衆議院

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第3号 平成22年5月20日(木曜日)

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平成二十二年五月二十日(木曜日)

    午後二時三十分開議

 出席分科員

   主査 郡  和子君

      大西 健介君    後藤 英友君

      三輪 信昭君    秋葉 賢也君

      河井 克行君    菅原 一秀君

      細田 博之君

   兼務 斉藤 鉄夫君

    …………………………………

   法務大臣         千葉 景子君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   環境副大臣        田島 一成君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第三局長            斉藤 邦俊君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           林  道晴君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    坂井 文雄君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  石井 忠雄君

   法務委員会専門員     生駒  守君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  二階 俊博君     菅原 一秀君

  細田 博之君     河井 克行君

同日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     細田 博之君

  菅原 一秀君     二階 俊博君

同日

 第一分科員斉藤鉄夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

秋葉主査代理 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管及び法務省所管について審査を行います。

 引き続き国土交通省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 この分科会、一度水が入りましたけれども、きょうこういう形で質問をさせていただく機会を得ましたことに感謝申し上げます。

 きょう私は二つのテーマ、一つは自動車リサイクル、そして後半は成田高速鉄道の成田への開通に伴う運賃改定につきまして質問をさせていただきます。

 まず初めに自動車の問題ですけれども、法定点検というものがございます。一年ごとの定期点検とか二年ごとの定期点検、この二年ごとの定期点検は車検ということにつながっていくわけでございますけれども、この定期点検実施率が、自家用車の場合、四割程度しかないという調査結果がございます。

 道路運送車両法で自己の責任で行わなければならないとされている義務づけのある点検ですけれども、実際にそれが行われているのは過半数に達していないというのは大きな問題ではないかと思います。また、整備不良による交通事故の犠牲ということも考えますと、やはりこれは何らかのことを行政としても考えなくてはならないと思います。整備率向上策が効果を上げていないと言われてもいたし方ないわけですけれども、このことに対しての認識をまずお伺いいたします。

前原国務大臣 今、斉藤委員からお話がございましたように、定期点検整備実施率、平成九年の調査が四一・六%、平成十三から十五年度の調査が四三・四%、平成二十年度の調査が四三・五%と、ほとんど上昇していないということでございまして、法定点検であるにもかかわらず四割程度しかないということは極めて不十分である、こういう認識を持っております。

斉藤(鉄)分科員 不十分である、こういう大臣の認識だということがわかりました。

 法律によりますと、自動車ユーザーの自覚ということに期待をしているわけですけれども、不十分であるという大臣の御認識であれば、日常点検や一年ごとの定期点検を評価する工夫、システムを何か考えるとか、または、そういうことをきちんとやっている車に対しては車検時の負担を減らすなどメリットを還元するというようなことなど、目に見える整備率向上対策を講ずる必要があろうかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

前原国務大臣 整備率向上のために国土交通省として行っておりますのが、ユーザーの保守管理意識の向上による点検整備の実施促進のための運動でございまして、これをしっかりとこれからも行っていくことが大事だというふうに思っております。

 また、今委員が御指摘をされたように、評価する仕組みということでありますが、若干難しいのは、これは法定点検ですのでやって当たり前ということですので、やったことを評価する仕組みというのはなかなか難しいというのが本音のところでございます。

 したがって、やったことにおいてどういうメリットが生じているかということを、先ほど申し上げた推進運動の中でお示ししていくということが大事だと思います。

 一つは、先ほど委員がおっしゃったように、点検をしなかったら事故の危険性が高まるとか、それから、平成二十一年度に行った調査においては定期点検の整備を実施したものは二%程度の燃費改善効果が確認をされた、それだけランニングコストが安くなりますよ、こういうようなことも含めて、何かそれに対する直接のメリットではなくて、受けることによって得られる安心とかあるいは維持費の削減とか、そういったものをしっかりと定着させていくことが大事かと思っております。

斉藤(鉄)分科員 罰則規定がないということもございます。そのことともバランスをとりながら、点検実施率上昇に向けて、問題意識を持って取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、環境省の田島副大臣に来ていただいております。自動車リサイクルについてお聞きをいたします。

 資源の乏しい日本にとって、自動車リサイクルによる使用済み資源の確保というのは非常に重要な課題だと思っております。国内循環というのは大前提でございますけれども、アジアに目を向けて、特に中国などとの大きな枠内でのリサイクル技術の提携、また、物の循環の広域化というようなことも取り組みとして必要なのではないかと思っております。

 ハイブリッド車や電気自動車、そこにレアメタルがたくさん使われるようなことになる、そのレアメタルをしっかり確保しなきゃいけない。都市鉱山という言葉もありますけれども、今後、アジア全体を考えた自動車のリサイクルということについての認識を伺います。

田島副大臣 お答えを申し上げます。

 委員も御指摘をいただいておりますとおり、我が国の資源が少ないという事実を踏まえながら、まずはやはり国内での資源循環をしっかりと最大限有効利用していくことは何よりも優先すべき課題だろうというふうにも認識をしております。

 御指摘をいただきましたように、今後、こうしたレアメタルを多く所有する中国との協力関係は大変重要でございまして、もう委員もよく御承知のとおり、毎年、局長クラスの政策対話など、緊密な連携等々をとっているところでもございます。また、昨年六月に両国で合意をされました、神奈川県の川崎市と中国の瀋陽市との間でのエコタウンに関する協力の具体化に向けまして、環境省としましては、ペットボトルや汚泥のリサイクル事業に関しての実現可能性調査を現在実施しているところでもありまして、また、今週末には日中韓の環境大臣会合が北海道の苫小牧で開催をされることとなっており、今まで以上に連携をしっかりと進めていくことが重要だと考えております。

 我が国のすぐれた技術を生かしながら、アジア各国、特に中国との協力関係を戦略的に継続、そして強化をしていきたいと考えているところでございます。

斉藤(鉄)分科員 自動車のリサイクルですけれども、アメリカでは、リサイクル自動車部品のシェアは自動車の部品取引市場の三〇%を超えている。一つ一つの部品が三〇%以上の確率でまた使われるということなんですが、日本はこの比率が約三%にすぎない。ほとんどリサイクルされていないということだと思います。

 循環型社会形成のためにはこれを大幅に拡大する必要があるわけですけれども、統一された品質基準、保証制度をさらに拡大してこの比率を上昇させていく、これはCO2削減ということにもつながってまいりますけれども、リサイクル率を上げる方途などについてのお考えをお伺いします。

田島副大臣 委員が御指摘いただきましたとおり、アメリカのリサイクルの率と比べてもまだまだおぼつかない日本の現状に、私も大変心を痛めている一人でもございます。自動車のリサイクル部品に係る品質基準を統一するであるとか、保証制度を拡大していくということにつきましては、今後リサイクル制度を高度化していく観点からも大変重要だと思っております。

 ことし一月に中環審それから産業構造審議会において、自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書が取りまとめられたところでございますけれども、この中におきましても、自動車リサイクル部品については、品質・保証基準を共通化することなど、利用促進の必要性が指摘をされているところでございます。

 委員も御承知のことと思いますけれども、全国の販売グループが十ほどに分かれている。また、その分かれている表示や保証期間、保証対象、方法などもばらばらになっている現実等々を統一化していくことのハードルは大変高いというふうに思っておりますけれども、委員の御指摘も踏まえながら、経産省ときっちり連携をさせていただき、自動車リサイクル部品の利用が今後さらに進みますように、関係業界への働きかけ等もしっかりと進めていきたいと考えているところでございます。

