、こういうことになります。

 いずれにいたしましても、法務省としては、この法律を所管しておりませんので、回答は差し控えたいと思います。

横山分科員 では、同じ質問で大臣に最後にお尋ねしたいんです。

 そうすると、厚生労働省の方の問題だということなんでしょうかね。ぜひ法務大臣の方にお尋ねしたいんですが、企業によるそういう都合のいいリストラを防止するというような意味でも、有罪判決確定前の企業による解雇には何らかのやはり制限が設けられるべきじゃないかと。

 それは、今言ったように、例えば、ある私塾があって、その塾の先生が痴漢行為をしたといって罪に陥れられようとしている。だけれども、塾の塾長さんはその先生を信用して、いや、彼はそんなことをやっていないと。

 だけれども、実は痴漢をやっていたという場合にその塾は大変その後評判を落とすでしょうから、会社側としても、そういう理由から首にするとかいうこともひょっとしたら起こり得るのかもしれませんが、一般的に考えて、裁判がまだ判決確定前に首にしてしまうというのは、企業による都合のいいリストラを防止する意味でも一定の制限は必要かなと私は感じるんですけれども、そのあたり、専門的な見地から大臣のお考えを最後にお聞きして、私の質問とさせていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 よく、無罪になった方の話で、無罪になったのはいいが、その間に人間関係もおかしくなり、職場も追放され、人生がめちゃめちゃになってしまったということが語られますと、これは本当にどういうふうにこれを救済できるのかなと悩む場合が多いわけです。

 法務省の職員、刑務官がやはり、起訴されて、この場合、起訴休職ということで六割の給料をもらうのかな、それで最終的には無罪になったという一件があって、御党の河村たかし議員とはいつも委員会でそのやりとりがあるわけですけれども、やはり、六割の給料はもらっておったけれども、その間にいろいろなことがあったと。

 しかし、今先生御指摘のとおり、解雇されてしまうという場合にはさらにひどいことが起きる。無罪になれば、刑事補償は受けられる、場合によっては国賠ということもあるかもしれないけれども、その失われた職は戻ってこないということであれば、それは大変つらいことなんだろうと思って、何かいい方法はないかというふうに思いますが、雇用の問題は、雇用契約の問題でございますから、厚生労働省がやはり基本的に所管をして、森山君も来ておりますから、しっかりやらせるのがよろしいんではないか、こう思います。

横山分科員 それでは、大臣から、気持ちはわかるがという御答弁をいただきましたので、専門的なことは今度、厚生労働省の方にお尋ねしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

上田主査 これにて横山北斗君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本岳君。

橋本分科員 自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、法務省が所管をしているものというよりも、ちょっと別の話になるんですけれども、四月三日に厚生労働省が発表しました、医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案、第三次試案というものがあります。そちらについて、法務省さん、あと警察庁さんにもお越しをいただいておりますので、それぞれ御見解をお伺いしたい、こう思っております。

 こちらにつきまして、私、二月の二十八日の予算委員会の第五分科会で、舛添厚生労働大臣初め厚生労働省の方に質疑を行ったわけです。

 その背景として、今、医療崩壊だとか萎縮医療だとかいうことが言われている現状がある。その要因はいろいろあります、医療費の問題だとか労働環境の問題だとか。それに加えて、過剰に刑事訴追をされてしまうというおそれが大変に関係者の方々にあって、伸び伸びとした医療をすることができない。まじめに頑張って最大限努力を払ったにもかかわらず、やはり医療ですから、救急の現場だとかあるいはお産の現場など、患者が亡くなってしまうという結果につながることもあるし、そうなったときに罪に問われるとたまらぬ、こういう感覚がやはりあるわけですね。

 今回、その第三次試案で医療安全調査委員会というものの設置が提案されているわけですけれども、それによって今申し上げたような懸念をできるだけ防ぐという意図があって提案されていますが、これについて、今、パブコメにかかっておりまして、いろいろな議論がある中で、逆にそういう懸念を増してしまうのではないかといった議論までありまして、いろいろあるわけです。

 そこで、この第三次試案及びその中で提案されている医療安全調査委員会というものについて、捜査機関との連携関係はどうなっているのかということが一つのポイントになってきますので、そういった点について、法務省さん、警察庁さんにお伺いをしたいというのがきょうの趣旨でございます。

 さて、早速ですけれども、この第三次試案につきまして、両省から、まず、どのように受け取っておられるかということを教えてください。

    〔主査退席、坂本(哲)主査代理着席〕

大野政府参考人 医療過誤事件に関しましては、これまで、その死因を究明する制度が必ずしも十分でありませんでした。そうしたことから、死因をめぐる紛争を生じまして、患者やその遺族の方がその解決を刑事司法の場に求めるというような場面もあったように思われるわけでございます。

 今回、第三次試案が明らかにされまして、その中で医療安全調査委員会の設置が提言されているわけでありますけれども、こうした組織が設けられれば死因に関する患者や遺族の側の納得が得られ、紛争が拡大せずに済むケースも出てくるのではないかというふうに考えられます。したがいまして、こうした仕組みができることは意義のあることだと考えておりまして、法務省といたしましても、引き続き必要な協力を行ってまいりたい、こう考えておるところでございます。

米田政府参考人 今、法務省からの御答弁のとおりでございますけれども、今度のこの第三次試案では、委員会と捜査機関との関係について一定の方向性が示されたところでございます。

 警察といたしましては、この委員会の役割、責務を踏まえて、必要な協力や活動の調整を行っていくことが重要であると思いますが、そのためには、この新しい制度が、ただいま御指摘いただきました医療関係者の不安の除去はもとよりでございますが、医療事故によって不幸にして亡くなったり傷つかれた患者さんあるいは遺族の方々がやはり十全にその制度に信頼と安心感を持てるような制度設計が必要であるというように考えております。

 引き続き、関係省庁と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。

橋本分科員 なるほど、今それぞれに、必要な協力をするとか、そういった御答弁があったわけですけれども、いろいろな議論があると言われた中に、そもそもこの第三次試案の紙というのは厚生労働省という名前で出されています。それによって、ちゃんと法務省、警察庁とすり合わせをしているのか。厚労省がこういう案をたとえつくったとしても、今、協力をするというお話はあったわけですけれども、具体的現実の場、個々のケースにおいては、もしかしたら警察もしくは司法の方は、それを踏み倒すと申しますか、無視するんじゃないかといった懸念まで言われている現実がございます。

 ということで、改めて、どの程度きちんと厚労省さんと両省それぞれすり合わせをされているのか、お伺いをさせていただきたい。同時に、そのすり合わせの中で、合意するような文書なりなんなりというのがあるのかないのか、まず教えていただきたい。お願いします。

大野政府参考人 厚労省が公表した第三次試案の策定に当たりましては、法務省も協議を受けております。

 具体的に申し上げますと、第三次試案策定の前提といたしまして厚労省が主催した、診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会、ここに担当の課長がオブザーバーとして参加しておりまして、必要な御説明などを行い、検討に協力しております。また、第三次試案の内容につきましても、厚労省と法務省の担当者間で必要な協議を行ってきております。

 ただいま、文書というような御指摘がございましたけれども、そのような文書を交わしたという事実はございません。

米田政府参考人 警察庁の場合も全く同じでございまして、診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会に担当課長がオブザーバーとして参加するなど、協議を進めてまいりました。特段、警察庁と厚労省との間で交わした文書はございません。

橋本分科員 協議はされていたということで、それはいいことだと思いますが、文書という話について、ここに日経メディカルオンラインというウエブ上のサイトがございます。いろいろな医療関係のニュースなどが出ているのでありますけれども、そちらの方の四月三日の記事で、「事故調第三次試案、ここが変わった!」といって、第三次試案についてのプレスの記事になっているわけです。

 その記事の中で、これはインターネットで会員登録すればだれでも見られますが、「厚労省によると、法務局や検察庁などからは、この案の公表について了解する旨の覚書を得ているといい、」という一文が出ております。としますと、今のお話と少し食い違いがあるのではないかと思いますが、改めて御確認をさせてください。

大野政府参考人 先ほど申し上げましたように、覚書のようなものを取り交わした事実はございません。

米田政府参考人 警察庁も全く同じでございまして、そういう文書を取り交わしたことはございません。

橋本分科員 さて困ったなと思っているわけですが、ここで記者さんと厚労省さんがどのようなお話をされたのか、議事録などがあるわけではないですから確認はしようがないけれども、医療の安全だの信頼だのというのを議論している中において、そうした食い違いが起こるということは決して望ましいことではないと思います。もう少し機会があればここについては調べてみたいと思っていますけれども、ちょっと残念だなと思っております。

 同時に、さっき申しましたように、厚生労働省という名前であの書類は出ているわけで、そもそもそうしたことは疑われるし、紙があるのないのという議論になるわけです。だから、今後、第四次試案が出るのかどうなるのかはまだわかりませんけれども、先への展開をするに当たって、警察庁、法務省とも、わかる形でコミットをしていただきたい、これはぜひ要望させていただきたいと思っております。

 では、その中身の方に移ってまいります。

 移る前に、一応協議はしているということでありますが、この試案の資料三ということで、「捜査機関との関係について」ということが出ております。まず、こちらの方について、改めて、きちんと、法務省、警察庁さんとも承知をされていて、このとおりに動きますよということを確認していただけませんでしょうか。

大野政府参考人 捜査機関との関係につきましては、委員会から捜査機関に対して通知がなされる場合が故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限定されるという点があり、捜査機関側、刑事手続におきましては、委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況等を踏まえつつ対応する、そしてその結果、刑事手続の対象は、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に事実上限定されるなど、謙抑的な対応が行われる、こういう記載があるわけでございます。

 制度の詳細につきましては、今後また関係省庁と必要な検討を進めていく必要があるというふうに考えておりますけれども、今後、医療安全調査委員会が設けられて、その調査や通知が適切に行われるということになれば、検察当局におきましても、事件の処理に当たりましては、委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況等を踏まえて適切に対応することになるわけでありまして、その意味で、第三次試案に記載されていますように、委員会の専門的判断を尊重して、謙抑的に対応するということになると考えております。

米田政府参考人 要は、具体の制度設計、それから、どのようにそれがちゃんと十全に機能するかということでございまして、それが十分に機能するということになりますと、私どもとしてはあえて刑事事件にしたいというわけではございません。それは、この委員会の仕組みの中で、患者さん、遺族の方々が御納得いただけるのが望ましいと考えておりまして、そのような方向になるように期待をしております。

橋本分科員 確認をお願いしたので、はいとかいいえとかいう返事を期待したのですが、しかしながら、しっかり別紙三の趣旨に沿ってということでお話しいただいたというふうに理解をいたします。

 では、中身についていきますけれども、別紙三で委員会からの通知というものについて、告発ではないとわざわざ断って書いてあります。この通知と告発ということについてどう違うのか、それを受け取るのは警察庁だと思いますので、その受け取る側として、意味だとかあるいは行政手続的にどう違うかというのを教えていただけませんでしょうか。

米田政府参考人 告発は刑事訴訟法に規定されておりまして、捜査機関に対しまして、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示であるというように解されております。手続としては、告発を受けた警察といたしましては、所要の捜査を行い、速やかに検察官に送付しなければならないということになっております。

 一方、第三次試案におきます委員会からの通知は、委員会が届け出を受けたその事例の中に、医療の専門家を中心とした委員会の判断として、故意による事例など、悪質な事例を認めた場合に捜査機関に対して通知するものと承知をしておりまして、処罰意思とかあるいは検察官へ必ず送付しなければいけないというようなところにおいて異なるものというように理解をしております。

橋本分科員 では、確認ですけれども、この通知がもしあったとして、そうすると、捜査機関として何らかの判断をされることになるんだと思いますけれども、判断をした結果、あるいは活動をされた結果、検察庁に送る必要はないという判断をする、行動をする場合というのはあり得るということでしょうか。

米田政府参考人 おっしゃるとおりでございます。通知はあくまで捜査の一つの端緒であるという理解でございまして、これは個別の事件の判断でございますが、通知があるから必ずしも捜査をしなければならないということではないというふうに考えております。

橋本分科員 では続いて、四月四日の衆議院厚生労働委員会におきまして、岡本充功議員がこのことについて質問をされました。きょうお越しの米田参考人が、委員会での検討が滞ってしまっている、渋滞している、待ち行列ができているような場合を想定してではありますけれども、患者また御遺族の方から訴えがあれば、私たちとしては捜査せざるを得ない、こういう御発言がありました。

 一方で、資料三の問い二では、遺族が警察に相談をしたら委員会による調査を勧めるとか、あるいは、告訴があった場合には委員会の専門的な判断を尊重し云々、こう書いてあるわけですが、この二つは矛盾していないでしょうか。

米田政府参考人 業務上過失という罰則はございまして、そして、もちろん遺族の方々には訴える権利もございます。私どもとしては、捜査をする責務もあるわけでございまして、そういう中で、先日の岡本議員の御質問は、調査が進む中で行列ができてしまう、そういうような事態の中で警察、検察に持ってこられたらどうするんだという趣旨でございまして、それは捜査せざるを得ないでしょうということを申し上げたわけでございます。

 必ずしも私どもはそういう事態を望んでいるわけではございませんで、遺族の方々がこの委員会の調査によって十分に納得されるということを期待しておりますけれども、そうかといって患者さんや遺族の方々が刑事処分をしてくれと訴えることそのものを封ずるということは、これはやはりできかねると考えております。

 ただ、警察の方にいろいろ相談があった場合、この委員会に行かれましたか、行ってみたらいかがですか、あるいは告発されてきて、もちろん告発されるというのであれば受けますけれども、その前にまず委員会の方にちょっと御相談されたらいかがですかと、そのようなことで、委員会の方がなるべく利用されるような協力はしてまいりたいと考えております。

 繰り返しますが、刑事処分を求めるという患者や遺族の方々の権利といいますか、そういうものを封ずるというようなことはあってはならないと考えております。

橋本分科員 今の話は、厚生労働省が言うところの委員会がきちんと稼働してということが一番望ましいわけですから、それは厚労省に頑張ってもらわないといけないわけで、岡本委員が取り上げたような事態にならないことは、私もそうだといいなと思うわけです。わかりました。

