衆議院

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第2号 平成13年3月28日(水曜日)

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平成十三年三月二十八日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 隆秀君

   理事 木村 義雄君 理事 菅  義偉君

   理事 石井 紘基君 理事 渡辺  周君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      逢沢 一郎君    臼井日出男君

      江藤 隆美君    小泉 龍司君

      後藤田正純君    杉浦 正健君

      谷  洋一君    中川 秀直君

      中村正三郎君    額賀福志郎君

      武藤 嘉文君    森岡 正宏君

      森田  一君    上田 清司君

      鹿野 道彦君    金子善次郎君

      金田 誠一君    今野  東君

      葉山  峻君    松崎 公昭君

      松本 剛明君    山田 敏雅君

      神崎 武法君    大森  猛君

      穀田 恵二君    山口わか子君

      近藤 基彦君    土屋 品子君

      中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         宮澤 喜一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   防衛庁長官政務官     岩屋  毅君

   経済産業大臣政務官    竹本 直一君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  諸田 敏朗君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局

   長            関本 匡邦君

   会計検査院事務総局第三局

   長            白石 博之君

   会計検査院事務総局第五局

   長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  池田  実君

   政府参考人

   (警察庁刑事局暴力団対策

   部長)          岡田  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁契約本部長)   西村 市郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    田中  均君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 戸苅 利和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           青木  豊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域

   経済産業審議官)     今井 康夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      大井  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   参考人

   (都市基盤整備公団理事) 那珂  正君

   決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     小泉 龍司君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     小西  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




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     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として都市基盤整備公団理事那珂正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、内閣府国民生活局長池田実君、警察庁刑事局暴力団対策部長岡田薫君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁契約本部長西村市郎君、外務省大臣官房長飯村豊君、外務省経済局長田中均君、厚生労働省大臣官房長戸苅利和君、厚生労働省大臣官房審議官青木豊君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官今井康夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長大井篤君、国土交通省大臣官房長岩村敬君、国土交通省都市・地域整備局長板倉英則君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省住宅局長三沢真君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。

浅野委員 公共事業の見直しについて質疑を進めさせていただきます。

 全国およそ二万件と言われる国土交通省所管の公共事業のうち、与党三党の合意に伴う見直し基準、つまり、事業の採択が決まってから五年以上たっているのにまだ着工していないもの、完成予定を二十年以上オーバーしているもの、休止中の事業、それから実施計画調査に着手してから十年以上たったもの、これに当てはまる件数と国土交通省が決めた独自の見直し基準に該当するものがそれぞれ何件ありますか、まず確認をしておきます。

岩村政府参考人 今浅野先生から御指摘のあった、昨年の八月二十八日与党三党で行いました公共事業の抜本的見直しに関する三党合意で示された見直し基準に該当する事業、それぞれ申し上げます。

 最初に御指摘いただいた採択後五年以上経過していまだに着工していない事業、これは七十事業ございました。また、完成予定を二十年以上経過して完成に至っていない事業、これは該当がございませんでした。それから三番目の、現在休止されている事業は八十事業ございました。それから四番目の、実施計画調査に着手後十年以上経過して採択されていない事業が十三事業ございました。合わせまして百六十三事業が与党三党の合意の基準に該当したわけでございます。

 また、国土交通省が、当時は建設省だったわけでございますが、独自に基準を設定した事業といたしまして、事業採択後二十年以上経過して継続中の事業で当面事業の進捗が見込めないもの等でございますが、こういう基準で洗い出したところ、三十四事業ございました。合わせまして百九十七事業が見直しの対象となったわけでございます。

浅野委員 見直しの対象となった百九十七件の公共事業のうち、中止ないしは休止することとしたダムの件数は何件含まれていますか。

岩村政府参考人 先生御承知のように、平成十二年度において、全国で国土交通省所管のダム事業は全部で三百十六事業ございますが、その中で、先ほど申し上げました抜本見直しの中で基準に該当したもの四十八事業が見直しの対象になりました。そして、そのうち四十六事業が事業中止または国庫補助中止、そういう見直しの結果となっているところでございます。

浅野委員 それを長野県に当てはめるとどういう数字になりますか。

竹村政府参考人 長野県のダムについてお答えいたします。

 平成十二年度におきまして、長野県下において国土交通省所管のダム事業は、国の事業が一、県の事業が十三事業でございました。そのうち一事業、つまり、県の事業の長野県松本市で調査を行っておりました大仏ダムが今回の見直し対象となり、事業中止という見直し結果となりました。

浅野委員 そうすると、十四件のうち見直しが一件あった、こういうことになりますか。そういうことですね。

 全国的に見て、十四件のうち見直しが一件というのは、他府県に比べて中止ないしは休止の率が極めて低い。なぜだろうかと推測しますと、長野県は山岳地で、もともと水源が多い地形ですね。長野県の水は県内の利水だけではなくて、下流域に当たる愛知、静岡、岐阜、新潟、山梨などでも飲み水、農業用水、工業用水として使われていて、周辺の人々がはかり知れない恩恵を受けています。また、水力発電による電力が関東方面まで送られているのは御承知のとおりです。

 例えば、愛知県の愛知用水は長野県の牧尾ダムと味噌川ダムに依存して水を確保しているものですから、受益者がダムの周りに植林をして感謝の気持ちをあらわしているのです。私どもの地元の命綱である豊川用水は、渇水ともなると天竜川から水を分けてもらっている実情で、天竜川の源が諏訪湖であることは御存じのとおりです。

 ですから、長野県のことというのは他人事ではないのです。したがって、一件でも建設が中止されるのは気がかりなんですね。どういう理由で中止することになったのですか。

高橋副大臣 長野県内のダムの中止になった理由についての御質問でございますが、与党三党の公共事業の見直しによりまして長野県の補助ダムで県が中止の判断をしたのは、信濃川水系薄川に建設を予定しておりました大仏ダムでございます。

 県におきましては、県の公共事業評価監視委員会から昨年九月に、水需要が減少したことから、松本市の方ですが、多目的ダムとしては中止する。そしてもう一つの理由としては、治水ダムとしての調査は、経済性、技術の進歩等に十分留意の上継続するとの意見をいただいたと聞いております。

 昨年十二月に、当時は建設省でございますが、国土交通省といたしましては、公共事業の抜本見直しでは、水需要が減少し計画の見直しが必要となることから、多目的ダムとしての必要性がなくなり、事業を中止することといたしました。

 なお、今後長野県では、三月十九日に県議会で可決されました長野県治水・利水ダム等検討委員会条例に基づきまして、今後設置されます委員会で薄川の治水、利水対策について検討することになっております。国土交通省といたしましても、その結果を見守ってまいりたいと存じております。

浅野委員 自然保護は国土保全の重要な柱です。環境を一層重視する社会現象の中で、いわゆる公共事業を見直して、押しなべて中止ないしは削減をするという長野県の田中知事の政策選択は時代の求める一つの見識だと思います。

 私は、その認識の上に立って、先ごろ田中知事が発表した脱ダム宣言を繰り返し読んでみました。田中知事はこの中で「長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない。」と述べています。数多い水源を有する長野県では、環境保全に十分配慮しながら、有効にダムを配置して十分な水量を確保し、周辺の各県を含め下流域の人々の生活と自然保護を共生させていきたいというのならこれは理解できるのですけれども、日本の背骨の役割を果たす長野県には水源がたくさんあるからダムをつくらないという文学者のロジックは、哲学の違いなのか、凡人の私にはどうもわからない。

 例えば、脱ダム宣言をする以前に田中知事が凍結した浅川ダムでは、建設に携わっていた人々から突然の作業中止に伴う損害賠償として補償を求められていると聞いています。実態はどうなっているのか。長野県のこととはいえ、国がほっておける状態ではないんじゃないですか。

竹村政府参考人 ただいまお尋ねの浅川ダムの契約、長野県が浅川ダム本体工事を建設業者、前田・フジタ・北野建設共同企業体と契約してございます。仮契約は平成十二年に行われておりますが、長野県からの中止という指示がこの共同企業体に出されておりまして、去年の十二月二十七日に出されております。

 この工事の施工の一時中止に伴う費用の増加が当然考えられます。これは工事の契約書の中で、発注者である県は必要な費用を負担しなければならないということとなってございます。これに対しまして建設の共同企業体から、一時中止に伴う平成十二年度分の増加費用、つまり今月の三月三十一日までの費用について共同企業体の方から今後正式に長野県へ提出されると聞いております。

 今後、その契約書に基づきまして、工事の一時中止に伴う費用の増加等について長野県側で適切に処理されるものと考えてございます。(浅野委員「一日幾らぐらいの金額になるのですか、わかりやすく言って」と呼ぶ)ただいま私どもに正式にそういう長野県からの報告が届いてございません。三月三十一日になって共同企業体が実質かかった費用等をきちんと長野県にお示しして、それからその数字がわかるのでございますので、もう少々時間が欲しいと考えております。

浅野委員 もっと問題なのは、脱ダム宣言が下諏訪ダムの建設中止を発表したことなんです。もともとこの下諏訪ダムというのは、下諏訪町を流れる砥川の流域に密集する三千百戸を水害から守ることを目的に計画されたのですけれども、もう一つ、地元の人たちには差し迫った事情があるのです。実は、隣接する岡谷市では上水道の水源は四分の三を地下水に依存しているのです。ところが、昭和五十年代から発がん性の疑いがあるトリクロロエチレンが検出されておりまして、地下水の汚染に悩まされてきているんですね。したがって、早くきれいな地表の流水、つまり河川の水を飲み水に利用したいと待ち望んでいらっしゃるわけなんです。

 ですから、下諏訪ダムの利水効果というのは、八万人の給水事業に及ぶ極めて重要な事業なんです。岡谷や下諏訪の人たちの中にはもちろん自然保護の観点からダムに反対している人が大勢いらっしゃることは事実ですけれども、同時に、田中知事は県民の声を優先して聞いてくれると聞いて、これでダムの建設が早まると期待していたら、一方的に中止と言われ何が何だかわからないと言っているのも事実なんです。

 住民の皆さんがダムは要らないと判断をしたのなら中止という決断は評価できますけれども、逆に地元から建設中止を撤回してほしいという要望が出されたり、長野県議会がダム復活の予算修正を可決したりしている状況を見ますと、中止と決めるまでの協議の過程が一切わからない、しかもその手続がまるで不透明では、田中知事が最も重視する民主主義の基本をみずからないがしろにしていると指摘されたらどう反論するのでしょう。一体実情はどうなっているんだと政府に聞きたいところですけれども、政府では答えようがないでしょう。

 そこで、田中知事は脱ダム宣言の中で、ダムにかわる治水対策として川幅を広げて堤防をかさ上げしたり、川底を掘り下げたりすることによって対応すればダムよりベターだという代替案をこの中で提唱しています。平成十年に再評価制度が導入されましたから、下諏訪ダムの場合もダムの建設と代替事業とどちらがベターか、事業評価監視委員会にかけて検討したはずなんですね。その上でダムでいくと判断した理由があるはずです。

 その内容を明らかにすることなら政府にもできるのではないですか。この際、事柄の原点を、事柄の大もとをはっきりさせておきたいので、そのときの資料を公表していただきたいと存じます。

竹村政府参考人 長野県におきましては、公共事業の見直し、事業の評価につきまして、平成十年度に公共事業の評価監視委員会を設置しております。これは、長野県下の財界の方が一名、学者、学校の先生が六名、そして市町村代表が二名、弁護士の方が一名という計十名で第三者的な評価監視委員会を開催してございます。その中で今お尋ねの下諏訪ダムにつきましても評価がされておりまして、平成十年度に評価された内容につきましては二点ございます。

 治水面、これは洪水防御でございますが、過去さまざまな洪水に襲われておりますこの流域、昭和三十六年六月には護岸が決壊し、四十三年八月は護岸が決壊し、また浸水家屋が多数、四十六年九月も浸水家屋が多数発生しております。このようなところでの治水事業につきまして、ダムと河川改修で比較しておりまして、ダムの方式、一部河川改修もしますが、ダム方式でいきますと、治水分で約二百二十億円かかる。そしてもう一方の引き堤、堤防を横に引いて川幅を大きくするという河川改修でございますが、これでは約二百八十億円かかるということでございます。

 なお、水没戸数は、ダムの場合は二戸でございますが、川幅を広げる場合はその沿川の約二百世帯の方々が移転していかなければならないという状況になるというような内容になってございます。

 そして、利水面でございますが、今委員まさに御指摘の岡谷市、下諏訪町の方々の安全で安定的な飲み水ということで、地下水ではなく川の表流水に依存していきたいということから、水需要も間違いなくあるという評価がございまして、この県主催の事業評価監視委員会におきましては、下諏訪ダムの事業が適切であり推進すべきという決定がなされてございます。

 この資料はもちろん公開の資料と思われますので、必要があればまた県の方から取り寄せてお届けに参上したいと考えてございます。

浅野委員 今の二百八十億円ですか、この中には、二百世帯と言いましたね、二百世帯の立ち退きその他も一切含めて二百八十億ですか。

竹村政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

浅野委員 金目でいうとこういうことになるんでしょうが、流域の二百世帯ないしはそれに伴う住宅の立ち退きですね、現実問題としてそんなことができるんですか。

竹村政府参考人 下諏訪ダムの、ダムの二戸につきましては合意ができておりまして、私ども用地の補償基準を調印し、いよいよお支払いする寸前でございましたが、新たな二百世帯の方々を御理解願い移転するということにつきましては、極めて長年月かかる、数年ではなくて何十年オーダーの時間がかかるという、私どもの経験の上に立った見解でございます。

浅野委員 そうだろうと想像できます。

 これは県営事業といっても国の補助事業ですから、国が八〇%持つんですよ。ダムにかわる公共事業としてむしろ問題の多い代替案を認めるんですか、副大臣。その種のものに補助金を出すのは問題ですよ。このケースに見られるような合理性を欠いたものは認めないというのが公共事業の見直しではないんですか。

高橋副大臣 下諏訪ダムの問題につきましては、過般、岡谷市長や下諏訪町長の陳情を、大臣、私、そして国土交通省の幹部がそろって受けました。飲料水の枯渇という問題についての熱誠あふれる陳情は、私どもの胸を打ったところでございます。

 そして、今御質問の下諏訪ダムの代替案の取り扱いということでございますが、下諏訪ダムを計画している砥川の治水計画につきましては、三月十九日に県議会で可決されました長野県治水・利水ダム等検討委員会条例、これに基づきまして、最初からダムを排除するというふうなことではなくて、学識経験者や議会代表、市町村長代表等から成る委員会におきまして適切な治水、利水のあり方について検討されることになったと聞いております。

 そこで、今後、同委員会における検討結果を踏まえまして、長野県より具体的な方針が示された段階で、その内容について検討し、補助金の取り扱いについて判断してまいりたい、こう私どもは思っております。

浅野委員 問題点がこれだけはっきりしている懸案に対して、やるのかやらないのか、認めるのか認めないのかはっきりしないような答弁じゃだめですよ。コストの面でも住民のサイドでも、一体何がより大切なのかということをしっかり踏まえて、副大臣、もう一遍答弁願います。

高橋副大臣 今、先生の御注意でしょうか、よくわかるんですが、何せ現時点ではどのような治水計画がこの委員会において打ち立てられるかということは不明でございますので、私どもは先生の御趣旨もよくわきまえておりますので、今後の検討課題で十分審査してまいりたい、こう思っております。

浅野委員 内容を踏まえた誠意のある答弁をありがとうございました。率直に言って、脱ダム宣言は、変えるとか人々のためという言葉の陰に生活者の顔を埋没させてしまっている典型的な例に思えてならないんです。人々の生活が情緒的な理念の犠牲になりはしないかと懸念せざるを得ないことを強く指摘しておきます。

 私の質問を終わります。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 きょうは、国土交通省に関連する公団、特殊法人等について御質問させていただきたいと思います。

 まず、問題意識から申し上げますと、今財政的に厳しい中で、行政改革ということがずっと叫ばれ続けております。そういった中で、本年より一府十二省庁に再編をされる。そういった中で、与党三党も、特殊法人また公益法人等々の見直しというものについてずっと取り組んでまいりました。

 そういった中で、この四月一日から情報公開法というのが施行されていく。国民の意識としてみれば、払った税金がしっかりと使われているかどうか、ここにやはり一番関心があると思います。そういった意味では、情報公開というのはこれからさらに推し進めていかなければいけませんし、また特殊法人等の情報公開法も今国会に提案をされる、こういった流れの中で、しっかりとこの問題を取り扱っていきたいな、そのように考えております。

 もう一つは、先日国土交通省が発表いたしました公示地価が十年連続して下落をしている、デフレ現象だ、こういった指摘の中で、土地を流動化させなければ景気は回復しないという、これも多くの方々が指摘をしている問題でございます。そういった中で、公団等が持っている土地が一体どうなっているのか、こういった問題についてきょうは質問させていただきたいと思います。

 そこで、まず最初に、これは先日の新聞に載っておりました、見出しがすごく刺激的なんですけれども、「国土省外郭団体の「開発支援」 買い上げ地、含み損拡大」という大きな見出しで、これだけを見ますと、読者は、大変なことになったな、こういうふうに思われがちだと思います。

 そういった中で、これは国土交通省の外郭団体である財団法人民間都市開発推進機構、いわゆる民都、この民都が一体どういうような形となっているのか、本当に見出し、記事だけを読みますととんでもないことをやっているんではないかな、このように思われがちでありますが、まず最初に、土地の取得、譲渡の業務内容、この仕組み、一体それは税金で買われているのか、どのお金でどうなっているのか、こういった問題をまず明らかにしていただきたいと思います。

板倉政府参考人 いわゆる民都機構の土地取得、譲渡業務についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、近年の土地市場の低迷を背景にいたしまして、民間都市開発事業の事業意欲が低下しておりまして、遊休化した土地が多々出ているという現状におきまして、将来、優良な民間都市開発事業の適地で事業化の見込みの高いものを、それが切り売りとかばら買いされない前に先行的に確保いたしまして、民間都市開発の促進を図ることを目的として設置されたものでございます。

 具体的には、アクセスや公共施設等の整備状況から見まして、民間都市開発事業の用に供される見込みのある土地、いわゆる都市開発の種地でございますが、そういったものを先行的に取得しまして、民間都市開発事業を施行する者に十年以内に譲渡するという業務内容でございます。

高木(陽)委員 今のお話でいきますと、バブルの、逆に言えば景気対策にもなるはずであるシステムだと思うのです。

 そういった状況の中において、このままだと巨額の損失が出るのではないか、記事にはそういうふうに書いてあるんです、記事には。そこら辺のところで、買い上げの実績、実態というものを教えていただきたいと思います。

板倉政府参考人 民都機構による土地取得の実績でございますが、現在までの累計で申しますと、百九十七件、面積で約三百二十ヘクタールでございます。このうち、八十六件について既に立ち上げの着工が行われているところでございます。

 なお、先生がおっしゃいました、取得した土地の価格の低下が民都機構の損失になるのではないかという一部報道がございましたけれども、この点については、民都機構が土地を取得する際には、あらかじめ契約におきまして、十年以内に民間都市開発事業の用に供されない場合に、売り主が、民都機構が当該土地を取得した金額に保有のための金利とか固定資産税、不動産取得税等の税金、それから管理費等を加えた額で当該土地を買い取る旨を契約上明示しまして、いわゆる買い戻し特約条件を付した上で取得しているわけでございまして、報道のように地価の下落が民都機構のリスクにはならない仕組みになっていることをぜひ御理解いただきたいと思います。

高木(陽)委員 今のお話からしますと、この記事はかなり誤解をされて書いているなという気もするんですが、今お話がありましたように、契約するときに買い戻しの特約を結ぶ、そうなりますと民都自身は損はしない。

