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第5号 平成13年6月6日(水曜日)

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平成十三年六月六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 義雄君

   理事 菅  義偉君 理事 萩野 浩基君

   理事 石井 紘基君 理事 渡辺  周君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      相沢 英之君    逢沢 一郎君

      臼井日出男君    江藤 隆美君

      奥谷  通君    谷  洋一君

      中川 秀直君    中村正三郎君

      中本 太衛君    長勢 甚遠君

      橋本龍太郎君    武藤 嘉文君

      森岡 正宏君    森田  一君

      上田 清司君    鹿野 道彦君

      金子善次郎君    金田 誠一君

      今野  東君    松崎 公昭君

      松本 剛明君    山田 敏雅君

      神崎 武法君    大森  猛君

      穀田 恵二君    山口わか子君

      近藤 基彦君    土屋 品子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   財務副大臣        若林 正俊君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局長

   )            平山 英三君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環

   境保健部長)       岩尾總一郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  松本 省藏君

   参考人

   (日本中央競馬会理事長) 高橋 政行君

   決算行政監視委員会専門員 鳥越 善弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     中本 太衛君

同日

 辞任         補欠選任

  中本 太衛君     小西  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件




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     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長高橋政行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、人事院事務総局総務局長平山英三君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛施設庁長官伊藤康成君、総務省行政評価局長塚本壽雄君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省自治税務局長石井隆一君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省保護局長大林宏君、外務省大臣官房長飯村豊君、財務省主計局次長杉本和行君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君、厚生労働省老健局長堤修三君、厚生労働省保険局長大塚義治君、資源エネルギー庁長官河野博文君、国土交通省大臣官房長岩村敬君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君、環境省総合環境政策局環境保健部長岩尾總一郎君、環境省環境管理局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。

菅(義)委員 おはようございます。自由民主党の菅でございます。

 早速質問をいたします。

 小泉内閣が成立をして、まさに聖域なき構造改革、その中で、地方交付税を初め税にもかなり踏み込んでおるわけでありますけれども、実は、私自身、横浜の市会議員を二期八年間勤めたわけでありますが、そういう中で、国と地方の税の問題、こうしたことを中心に質問をいたしたいと思います。

 よく、市会議員当時に、暮れになりますと、これは超党派でありましたけれども、それぞれの関係部署に陳情に来ていた。それは、国と地方のまさに租税配分というのが二対一でありますけれども、実際に配分されるのはおおむね地方が二で国が一、逆転をしているわけでありまして、この乖離のために、やはり税源というものを地方に移譲すべきじゃないか、こういうことを実は強く訴えてきたわけであります。昨年の四月から地方分権一括法がスタートをして、総務省の皆さんにおかれましても、このことについては当然私は是正に向けて努力をされておられると思いますけれども、現在の状況についてまず最初にお尋ねをします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方分権の進展に応じまして、地方団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにしますためには、地方における歳出の規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方税の自立を図ることが重要と考えております。また、それを行うことによりまして、行政サービスの受益と負担の対応関係の一層の明確化といった観点で地方分権の推進に資するというだけではなくて、国、地方を通ずる行政改革とか財政構造改革の推進にもつながるものと考えております。

 ただ、地方税を充実いたしまして、一方で国からの財源の依存度を少なくするということになりますと、地方自治体の自主性が高まる反面で、地方自治体間の財政力の格差が拡大するといったような問題点もありますので、今後、関係方面の御意見も伺いながら、税源移譲も含めまして、国と地方の税源配分のあり方について幅広く検討を行ってまいりたいと思っております。

菅(義)委員 私は、税源移譲があって初めて地方分権が確立をする、そう思うものでありますから、ぜひこの是正について早急に、そして前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今、地方の話がありましたけれども、地方交付税制度についてでありますけれども、実は、この制度そのものがやはり、地方の市町村によっては、地方税の増減は余り地方財政には関係なくて、地方交付税に頼っているところが非常に多いものですから、自分たちの負担とか受益、そうしたものというのはほとんど関係がない。そういう中で、やはり私は、地方自治団体の自立を阻害しているとか、あるいは地方の甘えの構造、こうしたものをもたらしている大きな要因でもあるんじゃないかなというふうに思っていますが、これについてはどうでしょう。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体の事務というのは国の法令でかなりの部分が規制されておりまして、そのために、裏返しで申しますと、その分に対する財源の保障を国としてやる責務があるということになります。また一方で、団体の規模あるいは地域の実情等によりまして税収に比例しないような形の財政需要というのが発生することを認めざるを得ませんので、その辺の財政力の調整と、財源の保障をする、そのために地方交付税制度があるわけでございますけれども、ただいま御指摘がありましたように、そのことが地方の自立を妨げたり、国への過度の依存をはぐくむとか、そういうことがあってはいけませんので、私ども、基本的には、将来の方向としては、先ほど税務局長の方からお答えいたしましたように、地方の歳入の中で地方税のウエートを高めていくということを基本方向にしながらも、交付税制度は交付税制度の中で、地方団体における行革、自立、あるいは税収確保努力へのインセンティブが高まるような算定の方法を工夫するように努力していきたいと考えておるところでございます。

菅(義)委員 皆さんの先輩でありますけれども、横須賀の沢田市長さん、これは自治省御出身でありますけれども、この方が月刊誌にこんなことを実は投稿しています。

 非常にこれからは情報通信産業の時代である。そういうことで横須賀に横須賀リサーチパークというのをつくった。これが非常にうまくいって、国の内外から四十の企業が進出をしてきた。当然これは税収がふえるわけですから、かなりの税収がふえた。しかし、結果として、ふえた税収の七五%に当たる地方交付税が減額をされてしまった。これは、一生懸命にやった自治体がある意味では損をするような現在の仕組みでありまして、その本の中に、努力しても報われない財政システムなら、そうまでして税収格差を是正しようとする結果の平等主義は納得できない。

 そういうことを皆さんの先輩である沢田市長が書いていますけれども、これについてはどう思われますか。

香山政府参考人 現在の交付税制度で申し上げますと、交付税を計算する場合には、各地方団体の税収の、市町村の場合は七五%を基準財政収入額に計算して、基準財政需要額から差し引きするという計算をいたしております。したがいまして、企業誘致などによって税収の増加があった場合には、その二五%は間違いなく純増になりますが、その七五%の部分が交付税の中に埋没すると言えば言えないこともないというふうに言うことができると思います。

 ただ、これは、先ほども御説明いたしましたように、地域間の財政力の調整をする、あるいは国が義務づけをしている経費の財源を保障するという要請が一方にあり、一方でまた、個々の地方団体における課税努力だとかそういったものに対するインセンティブを確保しなくちゃいけない。その辺の折り合いをどうつけるかというのが、七五%というような水準になってきておるわけであります。

 時代とともにこの比率を見直すべきだというような議論もあります。そういうことも含めて、私ども、先ほども申し上げましたけれども、地方団体の努力と、国の財源保障、財源調整、その辺の要請、その辺の折り合いをどういうふうにつけていくか、今後ともよく検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

菅(義)委員 先ほどの答弁にもありましたけれども、やはりインセンティブのある仕組みにしなきゃならないと思いますよね。これについてそういう方向で検討するということでありますけれども、これは具体的にはどんなことが考えられますか。

香山政府参考人 まだ具体的に私ども検討いたしておるという意味ではございませんけれども、問題点として言われておりますのは、先ほど申し上げましたように、交付税の計算をいたす場合の基準財政収入額に算入する割合、市町村の場合はその団体が取る税金の七五%を基準財政収入額というふうに見まして、これとその団体で必要と思われる経費、基準財政需要額との差額が交付税ということになるわけでありますが、この比率を高めるようにすれば、その分だけ各地方団体の自主的な努力によって得た税収がその団体へたくさん行くということになります。

 一方、この比率を高めますと、その部分だけは各団体の税収に比例する財源ということになりますから、地方団体間の財政力格差が拡大して財源保障機能が全体として後退せざるを得ないというような問題になります。

 したがって、国の地方行政に対する介入でありますとか関与というものはどの程度になるか、それから税収の地域偏在がどの程度になるか、それとの兼ね合いで考えていく問題になっていくということでございます。

菅(義)委員 ぜひ、努力をした自治体は報われるような仕組みを早急におつくりいただきたいと思います。

 政府の経済財政諮問会議の中で、いわゆる地方自治体が実施した公共事業の借金の返済の一部を地方交付税で肩がわりする方式は、いわゆる小規模の市町村への配分が手厚くなる算定方式、段階補正、これについても見直しを検討する、こういうことでありますけれども、これについてはどう思われますか。

香山政府参考人 経済財政諮問会議、まだ私どもの方に答申等いただいているわけではございませんで、内部で議論をされている段階でございますけれども、その過程で申しますと、要するに、段階補正等によって小規模な団体には割り増しの算定をしておる、それが合併の阻害要因になっておるとか、あるいは小さな団体における行革努力を損なっているのではないかというような指摘がなされておることは事実でございます。

 先ほども御説明申し上げましたけれども、地方団体の歳出については、義務教育でありますとか公共事業、社会保障、いろいろな分野で国が関与いたしておりまして、したがって、その関与に応じただけの財源保障はする必要がありますけれども、国の関与によって決まる地方団体の財政規模というのは、地方団体の人口等に単純に比例するわけではないということが一つ。それから、いわゆる一般的なスケールメリットというような議論からいいますと、小さな団体の行政経費が、特に経常的経費が割高になるというのは避けられない。そういう意味で、段階補正というようなことで割り増しをするという算定を行っておるわけであります。

 そういう意味で行っております段階補正でありますから、いわゆる合併のためのむちとしてこれを縮減するというようなことは交付税の性格上あり得ないわけでありますが、一方で、時代の要請、変遷、あるいは地方団体における行革努力等を十分期待するという観点から、それではどの程度割り増しをすべきか、それについて合理的な数字がどのくらいかというのは、常に見直しをしていく必要があるわけであります。

 そういう観点で、私ども、段階補正を初めとしたもろもろの補正につきまして、常に合理化を目指して見直しを行っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

菅(義)委員 私の選挙区の横浜市は、人口も三百四十五万人でありますけれども、平成八年の国税徴収額が一兆三千億、いわゆる還元されたのが約三千億だったんですよね。しかし、ある県は国税徴収額が千五百億で三千五百億円も還元されている。これについては皆さんもいろいろな理屈があると思いますけれども、ただ、これだけ乖離している。やはりこれは問題があると私は思いますけれども、こういう状況についてはどう思われますか。

香山政府参考人 私ども、交付税を算定する場合、ただいま小規模団体の方の割り増しのことだけ御説明させていただきましたけれども、一方で、都市部の団体につきましては、昼間の流入人口と定住人口が違うとか、そういうもろもろの都市固有の行政需要を反映した補正も行っておりまして、それによって都市部における需要というものには一応対応させていただいておると思っておるつもりでありますが、全体の数字で申しますと、先生御指摘のとおり、都市から地方に財源が移転しておるような数字になっておるということは事実だろうと思います。

 ただ、これは、都市部はそうでありますけれども、いわゆる田舎の方からいいますとまた別の言い分がありまして、国土保全だとか水だとか空気だとか食糧だとか人材の供給だとか、そういうことは地方が担っておるし、一方で税収の帰属について言いましても、都市部には確かに本社機能が集積しておるのですけれども、実際の製造現場は地方であって、そのための行政対応は地方の方がむしろ大きいんだというような言い分もあります。

 そういう言い分は情緒的なものに流れる面もありますので、私どもは、そういうことではなくて、都市部と郡部の客観的な行政需要というものを反映して交付税で調整をしていく。その前提としては、国が地方に行政の内容について一定の関与をしておるということと、それから、それぞれの段階、規模によって行政コストが一定の程度差がつく。人口が大きいところはどうしてもスケールメリットが働くので、人口一人当たりの額で見るとやはり少額になるというのは避けられない事実である。その辺のことの中に地方を甘やかすような要素が入らないように、常に見直しを行いながらそういう算定をやっていくということが私どもの基本的な考え方でございます。

菅(義)委員 地方自治体が元気になるには、やはり自分たちで努力をしたら報われる、そういう仕組みをつくることが非常な大事なことでありますので、ぜひその辺のことを十分念頭に入れて当たっていただきたいというふうに私は思います。

 そこで、地方はそんな状況でありますから、例えば東京の外形標準課税に代表されるように、地方が独自で税源を求めて税制を確立しよう、そういう動きが全国に広がっておりますけれども、こういう動きについては総務省はどのように思われますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 課税自主権の制度につきましては、地方分権の推進の一環といたしまして、課税自主権の尊重、それから住民の受益と負担の関係の明確化等の観点から制度改正がなされたものであります。

 ただ、租税は国民に対して負担を強いる公権力の最たるものであることもありまして、法定外税の新設、変更等につきましては、地方団体の課税自主権を尊重しつつ、国税などと課税標準が同じく、かつ住民の負担が著しく重くならないかどうかとか、あるいは国の経済施策に照らして適当かどうかといったような要件を決めまして、それに照らして反しない場合には同意しなければならないといったような規定もあるわけでございます。

 総務省としては、今先生がおっしゃったような、地方自治体の財政も厳しい中での自主的な課税努力というものはできるだけ支援していきたいという基本的な姿勢に立っておりますけれども、同時に、今申し上げましたような地方税法の規定によりまして、法律上問題点があるものにつきましては同意ができない場合もあるのもやむを得ないのではないかと思っておる次第でございます。

菅(義)委員 そこで、具体的にお尋ねしてまいりますけれども、横浜市でJRAの新税構想というものを実は発表しました。結果的には総務省の同意を得られなかったわけでありますけれども、地方税法六百七十一条の消極要件を総務省は非常に広く拡大解釈して同意しなかったのではないかなというふうに私は思っておりますけれども、この法定外普通税を十分に認めていく余地というのはあるのかどうか、まず総論からお尋ねします。

石井政府参考人 横浜市の勝馬投票券発売税についてでございますけれども、法定外税制度の趣旨にのっとりまして、いろいろ総合的に検討を行ったわけであります。ただ、地方税法六百七十一条第三号の「国の経済施策に照らして適当でない」場合にやはり該当して、これは残念ながら同意できないものと判断せざるを得なかったものでございます。

 もう少し具体的に申しますと、まず中央競馬は、競馬法それから日本中央競馬会法に基づきまして、中央競馬会が、畜産振興及び民間社会福祉事業の振興のために財政資金を確保することを目的として、しかも刑法の特例として独占的に行う特別な制度でございますので、特に重要な施策として、地方税法六百七十一条第三号の「国の経済施策」に当たると判断したものでございます。御理解を願いたいと思います。

菅(義)委員 総務省の皆さんは、かつて自治省時代の昭和四十六年九月に、この法定外普通税を導入しよう、そういう経過があったわけですね。四十六年当時は自分たちで導入しよう、今回はこれがだめだという全く逆の立場になったわけでありますけれども、これについてはどう思われますか。

石井政府参考人 競馬開催税構想というのが、先生御指摘のとおり昭和四十六年当時あったわけですが、これは、当時競馬場周辺の環境悪化が問題となっておりましたことから、中央競馬会の競馬場が所在しております十一の市や町におきまして、競馬場周辺の環境改善を図るための財政需要を積算して、いわば十一の団体共同の取り組みということで、勝馬投票券の売り上げに、その周辺の環境整備のための財政需要を賄うための金額も計算しまして、税率一%で課税する法定外税として検討したものでございます。

 ですから、今回の横浜市さんの勝馬投票券発売税の考え方とは大分、確かに競馬に関連するという意味では似ていますけれども、中身は相当違うのではないかと思っております。

 なお、競馬開催税構想につきましては、当時の自治省とそれから農水省さん、それから大蔵省との間でいろいろ協議もいたしまして、先生御承知だと思いますけれども、環境整備交付金を中央競馬会が予算化するということで、関係自治体も納得をされた経過がございます。ということで、御理解を賜りたいと思います。

菅(義)委員 今の局長の答弁ですと、当時は、今違うということでありますけれども、今回横浜市が導入しようとしているのは全く同じなんですよね。当時、市町村税課はこの法定外普通税をかけようということで必死に頑張った。しかし、結果できなかったわけであります。まして、横浜市も今度同じように五%の法定外普通税をかけようということでありますけれども、先ほど、国の経済施策ということでありますけれども、畜産振興を初め国の経済施策ということであれば、すべてが国の経済施策に当たってしまうのじゃないか。ということは、すべてを同意しない、税源を移譲するつもりはないんじゃないか、こうとられてもしようがないと私は思いますけれども、これについてはどう思いますか。

石井政府参考人 「国の経済施策」の解釈でございますが、一般に国の経済施策といいますと、経済活動に関して国が行うべき施策をいうということになるわけですけれども、ただ、先生も今御懸念のように、経済活動に関して国が行います施策というのは非常に幅広く、経済活動全般に及んでおりますから、経済活動に関して国が行う施策というのがすべて地方税法の「国の経済施策」に当たるということになりますと、御懸念のありますように、法定外税に同意を与える余地がほとんどなくなってしまうことになります。

 その点、この地方税法六百七十一条の第一号及び第二号は、住民の負担が著しく重い場合とか、あるいは物の流通を阻害する場合とか、相当重要な事柄が列挙されておりますので、文理上も、この三号の解釈として、単に国の経済に関する施策全般が入るということではなくて、特にその中でも重要な、または強力に推進を必要とするものに限られるというふうに私どもは考えておりまして、先生の御懸念のように、経済活動に関すればもう何でもだめになるということではないというふうに考えております。

菅(義)委員 では、経済施策でないというのはどんなものがありますか。具体的に答弁してもらえますか。

石井政府参考人 せっかくのお尋ねでございますが、どういうものが経済施策でないか具体的にとおっしゃいますけれども、そもそも国の経済に関する施策にだれが考えても当たらないようなものはもちろん該当しないわけですが、恐らく先生がおっしゃっておりますのは、一応経済施策に当たるけれども、ここで言う法律上の「経済施策」というのはどういうものなんだということだと思うのです。

 これはなかなか、私どももできるだけそこを明確にしたいのは山々なんですけれども、非常にそこはケース・バイ・ケースといいますか、具体的な事案に即して考えませんと、かえって実際の事案が出てきた場合に、本当はここは経済施策に照らして適当でないとまでは言えないといって同意できる場合でも、あらかじめそれを示しますと、かえって地方団体の課税自主権を制約するようなおそれもありますので、これはなかなか具体的に、この場合はこうだと一般的に申し上げるのは難しいという点を御理解賜りたいと思います。

菅(義)委員 ということは、この裁量権を全部総務省が持っていて、少しでも関係のあるものは認めない、もっと言うならば、地方に税源を移譲させないというふうにとられてもしようがないことじゃないですか。まさに、昨年四月一日からスタートした地方分権推進の一括法の趣旨と全く異なる考え方じゃないかなというふうに私は思いますけれども、これについてはどうですか。

石井政府参考人 先ほども申し上げましたが、私ども、地方税法六百七十一条第三号の「国の経済施策」というのを一般の用語として考えますと、非常に幅広い概念でありますのは先生のおっしゃるとおりでありますが、そういうふうに非常に広くとらえますと、御懸念のようにほとんど地方団体の課税自主権が制約されるということになりかねないわけでございますので、その中でも特に重要なもの、特に強力に推進する必要があるものというふうに判断されるものが、ここで言う「国の経済施策」である、その点は、地方税法六百七十一条の第一号と第二号、これとのバランスから考えても、法令の解釈としてそうだというふうに考えております。

 今後も、私どもは、まさにおっしゃいますように地方分権の時代でありますし、地方団体の課税自主権の尊重をできるだけやりたいというのは、私ども総務省、本当に真剣にそう考えているわけでありまして、具体的な事案が出てまいりますれば、できるだけ課税自主権尊重の趣旨に沿って運用といいますか、対処してまいりたいと思っております。

菅(義)委員 これはやはり明快な基準というものを公にすべきですよ。そうしないと、すべてその裁量権が総務省にあるわけですから。わざわざ法律を変えて、許可から同意になったわけでありますから、その辺のことを十分考えて当たっていただきたいなというふうに私は思います。

 ところで、横浜市が、これに対して係争処理委員会に審査申し入れをしました。これについてはどう思われますか。

石井政府参考人 私どもは、今回の横浜市の法定外税につきまして、法律上の要件に照らして同意できるかどうかということについて、総務省内で非常に真剣に議論したことはもちろんですけれども、地方財政審議会でもたしか合計十一、二回も御論議をいただき、もちろん横浜市さんにも来ていただいて、私どもに対してだけではなくて、地方財政審議会の場でも意見を言っていただく機会を設けましたし、幅広く関係者の御議論をいただいた上で判断したものでございます。したがいまして、この総務大臣の判断というものを御理解いただきたいとは思っておったわけでございますが、横浜市さんの方で、やはりこれについては納得できない、国地方係争処理委員会に申し出をしたいということでありまして、現に今そういう手続に入っております。