 もう一点、伺います。

 二月二十八日に私が予算委員会の第五分科会で厚労省を相手に質問したときに、厚労省の医政局長が、原因について委員会で調べてみたけれども、そして熱心に、まじめに究明してみたけれども、不明であるとかあるいは確定できないであるとか、そうした結論が出るということはあり得るだろうという答弁をされました。その場合は、捜査機関への通知というものにはなじまないだろうということも、あわせておっしゃっておられます。

 実際に、第三次試案によると、関係者は必ずしも調査に協力しなくてもよいということも書いてありますし、あとは、御遺体がもうない場合でもこの委員会で取り上げるということはあり得るので、そうすると、解剖そのほか必要な情報が限られるというケースで調査をすることも考えられますから、そうすると、わからないという結論が出ることは十分にあり得るんだろうと思います。

 そうした場合、この資料三の問い二で「委員会の専門的な判断を尊重し、」とか「調査の結果や委員会からの通知の有無を十分に踏まえて」ということがどういう対応になるのかということを教えていただけないでしょうか。

米田政府参考人 確かに、委員会が十分に調査を尽くしてもよくわからないといいますか、通知する要件に該当しないという場合は通知はされないということになっておりまして、警察としては、実務上はこの委員会の判断を十分に踏まえて対応することとなるというように考えてございます。

 もちろん、そのためには、この医療事故調査委員会が十分に機能して、そしてその委員会の専門的な調査によりまして、患者、遺族の方々が十分に納得されるような制度となっていることが重要であるというふうに認識をしております。

橋本分科員 今のについて、もう一回確認をお願いしたいのですが、委員会がちゃんと動いているという前提のもとで、ただ、さっき言ったような理由によって、わからない、明確にすることができなかったという結論になったときに、今、十分に踏まえて対応しますというお話だったわけですけれども、それは十分に踏まえて、いや、もっとわかるようにおれたちが調べるぜという話なのか、いや、専門の人たちがしっかり調べてもらってわからなかったんだから、これはそもそもそこから先に進めることは困難であるという判断をされるのか。

 どっちにも受け取れるし、どっちかということで大きく話が違ってくるわけですけれども、どっちの方向ですか。

米田政府参考人 個別の事件の判断でございますので、さまざまな状況があろうかと思います。例えば、遺族の方々の意思というようなものももちろんございますので、これを必ずこちらに行くというようなことはなかなか申し上げることはできないと思いますが、先ほど委員がおっしゃった、この委員会が十全に機能しているという前提のもとでの判断として、やはりこれは通知はされないということであれば、それは十分に尊重すべきであろうというふうに考えております。

橋本分科員 わかりました。

 あと、済みません、これは要望で質問はいたしませんけれども、この資料三の捜査機関との関係のところ、「警察は、委員会による調査を勧めることとなる。」とか「十分に踏まえて対応することが考えられる。」とか、そういった語尾の表現が大変多くて、あらぬ疑いを招くおそれがあろうかと思います。

 それは、まだ現実にもっと検討ができていないから言い切りかねるというところもあるのかなと思いますから、現時点でこうなっているということについては申し上げませんけれども、ただ、そうはいっても、今後やはりこの案でどうなるのかということを心配される方はいろいろな立場でおられますので、しっかりと詰めて、できれば言い切った紙が出るようになることをお願い申し上げます。

 では、最後に一つ、ちょっと系統を変えた、筋を変えたお話をします。

 冒頭に申し上げましたように、医療事故でありますとかそういうことについて、いろいろなケースがありますから一概には言いがたいですけれども、医療関係の方々が心配しておられるのは、まじめに最大の努力を尽くしたにもかかわらず刑事訴追されてしまうことが大変心配であるということであります。

 今、それこそ医師が足りないとか、医療費が抑制されて云々という話がそもそもある中で、まじめに頑張っているお医者さんががっかりするというのは、決して彼らにとってもいいことでもないし、あるいは、その結果として、例えば産科から撤退が続くとかいろいろなことが起これば、それは医療を受ける国民の皆様にとってもプラスなことではないわけです。

 そもそも、医療だとか救命行為というものは、普通に生きて元気な人を相手にするものではなくて、いろいろな事故に遭ったりとか病気になったりということで生命の危機に瀕している、あるいは危機に直面している人たちに対して行われることです。そこで、確かに業務上過失致死というのが刑法上あるわけですし、確かに過失というのも、どんなものかによって判断というのは分かれることもあるのかもしれませんが、やはり普通の、ほかの健康な人に対するものと分けてあっても私はいいのではないかというふうに考えております。

 それは同時に、罰があるんだと思うと、実際何が起こったのかということを当事者が言いにくくなる。それは、今回の医療安全調査委員会でも、言わなくていいということがついているぐらいですから、そうなることは十分懸念されるわけだし、そうすると、何が問題かというと、再発の防止ですね。次にもう一回同じことを起こさないようにしようということを阻害しかねない面もあるというふうに思っていて、やはりそこは考えなきゃいけないんだろうと思うのです。

 それで、欧米では、よきサマリア人の法というものがあると聞いております。これは、急病人など窮地の人を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人にできることをしたのならば、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない、こういう趣旨の法律なのだそうでありまして、聖書のルカによる福音書第十章第二十九節から第三十七節というところに由来がある、そういうものがあるそうです。

 今の日本の法制度の中でそういった概念があるのか、余りないように思うのですけれども、今後についても、こういった趣旨の法制度の検討というのをされようと思っているかどうか、教えていただけませんでしょうか。

大野政府参考人 今御指摘がありましたように、確かに医療行為は本来的にリスクを伴うものでございます。そうした特殊性というものは十分に考慮していかなければいけないということはまことに当然でありまして、検察官におきましても、従来からそうしたことを前提に、過失の認定には慎重な態度で臨んできたというふうに考えております。

 そして、今回、第三次試案で提案をされているような、医療安全調査委員会というようなものが創設され、その調査や通知が適切に行われるということになれば、検察当局は、事件処理に際しまして、先ほども申し上げましたけれども、委員会からの通知の有無、行政処分の実施状況等を踏まえて、その専門的判断を尊重して対応することができることになるというふうに考えているわけでございます。

 ただ、医療関係者の過失により、人に死亡あるいは傷害の結果を生じた場合に、いかなる場合であっても一切刑事責任を問わないということになりますと、これは被害者や国民の理解を得ることは難しいのではないだろうかというふうに考える次第でございます。

橋本分科員 確かに、いかなる場合にも一切問わないということは難しいところもあろうかと思いますが、例えば、ある場合においてはとか、そういう限定をつけて考えていくということは現実的には十分考えられるだろうと思います。

 そうすると、例えば、では刑法をいじるんですかという話にもなりかねず、時間がかかる話だと思いますから、ぜひともそういった検討というものも、もしまだでしたら始めていただきたいということを要望申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

坂本(哲)主査代理 これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 法務大臣、最初に、今サイパンで勾留されている三浦和義さんの件についてお尋ねしますけれども、現時点で、アメリカ側から捜査協力の要請が来ているという事実はありますか。

鳩山国務大臣 これは、この間、ロサンゼルス群検察当局の担当者数名が日本に見えて、予備的な打ち合わせをされた、これは、実際にやっておられることは皆さん大勢の方が見ておるわけですから、私も認めます。

 しかしながら、日米刑事共助条約というものは、早い話が、捜査共助の要請をしたとします、受けた方は、要請されたということも秘密にしなければならない、もちろん要請された中身についても秘密にしなければならない、こういう条約でありますので、鈴木宗男先生の御質問であっても、捜査共助の協力要請があったかどうかは私は秘密にしてお答えはできない、こういうことでございます。

鈴木(宗)分科員 それでは、大臣、今大臣はロス検察担当者が来て予備的打ち合わせをしたと。予備的打ち合わせをしたということは、それは捜査協力ではないんでしょうか。

鳩山国務大臣 捜査共助の要請があったわけではないと思います。

 事前にいろいろな状況の調査をしたのだろうと思います。

鈴木(宗)分科員 大臣、非常に親切だと思いますね。正直に言ってくれました。今の大臣の答弁をかりれば、いわゆる国際捜査共助におけるまだ捜査協力の要請はないということを今大臣は言われたわけでありますけれども……(鳩山国務大臣「いやいや、そうじゃない」と呼ぶ)いやいや、今の大臣の言いぶりからしたら、そうでいいです。

 大臣、二月の二十五日に官房長官が記者会見していますね。そこで、官房長官は記者会見でこう言っています。米国側から捜査協力の要請がまだ来ているわけではないとしながら、日本で無罪になったからといって捜査協力ができないことはないとして、捜査協力に前向きな姿勢を示したという当時の記者会見、週末の勾留であったものですから月曜日の記者会見になっていますね。

 そこで、今の大臣の言からすれば、官房長官もそこまで踏み込んで言うのは、ちょっと矛盾というか、認識が違っていると思いますね。官房長官が政府のスポークスマンとしてこういう記者会見をした、これに法務省はどんなかかわり合いを持っているんですか。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、現時点において、捜査協力の要請があっているか、まだないかは私はお答えはできません。

 この捜査共助の条約というのは……(鈴木(宗)分科員「ちょっと質問にだけ答えてください。今、官房長官の会見に対する答えですから、時間がないですから」と呼ぶ)ですから、いわゆる日本の最高裁で無罪となったということをもって捜査協力を受けないということにはならないという旨を官房長官はおっしゃったんだと思います。

鈴木(宗)分科員 大臣も知っていると思いますけれども、官房長官の記者会見というのは、そのときのいろいろなニュースに基づいて各省庁がそれぞれ全部資料を持ってきますよ。私も官邸にいたから、何回もそういった記者会見をしていますからわかっているんですよ。

 だから、これは世論が沸騰しておったわけですから、当然法務省でも何がしかの話が官邸からあったと思うんですよ。ですから、アドバイスなり何かお手伝いをしているかということなんです。

鳩山国務大臣 当然、事務当局の関係の者が官房長官に説明はしていると思います。

鈴木(宗)分科員 そこで、大臣、日本の最高裁判所が無罪判決にした、そのことに対して、私は、やはり日本が法治国家であるならば、これは一つの重い結論だ、こう思っています。ところが、今動いているのはアメリカの一地方の検察当局ですね。この動きというものを、法務大臣はどんな見解というか認識を持っていますか。

鳩山国務大臣 日本で裁判が行われた、事件はロサンゼルスの事件ではあったが、日本で裁判が行われて最高裁まで行って無罪であったということは、日本の裁判の仕組みでいえば大変重く受けとめなければならない。しかし、アメリカで起きた事件に関して、アメリカの捜査当局がどのように判断するかということについては、私はコメントはできません。

鈴木(宗)分科員 大臣、我が国の最高裁判所で無罪判決が確定した事件で、これまでに捜査協力に応じたことがあるかどうかお知らせをいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 断定的に申し上げる自信はありませんが、ざっといろいろ聞いてみたところ、そういう先生のおっしゃるような例はまだ承知いたしておりません。

鈴木(宗)分科員 それでは、これまで我が国で犯罪を行った米国人について、米国で刑事裁判が行われて我が国では裁判が行われなかった事件について、日本で訴追された例がありますか、いわゆる米国の刑事裁判が確定後。

鳩山国務大臣 これも、全部の資料を調べたわけではありませんが、同一犯罪事実について、米国の裁判所で無罪の判決を受けたにもかかわらず、我が国の裁判所において有罪の判決が出たという事例はあると承知しております。

 これはちょっと変わった例ですけれども、ピストルの不法所持ということで、米軍基地所属の米国軍人が犯した犯罪について、いわばアメリカでの軍事裁判にかけられて無罪の判決を受けました。しかしながら、日本でも裁判が行われまして、米国の軍事裁判所で無罪の判決を受けているにもかかわらず我が国の裁判所が有罪の判決をすることは、憲法には違反しないと最高裁が言っております。

 それからもう一つ、米国で有罪判決が確定した日本人について、アメリカで有罪であって、日本でさらに訴追された例、そういうものもあります。

鈴木(宗)分科員 私が言いたかったのは、官房長官が前もって、あれは週末ですか、二月の二十二、三日ごろ逮捕された、それで二十五日の会見で、まだ何の要請もないときから日本の方で踏み込むべき話じゃないなという感じを持ったものですから、これはやはり確認のために今法務大臣にお尋ねをしたということです。

 続いて、大臣、いわゆる袴田事件というのがございますね。この袴田さんは逮捕されてもう四十二年になっています。死刑の確定が出てから、もう二十八年ですか。

 そこで、今、袴田さんの健康状態はどんなふうになっていますか。矯正局で結構です。

梶木政府参考人 特定の被収容者の方の健康状態あるいは身体の状況と申しますのは、その方のプライバシーに直接影響する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論として申しますと、東京拘置所は常勤の医師が十名おりまして診断あるいは治療を行っておりますし、場合によっては外部の病院への移送とか、そういったこともやっておりますので、健康管理には十分努めているというふうに承知しているところでございます。

鈴木(宗)分科員 鳩山大臣のところにも、さまざまな組織といいますか、袴田さんを救う会だとかあるいは日本プロボクシング協会からだとかあるいは日本弁護士会等から、はがきで、再審要請だとか、袴田さんを何とかしてほしいという声が来ていると思うんですけれども、そういったはがきなり声に大臣は直接目を通したことはありますか。

鳩山国務大臣 袴田巌死刑確定囚について、支援者の方々などから、いわゆる文書による、手紙というのか申し入れというのか、そういう形で要請を受けておりまして、それは目を通しておりますが、もちろん、私が目を通す前に省内の担当者が場合によっては面謁してお話を聞いたり要請書を受け取るということがあって、その報告が私に上がってきて、私がそれを見るという形で報告を受けております。

鈴木(宗)分科員 先ほども矯正局長から、お医者さんがいると。それは、お医者さんがいるのは当たり前なんですよ。では、どれだけ健康管理なんかの面でお医者さんが当たれるかといっても、あそこは少なくとも何千人もおりますから、私は対応し切れないと思いますね。

 そういった意味で、医者がいるとかいないとかというレベルじゃなくて、現実に、私は、やはり東京拘置所にいる人も刑務所にいる人も、命は平等だと思うんです。きょう、今、外はさんさんと太陽が降り注いでいます。太陽もそよ風も、貧乏人も金持ちも、どの人にもすべて平等ですよ。私は、やはり命は重く、とうといものだと思っているんです。

 四十二年間拘禁されている、私は、はかり知れない、精神的なダメージは強いと思いますね。そして、袴田さんの場合、一貫して無罪を要求しているし、また支援者もいるということです。そんなことを考えるときに、大臣、私は、この袴田さん、面会に行っても今面会しないというんですね、本人が。断っていると聞いています。私は、ちょっと心神喪失状態というか、やはりそれなりに精神的にも相当弱っているのかなという感じがします。

