衆議院

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第2号 平成21年4月21日(火曜日)

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平成二十一年四月二十一日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 福島  豊君

      井澤 京子君    上野賢一郎君

      桜井 郁三君    橋本  岳君

      武藤 容治君    山本  拓君

      小宮山泰子君    郡  和子君

      松本 大輔君    横山 北斗君

      鈴木 宗男君

   兼務 仲野 博子君 兼務 赤羽 一嘉君

   兼務 伊藤  渉君

    …………………………………

   法務大臣         森  英介君

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第三局長            河戸 光彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福富 光彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西村 泰彦君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人   

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    尾崎 道明君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  西川 克行君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中村 明雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           戸谷 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           渡延  忠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           広瀬  輝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         松谷 春敏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         下保  修君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省河川局次長) 田中 裕司君

   政府参考人   

   (国土交通省道路局次長) 西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  伊藤  茂君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人   

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人   

   (国土交通省北海道局長) 奥平  聖君

   法務委員会専門員     佐藤  治君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任      

  桜井 郁三君     橋本  岳君

  玉沢徳一郎君     井澤 京子君

  小宮山泰子君     郡  和子君

  松本 大輔君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     上野賢一郎君   

  橋本  岳君     桜井 郁三君 

  郡  和子君     小宮山泰子君

  横山 北斗君     松本 大輔君   

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     玉沢徳一郎君

同日

 第一分科員赤羽一嘉君、第三分科員仲野博子君及び伊藤渉君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

福島主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成十九年度決算外二件中、本日は、法務省所管及び国土交通省所管について審査を行います。

 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。森法務大臣。

森国務大臣 平成十九年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は千四十四億三千四百五十九万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は九百七十五億四千百六十一万円余であり、歳入予算額に比べますと六十八億九千二百九十八万円余の減少となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千三百十八億八千四百四十一万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千七百三十九億七千六百五十一万円余であり、翌年度へ繰り越した額は五百十六億九千百四十七万円余であり、不用額は六十二億一千六百四十三万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は千九百四十二億六千十九万円余であり、支出済み歳出額は千六百八億七千七百四十一万円余で、差し引き三百三十三億八千二百七十八万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、特別会計に関する法律附則第六十七条第三項において読みかえられた同法第八条第一項の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は一千八百六億三千九百八万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は千九百四十二億六千十九万円余であり、歳入予算額に比べますと百三十六億二千百十一万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千六百六十二億八千三百七十一万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は千六百八億七千七百四十一万円余であり、翌年度へ繰り越した額は十六億八千二百四十四万円余であり、不用額は三十七億二千三百八十五万円余であります。

 以上をもちまして、平成十九年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

福島主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院鵜飼第一局長。

鵜飼会計検査院当局者 平成十九年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十五件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号一四号から二七号までの十四件は、会計経理が適正を欠いているものであります。

 同二八号は、契約額が割高となっているものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、刑事施設における医薬品の調達に関して是正改善の処置を要求いたしたもの、その二は、国有財産の管理における登記の嘱託に関して意見を表示いたしたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

福島主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。森法務大臣。

森国務大臣 平成十九年度予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ適正な処理に努力してまいりましたが、平成十九年度決算検査報告において、会計検査院から不当事項等として御指摘を受けましたことについては、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けました事項については、是正措置を講じておりますが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図り、予算の効率的かつ適正な執行に努めてまいる所存であります。

福島主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福島主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

福島主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本分科員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、決算行政監視委員会の第四分科会、法務省所管の分ということでございまして、今、決算の概要について説明を伺いました。立派な決算でございます。会検の指摘などもあったようですから、そこはしっかり踏まえて対応していただきたいということで、本題に入らせていただきます。

 きょうは、四月三日に法務委員会で、死因究明の制度について、人がお亡くなりになったときに、どういう形でお亡くなりになったのかを調べる制度について議論をさせていただきましたけれども、その続きをさせていただきたいと思っているんです。

 前回は、監察医制度を全国展開したらどうか、こういうようなことまで申し上げて、踏み込んだことを申し上げましたけれども、きょうはもうちょっと落ちついて、やりとりをさせていただきながら、現状をまず、どういう状況なのか、どういう問題なのかということを議論させていただきたいと思っております。

 そういうことですので、答弁をされる皆さんにおかれては、簡潔な答弁をぜひお願いしたいと思っております。また、場合によっては、お答えをいただいたのを聞いて、さらに議論していくようなこともある。場合によっては、通告していないことも聞くようになるかもしれません。そのときは、準備とか用意がなければ、ないですということで対応していただいて結構でございますので、そういうやりとりをできるようにぜひよろしくお願いいたします。

 また、森法務大臣におかれましては、実は、きょう質疑のあれが余りないんですけれども、立ち会っていただいて、聞いていただいて、今後の検討について、ぜひ御協力、御尽力をいただきたいということで、しっかりお聞き届けをお願いしたい、こう思っております。

 さて、まず、先日、消費者庁の設置法案、消費者庁関連三法が衆議院を通過いたしました。今、参議院にかかっております。この議論にも異状死の死因究明というのは大変重要なんだろうと思っているんです。

 というのは、消費者庁は、いろいろな事件、事故があって、きっかけに議論をされ始めたわけですが、その一つにパロマのガス湯沸かし器の一連の事故があります。全国で、あちこちで事故というのが起こっていたわけですが、一連のものとして認識をされるきっかけになった事件が、東京都で起こった事件でありました。

 これも実は、最初、事件ではないね、要するに犯罪ではないねということで、警察はそれ以上の死因究明をしなかった。ですが、東京都には監察医務院というものがあって、監察医の制度があって、そこで解剖をしてみた。そして血液の検査もしてみた。そうしたら、一酸化炭素の濃度がやたら高い、どうやらこれは一酸化炭素中毒死ではないか。そこで、御遺族がもう一回警察に行って、これはおかしい、ぜひ調べてくれ、そういうところから、パロマ社のガス湯沸かし器が怪しいということで、ではといって調べてみたら、実は一連の事故だったということが明らかになった、こういう経緯があります。

 逆に言えば、東京都の場合、監察医の制度があったからわかったけれども、そうじゃない地域、監察医というのは五都市しかありませんから、それ以外の地域ではただの心臓発作とか心不全、そういう形で処理をされていた例もあったかもしれない。

 実際に、北見市の例なんかは、一酸化炭素中毒事故があった同じマンション、同じ部屋で、半年前に、実は、おふろ場でおふろに入っていて亡くなった方で、これは心不全といって処理をされた例というのがあった。後で考えれば、あれはそのときからそうだったんじゃないのというようなこともあったわけです。もう御遺体は火葬になってしまっているから、後ではわかりません。

 そういう意味で、消費者庁ができた、消費者行政をこれから頑張るぞ、すばらしいことだと思います。しかし、その前提として、消費者庁は重大製品事故というのがあったらそれに向けて対処をするのだということになっておりますが、その重大事故というのをきちんとまず発見するという段階において、実は死因究明制度がちゃんとしているということは大事なんだと思いますが、この点について、内閣府の御見解を伺います。

福富政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、消費者庁が消費者行政の指令塔として中核的な機能を果たすためには、消費生活において発生した事故の情報が的確に伝わりますとともに、その原因究明が迅速かつ的確に行われることが重要だというふうに認識しております。

 ガス機器の一酸化炭素中毒事故のような問題に関しまして、さまざまな機能を消費者庁が果たすことになりますが、そのいずれの場面におきましても、その事故が、ガス機器という商品、製品の使用等に伴い生じたものであるか否か、この認識が非常に重要だというふうに考えております。

 死亡原因の究明が迅速かつ的確に行われることは、消費者行政にとっても重要であるというふうに考えております。

橋本分科員 ありがとうございました。そういう観点でも重要だということであります。

 それと、監察医制度の話、今、東京都の話をさせていただきましたけれども、そのついでに厚労省さんに確認をさせていただきたいんです。

 その全国展開というのをこの間私も申し上げましたけれども、都道府県がやることですが、都道府県の方からこれを全国展開してくれという要望があったのではないかと思うんですが、この点について御確認をいただけませんでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 監察医制度を全国に拡大すべきであるという具体的な要望というのはございませんけれども、監察医制度に関連する要望といたしまして、昨年五月に全国衛生部長会からの要望がございまして、その中で、死因の明らかでない死体についての死因究明について、犯罪性の有無にかかわらず監察医制度の有無で生じる地域格差を是正するため、地域を限定しない一元化した制度とすることという内容がございました。

 これにつきましては、犯罪性の有無にかかわらず死因究明一般についての全国的な制度を要望する内容であるというように受けとめております。

橋本分科員 監察医制度と呼ぶかどうかはともかくとして、要するに、犯罪じゃなくても一般的に全国的にちゃんと死因究明しようねということですから、言わんとしていることは同じだと思いますので、きちんとそういう要望もあったということは認識をして、今後御検討いただきたい、そのように思います。

 さて、では改めて、何で行政が、いろいろな亡くなり方をされる方がおられます、その死因究明をするかということをそもそも論からいってみたいと思うんです。三つの意味があると私個人としては思っています。

 一つは、犯罪に関連する場合、犯罪が、なぜ、どのようにして行われたかというのをしっかり調べる、あるいは、そういうものをまずそもそも見逃しをしないということ、それが一つ。

 二つ目。さっきのパロマ社のガス湯沸かし器の製品、これは最終的に事件になりましたが、そうなる前にも、ちゃんとガス器具だとかそういう製品に関する事故であるということをきちんと認識したりする、発見をする、あるいは感染症みたいなものを早期に発見する、そういう公衆衛生的な側面があるだろう、これが二つ目。

 そしてもう一つ。そもそも死因を究明すること自体に行政上の意味があるのだと思うんです。それは、死因統計というものを厚生労働省さんがとっていて、日本で人はどういうふうなお亡くなり方をするか、それによって、例えば、がんが多いね、ではがん対策をしましょう、あるいは、自殺が多いね、では自殺の対策をしましょう、そういうような行政上の根拠となる大事な統計をとるから、そういう意味できちんと死因究明をされている必要があるだろう、こういうふうに思うわけであります。

 ほかにも、当然ながら、亡くなった御本人あるいは御遺族がなぜ亡くなったのか知りたいということもあるでしょうし、あるいは医学の進歩のために調べる、これは病理解剖というものになりますが、そういうものもあります。ただ、それは多分、行政的な目的という意味では二つ目以降の話になるんだろう。第一として挙げるのは、さっき言った三つなのかなと個人的には思っているわけであります。

 では、今申し上げたような形で御遺体の死因を究明するということについて、主管大臣はどなたでしょうか、法務大臣ですか。

森国務大臣 我が国における死因を究明するための制度がどうなっているかということを若干申し上げますと、まず、一般の方から届け出を受けるのは、警察であります。警察において、その死体が犯罪に起因するものでないことが明らかである場合には、死体取扱規則に基づいていわゆる行政検視を行います。また、その死体が犯罪によるものではないと断定することができないと思われる場合には、警察から検察官に通知をして、検察官において、刑事訴訟法に基づく司法検視の要否を判断することになっております。

 そして、行政検視の結果、死因がなお不明である場合には、死体解剖保存法に基づいて、遺族の承諾を得て行う承諾解剖や、監察医制度の施行地域において監察医が実施する監察医解剖が行われることとなりますし、また、他方、司法検視等の結果、犯罪死の疑いがある場合には、刑事訴訟法に基づいて、裁判官の令状を得て司法解剖が行われることとなっております。

 このように、我が国における死因を究明するための制度は複数の道筋に分かれておりまして、法務大臣は、法務省が刑事訴訟法を所管していることなどから、我が国の死因究明制度に関する行政の責任の一端を担っているところであります。

 しかしながら、それらの法律及び制度を所管する省庁も複数の省庁にまたがっていることなどから、法務大臣以外にも、国家公安委員長が行政検視などを取り扱う警察行政等を所管しているほか、厚生労働大臣は死体解剖保存法に基づく監察医制度等を所管し、また、死因を究明するための人材を育成するという観点から、文部科学大臣も我が国の死因究明制度に関する行政の責任を担っているということが言えます。

 そういうことで、特定の大臣がそのすべてを所管しているわけではありません。

橋本分科員 そういうことで、要するにだれが所管というのは決まっていない。それぞれの場合によって所管する省庁あるいは大臣というのは変わってくるのだ、ある意味で横断的な問題なんだということが言えるし、悪く言うと、だから若干無責任になりかねないようなリスクがあるのかなということは指摘されるべきなんだろうと思うんです、問題があるとすれば。だから、問題があるかどうかは、ちょっとこれから検討してみたいと思います。

 まず、死因究明、今、解剖をする制度がこういうふうに分かれていまして、それに至るプロセスというのを御説明いただきましたが、最終的に死因というのはどこで決まるか。一つの目安が、死亡診断書または死体検案書に死因というのを書く欄がございますから、そこで、医師法十九条第二項に基づいてドクターの方が書かれる、それが確定した死因というものの一つのあり方なんだと思います。

 その点からすると、医師が死体検案書、死亡診断書の死因を確定させる責任者なのかなと思うんですが、そういう制度になっているんじゃないかと思うんですが、その点、厚労省さん、確認をしていただけませんか。

中尾政府参考人 死亡診断書及び死体検案書につきましては、その死亡の原因等を医師が記載するという形で今行われております。

橋本分科員 では、改めて聞きますが、なぜ死体検案書、死亡診断書に死因を書く欄があるんでしょうか。そして、ついでに、それを書くために、当然ながら診察をしたり検案をしたりということをする、要するに医師もコストをかけているわけですね。そのコストをだれが負担しているんですか。

中尾政府参考人 死亡診断書、死体検案書につきましては、人の死亡に関する医学的、法律的な証明でございまして、死亡に関する医学的、客観的な事実を正確に記入する必要がある。また、これは我が国の死因統計作成の資料ともなっておりまして、これらにつきましては、医師が死亡の原因等を記載するというのは、このような制度の趣旨からそのようになっておるところでございます。

 また、これらの書類の作成費用の負担でございますけれども、死亡した方の遺族が負担する場合や病院が負担する場合など、個別の事案によって異なっていると認識をしております。

橋本分科員 実は、客観的事実を書く必要があるというのは理由にはなっていないですね。だから、本当を言うと、その答弁というのは答弁になっていないと思います。

 さはさりながら、さっきの統計の話があります。それは一つの大きな理由だと思いますが、統計をとるのに、遺族や病院という話がありました。でも、大事な統計をとる調査をしてもらうのに、何でコストが、遺族やもしくは病院だとかドクターの持ち出しでいいんですか。

中尾政府参考人 死亡診断書と死体検案書の位置づけといいますのは、死亡届を出すときの添付書類という形の位置づけになっておりまして、そこでその死因が書いてございますので、これを用いて死因統計の作成ができる。結果としてそのような形で利用しておるわけでございますけれども、もともと死亡届をするのは届け出義務者において行うことでございますので、その届け出を行う者が書類を添付する、そのための費用として負担されているものではないかと思っております。

橋本分科員 だとすると、死亡届のついでに出されるのだというような位置づけなのかなというふうに聞こえる答弁でございました。

 要するに、行政上のプロセスとして、そういう死体検案書なり死亡診断書があって初めて火葬ができて埋葬ができる。その中で書いてあることですのでという話ですから、そこについては、要するに政府はお金を出していないんですね。それでいいんですかということが一つの論点としてあろうかと思います。

 さて、具体的なケースでいきましょう。時津風部屋という大相撲の部屋で暴行があって、若い力士が亡くなったという事件がありました。いろいろ新聞報道がありましたけれども、その途中経過の中で、警察が発表した死因、これは虚血性心疾患だと警察は発表した。病院に聞いてみたら、あるいは医師に聞いてみたら、いや、心不全だと僕は言ったんだけれども、こういうような話があって、食い違いがあったという報道がございました。これは何で違ったんですか。

西村政府参考人 お尋ねの事件は、平成十九年六月、愛知県犬山市内の相撲けいこ場におきまして、当時十七歳の力士が、けいこ中に倒れ、病院に搬送された後、死亡した事案と承知しております。

 この事案につきまして、御遺体を検案した医師は、CTやレントゲン検査の結果などを踏まえ、心臓が原因の病死と判断したものと承知しております。愛知県警察におきましては、現場の実況見分、死体の見分、関係者の事情聴取等を行い、また、御遺体を検案した医師が、検査の結果、心臓が原因の病死であると判断していること等を総合的に勘案して、その死因を虚血性心疾患と判断したものとの報告を受けております。

橋本分科員 そうすると、この場合、だれがその死体検案書を書いたのかとか、どの時点で書かれたというのはちょっとはっきりしていないし、それはプライバシーだから余り明らかにすべきじゃないと思うので、よくわからないところもありますが、要するに、医師が判断して書くものと、警察は警察で医師の話も聞いて独自の調査をされて、でも食い違いがあったということなんだと思うんです。

 そして、なお言えば、最終的に、その後、御案内のとおりの経過をたどり、一たん遺体は御遺族のところに帰ってきて、別の大学で解剖してもらって、しかも病理の検査までして、やっとこれは多発性外傷によるショック死だったということで鑑定が出て、そこから事件になっていくわけです。そういう意味でいうと、どっちも結果からいえば間違っていたということですね。危うく犯罪を見過ごす可能性もあった。そこは、前、法務委員会でも警察庁さんも認められているとおりであります。

 それで、何でそうなるかという話ですよね。やはり、死亡診断書を書く、あるいは検案の方が今は主ですけれども、体表から観察をする、いろいろ状況を見る、だけれども中のことについて検査というのはほとんどしない。さっきのように、費用負担がそんなにあるわけでもないから、意欲がなければそれ以上のことをしなくてもいい。それから、解剖の場合、さっきの話のように、すぐ結論が出るわけではないので、病理検査の結果などもあるので、何カ月かたってからやっと結論が出るということもあります。なのに、死体検案書というのは先に書かないと、埋葬できませんから、要するに途中経過で書かなきゃしようがないんですね。

 だから、結果として死因統計というのは正確なのかということは、そういう意味で、要するに、途中のプロセスで、わからないものはわからないし、あるいは、病気の疑いならそういうふうに書かなきゃしようがないのでそういうふうに書くわけですが、それが当たっているかどうか、だれもチェックしないという体制があるのであります。

 なお言えば、児童虐待の事件があって、高松高裁、平成十八年一月に民事訴訟の判決が出ているんです。というのは、解剖した執刀医がその御遺族から訴えられていて、どういうものかというと、要するに、一度解剖しました、ただ、そのときに明確なこれだという死因が見当たらなかった。当然ながら病理の検査は要るから、それはやるように準備はしていたわけですけれども、死体検案書には、乳幼児突然死症候群、いわゆるSIDSの疑いというふうに書いたわけです。

 それを受けて、警察の方も、その御遺族から、何でこういうふうになったんですか、捜査してくださいと一度言われたときに、司法解剖の結果、そういう結果だったので、刑事事件としては取り扱うことはできないというふうに一度は言われたということがあったようであります。

 最終的にこれも病理の検査をしたら、どうやら外傷によるものだったらしいという鑑定書が別途出て、それによって警察も動いて、最終的には立件されたわけですけれども、その御遺族は、最初の死体検案書に乳幼児突然死症候群の疑いと書いたから警察の捜査がおくれて、それで我々は迷惑をこうむった、だから民事賠償しろということで訴えた。

 最終的に、それは責任なしということにはなりましたけれども、ただ、その判決文の中でも、一般論として、もし、死体検案書を作成する過程において、判断を誤り、適正な死体検案書の作成義務に反し、これにより、第三者に物的または心的損害を与えた場合は、当該第三者に対し、不法行為責任があるものと解されるということが判決文にも書いてあるわけです。要するに、死体検案書にいいかげんなことを書いたら、場合によっては書いた人というのは賠償責任を負わされる状態にあるわけです。

 だから、そういう意味では、死体の解剖をする、検案する、あるいは現場で最終的に死因を死体検案書に書くドクターというのは、考え方によってはえらいリスクを負っている。わからないものは、例えば不詳の死といってはっきり書いてしまわないと、後で何を言われるかわからないということにもなりかねないし。

 だから、問題は、本当は、御遺体というのは、見ただけで死因がわかるものというのは限られています。それは、見ただけでわかるものはありますけれども。そうじゃない、要するに検査しないとわからないこともあるし、時間がかかることもある。だけれども、死体検案書というものを書かなきゃいけなくて、それは仮の結論でしか書けない。それはもう現場の人はわかっていると思いますけれども。

 にもかかわらず、例えばさっきの高松の話のように、警察はそれを理由にして、今後は捜査をできませんということを言ってしまう。後で覆りましたけれども。時津風部屋事件についても同じようなことでありました。それで死因統計というのはできているし、なお、余りそれを間違えて、場合によっては民事賠償の責任まで負うというようなことになっていて、本当にそれでいいんですかという問題がここに大きくあるんだろうと私は思っています。

 まだ、では、具体的にどうすればいいかということを私たちも考えているところであります。今、自民党、公明党で、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟というのをつくりまして、そういうことを勉強しているところです。民主党さんも案を出されています。考えなきゃいけないということですが、今のような問題点があるということをきょう明らかにできて、それはよかったなと思っています。

 本当を言うと、次に福島県立大野病院事件の話をして、今度は医師法二十一条、異状死とは何かという議論をしたいと思っているんですが、残り時間が限られていますので、これははしょります。

 ただ、詳細にいろいろ私も見てみました。結果、判決としては、その医師の、医師法二十一条についても問題はないという結論が出たので、これはよかったわけですが、ただ、その過程で示された警察庁さんの動き、行動、あるいは検察庁さんもですけれども、というのと、厚生労働省さんが例えばガイドラインというのをつくっているんですね、「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」。これが、どういう場合に死亡診断書を書くのか、死体検案書にするのか、そういうフローチャートがあって、診療に係る傷病に関連した死因ですかと言った場合は、別に死体検案書を書けじゃなくて、死亡診断書を書いていいんですね。警察に届け出しろと書いていないんです。

 多分、そのドクターの方あるいはその判断をされた方は、これを見て、警察に届け出は要らないんだなと思って対応されたら、後で警察の方がやってきて、これは業務上過失致死及び医師法二十一条違反の疑いがあるんだといって事件になったということですから、そこに私は不整合があると言わざるを得ません。

 この問題については、厚労省さんの方で医療安全委員会についての議論があるわけですから、そちらに譲りますけれども、現状、まずそういう問題があるのだということは御指摘をさせていただきたい、こう思います。

 さて、そういうような中で現場は何をやっているのかということでありますが、そこで注目されているのがAi、オートプシーイメージング、遺体の画像診断という話であります。これはすぐ診断できますし、まず御遺体を壊すこともない、そういうメリットが指摘をされ、経済的でもあるということも言われています。

 だから、そういうものをぜひ、今るる申し上げましたような死因を究明するプロセスの中へ位置づけるべきではないかと私は思っております。それは、検案だけでとりあえず死因を決めちゃえという今の制度よりはましになるはずであります。

 日本医師会の方でもその検討委員会があって、この三月にも第二次の中間報告が出ました。アンケートをすれば、回答があった二千四百五十施設のうち八百七十六施設でそういうことを実はやっている、制度的な位置づけはないんですけれども、というふうな回答が出ております。

 警察は、司法解剖というか、要するに刑事事件があるかもしれないという場合においては、実はお金を出してCTを撮ってもらうというのはやっていますが、それ以外の場合は全然国からの費用というのは出ていません。

 厚労省さん、そういう自主的にAiをやる動きというのがなぜ起こっていると認識されているでしょうか。

中尾政府参考人 医療現場におけるAiの実施につきましては、関係省庁との検討の場等におきまして、医療関係者の方々からお話をお伺いしております。

 それで、Aiが行われている理由につきまして、現時点において十分その理由を承知しているわけではございませんけれども、これまでの議論の中では、例えばAiの実施は解剖に比べて費用が安価であることなどの事情があるものと伺っておりまして、こういったことから、医療現場で自主的なAiが行われているのではないかと考えております。

橋本分科員 解剖に比べて安価というのは間違いないところだと思いますが、その前提として、要するに、検案だけじゃわからない。でも、それはさっき言った行政上の理由なり、あるいは、病院で見る場合は病理学的にどういうふうに病気が進行しているのか知るために、そういう理由もあるかもしれません。それから、さっき申し上げましたように、逆に、うかつな死因を書くと、それがまた社会問題に後でなっちゃったりすると困る、それでお医者さんが訴えられちゃったりする、そういうリスクがあるわけで、必要に迫られてやっているんだと思うんです。

 だから、それは、病院の持ち出しあるいは御遺族の費用負担、そういったものでされるものが大半であります。今申し上げましたような問題がある中で、現場ではそうやって自分の身を削っていろいろな努力をされているわけでありますから、これは国としてしっかりそういうものをきちんと把握してもらって、その上で対策を打っていただきたい。

 時間がなくなりましたので、そのことを要望いたしまして、また今後、引き続きこの問題については取り上げさせていただきますが、きょうは質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福島主査 これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。

 次に、郡和子君。

郡分科員 民主党の郡和子でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。私は、研修、実習生の制度につきまして御質問させていただきたいと考えています。

 まず初めに、私の地元、宮城で起きた事案から御説明をさせていただきたいと思っています。

 とび職として、株式会社Oというところに中国からの実習生六人がおりましたけれども、賃金の未払いでありますとか、それから残業代の未払い、あるいはまたパスポートの取り上げなど、大変、この実習生たちがいわば奴隷的な労働状態に置かれていたということが明らかになっております。

 まず、第一次受け入れ機関であるM組合が、研修生、実習生の管理に対する指導を第二次受け入れ機関であるこの株式会社O社に対して行っているんですけれども、その実態は、共同して研修生や実習生を強力に管理しているというものでございました。

 実習生たちの逃亡防止のためにパスポートを取り上げて、そして毎月の賃金から三万円を強制貯金する、それらが会社にあるために、実習生は怖くて何も言うことができなかった。文句を言いますと、本国に帰されるということです。

 なぜ怖がっているか。本国の送り出し機関に対して多額の保証金を納めている、しかも、途中で帰ってくることになりますと、さらに多くの違約金を払わなくちゃいけないということでありました。したがって、研修生、実習生は二重にも三重にも管理をされていたということになろうかと思います。

 また、パスポートの取り上げ、強制貯金などは入管の指針で禁止されておりますけれども、そして、これに違反すれば受け入れ禁止期間が延びる、そういうペナルティーもあるわけですけれども、実際のところ、そこで働かされていた実習生が怖くて何も言い出せない状態だったということで、こういったようなことが実は全国各地で当たり前のように行われているということだろうと思います。

 そこで伺わせていただきたいと思うんですけれども、今御紹介いたしました宮城の事案もそうなんですけれども、法務省の資料では、この研修生、実習生の制度を取り巻く多くの問題が、団体監理型の受け入れによるものであるというふうにされております。今回、法務省は入管法の改正案を三月に国会に提出されておりますけれども、残念ながら、この団体監理型の受け入れの不正行為の構造を直視したものとは言えないのじゃないかというふうに私自身感じているところです。

 この団体監理型の不正行為というのは、第一次受け入れ機関が密接に関与して、あるいはまた、むしろと言ったらいいんでしょうか、第一次受け入れ機関が第二次受け入れ機関に悪知恵を注入する、教唆し指示するということによって生み出されております。

 その一端ですけれども、きょうお配り申し上げました私の資料にもございますけれども、労基法と最賃法違反で書類送検された第二次受け入れ会社の社長の陳述で図らずも明らかになっているところです。この中に、おっしゃっているもの、日本で最賃法があっても、送り出し機関と一次受け入れ機関と研修生の間で統一契約書を作成するので問題がないと、一次受け入れ機関の理事長から説明、指導があった。また、三枚目になりますか、JITCOに提出するためには別に日本の法令に合うような雇用契約書が必要となるが、そのつくり方についても協同組合から指導を受けた。そして、JITCOによる年一回の受け入れ会社の調査の際にも、さもその契約書に合わせて、実習生、研修生らがそのようにやっているような方法についてまでも指導を受けたということが赤裸々に述べられております。

 冒頭に紹介いたしました私の地元の宮城県のケースもそうなんですけれども、これはレアケースではありませんで、こうした不正行為のほとんどに一次機関が何らかの関与をしているのが実態だというふうに指摘もされております。

