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第1号 平成21年4月20日(月曜日)

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本分科会は平成二十一年四月六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      桜井 郁三君    玉沢徳一郎君

      広津 素子君    武藤 容治君

      山本  拓君    小宮山泰子君

      松本 大輔君    福島  豊君

      鈴木 宗男君

四月十七日

 福島豊君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年四月二十日(月曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 福島  豊君

      桜井 郁三君    武藤 容治君

      山本  拓君    大串 博志君

      小宮山泰子君    篠原  孝君

      鈴木 克昌君    福田 昭夫君

      松本 大輔君

   兼務 安井潤一郎君 兼務 高木美智代君

   兼務 前田 雄吉君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       川滝  豊君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐藤 典良君

   会計検査院事務総局第三局長            河戸 光彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齊藤 政満君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  伊藤  茂君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     鈴木 克昌君

  松本 大輔君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     篠原  孝君

  鈴木 克昌君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  孝君     松本 大輔君

  福田 昭夫君     小宮山泰子君

同日

 第一分科員高木美智代君、第二分科員前田雄吉君及び第三分科員安井潤一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

福島主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました福島豊です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成十九年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。金子国土交通大臣。

金子国務大臣 国土交通省所管の平成十九年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計につきまして申し上げます。

 収納済み歳入額は五百六十一億三千八百万円余であります。支出済み歳出額は六兆三千五百八十九億八千万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、都市開発資金融通特別会計でありますが、収納済み歳入額は六百五十六億一千四百万円余であります。支出済み歳出額は二百八十六億七千百万円余であります。

 このほか、治水特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計、自動車損害賠償保障事業特別会計、自動車検査登録特別会計並びに財務省と共管の特定国有財産整備特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成十九年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

福島主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院河戸第三局長。

河戸会計検査院当局者 平成十九年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十九件、意見を表示しまたは処置を要求した事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項九件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号七七九号は、会計経理が適正を欠いているものであります。

 同七八〇号は、設計が適切でなかったものであります。

 同七八一号は、監督及び検査が適正でないものであります。

 同七八二号は、契約額が割高となっているものであります。

 同七八三号は、補助の対象とならないものであります。

 同七八四号から七八八号、七九七号から八〇〇号及び八〇二号の計十件は、工事の設計が適切でないものであります。

 同七八九号、七九〇号及び八〇三号は、補償費の算定が適切でないものであります。

 同七九一号から七九四号までの四件は、補助金の交付額の算定が適切でないものであります。

 同七九五号は、工事の施工が適切でないものであります。

 同七九六号は、補助の目的を達していないものであります。

 同八〇一号は、工事の設計及び施工が適切でないものであります。

 同八〇四号から八一五号までの十二件は、不適正な経理処理を行っていたもの及び補助の対象とならないものであります。

 同八一六号及び八一七号は、職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、下水道の管渠築造工事におけるセグメントの材料単価の決定に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その二は、地盤改良工事の設計に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その三は、調査等業務における交通船等の借り上げ費に係る船員数の積算に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その四は、トンネル工事において使用する集じん機の機種及び規格の選定に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その五は、高齢者の生活特性に配慮した公営住宅において高齢者に対する福祉サービスを提供するために整備された高齢者生活相談所及びLSA専用住戸の利用状況に関して意見を表示いたしたもの。

 その六は、国土交通省における一般乗用旅客自動車の使用状況に関して意見を表示いたしたもの。

 その七は、道路整備特別会計における支出の状況に関して意見を表示いたしたもの。

 その八は、自動車保有関係手続のワンストップサービスの実施状況等に関して意見を表示いたしたもの。

 その九は、監督測量船の効率的な運用等に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、国営公園における臨時駐車場の占用許可に係る土地使用料の算定に関するもの。

 その二は、国土交通省所管の委託事業の実施に当たっての区分経理に関するもの。

 その三は、まちづくり交付金事業における交付対象事業の範囲の取り扱いに関するもの。

 その四は、土地開発公社等が先行取得した用地を地方公共団体が取得する場合のまちづくり交付金等の交付対象事業費の範囲に関するもの。

 その五は、高速道路料金を割引する社会実験に伴う負担額の算定に関するもの。

 その六は、談合等に係る違約金条項の見直しに関するもの。

 その七は、道路管理データベースシステムの効率的、効果的運用に関するもの。

 その八は、航空交通管制機器等の保守業務費の積算に関するもの。

 その九は、航空管制用レーダーの定期整備請負契約における部品材料費の積算に関するものであります。

 これら九件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

福島主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。金子国土交通大臣。

金子国務大臣 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成十九年度の決算検査報告におきまして、工事の設計が適切でないものなど、御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいりたいと存じます。

 以上です。

福島主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福島主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

福島主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井潤一郎君。

安井分科員 自民党の安井潤一郎であります。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 一九九五年一月十七日、朝五時四十六分に発災しました阪神・淡路の大震災、六千四百人の方が亡くなられました。五時四十六分から六時までの約十五分の間に五千八百人の方が犠牲になられ、そのうちの八割の方が窒息死、圧迫死、圧死だったそうであります。焼け死んだ方は一三%とお聞きしました。

 そうです、即死の状況で亡くなった方の九割以上は家に殺されたのであります。ここから、我々は、震災対策の優先順位の一番は耐震補強にあると確信し、活動を始めてまいりました。きょうは、そのような現場の活動の中から感じたことを質問させていただきたいと思います。

 まずは、耐震性の公表についてお聞きいたします。

 阪神・淡路の大震災では、高齢者に加え、二十代前半の若者が多数、家の下敷きになって亡くなられました。学生や若いサラリーマンが住んでいた家賃の安い、古いアパートが倒壊したからであります。彼らは、親に迷惑をかけたくない、結婚資金をみずからためたいと安いアパートを選んだと思います。しかし、彼らは、自分の住むアパートに耐震性がなく、大きな地震が来たら死ぬかもしれないと考えていたでしょうか。

 不動産会社のアンケートによれば、学生がアパート選びをするときに、耐震性を考えた人は皆無に近いそうであります。

 ここに、インターネットで検索した資料があります。私が生まれ育ちました新宿区で今一番安いアパートは、四ツ谷駅徒歩八分、三・五畳のアパート、一九六〇年築、家賃は二万三千円、木造二階建ての二階、総戸数八戸、男性限定、ペット不可、水道、都市ガス、下水、ふろなし、共同トイレ、電気代は一カ月三千円、その上、いびきの大きな方は御遠慮をという詳細なお知らせが記載されていますが、耐震性の有無はありません。学生がアパート選びで耐震性を考えないのは、不動産広告に記載がないことが大きな原因であります。

 国土交通省は平成十八年三月に省令を改正し、耐震診断をした場合にはその結果について重要事項説明を義務づけましたが、耐震診断をしなければ説明する必要はないとされております。これはどう考えてもおかしいのではないでしょうか。

 すべての建物に耐震診断の有無を重要事項説明に加え、広告に表示すべきと考えます。国交省のお考えをお聞かせください。

小澤政府参考人 お答え申し上げます。

 宅地建物取引業法では、買い主や売り主に対する重要事項説明を宅地建物取引業者に義務づけております。

 委員御指摘のとおり、平成十八年三月の宅地建物取引業法施行規則の改正によりまして、建物の売買等における重要事項説明といたしまして、一定の者が行う耐震診断を受けたものであるときはその内容ということが追加されたところでございます。

 これを受けまして、重要事項説明を行う際に使用する国土交通省の参考書式や関係業界団体の標準書式の中では、耐震診断の有無について説明することとされております。したがいまして、耐震診断をしなければその説明をしないということではなく、耐震診断を受けている場合にはその内容を、それから、受けていない場合にはその趣旨を説明するということになります。

 また、不動産の広告においても表示すべきではないかとの御指摘がございました。

 広告につきましては、不動産事業者の団体でございます不動産公正取引協議会が自主的に不動産の表示に関する公正競争規約を定め、その適正化等に取り組んでおるところでございます。このため、いかなる内容を広告に表示するかは、事業者の自主的な取り組みの中で取り扱われているところでございます。

 委員御指摘の、建物の耐震性にかかわるような情報を含め、物件に関する情報を買い主や借り主にいかに適切に提供するかということは、安心で安全な不動産取引が行われる上でも重要な課題であると認識いたしております。

 国土交通省では、現在、社会資本整備審議会の不動産部会のもとで、不動産の買い主などに対しまして、必要な情報を適時的確にわかりやすい方法で提供すること、広く国民全般に対する一般的な不動産取引に関する知識の普及啓発のための環境整備のあり方について議論を行っているところでございます。

 今後とも、不動産取引における的確な情報提供と不動産取引に関する知識の普及啓発に取り組むことにより、建物の耐震性に関する国民の認識が深まり、知識が普及することにつなげてまいりたいと考えているところでございます。

安井分科員 もしアパートの耐震性がもっと大きく公表されれば、多くの若者はそのアパートを選ばなくなるでありましょう。古いアパートへの入居者が減ることは、大地震の死者、けが人、火災が減るだけではありません。耐震補強や建てかえが進み、地域経済が活性化します。中小建築業の仕事づくりになる減災対策と考えております。

 委員長の御許可をいただき配付させていただいた資料は、私が議員というお立場をいただく前から理事長役を務めさせていただいております震災対策のNPOが作成した新大学生向けのチラシであります。今後、このような活動を積極的に全国で行われることを期待申し上げます。

 続きまして、部分補強についてお伺いさせていただきます。

 耐震診断に対して手厚い補助を用意されている自治体が多くなりました。しかし、十万円、十五万円の診断をしても、補強しなければ地震被害を減らすことはできません。

 山形県の建築住宅課では、木造住宅の耐震改修マニュアルの中に、減災対策としての部分補強、住まい方を記載しております。二階建ての二階の真下に茶の間や寝室がある場合には、建物全体が評点〇・七を目指した補強を行い、平屋部分に寝室や茶の間を移すといった工夫が書かれております。また、あるメーカーでは、補強によって建物のバランスを崩したり、基礎に大きな負担をかけたりしない部分的な補強方法や段階的な補強を提案いたしております。一階だけでも補強することにより、全く補強しないよりも格段に効果があります。

 多額な経費のかかる耐震補強しか認めないのでは、耐震補強はなかなか進みません。国として部分補強を進めるとともに、部分補強についても一定の助成を行うなど、検討してはいかがでしょうか。

和泉政府参考人 委員が冒頭御指摘のとおり、地震時における人命の損傷あるいは火事等を防ぐ意味で、住宅の耐震化は極めて重要でございます。そういったことがございまして、私ども、年々歳々、耐震改修に対する助成制度を強化してまいりましたが、今委員御指摘のとおり、一気に新耐震基準に建物全体を持っていくということになると、なかなかコストがかかってちゅうちょしてしまう。そういったことを踏まえて、今委員から山形県の例の御紹介がありましたが、部分補強でもやっていくということについて国としても支援する方向でございます。

 しかしながら、これまた委員十分御承知のとおり、その部分補強のやり方を間違えると、建物全体のバランスを崩してかえって危なくなるということもございますので、公共団体において、その部分補強について中身を確認した上で支援していく、こういった形かと思います。

 今後とも、耐震改修に対する助成制度を充実してまいりまして、委員御指摘のように、住宅耐震化について積極的に努めてまいりたい、こう考えております。

安井分科員 ありがとうございました。

 家具の固定についてお聞きしたいと思います。

 地震による負傷者の三割から五割は、家具の転倒、落下が原因であります。中高層階では家具類転倒が激増します。首都圏直下地震では、首都圏全域が震度五以上の揺れになります。中高層建物内の家具類が転倒、落下します。首都圏では四百万人が中高層住宅に住み、多数が中高層オフィスで働いております。エレベーターがとまった中高層ビルの中にけが人が続出することは容易に想像できます。

 家具を壁にしっかり固定できれば安心です。しかし、中高層住宅の壁は石こうボード張りが一般的です。借家の場合はどうするのでしょうか。壁への確実な固定は自覚任せでは進みません。石こうボード張り壁には下地補強が必要であります。確実に固定するには内側のコンクリート壁にアンカーをしなければなりません。コンクリート壁に強く接着するか、アンカーを打つしかないのであります。

 しかし、マンションの場合は、管理組合の了解が必要であります。借家は工事ができません。ポールで天井に突っかい棒をかけたり、家具の下にストッパーを入れたりする方法はあります。やらないよりはベターでありますが、しかし、天井は薄い板張りか石こうボードをつった構造がほとんどですので、何の役にも立たないことは明白であります。高層階では自重と同じぐらいの地震力が作用します。家具を壁にもたれかけても飛んできます。木造では柱かはりに、鉄筋コンクリートづくりはコンクリート壁に固定するのが一番であります。

 富士常葉大学特任研究員の後藤洋三先生が、中高層住宅供給大手企業六社へアンケートをされました。結果は、冷蔵庫固定のためのアンカー実施はゼロ%、家具固定のための下地補強は一社、それも寝室のみ。お客様の要望で下地補強を実施したのは、六社の平均で三%であります。作りつけが十分であり食器棚不要と答えたところが六社平均八%、クローゼットがあるから衣装だんすは不要とお答えになられたディベロッパーが六社平均七〇%ですが、現実は、クローゼット以外にもたんすは置かれているようであります。

 大部分の中高層住宅には家具類固定のための設備がありません。規制や技術基準が整備されておりません。冷蔵庫の固定についても、家庭用でも大型は百キロを超えるそうであります。固定しないと大地震では凶器になります。家電メーカーは、背面に、後ろ側に取っ手をつけ、地震対策用として固定用のベルトを販売いたしております。ところが、一般のマンションでは、冷蔵庫の置き場がほぼ決まっているにもかかわらず、その壁にベルトをかけるアンカーがありません。

 家電メーカーでさえ、製造者責任、いわゆるPL法の観点から、地震時の室内の安全性に配慮しております。家具類固定設備の有無や家具類の移動、転倒防止のためにあけられたくぎ穴、ねじ穴は、通常の使用に伴う損耗として原状回復する必要はないことも明らかにした方がよいと私は考えております。

 家具を凶器にしてはなりません。室内の地震時安全性について、国土交通省の御見解と具体的な指導があれば、お聞かせください。

和泉政府参考人 共同住宅の家具の問題、大変重大な問題でございます。

 まず分譲マンションでございますが、国土交通省におきまして、各マンションがその実態に応じながら、マンションの維持管理や住生活の住民間の基本ルール、そういったものを制定、変更する際の参考として、マンション標準管理規約というものを策定してございます。

 その標準管理規約におきまして、区分所有者が家具類の固定のための設備を共用部分に定着するために専有部分とあわせて共用部分の工事等を行う場合には、区分所有者は、第十七条第一項の規定により、理事長に承認を申請し、理事会の決議を経ておれば、総会の決議を経ずに共用部分の工事を行うことができることとされております。

 これまでもこの標準管理規約の普及啓発に努めてまいりましたが、なお引き続き周知を図ってまいりたいと思っています。

 また、賃貸住宅でございますが、近年の裁判事例あるいは取引等の実態等を考慮の上、議員御指摘の原状回復の費用負担のあり方などにつきまして、トラブルの未然防止の観点から、現時点において妥当と考えられる一般的な基準を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として取りまとめてございます。

 賃貸住宅の退去時に、御指摘の家具類の固定設備をめぐるトラブルが今後発生するようであれば、そういった実態を踏まえて、このガイドラインを変更し、そういったトラブルのないように我々も努めてまいりたい、こう考えております。

安井分科員 ありがとうございます。

 正確な家具の転倒防止策を周知、啓蒙し、住民の自覚が喚起されても、マンションの管理組合や原状回復をめぐる大家さんとのトラブルを考え、具体的な一歩を踏み出せないという話をよくお聞きします。今こそ地域の支援、行政の指導が必要だと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 続いて、耐震補強推進協議会についてお聞きします。

 耐震補強が進まないという話はよく聞かれます。私は、地元での活動の中から、理由は三つあると思いました。まず一つ目が、幾らかかるかわからない、二つ目が、どこに頼んでよいのかわからない、三つ目が、耐震補強工事中の生活不安であります。

 自治体に聞いても、工務店や大工さんを紹介はしていただけません。役所だから紹介ができないのなら民間でやろうということから、新宿区では、昨年二月に、東京都建築士事務所協会新宿支部が中心になり、新宿区町会連合会、新宿区商店会連合会も参加し、新宿区耐震補強推進協議会を新宿区役所御指導のもと、立ち上げました。昨年開催したセミナーには、和泉国土交通省住宅局長さんにもおいでいただきました。

 このような活動を全国に広げる必要があると思います。国土交通省からのサポートの有無も含め、御見解をお聞かせください。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、耐震化を進めていくためには、もちろん公共団体も努力しなければなりませんが、行政と関係団体が協力して進めていく、普及啓発、情報提供、新工法の開発普及などを進めていく、極めて重要でございます。

 このため、建築物の耐震改修の促進に関する法律第四条に基づきまして定めました国の基本方針におきましても、そういった地域ぐるみの取り組みを促進していくんだ、こういった方針を掲げたところでございます。

 例えばということで、今まさに委員御指摘のとおり、新宿区では、委員の御尽力によって、昨年二月に、地域の関係団体、地元の設計事務所や工事施工者等から成る新宿区耐震補強推進協議会がつくられまして、地域ぐるみの耐震補強の促進に取り組んでおります。これを新宿区も支援し、私どもも支援させていただいております。今御指摘の、昨年七月五日の土曜日でございましたが、六時四十五分スタートで耐震補強セミナー、これは土曜日の夜であるにもかかわらず、多くの方々が出席しておりまして、私ども、大変感銘を受けました。

 ちなみに、こういった協議会は全国で現在六十件設立されておりますが、さらに拡大していく必要があると思っています。

 こういった活動に対しましては、国土交通省におきましても、耐震改修事業の一環としましてソフトについても支援する、こういったことになっておりますので、こういった協議会の活動がさらに普及し、進化するように私どもも尽力してまいりたいと考えております。

安井分科員 ありがとうございます。

 私は、一昨年の四月まで十五年間、地元早稲田の商店会長を務めてまいりました。一九九六年に始めた環境をテーマにしたイベントが商店会活動のスタートでありました。環境では、既存のルールをどんどん変えていきます。例えば自動車の排ガス規制では、いついつまでに規制をクリアしない車には乗れないとなっております。行政が既存不適格を許さないのであります。

 一方、防災対策では、既存不適格の建物についてはオーナー任せで、行政が及び腰であります。真剣に首都直下地震や東海地震から日本を守ろうと思うなら、年限を決め、既存不適格建物を一掃するという目標を示すことが最も重要だと思っております。

 阪神・淡路の大震災で亡くなられた方の相続人とけがをした方から、古い賃貸住宅の大家さんが、総額三億三千万円余の損害賠償請求訴訟が神戸地裁に提訴され、審理の末、一億二千九百万円の支払いが命じられました。このときは、既存不適格建物でも特に施工不良があったために厳しい判決が出たようであります。しかし、他の大家さんでも、前途有為な若者を自分の家作で殺してしまったという悔悟のお言葉をお聞きします。ここに明確な行政の指導があったならと考えるのは、私だけではないと思います。

 震災対策の優先順位のトップは、間違いなく耐震補強であります。今こそ、住民の自覚、地域の支援、そして何よりも、家に人を殺させない、家具を凶器にさせないという明確な、そして具体的な行政の指導が必要だと強く思っております。切迫しているとまで言われている首都圏直下型地震に対して迅速な対応をされないことは、行政の不作為という面も感じさせます。

 耐震性を、アパート選び、リフォーム、改装のトップに考えるようにしなければ、阪神・淡路の大震災で亡くなられた六千四百人の方々は犬死に、無駄死にになってしまいます。この方たちに、とうといという冠をつけられるのは、今生きている我々だけなのではないかというふうに強く感じております。

 政府参考人の方々とのやりとりをお聞きいただいた金子大臣の御見解をお聞かせください。

金子国務大臣 安井委員が、この問題に議員になられる前から非常に積極的に取り組んでおられてきたことを大変力強く承ってまいりました。

 御指摘いただきましたように、建物の耐震化、家具の転倒防止、こういった地震対策、これが、国民の生命を地震から守る上で極めて重要な問題と考えております。

 国土交通省では、耐震改修促進法に基づく基本方針におきまして、住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を、平成十五年現在の七五%から、二十七年までに少なくとも九〇%とする目標を定めております。この目標を達成するために、予算、これは住宅建築物耐震改修等の事業補助であります。あるいは耐震改修促進税制であります。予算、税制の充実に努めるとともに、運用面でも柔軟に対応するなど、最大限の取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 家具の転倒防止のお話がありましたが、建築物の耐震対策、これは建築物の所有者などが、みずからの問題、地域の問題として意識して取り組んでいただくことも不可欠でありまして、地方公共団体や関係団体等、推進しながら、対策の重要性に係る普及、啓蒙にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

安井分科員 ありがとうございます。

 耐震補強は、やはり行政の明確な、そして強い指導が必要だということを現場の活動の中から強く感じましたので、そのような質問をさせていただきました。

 別の切り口から一点、御質問をさせていただきたいと思います。

 木造住宅の普及促進についてお聞きします。

 震災から、木造住宅、実は、地元の消防署の方たちが、鉄骨、鉄筋の上が燃えているところには消防署の方たちは入らないんですね、いつ落ちてくるかわからないと。木造だと、上がぼうぼう燃えていても安心して入る。なぜなんですかと聞いたところが、木造は崩れるというのは見ればわかります、鉄骨はいつ崩れてくるかわからないんですと。だから、鉄筋、鉄骨の建物がふえたのは火災のためだというのは、若干違うんじゃないのかなという思いをずっと強くしてまいりました。

 一九九六年八月二十四日、早稲田大学の七つの商店会が一つになって、大学構内と周辺の会場を環境をテーマにしたイベントで使わせていただきました。環境の町早稲田とテレビで過分な御紹介をいただいたこともあります。

 その延長線上として、国産木材の利用促進も活動項目に入り、昨年十一月十六日には、東京の一番西側に位置します檜原村へバス二台でお邪魔し、本年一月二十四日には、高田馬場の新宿区消費生活センターで木造住宅のセミナーも開催いたしました。参加された皆さんからは大変高い御評価をいただきました。