 ところが、やはりそうはいっても例外というものが幾つかございます。というのは、ここにも書かれている、例えば「一九九七年、旧日本債券信用銀行の系列不動産会社「アサヒ都市開発」から約十億円で買い、同社がマンションを建設する計画だったが、九九年に同社が破産し、開発不能になったためだ。」こういうのがありました。いわゆる売り主がちゃんと買い戻せる、そういう特約を結んでちゃんとできる会社であればいいんですが、そこ自体がだめになってしまった場合これは一体どうなるんだろう、税金が投入されるんじゃないかだとかいろいろな不安というものが納税者としてあるのは当然だと思うのです。

 そういった中で、今後の対処、対応策、今お話にございましたように、百九十七件のうち八十六件が着工というようなことがありました。つまり、半分はまだだということですね。そういった状況の今後の対応策、税金投入等も含めて考えられるのかどうか、それも含めてお答えいただきたいと思います。

板倉政府参考人 民都機構が土地を取得する際に、民間都市開発事業の用に供される見込みの有無あるいは価格、売り主の信用力、財務体質等について特に最近十分精査いたしまして、厳選した上で取得を行っているわけでございます。

 しかし、先生御指摘のように、現在の経済情勢のもとでは、お尋ねのような買い戻し先企業が予想外の事情により破綻するということもあり得ないわけではないわけでございまして、そうした場合に、民都機構は、一般論で申しますと、他の事業者を探しましてその土地を買っていただく、譲渡するということになるわけでございますが、今申し上げましたように、民都が土地を取得する際には、将来、民間都市開発事業の見込みの高い土地を厳選して取得するということでございますので、他の譲渡先を探すことは十分可能ではないか、現に譲渡先を見つけて譲渡した例もございます。

 そこで、破綻した場合にどうかということについて加えて申しますと、仮に譲渡に際しまして差損が生じたというような場合、これにつきましては、民都機構の業務運営の中で自助努力をいたしましてその中で処理するということを基本にしておりまして、税金が直ちに投入されるというようなこと等にはならないような仕組みにしてございます。

 ただ、先生のおっしゃいますように、売り主の破綻に係る民都機構のリスクを極力回避する方法というのは、今後あわせて検討していく必要があるというふうに考えております。

高木(陽)委員 リスクヘッジ、これは民都だけじゃないんですけれども、これはしっかりとやっていただきたいと思います。

 というのは、バブルが崩壊してからの土地の問題ということで、例えば住専のときにもあれだけ大騒ぎになり、その後もいわゆる土地が動かないということによるいろいろな問題というのが、今後もさらに出てくる可能性がある。そのためには、政府・与党としてもしっかりと対応しなければいけないとは思うんですけれども、そういった中で、一つ一つの個別の団体、公団や特殊法人等々、そういった公益法人等もそこら辺のところはしっかりと考えていただきたい、そのように思います。

 続きまして、今度は都市基盤整備公団、これも多々いろいろと批判を受けたり指摘をされるところですが、実は新聞記事をちょっと参照させていただきたいと思うんですが、これは昨年の暮れの記事なんですけれども、都市公団が開発「塩漬け」九百七十ヘクタール、塩漬けという言葉が、これまたイメージとして損をしているんだな、こういうようなイメージになってしまいます。九百七十ヘクタールといえばかなりの広さですし、さらにここには保有期間が三十年を超えるものが云々、三十年間土地を購入したままほったらかされているんじゃないか、こういうような批判的な記事だと思うのです。

 その上で、まず昨年段階、最新のデータでも結構なんですが、国土交通省として、都市基盤整備公団がどれぐらいの土地を持って、どうなっているのか、その実態を把握されているかどうか、ここをお答えいただきたいと思います。

三沢政府参考人 都市基盤整備公団の土地保有状況のお尋ねでございます。

 公団の住宅宅地部門の平成十一年度末の保有地の状況で申し上げますと、住宅と宅地と二つございまして、住宅部門につきましては七百三十一ヘクタール、それから宅地部門につきまして、いわゆる区画整理事業の事業認可がまだおりていない未事業認可土地、これにつきましては千二百三十八ヘクタール、合計いたしまして千九百六十九ヘクタールという状況でございます。

 それで、まず住宅部門のいわゆる未着工の保有土地のうちで、一つは五年という基準でいきますと、五年を超えるものは現在二百九十ヘクタールございます。この中には、オオタカの巣が確認された地区、それから、公団は一昨年の公団法の改正によりまして分譲住宅から基本的に撤退するということになっておりますので分譲住宅撤退地区、この中で現在大幅に計画変更を進めている地区、三地区約二百ヘクタールがこの二百九十ヘクタールの中に含まれております。

 この三地区につきましては、用途について住宅系の利用にこだわらないで活用方策を幅広く検討しているというところでございます。この結果として、特に一地区につきましては既に大学の移転用地として売却が決定しておりまして、そういう方向で今進められております。

 それから、この三地区を除きますと、二百九十から二百を引きましてあと九十ヘクタールがあるわけでございますけれども、公団の住宅建設事業は、御承知のとおり、総じて大規模なものが多くて、事業完了まで比較的時間を要するわけでございますけれども、特に住宅の場合は、年間に建設して譲渡される土地というのは大体五十ヘクタール分ぐらいございますので、それとの関連で考えますと、九十ヘクタールというのは、ストックとしてそう大きい保有土地ということではないのではないかというふうに認識しております。

 それから宅地部門でございますが、先ほど申し上げました千二百三十八ヘクタールのうち、既に都市計画決定が終わっているものあるいは現在手続中のものが八百九十三ヘクタールになっておりまして、これは、具体的な事業認可に向けまして現在着実に準備を進めているという状況でございます。

 そういたしますと、あと残りの約三百四十五ヘクタールぐらいでございますけれども、これは実態を申し上げますと、やはり具体的な土地利用計画の検討であるとか環境アセスメントに係る調査の実施、あるいは公共団体との協議等に時間を要しているというのが現状でございます。これらにつきましては、今後の事業のあり方につきまして、関係者との調整を進めながら今後のあり方を検討していきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 今局長の方からお話がございましたように、住宅七百三十一、宅地千二百三十八ヘクタール、合わせて千九百六十九ヘクタール。となりますと、こういう記事も、またこれもちょっと数字が違うなというのが明らかになるわけですね。そういった意味では、一番最初に申し上げました情報公開という意味では、絶えずオープンにしていく、この流れというものは必要ではないかな、逆にそこがオープンではないからこういう誤解を生むような数字が出てきたり、それが塩漬けなんだみたいな言い方をされてしまう部分があるのではないか、そのように痛感をいたします。

 その上で、ただそうはいっても、そう簡単に土地がなかなか動かない中で、都市公団の方も分譲から撤退というような流れの中で、なかなか苦しい部分もあると思うんですね。

 一番最初申し上げました土地を取得して三十年を超えるもの、これは二十六ヘクタールあるというふうにも指摘されておりますが、実は、もうちょっと短いところでは、私の地元の八王子の川口というところのリサーチパーク計画がございまして、それが二十年以上たっているというのもございました。そういった中で、さっき局長の言われたオオタカのすんでいるところ、これは実は私のところの方で、これもまたなかなか環境の問題と開発の問題と難しいところなんです。

 ここで公団の方にちょっとお伺いしたいのですが、三十年を超える二十六ヘクタール、これは一体どういう状況でこんなにほったらかされているのか、またこの後どういうふうに対応していくのか、こういったところを公団の方にちょっとお伺いしたいと思います。

那珂参考人 ただいま先生御指摘のとおり、当公団におきまして三十年を超え保有している土地というものは、まことに遺憾ながら御指摘のような数字の量を持っているわけでございます。

 二十六ヘクタールとおっしゃいましたけれども、これは決して放置していたり何もしないというわけではありませんで、これらの大半は、例えば、住宅団地の整備がほぼ完了しているにもかかわらず、関連の都市計画道路用地とか緑地とかあるいは調整地とか、こういった公共公益施設的用地として残っておりまして、それは関連の公共事業の進捗に応じて当該公共団体に引き取っていただく予定のものでございます。

 また、御指摘のありましたように、一部、分譲撤退方針に基づいて分譲住宅事業をやめて民間事業者に用地を分譲していくというような進め方をしているところもございます。

 総じてそのようなことで、当該公共団体あるいは民間事業者等に対して、早期に公共事業の執行ないしその買い取りを進めてもらうよう積極的に働きかけていきたいと思います。

高木(陽)委員 今のお話によると、それぞれの自治体の方のいろいろな問題等もあるという、これはまさにそのとおりだと思うんですね。二十六ヘクタールが全部一カ所でまとまって更地になってほったらかされているかというと、そういうことじゃないと思うのです。

 そういった中で、これはまさに公団だけができる問題ではない。国土交通省も含めて、または地方公共団体、民間事業者も含めて、そういった連携の中でやっていかないとこれは本当にたなざらしになってしまうということで、ここら辺のところは国土交通省も含めてしっかりと指導をしていっていただきたいと思います。

 時間も限られてまいりましたけれども、もう一つ、今度は地域振興整備公団、これもまた土地をいっぱい持っておる、こういう話の中で、これは主管官庁が国土交通省だけではなくて、いろいろな工業団地等、これは経済産業省にもかかわってくるということで、現在この公団が持っている在庫等々は一体幾らになっているか、最新の状況を教えていただきたいと思います。

板倉政府参考人 まず、私どもの地域振興整備公団の業務のうちで、私どもが担当いたしております地方でのニュータウン開発や拠点形成等を行う地方都市開発整備等事業の事業の関連で申し上げますが、これまで二十二カ所事業に着手いたしまして、そのうち五カ所が事業を完了しているところでございます。

 これまでに分譲の対象とした面積は千六百四十四ヘクタールでございまして、そのうち分譲済みの面積は千五百六十五ヘクタール、分譲率にいたしまして九五%でございまして、平成十二年十二月末現在で分譲中の土地は、その差の七十九ヘクタールとなっております。この分譲中の土地の七十九ヘクタールは、金額ベースで三百二十七億円となります。また、造成中の土地は、区画整理でやっておりますために現時点では面積が確定できないわけでございますが、金額ベースで申しますと、平成十二年三月末に二千七百八十六億円となっております。

今井政府参考人 地域振興整備公団の業務のうち当省の所管でございますけれども、地域での工業団地を造成するということで、工業再配置事業、産炭地域振興事業がございます。

 これにつきましては、今まで百八十九カ所で事業に着手いたしまして、そのうち百二十九カ所で完売しております。現在六十カ所で分譲を行っておりますが、これまで分譲対象といたしました面積は五千七百三十九ヘクタールでございまして、そのうち分譲済みの面積が四千八百四十七ヘクタール、昨年十二月末現在で分譲中の面積は八百九十二ヘクタール、分譲率八四%でございます。現在造成中の土地が約六百九十ヘクタールございます。

高木(陽)委員 今、数字的に言うとかなりの数字になってしまいますけれども、これもやはりどう対処していくのか。バブルが崩壊して、特に工業団地等々、進出していくのはなかなか大変な企業の状況もある中で、今後の対応策について抜本的な解決策をつくっていかなきゃいけないと思うんですが、それについてどうお考えなのか。

板倉政府参考人 まず私どもの部門から申し上げますが、地方都市開発整備等事業につきまして、分譲の進捗状況を勘案しつつ土地の取得と造成工事を進めているところでございまして、金額ベースで、先ほど申しました、昨年十二月末の分譲中の土地が三百二十七億と申し上げましたが、そしてまた昨年三月末の造成中の土地は二千七百八十六億ということでございまして、これをどう見るかということでございますが、これまで分譲実績を見てみますと、過去五年間で平均年当たり二百八十億円分譲しているということから、こうした分譲実績から見ましても過大なものとは言えないのではないかと私どもは承知しているところでございます。

 ただし、昨今の景気の低迷等によりまして、住宅地等の分譲を取り巻く環境というのは非常に厳しくなっているというのも御指摘のとおりでございまして、これまでも組織の効率化や工事コストの縮減等によりまして事業コストの削減策を実施するとともに、需要に応じまして土地利用計画を見直すとか、あるいは民間事業者と連携いたしまして分譲促進に取り組むなど、公団なりに最大限の努力をしているところでございます。

 今後とも、景気や宅地需要の動向等を見きわめた上で、的確に事業を進めていくように公団を強力に指導してまいりたいと思っております。

今井政府参考人 工業再配置事業それから産炭地振興事業につきましては、やはり地域における大変良好な雇用を確保するということで非常に期待が大きいわけでございますが、先生御指摘のように、民間設備投資の減退等で現在非常に厳しい状況にございます。

 私ども、地域振興整備公団と一緒にさらに分譲を促進するという観点から、企業のニーズに応じて分譲地を小口化するとか、それから計画の見直しをするとか、外部の委員の先生方によりまして事業の評価を行っていただくとか、三年間で工事コストを一〇%以上削減する目標を立てて対応するとか、このような業務、組織、人員等の積極的な見直しを行いながら対応していきたいと思っております。

高木(陽)委員 時間も参りましたけれども、最後に一つだけ、これは国土交通省副大臣にお答えいただきたいと思うんですが、与党三党の方でも先日、三月の九日に緊急経済対策というものを出しました。これはまさに不良債権の処理をどうしていくかという、景気がこれだけ厳しい状況の中で、これはもう早急に、またさらに手を打たなければいけないという状況の中で、不良債権問題、これはまさに土地をどうしていくかという問題になってまいります。

 その上で、私ども与党三党としては「都市再生の実現」という項目を掲げて、「低未利用地等を有効活用し、環境・医療・防災・情報化・国際化などの視点から都市の再生を目指すため、国と地方自治体が一体となった」、ここが重要なんですね、今まで公団は公団、国は国、地方自治体は自治体、こういうような、ばらばらにやっていくと土地も動かない、そういった中で、これが「一体となった二十一世紀型プロジェクトを積極的に推進する。このために、内閣のもとに「都市再生本部」(仮称)を設置する。」というような提言をさせていただきました。

 こういった問題に対して、まさに国土交通省がリーダーシップを発揮してこの土地問題を解決する、その先導役になっていただきたいと思うんですが、その点いかがお考えか、最後に聞きたいと思います。

高橋副大臣 私も高木先生も、東京という立場で都市問題についてはいろいろと希望も持ち、悩みも持っているところでございます。

 今御質問の都市再生の実現に向けての取り組みということでございますが、我が国の大都市の現状は、長時間通勤、道路やオープンスペース等の都市基盤の不足、防災上危険な密集市街地の広がり、低・未利用地の存在など多くの課題が山積しておりまして、国際的都市間競争に打ちかつためにも魅力的な都市空間の形成が急がれると私どもは思っております。

 国土交通省におきましては、これらの課題を克服し、世界に誇れる都市づくりを推進するために、地方公共団体、民間事業者などさまざまな主体と密接な連携を図りながら、優良都市開発プロジェクトに対しての容積率の緩和措置など、また、土地の高度利用の促進による職住融合の実績、これなどはこの近辺にもアークヒルズだとか東京・銀座の資生堂ビルとかいろいろございますが、また、都市基盤整備公団を活用した低・未利用地の取得及びその整形、集約化などによる土地の有効利用の促進、また、ターミナル駅など交通結節点の総合的整備やあかずの踏切の解消、これは今議会で踏切法案も通していただきましたので、これなどを踏まえて、都市基盤整備による都市機能の向上を図ります。

 また、密集市街地の整備改善や避難地、避難路となる道路、公園等の整備によります安全で安心な市街地の形成など、すぐれた機能と環境を持ちます都市空間を形成するための諸施策を先生おっしゃるように総合的に展開しまして、都市再生の具体化を積極的に推進してまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 以上で終わります。

持永委員長 次に、近藤基彦君。

近藤(基)委員 21世紀クラブの近藤基彦でございます。

 本日は、私の選挙区であります柏崎方面でありますけれども、ここには世界最大の原発基地であります柏崎刈羽原子力発電所があります。その中の刈羽村で昨年来問題になっております生涯学習センター、通称ラピカと申しますが、その問題で質問したいと思っておりますけれども、その前に、これは私が議員になる以前の問題とはいえ、私の選挙区で国民の税金のむだ遣いが起き、そして不祥事を起こしたことに対して深くおわびを申し上げるとともに、徹底的に真相を究明して、このようなことが二度と起きないようにしたいと考えております。

 この生涯学習センター、ラピカの問題は、委員の先生方も御存じのとおり、昨年の十二月一日に商工委員会から衆議院の調査局に予備的調査が命じられまして、ことしの二月五日に報告書が提出された経緯があります。この分厚い資料が各個皆さん方のところに届いていらっしゃると思いますが、報告書であります。

 この電源三法交付金、約七十一億という巨額な支出をして、平成十一年の十月にこのラピカが竣工したわけでありますが、その後、大変ずさんな工事が次々に明らかにされ、刈羽村議会では百条委員会まで設置される問題になりました。つきましてはこのラピカについて、まず電源三法交付金が支出をされるに至った経緯を御説明していただきたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のラピカに対します国の交付金の事務につきましてお話しいたします。

 上物につきましては、平成九年度、村の方から交付申請を五月に受けております。その平成九年度におきまして、九月に交付決定を行い、その間状況報告書であるとかあるいは現地調査等を行いまして、四月に入りまして確定をして、四月の二十七日に支払いをするということになっております。また、引き続き平成十年度におきましても上物の工事がございました。五月の十八日に村の方から交付申請があり、八月に交付決定を行い、確定を四月に行い、支払いを四月二十八日に行った、こういう経緯でございます。

近藤(基)委員 そのことで百条委員会まで設置されたわけでありますが、国として現在わかっている中で、ラピカのずさんな工事の当初の問題点とその後の経過並びに現在どういった状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました新潟県刈羽村生涯学習センター、ラピカにつきましては、平成七年度から十年度まで、電源立地促進対策交付金といたしまして、総事業費約六十二億円のうち五十七億円を交付しておるところでございます。

 この施設につきましては、設計に見合わない工事が行われたおそれがある、また業者の選定過程が不透明であるといったような観点から、村当局による調査、それから村議会、先ほど御指摘のありました百条委員会における調査が行われ、また衆議院調査局におかれましても、衆議院規則第五十六条の三に基づく予備的調査が実施されたところでございます。経済産業省といたしましても、これまで本省及び東北経済産業局から担当者を現地に派遣するなどして調査を行ってきてございます。また、業者の選定過程等につきましても、財団法人の電源地域振興センターの関係者から事情聴取を行うなど事実関係の把握に努めてきております。

 このうち、交付決定内容と実際に行われた事業内容の差異等につきましては、補助金等適正化法に基づく報告徴求等を通じまして、村の方から、三百四十カ所の変更、相違点につきまして、各変更内容、その目的及び金額上の評価に関して詳細に説明を聴取しておるところでございます。

 他方、業者の選定過程等につきましては、今までのところ、電源地域振興センターの専門家派遣事業により派遣した専門家や、設計業者を選定するコンペに選考委員として参加していたセンターの理事が、特定の業者の便宜を図っていたという事実は確認できておりませんけれども、現在、事実関係の詳細につき引き続き調査検討を行っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、今後とも迅速かつ正確に事実関係を把握し、必要な対応をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

近藤(基)委員 大変な支出がなされた中での不正工事ということでありますが、電源交付金が過去に支出をされた事例の中でこういった不祥事が行われたことがあるんでしょうか。あるとすれば、その時期と場所を教えていただければと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、電源開発促進対策特別会計を用いて、電源地域の地域振興の観点から、公共施設の整備等について交付金の交付を行っておるところであります。昭和四十九年の発足以来、本特別会計についてこれだけの規模で問題が指摘されたということはなかったものと理解しておるところでございます。