 しかし、今回提出されております改正案では、団体監理型の第一次受け入れ機関に対する規制というのは、不正なあっせん等を行った者、外国籍に対する退去強制事由の整備といった、いささか枝葉末節と言いたくなるような対策ですとか、それから、重大な不正行為を行った場合の受け入れ停止期間の延長といった極めて不十分な規制でしかありません。構造そのものに手をつけず、不正行為の防止にほとんど実効性のないものしか盛り込まれていないのではないか、そんなふうに感じているところです。

 それどころか、今お話ししましたように、第一次受け入れ機関がどういうところなのか、質の確保を事前にちゃんとチェックできるような担保もないままに、不正行為を指導しているような第一次受け入れ機関の第二次受け入れ機関に対する指導監督、支援体制の強化が盛り込まれているというのは、一体どういうことなのだろうかというふうに思います。不正行為の実態、そして構造から見ますと、この第一次受け入れ機関に対する実効性のある規制こそが重要なんじゃないだろうかというふうに思うわけです。

 昨年六月に提出された厚労省の研修・技能実習制度研究会の報告には、第一次受け入れ団体の許可制というのが提案されていたわけです。第一次受け入れ機関の質を確保して不正行為を防止する実効性のある規制として、許可制を導入すべきだということだったわけであります。

 しかし、今回これが盛り込まれませんでしたけれども、やはりこれはしっかりと許可制ということを実行し、質を担保することがまずもって重要なのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

西川政府参考人 委員御指摘のとおり、現下の研修・技能実習制度をめぐる状況でございますけれども、制度本来の趣旨に反して、研修生、技能実習生が低賃金労働者として利用される事案が急増するなど、この者らの保護の観点からの見直しが喫緊の課題となっております。

 したがって、今回の改正におきましては、この研修生、技能実習生の保護強化等のために早急に対処すべき事項について必要な措置を講ずることとしております。

 受け入れ団体に対する許可制の導入の意見は承っておりますが、受け入れ団体に対して新たな規制を設けるものであり、その必要性、効果等を十分に検討する必要があるものと考えており、引き続き関係省庁、関係機関等と協議しつつ、その是非等について検討を行いたいというふうに考えております。

郡分科員 これは前提になる重要な要素なんだろうというふうに認識しておりますので、ぜひ早急に、前向きに御検討いただきたいと思います。

 改正案についての説明資料によれば、国の機関、JICA等が実施する公的な研修及び実務作業、いわゆるOJTを伴わない非実務のみの研修、これは引き続き在留資格の研修ということになって、入国と在留が認められるわけであります。

 去る三月の二十六日に法務省入国管理局から受けた説明では、JICA等が行う公的な研修には実務研修が入っていても研修である、そして、JICA等の等というのには地方公共団体も含まれるということでございました。そして、自治体による受け入れは基本的には研修でありますけれども、実態調査で不正行為を認定する、実質的に労働力として活用している場合は個別に判断するという御説明がございました。

 また、きょう、私の資料の中に加えさせていただいておりますけれども、例えば福井市や長崎の西海市で、自治体による受け入れでの問題が報じられております。福井市は〇八年の二月に、漁業研修生の受け入れ管理業務を第三者に委託し、また、西海市の場合は労基法違反。また、西海市のケースでは、第二次受け入れ先の農家からほかの事業所へ、いわゆる飛ばしと言われるものが行われていた事実も明らかになっています。こうした不正行為の実態に対する実効的な規制ができていない現状だろうというふうに思います。国やJICAの研修に準ずる機関による公的な研修といえども、実態はこういうお粗末な状況でございます。

 研修と称して実質的に労働力として活用している場合など、不正があれば実態調査で不正行為を認定するというふうにおっしゃられているわけですけれども、実態調査の実施というのは、何を契機にして、いつ、だれが、どのように判断なさるのでしょうか。また、実態調査というのはこれまでどれぐらい行っておられるのでしょうか。

西川政府参考人 まず、受け入れ機関の不正行為の認定についてでございますけれども、端緒としてはいろいろございますが、関係機関からの通報、それから関係者からの申し立て、あるいは一般人からの提報などを契機として、不適正な受け入れを行っている疑いがある受け入れ機関がありますと、地方入国管理局において速やかに実態調査を開始し、その結果、例えば、実務研修を伴わない研修で入国を認められた研修生が実務作業を行っているなど研修と技能実習計画とのそごが認められたり、研修生の所定時間外の作業などの不適正な研修の実態が確認された場合は、不正行為の認定等を行うということにしております。

 ちなみに、平成二十年の実態調査の件数でございますけれども、合計五百三十四件について実態調査を実施しております。

郡分科員 ありがとうございます。

 平成二十年の数字で五百三十四件ということでしたけれども、この実態調査の端緒になるのは、そもそも、おっしゃられましたけれども、一般人からの提報、いわば垂れ込みということを提報というふうにおっしゃっているんだろうと思いますけれども、冒頭紹介しましたように、外国人の労働者というのは、相談ですとか告発ですとか、こういったことができない極めて困難な状態に置かれているということだろうと思います。結局は、判断できていないというふうに思わざるを得ないということを申し上げたいと思います。

 次に、研修のモデルはJICAの研修で、省令に基づいて、事業内容面や資金面で匹敵するようなものが研修になるというふうな御説明でございました。しかし、例えばILO協会の研修においても、名前を出してしまいますけれども、一条工務店さんを二次受け入れとして賃金未払い問題なども起きたというふうに指摘されているんですけれども、JITCOではこれを研修という分類に入れたままにしております。

 また繰り返しになりますけれども、やはり第一次受け入れ機関については許可制が必要ではないかというふうに思います。

 また、今回の法改正で新たな許可制というものを盛り込まなかった理由、これはどういう理由だったのでしょうか。今回の法改正には間に合わなかったとしても、少なくとも新たな許可制度の導入の方向で検討を進めるべきだと思いますけれども、確認のために伺わせていただきます。

西川政府参考人 今度の研修の仕分けということになりますが、まず公的な研修としての在留資格研修、これは引き続き残るということになります。今後、法務省令等でそれを作成する段階でその範囲を具体的に定めるということになりますが、全く実務研修を伴わない研修だとか、国、地方公共団体が主としてその資金により事業として実施する研修のほか、JICA等の独立行政法人がその事業として行う研修等、事業主体や資金の面から公的性格が認められる研修を対象として列記するということを考えております。

 公的研修につきましては、確かに例外はございますけれども、おおむね適正に実施されているという認識はしておりますけれども、ただ、これも許可制にすべきであるという意見もあるということは聞いております。

 今回許可制を盛り込まなかった理由につきましては、やはりこれは新たな規制を設けるということで、今後関係省庁とも協議をして、その必要性や効果等を十分に検討する必要があるからということでございまして、今回は間に合わなかったということでございますので、今後引き続き、その是非等について検討を行いたいというふうに考えております。

郡分科員 おおむね適正に行われているというその判断が大変甘いものだということが、この間いろいろと出ている問題で明らかになっているんだと思います。ぜひとも、早急に御検討いただきますようにお願いをいたします。

 法改正に合わせまして、関係省令の改正等によって予定されている送り出し機関と本人との間の契約内容の確認の強化について、次に伺わせていただきます。

 今回の措置で、入国審査に際して、送り出し機関と本人との間の契約書等の提出を求めて、当該契約の中に不適正な取り決めがないかを確認することとなっております。

 この措置というのは一歩前進なんだろうというふうに思いますけれども、現在でも、入管等に提出される契約書等が、先ほどの陳述書にもございましたけれども、それとは別の契約書等が作成、締結されている場合が非常に多いんですね。また、そのときに、本人は入管時に提出される表向きの契約書等の内容について知らされていないという場合が非常に多いわけです。これが受け入れ機関での不正行為の温床になっているというふうに思います。そのため、不適正な取り決めや不正行為を防止する措置として実効性を高めるためには、入管時に提出された契約書等を本来の正式な契約等として、本人が確認できるようにすることが不可欠なんじゃないでしょうか。

 契約書等の等というところには、入国前に結ばれる雇用予定契約書などが当然含まれていると承知しております。これにつきましては、現行の厚労大臣告示の事業の運営基本方針に、受け入れ企業等が実習生に対して母国語による雇用契約を締結するよう求めております。しかし、残念ながら努力義務でございまして、行政指導をするだけでは実効性が極めて弱いのではないでしょうか。

 したがって、雇用予定契約についても、母国語表記を法的に義務づけて、入国審査の際に、改めて本人が技能実習にかかわるこれらの内容を確認できる措置を講ずるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。少なくとも本人が求める場合については、母国語表記の契約書などを確認できるようにすべきだと思います。

 また、同じく、大臣告示のこの方針では、研修・技能実習の内容、研修条件や技能実習期間中の労働条件につきまして、母国語で作成した文書で本人に明示するように求められているわけであります。今回の改正に当たって、技能講習、実習制度、この計画についても母国語表記を法的に義務づけ、本人が内容を把握、確認できるようにすべきであると考えますけれども、いかがでございましょうか。

 さらに、もう一つ質問がございます。

 さらに、技能講習後の契約、これにつきましても、母国語表記による本人への明示を法的にきちんと義務づけるべきだと思っております。また、雇用契約書を管理する入管は、本人の求めに応じて、これを本人に開示できるようにすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

 これらの契約書等のほかに、入国審査の際には、送り出し機関と第一次受け入れ機関との契約の写しというものも提出をされているというふうに承知しておりますけれども、これも含めて、情報公開制度による開示請求の手続があれば、これらの入国、在留の申請に係る情報というのは本人に開示されるというふうに理解していいのかどうか、あわせて伺わせていただきます。

西川政府参考人 委員御指摘のとおり、法務省入国管理局の研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針におきまして、現行の技能実習制度の雇用契約を締結する際、雇用契約書等、重要書類につきましては、日本語に加えて母国語によっても作成する等して、雇用契約の内容が技能実習生に十分理解できるように指導しているというところでございます。

 今後、法改正が終わった後、省令等の改正に向かうわけでございますけれども、この指針については省令等に記載することを予定しておりますが、いずれにしても、外国人本人が雇用契約書等の内容を理解することが重要であるというふうに考えておりますので、今後、関係機関とも協議の上、その実効性を高めるための方策についてさらに検討してまいりたいというふうに思っております。

 それから、開示の関係でございますけれども、技能実習生に係る雇用計画、契約書等の提出書類については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づいて、開示を請求することができます。この例外としては、同法の第十四条に例外規定がございますけれども、これに当たらない限りについては、現に開示が可能でございますし、開示をしているという実情にございます。

郡分科員 これから省令に盛り込んでいく方向だということですので、ぜひお願いしたいということを重ねて申し上げます。

 それと、情報公開で開示できる、例外規定が設けられているけれどもということでした。この例外規定については、質問通告しておりませんけれども、もしよろしければ、ちょっと御説明いただけますか。

西川政府参考人 これは、今申し上げた法律の第十四条に例外規定がございまして、例えば、国の安全を害されるおそれであるとか、それから、犯罪の捜査等に支障があるとか、そういう事由が列挙されておりまして、一般的に、こういう事由に当たらない場合については開示させていただくということになります。

郡分科員 外国人の労働者が御本人で開示請求をどのようにしていくのかというのは、これもまた、それを承知すること自体も大変なことだろうと思いますし、ぜひ、御本人にわかるように、これもまた母国語で何か説明できるようなものもつくっていただけたらいいんじゃないでしょうか。

 次に、契約書等は、労基法など、労働法規その他の国内法に抵触する場合は、当然、不適正な取り決めということでペナルティーが科せられるわけですけれども、入管によりますと、雇用予定契約と技能講習の後に締結される雇用契約と余りにも異なる場合は問題になるというふうな説明をしていただきました。この内容の違い、これは、いつ、だれが、どのようにチェックをされるんでしょうか。これは入管がされるんでしょうか、それともJITCOがやられるんでしょうか。

 現行制度では、JITCOに雇用契約書を提出することになっていますけれども、先ほど御紹介しましたように、第一次受け入れ機関の指導などによって、日本の法令に合うような、そういうもう一つの雇用契約書が偽造されているのが実態でございます。こうした点をチェックする意味でも、届け出られた雇用契約書と雇用・就労実態が異なったり、また、労働法規に抵触していないかチェックする意味でも、当該受け入れ機関を所管する労基署にも、この計画書、それから雇用予定契約書、雇用契約書、この写しを送付するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 それからまた、送り出し機関の保証金、違約金の契約、これも禁止すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

西川政府参考人 まず、委員御指摘の雇用契約書等をだれが確認するかという点でございますが、JITCOを通した申請においてJITCO等も指導すると思いますが、最終責任は入国管理局にあるというふうに考えております。地方入国管理局において、現在の指針等を踏まえて審査を行っているということでございます。

 その際に、労働関係法令違反の疑いがあるとか不審な点が認められた場合は、当然のことながら、労働基準監督署に通報するなど、労働関係法規に反する技能実習が行われることのないよう、審査の過程において厳正に対処しております。

 当局といたしましては、引き続き、関係機関との連携を密にして、適正な対応に努めたいと思っております。

 それから、保証金、違約金制度の御質問がございましたが、保証金、違約金については、送り出し国によっては、法令によりその徴収が認められているという場合がございまして、現時点において一律に禁止することはしておりませんが、例えば、その額が不当に高額な場合や、研修生を不当に拘束するような場合につきましては、現在でも、その送り出し機関からの受け入れを認めないことにする等の対応を行っております。

 なお、保証金、違約金の全面禁止につきましては、今後、外務省等の関係機関と連携して、送り出し機関が徴収している金銭の実態について十分把握した上、必要な措置につき検討を続けてまいりたいと考えております。

郡分科員 労基署にあらかじめその計画書等の写しを提出すべきじゃないかというふうに申し上げましたのは、実は、例えば、当該地の労基署にいろいろ相談に行っても、労基署自体が、どういうふうな契約になっているのか、それがわからないわけですね。あらかじめ、もともとの契約がどういうものであったのか、そして、実態の契約、実態のと言ったらいいんでしょうか、にせの契約とどういう違いがあるのかということをやはり近くの労基署が把握することが重要なんじゃないでしょうか。

 今度の入管法の改正で、現在、研修・技能実習制度で認められている研修というのが消えまして、わずかばかりの技能講習となって、制度の内容、そのほとんどは技能実習に一本化されることになりました。

 先ほどの大臣告示の事業運営基本方針では、従来の技能実習制度は、「より実践的な技術、技能等の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とし、研修制度の拡充の観点から創設されるものである。」というふうに述べられているわけです。ここからも、技能実習制度というのが研修制度の上に成り立っているものであるということは明らかであります。しかし、今回の法改正は、JICA等による研修制度というのは残るわけですけれども、技能実習制度が基礎となっている研修制度は廃止されることになるのでしょう。

 実は、自民党の法務部会に法務省が当初提示をされました改正案では、一年目の在留資格は技能実習ではございませんで、就労研修という名目でございました。これもきょう、資料の後ろの方につけ加えさせていただいておりますけれども、ごらんいただきたいと思います。それが、この分野に発言力のある某先生の一喝でというふうに聞いておりますけれども、突如、急遽、突貫工事で技能実習生の制度をおつくりになられました。研修という位置づけをどうしても消し去りたかったということなのでしょうか。

 改正案の検討過程で、就労研修が技能実習に名前が変わったわけですけれども、その理由、意味するところはどういうことでしょうか。

 技能実習制度の目的、理念は、いわゆる研修を基礎とした技能実習から、これは、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、OJTつきの労働へ、どこにでもある労働力の活用へと限りなく近づいていって、短期ローテーションの単純労働の、しかも安い労働力の受け入れ制度に変質するのではないかと懸念しているのですけれども、いかがでしょう。

西川政府参考人 確かに、改正法の検討過程において、御指摘のとおり、一年目を、在留資格、就労研修、二年目を、在留資格、技能実習とする案を検討いたしました。しかし、外国人が雇用契約を締結した上で技能等を修得するという類似の活動であって、この二つの異なる新たな在留資格、これを二つもつくる必要があるのか、こういう御指摘があったことから、最終的には技能実習という在留資格の名称に一本化したということでございます。したがって、提案していた就労研修を技能実習一、それから、二年目以降を技能実習二という整理をしたということでございまして、内容的な変更を伴うものではございませんでした。

 今回の研修・技能実習制度の見直しについては、この実務研修中の研修生に対して、労働関係法令の適用や技能実習生の法的地位の安定化など、研修生、技能実習生の保護の強化等のため、早急に対応すべき事項について措置をしたというものでございまして、新たな研修・技能実習制度も、現行の制度と同様に、外国人研修員、技能実習生が我が国で技術、技能、知識を修得して、これを出身国において生かして技術等の移転を図るという目的であることに変更はございません。

郡分科員 今回、在留資格の技能実習の一年目については、職種の限定がなくなりました。例えば、ホテルのベッドメーキングですとか接客業などのサービス業でもいいんでしょうか、クリーニング業などでもいいんでしょうか。いわば単純労働者の受け入れというふうにも思えるわけですけれども、昨年、自民党の国家戦略本部外国人労働者問題PTが提出されました外国人労働者短期就労制度へと限りなく接近していくように思われるのですけれども、これはいかがでしょう。簡単にお答えください。

西川政府参考人 確かに、技能実習一年目の受け入れの要件について職種の制限はございませんが、ただ、技術移転という制約はございます。

 この受け入れの要件については、今後、関係機関と協議の上、法務省令において定めるということになりますが、現行の在留資格研修と同様に、研修生の修得しようとする技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと、住所を有する地域において修得することが困難なものであること等を要件とするということを考えております。

 したがって、どのような者の入国を認めるかは、このような基準に基づいて個別に判断することになりますが、現行の研修での在留資格による一年目の受け入れと実質的な変更はないというふうに考えております。

 また、この制度については、今申し上げたとおり、外国人研修生、技能実習生が我が国で技術等を修得して、これによって出身国に技術等の移転を図るという目的に変更はございませんので、単純労働者の受け入れ等に移行するというものではございません。

郡分科員 時間が参りましたけれども、現在の研修制度というのは、その実態は大変劣悪な低賃金労働の、いわば名ばかり研修というふうにも言われております。法務省は、就労研修というふうな名目で、形上は労基法を適用して労働者の保護という、そういうふうな意図がおありだったのかもしれません。しかし、法の適用を実効性のあるものにして、労働法規違反や不正行為を罰するために必要な労働者の権利でありますとか外国人の人権というものをしっかりと保護する制度設計をしなければ、これはまた名ばかり実習というのを新たにつくっていってしまうことにつながるのではないかと大きな懸念を持っているところです。

 今後、法案の審議、そしてまた政省令の整備ということになろうかと思いますけれども、私も、この問題、なお注視させていただきたいと考えております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

福島主査 これにて郡和子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 森大臣、御苦労さまです。

 最初に、釧路地方法務局に根室支局というのがあるんですね。ここは、去年、いわゆる行革の一環として、廃止という方向で地元に話が持ちかけられているんですね。

 大臣御案内のとおり、根室といえば、まだ、北方領土返還運動の原点の地で、今まさに北方領土返還交渉を日ロでやっている場所なんですね。その原点の地で、しかも、日本の固有の領土だということで、日本はロシアと今外交交渉をしているさなかですよ。領土が返ってくると、国後だとか歯舞、色丹、択捉の戸籍等もまだ根室法務支局にあるわけですね。

 そういった意味で、私は、国益の観点からも、行革は行革でやらなければいけない問題としても、国境線も画定していない、領土問題も解決していない、その原点の場所の法務支局をなくすというのは逆に国益を損なうと思うんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

森国務大臣 まず、根室支局がどういうふうな機能を持っているかについて申し上げますと……(鈴木(宗)分科員「時間がないから、大臣、それは結構です、十分承知していますから」と呼ぶ)そうですか。

 そうしましたら、登記所の統廃合は、建前から申し上げますと、行政改革の一環として行っており、全体としての行政の効率化、行政サービスの維持向上を目指しているものであります。

 現在のところ、根室支局を中標津出張所に統合し、根室支局の事務を中標津出張所において実施するものとするとともに、根室市において必要な代替サービスを実施していきたいと考えているところでございます。

 また、根室支局が保管中の、今御指摘のあった北方領土地域に所在する土地及び建物の従前の登記簿等は、釧路地方法務局の本局に移管して、北方領土の返還に備えて万全の体制をとることといたしたいと考えております。

 しかしながら、いずれにしても、現在、根室市を初め関係者の皆様にそのことについて御説明をしているところでございますが、さまざまな御意見、御要望も承っているところでございまして、こういったことを十分そんたくして、また北方領土に対する一つの象徴的な役割も果たしているということも考え合わせまして、これから検討してまいりたいと思っているところです。

鈴木(宗)分科員 大臣、領土問題は国家主権にかかわる話なんですよ。その国家主権の原点の返還運動をやってきた場所が根室市なんですね。もしそこで国の機関がなくなった、特に法務局などという出先の登記所がなくなるということは、ロシアにも間違ったメッセージを与える可能性があるんです、これは日本もちょっと引いてきたのではないか、弱くなってきたのではないかと。この領土返還運動に対してもですよ。そういった余計なメッセージ、シグナルを与えないためにも、日本政府全体としての毅然たる姿勢を示す必要があると私は思うんですね。

 そういった意味で、今大臣、大変配慮された答弁でありますけれども、私は、行革だとかスリム化、無駄をなくすという意味ではやっていいことだと思うんです。登記所なんかでも、もっともっと統合できるところがあるんじゃないでしょうか、都会の地区で、あるいは距離の短いところで。北海道の根室だとか中標津、特に別海町なんというのは香川県とほぼ同じ面積ですよ。そういった広い場所なんですよ。

 今の統廃合のやり方というのは、ただ二つあるものを一つにするという机上の論理で、官僚の判断する形で来ているんですよ、案件がこうだとか。北海道は、二二%の面積に人口はわずか五百八十万しかいないんですから。国土面積の二二%なんですよ。人が少ないのは当たり前ですよ。しかし、面積は広大なんですね。これからの可能性を秘めた場所なんですね。特に根室は、そういった意味では、領土問題を抱えている。

 国家主権の問題を抱えている場所なんだという意味で、大臣、ここは少し、画一的に、提案したから一年以内にまとめるんだとかなんという判断じゃなくて、ある程度の時間をかけて検討していただきたい、私はこう思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 地元からの声、またさまざまな各方面からの声も既に承っているところでございまして、ただいまの鈴木委員の御意見も、貴重な御意見の一つとして承らせていただきました。

鈴木(宗)分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、大臣、これは法務省にとっても評価される判断だと思いますので、根室の特殊性というものを十分考えて御判断をいただきたいな、こう思いますので、よろしくお願いします。

 次に、私はいつも可視化の問題をやっているんですよ。私自身が取り調べを受けた者として、しかも逮捕された者として、しかも私の周り、特に一般の参考人、後に証人になる方の事情聴取、検察のやり方、これは一般の人は全く知りませんね。これはぜひとも、きょうここにいる先生方も、ねらわれたら、あすは我が身ですよ。今回の西松事件だって、表の金でやられるんですから。しかも、一回の事情聴取もなく、呼ばれて即逮捕というのは異常ですよ。この点、どうぞ皆さん、人ごとと思わぬで、私なんかも、表の金で、賄賂に領収書を切るわけないんですから、領収書を切って表に出している金でも、ねらったらやってくる。そのためには、周りを攻めていくんですよ。

 検察官というのは、司法試験に受かっていますから、勉強していますね。ここは警察のやり方と違う。警察は手足がありますから、いろいろ情報集めをしたりして捜査しますけれども、検察官には手足がない。そうなると、自分たちでまずシナリオをつくる、ストーリーをつくる、それでマスコミにリークする、それで世論の反応を見る、そしてだんだん攻めていきますよ。

 これも、私は言っておきますけれども、きょうここにいる先生方には攻められていないけれども、当選三回生以上の先生方に、私は国会で、ムネオハウスで偽計業務妨害、けしからぬと言われたんですよ。これは共産党の佐々木憲昭さんという人です。ロシア人が英語を使うわけないんですから、ムネオハウスなんと言うこともないんだけれども、ひとり歩きしちゃった。あるいは、三井物産のディーゼル発電で私がやられるといって報道される。突き詰めたら、全部検察のリークなんですね、私自身が担当検事に聞いても。これは恐ろしいことなんですよ。

 私は今、裁判をやっていますけれども、ムネオハウスも三井物産も何も裁判をやっていませんよ。事件にならなかったですよ。しかし、何となく悪いというイメージをつくられてしまったら、国民は今度、何で悪い人たちを捕まえないんだということになっちゃうんですよ。これが怖いんですね。そこで、調書の存在が裁判では大きいんですよ。

 そこで、大臣の手元にも行っていると思うんです。私の裁判で証人になった人が陳述書を出して、一部裁判所が取り上げてくれた文書がありますよ。大臣、それをちょっと見てください。

 その証人の皆さん方は、検察に誘導されているんですよ。そこにはありませんけれども、最初に言われているんですね、もう鈴木は逮捕した、鈴木の復活はないと。恐らく、検察も、外務省なんかも、また私がよもやバッジをつけてくるとは思っていなかったでしょう。しかし、日本はやはり民主国家ですから、ちゃんと民主主義は生きているんですね。私は今こうやって発言できるからいいけれども。最初に、もう鈴木の復活はない、こっちのねらいは鈴木だけだ、我々に協力しないか、まず前段にそう言われるんですよ。そうしたら、証人の人は皆、へなっとなったというんですよ。それで調書をとられちゃうんです。

 ですから、やまりん事件でも、大臣、読んでください。名前を伏せているのが、個人の人ですから知っていますけれども、それは事務当局に聞いたらわかります、裁判所で取り上げている書類ですから。この人なんかも、官房副長官のお祝いに持っていった。その吉田という検事、今は西松を担当している検事ですね。これは、政治家にお金を持っていくのはお願いかお礼しかないんだ、どっちだ、こういう聞き方をされたというんですよ。お礼ということもない、お祝いに来たわけですから、そうしたら、お願いだという趣旨と言えと言わんばかりに誘導されて、そういって調書をつくられたと言うんですよ。しかし、その後の調書には、純粋に政治資金の範囲の中でのお祝いですと言っているんですよ。

 これは、可視化されていれば、そういった余計なプレッシャーもかからなければ、淡々と事実だけを述べればいいんですから。これが可視化の重要性だと私は思うんですよ。

 そこで、大臣も可視化については話をされていますけれども、私は、参考人あるいは公判で証人になる人の可視化だけは、全面可視化が必要だと思うんです、冤罪をなくすためにも。この前だって、痴漢で無罪になった人がいますね。あるいは富山事件がそうじゃないですか。強姦したといって、強圧的な捜査で自白に追い込まれて、出てきたら真犯人がいた。では、二年間刑務所に入っていた責任はだれがとるんですか。あるいは、佐賀農協事件。佐賀農協も、たまたま組合長が検事に、テーブルをたたいておどかされていた。隣で取り調べを受けた人がそれを聞きつけて、後で証人になっていって、そんな取り調べだったということで逆転したんですね。

 これはぜひとも、皆さん、人ごとと思わないで、何も可視化は悪いことじゃないんです、事実が明らかにされないというのは、私の経験からいえば、検察の全く間違った権力側の判断だと思っているんです。

 ぜひとも、大臣、法務大臣として、人間として判断をしてもらいたい。先般も、あのフィリピンの家族の苦渋の決断、それでも、子供さんを残しただけでも私は評価される判断だと思いますけれども、やはりこういった問題には人道的な配慮が必要ですよ。ぜひとも、この可視化について、大臣主導で、きちっと事務当局、検察当局にも指示してもらいたいと私は思いますが、どうでしょう。

森国務大臣 再々の御要請でございますけれども、参考人の場合は、これもいつも同じ答弁になってしまいますが、身柄を拘束されておりませんし、それから弁護人の同意がなければ証拠採用されない、そういう状況下にあるわけでございますので、全面録音、録画の必要性というのは非常に少ないと私は思います。

 ですから、せっかくのお申し越しではありますけれども、その他のマイナス面も勘案すれば、慎重な検討が必要ではないかと現時点では思っておるところであります。

鈴木(宗)分科員 大臣、そこに資料が行っていると思いますけれども、二枚目にちょっと目を通してください。これは島田事件のときの奥さんの陳述書なんですが、この島田さんというのも、公判で検察官にぎりぎり締め上げられて、次の日、地元に帰って脳梗塞で倒れちゃったんですよ。かわいそうに、取り調べのときも、お前たちは談合をやっている、談合をやれば会社がつぶれるぞ、鈴木に金を渡したと言えばそっちはやらないと条件をつけられたと言うんです。そして、検察の言うとおりの調書になってしまったということを言っているんですが、ここに書いていますよ。刑事局長、よく聞いておいてくださいよ。