 木造住宅の普及促進にかかわる補助事業があれば、お教えいただきたい。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、木材を初め、地域で産出されるかわらとか畳とか、こういった地域材を活用した木造住宅の振興は、大工、工務店といった地域の住宅産業のみならず、林業あるいは木材産業など、関連産業を含めた地域産業の活性化に極めて有効でございます。

 このため、昨年度、地域木造住宅市場活性化推進事業、こういった事業を創設しまして、林野庁や公共団体とも連携して、木材などの地域材を活用した地域の木造住宅関連事業者の連携による住宅供給について、さまざまな提案を募集して、そして支援を行ってきたところでございます。

 本事業においては、例えば、地域材を活用した木造住宅についての技術開発とか、特色ある地域のいわゆるモデル住宅、こういったものに対する建設費の支援とか、さまざまな木造住宅の普及促進についての助成を行っております。ちなみに、補助は、定額補助で、一件当たり限度額が三千万でございます。

 昨年度は、この予算によりまして、当初予算で三十一の事業主体に助成し、加えて、一次補正でさらに追加をいただきましたので、二十三の事業主体に助成を行いました。今年度は、先般事業提案を募集しまして、百八件の応募がありまして、現在、その選定をしている最中でございます。ちなみに、予算は、平成二十年度当初は三億円でございましたが、二十一年度当初は五億八千万円というようなことで、大幅に増額しております。

 加えて、ことしの二月には、住宅産業、木材産業等の関係業界団体あるいは学識経験者などによって、当然これは林野庁とも連携しまして、木のまち・木のいえ推進フォーラム、こういったものをつくりまして、今後、関係業界一体となって、木造住宅の普及促進に向けまして幅広い取り組みが展開されると伺っております。この取り組みに対しましても、国土交通省として全面的に支援を行ってまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、アンケートをとると、国民の八割ができれば木造住宅に住みたい、こういった御希望でございますので、こういった取り組みを通じまして、今後とも地域の産業の振興につながる木造住宅の普及促進に努めてまいりたい、こう考えております。

安井分科員 ありがとうございます。

 また震災に戻りますが、阪神・淡路の大震災で丸焼けになった、大臣もまだ覚えていらっしゃると思いますが、アーケードの鉄骨しか残らなかった、あの神戸の長田の大正筋の商店街の皆さんとは大変懇意にさせていただいております。

 その皆さんから、地震だ、火を消せ、近ごろは言わなくなりましたが、ちょっと前までは、地震だ、火を消せ、こう言い続けて、テレビ、マスコミ等でも、何かがあれば、地震だ、火を消せ、こう言っておりましたが、その話をした途端、神戸の長田の大正筋の皆さんは、地震だ、火を消せ、そんなのは無理だと言われました。ベッドにしがみついているだけで精いっぱいだぞ、こう言われました。意味がわからなかったですね。ところが、NHKの神戸支局のベッドに記者さんが寝ている、そこに発災、要するに地震が起こって、それこそ、わあっと揺れて、その記者さんのベッドの上に周りのロッカーがどんと覆いかぶさるような、あんなニュース、ビデオを見せられて、ああ、こういうことだったんだと気づいたこともあります。テレビは飛ぶんだぞと言われましたね。冷蔵庫は部屋じゅう走り回るぞと言われましたね。水や乾パンじゃ人は救えないと言われました。備蓄は必要だと言っているじゃないかと言いましたら、それは生き残った人の言葉だ、こう言われました。

 東京大学の目黒公郎先生からは、亡くなった人の声を聞きなさいと言われ、本日、このような質問をさせていただきました。

 金子国土交通大臣におかれましては、何とぞ、犠牲者軽減のため、具体的な御指導をとられますようお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

福島主査 これにて安井潤一郎君の質疑は終了しました。

 次に、武藤容治君。

武藤分科員 おはようございます。

 月曜日の朝なもので、国会、大変議員も少ない中で、決算行政監視委員会、皆さん、大変御苦労さまでございます。

 岐阜県第三選挙区から出させていただいております、自民党の武藤容治です。

 金子大臣におかれましては、土曜日の日、また私どもの選挙区の中の東海環状自動車道、関広見インターチェンジ、来賓じゃないですね、大臣の方ですから、主催者側としておいでいただきまして、大変感謝を申し上げます。

 さきの予算分科会も、国交省の分科会に出させていただきました。きょうは引き続いて、決算行政監視委員会の方でもまた第四分科会に出させていただきます。地方出身でございますので、何かと今ずっと話題になっております道路関係、きょうはBバイCのことについてちょっと御質問をさせていただくということで、時間を賜りたいと思っております。

 先般、十八路線のBバイCの一時凍結が発表されました。いわゆるBバイC、費用便益分析でございますけれども、岐阜県にはおかげさまで該当路線はなかったというふうに伺っております。ただ、北海道を初め、該当されました地区におきましては、大変お気の毒なことというふうに拝察しております。

 このBバイCについて、できるだけ貨幣価値に数量化できるという観点で、特に便益については、走行時間短縮、それから走行経費の減少、交通事故減少の項目について道路投資を推しはかるものというふうに理解しております。

 今回凍結された十八路線は、BバイCが一以下であったと評価され、今回凍結されたということになりますけれども、いろいろと工事再評価の中で、途中で水が出たとか、いわゆるコストがかさむと大変効果が、そういう形の中で、BバイCの評価の中で、一以下になってしまって凍結せざるを得なかったという事情を拝察しております。

 これもこの二、三年、いろいろと議論がありまして、予算委員会の中でもさまざまに野党さんからも御指摘があって、大変国交省さんとしても厳しい選択の中で、今回、再評価した上で凍結ということになったというふうに思いますけれども、私ども、地方の立場で言うと、今の三つの、特にベネフィットに関する観点というものは、やはりちょっと地方のイメージからすると一致しないというふうに思います。

 いろいろと、今回の関広見インターチェンジができましたことについても、また東海北陸道が昨年の夏に全線開通したことについても、また、今の環状線については、東回りで豊田からずっと私どもの関市へ入ってきましたことによる企業立地の促進、これはもう全国的にもたぐいまれな数の企業立地の促進が図られたわけで、ちょうど景気が悪くなったので、今ちょっとストップしましたけれども、そういう形の中でも、BバイCの評価について、地方の観点というと、今のこの三観点だけでは若干地方にはイメージ的に合っていないんだというふうに思っております。

 今回、BバイCの再評価については見直しをされる、また中期計画が秋に予定されておりますけれども、このBバイCについて、いろいろな議論を今重ねられているというふうに伺っておりますけれども、国交省さん、今の状況についてお話をいただければと思います。

金子国務大臣 武藤容治委員が、お地元、特に関を含めて、道路、なかんずく高速道路の整備について、先頭に立ってこれまで御努力をされてきた、その結果として、本当に見事、道路の効果が生かされた工場立地が図られる、お地元で工場立地が促進されるという効果をもたらしてきた、その役割を果たされてきたこと、大変感心して評価をさせていただいております。

 ただ、一方で、今度の費用便益につきまして、国土交通省では、さきの通常国会での議論も踏まえまして、将来の交通需要推計について、平成十七年の交通センサスや新たな人口推計等の最新のデータをもとにしました全国交通量を昨年の十一月に公表いたしました。事業評価についても、これに基づきまして、人、車両の時間価値などの費用便益という計算方法を最新のデータと知見に基づき見直したところであります。

 今般、これらの見直しを踏まえまして、二十一年度に事業を実施する予定の高規格道路及び直轄につきまして、走行時間の短縮、走行経費の減少、交通事故減少、これが費用の三便益と言っておりますけれども、この事業評価を実施し、点検結果を取りまとめ、そして、この評価結果が一以下の事業については事業執行を当面見合わせることとし、また、コスト縮減などの事業内容の見直し等を行いながら再評価を実施して、事業継続の可否を検討していきたいということであります。

 ただ、少し話が長くなりましたが、多くの地方団体から、今の事業評価というのは、費用三便益でありますから、命の道という観点、あるいは観光振興という観点、先ほど、武藤委員が積極的に取り組んできたという工場誘致の効果の観点といったような要素が抜けているという御指摘をいただいておりました。各国の事業を見ましても、多面的な効果を取り入れるように、それぞれ工夫がなされております。このような観点から、いろいろな効果を見直すべく、地域から具体的な御提案をいただいて試行していくことが大事であると思っております。

 少し話が長くなりましたが、ちなみに、地方、特に東北地域道路政策研究会からは、災害、防災、救命、環境、冬期の積雪、凍結、こういった要素について、地域の事情というのを考えるべきだという御意見をいただいておりまして、全国各地からこういう具体的な御提案をいただいて試行していくことが大事だと考えておりまして、ぜひ今後とも、地方より、いい御提案をいただいて、適切に評価を実施してまいりたいと思っているところであります。

武藤分科員 大臣、やはり岐阜県の飛騨地区の御出身でございますので、今大臣からお褒めの言葉をいただきましたが、確かに、企業、経済の振興という意味で、道路の効果というのが、今回、私どもの地盤、関の中でも、結果的に大変効果を出しました。ただ、これは、金子大臣を初め、今まで岐阜県選出の国会議員の先輩方、私の父も含めて、そういう意味では大変長い間の皆さんのお力の結集だというふうに思っております。

 ただ、やはり結果的に経済がどんどん発展していく可能性を秘めているというところについては、今回は大変いい事例を示したわけでございまして、さらに、今回、おとといの式典の中でも、各先生方からも、今度は西へ進展するんだという大変前向きな皆さんの御発言もありましたし、ぜひそういう意味で、ミスリンクという形の中で早期実現を、大臣のまたお力も今後ともお願い申し上げたいと思います。

 それと別に、今のBバイCのことでございますけれども、いろいろと地方からそういうような御要望がある中で、国交省として、これは国交省の事務局の方にお伺いした方がいいと思いますけれども、これはちょっと事前通告がないのですが、スケジュール的にはどういう形でこの再評価をされていくのか、今の地方からの要望というのをどう組み入れるのか、今のアウトラインで結構ですので、ちょっと予定をお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 現在、事業執行を見合わせている十八事業でございますが、これは、いわゆるコスト縮減の結果、諸元に変更があって手戻りがあるといけないので、一たん事業を見合わせていただいているということでございますが、コスト縮減であるとか、今大臣がありましたような多面的な効果の評価、これは地方からもいろいろ御提案をいただいております。

 そんなようなものも含めて、至急見直し案をつくらせていただきまして、最終的には、整備局でいえば、事業評価監視委員会というのがございます。これは大体四半期に一度開いておるものでございますけれども、そこにかけて、専門家の先生方の御意見を踏まえて、最終的な再評価を決定するということでございまして、ですから、通常、三、四カ月に一度でありますが、できるだけ早くこの評価委員会を開いて、再評価を行うように努めたいというふうに考えております。

武藤分科員 ぜひ前向きに、今の多面的要素、ぜひ地方の観点も含めていただくような形で、また御指導いただきながら、今の委員会の方で新たな形というものをつくっていただければと思います。

 やはり全国一律というのがちょっと今の時代にそぐわない点が、このBバイCだけじゃなくて、さまざまなところで出てきているんだと思いますので、今回もそういう形になるのか、今の時点では不明でございますけれども、何かそういうようなことも、地方のそれぞれの事情が異なりますので、ぜひ国交省の中でそういうような取り組みをしていただけるとありがたい、これは要望としてお願いをしておきます。

 それと、今のコストの問題ですけれども、一・五車線にするとか、それぞれの事業の見直しもやられると思いますし、そういう形になるんだと思いますが、いろいろ私の関係先も、やはり材料なんかを扱っておりますと、大変厳しい状態がここ数年続いております。

 コストというのは、やはりその事業の中の、例えば橋の構造を変えるとか、道路の車線の幅を変えるとか、そういうことなんでしょうけれども、これが、国交省さんでお考えになってそれを実施されると、なかなか現場の方は、実際に施行されると、大体業者さんにそういうしわ寄せが行くことがよく最近というか昔はございましたので、そういうことのないように、これは適正価格というところの問題に今度は入ってくると思います。

 BバイCの中で、評価という意味でもわかるんですけれども、実際それが一以上になって発注されたときに、その適正価格という問題について、極めてそういう意味では厳しいところがありますので、その辺についてのお考え、御見識、今いろいろと適正価格の見直しもやっていらっしゃると思いますので、答弁をお願いいたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生の方から、適正価格ということで御質問いただきました。

 御指摘のありました工事発注の際の予定価格の積算に当たりましては、適正な品質を確保するために必要な労務費、資材費、機械費、諸経費等を工種ごとに標準的な工法を想定して積み上げることによって、価格を決定しております。

 資材価格につきましては、実勢価格、資材の流通実態に関する取引価格を毎月調査いたしまして、この結果に基づきまして設定しているところでありまして、適正な価格となるよう努めているところでございます。

 今後とも、公共工事の入札、契約に当たりまして、適正価格による発注に努めてまいる所存でございます。

武藤分科員 ぜひ真剣にひとつ適正価格を構築していただけるような、そんなシステムをおつくりいただければと思います。

 実際のところ、いろいろな話を伺いますと、特に昨今は低入札という案件が随分多うございましたので、少なくとも、公共工事、国交省さんの、現場の方でも、そういう意味ではやはり品質というものについても大変こだわっていただいて、しっかり守られてきているというふうに思っておりますけれども、残念ながら、数年前にもそういう陥没事故とかいうものが幾つかありましたし、また、ゼネコン自体の方も、低価格競争の中で厳しい競争を勝ち抜くために、資材の価格についてというか、その品質について、ちょっと管理的なところが、やはりゼネコンの方も手を抜いているところがあるんじゃないかと思います。

 また、材料の方も、ある意味で、生コンクリートなんかも、ちょっと水が多かったとか、そういう細かいことを言えば、この数年というのは大変そういう厳しい業界の中にありますものですから、国交省さんが東京で思っている以上に、全国、これは相当広い社会になりますので、ぜひ、それぞれ、現場の方まで徹底して、そういう形で御指導いただかないと、なかなか目の行き届かないところが正直あろうかというふうに思っております。

 最近、今の低入札については、総合評価制度というものが、国交省さんのお取り計らいで大分進んできたようでございます。土日も、週末帰って、またいろいろな市へ行って、私も七市四町あるものですから、情報源には事欠かないものですから、いろいろなところに聞いていますけれども、ある意味で、本当に総合評価というのが浸透してきているというふうに思います。国の直轄はもちろんですけれども、岐阜県の発注についても、大分ふえているようでございます。

 その総合評価の中で、いわゆる制度的なところで、例の前払い制度というものの関係も、これはやはり大分、皆さん認識されているようでございます。実際これが施行されるのかという点が、まだ始まったばかり、でもないですね、随分長いんですけれども、最近ちょっとそういう傾向になっているということで、少し徹底したのかなという気がしますけれども、ここら辺の進捗状況、今のレベルでちょっと国交省の方でおわかりになりますか。前払い制度の今の進捗状況、県の方は大分やっていらっしゃると聞いていますけれども、直轄事業の前払い制度は、もう大体全国的には周知されているんでしょうか。

小澤政府参考人 突然のお尋ねでございますので、ちょっと手元に数字がまとまったものがございませんが、今、委員御指摘ございましたように、公共工事の前払い金というのは、御案内のとおり、着工時に必要な資材や労働者といったものを確保するための資金でございますから、下請企業とか資材業者にも適切に行き渡るように、そういうことが大事だというふうに考えておりまして、建設業法上も、元請企業には、前払い金を受領した場合には、下請企業、資材業者に対して必要な資金を適正に支払うということを求められておりますので、その旨を強く指導しております。直轄にもかなりの確率で行き渡っているものと考えております。

武藤分科員 実際のところ、下請さん、いわゆる二次施工という立場だと、案外、大分もう浸透してきているようです。ところが、これが材料というふうになると、正直申し上げて、まだほとんど、地方の、例えば生コン組合とかいうところはまだよくわかっていないんじゃないかと思います。

 実際のところ、どうなんでしょう。結局、国交省さんの発注されたものについてゼネコンが受注したときに、ゼネコンさんは、見積もりを今まで積算したところに対して、今度、見積もりから契約に入っていきます。

 そのときに、別に、生コンクリートですから、均一ですから、どこでも本当はいいわけですけれども、ここで安いところから買うというのが商売の常套でございまして、そうなると、あんたのところ、うるさいこと言うんだったらほかから買うよという形になりますので、なかなか上下関係というものは、これはどちらかというと中小企業庁さんの立場になるのかもしれませんけれども、ちょっとそれはすんなりいかないところがございます。前払いでよこせと言ったって、それはなかなか、商売の中でやりますと、非常に厳しい局面になります。

 ですから、相当これも下請さんに徹底しつつあるようですけれども、それも同じように材料屋さんまで徹底すると、非常に業界それぞれが円滑に動いていくんじゃないかと思います。

 時も時、いろいろ、今まで公共工事が大変厳しい、どんどん減ってきた中で、やっと緊急経済対策の中で、地方対策も含めて、今回、原資が出てくるようでございますので、今が本当の、ピンチをチャンスというふうに変える意味では、それぞれ、その制度のあり方についてもしっかりと動けるようになると、これは大変、皆さんそれぞれが潤ってくる、そしてお金が回って景気がよくなるということにつながると思いますので、ぜひその辺について仕組み方を、今後、材料まで含めてお願いをしていきたいと思います。これは今のお話の関係です。何かコメントがあれば。

小澤政府参考人 今、委員御指摘ございましたけれども、下請企業に対しまして、そういう前払い金が支払われた場合に適切に行き渡るようにと指導してございますが、必要な時期に、それぞれ関係団体に要請をしておりますが、その中では、資材業者も下請企業と同様にきちっと扱うようにというようなことを徹底してございます。今後とも、その徹底に努めてまいりたいと思います。

 それから、下請企業や資材業者が元請との関係でなかなか支払いを要求しにくいという御指摘もございました。制度といたしましては、下請企業や資材業者におきましても、元請企業の前払い金の専用口座からみずからの口座に直接振り込んでもらうという制度も用意されているわけでございます。

 したがいまして、建設業、今は非常に厳しい状況でございます。元請企業に対しまして、前払い金をまず適正に当該工事に使用しているかどうかということをきちっと保証会社が見ていく、そういう使途監査を徹底していきたいと思っておりますが、あわせて、下請企業や資材業者に確実に支払われることを担保するような、さっき申し上げました、直接払い込み、そういうものの実施の徹底ということについても指導してまいりたいと思います。

 また、下請企業や資材業者の方自身に対しても、そういったみずからの口座への直接振り込みの制度があるというようなことを徹底して、そういうものの利用が促進されるように周知を図ってまいりたいと考えています。

武藤分科員 ありがとうございます。期待して、そのような形で徹底されることを切にお願いしておきます。

 そうなると、ゼネコンさんの方も適正価格をしっかりとこれはとっていかなきゃいけないと思いますし、そういう意味では、総合評価制度というものの中で適正価格というものがしっかり担保されて、適正な品質のもとに工事が円滑に実行されることをお願いしておきます。

 適正価格になりますと、今度、歩切りというものが、よく、なくなった、なくなったというか、厳しい指導をされているというふうに国交省さんの方から伺っておりますけれども、これ、市町村へ行くと、なかなか、いや、そんなことないですよと、案外まだ歩切りが横行しているという話もよく聞きますけれども、どこの市町というふうになると、ちょっとこれは語弊がありますのであれでしょうけれども、これについての認識は、今、国交省さんの方でどういう状態になっていらっしゃるんでしょうか。

小澤政府参考人 今、委員御指摘ございました歩切りという事柄については、都度都度、よく指摘されるところでございますけれども、我々としては、予定価格が適正に積算されている以上、歩切りというのはあってはならないことだというふうに理解してございます。

 都度都度、公共団体に対しまして、特に市町村に対しまして、そういう歩切りについては絶対に行わないようにという指導について、この四月にも要請をいたしました。今後とも、そういう趣旨を徹底してまいりたいと考えております。

武藤分科員 通達については私も見させていただきました。この通達がぜひ実行されるように、ただ、制度的にはやはり、市町村の方の事務として扱われているから、なかなか拘束感はないんですね。ですから、そこがなかなか難しいのかなと思いますけれども、これについては、特に今後どうするという話はないんですね、今のところ。

小澤政府参考人 本来、発注事務というのは、それぞれ公共団体の固有事務という性格もございますので、それに対して適正に行っていただきたいということについては、要請といったような形で行っております。ただ、この要請につきましても、あらゆる機会をつかまえまして、それから、いろいろな関係者の筋を通じて、その趣旨が徹底されるように努力してまいりたいと考えております。

武藤分科員 よろしく、済みません。そういうことで、適正価格を保つということについては、さまざまなところでやはり国交省さんの指導が要るわけでございます。私どもも、今回、緊急経済対策も含めて、県の活性化、特に岐阜県は金がないものですから、何とか税収を上げるということを考えるとお金を回さなきゃいけない、そのための、今回、大きな対策が打たれると思いますので、ぜひまたいろいろと御指導をいただいて、やらなくてはいけないのかなというふうな思いでございます。

 岐阜県もなかなか、公共工事も減って、まだゼネコンの数からいうと、ゼネコンさんというのは、どんどんアメーバみたいに分派するような話が過去にありまして、倒産があってもなかなか数が減らないという業界でございます。ただ、雇用を支えてきたということについては、大変長い間の歴史の中で、やはりそれなりに本当に今までやってこられた方々の業界だと思います。

 そして、最近やっと評価にも入っていただきましたけれども、やはり災害が起きればすぐ夜中に川を守りに行くとか、さまざまにそのような活動をされてきておられることも事実で、ここ数年、大変、彼らに対して、本当に今までやってきたことは一体何だったんだというような、ある意味の誤解というものも我々としては感じざるを得ないような状況でございます。

 今回、そういう形でさまざまに、少しずつ歯車がかみ合い出したのではないかという観点で私も思っておりますので、ぜひ今後とも御指導をお願い申し上げたいと思います。

 残り五分になりましたので、ちょっと先ほど答弁にあった関係の一部があるんですけれども、これをちょっと追加してお聞きしておきたいんです。

 いわゆる民事再生法でゼネコンがいろいろ倒産しました。特に、去年は大変たくさんの数が、不動産も含めてですけれども、ございましたけれども、こういう形で、今保険協会さんが、官公需、公共工事についてはしっかりととらえた、例えばゼネコンさんの下請さんとかいうところに対しては、保険協会さん絡みで一応セキュリティーが入っているというふうに聞いております。