 そこで、大臣、心神喪失なり、やはり健康、身体に何かの著しい変化がある場合は、法務大臣は死刑の停止命令を出すことができますね、法律的に。これはどうでしょうか。

鳩山国務大臣 私が確かに死刑執行を何人かの方にいたしました。そのことについて、死刑廃止を唱える方からいろいろと批判をされることもあります。

 ですが、それは再審が開始される可能性とか、あるいはもちろん恩赦とかありますが、今先生おっしゃるように、心神喪失状態であれば刑の執行は停止しなければならないということでございますので、死刑確定囚の執行をするに当たっては、この点を特に精査、慎重に判断するようにいつも命じております。ですから、実際問題として、心神喪失になれば刑の執行停止ということになって、死刑は執行できません。

鈴木(宗)分科員 鳩山大臣、私は、この袴田さんの件を見るとき、三月二十四日には特別抗告も棄却になっていますね。ただ、当時、いわゆる四十二年前に逮捕されたときの調べというのは、こん棒で殴られた、しかも一日十一時間、十七時間の取り調べを受けたということが明らかになっています。

 さらに、私自身も四百三十七日勾留されて、一年三カ月ですから袴田さんに比べたら微々たる期間です。ただ、例えば独房なんという限られた場所にいると相当参りますよ。ですから、鳩山大臣も仕えた田中角栄さんなんかも、早く出ることに専念しちゃって、公判の日が勝負だといってあの人はロッキード事件でも出てきたけれども、日本の裁判は調書優先主義ですから、これはどうにもならなかったです。それは大臣もよく知ってのとおりです。あの田中先生をしても、ああいう場所に置かれると、大変に精神的な大きな打撃を受けているんですよ。

 私は、袴田さんも、四十二年間、外に出ていない、外の空気を吸っていないということを考えたときに、今いかなる精神状況かというのは、短い期間でも経験した者として私なりにわかるんですね。

 そういった意味では、ぜひとも大臣、大臣として、人道的配慮、人間的な判断として、ここはきちっと、どんな健康状態か、精神状態か調べて、やはり心神喪失状態ならば死刑の停止命令を速やかに出してやるのが、法務大臣であると同時に、人間鳩山邦夫としての判断ではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、今死刑が確定している人たちはまだ百数名いるわけですけれども、心身の状況、とりわけ心神喪失ということになると死刑の執行はできませんので、その点については矯正局長にもいつも申し上げて、これは徹底して精査するように、常に精査しているように、私としては命じているつもりでございます。

鈴木(宗)分科員 鳩山大臣、袴田さんの件は早急にきちっと、東京拘置所ですか、矯正局に命じて、この点はしっかりと調べていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

鳩山国務大臣 ですから、個別にだれを調べろ、こう言われましてもそれはできかねるわけで、それについて報告を求めるぞなどと言われても、それはプライバシーにわたるから言えませんけれども、すべて、死刑確定囚全員について心神喪失じゃないかどうかというのは徹底して把握しておくようにというふうに指示いたしております。

鈴木(宗)分科員 鳩山大臣、大臣としての答弁ですからそれはわかりますけれども、ただ、死刑確定でも、五年前の人、十年前の人、二十年前の人、差があるんではないでしょうか。四十二年間というのは大変な長さですし、同時に、四十二年というのは考えられない。まだ大臣が高校生のころの話ですよ。いいですか、このことを考えてください。

 同時に、一山何ぼで、大臣、今、大臣は立場上言っていると思うけれども、それはすべからく平等だと言っても、その四十年、三十年、二十年とか、やはりおのずから、社会的な制裁も受けたり、あるいは大変に、自分自身としても、袴田さんの場合、もう四十二年間も拘禁されているわけですから、それなりの償いというか、大きなこともしてきているわけですね。私は、これ以上の長い人はいないわけですから、そういった意味ではその精神状態なり健康状態をそれぞれ調べてあげる、これが人の道であるし、また人道的なことでないかな、こんなふうに思っています。

 きょう、大臣のところに行っていますかね、資料は、袴田さんの日記です。お母さんだとかあるいは息子さん、四十年前にお母さんに向けた手紙がありますね。これをぜひとも読んでください。それと同じく、当時二歳だった息子さんに手紙を出していますよ。これもぜひとも、大臣も副大臣も大臣政務官も読んでみてください。私は、どこかにやましい点があるならば、四十二年間頑張れないと思いますね。やはり確固たる信念と、やはりあのとき強制的に自白させられたという状況と。

 しかも、あのとき一審で死刑判決を出した熊本さんという裁判官が去年の二月に、彼は無罪だと確信したが裁判長ともう一人の陪席判事が有罪と判断、合議の結果一対二で死刑判決が決まった、しかも判決文執筆の当番は慣例により自分だったと告白して、袴田さんのお姉さんに謝罪して再審請求支援にこの人は立ち上がっているんですね。

 本来、この合議の中身も、大臣の答弁じゃないけれども、表に出すこと自体がこれは異常なんですけれども、やはり私は、人の命の重さというものを感じて、この熊本典道さんという人も人間としての判断をされた、こう私は思うんですね。

 そういった意味でも、この袴田さんの訴えというか声というものは、ただ手続をとりました、確定判決はこうでありますということで私は済まされるものでない。人間が人間を裁くわけでありますから、私はそれは一〇〇%すべからく神様、仏様でないと思っていますよ。大臣、もちろんですよね。人間ですから。その点、人間という意味で、私はぜひとも袴田さんの件に関しては人道的な判断というものをやっていただきたいなと。ぜひともこれは大臣、頭に入れて、対応いただきたいと思いますけれども、もう一度、答弁をお願いします。

鳩山国務大臣 四十二年間入っておられるわけで、確かに、先生と私は大体同年配ですから高校生のころのことでございます。

 鈴木宗男先生からるるお話しいただくこと、あるいはこうした手紙、あるいは日記もあるんでしょうか、そうしたものを読みますと、それは私も人間ですから、いろいろ感じるものはございます。ただ、一般論になりますけれども、裁判で一審、二審、三審というものがあり、再審請求がまた却下されて、抗告、特別抗告と、それも却下されたということで、私は裁判所がそれなりの判断をしたものというふうに考えております。

 今度、裁判員制度が始まりまして、裁判員は評議、評決の内容を、だれが懲役何年と言ったけれども、だれはこう言ったなどとかという、評議、評決の内容は、これは死ぬまでしゃべってはいけない。これはしゃべると罰則があるのかな。ところが、裁判官は、そういうことはもうしないものというふうに決まっているのか、そういうことはしゃべらないということで、裁判官がそういうことをして罰せられることになってはいないんじゃないでしょうか。

 とすると、さっきの熊本さんとおっしゃる方ですか、私も発言は新聞で読みましたけれども、先生のおっしゃる人間としてとかいう気持ちはよくわかるけれども、私は、裁判官としてあの方が正しいことをしたとは思えない。裁判員が同じことをすれば罰せられるわけですから。人間としてどうしても訴えたかったというのはわかるけれども、私は、裁判官として、あのような評議というか、要するに裁判の最終決定をするときのいきさつ等をオープンにしたのは私は間違いだと思います。

鈴木(宗)分科員 大臣、熊本さんが間違いか間違いでないか、それはまた別の問題で、私も尋ねていませんからいいんですけれども、ただ、事実としてやはりこうであったということを明らかにした重みは大きいと思いますよ。本来ならば、合議ですから、それはもう同じ認識だと言えば一番いいでしょう。しかし、最近の判決でも、三対二だとか二対三だとか分かれたという、これはもう報道もありますからね。私は、この報道からしても、熊本さんが言ったのは間違っているとは思っていません。もう今は明らかになっていますよね、この前の、二週間か三週間前の最高裁の判断でも、三対二だとかというのはあったですよね。

 だから、何もこれは、その任にあった人が、ある程度の時間がたってこうだと言うのは、それは、一つのまた情報の開示、情報の透明性の上で、国民に知らせる、あるいは国民の知る権利の上からも、私は間違っていないと思う。これは大臣と認識を異にしてもいいんですけれどもね。

 ただ、少なくとも、やはり厳粛な事実として、死刑か死刑でないかというときに、いや、それを決める前に、有罪か無罪かというときに無罪だという声があったということは、私はやはりこれは十分傾聴しなくてはいけないと思っていますよ。

 そういった意味でも、そういった事案も出ているということ、これは本来もっと早くに言ってくれればまた局面は変わったかと思いますけれども、私は、去年ぐらいになっての話ですから、ちょっと時間を置き過ぎた嫌いがあるかと思いますけれども。こういったことが新しく出ているということも、やはり大臣、判断して、頭に入れて、死刑執行だとか、特にこの袴田さんの件について、私は慎重な上にも慎重に、しかも、特に健康という面については、命はひとしく平等だという観点からも、頭に入れてしっかり対応していただきたいな、こう思っています。

 そして、私はこの袴田さんの事件を私なりに調べてみるにつけ、やはりこれは可視化というのが、大臣、必要なんですよ。そこで、刑事局長もおられますけれども、私自身の経験で、私は被疑者で取り調べられるから、また検察は検察のやり方だとか、作戦みたいなものはあるでしょう。しかし、いわゆる一般の参考人、証人の調書とりだとかのときは可視化しないとだめですよ。みんな、それこそ東京地検と聞いただけで、やはりそれなりのプレッシャーを感じますから。

 それと、大臣、副大臣、政務官が座っていますけれども、私たちは百点満点で全部法律を遵守していると、何か一点でも曇りがあったらバッジを外せますと、自信を持って言えるかといったら言えないでしょう、はっきり言って。神様じゃないんですから。それが人間社会ですよ。みんなほどほどで生きているんじゃないでしょうか。

 亡くなった検事総長の伊藤さんでしたか、本に書いていますね。北海道をドライブしたら気持ちよくなって、時速六十キロのところを八十キロも百キロも出してしまった、捕まらなかっただけであってと正直にあの人は書いていましたよね、本に。だれか記憶している人はいないかな。矯正局長は本を読んだかな。そう伊藤さんは書いていますよ。そんなものですよ。私は、人間はほどほど論だと思っているんです。神様、仏様はいないんですから。

 そういった意味でも、大臣、可視化、特に証人、参考人の調書取りなんかに対する可視化というのは絶対必要だと私は思いますけれども、大臣は可視化についてはちょっと役所寄りの認識というか答弁だと思いますが、私自身も経験した者として絶対これは必要だと思っています。

 しかも、それは一部の可視化じゃだめです。全面可視化する、特に参考人については。一般の参考人の調書取りをする、その調書が裁判での判決をつくる大きなもとになっちゃうんですから。今はもう日本の裁判というのは調書主義ですよ。後になって、いや、検察に言わされました。後になって、検察に誘導されました。同時に、初めから検察は調書をつくっていました。自分の言うとおりいかなくて、どうにもならなかった、申しわけないと言って。私の事件の島田事件なんかでも、これは公証人の判こをもらって陳情書を出していますけれども、言っていますよ。おれが検事の言うままにサインしたのが悪かったのかとか、検事は前もって調書をつくっていた、それにサインさせられた。

 私は、これはまた別途委員会でしっかりと資料を出しながらやりたいと思いますから、そういうこともありますので、大臣、可視化についてもう一回大臣の見解を、特に一般の純粋な参考人、事件とは全く関係ない人からとる調書等については全面可視化すべきだ、私はこう思っておりますけれども、どうでしょうか。

坂本(哲)主査代理 鳩山法務大臣、簡潔にお願いします。

鳩山国務大臣 私は、いわゆる被疑者の取り調べにおける全面可視化は問題が多過ぎる、かえって真実がわかりにくくなるということはもう何度も申し上げておるわけでございます。ただ、自白の任意性を証明する手段として一部の可視化を行うという方針についても申し上げております。

 参考人とか将来証人になるような方なんでしょうか、そういう人たちに対する可視化の話というのは今初めて、可視化というのは全部被疑者のことばかり、あるいは逮捕された人のことばかり考えておりましたので、新しい課題だなと思って、これはまた考えてみます。

鈴木(宗)分科員 大臣、ありがとうございました。

 参考人、将来証人になる人の調書取りなんというのはどんなとり方をしているかというのをまた私は後で明らかにしたいと思いますから、今大臣がそれを検討するということですから、ぜひとも前向きに考えていただきたい、こう思います。

坂本(哲)主査代理 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

上田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野分科員 午前中に引き続き、まずは、国土交通省所管、道路関係の公益法人について伺いたいと思います。

 金曜日に出ました報告書、私も読ませていただきまして、午前中概略の質問をさせていただきました。

 その中で疑問に残ったものの一つとして、道路保全技術センター、ここの外注、再委託の部分の問題がございます。

 改めて公表していただけるという趣旨の、道路保全技術センターからの外注先のリストをいただいたんですが、正直言いまして、大臣、ここは私、納得ができておりません。大体六十億円ぐらい外部に委託している。大体、この団体が年間八十億から九十億ぐらい受けているうち、六十億円ぐらいは再外注をしておるわけですよね。その中で今回出てきたものが、外注先が二億三千万円ということですから、金額としては非常に限られたものにとどまっている。

 人件費で、いわゆる派遣社員などで三十六億、これはすごい金額ですが、派遣社員の人件費が三十六億。人海戦術でやったということなんでしょう。仮にこれはとりあえずおくとしても、残りが大体二十数億あるわけですよ。そのうちの二億円以外は外注先をきちっと出せないというのはどういう理由なのか、大臣、お伺いしたいと思います。

 もう改めて指摘するまでもありませんが、大臣はここは、もちろんお示しして御批判をいただきたいと思うとはっきり予算委員会で答弁されていますので、ここは責任を持ってぜひ御答弁いただきたいと思います。

冬柴国務大臣 責任を持ってそのようにさせていただきます。ただ、若干時間はちょうだいしたいと思います。

 それは、相手方が民間でございますので、そうすると数も多いわけでございますので、協力を求めながらそれはさせていただこうと思います。

細野分科員 この団体の中で、もう存続をさせないものとか、道路特定財源から行かない団体であれば、私はここまでしつこくは言わないんですね。この保全センターについては、いろいろな諸事情もあってこれからも外注先として道路からお金が行くということでありますから、これは原則公開をするということで今お約束をいただいた、そういう理解でよろしいですか。再度御答弁をお願いします。