斉藤(鉄)分科員 一つ提案があるんですけれども、国や自治体の公用車の修理にできるだけリサイクル部品を使うというようなことで率先をするというのはいかがでしょうか。

田島副大臣 公用車の修理につきましては、そもそもグリーン購入法によりまして、国等の機関、外郭団体等もそうですけれども、国等の機関につきましてはリサイクル部品を使用することというふうにされているところでありまして、これに基づきまして、国等においては公用車の修理の際にはリサイクル部品を使用するように、もう既に取り組んでいるところでもございます。

 地方自治体におきましては、地方分権という流れの中でなかなか難しい部分も正直ございますけれども、まずは国等が率先をして取り組んでいくことが何より重要だというふうに思っておりますので、委員御指摘のとおり、前向きに今後も取り組んでいきたいと思います。

斉藤(鉄)分科員 取り組み、よろしくお願いをいたします。

 自動車関係の質問はこれで終わりますので、もしよろしかったら、どうぞ御退席ください。

 次に、前原大臣と三日月政務官に質問させていただきます。

 今度、七月に、いわゆる成田高速鉄道が開通をいたします。三十分台で都心と成田をつなぐということで、ある意味では成田のアクセス向上ということで大変すばらしいことだと思っております。

 それに関連しまして、今までは都心と成田はJRがあり、また京成本線があったわけですけれども、遠くをぐるっと大回りをしていた。今回、直線コースに近い形で成田に開通をするということでございます。その真ん中に、これまで余り開発されていなかった千葉ニュータウンがございます。ここを走っております北総線という電車の運賃について質問をさせていただきたいと思います。

 非常に複雑な問題なので、きょうは、ここが問題なのではないかという私の問題意識をある意味で一方的に述べさせていただいて、大臣と大臣政務官に問題点を把握していただきたいというのをきょうの目的にしておりまして、いつかまた、国土交通委員でもございますし、国土交通委員会等で質問させていただければと思います。

 選挙区が中国地方なのになぜこの質問をするのかとお思いかもしれませんが、実は、議員になる前、東京でサラリーマンをやっておりまして、この千葉ニュータウンに住んでおりましたので、昔の友人がいかにそこで苦しんでいるかということを常にこちらに言いに来てくれておりますし、それから、私は、前原大臣ほどではありませんけれども鉄道趣味もございまして、一応、時刻表検定の五級を持っています。五級というのは、ある意味では恥ずかしいことですが。

 そういうこともありまして、今回の開通に伴う運賃改定が、本当にこういうことが許されていいのかなという問題意識で質問させていただきたいと思います。

 お手元に「図一 運賃と距離の関係」という図が行っているかと思います。そのカーブです。これは、横軸が距離でございます。縦軸が運賃です。下の直線部分は、いわゆる遠回りで行っている……。

 その前に、この北総線というのは極めて高い運賃だということ、これはもう既に御存じかと思います。運賃がJRやほかの私鉄に比べて大体二倍から三倍高い。特に高いのが通学定期で、これは四倍近い高さでございます。国と県が一緒になってこの千葉ニュータウン開発をやったわけですが、なかなか入居が進まないということもあって、このような高運賃になっている、こういうふうに認識しております。そのほかにも理由はありますけれども。

 千葉ニュータウンでは、私が住んでいるころから、財布は落としてもいいけれども定期を落とすな、こう言われておりまして、都心に私も通っていたんですが、六カ月の定期代だけで二十五万円でございました、今も基本的には変わっていないわけですけれども。まず、それほど高い運賃だという認識をいただきたい。これが一つ。

 それから、住んでいる人たちも、しかし希望がなかったわけではないんです。この線路が成田に開通すればそのときに安くなる、こういう希望を持って生きてきたわけですけれども、しかしながら、今回の運賃改定は五%の値下げということだけ運輸審議会からの結論があったということで、地域の皆さんは大変失望して、夢を失ったという状況でございます。

 これはかなり深刻な感じで、みんな、私の友達も、昔のサラリーマン時代の友人も、とにかく、子供が通学定期を買い出すと、もう家計が耐えられなくなって町を捨てていくという人もたくさんおりました。しかし、成田に開通する契機にこれが安くなる、このような期待を持っていたわけですけれども、その期待が裏切られたというのが今の現状でございます。

 先ほどの「図一 運賃と距離の関係」ということですけれども、下の直線が京成線、京成グループです。今、成田に行っている京成線の運賃表で、これは距離と運賃がある意味で比例関係といいましょうか、直線で結ばれております。最後、京成成田から成田空港に行くところだけちょっとジャンプをしておりますけれども、基本的にこのような、距離と運賃がいわゆるリニアな関係にある。

 今回運輸審議会で認定された運賃が、その上にあるカーブでございます。これは直線になっておりません。ぐうっと上に膨らんだ形になっております。最初は非常に傾きが急です。つまり、運賃の高い上昇率といいましょうか、一キロメートル当たり、運賃が上昇する割合は近距離ほど大きい、だんだんそれが緩やかになってきて、最終的に成田まで乗り通すと、京成本線を通って成田に行く人とほぼ同等の運賃になる、こういうカーブになっております。

 これは何を意味しているかといいますと、地域住民から高い運賃を取るということを示しております。実際、これは沿線利用者の方が書いた図なのでと思って私も確認をしてみましたところ、最初の方は一キロメートル上がるごとに六十六円ずつ運賃が上がっていくんですが、最終的には一キロメートル当たり六円の上昇。長距離乗れば逓減するというのはどこにもあります。しかし、これほど厳しい長距離逓減はない。

 最初は一キロメートル当たり六十六円なのが最終的には一キロメートル当たりその十分の一の六・六円。これは、乗り通す客を今までの料金と同等とするために、しかし、運賃だけは取りたいから、中距離のところをぐっと膨らませて沿線に住んでいる住民からたくさん取るという構造になっているわけで、これはおかしいのではないか、このように思っているわけですけれども、まず、大臣、このカーブについて率直にどのようにお考えになりますか。

    〔秋葉主査代理退席、主査着席〕

前原国務大臣 京成電鉄から申請のありました、今委員が御指摘をされた成田空港線の上限運賃は、鉄道事業法第十六条の第二項に規定する認可基準、つまり総収入が適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものに基づいて、運輸審議会から、認可基準に適合するものと認められ、申請どおり認可することが適当である旨の答申を受けて認可を行ったものでございます。

 鉄道事業者の運賃体系は、それぞれの路線における他の輸送機関との競争状況、輸送需要等の特性により設定されているところでありまして、大都市近郊の路線においても、運賃の上昇割合が大きいもの、小さいもの、遠距離逓減の大きいもの、小さいものがございます。

斉藤(鉄)分科員 いや、もっとこのカーブについての率直な感想を、これだけの遠距離逓減というのはほかに例がありません。十分の一になるわけです。その目的は、明らかに、乗り通す京成の客を確保するために、途中の住民の二倍、三倍する高い運賃でそれを支えているという構造なんですね、このカーブは。それについて、率直にどのようにお思いになりますでしょうか。

前原国務大臣 よかったらこれは後でお渡しをいたしますが、京成成田空港線と他社との運賃比較ということで、これは北総線の運賃値下げを実現する会の資料でございますが、これは我々国土交通省で用意したものであります。

 一番上が成田空港線でありまして、確かにここの膨らみは大きいのであります。ただ、先ほど委員もおっしゃったように、長く乗られると、ほかの鉄道会社とクロスしてくるということになり、若干長く乗れば、それなりに運賃が適正規模に出てくる、こういうことであります。また、東葉高速鉄道、これも大体同じような上昇カーブを示しておりまして、別に成田空港線だけがこういう上昇カーブを示しているわけではない。