 この制度について、この前もファイナンスでまた新しい制度を仕組むということで建通新聞に載っておりましたけれども、何か今新しい制度をお考えになっているのか、今までのファイナンスの関係のことなのか、ちょっとその辺の最近の制度のことについて、もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。

小澤政府参考人 今、委員御指摘ございましたけれども、元請と下請の関係の中で、元請企業が例えば民事再生法等のそういう倒産の憂き目に遭った場合に、下請企業が非常に苦しい立場に追い込まれるというような事態がございます。

 私どもといたしましては、そういう厳しい状況の改善に資するために、下請企業や資材業者の方が元請企業に対して持っておられます工事代金債権あるいは手形、そういったものをファクタリング会社によって買い取りを促進していただくというような形で、下請企業や資材業者が少しでも早く債権を現金化できるというような仕組みにつきまして、今、その創設を検討しているところでございます。

 下請企業や資材業者の資金繰りの円滑化という観点から、元請からの連鎖倒産の防止とか雇用の安定といった観点で、これからもいろいろな取り組みを進めてまいりたいと考えております。

武藤分科員 いつごろそれは制度的にできることになりますか。この夏ぐらいにはもうできるような形ですか。

小澤政府参考人 今回取りまとめさせていただきました景気対策、経済危機対策の中で検討させていただいてございまして、具体的には今後の補正予算等の編成作業の中で行いたいと思っております。

武藤分科員 はい、わかりました。

 そうすると、そういう意味でいうと、大体、民事再生法というのは、下部組織の方からいうと、あれは悪法だ悪法だとよくおっしゃられる方が正直多いんです。ですから、結局、焦げつきが出て、保証されるのが大体三%から多くて一〇%、一〇%までいく可能性はほとんどないんですよね。

 だから、そういう形の中で、被害をこうむって、材料屋、下請もそうですけれども、その中で、また今回景気が厳しいので緊急対策、保証を使おうと思って保証協会に駆け込んでも、同じ号数の中に入っていますので、いやちょっとそれは使えませんねという話になって、結局資金繰りが行き着かなくなってこれはやめざるを得ないというケースも、これは中小企業庁の関係ですが、ありますので、こういう制度が新しくできる、前払い制度とそれから今のような創設の中のファクタリングを使って、そういう意味では、下請さんとか材料屋が救われるのであれば、そういう制度の中で、ゼネコンさんもそれにやはり対応して、しっかりと適正な入札と適正な価格という形の中で、しっかり担保されなきゃいけないと思います。

 この業界も、そういう意味では、今まで疲弊して大変疲れ切っておりますけれども、今回の中である程度光が差してくるのかと思いますが、もう一つ、一方で言えば、民間の物件というのは、なかなかこれも厳しい。よく過去に自民党の中の部会でも私はちょっとお願いしていますけれども、民間物件というのはなかなか、価格競争がもう全く歯どめがきかない状態だと思います。

 特に、官物件、よく昔から言われたのは、要するに、民間が安いんだから官がなぜ安くできないのかという理論が随分ありまして、役所さんも多分その辺、お気遣いをせざるを得なかったという背景もあると思います。

 ですから、適正価格というところをどう押さえていくかというところを、ぜひ国交省さんも品質というものに対して非常にこだわりを持っていただいて、それを堂々とやっていただきたいと思うんですね。ですから、そういう形の中で、日本の、特に官公需については、公共でございますので、ぜひ、そういう観点も重要視していただきながら、堂々とやっていただきたいと私は思います。

 そういう形の中で、お時間をいただきましたことは終わりましたので、また金子大臣、いろいろと今後ともお世話になりますけれども、ひとつよろしく御指導のほどお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

福島主査 これにて武藤容治君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)分科員 民主党の鈴木であります。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、私も、数点にわたって、許された範囲の中で御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、建築関係ということでありますが、この問題は恐らくいろいろな委員からも議論があったところだというふうに思いますが、私からも一度お伺いをしておきたいというふうに思うわけでございます。

 言うまでもありませんが、例の平成十七年ですかに発覚をした姉歯問題ということで、まさにこれは、日本の国の住宅行政というか、衣食住という三原則の中の一つを根本的に揺るがすような大問題であったわけでありまして、国民の関心も本当に非常に大きかったということであります。そこで、いわゆる建築基準法の改正とか、それから例の、今からお伺いをしていきたいんですけれども、住宅瑕疵担保履行法について新たな制度改正がなされたわけであります。

 まず、この点なんですが、これは住宅瑕疵担保履行法については、要するに、欠陥住宅を販売してきたということが問題であったわけで、これを防止するために、新築住宅について、請負業者が保険の加入や保険金のいわゆる供託を義務づけられておるということであります。これについては、ある意味では国民が安心をしていくということで非常にいいわけでありますが、ただ、ここでいろいろと言われておるのは、保険の供託金についてであります。

 いろいろな資料を見ていくと、大手の住宅メーカーにどうも有利なのではないか、そして町場の工務店には大きな負担になってくるのではないか、こういうことであります。つまり、この供託金は業者の年間供給戸数に応じて算出されるということでありますから、供給戸数が多いほど一戸当たりの金額が安くなるというふうになっておるわけですね。

 まず、これはなぜこのような方法をとったのか。これは明らかに大手の住宅メーカーほど有利だというふうに思えるわけであります。そうでないならそうでないということをお示しいただきたいし、いわゆる町場の工務店では、本当に不公平、不平等だ、こういう声があるわけでありますが、そういった声を踏まえて御答弁をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 少し長くなりますが、委員の御指摘でございますので、少し丁寧にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、この制度でございますが、御指摘のとおり、構造計算書偽装事件のときに、ディベロッパーたるヒューザーが倒産して、本来やるべき瑕疵担保責任を果たせなかった、その結果、消費者に多大の不利益をこうむらせ、加えて公的な支援も余儀なくされた、こういった経験を踏まえまして、自己の責任で住宅事業者に瑕疵担保を履行する資力を確保してもらおう、こういった趣旨でございました。

 それから二番目でございますが、自己の責任で資金を確保ということになりますと、原則は、今委員御指摘の供託になる。しかしながら、まさにその供託のみですと、いわゆる大数の法則に従って規模の利益を享受できる大企業が有利になる。そこで、供託と同時に、中小事業者が共同で規模の利益を享受できるように、保険制度を同時に起こしたわけでございます。

 三点目でございますが、供託と保険を比較しますると、供託の方は金を預けているだけですから、これは経費に算入されません。一方、保険の方は保険料を支払いますので、これは明確に経費に算入されて、裏返して言えば住宅の建設コストに転嫁できる。こういった趣旨は私ども、ホームページ等で周知してございます。

 四点目でございますが、具体にその欠陥が生じた場合、供託の場合は、その供託金を取り崩すことはできなくて、事業者が自分の負担で補修等が必要になります。一方、保険であれば、保険の側から補修に必要な経費の八割が保険金で支払われます。

 最後でございますが、委員御指摘のように、中小事業者の負担の軽減を図るという観点から、私ども、かねて、中小事業者向けの保険料の引き下げを図るための基金を造成したところでございまして、二十一年度末見込みで七十九億円、二十一年度予算におきましても十三億円追加してございます。

 したがって、総じて見れば、この制度は、姉歯事件の教訓を踏まえて、中小事業者の消費者に対する信頼性の向上と経営の安定化、こういったものに資する制度だと思っております。加えて、保険の引き受けが増加する中で、複数の保険法人が合理的な競争をすれば保険料の引き下げも期待できる、こう思っておりますが、委員御指摘の、中小事業者の環境が不利ではないか、こういった問題意識は私どもも共有してございまして、今後とも、必要な基金の積み増しなど、中小事業者の事業環境の改善のために努力してまいりたい、こう考えております。

鈴木(克)分科員 余り深掘りはしないんですが、いずれにしても、一棟の場合は二千万、そして一万棟の場合は一棟当たり四万四千円ということですよね。これを聞けば、明らかにそれは大手の方に有利だと判断をせざるを得ないということだというふうに思います。

 時間も限られておりますので、いずれにしても、その辺のところはぜひひとつ改善をしていっていただきたいし、町の工務店の声を真摯に受けていただきたいというふうに私は思います。

 二つ目でありますが、現在、瑕疵担保責任保険法人は五社あるわけですね。この五社の保険の申し込み戸数は直近でどのぐらいあるのか、また実際に保険金の支払い実績があるのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

和泉政府参考人 昨年の五月に、初めて保険法人がこの瑕疵担保法に従って指定されました。それ以来、平成二十一年三月末時点で、瑕疵担保保険法人に対する申し込みは、五社累計で十九万三百五十九戸となっております。十カ月弱の実績でございます。保険法人からの報告では、現時点で、この十九万三百五十九戸に関する保険金の支払いはゼロ件でございます。まだ十カ月弱でございますので、そういった状況にございます。

 構造計算書偽装問題への対応として実施しました基準法等の改正によって、こういったいわゆる欠陥問題が大きく改善されたと思っておりますが、なお引き続き、こういった保険制度の充実によりさらにカバーしてまいりたい、こう考えております。

鈴木(克)分科員 今おっしゃったように、構造計算の厳重なチェックとか、それから建築後も設計図どおり建築されているかどうか、かなり綿密なチェックが行われてきておるというふうに思うわけでありますが、その上に保険制度を導入したということだというふうに思います。ただ、この保険は掛け捨ての保険でありまして、任意ではなくて強制保険ということですよね。そうすると、莫大な保険料が実は入ってくる仕組みになっております。

 五社の法人のうち、例えば財団法人住宅保証機構というのは、これは言うまでもありませんが公益法人なんですが、理事長以下数名の役員がいわゆる官僚の出身、俗に言う天下りということなんです。何かこういった事件が起きると、また官僚が焼け太りと言うと語弊があるかもしれませんけれども、いずれにしても、そういうことでこの保険会社についても役人の天下り先にならないように注意すべきだというふうに思います。

 あわせて、さっき申し上げた、掛け捨ての保険で本当にいいのかどうか。再検討が必要じゃないかなというふうに私は思いますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 まず、損害保険でございますので、一般的には掛け捨てが多いわけでございますが、ただ、厳密に言いますと、先ほど言いましたように、実際に瑕疵があった場合に補修費用の八割が保険から返ってくるわけでございますので、その限りにおいては、くどいようでございますが、中小事業者の経営の安定化にも資するのではないか、こう考えております。

 また、今の天下りの問題でございますが、現在、五つの保険法人がございます。委員御指摘の財団法人については、委員御指摘のとおり、三人のいわゆる役所のOBがいらっしゃいますが、これは、保険法人の指定を受ける従前事業と特段変わってございません。また、四社の民間の保険法人については、役所からの再就職はゼロでございます。

金子国務大臣 住宅瑕疵担保責任保険法人への再就職問題、今御指摘いただきましたけれども、改正国家公務員法の趣旨や総理の方針並びに官民人材交流センターの運用状況などをきちっと踏まえ、委員御指摘のように、適切に対応してまいりたいと思っております。

鈴木(克)分科員 大臣にも御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしても、やはり国民には、さっき申し上げましたように、何か事が起きると、結局それを機会に天下り先をつくっていっているのではないかという本当に大きな不信感がありまして、それは確かに、直接関与していないとかいうようなことをおっしゃるかもしれませんけれども、世間の目、国民の目線というのは、やはりそうじゃないわけですよね。そこのところをぜひひとつ、大臣、今御答弁いただいたように、私は、まさに李下に冠、瓜田のくつではありませんけれども、国民からあらぬ疑惑を招かないようにきちっと対処をしていただきたい、このことを御要望申し上げたいというふうに思います。

 続いて、住宅ローンの話に入らせていただきたいんですが、今回の世界同時不況は、金融不況ということと同時に、その一つの発端というのはアメリカの住宅の政策、ここから来ておる、端を発しておるのはもう御案内のとおりであります。

 我が国でも、いわゆるリストラとか会社が倒産をしたとかいうようなことで、本当に国民も大打撃を受けておるわけであります。住宅ローンを抱えておるという人は、子供も育てながら住宅ローンも払いながらという家庭が多いというふうに私は思いますね。しかも、そういう働き盛りの人がリストラに遭ってしまったということになると、当然、本当に大きな痛みが国民に来るということであります。

 そんな中で、いわゆるローンの状況が今どんなふうになっておるのかということでありますが、結局、ローンの残高よりも例えば住宅価格が低いという場合が圧倒的に多いわけですよね。これは当然そういうことになるというふうに思います。したがって、売却もできないし、どうしようかと。結局、最後は自己破産をするということです。職もなくなり、住む家を守れない、そして自己破産をする。まさに本当に塗炭の苦しみを味わっている方が非常に多いわけであります。

 そこで、私はぜひ御検討いただきたいのは、こういうときこそ、時限的でも結構ですから、住宅ローンの破産を防ぐ何らかのいわゆる方策ができないものだろうか。景気対策、経済対策、雇用対策等々を踏まえて、私は、総合的に何か一つのあれができないのかな、こんなふうに思って、今の現状等も踏まえてひとつ御答弁をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 まず、住宅金融支援機構がいろいろとお貸ししているわけでございますが、この住宅金融支援機構が管理する住宅ローン債権につきまして、月々のローン返済が諸般の事情で困難になった、そういった方々に対しまして、毎月の返済額を減らすためのいわゆる返済困難者対策を実施してございます。

 具体的には、返済が困難となった方のうち、所定の要件に該当する方に対しまして償還期間を最長十五年延長する、あるいは、特に失業中の方々や収入が急減された場合は元金の支払いを猶予する据置期間を最長三年間設ける、こういったことを従来もしてきております。

 こういった措置の適用の数でございますが、平成十五年度に三万六千四百件とピークに達しましたが、その後順調に減ってまいりまして、二十年度は八千四百件でございます。しかしながら、今委員御指摘のように、昨今の経済状況の急変のもとで、この過去五年間は減ってまいりましたが、今後の状況については十分注視する必要があろうかと思っています。

 加えて、こういった八千四百件でございますが、そういった方々にいわゆる返済困難者対策を実施しまして、その結果、七割弱の方が通常の返済に復帰されておるということでございますので、現在やっておりますこういった仕組みが極めて有効だろう、こう考えております。

 今後とも、ローン返済が困難となった方に対しましてきめ細かく相談に応じてまいりたい、こう考えております。

鈴木(克)分科員 私がなぜこういう御質問をしたかということなんですけれども、この際、また天下り機構を一つつくると言うとしかられるかもしれませんけれども、そういう意味ではなくて、業界、そして消費者、行政で資金を出し合って、いわゆるローン残高で住宅を買い取るという機構をつくることができないんだろうかというふうに実は思っております。

 メリットがありまして、若干のデメリットもあるんですが、メリットとしては、まず、そういう機構があって最悪の場合にはローン残高で買い取ってもらえるということになれば、消費者が安心して住宅を購入できる、それから、新築住宅の市場の活性化につながる、金融機関の不良債権化を未然に防ぐことができるということだと私は思います。

 ただ、デメリットとしては、悪意のある業者や消費者に悪用される恐れがあるということでありますから、その辺は考えなきゃならないかもしれませんが。

 この際、本当に景気対策、雇用対策、そして安心と安全な国民の生活を守るために、今こそこういう機構をつくるべきだ、御答弁は結構ですけれども、そういうことを私はぜひ考えていただきたいという要望をさせていただきたいというふうに思います。これは、我々が政権をとったら直ちにやろうと思っておりますが、別に政権がどうのこうのになる前に、国民を助けるために、国民の目線でひとつぜひ大臣、考えていただくといいんじゃないかな。知恵は幾らでも御提供させていただきますので、よろしくお願いします。

 そして、次の質問に入ります。

 実は、私の地元に佐久間ダムというダムがあります。これは本当に大きな事業でありまして、地域に、そしてまた日本国全体に与える影響も非常に大きかった多目的ダムでありますが、今から申し上げるのは、ダム反対ということで申し上げるわけではありませんで、後のアフターケアということで具体例で申し上げたいわけです。

 この五十年間に大変な土砂が流れ込んで、これは約一億立方メーターというふうに言われておるんですけれども、問題は、これが冬場の乾燥期になると物すごい砂ぼこりを上げるわけです。それで、非常に細かい砂ぼこりなものですから、窓を閉めようが何しようがどんどん入ってきちゃう。それから、例えばシイタケなんかを栽培しておるんですが、それが壊滅をしてしまうというようなことで、実はポンプを用意していただいて若干散水をしていただいておるんですが、とてもそれでおさまるような問題ではありません。

 そこで、私がこれをお伺いすると、当然、これは私どもの直接の所管ではなくて電源開発だ、こういうふうにおっしゃるのではないかなと思うんですが、これは国の問題でありますから、また国策でありますので、私は、ぜひ電源開発と本当に真摯に話し合いをしていただいて、対策、対応を考えていただきたい。

 ここに新聞資料を持ってまいっておりますけれども、本当に悲惨な状況でございます。一々申し上げませんけれども、ぜひひとつこの堆積土砂の問題をお考えいただきたいということで、かつての日本で一番小さな村、地元、富山村の住民の本当に小さな声かもしれませんけれども、非常に大きな問題だというふうに私はとらえておりますので、ぜひひとつお考えをお示しいただきたいと思います。

金子国務大臣 今の件、天竜川につきましては、河道、ダムの土砂堆積、海岸侵食の進行など、安全上、利用上の支障が生じておりまして、適切な土砂移動を図るために、山地から海岸まで一貫した総合的な土砂管理を関係機関と協議して推進することが必要であると思っております。

 国土交通省として、天竜川におきまして、既設の利水ダムである佐久間ダムに堆積した土砂の掘削及び排砂バイパスを設置して貯水池に入ってくる土砂を下流に流すことによりまして、下流部の洪水防御を図りつつ、侵食が著しい遠州灘海岸へ土砂を供給する天竜川ダム再編事業等を実施しているところであります。

鈴木(克)分科員 これは地域住民の積年の悲願でありまして、実は、砂が舞い上がる時期というのがありまして、一定の期間で、しかもいろいろな条件のもとでないと、ただ行ってさっと状況を見てこようといっても見られないんですね。そこで、現地と連絡をとりながら、今からすぐ来てくれと言われても飛んで行けないものですから、恐らくあすかあさってはそんな状況になるんじゃないかということで、実は私、一遍行ってきました。

 本当にすごいんですね。それも、一週間も十日も続いておるならいいんですけれども、本当に一日とか二日で終わるというかおさまるわけです。それで、またしばらくして舞い上がるということでして、写真を見ていただきたいというふうに思うんですけれども、これは本当に大変な問題だというふうに思います。あれがどんどん長く続けば、完全に健康問題になってくる。今でももちろんあるんですけれども、しかし限定的、ある条件のもとだけということですからあれなんですけれども、そのときは本当に、窓を閉めてもちょっとしたすき間からどんどん入ってきまして、真っ白になってしまう。もちろん、洗濯なんか外へは出せないですし、その間は何しろじっと、まさにあらしが過ぎ去るまで待っておるしかないという状況なんですね。本当にひどい状況であります。

 私は、例えばある程度渇水になったときに取水をやめてもらえば、それは問題があるのかもしれませんけれども、素人考えでは、要は、若干でも水面が残っていればそういう状況にならないわけでありますから、ぜひひとつ知恵を出していただいて御検討いただきたい。大臣、ひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、高速道路のお話をさせていただきたいと思います。

 やはりすごいですね、千円で土日行けるというのは。私は愛知県でありますから東名なんですけれども、本当にすごい交通量でして、我が党はあれを無料化ということなんですが、どういう状況になっていくのか、やはり相当対策を考えてからやっていかないといけないなと思うぐらいなんですけれども。

 いずれにしましても、私がきょう申し上げたいのはそのことではなくて、例のETCなんですね。

 これは、法のもとに不平等だという話が物すごくあるんですよ。皆さんのところへどれぐらい入っておるのかどうかわかりませんけれども、なぜETCをつけた車だけが金額が安くなって、現金で払うのはなぜやってもらえないんだ、これは本当に大きな声なんですね。コンピューターの操作ということだと思いますので、私は全くそんなことは問題ないというふうに思って、素人考えでおるんですが、いずれにしても、法のもとの不平等であるということに対するお考え方が一つ。

 もう一つは、実は財団に巨額な金が入るんですね、皆さんもこれは御存じだと思うんですけれども。某財団、名前を申し上げても全然問題はないんですけれども、そこへ技術料ということで一台当たり七百円入るというふうに聞いております。今どれぐらいのお金が実は技術料として入ったのか、そして、そこは一体全体どういうことでその技術料を取ることになっておるのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

金井政府参考人 ETCの関連でございます。

 ETCについては、先生御承知のとおり、例えばETCを現在調べてみますと約七八%の利用率でございますが、料金所の渋滞がほとんどなくなった、CO2の削減に非常に効果があった、それから何よりも、現在やっておりますような弾力的な料金設定が可能になったということで、ETCの推進を我が省としても進めているところでございます。

 それで、現在やっているような時間帯を含めた弾力的な割引を今の現金の収受システムでやることは実は不可能でございまして、現金の収受システムというのは、いわゆる基本料金しか表示されませんので、今の現金の表示システムで、時間帯であるとか、どこから来たか判断をして割引料金を計算するという機能は実は持っておりません。それを改修するということになりますと大変な金がかかりますので、先ほど申し上げましたとおり、現在、ETC利用がもう八割に近づいているということで、今回の割引については基本的にETC限定にさせていただいたということでございます。

 なお、御指摘のとおり、現金の利用者が割高感があるということは事実でございますので、従来から企画割引というのをやっております。例えば、前もやりましたのは、アクアラインと房総を一周した場合というような、いわゆる周遊ルートを設定して、観光施設等と連携をした企画割引というようなものを幾つか今までも現金車を対象としてやっておりますので、そのような割引について拡充すべく、今、会社の方が調整をさせていただいておるということでございます。