冬柴国務大臣 これを残さなきゃいけないのは、MICHIシステムという著作権があるものを持っておるものですから、そういうことで今までそちらへ行っていたんですけれども、今回、これは非常に大きいということで、いろいろ調査したところ、著作権そのものにかかわるような部分、それの値段ももう少し値切ろうと。

 それから、そこから先ほど言われたような外注に出している、必ずしもそういう著作権と緊密な関係ではない事務の整理とか、そういうようなものは我々の方から、道路保全センターを経由じゃなしに、直接競争入札なり、そういう形で企画競争なりで発注をするという形で、ここに対するものは相当絞ろうという方針でございます。それは改革の中にも書いたとおりです。

 一部分をピックアップして調査したのは事実非常に少ないわけでございますけれども、そこから類推されるところで、我々としては急いでいるものですから、何もかも調査することはできませんでしたけれども、そこからうかがい知れる内容で、今言ったような形でここは改革していこうと。

 ですから、もう支払い額も相当落ちると思います。その内容も吟味をしたい、このように思っております。

細野分科員 大臣、しつこいようで恐縮なんですが、ここだけ確認させてください。

 では、道路保全センターから外注をしている再委託先については、これは公表するということでよろしいですね。

冬柴国務大臣 これは、前回も申し上げたとおりで、できるだけ公表をして、そして御批判をちょうだいしたらいい、私はそう思っています。

 ただ、さっきも言ったように、相手方が民民の取引になるわけですよね。したがいまして、こういうものはほとんど普通は出さないんですけれども、こういう事情も申し上げて協力を求めて、そして公表することについても御同意をいただきながらお示しをしたい、こういうふうに思いますので、その点は了解していただきたいと思います。

細野分科員 大臣、この道路関係の公益法人に関しては、民間だという枠を一回取っ払った方がいいと思うんですよね。

 この報告書を見ておりましても、役員の数を減らすとか給料を減らすとか、これは午前中も申し上げたんですが、内部留保を国に返すとか、およそ私人ではあり得ないようなことをこの報告書で出しているわけですよ。ですから、そこまで踏み込んで、これは官の関与の非常に大きいところだというところで報告書を出されたわけですから、そこは最後まで貫徹をしていただきたいと思います。

 今の御答弁で私は結構です。そこは……(冬柴国務大臣「僕は相手のことを言っている。こっちのことじゃなしに」と呼ぶ)その再委託先ですね。そこはわかります。ただ、そこにも税金は流れているわけですから、そこだけは大前提としてきちっと答えを出してきていただきたいと思います。

 大臣、もう一つ、私、要望したいんですが、国際建設技術協会、これは報告書がずさんだということで具体的に指摘をして、もう道路特定財源から出さないという趣旨の御答弁がありました。

 もう中身についてここで詳しく聞くことはしません。ただ、一つだけぜひ大臣にここで確約していただきたいんですが、実は昨年度も調査委託をしていまして、ここに報告書が来ているんですね。私がおかしいじゃないかと指摘したのが二月でした。それから一カ月かけて随分精査をされたようで、随分まともな報告書にはなっています。

 なぜこういうふうになったか。これは、委員会で私が指摘をして、いろいろあちこちで大きく報道されたこともあるんですけれども、これは、この報告書がどこかで必ず公開されるだろう、そういうたががはまったから報告書のレベルが上がるわけですね。

 大臣、ぜひここは確約をしていただきたいんですが、特別何か国益にかかわるとか、どうしてもここは企業名を伏せておかなければならないというものを除いては、道路特定財源から支出をした報告書、できれば私は国土交通省全体でしていただきたいですが、それも含めて、公費で出したものについては、これは原則公開ということをお約束いただきたいと思うんです。しかも、それもできるだけ皆さんに見やすいように、社会一般から、インターネットで公表するのが一番いいんですが、そのやり方を含めて原則公開ということを確約していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 これに対する費用の問題もあるんですよね。ある、おたくの党と違うところの人から言われまして、相当言われたから、私はそれを全部出してくれということで出してもらった。段ボールで何杯だと思いますか。物すごい量なんですよ。それは、予算委員会、決算委員会ですから、もう質問者が集中しますし、その人たちが最近は物すごい資料要求、それに芋づる式になりますから、どんどんふえるんですね。それが一つ。

 それから、であるからゆえに相当審議が深まっていますよ。私、本当に、今まで二十年ほどやっているけれども、僕はそれは敬意を表するんですよ。しかし、その裏には本当に大変な努力があることは知ってほしい。それで、費用もすごいです。ですから、そこはやはりターゲットを絞って、図書館をつくるわけじゃないわけだから、何か閲覧していただくような方法はしますけれども、全部持ってこいとか、それはもう大変なことになるんです。ですから、質問主意書もすごいんですけれども、一週間以内ですからこれも大変なことですけれども、みんなから資料要求が次から次に来ていますから、そういうこともあるので、そこは相談させてください。

 私は隠す必要は全くないと思いますよ、公費ですから、つくったものですから。成果物を隠す必要はない。ですけれども、それを、そのまま製本したものをそういうふうにして全部持ってこいと言われると、物すごい労力と金額がかかりますので、そこは趣旨は一致していますから、よろしくお願いしたいと思います。

細野分科員 そこは閲覧でもいいと思いますよ。皆さんに全部製本して渡すなんということは物理的に無理なことはよくわかっておりますから。

 ただ、大臣、これはぜひ御理解いただきたいんですが、こういう報告書を一冊出すのも、場合によっては一カ月ぐらいかかっているんですよ。要するに、道路特定財源が何に使われているかということについて、我々国会議員でも、一つ一つ調べて何がおかしいかということを調べるのにそれぐらい時間がかかっているんです。

 ですから、これまでは原則非公開なんですね、よっぽど行き着かない限り。そこを発想を変えて、閲覧でも結構ですし、一覧でも結構ですので、そこは、一応みんながアクセスできる状況にしていただきたいということを申し上げたんです。その趣旨は、大臣、御理解をいただいているようでありますから。では、一言お願いします。

冬柴国務大臣 特に道路特定財源について、どうなるかは別として、その使途として使われたものについては全部公開しますよ。

細野分科員 もう一点伺いたいのが、これは国土交通省ではなくて全体にかかわることなので内閣官房に、きょうは大内参事官に来ていただいておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。

 お伺いをしたいのは、今回、道路特定財源に関する公益法人で国土交通省が出した改革案、つまり、具体的には、先ほどもちらと指摘しましたが、役員の給与を引き下げる、定年制を設ける、さらには内部留保を取り崩して国庫に戻す。私はこれこそ埋蔵金の一つだと思いますが、それも含めて国土交通省の道路関係の公益法人については確約をされました。基本的には要請と書いていますが、それだけの要請をしてしっかり取り戻すということについても書いてあります。

 同じことがほかの公益法人にできないわけがないんですね。私は、公益法人にいろいろ話を聞きましたから、民間の本当に純粋なところがあるのも承知をしていますが、少なくともどこかで線を引いて、例えば公益法人のうち常勤の役員が三分の一以上を占める、そういう団体だけで数千あります。そういうところに関しては同じような対応をすることによって税金の無駄遣いをなくすということを当然やるべきだと思います。これは総理からの指示も来ていると思いますが、内閣官房として今どういう考え方を持っておられるでしょうか。

大内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、私どもの方で進めさせていただいております公益法人の見直し、集中点検と私ども申し上げておりますけれども、これにつきましては、国からの支出に依存する法人、それから、例えば国と随意契約を締結している法人などなど、行政と密接な関係がある法人を取り上げてということで、例えば、要らない業務でございますとか不適正な支出、そういうものをなくしていこうというコンセプトで私どもその点検を進めさせていただきたいと思っております。

 総理からの御指示、先ほど御指摘のように、行政の無駄という点、それから支出の見直しでございます。そういう観点からの法人の見直しでございまして、先ほど御指摘ございました国交省の方でおまとめになられました基本的な考え方、それから今後の整理の考え方、これは十分に私どもとしても参考としながら、各省それぞれ法人との関係、それから今お話ございました法人の性格というものは、公益法人、民間法人でございます。これにつきまして、例えば内部留保の問題でございますとか、どこまで指摘ができるかという問題についてもあると思っておりますが、それらについても少なくとも各府省と相談をしながら、その問題点を徹底的に洗い出していきたいという考え方で、現在作業を開始したところでございます。

 私ども、そういう点で、支出の関係からの見直しということを中心に、公益法人に対しての国の支出等々についてのやり方、そういうものを調査する、そして見直していくという考え方で現在進めておる次第でございます。

細野分科員 長々と御答弁いただきましたが、やるかやらないかよくわかりませんね。いつまでにやるのか。

 そして国土交通省が、公益法人については、役員の数、さらには給与、年齢を区切っているんですよ。やれるんですよ。国土交通省という、大臣を目の前に恐縮だけれども、一番これまで手をつけにくかった利権官庁がやっているじゃないですか。

 内閣官房がそんな答弁でいいんですか。これを一つの基準にきっちりやるということじゃないんですか。これから考えます、そういう話ですか。要するにこれが一つのスタンダードになるのかどうか、そこをきちっと答弁していただきたいと思います。

大内政府参考人 現時点で申し上げさせていただきますと、まず、六月中に取りまとめを行いたいということで作業を進めております。

 それから、ここの取りまとめられました考え方につきましては貴重な考え方だと存じ上げておりますが、これをすべての法人に当てはめることが可能かどうかにつきましては、現在の段階では今後また検討していかなければならないことだと思っております。

細野分科員 参事官、私はそんなこと言ってないですよ。要するに、公的な関与の非常に強いところをしっかり限定した上でこういうことができますねということを申し上げているんですよ。全部の法人で初めからやるようなことは全然考えていないし、それはやるべきではありません。

 これを基準に対象を限定してやりますね。しっかり答弁をしてください。

大内政府参考人 何度も同じ答弁になって恐縮でございますけれども、公益法人の性格は区々でございますので、それぞれの法人、それから各省との関与のあり方等々において今後検討すべき問題だと思っております。

細野分科員 どこかで大臣に聞かなきゃならないかもしれないです。これは渡辺大臣ですか、担当は。(大内政府参考人「いいえ、内閣官房です」と呼ぶ)内閣官房というか、あなたが担当者ということですね。(大内政府参考人「はい」と呼ぶ)担当の参事官がそれではだめでしょう。担当大臣がいらっしゃるなら大臣に聞こうと思いましたが、今の答弁ではとてもじゃないけれどもほかの省庁の公益法人について具体的な成果が出るようには思えません。

 我々も、この問題については関心を持っていますし、これは一つのかぎだと思っていますから。きょうは分科会なので余り激しくここでやり合っても、ほかの方にもきちっと聞いていただく必要もあると思いますので改めてやりますが、大変今の答弁は不十分だということだけは申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、残された十五分ほどの時間を使って、海洋政策について、国土交通の担当では必ずしもない部分がありますが、海上保安庁の担当の部分、さらには、大臣は海洋政策の担当大臣ということもございますので、あわせて伺ってまいりたいと思います。

 まず大臣にお伺いしますが、総合海洋政策本部が立ち上がりました。私も法律の制定に携わった経緯からいって、ようやくここまで来たなという思いがございます。

 時間も短いので簡潔に御答弁いただきたいんですが、これまでの各省庁がばらばらでやっておったものが海洋政策本部になってどこがどう変わったのか、どういういい面が出てきたのか、まずそのことについてお答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 昨年の、委員を初め両院の議員、それからまた有識者という、本当に与野党を超えてすばらしい法律をつくっていただきました。我々の悲願だったと思います。

 七月二十日にこれが施行されまして、総合海洋政策本部が内閣官房につくられました。本部長は内閣総理大臣であります。副本部長は官房長官と、その法律に基づく海洋政策担当大臣である私が拝命いたしまして、これを担当させていただきました。従来八省庁で担当していました海洋政策をここが取り仕切ることになったわけで、総合的かつ集中的にこのような海洋政策が行われるという仕組みができたということだと思います。

 これに基づきまして、三月十八日、ことしですが、海洋施策基本方針を策定いたしまして、これが閣議決定をしていただくことができました。したがいまして、これに基づいて行うわけですが、どこが変わったか。これは、八省庁から優秀な方々に来ていただきまして、総合海洋政策本部事務局というものがつくられておりまして、ここを中心にいろいろなことをやっております。私も定時に向こうへ行きまして、皆さんとお会いしていろいろな話を聞いております。各省庁の抱える問題もヒアリングをいたしました。

 その中から、当面立法する事項というものを抜き出しまして、そしてその中に、関係閣僚で法制チームを、正確な名前はちょっとあれですが、つくりまして、洗い出しました。その中から、今国会でも、日本の近海、特に内水、新内水あたりで徘回をするとか、あるいは不当に、理由なしに停泊をするとか、そういう船に対して取り締まりができるような仕組みの法律を現在提案し、審議をしていただいているということでございまして、今まで、これは外務省もかかわりますし、いろいろな省庁がかかわるんですが、そこが一堂に会して、本当に短い時間でこういうものができたというのは一つの成果であったのではないかというふうに思っています。

 今後も、立法すべき事項は挙げられておりまして、そういうものについていろいろ議論をして、今日提案ができなかったものもございますけれども、今後煮詰めていきたいというふうに思っています。

細野分科員 今、大臣の方から今後の立法の必要性についてお話がありました。そのこと自体は、私どももずっと取り組んできたところでございまして、私の方から具体的に要請する前に大臣からそういう答弁があったことは非常に重く受けとめたいと思います。

 今回、領海及び内水についての、いわゆる不審船に当たるような船について取り締まれる法律が出てきたわけですが、いろいろな段階があると私は思っています。内水、領海もありますね。その先には排他的経済水域があります、日中間では非常に今係争の種にもなっているこの問題。さらには、イエメンの沖で今回発生をした、いわゆるシーレーン防衛、これはもう公海になりますね。公海であるとか、場合によっては、他国の領海であるとか排他的経済水域の中での問題、そのあたりについてもいろいろ問題が出てくる。本来であれば、まずは近いところから整備をしていくのが筋なんですが、日本の場合には、残念ながら、一番遠いところでそういうことが起こる可能性があるということなんですね。