 再度の御答弁になって恐縮でございますけれども、鉄道事業者の運賃体系というのは、それぞれの路線における他の輸送機関との競争状況や輸送需要等の特性によって設定されているところでございまして、我々としては、この申請を、運輸審議会において適当であるという旨の認可をしているところでございます。

斉藤(鉄)分科員 その運賃カーブの異常性になかなか納得いただいていないようなので、またこのことについては大臣とゆっくりお話をさせていただきたいと思います。

 ただ、本当に高い運賃を、つまり、乗り通す客についてはある意味では非常に安い運賃設定をして、しかし、その中間を膨らませて住民に非常に高い負担を強いているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それから、それを解決するためには、やはり京成が直通で乗り通すわけですから、線路使用料をきちんと払わなくてはいけないんですが、その線路使用料、これは国土交通省の資料で知ったんですけれども、ここは細かく言うと四区間に分かれているんです。大きく分けて、京成の子会社が持っている、北総と千葉ニュータウン鉄道というのは京成の子会社です。北総については京成が五〇%、千葉ニュータウン鉄道については一〇〇%の株を京成が持っています。この区間が大体三十二キロで、払う線路使用料が年間十九億円。

 ところが、今回開通する成田高速鉄道アクセスと成田空港高速鉄道というのがあるんですが、ここは京成の支配下にはないわけです。ここは十九キロメーターに対して三十八億円、一キロメーター当たりにしますと、京成が支配している子会社の部分については一キロメートル当たり五千八百万円なのに対して、そのほかのところに対しては一キロメートル当たり二億円、つまり三倍以上の線路使用料を払っているんです。

 つまり、株式を五〇%以上持って、支配できる子会社のところには非常に安い線路使用料しか払わなくて、経営をある意味では困難にさせておいて、地域住民から高い運賃を取る構造を温存させたまま、そのほかの線路については三倍以上の線路利用料を払っている。これは、例えば、同じ電車が同じ線路を通っていくわけですから、一キロメートル当たり同じ線路使用料を払えば、北総の高額運賃の問題は一気に解決するわけでございます。

 この線路使用料についても、これはどう考えても理不尽だ。つまり、親会社が、支配できる子会社には非常に少ない額の線路使用料しか払わない、それで、その地域の住民から高い運賃を取る構造をとっておいて自分の利益を確保する、こういう構造としか考えられないと私は思います。

 もう時間が来てしまいました。

 千葉ニュータウンというのはなぜこれまでこれほど高い運賃だったかというと、入居が思うように進まなかったわけです。入居を勧めたのは国と千葉県です。私も千葉ニュータウンに住みましたけれども、それは、将来大きな町ができてという、ある意味では希望を持って入った、国の言葉を信じて入った。しかし、今そのニュータウンが捨てられようとしているというのが現実ではないかと思います。

 そういう中で、唯一の希望だった開通時の運賃値下げが今回できなかったということで、大変多くの人が失望し、苦しんでいるということだけお伝えし、また次の機会にこの質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

郡主査 これにて斉藤鉄夫さんの質疑は終了いたしました。

 次に、菅原一秀さん。

菅原分科員 貴重なお時間をちょうだいしました。身近な問題を大きく二つ、まず一つ目は、東京外環の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 私は地元が東京練馬でございまして、この外環の問題、まさに地元の問題としても大きな関心を持ってまいりました。また、今からちょうど十一年前、一九九九年、私は東京都議会の議員でございましたが、石原都知事がまさに三十年ぶりにこの外環問題に風穴をあけたということで、また翌年には、当時の扇千景国交大臣が現地を視察してくださいました。それから十一年、一九七〇年の凍結以来、まさに四十年という長い歴史を経て今日に至っているわけでございますが、最近、ここに来て、この外環の雲行きが非常に怪しくなった、あるいは不安を感じております。

 そこで、きょうは大臣に改めて確認をしたい、こう思っているわけであります。

 去年の四月の国幹会議の議を経て、当時の金子大臣が、五月には整備計画を決定したわけであります。また、その当時の自公政権において、補正予算においては、いわゆるミッシングリンクの結合を図り、慢性的な渋滞の緩和や環境の改善を図るために九十五億の予算をつけたわけでありますけれども、その後政権が交代して、去年の十月には、この補正予算の国交省関係の事業の執行が見直しをされまして、約五億円残ったものの、ほとんど凍結をされてしまったわけであります。その一方で、十二月には、事業の概要等に関する説明会が各地元で開催をされたり、あるいは、ことしの一月には、測量や地質調査に入っているわけであります。ところが、二十二年度予算においては、当初、検討中という状況であったわけですけれども、直後に、経過措置として、直轄事業費として五十七・九億円計上されたわけであります。

 これまでの議論にもございましたように、外環はまさにBバイC二・九、最も評価が高い道路でもあります。また、これは首都圏の経済、流通のみならず、日本全体にも大きな波及効果を及ぼす道路である、こう確信をいたしているわけでございます。

 ここに来て、先般の四月十三日の高速自動車国道法の改正法案、これは大臣も党内でいろいろと御議論、御苦労があるのは承知をいたしております。しかし、地元の住民からしたり、あるいはこの外環に極めて関係を持つ者としては、まさにこうした国政の迷走、あるいはダッチロールによって、結局、特にこの道路にかかわっている方や地域の方は、いずれ売らなければいけない、移らなければいけない、そういう生活再建ということも含めると、言ってみれば、非常に翻弄されているという現状があると思うんです。

 したがって、私は、今この時点において、この外環における全体スケジュール、ロードマップをぜひ大臣に明確に示していただきたい。これがまず冒頭の質問であります。

前原国務大臣 菅原委員にお答えをいたします。

 昨年の四月二十七日の国幹会議で東京外環が正式に決定をされたわけでありまして、我々は野党でありましたけれども、国幹会議に民主党の議員も賛成をしておりますので、これについては、政権交代後も、当然ながら国幹会議で決めた路線については継承していく、こういうことで臨ませていただいております。

 ただ、施行主体と施行方法、特に施行方法というのは、委員御承知のとおり、合併施行方式ということで、薄皮方式と言われるようなもので、責任の所在がなかなかわかりにくいということで、施行方式と施行主体の見直しをやってまいりまして、今回、利便増進事業を一部使って、この東京外環と名古屋二環、そして四車線化の六つのうち四つをやらせていただくということを決めたわけでございます。

 もうこれは閣議決定をして、そして本会議で趣旨説明をし、質疑をしておりますので、私としては、内閣として閣議決定をして出した法案でございますので、できるだけ速やかに議論していただいて、そして成立を見る、そのことによって、委員の御懸念されているものは払拭されるのではないか、そういう認識をしております。

菅原分科員 基本的なお考えはわかりましたが、国会が通常どおり閉会をすると、あと一カ月を切っています。四月十三日に出した法案がいまだにたなざらしになっている。これはやはり政治の不作為、あるいは政府の不作為、こう言われても仕方がない。この点は後で聞きます。

 今お話があった施行方式について、我々は会社施行と直轄施行のいわゆる合併施行方式を用いてきたわけですけれども、今大臣からお話があったように、民主党政権においては会社施行方式でやる。確かに、お金の出入り等については一つ見えてくる部分はあろうかと思いますが、民間企業に任せるわけですから、言ってみれば、ややもすると国の関与が薄れてしまう。どうしても地元の住民からすると、用地の取得やら、あるいは推進そのものに関して、今までであれば、地域PIですとか、都市計画の変更やら事業の進め方を地元住民との話し合いをもとに進めてきたわけですけれども、施行ということに関しては民間企業でやるけれども、行政の関与が後退をしてしまいかねないということを考えますときに、本当にこの地元住民の声を大臣がどのように聞き、そしてまたこの外環をどう進めていくのか、この点を確認しておきたいと思います。