近藤(基)委員 規模的に大きい事例というのは初の事例だということでありますので、二度とこういうことが起きないように、この際徹底的に究明することが我々の責務だ。また、国も支出をした以上それを監査するべき立場にあるわけですから、ぜひそのことは強く要望していきたいと思います。

 せっかく竹本政務官にお越しいただきましたので、最後になりますが、現在、刈羽村の住民は大変恥ずかしい思いをし、かつ、このような不正なことをした人たちに対して大変な怒りを持っております。我々もそうでありますが、今後、交付金の返還問題や、あるいはずさん工事で不正に得たお金の流れ等を含めて、国としても徹底的に真相究明を図って二度とこのような問題が起きないようにすべきだと思うんですけれども、国としての御決意をぜひお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

竹本大臣政務官 近藤先生御指摘のとおり、本件につきましては、徹底した事実関係の究明が当然必要と考えております。今後、いろいろな専門家集団もございますので、そういった専門家の御支援も得まして、交付決定内容と実際に行われた事業内容の金額面も含めた差異等を明確にするとともに、必要な施設の補修や交付金の返還などにより本件について適正に対処してまいる所存であります。

 また、今後同様の問題が起こるといけませんので、そういった問題の再発を防止するために、ほかの同様の施設に対する調査、交付金事業の検査方法の見直し、さらには業者選定過程の透明化等の措置を講じてまいりたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、電源開発行政、原子力行政の推進には国民の皆様方の御理解、御協力が当然不可欠でございます。経済産業省といたしましては、公明正大にこれらの行政を遂行することは当然大前提と考えております。そのために、本件に関する真相究明、それから同様の問題の再発防止をこれからも徹底して進めてまいりたい、そのように考えております。

近藤(基)委員 ぜひそのようにお願いをして、御質問を終わらせていただきます。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 最初に、入札というものについて国土交通省にちょっと参考のために伺ってみたいと思うのです。

 最近、政府の発注の事業において、総合評価方式という入札方法がとられるようになりました。そこで、総合評価方式というのは、簡単に言うと、一つは、従来は、まず契約をしてそれから予算をつける。それが逆になりまして、予算を先に確保しておいてから入札をし契約する、こういうこと。もう一つは、さまざまなそうした発注の中には、ただ単に本体の価格だけではなくて、それを維持するためのランニングコストといいますか、維持管理の長期にわたる経費がかかるもの、そうしたもの等について、単に本体の価格だけじゃなくて、そうした要素をさまざまに勘案して評価点として出して、それに基づいて業者を選定する、こういう手法かと思うわけでございます。

 まず、国土交通省、入札というのは、大体、競争公開入札の場合には、選定をする基準となるところの価格を含んだ入札のための書類を箱か何かに入れて不正ができないようにして、そして開札を一気に行って公開のもとに高いか安いかで決める、こういうことだろうと思いますが、いかがでございますか。

岩村政府参考人 先生今お尋ねの総合評価方式でございますが、国土交通省が直轄工事で取り入れておりますが、従来の価格だけの勝負ではなくて、価格と価格以外の要素、例えば工期等、こういうものを総合的に評価して、発注者にとって、すなわち国土交通省にとって最も有利となる事業者を落札者とする、そういう方式、これは先生の御指摘のとおりでございます。

 具体的にどういうやり方をしているかということを国土交通省の直轄工事の例を挙げて御説明申し上げますと、直轄工事での総合評価方式による入札手続は、一般競争の例でございますが、まず官報公告を行いまして、総合評価の方法、そして落札基準等を明らかにいたします。その後の手続につきましては基本的に通常の入札手続と同様に実施されまして、企業からの申請書等の受け付け、競争参加資格の確認を行うなどの手続を経まして、あらかじめ決められました入札日に、今先生がおっしゃったように、いわゆる入札書、札を入れていただくという形で入札を執行しているところでございます。

 そして、その入札書につきましては、この総合評価方式をとる場合には、工事の価格と価格以外の要素をあわせて記入していただいているということで、それを開札した段階で総合的に評価して落札者を決定する、こんな手続をとっているわけでございます。

石井(紘)委員 今言われた価格以外の要素というのも、恐らくそれがランニングコストというような場合には相応の価格が出てくるのだろうと思うのですが、このランニングコストと本体の価格というものを両方あわせて評価して、その高い安いで決める。もし、技術、性能、品質、そうした部分が同じである場合は、ランニングコストが幾らか、本体価格が幾らかということで決まるわけですから、そうすると、その価格はすべて入札にかけられる。つまり、具体的なやり方でいえば、その価格は箱の中に入れられなければならない、こういうことでしょう。簡単で結構でございますから。

岩村政府参考人 競争入札でございますから、当然のことながら、価格については入札価格等で計算しております予定価格以下である、これはまず最低限必要でございます。そして、今申し上げたその評価の値を点数で出すわけでございますが、機能とコストの比を求めまして、これも基準評価値、工期であれば大体このぐらいというふうに見積もったものを基準としておりますが、それを上回る、そしてそれが最大となる者を選んでいくということで、コストと付加された価値、そのあわせたもので評価をしているところでございます。

石井(紘)委員 今私が言ったことにイエスかノーかで答えてもらいたいのですが、要するに、品質とか技術とかの面で同じであるという場合には、ランニングコストと本体の価格、これは公正を期するために、不正が行われないために値段が書いてあるわけですから、それは箱の中に両方とも入れられなければならないでしょうと言っているのです。イエスかノーかで答えてください。

岩村政府参考人 我々が所管しております公共工事については、ランニングコストを含んだという事例はございません。

石井(紘)委員 あなたちょっと、事例があるかないかを聞いているんじゃないんですよ。いいですか。その価格でもって競争するわけですから、それが出てこなければ決めようがない、その数字ですよ。その決めようがない数字というのは、密封された状態の中に、通常は箱の中に入れるのかどうか、入らなければ公正な厳正な入札ができないでしょうと言っているのだから、余計なことを言わないで答えてくださいよ、時間がないんだから。

岩村政府参考人 価格以外の評価の要素、これについては入札書に書かせて判断をするわけです。それで、今お尋ねのケースでいきますと、例えば道路の橋を撤去する場合、道路を何時間閉塞するかとか、そういういろいろ要素が決まっておりまして、それはその入札書の中にきちっと書かせて、それを見て判断しているということでございます。

石井(紘)委員 大分時間をとりましたけれども、要するに、技術的な評価が同じな場合には、これはランニングコスト、それにはいろいろな項目があります。項目ごとに幾らであるか、そして本体の価格が幾らであるか、このことの数字が出なければ決めようがないので、それは入札の性格上公正を期す、不正が行われない、そのためにきちっと密封された状態の中へ入れて、そして開札を行ってそこで決まるということを答弁してもらったわけでございます。

 そこで、防衛庁の新初等練習機T3改、これは富士重工に昨年落札がされて契約がなされた、こういうものでございますが、新初等練習機について入札が行われました。

 この経過を若干申し上げますと、これは既に平成十年に一度公開入札が行われて契約に至る直前まで行ったものでございますけれども、例の富士重工の事件によりまして、中島代議士が逮捕されたり、あるいはまた河合専務でしたかが逮捕されたりという中で、贈収賄の疑いということが起こって、この富士重工との契約は一たん中止になりました。契約がなされませんでした。そして、その後、富士重工に対して取引停止の処分というものが行われて、それが九八年の十二月十六日でありました。一年間ということの中で、初等練習機の契約というものが急がれておりましたけれども、そういう事情で一たん中止になった。そこで、前の前の防衛庁長官は早急に実施をするという答弁をしております。ところが、どうもこの富士重工の一年間の取引停止というものが明けるまで結果的には待たれたということでございます。

 御案内のように、富士重工に対しては大変多額の防衛装備品の発注が行われております。天下りというようなものも相当数入っているわけであります。かなり天下りのランクでも上位に位置しておりまして、相当数の天下りが富士重工及び富士重工の関連会社、あるいはこの後に申し上げます整備等を行う会社に行っておりますが、富士重工に対してどのぐらい天下りあるいは再就職というものが行っておりますか、わかりますか。これは質問主意書で出してあるのですけれども、出ていませんか。

首藤政府参考人 自衛隊員の再就職につきましては、隊員が在職中の地位あるいは職権を乱用いたしまして特定の営利企業と情実関係を結び、これを利用してその企業に転職するような弊害を防止し、もって在職中の服務における厳正を図るために、自衛隊法六十二条の規定により一定の制限がなされておるところでございます。

 それで、過去十年間、これは平成三年度から現在まででございますが、この間に離職いたしました一佐以上の自衛官及び行(一)十級相当以上の事務官等で離職後二年以内に富士重工業株式会社に再就職した者は、当庁で把握いたしているもので、平成十三年三月二十七日現在、十九名でございます。これらの再就職は、いずれも再就職規制の法令に従って行われているところでございます。

石井(紘)委員 平成三年から十三年までで、今言った範囲に限定をして十九名ということでございますが、それはそこでおいて、先ほどの入札の方法であります。さっきの国土交通省の答弁では、もう終わりましたから退席していただいても結構ですけれども、そういうことでございましたね。

 そこで、どういうやり方をこの初等練習機について昨年の入札はとったのか、それを伺ってまいりたいと思うんですが、防衛庁、きょうは防衛庁の当時の調達実施本部の本部長、西村さんでしたか、おいでいただいておりますので、西村さんの方から説明してください。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新初等練習機の総合落札方式につきましては、支出負担行為担当官でございます当時の調達実施本部長、現在契約本部長と改正されておりますが、それが事務次官より総合落札方式についての実施要領をいただきまして、それに基づきまして予決令等を踏まえ入札説明会、入札、落札決定というプロセスを踏んで実施したところでございます。

石井(紘)委員 では、具体的にちょっと聞きましょう。

 入札提案書というのは、一つは富士重工から出された、もう一つはスイスのピラタス社から出されました。その二社でもって競争したわけでございますが、昨年の八月にこの入札が行われて、そして、どうですか、私が言いますから、違っているところがあったら言ってください。

 防衛庁の調本のたしか四課と五課がそれぞれ、五課はピラタス社のものを受け取り、四課は富士重工のものを受け取った。そしてその提案書の中には初等練習機の最初の二機分、全部で四十九機、七年間にわたってあるいは八年間にわたって買うわけですけれども、その最初の二機について予算がつきましたから、そこで入札を行ったわけですね。

 そして、これについて本体価格とそれからさまざまなメンテナンス、LCCというランニングコストをさまざまな項目ごとに書いた書類を出させた。そういう中で技術的な性能面は両方とも同点だということになって、あとはランニングコストの価格とそして本体の価格だということになったと思うんですが、それは普通の入札ですと両方の価格をちゃんと箱の中に入れるんですが、防衛庁のその契約は恐らく封でもって密封する状態でやったんじゃないかと思いますが、両方の価格を密封いたしましたか。

首藤政府参考人 総合評価落札方式による入札手続を進めるに当たりましては、入札の希望会社に対しまして、まず機能、性能等に関します評価基準あるいは本件にかかわる総合評価要領などにつきまして事前に明らかにして、意見招請を行いまして、また入札の希望会社に対し入札説明会を実施いたしました上で入札に付したところでございます。

 入札価格であります平成十二年度契約分の機体価格につきましては、開札日に公開されるまでの間、厳重に封印のまま保管したところでございます。それから、平成十三年度以降契約予定分の機体価格、それから全体の維持経費及び関連経費につきましては、入札価格ではなくてその他の費用でございますことから、調達実施本部等による審査の対象でございまして、封印する性質のものではないということでございます。

 なお、当然のことでございますけれども、その他の費用につきましても防衛庁内部で厳格に管理されているというところでございます。

 それで、防衛庁としましては、落札に際しまして、入札価格を開札の上、総合評価落札方式に基づいて評価数値を算定し、その数値の高い富士重の提案機種を選定したところでございます。こういったように、この入札は適正に行われておりまして、一般競争入札のルールに反しているというふうには考えていないところでございます。

石井(紘)委員 ルールに反しているかどうかはやってみなきゃわからないことでございますが、今の答弁だと、平成十二年度分の最初の二機分ですね、C1といいますけれども、最初の二機分を入札したんだ、こういう答弁であったと思います。そして、十三年度以降の四十七機分については、その他の費用としてこれは参考までに出させたものということでいいですか、よく聞いておいてくださいよ、ですからこれは封印をしなかった、こういう答弁だったと思います。

 そういたしますと、平成十二年度分の最初の二機分、今入札にかけたと言われたものの価格、これは一本ですね。それは富士重工がT3改という機種を提案しておりまして、これが四億八千九百八十五万円。二機ですから、一機分にすると約二億四千五百万円だった。一方、スイスのピラタス社はPC7の機種を提案して、二機でもって三億五千五百二十七万円で、一機で一億七千八百万円だった。明らかに、大幅にスイスのピラタス社の方が安い。率にすると三五%安いわけでありますね。

 あなたは今、今の入札というのはこれは初年度分の、平成十二年度分の二機について行った入札である、こういうふうに言われましたけれども、そうすると、入札というのは高い方をとる、そんな入札はありませんね。これはどういうわけですか。

首藤政府参考人 まず、その他の費用というのは、総合評価落札方式においての単なる参考資料では全然ございませんで、総合評価落札方式の重要な部分でございます。私ども、この新初等練習機は、導入いたしまして約二十年ほど使う。そういたしますと、その間に修理費用あるいは油代その他、いろいろな費用が当然かかってまいります。そういうものを私ども、ライフサイクルコストと申しておりますけれども、例えば二十年を区切って、その二十年間全体で幾らお金がかかるかといったことが経費見積もりの大きな要素でございます。そういうことで、総合評価落札方式をいたしたということでございます。

石井(紘)委員 それは先ほどの国土交通省の総合評価方式の入札方法とは全然違うじゃないですか。

 あなたは今、これは単なる参考ではなくて、重要な部分として、これは将来二十年間にわたるコストを参考にするものだというふうに言われた。そうすると、それにも相当の値段が、これはもう百億単位の値段がついているわけですよね。それを入札の対象にしないで、最初の二機分のものしか密封しないで、あとはどうにでも差しかえができるようにしてある。これは明らかに入札の方法における不正じゃありませんか。富士重工に何としても落とすという目的を持った不正が行われたんじゃありませんか。

 そこで伺いますけれども、入札の提案書というものは、あくまでもこれは、後でもって基本的な部分を入れかえたり、あるいは修正したりということは、これは法律上も重大な問題になりますけれども、そういうことは絶対にしてはいけないことになっていることは御存じだと思います。

 そこで、オリジナルの提案書と修正された提案書というものがあるんじゃありませんか。答弁してください。

首藤政府参考人 今回の新初等練習機の総合評価落札方式に基づきます入札手続を進めるに当たりましては、防衛庁としまして、一般の政府調達と同様に、透明かつ公正な枠組みの中で調達手続を実施したいというふうに考えまして、政府調達に関する種々の運用方針等を参考といたしました。

 それで、入札説明書に公開、使用の制限を希望する場合はその内容、理由を明記する、そう規定することによりまして、供給者側の営業上の秘密等に関する情報の保護を図ったところでございます。

 この規定に基づきまして、富士重から、提出した書類につきましては公開、使用の制限がある旨の申し出を受けておりまして、九月二十五日に公表いたしましたデータ以外の細部内訳データの開示につきまして、防衛庁側から富士重に対して、御指摘の入札回答書中の修正前の価格、その他の費用を含めて開示の可否について照会いたしましたところ、承諾が得られなかったところでございます。

 ただ、もう一つ、このため、先生の方から質問主意書の正式転送を受けました後、改めて契約本部を通じて富士重に対して開示の可否について照会中でございますことから、現段階においては開示できませんけれども、近日中には同社により回答がなされるものと考えているところでございます。

石井(紘)委員 要するに、修正されたものとオリジナルのものがある、オリジナルのものについては開示をしたいけれども、富士重工が困ると言っているので開示ができない、そういうことだった。

 そして、私が、この質問に先立ってさらにそのことを要求しておりますから、一週間以上前にこれは質問主意書で出しておりますから、確かに私も確認をしましたが、あなたの方は、再度開示を求められておるけれども、どうかという連絡をとったようですね。

 一方の、契約できなかったピラタス社の方にも、同じように開示をするけれども、どうかという問い合わせをして、それは以前にも何度かされて、ピラタス社の方は、全部出してくれ、むしろ積極的に向こうの方は出してもらいたい、自分の方は全部出す、こういうふうに言っているわけですね。しかも、あなた方はこの間に、入札に当たって、さまざまなランニングコストの経費について、細かい項目について、こういうものを契約後発表してもいいかという問い合わせを両社に対してしておりますね。ピラタス社の方は全部出してくれと言っているんだけれども、あなたの方は出さない。維持管理あるいは労務費等々についての具体的な数字、これはIRANという定期機体整備にとって決定的に重要な資料です。そういうものをどうしてあなたの方は出さないんですか。

 それを、今言うように、情報の保護とかなんとか言っているけれども、これは国費をもって百億以上の買い物をする、そういう話ですね。しかも、国際的な公開競争入札という国際的にも呼びかけた形での入札を行った。そして、スイス政府からは再三にわたって抗議が来ておる、どういうことなんだという抗議が来ているじゃないですか。余りにも不透明、不公正だ。あなたは、口でもって透明で公正になんて言っていれば透明で公正になると思っているかもしれないけれども、そうじゃないんです。国際的にも大変大きな問題になっているわけです。

 この修正前の、オリジナルの、特に今言ったランニングコストについての具体的な提示された数字、これは密封しなかったんだから、いつでも差しかえられるような状態になっていたんだから、それを出してくださいよ。どうですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような開示の要請というのはピラタス社から直接受けたということはございませんけれども、丸紅からは質問データの開示の要求は受けております。

 新初等練習機の総合評価落札方式に基づく入札手続を進めるに当たって、防衛庁は、一般の政府調達と同様に、透明かつ公正な枠組みの中で調達手続を実施したいと考え、政府調達に関する種々の運用指針等を参考にして、入札説明書に公開、使用の制限を希望する場合はその内容を明記する旨規定したところであり、供給者側の営業上の秘密等に関する情報の保護を図ったところでございます。

 言いかえますと、これは政府調達の対象ではございませんけれども、それに準じて入札手続を進める。ただ、そのときに、入札説明書には公開、使用の制限を希望する場合その他については明記してくれということで、営業上の機密等について配慮したところでございます。

 本規定に基づいて、富士重からは、提出した資料については、ライバル会社に公開、使用の制限をしてほしいという申し出を受けており、九月二十五日に公表したデータ以上の細部のデータについては、現在のところ、先ほど答弁しましたように、承諾が得られていないというところでございます。

 以上でございます。

石井(紘)委員 これは非常に疑惑に満ちていますね。その最初の数字というものを差しかえたんじゃありませんか。これは、公開をしてもいいかという問い合わせをあなた方は二社に対して行った。しかし、それを公開しなかったということは、これはその間にどこか防衛庁の関連の部局あるいは関連のところから、それは困るという働きかけがあったんじゃありませんか。

 あなた方はそのことについて空自と相談をしましたか。あるいはこの件について防衛局、調本、空自、その間で連絡をとりましたか。

首藤政府参考人 前段の先生の、最初に出したのと後のとかいう話でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたが、私ども、何しろ二十年にわたって使う、かつ四十九機もの大量の機数を調達するという非常に重要なプロジェクトでございますので、そういうことから先ほど申し上げたような方式をとったわけでございます。

 この趣旨は、会社にお出しした資料あるいは説明会におきましても、ちゃんとここにも書いてございますが、修正を要する場合の類型についてということで、例えば、提案内容に対する技術的検証不十分による修正、あるいは不明瞭な積算諸元に対する修正、あるいは不適切な算定方法に対する修正というようなことで、出されたものを、私どもが事前にお示しした評価基準や算定基準からずれて、あるいは間違って計算しているとかいうようなことで、この大事な機種選定の結果が左右されては適切でございませんので、そういうことがないようにきっちりと見て必要な修正はするということを方針とし、かつ、それは事前に提案会社にきっちりと御説明した上で実施したものでございます。