 これは、地方分権一括法によります地方自治法の改正によりまして、そういう仕組みをつくったわけでありまして、私どもは、国、地方は上下主従の関係ではなくて、できるだけ対等協力の関係でいかなきゃいかぬと常日ごろ思っておりますので、そういうふうに係争処理委員会の場で議論するということは、それはそれで意義のあることだと思っておりまして、私どもとしても真摯に対応してまいりたいと考えております。

菅(義)委員 総務省は、やはり地方分権を推進する立場に立っているわけでありますから、そういう意味では、財源も地方に移譲できるような仕組みをぜひ積極的に私はつくってほしいし、ましてや先ほどの六百七十一条の三号ですね、これは余りにも漠然とし過ぎていますから、やはりきちっとした形の基準というものをつくるべきであるということを私は強く要望をいたします。

 そこで、きょうは日本中央競馬会から高橋理事長さんにもお見えいただいていますけれども、なぜ横浜市が中央競馬会に目をつけたか。これは、馬券の売上高というのは、昭和四十七年から、当時は百七十五億円、今日は七・八倍の千三百六十三億円なんです。しかし、いわゆる環境整備費ですか、これは七千三百万円から、一・五倍しかない。売り上げが七・八倍も伸びたのに、環境整備費は一・五倍しかない。これは、実は余りにも売り上げと比べて低過ぎるのじゃないか。これについて理事長はどう思われますか。

高橋参考人 今、環境整備費につきまして、売り上げに比べて低いんじゃないか、こういうお話だったと思うのですが、環境整備事業費というものはどういうものかということでございますが、実は、結局、場外発売をしておりますから、それに起因いたしまして、交通が非常に混雑する、そういうものを防止したり、あるいは周辺環境の改善を図ることを目的としておるわけでございますから、こういった目的と関係なくただ単純に発売金額に応じて予算計上をするという考え方ではございませんで、交通混雑の状況あるいは目的に沿った需要動向、そういうものを見ながら年度ごとに適切な額を計上しているというものでございますことをひとつ御理解願いたいと思います。

菅(義)委員 これは、売り上げが伸びればそれだけお客さんが来るわけですよね、お客さんが来るから売り上げが伸びるわけでありますから。例えば、同じ公営ギャンブルで競艇がありますよね。競艇は、売り上げの一・四%を地元へ協力金として、これは任意に出している。今の中央競馬会では、売り上げに直すと〇・一%ですよ。住民にとっては、それは同じような迷惑になると思いますよ。片一方は売り上げの一・四%で、片一方は〇・一%というのは、余りにもひど過ぎるのじゃないですか。これについてどうですか。

高橋参考人 環境整備のためにどれだけのことができるかということが重要だというふうに思っています。ということは、率というよりも、その金額がどの程度であるかということが非常に重要なことだと思っております。

 それで、我々、これは昭和四十七年度に発足したわけですが、確かにその直後は、全国的に非常に環境悪化があるというようなことで、直接それを防止する、あるいは軽減する事業、特に周辺道路の整備でございますが、そういったものの需要が高くて、各地方公共団体も、ひとつそういうものをやってくれということで、我々もこれに対して積極的な予算措置をしてきたと思っています。

 それで、平成十二年度までに、全国累計で千七百八十四億円余の環境整備事業費を交付いたしまして、周辺道路整備等も図られました結果、こうした面での需要はむしろもう減少をしておるという状況ではないかと思っております。

 加えまして、最近特に、競馬場それから場外発売所での発売金額は、ピーク時の平成五年に比べますともう三〇%減っております。特に今、ウインズ横浜、横浜場外は三二%ということで、落ち込みがひどい方でございます。むしろ、そういうことから見ても、交通混雑等は緩和の状況にありまして、横浜市が現に行っている駐車場整備も、本当にこういう環境整備に一体全体寄与しているのかしらという疑念を感じさせるものがございます。

 それから、横浜市長さんも、昨年度の定例市会での御発言では、自分たちの新税は、今後増大していくさまざまな財政需要に対する財源確保対策の一環として導入するのであるということで、一定の目的を持って使う環境整備事業費の増額ではなくて、あくまでも一般財源を求めているんだ、そういうことをはっきり明言されていらっしゃるのではないかというふうに理解をしておるところでございます。

菅(義)委員 私は、競馬会は、いろいろなむだだとか中のことをいろいろな雑誌等に書かれていますけれども、実は、資料をちょうだいしました。そしたら、特別積立金というのが一兆円ありますよね。さらに、役員や職員の皆さんの待遇というのが余りにもよ過ぎる、私は、実はこのことを指摘したいと思いますが、職員の方が退職する場合の支給率が、三十八年以上の人は本俸の六十カ月ということでありますけれども、当然これは六千万前後の人もいらっしゃるわけでしょう。そうですよね。

 ですから、ある意味では、まずやはり私は、体質改善というものをきちっとした形でやっていただきたいと思いますし、さらに、関連企業というのも、これはかなり数が多いですよね。理事の方も、全部で十二人、理事長、副理事長入れて十二人いらっしゃいますから、この方の年収も平均すれば二千万以上、それは幾ら何でも余りにも恵まれ過ぎているんじゃないかと思いますし、国民から見れば、やはりひど過ぎるなと。それは、やはり自治体なりあるいはファン、そうしたものに還元をする努力というものをもっともっとすべきじゃないかなというふうに思いますけれども、これについてはどうですか。

高橋参考人 今非常にたくさんの御指摘をいただきましたので、なかなかすっきりと御返事できないかもわかりませんけれども。

 競馬会が確かに横浜新税に反対しておりますのは、競馬会がそういう税金の負担ができる、いわゆる負担にたえ得るか否かという、そういう議論以前に、この新税が本来の税のあり方、どうして競馬会をねらい撃ちしてやるのであろうかとか、あるいはこの税金の趣旨といいますか、そういうようなものがなかなか納得しがたいではないかとか、あるいは中央競馬の法理的枠組みから見て、どうもこれは不当、違法ではないかというようなことを、地方税法上の問題はともかくといたしまして、我々としてはそういうことを申し上げておるわけでございます。

 先ほどいろいろなうちの事業執行といいますか、その面について御指摘がございましたが、我々としても、常に事業を効率的なものにしていく、何か自分たちがお手盛り的なことをやっていくようなことがないように努めていきたいと思っておりますし、現在、我々は売り上げも減少する中でいかにコスト削減を図っていくかということに努力をしておるところでございまして、今後もそういう態度でやっていきたい、こういうふうに思っております。

菅(義)委員 もう時間になりましたので終わりますけれども、ぜひ理事長、やはり国民から見ればそういう目で見られても私は仕方がない、こういうふうに思いますので、先ほど私が指摘しましたことを十分留意していただいて、これから競馬会として、国民というのですか、ファンから親しまれる競馬会として発展をしていただきたい。

 以上で終わります。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 せんだって、この決算行政監視委員会におきまして、公共事業の予備費のときに質問させていただきました。そのときにも、空港の整備について質問をさせていただきまして、特に、旅客の需要予測と開港した後の実態、その乖離というものが大きな問題ではないか、このような質問をさせていただいたわけでありますが、その後、総務省が、その直後でありますけれども、空港整備に関する行政評価の報告書を発表いたしました。

 これを読ませていただきますと、結構首をかしげるようなことがいろいろありまして、ちょっと確認をさせていただきますと、「空港整備事業の事前の評価を的確に実施するためには、常に需要予測の方法の改善余地について検討し、その精度の一層の向上に努めることが必要と考えられる。」これは当たり前のことなんですけれども、それで、「空港整備事業の採択時の評価の基となる航空旅客数に係る需要予測の実施状況を調査したところ、大臣管理空港及び特殊法人等管理空港については、需要予測に適用した手法、経済成長率等を記述した記録が保存されているのみで、使用した予測モデルの具体的内容、基礎データの採り方等の需要予測の方法が妥当なものであるか否かを検証するに足る記録が保存されていないため、需要予測の内容を分析し評価することはできなかった。」いわゆる評価できなかったということです。

 これを読みまして、先日の質問でどうだったんだといろいろ言ったのですけれども、データがなければ比較のしようがないと。ここら辺のところがずさんというか無責任というか、巨額のお金、税金を投入してつくる空港において、そういう一つ一つのデータの管理自体もやはり大切なのではないか。

 これは、例えば、つくる長期計画等々を含めて、まずそういう長期計画ありきというような発想で計画策定がある、それで、もうやるのは当然、そのままどんどんやっていく、こういう流れの中でやったのではないかと思わざるを得ないような、こんな指摘であったと思います。

 これに関して、まずは国土交通省の方としましてはどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

田中大臣政務官 ただいまの、総務省がことしの五月二十四日に発行いたしました空港整備等に関する行政評価・監視結果についてでありますけれども、私も読ませていただきました。

 国土交通省では需要予測について適正に対応してきた、こういう認識に立っておったわけでございます。以前より、保存すべき内容、期間についての明確な規定がなかったこともございまして、需要予測に適用した手法あるいは経済成長率等基本的事項を記録した概略の内容のみを保存していたという事実でございます。

 平成十年の三月に、当時の運輸省において運輸関係公共事業の再評価実施要領を策定いたしまして、同年四月には、航空局として航空局関係公共事業再評価実施細目を定めました。そして現在、これに基づいて事業採択後一定期間を経過して継続中の事業等について再評価を実施することといたしております。

 また、平成十年以降に実施している需要予測については、再評価に必要な記録をすべて保存することといたしておりまして、国土交通省といたしましても、今後の勧告を真摯に受けとめまして、記録の保存を含め需要予測精度の一層の向上及び透明性の確保に努力をしてまいりたいと思います。

 本年十一月に、末になるかもしれませんが、全体的な回答について総務省に提出をいたすことになっております。

高木(陽)委員 今お話がございましたように、今後もしっかりとやっていただきたいというふうに言うしかないかなと思うのです。民間企業でありましたら、こんなのは許されない、こんなことをやっていたら会社はつぶれてしまうというのが当たり前な感覚なんですが、やはりこれから財政が厳しい中にあって、公共事業については有権者、納税者の皆さん方の目というものは、これは当然なんですけれども、さらに厳しくチェックしていくであろうと。そういった中での今後の公共事業に特にかかわる国土交通省の対応というのをしっかりしていただきたい、このようにも思います。

 その上で、続いて財務省の方にもお伺いしたいのですが、先日、道路特定財源の問題等々、塩川財務大臣もいろいろと発言をされる。その中で、長期計画についても、先月の二十二日、参議院の予算委員会で、事業期間が長いために効用が失われているものは積極的に見直してもらいたいと述べたと。さらに、経済諮問会議の方でも、基本方針の原案、公共事業関係計画の見直しに関連して、各計画の目標の見直し、地方が主体的に決定すべき事業の除外、異なる分野間の整合性の確保、こういうのを明記して、具体的な見直しのポイントを提示しました。

 このような中で、特に長期計画、これはさまざまな分野になると思うのですけれども、この見直しについての必要性、さらには基本方針というものを財務省にお伺いしたいと思います。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 公共事業の長期計画の見直しの必要性、それから基本方針についてのお尋ねでございますが、公共事業の各種長期計画は、中長期的観点に立ちまして社会資本の整備を計画的に進めるという観点から、先生御指摘のように道路、港湾といった各事業ごとに策定されているところでございます。

 長期計画につきましては、分野別の配分などに硬直性をもたらす一因となっておりまして、見直しが必要であるという主張がなされていることは私どもも十分承知しておりますが、そのあり方について、仮に見直していく場合には、まず各所管大臣においてどのように考えられるかということが極めて重要であると考えております。公共事業の長期計画のあり方につきましては、先生も御指摘のように、経済財政諮問会議においても今議論されていると承知しておりまして、財政当局といたしましては、各所管大臣のお考えあるいは経済財政諮問会議における議論、こういったものを踏まえつつ今後とも検討してまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 私は、公共事業がいけないとも思わないし、また長期計画もいけないとは思わないのです。その上で、やはり効率的に、貴重な税金をどう大切に使っていくかという観点からこういう質問をさせていただいているのです。

 まず、ここに十六の長期計画、この一覧というのがあるんですけれども、これは事業ごとに各関係省庁が決められていると思うのです。ここでちょっと私自身の問題意識として気になるのが、やはり縦割り行政ということが結構弊害となるのではないかなと。それぞれの担当省庁があるんですけれども、やはり各省庁いろいろと関係するところがあるのかなというところで、では、どこがそれを全体的に責任を持ってやるのかというところが結局あいまいな部分があったのではないかなというふうに思うのです。

 具体的な例なんですけれども、これは平成九年の新聞記事に、ちょっと前の話なんですけれども、こんなことが載っていました。

 「全国に百三十三ある重要港湾の一つ「福井港」の通称は“百億円の釣り堀”。水深十メートルのバース整備など、四百六十九億円が投資されたが、一昨年の一万トン以上の大型船の入港は、わずか八隻だった。船にじゃまされず、防波堤に囲まれた穏やかな港内は、アジをはじめカマスやヒラメなどの絶好の釣りポイントになっている。「鳥取港」も、アジやウルメイワシが釣れる名所となっており、早朝から釣り人が絶えることはない。累積事業費は四百一億円。平成七年の実績貨物量はわずか十六万トンで、計画貨物量(二百万トン)の一割以下だった。」こういうような記事が載っておりました。

 これは端的な例かなと思うんですけれども、これは総務省の方で行政監察をやっておられると思うんですが、特に港湾が結構クローズアップされるこういう記事が載ったので、ここら辺の実態について、実績と当初の予測との乖離みたいなところをどのように監察されているのか、お聞かせ願いたいと思います。

塚本政府参考人 委員御指摘の私どもの監察でございますが、ちょうど平成八年九月に港湾に関する行政監察ということで勧告をいたしております。これは当時の、第九次でございます港湾整備五カ年計画、これに基づきます港湾整備の実施状況を調査いたしまして、結論といたしましては、事業の実施に当たって、港湾の利用状況や整備状況というものを十分に踏まえて行うよう勧告したところでございます。

 そのところで先生御指摘の利用と目標等の点もございまして、具体的な実態として把握いたしましたところでは、例えば、整備された岸壁の利用が目標を下回っている、あるいは岸壁そのものが能力の限界まで利用されていない、その中で新たな岸壁の整備が行われている、あるいは、埠頭の再整備が行われたわけでございますけれども、その後、船舶の大型化の進展もございましたが、貨物の取り扱いが低調になっているということで指摘を申し上げました。

 指摘いたしましたのは、港湾の重点的、効果的整備の徹底と国民の理解が必要であるという観点から、事業採択につきまして、後背地開発の進捗状況、既存岸壁の利用状況等を十分勘案すること、それから港湾の関連施設の整備の場合には、事業効果が最大限発揮できるよう、港湾全体の整合性あるいは施設相互間の整備時期の整合性を確保すること等を勧告申し上げたところでございます。

高木(陽)委員 今、一般論としてお話をお伺いしましたけれども、その港湾に関する行政監察の結果、これは私もいただきましたけれども、その中で、例えばこんなくだりもあるんですね。「後背地の開発が計画どおり進んでいないことなどから整備された岸壁の利用が目標を大幅に下回っている中で、港湾計画に今後の施設計画として岸壁が位置付けられている港湾がある。」というようなことが指摘されました。

 港湾をつくるときに、その後背地、いろいろな開発があるでしょう。これはもちろん国土交通省、旧運輸省がやっていることではないんです。逆に言えば、あのときは通産省だったでしょう。後ろの方ができていればもっと船がたどり着くというか来るわけで、ここら辺のところの連携、旧運輸省、今の国土交通省にしてみれば、港湾はそういう計画のもとでつくったんだけれども、後ろがだめだったからなかなか現実と実態の乖離が出てしまったというふうに言うかもしれません。

 ここで問題なのは、どの省庁がいけないという問題じゃないんです。国民の側から見れば、それは全部政府であり、国であり、行政であり、こういう一括なんですね。だからこそ、縦割り行政というふうにいろいろな分野でも指摘されていたかもしれませんけれども、その連携を密にして、本当にこれがその地元にとって、またその産業にとっても必要なのかどうか、こういうところの連携を密にする。特に公共事業というのは、今までそれぞれの省庁がやってきた部分もありますけれども、今度、省庁再編で国土交通省という、まさに公共事業の核となるべき省庁なわけですから、こういった意味での総合調整というのを、さらにリーダーシップ、まあリーダーシップという言い方がいいのかどうかわかりませんが、連携を密にとるような、そういう形をとっていただきたいと思うんですが、どうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

田中大臣政務官 公共事業実施の各省庁との連携を密にすべきとのお尋ねでございますが、私も全くそのとおりだと思います。御指摘ありましたように、国土交通省、四つの省庁が一つになりまして、公共事業の八割を担当するというような現実があるわけでありまして、我が省が全くそのことを深く認識して努力しなければならない、このように思っておるわけでございます。

 公共事業の効率的、効果的な実施を図る観点から、施策、事業の連携の強化等について協議、調整を行うため、公共事業関係省庁の事務次官をメンバーとする公共事業の実施に関する連絡会議を開催してまいりました。さきの五月二十九日にもその会を各事務次官に集まっていただいて私どもの省で開催いたしたところでございます。

 また、一方、例えば道路と農道、下水道と農業集落排水あるいは海岸事業などの類似事業についても、本省レベル、都道府県レベルの双方で調整会議を開催することなどを通じてしっかりと努力をしてまいりたいと思いますし、全国八つの地方整備局、また北海道、沖縄にも機関があるわけでありまして、こういうところとも連携を保ってまいりたいと思っております。

 御指摘のとおり、今後とも、ぜひ全体の省庁の連携を密にして頑張っていくことをお誓いさせていただきたいと思います。

高木(陽)委員 時間も限られてまいりましたので、最後の質問をちょっとまとめてお伺いしたいと思います。

 これからの公共事業を考えるときに、これもずっと指摘をされていることだと思いますが、やはり費用対効果、これが重要だと思うのです。高度経済成長時代は財政的な余裕があった。そういうときには、あれもこれもやりましょうということは考えられると思うんですが、やはりこれだけ厳しい財政状況の中、しかもこれから少子高齢社会が進展していく中にあって、やはり貴重な税金をどう使っていくかという場合には、その費用対効果というのをしっかりと考えなければいけないであろう。この費用対効果についてどうとらえているのか。

 また、もう一つは、やはり利用する人たちのニーズですね。必要のないところに使われても意味がないわけですから、そういった住民の参加のあり方または情報公開、情報公開法という形になっておりますけれども、そこら辺のところの公共事業としてのとらえ方というのをどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

田中大臣政務官 時間の関係がありますので、少し早口になるかもしれませんが、お答えを申し上げます。

 今の公共事業の費用対効果についてでありますけれども、新規採用時の評価、実施中の事業、五年経過しておるにもかかわらず未着工のものや十年継続事業になっているけれども完成をしていないもの、こういうものが対象でございますが、さらには、平成十一年度より、事業完了後の事業の効果、こういうものについて今積極的に取り組んでおるところでございます。事業実施前に行う新規事業採択時の評価では、すべての事業について費用対効果分析を行うとともに、事業の特性に応じて、環境に与える影響や災害の発生状況等も含めた多面的な評価を実施して、事業の必要性を確認した上で採択を行っておるところであります。

 今後とも、各省庁、各種事業の調整を含めて努力をしてまいりたいと思います。

 なお、事業について、住民参加について等のお尋ねでございますけれども、我が省としましても、コミュニケーション行政の推進に努力してまいりたいと思います。特に、河川法改正、都市計画決定に際してのこと、さらにはバイパスなどの道路整備の過程において、それぞれにいろいろな制度を設けております。特に、計画に反映するパブリックインボルブメント方式と呼ばれるようなものも取り入れて努力をしてまいりたいと思います。今後、できる限り早い段階から住民参加の措置を講ずることができるように真剣に取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

高木(陽)委員 もう時間が参りましたので終わりますが、公共事業の問題、冒頭に申し上げましたけれども、本当に財政的な問題、そしてまた今の有権者、さらに納税者の感覚からいいますと、一円たりともむだにできない、こういった思いの中で、でも、必要な公共事業はしっかりとやっていかなければいけない、そういったところを踏まえた上でこれからもやっていただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