前原国務大臣 この東京外環、関越―東名は、首都圏三環状道路を形成して、首都圏の都心方向に集中する交通を適切に分散導入するとともに、交通渋滞の解消、沿道環境の改善等を図る上で重要な道路であると認識をしております。

 国としては、これまで四百回を超える地域住民の方々との対話を行ってきておりますけれども、今後とも必要な協力はしっかり行ってまいりたい、こう考えております。

菅原分科員 ちょっと別の議論をいたしますが、四月九日の再検証結果におきましては、いわゆる利便増進事業を利用して有料道路として新たに整備するもの、この一つにこの外環の関越から東名まで、それともう一つは愛知県の名古屋環状の二号線、この二区間で最後というふうな表現をされているんですね。

 ところが、外環は、東名までだけではなく、そこから以南、湾岸まで行かないと真の意味での環状線にならないわけであります。また、私の地元の練馬の大泉というところは、関越の出口であり外環の出口である、一日に数十万台の車がそこを行き来し、なおかつ八万台の車が出口から一般道、一般の住宅街を走って通過する、こういう極めて深刻な状況を三十年も四十年も続けてきたわけなんですね。

 したがって、都心にこの外環を関越から延伸する、例えば高速十号線としての地域高規格道路、こういった道路も国の候補路線に本来位置づけられてきたわけですけれども、この二区間で終わりにしてしまうと、こういう希望が非常に薄れてしまう。この点、どのようにお考えですか。

前原国務大臣 現行の料金水準のもとでは、新規整備に伴う収入増加分によってすべての事業費を償還できる道路はもう想定されていないということでございまして、つまりは、これからやる道路で有料道路として着工するのは最後だという意味で、それ以外については、新直轄などで必要な道路については行っていく。そういう意味で、有料道路としてやらないからほかはやらないんだということではないということは御理解をいただきたいと思います。

菅原分科員 その辺、今の民主党政権あるいは党とのかかわりといいますか、お考えで示されている現状では、やはり有料道路で整備しないということであると、いささか心もとない、本当にできるんだろうかという懸念が残りますから、この辺はよくしんしゃくをしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 最後に、この外環の問題につきまして、もう一度、ここ数カ月のやりとりを確認してみたいと思います。

 まず、四月の九日に国交省が再検証結果を発表したわけですけれども、今お話があった利便増進事業の対象を拡大して、割引の部分を財源として外環や高速道路の四車線化を実施できるように、そういうことの法律を出したわけですけれども、これはあくまでもこの法律が成立することが前提なわけですよね。ところが、あと一カ月で、この法律がどうなるかわからない。

 この利便増進事業の見直しも、去年の十二月の民主党のいわゆる二十二年度予算重要要点にこたえたもので、これまで割引料金等に使っていた財源の残りの二兆六千億円のうち、一兆四千億円を高速道路の整備に充てるものという考えを示している。

 ところが、四月の二十一日の小沢さんとのお話といいますか小沢さんの会見では、高速道路無料化と言っているのに料金が値上げされるのはおかしいと。これはマニフェストに書いてあるから一つの論理ではあるけれども、党として、あるいは政府として決めたことをひっくり返すような記者会見をしているわけですね。

 大臣の言うことも、小沢さんの言うことも、聞いているとふむふむという感じがするんだけれども、一体これはどっちに行くんだという大きな懸念を国民は抱いているわけです。

 国権の最高機関である国会での審議を経て、最終的には大臣が、国交省が判断をするということで、先般の本会議でこういう御説明があったわけなんですけれども、非常に二転三転して、地元の住民としては、外環の進捗状況、本当に不安を抱えて、またこの不安が大きく増幅をしている今の現状なんです。

 私は、改めてここで申し上げたいのは、例えば、現在の計画案が変更されて利便増進事業を仮に利用できなくなったとしても、国でしっかりやるということをここで明言していただきたいんですよ。どうですか、大臣。

前原国務大臣 去年の四月の二十七日に国幹会議で決まったものでございますので、これはやらせていただくということであります。そして、もう閣議決定をして国会の審議を始めているものでございますので、速やかな審議をいただいて、そして予定どおり着手をしたいというのが私の思いであります。

 いずれにしても、国幹会議で決まったものでございますので、これはやるということは御理解をいただきたいと思います。

菅原分科員 今の御答弁をしっかり受けとめて、またこの問題は与野党を超えてぜひ進めていただきたい、進めていこう、こう思っております。

 次に、身近な問題の一つといたしまして、石油系の溶剤を使ったドライクリーニング店、あるいはドライクリーニング工場の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 この問題は、去年の七月そして十二月に、業界の大手二社に対して行政指導が入ったことに端を発するわけであります。大臣の地元も政務官の地元もそれぞれ、町中のクリーニング屋さんというのは、一生懸命仕事をして、朝から晩まで働いて、特に町のクリーニング屋さんというのは、お父さん、お母さん、そして息子、パート一人、二人、本当に零細で、懸命に家族で頑張っている姿が見受けられるわけであります。ところが、その町のクリーニング屋さんからすれば、とても、ある日突然、降ってわいたような難事が降りかかってきた。

 そこで、私の今把握している全国のクリーニング店、三万八千軒、こう言われているわけですけれども、まず国交省にお尋ねをしたいのは、用途地域ごとの立地数をお示しいただきたい。また、厚労省には、この石油系溶剤の利用の実態についてお示しをいただきたい。きょうは総務省消防庁にもおいでをいただいておりますけれども、石油系の溶剤あるいは引火性溶剤と言われる溶剤を用いたことが理由で発生した火災の件数、単年度で、わかる数字を示していただきたい。

 以上、まず冒頭、お尋ねをしたいと思います。

三日月大臣政務官 お答えいたします。

 まず、用途地域ごとの立地状況ですけれども、厚生労働省が平成二十年度に実施した調査によりますと、全国のドライクリーニング溶剤を使用する施設は約三万施設となっております。

 実は、これまで、引火性溶剤、これは石油系溶剤なんですけれども、これを用いるドライクリーニング工場の立地状況について調査を実施したことはなく、用途地域ごとの立地状況についても把握をしていないというのが現状でございます。

足立大臣政務官 今、三日月政務官からありましたもの、この調査は、二年に一回やっております。そして、二十年度のドライクリーニングにおける溶剤の使用管理状況に関する調査から申し上げます。三万百二施設でドライクリーニング溶剤を使用しておりますが、そのうち、引火性溶剤、つまり委員御指摘の石油系は、二万八千百六十三施設、全体の九三・六%です。

株丹政府参考人 消防庁でございます。

 平成二十年の一年間の数字を申し上げます。クリーニング施設等で発生をいたしました火災の件数は、五十六件でございます。一部分は火災原因が不明なものはございますけれども、わかっておりますものの中で、クリーニング用の引火性の溶剤あるいは石油系の溶剤ということでございますけれども、これが着火物、つまり火災のもとになったものは四件でございます。

菅原分科員 去年の七月と十二月に国が行政指導をしているわけですよ。なのに、今、私がお尋ねをした用途地域ごとの数を把握していない、調査をしていない。このこと自体、やはりおかしいと思うんですね。

 今、消防庁からお答えありましたように、その前に厚生労働省からお答えありましたように、約九三%がこの石油系溶剤を使っている。しかしながら、それが原因で起きた火災は四件というお答えでした。