石井(紘)委員 連絡をとり合ったんじゃないかということについて、あなたは答えませんね。

 では、西村さん、あなたは当時の契約の責任者でしたから、そういう照会を両社に対してして、公開してもいいですよと言っているのに、具体的な数字を、あるいは項目を公開しなかったことについて、何か防衛局あるいは空自の方からそのことについて話がありましたか。

西村政府参考人 ちょっと御質問の趣旨がよく理解できなかったので申しわけないですが、私のところに、何か、よそから公表についてああしてほしい、こうしてほしいという話はございません。私どもの方は、もともと入札の際の前提といたしまして企業の秘密は守りますということになっておりましたので、その窓口といたしまして、この件は公開していいかどうかを問い合わせる役目をしたということでございます。

石井(紘)委員 問い合わせをして、ピラタス社は全面的に公開をしてくれと言うのに公開をしなかった。あなたの方から問い合わせたんですよ、公開してもいいですかと。だから、私は、あなたの責任でそういうことを問い合わせて、いまだにそれを公開しないということは、これはどこかから働きかけがあっただろうと。あなたは、そういうことはなかったと今答弁した。そうすると、あなたの責任になりますけれども、よろしいですね。よろしいですね。

 それでは、次へ進みます。

 そこで、もう一つここには大きな問題があるんですね。

 大体、最初は入札です。それから、後は随意契約でずっと七年間にわたって買っていくということになるわけですね。不正があったということは、今までの、つまり、最初の二機分の入札で、ここは密封したけれどもあとは密封しないで、しかもそれは重要な要素としてカウントして、そして、最初の入札はピラタス社の方が安かったんですから、ランニングコストの方をピラタス社よりも富士重工の方を安くしちゃって、そして、トータルで富士重工が安かったからということで富士重工にしたわけですから。

 決めたのは、要するにこっちのランニングコストの方のこの数字ですよ、本体はピラタス社の方が安いんですから。結局、富士重工に決めた決め手は、こっちのランニングコストの値段で決めたわけですから。それを封しなかったんです。それをいつでも差しかえられるような状態にしておいたんです。いいですか、一つはそこが重要な問題です。

 それから、結局、後で改ざんをしたためにどういうことが起こったかというと、最初の高かった富士重工の価格、これに対して、一機分がそのとき幾らだったかといいますと、富士重工のそのときの一機分の価格は二億四千五百万円だった。ところが後の方で、二回目、三回目の平成十四年度からいくところのものは、それよりも大幅に安くなっておる。大体一億九千万から二億ぐらいになっているんじゃないですか。

 普通、入札というものの大原則は、必ずなされることは、最初入れる価格は安いんですよ。というのは、最初の価格で決めますから、当然その決める価格というのは競って安い値段を出す。後の方で少しずつならして乗せていくという形をとるのが、これは常識の、常識というよりも必ずそういうふうになるわけなんですね。

 ところが、どういうわけか富士重工の場合は、最初入れた値段が高くて後の方が安い。これは、だれが見ても非常に不自然な状態です。しかも、後の方のそれぞれの価格というものはかなりまちまちになっておりますけれども、最初の入札説明書によると、物価の変動等を加味してはいけないと書いてありまして、これは少なくともフラットでなければならないわけです。

 ラーニングカーブというんですか、そういうものは普通はだんだんと下がっていくということもありますけれども、いろいろな要素があって、売る方は、少なくとも下げるということは普通はない。ですから、フラットにならなきゃならない。ところが、それがまちまちになっているんではありませんか。あなた、できたら答弁を簡単にやってください、余り時間をとらないで。

首藤政府参考人 今回落札されましたT3改の機体価格についてでございますが、当初契約二機分の平均機体価格が二・四億円でございまして、二年目以降契約予定分の平均機体価格二・一億円と低くなっております。

 これは、富士重の提案内容によりますと、二年目以降契約分の機体価格につきましては、外注率の拡大あるいは作業員の習熟度の向上等による加工費の減少等によって価格の低減が図られているからでございます。航空機のように製造プロセスが自動化されていないものにつきましては、作業員の習熟度の向上、すなわち、いわゆるラーニングカーブによりまして工数が低減することによる価格低減というのはごく一般的なものでございます。また、外注率の拡大につきましても、製造プロセスが安定するに従って、外注が可能なものにつきまして加工費等の安い外部の会社への発注率を順次高めることによりまして価格低減が図られるというのは、むしろ当然のことであると考えております。

 むしろ、技術的事項等確認書類というものの中に記載されておりますように、経費見積もりにおきましては物価上昇率については加味しない、これは先ほど先生がおっしゃいましたが、すなわち、比較的恒常的に発生し得る価格増の要因でございます直接間接の材料費及び加工費の増をゼロとして見積もることとされておりますもとにおきまして、こういった今申し上げました事情を考えますと、逆に当初契約分の価格の方が低くなって後の方が高くなるというような場合は、その理由について、私ども、合理的な説明がかえって難しくなるのではないかと考えている次第でございます。

石井(紘)委員 そういう答弁をやればやるほど後で大変矛盾が出てくるということを申し上げたいと思います。

 それで、時間がもう余りありませんので、会計検査院、決定的な数字を箱に入れない、封印しないで、箱に入れた方の数字は落札できなかった方が安かった。箱に入れた数字はそうです。にもかかわらず、箱に入れない方の、封印をしない方の値段が決定的な決め手になった。これが一つの大問題。それから、今言った、最初の値段が高くて後の値段が安い、こういうことは入札ではあり得ない。

 その他、たくさん問題はあります。

 例えば、さっきのデータは公表しませんから、その中でIRANという定期整備の金額というものは、到底富士重工が出しているような値段で、今のT3改というものは、これはT5という海自の飛行機と同型の練習機ですから、それと比較してみても全然違う。

 そういう中で、IRANというようなものは、これは防衛庁の指示では三年間で、三十六カ月から四十五カ月の間に定期整備をするということにしてある。ところが、ピラタス社の場合はそのとおりで出したのですけれども、富士重工の場合はどうもカウントしてみればそうではない。もっと相当長期の周期でもって定期点検をするというようなことでないとこの値段は出てこないということ等がありまして、不正に満ちております。

 会計検査院には、まず二つ伺いたいのです。時間がないから簡明に答弁してもらいたいのですが、一つは、この入札の方法、これは疑問がある。もう一つは、したがって、この入札、契約について会計検査院が検査をしっかりと行ってもらわなければならない。この二点について明快に答弁いただきたい。

金子会計検査院長 本件につきましては、調達手続、調達価格等の適法性、妥当性、経済性等について十分検査をし、検討をしていきたいと考えております。

関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 先生の今の御質問の趣旨は、入札手続あるいは契約手続が適正であるかどうかということに関連いたしまして、入札価格以外の維持管理経費等の扱いがいかがなものかということに関連した御質問だと思いますが、私ども、現時点でまだ検査しておりませんで、そういう意味で、詳細は把握していないのでございますが、今後、総合評価落札方式で行った本件調達について検査をする中で十分検討してまいりたい。

 それから、先ほどおっしゃられました価格の相違ということにつきましても、価格の内容あるいはその相違を生じた理由等について十分確認してまいりたいというふうに考えております。

石井(紘)委員 我々、限られた時間の中で質問しているのだから、聞いたことに答えてくれないとだめですよ。

 いいですか、もう一回言いますよ。今の入札のやり方というものはおかしいのではないか。決めるべき値段の書いたものを、封をしなかった。いいですか。もう一つは、検査を行うかどうか。同じことを二回も三回も言わせないでください。はっきり言ってください。

持永委員長 第二局長、はっきり答えてください。

関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 今申し上げましたように、総合評価落札方式というものにつきましては初めて導入されたということでございまして、今の御質問に、是非は直ちにちょっとお答えできかねるのと、まさに検査を厳格にいたしまして、その結果に基づいて判断いたしたいと思っております。

石井(紘)委員 では、検査はやるわけですね。いつからやるのですか。

関本会計検査院当局者 それは、検査結果に基づきましてやっておるわけでございますが、情勢を見まして、適宜行いたいと思います。(石井(紘)委員「いつやるのですかと言っているんですよ」と呼ぶ)ちょっと、ただいまここではいつとは申し上げられませんが、近いうちにやりたいと思っております。

石井(紘)委員 答弁が不十分ですから、次のときにまた引き続き追及をいたします。

 以上です。

持永委員長 次に、山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。会計検査院についてお伺いいたします。

 会計検査院は、言うまでもなく、現在の制度では、私たち国民の大切な税金が正しく使われたかどうか唯一判断する機関でございます。ただ、会計検査院は、毎年の実績で、その数字を挙げてみますと、百六十億円の経費がかかって、そしてその検査の結果、不正が見つかったというのが大体二百億円弱と、経費と実績が見合っているような数字でございます。国家予算、一般会計八十五兆円、そして関連特別会計も入れまして二百兆から三百兆が会計検査院の範囲でございます。

 先日の本四架橋の報告も、会計検査院の報告をいただきましたが、三兆五千億かけて三つの橋をつくって、そしてただいま毎年八百億円の赤字を出している、三十年償還どころか、六十年償還どころか、百年たっても償還できない、このような報告がございました。

 このようなことが今年度予算についても行われている。すなわち、二十一兆円かけて新しい高速道路をつくる、北海道を中心にしてやる、完成しますと年間数百億円の赤字が出る、その報告によって、またこれを一般会計で埋めなきゃいけない。

 このようなことが起こりますので、会計検査院に一つお伺いしたいのですが、今会計検査院がやっている制度、考え方なりを抜本的に見直して、本当に納税者の立場に立って、このようなことが行われないように、あるいは事前に検査ができる制度なり法律の改正なり、そのような抜本的なことを考えていらっしゃるのかどうか、一言お答えください。

金子会計検査院長 会計検査院では、現在いかに効率的に検査ができるかという観点で検査の体制それから検査手法等について改善を加えてきております。なお、現在の社会情勢の変化、国民の期待等を踏まえて、今後どのように体制を整備していくかということは、さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。

山田(敏)委員 それでは、今のことに基づいて、具体的にどのような審議会でどのような体制をもって、私が冒頭申し上げましたように、今、会計検査院の経費と、それから不正を挙げるのが同額になっておりますので、効率性からいうと何も意味ないような事態です。これを抜本的に変えるには、具体的にどういう審議会をつくって、いつまでにどういうことをやるということはお考えですか、お考えじゃないですか。お答えください。

金子会計検査院長 今会計検査院の経費とそれから会計検査院が指摘をした金額について比較をされましたけれども、会計検査院が指摘をした金額については、どういう数字を今委員が指摘されたのか私存じませんけれども、いわゆる特定検査項目に対する掲記といいますか、国民の関心の高い事項についての検査をし、そしてその結果を出すといったものについては、具体的に必ずしも数字は挙げておりません。

 また、会計検査院では、すべての事態について挙げているわけではございませんので、その点では、効率性という点について、会計検査院トータルで考えた場合には、実際の指摘金額以上の仕事をしているというふうに私は考えております。

 それから、体制の問題についての御質問ですけれども、現在、私委員長としまして、会計検査院が時代に合った検査をしていく、また国民のニーズにこたえる検査をしていくということで、その点で、先ほど効率的なという表現をしたのですけれども、そういう観点で中の体制整備ということを進めております。そうした点が実現した段階で、より抜本的な事柄について検討を加えていきたいというふうに考えております。

山田(敏)委員 二月二十三日の予算委員会で質問をさせていただきましたODA報償費についてでございます。

 ODA報償費は、御存じのとおり、領収書を提出する必要のない外務省の経費でございます。これは、外務省が会計検査院に対して要請をして、そして計算証明規則第十一条で会計検査院がそれを承認して、このお金は報償費ですというふうに認定されます。

 外務省から要請があって会計検査院がODAに関する報償費について承認をした理由をお聞かせください。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 今お話しのとおり、政府開発援助報償費につきましては、平成十年度の外務省所管一般会計歳出予算におきまして、「項」在外公館「目」報償費の科目から分割され立目されたものと承知しております。

 そして、この政府開発援助報償費につきましては、外務省から、その経費の性質上、役務提供者等の支払い相手先を明示して計算証明するということが適当でないということで承認の申し出がございました。これに対しまして、計算証明規則第十一条の規定によりまして、「特別の事情がある場合の計算証明」といたしまして、計算証明規則と異なる取り扱いを認めてきているものでございます。

山田(敏)委員 今行われました答弁と実際に行われていることが全く違います。事実が違います。

 二月二十三日の予算委員会で、河野外務大臣ははっきりと、これは二回にわたって、このODA報償費は行政経費です、そして家賃とかそういうものに払われております、こういう御答弁で明確にされました。今おっしゃったことは、役務提供者の名前を明かすことはできないから、そういう理由でこれを報償費とやります、それで承認いたしましたということでございますが、実際にはそんなことには使われていないということを大臣がはっきりと予算委員会で申されました。

 この段階で、会計検査院は、この十一条に基づいてこれを認めたということは間違いであったということをはっきり今申されたわけですから、これを取り消していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、院長。

石野会計検査院当局者 具体の執行のことですので、私からお答えしたいと思います。

 今委員御質問の、ODA報償費が行政経費であるか否かということにつきましては、先ほどのお話のとおり、予算執行官庁であります外務省にお尋ねいただければというふうに考えておりますが、検査院といたしましては、外務省所管の予算におきます「目」報償費、それから今お話しの政府開発援助報償費は、いずれも情報収集及び諸外国との外交交渉等を有利に展開するため最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費だというふうに承知しております。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、外務省からの申し出がありまして、これを計算証明規則第十一条により承認をしたということでございます。

山田(敏)委員 今私の言ったことを全然聞かないで何で答弁されるんですか。今、二十三日の予算委員会について、河野外務大臣は行政経費ですと答えましたと、それもお渡ししているじゃないですか。何で私の言うことを聞かないで答弁されるんですか。これは間違いであるから、会計検査院としては間違いを正す必要があるのではないですかという質問をしたのに、どうしてそういう御答弁をされるんですか。質問に対して答弁していただかないと、これは議論にならないんじゃないですか。

石野会計検査院当局者 今お尋ねの政府開発援助報償費につきましても、先ほど申し上げましたように、情報収集及び諸外国との外交交渉を有利に展開するためということでございます。支払い相手先を明示して計算証明することが適当でないという点につきましては、他の、報償費以外の経費とは異なるかとは思いますが、そういう性質を持つ経費であるということで承認をしておるところでございます。

山田(敏)委員 今、全然質問と答えが違うことを三回にわたって言われまして、私の持ち時間はもうあと五分しかありませんので、これは改めて文書で出していただくということでいかがでございましょうか。

持永委員長 今の問題、もう少し具体的に質問に対して答えてください。

石野会計検査院当局者 計算証明規則に基づきます承認を与えた経緯は今申し上げたとおりでございます。具体的にODA報償費についてその中身がどういうことであるかということにつきましては、外務省にお尋ねいただければと思っております。

山田(敏)委員 ここに議事録があってお渡しして、そこに、この報償費は家賃に支払われていますと大臣が答弁していると三回言っているじゃないですか。これ以上、時間が全くむだになるので、改めて文書で答えを出していただけますか。委員長、お願いします。

金子会計検査院長 今お尋ねの十一条に基づく特別な取り扱いについてでございますけれども、委員会で御説明申し上げておりますけれども、現在見直しを行っております。その見直しの中で、適切なものについて取り扱いを認めていきたいというふうに考えております。

持永委員長 ちょっと速記とめて。

    〔速記中止〕

持永委員長 速記始めて。

 今の問題は、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

山田(敏)委員 次の質問にさせていただきます。

 財務大臣にお伺いいたします。

 同じく二十三日の予算委員会において、タイの下水処理プロジェクトについてODAの問題を取り上げました。ちょっと簡単に申し上げますと、今七百億円というタイの下水処理プロジェクトが、日本のADB、アジア開発銀行、それからJBICによってODAが行われているわけですが、非常にタイの国内で国民的な大関心事になっております。私、調査に参りまして、私が行ったというだけでタイのすべての新聞がトップで扱いました。

 上院議員過半数が署名捺印で、百三名の方が署名をして、ADB総裁に対して、この事業を見直ししないと、六万人か七万人の住民の方の生活と命がかかっている、非常に大きな下水処理プラントを、ムール貝の養殖をしている一千万坪のその真ん中に百六十万トンという規模のものを出す。これは名古屋市の下水処理と同じ規模です。名古屋市は十五カ所で下水処理をしていますが、このケースは一カ所でそれをやる。

 これについて、環境影響調査をやらないで工事をし、融資を決め、どんどんやっている。しかも、その土地が、百万坪の土地が政治家の汚職にかかわっているということを政府でやっております。汚職委員会で検討しております。このような中で、日本政府としては、私たちの国民の税金を使ってタイの人たちに喜ばれる援助をやろうという観点から非常に逸脱したものになっております。大臣にも答弁いただきました。

 その後、そのまま工事が進んでおりますので、三月六日には実力で、住民の生活がかかっていますので、工事をとめる。いよいよ流血騒ぎというか、大変なことになりつつあります。このような中でもなお財務省はADBに対して――人間の良識として、これは、一回工事を一時中断して環境影響調査をやって、そして住民が納得してから工事を再開すべきであるということが行われるべきことだと思います。

 宮澤大臣は、先日の答弁で、タイの政府の事情はあるけれども、ADBとして独自に決断をすることも考えなければいけない、こういうふうに答弁いただきました。その後、この問題について大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

宮澤国務大臣 この問題につきまして、山田委員からお尋ねがございましてお答えを申し上げましたのは二月の二十三日でございます。その経緯はすぐにADBの千野総裁にも伝えましたが、もとより伝えられるまでもなく、千野総裁としては、これは非常に頭を痛めている問題でございます。

 そこで、かねてのお約束といいますか、予定に従いまして、三月十九日に独立調査を開始いたしました。ADBの出しました三月十九日付のプレスリリースによりますと、「アジア開発銀行及びタイ政府により昨年十一月に提案された調査、独立専門家パネルによる再調査が本日開始された。再調査は十週間程度を要すると見込まれる。」ということでございまして、まず、その環境調査についてのタイ政府を含めました対応は一つはこれで、時間がかかることではありますが、筋に乗ったわけでございます。

 しかし、もう一つの問題はこの件について汚職があるということでありまして、これは御想像いただきますように、主権国内におけるそういう汚職というものの報道があり、あるいは調査が行われる。ADBがどういう態度をとるべきかというのは当然注意しなければならないことでありますけれども、ADB自身も、タイ政府と別に情報収集をいたしております。

 それで、政府による調査が進展いたしましたときに汚職があるということになりました場合には、ADBとしても一般的な、融資をいたしました国における汚職問題についてどのように対応するかというADB自身のポリシーがございますので、政府が汚職があったと判定いたしますと、ADBとしてそれに対応する方針を決めなければならない、そういう状況になるということでございます。

 したがって、政府がどの段階で汚職ありと調査の結果を決定するかどうかは不明でございますけれども、ADBとしては、状況に注意し、また自己の情報収集をしながら、政府がそういう決定に公に至りましたときには、かねてのADBの持っている反汚職政策について態度を決めなければならない、こういう状況でございます。