持永委員長 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 きょう、外務省の方から改革要綱というものが発表されました。この中で、これまで問題となってまいりました報償費制度の改革につきましても掲げられております。したがいまして、これらにつきまして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、これまで私は、予算委員会を初めといたしまして、当決算行政監視委員会におきましても、内閣官房報償費、そして外務省報償費の疑惑事件と申しますか、これにつきまして質問をさせていただいてまいりました。これまでの内閣官房そして外務省の報償費についての、私あるいは民主党の各同僚議員の方々、あるいは各党の方々の質問に対しましても、外務省として報償費について不正に使用されているというようなこともないし、問題は改革する必要はあるというような答弁ぶりではとてもなかったというのがこれまでの流れだったというふうに思っております。

 今回、そういう中で改革をするということで表明されましたことは、それ自体は非常に結構なことだというふうに私も思いますが、そこで、幾つかの点につきまして質問させていただきたいと思っている次第でございます。

 実は、外交機密費の問題が出まして、外務省機能改革会議というものが設置をされました。そこで、実は五月の二十四日でございましたが、この会議の座長代理を務めておられました東大の田中教授にお越しいただきまして、報償費問題その他につきまして、改革会議の方から報告書が出されておりましたので、いろいろ質問をさせていただいたわけでございます。民主党としてお越しいただいたわけですが、その場は外交機密費疑惑解明プロジェクトチームという場でございます。ですから、私どもといたしましては、党としては公の場である、こういう気持ちでお伺いをしたわけでございます。

 その場で、先生のお名前を挙げて大変恐縮ではあるんですが、正直言ってびっくりしました。実は、河野前外務大臣でございますけれども、幾つかのポイントについてこの改革会議の方に検討をお願いするということでお話をされているわけです。その項目の中に、報償費を含めた予算のチェック体制の問題、これを検討してほしいというのが項目四つぐらいあったと思いますが、そのうちの一つになっています。

 ところが、報償費の使われ方、中身について、外務省の事務当局の方からどういう説明があったんですかという質問を実はいたしましたところ、報償費の使途については、つまり使い道については一切説明がありませんでしたと。えっとびっくりしたわけなんです。

 報償費の使い道を一切明らかにされないで、それで報償費のあり方を検討してくださいと。また、各界のなかなかの方々がそのメンバーになっておられるわけですから、その会議で大臣がわざわざ第一回目のところでごあいさつもなさっているようでございますし、そういう場で報償費をやっていただきたい、検討してもらいたいということをお願いしながら、報償費の実態についての説明もしないままそういう会議をお願いするというのは、私は、その委員の方々に対して大変失礼な話じゃないかと思いますし、また、本気で改革するつもりがあったのかどうか、そこが問われるのではないかと言わざるを得ないと思うのです。

 今回、きょうまさに発表なさったわけですが、外務省の方から外務省改革要綱というものが出されました。改革されるということで、中身についてはまた私どもといたしましても、党としていろいろな御提言は、御意見は申し上げるつもりでございますけれども、どうもその辺が、本当に我々プロジェクトチーム一員、みんなで何なんだそれはというような話まで出たわけでございますが、その辺、どういうような認識を持っておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。

杉浦副大臣 大臣が別の委員会に出ておりますので、私から御答弁するのをお許し賜りたいと思います。

 私ども就任して一月ちょっとになるわけでありますが、この外務省機能改革会議の御提言、私ども非常に高く評価しておりますし、また、先生いろいろおっしゃいましたが、報償費の問題についても実に適切な方向を打ち出されておられると拝察しております。外務省も全体としてこれを真摯に受けとめ、その提言に基づいて改革をやっていこうという姿勢であることはまずもって申し上げておきたいと思うのです。

 私ども、当初、河野大臣のときにこの提言が出て、両副大臣が事務方と検討を始められた、五月中に結論を出すという目標でやっておられると、事務引き継ぎと申しますか、両副大臣からお伺いいたしました。田中大臣からは、両副大臣引き継いでやってほしい、特に私に事務的と申しますか、事務局になってやれという御下命がございましたので、すぐ作業に入ったわけであります。前任の両副大臣からも詳細お伺いをし、御意見も承って今日に至っております。

 ただ、私どもは、報償費の使途については、個々の、具体的にこれはどうこうという説明は、ごく少数についてはありましたが、典型的なものについてはありましたが、全体としての使い道についても事務方から説明はお伺いして、あらかた概略は掌握した上で議論申し上げてまいったと言ってよろしいと思います。

 田中大臣の御指示で五月の半ばごろからは三人の政務官も加えまして、二人の副大臣と三人の政務官、五回にわたって、長時間にわたって議論をいたしました。事務方からも詳細な事情をお伺いして、きょう発表させていただく改革案にまとめたわけでございます。

 そういった外務省改革要綱の御提言を踏まえまして、報償費については、これは初めてだと思いますが、過去、歴代ないと思いますが、外務大臣の責任において支出をするということを明確にいたしました。具体的なやり方については決裁規定を定めましてよく相談をいたしますが、大臣がじきじきに全部決裁するというのはとても大変でありますので、我々副大臣が分担するとか、あるいは事務方に決裁を委嘱するということもあろうかと思いますが、大臣の決裁においてきちっとした執行を図っていく、改革会議の提言を受けまして効率的使用を図っていく、もちろん国民の税金でありますので、節約を図っていくという方向を打ち出させていただいた次第でございます。

 なお、来年度以降の予算につきましては、私どもが説明を聞いた範囲では報償費は適正に使用されていると思うのですが、ただ、中には他の費目、例えば会議費とかそういうものに振りかえることが可能ではないかと思われるものもないわけではございません。したがいまして、私どもの今度の改革要綱では、使用の実績を踏まえながら、他の科目への振りかえも視野に入れながら、来年度予算の要求については、もちろんこういう事態でありますので、極力減額する方向で検討してまいりたいというふうに思っている次第であります。

金子(善)委員 今後の問題はきちっとしてもらうのは、それは余りにも当たり前の話であって、当然のことだと思っております。過去のこれまでの疑惑に係る問題というものがすべて払拭されたとは私どもは全く認識しておりません。民主党といたしましては、疑惑解明プロジェクトチームというものもまだ存続させてこれからもやっていくつもりでおりますので、そこはそういうことで受けとめていただきたいと思います。ただいま副大臣の方から、この問題についてはこれからはきちっとやっていくんだ、要はそういうお話だと思います。

 そこで、今実は、私どものプロジェクトチームで資料要求という形でお願いしている、内閣官房、外務省合わせて六十項目ほど、まだ返事がないんです。これは当然また事務的にきちっと改めて、何回も要求していることですから改めてするというのもあれなんですが、ほとんど、真摯な態度で我々に対応されているとはとても思えない。いろいろな事情はあるかもしれません。しかしながら、私どもも国会活動としていろいろな資料要求をしているわけですから、副大臣、今後、そこは私どもの活動に協力するという姿勢で臨まれるということでよろしゅうございますか。

杉浦副大臣 民主党から正式な質問が多くなされていることは承知しております。回答が不十分だという御指摘でございますが、外務省としては、御党に限らず、各党からの資料要求に対しましては誠実に、最大限の対応に努めてきたつもりでございます。

 御質問の関連では、松尾氏の事件で、松尾氏の容疑は内閣報償費に関してでありますが、ですから外務省の報償費とは関係ございませんが、しかし、関連で警察へ相当資料が持っていかれておりまして、そういう関係で御回答できない、警察当局の捜査に対しては私どもは積極的に協力するということで取り組んでおりますので、資料がないとか、いろいろな意味でお答えできない部面もございます。これからも大臣の指導のもとで事態解明に全力を挙げて努力してまいる所存でございますが、そういった関係でお答えできない面もあるということは御理解賜りたいと思います。

 なお、今度の改革要綱もそうでございますが、私ども外務省に対して向けられている国民の不信を解消することは大切でございますので、御党から御指示があればいつでもお伺いして内容については御説明申し上げますし、きょう御提起された問題についても、ポリティカルアポインティーでございますので、どんどんおっしゃっていただけば可能な限り解明できるように御協力申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。

金子(善)委員 副大臣から前向きな、協力するというようなお話をいただいたわけですが、我々も、きょう初めて申し上げているんじゃないんです。最初に松尾元室長の事件というものが公になった、表に出たと申しますか、これは一月四日の新聞なんです。それ以来ずっと続いてきているんです。

 これは会計検査院長にちょっと質問いたしますが、私どもとしても、お気の毒になるぐらい会計検査院長にもいろいろ質問をしてまいりました。いつになったら検査結果はまとまるんですか。もう五カ月は完全に今過ぎてしまったわけですよね。その中間報告も何もない。先ほど申し上げましたように、私だけではなくて同僚の委員の方々、あるいは各党の方々、先輩の委員諸氏の方々、いろいろ質問をされてきたわけですが、そのたびに、会計検査院は検査中ですと、全然答えていないんですよ。ありとあらゆる質問に答えていないんですよ。議事録を見ればわかると思うのです。

 院長としてそろそろ中間報告ぐらいは出すべきじゃないかと思うんですが、その点どうでございますか。

金子会計検査院長 まず最初に、ぜひ御理解いただきたいというふうに思っている点は会計検査院の使命なんですけれども、予算の適正な執行、そして、予算を使用した事務事業の適正な遂行を確保するというところに会計検査院の使命がある。

 そのために、今回の事態でいえば、今回の不祥事についての事実関係の十分な把握。それと同時に、報償費がどういう執行体制のもとに執行されていたのか。そして、どういうルールがあって、あるいはルールなしになされていたのか、そういうルールに関する問題。それから、先ほども問題になっておりました内部チェック体制がどうであったのか、それらがあったとして、機能していたのかどうか。また、非常に重要な点だというふうに私は思っておりますけれども、予算の執行責任者あるいは会計責任者を含めて、幹部職員が内部コントロールについてどういう認識を持っていたのか。こういう点を総合的に解明していくということが必要である。現在その作業を行っております。

 そして、そうしたものを総合的に判断して、今回の事態が果たして個人的な、偶発的なものであるのか、それとも構造的なものであるのか。私は、構造的なものであるというふうに認識をしております。したがいまして、構造的な問題についてどのように対処していくのかということを十分私は検討していきたい。

 国会の方から、中間報告であるとかあるいは個々の事実の関係についてお尋ねがありましたけれども、私は、十分に時間をかけて、十分に時間をかけるということは早期にということに反することではなくて、この問題について早期にやはり改善措置をとらなきゃいけないというふうに認識しておりますので、事務総局の方には、早急に検査を進めるようにということを口を酸っぱくして言っております。

 それと同時に、今申し上げましたように、対処してまいりたいということで、時間がかかっている。しかし、私は、通常会計検査院が検査報告を出す十一月末日までというふうにはもちろん考えておりません。したがいまして、それより当然早い時期に、少なくとも九月いっぱいには結論を出したいというふうに考えております。その場合には、私は二度とこの事態が起こらないような構造的な対処をとってもらうようにということを考えております。

 今回出ました改革会議の方の案も、これまでの検査を前提にして十分に検討させていただいて、それで十分であるかどうかということも踏まえて結論を出していきたいというふうに考えております。御理解いただきたいと思います。

金子(善)委員 会計検査院長から、九月いっぱいには必ず決着するというお話をいただきましたので、何としてでもそれは守っていただきたい。そのときになってまたということのないように、しかも、みんなが納得できる、国民全体が納得できるような内容にまで持っていってもらいたい。またその中でこれは秘密ですというようなことになっては、国民がどう思うか。

 これは実は、どんどんこの松尾元室長の詐欺による金額がふえてきているんですよね。最初は、一月二十五日の外務省の報告書でございますと、五千四百万円の横領事件だということだったんです。実はこのとき、この事実に基づきまして、外務省の職員の方が、上司の方々等が監督責任を問われて処分されました。

 そこで、一般論として、実は、最近の外務省のいろいろなごたごた、事務当局と大臣との関係とか、余りにもだんだん、きょうも朝タクシーに乗りましたら、最近不愉快ですねと言うものですから、何の話ですかと言ったら、外務省のことだというわけですね。いろいろよく問題があるものですねというようなことを、私が議員会館までということを言ったものですから、国会議員だと思ってそういうことを言ったと思うんですけれども、どうにかならないものですかねという話をしておりました。

 そこでお伺いするのですが、その中の話題の一つとして、一回処分したらもうできないんですというようなことも一つの話題になっていることは御承知のとおりだと思います。きょうは人事院総裁にお出ましいただいておりますので、ちょっと一般論としてお伺いいたします。

 一般論ではございますが、とはいえ、個別的なことを説明した上での一般論としてお話をお伺いしたいと思うんですが、実は、一月二十五日の調査段階では、五千四百万円の横領ということでの処分でございました。その後、総理のいわゆる外遊にお供しまして、十回の外遊で二億六千七百四十四万円が内閣の首席参事官の方から詐欺行為としてこれは起訴されているわけです。実際には四十数回同行をしているわけですから、もっともっとこの詐欺の金額が大きくなってくるおそれもあるというような状態なんですが、処分というものは一回すればもうできないものなのか、一般論として人事院総裁の方から御質問させていただきたいと思います。

中島政府特別補佐人 御存じのように、懲戒処分につきましては、一事不再理の原則というのがございます。したがいまして、一般的に申し上げますと、一事については再び処分できないという考え方でございますけれども、先生がお話しになりましたように、新しい事実が出てくる、新しくとにかくいろいろな事実が判明してくるということになりました場合に、そういうものを含めて一事なのかどうかというところがまさに判断の分かれ目だというふうに思います。

金子(善)委員 ただいま人事院総裁の御答弁は、私も元公務員をしておりましたから、最終的には大臣がどうその事実を認定するかによって決まることだというふうに思っております。それで、ただいまの総裁の御答弁の内容というものは、私が今るる御説明しました経過からいえば、大臣の判断によるんだという結論だというふうにただいま受けとめさせていただきました。

 通告としてほかにもお願いしていたところもございますが、質問時間が終了いたしましたので、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 防衛庁に伺います。

 最近、陸上自衛隊で、対戦車ヘリコプター、対戦車ヘリというものの入札提案をいたしておりますか。

首藤政府参考人 新中期防におきまして、現在陸上自衛隊が保有しておりますAH1S対戦車ヘリ、これが寿命を迎える時期ということからいたしまして、後継の戦闘ヘリを新中期防において調達するということが決まっておりまして、十四年度におきまして、そのための最初の、調達に必要な機種選定、それに必要ないわゆるRFPを発出していたというふうに記憶いたしております。

石井(紘)委員 入札の提案はいつされましたか。そして、提案書の提出がございましたか。ありましたら、どういう状況でございますか。それから三つ目、開札はいつ行うんでしょうか。

首藤政府参考人 大変恐縮でございますが、突然の御質問で、そこを正確を期すための資料、数字その他、今手元にございません。申しわけございません。(石井(紘)委員「いつやったかもわからないの、三つともわからないの」と呼ぶ)はい。ごく最近であったと記憶いたしておりますが、具体的日付等は今手元にございません。

石井(紘)委員 では提案書は、受け取ったことは、もう提案の締め切りは済んだかどうかも、それもわからないんですか。――ではいいです。ちょっと調べておいてください。後で、この時間中にわかるでしょう。

持永委員長 調べておいてください。

石井(紘)委員 恐らく、その対戦車ヘリの入札の場合、これもやはり相当の機数を調達するんだろうと思う。例の空自の初等練習機と似たような形で、二回目以降契約分のライフサイクルコストというようなもの、あるいは機体の価格というようなもの、こうしたものを総合評価して決める、そういうものではないかなと思うのですが、その辺を伺いたいので、もしわかれば教えてもらいたいのですが。

 問題は、それは全部封をしたんじゃないかと思うんですね。一つは、この封をしたかしないかという問題を私は先日来申し上げているわけです。それは封をしたはずなんです。ところが、例の空自の初等練習機については、価格決定的になるところのライフサイクルコストあるいは二回目契約分以降の機体の価格というものは、封をしないでいろいろと差しかえをやったということはこれまでの答弁でも明らかになったわけですね。

 それで伺いますが、T3改初等練習機の入札を行ったのは、提案書を受け付けた締め切りが昨年の八月二十五日だったと思いますが、その八月二十五日の、その日の状況について伺います。

 締め切りの時間は何時でしたか。

首藤政府参考人 締め切りの時間、今調べておるところでございます。

 その前に、今先生、御質問の前段でお尋ねになりましたAH1の後継でございますが、これにつきましては新初等練習機とはやり方が全然別でございまして、新初等につきましては、初めていわゆる総合評価落札方式を採用した、これは練習機であるという性格上秘密に属する部分がまず含まれていないということから、一般的な競争入札が可能となった、防衛庁におきまして、こういった飛行機における初めての例でございます。

 ただ、今度のいわゆる戦闘ヘリコプターにつきましては、秘密に関する部分が非常に多く含まれておるということで、この総合評価落札方式は採用できませんので、これまでと同様の、戦闘機などを選ぶと同じような普通の機種選定を行うということを考えておりますので、いわゆる入札という手続はいたさないということでございます。

 それから、今わかりましたが、いわゆる企業に求めるリクエスト・フォー・プロポーザルは三月二十七日に発出いたしておりまして、締め切りが五月十五日でございました。提案のございましたのは、いわゆるアパッチというAH64Dヘリで、これは富士重及び日商岩井からございました。もう一機種がバイパーという機種、AH1Z、これは三菱重工と三井物産からございました。いずれも封はしておらないという手続になっております。

 以上でございます。

石井(紘)委員 いずれも一切封はしていないということですね、わかりました。では、それは聞いておきましょう。間違っていたら後でどうぞ訂正してください。訂正がありますか。

首藤政府参考人 二点目にお尋ねの、八月三十日の締め切り時間は十七時でございました。

石井(紘)委員 十七時というのは午後五時ですね。では、そのときにフルセットの提案書をピラタス社も富士重工も提出をしたということですね。

首藤政府参考人 そのとおりでございます。

石井(紘)委員 どうぞその辺に座っていてください、行ったり来たりするのにちょっと時間がかかるから。

 それでその日は、その締め切り以降の時間は、調達実施本部、どういう作業をしておられましたか。

首藤政府参考人 その辺の細部につきましては、承知いたしておりません。

石井(紘)委員 調本は、西村さんはきょうは来ていないのですか。それは、あなたたちが、自分たちで答弁するからといって現場の人をよこさないんだから、あなたたちが責任を持って答弁しなきゃだめじゃないですか。

 今の答弁だと、その八月二十五日の五時に締め切った。それから翌日の朝方まで、何かやっていませんでしたか。

首藤政府参考人 今回の本件に関する手続につきましては、調達適正化会議等にも事前にお諮りして、厳正に行ったということでございますので、今回につきましてもそのように行われているということでございます。

 なお、もともと富士重及びピラタスが当初に出してきた全体の価格、それから、私どもがチェックの過程で会社と合意の上で一部修正した価格、それが九月二十五日に公表したものでございますが、八月三十日時点で受け取った価格の内訳についても、先般お出ししたとおりでございます。

石井(紘)委員 防衛庁長官、私がこの前に質問したのはちょうど二週間前でございました。そのときは、まだ就任から一月もたっていなかったので、大臣はまだ詳細は不案内であったと思うのですが、それから二週間たちましたから、あのとき私はかなり強く申し上げておきましたので、御自分で直接この入札あるいは契約の経過あるいは実態というものについて十分真剣にお取り組みになっただろうと思いますが、その結果、この入札と契約は、防衛庁がこれまで答弁をしておりますように、一切の不正がなく、正しく行われたという確信を持ちましたかどうか、答弁してください。

中谷国務大臣 前回の委員会におきまして石井委員から御注意をいただきました点は、肝に銘じまして、私も責任を持つ立場としてその職責を果たさなければならないという気持ちでございます。

 本件につきましては、その後、先生のお尋ねの点、三点ございましたけれども、内局の担当と、空幕の装備また防衛班関係の者を呼びまして、一体仕組みはどうなっているのか、私の耳で調べまして、その結果、この入札は厳正に、公平に行われたものだというふうに思っております。

石井(紘)委員 その際に、長官は、例の明らかにしない数字、維持役務費の具体的な項目について、これは担当ないし当局の方から聞き取りをされましたか。

中谷国務大臣 その点に対する御答弁といたしましては、企業も正当な利害を有して競争しているわけでございます。当然、営業上の秘密等につきましては、情報の保護を図るという観点でありますので、私の方からのお答えは控えさせていただきます。

石井(紘)委員 私の今の質問は、当局から長官がその点についての数字の聞き取りをされましたか、されませんでしたかということです。

中谷国務大臣 その点につきましてはお答えできません。

石井(紘)委員 それは秘密なんですか。長官、大臣として、この契約がどういうふうに行われたかということについてあなたが具体的なことを知っているのか知らないのか、このことに関連するわけですが、担当の方からその数字を聞いたか聞かないかということは、これは秘密事項に属することですか。

