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第1号 平成22年5月17日(月曜日)

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本分科会は平成二十二年五月十一日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

五月十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大西 健介君    後藤 英友君

      郡  和子君    田嶋  要君

      高橋 英行君    三輪 信昭君

      秋葉 賢也君    二階 俊博君

      細田 博之君    与謝野 馨君

五月十四日

 郡和子君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年五月十七日(月曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 郡  和子君

      阿知波吉信君    大西 健介君

      奥野総一郎君    後藤 英友君

      高井 崇志君    三輪 信昭君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      橘 慶一郎君    福井  照君

      細田 博之君

   兼務 平  智之君 兼務 田中 和徳君

    …………………………………

   法務大臣         千葉 景子君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       小林 誠治君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       田代 政司君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第三局長            斉藤 邦俊君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           林  道晴君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    坂井 文雄君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  小野 芳清君

   法務委員会専門員     生駒  守君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  後藤 英友君     奥野総一郎君

  田嶋  要君     高井 崇志君

  高橋 英行君     阿知波吉信君

  二階 俊博君     橘 慶一郎君

  細田 博之君     福井  照君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     高橋 英行君

  奥野総一郎君     後藤 英友君

  高井 崇志君     田嶋  要君

  橘 慶一郎君     二階 俊博君

  福井  照君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     細田 博之君

同日

 第二分科員平智之君及び田中和徳君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

郡主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました郡和子です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管及び法務省所管について審査を行います。

 これより国土交通省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。前原国土交通大臣。

前原国務大臣 おはようございます。

 国土交通省所管の平成二十年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 収納済み歳入額は四百一億八千八百万円余であります。支出済み歳出額は六兆一千七百一億一千八百万円余であります。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、社会資本整備事業特別会計でありますが、治水、道路整備、港湾、空港整備及び業務の五勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は七兆二千二百二億五千九百万円余であります。支出済み歳出額は六兆三百九十三億五千三百万円余であります。

 このほか、自動車安全特別会計並びに財務省と共管の特定国有財産整備特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成二十年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

郡主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院斉藤第三局長。

斉藤会計検査院当局者 平成二十年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八十八件、意見を表示しまたは処置を要求した事項十一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号四六七号は、会計経理が適正を欠いているもの。

 同四六八号は、委託費等の支払いが過大となっているもの。

 同四六九号から五五四号までの八十六件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、道路照明施設に使用されるランプの電気需給契約及び省電力型ランプの使用に関して適宜の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その二は、道路情報管理業務を集約して行うために取得した施設に係る財産の国有財産台帳等への記録に関して適宜の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その三は、道路附属物等の損傷事故によって必要となった復旧工事に係る負担金債権の管理に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その四は、河川工事に伴う鉄道工事に係る委託費の支払いに関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その五は、国庫補助事業において工事の委託等がある場合の事務費の算定に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その六は、河川改修事業を実施するために取得した土地の管理及び活用に関して適宜の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたし、並びに意見を表示いたしたもの。

 その七は、路面下空洞調査業務の契約及び実施に関して改善の処置を要求いたし、及び是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その八は、電子申請等関係システムの利用状況に関して意見を表示いたしたもの。

 その九は、まちづくり交付金に係る予算の配分、事業実施状況の確認、精算等に関して意見を表示いたしたもの。

 その十は、競争入札により契約した前工事に引き続き随意契約により行う後工事の予定価格の算定に関して意見を表示いたしたもの。

 その十一は、財団法人民間都市開発推進機構の土地取得・譲渡業務等に対する財政援助の規模等に関して意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、地域気象観測システムにおける観測体制に関するもの。

 その二は、国土交通省において使用する固定電話の通話料に関するもの。

 その三は、道路改良工事等における再生砕石の使用に関するもの。

 その四は、受託手荷物検査業務に係る費用の国の分担額の算定に関するもので、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 なお、以上のほか、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました下水道の管渠築造工事におけるセグメントの材料単価の決定、地盤改良工事の設計、調査等業務における交通船等の借り上げ費に係る船員数の積算、トンネル工事において使用する集じん機の機種及び規格の選定及び監督測量船の効率的な運用等について、それぞれ処置を要求した事項及び高齢者の生活特性に配慮した公営住宅において高齢者に対する福祉サービスを提供するために整備された高齢者生活相談所及びLSA専用住戸の利用状況、国土交通省における一般乗用旅客自動車の使用状況、道路整備特別会計における支出の状況及び自動車保有関係手続のワンストップサービスの実施状況等について、それぞれ意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

郡主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。前原国土交通大臣。

前原国務大臣 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成二十年度の決算検査報告におきまして、不当事項等として御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいりたいと存じます。

郡主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

郡主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

郡主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

郡主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介さん。

大西(健)分科員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 本日は、決算行政監視委員会第四分科会での質問の機会を賜り、まことにありがとうございます。

 さて、民主党政権は、コンクリートから人へというスローガンのもとに、今年度予算、昨年度に比べて公共事業費約一八%の削減を実現いたしました。しかし、これは言うまでもありませんけれども、公共事業費、公共事業がもうすべて要らないということではもちろんありません。これまで計画が進められてきた事業あるいは継続をされてきている事業については、選択と集中によってめり張りをつけるとともに、また、既に整備をされた社会資本ストックをいかに有効に活用していくかという観点が私はこれから重要になってくるのではないかと思っております。

 私は、決算行政監視委員会の委員でもありますけれども、ふだんは厚生労働委員会に所属をしておりますので、国土交通省所管のテーマについてなかなか質問する機会がありません。本日は、この機会をいただきましたので、私の地元の具体的な事業を取り上げながら、今申し上げましたような観点から、前原国土交通大臣を初め国土交通省の皆様に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、道路についてお伺いをいたしたいと思います。

 私の地元、今高速道路無料化ということが進められてきておりますけれども、高速道路はもちろんのこと、国道というのが地域の交通網の中で非常に重要な役割を担っております。昨年の十二月、私の地元で、国道二十三号知立バイパスの安城立体というのが片側二車線で暫定的に開通をいたしました。この道路、私も選挙区の移動に通常もよく使わせていただいておりますけれども、最近使ってみて、二車線暫定開通したのは本当にありがたいことなんですけれども、むしろ渋滞がひどくなっているんじゃないか、私自身もそう実感をいたしますし、また、そういう声も聞こえてきます。

 そういう中で、この片側暫定二車線供用開始後の交通量、これを国土交通省の方でどのように評価されていますでしょうか。

 また、残った片側二車線部分についても、既に下部工の工事はもうかなり進んでおります。私といたしましては、早期に両側四車線、片側二車線ずつの両面での通行供用というのをしていただければ、非常に社会的、経済的な効用というのも大きいんではないかなというふうに感じております。早期の全面開通への地元の期待、これも大変強いものがあります。国道二十三号安城立体の四車線での供用開始の時期はいつごろになる見込みなのかをお聞かせいただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘の、国道二十三号知立バイパスは、名古屋市と豊橋市を連絡する名豊道路の一部でございまして、延長十六キロの道路でございます。

 現在までに、既に豊明インターチェンジから高棚北インターチェンジ間十キロが四車化として高架構造で供用されておりまして、昨年十二月、御指摘の、完成いたしました安城立体区間を含む高棚北インターチェンジ―安城西尾インターチェンジ間六キロは二車線の供用ということでございます。

 現時点におきまして、二車線の高架構造での供用によって、一日当たりの交通量は四万九千四百台、完成前に比べまして一千五百台増加しております。御指摘のように、この一部区間におきましては渋滞が発生ということでございまして、残る二車線の高架化が望まれると考えております。

 これにつきましては、残り六キロ区間四車化ということで、平成二十四年度の完成を目標として工事を進めていく所存でございます。

大西(健)分科員 馬淵副大臣、ありがとうございました。

 この道路、通勤はもとより、今、名豊道路の一部ということで御紹介いただきましたけれども、愛知県三河地域の自動車産業を初めとする物づくりにとって大変重要な道路となっております。

 今、平成二十四年度というお話をいただきました。コンクリートから人へというこの大方針は私は全く異論はありませんけれども、一部では、民主党政権になったらこの道路がとまってしまうというようなデマも地元で流されておりますので、ぜひともしっかりと目標どおりに実行をお願いいたしたいと思います。

 それでは次に、地方道路公社が行う社会実験についてお伺いをいたしたいと思います。

 政府は現在、高速道路無料化に向けて社会実験を進められておりますが、地方の道路公社等でも料金割引等の社会実験というのが行われております。

 例えば、私の地元に衣浦豊田道路というのがあります。この道路、知立市の新林町と豊田市の生駒町の間の約四・三キロが有料道路となっております。全線高架構造になっておりますので、これを使えば、豊田市と知立市の間の移動にかかる時間が、朝夕のラッシュ時で約三十分、そしてそれ以外の時間帯でも約十分短縮をできるという非常に便利な道路になっております。

 しかし、実際には、これは実は二百円なんですけれども、私もこの二百円を払うのがもったいないものですから、ふだんは急いでいるときしか、なかなかこの道路を使いません。

 そんな中で、先ほど申し上げたように社会実験というのが行われまして、この道路、回数券を買えば三〇%割引するというのを実施しています。その結果なんですけれども、休日で約二割、平日で約一割弱の交通量の増加が見られたというふうに聞いております。一般の市民から見ますと、高速道路と、そして今申し上げたような地方の道路公社が管理をしている有料道路、正直なかなか区別がつきにくいんではないかなというふうに私は思います。

 こうした地方の道路公社の行っている社会実験と国が行っている無料化社会実験、私はこれはなかなか難しいと思いますが、できることなら足並みをそろえてやっていただければ非常に効果が高いんではないかなというふうに考えておりますけれども、国土交通省の御見解をお願いいたしたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、無料化の社会実験につきましては、六月実施に向けて今その準備をしておるところでございます。それ以外の社会実験、これはいわゆる割引社会実験ということで、NEXCO三社初め、またこうした公社道路についても実施がなされております。

 これは、平成二十一年度、御指摘のように前政権によりますものでございますが、地域活力基盤創造交付金活用ということで、この衣浦豊田道路も三割引きということで実施されているわけであります。

 こうした公社道路もあわせて無料化などの社会実験に組み込むべきではないかという御指摘について、これはそういった御意見、多々いただいておりますが、私どもとしましては、まずこれは、その設立団体である地方公共団体と当該公社が主体となって検討されるべきものということで、私どもから何か強制的にこのような形でということを申し上げる立場にはないと思っております。

 一方、国土交通省としても、ネットワーク全体でございますので、地方公共団体の皆さん方からの御相談等がございましたらぜひ適切な助言を行ってまいりたいと思っておりますし、あわせて、ネットワーク全体の見直しということも、社会実験を今後進めながら、進めてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)分科員 ありがとうございます。

 今、副大臣の方からネットワークという言葉がありましたけれども、道路というのはつながっているものでありますから、今御答弁あったように、主体が異なるということでなかなか難しい部分はあると思いますが、ぜひとも連携をとってお進めをいただきたいというふうに思います。

 道路について、通告をした中にはちょっと入ってはいないんですが、前原大臣に御質問させていただきたいと思うんです。

 前政権が、ETCをつけた車、乗用車について、週末千円で高速道路乗り放題という政策を実施してきました。この政策については、市民の間にもある程度定着をしつつあるというふうに思うんですけれども、今この時点で改めて振り返っていただいて、大臣の率直なこの政策に対する御評価というのをお聞かせいただきたいと思います。

 またあわせて、今申し上げましたようなETC週末千円というものを通じて、政府がこのETCの普及促進というのを図ってきたわけでありますけれども、今後、高速道路無料化、この政策を実施していくに当たって、このETC、将来的にはどのように活用されるものとお考えなのかお聞かせをいただければと思います。

前原国務大臣 大西委員にお答えをいたします。

 まず、土日千円というものについてでございますが、私は一定の効果というものが上がったんではないか、このように考えております。土日に旅行に方々に行かれる方がかなり多くなりましたし、よく言われるのは、かなり遠いところから香川県の百円とか二百円のうどんを食べに行くという方々がたくさんおられたということでありまして、地域の方々で喜んでおられる方々も多いのも事実だろうというふうに思います。

 他方、今回のゴールデンウイークもそうでございましたけれども、大渋滞が発生をして、そして極めて、そういった渋滞の問題、あるいはCO2の排出の問題というものも大きな問題になっていて、これについてどう考えるのかという意見も国民の皆さん方の中にはあろうかと思います。

 同時に、これは委員も御承知のとおり、今の仕組みで仮にいきましても、二十二年度末でこの土日千円、ETC利用というのは終わるわけでございまして、これについてはかなりのいわゆる割引費用というのがかかるわけでございまして、果たして持続可能かという問題もございます。

 もう一つの御質問として、ETCについてでありますが、私は、できるだけETCというのは一〇〇%に近づいていけばいい、こう思っております。

 今回我々がお出しをしている法案では、ETCを使う方も使われない方も同じ割引、上限制というものを導入しているわけでありますが、しかし、入り口、出口の混雑の緩和ということを考えたときには、できるだけETCをお使いいただくことが望ましいと思いますし、特に、阪神高速、首都高速においては、これを使われた方が便利なあるいはお得な料金体系というのは残るわけでございますので、そういう意味では、ETCの普及については今後も努力をしていきたい、このように考えているところであります。

大西(健)分科員 大臣、ありがとうございます。

 ETCにつきましては、私は民主党のITS議員連盟の事務局長というのをやらせていただいているんですが、将来的に、私は、ITSの車載器というのを普及を進めていかなければならないと考えております。それに当たって、ETC車載器とITS車載器を交換するような場合に、新規の場合よりも安い費用で設置できるような、そういった工夫もぜひ考えていただきたいなというふうに思っておりますので、あわせてお願いをしておきたいと思います。

 次に、連続立体交差事業についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 公共事業の中でも、いわゆるあかずの踏切を初めとする、踏切による慢性的な交通渋滞や市街地の分断、こういったものを解消する連続立体交差事業は、国民生活向上の観点から、私は今後も重要になってくる事業ではないかなというふうに考えております。

 例えば、私の地元の知立市では、名鉄知立駅付近連続立体交差事業というのが平成九年度に採択をされております。本年度はいよいよ仮線工事に着手をいたします。

 ただし、この事業、全体事業費の中から名鉄負担分を除いたその四分の一が知立市の負担ということになりますけれども、その額は百三十億円に上ります。知立市はその八割、百五億円ですけれども、これを市債で賄うということで考えておられますけれども、昨今の不況の影響を受けて、市の財政というのも大変厳しい状態になっております。将来にわたり市が財政負担に耐えることが本当にできるのだろうかといったような地元での懸念も出てきております。

 連続立体交差事業、非常に長い年月がかかります。また、大変巨額の費用もかかります。同じようにこうした事業を計画している自治体の中には、やはり同様の財政の問題を抱えている自治体が多いんではないかなというふうに私は考えておりますけれども、こうした連続立体交差事業の財政負担、市の立場に立って軽減をするといったような方策について、政府の考え方があればお聞かせをいただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 連続立体事業でございますが、委員が御指摘のように、まさに市街地の分断を解消、すなわちまちづくりという観点からも極めて重要な要素があるというふうに考えておりまして、私どもとしては、ぜひこうした連続立体事業に重点的に支援を行ってまいりたいと考えておりますが、一方で、御指摘のように、地方自治体の財政負担の問題、これが重くのしかかるということも現実でございます。

 これに対しては、しかし一方で、まちづくりという観点からは、やはり自治体の財政の負担というものも全くないという状況は考えられにくい、やはり一定程度の財政負担をしていただかねばならないということ、これを前提に、私どもといたしましては、まずはコストの縮減に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 御指摘のように、大変高い事業費となりますが、一方で、できる限りの軽量化あるいはコスト縮減といった形で取り組みをさせていただきながら、こうした問題点の解決に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大西(健)分科員 今副大臣から御答弁いただいたように、コスト縮減は私も大変重要な観点だと思います。あわせて、地域でやる事業ですから、やはり地域の中での財政負担の見直しというのも私は必要じゃないかなと。例えば、これは半分は国で、残り半分を県と市ということになっていますので、県と市の負担割合を地域で見直していただくというのも、これは実際にやっている都道府県もあるというふうに聞いていますので、そういうこともぜひ考えながら、工夫をして進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、テーマをがらっとかえまして、四方を海に囲まれた海洋国家日本の海運についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 港湾の国際競争力の強化という観点から、今、国土交通省におかれましては、港湾の選択と集中というのを進められております。私は、この方針に全面的に賛成をいたしております。

 その中におきまして、まず、来月にも国際コンテナ戦略港の選定が行われるという予定になっております。前原大臣は、さまざまな機会を通じて、国際コンテナ戦略港の選定に当たっては潜在的な成長性だとかあるいは民間の視点というのを繰り返し強調されておりますけれども、ここで改めて、前原大臣が考える国際コンテナ戦略港選定のポイントをお聞かせいただきたいと思います。

前原国務大臣 一九八〇年ごろには、東京湾あるいは大阪湾はアジアの中でも最もコンテナの取扱量の多い港だったわけでありますけれども、今や完全にシンガポールや香港あるいは上海、また人口は日本よりもかなり少ない韓国の釜山あるいは台湾の高雄、こういったところにも抜かれているというのが現状でございます。

 では、その背景に一体何があるのかということについて言えば、先ほど委員が御指摘をされたように、一つは、総花的にコンテナの港をつくってしまったということ、どれを集中するかという戦略なくやってきたということ。平成十六年からスーパー中枢港湾ということで三つ選びましたけれども、若干、それは時既に遅しということで、一定の効果はありましたけれども、減少傾向には歯どめがかからない、こういう状況になっているわけであります。

 いま一度、周回おくれ、二周回おくれの日本の港湾でありますけれども、国際競争力を高めるためには何をしたらいいかということで考えますと、一つは、やはり港の運営の方法を変えてもらうということですね。つまりは、港においてはばらばらの運営主体になっていて非常に非効率的だということ。もう一つは、やはり民の視点、民間の経営効率化という、もうけるという、そういった視点がないといけないし、また、そういった視点がないと、港湾の使用料なんかが高くなって、結局競争力の点でおくれをとってしまう、こういうことだと思います。あとは、やはり内航フィーダーといいますか、たくさんコンテナをどうやって集めるかというような観点が必要でございます。

 今、四カ所手を挙げていただいております。京浜、それから名古屋、四日市、それから阪神、それから北九州、福岡という四カ所が挙げていただいておりますけれども、今ヒアリングを行わせていただいております。

 先ほど、これも委員がおっしゃったように、実績も大事でありますけれども、今後の戦略それから伸び代、こういったものと、先ほど申し上げたような民の観点と港湾運営の一体化、こういったものを本当にやっていただけるのかどうなのかといったことをしっかりと見させていただいて、結局、一港か二港しか選ばないんですけれども、ただ、私は、この四港ともよくなると思っています。

 なぜならば、提案をしていただいて、私どもが申し上げている条件に合うように港の経営を変えていこうということで今提案をいただいておりますので、仮に選ばれなくても、そういった、選ばれなかったらもとに戻すんじゃなくて、仮に選ばれなくても、その経営のあり方を変えていくということにおいて必ずこの四港とも私はよくなっていただけるというふうに思っておりますので、そういう意味では、意識変革と、そして港湾の運営のあり方を変えるということと、どうやって荷物を集めるかという戦略的な経営、こういったことをしっかりやっていただきたい、このように考えております。

大西(健)分科員 大臣、ありがとうございます。

 仮に選ばれなくても非常に効果があるという、新たな視点をいただいたような気がいたしますが、ただ、前原大臣を筆頭に、馬淵副大臣の奈良は海はありませんけれども、国土交通省政務三役六名のうち五名が関西出身ということです。私は愛知県ですので、我々も、名古屋に大臣にも来て実際に見ていただいたということでお聞きをしていますので、取扱貨物量日本一、名古屋、伊勢湾がよもや選ばれないということのないように、ぜひここで、この機会に強く御要望を申し上げたいと思います。

 また、私の地元に衣浦港というのがございます。この衣浦港なんですけれども、取扱貨物量でいいますと、百三港ある重要港湾の中で第十八位ということで、またここ十年、外貿貨物の取扱量でいうと二倍に急増している。それから、この港の特徴なんですけれども、中部電力の石炭火力の発電所がありまして、この石炭火力、国内最大、愛知県の電力消費量の五〇%をカバーしているという重要な発電所になります。

 したがって、この衣浦港は石炭の輸入量全国第二位。そして、バルク戦略港湾の品目に挙げられておりますトウモロコシ、これは全国第五位で、とりわけ食品に使われるコーンスターチに限っていえば、日本の輸入量の三分の一、全国第一位ということになっております。

 名前は余り知られていないんですけれども、この衣浦港、名古屋港と三河港と三位一体で、ものづくり愛知を支える重要な港でありますので、ぜひとも国際バルク戦略港や重点港湾として今後も整備を進めていただきたいなというふうに私としては考えております。

 そこで、国際バルク戦略港及び重点港湾選定に向けた今後のスケジュールについて御説明をいただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 これは国土交通省成長戦略会議においても議論を深めておるところでございまして、国際コンテナ戦略港湾につきましては、昨年十二月設置の検討委員会において検討を行っております。

 港湾管理者によるプレゼンテーション第一回目は四月開催、そして本日第二回目の開催でございまして、これらの委員会、上記委員会におきまして、今後の議論を深めていくということでございます。

 また、国際バルク戦略港湾につきましては、現在、公募手順あるいは選定基準の議論を行っておりまして、六月上旬にも公募開始、平成二十二年末ごろに選定を行う予定でございます。

 さらに、重点港湾につきましては、港湾管理者等からの意見聴取を行って、夏ごろに選定ということで予定をしておるところでございます。

大西(健)分科員 もう一つ、時間がなくなってきましたけれども、海運についてお伺いをいたしたいと思います。

 アジアではリーマン・ショックの影響から脱して経済の回復が見られる中、輸出用の海上コンテナの需給というのが逼迫をしております。最近はどの船会社も、荷動きの伸びと運賃回復が進んでいる中国など、アジア発の貨物に優先的に船腹を割り振るという傾向があって、結果的に日本にコンテナが回りにくいという状況が常態化をしているというふうに聞いております。私の地元に自動車部品のメーカーさんがあるんですけれども、こちらでもコンテナの手当て、毎週毎週コンテナ確保に大変苦労をされていると聞いております。

 幾ら改善によって生産のコストというのを縮減しても、運送コストがかさんでしまっては意味がありません。さらには、高い費用を払ってもコンテナを回してもらえなければ、海外の顧客に期日までに製品を届けることさえできないということになっていきます。

 私は、この状況というのを放置すれば、海運によって製品を輸出しなければならない日本の物づくりにとって致命的なダメージを与えかねないというふうに危惧をしております。国際的な船会社のアライアンスというのもどんどん進んでいるというふうに伺っておりますけれども、業界のあり方を含めて、こうしたコンテナ需給の逼迫の状況について、国土交通省の認識をお聞かせいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、世界のコンテナ輸送は、リーマン・ショックに端を発しました不況によりまして、荷動きが大きく減少してきておるところでございます。これに合わせまして、船会社の方では、例えば船を港につないでおくとかいった係船などによりまして、船腹量を減らしてきております。

 一方、またこれも委員御指摘のとおり、中国を中心としたアジアの荷動き量は、予想に反しまして、閑散期であります冬でもかなり需要があったということでございまして、船会社の方では、中国向けにスペースを優先的に割り当てるといったことを行っておりました。

 この結果、中国向けに比べまして、欧米向けのコンテナのスペースの不足感というのは強かったというふうに認識しております。

 特に、欧州の航路が、一昨年十月、EUがいわゆる独禁法の適用除外制度を廃止したということによりまして、関係者間でニーズに対する情報交換等がなかなかできにくい状況になったということもありまして、そういう荷動きに合わせたタイムリーな配船がなかなかできにくかったというようなこともあって、スペース不足感にさらに輪をかけたというふうに認識をしています。

 ただ、現状では、ニーズに合わせて船会社は供給をしておりまして、かなりこの不足感というのは緩和されておるというふうに認識しております。

 いずれにいたしましても、日本の場合、製造業にとってこの外航海運というのは非常に重要でございます。特に、我が国の外航海運会社は荷主と長期契約で安定的なサービスを供給する、あるいは日本へ寄港するコンテナ船を優先的に確保するといった努力を行っておりまして、こういう観点から、我が国の外航海運会社というのは今後ますます重要になってくるものと思います。

 国土交通省の成長戦略会議で現在議論を行っておりますけれども、ここにおいても、外航海運税制の戦略的な見直しを進めることなどによって、日本籍船を中核とした日本商船隊の国際競争力の強化の方向性が打ち出されておりまして、今後、これに沿いまして具体的な施策を考えてまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 もう時間がありませんけれども、最後に住宅政策について一問だけ質問させていただきたいと思います。

 最近では、住宅エコポイント制度がリフォーム市場等の活況を呼び込んでおりまして、大変評判はいいんじゃないかと私は思いますけれども、今回の住宅エコポイントの対象は、主に高気密、高断熱のいわゆる魔法瓶住宅というものが対象になっております。したがって、気密性よりも通気性を重んじている国産材やかわらを使用した伝統的な工法の住宅というのは、今回エコポイントの対象になっておりません。

 しかし、地場産材やかわらを使用した住宅は耐用年数が長く、これらの建材は、生産から廃棄までを考えた場合には、CO2の排出量も少なくて済みます。また、かわらを使用することは、日本の伝統的な町並みや景観を守る上でも重要だと私は考えております。

 私の地元の愛知県高浜市は、日本を代表する三州がわらの生産地ですが、阪神・淡路大震災を境にかわらの需要が落ち込み、また、大手ハウスメーカーの影響力が強まる中で、かわら産業は構造的、長期的な低迷という問題を抱えております。

 そこで、かわらや国産材を使用した住宅や建物の振興に対する政府の考え方を最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

郡主査 申し合わせの時間が来ておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、国産材、特に地場産材やかわらを使いまして、地域で産出される材料を活用しました木造住宅や建築物を振興するということは、お話にございましたように、伝統的な町並みや景観をつくっていく、保存していくという意義のほか、特に長もちする住宅をつくっていくということでは、環境に大変優しいという面があると私ども考えております。

 特に、長期優良住宅ということでは、木造の、地域の工務店がつくるような長期優良住宅の建設について助成措置を講じておりますほか、木造住宅の担い手の育成でございますとか、さらに、木造住宅について修景をしまして地域に根差した景観をつくっていくといった取り組みに対する助成措置、さらには、お話ございました住宅のライフサイクル全体でCO2の排出量を下げていく、削減していくといった取り組みについて、さまざまな施策で推進をいたしているところでございます。

 国交省だけではなく、関係省庁とも関係する部分が多うございますけれども、これからも、お話にございましたように、木材やかわらといった地場産材、地場の建材を使いました住宅、建築物の振興、その建設の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 終わります。ありがとうございました。

郡主査 これにて大西健介さんの質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎さん。

奥野分科員 民主党の奥野総一郎でございます。

 大臣、副大臣、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは、社会資本整備事業特別会計治水勘定について伺いたいと思います。特別会計の見直しという観点から質問させていただければと思います。