 それから、セットアップの関係の御質問だと思うんですけれども、ORSEという財団がございまして、基本的に、かぎの使用料といいますか、いわゆる暗号をその機器に付与するというようなことからその収入を得ておりまして、逆に、そのかぎを発行する手数料であるとか管理費であるとかセキュリティーであるとか、そのようなものに充当いたしております。二十年の数値はございませんが、平成十九年で見ますと、かぎの使用料、セットアップすべて含めまして三十四億、それから、同じく支出が三十三・九億ということでございまして、これは、かぎを発行するのに直接必要な経費であるとかセキュリティーのコードであるとかソフトの購入であるとか、そのようなものに充当いたしております。

 先生御指摘のとおり、今回、三月から非常にセットアップがふえておるところでございますので、もしそれによって収入がふえるようなことがあれば、確実に利用者に還元するように指導をしたいと思っております。

 なお、現時点で、従来取っておりました五百二十五円の利用者からのセットアップ手数料はただにしておりますので、現在、利用者からはセットアップ手数料はいただいておりません。

 以上でございます。

鈴木(克)分科員 時間も限られていますので、これぐらいにさせていただきたいと思いますが、私は、この問題を今後も少し取り上げていきたいなというふうに思っています。

 いずれにしても、ETC装着車が二千九百万台を突破しておる、一台当たり七百円ということで、二百三億円という巨額な金がこの財団に入っておるということでありまして、今御説明がありましたことも踏まえて、一度私も勉強させていただきたい、このように思っております。

 そして最後にもう一点でありますが、道路の建設について、いわゆる地域地域の実情に合った建設の方法をとったらどうだ、こういうことを実は申し上げたいわけであります。

 例えば、ある道路の建設で、政府の考えるルートでいくと、用地買収を含めて一千二百億円の費用がかかるというふうに言われておるわけですが、地元が言っておる代替案で、山すそを通るルートにすると四百八十億、半分以下でできるというふうに主張されておる方が実はあるわけであります。もちろん、政府には政府のお考え、言い分もあるかと思いますけれども、私はやはり、機能がそんなに変わらなくて、そしてコストが安くなれば、明らかにそちらの方を選択していくべきだというふうに思うわけであります。

 具体的には、東九州自動車道の椎田南―宇佐の間のことを私は今ちょっと申し上げておるわけでありますが、いずれにしても、やはり国全体として、そういうような形でコストを削減していくということについてはどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

金井政府参考人 先生御指摘の案件は、現在係争中ということでございますので、詳細は省略をさせていただきますが、御承知のとおり、道路のルート、構造を決定するに当たりましては、地元の自治体と十分調整をいたしまして、例えば市街地からのアクセスの距離であるとか、アクセス道路がどうなっているか、それから土地利用がどうなっているか、環境がどうなっているか、そのようなことを十分調整をしました上で、今回の例でもそうでありますが、都市計画決定ということで、地元の自治体の方の手続も経て、決めさせていただいております。

 そのような調整の中で、いろいろ最適なルートを、コストももちろん一つの要因でございますが、先ほど申し上げましたとおり、土地利用であるとかアクセス性であるとか、そういったことも含めて総合的な調整がなされていると思っておりますが、先生御指摘のとおり、コストの縮減は一番重要な課題でございますので、今後も最大限努力をしたいと思っておりますし、地元が使いやすいネットワークの形成ということに十分配慮をいたしたい、こういうふうに考えております。

鈴木(克)分科員 いずれにしても、私も地方自治体の首長をやってきましたけれども、国は、何かというと地元の問題だ、地元は、やはり国の主導だということで、結局その間で、ユーザーであるとか地元の地権者であるとかそういった人たちが、もう本当に思いどおりになっていかない、なぜなんだという、いわゆる行政に対する不満があるということを私は強調させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

福島主査 これにて鈴木克昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、前田雄吉君。

前田分科員 前田雄吉です。

 私は、春日井、小牧、犬山から出させていただいておりますが、先ほど御質問がありました武藤先生も金子大臣も、木曽川を挟んでの方でありますので、よく地域のこともおわかりだと思います。

 まず初めに私が御質問したいのは、犬山にあります入鹿池の問題。これは、貯水量では日本一のため池であります。この問題。それから中部国際空港の問題です。そして、時間のある限り、金子大臣は海洋政策担当大臣でもあられますので、今回のいわゆる海賊法についての質問をさせていただきたいと思います。

 特に、海賊法については、NHKが行いました、四月の十日から十二日までの世論調査において、まだ国民の三九%が賛否どちらとも言えないという答えを出されております。ですから、ぜひ、少しでも多く大臣の口から、この海賊法についての情報を御提供いただけたらというふうに思っております。今、大臣が少し御不在でありますけれども。

 初めに、犬山にあります入鹿池は、入鹿六人衆がつくりました、江戸時代初期から四百年の自治の歴史を誇る、よく満濃池と対比されますけれども、貯水量では日本一なんですね。私どもの、明治村のすぐそばにありまして、観光地にも近うございますけれども、私が秘書をやっておりました江崎真澄も、この入鹿池の改修に全力を挙げて、堤防の耐震化等をやってきた次第であります。

 そこで、私も、江崎の秘書でもありましたし、この入鹿池の問題に関しては非常に関心を持っておりまして、入鹿池から出ております新郷瀬川というのがあります。これは六百五十町歩の受益農地を控えておりまして、ここの改修事業がなかなか進んでおりません。これは愛知県の一宮建設事務所が所轄しておりますけれども、もちろん国のバックアップのもとで行われておりまして、わずか四キロの改修事業でありますけれども、昨年度は百メートルぐらいしか進んでいないんですね。残るところを考えるならば、まだ二十年、三十年かかるのではないかというような形であります。

 よく勘違いされますけれども、新郷瀬川というのは入鹿池の余水吐き河川、つまり余った水が流れてくる河川ではないかと言われていますけれども、そうではなくて、れっきとした、この地域の農業を営む皆さんにとりましても大事な河川でありますし、それから災害等を考えますならば、地域住民の人命と財産にかかわる重大な問題でありますので、私は、いち早い改修への御援助をお願いしたいと思っております。

 なお、県の方も、郷瀬川圏域流域委員会というのをつくりまして、二〇〇七年度までに三回もこの委員会を開かれて、そして住民アンケートによりましても、早くの改修を望んでいるという結果が出ております。

 ぜひこの改修事業に関しての御援助をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 新郷瀬川でございますが、委員御指摘のとおり、入鹿池から発しまして、途中で本線の郷瀬川に流入いたしまして木曽川に流入する、愛知県が管理する一級河川でございます。昭和五十一年の水害では郷瀬川流域におきまして六十二戸の床上、床下浸水が発生するなど、治水対策を望む地域の声も多い河川と聞いております。

 このため、県では郷瀬川並びに新郷瀬川の改修をやっておりますけれども、委員御指摘のように、地域住民によるアンケート結果を踏まえ、郷瀬川及び新郷瀬川における治水対策や、桜並木等の河川環境に配慮した河川整備を位置づけた郷瀬川圏域河川整備計画を平成二十一年三月に策定いたしまして、現在、多自然川づくりの試験施工等の取り組みが行われているところでございます。

 今後とも、地域の御意見、県の御意見を十分拝聴いたしまして、国としても引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

前田分科員 ありがとうございます。ぜひ早急なる改修を望みたいと思います。

 そして、この入鹿池自体が農業ため池でありますので、今度、農水省にちょっと伺いたいと思いますけれども、私は、ため池を所轄する、所掌する法律があるかと思いましたら、ため池法はないんですね。河川法の所轄のもとで行われているということですけれども、私はぜひ、農業ため池だけを所轄する、所掌する法律が必要ではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 ため池の重要性にかんがみ、ため池法を整備すべきとの御指摘でございますが、農業用のため池について、老朽化したため池の決壊による災害発生を防止し、安定的な農業用水の確保を図るため、計画的に改修等を進めることが重要な課題と考えております。

 このため、土地改良法に基づき、平成二十年十二月に閣議決定された土地改良長期計画におきまして、老朽化したため池、災害リスクが高く緊急に対策を要するため池等の整備を進めるとともに、減災の観点から、ため池における防災情報伝達体制やハザードマップの整備を進めることとしております。

 また、農業用のため池の改修は、土地改良法に基づく土地改良事業として、農業者の申請等により県等が事業を実施しております。改修に要する費用の国庫補助につきましては、県等の要望にこたえられますよう、所要の予算の確保に努めております。

 今後とも、老朽化した農業用のため池の改修を計画的に推進してまいる所存でございます。

前田分科員 私は、先ほど申し上げた我が師の江崎真澄の遺命もありますので、このため池の問題に一生かかわっていきたいと思っております。今、土地改良の観点あるいは防災上の観点から御答弁いただきましたけれども、ぜひため池を所掌する新法を私はつくっていただきたい、そういうように思います。

 ため池の話から、今度は中部国際空港の話に移らせていただきたいと思います。

 ちょうど第一次補正予算においても羽田の滑走路の延長が盛り込まれておりましたけれども、空港という性格上、本当に利便性そして安全性を追求するということが非常に大事でありますので、景気対策にとっても有効な手段であるというふうに思っております。それを考えるならば、我が中部国際空港もいろいろな問題を抱えておりますので、ぜひ大臣もいろいろなことをお考えいただきたいと思いまして、きょうは御質問させていただきます。

 まず初めに、この一月にアメリカ・ハドソン川でありました、ハドソン川の奇跡と言われたんですけれども、鳥がぶつかって墜落するといった事態が起きました。アメリカの場合は人命は損なわれずに済んだということでありますけれども、我が中部国際空港も、何と二年前の八月二十二日、着陸寸前のJALのジャンボにウミネコが二百羽近く衝突、四機のエンジンすべてに吸い込まれた、そしてコックピットもウミネコの死骸で血だらけになった、三十五分間滑走路が閉鎖されたという、バードストライクによる大きな被害をこうむったわけであります。特に、ウミネコは千羽近くで群れをなすということですけれども、中部国際空港周辺は海上でありますのでこうなご漁が盛んで、そのおこぼれにあずかろうとするのか、一万羽近くのウミネコが現在もいるということであります。

 二年前のこのジャンボの案件に関しては、二百羽近いバードストライクがあったということであります。飛行機の離発着にとっては非常に危険なバードストライクでありますので、これへの対策がいかになされてきたのか、御質問したいと思います。

前田政府参考人 中部空港における鳥対策についてお答え申し上げます。

 まず、実態から申し上げますが、中部空港におけるいわゆる鳥によるトラブルは、平成十七年に二十五件、平成十八年に二十二件、平成十九年に十七件、いわゆるバードストライクが発生いたしました。

 中部空港会社におきましては、航空機の運航の信頼性確保という観点から、平成十九年に対策本部を設置しまして、航空関係者それから鳥類研究の有識者、こういった方々の協力を得ながら鳥対策を二年間実施してまいりまして、平成二十年度においてはバードストライクは六件まで減少したところでございます。

 具体的にどんなことをやったかということでございますが、例えばバードパトロール、監視員がパトロールに回って、鳥が多い場合には空砲等で撃退する、あるいは酢酸カリウム、カプサイシンというような非常ににおいが強烈なものを散布いたしまして鳥を運航に支障のないところまで追い払う、こういった対策を実施したところでございます。

 中部の会社の方では、今後も引き続き、有効な鳥対策を検討し、また実施に移していきたいというふうに考えておると聞いております。

前田分科員 今御答弁ありましたように、空砲を撃つとかいう措置がとられているようであります。それから、滑走路の南部に追い込んで、あるいはR3などの途中の誘導路から離発着を誘導するとかいった時期もあったようです。空砲を撃つ、それからあとウミネコの残骸をさくにつるして、何かそんな程度の対策で果たしてよろしいのかというふうに私は思っております。

 ですから、抜本的な対策を私はとるべきであると思います。例えば、テトラポットにウミネコがとまりにくいように、そこをすみかとしないように網をかける等の対策をとっていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。

前田政府参考人 先生が今御指摘されましたテトラポットに網を張るというような物理的な対策、これも非常に有効な手段であるということで、十分に検討が行われたと聞いております。

 ただ、この対策に限りませんが、何分こういった物理的な対策というのは、何か鳥がなれてきてしまって、一時的に効果があってもその後効果がなくなるというようなこともありますので、今先生から御指摘いただきましたので、その方法も含めてなるべく有効な対策をとるように、中部空港会社の方には指導してまいりたいと思っております。

前田分科員 ぜひ抜本策をとれるように常にお願いしたいと思います。

 次に、中部国際空港は横風にも非常に悩んでおりまして、二〇〇五年の空港設立当初は、飛行機にとって離発着不能となる、特にJALは二十五ノットでもう離発着不能という状態だそうですけれども、横風の吹く状態が頻繁にありました。特に繁忙帯の夜の着陸ラッシュのときに使用不能となることもたびたびあります。実際に、この四月の十四日にも、風向きが急に反転するウインドシアーのために六機が着陸できずにゴーアラウンドして、天候回復まで少なくとも二十機近くの旅客機が三十分以上上空待機を強いられた状態が続いたということであります。本当についこの前の話です。

 空港は、安全性と確実性が要求される。設立当初、一年に四日ぐらいは使用不能となるんではないかという予想もされていたんですけれども、高い定時性と安全性を求めるという観点から、二本目の滑走路、今景気の問題もありますのでなかなかそこまでは考えにくいかもしれませんけれども、つくるとすればV字の滑走路をぜひつくるべきではないかというふうに私は思っております。

 平行滑走路の場合、国際管制方式基準に基づいて千三百十メートル離していないと、二本の滑走路として、キャパシティー等、二倍近くにふえるということはなかなか難しいようでありますし、管制もなかなか難しいように聞いております。ただ、四十度角度を変えれば、二十五ノット以上の横風が吹いても、離発着限界が三十九ノットまでに上げられるということであります。V字滑走路ですね。こうした滑走路のつくり方をぜひ指導すべきであると私は考えますけれども、いかがでございましょうか。

前田政府参考人 まず御指摘ありました横風の問題でありますが、ICAO、国際民間航空機関の基準によりますと、滑走路の本数それから方位というものは就航率九五%以上を満たすものでなくてはいけない、こういう基準がございます。

 中部空港におきましては、開港以来、大体九八%以上で推移しております。九八・四%から九八・八%という就航率が確保されていますので、数字の上では一応、国際民間航空機関が定めている基準をクリアしているものでございます。

 それから、二本目の滑走路の問題でございますが、これはアジア・ゲートウェイ構想でありますとか交通政策審議会航空分科会でありますとかあるいは社会資本整備重点計画等で、やはり将来に向けて完全二十四時間化を検討しフル活用を図るというような文言が規定されてございまして、二本目の滑走路というものの重要性はだれも疑うところではないと思われます。

 ただ、先生もおっしゃいましたとおり、最近の需要の伸び悩み等もございまして、なかなかこのプロジェクトに手をつけるというところまでは至っておりません。やはり最大の問題である需要というものを喚起して、利用の増進を図って、その上で必要な施設整備を行っていくということでございますので、地元の利用促進のための努力というものが何より重要かというふうに考えております。

前田分科員 ぜひ、利便性が高い、安全性が高まるような御指導をこれからもしていただきたいと思います。

 次に、冒頭申し上げたように、NHKの世論調査でも、まだ国民の四割が賛否どちらでもないと答えております海賊法についてお伺いをしたいと思います。大臣は海洋政策担当大臣でもあられますので、ぜひこうした観点から、あらゆる機会を通して、国民にいろいろな情報を発していただければというふうに思っております。

 初めに、護衛対象の件に関して伺いたいと思います。

 海上警備行動による海賊対処では、護衛する対象は初めに日本籍船、二番目に日本人が乗船する外国籍船、三番目に我が国の船舶運航事業者が運行する外国籍船、または我が国の荷物を運んでいる外国籍船ということで、我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶に一応限定されているわけであります。海上警備行動が我が国国民の生命、財産を守ることを目的としていることによりますので、これは妥当な考えであると思っております。

 他方、現在審議されております海賊対処法案ではそのような限定は設けられておらず、船籍を問わずすべての船舶を海賊から守ることができることになっているわけであります。もちろん海洋法条約でも、海賊は旗国主義の例外であり、すべての国が海賊の抑圧に協力を求められている。また、海賊根絶には国際的協力が必要だということで、これも妥当だと思います。

 既にこの三月の三十日から三件、護衛事案が発生しておりまして、一つはシンガポール船籍のタンカー、四月四日ですね。四月の十一日にはマルタ船籍の商船から救援を求められ、不審船を追い払っている。そして、ついせんだっての十八日、クルーザーから、小船二隻に追われているといった事態があったわけであります。

 実態面から考えますと、護衛対象に関していろいろな問題が発生してきているんではないかというふうに思っております。国土交通省の海事局に海賊対策連絡調整室が設けられまして、事前登録する船舶の数が二千六百隻であったと言われております。では実際に本当に護衛するかといったら、これが六百隻とか七百隻になるという話ですけれども、だんだんと我が国の対応能力をはるかに超えた活動が要求されてきているのではないかと思っております。

 その一方で、限られた艦船でどのように国際的な責任を果たすのかということが問われてくると思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

大口政府参考人 先生御質問の、海賊対処法案につきまして、まず一義的には内閣官房なりからお答えするべきところだというふうに承知しておりますけれども、私ども承知しているところでお答え申し上げますと、この海賊対処法案が成立、施行されることになりますと、船舶の国籍に関係なくすべての船舶を海賊行為から防護することが可能となります。これは先生がおっしゃるとおりでございます。これによりまして、現行法による海上警備行動では防護対象とならない、我が国との関係を有しない船舶についても、まさに新たな防護対象となるというふうに承知しております。

 新法の施行後の自衛隊の活動の形態などについては、今後の状況などを見きわめながら決定されるというふうに聞いております。

前田分科員 なかなか、これは本当に、いつ、どういう事態が起きるかという予測はできないことでありますので難しゅうございますけれども。

 それからまたさらに、今言われたように、この海賊対処法のもとで、日本関係船舶以外も護衛対象になるということでありますので、我が国関係船舶とそうでない船舶とで優先順位をやはりつけざるを得ないというふうに私は思うんですね。日本籍船を最優先、その後に日本関係船舶、外国船舶といった、しかるべきプライオリティーをつけざるを得ないんではないかというふうに思いますが、この辺のお考えをお聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 優先順位の話でございますが、今のエスコートの現状を若干御説明しますと、七回ございまして、一回平均三隻、五隻の場合もありましたし一隻の場合もございました。全体のいわゆるエスコートの対象の限界というのは自衛隊の方で御判断されると思いますが、今の状態では比較的余裕があるのではないかと国土交通省は思っております。

 ただ一方、この新法が成立されましたときにも現在と同様の形態で護衛を続ける、こういう仕組みを継続するということになりますと、やはり現行法による海上警備行動の場合よりも、当然、護衛対象になる船舶の範囲が拡大するという可能性がございます。したがいまして、そういう事態が発生することも踏まえまして、優先順位を設定するということも含めて、やはり対象船舶の考え方については、防衛省等関係官庁とも私ども話し合いをして検討を進めてまいりたいと考えております。

前田分科員 いち早くそうしたプライオリティー等を、いつ、どういう時期に何が起こるかわからぬわけでありますので、御検討いただいておいてほしいと思います。

 それから次に、武器使用の問題について伺いたいと思います。

 これまで、自衛隊の海外における活動では、武器の使用に関して厳しい制限が課せられてきたわけであります。緊急避難、あるいは自己、自己とともにある者の防衛、または武器等の破壊、奪取から防護するための武器使用、これのみが認められていたわけであります。今回の海賊対処法案において、著しく接近する船舶を停船させるための武器使用が認められており、自衛隊の海外活動において初めて任務遂行のための武器使用が認められたということになると思います。

 こうした武器使用は、政府が言われるように、海賊対処行動が警察活動であるということから考えれば問題ないとされておりますけれども、今回、船体への射撃や危害射撃が認められたことによって、自衛隊の武器使用基準がこれからますますなし崩しに拡大されていくのではないかという懸念も一方にあるわけであります。

 そのまた対岸には、アメリカ、フランス等が実際に射殺事案を起こしておりますので、海賊が非常に過激化してきているという現状があると私は思います。アルカイダ等もこれに呼応していろいろな発言を繰り返しておりますので、危険な状況がますます高まっているのではないか、海賊の過激化が進んでいるのではないかというふうに思っております。

 ですから、海賊であることが確かな場合には、船体射撃や危害射撃はもちろん認められている。相手が万が一海賊でなかった場合でも、例えばテロリストあるいは反政府組織の人間であるといった場合には、武器使用の可能性が生じる事態が発生するんではないかというふうに思っておりますが、こういう事態のときにはどうお考えでしょうか。

大口政府参考人 先生御質問のテロリストあるいは反政府組織が具体的にいかなるものを指すかということについては明らかでないわけでございますが、当該行為が海賊行為に該当するか否かは、専ら今回の法案の第二条に規定されました海賊行為の定義に従って判断されるものでございます。行為者の属性により判断されるものではないというふうに承知しております。

 いずれにしましても、ある行為が本法案に規定する海賊行為に該当する場合には、この法案による海上保安庁及び自衛隊の対処の対象になり、海賊行為であって我が国の刑罰法令が適用される犯罪に当たる行為を行った者に対し、法令の範囲内で武器を使用することは、憲法第九条が禁じる武力の行使に当たらないというふうに承知しております。

前田分科員 先ほどシンガポールとマルタの話もしましたけれども、これは海上警備行動ではない、護衛対象外となっている船舶についての活動でありました。船員法の第十四条に基づいた行動であるというふうに政府からは御説明いただいていますけれども、幸いにして武器を使うことなく不審船を撃退しておりますが、もし武器の使用が必要となった場合に、この船員法第十四条にある必要な手段により、武器の使用は認められるんでしょうか、認められないんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 先生御指摘になりました船員法の第十四条でございますが、この船員法第十四条は、船舶、航空機の遭難の事実を確認した際に人命救助の手段を尽くすことを義務づけている規定でございまして、これは自衛隊の船であれ商船であれ、いわゆる海事国際社会の中で長年の慣習になったものを船員法で義務づけてございます。