中谷国務大臣 正直に申しますと、私自身は聞いておりません。

石井(紘)委員 聞かないでさっきの答弁はおかしいんじゃないですか。適正に、厳正に行われた、これは納得できませんね。おかしいんじゃないですか。

中谷国務大臣 そのことをお答えすることも含めまして、我々といたしましては、鋭意この件につきましては厳しい目で監視をしておりますけれども、先ほど申しましたとおり、企業の営業上の利益、そしてこのことに対する公表等の観点から、私、答弁は控えさせていただきたいというふうに思っております。

石井(紘)委員 さっきは、私が先日の議論でさんざんやったこのIRAN、定期機体整備についての各項目ごとの数字というものがおかしいんだ、そして、このIRAN価格というものが合わないんだということを数字を具体的に示して私は議論したはずです。そして、その上で、大臣は就任後間もないから時間を与えますから、この入札契約が正しかったか正しくないかということを将来のこともあるから十分慎重に調査されるようにと申して、そしてきょうのお話では、そのようにされた、そして、確信を持って間違いがなかったという答弁をされたにもかかわらず、数字を聞いてなかったということはどういうことですか。こういうことでは質問できませんね。委員長、ちょっととめてください。これではできません。

持永委員長 長官、とりあえず答弁してください。

中谷国務大臣 私なりに空幕や内局の方と話をいたしました。そして、その仕組み的におきましても、なぜ価格が変わったのか、るる説明を聞きまして、私自身それで納得した次第でございます。

石井(紘)委員 数字を聞かないで納得したというのは、それはますますおかしい。それはおかしい。長官、それはまずいですね。委員長、ちょっとこういうことでは審議にならないんじゃないんですか。委員長どうですか。

中谷国務大臣 その点につきましては、参考人に説明をさせます。

石井(紘)委員 今、大臣が答弁をされたことについて問題になっているわけですから、それは第三者が答弁しようがないでしょう。

中谷国務大臣 その価格が変化した理由、るる説明を受けました。例えば、訓練の時間が短縮されたとか企業の努力がされたとか、そういうのは聞きましたけれども、数字的なものにつきましては、私はまだ聞いておりません。

石井(紘)委員 さっきおっしゃったのとは全然違うんですよね。だめですね、そういうふうにうそを言ったら。さっきは、全部聞いて調べた、その結果、厳正に行われたという確信を持ったという答弁を防衛庁の代表者としてなされたわけですから。それで今になって、これは数字は聞いておりませんでしたと。どういうことですか。

 今、いろいろ数字が変化したとかなんとかおっしゃったけれども、今言われたようなことじゃないんですよ、問題にしているのは。これはちょっと認識がどうかと思うのですが、維持経費の中の維持役務費というのが六十三億円になっているものが、この中に具体的な項目があるのです。支援整備、それからIRAN、さっき言った機体定期修理ですね、それからエンジンオーバーホール、エンジン修理、搭載通電の修理及び定期修理、航空機要修理品修理、この六項目があるのです。

 海自で例えばT5を購入したとき、そうした入札をして契約をしたときには、大体公に発表するわけです。そのときも、これらの具体的な詳細の項目ごとの価格は発表されているのです、海上自衛隊のT5なんかの場合。T5とT3改は同型機種でほとんど同じなんですけれども。

 ところが、今回のものはどういうわけか、どうしてもこれを私が質問主意書でも聞き、国会でも再三再四聞いておるのだけれども、これについては秘密というか、この数字を出さない、ここに最大の疑惑の一つが隠れているわけです。だから、ここの数字をあなたが聞かなければ、これを問題にして言っているわけですから、これを聞かなければ、この契約が正しかったか正しくなかったかということはそもそもわからないわけですよ。

 この六項目あるうちの一項目の価格だけでもこのT5をもとにして計算すると、この六十三億というものをはるかにオーバーしてしまうんですよ、この間も申し上げましたけれども。維持役務費、六項目全体で六十三億かかったと言っているのです。だけれども、その具体的な六項目の中の一つだけでも八十何億かかる計算になるんですよ。それ以外にあと五項目あるわけですから、到底この維持役務費の六十三億というのはインチキな数字なんですよ。

 そこのことを幾つかたくさん問題にしているうちの一つの重要な問題点にしているわけなのに、その数字を聞かないというのでは、これはちょっと長官だめですね。きょうはこれでやめましょう。

中谷国務大臣 その辺の数字の精査とか確認につきましては、担当の審議官に任せております。私、数字を見ましても、本当にそれがどういうことで必要かどうかを判断する能力を今の時点で持っておりません。しかし、それにつきましては、専門的に、また厳正にそのところでやるように申しておりまして、そこで不正がなかったというふうに聞いておりますので、この問題につきましては担当の者に答えさせていただきたいと思います。

石井(紘)委員 どうも隠していることが多過ぎますね。

 封をしなかった、そしてその締め切りの日に締め切った後も、翌日の朝方までいろいろとごそごそやっておった。何をやっておったかということも言わない。あるいは、肝心のIRAN、定期機体修理という、この価格をどうしても出さない。これは前の時には出しているんです。具体的な価格をこれまでは出してきたんだ。今回は出さない。あるいは、富士重工は外注率拡大を行うから、だから二回目以降の契約は安くなるんだなんて、外注率拡大して安くなるんだったら最初からそっちへやればいいわけで、そんなものは全然つじつまの合う話じゃない。

 それで、しかも、最初の入札の価格は、富士重工の場合は、後の二回目契約以降の価格よりも高い。普通はそんなことはあり得ない、普通の入札のやり方ではそんなことはあり得ない。入札にかけたところは、富士重工の方が高いのに、ピラタスの方が安いのに、高い方に契約を落札してしまう。これがなぜかというようなことは、さっきの数字を初めとして、二回目契約以降の分の具体的な内容を出さないから、これは解明できない。こういうことですから、維持役務費の六項目、この数字を以前海自が出したようにここで出してもらいたい。

 さっきの大臣の答弁は、これはもう論外。そういう答弁をされているんでは大臣としての責任が問われます。これは担当に任せておりますからと。一番肝心なことを、自分は調べたと言って、調べた上で確信を持ったと言いながら、いや、聞いていない。それはおかしいと言ったら、それは担当者に任せておると。それでは全然大臣としての責任を果たしたことにはならない、こういうことでありますので、きょうは、その数字を出さないんでしょう、出さないというわけですから、これでは私の質問はこれ以上できませんので、理事会の方に残余の時間はお任せするとして、私はもうこれで終わります。

持永委員長 委員長から伺いますけれども、今の石井先生の質問に対して、これ以上の答弁はできないということですか、今の段階では。

石井(紘)委員 この質問時間はちょっと保留にして、以上でやめます。

持永委員長 それはまた後でやります。

石井(紘)委員 あとは出すか出さないかだけ。委員長、出すか出さないか。それは出さなかったらだめなんだから。審議できないんだから。

持永委員長 それでは、これから防衛庁の内部でよく相談して、きょうの最後までに返事してください。

 それから、石井先生の質問は留保ということで、理事会で協議させてもらいます。

石井(紘)委員 本当はこの場で理事会をやってもらいたいところですけれども、まあ、いろいろ御都合もあると思いますので、そういう処置でお願いします。

持永委員長 次に、近藤基彦君。

近藤(基)委員 21世紀クラブの近藤でございますが、石井先生に大変早い時間に終わられてしまったので答弁者が間に合わないところでありましたが、副大臣には大変御苦労さまでございます。

 本日は、私の選挙区でもあります柏崎刈羽原子力発電所、そこの地元の刈羽村で、実は、五月二十七日、皆さん方御承知のとおり、プルサーマル計画の住民投票が実施をされました。結果は、プルサーマル計画に反対する意見が多数を占めたわけであります。刈羽の村民としては、プルサーマル計画をおおむね理解していたと思いますが、ここに、地元紙、新潟日報といいますが、事前の面接調査では、この計画が安全であると答えた住民が三割弱しかいなかったという結果が出ております。

 こういう点からして、このプルサーマル計画を推進するに当たって、国としてもそのPR不足は否めない感がありますし、不安感を解消していくことが不可欠だと私自身は思っておるのですが、今後、そういった点で国はどのような努力をしていくおつもりでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、過日行われました投票については御承知のような結果になってしまったわけでございます。この住民投票の結果を受けまして六月一日に行われました、新潟県の知事、あるいは柏崎の市長、そして刈羽村長の三者協議の結果を踏まえまして、東京電力が今度の定検時におきましてはMOX燃料の装置を行わない、見送ったというところでございます。

 しかし、もう委員もよく御承知のように、我が国のエネルギー政策、特に原子力発電所の問題につきましては、このプルサーマル計画を実施していくということがその根幹にあるわけでありまして、今後ともこれを推進していくということに対しての変更は全くございません。

 そういった観点から、今回の刈羽の投票結果というものも踏まえまして、プルサーマル連絡協議会を設けさせていただきまして、実は、昨日第一回目の会合を開かせていただきました。古川官房副長官が主宰でありまして、関係局長クラスによりまして開会をされたわけでございますが、この協議会では、プルサーマルを含む核燃料サイクルの重要性についての政府内の再認識、これが一つでございます。また、地元の理解に向けた取り組み強化について各省庁がしっかり連携をしていく、こういうことを図っていきたい、このように考えております。

 また、電気事業者に対しましては、六月一日でございますが、電力業界の代表者に来ていただきまして、平沼大臣から直接、電力業界及び各電気事業者のプルサーマル推進の全社的な取り組みというものを整備してほしい、そして、最近の状況も踏まえまして、各社のプルサーマル実現のための取り組みの強化、こういったことを早急に検討し、実施状況について報告をしてほしいということを指示させていただきました。

 これからも、プルサーマル計画の実現に向けてこのように官民一体となって一層の取り組み強化を行って、エネルギーの安定供給に間違っても支障が生じることのないように徹底的な努力をしていきたい、このように思っている次第でございます。

近藤(基)委員 今、電力事業者の話も出ましたけれども、電力会社、地元における存在感、原発をつくる当初に比べて、どこの地域もだろうと思うんですが、地元との関係が建設当初よりも大変希薄になっているように思われてなりません。企業の発展がそういった地域社会をも発展させるという一体感が失われていると感じておるわけですが、国も、原子力発電が受け入れられて、本当の意味で地元と共生できるように事業者にももっと配慮するように求めていっていただきたいと思います。

 先日石原都知事も指摘しておられるように、原子力発電所で発電される電力の大部分、柏崎刈羽の場合は、一部は東北電力を通じて地元でも使用しているわけでありますけれども、ほぼ大部分が首都圏で使われておるという実態、そして、ちょっと過言かもしれませんが、実は、東京のエネルギーの屋台骨を支えているという、大都市住民はこうした事実認識が少し薄いのではないか、プルサーマルをどうも他人事ととらえて、小さな村に大きな負担をかけているように思えてならないのであります。

 国は、地元はもとより、そういった大都市、ひいては日本国民全体にもっと原子力発電並びにプルサーマル計画に対して十分な理解を求めるべきだと思っておるのですけれども、いかがでしょうか。

河野政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、世界一の原子力発電所でございます柏崎刈羽原子力発電所で発電されました電気のほとんどが、東京を中心とした関東圏の電力需要を賄うために使われているのでございます。こうした実情を電力消費地である都市部の方々が十分に理解していないのではないかという懸念は私も共有をさせていただきたいと思います。

 石原都知事も御指摘がございましたように、このような観点からの御発言と推察いたしますけれども、先般、柏崎市及び刈羽村に感謝する、それとともに日本の原子力発電の安全性、重要性を訴えておられました。私どもといたしましても、広く消費地を含む国民の皆様に対し、自分たちが使うエネルギーがどこでどのようにつくられているのかということを意識していただくことは重要だというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、原子力発電の安全性、重要性を理解していただくためのさらなる努力をする必要があると考えておりますので、昨日開催されましたプルサーマル連絡協議会も、このような観点からも、政府として一体となって対応していくために設置されたものでございます。

近藤(基)委員 プルサーマル連絡協議会に期待するところ大なんでありますけれども、ちょっと別な観点から、プルサーマルの計画を実施した地元に対して何か、原子力発電所をつくるときには電源三法の補助金といいますか、出るわけでありますが、このプルサーマルに関しては、そういった何か地元に対しての対策があるのでしょうか。安全上問題がないとはいえ、プルサーマルが実施されることによって、電力の安定供給に貢献して燃料の節約が図れることは確かだと認識しておりますが、国民全体からの感謝の気持ちとして、地元に対して何らかのメリットを与えてもよいのではないかと考えておるのですけれども、いかがでしょうか。

河野政府参考人 プルサーマルを実施するに当たりまして、やはり地元の皆さんに対して何らメリットがないのではないかという御議論あるいはそういった御指摘はこれまでもございました。

 プルサーマルを実施することは、先生おっしゃいましたように、ウラン燃料の節約にもなりますし、核燃料サイクルの重要な一環ということで、末永く原子力発電を続けていく上ではぜひとも必要なものでございますけれども、一方、プルサーマルを実施することは、現在実施しておりますウラン燃料によります発電と発電自体の設計上の違いもないということでございまして、御指摘のような交付金について特別の対象になっているということではないというのはそのとおりでございます。

 プルサーマルを実現するために、住民の皆さんの御理解を得ていく上で、地域に対して何らかの具体的メリットが重要な要素なのかどうか、またそうであれば、いかなる手法がこれに貢献できるのかという観点も含めまして、幅広く検討させていただきたいというふうに思っております。

近藤(基)委員 先ほど副大臣の御答弁の中にもありましたし、私も若干触れましたけれども、電力会社、いわゆる事業者が本当に地域に密着した事業展開が行われているとなかなか考えにくい部分があるので、再度お尋ね申し上げますが、国として、そういった事業者にこれからどういった指導をしていくことになるのか、教えていただきたいと思います。

古屋副大臣 原子力発電所が地元に受け入れられるように、事業者に対してもっともっと配慮すべきでないかといった趣旨の御質問だと思いますけれども、私も全く委員御指摘のとおりだと思っている極めて重要な点でございまして、そういった観点から、今回刈羽村の住民投票の結果を受けまして、電気事業者との関係につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたが、六月一日に電力業界の最高責任者に来ていただきました。

 そして、平沼大臣から、プルサーマルに関する今後の取り組みについて早急に検討し、そして、実施状況につきましてしっかり報告をするように指示をさせていただいたところでございます。またあわせまして、大臣からは、いかに住民の信頼を醸成していくか、これが極めて重要でございますので、今後とも根気よく前向きに努力してほしいということを伝えさせていただいております。その際、事業者からは、全社的に取り組む体制を整え、またプルサーマルの実施に向けて努力をしたいという方針が大臣に示されたわけでございます。

 したがいまして、委員の御指摘の点につきましては、事業者における今後の検討の中で当然対応されていくべきものと考えておりますけれども、当省といたしましても、十分にこの点に注意をしながら対応してまいりたい、このように思っております。

近藤(基)委員 昨日、第一回のプルサーマル連絡協議会が設置をされ、開催を迎えたということでありますが、具体的に、若干その中身を教えていただきたいんですが、その構成メンバーと、それからきのう第一回目が開かれた。その中で何か特に話題になったようなことがあれば教えていただきたいと思います。

河野政府参考人 まず、構成メンバーでございますが、これは古川内閣官房副長官を主宰者ということでやっていただきまして、内閣府政策統括官、これは科学技術政策担当でございます。あるいは総務省総括審議官、それから外務省の軍備管理・科学審議官、そして文部科学省の研究開発局長、私どもは、私自身、資源エネルギー庁長官と、いわば進行役として資源エネルギー庁の電力・ガス部長が出席をさせていただいております。

 まず、私どもの方からプルサーマルの持ちます政策的な意義とかあるいは最近の動向、そしてまた推進に向けての対応、そして先ほど副大臣から御答弁申し上げましたが、過日、電気事業者の皆さんに私ども平沼経済産業大臣から指導申し上げたことなどを紹介させていただきました。

 そして、各省からこのプルサーマル推進の必要性を認識している等々の発言もございまして、第一回目でもございましたので、今後の進め方といたしましては、課長級の幹事会を設けまして、さらに意思疎通、連携を密にしていくということが合意されたところでございます。

 また、内閣官房副長官からは、この必要性は小泉内閣においても変更はないということ、また、プルサーマルの必要性及び安全性について地元の方々の理解を求めていくとともに、先ほど先生もおっしゃいましたが、広く国民に向かって説明を行い、理解を求めていくことが必要であるというような御発言もあった次第でございます。

近藤(基)委員 国も、今回の住民投票の結果を謙虚に受けとめて、電力会社や地方自治体あるいは地方議会と十分協議をしながら、もっともっと理解を得られるように努力していってもらいたいことを最後に申し上げて、質問を終わります。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。上田清司君。

上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。

 きょうは、いわゆる審議会の報酬や待遇について大変疑念がありますので、その点に絞って、決算行政監視の趣旨に従って質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、私は、今民主党でネクストキャビネットの行政監視担当大臣という形でにせ大臣を拝命しておりますので、その立場からもこの点について明らかにさせていただきたいと思っております。

 新藤政務官におかれましては、どうぞこの表を、ちょうど間近ですので見えるかと思いますが。

 実は、審議会にはどうやら二種類あるみたいで、大臣や総理大臣に諮問をする、つまり何らかの形でいろいろな考え方を報告して、わかりましたと言って、わかっていても全くわかっていなくてもとりあえずわかりましたと言って余り実行はしません、そういう審議会と、そこそこ決まったことに関しては丸のみをしなくちゃいけない、あるいは丸のみを比較的している、最終的な決定権は政府にありますが、御承知のとおり、例えば地方財政審議会などというものは、地方交付税の額あるいは地方債の起債の額とかを決めたりする極めて重要な審議会だというふうに私は理解しておりますので、あえて勝手に重要審議会、こんなふうにしております。あるいはまた、ここの中で出しておりますが、運輸審議会などは、路線の決定、七号線をつくるかつくらないかとか十二号線を延伸するかしないかとか、あるいは運賃の認可等についても権限を持つ大変重要な審議会であります。

 したがって、それにふさわしい報酬体系もあってもいいじゃないかという議論もあるかと思いますが、あえてそれに非を唱えていきたいというふうに思っております。

 そこで、ペーパーを見ていただきたいのですが、こういう審議会がどんなにあるのかなと思って、各省庁に審議会の種類を全部取り寄せました。

 大体大方の、諮問をする審議会は、一回二時間ぐらいで二万五千円から三万円、こういう理解をしていただければいいかと思います。一回二時間ぐらいで二万五千円から三万円の手当をいただくという。

 ところが、中央更生保護審査会や地方財政審議会、ここに挙げております七つの審議会に関しては、常勤の委員の方がいまして、この常勤の委員は特別職で、いわば次官級の待遇をしておるところであります。この点について、しかも気になるところでは、関係省庁のOBがしっかり座っておられる。ある意味ではこれは天下りの受け皿じゃないか、こういううがった見方をすることも可能になります。本来私は性格が素直なんですが、野党が七年になってきましたので大分ひねくれてきたのかもしれませんが、木村大先輩からは、そのとおりだ、こういうことでございますので、まだ素直な状態が続いていると私は思っております。

 それで、実はちょっとおもしろい考え方をしてみました。

 内閣総理大臣が、一日八時間で三百六十五日働いたケース、そうすると時給が幾らになるんだということを、もう一枚の紙の方で、こっちにあるのがわかりやすいかもしれません。そうしますと、三百六十五日、八時間働いた計算でいきますと、時給は総理大臣は、年間支給総額を総時間で割りますと、時給に換算しますと一万五千百円、これが総理大臣の時給であります。これを五十二週の五日、いわゆる土日は休み、それで八時間働いたとしますと二万一千二百円という時給に総理はなります。国務大臣は一万一千円、一のケースであります、三百六十五日働いて。そして五十二週の五日働いて一万五千円。

 したがって、先ほど申し上げました諮問だけする審議会、一回二時間ぐらい出て二万五千円もらう、三万円もらうというのは妥当性があります。総理の時給あるいは国務大臣の時給に二掛けしたりすればちょうど計算が合う。手当として計算が合うような気がいたします。

 国会議員の方は、ばかばかしくて書けません。セブンイレブンとか年中無休の奉仕でございますので、とても書けません。それで賞与は三・六カ月ということになっております。

 そこで、気になるところでは、ここの年間の延べ時間を見ていただきたいと思います。それぞれの、中央更生保護審査会の方では、年間開催日数が百二十日で、大体一回の時間が二時間。地方財政審議会は、週三回の定例で百三十二時間、ごめんなさい、ここは点が出ておりませんが、二・五時間ぐらいだという理解にしていただきたいと思います。運輸審議会が八十五回で五時間。それから航空事故調査委員会が二十四回で、五時間ないし六時間、こういう御報告をいただいていますので、延べ時間では六時間で計算しております。土地鑑定委員会は十三回で四時間と聞いておりますので、合計で五十二時間。公害健康被害補償不服審査会は、百十六回の日数で三時間当たりで三百四十八時間。それから、社会保険審査会では六十二日で二時間、百二十四時間。