 まず、剰余金について伺いたいと思うんですが、予算ベースで見ますと、二十一年度で見れば、前年度剰余金受け入れ八十四億円というふうになっています。これだけ見ると、そんなにお金は余らせていないんだなというふうに映るわけでありますけれども、一方、きょう審議していただいております決算書ベースで見ますと、平成二十年度の参照書によりますと、歳入歳出差し引きでおよそ二千五十六億円の剰余金を生じる、こういうふうになっております。決算書によりますと、この剰余金については、特別会計に関する法律第八条第一項によりまして翌年度の歳入にそのまま繰り入れる、こういうふうになっています。

 この条文を見ますと、第八条を見ますと、毎会計年度の歳入歳出の決算上の剰余金については、積立金に積み立てるか、資金に組み入れる金額を控除してなお残余がある場合は、これを当該特別会計の翌年度の歳入に繰り入れると。この特会は積立金とかはないですから、翌年度に回すか、あるいは二項で、前項の規定にかかわらず、翌年度の歳入に繰り入れるものとされる金額の全部または一部に相当する金額を、予算で定めるところにより、一般会計の歳入に繰り入れることができるということで、翌年度に回すか一般会計に返すか、こういうふうに法律はなっているということでございます。この特会については、全部翌年度に入れているということであります。

 この決算上の剰余金については、歳計剰余金というような言い方をされているようでありまして、当該年度に実際に入ってきたお金と、それから予算が実際に執行されて出ていったお金の差額、では、年度末に現金が幾ら残っているかというのは、この歳計剰余金というふうに私は理解しております。

 まず、質問でありますけれども、この治水勘定の歳計剰余金について、過去三年分についてどれぐらいあるのか、お答えいただければと思います。

佐藤政府参考人 治水勘定における歳計剰余金の過去三年分の決算額については、平成十八年度二千四十七億円、平成十九年度二千五百三十四億円、平成二十年度二千五十六億円。

 以上でございます。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 今お答えいただいたとおり、毎年二千億円以上のお金、多いときは二千五百億円、コンスタントに大体二千億円以上のお金、これは多分、さかのぼっても同じだと思うんですけれども、常に歳計剰余金として残ってきている。年度末の一時点という理解かもしれませんが、とにかく毎年二千億円の現金が治水勘定として保有されているということであります。実際に、この貸借対照表を見ますと、現金・預金としてこのお金が残っているということであります。

 これは会計検査院に伺いたいんですが、一般論としてで結構ですけれども、こうした公共事業特会、建設国債を財源としている特別会計で多額の歳計剰余金を保有し続けることについて、検査院としてどうお考えになりますかということを伺いたいと思います。

鵜飼会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、十九年度に公共事業費の財源として建設国債の発行により調達された資金が一般会計から繰り入れられている九特別会計の十九年度決算を対象として検査を行い、平成二十一年十月三十日付で財務大臣に対して、会計検査院法第三十六条の規定により、意見を表示しております。

 その内容でございますが、国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもってその財源とすることが原則であることから、公債または借入金を財源の一部としている特別会計において生ずる剰余金は、財政の健全化のために活用する必要があると認められます。特に、公共事業費等に充てるために建設国債の発行により調達されて、一般会計から特別会計に繰り入れられた資金については、不用により剰余金となったりなどする場合には、特別会計に関する法律の規定により、一般会計に繰り入れることができることとなっております。

 検査を行いましたところ、建設国債の発行により調達されて、一般会計から特別会計に繰り入れられた資金で、不用により剰余金となったりなどしたものが、翌年度の特別会計の歳入に計上されて消費的支出の財源に充てられたり、後年度の公共事業費等の財源に充てられたりなどしている事態が見受けられました。

 このような事態は、建設国債の発行に対して法律上設けられている制限を形骸化していたり、財源の既得権化による財政の硬直化を招くおそれをもたらしたりするものであり、適切とは認められないことから、そのようなことがないようにするための方策を検討するよう意見を表示したものでございます。

奥野分科員 どうもありがとうございました。

 長い答弁でありましたけれども、要するに、この赤字状況の中、建設国債に限ってというお話でもありましたけれども、一般財源にしたって今は半分以上が国債で借り入れているわけですから、こうしたお金を、先ほどの法律上は二項で、一般会計に返せるときは返しなさいとなっているわけですから、一般会計に返しなさい、こう言っていると理解をさせていただきます。

 検査院からも指摘がありましたけれども、要するに、私の理解では、これは二千億円の貯金が特会という名の中にあるという理解。ぐるぐるぐるぐる毎年回して、うまく資金をつないで二千億円の貯金をやっているという理解であります。

 法律の規定に基づいて、直ちに一般会計に返納すべきだと私は思いますけれども、この歳計剰余金について、これまで一般会計に返納できなかった、あるいはしなかった理由について伺いたいと思います。

馬淵副大臣 御指摘の問題意識につきましては、また後ほど大臣からも御答弁があるかと思いますが、私の方からは事実関係をお答えさせていただきます。

 この治水勘定の歳計剰余金を一般会計に返納すること、これは制度上可能ということでありますが、一方、治水勘定の歳計剰余金には、利水者等からの負担金など多数の財源が含まれていることから、受益と負担の関係が現行より不明確になりがち、利水者等からの理解が得られないおそれがあること、また、繰り越し事業の財源等を改めて確保する必要があること等の課題があるということで、今日まで一般会計返納ということがなされなかったというふうに承知をしております。

奥野分科員 二つ、受益と負担との関係があるという話と、それから工事の繰り越し等があるということが理由だったと思いますけれども、受益と負担の関係はディスクロージャーの問題だと私は思うんですね。ですから、特会でなくても、一般会計上でもきちんとディスクローズしていけば、特会である必要は必ずしもないと思います。

 それから、繰り越しの話ですけれども、確かに繰越額は多いんですね。伺いたいと思いますけれども、過去三年分の予算の繰越額についてお答えいただきます。

佐藤政府参考人 治水勘定の翌年度繰越額、過去三年分の決算額についてお答え申し上げます。

 平成十八年度二千七百十億円、平成十九年度二千九百八十四億円、平成二十年度二千九百三十二億円。

 以上でございます。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 確かに多いんですが、これを見るとコンスタントに、二千七百億、二千九百億と、毎年同じぐらいの額にはかったようになっているわけですね。これが、例えばことしは百億で、ことしは四千億だというなら何となく特殊な事情があるのかなと思いますけれども、工事なんというのは、それは、台風が来て急にというのはあるかもしれませんが、そういう不測の事態を入れても、長年の経験からして大体こうだということは、恐らくはかり得ると思うんですね。

 ですから、きちんと資金の管理とか進捗管理をしていけば、毎年こういう三千億近い予算の繰り越しも必要ないでしょうし、あるいは歳計剰余金という形で貯金をしておく必要もないと私は思うんですが、もう少しきちんと工事の進捗管理を行っていく。あわせて、資金繰りをきちんとしていく。一般会計からの繰り入れ時期とか、あるいは借り入れ時期、あるいは負担金の徴収時期、そういうものをきちんとコントロールしていけば、こうした二千億を直ちに返納することが可能ではないかと思われるんですが、いかがでしょうか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘の点、よくよく承知をしておりますが、治水事業の特性として二点申し上げれば、六月梅雨期、また、十月台風期の出水期には、原則として河道内工事が困難になる。また、山間部等では、冬期の積雪状況の中で実施が困難となるといった特性がある。

 こうした工期が限定されるという状況で、工事工程の管理が非常に難しいということで、毎年一定程度の繰り越し事業が発生している現状だ、このように国土交通省としては現状把握をしておりますが、これも毎年発生をしておりますので、御指摘のように、厳しい管理によってここも十分削減、縮減することが可能ではないかということも政務三役としては認識をしております。

奥野分科員 前向きな答弁、どうもありがとうございます。

 もう少し角度を変えていえば、特別会計だからそういう貯金を持てるんじゃないか。これが一般会計であれば、事業ごとにもっと資金繰りをきちんと考えてやっていくんだと思うんですね。特別会計の一つの弊害と私は感じています。

 角度を変えてここで質問しますけれども、そもそも、きょうは治水勘定の話ですから、特別会計としての治水勘定が必要なのかという問題であります。

 財務省なんかが言っているのを見ますと、釈迦に説法ですけれども、特別会計というのは、国が行う特定の事業や特定の資金を運用する場合などに設ける、これは特定の事業という理解であって、意義として、受益と負担の関係や事業ごとの収支を明確にする、それから受益者負担、事業収入の確保や歳出削減努力を促す、こう書いてあるんです。

 歳出削減の努力が促されているかというと、それは、我々も追及してきたとおり、そういうふうには必ずしもなっていないということですから、さっきおっしゃったように、受益と負担の関係をどう明確にしていくかということに尽きると思うんですね。この特会、特に特定財源もないわけですから。そうしますと、さっき言ったように、ディスクロージャーの問題だというふうに思えば、必ずしも特別会計勘定である必要はないと私は思います。

 この勘定は、決算書によりますと、およそ四分の三が一般会計から繰り入れになっています。残りが負担金収入ですね。これは、いわゆる直轄事業負担金が負担金収入のうちの八割、事業者負担金が残り二割ということでして、直轄事業負担金についても平成二十五年度までに見直していくという方針が出されておりますから、いや、これは必ずしも全部一般財源になるかどうかはわかりませんが、ほとんど一般財源になってしまうということですね、仮にそうなった場合に。

 ですから、事業者負担金が残るんですが、これについては、何度も言っていますが、ディスクロージャーの問題として、きちんと一般会計の財務諸表の中に記載していけば、受益と負担の関係としてあらわすことはできると思います。

 治水勘定の必要性について、改めて伺いたいと思います。

前原国務大臣 先ほどから馬淵副大臣あるいは佐藤河川局長からもお答えをしていますけれども、余っているといいましても、次年度以降の繰り入れというもので使われているわけであって、我々が野党時代に追及していた、特別会計で剰余金が積み重なってきて何か埋蔵金のようなものになっているという勘定でないということは委員もおわかりで御質問されているというふうに思っております。

 先ほど御指摘がありましたように、これから地方の負担金というものはなくしていく方向で今調整をしております。一方で、水道事業者、電気事業者等の利水者からの負担金というものもあります。よりわかりやすさという、受益と負担の関係のわかりやすさという関係の中でこういうものがつくられてきたということであります。

 委員御指摘のように、ディスクロージャーをしっかりとして、そして見合いがしっかりわかるような、別に勘定じゃなくても、使われ方がこうですよというような明記をしていけば、おっしゃるような、別にこれだけをくくるということには必要性はなくなるということで、我々、特別会計の見直しをやっていこうということで今議論をしておりますので、特別会計全体の改革の議論の中で、今委員が御指摘をされているこれらの問題についても整理をされていくということがよろしいのではないかと考えております。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 私も、党の特別会計の見直しの方でお手伝いを今しておりまして、そういった立場できょうは質問をさせていただいております。

 今お話がありましたけれども、繰り返しになりますが、剰余金についても、もう少しきちんと資金管理をしていけば、これは私の感想ですが、全部とは言わないまでも、かなりの額を減らすことができるのじゃないかと思います。そもそも、特別会計自体、勘定を廃止してしまえばこうした問題も起きない、財布が一つあって、そこにお金が常にあるというようなことは起きないわけですから、きちんとディスクロージャーをしていただきたい。

 もう少しディスクロージャーについていえば、全体ではなくて、ダム事業、個々の事業についてきちんとわかるようにしていただければと思います。そうすれば、必ずしも特別会計制度によらずとも対処が可能だというふうに私は考えております。

 ここで次に移らせていただきますけれども、特別会計の資産の活用ということで、先日、埼玉県の川口市と戸田市の間を流れている緑川というところ、都市部の河川、小さな河川ですけれども、同僚議員とともに視察に行ってまいりました。この緑川については、検査院の方で、平成二十一年十月三十日付ということで河川改修の未着手用地の有効活用の事例として挙げられていた場所です。それを踏まえて行ったわけですけれども。

 この二十一年十月三十日付の意見等について、検査院から概要を御説明いただければと思います。

斉藤会計検査院当局者 会計検査院では、河川改修事業用地の管理及び活用に関しては、二十年度決算検査報告で、河川改修事業を実施するために取得した土地について、適切な管理が行われるよう適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を求め、並びに工事着手までの間の活用が図られるよう意見を表示しております。

 概要でございますけれども、河川管理者は河川改修事業を実施するために必要な土地を取得しておりますが、長期間、工事に未着手となっている事業用地の面積が膨大なものとなっております。これらのうち、五年以上工事に未着手となっている事業用地約二百二十四万平米につきまして検査いたしましたところ、旧地権者等により無断で使用されていたり、有効に活用されていなかったりしている事態が見受けられました。

 したがいまして、国土交通省において、河川改修事業における工事に未着手となっている事業用地につきまして、事業主体に対して適切な管理が行われるよう指導を行い、これを周知徹底したり、活用に対する認識、理解等を促し、かつ、工事着手までの間の事業用地の活用に資するものとなるよう、活用についての基準等を示す要があると認めたものでございます。

 なお、先ほど先生御指摘のあったとおり、今回検査を行った未着手となっている事業用地の中で、公共の目的のために活用されているものが約五万九千平米ございましたけれども、その一例のうち、埼玉県が緑川で平成四、五両年度に取得いたしました百三十六平米につきましては、九年九月に戸田市に使用の許可を与え、市民農園として使用させているものがあったところでございます。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 有効事例の例として挙げられるということは、多分一番すばらしい使われ方ということかなとも思うんです。

 行ってきたんですが、要するに、狭い土地が市民農園みたいな形になっていまして、周辺の住宅地の中に一画取り残されて市民農園がある、そんな感じでありました。この事業自体は、その場で伺ったんですけれども、昭和四十年代に計画されまして、総延長三キロで河川の拡幅を行うというふうに聞いていまして、今のところ、全体の四分の一、これも昭和四十年代に片がついた四分の一、三キロのうち七百五十メートルだけしかできていない、残り二キロちょいについてはこれから。

 それで、用地買収をしているんですが、ずっと川べりに家が建っているんですね、都市部ですから。ばあっと家が建っていて、アパートが建っているわけです。その中に、虫食い的に土地がぽんぽんぽんとあるわけですね。学校の運動場に使っているというところも、それはいいんだろうなと思ったんです。あと、こういう農地があるということです。どう見ても、これから二キロにわたってその周辺の土地を全部買収して河川拡幅工事ができるかというと、えっと思わざるを得ない。この予算のない中、私の感想ですよ、多分無理なんだろうなというふうに思いました。

 むしろ、であれば、事業そのものを見直して、当面着工できないのであれば、もうちょっと長期に貸すとか、農園であればすぐ使えるということでそういう使い方になっているんでしょうけれども、住宅地として借地で二十年、三十年と設定して貸すとか、あるいは、ちょっと乱暴ですが、もうやめてしまって売却してもいいのじゃないかというふうに思いました。検査院さんの立場ではなかなかそこまでは踏み込んで言えないんでしょうが、事業は続くということを前提としてということなんでしょうけれども。

 そこで、今現在、治水勘定、どれだけ未着工地を抱えているかということで気になりました。検査院さんが入られたからたまたま少し明らかになってきたんですけれども、では、全体が把握できているかというと、検査しなければ必ずしも把握できないということですね。

 既存の資料で何か出ているのかなということで見てきたんです。社会資本整備事業特会の財務諸表というのがありまして、その中で、参考情報として「公共用財産に関する情報」ということで、施設が四十八兆円で、用地についておよそ十七兆円余りと数字が出ていまして、ああ、こんなにあるのと思ったんですが、これはどういう数字かということを伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 省庁別財務書類に公共用財産用地として計上されている約十七兆円でございますが、特別会計財務書類の作成基準等に基づきまして、堤防等施設の平均耐用年数である四十九年分の治水事業等に係る用地費並びに補償費を累計した価額を計上しているものでございます。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 要するに、四十何年間、ここ四十数年にわたって、ここの治水特会ないしは多目的ダム特会で、これは河川だけでしたか、治水特会で出した、用地買収に支出した額の合計だという理解でよろしいですね。(佐藤政府参考人「補償費も」と呼ぶ)補償費も含めてですね。

 ですから、今どれだけ不動産があって、今、時価どれだけあるかということは、これだけではわからない。中には川の底に沈んでいるものもあれば、今言ったように、都市部で買収したまま周辺地価が上がって値上がりしているものもある、こういう話だと思うんですね。

 それで伺いたいんですが、では、改めて、全国に、こうした川底に沈んでいない工事未着手の用地がどれだけあるかということ、ほかにどういう有効活用の事例があるのかということを改めて国土交通省から伺いたいと思うんです。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 全国に工事未着手用地がどの程度存在しているかということでございますが、現時点では、これは役所として把握をしておりません。

 また、工事未着手用地の有効活用事例としましては、埼玉県の利根川水系辰井川の多目的遊水地予定地が公園として活用、また、京都府の淀川水系雑水川の河道予定地が花壇として活用されているもの等がございます。

 以上でございます。

奥野分科員 どうもありがとうございます。

 全体として、やはり把握していないということですね。

 伺うと、事業主体のところに行けば帳簿があって、それは当然残っているんでしょうけれども、そうはいっても、これは国有財産ですね。負担金で買ったもの、負担金も一部まじっていますが、一般財源で買っている国有財産でありますから、政府が全体を把握していないということで果たして本当にいいのかという気がいたします。国有財産である以上は、できるだけ有効活用を図るべきでありますし、そういった観点からいっても、国有財産の管理としてはいかがなものかというふうに思います。

 治水勘定で保有している資産について、データベース化したり、全体としてきちんと把握し、国民にわかりやすく公開すべきと思います。ちょっと通告と若干あれしますが、その辺についていかがでしょうか。

前原国務大臣 今、副大臣また河川局長から答弁をさせていただいたとおり、全体としてはまだ把握をできておりません。

 これについては、やはり、地方公共団体の御協力をいただいて、その把握に努めてまいりたい、このように考えております。

奥野分科員 どうもありがとうございます。ぜひ実行していただきたいと思います。

 私自身は、緑川の例を見て、ほかを見ていないんですが、そこで見た感想でいえば、もう一度、河川整備事業等について基準等を見直すべきではないか。財源もない中、プライオリティーあるいは事業の継続等について見直すべきじゃないかと感じました。

 緑川の例ですと、事業が計画されて、昭和四十年代ですから、四十年以上たっている。拡幅が完成しなくても特段問題になっていない。地域住民も別に困っていない。洪水も、あふれたという話はないと伺っています。もちろん、何十年、何百年に一遍の豪雨に備えるということなのかもしれないですが、ただ、そうした基準も、もう少しきちんと見直していけばいいのかなと。いろいろな要素はもちろんあると思いますよ。これから温暖化して豪雨がふえるとかという要素もあると思いますが、そういうことも考えながら、財源見合いできちんと考えていくべきじゃないでしょうか。

 廃止するものについては、不動産を売却すべきだと思います。特に都市部については、先ほども言いましたけれども、恐らく、緑川について、私の感じでいえば、拡幅を強行する必然性はないなと。お金をかければできるのかもしれませんが、それだけのお金をかけてやる必然性はないなと感じます。中止するもの、当面凍結するものとちゃんと分けて、当面凍結するものについては、例えば土地について長期で貸すとか、もう少し有効利用が、畑にしておかなくても、建物を建てることは二十年借地とかやればできるわけですから、そういう形もできるはずであります。

 改めて伺いたいと思いますけれども、ダムなんかではしっかりやられていると理解していますけれども、治水勘定の事業全体について、事業を見直して、不動産、有効資産を洗い出した上できちんと図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 御指摘の、工事未着手用地の有効活用でございますけれども、事業実施の必要性の検証を行ってきている事業再評価等を踏まえまして、中止等となった事業の用地を対象に、財産の有効活用の観点から、適切に対応するように指導してまいりたいと考えております。

 なお、今後工事が予定されている未着手用地について利用の御要望等があれば、河川事業等の執行及び河川管理上の支障がないことを確認した上で、必要な事務手続を経て他用途への使用も図っていきたい、このように考えております。

奥野分科員 ぜひお願いいたします。

 さっきも言いましたが、前提として、きちんとデータベース化して、どこにどういう用地があるのかというのがきちんと国民、納税者にわかるようにした上で、恐らくそういうことが可能だと思いますので、しっかりやっていただければと思います。

 最後に、業務勘定の話。

 従前、無駄遣いといっていろいろ言われた公用車の問題がありましたけれども、たしか、公用車について、保有台数が多いとか黒塗りの車がやたら多いとか、あるいは車両管理の委託について、特定の法人、二法人に全部落ちているとか、あるいは落札率が非常に高いとかということが数年前に指摘されたやに記憶しております。

 その際に、公用車利用の適正化ということで国土交通省としてお決めになられたようでありますけれども、その進捗状況について伺いたいと思います。

馬淵副大臣 平成二十年十月の公用車削減計画の進捗状況ということでございます。

 これにつきましては、目標台数九百六十三台のうち、平成二十年度末までに五百四十台を削減済みでございまして、進捗率は五六・一%。平成二十一年度末の進捗状況、これは現在調査中でございますが、二十二年度末までに所定の削減目標を達成できるようにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 さらに、車両管理業務の委託台数につきましては、目標削減台数の一千三百七十二台に対しまして、平成二十二年度当初で一千三百七十七台削減をいたしております。

 委託料の縮減状況につきましては、平成十九年度末の支出額百八十二億円に対して、平成二十二年度当初契約額約六十一億円となっております。

 以上でございます。

奥野分科員 時間もなくなったのであれなんですが。

 落札率についても伺おうと思ったんですが、かなり落ちていると、事前のお話を伺ったときは伺っておりますので、こういう言い方をすれば失礼かもしれませんが、やればできるんだなと。ということは、こんなに車を持っている必要もなかったんじゃないか、そういうふうになるわけでありますけれども、結局、特別会計という大きな財布があって、そこでお金が潤沢にあるからこういうことが起きたんだというふうに私は感じております。やれば削減できるはずなんですね。

 最後に、大臣に特別会計制度全体の改革に向けた御決意を伺って、終わりにしたいと思います。

前原国務大臣 我々民主党は、野党のときから、特別会計の見直し、そして、本当に必要なものは一般財源化していくということを申し上げてきたわけでございますので、きょう委員が御指摘をされた点も含めて、政府・与党と一体となって改革のために歩みを進めていくということで、また、委員も特別会計のチームにお入りだということでございますので、今後とも御指導、リーダーシップを発揮していただきたいとお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。

奥野分科員 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきたいと思います。

郡主査 これにて奥野総一郎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田中和徳さん。

田中(和)分科員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 本日は、近年、残念ながら著しく国際競争力が低下いたしました我が国港湾の今後の振興策についてお尋ねをいたしたいと存じます。

 私も過去に国土交通省の大臣政務官を務めたことがあり、かかわった者の一人として、反省もしておることしきりでございます。今こそ政治が指導力を発揮して頑張らないとどんどんと世界における我が国の地位が下がり、港湾に至ってはまさしく顕著でございまして、そういう立場から大臣と、お尋ねをさせていただき、議論をさせていただければと思っております。

 港湾別のコンテナの取扱個数の変化に着目すると、昭和五十一年当時は世界のトップテン内に、二位神戸、八位東京、二港が入っておりました。しかし、平成十九年の統計では、世界トップはシンガポール、二位は上海、三位は香港、五位が韓国の釜山、八位は台湾の高雄、アジアの諸国の港が軒並み順位を急速に上げている一方で、日本の港はベストテンに一カ所も入れず、東京は二十四位、横浜が二十八位、名古屋が三十五位、神戸が四十四位、大阪が四十六位と惨たんたる事態でございます。

 対策を講じるには、この三十年で我が国を代表する国際ハブ港湾が台頭する東アジアの主要港湾にその地位を譲らざるを得なかった理由の分析や精査、その後の対策とその評価が極めて重要なことであろうと思っております。

 我が国の港の国際競争力の低下の理由として、次のようなことが指摘をされております。

 まず第一に、外的、そして地政的な要因がありますが、東アジアのそれぞれの主要港湾がグローバリゼーションの中で新たに台頭している都市地域の中心部に位置している一方で、我が国港湾は成熟した、でき上がった都市地域に位置している。また、日本企業の海外展開が進むにつれて、物が我が国をパスしない、海外で生産、販売が完結する、こういうケースがふえている。

 第二に、国内のコンテナ港湾の機能の分散があります。東アジア諸国が拠点港湾の整備を進めてきたのに対して、我が国は逆に全国にコンテナ港湾を整備する分散政策を進めてまいりました。地域の発展のためによかれと思ってやったことが少し裏目に出たということかもしれません。

 第三に、港湾サービス面の課題があります。東アジアの主要港と比較して、我が国のコストが割高である、また、入港した後に港から貨物を搬出できるようになるまでのリードタイムが長くなっている。この背景としては、ライバルの東アジア各国が国営企業であった港湾オペレーター、すなわち港運業者を民営化し、効率化の徹底を図ってきた一方で、我が国ではターミナルごとに港運業者が今も分かれて活動するという旧来の構造が続いている、こういう点が指摘されておるのでございます。

 四面を海に囲まれている島国日本にとって、長年にわたり、船舶と港湾は、国内、そして国外の交易の重要拠点として機能して、極めて重要な役割を果たしてまいりました。そして、これからもその役割は同様で、経済波及効果と雇用確保が見込め、国民生活を守るライフラインであり、インフラであると考えます。

 世界の中でおくれをとってしまった我が国の港湾ですけれども、理由は幾つか私が指摘しましたようにありますけれども、大臣は最大の問題、課題は何とお考えなのか、まずお伺いをしたいと思います。

前原国務大臣 田中委員にお答えいたします。

 今、田中委員がおっしゃったことでかなりもう尽きているのではないかというふうに思っておりますが、過去のことを振り返るよりは今後のことをどうしていくのかという観点から、その問題意識で少しお話をさせていただきたいと思います。

 先ほど、分散政策というものについては、よかれと思ったことが裏目に出たということを先生おっしゃいましたけれども、やはりもう少し視点をもとに戻して、集中政策というものをとることが必要ではないかと思っています。自公政権でも平成十六年からスーパー中枢港湾ということを三港指定されましたけれども、一定の成果はありましたけれども、荷物の減少というものに歯どめがかかっておりません。さらに集中をしていくことが大事だということが、まず一点。

 二点目は、集中をするだけではだめなんだろう。つまりは、内航フィーダーをどう集めるかということをやはりその港、港でみずから考えてもらわないといけない。そして、三百六十五日二十四時間、使い勝手のいい港にしていくという努力が必要であろう。そして、コストも安い。

 こういうことを考えると、先ほど委員がおっしゃったように、港の運営のあり方そのものもやはり見直していかなくてはいけない。埠頭ごとにばらばら、業者もばらばら、こういったものを一体経営して効率化をしていくということ、そして民の力、民の観点からの港湾運営をやっていく、こういうことが私は必要じゃないかと考えております。

田中(和)分科員 大臣から御答弁をいただいて、おおむね私たちもそのように思っております。

 日本も、税関、検疫や数々の手続を簡略化する港のシングルウインドー化に取り組んできました。私も財務省の政務官のときに担当させていただきまして、我が党の河野太郎君から厳しい質問を受けたことを今でも覚えておりますけれども、まだまだ手続のワンストップサービスでアジアの主要港湾におくれをとっているんじゃないか、改善の余地があるんじゃないか、このように言われておるわけでございますけれども、この点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。