 「夫の話では、検察官はあらかじめ文章を作っていて、その表現内容が夫の認識と違うと言っても受付てくれず、どのように対応をしたらよいか困っているということでした。」と。あと、下の方に行ってみてください。「夫は、納得のいく形での調書を作ってもらえず、そのあげく、鈴木宗男代議士は逮捕され、また島田建設も贈賄行為をした企業とされて九ヶ月の指名停止の処分を受けてしまいました。」、こういうくだりがありますよ。

 これは、大臣、可視化していればこういうことはないんですよ。検察のやり方というのは、誤導、誘導しているんですよ。大臣、実際現場を知らないからで、私は経験者として、特にこういう資料が出ている。これはきちっと陳述書を、弁護士が行って公証人の判こをもらっているんですから、いいかげんな話じゃないんです。あるいは、さっきの陳述書についても、これはちゃんと裁判所で受け付けてくれた文書ですよ。こういったものからしても、検察官が初めから自分たちのシナリオに沿ってやっていく、これでは、大臣、冤罪はなくなりませんよ。

 これは、私が言っている話じゃないんですから。一般の参考人、この人たちは立場の弱い人ですよ。東京地検特捜部と聞いただけで、みんな、やはり神様、仏様じゃないですから、たたけばほこりが出る部分があるわけですから。

 そういった意味でも、大臣、この可視化について、私は、特に参考人、後に証人になる人たちの可視化は必要だと思うんですよ。

 私の裁判でも、調書に沿って一審は言ってくれました。だから、検察側の言うとおりになっちゃうんですよ。しかし、二審以降は、やはり検察に言わされましたと。それは調べてみたらわかりますよ。言わされましたという表現が多々あるんです。しかし、怖いのは、調書が信用性が高いなんという判断をされると、どうにもならないんですよ。だから、裁判になる前では調書が勝負なんですよ、一般の人は。

 そういった意味でも、ぜひとも、大臣、大臣の答弁も役人がつくった答弁ですよ。大臣の判断じゃないですよ、実際。それならば、大臣、手を振っていますけれども、では、こういう話がある、これを否定しているのですか。あらかじめ調書をつくっていました、私の事件でもそう言う人はたくさんいますから、それならば何人でも出しますよ。あらかじめこういう調書でいいかとつくってくるんです、民間には。おまえたちは何を言っても罰にならない、おまえたちは罪にならぬと言われたら、皆さん、民間の人はどうなりますか。

 だから、ここは、大臣、弱い人を守る上でも、本当に真の公正公平を図るならば、全くフラットで、淡々と、何の圧力もかけないでやる、それには全面可視化が一番だ、私はこう思うんですけれども、どうでしょうか。

森国務大臣 その可視化の件につきましては、現時点においては先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、なお、その他のことにつきましては、まさに上告審において係属中のケースのことでございますので、私から答弁は差し控えます。

鈴木(宗)分科員 いやいや、大臣、裁判の中身のことを言っているんじゃないですよ。可視化の話なんですよ。参考人だとか証人の可視化はやるべきではないかという質問なんですよ。私は裁判でどうのこうの言っているんじゃないですよ、いいとか悪いとかという。勘違いしないでください。上告審が云々なんというのはだれも聞いていませんから。

 私は、広く弱い人の立場を考えた上でも、本当に真の公正公平、冤罪をなくす上でも、可視化は必要でないかと言っているんですよ。ここは、大臣、検討に値するんじゃないでしょうか。人の道としてどうでしょう。

森国務大臣 私の現時点での考え方、立場は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、いずれにしても、そういった、ある具体的な事案について、検察の捜査の活動内容について私から答弁することは差し控えます。

鈴木(宗)分科員 森大臣、私の事案を言っているんじゃないんですよ。これは、本当の意味での公正公平の意味からも、すべての事件での可視化はしなさいよ、した方がいいですよということですよ。

 大臣、大臣が検察の人事権を持っているわけですよ、法務大臣ですから。検事総長の任命権は大臣が持っているんだな。刑事局長、どうなの。官房長、ちょっと。

大野政府参考人 検事総長の人事権は法務大臣にあると存じますけれども、天皇の認証を受けて任じられるわけでありますから、その意味で、認証を得る前に……(鈴木(宗)分科員「閣議決定がまずあるよね、閣議決定する前には大臣がやるわけでしょう」と呼ぶ)その手続を経ていくことになると承知しております。ちょっと不正確かもしれませんけれども、そのように承知しております。

鈴木(宗)分科員 大臣、検察といえば、一般の人はよく司法と間違うんですね。正確には行政職ですね。法務省の一員ですからね。ただ司法権も持っているということだけの話なんですよ。この点、どうも、裁判所と検察を一緒にするというか、何か聖域だみたいな感じで判断する人がいますけれども、これは行政でいいんですね。検察も法務省の組織の一つだという認識でよろしいんですね。

大野政府参考人 検察は、行政権に属しますので、法務省のもとにあります。

 ただ、今先生が御指摘になりましたように、司法権の行使と検察権の行使が密接に関係しているということで、司法権の独立に準じた地位が認められておりまして、その意味で、例えば具体的事件における法務大臣の指揮権に一定の制約が加えられているということでございます。

鈴木(宗)分科員 局長、わかりやすく言えば、検察も政府の一員であることは間違いない。ただ、これは独立して行使できる機関であるということも、今局長のおっしゃったとおりだと思うんですね。

 そこで、大臣、やはり大臣の、法務省の組織の一つなんですよ。そういった意味でも、私はやはりもっと民の判断に立ってもらいたい。たまたま私がこういう陳述書を具体的に持っているけれども、ほかからもたくさん私はお聞きしていますよ、私もそういう経験しましたという話を。だから、一つの事案で私は言っているんじゃなくて、これはたくさん全国から来ているんです。

 だから、私は、可視化はすべきだし、した方がいい。私は、それが逆に検察官の名誉のためにもなると思いますよ。真に公正で公平だ、正義の捜査をしているという評価につながっていくと思いますよ。だから、私は、強盗事件だ、殺人事件だ、何か凶悪事件とは別に、特に経済犯だとかあるいは判断違い的な事件なんかは、私は全面可視化しても何も問題ないと思っているんですよ。

 この点、ぜひとも、大臣、これは森大臣のときに一つの歴史を開いていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

森国務大臣 先ほど、参考人の取り調べにおける可視化について私の意見を申し上げました。これは、鈴木委員から再三の御指摘をいただいて、私なりに考えて、現時点では、やはり鈴木委員の御要請に私が納得していないということでございます。

 したがって、私の判断として、現状のやり方が妥当だろうというふうに思っておりますので、なお引き続きまして、さまざまな御意見を伺いながら、私なりに検討を続けてまいりたいというふうに思っております。

 ただ、現時点においては、今申し上げているのは、別に法務省当局の言い分じゃなくて、私の判断であります。

鈴木(宗)分科員 大臣、検察の方でも可視化に対する検討はしているわけですよ。もちろん警察もやってきているんです。それなりの前進はあるんですよ。それはそれで私は評価していいと思うんです。

 私は、さらに進んで、事件を分けてもいいと思うんです、凶悪事件だとかはまた証拠に基づいてやっていくわけですから。しかし、経済事件だとかいうのは、密室での取り調べで来るわけですよ、あるいは刑事事件になっている判断の違い等についても。だから、そういった意味でも、私は、ここはもっと仕分けする必要はあるかと思いますけれども、少なくとも解釈の違い等なんかでの事案については、可視化していっても何も検察にとって不利はないし、何でもない話ですよ。

 この点、ぜひとももっと、今もそれは検討されているわけですから、一部採用されている部分もあるんです。それでもまだまだ冤罪は起きるし、真に公正公平とは言えないから、広げたらどうですかという話、それを検討してくれということなんですよ。

森国務大臣 ですから、引き続き私なりに真摯に検討させていただきます。

鈴木(宗)分科員 大臣、私は、これは大臣が評価される話、法務省が評価される話、逆に検察がさらに信頼を得る話だ、こう思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。もう少し突っ込んだ話と思いましたけれども、もう時間がなくなりましたからやめます。

 ちょっと西松事件について、刑事局長も来ていますから、聞きたいと思いますね。捜査の中身だとかあれは聞いていませんから、誤解しないでください。

 私がこの西松事件を見て感じるのに、検察はリークがないと私の質問主意書に対して答えてきました。そこで、ちょっとお尋ねします。東京地検特捜部は、新聞記者との接触あるいは取材はどういうふうになっているか、教えてください。

 これは国民に対する情報開示あるいは情報の透明性の観点から、各番記者がいて、検察にもちゃんと担当記者がいるし、私も、私自身が逮捕されてから社会部の記者とも随分つき合いが広くなりまして、検察がどういう手法を使っているかも聞いていますので、ここは正確にお知らせをいただきたい。

 大臣、言っておきますけれども、質問主意書では、検察は一切この点は、公正公平にやっていますと言うだけで、具体的に明かさないんですね。これは国会の場ですからちょうどいい機会だ、こう思って聞きますので、刑事局長、正直にお答えをいただきたい。

大野政府参考人 東京地検におきましては、報道機関への取材対応について、特段定まった規定等を設けて対応しているわけではない、適宜適切に対応しているというように承知しております。

 具体的に申し上げますと、検察の活動を国民に正しく理解していただくため、あるいは社会に無用の誤解を与えないようにするため、個別の事案に応じまして、例えば被疑者を逮捕したとき、あるいは起訴したとき等に、適時適切に被疑事実、公訴事実の概要等について次席検事等の幹部検察官が記者発表したり記者会見をすることがあるというように承知しております。そして、その記者会見の際に、特捜部長や副部長が同席することもあるわけでございます。それ以外の場で対応することもあるわけでありますけれども、先ほども申し上げたように、特にそうしたことについて定まった規定が置かれているわけではない。

 なお、部長、副部長以外の検察官あるいは検察事務官に対しては接触をしないように報道機関に対してお願いをしているということでございます。

 そうしたことで、従来から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものと承知しておりまして、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすというようなことはあり得ないと承知しておるわけでございます。

鈴木(宗)分科員 部長、副部長は取材対象になっているということでよろしいんですね。いいです、今の答弁からすればそうですから。

 そこで、大臣、朝日新聞の「ひと」という欄に、井内さんという人が特捜部長になりましたとき、これは皆さん方も知っているし、読んでいる人もいると思いますね。井内さんという人は、村上正邦さんという人を取り調べた人ですよ。大臣もよく知っておられますね、村上先生。村上先生に対して、この井内さんという人は、こら、村上、おまえたちがあのばかな森を総理大臣にしたと。これは有名な話ですね。本にも書かれていますよ。当時副部長の井内さんは、そういう表現をしているんです。それを朝日新聞は、井内さんが特捜部長になったから持ち上げて、こう言った男だと書いたんですね。そうしたら、朝日新聞は出入り禁止になったそうです。

 同時に、井内さんは、それからまた尾ひれがついちゃって、そのときはよかったかもしれません、その後なんですよ。その後、今度、マスコミなんかはけしからぬと。ちょっと、余りにもひどい表現だから、私はここで使うのはやめますけれども。そして、はがきまで出してしまったのが問題になって、井内さんは職を外されるわけですよね。

 とにかく、自分たちに不利だとか自分たちに都合が悪ければ、非常に恣意的というか、身勝手に自分たちの立場を守っていく。

 大臣、これだけ聞いておいてください。私の経験からも、私が拘置所にいても、私が言っていない話が出てくるんですね、鈴木宗男が政治資金規正法を認めました、自供しましたなんて。私は取り調べで言ったんですよ。おまえ、言ってもいないのに、何で流すんだと。それが実態なんですね。

 今回でも、大久保秘書が起訴されたとき、その日の夜中のテレビニュースから次の日の新聞まで、大久保秘書が全面自供したということが関係者の調べでわかりましたと、新聞記事、テレビに流れましたよ。私が大久保さん側の弁護士さんの関係ルートを通じて調べたら、大久保は何もそんなこと言っていない、これは全くの誤報だと。

 特捜検事上がりの郷原さんという、今弁護士で、もうやめていますね、自民党の長崎県連をやっつけた人ですよ。久間さんまで挙げようなんといって、当時はうわさになったぐらいの事件ですよね。長崎県連がやられた。その人なんかは明確に言っていますよ、これはどこが流しているかといったら、流せるところは一つしかない、全くの大誤報だと。言ってもいない話をテレビで流す、それがまた検察のやり方だということをいろいろな場所で言っていますね。リークがないと言いながら、リークは、大臣、実際あるんです。

 あるいは、石川知裕という代議士の事情聴取なんかも、事情聴取は検察しか知りませんよ。それがなぜ、三日前から事情聴取だとか出頭という表現が新聞等に出るんですか。もちろん、石川サイドで言うわけがないんですから。

 大臣、そういった意味でも、しっかり組織を見てください、せっかく大臣がいるんですから。少なくとも歴代法務大臣、中にはしっかりした人もいるけれども、私は、逆にこれは総理大臣の見識の問題だと思うんです。総理大臣が法務大臣をだれにするかということで、総理候補だとか、総理に物を言えるぐらいの人を置くぐらいの、官制順なんですから、閣僚なんというのは。それからいえば、私は、法務大臣に対する国民の見方なり、あるいは総理大臣の見解がちょっと甘かったと思いますけれどもね。

 せっかく、森大臣、あなたはそれなりの政治経験を有しているし、しっかりとしたスタンスをとっておられるんですから、検察が本当に正義の味方であるかどうか。権力を持った者が暴走したら怖いということを、サッカーでいえば、ゴールキーパーは手が使えるんです。ゴールキーパーがフォワードに出て手を使ってしまったら、恐ろしいことになる。ねらわれたらどうにもならぬ。

 こんなことを、私自身の経験からも、そして今の西松報道なんか見るとき感じられましたので、ぜひとも、大臣、チェック、やはり組織の見直し等やっていただきたい、こう思いますので、大臣の決意だけお聞きしたいと思います。

森国務大臣 まず、現時点において、私、検察に対して全幅の信頼を置いているということを申し上げます。

 その上で、そういったことのないように、これからもしっかりと見守ってまいりたいというふうに思っております。

鈴木(宗)分科員 終わります。

福島主査 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

福島主査 昨日に引き続き国土交通省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井澤京子君。

井澤分科員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 きょうは質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、私の地元であります京都六区、京都の南部の地元の課題について、特にダムや治水、河川整備あるいは鉄道、道路網の整備について質問させていただきます。

 早速ではございますが、私の地元で一番大きい地域といえば宇治市になります。宇治市には、シンボルのような形で、大きな宇治川という川が流れております。そして、その宇治川は、琵琶湖から流れる唯一の河川として、宇治川上流にある天ケ瀬ダムは、四十五年間にわたって、私も含めます流域の住民や下流の地域を水害から守り続けてまいりました。ダムができる五十年前には、戦後最大と言われる水害がありました。昭和二十八年に台風十三号という大きい台風が起きまして、そのときの状況を聞きますと、死者と行方不明を合わせて百十九名、重軽傷者数は千五百名、被災した家屋は六万五千を上回り、被害総額は約五十年前で五百五十六億円という戦後最大の水害の被害がありました。

 私どもはそういう水害の苦い経験が歴史上ありましたので、ダムあるいは水害から被害を守るということは、地域住民にとっては大きな問題になります。そこで、上流にあります滋賀県大津市にある大戸川ダムの建設について触れたいと思っております。

 調べてみますと、四十一年前に建設をするための予備調査が始まって、大津市大鳥居地区では、平成十年までの間に、建設するために約五十三軒が移転をされたような経緯があると聞いております。

 実は、昨年の六月の二十日、そろそろ一年前になりますが、淀川水系河川整備計画案というのが公表をされまして、その後、昨年の十一月には、関係府県であります三重県、滋賀県、京都府、大阪府の四府県知事により、大戸川ダムには一定の治水効果はあるものの、河川整備計画に位置づける必要はないという突然の合意が交わされまして、私たち地元の住民初め多くの関係者には不安が募っております。

 また、京都府の府議会でも再三議論が繰り返され、またことしの二月から三月にかけて関係府県知事から提出された意見書には、流域自治体の意見が全く反映されていないというような事態が起こりました。この一月には、京都府の山田知事が現地を視察されるということで、私もその現地視察に同行し、宇治市長あるいは久御山町長とも御一緒に現地を視察しました。その後も、金子大臣や副大臣、あるいは国交省の関係者のところにも、地元の自治体とともに昨年から何度もお伺いをして、この大戸川ダムの、地域の本当に住民からの必要性として、お伺いしたりしております。

 もし、また五十年前のような水害が起これば、私も含めます四万とも五万とも言われる地域の住民が、一瞬にして再び水害被害に遭うということになります。

 そんな中で、先日、三月末に、今後三十年間の淀川水系河川整備計画が策定されまして、その内容は、一番大きな内容として、大戸川ダムの本体工事は当面実施しない。解釈をしますと、凍結というような内容でした。

 そこで、以前、宇治市の天ケ瀬ダムを御視察いただきました金子副大臣に、今後の大戸川ダムの取り組みについて、いま一度詳しく御説明をお願いしたいと思います。また、特に今回、凍結というのは、中止ではなく、これは関係府県知事や関係自治体とも引き続き議論、協議を続けていきながら、将来的に河川整備計画の変更も十分あり得るのかどうかも含めまして、御答弁をお願いしたいと思います。

金子副大臣 井澤先生には、前から大戸川ダムあるいは宇治川水系の安全、河川改修についての御陳情をいただいております。また、お地元の宇治市長を初め流域沿川の市町長さん方からも強力に要請をいただいているところでございます。

 私自身も、井澤先生の御地元宇治市を見せていただき、桂川それから宇治川、木津川水系をくまなく見せていただきまして、天ケ瀬ダムあるいは塔の島も見せていただいたところであります。

 やはり我々国政に携わる者というのは、その地域の住民の生命とか財産とか、そういうものを守るというのが第一番目の我々の使命だと思っております。という意味では、井澤先生も肌で御地元の状況というのをわかっていらっしゃるわけでありますから、我々自身も、そういったことも踏まえて、今後の治水については責任を持って携わっていかなければいけないと思っているわけでございます。

 今お話がありました大戸川ダムの問題については、マスコミ的には、大阪、京都、滋賀、三府県知事が言われたことが、どうも大戸川ダム自身を否定されたようなイメージにとられかねないような報道でございます。

 今、井澤先生からお話がありましたように、この三府県知事の共通した意見というのは、一定の治水効果は認めるけれども、今後三十年の整備計画の中に、まず河川改修を進めて、その後にというような優先順位の問題から、この河川整備計画に位置づける必要はないということであったというふうに理解しておりますし、一方で、今お話がありましたように、沿川の市町長からは、整備の促進を直接強く要望されているところでありまして、そういう意味では、三府県知事と、それから関係の市町長との考えが異なっているという意味では、大変我々も苦慮しておりますし、戸惑っているところでございます。

 大戸川ダムというのは、段階的な目標としては、先ほどお話がありましたように、戦後最大の昭和二十八年の洪水に対する安全性を確保するためには必要ということで認識をしております。しかしながら、その整備手順としましては、知事意見にもあるように、中上流部の河川改修の進捗とその影響を検証して整備時期を検討するという考え方にも一定の合理性があるというふうに思料しております。

 そこで、大戸川ダムにつきましては、河川整備計画において、今後整備が必要な洪水調節施設として位置づけているものの、ダム本体工事につきましては、中上流部の河川整備の進捗状況とその影響を検証しながら実施時期を検討するとしたところでありまして、中止するというものではございません。

 なお、検討の結果、ダム本体工事に着手する場合においても、河川整備計画を変更することとしておりまして、その際に改めて各知事等の意見を聴取するということになっております。

井澤分科員 ありがとうございました。

 この件につきまして、引き続き御議論していただき、ぜひ前向きに、また今後の整備計画に盛り込んでいただきたいと思っております。

 今、副大臣からも御答弁がありました、中上流部について検証して、中止するものではないと。では、その次にできることはとなると、河川の整備になるかと思います。この宇治川の河川の整備について引き続きお伺いしたいと思っております。

 今回のダムの件につきましては、各地元の、例えば宇治市の久保田市長初め久御山町の坂本町長は、地元の声ということで、前面に立って声を上げていらっしゃいます。久保田市長は、宇治川の治水の安全上、大戸川ダムは必要不可欠である、今後とも早期の整備を国に対して強く求めると。御自身が昭和二十八年の災害の体験を得ているだけに、このような御意見が出るのかと思います。また、久御山町の坂本町長も、整備の先送りは大変残念である、今後とも早期の整備を国、京都府に対して強く要望するとコメントを出されていらっしゃいます。

 そんな中で、反対をされている滋賀県の嘉田知事のコメントを読みますと、ダムにかわる治水対策として、大戸川の河川改修を推進するとおっしゃっていらっしゃいます。

 先ほど、副大臣の御答弁にもありました、上流地域だけ河川改修を行えばいいというのではなく、そのツケというのは受け皿になります中流、下流に回されるということになります。今後も大戸川ダム建設が中止、凍結ということであれば、中流の天ケ瀬ダムの重要性が今後ますます高まり、堤防強化なども喫緊の課題になることはもちろんです。やはり国として、見える形で地域の住民に安心、安全を与える、そして私も国政を預かる人間として、住んでいる方の生命財産、命を守っていくということが本当に重要な任務であると思っております。

 そんな中で、目に見える形でどういうふうに淀川水系の整備を進めていただけるのか、そこを伺いたいと思っております。天ケ瀬ダムの再開発、そして宇治川の塔の島を視察していただいておりますが、その地区における川や道路の整備、掘削という事業、国では今後具体的にどのように進められるのか、御担当者の方から御意見を伺いたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、淀川水系の河川整備計画の基本的な考え方でございますけれども、委員おっしゃるように、一部の地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度向上を図ることが必要である、さらには、河川整備に当たっては、本支川、上下流間のバランスを確保できるよう、手順を示した上で実施することとするというのが基本的な考え方でございます。

 そこで、お尋ねの天ケ瀬ダム再開発及び宇治川の塔の島地区の整備でございますけれども、目的といたしまして、宇治川本川の洪水時、さらには淀川本川の洪水時に、天ケ瀬ダムを効果的に運用し、宇治川及び淀川本川において洪水を安全に流下させるという点、それともう一つは、淀川本川の洪水が低下した後、琵琶湖に貯留された洪水を速やかに放流するということで、塔の島地区で毎秒千五百立方メートルの流下能力を目標とした河道整備及び天ケ瀬ダムの再開発を行うこととしております。

 なお、塔の島地区の河道整備につきましては、すぐれた景観が形成されていることにかんがみまして、学識経験者の助言を得て、景観、自然環境の保全や親水性の確保などの観点を重視した河床掘削等の整備を平成二十一年度より順次実施することとしております。

 なお、御心配の、滋賀県が管理する大戸川の河川改修につきましては、滋賀県知事が、住民の方々や学識経験者の御意見をお聞きし、また、地元自治体の長の御意見を踏まえ、今年度中をめどに河川整備計画を取りまとめること、また、その際に京都府及び大阪府と早急に調整を図ることと表明されております。

 河道整備に当たりましては、先ほど冒頭に申しましたように、いわゆる上下流のバランスを確保することが必要でございまして、その点から、大戸川ダムが整備されない段階においての大戸川改修について、下流の方々が改修に伴う影響を懸念されていることは承知しております。

 大戸川の河川整備計画を策定するためには、河川法に基づきまして国土交通大臣が認可する必要がありますことから、国土交通省といたしましては、大戸川に関する滋賀県の考え方や今後の動向について注視したいと考えております。

井澤分科員 ありがとうございました。

 宇治川の下流の地域には、約四百年前に豊臣秀吉が築いたという太閤堤があり、史跡指定を目指しております。また、宇治川の上流地域は、一体的に、生きた都市景観ということで、重要文化的景観として先日、都市型の景観としては全国で初めて選定がされたという地域でもあります。

 歴史を守る、そして川も守っていくということを、ぜひ今後の改修の中にもしっかりと考えていただきながら、引き続きこの歴史的宇治川の河川改修に取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、鉄道、交通関係についてお伺いしたいと思っております。

 実は、私の事務所や住まいがありますJR宇治駅というのがあります。そのJR宇治駅は、JR奈良線が通る途中の駅になるんですけれども、京都と奈良を連絡する鉄道として重要な役割を果たしております。

 かれこれ、歴史的には、昭和五十九年に電化され、平成十三年に部分的に複線化をされました。平成十五年に、玉水という駅があるんですけれども、快速停車、快速がとまるようになり、輸送力を強化するために、国やJR西日本にはお力添えをいただきながら、利用者も、年々、徐々にですけれどもふえております。

 二十五年以上経過した今でも、いまだにJRの藤森駅ですとか宇治駅、また新田駅―木津駅区間という重要な区間はまだ単線のままでいるというのが現状です。台風シーズンになりますと、よく電車が遅延をする、運休でとまってしまうこともしばしばあります。

 今後も、JR奈良線は京都南部地域の公共交通の中心的な役割を果たしておりまして、地域のさらなる発展を目指す上からも、JR奈良線の全線複線化というのは地域の重要な課題になっております。四十年前から、地元では、JR奈良線複線化促進協議会というのが開かれておりまして、各地元の自治体関係者、私も昨年の秋の会議にも出席しておりますが、なかなか前に進まない。線路を複線化するのは大変難しいことかと思っております。

 また、JRも、民間会社として当然投資採算性の判断が大きな論点となり、さらなる利用の促進というのが地元の課題でもあり、なかなかJRも採算性を考えると前に進めないという状況かと思います。

 しかし、私はふだん東京でJRを利用しておりますと、同じJRと言われながらも、何でこうも違うのか、おくれるのがJRかと。もし東京都内で一分でも二分でもおくれたら、乗客からすごいクレームが起こるのではないかというような状況をいつも実感しております。

 京都の府内で交通網のことを考えますと、JRの山陰本線というのが京都北部を通っていて、今後、京都―園部間の複線化事業が平成二十二年の春に完成するめどが立っているということです。北部ができたら次はいよいよ南部だぞというのが私たち地元住民の期待でもあります。

 この奈良線の全線複線化への整備に対する地元の期待にこたえる意味も含めまして、国のお考えをお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

久保政府参考人 JR奈良線、今委員御指摘のように、京都と奈良を結んでいる鉄道でございますけれども、通勤通学の足としてのみならず、地域にとって非常に重要な役割を担っている路線だというふうに私どももそこは認識しております。

 JR奈良線の複線化につきましては、委員から今、途中の経緯、いろいろるる御説明ありましたけれども、京都とJRの藤森駅間、あるいは宇治駅と新田駅間の複線化とか、山城多賀駅において列車が行き違いができる設備の整備等を行ってきました。現在では、単線区間といいましても、すべての駅での行き違いが可能となっています。

 こういう整備の結果、従前、百二十三本という一日の列車運転本数だったんですけれども、現在では二百本というふうになっていますし、また、快速列車は京都―奈良駅間、これは最速四十四分で結ぶ、こういう状況にまでなりました。

 ただ、残る区間の複線化、委員御指摘の複線化についてでございますけれども、JR西日本会社では、現在の輸送需要から見て、当面は現行施設で対応が可能であると見ておりまして、現在のところ、具体的な計画はないとは聞いておりますが、国土交通省といたしましては、複線化に対する、委員を初め地元からの強い要望がたくさん寄せられていることは私どもも承知しておりますし、きちんとJR西日本会社には伝えてまいります。

 また、この複線化の実現に当たりましては、何よりもまず、当該線区の沿線自治体とか各種団体におかれまして、利用の促進にぜひ努めていただきたい、このことが肝要であると考えています。それとともに、鉄道事業者との間におかれましても、十分話し合い、検討を行われて、案件の成熟度を高めていただくことが重要と考えておりますので、よろしくお願いいたします。

井澤分科員 ありがとうございました。

 少しずつですが、取り組んでいらっしゃるということを伺いました。これからも、多くの要望があるという事実がございます、少しずつこの複線化に向けて、難しいことかもしれませんが、地域住民の声をしっかりと受けとめていただきたいと思っております。