 これで、時給当たり換算すると、一番高いのが、一時間で四十三万七千円もらう方がおられるということになります、計算上は。一カ月働いて二十万という人もいるんですが、一時間で四十三万。それから、ほかにも十九万だとか十八万。これは退職金も入っておりません。

 地方財政審議会の方からの資料をいただきましたら、一期三年で五百万を少し超える退職金をいただくことになっておりますので、同じ特別職の扱いですから、多分、確認はしておりませんが、各委員会の常勤の委員の方々は、退職金が、一期三年程度で五百万いただける、(発言する者あり)あるんです。だから、公務員の方は五年以内は退職金出ませんからね、普通の公務員は。五年以上十年未満という計算だとか、あるいは三十一年以上とかという計算ですから、極めて優遇されているのは、退職金に関して言えば、特殊法人と同じように非常に厚遇された考え方に立っている。

 そこで、政務官、ここに、これはまた後で挙げていきますけれども、全体の印象としていかがですか。

新藤大臣政務官 同郷の、しかも隣町の上田委員からこの決算行政監視委員会において初質問をいただけるというのは大変光栄なことでございまして、私も率直にお答えを、また自分が存じている範囲で申し上げたい、このように思っております。

 そして、これは基本を、もう先生御存じのとおりと思っておりますが、私どもは、特別職の職員の給与に関する法律、これが審議会の常勤委員の給料としてその法律が設定されているわけでございまして、その法律を所管しているところだということでございます。

 そして、常勤の審議委員の給料はすべてこの法律で定めておりますが、今度は、今挙げていただいたような各審議会がどういう仕事内容で、またどの委員の先生をお願いするかというのは、各省庁がこれは設置法で定めておる、しかも、この常勤委員の選任は、すべて国会同意でもって人事を行っている、こういうことなんでございまして、私は、その意味で、今、率直にと言われれば、先生のお示しいただいた資料の中で、また別の観点ももう一つ見るべきなんではないかなと。

 というのは、要するに、報酬額が、年間の審議会が何回あるか、延べ何時間だということなんでございますが、兼職を禁止して、少なくとも常勤をしていただきたいというのは、その趣旨は、常勤に値するほどの業務量があるんだ、こういうことで常勤、非常勤を分けていると。かつ、会議のとき以外は来ていないという前提で、すべての仕事が審議会の中だけで行われているというふうになればそのようなことになるかもしれませんが、これは私も全部把握しておりませんが、やはり幾つかの審議会を見ると、原則出勤をしている。それから、委員会に対する、審問する、また作業をする必要な準備や、そういったものを通常も行っているというふうに理解をしております。

 ただ、一般公務員と違いまして、勤務時間がきちっと決まっているということで出勤簿をとって云々ではない。高い識見を有した専門性のある方にお願いしているわけなんでございまして、いわゆる特別職の職員の給与、特別職というのは私ども大臣政務官も同じでございますから、そういった勤務形態で、私は比較するつもりはありませんが、そういったことではないかな、このように思っております。

上田(清)委員 大体それが基本的には役所の説明なんですよ、基本的には。

 それで、率直に一国民を代表する政治家として見たときにどう思われるかということについても承っておきたいと思います。

新藤大臣政務官 これは私どもがすべて把握する権限があるとか必要があるかどうかという議論があると思いますけれども、一政治家、そしてまた内閣の政務官に入れていただいた者として、やはり審議会の仕組みというのは、恐らく日本の戦後の行政と政治の進め方の中ででき上がったシステムではないかなというふうに思っているのです。そして、昨今、いろいろな問題が出たことも事実でございますから。

 私は、常勤の審議会の給料が高いとか、そういう以前に、どういう形で審議会をつくっていったらいいんだ、それから、どんなふうに審議会の先生方にお願いをする仕事があるんだということについては、やはり時代が変わって、今システムが変わろうとしているんですから、これは一議員として関心を持って、改善すべきところがあれば改善した方がいいんじゃないかな、こういうふうに思っております。ただ、それは、給料が高いから下げろとか、そういうことではない、私はこんなふうに思っております。

上田(清)委員 これは、特殊法人改革だとか公務員改革も含めて、いろいろな観点から考えていかなきゃならない問題なんですね。

 特殊法人の役員の皆さんが、国家公務員は一年で計算するのに、一カ月単位で計算していく。しかも、役員の方は百分の三十六掛ける月数ということですので、大体三カ月たてば一年分の退職金がいただける。通常の国家公務員に比べると四倍ないし五倍ぐらい高くなる退職金の仕組みができている。これにいわば審議会も準じている。これが適切かどうかといえば、適切じゃないと私は断言したい。なぜここだけ優遇する必要があるのか。

 まさに特殊法人、この中で一つだけ申し上げれば、幾つも申し上げますが、土地鑑定委員会の常勤の一名の委員の方は、前歴は道路公団の理事です。その前が建設省の局長。まさに道路公団の理事と同じような待遇をここで期せずしていただいている。こういう仕組みになっているわけですね、結果として。

 では、土地鑑定委員会、たまたま一番回数が少ない、時間も少ない。十三回で四時間でこういう報酬だと。ほかの方は六人とも非常勤。七名中なぜ一人だけ常勤なのか、その理由を承りたいと思います。

新藤大臣政務官 これは、先生、私逃げるわけではありませんが、私どもが設置している委員会でないわけでございます。

岩村政府参考人 ただいまお尋ねの土地鑑定委員会でございますが、先ほど政務官から御答弁がありましたように……(上田(清)委員「もう説明はいいですから、私の質問だけに答えてください。時間がないんだから」と呼ぶ)会議を開いているときだけ来ているわけではなくて、特にこの土地鑑定委員会の常勤の方は、実は、地価公示の問題とそれから不動産鑑定士の試験というのをここの委員会がやっております。

 この不動産鑑定士の試験は、年、一次から三次までございまして、四月に第一次、それから八月に第二次の試験、そして十二月に第三次試験ということで、この試験問題の作成、それから試験委員の選任等々の事務がございまして、これは、委員会を開いていないときも含めて日々の仕事の中でやっておるということで、委員会が何時間開かれたとか何回開かれたという以上のことをこの常勤の委員はしているわけでございます。

上田(清)委員 そういう話になってくると、判事も裁判官とかも、裁判しているだけが時間じゃない。家に帰っても資料を読み、あるいは土日も資料を読んだりいろいろなことをやっているんですね。そういうことは言わずもがなのことでありまして、問題は、今言ったように、なぜ非常勤が六人で常勤が一人なのかということを聞いているんですよ。

岩村政府参考人 先生御承知のように、非常勤の方というのは委員会の日しか来られない、まさに非常勤なわけでございます。常勤の委員の方は委員会のない日も、先ほども御説明あったように、日々、日曜、休日を除けば来られて、試験問題の作成等々の作業があるわけでございまして、そういう意味では、非常勤と常勤の違いはそういうところにあるということでございます。

上田(清)委員 そんな小学生みたいなことを言っちゃだめですよ。なぜ七人のうち一人が常勤である必要があるのかという明確な理由ですよ。別に非常勤で構わないじゃないですか。なぜ、理由があるんですか。

岩村政府参考人 繰り返しになりますが、委員会のときだけ出てこられる方だけでは、先ほど申し上げたような試験問題、さらには試験委員の選任等々の事務がございます。そういう意味で、日々仕事があるわけでございまして、全員が非常勤であれば、委員会の日だけしか打ち合わせができないということになるかというふうに思います。

上田(清)委員 ここは多分意見がかみ合わないんでしょうけれども、ほかの審議会でそういう体系は余りとっておりません、一名だけというのは。やはり、複数の方で見ていく必要があれば複数の方で見る。一名だけ常勤だというんだったら、もう最初からこれは非常勤の世界ですよ、はっきり言って。事務方だっているんだから。

 これはもういいです。議論しても何回も同じことの答弁をされるでしょうから。政務官、こういうことでありますから、厳しく見ていきましょうね。

 例えば、一つちょっと気になるところがあるのですが、私のところで資料の提出を求めて、環境省の公害健康被害補償不服審査会、直近の会議が五月二十一日に定例でやられているのですが、このときは一時間三十分だと。私のところに報告したのは、平均じゃなくて一番多いときの時間を報告したのかどうか。どうなんですか。

岩尾政府参考人 通例、毎週月曜日に一時から四時まで定例の会議を開いておりますので、通常は三時間というふうに承知しております。(上田(清)委員「いやいや、だから一時間三十分はどうだったんですか」と呼ぶ)このときは、何らかの理由で一時間半の会議になったというふうに推測いたします。

上田(清)委員 何かよくわからなかったけれども、要するに、この一時間三十分というのは例外で、三時間が普通だということですね。

岩尾政府参考人 通例、全体会議と称するのが、今言いました、毎週一回月曜日にございまして、そのほかに事例の担当者による定例会議というのが、常勤の四人で行われておる会議がございます。そのほかに合議をする会議があるということで、通例は全体の、常勤、非常勤合わせて六人の会議が毎週月曜日に三時間あるということでございますが、先ほど御指摘の日にちについては、詳細は承知いたしませんけれども、何らかの形で一時間半に短縮されたものというふうに理解しております。

上田(清)委員 岩村官房長にまた聞きますが、航空事故調査委員会、この案件ですが、これは定例日があって第一木曜、第三木曜日というような形になっているのですか。

岩村政府参考人 航空事故調査委員会でございますが、年間二十四回開かれているところでございます。委員会自体でございますが、開かれているところでございます。

上田(清)委員 昨年度からことしにかけての日数を全部確認しましたら、全部定例日の木曜日で、定例かどうか知りませんが、木曜日の第一、第三にやっておりますね。そうすると、基本的には、これは事故が起きたときに調査をする委員会というふうな認識でよろしいのですか。確認します。

岩村政府参考人 それぞれの事故について調査をしているという意味におきましては、事故が起きたときにということでございますが、実は、大きな事故はそう頻繁にございませんが、小型機の事故を含めますと相当数ございまして、審議の時間も一回当たり平均で五時間半という長時間にわたって審議をいたしております。その間、委員の先生方は、調査官を指揮いたしまして、実際の資料を集めることとか解析等々の作業をし、この委員会の場でみんなで議論をして結論を導いていく、そういうことをやっているわけでございます。

上田(清)委員 今いみじくも言われましたように、極めて事務体制がしっかりしておりますね。事務局長一名、調査官二十一名、総務課の担当八名、調査企画官、計三十一名、スタッフがいらっしゃる。こういう状況でありますから、ある意味では、非常勤的常勤、常勤的非常勤というのでしょうか、そういう中身なんじゃないですか。

岩村政府参考人 調査官の体制はそろっております。当然、その方々は現場へも飛んでいきますし、その方の全体の指揮、それからそこでどういう調査をするか、そういったことを日々委員の先生方から御指導いただいているわけでございまして、委員とそこの調査官とが相まってこの調査が進んでいるというふうに考えております。

上田(清)委員 極めて重要だということもよくわかります。しかし一方では、重大な事故があれば、それでも、日がわり定食ではありませんが、ずっと木曜日に、第一、第三だけやる、こういう仕組みというのも私はいかがなものかと思いますね。個々に小さな事故もありますという、だから二週に一回ずつそれを片づけていけばいい、しかし大事故であったら早急にやらなくてはいけないんじゃないですか。

岩村政府参考人 当然のことながら、大きな事故があれば臨時の委員会というものも開いて討議をするということはこれまでにもございました。

上田(清)委員 昨年度というのは大きな事故はなかったのでしょうか。十二年度というのは。

岩村政府参考人 具体的に、昨年どれとどれを扱ったかの資料、ちょっと今手持ちがございませんが、大事故が起これば頻繁に会合も開かなければいけないということは当然予想されることでございます。

上田(清)委員 私の持っている手元の資料では、それなりに大きな事故があったというふうに理解しております。後で確認していただけばわかると思いますが、にもかかわらず、定例でのんびり一と三だけやっているというのは、私には、この調査委員会の体質、官僚OBの皆さんがある意味ではゆっくりとその席に座っていらっしゃる、こういうふうな理解をせざるを得ません。

 なぜ定例でずっとしなければならないのか。もちろん、今言われましたように、重大な事故のときにはそうではないと言われましたけれども、少なくとも昨年度に関する限りは、細かい日程が届いておりますけれども、中身は届いておりませんが、タイトルだけは届いていますけれども、少なくともそうではない。こういう問題もあるということを理解していただきたいと思いますね。

 政務官、ちょっと、今のやりとりを聞いてどうですか。率直な感想。

新藤大臣政務官 私は、上田委員さんとはまたちょっと違うのかもしれませんが、やはりこれはぜひ審議会のあり方を考えるべきだと一政務官として思っております。そして、それは給与体系だとか、それから今の制度としては適正に執行されているわけなんですが、ただ、その制度自体にもう少し考えてもいいのではないかなというようなところがあるのは、私は率直に感じております。

 そして、それは既に昨年の通常国会におきましても、やはりこの部分の、給与以前の問題として、審議会のあり方、それから委員の職務内容、常勤の必要性等々、こういったものは政府全体で考えるべきだという見解が出ているわけなのでございまして、私も、これはそういう考えを持つべきだ、このように思っております。

上田(清)委員 時間も少なくなってまいりましたけれども、運輸審議会も十五名からのスタッフがいます。それなりにスタッフがいてやっていますし、たまたま御縁がありまして、どこのだれだとは言いませんが、私の高校の先輩もいましたので、いろいろと内々にお話もしておりましたけれども。この運輸審議会の実態においても、基本的に、事務方が大方つくったものを審議会が丸のみし、審議会がつくったものをまた政府が丸のみする、こういう仕掛けであるということは自明の理なんですね、この役所の世界においては。そういう中で、こういう非常に厚遇された待遇があっていいのかどうかということについて私は問題にしております。建前論ではなくて本音論で。

 そして、もう時間がありませんけれども、最小限度、退職金だけは特殊法人並みの扱いにするというのはおかしいのではないですか、百歩譲っても。少なくとも、地方財政審議会の資料しか私はいただいておりませんが、多分横並びでそうだというふうに理解しておりますが、一期三年やったら五百万円。そうすると、先ほど言った時給はもっと高くなってしまうんですね。一時間六十万になるかもしれない。これはやめた方がいいんじゃないですか。どうですか、政務官。

新藤大臣政務官 先生の問題意識は非常によくわかります。

 ただ、私は、今の制度の中のここの部分を、枝葉と言っては失礼ですが、一つ一つの事象をとらえて、例えばこれが天下りになっているのかもしらぬとか、それはたまたまそういうときもあるのかもしれませんが、そういう一つ一つのことで論ずるべきではない、私はそう思っています。制度全体の見直しをしないと。今の制度にのっとっては適法なんですから。

 だから、今の制度の中で決められたとおりに、そういう法律があって報酬が支払われているわけです。退職金の設定も決まっているわけなんですから。ですから、それよりも以前の問題で、制度全体を、これは私に権限があるわけではございませんから、ただ、一政務官として、これはきちんと考えていく必要があるのではないかな、このように思っております。

上田(清)委員 こういう、何か処遇の仕切りは総務省でやっているというんですよ。あなたの権限でできるんですよ、ある程度は。ちゃんと副大臣や大臣と相談しながら、政治家のリーダーシップとして、不合理な退職金制度なんかやめればいいんですよ。別に、たった七つしかないのですから、こういうのは。だれから見てもおかしな話であって、これは日本国じゅうの人が聞いたら、へえ、いいね、これしか言いようがない。

 いろいろな歴史があります。いろいろなことがあります。そういうことを断ち切ろうというのが小泉内閣でしょうから。そういう意味で、私は、政務官がきちんと、これはどう考えても、細かい話は抜きにしても、退職金だけはおかしいですね、検討しますぐらいの言葉を出しても大丈夫だと思いますよ。後で怒られないと思いますよ。

新藤大臣政務官 先生の問題意識は私は承っておきたい、このように思っております。

上田(清)委員 何のために政治家がそこに座っているかと思ったら、ちょっと気になるな、大変、新藤政務官には不愉快な言葉で恐縮ですけれども。やはり答弁が、政治家が官僚化しちゃ何にもなりませんので、何のためにそちらに座っていらっしゃるかということを、私は、ひょっとしてそちらに座ったときにどうなるかわかりませんが、同じようなことになるのかどうかわかりませんけれども、多分、私のことだから、言いたい放題、やりたい放題やると思います。そんなふうにならないとおかしいというふうに私は思って、最後にそのことを申し上げて終わります。

 たくさんの方々、必ずしも全部質疑することがなくて、どうも済みませんでした。

持永委員長 何かありますか。新藤政務官。

新藤大臣政務官 私も全く同じ気持ちでやっておりますから、そこの地点は一致できると思います。

上田(清)委員 そう思わなかったけれども。

 どうもありがとうございました。

持永委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 こうやって大臣と委員会でお目にかかるのは初めてでございまして、おめでとうございますというか、御苦労さまですといいましょうか、ただ、今、国会の中でマジョリティーを占めている与党がつくっている内閣にあって、しかも国民的な人気も圧倒的に高い、そういうふうなところで経済財政関係のお仕事をされるという点で、ある意味ではうらやましいなというふうな思いも持っているわけです。また、小泉内閣が続く限りはずっと大臣でもいらっしゃるということを総理もおっしゃっているようですので、ぜひとも日本のために頑張っていただきたいな、こういうふうに思っております。

 それで、きょうは経済財政運営のことについてちょっとお話を伺いたいと思っているんですが、今、手元にこういうものがございまして、「日本経済再生への戦略」、これは竹中大臣が当時一生懸命御活躍になられた経済戦略会議の最終答申ということですね。

 この経済戦略会議の答申の中を見ますと、日本経済あるいは財政というものを健全化、再生するということについて三段階論というのがとられているわけです。第一段階というのが「バブル経済の集中的清算期間」、これに二年間充てられていました。その次の第二段階が「成長軌道への復帰と経済健全化期間」、これも二年間。次、第三段階というのが「財政再建、構造改革による本格再生のための期間」。こういう三段階論が書かれているわけなんです。私は、当時、これをつくったときに与党だったからというわけではないんですが、大変よくできているなと今でも思っているんです。

 そこで、大臣にお伺いをしたいのですけれども、この三段階論でいきますと、現在の我が国の経済の状況というのは一体どのステップ、どの位置にあるというふうにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 経済戦略会議での議論で、確かに、日本経済の再生に向けて、御指摘のとおり三段階で再生させようという議論がなされました。第一の段階というのは集中清算ですね、バブルの集中清算。それで、一種のクッション期間を置きましてから本格的な財政再建というシナリオだったんだと思います。

 今どの段階かといいますと、大変残念ながら、バブルの集中的な清算というのは実はまだ終わっていないんですね。残念だけれども、これは先に延びて延びてしまいまして、今度こそこれを最終的にやってしまおうということなんだと思います。

 そういう意味からいきますと、実は時間的な余裕から見て、その第二段階を、ちょっと言葉はあれですけれども、はしょらなければいけない、とにかく第一段階を早く終わってしまって、しかる後に財政の再建を本格的に目指さなければいけない。

 実は、小泉総理の所信表明の中で、二段階説をとるというふうに明示的に説明がなされていたと思います。その意味では、病気を治して、少しクッションを置いてから次の段階に行こうというところを縮めなければいけない、そういう状況に今なっているんだというふうに認識しております。

中塚委員 ということは、やはり第二段階はちょっとはしょり目にいくというか、一と二をあわせたような感じでいくんだろうというお考えなのかなというふうに思うんですね。

 確かに、時系列でいきますと、これが出たときが、平成十一年なので今から二年前、一九九九年ということだったので、私も本当にこのとおりやっていればなという思いはありまして、だから小渕内閣のときに大変な額の財政出動もしたわけですけれども、財政出動はこういう財政状況になるといいことではないというふうには思うのです。ただ、それ自体を否定することもできないなというふうに思っていまして、やはり、構造改革に伴う痛みを和らげるバッファーというのは必要なんだろうというふうに私も今でも思っているのです。

 そこで、当時、二年前と状況が変わっているから第二段階はちょっとはしょり目にいくのか、あるいはこのままのステージをちゃんと追っていくのかということについて、やはりちょっと問題になるのかなというふうに思いますし、逆に、時間的な余裕がない分御苦労もされるんだろうなとも思っているわけなんです。それで、実際、景気動向指数が三カ月連続で五〇%割れをしていたりして、足元がそんなにいいとは言えない、どちらかというとかなり悪い方なんだろうというふうに思うわけですが、そういった中で、経済戦略会議の考え方は維持しつつ、ちょっと第二段階なんかははしょっていく、そういうふうなことでよろしいんですね。