 人命救助そのものの手段でございますが、これはその場の船長の判断にゆだねられておる次第でございます。したがいまして、具体的な対応につきましては、何が最も適切であるかということについて、現場の状況を見て船長が総合的に判断をして決すべき性格のものでございます。今回の自衛隊の護衛対象外の船舶からの救助要請を受けた場合で、現場の状況を把握した船長の判断によりとり得る措置を講じた、あるいはこれからも講じていくというものと防衛省から伺っております。

 特に武器使用についてでございますけれども、今申し上げたとおり、状況に即した自衛隊の判断と思われますけれども、私どもの立場では、武器使用につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

前田分科員 時間が来ましたのでやめますけれども、非常にテクニカルな問題が山積しております。ですから厳格に準備の方を整えていただいて、あらゆる事態に対応できるように、これからも政府に望みたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

福島主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

福島主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管について質疑を続行いたします。大串博志君。

大串分科員 ありがとうございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、お時間をいただきました。ありがとうございます。

 金子大臣には、過年、予算委員会の場においては、委員長と委員という立場で大変お世話になりました。きょうは、初めて大臣という立場で御質問させていただきます。

 私、きょうは、ダムの問題、そして鉄道の問題を中心に取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 まず第一に、私の地元佐賀県において、一つの大きなダム、国直轄事業のダム事業で動いているものがあります。日本全国いろいろな水系でのダムの見直し等々も今回発表されましたけれども、ぜひ同じような流れで本当にダムが必要なのかということを取り上げていただきたいということで、今回取り上げさせていただきます。

 佐賀県の城原川ダムというダムでございます。この城原川ダムにつきましては、神埼市というところで、私の理解するところでは治水目的ということで検討がなされているということだと思いますけれども、このダム事業に関する今の状況をまずはお聞かせいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 城原川ダムにつきましては、昭和五十四年度に実施計画調査に着手しており、その後、城原川流域委員会、城原川首長会議及び佐賀県知事等の御意見を伺って、平成十八年七月に筑後川水系河川整備計画を策定しており、その中で、治水対策の一環として城原川ダムの建設並びに城原川の河川改修を位置づけております。

 城原川ダムでございますが、現在、地元の住民の方々の協力を得て、事業計画の策定に必要な調査、水理水文調査、環境調査、水源地対策調査等を実施しているところでございまして、今後とも、関係者と十分協議しながら、建設へ向けての調査の促進を図ってまいりたいと考えております。

大串分科員 今お話がありました、事業計画の策定に向けて必要な調査を行っている、そして地元の関係者との意思疎通を図りながらやっていくんだという答え、これも前回来いろいろお尋ねさせていただいている流れでございます。

 事実確認をさせていただきたいんですが、これはもちろん、今お話がありましたように、関係者の意見を聞きながらということでございますので、一番大切なのは、ダムによって影響を受ける地元の皆さんということだと思いますし、その意味では、地元自治体、市町村を含め県もということだというふうに思います。

 この城原川ダムについては、御案内と思いますけれども、治水目的で、穴あきダム、ダムの一番下の方に穴のあいた形のダム、それによって治水を目的として行うダムという形であれば理解できるというような態度が県からは示されているところでございます。ですので、今、私としてお尋ねしたいのは、このダムが穴あきダムということで検討されているのか、これが一つ。

 そしてもう一つは、あくまでも、私たちが理解するところでは、私たちの態度はまた別に述べますけれども、これはもともと利水ということではなく治水のためのダムなんだということで国の方で検討されているというふうに理解しておりますけれども、これもそういう理解でいいのか。

 この二点に関しての事実関係を教えていただきたいと思います。

甲村政府参考人 まず、城原川ダムの形式についてでございますが、平成十七年六月十三日に、佐賀県から、流水型ダム、通称穴あきダムでできないかという提案を受けておりまして、それに対して、平成十七年十一月七日付で、技術的に穴あきダムとして建設することも可能と回答したところでございます。

 もう一つ、治水、洪水調節以外に、城原川沿川の既得用水などを確保するための不特定容量が果たして必要か否かにつきまして、現在、地元関係者も含め、国、県、市で協議しながら調査検討を行っているところでございます。その結果を受けましてダムのタイプが決まるという予定でございます。

 もう一つでございますが、そういうことで、新規の水道用水等の都市用水の確保を目的としているものではございません。

 以上でございます。

大串分科員 今、確認させていただきますと、新規の利水を、用水を求めてやるわけではない、不特定のところが残っているので、これを含めた検討の中で、穴あきも技術的には可能だけれども、そうするかどうかは今度決定する、つまり、穴あきかどうかということはまだ結論に至っていないし、かつ、利水目的のところに関してまだ検討材料が残っているということだというふうに理解いたしました。

 この問題、城原川ダムに関しては、先ほど来話がありましたように、地元関係者の意見をよく聞いてということを再三再四この委員会でも取り上げさせていただいて、私も歴代の大臣からそういうふうに聞いております。

 その中で、今般新たな動きがありまして、昨年の十二月に、地元、まさに流域の市である神埼市の議会において決議が一つなされまして、これに関して、どういう内容かと申しますと、端的に申すならば、この流域における治水を考えたときには、まずダムありきで考えるのではなくて、ダム建設よりも先に河川改修等々のダムによらない治水の方法を考えてほしい、それを優先させるべきであるというようなことが、まさに地元の市議会において決議されているわけであります。

 かつ、この点に関しては、もちろん市議会は県にも伝えており、県も、県の方からこれは国にも伝えるというふうに述べておるところでございますし、県議会などでもこのことに関しては取り上げられておって、県も、県議会でこの件が取り上げられたときにどう答えているかというと、この決議、さすがに地元の流域の市の決議でありますので重く受けとめているところでございますというふうに県自体も述べております。

 そのような新たな動き、明らかな動きがある中で、大臣としてこの地元の声をどのようにお受けとめになるのか、所見をいただきたいと思います。

金子国務大臣 知事と地元沿川の市町村との間できちんと意思疎通が図られるということはやはり大事なことだと思っております。残念ながら、時として、水害を受ける沿川市町村と知事との間で意見が異なるといったようなことも現実に起こっているということ、大戸川ダムではそういうケースが起こりましたので、私も、知事に対しては、地元住民、市との間の意思疎通を、ギャップを埋めてほしいという要請をさせていただきました。

 この神埼市議会の件についても、地元の意見を丁寧に伺いながらこれからも進めていきたい、その考え方は変わっておりません。

大串分科員 地元の意見を丁寧に聞きながらということでございました。そして、今、県なり市町村なりの地元の意思疎通をよく図るという点の重要性もまさにそのとおりだと思いますし、この点で言えば、神埼市議会は、ダムによらない形での治水をまず優先すべきという考え方を明らかにしているし、それに対して、県議会においても、この市議会の声というのは地元の声だということで重く受けとめますというふうに県の方も述べている。このように、意思疎通の面においてもとれてきているわけですね。そういうふうな中での決議でありまして、これをぜひ重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 我々民主党としましても、各地域地域でマニフェストをつくっております。佐賀県においてつくっているマニフェストで、この城原川ダム問題、私たち民主党のマニフェストの中でも書きあらわしているんですけれども、その中でも、「ダムに頼らず、生命財産を守れる安全な治水対策(河川整備の強化、遊水地等)を住民の皆さんと共に追求すべきです。」と明らかに私たちは言っています。

 こういう流れでありますので、大臣、私は、住民の皆さんの声がこれだけ明らかに出てきているところでありますので、今ここで決断していただくべきは、やはりダム計画を一回白紙、見直していただいて、そして、ダムによらない形での治水をまず行っていくんだというふうに考えを直していただきたい。そうすべきではないかというふうなことを申し述べさせていただきたいし、それに対する御所見もいただきたい。

 また、それを行う上においては、ダムにおいて水没が予想される地区においては、過去数十年において、ダムに水没する可能性があり得るということから、経済的にも非常に困難を来される事態にもなっております。地元にもなかなか投資が行かず、あるいは経済活動もはかばかしくいかず、水没するかもしれない、そうなるかもしれないという思いの中でいろいろな更新投資なども行われず、経済的に非常に大変になっているというような状況もございます。

 こういうふうなものに対してきちっと一定の補償をしながら、ダムの計画は白紙、見直していく、そして、ダムによらない方法を追求していくという形で考えを変えていくのが今あるべき姿だというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

金子国務大臣 この城原川ダムについて、私先ほど、知事と地元市との間で意思疎通を図りながらやってほしい、そして国も丁寧に進めたいと申し上げました。

 今までの状況では、国、佐賀県が、学識経験者などから成る城原川流域委員会を一年かけまして十三回開催して、城原川の河川整備にダムは有効との提案を受けております。

 それから、同委員会から提案を受けて、佐賀県知事が関係市町村から成る城原川首長会議を計十一回開催された。その中で、ダムによらない治水対策についてかなり議論が行われた。

 これらの経緯を踏まえて城原川ダムが筑後川水系河川整備計画に位置づけられたものと承知しております。つまり、知事、地元の市町村の首長さんとも、学識経験者とも相当議論を詰めておられる。ダムによらない治水対策についても相当に議論をされた。そういう前提で城原川ダムの調査を進めるとともに、城原川の河床の掘削、護岸工事など、河川改修を確実に実施していきたい。

 そういう意味で、今、大串委員からのお話ではありますけれども、たった今、白紙で見直すということではなく、さらにこの議論は詰めていただきたいと思っております。

大串分科員 今、流域委員会の話もありました。流域委員会での合意形成、あるいは関係首長会議での合意形成の話もありましたが、流域委員会を経験された、そこに参加された方の中でも、あの流域委員会での議論はダムありきの議論であったというような声もその後からたくさん出てきているんです。

 そういう事情もこれあり、かつ、関係首長さん方で議論も行われたというふうにおっしゃいました。しかし、まさにその関係首長さん方の議論の中に出ていた首長さんが、その後県議会に進まれて、県議会の中で、やはりダムによらない対策をすべきじゃないかということをおっしゃっているという実態なんです。

 そういうことを踏まえていただくと、合意形成のあり方ももう一回見直していかなければならないんじゃないかというふうに思いますし、そういう中で、やはり住民の意見をよく聞いて見直しも含めてやっていただきたいというのが私たちの考え方で、民主党としては、そういうふうな考え方を我々もマニフェストにきちんと書いてやっているということなんです。

 ぜひそこは大臣に重く受けとめていただいて、住民の声はこうなんだ、やはりダムによらない河川対策をやってくれという声なんだということは受けとめていただきたいし、先ほど、住民の声を丁寧に聞いてというふうにおっしゃいました。丁寧に聞くのであれば、ぜひ白紙、見直しの方向で考えていただきたいということを、再三再四にわたりますけれども、強く強く求めておきたいというふうに思います。

 最後に一つだけ確認ですけれども、県議会の中でも取り上げられましたけれども、今回、神埼市議会がこの決議文を出す中で、ダムによらない河川改修をまず優先すべきだということを決議すれば、そのときには国の方から河川改修あるいは維持に関するいろいろな予算を削られてしまうんじゃないかというおそれの声も上がったやに仄聞しています。県の方はそれに対して、まさか国の方ではそういうことはないと思いますというふうに答えておりますが、大臣、そういうことはないですよね。

金子国務大臣 そのことはありません。

 ただ、大串委員、先ほど来、そんなに意見は変わっていないんですが、首長会をやってその後反対に出たとか、その後県議会で云々というお言葉があったんですが、やはり意思統一のときの知事、地元首長間の一つの合意というのは、ある一定時に集約されたもの。それがその後また変更になるということになりますとなかなか決定できなくなるという意味で、そこのプロセスはやはり地元できちっとやっていただきたいと思います。

 ただし、先ほど私も丁寧にということを答弁させていただきましたけれども、それは、その後県議会で取り上げられて、そして改めてまたさらに知事も含めて議論を展開されるというのであれば、それはまた丁寧に取り上げさせていただきたいと思います。

大串分科員 まさに今おっしゃった、合意形成がなされてそれが後からひっくり返るようなこと、これは、行政機関あるいは意思決定機関としてはあってはいけません。

 ただ、今あらわれている現状は何かというと、その合意形成自体が本当にきちっとした合意がなされていたのかということが問われている。県議会でもまさに出ているのは、合意形成自体が本当にきちっとした合意形成になっていたのかということが改めて今問われているということなんです。そこをぜひ踏まえていただきたい。その意味で、住民の声は、ダムによらない対策を考えていただきたいという強い意思があるということを重ねて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そして、次に移ります。

 九州新幹線長崎ルートの件でございますけれども、もともと事業費二千六百億円というふうに言われておりました。これに関して、昨秋、この冬にかけての事業の見直しの中で、これを二千八百億円に増額しております。内容を聞くと、物価上昇による費用の増加分が二百億であったと聞いております。これに関しては、この秋冬来、新潟県知事さんあるいは佐賀県知事さんも含めて、今回行われた新幹線の費用の見直し、費用増に関して、なぜこうなるのか説明を求めたいという声が上がっています。

 この九州新幹線長崎ルート、二千六百億から二千八百億に費用が増加した、この要因をいま一度説明していただきたいと思います。

北村政府参考人 九州新幹線の長崎ルートの計画額、今先生おっしゃいましたように、十九年四月の時点の価格をもとに見込みましたときは二千六百億円で、昨年四月の時点の価格をもとに見込んだときは二千八百億円と、二百億円増額しておりますが、それは、まさしく先生おっしゃいましたように、将来の建設物価の上昇の見込みをどう見込むかという違いによるものでございます。

 二十年四月時点の価格を見込んだときは、平成十五年以降、建設資材の物価上昇が大きくて建設物価が上昇局面にありましたので、完成までの間における将来の物価上昇の見込み、例えば、平成二十一年度、二十二年度は、過去五年間と同じような上昇傾向が続くものとして年平均一・七%を見込んだとか、それから二十三年度から二十七年度までは過去七年間と同じような上昇を見込むものとして年平均一%の上昇を見込んだなど、そういうふうな上昇を見込みましたので、今度二百億円増加しました。

 他方、その前の十九年四月の時点の件でございますが、これにつきましては平成十六年十二月の政府・与党申し合わせに基づくものでございますので、平成十六年の政府・与党申し合わせによりますと、その前の過去五年間の伸びといいますか、当時、平成十年四月から平成十五年四月まで、五年間で逆に約三%減っております。将来減るというのもあれなものですから、年平均マイナスではなくてゼロ%、上昇しないという見込みを当時はとりましたので、それと同じ考え方に即して十九年四月のときは見込ませていただいたという、その違いでございます。

大串分科員 事実関係はわかりました。

 そこで、問題にしたいのが、十九年四月価格で二千六百億の事業費を見積もられたときに、それが本当に正しかったかということなんです。すなわち、十九年四月というと、資料もいただきましたが、もう物価は大きく上がり始めている。そこで、今おっしゃったように、十六年の政府・与党申し合わせのときの枠組みそのままに、その前の五年間物価が上がっていないからということで、物価据え置きという前提でやったことが正しかったのかということなんです。

 十九年四月の価格で見直した、まさにこの新幹線問題が動きを見たのは十九年の年末から二十年の頭にかけてでありまして、もしそこできちんとした事業費の見直しが行われて、そこで二千六百億から二千八百億へという事業費の見直しが行われているとすれば、多分、新幹線に関する議論の動きは大きく変わっていたはずであります。そのぐらい大きな費用増の意味だったと私は思います。

 かつ、もう少し前にさかのぼらせていただきますと、十六年の与党合意のとき、過去五年間物価が上がっていないからということで物価横ばいで見込んだということでございますけれども、物価は本当に上がらないのかという前提が非常に稚拙だったんじゃないかと私は思うんです。

 古い資料もいただきましたけれども、これは、たまたま昭和五十五年度までさかのぼった物価の推移をいただきましたけれども、これを見ると、やはり物価というのは年間少しずつ上がってきているんですね。失われた十年、十五年と言われた九〇年代以降、非常にデフレ基調が長く続いて、その時期は確かに物価は上がらなかった。しかし、長いトレンドで見ると物価が上がってきているというのは過去の経緯でもあるわけです。

 これを踏まえると、保守的な態度もきちっと踏まえて計算をしていくと、物価が上がらないというようなある意味楽観的な見通しではなくて、一定の物価上昇も見込んで計算するというのがあるべき姿ではなかったか、そして、住民に対して、これだけのコストがかかるから、これだけのコストに対してこういう建設があっていいのかということを問うときの国としての責任のある立場ではないのかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

北村政府参考人 先ほど申しましたように、十六年の十二月は今先生がおっしゃったとおりですが、十九年四月のときの見直しといいますのは十六年十二月の政府・与党申し合わせに基づく各線区についての見積もりですから、したがいまして、十六年十二月の政府・与党の枠組みでやるということにしたものです。

 今回、去年やりましたのは、既着工の部分の工事費の問題だけではなくて、新たに着工する区間の財源問題、検討とあわせて全体をもう一回見直してみようということになったものですから、今までの枠組みと違って先ほど申し上げたような見直しをしたものでございます。

 そういう意味で、過去物価上昇がずっとあるではないかという御指摘もございますが、我々、十六年の時点では直近の最善の資料に基づいて見直したものでございまして、その時々によって若干の違いはあるものの、考え方としてはそういう考え方に基づいてやってきましたので、我々としては最善を尽くしたつもりでございます。

大串分科員 過去のいろいろな例を見ますと、大臣、今回、新幹線の既着工区間の費用の見直しを見ると、どこも費用が増ということになっているんです。内容を見ると、物価の上昇分であったり、あるいは、着工してみたらこれだけより多く事業費にかかったということがあったり、区々でございますけれども、後から事業費がより多くかかる、つまり、意思決定をした後により多く事業費が実はかかっている、かなりあります。

 そして、先ほど言いましたように、実際に事業を行ってみるとより多くかかってしまっているというケースが、まだ九州新幹線長崎ルートは具体的な着工は大きく行われていませんけれども、ほかの着工がかなり進んでいる例を見ると、着工してから工事費がぐっと膨らんでいる例がたくさんあるといいますか、ほとんどであるということを踏まえると、九州新幹線長崎ルートにおいても同じように、後から着工部分の費用もふえるのではないかということも考えられる。

 私がぜひ今回大臣に問わせていただきたいのは、このようなことが多々ある。すなわち、予算なり事業を考える段階においてはある一定の事業費が見積もられるけれども、後から後から事業費がふえるケースが多々ある。この新幹線着工区間に関してもほとんどそうなわけです。これが正しい意思決定を阻害しているんじゃないか。

 そして、もう一つ言わせていただくと、そうならないような仕組みを、大臣自身、ぜひ国土交通省の中に盛り込んでいただく必要があるんじゃないか。そうしないと、小さく見積もって事業を行って、後から事業費がふえましたというような問題が常にこれからも後を絶たないのではないか。

 こういう問題が生じないような仕組みをつくることが大切なんじゃないかと思いますけれども、大臣、御見解をいただきたいと思います。大臣に。これは大臣に御見解をいただきたいと思います。

北村政府参考人 先ほど申しましたように、総枠としましては、先生御指摘のように、いろいろな区間で見直して全体として四千百億ふえたのは事実でございますが、整備新幹線の事業費は、先生先ほどおっしゃいましたように、我々想定外の建設物価の変動だとか、例えば、工事を始めますと、もちろん地質調査はやっているわけですが、想定したよりも地盤が悪ければ、当然それへの安全対策、追加工事なんかが出てまいります。そういうふうにどうしても増要因はありますし、他方、我々も、技術が進歩すればコストが縮減できるということで、コスト縮減努力、施工主体でございます鉄道も一方でやっておりますし、もちろん落札差額もございます。

 そういう意味で、計画のときには想定しておらなかったけれども、工事を進めていく過程でどうしても判明していくさまざまな要因がございますから、事業費は少なからず増減があるものというふうに我々は考えております。

 もちろん、先生御指摘のように、何もそれでいいとは思っておりませんので、我々は、事業費が大きく増加することは事業を適切に評価する観点からも好ましいことではございませんから、今後ともコスト縮減に努めまして、大きく事業費が増額することのないように努めていきたいと考えております。

金子国務大臣 決定をした時点では、その前の数年間、むしろ物価が下がっていくという状況の中で、マイナス物価の中で、政府全体として、ゼロ物価上昇ということ、それに準拠したということのようでありますが、大串委員今御指摘のような問題というのは、特に地方の財政にとっていろいろな影響が出てくることにもなるんだろうと思っております。

 そういう意味で、その年その年だけでなくて、計画される数年間の間において、地質調査、環境調査等々どういうコスト増因になってくるのか。一方で、費用が膨らんでいくことに対して、今度は削減するということも当然でありますけれども、政府として、あるいは地域の知事との間で相談していかなければいけない。削減するという努力も一方で求められるんだと思います。

 そういう意味で、全体として数年間のタームになると思いますけれども、コストが増加しない、あるいは、増加したときの対応を、特に地元負担ということの間でどうなるかという問題が出てまいりますので、この問題をどう解決していくのかという意味で、何らかの枠組みというのは、御指摘をいただきましたように、改めて必要のある部分はまた検討してまいりたいと思っております。

大串分科員 地方の財政に与える影響も非常に大きいところでございますので、小さく産んで大きく費用がかかるというふうにならないような仕組みをぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 あと、一つ要望。これは前にもこの委員会でも取り上げましたけれども、今回、並行在来線の経営分離とならない区間ということで江北から諫早までがあるわけでございますけれども、大切なのは、地元の皆さんの生活の手段たる鉄道、これが必要にきちんとカバーできるように維持されるということでございます。

 これに関して、以前の冬柴国務大臣からも、「利便性を奪うような鉄道経営を行うことを是認するものではございません。」というふうな言葉をいただいていますので、ぜひ大臣、これから長い期間のことでございますので、地域の生活の利便性たる鉄道、これを要望に応じて守るということは引き続き維持していっていただきたいというふうに要望を一つ述べさせていただきます。

 最後に一つだけ、直轄事業負担金に関することですけれども、佐賀県においても、直轄事業負担金の中に地方事務所の移設費用が含まれていたというような問題が報道されております。