 問題意識は共有しておりまして、我が国においても、港湾の国際競争力強化のために、リードタイムを短縮すべく、かつコスト削減を図るために、輸出入や港湾関連手続の一元化、いわゆるシングルウインドー化というのは重要な施策であると考えており、委員もこの間、国交、財務、外務の政務官を担当され副大臣もされて、このことに随分御貢献をいただいたということを伺っております。

 これは、平成二十年十月に、次世代シングルウインドーの構築や、港湾手続を処理する港湾EDIというものと税関手続を処理するNACCSを統合するなど、一元化に向けた取り組みを進めており、さらに今後は、委員も御質問の中で言われた検疫ですとか防疫の手続も、これは関係省庁間でそれぞればらばらのシステムで運営されておりますので、その一体的運営に向けてさらなるシステム統合を目指して、次世代シングルウインドーの高度化というものを現在図っております。

 そういうものを図りながら、一定、国際競争に負けないシステムを構築しているというふうに我々も自負しておるんですが、問題は、電子化を進めても利用がなかなかされないという課題がありまして、この間港湾の管理者の電子申請率の推移が四〇%に満たないという状況ですので、システム統合、高度化とあわせて利用の促進、その利用が促進されるように利便性の増大、そういったことを図っていく必要があるというふうに考えております。

田中(和)分科員 そのとおりでして、なかなか現場のレベルがついてこないということがあります。それから、私もコンテナのエックス線の調査にも現地に参りましたけれども、すばらしい機械なんですけれども、なかなかどこにでもつくれるというわけにいかない、費用の問題があるんだろうと思います。

 そういう意味では、日本はすばらしいんですね、厳しくやっておるんです。テロ対策なんかでも、日本をパスする、日本をきちっと通ってきた船は、あの厳しいアメリカでも安心して荷が受けられると言っているんですよ。非常に信頼性が高い。しかし、それが、逆目もあるんです。やかましくて、厳し過ぎて、競争力がそれで低下しているという意見があるんですよ。余りよその国のことを言うといけないんですけれども、やはりアジアの、すごい競争力を持っている、荷物がたくさん集まる港は、どうしても日本ほどではないんです。ここの問題をどうするのかという課題があるんですね。どうしましょうか。

三日月大臣政務官 これも重要な視点でありまして、安全の確保、保安の向上という面と競争力というものをどのように両立させていくのかという視点は大切だと思います。

 私も、一昨日まで中国で、前原大臣にかわり物流大臣会合に出席をさせていただいて、土曜日には、上海の港、五・数キロに及ぶ巨大なコンテナターミナルの視察にも行かせていただいたんですが、その地においても、莫大な量のコンテナターミナルを扱う上海の港においても、保安の管理というものはきっちりとされておりましたし、さらにそれを高めていくんだというような話もありました。

 したがいまして、御案内のとおり、平成十三年、二〇〇一年九月十一日の米国同時多発テロの発生を契機に改正されましたSOLAS条約に対応するために、我が国においても、平成十六年七月以降、国と施設の管理者との協働によって港湾における保安対策を講じております。

 ターミナルに立ち入る際に本人確認を必要最小限の範囲で行っておりますが、例えば米国では、偽造防止措置が施された全国共通のICカードを国が発行しまして、すべてのターミナルに立ち入る者に対する本人確認を行って、そのカードを所有する者以外は原則として立ち入りを禁止するなど、さらに厳しい措置も講じておるところでして、決して我が国の保安対策というものが海外と比較しても厳し過ぎるということはありません。むしろ、これからは、どんどん流通が盛んになればなるほど、保安対策もきっちりしている港というものに信頼性が高まり、貨物というものも流通していくのではないかということを考えております。

田中(和)分科員 今政務官がお答えいただいたことは実にすばらしいんですが、実は、現実にはなかなか難しいんですよ。今から私申し上げますが、私が担当する金融の世界もよく似ているんです。名指しをすると国際問題になりますから余り申し上げませんけれども、いろいろな意味で現地を調査していただくと、相当、はっきり言うと、レベルの低いところの方にどうしても物も金も集まるんですよ。これはとんでもないことなんです。国際社会の中において、ルールをきちっとしていこうという声がやや小さ過ぎるんです。先進国の国々は大体、共通できる対策とかルールを守っていこうとするし、高めようとするんですが、その間隙を縫って、やはり商いを大きくしようとする意図が見え隠れする国もあるんですよ。

 ですから、世界の中で、ルールのないところはこういう仕事はしてはいけない。やはりレベルを上げてお互いに安心した物流をやっていこうとすることがなければ、これは正直者がばかを見ることになっていくんです。特にアジア圏は欧米とはやや違いますので、このことを日本は言わなさ過ぎる。言っていないんですよ。いろいろな場でやはりしつこく、厳しく言って、国際世論を盛り上げていかなきゃいけない、ぜひお願いしたいと思っております。

 それから、スーパー中枢港湾政策についてでございますけれども、課題は、さっきお話を大臣からもいただいたんですが、幾つかありますね。政策目的の不明確さ。港湾の集約化を目指した政策と言われながら、実際は集約という概念が明確にならなかった。

 第二に、集約政策と分散政策の矛盾がある。欧米の基幹航路はスーパー中枢港湾で、アジア域内の航路は地方コンテナ港湾でと言ったんですが、極めて非現実的な状況にある。

 第三に、港湾配置政策の欠如。荷物の集荷圏が重なる阪神港と名古屋港が同時にスーパー中枢港湾に指定されて、いわば適正配置の視点が欠けていた。

 第四に、物流ネットワーク構築政策の弱さ。港湾だけの整備にとどまって、後背地の道路あるいは内航海運とのネットワーク、こういう観点が少し欠けていたのではないか。

 第五に、メガターミナルオペレーター育成政策の不備が挙げられておりますけれども、主体としてのメガターミナルオペレーター自体は誕生したものの、政策の目的とされる一体運営の実績がない。こういうことでございまして、これは我々の時代のことなんですけれども、非常に反省をしつつ、何とかしていかなきゃいけない、切り返しが大事だと思っています。

 このスーパー中枢港湾施策は、全部がとは言いませんが、相当期待外れだった、こういうふうに私は反省しておるわけでございますが、ぜひ新たな取り組みをしていかなければいけないんですけれども、この点について、今後推進をしていこうとするのか。集約化の新しい成果も出ておりまして、後ほどお尋ねをいたしますけれども、どういうふうにこの政策に新しい政権として取り組まれるのか、お伺いしておきたいと思っております。

前原国務大臣 今、田中委員がおっしゃったスーパー中枢港湾でございますけれども、平成二十年度現在、目標である港湾コストの三割の低減については達成は約二割、リードタイムについては目標の一日程度に短縮することができたということで、全くだめだったということではない。一応というか、一定の成果はあると思いますけれども、寄港回数については先ほど申し上げたように減少傾向にあるということで、これが相まって、我が国の産業の競争力の低下というものが懸念されているわけであります。

 重ねての御答弁になって恐縮でございますが、しかし大事なことでございますので、今後の前向きな話として、では、どうしたら国際競争力が強化されるかということでありますけれども、一つは、国内貨物の集中を図るという上での内航フィーダー網をしっかりとしていかなくてはいけない。それから、多くのコンテナターミナルにおいて運営が縦割りになっている、効率、機動的、かつ一体的な運営がしにくい状況にある、これを変えていかなきゃいけない。それから、国際的な港湾間競争が激化する中で、民の視点と経営の自由度を持った主体が一元的に港湾を経営するという戦略を持たなきゃいけない。それから、港湾経営の観点から、港湾機能の役割の明確化や投資の重点化を図るための広域的調整が十分にされていかなくてはいけない。

 こういうことをやっていけば、日本の港というものは、これはどこになるかということではありませんけれども、選択と集中をすることによって、アジアの中でまた、先ほど先生がおっしゃった順位が、東京でも二十四位でしたか、非常に低いですよね、こういうものを上げていく中で、一つのところを高める中で、日本の地盤沈下をそれで防いでいって底上げをしていく。こういったことで、今、国際コンテナ戦略港湾の選定を行っているところでございます。

田中(和)分科員 今御答弁をいただいたわけでございますけれども、反省も含め、スーパー中枢港湾の取り組みをさらに一歩進めるという視点で、国際コンテナ戦略港湾、国際バルク戦略港湾の取り組みが始まっております。対象港湾を絞り込む、予算の重点化を図る、こういうことなんですけれども、私の地元の川崎港でも、東京港、横浜港とともに、京浜港として国際コンテナ戦略港湾に応募しておるわけでございます。

 こういう国際コンテナ戦略港湾、国際バルク戦略港湾は、政策としては、港湾の一体化というものがポイントになっておるわけでございますが、一方、地元を例にとると、東京都、川崎市、横浜市、それぞれ港湾局がありまして、歴史もありますし、いろいろなものもくっついております。

 こういうことで、この一体化をどうするか、三つ合わせて第三セクターのようなものをつくって管理していくのか、もっと国が大きくかかわって新しい経営スタイルにしていくのか、非常に重要なところなんですが、どうすべきだとお考えですか。

前原国務大臣 これは今、先ほど先生がおっしゃった京浜港として手を挙げていただいているわけですね。そして、ヒアリングを今行っておりまして、この間は横浜の林市長さんがプレゼンテーションをされた、こういうことでございます。

 国際コンテナ戦略港湾の採用に当たって、先生もごらんになったと思いますけれども、評価点というのが全部割り振られておりまして、この点数がどう配分されているかによって、我々がどういう方向に誘導していきたいかということは御理解をいただけるというふうに思います。

 その中にありまして、公設民営化やターミナルの一体運営によるターミナルコストの低減、それから、先ほど申し上げたコンテナ貨物を集約する内航を初めとするフィーダー網の抜本的強化、ゲートオープンの拡大による二十四時間化の推進、そして荷主サービスの向上をしていただく。

 それから、コンテナ船の大型化の進展に対応する港湾の整備。これは、先生も御承知のとおり、パナマ運河が今度拡幅をされます。したがって、これから世界での主流というのはポストパナマックス級という、拡大されたパナマ運河を通れる大きな船がこれからのスタンダードになってきますけれども、それが泊まれる港というのは今ありません。今整備されているところで申し上げれば、横浜の南本牧、これは今二十メートルの水深で整備されておりますので、これは泊まれるようになるということで、ほかはないんですね。

 ですから、そういう将来的な、何がスタンダードになるかというところもちゃんと考えていただかないと、全部ほかの、釜山に行って、上海に行って、そして載せかえて小さな船で日本に来る、こういうことになってしまいますので、こういうこれからのポストパナマックス級が停泊できる港というものをやはりやっていただかないとだめであるということ。

 それから、繰り返し申し上げておりますが、やはり民の視点ですね。民の視点での経営、しかも広域的な経営。それはどうしたらいいんだという先生の御質問なんですが、そこはお任せをします。それはプレゼンテーションしていただいて、東京、川崎、横浜でどういう経営をされるのか。ただ、我々は、やはりこういう一体的、効果的、効率的、そして民の視点が入るのか。民の視点が入るということは、国が金を入れなくても民間資本が先行投資するということもあり得るわけですね。そうすると、またその港というものがより活用されていくようになるということで、そういう意味でのアピールを、川崎も含めた京浜港としてぜひしていただきたいと考えております。

田中(和)分科員 パナマは、ちょうどパナマ湾の浄化を我が国が支援したんですよ。パナマの国は金持ちですから、だんだん支援する機会もなくなるんですが、ラストのような事業だったんですけれども、ちょうどそのときに私が担当しまして、パナマ運河をずっと見てまいりましたし、行ってきました。

 今回のパナマ運河の事業というのは、第二パナマ運河なんですよね、行ってみるとわかりますけれども。そして、本当にすごい、数センチのところをうまく、日本の三菱のエンジンで、ロープをかけて、左右の幅がうまく均衡できるように、岸壁にぶつからないようにコントロールしつつ引っ張っていくんですが、結局、あそこにはまるサイズでないと通れないものですから、世界的に通じない、こういうことでございまして、今度は拡幅しますので、今おっしゃったパナマックスが新しく設定をされてくるわけでございます。

 ついでにお話ししておきますが、あのときに日本の建設業者が実は手を挙げたんですよ。私は、帰ってすぐ安倍総理の親書をパナマの大統領に発していただいて、船もたくさん通りますし、金融面での支援も日本が手を挙げておりましたので、何とかという思いがあったんですが、結局だめでしたね。こういう面での国際貢献ができるように、また国土交通大臣に頑張ってもらいたいと思うんです。

 さて、今の話の続きになるわけでございますけれども、私どもも、確かに管理の問題もそうですけれども、それだけではない、このように思っておりまして、いろいろなことを考えなきゃいけないと思うんです。

 私の質問の中身はいろいろとあるんですが、時間の関係がありますので、少しはしょってまいります。

 今の日本のランクが下がるというのは、やはり民間で、外国から資本を導入したり技術を導入したり来ていただいて、日本の底上げをしていくというのは理想ですね。また、国内の人たちにうんといろいろと知恵も金も出してもらってやっていくというのもこれは理想なんですけれども、大体、それを言ってずっとたってみると、できていないんですよ。その分野が、実はランクが下がって力を失う原因になっています。

 ですから、私が申し上げているのは、ぜひ国がもう一回汗をかいていかなければいけない、そして、ここぞというところにはやはり予算も執行していく、法律も場合によってはつくっていく、これが指導力、政治力だと私は思っているんですよ。これは、今のままほっぽっておいたら、まだ下がっちゃうという心配をしております。川崎の港だけの問題じゃないんですが、川崎も大変、コンテナが集まらなかったものですから、いろいろとまた考えて、他の力を示していけるような港にしていかなきゃいけないし、東京と横浜との連携というのは欠かせないものですから、頑張ってまいりたいと思っております。

 今度は、もう時間の関係で、地元の話をさっとしてまいりますが、一つは、お礼を言わなきゃいけないのは、川崎は全国で初めての基幹的広域防災拠点が完成しまして、公園もでき、いろいろな意味で多方面な活用をされ、市民も喜んでおります。とりわけ四月二十九日には、百七、八十メートルの人工海浜ができまして潮干狩りが始まったんですよ、テープカットしたんです。これは、当時、川崎市民の皆さんの強い要望があって、国の港湾局に計画を変更してもらって、浜をつくってもらったんですよ。非常にありがたいことなんです。

 さて、それはそれとして、私の選挙区と言った方がいいんですが、この地域だけではありませんが、私のところですら日本一の人口集中地域です。選挙区で言うと、神奈川十区というのは日本一の人口を抱えているところなんですけれども、そこだけではなく、これは首都圏一円に及ぼすための施設なんでございます。ここも道路が、沈埋函という、昔ですが、当時としては新手法で、箱を海に埋めて設置して、そこを通すトンネルということでつくったんですが、もう老朽化して、先般も水漏れでちょっと大変だったんです。これだけでは荷物を、もし災害時に、有事の際に動かすということには非常に懸念があるわけです。

 今、臨港道路を整備するために国の方でも予算をとっておりまして、これをこれからやっていこうというところなんですが、それはそれとして、地震がいつ来るかわからないわけです。また、自衛艦も着岸できるようにセットしました。川崎も、自衛艦が着くと大騒ぎしていた時代があるわけです。自衛官の募集も拒否した時代があったんですが、今は大方の市民の皆さんの御理解があって、自衛官の皆様方の協力がもらえるようにしておかなければ本当に有事の際の対応ができないわけでございますから、そういうことで整備もしてあるんですが、それでも、荷物を運ぶというんですから、そのトンネルだけではちょっと心配があるわけですよ。

 例えば、艦が着いて、物を運んできたときに、小さな船で小分けして東京方面や横浜方面に、いろいろな地域に届けなければいけない使命があるわけでして、これはどのように対応することになっているのか、ちょっとお尋ねをしてみたいと思います。

三日月大臣政務官 委員御紹介いただいたように、中央防災会議の決定に基づいて全国初の基幹的広域防災拠点というものが川崎港に整備されまして、これは、首都直下地震等の大規模災害発生時に、東京都を含む一都三県を対象とした緊急物資の海上輸送の中継拠点ですとか自衛隊のベースキャンプとする目的で整備され、平成二十年六月から運用しております。

 この緊急物資については、全国各地から船舶で搬入いたしまして、必要な仕分けですとか荷さばき、保管が行えるような広場を設け、主に船舶によって東京湾各地の目的地へ輸送することを想定しておりますが、船舶以外にもヘリコプター輸送ですとかトラック輸送も想定しております。そういう意味で、この川崎港を結ぶ臨港道路、東扇島水江町線ですか、この整備を今計画的に進めさせていただいているところです。

田中(和)分科員 今のお話は、御存じのように、相当な予算が必要な事業なんですよね。今いろいろと予算の問題が、厳しい財政の中で査定等あるわけでございますけれども、お話ししましたように、首都圏のまさしくライフラインそのものでございますので、この事業費については、確保を特段にひとつよろしくお願いをしておかなきゃいけないだろうと思っております。災害対策でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 終わります。

郡主査 これにて田中和徳さんの質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎さん。

橘(慶)分科員 おはようございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。決算分科会国土交通関係ということで、鉄道を中心とした地域公共交通の活性化の観点、そしてまた地方都市の市街地活性化を進める上での固有な幾つかの問題について、私なりの経験も踏まえながら、それを全国的な視点ということも含めて順次お伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず最初に、鉄道駅のバリアフリー化、いわゆるエスカレーターやエレベーターの設置のことであります。

 大変利用者の方々に喜ばれる事業だと思います。公共投資としても、いろいろな装置を購入してつけていくということも含めて、効果のある取り組みだと思っております。

 一応、原則としては、一日当たり乗降客数五千人以上の駅というものが対象とされるということでありますが、大分事業も進捗してきておると思います。現状における整備の進捗状況を、まず教えていただきたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 鉄道駅のバリアフリー化の整備状況でございますが、まず、一日当たりの利用者数が五千人以上の鉄軌道の駅につきましては、平成二十二年までに原則としてすべてバリアフリー化することを目標といたしております。その駅は二千八百十六駅ございますが、平成二十年度末時点で、その七一%、二千七駅について整備が進んでおります。

 一方、五千人未満の駅につきましては、全国で六千六百五十五駅ございますが、そのうちの一九%、千二百八十二駅の整備という状況でございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 まず、五千人以上のところは、もう一年間で整備が進んでいく、言ってみれば全国あまねくということになっていくということであります。五千人未満になりますと、それはさまざまな駅、大小さまざまということは理解いたしますが、しかし、例えば四千五百人ぐらいとかいうふうになってまいりますと、非常に似通っている部分もあるかと思います。

 その辺、せっかく整備が進んできて、喜ばれる事業ということであれば、もちろん費用対効果は大事ですが、多少基準を緩めていくという考え方はないものか、お伺いいたします。

三日月大臣政務官 今、鉄道局長が答弁しましたような進捗状況でして、先生も御案内のとおり、一日当たりの平均的な利用者数が五千人未満の駅についても、バリアフリー法の移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、「地域の実情にかんがみ、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。」ことを目標とさせていただいているところであります。

 国土交通省においても、この基本方針に基づきまして、一日当たりの利用者数が五千人に満たない駅であっても、地域の交通拠点や観光拠点となっている駅であって、関係地方公共団体の理解と支援が得られる駅については、従来より、五千人以上の駅と同様の支援、これは補助なんですけれども、実施をさせていただいております。

 駅のバリアフリー化については、乗降客数の多寡、多い少ないにかかわらず、第一義的には、地元住民、地方公共団体、鉄道事業者などの地域の関係者が望ましい姿を構想され、関係者一致協力してこれを実現すべきものであると考えております。これを地方公共団体と連携して支援していくことが国の基本的な役割であるということを認識しておりまして、現在、交通基本法の検討もさせていただいております。

 ちょうど、ことし平成二十二年というのが、バリアフリー法に基づいて目標に対する達成度合いを確認する最終年度になっておりますので、その状況も踏まえて、しっかりと検討させていただきたいというふうに思っております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 やはりいろいろな意味で中央と地方の違いはあるわけでありますけれども、例えばエレベーターやエスカレーターなどは、当然、東京の地下鉄の駅などは、利用者数が多いからどこへ行ってもあるのが当たり前。地方に行くとなかなかそうもいかない、いろいろな今の事情で。そういったところで、やはり、どのあたりを一つ目安にしていくかということは、ぜひお考えいただきたい。

 これに関連する質問といたしまして、東京は今、SuicaあるいはPASMO、そういったものがすべて相互乗り入れ。ですから、モノレールも地下鉄もJRも、何でもあの一つのカードで乗りおりできる、そういう大変便利な状況になってきております。

 しかし、地域に行きますと、まだまだそういうカード自体の、それはまた利用者数とかいろいろな経済性ということもありますが、普及が行き届かない部分もありますし、また、そういったもののカードを共通化していくということもやはり大変大事なことではないかと思っております。

 きょうは、一応事前の打ち合わせで、前原大臣の御答弁はちょっといただけない形になっているようでありますが、実は、御視察をいただいた富山市の事例でございます。

 せんだって環状線もできたということもありまして、こちらでは、ライトレールさんのpassca、それから地鉄さんのecomyca、こういったカードをいろいろつくりまして、それを相互乗り入れさせるような努力もされるわけですが、やはりそういったことが、地方圏でそれぞれカードの使い勝手をよくしていくということは大事だと思います。

 以前、政務官にもこのことについては、カードそのものについては一度お伺いしているんですが、そういったものを共通化し、さらに利便性を高めていく、そういうことについてのお考えをここでお伺いしたいと思います。

三日月大臣政務官 私は重要な視点だと思います。特に、地域、地方における生活交通路線における、鉄道だけではなくてバスや路面電車も含めた共有化、総合化というものは重要な視点だと思っておりまして、その点も現在検討中の交通基本法の中の重要な視点だと私は思います。

 御案内のとおり、現在、急速にICカードの導入が拡大しておりまして、全国で七十を超える鉄軌道事業者が導入されておりまして、既に各事業者間の相互利用化というものも進んできております。今、御紹介いただいた富山地方鉄道におけるICカード、ecomycaの導入と同時に、富山ライトレールのpasscaの相互利用も図られております。

 このICカードの導入については、一義的には投資効果等を総合的に勘案した上で鉄道事業者が判断するものと認識しておりますが、地域鉄道の利用促進を目的としたICカードの導入ですとか共通化などに対しては、国としても、今あります地域公共交通活性化・再生総合事業制度によって支援をしておりますし、それらをさらに拡充してまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 言ってみれば、費用対効果の面で効果のある公共投資ということでずっとお話をさせていただいておると理解いただければ大変うれしいと思っておりますし、ぜひまたよろしくお願いしたいと思います。世の中にはデジタルデバイドという言葉もございますが、そういう、カードデバイドというようなことにならないように、やはり国民みんながあまねく、費用対効果はもちろん大事ですが、その中でサービスが受けられるということは、ぜひまたお願いしたいなと思うわけです。

 そこで、路面電車の話になります。

 全国で十九路線ございまして、この面では、私の住まいしております富山県などは、どちらかというと路面電車王国みたいなところもあるんです。過去、やはりマイカーブームの中で車に押されて、かなり路線数としては減ってきたわけですが、今日では、まちづくりの手段あるいは環境に優しい乗り物としての価値が見直されてきております。

 富山市では、セントラム、環状線の新設もなされたわけで、この後も若干、富山駅の南北をつなぐとか、あるいは高岡地域においても少し延ばすとか、そういう声は出ているわけですが、なかなか私も全国的なことはわかりません。路線の新設、延伸といったことの動きがどのようになっているか、事実関係を教えていただきたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 全国でいわゆる路面電車は十九路線ございます。そのうち、既に十二路線で低床式のLRV、ライトレールビークルが導入されておるわけでございます。

 今先生お話しのとおり、とりわけ富山県において非常に活発に整備が進んでおりますが、昨年十二月二十三日には、富山市で、富山地方鉄道の市内電車が延伸、環状化されました。また、まさにお地元の高岡駅前の広場整備などに合わせまして、万葉線の延伸事業が進められているところであります。

 全国の状況でありますが、まだまだ計画、構想段階ではございますが、例えば宇都宮あるいは福井、岡山といったところで、路面電車の延伸あるいは改善の計画について検討がされておる、こう承知しております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 宇都宮、福井、岡山と事例も挙げていただきました。やはり、一度なくなったものをまた延ばしていく、あるいは道路との、言ってみれば場所のとり合いをしながら、なかなか難しい部分もあるんですが、一面、欧米などを見ますと、大変環境に優しい乗り物あるいはまちづくりの手段ということで活用されている路面電車、いわゆるトラムであります。

 国としてのこういったものの振興策の方針について、ここでお伺いいたします。

三日月大臣政務官 路面電車の振興というもの、普及というものを図ろうと思えば、やはり、もう釈迦に説法でありますけれども、まちづくりというものと連携しながら計画を策定していくこと、そして、速達性ですぐれているんだよ、バリアフリーの面で利用しやすいんですよというようなシステムであることをきっちりと住民の方にも御理解いただいて、合意形成をしていただいて整備をしていくというのが最も大事なことであるというふうに考えております。

 国土交通省としては、LRT整備を促進するために、地域公共交通活性化再生法によって、これは大きく二つのことをやっているんです。一つは、運行主体と整備主体を分離する上下分離方式というものを可能といたしまして、整備に係る多大なる設備投資費用というものを事業者から切り離して整備できるようにしているということ。もう一つは、国交省内には、都市・地域整備局、道路局、鉄道局、それぞれ関連する部局があるものですから、それらの連携のもとで、地域で策定されたLRT整備計画に対して、一体的、総合的に支援が行えるようにという、この二つのことを今整備しております。

 さらに加えて、恐らく万葉線のさまざまな取り組みで御経験もあると思うんですけれども、これは、関係事業者間の利害調整ですとか、国交省内にとどまらず警察庁との調整ですとか、さらにその総合化というものを図る必要があると考えておりますし、人材の育成ですとか、合意形成に向けた経験の共有化ですとか、いろいろな事例をもっともっと広めて支援していく枠組みが必要だというふうに私は考えております。

橘(慶)分科員 周辺的な問題も含めて幅広く今御答弁いただいたわけで、まさにそういったことが大事でありまして、そういうような意味では、事例をまたいろいろなところへ紹介をいただく、あるいは国として、やはり、こういったものについてはやりますよ、あるいは、そういうものが望ましいというようなところをこの場合は強く出していっていただくということが、それぞれ頑張ろうとしている方々には元気をつけることになるんじゃないかと思いますので、またよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、電車の話をしましたが、今度は汽車、要は、電車で走らない、ディーゼルカーで走っているような、地方のローカル線ということであります。

 都市部の中で路面電車の復活、これはまちづくりのために非常に大事であります。しかしまた、その都市と、またその周りを取り巻く田園地帯といいますか、そういった部分とを接続する、言ってみれば大事な通勤手段、通学手段になっているローカル線、こういったものは、やはり少子高齢化、特に少子化の時代の中では、例えば通学生が減るというようなことで利用者の減少が課題になる、こういうことが出てくるわけであります。そしてまた、結局、利便性が悪くなると、またなかなか乗りづらくなる。私の会社の始業時間に間に合わないわ、そういったことが出てくるとどうしても利用も進まない、こういう問題がございます。