竹中国務大臣 基本的には、そこの根底にある経済を再生させるための考え方というのは非常に類似している、同じような考え方であるというふうに考えていただいてよろしいんだと思います。

 今の御指摘のあった景気等々の関係で改めて整理させていただくとすれば、次のような説明の仕方になると思います。

 基本的に、経済というのは、一たんクライシス、危機が起こってしまったならば、これはもう古今東西やることは一つしかないのだと思います。これは、なりふり構わずやはり政府が責任を持って経済の中にお金を注ぎ込むことだと思います。金融のシステミックリスクが非常に高まったように見えたあの当時、これはやはり公的資金を投入しなければいけないし、大型の経済対策も打たなければいけなかった。それは、まさにクライシスないしはそれに近い状況が日本経済にあったのだと思います。

 しかし、同時に、日本経済を本格的に再生させるためには、そういうようにお金を注ぎ込む、まさに需要を刺激するということだけでは、これはもうできないわけでありまして、中長期的な日本経済の体力を強くするためには、いわゆるサプライサイド、経済の供給サイドを強くしていかなければいけない。そのためにまず不良債権の処理というのは、そのサプライサイドのマイナスの部分、バランスシートの悪い部分を削るわけですね。しかし、悪い部分を削るだけではだめで、もっとよくしなければいけない。これが前向きの構造改革、例えばIT革命を促進するとかそういうことになるのだと思います。このサプライサイド政策に明示的に今移っていこうとしている段階にある。

 ところが、その過程で、短期的には、バランスシートから悪い部分を切り取るときにまた少しデフレ効果が出るかもしれないねと。これに関しては、非常に注意深く経済を見守りつつも、当面の私たちの目指すべきところは、やはり中長期的な発展力、サプライサイドを強くすることなんである。やはりそういう見方をとらなければいけないんだと思います。

 その意味では、今、委員御指摘のあったような経済戦略会議のときの議論というのは、考え方としては引き継いでいるというふうに申し上げてよいのではないかと思います。

中塚委員 ということで、今、経済財政諮問会議というのをやっておられるわけです。骨太方針ですか、今そういうことを一生懸命やっておられるということなんですけれども、今の御答弁にありましたけれども、そうすると、この経済戦略会議の答申というのは、経済財政諮問会議の骨太方針にやはりかなりの部分関係してくるということなんですか。というのは、三段階論だけではなくてほかにもいっぱいありますよね、この経済戦略会議の答申の中身自体は。そういったことも含めてなんですけれども、この経済戦略会議の答申というのは、経済財政諮問会議の骨太方針と関連をしていくということなんですか。

竹中国務大臣 二つの面があろうかと思います。

 私は一カ月少し前までは経済学者でありましたので、経済学者のときによく考えていたのですけれども、オーソドックスな専門家が考えることは比較的似ている、細かい部分ではいろいろな違いが出てくるのでありますけれども。例えば日本の経済をどのようにしていくかということに関して言えば、やはり自助自立型の経済にしていかなければいけない、その中で競争政策を活用しながら自分たちで自分たち自身を強くしていくようなシステムを社会の中に取り込んでいかなければいけない。そういう意味での議論というのは、私は専門家の間では比較的合意がある部分ではないのかと思うのです、この大方針については。

 その意味では、経済戦略会議で議論されていた一つの改革の方向も、今、経済財政諮問会議の、特にこれは民間の議員が四名入っていらっしゃいます。牛尾さん、奥田さん、本間さん、吉川さん、そういう方々が抱いている一つの改革の方向性というのは共通するところが結果的にはあるんだろうというふうに私は思っております。

 ただ、第二の点としては、しかし、経済戦略会議と経済財政諮問会議は根本的にその成り立ちから違うということが重要だと思います。経済戦略会議というのは、もう御承知のように、当時の小渕総理に対して、一種の私的な、政策に関する私的なインプットをするための機関でありました。ところが、経済財政諮問会議は、これは橋本総理が大変御苦労をなさって、まさに総理主導の新しい経済政策のシステムをこの社会に定着させようということで、総理を助ける内閣府、その内閣府の中の中心的な諮問会議としてつくっているわけですから、その持っている責任とか成り立ちとかが根本的に違うわけだと思います。経済財政諮問会議の議長は総理御自身でいらっしゃいます。

 そういう意味では、その会議の性格とかは全く違うわけであって、ただし、改革の理念というか方向性は結果的に、その専門家と言われる人たちが集まって議論した結果としては比較的類似したものになっている、そのように考えております。

中塚委員 さて、実は、塩川財務大臣ともいろいろな議論をさせていただいているのです。塩川財務大臣といろいろ議論をしてその結果わかったことがありまして、財務大臣がおっしゃっているのは、来年、再来年は財政赤字を、新発債を三十兆円以内に抑えるということをおっしゃっています。三年後からは税制なんかも見直してプライマリーバランスの回復に着手をしていくんだ、それも五年じゃ無理だから七年ぐらいかなというふうな話をされていたわけですが、そういうふうに考えると、大体九年から十年の計画ということになるんでしょうね。

 まず、この計画自体は、竹中大臣、どう思われますか。

竹中国務大臣 財政再建を二段階で行うというのは、これはもう先ほど申し上げましたように、総理の方針の中に明記されているわけです。その第一段階から第二段階までの移行期をどのように設定するかということに関しては、経済財政諮問会議での大変重要なテーマだと思っておりますが、実は、まだそんなに明示的に議論はなされていません。塩川大臣がどのようにおっしゃったかということは私自身はお伺いしておりませんで、正確に二年とおっしゃったのかどうかというのは、ちょっと私、申しわけありません、正確にはまだ大臣とも直接議論はさせていただいておりません。

 ただ、大枠としては、私はやはり次のようなことは言えると思うのです。私たちが本当に責任を持って計画をつくろうと思ったら、よく言われる、我々が見越せる将来の範囲、フォーシーアブルフューチャーといいますか、それは十年を超えるような長い期間ではないんだと思います。その意味では、プライマリーバランスを回復させるということは、やはりその範囲内でおさまっていなければ責任を持った計画とは言えないでしょう。

 もう一点、日本経済の実態から考えましても、これもいろいろな予測はありますけれども、常識的に考えますと、二〇〇八年から日本全体の人口が減り始める、そのことも考えると、やはりそんなに長い先のことではなくて、八年とか十年ぐらいまでにそのことを終えていかなければいけません。

 今の御質問は、全体の長さをどうするかということと、それと第一から第二への切りかえをどうするかということだと思います。

 これは、切りかえを少し遅くしてその分一気に改革するという考え方もあれば、切りかえを早目にしてその後緩やかに回復して、それでトータルとして責任を持てる範囲になるという考え方があろうかと思います。これは非常に難しい、微妙に、先ほども御指摘のあった当面の需要動向、不良債権処理のスピードをどのように考えるかということでもありますので、かなり専門性の要る議論でもあるんだと思います。

 まさに重要なポイントでありますので、今の御指摘の点も塩川大臣とぜひ議論させていただきながら、骨太の方針の中ではそれなりにメッセージ性のあるものにしていきたいと思っています。

中塚委員 かなり一生懸命議論していただいた方がいいと思うんですけれども。

 それで、まだ議論されていないということなのでなんなんですけれども、要は、財務大臣がおっしゃっておるのは、来年、再来年、三十兆円以内に赤字を抑えるんだ、その後三年目からプライマリーバランスの回復に着手をする、そのときに税も見直すというふうにおっしゃっているんですが、この税を見直す大前提が景気が回復をしていることなんですね。というわけで、私が一番心配をしているのも実はそこなんですよ。だから、来年、再来年の財政赤字の発行額をもうぱんと天井を決めちゃうことによって、実際それができるかどうかという話もあると思うんですけれども、それはきょうはお尋ねはしませんが、できるかどうかという話があると思うのです。

 それとは別に、では、それをやって本当に三年後までに税制を見直してプライマリーバランスの回復に着手をできるほど我が国経済がよくなるかということなんですけれども、要は、塩川方式でいったときには、来年、再来年の赤字を抑える、そして、赤字を抑えるその二年間に税制改正をやれるだけの体力が日本経済についてくるという具体的な方策について何かお考えはございますか。

竹中国務大臣 ちょっと済みません、二点、細かいことから申し上げたいんですけれども。

 先ほど、そのシナリオについて議論していないということではございません。議論はしているんですが、まだ結論らしきものに到達していないという意味で御理解いただきたいと思います。

 それから、繰り返し申し上げますけれども、塩川大臣が正確に二年先ということを明示していらっしゃるというのは直接私はお伺いしておりませんので、また、経済財政諮問会議の中でも正式にはそういう御発言はまだ伺っておりませんので、ちょっとその点についても余り正確な議論を私の方ではできません。

 ただ、重要なのは、景気の回復がないとプライマリーバランスの回復という本格的な段階に着手できないのではないかという御指摘は極めて理解できる議論だと思うんですが、その場合、景気の回復というのは何かというのは、実はなかなか難しい問題なんだと思うのです。実際に経済が高く成長していることなのか、いやいや、別に、アメリカの影響を受けてそのときたまたま低いかもしれないけれども、経済の体質が強くなっていることと考えるのか、この辺の見きわめはそんなに単純ではないんだと思います。

 ただ、一般論として言えば、先ほどから申し上げているように、経済の供給側が今大変日本は痛んでいるわけですが、供給側の痛みがある程度解消されたないしは解消される見込みが明らかになった、やはりそういう状況でないとその次の段階に行くのはなかなか難しいのだと私は思います。

 そういう状況に二年後になっているだろうか、そういう御質問でありますけれども、これは先ほどのお答えと結局同じになってしまいますけれども、これは今後のアメリカ経済の動向にも影響されます。また、不良債権の処理のスピード等々にも影響される。そのことを最終的に、これはもう不良債権処理については柳澤大臣がいろいろと御苦労なさっておられるし、アメリカの経済の動向の把握というのは私のところでありますけれども、ちょっと総合的に、あと残された時間で本当に一つの大きな判断をしなければいけないと思っております。

 ただ一つ言えることは、これはやはり難しい。御承知のように、民間の機関とかこれだけたくさんの予測機関があるのに、そのことに対して正確な、信頼できる議論をしているところはほとんどない、いや、一カ所も私はないのだと思います。そういう状況の中で、しかし当局としては、やはりそれなりの判断を示して、国民の皆さんに方向は示していかなければいけないというふうに思っています。

中塚委員 何でお尋ねしているかというと、塩川大臣がそういうふうにおっしゃっているからお尋ねしているのであって、別に私がそうするべきだと言っているわけではないんですね。

 私はどっちかというと、まず問題なのは、三十兆円以内に赤字国債の発行を抑えるということと増税しないということを言っちゃいましたよね。だから、そのことというのは私は大変にきついなと思っているのです。場合によっては、例えば社会保障制度なんかは、景気動向いかんにかかわらず、しっかりとしたものをつくるためであればある程度負担増があったって、それによって信頼が回復するという側面だってあるのではないかと私は思っているんですね。

 だから、お尋ねするのは、財務大臣がそういうふうにおっしゃっている、余り真剣に議論はされていない、詰めた議論はされていないというふうなこと、ちょっと言葉は間違いがあるかもしれませんが、いずれにしても二人でちゃんと打ち合わせて内閣の方針として出しているわけではないということなんだろうとは思うんですけれども、ただ、財務大臣はそういうふうにおっしゃっている。

 私も財務大臣には本当にそれで大丈夫なんですかというお話をしておるんですけれども、二年間三十兆円以内に赤字を抑えれば三年後からぽんと景気がよくなる、そうなるように努力をするというふうにおっしゃっているわけです。先ほどちょっとお触れになりましたけれども、景気が回復するしないというのは何をもって言うかということも大変難しいし、国内の要因だけではなくていろいろなところからそういったことも飛んでくるんだろうと思うのです。

 ただ、そこでまたちょっとこの経済戦略会議のお話に戻るんですが、やはりここに書いてあることは、「景気の動向を無視して一律的かつ硬直的な形で歳出削減や税収増加措置をとれば、結局は景気後退を招き、却って財政赤字を悪化させてしまうリスクがある。」というふうに書いてあるわけですね。

 そういった意味で、きょうは若林副大臣にお越しいただいているんですけれども、こういった単年度の赤字にこだわる余り逆に経済を失速させるということについて、逆に財政再建というか財政の健全化、それをおくらせるようなことがあるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。

若林副大臣 中塚委員と塩川財務大臣とは何回かにわたって御議論いただいております。そういう議論の中で塩川大臣が申し上げております、二、三年のうちに財政構造改善の第一ステップとしての三十兆内における予算編成、これは大変痛みを伴うものですけれども、その辺に方向づけができて、そして第二ステップとしてプライマリーバランスに手をつけていきたい、そういう状況の中で税制についても考えていきたいということをお話ししたもので、そうかたくなに十五年度から、つまり二年後にはプライマリーバランスを達成するための措置に手をつけると思い込んでいるわけではないと私は理解をいたしております。

 その辺は、経済財政諮問会議の骨太計画の中で、十四年度予算編成に当たっての当面の措置とそれ以後の中長期の構造政策についてまとめていく過程で見通しが出てくるものだと考えております。

 御質問ございました点につきまして、私として一言申し上げたいと思いますのは、やはり公的サービスの水準とその負担というものをどういうふうに理解していくのか、そのことについて国民的理解といいますか、論議を尽くした上で、税制の問題が論議されなければならないということでございまして、そこに至る過程としては、文字どおり聖域なき見直しと同時に、民間活力が引き出されるような形での経済政策、積極的な面、この面とあわせて進めていかなきゃいけないものだ、こう理解をしております。

中塚委員 財政再建というか財政の健全化、三十兆円に国債を抑えるということになりますと、何か財政再建というか財政健全化が自己目的化してしまうような感じを受けるんですね。それこそ、今から二、三年前なら景気回復なくして財政再建なしと単純に言っておればよかったんだろうと思うのですが、今やはりそういう状況ではなくなってきているんだろうと思います。

 ただ、だけれども、それこそ二兎を追う者は一兎を何とかという話もありましたけれども、今、そういう意味で、二つ追っかけなきゃいけないというか、追っかけるところが一つであるということが一番難しいハンドリングなんだろうというふうにも思っているのですが、ただ、そういう側面からも、やはり三十兆円以内ということは、ちょっと私は、そういう三十兆円以内というのを設定することによってより財政のサステーナビリティーというのがなくなって悪い結果になりはせぬかというふうに思うんですけれども、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 三十兆以内に新規国債発行額を抑えるという政策に関しては、実はいろいろな見方があるのだと思います。

 予算編成を実際にやってみて歳出項目を並べてみると、これは例えば何兆円か削るのは大変だぞというような思いが一方である。それは削ったら削ったで経済に対して短期的なデフレ影響が大きいのではないかというような懸念も、そういう声も確かにございます。しかし一方で、三十兆円国債を発行するというのは、これはこれでマクロ経済的に見るとなかなかすごいメッセージなんですよね。五百兆円のGDPの経済で三十兆の国債を出すということは、まだGDP比六%の、ネットで見てGDP六%の経済刺激、需要刺激をやり続けるということですから、これはこれでかなり大きなメッセージ性を持っているんだと私は思うんですね。

 結局のところ、まあ一方で、これは恐らく認識の差がもしあるとすれば、国債が累増しているということの深刻さをどの程度に考えるかという問題なのだと私は思います。もう少し余裕があるではないか、そうしたら三十兆にとらわれることはないじゃないかという見方をとるか、いや、もうマーケットはこの日本の六百兆円を超える、六百六十兆円に達する国債をぎりぎりのところだというふうに見ているということであれば、これは極力抑えなければいけない。

 私は、やはりマーケットの動きというのは後者の動きにだんだん近くなってきているんだと思うんですね。その意味では、とにかくある程度、当面の短期的なキャップを、国債発行のキャップをはめる。

 そうすることによって何が起こるかといいますと、これはもう、やはり苦しい財政をやりくりして、積極的な支出の組みかえを行わざるを得なくなりますね。より経済的に意味のあるところに財政を出しましょうと。そこで何が起こるかというと、これは私たちの経済財政諮問会議の民間議員の一人である吉川さんがよく使う言葉なんですが、クラウディングインが起こると。クラウディングアウトの反対です。つまり、政府の支出が民間の支出を締め出すんじゃなくて、政府の支出が民間の支出を呼び込むんだと。これはいろいろなものが考えられると思いますけれども、そういう支出を組みかえることによって需要が刺激される面というのは確かにあると思うのです。これが一つのプロモーティングな促進力になって構造改革に向かった道筋をつけるという意味合いも、私はかなり強く持っているんだと思うのです。

 その意味で、三十兆というのは、実は私たちがアイデアを出したんじゃなくて、小泉総理がみずから総裁選のときからおっしゃっているんですけれども、結果的に見ると、なかなか微妙ないい線の数字を出しているなというふうに私は実は考えておりまして、こういった三十兆がむしろクラウディングイン、いい効果をもたらすような政策運営にぜひ持っていけるように、今骨太の方針を書きたいと思っているところであります。

中塚委員 それはもちろん、当然そういうふうに持っていかないと大変なことになるんだと思うんですけれども。

 さっき、どれだけの国債の発行余力があるかという話になると、私もそんな余力はあると思っている方ではないんです。まさに風船を膨らませているのと同じことで、結局、今の時点で均衡しているというだけの話ですから、ちょっと大きくなった瞬間にはぱんと割れるかもわからない。去年は、ことしこれだけ発行できるとは思っていなかったはずだし、おととしは、去年の額が発行できるとは思っていなかったはずなんですよね。

 ところが、それができてしまうということの方が実は問題があるのではないかというふうに私は問題意識は持っているんですけれども、ただ、そういうことであればこそ、三十兆円の国債発行ということによって逆にそれをあらかじめ決めてしまう、決めるのであればもうちょっと幅を持って決めたっていいはずだし、そもそもは、三十兆円に抑えるということと十年かけてプライマリーバランスを回復させるということについて、ほとんど関係がないんだろうというふうに思っているんですね。いずれにしても、大変難しいかじ取りなんだろうなというふうに思いますし、きょうお聞きしたことはまた塩川財務大臣にぶつけてみようというふうに思っております。

 ほかにも聞きたいことがいっぱいあったのですが、時間ですので終わります。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 私は、きょうは在日米海軍厚木基地に隣接する民間産業廃棄物処理業者エンバイロテック、神奈川県の綾瀬市にありますけれども、これがエンバイロテックの写真でありますが、排煙被害に対して、政府が最近、焼却炉の操業停止、あるいは撤去に対する補償費、さらに撤去も政府が行うということで撤去費用、合わせて約七十億円の国民の税金を支出するということを決定されたことに関連して、これが適切な支出だったのか、根拠はあるのか、ほかに方法はなかったのか、こういう立場から検証してみたいと思います。

 この問題では、米軍住宅の方に限らず、周辺住民も長い間大変な思いをされてきたわけで、しかし、今回のこういう措置で、単純には喜べない複雑な思いを持っておられるわけです。

 最初に、事実確認でありますけれども、今回のエンバイロテックに対する補償措置等について、一体いつ、どこで、どのような名目で支出金額などを決定されたか、ごく簡潔にお答えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 ただいま御指摘のように、大変長い間の懸案でございました。今般、当該エンバイロテック社との民事契約により、焼却炉を撤去するという運びになった次第でございますが、それに際しましては、この問題が大変日米間の問題であること、また、もちろん今御指摘の、住民等の健康問題にかかわる重要な問題であるというようなことを踏まえまして、本年四月二十日に閣議了解ということで、ただいま申し上げましたような抜本的な解決を図ることが適当である、そのためには、民事契約をもって適切な補償のもとに焼却炉を撤去する必要があるという閣議了解をした次第でございます。

 それを受けまして、防衛施設庁の方で四月二十日に、同日にエンバイロテック社と契約をいたしまして、当該焼却炉の撤去ということになった次第でございます。

大森委員 金額が抜けましたけれども、約七十億円、これは間違いないですね。いや、いいです、もう結構です。

 それで、環境大臣にお聞きしたいんですが、今回、こういう産廃処理工場による環境破壊は今全国至るところで問題になって、環境省の方も日々その対応に追われているわけでありますけれども、今回のような民間の産業廃棄物処理業者に対して、産廃や廃棄物処理法に関連して、国が操業停止あるいは撤去の補償を行った事例がほかにあるでしょうか。あるいは、撤去を国の費用で行う、こういう事例がほかにあるでしょうか。