 きょうは海上保安庁にも来ていただいているので、まずちょっと御答弁をいただきたいんです。

 今回、日本のタンカーが銃撃を受けたということですが、こういう場合に海上保安庁としてどこまで何ができるのか。きょう来ていただいていますよね、海上保安庁。ちょっと幾つかケース分けができると思うんですが、正当防衛ができるのはわかっています。例えば、その船が、まともな船が銃撃してくるということは、よっぽどのことがない限り考えにくいわけですが、捕鯨のケースのようなことは別にして。これは海賊だということになった場合、海上保安庁として、当然、警察権の行使として拿捕、逮捕できるというふうに私は考えますが、法律的にできるんでしょうか、できないんでしょうか。

影山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、細野委員がおっしゃったように、公海上における海賊行為についてでございますが、まず、それが海賊船あるいは海賊行為かどうかの認定というものを現在外交当局にやっていただければ、国際法上は、当該海賊船に対して、公海上であっても、我が国、日本船舶がそういう被害を受ける、あるいは被害を受ける可能性がある場合においては、容疑者の鎮圧あるいは犯罪捜査をやる、こういうことは可能だというふうに考えております。

細野分科員 今、次長からの答弁は、非常に重要な答弁でもあるし微妙な答弁でもあるんですね。

 国際法上はできるということですね。逮捕をするという権限は、これは国権の非常に強い発動であるんですね。これを国際法を根拠のみで本当にできますか。国際法上はと言いましたね。では、国際法に基づいて海上保安庁はそれができるのかできないのか、これはまさに国内問題としてどうかということについて御答弁いただきたいと思います。

影山政府参考人 ちょっと仕組みがやや複雑で、うまくお答えできるかどうかあれなんですけれども、一つは、相手方が日本船に乗り込んでくれば、これは当然日本国内と同じ扱いになりますから、刑法で対応できると思います。

 それから、さっき申し上げました海賊船の認定ということがあって、しかも、日本船舶に対して危害を、やってきた場合、これは基本的に、やるとすれば刑法でやるということになると思いますが、それ以前としましては、海上保安庁法十八条というのがございまして、そこで、一般的な形になりますけれども、立入検査あるいは相手方の鎮圧という形になりますので、個々具体的な個別法律がないと全くできないかということについては、ちょっと今直ちに正確にお答えはしにくいんですけれども、仮に今の状態でそういうことになれば、恐らくそういうような法適用の関係で、我々としては、何もしないという形じゃなくて、そういうような形をとれるんじゃないかなというふうに考えております。

細野分科員 大臣も今聞いていただいておわかりになると思うんですが、基本的に排撃はできるんですよね、撃たれたものを追い払うというのは。これは正当防衛の範囲ですから、国内法がなくても、これは自然権的なるものですよ、それは当然できる。

 ただ、今の次長の御答弁を聞いても、果たして逮捕できるのかということについては、これは国際法上は、海賊に認定されれば海洋法上もできることになっているようでありますが、実際に国内法がない以上、現実には難しいんですよね。

 同じようなことは、排他的経済水域における他国の船の例えば科学的調査であるとか資源探査についても言えます。日本が本来は排他的経済水域として資源を確保できるところに他国が来て、そこで例えばいろいろなエネルギーの調査であるとか海洋的な調査をした場合に、これも取り締まれるかできないかというのはグレーゾーンなんですよね。

 事例は二つ違いますが、いずれにしても、今回、領海はできていますが、排他的経済水域そして公海上で、非常に日本の場合には法の空白がまだあると私は思っています。これは早急にやっていただきたい、改めて御要請したいというふうに思いますが、御答弁いただけますでしょうか。

冬柴国務大臣 今検討している最中でございます、その二点は。調査する場合も、我が国の同意が必要だということに海洋法上なっているわけでございまして、周辺国家はそのような法律を持っていますが、我が国は持っていないということで、これはそういうことを早くやるべきだろうということだと思います。

 もう一つ、外国の領土でも、我が国の刑法上、傷害犯というものがあれば、重大な殺人とか、これはできますよ。ですけれども、それは一般的ではありません。今の次長の答弁が正解だと思いますので、グレーゾーン、難しいところがありますね。ですから、そういうものについても法制が必要だろうというふうに思います。

 ただ、日本の海上保安が、例えばこれはロケットを持っている可能性もあるんですね、そういうものに対抗できないですよ。ここは、国際的ないろいろな、我が国のインド洋における給油活動等をやっていますけれども、それは目的は違うけれども、ほかの外国の軍隊というか、そこら辺を遊よくしていますよ。そういう人たちとどういうふうにこれをやるか。我が国の海上保安が、広いインド洋そしてまたこんなソマリア沖まで、なかなか難しいと思いますね、実際は。

細野分科員 これは本当に、大臣、あそこの海域というのは日本にとって生命線なんですよね。もちろん、海上保安庁の装備、これからいろいろ検討する余地はあると思いますが、海上自衛隊には海警行動というのを出せます。そういうことも含めて、本気でこのシーレーン防衛を国家としてやるということを、せっかくこういう本部をつくって、国を挙げて、これまでの海上保安庁だ国土交通省だ防衛省だという区分がなくなっているわけですから、実質的にそれを乗り越えているわけですから、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 最後に一問だけ。先ほど大臣からも言及がありました海洋基本計画ですね、この中に資源の探査についてさまざまな記述がございます。

 その中の一つの石油、天然ガスについて、「可能性が高いと判断される海域において基礎試錐等の基礎調査を実施する。」という記述があるんですね。これは事前に確認をしましたら、これには試掘も含まれると。すなわち、排他的経済水域において本当にその資源が埋まっているかということについての試掘ですね、それも含まれるということなんですね。

 今、東シナ海においてただ一つ試掘権が設定をされているのが帝国石油に対する試掘権でございまして、非常にいろいろと問題がある海域において日本の試掘権が設定をされています。ずっとここ数年間待っておるわけですが、残念ながら、日中の関係の中で、年末までの期限も守られなかった、どうも五月の胡錦濤国家主席が来られるというときまでの解決もできなかった。我が国として、ある程度主権の行使として試掘について、もう設定をしているわけですから、許可を出すべきだと私は思っています。

 大臣、これは最終的に経済産業大臣の御担当ですので直接の担当ではありませんが、せっかく担当大臣として君臨をされていますので、最後、この問題について、海洋基本計画に書いてありますから、御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

冬柴国務大臣 我が国は、EEZ、領海を含む四百四十七万平方キロという世界で六番目に広い海域を国際的に認めていただいているわけですから、これを守らなきゃいけません。そしてまた、その中には当然海底資源の開発及び利用ということがこれからの我が国の大事な政策目標であることは事実です。

 しかし、それと近隣との関係、向こうはやっているわけですけれども、こちらがするかどうかということについては、これは高度な政治判断等が必要だと思います。

 ただ、そこは我々は立法政策として、場所は特定しなくても、どういうふうにするのか、そして調査船というようなものについてどう対応するのか、これは立法する必要があると思います。

 しかし、今のように場所を特定して言われますと、私はここで答弁するのは若干差し控えさせていただきたいと思います。

細野分科員 では、これで質問を終わります。ありがとうございました。

上田主査 これにて細野豪志君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原分科員 民主党の篠原でございます。

 昨年も分科会で大臣に質問させていただきました。私の地元の千曲川の河川がだんだんだんだん高くなっていって洪水が起きるんじゃないかという問題を指摘させていただきました。

 ことしも、地元の問題、具体的に起こっている問題について、国土交通省の考え方をただしたいと思います。ただ、前半は、大臣にはお聞きいただいて、後で、この件についてどのようにお考えになるかということで御意見をいただければというふうに思います。ちょっと細かい問題なんです。ですけれども、非常に大事な問題ではないかと思います。

 今、いろいろな不正行為とかいうのをどうやってチェックするかというのが問題になりますけれども、欧米社会では第三者機関みたいなのが常にあって、そこがチェックするというのが行われているんだろうと思います。日本ではなかなか、食品の表示なんかの問題が典型的ですけれども、食品安全委員会というのをつくったけれども、はっきり言いまして、そんなにワークしているとは思えない。やはり行政機関の方が中心になって、そこがモラルでもって直していく。自分たちが、これはよくないから直していこうとか、そういうのが私は必要なんじゃないかと思います。

 そういう点では、ちょっと違う動きがありまして、内部告発といいまして、関係者が問題点を指摘するというのが起きつつあるんじゃないかと思います。

 それで、その典型的なのは、姉歯事件というか、あの案件だったんじゃないかと思います。イーホームズの藤田社長が指摘しまして、それで大問題になった。構造計算が、言ってみれば、でたらめに行われていて、安くなるような形で行われていた。そして、安く行われて、この問題は根が深いと思いますけれども、業界のプロたちはそれをわかるんだろうと思うんです。安上がりの構造計算をしてくれる人のところにあうんの呼吸で行っていたんだろうと思います。わかっていたのかわかっていないのかよくはわかりませんけれども、そういうのがあるんだろうと思います。

 ですから、そういう意味では、プロの皆さんがここはおかしいと言い出したのはよっぽどなことでして、それについては、私は、敏感に反応しなければいけないんじゃないかと思います。

 それはなぜかというと、第三者機関をつくって何か客観的にシラミつぶしにやるというのは手間がかかり過ぎます。ですから、何か悪いことがあったら、その都度、問題を指摘して直していく。それで、それを見てほかの人たちもああいうことはいけないんだなと思って、業界全体がいい方向にいくというのが、行政コストもかからない、いい改善の方法だと私は思っておるんです。

 この内部告発の件については、私は、これもまたおかしな方向に行っているんじゃないかと思いますね。今、鈴木宗男さんがおられましたけれども、国策捜査というようなので問題にされている部分はあります。

 そういうのかどうかわかりませんけれども、せっかく内部告発した藤田社長が、全然違う公正証書原本不実記載とかいうので逮捕されているというので、ここはおかしいと言っていた人が何か指弾を受けているような変な状況になっておるんですが、その後、国土交通省関係の、許認可とかいろいろなのがあると思いますけれども、このような内部告発があったんでしょうか。それに対してどのように役所側は対処してきているんでしょうか。

榊政府参考人 私ども、行政相談窓口としてホットラインステーションというのを設けておりまして、広く一般国民からいろいろな、例えば紛争の相談ですとか苦情ですとか、そういったようなものを受けております。

 その中の一環として、いわば公益通報者保護法に基づきますような内部告発につきましても、公益通報窓口というのを開設いたしておりまして、その窓口は十八年四月一日以降ということになりますが、そういったような形でやっております。また、関係団体に対しましても、公益通報者保護制度についての周知徹底等を図っているというようなことでございます。

 大体、ホットラインステーションに入りますのは一万数千件から二万件ぐらい、紛争相談とか苦情とか、そういったものがございます。

 ただ、公益通報窓口ということになりますと、いわば企業の内部告発という形になるので、そこの企業で働いておられるような取締役さんだとか会社員の方、こういう形になるのでその案件は実は少のうございまして、昨年でいうと六件程度になります。

 それ以外の、むしろ先生御指摘のような業界の方からの議論だとか通常一般国民からの苦情ですとか、そういったようなものがあって一万六千件から二万件、こういった数字になっておるところでございます。

篠原分科員 同じ問題でもいろいろ違うんだろうと思います。食品なんというのは、物すごい多くの当事者がいて、それにかかわっている。ですから、一般国民がいろいろ言ってくる。それに対して、構造計算なんというのは、私なんかだってあの事件があって初めて知りました。一般の人は何も知らないんです。プロの世界です。ですから、プロの世界で変なことが行われているというのは、プロの皆さんが指摘したりしてくれなかったら改善されていかないんだろうと思います。

 そういう点では、似たようなのが私の地元で起こっておりまして、資料をちょっとお届けしてあるので見ていただきたいんですが、不動産鑑定士の皆さんの告発です。

 これは私の地元の不動産鑑定士、その地域では十人しか不動産鑑定士がおりません。非常に広い範囲を担当している。長野県全体でも五十八人しか不動産鑑定士がいないそうです。全国でも限られて一万人もいないわけです、七千人ちょっと。

 そこのところの十人のうちの、一人は何か病気でやめておられて、九人しかいない。そのうちの七人、一人の人は何かちょっと違うんですが七人の皆さんがおかしいと言って、この不動産鑑定士懲戒処分、監督処分の申し立てを平成十八年の十一月二十七日にしてきました。これが時系列です。

 重立ったものは後ろの方にあります。これをよく、じっくり大臣も見ていただきたいんですが、次の二ページをちょっと見てください。黒塗りになっていまして、さんざん見ました防衛庁の提出の資料みたいで恐縮でございますけれども、個人の名前が出てきているので、一応消しました。

 これは抜粋ですけれども、四の1のところを見ていただきたいと思います。「「不動産鑑定五訓」のいくつかの違反に」の二行目にある「正常価格を隠ぺいし、かけ離れた価格を求め、依頼者の価格に迎合した価格と疑われてもやむを得ない」ようなやり方で鑑定しているという。これは、構造計算書の偽造と非常に似ているんですよ。不当な鑑定評価。

 どういうことかというと、要するに、安上がりなんです。この方は、固定資産税とかそういうのを低くするように頼まれると非常に安く評価して、これが評判を呼んで、この方のところに非常に仕事が行くようになるわけです。注文が多く行っている。

 それで、あちらの住宅の方の場合は、変な建物ができて住民が危険にさらされたりするわけですけれども、そういうのはありませんけれども、こちらはどうかというと、不動産鑑定全体の信用を傷つけているんじゃないかと思います。

 そして、低い評価額になることによって、その市町村の税収が不足したりする、あるいは財産が不当に低く評価されるというような問題が起きている。それをプロの七人の人たちが、これはおかしいと、担当者がかわったことで前の人がどうやって評価していたかということを調べてみたら、とんでもないでたらめをしていた。

 どういうことかというと、私も目についた資料ですから大臣もよくおわかりいただけるかと思いますけれども、全国各地で地価公示をして、これは国がやるわけですけれども、県もやっているわけですね。標準地、基準地があるわけです。

 そこの価格を見て、そして何年たった、社会状況が変化してきた、道路ができた、住宅ができた、便利になった、だから地価が上がっているというので、それと比較して決めるんですが、この方は、隣のと決めると高くなっちゃうんです。だから、余り関係のないとんでもない遠くの方のとわざと比較して決めている。見たら、そういうやり方ばかりで、ほかの人たちがやったらもっと高くなるはずのを、常に低く低く鑑定評価をずっとし続けていたということが発覚したんです。これはおかしいといって告発したのがこれです。