 山田委員はお詳しいので申し上げるまでもございませんが、普通、主権国家から、この問題はこういう事情になったので一遍ここで中止したいということが言われることが通例でございますが、この汚職についてもし判明いたした場合、果たしてタイ政府がどういう態度をとってくるかというのは、ただいまのところ、当然のことながら不明でございますから、ADBとしても十分な情報を収集しながら、自分の反汚職政策等も頭に置いて、そういう時点になりましてタイ政府がどういうふうな態度に出てこられるかを、非常に注意して見守っておるというのがただいまの状況でございます。

山田(敏)委員 このプロジェクトは大変不幸なケースでございまして、こういうことが二度と起こらないように、大臣、よくお願いします。

 今御答弁いただいた内容ですと、どんどん工事が進んで、このADBの調査だけで五月末になってしまう、汚職の調査はさらに数カ月かかる。そうすると、もうプロジェクトは完成してしまって、住民の人たちは、生活、命が脅かされてしまう。ということは、もう近日中に、まるで成田の事件のような、自分たちの命をかけた戦いが始まってしまうというようなケースでございます。ぜひこのケースを教訓として、このようなプロジェクトが始まる前に、本当にADBとして、環境調査がまさに必要ですから、今ごろ、三月十九日からやりますというような話ではなくて、事前に十分にやる。

 それから、汚職についても現地のジャーナリストがもう三年間にわたって証拠を挙げてやっているわけですから、それをADBがしっかり情報を持って事前にやっていく。このようなケースでやりますと、ほぼ六万人のムール貝の養殖で生きていらっしゃる方が、これはもう壊滅するのは間違いございません。一千万坪の海の真ん中に百六十万トンの排水溝がもうつくられております。これを出すと間違いなくムール貝は汚染される、あるいは死んでしまうということが起こりますので、この次の教訓として、ぜひ大臣、千野総裁に厳しくおっしゃっていただきたいと思います。

 時間が参りましたが、あと一分よろしいでしょうか。

 この件について、JBIC、外務省の方は、九四年のODA白書によりますと、「ツー・ステップ・ローンを活用して、途上国の中小企業や地方自治体の行う比較的小規模な環境対策を推進しようとするもの」、これについて融資をしますということが明確に述べられておるのですが、このプロジェクトは、今申し上げましたように七百億円という膨大なプロジェクトでございまして、この九四年の報告から外れている、にもかかわらずこのプロジェクトに融資を決めたということをちょっとお教えください。

衛藤副大臣 お答えを申し上げます。

 実は、九四年のODA白書に先生の御指摘のように、我が国の環境ODAの施策として、円借款の方式でツーステップローンを活用してこうした事業にも対応できる、このようになっているわけであります。

 御指摘のように、我が方といたしましては、タイのODAにつきましては、私の手元にもありますが、一九九五年、二〇〇〇年、相当の数のODAのプロジェクトを、きめ細かいプロジェクトもやっております。御案内のとおりであります。その中の一つがこれでございまして、これは先生の御指摘のとおり約七百億の事業でありまして、JBICといたしましては六十八億のツーステップローンを供与する、その中でアッパーリミットで五十五億までですよと、こういう形になっておりまして、既に二十八億円ツーステップローンとして出しております。

 さて、この時点におきまして、今先生の御指摘のように、十分な環境評価が行われたのか、もう一点は汚職の問題等、二つあるわけであります。先生の方からさらに、環境評価をしっかりやれ、こういうことが一点と、汚職問題の結論が出るまで待ったらどうか、こういうような問題であります。

 本件につきましては、ただいま宮澤大臣のお答えのとおりでありまして、タイの国家の主権のもとにこの事業が進められておりまして、七百億の事業の中で、JBICとしては現在のところ二十八億ツーステップローンで供与をした、そういう段階になって、どういう態度をとっていくのかということでありますが、当然、先生御指摘のとおり、我が方といたしましても、しっかりとタイ政府に対しまして、環境影響評価等々を十分に行うように、さらには地元の御意見を十分に聞き取るように、そんなことを申し込んで今日に至っておるわけであります。

 しかるに、この三千の工場、さらには六十万人を対象とするタイの下水処理事業、本件につきまして我が方としてツーステップローンでこれを支援するということにつきましては、我が方としては、問題という件については、ちょっとそういう問題はあるにしても正当である、このように受けとめております。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 それでは、通告に従いまして、内閣官房報償費の問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、冒頭でございますけれども、この報償費の問題は、これまでも、予算委員会あるいは外務委員会を初めといたしまして、種々論議がされてまいりました。一向に本当の道筋というものがまだ明らかにされていないというのが本当のところだというふうに認識をしているわけでございます。

 そこで、これまでも予算委員会等におきまして取り上げられておりますいわゆる外務報償費の内閣への上納を示す文書といたしまして、マスコミあるいは共産党の筆跡鑑定によりまして九〇%以上の確率で古川副官房長官の字だと言われております平成元年五月作成の四枚つづりのペーパーがあるわけでございます。筆跡につきましてはマスコミあるいは共産党の筆跡鑑定が行われたというように承知をしているわけでございますが、実はこのペーパーにはタイプが打たれているわけでございまして、ひとつ委員長にお願いを申し上げたいと思っているのですけれども、当委員会としてこのペーパーにつきまして鑑定をお願いできないものかどうか、これを理事会等におきまして検討をお願いしたい、このように思うんですが、委員長、いかがでございますか。

持永委員長 理事会で協議をさせていただきます。

金子(善)委員 それでは、これまでの答弁によりますと、松尾元室長に対しまして、内閣官房から宿泊費といたしまして五年分で二千八百万円、その補てん分といたしましては、報償費から七年分で九億六千五百万円ということでございましたが、これで間違いがないかどうか。それともう一点でございますが、その後の調査の結果、新たな支出は出てこなかったのかどうか。まず、これをお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 これまで国会答弁で申し上げましたとおりでございまして、委員のおっしゃるとおりの金額が松尾元室長に渡されております。

 今回の犯罪容疑の対象になったのは、内閣官房から支払った訪問団全体の宿泊費差額と内閣官房職員についての規定分の宿泊費です。

金子(善)委員 ただいま官房長官の方からは新たな分は出たかどうかという御答弁はなかったわけでございますけれども、報償費から支出されました、七年間さかのぼれて九億六千五百万。その際に、私の方から、二月の九日でございますが、宿泊費の状況というものを資料要求いたしたところ、二月十三日の回答で、五年しかさかのぼれなくなったというようなことで、五年分の資料をもらったわけでございます。この期間の二年分の証拠書類、これはどういうことだったのか。つまり、七年間さかのぼれた一つの資料といいますかペーパーがあるわけです。ところが、資料要求に対しましては、宿泊費を聞いたところ、五年しかさかのぼれないというようなことだったわけですが、この期間の二年分についての証拠書類というものは手元にあるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 御請求の資料につきましては、既に書類の保存期間を過ぎた期間が含まれておりまして、すべてを把握することは困難でございます。保存期間は五年ということでございまして、これは文書管理規程により定められていることでございます。

 あえて申し上げれば、意図的にその立証にかかわる書類、資料を破棄する、そういうことはしていないということだけ申し上げておきます。

金子(善)委員 実はその後、私の方から内閣官房の方に資料の提出をお願いしていた別のものがあるわけでございます。それは、一応の内閣官房報償費の資金の流れ、公金の流れでございますが、これについて説明してほしいということで資料の要求をしていたわけでございます、当方としてはとても満足いくような資料ではございませんでしたが。

 報償費の取扱責任者は内閣官房長官でございます。このもとには、七年分の九億六千五百万という数字が既に出ているわけですから、七年分の領収書があるというふうに考えられるわけでございますけれども、宿泊費の領収書は、実は手元にいただいている、ただいま申し上げました資金の流れでは、領収書は日本銀行にあるというような資料をいただいたわけでございます。そうすると、日銀の方も調査をなさったのかどうか、その辺をまずお聞きしたいと思います。

福田国務大臣 ただいまの日銀云々とおっしゃるのは、報償費全体の話でございますか。

金子(善)委員 ペーパーをいただいているわけなんです。報償費は、領収書は官房長官のところにあるということは再三にわたりまして予算委員会でもお聞きしております。ただ、旅費につきましては、このペーパーがございますけれども、これは内閣からいただいたものです。支払い領収書というのは旅行社と日本銀行との関係になっています、こういう資料をいただいているんです。だから、これに基づいて今質問をしているわけです。

福田国務大臣 ただいまの、領収書は、これは五年分はさかのぼって保存しているわけですけれども、それ以前のものは破棄していると思います。

金子(善)委員 ただいまお聞きしましたのは、日本銀行に対して調査を行われたかということをお聞きしているわけでございます。

福田国務大臣 それは、私ども、手元にある資料によって確認をしたわけで、日本銀行に対してそういうふうな調査をしたとかいうことはございません。

金子(善)委員 実は、ただいま提示いたしました資料も、大分時間がかかりながら、再三にわたりまして要求をしていたところ、ようやく出てきた資料だったわけなんです。ここへはっきりと、領収書は日本銀行というふうに書いてあるんですね。

 そうしますと、私は、この内閣官房報償費の問題というものは全体的に調査をしなけりゃいけないということを再三にわたりまして予算委員会でもお尋ねをしてまいったわけでございますが、領収書の保管先というような形でこちらに来ているわけですから、五年間がどうのこうのという問題以前の問題として、日本銀行に対しても調査と申しますか、問い合わせと申しますか、そういうことをしなければ全体像を把握できないんじゃないかということを申し上げたいと思うんです。

福田国務大臣 日銀の分につきまして、お求めがあるようでございますので、これは調査をしてみたいと思います。

金子(善)委員 では、その点、必ずやっていただきたいと思います。

 そこで問題は、松尾元室長にかかわる、いろいろな犯罪の問題にかかわる報償費の問題になっているわけでございますけれども、詐欺あるいは横領というような捜査対象になっている書類でございますから、保管義務が五年間だから急遽処分したというようなことは、これは絶対にあってはならないと思うわけでございますけれども、それはなかったのかどうか、それをお聞きしたいと思います。

福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、意図的にそういう処分をしたことはないということは断言させていただきます。

金子(善)委員 では、次に進ませていただきたいと思います。

 内閣官房としては、これまでも官房長官は、これはあくまでも刑事事件としての観点からというような焦点を置かれた答弁をなさってこられました。しかし、私は、あくまでも税金である内閣官房報償費の問題は、もう一つの側面、これは民事の損害賠償をしなきゃならない、そういう事件ではないかというふうに思っているわけでございます。そのための、いわゆる民事としての損害賠償を松尾元室長に対して行う、あるいはそのほかにいるのかどうかわかりませんけれども、そういう調査というものはどれぐらい進めておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。

福田国務大臣 内閣官房としては、損害の実態を独自の調査により明らかにすることは困難であるということから、捜査による真相の解明に全面的に協力していくということにしております。今後、被害の事実が明らかになれば当然返還請求を求める、こういう考えでございまして、賠償請求を確実にするために現時点でとり得る措置及びそのために必要な資料について外務省、法務省と現在相談をしている、そういうところでございます。

金子(善)委員 そこが非常に我々とと申しますか、官房長官が言われる点につきましては納得がしかねるところで、ずっとこれまで推移してきているわけでございます。

 と申しますのは、松尾元室長は三月の十日に逮捕されました。予算委員会でも再三質問させてもらっておりますけれども、捜査機関が調べるというのはあくまでも刑事責任としての追及である、その観点からの立証可能なものしか捜査機関は当然できないわけでございます。

 私がちょっと考えただけでもすぐ、簡単にできるのではないかと思いますのは、松尾元室長に幾ら金が払われたか、渡っているかということは内閣官房としても押さえられている。それで、あとは、使い道といたしましては、いわゆる総理大臣の外遊に際しての旅費の差額を補てんするためにその経費というものが使われたんだというふうに了解しておりますということを答弁されているわけでございます。少なくとも、総理大臣の外遊の場合に、泊まったホテルを把握できないわけがない。これは五年あるいは七年でもさかのぼれるのではないか、私はこのように思います。そうすれば、その各ホテル、そういうところへ問い合わせをする、そのためには、在外公館もあるわけですから幾らでも、時間もあるだろうし、そういうことを考えますと、容易に金額がわかるのではないかというふうに思います。

 そういう点で、民事で損害賠償を行うという観点から、何も刑事事件としての捜査機関の捜査をまつまでもなく、一定の金額の確定というものは可能なのではないかと思われるんですが、その点、いかがでございますか。

福田国務大臣 本件は既に捜査が開始されておりまして、今まさに委員のおっしゃったようなことを捜査当局で真相解明の努力をしているところでございます。

 なかなか煩雑でございまして、首脳会談をする、例えばサミットになりますと百五十人から二百人ぐらいの人が随員として出ていく、こういうことでございまして、そういう人の一人一人について行動を把握するということは、正直申しまして、これは弁解にもなりますけれども、なかなか困難であるということがございまして、こういうことをすべて外務省の松尾元室長に当時依頼をしておったわけですね。

 そういうことでございますので、我々としてどういうチェックをしたのか、調査をしたのか、こういうふうに言われますと、それは十分な調査をしているわけではないし、またそれは困難であるという事情があったということは、これはひとつ御理解をいただきたいということを申し上げる次第でございます。

 捜査の進展も見ながらいろいろと我々も協力をしている最中である、こういうふうにお考えいただきたいと思います。

金子(善)委員 ただいま官房長官の方から、調査をまだ続行中だというようなお話、あるいは、なかなか複雑な要素もあるので調査そのものが大変なんだというようなことを言われたわけでございますが、私は、この問題の大きさを考えた場合、どんなに困難であっても徹底的にやるというのが当たり前の姿勢ではないかというふうに思います。その点に対しまして、外国のホテル、そうたくさんあるわけではない、恐らくそこに確認はされていないというような御答弁だと今承ったわけですが、これはやってみるべきではないかというふうに私は最低限思います。

 それと、実は民主党といたしまして、この疑惑問題に対しましてプロジェクトチームを結成いたしまして、私もそのメンバーとして今活動をしているわけでございますけれども、いわゆる関係資料の担当になっておりまして、各省庁にいろいろお願いをしてきた状況があるわけでございます。その中で、各省庁への私どもの事務所の方から当たっている感じでは、どうも内閣官房にいわゆる調査を本当にやろうとする意欲そのものが欠如しているのじゃないか、各省庁の方はむしろこの問題に対しては比較的協力姿勢があるのではないか、私はそのように受けとめております。官房長官はまさにこれは困難な複雑な要素があるからということをよく言われるのですが、どんなに困難であっても事実は明らかにする、そういう姿勢がまず必要なのではないか。

 そこで、ただいま申し上げましたように、各省庁への問い合わせ等というのはどうやっておられますかということをお聞きしているわけですが、どうも内閣官房の方はこの調査そのものに非常に消極的というか、そういう感じがしているわけです。官房長官御自身の気持ちの中に非常に複雑な問題でなかなか大変なんだという気持ちがあるから、官房長官のもとの職員までがそういうような姿勢になっているおそれはないのかどうか、その辺、官房長官にはっきりと御答弁をお願いしたいと思います。

福田国務大臣 それは、私どもはこの調査に消極的であるというふうに言われますと、外から見るとそういうふうに見られるのかもしれぬけれども、しかし、事は我々の報償費にかかわる問題ですから、これは非常に深刻に受けとめております。

 ただ、調査とおっしゃられましても、その調査を裏づけるものはすべて外務省にあり、そしてまた外務省の出先にあるわけです。出先ということは、ホテルとかそういう関係するような機関、そういうところにございますので、外国大使館に聞かなきゃいけないとか、それから外国大使館からホテルに聞かなきゃいけないとかいうようなことがありますから、そういうことについては外務省が初動捜査でそういう調査をしているわけです。それから、その後は捜査機関が入ったわけですよ。

 ですから、我々としてはそういうところにお願いをするということ、そしてまた協力をするということでもって、いささかもそういうことについて我々がちゅうちょしているとかいうようなことはないので、その辺はひとつ御理解いただきたいと思います。我々もその気持ちはあるのだけれども、要するに、調査する対象がほかの人の手の中に入っているということなんです。

金子(善)委員 官房長官の御認識というものがどうも私は理解しかねるところがございます。

 そこで会計検査院にちょっとお伺いしたいのですが、二月二十二日の予算委員会における私の質問に対しまして、検査を集中的に行うというようなお話がございました。早いもので、あれから一カ月以上たっているわけでございます。当然検査は終了したと考えているわけですが、その点、院長、どうですか。

石野会計検査院当局者 検査の実施状況ですので、私の方からお答えさせていただきます。

 今お話しのとおり、今回の事態に関しましては、外務本省については一月末、内閣官房については二月下旬にそれぞれ会計実地検査を行ってございます。

 調査が終わっているかというお尋ねでございますが、会計検査院としましては、現在、会計検査の観点から、本件事態の事実関係をさらに十分調査するとともに、その発生原因究明あるいは再発防止策の検討ということで鋭意検査をしている段階であるということでございます。

金子(善)委員 会計検査院も私は非常に姿勢がおかしいと思います。先ほどの午前中の当委員会での審議におきましても、会計検査院は、私の同僚議員の山田委員に対します答弁におきましても非常に消極的な答弁だったというふうに思っております。

 そこでちょっとお伺いしますけれども、たとえ内閣官房報償費であっても、宿泊費の補てん、宿泊費については領収書は要らないのですか、要るのですか。そこだけ一点答弁をお願いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 本件事態につきましては十分な事実関係を調査したいと思っておりますが、一般的に申し上げまして、領収書は、とれるものについてはこれを当然とって保管しておく必要があるというふうに考えておるところでございます。

金子(善)委員 まさに今会計検査院から答弁がありましたように、仮に内閣官房報償費であっても、とれる領収書はとらなきゃならないというのがいわゆる会計法上の大原則になっているわけでございます。したがいまして、当然領収書というものは官房長官の手元になければならない、そういう性格のものでございます。

 その点に対しまして会計検査院にちょっとお伺いしたいのですが、重大なところでございますのではっきり答弁していただきたい。

 会計検査院は、検査は今続行中だというふうに言われました。内閣官房のどこを調査しているのか、そこをちょっと答弁してもらいたいと思います。

石野会計検査院当局者 内閣官房の報償費の使い方ということで検査をしております。

金子(善)委員 具体的にお伺いします。

 三月十四日に民主党での部門会議がございまして、その際、内閣の方から会計課長さんに来ていただきました。その際に、報償費についての領収書は官房長官の手元で保管されているというお話がございました。それで、官邸を調べていると。会計検査院は、問い合わせるだけでは検査じゃないですからね、検査というものはしかるべき方法とあれが、もちろんプロでいらっしゃるからそこはわきまえてやっておられると思うんですが、官房長官の手元をぴしっと検査されましたか。

石野会計検査院当局者 当然、検査の過程では、必要な書類、領収書も含めまして提示を受けまして、説明を聴取して検査をしておるということでございます。

金子(善)委員 会計検査院の答弁というのは、この問題については一貫して真実の解明をやろうというような姿勢が見られない。では何のために会計検査院というのは存在するかと考えた場合ですが、国民はあくまでも、政府内部において不正あるいは不適当な問題があった場合に、第三者的な立場に立って会計検査院がそこを厳しく調査をするというのが会計検査院の役割だったと私は思います。

 そもそも会計検査院は、内閣官房報償費が旅費の差額に使われていたということを知らなかったというのが現実なんです。それは会計検査院としての予算委員会での答弁でもあったわけでございます。今の答弁を聞いても、もう既にいわゆる報償費のお金が旅費に使われていた、旅費の補てんではございますけれども旅費に使われたということがはっきりした以上は、その領収書が必要なわけですから、そこをきちっと見ているのかどうかということを私は質問しているわけなんです。幾らお聞きしても進まない話でございますから、そこはよく検査をする、この問題はこちらとしてはこれからも何回も徹底的に質問していくつもりでございますので、そこをよくわきまえて答弁をしてもらいたいと思います。