川口国務大臣 産廃処理業者などの民間事業者に対して焼却炉の補償、撤去を国の費用で行った事例というのは、環境省としては承知をいたしておりません。

大森委員 つまり、他に例がない異例な措置であるわけなんですが、言葉をかえて言えば、現在の環境行政、廃棄物処理にかかわる法令では、これは説明できないことというように受けとめてよろしいでしょうか。

川口国務大臣 この撤去等の措置につきましては、廃棄物処理法や大気汚染防止法の環境法令とは別に、この件の特殊事情によりまして実施されたものでございまして、廃棄物処理法や大気汚染防止法といったような環境法令とは関係がございません。

大森委員 環境法令とは関係のない支出として七十億円、これは大変な国費であるわけなんですが、それを一民間企業に支出するということでありますから、今回の補償契約を結ぶに当たって、政府としても、結ぶ相手である企業あるいはその幹部らについて調査等を十分に行われたと思うんですね。

 そこで、防衛庁長官にお聞きしたいんですが、同エンバイロテック社あるいは代表取締役である村田哲郎会長についてどのような認識をお持ちなのか、明快にお答えをいただきたいと思います。

中谷国務大臣 御質問の村田哲郎氏は、現在、廃棄物処分業を営んでおります株式会社エンバイロテックの代表取締役であると承知をいたしております。

 なお、この会社は過去に、平成三年、神奈川県から株式会社神環保に対して改善指示があったこと、また、平成八年三月、綾瀬市から同社に対して改善指示があったこと、また最近は、一昨年三月、法人税法違反で株式会社神環保と村田会長が起訴され、現在、横浜地方裁判所において審理中であるということも承知しております。

大森委員 防衛庁長官の認識がそれだけだとしたら、私は大変これは認識不足だということを申し上げなくてはならないと思います。

 閣議決定したのは四月二十日で、それ以後内閣はかわったわけでありますから、この件に関する関係四省庁の大臣がかわったこともありますので、私の方から改めて、このエンバイロテック社及び村田氏に対する認識を深めていただきたいということで、幾つか質問をやりたいと思うのです。

 まず、今ごく一部が紹介ありましたけれども、エンバイロテック社の村田会長には数々の逮捕歴、法違反がある。

 そこで、法務省に来ていただいておりますのでお聞きをしたいわけなんですが、第一に、一九八一年、村田哲郎氏は当時の綾瀬市の総務部市民相談室長に対して、コンクリート廃材破砕施設建設のために購入した山林について、線引き変更を有利にしてもらおうと現金百万円を渡した、この事案が第一であります。

 第二番目が、一九八三年二月から十二月にかけて、産業廃棄物最終処分埋め立ての許可を得ないまま、綾瀬市内の山林地内にコンクリート破片百八トンを埋め立てた事案です。

 三つ目は、一九八三年十二月、綾瀬市内で廃木材六十トンを野焼きした。

 これらの罪で起訴をされたわけなんですが、この結果どのようになったか、法務省の方、御説明をいただきたいと思います。

古田政府参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、昭和五十九年十一月九日、横浜地方裁判所で、御指摘の事案について、村田被告につきましては懲役二年、三年間執行猶予。それから、同人が実質的経営者となっておりました産業廃棄物等の処理を業とする会社、これは神奈川環境保全有限会社という名前でございましたけれども、罰金五十万円となっておりまして、同月二十五日に確定しているものと承知しております。

大森委員 執行猶予つきで懲役刑が既に確定しているということであるわけなんですが、それ以外にもいろいろ新聞等に報道されているわけですね。

 例えば、会社の敷地内を通る農業用水路二百メートルを埋める、こうでかでかと報道される。苦情を訴える周辺住民、これをキックボクサーを動員して威圧するとかいうことをやっている。市の方も行政指導したけれども、村田氏の力に屈して、やむなく市の予算で水中ポンプを設けて農業用水を確保する、こんなこととか、これも全国的に有名になりましたけれども、一九九七年、鹿児島県の志布志湾へ産業廃棄物を搬入することがありました。これは結局、いろいろな経過があったわけなんですが、横浜に引き返したわけなんですけれども、当時の、これは村田氏が経営者であった神環保が受け入れていたわけです。このときにも、住民が廃棄物を調べてみたら、廃棄物処理法では禁止されている乾電池等も含まれていた、こういうことも大変問題になったわけであります。

 今、法人税の点については防衛庁長官言われたわけなんですが、今私の述べたこと、あるいは法務省等が明らかにした点、こういう事実は承知されているでしょうか。

中谷国務大臣 そんなことがあったという点は承知いたしております。

大森委員 私は、これらの経過を見ても、エンバイロテックの企業、経営者としての適格性が厳しく問われているんだということを指摘したいわけなんですが、先ほどおっしゃった法人税法違反について、詳しく見てみたいと思います。

 これについては、法人税法違反で二度にわたって逮捕されているわけなんですが、現在、まだ、起訴され、公判中ということで、起訴事実について、法務省の方、御説明いただきたいと思います。

古田政府参考人 お尋ねの法人税法違反被告事件の公訴事実の要旨を申し上げますと、被告人村田哲郎らは、共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、平成六年三月期から平成九年三月期までの四事業年度につき、所得合計約二十一億八千三百万円を秘匿した虚偽の法人税確定申告書をそれぞれ提出し、もって不正の行為により、法人税合計約八億一千七百万円を免れたというものでございます。

大森委員 八億一千七百万の脱税容疑ということですね。これは大変な容疑であると思うんですね。しかも、これについて、もう既に村田被告は六月二十五日の裁判で起訴事実を全面的に認めている。法務省、これはお答えいただけますか。この事実関係について。

古田政府参考人 申しわけありませんが、公判経過の詳細はただいまちょっと把握しておりません。いずれにせよ、現在公判を継続中でございます。

大森委員 これは、幾つかの報道で共通した報道になっていることは事実なんですが、六月二十五日の裁判で起訴事実を全面的に認める。しかも、その中で、これは被告の弁護人から明らかにされているわけなんですが、稲川会系暴力団幹部に年間五億円渡していた、こういうことが被告の弁護人から明らかにされているわけですね。

 つまり、リアルに申し上げますと、神環保が稲川会最高幹部に月額二百万円、その母親に百万円を給与などとして支払う、また稲川会幹部と親しい男性に、月三千五百万から四千万円支払っていた、この支出は経費に当たるから、脱税額は小さくなる、こういうことなんですね。驚くべきことだと思うんですよ。数々のこういう検挙歴、有罪も確定している、そういう人物、そういう企業である。

 しかも、暴力団との癒着までみずから明らかにしているわけですね。廃棄物処理法改正、不適格要件に暴力団を加えたのが昨年の改正なわけなんですが、当時の委員会の議事録を見ましても、なぜ暴力団を不適格要件に加えたのかということで、第一に、警察庁がこのことを強く要望した、その理由としては、暴力団の資金源となっている、残念ながらこういう産廃業あるいは解体業等がなっていることから、こういう要望を出したんだということが審議の中でも警察庁の幹部から述べられております。

 私は、環境大臣にお聞きをしたいのですが、今明らかにしたこういう一連の事実からいっても、廃棄物処理業者として全く不適格な人物ではないかということを強く指摘したいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

岡澤政府参考人 ただいま法人税法違反のお話があったわけですけれども、廃棄物処理法におきましては、産業廃棄物処理業の欠格要件といたしまして、禁錮刑以上の刑罰を受けていること、あるいは環境犯罪または暴力犯罪で罰金刑を受けたことなどをその要件としているところでございます。

 本件事案の法人が脱税の容疑で起訴されているということでございますけれども、法人税法の主目的は、生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法上の目的とは異なっているわけでございますので、直ちにこのことをもって、許可の取り消し処分を行うということではないというふうに考えております。

大森委員 大臣の感想をお聞きしたいのですが、昨年の廃棄物処理法で、こういう暴力団を加えるということがありました。その暴力団の定義については恐らくいろいろな要件があると思うのですが、今申し上げた、既に被告自身も起訴事実を認め、弁護人側からそういう事実が明らかにされている。資金が流れていたわけです。警察庁が一番恐れていた、そういうことが現に行われていたということ、今こういう廃棄物処理業者として堂々とやっている、このことについて大臣の御感想をお聞きしたいと思います。

川口国務大臣 お話の件につきましては、判決が確定したということではございませんので、今の時点ではコメントを申し上げることはできません。

大森委員 もちろんそういう前提で今御意見をお聞きしたわけなんですが、それでは、処理業者としてどうであったかという点を見てみたいのですが、同じく環境省にお聞きしたいと思います。

 環境省にお聞きしますが、エンバイロテックに対して、神奈川県などの立入調査、それこそ何回となく行っていると思うのですが、一九九五年から今日まで何回ぐらいやっているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 神奈川県が平成十三年度までにエンバイロテックに行った立入検査の件数でございますけれども、平成七年度以降、廃棄物処理法に基づく立入検査が六十回、それから、大気汚染防止法及び県の条例に基づくものが三十六回、それから、水質汚濁防止法及び県の条例に基づくものが十四回、これらの立入検査の延べ総件数は六十七回でございます。

 複数の法律に基づいて一度に立入検査を行った場合がございますために、各法律の立入検査の件数の合計と延べ件数とは一致しておりませんが、合計では六十七回ということでございます。

大森委員 廃棄物処理法等、延べで言う場合は、これは単純な合計になると思うのですが、延べ百十件。六年間、ほとんど毎週。完全なこれは違反の常習企業だと思うんですね。もう次から次に違反を重ねているわけです。

 しかも、違反事実では、施設の使用時間の超過、つまり、許可された操業時間以外に操業するというのが何回となく出てくるわけですね。それで、例えば、県の県央地区行政センターが法令違反を重ねて警告しても夜間操業をやめない。私も情報公開でとってみました。何回となく県等からこういう警告、指示文書が出される、そして、確かにエンバイロテック社から改善計画書が出されるのです。しかし、同じ形で次々と違反事実が起きてくる。本当にこれは産廃業者として完全な悪質業者としか私は言いようがないと思うのです。

 そこで、これは当然なんですが、周辺住民からも米軍からも、夜間操業、二十四時間操業への苦情が頻繁に出されてきておる、しかし改善されないということをこれは裏づけていると思うのですね。この辺で、本当に悪質きわまりない。判決をまつまでもなく、これはこういう企業だということははっきりしていると思うのです。数々の検挙、逮捕歴、有罪も確定しているという人物、企業、しかも暴力団との癒着までみずから法廷の中で明らかにしているというような状況なんです。これはもう、環境大臣もそうなんですが、判決をまつまでもなくしっかりとした判断を持たなくちゃいけない、認識を深めなくちゃいけないということを強く申し上げたいと思います。

 大体、こういう企業が堂々と営業できるということ、これは本当におかしいと思わないと、私は環境行政を務めることはできないのではないかと思うわけです。

 廃棄物処理法第七条で、営業の許可要件、不適格要件などを定めておりますけれども、その第三項の四号、いわゆるおそれ条項がございます。「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」、こういう条項を積極的に活用して、操業の停止措置なんか環境行政の国内法の範囲でも十分できたのではないかと思うのですが、環境省そして防衛庁長官、どうでしょう。お二人からお聞きしたいと思います。

川口国務大臣 ただいま御指摘の、おそれ条項に該当するのではないかということでございますけれども、ある者がこれに該当するか否かということは、許可権者でございます都道府県知事が判断をすることになります。

 このおそれ条項に該当する者といいますのは、例えば、法令違反を繰り返すなどして行政庁の指導が累積をしている場合であって、その資質及び社会的信用の面から適切な業務運営を期待できない者でありますが、本件の事業者につきましては、神奈川県の改善指導を受けた場合におきましても、それに従って是正措置を講じたということでございますので、神奈川県において、当時の廃棄物処理法に照らしまして、おそれ条項に該当する者ではないと判断をしたというふうに承知をいたしております。

 それから、環境省といたしましても、当時の廃棄物処理法に照らしまして、神奈川県の判断には問題がなかったというふうに考えております。

中谷国務大臣 法規制の問題につきましては環境省の所管でございますが、我々の認識といたしましては、平成十年の九月に閣議了解をして、全省庁がこの問題の解決に取り組んでいこう、特に、日米安保関係で、米軍人の健康にかかわるものでありまして、再三再四要望がありまして、本問題の早急かつ抜本的な解決を図ることが適当だと判断いたしまして、今回、適当な補償のもとに焼却炉を撤去するということになりました。

大森委員 今回の事案に対しては、四省庁との関係では、防衛庁が、環境行政であっても、この面でも環境行政とのかかわりで判断を持たなくちゃいけないと思うのです。

 環境省の方は、こういう環境行政、環境法令では説明できない、決定と言っておきながら、いざ聞かれると許認可は県知事にあるということでそういうところに逃げ込む、これはだめだと思うのです。

 不法投棄でしょう、野焼き、贈賄、用水路破壊、さらには脱税、暴力団への資金提供、ありとあらゆることが今現にあるわけですよ。これほど並べられても問題ないとする態度は、環境大臣、防衛庁長官、私は納得できない。真昼の暗黒じゃないですか。そうでしょう。不法投棄、野焼き、贈賄、用水路破壊、脱税、暴力団への資金提供、こんなことがまかり通るようであれば、これは真昼の暗黒、西部劇の世界ですよ。ただ、西部劇の場合は、最後は必ず悪徳業者は倒されますけれども、政府の方は逆にこれを応援しているということで、これは日米安保等々で説明できない、大変な大問題だと思うのです。日米安保ではこれは許されるのかということになると思うのです。

 政府の態度は本当に甘いということを具体的に今申し上げたいと思うのですが、つまり、環境行政等々、本当に毅然たる態度をとっておれば、お金を出さなくても、国民の税金を使わなくても解決できたんじゃないか。

 例えば、九九年の二月に脱税で逮捕されたわけですね。それで、エンバイロテック社と委託契約関係にあった地方自治体は一斉に、これは大変だということで、委託契約関係を断ち切るわけですよ。あるいは、関係の綾瀬とか海老名とか座間各市は指名停止処分を即打つわけですね。政府は、そういうことを多少でも検討したでしょうか、脱税容疑で逮捕された後。

 政府が直轄して契約します公共事業の指名停止等の措置要領というのがあるわけなんですが、これは、指名停止、当時建設省、昭和五十九年三月二十九日、建設省厚第九十一号、この中で、「不正又は不誠実な行為」ということで、「別表第一及び前各号に掲げる場合のほか、業務に関し不正又は不誠実な行為をし、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。」こういう場合は一カ月以上九カ月以内の指名停止に付するというようなことがあるわけですよ。恐らく今回のこういう脱税措置、公共事業の請負等については、当然こういう措置がとられるべき性格のことだと思うのです。

 各自治体が一斉に指名停止処分をやったりあるいは委託契約関係を破棄したりという態度をとった、これが良識、世間の常識なんですね。ところが、政府はそんなことをしない。逆に、逮捕されてから二カ月後に、政府のお金をこのエンバイロテック社に支払うわけですね。逮捕されたのが二月九日、その二カ月後、四月八日に十二億円支払うわけですよ。八億円脱税したという容疑の業者に政府が、それを責めるどころか今度は十二億円国民の税金を払う。盗人に追い銭というのはこういうことじゃないですか。いかがですか、この辺。環境大臣それに防衛庁長官。

伊藤政府参考人 ただいまお話しの、公共事業の指名停止の件でございますが、これは、ちょっと私どもも全体を承知しておるわけではございません。防衛施設庁としては、ここに直接発注ということではございませんので、そういう措置をとっていないということでございます。

 それから、御指摘の十二億円ということでございますが、これは、当時焼却許可の増大ということがございまして、三十トンの焼却量が九十トン、一日当たりでございますが、そういう許可を得た。これは、法律上は許可があったかもしれませんけれども、ますます環境上問題があるということで、いわゆるRDFの施設をつくって焼却量は三十トンにとどめてもらう、そういう会社との契約をした結果ということでございます。

大森委員 それは理屈は当然あるでしょう。理屈なしに払っていたらもっと問題なんですよ。

 今伺っているのは、地方自治体がとった態度、指名停止処分をとった、あるいは契約関係を破棄したという態度、良識ある態度をとったことに対して、国は何の検討もしないまま、既存の契約をそのまま十二億円支払った。この十二億円の支払いの妥当性についても、私は今たくさん意見はあるわけなんですが、しかし、少なくともこれについて再検討するぐらい、しかも逮捕後わずか二カ月ですよ、こういうことについてどう思うかという、政治家としての環境大臣と防衛庁長官の意見を聞いているのです。

伊藤政府参考人 事前にちょっと一言申し上げたいと存じますが、確かにそのような事案があったかもしれませんけれども、ここでの私どもとしての問題認識といたしまして、まさに煙の増大をどう防ぐかという施設の問題と、そして、御指摘のような指名停止等の措置があったといたしましても、それによって操業がなくなったわけではございませんので、したがって、健康の安全のためということでこういう措置をとったということでございます。

大森委員 先ほど来申し上げているように、八億円の脱税、それは何でか、当事者が言っているんです、五億円暴力団に払ったと言っているわけですよ。その直後に今度は十二億円国民の税金を送っているんですよ。暴力団に国民の税金がそのまま行っていると同じじゃないですか。そういうことが本当にいいのかと、環境大臣と防衛庁長官の判断を聞きたいと伺っているのです。

川口国務大臣 おっしゃられました十二億円は防衛施設庁から支払われたものでございまして、環境省との関係では、十二億円の支払いについては私の方からお答え申し上げるのを差し控えさせていただきます。

中谷国務大臣 現行法で何ができるのかという点であらゆる面で検討をしてまいりました。当然先方とも折衝していまして、数々の時間を要してまいりましたけれども、現法体系で何ができるかということも判断しまして、非常に現地の大気の環境の現状がなかなか改善されないという点がもう時間的に限界に来ておりますので、この際、御指摘のような補償のもとに焼却炉を撤去するとしたことでありますが、基本的には、健康にかかわる問題でありますので、周辺住民の皆さんの健康、そして米軍人軍属及びその家族が現実に生活をいたしておりますので、問題点の解決のためにとった措置だというふうに認識いたしております。

大森委員 先ほど来十二億円についていろいろ説明されたんですけれども、これとても環境法令では説明できない支出なんです。しかも、十二億円払ったけれども何の役にも立たなかったと。だから今撤去しているわけでしょう。どぶに捨てるようなものですよ、十二億円。もうこうなると、私は、政府の背任行為、背任罪にも相当する大変な支出だと思うのです。それと同様の、しかも今回それをはるかに上回る七十億円、極めてこれは不当な支出と言わなくてはならないと思います。

 加えて申し上げれば、もう時間がなくなりましたけれども、瓦防衛庁長官が当時、朝の六時に起きて、朝の七時ごろに現地を、米軍住宅を調査された。かつて防衛庁長官が、今厚木基地周辺では百万からの住民がもう何十年も騒音で苦しんでおる、一回でも聞きに行きましたか、見に行きましたか。NLP、爆音、そして神奈川県でいえばさらに相模補給廠のPCB保有物質の保管とか、さまざま本当に被害をこうむっているんです。そういうのも、環境大臣、ぜひ国内の環境保護の立場から、米軍がもたらす被害に対しても厳しい態度で臨んでいただきたいということで、質問時間がなくなりました、最後に環境大臣の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

川口国務大臣 米軍におきましては、環境問題につきましては、米軍のつくりました、たしかJEGSといったと思いますけれども、環境法令に従いまして適正に環境問題については処理をしていただいているというふうに承知をいたしております。

大森委員 米軍の被害を受けている住民の立場に立った環境行政をぜひやっていただきたいということを申し上げて、終わります。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。

 被爆者援護法裁判判決についての質問をさせていただきます。本来でしたら、この質問につきましては坂口大臣に御答弁をいただく内容でございます。大臣に伺ってからという答弁がないように、よろしくお願いいたします。

 六月一日に大阪地裁において、国外居住の被爆者に対する差別的取り扱いについて、憲法違反のおそれまであると厳しく断罪された判決が下されました。その中で、厚生労働省が今まで国会において私たちの質問に答えて在外被爆者排除を合理化していた理屈がすべて否定されました。

 被爆者の方々の人権を考えるときに、国は控訴してさらなる人権侵害をしてはならないと心から思います。私たちの手元には、日本国内各地からの控訴断念を求める声だけでなく、アメリカ、ブラジル、韓国の被爆者の方々から、生きていてよかった、こんなうれしいことはない、国はこの判決を誠実に受けとめ、控訴しないでほしいという心からの叫び声が届いています。二十一世紀の新時代にあって、二十世紀最大の悲劇である原爆投下による被害者を救済するために、当たり前の決断を政治家としていただきたいと思っています。