 それで、十八年十一月二十七日にこういう申し立てをしたけれども、さっぱり返事が来ない。一回目、どうなっているんですかと、Bですけれども、督促した。二回目も督促した。そうしたら、九カ月ぐらいして国交省の担当者が現地に来られて事情聴取された、一番の中心になって告発している不動産鑑定士のところのようです。

 それでは呼ばなくちゃいけないということで、この方を国交省に呼んで事情を聞いたというのがE、Fですね。ところが、その結果、大したことない、何も問題はないというような通知になってしまったんです。

 その一連のは、ちょっとまた資料に戻って見ていただきたいんですが、そうすると、三ページは省いていただいていいです。四ページ、これが措置要件についてです。

 そして、一番よくないのが、五ページを見ていただきたい。これは、国交省の担当課に渡っているかどうかわかりません、何ともおとがめがなかったわけです。なぜおとがめがないのかわからないんですけれども、その前に、非常にぶっきらぼうな紙しか行っていないわけですけれども、この方は開き直っているんです。

 下の方を見ていただきたいんですが、「全体責任と云う考え方から、もし訴訟が有った場合には相手方には「立たない」と言う暗黙の合意事項があったと記憶しています。」ちょっとよくわからないんですが、ともかく穏便にしようといってみんなで談合的なことをしているじゃないかと。それを、「今回は相手方でなく国に訴えると云う愚行」、これをやった。だから、協会は一定の方向を示していただければと考えた、こういう文章です。

 私は、一事が万事だと思います。この一言、完全な開き直りです。自分は悪いことなんかしていない、何か、いじめているのは周りだということです。

 私は、これはよくわかりませんけれども、その次、六ページを見ていただきたい。地価調査課長からの通知は、六行だけの非常にそっけないものですよ。四行目を見ると、「当該鑑定評価は不当とは認められず、」五行目、「懲戒処分には該当しないと」。理由も何も書いていない。

 それに対して、去年の十一月十九日、また皆さん、それじゃ余りにひど過ぎるんじゃないかということでペーパーを出しておられます。そこから抜粋したのですが、四と五、七ページのところを見ていただきたいんです。客観的に鑑定評価しなくちゃならないのに、三行目ですけれども、自由で気ままな鑑定評価が可能となってしまう、正直に一生懸命鑑定評価している人がばかを見る。安くやっている人ばかりのところへ仕事が行く。仕事が行くとか、それだけじゃないですよ。

 彼らは、仕事云々じゃなくて、エリア協定ができていて、そんなに過当競争でもないのでいいんですが、この人の、ちょっと変なことをしているのが担当している地域は全部安く評価されているということがわかってきたわけです。それを放置しておくのはよくないんじゃないか。だれがやったって同じような結果が出るのにもかかわらず、この人がやると低くなるということです。

 そして、十の、最後、私が考えたのと同じ結論になっている。十の一番最後の行、例の耐震偽装事件と似たような状況を呈していると。私はこれは非常に大問題だと思うんですが、これについて、国土交通省の担当局、担当課は、どのように対応してこられて、今後どのように対応されるつもりでいるでしょう。不当なことは行われていないという、このままにされるつもりでしょうか。

 特に、もう一回来ているわけですよ。それに対しては、また数カ月、もう五カ月ぐらい何の返事もない、ほったらかしになっているわけです。そして、不当ではないという理由は何にも示されず、六行の紙切れ一枚で済ましているんですね。全部を持ってきませんでしたけれども、ちゃんと理由を教えて欲しいと言っているわけです。

 こういうのにまじめに答えていただきたいんですが、どうなっているんでしょうか。

小澤政府参考人 今御指摘のございました不動産鑑定士が不当な鑑定評価を行っているのではないか、そういう告発の取り扱いにつきましては、不動産の鑑定評価に関する法律というのがございまして、そこの四十二条で、「不当な鑑定評価等に対する措置の要求」ということが定められております。その規定に基づいて要求されるという場合がございます。

 そういう場合につきましては、一般的には、私どもの職員が措置要求なさった方、それから措置要求の対象となっておられる方の双方、それからそれ以外の関係者から事情を聴取いたしまして、現地も確認した上で、鑑定評価の手順に不当な点はないか、鑑定評価額が妥当なものであるかという点を中心に、当該事案に係る鑑定評価書の審査というものを実施してきているところでございます。

 若干お時間がかかっておりますのは、年間に、こういう措置要求に至らないもので御相談がある案件が結構ございます。十件以上ございますので、そういったものの処理を並行しながらやっているところもございまして、多少お時間がかかっておりますが、今申し上げたような手順を踏んでやっておるところでございます。

 その結果、不当な鑑定評価を行ったと認められるときには、国土交通大臣は、土地鑑定委員会の意見を聞いた上で、不動産鑑定士に対する登録消除や一定期間の業務停止といったような懲戒処分を講じることとされておるわけでございます。

 今回御指摘のあった案件につきましては、今申し上げた手順を踏んで審査いたしましたところ、鑑定評価の手順や評価額には不当な点はないというふうに受けとめておりまして、懲戒事由には該当しないという結論になったところでございます。

 ただ、この鑑定評価の過程の中で、例えば、記載事項で、周辺の地価と比較したときに、もう少したくさんのものを調べておるにもかかわらずそういう記述がないという意味で、丁寧さを欠いている、説明が不十分だったというような点もございまして、そういった点については御指導申し上げているところでございますが、結論的には懲戒事由には該当しないという案件になったわけでございます。

篠原分科員 私は、これは専門家に任せなくちゃいけないんですが、九人実際に仕事をしている人たちがいる。そのうちの七人がおかしいといって連名で措置要求をしてきている、これは、私はただごとではないんじゃないかと思います。閉鎖された社会の出来事なんです、わからないんです。

 皆さんも、国交省もプロかもしれませんけれども、ずっと地元で不動産鑑定をしておられる方こそプロ中のプロじゃないかと思います。同じやるにしても、もう少し丁寧に理由を示すということをしていただいていいんじゃないかと私は思います。

 これは日本社会の問題ですけれども、まあまあ、なあなあの社会なんです、欧米社会と比べてです。欧米社会は、規則、罰金です。

 大学で、例えば私が経験した大学、アメリカに留学したときに、びっくら仰天しましたよ。図書館から本を借りて、一週間ちょっと忘れたのが一冊あったら、それで試験を受けさせないと、もうコンピューターで登録されているんですね。

 それでやったら、もう一つあると。何だと言ったら、キャンパス内で駐車違反をしている、駐車違反の違反の金を払っていないと。そんな、私、駐車違反をした覚えがないんです。そうしたら、何人かが私の車を借りているのが、何人もが駐車違反をして全然金を払っていなくて、人にツケを回してきて、私は大量に払ってやっと試験を受けさせてもらったとか、こういう社会ですね。

 私が行政で携わった漁業なんかも、ちょっと日本はなまくらなんです。相当悪いことをして資源を枯渇させる、でも、操業停止一カ月とか三カ月です。アメリカだと、親族、従業員を含めて未来永劫、漁業界にはタッチできないというんですよ。信じられないですよ。それだけ厳罰に処しているんです、ルールは守るべきだというのがあるんです。

 私は、これは、非常に少ない社会でプロたちが切磋琢磨してやっている。指摘を受けた。せっかく指摘をされているのに、何か、こういうふうに処分なしだとなると、どうなるでしょうか。皆さん同じようなことをし出すということになってしまうんじゃないでしょうか。どっちにしろ、きちんと説明していただくことが絶対必要だ。

 もうこの処分を変えられないのなら変えられないでいいのかもしれませんけれども、ちゃんともっと説明してください、それだけは約束していただきたいと思います。

小澤政府参考人 措置要求についての審査結果の取り扱いということにつきましては、あくまでも、審査した結果が懲戒事由に該当するという場合については、その内容等につきまして措置要求者の方に通知をして、ちゃんとお知らせをするというふうになろうかと思います。ただ、懲戒事由に該当しないと判断された場合につきましては、該当しないと判断したことのみを措置要求者の方に通知をするという手続をとらせていただいてございます。

 これは、措置要求の中身が、背景やいろいろなものがございますから、そういう中で国土交通省が行う審査の着眼点なんかを公表するということについて、いろいろ不当の疑いのあるような鑑定評価についていかなる審査が行われるかというようなことが不動産鑑定士さん皆さんが御存じになるというのも適切なことではないというふうに受けとめているからでございます。

 ただ、こういう関係者からの御指摘について、いただいたものの中で鑑定評価業務の適正化という観点から一般的に整理をして、取り上げるべきものについては、関係団体あるいは関係業界等にもいろいろな機会をつかまえて周知をしてまいりたい、こう思っているところでございます。

篠原分科員 ぐだぐだ答えておられますが、私のにはイエスかノーかで答えてもらえばいいだけなんですけれども、こういうのをほっておいてというか、一回やったものを変えないとかいうのはだめですよ、それは。せっかくやってきて、そしてまた、これはおかしいと言ってきている。この当事者は、おれの方が正しかったんだといって開き直っているわけです。これじゃよくなっていかないんじゃないかと思います。

 再度、ちゃんと調査するという考えはないんでしょうか。そういう事例はなかったんですか。ちゃんと処分をしたりした事例はどのぐらいあるんですか。私は、こういうのがあったりしたら、きちんとそれなりの処分をてきぱきしていくべきだと思います。そうじゃないと示しがつかなくなるんじゃないかと思いますけれども、もうこの件については何もされるつもりはないんでしょうか。イエスかノーかだけで答えてください。

小澤政府参考人 先ほどちらっと触れさせていただきましたが、措置要求の対象となられました方に対しては、鑑定評価の記載について説明不十分なところがあったというふうには私どもも見ております。したがいまして、そういうことについて適正な処理をするような指導といったことについてはさせていただいているところでございます。

篠原分科員 また答えになっていませんけれども。この長野県の会長に出したペーパーはもう入手されていたんですか、いないんですか。このペーパーを見てください。開き直りですよ、完全に。

小澤政府参考人 このペーパーは、先ほど先生からお見せいただいて初めて承知したものでございます。

篠原分科員 よく見てください。大臣、このような案件は、私は、絶対にきちんともっと客観的に、せっかく時間をかけてペーパーを出して指摘してきているのに、たった六行の文字でぽんとやって、はい、終わり、説明もない。これは姿勢としてやはりよくないんだろうと思います。

 こういうことは絶対改善していただかなくちゃいけないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 ちょっと私も急なことで、法律もちょっと調べたらわかると思うんですけれども、これが処分なのか、あるいは、措置要求ですから、懲戒権者に対して同業者が措置の申し立て権があるのかどうか、そこら辺を調べないといかぬと思います。その申し立て権がもしあるとするならば、通知という形で懲戒処分に値しないという判断をしたものに対して、行政手続法に基づく行政訴訟を起こして、これの取り消しを求めることができると思うんですね。

 こういうものについて、今言いましたように、もし懲戒処分する場合には、その懲戒の理由というものを詳細にしなきゃならないけれども、いろいろ調べた結果、懲戒に該当しないという判断をしているわけです。その場合には、その内容は記載しない、告知しないというようなことは、これは往々にしてあると思います。

 したがいまして、私もこの法制をもう少し調べてみないといかぬと思うんですが、私の方は、不動産鑑定士を所管する役所として、例えば弁護士とかそういうものには自治権がありまして、弁護士会が懲戒権を持っているんですね。そういうところは別として、ここはそういうものがないんじゃないかと思うんです。そうすると、やはり監督する私どもが懲戒をしなきゃならないものがあるんだろうと思うんですね。それで、それについて不服がある場合は、やはり行政手続法で是正していくものだというふうに私は思います。

 それから先ほどの、私ずっと聞いていまして、これもまだ余りあれしていませんけれども、公益通報者保護法というのがありますよね。これは、雇用関係にある労働者が、自分が、給料を払ってくれているところへ、仲間とか、あるいは、仲間だけじゃなしに会社ぐるみでやっているということを通報した場合に不利益を与えてはいけないという法律でして、とにかく労基法九条に該当している人が通報した場合にということで、そうするとこの不動産鑑定士の場合は雇用関係がないわけですね。

 そういう意味で、ダイレクトにこの法律が適用される場面ではないんじゃないかなという感じもいたしますが、にわかのこと、私は弁護士ですからそういう理解はしていると思うんですけれども、若干そういう感じを持ちました。

篠原分科員 弁護士の世界も非常に高いモラルを要求されておって、弁護士の処分というのはありますね。僕は、不動産鑑定士の世界も同じだろうと思う。国家試験を受けてやっている。ですから、大臣がおっしゃったように自治権とか、弁護士会ということじゃないですから、やはり行政の役割が非常に大事なんだろうと思う。僕は、ここはぴしっとやっていただかないといけないんじゃないかと思います。この件はこれでやめます。

 次に、質問をいっぱい用意していたんですが、あと五分ほどしかないので急いでさせていただきますけれども、問題は、道路です。道路特定財源、いろいろな意見があってごたごたしておりますけれども、私は、地方の道路は優先してやるということをぜひ大臣の方から号令をかけていただかなければいけないんじゃないかと思っております。

 私は、毎日新聞をとっておりまして、冗談が好きですから川柳のところをよく見ておるんですが、これについて、はっと思うのが二つありました。「道路でき村が消えたよ道路特定財源」、皮肉っているわけですね。「道路より田畑残せ自民党」、田んぼや畑がみんななくなっちゃってということなんですね。

 ですから、私は、そういうことが何で起きているかというのを、でかいアクアライン、道路はできたにこしたことはないんですけれども、地方の道路を優先的に、こういう落としどころをもう賢い人たちは考えておられるかもしれませんけれども、地方の人たちの方がずっと払っているわけですね、納めているわけです。それが地方に行かないというのに怒っておられるわけでして、それを地方に行くようにという配慮をしていただければいいんじゃないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 道路は我が方の国土交通省でつくる部分もあれば、農林水産省所管の林道とか農道とかそういうものもあるわけで、それとジョイントする制度もありますけれども、今おっしゃったのは、やはり国道とか地方道のことですか。(篠原分科員「はい」と呼ぶ)私は、それは非常に大事な視点だと思います。

 したがって、今回の道路中期計画を見ていただいてもわかりますけれども、この国には百二十万キロの道路があります。それは、何か全部国道のようなことを言う人がありますけれども、とんでもない話で、国道は十九万キロです。残りは全部地方道でございます。