 そこで、官房長官は、これまでの予算委員会の答弁におきまして、差額分が余りにも大きいのじゃないかというような質問に対しまして、いや、十倍ぐらいかかることもあるのだというような答弁をされておられるわけでございます。しかし、これは私どもの事務所と、あるいは同僚議員のいろいろな調査あるいは各省庁の資料等に基づきまして計算してまいりますと、まず、四千二百万円という数字、これは御承知の数字でございますが、これは、九八年十二月のASEANの首脳会議、それから九九年二月のフセイン国王の葬儀の参列の際の宿泊費について、それぞれが二千六百万と九百万。それから、九七年十一月の橋本総理のサウジアラビア訪問で、これは迎賓館に宿泊したわけですから本当は無料なんですけれども、七百万円をだまし取ったというようなことで、四千二百万円が詐欺容疑だというふうになっているようでございますが、これは間違いないところかどうか、お聞きしたいと思います。

福田国務大臣 三回の外国出張で合計して四千二百万、こういうことでございますけれども、今御指摘の、サウジアラビアの訪問のとき迎賓館云々というお話がございました。迎賓館に泊まれば全部無料というわけじゃないんですよ。それは相手国、国によりまして扱いが違いまして、首脳と側近数人は無料だけれどもそれ以外の随員はお金を取るとか、一切合財全部面倒見ますというところもあるというようなことでございまして、いろいろなケースがありますので、サウジでもってお金が取られたからという、違法だということではないようにも私は思っております。今まさにそれを調べておる最中でございます。

金子(善)委員 ただいまの官房長官の御答弁でございますけれども、私はちょっと質問の仕方がまずかったのかどうかわかりませんけれども、詐欺容疑はこれで間違いございませんかということを質問したつもりだったわけでございますが、時間が参りましたので、残念でございますが、最後に一点だけ御指摘しておきたいと思っております。

 それは、内閣官房につきまして平成十二年四月以降の宿泊費の調整額を見てみますと、つまりこれは松尾室長の時代じゃないということでございます。平成十二年八月の南西アジア訪問から平成十三年一月のアフリカ訪問までの調整額というものを見ますと、調整額、つまり旅費が足りなかった補てん分と考えてよろしいわけですが、それに相当するもの。二八%、三一%、四七%、一番高いところでも平成十二年十月の韓国訪問の一・六倍、この程度なんです。

 それで、私は思うんですが、このような十倍というような観点でのこと、官房長官はこれまでも予算委員会で再三にわたりまして言われてきたわけでございますが、そこはきちっとなお調査をしてもらいたい、このように認識を変えていただきたい、このように思います。

 時間が参りましたので、私はこれで質問を終わらせていただきます。

福田国務大臣 ただいまの御指摘の点は、これは対象が違うんですね。総理の宿泊が入っているか入っていないかで、それは十倍になるか一・何倍になるか、こういうことでございますので、その辺の認識をひとつお改めいただきたいと思います。

持永委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 本日は、NPO法に関連して伺いたいと思います。

 NPO法というのが施行されましてからしばらくたちまして、来年度の税制改正においては税の優遇措置というのも盛り込まれるようになっております。私自身は、NPO自体は大変結構なことだというふうに思っております。

 というのは、今の日本では官がほとんど公を独占しているような状況であるわけですが、公というのは必ずしも官がやる必要はないんじゃないかという意味において、NPOの活用が望まれるところでございます。

 また、財政事情なんかを考えましても、どんどんと国の仕事というのはアウトソーシングをしていかなきゃならないし、そういった意味でもNPOというのが受け皿になっていくだろうというふうに思います。

 また、税の優遇措置ということにつきましても、今まで国が税金とか郵便貯金という形でお金を吸い上げて、そしてその使い道を公共投資とか財政投融資という形で国が決めていく、そういった経済社会の運営のあり方を見直して、官ではなくて民の方にお金がたくさん残るような形で改革するということは大変意義があるというふうに考えておるところです。

 しかし、その一方で、NPOへの信頼性というのを高めていかなきゃいけないんだろうと私は思っておりまして、仮にもNPOが犯罪に利用されたりとか、それに関与をする、あるいはされるということがあってはならないというふうに思っているわけです。本日は、そのあたりについてちょっと伺いたいというふうに思っております。

 まず、一般論としてお伺いをいたしますけれども、NPOの認証取り消しの要件は今どのようになっておるんでしょうか。

坂井副大臣 特定非営利活動促進法の基本的精神といいますのは、市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することでありますし、公益法人等の従来の他の法人格付与法と比較して、所轄庁による公権的な手段の行使に関してかなり抑制的な監督規定になっております。こうした観点から、特定非営利活動法人については、情報公開を通じて市民の監視のもとに置くことを基本としており、こうした市民の監視だけでは解決できない事態に備える最終的な是正手段として必要最小限度の監督の権限が所轄庁に付与されているというのが実情でございます。

 こうした限定的な監督権限の中に認証取り消しに関する規定があります。特定非営利活動促進法における特定非営利活動法人の設立の認証取り消しの要件としては、まず一つは、設立認証の基準となっている特定非営利活動法人となるための要件を欠くに至ったと認めるときその他法令、法令に基づいてする行政庁の処分もしくは定款に違反したとき等で所轄庁が行った改善命令に違反した場合であって、かつ、他の方法によっては監督の目的を達することができないとき。第二に、三年以上にわたって所轄庁に対し事業報告書等の提出を行わないとき。三番目に、法令に違反した場合において、改善命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないとき。以上でございます。

 いずれにしても、内閣府としては、法の基本的精神を踏まえつつ、これらの監督のための規定に基づいて適切に監督権限を行使していきたいと思っているところであります。

中塚委員 それじゃ、次にちょっと個別の案件について伺いたいと思います。

 一九九九年の九月に当時の経済企画庁がNPO法人として認証をしたものに日本人権擁護連合会というのがあるようです。そして、この認証されたNPO法人の元役員というのが、認証前の案件ではあるんですけれども、中小企業向けの貸し渋り対策、いわゆる特別保証制度を悪用して法外な手数料を受け取っていたということで、出資法違反によって逮捕、そしてまた送検をされております。

 具体的には、九九年の四月に横浜市内の信用金庫からの融資、安定化特別保証一千万円を仲介し、二百十二万円の手数料を受領した、このことで、二〇〇〇年十月二十二日に逮捕され、そして十一月十日に起訴をされているわけです。これが最初の立件であって、その後も、二〇〇〇年十一月二十七日あるいは同じ年の十二月七日、十二月二十日に、出資法違反によって幹部が追送検をされたり、また逮捕をされたりというような事件が起こっております。まさしくこういった事件が起こった後でこのNPO法人の認証がなされているわけです。

 そして、その二〇〇〇年の八月なんですが、これは認証後の話になりますけれども、このNPO法人の会長を含む幹部三人が賭博開張図利ということで逮捕をされております。この事件に関しまして報道機関が当時の経済企画庁に問い合わせたところ、本件では捜査の進捗状況を見ながら取り消しを含め検討するというふうに回答をしているようですが、現状ではどのようになっておりますでしょうか。

池田政府参考人 特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法には、今副大臣が申しましたとおり、最終的な是正手段として必要最小限の監督権限が第五節に規定されておりまして、第四十一条が報告及び検査、第四十二条が改善命令、第四十三条が、今お話があった認証の取り消しでございます。

 これらの規定は、いずれも特定非営利活動法人の不適切な行動を要件としておりまして、今回の一連の出資法違反の事件は、現在まで得ている情報では、当該法人が特定非営利活動法人として設立の認証を受ける以前の事件ということでございまして、その要件に該当しないということで、監督処分を今とるつもりはございません。

中塚委員 重ねて伺いますが、設立前の案件であったということで、今おっしゃった報告とか検査とかあるいは改善命令ということもされていないということでよろしいのですね。

池田政府参考人 先ほど申しましたとおり、監督権限を行使する要件は、特定非営利活動法人が不適切な行為を行うということでございまして、特定非営利活動法人として認証する前の事件については監督処分を行うことはできないというふうに考えております。

中塚委員 それでは、法人の認証前の事件であるということでございましたけれども、法人の認証後にも賭博開張図利というような事件でこの団体の会長が逮捕をされているということもあります。今御答弁がありましたことに加えて、これも報道機関からの問い合わせに対して、当時の経済企画庁さんは、NPO法人としての犯罪行為という情報が現時点ではないというふうに回答をされているようなんですが、そのとおりでよろしいのでしょうか。

池田政府参考人 二つの事件を委員御指摘になっておりますので、それは整理した方がよろしいかと思いますが、まず出資法違反の件につきましては、先ほどから答弁しておりますとおり、特定非営利活動法人でないときの事件ということですので、法人としての関与云々以前の話だろうと思います。

 賭博開張図利の件につきましては、この件は個人を対象とした罰則でございます。ただ、私どもとしましては、法人としてもそういう行為に関与しているのだろうかという点につきましては警察当局の方にお伺いをしておりますが、そういうことはないというような情報をいただいております。

中塚委員 それでは次に、警察庁にもお越しをいただいていますので、警察庁の方に伺います。

 今の賭博開張図利、あるいは認証後の案件というのがあるのかどうか、ちょっと私は承知はしておりませんけれども、この件に関しまして、NPO法人としての犯罪行為という事実はあるのでしょうか。

岡田政府参考人 若干重複があるかもしれませんが、御容赦いただきたいと存じます。

 二件の案件がございまして、神奈川の案件につきましては、先ほど御説明がありましたように、事案がちょうど平成十年八月から十一年四月のことでございますので、認証前ということでございます。

 それから、警視庁で検挙をいたしました賭博事件につきましては、この賭博事件の概要をちょっと申し上げさせていただきますと、品川区のゲーム店で賭博場を開張した事件があって、十二年の五月に賭客を含む十六名を現行犯逮捕いたしました。その後の捜査によりまして、そのゲーム店の実質的なオーナーがかかわっていたということで三名の者を逮捕したわけでございますけれども、その中の一人である実質的オーナーがお尋ねの法人の会長を務めたことがあるということでございました。しかしながら、犯罪行為自体は賭博行為ということで、その法人の名をもってとか法人の活動としてというふうに行われたというような事実関係は承知していないところであります。

中塚委員 内閣府の方としては、捜査当局の方から法人としての関与があるという連絡はないということで、またそういう事実はないということでよろしいのでしょうか。

池田政府参考人 ただいま警察庁の方から御答弁がありましたとおりの情報を私どもいただいておるということでございます。

中塚委員 というわけで、神奈川県警なり警察庁の方というのは、経済企画庁に情報提供をしていないというわけではないのですね。いかがなんでしょう。

岡田政府参考人 細かい言い方をして大変恐縮でございますけれども、神奈川県警として直接に情報提供をしたという話は聞いておりませんけれども、警察庁といたしましては、関連の情報を御連絡申し上げているということでございます。

中塚委員 報道によれば、融資の仲介というのはこの立件されたもの以外にもあるということであって、しかもNPOの資格取得申請中にこの仲介、あっせんを行っていたケースもあるというのですね。また、容疑者のうちの一人の方というのは、関係先、金融機関へ出向いて行って、今度NPO法人になりましたとかいうふうなことを言ったりして、そのとき応対した関係者は、NPO法人になったからといって対応が変わることはないというふうには言っておりますけれども、加えて、国が認めた団体となるとむげに断るわけにもいかなかったというようなことが新聞の記事にも掲載をされているところであります。

 それで、警察庁さんとしては、内閣府に対して認証の取り消しを再三要求しているというふうに聞いているんですが、事実はどうなんでしょうか。

岡田政府参考人 御案内のとおり、特定非営利活動法人の認証の取り消しにつきましては、その要件が法律に規定されているところでございます。要件を満たす場合に所轄庁、本件のケースですと内閣府ということになるんだろうと思いますけれども、所轄庁において取り消すことができるものと承知しております。

 本件の認証の取り消しに関することにつきましては、私どもは、その御判断の参考として、先ほど申し上げましたような情報を当時の経済企画庁に提供していたというものでございます。

中塚委員 ということは、重ねて伺いますけれども、認証の取り消しを要求されたということはないんですね。情報を提供されたということでよろしいんですか。

岡田政府参考人 そのように御理解いただいて結構でございます。

中塚委員 それでは、法人格を取得する前の事件についていろいろとお話をさせていただいたわけなんですけれども、法人格を取得後にこういった案件、事件というのに関与していた例というのはありますか。警察庁、お願いします。

岡田政府参考人 委員からの御指摘にもございましたかとも思いますけれども、逮捕した事件は一件でありますけれども、合計して四件の事件をその後送致いたしまして、これが起訴になっております。しかしながら、その後の、法人が設立された後に関係者がいわゆる出資法違反の事件を起こしたということについては承知をいたしておりません。

中塚委員 ということで、法律で決まっているから認証前の事件については関係がない、認証後であっても個人の犯罪だから関係はないということ。個人の犯罪ということになれば確かに関係はないのかもしれませんが、ただ、やはり私はNPOに対しての信頼というかそういったものを著しく損ねているのではないのかなというふうに考えるところであります。

 そういう意味におきまして、これは例えばNPO法人というのが悪用された例というふうには考えられないんでしょうか。警察庁にお伺いをします。

岡田政府参考人 悪用という言葉が何をもって悪用というかというのはなかなか微妙なところはあるのだろうと思いますけれども、取り消し要件とかあるいは改善命令という要件との関係で見ますと、それは各種の情報を集めて所轄庁において適正に御判断されるべきものではないか、このように思っております。

中塚委員 すごい縦割り行政なんだなというふうに思いますが、いずれにしても、つかさつかさということであっても、こういったことがNPOに対する信用、信頼というのを損なうということではいかぬのだなというふうに私は思っておるところでございます。

 というわけで、今後のことについて坂井副大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、やはりNPOが大変大事ですし、監督なりが比較的緩やかであるということも理解はできないわけではないんです。ただし、やはりこういった犯罪行為にも関連をしているような事案でありますので、こういったことについてはちゃんと対応をしていくべきだと考えますけれども、副大臣、御所見はいかがでございましょうか。

坂井副大臣 先ほどから答弁を申し上げていますように、特定非営利活動は自由に、できるだけ必要最小限の監督権限ということですから、犯罪行為に対してもきちんと対応すべきじゃないかという御指摘については、そこの人的な問題でなくて、特定非営利活動法人が行う行為について、その監督規定について、先ほど申し上げましたような、例えば四十一条第一項ですと、法令をもってする行政庁の処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由がある場合に報告徴収または立入検査を行うという監督措置、そういうような必要最小限度において適正に講じていきたいと思っております。

中塚委員 今そういうことになっているというのは確かによくわかるのではありますけれども、副大臣としてのお考えというよりも例えば政治家としてのお考えとしまして、やはり犯罪行為等があった場合、そういったときに認証を取り消すとかそういった明確なガイドラインというのが必要ではないのかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

坂井副大臣 ガイドラインを設けるべきじゃないかという御意見ですけれども、非営利活動法人が法令に違反する行為をした場合はそれぞれ監督規定に基づいて適切に対応してまいるわけですから、ガイドライン自身の策定というものも必要じゃない、私はそういうふうに思っております。これも今までいろいろ議論がありましたように、できるだけ行政監督の関与を必要最小限にする、そういう意味では、情報公開をいろいろしながら自主的にいろいろな規制がされていくということが望ましいわけでありますから、やはり認証取り消しのガイドラインとかそういうものは、策定自身は必要じゃないというふうに私は思っております。

中塚委員 先ほども申し上げましたけれども、このたびNPOになりましたということを言うことによって、やはり相手方も、国が認めた団体となるとむげに断るわけにもいかなかったというふうな答えも上がってきているわけですので、私が言っているのは、そういう意味で、やはりこういったことは、認証を取り消すようなガイドラインというのはきちんとつくっておかないと、一生懸命まじめにやっているNPOの方が圧倒的に多いのは当然の話でありますし、今回の事件でも、それはもちろん、たまたまNPOであったのかもしれません。この出資法違反の話、コンサルタント業というのを他の法人形態、株式会社なんかでやっているような事件もあるようなので、そういう意味ではたまたまNPOであったのかもしれませんが、ただ、承認が甘くて監督も緩やかであるというようなところにいろいろつけ込む余地があってはいかぬのではないかなというふうに思っているわけです。

 次に、村上副大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、来年度の税制改正にはNPOに対する優遇税制というのが盛り込まれております。先ほども申し上げましたけれども、大変結構なことであるというふうに思っておりますし、我が党としては租税特別措置法全体には反対をしたわけだけれども、この部分については結構なことだというふうに思っているわけです。

 それで、今の具体的な事例でいきますが、今回の具体的な案件のような場合、このNPOに対する税制の優遇ということについては、来年度の改正によりますとどのように判断をしていくことになるんでしょう。

村上副大臣 仮定の問題なのでちょっと答えられませんが、一般論として答えるとするならば、税制上の優遇措置の対象となるNPO法人の認定については、法令に違反する事実、偽りその他不正の行為により利益を得または得ようとした事実その他公益に反する事実がないことということを要件として設けております。

 また、既に認定を受けているNPO法人がこの要件に違反した場合には、認定を取り消すということにしております。

 それからまた、法人格を付与した所轄庁から、法令、法令に基づく行政庁の処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由がない旨の証明書交付を受けていることを要件とすることとしておりまして、認定される法人の適正性を担保するために必要な措置を講じることとしているところであります。

 そういうことでありますので、先ほどの具体的事例については、認定した所轄官庁がどのような取り扱い方にするということによって決定されていく、そういうふうに考えております。

中塚委員 それこそ税を税制の面で優遇するということになれば、これはNPOも育てていこうというふうなお考えがおありなんだろうと思います。

 それこそNPO法自体が成立をするときに与野党問わずいろいろな議論がありました。すごくNPOに対して厳しい見方をするものから、あるいはNPOに対して、積極的に推進という見地から、ちょっと甘過ぎるんじゃないのというふうな、そういった議論もあったわけですが、ここへ来てやっと税の優遇の話が出てきたわけですので、やはりこの部分は本当にそういう意味で一番大切になるんだと私は思っております。

 NPOの法人を認めるということは、法人格を付与するということについてはいろいろ考え方はあるんだろうと思うんですが、税を優遇するということで、本当にひとり立ちをしていってもらわなきゃいけないし、こういうNPOというセクターを日本の中で育てていくということが問題になってくるんだろうというふうに思いますので、こういった優遇税制がくれぐれも悪用をされることがないように、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

村上副大臣 まさに中塚委員の御指摘のとおりでありまして、中塚委員の御趣旨に沿うように一生懸命監督指導していきたい、そのように考えております。

中塚委員 では、これで終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 私は、KSD汚職問題について質問を行いたいと思います。

 三月二十一日に村上正邦前自民党参議院議員会長が受託収賄の罪で起訴されました。これで東京地検の捜査は大きな山を越して、捜査は事実上終結したんじゃないか、こういう話も出ておりますけれども、これはとんでもない話ではないかと思います。

 東京地検が村上前参議院議員を起訴したのは、KSD側から、ものつくり大学の後押しの代表質問を依頼をして、その見返りとして現金と事務所家賃、計七千二百八十万円余りのわいろを受け取った容疑であります。KSD事件の最も核心というべきKSDによる自民党員集めや膨大な幽霊党員登録、そして自民党費の数十億円もの党費の肩がわり問題、さらには額賀福志郎元官房副長官に対する千五百万円の資金提供問題についてはまだ未解明のままであります。これらの問題をうやむやにしたまま捜査を終結させてはならないということはもう明らかであります。また、旧労働省の指導監督責任、さらには行政をKSD側にゆがめた事実はなかったのかどうか、この問題も未解明のままであります。