 次に、私の地元の宇治市の南側にあります城陽市の大きな問題について、質問をさせていただきたいと思っております。

 きょう、ここにいらっしゃる皆様方、山砂利跡地という、砂利が採取をされた跡地という問題、全国でまれに見るケースなんですけれども、その件について触れてみたいと思います。多分御存じない方が多くいらっしゃるかと思っております。

 城陽市というのは、宇治市の南側にあります、人口八万人の都市であります。その東部の地域一帯には、約四百二十ヘクタール、東京ドームの九十個分という大きさの山砂利の採取された跡地があります。城陽市の地域の一四%も占めるというような広大な跡地があります。

 これは、どうしてこういうことが起きたのかと、私もいろいろ地域を歩いて関係者から話を聞きますと、約四十七年前、昭和三十六年ごろ、ちょうど私が生まれたころから掘り続けられたそうでございます。そもそも、主に、大阪の万博というのがありました、大阪の万博や新幹線や名神高速道路といった国家プロジェクトをつくるときに、関西圏のコンクリートなどの建設骨材の主要産地として、そこからとれる砂利というのが非常に質のいいもので、コンクリートなどに、建設の骨材にするにはとてもいいものということで、近畿圏だけではなく、我が国、本当に、国土の全体の経済発展のために大きく貢献してきたものがこの山砂利なんですね。

 その山砂利採取跡地が、城陽市にとりまして大変大きな負の遺産になっております。私がずっと地域を回っておりますと、山砂利の跡地が赤茶けた山肌となっていて、そこがシンボルのように、緑の山ではなく、赤い土が削られた山になって、その山肌が何か無残な姿になって、自然環境や景観の悪化、あるいは何か教育的にも、子供たちに余りいい印象を与えていないんではないか、城陽市のまちづくりにもダメージを与えているということは確かなものです。

 その後、この山砂利の掘られた跡を、再生土という形でどうにか埋め立てをされないものかということで、地元の自治体も、京都府や国に対して再三要望をされていらっしゃいます。平成元年には、京都府、城陽市、近畿の砂利協同組合というのがありまして、そこが財団法人城陽山砂利採取地整備公社というのを設立しまして、どうにかこの山砂利の修復整備や安全な土による埋め戻しを進めたいということで取り組んでいます。

 この山砂利採取跡地については、まず、削られた大きなこの山肌を埋め戻して、早期に進めることが必要である。例えば、国の直轄事業、いろいろと公共事業等があります。そこで発生した建設の土が出れば、それを優先的に、良質な建設発生土を確保して、そこに埋め戻してもらえないかということで、地元からも大きな声が上がっております。

 半径五十キロ以内で行われる公共事業で発生した建設の発生土であれば優先的に回す仕組みも国交省の方ではあると伺っております。今後、これだけ国の発展のために寄与してきた地域でもあります、一つのモデルケースとして、半径五十キロ以上の事業からも、優良な建設発生土を埋め戻しの土として地域の方に優先していただけないか、そのことをちょっとお伺いしたいと思っております。

下保政府参考人 お答えいたします。

 公共工事におけます建設発生土でございますが、この処理につきましては、まずは建設工事現場内で有効利用される、あるいはその周辺で利用されるということが望ましいということから、リサイクルの原則化ルールというのをつくりまして、原則として、委員御指摘のように、五十キロメートルの範囲内の他の建設工事現場へ搬出することといたしております。

 そのため、国、地方公共団体等の各公共工事の発注者間におきまして、五十キロメートルの範囲内で、建設発生土の受け入れにつきましては、無償にて工事間の利用調整をまず進めているというところでございます。

 一方で、工事間の利用調整が整わなかった場合でございますが、この場合には、その五十キロの枠を超えてもいいということになってございます。具体的に申し上げますと、五十キロの範囲内に受け入れ可能な建設工事現場がない場合、他の建設工事現場との受け入れ時期あるいは土質等の調整が困難である場合には、五十キロメートルという距離にかかわらず、コストや、あるいは大型車による建設発生土の運搬が生活環境に与える影響等を勘案いたしまして、搬出先の処分地を発注者の方で決定することができるというふうになっているところでございます。

 御指摘の、城陽市の策定されました山砂利跡地の埋め戻し事業の関係でございますが、これについて優先的にという御質問でございます。

 この山砂利跡地を含めました、城陽市が策定しました城陽市東部丘陵地整備計画において、その提案がされているということについては承知いたしているところでございます。しかしながら、城陽市の山砂利跡地につきましては、有料の処分地ということもございまして、建設発生土の搬出先として検討する際には優先順位が若干落ちるということになっているところでございます。

 しかしながら、先ほど御説明申し上げましたように、その調整が整わないような発生土につきましては、その範囲外だということでございますので、ぜひ、今後、城陽市における山砂利跡地の状況につきましては、京都府あるいは城陽市の地元の関係の方々、それから近畿地方整備局、あるいは政令市、高速道路会社等で構成されておりますところの建設副産物対策近畿地方連絡協議会を通じまして、情報提供を積極的に進めてまいりたいというふうに思っています。

井澤分科員 ありがとうございました。

 山砂利跡地につきましては、地元の取り組みとして、新名神の早期着工というのが一つの手がかりになるのではないかという声がございます。最後に、新名神高速道路についてお伺いいたします。

 地元でも、いろいろと新名神の早期着工について取り組みが行われております。宇治市では、先月の十五日の日に、京都南部建設業協会主催で京都府南部建設フォーラムが、金子国交大臣をお迎えして勉強会が開かれました。その後、昨日も東京で、新名神高速道路の整備促進をしようということで、与党議員が集まりまして議員連盟の会が開かれ、大阪の橋下知事、滋賀県の嘉田知事、そして京都府の山田知事、西日本高速道路の石田会長初め多くの関係者が集まりまして、早期着工に向けて意見交換がなされました。

 実は、私も、議員になるころから、新名神の早期着工については積極的に取り組ませていただいております。私は、議員になりましてから三年半の間、私の選挙区であります十二市町村の行政要望を、くまなく、現地、現場、現実主義ということで、行政要望を視察に参りました。その行政要望が約七十以上あります。その中の九割以上が道路の問題、道路の整備、インフラ整備になります。この道路の問題を解決する一つの起爆剤が新名神道路の早期着工ではないかと思っております。

 この新名神につきましては、約二十年前から計画がされ、いろいろと議論が進められているところでありますが、昨年、一年前には、三重の亀山と滋賀の草津が開通をして、これが当初予測よりも交通量が大幅に増加しているということ。あるいは、第二京阪道路も、枚方と門真が平成二十二年三月に供用開始をされる。このような状況を見ながら、今後、新名神について事業を進めていくということも伺っております。

 私の地域でいうと、城陽と八幡間が平成二十八年に道路をつくっていただくことになっておりますけれども、この道路の問題というのは非常に大きなことであり、国道一号、二十四号、三〇七、百六十三号というように、京都南部のインフラの整備だけではなく、関係をする三重、滋賀、奈良、大阪、京都はもちろんのこと、全関西、中部圏の大きな経済の発展の起爆剤にもなることは確かです。

 今後、国幹会議がそろそろ開かれるとも聞いております。大津から城陽、八幡から高槻間の抜本的見直し区間をどう見直されていくのか、地元としては注目をされているところでございます。

 そこで、金子副大臣にお伺いいたします。

 まず、整備を進められている城陽―八幡間について、平成二十八年度の供用に対しての取り組みについて今後の見通しをお伺いしたいということ、そして、大津―城陽間二十五キロ、八幡―高槻間の十キロの未着工部分についても現状をお聞かせいただければと思います。

金子副大臣 井澤先生においては、今お話しになったように、新名神高速道路が地域のために必要なんだ、生活のためにも、経済のためにもということで、熱心に取り組んでいただいていることはよく理解をしているところでございます。

 今、お話がありました新名神高速道路の城陽―八幡間四キロメートルにつきましては、西日本高速道路株式会社において地元との設計協議や用地買収を実施しておりまして、先ほどもお話がありましたように、平成二十一年度には一部工事に着手予定にしておりますし、平成二十八年度の供用を目指して事業を進めているところでございます。

 また、現在未着工となっております大津―城陽間、八幡―高槻間につきましては、早期着工の強い要望があるということは十分承知しておりまして、平成二十一年度末に予定されております第二京阪道路の供用後に、速やかに周辺道路の交通状況等の調査を行い、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

井澤分科員 ありがとうございました。ぜひ次の国幹会議で抜本的見直し区間の見直しを図っていただき、早期着工に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

福島主査 これにて井澤京子君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、限られた三十分という時間でございます。ちょっと多岐にわたって質問通告をしておりまして、たくさん政府委員の皆さんが来られて御迷惑をおかけいたしますが、端的に質問いたしますので、端的に御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、バリアフリーの町づくりについてでございます。

 交通機関、建築物等の一体的、総合的バリアフリー化を進めていくということは、これから高齢社会を迎える上で大変重要な課題であるということで、私自身も、公明党の国土交通部会長を務めていたときから、交通バリアフリー法の制定等々で全力を尽くしてきたところでございます。

 我が党も、実は国土交通省も、二〇一〇年までに毎日の乗降客五千名以上の駅舎におけるバリアフリー化を公約に掲げているわけでございまして、この十年間を振り返ってみますと、大変大きな進捗状況があるということは事実でございます。私の選挙区内でも数えたんですけれども、二十四の駅にエレベーターが設置されるようになりました。二十四というと、多分七割、八割近くの、それ以外のところは、エレベーターが構造的につかないような駅を除いて、ほぼエレベーターが設置されているという状況でございます。

 全国を見てみますと、乗降客が大変多くても構造的になかなか簡単にはバリアフリー化できない駅、例えば御茶ノ水の駅ですとか、先日実は解決をしたんですが、西宮の甲子園口の駅とか、こういったところが最後に残っていくのではないかということを、私は実は国土交通委員会でも何回か質問してきたところでございます。

 いよいよ、二〇一〇年というとあと一年余りとなりまして、そろそろ具体的な着工をしなければ、原則二〇一〇年までにバリアフリーを完了するという公約を果たすことができなくなる。残り九百駅余りということでございますし、困難駅もかなりあるというふうに聞いておりますが、この点について、どのような取り組み方針なのか、御回答をいただきたいと思います。

久保政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、バリアフリー法というのは、平成二十二年まで、二〇一〇年までに、利用者数が一日当たり五千人以上の鉄軌道駅については原則としてすべてバリアフリー化するということを目標としております。

 十九年度末時点で、この五千人以上の駅というのは約二千八百駅ございますけれども、段差解消がされている駅の割合は六七%ということで、バリアフリー化が実施されていない駅は、今後整備予定の駅も含め、これも委員御指摘の約九百駅となっております。

 一方、これも今委員お話がありました、具体的な名前を出された駅も含めまして、ホームが狭隘でエレベーター等を設置するためのスペースを確保できない駅だとか、地下駅で、地上への出入り口となる用地が簡単に確保できない駅など、なかなか整備が難しい駅が顕在化してきております。このような駅に対しまして、私ども国土交通省といたしましては、関係者と連携しながら、個別駅ごとにその課題の解決に向けた検討を具体的に進めてまいる所存であります。

赤羽分科員 多分、これは鉄道局だけではなくて、都市局なんかのまちづくり交付金とか、そういったものを一緒にやっていかないとなかなか前に進まないのではないか。経済危機対策でもそれなりの準備があると思いますので、ぜひ具体的に個別に着手をする。でき上がるかどうかというのは、二〇一〇年までの完了というのは原則ということで説明がつくと思いますが、全くらちが明かない駅が残るというような事態のないようにぜひお願いをしたいということが第一点でございます。

 もう一つは、一方、エレベーターだけ設置されればバリアフリー化が進んでいるかというと、これはやはりつくる側の論理であります。障害を持たれている方ですとかを考えれば、エレベーターがあるだけでバリアフリーの駅というには、それは本当は恥ずかしい話でして、点だけのバリアフリーではなくて、線のバリアフリーということが大変重要なのではないか。

 車両のバリアフリー化なんかを見ますと、やはり相当おくれていると思うんですね。かねてからこれも指摘されておりましたが、ホームと電車の段差がありますね、車両の乗り口の。ここは、プラットホームに傾斜のあれをつけるような工夫をしている駅もあるようにも聞いておりますけれども、こういった、点だけの、エレベーターをつけるというところからもう少しレベルを上げて、利用者の立場に立って、これは本当はそういう意味では町全体になってしまうんですけれども、駅舎の中すべてのバリアフリー化、電車に乗るまで、また電車をおりるまでといったような考え方も必要だと思います。

 その点について、取り組み方針を聞かせていただきたいと思います。

久保政府参考人 このバリアフリー法につきましては、御指摘のとおり、駅のエレベーター、エスカレーターの設置ということだけじゃなくて、例えば車両につきましても、平成二十二年までに原則として約五〇%の車両をバリアフリー化していこうということを目標としています。

 これについては、駅の新設だとか大規模改良時、あるいは車両を新造する際には、まさしく車両の中に車いすスペースだとか、目の不自由な方、耳の不自由な方用の案内装置、あるいは車両間への転落防止設備を設置するなど、あるいはまた、車両の乗り口の床面とプラットホームとをできる限り平らなものにして乗りおりを簡単にするといったバリアフリー化についても、基準で義務づけているところであります。

 また、既存の駅だとか車両に対しましては、これは努力義務としているところでありますけれども、事業者側におきましても、駅を改良する際だとか、車両の改造の機会をとらえて、一連のバリアフリー化を図るよう取り組んでいるところであります。

 私ども国土交通省といたしましても、駅の工事をする際の認可だとか車両を新造する際には確認という行為を行っておりますけれども、そういう審査において個別に確認行為を行って、乗り口とホームとの段差解消を含む車両の中のバリアフリー化が着実に図られていくように鉄道事業者を指導しておりますけれども、引き続き適切に業者の指導をしてまいる所存であります。

赤羽分科員 十年前は、エレベーターがある駅というのは大変珍しい駅で、あったとしても大変不便なところに小さなエレベーターがあったのが大抵常でございましたが、これは物の考え方が変わったというか、やはり二十一世紀の駅はエレベーター、エスカレーター、バリアフリー化がないと恥ずかしい。ですから、当初は、予算がなかなかつかなくてというような説明がありましたが、今はもはや鉄道事業者だけでも単独で設置もしていますし、これは随分大きな物の考え方の変更だというふうに思っております。

 そういう、国が全部予算をつけるというのではなくて、やはり施策として民間を主導するということが大切だと思っておりますので、ぜひこのことを進めていただきたい。私は、二〇一〇年までとなぜこだわったかというと、それ以後は五千名未満の駅についてもほっておいていいという話ではございませんので、前に進めていただきたいということを、答弁は結構ですけれども、よろしくお願いしたいというのが一点でございます。

 次に、スーパー中枢港湾化のことについて確認をしたいと思います。

 日本の主要港湾、大変残念ながら、コンテナの取り扱いについても、例えば我が神戸も、一九八〇年には世界で第四位だったのが二〇〇八年では四十四位、横浜は十二位が二十九位、東京は十八位が二十四位、ことごとく、二十位以内に入っている日本の主要港湾はございません。

 加えて、欧州航路、北米航路がどうなっているか。私が大変懸念していた、国土交通委員会でもずっと指摘をしておりましたが、いよいよ北米航路、欧州航路、スキップされるのではないか。これは大変な事態でありますが、残念ながら、北米航路につきまして、神戸港では、一九九五年には三十五便あったものが二〇〇九年には十三便に減っている、欧州航路につきましては七便が今は四便になってしまった。横浜港では、北米航路は二十四便が現在十四便になっている、欧州航路は七便あったものが今はたった一便しかない。大阪なんかはもっとひどい状況でございまして、これは本当に主要港はしっかりと支えなければいけない。

 これは当然、そういった御認識は国土交通省としてもあったわけであって、基幹的な主要港湾を、アジアの主要港をしのぐコストであるとかサービスを実現しようということで取り組み、これはスーパー中枢港湾計画だったというふうに認識をしているところでございます。コストも約三割の低減を目指し、リードタイムもシンガポール並みの一日でということで取り組みをしておりますが、二〇〇六年の時点で、確認をいたしましたところ、港湾コストは三割の目標のうち一三%の低減で終わっていて、リードタイムも約二日に短縮しているという状況でございます。

 これはやはり港湾コストをどう削減するかというのが最終的な問題だ、こう考えておりまして、コンテナターミナルの大規模化とまた一体運営化によるスケールメリットの発揮ということが一つと、もう一つは、入港料、港湾施設料を抑制するということが必要なわけでございます。

 神戸も、世界の大型コンテナが入るようにということで、マイナス十六メーターの大型バースも完成し、供用も開始されております。加えて、港への集荷という意味で、神戸港は、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトを進めるための補助制度を設けたり、内航フィーダー活性化により瀬戸内海各港から貨物集積を進めるという意味では、神戸港も頑張ってはいるんですけれども、私は、やはりここは世界と競争するといった観点から、今回、変な話ですけれども、取り扱いが減少している今をとらえて、コンテナターミナルの混雑も若干緩和されておりますので、既存のコンテナターミナルのグレードアップ、改良工事ですとか耐震工事を今こそ集中的に行うということが大事なのではないか。ぜひ今回の経済危機対策でその取り組みをしていただきたいというのが第一点。

 もう一つは、神戸の場合なんかを見ますと、岸壁は埠頭公社が所有しているんですね。ですから、なかなか国のお金が直接入らない。そうすると、埠頭公社も生きていかなければいけないので、そこそこの使用料を要求しなければいけないということで、何か国が挙げてスーパー中枢港湾をやろうとしているのに、どうも公共がつくったものが足を引っ張ってしまっているのではないか。こういったことがありまして、やはりある意味で、ここは、国策としてつくるスーパー中枢港湾ですから、公設民営化みたいな、国のお金が直接入るようなシステムを政府として考えるべきではないか、こう考えております。

 この二点につきまして御答弁をいただきたいと思っております。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、スーパー中枢港湾プロジェクトにつきましては、我が国港湾の国際競争力を図るために、平成二十二年度までに港湾コストの約三割削減、あるいはまたリードタイムにつきましては一日程度に短縮することを目標に、官民連携で進めているところでございます。

 具体的には、神戸港におきましては、本年度中にポートアイランドで新コンテナターミナルの供用を図るとともに、あわせて、本年度から、内航フィーダーネットワークの拡充など、港湾を核としました、物流を総合的に改革するためのコンテナ物流の総合的集中改革プログラムということに取り組み始めています。そういうことによりまして、スーパー中枢港湾プロジェクトの充実、深化に努めているところです。

 またさらに、今回策定しました経済危機対策におきましても、我が国の国際競争力を強化するために、神戸港を初めとしますスーパー中枢港湾の機能強化について、今御指摘のありましたような点も踏まえて、加速して取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

赤羽分科員 ぜひこれは、三割を目標に掲げて一三%が現状で、あと一年でやるというのは、相当頑張らないとだめでして、悪口を言うと、役所はできないときの説明はたくさんするんだけれども、そんなことは何の意味もないことであって、できるための努力をしていただきたいということ。

 あと、これはやはりアクセスというのが大事で、きょうは答弁を求めませんが、広域の幹線道路、要するに、主要港にアクセスするミッシングリンクというのを解消する。道路局もいろいろなことで頭を悩ませていると思いますが、ぜひこのスーパー中枢港湾にリンクすることとか国際空港にリンクする道路網の完備というのをまず優先して行っていただきたいというのを強く要望して、次に移らせていただきたいと思います。

 ちょっと順番が逆になりますが、今道路のことを若干申し上げました。高速料金の引き下げについて御答弁をいただきたいと思います。

 現在、平日三割の値下げということを実施していただいております。大変評判もいいんですが、実は大変不合理なところがございまして、走行距離が百キロを超えた瞬間に、例えば百一キロ走ると全く三割引きの恩恵が受けられない、これは全くおかしな話なんですね。どうして日本の優秀な官僚がこんなことを考えたのかということを、理解に苦しむんです。

 特に、業務用トラックなんかは、長距離を走ると全く受けられない。片や、土日は自家用車はどこへ行っても千円だなんということを言って、これだけ経済が苦しくて、去年からトラック業界が大変だといったときに、それに対して、千円でどこまでも行けるというのは私はそれなりの効果があっていいことだと思いますが、何となくミスマッチなんじゃないかという懸念が随分あるんですね。

 業務用のトラックに対して、やはり日々に動いていることですから、そこに対して少しサポートする。経済で百年に一度といいながら、そこは何かビジネスだから自分たちで頑張れみたいな話というわけではないと思いますので、このトラックに対する割引制度はどうなっているのかということと、百キロ制限について、我が党もぜひ撤廃するようにという要望も強く申し上げていると思いますが、この点についての改善策について御答弁をいただきたいと思います。

金子副大臣 今、赤羽先生がおっしゃったとおりなんですが、トラックの場合は、長距離輸送は夜間、短距離輸送は昼間ということで、ある程度集中しているということで、時間帯に応じて、夜間時間帯は距離制限なしで三割引き、それから昼間は百キロ利用分を三割引き以上で、百キロを超える利用についても適用するとしているんですが、残念ながら、料金システムの改修の準備が整っておりませんでしたものですから、これが整ったものから段階的に導入を行っております。

 百キロを超える利用への割引適用につきましては、既存の五割引きも含めまして、七月上旬から拡充する予定でございます。

赤羽分科員 わかりました。では、それは合理性としてはちゃんと整えられるという了解でよろしいですか。(金子副大臣「はい」と呼ぶ)わかりました。

 それでは、道路の料金値下げが随分大胆にされるということで、実は直撃を受けている業界がございます。特に本四架橋、瀬戸内海にかかった本四架橋を千円で通れるようになったということで、その瀬戸内海を結ぶ離島航路というかフェリーの業界も、これは大変なダメージを受けているわけであります。

 今までは若干の時間がかかっても値段の優位性ということで離島航路というのは支えられていたわけでありますが、今回の国の特別な措置で、その値段の優位性もなくなってしまった。このフェリー会社を経営している人たちに話を聞くと、もう本当に一年ももたないんじゃないかというような切実な声が寄せられているわけでございます。

 これは、私は、自由な経済競争の中で勝ち残れないというのは、それはやむを得ないというのは思いますが、国の施策でそういったひずみが出るわけでありますので、ここを何も、もうフェリーは時代おくれだみたいな荒っぽい切り捨て方をするのは間違いだというふうに考えておりますが、今回の景気対策の、千円で橋が渡れるという措置に対する補完の支援策というものは講じられるのかどうか、海事局に御答弁いただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 フェリー事業、特に先生御指摘のありました本四架橋と競合する航路でございますが、三月末に高速道路料金の引き下げがございました。特に、それに先行して本四架橋については値下げがあったわけでございます。また、これについては、昨年からの景気後退などと相まって、先生御指摘のとおり、その経営に対して与える影響が非常に大きいというふうに考えております。

 その対策が当然必要だということで、先般策定されました経済危機対策においても、地域活性化対策の一環として、内航海運の活性化とともにフェリーの活性化の対策が取り上げられております。

 フェリーへの影響については、航路によって、高速道路料金の引き下げによるものあるいは景気の後退によるものなど、さまざまな要因、その結果としての影響が考えられるところでございます。

 そういったさまざまな観点からの影響をしっかりと見きわめまして、国土交通省といたしましても、自治体や関係者と連携をとりまして対応してまいりたいと考えております。

赤羽分科員 ぜひ、検討する間につぶれるような切迫感があるので、大至急、現場の声を聞いて、かゆいところを靴の上からかくような話じゃないわけですね。橋代を千円にするということは、めちゃくちゃ、今までの考え方としてはあり得ないことをやっているわけですから、それに対する補完措置というのをぜひ強く要望したいと思います。

 次に、神戸空港の夜間時間のことについて確認したいと思います。

 神戸空港は開港時、当時の関西空港または伊丹空港の三空港問題というような中で、開港時間は一日十五時間ということが定められたことは、私もよく承知をしております。しかし、これは時間の変遷の中で、伊丹空港が国際便がなくなり関西空港にシフトし、神戸空港もその利便性という点で高く評価される中で、どうしても、地元の声を聞くと、新幹線との競合ということが言われているわけであります。

 神戸空港は海上に出た空港で、当初騒音の問題等々が心配されておりましたが、私も地元に住んでいて、神戸空港の騒音のことについて感じたことが全くないと言ってもいいぐらいクリアされているというふうに思っておりますし、大変利便性の高い空港として、地元の一員だから言うわけではございませんが、将来性はある、これはやりようによっては随分生きていけるのではないかというふうに考えております。

 その意味で、この夜間時間の延長にぜひ前向きに取り組んでいただきたいということは、実は地元の強い要望でもございますが、この取り決めを除いて具体的に何がネックとなっているのかということと、そのことは今後も変わらないものなのか、そうじゃなくて時代の状況とともに前向きに前進することなのかということを航空局から御答弁いただきたい、こう考えております。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 神戸空港の運用時間につきましては、近隣に二十四時間運用の関西空港があるということ、また一方で、神戸空港というのは百五十万の人口を擁する神戸及びその周辺の国内航空需要にこたえていかなくてはいけない、こういったことを総合的に勘案した上で、地方管理空港の運用時間としては最長の、朝の七時から夜の二十二時までの十五時間運用で対応しているところでございます。

 それから、先生御指摘のとおり、関西三空港懇談会の場でも、神戸空港については、地方空港として、運用時間は十五時間、年間二万回程度を上限に運用していくことが合意されたという経緯がございます。

 何がネックかということでございますが、ただいま申し上げましたとおり、神戸空港の運用については、やはり関西三空港のあり方にかかわる問題でございますので、神戸空港についてその十分な活用を図っていかなくてはいけないというのは先生おっしゃるとおりでございますが、今後とも、関西全体での議論というものを十分踏まえながら、それぞれの空港の役割分担というものを勘案しながら運用を行っていくことが重要ではないかと考えております。

赤羽分科員 ぜひ、羽田も滑走路がもう一本できるわけでして、そのときのタイミングに合わせて、本当にあるべき姿というか、これは三空港はいろいろ歴史的な経緯を引きずっているわけで、そういったことは大事にしなければいけないにしても、やはりこれから限られた社会資本をどう有効に活用していくかということは、常に時代の状況とともに考えは変わっていって当然だというふうにも思っておりますので、ぜひ局長のリーダーシップで、地元で三空港問題のあり方ということを検討する場を設けていただく方向でリードしていただきたいと思いますが、その点、最後にもう一回、御答弁をお願いします。

前田政府参考人 現在、地元各自治体からも、この役割分担についてはいろいろ検討を行わなくてはいけないという声が寄せられておりますし、航空局の方でも、こういった場、いろいろ地元が検討する場などに参加しながら検討を進めていきたいというふうに思っております。

赤羽分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、住宅問題についてお伺いします。

 今回、二次補正予算、当初予算、一連の中で、住宅に関する政策は、住宅ローン減税、過去最高、最大規模の住宅ローン減税を創設するというか継続、拡大する、加えて、今回は贈与税の特例も認めて、子や孫に対する、住宅を買う環境を整える、これは大変僕はいいことだというふうに思っております。

 ただ一方で、これだけ経済状況が悪くなると、なかなか、家が盛んに購入されるというような動きは、そんな簡単なものじゃないだろうなと。自分の給料が今後どうなるかわからないのに、二十年三十年のローンを組みにくい。だからこそローン減税をつくったということ、それを否定しているわけじゃありませんが、私は、住宅政策全般を考えると、国土交通省が何年か前からやっております、住宅住みかえを支援していく。やはり一生涯その一軒家に住むということよりも、子供の成長に合わせて住宅を住みかえる。

 私の住んでいるオールドニュータウンみたいなところは、戸建てのところばかりなんですが、もう高齢者ばかりで、だんだん空き家がふえている。一方で、下町のところは子供がだんだんふえているんですが、結構みんなマンション住まいで、庭が欲しいと言っている。このニーズというのは大変大きなものがあるはずなんだけれども、なかなかそれを動かせる仕組みがない。

 そういった意味で、この住みかえ支援、中間法人をつくって、高齢者の皆さんがそこの中間法人に家を提供する、それを、生涯、家賃を保証する一方で、若い人には定期借家で三年ごとの契約をする、これだと大変いい仕組みだと思うんです。