 その地方道について我々は補助したり、あるいは地方が単独でやられる面もありますけれども、そういうものについて、我々は、生活に必ず必要な道路を、道路中期計画の中にも生活道をきちっとやっていくということも書いてありますので見ていただいたらわかりますけれども、我々の道路としてもそういうふうに考えておるところでございます。

 何も高速道路だけつくるとかそういうことではなくて、学童が四十人以上通っている道路というのは十一万キロありますが、そのうち四万四千キロは歩道がないんですね、路肩を歩いているんですよ。そういうものも整備しなきゃならない。そういうことが中期計画の中に入っておりまして、ぜひ、そういう意味で御理解をいただきたいと思います。

 今委員がおっしゃった、何か道路ができたけれども村が消えた、それは大変な話でございまして、そういうことにならないように、我々としては、病院へのアクセスも必要です、そういう意味でいろいろと考えた結果が中期計画になっております。

篠原分科員 最後に要望だけ申し述べて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 資料八ページと九ページにあります、農道と林道の、さっき百二十万キロとおっしゃいましたけれども、農道で六万三千キロぐらいあるんですね、林道で十三万キロ。多分、農林水産省予算、上田さんのおられた組織のところでつくったんですが、農道、それから林野庁の予算で、これだけつくっている国はないんだろうと私は思います。

 これはなぜこうなったかというと、必然的ですね、昔からつくっていたわけじゃないんです。旧建設省、国土交通省の皆さんが、BバイC法で車がいっぱい通るところ、車がいっぱい通るところということでそっちを優先した結果、地方はほったらかしになっている。そこの合間を縫ってやらざるを得なくてやってきたんだろうと思います。私は、これは変な仕組みじゃないかと思います。そういう点では、ぜひそちらの皆さんも頭の片隅に入れておいていただきたいんです。

 一般財源化に反対論があります。私はそれはもっともだと思います。田舎の人たちがほとんどなんです。東京都中野区は三軒に一軒しか車がない。長野県なんかは一家に三台持っている。一軒当たり十倍払っているんですよ。そういう感じになるんですね。茨城県千代川村というのが一番多いとか、民主党の資料の中にありましたけれども。

 それから、理屈がつかなければいけない、いきなり福祉だ教育だというのはおかしいと。環境税という議論がありますけれども、工場廃液がどうかというと都会に使われることになります。地方が払っているんです。地方に返すべきなんです。それで、CO2を出しているのは車、石油なんです。それで納めた税金を三・八%吸収している森に返すというのは、これはだれしも納得して、市町村長やうるさい都道府県知事もすとんと落ちるんじゃないかなと思います。ですから、何分の一かとは言いませんけれども、地方に返す。

 森林が有効活用されないのは、道路網が発達していないからなんですね。切り出しても金がかかり過ぎる。その道路を優先的につくっていい、そして森林整備もしていいと。なぜかというと、四十七都道府県のうち三十都道府県がもう森林環境税をつくっているわけです。国もそれをしらばっくれているわけにいかないので、そういった解決策を考えていただけたら冬柴大臣の声価もますます上がるのではないかと思いますので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけたらと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。

上田主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田幹雄君。

藤田分科員 自由民主党の藤田幹雄でございます。

 二月のときも国交省の方に質問させていただきました。引き続きまして、今回も国交省に当たりましたので、ぜひまた御答弁をいただければと思っております。

 前回は、いわゆる湾岸船橋インター、私の選挙区の船橋市のこと、道路特定財源の暫定税率がなくなることによってこれがなくなってしまうんじゃないかという御質問をさせていただきました。案の定、今回の結果を受けまして、今、箇所づけの国交省の報告がすべて傍線で数字が入っていない状況になっているわけでありまして、私の選挙区の方からも不安の声が相当大きく上がっております。そのことについて後半部で詳しくお聞きしたいと思います。

 前半は、きょうは実はもう一つございまして、我が船橋市は、あのいわゆる姉歯問題での耐震基準の物件がやたら多かったところでございまして、何と、当初発表の二十一件のうち五件は船橋市でございました。ということから、私を支援していただいている団体からも不安の声が上がっておりまして、そのことをまず御答弁をお願い申し上げたいと思うところでございます。

 最初に、今申し上げたように、五件が船橋市でございまして、幸いにしてというか、分譲マンションは、だれも住まわれなく終わったケースがほとんどでありました。しかしながら、船橋以外のところでは実際お住まいになられた方々もあったというふうに聞いております。その姉歯問題も解決しようという運びになっておるわけでありますが、まずこの問題に関して、国土交通省の今後の建築確認制度の工夫のことと、それから、事件の経緯を今もう一度振り返ってどのようにお考えかというのをお聞かせいただければと思います。

冬柴国務大臣 平成十七年の暮れだったと思いますが、姉歯問題が起こりました。大変な問題でして、震度五強で崩壊してしまうというような高層建物をつくる、とんでもない話だと思います。

 これに対して、建築、特に中小企業、中小建築業者の建てた建物というのは全く売れなくなりましたね。そういうことから、結論的には、それを買った人がダブルローンになる。せっかく、とらの子といいますか、本当に、これからの長い人生の中で、住宅ローンを組んでこれから大きな債務を負いながら、しかしながら、家族がともに過ごせる憩いの場をということで喜んで住んだところが、そういう崩壊の危険があると言われたときに、人間がどんなにショックを受けるか。

 私は、もう二度とこういうことがこの国で起こってはならないというふうな思いから、建築士法の改正、建築基準法の改正、そして、これも大変技術的な法律になりましたけれども、そういうものを買った人に対して、民法ではたった一年しか瑕疵担保責任というのがないんですけれども、これは十年間、そういう損害を受けた人に対する売り主あるいは建築主の責任を認める法律で、その売り主とか建築主が倒産をしてしまったら、これもまた絵にかいたもちになりますので、これを保険制度等あるいは供託金制度という形で、何とか、二重ローンには絶対させないというような思いでつくりました。

 ところが、これの施行が、大変大きな法律であるにもかかわらず、成立後たった一年で施行しなきゃならない。これも皆さん方が確かに急がれたから、こちらとしても一生懸命周知徹底を図りながらやりましたけれども、これは六月二十日に施行しましたが、七月、八月、九月は惨たんたるものでした。

 それは一つは、ダブルチェックするものについては、今までは申請後二十一日で確認をおろさなきゃならない規定があったのが、七十日、ダブルチェックするものですから、というようなことですから、七月、八月、おりないのはもう当然の話なんですが、大変な影響が起こりました。

 これについて、もう一つは、大臣認定プログラムというものができれば、これを使えば、七十日を三十五日でやる、また、やれることになったわけですね。ところが、いろいろな人が考えてやったんですが、これが難しくて、年を越えて、ことしの三月二十五日にしかこれを本認定することができずに、大変な迷惑をかけました。

 私は、住宅を所管する者として、国民及びそれについて大変な御迷惑をこうむられた中小企業の方に心からおわびを申し上げているところです。

 幸い、ことしに入りまして、申請件数も、また確認件数も、着工件数も通常の年に戻りました。前年度比では確かにまだ一けたですが、三・五%とか、マイナスですけれども、前年が百二十九万戸と今まででは最高の着工ですから、それと比べるとマイナスになるのはどうかとは思いますけれども、いずれにいたしましても、まだこれでも十分ではないと思いますけれども、何とか正常に戻して、国民経済にも影響を及ぼすことのないように、そしてまた、これに関連する業界の方々の御迷惑を最小限に抑えるということの努力をしなきゃならない。心からおわび申し上げたいというふうに思っています。

藤田分科員 大臣、ありがとうございました。

 今大臣から大変御丁寧な説明をいただきました。実は三問ぐらいの質問に全部答えていただいたような形になってしまいまして、質問の数が足りなくなってしまうのかなと思うぐらい大変御丁寧な説明を、ありがとうございました。

 とにもかくにも、今後着工件数に影響も出るでしょうし、それに伴って経済に大変悪影響が出る可能性があると思います。一部重複してしまうと思いますけれども、その辺のところを、今後の運用も含めて、改善点等々、今お考えのことを聞かせていただけますでしょうか。

和泉政府参考人 委員御指摘のように、今大臣がほとんどすべて答えましたので、数字を少し補足したいと思います。

 まず、住宅着工でございますが、六月二十日の施行以降、七月から大幅に減少しました。七、八、九と減少しまして、九月が底でございました。この時点では、全国六万三千戸、対前年同月比でマイナス四四・〇%、年率換算七十三万戸といった数字でございました。

 幸い、大臣からも今御説明がございましたように、九月を底に十月から増加に転じまして、本年一月及び二月の二カ月間の着工戸数は、対前年同月比で一けた台、こういった形でございまして、年率換算も、百十五万戸から百十八万戸、こういった状況でございます。

 ちなみに、こういった落ち込みが景気、経済に与えた影響でございますが、これまたいろいろな委員会で内閣府が答弁してございますが、政府の経済見通しにおける平成十九年度の実質GDP成長率の実績見込みにつきまして、民間住宅でマイナス〇・四%、民間非住宅でマイナス〇・二%、合計〇・六%下押し要因になったという説明をしています。しかしながら、厳密に言いますと、基準法の施行前の四―六月期、これも対前年四・四%のマイナスでございますので、この〇・六がすべて改正建築基準法のせいというわけではございませんが、大宗は改正建築基準法の施行に伴う混乱、こういったものが原因でこういった経済的なマイナスも生まれたわけでございまして、大臣からも申し上げましたとおり深く反省しておる、こういった状況でございます。

藤田分科員 ありがとうございました。

 今後また国土交通省としてもその対処について努力を重ねていただきまして、混乱のないようにしていただければと思います。

 そして次に、我が国の耐震化の現状についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 耐震化というものが国民にとって今大変不安を感じたりあるいは興味を持っているところだと思うわけでありますが、これからの計画と予算というものを改めてお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、耐震化は極めて大事でございまして、阪神・淡路大震災でも死因が特定できる死者の方のうちの八八%がやはり建物の倒壊で亡くなっている、こういった状況でございます。そういった意味で、耐震化は急を要するわけでございます。

 ちなみに、データでございますが、人が居住する住宅の総数、現在、平成十五年の最新の調査で四千七百万戸でございますが、そのうちの二五%が耐震上問題がある、こういった状況でございます。加えて、不特定多数の方が集まるホテル等、三十六万棟ございますが、これにつきましても二五%程度が耐震上問題がある、こういったことでございます。

 平成七年の阪神・淡路大震災の直後に臨時国会で耐震改修促進法を成立させていただきました。それに基づきまして、国土交通省が示しました基本方針の中では、平成二十七年までに少なくとも九割の耐震化を実現する、二五%危ないというものを一〇%へ落とす。

 こういった目標に従いまして、この改修促進法の改正に基づく都道府県の耐震改修促進計画、これは四十七全部できておりますけれども、こういったものに基づきまして、各公共団体で耐震化の促進に努力をしていただいたところでございます。

 今委員御指摘の予算でございますが、これも一生懸命努力しておりまして、平成十九年度は国費百三十六億五千万でございましたが、これを二十年度は、全体厳しい中で百七十億円に増額しました。また加えて、その補助率と申しますか助成の程度でございますが、従来は、戸建て住宅等の耐震改修は地域要件がございました。密集市街地とか避難路の沿道、こういったものにつきまして、特に所得が低い方につきまして全部撤廃しまして、加えて助成率も、従来一五・二%程度であったものを二三%へ、さらに加えて避難場所になるような公民館とか、こういったものにつきましては従来一五・二%でありました補助率を一気に三分の二に引き上げる、こういった努力もさせていただいております。

 いずれにしましても、こういった状況の中で都道府県や市町村と連携をとりながら耐震化の目標実現に向けて最大限の努力をしてまいりたい、こう考えております。

藤田分科員 ありがとうございました。

 ことし大変財政が厳しい中で予算をかなり多く、去年以上にとっていただいている、大変すばらしいことだと思います。

 その一方で、東京を中心に港湾地域は大変地盤も弱く、また建物も古いものが多いという中で、やはり一刻も早くこれに対応していただければというふうに思うところであります。

 船橋市のことばかり申し上げて申しわけないのですが、千葉県全体も同じ傾向なんですけれども、港湾区域というのが大変多うございまして、その部分においては大変地盤も弱いわけであります。その一方で、岸壁に関して、またこれから延長したりあるいは整備をしたりということがかなり要望の項目として上がっているわけであります。

 貨物について、取扱量とか貿易額等々がもしわかれば、その御説明をお願いします。そしてまた、我が船橋市のあります千葉港、これがどのぐらいの順位であるか、全国の順位をまたお知らせいただきたいと思います。

須野原政府参考人 千葉港につきましては、重要港湾の中で国際海上輸送網の拠点として特に重要な港湾として、特定重要港湾に指定しているところでございます。

 その中で、千葉港の港湾区域の面積でございますけれども、二万四千八百ヘクタール、また岸壁の延長は約六万八千メートルでございます。さらに、二〇〇六年の港湾取扱量でございますけれども、約一億六千六百万トン、貿易額約五兆円となっておりまして、港湾区域面積では全国第一位、また取扱貨物量は全国第二位、貿易額につきましては全国第六位ということで、我が国を代表する港湾でありまして、我が国の産業あるいは地域経済を支える非常に大事な港でございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 その大きな大事な千葉港における、先ほどお尋ね申し上げました耐震強化の整備の現状についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 大規模地震が発生した場合におきまして、被災地への緊急物資あるいは被災者などの輸送を確保するために、千葉港におきましては、船橋地先の葛南中央地区に四バース、千葉中央地区に三バース、計七バースの耐震強化岸壁の整備が計画されております。

 この葛南中央地区の四バースのうち二バースにつきましては既に整備が完了しておりまして、残る二バースのうち一バースについて平成二十四年度供用を目指して現在整備が進められています。また、千葉中央地区におきましては、三バースのうち二バースの整備が完了しているところでございます。

藤田分科員 御答弁ありがとうございました。

 港湾というのは、大事の際は当然救護とか緊急輸送の拠点にもなるわけでありまして、その整備についてはぜひとも御努力を続けられることを希望申し上げるところであります。

 そして、耐震強化岸壁の整備を今後進めるべきということでありますけれども、このことについて国土交通省の御所見をお伺いしたいと思います。また、それだけではなくて、港湾と市街地をつなぐ橋とか道路の耐震化についても整備することが急務であると思われますが、この点についても御答弁をお願い申し上げます。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、大規模地震対策としまして、被災地への緊急輸送活動を支援するために耐震強化岸壁の整備を推進するとともに、これに連絡する道路の耐震補強、あるいは市民等の避難地として利用される避難緑地等の整備を進めるなど、臨海部の防災拠点機能の強化を進めているわけでございます。