 一年間で火災というのは大体平均で三万件以上起きているわけでありますけれども、四件といえば、それは実数ですけれども、全体からすれば極めて少ないということもとらえられると思うんですね。一件ずつとらえると非常に大きいものがあります。しかし、だからどうこうというお話はあえて申し上げません。この実態を踏まえて、一件でも火災がない方が当然いいわけであります。

 しかし、今お話をこれから進めてまいりますけれども、例えば、この溶剤というのは、今お話があった石油系、それから塩素系、弗素系と三つあるんですね。特にアメリカ、ドイツなんかは塩素系溶剤が主流であったわけですけれども、これは結局、土壌汚染につながって、環境被害やら健康被害が大きくて、かつ、弗素系に関してはオゾン層の破壊につながるという極めて大きなリスクが発生をしている。

 したがって、結果的に、今お話があったように、石油系が九割を超えているという現状があって、しかも塩素系やら弗素系だと石油系の十倍ぐらい値段が高くて、とてもやっていけない、こういう状況で今日を迎えているわけであります。

 そこで、ことしの一月の二十八日に、国交省の通達によりましてドライクリーニング業の全国実態調査を行ってきたわけでありますが、四月いっぱいぐらいで結果が把握できるのではないか、こう私は思っているんです。

 いわば建築基準法における用途規制に関する違反かどうかという問題。あるいは、建築基準法の四十八条というのがありますね。この四十八条というのは一から十五までありまして、それぞれ、第一種低層住居専用地域から工業系等々含めて、この範囲においては例えばドライクリーニング店はやっちゃいかぬ、こういう規制があるんですが、実際問題、ただし書きが全部ついていまして、住宅でも、あるいは商業地域でも、ただし書きの中では経営できるということが担保されているんだと思うんですね。

 今現在、この調査の最終的な現状はどうでしょうか。

三日月大臣政務官 昨年来、今委員御指摘のように、大手事業者において建築基準法違反が発覚したことを踏まえまして、引火性溶剤を用いるドライクリーニング工場について、全国の特定行政庁あてに、ことしの一月二十八日に実態調査の依頼を行いました。

 四月十二日時点での特定行政庁からの調査報告について、現在、国交省において集計作業を行っているところではありますが、実態把握のため現地調査を必要とする場合が多く、また、ドライクリーニング溶剤を使用する施設が約三万と多いこともあって、いまだ調査中という施設が多い状況であります。

 現在のところ、調査完了した施設が約二万二千であります。三万のうち二万二千の調査完了を済ませたところでありますが、このうち、違反が確認された施設が約一万、今委員が御指摘のあったただし書き許可を受けた施設が約百五十という状況でございます。

菅原分科員 去年の七月と十二月に行政指導をして、ある意味ではもう一年近くたっている。一月から調査をしたけれども、約三カ月たって七割というのはややピッチが遅い、こういうふうに思います。

 毎日、クリーニング屋さんの店主たちは本当に一生懸命頑張っているのに、降ってわいたようなこの災難といいましょうか難事に対して、非常に不安を抱えながら日々仕事をしているわけですよ。その中にあって、これは早く調査をして、きっちりとした方向性を示さなければいけない。

 クリーニング業法というのがございます。これは厚労省が所管をしているわけですけれども、その五条の二の規定には、クリーニング所の開設に当たっては届け出を出して、いざ開所の際には都道府県知事の行う検査を受けて、そしてそれをクリアする。これが、言ってみれば建築基準法の立地規制違反ということになるんですけれども、この点は、今まで国交省はチェックをしてきたんでしょうか。

三日月大臣政務官 今委員御指摘のとおり、クリーニング業法に基づいて、クリーニング所を開設する際に都道府県知事に届け出が行われているということについては承知をしておりますが、その際、建築基準法上の立地規制の適合状況については確認しておりませんでした。

 このため、今後、厚生労働省とも連携しながら、クリーニング業法に基づく届け出の際に、地方公共団体の保健部局から建築指導部局へ情報提供がなされるよう、ドライクリーニング工場の違法立地を防止するための、それこそ降ってわいたような突然のそういった知らせが行き、クリーニング業者の皆様方を困らせることがないような、必要な措置を検討してまいりたいというふうに考えております。

菅原分科員 非常に大事な答弁をされたと思います。また、デリケートな問題であります。クリーニング業法は厚労省、しかし、そこにかかわる建築基準法は国交省。したがって、これはもう我々若手議員でいえば、自民も民主もなく、やはりこういったことは、垣根を越える、縦割り行政の弊害をなくすということが最も肝要なことだと思います。

 そういう意味においては、今の現状でいえば、政務官もお答えされたように、建物自体は合法だけれども石油系溶剤を使うと違法、しかし、そこは厚労省、保健所。しかし、チェックはされていない。では、クリーニング屋さんは、国交省なのか厚労省なのか、どっちの話を聞いてやればいいんだという、非常に苦悩がそこにあるわけだと思うんですね。

 言ってみれば、この状態を放置してきた、自民党時代も責任はあると思います、しかしここ数カ月の間放置をして、問題が発生したら、溶剤をかえてくれ、さっき言ったように、石油系の十倍もする塩素だ、弗素だ。あるいは、機械を買いかえる。あるいは、溶剤をかえる場合には、今の機械だとゴムパッキンなんかが壊れちゃってとても対応できない。あるいは、その機械を買いかえるといったって一千万以上かかる。今使っているのが償却途中で、一生物の機械ですから、とても町中のクリーニング屋さんには買えるわけがない。

 こんな状況の中で、やはり私は、問題は建築基準法、一九五〇年に施行されてから六十年間、ここの部分に関してはほとんど改正されていないんですね。一九五〇年というと、戦後間もなく、そのときに石油系の溶剤を使っていれば、当然火災のリスクも高かったし、懸念もあった。機械だって今のように開発されていないという状況のときの法律のまま、平成のこの時代になっても全く同じ法を定め、しかも、そのただし書きでふむふむふむと、お互いにクリアしていない状況。

 先般、前原大臣は、二月の国交委で、立地規制違反については、建築基準法四十八条のただし書きによる例外許可の運用を策定して適切な運用が行われるようにすると答弁をしておりますけれども、まずは、この例外規定の追加を、あるいはその例外許可というものを早く行っていただきたい。これは一つ、対症療法。

 あわせて、やはり今申し上げたように、今の機械や溶剤や、さまざまな新しいものが開発されて、極めて火災のリスクが低くなっている状況があるとするならば、逆に私は、建築基準法を変える、そういうことをしていかないと、本当に町のクリーニング屋さんが胸を張って仕事ができない。私は、公衆衛生という部分においては、クリーニング屋さんの仕事というのは国民生活にとっては本当に大事なことであり、そこの環境をしっかり担保していくことが大事だと思います。

 法改正も含めて、対症療法と根治療法における大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

三日月大臣政務官 まず、対症療法と表現されましたけれども、今、私たち、引火性溶剤を用いるクリーニング工場に関するサブワーキンググループということで、建築基準法四十八条に基づく例外許可の運用方針の検討をさせていただいております。

 委員も御承知おきかもしれませんけれども、引火性溶剤の保管方法についてでありますとか、乾燥機等の爆発防止策、これは静電気モニターの設置、溶剤の冷却装置の設置等々、静電気が滞留しないようどのような措置をするのかということ、加えて、建築物の防火措置について、これは溶剤の保管場所と作業スペースの分離等々といった観点から、今検討をさせていただいているところであります。これらの対策を総合的に講じてまいるべく、これは六月末を目途に今検討をさせていただいているんですが、極力早く策定できるように取り組んでまいりたいというふうに思っています。