 これについて、社会実験ということについては、例えば都市局あたりは、一つの地域の中であれば、まちづくり交付金などの提案事業などで応援もいただくというケースもあるわけですが、やはり都市と都市をまたぐ、あるいは市域をまたぐ、そういう場合もございます。そうなると、どうしても、やはり鉄道局さんの方にお世話にならないと、都市・地域整備局さんではカバーできない部分がございます。鉄道局さんとしてのこういった、言ってみればローカル線を守る、さらに前進させていくための地域の取り組みに対する支援方策について、お伺いしたいと思います。

本田政府参考人 ただいま御指摘のとおり、全国のいわゆる地域鉄道をめぐる経営環境は大変厳しいと考えております。

 その意味で、営業の活性化以前に、安全投資あるいは修繕費、そういったものを確保して路線の維持をしていくというのが、今、正直精いっぱいのところでございますが、地域の中で非常に前向きな取り組みがなされておるところがございます。そういった取り組みに対しましては、地域公共交通活性化・再生総合事業という形で支援制度を設けさせていただいております。運行ダイヤを見直したり、あるいは増便をしてみようといった実証運行に対して支援をさせていただいておる、これが現状でございます。

橘(慶)分科員 ぜひ、やはりそういった地域の動きに対して、そういった事業でまた応援をいただきたい、このように思うわけであります。

 ここで、ちょっと本当にローカルな、点的な話を幾つかさせていただいておきたいと思いますが、今、北陸新幹線、整備新幹線として整備が進んできております。そうなりますと、当然、整備新幹線の取り扱いということで、並行在来線、これは特に北陸本線ということでありますが、これはいわゆる地域の方へ経営主体を移していかなければいけない、こういう取り決めになっているわけであります。

 ここは、イエス、ノーの確認でございます。この北陸本線に、言ってみれば南北でくし刺しになっております氷見線、城端線は、枝線でありますので、並行在来線には該当しないというふうに理解をしております。このことについて、一応確認をさせていただきたいと思います。

本田政府参考人 御指摘のとおり、現在整備中の北陸新幹線に関連いたしまして、城端線及び氷見線は経営分離する並行在来線とは考えておりません。

 ちなみに、本件につきましては、平成十七年四月に、JR西日本から国土交通省あてに着工についての同意文書がございました際に、こうございます。北陸新幹線富山―金沢間の並行在来線である北陸線富山―金沢間が当社の経営から分離されることを前提に、当該区間の着工について同意する、こういう文書がございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 どうしても、皆さんやはり心配になってくる。何せ、真ん中の線がなくなって、その後、本当に枝線はどうなるのというのは、常にやはり市民の方々も心配される。

 そして、先ほど、その前の御質問で申し上げたように、何かをやっていくためには、やはり事業主体の方々と地域の方々が一緒にやっていかなきゃいけない。では私がやりますということを事業主体が言っていただかないと、なかなか地域と一緒にやっていけないという部分もございます。

 そこで、今確認をさせていただいたことからすれば、JR西日本さんにこれからも頑張っていただく、そうすると地域も一緒に盛り上げていかなきゃいけない。確かに、私もデータは聞いておりますが、一年一年、通勤通学客が減っていく。やはりJR西日本さんも御苦労もされている。だから、これを地域がみんなで一緒になって、例えばいろいろな、これはたまたま私どものところは藤子不二雄さんの出身地でもありまして、ハットリくんのラッピング列車をつくったり、そういう観光的なことも含めて、前原大臣のような鉄ちゃんに乗っていただけるようにということで努力をしているわけですが、そういったものについての国としての支援方策をお伺いしたいと思います。

本田政府参考人 城端線、氷見線につきまして、やはり大変厳しい状況でございます。もちろん、JR西日本にも努力をしてもらいたいと考えておりますが、地域を全体として盛り上げていただきたいと考えておりまして、その際には、先ほど触れさせていただきました地域公共交通活性化・再生総合事業制度、こういったものを活用して、我々としても御支援申し上げたいと考えております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 新幹線の新高岡駅ということで、ここは分離駅になって、そこに駅をつくるというような構想もございますので、またよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、北陸本線は経営分離ということがルールとして決まっているわけであります。しかし、この北陸本線は、人流のみならず、物流の大事な動脈でもあると思います。

 最初の質問としては、この北陸本線の国全体としての国内貨物のいわゆる流動といいますか、国内貨物のネットワークの中での位置づけについて、一度認識を確認させていただきたいと思います。

三日月大臣政務官 北陸本線については、現在、一日に四十本以上の貨物鉄道が走行しておりまして、今おっしゃったように、まさに鉄道貨物輸送の重要な役割を果たしている路線だというふうに思っております。

 さらに、これからは温暖化対策が求められる時代になっておりますので、鉄道貨物輸送というものはCO2排出量が営業用トラックの七分の一であるなど、地球温暖化対策の観点から、モーダルシフトの担い手としても重要な役割を果たすことも期待されておりますし、さらにそれを進めていかなければならない。そういう物流がもたらす国全体の経済、産業に与える影響というものも非常に大きなものがあり、とりわけ、そのことに頼られる地域経済に与える影響も大きいというふうに認識をさせていただいております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 もちろん地域経済もそうですし、東海道本線にもしものことがあった場合の代替輸送手段、いわゆるリダンダンシーという意味からも、地域のみならず、やはり日本全体にも役割があるものと自負しているところもあるわけであります。

 いずれにしましても、国としてこの路線は大事である、今後とも経営分離してもやはり貨物ネットワークの中に組み込みたい、こういう思いがあるということを確認させていただいたので、それであれば、新幹線開業後、当然第三セクター化されていく、その際には、先ほど三日月政務官のお話のあったような人材の問題もありますし、路面をしっかり整備していくということも大事です。また、貨物鉄道使用料についても、それはJR貨物さんも大変でしょうけれども、ある一定程度お支払いいただいて、そして、この路線がいわゆるメンテナンスもしっかりされていかなければいけない、こういうことになるんじゃないかと思います。

 そこで、JR西日本さん、JR貨物さんには、もうそれは第三セクターだからということではなくて、引き続きいい意味での御協力をいただかなきゃいけない、そういったことを国としてもやはり後押ししていただきたいと思うんです。

 その御答弁は三日月政務官からいただけると思いますが、きょうはまた不思議なもので、なぜか、朝、宿舎でエレベーターに乗ったら前原大臣と一緒になったわけであります。これは御縁でありますので、難しいことは申し上げません、ここで鉄道は終わりますので、最後に全体を通じての総括的な御意見を承りたい、こういうことで、順番にお願いいたします。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。

 認識は全く同じでして、まず、基礎的な、事務的なことだけ御答弁すれば、新幹線を整備した後に並行在来線をどうするのか、とりわけ重要な貨物ルートになっている並行在来線をどうするのか。とりわけこの北陸本線は、御地元の氷見線そして城端線、ここにも、枝線にも貨物が入っておりまして、年間に約三十万トン、そして二十万トンという貨物ルートにもなっております。

 国としても、これまで、JRから要員を派遣するですとか、運行面で協力をいただくというようなこと、また加えて、貨物から払われる線路使用料を負担していただいているんですが、その調整金制度というものを創設しながら支援をしてきたんですけれども、さらにこの北陸方面の並行在来線をどうするのかという点については、極めて重要であるという観点から、年末にまとめました整備新幹線の整備に関する基本方針において、貨物鉄道の維持のあり方についても検討することということで、今、鋭意、関係者の皆様方の御意見を伺いながら検討させていただいているところです。しっかり取り組みます。

前原国務大臣 けさはエレベーターの中で御一緒させていただきまして、ありがとうございました。

 二つ申し上げたいんですが、実は、整備新幹線については、きのう、私は福井県の小浜というところに伺いまして、それで、そこでもお話をしたのでありますけれども、北陸新幹線の延伸について、我々はノーと言っているわけではないんです。ただ、その財源とか、今、三日月政務官や本田鉄道局長が答弁をさせていただいたように、並行在来線、貨物、こういったものをどのように整理していくのかといったことを、やはりしっかりと地元とも仕組みをつくった上で前に進めるということが大事なんだろうと思います。

 特に、東北新幹線ができて、並行在来線として切り離された青森県の知事さんや岩手県の知事さんからは、今悲鳴が聞こえております。ここも重要な貨物ルートなんですけれども、もう維持ができないということで国の関与をというお話があって、そういうことも含めて、北陸新幹線をこれからどうしていくのかということについて今議論をさせていただいているところでございます。その前提は、並行在来線も大事だし、そして貨物輸送というのは極めて大事だ、これをどう維持していきながら新幹線がつくれるのかどうなのかという検討をさせていただく、これが一点でございます。

 二点目はローカル線についてでありますけれども、今、三日月政務官とそれから辻元副大臣を中心に、交通基本法案というものをまとめております。これは、環境面での問題もさることながら、これから高齢化が進んでいきます。そして、地域は過疎がどんどん進んでいくということで、なかなか、高齢者の方が特に移動が難しくなってくる。これをやはり何とかしなきゃいけないということで、移動権という新たな概念をつくりまして、これを確保していこうと。特に、離島なんかはやはりしっかりとバックアップをしていかなくてはいけないわけであります。

 こういった移動権の確保等、環境に優しいという意味での公共交通をいかに維持発展させるかということを、人口も減っていって、少子高齢化も進んでいって、財政も大変厳しい状況でありますけれども、これは日々の生活にとって大事だという観点で交通基本法に移動権というものを入れさせていただいて、そういったものをベースにまた予算措置も考えていきたいというふうに思っておりますので、これはぜひ、橘委員も市長まで御経験をされている方でいらっしゃいますので、超党派で、また御意見をいただき、その方向性に御尽力を賜れればありがたいと思っております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 貨物も大事だということ、それから、交通基本法の話もありがとうございました。また時間をいただいていろいろお話をさせていただければ、その中で、交通基本法、そういったことについて御一緒にまた考えさせていただきたいなと思います。

 それでは、時間はあと少しに減ってまいりましたけれども、第二パートでできる限りお伺いしていきたいと思います。

 まず、市街地活性化、地方都市ということでいいますと、幾つかまたやはり大都市とは違う問題がある。その中の一つ、大事な少子高齢化、今も話題になりましたけれども、このことの中で出てきているのは、市街地や商業地域における不在所有者に係る空き家の問題だと思います。現在、空き家はどうなっているのか、どんな御認識であるのか、お伺いいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十年、これは総務省が行いました住宅・土地統計調査では、住宅の総ストック数が五千七百五十九万戸、空き家は七百五十七万戸で、空き家率は一三%になっております。とりわけ地方圏ほど空き家率が高いという傾向がございますし、それから、過去五年の傾向を見ますと、空き家の増加する地域も地方圏の方が多いというところでございます。

 地方都市の市街地等を考えますと、まず、住宅に限らず、今度は店舗の方、空き店舗、これは経産省の中小企業庁が調査したものがございますけれども、平成二十一年の調査では、商店街の店舗に占める空き店舗の率が一〇・八%ということで、一〇%を超えたということもございます。とりわけ地方都市の中心市街地においてこういった空き家や空き店舗がふえていくということは、非常に空洞化が深刻になってきておるというふうに考えておりまして、コンパクトシティーをつくっていくという観点からも、また、にぎわいあふれるまちづくりを進めていくという観点からも、緊急に対策を講じていかなきゃいかぬ、そういう課題であるというふうに認識をいたしております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 データが一三%と聞かされると、やはりびっくりしちゃうというところですね。マンションやアパートの空き家ということも入るのかもしれませんが、いずれにしても、一番大変なのは、やはり持ち家的な一戸建ての空き家というのがふえてくる、それが地方圏に目立ってくる、これもある意味ではこれからの地方の大きな問題になってくると思います。

 こういったことに対して、やはり公共としての、国としてのいろいろな手当ても必要かと思いますが、少しそういうことも前進させていただいているようでありますので、そのことについてお答えをいただきたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 人口が減ってまいりました。こういった空き家がふえてまいる、そういった状況を放置するということになりますと、防災性や防犯性が当然低下をしていく、町の中でそういった問題が出てまいりますし、また、特に中心市街地では、店舗等があいてまいりますと、市街地自体の活力がなくなっていくといった問題が生じてまいってくるというふうに考えております。

 私ども、こういった観点で居住環境を整備改善していくという観点、あるいは地域の活性化を図るという観点から、各公共団体、空き家を除却して、例えばポケットパークにするとかいう活用をやっておりますし、また、空き家を改修して別の目的に使っていこうというような事業をやっておられます。また、中心市街地では空きビルをうまく使おう、他用途に転用するというような取り組みもされておりまして、今年度創設をいたしました社会資本整備総合交付金、こういったものによりまして、公共団体のこういったそれぞれの創意によります事業というものを支援してまいりたい、このように考えております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 やはり、今までの住宅をつくる住宅事業だけじゃなくて、今お話のありました交付金等を御利用いただきながら、空き家を除却していろいろな用途に変えていくといったことも、今、いわゆる公共投資はいろいろ言われて、大臣もいろいろなお考えがあると思うんですが、きょうお話をしていることからすれば、いろいろな公共投資があって、そこにはやはり、喜ばれるもの、これからもやっていかなきゃいけないもの、新しい時代に必要なものがあると思います。

 最後の質問にさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これは地方の問題としては、工場跡地など土壌汚染の可能性がある、あるかないかもわからない場合もあるんですが、工場がなくなった、あるいはクリーニング屋さんの跡地とか、そういったものをどうやらブラウンフィールドという形で言われているようであります、私も東京へ来て初めてわかったんですが。

 ただ、東京の周りだと、いろいろ事例もありますけれども、そこを除却しても、地価が高いですし、大きなマンションとかいろいろな高度利用をすれば十分除却費用が償えるということで、ブラウンフィールドは活用できるんですが、これが、地価の非常に低い、あるいはその後の利用も平面的な利用しかできないという地方になりますと、なかなか引き合わない、そういう問題があるというふうに聞いております。

 そこで、時間の節約で、しかもお昼も近いですから余り長引かせないということで、二問続けて順番にお答えいただきたいと思います。

 このブラウンフィールドについて、国としてどういうふうに今認識されているか、中央と地方の違い。そして最後に、こういった土地の有効活用を図るということは、まちづくりの観点から、コンパクトシティー等の問題でも非常に大事だと思います。国の施策をこのブラウンフィールドについて特に地方圏で積極化してはいかがかと思いますが、この二つの質問について、端的にお答えいただければと思います。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。

 こういう土壌汚染のある土地の再利用のための汚染除去対策が必要であって、そのことによる、特に地方における、相対的にそれじゃ割に合わないじゃないかという視点で再利用が進まないケース、これは特に地方部において非常に大きな問題をもたらしているということで認識しております。

 現在、環境省が調査した結果によりますと、こうしたケースとなる土地が全国に約二・八万ヘクタール存在していると試算をされているところでして、これから土地の有効利用ですとかまちづくり再整備、再開発の推進に当たっても、取り組まなければならない重要な課題の一つであるというふうに認識をしております。

 そういうものをどう支援していくのかということについては、今年度から、地方公共団体にとって自由度が高くて創意工夫を生かせる社会資本整備総合交付金というものを創設させていただいておりますので、そういう問題のある地域におけるまちづくりというものに関しても、ソフト、ハード両面の各種支援が可能になっております。提案事業、この社会資本整備総合交付金の中には、効果促進事業というメニューも加えさせていただいておりますので、そういった中で活用していただけるように、国としてもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 いろいろな社会資本整備、またいろいろと検討いただいて、有効に進めていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

郡主査 これにて橘慶一郎さんの質疑は終了いたしました。

 午後二時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

郡主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通省所管について質疑を続行いたします。高井崇志君。

高井(崇)分科員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうは、国土交通省の皆さんに御質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。前原大臣、そして長安政務官、本当に大変な仕事をお引き受けいただいて、なさっている。いろいろな省庁、大変ですけれども、特に国土交通省の政務三役の皆さんには本当に御尽力いただいていますことを、まずは心から敬意を表したいと思います。

 私は、民主党の特別会計検証チームというところで、空港整備勘定の担当をさせていただいております。私も選挙のときに特別会計改革というのをイの一番に訴えましたし、その中でも、この空港整備勘定というのはまさにその本丸だというふうに訴えてきました。ですから、私は、ぜひ皆さんのために少しでもお力になりたいということで、いろいろ勉強もさせていただいておりますが、きょうはそのことについて御質問を申し上げたいと思います。

 特別会計の問題の、やはり何といっても一番悪いところは、情報公開がされないということではないか、そのことによって無駄の実態というのがわからないということだと思っています。例えば、空港別の収支を出してくださいといってもなかなか明らかにされず、ついこの間、国管理の空港についてはようやく公表をされたところでありますけれども、今後は地方管理の空港も含めて明らかにしていくべきだと思っています。

 事務方の方に、例えば、収支は無理にしても、空港維持運営費のうち、どの空港にどれだけ支払われているんですかということを聞いても、それは出せないというか、そういう経理区分になっていないから出ないんだと。しかし、それはやはりその経理区分に問題があるのではないかと思っています。空港の収支を明らかにすべきというのがまず一つの質問でございます。

 通告では二問に分かれているんですが、関連するのであわせてもう一問お聞きしたいと思うんですが、その空港別の収支を明らかにした上で、今、駐車場とかターミナルビルが別の運営になっている。つまり、空港自体は赤字の空港は、地方に行けばたくさんあると思います。しかし、駐車場とかターミナルビルを一体運営すれば、それは赤字が大分解消されるのではないか、すべて解消されるとは思いませんけれども、かなりの部分が解消されてくるのではないかと思っています。

 といいますのも、駐車場やターミナルビルを管理する財団法人空港環境整備協会、先般、同僚議員の柚木議員の質問でもお答えになっていらっしゃいますけれども、ここには役職員三百七名中百六十九名の天下りがいるということでございます。また、地方の空港は、それぞれ地方ごとに駐車場やターミナルビルを運営している三セクがあって、そこの三セクも、数字は地方のことですからわかりませんけれども、相当数の県や市町村の職員の天下りがあるというふうに思っています。

 こうしたことを考えますと、駐車場やターミナルビルの一体化によって、空港の赤字が解消されて、独立採算化が可能ではないか。つまり、そうなると、空港の民営化ができるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

長安大臣政務官 空港別の収支についてでございますけれども、国が管理する空港につきましては、既に公表をしてきたところでございます。これは今後も、一回きりということではなくて、継続的に公表していくこととしているわけでございます。

 一方で、地方公共団体が管理する空港につきましては、昨年の八月十三日付で、国土交通省の航空局長名にて、各地方公共団体に対しまして、国が公表した空港別収支を参考にして各空港別の収支の策定、公表を要請したところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、空港別収支の公表等によって、空港運営の効率化や空港の利活用促進が図られるように努めてまいりたいと考えております。

 また、ターミナルビルや駐車場等の空港関連施設との経営一体化についての御質問でございます。

 空港経営のあり方ということについては、今御指摘がございましたように、ターミナルビル、駐車場等を一体的に経営する方が効率がいいのではないかという議論が、この間も多くの専門家の方々からも指摘をされてきたところでございます。さらに、我々、現在まで、国土交通省の成長戦略会議の中におきましても、空港の経営のあり方、効率的なガバナンスの強化等の観点から御議論をいただいているところでございます。

 きょうの夕方には最終報告案、取りまとめ案も出てまいる予定でございまして、この報告を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 私も成長戦略会議の取りまとめ案を拝見させていただいて、びっくりしました。今までずっといろいろな専門家が指摘をしてきたこと、あるいはそういうものを勉強して私も質問をしようとしていたことが、もう大半が成長戦略会議の中で、検討する、やるということがうたわれていて、本当に、まさに政権交代した成果がこういうところに如実にあらわれているなというのは思いました。

 ただ、あと一歩踏み込んでというところも幾つかあって、引き続き次の質問に移らせていただきます。

 一般的に、空港整備勘定は、空港をずっとつくっていた時代は仕方ないにしても、もうだんだん新規空港が、空港の新設がなくなっているのに、そのまま残っているのはどうなのかということが、一般の方にも非常にわかりやすい議論となって、不要なんじゃないかという議論になっているわけです。

 その中でも、空港整備事業費、運営費というのは当然かかってくるわけですけれども、事業費の方は、これはどうなんだと。そうしますと、空港の新設とか、まあ新設のほかにも移設、それから滑走路の延長があると思いますが、こういった事業自体がもうなくなった以降になっても、この空港整備事業費というのはほぼ同額で推移している。例えば、十年前には十六カ所の新設などの事業があったんですが、今年度は一事業であります。それにもかかわらず、空港整備事業費は大体二千七百億円前後でほぼ変わらない。もちろん、羽田の拡張というのがあって、これは特殊要因だということなんですけれども、それを除いたとしても、ちょっとおかしいなというところがあります。

 よくその中身を見てみますと、平成十五年度から新たに空港等機能高質化事業あるいは航空安全・保安対策事業という二つの事業ができています。事務方の皆さんからこの中身は聞いたんですけれども、しかし何か、それは別に今までだってあったんじゃないか、新たに十五年度からわざわざ新設して、それだけの需要がふえたとはちょっと思えないような中身でありました。公表されている大きな事業のくくりですらそういうものがあるので、多分、公表されていない細かいところを見ていくと、そういった何か新たに、金額を維持するために、特別会計を維持するためにあえて費用を、積み増しているというと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうところが恐らくあるんじゃないかというふうに思っています。

 質問としては、空港新設とか移設がなくなったのに、こういった、予算を確保するためにある意味事業費を移しかえているというような実態があるんじゃないかということが疑われるわけですけれども、その辺、いかがでしょうか。

長安大臣政務官 今御質問のございました空港等機能高質化事業と航空安全・保安対策、この二つでございます。

 御指摘のとおり、平成十五年から予算計上されているわけでございますけれども、これは新規に制度を創設したということではなくて、従来一括して計上していたものを細分化したものでございます。

 具体的には、高質化事業の方は、空港の就航率向上等により空港等の機能高質化を推進するものでございまして、地域の競争力の強化等のために必要なものということでございます。また、航空安全・保安対策に関しては、ヒューマンエラーによる事故、トラブルを未然に防止するシステムの整備等を行うものであり、安心して利用できる航空輸送の実現に欠かせないものでございます。

 以上のように、これらの事業につきましては、精査の上必要な予算を計上しているものであって、新設費用の移しかえを行っているわけではないということでございます。

 しかしながら、この間、空港整備勘定につきましては、どんぶり勘定でというような指摘もいただいております。これも先ほどの答弁とも重なるところがございますけれども、空港整備特別会計について抜本的に見直そうということを国土交通省の成長戦略会議でも議論してまいりましたし、これからも私ども、しっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

 大切なのは、必要な整備はするけれども、不必要な整備は行わない、この観点に立って空港の整備というものは行っていかなければならないと考えております。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 本当に、私も、政務三役の皆さんが一生懸命改革をされているということはよくわかっております。ただどうしても、政務三役の皆さん、数に限りがございますから、もちろん国交省の事務方の方と連携してやっておられるんでしょうけれども、私も党の立場で、特別会計の検討チームというもののメンバーになっておりますので、これからもこの問題は、少し細かな数字までチェックをさせていただいて、また、政務三役の皆さんにも提言させていただくというような役割をぜひ果たしていきたいというふうに思っております。

 同じ空港整備勘定の話で、ちょっと話がかわるんですが、航空管制業務についてでございます。

 実は、諸外国ではほとんど、民営化と言うとちょっと違うかもしれません、国が一〇〇%出資している国が多いんですけれども株式会社化、もしくは、日本流に言えば独立行政法人化と言ってもいいのかもしれませんが、行われていると思います。先進国で国が直接やっているのはフランスだけで、アメリカやカナダは、日本の定義とちょっと違いますが、いわゆる独立行政法人に近いのかなと。それから、イギリス、ドイツ、ニュージーランド、オーストラリアなどは株式会社化、ただし、政府出資が一〇〇%であったりあるいは五〇%であったりということでございますが、ただ、日本のように国がやっているのはフランスのみであります。

 その上で、私もこの質問に当たっていろいろ資料を探していたら、現役の航空管制官の皆さんも、実は民営化を望んでいるんだという貴重な証言がございまして、ある講演で航空管制幹部の方が話したのを、雑誌に載っていたものなんですが、六年ぐらい前の話なんですが、ちょっと読みます。

 「我々の組織も、」これは航空管制官ですね、「働いて得る航行援助利用料収入は、年間で今、大体千三百億円」「それで、我々のそれに従事している人の整備費、人件費」等の数字は大体千五百億円ぐらいで、「二百億円ぐらいの差で今支出が多い。収入・支出の面では、もう一息で独立採算のレベルまで到達できる組織かと思います。また、現場職員はどんな意識かといいますと、どちらかといえば、そのような民営化志向の人も結構います。」

 それはなぜかというとと、なぜかというのが書いてあるんですけれども、要約すると、要するに、成田とか羽田とか、そういった忙しいところの人も、それから地方の空港も、一緒の公務員である、一緒の給与である。ということは、忙しい成田とか羽田の人はもっと給料を上げてほしい、暇な人はそれなりのということで、公務員じゃない方が働きやすいというふうな説明をされています。

 ただ、もちろん、現実にはまだちょっと時期尚早かなと。スト権の問題とか、あるいは横田空域、百里空域といった防衛上の問題、これは国交省がかつてそういう答弁をされていると思うんですが、そういうことをおっしゃっていますが、ただ、実際には、航空管制官の現場の方、そしてその責任者の方も、こういうことをおっしゃっているという実態があります。

 それからもう一つ、航空管制が諸外国に比べて非効率じゃないかという指摘が、これは猪瀬直樹さんの指摘で、猪瀬さんの言うことを全部うのみにするわけじゃありませんが、ちょっと紹介します。

 日本の航空路の航空管制は、その六、七〇%が埼玉県所沢市の管制施設で行われている。ここで一日にさばかれる量は二千便程度だが、これは国際的に見るとかなり少ない。北米やヨーロッパでは、一日数万便をさばくのが当たり前だ。全体の航空交通量を見ても日本のそれは少なく、せいぜいアメリカの一つのハブ空港と同じぐらい。例えばシカゴのオヘア空港では一日二千六百便程度で、ここだけで日本全体の交通量とほぼ同じ量を管制している。羽田空港の一日六百六十便とは大きな違いである。

 それからまた、同じ本の中で、「欧米と日本における給与体系の違いが、両者の航空管制に大きな差をもたらしている」「日本の航空管制官の数は、飛行機の便数に比べて過剰である。欧米では一人あたりの航空管制官が受け持つ便数は、日本のそれよりはるかに多い。」という指摘があって、これについて国交省の事務方にも資料を要求して、見たんですが、その資料によると、そんなことはないという資料だったんですが、ちょっと、いろいろな仮定を置いていますので、この資料はぜひ今後精査させていただきたいなと思っていますが、いずれにしてもそういう指摘があります。