 いろいろ調べておりますと、地方事務所の移転費だけじゃなくて、直轄事業負担金の中に、職員さんの退職金とか福岡にある地方整備局の運転手の方のいわゆる人件費まで含まれているというようなことも明らかになってまいりました。直轄事業負担金です。直轄事業に該当するものと思いきや、運転手の方の人件費まで含まれている。これを県が負担せざるを得なくなってきている。これは一体どういうことだろうかというふうに思うわけでございます。

 まず、事実関係に関してお尋ねしたいと思います。

増田政府参考人 直轄事業負担金の対象範囲でございますが、これは、それぞれ当該事業を執行するために必要な経費でございまして、直接の工事費のみならず、人件費それから庁舎等の間接経費も含まれているということでこれまでも運用させていただいているところでございます。

大串分科員 質疑時間が来ましたので終わりますが、今、間接経費も含んで理屈のあるところでとおっしゃいました。今後詰めさせていただきますけれども、理屈のない、理屈がなかなか説明しにくい、例えば運転手の方の人件費などもあったということがだんだん明らかになってきたので、この点はまたやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

福島主査 これにて大串博志君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代君。

高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。

 金子大臣には、初めて質問をさせていただきます。

 本日、私は、精神障害者の方へのさまざまなサービスの実現、そしてまたノンステップバス、福祉タクシー等の移動の支援のための質問をさせていただきたいと思っております。

 実は先般、高速道路料金が引き下げになりまして、それによりまして、土日、皆様が大変長距離まで行かれる。高速道路もしばらく込んでおりましたが、最近はやっと少し落ちついたようでございます。このときに、精神の障害者の方たちから、また、これはほかにも何件かございましたが、障害者の方の割引とどのような兼ね合いになるのかというお問い合わせを数件いただきました。また、それを機に、精神障害者の方には、知的また身体障害者に比べまして受けられる割引制度などの恩典が少ない、こういう御指摘を改めていただいたわけでございます。

 これは、既に大臣御承知かと思いますが、平成十六年、精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会、ここでも、精神障害者の活動の舞台を広げるためには、手帳に基づくサービスの充実を図るべきであり、信頼性向上のために写真を貼付するとの報告がなされました。また同年、総務省が、行政苦情救済会議の結果を踏まえたあっせんをされまして、本人が乗車していることの確認が困難であるということも課題の一つであるという事業者の話を踏まえまして、精神障害者の団体の方たちみずから、写真貼付を検討してもらいたい、こういう要望がございました。平成十八年の十月、手帳に写真貼付を求めることとなりまして、スタートをいたしました。当然、このときに精神の方たちは、身体、知的障害の方と同様のサービスを受けるための準備である、このように理解をされたわけでございます。

 ちょうど同じときに、障害者自立支援法が本格施行になりまして、三障害一元化と言われ、どこに住んでも同様なサービスが受けられるということから、精神障害者の方も、こうした移動に関する支援、サービスの拡充を大きく期待したわけですが、これが一向に進まないという今の状況もございます。例えば、身体、知的の方は、JRそれから地下鉄、また航空機、有料道路等、それぞれ減免措置がございます。しかし、精神の方にはこのいずれもないという今の状況があります。平成十八年、厚労省も国交省に再度サービスの拡充を要請いたしまして、それに対して国交省もこたえてくださり、事業者に要請をされたと伺っております。しかしながら、今なかなか進まない現状。

 当然、厚労省の世界では、自立支援医療を受ける際の医療費の助成がこの手帳を提示することによって可能となるということがスタートをいたしました。そして、昨年の十月ですが、NHK放送受信料の減免基準、これも変更となりましてスタートしたわけですが、いかんせん、精神障害者の方については、施設入所者のみというまだ限定された状況があります。これも、厚労省また総務省が力を合わせて変えていただかなければいけないと思っております。また、自治体によりましては、さまざま優遇制度を設けておりまして、公営住宅の優先入居、また公営施設の利用料の減免、大型ごみ排出時のサービスとか入れている大変取り組みの厚い自治体もあれば、その中でたった一つしかメニューがないというおくれた自治体もございます。そういう中での今回の高速道路料金の話でございました。

 この「有料道路における障害者割引制度の御案内について」という説明書には、ETCを利用する、しないにかかわらず、市町村福祉事務所等で受け付けできる障害者は、身体障害者また知的障害者に限られております。またサービスの恩恵がない、こういう指摘になってしまったわけであります。

 当然、こうしたことは事業者の努力でありまして、どこまで配慮ができるかという、こういう理由は私は十分に承知をしてはおりますけれども、当事者の思いを考えますと、じくじたるその思いも十分理解できると思っております。

 精神障害者へのサービスが不十分である、このように考えているわけでございますが、厚生労働省また国土交通省におかれまして、現状認識、そしてまたこれまでのお取り組み、また今後どのように対応をするおつもりなのか、両省にお願いをいたします。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、今御指摘のように、身体障害者、知的障害者に比べまして、精神障害者の方々の保健福祉手帳、その活用がなかなか図られにくいという御指摘を踏まえまして、十八年十月から、写真の貼付も含めて、よりわかりやすい仕組みとしたところでございます。これを踏まえて、この手帳を所持している方々に対しましての公共交通機関の今御指摘の割引でありますとか、各種自治体における支援策等につきましても、協力の要請をお願いしておる、特に公共交通機関等につきましては、国交省の方にも協力のお願いをしてまいったところでもございます。

 今までの状況といたしましては、この手帳を活用いただきまして、自治体のレベルですと、バスなどの公共交通での割引制度が新たに導入されるなどの動きも次第に見られております。また、去年十月からでございますが、今御指摘のように、日本放送協会の方で受信料の減免の措置の対象に拡大をしていただいた、こういうふうな実績もございます。

 しかしながら、御指摘のように、身体、知的に比べますと、まだ同じような支援策がとられているという実態にありませんので、さらに引き続き、強力に要請をお願いしていく、御理解をいただくべく努力を続けていきたいというふうに思っている次第でございます。

大口政府参考人 現在、障害のある方々に向けての公共交通機関などの運賃割引につきましては、各事業者の自主的な判断に基づきまして、割引による減収を他の利用者の負担によって賄う形で行われているところでございます。精神障害者割引を実施している事業者数は、身体、知的障害者割引を実施している事業者数までには至っていないということについては認識を持っております。

 先生御案内のように、精神障害者に関しては、障害者基本法において精神障害が他の障害と区別なく取り扱われているとともに、障害者自立支援法においても、先生御指摘のように、身体、知的、精神の三障害の制度格差が解消されまして、また平成十八年十二月に施行されましたバリアフリー新法においても、精神障害者を含むすべての障害者が法の対象者となることを明示的に示しているところでございます。

 これを踏まえまして、私ども国土交通省といたしましては、精神障害者などに向けての運賃の割引について、従来より、割引に関する要望を踏まえまして、各事業者や事業者団体などの関係者に対して強く理解と協力を求めてきているところでございます。

高木(美)分科員 今、局長から、強く理解を求めているというお話ございました。この平成十八年の十月、十一月、ここで恐らく事業者に対して発信がなされたと思います。それ以降というのはございますでしょうか。

大口政府参考人 先生御指摘の、平成十八年十月に、精神障害者保健福祉手帳制度において、御本人がお持ちの手帳に本人の写真を貼付するという制度改正が行われました。これを機会に、交通事業者に対しまして、手帳制度の改正の内容をよくよく周知するとともに、精神障害者に向けての各種運賃及び料金にかかわる割引サービスについての適用拡大について、より一層の支援策を講じることを検討していただけるように、理解と協力を求めたところでございます。

 実質的な割引を実施している交通事業者は、その後増加傾向にございまして、二十年の四月現在、鉄軌道事業者で四十三者、これは、平成十三年時点では二十者でございましたので、倍増でございます。また、乗り合いバス事業者でも、平成十三年時点で八十三者だったものが二百十者。タクシー事業でも、千四百八者ということで、十七年時点二百二十四者だったものが飛躍的にふえております。旅客船事業者も、平成十三年時点ではゼロであったものが十八者ということで、合計千六百六十三者において精神障害者割引が実施されてきております。

 さらに、昨年の五月から、都内の個人タクシーにおいても精神障害者割引が新たに実施されているところでございまして、今後も引き続き、交通事業者等の関係者に対しまして、理解と協力を求めていきたいと思っております。

高木(美)分科員 それでは、これは大臣にお願いなのですが、御存じのとおり、ことしは障害者自立支援法の改正もあります。また、障害者権利条約の批准を視野に入れました障害者基本法の改正も今準備をしているところでございます。その意味では、いかに障害者の方たちが地域で能力を発揮しながら安心して暮らしていけるか、注目が集まっていると言っても過言ではないと思います。

 そういったことから、できましたら今回、こうした今の時代の背景をしっかり踏まえた上で、再度、事業者に要請をお願いできればと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

金子国務大臣 御指摘いただきました身体障害、知的障害、精神障害は、それぞれ障害者基本法において差別なく取り扱われる、今度の障害者自立支援法においても三障害の制度格差が解消されるということであります。

 委員は本当に先頭に立って御活躍いただいておりますが、精神障害者を割引対象にすることにつきまして、基本的には事業者の自主的な判断ということを先ほど来申し上げてまいりましたけれども、おかげさまで、実質的な割引を実施している事業者が少しずつふえてきている。まだまだ足らないんだろう。引き続き、交通事業者の理解と協力を求められるような方法、要請、どういう形でやるかというのは少し検討させていただきますけれども、事業者にそういう形で対応してもらうようなことは考えてまいりたいと思っております。

高木(美)分科員 ただいまお話がございましたとおり、ぜひとも事業者に協力の依頼を、十八年は総合政策局長というお名前で出していただきました。できましたら大臣みずから、こうしたユニバーサル社会構築に当たりまして何らかの要請をお出しいただければありがたいと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。

 そこで、先ほど、そうした利用者割引は当然一般の方たちの利用者の負担で補っているというお話もございました。これは精査も必要であるかと思いますが、ただ、事業者がそのような形で足を踏み込んでいくということには、やはり何らかのインセンティブが必要なのではないかと私は考えております。

 例えば、大変つたない提案で恐縮なんですが、これは、少子化対策の一環といたしまして、子育て支援などに積極的に取り組む企業に対しまして厚生労働省が定める基準を満たした場合に認定が与えられまして、くるみんマークと言っているようでございますが、別名次世代認定マーク、次世代育成支援認定、そういう認証マークの使用が認められるという内容でございます。

 私は、ユニバーサル社会をどのようにして構築していくかということに思い至りましたときに、やはり国土交通省の果たされる役割は大変大きなものがあると思っております。その意味では、ユニバーサル社会構築に貢献する企業、事業者に対しまして、認定証を与えるなどの何らかのそうした、社会的に今一つCSRということを企業も重んじている流れがございますが、経済危機の中であってもそうしたCSRとして、企業としてきちっと足を踏み込んでいく、このような事業者の取り組みを支援していくということも時には必要なのではないかと思っております。

 このことを御検討していただければと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大口政府参考人 障害の有無にかかわりなく、すべての人が安心して暮らすことができる、そしてまた、持てる能力を最大限に発揮できる、そうしたユニバーサル社会の構築は重要な課題でございます。

 このため、国交省では、平成十八年に施行されたバリアフリー新法に基づきまして、公共交通機関、建築物などのバリアフリー化を進めているほか、補助等の制度も設けまして、事業者のバリアフリー化を積極的に強力に推進しているところでございます。

 さらに国交省では、今委員の御指摘のような表彰制度という形でございますけれども、バリアフリー化推進功労者に対する大臣表彰制度も、これは十九年度より毎年実施しております。

 また、バリアフリー新法に基づく誘導基準を満たす建築物を認定し、シンボルマークの表示等を認める制度というようなこともやっておりまして、バリアフリー化に貢献する事業者の優良な取り組みにインセンティブを極力与えるような展開をしているところでございます。

 御指摘のように、ユニバーサル社会の構築には事業者の取り組みが重要であるというふうに認識しておりまして、私ども国交省としましても、今後ともインセンティブ向上のための施策を講じていきたいと思っております。

 ちなみに、バリアフリー化推進功労者表彰案件の中で、二十年度には、箱根ロープウェイ株式会社の取り組み、それから高山市のバリアフリーのいわゆる度合いについて、障害のある方々に観光地を回っていただいて評価していただくようなモニターツアーの実施等々について表彰をしたところでございます。

高木(美)分科員 バリアフリーといいますと、どうしても身体の方、また若干入って知的の方というのが恐らく対象ではないかと思います。そこにやはりもう一つ、こうした精神障害者という、ここのお考えをしっかりと入れていただきまして、ただいまのバリアフリー、さまざまな表彰、大事なことだと思います。これをさらにバージョンアップしていただいて、もう一段、ユニバーサル社会表彰等々の検討をいただければと思います。これはまた大臣、ぜひとも御検討をよろしくお願いいたします。

 あともう一つ私は、ノンステップバス、それから福祉タクシーにつきまして質問をさせていただきます。

 このノンステップバスは、交通バリアフリー法の施行と相まって、高齢者、障害者等、これはどちらかというと身体の方が多いわけでございますが、その移動の利便性、安全性の確保のために推進が期待されてまいりました。このバスを導入するに当たって、それぞれ、今補助も出ていると聞いております。

 現在このノンステップバスがどのような導入状況にあるのか、また今後どのような目標を立てていらっしゃるのか。私は、二〇一〇年までに三〇%という目標で承っております。そのままでよろしいのか。また、その目標に向けまして、さらなる推進に向けてのお取り組みにつきましてお伺いいたします。あわせて、二十年度の予算、そしてその中でどれほどの金額が執行されたのか、お伺いをいたします。

本田政府参考人 ノンステップバスの御質問につきまして、お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ノンステップバス、そもそも非常に床が低くて、かつバスに乗りますとそのままの高さでバスの中で移動できるという車両でございますけれども、高齢者の方あるいは障害者の方といった移動について御不便をお感じになる方にとっては大変重要な公共交通機関だと考えております。その意味で、これを普及していくことが大変緊急性の高い政策課題と認識をさせていただいておりまして、今御指摘のとおり、平成十八年十二月に施行されましたバリアフリー法に基づきます移動円滑化の促進に関する基本方針において、平成二十二年までに乗り合いバス車両の約三割にノンステップバスを導入するという目標がございます。

 これに対して現状でございますが、平成二十年三月末現在で乗り合いバス全体は全国で六万二百五十二台ございます。その中で一万二千二百十六台ということでございまして、約二割を達成したというのが現状でございます。

 私どもとしては、今お示しいたしました約三割という目標に向かって引き続き対応してまいりたいと考えておりますが、これらに対しての支援措置といたしましては、特別償却制度を伴います税制優遇、あるいは日本政策金融公庫による融資制度のほか、政府の予算として、公共交通移動円滑化補助金というものを用意させていただいております。

 そして、今御質問の、予算の確保及び執行状況でございます。平成二十年度予算につきましては、当初十一億三千万円を用意させていただいた上で、補正予算において二億円を加えさせていただき、都合十三億三千万円を御用意させていただきましたが、うち十三億一千万円を執行させていただいておるという状況でございます。

 また、二十一年度は、当初予算、さまざまな都合がございまして七億六千万という状況でございますが、今回の追加経済対策を活用しながらその拡充を図ってまいりたい、かように考えております。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 今、最後に局長がおっしゃった今回の経済危機対策、その中の交付金を使ってというお話でしょうか。七・六億、前年度に比べますと約半分になっているわけでございますが、そこをどのようにカバーするおつもりなのか、再度、答弁をお願いいたします。

本田政府参考人 先生が御指摘の交付金というような制度ではございませんで、私ども単独の予算の拡充ということを今お願いして、新たな追加経済対策の中でそれを実現していきたい、かように考えております。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 続きまして、福祉タクシーにつきましてお伺いいたします。

 福祉タクシーは、公共交通の空白地域をカバーするということで、高齢化また障害の重度化に対応するものとして重要であると認識をしております。現在の導入状況と今後の目標、また目標の達成に向けましての取り組みをお伺いいたします。

 またあわせて、モデル事業ということで今さまざま補助がなされているとも聞いておりますが、二十年度の予算と執行金額をお伺いいたします。

本田政府参考人 福祉タクシーにつきましては、個々に、かなりの介護を必要とされる方あるいは身体障害の重い方々にとりましては、やはり専用の車両が必要だということで、その普及促進を図ってきております。

 お尋ねのございました、まず福祉タクシーの導入の目標でございますが、これは、タクシー事業者が導入しております福祉タクシー車両につきまして、先ほどのノンステップバスと同じく、バリアフリー法に基づく移動円滑化の促進に関する基本方針におきまして、平成二十二年までに約一万八千台を導入するというのが目標とされております。それに対しまして、平成二十年三月末現在では、全国で一万五百十四台が導入されているということでございまして、引き続き、この普及を図っていく必要があるというふうに考えております。

 そこで、私どもの対応といたしましては、こうした要介護者の方々あるいは身体障害者の方々に限定をされたタクシー事業、福祉輸送事業限定と私どもの行政では申しておりますけれども、このタクシー事業については、道路運送法に基づきますさまざまな許認可に関しまして弾力的な運用をさせていただいておる。例えば、一両からでも事業をお認めするといったようなことでございます。それから、資金的にも、日本政策金融公庫による融資制度を御用意して、その普及に努めておるということでございます。

 次に、平成十八年度に創設させていただきました福祉輸送普及促進モデル事業、これは、先進的な取り組みをしていただきます地域をモデル地域として認定して、その地域のタクシー事業者の方が福祉車両を地域のさまざまな方々の御注文に対して共同で配車するといったセンターを設立する、あるいは福祉車両の導入を支援する、これを地元の公共団体と連携して支援するという仕組みでございます。

 それで、予算の執行状況でございますが、私ども、平成二十年度は、実は七千五百万円を御用意させていただきましたが、執行額については残念ながら八百万円にとどまっております。ただ、八百万円の中身を見てみますと、共同配車センターを用意するために必要不可欠な予算といった形で、具体的には、二十年度におきましては、京都市のほか、多治見市、土岐市、瑞浪市といったところでもこうした事業を活用していただいて、新たな事業を実施していただいているところでございます。

 以上でございます。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 きょう詳細までは伺っておりませんが、都道府県別に例えばノンステップバスを見ますと、これは平成二十年三月のデータでございますが、東京などは五六・三%、大阪は二七・七四%、大臣のお地元の岐阜は一三・六四%、福岡は〇・七六、大分また青森になりますと〇・二一ぐらいという、ノンステップバス導入につきまして大変大きな地域格差があるというふうに見ていいのではないかと思います。また、福祉タクシーも、これを安易に比較するわけにはいきませんけれども、佐賀、鳥取では六十二台。

 そういう台数ということを考えますと、バス事業者また福祉タクシーの事業者にいろいろ理由を聞きますと、どうしても国と地方自治体との協調補助になっている、ここのところが大変苦しいところで、地方の補助分がなかなか出てこない。ましてや、地方自治体も経済悪化ですし、タクシー事業者等々はもっと悪化でございますので、どうしても補助助成がないと新たな導入は難しいという率直なお声がございます。

 そうなりましたときに、他の事業では多くやっていることですが、地方の補助分のところに、例えば今回、経済危機対策等におきましても多くのメニューが盛り込まれました。その中で国交省が使える分、ここをしっかりとあてがいながら、地方におきましてこうした補助分が使える、こういうシステムをぜひとも検討していただきたい、またはしていただくべきではないかというふうにお願いをする次第でございます。

 これは、きょう早速答弁をと申しましても、いろいろ御検討も必要かと思いますが、大臣はこのことにつきましてどのようにお考えか、お伺いいたします。

金子国務大臣 おっしゃっていることは実現できることは望ましいと思いますので、私も今すぐに、どういう方法で何を、あるいは厚生省との関係はと、さまざまな議論があると思いますので、そういうものを含めて、お預かりさせていただきたいと思います。

高木(美)分科員 経済危機対策は、やはりベースに安心安全、これがあってこそ経済危機対策であると私も思っております。その意味から、こうした障害を持つ方、また高齢者の方たちに対応するための資金のさまざまな補助につきまして、ぜひとも前向きにさらに御検討いただきますようにお願いをいたします。

 私ども公明党といたしまして、先日、大臣には、交通バリアフリーの早期整備、そしてまた鉄道のホームドア設置推進の申し入れをさせていただきました。最後に、大臣のユニバーサル社会を構築される上での御決意をお伺いさせていただきます。

金子国務大臣 御指摘いただきました鉄道ホームのバリアフリーあるいは防護さくといったようなものにつきましても、早速に検討させていただきまして、でき得れば今次二十一年度予算の補正予算の中に取り入れられるものは取り入れて、少しでも早く、こういう高齢化の時代、あるいは、障害者の方だけではありませんけれども、国民の安心、安全のために資する事業として取り組ませていただきたいと思っております。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 以上で終了させていただきます。

福島主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民主党の福田昭夫でございます。

 金子大臣、足銀破綻の折にはいろいろお世話になりました。おくればせながら御礼を申し上げます。

 実は、昨年、平成二十年の九月二十六日、宇都宮地方裁判所において、宇都宮市の二荒山神社前の超高層マンション事業計画に対する判決がありました。地元の人たちは、二荒山神社の前の景観を著しく阻害するというようなことから、この超高層マンション事業計画に対して反対をしておりました。

 しかし、裁判所は、二荒山神社関係者の人が訴人の中に入っていない、あるいは宇都宮市においてはまだ景観を守ろうという文化が十分成熟していない、そんなようなことから訴えを棄却いたしました。いわば門前払いをしたわけでございますが、そこで、この再開発事業のどこに問題があるのか、ないのか、金子大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、市街地再開発事業についてであります。一つ目は、第一種市街地再開発事業の認可要件についてであります。都市再開発法第三条の規定にあります第一種市街地再開発事業の認可要件について、わかりやすく、簡潔に教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 技術的な項目でございますので、私の方から答弁させていただきます。

 今先生御指摘の第一種市街地再開発事業の施行要件でございますが、都市再開発法第三条によりまして、一点目は、施行区域が高度利用地区、都市再生特別地区または地区計画等の区域内にあること、二点目でございますが、施行区域にある一定水準以上の耐火建築物の割合が、建築面積または敷地面積で全体のおおむね三分の一以下であること、施行区域の土地の利用の状況が著しく不健全であること、施行区域の土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に資すること等に該当することとされております。