前原国務大臣 今、三日月政務官からお答えをいたしましたように、この四十八条に基づくただし書きの運用方針につきましては、引火性溶剤の保管方法、乾燥機等の爆発防止策、そして建築物の防火措置の三つの観点から、安全対策の検討を行っております。

 実は、私も地元でクリーニング業界の顧問をしておりまして、こういう見直しを行うに当たりましては、しっかりと、クリーニング事業者の営業の継続性、そして同時に市街地の安全性の確保、これを両立させるべく、スピード感を持って対策を詰めていきたい、こう考えております。

菅原分科員 まず、お話あったように、クリーニング屋さんがまじめに頑張っているその環境の担保ということ、あわせて、今、当然そこの周辺、仮にそこが住宅地であれば、周辺住民の安心、安全というものは確実に担保されなければいけない。

 しかしながら、今の現状においては、結局、この先営業ができるんだろうか、仕事が続けられるんだろうか、こういう状況にさいなまれている、悩まされている状況の中で、今お話あったように、さまざまな対策を講ずる中にそれを担保しようとしていると思います。

 問題は、運用方針の内容を今策定中、これは早くやっていただきたいと思いますし、過度な基準を設けることによって結局真逆の方向に行くようなことがないようにしっかりお願いをしたいと思っておりますし、御答弁はありませんでしたけれども、これはもう建築基準法を現代の状況にマッチさせるぐらいのことをやらないと、とても問題の真の解決にはならないと思いますから、双方含めて、今後ともしっかり検討をしていただきたいと思います。

 終わります。

郡主査 これにて菅原一秀さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

郡主査 引き続き法務省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。河井克行さん。

河井分科員 自由民主党の河井克行です。

 ちょうど一年前のきのう、司法行政にとって画期的なことが新しく始まりました。法務大臣、それが何なのか、改めておっしゃっていただきたいと存じます。

千葉国務大臣 裁判員制度が五月二十一日にスタートいたしております。

河井分科員 裁判員制度はもちろん去年のきのうから始まりましたが、それだけではありません。きょう私が質問を申し上げる項目であります検察審査会の新たな仕組み、いわゆる起訴議決の制度がやはり同じ日から施行されております。裁判員制度とこの検察審査会を含む刑事訴訟法の一部改正案は、平成十六年五月二十一日に参議院で可決し、国会として成立をいたしました。いわば国民の司法過程に対する参画をふやしていくということでありますので、どうか大臣、裁判員制度のことだけじゃなくて、検察審査会のこともお忘れなくお考えをいただきたいと存じます。

 この検察審査会、直近でもいろいろな事柄が起こっております。小沢一郎民主党幹事長にまつわるさまざまな事件、それの東京第五検察審査会、審査員十一人全会一致で小沢氏の起訴相当が議決をされたちょうど次の日であります四月の二十八日ですけれども、報道によりますと、民主党の国会議員ら数十人が集まり、司法のあり方を検証・提言する議員連盟というものが結成をされた。

 まず、このことにつきまして、事件のちょうど翌日、大臣はどのような所感をお持ちでしょうか。

千葉国務大臣 御指摘をいただきました検察審査会制度、これが新しく改正されまして施行されたこと、私も十分に承知をさせていただいております。

 私も、この審査のときに、この法律の改正のときに議論に参加をさせていただいて、そして、裁判員制度とともに、国民が参画をする、司法を国民の本当に手のもとにということで、大変その趣旨に賛同いたしました。そして、賛成をいたしたこの制度でございます。これがこれから十分に機能していくようにと、私も期待をいたしてきたところでございます。

 この検察審査会で一つの議決が出た直後にいろいろな御意見が出ているということは私も承知をいたしておりますが、それ自体は、それぞれの議員の皆さんのいろいろなお考え方であろうというふうには思っております。

 ただ、私は、この制度が今着実に定着をし、そしてまたよりよい制度に発展をしていく、成熟をしていくということをむしろ期待させていただいているところでございます。

河井分科員 四月三十日のこれは読売新聞だと思いますが、見出しで「民主、検察審に「圧力」」ということがこの議連について報道されております。中では、議連の中核の方が、「国民感情で司法制度が大きく揺さぶられている。国民の感情で被告席に簡単につけていいのか」と述べたと報じられております。

 私は、裁判員制度にしてもこの検察審査会にしましても、これはやはり、国民の司法参加によって、国民が持っている普通の日常感覚や常識というものをこの司法の過程に反映する、そして同時に、司法に対する国民の理解の増進や信頼の向上を図るというものでつくられたはずでありますけれども、その根本を否定するような発言がなされている。しかも、いろいろな議員がいろいろなことをおっしゃいますという、今御答弁にありましたけれども、ほかでもない、ある意味利害関係者、政権与党の最高実力者、そしてまたその人たちを囲むと言われているような議員がこの議連にも数多く参加をしている、そこで報道は「圧力」という表現を使ったんだと思います。

 重ねて大臣にお尋ねいたします。こういう政権与党の動きというものについて、どのような所感をお持ちでしょうか。

千葉国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは、国会でそれぞれの議員の方々が自主的ないろいろな御発言や活動をされているということでございますので、与党、野党ということではなくて、議員それぞれの独自な考え方あるいは御発言であろうというふうに認識をいたします。

 ただ、今、検察審査会においても、それは私の直接の指揮するところではございませんけれども、検察等においても、こういういろいろな発言に左右されることなく、きちっとその趣旨と、そしてよって立つ議論の基礎を踏まえて適切な運営と判断がされているものと私は理解をいたしております。

河井分科員 私が一番心配しておりますのは、一つの議連にすぎないということでありますけれども、その議連の意見がまた与党の中で集約されて、施行されたばかりの検察審査会の新しい仕組み、始まってまだ時間もたっていないのにすぐに改正、そういった機運につながっていくことを一つは危惧いたしております。

 もう一つは、法改正に至らないまでも、この前は第一回の判断が示されたわけでありまして、検察審査員の人選がおよそ半分組みかえられて新しい顔ぶれになってから、そして二回目ということになっていくのだろうと言われておりますけれども、その過程で、個々の検察審査員に対しまして、私は、政治的な圧力が加えられることは断じてあってはいけない、それにつきまして、やはりしっかりと検察審査員をさまざまな圧力とか妨害から保護するための仕組みがなくてはいけない、そのように信じております。

 その意味で、まず初めに、この検察審査会事務局が置かれております最高裁判所の方はお見えでございますか。林さんにお尋ねをいたしたいんですが、万が一被疑者等が、検察審査会が二回連続で起訴相当、そういう判断を示した場合、いわゆる強制起訴になってしまいますね、そういった判断について、損害賠償を刑事、民事両方起こされた場合、どうするのか。つまり、検察審査員一人一人が、そういうふうなおそれを抱きながら、果たして何者からの圧力や妨害に屈しないような合理的な判断、これを損なうような動きが政治的に断じてあってはいけないと私は信じているからこの質問をしているわけでありまして、お考えをお示しいただきたいと思います。

林最高裁判所長官代理者 ただいまの議員の御指摘、実際の事件につきまして、検察審査員個人が、今、刑事上というお話もありましたが、主に民事上の責任を問われるかどうかということの問題かと思います。

 その点につきましては、個別の事件のお話になりますし、しかもそこで裁判所がどう判断をするかということにかかわりますので、私ども最高裁事務当局としては、回答を差し控えさせていただければと思っております。