 今回、成長戦略会議、非常に画期的だと思うんですが、実は航空管制については言及がないということで、私はこの問題をぜひ検討されてはどうかと。まさに、国家公務員人件費二割削減という大きなマニフェストの課題を民主党は持っているわけですが、航空管制官は約四千二百人おります。国家公務員が四千二百人。これが諸外国ではほとんど公務員ではない、民営化に近い形になっているということでありますので、航空管制業務を民営化すべきではないかということについて御見解をお伺いします。

前原国務大臣 今委員が引用された資料とちょっと違いますので、こちらの資料の方が古いかもしれませんが、一応、政府が直接航空管制業務を実施しているのが日本とフランス、そしてアメリカ、非営利法人がカナダ、それから政府が一〇〇%株式を持っている国営企業でやっているのがドイツ、オーストラリア、ニュージーランド。今議員がおっしゃるような民間会社あるいは民営化という意味においては、イギリスがそういう形かもしれませんが、出資比率は政府が四九%、職員が五%、そして民間が四六%ということでやっているということでございます。

 委員のお手元にも事務方からお届けしたかもしれませんけれども、世界各国の航空管制組織の比較ということで、管制官一人当たりの想定取扱実機数、これを見ますと、日本は一人当たり六百十九で、アメリカが四百十二、カナダが七百七十四、イギリス二百八十八、フランス百六十一、ドイツ三百六十一、オーストラリア九百、ニュージーランド千六百十三ということで真ん中ぐらいということで、多くもないし少なくもない、こういう状況だと思います。

 その前提で、航空管制業務というのは、交通警察と同様の性格を有する公権力の行使でもございまして、特にハイジャックやテロ等への対応は国家的な危機管理業務でありますし、また、航空機の安全な運航を支えるという意味では、大変重要な業務であることは御承知のとおりでございます。また、我が国が一つ特徴的なのは、在日米軍や自衛隊の空域が複雑に入り組んでおりまして、その中で、米軍等と空域にかかわる交渉あるいは日々の運用の調整が必要になるという、我が国固有の事情もあるということも御理解をいただければ、こう思っております。

 したがいまして、完全否定をするわけではございませんけれども、我々としては、航空管制業務というのは、国以外の独立した主体に行わせることについては慎重な検討をしていかなくてはいけないと思っております。他方、先ほど長安政務官も別件でお答えをいたしましたけれども、業務の効率化については絶えずしっかりとそれに取り組んでいくということも必要だと思いますし、また、忙しいところとそうでないところの給与のあり方についても、国家公務員という資格の中でどれだけのことができるかということもさらに検討していきたい、このように考えております。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 いただいた資料、航空管制官一人当たりの資料というのはいただいているんですが、やはりいろいろ、実は私も役所に勤めていたことがございまして、こういった国際比較というのは、本当に、前提のとり方とかによって大きく変わってくる。まさに、つくる側の意図でいかようにでも変えられるというのが本音、私の経験上は。ですから、もちろん事務方の方がうそをついているとか言うつもりはないので、ぜひ、この資料は今後、私もこういった質問をさせてもらいましたので、もっと詳しく精査させていただいて、本当にそうなのか、猪瀬さんの言っていることと余りにも開きがあるものですから、これはちょっと、時間をかけてまた調べさせていただきたいなと思います。

 また、日本特有の事情というふうに大臣がおっしゃいましたけれども、確かにそういう面はあるとは思いますが、しかし、それだけの理由で国家公務員であり続けるに足る理由なのかなというのは、ちょっと疑問に思います。

 また、アメリカは、最新の資料を聞いたところでは、独立行政法人化に向けて準備をしているというか、まだ国だったものを変えているということなので、ちょっと私もそこまで詳しくは調べていないので、もしよかったら海外の調査をしてみていただいて、アメリカなどもそういう方向に向かっているということであれば、まさに日本とフランスだけがそうなっている。ひょっとしたらフランスももう検討しているかもしれませんし、ぜひ、民営化というのか株式会社化というのか、そういったところはこれからの検討材料の一つに加えていただけたらなというふうに思っております。

 それでは、空港整備関係は以上で終わりまして、残った時間は、十分ほどありますが、私の地元の岡山の話をちょっとさせていただきたいと思います。

 私の地元の岡山では、両備グループというバスや路面電車を経営している会社が、非常に頑張っている会社で、和歌山電鉄にたまという猫を駅長に据えて収支を改善したとか、いろいろなほかの地域のバス事業なんかも再生させている。非常に先見の明に富んだ社長が、小嶋さんという社長なんですが、やっておられて、国交省さんの研究会でもヒアリングをさせていただいたりしております。

 その小嶋社長が、先日、エコ公共交通大国おかやま構想というのを発表して岡山市長に提言をしたというもので、これは本当に、何段階かに分けて、まさに、これから公共交通分野に財源がふえてきたときに、どういうステップで、どういうやり方をしたら地域公共交通がよみがえるのかということを取りまとめた大変すばらしい、ある意味、交通基本法がこれから検討されますけれども、そこを先取りした構想だと思うんですが、この分野についての評価を前原大臣に、どこまで読まれたかはわかりませんけれども、ぜひ伺いたい。

 それともう一つ、この両備グループの小嶋社長が常々言っている言葉があるんですが、地域公共交通というのは一兆円産業だと。大体そのくらいになるそうなんですが、ということは、計算上は一兆円のお金があれば地域公共交通は無料にできるという計算になる。もちろん、三大都市圏を除くとか乗り合いバスだけとか、いろいろな条件はあると思うんですが、そういったことを言っておりまして、私はこの言葉を引用していろいろな方々に、一兆円の使い方として、高速道路を無料化するのと公共交通、バスが全部無料になるのとどっちがいいですかと聞くと、かなり多くの人が、いや、バスが無料の方がいいなというふうにおっしゃいます。

 もちろん、高速道路無料化を否定するものではありません、我々のマニフェストでありますから。ただ、お金の使い方として、地域公共交通というのは非常に予算が少ない。今、たったの百九十三億円であります。一兆円と比べれば、まさに五%という状況で、一けた違うんじゃないかというふうに思っています。

 今後、地球温暖化対策税などの検討も進んでいくと思いますけれども、やはりこの地域公共交通、地球環境問題、CO2削減にとっても、まちづくりにとっても、そしてやはり高齢化社会というのを迎えるのにとっても極めて重要な分野であって、今の予算規模では余りにも少ない。十倍とは言いませんけれども、せめて五倍の四けた、一千億ぐらいの予算はあってもいいんじゃないか。国交省の中での予算の組み替えということになるかもしれませんが、私はそう考えているんですけれども、最初のエコ公共交通大国の評価とあわせて、その点もお考えをお聞かせください。

前原国務大臣 高井委員から御質問をいただくということで、このエコ公共交通大国おかやま構想、見させていただきました。両備グループが岡山に提言をされたと聞いておりますし、公有民営による官の役割と民の役割を明確にして、歩いて楽しいまちづくりを進める、そして、それが環境に優しく、高齢化社会に対応した交通システムを提言したものと承知をしております。

 この中身は、全く我々の交通基本法とオーバーラップしているんですね、方向性は一緒なんです。つまりは、交通基本法というのも、環境面と高齢化社会、そして移動権、これをどう付与していくかということでございまして、まさにこの両備グループが出された構想というのは、我々が今問題意識を持って立法作業をしている交通基本法と極めて似通っているという印象を持っております。

 先ほど委員も言及されましたけれども、地域公共交通活性化・再生総合事業制度などで支援しているお金というのは百九十三億円なんですね、平成二十二年度で。私も、これは少ない、こういう思いを持っておりまして、やはり、こういう交通基本法のようなものをしっかりと政策に位置づけて、そして予算要求をしっかりしていく中で、日本の現状に合った公共交通の維持を図っていくということは大事だと思いますので、予算規模については今あえて私から言及いたしませんが、まずはこういった交通基本法のようなものを超党派でつくる。先ほど自民党の橘委員も賛同の意を表していただきましたけれども、ローカル線なんかを維持していこうと思ったら、こういうものがないともうこれからは無理だと思いますね。

 ですから、そういう意味でも、超党派でぜひ御議論をいただいて、特に高齢化社会の公共交通の維持、そして環境に優しい地域公共交通という意味で、しっかりとこの法案をつくった上で予算も含めて取り組みを進めていきたい、このように考えております。

高井(崇)分科員 大変いい評価をいただきまして、どうもありがとうございます。

 時間もなくなってきましたので、最後にもう一つ地元の話題で、宇高フェリーです。

 大臣初め政務三役の皆さんには大変御心痛をおかけしている分野でございますが、この宇高フェリーは、まさにライフラインとしている方も多くて、自転車の方とか高齢者とか通勤通学に使っている方にとっては、なくてはならない存在であります。

 しかし一方で、我々地元の国会議員として、この問題で高速道路無料化というマニフェストの大きな柱がゆがめられるということは、それはあってはならないのではないかとも考えております。瀬戸大橋の料金とは関係なく、宇高フェリーのあり方そのものを見直していく方法というのはないんだろうか。その一例としては、大幅に減便をするということ、そして、今二社なんですが、すぐそばに直島という島があって、そこのすぐそばを通っているのが一社あります。その二社のうち、直島という島のすぐそばを通っているんですね。そうすると、合計三社あると考えてもいい。そうすると、この三社、本当に必要なのかということも検討すべきだと思っています。

 本年二月に、国、自治体関係者が集まって、もう四回検討してもらっています宇野高松間地域交通連絡協議会でも、一社に集約するという案も含めて検討されていると聞いております。また、先般、同航路を視察された仙谷国家戦略担当大臣も、統合してできるだけコストがかからないようにしながら船の便益を残してほしいと、一社体制というものにも踏み込んだ発言をされておられます。

 一社体制の是非ということも含めて、今後、この宇高フェリー、いつまでにどういう方向性を示されるのか、お聞きしたいと思います。

前原国務大臣 ちょっと時系列的に改めて確認をいたしますと、二月の十二日に四国フェリーと国道フェリーが事業廃止届を出されました。二月の十七日に玉野市長と高松市長が私のところに来られまして、航路存続を要望されました。翌日十八日に岡山県知事と香川県知事がまた私のもとに来られまして、航路の存続を要望されて、私が国、地方の関係者から成る協議会の設置を表明して、二月の二十六日に第一回の宇野高松間地域交通連絡協議会、これが開催された。それを受けて、三月四日に国道フェリーが事業廃止届を取り下げました。そして、三月十一日には四国フェリーが事業廃止届を取り下げたということで、三月三十日に第三回連絡協議会、五月十日、つい先日でありますけれども、第四回交通連絡協議会というものが行われております。

 この中で話し合いが行われて、それを我々国土交通省としても支援をしていくという形になっておりますので、余り我々が強制的に一社にしろとかどうしろということではなくて、この協議会の議論の中で決まったものについて我々としてできる限り協力をさせていただきたい、そういうスタンスで臨ませていただきたいと考えております。

高井(崇)分科員 どうもありがとうございました。

 この問題は、私たち地元の国会議員たちは、前政権のようにあれもこれもしてくれというのはもうだめだと思っていまして、地域エゴというものを通すつもりはないんです。そういう意味では、一社体制というものも検討をしなければいけないし、もしそうなったら地元を説得していく、もちろん地元の発意というものは大事にしながらも、やはりそういう役割も我々国会議員は負っていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、今後、ぜひそういう観点からも検討を進めていただきたいということを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

郡主査 これにて高井崇志さんの質疑は終了いたしました。

 次に、福井照さん。

福井分科員 自民党の福井照でございます。

 大臣、長安政務官、お疲れさまでございます。

 ちょっと午前中いなかったんですけれども、多分、富山市の路面電車で成功したということ、それから今の岡山の地域公共交通ということで、超党派という御意見が出ましたので。最初は豊橋で始まったんですよね、路面電車を駅前広場に直接突っ込むというもの。それから、我が高知でも直轄国道を横断するということをやりまして、路面電車走行空間整備事業、今ちょっと正式な名前はわかりませんけれども、当時、道路特会で始めたんですね。

 鉄道がいわば逆にヒトラーの象徴なんですね、高速道路が自由の象徴ということで、今や、路面電車とか地域、都市内の公共交通というのが、成熟社会といいましょうか、今我々が直面している新しい社会の象徴というべきものだと思いますので、ぜひ、そういう意味で、超党派で、御指導いただければというふうに思います。

 質問ですけれども、八ツ場の集中審議にちょっと私参加できなかったので、まず冒頭、八ツ場の方から始めさせていただきたいと思うんです。

 私も土木屋で、ちょうど建設省の同期で土木工学科の同じ卒業生がいまして、八ツ場の所長をやっていました。用地買収をずっとやってきて、それでちょうど工事を始めてもいいよという調印書を地元と交わした当時の所長が、宇塚というんですけれども、同期でおりまして、それで、私も役所にいたらまだ現役なんですけれども、数年前に亡くなってしまいました。それはまさに、別に責めているわけじゃないですけれども、八ツ場の用地買収、二年間の生活で精神的に大分参ってしまいまして、その後、体を壊して現役のまま命を落としてしまったということなので、同級生にささげるという意味でも、それから、我々、土木と河川行政をずっとやってきた者として、どうしても八ツ場ダムを事業再開していただきたいということで質問させていただきたいというふうに思います。

 公式には、今ダム全体を見直している最中だということだと思うんですけれども、八ツ場ダムの事業再開について、今ちょっと現状を報告していただきたいと思います。

前原国務大臣 その宇塚さんのことについては、大口国交審からもその話を昔、大臣になったすぐ後ぐらいだったと思いますけれども、そういう人がいたということは認識をしてもらいたいということで教えていただきまして、御苦労されたことについては本当に心から敬意を表したいというふうに思っております。

 今現状はということでありますけれども、中止の方向性は打ち出しているというのは委員も御承知のとおりでございますけれども、再検証のプロセスにのせておりまして、現在、できるだけダムに頼らない治水をということで、有識者の方々にお集まりをいただいて議論を重ねていただいております。その方々が新たな評価軸をつくっていただく中で、八ツ場ダムもその評価軸に合わせて再検証をさせていただく、今そういう状況でございます。

福井分科員 ということは、再検証の最中だから、まさか参議院選挙のマニフェストに八ツ場ダムの中止ということは載せないと思いますけれども、いかがでしょうか。

前原国務大臣 今の事実関係を載せようと思っております。政府として中止の方向性として臨んでいるけれども、予断のない再検証をしているという書きぶりになろうかと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

 私自身もいろいろなところで用地買収させていただいて本当に実感するのと、それから、農水省の政務官のときに、ちょうど安倍政権のときでしたけれども、国家公務員のいわば、ざっくり言うとリストラをしたんですね。そのときに、やめていただく方に三月末に面会したんです。その方は、安倍首相に伝えてくれと。その方は官公労の運動、労働組合の運動を何十年もやってきた方で、ですから、首を切られるのは嫌だとか首切り反対とかいうことをおっしゃるかと思ったら、さにあらず。我々はそういうリストラに遭うということでやめるのではないんだ、国家に貢献しよう、国家に貢献するという気持ちで、今回、農水省のあるブランチから身を引くんだ、このことをぜひ安倍首相に伝えてくれということで、実際、お伝えしました。

 つまり、一人一人の国家貢献意識というのはすさまじいものがあるんですね。日本人というのはやはり、バイパスの用地買収にしても、それから、ダムというのは村落ごと買収されるわけですからね、そういうことにしても、もちろん最初は反対する。そして、いわば札束で解決するということになるわけですけれども、その心理的な葛藤、心理的な過程というのは、結局、最後の最後は、とどのつまりは、心理的な一番根幹、自分自身は日本のために役に立ったということを自分自身もわかっている、家族もわかる、そして世の中の人もすべての人がわかってくれるということで落ち着くわけですね。ですので、そういう意味で、ぜひそれを理解した上で行政をやっていただきたいということでございます。

 だから、八ツ場の皆さんがどうして反対するかというのは、そういうことなんですね。そういう気持ちになったのに、お一人お一人が、これでもう、国家のために自分の土地を明け渡し、引っ越し、そして移住し、残る方は、国家のために、大変だけれども一から出直して、温泉もやり、そしていろいろな地域のための仕事もやりということになったのに、ダム抜きの生活にまた戻るということは、その心理的な葛藤、プロセスをすべて最初からやらされる、そして最初数十年間の葛藤をないものにするということなんですよ。

 なので、それはもちろん大臣は直接対話集会も行かれて御立派だったと思いますけれども、それも重ねていかないといけないので、ぜひそういう趣旨を御理解いただきたいなというふうに思います。

 そういうふうに思うと、これは安保委員会で、首相はいなかったので防衛大臣に申し上げたんですけれども、まさに地政学的な位置というのは、親を選べないのと一緒で、沖縄の位置というのは、それは変えられませんね。中国が一番深い防衛線を列島に置いている、そして、もともとアメリカのそういう世界戦略の中で地政学的に重要な位置を占めている。ですから、現実的に見て、福島党首が何を言ったって、ここから数十年間、アメリカがヘゲモニーを持っている間、少なくとも沖縄から基地すべてがなくなるということはあり得ないわけですね。

 ですから、今一番しなければならないことは、鳩山首相がもう何回も何回も行って、いわば普天間の問題というのはサブルーチンだと思うんですね。むしろ、この数十年間、もっと言えば、薩摩藩のオキュペーションから歴史を総括し、そしてもう本当に地上戦もあった、戦後も御迷惑をかけたということを、ずっとそれを歴史的にわかっていますよ、皆さん方のお一人お一人のまさに国家貢献意識ですね、わかっていますよということを述べていただいて、そしてお一人お一人の一番心の根幹に共鳴するものを得るということから始めなきゃ、普天間だとかくい打ちだとか、そんなことで、小手先で解決する問題ではないと思うんですね。

 ですから、きょうは決算行政委員会の国交省分科会ですけれども、大臣、閣内のお一人だから、事態を見守るというそういう国会答弁じゃなくて、本質的に、この沖縄の問題、普天間の問題をどう解かなければならないと思っているかについて、この数カ月じゃなくて、この数十年間のソリューションのためのヒントをちょっと、きょうはそういう意味で、八ツ場に、アナロジカルにちょっとコメントしていただきたいなと思います。

前原国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど中国の話がございましたけれども、まず喫緊の課題としては、朝鮮半島というのはまだまだ非常に不安定ですし、その不安定の度合いを高めているというのが実情だと思います。

 委員御承知のとおり、韓国の艦艇が爆破して沈没をした。これについては、ほぼ魚雷によって沈没をした、その魚雷は北朝鮮の魚雷ではないかということがかなり濃厚であると言われているわけであります。これが事実だとすれば、朝鮮半島はより緊張するわけでありますし、昨日も、領海侵犯によって、威嚇射撃をして、警告射撃をして、北の艦船が韓国の領海から出ていったということで、朝鮮半島の問題というのは極めて混迷と緊張を高めているというのが大方の方の認識ではないかと思っております。

 そのときに、やはりアメリカのこの地域におけるプレゼンスというのは、北朝鮮に対する心理的な要因としては物すごく大きいと思います。抑止力というのは、私が申し上げるまでもなく、何かをしたら相当自分たちが手痛い返り討ちに遭う、あるいは被害をこうむるということで侵略行為などを思いとどまらせる、これが抑止力でありまして、そういう意味では、アメリカのプレゼンスというのは相当大きなものがあると思います。

 そして、中国につきましては、これは先ほど委員もおっしゃったように、この二十年間で十九倍もの軍事費を増強していますし、また、アメリカの国防総省の報告によりますと、中国が公表している数字というのは、その実数は大体二倍から三倍あるのではないかと言われております。つまりは、普通、防衛費でカウントするものを中国は入れていなくて、少な目に見積もったものを国防費として計上しているけれども、それでも毎年毎年一〇%以上の増加をしていて、台湾の武力統一をさらに超えるような軍事力の増強を行っているということであります。

 アジアの国々に行きましても、中国とうまくやっていかなくてはいけないけれども、アメリカのプレゼンスの中でしっかりとバランサー役を果たしてもらって、この地域の安定のためにはそのかけ橋としての日米同盟関係というものをしっかり守ってほしい、こういう意見は極めて多いわけであります。

 そういう意味におきましては、それがピンポイント、沖縄でなければいけないのかということになると、若干、いろいろな議論があるとは思いますけれども、御迷惑をおかけする沖縄に対しては、できるだけ負担軽減は行いながらも、沖縄以外の国民がしっかりと、安全保障は水とか空気のようにほぼただではない、やはりアメリカのプレゼンスというものがこの地域の安定、バランスをとっていると。言ってみれば、多くの負担を受け入れてくれているのが沖縄の方々なんだという感謝も持ちながら、沖縄の方々に敬意を表し、そしてまた、できる限り、沖縄県以外で負担が分散できるのであれば分散していただくということもお願いをする中で、日本全体としての安全保障が万全な対応策ができるような仕組みをつくっていくという中で、この問題を考えなければいけない。

 だから、普天間の問題というのは、そういう意味では極めて根幹の問題で、この問題をしっかりと安定させなければ、日本の安全保障、ひいては、長くなって恐縮でありますが、例えば、今ギリシャとかあるいはポルトガルの話がありますけれども、日本よりもまだ対GDP比では低い対外債務なんですね。しかし、ああいうデフォルト状況になって、格付会社が格付を下げているということです。

 安全保障の問題でがたがたするとなると、それだけ脆弱性が増すということになりますので、経済活動と別のところで日本の評価というものが下がる可能性もあって、安全保障というのは実は経済活動と一体になっていて、そういう意味では、この問題というのは本当にしっかりと対応しないと大変な問題なんだということを我々も肝に銘じて、しっかりと、私、沖縄担当でありますけれども、鳩山さんを支えて、その点、問題解決するようにしっかり努力をしていきたい、このように考えております。

福井分科員 ありがとうございました。

 八ツ場も、埼玉県の三分の一の方がいわば水泥棒になるおそれがあるわけで、まさにリスクマネジメントなんですね。一番水が少ないときの農業用水も確保して、そのときにもらえるかどうかというのが水利権なんで、だからそれは暫定であってはならないんですね。そういうことを我々としては主張しているわけでございます。同じ生活の防衛だ、セキュリティーなんだということをまずもっと御理解いただいて、もう八ツ場は事業再開ということで共通認識にさせていただきたいというふうに思います。

 それで、次に、高速道路料金で、四国としては、本四の料金、これは特別な料金で、高いのは困るじゃないかということなんです。

 結局、砂山のパラドックスといいまして、砂粒でできた砂山は、一粒とっても砂山と言う、二粒とっても砂山と言う、どんどんどんどんとっていって、結局、最後に一粒残って、砂粒を砂山と呼ぶのかどうかということと全く一緒で、一カ月ぐらい前の大臣の答弁を聞いて、それを思い出しまして、どこまでいったら無料化と言えるのか言えないのか。

 それは、橋の長さが十メーターを橋と言う、五メーターを橋と言わないとか、どこかで定義すればいいんですけれども、しかし、これは国民との約束、マニフェストですから、定義をきっちりして、高速道路の無料化とは一体何なのか。今回の料金改定とは何なのか。そして、四国を守るための本州四国連絡橋の特別な料金とは一体何なのか。いろいろ国会で審議が進まない法案もございますので、現時点での高速道路の料金についての基本的な考え方、大臣から御答弁いただきたいと思います。

前原国務大臣 この間、福井委員も四国選出の自民党の国会議員のお一人として大臣室に来ていただきまして、中谷議員とか……(福井分科員「いや、大臣室には行っていません。名前だけ」と呼ぶ)そうですね、議員のお名前もありましたけれども、四国選出の自民党の議員全員から御要望を承っております。まず、そこから入らせていただきたいと思います。

 なぜ本四架橋だけ二千円、三千円という金額を取らせていただくのかということについて申し上げれば、二つ大きな理由がございます。

 一つは、先ほど高井委員が質問されましたけれども、内航フェリーとの関係の中で、もちろん本四架橋ができたときには、フェリー対策を自民党政権で相当行われて、七百四十四億でしたか、かなりの金額をそういった補償なんかに充てておられるわけでありますが、しかし、現実にかなりの内航フェリーの会社がございまして、これを全くフラットにしてしまうと相当ダメージがあるだろうと。と同時に、やはりJR四国についてもそういった要望を承っておりまして、内航フェリーやJR四国あるいは高速バス、こういったものに配慮をさせていただいたということが、四国について申し上げれば第一のポイントでございます。

 そもそも原則無料化の定義というのは何なんだというお尋ねでございますけれども、この原則のところにちょっと注目をしていただきますと、もともと選挙の前に、我々は、首都高速道路と阪神高速道路は除外をさせていただく、この二つのものについては料金を取り続けますということを申し上げてきたわけです。これはなぜかというと、首都高というのは首都圏、阪神といったら大阪、兵庫、京都、まさに大都市圏で、ここを料金を取らなかったら、みんなそこに乗ったら、込んで、高速道路どころか低速道路になっちゃう。しかも、それが渋滞なんかを生んで、CO2の排出にむしろマイナスになるだろうということで、料金はロードプライシングの考え方にのっとって取らせていただくということを申し上げてきたわけです。

 それと同時に、NEXCO各社だって、大都市近辺だと、無料化にするとむしろ込んで、渋滞が起きたりして、スムーズな移動がむしろ妨げられる、環境的にもよくない、あるいは、さまざまな経済的なロスというものも生まれるということで、したがいまして、全部無料化にするというのが原則無料化の考え方ではないということなんです。

 では、どこまでがバランスのとれるところなのかという中で、少し社会実験をやらせていただいて、そして、最もいいあんばいだなと言われるところを最終形に落ちつかそうということで、社会実験をやらせていただく。

 財源の問題もありまして、御批判を受けておりますけれども、六月実施の無料化については、千六百二十六キロメートル、約二割の高速道路の無料化実験をさせていただいて影響を調べさせていただくということと、あとは、まだ国会でこれから御審議いただいて最終的に決めていくわけでありますけれども、上限制というものを導入させていただいて、どういった車の流れになっていくのかといったことを見させていただく中で、これも一つの試行、社会実験として、最終形を決めるためのものにさせていただきたい、このように考えているわけです。

 最後の御質問で、本四の話に戻りますけれども、これは議員も御承知のように、本四架橋だけでまだ三・二兆円の長期債務があるんですね。ではこれをどうしますかというところもございまして、したがって、先生含めて四国の方々からすると、何で四国だけが関所みたいにあそこで取られなきゃいかぬのだというのはありますけれども、本四架橋だけで、いわゆる会社だけで三・二兆円もの長期債務があって、これをどう償還してくるのかということも含めて検討させていただく中で、あくまでも試行、社会実験として、今回こういった考え方を出させていただいているということでございます。

福井分科員 定義がないということでございました。

 ゲームの理論ですから、結局、ぶっちゃけた話、民主党のマニフェストの土台を見て、麻生政権の時代に土日千円を導入したわけですね。これはもう御理解のとおりということなので、だんだん似てくる。ですから、原則無料化というのもちょっと言い過ぎたなということだと思うんですよ。法案の説明のときに、これは苦しいな、副大臣も苦しいなということで、本当に御同情申し上げました。