 今月の十四日に、厚生労働省が、「KSDをめぐる調査結果及び処分について」、こういう文書を発表いたしました。この調査結果は、外国人研修生の受け入れ、あるいはものつくり大学設立などの政策について政治家からの働きかけはなく、政策として適切に意思決定されたと述べるなど、KSDにかかわる旧労働省の役割について自己弁護に終始する、そういう報告書になっている。マスコミの論調でもまことに白々しいという、私もそういう思いを強く持つわけであります。

 そこで、きょうは大変限られた時間でありますけれども、歳暮の贈答問題、あるいは旧労働省の指導監督責任などを中心に質問をしたいと思います。

 労働省においては、かつてリクルート事件で、当時の肩書で事務次官あるいは職業安定局業務指導課長、この二名が収賄罪に問われるという事件がありました。以降、労働省においては、この事件を契機に、八九年五月十九日付で、「本省内部部局における綱紀粛正の徹底について」、こういう内規を定めました。そこに歳暮、中元等についても定められているわけでありますけれども、この歳暮、中元についてはどのような規定になっているでしょうか。

桝屋副大臣 お答えを申し上げます。

 ただいま当委員会の提出資料の中にも入っておりますけれども、労働省の平成五年五月十九日の綱紀粛正の徹底についてというこの文書の内容についてのお尋ねでございます。

 おっしゃるとおり、この五月十九日付の文書につきましては、八九年、平成元年のものでございまして、リクルート事件等を受けてつくられたものでありますけれども、この中で、この通達では、接待に関しましては、「関係業者等からの接待は受けない。また、関係業者等とのゴルフ、麻雀等の遊技は行わない。」というふうになっているわけでございます。また、委員御指摘の歳暮、中元等の金品の受領に関しましては、「関係業者等からの金品は、歳暮、中元、餞別等名目の如何を問わず受領しない。」旨が定められているところでございます。

大森委員 今配付をいたしました資料の一にその内規も掲載をしておりますけれども、その中でも明らかなように、歳暮は受領しない、送付された場合には返送する、ゴルフ、接待についてはこれは当然受けない、マージャン等の遊技も行わないということになっているわけであります。

 十四日に発表したこの調査報告書では、「KSDからの歳暮については、平成五年ないし六年まで贈られていたとみられるが、「返送した記憶がある」とする者が数名いたものの、ほとんどの者は「記憶がない」としており、明確に「受領した」とする者はいなかった。」こういう報告の発表になっておりますけれども、これほど都合のよい調査報告はないんじゃないかと思います。

 受領した人たちの記憶を喚起するためにも、今度はお配りした資料の二を見ていただきたいと思います。この資料は九三年十二月十二日、労働省幹部あてに発送されたお歳暮のリスト一覧と、お届け伝票をその資料二の二ページにつけております。お歳暮の中身は稲庭うどん、五千円相当の品物と言われております。お届け伝票を見ますと、労働省幹部三十五人に送られております。

 発送の依頼人は、豊明会中小企業政治連盟の幹事長であった中村勝彦、贈賄側の被疑者になっているわけですが、受託収賄容疑で逮捕された村上正邦容疑者の贈賄被疑者として逮捕されている人物であります。依頼人の住所は、墨田区両国の住友不動産両国ビル七階。このビルの七階は、豊政連が入っていることは御存じのとおりであります。

 そこで、厚生労働省にお聞きしますが、今回の聞き取り調査の中でこの事実は把握されたでしょうか。

戸苅政府参考人 ただいま御質問の平成五年十二月のお歳暮のリストでございます。当時の現役が二十七名、それからOBが八名でございました。これも私ども資料として入手いたしておりまして、調査対象者外の者もこの中に入ってございましたが、調査対象者外の者も含めまして三十五人全員につきまして、その記憶があるかどうかということについて確認をいたしております。その結果の報告書になってございます。

大森委員 今の答弁、末尾がちょっとはっきりしなかったんですが、確認をしている最中なんですか、確認をしたわけですか。

戸苅政府参考人 確認済みでございます。

大森委員 やはり、これは記憶になかったということでしょうか。私どもの直接の調査、KSD関係者からも話を聞きましたけれども、稲庭うどんを返送してきた人は一人もいなかったということであります。

 今回、あなた方の調査対象者は、過去十年間事務次官に在籍していた者、さらにはKSD、アイム・ジャパン、KGSを直接所管する局長、審議官及び課長職に在職していた者に限定しているわけでありますが、私がお配りした資料二を見ていただいてもわかるように、お歳暮の対象はぐんと広いわけであります。当初から、今回の調査については直接所管する部署だけという御説明をいただいていたわけですが、先ほどの答弁ですと、それに反するわけですね。二局三課とだけ伺っていました。ところが、この三十五人は二局三課にとどまらない、幅広い局にわたっております。したがって、当初の調査対象は二局三課ではなかったということですね。

戸苅政府参考人 今回の調査は、労働省職員とKSD及び労働省所管の関連の公益法人との間で、節度を超えた関係により、公務員としての信用が損なわれていないかどうかということを目的として調査いたしたものであります。したがいまして、調査対象も、これらの法人を所管している部局の責任者たる幹部職員、全部で四十五名でございますが、これを対象として、会食、ゴルフその他金品等々がなかったかということを確認いたしたわけでございます。

 ただ、歳暮につきましては、今委員御質問の資料も含めまして、実は、平成三年のお歳暮リストというのがマスコミで報道もされておりました。そういうことで、これにつきましては、そのリストに載っている人間全員をチェックしてみたというものでございます。

 それから、もう一つ申し上げますと、今回の調査は、会食、ゴルフ等を中心に行ったものでありますけれども、調査の過程でも、調査対象になりました幹部職以外の者が参加していた、課長補佐とかそういう者が参加していたという情報はなかったということでございます。

大森委員 今の答弁にもありましたけれども、平成三年、九一年の歳暮リストについては、確かにマスコミから出されておりました。今回の調査報告書では、当然それとの関係で皆さんはこれを読んだと思うんです。今初めて国会の場で九三年のリストを出したら、実はそれも承知していたということでは、それこそ都合のよい答弁になってしまうんじゃないかと思います。今改めて私から資料を提起したわけでありますから、記憶がないなどと言わせないで、はっきりとこの当事者について調査をすべきだと思います。

 加えて、これは三月二十一日の坂口厚生労働大臣の記者会見でも、先日の発表だけで終わったわけではない、新しいことが出てくれば対応しなければならない、こういうことも述べておられるわけでありますから、もしこの三十五名も含めて記憶にないというようなことであれば、また調査に当たる皆さんが、それを真に受けてそのまま調査報告に発表するということは、まことにゆゆしい問題であると思います。改めてこれは調査し直し、それについて発表すべきだと思いますが、副大臣、いかがですか。

桝屋副大臣 今官房長からも報告をさせていただいたところでありますが、今回のお歳暮等の取り扱いについてもるる御説明がありましたように、委員の方からもお話がありましたが、平成三年のものは既に出回っているということがマスコミ等でも言われたわけであります。加えて、平成三年あるいは五年といううわさ話もあったわけでありまして、今回の調査は、直接の所管をする課といいますか、そうしたところを中心に行ったわけでありますけれども、歳暮については、今官房長から御報告をさせていただいたような調査もさせていただいたところであります。

 その結果、五年あるいは六年ぐらいまで行われていたのではないかという、そんな背景から、返送した記憶があるとする者が数名いたものの、ほとんどの者は記憶がないというふうに報告があったわけでありまして、明確に受領したとする者も逆になかったということでありまして、なかなかその辺の記憶をきちっと押さえることはできなかったということであります。

 ただ、調査そのものは、今官房長からも報告しましたように、そうした出回っている情報も我々は十分念頭に置いて調査をさせていただいたということでございます。

大森委員 接待問題についても、例えば、二月二十四日付の読売新聞で、受託収賄容疑で逮捕された村上前参議院議員が労相に就任していた九二年十二月以降、旧労働省の事務次官経験者七人のうち六人が料亭接待を受けていたことが報道されております。

 この宴席には、旧労働省の次官経験者や現職幹部が軒並み顔をそろえた、こう報道されておるわけですね。したがって、この調査に当たって二局三課に限定したというのは、やはり間違いじゃなかったか。対象も大いに広げる必要がある。対象を広げて再度調査を行う。先ほど申し上げたように、KSD関係者は、例えば今提示した三十五名については返品した者は一人もいないと言っているわけであります。こういう接待を受けて、それによって何をやったのか、このことが大変重要であるわけなんですが、そこらがあいまいだということで、今回の調査報告についてもやはり内部だけでの調査の限界だ、こういう指摘もされているわけであります。

 そこで、改めて、調査対象を広げる、かつ第三者を入れて旧労働省内部を調査するということをぜひ御検討いただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょう。

桝屋副大臣 今回の調査では、大臣も大変に意識を持って推移を見守ったわけでありますが、可能な限り厳正な事実関係の確認に努めたところでございます。

 今後においても、今委員からも御指摘がありましたけれども、調査を実施する必要性が出てくれば、それは接待等について新たに具体的な事実が判明をしたりあるいは重大な疑惑が生じた場合には、改めて厳正な処置を講ずることが必要であるというふうに大臣も言っているわけであります。

 今回の調査は、労働省職員とKSD及び労働省所管の関連公益法人との間の節度を超えた関係により、公務員としての信用が損なわれないかどうか、こういう観点から調査をしたものであります。これは、大臣も何度も予算委員会等で答弁をさせていただいているところでありますが、調査対象も、これらの法人を所管している部局の責任者たる幹部職員としたものでございます。ぜひそれを調べろという厳しい御指摘も予算委員会等であったところであります。

 調査に当たりましても、各人の申告内容の食い違い、若干時間もたっておりまして、実は四十五名調査をいたしましたけれども、各人の申告が相当食い違っておるということもあったわけでありまして、クロスチェック等も行いながら、調査担当者につきましても、旧労働省だけではなくて、厚生労働省が発足したわけでありまして、旧厚生省職員も担当者に加えるなど、公正かつ客観的に取り組んできたところでございます。

大森委員 今四十五名の調査とおっしゃったわけですが、この三十五名は入るわけですか。

戸苅政府参考人 先ほど申し上げたとおりでありまして、四十五名につきましては、KSD及びKSD関係の労働省所管の公益法人、これを所管しておりました幹部職員でございます。

 そのほかの職員についても、情報があったものについては確認をするという姿勢で調査し確認をいたしたところでありまして、先ほど申し上げましたように、お歳暮リストにつきましては平成三年と平成五年、二つの資料を私ども入手いたしましたので、資料というか情報でございますが、これは重ねて調査をし、あるいはその四十五名に入っていない職員あるいはOBについても調査をしたということでございます。

大森委員 先ほど紹介した報道記事でも二局三課にとどまらない対象があるわけで、それを新たなことが判明してあればというような姿勢は、これはもう世間は納得できないのではないかと思います。

 こういう形で、内規で禁止されているにもかかわらず、料亭、ゴルフ接待を受けたり、歳暮等を受領している、これは旧労働省の幹部がいかに麻痺しているか。ある新聞では、法務、検察幹部は、旧労働省は天下りと接待で骨抜きにされている、そういう酷評までされている状況まであって、今回の調査報告書にはそういう真剣な自覚というのが全く感じられないわけであります。

 感覚が麻痺している問題は、内規違反だけじゃない。これは八八年十二月二十七日、大臣訓令で綱紀の保持に関する委員会を設置いたしました。この委員会は、労働省の職員に対し、綱紀粛正に係る閣議決定の趣旨の徹底を図り、もって綱紀の厳正な保持及び士気の高揚を図るためと定められております。委員長は大臣官房長をもって充てるとなっているわけですね。

 お配りした資料の三を見ていただきたいわけですが、歴代の綱紀の保持に関する委員会のメンバーであります。その中で、横線が引っ張ってあるのが今回処分されたメンバーである八人。また、発足から九三年までの間のメンバーで、先ほどの九三年のお歳暮リストに登場する者が十六人にもなっております。綱紀の保持に関する委員会のメンバーが、料亭、ゴルフ接待やお歳暮を受けている、こういう状況になっているわけで、これでは一体だれが綱紀保持に責任を持つのか、全くこれはゆゆしい問題であると思います。その点、どうですか。

桝屋副大臣 今委員から御指摘のありました八八年、昭和六十三年十二月に設置をされました綱紀の保持に関する委員会でございますが、今委員からもお話しのとおりでありまして、リクルート事件の反省の上に立ちまして設置をされたものでありまして、目的も、今おっしゃっていただきました。綱紀粛正に係る閣議決定の趣旨の徹底を図り、綱紀の厳正な保持そして士気の高揚を図ることを目的として設置をされたものであります。

 その綱紀の保持に関する委員会、この委員を務めた者の中に今回厳しい結果になったメンバーがいるではないか、こういう御指摘をいただいたわけであります。こうした、みずから率先して綱紀の保持に努めなければならない立場にあったにもかかわらず、国家公務員として適切を欠く行為があったということはまことに遺憾でありますし、大臣もそのように申し上げているわけであります。

 なお、今回の三月十四日に発表いたしましたその処分におきまして、厳正な処分を行ったところでございます。

大森委員 言葉だけはいろいろ言われたわけでありますけれども、前回のリクルート事件の際にもいろいろあったわけです。しかし、こういうような結果になっているということで、そういう意味で、第三者がきっちり入った調査が必要だということを私は重ねて強調しておきたいわけであります。

 問題は、接待だけじゃないのです。特に、調査報告書では天下りの問題、これについては一言も触れておりません。一九九〇年以降、旧労働省からKSD二十六人、アイム・ジャパン二十七人、KGS八人と、六十一人も天下りをしているわけであります。特にアイム・ジャパン、ここは年一人ぐらいだったのがだんだんふえて、九六年は四人、九八年は六人、九九年は九人、この面でも大変な癒着ぶりを示しているわけであります。

 その意味で、接待と天下りで骨抜きにされているというような論評までされているわけですが、天下りに対して調査報告書に載せなかった、こういう天下りがあったからやはり指導監督等があいまいになったのじゃないかという指摘についてはどうですか。

戸苅政府参考人 KSD及びKSD関係団体への労働省職員のいわゆる天下りについての御質問でございますが、これにつきましては、労働省出身者で再就職している者については、いずれも労働省勤務を通じまして培いました知識なり経験を生かしてそれぞれ勤務をしているというふうに考えておるところでございます。

 これらの者の再就職によって労働省のKSDに対する指導監督に影響を及ぼしたということはなかったというふうに考えておるわけでありまして、政策決定の過程につきましては、十四日に発表いたしました報告書にも書いてございますが、それぞれ関係省庁とも協議し、あるいは部内で適正な処理をした上対応しているということだというふうに考えております。

大森委員 天下りは単なる再就職とは違うのです。これは指導監督の関係にある、そういう関係での再就職ということで、そこで問題になっているわけであります。

 KGSは、毎年度事業報告書、収支計算書等々を主務大臣である労働大臣に提出し、承認を受けているわけですが、そこで、資料の四を見ていただきたいと思います。ここで横線が引っ張ってありますけれども、これはKGSの九六年度収支計算書の一部であります。支出の部に会議費の小科目があり、備考欄に議連総会他百六十八万九千円となっております。

 この議連というのは、言うまでもなく国際技能工芸大学設立推進議連のことですね。九八年八月十日現在の役員名簿を見ますと、この議連は顧問に中曽根康弘、竹下登両氏、会長に村上正邦、幹事長に藤井孝男、事務局長に上杉光弘の各氏が就任しております。議連に参加しているメンバーはいずれも自民党の衆参議員だ。言うまでもなくこの議連は自民党の中に設置された議連であります。

 そこで、次の資料五でありますけれども、これは平成十二年十一月十五日付の大学設立推進議員連盟に関する報告の文書であります。文書のあて名の佐藤事務局長とは、これはKGSの事務局長です。報告者の名前も資料にありましたけれども、これは都合上消しました。この文書を見ますと、KGSは九六年六月に行われた議連の設立総会の費用、さらに二十億円の増額を要求し問題となった九九年十一月二十九日のホテルニューオータニで行われた朝食会の費用など、二百四十八万円余り負担しているわけです。

 こういう国際技能工芸大学設立推進議員連盟、自民党の中の議連のその会合費を公益法人であるKGSが負担するのは、KGSの正常な事業活動と言えないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

桝屋副大臣 今資料四でお示しをいただきました、これはKGSの平成八年、九六年度の収支報告書の内容でございますが、この内容についてでありますけれども、国際技能振興財団に確認をしたところによりますれば、当時、連立与党の自由民主党内におきまして、国際技能工芸大学設立推進議員連盟の設立の動きが具体化していたわけであります。こうしたことから、同財団において関係議員に御参集をいただいて、国際技能振興財団の事業内容あるいは当時の職人大学構想等について説明をし、理解を求める機会をつくったというふうに聞いているところでございます。

 そこで、平成八年の六月、朝食会形式によりまして開催されました同議連の発起人会、それから設立総会の場で財団から説明を行うとともに、朝食を含むこれらの会場の費用を財団が支払った、これが御指摘の支出であろうというふうに思っております。

 今御指摘がありましたけれども、この支出につきましては、同財団が取り組んでおりました職人大学、いわゆる国際技能工芸大学構想の推進の一環として行われたものでありまして、同財団の事業目的に沿ったものでありまして、KGSのことは十分御承知だと思いますが、その財団の目的に沿ったものであるということでありますから、必ずしも問題があるというふうには考えていないところでございます。

大森委員 そこが私は一番の問題だと思うんですね。村上、小山両氏が逮捕され、起訴されたのはなぜか。ものつくり大学の設置を支援するよう提案するなどの質問をするということで、これを後押しすることが最大の起訴理由になっているわけであります。今の御答弁では、そういう村上、小山両容疑者をいわば擁護する、弁護する答弁になっているものだと思います。

 しかも、先ほど示した資料五を見ていただければわかるように、すべての経過が、KGSの設立から決定そして予算の増額に至るまで全部KGSが費用を負担して、そこに労働省の役人が出席する。政官業がまさにこういう形で典型的に示されているものだと思うわけであります。したがって、今のような答弁では、こういうものに対して厳しい態度をとるということがまず求められると思います。

 資料六を見ていただきたいわけですが、時間がもうありませんけれども、この資料は、九六年及び九七年の二回にわたってドイツのマイスター制度を視察した際のメンバー表と日程であります。この視察もKGSが企画したと言われ、推進議連やKGSの役員が参加しております。九六年には、当時の職業能力開発局長、技能振興課の主任技能検査官が参加しております。九七年には、当時の能力開発課企画官も参加しております。一公益法人の海外視察に監督官庁の幹部が参加すること自体極めて異常であります。

 それで、費用については労働省で負担したとなっておりますけれども、要求してもその領収書等も一切出されない。しかし、KGSの関係者に聞いても、団長主催のレセプション、専用バスのチャーター代あるいは通訳代などはKGSで負担しているということでありました。

 これらの経費について今回の調査報告の中でどういうぐあいになっていたのか、この調査の状況についてお聞きしたいと思います。

戸苅政府参考人 今委員御質問の件でございます。これにつきましては、ドイツのマイスター制度、これが世界的にも非常に評価の高い物つくりに関する教育訓練システムであるということで、議連の先生方の日程等に合わせまして同行をいたしたということでございます。

 費用につきましては、今お話がありましたとおり、旅費等につきましては公費で負担ということでありまして、そういったことで、これについての調査は、今回の会食、ゴルフ等の接待の調査対象とはいたしておりません。

大森委員 何でしないんですか。

戸苅政府参考人 これにつきましては、再三国会等でも御答弁申し上げているところでございます。重ねて申し上げるようなことになるわけですが、旅費については公費できちんと支給しているということで問題はないだろうというふうに考えたところでございます。