 なお、この点について取り急ぎ裁判例を調べたところでは、検察審査員個人が検察審査会の起訴議決に関して民事上責任を問われた裁判例というのは見当たりませんでした。

 また、国家賠償法一条一項、要するにこういう民事上の責任の根拠は国家賠償法になるわけですが、その裁判例では、検察審査員に限らず、公務員の個人責任の余地を否定するものが多数であると言われておりますということをつけ加えさせていただきます。

河井分科員 林さん、これまでなかったからこれからもないだろうということはないと思うんですね。やはり想定の中に、検察審査員、現状では仕組みとして個人名などは特定されておりませんけれども、そういうふうなおそれが本当に未来永劫ないのかということについて私はやはり大変危惧を持っておりまして、よしんば訴訟しないまでも、訴訟するぞという一種の圧力、おどしによって自分たちの望ましい議決に変更を導いていくというふうなことは、私は可能性としてはあるだろうと思っております。いかがでしょうか。

林最高裁判所長官代理者 議員の御指摘は、訴訟にならないまでも、そういうようなことが生じた場合どうするかというお話かと思いますが、広い意味ではやはり訴訟にかかわることであり、またそういう意味で私が答弁の立場に立っているという部分がありますので、また仮定の話になりますので、事務当局としては、やはり回答することについては差し控えさせていただければと思っております。

河井分科員 今の点について、法務省の御見解をお尋ねします。

西川政府参考人 委員御案内のとおり、検察審査会の審査員に不当な圧力が加えられるというようなことはあってはならないというふうに考えておりまして、法律上、これも御案内のとおりと思いますけれども、さまざまな措置がとられております。

 例えば、会議は非公開にする、あるいは検察審査員の身分事項それから会議の経過等は非公表ということになっておりますし、さらには審査員に対して威迫ないし不正な請託がなされた場合についてはそれは犯罪行為、こういう制度上の保障がなされておりますので、今後とも、検察審査会における審査員は、独立に自由な議論の場が保障されるということになろうというふうに考えております。

河井分科員 もともとこの検察審査会の新しい仕組みについては、刑事局長、御記憶ならお答えいただきたいんですが、自民、民主、公明、各党が賛成をしておりましたけれども、自民党と民主党、どちらがより積極的に改正派だったでしょうか。

西川政府参考人 ただいまの会派が賛成であったということは記憶しておりますが、どこが積極的だったかということについてはちょっと記憶しておりません。

河井分科員 刑事局長のかわりに答弁しますと、どっちかというと民主党の方が積極的だったというふうに記憶をいたしております。それが、こういうふうな議決が出たからといって、急に制度そのものを変えようというのは明らかに私は御都合主義だということを指摘させていただき、同時に、ゆめゆめ一人一人の検察審査員に不当な政治的な圧力、そういったものがないように、やはり李下に冠を正さずというのが政権を担っている責任のある政党のするべきことである。それは議員連盟とか勉強会ということはそうかもしれませんけれども、党の正規な機関じゃないとはいっても、やはりそれだけ社会で注目をされている、危惧されているということは、大臣、しっかりと頭に刻んでいただきたいと思います。

 それから、いつもいつも私は法務委員会で大臣にこの手の質問のときに申し上げているんですけれども、改めてお尋ねしますが、指揮権の発動、法務大臣としての職権に基づく指揮権の発動について、大臣の在任中、今まで自民党政権時代は、すべての大臣が、権能としては有しているけれども自分の任期中には一切行う意思もつもりもないという御答弁で定着しておりましたが、千葉大臣のお答えを改めて伺いたいと思います。

千葉国務大臣 私も、一般的な権限として有しているということは承知をしておりますし、そう考えております。

 しかし、検察に不当な圧力になるような、そんなことを私が行使をするというつもりは全くございません。

河井分科員 特に今、いろいろな意味での利害関係者が政権与党の最高幹部の皆さん方のところにいらっしゃいますので、私は、大臣のこの委員会における答弁一言一言が関係者にとっては大変重とうございますので、明確に自分の任期中は考えていないと御答弁をいただきたいなといつも希望いたしております。

 続きまして、次の話題に移らせていただきます。

 私が法務副大臣を務めておりました折に、法務省の地域の現場における仕事の多くは、実は有志の国民の皆様、志の高い皆様にお支えをいただいている。例えば、保護司でありますとか、人権擁護委員の皆さんでありますとか、篤志面接の先生方でありますとか、さまざまな宗教関係の方の働きでありますとか、本当にそれは頭の下がる思いをいつも抱いておりました。

 そういう中、保護司の皆さんですとかあるいは人権擁護委員の皆さんから私が最近現場で聞いた意見なんですけれども、毎年毎年同じような、街頭でティッシュを配る活動あるいは学校に花を持っていく活動、もうそろそろマンネリだわねという意見を幾つか聞いております。具体的には、保護局の関係では社会を明るくする運動、それから人権擁護局の関係でいえば人権の花運動ということなんです。

 まず、社会を明るくする運動。ここは決算委員会でありますから、ちょうどいい機会だと思いますのでお尋ねをいたしますが、社会を明るくする運動の関係経費、幾らぐらいかかっているか。それから、これは保護司の皆さんも持ち出しをしているというふうに現場で聞いております。幾らぐらいなのかを含めてお答えください。

坂井政府参考人 お答えいたします。

 社会を明るくする運動の関係経費でございますが、これは犯罪予防活動の促進に必要な経費という中で見ますと、例えば平成二十一年度ですと五億八千八百万円ということになっております。これが犯罪予防活動の促進に必要な経費でございますが、その中で社会を明るくする運動の関係経費は、約千百万円というのが国費として支出されているということになろうかと思います。

 それから、保護司さんの御負担の件でございますが、実は、社会を明るくする運動につきましては、中央が実施するものもございますが、多くは、それぞれの地方の実施委員会、今は推進委員会と言っておりますが、そこで推進していただいております。

 したがいまして、地方で御負担していただいているということからしますと、例えば都道府県及びそれぞれの地区の推進委員会においては、これは平成十九年の数字でございますが、合計六億三千六百万円という数字を出させていただいているところでございます。その内訳でございますが、約四四・三%が保護司組織が負担をしているという金額になっております。

河井分科員 今初めて聞いた数字なんですが、では、局長さん、今、保護司は全国に何人いて、保護司の皆さんに実費弁償という形で幾ばくかのお金をお支払いしていますね、その金額、ざっくりとした一人当たりに渡っている金額を教えてください。

 それから、今のお答えにあった、保護司組織が負担している金額をおっしゃいましたね、何%というのを。大体一人当たり幾らぐらい御負担をお願いしているか、教えてください。

坂井政府参考人 お答えいたします。

 保護司に対する実費弁償金の予算額で見ますと、保護司さん一人当たりにつきましては約十二万円の予算ということになっております。

 それから、今の社会を明るくする運動についての保護司会が負担した経費ということを保護司一人に割ってまいりますと、お一人当たり約五千八百円の御負担をしていただいている、こういう計算になります。

河井分科員 この社会を明るくする運動というのは、ことしで六十回を迎えるんですね。

 それで、私が在任中も、もうマンネリじゃないかとか、趣旨がわかりにくいとか、名称も含めていろいろな問題意識を持っておりまして、名称の変更も含め、そして本当に毎年これをずっとやり続けてきて効果があるかどうかということは、ああ、やってよかったですね、やってよかったですねということが効果があるんじゃないんです。よくよく物事を考えて、ほかの違う運動とか活動に置きかえたとき、それと比較してどちらが効果があるか、それが限られた財政の、資源の発想を今しなきゃいけない点だというふうに私は思っているんですね。そういう面で、この社会を明るくする運動については変更するべきだ、思い切った見直しをやはりしなきゃいけないというふうに主張してまいりました。