 多分、いろいろ研究してみますと、高齢者の皆さんが家を貸すときに、耐震化の工事とか内装とか、やはり最低きれいにしなきゃいけない。リタイアした人がここに三百万とか五百万とかという金はなかなかかけられないということもこれが進まない原因なんじゃないか、こう思うわけであります。

 ここは、もう少し住宅局の予算の中に、住みかえ支援、今は何か住みかえ支援で自立させているような感じだと思いますが、せっかく省エネの減税ですとか耐震化の減税とかをやっているわけですので、自分の家を整備するのにもそういった支援策をつくっているわけですから、この人たちは自分の住むためじゃなくて、それを提供するという仕組みに入れるための住宅ですから、もう少し踏み込んだ政策をしていただけたらな、住みかえ支援というのをもう少し住宅政策のど真ん中に持ってきていただけたらなというふうに思うんですが、この点について、局長の率直な御意見を聞かせてください。

和泉政府参考人 住みかえの意義については今委員がおっしゃったとおりでございますので、今後とも住みかえの促進を図っていきたいと思っています。

 今委員御指摘のマイホームの借り上げ制度、現時点でわずか九十九件でありまして、一方、登録会員は千八百四十六件、なかなか厳しいものがあります。

 ただし、このモデル事業を通じましてさまざまなノウハウが蓄積されましたし、この事業自体は、何も今回の移住・住みかえ支援機構だけがやるんじゃなくて、民間のビジネスモデルにも十分なると思っていますので、今回得られたさまざまなノウハウとか、移住・住みかえ支援機構に適用しておるいわゆる空き家保証のための基金の適用を民間に開放するなどを通じて、事業環境の整備に努めてまいりたいと思っています。

 また、公共団体の方でも、UJIターンなどを中心に、住みかえについてのさまざまな取り組みをしておりますので、こういった公共団体との連携についてもさらに強化してまいりたいと思っています。

 また、今委員の御指摘にありましたように、二十一年度の税制で、とりあえずはみずから居住が前提でございますけれども、将来の住みかえに備えてバリアフリー、耐震、省エネ関係の改修をする際の投資減税が認められておりますし、加えて、住みかえ支援機構との連携の中で、将来、終身家賃が入ってくるというようなことを担保にそういったリフォーム等のお金を貸すといった民間金融機関も出てきておりますので、こういった動きを何とか促進し、今委員おっしゃったように、単に売り買いするだけじゃなくて、こういった住みかえが今後の住生活の向上につながる主要な政策手段になるように、私どもも努力してまいりたいと考えております。

赤羽分科員 やはり、いい住宅をつくって長く使ってもらう、入った人は中古でもスーパーリフォームをすると新築のように使えるということがあるべき姿に通じると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、もう時間もありませんが、地元の兵庫県タクシー協会が実は数年前に厚生年金基金を解散しまして、今それぞれが自分の負担分を返済しているんですが、この中で、これは直接は厚生労働省の業務なんですが、大変深刻な状態が起きております。

 分割返済事業所というのが二十九社あるんですが、解散後間もなくで現在もう八社がつぶれているんですね。八社がつぶれてどうなっているかというと、残ってまじめに返済をしている二十一社は、八社が負担しなければいけないそれぞれの一億数千万円が自分たちにかぶってきているわけですね。これはもはや、最後まで残っている人が一番ばかを見るわけです。一社になると、全部の二十九社の分をかぶらなければいけない。

 私は、厚生労働省にも、この不合理性は何とかしなければいけないと思っておりますが、この業界を所管する国交省として、タクシー業界が全部つぶれる可能性がある。加えて、悪質な業者は偽装倒産をする。これは脱法というか、合法的なんですね。倒産すると、その負担は解除される。また、看板を書きかえて申請すると、今は許可制じゃありませんので、申請で認められる。

 これは、非常に厚労省の施策と国交省の施策の谷間というか、すきをつかれたところだと思いますので、いろいろな取り組み方があると思いますが、私がきょうお願いしたいのは、これは役所の垣根を越えて、業界のために、タクシー業界が一社も残らなかったら地元住民は大変なことになりますので、ぜひ厚労省に対して、この厚生年金基金のことについて、厚労省の問題だ、国交省は何も言えないというのはわかりますけれども、そこは少し一歩踏み込んで検討を進めていただきたい、こう思うわけでございますが、最後、局長に御答弁いただきたいと思います。

本田政府参考人 兵庫県乗用自動車厚生年金基金の問題でございまして、かねてから先生から再々御指摘をいただいておる案件でございます。

 先生からお話のありましたとおり、現時点では、分割で責任準備金相当額を国に納付する義務について、分割納付を行うこととしております事業者の方は二十一社にすぎない。その間、先生今おっしゃいましたとおり、八社が廃業等を行ったわけですが、この八社分の負担を含めて二十一社のタクシー事業者が負担するというのは、確かにタクシー事業経営上、非常に大きな負担であるということは間違いないと思っております。

 本件につきましては、やはり基本的には厚生労働省の所管する制度、あるいは国との債権債務関係の問題と言わざるを得ないわけでありますが、厚生労働省におきましても、そもそも納付すべき最低責任準備金相当額の減額、それに次いで事業者の方の要望を受けて納付計画の変更といった形で、制度的に可能な対策についてはその都度柔軟に対応していただいておると認識しておりますけれども、確かにタクシーは地域における重要な交通機関でございますので、私どもとしても、とりわけ地元の近畿運輸局におきまして、事業者の皆さんの実態について常に注視をさせていただくとともに、厚生労働省の方とも緊密に連携をとって対応してまいりたい、かように考えております。

赤羽分科員 副大臣、政務官もおいでですので聞いていただきたいんですが、このことは兵庫県だけの問題じゃないはずなんです。同じような高齢構造の中で起こり得る問題なので、やはり負担額の上限、有限責任というものにしないと、残った人たちがもつわけがないし、まじめな人がばかを見るようなことは絶対許してはいけないと考えておりますので、ぜひお力添えをいただきたいということをお願いして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 どうもありがとうございます。

福島主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 午後三時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

福島主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管について質疑を続行いたします。伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の伊藤渉でございます。

 午後のトップバッターで質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、ずっと取り組みをし、また実現をして大変好評をいただいております高速道路料金の引き下げについて御質問をいたします。

 ETCの利用を対象に引き下げが三月二十日から順次行われまして、今、地方の高速道路料金、休日上限千円、平日で全時間帯三割引き、こうなっているわけでございます。何人かの委員の方が御質問をされているというふうに聞いておりますけれども、地方自治体が管理をしている高速道路、私の地元でいけば愛知県の名古屋、ここには名古屋高速道路公社というものがございます。これは、いわゆる今回の値下げの対象の高速道路には入っておりません。ただ一方で、実際に利用される方は、高速道路に違いがあるというふうにもちろんわからないわけで、何で名古屋高速道路だけは安くならないんですかという話がやはり地元ではたくさんあります。

 そういう意味で、今年度に計上されております地域活力基盤創造交付金、これは九千四百億円ございまして、そのうちのソフト分として千四百億円が計上されておりますけれども、これを、社会実験といった形で、地方が管理運営する高速道路料金の引き下げに活用することが可能かどうかということについて、まずお伺いをします。

 また、ちょっとこれは通告していないのであれなんですが、きのう実は夜、愛知県の島に渡っていまして、やはり島で出たのは、これも大臣に申し入れしているんですけれども、船の料金ですね。道が通っていないものですから、道にかわるものが船だと。やはりあわせて船の料金の値下げということにも強い要望の声がございました。これは通告をしていないので、もし可能であれば、あわせて答弁をいただきたいと思います。

西脇政府参考人 まず、料金について御答弁いたします。

 今回の高速料金の引き下げにつきましては、先生御案内のとおりでございますけれども、道路財特法の枠組みを活用することによりまして、全国の幹線となります高速道路を対象として実施することとしておるわけでございます。

 一方、今御指摘がありました地方道路公社が管理する有料道路の料金につきましては、これは例えば例を申し上げますと、長崎県の川平有料道路におきましては、本年の二月一日から、県が、これは社会実験として、料金引き下げによる減収分を負担して、それで現行の通勤時間帯の割引を拡大して、終日三割引きというのを実施しておるというようなことでございまして、基本的には、地方道路公社とその出資団体であります公共団体とが知恵を出し合って実施しているというのが現状でございます。

 現在、私ども国土交通省として、こういう公社と公共団体による料金引き下げの取り組みと連携してどのような支援ができるのかということを検討しているところでございまして、御指摘の地域活力基盤創造交付金につきましては、現在、細目を詰めているところでございますけれども、当然、この交付金の活用も含めて、公社、公共団体との連携に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 後段の、船の話がございました。これはいろいろなところで指摘を受けておりますけれども、赤字補てんのような経常的なものについては難しいというような考え方を示しておりますけれども、例えば、船舶の購入等につきましては検討の余地があるということも含めまして、全体、今、細目を詰めている中で検討しておるというところでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。それは、ぜひまた現場が使いやすい形で細目の整理をお願いしたいと思います。

 三月末に大きく話題になりました車載器の話ですけれども、おかげさまで、四輪車用を二十万台分追加をしていただいて、今、計百二十万台。それ以外には、高速道路各社が二十万台規模で独自の助成を検討している。大臣は会見で、合計四十万台の支援を追加する、こういうふうに発表していただいております。

 この助成制度ですけれども、現在の助成台数はどうなっているのかということと、やはりこれは、何しろ、普通に払うのと、どこまで行っても千円というのは、もうえらい違いなものですから、どんどんどんどん助成を活用される方はふえていくんだろうと普通に思うわけですけれども、今後の販売台数の見通しと、また、必ず来るであろうさらなる助成の拡充の話については、現在どういう見解をお持ちなのか。これは副大臣の方にお伺いをいたします。

金子副大臣 今委員からお話がありましたように、現在、財団法人高速道路交流推進財団がETCの車載器の助成をやっております。総助成台数は、四輪車が百十五万台、二輪車が五万台でございます。これに対しまして、四月の二十日時点で、四輪車については百四・七万台、二輪車については二・三万台の助成を行ったということで、非常に順調にといいますか、非常に希望が多くて、この枠に大分近づいてきているところでございます。

 一方、今後、各高速道路会社がこのETC車載器の廉価での提供などを約二十万台規模で行うこととしておりますが、準備が整い次第開始する予定でございます。

 さらなる拡充につきましては、こうした現在ある状況を見ながら、今後対応を検討していきたいと思っております。

伊藤(渉)分科員 非常に難しい判断だと思いますが、全部で八千万台ぐらいあるんですかね、最終的には。そうすると相当なボリュームなんですけれども、何と申し上げますか、今百四十万台を八千万台までというと、またなかなか難しいのかなという気もしますし、その辺は、やはり皆さんが御理解、御納得いただけるような形で、きちっと前もってアナウンスをしていくような形をとっていただければなというふうに思います。

 もう一つは、これはちょっと老婆心ながら、割引制度を拡充していくと、例えば、都市高速だと、名古屋高速も今、一割引きというのは早朝割引とかいってあるんです。早朝割引とかいって通行量が増加をしてきますと、ETCレーンで詰まっているという話を実際にそこで働いている人に僕は聞いたんですね。そんなことはないのかなと思いながらも、確かに、どんどんETCを使う車が出てくると、渋滞を解消するためにETCをつけていただいてスムーズに流そうとしているのに、そっちにばかり車が集中してETCレーンが足りなくなってしまって、そこで渋滞が起こっちゃうと。

 これは本末転倒になってしまうので、この点について、ETCレーンにおける渋滞が発生をしないように、必要であれば検討、増加をしていくということも視野に入れてやらなきゃいけないと思いますけれども、現状と、今後の検討課題等々があれば、御答弁をいただきたいと思います。

金子副大臣 伊藤先生からそういう現場のお声だということなんですが、現在のところ、高速道路料金引き下げ後、ETCレーンの不足が原因で渋滞が発生したとの報告は受けておりません。どちらかというと、ETCを抜けるときはスムーズにいくんですが、その先が渋滞をして、高速をおりて、例えば、幹線道路にぶつかって合流するところで渋滞して、それがETCレーンのところまで伸びてきているというケースはあるだろうと思いますが、今のところ報告は受けておりませんが、先生の御指摘もありますので、今後も、そういうことがないのか、それはきちんと対応していきたいと思います。

 それから、一応参考のために、ETCの利用率は今七九%でございます。ETCのレーンはETC利用率の九〇%に対応できるようにもう整備を進めておりますので、今後とも、ETCレーンの不足による渋滞が発生することは想定しておりませんが、先ほども申し上げましたように、状況を見ながら、必要があればレーンの増設などの対策を検討してまいりたいと思います。

 なお、これから大型連休等で非常に交通量がふえるということがあって、交通量に応じた適正なレーンの開放、その場に応じて幾つあけるとか、そういうこともあるでしょうし、あるいはETCカードの未挿入車ですね、入れないでいきなり行って、そこで渋滞を起こすとか、あるいは非ETC車の誤進入、ETCをつけていないのに行かれる、たまに乗られる方はそういうことがあり得るので、そういったトラブルに迅速に対応できるように、現場の料金所の体制を整えていきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。この情報は、私も自分の目で確認したわけではなくて、そういうお仕事をされている方がそういうことをおっしゃっていたので、確認のために質問をさせていただきました。

 次は、ちょっと住宅ローンのことをお伺いします。

 これも、議員の多くの方が地元で遭遇をしていると思いますけれども、目下の経済状況の悪化で、住宅ローンの返済が非常に厳しいという相談がどんどんふえております。

 まず、国交省にお伺いをしますけれども、この住宅ローン返済困難者に対してどのような対策を行っているのか、御答弁をお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 住宅金融支援機構が管理する住宅ローン債権につきましては、今先生お話ありましたように、月々のローン返済が困難となった方に対しまして、毎月の返済額を減らす返済困難者対策を実施しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、返済が困難となった方のうち、一定の要件を満たす方に対しましては、償還期間を最長十五年延長する、こういった措置を適用いたしますとともに、さらに、失業中の方でございますとか、あるいは収入が急減された方、こうした方につきましては、元金の支払いを猶予する、つまり利息分だけということでございますけれども、こういった据置期間を最長で三年間設定しているところでございます。

 御参考までに、これらの措置の適用実績は、平成十五年度に約三万六千件でピークを迎えておりましたけれども、平成二十年度には約八千四百件まで減少しているところでございます。しかしながら、昨今の経済情勢の悪化を受けまして、今後の動向について注視していきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、これらの措置を活用された方の七割弱の方は延滞なしに返済を続けておりまして、そういう意味で、居住の安定確保に一定の効果を上げているというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、こうしたローン返済が困難となった方々からの御相談にきめ細かく対応して、これらの制度を的確に推進していきたいと考えております。

伊藤(渉)分科員 ぜひ、よく御相談に乗ってあげていただきたいと思います。

 また、当然のことながら、この住宅ローンを組んでいらっしゃる方は、きょう金融庁の方に来ていただいたのは、民間の銀行が多いわけです。民間の銀行、民間の企業にどう指導していくのか、なかなか難しい問題もあろうと思いますけれども、やはりこういう状況で、これだけ国が総力を挙げて経済対策を敢行しているわけですので、民間の金融機関に対しても同様の対応がなされるように、ぜひ金融庁の方から指導をお願いしたいと思いますけれども、その点について御答弁をお願いします。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、民間金融機関におきましても、この返済困難者、いろいろな事情によりましてそういう状態になられた方々に対しまして御相談に応じまして、返済期間の延長、元利金返済額の減額、あるいは元金の据え置きといったような返済状況の見直しに応じてきているところと承知はしております。

 ただ、金融庁といたしましても、現在の情勢にかんがみまして、やはり民間金融機関におけるこういった対応がきめ細かく、個々の事情に応じて、十分お客様の事情に配慮して行うことが重要と考えておりまして、実はこの四月から、私ども、金融円滑化のための集中検査といったものも行っております。この中では、金融仲介機能の発揮という観点から、金融機関に対しまして、住宅ローンも含めて融資対応の検証を行うこととしておりますので、まずはこういった取り組みを通じまして、私どもとしても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)分科員 ぜひお願いしたいと思います。住宅ローンのことももちろんですし、いわゆる中小企業等への融資でも、現場ではどういう声を耳にするかというと、銀行を窓口にして保証協会に行くのと、保証協会に直接相談に行くので結果が違うとか、要するに、間に入っている銀行の対応が十分じゃないケースというのも散見されますので、ぜひ御指導と監督をお願いしたいと思います。

 次に、住宅瑕疵担保履行法、これの施行に当たって御質問をいたします。

 これは、本年十月一日よりスタートする、施行される法律でございますが、耐震偽装の事件以来取り組んできた施策のいわば締めくくりのような法律がスタートする、こういうふうに私はとらえております。

 保険に入る場合には、地盤の状況をチェックして、必要に応じて地盤の補強を行わなければ加入ができない、こうなっているわけです。

 地盤の問題、従来から私、質問を重ねさせていただいておりまして、昨年の十一月十九日の国土交通委員会でこの関連の質疑をさせていただいたときに、住宅局長の方からは、今後の保険の本格的導入にあわせて、保険法人において、地盤及び基礎について、設計、施工基準において現行の実務を十分考慮した適正かつわかりやすい内容を定めていきたいと考えている、また、既に保険法人があってそういったことを決めている、以上のように、地盤調査に関しては、委員指摘の現場での混乱が生じないように保険法人を的確に指導していきたい、こういうふうに答弁をいただいたわけでございます。

 一方で、いわゆる住宅瑕疵担保履行法という法律に伴ってできた保険法人が販売する保険、これとセットにして、地盤保証というのがいっぱい出ています。料金も、正直申し上げてさまざまです。

 住宅瑕疵担保履行法、これに基づく保険への加入に当たっては、今局長からの答弁を紹介したとおり、地盤のチェックが行われて、必要に応じて補強が行われます。また、保険法人では、地盤及び基礎についての設計、施工基準において、現行の実務を十分考慮した適正かつわかりやすい内容が定められている、こういうふうに聞いています。

 そうすると、いわゆる地盤保証なるものでヘッジすべきリスクというのは一体何があるんだということが実はわからなくなります。つまり、住宅瑕疵担保履行法でほぼ地盤に起因する事故もヘッジできているんじゃないか、こういうふうに私は見ているわけです。そういう意味で、この住宅瑕疵担保履行法で担保できない地盤に起因する事故、こういうものは一体どういうものが想定されると考えておられるのか、まず答弁をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 住宅の設計、施工に当たりましては、地盤の状況を調査した上で、地盤状況に応じた基礎の設計、施工をすることが必要になるわけでございます。こうした地盤調査や基礎の設計、施工が適切でないと、住宅が傾く、いわゆる不同沈下と言われる瑕疵が発生するわけでございます。

 今先生からお話ありましたように、不同沈下も住宅自体の瑕疵として瑕疵担保保険の対象としているわけでございまして、そのため、地盤調査結果や基礎の施工状況等も保険法人による検査の対象としているというところでございます。

 ただし、適切な地盤調査によりましても把握困難な地質状況に起因する場合におきましては、不同沈下でありましても住宅瑕疵担保責任保険ではカバーされないということになるわけでございまして、こうしたものにつきましても地盤保証ではてん補されるということになると考えております。

伊藤(渉)分科員 その地盤保証というのをネット上で若干引いてみますと、保証限度額というのは大体五千万円ぐらいなんですね。おうちですからそれぐらいなのかなと思います。ただ、保証料というのが、安いものだと二万円ぐらいからあって、高いものだと七万円を超えていく。非常にばらついているんですね。

 多く出回っている地盤保証ですけれども、私もこういった金融関係、詳しくなかったので調べていきますと、保険ではないので、現状は法律等による管理監督は実はされていない、こういうふうに伺いました。

 また、今答弁にもあったとおり、この住宅瑕疵担保履行法で地盤に起因する事故というのは相当の範囲ではヘッジできているんだろう、こういうふうに思います。そうすると、繰り返しになりますが、この保証というのは一体何を保証しているんだろうなと。また、今言ったように、同じ保証限度額にもかかわらず保証料というのが、三倍とは言いませんが、二・五倍ぐらいの開きがある。一体どういうふうに保証料が算定されているのかな。非常に不明瞭なところが多いと思っています。

 そうはいっても、限度額も五千万あって、いざというときには当然保証されるんでしょうから、それはそれで、それを行う方の自由だといえばそのとおりなのかもしれませんが、私が若干危惧しているのは、この瑕疵担保履行法が施行されて、地盤のことも相当ヘッジされるにもかかわらず、こういう地盤保証というものが何の管理監督もされることなく出回っていると、最悪のケースの場合は、本当は余り必要じゃないのに、住宅購入者は特に必要がないのにこの保証料を払わされてしまっているという事態も、全くゼロじゃないという気がしてきてしまうんです。

 これは、保証そのものが商売になっているんじゃないか。何しろ五千万からの購入をするわけですから、十万ぐらいなら、ある意味、多分そのときは安いものだと思うはずなので、そういう中で、これは保証そのものが商売になっているようなことがあると大変なことだなというふうに思うわけです。

 ですから、これはぜひ国交省として、また、保険という意味であれば金融庁ということになるのかもしれませんけれども、この地盤保証を適切に管理監督していくべき。必要ならきちっと残す、そうでないならば、いろいろな対応が考えられると思いますけれども、いずれにしても、きちっと管理監督をしていくべきというふうに考えますけれども、国交省から答弁をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地盤保証と言われるものにつきましては、工務店などの住宅事業者が申し込むタイプのものと、地盤調査会社や地盤改良工事会社が申し込むタイプのもの、二つあると思っております。

 このうち、工務店などの住宅事業者が申し込むタイプにつきましては、先生おっしゃいましたように、瑕疵担保保険の普及によりまして、不同沈下等の大部分のケースで地盤保証の必要性はなくなるというふうに思われるところでございます。一方、地盤調査会社や地盤改良工事会社が申し込むタイプのものにつきましては、住宅事業者が加入する住宅瑕疵担保責任保険とは被保険者が異なるということもございまして、一定のその存在の必要性は残るというふうに考えているところでございます。

 ところで、国土交通大臣から指定を受けました住宅瑕疵担保責任保険法人も、法律上の附帯業務として地盤保証を行うということは実は可能でございます。実際に、一つの法人につきましてはその地盤保証を行っているところでございます。これも、住宅事業者が申し込むタイプではなくて、地盤調査会社や地盤改良工事会社が申し込むタイプ、制度ということになっております。

 したがいまして、今後とも、このように住宅瑕疵担保責任保険法人の活用を充実させることによりまして、地盤保証制度の適正化に貢献していくということも一つの方法かなということで考えているところでございます。

伊藤(渉)分科員 このことをちょっと取り上げた最初のきっかけは、実は、保証というものが先行をしてしまって、保証ありきで、土の問題というのは非常に技術的には難しい、もう言うまでもありませんけれども。保証があるからという前提でいいかげんな補強工事が実はされてしまっているというお話が私の方にありまして、それ以来取り組んできているものですから、適正なものであれば、それを利用される方にとってメリットがあるわけですから、これはきちっとそういうものに収れんされていくように、ぜひ管理、監督、指導をお願いしたいと思います。

 次に、学校の耐震補強のお話をさせていただきたいと思います。これも経済対策の一環として公立小中学校の耐震補強、これを強力に推進していくということになりました。非常にいい話だと思います。

 一方、耐震偽装のころは相当議論になりましたけれども、やはり時間がたつにつれてそういう話も薄れていき、一般住宅の耐震補強、これもなかなか進んでいない。お金もかかりますし、古いおうちに住まわれている方の年齢の問題もあって、なかなかそれだけの投資ができない。しかし、災害予防という観点からは、今年から始まっているリフォーム減税なども手を打っていただいていますけれども、積極的にやはり推進していかないと、万が一災害が起こったときには、事前の予防よりも大きな被害になってしまう。それは、行政としての必要なお金という意味でもそうなるだろうと思います。前もって手を打った方が必ずコスト的には下がっていくだろう、こういうふうに思います。

 そういう意味では、経済対策として、安心、安全の確保、こういう分野で公共的投資を加速させているわけですけれども、現状の一般住宅についてもぜひ取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけですが、この一般住宅の耐震化率、現状がどうなっているのか。また、一般住宅の耐震補強に対するさらなる推進策、これについてぜひ積極的に進めていただきたい、こういうふうに思いますけれども、御答弁をお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 我が国の住宅の総数は、約四千七百万戸。平成十五年現在で、古いデータで恐縮でございますけれども。そのうち、耐震性のある住宅は約三千五百五十万戸でございますので、耐震化率は約七五%というふうに推計しているところでございます。国の基本方針では、住宅の耐震化率を平成二十七年までに少なくとも九割を上回ることとするという目標を定めているわけでございまして、取り組みの強化を図っているところでございます。

 この目標を達成いたしますために、耐震改修促進計画の策定を地方公共団体に求めているところでございますけれども、都道府県ではすべて策定を終えているというところでございますが、市区町村につきましては、平成二十年の四月一日時点で約四五%の策定という状況になっております。

 現在、これらの地方公共団体におきましては、耐震改修促進計画に基づきまして、例えば木造住宅の耐震化の重点的支援でございますとか、相談窓口の設置でございますとか、各種普及啓発等を行っているところでございまして、国土交通省もこのような取り組みを積極的に支援しているところでございます。

 具体的には、例えば補助制度につきましては、平成二十年度より地方負担額の五〇%を特別交付税に算入するということをするとともに、平成二十年度の第二次補正予算におきまして、耐震改修モデル事業の実施でございますとか、危険性の高い地域の住宅等について補助制度を拡充するといったことをさせていただいているところでございます。さらに、平成二十一年度予算におきましては、住宅・建築物安全ストック形成事業ということで事業を再編したり、あるいはさらなる拡充について検討させていただいているというところでございます。

 また、税制につきましては、先ほどもお話ありましたように、二十一年度税制改正におきまして、住宅の耐震改修にかかわる費用の一〇%を所得税額から控除するという制度を五年間延長する。さらに、制度の適用対象区域に係る要件を緩和するということもさせていただいているところでございます。

 こうしたことで取り組んでいるわけでございますけれども、しかしながら、地方公共団体における補助制度の整備状況を見ていますと、例えば戸建て住宅につきましては、耐震の診断につきましては約六割の市区町村で補助を受けられるんですが、耐震の改修ということになりますと、補助を受けられる市区町村の割合が約四割弱に落ちてしまうということで、十分とは言えないという状況にあるわけでございます。

 国土交通省といたしましては、今後、地方公共団体に対しまして、耐震改修促進計画に基づいた取り組みの強化を要請していきますとともに、助成制度の創設等を求めまして、地域住民や関係者と一丸となって、この九割を上回るという目標に向かって着実に実現するよう努力してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。なかなか、それをしなくても生活ができないわけではないので、よっぽどインセンティブを与えていかないと前に進んでいかない話だと思いますので、ぜひ積極的に推進をお願いしたいと思います。

 残り時間で、ちょっと地元の道路とか鉄道の話をさせていただきたいと思いますが、一つは、愛知県の稲武地区というところにあります国道百五十三号線の伊勢神トンネルというところの改良なんです。

 これは愛知県の中でも少し山間部の方の道なんですが、ここをなぜ私もよく知っているかというと、市内の中学校のいわゆる山の学習というところがここにありまして、よって、大きなバスが小さい道路の割によく通る、こういうところなんです。ですから、名古屋市内の人間は、中学生になると一回はここを観光バスに乗って通る。

 そういう意味で、小さい道路の割に大きな車がいっぱい走る道路なわけですが、どんな道路かというと、非常に曲折した山の中の道で、視界も悪いですし、落石の危険もあります。また、中でもこの伊勢神トンネルというのの狭さがとても問題になっています。幅が六・八メートルで、大型特殊自動車がすれ違うことができません。高さ制限が三・五メートルで、二階建てのバス、いわゆるダブルデッカーというものは通れません。周辺に、今言ったような子供たちが使う山の学習とかいうテントですとか、観光地が点在するところから、小さい道の割に大きな車がよく通るという道路でございます。

 事故防止及び地域経済の活性化、こういう観点から、道路の議論はさまざまされておりますけれども、ぜひともこれは進めていただきたい事業ということで、現状の検討がどう進められているのか、これをお伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 百五十三号の伊勢神トンネル付近におきましては、まさに先生御指摘のさまざまな課題がある、しかも、このトンネルにつきましては大型車のすれ違いが困難な状況にあるということは十分認識しておりまして、現在、その問題を解決するために、例えば登坂車線とか歩道の整備というようなものを今年度から工事着手するし、トンネルにつきましては、大型車の接近表示システムという緊急対策も実施しております。