福田(昭)分科員 ありがとうございました。

 おおむね、大体この四点が認可要件ということでよろしいですね。

 それでは二つ目でありますが、市街地再開発組合の設立についてであります。

 同法第十一条には、組合を設立するには所有権または借地権を有する者が五人以上いないとできないようでありますが、これは自然人であっても、あるいは法人、企業や団体でも、どちらでもいいということであるかどうか、教えてください。

和泉政府参考人 都市再開発法第十一条におきましては、「所有権又は借地権を有する者は、」「組合を設立することができる。」とされております。

 ここで言う「者」とは、自然人のみに限るものではなく、法人も含まれるとの解釈でございます。よって、組合設立に当たり、自然人を含まず、すべて法人により設立することは可能でございます。

福田(昭)分科員 きょうはここは詳しくできませんけれども、しかし、営利を専らとするような法人に、税金まで投入してこうした都市再開発事業をさせるということは公共事業としてふさわしくないと私は思いますけれども、その辺についての見解が何かありましたらお答えください。

和泉政府参考人 当然、今委員御指摘の趣旨がどういった事業を優先されるかという観点からいえば、ほうっておいてももうかる事業よりは、地権者等が苦労して再開発事業を行うものを優先的に応援していくというのは当然と思います。

 しかしながら、そのような中で再開発事業と言われるものは、いわゆる法人等も入りまして、全体として厳しい中で採算をとっているということでございますので、私どもは、認可権者である都道府県あるいは直接の補助事業主たる市町村、こういった地方の実際の事業をしている方々のいわゆるその事業に対する位置づけ、あるいは意気込み、そういったものを踏まえて、私どもとして判断させていただいている、こういったことでございます。

福田(昭)分科員 ここは、きょうはこれまでにしておきます。

 三つ目でありますが、三つ目は、市街地再開発組合の設立及び事業計画の認可権者についてであります。

 同法第十七条によりますと、市街地再開発組合の設立及び事業の認可権者は都道府県知事とすることになっておりますが、そのとおりで間違いないですか。

和泉政府参考人 そのとおりでございます。本件については栃木県知事でございます。

福田(昭)分科員 そうすると、栃木県知事に権限と全責任があるということですね。ちょっと、返事だけしてください。

和泉政府参考人 法律に与えられた権能を行使する限りにおいて、都道府県知事に責任がございます。

福田(昭)分科員 続いて四つ目でありますが、四つ目は、市街地再開発事業の補助対象施設及び補助率についてであります。

 補助対象施設や補助率については、補助要綱や補助要領を定めているようですが、簡潔に教えてください。本当に簡潔で結構です。

和泉政府参考人 補助対象につきましては、今委員御指摘の補助要領に定めております。具体的には、調査設計計画費、従前建物の除却費や補償費などの土地整備費、共用廊下や共用階段、エレベーターなどの共同施設整備費が対象になっております。

 補助率は、補助対象費用に対しまして合計で三分の二となっておりまして、これを国と地方公共団体で半分ずつ、具体的には三分の一ずつ負担している、こういった状況でございます。

福田(昭)分科員 ありがとうございました。

 それでは次に、いよいよ宇都宮市の中心市街地再開発事業についてお伺いをいたします。

 一つ目は、宇都宮馬場通り西地区市街地開発組合についてであります。

 まず、五人の組合員の名前と理事長の名前を教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘の宇都宮馬場通り西地区の地権者は、組合の設立時は六者でございまして、法人が四者、自然人が二名と宇都宮市から聞いております。

 ちなみに、理事長のお名前は吉田清一さんと宇都宮市から聞いております。

福田(昭)分科員 それでは、法人の設立時をちょっと教えていただきたいと思います。

 と申しますのは、平成十八年の十二月四日に、明日の宇都宮中心街を考える会、この人たちが超高層マンション事業計画に対する知事あて意見書というものを知事に提出をいたしておりますが、そのときの知事あて意見書の中で、地権者は大林組、足利銀行、栃木銀行、但馬屋、二荒商事となっております。しかし、その後、設立する際に、二荒商事にかわって二人の個人が地権者となったということなんですが、何月何日に設立されたか教えてください。

和泉政府参考人 組合の設立、事業認可は十九年三月と市の方から聞いてございます。

 その設立認可時の地権者、先ほど言われました六名でございまして、法人は大林組、足利銀行、栃木銀行、但馬屋。プラス自然人が二名でございます。

福田(昭)分科員 わかりました。

 それでは、十八年十二月四日時点と十九年三月時点では地権者がかわっているということですね。二荒商事がどなたかお二人に売却した、こういうことなんだと思いますね。

 それでは、二つ目は、二十四階建て超高層マンション事業計画についてであります。

 その一点目でありますが、地元の要望についてであります。

 一番大きな六二%の権利を有する大林組は、地元の要望があったので、旧上野百貨店の建物と用地を取得してこの事業計画に参加したとのことですけれども、地元の要望とはどこのだれの要望なのか、わかりましたら教えてください。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、株式会社大林組は、馬場通り西地区における上野百貨店跡地を取得し、地権者として再開発に参加しておりますが、今委員が御指摘のいわゆる地元の要望等の詳細な経緯につきましては、委員の質問通告があってから宇都宮市に確認しましたが、詳細は承知していないと市の方が言っておりました。

福田(昭)分科員 国土交通省住宅局では確認をしていないという話ですが、地元では宇都宮市が要望した、そう言われております。ぜひこれは確認をしていただきたいと思っております。私の方もさらに確認をしてまいります。

 二点目でありますが、二点目は容積率の引き上げについてであります。

 当初十六階建てのマンション計画が、突然二十四階建てへと変更され、それに対応するために、平成十八年二月二十七日に開催された宇都宮市の都市計画審議会において、容積率が三〇〇%から七〇〇%に変更されたということですが、これは本当ですか、教えてください。

和泉政府参考人 宇都宮馬場通り西地区に関しましては、宇都宮市は、市街地再開発事業に関連しまして、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図る、そういう目的で、委員御指摘のとおり、平成十八年三月に高度利用地区を設定し、容積率を七〇〇%に引き上げましたが、従前は六〇〇%でございましたので、六〇〇から七〇〇に引き上げたと聞いております。

 また、今委員御指摘の本地区におけるマンションの計画、当初は十六階だったということでございますが、確かに、当時の、平成十七年五月十三日の下野新聞に、十六階再開発ビルを計画というタイトルで記事が載ったという事実はございますが、市に確認したところ、特段市として認知している話でも何でもなくて、極論すれば、市から見れば合法ではないか、こういうふうに市の方は言っておりました。

 以上でございます。

福田(昭)分科員 どうも市の方の答弁がちょっと納得できないんです。

 と申しますのは、平成十七年の十二月六日の下野新聞においては、二十四階建てへの変更という記事が載りまして、開発組合と行政が採算性を考慮した結果、さらに八階分高層化した二十四階建てへの変更を報じております。

 そういうことを考えると、まさに市役所と開発組合が、十六階では採算がとれないということで二十四階に変更したという下野新聞の報道があるんですが、そうしたことは御承知ですか。

和泉政府参考人 今委員御指摘の、その後の変更を報じる下野新聞については、私正直見ていませんので、それについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 もう一回、都市計画の経緯を御説明しますると、そもそも、この場所は対面に中央地区というのがあるのは委員御承知のとおりでございますが、この場所自体が中心市街地活性化基本計画に位置づけられて、平成十六年一月に二荒山神社前地区地区計画を決定されております。

 このときには、西地区についてはまだ事業地区ではなかったものですから、中央地区についてのみ六五〇%の容積を決定し、西地区については決定してございませんでした。その後、この地区についても熟度が高まり、繰り返しになりますが、平成十八年三月に高度利用地区と決定しまして、従前の容積率六〇〇%を七〇〇%に引き上げる都市計画決定をしたと承知しております。

福田(昭)分科員 わかりました。

 その次、三点目ですが、組合の設立及び事業計画の認可についてであります。

 この宇都宮馬場通り西地区市街地再開発組合の設立及び事業計画については、栃木県知事が認可して、その責任は、先ほどの説明のとおり、栃木県知事にあるということですか。イエス、ノーでお答えください。

和泉政府参考人 都市再開発法に基づき、栃木県知事に授権された権限を行使する限りにおいて、それは栃木県知事の責任だと思います。

福田(昭)分科員 それでは四点目ですが、栃木県知事が認可した理由について、その理由がどういう理由なのか、ぜひ教えていただきたい。

和泉政府参考人 若干繰り返しになるかもしれませんが、都市再開発法第十一条におきましては、事業の施行区域内の所有権または借地権を有する者は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、知事の認可を受けて組合を設立することができるとされております。

 また、都市再開発法第十七条におきまして、都道府県知事は、申請手続が法令に違反していること、定款または事業計画などが法令に違反していること、事業計画等の内容が都市計画に適合しないこと、市街地再開発事業を遂行するために必要な経済的基礎、事業を的確に遂行するために必要なその他の能力が十分でないことのいずれにも該当しないと認める場合は、認可しなければならないとされております。

 宇都宮馬場通り西地区の市街地再開発組合の設立及び事業計画の決定につきましては、栃木県知事が認可の申請についてこの十七条各号のいずれにも該当しないと認めたため、認可を行ったと聞いております。

 また、本地区につきましては、従前の敷地が不整形な敷地に分割されていることから、都市再開発法第三条三号に定める、「土地の利用が細分されていること等により、当該区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。」という要件に合致するものとして栃木県知事が判断したものであり、国土交通省としても知事の判断を尊重したいと考えております。

福田(昭)分科員 大変もっともらしい回答が返ってまいりましたが、現場をよく知る私としては、全く不整形でも何でもありません。ですから、認可した理由は非常に薄弱だというふうに考えております。これは、いずれまた後でしっかりとただしてまいりたいと思っています。お示しをしながら話をしたいと思っています。

 五点目の質問として、補助対象施設及び補助金額についてでございます。資料の一をごらんいただきたいと思います。この資料にもし間違いがありましたら指摘していただきたいと思っています。

 まず、宇都宮市中心市街地再開発事業の概要ですが、西地区と中央地区と書いてございますが、先ほどの答えでは、再開発組合は、地権者が二荒商事じゃなくて最終的に二人の個人になっているということですね。ここは後で直させていただきたいと思っていますが、よくごらんいただきたいと思います。中央地区はいずれにしても、まず西地区の方を見ていただきたいと思います。

 今回の計画は、超高層マンションで、地上二十四階建て、高さ八十二・五メートル、一階と二階が店舗、これは足銀と栃銀の店舗です。三階から二十四階までが百五十三戸のマンション、そして立体駐車場が百九十三台、公共広場が八百平米できる、二荒山神社の前にできるということであります。総事業費は七十億円、負担額及び割合を見ていただきたいと思いますが、それぞれ三分の一ずつということですが、国が十六億九千万円、二四・一%、栃木県が八・四億円、一二%、宇都宮市が八・五億円、一二・一%。合わせますと、国と県と市で三十三億八千万円、四八・三%の負担、再開発組合は三十六億二千万で五一・七%の負担、こうなっております。

 中央地区は、八階建てでありますが、宇都宮市が五階と六階を購入したために、公的な負担が七割を超えているというような状況になっております。

 こうした表をごらんになって、違和感を感じない人はいないんじゃないかなと思っているんですが、聞くところによりますと、こうした事業に対する費用対効果も国土交通省の方でも試算をしているということでございますので、この西地区、中央地区について、補助対象施設はどれか、そしてこの費用対効果はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 西地区の補助対象につきましては、先ほども御説明いたしましたが、調査設計計画費、従前建物の除却費や補償費などの土地整備費、共用廊下や共用階段、エレベーターなどの共同施設整備費でございまして、国と県、市、合わせて三十九億円の補助を予定していると聞いております。委員お示しの資料は設立当初のものと思いますので、後ほど、現時点での最新の資料を会館の方にお届けさせていただきたいと思います。

 このうち、共同施設整備費に係る補助につきましては、広場、マンションの共用廊下、共用階段、エレベーター、商業施設の共用通路、駐車場、駐輪場、供給処理施設等でございまして、国と県、市、合わせて約十八億円の補助を予定していると聞いております。

 ちなみに、補助対象となります広場の面積については、約八百平米でございます。また、マンション部分の延べ床面積は一万七千三百平米でございまして、補助対象となる共用部分については四千六百平米と聞いてございます。

 また、御指摘のBバイCでございますが、本地区の市街地再開発事業の新規事業採択時評価におけるBバイCの値は一・三五となっておりまして、このため、十分な事業効果を有する事業であると認識しており、国土交通省としても的確に支援してまいりたいと考えている次第でございます。

福田(昭)分科員 ちょっと確認させていただきますが、一・三五というのは、これは西地区のことを言っているんですか。(和泉政府参考人「西」と呼ぶ)西地区。中央地区は幾らだったんですか。

和泉政府参考人 済みません、ちょっと持ってこなかったので、後ほど御報告したいと思います。

福田(昭)分科員 資料を提供してください。

 そこで、ちょっと大臣、今のこの表をごらんになって、特に西地区ですけれども、二荒商事が二人の個人の地権者にかわったというんですが、計画当初は五人の申請者、共同の組合設立者は全部株式会社なんですよ。大林組がそのうち六二%、足利銀行、栃木銀行、但馬屋、二荒商事ですね。足銀にしても栃銀にしても、何もこんな再開発事業に乗らなくても、みずから建物を更新するだけの力があるわけです。

 ですから、わざわざ大林組に協力して再開発組合に加入をしてやるような必要は全くないし、土地の形状も全く、別にそんな広い形状でもないし。よく国土交通省でつくっている都市再開発事業の説明の資料を見ると、こう書いてあるんですね。老朽化した木造住宅が危険なために、そうしたものを解消して土地の高度利用を図って土地の再開発をしていくんだ、こう書いてあるんです。

 しかし、それがいつの間にか政令で、耐火建築物であっても、これが三分の二以上になればオーケーですよというふうになってきて、今回のこの西地区の場合は耐火建築物ばかりなんですよ。しかし、都市再開発法の政令で定める耐用年数を過ぎているものが三分の二を超えるということを理由にして、実はこの再開発の都市計画決定がなされているんです。

 しかし、いずれももともとは専ら利益を追求する企業なんですよ、基本的に。こういう企業に対して、しかも大林組はマンション百五十三戸も建ててこれから売るわけです。こうした再開発事業に対して多額の税金を投入するということが本当に公共事業としてふさわしいのか、こういうことを考えると、まあ何だか非常に疑問に思えるんですが、大臣、これは感想はいかがですか。

金子国務大臣 私は、今お話を伺っておりまして、この案件は、宇都宮市議会あるいは栃木県議会にあっても、本事業を補助することについて適切なものとして承認をされているというものと伺っております。

 また、宇都宮市が定めました中心市街地活性化基本計画におきまして、二荒山神社周辺を中心核として再開発するということ、これを、事業計画の決定及び組合の設立認可を栃木県知事から受けるということで、国としては適切な手続を経て事業化されているものと聞いています。

 こういう土地開発事業の補助に関しまして、事業者が利益を上げているか否かということにかかわらず、まちづくりの観点から栃木県それから宇都宮市において必要性を判断し、事業を促進するための補助を行っておるものであります。国土交通省としても、その判断をある意味尊重し、国庫補助による支援をしているところであります。

福田(昭)分科員 大臣、大臣の言葉で感想を述べてほしかったんですよ。役人が書いたものを読むのではなくて。

 それはそれとして六点目ですけれども、この工事の請負業者及び請負額について、多分大林組が受注したんだと思うんですが、受注した請負業者とそれから請負額について、ぜひ、わかっていたら教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 工事請負業者は、今委員御指摘の株式会社大林組と聞いております。

 一方、請負金額につきましては、これは宇都宮市に問い合わせをいたしましたが、宇都宮市の情報公開条例に基づきまして非公開とすべき情報に相当するため公開できないという返事を宇都宮市から聞いておりますので、私どももその市の判断を尊重したいと思っております。

福田(昭)分科員 随分宇都宮市の公開条例はおくれているんですね。大体、一般的な入札はみんな、入札が終わった後、落札業者と請負額というのは公表しているんですよね。宇都宮市でも多分公表していると思うんです。これは多額の税金を使っている事業で公表しないというのはどうもおかしいですね。よく私も調べさせていただきたいと思っていますが、宇都宮市からの回答がそうなんじゃ、きっと住宅局長はそれしか答えられないんだと思うんですが、後でしっかりこれは調べさせていただきます。

 それで、七点目ですが、公共事業としての適切性についてです。

 先ほど大臣は、まちづくりの観点から市や県が認可したんだという話ですけれども、二荒山神社の前に、中央地区で千平米、西地区で八百平米の公共広場をつくるというんですが、それをつくるだけだったら、単に上野百貨店の建物と跡地を市と県で買収しちゃった方が安いんですよね、実は。ですから、これは次の質問の機会に、しっかり調べて一覧表をつくって比較をしてお示しをしたいと思っています。

 ですから、何のための都市再開発事業なのか、まさに公共事業としてふさわしいかどうかということが非常に疑わしい、一民間企業のもうけ話に化けちゃっている、こういうことは私はいかがなものかなと思っていまして、もしかすると、この宇都宮市の事例だけじゃなくて、こうした事例が全国にあるんじゃないかということを考えると、都市再開発法そのものをしっかり見直す必要があるんじゃないか、そんな疑いを持っているところでございますので、ぜひ、まず、この宇都宮市の案件をしっかり国土交通省でも調べてほしいと思いますが、いかがですか。

和泉政府参考人 市の方も当然、委員十分御精通でございますので私の方から説明することもはばかられるんですが、条例等におきまして一連の手続をきっちり決めておりますので、それを越えて私どもが情報を広げるということはなかなか難しいと思いますが、きょう委員との間で交わされた議論につきましては、しっかりと県、市に伝えまして、今後の検討に供させていただきたいと思っております。

福田(昭)分科員 そろそろ多分時間がなくなってくるんだと思いますので、最後にちょっと、地元の反対している人たちの話を紹介させていただいて終わりにしたいと思っています。二荒山神社前超高層マンションの建設問題で、「なぜ訴訟に至ったのか? みなさまの疑問にお答えします」という、これは地元の下野新聞に意見広告を出しておりましたが、第八回の意見広告です。

 その中で、聞く耳を持たない相手にどうすればよいのでしょうかということで、こんなことが書いてあります。これまでに面会、公開質問状、陳情書、意見書、署名簿提出一万四千人以上などさまざまな方法を用いて見直しを要請してまいりました。いずれも市、県及び再開発組合側からの自発的な歩み寄りが必要なのですが、これまでの経過を見る限り、大変残念ながらその実現性は極めて低いと判断せざるを得ませんでした。特に一万四千名以上の皆様から御支援をいただいた陳情が市議会、県議会双方で一顧だにされず、即刻不採択、廃案となったことは私たちにとって大きなショックでした。相手に聞く耳を持たせるためにはどうすればよいのか。寂しい現実ですが、私たちには訴訟しか残っておりませんでした。裁判は強制力を持つ第三者の介入を可能にし、公平中立な裁定が期待できる唯一無二の手段なのですと書いておりましたが、裁判所にも裏切られました。

 したがって、この問題、私が調べさせていただいて、本当のところはどこにあるのか、これから国土交通省の皆さんの御意見も踏まえながら、ぜひただしていきたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。

福島主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原分科員 民主党の篠原でございます。

 朝からお疲れだろうと思いますけれども、私が最後の質問者でございますので、三十分ほどおつき合いいただきたいと思います。

 海賊法の関係も続けて質問したいところですけれども、そちらは控えまして、全く違うことについてお尋ねしたいと思います。

 宮中ダムの問題というのは、一カ月ぐらい前からいろいろなマスコミにも登場しております。私は、これは非常によくないことだと思っております。これは別に大臣が悪いわけじゃないんですが、JR東日本、名前が国鉄からJR東日本となりましたけれども、国鉄の国、この感覚がやはり残っているんじゃないかと私は思います。

 違法取水というのがわかっているだけで何億トンなんていったって、何兆円というお金が私なんかにさっぱり予想がつかないのと同じようにわからないんですけれども、少なくとも二年前に、今、福田さんがおられましたけれども、栃木県の塩原の東京電力の発電所が違法取水をずっと続けた、それが八千万トンとか言われていますね。だけれども、これは三億一千万トンとか言われていますし、その四倍、物すごい量です。量が幾らかといったってわからないんですが、その前からずっと続いていた。私は、これはどうしてこんなことが続けられてきたのかと。

 九十六回検査に行ってさっぱり気がつかなかったというのがあったですね。事故米ですよ。余りこれを言うとよくないのでやめておきますけれども、そういうずさんな検査が行われていたけれども、こちらはどういうふうになっていたのかなと。

 それで、結局わかったのが、地域の住民が怒って、情報公開請求をして、一体どれだけとっているんだといって、一日単位でチェックしていたのを、では時間単位でやってみる、どうなっているといったら、プログラムに上限リミッターというのをつけていた、ぶれているのに全然そこが動かない。プログラムがおかしかったということなんですよ。こんなことを平然としているというのは、私は信じられないんですよ。

 ですから、まとめてお答えいただきたいんですが、こういうものの仕組み、取水量をどうするんだとかいうのは一体どういう仕組みになっていたのか、どのようなチェックをしてきたのかということ。

 原発についてはみんな相当うるさいわけですね。ですから、結構チェックしているんですけれども、水力発電については、自然エネルギーだし、いいことをしているみたいな感じで、全然チェックしないでほったらかしになってきたんじゃないかと思うんですが、そういったところの状況をお答えいただきたいんです。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、川から水をとる場合、水利権の許可を行う際でございますけれども、河川法に基づきまして、申請者から、使用水量の算出根拠、河川の流量と申請に係る取水量及び関係河川使用者の取水量との関係を明らかにする計算等の資料を提出していただき、河川の流量等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えない範囲で、河川法二十三条で許可を行っております。