 とにかく、今からやるべきことは、三兆円の使い道を与野党を超えてまさに議論させていただくということ、無料化の区間と社会実験の方法、そして、今はいろいろ御議論ありましたけれども、やはり本州四国連絡橋の区間についてもホモジーニアスに、日本全体と同じようなキロ当たり幾らという料金体系でいくべきだということも含めて、また今後議論させていただければというふうに思います。

 また話はかわりますけれども、観光について、冒頭申し上げたいのは、観光庁長官を大臣は新しく任命されまして、前の観光庁長官もすごくいい方だったので、河野太郎先生が質問されましたけれども、大臣の小学校の先輩で、松井官房副長官の中学、高校の同級生ということだし、それから、官房副長官は、京都で松井旅館という旅館業をされているわけですね、観光業。ですから、河野先生もおっしゃいましたけれども、これはあんまりだと。中学、高校の同級生で、小学校の先輩を観光庁長官に指名する、それだけでもイーファンだし、それから、リャンファン目には、旅館をやっていらっしゃるということで、これはちょっと情実人事だと。答えはもう国会でされましたからいいですけれども、それはちょっとまた御指摘をさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりそうなので、きょうのテーマは、地域の振興、地方の再生について国土交通行政としていっぱいいっぱいやることがあるでしょう、その現状と課題について報告いただきたい。

 もう時間がそろそろなくなりそうなので、観光をターゲットにして、私が言いたいのは、海外からの投資ですね。金融の世界は見捨てられましたから、もう来ないんですね。いろいろな会社がずっと世界じゅうに散って、お金持ちに日本に投資してくださいと言っても、金融資本主義の世の中では日本はもう見捨てられたという状態なんです。

 これからやるべきことは、物づくりという根幹もそうですけれども、地方に投資してくださいと。ちょうどボルドーのブドウ畑を中国の資本家が買ったようなことを、特にアジア・マネーが日本の地方にやってくるという世界をぜひつくりたい。それは農林水産物の輸出でもそう、観光客の誘致でもそうということなので、それを申し上げたいんですけれども、経済産業省の所管でもあるので、きょうは、観光に着目した国土交通行政について報告をいただきたい。

 それから、まとめて、四国は二つ資産がありまして、ジオパークという、ジオロジーのジオにパークですけれども、これは、中国の指導者が、胡錦濤とか、地質が得意な学者がいらっしゃいまして、世界で一番ジオパークが多いのは中国なんですけれども、要は地質を見せるということなんですね。

 日本は、特に四国は、ユーラシアプレートの、ユーラシアというのはユーロとアジアの合体語ですけれども、ユーロというのはギリシャから見て西、アジアが東ということなんですけれども、ユーラシア、要するに、東西東西、一番広い、大きい地球上のプレートの一番東の端に存在する四国の海溝性の地震が、百年に一回必ず起きるということを逆手にとって、それで地域振興をできないかということでジオパークをつくって、世界じゅうから観光客をお招きして、地球とは何か、プレートとは何か、地球の気候とは何かということを学習していただこうということが一つ。

 それから、これは道路行政でもやっていましたけれども、四国のみち。これはお遍路道で、お遍路道がもし世界遺産に指定されますと、これは世界では初の世界遺産になるんですね。どういうふうに初かというと、一般庶民が主役の、一般庶民が主人公の初の世界遺産になるんですね。熊野古道も、道という意味ではありますけれども、これは、ある神道の方の道でした。それから、スペインの北にもあります、あれはキリスト教徒の道でした。お遍路道というのは宗教と関係なく、自分に悩み、家族に悩み、恋愛に悩み、今まで多分数億人の方が道を歩いた、その一般庶民が、その一般庶民の人生の苦しみが主人公の、世界で初の世界遺産になるんですね。すてきでしょう。

 だから、それについても、道路行政だけじゃなくて、国土交通行政として総合的に御支援いただけるというふうに思いますけれども、きょうは、時間があるかないかわかりませんけれども、これで質問を終わりますが、観光を基点とした地域振興、ジオパークをツールとした地域振興、そして四国のみちをツールとした地域振興についてまとめて御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

長安大臣政務官 観光のお話でございます。

 これは、この間も大臣も御発言させていただいておりますし、また、国土交通省の成長戦略会議でも議論をしてまいりました。

 やはり、アジア経済がこれだけ急激に成長している中で、日本のパイを拡大していくためには、そういったアジアの成長を取り込む、とりわけお隣の中国ではあれだけの大きな人口があるわけでありますから、そこをいかに取り込むかということが重要であります。

 一方で、今お話のございました、観光客を地方にも取り込んでいかなきゃいけない、これはまさにそのとおりで、データを見てみますと、首都圏であったり関西というところに観光客は集中的に来ているところでありまして、これをやはり地方にも広げていくということが重要だと認識しております。

 このような認識のもとで、地方自治体などの意欲のある関係者の方々と連携して、地方観光の魅力を東アジアを初めとする海外に売り込む取り組みを展開しているところでございます。そのために、今回、プロモーション予算を三倍増とさせていただきましたし、また、先般も大きく報道されておりましたけれども、中国人個人観光ビザ取得の容易化などの課題にも幅広く取り組んでおるところでございます。

 今後とも、関係者の皆さんと緊密な連携をとりながら、地方観光の魅力が海外市場にわかりやすく伝わるようにプロモーションに創意工夫を凝らしながら、効果的な需要の掘り起こしにつなげてまいりたいと考えております。

 ジオパークにつきまして、これは一義的には経済産業省の分野ともなっております。しかしながら、以前も、雲仙天草の観光圏につきましても、観光庁として、観光圏整備事業費補助制度の活用によりましてジオパーク認定に向けた取り組みを支援した例がございます。

 今後とも、経済産業省とも連携をとりながら、観光庁としてもジオパークの認定に向けて御協力、御支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

 それと、遍路道についてでございます。

 四国の八十八カ所の霊場と遍路道、これは、世界遺産登録推進協議会がこの三月十六日に設置されるなど、世界遺産登録に向けた機運が高まっていると私どもも認識をしております。

 そういう中にあって、歩行空間の確保、道案内の標識の整備、遍路道の整備に取り組んできたところではございますけれども、この四月から、社会資本整備総合交付金というものを新たに設けさせていただきました。この交付金は、ハード事業だけではなくてソフト事業にも使える、使い勝手のいい交付金となっております。

 国交省といたしましては、四国の遍路道の整備についても、地方公共団体の要望がございましたら、必要なものを支援してまいりたいと考えておるところでございます。

福井分科員 ありがとうございました。

 ジオパーク、例えば河川局砂防部がありまして、ですから、直轄の部隊というのはかなり戦略ツールとして使っていただけると思いますので、ぜひ地方支分部局をなくさないように御陳情申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

郡主査 これにて福井照さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、秋葉主査代理着席〕

秋葉主査代理 次に、阿知波吉信君。

阿知波分科員 民主党の阿知波吉信です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、私は、社会資本整備事業特別会計の中の空港整備勘定、これについて御質問したいんですが、まず、特会にしている理由、それからメリット、これをお願いいたします。

辻元副大臣 空港整備勘定は特別会計ということになっております。

 一つは、受益と負担の関係を明確にするという観点でそのような扱いになってきました。特に、滑走路や管制サービスの直接の受益者である、これは航空会社ということになりますけれども、そこが払う空港使用料等を歳入とする、それを財源にして空港の維持運営、整備や管制業務を行うために、一般会計と区分して今までは取り扱われてまいりました。

 直接、メリットといいますか、その特別会計を使って、例えば、最近ですと、首都圏の空港、羽田の拡張とか、そういうことに迅速に、そして重点的に取り組むことができてきたという点はメリットじゃないかと思います。また、滑走路の更新、これは常に行っておりますけれども、安全、安心に係る維持更新のための投資や、それから空港の維持運営や管制サービスのための経費を着実に支出できる。

 ただ、これは今、特別会計を全部見直そうということで、この空港整備勘定につきましても、メリットだけではなく問題点も多々指摘されておりますので、抜本的に見直していきたいとも考えております。

阿知波分科員 見直していきたいということなんですけれども、実際この特別会計でやっている評価、例えば、今JALが非常に経営がピンチである、それから、空港をたくさんつくってしまって、空港がすごく赤字でお困りであって、大臣もいろいろと関西の方とか頑張ってみえるわけなんですが、そういう問題がある。それから、例えば、国際競争力のあるような空港が日本にはないんじゃないかという、日本の未来とか成長に対してもちょっといまいちかな、そういう状況です。

 ですから、今の特会にしている理由ですとかメリットというものと現実とのギャップ、これはどこから出てきたのかということなんですが、それは制度そのものなのか、それともそれを運用している航空行政そのものなのか、それともそこを取り巻く政治家の圧力なのか、そういうギャップ、それから問題点、これを教えていただければと思います。

辻元副大臣 今御指摘いただいた点は、いろいろな方々が、専門家も含めて御指摘されている点だと思います。

 実際に空港は日本じゅうにようけできたということなんですが、正確に申し上げますと、第一次空港整備五カ年計画が開始されたのは昭和四十二年の時点です。その時点で五十八空港がございました。そして、現在までの間に新設された空港は四十一空港。四十一空港のうち二十空港は離島空港です。ですから、これは最低限のインフラとして必要だということで、百近い空港とよく言われるんですけれども、私も、そんなようけ空港つくってどないすんねんと思っていたんですが、半分以上はかなり昔からあって、そして、新設というのは四十一、そのうち二十が離島であるという現実をどう受けとめるか。

 ただ、今おっしゃいましたように、つくり続ける仕組みみたいなものがやはり特別会計にはございますので、ですから、やはり今まで、よく精査せずに、または問題点がたくさん指摘されている空港などをつくっていくメカニズムの一つにこの特別会計がなっていたという御批判も一理あるというように考えています。

 それ以外にも、航空行政とか政治家との関係とか、そういうことがやはり今まで日本の航空行政をゆがめてきたという点も御指摘のとおりだと思いますので、そういうことも改めていきたいと今議論をしております。

阿知波分科員 もう一つ、この勘定の特色なんですけれども、この勘定は民間依存が非常に高いということが言えると思います。例えば着陸料とか燃料税とか、その割合が今どうなっているかということもお尋ねしたいんですが、そういう民間への依存度が高い中で地方に空港をどんどんつくっていくというシステム、それから、そこにつくった以上は飛ばしていく、路線を開設する、こういうことがJALなんかの経営を苦しめて国際競争力を失わせてきた原因ではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

辻元副大臣 今御指摘の、航空機燃料税及び空港使用料などがどれだけの割合を占めるかという点は、全体の六〇・一%です。ですから、半分以上がそこに依存しているということは、これは事実です。

 そんな中で、先ほどおっしゃった、不採算路線などにも飛行機飛べと。まあ、飛べと、命令ではないと思いますけれども、飛ぶというようなことで、JALなどの航空会社の負担になってきたという点はあると思います。

 ただ、このJALの問題というのは、それだけではなくて、やはり高コスト体質とか、余剰人員をたくさん抱えていたとか、それからさらには、航空会社はそういう内部的な問題だけではなく、新型インフルエンザとか、国際的ないろいろな、テロのようなことがあったら急に乗る人が減るとか、そういう外からの要因、それから内部の組織としての問題なども重なって、やはり今のような状況になったのではないかと考えております。

 ですから、不採算路線の存在も一因ですけれども、それだけではないと考えています。

阿知波分科員 これまでも、こういう空港勘定の問題点が多分いろいろと議論されてきたというふうに思います。ですから、例えば平成十八年の行政改革推進法の中では、この空港整備勘定の独立行政法人化等を検討する、こういうふうに示されておりますが、四年前ということなんですけれども、この今の検討の状況を教えてください。

前原国務大臣 阿知波委員にお答えをいたします。

 今委員が御指摘されましたように、平成十八年にできました行政改革推進法においては、この空港整備特別勘定、これを「将来において、独立行政法人その他の国以外の者に行わせることについて検討するものとする。」こういう規定がなされているわけであります。

 先ほど辻元副大臣からも答弁させていただきましたように、政権交代が起きまして、我々民主党そしてまた連立与党で特別会計を抜本的に見直すということをやっていて、阿知波委員もそれにお力添えを今していただいていると思うんでありますが、要は、行革法にとらわれることなく、ゼロベースで、特別会計を抜本的に見直していくということで今取り組んでおります。

 簡単に言えば、特別会計というのは本当に要るのか、一般会計に全部合わせてやるということも含めて今考えておりますし、先ほど阿知波委員も指摘をされていたように、特別会計でくくっていることが無駄な空港をつくり続けてきた、それによって航空会社の採算性にマイナスの要因にもなってきた、こういうこともあります。もう新たな空港建設は基本的にやらないということですし、また、ぜひ着陸料などは下げていきたい、こういうふうに思っております。

 ディスクロージャーをし、そして全体として見えるような形にする中でこの空港整備勘定をなくすという議論もありますけれども、新たな空港はつくらなくて、そして今問題になっている着陸料の高さみたいなものを是正していく方向性の中で、今、国土交通省の成長戦略会議でこの空整勘定の見直しについて御議論いただいているところでございます。

 また、阿知波委員含めて、党側で今議論をされている内容としっかりすり合わせて、要は、ポイントは、抜本的な特別会計の見直しを行うということが大事だと思いますので、お力添えいただければと思います。

阿知波分科員 大臣より、抜本的ということ、ゼロベースということ、それから先ほど副大臣から、この特別会計のメリット、受益と負担の関係がはっきりするということ、そういうことがございました。

 私の方からのこれはアイデアなんですけれども、今、この勘定で行っている事業が、空港をつくったり維持管理したりということと、もう一つ、管制業務、そういう違う業務が入っております。ですから、抜本的ということと、それから、より受益と負担の関係を明らかにするということで、例えば空港を整備する業務と管制業務というものを分離させたらどうかなというふうなアイデアなんです。

 例えば、新しい管制法人をつくる。そうしますと、ここには七千人の職員がおりますので、こういうところを例えば非公務員化する。海外では株式会社で行っているところも多数ございます。そうなりますと、マニフェストの公務員の総人件費二割削減、そういうことに向けての貢献にもなりますので、いかがでしょうか、マニフェストの中身を実践するという観点からも、この空港勘定、ぜひ改革していただいたらと思いますが、どうでしょうか。

前原国務大臣 今、阿知波委員がおっしゃった約七千名ということでございますが、これは航空関係職員のうち社会資本整備特別会計の定員が七千百四名ということで、そのうち航空管制業務に係る専門職員数、これは平成二十一年度で四千四百三十六名ということになっております。

 阿知波委員が御指摘されましたように、民間会社でやっているところもあります、航空管制を。例えばイギリスなんかは、政府出資が四九%、そして職員が五%株を持って、民間が四六%ということでありまして、確かにこういうところもございます。また、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドは、国が一〇〇%株式を持っている国営企業というものでやっておりますし、カナダは非営利法人でやっているということであります。

 他方、大事なこととして、これも委員ぜひ御留意していただきたいわけでありますけれども、航空管制業務というのは交通警察と同様の性格を有するんですね。つまりは、ハイジャックとかテロとか、こういうものに対応する危機管理業務であるということ。それから、何よりも航空機の安全な運航を支える重要な業務であるということ。それから、日本の場合は在日米軍や自衛隊の空域が複雑に入り組んでおりますので、米軍とか自衛隊との交渉を日々やらなきゃいけない、運用の面で。こういったところもございます。

 しかしながら、委員の御提案でございますし、非公務員化というのはどうなのかわかりませんが、とにかく、業務運営を効率化させるということがもともと特別会計の見直しでもあったわけでありますので、業務の効率的な運営というもの、これをしっかりと御指摘の点も踏まえて取り組ませていただきたい、このように考えております。

阿知波分科員 ありがとうございます。

 さらに、大臣は最近、関空と伊丹の経営統合ですとか運営権の売買ということ、そういうことの検討を発表されておりますけれども、やはり空港ごとの収支といいますか、もうかっているのか損しているのかということもはっきりさせた方が、より経営という面、会計の運営という面については明らかになる面が多いと思います。

 ここで、どうでしょうか。例えば、今のように羽田なんかの国管理の空港を、例えば関空とか成田のように民間会社にしてみるとか、地方に移譲してみるとか、もう既に検討されているように、ターミナル会社とか駐車場と一緒に合わせて、より魅力ある空港経営ができるような形にしてみるとか、そういうことをされたらどうかとも思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 国が管轄をしている空港の収支は今まで公表しておりますが、委員御指摘のとおり、地方空港でなかなか収支が明らかになっていないということで、我々国土交通省の航空局から各自治体に対して、ぜひ収支を公開してほしいといった要請はしておりますし、できるだけそういったものが公開されることは、望むべきだというふうに考えておりますし、努力をしてまいりたいと考えております。

 あわせて、今御指摘のように、空港ターミナルそして周辺の駐車場、これを一体的に運営できるようにしていこうということで、例えば公益法人で空港環境整備協会というのがありますけれども、ここは天下りがかなりたくさんいるところなんですけれども、これの駐車場業務というのを切り分けて、そして空港ターミナルと一体となって、駐車場の上がりもちゃんとその運営経費に入れるような仕組みをつくっていきたいと思っております。

 また、先ほど御指摘をされましたように、民の視点を取り入れていくということで、関空と伊丹については、これは一つの持ち株会社にして、そして、できるならば、かなり高い金額で、いわゆる委託契約をして、そして民の効率的な観点で空港経営をやっていただく、こういったことも順次取り組んでいきたい、このように考えております。

阿知波分科員 空港勘定の改革なんですけれども、結局、例えば資産ですと三兆円ありますし、負債は一兆円ということで、二兆円純資産があるということですから、これは簿価ベースにすぎませんけれども、改革がしやすいんじゃないかなというふうに思います。ですから、民間ベースとか民間活力というときも、そういう状況のうちにどんどんやられたらどうかな、むしろ特別会計の先鞭を切るという形でこの改革を進められたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 単純な民営化ではなくて、例えば関空と伊丹におきましても、地べたは国が持って、そして運営権を売却して効率的な運営をしてもらうということ。

 なぜ下を持つかというと、やはり何かのときに国がしっかり関与をするということ、例えば大災害とかあるいは有事とか、こういったところで国が関与できるようなスキームをしっかりとつくっておくということも大事なことだと思います。しかし、それ以外はできる限り民の活力の中で創意工夫をしてもらう中で経営をしていただくということも大事だと思いますし、そういったことも念頭に入れながら、委員のおっしゃるような空港整備勘定の見直し、特別会計の抜本的な改革もあわせてやっていくという観点が私も必要だと考えております。

阿知波分科員 ちょっと視点を変えますけれども、私は、このゴールデンウイーク、議連の関係でサウジに行っておりました。ですから、関空からエミレーツに乗ってドバイ経由でサウジに行って、帰りはキャセイ・パシフィックで香港経由でJALに乗って成田に着く、出発点は岐阜県の第五区ということですので、本当に地方のユーザーがくるっと回ってくるという体験からなんですけれども、やはり成田と羽田とか関空と伊丹とか、そういう空港のネットワークが大きく断絶していると思います。

 一々預けたものをまた出して、また預けるとか、運んで電車に乗っていくとか、非常に不便なんですね。ですから、これはやはり今のあるものを生かす、あるので生かすということなんですけれども、その枠ではどうしても将来が暗いのではないかな、そんな気になります。

 ですから、地域でひとつ、例えば旅客のハブをつくるとか、例えば旅客と貨物を分けてみるとか、そういう大きなステップが今、日本には求められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 問題意識は全く同じでありまして、だからこそ、羽田の二十四時間国際拠点空港化ということを我が政権になってから初めて打ち出して、内際分離を取っ払うと。

 つまりは、羽田が国内線で、そして成田が国際線で、離れているからハブにならないわけですよね。もちろん成田はこれからも首都の国際空港としてしっかりと役割を果たしていただけるし、もっと拡大をしていくと思いますけれども、少なくとも、やはり羽田のハブ化を目指していくということをぜひやっていって、今委員のおっしゃった不便さを解消していって、今、地方空港から海外に行くのは仁川がハブになっているわけですよ、仁川に飛んで、仁川からほかの海外に行くということですので、できるだけ羽田を利用してもらう。あるいは、これから伊丹、関空というものを一体化して持ち株会社で効率的にやるということになったときに、私はそういう関空乗り継ぎというものも出てくる可能性は高いというふうに思います。

 とにかく、一・一兆円の有利子負債をどう処理するのかということを前政権から引き継いで、これを処理しないと前向きな発想ができないんですね。今でも、関空は営業面では黒字なんですよ。ただ、この一兆一千億円の有利子負債の、いわゆる借金を返すということで、国の補給金も受けなきゃいけないということですので、こういったところを抜本的に改革して、そして前向きな空港運営ができるようにして、岐阜五区からでも使いやすいような、そういった空港経営に変えていくということ、日本の空港を変えていくということで努力をさせていただきたいと考えております。

阿知波分科員 岐阜五区からも便利ということでありがたいんですけれども、やはり空港等のアクセスですとか利便性というのが本当に大事だなというふうに、使ってみるとひしひしと思います。重い荷物とか持っていますので疲れていますし、余計思いますけれども。

 例えば、今、成田までの電車が三十六分になりますよというようなことも、地方から見ると、本当に東京中心なんだなという、行政も東京中心の行政なんだなというふうに思います。

 一方で、大臣が先日おっしゃっていたんですが、新幹線を羽田まで、今、羽田の話が出ていましたので、羽田まで延ばしたらどうですかというアイデアというのは非常に希望がありまして、例えば岐阜五区というのも、将来リニアモーターカーが走るというようなことです。そうして、東京から羽田まで接続されるようなことになりますと、うちの近所から五十分ぐらいで羽田の二十四時間のハブに将来接続できる。そうすると、多分、岐阜五区というのは、一地方ということが、将来の国際玄関、窓口ということになってしまいますので、そうなると、やはりこれまでの可能性とか潜在能力というのはがらりと変わってしまうわけです。

 ですから、交通というのは本当に大きな力があるんだなということを改めて感じるんですけれども、ですからこそ、そういうアクセスとか、二十四時間の羽田空港、PFIとかさまざまなものを使っていただいて、民間の資金もどんどん使っていただいてつくる、世界一をとにかくつくってみるということをぜひやっていただきたい、このように思います。いかがでしょうか。

前原国務大臣 今御指摘のように、主要空港のアクセスの問題というのは大変重要で、例えば関空、伊丹の問題でも、将来的にはリニアが大阪まで来ますので、そうすると伊丹の役割というのは相当低下をする。そのときには私は廃港も含めて考えていかざるを得ないと思います。

 ただ、そのときも、大阪の中心地と関空のアクセスを改善しないと、リニアとか新幹線にとられて、関空利用というのはなかなかふえてこないという状況になると思います。そういう意味では、主要空港のアクセスの問題というのは極めて大事であります。

 大阪府の橋下知事とこの間話をしまして、国と大阪府あるいは関係自治体と協議をしましょうということで、そうした仕組みをつくってまいります。ただ、国は莫大な借金はありますけれどもお金がありませんので、今委員がおっしゃったようなPPP、PFI、こういった民間の資金を取り入れた形でアクセス改善をしっかりやっていくという観点が必要だと思います。

 先ほどの羽田乗り入れの問題も含めて、我々で今検討しておりますので、もう少しお時間をいただいて、このアクセス改善を、民間の資金を投入した形で抜本策を打ち出すということを行ってまいりたいと考えております。

阿知波分科員 本当に非常に未来が開ける回答、ありがとうございます。

 ただ一方で、リニアの話もありますが、新幹線、東北とか九州、北陸というのが延びていきます。同僚議員も、できたらもう飛行機は乗らないという人もたくさんおられまして、そうすると、空港、飛行機の方に影響してくるわけなんですが、飛行機と新幹線、こういうものというのは、行政上、今まできちんと調整をとられてきたのか、それとも、それぞれ新幹線は新幹線でレッツゴーみたいな形で行われてきたのかということなんです。

 私は、今のこういう財政の状況からいきますと、やはり選択と集中という優先順位をつけていくほかないと考えますが、いかがでしょうか。

辻元副大臣 確かに財政的に非常に厳しい折ですので、あれもこれもつくるという時代ではなくて、あれかこれかきっちり選択をして投資をしていく時代になってきたと思います。今までは確かに、おっしゃるように、新幹線は東京を起点にいろいろな各地方を結んでおりますけれども、新幹線が走ると飛行機の羽田便の便数が減ったり、なくなってしまうというような現象も起こってきたことも事実です。

 ですから、それはただ、需要予測とか、その時代時代の経済状況もありますし、一概に、そのときに両方諮って、どっちがええかなとよく考えてつくったことが現在当てはまるとも言えないしということで、特に交通体系をつくっていく上では難しい判断だと思います。ですから、結局、空港も欲しい、新幹線も欲しい、高速道路も欲しいというように、欲しい、欲しい、欲しいでつくってきたものが共倒れになっているというような指摘もあるわけです。

 しかし、その時点でよく考えていなかったかというと、需要予測はきっちりやりながらやってきたつもりでも、後で共倒れになったり、非常に問題が出てきているというようなのが現状ではないかと思います。

 今後は、やはりそういうような今までの総合交通体系の経験や反省も生かして、しっかりと採算がとれるかどうかということを重視して交通体系を整備していかなきゃいけない。

 もう一つだけ申し上げたいのは、今、交通基本法という、いわゆる総合的な交通体系の基本になる法律をきちんと整備しようじゃないかということで、国交省の中で議論を進めております。ですから、また委員もぜひその議論の中にも御意見を賜りまして、トータルなグランドデザインを、財政が厳しい折にどうつくり直していくかということにお力をかしていただければと思います。

阿知波分科員 では、最後の質問をさせていただきたいんですが、トータルなグランドデザインというところなんですが、デザインを描いて実行しようとすると、そこにはやはりお金がかかります。例えば、今の特別会計ですと、道路とか港湾とか空港とか、それぞれのインフラが縦割りになっております。典型的な縦割りです。

 ですから、優先順位を設けて交通体系をつくっていく、こういうことに重点を置くならば、むしろこういう縦割りを除いて、大きなお金の中で、自由な発想で行政をされたらいかがかな、そういうグランドデザインが描けるような体制に、お金の使い方から変えていかれたらいかがかなと思います。それに、こういう縦割りを外していくということは、民主党の国家戦略局、ここが目指してきた視点でもありますので、まず、大臣の行政範囲の中で横ぐしの戦略的な交通、こういう行政を実現していただきたいという、これはお願いでございます。いかがでしょうか。

前原国務大臣 私が国会議員になったころは、社会資本整備の中期計画というのは十五本ありまして、それぞれが五カ年計画とか七カ年計画とかいうものがあって、一番大きいのは道路ですよ、そしてその次に大きかったのは河川ということで、非常に大きな予算規模がありました。

 それが今は、我々も相当そういったものに批判をして、そして社会資本整備重点計画というものに、一本にまとまっているんですけれども、ただ、中は、今委員おっしゃるように、まだミシン目は入っているんですね。いわゆる整備勘定ということで、ミシン目が入っております。

 特にこの交通の問題についていえば、トータルでどう考えていくのかと。そろそろ、もちろん必要なインフラ整備はこれからもやってまいりますけれども、かなり道路も、あるいは新幹線も空港も整備されてきたということの中で、ストックをいかに生かして、そして総合的な使い方をするかという観点からすると、このミシン目を見直して、そしてトータルとしての社会資本整備をやる時期には来ている、このように私は思っております。