 今後は、これらの今実施しております対策の効果というものを検証しながら、さらに十九年度、二十年度の検討の成果を踏まえまして、当該区間の改修方策についてさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

伊藤(渉)分科員 では、終わっちゃいましたけれども最後の質問で、あかずの踏切対策です。

 これは、初当選のときの国土交通委員会で一番最初に質問させていただいた、やはり地元の案件ですけれども、名古屋の南区に名古屋鉄道というのが走っております。これは名古屋鉄道の本線で、一日五百六十本近い列車が走っています。その中には、もちろん通常の道路、交差道路もあります。そこは全国で六番、七番と言われるボトルネックの踏切になっている。さらに、途中に河川がありまして、この河川の橋がまたとても古くて、ハイウオーターレベルよりもけた下が下にあって、水がふえると、ここに水が当たって、東海豪雨のときはそれが原因になって川から水があふれた、こういう問題のある箇所をたくさん含んでおります。

 おかげさまで、十八年度に着工準備採択をしていただいて、今調査が進んでいる、こういうふうに伺ってはおりますけれども、現状の進捗状況を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

松谷政府参考人 御質問のございました名鉄名古屋本線の連続立体交差事業でございますが、現在、事業主体であります名古屋市が、都市計画決定に向けて取り組みを進めていただいております。具体的には、いろいろ起伏がある地形でございますので、地質調査であるとか、高架などの構造物の予備的な設計を鉄道事業者と調整しながら進めていただいております。

 連立事業は非常に効果が高いということでスピードアップをしておりますが、この事業は、御指摘のありましたようにボトルネック踏切三カ所を含む十四カ所を一挙に除却いたしますし、治水上の懸案箇所の解消に不可欠な事業でございますので、私どもとしてはとりわけ緊急性が高いと認識をしておりまして、今後とも積極的に支援をしてまいります。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

福島主査 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、武藤主査代理着席〕

武藤主査代理 次に、上野賢一郎君。

上野分科員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 きょうは、決算行政監視委員会第四分科会で質問をさせていただくお時間をちょうだいいたしまして、感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、国土交通行政の中でも、道路整備の問題やあるいは土地区画整理事業、河川改修、主に今地元でいろいろとネックになっているようなことにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 私は、滋賀県選出の国会議員でございます。選挙区は、大津市と高島市の二市に分かれておりまして、琵琶湖の西半分というイメージのところでございます。この地域、大津市内は非常に都市化あるいはベッドタウン化が進んでおります。一方で、高島市の方は、非常に過疎化の波の中で、今、地域経済の立て直し、あるいは教育や子育て、そうしたことに特に力を入れてまちづくりに頑張っていただいている、そんなところでございます。

 きょうは金子副大臣がおいででございますので、まず最初にお伺いをしたいと思っておりますのは、副大臣は、私が申すまでもございませんが、非常に地方の道路整備なり公共事業、あるいは治水対策、そうしたものに大変熱心に日ごろからお取り組みをいただいているわけでございます。まず最初に、私の選挙区を通る百六十一号という、その地域では唯一の幹線道路がございますが、全国的にもそうした地域はたくさんあると思います。その道路一本しかないようなところなんですが、そうした地方部の国道整備のあり方に対してどういった御所見をお持ちなのか。

 特に、私、熊本県でも、緊急経済対策で、各市町村長さんからいろいろな要望をお聞き取りになったというふうに伺っております。私の滋賀県でも、熊本県に倣いまして同じようなことをさせていただいたわけですが、市町村長さんあるいは県の方のお話を聞くと、どうも、国の事業をいろいろ進めたいんだけれども、地方の財政負担の問題があってなかなか思うように進めることができないという話がございます。

 今回の緊急経済対策の中でもそうした点が一つの焦点だろうというふうに思いますが、そんなことも含めまして、道路整備等のあり方につきましての副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子副大臣 上野先生とは、しょっちゅう道路の問題、地方の問題について語り合う仲でございまして、熊本だけじゃなく、滋賀の問題についても厳しく追及をされているところでございます。

 我が国の国際競争力を確保したり、地域の活性化、あるいは安全、安心な暮らしを実現していくためには、産業活動とか地域住民の生活の基盤となる国道などの道路が果たす役割は非常に重要な役割だと思っております。

 先生の御地元は県庁所在地であるわけですから、我々の地元とはまたちょっと違うんだろうと思うのですが、特に地方部においては、人の移動の約九割以上が自動車交通に依存しているという状況もあり、こうした地域で道路が果たす役割というのは非常に重要なものだというふうに認識をしております。また、私自身も、副大臣になって、全国から知事や各自治体の首長さん方が来られると、かなり道路に対する要望というのは強いというのを非常に認識しているところでございます。

 今、先生からお話がございました滋賀県内の琵琶湖の西側の国道百六十一号線というのは、滋賀県の東北部地域、湖西地域、それから南部地域を連絡するという意味では、琵琶湖西部地域の観光とか地域経済の活性化や、安全、安心な住民生活を支える大変重要な路線であるというふうに考えておりますし、事業中箇所の早期完成を図る所存でございます。

 また、特に地域が使い勝手のいい道路をつくるという意味では、今度、地域活力基盤創造交付金というのもできておりますし、財政の状況に応じて補助率、交付率を高めるということもやっております。今回の新しい経済対策の中においても、地域に使い勝手のいい交付金、あるいは地元負担の九割を補てんする交付金等々も用意されているようでございますので、そういうことも含めて、地域の皆さん方にそういうものを十分に活用していただいて、本当に地域の経済の基盤であり、生活の基盤である道路を早期に整備していかなければいけないと思っております。先生の御要望も受けながら、この百六十一号についても取り組んでいきたいと思っております。

上野分科員 副大臣から大変力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、個別の問題につきましてお話をお伺いしたいと思います。

 今、金子副大臣からお話がございましたとおりでございますが、この百六十一号線、大津市内からちょうど北陸地方に抜ける幹線道路でございます。この地域、構想段階から考えますともう四十年ぐらい、私が生まれたころから、この一六一号の整備が必要だということで、いろいろな形で計画が進んで、事業の進捗等をお願いしてきたわけでございますが、なかなか全線開通ということにはなっていないわけでございます。

 いろいろな課題、問題点があるんだろうと思いますが、一つは、やはり地域経済の活性化を考える上で、今副大臣がおっしゃったとおり、その基盤となるインフラがなければ、競争条件が整わないということがあろうかと思います。

 もう一つは、これも副大臣にお話しいただきました、安全、安心の問題です。この地域は、琵琶湖西岸断層帯が走っておりまして、全国の中でも地震が発生する確率が非常に高いところでございますので、そうしたところをぜひ御勘案いただきたいのと、また病院、高島市内にも高島病院という病院があるんですが、救急の発生件数のうちの約一割以上は大津市内に搬送されているというのが現状でございます。ここの道路改良が進めば進むほど、人命にかかわる部分については、より人命が助かるということになるわけでございますので、そうした安全、安心の観点からも、一六一の整備、これは地方の道路の中でも、そうした安全、安心にかかわる部分は優先してやっていくという方向でぜひお願いをしたいと思っております。

 この一六一の整備につきまして、過去五年間ぐらいで大体どれぐらいの整備費を投入していただいているのか、まずそれを確認させていただきたいと思います。

西脇政府参考人 百六十一号の主にバイパス等の整備事業で申し上げますと、西大津バイパス、志賀バイパス、小松拡幅、湖北バイパスという四カ所で大きな事業を実施しておりますが、例えばこの四事業に係る当初予算というものを平成十七年度から申し上げますと、十七年度が二十二・六億円、十八年度が二十五・九、十九年度が二十七・三、二十年度が二十六・〇、二十一年度が二十六・二ということで、厳しい財政状況の中ではございますけれども、合計百二十八億円の事業費を確保して、何とか事業を促進しているというところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 直轄事業の事業費が削減される厳しい中にあって、徐々にではありますが、その事業費を伸ばしていただいていることには感謝を申し上げたいと思いますし、今、当初予算のお話がありましたが、さらに補正予算でも相当の御配慮をいただいているところでございますので、その点は本当に感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、それぞれの工区ごとに少し詳しくお話をお伺いしたいと思います。

 まず、一番南側、西大津バイパスでございます。これは、今、長等トンネルや四車線化の事業を進めていただいていると思いますが、一日当たりの交通量が四万台あるんですね。四万台ありますと、どうしても片側二車線ですとオーバーフローしてしまう。実際に、土日の夕刻については十キロ以上の渋滞が続いているというような状況でございますし、朝の通勤時間帯も同じような状況でございます。

 そうした観点からすれば、この西大津バイパスの整備について早急にめどを立てていただきたいと思いますけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。

西脇政府参考人 まず、西大津バイパスについてお尋ねがございました。

 延長十一キロメートルの西大津バイパスにつきましては、御案内のとおりだと思いますけれども、平成八年度までに、二・六キロにつきましては四車線で、残り八・四キロにつきましては暫定二車で一応全線供用しております。

 今御指摘がありましたように、暫定二車となっております大津市の横木一丁目と大津市南志賀との間の五・六キロメートルにつきまして、交通量が日量四万台に近いということから、現在、四車線化工事を随時進めております。今のところ、平成二十二年度末の供用を目標に、引き続き工事を推進するというつもりで頑張っているところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 今、恐らく藤尾から南志賀あたりぐらいまでのお話をしていただいたと思うんですが、実は、そこから北に延びている部分についても相当車があふれ返っている状態でございますので、それ以降の四車線化につきましても早期にめどを立てていただけるように、これは要望とさせていただきますが、お願いをさせていただきたいと思います。

 それから、北に入りまして、旧志賀町の地域でございます。これは、現在、志賀バイパスの整備を鋭意進めていただいております。それとあわせまして、小松拡幅というところがございまして、これが現在の一六一の一番のネックになっています。非常に道路が狭隘で交通量も多いということでございますし、曲がりくねっておりますので、どうしても車の通行には支障が生じているというわけでございます。

 ここのネックが解消されない限り、北の高島市から大津へのアクセスというのが非常に悪い状況が続きますので、ここの部分には、特に小松拡幅については力を入れていただきたいと思いますが、これにつきまして、現状と今後の見込みにつきましてお話をお伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 まず、前段の志賀バイパスについても一言触れたいと思います。

 延長六・四キロの志賀バイパスでございますけれども、これまでに、大津市の荒川と同市北比良との間の三キロメートルについて、暫定二車線で供用済みでございます。残りの北比良と北小松との間の三・四キロにつきましては、現在、改良工事と橋梁の工事を推進しているところでございまして、これにつきましては、平成二十二年度末の供用を目指して工事を推進する予定でございます。

 それから、今先生から特にということがございました小松の拡幅、これは延長六・五キロメートルの事業でございます。これまでに、一キロについては四車で、さらに一キロを暫定二車で供用済みでございますけれども、御指摘のように、残る区間につきましては大津市側からの整備を進める方針でございまして、大津市の北小松地区の地元の設計協議がほぼ完了しておりまして、用地測量等を実施する予定でございます。

 先ほど、救急医療のこともございました。大津市へのアクセスという観点からも、我々も非常に重要だというふうに考えておりますので、引き続き用地測量等を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 今、地元での設計協議中ということで、用地測量等を今年度から特に力を入れて実施していただけるのだと思います。

 局長のお話にありました四車線化、一キロですが、これは昭和四十九年にもう既にできているものでございますし、それから、残りの一キロは六十三年にできている部分でありますので、相当時間がたっているのは間違いないことでございます。用地買収等で非常に難しい問題があったというのは承知しておりますが、そこから力を入れていただいているのは感謝を申し上げますが、さらに力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 それから、高島市内でございますが、現在、新旭工区あるいは高島工区、それからその北の湖北バイパスでそれぞれ整備を進めていただいているわけでございますが、これにつきましての状況を確認させていただきたいと思います。

西脇政府参考人 まず、高島バイパスについてお答えを申し上げたいと思います。

 延長十五・三キロメートルでございまして、平成五年までに全線で暫定二車線で供用を図ったところでございますけれども、近年、この供用区間におきまして交通事故が発生しているということで、現在、二つの地区において、交差点を立体にするなどの交通安全対策を実施しております。まず、新旭交差点の改良につきましては本年五月一日の供用を目指しまして、また勝野交差点及び萩の浜口の交差点の改良につきましては平成二十一年度中の供用に向けて工事を推進してまいる所存でございます。

 それから、さらに北に参りまして、湖北バイパス、延長十・八キロメートルでございますけれども、これまでに八・三キロメートルにつきまして暫定二車線で既に供用しております。残りの区間二・五キロメートルにつきましては、高島市のマキノ町地区の地元の設計協議がほぼ完了しておりまして、ここにつきましても用地測量等を今後実施する予定でございます。

 いずれの箇所につきましても、引き続き強力に進めてまいりたいと思っております。

上野分科員 最近、大変御配慮いただいていることは感謝を申し上げたいと思います。

 高島市を回っておりますと、いつも道路の話をされますので、それだけ地域の皆さんの思いというのが非常に熱いんですね。その部分にぜひこたえていただけるよう、お願いをしたいと思います。今後、補正予算等が、今月中でしょうか、国会の方に提出されるだろうと思います。もちろん国会での議論を踏まえた上ででございますが、そうした中においてもぜひ一定の御配慮をいただければと、これは要望だけとさせていただきますが、お願いを申し上げたいと思います。

 それから、この一六一に関連をいたしまして、道の駅の整備が今予定をされております。これは旧志賀町内、現在大津市のところで予定をされているわけでございますが、どうも市の方と国の方で調整がもう一つしっくりきていないようなことも聞いておりますので、今後の見込み等につきまして御説明をお願い申し上げたいと思います。

西脇政府参考人 百六十一号につきまして、特に大津市域の区間につきましては、自動車専用道路でございます湖西道路を初め、先ほどから申し上げております西大津バイパス、志賀バイパスと、沿道との出入り制限がなされている道路というのが連続しております。

 特に、西大津バイパスが国道一号と分岐する藤尾南ランプから志賀バイパスの比良ランプまでの約三十キロにつきましてはトイレ等がない状況で、これは、道路管理者である私ども国といたしましても、休憩施設の設置については十分認識しております。

 一方、地元大津市それからまた自治連合会から、こうした休憩施設の設置にあわせて、地域の活性化という観点からも、和迩インターチェンジ周辺において道の駅を設置することについて要望が出されているというところも十分認識しております。

 今、国の方と市の方との調整状況について御指摘がございましたけれども、いずれにいたしましても、道の駅を設置するということにつきましては、道路管理者である国と大津市等との役割分担をまずきちっとするということと、あと、道の駅の具体的な位置とか構造については、交通安全上の課題等の検討もあわせてしないといけないというふうに認識しておりますので、今後、この具体化に向けましては、大津市それから警察等の関係機関ときちっと必要な連携、調整の上で協議を進めてまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 適切な国と市との役割分担、それから位置、構造上の問題を明らかにということでございますので、どうしても、国の方から見ていろいろな注文する点があるんだろうと思います。そこの情報がどうもうまく伝わっていないような部分もあろうかというふうに思いますので、そこのところは連絡を密にしていただいて、こういう条件をクリアしないといけないということがあれば、それはどんどん言っていただければ、地元の方もそれにこたえていろいろと知恵を出してくると思いますので、その点をぜひお願いしたいと思います。

 それから、これはバイパスではありませんが、一六一号の大津港口の交差点がございます。京阪電車の駅、浜大津駅という中心的な駅がございまして、若干その交差点が変則的な交差点になっておりますので、ここも、大津市内のど真ん中でございますが、慢性的な渋滞が発生をしておったり、あるいは交通事故が多発している、そういう状況がございます。

 これにつきましても、現在、滋賀国道事務所さんの方で力を入れてやっていただいているというふうに聞いております。

 ただ、旧の地域でございますので、なかなか土地の権利関係等々がややこしかったりしておりまして、そこの解消にちょっと手間取っているようなことも聞いております。ぜひ、用地買収等を積極的に進めていただいて、ここの部分が非常に大津市内の交通のネックになっている部分でございますので、そこのところはさらに力を入れていただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 今御指摘ございました一六一の浜大津地区の交差点改良でございます。

 先生御指摘のとおり、非常に慢性的な交通渋滞、また交通事故が多発するということで、現在、この事業を実施しているところでございます。

 特に、ここの区間の車線が現在は三車線で、中央の一車線につきましては、時間ごとに走行車線を変えますリバーシブルレーンとして運用していることで何とか渋滞緩和を図っておりますけれども、何せ大津港口の交差点の流入部が直進一車線ということでボトルネックとなっているようでございまして、一日当たりの三万三千台という交通量をさばけない状況ということで、現在、直進車線を一車線付加して渋滞緩和を図る、あわせまして植樹帯の新設でございますとか自転車歩行者道の拡幅というようなことを行っておりますが、何といいましても用地買収というのが一つの課題だと思っておりますので、先生今御指摘もございましたけれども、ぜひとも地元の御協力をいただきながら用地買収を進めまして、事業が推進するように私どもとしても精いっぱい努力してまいる所存でございます。

上野分科員 はい、ありがとうございます。

 続きまして、都市基盤の整備等につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今、大津市内ではいろいろな地域で土地区画整理事業等を実施していただいております。その中で、二つございます。一つは、JR大津駅の西地区でございます。

 御案内のとおりでございますが、大津駅の正面は、非常に老朽化した住宅が密集する地域となっております。ここは言ってみれば滋賀県の顔の地域でもございますので、ここの整備をきちんとやっていく、そして魅力あるものにしていくということは、大津市だけではなくて、滋賀県全体にとっても非常に意義の深いことだろうというふうに思っております。

 この大津駅西地区におきましては、三ヘクタールを対象に土地区画整理事業あるいは住宅市街地総合整備事業による住環境整備、また土地区画整理事業との一体的施行により、駅前街区に面した街区〇・三ヘクタールについては、市街地再開発事業を推進していただいているところでございます。

 またもう一つ、JR堅田駅周辺でございますが、これは北部地域の都市の核として非常に期待をされているところでございます。これにつきましても、三十ヘクタールの土地区画整理事業を、これは市の事業でございますが、実施していただいているところでございます。

 この二つの都市基盤の整備の事業に関しまして、今後の見通し等につきましてまずお話をお伺いしたいと思います。

松谷政府参考人 二つの地区の区画整理について御質問がございました。

 まず最初に、大津駅西第一土地区画整理事業でございますが、平成十九年度から大津市が施行者となりまして事業を進めていただいております。

 いろいろ問題がある箇所でございますが、拠点的な、駅前にふさわしい市街地ができるようにということで区画整理事業を今鋭意進めていただいております。

 御質問の中にございましたが、特徴的なことは、駅前広場に隣接する街区で市街地再開発事業を一体的に施行するということでございますけれども、これにつきましては、三月二十七日に都市計画審議会を終了されて、今、都市計画決定の告示に向けた手続中というふうに聞いております。

 それから、堅田駅西口土地区画整理事業でございますが、これは平成十二年度から市施行で進めていただいているものでございまして、都市の骨格となる幹線道路、それから駅前広場を含む地区でございます。現在、仮換地、土地がどう動くかということについての指定が終わりまして、駅前地区に、駅前に近い街区の整備、それから、幹線道路を早期に開通させるということで、幹線道路を含む沿線のところを先行的に整備を進めている段階でございまして、平成二十五年完了を目標にしているというふうに聞いております。

 いずれの事業も、市としては精力的に取り組んでいただいておりますが、駅前の非常に大事な地区でございますので、国土交通省としても、引き続き全面的に支援をしてまいりたいと思っております。

上野分科員 はい、ありがとうございます。

 この二つの事業ですが、これまで、過年度におきましては約七億五千万円、そして今年度は一億七千万円の国庫補助をいただいているという、非常に手厚い措置をしていただいておりまして、そのことにつきましては感謝を申し上げたいと思います。

 そうした中にありまして、まず一つお伺いをしたいのは、そこで暮らしている方が今回の事業進捗によって住宅を失うというケースが多々生じるかと思います。そうした、住宅困窮者と言っていいのでしょうか、ちょっとわかりませんが、住宅を失う方に対する手当てというものにつきましてはどのようにお考えなのか、御所見をお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 土地区画整理事業等の円滑な実施を図るためには、事業の進捗により住宅を失う方への配慮を図ることが、先生御指摘のとおり、極めて重要であるというふうに考えております。

 大津駅西地区におきましては、事業の進捗により住宅を失う方々のための受け皿となる住宅の整備を予定しているというふうに聞いておるところでございますけれども、受け皿住宅の建設とかあるいは家賃減額、こういったものに対しまして、都市再生住宅等整備事業という事業がございます。こういった事業を活用いたしまして、必要な支援を行っていきたいというふうに考えております。

上野分科員 はい、ありがとうございます。

 特にこの大津駅前の地域につきましては、先ほど申し上げましたような、滋賀県の顔であると同時に、大津祭という四百年前から続く祭典がございまして、それが地域の活性化にも非常に貢献をしているわけでございます。今回整備をいろいろ進めるに当たりましても、やはり歴史的な資産といいますか、そうしたものを大切にしながらまちづくりを進めていくことが私は必要だというふうに思います。

 今、地元の皆さんからもいろいろな御要望があるわけでございますけれども、やはり住宅のファサード整備をぜひ歴史的な町並みにふさわしい形で進めていただきたいというふうに思っておりますし、できれば今回の事業の中でこれを一体的に施行していただくことが望ましいのではないかというふうに思っておりますが、この点につきましてはいかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 土地区画整理事業等の実施とあわせまして、住民が主体となり良好な町並みの形成を図っていくことが極めて重要であるというふうに思っているところでございます。

 そこで、良好な町並みの形成への取り組みでございますけれども、街なみ環境整備事業という事業がございまして、これによりまして、まちづくり協定の締結されている区域等で、今先生お話のありました住宅のファサード整備、こういったものに対する支援を行うということが可能でございますので、土地区画整理事業の進捗に合わせまして、地方公共団体の要望をよくお聞きしながら、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 はい、ありがとうございます。

 今の事業、ぜひ、地元からの声が前提でございますが、うまく組み合わせていただいて事業の進捗を図っていただきたいと思います。

 大津駅西地区につきましては、住宅局と都市局と、いろいろ事業が入り組んでいて、私もなかなか難しいなと思いながら、よく協力してやっていただいているのでその点は感謝をしたいと思いますが、縦割りにならないようにぜひお願いをしたいと思います。

 最後になりますけれども、河川の関係でございます。

 河川整備を滋賀県内でもいろいろな形で進めていただいております。湖西地域でも、鴨川、これは高島市ですが、それから大津市にある真野川の河川改修が今進められているところでございますが、若干、滋賀県全体で見ると湖東地域に重点的に今予算配分がなされているような気がいたします。いろいろな事情があるんだろうと思います。

 この点に関しまして、鴨川と真野川の河川改修の今後の見込みにつきましてお話をお願いしたいと思います。

 それと、最後に、これは通告せずに大変恐縮でございますが、大戸川ダムの整備に関しましては副大臣にも大変な御尽力をいただいたわけでございます。いろいろな形で決着をしているわけでございますけれども、その中で、関連道路の整備につきましては、これを積極的に進めていこうということで位置づけをしていただいているわけでございますが、これにつきましての決意といいますかお考えのようなものを、局長さんか次長さんで結構でございますので、お話しいただければと思います。

田中政府参考人 まず最初に、鴨川と真野川の改修についてでございます。

 両河川とも滋賀県が管理をしている河川でございますが、まず鴨川につきましては、昭和四十七年の洪水を契機に昭和四十八年度に河川改修事業に着手をしまして、鋭意改修を促進してきたところでございまして、全体延長約七・六キロのうち約四・三キロメートルが概成をしておるところでございます。現在、支川の青井川において放水路の整備を重点的に実施しておるところでございます。

 また、真野川につきましても、流域の市街化の進展に伴いまして、治水安全度の向上を図るために平成六年度に河川改修事業に着手をいたしまして、鋭意用地買収の促進を図るとともに、平成十九年度より下流部の整備に着手をしておるところでございます。

 滋賀県におきましては今後の河川整備について検討されておりまして、「中長期整備計画実施河川の検討」というものを昨年十月に公表されてございます。その中におきましても、鴨川及び真野川の両河川につきましては、今後おおむね二十年間で一定区間の流下能力の向上を図る必要がある河川、要は整備を促進する河川だということの位置づけをされてございますので、今後とも整備の促進を図っていく予定であるというふうに県の方からも聞いてございます。

 国といたしましても、地域の安全な暮らしを守るため、河川の改修について、引き続き必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、二点目の大戸川ダムの関連道路の関係でございます。

 大戸川ダムにつきましては、いろいろ歴史もございまして、地元住民の方々についてもいろいろ御迷惑をかけてきたところでもございます。必要な道路につきまして、ダム事業でできるものについてはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

上野分科員 どうもありがとうございました。特に河川改修で、また今後、補正予算等の議論がひょっとしたらあろうかと思いますが、そうした中でも前広に考えていただけるとありがたいと思います。これは要望とさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

武藤主査代理 これにて上野賢一郎君の質疑は終了いたしました。

    〔武藤主査代理退席、主査着席〕

福島主査 次に、横山北斗君。

横山分科員 民主党、横山北斗です。

 本日の本会議でタクシーの規制緩和のことが取り上げられましたけれども、きょう私はトラックの事業について質問をしてまいります。これまでの国土交通委員会での質疑の経緯とかがあったとしても、ちょっと私は知らなくて申しわけないんですけれども、いろいろと教えていただきたいと思います。

 まず、規制緩和の影響がトラック事業に対してどういうふうになっているのか。これによって参入者がふえたと思うのですけれども、まず規制緩和の内容について、どういう形であれば会社を起こせるのかとかいうことについてお尋ねいたします。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 トラック事業についての規制緩和の経緯あるいは趣旨を御説明申し上げます。大きく二回に分けて規制緩和が実施されております。

 最初は平成元年の、現在の貨物自動車運送事業法の制定というタイミングでございます。平成二年から実施されたところでございます。

 趣旨としましては、トラック運送にかかわる輸送ニーズが高度化あるいは多様化していることに対して弾力的に対応し得るようにするために、参入規制等についての自由度を高める。これによって、事業者の方々がその創意工夫を生かした事業活動を迅速的確に行えるようにするという趣旨でございます。

 具体的な内容としましては、それ以前の新規参入に関する需給調整を廃止いたしまして、免許制から許可制に改めるというのが第一点。第二点目としまして、それ以前は路線のトラックと区域のトラックといったような事業区分がございましたけれども、従来の区域のトラックにつきましても貨物の積み合わせ運送による路線トラックができるようにいたしました。それから三つ目としまして、運賃・料金について、それ以前は認可制でございましたが、事前届け出制ということに改めました。

 そして、平成十四年のこの法律の改正、施行は平成十五年になりますけれども、それでさらに規制緩和を進めまして、具体的な内容といたしましては主に二点ございます。

 これは、それ以前は一定の地理的な範囲を各事業者の方の営業区域として設定いたしまして、貨物の発地あるいは着地どちらかが営業区域に入っているように、逆に言えば、貨物の発地、着地いずれも営業区域外でありますとその輸送を禁止するといった制度、これは営業区域規制と呼んでおりましたけれども、これを撤廃いたしました。それから二つ目の柱としては、運賃・料金は事前届け出制をさらに事後届け出制に改める。

 こういった規制緩和をトラック事業の分野では実施してまいったわけでございます。

横山分科員 そうしますと、その結果として新規参入者はどの程度の数であったのでしょうか。もし可能なら、トラックの台数とか従業員の規模とか、そういう大、中小、零細というような視点で分けていただきたいんです。

本田政府参考人 データを少し御説明申し上げたいと思います。

 まず、平成二年度、ちょうど今御説明いたしました規制緩和が行われる直前と申しますか、その段階では、まず全国でトラック事業者の数が三万九千五百五十五社、約四万社ということでございます。これに対しまして、直近の平成十九年度でございますが、六万三千百二十二ということで、約五割、まず全体のトラック事業者の数がふえております。

 それから、先生今まさに御指摘のその内訳を見てみますと、例えば車両台数でいきますと、十両以下といった事業者の方の数でございますが、同じく平成二年度におきましては、まず実数として一万六千九百九、先ほど申しました全体の三万九千五百五十五の中では比率として四二・七%になります。