 今回、この質問をするに当たりまして法務省の方に来ていただきましたら、名称を変更しましたというふうに胸を張って言われたんですよ。ところが、名称は社会を明るくする運動と全然変わっていない。前の社会を明るくする運動を、「名称を「“社会を明るくする運動”〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ」に変更し、」という紙を持ってきたんですけれども、局長、これは変更と言いませんよ。これは副題をつけたというだけですよ。御答弁ください。

坂井政府参考人 この名称の変更につきましては、当時の河井副大臣の御指示もあり、その後、公募をするということも含めて、これは私どもだけではなくて、この活動を実際にやっていただいている御指摘の保護司さん、保護司の組織の皆様方ともいろいろ御相談してやらせていただいたところでございます。

 その結果としまして、御指摘のとおり、名称というのをやはり考え直した方がいいのではないかというようなことで、要するに公募をしてみようということで、社会を明るくする運動の強調月間であります昨年の七月に公募をさせていただきました。

 その結果といたしまして、全部で二千八百九十八件の応募をちょうだいいたしたところでございます。さまざまな意見がございましたが、その中でやはり一番多かったのが、社会を明るくする運動という名称のままの方がいいのではないかというようなことがございました。

 それ以外にもいろいろありましたが、しかし、これならいいだろうというようなものもなかなかないということで、そうすると、これは一般の有識者の皆さんの御意見を聞こうということで、有識者の皆様に集まっていただいて、いろいろ御議論をしていただいた。

 その結果として、やはり社会を明るくする運動の名前自体を抜本的に変えるといういい名称がない、しかしながら、確かに社会を明るくする運動ではわかりにくいものがあるので、副題をつけてその趣旨を明確にしたらどうだろうかというような御意見をちょうだいし、その御意見に基づいて昨年の中央推進委員会にお諮りしたところ、そういうことでいいのではないかということで決定させていただいた、こういう経緯でございます。

河井分科員 今の局長さんの答弁を聞いて、本当によくわかりましたよ。やはりあなたたちは内々しか見ていないんですね。

 大臣、公募したけれども社会を明るくする運動が一番よかったという、一見もっともらしい答弁に聞こえるかもしれませんけれども、これは政党でいえば、参議院選挙の候補者、公認候補を決めるのに党員でしか投票していないみたいなものなんですよ。やはり一番大事なのは、国民の意見、その地域の無党派層も含めたたくさんの皆さん方の意見を聞かなきゃいけない。だから、最初から変えようという意識がないからこういうふうなことに陥ってしまう。

 同じようなことは、人権の花運動もあるんです。これも、年に数日、小学校、中学校をずっと回って、花を持って歩いていただいている。人権擁護局長、人権擁護委員さんというのは地域の名士ですよ。さっきの保護司さんも地域の名士です。本当にとうとい、頭が下がるさまざまな活動をしていただいている。

 去年もやったからことしもやっていく。質問をすれば必ず、いや、こういうふうな効果がありました、目的がありましたと言うけれども、本当にそれで、少なくとも今、民主党の皆さんは、政治主導と言っているし、今までの自民党政権の悪弊を打ち破ろうというふうに選挙戦でも言っていらっしゃる。そうであるならば、やはりちゃんと見直すところは見直していかなくちゃいけない。そのためには、内々の意見を聞くだけじゃない、例えば社会を明るくする運動だったら、社会を明るくする運動はどういう運動か知っていますかと国民に聞いていただきたいわけですよ。それは運動家の中の人たちにとってはもう知っている話かもしれないけれども、じゃ、新橋を歩いている人たちがどの程度知っているのか、そういった問題意識を強く抱いておりまして、大臣に、その辺はしっかりとやはり政治としての指導性を発揮していただきたい。

 この人権の花運動、せっかく人権擁護局長さんがお見えでございますので、何かおっしゃりたいことがあったら言ってください。お願いします。

石井政府参考人 委員の御指摘でございますが、人権の花運動は、人権擁護委員の皆様の御協力をいただきまして、主として小学校が中心でございますが、児童の皆様と一緒に花をつくる、その過程で委員の皆様と子供さんたちが触れ合う、でき上がった花を老人ホームあるいは養護施設、そういうところにお届けして、またそこの方々と触れ合うというふうな形で活動を広げているところでございます。

 この活動は、地域の市町村の方々、それから法務局、人権擁護委員の皆さん、こういう方々で企画していただいて、いろいろな意見を取り込んで進めているところでございます。そういう意味で、各地で独自のいろいろな試みが現在されているところでございます。

 ここ数年、参加校も、それから参加人数も少しずつふえているところでございまして、できればそういういろいろなアイデアを地域ごとに踏まえていただきまして私どもとしては活発な活動にしていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

河井分科員 マンネリになっているから今質問をさせていただいているのでありまして、なぜ私の耳にそういう意見が入ってくるかということなんですよ。私がちょっと聞いただけで、それだけの御意見がやってくる。

 これらの方々は本当にすばらしい皆さん方ですから、ことしも七月一日がやってきましたよとかというふうに最初から言うんじゃなくて、全くゼロから、じゃ、子供たちに人権擁護の意識を持ってもらうためにはどうすればいいか、さっきの、再犯防止、更生の援助をするためにはどうしたらいいかということを、それは正直言って、保護観察所の職員さんよりもはるかに保護司の先生方の方が現場の意見を知っていますよ。私もそのように実感いたしました。

 だから、ぜひ大臣、去年もやった、十年前もやっているからやるというのでは、これはやはり政治じゃない、もっとしっかり物を考えていただいて、何が一番限られたお金の中で効果的か、そういう使い方をしていただきたい。その二つの具体的な例をきょうは申し上げました。所感があればおっしゃってください。

千葉国務大臣 御指摘をいただきました、そしてまた当時河井副大臣としてさまざまな御提起をされてこられていることも、私も、報告をいただき、承知をいたしております。

 子供たちやあるいは社会の中に人権尊重という考え方を十分に生かしていくためには、人権擁護委員の皆さんの活動のみならず、やはり社会の一人一人がそういう意識を醸成していくということが大事だというふうに思います。この人権擁護委員の皆さんの活動には、私も本当に心から頭が下がる、そして敬意を表する次第でございますけれども、それぞれの皆さんの知恵、そういうものをより一層生かしていくことというのは私も大事だというふうに認識をいたしております。

 それから、保護司の皆さんの活動、これも本当に頭の下がる思いがいたします。再犯の防止、そして安心できる社会づくり、これも、地域の皆さん、いろいろな皆さんと一体となって行わなければいけません。特に、今課題になっておりますのは、就労の機会をしっかりとつくっていく、これが大きな効果をもたらすということも指摘をされておりますので、そういう意味では、この運動の中心も、例えば就労を支援する、こういうようなことが明確になるようないろいろな工夫をしていかなければいけないというふうに思います。

 そして、そういう実情を十分に知っておられる皆さんから、どういう運動がいいのか、こういうことも積極的に御提起をいただきながら、やはりマンネリになることなく、しっかりと、新しい、本当に効果がある、そして多くの皆さんに知っていただく、こういう運動にぜひ私もしていきたいものだというふうに考えております。

河井分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、今のやりとりを聞いていて、三年前と同じやりとりなんですね。

 ぜひ大臣、政治主導を掲げていらっしゃるんだったら、しっかりと目を光らせて、やはりどうしても役人というのは変えたくないですから、そういう本性を、いい悪いは別として、持っているわけですから、しっかりとしたリーダーシップを発揮していただいて、本当に国民の理解がふえるような、そういう法務行政を行っていただきたい。

 終わります。

郡主査 これにて河井克行さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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