大森委員 もう時間がありませんので終わりますが、今のやりとりを聞いても、ものつくり大学設置過程を見ても、一つは、議員連盟の会合経費をKGSで負担する。二つは、そのことをKGSの収支報告書に記載しているにもかかわらず監督官庁の旧労働省は何の指摘もしない、深く調査もしない。そして候補地をめぐっても議員連盟が事前承認する。そしてさらには補助金交付のための道をつくるために省令改正までやる。さらにKGSに天下りする。こういう癒着の構造、関係、こういう中で行われた一大汚職事件であるわけであります。

 したがって、今回そういう点に厳しく立ち入って調査をし、明快な結論を出さない限り、三月十四日に発表した調査報告書は何の意味も持たない。またリクルート事件、KSD、次はどういう事件か、こういうことに必ずこれはなっていくと思います。こういう点で、私の質問はまだ時間の関係でできなかった部分もありますので、引き続きこれは追及するということで私の質問を終わりたいと思います。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。

 私は、外交機密費、いわゆる報償費の支出について御質問をさせていただきます。先ほど民主党の金子議員からも御質問がございましたので、引き続いて解明について御質問させていただきたいと思います。

 二〇〇一年度政府予算が二十六日に原案どおり成立いたしました。外務省元要人外国訪問支援室長による詐欺事件を機に機密費の不明朗な使途やずさんな管理の実態が次々と判明いたしましたけれども、私たち野党の強い減額要求にもかかわらず、外務省と内閣官房だけで合計約七十二億円に上る機密費は減額されることなく、執行可能となってしまいました。

 今まで多くの議員の皆様がこの問題について質問をしておりますけれども、いろいろな言いわけをなさってなかなか真相解明になっておりません。やはり国会の場で、特に決算委員会として事実を明らかにしなければ、何のための決算行政委員会かわかりません。そういった意味で、警察の捜査にお任せする部分はあるとしても、なぜこのような多額の現金が一職員の手で自由に扱うことができたのか、私はこうした支出のあり方について疑問を大変抱いております。国民の大切な税金を使うわけですから、できるだけ国民の前に使い道を明らかにする責務は官公庁の職員も国会議員もあることは当然だと思っております。

 そこで、きょうは、大変残念で、外務大臣、内閣官房長官がおいでになりませんけれども、これだけ大胆な不正をなぜ見抜けなかったのか、どこに原因があったのかを、審議官、外務省大臣官房長の皆さんがおいでですので、それぞれお答えをいただきたいと思います。

柴田政府参考人 お尋ねでございます、まず総理の外国訪問に関しましては、内閣官房、私どもとそれから外務省とが連携して総理の外国訪問を支えるというふうになっております。そこでおのずと役割分担というのが出てまいります。在外公館を持って現地の実情に精通している外務省において、宿舎の確保とか宿泊費の見積もりとか現地での宿泊費の支払いなどの役割を分担するシステムとして成り立っていたということでございます。

 要人外国訪問支援室設立以前から、こういう役割分担のもとにシステムができていたわけでございますけれども、内閣官房としては、精算時に添付されていた宿泊先の領収書などの確認によりチェックを行っていたということでありまして、その時点において、私ども、できることはきちっとやっていたというふうに考えております。

 しかしながら、こういうような事件が起こったわけでありますが、今後内閣官房としては、総理の外国訪問を円滑に進めるための、先ほど申し上げました内閣官房と外務省との適切な役割分担の再構築をしまして、再発防止に万全を期するという考えでおります。

 以上でございます。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 累次国会で大臣等から御説明させていただいてきておりますが、松尾元室長は、平成五年十月の室長就任以降、宿泊費についての見積もりの作成から支払い、精算までの事務を上司の決裁を得ることなく一人で取りまとめておりました。まことに遺憾でございますが、松尾元室長がこのような形に、経費の取り扱い及び決済方法を変更するに際しても上司の了解を得ておらず、外務省としてきちっとチェックする体制になっておりませんでした。

 こうした体制の不備が生じました背景には、一つには、同室長に対する指揮系統の不明確さがあったように思われます。すなわち、要人外国訪問支援室は、外務省の組織構成としては官房総務課のもとにあるわけでございますけれども、実際の総理の外国訪問支援業務を遂行するに際しては、その訪問を主管する部局課との緊密な連携のもとに働いており、指揮系統が官房総務課長のもとに統一されているとの認識が薄かったということが今回の体制不備の背景の一つであったと思われます。

 いずれにいたしましても、このようなことにかんがみますれば、組織としてのチェック体制が不備であったと言わざるを得ず、外務省としては大変に深く反省している次第でございます。

山口(わ)委員 今の御答弁でも明らかなように、やはりこれだけ大きな金額が知らない間に使われていたということは、内部のチェックがきちっとされていなかったという御答弁でしたので、この辺は、これからお仕事をなさっていく上できちっと処理をしていくような体制を報告していただかなければいけないというふうに思っています。そのことについては今多分検討中だと思いますので、また決算委員会の方で御質問させていただきたいと思います。

 次に、外交機密費を官房長官あてに出したことは過去にありましたでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の報償費を官房長官あてに支出したことはございません。

山口(わ)委員 普通は、例えば外務省の用事で内閣官房の職員なり大臣が出張するようなときは、外務省の費用を内閣官房長官の方に支払うことはあると思うのですね。そういう仕組みはどこでもされているのではないかと思うのです。例えば隣の課の仕事に隣の職員が行くことは幾らでもあるので、そういう場合にも支払いをしていなかったのでしょうか。

飯村政府参考人 出張の件でございますけれども、官房長官の出張経費等につきましては、内閣官房の予算から支出されるというふうに承知しております。

山口(わ)委員 では、一切ないということでよろしいのですね。

 では続きまして、外務省、内閣官房での機密費と言われる費用ですけれども、報償費の請求というのは、もちろん会計法、財政法に基づいて行われているというふうに思うのです。これは多分請求書でなくて支出予定見積書だと思うのですけれども、この見積書はだれから出されているのでしょうか。そして、その請求書が出されてから現金なり小切手が渡るまでの流れ、これについて御説明をいただきたいと思います。

飯村政府参考人 外務省報償費の支出請求から精算までの手続の流れという御質問と理解いたしますけれども、まず、外務省の報償費を支出する際は、本省においては各事案ごとに、担当する各局、部、課、室において使用目的、金額等を記載した文書が起案されます。取扱責任者、これは局部長以上でございますけれども、会計課長、官房長、事案によりましては次官以上の決裁を経ることになっております。

 この決裁手続の終了後、担当する局、部、課、室において支出依頼書を作成いたします。これを作成の上、これに基づいて外務省の官署支出官が、会計課長でございますけれども、支出決定を行いまして、この支出決定に基づきまして財務省センター支出官から取扱責任者に支出が行われ、その後、取扱責任者から役務提供者等に対する支払いが行われるわけでございます。

山口(わ)委員 今お答えいただきましたように、見積書が出されてその支払いについてきちんとチェックをされるわけですよね。本当にその支払いが正しいかどうかということをチェックするわけで、これはやはり財政法に決められていて、支出負担行為に関係してきちんと認証を行わなければならないことになっているわけです。このことが、当然出された請求書に内容が添付されてくると思いますので、その段階でおかしいとか変だとかというふうに気がつかなかったのでしょうか。

飯村政府参考人 委員の御質問は松尾元室長の犯罪の対象になった資金についてだと思いますけれども、これは内閣官房の報償費でございますので、先ほど私が御説明申し上げましたのは、外務省の報償費の手続でございます。

山口(わ)委員 では、内閣官房の方のお答えをいただきたいと思います。

柴田政府参考人 内閣官房報償費の支出手続でございますけれども、取扱責任者であります内閣官房長官から内閣府の会計課に対しまして支出の請求を行う。そしてこれを受けまして、ほかの予算科目と同様でございますけれども、支出負担行為、それから支出の決定などの会計手続を経て、内閣府の会計課から内閣官房長官に支出をしている。ここの時点で会計法上の手続は終わります。支出を受けた内閣官房長官は取扱責任者として、その報償費の目的に沿って、その都度の判断により、最も適当と認められる方法により執行するというような形になっておりまして、今回問題になっております宿泊費の差額についても、ここの段階の話でございます。

山口(わ)委員 普通はこれは全部細部が決定して請求書が出されてくる経費ではないわけで、これから支出をしようという、つまり資金前渡という形で多分行われていることだと思います。その場合には、やはりなぜその資金前渡が行われなければいけないのか。官房長官から請求書が出されてくる、その請求書については、ただ金額だけ出されてくるのでしょうか。それとも、どういう理由で、どういう中身でこういう請求書が必要だというふうに出されてくるのでしょうか。その辺をお答えいただきたいと思います。

柴田政府参考人 内閣官房の報償費の支出でございますが、官房長官の責任で、その都度の判断で最も適当と思われる方法により使用される経費だということでございます。そういうことで、官房長官の請求に基づき支出をされているということでございます。

 その請求書の具体的内容でございますけれども、報償費の性格から、その使途等に関する事柄にもつながるわけでございますので、大変申しわけないんですが、そこの中身は差し控えさせていただきたいと思います。

山口(わ)委員 これは一般論で結構ですので、資金前渡としていわゆる報償費の請求が出されてくるときは、単なる金額だけなのか、それとも請求の内容まで書かれて出されているのか。別に松尾室長に関係なくて結構ですから、ふだんはどういうふうな、請求書が出されてくるのは金額だけで、そのまま支出をしているのでしょうか。

柴田政府参考人 同じお答えで申しわけありませんが、請求書につきましては、具体的な内容については差し控えたいと思います。

山口(わ)委員 実は、私は自治体の職員を何年かやっておりまして、収入役も経験しておりますが、資金前渡の場合に出されてくる請求書については、収入役はきちっと内容をチェックしなければお金を出さないことにしております。ですから、内容のチェックというのはとても大事なことでして、この辺がきちんとチェックできていればもっと早く発見したのではないかというふうに思うんですが、このチェックをしているかどうかということと、ただ単なる金額だけで出されてきているのか、あるいは内容が書かれて出てきているのかぐらいは、これは事務のシステム上のお話ですので、お答えいただかないというのはちょっと理解できないと思いますが。

柴田政府参考人 宿泊費の差額に関しましては、冒頭も申し上げましたように、外務省から見積書というのが出てまいります。そしてこの見積書に沿って松尾元室長に渡していたわけでございますけれども、そこの段階というのは、先ほども申し上げましたように、会計手続がすべて済んで官房長官の手に渡った後の話だということでございます。

山口(わ)委員 普通は、お金を出すときに、ただ金額だけ出されればお金を出すというところが、もしそうだとすれば、こんなに不明確な支出の仕方はないというふうに私は思うのです。やはりきちっとチェックしてお金というのは支出する必要があるのではないかと思います。

 何回聞いても同じお答えですので、これはまた後できちっと調査を依頼したいと思います。

 それでは、内閣官房費の予算額と決算額についてですけれども、官房機密費については、松尾室長が担当するようになってから官房機密費はどういうふうになったのでしょうか。外交機密費は何かふえているようですけれども、内閣官房費はふえていないようにも聞いているんですけれども、松尾室長以前と室長時代と室長がやめてから、旅費差額相当分の見積書については金額が変わったかどうか、あるいは予算額と決算額について、できましたら平成元年から現在までどういう動きになっているか、御説明をいただきたいと思います。

柴田政府参考人 まず一つ目の、松尾元室長からその都度請求されていた額、要するに外務省から請求されていた額、これが松尾室長がいらしたときとかわった後とどう変わっていたかという御質問からお答え申し上げたいと思うんですが、実は、これは行く先とかそれから同行人員とか宿泊数によって違ってまいりますので、なかなか単純に比較は難しいというのが正直なところでございます。

 それから、予算額、決算額について申し上げたいと思いますけれども、内閣報償費の予算額でございますが、今先生お話ございましたように、平成八年度が十六億二千九十一万八千円、これが平成九年度には十六億二千四百五万八千円、こうなっておりまして、約三百十四万ふえておりますが、それ以降は予算額は平成十三年度に至るまで同じ額で推移をしております。

 それから、決算額でございますけれども、今の平成八年度で申し上げますと、予算額、当初は十六億二千九十一万八千円だったわけですが、これは節約や何かがかかっていますので、補正後の予算額というのが十五億一千六百四万九千円、そして決算額が十五億一千六百四万三千円ということでございます。ですから、不用額は五千円ということになっております。

 それから、平成九年度以降も予算額と決算額、ほぼ近い額で決算が行われている。具体的に不用額で申し上げますと、平成九年度が七千円、十年度が三千円、十一年度が三千円ということになっております。

山口(わ)委員 松尾室長がかかわった部分は当然、大分横流しをしたということですから、ふえていいわけですが、この室長が来る前もそして終わった後も同じ決算額というのは、どうもちょっと私みたいな素人が考えるとおかしいなというふうに思うんですけれども、どうしてこういうふうになるのか、不思議な気がします。

 それで、すぐお答えというわけにはきっといかないのかもしれませんが、できれば後で、予算額、決算額についてと、それから旅費差額相当分の見積書についても、前と室長が担当していたときとその後の見積書を資料として出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

柴田政府参考人 予算額それから決算額の推移につきましては、直ちにそろえてお届けをしたいと思います。

 それから、個々の総理の外遊に伴う見積書につきましては、報償費の使途にかかわるところでもございますので、大変申しわけありませんが、これは提出することは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

山口(わ)委員 報償費というのは、特に外交機密費にかかわる部分はもしかしてあるのかなという気はしますけれども、普通考えますと、報償費というのは手当てなんですよね。ですから、発表できないとか公表できないというものではないというふうに私は思いますので、この辺がはっきりしませんと今度の外交機密費問題については解明ができないし、あるいはこうなった反省もできなければ改善もできないというふうに思います。やはり明らかにしていかない限りいつまでも疑惑が晴れない。そして、私は、松尾元室長だけの問題ではなくて、こういうお金の流れがどこかに落とし穴があってこういう大犯罪が起こるということもあるわけでして、やはりその辺はきちっと解明する必要があるというふうに思いますので、何か伺うたびに資料が出せないということでは何も変わっていかないのではないかと思いますから、ちゃんと出してほしいというふうに要求したいと思います。

 それで、特に報償費について続きますけれども、もちろん資金前渡として認められているわけで、その都度精算という行為が行われなければいけないわけです。資金前渡ですから、あらかじめお金をもらって使うわけですから、幾ら使ったのか、どのくらい余ったのか、何に使ったのかということはきちんと精算という行為が行われなければいけませんし、領収書がつかない場合も多分あると思いますから、そういう場合には支払い証明という形できちっと精算行為がなされなきゃいけないというふうに思っているんですが、こういう行為についてはすべて精算がなされたのでしょうか。

 そして、もう一つお伺いしたいと思いますけれども、この報償費の執行につきまして、使途とか領収書がとれない場合の支払い証明の取り扱いなどを含めまして、内部の事務処理規定があるのでしょうか。そこまでお答えいただきたいと思います。

柴田政府参考人 まず、資金前渡というお話がございました。

 もし私が受け取りを間違っていたらお許しいただきたいと思いますけれども、松尾室長にお金を渡していたということが資金前渡だということかどうかということでございますが、今首を振っておられますのであれなんですが、資金前渡は、もう先生よく御存じのとおりですが、会計手続上の概念でありまして、国庫金の支出についてその方法の一形態を定めたものでございます。内閣官房の報償費は、資金前渡官吏から先ほど申し上げました取扱責任者である内閣官房長官に支出した時点で会計手続は終了している、こういうことになるわけでございます。(山口(わ)委員「もう一つ答えてください」と呼ぶ)

 失礼しました。

 精算の関係でございますが、今申し上げました概念の資金前渡ということで申せば、取扱責任者からの現金支払い請求があって、それに対して支出をした時点で会計手続は終了しているというふうに私どもは考えております。

 それからもう一つ、もし、余計なことかもしれませんけれども、精算ということで申し上げれば、松尾元室長が見積もりをした、そして金を預かって外遊に行った、帰ってきたときの精算ということで申し上げれば、それは当然精算はしておりました。

山口(わ)委員 今もう一つ御質問をさせていただいたんですが、報償費についての内部での事務処理規定があるのかどうか。もしあるのだったらその資料を提出していただきたいと思います。

柴田政府参考人 内閣官房においてはございません。会計法規に沿ってやっているということでございまして、それ以上に事務処理規定を持っているかといえば、私どもにはございません。

山口(わ)委員 実は、私の手元に、これは報償費の取り扱いについての基本的な考え方という資料があるわけですが、では、こういう資料はないということですね。つまり、報償費についての内部事務処理規定というのは今ないというお話でしたが、報償費の取り扱いについて、どういう取り扱いでいくことが大事だというような、内部事務処理規定といいますか、心得といいますか、そういうものがないわけですね。

柴田政府参考人 報償費は、何度も申し上げておりますけれども、内閣官房長官の責任で支払いをしているものでございます。内閣官房長官がその都度一番いいという方法で使っておられるお金でございます。そういうものでございますから、マニュアルというものにもなかなかなじまないんじゃないかなというふうに考えておりますし、あるかないかと問われれば、ありません。

山口(わ)委員 外務省にはないのでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の報償費の支出に当たりましては、当然のことでございますけれども、会計法令に基づいて、他の科目と同様に、所要の省内手続を経て支出をしておりまして、適正な執行を図るための内部の手続はきちっと整えているつもりでございます。会計法上の手続等について、報償費のみを対象とした特段の規則はございません。

山口(わ)委員 それでは、今報償費について会計規則に基づいて支出しているというお話ですから、その会計法上に基づいてなさるその資料を出していただければありがたいと思います。

 それから、先ほど、内閣官房長官には、請求書が出されてそこでお金を支払った時点で終わるというふうにおっしゃいましたけれども、これはあくまでもこれから使うお金ですよね。ですから、使うお金に対して内閣官房長官から請求書を受けてそれで終わりというのはどうしても私には解せないんです。つまり、何に使うかわからないわけですから、使った後の精算というのはなければおかしいというふうに私は思うのです。そのことについては、もしやっていないとすればこれは問題だと思いますので、ただ内閣官房長官に、請求書を出した時点で終わりということなのか、それとも、その後精算という行為は全くないのか、それもお尋ねいたします。

飯村政府参考人 委員の御要望につきましては、私、必ずしも正確に理解していなかったかもしれませんので申しわけございませんけれども、もし会計手続の流れ一般につきまして資料の提出を御要望ということでありますれば、検討させていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、報償費の支出は一般の会計手続にのっとってやっておりますので、その資料の提出を検討させていただきたいと思います。

山口(わ)委員 時間がなくなってしまいましたので、会計検査院に来ていただいて大変申しわけありませんが、先ほど、金子議員の質問で、会計検査をなさっているというお話を聞きましたけれども、実際にどういうふうになさっているかというのは私たちの目に見えてきません。

 それで、これは委員長にお願いですけれども、やはり決算行政監視委員会としてもきちんと、何かきょうの質問を聞いていても、よくはっきり、どうなっているのか仕組みもわからないし、私たちに理解できない部分がたくさんあるというふうに思います。

 ですから、当委員会として、会計検査院に対して、会計検査院法第三十条の二に基づいて、外務省報償費、官房報償費に対する徹底した検査を要求したいと思っております。過去においてもこういうことがあったように聞いておりますので、少なくとも公金の使用に際しての内部事務処理の状況をはっきりさせるためにも、会計検査院はやはり決算委員会の要求に応じてきちっと検査をしていくべきだというふうに思っておりますので、委員長のお考えをよろしくお願いいたします。

持永委員長 今の山口委員の御意見、理事会の方で相談をさせていただきたいと思います。

山口(わ)委員 それでは、どうもありがとうございました。

持永委員長 次回は、来る四月四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時九分散会




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