 ここの十両以下の事業者の方だけを比較させていただきますと、平成十九年度にはどうなっておるかといいますと、三万四千九百八十六ということで、まず倍以上に増加しております。もちろん、全体が大きくなっておりますので、倍以上に事業者数がふえておりまして、先ほど御紹介いたしました全体のトラック事業者の六万三千百二十二のうちの比率が五五・四%、こういう数字でございまして、事業者全体がふえるとともに、その中で車両数の小さい、端的に言うと小規模の事業者の方がより以上にふえている、こういう結果でございます。

横山分科員 それで新しい、トラックの台数の少ない業者がふえて、それによってこれまで五十台とか八十台とか持っていた会社との間で新しい事業をめぐってとり合いになるだとか、さまざまな問題が生じていると思うんですけれども、規制緩和から今日までのトラック事業の全体を見て、国交省としてこの規制緩和のメリット、デメリットなどについてどう評価されているのか、お聞かせ願えればと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、規制緩和のある意味でメリットということでございますが、先ほど申しましたように、トラック運送事業への新規参入が容易になり、市場そのものの活性化にはつながったと考えられます。特に、営業区域の規制緩和で、あらゆる事業者の方が全国どこででも荷物を運べるということで、新たな荷主を獲得することができるといったことにもなりました。また、運賃・料金の設定につきましても、利用者ニーズに対応した弾力的な運賃・料金の設定が可能になり、メール便あるいは多様な運賃割引といったものが出現してまいり、一定のメリットがあったと思っております。

 なお、平成十九年の内閣府の調査によれば、トラックの規制緩和によるこうした運賃低下に伴うメリットとして、平成十七年度時点で三兆四千億円の経済効果があった、こういう報告がなされております。

 他方で、やはり大変熾烈な競争が実際生じております。この結果、個々のトラック運送事業者の方にとっては大変厳しい経営環境になっているという指摘もございますし、昨今のような経済状況もございまして、例えば社会保険にも入らないといったような形で運営が行われている、非常に不健全な競争が実施されているというような実例も、これは私どもとして事実として把握しているところでございます。

横山分科員 わかりました。

 今、規制の緩和ということについてお聞きしました。それで、規制を強化したというわけではないんですけれども、この間、トラック事業を見てくる中で、例えば安全な走行とかドライバーの健康管理とかそういうことに関して、この規制の緩和と連動してということではなくして、さまざまな、例えば、二十年前ならなかったようなことが新たに出てきたとか、運行記録をとって、急ブレーキを踏まないように、そういうことが記録されていって安全な走行を確保していくとか、それから、何時間走ったらどれだけ休みをとってドライバーの健康管理に注意してもらうとか、そういうようなことが、昔はなかったものが何年ごろからか出てきたと思うんですが、そういう健康管理や走行の安全面でのこれまで国がとってきた配慮といいますか指導について、関係各省にお尋ねいたします。

本田政府参考人 まず、国土交通省の方から御説明をさせていただきたいと思います。

 やはり公共交通機関として、安全の確保というのは最重要の課題である、規制緩和がある、なかろうと最重要の課題であると考えております。そういう意味で、トラック事業者において運転者の労働時間の管理あるいは安全運転の指導が適切に行われるということは極めて重要であるというふうに思っております。

 幾つか御説明をしたいと思いますが、今先生からお話のありましたように、トラック運転者の方は、やはり長距離運転が常態化しやすいというふうに考えられる大変大きな大型の貨物自動車、そういったものがございます。そこにはやはり、運行実態を把握し、それをもとに乗務員の指導あるいは労働時間の管理を行うというために、運行記録計の装着の義務づけをまずいたしております。

 それから、厚生労働省の方で告示をしていただいております自動車運転者の労働時間等の改善のための基準というものを踏まえ、私どもとしても、これに違反した場合には、貨物自動車運送事業法、いわゆるトラック法に違反する行為として、行政処分を行うといった形で是正を図ってきております。

 また、運行の安全を現実に実行するためには、トラック事業者みずからのみならず、やはりそこに荷物を預けられる荷主さんの方々の協力も得る必要があります。

 そういう意味では、荷主さんも交えた安全運行のための協力体制、こういったものを実施するためのガイドラインを取りまとめるとか、あるいは、貨物自動車運送事業法におきましては、そういった安全問題に荷主が関与しておられるようなときにはその是正を直接荷主の方にお願いする、荷主勧告制度というのがございまして、かつては過積載に関してその是正をお願いするようにしておりましたが、昨年四月から、過積載に加え、過労運転あるいは最高速度違反に対しても荷主勧告制度を適用するといったような対応をしておるところでございます。

渡延政府参考人 厚生労働省でございます。

 厚生労働省といたしましては、トラック運転者については長時間労働の実態が見られるところでございまして、こうした自動車運転者について、労働時間を初めとする労働条件の向上を図ることを目的といたしまして、平成元年に、ただいま国交省からも御紹介のありました自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を大臣告示として定め、これを遵守するようトラック運送事業者への指導を行っておるところでございます。

 改善基準告示につきましては、その乗務の特性を踏まえつつ、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間の制限や休息期間等の規制のあり方について、制定当時の、公労使三者構成の中央労働基準審議会において、トラック業界の関係労使の方々にも御参画いただきまして、合意形成を図りながら制定したものでございます。

 改善基準告示の内容といたしまして主要なものを御紹介いたしますと、労働時間と休憩時間の合計である拘束時間の限度については、一日原則十三時間以内、一カ月二百九十三時間以内とすること、勤務と次の勤務との間に最低限確保すべき休息期間の長さについては原則八時間以上とすること、運転時間の限度については、一日九時間以内、一週間四十四時間以内とすることなどを規定しておるものでございます。

横山分科員 では、その成果について、わかる範囲でお答え願えますか。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますが、まず、私どもの方では、過労運転の防止等を通じて輸送の安全を確保するということから、トラック事業者における運転者の労働時間の管理あるいは安全運転指導が適切に行われますように、先ほどの運行記録計の装着義務づけ、あるいは監査、行政処分の着実な実施等に努めております。先ほどちょっと触れませんでしたが、監査、行政処分につきましては、平成十五年以降、順次その体制を強化するとともに、処分基準についても強化を進めております。

 それで、成果というとあれですが、その結果としてでありますけれども、平成十五年には、事業用トラックに係る交通事故件数は約三万七千件でございました。これが平成二十年には、約二万九千件といった形で減少をしております。また、事故に伴って亡くなられた事故死者の方でございますが、平成十五年に六百八十五人おられましたが、平成二十年には四百五十人にまで減少するといった形になっております。

 ただ、やはり、年間二万九千件の事故件数あるいは四百五十人の事故死者数というのはまだまだ正直高い水準にあるように考えておりまして、このために、昨年秋から、トラックを含む、その他のバス、タクシーも含みます事業用自動車について、より強力に安全対策を講じようということで、関係者の皆さんにお集まりいただいて半年間議論をさせていただき、この三月に事業用自動車総合安全プラン二〇〇九という総合対策という形にまとめさせていただきました。

 この計画においては、今後十年間でさらに、今申し上げました死者の方々あるいはそれに関連する人身事故の件数を半減しようという目標を掲げまして、あらゆる角度から必要とされる施策、これを総合的に、しかも全国でいよいよこれから実施してまいりたい、かように考えておるところでございます。

渡延政府参考人 トラック運転者の労働条件の状況、労働時間を一例として申し上げます。

 賃金構造基本統計調査報告に基づいて大型トラック運転者の年間の総実労働時間をとっておりますが、平成二十年では二千五百五十六時間でございます。改善基準告示が定められた平成元年の二千九百十六時間から、三百六十時間の短縮を見たところでございます。

 しかしながら、全産業労働者の平均の二千百四十八時間と比較した場合には、なお四百八時間長く、依然として長時間労働の実態にあるものと認識いたしております。

横山分科員 ありがとうございました。

 それではもう一つ、大臣に最後お尋ねする前に、細かい点、細かい点ということではないんですけれども、今言われたような規制というのは、例えば大企業であれ中小零細企業であれ、一律に適用されるものでしょうか。つまり、何らかの罰則があるわけですけれども、全国一律に適用されている、どういう形の企業に対しても。例えば十人以下の会社であれば少し甘くなるとか、大企業なら厳しくなるとか、そういうのというのは、実態としてどういうふうに御認識しておられますか。

渡延政府参考人 まず、労働条件面についてお答え申し上げます。

 先ほど御紹介いたしました改善基準告示につきましては、もともと制定いたしました趣旨が、長時間労働の実態が見られる自動車運転者の、労働時間を初めとする労働条件の向上を図ろうとするものでございます。

 この基準は、こうした性格上、ただいま先生から御指摘ございましたが、企業の規模あるいは都市と地方の違い等といったものにかかわらず、全国一律の規制によるものが望ましいものと考えておりまして、公労使三者構成の審議会において、トラック業界を含む関係労使の方々に御参画をいただき、規模、事業活動を行うエリアなど、多様な事業者の実態を踏まえつつ、押しなべて遵守いただくべきものとして、合意形成の上で定め、今日まで、また見直しを行ってきておるものでございます。

 こうした内容のものでございますので、国土交通省とも十分に連携を図りまして、また先ほどお話がありましたとおり、荷主さんの御協力がこういった労働条件の改善には不可欠でございます。国交省とも連携の上、荷主団体への遵守に向けての協力のお願い、また、そうした工夫を加えまして達成した好事例の収集、紹介といった取り組みを行いまして、遵守を促しておるものでございます。

 なお、改善基準告示につきましては、告示でございまして、違反につきましての罰則はございません。

横山分科員 ありがとうございました。

 それで、今ドライバーの健康管理とか安全面での向上という観点で、事故が三万七千から二万九千に減少、死者が六百八十五から四百五十に減少、労働時間も二千九百十六から二千五百に減る、そういう成果が認められる。認められるけれども、しかし、他の産業と比べると、まだ事故が多い、労働時間が多いという点で、ますます改善をという話を伺いました。

 私、それはもちろん、安全面での向上という点から国が指導し、そして成果を上げてきたということについては重々理解しておりますし、これまでも、恐らくはそういう国土交通委員会、厚生労働委員会で長時間の質疑を経て、また関係者、業界団体等の話を経て、今日に至っていることはわかるんです。

 一方で、全国一律、どういう企業に対しても等しく適用されるということは、それは望ましい面もあるんですが、例えば現実問題として、私の地元は青森県です。青森県からリンゴを運ぶのに、今荷主勧告制度ということが言われました。そういうのがあるとはいっても、現実に、朝の何時までにこれだけリンゴを持ってきてくれとかいう要望というのは、どうしてもリンゴを売る側の方からの要望としてあるわけです。

 それが今のトラックに課せられている規制を適用すると、その時間までにリンゴが届かない。届かないと業者の方は、ではより近くから持ってこられる長野のリンゴにするよとか、あるいは会社もかえるとか。現実に、大企業の運送会社なんかですと、そういう向こうからの要請に対して、いや、今はコンプライアンスを遵守しなきゃいけないからと言って、断ることができるんですが、中小企業なんかだと断れない。断れば仕事がなくなってしまうというようなものを抱えていることが現実にございます。

 ですから、私は、別に制度を緩めろとか、成果が上がっているものをどうしろということではないんですが、何らかの形で、現実に全国一律に適用されていることが、青森県で五十台ぐらいトラックを持ってやっている業者にとって、これは中小企業いじめだよとかいう声が私のところに寄せられております。そういうことから考えたときに、地域ごとによって、あるいは会社の規模によって、もう少しきめ細かな対応があってもいいかなというふうにも思いますが、そういうことを含めて、大臣の方から何か御見解をお聞かせ願えればと思います。

金子国務大臣 今、青森のリンゴの例を挙げて言われました。だからこそ、青森のリンゴは東京では評判がいいんじゃないかなという感じもします。

 申し上げたいことは、トラック運転手を交通労働災害から守る、これは運転手の、ある意味、こういう防止をしてあげるということ、それから第三者を巻き込む悲惨な交通事故の防止というものがこのもともとの考え方。したがいまして、すべてのトラック事業者にこれを遵守してもらうというのが基本だと思います。

 そういう意味で、トラック事業者に対する、運転者の運転時間等に関する規制、これを全国統一で決めておりますのは、厚生労働省の改善基準告示を踏まえて設定し、過労運転防止などを通じて輸送の安全を確保するという観点から設けているものですから、どこにあるかという、地域、それから事業規模に左右され、別々にこれで全部対応するのかということになりますと、やはり左右されるものではないんだろう。

 おっしゃる趣旨はわかるんです。何かそれを逆に、うまく活用して、今の問題は、トラック運転者を交通労働災害から守っていく、悲惨な交通事故を防止するということが大きな目的でもあるものですから、何か逆に、これを使って生かせる方法というのはないものなのかな、私の方でもまた検討してみたいと思います。

横山分科員 ありがとうございました。

 私も、交通労働災害があってこういう状況に至っているということは十分理解できますが、業者さん、トラックの事業者が、今のままでは中小企業いじめだというふうに、それによって従業員も解雇されるとかいう現実もあります。

 要するに、首都圏に近いところだと考え及ばないですが、青森のように、遠くから運ばなきゃいけないところだと、今の規制が逆に会社や従業員にとって厳しいものになっているということもありますので、何らかの形での検討を大臣にお願いいたしまして、私の質問を終わります。

福島主査 これにて横山北斗君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 民主党の仲野博子でございます。

 金子副大臣、お久しぶりでございます。

 ちょうど昨年の今月二十一日に、この決算行政監視委員会で地方空港のあり方について質問させていただきました。昨年のこの分科会で質問させていただき、ちょうど一年がたちまして、当時の局長からは、地方空港の国内線の配分、あるいはまた、今地方空港の路線がどんどん廃止をされている中で地方路線を守っていくということは大変重要な課題である、そこで懇談会を立ち上げて十分議論したいとのことでしたが、その懇談会の今日までの進捗状況について、まずお尋ねをしてまいりたいと思います。

前田政府参考人 羽田空港の再拡張は来年の十月に予定されておりますが、それによって増加します国内線の発着枠、この具体的な配分のあり方について、今先生御指摘のように昨年十二月に、学識経験者を含めた検討の場として、羽田空港発着枠の配分基準検討懇談会を立ち上げました。

 それで、第二回が本日開かれまして、今ちょうど開かれている最中で……(仲野分科員「きょうですか」と呼ぶ)はい、今開かれておりまして、きょうはちょうど、航空会社それから地方公共団体といった関係者からヒアリングを実施しているところでございまして、私も今まで出席しておりました。

 それで、この今回の懇談会で、ただいま先生御指摘のありました羽田と地方路線のネットワークのあり方、これが大きなテーマの一つとなっておりまして、本日、地方公共団体を代表して谷本石川県知事が出席されておられましたが、地方ネットワークの維持、充実について意見が述べられたところでございます。

 たった今資料をもらいましたので引用させていただきますが、谷本知事の御意見では、大手、新規を問わず、地方路線に就航し、地方の活性化に協力する航空会社に増加発着枠を活用してほしいという、かなり強烈な意見が述べられたところでございます。

 今回の懇談会、今、谷本知事の御意見を引用させていただきましたが、さまざまな観点からいろいろな意見が出てくるものと思われますし、地方ネットワークの維持、充実という観点も含めて議論を深めて、本年夏ぐらいを目途に取りまとめを行っていきたいというふうに考えております。

仲野分科員 きょうたまたまホットな、きょうこの会議でちょうどよかったかなと思っております。

 地方路線も何とか充実していただきたい、そういった御意見もあったということで、そういった意見をしっかり受けとめて、航空行政としてこれからしっかりとその意見を受けとめて、地方路線に支障のないように、しっかりとその期待にこたえていただきたいなと思っているわけでございます。

 実は今月の十四日、私の地元であります中標津町、中標津空港利用促進に関する要請ということで期成会、町長さんを先頭に、管内の四十二団体のそれぞれの代表者の皆様方が会館に寄って、何とかこの地方路線の充実、とりわけ、昨年四月に中標津―新千歳空港の路線が突如として廃止をされ、今まで羽田と中標津をつなぐ便も、以前は二便あったんですけれども、今は一便しかない。

 しかも、御案内のように、世界自然遺産という観光地もありますし、そしてまた、我が地域は農産物、水産物がある中で、そういったやはり安全、安心を考えた場合に空輸ということもあるので、そういったこともしっかりと考えていただきまして、とりわけ、私の地元であります中標津空港と羽田空港、今一便でありますけれども、とりあえず夏のシーズンだけでもいいですのでこの増便ということについて、局長、ぜひお考えをお聞かせいただければと思っております。

前田政府参考人 中標津空港、私も参ったことがありますので、中標津にとって航空路線がいかに大事かということについては私も十分に認識しているつもりでおります。

 具体的な路線での増便ということについては、基本的には航空会社それぞれの判断ということになりますが、ただ、私どもも、この懇談会でも議論されているとおり、地方ネットワークの維持あるいは拡充というものは非常に重要だということを思っておりますので、航空会社に対しては、発着枠の問題はもちろんありますけれども、それから航空会社の経営判断もありますが、地元の意見というものを十分にしんしゃくして尊重するようにということは言っておるところでございます。

仲野分科員 ただいま局長からもお答えいただいたんですが、金子副大臣も、九州、熊本からいらっしゃっているので、多分、地元の方から地方路線のあり方について、地方空港のあり方についていろいろな御意見等を寄せられていると思うのです。そういったことを踏まえて、今局長からお答えいただいたんですが金子副大臣からも、地方空港の充実というか、これからの支障のないようなあり方について、答弁をいただきたいと思います。

金子副大臣 仲野先生の御地元にも、三年前でしたか農林水産委員会で行かせていただいて、中標津空港も行かせていただきました。

 本当に地方にとって重要な足でありますので、今局長からも御答弁したように、とにかく利便性というか、地元の皆さん方から信頼をしていただけるような、そういう航空行政のために、局長等ともども頑張っていきたいと思っております。

仲野分科員 また来年この委員会で、本当にもうばっちりだよというようなことになるように期待をして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 今、未曾有と言われる景気の悪化が続く中で、北海道における中小企業、とりわけ地域に密着した形で経営を展開している中小規模の建設業が、ますます大変危機的な状況に陥っております。

 そこで、私の地元北海道は、国土の二二・一%を占め、広大な平野部は我が国最大の食料供給基地として、また、昨年洞爺湖のサミットでも紹介されましたとおり、七割が森林に覆われ、国内の天然林の四割近くを保有する貴重な緑の環境資源地域であります。一方、人口は全国の四%と広域分散型。開発の歴史も、明治の開拓使に始まり戦後六十年と浅く、気候は積雪寒冷という特徴もあります。

 このような中で、北海道の建設業は、広大な道路や河川などの社会基盤の整備、管理や冬季の除雪活動、災害、緊急時の技術者や資材の派遣と復旧活動などを支えており、寒冷地開発における独自の技術力と人的資源も有しております。また、地域経済と地域雇用を支える重要な基幹産業ともなっているわけでございます。

 そこで、副大臣にお伺いいたしますが、この経済危機において、建設業、とりわけ北海道開発にかかわる建設業の経営の現状について、そして道内の建設業がこれまで北海道の社会基盤の整備やその維持管理などに果たしてきた役割について、その基本的な御認識をお聞かせいただきたいと思います。

金子副大臣 先生は北海道、私は九州、同じような地方から出てきた議員としては、全く同じような認識でおりまして、そういう意味では、今回の質問においても、先生が御納得できるかわかりませんが、きちんとした答弁をさせていただきたいと思います。

 北海道の建設業というのは、もちろん道路とか河川等の社会資本整備の担い手であるだけではなくて、その地域内の総生産に占める建設投資比率とか全就業者に対する建設業就業者数は、それぞれ一割を占めておりまして、基幹産業として地域の雇用を支えておりまして、北海道の経済社会の発展に不可欠な存在ということで認識をしております。

 特に、九州と違ってやはり積雪寒冷、それから広域分散型社会であるということは、ほかの地域と比較しても、自然的にも経済的にも社会的にも、北海道の社会資本整備においても、長年蓄積した技術を生かして、整備、維持の主体として地域に大変貢献してこられたと思います。

 また、冬季の恒常的な除雪あるいは突然の大雪に対して迅速に対応する、あるいは人命被害の防止にも多大な貢献をしてきたというふうに十分認識をしております。

 さらに、最近は非常に予想もつかないような集中豪雨がありますから、豪雨による土砂崩れとか河川のはんらん等の際には、真っ先に現場に駆けつけていただいて、復旧復興に御尽力いただいております。地域の暮らしを支えるという意味では、本当に地域とともに発展してきていただいておりますし、建設業の方々がお支えをしていただいたということで、私自身も感謝をしているところでございます。

 しかしながら、北海道においては、非常に景気も厳しい状況の中、あるいは公共投資がこの何年かずっと落ちてきたということもあって、北海道の建設業の倒産件数というのは、全産業に占める比率が全国平均に比べて高いわけですね。ですから、かつてない厳しい状況に置かれておるという危機的な意識を持っているところでございます。

仲野分科員 今、副大臣から御答弁をいただきまして、北海道の事情を御認識いただいておられるということです。

 今、この開発予算につきましても、北海道局を中心に、旧年度の第一次、二次補正とゼロ国債で、三月末を目途に発注作業を終えられ、今は新年度予算の取り組みを進めていることは承知しております。一方、一連の不祥事が続いた中で、公平公正な入札が求められていると同時に、地域経済や地域の雇用維持に直接かかわる中小規模の地元地場産業への入札参加機会の拡大や、迅速な発注作業ということが待ったなしの状況であることも御理解を願いたいと思います。

 政府の一連の経済対策において、とりわけ経済環境が厳しい北海道等の地場の小規模建設業やその関連企業に対する支援策について、ダンピング受注や低価格入札による弊害対策などを含め、政府としてどのように考えているのかを、これも副大臣にお聞かせいただければと思います。

金子副大臣 どうも建設業というのは何か暴利をむさぼっているようなイメージがあって、ここ何年か、建設業に勤務されている人たちは、寂しい思いというか、本当に苦しい中でやっていらっしゃいます。どうも価格が低ければ低いほどいいようなイメージがあるわけでありますが、今、先生からお話のあったダンピング受注については、価格を下げるために公共工事の品質への影響もございます。また、下請へのしわ寄せが出てくる、あるいは労働条件が悪化して安全対策の不徹底につながるものであって、これは国民の視点からいっても、あるいは、これは建設業の健全な発展を阻害するものであると私は思っておりまして、そのために、総合評価方式を用いるとか、入札制度に今、国土交通省も積極的に取り組んでいるところでございます。

 しかしながら一方、北海道開発局におきましては、平成二十年度の低入札価格調査案件については八十六件でございました。前年度に比べて一・五倍と増加しているところでございまして、ますますダンピング受注というのがふえているわけですね。

 低入札の対策として、我々も、さっき言いましたように、手をこまねいているわけではなくて、真剣にここは取り組んでいるところでございます。この低入札の対策としましては、昨年度から、余りにも低い低入札価格調査基準価格を見直しました。それから、施工体制が確実に確保できるかを審査する施工体制確認型総合評価の適用範囲を、今まで二億円以上だったのを一億円以上に拡大をしたところでございますし、低入札工事において、見えない部分についてのビデオ撮影とかモニターカメラの設置など、重点監督対象についても、適用範囲を二億円以上から一億円以上に拡大をいたしまして、そういう部分についてもきっちり監視をしていこうという体制にもしておるところであります。

 また、さらに今月から、昨年からありました低入札価格調査基準価格のさらなる見直しを行いまして、対策の強化をして、とにかく、仕事がないから赤字覚悟でとるような、そんなばかなことはないわけでありますので、そういうことも含めて、公平公正な入札制度にすべく、今努力をしているところでございます。

仲野分科員 そういった取り組みということについては評価させていただくと同時に、やはり品質と価格、この両面からの審査をしっかりと充実させていただきたいな、そのように要望させていただきたいと思います。

 地域の小規模の建設業は大変深刻な状況に陥っており、昨年、本当に我が地元も、次から次と倒産をするような大変寂しい状況が後を絶たないわけであります。中には、資金繰りが立ち行かないために黒字倒産という企業もありまして、このままでは地域に対する雇用、経済対策が計画倒れになるおそれさえある。

 そこで、政府として、大企業による中小企業へのいじめや、金融機関による貸し渋りの防止について、現行制度でどのような対応をされているのか、また、今後しようとしているのかをお聞かせいただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業を取り巻く状況が非常に厳しい中で、今委員御指摘ございましたように、建設業者の中には資金繰りに大変窮しておられるというお話をよくお聞きするところでございます。建設企業が必要な資金を調達して経営基盤を強化するという対策は、何よりも大事だというふうに認識しておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、建設企業に対しまして円滑な融資が行われるよう、金融庁と密接な連携をとらせていただいております。また、中小企業庁とも連携をして、緊急保証制度におきまして建設業の全業種を対象業種に指定していただいて、同制度の活用を図っているところでございます。

 また、国土交通省独自の資金繰り対策といたしまして、中小、中堅建設企業が公共工事を請け負った場合に、その代金債権を活用いたしまして地域の金融機関から融資を受けることができるような融資制度を昨年創設いたしました。その後、さらに、その制度を活用するような企業に対しまして金利負担をいたそうという措置もあわせて講じたわけでございます。そういう点もございまして、本年三月末までに、その制度の利用状況は、全国で合計千二百八十二件、約三百五十六億円の融資が出ております。北海道でも、二十三件、約十二億円の融資の実績が出ておるところでございます。

 また、下請の建設企業や資材業者の方の資金繰り対策、これも大変重要だと思っておりまして、元請の建設企業に対しまして持っておられる工事代金債権や手形といったことについて、ファクタリング会社による買い取りを促進しまして、少しでも早く債権を現金化できるようにというような制度について、現在、検討を進めさせていただいているところでございます。

 国土交通省といたしましても、これら各種融資制度についていろいろお問い合わせにお答えするなり、あるいは貸し渋りといったことに対しましても御相談を受ける窓口といったものを現地でも設けてございます。

 そういったことで、いろいろな御意見を聞きながら、今後とも、建設企業の円滑な資金調達の支援について、金融庁、中小企業庁とも連携をしながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

仲野分科員 さまざまな制度を活用して努力されているようでありますが、北海道で二十三件利用された、予算にして十二億ということで、北海道が厳しい割には、本当に、この実績を見ましたら非常に少ないと。

 実は、昨年、総理が総合経済対策の大きな柱ということで、信用保証協会緊急保証制度ですか、そういったことを大きく掲げた割には、釧路も事業所がありまして、本当にどうやって年を越したらいいのかということで建設業の代表者が相談窓口に相談をさせていただいたところ、経営実績だとか、あるいは償還能力が云々だとか、そういったところでどんどんはじかれている。大きくアドバルーンを上げた割には、もう全然何も変わっていない、そういう声を私の事務所の方に多くいただいたものですから、そういった実態もあるよということです。

 今、驚きました、たった二十三件しかなかったのかなということで、これは周知徹底、そして、しっかりとやはり光を、手を差し伸べてやるような制度にしていただけるように、お願いをさせていただきたいと思います。

 実は、今、市町村も都道府県も大変厳しい財政環境にあるわけであります。一方で、一九七〇年代までの高度経済成長期に道内で建設された施設の多くが、今後十年を待たずに一斉に大規模改修やあるいは更新期を迎えると聞いております。全国的にも同様の状況になっていると思います。

 したがって、この既存ストックの有効活用という観点から、補修作業による施設の長寿化の必要性が求められております。例えば、小中学校の耐震補強工事や、地震地帯における公立病院への耐震補強事業などを全国一斉に緊急対策として進めることができれば、不況に悩む地域への経済効果が発揮できると考えるわけであります。

 多額の予算を必要とする大規模な公共事業の拡大よりも、このように地域に密着した維持管理型公共事業への比重の拡大の方が、地場産業の技術と雇用維持、確保という観点、地域の災害防止と安全、安心の確保という観点からも必要性が大きいと思われますが、このことについて、北海道局長からお答えいただきたいと思います。

奥平政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。我が国の社会資本全体でございますが、戦後から高度成長期にかけまして集中的に新設がなされた。この結果でございますが、今後、建設した後、長期間経過した社会資本、高齢化あるいは老朽化したような、そういった社会資本が今後急速に増加することとなります。