 また、その際に、許可の条件といたしまして、最大取水量あるいは取水制限流量、いわゆる下流への放流量等を明示しております。

 その後、許可した後の毎年の状況でございますけれども、取水量の報告につきましては、毎年一月三十一日までに申請者から報告をいただくこととなっておりまして、その内容をチェックしておりますけれども、委員御指摘のとおり、今回の事案につきまして、取水量を算定するプログラムに上限あるいは下限設定の処理がされており、巧妙にデータの改ざんがなされておりました。

 私ども、平成十八年から十九年にかけての十電力の不適切事案を踏まえまして、このJR東日本につきましても、平成十九年一月及び三月の二度にわたりまして河川法の適正性に係る自主点検を求めましたけれども、JR東日本からは、適正である旨の虚偽の報告を受けたところでございます。

 その後、委員おっしゃるように、情報公開の請求がございまして、それにつきまして詳しくデータを我が省の職員がチェックしておりましたところ、不自然な部分があるということで、再度JRに指摘いたしまして、今回の不正取水を認めたわけでございます。

 今後でございますけれども、先ほどの十電力の不適切事案、それから今回の事案も含めまして、抜き打ち的に行う不定期検査の実施や、河川の巡視等の河川監理員の現場指示を充実強化してまいりたいと考えております。

篠原分科員 水利権の取り消しですとか取水をさせないという英断は、私は評価したいと思います。今までは、まあまあ、なあなあでやってきたんだろうと思います。

 抜き打ち検査に行かれるというのも、絶対そうしていただきたいと思います。どこかの省庁は、抜き打ち検査に行くといって電話連絡して抜き打ち検査に行っていたということですから、これは抜き打ち検査にならないんですよね。

 優等生というか、ほかにいっぱいいるんだったらいいんですが、米、事故米なんというのは、あれは、ちょっと同情すると、まじめな米屋さんだけが米を扱っていたんです。それを、食管制度がなくなって、だれでも、この辺の人でもちょっと商売っ気のある人だったら、電話一本、机一つで米屋に参入できるんです。ですから、そこから次から次に十人ぐらいの米屋さんを渡っている間にインチキ米になってしまうんです。私は、米なんという大事な食料というのは、少なくとも根本のところはしっかりした人にしか扱わせないという規制があってしかるべきだと思います。

 そういう点では、電力会社やJR東日本なんというのは、一個しかない、二個しかない、そういう大企業です、大優等生です。だから、そこのところは、信用されておられたんだろうと思いますが、こんな不始末をしでかしたのはただじゃ済まないんだろうと私は思います。

 これは、今局長からお答えいただきましたけれども、結構気がついて、いろいろ改善指示をされてきたんですね。それを聞いた形跡がないんですよ。言うことを聞かない悪たれ小僧だったんです、小僧なんて言っては悪いんですけれども。まあ、だったんじゃないかと思います。

 住民の声もとっくの昔から出ていたんですね。これは資料をお配りしたので見ていただきたいんですが、私はそこそこのエコロジストでございまして、もともと昔からこういう人たちが私のところへ近寄ってくるんです、立派なことを言っていますから。

 それで、一番後ろを見ていただきたいんですけれども、つい最近もふ化放流事業にこうやって参加しているんです、私の地元のところで。八ページを見ていただきたいんです。寒いんですけれどもね。これは私です、別人じゃありませんから。下はシンポジウム。このシンポジウムをやっていて一週間後か二週間後に、一週間、二週間じゃないですね、ちょうどごちゃごちゃしているころにこれをやっていたんです。

 いろいろな会がありますけれども、いろいろな団体がいろいろ言ってきていたわけですよ。信濃川をよみがえらせる会というのがあって、おかしいと。

 一ページを見ていただきたいんです。

 いかにおかしいかというのを大臣の地元の川のことを想定していただきたいので、さっき地図を持ってきて、大臣の近くの川は何があるかなとよく見たんです。小さくてよくわからないんですけれども、飛騨川というのはありますか。(金子国務大臣「木曽川、長良川というのもある」と呼ぶ)木曽川、長良川もある。この一ページ目を見ていただきたいんです。ちょっと開いてください。

 そこのところ、この西大滝ダムから右側の方の、魚野川というのが合流しているところ。ちゃんとこの図はよくできているんです。西大滝ダムでちょっと水をとっちゃうわけです、千曲川から。御存じのとおり、長野県側が千曲川、新潟県側になったら信濃川と呼ばれるんです。

 細くなっていますね、一番下のところ。ここのところ、ちょっとしか水が流れていないところなんです。ここのところが六十三・五キロメートルもあるんです。

 局長、先進国、あるいは日本でもどこでもいいんですが、人がいっぱい住んでいるところの川で、六十三・五キロもどこかへ川の水が行ってしまって、本流のところはちょっとしか流れていない。信濃川は長さにおいても日本一、水量においても日本一ですよ。それを、こんなに長い間かれている状態の川というのはあるんですか。私はないんじゃないかと思いますけれども。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる発電のバイパス区間の延長という面からいいますと、これより長いところは数カ所ございます。ただし、発電の使用水量が非常に小さいので、川に与える影響という面からいいますと、委員御指摘のこの一ページにございますように、これだけの流量をバイパスしている区間というのはございません。

 委員御指摘のように、十年以上前から水が流れない信濃川が問題にされておりましたので、国土交通省といたしましても、有識者、それから国、県、沿川市町村長から成る信濃川中流域水環境改善検討協議会を平成十一年一月に設立いたしまして、信濃川中流域における水環境及び水利用の現状を正確に把握するとともに、水環境と水利用の調和のための方策を検討し、その実現に努めるべく検討を進めてまいりました。

 例えば、平成十三年からは、東京電力及びJR東日本の協力を得て、春から秋にかけて西大滝ダムと宮中取水ダムの放流量をふやす試験を行い、水環境改善効果を検証してきたところですけれども、今回のJR東、リミッターがあるということで、その試験さえもデータがはっきりしていなかったというのは非常に残念なことでございます。

 さらに、平成二十一年三月二十三日には第十九回の協議会を開催しまして、これまでの検討結果を踏まえた提言が取りまとめられておりまして、西大滝ダム直下で川に流れる流量が毎秒二十立方メーター以上、宮中取水ダムで毎秒四十立方メーター以上を確保すべきである、また、魚道等の構造改善が行われるべきである、河川環境の調査等を継続すべきである等とされているところでございます。

篠原分科員 国土交通省の方はまじめにいっぱい警告していたんですね。歴史を調べてみるとよくわかります。おかしいじゃないかと言っていたんですが、やはり私はJR東日本がいけなかったんじゃないかと思います。今局長さんが答えられたとおり、十年ぐらい前から住民が騒いでいたわけです。それは見えるわけですから、流れていない、みんなとっていってしまう、おかしいというのは、気がつくのは当然ですよ。

 今、外国のことを答えられなかったわけですけれども、多分、外国の先進国だったら、こんな状態は一年だって一週間だって許されないだろうと私は思います。それをずっと放置されてきた、しらばっくれていた。十年前にも警告を発しているのに、改善したとかうそを言っている。

 それから、話し合って決めているんだからどうってことないと。電力の自由化で、電力が余ってきたら売電事業もやっている。常識では信じられないですね。余るほど電気を使って、そんなのだったら流してやればいいのに流さないで、もう全部目いっぱいに発電して、余ったものを売電している。私は、これは相当懲らしめていいんだろうと思います。今、そういうふうになっているんですけれどもね。

 こんなのは、アメリカなんかだったら、とっくの昔に裁判で完全に覆されて、ダムは壊されているだろうと思います。住民はおとなしいですね。長野県人の方が激しいんです。新潟県人の方がおっとりしているんです。長野県だったらもっと先に行動を起こしていたかもしれません。

 中魚沼漁協の長谷川組合長さんたちは、こんなひどいことをずっとして何だと怒り狂っておられて、損害賠償請求もしておるようですけれども、こういったことについては、国としては、どういうふうに指導したり、どういうふうにしていかれるつもりでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、JR東日本の信濃川発電所につきましては、先ほどの河川法違反に対しまして、三月十日付で河川法に基づく水利権取り消し等の監督処分を行ったところでございます。

 同社の行為は、信濃川沿川住民を初めとする国民の信頼を裏切るものでございまして、まずはJR東日本が信頼回復に向けてしっかりと取り組むことが重要であろうというふうに考えております。

篠原分科員 今までさんざっぱらしらばっくれていたんですから、結構どぎついことをさせなければいけないんじゃないかと私は思います。

 これは大臣に答えていただきたいんですけれども、七ページを見ていただきたいんです。

 今はもうさすがに恥ずかしくて消えていますけれども、「クリーンな電力で東京都内の列車を動かす」と宣伝しているんですよ、JRは。確かにクリーンな自然エネルギーですよ。それから、その下を見てください。「しかし、鮭などの魚類が遡上し、産卵し、稚魚が降下できる、本来の信濃川でないのではないのでしょうか」と、恥ずかしくもなくこういうことを言う。だから、今はもう消えていますけれども、私はけしからぬと思います。東京都民は知らないでしょうね、山手線や何かが新潟の信濃川の発電で動いているというのを。

 今、何か不況だそうでして、この間の新聞を見ていましたら、昨年、人気企業の一位だったトヨタが九十三位になり、人気企業の一位がJR東海で、二位がJR東日本だったんです。そういう優良企業だと思われているわけですよ。私は、環境に優しいとか言っておられるんだったら、ちゃんとやっていただきたい。

 例えばこういうアイデアがあるんですよ、アイデアというか、当然のことですけれども。米しかできないところです、米作地帯です。ところが、やはり民営化してからちょっと国鉄らしい意識がなくなって、お金もうけに走っちゃったわけです。ですから、さっき、上限リミッターを改ざんして発電をいっぱいして、それで売電している。もともと安い電力価格にもかかわらず、そういうことまでした。

 そして、ここからが大事なんです。もうお忘れかもしれませんが、O―bentoという弁当を宣伝していたんですね。安くするためにカリフォルニア米を使っているという。環境に優しい公共交通機関の名が泣きますよ。アメリカから米を持ってくるのにどれだけ無駄なCO2を出しているか。よく言えたものだ。

 罪滅ぼしに、JR東日本で売っている弁当は全部このあたりの新潟県産のコシヒカリでつくらせる、ずっとやってきたんですから、そういうことをJR東日本側から言ってきてもいいことだと私は思います。何年間もずっとかれた川にしておいて、しらばっくれている。このぐらいは何かの席で言って、させてもいいと思います。これは大臣じゃないとできないことだと思いますけれども、いつか絶対言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

金子国務大臣 長年にわたって地元住民あるいは国民に対して裏切り行為をしてきているわけでありますので、住民と国民に対する信頼を取り戻すことがJR東日本の本当の役割だと思います。そういう信頼回復に向けての一つの行動として、今委員がおっしゃられた、魚沼産の米を使ってもらう、ちゃんと使えというのは一つのアイデアかもしれません。

 具体的にどうされるか、いろいろなことがほかにもあるんだろうと思いますので、一つのアイデアとして、JR東が地元理解を得る協議の中で、今の問題が地元からも取り上げていただけるといいんではないかと思います。

篠原分科員 奥ゆかしい新潟の人はそういうことを言っていません、いろいろな議事録を見ましたけれども。僕は、こういうことでも解決がつくんじゃないかと思う。簡単なことなんですよ。誠意をちゃんと示さなければいけないと思います。

 それで、いつか再許可されるんだろうと思いますが、私は、本当はこんなのはさせなくたっていいんだろうと思います。というのは、日本の社会はやはり優しいんですね。私なんかも優しい方で、ごちゃごちゃ言っていますけれども。

 アメリカは、例えば漁業の方でやりますとすごいですよ。違法操業をしてとり過ぎた、網の目をごまかしたといったら、三代続けてそのファミリー、その家族、孫まで、おい、めいとか、そういうのを絶対漁業に従事できなくするんです。日本なんかは、操業停止二カ月、こういうあれです。アメリカ社会、欧米社会は信賞必罰がすごいですよ。それからしたら、欧米の考え方からいったら、同じことはできないというのが普通なんです。ですけれども、日本社会は優しいから私は仕方がないと思いますけれども、応分の負担はさせていいんじゃないかと思います。

 なぜかというと、発想を変えていただきたいんです。経済学の講義みたいになって恐縮ですけれども、水なんてパブリックグッズ、公共財ですよ。それを、お国のため、東京の電車を動かすんだというので、水をみんな引っ張っていく、しようがないと。さっきの一ページ目のところを見ていただければ、だんだん取水量をふやしていったんです。それで、自分のところの川はさっぱり流れていない。そんなばかなことをしてしらばっくれていた。やはり悪い面が出ている。

 民間企業になったんだったら、応分の負担をしていただく。水力発電のコストは安いんです。風力発電、太陽光発電は高いので、いろいろ国が援助しなければ採算が合わないといったときに、水力発電は安いんです。なぜ安いのか。簡単な原理で動いていますし、みんな自分たちで使えるわけですから、安いのは当たり前ですよ。

 パブリックグッズを使っているわけですから、民間企業になったら応分の負担をしていただく。三千億円以上の利益を上げている。電力料金はわずか二百億ですよ。それでけちって売電までしている。私は、これはやはりよくないんじゃないかと思います。相当なことをしていただいてもいいんじゃないかと思いますよ。

 それは、まずどこに返すかというと、地元です。地元にちゃんといろいろやっていただく。それを再開のときにぜひきちんとしていただきたいと思います。

 先ほど答弁で、西大滝ダムは毎秒二十立方にふやす、宮中ダムは四十にふやすと言っていますけれども、田口直人十日町市長などは、百五十トン戻せと。百五十トンというのは途中からふえた分ですね。それを余りきちんと協議しないで決めてしまっているようです。

 ここの地図のところにありますけれども、一ページ目の地図は非常によくできているんです。支流のだれも知らない魚野川というところの水量が大体六十から七十トンと太い。大信濃川が七トンぐらいだと下のところに書いてあります。それが四十トンでは少ない、少なくとも魚野川と同じ量か、あるいは百五十トンにふやすという要望があるんですけれども、私は、そういう地元の要望をひれ伏して聞いていくべきだと思います。そういう条件をつけてもいいんじゃないかと思います。

 この点についてはまだあれこれ決めてはおられないだろうと思いますけれども、優しいので言っているわけです、再許可のことを考えて。そのときは相当な条件をつけていいと私は思います。一に地元です。

 そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 JRの水利権取り消し処分を行ったばかりでございまして、まずはJR東日本が信頼回復に向けて取り組んでいくことが重要だと思います。

 再申請があった場合の許可の条件等については現時点では申し上げられませんが、先ほど私が申し上げました三月二十三日の信濃川中流域水環境改善検討協議会での提言では四十トンというようなことが言われておりますし、また、委員御指摘のように、信濃川をよみがえらせる会では百五十トンというようなことも言われております。それらも含めまして、今後しっかりと、信濃川の環境、それから水力発電の公益性、公共性を審査してまいりたいというふうに考えております。

篠原分科員 ずっと苦しい目に遭ってきたんです。信濃川をよみがえらせる会の樋熊清治会長さんは、信濃川は死んだも同然だと言ってずっと嘆いてこられました。本当にそうだと思いますよ。こんなことを放置しておいたのは皆さんの責任もあるんじゃないかと私は思います。

 しかし、幸いなことに、日本人の環境に対する意識が変わりました。環境に対してはお金を払う、それから、環境に優しいんだったらちょっとは我慢する、そういう精神が生まれてきているわけです。昔の国鉄の精神を思い出してちゃんとやっていただきたいと思います。

 人間のことばかり言っていましたけれども、大事なのは魚なんです。

 西大滝ダムはこういうダムです。ここで完全にとめちゃっているんです。狭くしちゃっているんですね。次が宮中ダム、三ページにあります。そして、ずっと見ていっていただきたいんですが、四ページに上流の長野県のダムがあります。上の方にダムばかりです、こっちは東京電力ですけれども。

 それで、魚道というのが五ページにあります。見てください、この魚道。これは、運動神経のいい魚というか、私みたいなスリムな魚だったら上っていかれます、筋力は足りないかもしれませんけれども。ちょっと太目の魚は上っていけないですね。この前は近代的な魚道だったそうですけれども、世界の魚道からすれば取ってつけた魚道なんです。魚がすんでいるんです。六ページを見てください。西大滝ダムのところを来ると、宮中ダムのところへ来てこの魚道を上がれなくて、くたびれて、そこでいっぱい死んでいるんです。

 こんなことぐらいは、この地位の再申請があったときに、絶対魚道をちゃんとつくる、相当金をかけても、迂回してもいいからつくらせる。

 私は、やはり電力も必要ですし、クリーンなエネルギーで動く公共交通機関という関係はあった方がいいと思います。それはどうしてかというと、電気自体はクリーンですけれども、それが火力発電でがんがんやった電力で動いているといったら、もとを正せば同じですから、それはよくないので、こういう関係は保った方がいいです。しかし、応分の負担はしていただくということを考えてもいいんじゃないかと思います。少なくとも魚には失礼です。アメリカなんかは魚にも訴訟権があるんですね。

 ですから、ぜひ、再許可のときは魚道をちゃんとつくる。ついでに、西大滝ダムは別にそうした悪いことをしているわけじゃないですけれども、ちゃんと整備はしている方かもしれません。魚道をきちんとつけるということは絶対条件としてつけていただきたいんですが、いかがでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 魚道につきましては、先ほどの信濃川中流域水環境改善検討協議会におきましても、両ダムとも、魚道の入り口が見つけにくいこと、取水口への稚仔魚の迷入及び放水路への遡上成魚の迷入が発生していること等の問題点があり、魚類の遡上、降下の障害となっているため、各施設管理者による魚道等の構造改善が行われるべきとの意見をいただいております。

 JR東日本の水利権の再許可については現時点では何も申し上げられませんけれども、再許可をされる場合には、今後とも、このような協議会の提言等も踏まえて、魚にも優しい形の改善がなされるべきと考えております。

篠原分科員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 これは非常に大事でして、皆さん、森は海の恋人という言葉は御存じだろうと思います。カキの養殖をしている畠山重篤さんという人が、魚つき保安林がありますけれども、上流の森をきちんとしなかったら、いい栄養分に富んだ水が入ってこないからということで。

 私は、もう一つ標語をつくっているんです。サケは森の恋人。本当はこれで本を書く予定だったんですけれども、国会議員になっちゃって書けなくなっちゃったんですね。どういうことかというと、うんちくを傾けて済みませんけれども、最後の時間ですからちょっと聞いてください。

 万有引力の法則がありますから、ほっておくと栄養分はどんどん下に下っていくんです。海の底に一番栄養分があるんです。だから、湧昇流で上ったエルニーニョ、ガラパゴス島、南米大陸にぶつけ当たって湧昇流が起きる。それから、日本でいうと、黒潮と親潮がぶつけ当たった三陸沖が一番水が下から上がってきて、そこに植物プランクトンが発生し、動物プランクトン、そしてフードチェーンができていくというものなんです。そうすると、栄養分はみんな海の底に行ってしまう、これは大変だというのがすぐおわかりだろうと思います。

 では、それを持ってきているのはだれかというと、遡河性魚類、アナドロマス・スピーシーズというサケ類似の魚なんです。サケは来て四年たつと上がってきて、そして子孫を残して、そこでみんな死ぬんです。ほっちゃれといいます。しかし、あのほっちゃれ、シベリアでも北海道でも同じなんですが、一週間たたないうちに全く何もなくなるんです。鳥が食べ、クマが食べ、それで、ふんで森じゅうに栄養分をまた返すんです。おわかりになりますか、サケは森の恋人。サケがずっと遡上してこなかったら、山はみんな栄養分がなくなっていくんです。

 ですから、アメリカはそれをわかりましたから、ダムは無駄、日本語のこのしゃれは通じないと思いますけれども、もう新しいダムは建てさせないんです。そのぐらい徹底しているんですよ。

 私は今、ふ化放流事業で帰させてくださいと言っていますけれども、アメリカの西海岸、あちらはもう、ふ化放流事業も禁止なんです。サケが自力で上がってくるように河川をもとに戻すという。わかりますか。よっぽど洪水が起きるようなところしかコンクリートにしない、自然の状態に戻す、そこまで言っているんです。日本は、そのぐらい絶対にすべきだと私は思います。ですから、それをよく考えていただきたいんです。

 今、国民に問うてください、世論調査してみてください、どっちにしますかと。国交省、新潟県では絶対やってください。今、これだけ水を流したけれども、どうしたらいいかと。サケが上がってきたりする川にした方がいいと思うかどうかと。今流れている水量が自然の水量ですからね。ちょっと大滝ダムにも行っちゃったりしまして、完全な自然じゃないですけれども、この状態と前の状態とどっちがいいかから始まって、世論調査をして、ぜひきちんと見定めて私はやっていただきたいんです。

 そして、もう一つ大事なのが、水利権の更新時に、西大滝ダムというのもあるんですね。これはちょっと長い話になるので短くしますけれども、ここのところも問題なんですよ。長野、新潟の県境でぱっとくびれてくるんです。そこのところで西大滝ダムがとまっちゃっている。そうすると、土砂が流れなくて、だんだん長野の方が河床が上がっていくんです。委員長なんかはこういうことをおわかりになるんじゃないかと思いますけれども、土砂が全然流れていないから、どんどんたまっているんです。これを流すようにしなかったら、時間の問題で長野県で詰まるところです。そうすると、上で大洪水が起こる。そこが私の選挙区なんです。米作地帯なんです。非常に困るんです。

 二〇一〇年が迫っているんですけれども、そういうこともちゃんと検討していただいているんでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 西大滝ダムの水利権は、平成二十二年十二月三十一日の期限となっております。

 今後、その更新に向けた協議に入ることとなりますけれども、国土交通省といたしましては、先ほどの協議会での提言、ダム直下二十トン以上、魚道等の構造改善、河川環境の調査等を継続ということを踏まえまして、適切な措置がとられるよう東京電力に働きかけてまいる所存でございます。

篠原分科員 最後に要望です。

 立派な答弁をされておりましたけれども、この写真を見てください。ここは物すごく狭くて、がっちり全部とめているんです。土砂がそこはかとなく流れるようにしてもらえばいいんです。自然の状態にしてもらえばいいんです。そういうことを更新時に大胆に行っていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福島主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十一日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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