 御指摘のございました耐震強化岸壁につきましては、平成十八年三月に耐震強化岸壁緊急整備プログラムを策定いたしまして、平成十八年度から二十二年度の五年間で耐震強化岸壁の整備率をおおむね七〇%に向上させることを目指して、その整備を進めているところでございます。引き続き、緊急度等を勘案して重点的に整備を行っていきたいというふうに考えております。

 また、港湾と接続します都市市街地等をつなぐ橋梁、道路等の耐震性でございますけれども、阪神・淡路大震災以降、大規模地震発生時等の円滑で迅速な応急活動を確保するために、緊急輸送道路に対して耐震対策を進めてきたところでございます。さらに今後十年間で、港湾施設に連絡する緊急輸送道路も含め、緊急輸送道路全線についてすべての橋梁の落橋、倒壊を防止すること等を目標に、引き続き耐震対策を進めてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございました。

 ことしは洞爺湖サミットもあるということで、環境問題というのが国際的な大きなテーマになってくると思います。そういった中、そしてもう一つ、原油も高騰しておりますし、船舶による輸送というものがこれからますますもっと見直されていくべきではないかと思うわけでありまして、この辺の点も含めてぜひ政策誘導の方をお願い申し上げたいと思います。

 そこで、内航海運の現状でありますけれども、このことについて、輸送全体の今どのぐらいの割合を占めているのかということ、そしてまた、これらの積極的な役割を示すためにどのような見直しを今後図られていくのかということのお答えをお願い申し上げます。

冬柴国務大臣 内航海運は大事でございまして、三八%、四〇%近くを運んでいるんですね。特に、鉄鉱石とかセメントとかエネルギー、こういうものの八割を内航海運が担っています。したがいまして、我々の日常生活だけではなしに、国家の基幹の産業であります。

 ところが、問題もありまして、そこで働く船員さんが高齢化し、そして大変不足しているわけです。そういうことから、このような船員の確保及び教育、若い人を確保する、そういう政策にことしも予算をいただいて、これからやっていこうということをしております。

 もう一つは、環境に優しいんですね。内航で運んでいただければ、トラック輸送から比べて非常に、CO2の排出量が四分の一以下なんですね。しかも、トラックの場合は一台に一人運転手が要りますけれども、船の場合はそんなに要りません。したがって、若い人たちの労働者とか、いろいろな意味で、我々は海洋国家ですから、内水、新内水、そういうところを運んでいただく、こういう内航海運は非常に大事にしなきゃならないと私は思っております。

藤田分科員 大臣、ありがとうございます。

 もうおっしゃるとおりでございまして、日本は海に囲まれている土地でありますし、また環境問題を考えたときに、今後も内航海運はますます重要になってくると思います。

 それから、また話題を少し移しますけれども、貨物だけでなくて、今後、東京湾を中心に、いろいろな観光スポットとかあるいは都市間の旅客が見込まれるような場所においては、高速の旅客船なんかを利用したらどうだろうというような議論もございます。これは、環境問題を考えたときにも、十分これから採算がとれるのではないかという指摘もあるわけでありますが、その辺についてはどのようにお考えか、お伺いします。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま旅客船事業についてのお尋ねでございますけれども、私ども、この国内旅客船が実際に運んでいる輸送人員でございますけれども、国内航空を上回るほぼ一億人を実は輸送しておりまして、極めて重要な輸送機関というふうに考えておりますけれども、道路ネットワーク、陸上の交通ネットワークの拡充もありまして、その経営状況は実は非常に厳しい状況にございます。

 しかしながら、昨今、今委員御指摘のとおり、観光に関する多様化というものが進んでまいりまして、水辺の再生といったこともありまして、今後の新しい観光振興の受け皿という期待が持たれているところでございます。

 今御指摘のありましたように、東京湾、ここはいろいろなフェリー、遊覧船、ジェットフォイルなども就航しておりますけれども、今御指摘のジェットフォイルを用いた新しい実験というものが、実は昨年度、十九年度に行われております。東京湾周辺の八都県市及び民間の会社の方と連携いたしまして、陸上交通に匹敵するような高速のジェットフォイルを使いまして、湾内の横浜、東京、千葉といった主要港を結びまして、そうした広域観光の実験というものが行われております。

 いろいろな課題も、例えば港とのアクセス問題も出ておりますけれども、こういった取り組みが新しい起爆剤になって、もう一度旅客船による観光というのを見直せるようにしていきたいと思っております。

 なお、私ども国土交通省としましても、旅行業界と連携しまして、船旅の魅力をアピールするような事業もいろいろ行っております。

 例えば、昨年の秋からやっております、船から見る風景百選といったことを、一般の方を募集させていただきまして、写真等でございますけれども、それを表彰するということで、また国民の中に船旅の魅力の向上を図っていきたいということで、いろいろな取り組みを通じて需要喚起をして観光振興をしていきたいというふうに思っております。

藤田分科員 ありがとうございました。

 内航についても旅客についてもそれから環境についても、これから環境問題を考えたときにますます重要になると思います。これからまた御努力のほどをよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、最初に申し上げましたいわゆる湾岸道路についてちょっとお伺いしたいと思います。

 私も選挙区で本当に多くの質問をいただきます。それでまた、さまざまな会合であいさつの機会を与えていただいたときに私は申し上げるんです。今回の暫定税率の議論で、やはりガソリンが二十五円安くなることはもちろん喜ばしいことでありますけれども、具体的にそれがどういうしわ寄せになるかというのが国民の皆様になかなかわかりにくい。特に、その中で船橋市においては、この二つの大きな予算がなくなるというのは、それを聞かれると選挙区の方は本当に驚かれる。リアルにそのことを感じられるわけであります。

 特定財源は何に使われているんだろうというのはなかなかわかりにくくて、橋を直すとかいろいろな補修をするといっても、それが本当に必要なのかどうかというのはわからないわけであります。

 まず、今回、三月をもって暫定税率が消えてしまったことによる具体的な変化について、前回とまた変わったところがありましたら聞かせていただければ、このように思っております。

宮田政府参考人 インターチェンジのお尋ねでありましょうか。(藤田分科員「はい」と呼ぶ)

 二月の段階で、残念なことに、十九年度の工事着手が困難になりましたというお話をいたしました。このインターチェンジは、県が連結道路を整備して、会社の方が、東日本高速道路株式会社が料金所等を整備するいわゆる地域活性化インターチェンジで整備をしております。

 今の段階の状況を御説明いたしますと、二月、いろいろなことで困難になりましたとお話ししましたが、その後三月に、二つの環境団体それから六つの地区について説明会を実施いたしました。騒音対策の内容について御説明をして、これに関して御了解はいただきました。

 今後は、引き続き事業全体の内容の説明を行いまして、今年度より工事に着手し、当初予定どおりの平成二十三年度の完成に向け作業を進める予定というふうに聞いておりますが、今申し上げましたように、それぞれ分担をして事業をやってございます。インターチェンジの新設と若松交差点の改良それから県道の拡幅、全体では八十四億円でございまして、国と県の負担分が六十六億円でございます。まさにここの手当てをどうするかということが最大でございますので、ぜひとも一日も早く法律を通していただいて、暫定税率をいただいて、この事業が計画的に進められるように願っておりまして、やってまいりたいと思います。

藤田分科員 ありがとうございます。

 よく私もほかの会派の県会議員の先生方とも話をするんです。今回のこの二つの予算は国と県から出るわけでございまして、千葉県でもこの特定財源の二百三十億が全く穴があいているということでありまして、これを、ほかの会派の先生方も、国からもらうしかないねということを言うんですね。私も答えました。国もないですよ、そうしたら、もう借金するしかないんです、結局そのツケを払うのは最後は国民の皆様なんですということを強く申し上げています。

 そして、とにもかくにも、今御説明のように、住民の問題は解決した、特定財源の財源さえあればこの二つの予算ももう一度組まれるということでありますし、また、船橋というのはもう渋滞がひどい状況でありまして、私は、この二つの予算が解決の糸口になると強く信じているところであります。週末は本当に動かない。通常十分で行けるところを一時間かかったりするような、もう仕事にならない状況にございます。市民の皆様は本当に苦労されていると思いますので、これは是が非でも何とか暫定税率をもう一度というふうに思うところであります。

 そして、この暫定税率の議論というのはもともと、政党同士の闘いの中で、ガソリン代についての議論であったわけであります。確かに、今ガソリン代は昨年より大分高くなりましたが、世界的に高いということも私はまさに申し上げています。イギリスではもう二百五十円、ヨーロッパ諸国でも二百三十、二百四十という日本より大変高い金額で売られているわけであります。

 まず、このガソリン代が今回安くなったことについて、国土交通省としては、ちょっと変な質問ではあるんですけれども、どのようにとらえられているか、消費者の声等々も含めて、お答えをいただけますでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 ガソリンの価格でございますが、この四月十四日時点で二十二円値下がりしたというふうに承知をしてございます。

 確かに、ガソリンの値下がりというのは喜ばしいことだと思いますが、先生先ほどから御指摘のように、暫定税率の廃止によりまして、国、地方合わせて二・六兆円、非常に巨額の歳入欠陥が生じます。真に必要な道路整備が滞ってしまうという大問題がございます。

 そういう道路整備だけではなくて、地方公共団体の財政が非常に不如意になってきて、道路だけではなくてほかの予算にも影響が生じるという団体も出ておるというふうに聞いてございます。

 現に、地方六団体から暫定税率の回復等を求める緊急決議が出されておりまして、このまま暫定税率分の税収がない状態が長引けば歳入欠陥は巨額なものとなり、影響は道路関連予算にとどまらず、その他の住民サービスまで及び、国民生活は大きく混乱することなど、強い憂慮と危機感を表明されております。

 また、既に一部の地域では、進行中の道路工事を中断せざるを得ません。現場の作業員の方々が仕事をできない状態になっている、そういう雇用にかかわる影響も出ていると関係団体の方から報告を受けてございます。

 いずれにしましても、財源特例法を初めといたします関連法案の一日も早い成立が必要というふうに考えてございます。

藤田分科員 大分時間がなくなってきてしまったので、最後の質問になるわけであります。

 確かに、ガソリン代が安くなる一方で、もう補てんする財源がないということで、我々自民党と公明の連立与党は、福田総理からの提言がありましたとおり、来年から一般財源化をする、ことしに関しては地方はもう予算を組んでいるわけだから、ことしはこれでいきたいということで再議決も検討しているわけでありますけれども、これもまたほかの野党から反対が起きるというような、党利党略に走ることは絶対に避けなければならないと私は強く信じて疑わないところでございます。

 まずそのことを申し上げて、最後になりますけれども、高速道路について距離別料金の仕組みが今でき上がっているというふうに聞いております。そのことについて、逆に長距離を使う物流の業者さんは多く払わなきゃいけないんじゃないか、個人の負担がふえるんじゃないかというような声もあります。また、アクアラインなんかも、高い料金がネックとなって昨今利用者も伸び悩んでいるという状況を踏まえて、今後の価格体系の見直しというのを最後にお尋ね申し上げたくて、そしてまた最後に、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 それでは、今の状況等について御説明をさせていただきたいと思います。

 首都高速につきましては、昨年九月に、会社の方がいわゆる対距離の案を発表いたしました。今、均一七百円のところを、東京線で四百円から千二百円ということでございます。長距離利用が多い大型車の負担軽減について、たくさんの意見が寄せられているということは承知をしてございます。

 アクアラインにつきましても、首都圏の環状道路、この有効活用という観点からも料金が割高過ぎるんではないか、こういう御意見もございまして、環状道路のアクアラインを含めた湾岸の有効活用というのが重要だろうと思っております。

 そういうのを踏まえまして、いろいろな社会実験、アクアラインでも首都高でもやっておりますが、いずれにいたしましても、今、財源特例法で、料金の値下げとかスマートインターチェンジの整備、それを推進する条文を含んで御議論をいただいてございます。この法律案を今提出しているところでございまして、これが成立いたしましたら、この法律に沿いまして、会社及び機構について効果的な料金引き下げの計画を策定していただけると考えてございます。

 これを踏まえて、国交省としても、その法律で債務の一般会計への承継ということも含んでおりますから、料金値下げが実現できるように頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。

冬柴国務大臣 真に必要な道路は必ずつくっていかなければ、この国は大変なことになります。では、真に必要な道路は何か。もう道路は必要でないと言う人は、では、どこの道路が必要でないのか、これを言わなきゃおかしいと思うんですね。

 私は、真に必要な道路は何かということで、道路の中期計画をつくるについて、十万一千人を超える国民からの御意見を伺い、千八百七十四人の首長、すべての人、知事から市町村長まで意見を伺い、そして、二千九百人を超えるいわゆる学識経験者の方の御意見を伺って、何が必要なのか、これを出したのが道路の中期計画ですよ。何も、国土交通省が勝手に箇所づけをしてやっているわけではないわけです。

 そして、これを十年間かけて、全部はできません。これは百兆円要ります、ここへ書いたことを全部やろうと思えば。しかしながら、社会資本整備の基準からいえば十年間で七十六兆を超える金額をお認めであったわけだけれども、これを我々は六十五兆にし、また、政府との打ち合わせによって、与党とか財務省との打ち合わせで五十九兆まで削っているわけです。しかしながら、必要な道路はつくらなきゃならない。今回の四月十一日の政府・与党決定というのがありますね。この中にも、「必要と判断される道路は着実に整備する。」ということを書かれているわけです。

 したがいまして、私は、今後どういうことが起ころうと、これは、これからのこの国の国際競争力を強化する上においても、成長力を維持するにおいても、また地方の再生、活性化をするにしても、道路というものは非常に必要なものがあるわけです。そういうものを私は着実に、必要とする道路、真に必要な道路は本当につくっていかなければならないし、つくるのが国土交通省の使命だというふうに思っています。

藤田分科員 大臣みずから、力強いメッセージをいただきまして、ありがとうございます。これからまた国民の皆様にも大臣のメッセージを、私どもからも伝えますし、大臣からまたよろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。どうもありがとうございました。

上田主査 これにて藤田幹雄君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管及び住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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