 例えばでございますが、北海道において、道路の橋でございますが、国道と道道にかかっております道路橋、全部で八千六百ほどあるんですが、現時点で建設後五十年たっておるものは、そのうち約二百橋でございます。十年たちますと二千百橋になり、二十年たちますと四千三百橋ということで、全体の半分が二十年後には五十年以上経過する、こういう状況でございます。

 したがいまして、こういったことから、今後は、道路を新設する、あるいは改築する、そういった仕事の方から、除雪も含みますけれども日々の維持管理、あるいは橋梁などの構造物の適切な更新、それから災害発生時の迅速な対応、これらによりまして、あるものを上手に使っていくといったような仕事の方に、これまで以上に比重が移っていくものというふうに認識をしてございます。

 したがいまして、先生御指摘ありましたような、国民の安全、安心の確保、あるいは既存ストックの有効活用、それから投資の重点化、さらには地域の雇用確保といったような観点からも、この社会資本の計画的、効率的な維持管理に対する取り組みをさらに強化してまいりたいというふうに考えてございます。

仲野分科員 次に、今問題になっております直轄負担金について。

 この直轄負担金制度そのものを変えないで、時限措置で都道府県負担の一部を交付税措置で行うというのが現段階の政府の考えなのかどうなのか。この負担金の中に、国交省職員の人件費や事務所の維持管理経費、建設費なども含まれていると伺っております。国として、その認識、考え方について、改めてお聞きしたいと思います。

金子副大臣 申しわけありません、先生、一点目をもう一回、ちょっと質問をお聞かせいただけますか。

仲野分科員 直轄負担金制度のことで、今その負担金の中に国交省職員の人件費や事務所の維持管理経費、建設費なども含まれていると伺っています。改めて、国として、この考え方についてお聞かせいただきたいと思います。

福島主査 仲野委員、その前段の話です。

仲野分科員 今問題になっている全国知事会などとのやりとりを含め、直轄負担金制度そのものを変えないで、時限措置で都道府県負担分の一部を交付税措置で行うというのが現段階の政府の考えなのかどうなのか、ここをちょっと確認したい。

金子副大臣 直轄事業負担金については、今まさに、国土交通省も含めた政府と地方団体とが協議をしているところであります。今回の新しい経済対策の中の、地元負担の部分の九割を交付金で賄うというのは、あくまでも景気対策ということでありまして、根本的なものではないというふうに私は理解をしているところでございます。

 それから、直轄事業負担金は、直轄事業の便益が地元にも直接及ぶということで、受益者たる地方団体が費用の一部を負担するのが合理的という考えのもとに、例えば道路法とか河川法とか、法令に基づいて負担をお願いしているものでございます。

 その中で、維持管理費については、国が直轄で管理する公共施設は、維持管理による事業効果の広域性とか国家的必要性から国が管理者となっておりますが、同時に、その便益は地元に直接及ぶことから、一部の負担をお願いしているところでございます。

 また、直轄事業の実施を担当する現場の職員あるいは現場事務所の人件費、営繕費については、事業の実施に必要な費用として、運用という形でその一部の負担をお願いしているところでございます。

 ただ、今先生から御指摘ありましたように、昨今、地方の財政状況が極めて厳しいということ、あるいは、現場事務所の営繕費など地方整備局がきちんと説明すべき事項を説明していなかったケースがあるということから、地方からさまざまな御意見が出ているところでございます。そのような中で、四月八日に開催されました全国知事会との意見交換会においては、情報開示や事業への地方の意見の反映、維持管理費の直轄負担金の廃止、制度自体の廃止といった幅広い問題が提起されているところでございます。

 今後、知事からいただいたさまざまな御意見を、今言いましたようなことも踏まえて、国土交通省としては、できることから検討を進め、改善すべきものは改善してまいりたいと思います。

 特に知事会から言われたのは、情報開示について、まず早急にやってほしいということでございましたので、事務的には、既に全国知事会の事務局と相談を開始しております。できるだけ速やかに具体的な改善策をまとめて、地方整備局がそれを着実に実施できるよう指導していきたいと思っております。

仲野分科員 そのことが今問題になっているということです。なぜ、これまで直轄工事について、実施箇所、内容、規模等について事前に地元都道府県や市町村と話し合うことをなされていなかったのか、そのことが非常に問題である。例えば、地方自治体は、国から直轄工事の出来高に応じて納入通知書を一方的に送りつけられて、その金額を機械的に支出しなくてはならない仕組みになっているというような実態であります。

 今後、そのようなことがないように、しっかりと情報開示、事前の協議は強化をしていかなくてはならないということだと思いますので、ぜひこのことは徹底してやっていただきたいと思っております。

 最後になるんですが、この間の北海道開発は、国づくりの大変重要な政策課題として位置づけられてまいりました。安全、安心の食料を供給する基地として、また環境負荷の少ないエネルギー調達、自然と人間との共生を先進的に担う環境保持など、国家戦略として重要な位置づけにあると思います。一方で、そのための社会基盤の整備は、高速道路網の整備など、まだまだ未完の状態にあります。

 国が直接関与して北海道開発を行うのか、国の権限の多くを道に移管する形の道州制のもとで北海道開発を行うのか、方法論は別にして、北海道開発に国家が果たすべき役割は大きく、北海道は国家戦略上、重要な課題を担う地域として位置づけられるべきと考えますが、最後に副大臣にその見解を求めて、終わらせていただきたいと思います。

金子副大臣 直轄事業の負担金については、どうも国が一方的に地方に押しつけたような御意見があるということでありますが、基本的には、年度当初、それから概算要求後の秋ごろに、国と都道府県において幹部同士が定期会議を実は設置して、情報交換と意思疎通を行いながら連携しているということなんですね。しかしながら、そのことが、それぞれの考え方というのが少し、もっともっと密にしなければいけなかったかなということは思います。

 そういう意味では、そのことにつきましては、今後、国土交通省も改善すべきところはきちんと改善をして、都道府県の皆さん方にもきちんと納得していただけるように、基本的にはこれは、直轄の事業といっても、都道府県がやはり要望していただくことが非常に重要だということもありますので、そのことも踏まえて、速やかにその改善について努力をしていきたいと思いますし、さっきも申し上げましたように、特に情報開示については、速やかに取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、今、北海道の歴史の問題、そして今後の北海道についてのお話がございました。

 北海道の開発については、明治以降に国策として進められてきた歴史がありますし、戦後は、北海道開発法に基づきまして食料自給率向上や観光振興、我が国の課題の解決に寄与する目的で推進されたところでございます。

 現在は、先生が御指摘のように、社会資本の整備など、北海道は依然立ちおくれた状態にございます。例えば、高規格幹線道路の整備も、全国の供用率が六八%であるのに対して北海道は四五%にとどまっておりますし、北海道の持つポテンシャルを、すごいポテンシャルがあるわけだから、それを十分に発揮できていないというのが現状だと思います。

 そのことも踏まえまして、この北海道開発を国として総合的に推進していく立場から、昨年の七月に地球環境時代を先導する新たな北海道総合開発計画を閣議決定したところでございます。

 今後、この新たな計画に基づきまして北海道開発を推進することで、経済社会のグローバル化、地球環境問題の深刻化、本格的な人口減少社会の到来など、我が国をめぐる情勢の変化に対応してまいりたいと思います。

 国土交通省も、北海道に関しては非常に力を入れてまいりたいと思っておりますので、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。

仲野分科員 金子副大臣から、最後に力強い、北海道を支えていただけるような御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 委員長、どうもありがとうございました。

福島主査 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

 次に、郡和子君。

郡分科員 民主党の郡和子です。

 きょうの最後になりました。あと三十分ですので、お疲れのことと思いますけれども、おつき合いをいただきたいと思います。

 私の地元仙台は、町の中を清流広瀬川が流れておりまして、仙台のシンボルでもあり、市民の憩いの場でもあります。ところが、この広瀬川の河岸のがけについて、住民の方々からさまざまな御要望が長い間出ておりました。ちょっと御紹介をさせていただきます。

 住宅地図に色を塗りましたけれども、ごらんいただいておわかりのように、こちらが上流です、こう下流に流れていくのですが、ちょうど仙台のまさに中心部でもあり、住宅が広がっているところですけれども、この岸が大変高いがけになってございます。高さが三十メートル、角度が八十度という急ながけです。このがけの面というのは数種類の岩による互層形状になっておりまして、ここに写真がございます、おわかりいただけるかどうか。実はこの住宅地図でもがけに沿って住宅が点在しているのがおわかりいただけると思うんですけれども、このお宅などはもうがけ地が迫っているんですね。

 住民から、がけの崩落が続いていて何とかならないものかというような要望が逐次出されていたわけですけれども、宮城県、仙台市等が、なかなか防災工事をするのは難しい、またそういう時期にはないと。また、きょうお配りいたしました私の資料の一にもございますけれども、河川区域に指定されているのはこのあたりまでで、ここから先は指定されていない区域であるということで、国有地であろう。国有地ということであるので、なかなか県としても、自分たちの対応できるところの範囲はここまでなので対応できないということを地域住民に説明しております。

 それから随分と月日がたっているわけなんですけれども、先ほど見ていただきましたところ、上から撮った写真ですけれども、これも古いフェンスなんですが、その向こうにもさらに古いフェンスがございます。そのフェンスももう一部落ちているんですね。続いて古いフェンスも落ちかけようとしている。これは中に入ったものですけれども、見てください、ここは県の説明にもございましたけれども、オーバーハングしている、つまり、反り返っている。大変危険な状態です。しかし、地域の住民に対しての説明というのが、二〇〇〇年の五月九日以降、何もなされていないという状況です。

 当該のがけ地なんですけれども、土地台帳附属地図、いわゆる公図の上では河川用地であって、河川法の河川区域と河川区域外で構成されております。すなわち、宮城県が法定受託事務として管理する河川区域である河川法第六条第一項三号の区域と一体となった土地であるというのが説明としてございました。

 県土木部河川課は、二〇〇〇年の五月の時点で、河川管理者である県が対応できる限界は今申し上げましたこの河川区域までで、その上の部分は到底できないのである、国有地だから対応できないということを言っているわけなんですけれども、このがけ地の所有関係についてまず確認をさせていただきたいと思います。

 管理責任は別として、所有、所管しているのが、当該がけ地の河川区域の底地は国有地でありまして国土交通省の所管である、そんなふうに思うわけです。それでは、河川区域以外の、つまりこの官地と言われるところ、ここは一体、国の所有であるのか否か、まず端的にお答えいただきたいと思います。

 きょうは財務省にも来ていただいております。よろしくお願いします。

増田政府参考人 御指摘ありましたように、河川法等が適用されないとなりますと、いわゆる法定外公共物になるわけでございまして、法定外公共物であります里道、水路というものにつきましては、住民生活に密接に関連するということで、地方分権の中で、その機能を現在も有しているものについては国有財産特別措置法第五条第一項第五号に基づきまして市町村に譲与することができるというふうにされたものでございます。また、その機能を喪失しているものにつきましては、都道府県が一括して用途廃止を行いまして財務事務所等に引き継ぐ、こういう取り扱いになっているわけでございます。

 ただ、お尋ねのがけがいわゆる法定外公共物の里道、水路という考え方になじむのかどうかということにつきまして、地元で、県なり市からいろいろな御意見があるというふうに伺っておりまして、まずはその辺の考え方の整理が必要じゃないかと思いますが、端的に言えば、現在、財産管理は国土交通省が行っております。

郡分科員 今、端的に言えば財産管理は国土交通省だということでございました。それでは、管理責任についてはどういうふうになっているのでしょうか。

 実は、きょうの午後、この質問の直前に受けました県の土木部河川課の説明などによりますと、このがけ地というのは、従前は河川法等が適用されない、いわゆる法定外公共物であったと思われるが、当該がけ地の財産管理の責任は現在は国土交通省、財務省からも説明がありましたけれども国土交通省にあるのでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、法定外公共物であったということであれば、それは機能を有しているか否かということで取り扱いが異なるわけでございまして、本来、機能を喪失しているというものであれば、普通財産として一括用途廃止で財務事務所に引き継ぐということになるわけですが、現在、そういう意味で申し上げますと譲与漏れの法定外公共物というような取り扱いになるわけでありまして、現時点では、先ほど申し上げましたように財産管理そのものは国土交通省が所管しているということでございます。

中村政府参考人 今、譲与漏れ云々という話がございましたけれども、実は財務省は全然違う考え方をしておりまして、そもそも国有財産特別措置法五条第一項第五号に規定する、いわゆる法定外公共物としての譲与の対象となるのは、河川と書いてありますけれども、括弧して、河川法上の河川なるものを除くというふうに書いてございます。我々としては、本件がけ地については、河川法上の河川と一体として土地を形成しているものであって、譲与対象にならないものというふうに考えております。

郡分科員 見解がばらばらなんですね。

 私が資料につけさせていただきました県の説明では、当初、財務局の見解として、これは公共物としての機能を喪失していない、河川法の適用がないのであれば、譲与漏れの国交省所管の法定外公共物であるというふうな見解をされているわけですね。国土交通省の東北地方整備局の見解では、一般論として、譲与漏れの法定外公共物については、財産管理は国土交通省、機能管理については自治体、いわゆる仙台市が行うものだ、そういうふうな見解を、この時点では私に説明をしていただいたわけです。

 今お話がありましたように、河川区域外の当該がけ地というのは、一括用途廃止されて、国有財産として財務省東北財務局に引き継がれているんじゃありませんか。

 きょう、資料の二と三につけ加えさせていただきました。仙台市の当時の藤井市長です。「譲与を受けない財産については、確認の結果その機能がないため一括用途廃止しても差し支えありません。」というふうに県に御説明され、そして、三枚目ですけれども、当時の県知事である浅野史郎前知事が、すべて手続を行った、一括して用途を廃止いたします、財産の引き継ぎをしたいので関係書類を添えて通知いたします、財務当局に引き継ぐというふうなことが書かれているわけなんですけれども、少なくとも、二〇〇七年、平成十九年の説明の時点では、このがけというのは三号地と一体となった土地であって公共物としての機能を喪失していないんだ、河川法の適用がないのであれば譲与漏れの国交省所管の法定外公共物であるというふうに見識を示しておられたわけです。

 それからまた、四月の十五日、私あての報告文書では、このがけ地が公共物であって、当該河川区域外を含めた底地の所管は国交省であるというふうな見解を示されている。一方の東北整備局は、先ほど申し上げましたように、一般論として見解を述べられたということだろうと思います。というふうに私も県からの説明を受けております。

 ところが、きょうになって突然、財務省理財局から、東北財務局のこの説明というのは全く県にはしていないのだ、譲与漏れの国交省所管の法定外公共物だとは認識していないという新しい見解を私のところに持ってきたわけです。つまり、十五日付、私のところに送ってこられたその認識なのだろうと思うんですけれども。

 この間、宮城県も財務局と何度となく打ち合わせを行ってきております。〇七年の十一月からきょうまで、もう既に一年半近くたっているわけですよ。これは事実誤認のまま放置してこられたということじゃありませんか。このがけ地の上に住んでいる方々の安全あるいは生命、財産を守るというこういうことがかかっている事案について、大変あきれた怠慢だというふうに私は思います。

 これらの見解、このがけ地についての認識だとすれば、明らかに事実誤認の部分があると思いますが、いかがでしょう。

中村政府参考人 まず、事実関係から申し上げますと、本件がけ地につきまして、平成十九年十一月二十日に東北財務局が宮城県と打ち合わせを行っております。ただ、その際に、東北財務局から宮城県に対して、当該がけ地は譲与漏れの国土交通省所管の法定外公共物である旨の見解を示した事実は、財務局に確認したところ、ございません。

 それから、本件がけ地につきましては、もともと公図上、一級河川広瀬川と一体となった土地でありまして、全体が河川として従来から管理されていると認識しております。

 一般論として申し上げますと、河川の用途廃止を行った場合には、国有財産法の規定に基づきまして、財務省は、河川管理者、この場合でいいますと宮城県になりますけれども、宮城県から通知を受けた上で引き継ぎを受けることになっております。

 本件につきましては、昭和五十年に宮城県が行った河川法第六条第一項第三号の河川区域の指定の告示以降、宮城県から引き継ぎの通知が行われておらず、いまだ財務局が財産の引き継ぎを行うかどうかの判断をするまでに至っていない状況でございまして、財務省は、財産の引き継ぎを受けておりません。したがいまして、財務省としては、引き続き、河川管理者である宮城県が管理している財産であると認識しております。

郡分科員 ですから、地方分権一括法の中で一括譲渡をされたもので、これは私たちは要らないんですよといって、市も県もお返ししてあるんじゃないですか。そういうふうに事前には説明を私ども受けたわけであります。それが、今の説明というのは、どこかで見解が変わられたのかどうか、私は大変不思議でなりません。

 であったとしても、では、このがけ地の公共物としての機能というのは一体何なんでしょうか。その機能の有無というのはだれが判断して認定をされるのでしょうか。財務省にお尋ねしますけれども、そういう見解であるとすれば、公共物の機能とは何でしょうか。また、いまだにその機能は喪失していないという御認識でしょうか。そして、その場合、だれがどのように機能管理の責任を負うことになるのか、説明をしていただきたいと思います。

中村政府参考人 まず、その前に、法令上、分権一括法に基づく譲与の法定外公共物というのは、河川が対象になっております。したがって、先ほど申し上げた、仮に河川の区域外で河川でないということになるのであれば、そもそも河川ではありませんので、その分権譲与の対象には論理的にならないはずでありまして、したがって、その分権譲与云々という議論という話とは違うものになると我々は思っております。

 それから、機能の問題につきましては、今回、我々としては、公共物たる河川としての機能を有していると認識しておりますけれども、その機能の有無は、河川管理者である宮城県や、河川法を所管している国土交通省において判断すべきものであると理解しております。

 以上であります。

郡分科員 この当該のがけ地ですけれども、では、白地ですか、青地ですか。

中村政府参考人 白地であります。

郡分科員 今お話しされたのは、河川の一部だというふうにおっしゃったんですね。河川であるならば青地じゃないんですか。

中村政府参考人 ですから、河川があるかどうかは別にして、昭和五十年の告示以前はやはり河川だったということになると思いますけれども、告示以降河川でなくなったということでありますけれども、本来そこは、先ほども申し上げたように、国有財産法の規定に基づきまして、県の方から通知があって財務局の方に引き継がれるべき財産なんですけれども、そういう通知が一切なされておりません。したがって、県の方で引き続き管理をなされている財産であるというふうに理解しております。

 それから、分権一括法の関係におきましては、仮に河川でないのであれば、分権一括法に基づく譲与に関して言うと、要するに河川であったものについて譲与するという話ですから、河川じゃないものは、それは別に分権一括法の対象にはならない話なんだろうと思います。

郡分科員 では、初めに質問をさせていただいた、公共物としての機能とは何なんですか。

中村政府参考人 ですから、そこは最初も申し上げましたように、先生御存じのように、先生にお見せいただいた写真でもわかりますように、下の方と一体となって、別にがけの中に線が引けるわけじゃありませんので、一体となって管理しないととても管理できないはずのものでございますから、そこは一体となって河川としての用をなしているんだろうと我々は理解しております。

郡分科員 ということであれば、これは河川法の第六条第一項第三号の河川区域と一体のものとしての機能があるということであれば、この土地の機能管理というのは国であると。国交省であり、そして広瀬川の管理者たる県ということになるのでしょうか。

 それともう一つ、もし、県がここの土地について一括用途廃止をこれから先したとなれば、これは財務省のものになるということなんでしょうか。

中村政府参考人 最初の点は先生の御理解でいいと思います。

 それから、何か一定の範囲が切られて河川法の対象外になったものについては、先ほど申し上げたように、管理者からの通知があって、その通知を踏まえて、国有財産法の規定に基づいて引き継ぎが行われるわけです。

 財務省としては、本件に関していいますと、今申し上げたように、とても上と下を切り離して管理できるようなものではございませんので、国有財産法の政令の中に、そういうものは不適当だという規定がございます。我々としては、引き継ぎ不適当財産として扱うべきものとして、引き続き国交省が管理すべき財産であると理解しております。

郡分科員 いずれにしましても、市そして県が一括用途廃止したという書類を出してから二年半以上も経過した時点の平成十九年、二〇〇七年十一月に、法定外公共物であって、財産管理は国交省、機能管理は仙台市との見解を示していて、時間を非常に浪費させていたのではないかと思うのです。

 この間も地域では、私も見に参りましたけれども、本当に静かなんですけれども、ころころころ、ころころころと落ちてくるんですよ。これをずっとそのままにしていたというのは、今の財務省の見解と国交省の見解の相違、また、県や市の見解の相違というぐるぐる回りみたいなことがありますけれども、これは非常に行政の怠慢のそしりを免れないことだというふうに思います。

 この河川区域を含む当該がけ地というのは、繰り返しになりますけれども、二〇〇七年、平成十九年の十一月、県と財務局、それから整備局との打ち合わせが行われた時点でも、実は崩落についての想定がございました。

 このがけ地というのは、少なくとも一九九七年、平成九年の時点で、既に急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の第三条に基づきまして、県によって急傾斜地崩壊危険区域を指定するための事前の調査が行われております。そして、危険区域ではないんですけれども、危険箇所というふうにされている場所です。

 この時点で、県も、表土部分はかなり風化が進んで崩壊の危険性が高いことがわかって、将来としては何らかの対策をとる必要があるというふうな認識を示されております。また、仙台市長名で雨水浸透により公共物であるがけが崩壊する危険性が高くなるとの注意文書、警告文書が十年以上前からたびたび発せられているところでもございます。

 県は住民の問い合わせに対して、底地が国有地であるから急傾斜地の崩壊対策の事業の導入は非常に困難なんだというふうに説明をしているわけです。この急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第十二条において、県の施行する急傾斜地の崩壊防止工事というのを定めているわけですけれども、これは対象となる土地が国有地であっては適用することができないのでしょうか。国交省、簡潔にお答えください。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の九条におきまして、急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者または占有者は、その土地の維持管理について急傾斜地の崩壊が生じないように努めなければならないとしております。いわゆる土地の所有者、管理者等が施行することが原則でございます。

 御指摘の広瀬川のがけ地につきましては、所管はいろいろ今後調整の必要がありますけれども、がけ地は国有地、がけの下は河川区域、さらにその上に民有地があるということで、所有者、管理者が複雑であるため、都道府県が施行いたします法十二条に基づくものにつきまして、所有者または被害を受けるおそれのある者が施行することが困難または不適当と認められるかどうか、よく県と市と、それから上の民有地の所有者の方がお話し合いをいただいて、どういう対策工事をとるのか、それが急傾斜地の対策の県が施行する崩壊防止工事になじむのか、よく現地で検討していただいて、御相談いただければというふうに思います。

郡分科員 国はそこに関与しないということを今おっしゃったのですか。

甲村政府参考人 ですから、現地でよく御相談いただいて、それについて国としても助言をしていきたいということでございます。

郡分科員 助言のお話ではないんですよ。

 つまり、この土地が国有地であるということはわかった、しかし、それが財務省の所管なのか国交省の所管なのか、でもこういうふうに見解が分かれており、そして、地方の自治体にしてもどういうふうな見解なのかまだまとまっていないという中で、この間ずっと棚上げにされてきていたんですよ。

 それで、今、国交省の見解であるならば、国としての自分の土地、所管の土地であるならば、この急傾斜地の崩壊防止工事というのは、所有者である国が負担をしてまず工事をやるのが第一義になっているんじゃないでしょうか。

甲村政府参考人 急傾斜地の工事をやる際に、受益者負担というのをいただいております。ここで言うと、このがけの上にある民有地の方々でございます。それらの方々ともお話し合いをして、費用負担、あるいは工法について、現地でよく詰めていただいて御相談していただければ、必要な協力はいたします。

 なお、ちなみに、急傾斜地崩壊の法律は自治事務でございますので、よく現地で県、市、それから土地の所有者の方々、さらには財務局も入るかと思いますけれども、御相談いただければと思います。

郡分科員 行政はこの九年間、説明会すら開かずに、何の防止策も講じていないわけです。

 当該のがけ地の機能管理についての整理はともかくとして、当該の底地は国有地であるということですよ。これは国家賠償という声だって上がりかねないことなんだと思いますよ。

 私のところにいただきました、先ほどのがけの上にお寺があるんですけれども、このお寺の住職からいただいた文書を読ませていただきます。

 当寺敷地内及び周辺地域におけるがけの侵食問題について、お力をおかしいただきたく、手紙を書かせていただいております。当寺及び周辺地域のがけは年々侵食が進んでいるのが現状であり、大変危険であると感じております。このままではいつ樹木や建物が崩壊してもおかしくない状況であると判断しております。

 対岸の方より、がけが崩れていると電話をいただいたことが何度かありますし、近所で釣りをされている方から、がけの下に墓石が点在していると聞かされました。当寺でも、現実にがけの崩落の危険のため、離檀した方もおります。当寺では、危険防止のため、西側墓地を整理し、フェンスを設置いたしました。しかし、これも一時的な措置で、根本的な対策には至っていないのが現状です。さらには、がけ近くの樹木は強風、大雨等の原因で崩落する危険も含んでおり、私どもとしても非常に懸念しております。

 隣に居住されている○○さん宅のがけ側の大木が落ち、さらには物置が落ちそうになったこともあり、大騒ぎになりました。当寺の駐車場のフェンスは、今にも落下しそうなくらいにまで上部はえぐられております。寺側では、フェンス工事を二度にわたりいたしましたが、駐車場は特に侵食が激しく、個人の力では何とも手の打ちようがない状況です。当寺敷地内及び近隣のがけは、急速な対応が求められている状況にあると感じております。個人でできることはすべてしてまいりましたが、それにも限度があると感じております。ぜひお力添えをお願いいたしますというふうに、お便りをちょうだいしてございます。

 急傾斜地崩落対策事業のほかにも検討してみる対策というのは幾つかあるはずだと思っております。県は、河川区域外での崩落であって、河川事業では斜面崩壊の対応は困難だというふうな認識も示しておりまして、財務局が認めるように河川区域の三号地と一体となった土地であって公共物としての機能を喪失していないというのであれば、河川事業としての対策も一考の余地があるように思えてなりません。

 とにかく、国が主導して、地方と知恵を絞って、早急に対策を講じるべきではないかと考えます。これまでの経緯から、国交省及び財務省はそうした役割の一端を担う責任があるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

 住民の安全、安心のためにも、ぜひ、対策の可能性についてできる限り幅広く知恵を絞って、汗をかいていただきたいと思います。私も国会議員として、地元の行政それから議会とも力を合わせて、協力を惜しまない方針でございます。

 副大臣、ぜひ早急に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

金子副大臣 今の質疑を聞いておりまして、大変複雑な土地であったということも十分認識をしております。また、広瀬川の管理については、宮城県が管理を行っているという面もございます。

 今、先生からお話があったように、これらのがけ地では、将来的に河川の流水によって侵食が進行するとか、崩落するおそれもあるということで、宮城県からは、この地域でたしか協議会をつくっていただいたというふうに聞いておりますし、仙台市と宮城県と一緒に今協議中であるというふうにも聞いております。

 その地域に一番近い仙台市、宮城県が今協議をしているわけでありますし、また、先生御案内のとおり、この地域は、仙台市の広瀬川の清流を守る条例に基づいて、いろいろな行為の制限を受ける環境保全区域に指定されているという一方、これはかなり大規模になってしまうという意味では、対策を実施するには技術的な検討が必要不可欠だと思っております。

 そういう意味では、国土交通省も、国がそれを放棄しているわけではなくて、まず地域住民の皆さん方と仙台市、宮城県が協議をしていただく。そして、その結果として、対策の技術的な助言を宮城県に対して行うとか、その検討を踏まえた上で、支援のあり方について検討を行っていきたいと思っております。

 宮城県からは、さまざまな今言われたような選択肢の中から、広瀬川周辺のがけ地に対するハード、ソフト対策の検討を行うと聞いております。国土交通省といたしましても、住民の皆様の安心が得られるように、県等の求めに応じて積極的に関与していきたいと思っております。

郡分科員 重ねて申し上げますけれども、底地は国有地でございます。国家賠償というようなことにもなりかねないのだというふうに思いますので、ぜひ国としても対策を講じていただけるように自治体を後押し、支えていただきたいものだというふうに思います。

 質問を終わります。

福島主査 これにて郡和子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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