 その趣旨に立って、以下の三点について厚生労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 まず第一に、被爆者援護法を被爆者救済の人道立法として認識しているかどうかでございます。

 大阪地裁判決は、被爆者援護法について、人道目的の法律であると強調しています。判決文には、援護法は被爆者の援護という人道目的の立法であるゆえに、日本国に居住も現在もしていない在外の被爆者を排除することは困難である、あるいは、被爆者援護法は、被爆者が今なお置かれている悲惨な実情にかんがみ、人道的見地から被爆者の救済を図ることを目的としたものなのだから、国の解釈は、その人道的見地に反する結果を招来するものであって、同法の根本的な趣旨自体に相反するものと言わざるを得ないとまで指摘されています。

 厚生労働大臣は、被爆者援護法の趣旨は人道目的ではないとお考えでしょうか。もしも人道目的であるとおっしゃるのでしたら、この判決の指摘をどのように受けとめておられるか、お伺いしたいと思います。

 二つ目ですが、原爆後障害に苦しむ高齢の被爆者にこれから二審、三審と結論を引き延ばすことの妥当性についてです。

 この判決では、国がこれまで述べてきた主張がことごとく、被爆者を救済するという援護法の根本的趣旨に反するとして否定されました。お役人のメンツからすれば控訴して戦うということになるのかもしれません。しかし、ここで大臣に考えてほしいのです。被爆者は既に高齢化しています。この裁判の原告の郭さんも、ことしで七十六歳です。高裁に控訴し、さらに最高裁に上告して、法律解釈を五年も六年も争うことの意味をどうお考えでしょうか。

 郭さんは、師範学校在学中に日本軍に徴兵され、被爆し、九死に一生を得た後も苦労を重ねてこられました。この郭さんがようやく、日本を離れても被爆者は被爆者であるという当たり前の判断を裁判所からかち取りました。また、ハンセン病や結核などには特効薬があり、患者はそれを服用すれば病から治癒することができます。しかし、被爆者には特効薬はありません。生涯、被爆の後障害とともに生きていかなければならないのです。こうした被爆者の特殊な被害と高齢化という状況を前にして、控訴して長期間争うことの意味を大臣はどうお考えでしょうか。

 最後は、手帳発行、手当支給という給付行政の権利の根幹を、法律の明文規定によらず通達で奪ってしまう通達行政の問題点でございます。

 この判決が示しているのは、新たな法律をつくれとか援護法を改正してほしいということではありません。法律を法律どおりに運用しなさいという厚生労働省への注文なのです。自分たちの通達を法律の上位に置いてはいけないという指摘なのです。被爆者としての地位を奪うという決定的に重要なことを法律の条文によらずしてはならないということなのです。

 六月三日付の毎日新聞の社説でも主張されていましたが、これまで国外居住被爆者を被爆者として認めてこなかった四半世紀以上も昔に出された通達を廃止して、これらの人々も被爆者として認める新しい通達を出す時期に来ているのではないでしょうか。通達ですから、厚生労働省内部で検討可能な作業のはずです。この点についてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。

篠崎政府参考人 御質問ございました三点につきまして、答弁をさせていただきます。

 まずは、被爆者援護法を人道的立法として認識しているかという御質問でございますが、まず、被爆者援護法についてちょっと説明をさせていただきたいと思います。

 被爆者援護法につきましては、原子爆弾の放射線に起因する健康障害という特別の障害に対しまして、違法性、故意、過失の有無にかかわりなく結果責任として補償を行うものであり、国の賠償責任を認めたものではございません。この考え方は、昭和五十五年に原爆被爆者対策の基本的あり方について、原爆被爆者対策基本問題懇談会、我々基本懇と呼んでおりますが、ここで整理をされまして、この考え方が平成六年の被爆者援護法に受け継がれたものというふうに考えております。

 それで、今お尋ねの件と関係するところでございますが、我が国の主権の及ばない外国における在外被爆者の方々につきましては、被爆者援護法とは別に、外交上の判断に基づく支援措置といたしまして、韓国に基金を設置いたしましたり、あるいは北米や南米に居住する被爆者の方々への健康診断などの事業を行っているところでありまして、それぞれの国情に応じた人道的観点からの対応を行っているというところでございます。

 それから、第二点目の控訴をするのかということの御質問だろうと思いますけれども、このことにつきましては、今申し上げたいろいろな問題もございまして、今後の取り扱いにつきましては、関係省庁とも協議してその対応を考えてまいりたいというのが現時点でのお答えでございます。

 それから、通達でこういうことにしているのは問題ではないかということでございますが、御指摘のものは昭和四十九年の公衆衛生局長通達というものでございますが、これは、被爆者援護法に基づく手当の給付が日本国内に居住または現在していることを要件としている法律の趣旨を確認して、それに基づく事務取扱方法を指示したにすぎないものでございますので、そういう公衆衛生局長通達で今御指摘のありましたような受給権を制限しているものではないというのが私どもの認識でございます。

山口(わ)委員 私の質問の内容は、六月一日に出た大阪地裁の判決をどう受けとめておられるのか、それに基づいて厚生労働大臣として控訴するお考えがあるのか、ないのかをお聞きしているんです。

 これは当然、憲法違反ということまで、人権侵害をしている在外被爆者に対する大変な差別であるわけですから、今まで厚生労働省が行ってきたことを踏まえても踏まえなくても、いずれにしても、この判決をどう受けとめていらっしゃって、そして控訴するのか、しないのか。これは大変大事なことでございますので、これは厚生労働大臣としてお考えをいただきたいと思いますし、今お伺いした時点では、控訴するのか、しないのか、ちょっとはっきりしませんので、再度お答えいただきたいと思います。

篠崎政府参考人 判決がございましてから控訴する期限がございますので、まだその期限の範囲内でございますが、いずれにいたしましても、今後の取り扱いについては関係省庁ともよく協議をして決定をいたしたいということでございまして、現在、関係省庁と協議中ということでございます。

山口(わ)委員 大変御答弁が不満でございます。

 私は、厚生労働大臣として御自分でどうこの判決を受けとめていらっしゃるのか、そして、控訴するのか、しないのかという、やはりこの意思というのは非常に大切でございます。ハンセン病同様に、やはり大臣の意思がほかの関係省庁を動かすということもありますので、私は大臣に、今までこれだけ苦しめてきた原爆というのは、個人の意思とは全く違うところで戦争という行為によって被害を受けたわけですから、このことを重く受けとめ、そしてこの判決を重く受けとめて、控訴しないということをぜひ私の方からもお願いしておきたいと思います。

 ちょっと大臣がおられないので、はっきりした態度がわかりません。ですけれども、私の方からもぜひこのことはくれぐれも、控訴しない、そして、在外被爆者も日本にいる被爆者と同様にきちっと補償してほしいということをお願いしまして、では、この質問は終わりにさせていただきたいと思います。

 続きまして、介護保険制度についてでございます。

 介護保険制度が実施されて一年が経過をいたしました。最初は、介護の社会化ということで、どんなにかすばらしい制度になるのかしらというふうに思っていましたけれども、一年たってみますと本当にさまざまな問題が起こってきております。

 私はちょうど長野県ですので、長野県の中でもこの介護保険制度については大変な混乱が今来ております。私の方にも百十くらいの事業者からいろいろな要望、不満が出てきておりますが、その中で、最初に介護保険制度が実施されて、多分、国からのいろいろな指導で介護事業計画が立てられ、保険料が設定されて出発したというふうに思うのですが、一年たちまして、例えば介護保険財政の面で見ますと、県内の市町村あるいは広域連合のうちで二十二の保険者が赤字になってしまったという現象がございます。そして、赤字になった保険者の多くが保険料の値上げ問題に今直面して苦慮しているということです。特に、予算規模の三割を赤字が占めるという保険者もありまして、非常に困った現象といいますか、そして、特に財政規模の小さい町村では支え切れなくなっているということが大きな理由になっているようでございます。

 こういう保険者は保険料の値上げは将来避けられないのではないかというふうに思うのですが、例えば南佐久郡の南相木村というところは、人口千三百人という小さい村でございますけれども、ほぼ三人に一人が六十五歳以上。介護保険以前から施設入所者が多かったんですが、介護保険が始まって多分在宅介護ができるのではないかという見通しで、在宅介護を少し多目に見積もったということですが、結果的には施設入所がふえてしまった。在宅介護を支えるような基盤整備ができていなかったということで、施設がふえたということで赤字になってしまった、そういう現象が起こっています。仮に黒字の見込みが四十四保険者あるんですが、いずれも市なんですね。町村ではなくて市に黒字のところがあるわけですが、これはほとんど在宅サービスが伸び悩んで黒字が出てきたという原因になっているようでございます。

 出発してから一年の間にこういう市町村財政が赤字になる、あるいは基盤整備が非常に少なく赤字になって介護保険制度にひびが入ってきたという現状が出てきておりますけれども、全国的に見て、介護保険制度が一年経過した中でどんな状況になっているのか、お答えいただきたいと思います。

堤政府参考人 介護保険制度が一年を経過いたしまして、その財政状況ということでございます。

 まだ十二年度の最終実績までは出ておりませんけれども、一月分までの給付実績で見ますと、全国ベースで予算に対して九割弱の予算消化率といいますか、そういう数字になっております。これは、住宅改修といった市町村が現金で支払う分が入っておりませんので若干ふえるかもしれませんけれども、そういう傾向には大きく変わりはない。

 そういう意味で、各市町村ごとの状況は、今先生御指摘のように、赤字のところも一部あり、黒字のところもそれよりずっと多いという状況でございます。いろいろその原因等はあろうかと思いますけれども、実際に、黒字等が仮に生じた場合には、その次の保険料を設定する期間、十五年四月からの、三年間後に繰り越しをするといったようなことで対応していただく。もし赤字になる場合には、各都道府県に設定をされております財政安定化基金から借り入れをして、その年は決算を締めていただく、こういうふうになっております。

 いずれにしましても、今の保険料は三カ年基本的には固定をするということで設定をしておりますので、今先生おっしゃったように、黒字のところ、赤字のところ、いろいろな要因があろうかと思いますが、その要因を分析した上で、十五年四月からの、その次の保険料設定により正確な見込みが立てられるように、市町村でそれぞれ計画を立て、見込みを立てて、保険料を設定するということになろうかと思います。

山口(わ)委員 私が心配しているのは、赤字になった理由と黒字になった理由が、本当に地域の中で、介護サービスを受ける人たちが自分たちの要望どおりに介護が受けられた結果、赤字になったとか黒字になったというのならいいんですけれども、もう既に出発時点で、基盤整備ができていない、在宅サービスを受けたくても受けるような状態になっていない、あるいは施設入所をせざるを得ない、こういう現象が結果的に赤字を生み出したというふうに思うのです。

 ですから、本来、介護保険というのは、一人一人介護を受ける皆さんが、自分が介護サービスを選べる、そして、自立して地域社会の中で暮らしていけるというのが原則だというふうに思うんですね。でも、現実にはなかなかそうなっていないということを厚生労働省としてどう受けていらっしゃるのか。あるいは、では、これから皆さんの要望どおりに、例えば基盤整備をどういうふうにしていかれるのかということが、私は、これから介護保険制度をきちっと運営していくためにとても大事なことではないかというふうに思っているのです。

 今は単純に赤字とか黒字というふうに私の方から申し上げましたけれども、例えば、介護保険制度が実施されてどんな問題が起こっているかということになるわけですけれども、当初は在宅サービスの充実を図るということが目標だったと思うのですが、この在宅サービスが不十分なために、家族の要望で施設入所に変更した例というのはたくさんあると思うのです。これは、本人の要望ではなくて、家族がそういうことを申し入れた例というのはたくさんあるわけですね。

 その理由というのはどんな理由があるかといいますと、例えば、在宅サービスが高齢者単独世帯というような場合に、サービスの介護度が違いますと、当然サービスの内容が違ってくるわけですね。ところが、二人でほかに家族がいない場合に、一人がデイサービスに行って一人が家庭にいるということは、なかなか難しいわけです。どうしても、二人の介護度が違っても、セットでサービスを受けなきゃいけない状況にあるにもかかわらず、そういうふうに介護度によってサービスを決められてしまうということで、受ける側の要望とか、そういうものが全然入ってこないという問題が出てきます。

 それから、家庭の状況あるいは道路の状況、交通の状況によってもこの介護サービスというのは随分変わってくると思うのですが、なかなかそういう状況が加味されないという問題が出てきます。

 それから、例えば痴呆がある場合に、予定どおりサービスを行っていましても、痴呆というのは大体夜徘回するんですね、夜中に。そうすると、夜中に徘回されてしまいますと、家族は大変な状況になるわけです。夜まできちっと介護サービスが入るわけではない状況ですから、とてもとても、家族が悲鳴を上げてしまって、大混乱を起こしてしまうということがあるわけです。今、仮に本当に在宅で介護をしていく場合に、介護サービスを要望どおりやったら、それこそ限度額を超えてしまうわけですから、それだけのことができないという問題があります。

 そして、山間僻地など交通不便地では、なかなか、交通費を使ってまで訪問サービスをする事業者というのはほとんどいないわけです。ですから、当然山間僻地では、うちで我慢をするか、あるいは施設サービスを望むかということになってくると思うのです。

 こういう問題がたくさん起こっている中で、私は、やはり介護保険のキーワードというのは自立支援だと思うのです。自立支援というのはどういうことかというと、自立をするために、その自立をするためのお手伝いをするのが介護保険、介護サービスだというふうに思っていますが、現実にはなかなかそうなっていない。かなりいろいろな問題が出ていますが、こういうことについて、厚生労働省としてもつかんでいらっしゃると思うんですけれども、こういう全国のさまざまな問題についてどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、実態をどう把握していらっしゃるのか、把握してきた中で今後どういうふうにしていかれるのか、お聞きをしたいというふうに思うんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、もう少し申し上げたいと思うのです。

 今は介護サービスを受ける部分についてですけれども、もう一つは、非常にこの介護報酬が安いために、かなりいろいろな問題が起こっています。例えば、措置前と介護保険サービスになってからは、ホームヘルパーの賃金というのは非常にカットされ、労働条件も悪くなっていますし、ケアマネジャーに至っては、本当に朝から晩まで一生懸命お金の計算をするだけで、ほかの、ケアプランを立てて、本当にお年寄りと向かって相談をするなんという場面はほとんどできないという現状になっているというふうに聞いています。

 そして、訪問看護が介護に入ったという理由が私にはよくわからないんですが、本来、訪問看護というのは医療の一環ではないかというふうに思うのです。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、訪問看護というのは非常に報酬単価が高いですから、仮に、看護をしなければいけない皆さんが、看護だけで限度額を超えてしまう。当然この介護、いわゆる介護ができなくなってしまうという問題が出ています。

 具体的に申し上げるとちょっと長くなってしまうんですけれども、今、機器をつけて自宅に在宅していらっしゃる方がたくさんいるわけですね。それから、例えば糖尿病のような場合には、腎不全があれば自宅で人工透析をやらなきゃいけないという患者さんもいて、そういう皆さんの看護に手がかかる部分だけ介護報酬がそっちへ取られてしまうという問題がありまして、私は、看護というのは、むしろ医療とセットで地域保健の中でやるべきではないかというふうに思っているのですが、これも介護報酬として介護保険の中に入れられたという問題が、非常に介護を圧迫しているように思うのです。その辺について御説明をいただきたいと思います。

 済みません、全部最後まで言っちゃいますから。

 もう一つ、私が心配なのは、実は、この介護保険制度が始まって、本来、今までやってきた地域保健が非常にないがしろにされてしまったという部分があるのではないかというふうに思っているのです。本来、地域保健がきちっと推奨され、各地区で地域保健が充実していれば、寝たきりも少なくなりますし、健康な人で元気で暮らしている、そういう社会がつくられてくるというふうに思うんですけれども、今、地域保健よりは介護保険にみんな行っちゃっているわけですね。

 例えば、厚生労働省はどうでしょうか。昔、地域保健課というのがあったような気がするのですが、今どこを探しても、名簿を見ても、地域保健課というのはないですね。どこかへ消えてなくなっちゃっているわけです。それほどに地域保健をないがしろにしているんじゃないかという思いが強いわけです。

 長野県の例を挙げますと、長野県は、非常に昔から地域医療と地域保健が充実してまいりました。ですから、その結果、医療費は全国一安いですし、もちろん保険税の滞納も少ない。そして元気で、昔は高血圧や脳卒中が多かったんですが、それも低くなったというふうに、やはり地域の中に、家庭の中に医師や保健婦が入ってきちっとお手伝いをすることが一番私は大切だと思うのです。

 すべて寝たきりにしてしまって、ぐあいを悪くしてしまってから、介護サービスをしましょう、あるいは福祉の中で介護予防をしましょうというのでは私は遅いと思うんですね。むしろ、国の責任として地域医療や地域保健の充実を図っていく必要があるかと思うのですが、国の方も恐らくこの地域保健というのをだんだん減らしていってしまったということが私は非常に心配になりますので、済みません、時間がなくて、まとめてお答えいただきたいと思います。

堤政府参考人 大変広範な御質問でございまして、いろいろな個別の問題の御指摘がございました。

 私ども、やはりそういう現場の声をできるだけ多く、できたら直接お聞きしたいということで、いろいろなルートを通じて、例えば現場の市町村の職員の方に、全国で百カ所の定点市町村という名前をつけて、時々東京に来ていただいて、直接意見交換をする。市町村の職員から直接意見をお聞きしていろいろな現場の問題を把握するというのはやはり非常に重要だということで、そういう仕組みで市町村の意見を聞きながら改善すべき点をやっていこう、こういうことでやっております。

 それから、山間僻地等を中心に在宅サービスが不足をしていて、その結果施設に行くとか、あるいは、その結果十分サービスが使えなくて黒字になっちゃってお金が余っている、そういうふうなところもあろうかと思います。まさにそのために、私ども、介護保険法の中に、市町村は事業計画というのをつくりまして、こういうサービス、こういうサービスと、それぞれ住民、利用者の利用意向というものも聞いた上で、これで向こう三カ年間の見込みを立てて、もしサービスが不足するようであれば、みずから、あるいはどこかいろいろなところから進出してきてもらってサービスを確保する、そしてそれに見合った保険料を設定する。

 そういう意味では、今までの経験を踏まえて次の三カ年の事業計画を、先生おっしゃったように、どこが弱かったのかということをきちんと市町村も認識をした上で計画を立てるというのが次のステップになります。これは重要なポイントになってくると思っております。

 それから、ヘルパーの報酬、ケアマネジャーの報酬等々、いろいろ議論がございます。ケアマネジャーも、非常に忙しい割には報酬が少ないんじゃないかとか、ホームヘルパーも、特に家事援助ヘルパーというのがありますが、これが非常に安過ぎるんじゃないか、その結果お給料が安くなっているんじゃないか、そういうふうな御指摘もあります。

 報酬を上げるということは保険料に直接連動するということでございますので、基本的には、先ほど申し上げました三年に一度の事業計画を見直す、そこでさらに保険料の設定をし直すときに、あわせて報酬についても検討するというふうなことになっておりまして、今御指摘のケアマネジャーの報酬等についても、そのときに、やはり重要な問題として考えてまいりたいと思っております。

 それから、一つ最後に、訪問看護を介護保険のサービスとして入れるのはどうかということでございます。

 経緯だけ御説明いたしますと、私ども審議会等でも、それから当時の与党でも、いろいろな議論がございました。その中で、実は日本看護協会、看護婦さんの団体から、訪問看護というのは非常に介護サービスの中心である、やはりちゃんと介護保険の中に位置づけるべきであると大変強い御意見がありました。

 ただ、それだけで全部カバーできませんので、非常に重篤な場合とか急性増悪の場合等については、介護保険の訪問看護の外で医療保険の訪問看護をプラスアルファ、継ぎ足しができるというふうな運用といいますか方法になっておりまして、そういう場合には、医療保険の訪問看護と介護保険の訪問看護、両方を使える、こういうふうな格好になっております。

篠崎政府参考人 地域保健の充実をせよという先生の御指摘でございましたが、この点につきましては、先生のお説のとおりだと思っております。

 私どもも、健康日本21というのを今年度からスタートさせましたが、これは一次予防に中心を置いた地域保健対策でございまして、保健所、市町村保健センターを中心に展開をいたしたいと思っております。

 また、地域保健の担い手であります保健婦さんにつきましては、平成十二年度までに三万一千人の交付税措置が図られておりますけれども、さらに平成十三年度から十六年度までに千三百五十五人の増員を行うものとされておりまして、今後とも地域保健対策の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

山口(わ)委員 まだまだたくさん質問したいことがありますが、この次に回したいと思います。ぜひ要望を入れていただいて、皆さんが喜ぶ介護保険制度にしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

持永委員長 次回は、来る六月十三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会




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