 そういう意味では、しっかりとこの縦割りを国土交通省の中でも排して、今あるストックをどう有効活用していくのかという観点での行政をこれから進めていきたいと考えております。

阿知波分科員 ありがとうございました。それでは終わります。

秋葉主査代理 これにて阿知波吉信君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤分科員 質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 主査と申し上げるのがどうも正しいようなんですけれども、皆さん、委員長とおっしゃるので、では私も委員長ということでさせていただきます。

 それで、きょうは、コンクリートから人へとか、幾つかまたお話を伺おうと思ったんですが、冒頭、前原大臣に、コンクリートから人へ、これはもちろん大臣が、国土交通委員会で伺ったところでは、言い始めた、提唱者であるというふうに自負しておられるとおっしゃっていました。これについては否定的な評価をする方も多いし、これによってがっかりしている方、いろいろおられるわけですが、私の見るところ、一番これでがっかりしているのは必ずしも建設業界ではない。

 私の言っている意味がおわかりかと思いますけれども、一番これでがっかりしているのは端的に言ってどの業界だと思われていますか。

前原国務大臣 コンクリート業界ですか。

赤澤分科員 全くそのとおりでありまして、要は、コンクリートを使って仕事をする建設業界の方たちは、これは仕事が減るという意味でつらい思いをしているわけですけれども、何かしら建設業界が要らないと言われたような感じは必ずしも受けていない。

 ところが、コンクリートから人へという話になると、地元で私の耳に聞こえてくるのは、お父さんの会社の名前にコンクリートがついているので子供が学校でいじめられたとか、とにかくコンクリート悪者論。コンクリートと名前がついている会社に勤めていること自体、何かしらちょっと恥ずかしいというような感覚を受ける、そういう議論になっているわけです。

 だから、言い方としては、これは気持ちとしては恐らく、公共事業より社会保障をとか、役人的な非常に陳腐な言い方で言えばそういうこともあり得たと思うんですが、殊さらにインパクトのあることを選ばれた。だけれども、そんな中で、やはりコンクリート業界の方たちは、何かおれたちは要らないのか、悪者か、こういう感じを大臣の発言で受け取るわけです。

 その点について、政治家には思いやりも必要だと私は思うわけでありますけれども、どのように感じられますか。

前原国務大臣 この間、ある会合でというか、結婚式で、同じテーブルでコンクリート協会の会長さんと一緒になりまして、ごあいさつをしたときに、国土交通省に、コンクリートから人へという言葉にまず抗議に行ったんですよということで、その方は女性の方でして、おっしゃっておりました。

 私が申し上げたのは、そういう誤解を生んでいるのでは申しわけない。我々は、コンクリートが悪いということを申し上げているのではなくて、予算の配分を、より社会保障あるいは教育、そうした人の方に移していくということで使っていることであって、これからコンクリートから人へという言葉を使うときには、あわせて、コンクリートが悪いわけではないし、必要な公共事業もやっていくし、そして、命を守るための公共事業、コンクリートもあるんだということで、そのコンクリートから人への補足説明をしっかり行う中で使わせていただきますということはお約束を申し上げてまいりました。

赤澤分科員 それで、ちょっとそこから話を少し一般論に持っていきたいと思うんですけれども、私が感じるところ、前原さんに限った話ではないんだけれども、民主党の今の政治の進め方について言うと、ひとりよがりというか、相手の立場を考える、あるいは相手の立場を思いやるというところが少々欠けているように感じるわけですよ。

 これはもう言い古された話でしょうから、くどくど申しませんけれども、八ツ場ダムについても、これについてやめたことで実際被害をこうむる方、ぜひ完成させてほしいと思っている方たちの声を事前にどれだけ聞かれたんだということは大いに気になるところだし、今の例でいえば、まさにコンクリートから人へと打ち出すに当たって一番関係するのは、言うまでもなく建設業界以上にコンクリート業界だ。そこの声を聞いてみようということで、親しく事前に話をされたようなことというのはありますか。

前原国務大臣 私自身はございません。

赤澤分科員 非常に今正直な、ストレートなお答えをいただいて、私もそこで自分は政治家として感じるところがあるのは、さきの衆議院選で、我が自由民主党、そして自公連立政権が国民から大いにおきゅうを据えられた、退場を命じられたわけで、これは私ども大いに反省をしなきゃいけない中で、やはり今自分で野党になって見えてきたことがあると思うことの中には、国民から見て、どうしてもこの自公連立政権では破壊できないしがらみがあるということが、一つ大きなことだったと思うんですね。

 いわく、大企業の利益ばかり考えておるんじゃないか、あるいは、公務員と癒着をして、公務員にいろいろな仕事をしてもらうかわりに公務員の利益ばかり考えておるんじゃないか、こういったことも含めて、とにもかくにもしがらんでおると。さらに、それを一般論として言えば、自公連立政権あるいは自民党が一部の人の利益だけを考えて政治をやっておるんじゃないかと。

 その点は、確かに、民主党も効果的にそこを突いて攻撃をされて、国民もなるほどと思い、それを実現してほしい、一部の人の利益でない政治をやってくれ、こういうことだったと思うんですが、若干そこから先が、私、政権交代後、少し国民の期待と今の政府が外れ始めていると思うのは、国民がお願いしたのは、ひとしく、すべての国民のためになることをやってほしい、こういうことであったと思うんです。民主党政権の今のやり方というのは、どちらかというと、自分たちの頭の中に正しい正解がもうあって、やらなきゃいけないことはわかっているから、逆に言えば、関係者の意見を十分聞かなくても我々は正しいことができるんだという思い込みが非常に激しいように思うんです。

 特にその中で気をつけなきゃいけないのは、普天間の例なんかを見れば、これは自公連立政権がそれなりに工夫をしてやってきたものを、少なくとも総理は、そのやってきたことについて、それなりの意味があるということについて、常識を備えたり学習するのに八カ月かかった、その間に大分いろいろな日米関係等被害が出ているように私は思います。

 いろいろな意味で、民主党がこの人たちの意見や考えを聞いちゃいかぬということの一番対極にあるのは、自公政権がやっていた政策ということになるのかもしれないけれども、それも加えて、大企業とかあるいは公務員とか。

 大臣、私がここでぜひ申し上げておきたいのは、やはり我々政治家たる者は、これはしがらんでいる、公務員の既得権を打破していかなきゃいけない、あるいは大企業寄りの政治がいけない、こう思ったときに、むしろ、そこをきちっとやろうとしたときこそ、その既得権を切り込んでいく公務員の意見あるいは大企業の意見、そういったものこそちゃんと聞いておかないと、万が一、そこはしがらんでいる、確かにそうだ、そこのしがらみを壊せという国民の声は強い、だからやるんだ。しかしながら、その中にも、大企業が主張しているものの中にも正しいものがあるかもしれない、公務員が言っているものの中でもこれは守ってやるものがあるかもしれない。

 そういうものについてよく聞いた上でやっていかないと、これは、また一方で、その対極にある人たちの利害はしっかりと反映をして、言うことを聞いたかもしらぬけれども、結局は、すべての国民を代表するような利益をきちっと実現するような政治にはなっていないということが往々にして起きるんじゃないか。

 そういう意味で、私は率直に言って、今、経団連との関係、まだ経団連のトップと総理が二人で話したことはないというふうに私は承知しておりますし、加えて、自公政権当時の政策については、例えば独法の見直しでも、大体頭から全部否定して、ゼロベースから始めますと。やれば、普天間の問題同様に、恐らく我々の行き着いた結論に行き着くことが多いんじゃないかと思うんですけれども、そういうことが非常に多く感じられるんです。

 なので、私も、今支持率が大変おっこっている中だから、老婆心というかアドバイスするわけでもないんですけれども、むしろ、しがらみを断ち切ることこそ、そういうときこそ、その既得権がありとされている人たちの話をよく聞いてやっていくことが大事であって、今のように政務三役で電卓までたたいて、御省が今どういう状態にあるかは今お話しいただければいいですけれども、とにもかくにも役人の言うことは聞かぬのだ、あれは自民党と癒着しておって、既得権のある人たちだからと。これではだめなんで、公務員の意見を、むしろ、そのしがらみを断ち切るんだったら、だからこそそこの意見を一番よく聞いておく、それから大企業の意見もよく聞いておく、こういう姿勢が政治に求められているのかな。

 そういう意味でいえば、この流れでいえば、建設業界、コンクリート業界、大臣に決断を下していただく前には、ぜひ八ツ場ダムの関係者の話をもうちょっとよく聞いていただきたかったし、コンクリート業界、建設業界の話も事前に聞いておいていただくのがよかったかなと感じます。

 というので、私が今申し上げたことについての大臣の見解といいますか、そこをお尋ねしたいと思います。

前原国務大臣 先ほど委員がおっしゃった中で、逆の意味で私も同感だったのは、与党から野党になって見えてきた世界があるということをおっしゃいましたよね。我々も、野党から与党になって見えてきた世界というのがあるわけです。

 例えば、先ほど、私が使い始めたというコンクリートから人へという言葉は、もう何年も前から、私は野党でしたので、月曜日の朝は地元で街頭演説をするわけです、一時間半ぐらい。その街宣車に、コンクリートから人へ、官から民へ、中央から地方へということをずっと書いて何年もやってきて、建設業界とかコンクリート業界との接点が余りありませんので、文句を言われることもない、野党でしたから。

 しかも、そういった業界というのは、失礼な言い方ですけれども、与党とべったりでしたよね。ですから、おしかりを受けることもなかったわけですけれども、ただ、与党になれば、当然ながら我々が日本の政治を動かしていくということになるわけですから、もともと自民党支持だったんだから、あなたたちの業界は知らないよというわけにはいきませんし、建設業界もコンクリート業界も大事な業界ですから、しっかりお話を伺う中で行政を進めていくということを今やらせていただいております。

 そういう面では、野党から与党になって見えてきた世界、そして、先ほど委員がおっしゃったように、考えなくてはいけない、考慮しなきゃいけない点が出てきているというのはそのとおりだと思います。

 あともう一つ、役人との関係ですが、これは民主党にもいろいろな方がおられて、ちょっと踏み込んだ発言になるかもしれませんが、僕は野党のときに嫌だったのは、自民党さんは部会というのがありますよね、我々は部門会議と言っていたんですけれども、私は、嫌な光景だったのは、部門会議で役人が説明に来ると、罵倒するわけですよね、面罵をする。それは、政策についておかしなことがあったら徹底的に追及したらいいけれども、何かその人の人格を否定する、役人そのものが悪なのだみたいな形で罵倒する、面罵するという体制は、私は、正直言って、何かおかしい、こういうことはすべきではない、こういう思いを持っておりました。

 また、そういう自分だから、生意気申し上げるようでありますけれども、今与党になって、これは、まあ、赤澤委員がおられた国土交通省の、私今閣僚をやらせていただいているので、赤澤委員から、今どんな雰囲気なんだ、本当に政務三役だけで暴走して、何も役人に相談がないのかということをぜひ聞いていただいて、そうだという意見があれば、ちょっと辻元さんとも相談して、改善せないかぬなというふうに思います。

 私は、これはお世辞でも何でもなく、やはり優秀な役人が多いので、方針はしっかりと我々で決めて、もちろんその方針を決めるときも役人と相談をしながらやっていますけれども、決めて、そして協力してもらいながら行政を進めていく、そして責任は政務三役でとる、こういったことをこれからもしっかりやっていきたいと思いますし、その点では、ぜひまた国土交通省におられたOBとしてアドバイスをいただければありがたいと思います。

赤澤分科員 ありがとうございます。

 大臣から今大変うまく牽制をされましたので、国交省のことについては、私も、同僚、先輩、後輩をおもんぱかって非常にコメントがしづらいところがありますから、そこはまた別途にさせていただきます。

 責任を政務三役がとるという意味では、やはり私が一つ気になっているのは、事業仕分けなんかであると、これは国民への説明責任が一番大事なものであって、むしろ、どの予算が無駄かというところを政治家が指摘するよりは、はっきり申し上げて、この予算が必要なんだ、血税をこれに使うことは合理性があるんだという説明こそ、まさに政務三役が果たすべき私は国民に対する説明責任だと思っています。

 政務三役がしっかりと責任を果たす、責任は自分たちがとるとおっしゃるのであれば、自分たちがつけた、あるいは獲得したいといった予算の中で無駄を指摘されたときの説明というのは、大事なものほど本当に率先して大臣が出てこられて、あるいは副大臣、政務官が出てこられて説明をしないと、国民からすると、肝心の事業仕分けで、いざ合理性を説明する、ちょっと抵抗勢力呼ばわりされやすいところになると政務三役は出てこない、こういう批判には当然なってくるので、その辺もちょっと気づいた点ですので、今の御発言を受けて、あわせて申し上げておきたいと思います。そこをきちっと説明しないと、なかなか、政務三役が政治主導でやっているんだといっても、都合が悪くなると逃げちまう、こういう話になりやすいというふうに思います。

 それから、気づいた点が幾つかあったんですけれども、ちょっと次の雇用への影響についてお話ししたいと思います。

 今、非常に国民の中には不安がある。その大きな不安は、高齢者の方にとっては、これは私ども自公連立政権当時の問題も大いにあったと思いますけれども、老後の不安がある。それから、現役世代の方にとっては、もう何よりもやはり経営の不安、雇用の不安ですよね。頑張っているお父さん、お母さんにとっては子育ての不安というのもあるわけですが。

 そこで、コンクリートから人へ、これも事前に十分サウンドしておいていただくとよかったと思う点なんですけれども、雇用に及ぼす悪影響ですね。これはもう端的に言って一八・三%予算を削ったという話もあるわけで、その後、少し逆流して、最終的には一二%ぐらいになりそうだということでありますけれども、その辺について、雇用に及ぼす悪影響をどのように見ておられるかをお尋ねしたいと思います。

山井大臣政務官 赤澤委員にお答えを申し上げます。

 今後、建設投資の減少により建設業の雇用者が減少するおそれがありますが、雇用者が建設投資の減少によりどれだけ減少するかということに関してはわかりません。

 ただ、平成九年以降、建設業の雇用者は減少傾向にありまして、平成二十二年二月でいえば、建設業の雇用者数は約四百十四万人であり、前年同月と比べて約十三万人の減少。直近の平成二十二年三月では約三百九十三万人であり、前年同月と比べて約二十九万人の減少となっております。

赤澤分科員 三十万人の減少になっているということで、これはもう言うまでもなく、公共事業の発注の額ということがこれから減っていくわけなんで、さらに減っていくことが予想されるだろうと私は思うんです。

 議論としては、建設業から農業に転換をしてくれとかいろいろな議論があると思いますけれども、政府として、失われる雇用を補うだけの対策というのを積み上げをしているのか、その辺もお伺いをしたいと思います。

山井大臣政務官 赤澤委員にお答えを申し上げます。

 例えばでありますが、コンクリートから人への施策として、この四月からは、十年ぶりに診療報酬をネットプラスで引き上げまして、急性医療に対してプラス四千億円積み増しをしたとか、あるいは子ども手当の創設、これも過去の児童手当に比べて、この六月以降、毎月約一千億円以上の可処分所得が子育て世帯でふえるということになります。また、高校授業料実質無償化に年間数千億、そのようなことで、例えば福祉医療機構の病院の改築、新築の貸付件数なども、こういう十年ぶりのネットプラスを受けて増加傾向にあったりいたします。

 また、雇用情勢が厳しい中、重点分野雇用創造事業による雇用創出枠は平成二十二年度末までに六万人ということになっておりますし、また、医療、介護の就業者の増加が目覚ましく、平成二十二年三月におきましては六百五十万人でありまして、前年同月比で五十一万人となっております。

 今後さらに雇用対策を充実させてまいりたいと思いますが、六月には政府として新成長戦略を取りまとめ、環境分野を初めとする成長分野において雇用創出に取り組んでいくこととしております。

 以上でございます。

赤澤分科員 今のお話で、福祉に力を入れていくという説明を山井政務官から力を入れてやっていただいたわけですが、私どもからすると、やはり予算を有効に使う、端的に言って、これは公共事業に使えば乗数効果が一以上あることはみんな周知のあれなんですけれども、子ども手当であれば半分以上貯蓄に行ってしまうという話にもなっておりますし、子育ても含めて福祉に使ったときに、本当に雇用が少しでもプラスになる方向へ行っているのか、大きく悪影響が出ないようになっているのかというのは、私はこれは検証の要る話だと思います。

 今、山井政務官おっしゃったことで、我が党のマニフェストと非常に共通する部分があるのは、高齢者がふえる以上、市場がふえるわけですから、これから福祉というのは成長産業だと考えないといけない。そこを特に地方において産業化していくことで、これまでは公共事業とか農業で養ってきた若い人たちを、三本目の柱、福祉でも吸収をしていくということで、診療報酬を上げたことが、将来、地元で働く若いお医者さんの卵たちの報酬、処遇改善につながって、雇用の場が、あるいは処遇の改善が図られていくといえばそれは一つの方向だと思います。

 私は、ここはぜひきちっと、コンクリートから人へということでコンクリートを削った部分が、実際、人にどれだけ回ったのかについては検証させていただいて、雇用に及ぼす効果とかそういうことはきちっと判断していかないと、全く政策としての判断が、なかなかできないといいますか、私からするとコンクリートから人へについてはちょっと否定的な見方をしておりますので、また場所を変えて、時間の経過とともに検証させていただきたいなというふうに思っております。

 よく言われるのは、必ずしもこれは国土交通省だけでできるあれではありませんけれども、やはり耐震化の問題ですね。二〇〇九年度の補正予算を終えたところでも、公立の小中学校で二万五千棟ぐらいですか、まだ耐震化できていないものが残る。大きな地震が来れば倒壊する、そういう学校で子供たちが学んでいるということですから、コンクリートから人へといったときに、そういった分野は間違いなく人に入っているはずなんで、その辺の予算が、全体として、補正も含めれば自公連立政権当時よりも縮小しているというようなことについては、私はちょっと説明不能じゃないかと思っている部分がありますので、その辺も含めてきちっと、雇用に及ぼす効果とかそういったことも検証しながら、政策の見直しを進めていただきたいというふうに思っております。

 山井政務官、ここで。済みません、何かその後、いろいろおありのようですので。どうもありがとうございました。

 決算委員会の分科会ということなんで、私もちょっと、地元の話も少しさせていただきたいなと思うわけでありますけれども、道路について言えば、道路、橋ということで言うと、建設後五十年以上たつような、維持補修の予算をかなりとらなければいけないような橋が、二〇〇六年には六%だったものが、二十年たってしまえばこれは半分近くなる、四七%ぐらいになるという数字が出ております。

 そんなことでありますから、一言でその状況を言うと、二十年後には相当維持補修の予算に食われるということですので、やはり大胆に、ミッシングリンクを解消し、やるべき投資をする、新しいものを十分つくり切るということでいえば、私から見ると、もうここ十年の勝負だと思うんです。だからこそ、自公連立政権当時の道路整備の中期計画では、高速道路については十年で概成させるということを気合いを入れて書いたわけでありまして、その意味は、まさに今申し上げたような、将来、維持補修の負担が大いに重くなったときにはそう新しいことができないので、この十年の勝負だ。

 そこを、地方についてもミッシングリンクを解消すれば、御案内のとおり、高速道路も整備新幹線もつながって初めて意味があるので、地方の人の思いというのは、一番せつない思いは、公共事業に予算を使ってやったけれども地方経済は活性化しなかったじゃないか、こう言われると、地方の我々は一番腹が立つわけですね。

 それはどういうことかといえば、つながっていない道路を両方からちょこちょこ延ばされて、なおつながっていないけれども、金をかけてやった、活性化しないじゃないかと。これは我々が裏返しで言わせてもらえば、整備新幹線だって道路だって、つながらなければそんなもの効果が出るわけないじゃないかという話。

 やはり一度も道路をつないでもらっていない地元のせつない気持ちというものにはきちっとこたえていただく必要があって、そういう意味で、ミッシングリンクと言われる部分については、そこはまずほぼ十年でやると言っていたあの投資を、端的に言えば平成二十年代におおよそ概成させるということですよ。

 そこをきちっと打ち出していただいた上で、個別の道路についても供用開始年限をどんどん明らかにしていく、そういう意欲的な取り組みをしていただければ、大臣が単に、必要なものはつくりますよと言いながら予算を一八%削った、高速道路の割引の料金を少し戻すということで一五%削減ということに結果的になるようですけれども、そこについてはやはり不安がぬぐえないと思うんです。

 その辺、ここ十年という認識、あるいは平成二十年代に何とか日本じゅうの高速道路の重立ったものを概成させる、さらには個々の道路について供用開始の年限を少しでも早く具体的に打ち出していく、この辺についての大臣の考え方をお聞かせください。

前原国務大臣 今までの自民党政権でも、各地域ブロックごとの重点戦略と重点目標ということで五カ年計画を計画されて、そして、主要な事業についてはいつ完成するかということを示してこられたわけですね。例えば、国土開発幹線自動車道計画にいたしましても、いつミッシングリンクはつながります、こういうことは書いてあるわけです。

 先ほどお話のあった一八・二%、国土交通省でいうと一五%程度の削減ということになりますけれども、新規事業はストップをして、継続事業は続けるという方針でやってまいりましたので、基本的には、出している計画については計画どおりに完成させる、継続事業を優先的に行っていくということでやっておりますので、今示してある事業については予定どおり完成をするべく努力をしていきたい、このように考えております。

赤澤分科員 それで、具体的に道路について言えば、もう大臣のお耳にずっと入っているものというふうに思いますけれども、やはり鳥取県の県庁所在地である鳥取市と第二の米子市を結ぶ山陰道、これの高規格化、高規格道路をつくるということがずっとできておりません。

 百キロ弱なのにいまだに二時間を超えてかかるみたいなことで、皆生温泉につかりながら砂丘を見に行こうとすると片道二時間超となると、皆生温泉の集客効果にも大いにきいてくる。鳥取砂丘を見ながら戻ってくるような快適なドライブが一時間でできるようにと。

 あるいは既存の企業にとっても、物流コストの問題、さらに、企業誘致するときの条件といったようなもの、さらには命の道の観点、ありとあらゆる点でやはり道路の効果は絶大ですので、山陰道、あるいは鳥取自動車道の岡山県側、米子自動車道、さらには、地域高規格道路という意味でいうと、国道九号の駟馳山バイパス、あるいは国道百八十三号鍵掛峠道路、それから鳥取豊岡宮津自動車道、もういっぱいありますね、北条湯原道路、江府三次道路。

 そして、隣県との一体整備という意味でいうと、例えば、隣の県側からやってもらわないと、我が県内が完成しても、それだけではまたなかなか意味がないというところがありますので、その辺については力を入れて、特に、道路をつなぐということの経済効果、そして格差是正効果というのは物すごい大きいということをぜひ大臣に改めて認識をしていただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 それから、道路についてはおおよそ以上でございますけれども、高速道路の無料化について一点だけ。

 この決算委員会で言うのがふさわしいかどうかというのはあるんですが、一度、国土交通委員会で申し上げた、原則無料化のところ、紙で考え方をお願いしますよという話については、これはまだ紙でいただいておらないところで、これについては法案を出す前には整えていただかないと、うちの理事がそれを理由に審議できぬということになっておりますので、そこについてはぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 加えて、一・三兆円ということがマニフェストに書いてあったわけでありますから、この一・三兆円で無料化する道路、原則無料化の延長とか料金額、通行車両数といったもの、この辺はどんなものなのかというのはやはり国民の非常に大きな関心事ですので、あの時点で、できない、原則無料化は単に既存の道路を有効利用することだというような御答弁だったかと思いますが、これは時間がたてば国民に明らかにできる部分もあるんじゃないかと私自身は期待をしておりますので、今後、時間がたつに従って、その点も御対応いただければ大変うれしく思います。

 残された時間で。

 私の地元には、我が鳥取県が誇る境港がございます。かつては何年も連続で漁獲量日本一だったこともある漁港でもありますし、加えて重要港湾でもあります。五万トン級の船も出入りできるという港湾です。

 私自身は、アジアの経済が非常に興ってきた、これからは、極東ロシア、韓国、あるいは中国、台湾が経済のお相手になるということでいえば、日本海側のインフラを整備して、物は日本海側で揚げる、整備した道路や鉄道で太平洋側あるいは山陽側に運ぶというのが経済合理性が高いというふうに考えておりますけれども、その点は大臣は認識を共有していただけますか。

前原国務大臣 成長するアジアとどうつなげていくのかということは極めて大事でございますが、それと同時に、総花的な港湾整備ではなくて選択と集中ということもこれまた必要だというふうに思っておりますので、特定重要港湾そして重要港湾の絞り込みという作業を行っていく中で、絞り込んだところを、そういった新規事業を行う中で、今委員のおっしゃった観点からの結びつきを強くするための施策をしっかりと行っていきたいと考えております。

赤澤分科員 伺っているところでは、百三の重要港湾から四十の重点港湾を選ぶということで、身内びいきもあるでしょうけれども、ゆめゆめこの境港が、日本海側の本当に代表的な港として条件もいい、十分だと思うので、落ちることのないように強く要望を申し上げておくということが一点であります。

 加えて、何か、日本海側の港湾について、かなり力を入れて今後整備されていくような動きもあるようにちょっと伺っておりますので、私は大変それにも期待をしているところでございます。

 整備の手法として、やはり、港湾整備の目標年限も極力早く、供用開始が大体いつごろと、これは、約束して守れないと大変なんで、国としてもよく考えた上でやらなきゃいけないことはもちろんでありますが、ビジネスをやっている人たちであれば、リサイクル用の岸壁ができればその後背地にこういう工場を建ててとか、そういうことをいろいろ考えているわけでありますので、私はその辺をぜひお願いしたい。

 具体的には、境港についていいますと、原木輸送船が今大型化してきているんです。というのは、遠くから原料である材木を運んでこないといけないようなことになりまして、輸送船が大型化している。そうすると、境港の中野地区の多目的国際ターミナル、これの整備を急いでくれという要望は大変地元の強いものであります。製材とかそういった企業が地元にありまして、その関係のバルク貨物の輸出入で非常に境港の取扱高がふえているというところがあって、そこはぜひ力を入れていただきたいと思います。

 環日本海定期貨客船、これはDBSクルーズというところが、ウラジオストク、それから韓国の東海、それから境港というフェリーをやっていまして、ロシアとのフェリーという意味ではいよいよもう境港だけになりました。その貨客船が今非常に頑張っておるわけでありまして、竹内南地区の国際フェリーターミナルの整備事業といったものについても大変要望が強いということです。

 国への要望については、大分風通しよくなってきたかと思いますが、当初、かなり地元の民主党県連の県議の先生にお願いしないと話を聞いてもらえぬとか、いろいろな話がありましたので、何か聞こえてこなかったと大臣に言われると困るので、地元からいろいろ言われている要望については、この際、御紹介しておこうかと思うんです。

 それ以外にも、河川の関係でいえば、大橋川の改修事業に伴う中海の護岸の整備でありますとか、これから中海の土地改良事業を中止することに伴う代替水源の対策といったようなことは当然寄せられております。

 さらに、羽田再拡張に伴う、これは非常に搭乗率もいい中で、今、米子空港の名前を米子鬼太郎空港に変えたところなんですけれども、あの「ゲゲゲの鬼太郎」「ゲゲゲの女房」に関連するものでありますけれども、米子鬼太郎空港、鳥取―羽田便の増便といったようなことも、国内路線で十分な便数枠を配分してやっていただきたい。

 さらには、空港活性化のために、あるいは先ほどの貨客船の繁栄のために、CIQ体制の充実とかビザの要件緩和といったようなもの、あるいは国際間の車両相互乗り入れに係る規制緩和などもお願いをしていきたいということであります。

 いずれにいたしましても、地域の発展、地方の発展にとっては、社会資本整備というのは、これは間違いなく大変大きな意味を持つものでありますので、大臣の采配による地方の発展、格差の是正に期待するところは大いに大であります。

 最後にもう一度、雇用の観点、仕事の観点を強調しておきたいのは、やはり、地元にとって必要な工事がまだまだありながら、予算がなかなか行き渡らぬで、災害のときなんかも出動する地元の事業者さんがつぶれていくような事態というのは大変好ましくない事態でありますので、適正な工事量を確保して、地元にもしっかりと仕事が落ちるような形でやっていっていただきたい。それがうまく間に合う形で地方において福祉を産業化するということと入れかわっていかないと、一時的に大変失業がふえるということになるので、そこはぜひ御自覚をいただいて、お願いをしたいと思います。

 時間でございますので、私の質問をこれで終わります。どうもありがとうございました。

秋葉主査代理 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。

    〔秋葉主査代理退席、主査着席〕

    ―――――――――――――

郡主査 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。千葉法務大臣。

千葉国務大臣 平成二十年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計の決算についてであります。

 歳入につきましては、歳入予算額は九百二十九億一千九百三十五万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は八百十九億三千八百四十一万円余であり、歳入予算額に比べますと百九億八千九十三万円余の減少となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千百六十億九千百八十七万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千八百十八億八千四百十五万円余であり、翌年度へ繰り越した額は二百七十六億六千三百九十二万円余であり、不用額は六十五億四千三百七十九万円余であります。

 次に、登記特別会計の決算についてであります。

 収納済み歳入額は千八百九十四億一千三百八十九万円余であり、支出済み歳出額は一千六百十九億一千五百四十八万円余で、差し引き二百七十四億九千八百四十万円余の剰余を生じました。

 この剰余金は、特別会計に関する法律附則第六十七条第三項の規定により読みかえて適用される同法第八条第一項の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。

 次に、歳入につきましては、歳入予算額は一千八百八十七億二千四百四十三万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は一千八百九十四億一千三百八十九万円余であり、歳入予算額に比べますと六億八千九百四十五万円余の増加となっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は千七百十七億八千五百六十万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は一千六百十九億千五百四十八万円余であり、翌年度へ繰り越した額は二十六億四千八百七十八万円余であり、不用額は七十二億二千百三十三万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

郡主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院小林審議官。

小林会計検査院当局者 平成二十年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 これは、G8司法・内務大臣会議開催に伴う会議準備関係業務等の業務委託契約において、ウエブサイトの運用管理に要する経費等の積算を誤ったため、契約額が割高となっているものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 これは、不動産登記に要する登録免許税の額を算定するための新築建物課税標準価格認定基準表等の改訂に関するものであります。

 不動産の所有権の保存登記に課される登録免許税の額の算定において、認定基準単価の設定が適切でないことから、新築建物等に係る不動産の価額が、固定資産課税台帳に登録された類似する不動産の価格を基礎として適切に認定されているとは言えない事態が見受けられました。

 したがいまして、法務省において、各法務局長等に対して、認定基準表の改訂に当たり、登録免許税の額を適切なものとするために、算定の基礎となる不動産の価額は登記のときにおける当該不動産の価額であることなどを十分に踏まえた上で、新築建物の再建築費評点数等を集計した都道府県概要調書等を用いるなどして適切な認定基準単価を算出するように指示するよう意見を表示いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、刑事施設における看守による工事の調査または研究のための出張に関して、適切な出張計画を立案するとともに、出張報告書を作成、保存するなどして、施設施工旅費を目的に沿って適切に執行するよう改善させたものであります。

 その二は、各種図面の入力作業を請け負わせるに当たり、作業実施枚数の実績に基づき契約金額を変更するよう改善させたものであります。

 なお、以上のほか、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしました刑事施設における医薬品の調達について処置を要求した事項及び国有財産の管理における登記の嘱託について意見を表示した事項につきまして、それらの結果を掲記いたしました。

 以上をもって概要の説明を終わります。

郡主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。千葉法務大臣。

千葉国務大臣 法務省の平成二十年度予算の執行に関し、平成二十年度決算検査報告において、会計検査院から御指摘を受けましたことについては、まことに遺憾でございます。

 御指摘を受けました事項については、直ちに是正に向けた措置を講じておりますが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図り、予算の効率的かつ適正な執行に努めてまいる所存でございます。

郡主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

郡主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

郡主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

郡主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。平智之さん。

平(智)分科員 民主党・無所属クラブの平智之と申します。本日は、よろしくお願いいたします。

 まず、質問を始めます前に、千葉大臣初め、法務省、政府関係各位におかれましては、刑法及び刑事訴訟法一部改正の法律案で公訴時効の見直しという大きな成果をなし遂げていただきましたことに、まず心から御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 本日は、更生保護に関する質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、質問に先立ちまして、更生保護にかかわる法務省保護局の皆さんはもちろんのこと、保護司、更生保護施設、更生保護女性会、BBS会、協力雇用主等々の多くの民間篤志家の皆さんに、まずもって、心から感謝の意を述べたいというふうに思います。被保護者の方の社会復帰に大きく尽力をされている皆さん、やはり支え合う心と許し合う心から平和をつくっていく、支えの社会をつくっていくということは極めて重大である、私自身もそう考えている次第でございます。保護更生にかかわる皆さんの昼夜を分かたぬ献身的なお仕事に心から感謝をする次第です。

 これを前提として、ここからの質問をさせていただくことを御了解いただきたいというふうに思います。

 更生保護の施設につきましては、もう大臣は重々御承知のことだと思いますが、委員会質問については議事録が残るということから、少し、その議事録に概要だけを残しておくために、お話をさせていただきます。

 刑務所を仮出所した方、少年院を仮退院した方、保護観察つきの執行猶予の判決を受けた方、家裁において保護処分を受けた方等が対象となるが、そのうち保護対象の方というのは、種々の理由により、身を寄せる場所がない、あるいは帰る場所がない方を対象とするということだと存じております。

 特に、民間の先ほど申し上げた篤志家の方々が設置をされておる施設につきましては、お手持ちの資料ページ一にございますように、全国に百カ所を超える施設を運営いただきまして、この更生保護の行政に御協力をいただているという状態であります。一方でまた、国の方で設置をしている保護観察所の中に今後、自立更生促進センターを設置していくという実態であるということを、まずここで最初に申し上げておきます。

 さて、自立更生促進センターについては、本日配付させていただきました資料の二ページの方で、その全体の概要が今、この一枚の紙の中に記述をされております。

 御案内のとおり、平成十八年の九月に福島市、福岡市、京都市で開所の計画を発表された。しかし、既に四年の歳月を経ているところでありますが、円滑にその開所に至ったケースというのが今のところはないということだというふうに理解をしております。一部、都市部以外のところにおいて、北九州の自立更生促進センターにつきましては、きょう御質問する近隣の住民の反対ということに当たらないことから、開所をされているというふうに理解をしておるわけでございます。

 まず、私自身は、この自立更生促進センターの機能、あるいは社会の中でこういう施設を受容していくということの重要性を重ねて認識している上でお聞きをするわけですが、近隣の住民の皆さんとの協議や合意の場というものも同時に極めて重大であるということを考えるがゆえに、御質問申し上げます。

 自立更生促進センターの設置場所の選定です。全国津々浦々に国立の保護観察所があり、そのすべてが自立更生促進センターの設置選択肢としてあったはずでありますが、なぜ、十八年九月に福島、福岡、京都各市で自立更生促進センターの開設に計画決定をなされたのかということについて、どのような手続がなされたか。そしてまた、住民と事前の協議を行う手続は定められているのかということについて、法務省政府参考人にお伺いをいたします。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、自立更生促進センターと申しますのは、親族等の適当な帰住先がない上、民間の更生保護施設にも入所できずに、現状では満期出所になってしまう、こういった者たちを、センターを帰住先とすることによって仮釈放させる。こういうことによりまして、保護観察所に付設した宿泊施設に宿泊させながら、保護観察官による濃密で専門的な指導監督や手厚い就労支援などを行うことで、これらの者に改善更生を促し、再犯を防止することを目的とするものでございます。そうした取り組みを通じまして、安全、安心な国づくり、そして地域づくりを推進する上での重要な役割を担うものと私ども認識しているところでございます。

 そこで、設置する場合の、まず近隣の住民の方との事前の協議でございます。

 そういう手続があるかという御質問でございますが、近隣住民の方々との事前の協議を行う手続というものにつきまして、特に規定を設けるなどして定めているわけではございません。しかし、近隣住民の方々の御理解を得ることは重要であるということは十分認識しているところでございます。

 そのために、このセンターの設置に当たりましては、地域の住民の方々や設置する地方公共団体の関係者の方々に対して、センターの意義、それから当該地域に設置する趣旨、なぜそこに設置するのかなどを丁寧に説明することがまずは大事だろうというふうに思います。例えば、住民への説明会というものをまず実施させていただきますし、町内会とか自治会への通知、回覧といったような方法によっての周知といったものもさせていただく。また、地方公共団体や学校、警察等との協議等、それから協力の御依頼といったことも行っております。

 しかし、そういったことを行った上で、さらに御意見、御懸念といったものがある場合も当然ございます。そういった場合には、例えば、住民の方々へのさらなる説明会というものは当然でございますけれども、そういったもののほか、住民の方々へ、場合によってはお一人お一人戸別に御訪問させていただいて御説明申し上げる。それから、反対をされるという方がいらっしゃるならば、そういった方々との意見交換会ということを開催させていただくとか、また市民の方々等の御理解が必要でございますので、チラシやパンフレットといったものをお配りさせていただいて地域の住民の方々の御理解を深めていただくといったことや、また……(平(智)分科員「済みません、手続があるかどうかだけですので、それで結構です」と呼ぶ)ということをやらせていただいているところでございます。

平(智)分科員 手続が定められているかということについては、その手続は定められていないというお答えだけを私は待っておりました。

 手続が定められないということになりましたら、これは行政計画で決定をしたら、その後はその計画の合理性を住民に説明する行為のみがあるわけで、住民の皆さんの御意見を聴取するというお話を今されましたけれども、反映をする機会は今のこの自立更生促進センターの設置計画の中には一切盛り込まれていないということでありますね。つまり、反映ということであります。

 ですから、今おっしゃった話は、もう一度申しますと、計画は決定しました、こういう意義であります、どうぞ近隣の皆さん、この事実をしっかりと理解してください、ここにセンターができますからよろしく、この一方的なお話しかないわけでありまして、意見を反映する機会を、ここに設置するかどうかの計画決定の事前の合意の形成というのがなされていないということを今おっしゃったということになります。

 これについて、もう一度御所見をお伺いします。

坂井政府参考人 質問の御趣旨をもう一つ私も理解していないのかもしれません。その決定というのが何を指すのかという問題もございますけれども、とにかく、計画というものが立ち上がりました段階から御説明というものはさせていただいているということは、これまでもそれぞれ各地でやらせていただいたところでございます。

平(智)分科員 今、自立更生促進センターは私の地元の京都にもあるわけでありますが、地元の皆さんが聞いておられる報告というのは、凍結であるという報告であります。計画の決定をされて、行政計画ですから、それが決定をされた後は、それを取りやめるのか、あるいは、とまっているので凍結かということになります。それを今申し上げているわけで、決めた、その決めたという行為はもう計画決定ですから、その以前に住民の皆さんのお声を聞く機会がなかったということでよろしいですか。

 もう一度、どうぞ御答弁ください。

坂井政府参考人 決定という御趣旨をもう一つよく私も理解していないところでございますけれども、いろいろな段階での御説明というのは、かなりの早い段階からさせていただいているということもあろうかと思います。

平(智)分科員 であれば、現在は凍結ではなく、まだ住民の合意を得られていないので、その計画自体は決定されていないという解釈でよろしいですか。凍結であれば決定されたということです。どちらでしょうか。

坂井政府参考人 繰り返しで申しわけありません。その決定という御趣旨がよくわからないのでございますが、今具体的な計画を進めている段階ではございません。

平(智)分科員 では、凍結ではないということでよろしいですね。御答弁ください。

坂井政府参考人 私ども、凍結というのは一般的な用語でございますので、そういう意味では、事実上具体的な計画を今進めていないということをもって凍結という表現を使わせていただいている、こういうことでございます。

平(智)分科員 それでは、例えば公共施設等が、建設物等ですね、計画決定をされて、予算措置されて、執行されていくという流れであると私は理解しておりますが、今の御答弁でいきますと、計画決定がなされているという事実を認識されません。でありますから、凍結ということもない、計画をしようとして今、種々、近隣の方に御説明をしているところである、こういう解釈になりますが、それでよろしいですか。

坂井政府参考人 そういう趣旨でございます。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 その趣旨であるということをぜひ議事録に残していただいて、はっきりと近隣の皆さんに御認識をいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、自立更生促進センターについては、どの場所に置くかということに加えて、今度は開所をするとき、施設を整備して開きますよというときに、近隣の皆さんと何か合意を、あるいは協議をする手続の場が定められているかということについて、同じ質問を申し上げたいと思います。お願いします。

坂井政府参考人 また同じようなお答えになってしまうかもしれませんけれども、そういった場合の具体的な手続というものの定めは特にないということになっております。しかしながら、先ほどお答え申し上げましたように、これは何も計画というのがどの段階でということではなしに、引き続き開所に向けていろいろな御説明を申し上げるということは当然させていただいているところでございます。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 私も、近隣の住民の皆さんのお声を聞いて、そして、この施設がない方がいいと申し上げているわけではありません。問題は、決定がなされて今凍結されている状態であるのか、決定がなされない、要するに、決定ということの定義がないというふうにおっしゃっているわけですけれども、それに向けて今、ここに置きたい、例えば京都なり福岡なり福島に置きたいと、福島に関してはもう開所まで向かっていますけれども、それについて近隣の皆さんの同意を得ている段階であるということ自体を今確認させていただいているわけでありまして、その点をどうか誤解のなきようにお願いをしたいと思います。

 どの場所につくるかという選定についても、地域の皆さんのお声を事前に聞くという手続が定められていない。それから、開所においても特段の手続が、規則、ルール等として定められているわけではない。そうしますと、当然のことながら、次の質問ですが、どの場所につくるかが決まり、そして開所が決まって、その後、運用していく段階、この運用段階で近隣の皆さんにどういうモニタリングをいただくか、どういう協議をするかという手続も定められていないということでよろしいですね。御答弁ください。

坂井政府参考人 同じお答えでございますけれども、そういう定めはございません。しかし、これもまた当然のことでございますが、それまで御協議なり御意見をいろいろ承ってきて、地元の方々のいろいろなお気持ち等は私どもも理解しているところでございますので、そういった場合には、例えば第三者協議会を設けるといったようなことを通しまして、運営の透明性を考えていくということは当然のことだろうと思っております。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 何とぞ、特に運営からが私は問題であると思っていますので、どの場所に置くか、そして開所をするとき、当然重要なんですが、スタートアップだけじゃなくて、その施設が運用されてから後に具体的、実態的問題が出てくるわけですから、そこでぜひ、近隣の皆さんとあるいは関係の皆さんとの協議の場をつくれるような行政手続というものをしっかりと定めていただく必要がある。近隣の皆さんは、私自身もいろいろお話を聞く中では、何も聞かされていないということについて御不安を持っておられるわけです。事前にお話を聞かせていただいて、その施設が開所されるなり運用されるときに一緒に参加をしたいというお気持ちもお持ちになっているわけですから、手続としてそれをぜひとも定めていただきたいというふうに思います。

 すべての公共施設が、大臣、恐らくこれはやらなきゃいけないことだ。自立更生促進センターも同じですが、非常に重要な施設であります。ダムも道路も河川も、全部そうです。橋梁もそうです。だから、何とかつくりたい。そのときに、一々近隣の方の、利害関係者の方の意見を聞いていたら進められないから、ここはひとつ計画決定をどんとして、あとは認めてくださいという説得で終わらせる、意見の聴取はするけれども反映はしない、そのことに行政の仕事の意義があるのだ、政治もぜひバックアップしてくださいという流れになってしまいますと、これはトップダウン型の社会のあり方である。私たちの社会は既に成熟社会に入っているのであって、そこは一つ重要な論点でありますので、市民社会を本当につくるなら、その点の行政手続をしっかりと定めていただきたいというのが私の意見であります。

 ここまでの質疑を聞いていただいた上で、大臣にお伺いをしたいのでありますが、自立更生促進センターの設置計画、開所、運営に際して、当該センター近隣住民との協議の重要性をどのように御認識であるか、御答弁をいただきたいと思います。

千葉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まず冒頭、委員から、この更生保護について大変深い御理解をいただき、そしてまた社会の中で篤志家の皆さんが更生保護についてさまざまな活動をいただいていることにも大変温かいエールを送っていただいて、多分、そういう皆さんがその声を聞いて大変勇気づけられておられると思います。心から御礼申し上げたいと思っております。

 今、御指摘いただきました。私も、その御意見をお聞きいたしておりまして、確かに、法的にあるいは制度的に地域の皆さんの声を反映する、あるいはその計画や実施について参画をいただくような手続あるいはそういう仕組み、これは確かに、今ない実情だというふうに私も改めて認識をさせていただきました。

 しかしながら、更生保護ばかりではありませんけれども、こういう問題については、地域の皆さんに大変理解をいただき、更生保護、多くの方々がまた社会復帰をする、そういう助けをみんなでしていきたい、やはり、こういう機運とそして環境がなければいけない、これも大変重要なことだというふうに思います。

 そういう意味では、確かに、御説明をして納得をいただくということだけではなくして、むしろ地域の皆さんに、自分たちの施設だ、自分たちの問題なんだ、こう言っていただくことができるような何か仕組みとか、そういうことというのをやはり考えていかなければいけないのではないかと、改めてきょう教えていただきました。

 なかなか、法的に行政の手続を厳密に定めるということを直ちにできるかどうかは、私もまだ確信を持っているわけではありませんけれども、その御指摘、市民の皆さん、地域の皆さんをある意味では逆に信頼し、そしてその力をおかりする、あるいは、むしろ参画していく主体となっていただく、こんな観点でいろいろ私もこれから勉強させていただき、あるいは何かそういう場ができないかどうか、検討してみたいと思います。

平(智)分科員 大臣、本当にありがとうございます。

 まさにその精神を今市民社会の中に根づかせる、行政と地域の生活者、利用者が一緒に計画を推進していくという形をつくる段階に日本は来ているんだというふうに思います。つまり、それぐらいにインフラの整備が進んだのだというふうに思います。ですから、ぜひともその市民社会のあり方に、法務省の皆さんも、保護局の皆さんも一緒に参加をいただけるような、そんな場づくりをぜひとも御一緒いただければと。私ども政治もそこに大いに参加をすべきだというふうに考えていますから、どうか一緒にやらせていただければというふうに心からお願いをする次第であります。

 続きまして、自立更生促進センターの問題からさらに、このような施設をめぐる近隣住民の皆さんの問題というのは、多くあちこちに広がっております。特に、人が集まって生きる、集住する社会では、あるいは縦に重なる社会では、どうしてもこういう問題は避けて通れないのであろうというふうに思います。

 一つ一つの具体的な事例をここで申し上げますと、実は、一生懸命近隣の方とともに既にもう活動しておられる多くの事業者さん、管理者さんがおられますので、御迷惑をおかけすることになる。ごく一部のそうではない方の問題がここで課題になるわけでありますから、具体的な事例はここでは申し上げないようにいたします。皆さんの想像の中でお考えいただくとして、そういう事業者さん、管理者さんの施設の周りにおられる方々からいわゆる住民訴訟として提起をされた、その件数というのは年間で果たして何件ぐらいあるものなのか、お聞きします。よろしくお願いします。

林最高裁判所長官代理者 今議員から御質問いただいたような場合については、住民訴訟も含めて、いろいろな類型の訴訟が提起されることが考えられると思います。

 統計をとるに当たっては、個々の訴えの具体的内容が、今議員が御指摘になられた公共性のある施設の近隣で生ずるトラブルに起因するものか否か、こういう点については種々の内容が考えられるということもあるかと思いますので、実際上、統計をとるのはなかなか難しい部分もありまして、把握しておりません。

 そういう意味で、お答えすることができないことについて、申しわけないんですが、御理解いただければと思います。

平(智)分科員 把握できていないということは、とりもなおさず、こういう問題についての検討がまだ緒についていないのではないかということを感じざるを得ないわけであります。

 例えば、平成九年に河川法が改正されたときには、私自身も民間の立場で河川整備計画を立案する側におりましたけれども、やはりあのときに一番難しかったのは、近隣の、流域というのは物すごく広いですから、そのすべての皆さんの合意をどうとるか。川下の方、川中の方、川上の方、広域にわたるわけです。ダムをつくるにしても、水をどのように割るかという計画にしても、非常に多くの利害関係者の皆さんの意見を聞きながら進める。一方的に計画を決定して、どんと前に進めるということではいかないということから、あの大きな河川法改正が平成九年に行われた。それに当たっては膨大な調査と検討がなされたということを、当事者として私も経験させていただきました。

 この自立更生促進センターをめぐる保護更生行政については、今お話にあったとおり、なかなかその実態がつかめていない。この点は、私は極めて重大であるというふうに思うわけであります。私も、昨年の八月の終わりに初めて当選をさせていただいて、先立つ一年間、つじつじを四千カ所歩かせていただいて、そのあちこちで聞いた話がこういうことにかかわることでございました。手をこまねいてだれもさわらない、不作為の中で、近隣の方の苦しみだけが浮き立ってくる。

 ですから、行政訴訟という手段に訴えることもできない方、潜在的な方もたくさんおられると思うんですが、どうしてもこの実態を何とかしなきゃならないという機運が出てきていないからこそ、統計データとして整理されていないのではないかというふうに思うんです。ちょっとこの点は通告をいたしませんでしたが、大臣、どのような御所見でしょうか。

千葉国務大臣 確かに、実態を把握するというのはなかなか難しいところはあるのかなというふうには思います。それから、とりわけ司法手続に至っているもの、これもいろいろと内容が多岐にわたるであろうと思いますので、裁判所の方でなかなか整理をするのは難しいというお話、そういうものかなとも思うんです。

 ただ、その数字ばかりではなくて、今御指摘いただきましたように、そういう手続もとるまではなかなかできない、しかし、何か納得できなくて胸にいろいろなことを考えておられる、そういう皆さんのことというのは、隠れてはいながらも、またあちらこちらに存在しているのではないかというふうに思います。

 どういう形でその実態を把握することができるのかどうか。私も今直ちに御答弁できるあれを持ち合わせておりませんけれども、やはり、どういうことが皆さんの納得できない理由になっているのか、あるいは何でそういう事態が起こるのか、こういうことは私どもも十分に調査といいますか、その背景のようなものを考えていかなければいけないというふうに思います。

平(智)分科員 大臣から直接にそういう点について考えていかなければならない、また調査もしていただきたいというふうに思います。その言葉は極めて重要なお言葉であると思いますので、どうか法務省におかれましても、その点について検討を進めていただきたいというふうに思います。

 とにかく、どういう目的であれ、公共性のある施設というのはそこに機能があり利便性があるんですが、同時に、近隣の皆さんが大変社会的な影響を受けたり心理的な影響を受けるということが多々ございます。それは、公の施設だけじゃなくて、民間の施設でも公共性がある場合はそうなっていくわけであります。そういう施設の近隣におられる方が、場合によっては行政にお願いをし、場合によっては警察にお願いをし、場合によっては裁判に訴えるという手続があるかもしれませんが、どのような手続をとってもどうしようもなく、そして手段がなくて、周りも手をこまねいて見ている、先ほど申し上げた状態で、大変お苦しみになっているつじつじ、町々がたくさんあるということを、私たちはいま一度、これだけ人が集まって生きるとりわけ都市部については真剣に考える段階にもう入っているんだということを改めて強調させていただきたいと思います。

 もう一度ですが、最後の予定をしておりました質問をお聞きします。

 公共性のある、特にもう既にできている施設です、これからつくる施設ではなくて既にできている施設の中にそういう問題がありますので、既設の公の機能を持った施設について、民間の事業でも構わないんです、同じです、そういう公共性のある施設について、当該施設の管理者に対して、もう運営しているわけですから、その運営に関する住民協議の場を設ける努力を促す制度等、仕組みづくりが必要だと思うんですが、改めて大臣のお言葉をいただけませんでしょうか。

千葉国務大臣 今運用している施設におきましても、その運用のあり方とか、あるいは地域の皆さんとのいい意味での交流の仕方とか、そういう問題があろうかというふうに思います。

 この自立更生促進センターにおきましても、住民の皆さんとの協議の場、こういうものを設けて、できるだけ一体となった運営を図っていこうという考え方は持たせていただいておりますが、これから、私どもも新しい公共、こういうことも頭に置いているわけですので、やはり対立することではなくて、住民の皆さんも公共の担い手、行政だけが公共の担い手ということではなくて、地域と住民が一体となって、本当に新しい、みんなで生きられる公共の場をつくっていく、こういう考え方、そしてそれを支える仕組みといいましょうか、そういうものというのはやはりこれから十分に検討されなければならないことではないかというふうに考えております。

平(智)分科員 大臣、本当にありがとうございます。まさにその点が重要で、私も同感でありまして、法務省の皆さんにお聞きいただきたいんですが、こういう公共性のある施設、拠点をつくっていく場合に、そこの周囲に人がおられる場合には、自立更生促進センターは言うに及ばず、すべての公共的な施設において、近隣の皆さんと一緒にその施設を運営するという観点で、ぜひとも計画決定の手続や運営の合意のつくり方をこれからも鋭意検討いただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣、現在、そういう既設の施設の周りでお苦しみになっている方というのは、しばしばお年を召した方も多くおられたり、小さなお子さんを育てておられる方々もおられて、その心理的な苦痛というのはもう筆舌に尽くしがたいものがあると思います。二十四時間そのことを、夜も昼も考えておられる状態です。どうしてだろう、何でだろう、だれも助けてくれない、そんなお気持ちを持っている方に何も手を差し伸べないというのは、これは不作為であると私は思います。これは行政と政治の不作為になってしまうのです。だからといって批判の応酬にしてしまうと、大臣おっしゃるように事はうまくいきません。

 ですから、双方が協力する仕組みをどのようにつくるか。これから整備する施設でもそうです。それから、既にある施設においても、どのように解きほぐして両方で協力するかという仕組みをぜひ今後ともつくっていただきますことをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

郡主査 これにて平智之さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明十八日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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